• 救急需要(/)
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  1. 山形県議会 2022-09-01
    09月22日-02号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 4年  9月 定例会(第408号)  令和四年九月二十二日(木曜日)午前十時零分 開議議事日程第二号  令和四年九月二十二日(木曜日)午前十時開議第一   議第八十六号 令和四年度山形県一般会計補正予算(第三号)第二   議第八十七号 令和四年度山形県港湾整備事業特別会計補正予算(第一号)第三   議第八十八号 令和四年度山形県工業用水道事業会計補正予算(第一号)第四   議第八十九号 令和四年度山形県公営企業資産運用事業会計補正予算(第一号)第五   議第九十号 令和四年度山形県水道用水供給事業会計補正予算(第一号)第六   議第九十一号 令和四年度山形県病院事業会計補正予算(第一号)第七   議第九十二号 山形県職員等に対する退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定について第八   議第九十三号 山形県職員等の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第九   議第九十四号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第十   議第九十五号 山形県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十一  議第九十六号 山形県建築基準条例の一部を改正する条例の制定について第十二  議第九十七号 山形県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十三  議第九十八号 漁港事業に要する費用の一部負担について第十四  議第九十九号 防災減災事業等に要する費用の一部負担について第十五  議第百号 地域用水環境整備事業等に要する費用の一部負担について第十六  議第百一号 都市計画街路事業に要する費用の一部負担について第十七  議第百二号 流域下水道の建設事業に要する費用の一部負担について第十八  議第百三号 港湾事業に要する費用の一部負担について第十九  議第百四号 急傾斜地崩壊対策事業に要する費用の一部負担について第二十  議第百五号 一般県道白滝宮宿線道路改築事業橋梁上部工工事請負契約の一部変更について第二十一 議第百六号 主要地方道米沢飯豊線道路施設長寿命化対策事業中津川橋橋梁補修工事請負契約の一部変更について第二十二 議第百七号 山形県立庄内中高一貫校(仮称)高等学校校舎増築その他(建築)工事請負契約の締結について第二十三 議第百八号 山形県立寒河江工業高等学校改築整備事業契約の一部変更について第二十四 議第百九号 パーソナルコンピュータの取得について第二十五 議第百十号 除雪機械の取得について第二十六 議第百十一号 除雪機械の取得について第二十七 議第百十二号 山形県産業創造支援センターの指定管理者の指定について第二十八 議第百十三号 蔵王みはらしの丘ミュージアムパークの指定管理者の指定について第二十九 議第百十四号 弓張平公園の指定管理者の指定について第三十  議第百十五号 酒田北港緑地の指定管理者の指定について第三十一 議第百十六号 酒田北港緑地展望台の指定管理者の指定について第三十二 議第百十七号 米沢ヘリポートの指定管理者の指定について第三十三 議第百十八号 山形県営駐車場の指定管理者の指定について第三十四 議第百十九号 権利の放棄について第三十五 議第百二十号 山形県教育委員会委員の任命について第三十六 議第百二十一号 山形県土地利用審査会委員の任命について第三十七 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第二号に同じ。出席議員(三十九名)  二番 梅津庸成議員  三番 今野美奈子議員  四番 菊池大二郎議員  六番 高橋 淳議員  七番 遠藤寛明議員  八番 相田光照議員  九番 遠藤和典議員  十番 梶原宗明議員 十一番 関  徹議員 十二番 山科朝則議員 十三番 菊池文昭議員 十四番 松田敏男議員 十五番 青木彰榮議員 十六番 青柳安展議員 十七番 五十嵐智洋議員 十八番 柴田正人議員 十九番 渋間佳寿美議員二十一番 矢吹栄修議員二十二番 小松伸也議員二十三番 渡辺ゆり子議員二十四番 石黒 覚議員二十五番 吉村和武議員二十六番 高橋啓介議員二十七番 島津良平議員二十八番 加賀正和議員二十九番 森谷仙一郎議員 三十番 鈴木 孝議員三十一番 楳津博士議員三十二番 奥山誠治議員三十三番 小野幸作議員三十四番 木村忠三議員三十五番 金澤忠一議員三十六番 伊藤重成議員三十七番 舩山現人議員三十八番 田澤伸一議員三十九番 森田 廣議員 四十番 坂本貴美雄議員四十一番 星川純一議員四十二番 志田英紀議員欠員(四名)  説明のため出席した者知事          吉村美栄子君副知事         平山雅之君企業管理者       沼澤好徳君病院事業管理者     大澤賢史君総務部長        小林剛也君みらい企画創造部長   岡本泰輔君防災くらし安心部長   奥山 賢君環境エネルギー部長   安孫子義浩君しあわせ子育て応援部長 布川理枝子君健康福祉部長      堀井洋幸君産業労働部長      我妻 悟君観光文化スポーツ部長  西澤恵子君農林水産部長      地主 徹君県土整備部長      小林 寛君会計管理者       佐藤紀子君財政課長        相田健一君教育長         高橋広樹君公安委員会委員長    吉田眞一郎君警察本部長       丸山彰久君代表監査委員      松田義彦君人事委員会委員長    安孫子俊彦君人事委員会事務局長   大場秀樹君労働委員会事務局長   富樫健治君     午前十時零分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第八十六号議案から日程第三十六議第百二十一号議案まで及び日程第三十七県政一般に関する質問(代表質問) ○議長(坂本貴美雄議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第八十六号令和四年度山形県一般会計補正予算第三号から、日程第三十六議第百二十一号山形県土地利用審査会委員の任命についてまでの三十六案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第三十七県政一般に関する質問を併せ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 三十三番小野幸作議員。 ◆33番(小野幸作議員) おはようございます。自由民主党の小野幸作です。本日は、会派を代表して質問させていただきます。 冒頭に、七月八日、突然の蛮行により逝去されました安倍晋三元総理・総裁の御霊に、自民党会派を代表して心から哀悼の誠をささげさせていただきます。 また、二十七日の国葬には、知事、坂本議長とも御参列のこと、御苦労さまでございます。 そして、八月三日から四日にかけての大雨の被害に遭われた皆様に、自民党会派を代表して心からお見舞いを申し上げます。 それでは質問に入ります。 一番、県と市町村との連携について申し上げます。 このことについては、私は、令和三年十二月定例会予算特別委員会で質問をいたしました。そのとき、知事は骨折で入院なされており議会欠席だったため、みらい企画創造部長の答弁をいただきました。質問要旨の角度が違いますが、本日は知事に答弁をお願いいたします。 県と市町村は、県民、市町村民の行政サービスを実施しています。その目的は、最終的には県民、市町村民の幸せのためであり、県、市町村は共通の目的を持っていると言えます。しかしながら、県が立案・実施する施策の中で、市町村の現場から見て困惑する案件がしばしば見られます。 市町村が取り組む行政サービスは、財政事情等を勘案し、優先順位をつけ、市町村民の理解、議会の同意を得て実施します。何の協議もなく県が事業名を示し、「県が半分出すから半分は市町村負担」と言われれば、各市町村の事情で問題が出てきます。実施できない場合は、市町村への批判という形で表面化してきます。無理な財政支出をしてでも追随せざるを得なくなるのであります。 事前協議がなく事業が決められていけば、市町村の財政自主権の侵食につながります。各市町村は、厳しい財政事情の中で、様々な努力で歳入を確保し、持続可能な形で行政サービスの向上に努めているのが現状であります。県が市町村に負担を求める枠組みが増えれば増えるほど、その分を市町村が独自の事業や行政サービスを削って捻出せざるを得なくなります。 保育料無償化に向けた段階的負担軽減事業がその例です。 令和三年一月二十四日投開票が行われた山形県知事選挙で、知事は、「子育てするなら山形県」の実現、子育て費用などの段階的無償化を公約に掲げられました。令和三年二月十六日、県から市町村に制度の枠組みが示され、二月十八日開会の定例会に制度と事業の詳細が上程され、附帯意見つきで可決されたことは御案内のとおりであります。令和三年七月に市長会が「協議の場を設けてほしい」と正式に要望していたことも御案内のとおりであります。 本年五月十一日、令和四年度県及び市町村長・議長会議がモニターテレビを通じて行われました。この会議は、令和四年度の県の取組と各部局からの説明事項について執行部から説明があり、その後、市町村から提出された意見・提言を基に意見交換が行われました。参加した方々からは、このような市町村の首長と議会議長が一堂に会した今回の会合は、質の向上にもつながり、こうした機会を拡充してほしいとの意見が多かったと聞いております。そして、八月一日開催された山形県知事と山形県市長会との意見交換会、遅過ぎた感がありますが、重要な意義があったと思います。 二〇二一年度に保育料を段階的に無償化する事業を打ち出したとき、疑義が噴出したのもこの点にありました。各市町村に対し、事前に何の協議もなく半分の負担を求めたことです。各市町村では既に二月定例会が開会され、新年度予算の枠組みも示されており、審議に入ったところもありました。また、財政規模の小さい自治体では負担増に対応できない等々の意見が県議会にも多数寄せられたのであります。それらを含めての議会での質問となったのです。知事の選挙公約の実現を急いだ感は否めませんでした。 意見交換会では、五つの重要テーマが設定されましたが、その中で、県と市の施策の連携が重要テーマの一つでありました。 そこで、山形市長の意見です。「人口減少や少子高齢化対応のほか、新型コロナウイルス感染症、豪雨、豪雪などの自然災害対策、また、行政のデジタル化、ウイズコロナでの社会経済活性化策など、昨今の喫緊の課題においては、県・市が連携して取り組むことで施策の効果が高まるものと思う」「県・市の連携事業を県が立案する際には、ある程度の時間的余裕を持って事前の照会また情報提供などをしていただくとともに、住民対応の最前線である各市の意見を十分反映していただきたい。県が立案した連携事業を実施する場合に発生する事務経費等の財源を県においてお願いしたい」。 上山市長の意見です。「県と市の協議が十分になされないまま、市の負担を前提とした施策の提示もしばしば見受けられる。連携施策の提案時期については、事前に十分に協議・検討する機会を設けるとともに、市の予算編成の時期を考慮してほしい」「提案の方法については、電話や文書、電子メールのみでの提案が散見されるが、ぜひ説明会等において意見交換等ができる環境の下、提案するよう要望する」「制度設計については、十分な協議・検討の中で、市の意見を十分に反映させるとともに、将来的な財政措置について盛り込んでいただきたい」というものでした。 現在も今後も、人口減少問題、新型コロナウイルス感染症問題、以後の経済再生対策自然災害発生・復興の問題等々を考えた場合、市町村との協議調整がさらに重要になってくると思われます。 そこで質問に入ります。 一つ、国と地方の協議の場に関する法律に鑑み、県と市町村との調整の場・仮称に関する条例制定の考えはないのかを含めて、今後の在り方について知事にお伺いいたします。 