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  1. 茨城県議会 2020-06-18
    令和2年防災環境産業委員会総務企画委員会連合審査会  本文 開催日: 2020-06-18


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                 午前10時29分開議 ◯下路委員長 ただいまから,防災環境産業委員会総務企画委員会連合審査会を開会いたします。  委員長間で協議をしました結果,私が本連合審査会の委員長職を担いますので,よろしくお願いをいたします。        ─────────────────────────── 2 ◯下路委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。  西野委員と江尻委員にお願いをいたします。        ─────────────────────────── 3 ◯下路委員長 次に,本日の委員会につきまして,NHK水戸放送局,日本テレビ,フジテレビジョン水戸支局及びTBSテレビ等から,撮影,録音の許可願が出されており,委員長においてこれを許可いたしました。  また,いばらき原発県民投票の会の活動について,記録映画を作成している方から,撮影,録音の許可願があり,内容を確認の上,中立・公平に事実を記録するものであること,映画が完成し上映される際は,県議会に連絡することを条件に,委員長においてこれを許可いたしましたので,御報告申し上げます。  また,本日の連合審査会は,インターネット中継を実施しておりますので,御理解と御協力をよろしくお願いいたします。  それでは,これより議事に入ります。  第102号議案東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定についてを議題といたします。  これより,執行部の説明を求めます。  初めに,堀江防災・危機管理部長。 4 ◯堀江防災・危機管理部長 今回提出しております議案につきまして御説明させていただきます。  お手元のタブレットまたは白表紙の冊子で,令和2年第2回茨城県議会定例会議案(第2綴)4)をごらんください。  それでは,恐れ入りますが,1ページをお開き願います。  第102号議案東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定についてでございます。  本件は,令和2年5月25日に,徳田太郎氏ほか2名の共同代表者から,東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定に係る直接請求があり,担当課におきまして要件を確認しましたところ,適正と認められたため,翌26日に,地方自治法第74条第1項の規定により,当該請求を受理いたしました。これを受けて,6月8日に,同条第3項の規定に基づき,本定例会に,知事の意見を付して付議したものでございます。  私からの説明は以上でございます。
     詳細につきましては,この後,担当課長から御説明いたします。  御審議のほど,よろしくお願いいたします。 5 ◯下路委員長 次に,山崎原子力安全対策課長。 6 ◯山崎原子力安全対策課長 まず,連合審査会資料を説明させていただいてから,議案(第2綴)の4)で知事の意見を説明させていただきます。  連合審査会資料の1ページをお開き願います。  2の直接請求に係る主な手続きにありますとおり,5月25日に本条例の制定の請求があり,翌26日に受理し,6月8日に,本定例会に,知事の意見をつけて付議いたしました。  3の主な条文ですけれども,第2条,東海第二発電所の再稼働の賛否を問う,県民による投票を実施する。第4条第1項,その期日は,知事が再稼働の是非を判断するまでの期間において,知事が定める。第11条,投票は,再稼働に賛成するときは投票用紙の賛成欄に,反対するときは反対欄に○の記号を記載する。第18条第1項,県民投票において,有効投票総数の過半数の結果が,投票資格者総数の4分の1以上に達したときは,知事及び県議会は投票結果を尊重する。第2項,前項の場合,知事は,日本原子力発電株式会社,国及び関係機関と協議して,再稼働の是非に関して,投票結果に示された県民の意思が正しく反映されるように努めるとなってございます。  次,2ページでございます。  原子力発電所の再稼働の手続きでございます。  国は,世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には,原子力発電所の再稼働を進めるとしてございます。  一方で,地元の了解などの再稼働の手続については明確にされておりませんけれども,既に再稼働した地域の例などを見ますと,国による原子炉設置変更許可と,緊急時対応と呼ばれる避難計画の策定の後に,経済産業大臣から立地自治体に対し,再稼働を進める国の方針に理解を賜りたい旨の要請があり,その後,立地自治体において再稼働についての判断が行われるというのが多くのケースでございます。  ただし,囲みにありますように,このとおりではないケースもありますが,緊急時対応は,再稼働する段階では,全ての地域において策定されてございます。  次に,※の緊急時対応の策定のプロセスでございます。  緊急時対応とは,市町村の避難計画を合わせて,その地域全体の避難計画として,内閣府が中心となってまとめるものであり,総理大臣が議長となっている原子力防災会議において了承され,策定となります。  これまでに,北海道の泊,福井県の大飯,高浜,愛媛県の伊方,佐賀県の玄海,鹿児島県の川内の6地域が確定してございます。  次に,3ページをお願いいたします。  3ページの東海第二発電所の安全性の検証等の状況でございます。  1の国における安全審査等の状況にありますように,本体施設等に係る安全審査は終了してございまして,現在は,テロ対策施設である特定重大事故等対処施設について審査が行われております。  また,日本原電は,本年の4月17日に,実際の工事の内容が工事計画どおりになっているかを国が確認する使用前検査の申請を原子力規制委員会に申請いたしました。  これらの検査は,工事の進捗に合わせて,順次実施されますが,最後の五号検査は,実際に原子炉を運転し,臨界に達した状態で検査を行いますので,この段階が再稼働となります。  五号検査に合格すると,そのまま営業運転となります。  本体施設等の安全対策工事の完了予定時期は,2022年の12月となってございますけれども,これまでに再稼働した地域におきましては,地元自治体の了解が得られた後に五号検査を受けてございます。  なお,先ほど御説明いたしましたテロ対策施設である特定重大事故等対処施設は,経過措置のある2023年の10月17日までに完成しない場合には,仮に再稼働していた場合であっても,運転を停止することになります。  4ページをお願いいたします。  4ページの2の県における安全性の検証でございますが,県では,専門家で構成するワーキングチームにおきまして,県民意見も踏まえた200を超える論点について検証を行ってございます。  主な論点ですが,例えば,近隣の原子力施設における重大事故等発生時の影響,安全対策後の残余のリスク等に係る定量的評価,発電所真下等での太平洋プレート内地震など地震対策に関する評価,テロやミサイル攻撃への対応などがございます。  数多くの論点がございますけれども,これらの検証結果を踏まえ,安全対策により,どのような事故・災害にどの程度まで対応できるのかを具体的に県民に示していくこととしてございます。  最後に,5ページになりますけれども,東海第二地域の避難計画の策定・検討の状況について御説明させていただきます。  1の避難計画の策定状況でございますが,東海第二発電所からおおむね30キロメートル圏内の14の市町村は,避難計画を策定することになっており,これまでに,5市町と県が避難計画を策定しつつ,引き続き,諸課題を検討しているところでございます。  対象地域は,5キロ圏内のPAZ,30キロ圏内のUPZと呼ばれる地域に区分されますが,放射性物質の放出の可能性が高まった全面緊急事態において,PAZは一斉避難,UPZはまずは屋内退避し,実際に放射性物質が放出された場合には,プルームが通り過ぎた後に,地面に沈着した放射性物質からの放射線量が高い地域については,1週間以内に一時移転するなどの措置がとられます。  この場合の避難先でございますが,7ページの図面をごらん願います。7ページの図面でございます。  5キロ圏と30キロ圏は赤い円で描いてございまして,また,避難元と避難先の市町村は同じ色にしてございます。  例えば,東海村であれば,同じ黄色の取手市,守谷市,つくばみらい市が避難先となってございます。  5ページにお戻りいただきます。  2の主な課題と対応状況でございます。  (1)避難先の確保ですが,避難元市町村と避難先市町村の間では,全て避難の受け入れ協定が締結されております。  取り組んでいる課題等といたしまして,現在は,当初予定する避難先が被災により使用できない場合などの第二の避難先の確保について,他県と協議を進めております。  具体的には,被災状況に応じ柔軟に対応するため,避難元市町村と避難先市町村をあらかじめひもづけはせず,候補地となるエリアを第二の避難先として確保できるよう,他県に受け入れ協力を打診し,協議を行っているところでございます。  次に,特に都市部に避難する場合の駐車場の確保につきましては,避難先市町村から要望されている事項でございまして,避難元市町村とともに,例えばパークアンドライド方式など解決策の検討を行っているところでございます。  次の(2)移動手段の確保でございますが,自家用車での避難を基本としてございますけれども,バス,福祉車両を必要とする方のための移動手段の確保に取り組んでございます。  配車オペレーションシステムの開発や,県バス協会の各種会議の場において説明や意見交換を行い,また,県ハイヤー・タクシー協会や県内の社会福祉協議会に対しても協力を依頼しているところでございます。  取り組んでいる課題といたしましては,運転手の方などの理解を得るための取り組みといたしまして,バス協会や交通事業者の方などと協議しながら,放射線の基礎知識や防護活動などの概要などに関する研修会を開催しており,今年度は,研修用のコンテンツの作成などにも取り組んでいくこととしてございます。  6ページをお願いいたします。  (3)要配慮者の避難ですけれども,病院や社会福祉施設等は,UPZ外の施設に協力いただき,避難先として確保しておりますけれども,早期の避難が困難な方が,避難前に一時的に屋内退避できるよう,おおむね10キロメートル圏内の施設を対象に,放射線防護対策を推進しております。  取り組んでいる課題といたしまして,在宅の要配慮者等に対する避難支援関係者の確保については,市町村と協議を行っているところでございます。  また,建物が非耐震構造や木造であったり,場所が津波浸水区域にあるなどして,放射線防護対策が実施できない施設への対応といたしまして,代替策として,近傍の公的施設における防護対策の実施などの検討を行っているところでございます。  (4)避難退域時検査体制ですけれども,一時移転等を行うUPZの住民を対象に,避難経路上で放射性物質による汚染状況を確認する避難退域時検査を実施いたしますけれども,21の検査場所と,渋滞に備えた13のサブの検査場所につきましては,本年3月に公表いたしました。  取り組んでいる課題といたしまして,検査に必要となる資機材の確保については,内閣府とともに資材機の他県との広域利用の検討を行うとともに,検査の要員の確保のために,原子力事業者や関係機関と協議を行っているところでございます。  また,市町村の訓練などを通じて検証を行いながら,効率的な検査・除染体制の確立を図ってまいります。  (5)安定ヨウ素剤の配布体制でございますが,PAZは,事前配布を行っておりますが,現在の配布率は44.9%となっております。薬局での配布方式の導入を検討するなどして,事前配布率の向上に努めてまいります。  また,UPZは,一時移転の指示等が出た緊急時に配布を行いますけれども,緊急配布を行う人員の確保や配布方法等について,市町村と協議を行っているところでございます。  (6)屋内退避時の対応でございますが,全面緊急事態で,まずは,屋内退避するUPZの住民の方が安心・安全に屋内退避できるよう,電気,水道,ガス等の関係機関と協議を行い,ライフラインの確保等に取り組んでおります。  また,屋内退避による被曝の低減効果の周知も図っていく必要がございます。  取り組んでいる課題といたしまして,通院が必要な者への対応として,例えば,屋内退避を継続することが困難な在宅の人工透析患者に関して,関係課とともに対応策を検討しているところでございます。  これらの課題につきましては,3の課題の検討の進め方と実効性の検証にありますとおり,県主催の勉強会や,内閣府主催の作業部会で検討を行い,実効性ある避難計画の策定に取り組んでいるところでございます。  続きまして,議案(第2綴)4)の4ページをお願いいたします。  4ページに知事の意見書をつけてございますが,これについて御説明をさせていただきます。  まず,1の東海第二発電所の稼働の是非に関する県民意見の聴取方法についてでございます。  前段が安全性に係る国の審査や県の検証の状況,後段が避難計画の検討の状況となっておりますが,これらにつきましては,ただいま連合審査会の資料で御説明させていただきましたので,説明は省略させていただきます。  最後に,再稼働について,県民の意見を聞く方法についてでございます。これは1の最後の4行のところでございますが,県民の意見を聞く方法でございます。  再稼働について,県民の意見を聞く方法につきましては,県民の皆様にどのような情報を提供して,御理解いただく必要があるのかも十分に考慮した上で,最適な方法を選択していく必要があるものと考えてございます。  このため,1の最後の4行のところでございますけれども,ただいま御説明いたしましたとおり,安全性については,200を超える論点の検証を開始したところであり,また,避難計画についても,数多くの課題の解決に取り組んでいるところでありまして,県民の皆様にどのような情報を提供して御意見を聞くのか,現段階では具体的な見通しを立てることが困難であり,御意見を聞く方法を判断できる段階には至っておらず,意見を聞く方法につきましては,県民投票を含め,さまざまな方法があることから,慎重に検討していく必要がある旨を知事の意見としたところでございます。  原子力安全対策課関係は以上でございます。  御審議,よろしくお願いいたします。 7 ◯下路委員長 次に,清水市町村課長。 8 ◯清水市町村課長 議案につけました知事の意見のうち,2番目の執行上の課題について御説明いたします。  恐れ入ります。連合審査会資料にお戻りいただきまして,8ページをお開き願います。  まず,資料中ほど,四角囲いのところをごらんいただきたいと思います。条例案の関係する条文を記載しております。  第17条におきまして,「選挙管理委員会は,開票を行い」としておりまして,開票を選挙管理委員会の事務と規定しております。一方で,条例案第19条におきましては,「知事の事務のうち・・・開票の実施その他の規則で定めるものは」としておりまして,開票事務を知事の事務と規定しており,開票事務の主体が矛盾をしております。  第19条の条文中にございます地方自治法第252条の17の2は,条例による事務処理の特例の規定でございます。資料の一番下に,参考2として条文を載せてございますが,ごらんいただきますと,知事の権限に属する事務の一部を,条例の定めるところにより,市町村が処理することとすることができるとありますので,条例案第19条のとおり,開票事務が知事の事務であれば,開票事務を市町村が処理することとすることが可能であります。  資料上段の3つ目の丸のところに記載しておりますが,仮に,条例案第17条のとおり,開票の事務を選挙管理委員会の事務とする場合,地方自治法第252条の17の2の規定はあくまでも,都道府県知事の権限に属する事務の移譲に限られておりますので,県の選挙管理委員会の事務を市町村が処理することとすることはできません。そのため,条例案第17条のとおり執行いたしますと,県の選挙管理委員会が県内全ての地域の開票事務を行わざるを得ないこととなりますが,これは実際上困難でありますので,執行上の課題として記載させていただいております。  その他,法制執務上不適切な表現等がございますが,県民投票を執行する上で,実質的な影響はございませんので,個別の指摘は行っておりません。  知事の意見のうち,執行上の課題につきましては以上でございます。  御審議のほど,よろしくお願いいたします。 9 ◯下路委員長 以上で,説明聴取を終了しますが,ただいまの説明の中で,説明漏れはございませんか。  ないようですので,これより質疑に入ります。  発言者は,挙手,指名の後,中央の発言席において発言されるようお願いをいたします。  それでは,質疑がありましたらお願いをいたします。  玉造委員。 10 ◯玉造委員 立憲民主党の玉造順一です。  ただいま執行部から説明をいただきましたことについて,端的にお尋ねをいたしたいと思います。  今回,8万6,000余の県民の請求を受けて,本議会に付託をされておりますけれども,それについての知事の意見書について,お尋ねをしたいと思います。  先ほど説明がありましたように,知事は,今回の県民投票の必要性について,その意見を聞く方法については,慎重に検討していく必要があるものと考えているというふうに意見を付されました。  ということは,今,私たちが審議をする議会のほうに議論を委ねるというようなことで,賛否を明らかにされておりませんが,そのように理解をしてよろしいか,お尋ねをしたいと思います。 11 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  知事の意見につきましては,県民投票が県民の意見を聞く最適な方法なのか,現段階では判断できないことから,県民投票も含めたさまざまな方法から,最適な方法を選択していく必要があるといった考え方を示したものでございます。 12 ◯玉造委員 そうしますと,前回,1972年の第1回目の直接請求のときには,当時の岩上知事が,これは財政上,反対であるということで,明確に意見を述べられましたが,今回は賛成でも反対でもないというのが知事のスタンスでしょうか。 13 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  原発の県民投票を求められたほかの県におきましても,たしか,私の記憶では4県あるかと思いますけれども,賛成をつける知事の意見もあれば,反対をつけた意見もございます。一方で,賛否を示していない知事の意見もございます。  今回はあくまでも,現段階では判断はできないと。ただ,慎重に,さまざまな方法から,意見を聞く方法を考えていく必要があるといったことを示したものでございます。 14 ◯玉造委員 最後にいたしますが,県内の過半数の議会では,既に,再稼働について,議会としての意見書などを採択しております。  今回,直接請求という意味では,県としても,主権者としての住民の思いを重く受けとめる必要があるのだろうと思います。  いずれにしても,県の執行部側がそのようなスタンスであれば,きょう審議をする私たちの県議会の役割は大きいということを認識して,私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。 15 ◯下路委員長 ほかに質疑はございませんか。  江尻委員。 16 ◯江尻委員 日本共産党の江尻加那です。  県民投票条例案について,執行部に幾つか質問させていただきます。議論が深まるよう,よろしくお願いいたします。  この条例案の審議をどのような方法で進めるかということを協議する議会運営委員会で,森田議長の提案を受けて,私も委員外議員として,2点だけ意見を述べさせていただきました。  1点目は,この条例案の審議の今回の参考人に,国の資源エネルギー庁や原子力規制庁などの国の職員を呼ぶのは適当ではないと。他県の先行事例でも呼んだ例はなく,あくまでも審議するのは,原発の再稼働の是非ではなくて,県民投票をやるか,やらないかではないかと。
     あと,2つ目は,この連合審査会に,ぜひ大井川知事にも出席していただきたい。新潟県では知事も委員会に出席して,質疑もされておりますので,本県でもぜひ知事にと求めさせていただきました。  この2点の私の意見はいずれも却下されたわけですけれども,そうであるなら,知事と直接やりとりできる本会議の一般質問で議論が深まるように求めたところですが,9人の質問者のうち,直接の質問者は,自民党の加藤議員お1人だけでした。  そもそも私が,この原発の再稼働問題について,県民投票というものを初めて意識したのは,実は大井川知事が知事候補として出馬会見したときの御発言でした。再稼働の是非について,大井川候補は,住民の直接の意見表明という機会を与えてもいいのではないか,住民投票だと思うと。翌日の新聞で報道されたのを見て,私はそのとき初めて,あ,住民投票という方法もあるのだということで,大変印象に残ったインパクトのある発言でした。  ですから,今回,いよいよ直接請求が出されるというときに,大井川知事がどのような内容の意見をつけて提案されるのかということを,私自身も非常に注目して本会議開会日を迎えました。しかし,開会日,知事はみずからの意見書を,私たち議員の議席に文書で配付しただけで,みずから口頭ではされなかったのですね。当然,知事は自分の言葉で発言されると思っておりましたが,事前に執行部と知事との間で,本会議で配付されたあの意見書の中身について,直接お話しするかどうかというのはどのように調整されたのでしょうか。やらない,やる,どのような調整が知事との間であったのか教えてください。 17 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  ただいま,知事が議会に対してどう臨むのかということで,執行部との間でどういうやりとりがあったかという御質問をいただきました。  今回,知事の,慎重に判断していく必要があるという経緯に至った内容につきましては,意見書に,安全性の検証,避難計画の検討の状況をかなり詳しく書いてございます。そういったことを踏まえ,県民投票も含め,さまざまな方法が,県民の意見を聞く方法としてあることから,慎重に引き続き検討していくということにいたしましたので,これを詳しく御説明するという場について,知事と意見交換をしたことは特にございません。 18 ◯江尻委員 改めて振り返っても,やはりあのとき,本会議で知事が直接話をするべきだったと思います。それが,これだけ多くの署名を集めて,直接請求された県民への知事の姿勢だと思うのですけれども,9万筆近い署名を実際に段ボールに詰められた,あれだけの署名を受け取ったのは原子力安全対策課だとお聞きしました。あらゆる県の行政の中で,ふだん,要望書とか申し入れに対応されていると思いますが,直接請求というものを実際に出されて,それを受け取った重みをどのように感じられたのか。また,翌日には,中学生,高校生までが,直接請求を望みますということで署名を提出されて,それも原子力安全対策課に受け取っていただいたとも聞きました。こうした直接請求された重みというのはいかがでしょうか。 19 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  福島の第一原子力発電所の事故以降,県民の方も,原子力に対する関心が非常に高まっていて,特にその安全性に関して,大丈夫なのだろうかという不安や不信を抱いているというのは十分承知しています。そういった関心の高まりから,今回,8万7,000筆近い署名を集められたのかなというふうに認識してございます。  もちろん,知事は常々,再稼働に関しては,県民の意見を聞いて判断するとしております。その考えは,当然,署名を受け取る前も後も変わりませんけれども,いずれにしろ,先ほど御説明させていただきましたように,県民の意見を聞くからには,最適な方法を選択して聞く必要があるというふうに考えておりますので,今回は,本当に,今の状況の中で,県民投票という方法で判断はできなかったというところでございます。 20 ◯江尻委員 直接請求に至る過程で,県民投票の会の皆さんがみずから条例案の案文をつくりますね。その条例案の中身をどんな文言でつくるのかということまで,執行部は助言というか,アドバイスされたのか。そうではなくて,あくまでも手続,様式といった手続論のみ指導というか,助言されたのか教えてください。 21 ◯清水市町村課長 お答えいたします。  請求代表者の方に,条例案の中身につきまして,アドバイスをしたかどうかということかと思いますが,請求代表者の方から,そういった相談がなかったというふうに聞いておりますし,直接請求のこの制度につきましては,条例案であれば,形式が一応整備されていれば足り,立法技術上の多少の不備は問わないというふうに解されておりますので,事前の助言等は行わなくても,その受け付けはできるということになっております。  請求代表者の方からは,直接請求手続の法定期限に誤りがないように,本請求に向けたスケジュールでありますとか,請求書類の様式といったものについて,相談に応じてきたというところでございます。 22 ◯江尻委員 あくまでも手続,形式,様式というところだったとすれば,20条に及ぶ,あれだけの条例案に対して,知事の指摘された点は1点だけですね。本当に私は,初めて取り組んだ県民の方たちとしては,完成度の高い,1つだけ指摘されたのみで条例案を提案していただいたと思っています。  そこで,先ほど課長が説明されていましたけれども,ただ1点,開票事務をどうするのかということについては,執行上の課題があるというふうに御説明いただきましたが,確認ですけれども,原案のままでは,住民投票の執行はできないというぐらい重大なことなのか。要するに,瑕疵があると言えるようなものなのか,もしくは,このままでも可能だけれども,開票事務について,きちんと整合性がとれるような条文に修正されることが望ましいということなのか,いかがでしょうか。 23 ◯清水市町村課長 お答えいたします。  こういった矛盾がある条例が議会で可決されれば,それは有効な条例となりますので,執行する側としては,その条例にのっとって執行していかざるを得ないというところでございます。  そういった中で,第17条のとおり,開票を選挙管理委員会の事務と解釈した場合には,実務上困難ということになりますので,立法者の意図を酌み取りまして,第19条のとおり,知事が開票事務を行うというものとして解釈すれば,原案のまま行うということも可能かとは思います。 24 ◯江尻委員 ありがとうございました。  最後に,済みません,原子力安全対策課長に1点だけ質問させていただきます。  先ほど,賛否を示さなかった理由について御説明がありましたけれども,さまざまな方法がある中で,慎重に検討していく必要があるということについては,今はまだ判断がつかない。県としては,知事も,もう少し時間をかけて考えていきたいと。県民投票も含めて,継続して検討していく必要があるということでしょうか。 25 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  県民の意見を聞く方法につきましては,最適な方法を選択していく必要があるというふうに考えてございますので,あらゆる手法を,排除することなく,検討していく必要があるというふうに考えてございます。 26 ◯江尻委員 ありがとうございました。  以上です。 27 ◯下路委員長 ほかに質疑はございますか。  村田委員。 28 ◯村田委員 御説明ありがとうございました。  私は,県民投票条例案の,特に知事の意見書から質問させていただきたいと思います。  先ほどからもありますように,その1の県民意見の聴取方法について確認させていただきたいと思いますが,この意見書の1を見ると,これまで県が原子力問題について取り組んできたことが細かく記載されているかと思います。そして,今後の方針についても記載されている。しかし,その県の取り組み自体が,いまだに広く県民に伝わっていないのではないかというふうに考えます。その都度,しっかりと周知しておく必要があったのではないかと考えますけれども,御所感を。 29 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  確かに委員の御指摘のとおり,これまで,取り組みの状況を県民に発信するという場が少なかったのかなというふうに反省をしてございます。  したがって,知事が議会の答弁でお答えさせていただいたと記憶しておりますけれども,今年度に,特に避難対象の区域となっている住民の方を中心に,今の安全性の検証の状況と避難計画の策定の取り組み状況を周知させていただこうと。そういった新たな広報紙の発行を,県としては考えているところでございます。 30 ◯村田委員 そうですね。今回の条例案の趣旨は,東海第二原発の現況についての情報発信の不足に対する提言,また,再稼働是非についての議論の活性化を求めるものであろうと理解をしております。  その上で,広く県民の声を吸い上げることが,これからも重要になっていくのだろうというふうに思います。  そこで,知事の意見書で,県民の意見を聞く方法として,最後の後段のほうに「本条例案の県民投票を含め様々な方法がある」というふうにされておりますけれども,先ほど玉造委員からも御指摘があったようですが,さらに具体的にどのような方法が考えられるのか,お答えいただきたいと思います。 31 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  一般論としましては,県民投票のほかにも,これまでの議会でも,議員の皆様から御提案がありましたようなパブリックコメントやアンケートなどが考えられるところでございます。  ただ,現段階では,どういった情報を提供していくかということはまだ決まっておりませんで,具体的にこれを検討しているというものは,今のところはございません。 32 ◯村田委員 最後に,質問というか,確認させていただきたいと思いますけれども,やはり重要なことは,議論の場であるとか,議会に対しての説明も含めて,県民の皆さんに広く,原発の課題,これからの方針などなどを周知しておく必要があるのだろうと。  