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  1. 山形県議会 2015-06-01
    06月25日-02号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成27年  6月 定例会(第372号)  平成二十七年六月二十五日(木曜日)午前十時零分 開議議事日程第二号 平成二十七年六月二十五日(木曜日)午前十時開議第一  議第八十三号 平成二十七年度山形県一般会計補正予算(第一号)第二  議第八十四号 山形県職員等に対する退職手当支給条例等の一部を改正する条例の設定について第三  議第八十五号 山形県職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定について第四  議第八十六号 特定個人情報の保護の特例に関する条例の設定について第五  議第八十七号 山形県県税条例等の一部を改正する条例の設定について第六  議第八十八号 山形県過疎地域自立促進税課税免除条例の一部を改正する条例の制定について第七  議第八十九号 住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例の制定について第八  議第九十号 山形県事務処理の特例に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第九  議第九十一号 山形県県立学校設置条例の一部を改正する条例の制定について第十  議第九十二号 山形県立高等学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例の制定について第十一 議第九十三号 山形県防災行政通信ネットワーク整備工事請負契約の締結について第十二 議第九十四号 新井田川新内橋架け替え工事現場における死亡事故に係る損害賠償請求事件の和解について第十三 議第九十五号 山形県公安委員会委員の任命について第十四 議第九十六号 山形県監査委員の選任について第十五 議第九十七号 山形県人事委員会委員の選任について第十六 議第九十八号 山形県収用委員会委員及び予備委員の任命について第十七 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第二号に同じ。出席議員(四十四名)    一番 関  徹議員    二番 柴田正人議員    三番 青木彰榮議員    四番 青柳安展議員    五番 渋間佳寿美議員    六番 佐藤 聡議員    七番 能登淳一議員    八番 矢吹栄修議員    九番 山科朝則議員    十番 渡辺ゆり子議員   十一番 楳津博士議員   十二番 石黒 覚議員   十三番 金子敏明議員   十四番 菊池文昭議員   十五番 小松伸也議員   十六番 佐藤 昇議員   十七番 島津良平議員   十八番 加賀正和議員   十九番 森谷仙一郎議員   二十番 鈴木 孝議員  二十一番 大内理加議員  二十二番 吉村和武議員  二十三番 高橋啓介議員  二十四番 阿部昇司議員  二十五番 木村忠三議員  二十六番 奥山誠治議員  二十七番 小野幸作議員  二十八番 金澤忠一議員  二十九番 伊藤重成議員   三十番 舩山現人議員  三十一番 田澤伸一議員  三十二番 森田 廣議員  三十三番 坂本貴美雄議員  三十四番 星川純一議員  三十五番 広谷五郎左エ門議員  三十六番 佐藤藤彌議員  三十七番 志田英紀議員  三十八番 野川政文議員  三十九番 阿部賢一議員   四十番 鈴木正法議員  四十一番 平 弘造議員  四十二番 阿部信矢議員  四十三番 今井榮喜議員  四十四番 後藤 源議員説明のため出席した者  知事          吉村美栄子君  副知事         細谷知行君  企業管理者       廣瀬 渉君  病院事業管理者     新澤陽英君  総務部長        清田浩史君  企画振興部長      高橋広樹君  環境エネルギー部長   柴田智樹君  危機管理監       白田洋一君  子育て推進部長     飛塚典子君  健康福祉部長      中山順子君  商工労働観光部長    大澤賢史君  農林水産部長      若松正俊君  県土整備部長      上坂克巳君  会計管理者       青柳 剛君  財政課長        松田義彦君  教育委員会委員長    長南博昭君  教育長         菅野 滋君  公安委員会委員長    小林由紀子君  警察本部長       杉山 明君  代表監査委員      会田稔夫君  人事委員会委員長    安孫子俊彦君  人事委員会事務局長   武田一夫君  労働委員会事務局長   丹野和彦君     午前十時零分 開議 ○議長(野川政文議員) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第八十三号議案から日程第十六議第九十八号議案まで及び日程第十七県政一般に関する質問(代表質問) ○議長(野川政文議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第八十三号平成二十七年度山形県一般会計補正予算第一号から、日程第十六議第九十八号山形県収用委員会委員及び予備委員の任命についてまでの十六案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第十七県政一般に関する質問をあわせ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 三十六番佐藤藤彌議員。 ◆36番(佐藤藤彌議員) おはようございます。自民党会派を代表して質問をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 まずは、さきの改選で当選された議員の皆さん、おめでとうございます。投票率の低下や無投票当選選挙区が多かったことなど課題はありましたが、県民の負託に応える議会となるよう全力を尽くしていきたいと思っております。 私は、山形県の大きな課題として二つあると思っています。 第一は人口減少です。人口は、あらゆる政策の基盤であり、社会盛衰の根源でもあります。人口構造のいびつさにも問題があります。しかし、これを乗り越える知恵が求められています。 第二は農山村問題であります。農林水産業が豊かであれば、雄大な自然と共生して日々を送れる理想郷であります。しかし、現実は、丸太の自由化で山林が荒れ、米価の下落で耕作放棄地の増大はとまりません。日本海の魚も大漁はなくなりました。衰退が始まった農山村を抱え込んで山形県は発展していかなければなりません。 以上の観点から幾つかの質問をしたいと思います。 初めに、農山村を元気にする地方創生の取り組みについてお尋ねいたします。 人口減少や高齢化が進む中、農山村は疲弊しております。今、地域住民が自分たちの地域の尊厳と誇りをどうしたら維持できるんだろうか、地域住民が集まり語り合える場所をどのようにしてつくり上げるかなどの仕掛けづくりが急務であると思います。住んでいる人が自分の地域のよさを見詰め直し、ここに住んでいてよかったと、そのような思いを持っていただける地域づくりを進めることが重要であると考えております。 特に、若者の人材流出が課題となっておりますが、農山村には、地域をマネジメントする能力のある、熱意のある人材がまだまだたくさんおります。役場のOBや団体職員のOB、ITに精通した人、そういった方々を活用した地域づくりも求められております。 昨年十月、自民党会派では、やまびこプランと称しているのですが、地方創生プロジェクトチームを設置し、検討を進め、十二月には企画振興部長に、地域課題に対して主体的に取り組む地域づくりが喫緊の課題であるとの観点から、モデル地域の設定や、総合支庁、市町村、NPO等関係者を含む支援チームの組織化など、農山村に元気を取り戻す施策の提言をさせていただきました。 現在、山形県では、人口減少を克服し、人と地域が輝く「やまがた創生」の実現に向けて、山形県総合戦略の策定作業が進められておりますが、平成二十七年度やまがた創生予算においては、住民主体による多面的な地域づくり活動拠点づくりモデル地域を立ち上げ、支援するとされています。私たちの提言は取り入れられたのでしょうか。 この拠点づくり立ち上げ支援も含めて、農山村の活力ある地域づくりについてはどのように進められているのか、今後の展開方策についてどのようにお考えか、企画振興部長にお尋ねいたします。 次に、選挙権年齢の引き下げに伴う対応について二点お尋ねいたします。 まず、選挙権年齢引き下げに伴う課題と本県の対応についてお伺いします。 選挙権年齢を二十歳以上から十八歳以上に引き下げる公職選挙法の改正案が去る六月十七日に国会で成立し、来年夏に予定される参議院議員通常選挙から適用される見通しとなりました。 近年、さまざまな選挙で全国的に投票率が低い水準にある中、特に二十代、三十代の若者の投票率が低い状態にあり、若者の社会や政治に対する関心の低さが投票率にあらわれているものと思っております。このような中、さらに若い十八歳、十九歳に選挙権が拡大されることになると、若者に政治への関心を持ってもらい、政治に参加してもらうことが極めて重要となります。 また、若者の投票率が低い現状の中で、選挙の重要性や意義をしっかり理解し正しい政治意識を培っていくため主権者教育をどう充実させていくのか、また、より投票を促すには投票所の設置場所など投票率の向上に向けた対応をどのようにしていくのかなど、さまざま検討すべき課題があると考えております。 選挙権年齢の引き下げの意義をどう捉えておられるのか、また、実施に向けての課題と対応についてどのように考えておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。 次に、学校教育における選挙権年齢引き下げへの対応についてお尋ねいたします。 現状では、若者の投票率が低く、政治参加に消極的であるわけですが、選挙権が十八歳まで広がることにより、高校での指導が直接投票率に影響するものと思っております。また、親の保護のもとで生活していて、政治に関する知識もそれほど高くなく、興味や関心も低い多くの生徒に対し、実際の政治に参加する主権者教育をしっかり進めていく必要を感じます。 一方、マスコミなどでは、学校現場で、政治的中立に配慮しながらどのように選挙権年齢引き下げに対応していけばよいかなど不安があると報じられております。また、高校三年生は十八歳と十七歳とで構成されております。同じ三年生であっても、選挙権を持ち政治活動を行うことができる生徒とそうでない生徒が出てくることになり、指導への配慮が必要になります。 このような学校現場が抱える問題に対してどのように対応していくお考えなのか、教育長の所見をお伺いいたします。 次に、山形県エネルギー戦略等について二点お尋ねいたします。 まず、山形県エネルギー戦略の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。 県では、平成二十四年三月、東日本大震災の教訓を踏まえ、山形県エネルギー戦略を策定しました。戦略は、基本構想期間を平成四十二年度までの二十年間とし、再生可能エネルギーを中心としたエネルギー供給基盤の整備によりエネルギーの安定供給を図るとともに、必要なエネルギーを地域の中から生み出すエネルギー資源の開発目標として、原子力発電所一基分に相当する百万キロワットを掲げております。 戦略策定から三年が経過しました。この間、県では、さまざまな施策を講じて再生可能エネルギーの導入拡大に努めてきたものと認識をしております。 昨年の六月定例会で報告された平成二十五年度末の再生可能エネルギーの開発実績は十二・四万キロワットということでありましたが、現在までの実績はどのようになっているのか、そしてそれをどのように捉えているのか、環境エネルギー部長にお伺いいたします。 