また、保育料無償化に向けた段階的負担軽減事業の現状と今後について、しあわせ子育て応援部長に伺います。 質問の二つ目、山形新幹線米沢トンネル仮称整備計画について申し上げます。 平成四年七月一日、山形-東京間を結ぶ山形新幹線が開業しました。在来線の線路を改良した上で新幹線と直通運転するという、日本初のミニ新幹線方式によるものです。これにより、山形県と首都圏の所要時間が大幅に短縮されたのです。その後、新庄まで延伸された山形新幹線は、山形県の発展を支える大動脈として走り続けて、今年開業三十周年の節目を迎えております。 今後は、令和六年春から新型のE8系車両を順次投入し、宇都宮-福島間において時速三百キロ運転を目指しています。さらに、E8系車内には、大型荷物置場を全号車、電源コンセントを全席に設置するほか、車椅子スペースの増設を図るそうです。さらに、令和八年度末には、山形新幹線の輸送の安定性に大きく貢献する福島駅上りアプローチ線の使用開始が予定されております。 開業三十周年を迎えての課題は、豪雨、大雪等による運休、野生動物との衝突などの事故による遅延等々、年間かなりの遅延や運休が発生していることです。運行の安全性や安定性での課題が浮き彫りになっております。抜本的な防災対策として、米沢トンネル・仮称の整備が必須と考えます。 令和四年二月定例会代表質問田澤伸一議員が福島県境部の新トンネル整備の要望について質問しています。知事の答弁を抜粋して一部申し上げます。 「このことについては、県とJR東日本との累次にわたる協議の結果、昨年三月、同社から時速二百キロ以上のフル規格スピードで走行可能な新ルートが提示され、その具体的検討に向けた共同調査の提案がなされました。これを受けて、県では、九月補正予算に同調査に係る債務負担行為を設定し、令和四年度当初予算案に二千万円の調査費用を計上しました」「JR東日本から、建設に当たっては公的負担が必要との考えが示されております。このため、同社と一緒に政府に対して財政支援の要望を行っていきます」「先月、本県選出国会議員皆様との国交大臣への要望でも、『県とJR東日本との共同調査の結果を見ながら、国交省としてどのような協力ができるか検討していきたい』とのコメントをいただいたところです」。 以上、要約しましたが、知事の答弁でした。 フル規格の山形新幹線と米沢トンネル・仮称は、トンネル新設延長二十三キロ、概算事業費一千五百億円、着工からの工期は約十五年という大事業です。膨大な日時と費用が必要です。公的負担の在り方が課題と思います。県の考え方がより重要になってきます。長い年月を費やしてはなりません。コロナ禍後の経済は、世界的に速過ぎるほど速く進みます。待ったなしです。 そこで質問に入ります。 一つ、米沢トンネル・仮称に関する県とJR東日本との共同調査について今議会に新たな債務負担行為の設定が提案されていますが、現在までの調査の状況と今後の調査の見通しについて、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 二番目、国の協力が確実というわけではありません。山形県の百年大計のために、さらなる発展のための先行投資と捉え、県民への説明と県民の理解の上に県としての公的資金を検討すべきと考えます。「県がそこまで考えるなら」と国も動くし、JR東日本も大きく前進するのではないでしょうか。 私は、山形新幹線の整備充実が山形県の移住・定住促進、人口減少問題、産業の発展、経済活性化等々に直結すると考えます。米沢トンネル・仮称整備における県の負担の考えについて知事にお伺いいたします。 質問の三番目です。人口減少対策について申し上げます。 二〇一四年五月、民間研究機関日本創成会議の増田レポートによりますと、出生率の低い東京圏に二十歳から三十九歳の女性が流入する現状を放置すると日本全体の出生率も下がり人口減少にさらに拍車がかかる。二〇四〇年には全国の市町村の三割が一万人未満となり消滅の可能性が高いと発表されるとともに、消滅可能性都市が名指しされました。 安倍内閣は、同年九月、地方創生に着手したのです。目標は、一つ、出生率を大幅に引き上げて二〇六〇年に一億人程度の人口を維持する、二つ目、年間十万人以上の東京圏への転入超過を二〇二〇年に解消する、この二つでありました。 全国の自治体は、若者の雇用数や移住者数に関する五年後の数値目標を盛り込んだ地方版総合戦略を策定。政府は、自由度の高い交付金で自治体を財政支援したのであります。だが、二〇二〇年の東京圏への転入超過数は約十万人。新型コロナ禍で前年から約五万人縮小したものの、目標達成はなりませんでした。出生率も低迷したままでした。東京への流入は止まっていません。経済の原理の壁は厚かったということでしょうか。 総務省の本年八月九日発表の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によりますと、地方は自然減に人口流出が重なり一段と厳しく、減少率は、秋田県の一・五二%が最も高く、次いで青森県の一・三五%、その次に山形県の一・二五%と続きました。山形県は一万三千三百三十五人減の百五万六千六百八十二人、うち日本人は百四万九千三百四十五人で一万二千九百四十七人減、外国人は七千三百三十七人で三百八十八人の減となりました。 結果として東京への流入の動きは弱まったものの、首都圏を中心とする都市部に人口が集中する傾向は変わっておりません。少子化に歯止めをかけ、人口流出を抑える対策が急務であります。 また、六月に内閣府の実施した調査では、東京圏在住者で地方移住に関心があるとした人は全体で三四%、令和元年十二月時点より約九%増えました。二十代だけで見ますと四五%に上っております。同時点より約一三%上がっております。 住民が減ると学校や公共機関、公共交通などを維持できなくなり、利便性低下で人口流出に拍車がかかる負の連鎖が起きます。政府は、地域活性化策としてデジタル田園都市国家構想を掲げますが、全国知事会は、「地方創生にとってデジタルは一つの手段であって、デジタルにより課題が全て解決するわけではない」と指摘しています。要するに、一つ、二〇五〇年の日本の人口は現在よりも二〇%減って一億人になるということ、二つ目に、働く世代は人口の半分になり高齢者は三七%を超えるということ、三つ目、行政サービスの維持が難しく経済成長にマイナスの影響も出かねない、ということだと思います。 そこで質問に入ります。 一つ、ふるさと山形移住定住推進センターの相談窓口を通した昨年度の移住者は二百六十四人、目標とした二百人を突破しました。移住・交流ポータルサイトアクセス件数は、前年度と比較して約一万七千件増の二十四万六千二百四件となったということです。アクセス件数から見て、山形への関心度は高いと思います。 政府与党は、東京への一極集中を是正しようとデジタル田園都市国家構想を掲げ、高速・大容量の通信規格5Gを全国に整備、二〇二六年度までに二百三十万人のデジタル推進人材を育成することを打ち出しております。また、地方拠点強化税制などによる企業の本社機能の移転・拡充や、地方へ移住して活性化に協力する地域おこし協力隊の増員を図るなどとしています。 こうしたことへの対応も含め、本県への移住・定住の促進に向けた今後の施策、活動方針について、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 二つ目、日本の高齢化率が高くなっていくのは長寿が原因ではないかと言われていますが、少子化が大きな要因であると思われます。少子化は、直感的には結婚したカップルの子供の数が減っているからだと考えられていますが、実際のところ、さほど減ってはおりません。一九七七年二・一九から二〇二一年一・九〇であります。少子化の原因となっているのは、むしろ結婚そのものに関する状況の変化、すなわち未婚化と晩婚化なのではないか、ハードルは結婚の前にあるのではないかということであります。 例えば、二十代後半の女性の場合、一九七〇年の未婚率は二〇%弱、つまり八〇%以上の人が既に結婚していましたが、二〇二〇年は六〇%以上になっています。男性も、三十代前半の一九七〇年の未婚率は一〇%強でありましたが、二〇二〇年には四七・四%になっているのです。結婚ということに関して、この五十年ほどの間に急速な社会的変化が進んだと言えます。 少子化は女性の社会進出が原因だとの見方もありますが、そうではなく、そうした変化に応じた政策的な対応や社会システムの対応をどう行うかにあるのではないでしょうか。出生数の減少は政府に非常事態宣言を発すべしと申し上げたいくらいであります。その前提になるのは、結婚と家族形成の意義啓発だと思うのであります。 私は、結婚と家族形成の意義が家庭や学校で教えられてこなかったことが問われるべきだと思います。婚姻数も出生数の減少も、対策はこれを出発点とすべきと考えますがいかがでしょうか、知事にお伺いいたします。 三つ目、また、部局横断的に人口減少対策を重点に取り組む組織の新設を考えてもいいのではないでしょうか、知事にお伺いいたします。 質問の四つ目、県立博物館の整備と移転について申し上げます。 一九七一年四月に開館した山形県立博物館は、全国で行われた明治百年記念事業の一環で、総工費三億三百五十一万円をかけ、現在、国指定史跡となっている霞城公園内に建設され、昨年で五十周年を迎えました。 博物館が扱うテーマは、歴史や美術、科学など多岐にわたりますが、資料の収集や展示、調査研究を担い、文化活動の拠点となっております。近年は、魅力的な展示やオンラインを含む発信強化、学習の場の提供により、観光や地域振興へも貢献しています。重要性はより高まっていると言えます。 一九五一年に制定された博物館法は、年間開館日数や学芸員の配置などの基準を満たした博物館を登録し、税制面等で支援しています。全国で約五千七百ある博物館のうち、山形県立博物館を含め、登録博物館は約九百しかありません。令和三年度において、文化庁の文化審議会が、一定の基準を満たす博物館や美術館を支援する博物館登録制度について、対象を拡大し、活動内容を考慮した基準を設けるよう求める答申をまとめたことは妥当であると思います。また、答申は、博物館同士のネットワーク形成や地域の関係機関との連携を促しており、この答申に基づき、本年四月に法改正が行われております。 私は、平成十七年二月定例会一般質問で、一つ、建物自体の老朽化、二つ、展示スペースの狭さ、三つ、収納庫不足のため民間の倉庫を借り上げていること、四つ、早急な移転も含めた整備と移転適地等について、当時の知事に質問いたしております。答弁は、山形市が進めている霞城公園整備事業に伴って、昭和五十九年、平成十五年の二度にわたり山形市から移転撤去を要請されていること、県の厳しい財政状況もあり、現在の施設をできるだけ長く使用する方向で山形市と話し合っていくこと、県立博物館の使命を認識し魅力あるものにしていくため教育委員会とともに検討していく、というものでした。 本年三月、県は、山形県文化財保存活用大綱を策定・公表しました。県立博物館については、「本館は築五十年を経過し施設・設備の老朽化が進行している他、立地する国指定史跡『山形城跡』の保存整備のため、将来的に現地から移転の必要があることから、移転整備に向けた検討を進めています。」と明示されました。 長年の累積してきた県立博物館の課題解決に対処するときが来たとのことから、設立間もない山形県議会ミュージアム議連にて、本年七月十九日から二十一日まで和歌山県と和歌山市に先進地視察研修を行ってきたのであります。 和歌山県の概要ですが、時間がありませんので簡単に申し上げます。 和歌山県立近代美術館と県立博物館は同一敷地内に立地しており、敷地面積が二万三千三百五十六・七八平米、約七千七十坪です。設計は二館とも黒川紀章氏によるものです。総事業費は二館で百九十二億六百三十三万一千円。十分な駐車場があり、散策路もある公園になっております。ほかに、県立自然博物館については本年度基本計画の策定、県立紀伊風土記の丘については、本年度基本設計に入り、移転改築・整備を進めていくとのことであり、いずれの館も指定管理者の計画はなく、直営で管理運営を行っていくそうであります。施設の維持費は、県立紀伊風土記の丘一館だけで、予算ベースで六千万円でした。 そこで質問に入ります。 