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  1. 山形県議会 2019-02-01
    02月26日-04号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成31年  2月 定例会(第387号)  平成三十一年二月二十六日(火曜日)午前十時零分 開議議事日程第四号  平成三十一年二月二十六日(火曜日)午前十時開議第一   議第二十六号 平成三十一年度山形県一般会計予算第二   議第二十七号 平成三十一年度山形県公債管理特別会計予算第三   議第二十八号 平成三十一年度山形県市町村振興資金特別会計予算第四   議第二十九号 平成三十一年度山形県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算第五   議第三十号 平成三十一年度山形県国民健康保険特別会計予算第六   議第三十一号 平成三十一年度山形県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算第七   議第三十二号 平成三十一年度山形県土地取得事業特別会計予算第八   議第三十三号 平成三十一年度山形県農業改良資金特別会計予算第九   議第三十四号 平成三十一年度山形県沿岸漁業改善資金特別会計予算第十   議第三十五号 平成三十一年度山形県林業改善資金特別会計予算第十一  議第三十六号 平成三十一年度山形県流域下水道事業特別会計予算第十二  議第三十七号 平成三十一年度山形県港湾整備事業特別会計予算第十三  議第三十八号 平成三十一年度山形県電気事業会計予算第十四  議第三十九号 平成三十一年度山形県工業用水道事業会計予算第十五  議第四十号 平成三十一年度山形県公営企業資産運用事業会計予算第十六  議第四十一号 平成三十一年度山形県水道用水供給事業会計予算第十七  議第四十二号 平成三十一年度山形県病院事業会計予算第十八  議第四十三号 山形県会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の設定について第十九  議第四十四号 山形県職員定数条例の一部を改正する条例の制定について第二十  議第四十五号 職員の懲戒に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第二十一 議第四十六号 山形県職員等に対する退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定について第二十二 議第四十七号 山形県部設置条例の一部を改正する条例の制定について第二十三 議第四十八号 山形県職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十四 議第四十九号 山形県語学指導等に従事する外国人の給料及び旅費の支給に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十五 議第五十号 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員等の処遇等に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第二十六 議第五十一号 山形県人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十七 議第五十二号 山形県職員等の自己啓発等休業に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十八 議第五十三号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第二十九 議第五十四号 山形県公文書等の管理に関する条例の設定について第三十  議第五十五号 山形県情報公開条例等の一部を改正する条例の設定について第三十一 議第五十六号 行政不服審査施行条例の一部を改正する条例の制定について第三十二 議第五十七号 議会の議決に付すべき契約並びに財産の取得、管理及び処分に関する条例の一部を改正する条例の制定について第三十三 議第五十八号 山形県事務処理の特例に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第三十四 議第五十九号 山形県志津野営場条例の一部を改正する条例の制定について第三十五 議第六十号 山形県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十六 議第六十一号 山形県青少年健全育成条例の一部を改正する条例の制定について第三十七 議第六十二号 山形県男女共同参画センター条例の一部を改正する条例の制定について第三十八 議第六十三号 山形県保健所及び山形県衛生研究所使用料、手数料条例の一部を改正する条例の制定について第三十九 議第六十四号 山形県立こども医療療育センター使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の制定について第四十  議第六十五号 山形県精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例の制定について第四十一 議第六十六号 山形県身体障がい者保養所条例の一部を改正する条例の制定について第四十二 議第六十七号 山形県福祉休養ホーム条例の一部を改正する条例の制定について第四十三 議第六十八号 山形県工業技術センター手数料条例の一部を改正する条例の制定について第四十四 議第六十九号 山形県高度技術研究開発センター条例の一部を改正する条例の制定について第四十五 議第七十号 山形県公共職業能力開発施設の行う職業訓練の基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十六 議第七十一号 山形県国民宿舎条例の一部を改正する条例の制定について第四十七 議第七十二号 山形県県民の海・プール条例の一部を改正する条例の制定について第四十八 議第七十三号 山形県県民会館条例の一部を改正する条例の制定について第四十九 議第七十四号 山形県郷土館条例の一部を改正する条例の制定について第五十  議第七十五号 置賜文化ホール条例の一部を改正する条例の制定について第五十一 議第七十六号 山形県家畜保健衛生所使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の制定について第五十二 議第七十七号 山形県漁港管理条例の一部を改正する条例の制定について第五十三 議第七十八号 山形県営土地改良事業分担金等徴収条例の一部を改正する条例の制定について第五十四 議第七十九号 山形県森林環境譲与税基金条例の設定について第五十五 議第八十号 山形県都市公園条例の一部を改正する条例の制定について第五十六 議第八十一号 山形県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例の制定について第五十七 議第八十二号 山形県河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例の制定について第五十八 議第八十三号 山形県空港管理条例の一部を改正する条例の制定について第五十九 議第八十四号 山形県港湾施設管理条例の一部を改正する条例の制定について第六十  議第八十五号 山形県ふるさと交流広場条例の一部を改正する条例の制定について第六十一 議第八十六号 米沢ヘリポート条例の一部を改正する条例の制定について第六十二 議第八十七号 山形県海浜公園条例の一部を改正する条例の制定について第六十三 議第八十八号 山形県立学校施設使用料条例の一部を改正する条例の制定について第六十四 議第八十九号 山形県立学校職員の勤務時間及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第六十五 議第九十号 市町村立学校職員給与負担に規定する学校職員の分限に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第六十六 議第九十一号 山形県立学校職員及び市町村立学校職員給与負担に規定する学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定について第六十七 議第九十二号 山形県青少年教育施設条例の一部を改正する条例の制定について第六十八 議第九十三号 山形県生涯学習センター条例の一部を改正する条例の制定について第六十九 議第九十四号 山形県体育施設条例の一部を改正する条例の制定について第七十  議第九十五号 山形県警察職員定数条例の一部を改正する条例の制定について第七十一 議第九十六号 山形県工業用水道料金徴収条例の一部を改正する条例の制定について第七十二 議第九十七号 山形県水道用水料金条例の一部を改正する条例の制定について第七十三 議第九十八号 山形県立病院料金条例の一部を改正する条例の制定について第七十四 議第九十九号 流域下水道の維持管理を行う事業に要する費用の負担について第七十五 議第百号 包括外部監査契約の締結について第七十六 議第百一号 一般国道十三号泉田道路工事用地の処分について第七十七 発議第一号 山形県スポーツ推進条例の設定について第七十八 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第四号に同じ。出席議員(四十三名)  一番 関  徹議員  二番 山科朝則議員  三番 松田敏男議員  四番 青木彰榮議員  五番 青柳安展議員  六番 柴田正人議員  七番 渋間佳寿美議員  八番 佐藤 聡議員  九番 能登淳一議員  十番 矢吹栄修議員 十一番 渡辺ゆり子議員 十二番 菊池文昭議員 十三番 佐藤 昇議員 十四番 石黒 覚議員 十六番 小松伸也議員 十七番 島津良平議員 十八番 加賀正和議員 十九番 森谷仙一郎議員 二十番 鈴木 孝議員二十一番 大内理加議員二十二番 楳津博士議員二十三番 吉村和武議員二十四番 高橋啓介議員二十五番 阿部昇司議員二十六番 木村忠三議員二十七番 奥山誠治議員二十八番 小野幸作議員二十九番 金澤忠一議員 三十番 伊藤重成議員三十一番 舩山現人議員三十二番 田澤伸一議員三十三番 森田 廣議員三十四番 阿部信矢議員三十五番 広谷五郎左エ門議員三十六番 坂本貴美雄議員三十七番 星川純一議員三十八番 佐藤藤彌議員三十九番 志田英紀議員 四十番 野川政文議員四十一番 鈴木正法議員四十二番 平 弘造議員四十三番 今井榮喜議員四十四番 後藤 源議員欠員(一名)  説明のため出席した者知事         吉村美栄子君副知事        若松正俊君企業管理者      高橋広樹君病院事業管理者    大澤賢史君総務部長       大森康宏君企画振興部長     中山正弘君環境エネルギー部長  太田宏明君危機管理監      佐藤仁喜弥君子育て推進部長    石山健一君健康福祉部長     玉木康雄君商工労働部長     平山雅之君観光文化スポーツ部長 武田啓子君農林水産部長     駒林雅彦君県土整備部長     角湯克典君会計管理者      松田義彦君財政課長       地主 徹君教育長        廣瀬 渉君公安委員会委員長   小林由紀子君警察本部長      一瀬圭一君代表監査委員     武田一夫君人事委員会委員長   安孫子俊彦君人事委員会事務局長  永澤浩一君労働委員会事務局長  石川由美君     午前十時零分 開議 ○副議長(小野幸作議員) 議長所用のため私が議長の職務を行います。 これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第二十六号議案から日程第七十七発議第一号まで及び日程第七十八県政一般に関する質問 ○副議長(小野幸作議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第二十六号平成三十一年度山形県一般会計予算から、日程第七十七発議第一号山形県スポーツ推進条例の設定についてまでの七十七案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第七十八県政一般に関する質問をあわせ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 九番能登淳一議員。 ◆9番(能登淳一議員) おはようございます。格調ある着物議会に私のようなむさくるしい人間がトップバッターで大変恐縮ですけれども、暫時おつき合い願いたいと思います。 昨年三月、国立社会保障・人口問題研究所から地域別将来推計人口が公表されました。山形県の人口は二〇四五年には七十七万人まで減少するとの推計であります。しかし、これはあくまで効果的な施策を講じない場合であり、我々の責務として、効果的な施策を講じ、反転攻勢の人口増加へと導かねばなりません。 フランスでは、一九九〇年代に合計特殊出生率が一・六台まで低下しましたが、効果的な施策の展開により、二〇一〇年には二・〇二まで回復しており、人口が維持できるとされているおおむね二・一までもう少しという状況であります。移民混合の社会であり、シングルマザーが多いという特徴など、日本とは単純に比較できない国ではありますけれども、一つ一つの施策・政策を検討し、ぜひ参考にしなければと思うわけであります。 そこで、今回の質問は、人口減少対策の施策としてそれぞれ質問させていただきたいと思います。 まず初めに、平成三十一年産米からの本県の稲作戦略について三点お伺いしたいと思います。 まず一点目、異常気象下での稲作における技術対応についてであります。 農水省の作況指数の最終確定値は二月に発表するとしていますが、東北農政局は、昨年十二月十日に二〇一八年産水稲の本県作況指数が十四年ぶりの「やや不良」の九六であったことを発表しました。十四年ぶりの「やや不良」の大きな要因は、夏場の干ばつと、その後一転して天候不順、日照不足による登熟不良などが主な要因と言われております。 県全体の主食用米の作付面積は、二〇一七年と同様の五万六千四百ヘクタールでありましたが、収穫量は一万二百トン減少の三十二万七千百トンとなったわけであります。十アール当たりの収穫量は、県全体で前年比十八キログラム減の五百八十キログラムであったわけですが、地域間の格差があったと思うところであります。中でも、村山地区が前年に比べ二十四キログラム減の五百九十四キログラム、庄内地区が二十二キログラム減の五百七十六キログラムと、天候による影響が大きかったと言えるのではないかと思うわけであります。 ただ、この収穫量も一・七ミリの網目での収穫量であり、通常出荷用の一・八五ミリのL網と呼ばれる網目での収穫量はさらに減収幅が大きく、県全体では二十二キログラム減の五百五十六キログラムであり、村山地区では二十六キログラム減の五百六十九キログラム、庄内地区では三十二キログラム減の五百四十九キログラムとなるわけであります。実態はこの数字になるわけであります。 これまで、本県の奨励品種であるつや姫、雪若丸、はえぬきの高温耐性は「中」から「やや強」となっているわけでありますが、今後も干ばつ、天候不順等の異常気象による災害が恒常化する傾向にある中、今後の異常気象に対する対策をしっかり講ずる必要があると考えます。昨年の予算特別委員会で平委員の質問にも答えられているわけでありますけれども、今後、国内最高位のブランド米として維持し続けるには、稲作農家の意欲の減退を回避する必要があるわけであります。 そこで大切なのが、ただ気象条件を容認するだけでなく、今後、異常気象が恒常的となることも予測されるわけでありますので、粒張りがあり、かつ良食味で、さらには一定の収量が見込め、高価格帯であるブランド米を栽培する技術の確立が今後の必須要件だと思うところであります。 改めて二〇一八年産米の減収の原因と、そのことが各地区の作付品種構成に起因していることがないのか、これまで整理されている減収原因について問いたいと思います。同時に、今後の異常気象下での稲作における技術対応について農林水産部長にお伺いいたします。 次に、県産米の高価格帯での販売戦略についてであります。 先ほどの議論のとおり、二〇一八年県産米の作況は十四年ぶりの「やや不良」であったわけですが、本県産米の取引価格は、北海道が九〇の「不良」、新潟が九五、秋田が九六の「やや不良」と、ほかにも北陸、東海、近畿、四国地方など全国的な減収の影響で、前年より高価格帯で推移している状況にあるわけであります。 これまで追加払いされたJAもあるわけでありますが、ちなみに、JAみちのく村山の概算金は、各一等米三十キロ当たり、つや姫では七千百六十四円であり、雪若丸では六千七百五十円、はえぬきでは六千五百円ということであります。これに今後追加払いがあって、例えば、はえぬきで六十キログラム当たり一万五千円が維持できるようであれば、本県の作付面積の六割を占めている品種であり、再生産可能な価格として認知されるのではないかと思いますし、生産意欲あるいは規模拡大への喚起にもつながるのではないかと考えるところであります。 そこで気になるのが、二〇一九年産米の全国の生産の目安であります。 昨年、国の生産数量目標が廃止されて初めての年でありましたが、二〇一八年産の主食用米の作付面積は、全国では前年比一・二%増の百三十八万六千ヘクタールになったわけですが、天候不順による不作により、十二月十日現在の予想収穫量は七百三十二万七千トンとなり、適正生産量とされている七百三十五万トンよりも下回った結果として需給バランスを保つことができたと言われているわけであります。 二〇一八年からの主食用米の作付は、各県の農業再生協議会が生産の目安を提示しているわけですが、本県が今後とも米の需給バランスをしっかり捉え、生産の目安を示す必要があると考えるわけであります。 一部報道によれば、人口減少等により米の需要はこれまで毎年八万トン減っていると言われてきましたが、その数字が十万トンとも十四万トンとも言われているようであります。