また、固定価格買取制度が創設されたのに伴い、全国的には太陽光発電が大きく導入されました。本県においても、導入実績のエネルギー別内訳を見ると、太陽光がその多くを占めているとのことでありますが、震災復興事業の特別扱いや、日照時間の長い太平洋側の地域に比べて日本海側が条件不利地であることは否めません。それにしても、本県は東北で最も低いという状況であります。本県の地域的特性を踏まえた対応が急務になってくるものと考えております。 百万キロワットという目標実現に向け、今後どのような分野を重点に取り組んでいこうとお考えなのか、今後の取り組みについて、あわせて環境エネルギー部長にお伺いいたします。 次に、山形県新電力の設立についてお尋ねいたします。 県では、再生可能エネルギーの導入拡大で地域経済の活性化と産業の振興を図るとともに、山形県エネルギー戦略に掲げるエネルギーの地産地消と供給基地化の実現に向けて、本年度、地域エネルギー会社、すなわち「山形県新電力」を立ち上げることとしております。本県の地域資源を活用して生み出された再生可能エネルギーを県内の発電事業者から調達し、地域内外の需要に供給する山形県新電力の取り組みは、地方創生の大きな推進力になり得るものと期待しているところであります。 山形県新電力は、政府が進めております電力システム改革の一環として、電力の小売全面自由化が実施される平成二十八年四月の事業開始に向け、ことし秋ごろをめどに、県と民間企業が出資して設立すると報道されています。 この本県の取り組みは、他の自治体はもとより、民間企業も含め、全国から注目されていると聞き及んでおります。実際に、私も民間企業の方から「ぜひ出資したいけれどどうすればいいのか」と尋ねられることがあります。山形県新電力設立の目的を果たしていくためには、県内企業の参画は不可欠であり、さらには、これらの企業と理念や考え方を共有していくことが大変重要になると考えております。 山形県新電力の設立に当たり民間企業の出資を求めるわけですが、県ではどのような考え方で出資を募ろうとしているのか、また、設立に向けて今後どのようなスケジュールで進むのか、環境エネルギー部長にお尋ねいたします。 次に、結婚支援の取り組みについてお尋ねいたします。 私は、プライベートな結婚に対して行政が介入すべきことではないとずっと思っていました。ましてや行政が主催する婚活パーティーなどは言語道断であると思っていましたが、最近、怪しげなネット婚活トラブル報道に触れるたびに、信頼できる仲介所は必要だと考え方が変わりました。 結婚支援の充実強化は大切だと思います。最近の県政アンケート調査の結果を見ると、未婚者が独身にとどまっている理由として、「適当な相手にまだめぐり会わないから」が最も高い割合となっております。こうした調査結果を踏まえると、多様な出会いの機会を創出していくことは、結婚支援として大変重要な取り組みであります。 少し前までは、地域において仲人として活躍される方が多かったのですが、そしてその方の引き合わせで結婚される方も多かったと思いますが、仲人も少なくなり、若い人の価値観も変わっていく中で、結婚を希望しているのに日常生活の中でなかなか異性と出会うチャンスがない方たちに対して、今の時代に合ったお見合い支援の取り組みというものを展開していく必要があると思います。 また、結婚支援の取り組みは、出会いイベントの情報発信などもありますが、イベントに参加する勇気のない方も多いことから、こうした個々のニーズに応じて、効果的な出会いの機会の創出を図っていく必要があります。 このような中で、県では、結婚を望む県民の出会いの機会拡大に向けた支援を一層強化するため、このほど、県を初め市町村や商工団体などを構成団体として、新たに「やまがた出会いサポートセンター」を設立されました。この取り組みをもっと県民に知っていただく必要があると思います。 今後、結婚支援の取り組みについて、現状と課題を踏まえながらどのように進めていかれるのか、子育て推進部長にお伺いいたします。 次に、酒田港の振興について二点お尋ねいたします。 まず、週六便化となった国際定期コンテナ航路の今後の展開についてお伺いいたします。 酒田港は、古くから日本海沿岸や内陸交通の要衝として発展してきました。近年は、本県唯一の重要港湾として、地域経済の活性化に重要な役割を果たしております。わけても、平成七年に開設以来ことしで二十周年の節目を迎える国際定期コンテナ航路については、本県国際物流のかなめとして、諸外国との貿易に大きな役割を担っております。 このところ、コンテナ貨物量は過去最高水準で推移しており、この五月には中国航路の二年ぶりの運航とあわせて週五便化が実現し、喜んでいたところに、さらに六月には、七年四カ月ぶりに上海と寧波への就航便が開設され、中国航路が二航路となり、国際定期コンテナ航路の開設以来初の週六便となりました。酒田港の利便性が高まったことは、大変喜ばしいことであります。これらは、利用される荷主の皆様初め、就航される船会社の方々、関係各位の御理解と御協力のたまものと存じます。 また、コンテナ貨物量の増加や増便により、近隣の港湾の中でも酒田港はその存在感を増しており、県内外の荷主の方々からの注目度も高まってきております。今こそ酒田港の飛躍にとってまたとない絶好のチャンスであると考えますが、さらなる利用拡大にはまだ課題もあろうかと思います。 そこで、現状に満足することなく、リスクも見据え、酒田港の国際定期コンテナ航路のさらなる利用拡大を目指し、今後どのように取り組んでいかれるのか、商工労働観光部長にお伺いいたします。 次に、酒田港港湾整備についてお尋ねします。 酒田港に花王が紙おむつ工場の建設を決定したのは、コンテナクレーンが二基設置され、確実で安定した貨物輸送が行えるなど、港湾機能の充実が大きな要因であったと思っております。このコンテナクレーン二基目の増設は、「八億円の投資なんて安いものではないですか」と迫り、知事の御英断が今日のコンテナ貨物の大幅な増加に結びつき、経済の好循環をもたらしているものと考えております。 先般、私は、花王酒田工場を訪ね、懇談をしました。企業戦略上余り申し上げることはできませんが、「企業間、社内間の競争は激しく、優位な工場が拡大するでしょう。二期目の製造ラインは夏ごろまで拡充します。他工場に勝つためには港湾インフラをよろしくお願いします」と話してくれました。 今後も花王の製造ラインの拡充が期待され、コンテナ貨物の増加が見込まれます。このことは、雇用を初めとする庄内地域の経済成長に大いに貢献するものと思っております。 県は、今年度、三台目のリーチスタッカーを導入するとのことですが、こうした経済の循環を今後も継続していくためには、荷役業者や関連企業の荷役体制の拡充を図ることが必要であることは当然のことながら、港湾施設管理者である県は、企業の施設整備におくれることなく、需要に対応できる施設整備が不可欠であると思います。 吉村知事は、後日談で「決断したけれど利用率が心配だった。よかった」と語っていました。酒田港がさらに飛躍するチャンスが見えてきました。また知事の英断が必要になりました。県として今後どのように施設整備を進めていかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、海外活動・支援体制の再配置についてお尋ねいたします。 知事は、昨年度、台湾、シンガポール、マレーシア、タイにおいてトップセールスを行うなど、海外に向けて本県を売り込み、本県と海外との交流拡大に向け、精力的に取り組んでおられます。海外における観光誘客や県産品販路拡大などを図るためには、こうした取り組みももちろん重要ですが、現地において日ごろから主体的に活動し、あるいは現地での県内企業の活動をサポートする体制を整備することも極めて重要だと考えます。 本県においては、これまで、平成十七年四月に本県初の海外事務所として韓国にソウル事務所を、平成二十三年十月には中国にハルビン事務所を設置するとともに、シンガポールには駐在職員を派遣し、台湾、香港、上海、ソウルには観光コーディネーターを、ロシアには貿易コーディネーターをそれぞれ配置するなど、海外活動・支援体制の整備を進めてこられました。 県では、ことし三月に、アジア諸国との交流・取引を拡大し、この地域の成長を取り込むことで本県産業の安定的な発展に結びつけることを目標に、国際展開の基本方針である新たな山形県国際戦略を策定したと聞いております。その戦略に基づいた対応として、先日の本会議冒頭での知事説明では、台湾への職員派遣やソウル事務所の廃止など、海外活動・支援体制の再配置について発言がございましたが、どのようなお考えのもとで海外活動・支援体制の見直しが行われたかについて、商工労働観光部長にお伺いいたします。 次に、松くい虫の防除、被害拡大防止対策についてお尋ねいたします。 松は、美しい景観をつくり出し、昔から歌に詠まれるなど、私たちの生活と密接にかかわってきました。海からの強風と飛砂、潮の害に悩まされてきた庄内地域では、松は、海岸砂防林として、隣接する田畑や住家を守り、また、痩せた土地でもよく生育することから、ほかの樹種の先駆けとなって、荒廃地を再生し、土砂流出を防ぐなど、山地災害の防止の面でも大きな働きをしてきました。 このように私たちにとって大切な松が、庄内地域を中心に松くい虫の猛威にさらされています。これまでも、松くい虫の被害を食いとめるために、被害木の伐採や薬剤散布などの対策がとられてきました。しかしながら、平成十五年度以降減少傾向にあった被害量が平成二十五年度には増加に転じ、昨年度は前年の二倍に急増したと伺っております。このままでは、松林が急激に衰退し、私たちの生活に悪影響を及ぼしかねません。 一方、松林を健全に育成するための管理を適切に行っていくことも大切であります。さきの東日本大震災で海岸林を失った被災地の方々からは、「今まで気にもかけていなかったが、海岸林がなくなったら海がすぐそこにあってとても怖い。早く再生してほしい」といった声もあったそうです。地域も一体となって保全活動を行っています。 そこで、最近の松くい虫の被害状況をどう捉え、今後どのように被害拡大を防止していくかについて、農林水産部長にお伺いいたします。 次に、住宅リフォーム補助の拡充についてお尋ねいたします。 本県の人口は、この二十年間で十三万人ほど減少し、それに伴い、新設住宅着工戸数も、年平均で約一万戸程度であったものが、近年ではその半分の五千戸に減少しております。 住宅建設は、関連する分野が広く、経済波及効果が高いと言われており、新設住宅着工戸数の減少が県内の中小企業に与える影響は非常に大きいと思います。しかし、今後、人口減少の進展などの理由から新設住宅着工戸数が大幅に回復することは非常に難しい状況にあるため、今後、大工・工務店などの振興を図るためには、リフォーム市場の拡大が必要であると考えます。 平成二十三年度から実施している住宅リフォーム補助制度は、制度創設から利用件数が累計で約一万四千三百件、対象工事費は約三百六十五億円となっており、一定のリフォーム需要の喚起や経済効果を発揮しているものと思います。また、今年度からは、喫緊の課題である人口減少空き家対策への対応として制度の拡充が行われたと聞いておりますが、このこともリフォーム需要の掘り起こしに寄与するものと思っております。 そこで、住宅リフォーム補助制度の実施状況を踏まえ、制度の評価をどのように捉え、今後どのような事業展開を考えているのか、県土整備部長にお伺いいたします。 最後に、県立高等学校普通科の現状と活性化についてお尋ねいたします。 五月十八日、第六次山形県教育振興計画が策定されました。この中で、目指す人間像として、「『いのち』をつなぐ人」、「学び続ける人」、「地域とつながる人」の三つを掲げるとともに、地域の窓から世界を見るなど広い視野で物事を考え、より高い価値の創造に果敢に挑戦し続ける人を育てていくことを目標に掲げております。 