茨城県議会 2010-09-09
平成22年第3回定例会(第5号) 本文 開催日: 2010-09-09
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県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑
6 ◯議長(西條昌良君) これより,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。
高橋靖君。
〔23番高橋靖君登壇,拍手〕
7 ◯23番(高橋靖君) 自由民主党の高橋靖でございます。
登壇の機会をいただきました先輩議員,そして同僚議員の皆様方,そして,私を支えてくださった多くの皆様方に感謝の気持ちを込めながら,一般質問を進めてまいります。知事,関係部長,教育長におかれましては,明快なる御答弁をよろしくお願いを申し上げます。
初めに,
中小企業活性化及び雇用対策について,幾つか橋本知事にお伺いをいたします。
まず,
県内経済対策の強化による
中小企業活性化策についてお伺いをいたします。
現在の景気状況は回復基調にあると言われておりましたが,ここへ来て,急激な円高,株安による景気減速が懸念されており,政府や日銀は追加の経済対策や
金融緩和政策を検討するなどの動きを見せておりますが,大企業優先の経済政策や金融政策ばかりではなく,圧倒的多数を占める中小企業が成長産業の牽引役を担う役割を果たせるような産業構造とすることも重要であります。
また,斜陽産業と称される業界であっても,産官学が連携し,新たなビジネスチャンスを創出するなどの工夫や知恵を出し合うことで,業界再生の糸口を見出していかなければなりません。
さらに,地方経済を活性化させ,それぞれの地域での雇用を確保することで,人口減少や高齢化など町の衰退に歯どめをかけていかなければなりません。茨城県も,橋本知事を中心に産業大県づくりを進めてきた中で,企業立地や科学技術の振興,
中小企業向け制度融資の拡充,さらに成長産業の育成などに力を注ぎ,県内経済の活性化と雇用の確保に努めてきたところであります。
最近の
県内経済情勢については,輸出や生産の増加から,緩やかに回復をしている,当面,回復基調をたどると考えられているそうですが,一方で,昨年の
県内企業倒産件数が248件で,負債総額も約933億円に及んでおり,前年の数値を超えております。ほとんどの
県内中小企業は経済の回復基調を実感しておりません。
この厳しい状況を踏まえ,本定例会においても追加の雇用対策や公共事業の補正予算案が提案されております。一方で,
中小企業活性化対策の強化も強く期待されておりますが,
中小企業対策というと,制度資金の拡充などが大きな目玉政策として行われております。もちろん,資金融資によって救われた中小企業も少なくありません。
しかし,
県信用保証協会の代位弁済の状況を見てもおわかりのとおり,平成21年度は3,600件,金額にして311億3,500万円となっており,結局は倒産してしまっている企業が少なくありません。決して資金提供が企業の治療に結びついていないという現状がうかがえます。治療ではなく,延命措置にすぎないと言っても過言ではありません。
企業経営者の「金よりも仕事をくれ」という言葉が,切実な思いであります。
したがいまして,これまでの
制度資金貸し付けによる支援策に加えた
中小企業対策の強化と今の厳しい状況に即した
経済雇用対策の基本方針を打ち出して,国の
緊急経済政策とあわせて,スピード感を持って治療に結びつく
中小企業対策を実行していくべきと考えますが,橋本知事の御所見をお伺いいたします。
次に,
ビジネスマッチングによる地元企業の育成と活性化についてお伺いいたします。
ビジネスマッチングとは,簡単に言えば企業のお見合いのようなものであり,県内企業を
大手企業等とマッチングさせ,取引の成立を図るものであります。茨城県でも
ビジネスマッチング支援事業を行っており,
ビジネスコーディネーターによる
販路開拓支援や各種商談会や
ビジネス情報交換会の実施などによって,
県外大手企業等に県内企業をマッチングさせる取り組みを行っております。
しかし,
発注案件獲得や
見積もり依頼などにこぎ着けてはいるものの,最終的な成約件数など十分な成果が得られているとは言えない状況にあります。
ここで私が提案したいのは,県が今まで実施していた高度な
ビジネスマッチングから,地元の
中小零細企業等にも着目した
地域型ビジネスマッチングの推進であります。例えば,茨城県は全国的に見ても
企業立地件数が上位を占めており,昨年は50件の企業立地を成功させました。一つの企業が立地されればいろいろな取引が始まり,さまざまな業種の企業が出入りすることとなります。しかし,立地された企業と地元企業とに接点はなく,信用性の問題から,なかなか取引させてくれないという声も聞き及んでおります。
民間金融機関などがみずからの取引先を紹介するなどといった民間レベルでの
ビジネスマッチングも行われているようであります。県も,
地元中小企業の育成のためにも,
金融機関等と連携を図り,それぞれの地域での
ビジネスマッチングモデルを立ち上げ,地域企業の活性化を図ってはいかがでしょうか。橋本知事の御所見をお伺いいたします。
次に,若者の雇用確保と広いすそ野を持った雇用の創出についてお伺いいたします。
団塊世代の
大量退職時代は既に始まっており,15年後,20年後には介護世代へと移り変わっていく現状を今から憂慮し,その準備に当たらなければならない重大な時を迎えているということは,行政に携わる者であればだれもが認識しているところであります。経済対策をしっかりし,特に若い人々の雇用を安定させることが
少子高齢化を乗り切る大きなかぎとなるということは,言うまでもなく御存じのとおりであります。
しかし,派遣や
期間労働等により,若者の雇用は安定せず,また,初めから定職につくことを拒否している若者がふえていることも事実であります。
経済雇用対策や教育,福祉などのさまざまな分野からのアプローチによって解決していかなければなりません。
いずれにいたしましても,若者の雇用を安定させ,将来の生活に不安がない生産世代を多く育てていかなければ,来るべく
大量介護時代の社会保障を確立することはできませんし,家庭を持って子どもを産み育てることもできません。茨城県も
高校新卒者への
就職支援事業や若年層向けの就職支援を行っておりますが,永続的な安定雇用につながる施策を含めた若者の就労対策をより強力に推進していかなければなりません。
また,その一方で,現在の労働状況が資格主義や技術重視で,だれにでも簡単に従事できる仕事の量が減少しているようにも思われます。ハローワークへ行っても,高卒以上だとか何か資格が必要だとか,そのような仕事ばかりでは雇用の拡大にはつながりません。高齢者になるべく働き続けていただくためにも,また,少し勉強が苦手な若者にもしっかり働いていただくためにも,少しの技術力とやる気さえあればだれにでも簡単に従事できる仕事を多くつくり出していくことが重要だと思います。科学技術を集積して
知的労働者ばかり集めただけでは,雇用のすそ野は広がりません。
そこで,人材の広いすそ野を持った雇用の創出を図るべきと考えますが,橋本知事の御所見をお伺いいたします。
次に,
中心市街地活性化及び
商店街振興策についてお伺いをいたします。
中心市街地活性化という言葉が生まれてから何年が経過したでしょうか。この間,外部環境は,
郊外型大型店の出店,モータリゼーションの進展,広域交通網の整備など,
中心市街地にとっては衰退させる一方の社会環境がつくり上げられてきているのが現状であります。これまで県経済や街の活性化を牽引してきた
中心市街地や
地元商店街を沈没させることは,行政がこれらの地域に対し恩をあだで返すことになりはしないでしょうか。
確かに,県は
中心市街地に対しては,
中心市街地活性化基金事業や支援事業を通して各市町村に対し事業支援を行っており,県内では一定の成果をもたらした地域もあります。しかし,
活性化計画の策定から実行に至るまで,もっと人的にも,あるいはノウハウの面でもかかわりを深め,さらに,結果を出せるような支援が必要だと思います。
商店街の
活性化支援についても,「がんばる
商店街支援事業」を初め,
空き店舗活用促進事業などの支援を行っておりますが,継続的な活性化が見られません。特に
イベント事業を通した
活性化事業については,イベントを行っている最中や無料で何かを配布している最中は人が集まるのですが,それが終わると,クモの子を散らしたように人々が町から消えてしまう。結局,消費には結びついていない。イベントを通したまちづくりを否定するわけではありませんが,やはりそれぞれのお店の消費行動に結びつき,利益が出るような商店街の支援策に力点を置くことが求められております。
もちろん,商店主のやる気が前提ではありますが,市町村や
全国商店街支援センター等と連携を図りながら,ソフト,ハード両面から,それぞれの個店に対してきめ細やかな
商店街支援事業へも力点を置き,消費につながるような
商店街振興策を講じるべきと考えますが,
商工労働部長の御所見をお伺いいたします。
次に,
中小零細企業でも育児休業を取得しやすい
就労環境づくりと支援についてお伺いいたします。
育児・
介護休業法では,労働者は,その事業主に申し出ることにより,子が1歳に達するまでの間,育児休業をすることができると規定されております。また,
地方公務員の
育児休業等に関する法律では,
地方公務員は,子が3歳に達するまでの間,育児休業をすることができると規定されております。
人間は,法のもとに平等であり,差別されてはなりません。しかし,この育児休業については,会社の規模によって必ずしも平等とは言えない状況があるように思われます。
中小零細企業では法定基準に沿った休業をとることが困難な状況が多く,結局,会社をやめざるを得ない労働者が少なくありません。大手企業の社員や公務員の
合計特殊出生率と
中小零細企業の社員の
合計特殊出生率を比較した場合,恐らく格差が出ているのではないでしょうか。もちろん収入の格差もあるわけですから,育児休業だけで判断できないかもしれませんが,大きな要因であることには間違いありません。
本県でも,
中小企業事業主に対しワークライフバランスの手引を発行し,その中で育児休業を促したり,仕事と生活の
調和推進事業の中で
支援奨励金を支給したり,あるいは,
子育て応援企業普及事業では
子育て応援宣言企業登録制度を設け,公共事業の参加資格や制度融資などで優位になれるような制度を設けるなど,中小企業に従事する方々が子育てに専念できる
環境づくりに努めています。また,国でも
中小企業子育て支援助成金により
育児休業取得を促しておりますが,いろいろな制度をつくったとしても,それ以上に
中小零細企業の状況に余裕がないのが現状であります。
しかし,本県は,大手企業より
中小零細企業に勤める人々が圧倒的に多いわけで,この方々の
子育て支援の底上げをしていかなければ
少子高齢化を解決することはできません。これまで以上に,
中小零細企業に対する育児休業を取得しやすい
就労環境づくりと支援を強力に推進していかなければならないと考えますが,
商工労働部長の御所見をお伺いいたします。
次に,
障害者福祉政策についてお伺いいたします。
まず,
共同受発注センターを活用した障害者の就労支援についてであります。
共同受発注センター推進事業として,茨城県
心身障害者福祉協会に
共同受発注センターが設置されました。この役割は,企業等から受注窓口を一元化して発注情報を集約し,施設が共同で受注することにより大口受注を安定的に獲得するとともに,従来,個々の施設が行ってきた受注先開拓の業務を代行することで
授産施設等の売り上げ増を図るとされております。
障害者施設と企業の
ビジネスマッチングであります。
大変厳しい
社会経済状況で,
障害者施設への仕事の発注も減少している状況にあり,窓口を一本化させ,そこで情報を収集し,安定的かつ継続的に仕事を受注する仕組みを確立していかなければなりません。今後,センターでは,
緊急雇用対策によりスタッフも増員させると伺っておりますが,より多くの企業訪問により情報を多く収集し,この事業に対する理解をしっかりいただくことで,多くの仕事を受注できるような営業力を発揮していただきたいと思います。
そして,5つの
リーダー事業所と仕事の配分計画をしっかり立て,施設に公平に仕事が発注されるようにセンターが調整能力を発揮しなければなりません。そして,単なる仕事の受注だけではなく,将来的には,発注企業と連携をとりながら,障害者ができる新しい仕事の開発などを手がけられるセンターに成長させ,多くの障害者が仕事に従事できるような環境をつくり上げてほしいと願っております。
また,民間企業ばかりではなく,県や市町村からの公共的な仕事も受注すべきだし,また,
地方公共団体の責任として,センターに発注を促していくべきであります。
これらを踏まえ,
共同受発注センターの活用と今後の機能拡充による障害者の就労支援について,
保健福祉部長に御所見をお伺いいたします。
次に,障害者の
法定雇用率実現についてお伺いいたします。
障害者の雇用の促進等に関する法律では,それぞれ一定の雇用率に相当する数以上の障害者を雇用しなければならないと規定されており,その
法定雇用率は社員56人以上の民間企業が1.8%,国や
地方公共団体等が2.1%,都道府県の
教育委員会が2.0%であります。
県内の雇用率を見てみると,県や市町村は
法定雇用率以上の数値を達成しておりますが,民間企業が1.54%,
県教育委員会が1.57%と未達成となっております。民間企業については,この法律の趣旨をしっかり理解させることから普及啓発を図っていかなければなりません。そして,それを理解させた上で,どのように障害者を受け入れるのか,どのような仕事ができるのか,その会社に合った障害者の仕事が必ず見つかるはずです。ノウハウの提供と人的な支援,あるいは
財政的支援を拡充することで,少しでも多くの障害者が社会の一員として活躍できる場所をつくっていくべきだと考えております。
また,障害者を受け入れるくらいなら罰金を払った方が楽だなどと考えている非社会的な企業には,逆にペナルティーを科すべきであります。
今後,民間企業に対する
法定雇用率実現のために県としてどのように障害者の雇用を促進していくのか,
商工労働部長にお伺いをいたします。
次に,
障害者工賃倍増計画への取り組みについてお伺いいたします。
平成19年度から平成23年度までの
障害者工賃倍増5カ年計画が策定されました。平成19年当時,9,335円だった工賃を約2倍の2万円にまで引き上げようとする計画で,この目標に向けて
共同受発注センターの設置を含めたさまざまな施策が盛り込まれております。
計画対象事業所は
就労継続B型事業所など,平成21年度現在108の事業所が対象となっております。この目標に沿って今日まで計画を進めてまいりましたが,平成21年度の実績で工賃は1万66円で,平成23年度までに目標の2万円を達成することはほぼ不可能な状況下にあります。平成19年当時は高い理想を掲げ,計画を立てたのだと思いますが,現実と乖離があったことを真摯に受けとめていかなければなりません。そして,どこに課題があったのか,何が問題だったのか,しっかり検証し,より現実的な数値目標を定め,新しい計画を策定していかなければなりません。とにかく仕事を取ってくる,仕事をつくり出すという営業力の強化が重要です。
また,一方で,2万円が達成されなければ,例えば1万5,000円でいいのか,障害者の生活を守るための工賃は幾らなのか,それを達成できなければその差額をどのように政策として補てんしていくのか,改めて障害者の工賃の
あり方そのものについても議論をしていかなければならないと考えておりますが,
保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。
次に,
こども福祉医療センターの建て替えについてお伺いいたします。
センターの
建て替え整備については,ことし2月に
整備検討委員会から,
県事業委託方式により桜の郷において新施設を整備することを主な内容とする報告書が知事あてに提出されました。本県財政が危機的な状況に瀕し,大
規模建設事業の新規着工が凍結されている中で,
県事業委託方式によって県が引き続きかかわりながら民間の力を取り入れて,
肢体不自由児施設と
重症心身障害児施設があわせて整備されるということは,我々の長年の希望であった新施設の整備を大きく進展させるものであり,私を含め,関係者の多くは大きな期待を持って受けとめております。
一方で,整備場所を桜の郷とすることについてはさまざまな意見が寄せられております。その多くは,隣接する
水戸養護学校の保護者の方々からの意見でありましたが,学校とセンターが離れることは医療的ケアの必要な児童生徒にとっては命にもかかわる切実な問題であり,桜の郷への移転は課題が多過ぎるというものでありました。
このようなことから,
水戸養護学校PTAの皆様と水戸市選出の
佐藤光雄議員,高崎進議員,舘静馬議員と私の4人の
超党派県議会議員が連携をとりながら,知事あての要望という形で関係者の意見を集約し,去る9月1日に我々4人の議員も同席して,
水戸養護学校のPTAの会長さんを初め,役員の皆さんから知事あてに要望書を提出したところであります。
我々としては,新施設と
水戸養護学校はあくまで一体として考えるべきであり,新施設の整備場所は桜の郷ではなく,旧
水戸産業技術専門学院跡地とするべきと考えております。また,