二〇一九年産米の全国四十五道府県の生産の目安を合計すると前年を〇・五%から〇・七%下回るという試算もあるようですし、東北では、山形、福島以外は前年を下回る目安を提示しているようであります。 本県は一・七%増の目安を示しているわけです。その根拠として、全国の需要実績に占めるシェアを四・七%にしている点、さらに、ブランド力向上などによるつや姫、雪若丸、はえぬき等の需要増加分を五千五百トン程度と見ている点を主な理由として挙げているわけですが、現在までのこれらブランド米の販売状況について、まずお伺いいたします。 さらに、全国の各農業再生協議会の作付傾向と同調なくして今後需給バランスが保たれるのか、懸念しているところであります。平成三十一年産の生産目安について本県が増産となったことについてどのように考えているのか、また、増産となったことに伴い販売戦略の強化が必要と考えますがどう取り組んでいくのか、農林水産部長にお伺いいたします。 次に、土地改良事業の推進について質問いたします。 本県においても、全国的傾向としての農家戸数の減少、生産者の高齢化の問題は極めて悩ましい問題であります。平成二十七年の農林業センサスによれば、山形県の生産販売している農家及び経営体の数は、平成二十二年と比較して一六・一%減の三万二千六百十七経営体となっております。その中の稲作部門の経営体は、平成二十二年と比較して一七・五%減の一万八千二百八十経営体となっており、この傾向には歯どめがかからないのが実情だろうと認識しております。 そこで、山形県産米のブランド力をさらに高め、再生産可能な所得を維持していくには、より効率的な生産環境を形成しなければならないと考えます。 関係各位の努力で毎年度予算の確保がなされ、県内各地で大区画圃場整備として経営体育成基盤整備事業及び農業基盤整備促進事業が展開されていることは、まさに担い手に希望を与えるものであり、新たな担い手の創出にもつながるものと確信するところであります。 土地改良事業は、改めて申し上げるまでもなく、農地の整備、水利施設の保全、防災減災対策等の事業があり、結果として国土保全、水資源の涵養、災害防止等多面的機能を維持発揮する役割を果たしているわけであります。 そこで、県内におけるこれまでの大区画圃場整備の進捗状況及び今後の取り組みについて農林水産部長にお伺いいたします。 また、地形的な条件で平場と比較してまとまりのある農地を確保できないことや、地形勾配の修正に係る工事費が割高となることなどから、これまで中山間地域の圃場整備が平場に比べて進んでこなかった傾向にあったわけでありますが、現在は、面積要件の緩和や農地の集積・集約化等に伴う農家負担の軽減策が導入されたことなどから、中山間地域においても、一定の制限はあるものの圃場整備が可能だと認識しております。 本県の中山間地域における今後の圃場整備の取り組みについて農林水産部長にお伺いいたします。 さらに、昨今、線状降水帯の発生に伴う豪雨災害等が頻発しており、昨年は、西日本を中心とした豪雨災害において、ため池の決壊による被害が発生しております。本県においても、八月の豪雨において、ため池の水が堤体を越流し、下流の住民が避難するなどの被害が出ております。 ため池の安全対策は、全国的な課題として、ため池の緊急点検が行われ、防災重点ため池の見直しを行うなど新たな対策が検討されていると聞いております。 そこで、防災減災事業として、ため池の改修については今後も継続的に行うべきと考えるところでありますけれども、あわせて県内の進捗状況並びに本県における今後の方針について農林水産部長にお伺いいたします。 次に、園芸大国やまがたの推進について質問させていただきたいと思います。二〇二〇年オリンピック・パラリンピックへの本県農産物の供給も含めて質問させていただきたいと思います。 まず、園芸大国やまがたの推進については、平成三十一年度の農林水産部施策体系の中でも、「大規模園芸団地づくりに向けた合意形成及び施設・機械整備の支援、並びに本県の気象条件に適応した次世代型施設園芸の実証」というふうに位置づけているわけであります。また、具体的事業の中でも、園芸大国やまがた産地育成支援事業として、収益力向上に一体的かつ計画的に取り組む園芸産地の施設・機械の導入等に対する支援を行うとしているところであります。 さらに、昨年十二月二十五日に農林水産省から平成二十九年の山形県の農業産出額が公表されました。これによれば、本県の農業産出額は前年比五十億円増の二千四百四十一億円であるとされ、三年連続で増加したとのことであります。その内訳は、米の産出額が前年比四十六億円増の八百五十億円であり、園芸品目は濃淡があり、果実は前年比十五億円増の七百五億円でありますが、野菜は、スイカ、枝豆、キュウリ等の減収により前年比十億円減の四百十三億円にとどまったという結果であります。園芸品目総額では、前年比三億円増の一千二百六億円であります。米の増額は突出している感がありますが、農業産出額の約半分が園芸品目である本県農業の品目構成からして、ブランド米生産とあわせて、経営の柱として期待される園芸農業をさらに推進していく必要性を感じるわけであります。 若手就農者から希望を持って農業経営を行ってもらうためには、営農の基盤となる地域の拠点施設の整備も重要であります。スイカの選果施設が整備された北村山地域では、近年、生産、販売とも堅調で、若い就農者もふえてきております。 県では、昨年度から販売額一億円以上となる大規模園芸団地を平成三十二年度までに二十カ所形成することを目標に掲げ、園芸の育成強化に取り組んでいるわけでありますが、私の地元の村山市においても、新たにスイカ団地の形成に向けた取り組みを開始しております。このスイカ団地の例も含め、園芸品目は、特に圃場条件により収益が大きく左右されることから、その振興には、各種圃場整備事業と連携した取り組みが重要と考えます。 そこで、担い手農家の所得向上と園芸産出額のさらなる拡大に向け、今後、圃場整備事業と連携した高収益作物を導入する大規模園芸団地化をどのように進めていくのか、農林水産部長にお伺いいたします。 あわせて、平成三十一年度の取り組みとして、東京オリンピックパラリンピックへの県産農産物の食材提供を目指す山形県版GAPの第三者認証を推進することにしているわけでありますけれども、開会式まで六百日を切った中、東京オリンピックパラリンピックへの県産農産物の供給の実現に向けてどのように取り組んでいくのか農林水産部長にお伺いいたします。 次に、企業商談会の現状と今後の進め方について質問させていただきたいと思います。 二月の山形県経済動向月例報告によれば、「本県経済は、緩やかな回復の動きがみられる。」としています。また、「個人消費は、力強さには欠けるものの、持ち直している。」とし、「鉱工業生産は、緩やかな増加傾向にある。」としています。さらに、「雇用情勢は、着実に改善が進んでいる。」としています。 また、昨年十一月から一月までに共同通信社が行った全国自治体アンケートでは、市区町村の三〇%で景況感が「上向いている」とし、前回の二〇一七年六月から八月までの調査では一七%の自治体で上向いているとした回答に比較して拡大したと言えるとしています。山形県においては、三十五市町村のうち上向きと回答したのが米沢、新庄、村山、長井、金山、最上、高畠、小国、白鷹、飯豊の十市町で、前回調査の六市町村より増加したとされています。 しかし、米中の関係悪化などが取り沙汰され、「トランプリスク」などとやゆされる中、結果として年末年始にかけ株価が乱高下した時期もあったわけです。今後においてもこのことが懸念材料であり、ある事業主は、これまで活況を続けてきた受注にも陰りが見え始めてきたことを心配しているようであります。 そこで、商工労働部では、平成三十一年度の施策として、中小企業等の稼ぐ力の維持強化として、中小企業スーパートータルサポ補助金により経営力強化に向けた研究開発から設備投資、販路拡大までの一貫した支援を中心に支援強化策を講じているわけであり、さらに、県産品の販路拡大では、メードイン山形のブランド力を県内外に発信するための戦略的プロモーションの展開として、関西圏にアンテナショップ設置に向けて調査を行うとしています。 いずれも有効な施策だろうと思いますが、県内の自治体を見てみますと、各自治体独自に企業コーディネーターを配置し、独自の企業ガイドブックを作成し、その自治体独自で企業商談会を開催し技術力の高さをアピールするなど積極的に行ってきた結果、受注の拡大や経営力強化につながったとしています。 本県では、各総合支庁ごとに地域コーディネーターを配置し、受注の拡大、経営基盤強化のために積極的に活動していただいているわけでありますけれども、さらなる進展に向け、各自治体のコーディネーターとの連携を図り、企業ガイドブックをフルに活用し、これまで以上に商談機会をふやしてはどうかと思うわけであります。 現在の取り組みと今後の進め方について商工労働部長にお伺いいたします。 次に、高速道路を活用した企業誘致の取り組みについてであります。 東北中央自動車道については、昨年度に福島大笹生から米沢北間が、今年度中に南陽高畠から山形上山間と東根から東根北間が供用開始される予定となっており、これにより山形、宮城、福島の南東北三県を結ぶ環状ネットワークが形成され、物流の効率化等によるビジネスへの波及が期待されているところであります。 実際に供用を開始している福島大笹生から米沢北間では、移動時間短縮による生産性向上や安全安心効果など、いわゆるストック効果により交流人口の拡大、企業誘致に対する機運の高まり等すばらしい効果をもたらしているわけであります。 今年度新たに供用開始する区間も含め、このようなストック効果を活用し、県内への企業誘致に対しより拍車をかけ進めるべきと考えますが、高速交通網の整備を追い風とした今後の企業誘致の進め方について商工労働部長にお伺いいたします。 次に、外国人労働者等の相談体制の整備についてお伺いいたします。 人口減少に歯どめをかけるためには、地域産業のさらなる活性化の中で若い力の地域定住を促進していくかが大きな課題だと捉え、これまで議論を進めさせていただいております。そこで、さらに課題となるのが、農業であれ、製造業であれ、建設業であれ、さらには介護現場であれ、人手不足であります。 昨年末、十二月八日に第百九十七回国会臨時会において、出入国管理及び難民認定及び法務省設置の一部を改正する法律が成立し、同月十四日に公布されました。この改正は、在留資格「特定技能一号」「特定技能二号」の創設、出入国在留管理庁の設置を主な内容とするものであります。 県としても、県内の二千事業所を対象に外国人労働者の雇用実態に関するアンケートを実施したところであります。この中では、人手不足の状況、外国人の雇用状況、外国人を雇用しての課題、今後の外国人の雇用に対する考え方、行政に期待することなどの設問があったわけであります。一千九十八の事業所からの回答があり、人手不足の状況については、五六%が「不足」または「やや不足」と答えているわけであります。また、外国人を雇用しての課題は、「コミュニケーションがとりづらい」が最も多くなっております。 自民党県連としても、外国人材受け入れについての国民の懸念について真摯に説明すべきだと、昨年十二月二十五日、山下法務大臣に申し入れをしながら意見交換会を行ったところであります。その内容は、一つが専門性・技能を有する者であることの担保、さらには労働市場の状況変化に対応できること、次に、賃金・処遇を確保し、労働行政機関との連携で不法労働者が発生することのないように、また、新たな在留資格を認めた外国人材への公的社会保険制度の適用が適正に行われることと同時に、加入保険料の適切な納付、受け入れ外国人家族へも同様な対応をすること、教育・医療機関の業務増加・複雑化により自治体の財政負担・業務が拡大することへの支援を充実すること、などを要望させていただいたところであります。国では、現時点での対応として、現行かつ現行制度により分野所管行政機関と連携し、適切に適用かつ活用し、懸念を払拭できるようにするとのことでありました。 今回の改正は四月一日に施行され、今後、本県においても、新たな在留資格による労働者を初めとした外国人の増加が見込まれるわけであります。国では、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめ、行政・生活全般の情報提供・相談を多言語で行う、これは仮の名前でありますけれども多文化共生総合相談ワンストップセンターを設置する地方公共団体を支援し、全国約百カ所に整備することとしております。 本県でもこのワンストップセンターを設置する方向性でありますが、どのような体制整備を考えているのか、観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。 次に、地域医療連携体制について質問いたします。 昨年九月の代表質問において、野川政文議員が県内医療提供体制の充実や地域医療構想の進捗について質問されているわけでありますが、これらを踏まえ、私としても地域医療連携のあり方について質問させていただきたいと思います。 本県の地域医療構想は、医療の改正を受け、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、在宅医療まで切れ目なく医療需要に応えていくとしています。今後、本県における人口の推移及び推計を見たときに、六十五歳以上の高齢者の人口は二〇二五年を境に減少傾向に入っていくとされています。これらを見据え、地域における病床機能の分化・連携を図る内容が地域医療構想の策定につながっているのではないかと考えます。 県では、構想の実現に向けて、二次保健医療圏の地域医療構想区域ごとに調整会議、あるいは病床機能分化・連携に向けた医療機関の自主的な取り組みを目的とした病床機能調整ワーキングの開催、さらには地域の実情に即した在宅医療の拡充に向けた在宅医療専門部会の開催などを行っております。 また、二〇二〇年度までの山形県病院事業中期経営計画では、「県民に安心・信頼・高度の医療を提供し、県民医療を守り支える」を使命として掲げているわけであります。この使命にしっかり対応していくためにも地域医療構想を推進していく必要があるのではないかと思うわけであります。 冒頭申し上げたとおり、今回の質問の一貫したテーマは、今後の人口減少への対応であります。一つ目は人口減少の歯どめ策、定住人口の確保としての産業振興策であります。二つ目は人口減少に対応した地域生活での安心を一層確保していくための医療提供体制の充実であります。地域で家庭を持ち、子供を産み育て、健康で働き、安心して老後を迎える生活環境のためにも地域医療の充実は必須要件であることは、誰もが思うところであります。 そこで、今後のあるべき地域医療の体制を考える必要があります。そのときに参考になるのが、北庄内地域において山形県・酒田市病院機構を中心として昨年四月に設立された地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」なのではないかと考えます。 日本海ヘルスケアネットの設立目的を見ると、この地域医療連携推進法人の目指すものは、医療需要に応じた病床規模の適正化であり、回復期機能の不足が見込まれる病床への転換であるとしています。さらに、高額医療機器の効率的配置、病床機能の再編にあわせた医療従事者の確保、地域医療情報ネットワークの活用による在宅医療までの円滑移行、そして病院機能とあわせた地域包括ケアシステムを担う介護施設との相互連携を目指しているとしています。 現在、県では、県内四ブロックごとに地域医療情報ネットワークを構築し、地域内での連携の取り組みも始まっているところであります。将来的には県内各ブロックごとに地域医療連携推進法人が設立され、医療・介護が一体となって目指す在宅医療の充実の方向に進んでいくべきではないかと思います。 地域医療連携推進法人は、まだ始まったばかりの取り組みではあるにしても、各地域において重要な取り組みとして、今後の方向性や実現に向けた検討を行っていく必要があると考えます。 将来の地域医療連携推進法人の他地域への展開について健康福祉部長の御所見をお伺いしたいと思います。 最後に、東北中央自動車道の整備促進とインターチェンジアクセス道路整備等によるストック効果と地域の活性化について質問させていただきたいと思います。 東北中央自動車道相馬インターチェンジから横手インターチェンジ間二百六十八キロ区間においては、福島大笹生インターチェンジから米沢北インターチェンジ、大石田村山インターチェンジから尾花沢インターチェンジ等、一昨年から次々と供用開始され、さらに、今年度は南陽高畠インターチェンジから山形上山インターチェンジ間、東根インターチェンジから東根北インターチェンジ間が供用開始されるわけであります。 とりわけ、十一月三十日に開催された東北中央自動車道を活用した地域活性化シンポジウムでは、福島大笹生インターチェンジから米沢北インターチェンジ間の供用開始によるストック効果として、交流人口が拡大され、観光、物産の販売、飲食店の入り込み客数等いずれも増加傾向にあり、昨年四月二十日にオープンした道の駅「米沢」の来場者数は、当初想定の年間八十五万人に対して、オープン半年後の十月には百万人を超えたことが紹介され、さらに今月八日には百五十万人に達したことは、ストック効果の象徴と言えるのではないかと思うわけであります。 また、国土交通省山形河川国道事務所は、東北中央自動車道福島大笹生インターチェンジから米沢北インターチェンジ間の二〇一七年十一月から一年間のストック効果をまとめたものを公表したわけであります。それによりますと、本県と福島県の県境の交通量は、開通前と比較して三割ほど増加したとしています。さらに、その人の動きが活発で、置賜内陸一円のみならず庄内地方まで拡大しているとしています。同区間を使って観光施設などを訪れた入り込み客数の季節ごとの月平均人数は、冬季、これは十二月から二月でありますけれども二万二千人から四万四千人に、春季、三月から五月でありますが三万三千人から七万人、夏季、六月から八月でありますが四万八千人から九万二千人と、大きく増加しているわけであります。 