今後、テクノロジーの進歩やグローバル化の進展などにより、約二十年後には、今ある仕事の半数以上がなくなり、新しい職業が次々生まれているだろうという未来社会の予想もあります。このような社会の急激な変化に対応し、二十一世紀社会をたくましく生き抜くことができる能力を育てる教育を推進していくことが極めて重要であると考えます。 しかしながら、本県に目を転じると、少子化に伴い公立高校入学者選抜の倍率は年々下がっており、今年度の平均倍率は一倍を割り込みました。これでは、入学者選抜のハードルを越えようと生徒同士が競い合うことがなくなり、十分な学力をつけないまま高校に入学してしまえるのではないかと懸念しております。そうなると、高校に入学してくる生徒の学力層の幅が広がってしまうわけですから、それに対応した取り組みも必要になってきていると考えます。 県立高校から難関大学への合格者数の推移など学力の現状をどのように把握しているのか、また、力の発揮できる生徒を伸ばすために、特に普通科の存在を高めるためにどのような活性化に取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 以上で壇上よりの質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(野川政文議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) おはようございます。佐藤藤彌議員から私に二問質問をいただきましたので順次お答え申し上げます。 まず、選挙権年齢引き下げでございます。 このたびの選挙権年齢の引き下げは、昭和二十年に二十五歳以上から二十歳以上に引き下げられて以来、七十年ぶりの改革となります。このことは、世界の大半の国々において選挙権年齢が十八歳以上であるという国際的な流れに沿ったものでありまして、我が国では約二百四十万人、本県でも二万人が新たに有権者に加わることとなり、若者の意見が政治に反映される機会が広がるという大きな意義があるものと考えております。 これまでの選挙におきましては、若年層ほど投票率が低い傾向にあり、さきの衆院選でも、六十代後半から七十代前半の投票率が七〇%を超えている一方で、二十代後半から三十代前半では三〇%台後半、二十代前半では三〇%以下と、年齢が若いほど投票率が低い状況にあります。 このようなことから、十八歳、十九歳の若者が新たに有権者に加わることを契機に、改めて若者が政治に関心を持ち、積極的に投票行動をとるようにしていくことが喫緊かつ重要な課題であると考えております。 折しも、我が国には、巨額の財政赤字や少子高齢化の中での社会保障問題、これからのエネルギー政策のあり方など、次代を担う若者たちの将来に直結する課題が山積しております。新たに選挙権を得る若者には、社会と政治に関心を持ってもらい、政府や地域の課題の解決方策について考え、判断できるよう、しっかりとした主権者教育が必要であります。 そのため、学校におきましては、参政権の歴史的な意義や重要性、権利の行使を支える選挙制度に対する理解はもとより、政府や地方の現状と課題、今後の方向についてしっかりと考える能力を高め、地域づくりや県づくりにより多くの若者が主体的に参加するような教育を行っていく必要があります。一方で、教育の政治的中立を確保し、特定の価値観の押しつけにならないように十分な配慮が必要との指摘もありますので、教員に対する研修なども考えなければならないと思っております。 また、県選挙管理委員会におきましては、これまで、高校や大学で模擬投票を実施する出前講座など、選挙啓発のための取り組みを行ってきたところであります。今後ともこのような取り組みを拡充していくとともに、全国的には大学に期日前投票所を設けるなどの事例もありますので、投票しやすい環境づくりについても検討していく必要があると考えております。 さらに、若者が政治を身近に感じられるよう、インターネットを活用した情報発信はもとより、さまざまな意見を出し合う仕組みとしてのフェイスブックを初めとするSNS、いわゆるソーシャル・ネットワーク・サービスの活用など、ICTの効果的な利活用も大切であります。 こうした課題を念頭に置きながら、例えば、県や市町村の教育委員会や選挙管理委員会、さらには若者みずから政治参加を促している団体などが連携して、さまざまな課題に対応するための具体的な取り組みについて検討を重ねることも必要だと考えております。 このような取り組みを通して、若者一人一人が次世代を担う有権者としての自覚と責任を持ち、一票の重みをしっかりと理解し、積極的に選挙権を行使できる環境づくりを進めていくことが重要だと考えているところであります。 二つ目の御質問は酒田港でございます。 本県唯一の重要港湾であります酒田港につきましては、就任当初から、その利用拡大が本県経済の発展のために必要不可欠と考えておりましたので、企業へのポートセールスに加え、港湾施設の機能強化に努めてまいりました。 振り返ってみますと、平成七年に国際定期コンテナ航路が開設され、平成十八年には約八千個近くにまで伸びたコンテナ数が、リーマン・ショックを境に減少し、私が就任した平成二十一年には約四千六百個まで落ち込み、コンテナ航路も週一便に減少しておりました。 その後、東日本大震災で被災した太平洋側港湾の代替港湾としてコンテナ数が増加に転じる中、不安定であった荷役機能の信頼性確保が急務と考え、二基目のコンテナクレーンを増設いたしました。一基だけですと、故障が発生すれば荷役作業に支障を来し、荷主の皆様に迷惑がかかり、結果的に酒田港の評判が落ちて発展性が阻害されると考えたからであります。 このコンテナクレーンの増設に加え、荷さばきの機械であるリーチスタッカーを追加配備いたしましたが、これら荷役機能の強化は、酒田港の立地を生かした中国向け紙おむつ工場の一期目が平成二十六年四月に本格稼働しました。さらに、ことしに入って二期目の工場生産が開始されるなど、たび重なる拡張につながりました。その結果、コンテナ貨物量が順調に増加し、平成二十六年は約一万四千個と過去最高を記録するとともに、コンテナ航路もことしに入って三度にわたり増便され、今月二十一日からは初めて週六便となり、そのうち二便が中国航路となっております。港湾施設の機能強化が貨物取り扱い量増加につながり、さらに航路の増便や企業投資につながるという経済の好循環が生じているところであります。 この好循環を続け、さらなる酒田港の利用拡大を図っていくためには、引き続き、特に二つの視点から港湾施設の機能強化を進めることが大事だと考えております。 一つ目は、冬季航路の信頼性の向上であります。 酒田港は、冬季風浪等により昨年も五十九件の入出港障害や荷役障害などが発生しているのが現状であります。このため、現在、国土交通省において防波堤の延伸や改良などを行っております。県におきましても、船舶の係留施設の更新を進めるとともに、防波堤の整備などにつきましてしっかりと要望してまいりたいと考えております。 二つ目は、タイムリーな荷役機能の強化であります。 紙おむつを初めとする酒田港のコンテナ貨物量は、過去最高を記録した昨年を上回るペースで増加しておりますので、年内を目途に、リーチスタッカーを現在の二台からさらに一台増設して三台にする予定であります。加えまして、将来の事業拡大を見据え、新たな土地を購入し、現在、造成工事を進めている企業もありますので、今後のさらなるコンテナ貨物量拡大にも期待をしているところであります。 このように、酒田港利用企業の動向を常に注視しながら、その設備投資におくれることがないよう、コンテナヤードの拡張を含めた港湾施設の整備や、荷役関係企業とも連携した効率的な荷役体制の構築を検討する必要があると考えております。 酒田港は、コンテナ貨物の取り扱いのみならず、リサイクルポートとしても重要な役割を担っております。今後とも、港湾施設の機能強化にしっかりと取り組み、酒田港の発展が本県経済を牽引し、山形創生につながるよう力を入れてまいりたいと考えているところであります。 ○議長(野川政文議員) 高橋企画振興部長。 ◎企画振興部長(高橋広樹君) 農山村の活力ある地域づくりについてお答え申し上げます。 農山村におきましては、少子高齢化や人口減少が特に著しい中で、就業や所得確保の困難さ、生活支援機能の脆弱化、地域を支えるマンパワーの不足など、地域の活力を維持する上でのさまざまな課題が顕在化しております。このような農山村の課題につきましては、地域の方々が課題を共有し、それぞれの地域の実情を踏まえながら、その解決に向けて具体的な取り組みを進めることが大切であります。 このようなことから、県におきましては、地域での取り組みを進める上で、ノウハウやマンパワーが不足しているとの地域の声を踏まえ、解決のノウハウを持つアドバイザーやNPOを地域に派遣し、課題の洗い出しや共有化、活動の進め方などについて支援を行っているところでございます。 これに加え、地域おこし協力隊や集落支援員制度の積極的な活用を市町村に促すことにより、現在、県内では、地域おこし協力隊は二十四市町村で六十六名、集落支援員は十の市町村で二十七名が活動しております。県においては、地域おこし協力隊等を対象に研修会を開催するなど、スキルアップに努めており、今後、農山村の活性化に向けてさらなる活躍が期待されております。 地域づくり活動拠点づくり立ち上げ支援につきましては、県内四地域でモデル事業を実施することとしており、具体的には、廃校を活用したレストラン、宿泊サービスの展開や、集落センターを拠点に地域資源を生かした産業興しなどに取り組むこととしております。その推進に当たりましては、県、市町村、NPOなどによる応援体制を構築し、サポートすることとしており、そこで得られた課題や解決のノウハウにつきましては、全県的な活用につなげてまいりたいと考えております。 ただいま申し上げた取り組みとともに、農山村の活性化に向けましては、地域資源を活用した女性や若者等によるスモールビジネスの事業化、農林漁業者等による六次産業化の推進、やまがた森林ノミクスによる産業振興など、雇用の創出や所得の向上に向けたさまざまな施策も展開することとしておりますので、市町村における施策とともに、総合的な活用を促すことにより、農山村に暮らす皆さんが安心と豊かさを感じることのできる地域づくりを支援してまいりたいと考えております。 ○議長(野川政文議員) 柴田環境エネルギー部長。 ◎環境エネルギー部長(柴田智樹君) 私には二点御質問をいただきましたので順次お答え申し上げます。 まず一点目ですが、山形県エネルギー戦略の進捗状況と今後の取り組みについてでございます。 県では、県のエネルギー戦略に掲げる二〇三〇年度、平成で申し上げれば平成四十二年度となりますが、その時点までのエネルギー開発量百万キロワットの実現に向けまして、まずは、県みずからが事業者となって先導的な役割を果たすとともに、県有地を活用した事業誘導や、家庭・事業所・公共施設への再生可能エネルギー設備の導入を支援していくための補助あるいは融資などを通しまして、民間事業の展開を支援してまいりました。 こうした取り組みの結果、平成二十六年度末におきます計画決定分を含む導入の実績でございますが、二十五年度末の実績の十二・四万キロワットから倍増の規模となります二十五・四万キロワットとなっておりまして、目標とする百万キロワットの達成に向けまして、おおむね順調に推移しているものと考えているところでございます。 県のエネルギー戦略では、再生可能エネルギーの導入につきまして、大規模事業の県内展開の促進と地域分散型の導入促進という二つの視点から政策を展開することとしておりますが、今後は、本県の強みや地域特性を踏まえた対応が重要と認識をしております。 