茨城県議会 2005-07-28
平成17年農林水産常任委員会 本文 開催日: 2005-07-28
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◯磯崎委員長 ただいまから
農林水産委員会を開会いたします。
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◯磯崎委員長 本日,
農林水産部長から,
川上林政課長が公務都合により欠席したい旨の届け出があり,委員長においてこれを受理しましたので,御了承願います。
初めに,本日の
委員会記録署名委員を指名いたします。
染谷委員と白田委員にお願いいたします。
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◯磯崎委員長 それでは,これより議事に入ります。
本日は,農産物の生産,販売などに関して,参考人5人の方々からそれぞれの立場での御意見を伺いたいと思います。
初めに,
株式会社三井物産戦略研究所客員研究員の藤澤研二さんから,「 農産物の
マーケティング戦略」について御意見を伺いたいと思います。
意見聴取の進め方といたしましては,初めに藤澤さんから御意見をいただいた後,意見交換を行いたいと思います。
藤澤さんにおかれましては,
大変お忙しい中にもかかわらず,また,早朝より本委員会においでいただきまして,大変ありがとうございます。委員会を代表しまして,心から御礼を申し上げます。
なお,藤澤さんのプロフィールについては,お手元にお配りしてありますので,ごらんおきいただきたいと思います。
それでは,早速ですが,藤澤さんから御意見を伺うことといたします。よろしくお願いいたします。
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◯藤澤参考人 おはようございます。藤澤でございます。
1時間ほどお手元のペーパーに沿って,農産物の
マーケティングということでお話をさせていただいて,その後,御質問等をお受けしたいというふうに思います。
資料1を見ていただくと,「農産物の
マーケティング戦略」ということですが,1枚めくっていただきますと,最近,農業界でも「
マーケティング」という言葉をよく使うようになりました。
マーケティングというのは,余り農業界ではなじみのない言葉かもしれませんけれども,私は,簡単に言うと,
マーケティングというのは,お客様との
信頼関係づくりだというふうに考えています。昨今,農業界もいろいろなトラブルといいますか,事故がありまして,産地偽装の問題とか,BSEの問題とか,無登録農薬の問題とかいろいろありまして,お客様との信頼関係というのがかなり低下してきているんじゃないかと思います。日本の農業界がこれからの一層の国際化の中で,お客様に支持をされて国産の農産物を買っていただくには,やはりもう一度,お客様との信頼関係の再構築ということが必要ではないのかなというふうに考えております。
なぜ
農業マーケティング戦略かということで,ここに4つ,その背景というのを整理してみました。こちらの横長のレジュメの方をごらんいただけますでしょうか。
ここに1)から4)までございますが,中でも最初の2つですね。需要と供給の関係及び食べる人たち,生活者の食生活の変化ということが,
マーケティング活動が農業で必要になってきた大きな背景だというふうに考えております。
1つは,需要と供給でございますが,
マーケティングというのは,もともと生産の過程が工業化されて,どんどん大量生産がされて,それをどうやって販売していくか。そのときに需要を創出するということで,
マーケティングというような手法が開発され,かつ不景気,不況になるたびに,需要をどうつくるかということで
マーケティングの手法が進化してきたということでございます。
農業界を翻ってみましても,時々お天気が冷害等で供給が不足するということはありますが,通常は,農業界,農産物もほとんどが供給過剰,物余りの状況でございますので,物余りというのは,どちらかといえば買い手が強い買い手市場になりまして,供給者間の競争が激しくなって,価格は下がる。これは基本的に需要と供給の関係でございます。
今でも,物余り,供給過多の状況でございますが,これから需要面では大きなことが2つ,日本の場合,起こります。1つは人口の減少,もう1つは高齢化の急速な進展でございます。この2つによって,需要はこれからも伸びることはない,かなり急速に需要は減少していく──量的な需要ですね──ことが予想されております。
もう1つは,今,WTOとかEPAの交渉が行われていますが,その中でより一層の輸入自由化ということが進まざるを得ないのかなというふうに考えております。つまり国内の供給でも過多の状態の中で,供給源が多様化して供給量がふえるというようなことが今後予想される。つまり,ますますの物余り,供給過多の状況が,これから農業界は遭遇せざるを得ないというようなことになると思います。
2つ目が,生活の変化,多様化ということで,特に食生活,後ほど具体的には述べますが,今の30代以下の人たちの家庭の食卓が大きく変わっております。私などもいろいろな調査の結果を見ますと,信じられないような食卓の変化というのが起こっております。ですから,食べる人たち,買い手市場で,お客様は神様だと言いますけれども,食べる人たちに喜んで買ってもらえるようなものをつくらない限り,物が売れないというような状況でございます。あるいは,買う人たちの食卓が見えなくして農産物をつくっても売れるはずがない。ですから,買ってくれる食べる人たちの食卓なりニーズをよくくみ取って物をつくるようにならないとだめだ,これがまさに
マーケティングということでございます。
3番目は,先ほどの需要の大きなこれからの減少,あるいは輸入の増大等を踏まえて,国は大きく農業政策を変えました。米の生産から流通にかかわる政策もそうですし,青果物の流通にかかわる卸売市場の法律も改正がされました。
一言で言いますと,これは市場原理を農業界にも入れていくというような形での制度改正でございまして,ますます産地としても,産地間の競争が激しくなる,あるいは小売なり,お客様のニーズに沿ったものしか売れなくなる,あるいは価格が下がっていくということに結びついていくような制度変革だったと思います。
それから,安心・安全の確保ということがございますが,冒頭にも申し上げましたように,今,お客様の信頼関係というのはかなり崩れてきておりますが,よく安全・安心といいますけれども,安全を安心に変えるのは信頼だというふうに私は考えております。つまり,お客様との信頼関係をつくるには,1つは
コミュニケーションということが,双方向型の
コミュニケーション,お客様の声を聞きながら,産地として,あるいは生産者として伝えるべきものは伝えていくというような関係をつくらなきゃならないんじゃないかというふうに考えております。
ですから,この4つぐらいが,今,農業界で
マーケティングということが盛んに言われ出した背景,特にアンダーラインを引いております1番と2番が大きな要因じゃないかというふうに思っております。
1枚めくっていただきますと,今のを少し具体的に数字で見ていただこうと思いまして,1つはお米です。お米に関して言うと,平成5年に大きな凶作がございました。作況が74ということで,国は急遽250万トンのお米を輸入するということがございましたが,このとき,スーパーの米売り場は空っぽ,お米屋さんはシャッターを閉ざしていたということで,ここで大きく食卓が変わったというふうに私は見ております。
この図は,1世帯当たりの1年間のお米の購入量でございますが,平成5年までは大体月に10キログラム,年間で 120キログラムぐらい,一般の家庭がお米を買っておりました。それが平成5年の凶作でお米がなかったわけですから,100キログラム台まで,108キログラムまで落ちました。問題はその後なんですが,その後の年からは非常に豊作で,お米ががんがん余ってきたのですが,消費者のお米を買う量というのは戻りません。戻らないどころか,ますます減りまして,平成14年には 100キログラムを切り,平成16年,昨年はいよいよ90キログラムを切るところまで来てしまいました。
平成15年産のお米というのは,御案内のように作況が90で,その出来秋にはお米の値段が上がったわけでございますが,今の消費者というのは,お米の値段が上がると,お米を買う量を減らすというような消費行動をとります。ですから,産地側にとっては,この時期,出来秋にお米の値段が上がって,やや一段落かなと思ったのもつかの間,購入量が急速に減ってしまったというような結果になっております。
1枚めくっていただきますと,今のはスーパーやお米屋さんで買う生米,生のお米の購入量でございますが,今度は,外食やお弁当,お総菜も含めたトータルな消費量の話でございます。
今,日本の国内で主食用のお米というのは 800万トン弱,消費をされております。これら先ほど申し上げましたような人口の減少──人口の減少は2007年,再来年から起こります。それから高齢化ですね。この2つの要因によりまして,急速に消費量が減っていくというふうに私は予測をしております。
人口は,
人口問題研究所の予測でも,20年間で 600万人減ると言われているんですが,
人口問題研究所の予測というのは,どちらかというと内輪に出てきます。これは年金等の問題と絡むわけで,予測がいつも外れているというか,出生率がいつも予想を下回ってどうしようかということになるんですが,どうも少し大き目に出てくるんですね。
ある大学の先生の予測によると,大体1,000万人ぐらい,20年間で人口が減るだろうというふうに言われています。1,000万人というのは,ちょうど東京都の人口と同じぐらいの人口が20年間で国内からいなくなるということですね。当然,口の数が減れば食べる量が減りますし,年をとれば食べる量は減ってくるということで,これがダブルで,相当な勢いで日本は襲われるわけですから,お米の消費量が,私の試算では,500万トンちょっとのところまで,今800万トン弱のところが500万トン近くまで減っていく──トータルの主食用のお米の消費量ですね──それに輸入が入ってきます。
今は77万トン,
ミニマムアクセスということで毎年輸入がされていますが,そのうち10万トンぐらいがマーケットに出てきて,残りは,市場を隔離して,市場に出ないということになっているんですが,これが100万トン,150万トンになると,全部を隔離しておくというようなことは,財政的にも無理でございますので,仮に50万トン,マーケットに出てくるとすると,500万トン強のところから50万トン減らすと,450万トンちょっと国内でつくれば,お米の消費は賄えるという状況になります。450万トンというのは,今,生産調整をしている100万ヘクタールの田んぼがあれば,十分賄える数字でございます。
ですから,20年後は,今,生産調整をしている田んぼと作付をしている田んぼがちょうど逆転するというような状況にならないとも限らないというふうに考えております。
この中で,各産地間の競争がこれから激しくなってきて,例えば,茨城県のお米は,こういう状況になったときに産地として生き残れるんだろうかということが,茨城県に限りませんけれども,各産地に問われていることじゃないかというふうに思います。
次,4番目でございますが,今のはトータルな量の話でございます。次は,ちょっと質的な話でございます。消費者のお米の食べ方です。この図は,
家計調査年報という統計から,1世帯当たりの生のお米の購入量,これを世帯人口で割って1人当たりに直したものでございます。そうすると,左から20代,30代,40代と並びますが,20代の世帯では,1年間1人当たり生のお米を14キログラムしか買っていませんということです。全体の消費量を人口で割ると,1人当たり,大体60キログラムをちょっと切っておりますけれども,約60キログラム1人当たりお米を消費している計算にはなるんですが,そのうち生のお米を買って,自宅で炊飯している量は14キログラム。30代でも17キログラム,40代でも23キログラムぐらいしか炊飯していないということなんですね。つまり残りは何か。全部が全部ではございませんけれども,今,若い人たちのお米の食べ方というのは,生のお米を買ってきて,自宅で炊飯して食べるよりも,外食。あるいはお弁当,おにぎり,できたものを買って食べる方が過半を占めるというようなことでございます。
そうすると,どういうお米の品種が外食や中食業界から喜ばれるのか,あるいは,ここで見ると,年配の方々は60キログラムのうち,大体40キログラム強,生のお米を買って炊飯して食べているということですから,年配の方々に,生のお米は売っていったらいいだろうということになるわけです。その方々がどこでお米を買うのか,どういう買い方をするのか,その辺のところも含めて実情がわからないと,どういうものをどうつくって,どう売っていいかということがわからないわけですね。こういうふうに消費者が大きく変化しているにもかかわらず,今の農業界というのは,従来と同じものをつくり,同じように売っているということですね。
例えば,コシヒカリという品種は,価格がやや高うございますので,外食や中食業界に持っていって買ってくれという話をしても,なかなかすんなりとは買ってもらえないということですね。そうすると,外食や中食の消費量がふえているのであれば,外食・中食向けのお米をつくっていく以外に,今の需要に対応した供給ということはなかなかできにくいということだと思います。
ですから,何をどうつくるかというところも,これからは,食べる方に相談しながら,食べる方のニーズに沿った形でつくっていかないと難しくなってくるということだと思います。
それから,1枚めくっていただくと,次は野菜でございますが,野菜も全く同じことが起こっております。野菜は,1人当たりの消費量が,同じように野菜全体の
国内仕向け量を人口で割ると,96キログラム,1人当たり1年間に野菜を食べているということになるんですが,同じように,20代では生のものは36キログラムしか買われていない,30代では38キログラムですか,40代でも46キログラムしか買われていないということですね。つまり,これも差が全部お弁当やお惣菜,あるいは外食ということではございませんけれども,若い世代というのは,生のものはあまり買ってないで,出来合いのもの,今スーパーへ行っても,デパートへ行っても,コンビニへ行っても,煮つけからサラダから,出来合いのものが売っていますので,そういうものを買っているウエートの方が高いということですね。
これを見ても,野菜に関して見ても,そういう消費行動を十分調べ,承知した上で,どういうものを,どういうところ向けに,
ユーザー向けにどうつくっていくのかということ,あるいは,市場の卸さんでも外食や中食業界にしっかりした営業体制を持っていて,そこのニーズに沿って営業活動をして売ってくれるところと,なかなかそういう体制がとれていない市場の卸さんもあるわけですから,今までと同じように,従来からおつき合いがあるということだけで出荷市場を決めるのではなくて,これからは,そういう需要に対応した,販売力のある卸さんとのつながりを強化していくなり,何らかの見直し措置が要るのではないかというふうに考えております。
この5ページの右側の図でございますが,これは野菜の品目別に見たものでございます。これは図の中にとがった部分がありますが,これは60代,70代の年配の方々が,若い方々に比べて余計生の野菜を買っているということですね。大体3倍から4倍買っているのは飛び出ているところでございますが,こういうのはどういう品目かというと,里芋,大根,ゴボウ,カボチャ。どういう品目かというと,煮物等の調理によく使われる野菜で,調理の下ごしらえに手間のかかる野菜です。こういうものは,もう若い人たちは買いません。ある調査をすると,カボチャなんて怖くて切れないという若いお母さんがいます。あるいは,カボチャがしっかり切れるような包丁はうちにないという笑い話のようなことが,調査をすると出てきます。
それから,では,トマトはどうなんだと。トマトも大体年配の方々が 2.5倍から3倍,生のものを買っているんですが,若いお母さんは,トマトは買いません──買わないことはないですが,どちらかというと,
ミニトマト志向なんですね。なぜかという話を聞くと,トマトは切らなき
ゃならないじゃないですかということがまじめに答えとして返ってくるんですね。ミニトマトなら洗っただけで食卓に乗せられる,それで,残ったらそのまま冷蔵庫に入れて,また食卓に乗せられる,トマトは切っちゃったら,残ったら捨てるしかないと言うんですね。
ミニトマトであれば,お弁当の中にも入れて,彩りに非常にいい。ですから,若いお母さん,特にお弁当を持っていく子供たちがいるようなお母さんは,
ミニトマトの方を志向しているというようなことも調査によっては出てきています。
こんなことが,一般に公表されているデータを使いながらも,消費者の今の食生活の動向とか志向というものが,一定程度読み取れるわけでございます。
次の6ページ,7ページは,同じような図が並んでおりますけれども,6ページはまたお米に戻ります。下の60からとか,50から59とかは,現在の年齢でございまして,3本棒グラフがありますが,一番左が現状の60代の方の1人当たりの購入量,真ん中が,その10年前,60代の方々が50代のときにどれぐらい買っていたか。それから,3本ある一番右側が,20年前,つまり40代のときにどれぐらい買っていたか。同じように50代の方々は40代のとき,30代のときと20年前までとりますと,これを見ていただくと,お米は,60代以上の方々は今,40数キログラム生のものを買っていますが,この食生活というのは,もう40代のときからこういう食生活なんです。
50代の方々は,もう30代のときから,買う量は30キログラム台,40代の方々は,20代のときから,もうこういう食生活なんです。ですから,今の40代の方々が60代になったら,今の60代の方々と同じようにお米を買ってくれるかというと,もうそういう望みはないんですね。今の40代の方々は,20年後,60代になっても多分20キログラム台,せいぜいですね。もっと減るかもしれません。こういうことが読み取れます。
ただ,次のページの野菜に関して言うと,野菜は,年をとると健康志向が高まって,少し1人当たりの食べる量がふえてきます。これを見ていただいても,20年前に比べると,50代,60代の方々は顕著でございますが,1人当たりの購入量が増えてきている。つまり,これ1つとっても,これから高齢社会を迎えるときには,1人当たりの食べる量,お米はふえないけれども,野菜はふえる可能性があるということですね。
そうすると,最近,各産地で
地域水田農業ビジョンというのをつくられたと思うんですが,私も多くの