その意見の吸い上げ方はこれからだというふうに思いますので,現時点で,県民投票ということが有効なのかどうかというのは今回審議をさせていただきたいと思いますけれども,これからもしっかりと,その声を吸い上げることに努力を費やしていただきたいと思います。  以上です。 33 ◯下路委員長 ほかに質疑はございませんか。  石塚委員。 34 ◯石塚委員 県民投票が実施された場合の投票結果について,法的拘束力があるかについて,まず質問させてください。 35 ◯清水市町村課長 法的拘束力についてでございますが,現行制度上,法的拘束力のある住民投票というものは,憲法に規定されたもの,あるいは市町村合併特例法など法律に根拠がある場合のみに可能というふうに解されております。  そういったことから,今回のように,直接請求により制定される条例に基づく住民投票には法的拘束力がないというふうに解されております。 36 ◯石塚委員 ありがとうございます。法的拘束力はないということなのですけれども,ただ,実際に,今まで実施された市民投票や県民投票の結果に対して,その後の議会や首長の判断結果を鑑みたところ,議論の場が狭まったり,結論が縛られてしまうことは明確であると思います。投票結果が,その後の政治判断に大きな影響があることは,皆さん,おわかりだと思います。  市民投票,県民投票の実情の中で,国策であるエネルギー政策,昨年の大型台風の襲来につながる地球温暖化の対策,環境問題など,国を超えた難しい問題とつながっている原発の再稼働問題に対して,マルかバツかという簡単な二者択一で県民に回答を迫る今回の条例は,私は,県民の本当の意見,さまざまな中庸な意見,条件つきであれば賛成,反対という意見を反映することは難しいと考えますし,その後の議会や首長の議論を狭め,ミスリードする可能性があるのではないかと恐れています。  執行部は,そのことについて,どう考えているのでしょうか。 37 ◯清水市町村課長 二者択一で県民の意見が十分に反映されるのかといった御質問かと思いますけれども,県内で過去,住民投票が行われているものにつきましては,つくば市,それから神栖市で行われておりまして,つくば市の場合は,途中,三者択一といった案も出てきておりますが,結果的に二者択一。もちろん,神栖市も二者択一といったものでございました。  また,県民投票につきましては,唯一,沖縄県で実施されておりますけれども,沖縄県の場合は,当初,二者択一であったものが,条例を改正されまして,三者択一という形で実施されております。  そういったことで,二者択一で,住民投票の県民の意見がそれにしっかりと反映されるのかということにつきましては,そのテーマであるとか,その地域の状況とか,いろいろな状況によって変わってくるのかと思いますけれども,執行部の側から,それについて意見を申し上げるというところはございませんので,よろしくお願いいたします。 38 ◯下路委員長 石塚委員,答弁は清水課長だけで大丈夫ですか,山崎課長は。 39 ◯石塚委員 では,お願いします。 40 ◯下路委員長 では,山崎原子力安全対策課長。 41 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  確かに,原発の問題で,どうやって県民の意見を聞いていくのかという手法の選択は非常に難しいものがあると思います。  もし県民投票ということであれば,当然,県全域に同じような情報を周知して判断することになります。本来,30キロ圏内の避難計画の区域に住んでいらっしゃる方と,避難計画の区域の外に住んでいらっしゃる方は,理解いただく情報も違っているのかなというふうに思っています。  例えば,30キロ圏内の方であれば,本当に放射性物質の放出があるまでに避難できるのか,屋内退避していて本当に大丈夫なのかといったことに対する情報が必要だと思いますし,また,30キロの外の方であれば,30キロの外にも,避難や屋内退避といった措置が必要になる可能性があるのかどうか,また,自分たちの地域が被災してしまったときでも,避難の受け入れをしなければいけないのかどうかといった情報を周知していく必要があるのだろうと。県民投票ということですので,そういった内容を全ての県民に同一に周知する必要がありますので,そういった情報の取り扱いというのもちょっと難しい点があるのかなと。  ただ,そういったものも踏まえて,一番最適な県民の意見を聞く方法はどうなのかというのを,今後,提供する情報が明らかになってきた段階で検討してまいりたいというふうに考えてございます。 42 ◯石塚委員 御説明ありがとうございます。やはり,その地域,その地域で,原発に対する意識が違うというのは否めないと思います。そういう中で,県民に対して,県のほうから適切な情報をどのように与えていくのか,それは本当に難しい問題だと思っています。  また,最後,私の意見になるのですけれども,今回の条例案は,マルかバツかというところがメーンで,三角,わからない,どちらでもない,条件つきであったら反対,条件つきであったら賛成という意見を酌み取れないのではないか。そのような中で,県民の投票結果が県民の総意ですよというのは難しいのではないかと私は思っております。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。 43 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  二川委員。 44 ◯二川委員 いろいろと御説明をありがとうございました。  今回の本条例案につきましては,あくまでも,東海第二原子力発電所の再稼働の賛否を問うというわけではなく,住民投票そのものをどうすべきかということが非常に重要な観点かというふうに思います。  そういった点においても,今回,知事が初日に私たちに付された意見の中に,明確に賛否が示されていなかったということについては,非常に残念だというふうに思っておりますし,一方で,法律上,自治法において言えば,厳密に賛否を示すということが規定されていない以上,意見は付されたというふうには理解をさせていただいております。  一方で,先日の一般質問の中においては,明確ということではなかったにせよ,現段階では,県民の皆さんの意見を聞く方法を判断できる段階には至っていないものと考えているということで,明確ではないにしても,現時点で考えれば,否定とまでは言いませんが,実施できないというようなことだったかと思います。  そういったところはこれからしっかりと示されていくのかどうなのかということについては,私たち議会はしっかりとその点も議論した上で,今回の件に関して,マル・バツをつけるといった責務が発生しておりますので,そういったところに対して,知事の意見もしっかりと,今後でも構いませんので,示していく必要があるかというふうに思います。  そういった点について,先ほども他の委員の中で答弁がありましたので,この点については,私の意見を述べさせていただくというところにとどめさせていただきますが,そういう中において,今回の住民投票の条例案の中身についてでございます。  先ほど話があったとおり,あくまで上がってきたものは,直接請求をされた方々がしっかりと考えて提出されたものだということでございます。調整をするという要請もなかったということで,県として,中身について,どうあるべきかというような議論はもちろんなかったというふうに思うのですけれども,今回の条例案について,県としての考えは一切入っていないということでの理解でよろしいでしょうか。 45 ◯清水市町村課長 お答えいたします。  今回の条例案につきましては,あくまでも請求代表者の方が作成し,それがそのまま署名活動に移り,請求として上がってきたということで,その途中で執行部のほうから,その内容について,意見等を申し上げているという事実はございません。 46 ◯二川委員 ありがとうございました。そういったことだということなので,条例案の中身について,私から執行部の皆さんに確認することはこれ以上ないということでもありますけれども,私たち議会としては,この条例案が直接請求の方々から提出されたということは理解しつつも,知事から提案をされているという理解もできるという側面を持っております。  一定程度の考え方といったものを,県執行部としてもしっかりと示せるような状況をつくっていただきたいということを申し述べさせていただいて,私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 47 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  星田委員。 48 ◯星田委員 いばらき自民党,星田弘司でございます。  私のほうからは,情報提供について質問させていただきたいというふうに思っております。  今回の県民投票条例が施行されるとすると,対象となるのは168万人ということも伺っております。できる限り正しい情報,そしてまた,正確な理解を持って臨んでもらうことが,実施するならば,まずは必要なのだろうというふうに思っております。  県民投票というのは,県民の意見を聞く機会の一つとして理解をしていますけれども,それに対する対応あるいは実施に対しては,大変慎重に対応しなければならないと,私自身,感じているところでございます。  というのも,先ほど,市町村課長の答弁でも例に挙げられていましたけれども,私の地元つくば市でも住民投票が行われたわけであります。マルとバツの二者択一の住民投票でございました。実施した後に何が起こったかというと,見直しをしてほしいという人もバツに入れた。そういった方たちも数多くあったようにも感じられます。「なぜつくらないの?」という言葉も聞かれまして,ああ,二者択一での実施に関しては,非常に慎重な対応が必要なのではないかなと,経験則からも感じているところでございます。  先ほど,情報提供に関しましては,さまざま御答弁もありましたけれども,これまでどのように情報提供を行ってきているのか,ここも判断には大変重要なポイントになってくるかというふうに思っておりまして,東海第二原発に関しての情報提供をこれまでどのように行ってきているのか,まずお伺いしたいと思います。 49 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  まず,安全性の検証の状況につきましては,県の原子力安全対策委員会の中に東海第二発電所安全性検討ワーキングチームを設けて,これまでに相当程度開催して審議をしてきましたけれども,このワーキングチームにつきましては,全て公開でやってございまして,一般の県民の方も傍聴できるようにしてございます。その結果とその資料につきましては,全て県のホームページに掲載をしているところでございます。  避難計画の検討状況につきましては,特に,今,各市町村も中心となって住民説明会をしながら,課題をそれぞれ住民の方から聞いていただいて,住民の方の意見を,県と一緒に,県14市町村,国において共有・認識した上で,その解決に取り組んでございます。  先ほど申しましたように,これまで,県民の方に広く周知するような広報手法は,東海第二の取り組み状況ということでは,特に大きくやってまいりませんでしたので,先ほどお答えさせていただきましたように,今年度には,そういった情報について,特に30キロの中の方を中心に広報させていただこうというふうに考えているところでございます。 50 ◯星田委員 先ほど,ホームページ等で情報発信ということで,そういった意味では,県内全域を対象に情報発信をしてきたということなのだろうというふうに思いますが,みずからがアクセスをして,情報を得ている県民の皆様がどれだけいたかというと,大部分の方々とは言いにくいなというふうに思うところでございます。  特に,今,UPZ,30キロ圏内の方々に対しての情報発信という御答弁もありましたけれども,全域に対してのこちら側からの積極的な情報発信も必要だと思いますが,そういった意味では,県内全域に対しての情報提供はこのホームページのみということで理解してよろしいのでしょうか。 51 ◯山崎原子力安全対策課長 先ほどちょっと御説明させていただきましたが,UPZの中の住民の方に対する情報提供と,UPZの外の住民の方に対する情報提供は,内容が大分違ってくるのかなというふうに思っていまして,そこは区分けして情報提供を図る必要があると考えてございます。  先ほど御説明させていただきましたように,今年度予定しております広報紙につきましては,特に安全性や避難計画といった取り組み状況についてでございますので,特に関係のある30キロ圏内の方を中心にというふうに考えてございますけれども,30キロの外の方に対して,先ほど申しましたように,本当に避難・退避といった措置が我々のところにも求められることはないのか,自然災害で自分たちのところが被災しているときに,避難の方がいらっしゃるようなことはないのかといった情報をどのように発信していくかというのは,今後,よく検討させていただきたいというふうに思います。 52 ◯星田委員 これまでの御答弁を伺いますと,やはり,30キロ圏内と圏外と,県民の皆様の理解と関心に大きな差が出ているのではないかというふうな印象を受けてしまうのですけれども,行政としてはどのようにお考えでしょうか。 53 ◯山崎原子力安全対策課長 関心の差が,30キロの外と中で,どの程度違うのかということについては,済みません,よく存じておりませんけれども,少なくとも情報提供させていただく情報は,避難計画の対象になっていて,いざというときには避難をするか,屋内退避をするか。6万5,000人のPAZの方たちは,必ず全面緊急事態で一時移転をいたします。そして残りの87.5万人の方は,必ず全面緊急事態で屋内退避をすることになります。そういった状況は,避難計画の対象になっている区域の方たちに周知していく必要があると思いますので。  ただ,先ほど申しましたように,UPZの外の方についても,当然,自分たちはどうなのだろうという心配はあるわけですが,そこについて,何らかの情報発信を検討していく必要があると考えてございます。 54 ◯星田委員 県民投票条例以前の,もっと十分な理解とその促進が必要だなというふうに,今,改めて感じているところでございます。  これから想定というところになってきてしまいますけれども,県民投票を行うに当たっては,30キロ圏内であっても,圏外であっても,県西地区であっても,県南地区であっても,それぞれの住民に理解の差や情報の差があってはいけないなというふうに考えているところでございます。
     これから,県民投票条例を行うことになったと想定する質問になってしまって恐縮ですけれども,その際に,どのように情報提供をしていくのか,その手法であるとか,想定される取り組みを,可能であったら御答弁いただきたいと思います。 55 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  具体的に今こうだとお答えできるものは持っておりませんけれども,先ほど申しましたように,県民投票をする場合には,当然,全ての県民に同じ情報を周知させていただいて,判断いただく必要があると思います。  ただ,実際には,先ほど申しましたように,UPZの中の方と外の方は,そもそも関心を持っている情報が違ってくると思います。  したがいまして,そういった情報を必ずしも区別せずに,県全域に同じような情報を提供するということにした場合にはどういう手法があるのか。別々の情報をどちらの方にも周知させていただくということも当然考えられるわけですが,そうしますと,情報量がかなり膨大になって,避難計画,安全性の検証はなかなか難しい問題でございますので,そういった膨大になった量をどうやって理解していただくのかという手法の検討は,慎重な検討が必要であるというふうに考えてございます。 56 ◯星田委員 情報提供をするに当たっては,県だけで十分できるかどうかというのが疑問なわけでありまして,その際には,市町村との連携というものも想定されるわけでありますけれども,その際には,市町村との連携,市町村がそういった情報提供の役割を担うということは可能ですか。 57 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  一番住民の方の声を聞いておりますのは市町村でございますので,当然,その周知に当たっては,住民の方がどのようなことに関心をお持ちなのかということを十分に理解した上で,周知を図っていく必要がございます。そういった意味では,そこは,一番住民に身近なところにいる市町村の方が主体になるのかなというふうに考えてございまして,ただ,そこは県のほうでリードして,住民の方の意見を踏まえて,周知活動を市町村とともに,また,国とともに行っていきたいというふうに考えてございます。 58 ◯下路委員長 ちょっといいですか。発言者は今,マスクをしております。それぞれマスクをしておりまして,ゆっくり大きな声で発言をしていただきたいというふうに思います。なかなか聞こえにくいということも入っておりますので,これからの発言,そして答弁者は,マイクを意識して,少し大きい声で,ゆっくりと発言してくれるように,よろしくお願いをいたします。  星田委員。 59 ◯星田委員 もうまとめになりますけれども,できる限りバイアスの入らない正しい情報を,いかにして県民の方,対象になる168万人に伝えていくかというところに大きな課題を,今,答弁を伺いながら感じていたところでございます。  私の経験からも,二者択一のマル・バツで実施するに当たっては,情報提供もそうですし,また,実施するか,しないかの判断も慎重に行っていかなければならないということを最後に申し添えまして,私のほうからの質問は終わりたいと思います。 60 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  設楽委員。 61 ◯設楽委員 県民フォーラムの設楽詠美子です。  1点,質問させていただきます。  8万6,703名の皆様の大きな声を,私もとても重く受けとめております。  今までの過程を見ていると,これから知事のリーダーシップが最も大切になってくると考えております。2022年の12月には,東海第二原子力発電所の安全対策の工事が完了します。それまでの間にさまざまな手法を検討して,県民の皆様の声を聞くことが重要になってくると思います。最終的には,知事のリーダーシップのもと,意見を一つにまとめて,県民の声を一つにして,最終的な決断がされると思いますが,今から2年半,知事のこれからの考え方も含めて,どのようなスケジュール感で,また,工程で,予算も含めて,どのように考えているか教えてください。 62 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  確かに工事の完了は2022年の12月ということで予定されております。ただ,県民の安心・安全を守っていく立場の知事といたしましては,そういった工事のスケジュールありきではなく,きちっとその安全性の検証をして,実効性ある避難計画の策定もした上で,その情報を県民の方に十分に御理解いただいた上で,県民の意見を聞いていく必要があるというふうに考えてございますので,最初に連合審査会の資料で御説明させていただいたとおり,非常に数多くの安全性の論点と避難計画の解決すべき課題がございますので,その時期は見通しが立ってございません。あくまでもその工事の完了時期ありきではなくて,安全性と避難計画の問題の解決をまずしてから,県民の意見を聞いていきたいというふうに考えているところでございます。 63 ◯設楽委員 安全な工事と全てのものが完了した時点で県民の声を聞くということですが,聞く手法に関しては,今回,住民投票という形で,住民の皆様からの提案が一つとしてありましたので,どんな状況にあろうとも,全ての手法を考えた上で,今回,慎重に検討するということになっていますが,いつまでにどのような手法で県民の皆様から声を聞くのか,明確にしていったほうがいいのではないかと考えておりますが,その点についてはいかがでしょうか。 64 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  御質問に関しては,今,安全性の検証,そして避難計画の策定,どちらもまだまだ時間がかかるというふうに見込まれる中,最終的な取りまとめ結果がどういう形になるのか,それを見きわめた上で,その情報を県民の方にコンパクトにわかりやすく,中立的な立場で伝えるにはどうすればいいのかを十分に考慮した上で,意見を聞く方法を決めていく必要があるというふうに考えてございますので,まずは,安全性の検証結果と,避難計画の内容の見通しがある程度ついてこないと,この手法の判断は難しいのではないかなというふうに,現段階では考えているところでございます。 65 ◯設楽委員 私の考えとしては,手法の判断については,今から検討を重ねながら,どういう形で公平な情報を県民の皆様が得て,どうしたらいいかという部分に関しても同時に検討しながら決めていく必要があると考えています。それが,今回,住民投票条例を提出された皆様への返す気持ちでもあると考えておりますので,ぜひ手法もしっかりと検証しながら,安全対策を待たずにやっていただくのと,さまざまな意見の中で,最終的には一つにまとめることになっていきます。知事のリーダーシップが最も重要と考えておりますので,心一つに,みんなで頑張れるような方向性をぜひ見出していただくことを要望して,私の質問とします。終わります。 66 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  戸井田委員。 67 ◯戸井田委員 戸井田和之であります。  今回,県民投票条例案が約9万人の方々から出された。大変重い条例案を審議するということで,正鵠を射るような質疑が出るかどうかわかりませんが,御質問をさせていただきたいと思います。  まず,最初に,知事の意見の中で,執行上の課題ということで,市町村課長から補足説明があったわけでございますけれども,私どももこの条例の案文を隅々まで読み解かせていただいたわけでありますが,あの第17条の関係で,先ほど御説明があったとおり,開票を選挙管理委員会の事務とする場合,地方自治法第252条17の2項の規定によると,県の選挙管理委員会の事務を市町村が処理することはできないとなっており,課題として,県の選挙管理委員会が県内全ての開票事務を担うことは事実上困難であると。また,第19条関係では,矛盾する条例案が出されておるわけでありまして,先ほど,やりとりの中で,事実上瑕疵ある条例を議決すれば,執行していくほかないというような御答弁がありましたけれども,瑕疵ある条例を私どもが可決または否決ということはなかなか難しいのではないかと私は考えておるわけであります。さまざまな条例案を,私どもも議員提案もしますが,執行部から出されたものに関して,論議を重ね,やっていくわけでありますが,県議会として,間違った条例を否決,また,可決することは難しい状況にあることをまず最初に述べさせていただきたいと思うわけであります。  その中でありますけれども,今回の県民投票条例案の中で,第6条において,投票資格者は,県会議員及び知事の選挙権を有する者とされており,仮に,実際に投票を執行ということになれば,これらの選挙と同じく,私どもの選挙でも必要でございますが,県内のおよそ243万人の有権者が投票されるということになろうかと思うわけであります。そのため,県民投票には選挙並みの,もしくはそれ以上の多額の経費がかかってくると思うわけでありますが,本条例案の県民投票を仮に執行するとするならば,県民投票をする経費はどのくらいのものが見込まれるのか,まず,市町村課長にお伺いをさせていただきたい。 68 ◯清水市町村課長 お答えいたします。  県民投票の経費についてでございますが,県全域で行われた直近の選挙といたしましては,一昨年の県議会議員の一般選挙というものがございます。その予算額をもとに,ポスター掲示場の経費といったものとか,県民投票では不要となるような経費を除いて試算をいたしますと,およそ9億円程度要するものと試算をしております。 69 ◯戸井田委員 了解いたしました。やはり大変膨大な経費がかかってくるということがわかるわけでありますが,この経費はかけていいものか,かけてまずいものかというような論議がございますけれども,その中で,財源についてお伺いをさせていただきます。  国政選挙,国会議員等の選挙においては,国費で賄う,措置されるということになっておるわけでありますけれども,私ども県会議員の選挙の際には,まず,一般財源で支出をし,選挙が終わった後,国のほうからそれ相当のかかった分,交付税が県に入ってくるということで選挙を執行するわけでございますが,この県民投票をした場合には,財源はどこから出るのか,お伺いをさせていただきたいと思います。 70 ◯清水市町村課長 お答えいたします。  県民投票の財源についてでございますが,県民投票を執行するための財源につきましては,全額一般財源ということになります。県会議員選挙や知事選挙とは異なりまして,交付税措置はございません。 71 ◯下路委員長 戸井田委員,もう少しはっきりしゃべっていただければと思います。 72 ◯戸井田委員 わかりました。済みません。マスクでちょっと聞き取りづらいことがあろうかと思いますけれども,大きな声で元気よく質問させていただきます。  今お伺いした中で,一般財源で相当額,9億円ということなのですけれども,先ほど,県民への情報提供ということが取り上げられました。従来の選挙であれば,選挙公報等々で情報提供をするわけでありますが,先ほど言われた9億円の中に,その情報提供というか,住民投票をやるに当たっての経費は見込まれているのかどうかお伺いさせていただきます。 73 ◯清水市町村課長 お答えいたします。  現段階で,条例第15条第2項に基づいて,知事が行う,県民が賛否を判断するための情報提供をどう行うかということは未定でありますが,選挙の際に全世帯に配布する,いわゆる選挙公報というものがございます。県議会議員選挙の予算としては,おおよそ4,700万円ほど予算を組んでいるわけですけれども,9億円の中に,その選挙公報と見合う経費は含んでおります。 74 ◯戸井田委員 選挙公報ということで従来の選挙はやられるわけでありますけれども,公報は,一戸ずつに配布しているわけではなく,実際は新聞折り込みだけですね。私どもの公約やさまざまな思い等々が選挙公報に載っていくということだと思うのですけれども,今回の住民投票に当たっては,先ほど来,質疑が交わされておりますが,相当額の経費をかけながら情報提供しなければならないと思っているわけです。  そこで,市町村課長はもうここで結構でございまして,原子力安全対策課のほうにお伺いするのですが,先ほど,UPZ圏内とかという話がありましたが,県民お一人お一人の方に,どういう状況になっているのか,現在の状況,安全対策のものがどのように今審議されて,論議されているのか,また,結果が出てくるのかということで,情報提供は一回では終わらないと思うのです。安全性の問題はどうなのか,今,審議されている中で,私たちが知って,私たちが安心して,その再稼働に向けて了解するとか,まだまだ足りないということで,情報提供するのにはさまざまなやり方があろうと思いますが,県民の方の理解を得られるように十分提供していかなくてはならないと私は思っているのですが,その経費面は別にして,原子力安全対策課のほうで事実上どのように考えているのか,いま一度お伺いします。 75 ◯下路委員長 戸井田委員,それに関する費用の件も一緒に聞きますか。 76 ◯戸井田委員 はい。 77 ◯山崎原子力安全対策課長 お答えいたします。  一般的には,情報提供の方法としましては,広報紙,県ホームページ,インターネットテレビ,ツイッター,あるいはテレビ・ラジオ,新聞・雑誌とさまざまな手法がございます。ただ,現段階では,どのような情報提供をして,県民に周知を図っていくのか,どのような情報という見通しがまだついておりませんので,具体的な手法であるとか,費用の算出はしてございません。  ただ,今,委員から言われましたように,安全性の検証につきましても,避難計画の内容につきましても,かなり多岐にわたる情報が想定されますので,県民の皆様に意見を聞くからには,当然,これを十分に理解していただいた上で聞く必要がございます。その理解を深めるために,どれほど情報の収集が必要なのかということは簡単に申し上げられませんけれども,かなりの周知活動が必要になるというふうに見込んでいるところでございます。 78 ◯戸井田委員 現段階では決まっていないというか,どういうふうに県民の方に知らせるかというのはさまざまな方式があろうかと思うのです。これには逆に相当額の経費を要さなくてはならないと私は思うのです。私の試算であれですけれども,十数億円からかけて,県民の方にわかってもらえるように周知をしなければならないと思いますので,ぜひともこの部分に力を入れていただきたいのですね。  しかしながら,今回,この県民投票条例案を可決するのにはまだ時期尚早だと思うのです。まず,先ほどもありましたけれども,安全性の検証がまだ全く終わっていない。実効性ある避難計画の策定も,現段階ではまだまだ先のことである。そして県民への情報提供はまだ行っていない状況の中で,県民投票条例だけを先走って決めるということは,私はいかがなものかと思っておるのです。  先ほど冒頭申し上げましたけれども,第17条の問題,第19条の問題等々で瑕疵ある条例が1つあることと,今,情報提供も何にも考えていないというのは大変失礼でございますけれども,きちんと決められていない中で,この条例案を可決していくということは,大変難しいことがあろうかと私は思いますので,私の意見を述べさせていただきますけれども,この住民投票条例案を出された方々に本当に敬意を表しますし,私どもも重く受けとめておるわけでありますが,これから午後からも審議がございますので,私の意見を添えさせて終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。 79 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  江尻委員。 80 ◯江尻委員 済みません。本来なら1回だけだというルールはわかっているのですが,1点だけ,市町村課長に確認させていただきたいのですが,今の戸井田委員の御発言の中で,何度か瑕疵ある条例という言葉が出たのですけれども,私との先ほどのやりとりでは,瑕疵とまでは言えないが,執行上の課題があるということで確認させていただいたと思うのですね。