茨城県議会 2024-03-07
令和6年第1回定例会(第4号) 本文 開催日: 2024-03-07
初めに、令和6年
能登半島地震でお亡くなりになられた方々に御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げます。そして、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
また、このたびこの登壇の機会を与えてくださいました先輩議員、そして同僚議員の皆様には心から感謝を申し上げます。
それでは、通告に従い質問してまいりますので、知事をはじめ執行部の皆様には明快なる御答弁、お願いしたいと思います。
それでは、初めに医師の働き方改革についてお伺いをいたします。
働き方改革法案に基づき、2019年度から多くの業種で働き過ぎ防止に向けた見直しが行われました。一方、医師については、その特殊性から適用が5年間猶予され、いわゆる2024年問題として様々な対応が求められておりました。そして、いよいよ来月から医師の働き方改革がスタートをしようとしております。原則として、年間の時間外・休日労働時間の上限が960時間となります。働き方改革は医師の健康確保と多様で柔軟な働き方の実現を図るとともに、患者にとっても良質な医療の提供につながる重要な取組であります。しかし、医師の確保や医療の
提供体制が十分に整備されないまま、この中身が推進されれば、
医療機関によっては現状の
医療体制が確保できなくなったり、そしてまた、夜間救急の受入れや周産期医療、
小児医療の提供が困難になるなど、
地域医療に大きな影響を及ぼすことを懸念がされております。
とりわけ本県は既に深刻な医師不足の状況にあり、私のところにも
小児医療体制などに対する不安の声が届いているところでもあります。子どもが苦しんでいるときに、今まで診てくれていた夜間救急がなくなる、こういった状況は地域住民にとって子どもの命に関わる重大な問題でもあります。本県においては、時間外・休日労働時間の上限が1,860時間となる特例措置がございますが、今回この申請をされた
医療機関は現時点でたった4
医療機関と少ない状況だと考えております。今後増えることも想定をされますが、まずは本県において、県民の不安に寄り添う
相談体制の整備を行っていただくとともに、4月以降も状況を適切に把握し、県全体を見渡しながら、働き方改革と
地域医療を両立させた持続可能な
医療提供体制の構築に向け、
地域医療構想の具現化や医師不足、偏在対策とともに、一体的に取組を進めていただきたいと考えます。
そこで、医師の働き方改革に当たり、県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。
この項目についてに関する壇上からの質問は以上であります。
5
◯半村登議長 坂本隆司議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。
大井川知事。
〔
大井川和彦知事登壇〕
6
◯大井川和彦知事 坂本隆司議員の御質問にお答えいたします。
医師の働き方改革について、お尋ねをいただきました。
働き方改革により医師が健康に働き続けることのできる環境を整備することは、医療の質や安全を確保すると同時に、持続可能な
医療提供体制を維持していく上で大変重要であると考えております。
そのため、県ではこれまで、県医師会及び
茨城労働局と共に設置した茨城県
医療勤務環境改善支援センターにおいて、医師の時間外・休日労働時間の上限規制をはじめとした制度の周知を図るほか、医業経営や労務管理に関する
専門アドバイザーの活用などにより、
医療機関に勤務する医師の労働時間短縮に向けた取組を支援してまいりました。
一方で、救急など、地域の
医療提供体制を維持するために、やむを得ず勤務医が年960時間を超える時間外・休日労働を行う必要がある場合には、暫定的な措置として
特定労務管理対象機関の指定を受けることで、時間外・休日労働が年1,860時間まで可能となります。県では
医療機関からの申請に基づき、本年1月に県内4つの
医療機関を
特定労務管理対象機関に指定したところですが、これはあくまでも暫定的な措置であり、将来的には時間外・休日労働時間を縮減することが目標とされております。
今後、人口減少、
少子高齢化により、医療を取り巻く環境が急速に変化していく中で、働き方改革による医師の労働時間の短縮と県民の命を守る
医療提供体制を両立するためには、限られた医療資源を最大限効果的に活用する必要があります。そのため、現在策定を進めている第8次茨城県
保健医療計画において、新たに県内を3圏域に分けた
医療提供圏域を設定し、より広域的な視点に立って、高度医療の
機能集約化と
医療機関の役割分担、連携の強化を推進することとしております。
さらに、勤務医の負担軽減のためには、特定の
医療機関への
受診集中緩和や、救急車の適正利用について、県民の理解と協力が必要であることから、
医療機関での
ポスター掲示やリーフレットの配布、SNSなどによる
救急電話相談や
かかりつけ医の活用を周知しているところであります。
県といたしましては、今後とも各
医療機関における勤務医の時間外・休日労働状況や
医療提供体制への影響を注視しながら、引き続き医師の働き方改革、医師の偏在対策及び
地域医療構想の実現の3つに一体的に取り組むことで、良質かつ適切な医療を効率的に提供する
体制づくりを進めてまいります。
7 ◯28番
坂本隆司議員 再質問します。
8
◯半村登議長 坂本隆司議員。
9 ◯28番
坂本隆司議員 御答弁いただきましたが、3圏域にどんどん分けて、その中でもいろんな形でこれからも先を見据えていくという御答弁をいただきましたが、それでもです、私の地元の中でいろんな話をお伺いしてきました。先ほども述べましたが、働き方改革の対応のため、実は
小児医療体制の維持が困難になるのではないかという不安の声が本当に多く聞かれております。そして、調べてみますと、2020年の
厚生労働省の資料では、医師、歯科医師、
薬剤師統計というデータによりますと、本県の15歳未満の人口10万人に対する小児科の医師の数、これが94.4人で全国の中で最下位である、こういったデータもあります。
そういったことを考えますと、やはり小児救急、こういった
医療体制には急務である、そのように考えますが、知事にお伺いしたいのは、小児救急の体制の在り方、そして今後の方針について、改めてお伺いしたいと思います。
10
◯半村登議長 大井川知事。
〔
大井川和彦知事登壇〕
11
◯大井川和彦知事 再質問にお答えいたします。
医師の働き方改革を進めつつ
小児医療提供体制を維持していくためには、これまで以上に医療機能の集約化や
医療機関相互の役割分担、連携強化を推進する必要があります。そのため、第8次茨城県
保健医療計画において策定する
医療提供圏域の中で、医師会や市町村と協力し、
小児医療機関の広域的な連携体制を構築してまいります。
議員の御指摘ではございますが、現在の茨城県の小児科医、ほとんど赤字です。少子化が進む中で患者がいないという状況の中で、この現状のままでの小児科医を維持することは完全に不可能となってきておりますので、この
小児医療提供圏域という考え方、より集約化することによって、
小児医療を維持していくことが必要不可欠というふうに考えております。
今後とも、
小児医療の
提供体制の維持に全力で取り組んでまいります。
12
◯半村登議長 坂本隆司議員。
〔28番
坂本隆司議員登壇〕
13 ◯28番
坂本隆司議員 御答弁ありがとうございました。
確かに小児科医の赤字の体質、その状況も私も話は聞いております。ですが、やはりそういった赤字の体質が小児科だけではなくて、本当にこの
地域医療の体制自体に問題があるのかなというふうにも思います。ですから、やはり医師会、そしてまた
地域医療、そういった連携を図るためにも、やはり県がある程度の旗振りをして、その先頭に立ってやっていただく、そういったことも必要なのかなというふうに思いますので、今後の課題としてお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
次に、
いばらき電子申請・
届出サービス等における機能の改善と
市町村支援の充実についてをお伺いいたします。
2004年に開始された
いばらき電子申請・
届出サービス、これは県民などが
インターネットを利用し、24時間365日、どこからでも行政へ各種申請を行うことができ、県と市町村が共同で運用することにより、利用者の利便性の向上はもとより、行政のコストの削減や業務の効率化などに期待のできる重要な取組であると考えております。利用者は特にコロナ禍以降大きく増加し、県民に徐々に浸透しつつありますが、まだまだ十分と言えないのではないでしょうか。県民に慣れ親しみ、便利になったと実感してもらえることが重要であります。例えばこの
電子申請を、スマートフォンアプリを利用し分かりやすく行えるようにしたり、そしてまた、
スポーツ施設の予約から決済までをシステムで行えるようにするなど、
利用者目線でさらなる機能の向上に努めていただきたいと考えております。
また、県において、第2次茨城県総合計画において、2025年度末までに県及び県内全ての市町村において、全ての行政手続を
オンライン化するとの目標を掲げておりますが、昨年度末までにおいて、全ての行政手続を
オンライン化した市町村はいまだなく、まだまだ進んでいない状況があると伺っております。また、自治体によって業務の
デジタル化への考え方に温度差があることに加え、
デジタル化を担う職員においても対応力に差があるとも考えられます。県においては、
いばらき電子申請・
届出サービス等の県民にとって分かりやすく、より利便性の高い
サービスとなるよう、継続して、そして効果的な機能改善を図っていただくとともに、各市町村における対応状況を適切に把握されながら、全市町村がスムーズに
オンライン化を実現できるよう、県としてもきめ細やかな支援を行っていただきたいと考えております。
そこで、
いばらき電子申請・
届出サービス等における機能の改善及び
市町村支援の充実に向けた取組について、
政策企画部長にお伺いをいたします。
14
◯半村登議長 北村政策企画部長。
〔
北村政策企画部長登壇〕
15
◯北村政策企画部長 いばらき電子申請・
届出サービス等における機能の改善と
市町村支援の充実についてお答えいたします。
本県では、県民の
利便性向上と、県、市町村の
業務効率化のため、行政手続の
オンライン化に積極的に取り組んでおり、その一環として、2004年から
いばらき電子申請・
届出サービスを運用しているところでございます。県におきましては、対応可能な全ての手続の
オンライン化を2020年末に完了するとともに、市町村に対して県民への周知とシステムに搭載する手続拡大についての働きかけや技術的な支援を行うほか、市長会、町村会の場を活用して、市町村長に直接
オンライン化推進の要請などを行っております。
こうした取組に加え、コロナ禍の下で
オンライン手続への需要が高まったこともあり、
電子申請・
届出サービスの利用件数は2019年度の約11万件から今年度は53万件を超える見込みであるものの、十分に浸透しているとは言えない状況にございます。また、議員御指摘のとおり、市町村における
オンライン化は取組の途上にあり、児童手当や介護関係など、国が定める
地方公共団体が優先的に
オンライン化すべき手続に関しても、達成率はいまだ65%にとどまっております。
このような状況に対応し、
電子申請・
届出サービスを通じて、県民の
利便性向上と県市町村の
業務効率化を図るためには、県民の目線で分かりやすく使いやすいものにすることと、市町村のDXを担う現場を支援することが重要であると考えております。このため、県といたしましては、まずシステムの機能向上として、誰もが直感的に操作できるよう画面のデザインの改良や、市町村別、分野別に
オンラインで対応している手続を検索し、申請までを簡単に行える仕組みの構築に取り組んでおり、これらの改良をさらに進めてまいります。
次に、
市町村職員のシステムの習熟や
業務負担軽減のため、操作研修の充実や
申請フォームの共通化と市町村への提供に引き続き取り組むとともに、DX人材の確保、育成のため、県内の産学官で構成する茨城県
高度情報化推進協議会の研修も活用して、職員の
スキルアップを図ってまいります。
県といたしましては、県民の皆様に
オンライン手続を身近なものとして御利用いただくとともに、県内全ての市町村が行政手続の
オンライン化を実現し、人口減少の下でも
住民サービスを持続的に提供可能な
スマート自治体へと転換できるよう、
いばらき電子申請・
届出サービス等における機能の改善と市町村の支援の充実に一層取り組んでまいります。
16
◯半村登議長 坂本隆司議員。
〔28番
坂本隆司議員登壇〕
17 ◯28番
坂本隆司議員 部長、ありがとうございました。
この
電子申請サービス、これは、要は住民票を取ったりとか、
あと戸籍謄本も郵送で取れたりするシステムではあるんですが、やはりもうちょっと身近なものにも一緒に使えるようにしていただきたいなというふうに考えております。
先ほどもお話をしましたが、例えばですが、野球のグラウンドを今予約するのに、
インターネットでもすぐ取れるんですね。
予約システムサービスがあります。でも、その先のお金の支払いというのは、市役所に行ったりですとか、その場所に行ってお金を支払わなくちゃいけない。やはりそこでまた人が動かなくちゃいけない。こういったものが
電子申請サービスも一緒になれば、1つの一元化となってすごく分かりやすく、使える
サービスになるだろうというふうに思います。
また、私なんかも使っているんですが、茨城県の
キッズカード、あの
キッズカードはただ提示するだけなんですが、でも実はあるスーパーでは、それを自分のところのソフトと一緒に連携をして、そのソフトを見せればすぐ割引になる、そんなところまで来ています。ですから、そういったところとも一緒に連携をしながら、こういった
電子申請サービス、県民にとって分かりやすく使いやすいものにしていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。
次に、
薬物乱用防止についてをお伺いいたします。
昨年、某大学の
アメリカンフットボール部が関わる大麻事件や覚醒剤などの
違法薬物事件が発生をし、大きな注目を集めました。携帯電話や
インターネットの急速な普及により、これらを利用した密売方法が一層巧妙化をし、若者にとって薬物がより簡単に入手できる状況があるのではないかと危惧しております。県警の調査によれば、昨年の本県における大麻での検挙人数、これは88人で、そのうちの約8割の方々が20代以下というデータが出ております。大麻はゲートウエードラッグとも呼ばれ、より危険な薬物への入り口ともなっており、将来のある若者が自らを傷つけ、夢や希望を諦めなくてはならなくなる、そうした若者を1人でも減らしたいという思いでもあります。2015年には
議員提案政策条例として、茨城県薬物の濫用の防止に関する条例を制定し、県議会としても課題意識を強く持っているところでもあります。
また近年、市販薬の過剰摂取である
オーバードーズについても若者を中心に急増しており、総務省、消防庁及び
厚生労働省の調査によれば、2022年の
オーバードーズが原因と疑われる救急搬送は全国で1万1,000人で、20代以下が全体の半分を占めている、こんな状況もあるようです。
県においては、これらの状況を踏まえて、先ほどの条例等に基づいた様々な対策を講じていただいているとは思いますが、特に若者が薬物を乱用する前の段階や初期段階で、踏みとどまれるような取組を強化していただきたいとも考えております。安易に手を出せば重大な健康被害が生じるおそれがあることを、あらゆる機会を捉え様々な方法により啓発をしていただくとともに、若者による薬物乱用は、助けを求めるサインであるということも念頭に置きながら、
相談体制の支援や、そして充実にも取り組んでいただきたいと考えております。
そこで、薬物乱用の防止に向け、県としてどのように取り組んでいくのか、
保健医療部長にお伺いをいたします。
18
◯半村登議長 森川保健医療部長。
〔
森川保健医療部長登壇〕
19
◯森川保健医療部長 薬物乱用防止対策についてお答えいたします。
県におきましては、これまで茨城県
薬物乱用防止5か年戦略、及び
議員提案条例の茨城県薬物の濫用の防止に関する条例などに基づき、関係機関と一体となって総合的な
薬物乱用防止対策を実施してきたところです。具体的には、小学校から高校までの
薬物乱用防止教室や
街頭キャンペーンなどの啓発のほか、
薬物相談窓口の設置、
危険ドラッグ販売店などへの立入検査を実施してまいりました。
しかしながら、2023年の県内の大麻事犯の検挙人数は過去最高を記録し、その8割を30歳未満の若年者が占める状況となっております。特に大学生による
大麻乱用が問題となっていることから、今年度は県内の大学に
啓発ポスターを配布するとともに、講師派遣の案内を行ったほか、文化祭で県警本部と合同で資材を配布するなど、大学生を対象に