今年度、先ほど申し上げましたように、南陽高畠インターチェンジから山形上山インターチェンジ間、東根インターチェンジから東根北インターチェンジ間が開通すれば、福島大笹生インターチェンジから東根北インターチェンジまでつながることになり、さらに効果が拡大すると期待されているところであります。 そこで、国土交通省の山形河川国道事務所と福島河川国道事務所、山形県さらには福島県と連携して「東北中央自動車道の利活用促進による地域活性化協議会」を立ち上げ、高速道路整備の進展により沿線地域にもたらされるストック効果と地域の取り組み状況をまとめたプロジェクトマップの作成や、先ほど申し上げました東北中央自動車道を活用した地域活性化シンポジウムの開催など、高速道路をより利活用し、地域づくり、地域活性化に生かそうとする取り組みをこれまで行ってきたところであります。 当協議会の構成機関となっている沿線自治体においても、各自治体ごとに、開通にあわせ、より利便性を高めるためのアクセス道路の整備などについて、懸命に事業計画を立て、その具現化に向けて努力してきているわけですが、山形県は各自治体とどうかかわり事業を進めようとしているのか、県土整備部長にお伺いいたします。 以上で登壇での質問を終わります。 ○副議長(小野幸作議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 玉木健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(玉木康雄君) おはようございます。私からは地域医療連携体制についてお答え申し上げます。 地域医療連携推進法人は、地域内の複数の医療機関における急性期と回復期の病床機能の分担や、参加人間での医師・看護師等の人事交流による人材の確保、医薬品の共同購入のほか、医療と介護の連携による切れ目のないサービスの提供を目指す制度として創設され、現在、全国で七つの法人が認定されております。 日本海ヘルスケアネットはその一つであり、医療法人に加え、地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会のほか、介護分野の社会福祉法人が参加していることが大きな特徴となっております。既に参加人間において医師や看護師等の医療従事者の人事交流が行われるとともに、後発医薬品いわゆるジェネリックの有効性や経済性、安全性を検討した上で積極的に活用する指針を策定し、地域で運用することなどの具体的な取り組みが進んでいるところです。 このほか、米沢市において、今後、米沢市立病院と三友堂病院の移転新築にあわせて、急性期と回復期の病床機能の役割分担や連携を進めるために、地域医療連携推進法人制度を活用していくことを検討しているとお聞きしております。 本制度は、地域医療構想を実現する上での有効な選択肢の一つでありますが、県内各地での展開に当たっては、それぞれの地域における医療機関の状況や医師の配置等の医療資源が異なることから、まずは地域における関係者間での十分な検討が必要になるものと考えております。 ことし一月に、全国の七法人が一堂に会し、各法人の取り組み状況や今後の課題等の情報共有を目的とした連絡会議が開催されました。県といたしましては、この連絡会議で共有された課題や日本海ヘルスケアネットにおける効果的な取り組み事例等、地域で検討する上での必要な情報について、二次医療圏単位で設置されている地域医療構想調整会議の場で提供するなどの支援を行ってまいりたいと考えております。 ○副議長(小野幸作議員) 平山商工労働部長。 ◎商工労働部長(平山雅之君) 私には二問御質問をいただきました。 まず最初に、企業商談会の現状と今後の進め方についてです。 県内企業が厳しい経営環境の中でも持続的に発展し成長していくためには、商談会等を利用して受注をふやし、新たな取引先を確保することが不可欠です。 そのため、県では、山形県企業振興公社と連携して、発注者と受注者の面談による大規模な商談会を県内で二回、首都圏でも山形・宮城・福島合同で一回開催しており、また、同公社の取引推進員の企業訪問による発注案件の開拓と県内企業へのあっせん、首都圏等における見本市、展示会への出展支援を行うなど、受注獲得のきっかけづくりを支援しております。その結果、山形県企業振興公社の仲介による成約件数は、昨年度、過去最高の三百二十五件となり、着実に成果を上げております。さらに、先日、山形市内で開催された山形県取引商談会は、発注者・受注者合わせて過去最多の四百二十九社が参加し、活発な商談が行われておりました。 今後の進め方については、山形県企業振興公社を中心に、東京、名古屋、大阪の県事務所、産業支援機関等と連携した受注情報の拡大を図り商談機会をふやすこと、生産現場の改善指導を強化し県内企業の品質・コスト・納期への対応力を上げること、工業技術センターの技術指導等による県内企業の技術力のレベルアップを図ること、単体の受注から複合加工やユニット化に対応できる共同受注に進展させること、産業支援機関のコーディネーター等による県内企業の提案スキルの向上と商談後のフォローの支援を行うこと、各自治体等が取り組んでいる商談会、取引あっせんにおいて山形県企業振興公社との連携を強化することなどにさらに力を入れていく必要があると考えております。 県としましても、今後とも、関係機関と連携しながら県内企業の商談機会をふやし、受注を拡大し、新たな取引先の確保につながるようしっかりと支援してまいります。 続きまして、高速道路を活用した企業誘致の取り組みについてです。 東北中央自動車道が福島から東根まで間もなく開通する予定となっており、宮城、福島の隣県ともつながることで、人・物の流れが大きく変わり、企業立地環境は飛躍的に向上することから、本県への誘致をアピールできる絶好の機会と捉えております。既に、高速道路整備に伴う物流や取引先とのアクセスの利便性向上を見越し、これまで米沢市等に企業が進出し、東北中央自動車道の沿線市において新たな産業団地の整備が進んでおります。 このように本県の立地環境が改善する一方で、人手不足感が高まっている中、今後の企業誘致につきましては、従来の雇用の場の確保のためだけではなく、新しい産業の創出という観点に立った誘致活動を積極的に進めてまいりたいと考えております。 具体的には、世界最先端の研究シーズの事業化を牽引する中核企業の誘致や大卒等の高度人材の受け皿と自然災害等のリスク分散のための本社機能、研究開発機能の誘致、すぐれた技術を持つ本県企業との協力関係を構築しながら県内で付加価値の高い製品を製造していくことができる企業の誘致などの考えに立った取り組みが大変重要であると考えております。 そのためには、人的ネットワークなどさまざまな手段を活用して企業の情報収集力を高め、本県企業等のすぐれた技術力や交通インフラ整備に伴う高い利便性、企業の要請に迅速かつワンストップで対応できる体制、さらには立地助成制度等に関するわかりやすいセールスツールを作成し、セールストークに磨きをかけながら、立地セミナーや戸別訪問などの際に本県立地の優位性を熱意をもって提案することが必要であると考えております。 県としましては、こうした考えに沿った取り組みを円滑に進め、活力ある企業の集積を図るため、市町村、産業支援機関、大学等との連携をさらに強化し、競争力と持続可能性の高い産業群の形成に向けてしっかりと取り組んでまいります。 ○副議長(小野幸作議員) 武田観光文化スポーツ部長。 ◎観光文化スポーツ部長(武田啓子君) 外国人労働者等の相談体制の整備についてお答え申し上げます。 本県では、現在、在住外国人への支援の一環として、山形県国際交流センター内に外国人相談窓口を設置し、英語、中国語、韓国語、タガログ語、ポルトガル語そして日本語の六言語で各種相談に対応しております。 このたび、特定の産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人に係る新たな在留資格の創設等を主な内容とした改正出入国管理及び難民認定が四月一日に施行されます。 県内の外国人労働者数は、平成三十年十月末時点で三千七百五十四人と、前年比五百三十三人の増加となっており、今回の改正により、県内の外国人労働者は今後ますます増加するとともに、御家族等も含め相談内容についても多岐にわたることが想定されることから、来年度、これまでの外国人相談窓口の機能を充実させ、外国人総合相談ワンストップセンターとして整備することとしております。 具体的には、多言語翻訳機の導入やプライバシーに配慮した相談環境の整備を進めるほか、近年、ベトナム人の技能実習生の増加が著しく、今後も増加が見込まれることから、これまでの六言語に加え、ベトナム語に対応できる相談員の増員など体制を強化するとともに、関係機関との連携強化を図ってまいります。 また、今年度商工労働部が実施しました外国人労働者の雇用実態に関するアンケート調査の結果、速報版ですが、これでは、行政に期待することとして、「外国人雇用に関する企業向け相談窓口の充実」が二四・五%と高い割合となっていることから、外国人を雇用する企業向けの相談窓口もワンストップセンターにあわせ備えることとしております。外国人雇用に係る専門的な知識を有する関係団体と連携しながら、センターでの相談に加え、個別企業への訪問等を含めて柔軟な形で対応していくこととしております。 県としましては、商工労働部初め関係部局が連携して、必要な情報について適切かつ的確に提供する態勢整備を図り、在住外国人が安心して山形県で生活ができ、また、企業が円滑に外国人を雇用できる環境づくりに努めてまいります。 ○副議長(小野幸作議員) 駒林農林水産部長。 ◎農林水産部長(駒林雅彦君) 私には四点御質問ございましたので順次お答え申し上げます。 まず、異常気象下での稲作における技術対応についてでございます。 昨年産の収量低下の主な要因といたしましては三つございまして、一つは田植え後の高温により土壌が酸欠状態になり生育が阻害されたこと、二つ目といたしまして七月の高温により稲の活力が失われ穂の数が減少したこと、三つ目といたしまして八月下旬からの日照不足により米の粒が細身になったこと、などが複合的に作用したものでありまして、これは、品種にかかわらず発生したものと認識しておるところでございます。 こうした中で、収量をある程度確保した生産者の取り組みを見てみますと、光合成を促進する珪酸資材や地力を高める堆肥などによる土づくり、育苗ハウス内のきめ細かな温度や湿度管理による丈夫な苗づくり、早目の水交換による酸欠状態の軽減などを確実に行っており、気象変動に負けない米づくりのためには、基本技術の重要性が改めて明らかになったものと考えているところでございます。 このため、生育や気象状況に応じた迅速な技術情報の提供、各地域での栽培講習会の開催により、地域の実情に応じた栽培管理を進め、異常気象下でも品質と食味、収量を確保できるよう、米づくり運動本部や各地域本部等と連携してしっかり取り組んでまいります。 あわせて、六月までに茎の数を確保するための水交換時期の検討や土壌改良資材等を活用した酸欠軽減技術の開発と現地実証を行い、対策技術の確立と普及に努めてまいります。さらに、九月以降に共済申告の判断材料として活用できるよう、もみのままで米の粒張りぐあいを予測する手法について、毎年、気象ともみの厚さ、粒張りなどのデータ蓄積と解析を重ねながら研究してまいります。 次に、県産米の高価格帯での販売戦略についてでございます。 トップブランド米つや姫につきましては、戦略的に生産量を拡大し、魚沼産コシヒカリに次ぐ高価格帯を維持しており、順調な販売状況となっております。また、雪若丸は、小売・卸売業者への調査結果などを見ますと、つや姫と同程度の価格で販売されている店舗も見受けられ、県内外で好調に販売が進んでおります。さらに、主力品種はえぬきは、業務用を中心に堅調な需要があり、相対取引価格も、米価が大きく下落した二十六年産米に比べ四千五百円程度高い水準で推移しております。 次に、生産の目安についてでございますが、需給と価格動向に加え、県産米の在庫量や生産・販売戦略等を踏まえて検討を進めてまいりました。県産米の販売価格、売れ行きは順調に経過しており、在庫量は、平成二十七年以降、他県産米を上回る水準で減少しております。また、全国の需要実績に占める県産米のシェアは平成二十五年から上昇し、近年は四・七%前後で推移しております。さらに、確実な需要が見込まれる複数年契約の数量が、二十八年産米の一千五百トンから、三十年産米、これは九月末現在の数値でございますけれども二万二千五百トンと、大幅に伸びている状況にございます。 こうした状況について、農業者代表、農業団体、集荷団体、市町村、学識経験者などと意見交換を重ねた結果、全国生産量についてはより価格安定に配慮した七百十八万トンを基本に置くこと、県産米シェアは従来の固定シェア四・五九%を改め需要をより的確に反映した四・七%とすること、そして、つや姫、雪若丸のブランド戦略に基づく生産量増加分やはえぬきなどの業務用米を含めた堅調な需要による増加分五千五百トンを加え、生産の目安は五千八百四十トン増の三十四万三千トンとしたところでございます。 今後の販売戦略の展開につきましては、まず、つや姫は、テレビCMを核としたPR等のこれまでの取り組みに加え、ことしデビュー十周年を迎えますことから、これまでのブランド化の道のりを振り返るとともに、一段と気を引き締め、今後、国内外でのさらなる飛躍に向けた機運の盛り上げを図る記念事業を行ってまいります。 また、雪若丸は、デビュー二年目となる新たなテレビCMの制作・放映を行うとともに、若者や県民によるSNS等の活用を通した情報発信・拡散に向け継続した話題づくりなどを行い、認知度をさらに高めてまいります。 さらに、はえぬきは、JAグループ等が行う各種プロモーションや米穀卸売業者への販売促進活動等と連携しながら、堅調な需要に的確に応え、販売量の拡大を図ってまいります。 次に、土地改良事業の推進についてでございます。 水田農業の競争力強化に向けた大区画圃場整備や農村の安全安心のための防災・減災対策を行う土地改良事業につきましては、本県農業農村の持続的発展に不可欠な取り組みとなっているところでございます。 県内における大区画圃場整備は、現在、四十二地区で実施中でございまして、平成二十九年度実績見込みの整備面積は三千四百三十八ヘクタールとなります。第三次農林水産業元気再生戦略の三十二年度目標に対しての進捗率は八六%と、着実に整備を進めております。 具体的な成果として、村山市西郷名取地区では、大区画化率が九三%となり、十アール当たりの労働時間は約三分の一となるなど、大幅に縮減されております。ここで生み出された労働時間は、アスパラガス等の高収益作物の導入や里芋収穫体験ツアーの開催など、農業者の所得向上や地域振興のための新たな取り組みとして有効に活用されております。 県としては、引き続き必要な予算確保に努め、計画的に大区画圃場整備を推進してまいります。 また、中山間地域の圃場整備については、飛び地など農地が分散している団地の整備や、耕作放棄地を解消し発生防止を図る整備など、中山間地域の実情に合った制度を活用し、現在十五地区で実施しております。県としては、今後、農地中間管理機構と連携し、農地の集積・集約化に応じて農家負担を軽減できる制度を積極的に活用し、引き続き中山間地域の特性に応じた圃場整備を進めてまいります。 次に、ため池の整備につきましては、これまで一千八十三カ所を対象に老朽化に応じて改修を進めてまいりましたが、昨年八月の豪雨により、鮭川村のため池の水が堤体を越流し、住民が避難する事態が発生したところであります。これらを踏まえまして、現在九十一カ所ある防災重点ため池の数を規模の大小にかかわらず下流への影響が大きい三百九十二カ所に見直すべく、市町村の意見を聞くなどして精査を進めております。 今後は、政府の「防災・減災、国土強靭化のための三か年緊急対策」を活用し、優先的に防災重点ため池の整備を進めるとともに、監視・管理体制を強化して、ため池の安全対策に万全を期してまいります。 次に、園芸大国やまがたの推進についてでございます。 本県の平成二十九年の園芸部門の産出額は、過去最高の一千二百六億円に達し、農林水産業元気再生戦略の取り組みが始まった平成二十一年から四〇%以上の伸びとなりました。この流れを加速し、担い手農家の所得向上を図るため、昨年度から大規模園芸団地の形成を図っており、現在、各地域の課題に応じて構成した支援チームのサポートにより、計画を上回る十二地区で順次整備を進めているところであります。 本県は、園芸作物に不向きな粘土質で排水の悪い圃場が多いことから、暗渠などの排水対策が重要であり、十二地区のうち、村山市拝見地区のスイカ団地など九地区で水田畑地化事業や基盤整備事業等を活用し、圃場条件を整備しております。 大規模園芸団地の形成は、スケールメリットによる生産拡大にとどまらず、設備投資の効率化、大口取引による有利販売、新規就農者等への円滑な技術承継などの効果が期待できますが、これらの実現には、集約化された圃場と作物がしっかり育つ圃場条件が不可欠でございます。 今後も、地区の合意形成から営農までを総合的にサポートする支援チームの中で、園芸振興と圃場整備の連携を密にし、収益性の高い大規模園芸団地の形成を進めてまいります。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた県産農産物の供給の対応につきましては、これまで、米やスイカ、アスパラガス、ブドウなどの生産者・組織が食材調達基準を目指すGAPの認証を取得しております。 今後、選手村の飲食提供事業者や流通関係者等に県内生産者・組織の取り組み状況を紹介する産地見学会や商談会を開催するなど働きかけを強化するとともに、より多くの県産農産物を供給できるよう、メロンや枝豆など本県の夏場に生産される品目について、市町村やJAグループ等と連携してGAP認証取得を支援してまいります。 ○副議長(小野幸作議員) 角湯県土整備部長。 ◎県土整備部長(角湯克典君) 東北中央自動車道の整備促進とICアクセス道路整備等によるストック効果と地域活性化についてお答え申し上げます。 昨年十一月に、国土交通省から、東北中央自動車道の福島大笹生インターチェンジから米沢北インターチェンジ間開通後一年間の整備効果などが公表されました。