もし瑕疵あるような条例を,知事が直接請求を受けて議会に出したとなると,これはまた別問題になるので,誤解を与えかねないと思いまして,済みませんが,確認をさせていただきます。 81 ◯下路委員長 江尻委員,今の戸井田委員と市町村課長のやりとりの中で,瑕疵というのはあくまでも戸井田委員の判断という中で,市町村課長はそこまではっきり言っていないかと思います。あくまでも戸井田委員の発言ということで,その上で,清水市町村課長にもう一度,答弁をよろしくお願いします。 82 ◯清水市町村課長 お答えいたします。  瑕疵かどうかということにつきまして,私のほうではちょっと判断しかねるわけですけれども,条例につきましては,その請求があれば,そのまま議会のほうに付するということになっておりますので,その中身につきましては,執行部のほうでどうこう修正をするということはしない仕組みになっておりますので,矛盾がある内容であっても,そのまま議会のほうに御審議をお願いしたという経緯でございます。 83 ◯江尻委員 わかりました。 84 ◯下路委員長 ほかに質疑はございませんか。  ないようですので,以上で質疑を終了いたします。  ここで暫時休憩をいたします。  なお,再開は,午後1時といたします。                 午前11時53分休憩        ───────────────────────────                 午後0時59分開議 85 ◯下路委員長 休憩前に引き続き,委員会を再開いたします。  まず,申し上げます。  午前中は,質問の発言者と答弁者,それぞれ立っての発言でありましたが,今,コロナ対策でマスクをしているということもございますので,なかなか声が聞きにくいという意見が多数ありました。  発言は,こちらの発言者席でしてもらいます。答弁席も同じですが,対策として,着席したまま答弁,そして質問をしていただくということにやり方を変更させていただきますので,よろしくお願いします。  また,挙手はしていただいて,指名をしますので,指名の後,発言をしていただければというふうに考えておりますので,よろしくお願いをいたします。  これより,有識者の方から御意見を伺うとともに,それに対する質疑を行います。  各委員の皆様方に申し上げます。  有識者への質疑に当たりましては,有識者からの説明の範囲内において,疑問点を明らかにする観点で,簡潔明瞭にお願いをしたいと思います。  また,執行部側の説明者にも出席をいただいておりますが,有識者意見聴取の場では,執行部への質問はできませんので,御了知おきください。  それでは,御意見を伺う有識者の方を御紹介いたします。  初めに,茨城大学人文社会科学部教授の古屋等様でございます。  古屋様におかれましては,大変お忙しい中,御出席をいただきまして,まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして,心から御礼申し上げます。  忌憚のない御意見を述べていただきますよう,よろしくお願いいたします。  それでは,よろしくお願いをいたします。 86 ◯古屋等氏 お願いいたします。茨城大学の古屋と申します。  本日は,こういった席にお招きいただきまして,まことにありがとうございます。私としてもいい経験となりますように,できる限り答弁にお答えできるようにしますので,よろしくお願いいたします。  本日は,レジュメとしまして,「住民投票と議会の役割について」というのを,時間にもかかわらず,4枚つけさせていただきました。  こういったコロナの状況でございまして,なかなか図書館で文献調査もできませんで,ネットの調査になってしまいまして,文献がネットからの情報になってしまいましたが,この点,御了承いただければと思っています。  あと,資料としまして,皆さんのレジュメの後に,「住民投票と議会の役割について」【資料編】ということで,パワーポイントのPDFにしたものがつけてあります。  こちらを1枚めくっていただいて,現在の原子力発電所マップ,その次に,朝日新聞から条例制定の状況ということで,これまでの原発にかかわっての住民投票の状況についてまとめた掲載があります。  3枚目,他府県の状況ということで,茨城県も含めて,他の県の知事がどうお考えかということで,ちょっと参考までにということで資料をつけてあります。  その次,5枚目,地方自治月報といった資料から,平成19年から平成30年までのこれまでの状況で,実際,条例制定がどのくらいあったか。で,可決したもの,否決したものということで,本編でも説明しますけれども,こういった形で,これまでの制定状況ということで,参考にしていただければと思っています。  その後が,同じく地方自治月報の制定の調べということで,否決になったのですけれども,これまでの状況ということで,その具体的な詳細について掲載がございます。  最後,7ページ目からは地方自治の考え方ということで,これは総務省のほうの考え方,改正の試案ということで,参考にしていただければということで,あわせてごらんいただければと思っています。  ということで,私のほうからはレジュメを使った説明となりますので,最初のレジュメのほうをごらんいただければと思っています。  ちょっと簡単な自己紹介を。それほどないのですけれども,これまで県のほうで,情報公開,個人情報保護について担当させていただいております。そのほかに,水戸市のほうで同じく情報公開とか個人情報の保護。  個人情報とか情報公開ということで,今回,原発ということで難しい問題。公開といっても,なかなか御理解いただけないということがありますので,そういったなかなか御理解いただけない難しい問題について,どういった御理解が必要かということで,こういった公開といった問題を中心に,今回,お話ができればいいかなと思っています。  そのほかに,市町村研修とか,あと,最近,市町村の市民大学の講師をさせていただきまして,住民の皆さんの実際の向学心といったところをひしひしと感じているところでございます。  米印のところ,自治体の研修所はリストラになってしまいまして,最近できないのですけれども,こういった役目もやっていましたということでございます。  行政法の中でも,おおむね,地方自治とか公開請求といった面からお話しできればと思っております。あくまで法的な理念といいますか,現状についてお知らせいたします。私的には,特に党派性を持っていませんので,こういった法的な面ではこうなっていますよということで御理解いただければということで,御承知おきいただければと思っています。  まず,地方自治の本旨ということで,92条の本旨。  団体自治と住民自治ということで,団体自治は中央から独立。究極的には連邦制ではありますけれども,これまでも,地方自治,団体自治に関して,こういった形の改正がありますということで,特に大きな改正は,平成11年(1999年)の対等な関係の樹立ということで,御存じのとおりの機関委任事務の廃止,あと,国と都道府県の関与ルールということで,対等な関係にした上で,どう関与していくかというルールについては,関与法定主義とか関与の最小限といった形の対等性といったことが樹立されてきていますし,あと,関与についての紛争とか問題があれば,紛争処理制度も置かれていますし,そういった条例についての関係も新しくできております。  こういった形で,国と地方は,理念としては対等なのですけれども,自治的に対等になるように法改正がされていますし,あと,地方自治の本旨の2つ目,住民自治に関しても,2)にあるとおり,できる限り住民意向の反映ということで,直接請求が導入されているところでございます。  直接請求につきましては,ここに書いてあるとおり,今回の条例請求,改廃については必要署名数が有権者の50分の1,事務監査も50分の1,議会解散,議員の解職等については3分の1ということで厳しい要件になっておりますけれども,こういった住民自治に関して,請求の要件,今回の条例制定でございませんけれども,解職とか解散についての要件がちょっと緩和されていますよということで,(2)をごらんいただきますと,平成14年(2002年)の改正によって,その次のページにありますとおり,条例制定・・・。今回,意見陳述がございましたけれども,これもこの改正に基づくものでございまして,こういった形の改廃請求者の陳述,こういった機会の創設。
     あと,2)直接請求の要件緩和ということで,議会の解散とか,長といった方々の解職等については,有権者の3分の1なのですが,40万,大都市の場合などにはなかなか難しいということで,要件がちょっと緩和されていまして,30万を超える部分については6分の1。  この点につきましては,2)平成24年の改正におきましては,さらに緩和がされまして,3分の1ではありますけれども,40万を超える部分については6分の1,40万から80万を超える部分については6分の1という形で,より直接民主。解職等について,実現するような形で法改正をされているところからも,直接請求,住民自治について,住民の方の意見を広く求める形で,法的にも改正がなされているということで御理解いただければということなのです。  3番目のところで,今回問題でございますけれども,住民投票条例のこれまでの状況ということで,実際上は,平成19年から平成30年までの状況で,1)にあるとおり,住民投票について条例制定ということでありますと52.6%。そのうち議会に付されたのは213件。これは10年ちょっとですので,数としては余り多くないのですけれども,そのうち議会で請求が可決されたのが19件,8.9%ということで,うち議会に請求された住民投票は,市町村を含めて,都道府県を含めていますけれども,全体の中で194件。実は11年のうちで10,条例の制定・改廃請求がありまして,そのうち認められたものは8.9%,否決が91.1%ということで,ほとんどは否決されているということでございます。  11年のうち,都道府県で言いますと,ここの2)請求事項ということで,東京都,静岡県,新潟県,島根県,沖縄県,宮城県,ちょっと入れておきましたが,実際上,条例制定ということで,原発の稼働についての県民投票条例等につきましては,東京都を含めて否決されております。  この中で沖縄県だけ可決はされていますけれども,ほかの都道府県におきましては否決されておりまして,その主な理由ということで,(2)その否決理由としましては,これまで議会の話でもちょっとありましたとおり,国策である原発稼働の是非につきましては,国が責任を持って判断すべきではないかということで,重複したりしていますけれども,東京都,静岡県,新潟県,宮城県等で,こういった原発の稼働の是非については,国が責任を持つべきだといった意見が多数を占めており,あと,2)番,賛成・反対の選択肢だけでは,なかなか県民の多様な意見を反映できないのではないかということで,同じく,東京都,静岡県,新潟県,宮城県で,こういった形の否決の際の意見等が出ております。  あと,住民投票の管理・執行について,事務を市町村に委ねる等についての問題点について,静岡県,宮城県から出ております。  あと,投票資格者について,静岡県,宮城県,あと,稼働の議論を行うには,検証を踏まえた情報提供が不可欠ということで,新潟県等からいただいております。  それぞれ,原発の事故の間際だったとか,時間的な問題等もありまして,なかなか調査ができない,安全の許可がおりていないという状況がありまして,そういった不確かな状況のもとで,こういった否決ということで出されたわけですけれども,今回,茨城県ということで,宮城県と時間的に若干近いのですけれども,措置的なところで時間的な検討も多少できるかなということで,多少違う判断もできるかなといったことではございます。  その次のページ,4をごらんいただきまして,では,どう考えればいいのかということで,地方自治ということであるのですけれども,地方自治ということで直接民主。こちらは,国民主権とか,住民主権といった言葉が出ます。これと,情報公開ということで知る権利。これをちょっとリンクさせまして,国民主権とか,住民主権とか,知る権利というのは何かということで,県の情報公開条例から御説明といいますか,ちょっと紹介いたしますと,1)にあるとおり,県の情報公開条例は,太字で書いたところにあるように,地方自治の理念ということで,団体自治,住民自治といったことがございます。あと,国の法律にございます,知る権利といったことが明記されております。実際上どうなのかということについて,知る権利が国民の皆さん,住民の皆さんにあるということ。あと,公正で民主的な行政といったこと。あと,国の法律にも「国民主権の理念にのっとり」とか,あと,同じく国民に説明する責務があるとか,公正で民主的な行政といったことがございます。  こういった情報公開の目的は,下の2)にあるとおり,知る権利を通じた参加民主主義,できる限り一般の皆様に参加していただく,意見を頂戴するといったことに尽きるわけで,特に,公開することによって,2)行政のガラス張り化によって,公正さ,透明性を実現するといったことがあるわけで,その目的によって,公開請求権者とか請求目的は一切限定があらず,外国の方も他県の方も請求ができるといったことになっております。  こういった(2)国民主権なり住民主権というのはどういうことか。民主主義と絡めて,国民主権というのは,結局,国家の力,パワーを国民が持っているということで,結局,実際上,国民皆様の税金なりを使って行使が行われているということで,結局,国とか自治体のオーナーさんは国民ですよ,住民ですよといったことになるわけで,では,民主主義というのは,そういったオーナーさんの意向を聞いて話し合うということで,2)のとおり,話し合いなのですけれども,直接伺うか,代表者を通じて伺うかということで,どちらがまさるのかといったことに議論がなってしまうわけなのですけれども,議員さんや首長さんは代表制(間接),裁判員や国民審査,住民投票は直接といったことになります。  3)番目の議会制民主主義ということで,議会で代表者が話し合った結果が国民の総意かというと,反対者の方,少数者の方とか,あと,決定時の未成年者がおりまして,その趣旨が理解いただけるかというと,なかなか難しいところもございます。行政法的には,一応法律で決まっているけれども,説明責任ということで,説明して,了解を受けて行うといったことが大体メーンになっているわけでございます。  (3)あるべき地方自治ということで,もちろん,団体自治は,できる限り独立性を保つといったことでありますけれども,対等性を確認するということで,できる限り,個人そんたくといいますか,余りうかがうのではなく,もっと独立性を持って判断すべきではないかということで,条例については,国の法律に上乗せ,横出しといった形で,上乗せすることもできますということで,有名な徳島市の公安条例事件判決なども出しておきました。国の法律がスタンダードとして最低限であれば,条例でまさる形の条例もできるということですし,あと,住民自治も,今,限界集落ということで,市町村議会の議員さんがなかなか集まらないということで,町村集会という形の会合形態もあるそうで,間接民主制が万能というわけでもない。  できる限り民主的に話すといったことが大事だということで,ちょっと結論的なのですけれども,その次のページ,「おわりに」のところで,茨城県は原子力先進県ということで,私は茨城県出身なのですけれども,小さいころから,「原子の火」ということで県民の歌を歌ってきました。原子力について,ページを割いてホームページに書いてあるところは茨城県ぐらいということで,茨城県だからこそ何らかの独自性といいますか,違いを出さないと,県民として何かちょっと恥ずかしいのではないのかなということで,実際上,その条例について,難しいにしても,何らかの形で,茨城県として何か独自性を出すべきではないのか。  あと,次のところ,原子力問題は見解が多様で,ある党に属していても議論が分かれていて,以前の選挙のときにも,原子力問題について,真っ向から出している方は少なかったのかな。検討中,慎重にといった方が多かったように,選挙で決めるといったことは難しいということがありますので,であれば,こういった条例にしても,パブリックコメントでも構わないので,なかなか難しい,分かれる問題については,また別の機会で,慎重にといった問題はもちろんあると思うのです。もちろん,慎重に判断できる状態がそろってから判断すべきなので,急ぐわけではないのですけれども,できる限り公開していただいて,あと,お金が9億円とかかかるのであれば,パブリックコメントとか,もっと簡単な方式で意向を聞くとか,あと,一番最後,条例についての結果は尊重するのみですし,あと,知事によって自主的に判断いただくということで,できる限り茨城県として独自性。魅力度最下位ではなくて,茨城県として何か独自の判断をしていただくとありがたいかな。むげにだめですよではなくて,どうしてだめなのかといったことも,ちゃんと説明責任を果たしていただければよろしいかなということで,私の説明にさせていただきます。  以上です。時間を超過して申しわけありません。 87 ◯下路委員長 ありがとうございました。  これからは質疑の時間とさせていただきます。  時間の制限がございますので,なるべく簡潔にお願いをしたいというふうに思います。  村上委員。 88 ◯村上委員 先生,済みません。着座で失礼します。申しわけございません。  いばらき自民党の村上でございます。よろしくお願いします。  最後のお話で,パブリックコメントの話が出ましたが,県民の意見を集約する一番の方法は選挙ですね。しかし,今回のような住民投票という方法もありますけれども,それ以外に,どうやって県民の意見を集約することができるか。パブリックコメントというのは,実はパソコンを持っている人でないと使えないのですね。私のおふくろはできませんから。そういうことを考えると,どういう手法があるか,何が一番最善なのかというのを,先生,ちょっとお聞かせいただけませんか。 89 ◯古屋等氏 いばらき自民党さんのほうでも,ホームページでちょっと見たのですけれども,パブリックコメントをされていらっしゃいますね。先進的な取り組みということで,すばらしいなと思ったのですけれども,パブリックコメント,ネットで実際お伝えするということもありますが,市町村によっては,実際上,口頭でというか,そういった機会を設けているはずですし,あと,郵便といった形のところももちろんあると思いますので,パブリックコメント,必ずしも電子的な形だけでもない。  私は,こういった難しい問題について,選挙等では余り問えないと思っていますので,聞き方ということで言いますと,やはりパブリックコメントが一番・・・。ただ,意見として,どういったさまざまな意見があるのか。本やデータなどは一応調査研究がありますけれども,行政的に言いますと,一般的に,県民の方を含めて,他県民も含めますと,パブリックコメントが一番簡単なやり方といったことがあります。  否決するのであれ,意見を聞くという機会がないといけないかなと思っていまして,私ども,大学で学生の意見を聞くために盛んに懇談会を開いて,学生の意見を引っ張り出しております。  今回,8万7,000名の署名をいただいたということもありますが,ほかの署名をされていない方も意見があると思うのです。そういうことを含めて,何か発言の機会を認めていただかないと,なかなか全体的な意見の集約ができないかなと思っていまして,否決されるのであっても,ちゃんとした発言の機会なども認めていただければありがたいかなといった気持ちでございます。とりあえず。 90 ◯村上委員 ありがとうございます。午前中も執行部とのやりとりを盛んにやりまして,主にそこが争点になった。どういう方法で意見を集約するか,まさに研究中だという話なのですけれども,これからも御指導をよろしくお願いします。  ありがとうございました。終わります。 91 ◯下路委員長 中村委員。 92 ◯中村(は)委員 無所属の中村はやとと申します。  きょうは,古屋教授,お忙しい中,わざわざ来ていただいて,また,最後に,茨城県は原子力先進県だからこそ,住民による議論が必要と。そして,原子力問題に対する見解の多様性は,議会のみでは集約できないというニュートラルな視点での御意見をいただき,本当にありがたいと思いました。  そこで,今回,主権者たる県民の皆様への問い方について質問させていただきたいと思うのですが,この議論の当初から,また,きょうの午前中からも,二択では正確な民意を得ることができないと言われておりました。  しかし,今回は,県内の原子力・エネルギー政策全般に関することは争点ではない。ましてや国内のエネルギー政策全般の話でもありません。あくまでも,県内の一つの発電所が再稼働するか,しないかが争点となるため,むしろ私としては,再稼働したり,しなかったりとか,逆に運転を停止しながら再稼働するというのはあり得ないので,二択以外は余り考えつかないのですね。  そこで,まず,二択で県民に問うということに関して,どのような見解をお持ちなのかという点が1つと,もう1つは,もし仮に二択以外の選択肢があるならば,どのような形の選択肢を用意したらいいのか,専門家としての御意見を伺いたいです。 93 ◯古屋等氏 その他のどちらでもないという見解はもちろんあると思うのですけれども,もちろん,二択が一番ベストかなと思うのです。  ただし,二択かどうかというよりも,情報提供がどこまでできるかといったところが問題といいますか,今,避難計画も十分できていない。国の安全性もどうかといったことについてはなかなか難しい問題。避難計画がまだ計画途中ということで,参考資料が十分あれば,説明責任を果たした上で,その判断を仰げるということがあるのですけれども,その状況判断の資料がなかなかそろっていない状況で,どちらかと言われても,やはりそれは困るのかな。  もちろん,議論が一番大事なので,こういった条例を通じて議論いただくということが今回の一番のメリットといいますか,そういったことが請求者の主題でもあると思うのです。御議論いただくことが一番大事な事柄で,結果はともあれなのですけれども,御議論いただくときの資料として,十分なものを提供できるかどうかという点が,私としてもなかなか・・・。避難の計画ができていないといったところがあるので,そういったことでは,今すぐに議論ができない。十分な保障があれば,して構わないと思うのですけれども,その点が懸念しているところで,その点,三択にしても,いかがなものかということで,そういった懸念が個人的にはちょっとあるということで申し上げます。 94 ◯中村(は)委員 ありがとうございます。ということは,県からの積極的な情報開示がない限りは,どちらでもないという意見が多くなるだろうということも考えられると思うので,むしろこの機会に,県のほうからどんどんどんどん積極的に県民に提供するいい機会になればという考えを私は持っています。  それと,もう一つ,先ほどもパブリックコメントについての御意見があって,非常に有効だろうという議論もあったのですが,その一方で,直接投票に比べれば,はるかに包括性といいますか,県民全体の意見を聞くということで考えてみても,私はちょっと不向きだと思っているのです。  それは何でかといったら,この前の茨城空港の名称のことに関しても,では,一体何件あったのかといったら,大体60件ぐらいなのですね。そういったことを考えたら,今ですら県民の皆様も判断が難しいところに来て,パブリックコメントをする方はかなり限られた数になってしまう可能性もあると思うのですが,その点についてはどうでしょうか。 95 ◯古屋等氏 実際上,パブリックコメントをやっても,関心のある方しか御回答いただけなくて,その方以外は「ああ,あったの?」ということで,全く御存じないということになってしまうのですけれども,例えば,今回,こういった形で,条例の制定について8万7,000人の方の御意見があって,むげにというか,実際,私も公開請求とかを受けていまして,できる限り請求権者の御意見を伺って,公開を認めるところについては公開すべきだし,無理な場合でも,説明責任を果たして,御理解いただくといったことを心がけております。  今回,こういった事態ですので,なかなか難しいにしても,意見を聞く。今回の条例制定の要求を受けて,かわりにもっとできる事柄として考えられるものとしてパブリックコメントがあると思いますし,8万7,000の方の署名があれば,県民として,茨城県は原発が身近にありますので,今回,こういった問題ですので,多くの方に説明する上で,反響が多いと思うのです。こういった形で始めれば,茨城県は頑張っているのではないかということで,そういった形で応援もいただけると思いますので,何らかの形でアクションをかけていく。ほかの形でも必要ではないかということで,パブリックコメントという案を一応出させていただきましたということなのです。 96 ◯中村(は)委員 わかりました。古屋教授,ありがとうございました。誠実な御回答をいただきました。  委員長,ありがとうございます。 97 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  玉造委員。  ここで申し上げます。指名されてから発言をお願いします。 98 ◯玉造委員 御説明ありがとうございました。  私は端的に2つ,お尋ねをしたいと思います。  1つ,原発の再稼働の問題について,住民投票で問うという問題は,住民投票の課題としてなじむか,なじまないか,先生のお考えをまずお尋ねしたいと思います。 99 ◯古屋等氏 住民投票という形は,もちろん,議会で,間接的に議員さんのほうで話し合って集約するということにはなじまないと思うのです。したがって,選挙等で問うということはもちろん難しいということで,それ以外の形といいますと,やはり,こういった形の投票条例とかという形しかないのかな。現在では,請願という形で要求したところで難しいということがありますので,今現在できることといいますと,こういった条例制定という形で投票するといったことが一番ベストということではあると思うのです。もちろん,こういった条例制定が通れば,それは個人的にもうれしいというか,先進的ということがありますので,こういった形が望ましいということをもちろん考えております。 100 ◯玉造委員 ありがとうございます。  それと,もう一つ,先ほど来,古屋先生のほうから,パブリックコメントも一つの方法だということで御説明がありましたけれども,この間,政府の,例えばエネルギー基本計画に対するパブリックコメントなどを見ておりますと,パブリックコメントで寄せられたのは,原子力政策から撤退すべきだという意見が圧倒的に多いにもかかわらず,それが全く基本計画に反映されないということで,逆に言えば,行政不信というか,せっかく意見を出したのに,全く反映されないという声も多く聞かれてきたところでありますけれども,そうしたパブリックコメントの性格と原発の問題,その辺,お考えをお聞かせいただければと思います。 101 ◯古屋等氏 パブリックコメントは,あくまで政策の参考としての意見で,もちろん,関心を持っている方,特に反対意見の方が多いと思うのです。その点,反対意見の方の意見が多くなるのは当たり前のことなのですけれども,もちろん,賛成されている方もいらっしゃるわけで,賛成の方の意見を含めて御意見聴取ということで,したがって,内容的には反対の意見が多くなることは前提としてございますけれども,賛成意見の方の意見を含めて,むしろ結果というよりも,意見をいただくというプロセスが大事と思っていまして,意見の結果,どうあれというよりも,意見の聴取を通じて,開示を行って御理解いただいて,そういったプロセスを通じて,県民の皆さんに関心を持っていただくといったことがメーンといいますか,効果があるのではないかということで,結論はどうあれ,住民の皆様の意見をいただくに際しての,関心を高めるといった効果があるのではないかと思っていまして,そういった点で,条例がもし無理であれば,パブリックコメントという形での意見聴取という形でもどうなのかなといった形を考えている次第なのです。 102 ◯玉造委員 最後に,原発が停止してから9年たちました。この間,事業者も,さまざまな新安全基準に基づく状況のチラシを30キロメートル圏内に配ったり,あるいは,さまざまなインターネット等による情報提供がありましたけれども,例えば,住民投票をした場合に,県民の必要な知識の蓄積というのは,この9年間,どのように評価するべきというふうにお考えでしょうか。 103 ◯古屋等氏 私も最近,広報で見かけはしますけれども,十分な説明といいますか,東海村周辺とか,県のホームページに載っかっていますが,説明会等開かれていて,説明会等の開催されている地域においては御理解いただいていると思うのですけれども,この間,茨城県全体として,十分な情報提供があったかどうかというと,私も水戸市に住んでいて,避難地域だといって,どこに行けばいいのかなということで,私個人はちょっと存じ上げないのですけれども,その点,周知・広報が十分かというと,やはりその点はまだ途上かなといった感触はあります。  ですので,この間の情報提供の観点では,まだ不十分といったことは否めず,こういった今回の原発の投票条例を含めて,こういった議会の答弁も1件だけ,2件だけということで,少なかったということを伺っていますので,もっと活発な意見ができるように,もっと周知といいますか,広報の義務を果たすべきではないかといったことを個人的に思っております。 104 ◯玉造委員 ありがとうございました。終わります。 105 ◯下路委員長 予定の時間ですが,質問者も少しあるようなので続けます。  田村委員。 106 ◯田村委員 公明党の田村けい子でございます。  端的に2点,御質問させていただきたいと思います。  まず,1点目,きょうの御説明の最後のところ,「おわりに」というところで,条例の結果に対する尊重という部分がございました。今回提出されました条例案の中の第18条は,「有効投票総数の過半数の結果が,投票資格者総数の4分の1以上に達したときは」といった条例になってございます。私は,この4分の1という数字をどう判断するのかということが非常に疑問でございまして,そこの部分について,先生の御所見をお伺いできればと思います。 107 ◯古屋等氏 最低得票率ということで,恐らく,得票がままならないのに,それに拘束されてはならないということで,そこで,ここに書いてある形で,投票資格者総数の4分の1ということで,これは恐らく最低得票率のところを勘案して,こういった形の4分の1ということが出ていると思うのです。