大麻乱用の危険性を啓発いたしました。
また、医薬品の過剰摂取、いわゆる
オーバードーズについても、若年者の間で増加していることが報告されております。そこで、県内の
消防本部等と連携して、
オーバードーズが原因と疑われる
救急搬送人員を調査したところ、2023年は500人を超え、3年前と比較して約100人増加しておりました。年代別では30歳未満の若年者が全体の4割を超え、そのうち8割が女性という状況でした。
オーバードーズの対策として、これまで県では、薬局や
店舗販売業に対して定期的に立入検査を実施して、乱用のおそれのある医薬品の適正販売を指導してきたところです。
一方で、若年者が
オーバードーズをしてしまう背景には、「ひどい精神状態から解放されたかった」や「死にたかったから」などの
社会的孤立があると言われております。このため、教育庁の
子どもホットラインや福祉部のこころの
SNS相談など、
若年者向けの心の悩みに関する相談窓口を設置するほか、
薬物依存症専門相談窓口として
精神保健福祉センターを案内して、相談支援に結びつけてまいりました。
今後は、女性に
オーバードーズが多いという調査結果を踏まえ、女性の
公認心理師が対応する女性のためのこころの
オンライン相談などの相談窓口があることも併せて広報してまいります。また、販売店への指導を一層徹底するほか、
大麻乱用や
オーバードーズが増加している現状を踏まえ、
薬物乱用防止教室や啓発資材に新たに
オーバードーズなどの内容を追加するとともに、若年者がよく利用するSNSを活用した情報発信を充実してまいります。
県といたしましては、これらの対策を含めて、
薬物乱用防止対策について引き続き強力に推進してまいります。
20
◯半村登議長 坂本隆司議員。
〔28番
坂本隆司議員登壇〕
21 ◯28番
坂本隆司議員 答弁ありがとうございました。
オーバードーズ、本当に今問題になっていると思います。そしてまた、これからの対応というのも、やっぱり薬局に対しての取組というのも、非常に今やっていただいているというふうに勉強会でもお話はいただきました。でも、まだまだやれることというのが非常に多いのかなというふうに思いましたし、あと、県で今取り組んでいることもお話をいただきましたが、やはり若者向けにもう少し違ったアプローチ、SNSという形で部長も答弁をいただいたんですが、SNSでも今やり方がいろんな形でどんどんと普及の仕方が違っておりますので、その辺も調査を研究していただきながら、特に若い世代に対していろんな啓発運動をしていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
次に、行きます。
次に、農地におけるナガエツルノゲイトウ対策についてお伺いをいたします。
この件につきましては、補助資料を用意しておりますので御覧ください。写真になります。
ナガエツルノゲイトウは南米原産の多年草で、繁殖力、拡散力が極めて強いことから、地球上最悪の侵略的植物というふうにも呼ばれております。刈り取る際に飛散した小さい茎からでも再生をしてしまい、生息域を拡大する特定外来生物となっております。本県では県南地区の新利根川流域で確認されて以降、霞ヶ浦などに生息域が拡大をし、一部農地へも侵入しているため、地元では強い危機感を抱いております。特に農地でナガエツルノゲイトウが蔓延すると、農作物の収量低下や、そしてまた、農業用の用水の通水に支障を来すなど、深刻な被害をもたらすことが懸念をされていることから、農地への侵入を許さないというような予防的観点が重要だと考えております。
このような中、地元では、特に細谷県議が中心となり、新利根川流域ナガエツルノゲイトウ対策協議会が昨年11月に発足をされました。そして、農業被害の防止に向けた対策について、関係機関が連携をし、さらなる取組を進めていくこととしたところです。そして、県でも、昨年の第4回定例会において補正予算を措置し、そして、農地への侵入防止対策を講じるというふうにしたところでもあります。関係者もその効果に大きな期待を寄せている、そういったところでもあります。
そこで、補正予算が成立をしてから、今現在、その侵入防止対策緊急支援事業の進捗状況についてをお伺いいたします。また、万が一農地に侵入してしまった場合には、大きな農業被害に至ることを防ぐため、予防的対策に併せ、効果的な対策を講じていただきたいとも考えております。
以上を踏まえ、農地におけるナガエツルノゲイトウの侵入、また、及び蔓延防止対策について、農林水産部長にお伺いをいたします。
22
◯半村登議長 上野農林水産部長。
〔上野農林水産部長登壇〕
23 ◯上野農林水産部長 農地におけるナガエツルノゲイトウ対策についてお答えいたします。
特定外来生物であるナガエツルノゲイトウは繁殖力や拡散力が極めて強く、小さな茎や根の断片からでも急速に再生、成長する特性があり、断片が農業用水を通じて農地に侵入し繁茂することで、水稲の生育阻害などの深刻な農業被害を引き起こす極めて危険な植物です。このような特徴のあるナガエツルノゲイトウによる農業被害を防止するためには、地域一体で被害防止に取り組む
体制づくりと、農地への侵入を許さないという予防対策が何よりも重要であると考えております。
このため、まず地域の
体制づくりといたしまして、県南地域で繁茂が顕在化し始めた2021年に、国の研究機関、市町村や地元の農協、土地改良区等が一堂に会した県南地域ナガエツルノゲイトウ等対策連絡協議会を設置し、ナガエツルノゲイトウの特性や危険性について理解を促進するとともに、県内での繁茂状況についての情報を共有してまいりました。また、議員御案内のとおり、県南地域の中でも、生息域が急激に拡大し危機感を強めている新利根川流域の市町村においては、2023年に新利根川流域ナガエツルノゲイトウ等対策協議会が設置され、地域でより一層集中した対応を進めていくこととしたところです。
県におきましても、農地における繁茂拡大を防止するため、昨年12月の第4回定例会において、既に繁茂が著しい農業用水路内の駆除費用や、農業用水路へのさらなる侵入を防止するフェンスの設置費用を支援する農業水利施設外来水生植物対策関連事業を措置したところです。このうち、特に重要な予防対策であるフェンスの設置については、県では事業主体となる土地改良施設などの施設管理者が速やかにその取組を実施できるよう、12月から1月にかけて、設置に必要な河川管理者への手続について国土交通省等と協議を行うとともに、関係する市町村や土地改良区と一体になって、フェンスの設置箇所などの具体的な対応内容について調整を行ってきたところです。
こうした取組の結果、新利根川流域の土地改良区を中心として、対象施設の8割を超える約190か所の施設管理者から侵入防止フェンス設置の意向が示されており、今後は水田への取水が始まる田植時期の前までにフェンスの設置が着実に進むよう、引き続き現場と一体となって取り組んでまいります。
また一方で、農地に侵入してしまった場合には速やかに防除を行う必要がありますが、農業者の方々が防除を行う際に茎の断片を散らばらせて被害を拡大させることのないよう、刈払い機などの機械を使わず、農薬を使用した適切な防除を行うことを、地域の農業改良普及センターが中心となって周知、指導を行っているところです。さらに、研究分野においても、現在県農業総合センターにおいて、水田で用いる従来より防除効果が高い農薬の選抜試験を行っており、そうした試験の成果を下に、生産現場における実効性のある最新の防除対策の実施を働きかけてまいります。
県といたしましては、引き続き地域と一体になって農地への侵入を予防するとともに、侵入した農地での適切な防除を進め、農家の方々が安心して農業生産に取り組めるようしっかりと対応してまいります。
24
◯半村登議長 坂本隆司議員。
〔28番
坂本隆司議員登壇〕
25 ◯28番
坂本隆司議員 御答弁ありがとうございました。
ナガエツルノゲイトウ、今写真を見ていただいているかと思います。1枚目の写真は、川幅が約大体20メーターから30メーターぐらいある新利根川という川なんです。その川自体が全てその草で覆われてしまう。本当にこれ、現地を見ていただいた方じゃないと、なかなかこの迫力というか、すごさというのは分からないかもしれませんが、それほど強い植物であるということが御理解いただけると思います。そして2枚目の写真は、農業用水にかかっているナガエツルノゲイトウがやはり覆いかぶさっている、そんな状況でもございます。これがやはり
田んぼに入り、その収量を減らしたり、日陰になってしまうところもありますので、水質も悪くなるのかもしれない、いろんな研究が今されているところではあるんですが、やはり今地元の農家の皆様は、直面している人たちは本当に危惧しているところでもありますので、どうか早い解決策を見つけていただくことが一番だなというふうに思います。
そしてまた、先ほど部長の答弁にもあったんですが、地域の方々へナガエツルノゲイトウの取り方、そういったものの周知というのはもう一度やっていただいたほうがよろしいかと思います。本当に小さいところで繁殖力が強くて、何度か取ってはいるんですが、その繁殖力の強さというのは身にしみて分かっているんですが、それが一人一人でやってしまうとまたさらに広がってしまうこともあると思いますので、どうかその辺は十分注意をしながら周知に向けていただきたいと、そのように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
次の質問は、県道管理における除草及び街路樹の維持管理についてをお伺いいたします。
この件につきましても補助資料を用意しておりますので、御覧ください。
県道や国道、そういった街路樹に関しては、景観向上、環境保全、交通安全など、様々な機能を有するとともに、私たちの生活に潤いや安らぎをもたらすものであると考えております。一方で、街路樹の中には大型化や老朽化が進み、そして、歩道の根が上がってしまって、段差になって通行の障害になってしまっている場所や、さらには、今資料を御覧になっていると思いますが、資料のように枝がはみ出て、そういった場所には枝と車が接触をしたり、そういった問題が多く出ているところもございます。また、歩道については、大きく伸びた草で通学の子どもたちに支障がある、そういったところも非常に多く、苦情の連絡をいただいているところでもあります。
県においては、樹木の剪定や、そして、大きくなった樹木を低木化にするための植え替え、そしてまた除草時期の回数、そして見直しを行っていただいていると思います。それも、まちづくりの観点や地域の実情も踏まえながら対策を講じていただいていると思います。そしてまた、意欲を持った県民や団体などの力も借りながら、持続可能な道路管理を行っていただいていると思ってもおります。私の地元、龍ケ崎市においては、道路などの不具合をスマートフォンアプリのLINEを活用して問合せができる取組を始めております。市民が通報しやすくなることに加え、職員の負担軽減にもつながる、そんな効果的な取組であり、こうしたほかの自治体のよい事例は参考になるとも考えております。
2022年に議員提案により制定しましたいばらきの豊かな緑を守り育て適正に管理するための条例、これにおいても道路等の樹木の適正な管理について規定したところでもあり、こうした趣旨を踏まえ、道路交通の安全と環境と景観との両立に向けた道路管理を期待するところでもあります。
そこで、県管理道路における除草及び街路樹の維持管理にどのように取り組んでいくのか、土木部長にお伺いをいたします。
26
◯半村登議長 田村土木部長。
〔田村土木部長登壇〕
27 ◯田村土木部長 県管理道路における除草及び街路樹の維持管理について、お答えいたします。
まず、街路樹につきましては、交通安全性の向上や道路環境の保全などに加え、まちづくりにおける景観形成など多様な役割を担っております。また、2022年11月に施行されましたいばらきの豊かな緑を守り育て適正に管理するための条例においては、これらの役割を持続的に発揮するため、計画的かつ適正な管理が求められております。
一方で、街路樹の中には、経年的な成長による老朽化や高木化が進行し、倒木のおそれや歩道部における根上がり、樹木の過密化などの問題が顕在化しております。このような中、限られた維持管理費において、まずは枝の剪定による安全な通行空間の確保を最優先に、街路樹の管理を行っているところでございます。
議員御指摘の龍ケ崎市内の県道八代庄兵衛新田線におきましては、中央分離帯や歩道の街路樹の一部が高木化し、車道の上空に枝が張り出しておりますが、大型車が常時安全に通行できる道路空間が確保されるよう適宜枝の剪定を実施しております。また、同路線においては、2021年度に、安全な歩行空間を確保するため、龍ケ崎市と調整した上で国の補正予算を活用し、約650メートル区間の街路樹の伐採や植樹帯の撤去を行った事例もございます。
次に、道路の除草につきましては、通学路の指定状況や歩道の有無、沿道の利用状況を考慮した上で原則年2回実施しており、そのほか日常の道路パトロールなどにおいて、車両や歩行者の安全な通行に支障を来すおそれがあると判断した場合にも緊急的に除草を行っております。また、道路の美化活動に意欲を持つ県民や団体に対しては、道路ボランティアサポート事業により活動を支援しており、現在約300団体の方々に県管理道路の一部区間の清掃や除草などを行っていただいております。
さらに、議員御案内の道路の不具合などの通報に対する取組としては、国において従来の道路緊急ダイヤル#9910による電話受付に加え、昨年11月より関東甲信1都8県においてスマートフォンアプリのLINEによる運用が開始され、通報内容の状況把握などの迅速化、効率化が図られているところです。また、県では道路の日常管理において、担当職員と施工業者がクラウド上で行政相談等をリアルタイムで情報共有できるシステムを昨年度本格導入し、対応方針決定までの時間が約3割削減されるなど効果が表われております。
県といたしましては、良好な通行環境を保全するため、引き続き効率的な道路の維持管理に努めてまいります。
28 ◯28番
坂本隆司議員 再質問します。
29
◯半村登議長 坂本隆司議員。
30 ◯28番
坂本隆司議員 ありがとうございました。
県の道路の管理、でも、本当になかなか行き着かない場所があったりですとか、そういった部分が本当に非常に多くあって、いろんな話が来るんだろうなというふうに思っております。
その中でも、先ほども少しお話ししたんですが、道路のボランティア、300団体も入っていただいているということで、非常に実は多いんだなというふうに思いました。でも、やはり県のほうで対応ができない場合、こういったボランティアというところに支援をいただくというのは、さらにさらに広めていくべきだろうというふうに思っております。特に大きな木というのは難しいかと思うんですが、やはり除草とかそういった部分では、まださらにお願いをできるところでもあると思うんですが、そこで、県において道路ボランティアの担い手の確保、そして、支援を積極的に行っていただきたいと改めて思うんですが、部長にお伺いしたいと思います。
31
◯半村登議長 田村土木部長。
〔田村土木部長登壇〕
32 ◯田村土木部長 再質問にお答えいたします。
道路ボランティアにつきましては、ホームページなどを活用して団体の加入促進を図っており、毎年約10団体増加しております。また、参加者の傷害保険加入費用への負担や草刈り機の貸与などの活動に必要な支援を行っております。県といたしましては、資機材の充実などにより、道路の維持管理に意欲的な県民や団体への支援に努めてまいります。
33
◯半村登議長 坂本隆司議員。
〔28番
坂本隆司議員登壇〕
34 ◯28番
坂本隆司議員 部長、ありがとうございました。
ボランティア、10団体ずつも増えてきているということでお話をいただきましたが、私の地元の地区ででもやはり4車線の道路がありまして、歩道がどうしても草が生えてしまってということで、これを勝手に切っていいのかということで問合せをいただきまして、地元の事務所に問合せをしながら、草刈りをボランティアの方にやっていただきました。
ですが、そのときに私は思ったんですが、ボランティアの方にやっていただくのはいいんですけれども、そのときは4車線の大きな道路だったんです。それが、歩道と車道との間にある除草の植樹帯というところの草刈りをやってもらったんですが、そこで肩かけの機械、要は草刈り機ですよね、あれでボランティア作業をやっていただいたんですが、でも、今の業者さんにお願いすると、今防除ネットをやりながら、車に石が当たらないようにとか、そういったことを自然とやっていただいているんです。でも、それをボランティアの方々がそこまで理解をしてやっていただけるのかというところと、あとは本当に交通事故につながらないのかというところが、非常に私、不安になりました。
でも、そういうことを考えますと、ボランティアの団体にお願いをする、そういったことは非常にいいことだと思うんですが、その先の保険ですとかそういったところの、あとはやり方とか、そういったところにもぜひとも支援をしていただきたいなというふうに思います。やはり除草作業、慣れている人たちだけではありませんので、そういった意味では、そのやり方ですとか、そういったところにもぜひともお話をしながら支援につなげていただきたいと思います。