これによりますと、県境区間の交通量や東北中央自動車道等を経由した来訪者数の増加、移動圏域の拡大のほか、道の駅「米沢」来訪者の福島県や関東エリアからの割合が増加しているといった効果が示されております。また、道の駅「米沢」の来場者の県内各観光地への周遊効果もあらわれております。 これらは、「東北中央自動車道の利活用促進による地域活性化協議会」の事務局である県が高速道路のストック効果を取りまとめたプロジェクトマップを沿線各自治体と共有することで、各自治体がこれを参考として取り組まれ、利活用が図られた成果でもあると考えております。 今後、南陽高畠インターチェンジから山形上山インターチェンジ間、東根インターチェンジから東根北インターチェンジ間の開通が予定されているところであり、利活用の取り組みをさらに進化させ、ストック効果を上げてまいりたいと考えております。 一方、高速道路の利便性をより高めるため、県や沿線自治体において、高速道路への効率的なアクセスを確保する追加インターチェンジや、インターチェンジと市街地や産業団地などを短時間でスムーズに結ぶインターチェンジアクセス道路の整備を進めているところです。 このようなアクセス道路等の整備は、国土交通省においてインターチェンジアクセス道路補助事業や社会資本整備総合交付金の重点配分対象事業として支援する方針が示されており、県では、これらの事業が採択されるよう沿線自治体に対し助言を行い、重点的な予算配分をいただきながら高速道路の進捗にあわせた事業推進を図っているところです。 県としましては、高速道路の整備を地域活性化につなげるため、引き続き沿線自治体など関係機関と連携して、利活用の促進やアクセス道路整備などによる利便性向上の取り組みを推進してまいります。 ○副議長(小野幸作議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時十五分再開いたします。     午前十一時五分 休憩     午前十一時十五分 開議 ○副議長(小野幸作議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 十二番菊池文昭議員。 ◆12番(菊池文昭議員) 公明党の菊池文昭です。今定例会一般質問の機会をいただきましてまことにありがとうございます。質問が多岐にわたっておりますので早速質問に入ります。 初めに、認知症対策についてお伺いいたします。 世界に類を見ないスピードで高齢化が進む我が国において、認知症の人は年々ふえ続けております。平成二十七年の推計で約五百二十五万人であったものが、平成三十七年いわゆる二〇二五年には推計で七百万人を突破すると見込まれております。認知症は、誰でも発症する可能性があり、誰もが介護者となり得るために、認知症施策の推進は極めて重要であります。 認知症施策の推進に当たっては、認知症と診断されても尊厳を持って生きることができる社会の実現は重要であり、当事者の意思を大切にし、家族や関係者も寄り添っていく姿勢で臨むことは大事であります。また、若年性認知症など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題にも踏み込んでいく必要があります。さらに、認知症施策に関する課題は、今や、医療・介護だけではなく、地域づくりから生活支援、教育に至るまで多岐にわたっております。 県では、山形県認知症施策推進行動計画を策定するなどさまざまな認知症施策の展開を進めており、その理解や周知・予防について、地域やボランティアなど、その活動を支援しており、これからさらに増加するであろう認知症対策に取り組んでいただきたいと思います。 また、自治体を初め企業や地域が力を合わせ認知症の人やその家族を支える社会を構築するため、愛知県などでは認知症施策を総合的かつ計画的に推進するための条例を制定していると聞いております。本県も早期に条例を制定するべきと考えますが、条例化については今後の検討課題としながらも、認知症診断直後は、相談できる人がいないといった人が多く存在しており、診断直後の空白期間が生じないように、本人が必要とする支援や情報に接することやつながることができるよう、認知症サポーターの積極的な活用やガイドブックを作成することによる支援体制の構築を図ることが必要でもあります。 また、若年性認知症の支援については、若年性認知症支援コーディネーターの効果的・効率的な活動を推進するため、これまで以上にコーディネーターに対する研修など支援体制を整備するとともに、本人の状態に応じた就労継続や社会参加ができる環境の整備を進めることも必要であります。 そこで、本県における認知症施策の現状と課題についてと、それを踏まえどのような認知症施策を展開していくのかを健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、高齢者免許証更新時等の医療職配置の効果についてお伺いいたします。 高齢ドライバーの認知機能チェックを強化する改正道路交通が平成二十九年に施行されました。状況を正しく理解して適切に対応する認知機能の低下を早期に発見し、七十五歳以上の運転者に対して検査の機会をふやして事故を未然に防ぐ狙いであります。ただ、受診者の増加に対応する医師の確保や制度の周知方法などの課題も指摘されております。 改正道交の施行によって、七十五歳以上の運転者は、三年に一度の免許証更新時の認知機能検査に加え、信号無視や逆走など特定の違反行為をした際も臨時の検査を受けることが義務化されました。検査で認知症のおそれがあると判断された場合、医師の診断を受けなければならず、医師に認知症と診断されると、免許は停止や取り消しになります。 改正の背景には、高齢ドライバーによる事故の増加があります。団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年まで高齢ドライバーがふえ続けます。高齢ドライバーのうち、認知症や病気により運転を続けることに不安のある方などに、現在、県では、総合交通安全センターに医療系の専門職員を配置し、本人の病状等を把握した上で適切にアドバイスできる相談体制の向上に取り組んでいることについては高く評価するものであります。 その運用状況や相談状況と進める上での課題、一年を経過した上での新年度への取り組みについて警察本部長にお伺いいたします。 次に、県と市町村の連携についてお伺いいたします。 本県に限らず、少子高齢・人口減少社会への対応は待ったなしであります。特に高齢の県民の皆様から多く寄せられるのは、「交通手段がなく病院や役所に行くのにとても苦労している」「ことしの山形市は積雪は少ないが、例年除雪車が通った後の除雪や排雪が大変だ」「若い人がいないので買い物する手段がない。移動販売車でも来てくれれば」「近くにガソリンスタンドがなくなってしまった」など、生活に密着した課題を解決してほしいとの声が多くあります。食品スーパーが近くになかったり、バス路線がなかったりと、地域ごとに抱える課題は違います。 さきの高齢者等の運転に不安のある方の免許証返納への取り組みは、大事な県の施策でありますので進めていただきたいと思います。一方において、自家用車がなければどこにも移動できず、地域公共交通が充実していないことから返納したくても返納できず、やむなく乗っているとの声も聞かれます。そのようなことから、地域公共交通の充実や、高齢者が使いやすい交通のあり方へのインセンティブもセットで提案されるべきであります。しかし、民間事業者や地域、基礎自治体の力だけでは解決できない課題であり、高齢化や人口減少に社会基盤が追いついていない状況になっているものと思います。 一昨年の年末に酒田市では、高齢者の買い物支援「とくし丸」が移動販売を始めました。毎週二回、決まった曜日と時間にお肉や総菜、日用品などを載せて自宅前まで来ます。あわせて、高齢者の見守り活動で買い物支援プラス福祉的支援を行っております。高齢者からは「楽しみがふえた」との声もいただいているとのことであります。いろいろと選べるお買い物は楽しいものであります。 高齢化や人口減少、少子化における課題はさまざまでありますが、市町村だけでは解決できない課題もあります。県だけでも解決できない問題も、それぞれが連携することにより解決の道が見えてくるものと思います。 そのような中、昨年三月に「山形県 県・市町村連携推進方針」が示されました。県内自治体の抱える課題や問題を連携して解決しようとする取り組みであります。地域公共交通の確保や買い物支援に限らず、移住・定住対策や災害対応業務などについてのニーズが寄せられていると聞いておりますが、この県・市町村連携推進方針に基づき、これまでどのような取り組みを進めてきたのか、また、新年度はどのような取り組みを進めていくのかをあわせて企画振興部長にお伺いいたします。 次に、地域防災力の向上についてお伺いいたします。 自然災害に対する住民の安全確保と地域防災力の向上は重要であります。国には防災基本計画があり、自治体には自治体が立てる地域防災計画があります。さらに、町内会や自主防災組織等の地域コミュニティーや、企業などが災害時の避難方法などをみずから立案する地区防災計画があり、地域の特性に応じ、地区の範囲や活動について柔軟に規定できる制度となっております。 災害発生時には自治体や消防の公助が行われますが、より減災に大きな役割を担うのは自助であり、共助であります。この視点に立てば、市町村よりも小さな地域コミュニティーでつくる地区防災計画の必要性が浮かび上がってきます。しかし、本県を含めて、全国的に地区防災計画の策定は進んでいないと伺っております。今後、各地域で地区防災計画の策定を進めることが市町村全体の災害対応力の向上につながるものと考えますので、本県においても周知啓発や策定への支援を行っていくことを提言いたします。 昨年八月、九月と続いた最上地域・庄内地域北部を中心とした集中豪雨災害や落雷等による停電、置賜地域では渇水状態が続きました。全国的にも、九月の台風二十一号の上陸による関西空港の閉鎖や、北海道胆振東部地震による日本で初めてのブラックアウトの発生により、地域住民の生活に多大な影響が出ました。 災害の多い我が国、その中で本県は比較的少ない県と言われておりますが、危機管理意識の向上は重要であります。県と市町村が策定している地域防災計画では、さまざまな災害を想定し、災害発生時の避難や救援の計画などが定められておりますが、昨年夏の短期集中豪雨の際の避難指示・避難勧告が発令された住民の行動や状況はどうであったのか、自主防災組織の活動や防災訓練は生かされていたのか、指示や勧告のあった住民の間に「うちは大丈夫だろう」との危機意識の欠如はなかったのかなど検証すべきと考えますがいかがでしょうか。 県は、新年度より「やまがた防災力向上加速化事業」を新規に予算化しておりますが、どのようにして地域の防災力を向上させる取り組みを行うのかもあわせ危機管理監にお伺いいたします。 次に、医療的ケアを要する児童生徒等への支援策についてお伺いいたします。 初めに、たんの吸引が必要な子供の医療的ケア児を支えている家族の例を示します。 学校や病院などに送迎するための移動には大きな負担が伴います。自家用車での移動では、頻繁に車をとめてケアしなければなりません。そのため車を容易に停車できる道を選んで走行し、薬や吸引器、電源等の大きな荷物を積んで、あらゆる事態を想定しながら、子供に目配りしながらの移動は困難を伴うとのことであります。 また、ある家族は、人工呼吸器を装着している子供を抱え、夜間のモニターチェックは欠かせないのですが、慢性的な睡眠不足からついうとうとしてしまい、気がついたら子供が心肺停止状態となっており、その後の処置で辛うじて一命は取りとめたものの、いまだ後遺症が残り、自責の念が消えることはないとのことであります。支える家族の負担は大きく、毎日が不安でいっぱいであるとの声も聞きました。 医療的ケア児等への支援策については、これまで予算特別委員会や関係委員会で議論がなされてまいりました。その施策を展開する上での範囲は、医療・福祉・教育・行政など幅広い分野にわたっており、関係部局が連携して取り組むことが必要であります。 去る二月十四日に県医療的ケア児支援会議の初会合が開かれ、新聞報道によりますと、県は医療機関や県立こども医療療育センターを初め医療的ケア児の診療を行っている病院に協力を依頼し初の実態調査を行うこととしております。また、支える家族のケアの状況や教育・保育の環境、在宅での医療サービスの有無などを把握するなど、これまで以上に臨場感のある調査がなされることを期待するとともに、抱える課題の解決に結びつく会議にしていただきたいと思います。 私は、昨年十二月十六日に、一般社団法人全国重症児デイサービス・ネットワークが赤い羽根福祉基金の助成を受けて山形市内で開催された研修会に参加いたしました。遠くは青森県からの参加者もあり、午前は講演が主であり、午後は実践研修と、百五十名以上の参加者がありました。医療・教育・福祉・行政による地域での連携が重要であり、特に、行政がネットワークの中心となり関係機関や団体の調整役としての機能を発揮することが大事であるとの講演者の発言に参加者は大きくうなずいていたことが印象的でありました。 医療のプロである医師、看護師等と家族や支援する人、支える人やお世話する人が一堂に会して研修や講義に参加し、実践的に医療的ケア児を支援することの人的充実を目指すことはとても意義があります。医療的ケア児の環境整備はこれからであります。 県は、新年度に、医療的ケア児が安心して生活できる支援体制の構築に要する予算として七千二百万円を計上しておりますが、当事者や支える家族の負担が軽減され、さまざまな課題の解決につながるよう期待しております。 具体の取り組みや方針などについてお聞きいたします。 これまで支えてきた方々への安心メッセージとなるような答弁を健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、指定管理者制度についてお伺いいたします。 平成十五年九月に地方自治の一部を改正する法律が施行になり、公の施設の管理に指定管理者制度が創設されました。それまでは県または県の出資法人等に限られていた公の施設管理運営に、民間事業者等の団体のノウハウが活用できるようになりました。施設運営に最も適した団体等が管理運営することにより、住民サービスの一層の向上、行政経費の削減、地域の活性化につながる効果が期待されております。 山形県では、平成十八年四月からこの制度を導入し、平成三十年四月一日現在では、百六十七ある施設のうち百三十五施設に導入しており、山形県行財政改革推進プランでの目標指標は平成三十二年度には八二%であるのに対して、平成三十年四月現在では八〇・八%と、東北六県の中でも高い状況であると聞いております。制度の趣旨も理解され、おおむね順調に導入が進んでおります。 さて、注目すべき点は、実施後の費用対効果や、サービスの向上と地域活性化にどのように貢献できたかであります。 そこで伺いますが、一つ目として、指定管理者制度を導入しての県民サービスの向上にどのようなものがあったのか、二つ目、行政経費の節減や地域活性化についてはどう貢献できたと評価しているのか、三つ目、今後の導入計画をどのように進めていくのかを総務部長に伺います。 さらに、今回の山形県総合文化芸術館文化機能における指定管理者の候補者の選定に当たっては、応募した二団体について、総合的な審査と評価の結果として、選定基準ⅠからⅣまでの合計点が低かった団体のほうが選定される形になりましたが、公平性や透明性の観点から県民には少しわかりにくいと感じております。 また、これまでの評価点と審査結果が逆転したのは今回が初めてと聞いております。総務部で制度運用の全庁的指針であるガイドラインを定めているとのことですが、選定手続についてどのように定めているのか。 加えて、選定委員の人選について、指定管理者審査委員会における女性の数が一名となっております。この審査委員会のみならず、女性の意見が多く反映されることが望ましいと考えますが、今後の委員選定に際しての女性登用への考えを伺います。 以上合わせて五点について総務部長にお伺いいたします。 次に、住宅セーフティーネット施策についてお伺いいたします。 平成十九年に制定された住宅セーフティーネットが平成二十九年十月に改正され、空き家等を住宅の確保が困難な高齢者や低所得者、障がい者、子育て世帯向けの賃貸住宅として登録し、質の高い賃貸住宅を優先的に供給できるようになりました。 さきの改正は、家主が保有する空き家・空き室を住宅の確保が困難な方のための賃貸住宅として都道府県に登録し、入居する際、国などが最大月四万円の家賃補助を行う内容となっており、賃貸契約の際に必要な家賃の債務保証料も最大六万円補助し、月収十五万八千円以下の世帯が対象であります。また、住宅に対しては、バリアフリー化や耐震改修の費用を国などが一戸当たり最大二百万円補助し、円滑な入居を促すため、NPO法人や自治体、不動産関係団体で構成する居住支援協議会の機能を拡充し、NPO法人などが住宅情報の提供や入居相談に応じるとともに、家賃の債務保証などのほか、見守りサービスの紹介も行うものとなっております。 改正の背景の一つとして、高齢や生活困窮などを理由に民間賃貸住宅への入居を断られるケースが少なくない点が挙げられ、平成二十七年の公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査では、民間賃貸住宅の家主の七割が高齢者の入居に拒否感があると回答し、入居制限の理由として、家賃の支払いに対する不安が六割と最も多かった点が挙げられます。 一方、人口減少などにより、全国の空き家は約八百二十万戸を数え、そのうち賃貸住宅は約四百二十九万戸に上ります。低所得高齢者らの居住支援に積極的に取り組む自治体やNPO法人の例では、神奈川県川崎市では、平成十二年に全国に先駆けて居住支援制度を創設し、連帯保証人を確保できず入居を拒否される高齢者や障がい者らを支援しています。 この制度は、借り主が市指定の保証会社と契約を結び、月額家賃に共益費を加えた額の三五%を二年分の保険料として支払えば、借り主が家賃を滞納したときや死亡時に保証会社が家賃など費用の一部を立てかえ払いする仕組みであります。万が一、保証会社が借り主から立てかえた費用を回収できなかった場合は、市が保証履行額の二分の一を補助し、保証会社が間に入ることで家主が安心して契約を結べるようになっております。