得票率が低いにもかかわらず,半数だからということで,そういった意見には拘束力がないということで,憲法改正の国民投票等で,こういった最低得票率といった問題がちょっと入っておりますけれども,恐らく,その点を加味されて,こういった規定が入っていると思うのです。 108 ◯田村委員 それはよくわかるのですけれども,4分の1という数字の正当性はどうなのかなというのが一番の疑問でございます。 109 ◯古屋等氏 私は,その点はちょっと了解していないのですけれども,恐らく,ほかの法令等の規定等を参考にされて,4分の1という形で規定されていると思うのです。私は,その根拠ははかりかねるところがありますので,申しわけないのですけれども,答弁できないのですが。 110 ◯田村委員 わかりました。  もう一点なのですけれども,先ほどおっしゃっていました投票率の問題でございます。今回の条例案の中には,開票条件とかが示されておりません。この部分についてはどういうふうに考えていけばよいのか,お教えいただければと思います。 111 ◯古屋等氏 開票条件? 112 ◯田村委員 ええ。例えば,50%以下の場合には開票しないとかといった条件がつけられている条例もこれまであったということなのですけれども,要するに,県民の意見をどの程度まで把握するかという部分で,この投票率はすごく大事だと思ってございます。 113 ◯古屋等氏 もちろん,得票率に応じて開票するかどうか決めるという形の条例案もこれまでございましたし,その形で,修正するべきであればということであれば,改めて県議会のほうで修正の議案を出されればいいと思っていまして,最低得票率に応じて開票するかどうかについては,政策的に議会のほうでお考えいただいて,私は,どちらがいいかといったことはちょっと申し上げられないのですけれども,こういった形の案を受けて,改めて修正案をお出しいただくということは,もちろん,議会としての方向性としてありますので,そういった検討をしていただくとありがたいかなということが私の答弁なのですけれども。済みませんが。 114 ◯田村委員 わかりました。ありがとうございます。 115 ◯下路委員長 よろしいですか。 116 ◯田村委員 はい。 117 ◯下路委員長 ほか。  二川委員。  簡潔にお願いします。 118 ◯二川委員 県民フォーラムの二川でございます。端的にお伺いをさせていただきます。  先ほど話が出ている投票率であるとか,実際に,投票結果の取り扱いというような話も少し出ましたけれども,まず,1点お聞きしたいのが,そもそも,住民投票というものを行う際,地域性というものが非常に強くなるものについて,どう考えればいいのか。やるべきなのか,やらないべきなのか,その点について。  さらに,住民投票というものにつきましては,法的拘束力は持たないという側面を持ってしまっております。そういった際には,そもそも,この住民投票というものを成立させる要件を整備すべきなのか,さらには,投票結果の正当性,妥当性というものを確定させるための条件を整備しておくべきなのかどうなのか,この点について,お考えがあれば教えていただきたいと思います。 119 ◯古屋等氏 地域性といいますと,茨城県といった,こういった立地条件の中においての,こういった場所においての投票がなじむかどうかということでしょうか。 120 ◯二川委員 はい。 121 ◯古屋等氏 だからこそ,茨城県で行う必要性といいますか,意義があるのかなと思っています。茨城県は,こういった首都圏の間際において立地しているからこそ,茨城県は判断を独自にするべきであると思っていまして,何らかの形で,茨城県がそういった存在意義を示すことが必要であると思っていまして,条例にしても,何か,そういった形でスタンス,意見を投げかけていくといったことが対等な関係ということであります。  ただ,原電さんは,実際は民間企業でございますので,そういったところと県という立場で,意見としてどうこうといったことはなかなか難しいですけれども,意見についての政治的な御判断は知事の専権事項でございまして,幾ら投票条例といった形で投票したところで,諮問的な参考意見になりますので。参考といっても,公開審査会等につきましても,実際上,諮問的な見解ということになります。諮問的な見解でございますけれども,実際上は,知事のほうで,そうやって答申案を出していただいているということがありますので,どういった形で評価するか,知事の御判断に委ねられるということで,ただ,こういった結果だということで,結果が違うかどうか,従うかどうかは,あくまで知事さんのほうで御判断いただくということになるべきであって,拘束力は持たせるべきではないですし,あくまで判断として,そういった意見がありましたといったことについては,もちろん甘んじて受けるということで,御議論いただくといった機会ももちろん必要かなと思っている次第です。 122 ◯二川委員 ありがとうございました。  最後に1点だけ。法的拘束力を持つべきではないという話ではあったのですが,法的に拘束力を持たせることが可能なのかどうかだけ,端的にお答えいただきたいと思います。 123 ◯古屋等氏 法的な根拠をつくらないことには,そういったことの拘束力がないと思うのです。そういった各法規を見たところで,実際上,知事に対して判断を拘束するという形での国の法律はございませんので,あくまで参考程度といいますか,諮問的な意見で言ったことにならざるを得ないのかなといったことで判断しております。 124 ◯二川委員 ありがとうございました。 125 ◯下路委員長 設楽委員,申しわけございません。時間なので,二川委員が同じ会派なので,申しわけございません。  それでは,ありがとうございました。  お時間も来たようでございますので,以上をもちまして,古屋様からの意見聴取を終了したいというふうに思います。  古屋様におかれましては,大変貴重な御意見をいただき,まことにありがとうございました。これからもよろしくお願いをいたします。  それでは,次の方をお呼びしますので,委員の皆様方は着席のままお待ちください。  それでは,次の方を御紹介いたします。  資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官の覺道崇文様でございます。  覺道様におかれましては,大変お忙しい中,御出席をいただきまして,まことにありがとうございます。委員会を代表して,心から御礼申し上げます。  これから忌憚のない御意見を述べていただきますよう,よろしくお願いをいたします。  それでは,よろしくお願いをいたします。 126 ◯覺道崇文氏 経済産業省の覺道でございます。本日は,機会をいただきまして,まことにありがとうございました。
     それでは,着座にて,資料に基づきまして御説明をさせていただければと存じます。よろしくお願いいたします。  まず,資料を1枚おめくりいただきまして,「エネルギー政策の基本的視点」というところについて御説明をさせていただければと存じます。  私ども,国のエネルギー政策を進めるに当たりまして,その基本的な方向性を,エネルギー基本計画というもので定めてございます。  その中で,その基本的視点としまして,安全性を大前提としまして,エネルギーの安定供給,それから経済効率性の向上,環境への適合。これは,いずれも英語の頭文字をとりまして,3E+Sというふうに呼んでございますけれども,この3E+Sを同時に達成していくというのが私どもの基本的な視点でございます。  また,私ども,政策を進めるに当たりまして,必ず強く意識をしてございますのは,その下に書いてございますけれども,いずれのエネルギー源も強みと弱みを持っておりまして,安定的かつ効率的なエネルギーの需給構造を一手に,このエネルギーだけに頼っておけばいいというものは存在しないと。したがって,長所が最大限に生かされて,欠点を補え合えるようなうまい組み合わせをして,それを私ども「エネルギーミックス」と呼んでいるわけですけれども,それを念頭に政策を進めていくということが重要だと考えてございます。そうした考えに基づいて,実際の需給の見通しを数字で示したものが,エネルギーミックスと呼ばれるものでございます。  次のスライドに進んでいただきまして,現在のエネルギー基本計画,それから,今申しましたエネルギーミックスについての経緯でございますけれども,東日本大震災,東京電力の福島第一原発事故が2011年の3月に発生いたしまして,その後,初めてのエネルギー基本計画,第4次のエネルギー基本計画が2014年の4月に策定されてございます。  その大きな点としましては,原発については,可能な限り低減していく。安全最優先で再稼働を進めるということ,そして再エネをしっかりと拡大していくということを打ち出してございます。  それに基づきまして,翌2015年の7月にエネルギーミックスというのを策定してございます。  後ほど具体的に御説明いたしますけれども,原子力発電については,発電の中で20から22%程度,逆に,再エネについては22から24%ということで,足元のところから倍増させる。原発については低減する。そうした具体的な絵姿を示させていただきました。  また,2018年の7月に,さらにエネルギー基本計画を改定いたしまして,2030年に向けては,今申し上げたエネルギーミックスを確実に実現させていくこと,また,2050年をにらんで,エネルギーの転換,脱炭素化,さらにCO2を抜本的に削減していくという方向性を示したものでございます。  続きまして,次のスライドですけれども,ここから実際の数字で少し見てまいりたいと考えております。  まず,自給率ですけれども,足元では,2018年の数字としては12%ということでございまして,2010年,震災前に比べて下がっているということですが,2030年に向けて,25%程度まで持っていきたいということです。  エネルギーコストは,電気料金を調べて書かせていただいておりますけれども,これも震災前に比べて上がっておりますが,これを引き下げていくという方向性でございます。  また,CO2についても,震災の前よりも少しふえている。2018年度でもふえているところですけれども,これもしっかりと目標を立てて削減していくということが求められてございます。  4枚目のスライド。ここから少し具体的なデータでお示しさせていただきますけれども,エネルギーの自給率は,先ほど言いましたように,12%程度ということでございまして,これは先進国の中でも非常に低い数字になっているということでございます。  続きまして,5枚目のスライドにお進めいただきまして,これは日本の化石燃料の輸入先,それから,中東依存度でございますけれども,日本は,ほぼ全ての化石燃料を海外から輸入してございます。  中でも,原油については,右側に書いてございますけれども,ほぼ9割を中東に依存しているということでございまして,中東情勢は日々変化しておりまして,不確実性も高まっているということで,エネルギーセキュリティーの観点からも,懸念される状況にあるということでございます。  6枚目のスライドですけれども,これは電力料金の推移ということで,これは当然,資源価格に左右されるものでございますけれども,先ほど申しましたように,震災以降,家庭向けについては足元で23%,産業向けについては27%,高い水準になっているということでございまして,これもしっかりと低減させていくということが求められてございます。  次の7枚目のスライドですけれども,これはCO2の変化でございます。2010年以降の数字を書いてございますけれども,これも震災以降,原子力発電所が停止いたしまして,その分を火力発電で賄ったということもございまして,2013年には12.4億トンまでふえてございます。  一方で,下の青い実線ですが,全体のエネルギー消費は,全体としてずっと下がってきているということは,国として省エネにしっかり取り組んできているということでございます。  一方で,CO2もふえているということで,これはまさに原発がとまっていた影響もあるということですが,その後,再エネが徐々に入ってきたり,また,安全性が確認された原発の再稼働が一部進んできたということで,また減少に転じてきているという状況が見てとれます。  8枚目のスライドですけれども,これは現行の第5次エネルギー基本計画の概要でございまして,先ほど申しましたように,第5次基本計画は,2030年に向けて,エネルギーミックスを確実に実現していくということ。その大前提として,3E+Sというのをしっかりと確保していくことを目指しているということでございます。  そのためには,下に幾つか,その施策が書いてございますけれども,再生可能エネルギーについては,主力電源化のための布石ということで,しっかりとコストを下げていく,あるいは,いろいろな課題をしっかりと克服できるように取り組んでいくということでございます。  また,原子力については,依存度を可能な限り低減していくということですが,不断の安全性の向上と再稼働を進めるということ。  また,火力発電などについては,できるだけ高効率化を目指す。  また,省エネは,徹底的な省エネを進める。  こうしたことで,2030年のエネルギーミックスをしっかりと達成していくということを目指してございます。  また,2050年に向けては,これは国際的にも,脱炭素というのが非常にポイントになっておりまして,日本としても80%の削減というのを掲げております。これはあらゆるところで脱炭素化をしていく。CO2を発生させないということ,あるいは,発生させたものは何らかの形で,例えば再利用するとか,あるいは地下に貯留するといったことに取り組んでいくということで,こうした脱炭素を,2050年に向けては,しっかり目指していくということを掲げてございます。  次の9枚目のスライドでございますけれども,これが,先ほど来申し上げておりますエネルギーミックスの具体的な数字でございます。  左半分のところは,先ほど来申し上げておりますように,いわゆる3E+Sという大きな政策目標がある中で,具体的に,いろいろなエネルギー源を組み合わせて,最適に達成していくという中で,2030年度の数字を整理したものでございます。  よく一番重要と言われる電源構成のところですけれども,右下のところになりますが,2030年度の数字ということで,先ほど申しましたように,再エネについては,発電量のうち22から24%,原子力については20から22%,残りが火力ということで,LNGが27%,石炭が26%,石油が3%。こういった数字が2030年度のエネルギーミックスになっておりまして,それを着実に,確実に実現していくことが求められているということになります。  次の10枚目のスライドをごらんいただきますと,それに向けての足元での進捗状況ということですが,いろいろな指標で整理してございますけれども,見やすいということで一番右の図を見ていただきますと,おおむね,この点線に沿って進んでいけば,目標地点に到達できるだろうということで整理しておりますが,着実に進展してきているものの,まだ道半ばであるという評価ができるということでございます。  続きまして,11のスライドですけれども,CO2の削減という意味では,では,日本は,国際的に見てどうなのかということですが,日本は,G7の中では,英国に次いで,2013年以降,着実にCO2の削減を達成してきているということでございます。  12のスライドでございます。こうしたことで,今後の対応の方向性ということで,先ほど来申し上げていますように,2030年のエネルギーミックスを着実に達成させていくことが求められるということでございまして,省エネ,再エネ,原子力,あるいは火力,いずれの分野においても,各種の取り組みをしっかりと進めることが求められるということになります。  省エネについては,いろいろな部門で深掘りを進めるということですし,再エネについては,主力電源化を進めるに当たってのいろいろな課題の克服,原子力については,依存度を低減させつつも,安全最優先の再稼働を進める。火力については,低炭素化,高効率化を図るといったものでございます。  次の13のスライドでございますけれども,こうした中で,原子力についての取り扱いということですが,原子力については,2030年に向けては,長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源ということでございまして,先ほど来申し上げておりますように,安全最優先で,原子力規制委員会により,世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には,その判断を尊重し,再稼働を進めるというものでございます。  続いて,14のスライドですけれども,こうした中で,今後の原子力への対応の方向性ということですが,課題がいろいろございますけれども,一番重要なことは,社会的な信頼の獲得ということでございまして,さらなる安全性の向上。これは,規制基準をクリアすればいいということだけではなくて,事業者がさらに自主的に高みを目指していくことを求めていくということですとか,原子力の核燃料サイクルやバックエンドといったいろいろな課題への対応,それから,立地地域の皆さんへのいろいろな対応,また,広報といった課題に総合的にしっかりと取り組んで,安全最優先の再稼働,そしてエネルギーミックスの達成につなげていくことが重要であるということでございます。  最後,15ページのスライドに,現在の審査あるいは再稼働の状況を整理してございます。規制委員会の安全審査に合格いたしまして,御地元の理解も得て,再稼働を果たした原発9基ということでございます。一方で,廃炉も24基ということで,現在,こうした状況にあるということでございます。  私のほうからの御説明は以上でございます。ちょっと時間をオーバーいたしまして,失礼いたしました。 127 ◯下路委員長 ありがとうございました。  ここからは質疑の時間とさせていただきたいと思います。  ただいまの御意見につきまして,質疑がありましたらお願いをいたします。  江尻委員。 128 ◯江尻委員 江尻と申します。  御説明ありがとうございました。  2点,御質問させていただきたいのですけれども,今,御説明いただいたエネルギー計画の内容そのものに入っていきますと,きょうの審査会の趣旨とずれてしまいますので,まして,日本全国の原発ではなくて,茨城にある東海第二原発の再稼働を問う住民投票をやるか,やらないかということを,私ども,今審査させていただいているのですけれども,今,御説明いただいた,いろいろなエネルギー政策を含めた計画,国はいろいろな計画を持っていらっしゃると思いますけれども,こうした計画に対して,国民世論,私どもで言いますと,県民の世論というものを反映させるということが基本だと思うのですが,いかがでしょうか。 129 ◯覺道崇文氏 お答え申し上げます。  おっしゃるとおりでございまして,私ども,政策を推進するに当たりまして,例えば,先ほど来申し上げているエネルギー基本計画にしても,また,それを数字で示したエネルギーミックスにしても,審議会で,有識者の方で御議論いただいて,御意見を取りまとめております。その後,パブリックコメントにも付しまして,広く御意見をいただいております。  前回のエネルギー基本計画の策定の際には,通常のパブリックコメントの手続だけではなくて,並行して,いろいろな国民の方々から広く御意見をいただくようなやり方も採用いたしまして,それで,そうした御意見も踏まえつつ策定させていただいているところでございます。 130 ◯江尻委員 私も,今の時代に,国民・県民の意見,声を反映させるというのは一つに限らないほうがいい。いろいろな手法を織りまぜて反映させていくということが必要だと思っているのですね。ですから,国のエネルギー政策も,単に国策だからということで国にお任せ,丸投げするのではなくて,私たち一人一人が考えていくということが大事だと思うのです。  その上で次の質問なのですが,茨城で今回の条例案が通って,県民投票を実施することができれば,実施するまでに,県民はいろいろなことを考えます。エネルギーについても考えます。そういう意味では,県民投票を実施というのは,国のエネルギーについても,自分たちの生活とのかかわりなどを県民が知って,考える一つの機会・手段になると思うのですけれども,いかがでしょうか。 131 ◯覺道崇文氏 先ほど来申し上げていますように,広く国民の方々に,まず,国のエネルギー政策は,どういう考え方で,どういうふうに進めているのかということを知っていただくために,いろいろな形で広報をさせていただいたり,また,広く御意見をお聞きすることを進めていくということは,私は基本的に重要だというふうに思っておりまして,今,委員のほうからお話のあった具体的なやり方として,例えば県民投票のような形がいいのかどうかというところについて,今,この時点でお答えすることは難しいのですけれども,一般論として,広く国民の方に知っていただき,また,国民の方からの意見をしっかりとお聞きしていくということは非常に重要だというふうに考えております。 132 ◯江尻委員 ありがとうございます。私からは以上です。 133 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  西野委員。 134 ◯西野委員 いばらき自民党の西野一でございます。よろしくどうぞお願いします。  今,御説明の中で,日本エネルギーの現状と今後の方向性についてお話を伺いましたけれども,その中で,原子力発電について,原子力規制委員会により,世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には,再稼働を進めると。しかし,2030年に電源構成比率20から22%を目標としている一方で,依存度を可能な限り低減するというふうに書いてあります。かなり難しい関係性だと思うのですけれども,この辺はどういうふうに解釈したらよろしいのでしょうか。 135 ◯覺道崇文氏 お答え申し上げます。  先ほども申しましたように,いろいろなエネルギー源があるわけですが,どれ一つとして完璧なものはないというふうに思っておりまして,原子力について申し上げますと,先ほど申し上げた,例えば,温暖化に対して効果があるということは明らかですし,また,コストの面,また,エネルギーセキュリティーという面でも,原子力というのはすぐれるわけですけれども,福島の事故もございまして,全体として,しっかりと安全最優先で進めるという中にあって,一方で,再生可能エネルギーもございますし,ほかのエネルギー源もあるという中で,それぞれの長所,あるいは,それぞれについての,まさに先ほど御指摘のあった国民の信頼あるいは理解といったところも含めて総合的に判断する中で,原子力については低減させていくものの,日本が置かれているエネルギーセキュリティーの状況ですとか,また,今後さらに求められていくCO2の低減,脱炭素ということにしっかりと取り組んでいくという中では,やはり原子力も引き続き必要である。  そうした中で,2030年の原子力については,電力の20から22%という数字を我々として示させていただいたということでございまして,ほかの,例えば再生可能エネルギーの分についても,コストなども含めて判断した上で,お示しをさせていただいているということでございます。 136 ◯西野委員 本当に難しいかじ取りだなというふうに聞かせていただきましたけれども,もう一つ,2050年の再生可能エネルギーの主力電源化に向けた具体的な道筋はどのようなものがあるか,また,水素,蓄電など,技術開発の具体的な進捗状況はどの程度になっているか,お聞かせください。 137 ◯覺道崇文氏 お答え申し上げます。  2050年に向けては,さらに抜本的な脱炭素を進めていかないといけないということで,そういう意味で言いますと,ある程度非連続な,今までの技術の進捗・進歩の延長上にないような技術開発,イノベーションといったものも必要になるというふうに思っておりまして,そういう意味では,逆に不確実性も一定程度伴うということなので,具体的にこういうシナリオで,2050年に向けて達成していくのだというところが明確に描き切れていないところもございます。  ただ,そうした中で,再生可能エネルギーはしっかりと主力電源化を進めていくということでございまして,いろいろな課題があるわけですけれども,まずは,しっかりとコストの低減を図りつつ,さらに導入を進めていく。  例えば,大規模な太陽光など,競争力が大分上がってきている再生可能エネルギーもございますので,こうしたものについては,いわゆるFIT制度というので,いつまでも高いお金で買い取るのではなくて,もっとコストを下げられるようにしていくといったことですとか,あるいは地域との共生ということで,例えば,太陽光のパネルでも,将来,廃棄の問題が出てまいりますが,そうしたことにしっかり対応できるようにしていくといったことで,ある意味,主力電源として,信頼性もしっかりと確保できるようにしていくということも重要になります。  また,今,委員から御指摘のあった水素といったものについても,しっかりイノベーションを図っていって,コストの低減ですとか,普及をさらに後押ししていくようなことにも取り組んでまいりますし,あと,先ほど少し御紹介させていただきましたが,将来にわたっても,どうしても一定程度,化石燃料は使っていかないといけないと思っていまして,そうするとCO2は出てまいりますが,それをうまく再利用していけないだろうかと。例えば,またプラスチックにして再利用するといったこと。これは相当難しいイノベーションが必要になりますけれども,2050年に向けては,そうしたことにも取り組んで,あらゆる技術を総動員して,脱炭素で2050年のマイナス80%というのを目指していきたいというふうに思っております。  ただ,そうした中で,今,実用化がちゃんとできているという意味での脱炭素技術ということでは,引き続き,原子力も,2050年に向けても重要であるということも書かせていただいているというものでございます。 138 ◯西野委員 最後に,それをまとめて,エネルギー政策におけるベースロード電源の今後とエネルギーミックスについて,もう一度お聞かせください。 139 ◯覺道崇文氏 お答えいたします。  今,エネルギーミックスとして具体的に描けているところは2030年のところでございます。今,2030年のところのベースロード電源ということで言いますと,原子力と石炭火力ということになります。原子力は,先ほど来申し上げていますように,2030年で全発電電力の20から22%,石炭については26%ということでございまして,ここでベースロードをしっかり確保していく。  例えば,これは,見方によっては,逆に石炭が多いのではないかということもあるかもしれませんけれども,その分,再生可能エネルギーですとか,いろいろなものも導入を図っていって,2030年の時点で,CO2の削減目標,2013年比でマイナス26%という数字ですけれども,これをしっかり達成していくということが,まずは2030年のエネルギーミックスの達成ということになりますので,繰り返しですが,ベースロードとしては,石炭が26,原子力が20から22ということになります。 140 ◯西野委員 ありがとうございます。本当に難しい中でありますけれども,安全性を前提として,ベースロード電源,そしてエネルギーミックス,よろしくどうぞお願いします。  以上です。 141 ◯下路委員長 それでは,最後に設楽委員。  時間も来ておりますので,手短にお願いします。 142 ◯設楽委員 設楽です。  1点だけ質問させていただきます。  ベースロード電源は,先ほど,2030年度までに20から22%ということで,最後にお示しいただいたスライドの「原子力発電所の現状」というところで,再稼働9基で,12%が原子力で,現在,設置変更許可が7基,審査中11基,未申請9基というような状況で残っておりますが,どれだけの原子力発電所を動かすことで,2030年度までに達成になるのか,また,茨城県の原子力発電所は41年を迎えているような状況もありますが,国全体の原子力発電所を見て,茨城県のものをどのように捉えているのか教えてください。 143 ◯覺道崇文氏 お答え申し上げます。  エネルギーミックスの数字というのは,具体的に個々の原子力発電所を積み上げて出している数字ではなくて,全体としてエネルギーの需要と供給をバランスさせて,また,さっき申し上げたようなコストやCO2の目標などがうまく達成できるように,各エネルギー源に割り振ったような形でつくっているのがエネルギーミックスということになります。  したがって,繰り返しですが,個々の原発,これとこれが動くのでどうということではないのですけれども,ざっと計算をいたしますと,大体30基程度の原子力発電所が再稼働すれば,先ほど申し上げたエネルギーミックスの数字は達成できるだろうということでございまして,そのためには,40年の期限を超えて,延長して運転をするような炉も含まれてくるだろうということでございます。 144 ◯設楽委員 わかりました。9基プラス21基で30基と。 145 ◯覺道崇文氏 そうですね。トータルで30基程度ということでございます。当然,サイズですとか,稼働率とかによるところがございますけれども,これまでの実績とかを踏まえて,ざっと試算をいたしますと,30基程度ということになります。 146 ◯設楽委員 国のほうの想定としては,東海第二原子力発電所も含めて,再稼働を望んでいるという姿勢でいるという理解でよろしいのですか。 147 ◯覺道崇文氏 私ども,基本的には,原子力規制委員会によって安全審査を合格したもの,規制基準をクリアしたものについては,当然,御地元の理解を得るということも必要ですし,また,しっかりとした避難計画をつくるということも含めてですけれども,再稼働していくというのが,エネルギー基本計画に沿った方針ということでございます。 148 ◯設楽委員 わかりました。ありがとうございます。 149 ◯下路委員長 それでは,ありがとうございました。  お時間も来たようでございますので,以上をもちまして,覺道様からの意見聴取を終了したいと思います。  覺道様におかれましては,大変貴重な御意見をいただきまして,まことにありがとうございました。  それでは,次の方をお呼びしますので,委員の皆様方は着席のままお待ちください。  ありがとうございました。  それでは,次の方を御紹介いたします。  原子力規制庁実用炉審査部門安全規制管理官の田口達也様,安全管理調査官の山口道夫様,管理官補佐の塚部暢之様並びに地震・津波審査部門安全規制調整官の小山田巧様でございます。  皆様方には,大変お忙しい中,御出席をいただきまして,まことにありがとうございます。  委員会を代表いたしまして,心から御礼を申し上げますとともに,忌憚のない御意見をお述べいただきますよう,よろしくお願いをいたします。  それでは,よろしくお願いいたします。 150 ◯田口達也氏 原子力規制庁安全規制管理官の田口でございます。  本日は,貴重なお時間をいただきまして,ありがとうございます。  お手元には,審査結果の全体を説明する,少し大部の資料を配付させていただいておるかと思いますけれども,時間の制約もございますので,本日は,ポイントを絞って御説明をさせていただきたいと思います。  まず,7ページをごらんいただければと思います。