そして、すいません、質問の順番が、申し訳ございません、ずれてしまいまして大変申し訳ございませんでした。
そして、次の質問に移らせていただきます。
1つ前に戻りまして、牛久沼の活用に向けた水際線の整備についてをお伺いいたします。
この牛久沼、水面は龍ケ崎、周りは5市町で賄っているこの牛久沼なんですが、この場所がまた都心から近く、アクセスに優れ、四季折々のすてきな表情を映し出す風景に、多くの市民が観光名所になることを願っている。それ以外にも、地域の住民の方々は潤いの水辺として親しまれ、今後の活用にも期待を寄せている場所でもあります。
こうした中、1992年には、県と周辺市町において牛久沼水際線地域計画が策定をされ、水際線の保全や活用などに取り組むとされており、計画に基づいた整備がされてきているところだと思います。そして、一方で、本年1月に周辺6市町と県とで構成をする牛久沼活用推進協議会が発足をし、広域的な連携を図りながら、牛久沼や周辺地域の魅力向上に向けた検討が進められております。
新たな協議会が発足した今、30年以上経過した本計画の在り方について、現在の情勢に合わせた変更が必要であると考えております。今後この協議会において、牛久沼の周遊ルート、牛久沼を一周回れるような道路整備なども含めた新たな活用策について、検討が進められると思いますが、県としてもこの水際線の整備に向けて、積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
そこで、新たな活用策を牛久沼水際線地域計画にどのように取り込み、計画の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、土木部長にお伺いをいたします。
35
◯半村登議長 田村土木部長。
〔田村土木部長登壇〕
36 ◯田村土木部長 牛久沼の活用に向けた水際線の整備についてお答えいたします。
牛久沼は県が管理する一級河川谷田川の一部を構成し、その湖面積は約6.5平方キロメートル、周囲長は約20キロメートルの湖沼となっており、その水辺や周辺地域においては自然豊かな水際線を形成しております。
このような牛久沼の水際線を保全し、四季折々の変化を楽しむための水辺環境の創出を目的といたしまして、河川管理者である県並びに牛久沼周辺の5市により牛久沼水際線地域計画が1992年に策定されました。この計画は、水田や水生植物などの環境を保全することを目的とした保全、散策路等の整備を通して潤いのある生活の場を創出するための生活、公園整備等を通して水と親しむ場を創出するための活用の3つの視点から、牛久沼のよりよい水際線の在り方を実現するための整備方針などを定めたものであります。整備の内容につきましては、県において河川改修を実施し、市において公園や散策路などの整備を行うこととしており、これまでに県において、牛久沼に流入する西谷田川などの河川改修を進めるとともに、龍ケ崎市においては2005年に約3ヘクタールの牛久沼水辺公園の整備を実施しております。
そのような中、昨年6月2日から翌3日にかけての大雨では、つくば市の観測所において24時間雨量で254ミリメートルと戦後最大の降雨を記録し、牛久沼周辺において越水による浸水被害が3か所発生いたしました。そのため、県では学識経験者などから成る牛久沼越水対策検討委員会を設置し、越水被害の発生要因や今後の越水防止対策を検証した結果、越水の主たる要因は経年的な地盤変動による堤防の沈下であることが確認されました。今後は委員会での検証結果を踏まえ、再度災害防止に向けた堤防のかさ上げなどのハード対策に加え、水防連絡体制の強化に資する河川監視カメラの設置などのソフト対策も実施していくこととしております。
一方で、牛久沼及びその周辺地域の魅力向上や地域経済活性化促進のため、龍ケ崎市をはじめとする牛久沼周辺の6市町及び県の政策企画部が参画する牛久沼活用推進協議会が本年1月に発足し、初会合において、散策やサイクリングなどを想定した牛久沼周遊ルート案が承認されたと承知しております。この周遊ルートは良好な水辺空間の創出を目指すという観点などから、牛久沼水際線地域計画の趣旨が反映されているものと考えております。今後の協議会での議論を踏まえ、関係部局と連携しながら、例えば他地域における自転車道整備の先行事例を市町に情報提供するなど、必要な技術的助言を行ってまいります。
県といたしましては、牛久沼の治水安全度の向上に努めるとともに、活用に向けた周辺市町の取組についても積極的に支援してまいります。
37
◯半村登議長 坂本隆司議員。
〔28番
坂本隆司議員登壇〕
38 ◯28番
坂本隆司議員 部長、ありがとうございました。
この牛久沼の現状を話しますと、水辺、水の水面というのが龍ケ崎市の管理になっています。そこに龍ケ崎があり、牛久市があり、つくば市があり、つくばみらい市、そして、取手市が周りの周辺を囲んでいるという立地条件になっています。先ほど協議会が発足したこの6市町、そこに水利権が、河内町も入りますので、その河内町が入って協議会がスタートしたところでもあります。
長年、やはり本当にきれいな夕日が見れたり、そういったところを考えると、地域の人たちにとって、ここを何とか観光の名所ですとか、いろんな意味での活用ができないか、本当にいろんなことが話がされていました。その点に関しますと、やはり一番最初にスタートしなければいけないのは周遊の道路であろうということが、この間の協議会でもお話が出たところでもあります。中には花火大会をしたいとか、いろんな話が出ておりますが、やはりまずは周辺の整備が必要であろうというふうに思っております。
その中でも、龍ケ崎市では今回、道の駅を中止と判断しました。それも、牛久沼の周辺につくる予定だった場所です。でも、牛久沼を活用するための道の駅の整備ではあったんですが、道の駅だけではやはり難しい部分があるだろう、そしてまた、今回の越水したという部分もありまして、中止という判断を今の市長がされたということでもありますが、でもやはりこの牛久沼の活用、まだまだ明るい未来を待っている、そんな場所だと私も思っておりますので、どうかまずは周遊道路、そこに向けて話合いが進んでいければなというふうに思います。
話をしますと、二千間堤といいまして、取手市やつくばみらい市のところに向かう堤防の上の土手なんですが、そこの区間だけがまだ舗装されていないんです。そこが舗装されれば、先ほど部長がおっしゃっていたように、サイクリングロードにもなり得る可能性もある、そういったこともありますので、今後の活用方法に期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いしたい、そのように思います。
それでは、最後の質問に移らせていただきます。
生徒の熱中症事故防止に向けた大会運営の在り方についてお伺いをいたします。
夏の暑さが年々厳しさを増す中、総務省消防庁の調査によれば、昨年5月から9月の熱中症による救急搬送は全国で9万1,000人となり、猛暑であった一昨年より20%も増加をしているほか、本県においても2,600人もの方が、この熱中症で搬送されていると伺っております。
学校に目を向ければ、県においても熱中症事故防止対策に向けて対策が進められていると思いますが、多くの保護者からは、夏の暑い時期の大会運営の在り方について改善を求める声が上がっております。全国中学校体育大会や、そして全国高等学校総合体育大会、そして全国高等学校野球選手権大会など、夏に実施されている大会、その予選となる県大会の多くもこの暑い時期に実施されております。大会が夏にあることから、本番が近づくにつれ、炎天下の中でも無理して練習をせざるを得ない状況にあるのではないでしょうか。そして、選手はもとより、応援に行く生徒や教員などへの配慮も必要だと考えております。生徒の健康と安全を守ることが第一であり、県大会等の開催時期の見直しや、それが難しい場合には、特に屋外競技について、夜間のナイターの試合や、そしてまた早朝の大会運営、こういった大会の実施などについて、国や関係団体に強く働きかけるなど、生徒が安全かつ安心して大会に参加できる環境づくりを進めていただきたい、そのように考えております。
そこで、生徒の熱中症事故防止に向けた大会運営の在り方について、教育長にお伺いをいたします。
39
◯半村登議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
40 ◯森作教育長 生徒の熱中症事故防止に向けた大会運営の在り方についてお答えいたします。
近年、記録的な猛暑が続いており、子どもたちの命を守る観点からも、大会における熱中症事故への対策は大変重要であります。スポーツ庁では今年度、中学生が部活動練習後の帰宅途中に熱中症の疑いで死亡するという痛ましい事故を受けて、適切な水分補給や空調の利用、暑さ指数の活用など、熱中症による事故防止の徹底に向け全国の学校に注意喚起をしております。県におきましても、部活動運営方針において、気温、湿度などの環境条件を考慮して活動を行うことや、暑さ指数が31度以上の場合は原則として屋外の活動を行わないことなど、熱中症事故への対策を行うよう各学校に対し指導しております。
このような中、議員から御提案がありました、暑い時期に開催される大会の開催時期や時間帯の見直しについては、県といたしましても今後も安心・安全に大会を開催する上で必要なことと認識しております。このため、県では、地方大会の主催者である県中学校体育連盟や県高等学校体育連盟、県高等学校野球連盟等に対して、環境条件に応じて大会の延期や中止等、柔軟な対応を行うことや、やむを得ず開催する場合は、生徒や関係者の健康に十分に配慮した運営について要請してきたところでございます。
こうしたことを受け、各主催者団体においては、例えば高校野球では、大会期間の拡大による過密日程の回避や延長線におけるタイブレーク制の導入、また今年度からは、体温を下げるために5分間の休憩時間を取るクーリングタイムを導入するなど、暑さ対策への取組が進められております。また、議員御指摘の開催時間帯の見直しや応援者への配慮については、例えば陸上競技の長距離走において、気温が上がる前の時間帯にレースを開始するなど、選手の健康に配慮した工夫を行っておりますほか、応援者に対し、高校野球の大会主催者が事前に服装の軽装化、健康管理の徹底等、熱中症対策を示し対応を促すなどの対策を講じております。このほか、サッカー競技では試合中にプレーを中断し、水分補給や休憩するための時間を設けていることに加え、競技によっては大会会場への暑さ指数計の設置や看護師等の医療スタッフの常駐などの対策を行っております。今後はこれらに加えて、大会の開催時期について、全国規模の主催団体に対し、上位大会の日程変更を含めた大会運営の在り方を検討するよう働きかけてまいります。
県といたしましては、熱中症は命に関わる危険性があることを改めて生徒や教員にしっかりと周知し、対策を指導するとともに、各大会主催者と今後の大会運営の在り方を協議し、生徒の安全確保と事故防止の徹底により一層努めてまいります。
41
◯半村登議長 坂本隆司議員。
〔28番
坂本隆司議員登壇〕
42 ◯28番
坂本隆司議員 教育長、答弁ありがとうございました。
この大会運営、本当に昨年からいろんな話を伺っておりました。なぜこの時期に私、質問したかというと、今大会の日程を組むときに、やっぱり夏の大会を考えると、この時期から動いていただかないと、日程が過密日程になるということにつながると思ったので、今回質問をさせていただきました。特に高校野球に関しては、日程を調整するというだけで一日二日の余裕の日程を組まなくちゃいけない。そういったことを考えますと、大会の運営、その下の県南大会まで行ってしまうとさらに日程調整が必要になる、そういったことを考えますと、早い段階での措置をお願いしたい、そのように思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
今回の質問、多岐にわたり県民の声を中心にお話をさせていただきましたが、今後も県民の意見が県政に届くような活動を行っていきたいと思いますので、知事、執行部の皆様には御理解いただきますようにお願いを申し上げ、私の一般質問を終了とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
43
◯半村登議長 暫時休憩をいたします。
なお、会議再開は午後2時15分を予定いたします。
午後2時1分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後2時15分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
44 ◯西野一副議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
この際、申し上げます。
次の質問、質疑は、分割方式により行われます。
なお、傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意願います。
山本美和議員。
〔10番山本美和議員登壇、拍手〕
45 ◯10番山本美和議員 公明党の山本美和でございます。
初めに、令和6年
能登半島地震によりお亡くなりになられた方に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、被災地の一日も早い復旧と復興を心よりお祈り申し上げます。
それでは、通告に従いまして順次質問してまいりますので、
大井川知事をはじめ、県幹部の皆様には明快なる御答弁をお願いいたします。
初めに、住民参加を踏まえた流域治水対策について伺います。
記録的な豪雨が頻発化、激甚化する中、流域全体での河川整備、浸水対策、避難行動などに、国や自治体、事業者、地域住民らが協働して取り組む流域治水対策には3つあると言われています。1、ハード対策、2、まちづくり面での総合的な対策、3、避難やリスクマネジメント、早期復旧・復興対策です。地域住民の命と暮らしを守る流域治水対策は、地域住民の理解と協力の下に進めることが求められます。
災害対策には、自分自身や家族で備える自助、地域で助け合う共助、行政が行う公助があり、中でも7対2対1と言われるように自助が基本となります。具体的には、災害対策基本法、防災基本計画、地域防災計画、水防法など、多岐にわたる個別法令等に基づいて行われています。
水防法では、浸水想定区域がある市町村長は、洪水浸水想定区域に避難場所や避難路等を記載した洪水ハザードマップを、配布や
インターネットなどの方法により、住民、通勤・通学者、旅行者等に周知しなければならないと定められています。近年の県内の水害を見ると、浸水想定区域図と実際の浸水域がほぼ一致していたにもかかわらず、ハザードマップを見たことがない、現実に自分が被災すると思っていないという方が大変多く、結局のところ自助面での対策はなされていなかったと言えます。
また、河川ごとに管理者が違う場合や、用水路、ため池、雨水排水など、複数の管理者や担当行政機関にまたがっている場合に、浸水リスクを住民自らが判断することは難しいことから、これら全てを一体的に取り扱った生活者視点に立ったリスク情報の開示が求められています。自主防災組織リーダーの育成やマイ・タイムライン作成講座、要配慮者利用施設の避難確保計画の策定推進などの取組がなされているところではありますが、今後の流域治水をさらに推進していくためには、災害を自分事として捉えること、リスクコミュニケーション、この2つが重要なのではないでしょうか。
実際、牛久沼の越水や取手市の双葉地区などの内水氾濫による浸水、中小河川の溢水による日立市役所などの浸水などは記憶に新しく、最近は大きな河川の氾濫だけでなく、内水氾濫などによっても被害を受ける可能性が高まっております。意識の高まっている今だからこそ自分事として捉え、ハザードマップの確認、地区計画の策定やマイ・タイムラインの作成などによりあらかじめ備え、実際に早めの避難などの行動に結びつけていくための周知徹底が必要であります。また、地域住民、企業、自治体など地域全体での相互理解、すなわちリスクコミュニケーションを推進するための体制整備も欠かせません。できることを着実に進め、減災につなげていただきたいと考えます。
そこで、茨城県として、近年の水災害の経験から、マイ・タイムラインや水害ハザードマップに係る取組を加速させているところであると認識しておりますが、これらについての現状と課題認識について、住民参加を踏まえた流域治水対策について、知事の御所見を伺います。
この項目の壇上からの質問は以上です。
46 ◯西野一副議長 山本美和議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。
大井川知事。
〔
大井川和彦知事登壇〕
47
◯大井川和彦知事 山本美和議員の御質問にお答えいたします。
住民参加を踏まえた流域治水対策についてお尋ねをいただきました。