地域水田ビジョンを拝見しましたが,どれを見ても,従来と同じようにお米を,同じ品種を同じようにつくり続けるというところが多かったんですね。これからの需要の動向を見ると,お米から野菜等にどうやってシフトしていくのかということが真剣に考えられなければならないんですが,まだまだ産地は,従来のままの志向で行っているというような気がいたします。
このまま行くと,数年たつと,お米,供給量が減らないと,今度は,国も
生産目標数量の公表もしませんし,価格調整もしませんし,産地のリスクで,産地の実力に沿った形でやってくれということになりましたので,このまま行くと,そういうものを考えてなかった産地は,かなり厳しい状況にならざるを得ないというようなことになってくると思います。
8ページは,今までお話ししたことのまとめでございますが,食の外部化,外食や中食のウエートが相当高まっています。それで,今,1つの家庭が1年間に使う
飲食料品支出,飲み物,食べ物に使うお金のうちの大体3割ぐらいが,外食,中食の費用になってきている。これは今後ももう少しふえるんじゃないかというふうに言われています。ですから,農業界も,素材の供給者として,こういう消費者の動向にどう対応していくか,中食,外食のマーケットをどう開拓するかということが大きな課題になってくるわけでございます。
9ページは,米の政策の変化に対応してどういうことが今求められるのかというお話をしていきますが,お米は,
米政策改革大綱ということで,先ほど申し上げましたように,国が生産調整に関与して,数量なり需給を調整するということは,もうしなくなります。これからは産地が自分の考え方,自分の実力も承知しながら売れる量をつくっていく,売れ残ったら自分で責任をとるという形になってきます。
その中で,例えば今の茨城県の実力,お米の実力がどういうふうなものなのかというのが10ページ以降,少しデータを御提供したいというふうに思います。
10ページは,平成14年産のお米です。15年は冷害がありまして,16年は台風がやたら来ましたものですから,ちょっと品質に全国的にイレギュラーな年が2年続きましたので,平成14年産のお米の品質をとっていますが,横軸が品質の点数です。評価点です。これは5つの項目,食味ランク,それから粒度構成,白度,千粒重,それから水分含量,5つの項目をそれぞれ5ランクに分けまして,点数づけをして,その合計点,食味ランクだけは,重みづけを2倍にしまして10点満点にしましたので,合計点30点,満点は30点ということでございます。
それと,縦軸は,価格でございます。これは平成15年の頭の入札価格でございますが,真ん中に斜めに太い線が入っておりますが,これが品質と価格がバランスしている線というふうに考えていただければいいと思います。あと,真ん中に平均点20点というのが,この上場しているお米,全部ここにプロットしてありますが,上場されているお米の全体の品質の平均点がたまたま20点だったということなんですが,茨城のお米というのは,コシヒカリと
あきたこまちをとっていますが,どちらも平均点以下でございます。
あきたこまちに至っては,数十
品目産地銘柄が上場されている中で,平成14年産は品質が一番下位であったということでございます。
この辺の銘柄というのは,銘柄の名前で価格がついている分,品質に比べて,どちらかというと高い価格がついてしまっているということですね。ですから,昨今,これからはなかなか難しくなりますが,入札価格は高目になって,後でリベートで調整をするというような販売を,茨城県がそうだということではございませんが,傾向として,ここら辺にあるお米はそういう傾向が強かったのかなと。そのリベートでの調整がこれからなくなってくると,まさに
品質そのものが価格に反映されるということがこれから起こってくるわけでございます。
この中で,一番右の上にある価格が高くて,品質も全銘柄の中で一番高いというのが魚沼のコシヒカリでございます。それから,一番右下ですね,品質はいいんだけど,価格はお手ごろというのが,傾向線より下にあるというのは,品質に対して価格が安い,つまりお手ごろな銘柄ということです。これは福島のひとめぼれでございますね。平成14年産がこうでした。
ほかのところも名前を入れると,わかりやすいんですが,それもちょっと露骨なので,地元のお米だけを入れてございますが,これをやると,こういう方々もいるんですね。たまたまうちは平成14年産は品質が悪かったんだという方がいらっしゃるものですから,次の次のページ,12ページ。じゃ,5年間の平均をとったらどうなりますかということでやってみました。同じように,5年間の横軸に平均値,点数をとっています。縦軸は,今度は価格ではなくて,5年間のばらつきぐあい,去年はよかったけど,おととしはさんざんでしたとか,品質のばらつきが大きいということは,ユーザーが一番嫌う産地,銘柄でございますので,そのばらつきぐあいというのを見てみました。
当然,ユーザーが一番好むのは,この楕円の中にあるような品質が高くてばらつきが少ないということが,高位平準化されている産地というのが一番好まれるわけでございますが,茨城コシヒカリというのは,ばらつきは少ないんですが,品質は平均点を下回って,低位平準化というんでしょうか,の状況にございます。こまちに関して言うと,ばらつきぐあいも平均より高くて,買う方にとってみると,やや問題の多いお米ということになろうかと思います。ですから,5年間をとってみても,茨城のお米というのは自慢をしてお勧めできるかどうかというところに,ちょっと疑問が残る部分があるということだと思います。
次,13ページでございますが,1つは,ある県で徹底的に調査をしました。今までのものは産地銘柄一本の数値だったんですが,もっと細かくおりていって,地区ごとの点数づけをしました。これはデータとしてあるものを使ったわけでございますが,そうすると,地区の中でも,点数がいいところと悪いところ,ばらつきがいろいろあるんですね。上の方にある18点とか17点とか,各地区のいいお米のできる地区というのはどういう地区なんだろうかということを,県の方々に協力をいただいて,徹底的に調べてみました。
そうすると,通常,いいお米ができるというのは,水がいいとか土がいいとかということが言われます。でも,調べていくと,これは人の問題だということがわかりました。こういういい地区というのは,普及員の方,指導員の方,あるいは集落の中にリーダー格の方々がしっかりとした米づくりを,リーダーシップをとってやられているというようなことが,いいお米ができる要因でございます。それからもちろん水の問題とか土の問題がございますけれども,最終的に品質のいいお米がある程度のレベルでできるかどうかというのは,まさに一に人の問題にかかっているということでございます。ということは,そういう産地,地域に,あるいは地区にそういう人材を育成していけば,どこの地区でも一定レベルのお米はとれるということだと思います。
ですから,先ほどの茨城県,現状を見ると,やや品質的に問題がある部分もありますけれども,これも現場での対応する職員の方を含めて,その方々のスキルとマインドというものを向上していけば,一定のところまでは,魚沼コシヒカリに匹敵するかどうかは別にして,そこそこの品質のものはつくれるんだということだと思います。
次,14ページは,卸売市場法の改正に関してでございます。まだ何がどう変わっていくかという具体的なところは細部まではわからない部分が多うございますが,多分取引方法の選択ということとか,あるいは卸売手数料の弾力化ということを考えますと,今,卸さんの経営も非常に厳しい状況の中で,卸売手数料,これが野菜であれば 8.5,果実であれば7ということで,今,中央卸さんは一律で決まっているわけですが,これが自由化されてくる。多分手数料が上がっていくということはないと思いますので,手数料は下がっていくのだろうというふうに思います。
つまり,卸さんのお仕事に応じて,役割に応じた値づけというものがされていくというふうに考えられます。これは一般の加工品等,例えばシャンプーや歯みがき粉のような日用雑貨品と言われるもの,ここでは,卸さん,問屋さんの手数料というのは,従来の売り上げの何パーセントというマージンから,やるお仕事にそれぞれ値づけがされて,あなたはこれとこれ,物流と流通加工と保管をしてくれるから幾ら払いますというようなフィーに変わってきています。
日用雑貨で変わったものが,最近加工食品に入ってきました。ですから,一般の品物,商品の流通では,もうメニュープライシング,つまりお仕事,役割に応じて取り分が決まるということが一般化しています。これが今の卸売市場法の改正の中では,生鮮食品にもいよいよ入ってくる話なのかなというふうに私は理解しております。
卸さん,手数料率が変わってくると,売れるか売れないかわからないもの,あるいは値段を相当下げないと売れないようなものは,扱っても,手数料が下がってくる中では,なかなか手元に残らないということになる。あるいは,卸さんとしても,本当にお客さんがついて,いい値段で売れるものは,買い取ってでも仕入れるというような行動も,これから出てくるはずなんですね。
ですから,無条件委託取引という従来の卸売市場の取引の仕組みが少しずつ変わってくるんだと思うんですね。ですから,今はどんなものを持っていっても,どんな値段がつくかは別にしても,一応受け取ってくれるわけでございますが,ここが少し変わってくるかもしれないというふうに私は思っています。
それから,商物一致規制。今,現物取引が基本でございますので,かなり実態とすると,商物分離に近くなっておりますが,これが法的にも認められて,これからはどんどん進んでいくというようなことも起こってくるというふうに思います。
次に,15ページでございますが,これは先ほどと同じように,一つトマトでございますが,平成15年の東京都中央卸売市場に入荷したトマトの量と平均価格を産地ごとにとったものでございます。これを見ていただくと,茨城のトマトというのは,大体量的には東京の市場の,産地ごとに見ると中間ぐらい,ただ価格は,一番平均価格が安いということでございます。いろいろな茨城の農産物を私も拝見しまして,日本一の数量を誇る品目がたくさんあります。ただ,日本一の品目も,昨日たまたまなめがたさんという農協さんで緊急サポート事業というのがことしからなめがたさんが対象になって,私もそのアドバイザーをすることになりましたので,きのうキックオフのミーティングがあって行ってきましたが,あそこは,水菜等でつとに有名な農協さんですが,チンゲンサイの話になりました。チンゲンサイは関東の大体6割以上シェアを持っていますということなんですが,やっぱり単価は一番低いというようなお話でございました。
ですから,従来の茨城県の農産物というのは,東京に近いということもあって,量的な供給基地というのが大きな役割であったわけでございますが,これからは,先ほど見ていただいたように,量というのは減ってきます。マーケットは量から質にこれから移っていきますので,茨城の農産物に関しても,質ということを一つ大きなテーマにして対応していくことが求められてくるというふうに思います。
量を持っていれば,通常であると,マーケットにおいて,市場において,かなり価格面でも対応ができるはずなんですが,有利に動かせるはずなんですが,茨城の場合には,今のところ,量を価格の面で生かし切れていないということだと思うんですね。
お伺いすると,きのうも,任意組合もいっぱいあって,それぞれ1つの市場にそれぞれ別々にばらばらと出荷していて,量の調整もできなければ,一度にどっと出て価格が下がってしまうとか,いろいろな御事情はあると思うんですが,価格が下がっていくと,ますます生産者の方というのは量を追っていくということになりますので,量掛ける単価が収入でございますので,そうすると,ますますいい方向には行かないということになると思います。ですから,その辺をどういうふうな形に産地の意識なり,取り組みを変えていくのかということが大きなテーマだというふうに思っております。
次,16ページからは,ではどうするのということを少し,御提案といいますか,お話しさせていただきたいんですが,従来,茨城県にかかわらず農業界というのは,野菜であれば市場へ持っていってしまうと,どこで売られているのか,だれが買っているのか,どうやって食べているのか,どういう評価をしてくれているのか,そういうことを余り意識しなかったんですね。市場へ持っていってしまうと,後は幾らついたということしか関心がなかったわけでございますが,それを私は,食べる人が見えないまま,できたものを売る農業だったというふうに表現しております。それをこれからは,食べる人たち,あるいは売ってくれる人たちと連携をして,その人たちが求めているものを,そういう情報をキャッチして,それをどうつくるのか,かつ,物のやりとりだけではなくて,先ほど申し上げたような信頼関係というのをどう築いていくのか,ここを変えていかないとだめだろう。それに役立つ手法が
マーケティングだというふうに考えています。
次,17ページでございます。17ページは,これはお米のマニュアルをつくったときにつくったシートでございますが,お米でも野菜でも果物でも一緒でございます。
マーケティングというのは,まず現状の分析があって,どうするか,それをどう変えていくかの戦略があって,それを実践する体制,あるいは進捗管理をしていく,こういうようなプロセスで組み上がってくるわけでございますが,まだまだ現状分析のところが農業界は弱い。かつ,難しい問題というのは,あるいはこれから難しくなる状況というのは,目をそらすというような,直視をしたがらないという傾向がございます。でも,早くそういう状況は,将来を察知して対応をしなければならないと思います。
ですから,外部環境をできるだけ正確な形で予測をし,それを直視し,そこで出てくる課題にどう対応するかということを産地を挙げて取り組まないと,手おくれになる。早く取り組んだ産地ほど新しい環境に対応ができて,これからは産地間の格差が大きくついてくる,従来以上についてくるということになろうかと思います。
それで,真ん中の戦略づくりでございますが,
マーケティングでは,よく横文字の頭文字をとったTPC戦略というようなことを言います。Tというのはターゲットです。お客様がだれか,ユーザーがだれかということを,今,お客様も消費者という十把一絡げではとらえることができません。消費者の中にもいろいろな消費者がおります。例えば先ほど見ていただいた年齢をとっただけでも,その人たちの食生活というのは大きく違います。
ですから,どういう人たちがうちのお得意さんになるのか,あるいはどういう人たちに買ってもらいたいのかということをある程度,その人たち以外には売らないということではございませんけれども,ターゲットというのを設定していくということが必要になると思います。
例えば,小売業界でも,今,総合量販店,総合スーパーと言われるイトーヨーカ堂,ジャスコ──ダイエーはつぶれてしまいましたが──そういう総合量販店というのは非常に成績が悪いんですね。総合量販店というのは,中庸な平均点なお客様を想定して,平均点な価格で中庸な商品を売るというのがコンセプトでございますが,今は,平均点なお客様というのはなかなかいなくなってきているんですね。そこへいくと,専門スーパーとか,専門店の方が今元気なところが多くなってきている。専門店というのは,特定のお客様にターゲットを絞り込んで,そのお客様のニーズを反映した品ぞろえとか商品づくりをしていくということですから,そういう方が,今のお客様の購買行動にはフィットしているということで,成績がいいということでございます。農業界も全く一緒でございます。
それから,TPCのPというのは,ポジショニングということでございます。先ほどお米あるいはトマトの例を挙げましたけれども,数量と価格,あるいは品質と価格のバランス,それが,全体のマーケットの中で他産地との競争の中の話ですから,茨城県だけがマーケットに物を出しているのであれば問題ないんですけれども,今,どういうポジションにあるのか,それをどう変えていくのか,あるいはそのポジションがどういう意味を持っているのかということが,やっぱりそこからスタートするということが必要,戦略づくりの大きなポイントですね。
それから,TPCの3つ目のCというのは,コンセプトということです。コンセプトというのはちょっとわかりにくいですけれども,どういうセールスポイントがあるか,特徴があるか,売りがあるかということなんですね。ですから,今,商談に行くと,おたくの商品はどういう特徴があるんですかと言ったときに,なかなか答えられない産地が多いんですね。そういう意識をしてつくっていないから,突然問われても答えられない。これからは,バイヤーを説得して,そこの売り場を確保していくためには,ほかと違うんだよ,こういう特徴があるんだよということが必要になってきます。従来以上に必要になってきます。そうすると,それはつくる段階からそういうことを意識してつくらないと,つけ焼き刃の特徴では,すぐ化けの皮がはがれてしまう。
私は,
マーケティングというのは,販売活動だとは思っていません。もちろん販売活動に大きくかかわる手法でございますけれども,できたものを売るんじゃなくて,売れるものをどうつくるかという,つくるプロセスにこそ
マーケティングというのは必要な,あるいは有効な手法だというふうに思っております。
その次,18ページからは,例えばお米で申し上げますと,最初に顧客マップというのをつくってみたらどうかと思うんですね。今,お米の流通を見ますと,JAさんから全農さんへ行って卸さんに流れて,そこからいろいろなユーザーへ行くんですけれども,産地,生産者の方々,あるいは産地の農協さんは,自分のところの生産,出荷したお米を,どこのだれが食べているかということすら,ほとんどわからないんだと思うんですね。これでは,売れるものというのは,本来であればつくりようがないんだと思います。
まずは,どこのだれが食べているのか,だれが売っているのかということをある程度見きわめていく。それがわかれば,そこへ行って,うちのお米は評判どうだい,食べた人においしいか,おいしくないかい,高いか,安いかい,どんなことを改良したらいいかいということも聞くことができるんですが,これがわからないと,やみ夜に鉄砲を撃つような話になってしまうと思うんですね。だれが食べているかわからないのに,じゃ,どうつくったらいいか,どうつくったら食べている人が喜んでくれるのかがわからないわけですから,まず,こういう顧客マップというのをつくってみてはどうかなというふうに思います。