県事業委託方式により,県の関与や支援をしっかり残して,その上で,例えば18歳以上の医療や訓練にも対応できるような施設機能の充実を図っていくべきと考えておりますが,このような中で,今後,県としてセンターの整備をどのように進めていくのか,特に整備場所についてはどう考えているのか,このことについては橋本知事に直接お尋ねをいたします。
次に,米の消費拡大の目標値設定とそのための戦略についてお伺いいたします。
本県の米の
消費拡大政策は,平成21年3月に策定された茨城県
米消費拡大推進方針によって推進方策が定められております。この方針の中で,学校給食における米飯の提供回数と,実需者と結びついた米粉用米の生産数量等について具体的な数値目標が定められております。学校給食については,昨年度実績で週3.0回であったものを,平成23年度に週3.2回とすることを目標としており,米粉用米の生産については,本年度は目標をはるかに上回る39ヘクタールの作付けがなされており,販売先も確定されているとのことであります。米粉の利用促進のためのさまざまな事業も行っており,米粉製品の開発にも力を入れている状況にあり,米粉パンなどいろいろな商品が開発されつつあります。
一方で,私たちが食卓等で純粋に御飯として消費される米は依然消費が減少しており,昭和37年当時,日本人は1年に一人120キログラムの米を食べておりましたが,現在では,その約半分の60キログラムにまで落ち込んでいると伺っております。本県も,買ってもらえる
米づくり運動の推進を中心に,
米消費拡大運動,あるいは
インターネット等を活用したPRを展開しているところでありますが,なかなか結果として消費が伸びていない状況にあります。
今後,農家や
教育関係者,あるいは外食産業や
消費者団体などと連携をし,新しい感覚の米消費に関するアイデアを出していただきながら,
日本型食生活による健康づくりや地産地消による食の安全・安心をアピールし,
米消費拡大県民運動を巻き起こすくらいの思い切った行動を起こすべきではないかと考えております。
そして,米の消費目標をきちんと数値化して取り組むべきと考えております。例えば,1年間に60キログラムを,茨城県人は70キログラム消費を目標に定めるとか,数値化した目標をしっかり設定し,それを実現するための具体的な施策を立ち上げ,米の消費拡大による稲作農家の所得向上,耕作放棄地の解消などの問題解決につなげていくべきと考えますが,
農林水産部長の御所見をお伺いいたします。
次に,教育行政についてお伺いいたします。
栄養教諭の確保による食育の推進であります。
子どもが将来にわたって健康に生活していけるよう,栄養や食事のとり方などについて正しい知識に基づいてみずから判断し,食をコントロールしていく食の
自己管理能力や,望ましい食習慣を子どもたちに身につけさせることが必要になっているという趣旨から,食に関する指導の推進に中核的な役割を担う
栄養教諭制度が創設されました。本県においては,平成18年度から平成22年度までに51名の栄養教諭を採用しており,給食管理業務に加え,食に関する指導を行っているところであります。
この間,所属校などでは,朝食の摂取率の向上や栄養のバランスを考えて食べるという食習慣の改善が見られるなど,配置効果があらわれていると伺っております。しかし,現在,県全体で47名しか栄養教諭が配置されておらず,現在の配置状況では,県内の公立小中学校の1割程度の学校しか栄養教諭の指導を受けられない現状にあります。配置については,すべての義務教育諸学校において給食を実施しているわけではないことや,地方分権の趣旨等から,栄養教諭の配置は
地方公共団体や設置者の判断によることとされております。また,公立小中学校の栄養教諭は県費負担教職員であることから,都道府
県教育委員会の判断によって配置されることとなっております。
本県では,給食施設を持たない河内町や五霞町には配置定数がありません。また,板東市や大子町は栄養教諭の退職等により未配置となっております。教育現場からも栄養教諭の増員の声も上がっており,また,全体の1割程度の学校しか指導を受けられないという現状は,義務教育の平等性からいっても早期に改善をしていかなければならない大きな課題であると考えております。まず,今後の栄養教諭の配置計画をどのように進めていくのか,そして,解決までの間,この不平等感をどのように解消していくのか,教育長の御所見をお伺いいたします。
次に,高校における道徳教育の成果と課題及び高校ならではの道徳教育の確立についてお伺いいたします。
本県においては,豊かな心の教育が教育の重要な柱となるという考えから,平成19年度より,県立高等学校1年時において道徳教育を必須とし,生徒一人一人が未来に向けて人生や社会を切り開いていこうとする道徳的実践力を高めることをねらいとし,これまで,学校の指導体制と教員研修を充実させ,道徳の授業の円滑な実施を図ってきたところであります。本年度も「いばらき版高等学校『道徳』教育推進事業」がさまざまな内容で実施され,道徳教育のさらなる充実が図られているところであります。
道徳教育の成果については,道徳教育推進委員会を中心に検証しているものと思われますが,どのような成果が導き出されているのか,また,今後の課題についてはどのようなことが検討されているのか,明らかにしていただきたいと思います。
その中で,例えば,テキストがすべての生徒に適しているのか,読むだけで精いっぱいで,内容を理解し,そこから心の豊かさや人生の教訓をしっかり学び取る余裕まで持てるのかどうか,テキストの改定も必要ではないでしょうか。
また,何といっても,向き合う先生と生徒の間に信頼関係があるかどうかであります。数学の答えは一つでありますが,道徳はそれぞれの心にどう響くかで一人一人のとらえ方が違います。特に,ある程度まで人格形成ができ上がってしまった高校生の心に入り込むことは大変難しいことだと思っております。生徒と先生がどのように向き合って授業をしていくかが重要な要素になると思います。小中学校ではできない,高等学校だからこそできる道徳教育を確立して,茨城の道徳教育を充実させ,心豊かな生徒を多くはぐくんでほしいと願っておりますが,教育長の道徳教育に対する熱い思いを聞かせていただきたいと思います。
また,昨今,乳幼児虐待の痛ましい事件が後を絶たず,社会問題化しています。私は,教育的なアプローチから虐待防止策を考えることも重要なことではないかと考えております。特に,若い夫婦が自分の子どもを虐待するという傾向が強い中で,若いうちから,出産や育児,家族を持つ喜び,そして,命の大切さを教育の中ではぐくむことに力を入れていただきたいと思うのが私の思いであります。
これまでも,保健や家庭基礎などの時間で出産や育児,命に関する学習は行われてきておりますが,まさに高校ならではの道徳教育の中で,乳幼児虐待防止につながる出産,育児等の大切さをはぐくむ教育を盛り込んでいただきたいと強く要望するものでありますが,教育長の御所見をお伺いいたします。
最後に,住宅供給公社破産後のまちづくりについてお伺いいたします。
住宅供給公社は,破産により解散せざるを得ないということが明らかとなり,今定例会には,第三セクター等改革推進債起債の許可申請議案や補正予算案などの解散に係る議案が提出されました。この議案が議決されれば,破産の申し立てなどに着手するとのことであります。
公社の破産は県の将来負担の抑制のために必要な措置であるということは理解できますが,公社の販売した住宅団地の住民は,県の住宅供給公社の団地だから信頼して買ったのであります。整備途中で公社が解散することになり,私の地元にある百合が丘ニュータウンや水戸ニュータウンの住民は強い不安を抱いております。破産をさせるのですから,県がこれらの土地に対し新たな負担をすることは許されません。しかし,約束した良好な住環境整備のため,都市政策や土地利用計画という政策面ではかかわりを持つべきだと考えています。
まず,百合が丘ニュータウンについてであります。
百合が丘ニュータウンは,緑かがやくやすらぎのまちとして平成4年度から分譲が開始されました。この団地の西側を占める環境共生地区は公園と住居が一体となった環境のよい住宅地として計画されましたが,整備が進んでおりません。現在は,環境共生地区の公園の部分についてはおおむね完成しており,団地住民の憩いの場として活用されております。破産となれば,公社の保有土地などの資産は破産管財人により処分されることとなりますが,住民の不安解消のためにも,県は,破産後のまちづくりについて一定の役割を果たすべきです。地元住民からは,環境整備に関する陳情も提出されております。
そこで,百合が丘ニュータウン環境共生地区について県はどのように対応していくのか,土木部長にお伺いをいたします。
次に,水戸ニュータウンについてであります。
水戸ニュータウンにつきましては,豊かな緑に包まれて新しいライフスタイルが実現できる街として平成16年度に分譲が開始され,現在,約120世帯が住んでおります。現在は宅地として売り出している1期地区は既に整備が完了しておりますが,2期,3期地区は整地すら終わっていない状況であります。現下の経済状況からすると,宅地の需要については今後も厳しい状況が続くことが予想され,2期,3期地区については,新たな事業者を探すにしても,住宅地を中心とした整備を続けていくことは難しいのではないかと考えております。
一方,地区内道路から延びる那珂川新橋の工事が進められ,さらには,常磐道に水戸北スマートインターチェンジができるなど,地区の利便性は向上しつつあります。今後の土地利用に当たっては,現在の良好な住環境を維持しつつも利便性を生かし,共存していける企業を誘致できるような観点も必要と考えます。
そこで,水戸ニュータウンの今後の土地利用に関して県はどのようにかかわっていくのか,土木部長にお伺いをいたします。
以上で私の質問を終わりますが,私にとって県議会議員最後の一般質問となります。去りゆく者だからいいかげんに答えていればいいということではなくて,去りゆく者であるからこそ,温かく見守ってお送りいただけるようなすばらしい御答弁を御期待申し上げまして,質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
8 ◯議長(西條昌良君) 高橋靖君の一般質問,質疑に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本知事登壇〕
9 ◯橋本知事 高橋靖議員の御質問にお答えいたします。
まず,
中小企業活性化策及び雇用対策についてでございます。
初めに,
県内経済対策の強化による中小企業の活性化でございますが,県では,昨年,茨城県緊急経済・雇用対策を取りまとめ,経済対策,雇用対策,生活者対策を3本の柱に,国のさまざまな経済対策とあわせ,総額3,567億円規模の対策を実施してまいりました。この結果,緊急経済対策融資については,ことし8月までに約1万5,000件,1,700億円の利用がありましたほか,21年度までに,県,市町村合わせて4,179人の雇用を創出するなど,一定の効果を発揮してきたものと考えております。
しかしながら,県内の景気は依然として厳しい状況にあり,最近の急激な円高の進行がさらに県内企業に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されております。
議員御指摘のとおり,中小企業の活力を高めていきますためには,融資による資金繰り対策だけではなくて,技術力や経営力を高め,企業の体質強化を図ることが何より重要であります。このため,県といたしましては,テクノエキスパートなどの専門家の派遣や経営革新計画の策定指導などにより,技術,経営面での支援を行いますとともに,農商工連携など地域資源を活用した取り組みや工業技術センターとの共同研究などを推進し,新技術,新製品の開発を支援しているところであります。
また,販売力の強化も重要でありますので,
ビジネスコーディネーターを今年度1名増員し,9名体制のもと,県内外の大手企業に対して県内企業の売り込みを図りますとともに,関東5県共同の広域商談会や特定発注企業との商談会などを開催し,受注確保や販路の拡大を推進しております。
さらに,中小企業が将来にわたり活力を維持していくためには,今後の需要の拡大が期待される成長分野への進出が必要であります。このため,本年6月に,200社を超える企業の参加をいただき,いばらき成長産業振興協議会を設立いたしましたが,今後,次世代自動車や環境・新エネルギーなどの成長分野で会員企業のパートナーとなり得る大手企業との交流を深めますとともに,国の施策や大手企業の事業戦略などの情報提供,参入に必要な技術開発の支援などを行い,中小企業の成長分野への進出につなげてまいります。
当面,こうした経済対策を推進し,厳しい状況にある中小企業の活性化に取り組んでまいりたいと考えておりますが,早急な円高対策を講じることが極めて重要であると考えておりますので,今後の国の追加経済対策や県内経済状況なども見据えながら,一日も早い景気回復と雇用の安定を目指してまいりたいと考えております。
次に,
地域型ビジネスマッチングによる地元企業の育成と活性化についてお答えいたします。
議員御提案の,地元の
中小零細企業等に着目した
地域型ビジネスマッチングの推進でありますが,立地企業と地元企業のマッチングに当たっては,生産活動に係る案件とそれ以外の,例えば物品等の調達や施設管理などに係る案件が見込まれます。県では,進出前の段階から立地企業を訪問し,地元企業の情報提供を行いますとともに,立地企業が必要とするニーズの把握に努めているところであります。
こうした情報をもとに,生産活動に係る案件については,金融機関の持つ情報も活用しながら具体的な商談会に結びつけ,また,
ビジネスコーディネーターが立地企業を随時訪問し,発注案件の獲得に努め,地元企業の得意分野や技術力を考慮しますとともに,地理的条件にも一定の配慮をしながら取引のあっせんを行っております。
しかしながら,議員御指摘のように,地元企業の規模や技術力などの信用性の問題から立地企業との取引になかなかつながらないという場合もございます。そのため,テクノエキスパートの派遣などを通じ,地元企業の技術力の向上を図り,まずは,立地企業の多くが発注する中堅企業への下請に参入し,将来的には単独で受注できる企業に成長できるよう支援してまいりたいと考えております。
一方,生産活動以外の案件につきましては,地元の強みを生かせるものが多いことから,商工会等が進出企業に直接,あるいは工業団地立地企業等で構成する協議会等の場を活用し,地元企業の利用を積極的に働きかけるなど,地域密着の取り組みが行われております。
県といたしましては,今後とも,新たに立地した企業の波及効果を地域の中小企業に最大限に生かせるよう,金融機関とも連携しながら受注機会の確保に努めますとともに,地域密着の取り組みを商工会等に働きかけ,地域企業の活性化に努めてまいります。
次に,若者の雇用確保と広いすそ野を持った雇用の創出についてでございます。
高齢化に伴い,技術,技能を有する世代が引退し,世代交代が進む中,若者の雇用の確保はこれからの高齢社会を支える上でも極めて重要な課題であると認識しております。
このため,本県におきましては,中小企業の育成,新産業の創出,企業誘致の推進,観光の振興,もうかる農業の実現などさまざまな形で産業の振興を図りますとともに,医療体制の充実,福祉施設の整備促進,教育環境の充実などにも努め,安定した雇用の確保に努めているところであります。
また,現下の厳しい雇用情勢を踏まえ,当面の対策といたしまして,雇用創出等基金を活用し,介護施設への就業促進や農業,林業従事者の養成など,介護,観光,農業等さまざまな分野で雇用の創出に努めているところであります。
一方,質問にございます,だれにでも簡単に従事できる仕事についてでございますが,このような仕事は一般的には賃金が低く,大幅な雇用増を図ることも難しく,安定した雇用には結びつきづらいのが現状でありますが,さまざまな産業を振興する中で,議員御指摘の広いすそ野を持った雇用の創出にも努めてまいりたいと考えております。
ただ,こうした仕事に就職を希望する若者は大変少なく,中には,仕事につきたがらない若者もいること,あるいは,せっかく就職しても3年後には,高校生で約4割,大学生でも約3割が離職してしまっている現状もございますことなどから,若者の定着促進を図り,技術,技能を継承していくためにも,インターンシップなどキャリア教育を推進しますとともに,勤労観,職業観を醸成していくことが必要ではないかと考えております。
いずれにいたしましても,県といたしましては,高齢社会の中で社会の担い手である若者が安定した職につき,安心して暮らしていけるよう,永続的で安定した雇用の確保に全力で取り組んでまいります。
次に,
障害者福祉政策についてでございます。
こども福祉医療センターの建て替えについてお答えいたします。
肢体不自由児施設でありますセンターの建て替えにつきましては,検討委員会から,民間が整備運営する施設に対して県が施設整備と運営の両面において支援を行い,家庭への訪問リハビリなど政策的な事業に関しては県が民間に委託する
県事業委託方式を第一案とする提言を受けたところであります。
利用者の方々からは,現在の機能を維持することはもとより,訓練の回数等の増加や