一つ、改正博物館法では、博物館の事業として資料のデジタル・アーカイブ化が明記されました。都市部の大規模館に比べ、地方の博物館、美術館のデジタル化はハードルが高いと見られています。デジタル化の現状と今後について観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。 二つ目、県立博物館の移転整備についての有識者懇談会を設置し、第一回の会合が開かれました。その内容について、また今後の進め方について観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。 県立博物館は、山形県の歴史・文化の要であります。和歌山県までとはいかなくとも、将来を見通した充実したものとするため、しっかりした予算づけの下に進めてほしい。立地場所は、いろいろな角度から鑑み、最上川ふるさと総合公園内を推挙したいと思います。 質問の五つ目、西村山地域における新たな医療提供体制の方向性について申し上げます。 本年三月、県は、山形県立河北病院経営健全化計画を策定・公表しました。 経営内容についてですが、「平成十六年度から令和二年度まで十七期連続赤字であり、特に平成二十四年度以降は経常赤字が毎年五億円を超える水準となるなど、年々厳しさを増している」「経営悪化は、地域の人口減少と少子高齢化の進展、常勤医師の減少、地域の開業医の増加及び患者の大病院志向により、入院患者数及び外来患者数の減少が続いていることが主な要因となっている」「河北病院は、地域の基幹病院として、民間の医療機関では対応が困難な医療の提供が求められる一方、公立病院として健全な経営を維持することが求められている」「河北病院が引き続き、地域の基幹病院として良質で安定した医療を提供していくためには、医療環境等の変化に柔軟に対応しながら経営の効率化を図り、持続可能な病院経営を行う必要がある」と記されております。 これを受けてか、五月二十日、河北町長と町議会議長から知事宛てに、県立河北病院を中心とする地域医療体制の確立についての要望書が提出されました。河北病院の存続を前提に、再編統合ありきではなく、地域住民の意見に耳を傾け、十分な協議と丁重な議論により進められますよう要望しますと冒頭に記されてあります。 二〇一九年九月、厚生労働省は、診療実績などが乏しいなどとして、再編統合の議論が必要な全国四百二十四の病院名を突然公表しました。県内では、県立河北、天童市民、朝日町立、寒河江市立、町立真室川、公立高畠、酒田市立八幡の七病院が名指しされました。しかし、既に酒田市立八幡病院は県・酒田市病院機構に移管・統合され診療所となり、天童市民病院は、単独で急性期病床から回復期病床への転換に着手していました。 名指しされた病院の再編統合の結論は、公表から一年後の二〇二〇年九月が期限でした。しかし、公表から半年もたたずに新型コロナウイルスの感染が拡大し、議論は休止のままとなったのです。そして、二〇二二年三月、厚生労働省は議論を再開するよう通知し、同時に、公立病院に関し、総務省は、不採算病院などの統廃合を求める従来の見解から、連携を重視する方針を打ち出したのです。ですが、経営改善や地域内での役割分担、連携強化に取り組まなければならないことに変わりはありません。 なお、西村山地域の自治体からの県に対する要望の状況を見ますと、寒河江市からは、県立河北と寒河江市立との統合を軸に、周辺の他町も交えた形での検討を県が主導して進められるよう求められております。 七月二十八日、厚生環境常任委員会で公立置賜総合病院を視察いたしました。二〇一七年四月から置賜広域病院企業団として新たなスタートを切ったことに注目してきました。 そこで質問に入ります。 一つ、そうした中で、八月二十九日に提出された西村山地方開発重要事業要望書の寒河江西村山地域における基幹病院として地域連携の拠点となる県立河北病院の医療機能の確保と医療サービスの提供についての対応について、病院事業管理者にお伺いします。 二つ目、西村山一市四町の新たな医療提供体制の在り方を話し合う西村山地域医療提供体制検討会の初会合が八月二十四日開かれました。県と山形大学医学部の村上教授から現状の報告がなされました。そして、今後の西村山地域における医療提供体制を検討するためのたたき台として三案が示され、五首長が一通りの意見を、それぞれ見解を述べられましたが、議論はこれからだと感じました。 初回会合の所感と今後の進め方を副知事にお伺いいたします。 また、例えば、寒河江温泉を利用した寒河江市立病院のリハビリ病院化など、今後新たな案の提示などの考えはないのか、併せてお伺いいたします。 六番目、最後の質問になります。山形県版被災者生活再建支援制度の創設について申し上げます。 八月三日からの豪雨は、県内では初となる大雨特別警報が発表されるなど、大きな被害を引き起こし、その被害総額は約四百七十四億円に上っています。自民党県連は、豪雨災害対策本部をその日のうちに設置し、国への要望活動や被災地への現地調査等を重ね対応してきました。 住家の建物被害は、全壊、半壊、床上浸水などを合わせ、全県で七百四十三戸に上りました。こうした災害被災者の生活再建を支援するため、国は被災者生活再建支援制度を創設しています。しかしながら、この制度の対象は、全壊、大規模半壊、中規模半壊に限られ、加えて、対象になるのは、全壊十世帯以上の被害が発生した市町村、百世帯以上の都道府県など、適用範囲が限定されているのです。山形県では、これまでこの制度が適用された市町村は、平成二十六年の南陽市のみであります。 このたびの豪雨被害で飯豊町と川西町が適用されることになりました。飯豊町における住家被害は、全壊が二世帯、半壊が四十七世帯、川西町では半壊が四世帯となっています。今回の豪雨では、小国町や長井市なども被災していますが、要件が満たされず適用されていないのです。 一方、県には災害見舞金の制度があり、全壊、半壊、床上浸水などに対して見舞金を支給し、国の制度が及ばない被災者に対応しています。しかし、この見舞金制度も、自民党会派からの「執行基準が明確でない」などの指摘を受け、令和二年度に要綱を制定した経緯があります。 自民党会派は、国の制度を補完する山形県独自の支援制度の必要性を数年前から促してきました。通称下出し制度です。予算特別委員会や総務常任委員会などで提言してきましたが、いまだに創設されておりません。下出し制度は市町村との連携が重要であること、県の負担は交付税で措置されていることなども議会で議論してきたのです。内容に若干の違いがあるものの、今では全国で二十七都府県が実施しているのです。 先週十六日、定例会開会に際しての説明の中で、知事は、市町村と連携した独自の支援制度も視野に入れ検討していくと言及されました。併せて必要な予算を今会期中に提案したいとも説明されております。 かつて、山形県は災害が少ない県と言われてきました。しかし、近年、全国的に災害が頻発化・激甚化してきております。山形県も例外ではありません。 下出し制度の創設は喫緊の課題であります。一刻も早く制度を創設し、今回被災された方々の支援を進めていくべきと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。 以上、壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) おはようございます。小野議員から私に五問質問を頂戴しましたので順次お答えいたします。 まず一問目ですけれども、県と市町村との協議の場についてでございます。 県と市町村との連携の強化に当たりましては、トップ同士を含め、あらゆるレベルの職員の意思疎通を充実させることが大切であります。その基本的な考えに基づき、県と市町村のトップレベルの協議・意見交換の場の充実強化を図るべく、昨年度一年をかけて関係団体と調整してまいりました。 まず、五月十一日に開催した県及び市町村長・議長会議につきましては、従来行ってきた市町村長、市町村議会議長との協議・意見交換の場を統合拡充し、私を含めた県の幹部職員と市町村のトップが一堂に会し、県の施策の説明や地域課題についての意見交換を行う場として、年二回開催していくこととしたものであります。 また、八月一日に初めて開催された私と山形県市長会との意見交換会は、十三市の市長の皆様との意見交換の場の拡充を図るため、今年度から新たに年一回開催していくこととしたものであります。 意見交換会のテーマの一つとなった県と市の施策の連携の在り方につきましては、私から、令和四年度当初予算編成において、市町村との連携を前提とした新規事業については市町村の予算編成日程等に配慮し事前の情報提供や意見聴取等を丁寧かつ確実に行うよう改めて各部局に指示したこと、その結果、一例として、プレミアム商品券の発行などを支援する地域消費喚起推進事業については市町村の創意工夫が生かせるような形となったとの評価をいただいていることなどを紹介し、今後も市町村との意思疎通を図りながら丁寧に対応するよう努めていくことを確認させていただきました。これに対し、市長会会長である山形市長からは、我々の趣旨を酌み取っていただきありがたいとの言葉をいただいたところであります。 さらに今後も、十月下旬の山形県町村会との意見交換会、十一月上旬の二回目の県及び市町村長・議長会議をはじめ、市町村の皆様との意見交換の機会が予定されております。 こうした県と市町村との協議・意見交換の場の持ち方につきましては、県・市町村・関係団体で調整し、一定のルール化が図られたものであり、今年度初めて意見交換会を開催した市長会をはじめ各団体から「有意義な場となっている」旨の評価をいただいているところでありますので、条例の制定などは行わず、関係機関の間で合意した現在のルールに沿って進めていくものと考えております。 また、こうしたトップ同士の意見交換の場に加え、事務レベルでの意思疎通を充実させることも重要でありますので、総合支庁等も含めた全ての部署、あらゆるレベルにおいて、市町村との調整やコミュニケーションを丁寧かつ確実に行いながら、予算編成や円滑な事業展開を図ってまいりたいと考えております。 今後も引き続き、県と市町村がそれぞれの役割を的確に果たしながら、一丸となって多様化・複雑化する課題に取り組み、さらなる県勢の発展、そして県民の皆様の幸せの実現を目指してまいります。 二問目は、米沢トンネル・仮称整備における県負担についてでございます。 米沢トンネル・仮称は、山形新幹線の喫緊の課題である福島-米沢間の輸送障害を抜本的に解決するとともに、本県と首都圏との心理的距離も縮まり、人や物の往来が活発化することで本県の地域や経済の発展にも直結する、まさに山形県の未来を開く希望のトンネルであると私は申し上げてきたところです。 一方で、トンネルの整備費は概算で約一千五百億円と巨額であるため、JR東日本からは、整備に当たっては地元負担も含めた公的な支援を要するとの考えが示されております。 県の厳しい財政状況に鑑みれば、整備費の一部の負担であるとしても非常に大きな額であり、これまでも県は、政府に対して再三にわたる財政支援の要望を行ってまいりました。とりわけ、今回の豪雨のように、災害の激甚化に伴って河川、道路等のインフラ整備の必要性が上昇している中にあっては、県がトンネル整備に対して多額の財政負担をすることは一層厳しくなっております。 こうしたことを踏まえ、これまで県では、トンネル整備に係る受益効果を高めることにより公的負担を極力減らしながら、トンネル整備を早期に実現するために、たゆまぬ努力を続けてまいりました。 このための鍵となるのが沿線活性化であり、昨年度は、山形駅直結のコワーキングスペースの整備や、多種多様な貨物を山形新幹線や在来線を活用して輸送する取組を行い、沿線におけるビジネスの活性化や鉄道輸送における付加価値向上を図ってまいりました。 今年度は、山形駅西口でのムエタイイベントや物産市など、駅前を活性化する取組やイベントも企画・実行されており、駅を中心とした人の動きが生まれてきております。ちなみに、今月二十三、二十四の両日には「日本一美酒県 山形」フェアが駅西口で開催される予定です。 今後もこうした取組を行い、駅を拠点とした地域の活性化を図ることが重要であり、官民連携で取組を進めるとともに、バスなどの二次交通とも連携しながら、県内津々浦々にトンネル整備の効果を行き渡らせていきたいと考えております。 