まず一点目の大規模事業の県内展開の促進につきましては、太陽光発電につきましては、引き続き一定の導入が進むことが見込まれておりますことから、その他の分野といたしまして、本県で最も高いポテンシャルを有すると考えております風力発電につきまして重点的に推進してまいりたいというふうに考えております。 具体的には、庄内地域では、県の企業局と酒田市が十里塚地区での事業化に向けて取り組みを進めているところでございます。こうしたことに加えまして、みずから風況調査を実施するなど事業化を検討している民間事業者もございますことから、こうした事業者を支援してまいります。 また、内陸部におきましても、現在、県が最上地域と置賜地域の二カ所で風況調査を実施しております。このデータについて、県内外の事業者に広く情報提供をすることにより事業化につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。 二つ目の地域分散型の導入促進につきましては、引き続き、再生可能エネルギー設備の導入に要する費用の助成を通して、家庭・事業所・公共施設への導入を支援してまいります。 加えまして、木質バイオマスエネルギーについて、民間事業者を対象とする設備導入ニーズ掘り起こしのための研修会の開催や、そこから一歩進みまして導入意欲のある事業者や関係者、県による具体的な導入に向けた研究会の設置、さらには、市町村を対象とする地域熱供給などエリア供給システムの普及拡大に向けたセミナーの開催などを予定してございまして、こうした取り組みによりまして、本県の豊富な森林資源を森のエネルギーとして活用し、発電と熱供給の両面からその導入の拡大を進めてまいりたいと考えているところでございます。 続きまして、二点目の御質問の山形県新電力の設立についてお答え申し上げます。 山形県新電力、仮称でございますけれども、それにつきましては、県のエネルギー戦略に掲げるエネルギーの地産地消と供給基地化を実現することによりまして、東日本大震災で発生した大規模停電の教訓を踏まえた災害対応力の強化といった観点に加えまして、地域資源を活用して生み出された再生可能エネルギーを調達し地域内外に供給していく地域エネルギー事業の取り組みを通して、本県の産業振興や地域経済の活性化を図るものでございまして、県と経済界が一体となって会社を立ち上げ、運営していくことに大きな意義があるものと考えているところでございます。 このため、新会社の設立に際し、出資者を募るに当たりましては、広く一般に出資を求めるということではなく、県内の主要な経済団体の代表の方々に、出資者となる企業の選定に御協力をいただくことを考えているところでございます。 具体的に申し上げますと、先ほど申し上げたような県の新電力の考え方、新電力の構想に賛同していただくということが必要であることはもちろんでございますけれども、加えまして、利益重視ではなくて地域への貢献といった視点に立って、新会社の経営に責任を持って参画していただけるような企業に対する呼びかけをしていただきたいというふうに考えているところでございます。そして、そうした観点から、現在、県内の主要な経済団体の方々と調整を進めさせていただいているところでございます。 こうした調整を経まして具体的な企業の選定を行った後には、その選定された企業の方々と県と一緒になって新会社の設立準備会といった形のものを立ち上げまして、この準備会において、新会社の定款ですとか当面の事業計画など、会社設立に関する具体的な事項を協議した上で、本年秋ごろを目途として、できるだけ早い時期に新会社を設立したいと考えております。その上で、平成二十八年、来年の四月からの事業開始に向けた準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ○議長(野川政文議員) 飛塚子育て推進部長。 ◎子育て推進部長(飛塚典子君) 私からは結婚支援の取り組みについてお答え申し上げます。 これまで、本県では、結婚支援の取り組みを総合的な少子化対策における重要な柱と位置づけ、出会いイベントの情報発信やお見合い支援などによりまして、出会いの機会づくりを進めてまいりました。 先日公表されました平成二十六年の人口動態統計では、平均初婚年齢について、全国では上昇したのに対しまして、本県では、男性が三十・三歳、女性が二十八・七歳と、男女とも前年より低下し、若干ではございますが若返る傾向が見られたものでございます。しかしながら、本県の婚姻件数は四千六百九十九件と、前年に引き続き減少しており、結婚支援のさらなる充実が必要であると考えております。こうしたことから、市町村や商工団体の方々とともに、オール山形で結婚を支援する「やまがた出会いサポートセンター」をことし四月に設立したところでございます。 本センターでは、個々のニーズに合わせた出会いの機会の創出といたしまして、希望の相手の方を本人みずから直接検索できるシステムを活用した一対一のお見合い支援サービス事業を実施しております。まずは、これらのサービスについて、市町村や企業を通じて全県的なPRを強化し、利用拡大を図ってまいりたいと考えております。 また、新たに企業等と連携した独身者の交流機会の創出、また、県外の独身女性との出会いの機会づくり、こういった全県一体となったさまざまな支援活動を展開してまいります。 こうした取り組みを県民の方々に知っていただくとともに、県内の若者が結婚を前向きに捉え、積極的に取り組むよう、市町村、商工団体などと連携しながら、各種メディアを効果的に活用し、結婚や子育てに対するプラスイメージや、地元で子育てすることの大切さ、よさなどを情報発信するポジティブキャンペーンを広く展開してまいります。 また、若者が早い段階から結婚を含めた自分の人生設計についてみずから考える機会を持つことが大切であり、このようなことから、ライフデザインセミナーの開催などの取り組みも拡大してまいりたいと考えております。 一方、多様な結婚支援のもう一つの柱といたしまして、ボランティアで仲人活動を行う「やまがた縁結びたい」の活動におきましても、出会いを後押しする取り組みを進めております。引き続きまして広域的な連携を進め、活動支援を強化してまいりたいと思います。 今後とも、社会全体で結婚を応援する機運を高め、市町村や企業等と連携して、県内の若者に広く働きかけながら、さまざまなニーズに応じた多様な出会いの機会を提供し、人生設計から出会い、結婚までの継続的かつ総合的な支援の充実強化を図っていきたいと考えております。 ○議長(野川政文議員) 大澤商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(大澤賢史君) 二点お尋ねがありました。 まず、酒田港に関してお答え申し上げます。 酒田港の国際定期コンテナ航路につきましては、平成七年の開設以来、コンテナクレーンの増設など港湾機能の強化に努める一方で、官民一体となったポートセールス活動や利用荷主に対する助成などにより利用拡大に努めてまいりました。その結果、平成二十六年のコンテナ貨物量は一万三千七百九十九TEUとなり過去最高を記録し、本年に入りましても順調に推移しているところであります。 貨物量の増加に伴い、コンテナ航路も逐次拡充され、ことしも既に三度にわたる増便が行われ、国際定期コンテナ航路開設以来初の週六便になったところであります。特に中国については、大連航路が一年十一カ月ぶりに、上海航路が七年四カ月ぶりに再開され、初の週二便運航が実現しているところであります。 酒田港の活性化は本県産業の振興を図る上で重要な課題であり、今後、酒田港が一段と飛躍するためには、より多くの企業に酒田港を利用していただき、取り扱い貨物量を増大するとともに、利用荷主の層を厚くしていくことが重要と考えております。 このため、新規荷主の獲得を目指し、今般の六便化、中国二便化という利便性向上を強力にアピールし、ポートセールス活動を積極的に展開してまいります。特に、中国と取引がありながら酒田港をいまだ利用していない企業に強力に働きかけるとともに、県外企業も荷主助成制度の対象に加えまして、近隣県でのポートセールスにも力を入れてまいります。 あわせまして、酒田港の振興を目的に官民の関係団体で組織しておりますポートセールス協議会において、極東ロシアから木材を積んできたバルク船などを活用しまして、帰り荷として中古自動車部品を積載したコンテナを極東ロシアに輸送する実証実験にも取り組んで、ロシア直行便の可能性も検証してまいります。 ことしはコンテナ航路開設二十周年となります。この節目の年に酒田港がさらに発展するよう、今後とも、酒田市を初め関係機関と連携を強化しながら、週六便の安定運航と一層の利用拡大に向けまして、官民を挙げて取り組んでまいります。 次に、海外活動・支援体制についてお答え申し上げます。 本年三月に策定しました山形県国際戦略は、目指す姿を掲げ、取り組みの基本方向、施策の展開方向、地域別の方向をお示ししているものであります。この戦略を推進するための現地での活動をサポートする体制には、現地事務所の設置を初め、職員の派遣、現地コーディネーター・アドバイザーの配置などがあります。その態様は、対象国における本県の海外展開の狙いや情勢の変化、取り組みの熟度などを総合的に勘案した上で、柔軟で効果的な体制を構築することとしております。 今般、このような考え方に基づきまして、情勢変化等を踏まえ、現地活動支援体制が柔軟で効果的なものになるよう見直しを行ったものであります。 具体的には、台湾は、本県にとって外国人観光客の約半数を占めるインバウンドの中核となる市場であり、先般の日台観光サミットにおける「観光・行政分野での人材交流を積極的に推進する」との議長総括を踏まえまして、本県と台湾との間で人材を相互に派遣し、現地でのプロモーション活動や年間を通したチャーター便就航の働きかけなど、交流拡大に向けた取り組みを加速してまいります。 韓国では、これまでに現地の旅行業者や県産品バイヤーとの人的ネットワークが形成されており、民間レベルでの交流に一定の道筋ができたものと考えております。本年十月以降は、これまでのソウル事務所の活動成果を生かしながら、現地の観光コーディネーターに加え、新たに戦略的な情報発信や企業活動支援等を担う戦略的情報発信員を配置し、観光や県産品の情報を積極的に発信してまいります。あわせまして、山形県産酒フェアの開催などによる輸出販路拡大、スポーツ・文化を通した交流の拡大などの取り組みにも力を入れてまいります。 このほか、中国については上海に現地アドバイザーを、ASEANについてはシンガポール貿易コーディネーターをそれぞれ新たに配置し、今後有望な市場における県産品輸出拡大を図ってまいります。 今後とも、海外の現地活動支援体制につきましては、国際情勢の変化に的確に対応できますよう、不断の検証を行いながら、本県の魅力を海外に向けて力強く発信し、海外取引及び外国からの観光誘客の拡大に向けた施策を力強く展開してまいります。 ○議長(野川政文議員) 若松農林水産部長。 ◎農林水産部長(若松正俊君) 私からは松くい虫の被害拡大防止対策につきましてお答え申し上げます。 平成二十六年度に新たに発生した松くい虫被害量につきましては、県全体では前年度の約二倍に増加しております。とりわけ、庄内地域では二・八倍の一万六千八百十四立方メートル、県全体の七〇%、被害本数で約三万一千本、面積にして、推計でありますけれども九ヘクタールとなりました。そのほとんどは海岸林であり、このまま増加が続けば、防風・飛砂、そういった防備等の防災機能に大きな影響を及ぼすおそれがあり、まさに対策の正念場であるというふうに捉えております。 この被害の増加要因といたしましては、二十四年四月の爆弾低気圧による暴風やたび重なる大雪により松の枝折れや幹折れが多く発生し、それがマツノマダラカミキリの格好の産卵場所になり、生息密度が高まったことなどが考えられます。 こうした被害に対応するため、防除対策としましては、まず、被害木の中にいるカミキリの幼虫を羽化前に駆除することが重要であります。