さらに川崎市は、借り主が病気や事故に遭った場合には、関係団体と見守り支援を行い、福祉サービスなどにつなげて入居後の支援も行っております。 一般財団法人高齢者住宅財団の元理事長高橋紘士氏によれば、「空き家などを活用する制度の創設は住宅の確保が難しい高齢者らにとって追い風になり、家主の中には民生児童委員など地域に貢献している人も多いことから、新制度を空き家の単なる再活用と捉えるのではなく、新たな住民をコミュニティーに迎え入れることで地域がより活性化するという視点で考えてほしい。また、実際に入居相談に応じる居住支援協議会の存在が重要となる。ぜひ市区町村単位での設置が進むようお願いしたい。同協議会が地域で機能するために、住宅政策と福祉行政の連携だけではなく、地域の実情をよく知る民間賃貸事業者や生活支援を行うNPO、社会福祉法人との協働にも期待したい」と発言しております。 その上で、「高齢者がフレイル状態に陥らず長く地域で生活を送るためには、社会関係が豊かであるかどうか、非常に重要であり、住まいの確保と同時に、居住を継続させるためには見守りや気配りといったさまざまな住まい方の支援を充実させるべきだ」と指摘しております。 そこで、本県のセーフティーネット住宅の設置状況とあわせ民間賃貸事業者の理解促進等への取り組み状況をお聞きするとともに、地域での支えや見守り等への取り組みについての考えを伺います。 また、県営住宅入居条件である保証人制度については、さまざまな人間関係の変化や高齢化の状況等への対応が求められているため、現行の保証人制度と並行しながら、家賃債務保証会社も積極的に活用すべきであると考えますがいかがでしょうか、県土整備部長にあわせてお伺いいたします。 最後に、内水面養殖業の振興についてお伺いいたします。 世界的に海面漁業からの漁獲量は頭打ちであり、これからの水産資源として注目されているのが海面・内水面養殖業であります。特に、内水面においては、川の水や地下水を水源とするこれまでの養殖では高効率化が望めないため、飼育水を循環させるなど効率のよい内水面養殖業が重要となってくるものと思います。 海面でマグロを一キロ太らせるのに生きた魚を餌にした場合は十五キロ必要であり、ブリは六キロ、タイは五キロと言われております。一方、淡水魚であるニジマスは、五百グラムにプラスして大豆たんぱく質等の飼料で賄うことが可能であり、加えて、最新式の水槽では従来の六倍の生産が可能となっております。水と電気と餌があればどこでも養殖が可能であり、昨年九月に国内最先端の技術開発に取り組んでいる福島県西郷村の林養漁場を訪問し、林会長からその取り組みについて二時間半ほど話を伺いました。 林養魚場は、昭和十年に創業し、カナダのカムループス地方原産のニジマスを日本で初めて輸入し商品化を始め、西郷村では四カ所の養殖場を持ち、阿武隈川の清涼な水を使って養殖したサーモンを、和洋問わず食事に合う食味が特色のメイプルサーモンとして販売しています。カナダ、ノルウェー、フランスなどの最新機械装置を導入し、日本の養殖に合う機種を探しながら、国内では、愛知渥美半島で年間二百五十トン、鳥取では七百五十トン、いわきでは二百トンのサケ・マス類の養殖を行っています。 現在、林養魚場が開発したシステムでは、卵から八割から九割が成魚になる技術を確立し、これまで一立方メートル当たり二十キロが限界であったものを百二十キロまで可能にしたとのことであります。これから北陸、中部、九州に新工場建設を考えているようであります。社員の育成については、明るく・楽しく・元気に、夢がある、そしてもうかる養殖場を目指しているそうであります。昨年は四名の新規大卒者を採用しております。元気にもうかっているようであります。 そこで、本県でももうかる内水面養殖業を目指すに当たって、これまでどおり量を目指していくのか、また、少量でも質を求めていくのか、その方向性についての考えをお聞きします。 また、山形県の御当地サーモンとなるであろう大型のマス、仮称・ニジサクラは、産卵期でも食味の低下が少ないとされております。現在の生産状況や正式ネーミングの決定などのスケジュール感はどうか。 全国的には後発であるがゆえにインパクトのある商品化を期待いたしますが、その取り組み状況について農林水産部長にお伺いいたし、壇上での質問を終わります。 ○副議長(小野幸作議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 大森総務部長。 ◎総務部長(大森康宏君) 私には指定管理者制度について五点御質問いただきましたので順次お答え申し上げます。 指定管理者制度は、公の施設の管理について、民間事業者等が有するノウハウを活用することで、多様化する住民ニーズに応え、施設の効果的・効率的な運営を目指すものであり、本県では平成十八年度から導入を開始し、現在は百三十五施設に導入しております。 まず、県民サービスの向上については、例えば自然博物園における館内展示の充実、郷土館--これは文翔館のことですが、これや、県民の森、酒田北港緑地展望台における利用時間の拡大、県体育館、武道館における料金設定の細分化や割引制度の設定など、施設利用者の満足度や利便性の向上が図られております。また、あかねケ丘陸上競技場における熱中症予防のためのテントやミストシャワーの設置など、利用者の安全安心の確保に向けた取り組みもなされているところであります。 次に、行政経費の節減や地域活性化の点では、制度導入時に県で示した指定管理料の上限額と指定管理者の提案額の差額を計算した結果、これまでに指定管理者が決定したものの累計額で約八十一億円に達しており、一定の経費節減効果があったものと認識しております。 さらに、地域活性化の面においても、例えば県営住宅では県内各地の住宅の修繕業務を地元企業へ委託しており、県民ゴルフ場では地元のお土産品や入浴施設の利用券を販売するなど、地元経済の活性化に向けた取り組みが行われております。また、最上川ふるさと総合公園では、地元住民と公園の清掃や花植えなどを行い、酒田プレジャーボートスポットでは幼稚園児とともにヒラメの稚魚を放流するなど、地元と連携したイベントの開催を通じたにぎわい創出などの効果も得られているものと認識しております。 三点目に、今後の指定管理者制度の導入につきましては、未導入施設が三十二ございますが、これらについて、施設のあり方や導入効果を十分考慮しながら、県民サービスの向上や行政経費の節減、地域活性化の視点に立ち、制度導入について引き続き検討してまいりたいと考えております。 四点目に、指定管理者の候補者選定手続であります。候補者の選定に当たりましては、総務部で策定しております「指定管理者制度導入手続き等に係るガイドライン」により、選定基準に基づいて事業計画書等の内容を審査・評価し、部局長が候補者を選定するに当たり必要な意見を提供するため、施設の所管部局ごとに指定管理者審査委員会を設置しております。 具体的な審査においては、最も適した候補者を選定するため、選定基準に基づく各申請者の得点を参考の上、住民サービスの向上、行政経費の節減、さらに、施設の特性に応じて、地域の活性化や雇用の確保、管理運営の安定性など、よりよい地域社会を形成する観点を含めて、総合的に審査及び評価することとしております。部局長は、審査結果を尊重しながら候補者を選定し、知事の決裁を得て候補者を決定することとしております。 なお、審査委員会は、施設所管部の県職員及び総務部選任の共通外部委員、必要に応じて所管部局が選任する外部の有識者委員により構成することとしておりまして、共通外部委員及び外部の有識者委員の総数すなわち外部委員の総数を構成員の半数以上とすることとしております。 最後に、審査委員会への女性委員の登用につきましては、山形県総合文化芸術館に係る審査委員会の委員は八名、その内訳は、共通外部委員三名、外部の有識者委員二名、県職員三名であり、うち女性委員は共通外部委員の一名となっております。 これまで共通外部委員につきましては、審査の公正性の観点から弁護士、申請団体等の財務状況の健全性の確保の観点から公認会計士、適切な施設経営の確保と住民サービス向上の観点から大学教授などの学識経験者を選任しておりますが、六名中一名と、必ずしも女性委員の選任が進んでいない状況となっております。 指定管理者制度の円滑な運用を図るためには、女性の視点を生かした助言や評価が必要でありますことから、今後、委員の選任に際しましては、共通外部委員を含めて、積極的な女性登用に努めてまいります。
    ○副議長(小野幸作議員) 中山企画振興部長。 ◎企画振興部長(中山正弘君) 私からは県と市町村の連携についてお答え申し上げます。 高齢化を伴いながら人口減少が進展する中、特に小規模町村を中心に、買い物や地域公共交通など地域住民の生活を支えるさまざまなサービスの安定的・持続的な提供が大きな課題となっております。 こうした状況を踏まえ、平成二十九年度、県と市町村の連携に関する調査を行い、その結果をもとに、市町村と一緒になって、県・市町村連携推進方針を策定いたしました。また、買い物支援、若者の定着・回帰、専門的・技術的分野の支援充実、離島振興の四つのテーマについて、それぞれ県と市町村とでワーキングチーム等を設置し、具体的な取り組みについて検討を行ったところです。 これらを踏まえた今年度の主な取り組みとしては、買い物支援では、県と市町村の連携のもとに、地元商店が行う移動販売や、地域住民によるコミュニティーセンターにおける定期市いわゆるマルシェの開催、介護事業所等に通う住民が市内のスーパー等において歩行訓練を兼ねて買い物をする取り組みなど、地域づくりや商業、福祉などの分野を横断した取り組みが各地で展開されております。 また、土木や農林等の技術支援については、昨年八月の豪雨災害に際し、最上・庄内地域の市町村へ延べ三百五十名を超える県の技術職員を派遣し、災害復旧を支援したところです。こうした実績も踏まえ、土木、農林、水道、保健等の県の専門職員による市町村への支援事例を初め、相談窓口や支援手続等を取りまとめたガイドブックを今年度中に作成することとしております。 さらに、昨年五月に実施した二回目の連携調査を踏まえ、新たに地域の除排雪やICTの活用促進など四つのテーマについて検討を進めてまいりました。 これまでの取り組みや検討を踏まえ、来年度は、オール山形で移住定住・人材確保策を一体的に展開する中核組織の設立に向け、県と市町村による先行組織を設置して、首都圏や県内の移住や就業に関する相談やコーディネート機能を強化するなど、移住や就業の支援策を積極的に展開することとしております。 また、いきいき雪国やまがた基本条例の制定を機に、新たに市町村の総合的な雪対策を支援する交付金の創設やGPSを活用した道路除排雪システムの導入、さらには市町村の共同による情報システムの構築、自治体クラウドでありますが、こちらを進めてまいります。 今後とも、このような取り組みを全県へ普及・展開するなど、地域の課題解決に向け、県と市町村とのさらなる連携を推進してまいります。 ○副議長(小野幸作議員) 佐藤危機管理監。 ◎危機管理監(佐藤仁喜弥君) 私からは地域防災力の向上についてお答え申し上げます。 昨年八月五日、六日及び八月三十日から九月一日の大雨では、多くの市町村が避難勧告・避難指示を発令いたしましたが、指定避難所への避難は合計五千八百三十一人で、居住人口の数%と低い状況にありました。七月に発生した西日本豪雨における各種調査におきましても同様の結果であり、避難情報が実際の行動に結びついていない要因といたしまして、夜間のため外出できなかったことや、避難指示・避難勧告などの避難情報の意味や危険度が浸透していないことなどが挙げられており、避難情報の発信側と受け手側双方に課題があると捉えております。 また、県では、新たに県・市町村防災対策連携会議を十一月に開催し、県や市町村の対応について、振り返りや見直すべき点など検証や意見交換を行いました。自主防災組織について、避難の声がけや自主的な避難所開設など、日ごろの活動や訓練が生かされた組織があった一方で、十分に機能しなかった組織もあり、大雨や地震など災害の状況に応じて対応できるよう、より実践的な訓練が必要と考えたところであります。 これらの課題等に対応するため、地域防災力の向上を目指し一体として推進している自助・共助・公助の取り組みに加え、新たに「やまがた防災力向上加速化事業」に取り組んでまいります。具体的には、被害を最小限にとどめる減災を進める上で、避難勧告や避難指示、気象警報等が発令された場合、地域にどのような危険が迫っているのか、また、どのような準備や行動が最善かなどについて、多くの県民の方から夜間の緊急対応も含めて御理解いただくことがとりわけ重要であることから、自助を促進する取り組みといたしまして、防災知識の習得や楽しみながら体験する機会をふやすため、各種イベントと連携した防災出前講座の開催など防災教育の充実を図るとともに、啓発活動を推進してまいります。また、自主防災組織のリーダー等を対象に、ハザードマップを活用して地域の災害特性を踏まえた図上訓練や、性別等に配慮した避難所運営の訓練など実践的な研修を行い、共助の充実につなげてまいります。 公助を推進する取り組みといたしましては、災害の状況や被災場所の情報等を迅速に収集・共有するため、総合支庁へのモバイル端末の配備や防災情報システムの改善を行うとともに、県・市町村の防災担当職員を対象に実践的な研修を実施し、スキル向上を図ってまいります。 今後とも、地域防災力の向上を図り、「災害に強い山形県」の実現を目指して取り組んでまいります。 ○副議長(小野幸作議員) 玉木健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(玉木康雄君) 私には二点御質問いただきました。順次お答え申し上げます。 初めに、認知症対策についてお答え申し上げます。 本県の認知症高齢者は、平成二十七年度時点で約五万九千人と推計されており、今後も、後期高齢者の増加により、その数はますますふえることが予想されております。 全国的に見ても、介護の負担増に伴う虐待や、さらには交通事故、行方不明事案など認知症高齢者等をめぐる多くの事件・事故等が発生し、社会問題にもなっており、社会全体で認知症高齢者等を取り巻くさまざまな課題に対応できる環境を構築していくことが急務となっております。 このため、県では、平成二十七年度に県独自の取り組みとして、東北初となる山形県認知症施策推進行動計画を策定し、三つの基本目標を掲げ、認知症対策に取り組んでおります。 一つ目の「認知症の正しい知識の普及促進」では、認知症の方や家族を温かく見守る認知症サポーターを二〇二〇年度末までに十五万人養成することとしております。昨年十二月末までに約十三万人が養成され、県内各地で見守り活動などにかかわっていただいているサポーターもふえているところですが、今後は、そうしたサポーターの活動支援も積極的に行いながら、目標達成に向け取り組みを進め、認知症に対する地域の理解を深めてまいります。 二つ目の「医療と介護分野の対応力の向上及び連携の強化」では、認知症に係る相談・診断・治療に一元的に対応できる認知症疾患医療センターを県内四カ所に設置しているところですが、来年度新たに村山地域に一カ所増設し、総合的な支援体制を強化してまいります。また、かかりつけ医や看護師などの医療従事者や介護職員の認知症への対応力向上を図る研修を実施し、医療と介護両面の視点を持って適切なケアを行える人材の育成確保に取り組んでまいります。 三つ目の「認知症の人と家族にやさしい地域づくり」では、認知症に係る相談・交流の拠点である「さくらんぼカフェ」において認知症の方や御家族の相談対応や交流会を実施するとともに、若年性認知症支援コーディネーターを配置し、医療機関の受診や経済的な相談など、若年性認知症の方が抱えるさまざまな問題にワンストップで応えるきめ細かな相談体制を整えております。 なお、認知症施策の推進につきましては、政府において、今後、認知症施策に関する新たな大綱を取りまとめ、骨太の方針などの政府の方針や予算などに反映する予定と聞いております。 県といたしましては、引き続きこの行動計画の着実な推進に努めていくとともに、政府の動向なども注視しながら、認知症になっても安心して生活できる地域社会の実現に向け取り組んでまいります。 続きまして、医療的ケアを要する子供への支援についてお答え申し上げます。 医療技術の進歩等を背景として、いわゆる医療的ケア児が全国的に増加している状況にあります。本県においては、昨年三月に市町村に聞き取り調査を実施し、約百二十名を把握しております。 医療的ケア児については、ライフステージに応じて、保健・医療、障がい福祉、保育・教育、行政など、幅広い分野の関係機関が連携して対応することが必要であることから、県では、去る二月十四日、それぞれの関係者が一堂に会する山形県医療的ケア児支援会議を立ち上げました。医療的ケア児を支援する人材や受け皿の不足など、各分野の現状とそれぞれが抱える課題について、認識と情報を共有したところです。 また、支援策についてのニーズを把握するためのアンケート調査に取り組んでおり、医療的ケア児の人数及びその実態をできるだけ詳細に把握し、この支援会議において対応策を検討してまいります。 平成三十一年度においては、医療的ケア児の支援体制の構築に向け、三つの柱について重点的に進めていきたいと考えております。 一つ目は支援会議の充実であります。医療的ケア児に対する適切な支援が可能となるよう、この支援会議の中で、保育・教育、災害対応など分野別の課題を重点的に検討いたします。 二つ目は在宅医療の推進です。医療的ケア児とその家族の通院負担の軽減を図り、地域で安心して生活が続けられるように小児在宅医療体制の整備に取り組み、地域で訪問診療の実績のある医師から小児在宅医療にも取り組んでいただくための研修を実施いたします。 三つ目は人材の育成であります。医療的ケア児が各分野において最適なサービスを受けられるよう、関係機関との調整を行う人材を養成するコーディネーター養成研修や各分野において直接処遇する職員を対象とする支援者養成研修を実施し、医療的ケア児の支援に携わる人材の育成を図ります。 