近年、全国各地で記録的な台風や集中豪雨が相次いでおり、堤防整備などの従来の河川整備だけでは対応し切れない水害が発生しております。本県におきましても、昨年の令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号や台風第13号により県内で甚大な浸水被害が発生しており、こうした災害から県民の安全・安心を確保することが喫緊の課題となっております。
これらの課題に対応していくため、流域全体のあらゆる関係者が協働して治水対策を行う流域治水に取り組んでいるところでございます。この流域治水は、氾濫をできるだけ防ぐ河川対策や、河川への雨水の流出を減らす流域対策に加え、住民の適切な避難を促す被害軽減対策など、流域全体で実施すべき、ハード、ソフトが一体となった対策を総合的に進めるものであります。
こうした流域治水の対策を進める上では、災害時におけるリスク情報などを住民一人一人が理解して、災害を我が事と捉え、自らが行動することが重要であります。このため、県では河道掘削や調節池の整備などの河川改修の計画策定、実施の各段階における説明会などを通じ、住民に事業の必要性を御理解いただくとともに、過去の洪水被害の実績などを提示することで、災害に対する意識啓発につながるものと考えております。
また、住民への適切なリスク情報の提供も重要であることから、市町村において、洪水、内水氾濫などのハザードマップの作成が進められております。県では、洪水ハザードマップの作成に必要となる洪水浸水想定区域図について、全ての県管理河川において来年度中に作成を前倒しし、早期に市町村に提供していくとともに、内水ハザードマップについても、未作成の市町村に対し速やかに作成するよう働きかけてまいります。さらに洪水時における人的被害ゼロに向けては、適切なタイミングで避難できるよう、洪水ハザード内の各家庭でのマイ・タイムライン作成支援に取り組むとともに、避難行動要支援者の支援体制の整備を進めております。加えて、今年度から開始した洪水ハザード内の全ての住民を対象とした避難訓練につきましては、来年度は台風シーズン前までに実施することとしております。
こうした取組を促進するためには、行政の取組だけではなく、日頃から地域の防災活動を牽引していくリーダーの存在も重要となるため、自治会の代表者などを対象とするリーダー研修会やいばらき防災大学を開催し、人材育成にも取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、頻発化、激甚化する大規模水害から県民を守るため、国、市町村など流域の関係者と協働し、住民の主体的な参加も得ながら、ハード、ソフトが一体となった流域治水対策に全力で取り組んでまいります。
48 ◯10番山本美和議員 再質問します。
49 ◯西野一副議長 山本美和議員。
50 ◯10番山本美和議員 御答弁、大変にありがとうございました。
県内では、現在洪水ハザード内に所在する小学校約100校において、マイ・タイムラインの作成授業を行っていただいていたり、また、国土交通省の下館河川事務所が行っているマイ・タイムライン作成リーダー研修というのもございます。私も先日受講いたしまして、このマイ・タイムライン作成リーダーとなっているところでございます。
このように、ハザードマップや避難、また防災リーダーの育成、マイ・タイムライン作成など、具体的な住民への働きかけは市町村が進めていくものになりますが、これらには県のサポートが大変不可欠であると考えます。
そこで、知事に、流域治水の実効性を高めるための市町村へのサポートについて再質問をいたします。これらについて、県としてどのようにサポートし、またどのように取りまとめていくのか、知事にお伺いいたします。
51 ◯西野一副議長
大井川知事。
〔
大井川和彦知事登壇〕
52
◯大井川和彦知事 再質問にお答えいたします。
県の取組といたしましては、先ほどもお答えしたとおり、様々な機会を通じて住民への働きかけを実施しておりますが、例えばマイ・タイムラインにつきましては、県独自の様式、我が家のタイムラインを洪水ハザード内の各家庭に配布し作成を呼びかけるとともに、洪水ハザード内の全ての小学校においてマイ・タイムラインの作成授業を実施するなど、その周知に努めております。
県といたしましては、引き続き市町村と連携を図りながら、各種機会を通じて住民の防災意識の向上に取り組んでまいりたいと思います。
53 ◯西野一副議長 山本美和議員。
〔10番山本美和議員登壇〕
54 ◯10番山本美和議員 9割を占める自助・共助力を高めていくためにも、地域住民、企業、自治体など、地域全体での相互理解が不可欠であります。また、リスクコミュニケーションを図っていくということが大変重要になってまいります。その際、県の役割としては、きちんとした情報、そして、皆様の意識をしっかりと醸成していくような体制整備づくりが期待されるところでございます。以上のことを期待し、次の質問に移ります。
次に、道の駅の防災拠点としての強化等について伺います。
創設から30年がたつ道の駅は、本年2月16日に新たに4駅が登録され、全国で1,213か所となっています。現在、道の駅第3ステージと位置づけられ、地方創生や観光、防災の拠点として、道の駅を核とした地域づくりが進められています。2021年度には、災害時に地域の防災拠点となる全国39か所の防災道の駅に、茨城県では16ある道の駅から道の駅奥久慈だいごが選定されています。県の地域防災計画に位置づけられていることと、耐震化、無停電化、通信や水の確保、2,500平米以上の駐車場の整備、BCPの策定などが要件で、災害対応に当たる自衛隊や警察の活動拠点のほか、緊急物資の輸送、地域住民らの避難受入れなどに使われます。
このたびの
能登半島地震において、一般財団法人日本みち研究所が、『被災地における「道の駅」状況調査報告』をまとめています。防災道の駅に指定されている道の駅のと里山空港では、展望広場が、自衛隊、警察、国土交通省、DMATの拠点として、ターミナルビルは被災者への道路情報や物資の提供場所として実際に活用されています。防災拠点としての利用想定がなされている道の駅あなみずでは、断水によりトイレが利用できなくなりましたが、福岡県のうきはからコンテナトイレが派遣され、機能を果たしているそうです。
このように、防災道の駅は大規模災害に備え機能強化を進めています。また、調査団への聞き取りで、防災拠点へのアクセス道路の整備が重要であると伺いました。同調査に基づく緊急提言でも、道の駅ネットワークを活用した被災地支援力の強化、重要物流道路や避難路などの耐災害性の向上が挙げられています。平時には観光の集客施設、災害時には一時避難者らの受入れや被災地支援の役割を担う道の駅が増えていくことは、地域住民の安全・安心につながるのではないでしょうか。
そこで、県における防災道の駅の現状と今後の道の駅の防災拠点としての強化と活用について、土木部長の御所見を伺います。
この項目の壇上からの質問は以上です。
55 ◯西野一副議長 田村土木部長。
〔田村土木部長登壇〕
56 ◯田村土木部長 道の駅の防災拠点としての強化などについてお答えいたします。
道の駅につきましては、道路利用者の休憩場所という従来の役割に加え、近年は市町村などの創意工夫の下、観光や地域振興の拠点として整備されるほか、災害時には地域の避難場所、支援活動の拠点として大変重要な役割を担っております。
本県では、これまでに16か所の道の駅が国土交通省に登録されており、それぞれの道の駅において、観光拠点としての一面を発揮し、大変なにぎわいを創出しております。道の駅の整備に当たり、県では2014年度に、庁内の関係課などで構成される茨城県道の駅地方創生ワーキングチームを設置し、整備の主体となる市町村に対して各種補助金の情報を提供するなど、技術的な助言を行っているほか、道路利用者が休憩するために必要な県管理道路沿いの駐車場などの整備をしているところでございます。一方、2020年5月に国の中央防災会議において、防災基本計画が一部修正され、「国及び
地方公共団体は防災機能を有する道の駅を地域の防災拠点として位置づけ、その機能強化に努めるものとする」との記述が追加されたところでございます。
こうした中、市町村の地域防災計画に位置づけられている道の駅につきましては、地域の避難場所など、防災拠点としての活用が図られているところでございます。また県では、広域的な観点から、これらの道の駅のうち、災害活動スペースとして広い駐車場を有し、自衛隊、消防、警察など、救護活動などの拠点として活用が想定される緊急輸送道路沿いの道の駅を広域防災拠点として地域防災計画に位置づけております。
このような中、国土交通省では、都道府県の地域防災計画や広域道路交通計画の位置づけなどを踏まえ、2021年6月に全国で39か所の防災道の駅を選定いたしました。このうち、本県においては、道の駅奥久慈だいごが選定されたことに伴い、大子町が主体となって、令和元年東日本台風を踏まえた敷地のかさ上げや建物の耐震化、非常用発電機、耐震性貯水槽などの防災施設のほか、災害時にヘリポートや支援活動に必要なスペースとなる駐車場などを計画しており、現在設計が進められているところでございます。また、町では関係機関と連携しながら、災害時に防災拠点機能を迅速かつ円滑に活用するための業務継続計画の作成を進めているところでございます。
今後の道の駅における防災機能の強化につきましては、市町村が主体的に考えるべきものであることから、県では機能強化を実施する市町村に対し必要な助言を行うなど、積極的に支援してまいります。さらに、県管理の緊急輸送道路につきましては、発災直後の救急救命や応急復旧、緊急物資輸送などを円滑かつ確実に実施できるよう、のり面などの防災対策、橋梁の耐震化など、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も最大限に活用しながら、必要な機能強化を着実に進めてまいります。
県といたしましては、市町村の意向も踏まえ、国と連携しながら、平常時の道路利用者の安全・安心の確保や、災害時の道の駅の防災機能の向上に取り組んでまいります。
57 ◯西野一副議長 山本美和議員。
〔10番山本美和議員登壇〕
58 ◯10番山本美和議員 前向きな御答弁、大変にありがとうございます。
本県は、首都圏に大規模災害が起きたときの後方支援拠点としての役割も期待されております。特に能登半島沖地震より以降、ここ数日大変に地震も多くなっていることからも、防災拠点、また地域観光拠点として期待される道の駅を、今後拡充推進をしっかりと後押ししていただきますことを期待し、次の質問に移ります。
次に、学校管理職の登用について伺います。
本県における教員選考試験の志願倍率は、令和6年度採用の小学校教諭で2.22倍、中学校教諭は4.42倍、特に小学校教諭については、採用予定人数が10年前より約1.5倍になっていても、志願者数がほぼ変わらない状態です。
その中で私が着目しているのは、女性教員の割合と女性管理職の登用です。茨城県教職員子育て応援・女性活躍推進プランのデータによると、教員採用者に占める女性の割合は、中学校教諭で44.8%、小学校教諭では約60%、市町村立学校の女性教員の比率は、中学校は45.95%、小学校は65.67%であり、実に小学校では6割以上を女性が占めています。また、管理職に占める女性の割合は、校長が前年比プラス2.1の25.5%、副校長、教頭が前年比プラス2.8の34%、合計では前年比プラス2.5の30.1%で、教員全体に占める女性の割合に比べ、管理職に占める女性の割合は低い現状となっています。これはなぜなのでしょうか。
独立行政法人国立女性教育会館が平成30年に行った「学校教員のキャリアと生活に関する調査」報告によると、教員の働く環境は決して男女平等ではなく、家庭生活においても大きな男女格差があり、この格差は管理職志向にも影響していることを明らかにしています。教員管理職を目指さない、目指せない理由には、「担任を持って子どもと接していたい」、「自分にはその力量がない」、「労働時間が長い」、「自分の家庭の育児や介護との両立が難しい」などの理由が挙げられており、女性というアンコンシャスバイアスや性別による役割分担意識が背景にあることが推察されます。今後の教育現場において、次代を担う児童生徒に対して不均衡なリーダーモデルを示すことにならないよう、組織の問題として捉え、全教職員への実態調査を行い、制度や仕組みを変えていく必要があるのではないでしょうか。
なお、茨城県の教職員全体の年齢構成を見ると、60歳の約500人から年齢ごとに減少し、49歳で一気に200人前後と60歳の半分以下となります。県内の公立小中学校の数は全部で657校ですので、管理職は単純計算で1,300人以上必要です。現在60歳、59歳の管理職は約150人ずつおりますが、今後、60歳と比べ、世代ごとの人数が大きく減少する中で、管理職にはまた向き不向きもあり、また、全責任を負う力量が必要であることを考えると、管理職をどのように登用していくのかが大きな課題ではないでしょうか。さらに、学校経営者としての力不足や、いじめや不登校、教職員の不祥事やメンタルヘルス対策などの問題を大きくしている場合もあることを考えると、これからの管理職登用にしっかりと手を打たねばならないのではないでしょうか。
これらを踏まえ、本県の公立小中学校における教職員年齢構成の概要とここから考え得る課題、管理職の登用、女性管理職の登用について、どのように進めていくのか、教育長にお伺いいたします。
この項目の壇上からの質問は以上です。
59 ◯西野一副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
60 ◯森作教育長 学校管理職の登用についてお答えいたします。
本県の市町村立小中学校における教員の年齢構成の割合は、50歳代が31.2%、40歳代が18.8%、30歳代が26.4%、20歳代が23.6%となっており、第2次ベビーブーム世代を含む50歳代に比べ、40歳代以下の各年齢層は構成割合が低い状況にあります。この40歳代以下の教員数が少ない年齢構成割合は、今後の管理職登用の面においては、課題というより、むしろ幅広い年代から人材を登用し、学校組織を活性化する好機であり、新たな発想で学校経営を担うことができるよう、30歳代、40歳代の人材育成を図り、積極的に管理職に登用してまいりたいと考えております。
このため、本県におきましては、2022年度から新たに主幹教諭の職を設け、これらの世代の教員が教頭の業務の一部を担うことで、管理職としての人材育成を図っているところです。さらに来年度から、将来の管理職を計画的に育成するため、新たに教職員マネジメント研修を行うこととし、毎年30歳から40歳までの約70名の教職員を対象に、2年間かけて学校経営に必要なマネジメント能力やリーダーシップなどの資質能力の向上を図るとともに、併せて管理職の魅力ややりがいについて、意識の向上に努めてまいります。
次に、女性管理職の登用についてであります。
県におきましては、教職員子育て応援・女性活躍推進プランにおいて、国の第5次男女共同参画基本計画等も踏まえ、目標とする女性管理職の割合を、校長を20%、副校長、教頭を25%と設定し取り組んでおります。現在本県における2023年度の市町村立小中学校の女性管理職は、校長は全国を3.9ポイント上回る25.5%、副校長、教頭は全国を6.3ポイント上回る34.0%となっております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、女性管理職の割合は、教員全体に占める女性の割合と比べるとまだ低い状況でございます。このため、県内の小中学校においては、管理職と共に学校運営を支える教務主任や学年主任などに女性教員を積極的に配置し、その割合は約5割となっております。これらの教員が学校全体の教育課程の業務や学年経営に携わることで、力量と自信を備えた人材の育成に取り組んでいるところでございます。その結果、女性管理職として活躍している校長、教頭などからは、「教務主任を経験したことで学校全体を考える視野が広まった」、「学校運営に対する自信が持て、管理職を目指す意欲につながった」という意見が上がっております。
県といたしましては、今後も引き続き、学校教育の諸課題に対して適切に対応し、よりよい学校経営ができる若い世代の教員の資質向上に努めるとともに、女性管理職の人材育成に積極的に取り組んでまいります。
61 ◯10番山本美和議員 再質問します。
62 ◯西野一副議長 山本美和議員。
63 ◯10番山本美和議員 教育長に、若年での管理職登用について再質問をいたします。
若年での管理職登用は、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、学年主任、教務主任、生徒指導主事などの経験や、いじめ、不登校、また学級経営、保護者対応など、様々な案件への対応において、絶対的に経験値が不足しがちになるのではないかと懸念をしております。
そこで、もう少し具体的に、この若年管理職の育成についてのお考えを、教育長にお伺いいたします。
64 ◯西野一副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