特に、庄内海岸林では、被害木を伐採搬出し、木質ペレットやパルプの原料として破砕処理し、カミキリの幼虫を完全に死滅させる特別伐倒駆除、これを幼虫が材の中にいる十二月ごろから翌年の六月にかけて実施してきております。 さらに、被害拡大を防ぐための予防策として、被害木から飛び立ってそして健全木に飛来するカミキリを、それが食べます葉の摂食時に死滅させる、こういうふうなために、無人ヘリ等による薬剤散布を六月上旬に実施しております。 これらの対策に要する予算につきましては、今年度、県全体で前年度実績の一・六倍に当たります三億三千七百万円を、うち庄内地域におきましては、同じく二・一倍となります三億一千二百万円、全体の九三%を集中投下いたしまして、緊急的かつ重点的に対策を講じることとしております。 また、松くい虫防除とともに、松自体を健全に育成しカミキリが寄りつきにくくするというような意味で、下刈りや枝打ち、植栽などの森林整備も重要であります。庄内地域では、やまがた緑環境税なども活用して、住民参加による海岸林整備活動が活発に行われており、このような活動をさらに推進してまいります。 松くい虫被害対策では、その対象となる松の生育が広範にわたっております。県としましては、林野庁や関係市町のほか、地元の海岸林保全団体にも参加をお願いし、六月五日には「庄内海岸林松くい虫被害対策強化プロジェクト会議」を立ち上げたところであります。 今後とも、関係者が連携を一層強化しながら、海岸林を中心に、県内で総合的かつ効果的な対策を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(野川政文議員) 上坂県土整備部長。 ◎県土整備部長(上坂克巳君) 私からは住宅リフォーム補助の拡充についてお答えいたします。 住宅リフォーム補助制度につきましては、平成二十三年度から実施しているところでありますが、今年度は、人口減少対策の一環といたしまして、山形らしい暮らし方である三世代同居世帯とともに、新婚世帯、子育て世帯、移住世帯などを対象に補助限度額を引き上げております。さらに、空き家対策のため、空き家のリフォームを補助対象に加え、制度の拡充を図ったところであります。 制度拡充後の本年六月十五日現在の本事業の実施状況は、申し込み件数で一千八百七十二件、予算戸数に対する執行状況で約四八%となっております。昨年同時期と比較いたしますと、申し込み件数では百四十六件の増加、執行状況で三ポイントの増加となっており、まずは順調なスタートが切れたと考えているところであります。 拡充した部分の利用状況を見てみますと、人口減少対策分は予算で想定していた戸数三百六十件に対して二百十九件、空き家対策分としては三十件に対して既に二十三件の申し込み状況となっており、今年度行った制度の拡充が申し込み件数の増加に寄与しているものと考えております。 なお、人口減少対策分のうち三世代同居世帯の利用が約八割を占めており、三世代同居リフォーム工事の需要の高さがうかがえる状況となっております。 一方で、住宅リフォーム補助制度は、大工職人の技術の維持と向上につながるとの声も聞こえてきております。これは、近年の新築工事では、工場で木材を機械加工するプレカット方式といいますが、その方式で生産された部材を単純に組み立てることが主であることに対し、リフォーム工事では、住宅ごとに間取りの変更内容や構造体の補強方法等が異なることから、現場で木材を職人みずからさまざまに加工することが必要であることはもとより、新築以上に大工職人の技術や経験が必要になるためであります。 このように、住宅リフォーム補助制度は、やまがた創生に向けた人口減少対策や空き家対策、さらに大工職人の人材育成などに対して幅広い効果が期待できます。今後とも本制度をしっかり推進するとともに、今年度の制度の拡充効果を検証し、関係団体等からの御意見も参考としながら、よりよい制度となるように努めてまいります。 ○議長(野川政文議員) 菅野教育長。
    ◎教育長(菅野滋君) 私には二点御質問をいただいております。 まず、学校教育における選挙権年齢引き下げへの対応でございます。 現在、高等学校では、義務教育課程で学んだ内容を踏まえまして、全ての生徒が、「現代社会」や「政治・経済」の科目の中で民主政治や政治参加の意義などについて学習を行っております。 選挙権年齢の十八歳への引き下げによりまして、学校教育といたしましても、主権者教育をどのように充実させていくか、学校での政治的中立性をどのように確保していくか、高校生の政治的活動にどう対応していくかなどの課題がございます。 主権者教育の充実につきましては、選挙管理委員会と協力して行う模擬投票などの選挙啓発高校生出前講座や、先日行われました遊佐町町議会議員選挙の期日前投票に高校生がかかわるなどしておりますが、このたびの選挙権年齢引き下げを踏まえまして、今後は、これまで以上にこのような政治教育の体験的な取り組みに力を入れてまいりたいと考えております。 また、文部科学省では、高校生向けの副教材を作成し、秋ごろまでに生徒一人一人に配布する予定と聞いておりますので、その副教材を積極的に活用した授業を展開してまいります。 主権者教育を進める上では、学校での政治的中立性についても十分意を用いてきたところでありますが、現在、文部科学省が教師向けの新たな指導用資料を作成中でありますので、それを活用した教員研修を行い、政治的中立性に十分配慮した、より効果的な主権者教育を推進するための教員の指導力向上に努めてまいります。 このたびの引き下げによりまして、高校生の政治的活動については、十八歳以上であれば自由であるのが原則でございますが、学校内では、選挙権を持たない十七歳の生徒が混在することになりますので、政治的活動に一定のルールを示し、規範意識を醸成していく必要があると考えております。 文部科学省では、今回の改正を受け、生徒の政治的活動の制限に関する昭和四十四年通知の見直しを行っております。この見直しも踏まえながら、生徒が何らかのトラブルに巻き込まれたり、生徒の政治的活動が教育活動に支障を及ぼしたりすることがないよう努めてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、選挙の意義や社会参加に向けた必要な能力など、子供たちの政治的教養を豊かにするための教育に努力してまいりたいと考えております。 次に、県立高等学校普通科の現状と活性化についてであります。 平成二十七年度公立高等学校入学者選抜における最終の志願倍率は、全日制全体では〇・九七倍、普通科は一倍ちょうどでありましたが、いずれも年々下がってきているという状況でございます。志願倍率の低下により、中学校では競い合う気持ちが薄れ、主体的に学習に向かう動機づけが弱くなっているのではないかという指摘もございます。 一方で、大学進学を主とする普通科高校におきましては、学力の上下の幅が以前と比べかなり広くなってきております。各高校では、進路希望等に応じまして、習熟度別授業や添削指導などきめ細かな対応を行っておりますが、県立高校からの大学合格者数を見てみますと、医学部医学科を含めたいわゆる難関大につきましては、大変厳しい状況にあると言わざるを得ません。また、AO入試と呼ばれる、面接やプレゼンテーション、討論などを重視して合否を決める選抜につきましても低迷している状況でございます。 これを改善させていくためには、これまでの知識習得が中心となっている授業から脱却していく必要がございます。また、文部科学省では、考える力全般をはかる新しい大学入試制度の導入に向けた検討を進めており、このような改革にも適切に対応していく必要がございます。 これらのことから、本県の生徒の学力向上を図っていくには、基礎的な知識・技能はもちろんのこと、それらを活用する力を身につけさせるため、スーパーサイエンスハイスクール指定校で実施しているような探究活動や体験活動を重視した学習を推進し、思考力・判断力・表現力などを養成することが急務と考えております。 このため、県教育委員会では、今年度、「探究科等新学科設置及び普通科活性化に係る検討委員会」を設置し、課題探究学習に積極的に取り組ませながら、高度な思考力や表現力を養成する新学科の設置や、普通科高校において主体的・協働的な学びを普及させる上での課題などについて検討を進めているところであります。そこでの議論につきましては、年内に取りまとめを行い、それを踏まえまして、速やかに普通科活性化に向けた具体的な方策につなげてまいりたいと考えております。 ○議長(野川政文議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時三十分再開いたします。     午前十一時二十二分 休憩     午前十一時三十分 開議 ○議長(野川政文議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 三十五番広谷五郎左エ門議員。 ◆35番(広谷五郎左エ門議員) 四月に実施されました統一自治体選挙におきまして、多くの県民の方々と触れ合い、改めて政治の果たす役割の重要性を痛感してまいりました。 刻々変化する社会経済情勢の中で、とりわけ喫緊の課題に的確に対応すること、加えて、本県が抱える中長期的課題を見据えた布石も確実に打っていかなければなりません。そういった意味で、この本会議の場は多くの議論が展開され、県民の幸せにつながることを肝に銘じながら活動してまいりたいと思っています。 今定例会は、改選後の初議会でもあり、初心に返りまして、県政クラブを代表して知事初め執行部の方々に質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 初めに、山形市の中核市移行に向けた県の支援についてお伺いいたします。 昨年五月に地方自治法が改正され、都市制度改革の一つとして、保健所の設置などの権限を持つ中核市の指定の要件が「人口三十万人以上の市」から「人口二十万人以上の市」になりました。こうした中、山形市は、昨年十二月に中核市への移行を目指すことを表明し、六月三日には、山形市長から知事に対して中核市への移行に向けた協力要請がなされたところです。山形市では、市民サービスの向上、総合的な地域保健衛生の推進、市独自の特色あるまちづくりの推進、イメージアップ、ブランド力の向上などの効果を見込んでおります。 また、人口減少時代にあって、都市としての魅力を創出し、市民参加型まちづくりを推進する中で、特色ある文化都市を結ぶユネスコの「創造都市ネットワーク」へ映画分野での加入を目指し、大きく動き始めております。同ネットワークには、国内では、神戸、名古屋、金沢などに続き、鶴岡市も食文化の分野で登録されております。 私は、昨年十月に開催された「山形の映画文化を語る夕」に参加いたしました。東北芸術工科大学の加藤到教授の基調講演、その後、パネルディスカッションが行われました。世界各国のさまざまなドキュメンタリーの価値に光を当て四半世紀の歴史を重ねてきた山形国際ドキュメンタリー映画祭は、文化の多様性を保持し文化産業の可能性を連携によって最大限発揮させるというユネスコの考え方に合致するものであり、都市や地域の再生につながるものであると確信してまいりました。 こうした取り組みは、山形市における魅力ある都市づくりにとどまらず、周辺地域の活性化にもつながるものであります。このような取り組みを進め、ひいては「自然と文明が調和した理想郷山形」を実現するためにも、中核市に移行し、連携中枢都市圏構想を実現することが重要であります。 このたびの山形市の中核市移行に向けてどのように支援していかれるのか、吉村知事にお伺いいたします。 次に、観光力の強化についてお伺いいたします。 観光立県を目指して、昨年は、山形デスティネーションキャンペーンの取り組みや、国際的な催しJCI ASPAC山形大会、東北六魂祭の開催など、大変なにぎわいを見せました。 