また、教育委員会においては、医療的ケアが必要な児童生徒等の増加に伴い、特別支援学校に対して看護師の配置を拡充するとともに、校外学習に看護師が同行することが可能となるよう支援体制の充実を図る予定であると聞いております。 このように、医療的ケア児の実態や支援ニーズをきめ細かく把握して、心身の状況に応じた各関連分野の支援が受けられる体制を構築し、学齢期から成人期へと、医療的ケア児のライフステージに沿った切れ目のない支援体制を整備してまいります。 ○副議長(小野幸作議員) 駒林農林水産部長。 ◎農林水産部長(駒林雅彦君) 内水面養殖業の振興についてお答え申し上げます。 本県の内水面養殖業は、米沢藩の上杉鷹山公が約二百年前に推奨したコイの養殖に始まり、昭和初期には、全国でも珍しい県営のニジマスを中心とする養鱒場が東根市荷口と西川町志津に設置され、ニジマス養殖発祥の地の一つという長い歴史がございます。 一方、コイの生産量は、昭和四十年代の約一千トンをピークに現在では約百トンに、マス類も同じく昭和四十年代の六百トンをピークに現在では約百トンまで減少し、養殖業を営む経営体数も大きく減少してきております。これは、食生活の変化による魚離れが最大の要因として挙げられますが、今後、人口減少が進展する中にあって、この傾向は今後も続くものと考えております。 こうした環境下にありまして、今後の内水面養殖業の振興を図っていくためには、これまでの大量生産・大量消費から高付加価値化を目指すこともこれからの養殖業のあり方の一つと考えているところでございます。 国内の消費環境を見ますと、例えばマス類では、これまでの単価が安く甘露煮や塩焼き用に適する百グラム程度の魚の需要が減少し、刺身やすしの用途として適する一キログラム以上の大型マスの需要が増大しており、ニーズの変化に的確に対応する魚種の開発を目指していくことが重要となります。 こうした認識に立ち、現在開発を進めておりますのが仮称・ニジサクラであります。ニジマス並みに成長する大型マスでありながら、身の色は鮮やかなサーモンピンクで、適度に脂が乗り、サクラマスの上品な食味をあわせ持つ、今後の需要増に対応できる高い可能性を持った魚種として注目されているところでございます。 全国的に御当地サーモンがブーム化しつつありますが、高級食材としての強いブランド力を持ち、県の魚であるサクラマスを親に使っていることから、先行県との差別化が図られるものと考えております。現在、東根市と小国町の二経営体において試験飼育を行っており、ことしの秋には一・五キログラム以上となる商品の出荷が見込まれております。 今後、地域ブランド魚として試食求評を行うとともに、食材としての用途、出荷先のターゲット、さらにはよりよいネーミングも含めたブランド化に向けた生産・販売戦略の策定に向け、来年度早々に検討会を立ち上げ、本格的な商品としてのデビューに向け準備を進めてまいります。 さらに、ニジサクラの品質を向上させる技術開発を進め、本県内水面養殖業の振興につなげてまいります。 ○副議長(小野幸作議員) 角湯県土整備部長。 ◎県土整備部長(角湯克典君) 住宅セーフティーネット施策についてお答え申し上げます。 本県では、県・市町村が設置する公営住宅約一万戸を公的なセーフティーネット住宅として提供しております。また、平成二十九年十月には、民間賃貸住宅を活用した新たな制度がスタートし、二月二十二日時点で三十五戸がセーフティーネット住宅として登録されているところです。これは、全国でも十五位、東北では宮城県に次いで二番目に多い登録戸数でありますが、民間のセーフティーネット住宅は、高齢者や障がい者などの入居を拒まず、間取りや立地などにおいて公営住宅よりも選択肢が広いことから、そのニーズは高く、さらなる登録が必要と考えております。 このため、県では、セーフティーネット住宅として登録した住宅の改修費を市町村が補助した場合、県が市町村負担分の一部を助成する制度を今年度から設けました。全国でこの補助制度を持つ市区町は十六で、このうち四つが県内の市と町となっております。この四市町では、改修費補助を期待したセーフティーネット住宅の登録が多く見られたところでございます。 県では、セーフティーネット住宅の登録を促進するため、これまで市町村向け説明会を開催し、補助制度の創設を働きかけるとともに、不動産関係団体や不動産業者の戸別訪問などを実施してまいりました。今後もこうした取り組みを継続し、補助制度を整備する市町村の拡大とセーフティーネット住宅の登録促進に努めてまいります。 また、高齢者や障がい者などが入居後も安心して生活を送るためには、県や市町村の福祉部局などによる行政サービスやNPO法人などによる見守り活動などが支えになることから、不動産関係団体と県の住宅部局のみで組織していた山形県居住支援協議会を拡充し、県の福祉部局や県内全市町村、社会福祉法人、NPO法人などにも加入していただきました。 今後は、協議会の枠組みを活用し、居住支援に関する他県の先進事例の紹介や県内自治体の取り組みに関する情報交換を行うなど、住民に身近な市町村レベルで、住宅と福祉の連携が深まるよう協議会活動を進めてまいります。 次に、県営住宅入居時の連帯保証人についてお答えいたします。 現在、県営住宅では、条例に基づき、県内に居住し、入居者と同程度以上の収入のある方二名の連帯保証人を求めております。一方、来年四月には改正民法が施行され、連帯保証人が保証する債務の限度額を設定する必要があります。このため、県では、この限度額の設定にあわせて、保証人になれる方の要件緩和や家賃債務保証会社の活用についても検討することとしております。 ○副議長(小野幸作議員) 一瀬警察本部長。 ◎警察本部長(一瀬圭一君) 高齢者免許証更新時等の医療職配置の効果についてお答え申し上げます。 道路交通では、免許保有者が認知症や統合失調症、てんかん等一定の病気にかかっていることが判明した場合には、その免許は取り消され、または停止されることとされておりますが、免許保有者がこれらの病気にかかっているか否かを公安委員会が把握する主な機会としては、免許証の更新の機会と免許保有者等が任意に病気を申告する機会の二つがあります。このうち、免許証の更新時につきましては、認知症を把握する主な方策として、七十五歳以上の高齢運転者に係る認知機能検査制度があり、認知症以外の病気を把握する方策として、質問票で病気の申告を受ける制度があります。 こうした中、御指摘の医療系専門職員は、平成三十年四月から総合交通安全センターに運転適性相談員として配置されておりますが、その任務は大別すると三種類あります。具体的には、一点目は、先ほど申し上げた免許証の更新の機会に認知症以外の病気の申告があった方から病状の詳細を聴取して病気の種別を特定し医師の診断を勧めること、二点目は、更新時以外の機会に認知症や統合失調症、てんかん等にかかった方やその御家族から相談を受けて、病気を特定し医師の診断を勧めること、三点目は、医師の診断を勧めた結果提出された診断書について確認したり、病院へ照会することであります。 次に、平成三十年四月から平成三十一年一月末までの総合交通安全センターにおける相談状況等について申し上げます。 免許証更新時の病気の申告につきましては、全体で一千六十四人からなされましたが、このうち医療系専門職員が対応したのは百十二人です。免許証更新時以外の相談につきましては全体で二百五十九件なされましたが、このうち医療系専門職員が対応したのは三十四件です。また、提出された診断書のうち医療系専門職員が確認したものは一千三百六十二件で、このうち百三件について不明な点があり、病院等に再照会を行っております。このほか、医療系専門職員は高齢者の集会等で講話を行うなどの活動をしております。 続きまして、医療系専門職員を配置した効果でありますが、病院関係者との情報交換の効率化が図られたほか、免許保有者本人またはその家族からより具体的な病状を聞き取ることが可能になるなどの効果を上げております。 最後に課題と今後の取り組みについてでありますが、先ほど申し上げたとおり、医療系専門職員の活動につきましては、これまでのところ診断書の確認や病院とのやりとりが中心となっており、相談業務への対応が必ずしも十分になされていないのではないかと考えております。このため、今後は、当該職員の活動につきまして不断の見直しを行い、さらなる改善に努めてまいりたいと、このように考えております。 ○副議長(小野幸作議員) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。     午後零時二十分 休憩     午後一時零分 開議 ○議長(志田英紀議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 十番矢吹栄修議員。 ◆10番(矢吹栄修議員) 自由民主党の矢吹栄修でございます。よろしくお願いいたします。 まずは例によって幕末の名言を引かせていただきます。 「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」。有名な吉田松陰の言葉であります。夢と理想を抱かなければ計画と実行は生まれず、ゆえに成功もないと。 私の政治信念は、好きな小説の一節、「理想の灯をともして現実の道を照らして歩く」であります。理想の火をともしてそれを頼りにはするけれども、理想の高みに決して安住せず現実の暗い道を歩んでいくというのが政治に携わる者の責務だと思っております。 私はふだん、具体的施策の提言を旨として質問しておりますけれども、今回は改選前最後の質問ということもあり、一般質問ということもあって、かなり理念的な質問をさせていただきます。私がさまざまな施策を提言する際に根っことなる理想や基本的な考え方、十年二十年先を見越した未来予想図、そういったものは重要だと思うので、私の政治的な理想や未来図を披瀝し、執行部の皆さんと議論したいと考えております。 なお、今回の質問は、それぞれの分野でトップレベル二十人の英知を集めて自民党国家戦略本部が編集した「日本未来図二〇三〇」という本から多数引用・参考にしております。 まず一点目に、クオリティー・オブ・ライフの視点について知事に伺います。 私は、政治に携わるようになり、また、地方創生が叫ばれるようになって、豊かさというものを考え直すようになりました。金品よりも心の豊かさこそ大事などということではなくて、所得のみが豊かさをあらわす指標なのかということに疑問を持つわけであります。 確かに都会では所得は高い。しかし同時に出費も多いわけです。鳥取県で、東京と鳥取の平均所得をもとに生涯所得を計算した上で生涯同じように生活した場合の出費額も試算して比較すると、六十歳時点での貯金額はほとんど変わらなかったといいます。鳥取県では、どうせ同じ金額しか残らないなら自然豊かで子育てもしやすく食べ物もうまくて家も広い鳥取県で暮らしませんかという冊子を高校三年生に配っているそうであります。 この例でわかるように、所得が高いからこそ、それが豊かであるとは限りません。食べ物、住宅、自然、子育て環境といったさまざまな要素で豊かさというものははかられるべきものです。子供の貧困ということも取り沙汰されますけれども、所得が低いから貧困だとしてしまっては、地方のほうが貧困率が高くなってしまうのは当然です。 さて、人間の欲求というものについて、人はまず食を求めるといいます。食を確保できれば次は生命の安全、次に国や企業に所属したいという安心感を求め、それが満たされると名誉を求めるそうです。そして、最終的に人が求めるのは、社会貢献といった自己実現だというのです。近ごろの若者は、我々の時代と違ってお金や物に対する欲求が少ないと言われますけれども、それは欲求が高度化しているからであり、満たされた若者は、社会への貢献を通した自己実現といったものを求めていくでしょう。私は、少子化というものに絶望するのではなく、日本が成熟したからこその若者の欲求の高度化に明るい未来を見たいと思うのです。 このように豊かさの概念と欲求の高度化について論じましたが、先ほど申し上げた「日本未来図二〇三〇」で東京大学総長顧問の小宮山宏氏は、量的な豊かさが市民に行き渡った現在、我々日本人が今後追求していくのは、生活や社会システムの質の向上、つまりクオリティー・オブ・ライフ--QOLであると指摘します。単に長生きすればいいのではなく健康に長生きする、大きくて豪華な家に住むだけではなくエコハウスに住む、量だけ腹いっぱい食べるよりも安全で質のいい農産物を食べる、大量生産の物を大量消費するのではなく質のいい商品を創造して産業振興する、といった生活全般の質、クオリティー・オブ・ライフを追求することが真の豊かさを得ることにつながるというのであります。 明治維新以来、産業が振興すれば暮らしがよくなると日本人は思ってきましたが、これを逆転させ、暮らしをよくすること、つまり、QOLの追求が例えば健康産業、再生可能エネルギーやエコハウスの普及などといった産業を創造し需要を生み出す。そしてこうした質的需要は飽和しないと小宮山氏は言い、このようなQOLを追求し実現する理想社会を「プラチナ社会」と名づけています。 具体的な例として、林業を振興して資源化することと再生可能エネルギーへの活用、徹底した省エネを追求することでのQOLの向上とエコリフォームによる建設需要の喚起、ロボットスーツやIoT活用による健康管理と自立・労働生産性の向上、介護・医療産業の振興とビッグデータを活用した予防医学。 林業や再生可能エネルギーを生み出す自然は、まさに山形に存在します。健康産業については、慶應先端生命研がリードする産業が立ち上がりつつあります。私は、IoTを活用した健康維持やロボットスーツ「HAL」などの活用も提言してきましたけれども、まさしくこれはプラチナ社会実現への一要素だと意を強くしました。 このようにクオリティー・オブ・ライフの追求を起点としたプラチナ社会の実現こそ、これからの地方創生に求められるものだと確信します。というよりも、山形という地方でしかプラチナ社会は実現しないと確信します。 量や所得の多寡が豊かさではなく、生活の質の向上こそが豊かさだと考えます。そして、人の欲求はもはや社会貢献というところまで高度化してきています。こうした時代認識のもと、私は、これからの行政、経済に求められることは、「ニュー」ではなくて「チェンジ」だと思っています。そして、チェンジにこそビジネスチャンスと発展があるのだと思っております。 政治行政の施策は、こうした理想と未来図をもととしてなされるべきと考えます。私としては、このクオリティー・オブ・ライフの追求という視点を重視して、プラチナ社会という理想郷を求めていきたいと思います。 吉村知事は「自然と文明が調和する新理想郷山形」を掲げていますが、今、私が申し上げました「クオリティー・オブ・ライフの追求を起点としたプラチナ社会の実現」について、御自身の政治行政に向き合う理想、未来図を交えて知事の考えを伺います。 次に、プラチナ社会の必要条件として、エコロジー、資源の充実、健康な加齢、老若男女の参加、雇用があること、という五項目を小宮山氏は提示しています。きょうは、そのプラチナ社会の必要条件にかなうように各項の質問をしていきたいと思います。 まずは、エコロジーと資源の充実という観点についてです。 前項でも指摘しましたが、社会貢献の欲求が高まっている時代背景の中、生活の質の向上、つまりQOLを追求するならば、エコロジーの観点は欠かせませんが、それは再生可能エネルギーや省エネの問題につながり、ひいては資源の充実という必要条件に直結します。 エコと資源という必要条件の具体例として、小宮山氏は、林業の振興と資源としての活用を挙げています。まさに地方が有利な部分であり、森林ノミクスを推奨する山形にふさわしいものです。 林業の振興と木材利用については、数年前にオーストリアを視察してきましたが、非常に参考にすべき先進地でした。ヨーロッパと日本とでは地形が違うという誤解もあるようですけれども、決してそのようなことはなく、地形の急勾配は日本と変わるところはありませんでした。そんな中で川上から川下まで木材を流通できている要因は、徹底した機械の高性能化、流通へのICTの導入、全体を見渡せるコーディネーターの存在、CLTやチップなどへの木材の活用体制の充実といったことで、日本でも可能だと確信します。今回は再生可能エネルギーの活用という視点なので割愛しますが、林業振興については、今後の飛躍を大いに期待するところです。 木材の活用という点でオーストリアを参考にすべきと考えるのは、チップボイラーと熱供給システムの導入という点であります。バイオマス発電が悪いとは言いませんけれども、発電はエネルギー効率が悪いし、大量の木材を消費する割には発電量は多くない。木を燃やした熱は熱のままに使うのがいいと考えます。その点、チップボイラーなどで温めたお湯をパイプで循環させて熱を供給するシステムは、雪国である山形県にとって非常に魅力的です。 オーストリアでは、チップボイラーと熱供給システムは、企業や工場やホテル、一般家庭に浸透しています。オーストリアは、原子力発電所の運転開始を禁止して、再生可能エネルギーの導入推進を重要な政策目標としました。その中で森林から得られるバイオマスの熱利用が進んでいったということです。わずか三十年でバイオマス熱供給の体制が整ったのであります。日本とオーストリアでは条件が異なりますが、山形にも森林が多く、バイオマスの熱利用をさらに促進していくことはできるのではないでしょうか。 また、オーストリアでは、熱を利用する建物の側でも徹底した断熱を追求したエコハウスを導入しています。この点でも小宮山氏の主張と一致します。つまり、エネルギー効率をよくする省エネを実現しながら再エネの活用を推進しているものであり、QOLの追求に重要な視点となるでしょう。 このチップボイラーによる熱供給システムの導入は、まさにニューではなくチェンジです。木材のエネルギー利用は、まさにエネルギー革命であり、地域におけるエネルギーの自給自足と言えるでしょう。石油を使えば、地域のお金はほとんど国外に流出するだけです。しかし、木材を利用すれば、エネルギー資源を地域で獲得し、流通させることができるのです。 オーストリアのある人口一万二千人のまちで試算したところ、仮に一〇〇%石油でエネルギー供給を賄った場合、外に流出するお金は一千六百万ユーロ、雇用も八・五人しか生み出せません。