65 ◯森作教育長 再質問にお答えいたします。
若年登用についてでございますけれども、具体的には、やはり若い世代の教員に対しまして、学年主任であったり、あるいは教務主任と、早い年代から経験していってもらう、それがやはり大事なことだろうと思っています。そのためには、学校の管理職がそういった意識を持ってそういった任用をしていくこと、これがまず第一になるかと思います。
また、先ほども答弁いたしましたけれども、来年度から新しい教職員マネジメント研修も実施してまいります。こういった中で、30代や40代の若い世代の方たちにマネジメントの研修であるとか、あるいはリーダーシップの研修などを行っていくことで、自信を持って、そして力のある若い世代のこういった管理職となっていただける方、そういった方を育成していきたいと考えております。
66 ◯西野一副議長 山本美和議員。
〔10番山本美和議員登壇〕
67 ◯10番山本美和議員 ありがとうございます。
若年登用も含め、また女性教諭が本当に増える中で、特に小学校などでは女性のみの管理職、校長、教頭、教務主任といった組合せもこれからは想定されてまいります。災害時、緊急時、また男親への対応など、女性特有の課題も懸念されます。これから想定される課題に対しての早急の対策をお願いし、次の質問に移ります。
次に、不登校支援について伺います。
文部科学省が発表した2022年度版の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、不登校中の小中学生の人数は、前年比22.1%増の29万9,048人に達して過去最多となりました。その要因は、無気力や不安が51.8%と過半数を占めています。
地元の小中学校で先日行われた学校評議員会において、学校評価アンケート結果の報告がありました。小学生も中学生も「学校生活が楽しい」と回答している割合に対し、「自分にとって学校は安全で安心できる場所だと思う」の割合が低いことが気になりました。児童生徒の楽しい楽しくないにはもちろん波があると思いますが、学校で安心して過ごせるかどうかは最重要なのではないかと考えます。学習面での不安、友達、教員、家族という人間関係上の不安などは、先ほどの調査における不登校の要因の無気力や不安に通じるものです。また、不登校の児童生徒の38.2%は、学校内外で専門家らの相談や支援を受けられていなかったとの結果があります。
校内フリースクールはほかの児童生徒とは触れ合わずに登校でき、自分のペースで自分に合った環境で勉強したり過ごすことができ、学校内での1つの居場所として一定の評価を得ています。本県でも力を入れて取り組んでいただき、つくば市では本年度、全中学校に校内フリースクールを設置し、来年度からは全小学校、義務教育学校にも拡充する予定となっています。
現在、県で担当職員を配置し、設置している校内フリースクールは13市町38校あります。そのほか、県が把握している民間フリースクールは県内68施設とお聞きしています。特別支援学級、通級指導室とともに、支援が必要な児童生徒は今後も増加傾向にあることから、子どもの目線に立った教育の場が求められているのではないでしょうか。
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置は少しずつ増員いただいておりますが、ニーズの高い市町村においては独自配置を行っている状況もあることから、教育格差の広がりを懸念しております。また、小中学校に限らず、高校においても不登校が増えており、私も多くの御相談を受けております。退学や留年の問題など、高校は対応が大変難しいケースが増えているようです。
そこで、公立小中学校における校内フリースクールの実証総括と不登校支援の今後の方針、また県立高校での不登校支援について、どのように進めていくのか、教育長の御所見を伺います。
この項目の壇上からの質問は以上です。
68 ◯西野一副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
69 ◯森作教育長 不登校支援についてお答えいたします。
まず、校内フリースクールの実証総括と不登校支援の今後の方針についてであります。
昨年3月に文部科学省がまとめた誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策では、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えることの重要性が示されており、不登校児童生徒に対する多様な学び場や居場所を確保することが求められております。
こうした中、県では、昨年度から校内フリースクール研究授業を展開しており、現在つくば市と坂東市の中学校をモデル校として、不登校や不登校傾向にある生徒が安心して生活や学習ができるよう、専用教室の設置と専任教員の配置を行い、一人一人のニーズに応じた学習支援等を行う取組を進めているところでございます。この結果、自分にはよいところがあるという自己肯定感の向上につながり、昨年度利用した3年生においては全ての生徒が高校に進学するなど、不登校生徒の社会的自立に向けて効果があったと考えております。加えて、不登校傾向にあった生徒が早期に校内フリースクールを利用することにより、ある学校では、新たに不登校となる生徒が、校内フリースクール設置以前は20人程度であったのに対し、設置後は半数以下になるなど、未然防止の効果も報告されております。
これらの成果を踏まえ、校内フリースクールの設置について、モデル校の3年目を迎えるつくば市では全ての小中学校に、2年目を迎える坂東市では全ての中学校に展開する予定となっております。また、県では来年度、新たに校内フリースクールを設置する市町村に対して、運営員配置費へ補助できるよう関係予算を当初予算に盛り込むとともに、水戸市内の中学校にもモデル校を置くなど、さらなる設置を促進してまいります。
そのほか、不登校児童生徒が専門家等の相談、指導を受けている割合は、昨年度62%に対し、今年度11月末時点で95%以上となっており、専門的な視点からアセスメントを行うことによって、無気力、不安としていた不登校の要因を具体的に捉え、効果的な支援を行うことができているものと捉えております。来年度はスクールカウンセラーの配置人数やスクールソーシャルワーカーの派遣回数を拡充する予定であり、今後も効果的な支援を行えるよう体制を強化してまいります。
次に、県立高校での不登校支援についてであります。
昨年度の本県高校の不登校生徒数は1,000人当たり9.6人で、全都道府県で最も小さい値となっているものの、不登校生徒数は686人となっており、速やかな支援が必要と認識しております。県立高校につきましては、小中学校と同様に、各学校においてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどと連携し、状況に応じて家庭訪問などのアウトリーチ型支援を行うことなどにより、生徒や保護者に寄り添った早期の対応に努め、不登校支援の充実を図っております。
さらに、入学した高校において、学校不適応などを理由に不登校となってしまう生徒もいることから、今年度、入学後一定期間であれば、随時転学試験を受けることが可能となるよう、転学に関する制度の改定を行ったところでございます。
県といたしましては、今後も不登校児童生徒の多様な学びの場や居場所の確保に努めるとともに、不登校の支援に向けて
相談体制の充実を図り、小中高における切れ目のない不登校支援の充実に努めてまいります。
70 ◯10番山本美和議員 再質問します。
71 ◯西野一副議長 山本美和議員。
72 ◯10番山本美和議員 ありがとうございます。
この校内フリースクール、進めていく上でも、予算措置が大変重要になってまいります。県としては、より一層、教育格差が起きないよう県内全体を見回していただき、より進めていただきたいと思います。
そこで、教育長に、校内フリースクールについて、もう一度再質問いたします。
校内フリースクールの担当職員が非常に重要になってまいります。そこで、配置職員の育成研修の在り方について、この考えを教育長にお伺いいたします。
73 ◯西野一副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
74 ◯森作教育長 再質問にお答えいたします。
校内フリースクールにおける専任教員の研修につきましては、各学校の生徒指導主事等を招いての研修をまず全校を対象にして行っております。そういった中で、配置される教員が、どういったことが求められ、そして、その役割として何を担っていくのかとか、そういったことについてしっかりと研修を行っているところでございます。
また、モデル校において取り組んでいる専任教員の活用状況等を他校に広めるなどによりまして、こういった専任教員の活用を今後もしっかりと図っていきたいと考えております。
75 ◯西野一副議長 山本美和議員。
〔10番山本美和議員登壇〕
76 ◯10番山本美和議員 子どもたちにとって最大の教育環境は教師自身であるとの言葉があります。教師自身にとって学校は安全で安心な場所であるか、やりがいと希望のある職場であるかどうかということが一番大切であると考えます。生き生きとした教員の下に、子どもたちは安心感を持って通うことができるのではないでしょうか。不登校対策ではなく、学びの在り方自体が変わっていくことを期待し、次の質問に移ります。
次に、学校保健について、2つ質問いたします。
まず、健康診断の在り方について伺います。
文部科学省は今年1月に、児童生徒のプライバシーや心情に配慮して健康診断を実施するよう、服装や学校側の運用などに関する具体的な考え方を示した通知を発出いたしました。健康診断をめぐっては服装などに特に定めがなく、地域や学校によって運用が異なっています。
近年、児童生徒や保護者らから、上半身裸での受診を不安に思う声が上がっており、通知では、正確な検査、診察に支障のない範囲で、原則体操服や下着、タオルで体を覆うよう求めました。一方、成長期に多い背骨の病気や心臓の異常など、正確な検査、診断には視触診の実施が不可欠な場合があるため、児童生徒や保護者に対し、医師が必要に応じて体操服をめくったり聴診器を入れたりすることがあると事前に説明し、理解を求めることも促しています。
公明党女性委員会が令和5年5月に政府に提言した全ての女性のためのトータルプランの中で、プライバシーに配慮した安心して受けられる学校健診の実現を提唱し、国会質問などを通して見解を示すよう訴えていたものです。何を守るべきか、何を見逃してはいけないか、ただ形だけになってしまわないように、県として現場とのやり取りをしっかりと行っていただきたいと考えます。
そこで、県内自治体への当該通知の周知や医師会との協議状況のほか、学校における健康診断の在り方について、教育長の御所見を伺います。
次に、高校生の学校生活上での生理による困難への対応について伺います。
生理痛は個人差がありますが、下腹部の痛みや腰痛、頭痛や吐き気、眠気などで体調が悪くなる月経困難症や月経前症候群などに悩む女性は少なくありません。女性に特有のため、大きくは語られてこなかったものです。
若者の意見を集約し、政党、政府に対して政策提言を行う一般社団法人日本若者協議会とみんなの生理の皆さんが学生などを対象に行ったアンケートでは300名が回答し、生理によって学校等を休んだ経験のある3人に1人が欠席扱いにされたことで、成績や内申点が下げられた、中には受験を諦めたり、進学先を変更しなければならなかったという回答がありました。
昨年12月に文部科学省から、生理に伴う体調不良で公立高校入試を欠席した場合、追試の対象に含めるよう各都道府県に通知が発出されましたが、本県では既に2019年度から対象としていると伺っております。人生の岐路に、自分ではどうにもできないことによって不利にならないよういち早く対応され、大きな前進だと感じておりますが、このことを権利として誰もが知っている必要があり、周知がきちんとなされているか心配しております。
先月2月14日の茨城新聞の読者投稿欄に、18歳の女子高校生の「必要な生理休暇 浸透しない社会」という投稿が載っていました。国会でも昨年5月23日の参院厚生労働委員会で、公明党の山本香苗参議院議員が学校での生理休暇を取り上げています。会社などで制度化されている生理休暇の高校における導入についても、各自治体が問題と捉えて、悩んでいる生徒に寄り添い、前向きに議論し、国を動かしていっていただくことを切に願います。
そこで、公立高校における高校生の学校生活上での生理による困難への対応について、今後どのように進めていくのか、教育長の御所見を伺います。
この項目の壇上からの質問は以上です。
77 ◯西野一副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
78 ◯森作教育長 学校保健についてお答えいたします。
まず、健康診断の在り方についてでございます。
学校における健康診断は、学校保健安全法により、児童生徒の健康の保持増進を図るため、毎学年定期に実施することが義務づけられております。また検査項目については、同法施行規則により、身長、体重、視力、聴力の測定のほか、心臓、脊柱、胸郭、皮膚の疾病異常の有無など、11項目で行うことが規定されております。
この健康診断の実施に当たりましては、児童生徒のプライバシーの保護や男女差等への十分な配慮が求められますことから、県においてはこれまで、2021年の文部科学省通知に基づき、脱衣を伴う検査は全ての校種、学年で男女別に実施することや、個別の診察スペースを確保すること、教職員の役割分担に配慮することなどを各学校に求めてきたところです。この健康診断の在り方につきましては、近年においては、児童生徒や保護者から、着衣での対応を求める声が寄せられることがある一方、着衣では正確な検査、診察が困難になるのではといった声もあると聞いております。
このような中、今年1月に文部科学省から、正確な検査、診察を前提として、原則、着衣の状態で行うことや、児童生徒と同性の教職員が立ち会うことなど、児童生徒のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施のための環境整備の考え方が示されました。これを受けて、県では各学校へ通知するとともに、2月に市町村教育委員会の指導主事や養護教諭等を対象に開催した研究協議会において、来年度の健康診断の実施に向けて、検査・診察時における環境整備の考え方や留意点等の理解促進を図ったところです。
また、医師会との協議状況でございますが、県といたしましては、今月、県医師会等が参加し開催する学校保健推進協議会において、来年度の円滑な実施に向けた実施方法を協議するとともに、その内容について各学校へ周知してまいります。加えて、各学校が児童生徒のプライバシーや心情に配慮しながら正確な検査、診察を行うためには、学校医との共通認識が十分に図られることが重要であります。そのため、4月から始まる健康診断に向けて、各学校が学校医と綿密な打合せを行い、実施方法や配慮事項等について共通理解を図ることや、児童生徒や保護者に対して、事前に保健だよりやPTA等を通じて、新たな実施方法を十分に説明することなどを、市町村教育委員会等を通じ各学校へ指導、助言してまいります。
県といたしましては、今後も児童生徒及び保護者が安心して健康診断に臨めるよう、環境整備に取り組み、学校における児童生徒の健康管理を徹底してまいります。
次に、高校生の学校生活上での生理による困難への対応についてでございます。
生理による体調不良には個人差があり、中には深刻な症状に悩まされる生徒も少なくないため、生理のときにも学習等で不利になることなく、安心して学校生活を送ることのできる環境を整えることは重要であると認識しております。
現在、月経随伴症状等の体調不良等で欠席した場合については、国から明確な方針が示されていないことから、生徒指導要録上は欠席の扱いとなっており、引き続き国の動向を注視することとしております。また、生理痛等で欠席した場合、学習に遅れが生じることや学習機会が失われることがないよう、学校では生徒の体調を考慮した上で、ICTの活用による学習内容のクラウド上での共有や、インターンシップ等の際の予備日の設定などの対応を行っております。今後は、学校全体の支援体制充実のため、管理職を含めた教職員への周知を徹底してまいります。
一方で、生理痛等により学校を欠席することをちゅうちょする要因として、入学試験において、生理を理由とした欠席が不利な扱いを受けるのではないかという懸念を持っている生徒もいるのではないかと考えております。このような中、高校入試においては、昨年、国から、月経随伴症状により授業を欠席した場合は不利に扱わないことや、入試当日に欠席した場合は追試験の対象となる旨の通知があったところです。県においても、生理痛等による欠席で生徒が不利にならないことを、ホームページ上で明確に示しております。また、大学入試についても、出席日数が少ないことのみをもって直ちに不利益な取扱いをしないという方針が国から示されておりますので、管理職、進路指導主事の研修等の機会を通じて周知してまいります。