重症心身障害児施設の併設,さらには,内科等の新たな診療科目の設置などにより,成人になっても継続して利用できるような施設機能の充実・強化等について強い要望を受けているところであります。これらを実現するためには,委員会の提言のとおり,県が根幹部分でしっかりかかわり,支援しながら,スタッフの確保や予算の執行などにおいては臨機応変に対応できる民間の柔軟性を生かしていくことが最善の選択であると考えております。
一方,整備場所につきましては,水戸医療センターとの連携による発展性や環境面での優位性などを考慮して,桜の郷が第一案とされましたことから,県といたしましては,バスの運行や学校への訪問リハビリの実施など,
水戸養護学校と新施設が離れた場合の対応策を検討し,これまで利用者に御説明を申し上げてまいりました。
しかしながら,
水戸養護学校の関係者からは,学校から離れることは命にもかかわる問題であり,中には,センターと学校が一体となっている県内唯一の環境を求めて転居された方もいらっしゃるといった切実な声も届けられたところであります。
このような中で,先日,高橋議員を初めとする4人の県議会議員の立ち会いのもと,PTAの代表の方々とお会いして要望書をお受け取りいたしました。その際,幾つかの要望項目がございましたが,特に整備場所については,隣接する旧
水戸産業技術専門学院跡地で整備するよう強い要望を受けたところであります。
要望を受けたばかりであり,いまだ結論を得るには至っておりませんが,今後,御要望を踏まえますとともに,検討委員会の委員の方々とも協議しながら,新施設を利用者の信頼にこたえられる,より充実したものとすることを最優先に,整備場所の選定に当たっても,総合的な見地から適切な判断をしてまいりたいと考えております。
10 ◯議長(西條昌良君) 次に,福田
商工労働部長。
〔福田
商工労働部長登壇〕
11 ◯福田
商工労働部長 中心市街地活性化及び
商店街振興策についてお答えいたします。
中心市街地の活性化や商店街の振興につきましては,地域ぐるみで取り組んでいくことが必要であり,地域住民に身近な市町村の役割も大変重要であると認識しております。このため,県では,市町村と一緒になって先進事例等の調査,研究を行っておりますほか,市町村が
中心市街地活性化法に基づく取り組みを行う際は,関係各課が連携し,きめ細かな助言を行っております。
また,商店街の活性化につきましては,各店舗が協力して街の魅力向上や賑わいづくりを図るとともに,個店も経営力を強化していくことが必要であります。県では,活性化に意欲的な商店街に専門家等を派遣し,計画づくりの指導,助言等を行っておりますほか,市町村と連携し,商店街等による創意工夫ある取り組みを支援しております。さらに,個店に対しましても,中小企業診断士等の専門家による経営指導や,店舗改装等に対する低利融資などの支援を行っているところであります。
そうした中,水戸市では
中心市街地活性化協議会が設置され,まちなかの賑わいづくりや買い物環境の改善に取り組んでおり,県では,こうした協議会にも積極的に参加し,必要な助言等を行っているところであります。また,水戸市の泉町2丁目商店街や本町1丁目2丁目商店街では,県の商店街
活性化支援事業を活用した結果,活性化に向けた機運がますます高まっておりますほか,来街者や売り上げの増加にもつながっており,取り組みのさらなる発展が期待されております。
こうした取り組みは地域の理解や協力を得ながら根づかせていくことが何よりも大切でありますので,県といたしましては,今後とも,市町村や商工団体等と連携し,取り組みの継続,発展が図られるよう,きめ細かな支援を行ってまいります。
次に,
中小零細企業でも育児休業が取得しやすい
就労環境づくりと支援策についてでございます。
少子高齢化や人口減少時代を迎え,仕事と生活の調和が実現できる就労環境を整備することは,勤労者の生活の充実はもとより,企業にとっても人材の確保,定着を図る上で大変重要であります。
育児休業制度につきましては,昨年度の調査では,
県内中小企業の約7割が規定を制定しておりますが,議員御指摘のとおり,企業の規模が小さいほど育児休業の取得が進んでいない状況にございます。
このため,県におきましては,中小企業の事業主に育児休業の取得促進等を内容とする計画の策定を働きかけ,これまでに121社が計画を策定しております。また,仕事と家庭両立
支援奨励金を中小企業へ支給し,短時間勤務制度等の導入促進を図るとともに,休業中の労働者へ生活資金を低利で融資します育児・介護休業生活資金貸付制度により,
育児休業等を取得しやすい
環境づくりに努めております。
さらに,今年度から仕事と生活の調和推進アドバイザーを4名に増員し,中小企業を訪問して育児休業の普及促進などについて指導,助言するよう,体制の強化を図ったところでございます。
県といたしましては,今後ともこれらの支援施策にしっかりと取り組んでまいりますとともに,育児休業制度のさらなる定着を図るため,労使の意見交換の機会などを通じ企業が抱える課題を的確に把握しながら,
中小零細企業における育児休業が取得しやすい
就労環境づくりを積極的に進めてまいります。
次に,障害者の
法定雇用率実現についてお答えいたします。
民間企業における障害者の雇用を促進するためには,企業の理解を深めるとともに,障害者を雇用しやすい
環境づくりを進めることが重要であります。
このため,県といたしましては,茨城労働局などと連携し,街頭キャンペーンや障害者雇用優良事業所に対する知事表彰などの啓発に取り組みますとともに,県内の経済団体に対しまして障害者の雇用促進について要請を行ったところでございます。
また,障害者就職面接会を開催し,企業の採用活動を支援することにより,さらに企業での受け入れ促進を図るため,今回の補正予算で提案しているところでありますが,新たに企業開拓員を配置し,実際に企業を訪問して障害者雇用を要請するとともに,職場実習訓練の実施企業の拡充に努めてまいります。
さらに,ジョブコーチによる職場適応援助や試行的雇用に対し奨励金を支給するトライアル雇用など国のさまざまな支援制度の活用を促進するなど,企業の障害者雇用への取り組みを支援してまいります。
さらに,障害特性に応じたきめ細かな就労支援も必要でありますことから,県内8つの障害者福祉圏域に設置しております障害者就業・生活支援センターにおいて,障害者の就職準備から生活相談,就職後の職場訪問や事業主の相談対応に至るまでの総合的な支援を行っているところであり,今後さらに支援センターを増設し,体制の拡充を図ってまいります。
今後ともこれらの施策を着実に進めますとともに,
法定雇用率達成指導を行っております国と連携いたしまして,障害者の雇用促進を図ってまいります。
12 ◯議長(西條昌良君) 次に,山口
保健福祉部長事務取扱副知事。
〔山口
保健福祉部長事務取扱副知事登壇〕
13 ◯山口
保健福祉部長事務取扱副知事
障害者福祉政策についてお答えいたします。
まず,
共同受発注センターを活用した障害者の就労支援についてでございます。
県では,障害者の仕事を安定的に確保することを目的に,
共同受発注センターの設置を支援し,本年4月の業務開始以降,県広報紙や運営主体である団体のホームページ等で周知を図ってきたところでございます。
これまでに,クッキーやサラダの食品加工,陶器による石けん皿の製造や肥料の小分けなど,徐々にではありますが,県内外の企業等から注文が寄せられております。
しかしながら,昨今の厳しい経済情勢の中,多くの事業所で受注量が減少しており,センターがさらに発注を開拓していく必要がありますので,民間企業等への開拓,営業活動を行う職員6名分の補正予算について,今定例会において御審議いただいているところでございます。
また,センターが仕事を確保する上では官公庁からの発注も効果的ですので,県におきましても,名刺,ポスター等の印刷や公共施設の清掃業務の委託等について庁内各課と調整を図りながら発注を進めますとともに,市町村へも積極的な活用を働きかけてまいりたいと考えております。
さらに,今後の受注量の拡大にあわせ,障害者の家族会等が運営する事業所へもセンターへの参画を呼びかけ,受注可能な仕事の拡大を図るとともに,発注企業等と連携した自主ブランド製品開発等にも取り組み,障害者の就労を積極的に支援してまいります。
次に,
障害者工賃倍増計画への取り組みについてでございます。
工賃倍増5カ年計画は,平成23年度の目標工賃額を平成18年度の2倍以上にするという国の指針に基づき,すべての都道府県で策定されているものでございます。
しかしながら,現時点での工賃水準は,ほとんどの都道府県において,本県同様,目標額の2分の1程度にとどまっております。
県では,これまで,計画を達成するため,企業的経営手法を導入するための研修会を初め,販路拡大や新商品の開発を支援するための経営コンサルタント派遣のほか,共同即売会の開催などにより,施設の主体的な取り組みを支援してまいりました。この結果,昨年度の平均工賃月額は1万66円と前年度から620円増加したものの,昨今の急激な景気低迷の影響で全国的にも工賃は伸び悩んでいる状況にあります。
このため,県といたしましては,景気の影響を最小限に食いとめ,安定的な業務量を確保することが必要と考え,
共同受発注センターに職員を配置して,企業や官公庁への営業活動を強化することとしております。
こうした中,来年度には,県の工賃倍増計画の改定を予定しておりますので,これまでの成果等を詳細に分析するとともに,国の動向等も踏まえながら工賃のあり方を検討し,適切な目標額を設定してまいりたいと考えております。
さらに,計画づくりに当たっては目標達成のための方策の道筋を明らかにし,障害者の自立した生活を目指し取り組んでまいります。
14 ◯議長(西條昌良君) 次に,宮浦
農林水産部長。
〔宮浦
農林水産部長登壇〕
15 ◯宮浦
農林水産部長 米消費拡大の目標設定とそのための戦略についてお答えいたします。
米は日本人の主食であり,日本の気候風土に最も適した作物であるため,これまでに米の消費拡大に向けたさまざまな取り組みがなされているところでございます。
具体的には,朝食で御飯を摂取し,仕事や勉強の集中力を上げようという,めざましごはんキャンペーンや,御飯を中心にさまざまな副食を摂取し,栄養バランスにすぐれた食生活を普及しようという
日本型食生活推進運動,さらに,JAグループでは,米を初めとする農産物の地産地消を推進しようという,みんなのよい食プロジェクトなどがございます。
しかしながら,これらの取り組みにおきましては,米の消費目標を明確に掲げるのではなく,県民,国民が無理なく生活に取り入れて広く参加できますよう,朝ごはんとか
日本型食生活,地産地消といった大きな目的のみを掲げて運動を展開しているところでございます。
このたび,米に造詣の深い高橋議員より新しい感覚のアイデアを出し,思い切った行動を起こすべきとの真摯な御提言をいただいたところでありますが,生産者や販売者の立場からだけでなく,さまざまな嗜好や健康状態にある県民各位に広く理解していただける運動とするためには,主食用米の具体的な商品目標の設定はなお課題が多いと言わざるを得ません。
このため,より現実的な対応といたしまして,主食用米の消費につきましては,当面,さまざまな運動の効果を見守ることとする一方で,米粉用米や飼料用米など新たな用途での米の利用を促すことが着実な方策と考えているところでございます。
こうしたことから,平成23年度の目標値を1年前倒しで達成いたしました米粉用米や飼料用米の利用促進につきましてより高い目標値を設定し,新規用途米の利用拡大を進めることなどによりまして,稲作農家の所得向上や農地の有効活用につなげてまいります。
16 ◯議長(西條昌良君) 次に,鈴木教育長。
〔鈴木教育長登壇〕
17 ◯鈴木教育長 教育行政についてお答えいたします。
まず,栄養教諭確保による食育の推進についてでございます。
学校における食育の取り組み状況についてでございますが,現在,すべての公立小中学校において,学級活動や給食の時間等に朝食の大切さの指導や栄養のバランスに関する指導等を実施しております。
しかしながら,栄養教諭の配置数に限りがありますことから,栄養教諭と担任教諭が協力して行う指導ではなく,担当教諭が単独,あるいは学校栄養職員と共同して指導を行っている学校もまだまだ数多くあります。特に大子町のように学校栄養職員等の定数が少ない市町村におきましては,栄養教諭の配置が難しい状況にあります。こうした市町村につきましては,引き続き,国に対しまして学校栄養職員を合わせた定数の増員を要望してまいります。
学校における食育を推進するためには,高い専門性を有する栄養教諭が担任教諭とともに授業を行うことが望ましいという教育現場からの強い声がありますので,来年度に向けて,栄養教諭の新規採用者を増加したところであり,今後とも栄養教諭の増員を検討してまいりたいと考えております。
なお,給食施設がないため栄養教諭を配置することができない河内町や五霞町に対しましては,引き続き,近隣市町村から栄養教諭を派遣してまいります。
次に,不平等感の解消についてでございますが,栄養教諭が配置されるまでの間,栄養に関する専門的知識や栄養教諭の指導の実践事例を習得させる研修会を実施するなどして,担任教諭の資質向上を図ってまいります。
次に,高校での道徳教育の成果と課題及び高校ならではの道徳教育の確立についてでございます。
まず,高校での道徳教育の成果と課題についてでございます。
本県の高等学校における道徳は,主として自分自身に関すること,他の人とのかかわりに関することなど,4つの視点から授業を行っております。道徳教育推進委員会のアンケートによりますと,礼儀や思いやりの大切さについての理解が高まり,社会や集団に積極的にかかわる意義を理解するようになった,自然を大切にし,生命を尊重するようになった,などと答える生徒が増加してきております。
一方では,制度を導入してから3年しかたっていないことから指導方法が確立していないこと,さまざまな学校に対応できるテキストの工夫改善が必要であること,あるいは,教育課程における時間的な制約があることなどの課題があると考えております。
次に,高校の道徳に対する思いについてでございますが,高校生には,高校生活を通して世の中には多様な価値観が存在するということを認識すること,あるいは,人間としてのあり方,生き方をじっくり考えること,あるいは,広く国家や社会について関心を持ち,人間や社会のあるべき姿について考えを深めることなどの重要性を理解させていきたいと考えております。これらを体系的に学ぶためにも,全国に先駆けて実施しました高校の道徳の授業のさらなる充実を図ってまいります。
次に,乳幼児虐待防止につながる出産育児等の大切さをはぐくむ教育についてでございますが,議員の御指摘も踏まえ,今後は,道徳の授業においても乳幼児虐待やドメスティックバイオレンスなど現代の社会が抱えるさまざまな問題を取り上げるなどして,生命の尊重と家族や地域社会の一員としての責任と自覚をさらに深めてまいりたいと考えております。
18 ◯議長(西條昌良君) 次に,進藤土木部長。
〔進藤土木部長登壇〕
19 ◯進藤土木部長 住宅供給公社破産後のまちづくりについてお答えいたします。
まず,百合が丘ニュータウンについてでございます。
公社解散までに処分できない資産については裁判所が選任する破産管財人により管理・処分が行われることとなりますが,これまで百合が丘ニュータウンについては,ゆとりある個性豊かな団地づくりをコンセプトに自然環境豊かな団地として整備が進められておりますので,今後も良好なまちづくりが進められるように県としても一定の役割を果たしていく必要があると考えております。
百合が丘ニュータウンの環境共生地区内の公園につきましては,地元市への移管が済んでいない状況にございますが,既に住民の憩いの場として利用されておりますので,解散後も公園としての良好な環境を保っていけるよう管財人や地元市と調整してまいりたいと考えております。
また,環境共生地区内の宅地部分につきましても,コンセプトに理解を示す事業者の情報の収集に努めるとともに,管財人に情【】報を提供するなどして処分が促進されるよう協力してまいりたいと考えております。
次に,水戸ニュータウンについてでございます。
水戸ニュータウンの1期地区39ヘクタールにつきましては,平成16年度から宅地分譲が開始され,計画戸数218戸のうち129戸がこれまでに分譲されております。また,戸建て住宅以外にも県営住宅を7棟144戸整備しており,平成16年度には私立小学校が開校しております。
一方,2期,3期地区につきましては,公社の経営が悪化したため平成15年度から事業を凍結しており,このため86ヘクタールが未整備の状態で残っております。当該地区は主に住居系の用途地域が指定されており,住宅以外にも,学校,福祉施設,病院,店舗,事務所などの立地が可能となっております。
今後の土地利用につきましては,現在の住環境等に影響が生じない範囲で地域と共存できる事業者の誘致が見込める場合には,見直しなどについても柔軟に対応していく必要があると考えており,地元の町や市と協議しながら進めてまいりたいと考えております。
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20 ◯議長(西條昌良君) 暫時休憩いたします。
なお,会議再開は,午後2時15分を予定いたします。
午後2時5分休憩
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午後2時17分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