     こちらは審査の経緯でございます。  左上からオレンジ色の設置変更許可,青色の工事計画認可,それから,1つ飛んで黄色い保安規定変更認可がございます。  審査は,段階を追って安全性を確認していくという方針にしておりまして,まず,一番最初に,オレンジ色の設置変更許可を行います。基本方針を確認するのがオレンジ色のところでございます。その基本方針に沿って,実際に設備の設計ができているかというのを確認するのが青色の工事計画認可,それから,実際に細かい手順がつくられているかを確認するのが黄色の保安規定変更認可でございます。  これらは3点セットでございまして,発電所に何か大きな変更を加えるときは,必ずこの3つを確認して,それでようやく着工ができて,検査に行くという流れになっております。  それから,それとは別に,緑色は,頻繁にあることではございませんで,40年の寿命を迎えるときに,1回だけ行われる認可制度でございます。  本日,時間に限りがございますので,オレンジ色の設置変更許可に絞って御説明をしたいと思います。  それでは,まず,10ページをごらんください。  皆様,御承知と思いますけれども,福島原発事故の教訓と,それが基準にどう反映されているかということを改めて御説明したいと思います。  下の絵のところに1)から7)まで番号を振っておりますのが事故の進展でございます。  まず,1)番目,地震により,外部電源,外からの電源が来なくなっております。  その後,2)番,津波によって,所内にあった発電機も全て,軒並みにやられておりまして,それによって,電気が一切ないという状況が発生しております。  それで,電気が全くないので,本当は原子炉の中に注水を続けなければいけないのですけれども,注水をする設備が動かなくなってしまって,3)番,冷却が停止して,その後,水位が下がって,炉心が空気中に露出することで炉心損傷して,そうすると水素が発生して,それが漏れて,7)番の水素爆発に至るという流れでございます。  それで,教訓は,細かいものを含めれば,さまざまございますけれども,大きくまとめると2つでございまして,まず,1つは,左側の黄色い四角でございます。  今回,地震・津波というものが原因でしたけれども,これまで原発は,ちょっとした故障とかがあっても大丈夫なように,設備を多重に備えて,一つのものが突破されても,また次の対策ということで,多重に対策を講じて,安全性を確保するということがされておりました。  今回は,せっかく多重に用意したものが,一つの原因で全部,軒並みやられてしまうというところが特徴でございましたので,そういったことが二度と起きないようにというのが一つ目の教訓でございます。  それから,もう一つは,右側の黄色い四角でございまして,そういったことが起きて,このまま放っておくと炉心が溶けてしまうと。いわゆるシビアアクシデントというふうに我々呼んでおりますけれども,そういう事故に至る途中で,それを食いとめる方法,あるいはそれを緩和する方法がなかったということでございまして,それを設けなければいけないというのがもう一つの大きな教訓でございます。  それを踏まえまして,11ページ,次のページでございます。  基準がどのように強化されたかということですけれども,左側が従来の基準,右側が今回の基準でございます。  1つには,左側の水色と緑色のところは,地震・津波に対して設備が耐える,あるいは火災が起きても大きな問題が生じないようにする。こういった事故を起こさないための基準でございます。  従来は,事故を起こさないための基準をしっかり整備したので,したがって,安全であるという立場に立っておりました。  今回は,もちろん,事故を起こさないための基準は,それはそれで強化しております。それに加えて,それでもなお事故が起きてしまった場合でも,その進展を食いとめるということで,対策,黄色い部分をさらに追加しているというのが特徴でございます。  この基準をつくるに当たっては,福島原発事故の事故調査委員会の報告書から得られた教訓を全て反映しておりますのと,それから,この際,諸外国の基準,IAEAの基準を全部調べまして,漏れがないか,日本だけがやっていないようなことがないかということで,落ち度がないように確認しながら基準をつくったということでございます。  本日の御説明は,一番下の耐震・耐津波性能の水色のところと,それから,黄色い追加されたシビアアクシデント対策に絞って,御説明をしたいと思います。  では,地震動の説明にまいります。  17ページをごらんください。  地震についての規制上の要求というのは,敷地で想定される,起こり得る最大の地震動というのをまず特定して,その敷地で起こり得る最大の地震が起きても,安全上,重要な設備は機能を失わない。これが規制の要求でございます。  したがって,これを満足しているかどうかを確認するには,まず,敷地で起き得る最大の地震とは何かということを特定する必要がございまして,基準地震動と我々呼んでおりますけれども,これの特定に,我々も事業者もかなりリソース,力を割いております。  基準地震動を決めるためには,そもそも地震は,地中深くの活断層のずれによって生じますので,敷地の周辺あるいは敷地の直下にある活断層をまず全て特定する必要がございます。  そうはいっても,その大きさとか,完全に特定し切れるのものではございませんので,長さはどれぐらいであるか,あるいは面積はどれぐらいであるか,どれぐらい傾いているのかといったことを,さまざまな調査によって議論して,はっきりしないものは厳し目の仮定を置いて,それで震源を特定します。  その震源から地震が起きたときに,地面を伝わる過程で,どういうふうに地震動が変わるか,あるいは,地下から地中に上がってくるときに,地表のほうが地盤が緩いので増幅をしますけれども,どういうふうに増幅をするのかといったことを全て評価した結果として,最大の基準地震動が導かれます。  東海第二については,21ページをごらんいただければと思いますけれども,今の評価をした結果,出された基準地震動は,下の表に8つございます。活断層もいろいろございますし,評価の仕方もいろいろなパターンがございますので,いろいろな評価をしてみて,これは注意しておかなければいけないという基準地震動を全部抽出した結果,8つ,基準地震動がつくられております。  基準の規制の要求は,この基準地震動が起きても,重要な設備が壊れないかどうかということでございます。設置許可の段階では,安全上重要な施設は,こういう基準地震動に対して機能を維持する。そういう方針を確認するのが設置許可でございまして,では,実際に,本当に個別の設備が,評価をしてみて,もつのかどうかを確認するのが工事計画認可でございます。工事計画認可の中で,安全上重要な設備が耐えられるということを確認しております。  続いて,津波でございます。こちらは25ページをごらんください。  津波も地震と同様に,活断層のずれによって発生しますので,敷地の周辺の活断層を全て特定しまして,その活断層が動いたときに,どれぐらいの津波が来るかをシミュレーションで評価しまして,到達する最大の津波を基準津波として設定しております。  この基準津波の波形がこちらに描かれております。  規制の要求は,基準津波の津波が訪れても,敷地内にその水が入ってきてはいけない。我々,ドライサイト要求と呼んでおりますが,それが基準の要求でございますので,敷地が高い場合には,それでいいのですけれども,敷地が低い場合には,防潮堤を設けて,それを食いとめる必要がございます。  27ページをごらんいただければと思いますけれども,東海第二は,この防潮堤を設けて,津波から敷地を守るという対策をとっておりまして,緑色が,その敷地を囲うように設けられた防潮堤でございます。防潮堤の敷地前面の高さは20メートルでございまして,敷地前面で想定される津波の高さが17.8メートルということで,それを上回る高さの防潮堤を設けているということでございます。  審査においては,この防潮堤が地震によって本当に壊れないかとか,液状化しないかといったところにかなりの時間を費やしております。  以下,説明は割愛しますけれども,一つの出来事でたくさんのものを壊す事象としては,ほかに,火山や森林火災,あるいは発電所内部の火災,それから,発電所内部の水漏れ,電源喪失といったものがございまして,それぞれ基準を強化して,その適合性を確認しております。本日は説明を割愛します。  続きまして,シビアアクシデント対策に参ります。  37ページをごらんください。  シビアアクシデント対策の規制は,イメージしやすいのは,福島のような事故が実際に起きたときに,それを食いとめられるかどうかというのを,シミュレーションをしながら確認をするというプロセスでございます。  それで,電力会社は,ああいう事故を想定しまして,常設の電源を追加したり,水源を高台に設けたり,あるいは,常設のポンプ,高圧のもの,低圧のものを追加で設けたり,あるいは,格納容器の圧力を抜くためのフィルターベントなどを準備しております。かつ,それらをいつ使うかということも手順書で決めております。  それで,我々は,その審査の中で,そういう事故が発生したと仮定をして,その設備を使って,本当に炉心損傷が防止できるかということを一つ一つ確認しております。例えば,注水がストップすると,炉の水が10時間後に干上がるといったことをコンピューターのシミュレーションで出しまして,では,10時間以内にポンプを接続して水を入れられるかどうかとかといったことを,審査で一つ一つ確認したものでございます。  38ページをごらんいただければと思いますけれども,今,福島のようなシナリオと言いましたが,起こり得るシナリオはほかにもたくさんございまして,それは,これまでの研究の知見などから,BWRが起きる可能性の高い事故というものはこういうものであるというのを一つ一つ挙げまして,それらのどれが起きても,その対策がとられているかということを確認しております。  1)から7)番までは,ほかのBWRのプラントである柏崎や女川などとも同じシナリオでございまして,8)番だけは,東海第二特有の追加されたシナリオでございます。これだけちょっと御説明をいたします。  こちらは42ページをごらんいただければと思います。  先ほど申し上げたように,基準津波が来る水位が17.8メートル,それに対して防潮堤が20メートルということで,敷地内に水が来ないということは確認をしているのですけれども,それでもなお敷地を越える津波が来た場合を想定して,対策がとれるかということを確認しております。  それで,波が防潮堤にぶち当たって,24メートルぐらいまでせり上がった状況を想定しまして,そうすると水が中に入り込みますので,敷地の中に40センチメートルぐらいの水がたまるといった状況を想定しております。ほかの原発では,こういった状況を想定したシナリオは評価しておりませんけれども,東海第二はそれを評価しております。  そうすると,敷地の中で,人が走っていってホースをつなぐといった作業ができなくなりますので,東海第二については,右下,緊急用海水ポンプピットから海に配管が延びておりますけれども,こういう常設の配管を追加しておったり,あるいは,左上のところに西側淡水貯水設備がございますけれども,絵には描いておりませんが,この貯水設備から原子炉に水を送る常設の配管があったりといったところが,東海第二の特徴としての対策でございます。  次の43ページは,今申し上げたのは,炉心の損傷を防止する対策ですけれども,仮に炉心が溶けた後,それでもなお放射性物質を外に出さないために,格納容器を守る対策というのも審査で確認しております。  ポイントを絞った御説明になりましたけれども,私からの御説明は以上です。 151 ◯下路委員長 ありがとうございました。  これからは質疑の時間とさせていただきたいと思います。  質問のある方,挙手をお願いします。  坂本委員。 152 ◯坂本委員 御説明ありがとうございました。いばらき自民党の坂本でございます。何点か質問させていただきます。  今回の原子力規制庁の新規制基準自体が,本当に原子力政策の基礎であって,根幹であろうかと私は思っております。  その中で,いろいろな安全性について,今,御説明をいただいたのですが,資料を読ませていただいても,福島第一原子力発電所の事故から多くを学んで,新しい規制基準をつくったと。  でも,その中で,現段階で,東海第二発電所の設置変更,そして工事計画の認可,そして運転延長の申請について,今回,認可をしているということでございます。  でも,そんな中,説明会があったと思うのですが,その説明の中に,審査に合格したからといって,まだ100%,安全を保障したことではないといった発言もあったと聞いております。  そういったところを考えますと,国民,県民は,こういった原子力のものについて,本当に安心・安全なのかといった不安が残っているような状況にあると思います。  その中で,原子力規制庁では,今回の東海第二発電所の運転,そして設置変更を認可した責任について,どのようにお考えなのでしょうか。 153 ◯田口達也氏 お答えいたします。  まず,安全なのかどうかということについて,我々,非常に表現に注意しておりまして,安全と言ってしまうと,とる人によっては,絶対安全のようにとられる可能性もございますので,したがって,安全とは言わないという表現で,原子力規制委員長が時々申し上げますが,絶対的な安全はないというのが我々の前提で,リスクは決してゼロにならないという立場に立っておりまして,そこを誤解されないように,安全とは言わないという表現をとっておりますが,当然,福島事故前から比べると,基準を相当強化して,安全性が高まっているのは事実でございます。  我々がやるべき責任というのは,福島事故で得られた教訓を全て反映すること,それから,福島事故以外にも,諸外国のものを全部調べて,最新の科学的知見を全て確認して,それで抜けている基準があれば,必ず基準に取り込んで審査をする。こういった形で,最新の科学的知見に照らした状態に必ず維持されているように保つのが我々の責任であると思いますし,それについての説明責任を果たしていきたいと思っております。 154 ◯坂本委員 ただいま,説明責任ということでお話があったと思うのですが,確かに,その安全性について,規制庁のほうから基準を決めて,認可を出してということで今行っていると思うのですが,先ほどもお話し申し上げたように,県のほうで昨年の1月に説明会等々やっていただいていると思います。でも,原子力規制庁の中ででも,説明責任というのが出てくると思うのです。新基準を決めて,その後,認可をしただけで終わってしまったのでは,我々から説明できない部分が多々あると思います。我々議会も知事も,いろいろな意味で,県民に発言をしていかなくてはいけないところもあります。そして議論もしていかなくてはいけないところがあります。でも,その中で,規制庁としても,説明責任というのが非常に出てくると思うのですが,その点についてはいかがでしょうか。 155 ◯田口達也氏 まさにおっしゃるとおり,我々がやらなければいけないところで,かつ,少し弱いところだと思っております。ふだんは電力会社と本当に技術的な議論をして,専門用語を使って審査して,それは全てYou Tubeで公開しているとはいえ,普通の何も知らない方が突然その話を聞いて理解できるようなものではございませんで,しゃべっている者同士は暗黙の前提を持ちながらしゃべるのですけれども,そういう基本的なところを御存じない方が普通ですので,そういった方に対して,かみ砕いて説明するというのは,ふだん,余りトレーニングもしておりませんが,ただ,住民説明会に行ったり,こういう場に出させていただいたときには,そこをきちんと丁寧に説明しなければいけないと思っております。そこについては,弱い面はあると思っているのですけれども,これは我々も引き続き努力していきたいと思っております。 156 ◯坂本委員 ありがとうございます。茨城県内でも,地域によって,いろいろな温度差があると思います。そういった意味では,全域に行き渡るような説明も必要なのかなと思います。我々も努力していきますが,規制庁のほうでも何とぞ努力をお願いしたいと思います。  最後に,今回,茨城県では,県民の安心・安全を守るために避難計画を策定しております。その避難計画の中身は非常に難しい局面にも来ているところであります。  その中で,状況によって,避難計画も多々違いがあると思うのです。そういった意味では,規制庁においても,避難計画をともにつくっていくような支援も必要なのかと思うのですが,その点についてはいかがでしょうか。 157 ◯田口達也氏 避難計画の策定を支援する組織としては内閣府がございますけれども,そもそも内閣府自体,規制庁の職員が一定量出向して運営をしておりますし,それから,最終的な決断をする原子力防災会議の中にも規制委員長がおりますし,それから,避難計画をつくるに当たっての指針,原子力防災指針は規制庁がつくっておりますし,さまざまな声を拾って,また,委員長が地元に行って,地元の方と意見交換をするという取り組みもやっておりまして,そういったところでいろいろ御意見をいただくことがございますので,そうした御意見を,我々の業務のプロセスにのっとった形になりますけれども,積極的に反映していきたいと思っております。 158 ◯坂本委員 今後,県民の安心ですとか,原子力に対する危機感といったものを払拭するためにも,その説明ですとか,避難計画についての御努力,御協力をお願いしたいと思います。  以上です。ありがとうございました。 159 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  江尻委員。 160 ◯江尻委員 江尻です。御説明ありがとうございました。  議会議員の勉強会でしたら,今,御説明いただいた内容について,お聞きしたいことが多々あるのですけれども,きょうの審査会は,あくまでも東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票をやるか,やらないかという審査が私たちに求められているものですから,その点についてお聞きしたいのですけれども,この条例案に対して,大井川知事の意見書は事前に読まれているかと思います。  そこに規制基準にかかわって書いてあることをちょっと読み上げますけれども,「新規制基準について原子力規制委員会は,福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえて強化しているが,どのような異常事態が生じても放射性物質が環境に放出されることは絶対にないといった安全性を要求しているものではないとしている」。3行あるのですが,この知事の意見内容について,規制庁の御認識はいかがでしょうか。 161 ◯田口達也氏 おっしゃるとおりでございまして,絶対安全を求めているのではございませんで,原発がそこにある以上,必ずリスクが残る。それはゼロにならないというのが我々の立ち位置でございます。  ただ,このゼロにならないものを,とにかく減らす努力を継続的に続ける。これが重要であると思っておりまして,そういう認識でおります。 162 ◯江尻委員 例えば,県民投票を本県で実施しようとしたときに,県民は,もちろん安全性のことは考えると思います。もう一方で,安全かどうかというだけではなくて,そもそも必要かどうかということも考えると思うのです。さらには,安全だと言われて,事故が起きずに20年延長運転されたとしても,では,大量に排出される放射性廃棄物,核のごみは一体どうなるのだろうということも考えます。  ですから,規制庁が審査で行っていた専門的・技術的な観点以外も,県民投票をやるときに,県民は当然考えると思うのですけれども,その点はいかがでしょうか。 163 ◯下路委員長 田口様,範囲内で結構でございますので,お答えください。 164 ◯田口達也氏 そうですね。恐らく,投票される方はいろいろ考えられるのだと思います。規制委員会自体は逆に,そういったほかの要素を全部排除して,安全性だけを評価するためにつくられておりまして,本当に我々はそこだけしか見ないという組織でございますので,我々が説明できる範囲は,そこに限られてくると思います。 165 ◯江尻委員 この茨城にある東海第二原発について,先ほど,延長運転というのはそうあるものではないし,40年が寿命ということもおっしゃられましたので,私も県議会議員として,このように,再稼働の賛否を問う条例案を審査するよりも,40年が来たときに,東海第二は役割を終えて,廃止措置にいくものだというふうに考えておりましたので,それを超えて,今,延長運転というときに,この県民の意見をどう反映させていくかというところで,県として,その判断に苦慮しているのです。  ですから,そこに県民の声を反映させていくということで,いろいろな手段がありますが,県民投票という機会をつくるかどうかということについては,現状,規制庁は,特に御意見は述べられない,言う立場にないということでしょうか。 166 ◯田口達也氏 はい,そのように認識しております。 167 ◯江尻委員 以上です。終わります。ありがとうございました。 168 ◯下路委員長 ありがとうございました。  それでは,時間も来たようですので,以上をもちまして,意見聴取を終了したいと思います。  皆様方には,大変貴重な御意見をいただきまして,まことにありがとうございました。今後とも,いろいろとよろしくお願いをいたします。  それでは,次の方をお呼びしますので,委員の皆様方は着席のままお待ちください。  それでは,次の方を御紹介いたします。  東海村長の山田修様でございます。  山田様におかれましては,大変お忙しい中,御出席をいただきまして,まことにありがとうございます。  委員会を代表しまして,心から御礼を申し上げますとともに,忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  それでは,よろしくお願いいたします。 169 ◯山田修氏 東海村長の山田でございます。  私,本日午前中に村の6月議会定例会が無事終了しまして,ほっとしたところでありますが,午後,この委員会で参考人ということで,私は,県職員時代も,この委員会室にはほとんど入ったことがありませんので,今,非常に緊張しております。うまく答えられるかどうかわかりませんが,これから私の意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
     まず,冒頭にお話ししたいことは,今回の県民投票条例案に対する意見を直接申し上げることは差し控えたいというふうに思っています。私にそれを求められているのかもしれませんが,私自身が今,東海第二の再稼働問題につきましては,住民の意向をどのように把握すべきかというのは,非常に悩み,模索している最中でありますので,住民投票制度そのものに言及するということは,今後,私がいろいろ取り組もうとするときに,いろいろな影響を及ぼしかねないというところがありますので,コメントは差し控えさせていただきたい。  ただし,どのような方法をとるにしても,住民の意思を反映するためには,情報提供が大変重要であります。情報提供というのは,単に一方的に提供するわけではなくて,その情報を受け取った住民が,対話を通して,いろいろ議論を重ねていく。これはそういうプロセスだと思いますけれども,そういうものが大事だというふうに思っています。しかもそれは一時的なものではなくて,積み重ねていくということが大事だというふうに思っています。  そういう意味で,私がきょう用意しました資料は,全部で3ページですが,これまで東海村において,住民の意見を聞く取り組みとして,どういうことをしてきたか,今後どういうことをやろうと考えているかというところについて御説明したいというふうに思います。  まず,1ページをごらんください。  こちらは東海村の原子力安全対策懇談会ということで,平成12年4月に設置されています。皆さん,御存じのとおり,平成11年(1999年)9月に,東海村ではJCOの事故がありました。未曽有の災難に見舞われましたが,その事故を受けて設置した審議会が,この原安懇と言われているものでございます。  目的は,原子力防災・安全対策を検討・協議・提言・助言する組織でありまして,大学の先生等の学識経験者,あと,事業所等のOBの実務経験者,住民代表としましては,商売をやっている人だったり,主婦の方だったり,また,若い人も入って,そういうことで,現在は14名ですか,で構成されております。  これまで,いろいろな協議を重ねていただいていますが,東日本大震災以降に取り上げた議題としましては,日本原電の東二の現状でしたり,新規制基準の適合性審査,あと,安全性向上対策ということで日本原電にかかわるもの,これだけではなく,日本原子力研究開発機構(JAEA)の再処理施設の安全対策と今後の取り組み,こういう他の事業所のこともありますし,さらには,今,村が取り組んでいます東海村の広域避難計画(案)ということで,事業所から村から全て原子力にかかわる問題について幅広く議論いただいています。  その中で,前の村長の時代に,平成23年12月19日には,日本原電の東二の安全対策について諮問もし,答申ももらって,その答申の中では,この安全性向上対策をきちんと実施することですとか,村民に対してきちんと説明すること,村に対しては,村民との対話のコミュニケーションを重ねて,村民の意思を広く反映することということが答申されていまして,こういうものも受けながら,東海村はこれまで,いろいろな形で住民の意見を聞いてきたところであります。  次,3ページを見てください。3ページは,住民との直接のコミュニケーションであります。  村長ふれあいトークというのは,私が村長に就任してから始めた取り組みでありまして,住民と1対1で直接対話をする取り組みです。  具体的に言うと,毎月第3土曜日の2時から5時までは,私は村内の商業施設のフードコートにずっといるので,誰でも来てください,予約は一切要りませんということで,オープンな形で住民と対話をしています。  これまで69回やっていますけれども,この中で26回,原子力について御意見をいただいています。それは,安全が本当に確保できるのかという心配する声,あと,原子力がなくなって,村の財政はどうなるのだという心配する声,いろいろな声を聞いています。これは本当に,私にとっては貴重な機会だというふうに思っていますので,今後も続けていきたいというふうに思っています。  そして,村政懇談会といいまして,これはどこの市町村でもやられるかと思いますが,年に1回,大体6月末ごろになりますが,小学校区は,東海村は6地区ありますので,6学区ごとに,地域の方々と直接懇談する機会を設けておりまして,ここも,村政にかかわるいろいろな課題,生活上の課題からいろいろありますが,この中でも,何人かの方は原子力問題を取り上げることがありますので,そのときも,その時々のことについて,私から直接御説明しているような状況であります。  そして,広域避難計画(案)ということで,東海村はまだ案の状態ですが,この案をつくるに当たって,意見交換会を2度やっていますし,最終的に案の形の説明会をやっていまして,最後の説明会の場には私も直接出向きまして,直接,住民の方々からのいろいろな疑問にお答えしているところであります。  さらに,広域避難訓練も,東海村では平成29年から実施しております。これを計画(案)の段階でやるのは,いろいろ条件があって,なかなか難しいところであるのですが,これを続けておりまして,その中で,参加した住民の方々から直接,いろいろな御意見を伺って,それを踏まえて,計画の検証をしているところであります。  これが今まで行ってきたことでして,4ページをごらんください。  こちらが,今後,東海村が行おうとしていることでございます。  原発問題を自分ごと化するということで,この取り組みにつきましては,当初,ことしの3月にまず最初の講演会をやろうと思っていましたが,今,コロナウイルス感染症の関係で延期になっておりますが,これはもともとは,島根県の松江市で平成30年度に行われた取り組みであります。  原子力の問題というのは,地元であっても,なかなか声を出しにくいような問題になっていまして,いろいろ講演会とかを企画した場合ですと,通常は,賛成の意見,反対の意見を有識者等に述べてもらって,会場も含めて議論という形になると思うのですが,どうしてもディベートのように,相手を論破するような感じになりがちですので,結果的に,参加した人が一緒に考えるという雰囲気にならない。どうしても感情的なところが出てしまうので,そうならないために,どういう場の設定の仕方があるのかとずっと悩んでおりましたが,松江で行われたこの取り組みは,まず,画期的なことは,住民主体で始まったというところであります。  こういう大きなテーマになりますと,まず,行政がいろいろな情報提供をするというふうに皆さん期待されますが,行政といえども,それを皆さんにきちんと公平・公正に提供するというのはなかなか難しいところがありますが,これは住民が主体となって,それぞれ考えていただくというところで始まった取り組みであります。  そして,当初から,原発推進か,脱原発か,いいか悪いかという結論は出さないというところから始まっているので,そういうことが前提にありますから,自由な意見交換ができるというところで,画期的な取り組みだというふうに思っています。  これは結果的に,4回ほど会が継続されまして,最終的には,「9つの提案」ということでまとめられまして,そのまとめたものにつきましては,国,県,あと,地元市初め,事業者のほうに提出されたというところであります。  これが本当に東海村でできるかどうかというのは,私も非常に悩んだのですが,まず,住民に関心を持ってもらって,住民が冷静に対話できる場とすれば,これは一つの取り組みとしては有効ではないかということで,今,これを考えております。  