加えて、生徒が学校生活を安心して過ごすためには、入試の際の対応だけでなく、生理そのものや月経随伴症状についての理解が必要となることから、各学校において、授業等を通して、生徒の生理への理解促進に努めてまいります。
例えば、議員地元の並木中等教育学校では、今年2月の校内探究研究発表会において、女子生徒が、生理に関する正しい知識を普及させ、生理のタブー視をなくす方法を探求したいという目的で研究発表を行っております。この研究では、生理に対する認識についてのアンケートや、つくば市内の中高生を対象とした整理のタブー視をなくすためのワークショップ等が行われ、参加した男子生徒からは、「男女を問わず生理について知る機会を設けることが大切だ」といった感想が聞かれました。今後は、教職員や生徒が生理や月経随伴症状等への理解を深め、生徒が不利にならない環境づくりを進めるため、研修等の機会にこうした好事例を周知してまいります。
県といたしましては、生徒が学校生活や入試等において、生理等についての不安を感じることなく、心身とも健やかな学校生活を送ることができるよう、理解促進や環境整備に努めてまいります。
79 ◯西野一副議長 山本美和議員。
〔10番山本美和議員登壇〕
80 ◯10番山本美和議員 健康診断につきましては、引き続き現状を注視し、御対応をお願いいたします。
また、生理については、私自身も高校時代、大変に苦労してまいりました。また、高校入試の際には、ピルを服用して日程をずらすなどしてきた経緯がございます。この高校生の生理休暇につきましては、今後の世論や国の議論に期待し、次の質問に移ります。
最後に、茨城県困難な問題を抱える女性支援基本計画について伺います。
4月から新たに、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行されます。困難な問題を抱える女性に対する支援は、長年にわたり売春防止法を根拠とする婦人保護事業として行われてきたため、支援が必要な女性に支援を届けたくても届けられないとの声が現場から寄せられていました。コロナ禍において、女性の自殺や性暴力被害などが急増し、女性の抱える問題が複合化、複雑化している実態が浮き彫りになりました。
そこで新法は、困難な問題を抱える女性たちへの支援を売春防止法から切り離し、それぞれの意思を尊重した最適な支援の提供、女性福祉の増進や人権擁護、男女平等の実現などが明記され、発見、相談、心身の健康の回復のための援助、就労支援や住まいの確保など、多様な支援を包括的に提供することが定められています。
今回、県は基本計画を策定するに当たり、女性相談支援センターや女性相談支援員、女性自立支援施設といった支援機関、民間団体、当事者の意見を丁寧に聞き取っていただいたと聞いております。また、当事者を中心に関係機関が民間団体などと連携し、支援を行う仕掛けとしての支援調整会議の設置が本県でも明確に位置づけられました。今後の各市町村での設置についても後押しをしていただきたいところですが、そのためには核となる人材が不可欠です。新法では女性相談支援員の配置を、都道府県は義務化、市町村は努力義務化しましたので、その配置、育成、そして処遇改善への一層の取組をお願いいたします。
新法の制定は66年ぶりの抜本改革です。困難な問題を抱える女性たちに寄り添い、支援し続けてきた皆様に心から感謝申し上げます。今後、新法の円滑かつ着実な施行のためには、裏づけとなる予算の確保や人員体制の抜本的な強化が必要です。そして、なかなか進んでこなかった就労支援や住まいの確保など、他部局との理解と連携支援が非常に重要です。引き続き当事者や支援現場の声に耳を傾けながら、官民協働で支援の提供に取り組んでいただき、女性が安心して、かつ自立して暮らせる社会が実現されることを切に願います。
そこで、茨城県の基本計画の特徴のほか、民間団体との協働の具体的な取組について、今後どのように進めていくのか、福祉部長にお伺いいたします。
この項目の壇上からの質問は以上です。
81 ◯西野一副議長 山口福祉部長。
〔山口福祉部長登壇〕
82 ◯山口福祉部長 茨城県困難な問題を抱える女性支援基本計画についてお答えいたします。
女性は日常生活、または社会生活を営むに当たり、性暴力等の被害や予期せぬ妊娠、不安定な就労など、女性であることによる様々な困難な問題に直面することがあり、こうした問題を抱える女性の支援は重要な課題となっております。
本年4月に施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律では、これまでの売春防止法に基づく保護更生を中心とした支援から、困難な問題に直面する女性の立場に寄り添い、個々のニーズに応じたきめ細やかな支援へと大きく方針を転換することが求められております。こうした動きを踏まえ、県においても、指針となる基本計画の策定に取り組んでまいりました。実際に困難に直面されている女性の方にも丁寧にヒアリングを行ってきたところでございます。
今回の計画は、女性の人権が尊重され、女性が安心して、かつ自立して暮らせる県の実現を目指すもので、相談しやすい
体制づくり、回復と自立に向けた支援体制の整備に取り組んでまいります。具体的な取組として、配偶者暴力相談支援センターの機能を有し、女性支援の中核を担う県女性相談センターで幅広く相談を受けるほか、より身近な場所で相談を受けられるよう、市町村における女性相談支援員の配置を促進してまいります。相談支援体制の充実には相談支援員の育成が重要であることから、民間支援団体で長年支援に当たっている方々を講師に招くなど、研修を充実させ、支援の根幹を担う相談員や関係者の資質向上を図ってまいります。また、必要に応じて、生活困窮者自立支援やひとり親家庭向けの支援などを活用し、関係機関が連携して個々の女性に適した自立支援を実施してまいります。
新法施行に伴い、孤立や不安定な就労に起因する経済的困窮など、きめ細やかな相談支援が必要とされるケースの増加が見込まれることから、議員御指摘の民間団体との協働が非常に重要であると認識をしております。そこで、支援を担当する県関係課や県民センターはもとより、市町村、民間団体や心理の専門家など、様々な関係機関が連携協力して支援方針や内容を協議する支援調整会議を新設いたします。さらに民間団体とも連携し、SNSを活用した相談窓口を新たに開設するほか、民間団体が運営するシェルターの活用も進めてまいります。これまで一時的な居場所を必要とする方への支援は、DV被害者を中心に県の一時保護所1か所で対応してまいりましたが、今後は地域バランスを考慮しながら、民間シェルターの活用も進めてまいります。
一方で、女性支援を行う高度な支援ノウハウが必要であることから、本年2月には県内の市民活動団体や市町村担当者を対象に説明会を開催し、本計画についても周知を図ったところでございますが、今後も様々な機会を捉え、県の支援方策の周知と女性支援のノウハウの共有、連携団体の発掘や育成に取り組んでまいります。
県といたしましては、新法の理念を十分に踏まえ、困難な問題を抱える女性に必要な支援を迅速に届けられるよう、市町村や民間団体と連携した相談支援体制の充実に取り組んでまいります。
83 ◯西野一副議長 山本美和議員。
〔10番山本美和議員登壇〕
84 ◯10番山本美和議員 以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
85 ◯西野一副議長 暫時休憩をいたします。
なお、会議再開は午後3時30分を予定いたします。
午後3時16分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後3時30分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
86
◯半村登議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
なお、傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意ください。
大足光司議員。
〔9番大足光司議員登壇、拍手〕
87 ◯9番大足光司議員 国民民主党の大足光司です。
登壇の機会を与えてくださいました先輩議員の皆様、そして同僚議員の皆様に心遣いに深く感謝を申し上げます。
質問に先立ちまして、さきの令和6年
能登半島地震によりましてお亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に対しまして、お見舞いを申し上げますとともに、被災地の現地の一日も早い復旧、復興を祈念いたします。
それでは、通告に従いまして質問をさせていただきますので、執行部の皆様におかれましては、明快なる御答弁を賜りますよう、お願いを申し上げます。
それでは、質問に移ります。
初めに、災害に備えた対応についてお伺いをいたします。
まず、市町村との連携についてお伺いをします。
昨年9月、関東大震災が発生してから、ちょうど100年がたち、東日本大震災が発生してからまもなく13年が過ぎようとしております。関東大震災が発生した9月1日は防災の日となっており、市町村では、ホームページ等で防災意識を高めているほか、県では、昨年3月11日に防災啓発イベントを開催し、避難所の体験や備蓄品の展示を行うなど、自治体におかれましては、日頃から県民の防災意識を喚起するための取組を実施していると感じております。
内閣府によりますと、今年1月に発生した
能登半島地震の避難指示や避難所の状況については、1月2日時点で警戒レベル4の避難指示が約2万7,000世帯中、およそ6万2,000人に出されており、約1,300の避難所に、およそ5万1,000人が避難したとされておりまして、災害発生時には住民の多くが避難所へ避難を行います。
避難所の指定は市町村長が行うとされておりまして、県内においても、公立の小学校や中学校が主に避難所に指定されておりますが、学校の統廃合によって近隣の避難所がなくなってしまう住民が出てくるおそれもあるため、市町村との連絡等を行い、必要に応じて避難所の指定を県立高校などの県有施設で受けるなどによって、住民の避難体制を充実させることも重要だと考えます。
そして、食料や救援物資については、地震や豪雨災害などにより、一部の住民に物資が届かないという記事を見ることもあるために、市町村や県であらかじめ準備をしている非常食や生活必需品等の備蓄を平時から点検することに加えまして、有事の際には、国などから受け入れた支援物資を速やかに避難者に届けることができるよう、県としても市町村との連絡体制や供給方法などをしっかりと双方で確認しておく必要があります。
また、災害発生時には、市町村が初動対応を行い、被害状況を迅速に把握し、適切な対応を行うことが重要でありますが、避難所や救援物資等の状況、二次災害の発生、人員の派遣など様々な場面において、県と市町村との間で緊密な連絡調整や情報の共有が必要となることから、有事の際に備え、連絡体制を整えるとともに、災害発生時には連携をしっかりと取っていただきたいと思います。
そこで、災害が発生した場合に、連絡や応急対策についてどのように市町村と連携を取られているのか、防災・危機管理部長にお伺いをいたします。
次に、外国人向けの防災対策についてお伺いをいたします。
本県の在留外国人数については、令和5年6月末時点で8万5,858人、県全体の人口に占める割合は3.0%で、人数、割合とも過去最高となっております。また、47都道府県の中では、在留外国人数が第10位となっており、今後も増加が見込まれております。
高萩市と北茨城市では、合わせて900人弱の外国人が在留しておりますが、日本語が読めない外国人にとっては、日本語で書かれた防災マニュアルを理解することは難しく、外国人の間で防災知識や対策がなかなか浸透していないということが課題となっております。
以前は、英語や中国語などで作られた外国人向けの災害時マニュアルが市町村の窓口や国際交流協会などで配布をされておりまして、外国人に直接手に取ってもらうことがありましたが、最近では、窓口などで見かけることは少なくなりました。
現在は、外国人のための多言語化された災害時マニュアルが県のホームページ上で公開されておりまして、15言語で災害時マニュアルの閲覧やダウンロードができることになっております。しかし、外国人からは、外国語で作成された災害時マニュアルの配布場所を今でも聞かれることがありまして、多言語化された災害時マニュアルの周知が行き届いていないというふうに感じることがあります。
災害発生時に迅速かつ適切に自らの命を守るため、被害発生時の初動対応や災害の知識、防災グッズの準備などの必要性を知り、自助防災をすることが重要になります。ハザードマップや避難情報等を発信しているホームページを事前に確認したり、マイ・タイムラインを作成するなど、災害時に自分がどのような行動を取ればよいのかを平時から準備しておく必要があります。外国人が災害の基礎知識や対応方法を事前に知り、災害に備えてもらうためにも、県では、
インターネットやSNSなどを活用し、外国人のために作成された防災マニュアルがあることを積極的に情報発信していくべきではないでしょうか。
また、友人や同僚などの身近な日本人を通じて、多言語化された災害時マニュアルを外国人に知ってもらう方法も効果的であるために、地域での共助を視野に入れながら、様々な広報媒体を活用し、多言語化された災害時マニュアルの周知に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、情報発信や周知をはじめとする外国人向けの防災対策についてどのように取り組んでいくのか、県民生活環境部長にお伺いをさせていただきます。
次に、警察署が被災した場合の対応等についてお伺いをいたします。
近年、暴風、豪雨、洪水、土砂災害、高潮などの気象災害による被害が毎年のように発生し、気象災害の激甚化・頻発化が目に見える形で進んでおりまして、今後も災害リスクの上昇が続くことが見込まれております。
昨年9月に発生しました台風第13号に伴う豪雨災害では、日立市役所近くの川が氾濫し、庁舎内の電気系統設備が浸水しまして停電が発生し、市では災害対策本部を消防本部に移して、その災害対応に当たりました。自治体においても、施設や設備が被災し、使えなくなることも想定しておく必要があると考えます。
災害発生時において、警察は災害警備本部を設置するなどし、被害情報の収集や把握、情報発信を行うとともに、被災現場に広域緊急援助隊等を派遣し、救出救助活動や捜索活動、そして被災地の警戒、犯罪の取締りなどの警察活動を実施するために、その拠点となる警察署も防犯上、重要な施設に位置づけられております。
他県では、警察本部の庁舎や警察署が大規模災害で被災することを想定した訓練が実施されております。福岡県久留米市においては、昨年7月の大雨で警察署周辺の道路が冠水し、パトカーの出勤や業務が困難になった経験を基に、大規模災害のおそれが高まった段階で、協定を締結している民間企業に警察機能の一部や車両を速やかに移動できるよう対策を講じております。
私の地元、高萩警察署は、大雨や津波発生時のハザードマップの浸水想定区域内に入っておりまして、万が一の場合、警察署の機能が失われてしまうのではないかという不安があります。
災害発生時においても、県内の警察署の機能を維持し、災害対応や警察活動などに円滑に取り組めるよう、万全な
体制づくりをしていただきたいというふうに思います。
そこで、警察署が被災した場合の対応や訓練等について、警察本部長にお伺いをいたします。
次に、HACCPに沿った衛生管理の適正な実施の促進についてお伺いをいたします。
平成30年6月に食品衛生法等の一部を改正する法律が公布されたことによりまして、HACCPに沿った衛生管理が制度化され、原則として、全ての食品等事業者は、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理に取り組むこととなりました。
HACCPとは、食品等事業者が原材料の受入れから最終製品までの工程ごとに、微生物による汚染や異物の混入などの危害を予測した上で、危害の防止につながる特に重要な工程を連続的、継続的に監視し、記録することによりまして、製品の安全性を確保する衛生管理法をいいまして、端的には、衛生管理計画の作成、実行、記録、管理、確認等を行うことなど、それらを行うことによりまして、衛生管理の見える化を図るものであります。従来の最終製品の抜取り検査に比べまして、より効果的に、安全性に問題のある製品の出荷を防止できることとされております。
全国的にもノロウイルスやO157など、食中毒や食品への異物混入が発生しており、今年1月には県内でも食中毒が発生し、2名の方が腹痛などの症状を呈するという事案が発生いたしました。高齢者や子どもにおいては、食中毒が原因で重篤化するケースもありまして、私たちの食の安心安全が守られるためには、食品等事業者の衛生管理が徹底される必要があります。
県におかれましては、保健所での相談や指導のほか、HACCPの関連の講習会を行いまして、HACCPに沿った衛生管理の推進等に取り組んでいると聞いておりますが、飲食店を中心に、HACCPの適正な実施がまだまだ進んでいないという状況を目にすることがあります。