21 ◯副議長(白田信夫君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
田村けい子さん。
〔27番田村けい子君登壇,拍手〕
22 ◯27番(田村けい子君) 公明党の田村けい子でございます。
通告に従い,新しい福祉の視点から質問させていただきます。知事及び関係部長,教育長には,前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
初めに,昨年が現在の茨城県総合計画の中間評価の年であり,本年が来年度からの県政運営の基本方針となる新しい県計画の策定の年であることから,特につくばにおける地域づくりの総括と方向性について知事にお伺いします。
TX開通より満5年。利用客は当初計画を上回って推移し,東京駅延伸の条件とされた1日の輸送人員数27万人を既に昨年達成しました。5月には葛城地区につくば市の新庁舎も完成し,沿線の街並みも大きく変貌しました。TX開業後,この5年間で人口は2万7,000人増加しました。しかし,つくば市内の沿線開発に伴う人口増は7,000人。計画人口が8万人であることを考えると,順調とは言いがたい状況です。しかも,内訳は,つくば市内からの移動が4割,茨城県内からが2割,残りの4割が首都圏からという状態であり,目指す30万都市への道のりは遠いと言わざるを得ません。
現行の県計画の地域計画編では,県南ゾーンの施策展開の方向として,つくばの科学技術,成田国際空港や首都圏中央連絡自動車道を生かした産業・研究拠点の形成と豊富な資源の活用による農業等の振興,東京圏と交流する活力ある都市圏の形成,筑波山や霞ヶ浦の自然環境を生かした多様な交流空間の形成が挙げられておりますが,この5年間の進捗状況についてどのように総括されておられるか,また,これからのつくばの地域づくりの方向性をお聞かせください。
次に,つくば地域の資源を生かした成長戦略について伺います。
本年1月,立地機関や県,つくば市が協働で新たなつくばのグランドデザインを策定しました。この中でつくばの理念を,知財,人材の集積と,都市と自然との調和のとれたフィールドを融合することによって,世界や日本が直面する課題解決に向けて先導,貢献としています。
新たな社会システムの創造と活力ある新しい産業を創出し,世界のつくばとして国内外の知財,人材の交流が活発に行われるグローバル拠点都市として,また,豊かな緑とゆとりある空間に囲まれた活力ある文化創造都市として,まさにつくばは茨城の成長のエンジンであると言えます。このつくばに対し,県はどのようにかかわっていくのか,県としてつくばに何ができるのかを明確にすべきであると考えます。
特に,各研究機関の技術シーズが県民の生活の向上に寄与できるよう,技術や人材の発信を行えるノウハウの蓄積が望まれます。今,つくばでは,3Eフォーラム,生活支援ロボット実用化プロジェクトなどが進められていますが,今後,増加していくであろうさまざまなプロジェクトの実施に柔軟に対応できる組織の構築が待たれます。つくば地域の資源を生かした成長戦略をどのように描いていくのか,今後5年間のつくばの地域づくりの基本方向について企画部長の御所見を伺います。
次に,里山保全と活用について伺います。
本年10月,名古屋で生物多様性条約締約国会議COP10が開催されます。この会議において日本は「SATOYAMAイニシアティブ」を提案する予定になっています。これは,里山のような二次的自然が人の福利と生物の多様性の両方を高める可能性があることに注目し,土地と自然資源を最適に利用,管理することを通じて,人間と自然環境の持続可能な関係の再構築を目指すものです。
ここでいう里山とは,集落を取り巻く森林と農地,ため池,草原などで構成される地域を指します。国土の大半を森に覆われた日本では,森の中でいかに自然と調和した生活を送るかが大きなテーマでした。日本で古くから受け継がれてきた里地里山のノウハウは世界に誇れるものがあります。
しかし,近年では,過疎化,高齢化によって里山が放棄され,里山の生態系が劣化するという現象が見られます。新・生物多様性国家戦略において,里地里山など人為的に管理され,守られてきた自然に対する人間の働きかけの減少が指摘され,生物多様性保全上の主要テーマの一つとして里地里山の保全と利用が挙げられています。
今,生物多様性は危機的な状況にあります。我が国において絶滅のおそれがある野生生物は全体の約3割,絶滅危惧種は3,155種に上ります。生物多様性の保全という視点に立って,県民全体で里山を保全,活用する機運を醸成するための普及啓発を図り,人と自然が共生する社会の再生を目指すなど里山保全の今後の方針について関係各課の連携による新たなガイドラインの作成などを通した仕組みづくりが必要と考えますが,知事のお考えをお聞かせください。
次に,我が県における里山保全の具体的な事業推進のあり方について伺います。
森林湖沼環境税を活用して,平地林,里山林の整備,森林環境教育などの事業が進められています。しかしながら,県北地域を中心とした間伐事業が年間1,200ヘクタールに及び,効果性が高いのに対し,平地林,里山林の整備は年間200ヘクタールと少なく,さらなる充実が望まれます。特に通学路周辺の里山林や学校林の整備促進は,森林教育の面からも取り組みの強化が望まれます。
さらに,森林湖沼環境税の使途として,新たに自然との共生という視点に立ち,生物多様性保全を目指した県民への普及啓発活動を組み入れ,県民全体で里山を保全,活用する機運を醸成するための事業の展開が待たれますが,里山保全,活用についての御所見を伺います。
次に,うつ病対策について伺います。
我が国におけるうつ病の生涯有病率は6.3%と,国民の15人に1人が経験する,いわば国民病となっています。また,深刻化する自殺者の増加に関しても,うつ病が原因,動機となっているケースが最も多いことが指摘されており,うつ病対策の充実が望まれます。
うつ病対策の第一の視点は,早期発見,早期治療です。うつ病発症期間が長くなればなるほど回復率が低下するにもかかわらず,うつ病患者の1年以内の受診率は2割程度にとどまっていると言われ,再発率が極端に高いことが報告されています。まずは,早期発見のための仕組みづくりが待たれます。
我が県においては,本年度,茨城いのちの電話やいばらきこころのホットラインなど相談支援体制を強化するとともに,各種相談窓口の普及啓発に取り組んでいますが,一般県民にうつ病に対する理解の促進を図り,うつ病の早期発見,早期治療につながる施策の展開が待たれます。
特に,かかりつけ医のうつ病対応力の向上や専門医との連携,事業者,労働者,家族等がうつ病に関するさまざまな情報を容易に入手できる体制整備,最近増加している子どものうつ病対策の強化,学校医,スクールカウンセラー等のうつ病対応能力の向上など,一層の体制整備が望まれるところです。
また,うつ病に対する医療体制は,内科医におけるプライマリケアが十分でないとともに,専門医においても薬物療法が中心であり,精神療法の充実が望まれるところです。慢性のうつ病に対する有効性が認められている認知行動療法が本年4月から保険適用されるようになりましたが,県としても専門医の育成を急ぐべきと考えます。
また,これらの治療法に対する適切な情報提供が望まれます。県においては,この7月,精神科病院一覧を作成,治療法や対象などの情報をホームページで提供しています。情報の精度アップに努めるとともに,周知徹底に努め,うつ病の早期受診につながるよう,取り組みの強化を望むところです。
そこで,うつ病の早期発見,早期治療の推進及び認知行動療法の普及について,
保健福祉部長の御所見を伺います。
うつ対策,自殺対策の成功例として有名なのが秋田県です。自殺率ワーストワンであった秋田県は,全国に先駆けて自殺予防対策を行ってきました。2001年から始まった自殺対策の結果,2007年の自殺者数は前年比15.4%減少したといいます。秋田では,うつ,自殺を社会的病理ととらえ,地域ぐるみでうつ対策に取り組んでいます。地域づくりとしての自殺予防と言われる秋田方式は,人と人とのつながりを広げていくことで悩みが相談窓口につながっていくような地域づくりを目指しているといいます。悩みを抱えた人がうつ状態になるのを防ぐための交流の場を設け,だれもが思い思いに語り合い,お互いに慰め合って,孤独感を和らげる努力がされているのです。人と人とのつながりが希薄になる現代社会にあって,家族のきずなを深め,地域の中で人と人とのつながりを強化していく,地域づくりの視点がうつ対策には欠かせません。
また,うつ病再発率の低下を目指した社会復帰の支援策の充実も望まれます。財団法人日本生産性本部が発表した「産業人メンタルヘルス白書」を見ると,心の病によって1カ月以上会社を休み,その後復職した従業員のいる企業は74.3%にも上ります。深刻なことに,その病から初めて職場復帰した人のうち6割が再発し,2回目の復帰では7割,3回目の復帰では9割の人が病気を再発,再燃していると言われます。メンタル不調により休業した労働者に対する復職支援の強化は,再発防止の面から見ても重要です。
そこで,早期発見,治療の体制づくり,受診率の向上,患者の家族に対する支援,復職支援,地域づくりなどを取り入れた総合的なうつ病対策ビジョンを策定し,地域を挙げてうつ病対策に取り組む必要があると考えますが,
保健福祉部長の御所見を伺います。
次に,深刻化する児童虐待問題について伺います。
全国の児童虐待相談件数は年々増加し,平成21年度は4万4,210件となっています。我が県においては平成21年度の虐待相談は718件。虐待の内容で特徴的なのは,身体的虐待が最も多いものの,ネグレクト,心理的虐待の割合が高まっていること,実母による虐待が約6割を占めていることなどが挙げられます。
ネグレクト,心理的虐待が増加する中,外傷など目に見える変化がなく,発見がおくれがちです。子どもたちの命を救うためにも早期発見が望まれます。そのためには,子どもの発達障害等による育てにくさ,親の育児不安などのハイリスク要因からのアプローチが有効と考えます。
また,虐待の早期発見のためには,地域住民への啓発が不可欠です。県では,365日24時間対応のいばらき虐待ホットラインを設置し,電話相談を受け付けています。ホットラインがさらに有効に活用できるよう周知徹底を図るべきと考えます。
大阪の2幼児放置死事件でも,住民の虐待に対する意識と,通告を受けた後の児童相談所のあり方が問われています。この事件を受けて,厚生労働省は,虐待の通報を受けた場合,児童相談所の職員が子どもに実際に会って,48時間以内に安否の確認をするよう通知を出しました。安全確認の初動対応強化を目指すもので,一歩前進と評価するところです。
また,虐待が疑われる場合の保護者出頭要求の要件緩和の方針が出されました。虐待防止には有効ですが,一方,児童福祉司を初め,児童相談所の慢性的人手不足が心配されます。児童相談所と地域社会の連携について,及び児童相談所の職員配置について配慮が必要と思います。
つきましては,以上を踏まえ,児童虐待の早期発見への体制強化について
保健福祉部長の御所見を伺います。
児童虐待問題の今後の大きな課題として,保護した後,親子を助けて再び家族として結びつける取り組みはおくれていると言わざるを得ません。児童相談所の役割の中に,親子の再統合への配慮のもとに,虐待を行った保護者への指導があります。親子分離という社会的介入と親支援という援助,互いに矛盾する2つの機能を児童相談所が担っているということには無理があり,児童虐待対策を推進する上で児童相談所の機能の見直しも検討されるべきではないかと考えております。
現在,児童相談所は相反する2つの重要な機能を両立する努力をされておりますが,私は,社会的介入はもちろん,家族再統合に向けての親に対する支援が非常に重要と考えております。虐待に至る家族の背景はさまざまですが,親たちの多くは,自身が過去に暴力や虐待を受けた体験から心理的な問題を抱えていることが多く見られます。虐待の状況を変えるために必要な支援は,親の内的変化,すなわち親が自分の中に閉じ込めてきた気持ちに触れ,みずから問題を解決する力を持っていることに気づく契機をつくることです。親が何をどうすれば子どもと一緒に暮らせるのかを体得する回復支援策が必要です。
大阪府においては,府と市がそれぞれ親の回復を支援するプログラムを民間委託で行っています。児童相談所の機能や人員不足の実態をかんがみ,親支援プログラムを県が予算化し,民間に委託する方法なども有効ではないでしょうか。
つきましては,以上を踏まえ,家族再統合,虐待の防止に向けた親の回復支援の充実について
保健福祉部長に伺います。
次に,福祉相談センター一時保護所の充実について伺います。
この施設は児童相談所に付設された施設で,家出児や保護者の病気等により監護に欠ける児童のための緊急保護や児童の処遇方針を定めるための行動観察,情緒障害児などを家庭から離して心理療法などの支援を行う施設です。
平成20年度の保護人数は207人で,このうち虐待が原因となっているのが81人と最も多くなっています。この施設の設置は昭和34年で築後51年が経過し,老朽化が甚だしく,耐震診断も行われておりません。心身ともに傷ついた子どもたちの保護施設としては余りにも粗末過ぎると言わざるを得ません。建て替え,もしくは移設を強く要望いたします。
保健福祉部長の御所見を伺います。
次に,発達障害児・者に対する支援策について伺います。
まず,発達障害児の早期発見と早期療養の取り組みについてです。
発達障害の児童生徒に占める割合は6.3%との調査結果がありますが,教育や医療の現場で発達障害が増加しているとの実感があります。児童虐待のリスクとも指摘されており,発達障害児に対する支援策の強化が望まれます。
まず求められるのが,早期発見,早期療育という視点です。市町村が行っている3歳児健診において平成20年度では精神発達面の有所見者は2,657人で,受診者全体に対する割合は11.9%と報告されています。これにつきましては,有所見者への事後フォローの充実が求められますとともに,小児科医でも発達障害の診断は難しいと言われておりますことから,健診を担当する保健師への教育も必要と考えます。
また,二次健診の受け入れについて保健所だけで十分なのか,県内でどの病院が二次健診を受け入れているのかなど,情報収集と提供が必要と考えます。
一方,現場からの声として,発達障害を疑われるケースにおいて保護者の理解が得られず,早期療養につながらないとの声もあり,対応が望まれます。つきましては,これらを踏まえ,早期発見,早期療養を推進するための取り組みについて
保健福祉部長の御所見を伺います。
発達障害者の支援を考えるときに,障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加のため,年齢という縦軸と社会という横軸をつなぐ試みが大切と言えます。支援体制整備に当たっては,県や市町村は相談支援体制の基盤づくりという役割を担っています。後ほど質問する土浦市のモデルは,連携を考える上で大変参考になります。
例えば,特別支援連携協議会のような,保健,福祉,医療,教育,さらには労働関係者による協議の機会を強力に推進すべきと考えますが,御所見を伺います。
次に,発達障害者支援体制の強化について伺います。
発達障害者の支援施設として発達障害者支援センターが設置され,大きな役割を担っています。しかしながら,交通の便もいいとは言えず,増加傾向の続く発達障害児・者をフォローするには十分な体制とは言えません。保健所や母子保健センターで発達相談を行っていますが,常設の発達障害児・者の支援センターの拡充が望まれます。せめて,県北,県南,県西,鹿行の各地域に施設を設置し,支援体制の強化を目指すべきと考えます。
また,連携の核となる医療に関しては,県内に小児科神経専門医は15人程度いらっしゃいますが,てんかんやけいれんの専門がほとんどであり,発達障害の診断ができるのは数人と言われています。筑波大学や県立医療大学で診察を行っていますが,紹介状が必要でハードルが高く,初診をとっていない状態だといいます。外来フォローしている専門医が非常に少ない中,発達障害医療体制の充実が望まれるところです。
さらに,発達障害医療の拠点を設置すべきと考えます。現在,発達障害医療については,実態としては,水戸の県立
こども福祉医療センターで県央,県北地域の方を,つくば市立病院小児科で,県南,県西,鹿行地区の方を受け入れているなど,拠点的な状況にあります。
つくば市立病院については廃止を含めた検討がされており,発達障害医療の拠点は存亡の危機にあります。今後ますます重要となる発達障害医療を守るため,県南地域に拠点が必要と考えます。
そこで,これらのことを踏まえまして,発達障害者支援の拠点づくりについて
保健福祉部長の御所見を伺います。
次に,教育に関する諸課題について伺います。
まず,初めに,学校問題解決のための組織づくりについてです。
近年,小中学校では,モンスターペアレントなど保護者や地域住民から学校に寄せられる要望や苦情への対応が学校現場の大きな課題となっています。県においては既に保護者との適切なかかわりのための事例集作成し,各市町村
教育委員会に相談窓口を置いて対応しています。学校における問題はその学校で対応することが原則だとしても,先生方の負担を軽減し,児童生徒と向き合う時間を増加させるためにも,学校における問題の解決のための組織の強化が望まれます。東京都
教育委員会においては,昨年度,常設の学校問題サポートセンターを設置し,学校だけでなく,保護者や地域住民から電話相談を受け付けています。