しかし、五〇%を木質バイオマスで賄っている今現在、流出するお金は半分の八百万ユーロ、三十五人もの雇用を生み出しているのであります。 さらに言えば、熱供給システムのために地中にパイプラインを敷設するためには地面を掘り返さなければなりません。その工事に伴って無電柱化なども非常に進んでおりました。そこに土木工事が発生し、まちの景観美化にもつながっているということです。オーストリアで熱供給システムを導入しようとしたのは、まさに土木事業者に仕事をつくるためだったという政治家もいますが、これらのことは、既存の資源をチェンジすることで新たな需要が喚起される好例だと言えるでしょう。QOLの追求によって産業が振興する、プラチナ社会の実現につながる重要な要素です。 このように、山形県にエネルギー革命を起こすきっかけになるとともに、さまざまな需要を喚起し、人々の生活の質の向上にもつながると思われるチップボイラーによる熱供給システムなど木質バイオマスの熱利用の促進についてエネルギー戦略にどう位置づけられているのか、また、どのように振興していくのか、環境エネルギー部長に伺います。 次に、プラチナ社会の必要条件、健康な加齢についてです。 小宮山氏が提案するプラチナ社会とは、具体的には、あらゆるものをインターネットに接続しデータ収集などを可能にする技術であるIoTや人工知能であるAI技術によって情報が共有され適時に取得でき、ロボットや自動走行車などの技術によって少子高齢化や地方の過疎化などの課題を解決し、さらにそこに新たな経済発展を生み出すという未来コンセプトです。 健康というものは、生活の質を上げる根幹であるとともに、今後最大のビジネスチャンスだと思っています。以前私は、質問の中で福祉分野の産業的な将来性を指摘しましたし、健康増進の施策に関して、アナログ的な手法ではなく、アプリなどを活用して推進していくべきことも提言しましたが、こうした未来図を意識しての質問でありました。 山形県においては、慶應義塾大学先端生命科学研究所があります。そこから生まれるバイオ技術は、まさに世界をリードするものですが、その真骨頂の技術は、人の血液等の中の代謝物質を一斉に測定するメタボローム解析技術によってそれぞれの人の健康上の傾向を分析し、病気が発症する前の対策に資するという技術なのだと思います。これは、まさに思い描くプラチナ社会の未来図でしょう。 現在は、腕時計のようなものをつけておいてスマホと連動させることで歩いた距離や消費カロリー、脈拍や血圧などをはかってくれる機器が流通し始めました。それによって運動不足や不眠の状況が分析できるといいます。恐らく、近い将来こうしたものはますます社会に溶け込み、自分の健康状態がICTで容易に把握できるようになり、それが医療と連携して、健康維持のシステムが大きく変わっていくことでしょう。 また、以前指摘したロボットスーツの「HAL」というものがございます。これは、脳が発する「立て」「歩け」といった指令の微弱な電気を読み取ってロボットが反応し、動かない足でもロボットのサポートで立ったり歩いたりできる医療用ロボットです。現在のところ下半身不随の人などが使うものですが、これからは腕や指といった体の各部をサポートできるものができていく予定だといいます。今後は、医療的な活用だけではなく、高齢者の弱った足や腕をサポートしてくれるロボットスーツとして社会に浸透していくことでしょう。そうなれば、どんなに高齢になっても若者と同じように労働できることも夢ではなく、それはもはや労働革命だと言えます。 幾つか指摘しましたが、これからの健康・医療・福祉分野は、我々が想像するよりはるかに進歩し、そしてそこには大きなビジネスチャンスがあります。少子高齢化が進む地方にとって、健康な加齢というプラチナ社会の必要条件は重要で、そこにICTやロボット技術といった最新技術は不可欠となるでしょう。 健康分野において最新技術を戦略的に取り込み、山形県の社会に実装していくために施策を実施していくべきだと考えますが、ICTやロボット技術といった最新技術の健康分野への活用をどう図っていくか、健康福祉部長の考えを伺います。 次に、老若男女の参加と雇用があることという必要条件についてです。 プラチナ社会を実現するために、雇用があるということは欠かせません。しかし、ただ雇用があればいいというものでもありません。所得の多寡だけで豊かさははかれないと指摘しましたが、充実した雇用と所得向上は重要です。一方で、現在の人手不足はまさに深刻です。私が県議に当選したときには、職を紹介してくれという相談が多々ありましたが、今は人材を紹介してくれという会社側からの相談が圧倒的に多い。隔世の感があります。 そうした中で、再びオーストリアでの経験を紹介しますが、ある熱供給会社の社長は、エネルギー供給会社の代表であると同時に農業と林業を営んでおり、さらに週末になると、趣味で、林地を荒らす鹿狩りに出るそうですが、一頭五万円ほどで売れるのでいいバイトになっているそうであります。そして、その人は最後に、自分の本業は消防士だと言っていたのが衝撃的でした。オーストリアは、人口規模も、自然環境も、経済状態も、ほとんど東北地方と変わりません。そんな中で豊かな生活を送っている例を見て、ここにこそ東北が赴くべき模範があると感じました。 東京大学の秋山弘子特任教授は、「人生二毛作」ということを提唱していて、私も気に入ってよくこの言葉を使っています。六十歳で定年して残りは余生だというような時代は終わり、人生九十年ほどあると予想して、例えば五十歳で一つのキャリアを終え、もう一回大学やオンラインで勉強して全く違うキャリアを始める、つまり人生を二毛作で楽しむ、セカンドライフも念頭に置いて人生設計をすべきだということであります。人生の二毛作という言葉を使うなら、途中で職を切りかえることも一つですが、同時に二つ以上の職業をやっていくことも人生の二毛作でしょう。すなわち、オーストリアの社長さんのように、さまざまな副業を持って豊かな生活を送ることが人生の二毛作だと考えます。 とかく日本人は一つの道をきわめることが至上のように思っていますし、会社に長く勤務していることが偉いというような風潮があります。しかし、テレワークなどで効率的に働き、その余暇をもって違う職業にもチャレンジしてみるということが次の時代に求められることと思います。二足のわらじという言葉を悪く捉えるのではなく、むしろ人生を二倍楽しむのだと考えたほうがいいでしょう。そして、それはすなわち所得の向上につながるのです。 副業による所得の向上を私は勝手に「所得一・五倍増計画」と呼んでいます。この人手不足が甚だしい状況だからこそ可能な話です。人口を爆発的にふやせるわけではないのですから、人手不足への対応は、今働いていない人の就業と、働いていても時間的余裕がある人の副業にしか活路はありません。すなわち、県民総参加による人手不足解消とそれによる所得の向上であり、それは、プラチナ社会の必須条件、老若男女の参加と雇用の充実というテーマにかないます。 もちろん、労働基準で定める労働時間の問題など課題は多いでしょう。しかし、例えば企業がしっかりと派遣業の資格を取って、人材不足の業種同士で繁忙期に人材を融通し合うのはどうでしょう。建設業と農業、観光業と介護など、人材を二つの業種で活用することは可能だと思います。もちろん個人的にも、本職をしながら農業をしたり、本職をしながらインターネットでデータ入力の仕事を受注するといったさまざまな手法が考え得るでしょう。 この人手不足の中、それを所得向上のチャンスと捉えるのが私の所得一・五倍増計画ですが、恐らくこの人材不足の社会では、ワーク・ライフ・バランスとともにワーク・ワーク・バランスというものも考えていかなければならない社会となるでしょう。 副業というものをどう評価し、そして人材不足の解消と県民の所得向上に向けてどのように推進していくのか、商工労働部長に伺います。 プラチナ社会の実現には、個人個人の雇用も大事ですが、雇用する側の企業の質が向上することもまた大事です。 内閣府本府参与の原丈人氏は、アメリカの会社というのは、会社は株主のものという考え方が根底にあると指摘します。だから経営不振に陥った会社が数百億円の従業員の給与削減を実行し、逆にそれを実現した経営陣に何億というボーナスが出るといったことが実際に起こるというのです。これは日本人の感覚では信じられないことです。日本では従業員は家族のように考えるのが普通でしょう。 そして、日本の経済財政諮問会議で、会社は誰のものかを再定義し、結果、従業員・顧客・地域社会・地球・取引先・株主など会社を構成している全てのものであると定義しました。政府でこうした考えを採用したのは日本が世界で初めてだといいます。私たち日本人は、こうした考えを重視し、二十一世紀型の資本主義として世界に実例を示していくべきだと考えます。 単に株価の上昇や会社の資本的利益のみを重視するアメリカの資本主義は、かけの要素が大きくて、勝てば短期的に大きくもうかりますが、短命となる危険性が高い。株主や役員はもうけても、国民の生活の質は低下します。対して、会社を支える全ての要素に利益を考える日本ならではの考え方は、共存共栄が可能であり、国民生活の質を向上させ得ます。原氏は、この目指すべき新しい資本主義を「公益資本主義」と呼んでいます。 翻って山形県の企業を見てみると、まさしく従業員や顧客、地域社会などに貢献しつつ、実直に共存共栄の道を進んでいる企業が非常に多い。ゆえに全国でも有数の老舗の数を誇っているのでしょう。会社の大小、資本の多寡のみを基準とするのではなく、いかに会社を構成する全てのものに利益をもたらしているかという観点で県内企業を評価すれば、山形という地方のすばらしさが違って見えることでしょう。 企業と地域の共生、企業と企業の共生を実現し、地方が継続して存続していくためには、それぞれの企業が公益的側面と経済的側面の両面から地域に深くかかわり、持続して発展していくことが重要と考えますが、県では、企業の地域的役割と持続的発展についてどのような見解をお持ちか、商工労働部長に伺います。 生活の質の向上という意味では、住宅という要素も重要です。 三世代同居率が全国でもトップクラスの山形県ですが、やはり高齢者夫婦や独居老人の世帯は確実にふえていますし、特別養護老人ホームやグループホームへの入居もふえています。非常に大きな家にもかかわらず高齢者がひとり暮らしなどということになれば、家や庭が荒れてきて、家そのものが住民の負担になるということにもなり得ます。無論、空き家の問題も深刻です。 昔は、先祖伝来の土地と家に数代にわたって暮らし続けるというのが普通だったでしょうが、もはやそういう時代は終わりつつあります。そういった伝統的な生活形態と住居事情も大切にしなければいけませんけれども、これからの世代の多くが違った選択をするでしょう。 日本では余りライフステージに合わせた住居の住みかえという感覚を持たないできました。しかし、恐らくそういった観点が今後は必要になってきます。 さきの項目で上げた東京大学の秋山弘子特任教授は、循環型の住宅政策を検討するための社会実証をしているといいます。これは、例えば画一的に二DKの団地だったものを、大きいユニットと小さいユニットの住棟に建てかえ、サービスつきの住宅やグループホームなどもつくる。子育て期間中は大きなユニット、子供が出ていったら小さなユニット、ひとり暮らしがきつくなってきたらサービスつき、支援が必要になってきたらグループホームと、ライフステージに合わせて住みかえる循環型の住宅政策です。これなら確かに知らない土地に移り住むこともなく、住宅を住みかえながら人生を送れます。 そこまでの団地化は無理でも、集落を一単位として循環型の住宅政策を考えていくことは可能でしょう。もちろんそう簡単な話ではありませんが、子育て世代が狭い家に住んで、広大な家に高齢者がひとり暮らしをして家をもてあますといった光景は確かに見られますから、こうした矛盾がないような住宅施策は模索していくべきではないでしょうか。 また、リバースモーゲージという考え方もあります。これは、跡継ぎのいなくなった高齢者が生前に自宅を担保に金を借りて老後を過ごし、没後に銀行などが土地と家屋を処分して返済に充てるというシステムです。新たな空き家を生み出さない手法だと言えるでしょう。これらの住宅施策は、先ほど来指摘しているニューではなく、チェンジのビジネスモデルです。 いずれにしても、生活の質を担保する住宅施策もライフステージに合わせて循環させるような状況になっていくと思われますが、今後の住宅施策の方向性について県土整備部長に伺います。 最後に、生活の質を高めるために重要な地域公共交通の充実について伺います。 地方、特に東北において、都会にかなわないものの一つとして地域公共交通が挙げられると思います。車社会が進んだとも言えると思いますが、逆に言えば、輸送サービス業としての鉄道やバスが人口減少に伴って運営できなくなっているとも言えます。しかし、採算がとれないからといって地域公共交通がなくなってしまえば、地域から活力が失われます。 高齢者、介護が必要な方、障がい者、生徒・学生などの免許のない若者、こういった交通弱者と言われる人々が不自由なく外出できることは、生活の質という意味で必須条件です。 これは、何も過疎地域だけのことではなく、私の地元の天童などでも重要な課題です。中心市街地ではそれほど不自由がなくても、周辺部に住む人はどうしても病院や学校に通うのに不便を来してしまう。そのためにどうしても中心市街地に住むことを希望する子育て世代がふえてしまい、周辺部との均衡が保てなくなるという結果をもたらしてしまいます。高齢者等の交通弱者が不自由なく安心して使える地域公共交通の充実は、地域の均衡ある発展という意味でも重要でしょう。 そうした状況を受けて、各自治体がデマンドタクシーなどの手法により地域公共交通確保に向けてさまざまな取り組みを行っています。先進的な事例では、富山市における次世代型の路面電車システムであるLRTの成功が挙げられるでしょう。これは、周辺部と中心部のアクセスを大きく向上させるものであります。自治体が民間と協力して運営しているモデルケースであり、地域住民の足としてのみならず、観光客の足としても活用されているといいます。 それぞれの地域でいかに地域公共交通を充実させていくか。一義的には市町村が担うべき課題かもしれませんが、山形市などのような人口が多い場所ならともかく、単独の市町村で実行するのは困難な課題でもあります。地域住民が求める地域公共交通の需要はどこにあるのか、それを踏まえてその地域にはどんな形態の地域公共交通が適しているのか、どういう地域公共交通を整備すれば費用対効果が高くなるのか、そうした計画づくりや調査に県が支援できる部分は大きいと思います。 また、乗用車を利用した送迎サービスなど、地域でデマンド交通を実施する際には、道路運送により、バスなどの事業者や市町村、県などをメンバーとする協議会等での合意が必要とされており、地域公共交通の充実を図っていくためには、官民の調整など県のかかわりも求められるところであります。さらに、今後は運転手の人手不足などにより、ライドシェアや自動運転の普及という観点についても議論していく必要があると考えます。高齢者や学生といったいわゆる交通弱者と言われる人々が地域の中で不自由なく外出できることは、生活の質を高めることにつながると考えます。 そこで、こうしたさまざまな課題と先進事例を踏まえ、県として地域公共交通の充実に向けてどのように取り組んでいくのか、企画振興部長に伺います。 以上、今回はかなり観念的な質問となりました。しかし、一つ一つの具体的な施策というものは、大きな理想、予想される未来図を明確に持った上でなされるべきだという信念から、今回は、「クオリティー・オブ・ライフを追求した先のプラチナ社会の実現」ということをテーマに質問させていただきました。この考えから派生するものは、農業や子育てや教育、さまざまな分野にかかわることでもあります。時間の関係上、きょうはプラチナ社会の必要条件とされるものに項目を絞りましたが、ぜひ有意義な議論となることを期待して壇上からの質問といたします。ありがとうございました。 ○議長(志田英紀議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 私は、けさ県庁に参りますときに、澄み渡った青空、そして遠くに真っ白な雪山を眺めることができました。恐らく庄内では美しい鳥海山の姿が見られるのではないかなというふうに思いました。山形には、お金に換算できない、お金にかえられないすばらしいものがたくさんあるなというふうに常々思っているところであります。 さて、クオリティー・オブ・ライフの追求という視点について矢吹議員から御質問を頂戴したのでお答え申し上げます。 私は、将来ビジョンとして「自然と文明が調和した新理想郷山形」を掲げております。その実現に向けて各般の施策を展開しているところであります。 このビジョンは、「豊かな自然と人間生活との調和を図りながら、常に進化を続けて山形県の価値を高め続け、県民一人一人が喜びと幸せを実感して生き生きと生きることができる社会」を目指すものであります。これは、人と自然が健全なバランスを保ちながら、より質の高い暮らしや社会、すなわちクオリティー・オブ・ライフを追求する「プラチナ社会」の考え方とベクトルは同じ方向性を有していると思います。 現在の国際的な社会経済環境を見ますと、格差の拡大や貧困・飢餓、環境問題など多様な課題が山積し、複雑に絡み合っている状況にございます。このような状況に対して、将来世代も視野に入れた持続可能な社会の実現を目指し、教育や福祉、エネルギー、イノベーションなどさまざまな観点から総合的な対応を進めていこうとする考え方、いわゆるSDGs(エスディージーズ)も広まってきております。 これからの県づくりを進めるためには、こうした考え方も踏まえつつ、変化の先を見据え、市町村や企業、大学など多様な主体との連携を図りながら、既成概念にとらわれない豊かな発想や創意工夫のもと、山積する課題へ果敢にチャレンジしていかなければならないと考えております。 本県には、緑あふれる豊かな自然と先人たちとの健全なかかわり合いの中で育まれてきたさまざまな知恵や知識・技術、家族や地域での支え合い助け合うきずな、また、高い精神性に基づいた文化など、時代を超えて国内外に誇る多様な資源が存在しております。