また、食品衛生協会の食品衛生推進員が、食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理を周知啓発しても、なかなかすぐには受け入れてもらえないという声も聞こえており、HACCPに沿った衛生管理の制度化が、公布されて既に5年がたつものの、まだまだ徹底には至っていないというふうに感じます。
さらに、コロナ禍以降は、消費者が食品のデリバリーやテークアウトを使う機会が増えたほか、屋外でのイベントなどでは、キッチンカーで食べ物を買う機会が増えるなど、食品の提供の方法が多様化してきており、それに伴いまして、食品の温度管理や保存方法の工程などを厳しく確認する必要があります。また、これからの季節は食中毒のリスクが高まるため、食品等事業者が衛生管理の見える化を図りまして、食中毒を発生させないためのリスク管理をより一層行うことが重要であると考えます。
HACCPに沿った衛生管理を適正に実施し、促進するため、県における食品衛生に係る指導力などの向上を図るとともに、食品衛生協会などとの連携を強化していくことが必要ではないでしょうか。
そこで、HACCPに沿った衛生管理の適正な実施の促進について、今後どのように取り組んでいかれるのか、
保健医療部長にお伺いをいたします。
次に、医師の確保に向けた取組についてお伺いをいたします。
令和5年11月に公表されました医師偏在指標につきましては、全国平均が255.6に対し、本県は193.6で、全国43位となり、全国的に見ても際立った医師少数の県というふうに当たっております。県内におきましては、つくば医療圏と水戸医療圏が医師多数の区域である一方、日立医療圏を含む6つの医療圏が医師少数区域となっておりまして、県内の地域間での医師の地域偏在は最も深刻となっております。
医療機関の現状の経営状況は全体的にあまりよいとは言えず、全国にある一般病院の7割弱が赤字経営であると言われておりまして、国民の超高齢化が進み、病院の経営は、今後さらに厳しい状況になることが予測されております。あわせて、増え続ける患者に対しまして、医療に従事できる医師や看護師の数が不足しておりまして、需要と供給のバランスが取れていない状況にもあります。
全国的な人口の減少、若い世代の職業意識の変化、医療ニーズの多様化などによりまして、医師の確保の難しさが医療現場では問題になっていると感じております。
さらに、医療業界では、医師の奉仕的な長時間労働に頼ってきた側面が大きかったことが以前から指摘もされておりましたが、令和6年4月から開始される医師の働き方改革によりまして、従来の医師の長時間労働が改善されることで、病院などの
医療機関サイドは医師の数を増やさざるを得なくなるのではないかというふうに思っております。
地方では、これまでも医師不足が問題視されまして、特に過疎地域におきましては、1人の医師への依存度も大変大きいものとなっており、医師の働き方改革によりましては、地域格差がさらに深刻になることが懸念されております。
一方で、
医療機関が雇用する医師の数を増やせば、その分、
医療機関の人件費等の財政的負担も増えることとなるために、病院の経営がさらに悪化してしまうのではないかというおそれもあります。
そこで、医師の確保につきまして県はどのように取り組んでいかれるのか、
保健医療部長にお伺いをいたします。
次に、文化財を継承する担い手の確保についてお伺いをいたします。
本県は、豊かな自然景観、長い歴史や伝統のある文化等を背景に、名勝、史跡、歴史的建造物など数多くの文化財を有しており、国指定、県指定、市町村指定を合わせますと、約3,800の文化財が県内に分布されております。
県においては、県内の文化財の総合的な保存・活用の具体的推進を図るために、令和2年5月に茨城県文化財保存活用大綱を策定しております。この大綱におけます文化財の基本的な方向性については、県民の共有財産である文化財を社会的、そして社会全体で適切に保存・活用し、次世代へ確実に継承する体制を構築していくほか、文化財の保存・活用には社会全体で取り組むとしておりまして、県民が郷土への愛着と誇りを持ち、本県の魅力の向上や地域づくりにつなげていくこととされておりまして、文化財の保存・活用等の基本方針が示されております。
私の地元である高萩市では、推定樹齢1,000年と言われる安良川の爺スギが国の天然記念物に指定されているほか、江戸時代に建造されました穂積家住宅が県の有形文化財に指定されており、指定文化財の中には、地元の魅力向上や観光につながっているものも多々ございます。
しかし、建造物など有形文化財には、個人が所有・管理しているものがありまして、文化財の日常管理や維持管理に要する金銭的負担が個人所有者に大きく負担がなっているとのお話を聞くことがあります。また、現在の個人所有者が高齢で、財政的負担などを負い切れなくなってきておりまして、次の世代にその負担を残してしまうことに不安を持っているとの話をも耳にすることがございます。
文化財は国民的財産であるとともに、地域の魅力的な観光資源として活用されることで価値が認識され、地域社会の活性化につながっていくものであり、貴重な文化財を後世に残していくためには、持続可能な保存体制や支援等が必要だというふうに考えます。しかし、足元では、県民共有の財産である文化財の負担が、個人や、その継承者に重くのしかかっている状況とも言えます。
文化財の維持管理や継承する担い手の確保については、所有する個人の問題ではなく、地域の課題として地元自治体との連携を図るなど、地域全体で支えていく必要があるのではないでしょうか。
そこで、文化財の個人所有者の財政的負担等が大きくなり、継承がますます難しくなっていく中、文化財を継承する担い手を今後どのように確保していくのか、教育長に御所見をお伺いいたします。
最後に、ゾーン30及びゾーン30プラス等の取組についてお伺いをいたします。
本県における交通事故につきましては、平成25年に比べまして、令和5年中、発生件数は6,790件でマイナス51%、死者数はマイナス70人で、マイナス43%と、それぞれ大幅に減少がしております。また、過去10年平均と比べましても、令和5年中の発生件数はマイナス2,705件でありまして、マイナス29%、死者数はマイナス28人で、マイナス23%と、それぞれ減少しており、交通事故は減少傾向にあることがうかがえます。
一方で、令和5年中の交通事故発生件数は6,489件でありまして、都道府県別の死者数については、平成25年以降、ワースト10位前後に位置する現状にあります。
また、過去10年におけます交通事故死者の特徴を見ますと、状態別では、歩行中が422人と、35%で最多でありました。
さらに、令和5年中の交通事故死者93人のうち、状態別では、歩行中が33人と最も多く、36%を占めておりまして、このうち、ドライバーの前方不注意が事故要因となるものが23人と最も多く、70%を占めております。
これらを踏まえますと、ドライバーに緊張感を与え、歩行者に対する保護意識の醸成を図るソフト面の対策に加えまして、ハード面の対策である道路環境整備も重要であると考えます。
現在、全国各地や県内におきまして、生活道路における人、優先の安全・安心な交通空間の整備を推進するために、最高速度が時速30キロに速度制限されている区域、ゾーン30が設定されているほか、近年は、ゾーン30やハンプ、そして狭窄などの物理的デバイスを組み合わせて、交通安全の向上を図ろうとするゾーン30プラスが設定されており、交通安全のためのゾーン規制の活用が全国的にも図られてきております。
ゾーン30は、ゾーン内の最高速度30キロメートルの区域規制や、路側帯の設置、拡幅と車道中央線の抹消による道路の狭隘化をベースとする対策でありまして、また、ゾーン30プラスについては、ゾーン30で実施する対策に加えまして、道路の隆起部分を設けるハンプや、道路の横断歩道、そして、そのものをマウンドアップさせるスムーズ横断歩道を設置しまして、ドライバーに減速と横断歩行者の優先の意識を促すほか、狭窄やシケインを設置することによりまして、道幅を一部狭くしたり、カーブさせた形状とすることで、自動車の走行速度を抑制し、抜け道として利用しにくくするなど、物理的に車両の速度を低下させる効果や、ドライバーに歩行者等の安全確保に一層の注意を喚起させる効果が期待されておりまして、交通事故のリスクの減少に一定の効果が見込まれると考えます。
令和4年度末の時点で、全国にはゾーン30が4,288か所、ゾーン30プラスが66か所整備がされておりまして、そのうち、県内にはゾーン30が79か所、ゾーン30プラスが2か所整備がされております。私の地元であります高萩市にも平成28年度から国道6号東側の2か所、1か所が有明町1丁目と肥前町の1丁目の一部、もう一つが有明町の2丁目の一部にゾーン30が2か所整備がされておりますが、整備から7年が経過し、市民に対する認知度が薄れてきているのではないかというふうに感じるところでございます。
引き続き、警察本部におかれましては、道路管理者等の関係機関と連携をしまして、ゾーン30やゾーン30プラスの整備を進めるとともに、これまでのゾーン30整備区間についての見直しを行いまして、必要と思われるところに物理的デバイスを設置し、ゾーン30プラスにすべきと考えております。
また、小学校や高齢者施設周辺等で進めております横断歩道のカラー舗装などの横断歩行者保護対策など、総合的に交通安全対策に取り組むほか、ゾーン30やゾーン30プラスの対策をより効果的に上げる対策としていくために、整備の目的や位置づけなどについて県民に周知し、安全・安心の実感できる、そのような社会を実現していただきたいというふうに思います。
そこで、ゾーン30やゾーン30プラス等のハード対策について、今後どのように取り組まれていくのか、警察本部長にお伺いをさせていただきます。
各部局におかれましては、これまでの項目の質問に明快なる御答弁を賜りますよう、お願いを申し上げます。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
88
◯半村登議長 大足光司議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。
山崎防災・危機管理部長。
〔山崎防災・危機管理部長登壇〕
89 ◯山崎防災・危機管理部長 大足光司議員の御質問にお答えいたします。
災害に備えた対応についてお尋ねをいただきました。
市町村との連携についてでございます。
迅速な災害対応のためには、あらかじめ災害の規模などを想定した上で、県と市町村が連携して対策を準備しておくことが重要であり、県が実施している地震被害想定では、最大で10万3,000人の方が避難所に避難することになっております。
こうした大規模な災害発生時に想定される市町村ごとの避難者数により検証いたしますと、市町村によっては、あらかじめ指定している避難所だけでは不足が生じる可能性があります。実際に避難所が不足する場合には、県において、近隣市町村への避難所開設の要請や、災害時応援協定に基づくホテルや旅館の活用、また、県立高校などの県有施設を提供するなどして、避難所確保を支援することとしております。
また、物資の備蓄についても、県と市町村が連携して取り組んでいるところであります。例えば、水や食料については、それぞれの市町村において、地震被害などで想定している最大の避難者数の3日分を備蓄することとしておりますが、県においても2万5,000人の3日分を備蓄しているところであります。こうした備蓄物資については、県において毎年度、県の備蓄分について品目ごとに数量を点検するとともに、市町村の備蓄分の状況についても確認し、県全体の備蓄状況の把握を行っているところであります。
こうした県と被災市町村の備蓄分だけで不足する場合には、災害時応援協定を締結しているスーパーマーケット、ホームセンター、レンタル企業などからの調達や、他の市町村の備蓄分からの調達などで対応することとしており、また、より早急の対応が必要な場合には、被災市町村からの要請を待たずに、国や県が必要な物資を想定して届けるプッシュ型支援も実施することとしております。
なお、国や県が物資を被災市町村に届けるに当たっては、国が整備している物資調達・輸送調整等支援システムを活用することとしております。このシステムは、被災市町村による必要な物資の入力や、国や県による物資の手配状況の入力により、これらの情報が被災市町村と国、県において直ちに共有できることから、速やかな対応が可能となるものであり、毎年度、システムに習熟するための訓練を国、県、市町村が合同で実施しております。
また、迅速に災害に対応するためには、災害発生直後から県と市町村が緊密に連携を取り合い、情報共有を図ることが重要であります。このため、平常時から市町村との勉強会を開催し、被害状況などの情報を共有する重要性と、その手段について確認し合うとともに、地震発生時や災害発生のおそれが高まった警報の発表時などにおいては、被害状況などを把握次第、県に報告するよう、改めて市町村に注意喚起の連絡を行っているところであります。
また、被災市町村に県職員を派遣して被害状況などを把握するとともに、必要な支援を行うこととしており、昨年度、水害の発生した自治体に対しても、県や他の市町村の職員を派遣し、災害対策本部の運営や、住家の被害状況の調査、災害廃棄物の仮置場の設置などの支援を行ったところであります。
県といたしましては、今後も情報を共有するための連絡体制の強化と支援体制の強化に努め、災害時における市町村との連携に取り組んでまいります。
90
◯半村登議長 次に、林県民生活環境部長。
〔林県民生活環境部長登壇〕
91 ◯林県民生活環境部長 外国人向けの防災対策についてお答えいたします。
本県における在留外国人の数が過去最高を記録し、今後も増加が見込まれる中で、外国人が安心して暮らすことができる社会を形成していくことは大変重要でございます。
近年、気候変動の影響等により、自然災害がますます頻発化、激甚化しており、本県におきましても、今後発生するであろう災害から外国人の生命・財産を守るための対策を推進していく必要があると考えております。
このため、県では、茨城県地域防災計画に外国人に対する防災対策の充実を掲げ、各種の取組を進めているところです。
まず、外国人向けに防災や災害時に必要な知識をまとめた災害時マニュアルは、現在、やさしい日本語を含む15言語で作成し、ダウンロード可能な冊子として、県や県国際交流協会のホームページ上に掲載しております。
また、県の防災・危機管理ポータルサイトにおいて、9言語で防災情報を発信しているほか、県独自の我が家のタイムラインを外国人向けのやさしい日本語版を含む11言語で提供するなどの取組も行っているところです。
こうした情報発信の取組を1人でも多くの外国人の方に知っていただけるよう、引き続き県主催の会議など、様々な機会を捉えて周知を行いますとともに、県広報紙や市町村の広報紙、SNSなど、多様な媒体を活用し、積極的な広報に努めてまいります。
また、災害発生時における外国人の支援には、安否確認や避難誘導、避難所運営などに第一線で対応する市町村の役割が極めて重要となるため、県では、2021年度から市町村の職員等を対象に災害時外国人支援研修を行っております。今年度は2回開催し、まず、昨年5月に、災害時に外国人が困らないためにはどうするべきかについて基礎的な知識を学ぶ講義方式の研修を実施したところです。
さらに、11月には、水戸市のアダストリアみとアリーナで、同市在住の外国人の方にも参加いただき、災害時に多言語で情報発信する研修や、避難所に避難した避難者役となった外国人参加者から、避難に当たってのニーズをヒアリングするなど、支援につなげる実践的な研修を行いました。
この実践研修については、日本での被災経験がないなど、避難情報等を正しく認識することが難しい外国人と、外国人を支援する
市町村職員の双方にとって大変有用であるとの声をいただいていることから、来年度以降、さらに充実した内容の研修となるよう工夫をし、より多くの方に参加いただいて実施してまいります。
また、外国人向けの防災対策では、災害時を想定した取組のみならず、平時に安心して暮らせるための
相談体制の充実などの取組も大変重要です。
県では現在、県国際交流協会の外国人相談センターにおいて、生活全般の相談に11言語で対応しているところです。
加えて、このたび、本県に暮らす外国人に対する母語による相談・支援体制の強化を目的に、IBARAKIネイティブコミュニケーションサポーター制度を創出いたしました。認定されたサポーターの方には、外国人の身近な相談への対応のほか、例えば、気象情報や避難情報、被災者支援情報など、災害関連情報のSNSなどでの発信にも御協力いただくことになっております。
今後もできるだけ多くの方が、同じ出身国・地域、あるいは言語のサポーターの支援を受けられるよう、サポーターの拡充を進め、母語による
相談体制や、災害時における情報発信の充実を図ってまいります。
県といたしましては、県内の外国人が安心して暮らせる社会の実現を目指し、情報発信や周知をはじめとする防災対策の充実にしっかり取り組んでまいります。