各地で弁護士などの専門家を交えた学校問題解決支援チームといった組織が設置され,学校へアドバイスを行うところが見られ始めました。我が県において,学校単独での解決が困難なケースに対しどのような対応を行っているか伺います。
また,保護者の方から,子どもを人質に取られているから学校に対し言いたいことも言えないという声をよく耳にします。問題への対応方法について,保護者,地域住民が匿名で電話やメールで相談を受けられるホットラインの設置が望まれますが,教育長のお考えをお聞かせください。
平成19年から始まった特別支援教育は,障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善または克服するため,適切な指導及び必要な支援を行うものである,との理念に基づいています。その推進のため,国は,発達障害者等支援・特別支援教育総合推進事業を平成20年,21年にわたって実施し,我が県においては土浦市がモデル地域として指定されました。土浦市においては2年間のモデル事業を踏まえ,平成22年度は市単独事業として特別支援教育を推進しており,大きな成果が認められています。
取り組みの柱は5つ。
1つ,特別支援連携協議会の設置。保健,福祉,医療,労働,
教育関係者が一堂に集まり,一貫した支援を行うための方策を協議しました。各課のトップがメンバーとなることで理解が大きく進んだといいます。
2つ,相談支援ファイルの活用。子どもの基本情報や成長記録,支援計画が記入でき,子どもに関する情報を共有するツールとして使用します。保護者が記入管理し,支援機関等へ提示することで,支援と支援をつなぐ手がかりとします。
3つ,巡回相談の実施。巡回相談により,各学校の特別支援教育体制の実態把握ができ,課題への助言,事業の周知ができたなどの成果がありました。
4つ,教員研修の実施。コーディネーター協議会を核とした研修会を実施。管理職,一般教員の参画により現場での理解が進みました。
5つ,学生支援員の派遣。教員志望の学生を派遣し,小学校において生活・学習補助を行い,通常学級で個別の支援を必要とする子どもへの対応ができ,学生側からも,教育実習では得られない体験ができたとの声が寄せられています。
発達障害など障害を持つ子どもたちが増加していく中,特別支援教育の推進は教育行政においても大きな課題と認識しています。
保護者の御意見を伺っていると市町村の取り組みの格差が大きく,土浦市のモデルを参考に推進が望まれます。土浦市の作成した相談支援ファイルには個別の教育支援計画が盛り込まれており,特別支援教育を推進する上での大きなツールであると思います。
そこで,土浦市のモデルを今後どのように他の市町村に広げていくのか伺います。
特別支援教育の推進についての文部科学省からの通知の中に,校長の責務について次のように記載されています。
校長は,特別支援教育実施の責任者としてみずからが特別支援教育や障害に関する認識を深めるとともに,リーダーシップを発揮しつつ,次に述べる体制の整備等を行い,組織として十分に機能するよう教職員を指導することが重要である。また,校長は,特別支援教育に関する学校経営が特別な支援を必要とする幼児児童生徒の将来に大きな影響を及ぼすことを深く自覚し,常に認識を新たにして取り組んでいくことが重要である。
現場においては,校長の意識に大きな違いがあることがよく話題に上ります。県は校長に対しどのように意識づけを行っていくのか,教育長に伺います。
障害のある子どもたちのための放課後活動のあり方について,
保健福祉部長に伺います。
特別支援学校に通う子どもたちの保護者から,放課後児童クラブへの御要望を数多くいただいています。この問題につきましてはこれまでも一般質問で取り上げ,大子養護学校を初め4つの特別支援学校で放課後子ども教室が実施されるようになりました。しかしながら,その開催状況は週1回程度であり,就業を希望されるお母さん方のニーズを満たす状況ではありません。
特別支援学校に通う子どもたちの放課後の居場所として考えられるのは,特別支援学校内で行う放課後子ども教室,地域の放課後児童クラブの障害児枠,障害者自立支援法に基づく児童デイサービス事業,日中一時支援事業などが考えられますが,障害児の受け入れのある放課後児童クラブの数は612クラブ中123クラブで,210人の受け入れがあり,そのうち特別支援学校児童の放課後児童クラブ利用状況は,24人にしかすぎません。
特別な支援を必要とする子どもたちの放課後活動を支援し,保護者の就労を支援するサービスは不足していると言わざるを得ません。障害児を持つ保護者が安心して働けるよう,サービスの拡充が望まれます。県として増大するニーズにどう対応していくのか,特別な支援を必要とする子どもたちの放課後活動の充実のためのガイドラインの作成が必要ではないかと考えますが,
保健福祉部長のお考えをお聞かせください。
次に,筑波山周辺地域の整備について土木部長に伺います。
まず,県道笠間つくば線の整備についてです。
この道路は,筑波山登山道として使用されている道路です。TX開通により筑波山への登山客が増加し,観光シーズンを中心として大渋滞が発生し,対策が待たれております。特に登山道の特徴からカーブが多く,屈曲部において大型バスの対面通行に支障を来しております。道路の側溝にはふたがかけられておらず,脱輪事故も多く発生しています。早急な整備が必要と地元からの要望も強いところです。
また,沿道の整備が不十分で景観が悪く,整備の強化が望まれます。地元のボランティア団体の中には,篠や下草の伐採などを行いたいとの希望があるものの,地権者の了解など調整上の問題も指摘されています。
沿道の管理のあり方を含めて,県道笠間つくば線の整備についてお伺いします。
土砂災害による被害を防ぐため,本年,県は土砂災害警戒区域の指定に向けた基礎調査を,つくば市とつくばみらい市で実施することになりました。土砂災害の危険箇所は県北山間部と筑波山周辺に集中しています。昨今のゲリラ豪雨の発生により危険性が増しており,県民の命を守るため,土砂災害の防止のための対策の推進が望まれます。特に筑波山南斜面においては,近年,筑波山を流れる沢などからの鉄砲水の被害が相次いでいます。特にすそ野に広がる水田や道路の冠水,住宅の浸水被害が後を絶ちません。筑波山南斜面における土石流被害の防止策について,土木部長の御所見を伺います。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
23 ◯副議長(白田信夫君) 田村けい子さんの一般質問,質疑に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本知事登壇〕
24 ◯橋本知事 田村けい子議員の御質問にお答えいたします。
新しい県計画におけるつくばの地域づくりの方向性についてお尋ねをいただきました。
まず,地域づくりの総括についてでございます。
最初に,計画の進捗状況についてでありますが,つくばの科学技術等を生かした産業の振興については,サイバーダイン社など81社のベンチャー企業が筑波大学から生まれるなど,ベンチャー企業数は計画の目標数値に対し順調に増加をしております。
また,東京圏と交流する活力ある都市圏の形成については,つくばエクスプレスの1日当たりの乗車人員が計画目標である27万人に到達しますとともに,つくばで開催された学術会議の開催件数は,つくばエクスプレス開業前と比べて2.6倍と大幅にふえているところです。
さらに,つくば市内では,最近やや減速気味ではありますが,戸建て住宅やマンションの建設が進み,都市の顔となる大規模商業施設が立地し,つくば市役所新庁舎や圏央道つくば中央インターチェンジも完成をいたしました。このように,つくばにつきましては,総合計画に沿っておおむね順調に発展してきていると考えております。
次に,今後の方向性についてでございます。
つくばの最大の特徴は科学技術の集積でありますことから,世界的なナノテク研究のプロジェクトや,生活支援ロボットの実用化などを支援しますとともに,東京や県内の他の地域とも連携しながら,つくばを科学技術創造立国日本を支える重要な拠点としていきますとともに,その活力を本県全体の発展につなげてまいりたいと考えております。
また,地元市,大学,研究機関とも連携し,県外からの修学旅行の受け入れや,研究機関をめぐるサイエンスツアーをさらに推進しますとともに,筑波山や伝統的な街並みを生かしながら,都市圏や地域住民相互の交流を促進し,あわせて,生活環境の整備・充実を図ることなどにより,都市部と農村部の調和のとれた発展を図ってまいります。
さらに,つくばエクスプレス沿線では,知的で快適な環境を享受できる暮らし方をつくばスタイルとして推進するなど,街のイメージアップにも努めてまいります。
いずれにいたしましても,新県計画における地域づくりの方向性につきましては,現在,総合計画審議会で御審議をいただいているところでありますので,その御意見を踏まえながら策定してまいりたいと考えております。
次に,里山保全と活用についてお答えいたします。
まず,生物多様性と里山保全についてでございます。
本県におきましては,県土面積の約4割が里山とされ,対象となる自然環境が極めて広範でありますので,関係部局が分担して,その保全に取り組んでいるところでございます。
例えば,里山の中心となる里山林の保全・整備を進めますとともに,身近な緑を自然観察や体験活動の場として子どもたちに提供したり,営農活動により農地が有効に利用されるよう,農業者だけでなく地域住民も協力して,農地や水路の保全を行う農地,水,環境保全対策などを講じております。
また,ため池などの適正な管理や緑地環境保全地域の指定なども行っております。
しかしながら,昨今の生物多様性や里山への関心の高まりの中で関係部局がそれぞれ取り組むだけでなくて,生物多様性や里山保全のための一貫した総合的な対応がますます重要になりつつあります。来月の生物多様性条約第10回締約国会議COP10の開催に合わせまして,国におきましても,農林業者,NPO,企業,行政,学識経験者など,多様な主体の行動基準を示す里地里山保全活用行動計画を策定する予定と伺っておりますので,今後は,議員御指摘のガイドラインの制定などさまざまな取り組みを検討し,関係部局が連携した全庁的な取り組みとして,より一層効果的な生物多様性と里山の保全に努めてまいります。
次に,森林湖沼環境税を利用した事業推進のあり方についてでございます。
里山保全につきましては,森林湖沼環境税を活用させていただき,さまざまな取り組みを進めているところであります。
まず,里山林の整備につきましては,平成17年度以降,毎年30ヘクタール前後と停滞しておりましたが,平成20年度,約118ヘクタール,平成21年度には201ヘクタールと大幅にふやしてきているところであります。また,身近な緑である里山林が,自然に触れ合い,環境や森林の役割などを学ぶ絶好の場であることを踏まえ,子どもたちや保護者にも参加していただき,学校周辺の森林などの整備を進めているところであります。
さらに,近年は,森林ボランティアや企業など県民みずからが里山林の保全に取り組む活動が活発になってきておりますので,こうした活動を広報紙などでPRし,県民参加による里山保全の機運醸成や普及啓発を図っております。
今後の保全・活用のあり方といたしましては,NPOや企業などの自発的な活動とも連携しながら,里山林整備の一層の推進に努めますとともに,森林環境教育を着実に進めてまいりたいと存じます。
また,あわせまして,里山の保全に当たりましては生物多様性に配慮することとし,その重要性が県民に浸透するよう,普及啓発と機運の醸成を図ってまいります。
25 ◯副議長(白田信夫君) 次に,榊企画部長。
〔榊企画部長登壇〕
26 ◯榊企画部長 つくば地域の資源を生かした成長戦略についてお答えします。
つくば地域につきましては,今後とも日本を代表する科学技術の重要な拠点としてその活力を本県全体の成長や発展につなげていく必要があると考えております。本年6月に国が策定した新成長戦略には,強い経済を実現するため,グリーン・イノベーションやライフ・イノベーションといった幾つかの成長分野が掲げられておりますが,つくばにはこれらの成長分野に関連する研究開発を行っている試験研究機関等が多数立地しており,これらはまさにつくば最大の地域資源であると考えております。
こうしたことから,つくば地域の資源を生かした成長戦略といたしましては,つくばに集積する世界最先端の研究機能を活用し,ロボットやナノテクを初めとする国家プロジェクトを推進し,科学技術創造立国日本を支える重要な拠点づくりを進めるほか,つくばの研究集積を生かした産学官の連携により,ベンチャー企業の創出や企業への技術移転,新たな企業の誘致につなげてまいりたいと考えております。
また,つくばにおける研究開発の一層の推進や産業利用等を加速していくためには,議員御指摘の研究開発の連携等を図るための核となる組織が必要であります。県といたしましては,大学や主要な試験研究機関等の関係者に対し,こうした核となる組織の設立について働きかけてまいります。
つくばの地域づくりにつきましては,ただいま御答弁申し上げましたことを基本方向としていきたいと考えておりますが,具体的には,現在御審議いただいている総合計画審議会での御意見も踏まえながら,新たな県計画の中で示してまいりたいと考えております。
27 ◯副議長(白田信夫君) 次に,山口
保健福祉部長事務取扱副知事。
〔山口
保健福祉部長事務取扱副知事登壇〕
28 ◯山口
保健福祉部長事務取扱副知事 うつ病対策の推進についてお答えいたします。
まず,うつ病の早期発見,早期治療の推進についてでございます。
うつ病は,本人の自覚がない場合が多く,周囲が早目に気づき,専門機関につなぐことが大切であるため,広報紙「ひばり」にうつのチェックリストを掲載するなど,県民への普及啓発を行ってまいりました。
また,身近な人材育成として,かかりつけ医に対する研修を実施してまいりましたが,今後は,学校医,スクールカウンセラーなど
教育関係者に対しての研修も,教育庁と連携して行ってまいりたいと考えております。
なお,うつ病に有効とされる認知行動療法につきましては,現在,県内では3病院で実施されているところですが,今後,専門家の養成のため,国の主催する研修会への参加を促すとともに,ホームページを活用し周知徹底を図ってまいります。
次に,うつ病対策ビジョンの策定についてでございます。
うつ病と自殺は密接な関係があることから,有識者で構成する茨城県自殺対策連絡協議会の提言を踏まえ,今年度から新たに筑波大学と共同で,こころの健康に関する実態調査や,住民に身近な各種団体との連携による地域社会づくりを目指した研究を行っているところでございます。
今後,この研究成果などを踏まえ,市町村などとの連携を図りながら,うつ病患者の早期発見,早期治療など,地域における総合的なうつ病対策の推進に取り組んでまいります。
なお,うつ病対策ビジョンの策定につきましては,現在,国において総合的なうつ病対策を含む自殺対策指針の取りまとめを行っておりますので,その動向等を踏まえ,今後,検討してまいります。
次に,児童虐待防止策の推進についてお答えいたします。
まず,早期発見への体制強化についてでございます。
児童虐待のリスク要因であります発達障害による育てにくさや育児不安等に対しましては,市町村等と連携し,妊産婦健診や乳幼児健診のほか,すべての乳児を対象とした家庭訪問などにより,状況把握と支援に努めております。
また,虐待の電話相談や通告を受け付ける「いばらき虐待ホットライン」につきましては,今年度,県の広報紙「ひばり」やホームページを活用し,さらなる周知を図ってまいります。
今後とも,緊急事案や困難事案の増加により的確に対応できますよう,要保護児童対策地域協議会を通して児童相談所と地域の関係機関との連携を密にし,
事例検討等を通して職員の資質向上を図るとともに,組織体制の強化についても検討してまいります。
次に,親の回復支援策の充実についてでございます。
児童相談所は,虐待事案に対し,調査や親子分離を担う職員とその後の家族再統合や虐待の再発防止を支援する職員を分けることを基本として,支援に当たっているところでございます。
家族再統合における親への支援につきましては,家族支援のためのガイドラインを策定し,親が持つ回復に向けた力を引き出せるよう努めているところです。具体的な回復支援策としては,児童福祉司による面接指導や精神科医によるカウンセリングを実施しているほか,昨年度から特に父親向けに虐待を再度行わないための方法を学ぶグループプログラムを筑波大学の精神科医の協力のもと実施するなど,支援の充実を図っております。
議員御指摘の親支援プログラムの民間委託につきましては,虐待対策全体における位置づけやその効果などについて,今後,大阪府における実践例等を踏まえ,研究してまいりたいと考えております。
次に,一時保護施設の充実についてでございます。
福祉相談センター一時保護所につきましてはこれまで必要に応じて修繕等を行ってきたところですが,老朽化が著しいことは十分認識しております。このため,昨年度は中央児童相談所との一体的な移転改築などを検討いたしましたが,国の交付金の期限などの関係で予算化には至らなかったところでございます。
今後は,今年度予定しております耐震診断の結果を踏まえるとともに,利用可能な既存施設の活用も含めて検討し,できるだけ早期に一時保護所の環境改善に取り組んでまいりたいと考えております。
次に,発達障害児・者に対する支援策についてお答えいたします。