まず,これをやることによって関心を持ってもらい,そして,無作為で抽出した参加者に冷静に議論してもらう。これはごく限られた人数の方々の話し合いの場になりますが,こういうものをベースにして,多くの村民の方々にその取り組みを知ってもらうとともに,それぞれの村民に,自分ごととして原子力問題を考えてもらえるような土壌ができてくれれば,原子力問題という難しいテーマに対して,住民がさらに真摯に向かい合う。役場もそうですが,関係する方に一様に向き合っていただけるのかなというふうに思っていますので,この取り組みをぜひやっていきたいと。  これはあくまでも,そういう住民の対話を促していくための取り組みですので,その先に最終的な判断をするときの手法があると思うのですが,手法を先に進めるのではなくて,こういうプロセスを大事にして,十分な熟議を深めていきたいというふうに思って,これは本当に難しいチャレンジになるかもしれませんが,東海村長という大きな使命を持っていますので,そこはしっかりやっていきたいというふうに思います。  私のほうからは以上です。 170 ◯下路委員長 ありがとうございました。  ここからは質疑の時間とさせていただきたいと思います。  それでは,ただいまの意見につきまして,質疑がありましたらお願いいたします。  福地委員。 171 ◯福地委員 大変貴重なお話をありがとうございました。  資料をもらって大変感動いたしました。それは,村長の山田さんが住民の集まりに行って,いろいろな話をしている姿を写真で見ました。ネットでも見ました。これは,10キロ圏,30キロ圏でなく,茨城県全体の首長さんも,我々県会議員も,市町村議員も,真摯に向き合って取り組んで,いかにこの問題と向き合うかという姿勢を見せていただいた。松江の話もありましたけれども,自分ごととして,どうやって我々の子孫にきっちりとした姿を見せられるのかという部分に大変感銘を受けました。ありがとうございました。  私は日立ですから隣の町でございまして,よくお姿を見ておりますけれども,原子力規制庁,また,エネルギー庁の職員の皆さん,村民の皆さんが真摯に取り組んでいるという姿を私も見ております。  我々議会として,茨城県としてどのような方向を出すのか,また,首長さんがどのように取り組んでいるかという部分の中では,見えない部分もございますけれども,エネ庁,規制庁,東海第二原発の皆さんと意見を交わしながら,情報を・・・。  私は,資料を見たのは,原発,エネ庁のものも,それから,規制庁のものも初めてでございました。ここまできっちりと取り組んでいる姿は,多分,議員の中でも少なかったのだろうと思います。我々も初めて見る部分もありました。そういう部分では,同じ情報を共有して,県民投票でなくて,自分の自治体の皆さんと膝を突き合わせて話し合う姿を見ました。聞きました。そういう部分では,山田さんに改めて敬意を申し上げたいというふうに思います。  今後,新しくやっていくという姿の中で,どのくらいの回数,毎月やるのか,2カ月に1回なのかという部分の中で,山田さんの考えをお示しいただければありがたいと思います。 172 ◯山田修氏 まず,自分ごと化会議をやる前に,講演会ということで,自分ごと会議とはどういうものかというものを広く知らしめることをやります。それをまず最初にやりまして,その後,実際には住民の中から無作為抽出で選ぶ。これは最終的には,こちらが無作為抽出で選んだ方に通知を差し上げて,参加していただくかどうかという意向も確認する必要がありますので,そういう手続をやって,年度の後半ぐらいから始めますが,これはとても今年度中に終えませんので,来年度にかけて,4,5回続ける必要があるというふうに考えていますが,まだ具体的なところは決まっておりません。 173 ◯福地委員 ありがとうございました。私も原子力のさまざまな委員会に属させていただいて,JAEAも,東海第二原発の方ともお話ししますが,細かいところまではお話ししていません。提案される案件だけですので,今,改めて反省をしているところで,これから日本のエネルギーのもとの中で,どういう方向がいいのかということを,山田村長さんを見習って,一生懸命頑張りたいというふうに思います。  きょうは,すばらしいお話を聞かせていただきまして,ありがとうございました。  以上です。 174 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  設楽委員。  時間もありますので,簡潔にお願いします。 175 ◯設楽委員 設楽です。  きょうは,住民の皆様との意見交換の仕方を詳しく教えていただいて,ありがとうございます。  原子力発電所立地の東海村として県に望むこと,また,茨城県内に44市町村ありますが,例えば,東海村と離れた地域との温度差などもあるのではと推測されますが,私は,周りの市町村に対しても,この自分ごと化会議が必要ではないかと感じながら聞いておりましたが,県に対して望むこと,そして,周りの市町村に対して望むことなど,お願いいたします。 176 ◯山田修氏 県に対してお願いしたいということで,私が今ちょっと思っていることは,やはり住民の安全・安心の部分で,広域避難計画の実効性というのがいろいろ言われております。私自身も,ここは非常に苦慮しているところでありまして,しかも広域避難計画は,広域と名がついているように,市町村単独では限界がありますので,当然,県が主導で全体の調整。いろいろな課題がありますので,それについて,県のほうでも今検証されていますので,そういうところを踏まえて,県民の方に広く情報提供をしていただくことが必要だというふうに思っています。  周囲の自治体の取り組みについては,市町村はそれぞれ首長や議会が考えることですので,私のほうで,こうしたほうがいいということを言える立場にありませんので,それぞれ住民,あと,議会の方々と御相談しながら取り組んでいただければなというふうに思います。 177 ◯設楽委員 わかりました。  県に対しては,広域避難計画の情報提供という部分がありましたが,最終的に安全対策,避難計画ができた後に,決断を出すまでのプロセスの部分に関しては,県のほうでも,自分ごと化会議と同じようなことを行ったほうがいいのではないか。無作為に抽出した県民の皆さんとの意見交換なども継続して行っていくべきではないかと考えていますが,広域の避難計画の情報提供にあわせて,県においても,市町村は独自にということですが,プロセスを踏んだコアな会議をしていくべきと考えておりますが,村長さんとしてはどのように考えていらっしゃいますか。 178 ◯山田修氏 これは,県という立場と市町村で違うというふうに私は思っています。私らは,よく住民と言いますが,本当に住んでいる方と直接かかわっています。でも,県がやる場合は,県民と言いますけれども,住民に市町村が入りますので,県がいきなりというのはなかなか難しいのかなというふうに思っています。そこの情報の提供の仕方は,市町村と県ではある程度違うのかなというふうに思っています。そこは県がやれる範囲で,広域的なテーマなどに特化した形でやっていただいたほうがいい。市町村は市町村で,住民と直接相対していますので,それは市町村の役割だと思っていますので,それぞれの立場でやれることをやっていただけばというふうに思っています。 179 ◯設楽委員 わかりました。貴重な御意見ありがとうございます。  今回,条例案には触れないということですが,これから,最終的には,原子力発電所の再稼働の是非というところに結びついていきますので,引き続き,県議会としてもできることを,また,県としてもできることをしっかり考えながら,ともに歩んでいきたいと思っておりますので,引き続き,よろしくお願いいたします。  以上です。 180 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  長谷川委員。 181 ◯長谷川委員 どうもきょうは,村長の山田様,お忙しいところ,ありがとうございました。  2つ質問させていただきたいと思います。  1点目の質問でございます。基礎的自治体の村長についてお伺いをしたいと思います。  地方自治法第245条に普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与の項目があります。その第2項では普通地方公共団体との協議と明記されております。これの意図するところは,県は,基礎自治体の自主性,自立性に配慮しなければならないというふうに解釈されると思います。  私たち自民党会派は,自民党の発議条例として,今まで幾つかの条例を成立させていただいておりますけれども,その際には,成立する前に,事前に市町村長会議の了解をもらって,基礎自治体の自主性,自立性を損なわないプロセスを経て発議をしてまいりました。  今回の県民投票条例案について,基礎自治体の関係市町村の有権者数と茨城県全体の有権者数では,当然ながら,茨城県全体の有権者のほうが多くなります。仮に県民投票が行われる場合,基礎自治体の有権者数が相対的に少なくなり,この投票が格差となり,基礎自治体の住民意思を毀損することにならないか,問題だと考えております。  そこで質問ですが,基礎自治体として,基礎自治体の1票の重みが毀損されると思われること,また,協議されずに,自主性,自立性が配慮されないこと,こうした点は,村長として,山田様はどのようにお考えになられますか。 182 ◯山田修氏 第245条の第2項の関与のところの関係ですが,正直,私自身,そういう観点でこれを考えたことはなかったのですが,これは,県という立場からすると,多分,自治体ごとのいろいろなバランスですとか,いろいろなことが考えられるのかなというふうに思いますが,これはあくまで県のほうの考え方というふうに思いますので,そこについて,私のほうで申し上げる立場にはないかなというふうに思っています。  当然,立地の自治体として,私は私として,住民に対して,いろいろな意見を求めたりして,私自身の判断も必要になってきますので,住民の意見を反映した意思表明というのはきちんとできますので,それについて,私のほうで何か特段気にしているということはありません。 183 ◯長谷川委員 ありがとうございました。  それでは,時間もありますので,2点目の質問に移らせていただきます。  2点目につきましては,村長である山田様自身の思いについて,ちょっとお伺いしたいと思います。  先ほども有識者の古屋氏のお話にもありましたけれども,茨城県は原子力の先進県,東海村は,その中でも原子力発祥の地であります。基礎研究から発電,再処理施設,燃料工場,そしてバックエンドに至るまで,原子力の総合的な地域として発展してきたと思います。その間,原子力行政を体現してきたと思っております。全国には多くの原子力立地市町村があると思いますが,全国原子力発電所所在市町村協議会の中でも,東海村長の存在・発言は重いと聞いております。  そこでお聞きしますが,3.11東日本大震災以降,原子力を取り巻く環境は大きく変化をしてきました。その中で,東海村ではどのような変化があったのでしょうか。また,どのように感じておられているのか,あわせて,これからどのように原子力行政に対し向き合っていかれるのか,東海村の思いも含めて,村長のお考えを聞きたいと思います。 184 ◯山田修氏 私の思いということでございますが,東日本大震災以降,確かに,原子力に対するいろいろな厳しい御意見は私の耳に届いていますし,当然,村民の中からも,そういう声は私のところに届いています。  それは事実でありますが,一方で,東海村は原子力発祥の地ということで,1957年に最初の灯がともってということで,もう60有余年,原子力と向き合ってきております。これも本当に,先ほど言いました積み重ねではあります。これは日本原電だけではなく,原子力機構であったり,燃料会社であったり,JCOの事故も不幸でしたが,今現在,11の事業所を抱えていますので,この特殊性は,確かに全国でもまれな地域だというふうに思っていまして,当然,原子力問題については,住民もそこはしっかり受けとめているのだろうなというふうに思っています。  住民の中にはいろいろな思いもあります。なかなかそれを表現できていないところがありますので,そういう思いも私は酌み取りながら,それは,私自身が村長という職責を果たす意味では,本当に大きな使命だと思っていますので,私自身は,この問題について,きちんと答えを出せるように,これからも取り組んでまいりたいと思いますし,それは東海村長としての覚悟でもあるというふうに思っていますので,そこはぶれずにやっていきたいというふうに思います。  以上です。 185 ◯長谷川委員 東海村長におかれましては,原子力施設の立地自治体の長として,また,原子力発祥の地の自治体の長として,これからもいろいろな形で,再稼働の問題も含め,今回は県民投票条例の議案に対する審議ということでございますけれども,国のエネルギー政策の問題,また,環境の問題,大きな,これからの日本のあり方について,私ども議会も真剣に立ち向かっていかなくてはならない時点だと思いますので,今の村長のお話を参考にしながら,今後も活動していきたいと思います。  きょうはありがとうございました。 186 ◯下路委員長 ありがとうございました。  ほかにございませんか。  それでは,時間も来たようでございますので,以上をもちまして,山田様からの意見聴取を終了したいと思います。  山田様におかれましては,大変貴重な御意見をいただき,まことにありがとうございました。 187 ◯山田修氏 ありがとうございました。 188 ◯下路委員長 ここで暫時休憩をいたします。  なお,再開は,15時30分といたします。                 午後3時12分休憩        ───────────────────────────                 午後3時31分開議 189 ◯下路委員長 それでは,休憩前に引き続き,委員会を再開いたします。  最後に,条例制定請求代表者を御紹介いたします。  鵜澤恵一様,山崎咲知子様,徳田太郎様でございます。  皆様方には,大変お忙しい中,御出席をいただきまして,まことにありがとうございます。  委員会を代表いたしまして,心から御礼を申し上げますとともに,忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  本会議初日に,代表して徳田様から意見陳述をいただきましたので,ほかのお2人から補足で御意見をいただき,その後,質疑を行いたいと思います。  それでは,御意見がありましたら,お2人合わせて15分以内で御発言をいただければといふうに思っております。よろしくお願いをいたします。 190 ◯鵜澤恵一氏 いばらき原発県民投票の会・請求代表者の1人,鵜澤恵一と申します。ひたちなか市民で,水戸市で会社員をしております。  本日は,発言の機会をいただき,ありがとうございます。少しだけお時間をいただいて,私が県民投票の活動に加わるようになったきっかけなどをお話ししたいと思っております。  ここ数十年で世の中は実感として大きく変わりました。特に東日本大震災以降,私には危機感が募っております。  それは,この国の物事の決め方についてです。大事なことなのに,きちんと議論されることなく決まっていってしまうという現実です。それは,国の最高機関である国会の様子を見ていてもそう感じます。異なる意見を持つ者同士がまともに議論することなく,ただ予定していた主張を繰り返すだけで,何の歩み寄りもなく,私たちの思いとはかけ離れたことを決めていってしまう。それはあらゆる場面で見かけて,枚挙にいとまがありません。残念ですが,それが現実だと思っております。  私は大学生と高校生の父親です。子どもたちに少しでもよい社会を残したい。そんな社会の形は何なのか,そして,どうすれば実現できるのか,そういったことが私の市民活動の原動力となっているのです。きれいごとだけで済ますわけにはいかないのです。それは,子どもを育てる親という言いわけがきかない当事者だからです。  さて,東海第二発電所に関しては,茨城県民全員が当事者です。ですから,みんなで考えるべきだし,みんなで意思を表示する権利があると思います。まさに県民投票の趣旨はそこにあると思います。意思を表示し,それらをもとに,議員の皆様に託したいと思っております。  県民投票の活動として,子どもたちに残すべき社会の形,それは,さまざまな意見を出し合い,共通の着地点を見出せる社会であると思うようになりました。さまざまな意見を持つ人たちが暮らす中で,お互いを尊重しつつ熟議して,時には妥協し,現時点での最大公約数は何なのか,きちんと答えを出していける社会です。
     東海第二発電所の再稼働問題が決着した後も,きっと新たな問題が起こってくると思います。そのときも,どういう意見を持つ人たちであれ,ちゃんと向き合い議論して,合意していける茨城県民,そうなっているために,この県民投票を実現したいと願っています。  今の私は,再稼働賛成派でも反対派でもなく,県民投票派です。  私は,請求代表者として,署名期間中,何軒ものお宅を訪問させていただきました。趣旨を理解していただくためには,とても丁寧な説明が必要で,とても時間がかかるものでした。でも,その時間はとても貴重だったと思っております。時には小一時間も話し込んだこともありました。初めは否定的だったけれども,話し合っていくうちに,ぜひ署名させてくれという方も少なくありませんでした。  署名してもらった人たちは,いろいろな思いを持つ人たちでしたが,何とか自分たちの意思を県民投票であらわしたいという点で共通していました。しかも署名に応じてもらえる割合は予想を超えるものでした。  こうやって集めた8万6,703名の方々の思い,署名を集めてみて,改めて,その重さを感じております。  第二発電所の再稼働は,自分たちの暮らしに直結しております。しかし,タブーとされ,話せなかったという多くの人たちの思い,その積み重ねを強く感じます。  県民投票にはさまざまなリスクや心配が伴うのは承知しております。十分考えないで投票する人たちがいるのではないか,お金がかかり過ぎるのではないかなどです。しかし,その心配で県民投票はやらないというのではなく,考えられるリスクをできるだけ小さくして,ぜひ県民投票を実現してほしいです。  8万6,703人の署名者,そして,3,555人どころではない多くの受任者の人たち,そして,その背後にいる,お会いできずにいる多くの人々。  戸別訪問を繰り返した実感では,どこの町でも,おおむね2人に1人は署名してくださいました。署名を1筆集めるごとに,その人にとって大切なものを一つずつ預かって背負う気持ちがあります。なので,署名を集めた後,その思いはどんどん大きくなっていきました。  そして,その人たちの思いは,パブリックコメントやアンケートでは十分受けとめられないのではないかと私は思うのです。  特にパブリックコメントでは,議論をせずに,論点を正確に県民が把握することが難しい中で,出された意見は,極端な意見や的外れな意見にとどまってしまう可能性が高く,ましてやテーマに関する情報がない。多数派の方々の意見は到底酌み取れないと思われます。  また,アンケートについても,一般的には単なる調査という趣旨が強いもので,私たちの意思表示の手段として,県民投票のように重みのあるものとは思えません。やはり,条例に基づいて実施される県民投票こそ,民意が反映されるものと考えます。  この声を県政に届けたいという県民の思いとか願いは,今や議員さん皆様の手中にあるのです。きょう,これから審議していただくのですけれども,より明確に民意を酌み取る方法としての県民投票,そこに焦点を当てて,熟議をいただきたいと強く思います。そして,県民投票実現に向け,議会の皆様に県民の後押しをしていただきたく思っております。  御清聴ありがとうございました。 191 ◯下路委員長 山崎様,どうぞ。 192 ◯山崎咲知子氏 石岡市在住の山崎咲知子です。請求代表者の1人としてお話しさせていただきます。  先ほど鵜澤からもありましたが,私も署名期間に県内各地で戸別訪問をしました。東海村でのことです。  原子力発電所がある地域で,デリケートな問題に対して,言葉に詰まる方もいるだろうと想像していましたが,1軒のお宅で庭仕事をされていた老婦人にお声がけをしたところ,手をとめて私の話を聞いてくださいました。そのとき私はその方から,原発とともに生きてきた中で感じていることをお聞きして,自分がこれまで,原発がある村で暮らす人たち,働く人たちの葛藤をしっかり想像できていなかったことを突きつけられました。それでも,だからこそ,県民一人一人が学び考えるチャンスをつくるために,この県民投票を実現したいのですと丁寧に説明をし続けると,その方は庭に招き入れてくださり,縁側に座って署名をしてくださいました。  8万6,703筆,この一筆一筆にこうしたエピソードがあります。重ねられた対話があります。  県民投票プロセスは,民主主義の最良の学校を建設する道のりであると,本会議での意見陳述で徳田が述べていたこの言葉は,署名期間中だけでなく,受任者集めのために,県内各地を訪れて,対話を重ねていった日々の中でも強く実感いたしました。  これまで,ほとんど市民活動をやったことがない人たちが署名を集めたり,議員に面会を求めるといった活動に参加してくれました。そして,たくさんの友人たちが,私にも意思表示をさせてほしいと立ち上がってくれました。  私たちが求めている県民投票は,単に投票の行為を意味するのではなく,それまでの学びや対話によって,理解が深まっていくプロセスをセットとしたものです。県民投票が実現した社会を想像してみると,一人一人の意見が大切にされ,自分の生きる社会,コミュニティについて責任や関心を持ち,よりよい仕組みをつくることに参加する人がふえている世界が思い浮かびます。自分の意見が大事にされると実感の持てる丁寧なプロセスにこそ,民主主義が宿るのだということを強く感じています。  先日,一般質問の中で,加藤明良県議が,東海第二発電所の再稼働は,果たして住民投票の二者択一で判断できるテーマであるのだろうか,判断が大きく分かれる難しいテーマであるからこそ,議会での本格的な議論が行われていない現段階で,住民に賛否を委ねるということを先に決めてしまうことは,議会にとっても行政にとっても非常に無責任なことなのではないかとおっしゃっていましたが,まず,二択としたのは,再稼働に関する県の意思表示は,同意か,不同意かの二択以外にはあり得ないからです。  そして,もう一つ,議会での本格的な議論が行われていない現段階で,住民に賛否を委ねるということを先に決めてしまうことは,非常に無責任なことなのではないかとありますが,県民投票は住民に賛否を委ねることにはなりません。県民投票プロセスを経て,練られた民意から出た結果をしっかり受けとめて,県議の皆様には,責任を持って議論をしていただき,その上で,知事には,再稼働に同意するのかどうかを判断していただければと思っております。  最後に,今,世界では,民主主義を再び問い直す出来事が沸き起こっています。ここ茨城県で起きている県民投票を求める動きも,その一つとして注目を集めております。  御存じのとおり,県議会のインターネット中継のアーカイブは,You Tubeで視聴が可能ですが,現在,6月8日の意見陳述の動画の再生回数は3,200回を超え,茨城県の県議会動画としては過去最高の再生回数となっていることからも,関心の高さがうかがえます。  どうぞ,民主的で公正な社会の実現のために,県議会議員の皆様が持っている力をお使いいただけることを心より願っております。  ありがとうございました。 193 ◯下路委員長 ありがとうございました。  ここからは質疑の時間とさせていただきたいと思います。  まず,申し上げます。  条例制定請求者代表として,3名の方が御出席しておりますが,今から質問する委員は,質問者を御指名いただいて質問をしていただければというふうに考えております。  それでは,ただいまの御意見につきまして,質疑がありましたらお願いをいたします。  玉造委員。 194 ◯玉造委員 それでは,条例の請求者の代表の方にお尋ねをしたいと思いますが,議会の初日に提出の理由を説明されたこともありますので,徳田さんにお尋ねをしたいと思います。  まず,請求者の代表の皆さんには,この間,県民の皆さんのもとに足を運んで署名を集められたことに心から敬意を表したいと思います。  その上で,きょう,これまでの質疑の中で,お尋ねしたいことが2点ございます。  まず,1点目,お聞きしたいと思いますが,情報提供のあり方ということで言えば,皆さんの先ほど述べられた趣旨,それから,初日の提案理由,それから,きょう,さまざまな方がおっしゃったことは共通の項目でありまして,その上で熟議をすべきだということも共通しております。  その上で,今回,皆さんが県民投票を選択された理由について,御説明をいただきたいと思います。 195 ◯下路委員長 徳田様,前の発言席でお願いします。 196 ◯徳田太郎氏 着座にて失礼いたします。お答えいたします。  情報提供の必要性という御議論に関して,かつ,県民投票を選択した理由はなぜかということでございました。  まず,大前提として申し上げたいのは,情報提供の方法はさまざまあろうかと思いますが,これは,最終的に県民投票をやるかやらないかにかかわらず,必要なことであると思います。情報提供が困難であるということを理由に,県民投票条例案を否定するということは存在し得ないことかなというふうに考えております。  なぜ県民投票なのかといいますと,最終的に,県の意思表示をするときに,同意か不同意かの二択で意思表示をするわけです。ですので,それに適切に反映するためには,最終的には,賛成か反対かという二択で民意を集約する必要がある。それに最も適しているのが県民投票であるいうことでございます。  かつ,県民投票プロセスという言葉を,意見陳述の際にもお伝えしましたけれども,県民投票は他の意見集約方法を排除するものではありません。ほかの方法と組み合わせて使うことが可能です。  先ほど東海村長のほうから,自分ごと化会議に関しての御報告がありましたけれども,自分ごと化会議というのはミニ・パブリックスという手法の一つです。世界的に例を見ますと,ミニ・パブリックスと直接投票というものを組み合わせて,意見の練られた民意を集約するということを行っている例がございます。  例えば,茨城県の人口に近いところで言いますと,米国のオレゴン州は383万人のところですけれども,無作為抽出の住民24名が5日間,情報に基づいて熟議を行った上で,その結果を声明文として公表する。賛成,反対のパネリストの人数とそれぞれの理由が記された報告書を作成しまして,それを全有権者に配布する。その上で投票を行うということをしております。  このように,多様な手法を組み合わせて,最終的に県民投票という形で二択に集約していくということで,最も適した方法であるというふうに考えております。  以上です。 197 ◯玉造委員 その情報提供の上で,今回,県知事のつけられた意見でも,今のところ判断できないと。県民の意見を聞く方法にはいろいろあるけれども,県民投票を聞く段階ではないという判断だということが説明でありました。  そうしますと,例えば,時期尚早論に対して,皆さんはどうお考えになるのか,これをお尋ねしたいと思います。 198 ◯下路委員長 申し上げます。  徳田様,弁舌が速くて,もう少しゆっくりお話をいただければというふうに思っております。  徳田様。 199 ◯徳田太郎氏 失礼いたしました。  時期尚早であるという御議論がございましたが,まず,大前提としてですが,なぜこのタイミングでの直接請求になったのかということをお伝えしたいと思います。  東海第二発電所の事業者である日本原電は,従来,再稼働に向けた事故対策工事について,2021年3月までに終了したいというふうになっておりました。それに合わせて,それに間に合うように,県民投票プロセスを踏むことができるようにということで,1月6日に署名収集活動を開始したところです。その後,1月28日に,工事完了の予定時期が2022年12月にずれ込むということが発表されました。ですので,当初のスケジュールを前提として進めていたというのが1点ございます。  そして,2点目,コロナウイルスに関連して,なぜこの時期なのかという議論もございますが,日本国内で初めて感染者が確認されたのが1月16日です。これも手続を進めて以降のことでございます。  直接請求の手続は,一度開始をしますと,中断することも延期することもできないということを認識いただきたいなというふうに思います。  ですので,仮に時期がまだ十分に整っていないというようなことであれば,それは継続審議の理由にはなるかもしれませんが,今議会において,この条例案を否決するということの理由には全くならないであろうというふうに思いますし,それから,先ほど申し上げましたような情報提供のプロセスをしっかりと踏むためには,すぐにでも着手する必要があるというふうに考えます。  以上です。 200 ◯玉造委員 委員長,終わります。ありがとうございました。 201 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  二川委員。 202 ◯二川委員 県民フォーラムの二川でございます。  本件に関しましては,私はひたちなか市ですので,せっかくですので,鵜澤さんにお答えをいただければというふうに思います。  皆様方,請求代表者の方々の意見陳述もいろいろと聞かせていただきました。並びに,今回,直接請求をするに当たりまして,厳しい条件の中においても,8万6,000筆を超える署名を集められたということで,その重さを感じさせていただいてございます。  こちらは私の私見ということでございますけれども,このたびの署名活動ということに関しては,いわゆる反原発ではないということを含めて,県民の皆さんの意思を反映させる手段を訴えるものとして活動したというふうにされておりますし,また,署名活動時,中立性を保ってというようなお話がございました。  そこが正しいのかどうなのかということについては,それぞれの受けとめ方があるということですので,私の私見を述べるというところではございませんが,今回のこの署名活動というところにつきまして,県民全体の課題と捉えるということでありますが,これまでの審査会の中でも,地域性というものを非常にはらむ内容。もちろん,原子力行政に一番近い位置にいる人たちの思いが一番強い。これは当たり前のことでありまして,残念ながら,署名活動の中においては,その点が少し見えなかったなというふうに私は感じさせていただいておりますけれども,地域性というものを考えたときに,どういった点で,今回,住民投票というものを実施すべきだというふうに考えたのか,いま一度,お話をいただければというふうに思います。 