この顧客マップというのは,ターゲットづくりにも役に立ちます。例えば18ページの右の図は,できればこれぐらい細かく,例えば県内であれば,家庭用はどういうスーパーさんで売られているとか,そういうことがわかれば,うちは,例えば県内の給食にひとつ力を入れてやろうとか,あるいは県内,例えばJAさんの管内のお米屋さんとやろうとか,東京のお米屋さんとちょっと連携をとってやろうとか,そういう,どこの流通先としっかりスクラムを組んでやろうかというようなこととか,どういう分野に注力をして物づくりをしていこうかとか,販売をしていこうかということが,作戦づくりの一番のベース,いわゆるターゲットというところですね,それづくりにも使える図でございます。ですから,こういうものをまずつくっていったらどうかなと思います。
それから,19ページ,先ほど見ていただいたホジショニングの図をちょっと簡略化いたしまして,例えばある県,A県さんのコシヒカリというのが,この黒い星印の位置に,現状であったとしますね。そうすると,これは,価格は均衡線,バランス線よりも上ですから,品質の割に,今,高い値段がついちゃっているというお米だったとします。これは,ほうっておくと,白い星印のところまで,品質がこのままであれば,これから産地の競争が激しくなってくると,値段を下げて売らないと売れなくなってしまうという危険性があるわけです。
今の値段を維持しようと思ったら,ずっと右の方,点線の楕円が書いてあるような価格に見合った品質まで上げていかないと,これからはなかなか価格の維持というのは難しくなってくるということですね。
例えば,東京の何とかスーパーに売り込みたい,その店頭を見たときに,この丸のような品ぞろえだったとすると,そこへ売り込んで行こうとすると,少なくとも品質に関しては,ここの価格に見合ったところぐらいまで上げていかないと,競争ができないということですね。そうすると,この辺の品質レベルが一つの目標値になってくるということです。
品質も,先ほど,この点数づけは5つの項目でやってきましたけれども,うちはどこが一番問題なんだ,ここの品質を上げるにはどういうつくり方をしたらいいんだとか,そういうことが具体的にブレークダウンがされていくということでございます。こういう作戦づくり,あるいは具体的な対応策をつくるときの一つの目安といいますか,それを知る道しるべにできるんじゃないかというふうに思っております。
次は,先ほどのトマトの件でございますが,トマトは,東京のマーケットで,茨城のものは全体で見ると,現状こういう位置でした。これをどういう方向へ持っていくのか,量を減らしても価格を少し単価を引き上げていくという産地づくり,例えば静岡とか福岡みたいな産地づくりを目指していくのか。愛知のように,量は大体同じぐらいのところ,これ以上ふやさない,減らしもしないけれども,単価をどう引き上げていくのかという方向にするのか,それとも千葉や栃木のように,単価はそこそこでいいから量をふやすような方向へ行くのか,どういう方向を目指すのかによって,具体的な対応策が変わってくるはずなんですね。
これもターゲットから自分のポジションをどこへ,将来的な目標値をどこに設定するのかというようなことがある程度想定ができて,もちろんこれは,茨城県のそれぞれの産地では,またもう少し細かくやって,産地の中で出荷市場はどうなのか,そこでの位置づけは,どうなるかということを細かくやっていく必要がありますが,具体的な考え方というのは一緒だと思います。
次,21ページでございますが,やはりこれから,今,私も茨城県農業改革支援会議のメンバーをさせていただいておりますが,農業改革が茨城県も,これだけ環境が大きく変わる中で,必ずしも現状のポジションなり,現状の評価がすばらしいものではないということであれば,改革というのが必要になってくると思うんですが,改革というのは,従来,農業界では,構造改善局とか,改善という言葉がよく使われてきました。改善というのは,トヨタ自動車の改善という言葉が,今,全世界のメーカーで使われるように,万国共通語になっています。改善というのは,日本人が非常に得意なことなんですね。改善というのは,目先の,現場の細かい改良を積み重ねて効率を上げていくとか,それは日本人が非常に得意なことです。
一方,改革というのは,その枠組みそのものを変えていくということで,日本人が一番苦手な部分ですね。枠組みを変えるんだったら,難しい問題が出てくるんです。それは先送りというのが従来のやり方,日本人の得意なやり方だったんですが,もうそれをしている時間的な余裕が農業界にもありません。
今,見ていただいたように,これから大きく農業界が変わっていきますし,早くそれに気がついて改革を進めた産地が生き残っていける。そうじゃない産地との差は非常に大きく格差がついてくるというところでございますから,改革を実践するということが必要なんですが,ただ先ほど申し上げましたように,やみ夜に鉄砲を撃っても当たりません。ですから,戦略ということが非常に重要になってくるということでございます。
よく戦略と戦術という言葉がございますが,戦術というのは,今ある兵力で戦うということがございます。敵が攻めてきていて,戦力を増強する時間的余裕もない,今ある戦力でどうにか戦わなきゃならないというときに使われるのが戦術です。戦略というのは,まだ足りないところは補っていけるということでございますから,これから必要なのは,あるいはこれから取り組むべきは戦略づくり,足りないところは補っていく,補強していくということでございます。
ここにいろいろ書きましたけれども,まず現状をしっかり把握する,ファクトファインディングと言いますけれども,現状がはっきり正確にわからない限り,戦略,あるいは手の打ちようがございません。農業界というのはここがどうも苦手なんですね。どうも感覚的にこういう方向とか,声の大きい人が物を決めていくというようなことが従来強くて,なかなか,どこに問題があって,どういう状況なのかということを正確に把握する前に動いてしまうということがありました。
マーケティングではいろいろな手法が開発されておりまして,先ほどの売ってくれる人,食べてくれる人,この人たちが何を考えていて,何を欲しがっているのかということをある程度正確に読み取る手法が開発されておりますので,まずそういうことをしっかりやった上で,戦略をつくっていく,先ほどのTPCを初めとする戦略をつくっていくということが必要になってくるんじゃないかというふうに思います。
一番最後,あと時間も残り少なくなりましたので,22ページ,農業改革で行うべきことということで,幾つかポイントを整理してみました。
まず1つ目は,やはり環境変化,これから何がどう変わるのかということを直視すること,そこから目をそろさないで,どちらかというと,厳しめの条件を設定してリスク管理を行うことが必要だと思います。農業界というのは,従来一番甘い条件を設定して,それが外れると右往左往する。例えば,お米は一粒も入れないというようなことを決めておいて,お米が入ってくると右往左往するというようなことが間々ありました。想定される一番厳しい条件を設定していれば,そこに対応力をつけておけば,条件がそこまでいかなければ,全部プラスになるわけです。ただ,一般の企業ではそういうことをやります。リスク,例えば,為替は輸出企業であれば,円高に進んだときの為替水準を想定しておいて,そこまで円高が行かなければすべて利益に戻ってくるというような話になるんですね。ですから,厳しめの条件設定ということが必要になると思います。
それから,改革である以上は,やっぱりトップダウン,意識,知識,組織の改革が必要だと思うんですね。
それから,平等主義とか,前例主義みたいなものでは,改革はできません。従来と違う環境がこれから目の前にあります。例えば,人口が減少するなんていうことは,これまで経験したことがないんですね。経験したことのない環境変化に対応するのに前例主義をとっていてもなかなか対応ができないということですね。
それから,4番目以下は現場の話とかかわりますけれども,やはりトップダウンだけではなくて,現場を変えていくには,現場を改革できる,改革を進めるスキルとマインドを持った人というものがどうしても必要になります。先ほどのお米の,品質のいい地域には人がいたというように,この人づくりというものは,時間はかかりますが,急がば回れの例えもあるように,人がいないと改革はできません。現場は変わりません。この人づくりにお金も時間もエネルギーも使っていただけないかと思っております。
それから,農業界は技術の指導をできる人はまだいますけれども,経営,マネジメントのわかる人が決定的に不足をしています。人づくりに当たっては,このマネジメントのわかる人たちを農業界に育てていくということも注力をしていただきたい。
それから,茨城で言うと,東京のマーケットだけに目をやるのではなくて,やっぱり地元,地産地消という言葉がありますけれども,地元のマーケットをもう一回見直していくということも必要です。
それから,つくる力と売る力,これが車の両輪ですから,たくさんつくる力だけあっても,これからは売る力が伴わなければ,産地として十分な利益も上げられないし,もしかしたら環境変化の中で残っていけないかもしれません。マンモスが環境変化の中で生き残れなかったように,量だけ持っていても,図体だけでかくでも生き残れないのかもしれません。
それから最後,やはり最終的には食べてくれる人たちが喜んで買ってくださるということがポイントです。ですから,農業改革研究会の最終答申は,喜んで買っていただけるということを一つのキャッチフレーズ,目標にしておりますけれども,やはり食べる人たちとの,あるいは売ってくださる方々との信頼関係をどうつくっていくか,そのためには,信頼を裏切らない品質なり,供給ということが必要になってくるんじゃないかと思います。
以上,1分ほど過ぎましたが,とりあえず私の話はこれで終えさせていただきます。
5
◯磯崎委員長 どうもありがとうございました。
ここからは意見交換の時間とさせていただきます。
ただいまのお話につきまして,委員の方から質問,意見等がありましたら,お願いいたします。
6 ◯白田委員 大変わかりやすいことで,ありがとうございました。茨城県の今までの農業に対して,本当に茨城県は,米づくりで言えば,一番簡単にできるのは米であって,それもつくるのになれているから,安心してできる,それで,市場が近くにあるから,すぐ売れる,そのほかの野菜も,そういった感じで,量的なもので今までは来ていたわけでありますけれども,そういう中で,いろいろとこれから変えなくてはいけないということで,国より先に率先して知事が先頭になって農業改革をしようということで,多くの皆さんの意見を聞いたり何だり,先生たちの意見も聞いたりして,今までまとめてきて,そして,それをやっていた職員も私はすばらしいなと誇りに思っておりますけれども,そういう中で,幾つかこれからすぐやればいいなと思うようなことは,今たくさん聞いておりましたけれども,そういう中で,話の中になかったことで,茨城県が一番得意とできるものは,私は新鮮さを──スピードですね──消費地に近いということで,どこにも負けない,それはやっぱりスピード,より早くつくったものを持っていって市場に出す。そして,そういったおいしいものを,そこに安心が加われば一番いいんですけれども,おいしいものをきちんとした形で都内に運べると,そういうことができる地域にあるわけですが,そのスピードについては,先生はどのようにお考えですか。
7
◯藤澤参考人 やはり茨城県の一番強みだと思うんです。強みは伸ばしていく。私は,よく分析をすると,それぞれの強み,弱みの分析をすると,弱みをどう変えていくかというのも重要なんですけれども,強みを伸ばさないで弱みだけを改善していくと,何か平均点て産地になってしまうんですよ。ですから,強みは強みとして伸ばしていって,今,強みをより強めるには,もう1つプラスアルファのスピード,近さと,プラスアルファの何か要件があれば,非常にこれは鬼に金棒になってくると思うんですね。
もう1つ,あるいはもう2つ,今,強い産地というのは,幾つかの要件を組み合わせてブランドをつくったり,強みを構築していますので,近い強みをどう生かすか。そのためには,ほかに強みを幾つかつくっていく,それを組み合わせてより強いものにしていくということにされたらどうかなというふうに思っています。
8 ◯白田委員 やはりなかなかそういったものをすぐに──例えば市場を通していくと,どうしてもキュウリでもトマトでも一般市場に届くのには,家庭のところに届くのには,2日から,遅いところによっては,多分東京でも,下町あたりまで来ますと,4日,5日かかっちゃう。そういうところで,それに合わせたものを市場でも要求するわけですね。例えばトマトや野菜が腐らないように,スイカならばもう少し小というふうに。そういったことをこれから改善をしていかなくちゃならないわけですね。
私はいつも思うのに,新鮮なものをみずみずしく早く,そして完熟したものを食べさせる,これを食べた人は,また必ず買いに来ると,そう思っております。ただ,これがなかなか難しいわけですね。現に,私も5年ぐらい自転車のポタリングということで,インターネットで仲間を──大体 300人ぐらいですけど,もう5年間やっています。最初はスイカを完熟したものを食べていました。普通大体40日から45日で切るところを1週間延ばした。これはうまいに決まっているわけですね。ことしは,実はキュウリをやってみたんです。朝どりしたものをその日のお昼までにみんなに食べさせようということで,少し冷たくして,食べるのには条件ということで,塩とみそだけということで,一切包丁を使っちゃだめ,丸かじりをしろと。そうしたら,だれもが感動して,やっぱりこういうのを食べたらというようなことで,少しずつやれば,そういったことで,まだまだ茨城の農業は大きく変わっていくような気がするわけですね。
ただ,それにはやっぱり流通の形態関係の一元の出荷所と,そういった決まり,それをやるか,あるいは個人的にスーパーとユーザーと直接取引しちゃうか。こういう2つになっちゃうんですけれども,そういったことをこれから考えてやっていくわけですが,ただ,県全体としてそれを歓迎していますと,直接取引されちゃうと困るわけですね。ただ,先ほどお話がありましたように,いろいろな人がいろいろな形で納めていって,茨城の消費の確立が難しい,そして,だんだんだんだん大量生産になって,安く買いたたかれる,これが今の現状ということで,そういったことを踏まえて,そういったことをこれから構築しなくちゃいけないわけです。そういったことは,私は農協さんがやるべき仕事だと思っておるんですが,そういったことをこれから指導してやっていくわけですけれども,それをどうやってやるか,これからの我々のそういった考え方,力をまさに農業改革で発揮していかなくちゃならないと思うんです。ただ,そういったことに対して,すぐ,なかなかお金になって返ってこない。目に見えない。体験できない。それで農家があきらめちゃうわけですよね。そういうこともあるので,難しいこともたくさんありますけれども,ぜひそういったことも,いい方向に茨城農業改革の中で考えていただいて,一般県民の下まで,農業者までにおろしていただきたい。
それをすれば,必ずや農業改革ができるんじゃないかなと思っているんですが,先生におかれましては,そういったところをぜひお含みの上に,これから我々を指導していただきたい,あるいは職員も指導していただいて,農業改革をしっかりしたものにつくっていただきたいというのが私の願いなんですが,そういった意見について,どうお思いですか。
9
◯藤澤参考人 私は,本当に茨城県におきまして──私は千葉県に住んでいるんですけれども,千葉県と茨城県というのは,野菜の産地では競合産地なんですけれども,茨城県には本当にいろいろなものがあるなというふうに,びっくりするほどありますね,海のものから,山のものから,畑のものから,畜産物も含めて。だから,素材としては非常にいろんなものがあるし,それから,先ほどの話のように立地の優位性というのがあるわけですから,これをどう生かしていくかということで,ただ,逆に言うと,メリットというのは反面デメリットでもあって,立地の優位性にややちょっと,従来は,あぐらをかいてきた部分もあるだろうし,たくさんとれるということで,量的な供給基地としての位置づけというのが──これは従来は物が足りないときには,大量生産,大量流通,大量消費の仕組みの中でどう組み立てるかというのが,これが課題でしたから,そういう方向に向かってきたんですけれども,ぜひ変わってもらいたいし,変えていけることができる産地じゃないかと思っています。ただ,一度に全部は変えられないので,やはりモデル的なところからつくっていって,変えていけたらいいなというふうには思っています。
どこまでお役に立てるのかよくわかりませんけれども,改革研究会にかかわった,あるいは答申を出した責任上,できることをお手伝いしていきたいとは思っております。
10 ◯白田委員 長くなって済みません。最後に1つ,今,野菜も含めて,果物もそうなんですけれども,全部が糖度の追求になっていますね。トマトでも,6度ぐらいから8度よりは9度。ブドウでも何でもそうですけれども,メロンでもそうですね。ところが,食べていると,そういった形で,あまり甘さだけがいっちゃって,酸味がなくなったりして,このままの競争で茨城のこういったものは大丈夫なのか,これからの予測ですね。要するに,糖度があると日持ちもしないし,ただ糖度があって酸味があるのが一番いいんですけれども,そういった形のこれからの動向をわかる範囲で,考え方をお聞きしたいんですが。
11
◯藤澤参考人 この間,あるイチゴの産地へお邪魔して,その商品開発といいますか,販売のお手伝いをちょっと,昨年度,やったんですけど,イチゴも本当に各県が新しい品種,そのテーマがみんなやはり同じような──福岡のアマオウってありますね。甘くて大きくて赤くて何とかという──みんな同じ方向に動いているわけですよ。ですから,そこに本当に消費者のニーズというのがくみ取られているのかどうかということは,検証がされてないんですね。何かもう固定観念で,甘くて大きくて赤くてみたいなところをいっているんですけれども,ちょっと私の書き物の中では,そのポジションの中で,新しい商品開発なり,品種開発のテーマ設定の仮説もつくれるんじゃないかということを書きましたけれども,そういうちょっとほかの産地と軸をずらしてやるということもあっていいと思うんですね。
それから,今,ちょっと私,あるレストランのお手伝いをしているんですけれども,レストランでは,トマトをいろいろな産地から取り寄せて,シェフたちが試食してやっているんですけれども,もう甘いだけのトマトは要らないと言っているんですね。彼らの感覚,こくとか,深みとかと言うんですけれども,そういうトマトが,やはりレストランのシェフたちが求め出しているんですね。