まず,早期発見,早期療育の取り組みについてでございます。
市町村では,3歳児健診において,対人関係や行動上の問題,言葉のおくれなど精神発達面についてスクリーニングを行っております。その結果,二次健診が必要な児童に対しましては,県の発達障害者支援センターや保健所,母子保健センターにおいて専門医師による診察,発達検査や児童への対応方法の指導を行うほか,専門外来を有する医療機関などの情報提供を行っております。
また,市町村保健師への支援といたしまして,3歳児健診マニュアルの配布や研修会の開催などを行っております。さらに,保育所,幼稚園の集団生活の中で気になる行動が見られる児童につきましては,保健所の保健師や心理士などが保育所などに出向き,保護者や職員に障害への具体的なかかわり方について指導を行うなど療育支援に努めてまいります。
今後とも,市町村や関係団体と連携を図りながら,発達障害の早期発見や早期療育のより一層の充実を図ってまいります。
次に,保健福祉,医療,教育の連携についてでございます。
県では,発達障害者の生涯一貫した支援やサービスのあり方等について検討するため,保健,医療,福祉,教育,労働などの関係機関や有識者等から成る発達障害者支援連絡協議会を設置しております。こうした場での議論等を踏まえて,発達障害者支援センターを中心に,幼稚園,保育所,保健センター,さらには,かかりつけ医等が協力し,総合的な相談,支援,情報提供が行われるよう,地域における支援体制の整備を進めております。
さらに,今年度は,各市町村における相談に至るまでの経緯や,相談内容とその対応等について調査を行っておりますので,その結果等を踏まえて地域への支援のあり方を検討し,さらなる体制の充実を図るよう努めてまいりたいと考えております。
次に,発達障害者支援の拠点づくりについてでございます。
まず,発達障害者に対する支援といたしまして,県では,発達障害者支援センターを中核施設として位置づけるとともに,より身近なところで支援を受けられるよう人材育成研修を実施し,市町村における療育支援の充実を図ってまいりました。
こうした中,先ほど申し上げましたとおり,今後,市町村における療育支援体制の整備状況等を調査し,その結果等を踏まえ,今後の体制について検討していくこととしております。
次に,発達障害者に対する医療面からの拠点につきましては,現在,県立こども病院と県立医療大学付属病院を位置づけておりますが,このほか,県立
こども福祉医療センターや県立友部病院等でも診断が行われているところでございます。
なお,今後,建て替えを予定しております
こども福祉医療センターにつきましては,発達障害に関する医療機能の充実を目指しているところでありますので,新たに拠点の一つとして位置づけることでさらなる支援体制の強化につながるものと考えております。
次に,教育に関する諸課題についてお答えいたします。
障害のある子どもたちのための放課後活動の体制づくりについてでございます。
県では,放課後児童クラブへの障害のある子どもたちの受け入れを進めるため,指導員の人件費や施設の改修費に対する補助制度を活用するとともに,障害児対応のための指導員の研修会等を実施してまいりました。引き続き,保護者のニーズに沿った地域での円滑な受け入れを促進してまいります。
また,社会福祉法人等に対し児童デイサービスの実施を働きかけるとともに,市町村が実施する日中一時支援事業についても,地域のニーズを踏まえた取り組みがなされるよう助言してまいります。
なお,平成20年度に教育庁と保健福祉部合同のプロジェクトチームにより,各制度の概要や実施までの手順等をガイドラインとして取りまとめ,市町村に情報提供いたしました。今後さらに特別支援学校における放課後対策の推進方策等について検討を進め,市町村とも連携して,障害のある子どもたちの放課後対策の充実を図ってまいります。
29 ◯副議長(白田信夫君) 次に,鈴木教育長。
〔鈴木教育長登壇〕
30 ◯鈴木教育長 教育に関する諸課題についてお答えいたします。
まず,学校問題解決のための組織づくりについてでございます。
初めに,本県における学校単独での解決が困難なケースへの対応についてでございますが,学校に寄せられる保護者や地域の方々からの要望や苦情につきましては,学級に関することであれば担任が,部活動に関することであれば顧問がといったその担当者が最初に対応し,状況によっては,学校長等の指示のもと,学年主任や生徒指導主事が中心となり,学校全体で問題解決に当たっております。
それでも保護者の理解が得られず,問題が長期化するなど学校だけでの解決が困難なケースにつきましては,市町村において弁護士やカウンセラーなどの専門家や関係機関と対策を協議し,学校と連携して解決に当たっているところでございます。
県といたしましても,義務教育課内にある市町村教育推進室が必要な助言を行っているところであります。特に最初に要望や苦情等を受ける教員の初期対応が極めて大切でありますことから,本年2月に保護者対応の手引を作成し,全教職員や市町村に配布して教員の対応力を高め,問題の深刻化の未然防止を図っているところでございます。
県といたしましては,今後とも学校長のもと,学校全体で問題解決を図ることができるよう,教員の初期対応力や中心となる生徒指導主事の対応力の向上をさらに図ってまいりたいと考えております。
次に,保護者の方々などが相談しやすいホットラインの設置についてでございます。
県においては水戸生涯学習センター内に教育・子育て電話相談を開設し,電話は夜の12時まで,ファックスやメールについては24時間体制で相談に当たっております。昨年度は,子どものしつけや進路問題,学校への要望など3,000件を超える相談に対応したところでございます。
また,既に多くの市町村においても教育相談室などを設置し,電話やメールにより相談に対応しております。今後は,ホームページや広報誌の充実などにより,相談窓口の周知の徹底を図ってまいりたいと考えております。
次に,土浦市におけるモデル事業の成果を踏まえた特別支援教育の推進策についてでございます。
本県においては,障害のある幼児児童生徒一人一人に適切な指導や必要な支援を行うため,小中学校等に数多く在籍している発達障害を含むすべての障害のある幼児児童生徒の支援のあり方について,土浦市をモデル地域に指定し,昨年まで2年間実践研究を行ったところであります。
具体的には,保健,福祉,医療等との連携協議会の設置,相談支援ファイルの作成及び活用,巡回相談や教員研修の実施,学生支援員の派遣などのあり方について取り組んでいただいたところでございます。この取り組みにより,乳幼児期から一貫して適切に支援するための体制が確立され,障害のある幼児児童生徒の特別支援教育を総合的に推進できるものと考えております。この成果を市町村に広めるため,県内の教育及び福祉等の関係者を対象に去る7月に報告会を実施したところでございます。
今後も,土浦市の取り組みを踏まえ,各学校において一貫した適切な支援が行えるよう市町村に働きかけてまいります。
次に,議員御懸念の学校長に対する意識づけについてでございますが,理解がまだまだ不十分な学校長もおりますので,特別支援教育実施の責任者として,特別支援教育や障害に関する認識を深め,リーダーシップを発揮できるようにすることが重要であると考えております。このため,学校長会議や新任校長研修講座,特別支援学校における体験研修などを行っているところでありますが,さらにその充実を図ってまいります。
31 ◯副議長(白田信夫君) 次に,進藤土木部長。
〔進藤土木部長登壇〕
32 ◯進藤土木部長 筑波山周辺地域の整備促進についてお答えいたします。
まず,県道笠間つくば線の整備についてでございます。
本路線のうち,県道筑西つくば線との交差点から筑波山神社入り口付近までの区間については,大型車がカーブで対向車線にはみ出して走行したり観光客が車道を歩いたりして,安全な通行に支障を来しているところでございます。
このため,平成19年度から,カーブのきつい区間や人家連担部について,地元からの御要望を踏まえ,優先的に整備する区間について,地元の関係者と調整を図りながら,順次,側溝のふたかけを実施してきているところでございます。残る区間につきましても,引き続き,地元の意向を踏まえながら着実に対策を実施していくこととしております。
また,道路区域内の沿道の管理につきましては,ボランティア団体などの御協力による除草や清掃などの取り組みを推進しているところであり,筑波地域におきましても,このような取り組みなどにより,観光客にとっても快適な沿道の管理に努めてまいります。
次に,筑波山南斜面における土石流被害の防止策についてでございます。
筑波山南斜面では,過去の土砂災害を踏まえ,これまでに10の渓流において砂防施設の整備を完了させており,また,現在,1渓流で整備を進めているところでございます。
さらに,県では,平成18年度から,これらのハード対策に加え,ソフト対策として,土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定を順次進めてきているところであり,本年度はつくば市域における指定を目指して,この11の渓流を含めて,必要な調査を実施しているところでございます。
なお,指定に当たっては,事前に危険区域を住民に御説明することとしております。この指定により土砂災害が発生するおそれのある土地の区域を明らかにするとともに,ハザードマップを作成して,避難場所や避難路など土砂災害について必要な情報を地域住民に周知してまいります。
近年,多発しているゲリラ豪雨などによる土砂災害への早急な対応が必要であり,これまでのハード対策に加えて,市町村と連携し,住民の御理解と御協力をいただきながら,ソフト対策にも積極的に取り組んでまいります。
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33 ◯副議長(白田信夫君) 暫時休憩をいたします。
なお,会議再開は午後3時35分を予定しております。
午後3時14分休憩
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午後3時36分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
34 ◯議長(西條昌良君) 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
神達岳志君。
〔2番神達岳志君登壇,拍手〕
35 ◯2番(神達岳志君) 自由民主党の神達岳志であります。
今回,茨城県議会において初めての一般質問をさせていただくことになりました。志半ばで急逝された五木田良一先生の思いを胸に,しっかりと務めさせていただきたいと思います。
多大なる御支援を賜っております地元の皆様方を初め,当選半年足らずの私に対して異例の登壇の機会を与えてくださいました先輩議員,そして同僚議員の方々に,深く感謝を申し上げます。
経済の停滞,人間社会のきずなの崩壊など暗いニュースがあふれる中,平成維新とも言われるほど大きく時代が変わろうとしております。こんな時代だからこそピンチをチャンスととらえ,責め合いや足の引っ張り合いではなく,認め合い,助け合いの社会をつくっていき,次世代に継承していく責任世代の使命を感じ,県議会議員としてここに立たせていただいております。
それでは,通告に従い質問いたしますので,知事及び執行部の皆様方におかれましては前向きな御答弁をお願い申し上げる次第であります。
まず,初めに,県民協働の茨城づくりについて伺います。
地方分権,地域主権が叫ばれる中,その主役となる地域を担っていくのは行政だけではありません。その地域に住む住民こそが主役のまちづくりがこれからますます必要となってくると思います。
しかし,自分さえよければいい,今さえよければいいという行き過ぎた個人主義や,住民不在の政治といった報道などが,住民の政治に対する無関心をますます助長しているような気がしてなりません。今こそ,自分たちのまちは自分たちでつくるんだという住民の出番づくりや,行政と住民が一緒になって学び,考え,語り合い,協働していくことこそが,真の地域主権時代に重要であると考えます。その上で,県民の声に広く耳を傾け,その意見を反映させるということは,とても重要なことと考えます。
本県においても,「知事と語ろう明日の茨城」を初め,県政モニターなどさまざまな方法で県民から意見を聞くための取り組みを行っていることは,大変すばらしい取り組みだと思っております。
しかし,みずから行動を起こして県へ意見を伝えることのできる人は県民のほんの一部であると思います。意見はあっても,声を上げる機会のない人や,そもそも意見がない,無関心の方々にも関心を持っていただくことが協働への架け橋として大切ではないでしょうか。そういった声なき声に耳を傾けることは,議員としての私の使命の一つであると考えておりますが,県の広聴としても考えていかなければならないと思うのですが,いかがでしょうか。
さて,住民の声なき声を聞き,行政に反映させる手段として,市民討議会という手法があります。私の地元の常総市ではこの市民討議会を始めてから本年で3年目を迎え,少しずつ成果が出始めたところであります。これは,常総市の住民基本台帳から無作為で抽出し,市内各地域から参加いただいた老若男女の市民の皆様に地域の課題について話し合っていただき,合意を形成して行政に提言するといった手法であります。
これまでまちづくりにかかわったことのない市民の声を聞ける場,市民の関心を高める場,市民のコミュニティーを醸成できる場として有効なこの手法は,私の出身の青年会議所を中心に,県内各地はもとより,全国に広まり始めております。私は,県民の県政への参画意識の向上のためにも,市民討議会の手法は非常に有効な手段だと考えております。
そこで,県においても,県民無作為抽出や合意形成型会議手法,企画段階から県民協働で実行委員会を立ち上げるなどこの手法の特徴を参考にして,県民討議会を取り入れてはいかがでしょうか。また,県民討議会を行うに当たっては,全員が議論に参加し,前向きな意見が出るように話し合いを進行するファシリテーターが不可欠であることから,その人材の養成も急務であります。
そこで,本県における広聴活動の現状と県民協働に対する考え方について橋本知事に伺います。
次に,地域資源を生かした人が集まる茨城づくりについて伺います。
私は常々,どうしたら本県が独自性を発揮し,県民が誇りに思う元気な茨城をつくることができるかを考えております。本県が元気になるためには,まず,私たち自身が本県の魅力に気づき,その魅力を発信し,交流人口をふやすことが不可欠であります。
つくばエクスプレスなどの広域交通ネットワークが発達するにつれ,人々はすぐに都心へ行けるようになりましたが,都心へすぐ行けるということは,都心からすぐ来ることができるということでもあります。都心にあるものを茨城にそろえても人は来ません。私は,都心とは違った魅力のある部分を積極的にPRすることにより,都心にはなく,茨城にある地域資源を生かして人が集まる茨城をつくっていきたいと思っております。まさに,ないものねだりではなく,あるもの生かしのまちづくりであります。
旅行会社が実施した調査によれば,旅行者が農山漁村に旅行に行く場合に望む過ごし方は,おいしい食を楽しむこと,美しい農山村風景を訪ねること,里山をのんびり歩くことなどが主なものとして挙げられ,地域資源への期待が大きいという結果が出ていますが,こうしたニーズに本県は十分にこたえられるということを認識し,自信を持って情報発信すべきであります。
企業経営の観点で考えれば,全体目標を立て,各部門がそれぞれ役割を認識し,連携しながらその目標を達成するために知恵と行動で結果を出していくことが大切であります。自治体においても地域経営の観点から具体的に交流人口を何年後に何万人ふやすというような全体目標を立て,各部局が同じ目標の達成のためにそれぞれ連携しながら事業を進めていくことが必要ではないでしょうか。
地域資源を最大限に生かし,人が集まる茨城を実現することで,茨城の農業や工業,商業が発展し,中小企業が活性化し,新しいビジネスが生まれ,賑わいのある元気な茨城の実現につながっていくと私は確信します。そのような観点から幾つか質問をさせていただきます。
まず,グリーンツーリズムの推進であります。
本県には,都心にはない美しい自然の風景が残っています。釣りやキャンプ,農園での野菜づくりなど,都会の人が求める癒しが本県にはあります。
農林水産省が平成21年12月に実施したアンケート調査によると,今後,農業,農村とどのようにかかわっていきたいかについての都市住民の意識は,地域農産物の積極的な購入等により農業,農村を応援したい,市民農園などでの農作業を楽しみたい,などのほか,グリーンツーリズムなど積極的に農村に出向いて農業,農村を応援したい,といった積極的な交流を望む意見も多く見られます。
また,例えば,県内市町村と首都圏の自治体とで姉妹提携を結び,都市農村交流などを通じて,参加者と地域との触れ合いを深めることも本県の地域資源をより深く実感していただくための有効な手段と考えます。
そこで,本県のグリーンツーリズムの現状と今後どのように推進していくのか,
農林水産部長に伺います。
次に,具体論として,県自然博物館と水海道あすなろの里の連携であります。