また、去る五月二十八日から三十一日まで本県において東北で初めて開催された日台観光サミットでは、台湾の観光関係者約六十名及び日本の観光関係者が本県を訪れる中で、山形の魅力を実感していただいたところであります。「日台双方向交流人口五百万人時代に向けて」をメーンテーマにして、拡大方策の意見交換が活発になされるなど、大きな成果がありました。 山形には、魅力ある食や温泉、温かい人情やおもてなしの心、先人から受け継ぎ大切に育んできた歴史・文化、ものづくりなど、国内外に誇れる素材、地域資源が多くあります。その活用を図っていくことが重要であり、それが山形の観光力を高めていくことにつながると思います。 訪日外国人旅行者数は年々増加しており、北陸新幹線の開業、来年三月に予定されている北海道新幹線の開業、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催など、国内の地域間競争が厳しさを増しております。インバウンド拡大への道筋ができつつある日本でありますが、その受け皿として、現状では、東京圏、京都・奈良を含む大阪圏、北海道圏に集中しており、東北地方全体では、訪日外国人客数全体の一、二%と言われております。雪を求めて訪日する外国人は確実に増加しておりますが、北海道、長野、新潟エリアは一歩先を行き、長野県だけで年間二十五万人以上の実績があったと伝えられています。 近年、観光力を伸ばしている都道府県のトップクラスに位置づけられている山形県でありますが、地域の持つ素材をさらに磨き上げ、異文化にじかに触れたい観光客をもてなすための接客力の向上、ウエブサイトを多言語化するホテル・旅館の拡大など、官民挙げた取り組みが求められております。 吉村知事は、これまで国内外でのトップセールスに積極的に取り組まれておりますが、インバウンドを見据えた観光力の強化について知事の御所見をお伺いいたします。 二つ目は、蔵王温泉の観光対策についてであります。 平成二十七年四月十三日、仙台管区気象台から発表された蔵王山の火口周辺警報が、今月十六日に解除され、関係者の方々もこれまでの県の取り組みに感謝をしております。「でも、これからが正念場です」と気を引き締める声も聞かれます。 蔵王温泉観光協会によると、四、五月の宿泊者数が対前年比で二〇から三〇%減少している状況とのことであり、修学旅行などのキャンセルを含め、風評被害の払拭に向けて、山形県挙げての取り組みに期待する声も高まっております。 これまでの取り組みを評価いたしますとともに、これからの対応について吉村知事にお伺いいたします。 次に、山形県新電力の狙いと期待される効果についてお伺いします。 吉村知事の県政運営が四年目に入った二〇一二年、新年度スタートの庁内挨拶で、知事はその年を「再生可能エネルギー元年」と位置づけ、再生可能エネルギーの導入を新たに山形の活力を生み出す方向性を掲げた積極的な予算編成を行いました。 前後して策定された山形県エネルギー戦略では、再生可能エネルギー供給基地化、分散型エネルギー資源の開発と普及の取り組みを進め、災害対応力を高めていくとともに、再生可能エネルギーの導入拡大などを通じて産業の振興やそれぞれの地域活性化につなげることを大きな眼目にしております。 政策展開におきましては、例えば風力発電やメガソーラーなど大規模事業の県内展開促進、家庭及び事業所・公共施設への導入やエリア供給システムの構築による地域分散型の導入促進、の二つの視点から再生可能エネルギーの導入拡大を進めることとしております。 こうした中、県では、エネルギー戦略に掲げるエネルギーの地産地消と供給基地化の実現に向けて、県と県内民間企業とが共同で出資し、県内の再生可能エネルギー発電事業者から電力を調達し県内外の需要家に供給する「山形県新電力・仮称」を本年度設立し来年四月から事業を展開することとしております。都道府県においては全国初の取り組みとのことであり、県内の産業界からの期待も大きいものと感じております。 一方、国においては、二〇一六年の電力小売完全自由化を踏まえ、買取制度運用ワーキンググループにおいて固定価格買取制度の見直しの検討を進める動きもありますが、地域循環型エネルギー改革を率先して推進してきた自治体がマイナス影響を受けることは避けなければなりません。 こういう状況の中で、改めて山形県新電力の設立の狙いは何か、特に県内の産業振興・地域活性化などにどのような効果をもたらすと期待しておられるのか、環境エネルギー部長にお伺いいたします。 次に、農地の効率的利用の推進について二点お伺いいたします。 一つ目は、農地中間管理機構による農地の集積・集約化についてであります。 農地中間管理機構は、農業の構造改革を加速化するための柱の一つとして、平成二十五年に首相を議長とする産業競争力会議において発案、検討され、同年十二月に農林水産業・地域の活力創造プランにおいて具体化し、関係法令が公布されました。 農地中間管理機構は、地域内に分散している農地の担い手への集積・集約化を推進する機関、いわゆる農地集積バンクとして、全国の現状で全農地の五割以下にとどまっている担い手の農地利用を今後十年間で国全体で八割に高めるという目標の達成に向け、全都道府県に設置されました。本県でも、昨年四月に公益財団法人やまがた農業支援センターを農地中間管理機構に指定して事業に取り組まれており、昨年度末には二千ヘクタールを超える農地が貸し付けられたと聞いております。 そのような中、先月、農林水産省から農地中間管理事業の平成二十六年度の実績が公表されました。それによると、全国では、年間の農地集積の目標面積約十四万九千ヘクタールに対し、農地集積を牽引すると期待された農地中間管理機構を介した権利移転面積は、その二割程度に当たる約三万一千ヘクタールにとどまっております。このうち、リタイアする農業者などから新たに担い手に集積された面積は約七千三百ヘクタールで、目標面積に対して五%の割合となっており、本県においても、目標面積四千九百ヘクタールに対して九%の割合という結果になっています。 新聞等の報道によれば、昨年度から始まった新たな制度であり、周知不足などが実績低調の要因として取り上げられておりますが、平成二十六年産米の大幅な価格低下や農業従事者の減少、高齢化や耕作放棄地の拡大など、本県の農業をめぐる環境は厳しさを増しており、担い手への農地の集積・集約化は喫緊の課題であると思います。 そこで、県として昨年度の農地中間管理機構の実績をどのように評価し、どのような課題があるのか、また、これらを踏まえた今後の取り組みについて農林水産部長にお伺いします。 二つ目は、農業農村整備事業の推進についてであります。 農林水産業を取り巻く環境は、経済のグローバル化や経済連携協定締結の動きが加速し予断を許さない状況にあります。TPP交渉の行方も佳境に入っており、我が国の農林水産業を守るためにも、五品目の自由化は認めることはできません。 本県においては、今年度、総額約四百五十億円の農林水産関係予算が確保され、農林水産業を起点とする産出額三千億円のさらなる拡大を目指し諸施策が展開されております。その中で、農林水産業を支える基盤づくりも極めて重要な課題であります。 本県における農業生産基盤の整備は、水田と基幹的な農業水利施設を中心として早くから取り組まれてきたところであり、現在、水田の整備率は七割を超え、農業用水の整備率は八割に達するなど、全国的に見ても高いレベルにありますが、財源の五〇%以上を国庫支出金に依存している状況にあります。 聞くところによると、本年度は、これら農業生産基盤の整備にかかわる国の予算配分が非常に窮屈になっており、とりわけ農業水利施設の長寿命化対策等の事業量が減少し、関係者の間に動揺が広がっております。 今、政府は地方創生の推進など地方の自立に目を向けていると理解しておりますが、個々の政策判断を見ると、その姿勢を疑わざるを得ません。 そこで、国における本年度予算の特徴とそれに対する本県の対応状況はどうなっているのか、また、これらの施策の推進に向けて今後どのように取り組まれるお考えなのか、農林水産部長にお伺いいたします。 次に、建設行政の諸課題について三点お伺いいたします。 一つ目は、入札制度の改善についてであります。 県内の社会資本は、高度成長期から平成初期までに整備されたものが多く、施設の更新時期であり、長寿命化対策も重要になっております。今後とも、各施設本来の機能を維持し、末永く県民の皆さんに利用されるものでなければなりません。 一方、本県の建設投資額は近年持ち直しておりますが、ピーク時である平成八年度の九千六百億円と比較すると約四七%まで減少しております。このため、建設業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いており、収益性を度外視した低価格での入札、いわゆるダンピングが増加し、施工困難な状況があるとの声も聞かれ、今後の整備や維持が安全かつ確実に行われるか危惧するところでもあります。 このような中、各発注者の公共調達の適正な運用を定めた基本法ともいうべき公共工事の品質確保の促進に関する法律・品確法が昨年六月に改正され、予定価格の原則事後公表等や市場における労務及び資材などの取引価格を的確に反映した積算を行うなど、予定価格の適正な設定が求められております。 県においては、平成二十年に制定した公共調達基本条例に基づき、不断に制度の改善を実施しているものと考えますが、今般の法改正を踏まえ、発注者として入札契約制度の改善にどのように取り組まれるのか、県土整備部長にお伺いします。 二つ目は、品確法のもう一つの目的である若手技術者の育成確保についてであります。 県内の建設業者は、地域の社会資本の整備や維持等の担い手であると同時に、経済や雇用を支え、災害時には最前線で安全安心を確保する地域の守り手として、県民生活や地域社会の支えとなる役割を担っております。さきの東日本大震災や、本県における昨年、一昨年と二年続きの豪雨災害の際には、応急対策を初め、被害の拡大防止や早期復旧を担っていただきました。建設業者が果たした役割は非常に大きく、記憶に新しいところであります。 しかし、業界からは、昨今の建設投資額の減少に伴い、余剰雇用の調整や新規採用の抑制を進めてきた結果、若い世代が減少してしまったとお聞きしております。将来にわたって地域の産業として適切な役割を保持していくためには、若者の建設業界への入職を促進するとともに、離職を防ぎ、人材を安定的に定着させることが最重要課題と思われます。 地域を守り、質の高い建設工事を担う若手技術者の育成確保について県はどのように取り組んでいかれるのか、県土整備部長にお伺いします。 三つ目は空き家対策についてであります。 二〇一三年の日本の空き家は八百二十万戸、空き家率は一三・五%と過去最高を記録しました。空き家は、統計的には、「売却用」、「賃貸用」、「二次的住宅」、「その他」の四つに分類されています。このうち、特に問題となるのは、空き家になったにもかかわらずそのまま置かれている状態の「その他」に区分される空き家であります。空き家全体に占める「その他」の空き家の割合は、二〇〇八年の三五%から二〇一三年には三九%にまで高まっております。 一方、これらの問題空き家となる予備軍が増加している背景には、人口減少、核家族化が進み親世代の空き家を子供が引き継がない、売却・賃貸化が望ましいが質や立地面で市場性が乏しい、売却・賃貸化ができない場合撤去されるべきですが、更地にすると土地に対する優遇措置が適用されなくなり現在に比べ固定資産税が最大六倍に上がるためそのまま放置しておいたほうが有利、などが挙げられます。 空き家対策について、当面の対策としては、危険なものについては速やかに撤去していくこと、また、使えるものについては利活用を促していくことが必要になると考えます。二〇一四年に成立した空家等対策の推進に関する特別措置法が本年五月より全面施行されました。問題空き家に対して市町村が指導、勧告、命令、行政代執行を行うことができるものと理解しておりますが、除却まで可能となるこの新たな制度の創設により、市町村における取り組みがより重要となってまいります。 