203 ◯鵜澤恵一氏 上手に話せるかどうかわからないのですけれども,私たちが署名集めを始める前に1年間の準備期間がありまして,そこで県内各地で,県民投票カフェという形で学習会を繰り返したのです。それで,会の目的として,投票をやればいいというわけではなくて,投票に至るまでのプロセスが大事だという二本立てで考えてきたのです。  それで,県内各地でやっている最中,実感として,おっしゃるように,東海第二発電所に関する温度差みたいなものは,東海村でやったときと鹿嶋でやったとき,あるいは取手あたりでやったときと全く違うものがありました。  ただ,それは,多様性といいますか,直接,署名集めをしたときに,いろいろな方とお話ししたというお話をしましたけれども,そういった意味では,地域性というよりは,いろいろな人がいて当たり前だと私は思うのですね。なので,そこをうまく集約するための切り口として,県民投票というのは非常に有効なのではないかなと思っております。  私はひたちなか市に住んでいますけれども,とかくタブー視されるという性格がありまして,本当は大事なことで,皆さんの生活がかかっているお話ですとか,安全性もありますけれども,それ以上に,ここの茨城をどうしていくべきなのかというすごく大事なお話なのにもかかわらず,タブー視されて,話ができないような雰囲気があるので,そこは地域性という言葉もそうなのですけれども,いろいろな意見の人たちが同じ土俵で考えられる場をつくりたいという思いも非常に強かったのですね。なので,準備期間も含めて丸2年間ぐらいやるのですけれども,県内でいろいろな普及活動をしてきました。  答えになっていますでしょうか。 204 ◯二川委員 ありがとうございました。この地域性というものにつきましては,非常に難しいというか,どのように判断するかということに関しては,いろいろと考え方が分かれるという部分かというふうに思います。もちろん,多様性を受け入れるということに関しては,非常に重要なプロセスでありますし,とはいっても,それぞれの地域が抱える思いというものも,個人で考える部分と地域で考えてなくてはいけない部分も必要なのかなというふうにも感じさせていただいているところでございます。  さらに,今回,提出いただきました住民投票の条例案の中身につきましては,いわゆる成立要件というか,今回のこの住民投票の結果は,何をもって正当性があるものなのかどうなのかということについては,余り規定はないというような感じを私は受けさせていただいております。いわゆる法的拘束力はないということにおいて,私たち議会と長の議論を妨げるものではないということでありますけれども,世間一般的に捉えた場合に,法的拘束力を持たないものの,事実上は,その話をもとに議論が展開される,そちらのほうに話が流されていくといったことは否めないかなというふうにも思うところでございます。  そういった点を含めて考えたときに,この法的拘束力を持たないという点についてどのように考えるか,どうあるべきか,この辺について,いま一度,お考えをお聞かせいただきたいと思います。 205 ◯鵜澤恵一氏 法的拘束力を持たないといった意味では,せっかく議員がいて決めるのに,私たちが,高いお金をかけて,苦労して県民投票などをやる必要はないのではないかというお話は何回も聞いたのです。ですけれども,それは法的拘束力がないということは,結局,強制できないので,それがないからこそ,知事もそうですが,議員の人たちがそれを題材に,うまく民意をはかるためのツールとして成り立つと思うのですね。なので,そこでうまく私たちのやったことを使ってほしいのですね。答えになっていますか。 206 ◯下路委員長 徳田様,何か補足があれば,発言を許します。よろしくお願いします。  徳田様。 207 ◯徳田太郎氏 法的拘束力のない県民投票という御指摘でございました。ちょっと不思議なのですけれども,一方で,代表制の否定だというふうに主張されて,他方では,拘束力が必要だというふうに主張されることは,ちょっと意味がよくわからないのですが,条例に基づく直接投票は,憲法第94条は,地方公共団体は,法律の範囲内で条例を制定することができると規定しておりますので,地方自治法で付与された首長や議会の権限を拘束する条例案とすることは困難であるということです。ですので,条例に基づく県民投票が法的拘束力を持つというふうに解釈することはなかなかできない。拘束力を持たせるのであれば,憲法第95条,第96条に規定がございます。または法律に基づく投票ですね。合併特例法であるとか,いわゆる都構想の住民投票であるとか,そういったもの以外にないわけでございますので,この段階でその議論をされても,なかなか難しいところがあるのかなというふうに思います。  以上です。 208 ◯二川委員 ありがとうございました。おっしゃるとおりです。その点につきましては,私のほうも理解はさせていただいております。法的拘束力がないから,今回のことは意味がないということを言うつもりではなくて,法的拘束力がないというものではなくて,実際に県民の皆さんが非常に強い思いを示しているということになれば,それと同等な扱いをしなければいけないものであるべきだというふうに私は考えさせていただいております。  そういった点においては,本来であれば,法律で決まっていれば,これは成り立つものということで理解できる。私たちも素直に受け入れることができるというような状況になるかと思いますけれども,今の状態では,それができないということからすると,これに対して,どうやって正当性,妥当性というものも持たすことができるのか,ここについて,しっかりと考えなければいけないというふうに思ってございます。  そういった点において,今回,皆さんに提出していただいた条例案について,望むべき投票率であるとか,いわゆる成立要件的なもの,もしくは投票結果,ここの数値がどういう形であるべきなのかという点について,余りお示しもありませんでしたし,議論もまだ全然できていないという状況でありますので,この点について,どういうふうにお考えなのか,お聞かせいただきたいと思います。 209 ◯下路委員長 二川委員,徳田様でよろしいですか。 210 ◯二川委員 そのまま,いいです。 211 ◯徳田太郎氏 投票率による成立要件を課すべきではないかという御質問かというふうに理解いたしました。  平成29年8月27日執行の茨城県知事選挙の投票率は43.48%,平成30年12月9日執行の茨城県議会議員選挙の投票率は41.86%という状況にありますが,これに関して,正当性に関する疑義が呈されているわけではないかと思います。かつ,茨城県議会議員選挙の投票率において,最も低投票率であった牛久市では34.49%,かつ,59名の議員のうち,17名の方は無投票当選という状況でございますが,これに関しても,正当性に関する疑義が呈されているわけではないと思います。なぜ住民投票においてのみ,投票率による成立要件を設ける必要があるのだろうかというふうに考えます。  ただ,確かに低投票率の場合には,結果的に,有権者の少数派が決定を制するという危険性があるかもしれません。ただ,これは投票率ではなく,絶対得票率を可決要件とすることで回避が可能でございます。本条例案第18条ではこちらを採用しております。賛否いずれか多いほうが有権者の4分の1以上,すなわち約60万7,500票以上ということになると思いますが,その場合には,日本原電や国と協議して,その結果を反映するように努めなければならないというふうにしております。  先ほど,田村委員のほうでしたか,この投票,この4分の1に関して御質問がありましたが,なぜ4分の1なのかといいますと,50%以上の投票率があった場合の過半数となるからです。それと同じ得票数が必要となるからでございます。かつ,この場合,開票しなければ,どちらが多かったのかというのがわかりませんので,開票が必要となるということです。  投票率を要件とした場合には,ボイコット運動が起こるのが通例です。争点に関する賛否の議論が投票の賛否の議論にすりかわるということは,県民の声を聞くという県民投票の目的に照らして,全く好ましいものではないというふうに考えます。  かつ,不成立ということをおっしゃいますが,今回は尊重義務が課せられているわけです。その尊重義務が生じないということであれば,理解が可能です。現にこの条例案でも,その意味での成立要件を設けております。ただ,これは開票もしないということを意味するのであれば,これは税金を用いて投票を実施したにもかかわらず,その結果を県民に知らせないということになりますので,これは決して許されるものではないと思います。ですので,投票率による成立要件ではなく,絶対得票率による成立要件を設けているところです。十分な正当性を有していると思います。  以上です。 212 ◯二川委員 ありがとうございました。皆様方がお考えになっていることにつきましては,十分認識をさせていただいたというところでありますので,今この時点で,私たちの考え方を示すというものではございませんが,私としては,今回のこの件について,しっかりと議論を進めていく必要性を感じているということはもちろんでありますけれども,より有意義な住民投票という形になるべきだというふうにも考えさせていただいておりますので,それだけ申し上げさせていただきまして,私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 213 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  江尻委員。 214 ◯江尻委員 日本共産党の江尻加那です。  請求代表者の3名の方にそれぞれ一つずつお伺いさせていただきたいと思います。  徳田さんには,時期尚早という午前中からのやりとりが何度かあるのですけれども,この6月の今定例議会で,何としても結果を出さなくてはならない条例案なのか,それとも,熟議を深めるために議論を継続させる,いわゆる継続審査ということも,県民投票の会としてはあり得るのか,お聞かせいただきたいと思うのです。
     といいますのは,私も,日本共産党として,実は今議会の定例会で一般質問枠がなかったものですから,その上で,きょうの審査会に臨ませていただいております。  きょう一日の審査会で,議論が十分深まったと県民の方が実感されるのかどうかということも大事だと思います。しかし,今のコロナ感染症対策のもとで,今議会をさらに会期延長するというのもなかなか難しいし,今度の土曜日も使って予算特別委員会を行うという異例のタイトなスケジュールの定例会ということもあります。  そういう中で,今議会で議決しなければならないということなのか,その辺を,会の方の御意見として伺いたいと思います。  鵜澤さんのほうには,署名を集めるときに,ぜひ県民投票をやってほしいという前向きな意見だけではなくて,否定的,後ろ向きな意見もあったと思います。  そういう中で,例えば,自分は県民投票をやってもらいたいと思っているけれども,一生懸命署名を集めて議会に出しても,どうせ否決されてしまうのではないかと思われてしまうと,私も議員として,とても残念なのですが,そういう否定的な意見がある中で,どうやってこの9万筆に近い署名を積み上げられてきたのか,その思いを改めて伺いたいと思います。  最後に,山崎さんには,きょうの参考人10名の中で,ただ1人の女性です。今の時代,男性,女性というくくりはありません。しかし,今の政策決定のプロセスの中で,女性や少数者,マイノリティーが参加していくということは,実際上,まだ不十分だと私も実感しております。ましてや有権者ではない子どもたちの未来に係る今回の問題でもありますけれども,そういう多様性のある県民の声をどうやって議会・県政に反映させていくかという大事な取り組みだと私は受けとめているのです。  そうはいっても,県政・県議会は,存在としてはどうしても遠かったと思いますが,山崎さん自身,今回の取り組みを通して,少しでも県政・県議会を身近に感じていただけたのか,何か議会・議員に期待していることがありましたらお示しください。 215 ◯下路委員長 それでは,まず,徳田様からお願いします。 216 ◯徳田太郎氏 お答えいたします。  今議会において,必ず成立をさせる必要があるのかという御質問でございました。先ほど,玉造委員からの時期尚早ではないかという御意見に関連しても申し上げました。仮にその時期の問題があるのであれば,それは否決の理由ではなく,継続審議の理由ではないかというふうに申し上げました。したがいまして,継続審議という御判断をいただくのであれば,それは会として承りたいなというふうに思っております。  以上です。 217 ◯鵜澤恵一氏 御指摘のとおり,県民投票の戸別訪問を何度もしたのですけれども,結構厳しい意見もございました。例えば,とてもよく感じるのは,原発という言葉を聞くと,拒否反応を示される方がやはり多かったのですね。それなので,原発問題というのはすごくデリケートなのだなと。私はひたちなかですけれども,特にひたちなかとか,東海村とかでは,そういう反応をされる方が結構いらっしゃいました。なので,そこら辺で苦労した点はあります。  あと,私は基本的に余り営業タイプではないのですけれども,最初は戸別訪問で,コロナになって,電話で説明とかをしたのですね。それで,ピンポンを押すではないですか。それで,まず「県民投票です」と。「何の県民投票?」と言って,それで話が始まるのですけれども,説明をすると,最初は非常に厳しい意見で,そんなことをやる必要ないのではないかという方々がいらっしゃるのですけれども,話していくうちに,共感してくださる方が結構いらっしゃったということがあります。  あとは,そういった中で8万6,000筆ということなのですけれども,県民投票カフェをやっていくうちに何度も聞かれたのですね。今の茨城県議会の構成だったら,どうせ否決されるのだから,やっても無駄ではないのかということを何度も言われたのですけれども,私は,主役は県民だと思っているのです。  今回,議会で何らか結論は出るのでしょうが,このテーマはその後もずっと続く話で,いきなりプツッと切れてしまうわけではないので,今回の県民投票プロセスは,県民のこれからの意識とかにかなり大きな影響を及ぼしつつあると私は思っているのです。というのは,過去1年間ないし2年間,県内でいろいろな学習会とか勉強会をやってきた自負がございますので,そういった意味では,既に8万6,000筆集まったということ自体が,変わりつつある茨城県民だという思いでいます。  以上です。 218 ◯江尻委員 ありがとうございます。 219 ◯山崎咲知子氏 江尻委員には,御質問をいただき,ありがとうございます。  きょうのお話をするときに,1つ,エピソードとして入れなかったエピソードがありまして,水戸の駅前で署名活動をしている際に,お2人の老夫婦に署名に来ていただいたのですけれども,そのときに中学生の男の子が一緒についてきていまして,その子が「この県民投票はすごく大事な活動なのに,僕は中学生だから署名ができない。だから,おじいちゃんとおばあちゃんを連れてきた」というふうに言って,未来の有権者のその1人の男の子がそうやって連れてきてくれたというエピソードがありました。そのときに私は,私たちが集めた8万6,703筆だけではない県民の声があるということをすごく実感しました。  それは,先ほど江尻委員がおっしゃってくださったような未成年であったり,あと,マイノリティーというか,少数派の人たち,どうしても声に出しにくい人たちがいて,そういう人たちの声は届いていないのだなということを実感しています。  でも,先ほど鵜澤が言ったように,ここまでのプロセスで,本当にたくさんの対話をしてきて,私と同世代の,特に,私の周りには女性が多いのですけれども,仲間たちがすごくできて,女性の力みたいなものを感じていて,県民投票のプロセスが本当に今から始まった,この先,民主主義というものが本当に茨城県に根づいていくというスタートを切ったのだということを今実感しております。  簡単ですが,以上です。 220 ◯江尻委員 ありがとうございます。改めて重く受けとめさせていただきました。ありがとうございました。 221 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  石井委員。 222 ◯石井委員 いばらき自民党の石井邦一でございます。  参考人の皆様には,本日,連合審査会審議に当たりまして,御出席をいただきましたことに心からお礼を申し上げるところでございます。本当にありがとうございます。  今回,皆様方から提出されました東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例については,本当に皆様方の御努力によりまして,県の受理される要件をクリアする約8万7,000人の方々の御署名を集めてこられたということで,その御尽力には,私どもも敬意を表するところでございます。  我々県議会議員も日夜,県民の声,そして地域の声を県政に届けるために活動をしているところでございます。  しかし,今回,皆様方が直接,この県民投票条例を提出されたということについても,重く受けとめなければならないと考えております。  そこで,質問に移らせていただきますけれども,まず,初めに,率直にお伺いをいたします。  先ほど鵜澤氏から,中立の立場で署名活動を行っていたというようなお話もございました。  これは,今度は,共同代表である徳田代表にお伺いをさせていただきますけれども,原発再稼働に対して賛成の立場なのか,それとも反対の立場なのか,どのような立場で署名活動の共同代表を引き受けられたのか,まず,お聞かせ願います。 223 ◯徳田太郎氏 お答えいたします。  請求代表者としての再稼働への賛否を示せという御趣旨かと承りました。  3点ございます。  まず,1点目です。それは本条例の審議とは無関係であるというふうに考えます。  2点目,これは私の話ではございませんが,本会としては,再稼働あるいは原子力政策に関する意見の相違にかかわらず,参加できるということを重視してまいりました。ですので,多様な考え方のメンバーがいます。  そして3点目,私個人としましては,賛否を明らかにするのは,避難計画や国の指針などが明らかになってから議論を深めた後のことであり,現在では判断材料が不足しています。将来の我が国の産業や科学技術の発展を望み,経済・産業政策,環境・エネルギー政策,安全対策などをしっかり構築した上で,みずからの意思を示すことが責任ある対応かというふうに考えておりますので,県民投票において,私自身の意思を示したいというふうに考えております。  以上です。 224 ◯石井委員 ありがとうございました。中立であるとのことの回答かなと思っております。先ほど鵜澤氏からもお話がありました。署名活動を行っていく中において,非常にデリケートな問題であるというような回答も出たところであります。  私も,幾ら中立な立場であったとしても,県民の捉え方というのはさまざまなものがあるのだろうと思っております。  そういう中で,偏った投票運動がなされる可能性は否定できないものであると思っております。理由を聞かない。そして,二者択一での質問は,回答者の正確な意図がわかりません。政策決定を行う際は,採決の前に,お互いを尊重して議論を尽くすということが必要であると考えます。  再稼働の是非の前提として,安全性の検証,実効性ある避難計画の策定,県民への情報提供の3点が挙げられます。前提条件が明記されていない状況で,かつ,多様な意見を論議し得る実行可能な方策が不明である中で,条例第11条は,二者択一で県民の意思を問うこと自体,非常に課題であるのではないかと私も思っておりますし,先ほど徳田共同代表からも,選択する情報がないという発言もあったように見受けられます。  次に,徳田共同代表に引き続きお伺いをいたします。  原発が再稼働すれば危険である,原発が再稼働しなければ危険ではないと認識をしておりますか。 225 ◯徳田太郎氏 原発の再稼働が危険であり,再稼働しなければ危険ではないという認識かということでしょうかね。いや,それは当てはまらないと思います。再稼働していなくても危険があるかもしれませんし,再稼働していても危険がないかもしれません。それは一般論として語ることはできないというふうに考えております。  以上です。 226 ◯石井委員 まさしくそのとおりだと私も思っております。新潟県議会の1月臨時議会において,原発の再稼働の有無にかかわらず,放射能への危惧は消えないと論議されております。原発の課題は,放射能への心配というのが本質ではないかと私は考えます。また,福島で,稼働していない4号機も水素爆発を起こしております。原発が再稼働しなくても,そこには核燃料があり,危険性は変わらないということでございます。  次に,意見陳述の中に,その結果をともに引き受けるとあります。これは具体的にどのようなことを示しているのか不明ですが,稼働されないことのリスクとして,立地自治体の地域振興,経済的損失,損害賠償,それらに伴う増税などが将来的に課題となったときに,これらも引き受けるということでよろしいでしょうか。 227 ◯徳田太郎氏 その結果をともに引き受けるということでございますけれども,これは私たち県民一人一人が意思表示をすると。その結果,何らかの知事の意思表示につながりまして,それで,例えば再稼働の賛否が決定したと。それについては従うというのがまず第一の責任かというふうに考えております。  第二に,仮に基礎自治体の,例えば雇用とか産業といったところに関して,問題が生じるというようなことであれば,そこはやはり議会で御議論をいただく必要があるだろうなというふうに思っております。  以上です。 228 ◯石井委員 わかりました。  最後に,我々いばらき自民党は,条例を数多く制定してまいりました。その過程,プロセスの中においては,市町村自治体の意見もしっかりと反映できるように我々は取り組んでおります。決してないがしろにしていないということであります。  今回のこの条例制定に向けては,各基礎自治体との協議が行われているのか。これは1票の格差というものもあります。東海村の有権者,そして茨城県全体の有権者がこれを考えたときに,どのように考えるかという問題にもつながってきます。地方自治法第245条第2項には,地方公共団体との協議というものがうたわれております。そのような中で,1票の格差というものをどのように重んずるのか,そして,基礎自治体との協議は行われたかどうか,これをお聞かせください。 229 ◯徳田太郎氏 まず,基礎自治体との協議ということでございますが,協議は当然しておりません。まずは,県単位の投票を実現するということが目的でございますので,それに関して,例えば,各市町村の首長さんであるとか,議会であるとかといったところに御相談をするということはなかったわけでございます。  そして,もう一点,1票の格差といいますか,それぞれの自治体においてということでございますが,県民投票を実施するということは,仮にですが,東海村であるとか,水戸市であるとか,基礎自治体で住民投票を行うものを排除したものではございません。それぞれの自治体において,同じように直接投票をしたいということで,それぞれの市町村の方が直接請求をされて,住民投票を実施するというのも一つの方法であるというふうに考えます。  まずは,県民が全て等しく投票できる機会は,1票の格差以前に,全員に平等に,しかも公平に,包摂的に権利が与えられるものであるということで,私たちは県民投票を推進しているものでございます。  以上です。 230 ◯石井委員 ありがとうございます。  午前中からの皆様のやりとりをきょう聞かせていただいて,私は今,質問をさせていただいております。  その中で,県民が議論できるような情報の提供というものが何よりも大切であると私は思っております。皆さんはそのことに一石を投じたのかもしれませんけれども,大井川知事の意見書の中にもありましたとおり,「まずは,安全性の検証と実効性ある避難計画の策定に取り組み,県民に情報提供したうえで,県民や,避難計画を策定する市町村,並びに県議会の意見を伺いながら判断していくこととしているが,その意見を聴く方法については,本条例案の県民投票を含め様々な方法があることから,慎重に検討していく必要がある」と述べられております。まさしく情報を提供しなければ,判断材料がないのだろうと私は思っております。  そのような中で,時期尚早であるという発言もありましたけれども,私も,その辺は否めないのかなと述べさせていただいて,私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。 231 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  常井委員。 232 ◯常井委員 いばらき自民党の常井でございます。  徳田様,鵜澤様,山崎様の共同代表初め,署名にかかわった多くの皆様方の熱意に心から敬意を表して質問させていただきます。  徳田様のほうから答弁いただければと思っています。  質問が大きく3つほどありますけれども,まず,地方自治法第74条に基づく今回の県民投票条例案第4条の中で,最も大事な投票期日を,「知事が再稼働の是非を判断するまでの期間において,知事が定める」としています。  この投票期日の決定を,何日以内とかではなくて,全て知事に委ねた理由は何なのでしょうか。 233 ◯徳田太郎氏 お答えいたします。  投票期日について規定せずに,知事の判断に委ねたのはなぜかという御質問でした。  こちらは,先ほど,まさに御指摘がございました,情報過程が非常に重要であるということが最大の理由となります。何日以内というふうに期日を区切ってしまいますと,その情報過程が非常に限定されてしまうわけです。それを避けるためには,しっかりと情報提供をした上で,そして,先ほども申し上げましたような熟議の機会ですね。これはいろいろな方法があろうかと思いますけれども,そういったものを経て,その上で投票を実現するということが望ましい県民投票プロセスであるというふうに考えておりますので,その意味でも知事に御決定をいただくという設定にいたしました。 234 ◯常井委員 最初に,端的にもう一つお聞きしておきますけれども,大井川知事が,この条例案による県民投票を実施するという確証はお持ちですか。 235 ◯徳田太郎氏 それは,例えばですが,こちらで県民投票条例が成立した後に,知事のほうで再議に付すといった可能性があるかということでございましょうか。 236 ◯常井委員 はい。 237 ◯徳田太郎氏 私は,知事は,県民投票も選択肢の一つとして判断していきたいと。かつ,この議会において,重みのある決定がなされたのであれば,知事もそれにお応えいただけるであろうというふうに確信しております。  以上です。 238 ◯常井委員 大井川知事は,今回の意見書にもあるように,常々,再稼働の是非の判断については,一つに安全性の検証,二に実効性ある避難計画の策定,三に県民への情報提供の3点を大前提としてきております。  まず,安全性の検証という点では,安全対策工事の完了が2022年末に予定されております。また,避難計画は,策定義務のあるUPZ県内14市町村のうち,策定済みは現時点で5市町のみです。これらを考えれば,再稼働の是非は,早くとも安全対策工事が完了する2年半後,2023年以降の判断になってしまうと推察されます。しかも安全対策工事の完了予定時期のおくれ,延長は,先ほどもお話がありましたように,これまでの経過を見れば,容易に想定できるのではないかと思っております。  さらには,知事の言う情報提供は,県の原子力安全対策委員会が224の論点について安全性を検証し,どのような事故・災害にどの程度まで対応できるのか,安全上,どの程度余裕のある対策となっているのか,残余のリスクの明確化などの視点で検証結果を取りまとめた上で行うとしておりますが,この検証は期限を定めずに行うということであります。これも相当時間がかかると推察されていると思います。  そこで,この署名開始以前から,再稼働の是非判断に係る知事のスタンスは先ほどのようなものでありまして,周知のことであったと思いますが,署名をとる段階で,条例が成立しても,実行,すなわち投票との間に大きな時間のずれが生ずるのはわかっていたことと思いますけれども,これをどのように考えておられたのでしょうか。 239 ◯徳田太郎氏 繰り返しになりますが,情報過程が非常に重要ということでございますので,しっかりと時間をかけていただくことについては,むしろ私どもは歓迎しているところでございます。ですので,投票期日を区切ってはいなかったわけです。  署名の段階で,そのような認識があったのかということですけれども,条例案にそのように記載してございますので,その点は問題がなかったというふうに考えます。  以上です。 240 ◯常井委員 多くの署名を集められたわけですけれども,全ての署名者が,いつ投票が行われるのか,知事の判断次第で何年も先になることを理解して署名されたというふうに理解してよろしいのでしょうか。 241 ◯徳田太郎氏 全ての署名者が,その期日のことについて,完全に認識が一致していたというふうに申し上げることはできないと思います。署名収集活動においては,伝えるべきポイントが多数ございます。その中で,いや,この条例案が制定されたら,すぐに投票できるわけではないということまできちんと御説明ができて,それが完全に周知徹底されていたというふうに申し上げることはできないと考えております。  以上です。 242 ◯常井委員 大井川知事は,今回の条例案を議会に付議するに当たって,制度上必要とされている賛否の意見を示しておりません。県議会へ丸投げをして,そして,報道陣へのコメントでは,県議会の今後の議論に注目していきたいと述べているようです。私どもとしては,その姿勢は無責任であるように思えてなりません。  そこで,仮に可決したとしても,条例の実効性,すなわち確実な県民投票の実施,賛否に係る公平な情報提供に確証を持てない状況にありますけれども,どうお考えになりますか。 243 ◯徳田太郎氏 御質問の趣旨がよくわかりかねますが,私は知事ではございませんので,どうなるかということをここで申し上げることはできないと思います。  ただ,知事の御判断になるにしても,それはあくまでも,この県議会において可決されているということが前提になるわけですね。ですので,まずは,この議会において前向きに御審議をいただいた上で,かつ,もしその議会の決議を知事が否定されるのであれば,それは,議会の名において,しっかりと対応すべき論点かなというふうに考えております。  以上です。 244 ◯常井委員 徳田様は,この間の陳述の後に,知事も反対ではないと受け取ったようにコメントされておりますけれども,大井川知事は来年8月に改選を迎えます。大井川知事だから県民投票の実施を信じて署名した人もいるかもしれません。知事がかわった場合は,どういうふうに考えていくのでしょうか,その点をお伺いします。 245 ◯徳田太郎氏 これも質問の趣旨がわかりかねますが。 246 ◯常井委員 大井川知事は,この条例案に対して反対ではないと受けとめたと,徳田さんはおっしゃったと思うのですけれども,大井川知事が個人的にそう思っていても,改選で別な知事になった場合には,そういう確証というか,心証は持てないのではないかと思って,お伺いしています。 247 ◯徳田太郎氏 それは,今議会で本条例案が可決された場合に,来年の知事選において知事がかわった場合に,その知事がその決定を覆す可能性があるということでしょうか。それに対して,私が何らかの意見を申し上げることは不可能であるというふうに考えますが。 248 ◯常井委員 わかりました。