ですから,それを見ても,軸は1つではなくて,先ほどお話ししたように,食べる人たちもいろいろな多様性が進んでいるので,どこを狙っていくというのは,食べる人たちに聞いてみて,こういう軸もあり得るとか,あるいは売り場で埋没しないには,ほかと同じことでは多分同じ規格で,同じ方向を目指していたら,多分価格で競争するしかなくなっちゃうわけですよ。そうすると,ちょっとずらす軸をどうしたらいいか,その辺を探っていくというのは,やっぱり一つ,商品開発のテーマだと思うんですけれども。
特に野菜とか果物,ある程度嗜好品的な農作物というのは,そういうものは強いんだと思うんですね。そういうところから商品づくりにいろいろ,食べる方に聞きながら,やっていくということが必要なのかなと。
品種開発も,従来は病気に強いとか,生産者がつくりやすい,それから市場の規格にそろえやすいというようなことがどんどん,種屋さんも含めて,品種開発のテーマになってきたんですが,それも大事なことなんですが,そこでちょっと食べる方のニーズというのが置き去りにされている部分が少なからずあるんですね。
今,ある産地で,ネギの商品開発をしているんですが,既存の品種ではなかなかいいものがないんですよ。昔返りをして,その品種を引っ張り出してきて,今,14種類栽培をして,そこから4種類に絞って,これからまた2種類ぐらいに絞るんですけれども,例えば加熱用の品種と生食用ですね,ネギであれば,鍋や,焼いたり煮たりする品種と,薬味とかサラダとか,生で食べる品種,ニーズ,全然求められるものが違うわけですよ。それを今までは一緒くたにやっていたのが,少しそれを変えて,品種も変えるし,つくり方も変えていこうということで,今やっていますけれども,例えばそのようなこと含めて,これからやっていくことはまだまだいろいろあるなという感じがします。
12
◯磯崎委員長 武藤委員。
13 ◯武藤委員 大変ありがとうございました。いい話を聞けたというふうに思っていますが,先ほどちょっと先生のお話の中にも出てまいりましたけれども,農業の場合は,現状分析というか,現状を把握するというのが弱いということで,農業だけじゃなくて,どんな事業でも,そういった面はあるだろうと思いますけれども,そういう特徴は確かにあるかなというふうに思います。
そういった意味で言うと,茨城の農業系の,改革だと言ってそういう施策を打っているわけですが,その中に,いわゆるそういう現状分析系の施策が若干足りないのではないかなと,聞きながら思っていたんですが,先生の目から見て,どう思われますか。
14
◯藤澤参考人 まさにそういうことをお伝えしたいと思って,きょうこういう話をしたんですけれども,やはりソフト系の予算というのが,私が拝見していても,少しハード系に比べて,もうちょっとあってもいいのかなという感じがします。これはどこの県でも一緒なんですけれども,農業界,我々,いろいろなところのお手伝いをしているんですけれども,もうちょっと予算があれば,こんなことまでできるし,それをやっていくことが産地にとって,これから非常にプラスになるのになと思う,ジレンマのようなものを非常に感じることが多いです。ですから,もうちょっとそのあたり,しっかり現状を把握して作戦をつくる。あるいは作戦をつくるところも含めて,ソフト系の部分を,もうちょっと使えるものがあってもいいのかなという感じがします。
15 ◯武藤委員 例えば,米の問題も,さっきおっしゃったように,茨城県全体で把握してしまうと,そこから先,ブレークダウンとかできないと思うんですね。そうすると,当然,場合によっては,地区とか農協とか,農協よりもっと小さい単位で,どういう現況があって,どういうところをターゲットにするのかということが,本質的には必要な作業かなというふうに思うんですね。
16
◯藤澤参考人 まさにそうだと思います。
それから,生産部会を農協も合併してきて,やっと部会を統合したところなので,あんまりさわらないでくれという話が多いんですね。そうすると,統合前の個々の農協さんの部会を見ると,1つの農協さんは──合併前ですよ──人数が少なくて量は少ないけれども,非常に品質のいいものをつくっている,例えばですよ。片一方の農協さんでは,人数がたくさん多くて量はつくっているけれども,どっちかというと量志向のところと,合併しちゃうと,数の話で,そっちの方へ流れちゃうわけですよね。そうすると,人数は少ないけどという人たちが,農協を離れてしまう可能性が強いんですよ。だから,それをちょっとグループに分けて,それぞれの生産物の特徴に合った売り先も,もうちょっときめ細かく考えていかなきゃだめだという話をしているんですけれども,農協さんとすると,せっかく部会を統合したところなので,これはさわりたくないという話が出てきたり,いろいろ産地,生産者ごとに課題はありますけれども,もう一回それをユーザーサイドからの視点,目線で物を見ていくというところが,どうしても必要になってくると思います。
17 ◯武藤委員 最後に1点。
マーケティングというのは,まさにそういうことが必要だなというのはよく思うんですけれども,例えば先生をどの地区のどの農協にも連れていってというわけには現実にいかないわけですが,地域の人材の中に,そういう
マーケティングを頼める人というのはいるんですかね。
18
◯藤澤参考人 今,私,いろいろな調査をするときに,農協の方とか普及員の方々に一緒に調査やってもらうんですよ。それで覚えてもらおうと思っています。ですから,スキルを
内部化していただいて,2回目からは自分たちである程度やって,問題になったときだけ私がお手伝いするようなことでできれば,そういう形で進めたいと思っているんです。ですから,普及員の方,指導員の方にそういうスキルをトランスファーしていきたいというふうに思っています。
19
◯磯崎委員長 ほかにありませんか。
では,私の方からちょっと教えていただきたいんですが,きょうの新聞なんかでも,日本の人口,いよいよ,まさにピークに達して,間違いなく低下し始めるという傾向が言われてきましたけど,1億 2,680万人というので。そこで,食糧安保といいますか,昔は兵糧攻めみたいに,国全体が食糧の安全保障をどう図るのかというのがテーマだった時期がありますけれども,100万ヘクタールも500万トンで済むというようなことになってくると,それがうまく転換されると,今の日本の自給率が40%というようなものが,自動的に50%,80%と上がるのかというようなことで,これはそういう面からすれば,朗報なのかもしれませんが,そういった面については,国力の活力がなくなるとか,人口低下のいろいろな問題がありますけど,食糧,農産物,たんぱく源,こういうことからすると,どんなふうに解釈を想定して……。
20
◯藤澤参考人 非常に難しい話だと思います。私はまだそういう試算はしたことありませんけれども,例えば一番自給率が高いというのは,お米なんかそうですけれども,それは消費量は減っていくわけですね。それで,多分関税の引き下げを猶予してもらうと,
ミニマムアクセスがふえて,国内がとれてもとれなくても一定量は輸入をせざるを得ない。そうすると,一定量の自給率の低下というのがお米では起こるわけですね。
それから,今,穀物自給率が一番ないのは,やっぱり飼料穀物ですね。飼料穀物はほとんど輸入されていますから。肉は,これから高齢化が進むと,量は減ってくるはずですね。ただ,おいしいものを少し食べたいというような食志向になりますね。そういうときに,どうなるのか。
乱暴な話をすれば,国内の畜産──要するに飼料を持ってこなくなれば,自給率というのは上がってくるかもしれませんね。カロリーベースになるので,肉を輸入すれば同じことなんですけれども,その辺はこれから高齢化,人口の減少が進んだときに,それぞれの,例えば20年後の食生活予測をしてみて,そのときに,どういうような自給になるのかということを予測してみればいいと思うんですけれども,上がる可能性と下がる可能性と,両方やはり持っていると思うんですね。
野菜なんかも,米を守るために,野菜は少し輸入がふえてくるかもしれませんし,海外の──例えば,今,冷凍のおもしろい技術が出てきているんですね。比較的素材の生の状態に近い形で冷凍ができるというものですね。こういう冷凍技術が進化してくると,遠くで冷凍して持ってきても,そんなに生と違わないということになるかもしれませんし,その輸送技術もということになると,野菜に関しては輸入がふえてくる可能性もありますね。
今は国産志向が安全面で強いですけれども,これも今,日本へ持ってくるものに関しては,日本のメーカーが相当厳しくやっていますから,トレーサビリティーも輸入農産物に関して言えば,相当氏素性が明らかになってきているわけですね。この辺の流れから,将来とも消費者の国産信仰が維持されていくのか,これは1つは国内の対応力にもかかわっていますけれども,そういう幾つかの要因が複雑には絡んできますけれども,自給率が高まる要因も低下する要因も両方あるんじゃないかという気がします。
21
◯磯崎委員長 わかりました。
ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
22
◯磯崎委員長 ないようですので,以上で意見聴取を終了いたします。
藤澤さんには,貴重なお話をありがとうございました。
本日お話しいただいたことにつきましては,今後の委員会審査の参考にさせていただきます。
どうもありがとうございます。
ここで暫時休憩いたします。
再開は午後1時ちょうどといたします。
午前11時55分休憩
───────────────────────────────
午後1時開議
23
◯磯崎委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
これより茨城ほしいも対策協議会副会長の黒澤文博さんから「ほしいも生産三ツ星運動の展開」について,また,日本ばら切花協会会長で神生ばら園を経営しておられる神生賢一さんから「消費者のニーズに即した花き生産について」御意見を伺いたいと思います。
意見聴取の進め方といたしましては,初めに,お二人からそれぞれ御意見をいただいた後,意見交換を行いたいと思います。
黒澤さん,神生さんにおかれましては,
大変お忙しいところ本委員会においでいただきまして,まことにありがとうございます。委員会を代表して,心から御礼を申し上げます。
なお,お二人のプロフィールにつきましては,お手元にお配りしてありますので,ごらんおきいただきたいと思います。
それでは,早速ですが,初めに,黒澤さんから御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
24 ◯黒澤参考人 御紹介にあずかりました黒澤です。
干し芋の生産三ツ星運動の展開ということでございますが,御案内のとおり,ひたちなか市を中心といたしました東海村を合わせまして,茨城ほしいも対策協議会という会がございまして,その中で,ひたちなか市の助役が会長を務めております中での,私,副会長としてやっております。その中でも,三ツ星運動ということで,推進リーダーもいたしております。それでは,このことにつきまして,発表させていただきます。
まず,1ページの中で,産地の概要ということでございますけれども,栽培面積は,ひたちなか市と東海村,合わせまして 1,206ヘクタールということでございます。生産量としては約8,000トン近く,産出額が57億円ぐらいでございます。
続きまして,2ページに行きまして,ほしいも対策協議会というのはどんな組織かということでございまして,集荷業者,問屋,生産者776名で,あとJAひたちなかということで,あと,行政,ひたちなか市,東海村,普及センターと合わせまして,この三者が一体となりましてつくっている協議会でございます。ちなみに業者が17業者でございまして,地区生産者の中では22地区がございまして活動しておる,生産者と業者が一緒になった珍しい組織だと言われております。
ちなみに,発足は昭和47年2月16日ということで,規約の方にもございましたけれども,施行するということですので,もう32年になっております。
この中で,ほしいも対策協議会の主な事業としてはどんなことかということでございます。ここにも書いてありますけれども,品質の向上に必要な生産,貯蔵,加工,消費拡大,優良品種の普及奨励,流通改善,情報収集,調査研究ということなどを行っております。
3ページに行きまして,では,三ツ星運動に取り組むようになったのは,どういうことで取り組むようになったかということでございます。
まず,最近,消費者の安全・安心への志向が高まりまして,農薬の使用や,なおかつ残留農薬等にものすごく関心が高まっておりまして,なおかつ外国産といいますか,中国からも輸入品がかなり入ってきておりまして,それによって国産という我々がつくっている干し芋が脅かされてきた。その中で,では,品質向上的なものの中で,売れるものをつくりたいということでございまして,じゃ,三ツ星運動というのを掲げまして,やろうじゃないかということになりました。
そういった消費者のニーズとか世界情勢の中で,平成15年に,ほしいも日本一大会という,毎年やっているんですけれども,その大会の中で三ツ星運動を展開することになりました。
まず,三ツ星というのは一体何だということの中で,1つ目には,生産履歴の記帳,2つ目には衛生加工の実践,3つ目には,できた製品の適正品質表示の実施ということで,この3つを推進していこうということで,三ツ星という名前をつけました。
それでは4ページに行きまして,それをどういうふうに展開してきたかということでございますけれども,まず,表彰制度の実施によって地域の普及を図ろう,2つ目に,実践推進リーダーを中心とした生産者主体の運動の展開を図ろうということでございます。干し芋の生産の中で表彰を設けたらいいんじゃないかということで,表彰制度を設けようということになりまして,三ツ星運動の推進項目を決定して改善点を明確にするということです。2つには,モデル的な生産者を表彰して,地域生産者への波及を図るということを目的として展開してまいりました。
次に,5ページに参りまして,このように「ほしいも生産☆☆☆(三ツ星)運動自己診断書」というのを全農家に配りまして,自分で診断してもらうということですね。それで,○をつけて,オール○だったらばオーケーというか,ピックアップして審査にかけるということでございます。
そういった中で,推進の事業の中で,表彰というのは,では,どのようにしたら──展開の推移でございますけれども,平成16年度に制度化しまして,4月,9月で,各支部の研修会等で周知を徹底したということです。それで,10月から12月の中で表彰手続を進めながら,改善点をアドバイスしながら行ってきた,12月20日に38名を決定いたしまして,22日に表彰式を行ったということでございます。
続きまして,6ページの中で,その中で実践推進リーダーというのが,若い人を中心とした中で,認定農業者と農業経営士,また女性農業士と青年農業士,あと,干し芋関係の中でも,部会の若い方,その人たちを中心にしまして12名のリーダーをつくりまして,その中で,そのような推進するリーダーの役割といたしまして,地域生産者への推進,改善のアドバイス,あとは生産者の把握と推進上の課題の整理とか,いろいろやってきまして,ひたちなか市の中では8名が選ばれたんですけれども,その中で全員が農業改革の推進員に委嘱されました。
主な活動の経過なんですけれども,まず,加工施設のあり方というのはどういうものかという形の中で,今までの加工施設の中で,もっと保健所が入ってもすばらしいなと言われるような加工施設を見てこようということで,ファームランドさいとうという,茨城町にございますけれども,この人は,ポケットファームどきどき,あそこにも出しておりますけれども,そういった先進的に加工施設をやっているところを見学しました。
その中で,10月には実践リーダーの合同会議を行いまして,11月8日には,ほしいも日本一振興大会というのがありまして,その中で,三ツ星運動というものを取り上げた中で,寸劇を通しまして行いました。
それから,10月から11月の推進活動,それから3月には,その課題の整理ということで会議を行いました。
7ページ,実践推進リーダー研修会の風景でございます。下の写真は,茨城弁でやったんですけれども,真ん中にいる男性の方は,毛糸の帽子をかぶって,何もやらない,首からかけて,これで乾燥芋,これでもよかっぺということで,めんどうくせえなあと言いながら,父ちゃん,母ちゃんだめだよということの中で,こういう劇を通して推進したということです。
8ページ,これは集荷業者の方の中に,見学に来られて,よくきれいにつくっているな,そういった中で,今度は私らも少し考えなくちゃならないなという,そういうやりとりの中でございます。下が,私と彼女なんですが,彼女も女性農業士をやっておりまして,その中で,干し芋を通した中での家族の中の俳句をかなり彼女がつくっていますので,その中で披露しながら劇を進めたということでございます。
9ページに行って,従来の加工装備となっていますけれども,こういった形の中で,髪の毛だろうが何だろうがと,口で言っては大変なんですけれども,そういうのも構わないでやっていて,目についたならばとろうという形の中でやっていたわけですね。下は,私がモデル的になっていて,下のものは,モデル的な加工装備ということなんですけれども,帽子と白衣,手袋,エプロン,長靴,常に加工するときにはマスクですね。そういった必需品の中でやはりやっていこうと。長靴も,玄関から入ったときには,はきかえる。外で白い長靴をはいていますけれども,ふだんは,外は外,加工用の長靴は加工場ではくということを徹底しようということでございます。
10ページを見てください。これが表彰制度の審査風景なんですけれども,審査員の構成というのは,関係機関と集荷業者と,あとJAの方で5名ですね。それと消費者の代表ということで,若干名ということで,このとき来ていただきまして,各農家の審査をしていただいているところでございます。下は,皮むき作業ということで,全然先ほどと違った,もっと改善された方法でやっているところでございます。
11ページ,これがスライスといって,丸っこい芋を平にスライスするときにピアノ線を利用しまして,それでスライス作業をやっています。それから並べ作業ということです。
12ページに行ってください。干し場環境の工夫ということで,これは,見た目はよくわからないんですけれども,ずっと下に,ほこりが飛散するのに,ハウスの中にわらを敷きまして,なおかつ,芋が干していない間に,ちょっと色がついているところは,これは網なんですね。網を利用してべたっと張りまして,なおかつ下から舞い上がらないように工夫してあるところでございます。加工用具の整理整とんの工夫ということで,毎日手袋を洗って,こういうふうにかけておくということです。
それから13ページに,審査の結果,38名が決定したということで,市役所で表彰式がございまして,表彰式の風景でございます。
それから14ページ,これが表彰状です。下が私と妻ということでございます。