これらの資源を最大限に活用しながら、将来ビジョンの実現に向けて、県政運営の基盤となる「県民総活躍」「産業イノベーション」「若者の希望実現」「健康安心社会」「県土強靱化」に全力を挙げて取り組んでまいります。 具体的には、まずは県勢発展の原動力となる若者や女性、高齢者、障がい者など多様な人材の活躍の場の拡大、今後増加が見込まれる外国人労働者の就労や受け入れに係る環境整備を進めてまいります。 また、暮らしや地域に活力をもたらす産業経済の振興に向け、企業や農業の現場等へのロボット・IoTなどの先端技術の導入促進、再造林や県産木材の利用拡大によるやまがた森林ノミクスのさらなる推進を図ってまいります。 さらに、将来を担う若者の県内定着に向けて、正社員化・所得向上の取り組みの強化や、県内での学びの受け皿となる農林業の専門職大学の設置に向けた検討も進めてまいります。 「健康長寿日本一」の実現に向け、地域の医療や福祉を支える人材の確保を図るとともに、家庭や職場、地域等において生涯を通した健康づくりを促進してまいります。 こうした暮らしや経済を支える社会基盤としての交通インフラの充実強化やICTの利活用拡大、さらには再生可能エネルギーを活用した電力面での災害対応力の強化を図ってまいります。 このような取り組みを積み重ねる中で、本県の新たな価値をつくり続け、ここ山形県で暮らし続けたいという県民の皆様の願いや思いを何よりも大切にしながら、経済の活力や暮らしの質の向上を図り、県民誰もが山形らしい豊かさを実感できる県づくりを進めてまいります。 過去を変えるというのは現時点ではなかなかできない、不可能でありますけれども、未来をつくっていくのは現代に生きている私たちであります。山形県の明るい未来をつくっていく、そのことを、議員初め県民の皆様とともに、本県の明るい未来、住んでよし、訪れてよしの理想郷山形県をつくるために、全力でまた邁進してまいりたいと考えているところでございます。 ○議長(志田英紀議員) 中山企画振興部長。 ◎企画振興部長(中山正弘君) 私からは生活の質を高める地域公共交通の充実についてお答え申し上げます。 路線バス等の地域公共交通は、買い物や通院・通学など住民の日常生活を支える基盤でありますが、少子化や人口減少が進み利用者の減少に伴い、バス路線の廃止や減便等が行われ、さらに利用者が減少していくという悪循環が生じております。 県といたしましては、こうした状況の改善に向け、国土交通省と協調して、複数市町村にまたがる幹線路線バスの運行やその車両の更新について、バス事業者への支援を行うとともに、市町村、山形運輸支局とも一緒になって、バスの利用拡大や収支改善に向けた方策の検討を行い、バス事業者等に対して運行ダイヤの改善や割引乗車券の発行などの取り組みを促しているところです。 また、市町村に対しましては、幹線以外の路線バスやデマンドバス等の運行支援や、バス路線の見直し、デマンドバス等の導入に向けた検討を支援するとともに、その検討に当たっては、運輸支局、学識経験者等とともに、県内外の好事例の情報提供や助言等を行い、さらにその実証の取り組みに対しても支援を行っております。 加えて、市町村の職員等を対象といたしまして、持続可能な地域公共交通の実現に向けた研修会を開催し、バスの案内情報システムやスクールバスの活用などの事例を紹介しながら、地域公共交通の活性化や再生に向けた地域公共交通網形成計画の策定を促し、現在、九つの市町において計画が策定されております。 また、国土交通省、市町村、交通事業者と連携し、今後の地域公共交通の新たな仕組みとして期待される自動運転や、人と貨物の混載などの実証実験も進めているところです。 今後とも、住民の利用実態やニーズを踏まえ、複数の市町村による広域的な地域公共交通網形成計画の策定など、まちづくりや医療・福祉、観光振興、ICTの導入・活用など、さまざまな観点を含め、地域の実情に応じた公共交通の整備について、市町村はもとより、交通事業者や国土交通省等とも連携して検討を進めてまいります。 さらに、現在実施しております本県における将来の総合的な交通ネットワークについての調査の中で、持続可能な生活交通の構築も重点テーマの一つとして、今後の地域公共交通施策の方向性も明らかにしてまいります。 こうした取り組みを進めながら、将来にわたって地域住民の生活を支えることができる地域公共交通の確立に向け、市町村等と連携して取り組みを進めてまいります。 ○議長(志田英紀議員) 太田環境エネルギー部長。 ◎環境エネルギー部長(太田宏明君) 私からは木質バイオマスの熱利用の促進についてお答え申し上げます。 本県は、豊かな森林資源に恵まれており、県では、木質バイオマスを中心とするバイオマスエネルギーについて、風力と太陽光に次ぐ利用可能量を有すると分析しております。このため、県エネルギー戦略においては、バイオマスエネルギーについて、地域分散型エネルギーとして発電、熱利用の両面を促進するとともに、特に熱利用については、温泉旅館などの施設への木質バイオマスボイラーの導入促進のほか、住宅団地などの一定エリアにおいて木質バイオマスを活用した熱供給を進めるなど積極的な利活用を図ると位置づけております。 一方、木質バイオマスの熱利用については、電力の固定価格買い取りのような支援制度がないため投資インセンティブが低いことや、設備導入に関する初期投資が大きいなどの課題があります。 このため、県としては、再生可能エネルギーのさまざまな熱利用を促進するため、初期段階の研究助成や事業開始に向けた課題の検証を行う事業可能性調査に対する支援を行うことにより、取り組みの芽出しや事業化を進めるとともに、家庭等への木質バイオマス燃焼機器の導入や事業所等への業務用小型木質バイオマスボイラーの導入に対する補助を行うなど、熱利用の取り組み段階に応じたきめ細かい支援策を講じてまいりました。 その結果、木質バイオマス熱利用は、個々の家庭や公共施設等における燃焼機器の導入を中心に堅調に推移しているところでございます。また、エリア供給の取り組みとして、天童温泉における各旅館の給湯用の温水加熱に木質バイオマスボイラーを導入する検討や、大江町柳川温泉における地域内のまき収集・供給体制の確立とあわせたまきボイラーの導入検討など、新たな取り組みも始まってきております。 なお、地域における先駆的な取り組みとして、最上町では、環境省の補助事業を活用して「若者定住環境モデルタウン」を整備し、チップボイラー等を活用して省エネモデル住宅等二十三世帯に給湯や暖房用の熱供給を行う事業を実施しております。 さらに、鶴岡市三瀬地区では、地域内でまきストーブやまきボイラーの導入を促進しながら、化石燃料を地元の山から切り出される間伐材に置きかえることでエネルギーの自給自足を目指す取り組みが行われており、県としても活動の支援を行っているところでございます。 県といたしましては、こうした先行事例を紹介しながら熱利用の普及啓発を行うとともに、引き続ききめ細かい支援策を展開して、木質バイオマスの熱利用を促進しながら、再エネによる地域の活性化と産業振興につなげてまいりたいと考えております。 ○議長(志田英紀議員) 玉木健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(玉木康雄君) 私からはICTやロボットを活用した健康な加齢についてお答え申し上げます。 IoTやAIなどICTが急速に進展する中で、これらの最新技術を健康分野に活用することは、県民の健康づくりの推進に重要であり、効果が高いものと認識しております。 ICTの基本機能の一つとして、大量のデータを発生源から直接収集して蓄積する機能や、収集したデータを必要に応じて加工・分析する機能、わかりやすい形で可視化する機能などがあります。 近年、生活習慣病の予防や治療を支援するスマートフォンのアプリがふえており、高血圧症や糖尿病の患者が日々の血圧や血糖値を測定してそれをデータとして取り込み、医師や専門職がつぶさに把握することで適切な薬の処方やきめ細かい指導につなげることができるものも開発されております。今後の健康づくり事業に役立てることができるよう、このような動きを注視してまいります。 現在、県では、特定健康診査の結果や診療情報であるレセプトデータなどのビッグデータを活用し、国保連合会や保険者協議会と連携して、市町村で行う健康教育等の保健事業や今後の事業展開に活用していただくよう、詳細なデータを分析し、グラフやマップなどにより見える化しております。 また、糖尿病及び慢性腎臓病の重症化予防のため、レセプトデータを分析して、糖尿病の治療を中断していることが疑われる方の状況を確認し、受診勧奨や保健指導等に結びつけております。置賜地域におけるモデル事業では、過去の健診データを分析し、五年以内に透析開始となる可能性のある方を抽出した上で、透析を回避するためのプログラムを作成して保健指導に役立て重症化を予防するなど、一定の改善に結びつけております。 さらに、県内の介護現場にロボット等を導入するための助成事業を実施しており、この事業の中で、在宅向けの見守りシステムを開発中の事業所もございます。ベッドに設置したセンサーから呼吸や体の動きなどの情報を収集するとともに、室内やトイレに設置した赤外線センサーにより、家での動きを把握することができます。この仕組みにより、本人の変化に早く気づくことができ、また、家での生活を外から見守ることができます。また、入浴するためのバスリフトやベッドから持ち上げるためのアシストロボットなどを導入した事業所もあり、介護現場における職員の負担軽減が図られたという声も寄せられております。 県としましては、ハード面やアプリ等のソフト面での進化を注視しながら、ICTを活用して県民の健康づくりを推進してまいります。 ○議長(志田英紀議員) 平山商工労働部長。 ◎商工労働部長(平山雅之君) 私には二点御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。 まず、副業の推進についてです。 政府が平成二十九年三月に策定した働き方改革実行計画の主要検討テーマである「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の対応策の一つに副業の推進が掲げられており、厚生労働省では、平成三十年二月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、周知啓発を図っております。 副業のメリットは、労働者にとっては所得の増加やキャリア形成、企業にとっては優秀な人材の獲得や人材流出の防止などが挙げられます。しかし、一方で、長時間労働による健康被害を招くおそれがあること、現行法制上、副業先で労働災害が起きた場合、本業の賃金部分が保障されないこと、また、本業と副業の労働時間の合計が法定労働時間を超えた場合、割り増し賃金の支払い義務は副業先となり、副業先の人件費負担が大きくなること、などの課題も指摘されており、厚生労働省では、平成三十年七月「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」を立ち上げ、現行制度の課題解決に向けた検討を行っているところです。 人口減少が進む中、本県の産業を担う人材の確保は喫緊の課題であり、副業は人手不足解消と所得向上における手段の一つではあると考えておりますが、今、申し上げましたとおり、副業にはさまざまな課題も指摘されていることから、過重労働による健康被害等が起きないよう慎重に進めていく必要があると考えております。 また、平成二十九年就業構造基本調査によりますと、本県労働者の副業希望の割合は全体の約五%で、その約七割が年収三百万円未満で、ほとんどの年齢層において非正規労働者が正規労働者を上回っております。これらの実態を踏まえますと、まずは、本業部分における非正規労働者の正社員化と所得向上を図ることが重要でありますので、県としましては、来年度、奨励金の拡充や所得向上促進アドバイザーの創設などにより非正規労働者の処遇改善に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。 今年四月からは、働き方改革関連が順次施行されます。働き方改革を推進する上で、柔軟で多様性のある働き方ができる環境の整備は重要な視点でありますので、県としましては、政府の動向を注視しながら、山形労働局と連携を図り副業に関するガイドラインの周知啓発を行うとともに、副業を含めた柔軟な働き方の優良事例を収集し、労働者向けの労働制度の公開講座である労働学院や、柔軟で多様な働き方の導入を推進する企業向けのセミナーの中で積極的に紹介するなど、労働者側と企業側双方の理解を深めていくよう努めてまいります。 次に、企業の地域的役割と持続的発展についてです。 企業が存立する目的としては、より安いコストでよりよい製品やサービスを生み出し、それらを消費者に提供し、利益を上げて事業活動を継続していくという経済的な面のみならず、従業員を雇用し、企業としての存在そのものが地域社会に大きな影響を持つことへの社会的責任を果たすという公益的な面があります。 今や、企業は、単に製品を生産し利益を追求するだけではなく、地域社会の構成員として、法令を遵守し、社会貢献活動や環境問題などに積極的に取り組み、企業を取り巻く人々とのよい関係を築くことで、長く将来にわたり着実に成長していくことができると考えられており、県内企業においても、みずからの社会的責任をどのように果たしていくかそれぞれの経営方針に掲げ、さまざまな形で実践されております。 さらに、企業は、みずからの活動に伴い、地域とのかかわりや役割が大きくなるほど地域からの信頼や期待も高まり、影響力も大きくなります。それゆえ、企業の成長・発展は、地域社会とともにあり続けることに意味があるものと考えます。 こうした中、県では、企業の公益的な面を引き出す施策として、身近な地域や社会の課題解決に取り組むNPO法人やボランティア団体等の活動を支援するやまがた社会貢献基金に対する企業への理解促進、さらには、豊かな森林の保全活動を通して企業と地域がきずなを深め地域活性化を目指す「やまがた絆の森づくり」への参画など、地域と企業が一体となった取り組みを進めているところです。 一方、より多くの県内企業が、地域特性を生かし、地域に根差しながら、地域経済を力強く牽引する企業へと成長していくことができるよう、長年育んできた地域社会からの確かな信頼と顧客の高い信用に裏打ちされた経営資源の円滑な次世代への承継、イノベーションへのたゆまぬ挑戦による新たな価値の創造、豊かな発想と行動力を持った若者等による多様な創業への支援、そして次代を見据えた本県産業の発展を支える人づくりなど、企業の経済的な面の後押しに一層力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。 県としましては、県内企業が地域社会の一員として地域と密接にかかわり、地域とともに持続的に発展していくため、県内企業の価値を高めながら、地域全体が豊かになる好循環をつくり上げていくよう、関係機関と連携し、さらなる産業振興に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(志田英紀議員) 角湯県土整備部長。 ◎県土整備部長(角湯克典君) ライフステージに合わせた住宅の循環についてお答え申し上げます。 平成二十八年度の県政アンケートでは、県民の住宅に対する不満について、高齢になるほど住宅が広過ぎることに、また若い世代ほど住宅が狭いことに不満を持っており、世代間における住宅のミスマッチが明らかになっております。また、持ち家率の高い本県において、六十五歳以上の高齢者世帯が所有する持ち家は六万六千七百戸に上り、これは持ち家の空き家である二万二千二百戸の約三倍となることから、将来、空き家の増加が懸念されているところでございます。 このことから、県では、空き家の増加を抑制しつつ、世代間の住宅のミスマッチを解消することが重要な課題であると認識しております。 こうした課題の解決策として、高齢者の所有する住宅を売買や賃貸で子育て世帯等に提供することが考えられます。これにより、住宅を手狭と感じる子育て世帯は広い住宅で伸び伸びと子育てすることが可能となり、高齢者は、売却費や家賃を原資として除雪の不要なマンションやサービスつき高齢者向け住宅等に住みかえることで安全で安心した老後を過ごすことが可能となります。 こうしたライフステージに応じた住みかえには、県によるさまざまな支援を利用することができます。 まず、利活用可能な高齢者の住宅は、売買や賃貸することができ、売買に当たって住宅の状態を診断した場合は、診断費用に補助金が交付されます。また、住宅を購入する子育て世帯等は、住宅ローンの利子の一部に支援が受けられ、あわせて、リフォームを行う場合は住宅リフォーム補助が利用できます。 次に、賃貸においては、住宅セーフティネット制度を利用でき、大家となる高齢者は、住宅を改修する際、補助金を受けられ、入居者である子育て世帯等が低額所得者の場合は、家賃補助も利用できます。これにより、大家である高齢者は安定した家賃収入が期待でき、入居する子育て世帯等は低廉な家賃で居住することができます。 一方、老朽化して利活用が困難な高齢者の住宅は、解体して跡地を利用することなどが考えられ、跡地に子育て世帯等が住宅を新築する場合は、山形の家づくり利子補給の支援を利用することができます。 県としましては、高齢者が所有する住宅を県民のライフステージに応じて活用できるようさまざまな支援を継続し、全ての世代が安全安心で豊かな住生活を実現できるよう、市町村と連携し、取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(志田英紀議員) 十番矢吹栄修議員。 ◆10番(矢吹栄修議員) 山形県民の真の豊かな生活を求めて、今後とも執行部の皆さんと議論をしていきたいと思います。御答弁ありがとうございました。 ○議長(志田英紀議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明日定刻本会議を開き、議案に対する質疑と県政一般に関する質問をあわせ行います。 本日はこれをもって散会いたします。     午後二時一分 散会...