このたびの豪雨災害もあり延期せざるを得ませんでしたが、先月には、JR東日本との間で、山形県内の鉄道沿線活性化を図るための包括連携協定の締結を予定しておりました。今後改めて協定を締結し、JR東日本とのさらなる連携を図ることで、新幹線の沿線のみならず、県内全域にわたる沿線活性化の取組を加速してまいります。 また、九月補正予算案で債務負担行為を設定した追加共同調査によって想定ルートが固まれば、具体的な整備内容や時期などを示しながら、政府に対する要望が可能となります。災害により延期しているトンネル整備の推進に向けたJR東日本との覚書の締結なども進め、同社との連携を強めながら、引き続き政府へ働きかけてまいりたいと考えております。 米沢トンネル・仮称プロジェクトは、以上のように着実に前進し、いよいよ現実味を帯びてきた次なる段階へとステップアップしたものと実感しているところであります。県内外の全ての関係者が一丸となり、トンネルの早期実現に向けて取組を加速させてまいりたいと考えておりますので、議員各位のなお一層の御協力をお願い申し上げます。 三点目は、結婚と家族形成の意義の啓発についての御質問です。 私は、子供はいつの時代においても社会の宝であり、未来への希望であるとの理念の下、少子化対策を県政運営の最重要課題の一つと位置づけ、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援策を実施してまいりました。しかしながら、若い世代の県外流出、未婚化・晩婚化の進行などにより少子化に歯止めがかからず、さらには新型コロナの影響がその状況を深刻化させており、これまで以上に危機感を持って取組を進めているところです。 先日発表された国立社会保障・人口問題研究所いわゆる社人研の二〇二一年出生動向基本調査では、「いずれ結婚するつもり」と回答した未婚者の割合が過去最低となったほか、結婚意欲のある女性が希望する子供の数が初めて二人を割ったと報告されており、若い世代の結婚や出産への意欲の低下が少子化を加速させる要因となっております。 若者が、結婚し家庭を築き子供を持つことを自分のこととして捉え、前向きにイメージできる社会をつくるには、個人の考えを尊重しながら、若い頃から自分の将来を考える機会を提供し、結婚観・家庭観を醸成することが非常に大切であります。 そのため、県では、山形県子育て基本条例において毎月第三日曜日を「家庭の日」と定め、家族の語らいや親子の触れ合いを通して、家族や家庭のすばらしさ、家族の絆の大切さを家庭や地域で見詰め直す運動を推進しております。また、乳幼児への愛着を育み、将来自分が親になることを考える機会を提供する高校生と乳幼児等とのふれあい体験事業を実施してまいりました。 さらに、高校生、大学生等を対象に自分の将来像を考えるライフデザインセミナーを平成二十五年度から実施し、これまで延べ九十四校、約一万四千人の参加があったところです。セミナーでは、進学や就職、結婚、出産について具体的に考えながら人生設計することの重要性や、妊娠・出産についての正しい知識や命の大切さ、男女が協力し合う必要性などについて考える機会を提供してきました。加えて、結婚、出産後も働き続ける女性が増える中で、男性が家事・育児に参画する意識の醸成なども盛り込み、社会情勢に応じた内容の充実を図っております。 また、この取組を県全体に展開させるため、令和二年度から、高校の家庭科の教員を対象にセミナーの実施ノウハウを伝える講座を開催し、授業での活用を促しており、引き続き教育委員会とも連携し、講師となる人材の育成も図りながら取組を進めたいと考えております。 少子化対策は、社会情勢の変化を捉えながら、総合的な取組を継続的に実施していくことが重要であります。今後も、結婚観・家庭観の醸成、出会い・結婚支援策を粘り強く推進し、若い世代が結婚や出産への希望を持ち、かなえることができる社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 四問目は、部局横断的な組織の新設についてという御質問であります。 持続的に発展する社会を実現する上で、人口減少対策は、今や、本県のみならず日本全体の最重要課題であります。 本県においては、さきにお示しした令和五年度県政運営の基本的考え方の案の中で、人材の育成や確保、産業の生産性向上と高付加価値化、幸せを実感できる暮らしやすい社会づくり、やまがた強靱化の四つを柱としながら、誰一人取り残さない持続可能でしなやかな県づくりを推進してまいりたいと考えております。 人口減少対策について具体的に申し上げますと、みらい企画創造部において、市町村の移住・定住に関する取組を支援する「ヤマガタ移住・定住大学」を今年度から開催しております。この中では、これまで「くらすべ山形」を中心に行ってきた移住・定住施策に加え、人口減少対策に関する研究者などを招聘し、地域の人口減少に歯止めをかけるための体系的な知見を市町村とも共有することで、本県における人口減少対策の一層の深化を進めているところであります。 また、産業労働部においても、スタートアップ支援を強化することにより、県内各地域に魅力的な仕事の場を創出することで、若者や女性など幅広い人材の定着につなげるなど、経済的な基盤づくりにも努めております。 このほかにも、しあわせ子育て応援部における保育料無償化に向けた段階的な負担軽減の取組や、山形の未来を担う子供たちに幼少期から山形らしさを体験してもらう山形わくわく体験モデル事業の実施、あわせて教育庁による児童生徒の郷土への理解を深め愛着を育む学びの推進、さらには、健康福祉部による健康長寿日本一の実現に向けた健康づくりの推進や県民が安心して暮らせる医療提供体制の整備、県土整備部による移住・定住の促進に向けた住宅リフォームの支援など、まさに県の総力を挙げて取組を進めているところです。 人口減少は、社会的要因や経済的要因などの様々な問題に起因しており、一朝一夕に解決できるものではありませんが、引き続き、私のトップマネジメントの下、山形県の頭脳とも称されるみらい企画創造部が中心となって、部局の垣根を越えた推進体制である「子育てするなら山形県」推進本部や山形県SDGs推進本部を通した部局横断的な議論を効果的な施策展開につなげながら、市町村・県民・各界各層の総合力をもって人口減少対策に取り組んでまいります。 五問目は、山形県版被災者生活再建支援制度の創設についての御質問であります。 被災者生活再建支援法に基づく支援制度は、自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた被災者に対し、支援金を支給することにより、その生活再建を支援する制度であります。全国的には、東日本大震災や熊本地震、令和元年東日本台風などで適用されており、本県でも、平成二十六年に台風第八号と梅雨前線の影響で発生した豪雨災害の際に南陽市に適用されており、被災者の生活再建に大きな役割を果たしたところです。 一方で、現行の制度は、被災市町村や都道府県が単独では対応できないような著しい被害が発生した場合を想定しているため、全壊十世帯以上の被害が発生した市町村など適用条件が厳しいことや、中規模半壊以上の被害を対象としていることから半壊などの被災者の生活再建に結びつかないこと、また、同じ災害で複数市町村にまたがって被害が生じた際には適用される市町村と適用されない市町村とが発生し被災者の生活再建への支援に差が生じる場合があること等の課題があると考えております。 このため、県では、政府に対し、政府の施策等に対する提案において、支給対象の拡大や、同一災害で被災した全ての被災区域を支援の対象とするよう提案してきているところであり、全国知事会においても同様の提案を行ってきております。また、先般の八月三日からの大雨災害における緊急要望においても、適用基準の緩和などを要望したところであります。 加えて、県独自の災害見舞金について、令和二年度からは、支給対象を全壊及び半壊の世帯から、水害による一部破損や床上浸水の被害を受けた世帯にも拡大し、さらに金額も増額して、被災された方々の生活再建の一助となるよう取り組んできております。 他方、私は、自然災害が頻発化・激甚化している状況を踏まえ、政府の制度を補完する独自の被災者生活再建支援策の早急な立ち上げが必要であるとの強い思いを持ち、独自の支援の在り方について検討するよう担当部局に指示をし、進めてきたところであります。 具体的には、他の都道府県における支援策の事例研究や聞き取りを行ってきたほか、より充実した支援策を実施するためには、被災者の状況を的確に把握している市町村との連携が何よりも重要であることから、令和二年七月豪雨の被災市町村と検討会を開催したり、防災くらし安心部で全ての市町村を訪問して意見交換を行うなど、支援策の必要性や意義などについて丁寧に議論を重ねてきたところであります。 こうした経過を踏まえ、現在、市町村との間で支援策の詳細や必要な予算額、県独自の災害見舞金制度との整合等の詰めを急いでいるところであります。 将来的な制度創設に向けましては、既存事業の連携も考えられますので、市町村と十分に協議・調整を重ね検討してまいりますが、まずはこのたびの災害において被災者生活再建支援法の適用により県内で被災された方々に不均衡が生じないよう、必要な予算を今会期中に提案し、被災者の生活再建にしっかりと対応してまいりたいと考えているところであります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 平山副知事。 ◎副知事(平山雅之君) 私から西村山地域医療提供体制検討会の今後の進め方等についてお答え申し上げます。 本県では、平成二十八年九月に策定した山形県地域医療構想を踏まえまして、地域の医療関係者等で構成する地域医療構想調整会議を二次医療圏ごとに県内四地域へ設置し、将来の地域医療提供体制の在り方について、地域の自発的な議論を喚起しながら検討を進めてまいりましたが、新型コロナの影響により、実質的な議論が一時中断されておりました。 近年、人口減少、少子高齢化の進展などにより、必要とされる医療ニーズが大きくさま変わりしていることに加えまして、地域によっては、医師をはじめとする医療人材の確保も依然として困難な状況にあります。こうした中、将来にわたり地域住民の命と健康を守るため、持続可能な地域医療提供体制の構築は最重要課題の一つであり、地域の実情に応じ速やかに検討を進めていく必要があると認識しております。 特に西村山地域については、県立河北病院も含め、各自治体病院の施設・設備の老朽化などの課題もあることから、早急に議論を進めていく必要があるものと考えております。このため、既存の地域医療構想調整会議に加えまして、各首長や有識者をメンバーとする西村山地域医療提供体制検討会を設置し、去る八月二十四日に第一回の検討会を開催いたしました。 この検討会におきまして、西村山地域の医療の現状、課題等について客観的なデータに基づく分析の結果を示すとともに、今後の検討のたたき台として、新たな医療提供体制の方向性について複数案を提示しております。出席者からは、首長による検討の場が初めて設けられたこと、客観的データに基づく認識の共有が図られたこと、また、たたき台として新たな医療提供体制の方向性の案が示されたことなどに対して一定の評価をいただいたところです。 一方、医療を提供する側の視点のみならず、介護関係者、現に医療を受けている住民の視点からさらに多角的に検討していく必要があるといった様々な意見をいただいたほか、医療提供体制に係る各自治体の実情や考え方も首長より直接お聞きすることができました。今回、西村山地域の医療提供体制の現状と課題に各首長と共に向き合いながら、将来に向けた具体的な検討の一歩を踏み出せたことは、大変大きな意義があるものと認識しております。 今後、年度内に二回の検討会の開催を予定しておりますが、地域の医療提供体制の中核となる病院等の在り方を見直すことは、地域住民の生活に直結する非常に重い判断を伴うものであることから、検討会での御意見も踏まえ、関係者が連携して、丁寧に検討を進めていくことが重要であると考えております。 県としましては、引き続き、西村山地域において将来にわたり持続可能な医療提供体制の実現に向け、関係者との議論を深めながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 大澤病院事業管理者。 ◎病院事業管理者(大澤賢史君) 県立河北病院の医療機能の確保と医療サービスの提供についてお答え申し上げます。 河北病院は、救急医療、急性期医療、地域包括ケア、緩和ケアなど多様な医療機能を有する特徴を生かし、地域連携の拠点となる地域密着型病院として経営の健全化に取り組むこととしております。 令和五年度の西村山地方開発重要事業要望では、地域に密着した在宅医療や在宅介護との連携、外来診療及び救急医療の維持・強化など、地域の医療ニーズに対応する医療機能の確保や医療サービスの提供の御要望をいただきました。 現在の取組の一例となりますが、今年四月には、幅広い領域の疾患等を総合的に診ることのできる、すなわち適切な初期対応と切れ目のない医療を提供する総合診療医を新たに採用し、医療提供体制の充実を図るとともに、近隣の開業医や高齢者施設などを訪問し、軽症急性期患者の受入れを推進するなど、地域の関係機関との連携を積極的に進めているところであります。 病院事業局としましては、まずは経営健全化計画を着実に実行することにより、地域医療機関等との連携強化や医療提供体制の充実を図り、運営基盤の強化に取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 岡本みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(岡本泰輔君) まず、米沢トンネル・仮称整備に向けた現在の状況と今後の見通しについてお答え申し上げます。 山形新幹線米沢トンネル・仮称につきましては、平成二十九年十一月にJR東日本から事業費などの調査結果が示され、県と同社との間で早期事業化に向けて協議を進めてまいりました。 令和三年三月には、同社から事業化に向けた具体的なルート、とりわけ時速二百キロ以上の高速走行が可能なルートの検討に向けて、より詳細な調査を県と共同で実施したい旨の提案を受け、最初の共同調査となる地権者調査等について令和四年度当初予算で予算化したところであり、今年度中に終了する予定となっております。 この調査の実施と並行して、その後の調査についても協議をしておりましたが、このたび同社から、後続の調査となるボーリング調査などにつきまして共同で実施したい旨の提案があったところです。同調査は、今後のルート決定に欠かせないものであることから、この提案を受け入れ、調査費用の一部を負担するため、このたびの九月補正予算案において、令和六年度まで約二・八億円の債務負担行為の設定を盛り込んでおります。 今後は、同調査と並行して、政府の予算措置も含めた事業スキームの検討などを着実に進めてまいります。 次に、移住・定住施策についてお答えを申し上げます。 県では、令和二年四月に設立したふるさと山形移住定住推進センターを中心に、オール山形で移住・定住施策を展開しておりますが、人口減少が進む中、さらなる取組が必要と考えております。 また、近年、新型コロナを契機に地方移住の関心が高まるとともに、テレワークが普及するなど、意識や働く環境が変化しております。 そのため、本県においては、テレワーク移住や体験に対する支援に取り組むほか、首都圏以外からの移住者を呼び込むため、大阪・名古屋事務所の相談体制を整備するとともに、山形の魅力を知るセミナーや体験ツアーを実施し、新たな移住者層の掘り起こしを行ってまいります。 政府では、デジタル田園都市国家構想において、デジタル技術の活用により都会から地方への流れを生み出し、魅力的な地域をつくることなどにより社会課題の解決を図ることとしております。県においても、令和五年度県政運営の基本的考え方・案において、「オンラインとリアルを組み合わせて国内外の活力を呼び込み、ウィズコロナ・ポストコロナの県づくりを推進していく」こととしており、移住・定住施策においても、デジタル技術を活用した山形体験などにも取り組んでまいりたいと考えております。 県としましては、状況の変化に対応した取組に加え、子育て世代をはじめ幅広い層をターゲットとした移住・定住施策を展開し、一人でも多くの移住・定住につなげてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 布川しあわせ子育て応援部長。 ◎しあわせ子育て応援部長(布川理枝子君) 保育料無償化に向けた段階的負担軽減事業の現状と今後について御説明申し上げます。 本事業につきましては、常任委員会の附帯意見を踏まえ、市町村長をはじめ多くの方々から御意見をお伺いし、県下一斉に令和三年九月から事業を開始しております。 事業の概要としましては、ゼロ歳から二歳児の第三・第四階層の国基準利用料の二分の一を交付金として支出し、その使途は、市町村の実情に応じ、保育料軽減の目的の中で柔軟な運用ができることとしております。 市町村の御意見を踏まえて制度設計を丁寧に進めた結果、市町村においても本事業と連携して軽減策を講じていただき、第三・第四階層の保育料は実質的な負担がないか、または大幅な軽減が図られております。 今後につきましては、現在の取組を令和六年度まで継続するロードマップを市町村にお示ししております。また、保育料無償化は、本来、国の制度として実施すべきものであることから、引き続き政府に強く提案していくとともに、こども家庭庁の設置など政府の動きを注視しつつ、市町村や県民の皆様の御意見を丁寧にお聞きして進めてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小野幸作議員に申し上げます。議会運営委員会の申合せ時間が超過いたしておりますので、答弁の終わらない事項については文書をもって答弁いたさせますので、御了承願います。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時三十五分再開いたします。     午前十一時二十四分 休憩     午前十一時三十五分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二十五番吉村和武議員。 ◆25番(吉村和武議員) 県政クラブの吉村でございます。 質問に先立ちまして、先月八月十八日、元県議会議員であらせられました太田忠藏元県議が御逝去されました。満九十一歳でございました。昭和六十二年、県議会議員に初当選され、以降通算四期、県議会議員として職務を全うされました。ちょうど私の父と同じ昭和六年生まれということもありまして、現職時、そして、県議会議員を引退されてからも公私にわたりまして御指導御鞭撻をいただいてまいりました。文教公安常任委員長や厚生常任委員長を歴任され、本当に県勢発展に御貢献があったと思います。心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。 それでは質問に入らせていただきます。質問項目が多岐にわたりますので、早速入ります。 今回の九月補正予算額は、記録が残っている昭和四十四年以降最大規模と聞いております。 現在、県民生活は、長引くコロナ感染症による影響、ウクライナ危機や円安等による原油価格・物価高騰の影響、線状降水帯等による豪雨災害の影響と、三つの大きな要因によって非常に厳しい状況であります。そんな中、今回の九月補正予算となりました。三つの大きな課題に対応しながら、未来に向けた施策も入り、内容の濃い補正予算であると拝察いたします。 県民の期待は高く、しっかりとした審議の後、迅速な執行が求められると思っておりますが、まず、吉村知事がどんな思いやお考えで予算編成をされたのか、冒頭に知事の御所感をお伺いいたします。 災害復旧に向けた対応についてお伺いいたします。 八月三日からの大雨は、線状降水帯などにより一時間当たり雨量が百ミリ以上を記録するなど、過去に例を見ない甚大な被害を与えました。鉄道、道路、水路等のインフラ、農地、農業関連施設、一般住宅や商業・公共施設など、特に置賜は線状降水帯の直撃により大変な状況でありました。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。 そして、残念ながら行方不明者という人的な被害も発生し、今もまだ発見に至っておりません。これまで長井警察署をはじめ懸命に捜索をいただいた皆様に敬意を表しますとともに、一刻も早い発見をお祈り申し上げます。 今定例会に上程された予算案は総額約四百八億円であり、九月補正としては過去最大になりました。うち災害関係予算が約二百七十一億円で約六六%を占めており、まさに、迅速に可決され執行されることにより復旧や復興がしっかりとなされることが県民の期待するところであると存じます。 まず、農業被害に関してお聞きいたします。 今回の大雨による農林水産被害については、九月十六日時点の数字で、農作物等の被害が約十六億円、農地・農業用施設の被害が約七十五億円、森林関係の被害が約十五億円、合計で約百九億円に及び、甚大な被害が発生いたしました。 そうした中、県においては、発災後速やかに農地や農業用施設などの被害状況を把握するため職員を市町村に派遣していただくとともに、八月十八日には、小規模農地等災害緊急復旧対策や農作物等災害対策から成る大雨被害に対する緊急対策を発動していただきました。迅速な対応に感謝申し上げます。 我々県政クラブといたしましても、九月六日に上京、野村農林水産大臣と意見交換をし、三年前と一昨年の水害時に国が行ったパッケージ事業を今回も検討していただきたい、などから成る災害復旧等に関する緊急要望を行ったところであります。 さて、そのような中で心配されることは、近年、米価の下落や農業資材の高騰が続いている中にあって、今回の未曽有の豪雨で農地が甚大な被害を受けたことにより、農家の営農への意欲が続くのかということであります。 生産費の高騰により、近年にない厳しい環境に農業は置かれております。こうした環境の中、被害を受けた農地の復旧に向け、政府の支援はもとより、県が丁寧に農家を支える施策を行うことが必要不可欠で、そのことが、今回の災害を乗り越え、営農意欲を継続させることになるのだと考えます。 農地の災害復旧に向けた県の対応について農林水産部長にお伺いいたします。 続いて、公共土木施設の復旧に向けた取組についてお伺いいたします。 先ほども申し上げましたが、県内では初となる大雨特別警報が七市町に発表され、記録的短時間大雨情報も三市町で発表されるなど、置賜地域を中心に、これまで経験したことのない豪雨に見舞われました。県民のライフラインである道路、河川等に加え、上下水道や鉄道などにも被害が発生し、県民生活に甚大な影響を及ぼしました。 とりわけ、県民生活の安全安心に直結する公共土木施設については、道路や河川において甚大な被害が発生いたしました。道路では、大巻橋の橋梁流出のほか、道路流出やのり面崩壊などの被害が発生し、河川では、小白川や萩生川など多数の河川において護岸の損壊などの被害が発生しており、被害額は約三百五十六億円と聞いております。 県では、国や市町村等と連携し、被害状況の把握や応急対策、さらには本格的な復旧に向けての査定等全力を挙げて取り組んでいただいておりますが、膨大な箇所の対応があり、災害時から厳しい仕事環境が続いていると拝察いたしますが、復旧復興まで道は続きますので、よろしくお願いを申し上げます。 県政クラブとしても、飯豊町や国道百二十一号、米坂線等の現地調査に赴き、国土交通省に対し、米坂線の復旧と存続、バックアップ機能を有する県道の改良についての補助、国道百二十一号の迅速な復旧と高規格化等を要望してまいりました。 災害状況ですが、インフラの欠損・破損により県民生活や経済活動に多大な影響が及んでおり、また、台風シーズンを迎え、いつ再度災害が発生してもおかしくない状況です。県当局におかれましても、状況を把握し、県民生活の安全安心を支える公共土木施設について、早急かつ災害の再来にも備えた対応が必要と考えます。 ついては、今回の豪雨災害による公共土木施設の復旧に向けた県の対応について県土整備部長にお伺いいたします。 続いて、橋梁の強靱化対策に関してお聞きします。 橋梁とは、川などを渡り地域と地域を結び、社会経済活動を支える重要な社会インフラの一つであります。また、平時における社会経済活動に加え、災害発生時には物資の輸送などにおいて特に重要な役割を果たします。 