平成6年にオープンした茨城県自然博物館の入館者数は年間40万人を超え,全国の県立の自然史系博物館の中で第1位であります。一方,水海道あすなろの里は,本県最大の自然環境保全地域菅生沼に面し,展望風呂,ふれあい動物園,淡水水族館,釣り堀,宿泊施設,農業体験の場などがあり,県自然博物館とは菅生沼をはさんで橋でつながっておりますが,年間来場者数は8万人足らずとなっております。現在,ホタルの里づくりや各種イベントなど,来場者をふやそうと地域の皆様とともに行政も頑張っているところであります。
県と常総市,そして,地域住民がさらに協力し知恵を出し合えば,県自然博物館,あすなろの里,そして菅生沼一帯が一つの大テーマパークとなり,県外からの交流人口の増加が期待できると思います。
そこで,県自然博物館と水海道あすなろの里の連携をさらに充実させていくべきと考えますが,教育長の所見を伺います。
次に,コミュニティービジネスへの支援であります。
コミュニティービジネスとは,地域の課題を地域住民が主体的にビジネスの手法を用いて解決する取り組みのことであります。
これまで,地域の課題は行政が解決に当たっていましたが,今や国も自治体も大幅な財政赤字を抱え,組織人員の縮小等を余儀なくされる傾向にあることから,地域の課題やニーズに十分に対応することが難しくなってきています。
そこで,地域住民みずからコミュニティーを形成し,地域が抱える課題をビジネスとして解決しようという動きが出てきております。国においては新しい公共という言葉で語られていますが,それは,支え合いと活気のある社会をつくるための当事者たちの協働の場のことであり,人を支え,仲間とともに同じ志を持って人や地域のために役に立つことは,それ自体が喜びや生きがいになるものであります。
かつて,大型商業施設が客を奪い,
中心市街地の商店街がシャッター通りと化して問題となりました。シャッター通りは依然として問題ではありますが,今やその大型商業施設までもが撤退をし,高齢化によって交通手段を持たないお年寄りなどが買い物難民化しているという現象が各地で問題になっております。企業は利潤を追求するのがその使命であることから,もうけられなくなれば撤退するのは必然でありますが,住民は生活していかなければなりません。
そこで,コミュニティービジネスの出番であります。行政任せでなく,地域住民みずからが地域の課題を仕事を通して解決するのです。もちろん,ビジネスである以上,効率的に,かつ,始めた以上は責任を持って継続的に,安定的に行う必要があります。例えば,ひたちなか市においては,生協の撤退を機に日常の買い物や住民同士の交流の場がなくなってしまった地域において,地域住民みずからがNPO法人を立ち上げ,サービスを提供し,地域を再生させたという事例があります。
そこで,コミュニティービジネスの手法を用いて
中心市街地の賑わいづくりや交流人口の増加につなげたいという地域住民やNPO法人等に対して,県としてどのような支援を行うのか,
商工労働部長の所見を伺います。
次に,県内ロケ地の活用であります。
県内のロケ支援実績は平成14年度から平成21年度までの累計で2,104作品であり,県内各地で多くの作品が撮影されております。ロケ支援による直接的効果としては,ロケ隊の宿泊や食事等の消費活動に伴う経済波及効果の推計額が平成21年の1年間でおよそ5億4,000万円に上り,間接的効果としては,映像を通じて地域資源が全国に情報発信されることによる知名度向上,イメージアップ,観光振興などがあり,さらには,住民が自分の住む地域のよさの再認識,地域に対する誇り,特色あるまちづくりにまで及ぶものであります。
しかし,いざ,実際にロケ地を訪ねてみても観光地としての盛り上がりが余り感じられないのはとても残念であり,もったいないと思います。韓国では,日本において大ヒットしたドラマの影響で,日本人観光客がロケ地めぐりをするために年に何度も訪れるそうであります。これは,ロケ地をそのまま観光地にしている一つの例でありまして,参考にすべきものであると思います。
本県においても,例えばフィルムコミッションと市町村や地域の商店街などが連携し,ロケ地を人の集まる観光地にはできないものでしょうか。また,家族単位や個人の観光客はみずからインターネットで調べて旅行する場合が多いので,観光客を呼ぶという観点からロケ地をインターネットで紹介することも有効であると考えます。
そこで,多くの作品のロケ地であるという本県の地域資源を生かすために本県のフィルムコミッションを交流人口の増加にどのようにつなげていくのか,企画部長に伺います。
次に,道徳教育及び公共心の醸成について伺います。
かつてこの国は,貧しいながらも,ともに助け合い,認め合い,地域で寄り添って社会のきずなを大切にしながら,日本の伝統的な精神性や勇敢で高潔なる大和魂,利他をおもんぱかる思いやりあふれる道徳心を大切にする,世界に誇るべき民族でありました。しかし,現在は,物質的には豊かになったものの,自分さえよければいい,今さえよければいいという行き過ぎた利己主義が横行しており,規律,規範意識もなくなってきていると言われております。
また,今の子どもたちは郷土の歴史を学ぶ機会が十分ではありません。郷土の歴史を知らずして郷土を愛し,地域に誇りを持つことはできないと思います。公共心を醸成するには,郷土の歴史を学ぶことによって郷土への誇りを持つことが必要であり,郷土を好きになって初めて,地域のためにという公共心の醸成につながっていくのだと思います。
ボランティア活動で一生懸命汗を流す人が,「一銭の得にもならないのに変わってる人だね」と嘲笑されるような風潮,金もうけして何ぼという拝金主義でなく,公のためにという貢献主義こそが尊いことであるという教育が大切ではないでしょうか。
家族を愛し,地域に感謝し,日本という国の歴史と伝統,文化を誇りに思い,尊敬される日本人として世界に羽ばたくことのできる子どもたちを育てるために,今こそ日本人の誇りを取り戻すための教育が重要だと考えます。
教育は国家百年の大計と申しますが,まず,小中高等学校における道徳教育について伺います。
親が子をあやめる事件や,ネグレクトと言われる育児放棄など,家族間のきずなの崩壊,また,人の心が壊れてきているのを実感しております。また,中小企業の経営者に話を伺うと,最近の若い社員は,学力は優秀で,言われたことはしっかりやるが,みずからの発想力や想像力に欠け,コミュニケーション能力の希薄さや無気力などから,うつや出社拒否になって退職する人が多いとのことであります。何のためにいい大学に入ったのか,何のためにいい会社に入ったのか,これらの事例が行き着くところはいずれも人の問題であります。
今の子どもたちが20年後の地域コミュニティーを形成するのです。自分さえよければの利己主義でなく,相手のためにという利他主義や,公共心を強く打ち出すべきと考えます。そのために,思いやりや郷土の誇りを子どもの早い段階から醸成していくためにも,学力向上はもちろん大切ですが,学力の土台であるはずの人間性,規範意識,郷土の歴史を学ぶなど公共心を醸成する道徳教育が何より大切だと考えますが,教育長の所見を伺います。
あわせて,大人の道徳観の醸成であります。
近年,学校に理不尽な要求を行うモンスターペアレントなど,親の資質が社会問題化しております。その背景には,人間関係の希薄化や核家族化などにより,世代を超えて継承されてきた日本古来の子育ての知恵が断絶され,親が親として成長しづらい社会環境があると思います。親が変わらなければ子どもは変わらないという基本理念のもと,学校,家庭,地域の三位一体の教育のためにも,親も子どもも一緒に学ぶ機会を設けるなど思いやりの心や公共心を中心とした道徳感を醸成していく必要があると考えますが,教育長の所見を伺います。
次に,特別支援学校生徒の就業支援について伺います。
私は,特別支援学校に子どもを通わせている友人や知人がおります。先日,今回の質問に向けて県立つくば養護学校を視察させていただきましたが,障害を抱えながら素直に懸命に学ぶ姿や成長しようとする姿,ほほえましい笑顔で子どもを見守るお母さんや先生の姿に私はとても感銘を受けました。その一方で,ある保護者の方から衝撃的な言葉を聞きました。それは,「私はこの子を残して死ねないんです」という言葉でした。この言葉を聞いて,私は,特別支援学校に通学する子どもたちの自立支援と就労支援の重要性を痛感した次第であります。
まず,特別支援学校における就労支援について伺います。
平成21年度の特別支援学校高等部卒業生のうち就職を希望する生徒の就職率が100%となったのは,学校,先生など関係各位の努力のたまものと敬意を表するところであります。特に,就労先を1年で700事業所も新規開拓したり,ハローワークなど関係諸機関との連携に当たった就労支援員の方々の御努力は並大抵ではなかったものと思い,頭が下がります。
就労支援員の方は,昨年度,国の緊急雇用創出事業により,本県で高等部が設置されている特別支援学校17校に18名が配置されたと伺っておりますが,任期は最長1年で,国の事業自体も来年度で終了とのことであります。
私は就労支援員制度は大変よい制度だと思いますので,国の緊急雇用創出事業による一時的な措置としないため,今後の取り組みについて教育長の所見を伺います。
次に,いばらきステップアップオフィス推進事業についてであります。
知的障害のある方の公的雇用の拡大を図るため,県庁障害福祉課内にいばらきステップアップオフィスを開設し,県の非常勤嘱託職員として雇用するとともに,この取り組みを市町村や民間企業にPRし,知的障害のある方が県庁での勤務経験を生かして民間企業などへ就労されるように支援していると伺いました。
民間の雇用情勢に改善の兆しが見えない現在,障害のある方の就職は難しい状況にあります。特に知的障害のある方の事務の分野での就職については,残念なことでありますが,雇用実績が少ないものと思われます。県が知的障害のある方の雇用を率先することにより,市町村や民間企業などの取り組みが広がることは私も重要であると考えます。
そこで,いばらきステップアップオフィス推進事業の現在の取り組み状況と今後の展開について,
保健福祉部長の所見を伺います。
最後に,道路行政について伺います。
まず,水海道有料道路の利用促進施策であります。
水海道有料道路については,ことし1月から3月までの無料化社会実験期間中全体の1日平均交通量が4.5倍になったと伺いました。その分,国道354号の豊水橋や県道土浦坂東線の美妻橋の交通量が減っていますが,その減少分以上に水海道有料道路の交通量がふえていることは,通行料が無料になることによって新たな地域間交通が発生しているということでもあります。
また,無料化社会実験期間中に常総市街地の通勤時間帯の渋滞はほぼ解消し,大型車が水海道有料道路へ多く転換していることから,物流の活性化と市街地の環境改善が図られているものと考えられます。
水海道有料道路については,未償還金が多額に上ることと受益者負担の考え方からしても,いきなりの無料化は難しいと思われます。このような中,私の地元常総市においては,市街地の渋滞緩和などを目的に水海道有料道路の料金を割り引く利用促進策の実施について県道路公社に申し入れを行っていると伺っております。
そこで,通行料金の半額化など利用者の負担軽減につながる利用促進施策について,土木部長の所見を伺います。
次に,県道高崎坂東線の今後の整備見通しについてであります。
常総市を縦貫する主要道路には,国道294号,県道筑西谷和原線,そして鬼怒川西部地域を通る本線があります。常総市を縦貫するということは水海道地区と石下地区をつなぐということであり,市民の一層の交流促進につながるものであることから,市民の方々の一体感の醸成に大きく寄与するものであります。
高崎坂東線については,県道土浦境線から北側は工事も行われており,一部供用開始している区間もありますが,土浦境線から南側については細く曲がりくねっており,大変不便な状況にあります。鬼怒川西部地域を通る本線は現在常総市が整備を進めている鹿小路細野線の延長にありますので,ぜひとも整備を促進していただきたいことから,今後の見通しについて土木部長の所見を伺います。
次に,首都圏中央連絡自動車道の今後の整備見通しについてであります。
首都圏中央連絡自動車道,いわゆる圏央道の整備については,常磐道つくばジャンクションからつくば中央インターチェンジまでが本年4月24日に開通しましたが,その先の(仮称)水海道インターチェンジを含む五霞-つくば間については,国の平成22年度の当初予算が前年比60%となり,平成24年度の開通目標達成が難しい状況にあるものと思われます。
さきにも申し上げましたが,地域資源を生かした人が集まる茨城づくりには圏央道の整備がぜひとも必要であることから,今後の整備見通しについて土木部長の所見を伺います。
最後に,これは提案でございますが,圏央道が完成すればそれぞれのインターチェンジを中心に新しいまちづくりがなされると思います。その際,それぞれのインターチェンジごとに違った魅力,特色を出したまちづくりができれば本県の新たな魅力となり,ひいては交流人口の増加につながるものと思います。インターチェンジ周りの開発に当たっては県がリーダーシップをとって各市町村を支援し,どこのインターチェンジ周りも似たりよったりの画一的開発ではなく,それぞれの特色を持ったインターチェンジ周辺のまちづくりを積極的に支援してはどうかと申し上げて,私の質問を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
36 ◯議長(西條昌良君) 神達岳志君の一般質問,質疑に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本知事登壇〕
37 ◯橋本知事 神達岳志議員の御質問にお答えいたします。
県民協働の茨城づくりについて御質問をいただきました。
私は,知事に就任以来,明日の茨城を考える女性フォーラムや,明日の地域づくり委員会などを設け,これらをいばらき創り1000人委員会と総称し,「知事と語ろう『明日の茨城』」の開催や,県政モニター,さらには知事への手紙なども活用しながら広聴活動に力を入れ,県民と連帯して県政を進めてきたところであります。
これまでのこうした広聴事業に関しましては,意欲的な参加者に積極的な御提言をいただくということのために,その選定に際しては主に公募や推薦の形をとって委員を決めさせていただきました。
議員御提案の市民討議会につきましては,無作為抽出によって広く市民の声をお聞きすること等を目的として考案され,県内では7つの市町で実施されていると承知しております。
この制度につきましては,謝礼が支払われている割に参加者が毎回二,三十名程度と少な目になっていること,あるいはまた,一日限りの会議であるために議論や提言内容が深いものへと発展しづらいこと等の課題もあるのではないかと伺っております。
しかし,こういった課題はあるにせよ,このような制度を最も住民に近い基礎的自治体である市町村で取り入れていくことは,民主主義の発展という観点からも大変大きな意義があるのではないかと考えております。しかしながら,この制度を県レベルで実施する場合,広い県内各地から興味も関心も異なる人々が集まって短時間にいろいろな問題についてまとまった方向性を出せるのかといったこともございます。300万県民の御意見をできるだけ効果的,効率的にくみ取ることを目的とする県の広聴制度になじむのかどうかといった問題があるわけであります。
一方で,相手方を特定せずに県民の御意見をお聞きすることももちろん必要でありますので,先ほど申し上げましたように,県では広報紙「ひばり」の紙面を利用した「知事への手紙」を活用しておりますほか,県政世論調査や県民選好度調査に当たりましても,無作為抽出の手法を用い,ふだん社会や行政に対して関心の薄い県民の方々の声につきましても真摯に耳を傾けるよう努めているところでございます。
いずれにいたしましても県民と連帯した県民協働の広聴事業は極めて重要であると考えておりますので,今後,市民討議会の状況などを注意深く見守ってまいりますとともに,議員の御意見などもいただきながら,県民の声でつくる茨城の実現に努めてまいりたいと存じます。
38 ◯議長(西條昌良君) 次に,宮浦
農林水産部長。
〔宮浦
農林水産部長登壇〕
39 ◯宮浦
農林水産部長 地域資源を生かした人が集まる茨城づくりについてお答えいたします。
グリーンツーリズムの推進についてでございます。
本県の農村地域は,広々とした田園風景や里山,清流など豊かな自然が残り,地域に応じた多様な果物や野菜などが味わえますほか,古くから伝わる祭りや伝統文化なども息づいております。
このため,首都圏に近い立地条件とあわせまして,農村資源を生かしたグリーンツーリズムが取り組まれてきております。例えば日立市の中里地区では,高齢化の進行に伴い耕作できなくなりました田畑やリンゴ園を借り上げまして,地元の子どもたちの田植えや稲刈り体験の場としたり,川遊びや昆虫採集,豊作を祈願した餅花つくりなど,地元ならではの自然体験を伝承しております。また,古民家を改修して会員制農家民宿を開業したり,リンゴ園のオーナー制度を始めることより,新しい農村の賑わいを生み出しております。
こうした都市農村交流に取り組む団体は,最近5年間で2倍に増加しておりますが,まだまだボランティア的な要素が多分に強く,集客力やサービス内容などに課題を残しているのも事実でございます。
このため,県といたしましては,こうした取り組みを積極的に後押しし,本県に多くの方々が訪ねていただけますよう,ホームページなどを用いて,都市住民への情報発信を強化しますとともに,ニーズに合ったサービスを提供できますよう,都市農村交流団体のネットワークづくりや研修会などを通じた活動内容のレベルアップを進めてまいります。