そこで、本県における空き家数や空き家率の現状と、利活用の促進を含めた空き家対策を県と市町村が役割分担を図りながら今後どのように進めていくお考えか、加えて、空き家の利活用に向けた相談や支援体制をどのように構築していくのか、県土整備部長にお伺いします。 最後に、今後の教育の振興について二点お伺いします。 一つ目は、小規模小・中学校の統廃合についてであります。 二〇〇八年以降人口減少時代に突入した我が国において、その影響は、さまざまな分野に波及しております。 学校教育の分野でもさまざまな課題が浮き彫りになってきております。児童生徒が集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて一人一人の資質や能力を伸ばしていくという学校の特質を考えれば、小・中学校では一定の集団規模が確保されることが望ましいと考えます。 こうしたことから、文部科学省は、ことし一月二十七日に「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を約六十年ぶりに改定しました。 この手引では、学校規模の標準、十二ないし十八学級を下回る場合の大まかな対応の目安について、学級数ごとに区分して提示しています。特に、複式学級が存在する小学校においては、学校統合等により適正規模に近づけることの適否について、市町村に検討を求めています。学校の適正配置における通学条件では、従来の通学距離の基準に加えて、一時間以内を目安とした通学時間を提示しております。 しかし、この手引は、一方で、コミュニティーの核としての学校の性格や地理的要因・地域事情等に配慮する必要についても言及し、特に、過疎地など地域の実情に応じて小規模校の課題の克服を図り、小規模校の存続を選択する市町村の判断も尊重しております。 教育山形「さんさん」プランに基づき、子供たちに目が行き届く教育を実践してきた本県においても、二〇一四年度には、人口減少により、公立小・中学校二十七校が廃校しております。 以上のことを踏まえ、本県における小・中学校の統廃合の状況や適正規模を下回る学校数などの現状と、文部科学省から出された手引への評価、あわせて地域のコミュニティーのかなめとなる学校の活性化に向け、市町村を支援する県の施策について教育長にお伺いします。 二つ目は、探究型学習の推進についてであります。 グローバル化や情報通信技術の進展に伴い、社会全体が変化し、先行き不透明になっていると言えます。子供たちが成人して社会で活躍するころには、生産年齢人口の減少だけでなく、社会や職業のあり方そのものが大きく変化している可能性があります。 このような変化の激しい時代に、子供たちには、困難に立ち向かい、他者と協同しながら、その力を最大限に発揮して未来を切り開いていく力が必要であり、そのためには、学校教育においても、子供たちが主体的に学び、自立した人間として他者と協同しながら創造的に生きていくための資質と能力を育成していくことが必要であると考えます。 先般、国の教育再生実行会議の中で、未来の社会を担う子供たちに必要な力を育むためには、「何を教えるか」という知識の量と質の改善はもちろんのこと、「どのように学ぶか」という学習の質や深まりを重視することが必要であり、課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学習、いわゆるアクティブ・ラーニングを充実させていくことの必要性が提言されています。 本県においては、今年度新規事業として、知識・技能の習得と活用、そして、みずから課題を発見し解決していく力、すなわち探究する力を育成し、確かな学力の向上につなげるという探究型学習を導入・推進していくとお聞きしております。 そこで、本県が推進しようとする探究型学習の取り組みについて、国が進めようとしているアクティブ・ラーニングとのかかわりも含めて教育長にお伺いします。 以上で壇上よりの質問を終わります。 ○議長(野川政文議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 広谷議員から私に三点御質問を頂戴しましたので順次お答えいたします。 まず一点目は、山形市の中核市移行に向けた県の支援についてであります。 山形市が中核市に移行することによりまして、保健所の設置を初めとする保健福祉の分野や都市計画・建設行政などまちづくりの分野など広範にわたる業務が一括して県から山形市に移管されることとなります。そうなりますと、山形市が県内初の中核市として、住民ニーズに沿った業務を効果的に提供し、地域、住民に根差した総合行政を展開することが期待されるわけであります。 また、政府・地方を挙げて地方創生に向けた取り組みを進めている中、山形市と周辺市町との連携により活力ある社会経済の維持を目指す連携中枢都市圏構想を進めることとされております。連携中枢都市圏構想による広域連携を進めることで、地域資源を活用した広域観光の展開や広域的な休日・夜間診療体制の充実など、地域経済の牽引や生活に関連する機能・サービスの向上が図られ、本県全体の活力を高めることにつながるものと期待しているところであります。 山形市の中核市移行に向けた県の支援につきましては、まず、法定事務として山形市に移譲される約一千五百に上る事務、さらには、県民の暮らしや利便性をより高めるため県が単独で実施してきた事業について、事務事業の進め方や課題、必要な人員体制など、移譲に向けた整理を行い、山形市に対して適切な情報提供を行ってまいります。 また、移譲事務が広範にわたり、関係する部局も多岐にわたりますので、調整を円滑に進めるため、双方の窓口をそれぞれ一本化するなど、円滑な事務移譲に向けた連携体制を構築いたします。 さらに、保健所業務など専門性の高い業務につきましては、現場対応などノウハウの提供や、県からの専門職員の派遣、市からの研修職員の受け入れなど、必要な人材の育成確保に向けて、山形市が必要とする支援をしっかりと行ってまいります。 このような取り組みによりまして、山形市における移譲業務の円滑な実施や、新たな組織体制の検討、財政見通しの作成などへの支援を行ってまいります。連携中枢都市圏構想の円滑な推進に向けましても、総務省などとの調整や情報提供など、必要な助言や調整を行ってまいります。 こうした支援を通して、県都山形市の中核市への移行が円滑に進み、山形連携中枢都市圏が本県のみならず東北の発展を先導する役割をしっかりと果たされるようになることを期待しているところでございます。 二点目は、インバウンドであります。 海外からの観光誘客を図るインバウンドの推進は、本県経済の持続的な発展と活力に満ちた地域社会の実現に向けて極めて有効な取り組みであり、一層の推進を図る必要があると考えております。 訪日外国人旅行者数を見てみますと、平成二十六年は一千三百四十一万人となり、過去最高となりました。しかしながら、その多くは、東京・大阪・京都・富士山周辺などいわゆるゴールデンルートに集中しております。しかも、山形県を含む東北地方だけがいまだ大震災前の水準に戻っていないというのが現状でございます。 そうした中、政府は、今月初め、観光立国実現に向けた新たな行動計画を決定し、現在ゴールデンルートに集中している外国人旅行者を地方へ呼び込み、好調なインバウンド観光の効果を地方に波及させていく方針を明確に打ち出したところであります。 県としましては、この大きな流れをしっかりと捉えながら、ことし三月に策定した山形県国際戦略やおもてなし山形県観光計画に基づき、重点市場に位置づけた台湾、香港、中国、ASEANを中心に、市場の特性に応じた観光誘客の拡大を進めることとしております。 その基本的な考え方は、観光素材の磨き上げを行いながら、対象国の嗜好に応じたテーマ性のある質の高い旅を提供し、満足度の高い「山形ブランド」を定着させることで、選ばれる地域となることを目指すものでございます。例えば、台湾やASEANの方々は、雪に高い関心を持ち、極めて訴求効果がありますので、雪を基本に据え、食や温泉、伝統文化など、本県が優位性を持つ観光資源と組み合わせ、新しい魅力を創造し提案していくことが重要と考えております。 また、今後拡大が期待できる有望な市場につきましては、私自身が先頭に立ってトップセールスを行い、海外の観光関係者に本県の魅力を直接アピールするなど情報発信に努めているところでございます。引き続き、本県の認知度向上や市場開拓のためのトップセールス、海外プロモーションを進め、対象地域の特性に応じた戦略的な情報発信に努めてまいります。 一方、受け入れ態勢の充実強化も喫緊の課題だと考えております。このため、官民の観光関係者で組織する山形県国際観光推進協議会と連携し、無料公衆無線LAN環境の整備や案内表示の多言語化など情報提供の円滑化、免税店の拡大やカード決済、両替システムなど買い物の利便性向上に加え、観光サービスを提供する方々が外国人に応対できるよう基礎的な会話力や接遇を身につけるなど、おもてなし研修による人材育成にも取り組んでまいります。また、個人旅行では特に二次交通の充実も大きな課題でありますので、外国人観光客の皆様が安全かつ快適に山形で旅を楽しんでいただけるよう支援してまいります。 折しも、政府が地方ブロックごとの新たな広域観光周遊ルートの形成構想を打ち出し、東北では「日本の奥の院・東北探訪ルート」が認定されたことを受け、東北観光推進機構と連携し、東北地域が一体となって海外における認知度を高め、東北に目を向けさせるとともに、本県により多くの観光客を呼び込むため、本県の魅力をしっかりとアピールしてまいります。 県としましては、観光客を呼び込む力、呼び込んだ観光客を長く滞在させる力を高めるため、観光資源の磨き上げと的確な情報発信や受け入れ態勢の充実を図るとともに、山形DCや日台観光サミットなどこれまでの取り組みの成果をフルに生かしながら、インバウンドをしっかりと視野に入れた観光力を強化し、誰もが何度でも訪れたくなるような、住んでよし、訪れてよしの選ばれる地域になることを目指してまいりたいと考えております。 三点目は、蔵王温泉の観光対策でございます。 蔵王は、年間三百万人以上の観光客が訪れ、また、県内の主な温泉地の宿泊収容人数の約三割を占めるなど、本県を代表し、本県の観光を牽引する観光地であります。この蔵王が元気であるということが本県観光の元気をあらわすメルクマールであると考えております。 このような重要な観光地である蔵王が、去る四月十三日に蔵王山の火口周辺警報が発表されて以降、風評被害により教育旅行のキャンセルが相次ぎ、その数八千人以上にも及ぶ深刻な状況になったことに、私は強い危機感を持ちました。迅速的確な対応を図るべく取り組んでまいったところであります。 まずは、観光客の皆様が安心して足を運んでいただけるよう、県のホームページや訪問活動などで正確な情報を迅速に発信するよう努めますとともに、旅行エージェントなどに対して観光送客の取り組みを呼びかけてまいりました。 また、西蔵王有料道路を四月二十九日から無料開放にしたほか、総合金融相談窓口を設置するとともに、県商工業振興資金の地域経済変動対策資金を適用するなど、地元の事業者の皆様の応援に努めてまいりました。 さらに、副知事をトップとする「教育旅行復活推進チーム」を立ち上げ、首都圏や関西圏、中京圏の旅行エージェントを精力的に訪問するなど、教育旅行の復活に向けた取り組みも行ってきたところであります。 こうした中、今月十六日には火口周辺警報が解除されました。ほっと胸をなでおろしたところでございます。今後は、安全性を前面に出した情報発信を行いながら、誘客促進にしっかりと取り組んでいくことが重要だと考えております。 具体的には、蔵王エコーラインと御釜を結ぶ蔵王刈田リフトの八月三十一日までの無料運行に対する支援を上山市とともに行い、宮城県側の蔵王ハイラインの無料開放とタイアップして、相乗効果が得られるようにしてまいりたいと考えております。