これら社会的に重要な役割を担う橋梁の多くは、高度経済成長期に次々と建設され、近年、それらが老朽化を迎えていると聞いております。国土強靱化の観点から、これら老朽化を迎える橋梁をどのように維持管理していくのか、大きな課題であると考えています。 国土交通省では、この橋梁の課題も含め、国土強靱化に対して、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を進めており、河川、橋梁、トンネルなどを対象に、重点的、集中的に対策に取り組んできていると聞いております。 国土強靱化対策の中で、県として橋梁の老朽化対策という課題に対しどのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 消費税のインボイス制度が令和五年十月に始まります。消費税の仕入れ控除を受けるために必要なインボイス、適格請求書と申します--は、税務署に登録した課税事業者しか発行できないことから、これまで年間売上げが一千万円に満たないことから免税事業者になっていた事業者についても、買手側から課税事業者としての登録を求められる可能性があり、登録すれば免税事業者ではなくなるので、消費税の申告が必要となります。 課税事業者に製品等を納入している県内事業者のうち、売上規模が小さい事業者は、消費税法上免税事業者となっていますが、インボイス制度導入後は、免税事業者にとどまって課税事業者となることを求める買手事業者との取引を失うか、取引を継続するため課税事業者となって免税事業者としての立場を失うかの二者択一を求められます。 また、逆に、買手側の事業者においても課題が発生する可能性があります。例えば、全国各地で高齢者の活躍の場を提供するシルバー人材センターでは、個々の会員と請負契約等を締結しており、個々の会員は、通常、配分額が少額であることから、消費税法上免税事業者となっておりました。インボイス制度導入後は、会員それぞれが課税事業者の登録を行わないと、シルバー人材センター本体で仕入れ控除ができなくなります。一定期間、経過措置により負担の軽減が図られますが、このように、取引相手が課税事業者としての登録を行わないため消費税の仕入れ控除ができず、事業活動に支障が出るケースも考えられます。 現在、県内には二十五センターがあり、令和三年度は、九千五十名の会員のうち七千百八十五名が請負で就業されております。これまで高齢者雇用の大きな受皿としてシルバー人材センターは役割を果たしてこられました。今後、インボイス制度導入により、相当な負担増となり、存続すら危ぶまれる声さえもお聞きします。 インボイス制度については、軽減税率の導入による正確な税額の確認と益税抑制という背景は理解しておりますが、中小企業や免税事業者への影響や課題が大きいため、しっかりと制度の周知が図られるとともに、導入時に事業者に混乱が起きないよう対応が必要と考えます。 県内における事業者へのインボイス制度導入に関する取組状況はどうなっているのか、また、県としては今後どのような支援を考えているのか、産業労働部長にお尋ねいたします。 屋内スケート場整備の考え方についてお伺いいたします。 本年九月五日、県は、スピードスケートの加藤条治選手に八人目となる県民栄誉賞を贈呈されました。加藤選手は、二〇一〇年のバンクーバーオリンピックで銅メダルを獲得し、冬季五輪では四大会連続で六位以内の入賞を果たされており、また、ワールドカップでは十四回の優勝を飾るなど、これまで本県県民に大きな感動と勇気を与えてくださいました。改めて受賞を心からお祝い申し上げます。 加藤選手は、山形市生まれの山形市育ちで、山形中央高校時代はスピードスケート男子五百メートルでインターハイ三連覇を達成し、その名を全国にとどろかせました。そのルーツをさらに探ると、御兄弟の影響でスケートを始め、幼少の頃より現在のヒルズサンピア山形にあった屋内スケート場のショートトラックで、世界一と称されたコーナーワーク技術の基礎を磨かれたとのことです。 まさに加藤選手の原点とも言える屋内スケート施設でありますが、老朽化などにより平成二十九年に閉館して五年が経過いたしました。これは、県内に国際規格である六十メートル掛ける三十メートルの屋内スケートリンクがなくなって五年になることを意味します。 加藤選手をはじめ、本県出身やゆかりのあるスケート選手の活躍によって、本県の子供たちのスケートに対する興味関心は高い一方で、現在、本県には国際規格の屋内スケート施設がないことから、子供たちをはじめ県民がスケートを楽しむ機会に影響し、そうしたことが本県におけるスケートの普及や競技力の向上といった課題につながるものと認識しております。スポーツに親しむ環境は、県民の日常生活をより豊かなものとし、特に子供たちが夢や希望を育む上において必要な環境であると言えます。 本県のみならず地方にとって、人口減少、特に、若者や女性の流出は最大かつ喫緊の課題であります。吉村知事は、常日頃、魅力ある就職先、安定した賃金、若者が楽しいと思える環境の三つが必要とおっしゃっておりますが、まさに同感であります。確かに若者からは「山形には何もないから」の声がいまだに聞かれますが、スケート施設についても「何もない」の一つになっている可能性があると考えます。若い世代がスポーツや趣味などで伸び伸びと暮らせる環境があり、そうした姿を子供たちが見て、本県で暮らしていくイメージが培われていくのではないでしょうか。 令和四年二月議会で県政クラブの高橋啓介議員の屋内スケート施設の整備についての質問に、吉村知事からは、有識者による検討を行う旨の答弁があり、その際も「スポーツに親しめる環境を充実させることは、若者の回帰・定着にもつながる」との言葉がありました。 加藤選手の県民栄誉賞受賞もあり、県民の関心は高いと存じますが、屋内スケート施設の在り方検討の状況と今後の進め方はどうされるお考えか、また、若者や女性の地元回帰・定着の観点から施設整備に関してどうお考えになっているのか、吉村知事にお伺いいたします。 インバウンドについては、日本への入国者数は、令和元年に三千百八十八万人と過去最高となりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い水際対策が強化された影響などにより、令和二年は四百十二万人、令和三年は二十五万人と、大きく減少しました。 本県においても、外国人旅行者受入れ延べ人数は、令和元年に過去最高の三十八万九千人となりましたが、令和二年は十二万六千人、令和三年は速報値ですが一万七千人となるなど、新型コロナウイルスの影響が直撃した状況がなお続いております。 このような中、新型コロナウイルス感染拡大に伴う入国制限が去る九月七日からさらに緩和されました。日本入国時の陰性証明が三回目ワクチン接種を条件に不要になり、また、入国者数の上限引上げや添乗員を伴わないパッケージツアーの受入れも始まるなど、訪日客の増加が今後ますます期待されるところであります。 また、新型コロナ前後で旅行者の価値観が変わり、これまで大都市圏の特定の地域に集中していた観光客を、密集を避ける観点から、より地方へ分散させる契機となることも期待されており、地方にとっても好機と捉えて積極的に取り組んでいく必要があると思います。 ただ、一方で、日本入国にはまだ制約が多いとして、観光業界からはさらなる緩和を求める声が出ているとも伺っており、国においても、並行してさらなる検討をしっかりと進めていただきたいと思います。 このような中、去る八月五日、国土交通省がインバウンド誘致や就航促進に取り組む地方空港が対象の訪日誘客支援空港に山形、庄内両空港を認定したとの報道がありました。訪日誘客支援空港に認定されますと、その空港には、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、まず本年度については、コロナ前より充実した支援を講じるとされております。国においては、水際対策の段階的緩和と相まって、機能面においてもインバウンド復活に向けた素地を用意しているという印象があります。 九月二十日の「空の日」関連イベントとして九月十一日に山形空港で行われました「おいしい山形空港フェスティバル二〇二二」にお伺いしてまいりました。実に三年ぶりの開催でありました。会場への入場に関しては、コロナ感染対策が講じられており、午前、午後それぞれ四百名限定と一定の制限はありましたが、好天の影響もあり、参加者は笑顔で航空機やヘリコプター、空港関連施設に親しんでおられました。おいしい山形空港は、間もなく開港六十周年という節目を迎えます。 さて、本県には二つの空港が存在します。一県二空港という本県の強みを生かすためにも、インバウンド対応を含め、両空港の機能強化は大変重要な課題と考えます。 この訪日誘客支援空港においしい山形空港、おいしい庄内空港の両空港が認定された経緯と支援内容、今後、支援を得てどのような取組を進めていかれるのか、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 今後の観光施策展開についてお伺いいたします。 今回の九月補正予算につきましては、令和四年六月から八月までの豪雨被害への対応、コロナ禍における原油価格・物価高騰等への対応、第七波の真っただ中にある新型コロナウイルス感染症への対応、ウイズコロナ・ポストコロナへの対応などなど、さきに申し上げましたとおり、現下の課題にもしっかりと対応した大規模な予算編成となっております。 その中に、未来への投資と位置づけて、ポストコロナに向けたインバウンド誘客の推進についても計上されており、本県においても本格的なインバウンドの再開を見据え、インバウンドの復活に積極的に取り組んでいく意識の表れであると期待しているところであります。 水際対策の段階的な緩和に伴い、時期を逸することなく本県への誘客を図っていく必要があると考えますが、今後のインバウンドに関する見通しや課題、今後の施策展開について観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。 警察庁と連携した警護の在り方についてお伺いいたします。 参議院選挙も終盤となった七月八日、信じられない報道を目の当たりにし、思わず言葉を失ったのは私だけではなかったと存じます。奈良市で演説中だった安倍元総理が銃撃を受け、病院に搬送されたとの速報でした。その後、重症との続報を聞き、何とか命だけでも取り留めてほしいと願う国民の願いは届かず、同日午後五時三分永眠されました。享年六十七歳であられました。 安倍元総理の政治的功績については様々な議論があるのは承知しておりますが、私の父、亡くなりました吉村和夫が、生前山形市長に自民党推薦で二回目の挑戦をしたとき、当時清和会だった故鹿野道彦先生の関係で、元総理のお父上、故安倍晋太郎先生から御来県いただき、応援していただきました。幼少の頃、父と二人の引き伸ばされた写真が書斎に飾られていたのを覚えております。 昨日九月二十一日が安倍元総理の誕生日でした。改めて心より御冥福をお祈り申し上げます。 マスコミ報道によると、当日、現場で人員配置の変更があり、安倍元総理の背後が手薄になったとのことでありました。 この事件を受け、三月に就任されたばかりだった奈良県警鬼塚本部長が引責辞職。「二十七年余の警察官人生で最大の悔恨だ」と述べられましたが、警察庁警備局警備課警護室長などの警備畑を歩まれた方であり、そのような警察庁のプロ中のプロの下でも現場の状況次第では今回のような事件が起こる可能性があると、改めて警護の難しさを感じました。 また、要人警護に当たっては、警察庁に警護計画を全て報告するシステムが構築されるなど、全国警察の警護体制が強化されました。今回の事件を検証した上での措置ですが、私は、逆に現場の負担が大きくなるのではと危惧しております。 選挙時は、本県の政治状況から、与野党を問わず大勢の要人が来県されるのが予想されます。また、選挙時には急な日程変更は当たり前で、難しい警護であることは容易に想像できます。 これまで山形県警の警護担当者は、本当に迅速かつ献身的に職務を果たされてきました。警護計画と変更があった点には現場判断で即応し、安全な警護と選挙運動を両立されてきました。現場の状況を一番把握しているのは、警護計画を見て決裁を行う警察庁ではなく、常日頃から足で、目で、空気で地域のことを感じる県警の現場の警察官です。警護計画を警察庁とやり取りをして決裁を待つ。現場を受け持つ県警察の負担が大きくなることはないのでしょうか。 選挙時のことは仮定でありますが、大災害が発生すると、国の要人・警護対象者が必ず被害状況を視察することから、今後も県内において要人への警護が行われます。 今後、要人が来県して警護を行うに当たり、県警察として、警察庁と連携した警護の在り方について警察本部長の御所見をお伺いいたします。 以上、私の壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。