最後に,主な成果ということで,この実践推進リーダーとして推進活動を行った結果,三ツ星運動の必要性を周知することができたということです。38名が三ツ星生産者表彰を受けまして,地域の三ツ星運動の波及が図りやすくなったということでございます。
それで,今後の方向といたしましては,消費者に信頼される干し芋産地づくりを目指すということで,まずは,この三ツ星運動を普及,定着させるために,平成18年度までには 100戸を目標に頑張ろうということでございます。
それから,高品質干し芋の生産を目指すということで,加工期間を通しての安定した品質向上ということで,どうしても11月から12月の早い時期の加工が,芋の糖化が遅れまして,なかなか甘味が出ない,ばらつきがあるということで,冷蔵庫とか何かを利用しまして,加工するものは早目に糖化させるようなそういう技術を身につけようということでございます。それから,色,形状,食味向上のための栽培技術ということですね。規格選別の徹底ということで,結局,規格選別しても,むだがあったのでは何の役にも立ちませんので,規格どおりの芋づくりの中で,原料芋がむだのないそういう原料芋づくりを目指そうということでございます。
それで,最後になりましたけれども,私,この運動を通しまして,手袋というのは今まで自分の手を守るために使用していたということが頭にございまして,寒いから手袋をやる,手が荒れるから手袋やる,だけど,製品にとって何だというのを思い知らされまして,これからは製品を守るために手袋をやる,これが三ツ星運動の本当の意味じゃないかなと,意識が相当変わりました,ということでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
25
◯磯崎委員長 どうもありがとうございました。
それでは次に,神生さんから御意見をお伺いします。
26 ◯神生参考人 神生でございます。
農林水産委員会にこういった形で参加して意見を述べさせていただく機会を与えていただいたことに,まずもってお礼を申し上げます。
私,八郷町でバラの生産をしておりまして,現在役職は,日本ばら切花協会というバラの生産者の組織の会長を務めさせていただいておりまして,今2期目,3年目に入っております。
今,全国のバラ生産の現状は,大変厳しいものがございまして,そういう中で,何とか外国産に負けない国産のバラということで,今,どうしたら将来にわたって生き残れる日本のバラ生産の方向性を見出せるかということで,全国各産地とも競争し合いながら頑張っているという状況の中です。
そして,本県のバラの現状は,後で,限られた時間ですので,短くお話をさせていただきますけれども,まず本県は,ちょうど中規模といいますか,中位置の産地でございます。県花がバラということでございますけれども,規模的には全国で中位置ということでございますので,もう少し本県のバラ生産が伸びることを私自身も期待をし,また,そのために頑張っていきたいなというふうに思っております。
それでは,私の経営の経過からお話をさせていただきますけれども,お手元の資料に書かれていますとおり,昭和49年に 1,155平米のビニールハウスでバラの切り花経営を開始いたしました。ちょうど30年になります。切り花経営を始めて30年ということでございます。
その後,51年に 500平米の増設,56年にガラス温室の増設というぐあいに,そういう点では順調に規模を拡大して,平成元年には現在の経営規模,1,400坪,4,700平米ですが,その規模になったということです。それ以降,規模の拡大はございませんで,その 4,700平米の経営規模の中で,どう効率的にバラを生産し,そして販売するかということで経営を行っているという状況です。
その間,農業経営士ということで,平成2年に認定を受けまして,後継者の育成に努めてきました。その間に,農業大学校の短期の研修生を,1カ月ですけれども,20名ほど受け入れ,また1年を超える長期の研修生を10名ほど受け入れをしまして,現在,県内で9人がバラの生産に携わっているという状況です。県外に1人,研修生がおります。
そして,その間,昭和50年に茨城県ばら切花研究会が組織されまして,そこに参加をいたしまして,その研究会の中で栽培技術の向上と有利販売を目指してまいりました。
その中では,県内,ほかの作物と違って農協単位とか,あるいは市町村単位で出荷するには,余りにも生産者の数がバラの場合少ないものですから,茨城県全体で一つのダンボールの統一,そして販売ということを,県を挙げて,県全体の生産者で行っていこうとしてまいりました。
そして,平成5年に,ちょうど一番人数的に多かったわけですが,そのときには50名を超える会員数ということで,会員も40代前後ということで,若くて,そして活気にあふれる会員も多かったという状況でした。それが,やはりバラの経営の厳しさが,ここバブルの崩壊後,平成8年以降,厳しさを増して,経営から離れている生産者が次第にふえてきたということです。
環境の変化ということで,2番のところに書かせていただいておりますけれども,私の49年から平成元年までの規模拡大に,そこに書かれたと同じように,全国的にも消費が拡大し,それに合わせるかのように生産もふえていった時代でございます。最近になりまして,平成9年以降ですけれども,輸入の増加,景気の低迷で単価が安値傾向になってきたということです。
お手元の2ページに,その参考の資料がございます。
3番目に輸入状況の推移ということで表が載っておりますけれども,平成15年の輸入量は6,600 万本,平成2年に比べて約6倍ということでございます。バラは,全国の全体の量が5億本でございます。5億本が全体の生産流通量。5億本のうちの 6,600万本が輸入になってきているということです。当初は平成9年が国内生産もピークだったんですが,平成9年は5億本近く国内生産で賄われておりました。それで,国内生産が減る穴を埋めるかのように,今,輸入のものがふえてきているという状況です。
それで,輸入国の推移ですが,御承知のオランダというのは,昔から園芸国でございまして,日本にずっと輸出されておったわけですが,それにかわるといいますか,それを上回る国が韓国,インドということで,ふえてきているということです。最近では,これに加えて,アフリカのケニアとか,あるいは中南米コロンビアとか,エクアドルとか,バラの生産によって外貨を獲得しようという,そういった国がふえてきている,それが日本の市場をターゲットにしてきているということで,今後予断を許さない状況ということでございます。
県内の生産も,そういった輸入の増大に伴って単価が下がってきているものですから,4番目に,中央卸売市場における茨城県産及び海外産バラ価格の推移ということの表がございますけれども,平成4年,茨城県産96円が1本当たり平均単価だったものが,平成12年には63円まで落ち込んだということで,その後,幾らか,品種を変えるということとか,高品質生産ということで,単位面積当たりの収量を減らして,1本当たりの単価を上げるという経営の転換なども図られまして,やや単価は持ち直しておりますけれども,依然として安値傾向ということでございます。
下に外国産の単価が示されておりますけれども,38円,35円と,まだまだ35円でも外国産の場合は十分にペイするという状況で,今後ますます外国産は入ってくる余地があるという状況です。ですから,国内産もそれに負けないコストダウンによって,単価が下がっても経営が続けられるような,そういった経営を目指していかなくちゃならないということでございます。
そういった意味で考えられるのは,今まで市場にただ出荷すれば売れる,ないものを満たしてきた時代ですから,バラを集団でその市場にロットをまとめて,いい品質のものであればどんどん高値でも売れた時代から,工夫をして売る時代に入ってきたということが言えるのかなと思います。
それで,卸売市場も,今まで個別の花屋さんが売っていた花を,最近ですと,量販店と言われるスーパーマーケットでもバラの花が束で売っていると言われる状況。そして,市場は取り扱いの手数料で成り立っていますから,手数料を得るために,単価が安くても大量に市場は通していくということで,経営を何とか維持しようとしていることがありますので,どうしても大産地の優位性が顕著になってきたということです。
また表に戻りますが,先ほどの茨城県のランクにつきましては,16位ということで,中位置であるというお話をしましたが,1のところの全国におけるバラ切り花生産の動向のところですね。主産県では,愛知県,静岡県,60ヘクタールということに対して,茨城県はその5分の1であるということで,どうしてもそういった主産県に,市場のいろいろな注文であるとか,仕入れのウエートはそこに行ってしまう,それで,なおかつ景気が最近非常に落ち込んで,消費が減退している中ですから,そういった市場の産地の優位性がどうしても否めない状況であるということでございます。
それで,ではどうしたらいいのか,その対策はということでございますが,非常にバラは品種数がたくさんあります。その品種数がたくさんある中で,消費者のニーズが非常に多様化しております。バラに限らず,品種が豊富であるということが,やはり消費を喚起する一つの方法でございまして,どうしても消費者というのは,わがままといいますか,一つの流行に飽き足らないで,次の形の変わったものとか,そういったものを求めるという傾向がありますので,その消費者の動向を的確につかんで,それに合ったものを私たちとしても販売をしていけば,何とか活路が開けるのではないかということで,その情報の収集,分析をしていけば,茨城県もその経営の転換,ひいては,茨城県産のバラのイメージアップにもつながるということで,そこをねらってといいますか,考え出したのがつくばエクスプレス──来月,8月24日に開通する──バラの花を,その名前にちなんでつけさせていただいて,それを販売していこうということで,東京市場,そして県内向けに,今,売っております。それで,非常に香りがセールスポイントになっておりまして,あとエクスプレスという名前,その2つで,市場でかなり注目を浴びている。
今までバブルの時代は特にそうでしたが,バラの場合,見た目のボリュームであるとか,花の大きさであるとか,そういったものを重要視してきたきらいがございます。それで,香りとか,あまり見た目じゃないそういう感性の部分は,なかなか評価されない時代でした。それが,やはり香り,バラの花を見て,その香りに何とか関心を持ってもらおうということで,香りのあるつくばエクスプレスを,非常に香りに特徴があったものですから,それをセールスポイントとして売っていけないだろうかということで,しかも,茨城のオリジナル品種として売っていこうということで,取り組みが始まったわけでございます。
至るところで,私の方で,事あるたびにPRをしまして,最初は,葉梨先生お見えですが,「はばたくつどい」で一番最初,私が講演したときに,実はこういう思いがあって,こういうふうなことをやりたいんだということを最初からみんなの前で言ってしまいまして,私が発言したことを後で,それを何とかフォローするような形で,県の方でも御協力いただいたり,あるいはPRもNHK初め茨城放送とか,そういうところでも取り上げる機会がふえまして,それを追い風に販売したということです。
そういった意味では,話題性があるということが,やはり一つの物を売っていく場合,大きなポイントなのかなという感じをしております。
それで,昨年度は「元気アップチャレンジ事業」という県の事業がありますが,それを活用して一層のPRということで,出荷市場を県内市場とそれから世田谷市場に限定して販売をしたということがポイント,2つ目に,先ほどもお話ししましたが,人数が少ない中で,県全体での目ぞろえをした,あとシールとチラシを利用して,ダンボールの中にシール,チラシを入れてPRした,その3つが,今までバラの販売でなかった販売方法だったのかなということです。
それで,このつくばエクスプレスを一つ牽引役として,ほかの品種の有利販売につなげることを最終的な目的にしております。
このつくばエクスプレスの販売を通じて,やはりこれからの時代,消費者に何かアピールするものがないと売れない時代に入っているのかなと。今回のつくばエクスプレスの場合は,香りと,あと名前というものがセールスポイント,そして,しかも,それを至るところでPRをしていく,宣伝をしていくという,仕掛けといいますか,そういうことがやはり,バラに限らず本県産の農産物を販売していくに当たって,そのPRの重要性ということを感じるわけでございます。
そういった意味では,茨城県全体でこぞって,自分は県産品のセールスマンなんだ,広告塔なんだということで,茨城県産品のPRをしていくという動きが今後とも大切なのかなということを感じております。
消費者ニーズというのは,非常にそういった意味で多様化しております。多様化しているからこそ,そこに物を売っていく,そこの部分もそこにある,消費者ニーズを的確につかんで,今後も花き生産に当たっていきたいというふうに思っています。
以上でございます。
27
◯磯崎委員長 どうもありがとうございました。
ここからは意見交換の時間とさせていただきます。
ただいまのお話について,委員の方で質問,意見等がありましたら,お願いします。
武藤委員。
28 ◯武藤委員 それぞれ現場のお話を聞かせていただきまして,ありがとうございました。
まず,黒澤さんの方に,干し芋のことについてお伺いしたいんですが,こういうふうに始めるという背景については,御説明があったわけですが,そうはいっても,なかなかスタートするのに踏ん切りが要るのかなというふうに思うんですけど,その辺のことというのは,どういう感じで,エイッと,スタートをしたんでしょうか。
29 ◯黒澤参考人 まず,茨城の農業改革ということで騒がれておりますけれども,その中で,では具体的に我々は何をやっていったらいいのかなというのが一つございまして,その中で,一つでもいいから形になるものをつくり上げていかないとだめだろう,では,干し芋を通して形をつくるというのはどういうことなんだと。口で言ってはわかるんですけれども,きれいなものをつくれとか,見た目でおいしいものをつくれ,それを表じゃなくて,自分で診断できるような言葉にあらわして,それを一つ一つ自分でチェックしながらやっていったならばどうだろうということになって,自己診断書というのができたんですね。
そういった中で,まず1つに,意識の改革が一番大事だろうということで,私も組合長をしているんですけれども,直接組合員の方に,これではだめだよというのが,生産者の中ではとても,早く言えばタブーというか,ちょっと言いづらい面がものすごくございまして,何かしら欲しい,欲しいんだけれども,形が何かしらないと言えないという立場の中で──わかるんです──ある程度長靴はいて,ぐちゃぐちゃというか,行ったり来たりしてて,手袋もかえないで,とにかくこれじゃまるっきりまずいんだなと思っていても,それもやっぱり人情的に言えない場合がございまして,じゃ,そういった中で,これから生産者同士がやっぱりつくり上げていくものには,三ツ星ということを挙げることによって,今,騒がれている中での農薬も,去年から改正されましたし,そういった中で,これからだめだよということを,では,全面的に意識を改革しながら,それを数字であらわしたり,文書であらわして,個人の,何回も言うようですけれども,そういうものを持っていこうと。個人の意思を表示ながら改革をして持っていくことが一つございました。そういうことです。
30 ◯武藤委員 どちらかというと,加工場の方が前面に出ているような形ではありますが,当然,芋を栽培している農家ということと,両方みたいなところなんですが,この辺はどういう感じなんでしょうか。どっちかというと,加工場を中心とした表彰制度に,今は実際はなっているんでしょうか。
31 ◯黒澤参考人 品質的なものとか,見た目の中で,一番難しいのが,現地の中で,芋自体をつくるのに,とにかく芋1個1個,味が違う場合がございまして,それを統一するのはなかなか難しいということで,まずは,今騒がれている中で,芋をつくる中で,栽培履歴を徹底して書いてもらって,農薬を適正に使ってもらう,そういうことの中で,つくった芋は完全に,これこれこういう農薬を使っていますから,すべて履歴に書いてあるとおりだから安心だよというのを形にあらわしてもらうということで,その次に,やっぱり見た目の中で,加工した中で,髪の毛が入ったり何かするとまずいですから,あと,鳥のふんとか,そういうのが入らないようなそういう施設の中で,衛生的につくろうということなんですね。
今,委員が言われたように,全部すべて味からひっくるめた中でのそういう運動というのは最高の運動であって,これから私どもが目標としなくちゃならないところでもございまして,とにかくまずは我々でできるものはというのから始まったんですね。だから,最終目的は,最後的には品質的なものを統一できるような,最後にも書きましたけれども,そういうのをみんなでつくり上げていくのが目標でございます。
32 ◯武藤委員 それで実際やってみて,何となくそれなりには広まっている様子なので,それなりの評価はあるんでしょうけど,どうです,内部的に,皆さんのいろいろな声も聞こえるんでしょうから。
33 ◯黒澤参考人 これはまず,とにかく一番最初に,手袋と帽子と長靴,あとはエプロン等も,外のものと加工場のものを変えるような,そういうことが見た目でわかるような感じ,だから,キャップのかぶり方も,髪の毛が出ないようなキャップのかぶり方とか,そういうのも──じゃ,それをキャップを自分で求めて買う人がいるのかというと,そうじゃないということで,対策協議会の方の中でも,最初,補助金の中でキャップとか手袋を買って,地域に渡されたそういう組合費などもございまして,そういう中で1件で 1,300円ぐらいのキャップなんですけれども,そういうのも最初に1軒に1つずつ分けていったというのが現状でございまして,本当に難しさというのがいろいろございます。その中で,委員が言われたとおりに,まずは意識の中で,おれらはそういうふうにきれいなものをつくるんだという気持ちにさせることが大事であって,なおかつ帽子をかぶったり,手袋をやってないけど,それをやらなきゃだめなんだという気持ちを持たせるのが大事なことで,その辺が,おれはもう構わないわ,おれには跡取りがいないんだからという人はかなりいます。だけれども,それを変えていこうという中で,では,率先してやってくれたというのは,ある程度の,目ぼしい人というか,常にきれいなものをつくってくれるような人をピックアップしながら──全員に,先ほど言った自己診断書というのを書いてもらったんですけれども,だけど,上がってきた中で,ほとんどがオール○というか,全部○をつけて意識的にやっているという人はないですね。これから改善しようという人も,大体50人ぐらい上がってきたんですけれども,766 戸の中で50人くらいですね。まずは,その人の中で38名をリーダー的なことで表彰をして,それから推進をしようということで,とにかくこれからの課題の中では,本当に意識,それを何とかして,みんながみんな,その方向に持たせるような形で持っていくのが大事かなと思っております。