     私は,大井川知事の言う,前に述べた3点セットをクリアして,安全性に関する情報が県民に十分提供された時点で民意をはかっていくのが,タイミングとしてベターだと考えています。安全性に関する成熟した情報を県民が十分に得られる段階になれば,民意をはかる方法の判断も今とは変わってくるのではないかと思います。  ただ,その時点で,県民投票も一つの選択肢として考えられますが,私は,その時点での署名を前提にしたほうが,県民は賢明な意思表示ができて,知事も的確な判断ができて,これは徳田さんがよくお話しされていますけれども,よく練られた民意になり得ると考えております。  より練られた民意をどう醸成して,その民意をはかっていくかということで,民意を大切にするという基本的なところは,私も徳田さんと同じでありますけれども,その時期,タイミング,いつが適切なのかというところが少し違ってきております。  私は,今はそのときではないのではないかというふうに思っていますが,いかがでしょうか。 249 ◯徳田太郎氏 繰り返しになりますが,直接請求の手続は,一度開始したら,中断することも延期することもできませんので,今議会において御審議をお願いする以外に,私どもには選択肢はございませんでした。  ですので,今議会において決定するのは時期尚早であるということであれば,それは,先ほども申し上げましたとおり,継続審議を御検討いただく必要があるのではないかというふうに考えます。  以上です。 250 ◯常井委員 最後の質問になりますけれども,先ほど来申し上げているように,大井川知事は,この条例案に対する賛否の意見を示しておらない。そういう中で,正直,我々も逡巡を感じているところでありますけれども,いずれにしても,安全対策工事が,繰り返しになりますが,2022年末とされております。先ほど言ったように延びる可能性もある中で,知事の3点セットが整い,県民に意見を聞く判断をするのは,早くとも2023年以降になると推察されます。  ただ,我々の任期は2023年1月7日までなのです。この条例案では,県民投票の実施は,次の任期にまたがることを想定せざるを得ず,今任期中に県民の意見を聞く,すなわち投票の仕組みだけを決めておくことには,次の任期の新しい議会の判断を縛ることになる矛盾がありまして,違和感を禁じ得ないところであります。  地方自治法の直接請求の制度の本旨は,間接民主制を基本とする議員・議会は,選挙が4年に1度のため,特定の問題について政治と民意が乖離したときに,そのすき間を埋め,代議制間接民主主義を行う仕組みであるということからすれば,任期中に直接請求の目的,すなわち県民投票が完結する条例案であることが妥当であり,望ましいものと私は考えておりますけれども,そのことについてはどのようにお考えでしょうか。 251 ◯徳田太郎氏 大前提ですけれども,知事がおっしゃっている安全性の検証と避難計画の策定,それから,どのような情報を提供するのかの見通し,そして,それに基づく意見を聞く方法の判断というこの3つですが,これがなぜ時系列で並んでいるのかは理解しかねるところです。これは並行して行うことが可能である。意見を聞く方法を判断した上で,情報提供に関する見通しを立てればよいだけのことですので,なぜ任期がまたがるといった論点になるのかなということは全く理解ができないのですが。 252 ◯下路委員長 常井委員,その前に。済みません。反問権はございませんので,その辺も含めて,発言者は気をつけていただければというふうに思います。  また,趣旨等がわからない場合は,一度,趣旨を確認した上で発言していただければと思います。  改めて指名をします。  常井委員。 253 ◯常井委員 今の条例案で言う情報の提供と,知事が言っている情報の提供は,中身が相当違ってくると思うのです。安全工事が完了して,それを検証した上でやる情報提供と,今の条例案で言っている情報提供とは違うものだと我々は認識しておりますが,いずれにしても,今の時点でできる情報提供を前提に,我々もいろいろ議論を深めていかなければならないと思っています。  そういうことで,御回答いただきまして,ありがとうございます。 254 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  予定時間が大幅に押しております。活発な議論をしておりますが,時間でございますので,請求代表者の皆様からの意見聴取はここで終了させていただきたいと思います。まことにありがとうございました。  大変貴重な意見をいただきまして,本当にありがとうございます。  ここまでしっかりと議論をしてまいりましたが,これからも,県議会として,また議論を続けていくということも委員長のほうから申し伝えまして,ここで終了させていただきたいと思います。  以上で,有識者及び請求代表者からの意見聴取を終了いたします。  ここで暫時休憩をいたします。  再開は,17時といたします。                 午後4時42分休憩        ───────────────────────────                 午後5時2分開議 255 ◯下路委員長 始めます。  それでは,最後に,意見を述べていただきたいと思います。  意見がありましたらお願いをいたします。  中村委員。 256 ◯中村(は)委員 中村はやとです。  今回の案件に関しまして,無所属の議員として意見表明をさせていただきたいと思います。  東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定について最も重要な点は,なぜ今回の署名活動が始まったのかということであります。  県民の安全を確保していくという視点に立った際に,この原子力発電所の再稼働という問題に対して,茨城県議会で十分な議論が行われてきたのかと考えたときに,今回,この署名活動にかかわったほとんどの方々が不十分であると感じられたのだと思います。だからこそ,県民投票に向けての活動を広げることによって,茨城県民全体でこの問題を考えようと,地方自治法の規定に正式に基づいて,知事に直接請求された本条例案は,住民自治の観点から,茨城県議会として重く受けとめるべきであり,また,東海第二発電所の再稼働は,県民一人一人の命と生活に直結する問題であることから,県民の声を聞く方法の一つとして,本条例案に基づく県民投票を実施し,その民意が本県の政策決定に参酌されるべきと考えております。  今回の署名活動により集まった8万6,703名の皆様の署名簿は,茨城県議会にとっても,また,茨城県の未来にとっても余りにも重い,絶対に無視してならない思いだと考えております。  私としては,県民投票条例制定に対し賛成し,また,いずれの採決の結果としても,この機会に,茨城県議会内での原子力発電所に対する議論の活性化,ひいては,勉強会や検討会を超党派で行っていただくことを議会に強く求めていきたいと思います。  以上です。 257 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  玉造委員。 258 ◯玉造委員 立憲民主党の玉造順一です。  私は,本議案に賛成の立場から意見を表明したいと思います。  今県議会に上程されております東海第二発電所の再稼働を問う県民投票条例の制定についての議案について,この議案は,地方自治法に規定された茨城県内有権者の50分の1を大きく超える8万6,703人が直接請求したことによるものであります。改めてここに,署名をされた皆様と,県内各地で御苦労された受任者の皆様に最大限の敬意を表するところであります。  この直接請求の主体となったいばらき原発県民投票の会の徳田太郎・共同代表は,初日の本会議において,条例制定請求者の意見陳述で,1つ目に,県民投票と二元代表制との関係について,2つ目に,投票前の情報提供と冷静な議論の実現について,3つ目に,県民投票の実現に要する費用について,理論的な論点整理を行った上で,県民一人一人が意思表示できる機会としての県民投票の実施をするための条例制定を求めました。  原発再稼働は,県民の命と生活に直結する問題であるため,この請求代表者の意見は,再稼働そのものについての是非を超えて,広く県民の共感の中で受容される考え方であります。  私は,住民自治の理念を踏まえ,県政史上2例目となる県民の直接請求を尊重するとともに,東海第二原発の再稼働は,すぐれて県民の意思が反映されるべき課題であることから,本条例案に賛成を表明するものであります。  以上です。 259 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  江尻委員。 260 ◯江尻委員 日本共産党として意見を述べさせていただきます。  本県民投票条例案が採決に至れば,賛成する立場ではありますが,今議会では継続審査とすることを提案させていただきたいと思います。  その理由は,議論を尽くすのが議会の務めであるということを,きょう一日の審査会でも改めて実感しました。県民の声を聞く方法について,慎重に検討する必要があると言いました知事とともに,今後も検討を続けていけるよう,継続審査とすることを提案いたします。  東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票について,当初,さまざまな意見が私どもにも寄せられました。例えば,県民投票をしなくても,多数の声は再稼働反対であり,知事と議会は再稼働を認めないと早く決断してほしいというものや,市民団体が5万筆もの必要署名数をわずか2カ月で集め切れるのかといったものもありました。  私たちは何度も議論を重ね,県民投票の会の皆さんとも意見交換をし,また,地域での県民投票カフェにも参加したり,実際に県民の中に入ってみれば,県民の声を聞いてほしい,県民投票を実施してほしいと求める声が多く,それが9万筆近い署名となって積み上げられたのだと思います。  それは,議員や首長に対する不信感というよりも,茨城県に住む全ての県民の命や生活にかかわる重大な問題について,より多くの県民が向き合い,考え,自分も決定に参加したいという,まさに主体者,当事者としての思いと受けとめました。  また,中高生の子どもたちからも,今回の決断で私たちの未来を切り開くことができるよう,県民投票の推進を願っていますという直筆のお手紙も私に届きました。  判断が大きく分かれる難しいテーマを,議会での本格的な議論が行われていない現段階で住民の賛否に委ねることは,無責任ではないかという主張もありましたが,私は思うことがありました。  安全性の検証や避難計画の策定が進んでいないことを理由にするのは,そのまま県議会での論議がこれまで積極的に行われてこなかったことこそ問われるものであり,原発の再稼働について,議員や首長がいまだ賛否を明確にしていないことが問われているのではないかと思います。  県民はあの福島第一原発事故を間近で経験しました。そして,県民は専門家や政治家とは違った視点を持って,みずから正しい判断を行うと,私は県民を信頼しております。だからこそ,県民投票実施に日本共産党は賛成することといたしました。  請求代表者の徳田太郎さんは,開会日の意見陳述で,地方自治の実践は民主主義の学校と述べました。私も同じ思いです。  さらに,徳田さんは,党派に偏ることなく,徹底した議論により知恵を集め,それを力としてほしいと議会に期待を託されました。  問われるのは,議員一人一人の判断と意見表明を尊重できるかという県議会そのものの民主主義だと私は思います。  そして,茨城県でやったことのない全県対象の県民投票を初めて実施できるとなれば,いつ実施するのがいいのか,実施するには何が必要か,知事はどんな情報を判断材料として出せばいいのか,また,県内44の市町村での懇談会なども必要ではないか。先ほどの東海村では,住民が原発について,自分のこととして話し合おうという企画も出ております。また,水戸市では,万単位の市民アンケートをやろうとも言っております。さらに,県が毎年行っている県政世論調査で,原発の項目を入れるのもよいと思います。そして,エネルギーや新規制基準について,勉強会や意見交換も広く必要です。県議会では,東海村や那珂市議会のように,原子力問題の特別委員会を県議会に設けて,日ごろから論議して,事業所である日本原電から説明聴取を受けることも必要だと思います。  こうしてあらゆる県民参加のプロセスの先に県民投票が実施できるよう,最善を尽くす決意を述べて,日本共産党としての意見といたします。  ありがとうございました。 261 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  田村委員。 262 ◯田村委員 公明党の田村けい子でございます。  まず,いばらき原発県民投票の会の皆様から提出された8万6,703筆もの署名簿の意義を重く受けとめております。  また,寒い中,署名活動に取り組まれた3,555名の受任者の皆様方の御努力に,心から敬意を払うものであります。  東海第二原発再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定について,県議会公明党を代表し,以下,4点にわたり意見を述べさせていただきます。  まず,1点目は,住民投票を行う際に最も重要な課題は,選択肢をどのように設定し,民意をいかに確実に捉えるかという問題です。  条例案第11条において,投票方式として,投票用紙の賛成欄または反対欄にみずから丸の記号を記載して投票箱に入れるとしていますが,再稼働に対する県民の意見は多様であります。私たち県議会公明党は,東海第二原発の再稼働について,広く県民の意見を聞くべきと主張してきました。県民投票はそのための一つの方法であることは言うまでもありませんが,二者択一で多くの民意を吸い上げることができるかどうかについて,慎重に検討してまいりました。再稼働は反対,または,原発は嫌だが,代替エネルギーが確立するまでは稼働もやむを得ないという意見や,再稼働かどうかではなく,廃炉にすべき,よくわからないなど,多種多様な御意見を頂戴しております。原子力発電所の稼働という極めて重要で複雑な問題を2つの選択肢に絞り込んで,県民に二者択一,選択を求めることには慎重であるべきと考えます。  次に,第15条の情報の周知・提供についてです。  県が主催した原子力規制庁による新規制基準適合性審査等の結果に係る住民説明会や安全対策に係る意見募集において,県民から安全性に対する懸念の声が数多く寄せられ,そのため県は,原子力安全対策委員会東海第二発電所安全性検討ワーキングチームにおいて安全性の検証を行い,安全対策により,どのような事故・災害にどの程度まで対応できるようになるかを県民に示すこととしています。現在,224の論点について検証を開始したところであり,これらの情報を県民に示していく予定となっています。  また,東海第二発電所からおおむね30キロ圏内の14市町村が策定することになっている避難計画については,5市町が策定したものの,多くの課題を抱え,全ての市町村での策定にはまだまだ時間がかかると思われます。  さらに,感染症との複合災害への対応が必要とされる中,1人当たりの避難所の面積の拡大,自家用車で避難できない住民等の移動に要するバスや福祉車両の定員の見直しも必要となり,全面的な避難計画の見直しが必要となっています。  知事の意見書には,「安全性の検証と実効性ある避難計画の策定に取り組み,県民に情報提供したうえで,県民や,避難計画を策定する市町村,並びに県議会の意見を伺いながら判断していく」とあります。第15条の第2項に「知事は,県民が賛否を判断するために必要な情報提供を行うものとする」とありますが,安全性の検証,避難計画の策定の双方とも終了しておらず,県民に対して,公平で必要な情報提供ができる状況にはないと考えています。  次に,投票率の問題です。  県民投票を実施するに当たり,約9億円の費用がかかると言われております。多額の費用をかけて実施したにもかかわらず,その正当性に疑問符がつけられるような事態は避けなければなりません。  その観点に立つと,さきに触れましたとおり,本条例案における選択肢は,賛成か反対かの二択であり,それ以外の考えを持つ人は選択肢がないと棄権する可能性が高く,投票率が低い水準にとどまることも十分に考えられます。  さらに,投票率50%を超えないと開票しないなどの開票条件も設けられていないことから,仮に投票率が低かった場合に,その結果の解釈をめぐって不信を招くことも懸念されます。  次に,投票期日についてです。  第4条において,「県民投票の期日は,知事が再稼働の是非を判断するまでの期間において,知事が定める」とあります。再稼働の判断時期について,知事は,安全性の検証や実効性ある避難計画の策定と検証に取り組み,これらの情報を県民に提供し,しかるべき時期に県民の意見を伺った上で再稼働を判断してまいりますと言われております。投票期日がいつになるのか不明なままでいいのか疑問であります。  以上,意見を申し述べましたが,私たち県議会・公明党は一貫して,東海第二原発の再稼働について,広く県民の意見を聞くべきと主張し,意見を聞く方法として,住民アンケートの実施を求めております。  再稼働の賛否については,有権者の是か非かだけではなく,未来ある18歳未満の県民も含め,多くの県民から幅広い意見を聞く手法がベストと判断しております。  したがって,東海第二原発再稼働の賛否を問う県民投票条例には賛同はできません。  以上,県議会・公明党の意見を述べさせていただきました。  以上でございます。 263 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  二川委員。 264 ◯二川委員 本審査会に付議された東海第二原子力発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例につきまして,会派・県民フォーラムを代表して意見を述べさせていただきます。  まずは,直接請求に当たり,さまざまな条件が課せられる中,条例制定を求める8万6,000筆を超える署名が提出されたこと,そのこと自体に重みを感じさせていただいております。  今回の条例案については,請求代表者の意見陳述では,再稼働の賛否を議会に問うものではなく,住民意見をどのように政策に反映すべきか,その手段としての住民投票の意義を求めているとのことであります。間接民主主義を補完する直接民主主義の県民意見を集約する手段の一つとして県民投票は考えられるものであり,その意義を否定するものではなく,一つの手法としてあり得るものであると考えます。  一方で,結果によっては民間企業の事業運営に著しい制限をかけることになり得ること,これに対する妥当性,地域性,地域経済,エネルギー政策や環境問題など,さまざまな案件を含む条例を制定することを議論する際に,個別案件として請求された本条例案を,再稼働の賛否と切り離して議論することは現実的ではなく,本質的な議論に至らないものであったと考えます。  しかしながら,求められている県民投票という政策決定に多大な影響をもたらす重要案件として考えられる場合の基本的な考え方や基本的ルールを定めることが必要であると同時に考えます。  直接請求は,地方自治法に定められるものとして法的に認められているものであり,県民投票条例の請求がなされたことについては,県民の総意とは言えないものの,県民の権利であると受けとめます。  しかしながら,現状では,県民投票の結果については,法的拘束力を持たず,議会や首長の判断に制限をかけるものではないものの,事実上の拘束力を持つものとして扱われるものであり,間接民主主義における議会と長の議論に大きな制限がかけられてしまう懸念があることは否めません。  また,住民投票を実施した際の結果については,その取り扱いや妥当性,成立の要件など細かく定義し,正当なものとして取り扱うことが必要であり,単なる意見を伺うだけのものではない性質を持つべきものと考えます。  法的拘束力のない現状で住民投票を実施する際には,その前段での議論が重要となり,長と議会の議論を進め,十分な議論がなされた後に,改めて県民の皆さんにお決めいただく。一つの事案に対し,長と議会の意見に相違があった場合や,議会の中で熟議を重ねた結果,判断がつかず,最終判断を県民の皆さんに問う形が理想的であり,この経過を踏まえた上であれば,住民投票基本条例的な上位の条例がなくても,住民投票における正当性,妥当性を一定程度は担保できるものと考えます。
     そのために,長と議会は対等の立場で議論を行い,あらゆる手段を持ってお互いの主張をぶつけ,納得のいく結論を導くための議論を尽くす。そして,その議論の結果だけでなく,議論経過を県民に示し,県民側での意見交換や議論の場を提供していく。それが私たち議会に求められるものであり,その責任を果たすべきものであると考えます。  次に,住民投票の正当性,妥当性を担保するのであれば,成立要件や結果の取り扱いなどについて定めることが重要だというふうに考えます。法的拘束力を持たせるために,基本条例的なものを定めるのか,個別案件の条例に対し,個別で定めていくのかという点についても議論をしなければなりません。  本条例案については,投票率に関して制限が設けられていないものの,その結果については,過半数が全有権者の4分で1あった場合に,結果を尊重しなければならないと規定しています。  この点については,絶対的投票数の考え方を基本に定めているものと考えますが,県民全てが正しい情報を公平に受け,熟議がされることを前提とするならば,投票率にこそこだわるべきで,投票結果に妥当性,正当性を持たせる指標になるものと考えます。  そして,投票率の既定値などに関しては,先ほど来,さまざまな話が出ているとおり,練られた議論が必要であり,現時点で本条例案について定められるものではないと考えます。  また,投票結果の取り扱いについても,本条例案で示されている内容について,投票結果が拮抗した場合,過半数を超えない結果についても,全有権者の4分の1を満たす状況が予想されます。すなわち投票結果が僅差であった場合の取り扱いやその結果の妥当性について,投票結果が判明した後の混乱を避けるためにも事前の議論が必要であり,そういった議論について議論がされないまま,拙速に本条例案を制定することは避けるべきと考えます。  これら以外にも,さまざまな議論が必要であり,拙速に条例を制定することは妥当ではなく,住民投票そのもののあるべき姿を議論することが必要であり,私,会派としても,議会の中で住民投票に関する議論を進め,より有意義な住民投票を実施するための方法を見出す活動を進める所存であります。  したがいまして,以上を踏まえ,住民投票は,県民の意見を確認する手段の一つと考えられるものの,現段階では住民投票を制定する状況にないものと判断するとともに,継続審議という点についても,純粋に住民投票を議論する際には,個別案件で挙げられた本条例案を継続審議するべきものではないものとして,継続審議ではなく,本条例については否決するべきものと考えます。  また,現状で法的拘束力を持たない意見の確認方法として,大規模なアンケート等も手段の一つとしてあり得るものであり,さまざまな議論を行った上で,個別の事案にふさわしい手段を選択し,実施することを知事にも求めていきたいと考えます。  最後に,本条例案が扱う東海第二原子力発電所の再稼働については,地方自治法による議会の議決権として認められているものではなく,厳密に言えば,議会の承認を必要としているものではありません。  しかしながら,二元代表制の一翼を担う議会,議員,そして一人の県民として,茨城県における諸課題について,真摯な議論,十分な議論を交わし,その責務を果たすための努力を惜しまないことを宣言するとともに,対等の立場として,知事に本件に関する議論の場を求めていく所存でございます。  また,今後は,茨城県におけるエネルギー政策,環境問題等の議論を進め,しかるべき時期に,それらを踏まえた原子力政策に関する議論の場を整備していくことが重要であり,その実施を求め,会派・県民フォーラムとしての意見とさせていただきます。  ありがとうございました。 265 ◯下路委員長 ほかにありませんか。  白田委員。 266 ◯白田委員 いばらき自民党の白田信夫でございます。  会派を代表いたしまして,本日の連合審査会の審議を厚く踏まえまして,第102号議案東海第二発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定について,意見を申し上げます。  まずは,2カ月という短時間で多くの署名を集めた請求者,そして受任者の方々,また,その趣旨に賛同し,署名をされた9万人近い県民の皆様の行動と熱意に対して,心から敬意を表するものであります。  その上で,本条例案に対して,大きく2つの点について論じます。  1つは,県民投票の期日が明示されていない。このことの是非についてであります。  条例の制定・改廃請求は,地方自治法第12条に制定された住民の権利であります。住民投票は,地域の重大な課題に対し,直接住民が賛否を表明できる機会です。直接請求制度は,4年に1度,選挙する代議制を補完するものと言えます。すなわち,次の選挙では判断を持てない緊急的かつ重要な事項に対して住民意思を問うのが,直接請求に基づく住民投票の正しい理解であると考えます。  今回の条例案のテーマである東海第二発電所の再稼働の賛否を問う時期は,知事の意見書並びにこれまでの発言を踏まえれば,安全性の検証と実効性ある避難計画の策定,そして県民への情報提供といった条件が整わない限り判断されないものと推察されます。これは,少なくとも安全対策工事が完了する2022年年度末以降まで,条例案の根幹である県民の投票は実施されないことを意味します。現在の議員の任期中に県民投票は行われないのです。すなわち,本来,代議制を担保する直接請求制度が,間接民主制度たる選挙で選ばれた次の任期の議会の判断を縛ることになります。  また,3つの条件が整わない時点と整った時点では,安全性など,県民に提供される情報の質も,そして量も大きく異なり,二者選択の県民投票でよいのか,民意をはかる方法の判断も変わってくるものと考えられます。  したがって,知事が慎重にとした意見を踏まえれば,3つの条件が整った上で,県民や,避難計画を策定する市町村並びに県議会の意見を聞くのが適切なタイミングであり,何をいつ聞くか,これが未定であるのに,県民の意見を聞く方法だけを先んじて決めることは妥当ではないと考えます。  また,仮に条例が成立した場合でも,全ての県民が正しい情報を得て,正しい判断を導くことを県が担保するのは大変困難であるものと考えます。有象無象の本質的とは言えない情報に投票行動が影響されることも考えられます。  また,複雑なテーマに対しまして,マル・バツという二者択一で投票者の望む意思をあらわすことも困難であると考えます。  もう一つは,エネルギー政策に関する問題です。国は,エネルギー基本計画の中で,原子力を重要なベースロード電源としており,不断の安全性向上と再稼働を主な方針の一つとしております。  一方,国は,安全基準クリア後,再稼働に至る手続を明確にしておらず,地元同意の法的な位置づけは定められておりません。原子力による地元産業,学術研究等への影響や事故の際の直接的な被害を鑑みれば,国の決定に対して,地元の意見が法的な手続により反映されるべきであると思います。  エネルギー政策に基づき法令を整備し,発電所の技術開発から安全基準,設置に至るまで国が大きく関与しております。であれば,最終段階の稼働するか否かは,各自治体の個別の条例に依拠するものではなく,法令の中にしっかり位置づけることが望ましいと考えます。  また,一方で,日本の原子力発電については,その開始当初から民営で行われてきました。民間企業が法律にのっとり整備してきたものに対して,事業主体者ではない議会がその行く末を決定することの矛盾や賠償等の法律上の懸念もあります。  エネルギー政策に対する責任の所在,県の法的に不安定な位置づけを考えたときに,本条例案は適当でないと,私どもいばらき自民党は考えるわけであります。  したがって,この案件に対して,我がいばらき自民党は反対であります。  しかし,今回,多くの県民から,県政や東海第二発電所に対する意思表示の機会を望んでいることが示されたことは重く受けとめます。我々も県民の意思を正しく酌み取るために行動をとっていきたいと思います。  今後,知事から提出されるであろう安全性等の適切な情報と県民の皆様の声に耳を傾けまして,熟慮を重ねた上で,最良の手段を検討し,議会の中でも,より活発に議論を進めてまいる所存でございます。  今回提示された県民の強い意思を肝に銘じて,会派を代表しての討論といたします。  終わります。 267 ◯下路委員長 ほかにございませんか。  ないようですので,以上で意見表明を終了いたします。  なお,採決は,本連合審査会ではなく,防災環境産業委員会で行います。  本連合審査会閉会後,議案が付託されている防災環境産業委員会を開催して行いますので,よろしくお願いいたします。  それでは,以上で連合審査会を閉会いたします。  長時間にわたりまして,御苦労さまでございました。  防災環境産業委員会の皆様方は着席のままお持ちください。  お疲れさまでした。                 午後5時36分閉会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...