    ◎知事(吉村美栄子君) 吉村議員から私に二問御質問を頂戴しましたのでお答えいたします。 まず一点目は、九月補正予算編成に当たっての所感ということであります。 初めに、九月補正予算の編成に当たった八月の本県の状況を思い起こしてみますと、新型コロナの感染急拡大に加え、県内で初めて特別大雨警報が発表され、線状降水帯が発生して置賜地方を中心に甚大な被害に見舞われるというダブルショックの状況となりました。加えて、産業界や県民の皆様は、原油価格・物価高騰により苦境にあえぐ状況が続いており、言わば三重苦の様相を呈しておりました。何としてもこの苦境を打開していかなければならないという強い決意で予算編成に臨んだところであります。 そういう中、このたびの補正予算でありますが、豪雨被害への対応、コロナ禍における原油価格・物価高騰等への対応、さらにはポストコロナに向けた将来を見据えた施策に特に重点を置いて編成したところであります。 まず、豪雨被害でありますが、現段階で判明している被害規模は約四百七十四億円であり、令和二年七月豪雨を上回り、記録が残る限り、本県の風水害では過去最大の被害規模となっております。被害に遭われた皆様に改めてお見舞いを申し上げます。 現在、応急対策をはじめ、その復旧に全力を挙げて取り組んでいるところですが、補正予算には、土木・農林関係施設の復旧に要する事業費を中心に盛り込みました。 次に、第七波のさなかにある新型コロナウイルス感染症につきましては、感染者の大幅な増加に対応するため、医療提供体制や検査体制の維持のために必要な経費の増額や、感染拡大防止のための対策を追加しております。 また、原油価格・物価高騰への対応につきましては、さきの六月補正予算において大規模な対策を講じたところでありますが、その影響は長期化しており、いまだ先行きが見通せない状況でありますので、生活分野と産業分野の双方において追加の支援策を講じたところであります。 このように本県が直面している諸課題に果敢に取り組みつつ、併せてポストコロナの県づくりも展望しながら、例えば、今回新たに関西圏や中京圏にお住まいの方の本県への移住に向けた魅力発信やインバウンドの再開に向けた対応、次代を担う子供たちのためのGIGAスクール構想のさらなる推進といった未来への投資にもしっかりと取り組みたいと考えております。 今後とも、県内市町村はもとより、政府や関係機関・団体と緊密に連携し、諸課題に全力で対応してまいります。 二問目は、屋内スケート場整備の考え方ということであります。 このたび県民栄誉賞を贈呈した加藤条治さんは、本県出身のスピードスケート選手として、ワールドカップで十四回優勝、冬季オリンピックに四大会連続出場し、二〇一〇年バンクーバーオリンピックで銅メダルを獲得するなど、長年にわたり世界のトップクラスで活躍され、県民に勇気と感動を、子供たちに夢と希望を与えてくれました。 加藤選手は、幼少期からスケートになれ親しみ、そのことが後の活躍につながったとお聞きしておりますが、本県では、平成二十九年三月に民間の屋内スケート施設が閉鎖され、現在、東日本で唯一、フィギュアスケートやアイスホッケーなどの公式競技が開催できない県となっております。先般、北京冬季オリンピックで女子選手が大活躍をして話題になったカーリング競技なども練習できない状況だと聞いております。 競技団体の皆様からは施設整備の要望をいただいており、県としましても、県民誰もがスポーツに親しむ環境づくりやスケート人口の裾野の拡大、健康増進など、様々な観点から屋内スケート施設の整備に向けた検討を行う必要があると考えております。 中でも、本県の構造的課題である人口減少が加速する中にあって、議員から御指摘のありました若者や女性の県内定着・回帰の促進に向けた観点からの検討は大変重要なアプローチと考えます。これに関しては、やりがいのある仕事の確保や賃金向上に加え、生活に潤いを与える楽しみを充実させていくことが有効であり、スケートをはじめとするスポーツやレジャー環境の充実は、若者や女性が本県で暮らすことに幸福を感じ、県内定着・回帰に資する効果が期待されると考えております。 こうしたことから、今年度、学識経験者や本県のスポーツ関係者などで構成する「屋内スケート施設あり方検討会議」を設置し、本県に合った施設の規模や機能、厳しい財政状況の中での整備手法などについて検討を進めているところです。会議では、競技団体をはじめ、スケート施設の建設や管理運営に携わる企業から全国の施設の現状や活動状況などをお聞きしながら、本県の屋内スケート施設整備の方向性について年度内に取りまとめる予定としております。 あわせて、このたびの検討に際しましては、高校生、大学生などの若者や子育て中の女性などからも広く御意見をお聞きしながら進めており、これまでに「山形は遊べる場所、楽しめる場所がない」「町なかにも魅力的な施設がない」「子供の頃からスポーツに親しむ環境が重要だ」といった声をいただいているところであります。 こうした若者や女性の率直な意見についても検討会議の場で取り上げ、十分に活用しながら、スポーツを通した地域活性化や本県の魅力向上につながる屋内スケート施設の在り方について、引き続きしっかりと検討を進めてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 岡本みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(岡本泰輔君) 訪日誘客支援空港の認定についてお答え申し上げます。 訪日誘客支援空港につきましては、政府が掲げる「明日の日本を支える観光ビジョン」における訪日外国人旅行者数四千万人等の目標達成のためには、地方空港への国際線の新規就航や増便を強力に推進することが必要との考えに基づき、訪日客誘致及び国際線の就航促進の取組を行う地方空港が認定を受けることにより、総合的な支援を受けられる制度として、平成二十九年七月に創設されたものです。 当初は二十七空港が認定されておりましたが、本県においても国際チャーター便の運航が拡大し、受入れ態勢強化の必要性が生じることが予想されたため、追加募集について、政府に対する施策提案で提案も行い、令和二年一月に追加募集があったことから、山形空港及び庄内空港の両空港を併せて応募いたしました。 応募に当たっては、国際チャーター便の運航実績を積み上げて将来的な定期便へとつなげていく国際線就航促進のための取組、アジア圏や欧米圏からのインバウンド誘客を拡大するため認知度の向上等を図る観光需要創出の取組、国際チャーター便の運航拡大に対応した受入れ態勢の強化による旅客利便性向上の取組などを柱に申請を行ったところです。 その後、新型コロナの感染拡大により認定が見送られておりましたが、このたび、これらの訪日客誘致等についての取組が四段階評価のうち上から二番目のA評価を受け、山形空港、庄内空港ともに、去る八月五日付で国土交通省から訪日誘客支援空港として認定を受けたものであります。 この認定により、今年度から、国際便を運航する航空会社が、着陸料に関する補助のほか、チケットカウンター設置などに係る施設使用料や地上業務等に要する経費への補助を受けることができるようになります。 また、新型コロナの感染拡大防止と今後の航空旅客の回復増大の両立を図ることを目的に、待合スペースや保安検査場等における密集防止や空調換気設備の機能向上、衛生設備の非接触化など、受入れ環境整備を行う場合の経費や、空港ターミナルビル内に税関や出入国管理、検疫の施設を整備する際の経費についても補助を受けられるようになります。 着陸料等の補助については、チャーター便も対象になりますので、まずはこの制度なども活用しながら、国際チャーター便の早期運航再開に取り組むとともに、空港機能強化に向けた検討も行うなど、関係者一体となって、山形、庄内両空港の活性化を図ってまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 我妻産業労働部長。 ◎産業労働部長(我妻悟君) インボイス制度導入に向けた県の対応についてお答え申し上げます。 令和五年十月から導入される適格請求書等保存方式いわゆるインボイス制度は、複数税率に対応した消費税の仕入れ税額控除の方式であり、制度導入後は、買手が消費税の仕入れ税額控除を行う際、売手からのインボイス・適格請求書が必要となります。一方、売手がインボイスを交付するには、事前に発行事業者としての税務署への登録が必要で、登録を受けると課税事業者としての消費税の申告が必要となります。 また、消費税の課税事業者が発行事業者ではない取引先から仕入れを行う場合、インボイスの交付を受けられないため、現在とは異なり、その取引分の消費税は仕入れ税額控除ができなくなり、自社で負担する必要が生じるといったことも想定されます。 このため、制度導入に際して、各事業者は、おのおのの取引の実態に応じて、発行事業者の登録を行うか否か、また、取引先に発行事業者の登録をお願いするか、価格など取引条件の見直しを協議するかなどの経営判断が必要となる場合がありますので、制度の周知と各事業者における検討が大変重要となります。 制度の周知に向けましては、国税局・税務署が中心となって県内事業者に対する説明会や登録申請相談会を開催しているほか、県内の商工会・商工会議所においても、昨年十月以降、説明会等を四十五回開催したのに加え、事業者からの個別相談にも延べ一千件以上応じるなど、事業者への制度周知に取り組んでおります。 しかしながら、国税庁の資料によりますと、八月末現在の発行事業者の登録割合は、いずれの都道府県においてもおおむね二割から三割程度となっており、本県でも二九%にとどまっていることから、引き続き制度の周知徹底を図っていく必要があると考えております。 加えて、制度導入に伴い、請求書等に登録番号や適用税率、税率ごとに区分した消費税額の記載などが必要となるため、経理事務の複雑化や事業者の負担増が課題となっております。これらの課題解決には、デジタル化による経理事務等の負担軽減、省力化等を推進していく必要があります。現在、政府のIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金、また、県の中小企業パワーアップ補助金などによりデジタル化に向けた助成をしておりますが、今後も制度導入後の経理事務等の効率化が図られるよう支援が必要であると考えております。 県としましては、県内事業者の円滑なインボイス制度への対応を実現していくため、引き続き、商工会・商工会議所等の関係機関としっかりと連携をしながら、制度の周知はもとより、経理システム等におけるデジタル化導入促進など、県内事業者の取組を強力に支援してまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 西澤観光文化スポーツ部長。 ◎観光文化スポーツ部長(西澤恵子君) 私から今後の観光施策展開についてお答え申し上げます。 観光産業は裾野の広い総合産業であり、その復活は地域経済の活性化に欠かせないものであります。中でも、観光消費額の大きいインバウンドは、観光事業者からの期待も大きく、一刻も早い復活に向けた取組が必要と考えております。 政府においては、外国人観光客の水際対策について、九月七日から入国時における陰性証明の提出を免除するなど段階的に受入れを拡大しており、今後も、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りながら、個人旅行の解禁やビザ免除の扱いなど、さらなる緩和が検討されております。 国際路線の運航についても、これまでの主要五空港に加え、七月には新千歳空港が再開、十月末には仙台空港でも再開が予定されており、今後は、地方空港におけるチャーター便再開など受入れ拡大が期待されるところです。 