34 ◯武藤委員 ありがとうございました。
じゃ,もう一つ,神生さんの方にも少しお伺いをしたいと思いますが,花き生産というのは,なかなか地域でワーッと広がるというよりも,各人頑張った人が頑張って,手広くやっているというようなイメージがあるんですが,やっぱりそういう感じになりがちなんですか。
35 ◯神生参考人 はい,おっしゃるとおりだと思います。どうしても市町村の中で,小規模の生産者が集まって一つの産地を形成するということ──作目によりますけれども,例えば,花の中でも菊の産地,友部とかありますけれども,あと石岡の三村の小菊とか,あと土浦の今泉とかありますが,そういった小規模の畑作,露地栽培で,それを集合して産地を結成するという形はありますが,施設園芸の場合,どうしても1戸,2戸の農家が大規模化していくという傾向の方が全国的に強いです。
ただ,補助事業が集中的に,例えば稲作の転換期とか,ミカンの転作とか,国も含めてそういう施策がある場合は集団化されるということはありますけれども,自己資金あるいは借入金をもって,制度資金をもって経営を開始する,またそれをふやしていくといった場合は,どうしても少数のグループが多いのかなという感じがいたします。
36 ◯武藤委員 そういう意味では,逆を言うと,やりやすいというか,正直な言い方をすれば,みんなの云々で関係なくて,うちのやり方でやっちまえというか,やりやすいみたいなイメージもあるんですが……。
37 ◯神生参考人 ただ,組織といいますか,集団化というものはやはり必要といいますか,これは黒澤さんのところでもありましたけれども,やはり農業の場合,集団化する,組織化するということは非常に大切だと思います。それをいかに意思の疎通をもってみんな同じ方向を見て,所期の目的達成のために頑張れるか。それがうまくいっている産地は伸びられる。なかなか意思の疎通が図れない,ばらばらである,一匹オオカミ的な状態ですと,ほんとに会社組織にでもならないと,法人化してやっていかないと,なかなかそこまで,今の時代,なっていけない。だから,先ほどお話ししましたけれども,ないものを満たしていくときでしたら,行け行けどんどんでいいんですが,今はそういう時代じゃありませんので,ある程度オーバープロダクションの時代ですから,そういう中で経営を切り詰めて,いかに経営を健全化して,しかも組織化を図って,有利販売していくかということをねらっていくということが大事なのかなと,そういった意味では,つくばエクスプレスは一つのいい事例だったのかなという感じがいたします。
38 ◯武藤委員 そういった意味では,若干普通の,我々のイメージしている農家の人たちのやり方と多少違うのかなというふうに思うんですが,逆に言うと,僕が前,聞いたときに,やっぱりそういうところだと,集団化していないがゆえに,例えば県の補助金は非常に受けにくいとか,そういう話も聞いたことがあったりして,それはそういう問題もあるのかなというふうに思っているんですが,逆に県の施策の中で,そういう立場で言えば,例えばこういうところは少し面倒見てもらえないものなのかとか,何かそんなことはないんですか。
39 ◯神生参考人 ありがとうございます。まさに,今,市町村合併が盛んに行われておりますけれども,今までは,市町村とその経済団体,例えばJAが,同じ地域の中であったと。非常に施策と経済活動が一致できたんですが,これで市町村合併が非常に進んでおりまして,そういったものと一致しないところがかなり出てきます。
そういった場合,どういった集団なり組織に対して,県なりでどういうてこ入れをしていくかというのは,今後非常に大きな問題になるというか,そういうことを,新しい支援の仕方,そういったものを考えていただけたらなというふうに思います。
県全体とか,あるいは総合事務所単位とか,方法は幾つか考えられると思いますけれども,そういった今までの既存の組織に対する,例えば市町村単位の銘柄産地とか,あとJA単位とか,そういうふうなものにこだわらず,新しい形の組織,集団,そういったものに対する支援,そういったものをぜひともお願いしたいというふうに思います。
40 ◯武藤委員 ありがとうございました。
41
◯磯崎委員長 ほかに──細田委員。
42 ◯細田委員 黒澤さんにお聞きしますが,三ツ星運動に取り組むことによって,いろいろな変化が出てきていると思うんですけれども,1つは生産量,2つ目には製品単価,さらには,3つ目には売り上げの関係がどのような変化をされているのか,と同時に,こういうものができてくると,従来の販売先とはお客さんが少し変わったのかなという感じがするんですけれども,その辺のところはいかがなものでしょうか。
43 ◯黒澤参考人 この運動を展開する前と,した後というか,その関係の中では,まず,仲買人さんの中でも,話せば,JCOの事故があったりとか,いろいろ今までございましたけれども,暮れのお歳暮用,それと正月用に,かなり小売で今まで流れてきたというのは事実です。
現在,私のうちでは,90%ぐらいが宅配と小売で,2月いっぱい生産したぐらいのものは,もう販売しちゃっているんですね。だけど,そういった中で,語弊がありますけれども,仲買人さんとの関係の中で,対策協議会の中でも,この運動をするに当たって,少しでも高く買ってくださいということの中で交渉しましたね。だけど,その中で,ほしいも対策協議会の中で,品質基準というのがございまして,その中で格付,優,良と,あと秀とありまして,10キログラム箱で,秀は500円高に買いますよと,秀は,普通の優の値段より500円高に買いますよ,そういうのがございまして,じゃ,秀を全部出してくれたらば,500円高で買うよと。
三ツ星運動の表彰者の中でも,秀を全部出してくれるような品物だったらばオーケーだよと。でございまして,1個1個違った,なおかつスライスしたときに,真ん中と端まで丸いものをスライスしたときに,両脇カットして,それを全部秀品と出すのには,大体半分以上ロスが出ちゃうということで,優品としてあるんだから,優品として出して,干し芋の三ツ星運動の中での値段的云々の中では,じゃ,何にプラスしていったらいいのかなといったときに,私どもの中では,個人的に買いに来た人とか,そういった人の中で,まず消費者には,表彰状を玄関等,今回作業所の入り口に置きまして,こういうふうに表彰されているんだよ,中身はこうなんだよということの中でPRしております。
もう1つ,業者へのPRの中では,業者がいつも言っているのは,髪の毛が多いとか,保健所云々で販売先から常に文句が来ちゃうとか,そういうことばかりなんですね。異物が混入すると。この中で一番多いのは髪の毛と,あとはほこりの類,その2つだということで,それを何とかしてくれということの中で,じゃ,この表彰された人は絶対そういうのを出さないような,やっぱりそういう意識的にも,自分で丸をつけながら意識改革はしている人なんだから,出さないような,均一なそういう生産物を出そう,問屋さんにも出荷しようというのが一つPRになるじゃないかなと思うんですけれども,いかんせん価格に反映しているといえば,小売関係の中で,今現在の中では,自信を持ってというか,こういう表彰をされた中で,私らはこういうものをつくっているから,安心して買ってもらいたいというのが,一つ,現在の重要なところでございますね。
そういうところです。以上です。
44
◯磯崎委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
45
◯磯崎委員長 ないようですので,以上でお二人からの意見聴取を終了いたします。
黒澤さん,神生さん,貴重なお話をありがとうございました。
本日お話しいただきましたことにつきましては,今後の委員会審査の参考にさせていただきます。どうもありがとうございました。
ここで暫時休憩いたします。
再開は2時10分といたします。
午後1時55分休憩
───────────────────────────────
午後2時10分再開
46
◯磯崎委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
これより,北つくば農業協同組合営農経済部農産課長の石倉伸一さんから「買ってもらえる農産物の生産指導・出荷体制」について,また,全国農業協同組合連合会茨城県本部副本部長の柴田誠さんから「本県農産物の販売戦略」について御意見を伺いたいと思います。
意見聴取の進め方といたしましては,初めに,お二人からそれぞれ御意見をいただいた後,意見交換を行いたいと思います。
石倉さん,柴田さんにおかれましては,
大変お忙しいところ本委員会にご出席をいただきまして,まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして,心から御礼を申し上げます。
なお,お二人のプロフィールにつきましては,お手元にお配りしてございますので,ごらんおきいただきたいと思います。
それでは早速ですが,初めに,石倉さんから御意見を伺うことといたします。よろしくお願いいたします。
47 ◯石倉参考人 ただいま御紹介いただきましたJA北つくば営農経済部農産課の石倉と申します。よろしくお願いいたします。
また,このような席で発表させてもらえるような機会をつくっていただきましたことを,改めましてお礼申し上げたいと思います。
私の方から,買ってもらえる農産物,米づくりということで,今,私どもが取り組んでおりますエコス米と,当農協で取り組んでいる一般的な契約栽培,それと,野菜の方でやっておりますインショップ,直売所関係を含めてお話ししたいと思います。
その中で,まず,エコス米についてでございますけれども,エコス米につきましては,平成13年の11月に,エコスさんの方から,北つくば農協の方で循環型農業で,米で取り組むことができないですかというような御要望がございました。これは一番上の○に書いてありますように,直接来たというわけではありませんで,平成10年のときに,エコスさんの前身であります,地元に本店がありましたハイマートさんの方と,野菜で循環型の農業を取り組めないかというような話がありまして,管内7市町村,全地区で,野菜で取り組むようなことで座談会を開きました。ただ,残念なことに,このときには,なかなか各農家の生産者の皆さんが乗ってくれなかったというようなことで,野菜についての取り組みはなかなかできなかったわけでございます。
そういう中で,間を置いて,埼玉のたいらやさんの方と下館のハイマートさんの方で合併いたしまして,新たにエコスという店になった時点で,北つくばの方に,米でどうでしょうかという話で来たという形でございます。
そういうことがありまして,北つくばの中でどういう取り組みでそれを入れていくかということで,話し合いをしたわけでございますけれども,やはり北つくばは米どころでございますけれども,その中心であります下館でこれに取り組んだらどうかという話が内部でまとまりまして,下館の支店の方にその話をおろしたわけでございます。
それで,下館には昭和40年のころ──ちょうど米の増産に入っていたときなんですけれども──にできた組織で,下館米の会という組織がございます。これがずっと延々と続いてきまして,平成になってから新たに組みがえをして,下館市水田利用経営研究会というような組織になっています。構成メンバーが管内の大規模農家 110名ほどで構成しているところでございますけれども,その中で,県の事業で,正式名称はちょっと忘れましたけれども,安全・安心米づくり事業だったと思うんですけれども,それに取り組んでおりました。これがまず最終年度ということでありまして,いろいろな肥料,有機 100%資材,50%資材,そういうものの試験をしておりまして,それじゃ,せっかく事業でそういうものも取り組んでいたんだから,当地区で取り組んでみようかという話になりまして,水田利用経営研究会を中心にこの事業に取り組んでいただけることになりました。
その中で,1年目ということで,エコスさんの方からは, 200トンというような話がされておりましたので,大体40ヘクタールを目標に話を持っていきました。そういうことで,最初に経営研究会というメンバーに話をしたということでありまして,栽培者が40ヘクタールで43名というかなり多い人数の中で取り組みに入ったわけでございます。
その中で,では,せっかく安心・安全米づくりに取り組んでいるし,エコスのエコというのは,エコファーマーとも通じるところがあるよというような話もされましたので,それじゃ,減農薬・減化学肥料,県のガイドラインに沿ったようなつくり方をした中で認証を取るかという話もしたんですが,県の認証を受ける場合には,11月いっぱいに県の方に届け出をしないと認証を受けられないということがありましたので,時期が当然過ぎておりましたので,県の認証を受けることができませんので,農政のガイドラインに沿ったつくり方の中で,全農の認証を通るような形の中で栽培をするような形になりました。
その中で,資材も統一した資材を使っていくということでございますけれども,前の安心安全米づくりの中で,試験で使っておりましたどきどき有機 808という有機質入りの資材があります。これが県の減農薬・減化学肥料の肥料の部分の減化学肥料に該当する資材ということがありましたので,この資材を使っていこうという話になりました。
ただ,このときには,大規模農家中心に,水稲も一発資材──元肥1回入れれば,収穫まで追肥をしないという資材が大分出てきております。ただ, 808の場合は,体系処理で使わなければなりませんので,非常に手間がかかるということがありましたので,一応全農を通じまして,この資材で一発で使えるものをつくっていただけないかというようなことをこのときに要請いたしました。
それで,米につきましては,循環型ということもうたっておりますので,エコスの店舗から出た食品残渣ですか,これを堆肥化したものをほ場に施すということでございます。ただ,このときには堆肥が非常にまだ量が少なかったということもありましたので,1年目は50キログラムということで,手振りで使わせていただきました。非常に手間のかかるところでありましたけれども,そういうことで各人,反当50キログラムで使わせていただいたんですけれども,それと同時に,この堆肥,資材の,どのぐらいまで使っても大丈夫かという試験もしようということで,2カ所ほど展示ほを設けまして,この堆肥を500キログラム,1トン,1トン500キログラムと,その3区画を設けた中で,500キログラムと1トンにつきましては,一般のどきどき有機808という資材を使う。1トン500キログラムは無肥料で,堆肥だけでつくるというほ場で試験をやってございます。
その中で行くと,大体反当1トンぐらいまでは普通の施肥量でやっても十分いけるよというような結果が出ておりました。ただ,今言いましたように,堆肥の量もそのときにはまだまだ足りませんでしたので,なかなかそれまで使えませんけれども,そのときの結果では,1トンまでは十分対応できるというような結果が出ております。
それと,この事業に取り組むに当たって,どうしても茨城の米の品質がそろわないということがありますので,生産資材を統一すると同時に,米につきましては, 100%共乾施設を使うようにしてくださいというようなことで,カントリー利用は 100%にいたしました。1年目でございますので,当初は生もみで搬入ということで,日にちを設定した中で搬入していただいたんですが,どうしても一般の方とのかち合いが出てきてしまって,非常に入荷のときに混雑したり,いろいろ問題が起きたというのがございました。この点につきましては,2年目の中で改善しようということで,話し合いをしていったわけでございます。
そして,このうち,本来であれば,9月の中旬から売りたいということでありましたけれども,初年度ということもありましたので,日にちを改めて10月に入ってからということで,日にちをちょっと送った中で販売に入ったわけでございます。ただ,商品につきましては,5キログラム袋1種類ということでありましたので,私どもも初売りのときに行ったんですが,なかなか名前も知られていないという中で,動きは非常に鈍かったというのが実感でございます。
それと,2年目に入りまして,今度は,面積が60ヘクタールの大体 300トンでいければということで話が来たんですが,なかなかこのときには,面積が60ヘクタールまではちょっとまとまりませんでした。それで,1年目に頼んでおいた有機質の一発資材,これも試供品ができてきたということがありましたので,2年目に,その資材の試験をしてございます。また,2年目ということで,茨城県の認証を受けるということで,11月までに面積の方を提出しまして,県の方の認証を受ける準備をいたしました。
また,一部,どうしても施設が間に合わなかった部分もありましたので,その部分については,お願いした中で,県の方で特別に認めていただいた中で,認証の方を受けさせていただいた結果がございます。2年目からは,堆肥の方も幾分量ができてきたということもありますので,堆肥の量を反当 200キログラムというような形にふやした中で使わせていただきました。
それで,一番1年目で問題になりました乾燥の受け入れの方なんですけれども,これは生もみで受け入れした場合に,先ほど言いましたように,非常に一般の方との荷受けの兼ね合いもございました。ですけれども,半乾という形,一応17%まで乾燥していただいたものを搬入していただく。17%まで乾燥すれば,一時保管した状態でも変色しないということもありまして,一般の方が大体10時から夕方にかけて搬入しているわけでございますけれども,エコスの半乾のものにつきましては,朝7時から10時ぐらいの間に搬入していただくということで,一般の受け入れと時間をずらした中で受け入れするような形にしていただいた中で,何とかスムーズに動くような形になってきたわけでございます。
また,このときに,先ほど言いましたように,製品が5キログラム袋だけで売っていたということがありまして,なかなかやっぱり売り上げが伸びないということと,やはり下館全地区に耕作者を広げてしまったということがありまして,なかなか品質をそろえるのが難しいというのが一つありました。そこで,課題としまして,やはり面積の集約化を図った方がいいんじゃないかというようなことがそのとき出てきております。
ちょうど平成14年の8月に,たまたま農地保有合理化事業の中での取り組みのモデル地区を,ちょっと私も下館の管内で立ち上げようかというような話がありましたので,その座談会を兼ねて,契約栽培の方の団地化を図ってまいりました。