92
◯半村登議長 次に、一瀬警察本部長。
〔一瀬警察本部長登壇〕
93 ◯一瀬警察本部長 警察署が被災した場合の対応等についてお答えいたします。
初めに、災害対応に関する警察の機能について御説明いたします。
まず、警察本部においては、県内で大規模な災害が発生し、または、発生するおそれがあるときは、私を長とする災害警備本部を設置し、被害情報の集約、各警察に対する一元的指揮、救出救助部隊の編成及び運用、警察庁や他の都道府県警察との連絡調整等に当たります。
そして、各警察署においては、警察本部と緊密に連携しながら、被災地における避難誘導、救出救助、交通規制、防犯対策等の任務を遂行します。
さらに、警察庁においては、警察法等に基づき、被災地警察に対する応援部隊の派遣に関して、被災地警察及び派遣元警察との間の調整を行うこととされております。
このように、大規模災害が発生した場合は、地元警察署だけではなく、警察本部、県内各警察署、そして全国警察が連携し、一体となって対応いたします。
警察署が被災した場合であっても、救出救助や防犯対策といった警察署が担うべき警察活動については、隣接警察署を拠点として展開してまいりますので、これらの活動に大きな支障を来すことはございません。
次に、災害発生時の対応について、議員から御指摘のあった大雨による水害を例に御説明いたします。
水害に関しては、多くの場合、気象予報や河川の水位等から発生を事前に予測することができます。そのため、発生のおそれが高まった段階で警察本部に災害警備本部を設置するとともに、その指揮の下で、警察署が地域住民に対する避難誘導等を開始することとなります。
さらに、警察署の浸水が予想される場合には、無線機や車両等の資機材をあらかじめ高所の代替施設に移動し、被災地における活動拠点としての機能を維持することとしております。
なお、代替施設については、各警察署が地元自治体と協定を締結するなどして、複数の施設を確保しており、例えば、高萩警察署であれば、高萩市文化会館や北茨城市役所の一部を代替施設として確保しております。
そして、災害発生後は、警察本部の指揮の下で、警察本部や県内に27ある警察署から応援部隊を派遣するほか、災害の規模に応じて他の都道府県警察からも応援部隊が派遣されます。現に、平成27年の関東・東北豪雨では、鬼怒川の堤防が決壊するなどして大きな被害が生じ、1都12県から延べ約3,000名の応援部隊が派遣され、救助活動等が行われました。
次に、警察署が被災した場合を想定した訓練について御説明いたします。
警察本部においては、大規模災害を想定した災害警備本部の設置訓練を実施しており、その中で警察署に対する警察機能の移転に関する指揮や応援部隊の派遣、警察庁への援助要請等に関する訓練を行っております。
また、警察署においては、代替施設への移転訓練を反復継続して実施しているほか、移転先で使用する資機材の整備、災害の影響で道路が通行できなくなることを想定した移転経路の複数設定等を行っております。
県警察といたしましては、平素からこうした訓練やシミュレーションを行い、災害に関する警察機能を最大限に発揮できるようにし、救出救助をはじめとする災害対応に万全を期してまいります。
次に、ゾーン30及びゾーン30プラス等の取組についてお答えいたします。
初めに、当県において昨年発生した自動車と歩行者の事故のうち、歩行者が死亡した事故33件の特徴について申し上げますと、1点目、夜間の発生が76%を占めること、2点目、被害者に占める65歳以上の高齢者の割合が昼間は88%、夜間は68%を占めること、道路幅員5.5メートル以上の幹線道路での発生が94%を占めること、4点目、これらの事故の最大の原因は運転者の前方不注意であり、その割合は夜間では72%、昼間では63%を占めることが挙げられます。
このため、県警察では、昨年5月以降、幹線道路における高齢歩行者の保護を重点に、1点目、夜間の交通事故対策としての反射材の着用促進、2点目、昼間における交通事故対策としての横断歩行者妨害の取締り等を強力に推進してまいりました。その結果、取組を開始してから昨年12月末までの間の自動車と歩行者の死亡・重傷事故は、前年同期と比較して17%減少し、このうち、夜間の事故については29%の減少となっております。これらの数は、月別の統計が残る平成2年以降最少となっており、顕著な成果が現れているものと考えております。
次に、道路交通環境の改善について申し上げます。
冒頭申し上げましたとおり、昨年の当県における自動車と歩行者による交通死亡事故は、そのほとんどが幹線道路で発生しております。
しかしながら、例えば、昨年は、生活道路上において死亡事故には至らないものの、歩行者事故、全体の27%に当たる129件の事故が発生しております。生活道路における歩行者事故の発生には、それぞれの地区における道路環境が影響していると考えられることから、県警察といたしましては、議員御指摘のゾーン30等をはじめとする道路環境対策も進める必要があるというふうに考えております。
こうした観点から、県警察では、これまでにゾーン30を79か所、ゾーン30プラスを2か所整備しております。このうち、例えば、令和5年3月に整備した水戸市渡里町のゾーン30プラスについては、通行車両数が36%、実勢速度が13%、それぞれ低減しており、令和4年中に3件発生していた人身交通事故は、整備後は一件も発生しておりません。
県警察では、これらの効果的事例も踏まえつつ、ゾーン30プラスの整備を推進するとともに、道路管理者と連携しつつ、既存のゾーン30のゾーン30プラス化や横断歩道のカラー舗装などのハード面での整備にも努めてまいります。その際には、議員御指摘のゾーン30等の整備目的等の周知につきましても、警察署協議会や交通安全団体との会合の場において発信してまいります。
県警察では、引き続き反射材の着用促進や交通指導取締りといったソフト面での対策を強力に推進しつつ、ハード面での交通環境の整備に努め、生活道路における安全を確保してまいります。
94
◯半村登議長 次に、
森川保健医療部長。
〔
森川保健医療部長登壇〕
95
◯森川保健医療部長 HACCPに沿った衛生管理の適正な実施の促進についてお答えいたします。
近年、国民の食へのニーズの多様化やグローバル化の進展により、我が国の食を取り巻く環境が変化する中、食中毒の発生数が下げ止まり傾向にあることから、食品等事業者における、より一層の食品衛生管理の徹底が課題となっております。さらには、食品の輸出促進を見据え、国際標準に合致した衛生管理が求められているところです。このため、2018年6月、食品衛生法が約15年ぶりに大幅に改正され、国内の食品全体の安全性向上に向けて、HACCPに沿った衛生管理が制度化されました。
食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に、円滑に取り組める基盤づくりのため、国においては、食品製造におけるHACCPモデル集などを作成するとともに、各業界団体が作成した手引書をホームページに掲載して周知しております。食品等事業者は、これらの手引書などを参考にして、食品衛生上の危害発生を防止するための衛生管理計画を作成し、作業記録を取ることが求められております。
しかしながら、食品等事業者の中には、新たに取り組むこととなった衛生管理方法を実践していく中で、日々の作業記録を負担に感じている方もいます。こうしたことから、県では、作業記録を取ることは、衛生管理の重要なポイントが明確化され、効率的な衛生管理が行えることで、食品の安全性の向上、食中毒の発生防止につながるなどといった利点があることを日頃から説明し、理解の促進に努めております。
加えて、HACCP関連のリーフレットや手引書を配付し、適正な実施方法について周知を行うほか、食品等事業者向けの衛生講習会では、衛生管理計画の作成方法や作業記録の記載方法などの実例を説明するといった取組を通じて、食品等事業者への適切な助言・指導に努めております。
議員から御指摘のありました、コロナ禍以降に増加したデリバリーやテークアウトなど、多様化した食品提供を行う施設につきましては、改めて調理から提供までの衛生管理の徹底が求められているところです。このような施設への立入検査を行う際は、よりきめ細かな指導を行い、HACCPに沿った衛生管理の適切な実施を促してまいります。
また、食品等事業者の指導に当たる保健所職員の人材育成と資質向上についても、国が開催するHACCP指導者養成研修会への積極的な派遣を行うとともに、県内で発生した食中毒や違反食品に関する事例検討会を開催しているところです。
あわせて、県食品衛生協会との連携につきましては、食品等事業者に対し、助言や相談活動を行う食品衛生推進員との合同巡回指導を継続して行うとともに、県食品衛生協会が実施する食の安心・安全・五つ星事業など、自主的な衛生管理の取組の支援を行っているところです。
また、食品等事業者向けの講習会についても、県食品衛生協会と連携し、受講しやすい開催日時の設定や、未受講者への再受講通知の送付を行うほか、新たに、eラーニングを活用して受講率の向上を図ってまいります。
さらに、食品衛生推進員が巡回指導の際に役立てられるよう、最新の食品衛生事情や、HACCPに沿った衛生管理の適切な実施方法について情報提供などに努めてまいります。
県といたしましては、引き続き県食品衛生協会と緊密に連携を図りながら、HACCPに沿った衛生管理の適正な実施の促進に努め、県民の皆様のみならず、本県に来訪される方々にも食の安全・安心を提供できるよう取り組んでまいります。
次に、医師の確保に向けた取組についてお答えいたします。
医師の確保は、基本的には、各
医療機関において、自らの役割や機能に加え、医療需要や経営状況なども踏まえた上で、主体的に進めていくべきであると認識しております。
県の役割といたしましては、県民の安心・安全を守るため、救急、小児、周産期などの政策医療分野の
医療提供体制を確保することが最も重要であることから、政策医療分野において地域の中核的な役割を担う
医療機関の機能維持・強化のために緊急的な対応が必要なものを最優先の
医療機関・診療科に選定し、重点的な医師確保に取り組んでいるところであり、第1次目標に掲げた4
医療機関については13.1名を、第2次目標に掲げた4
医療機関については7.2名をそれぞれ確保してまいりました。
また、2020年度からは、県、大学、県内
医療機関が一体となって政策医療を担う
医療機関へ医師を派遣する医師配置調整スキームを医師確保計画に位置づけ、
地域医療構想を踏まえた各
医療機関の役割分担や医療機能の分化・連携の方針に沿った医師の配置を進めているところです。
一方、長期的な医師確保の取組といたしましては、医師による学校訪問や県立学校等5校への医学コース設置などにより、医学部進学希望者の増加を図るとともに、地域枠などの修学資金貸与制度により、将来、県内の
医療機関で確実に勤務する医師を養成しております。特に、地域枠につきましては、2009年度に筑波大学へ5名の定員を設置して以降、県内外の大学へ新増設を進め、来年度の定員は全国トップクラスの11大学70名まで拡大したところです。
現在、既に195名の修学生医師が県内の
医療機関で勤務しておりますが、今後、在学中の修学生が順次卒業することにより、県内で勤務する修学生医師は着実に増加し、国が偏在解消の目標とする2036年には、9年間の従事義務を終えた者も含め、900名を超える見込みでございます。
このような中、本年4月に医師の働き方改革が開始されることから、これらの取組と併せて、時間外・休日労働時間の上限規制をはじめとした制度の周知や、一定の診療の補助が可能な特定看護師の養成によるタスクシフトの推進、ポスターやSNSによる救急車の適正利用に関する県民への啓発などにより、医師の負担軽減や勤務環境改善に取り組んでおります。
なお、医師の働き方改革は、医師が健康に働き続けることのできる環境を整備することで、医療の質や安全の確保はもとより、持続可能な
医療提供体制を維持していくためには、医師の偏在対策及び
地域医療構想の実現と三位一体で進めるべきものとされております。
そのため、医師の働き方改革への対応に当たっては、まずは地域における医療機能の集約化や
医療機関の連携などにより、限りある医療資源を最大限活用し、効率的かつ持続的な
医療提供体制を構築することとしており、そうした体制を構築してもなお、政策医療の維持が極めて困難となることが見込まれる場合には、最優先の
医療機関・診療科に位置づけた上で、県としても重点的な医師の確保に取り組んでまいります。
県といたしましては、引き続き
医療機関における勤務医の勤務環境の改善を推進するとともに、第8次茨城県
保健医療計画において、新たに県内を3圏域に区分した
医療提供圏域を踏まえつつ、より広域的な視点に立った
医療機関の役割分担の明確化と連携を促進しながら、医師の確保と地域偏在の解消にしっかり取り組み、本県の地域
医療提供体制の充実を図ってまいります。
96
◯半村登議長 次に、森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
97 ◯森作教育長 文化財を継承する担い手の確保についてお答えいたします。
豊かな自然景観や歴史的環境を有する本県には、議員地元の高萩市の国指定天然記念物、安良川の爺スギや、県指定有形文化財、穂積家住宅をはじめ、先人から引き継いだ数多くの文化財が所在しております。
これまで、これらの文化財は、文化財所有者の尽力等により支えられ継承されてきましたが、昨今の急速な
少子高齢化、過疎化など、社会情勢が変化する中、文化財をどのように次世代へ残していくかが課題となっております。
そのため、県におきましては、本県の文化財の保存・活用の指針として、茨城県文化財保存活用大綱を策定し、県民共有の財産である文化財を適切に保存・活用し、次世代への継承に取り組んでいるところであります。
また、文化財の保存修理につきましては、高度な技術と専門的知識が必要であり、多額の経費を要することから、県において、県指定文化財等については、所有者等に対し、その保存修理費用を補助しておりますほか、建造物が個人の居宅となっている場合は、その管理費も支給するなど、財政支援を行っているところでございます。
しかしながら、こうした財政支援があったとしても、後継者不足や維持管理費の増加などの課題がありますことから、文化財の担い手を確保するとともに、地域で活動する様々な団体等と連携・協力した体制を構築し、地域全体で支えていくことが重要であります。
まず、文化財の担い手の確保につきましては、学校教育や社会教育における文化財を活用した取組により、子どもたちや、幅広い世代の県民が新たな文化財の担い手となるよう、郷土への愛着と誇りを醸成してまいります。
具体的には、学校教育における事例として、石岡市の小学校では、地域を学ぶ授業の中で、かやぶき民家でカヤを使った小物作りなどの体験学習を行い、伝統的なかやぶきの魅力を伝えているほか、高萩市の中学校では、国指定重要文化財である長久保赤水関係資料を活用した授業を行うなど、児童生徒たちの郷土への誇りや愛情を醸成する取組を行っております。
また、社会教育では、各市町村において、公民館や生涯学習センター等で文化財を活用した講座や体験学習が数多く開かれるなど、幅広い世代の県民が、文化財を通じて地域の歴史・文化を学び、新たな文化財の担い手となっていただくことを期待しているところです。
次に、地域で活動する様々な団体等と連携・協力した体制の構築につきましては、県や市町村はもとより、民間企業やNPO、大学、研究機関等が連携・協働し、文化財の所有者等が行う保存・活用を支援する
体制づくりを進めております。
例えば、つくば市にあります国指定重要文化財、旧矢中家住宅では、個人所有の建物を、筑波大学の学生も参加するNPO法人が日常の管理や定期的な一般公開を行っているほか、毎年、地元高校の地域実習の一環として、高校生に文化財の保存や公開活動を体験する機会を提供しております。
また、このような事例を、県が主催する文化財保存活用セミナーにおいて、市町村の文化財担当者のほか、地域で活動する様々な文化財関係団体にも紹介し、県、市町村、NPO、大学、地域活動団体が連携・協働した
体制づくりの一助としたところでございます。
今後もこうした取組を継続しながら、地域の大事な資源である文化財の適切な保存・活用に努めてまいります。
県といたしましては、文化財を継承する担い手の確保につながるよう、学校教育や社会教育における取組や、様々な関係団体と連携・協働した
体制づくりを進めてまいります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
98
◯半村登議長 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
次回は、明3月8日午後1時から本会議を開き、一般質問、質疑を続行いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後4時29分散会
Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...