また,首都圏の自治体と県内自治体との交流につきましても事例が出てきております。常陸太田市におきましては,昨年3月,中野区を初め7都県の7市区共同で「なかの里・まち連携宣言」を行い,中野区の商店街で農産物の朝市を行ったり,中野区の小学生を呼び込んだ農業体験を計画するなど,都市農村交流を拡大しております。
県といたしましても,自治体間の交流を含め,今後とも情報発信に努め,グリーンツーリズムを推進してまいります。
40 ◯議長(西條昌良君) 次に,鈴木教育長。
〔鈴木教育長登壇〕
41 ◯鈴木教育長 県自然博物館と水海道あすなろの里の連携についてお答えいたします。
地域間競争が激化している中,地域においては地域資源を活用して県内外からの交流人口をふやすことが大きな課題となってきております。特に,議員の地元には菅生沼を挟んで県自然博物館と水海道あすなろの里が整備されており,この地域資源を生かし,さらに地域の活性化を図っていくことが求められていると考えております。
県自然博物館は,建設当初から,当館のみの単体施設としてとらえるのではなく,水海道あすなろの里を含む菅生沼レクリエーションゾーン全体の中で自然についての理解を深めていくための施設として位置づけられております。
このことを踏まえ,施設整備に当たりましては,菅生沼対岸の両施設を結ぶ連絡橋を設置し,それぞれの施設の利用促進を図るとともに,自然博物館の館内展示やあすなろの里で得た知識や情報をもとに菅生沼に生息する野鳥や水生植物等を実際に観察できるようにしたところでございます。
これまでも,自然観察しながら両施設を周遊するネイチャーウオークラリー大会や,あすなろの里で開催される常総市ふるさとの秋祭りにミニ移動博物館を出展するなど,数多くの連携事業を実施してきたところでございます。
常総市におきましても,昨年8月に,あすなろの里の利用促進を図ることを目的としたプロジェクトチームを立ち上げ,本年度内に具体策をまとめていくと聞いております。これにより,県自然博物館や水海道あすなろの里が持つ自然体験・学習型の機能がより魅力あるものにグレードアップされることを大いに期待しているところであります。
今後とも常総市との連携をより密にして,本県内外からより多くの皆様方が訪れるエリアにしてまいりたいと考えております。
次に,道徳教育及び公共心の醸成についてお答えいたします。
まず,小中高等学校における道徳教育についてでございます。
現在,命の大切さや他人を思いやる心,善悪の判断などの規範意識や公共心の低下が指摘されております。このような中,子どもたちの豊かな人間性や社会性などをはぐくむために,心に響く道徳教育の充実がますます重要になってきております。
本県では,豊かな心を持った人づくりを進めるために,小中高のすべての校種において,発達段階に応じて道徳教育に取り組んでいるところでございます。
小学校段階においては,基本的な生活習慣,善悪の判断,協力し合う態度などを身につけた児童の育成を,また,中学校段階では,規律ある生活をし,自分の将来を考え,絶えず向上していこうとする生徒の育成を目指しております。
さらに,高等学校段階においては,全国に先駆けて平成19年度から道徳の授業を実施し,人間としてのあり方,生き方の自覚を持ち,進んで社会にかかわろうとする生徒を育成しているところでございます。また,特に規範意識を高めるために,平成17年度からは,幼稚園,小,中,高等学校と家庭,地域が一体となって,決まりやマナーを守る心を身につける「みんないっしょにマナーアップ推進事業」に取り組んでおります。
さらには,地域の方々と連携した公共施設の清掃などの社会貢献活動に取り組むことや,県で作成した道徳教育用郷土資料集の活用などを通して,郷土を愛する心を基盤とする公共心の醸成に努めているところでございます。
今後とも,小中高等学校を通して道徳の時間や地域における体験活動を一層充実させ,地域や社会のために貢献し,将来の茨城を担う子どもたちを育ててまいりたいと考えております。
次に,大人の道徳観の醸成についてでございます。
近年,人間関係の希薄化や核家族化などにより,3世代同居などによる日本古来の子育ての知恵が薄れてきていると言われておりますが,子は親の背中を見て育つと言われていますように,保護者が一生懸命に働いている姿や社会規範を守っている姿などを見せることによって,子どもたちの思いやりの心や公共心などを醸成していくことが大切であると考えております。
このようなことを踏まえまして,全県的な取り組みといたしましては,「いばらきの快適な社会づくり基本条例」の記念理念の一つでもある「他人への思いやり及び互いに譲りあう精神に満ちた社会の形成」の具現化を図るため,「親が変われば,子どもも変わる運動」や,「あいさつ・声かけ運動」などの県民運動を展開し,親子での積極的な社会参加を呼びかけているところでございます。
また,
教育委員会においても,平成20年度から「親の責任」「育てたい子どもの心」などを記載した家庭教育ブックを,今年度からは,3歳から5歳の子を持つ保護者を対象とした「家庭教育ブックひよこ」を作成し,保護者に対して研修を実施してきております。
このほか,企業への出前講座や生涯学習センターの県民大学における道徳講座を行っております。本年11月のいばらき教育月間の重点テーマとして家庭の教育力の向上が取り上げられておりますので,推進大会や県内各地で実施する後援会等を通して,道徳観の醸成についての啓発を行ってまいりたいと考えております。
今後とも,市町村や関係団体と連携しながら,さまざまな機会を活用して保護者や子どもたちの思いやりの心や公共心が高まるよう努めてまいりたいと考えております。
次に,特別支援学校における就労支援についてでございます。
特別支援学校では,生徒一人一人の進路希望の実現に向けた教育活動を行い,自立と社会参加に向けた支援に取り組んでおります。特に,生徒が働く意欲や態度,技能を身につけ,就労を目指すためには段階的に多様な就労体験を行う現場実習が重要な機会でありますことから,そのための実習先の確保が求められております。
このため,県といたしましては,平成21年度から23年度までの雇用創出等基金を活用して就労支援員を配置したところでございます。就労支援員は,進路指導主事との連携のもと,現場実習先の開拓やハローワーク等関係諸機関との調整に大きな成果を上げております。
議員御懸念の平成24年度以降の就労支援員の配置につきましては,現在,国におきましても同様の制度について検討していると伺っておりますので,その推移を見守ってまいります。あわせて,退職した教職員等を就労支援に関するボランティアとして活用することについても検討してまいりたいと考えております。
また,多様な現場実習先や就労先が必要でありますので,継続して御協力いただけるよう事業所名や卒業生の就労状況を学校のホームページに掲載するとともに,特に積極的に受け入れを行っているモデル的な事業所に対しましては障害者雇用に関するアドバイザーとして認定し,他の事業所や学校に対して助言を行っていただくことなども検討してまいりたいと考えております。
県といたしましては,引き続き,学校と事業所等との関係強化を図り,一人一人の進路希望の実現に向けて就労支援の充実に努めてまいります。
42 ◯議長(西條昌良君) 次に,福田
商工労働部長。
〔福田
商工労働部長登壇〕
43 ◯福田
商工労働部長 コミュニティービジネスへの支援についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり,NPOや住民が地域課題の解決のためにコミュニティービジネスの手法を用いて継続的に活動を展開することは,新たなサービス産業や雇用の創出にもつながり,地域経済の活性化に大きく寄与するものと考えております。
このため,県といたしましては,コミュニティービジネスの普及を図るためのセミナーの開催や産業大県創造基金による創業支援などを行っており,その中には,買い物難民対策となる宅配事業を展開するNPO等も含まれてございます。
一方,商店街の活性化を図るため,地域の創意工夫を凝らしたプランを幅広く募集し,すぐれたものに助成しておりますが,NPOや住民グループからも多くの御提案をいただいており,地域的課題に対する関心の高さや熱意がうかがわれております。
実際に支援した
活性化事業の中には,空き店舗を活用した手づくり品販売やギャラリーの運営など,賑わいづくりとともに将来的にはコミュニティービジネスにもつながる取り組みが含まれておりますが,これらの取り組みの継続性,安定性を確保していくためにはマネジメントの強化や人材の充実などの課題があると考えております。
県といたしましては,引き続きNPO等が行うすぐれた商店街
活性化事業やコミュニティービジネスの創業を支援してまいりますほか,今後,コミュニティービジネス的手法を用いた
中心市街地活性化等の取り組みの継続性や安定性の確保に係る支援方策について検討してまいります。
44 ◯議長(西條昌良君) 次に,榊企画部長。
〔榊企画部長登壇〕
45 ◯榊企画部長 県内のロケ地の活用についてお答えいたします。
フィルムコミッションにつきましては,ロケに伴う直接的な経済波及効果のほか,映像を通じたイメージアップや観光振興など多くの効果が期待できますことから,ロケの支援を積極的に行ってまいりました。
その結果,本県のロケ支援作品数は5年連続全国1位となり,昨年度は約5億4,000万円の経済波及効果をもたらしております。
観光振興等の面では,昨年度は,地域発案型の映画「桜田門外ノ変」のロケを行うため千波湖畔に大規模なオープンセットが建設されましたが,立地条件のよさとご当地映画ということに加え,ボランティアスタッフが撮影の様子や歴史背景を解説するといった魅力もあり,この半年間で来場者が約13万人に上るなど,今や新たな観光資源の一つとなっております。
また,県内で最もロケ実績の多い常総市には時代劇のロケによく使われる坂野家住宅がございますが,地元の熱心な取り組みもあり,来館者数は5年前に比べ約2倍と大幅に伸びてきてございます。
こうしたことから,今後は,ロケ地としての魅力を積極的に活用し,地域振興につなげていくことも大変重要な課題であると考えております。このため,県といたしましては,ロケ地が交流人口の拡大に結びつくような話題性のある映画やドラマのロケを積極的に誘致いたしますとともに,これまでは主に映像制作会社向けに作成しておりましたホームページにつきましても,一般の方々にもわかりやすく,ロケ地とその周辺の観光情報を提供するなど,観光客にお越しいただけるような
環境づくりを進めてまいります。
また,ロケ地の魅力を高めて観光資源として生かすには,地元市町村や商店街等の積極的な取り組みや旅行業者との連携も必要となってまいりますので,成功事例について情報を提供するなど,市町村への支援も行ってまいります。
さらに,今年度は,本県でロケが行われました映像作品と地域のロケ支援活動をいばらきロケ大賞として表彰するなど,ロケ地いばらきの魅力を全国に情報発信し,本県のイメージアップと交流人口の拡大につなげてまいりたいと考えております。
46 ◯議長(西條昌良君) 次に,山口
保健福祉部長事務取扱副知事。
〔山口
保健福祉部長事務取扱副知事登壇〕
47 ◯山口
保健福祉部長事務取扱副知事 特別支援学校生徒の就業支援についてお答えいたします。
いばらきステップアップオフィス推進事業についてでございます。
県では,まだ民間での実績が少ない事務分野における知的障害者の雇用促進を目的に平成20年から採用を開始し,今年度は2名から5名に増員して,障害福祉課内にいばらきステップアップオフィスを開設いたしました。
現在,オフィスでは,文書発送,パソコン入力,イベントや会議の手伝いなど,県庁各課から幅広く業務の依頼を受けております。採用した方々は,職員の中にも溶け込み,根気強く丁寧に作業に取り組むなど仕事ぶりに対する評価も高いことから,さらに,さまざまな業務を経験していただき,民間企業等においても活躍できる人材として育成してまいります。
また,4月からは専任の職業指導員を配置しましたので,ハローワークや障害者就業・生活支援センター等とも連携を図り,本人の希望も尊重しながら,福祉的就労から一般就労へまさにステップアップして,早期に企業等へ就職できますよう支援してまいります。現在,幾つかの市町村や民間企業では,今回のステップアップオフィスの取り組みに注目し,同じように知的障害者を雇用しようという具体的な動きも出ております。
今後とも,県の取り組みを市町村や民間企業等に積極的に普及し,事務分野における知的障害者の雇用促進に努めてまいりたいと考えております。
48 ◯議長(西條昌良君) 次に,進藤土木部長。
〔進藤土木部長登壇〕
49 ◯進藤土木部長 道路行政についてお答えいたします。
まず,水海道有料道路の利用促進施策についてでございます。
水海道有料道路につきましては,新たな利用層の掘り起こしや利用者の定着を目的として本年1月から3月に通行料を無料とする有料道路利用促進事業を実施したところ,期間中の日平均交通量は実施前に比べ約4.5倍と増加し,周辺道路の交通渋滞も緩和されたところでございます。
また,本年4月に有料に戻した後も交通量が前年と比較して約1.1倍となるなど,利用促進に一定の効果があったものと考えております。
この結果を受けて,常総市,坂東市から,周辺道路の渋滞緩和や市民の利便性向上を目的に,両市の費用負担により来年1月から3月の期間限定で通行料金を半額とする利用促進策の実施について申し入れのあったところでございます。
今回,両市からの申し入れのあった利用促進策につきましては,通行料金を半額とすることによる交通量の増加と両市の費用負担により料金収入が予定どおり確保される見込みであること,実施後も利用者の定着が期待できることなどから,現在,実施に向けて調整を進めているところでございます。
県といたしましては,このような取り組みが水海道有料道路の今後のさらなる利用促進につながるよう,利用者への周知や利用動向の把握などについて道路公社や両市と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
次に,県道高崎坂東線の今後の整備見通しについてでございます。
本路線は,八千代町,下妻市,常総市,坂東市の4市町を南北に結び,また,鬼怒川ふれあい道路の一部となっている県西地域の連携を支える重要な路線であります。このうち,常総市国生地区から古間木地区までの4.3キロメートルにつきましては復員が狭く屈曲しており,自動車や歩行者の安全な通行に支障を来していることから,現道拡幅及びバイパス事業を実施しているところでございます。
特に県道土浦境線バイパスから北側の現道は,通学路であるにもかかわらず歩道がないことから,この区間の約2.4キロメートルの整備を優先して進めているところであり,これまでに現道拡幅区間約600メートルとバイパス区間500メートルを供用しているところでございます。残るバイパス区間約1.3キロメートルにつきましては既に9割を超える用地を取得しており,用地取得が完了した区間から順次,軟弱地盤の対策工を実施してきているところでございます。
今後は,残る用地の取得を進めるとともに,引き続き軟弱地盤の対策工を実施し,その対策工が完了した区間から完成に向けた工事の推進に努めてまいります。
また,県道土浦境線バイパスから南側の区間につきましては,現在,優先的に整備を進めている北側区間の進捗状況を勘案の上,事業の推進に努めてまいります。
次に,首都圏中央連絡自動車道の今後の整備見通しについてお答えいたします。
圏央道は,首都圏の広域ネットワークを形成する高規格幹線道路であり,県南・県西地域の活性化はもとより,本県の発展に大きく寄与する重要な路線であります。県内未供用区間のうち東側の稲敷インターチェンジから千葉県境までの約10キロメートルにつきましては,一部に用地難航箇所があるものの,平成24年度の開通に向けて工事が進められているところでございます。
一方,西側の埼玉県境からつくば中央インターチェンジまでの約37キロメートルにつきましては,用地取得が8割から9割程度であり,インターチェンジや橋梁など一部の工事は進められているものの,今年度の事業費が対前年度比約6割と大きく削減されるとともに,国からは供用開始時期を改めて検討していることが示されております。
このような状況を踏まえ,平成23年度予算の概算要求に向け,先月,都内において首都圏中央連絡自動車道・東関東自動車道水戸線整備促進大会を実施するとともに,西側区間につきましても予算を重点的に投入し,計画どおり開通できるよう,国などに強く要望してきたところでございます。
県といたしましては,年末の予算編成に向けて国などへさらなる働きかけを行うとともに,残された用地が早期に取得できるよう協力するなど,県内区間の平成24年度開通の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
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50 ◯議長(西條昌良君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。
次回は,明9月10日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を続行いたします。
本日は,これにて散会いたします。
午後4時33分散会
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