それで,3年目につきましては,モデル地区の中に契約栽培の団地,約30ヘクタールほどの面積を3カ所に分けた中で,団地化した中で契約栽培もつくるというような形で,3年目には団地化をしてまいりました。それと,2年目で試験しました一発資材,これが問題ないよというお話になりましたので,全量,この3年目からは一発の有機の資材で栽培をしてございます。
それと同時に,消費宣伝,これも企画するようなことで話し合いをしたんですが,なかなか3年目の平成16年度にはちょっとお話がまとまらなかったものですから,消費宣伝まではちょっとこのときにはいきませんでした。ただ,先ほど来話をしていました精米袋,5キログラム袋のほかに,2キログラム袋をこのとき初めてつくったということでございます。この2キログラム袋の方の売れ行きが非常にいいということで,かなり商品の方の販路が開けてきたというような話をされてございます。
それで,4年目に入りまして,今度は面積の方なんですけれども,約65ヘクタール弱ということで,大体330トンぐらいの量になるんですけれども,実際,契約で310トンという形で入っているわけですが,そこら辺までの余裕は見てもらっております。そういうことで,4年目に入ってきた中では,だんだん契約栽培も団地化がされてきているという状況になってきております。
それと,3年目でできなかった消費宣伝にも取り組むということで,ことし5月15日ですけれども,エコスさんの,うちの方の商品を買っていただいているお客様を産地に呼びまして,田植えツアーを実施いたしました。また,これとあわせて,この秋に,今,9月24日を予定しているんですけれども,稲刈りツアー,田植えした人に稲刈りにも来てもらおうということで,稲刈りツアーを今,予定しております。そういう中で,産地とお客さんとの結びつきを強くすると同時に,産地のアピールをしていこうということで,今,取り組んでいるところでございます。
エコス米につきましては,次年度に向けて,面積の話し合いをまだしておりませんけれども,この間,エコスさんの定例の打ち合わせ会議の中では,今,うちの方はカントリー利用をしております。カントリーのタンクが1本250トンということでございます。300トンの玄米ということでありますと,どうしてもカントリーの利用が,満額利用がちょっと難しいということがありますので,この間の申し入れの中では,250トンか500トン,どっちかにしてもらいたい,できれば500トンにしてもらいたいということで,申し入れはしてございます。これにつきましては,今後,本省の方へ全農の方と一緒に行きまして,最終的な詰めをしていきたいと,こう考えているところでございます。
また,このほかに農協として取り組んでいる契約栽培米もございます。1つは,私どもの農協の営農経済部には課が5つございます。営農管理,畜産,米穀,私どもの農産,それと特販課ということでございます。その中の特販課の方は,農協独自販売をやっていこうということでつくっている組織でございます。
平成15年までは,全農さんの方から,買い戻しした中で販売という形でやっていたわけですけれども,昨年度,平成16年産からは,うちの米穀の方とタイアップしながら,一般米の方の買い取り販売も手がけてきております。
それで,今年度につきましては,特販課の方で,一般米の米穀とのタイアップではなかなか俵数が読めないということがありますので,契約栽培米にちょっと取り組みたいよというような話がありました。それで,うつくしき栽培米という名前で,本来1万俵を目標に,各地区に栽培をお願いしたいきさつがございます。ただ,この中で管内の明野地区と真壁地区につきましては,全農の安心・安全システムですか,これは第三者認証を受ける栽培方法なんですけれども,これに取り組んでおります。
その面積は,明野地区で58.8ヘクタール,真壁地区で32.9ヘクタールということで,両方で約91ヘクタール強の面積を取り組んでございます。そういうことがありまして,この2地区は,このうつくしき栽培米にはちょっと今回は乗れないよということがありまして,今回,まとまった面積が,やはり91.4ヘクタール──最初, 120ヘクタールの目標だったんですけれども,91.4ヘクタールの1万 4,642袋という形になっていますけれども,この袋数をことしは特販課で独自に,農協で買い取りした中で販売していくような体制になっているところでございます。このほかに,全農との契約栽培で,
あきたこまちとゆめひたちということで,契約栽培米も行っております。
この数量が,全部合わせて,契約栽培に取り組んでいる量が大体 1,500トンということでございます。このほかに,北つくばとして全農の方と,産地指定米というような形で,今,7,000トンほど契約してございます。両方合わせて約8,500トンという形でございます。管内の生産量が約1万 8,000トンでございますので,まだまだ半分までいきませんけれども,今後,産地指定米も含めて,なるべく契約栽培に持っていけるような形で努力していきたいと考えているところでございます。
その後,野菜の方の直売について,ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
うちの方は,平成15年に,やはり米の方だけじゃなくて野菜でも,管内の店舗の中に,直接販売するブースをエコスさんの方で上げますから,何とかそこで販売をしてもらえないかなというような話を平成15年の1月にもらったわけでございます。
このときにいち早く手を挙げたのが明野地区でございまして,このときに管内には,明野店と下館東店,岡芹店,川島店,それと関城に関本店と,5店舗ございました。その中で,明野は3月16日に開店ということで,インショップを立ち上げさせていただきました。
明野地区につきましては,このとき私は下館の支店にいたんですけれども,明野の担当の方に聞きますと,明野支店の場合には,生産組織,市場出ししているメンバーを入れながら,組織立てしていったようでございます。
ただ,私は下館にいたんですけれども,部長の方から話をもらって,インショップを立ち上げるまで1カ月しか期間がありませんでした。期間がないということで,まず人集めをするのにどうするのかなと,これは非常に悩みました。その中で協力してもらったのが,農協の女性部でございます。そういうことがありまして,エコスの岡芹店,これを立ち上げたのは,平成15年の4月28日でございますけれども,このときは女性部のメンバーを中心に立ち上げさせていただきました。そういうこともありまして,エコスの岡芹店は女性部の店だよということで立ち上げたわけでございます。
このときには,メンバーになる方は,女性部ということで,女性以外の方はだめですよ,実質的に,今,下館のインショップにつきましては,全員女性でなくてはだめだと,特例を認めている部分はございますけれども,女性じゃなくちゃだめだよということでやってございます。
そういう中で,今まで私,こういうのはないかなと思ったんですが,口座を全部開設していただきました。そういう人の中には,今まで全然自分で口座を持ってなくて,初めて自分の口座をつくったよ,初めて自分の金を入れた通帳をもらったよという形で,喜んでもらったというのが一番の喜びだったかなと,こう考えるところでございます。
そういう中で,今度は,それからまた1カ月したら,今度は東店と川島店,両方立ち上げるということでありました。これは大体女性部を中心に立ち上げてきていますので,各地区の女性部の部長さんにお骨折りいただいた中で立ち上げてきてございます。
そういう形の中で,今度は,最後にエコススピカ店,これはスピカが新しく,この年に,7月に開店いたしました。このときに一緒にそこに入れていただいたという形でございます。
その下にエコス真壁店というものがありますけれども,真壁店につきましても,これも新規開店でございます。このときに,真壁地区の会員の方をまとめた中で,実質開店してございます。
そういう中で販売してきておりますけれども,これと同時に,周りの店舗エコスさん以外のハイマートさん等ほかの店舗でも,徐々にインショップ会員をふやしてございます。また改めてうちの方の会員の方にも声がかかってきて,少し散れたという部分はございます。そういうこともありまして,現在,1日の売り上げが平均大体6万円前後という形で,大体月150万円から200万円ぐらいの売り上げが1店舗の売り上げになってございます。
それともう1つは,途中で,管内の普及センターさんでつくっている組織がございます。赤のっぽというような組織がございますけれども,この赤のっぽという組織は,直売の取り組みでは非常に早かった組織でございます。
そういう中で,ちょうど直売が始まってもう7~8年,10年近くたちます。そういう中で,直売の中で行き詰まっている部分があるわけです。そういう部分で,赤のっぽのメンバーの皆さんにも,インショップの方を協力していただいております。
そういう中で,インショップ,女性部の方は直接販売したことがございません。そういうわけで,商品をつくるというのがわからないんですね。物と商品の区別がなかなかできないということがありまして,お店に並べたときに見栄えのするような商品にすることはなかなかできなかったんですが,そういう部分の指導,協力を,赤のっぽの直売をやっていた方にお願いして,商品化していったということがございます。
また,直売だけでは売り切れなかった部分を,今度はインショップの方で販売していけるということで,逆に今度は赤のっぽのメンバーの方にも喜んでいただけた,そういう部分では相乗効果が出たのかなと,こう考えているところでございます。
また,農協としての直売所,これを昨年の5月に,結城に立ち上げてございます。これは,管内の農産物を売ると同時に,中で会員を募集しまして,現在,ここに書いてありますとおり, 105名のメンバーと管内の農産物の中で直売を実施いたしております。これは結城支店の倉庫の一部を改造した中で,直売所にしているところでございます。
これにつきましても,現在,月 650万円ぐらいの売り上げ──大体1日にして25万円前後の売り上げになるかなと思うんですけれども──になってございます。この直売所につきましても,当初は週1回休みということで,週の半ばということで水曜日を休みにしておりました。ただ,担当者の方からの申し入れもありましたけれども,パートの方を1名ふやした中で,どうにか休まないで周年販売,これに取り組めないかというような申し入れがございまして,現在は休みなく周年の開店をいたしております。
そういうことで,私ども北つくばといたしましては,米につきましては,とにかく契約栽培を主体に今後ふやしていく考えでおります。また,野菜につきましても,市場流通のほかに,先ほど話しましたように,独自販売する課がございます。この特販課を通じた中で,地産地消も含めた中での販売を広げていきたい。また,県の方で御指導いただいているネットカタログ,これも,なかなか広がらないところはあるんですが,私どもの力不足で非常に申しわけないなと思っているところでございますけれども,これも順に広げた中で,今後,産地のPRと販売に努力していきたい,こう考えているところでございます。
そういう面では,今後とも御指導のほどよろしくお願いいたしまして,私の説明にさせていただきたいと思います。どうも本当にきょうはありがとうございました。
48
◯磯崎委員長 どうもありがとうございました。
続きまして,柴田さんの方からお願いいたします。
49 ◯柴田参考人 20分程度という話なので,ちょっとポイントの部分だけお話をさせていただきたいというふうに思っています。
まず最初,資料の確認でございますけれども,「全農茨城県本部総合販売戦略」というレジュメが1つ入っております。それから,あわせてパンフレットをきょう3冊ほど持ってきてございます。後ろの2つは,「事業案内」と「全農茨城県本部のすがた」ということで,こっちはうちの機構等々,それから,こちらの方は,県内の全農茨城県本部の姿ということで,取り扱いが,全農の県本部の取り扱い,米を含めてですが,生産者も含めて,こういう格好で推移しているという中身でございますので,後ほどお目通しいただきたいと思います。
パンフレットの方を先に説明させていただきますけれども,こういった緑のカタログですが,これを見てもらうとわかるとおり,実はこれは,うちの販売戦略の中で,うちの販売,セールスしている,営業している人間と言うと変ですが,販売先を含めて,推進をしているメンバーが常に持ち歩いている中身です。
特に量販店,小売店を含めたバイヤーに渡している中身でございまして,実は,この中身は,県内の農産物の時期別カレンダーということで,トップシーズンとサブシーズンを含めたカレンダー,それから県内の産地,それから各農作物の特徴,そういったものを全部載せまして,いわゆる茨城はこういうものができる,こういうトップシーズンがある,こういうよさがある,こういう使い方があるんだということで,販売戦略の中の営業用のパンフレットとしてつくっている中身でございまして,差しかえができるような格好,追加できる,こういうものを使って,現在,これだけじゃないんですけれども,営業と言うと変ですが,いわゆる販売戦略,販売そのものを行っているという中身でございます。
大変申しわけないんですけれども,レジュメの方に戻っていただきまして,全農茨城県本部の販売戦略ということで,今回は1~2ページの中で,おおむね5点の切り口の中で,全農茨城が今どんな販売戦略をとっているのか,あるいは将来どんなことを考えているのかということを,レジュメの中ではちょっと言い切れない部分があると思うんですが,私の言葉の方も含めて,補足しながら説明をしていきたいというふうに思ってございます。
最初に,枠組みの中にある「アグリルネッサンス21を基本とした展開」という書き方をしてございます。一体アグリルネッサンス21とは何だということだと思いますけれども,実は,全農を統合しまして,ことし4年目でございます。従来の経済連から全農に変わって,ことし4年目を迎える。実は,このルネサンス構想というのは,統合した初年度,今から3年前になりますけれども,そのときに,全農いばらきとして将来の事業展開をどう考えるべきなのかということで,当時,半年以上かけまして,専門プロジェクトを入れて検討した中身が,実はこのアグリルネッサンス21構想という,きょうは1,2というエキス部分だけしか載せてございませんけれども,結論的に言いますと,いわゆる従来の生産と販売が分離するんじゃなくて,生販一貫の事業体系,事業仕組み,そのことによる農家所得の向上,このことを基本にしながら,ベースにしながら,全農県本部としての事業展開をする必要があるんじゃないかということが,実はルネッサンス21構想の中身でございます。当然,当時考えたときよりも,かなり時代も変化してはございますけれども,考え方そのものは変えてございません。
したがいまして,きょうは,その中でも生販一貫ではあるんですけれども,その販売対策について,全農県本部がどんなことを今やっているのか,あるいはどんなことを考えているのかということについて,御説明を申し上げたいと思います。
ルネッサンス構想そのものの背景については,後ほど時間があれば説明しますけれども,最初に,品目別戦略ということで,大きく3つ,いわゆる米と園芸と畜産というくくりの中で,品目別戦略を持ってございます。
米については,北つくばの石倉さんの方からエコス米の話もされましたけれども,県本部の全体的な考えとしては,皆さんも聞いたことがあると思うんですが,1つはJA米という,先ほど品質の話が出ましたけれども,茨城の米というものが他県に比べて
品質そのものが,いわゆる運動会で言えばスタートラインに立っていないじゃないかというようなことから,JA米という,我々JAグループでつくっている米ですが,70%以上を目指して,ことし進めてございます。おおむね8万トン弱は,ことし,いけるというふうに話は聞いてございますけれども,JA米の確立ということを1つの販売戦略にしています。これは品質の統一,茨城県の米が,他県に比べて品質的にも劣っていないということをきちんとやっぱり見せる必要がある,いわゆる米そのものが産地間競争の中で,今,動いていますので,他県との競争が非常に激しい中でございますので,そのことが1つ。
それからもう1つは,契約栽培による産地米の拡大ということで書いてございますが,ここは,いわゆる米の需要というものが,御承知のとおり,大体年間1人当たり60キログラム程度というふうに言われています。60キログラムの中身を分解しますと,量販店というのは,多分家庭用向けだと思いますけれども,外食,中食と言われるいわゆる外食産業,それから中食と言われるコンビニのお握り・弁当,こういった関係の需要が非常に多くなってきています。それから,あわせて,将来の需要見通しを予測しましても,全体量も下がっているという農水省あたりのデータも出ていますし,需要構造そのものが,いわゆる外食,中食にシフトするということになっています。ここで言う契約というのは,我々としては,従来であれば,今まで,単に卸にぽんと売って,どうなんだということになってきたんですけれども,ここの契約の部分については,いわゆるここの産地の米は中食に使うのか,外食に使うのか,あるいは家庭用の主食に使うのか──主食というのは,内食と我々言っているんですが──家庭用として販売するのかという,ここのところの見きわめをしながら,産地との契約,もっと言うと,卸・量販店との契約をしていこうという動きを今はしています。
したがって,これが今,全体で約4万トンベースで動いているんですが,石倉さんの方から話があったように,エコス米じゃないですが,契約栽培米というのは,今後,茨城の米戦略,販売戦略の中では一つのポイントになる戦略ではないかなというふうに考えてございます。
ちなみに,具体的にどんなところに売っているのかということになりますと,量販店関係では,ダイエー,イトーヨーカ堂関係が主流で行っていますけれども,それから外食,中食では,いわゆるセブンイレブン,ミニストップ,こういったコンビニにも茨城の米はかなり行っています。
それから,次に園芸事業でございます。園芸事業は2つのくくりに分けてございます。市場外と市場ということで分けてございます。市場外流通という言葉と,市場流通という言葉を書きますと,市場流通そのものがどうなんだという意見もあると思うんですが,全農茨城県本部の他県本部と違う特徴点が,実はこのレジュメの中に3つございます。いわゆる他県でやっていないというものですね。その1つが,実はこのVF事業でございます。
VF事業という事業は,うちが平成6年から7年にかけてスタートした中身なんですが,皆さんも御承知のとおり,系統共販率が非常に茨城の場合,悪いです。我々の努力が足りないと言えばそれまでなんですけれども,そういう中で,よく最近使われますけれども,つくれば売れる時代から,要するに売れるものをつくらなければならないという,こういうことをよく言われます。ここは何を言っているかというと,いわゆる