訪日需要の面では、今年二月に発表されたアジア・欧米豪を対象とした日本政策投資銀行の調査において、コロナ収束後に行きたい海外旅行先として日本がトップになるなど、今後の水際対策の緩和により、一気に訪日旅行が回復することも考えられます。 その際、本県を目的地として選んでもらうためには、時期を逃さず山形の魅力を強力に発信し、本県の知名度を海外で向上させることが重要であり、ポストコロナにおける新たな旅行スタイルを提案し、旅行需要を取り込むとともに、安全安心な受入れ態勢を構築していくことが課題であると認識しております。 このため、本格再開に向け、アジアの重点市場に赴き、旅行博や商談会等で本県観光の魅力を発信するほか、現地旅行会社の幹部を招請し、県内の観光資源を実際に体験してもらうとともに、県外空港から入国し県内を周遊・宿泊する旅行商品の造成を支援することで、県内への誘客を促進してまいりたいと考えております。これらの事業について今定例会に提案させていただいているところであり、六月補正予算による県内空港へのチャーター便誘致のための支援策と併せて進めることで、インバウンド再開に向けた効果的な誘客態勢が整うものと考えております。 また、受入れ態勢の整備については、県内の宿泊施設や観光立ち寄り施設を対象に、非接触やキャッシュレス対応、Wi-Fi整備などインバウンド再開に向けた設備投資のほか、コンサルタントからインバウンドに有効な環境づくり等の助言を受けるための経費を助成するなど、新たな取組に対しても支援してまいります。 今後とも、政府の水際対策の動向を的確に捉えながら、時期を逸することなく、インバウンド復活に向けて積極的に取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 地主農林水産部長。 ◎農林水産部長(地主徹君) 農地の災害復旧に向けた対応についてお答えいたします。 八月三日からの大雨では、線状降水帯が置賜地域に長時間停滞し、飯豊町など特定の地域に豪雨が集中したことから、中山間地域や河川沿いの数多くの農地において甚大な被害が発生したことが特徴です。 このため、現時点で農地の被害箇所数は千九百八か所と、県内で広範囲に浸水被害が出た令和二年七月の豪雨災害の千七か所を大きく上回っており、被害額についても約二十三億円と、前回の豪雨災害に迫る規模となっています。 これまでは被害状況の把握が主でありましたが、今後は、来年の営農再開に向けて、農地を復旧するための工法検討や災害復旧事業の申請に向けた作業が必要となります。八月二十三日に内閣府から激甚災害指定の見込みが公表されたことを踏まえ、農林水産省では、災害査定の効率化を図るため、災害査定申請に添付する図面や写真の簡素化などを認めることを発表しました。これを受けて県は、九月一日に市町村や土地改良区の職員を対象とする研修会を開催し、災害復旧事業の申請に必要な書類や写真などについて不備や手戻りが生じないように周知徹底を図りました。 被災した市町においては、技術職員の不在など、災害復旧に向けた体制が万全でないことから、災害対応技術のノウハウを持つ県職員の派遣を希望する声が多く、県は、この研修会開催の日から、県庁と総合支庁の農業土木技術職員七名を常時置賜総合支庁と管内市町に派遣しています。これらを含め、八月四日から九月十三日まで、県から市町村への派遣者数は延べ三百十三名となっております。 また、予算に関しては、災害復旧事業に必要な補正予算を今定例会に提案しているところであり、例えば、飯豊町の小白川の氾濫によって流出した農地の復旧や、白鷹町高玉地内で最上川から水田に流入し堆積した土砂の撤去など、農地の早期復旧に向けて速やかに支援を行うことができるよう準備を進めております。 加えて、政府の災害復旧事業の要件に満たない農地の復旧については、県単独の小規模農地等災害緊急復旧事業により支援を行ってまいります。あわせて、被害を受けた水稲や大豆については、今後、収穫に際して、品質に応じた仕分を徹底し、できるだけ所得確保につながるよう支援してまいります。 県としましては、市町村の業務を支援するための職員の派遣や災害復旧に必要な予算の確保など、ソフトとハード両面から対策を講じて、農家の営農意欲の継続と農地の早期復旧に向けて、被災者及び市町村に寄り添い、きめ細かく支援してまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) まず、公共土木施設の復旧に向けた取組についてお答えを申し上げます。 県では、公共土木施設災害の復旧について、大きく三つの観点から取組を行っているところでございます。 一つ目は被災状況を早期に把握するための取組でございます。今回の大雨では、大雨特別警報が発表されたことから、県では、非常配備態勢を直ちに取るとともに、人員を動員し、安全を確保した上で迅速にパトロールを行い、被災状況の把握に努めました。また、中山間部の道路網が寸断され河川上流部などへのパトロールが困難であったことから、ヘリコプターやドローンなどを積極的に活用させていただきました。さらには、国土交通省のテックフォース派遣や、災害協定に基づき民間の建設・測量業者に調査の応援を要請するなど、様々な関係者の力を借り、速やかな被災状況の把握に努めたところでございます。 二つ目は被災箇所への応急対応でございます。人家に近接する河川で護岸が損壊した箇所や、道路斜面が崩壊し全面通行止めとなった箇所など、県民の安全安心や経済活動に影響を与えるような箇所については、被害の拡大を防止するため、土のう設置や土砂撤去など、応急的な工事を迅速に実施してございます。 また、言及いただきました大巻橋につきましては、国土交通省から応急組立て橋の貸与を受け、十月末の供用を目指し、仮橋の設置に着手してございます。 三つ目は本格的な復旧に向けた取組です。現在、県では、市町や国土交通省などの関係機関と連携しながら、復旧工事に向けた調査・設計を進めております。具体的には、発災後早期に災害査定官緊急調査制度を活用し、復旧に向けた工法等の技術的な助言を受けるため、国土交通省から災害査定官を派遣していただきました。県では、この助言等を踏まえ、効率的に調査・設計を進めているところでございます。 また、被害の大きかった飯豊町や小国町に対しては、県土整備部及び各総合支庁からの応援職員を派遣し、被災箇所の調査や復旧工事に向けた設計図書の作成など、様々な支援を継続的に行っているところであります。 今後は、本格的な復旧工事の実施に向け、十月中旬より順次災害査定が実施される予定であり、災害査定の結果を踏まえ、速やかに工事に着手してまいりたいと考えております。 県といたしましては、県民の安全安心な生活を一日でも早く取り戻せるよう、国土交通省や被災した市町等と連携し、引き続き早期復旧に努めてまいります。 続きまして、橋梁の強靱化対策についてお答え申し上げます。 地域と地域を結ぶ道路の重要な構成施設である橋梁は、県民の社会経済活動や安全安心な生活を支える重要な社会インフラです。 県が管理する橋梁は、現在二千五百八橋あり、多くは昭和三十年から昭和四十八年頃に整備されたものです。一般的に老朽橋と言われる建設後五十年を経過した橋梁の割合は、県管理橋梁の三四%を占め、今後も増加することが見込まれます。 県では、これらの橋梁の安全性を確保するために、全管理橋梁に対し、平成十六年度より定期的な橋梁点検を実施してきました。 しかし、雨風を受け、また、車両の通行を支える橋梁は、年とともに老朽化が進みます。老朽化した複数の橋梁を一度に架け替えることは困難であるため、県では、全国に先駆けて、平成十九年度に山形県橋梁長寿命化修繕計画、いわゆる橋梁を安全かつ長もちさせるための点検・修繕・更新に関する計画を策定し、これに基づいた取組を行っております。 具体的には、橋梁点検で橋梁の状態をチェックし、劣化・損傷が確認された場合はこれをしっかりと補修し、通行の安全性を確保いたします。損傷の程度によっては通行止めを実施いたします。また、劣化状況に応じ、早めの修繕により橋梁を長寿命化できる場合は、計画的に修繕を行うとともに、必要に応じて補強を行い、強靱化に資する対策を取っております。 橋梁の長寿命化に活用できる財源として、近年は、政府の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づく予算が重点的に措置されており、県及び市町村ともにこれを有効活用して、着実に橋梁の強靱化に努めているところでございます。 また、橋梁の安全性を確保していくためには、橋梁の状態を正しくチェックし、適正な対策を立案する技術力が必要であり、これは、県だけでなく、市町村においても同様の課題となっております。 そのため、県では、県や市町村職員の技術力向上等にも取り組んでおります。例えば、国土交通省と共同で橋梁点検に関する技術講習会を開催しておりますし、さらに、技術系職員の少ない市町村に対しては、点検業務の発注を山形県建設技術センターが代行する仕組みの構築や、学識経験者、専門技術者などから市町村職員が技術に関する助言を受けられる機会を設けるなどの支援を行っております。 県としましては、こうした技術の伝承に加え、DX化に向けた新しい技術である橋梁の三次元設計を新たに実施し、今後の維持管理に生かしていくことにも取り組み、橋梁の安全性向上のための強靱化対策をしっかりと進めてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 丸山警察本部長。 ◎警察本部長(丸山彰久君) 警察庁と連携した警護の在り方についてお答え申し上げます。 本年七月八日に発生しました安倍晋三元内閣総理大臣に対する銃撃事件を受けまして、警察庁において検証及び警護の見直しが行われ、警護計画やその前提となる危険度評価に不備があったこと、現場指揮官の指揮が十分でなかったこと等が明らかとなりました。これを受けて、警察庁の関与の抜本的な強化をはじめとする新たな警護要則が制定されたところであります。 新たな警護要則で大きく変わった点は、県警察で作成した全ての警護計画を警察庁と共有し、緊密な連携を図っていくこと、警護の現場に現場指揮官を配置し必要な指揮を行うことなどであります。 また、今後の警護方針に関しましては、警察庁から、警察庁との緊密な連携、警護に関する状況の確認及び必要な見直しの実施、警護に係る体制の強化等について指示を受けているところであります。 本県警察といたしましては、新たな警護要則の趣旨を踏まえ、次の三点について配意して、今後の警護に臨んでまいります。 一点目は警察庁との緊密な連携であります。警察庁が策定した警護計画の基準に基づき、警護における関係場所の実地踏査を確実に行い、警護体制の増強や必要に応じた制服警察官の配置等を検討した上で警護計画を作成し、事前に警察庁へ報告して審査を受けるなど、警察庁と緊密に連携しながら警護を実施してまいります。 二点目は警護体制の強化であります。新たな警護要則等の内容に沿って、警護の現場に配置される警護員の数を増強することや、必要な人員や装備資機材の充実を図るなどして警護に万全を期してまいります。 三点目は警護員の能力の向上であります。警護の現場に配置する警護員の対応能力を向上させることは喫緊の課題であります。警視庁への研修に積極的に派遣し、警護のノウハウを習得させて本県警察にフィードバックするとともに、警察庁が作成する体系的な教養計画に基づき、より実践的な訓練を実施するなど、警護員の対応能力の強化を推進してまいります。また、警察庁と連携して現場を指揮する指揮官の指揮能力の向上にも配意していくこととしております。 本県警察といたしましては、警護に関して警察が置かれている極めて厳しい状況を認識し、新たな警護要則に基づき、警察庁との緊密な連携の下、間隙のない警護を実施して、山形の地で決して同様の事件を招くことがないよう万全を尽くし、県民の期待と信頼に応えてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明二十三日から二十五日までの三日間は休日のため休会とし、二十六日定刻本会議を開き、議案に対する質疑と県政一般に関する質問を併せ行います。 本日はこれをもって散会いたします。     午後零時四十分 散会...