マーケティングの部分だと我々は考えています。
マーケティングというのは,もっと言えば,市場に単に出して,それが先にどこへ行くかわからないんじゃなくて,自分がつくったものがどこで買われているのか,どんな場所で買われているのか,あるいはその反応はどうなのかということがきちっとやっぱりつかまえる必要があるということがあります。したがって,VF事業の中でも,市場販売でありますと,無条件委託販売ということで,簡単に言えば,単に市場に流して,そのときの相場でもって価格が決まるというやり方でずっと進んでいるわけですが,VF事業については,ここにも書いていますように,実は買い取りでやっています。全農県本部の買い取りをベースにやっています。したがって,ここは契約もさることながら,契約で約 600町歩程度今,動いているんですけれども,このメーンになっている商品は,レタス,キャベツ,ネギ,こういったものが今,年間契約です。
それから,契約販売の中でも,週間,月間,それから期間を含めて価格設定と書いてありますが,値決めで動かしてもらっています。したがって,買い取り値決め,相手と交渉して価格を決めるというもの,それからもう1つは,提案型産地育成というのは,これは市場流通でもかかわってきますし,下の大きな3の東京本部における販売戦略の中でも,実はこのことをねらっているわけですが,北浦のミツバじゃありませんけれども,市場側,あるいは消費者側の要望,そういったものを含めて,産地にフィードバックする,逆に言えば,消費者のニーズに合ったものを産地でつくらせるという,いわゆる今までみたいにつくったものを売るというだけじゃなくて,そういったことがここの中にはあります。これはVF事業,市場外流通を含めて,市場流通でも同じようなことを考えております。
それから,2つ目の市場流通の中では,ここの中で,今,考えていかなきゃならないなと思っているのは,先ほど無条件委託販売の話をさせていただきましたけれども,御承知のとおり市場法が改正になるという問題が1つあります。ただ,もう一方では,市場そのもの,市場の機能というのは,私はあると思っていまして,特に共販というものを育成するためには,やっぱり市場というものが非常に大事なものですから,園芸についてはVFと市場外流通を並行・並列させながら,やっぱりそういう展開を販売戦略の中で持っているというのが中身です。
それから,畜産事業でございますけれども,畜産事業は,県内にはローズポーク,常陸牛という銘柄牛,銘柄豚がございます。でも,特にここで言われているのは,ブランドの問題があると思います。せっかくいいものをつくっているんだけれども,どうもブランドイメージが悪いよね,買うところもないよねなんていう話をよく聞きますけれども,最近,ここの部分について今考えているのは,この7月に東京にコンラッド東京というホテルができました。1泊6万円,7万円という話を聞いています。ここに今回,常陸牛を入れることができた。
それから,今,検討しているのは,やっぱりブランドをつくるためには,1つはブランドイメージを持つ必要があるなということで,東京の方とやっているのは,県内もさることながら,成城石井とか,紀ノ国屋とか,こういったいわゆる高額所得者が買うようなスーパー,量販店とか,そこに今,話を進めてございまして,特に常陸牛については,そういった戦略を打ちながら,ブランド牛としての位置づけを確保していきたいと思っています。ちなみに,カスミの赤塚店に,全農県本部が今回出店のインショップをつくっていますけれども,そういった対応も,今,畜産の中ではさせていただいている。
それから大きな2番目の,ポケットファームどきどきですが,ここについての位置づけは,ここにも書いてあるとおりでございます。地産地消をベースにしています。県内に60近く直売所があるんですけれども,県内のモデル直売所という位置づけを,できればポケットファームどきどきでしたいなというのが1つ。それからもう1つは,今回,食育基本法が施行されましたけれども,そういうものを通して,のんびり学習塾等々をやりながら,食と農のつながりというもの,こういったものを,どきどきファームの中で今後は取り組んでいきたいということを考えています。
あわせて,どきどきについては茨城町に持っているんですが,来年,県南に2号店を現在考えております。
それから,3番目の東京推進本部における販売戦略ですが,これはもう既に御承知だと思います。全国初めて,行政と我々JAグループ,全農が一体となって販売本部を東京に設けた。このことは,販売先からも評価をもらっております。それはどういうことかと言いますと,本気になって,茨城についてはJAと県が,行政が一体になって本当に乗ってきたんだなという評価ですね。そういった意味では,東京本部をつくったことによる県内の農業に対する,首都圏に対する販売イメージというのは相当高まったんではないかなと思っています。
このことは,ことしの4月にスタートしたんですが,6月にそういった,ここにも書いていますトップセールスの開催をしておりますけれども,11月にはもう一回,いばらき農産物フェア等々,逆に言えば,商談会なんですが,そういったものを定期的に繰り返しながら,いわゆる首都圏に対する茨城県の農畜産物の販売戦略の拠点として,あるいは販売戦略の一つとして,そんなことを継続的に展開をしていきたいということで考えております。
返していただきまして,裏側に,大きな4番目に,輸出及び異業種との販売戦略というのが出てございます。最近,WTO問題で輸入の問題がかなり話題に上りますが,輸出の問題も,金額的には少ないと思うんですけれども,話に出ております。県本部としては,この4月にメロンを,香港をベースにして一部試験的に輸出をしています。実は,これは香港というふうに書いてありますけれども,あわせて,このときにはタイ,それからシンガポール等々についても,メロンについては試験を含めてアンケート調査──試験販売ですけれども──そういったことを通してやってみました。ここは,多分御承知のとおり,新聞,テレビ等々でも結構話が出ていますように,非常に高い価格なんですね。ばらつきがあるんですけれども,タイだと1,000バーツ程度,日本円で3,000円程度と書いてあるんですが,メロン1個が3,000円,それは例外的だと思うんですが,そういった価格で売れている。平均的にも700円~800円,1,000円だったら十分に売れるというふうな,要するに中国を含めて,高額所得者がかなり出てきているということだと思います。したがって,いいものであれば,やっぱりお金を出しても買うというのが,東南アジアを含めて中国で出てきたんではないかなというふうに思っています。
ただ,秋にナシをやろうと思っています。ここにも書いていますように,上海,バンコク,マレーシア等々で,ナシをちょっと,またメロンにかわってやろうというふうに考えておりますけれども,メロンをやった結果,ちょっと幾つか課題がございます。課題というのは,メロンとナシはちょっと違うわけですが,メロンというのは非常に日持ちの問題があるわけですね。したがって,輸送コスト問題で,空輸するのと船便は全然違いますよね。4倍も5倍も空輸はかかっちゃいますので,やっぱり輸送コストが非常に高いので,向こうの販売コストを含めても,本当に県内の農家を含めた手取りがどうなのかという,ここのところが実は一つの課題になっている。これが一つありますね。
それからもう1つは,輸出入というのは,単に我々が直接今やっているわけじゃなくて,そこに輸出入業者というのが入っているわけですが,その辺とのやりとりの部分で,できれば将来は,県本部として直接輸出入にかかわるような形でできないかというようなこと。それから最後の3つ目ですが,メロンの中で非常に考えなければならないなと思っているのは,包装──輸送方法を含めて,ダンボール,それからコンテナ,そういったもの,形状のあり方等々も考えていきたいということで,メロンについては,そういう総評を実は内部ではしています。
秋にまたナシをやりますので,ナシも,ここを含めて,上海,バンコク,マレーシア等々で考えていますから,この辺で販売をして,本当にこのことが事業としていけるのか,あるいは県内の農家の農作物輸出として事業になっていくのかどうかというのを検証していきたいというふうに思ってございます。
それから,コラボレーションの展開というのは,これは見てください。実は,これは地産地消の一環で,異業種を含めて,いわゆる協業,共同企画,あるいは事業提携,そういった意味合いだと思います。要するに,キリンビール等々を含めたビールと茨城の農産物をタイアップさせたようなPR,宣伝広告,こういったことをしながら,茨城の農産物のPRを,いわゆるコラボレーションの展開の中でやっているという中身でございます。
それから,5番目の生産情報開示システム,これはいばらき農産物ネットカタログ,県の方を含めてやっている部分ですが,先ほどから出ていますように,よく言われる安心・安全という部分ですよね。こういう部分というのは,言葉では安心・安全であったとしても,具体的にそのことを消費者にどう伝えるかという部分では,ネットカタログというものは非常に効果があったんではないかなというふうに思っています。
あわせて安心・安全問題というのは,要するに消費者からの信頼を得るということが最大だと思います。一方,この問題は量販店が販売戦略で使っている部分もあると思うんですけれども,やはりこれを見せることによって,茨城の農産物が消費者に信頼を得られる,こういうことの一助になれば,私はこのことを系統としてもどんどん進めているわけでございますけれども,やっぱりこれについても,全国初といいますか,先んじて,こういうことを茨城県を含めて進めてきたわけでございますが,このことも今後は,やっぱり販売戦略上大きな効果にはなるんじゃないかなというふうに思ってございます。
ちょうど20分になりましたので,本当に雑駁な説明で,大変失礼なんですが,あとは皆さんの方から御意見やらアドバイスをいただきながら,やりとりをしていきたいというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
50
◯磯崎委員長 どうもありがとうございました。
ここからは意見交換の時間とさせていただきます。
ただいまのお話について,委員の方から質問,意見等がありましたら,お願いいたします。
武藤委員。
51 ◯武藤委員 まず,石倉さんの方に。インショップなんですけど,例えば自分の地域から離れたところのインショップと,こういった非常に近いところのインショップということで,若干雰囲気が違うかなと思うんですが,インショップというのは,やっぱり地元でもやると,非常にやりがいというか,非常に効果というのがあるというふうに考えていいんですか。
52 ◯石倉参考人 インショップにつきましては,まるっきり系統で今まで扱っていなかった新規の人なんですよ,正直言って。今まで家庭用につくった品物で,隣近所に配っていたものを商品にしたということなんですよね。ですから,要するに地域の活性にはなると思います。たまたまやっぱりインショップに入っている品物が,本来であれば店の品物と同じぐらいの値段で売ればいいんですけれども,今まで女性部を中心にやっていますから,隣近所に配っていたという意識もあると思うんですが,やっぱり100円に近い相場で売っているんですよ。去年の野菜の高値のときも,レタスが600円なんてしているときに,店で150円か200円で売っていたというのも実際ありました。町の人の話を聞くと,非常に助かりましたという話も聞いていますけれども,出している本人も喜んでいるんですよ。やっぱりある程度,女性部の年配の人もおりますので,それを生きがいにしている人も出てきているような状況なんですよね。だから,いろいろな面で回っていけば,非常に地域の活性にもつながるのかなと思うんですけれども。
53 ◯武藤委員 わかりました。ありがとうございました。
それから,柴田さんの方にお伺いしたいんですが,1つは,全農という立場というのは,茨城県なんかも立場的に似ているんですけれども,直接じゃない部分というのが結構あるような気がするんですけど,つまり,直接やっている部分と,指導みたいなところでやっている部分というのがあると思うんですが,その指導をやっていくということで,非常に難しさみたいなことを,僕は県の施策でやると感じるんですが,全農の茨城県の本部としては,その辺についてはどういうふうに考えているんですか。
54 ◯柴田参考人 皆さん,全農茨城県本部という形態がどういう事業運営になっているか,多分御承知だと思うんですが,経済連から全農になっても,今のスタイルは,県本部収支機構という言葉を使うんですが,県本部で販売事業が完結するということ,こういう形で動いています。
したがって,武藤委員の方から話があったように,じゃ,農政──政策と事業とのリンクはどうなのかという部分ですが,基本的に我々の組織の中では,県の中では,政策的なものというのは,中央会が窓口で動いています。我々全農いばらきというのは,経済事業の団体でございますので,それを受けてと言うと変ですが,もちろん指導していないわけじゃないんですけれども,そういったものとリンクして生産指導する,あるいは販売をしている,こういう格好で動いていますから,やりづらいのかという質問では,同じ一体的な組織ですから,全くやりづらくないというと,ちょっと語弊がありますけれども,やはり基本的には,私は,事業をやっているところがやっぱり政策にかかわるべきなのかなというふうに個人的には思っていますけれども。
55 ◯武藤委員 では,もう1点。
そういった具体的な事業の中で,ポケットファームどきどきというのがあって,僕も1回か2回行きましたけど,非常に込んでいますよね。あそこの採算性はどうですか。
56 ◯柴田参考人 今,年間で売り上げが約13億ございます。実は,昨年まではかなり採算と言うと変ですが,厳しいというか,とんとんぐらいだったんですが,ことし平成16年末は,そこそこの黒字になっています。ただ,我々が考えているのは,平ったい話をすれば,あそこで利益を出してどうのこうのということを考えているわけじゃないんですよ。極端に言えば,収支均衡,とんとんであれば十分にいけるなというふうに見ています。
それよりも,今のいわゆる農業という問題をとらえたときに,食育というのがいろいろありますけれども,やっぱり食と農,あるいは生産者と消費者という,ここの部分をあそこでできれば,もう少し接点を近づけてやれるような,そういった場所になればいいなというふうに思っています。そのためのコストがかかったとしても,そのことはやむを得ないというふうに我々は思っていますし,単なる野菜を売る場所ということではなくて,そういう施設でもありたいというふうに実は思っています。
そういうことを考えていますので,全体収支はいろいろありますけれども,プラスマイナスゼロと,極端に言えば,そうであれば我々はいいと。ただ,昨年は黒になっています。
57 ◯武藤委員 もう1回,詳しく言うとあれなんですが,レストラン部分だけを取り上げると,あそこは黒字ですか。
58 ◯柴田参考人 レストランは,経過がございまして,当初スタートしたときはテナントで入れていたんですよね。御承知かもしれません。それで,テナントではやっぱり地産地消を含めて無理だ,やっぱりだめだということで,やっぱり直売所が片方に併設され,こっちにレストランがあるということで,あのレストランは,1年ちょっと前になりますけれども,自前にしました。
それで,ああいうバイキングスタイルにしたんですけれども,そこは,いわゆるテナント時代よりも,はっきり言いまして,売り上げでは3倍ぐらいになりましたですかね。もう1つの効果は,多分食べられてわかると思うんですが,いわゆる地産地消の問題もあるんですけれども,直売所というのがあるわけですよね。普通,JAの直売所というのは,生産者が出して,名前を書いて,価格を決めて,売れなければ持ち帰るという,多分そういうシステムになっているところが結構多いんですよ。私のところもそういうことを実は考えていたんですが,それじゃせっかく生産農家がつくったものが,持ち帰りというのじゃ,廃棄するだけですから,であれば,余ったものと言うと,言葉が悪いんですけれども,そういうものをレストランに持ってきて,それでやろうと。そのためには,バイキング方式で,その日その日のメニューをいつも決めていたのではだめだと。毎日,余ったと言うと変ですが,その材料を見て,実はあそこのメニューは80ぐらいあるんですけど,つくっているんですよ。そういった循環をさせたというのが,非常に成功した理由の一つだと私は思っていますけどね。
59 ◯武藤委員 例えば,あれを東京に進出させたらどうかと,私,思ったものですから。
60 ◯柴田参考人 実は,ちょっと話が長くなっちゃって恐縮なんですが,三井とか,三菱とか,いろいろディベロッパーが来ているんですけれども,実は,そのどきどきファームを東京でとか,つくばでとか,あるいは,ここはカスミもありましたけど,インショップでやってくれないかとか,あるんですが,私は,オンリーワンと,ここに別な部分で書いてありますけど,やっぱり県内で展開するのが正しいんじゃないかと思っています。要するに,本当によければ食べに来てもらうということですよ。こっちから売りに出ることも大事なんだけど,茨城の農産物でこういうものがあるといったら,向こうから来てもらう,並んでも食べてもらう,そういう店にできればしたいというのが実はありまして,売れればどこにでも出すというやり方は,私はあまり考えてないんです。
61 ◯武藤委員 どこにでもじゃなくて,茨城県で東京にアンテナショップがあるものですから,何かポケットファームどきどきあたりは,非常にそれらしくて,代表選手にふさわしい経営体かなと思ったものですから。
62 ◯柴田参考人 そうですね,参考にさせていただきます。
63
◯磯崎委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
64
◯磯崎委員長 ないようですので,以上でお二人からの意見聴取を終了いたします。
石倉さん,柴田さん,貴重なお話をありがとうございました。
本日お話しいただきましたことにつきましては,今後の委員会審査の参考にさせていただきます。
どうもありがとうございました。
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65
◯磯崎委員長 以上で審査を終了し,これをもって閉会いたします。
長時間御苦労さまでした。
午後3時6分閉会
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