また、無料開放中の西蔵王有料道路も、夏休みシーズンを考慮し八月三十一日まで延長することとしております。 また、旅行エージェントへの訪問やマスメディアを使った情報発信に努めますとともに、首都圏等での観光キャラバンについて、関係の皆様と連携し、観光誘客の促進に向けた取り組みを精力的に行ってまいります。 さらに、今月二十九日から順次販売を始めるプレミアムつき「『山形日和。』旅行券」に二万枚の蔵王特別枠を設定し、蔵王温泉及び蔵王高原坊平の宿泊施設の利用促進を図ってまいります。 教育旅行につきましては、首都圏や関西圏の旅行エージェントの皆様を蔵王に招き、安全性をじかに確認していただくツアーを実施するほか、私が先頭に立って、本県への教育旅行招致に力を入れてまいりたいと考えております。 蔵王が一日も早く元気を回復し、本県観光の牽引役を担ってもらいたいと考えておりますので、宮城県と連携したPR活動を実施するほか、山形市、上山市、地元観光協会、関係団体等と一丸となって観光誘客の取り組みを進めてまいります。県議会の皆様を初め県民の皆様からも一層の御支援をよろしくお願いいたします。 ○議長(野川政文議員) 柴田環境エネルギー部長。 ◎環境エネルギー部長(柴田智樹君) 山形県新電力の狙いと期待される効果についてお答え申し上げます。 山形県新電力・仮称でございますが、その設立は、県エネルギー戦略に掲げるエネルギーの地産地消と供給基地化を具現化するものであり、その狙いを大きく申し上げますと、二つございます。 まず一つ目は、東日本大震災の教訓を踏まえた災害対応力の強化でございます。山形県新電力が設立されることで、そこに電力を供給する再エネ発電事業者が県内各地にふえ、地域分散型のエネルギー供給基盤が形成されることにより、地域における災害時のエネルギー安定供給につながることを期待しているものでございます。 二点目は、県内の産業振興と地域経済の活性化でございます。地域資源を活用して生み出された再生可能エネルギーを調達し、地域内外に供給する地域エネルギー事業に県が先導的に取り組むことにより、民間事業者の再エネ発電に関する事業意欲が喚起され、再エネ発電事業への新規参入や事業規模の拡大が促進されるものと考えております。 また、本県では、やまがた森林ノミクスを推進しておりますが、新電力がバイオマス発電事業者から電力を調達することも、豊富な森林資源を森のエネルギーとして生かす取り組みにつながり、こうした取り組みを進めていく中で、県内各地域において木質バイオマスの熱利用・発電利用が促進され、ひいては林業の振興にもつながっていくものと考えているところでございます。 さらには、再生可能エネルギー発電事業所の増加や拡充に伴い、その施設や設備も増加することが見込まれますことから、その施工やメンテナンス等の関連産業への波及効果というものも考えられるところでございます。 このように、山形県新電力の設立によりまして、あるいはその事業の展開によりまして、本県産業の振興や雇用の創出、地域経済の活性化、そして、「やまがた創生」につながっていくものと期待しているところでございます。 ○議長(野川政文議員) 若松農林水産部長。 ◎農林水産部長(若松正俊君) 私には二点御質問を頂戴いたしました。 まず、農地中間管理機構による農地の集積・集約化についてお答え申し上げます。 本県農地中間管理機構の初年度に当たります平成二十六年度の実績は、三千百一ヘクタールの農地の借り受け、二千百七十三ヘクタールの貸し付けとなっております。貸し付け面積は全国で四番目でございまして、機構が掲げた目標面積二千二十五ヘクタールを達成しており、一定の評価をしております。 しかしながら、生産条件が不利な中山間地における貸し付け面積が平たん部の四分の一程度にとどまったことや、農地の受け手の借り受け希望面積に対しまして貸し付けを希望する出し手が少なかったこと、さらには、新たに中心的な担い手農家に集積された面積が貸し付け面積の五分の一程度にとどまったことなど、こうしたことが課題として挙げられます。 これらへの対応といたしまして、まずは、地域農業の将来を話し合う「人・農地プラン」の継続的な見直しを、市町村等との連携のもと、全ての地域でしっかりと推進してまいります。また、生産条件を改善する基盤整備事業との連携や、機構を活用するメリット措置であります地域集積協力金の効果的な活用など、優良事例の収集・分析、そしてその周知活動を促進してまいります。 さらに、農地の集積・集約化を拡大するため、出し手が安心して農地を任せられる、顔の見える受け手を育成確保することが大切であります。集落営農の組織化とその法人化を支援し、規模拡大や複合化・多角化等による経営基盤の強化を図りながら、地域の農地と雇用を担える組織経営体を育成してまいります。 県といたしましては、米政策改革等への対応も踏まえ、農地の集積・集約化による生産効率の向上とコストの削減を目指して、市町村や関係団体等と連携を密にしながら、機構がその機能を十分に発揮できるようしっかりと支援してまいります。 次に、農業農村整備事業の推進についてであります。 農業生産基盤の整備を推進するためには、国庫補助金の確保が不可欠でありますが、前政権時代の大幅な予算削減により先送りされてきた事業要望が、近年急激に増加してきております。これに対応するため、本県では、これまで政府の経済対策等に伴う補正予算を積極的に活用し、当初予算の不足分を補ってきたところであります。 しかしながら、さきの二月の政府の補正予算におきましては、年度内の執行や契約が可能なものに限定されました。そのため、農林も含めまして公共事業は大幅に減少いたしまして、農業農村整備事業に係る本県への配分額も、昨年度補正の二十億円からこのたびは八億円と、大幅の減となりました。繰り越し予算が少額で、かつ使途先が全て特定されておりますので、全体として今年度活用できる予算は、地域の要望額に対して国費ベースで約七三%にとどまっております。 こうした農水省からの配分状況の中で、例えば、圃場整備やため池の整備など、今年度は水稲作付を休んで工事を実施する予定としている箇所におきましては、既に今年度の生産調整の面積に計上されております。したがいまして、工事の先送りも非常に困難であるといったような事情があります。県におきましては、県からの予算配分段階においてこうした事情も考慮して総合的調整を行って配分した結果、要望に届かないという地域も多く出てきているというのが実情でございます。 県といたしましては、さきの政府の施策等に対する提案におきまして、知事及び議長から農林水産大臣に対し、計画的に執行可能な通常予算の拡大を要望するとともに、当面の不足分については補正予算で補填するよう強く要請したところでございます。引き続き、県内の関係機関・団体と連携することはもとより、他県も同様な状況でありますことから、全国的な動きとも歩調を合わせながら、必要な予算の確保に向け、各方面に積極的に強力に働きかけてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(野川政文議員) 上坂県土整備部長。 ◎県土整備部長(上坂克巳君) 私には三点質問をいただいておりますので順次お答えいたします。 一点目が入札制度の改善についてであります。 本県では、平成二十年に公共調達基本条例を制定し、適正な利潤の確保と工事品質の確保の観点から、改正品確法の趣旨を先取りして、これまでも低入札調査基準価格や最低制限価格の引き上げ等の改善を行ってまいりました。これらの取り組みにより、建設工事の落札率が徐々に上昇し、長らくマイナスが続いていた売上高経常利益率も平成二十三年度にプラスに転じ、平成二十五年度に約二%となったところであります。 今般、品確法の改正を受け、国土交通省から発注関係事務の具体的施策に係る運用指針が示されたことから、今年度は、さらなる入札制度の改善を進めております。 まず、適正な競争を確保するため、予定価格の事後公表を試行しておりましたが、七月から原則事後公表としてまいります。また、橋梁補修や災害対応において、設計単価と実勢価格の乖離により不調・不落が懸念される工事では、見積書を参考に工事価格を積算する方式を五月から試行しております。 さらに、業務委託については、建設工事と同様に発注見通しを公表することで受注計画が立てやすくなり、年度当初に多いと言われている低入札が抑制されることから、一千万円以上の業務について可能な限り発注見通しを公表したところであります。 県といたしましては、これらの取り組みの効果をしっかりと検証し、今後の施策に反映することにより、建設業者が適正な利益を得ることができ、社会資本の品質が長期にわたって保たれるよう、引き続き入札制度の改善に努めてまいります。 続きまして、若手技術者の育成確保についてであります。 建設業は、地域の暮らしの安全安心を支える産業でありますが、本県建設業就業者に占める二十九歳以下の若手人材の割合は、平成十二年の一九%から平成二十二年には一一%にまで低下し、若手人材の育成確保は喫緊の課題となっております。このため、今年度から若手技術者を工事に配置した場合に加点評価するなど、若手技術者の育成のためのモデル工事を全国に先駆けて試行してまいります。 また、就職後の支援といたしましては、大規模な工事を実施する際に必須の資格となる一級土木施工管理技士の資格取得のための講習会を昨年度に引き続き開催するとともに、今年度から、若手や女性従事者に大型自動車等の運転免許を取得させる企業を支援し、建設業における若者や女性の活躍の場を広げたいと考えております。 さらに、建設業の将来を担う技術者を養成し、県内への定着を促進するため、県立産業技術短期大学校への土木エンジニアリング科・仮称の設置に向け、ことし五月に基本構想等検討委員会を設置し、専門家や産業界から意見をよくお聞きしながら、養成すべき人材像や教育方針等の基本的事項、カリキュラムの内容や施設整備等の具体的事項の検討を進めております。設置に向けた準備には、過去の事例では三年程度を要しているところでありますが、二年後の設置を目標として取り組んでまいります。 県といたしましては、建設業界や関係部局と連携を密にしながら、地域の社会基盤の形成や県民生活の安全安心を支える県内建設業の中核を担う若手技術者の育成確保に全力で取り組んでまいります。 最後に、空き家対策についてであります。 本県の空き家は、平成二十五年現在、戸数で四万六千百戸、空き家率で一〇・七%となっており、全国平均の一三・五%を下回っているものの、今後、高齢化及び人口減少の進展に伴い、空き家戸数の増加が懸念されます。特に、売却や賃貸用でなく未活用となっている「その他」の空き家は二万二千二百戸で、空き家全体の四八%を占め、全国平均の三九%より高い水準であり、空き家の利活用の促進が重要であると考えております。 空き家対策については、特別措置法により、市町村の責務として必要な措置を適切に講じるよう努めると定められており、空き家の実態把握や危険な空き家の除却、空き家バンクの活用等による利活用の促進などを担うこととなっております。 また、県は、市町村に対して情報提供や技術的な助言、市町村相互の連絡調整などの援助を行うとされており、これまで、空き家除却の法律上の手続を定めた「空き家対策の手引き」の作成・配布や、全市町村と民間関係団体等による情報交換の場である山形県空き家対策連絡調整会議の設置などを行っております。 さらに、県では、空き家を含めた中古住宅の流通促進を図るため、不動産業団体と連携し、本年七月末に、県内十六カ所に空き家利活用相談窓口を開設し、空き家の適正管理や利活用等の専門的な相談に応じるほか、県民の方が空き家を安心して購入できるよう、住宅の品質検査費用の一部を補助する制度の運用を開始いたします。 今後は、相談窓口等で得られる情報から空き家活用の課題やニーズなどを分析するとともに、移住者の受け入れを主目的として市町村が運営している空き家バンクとも連携し、空き家対策をしっかりと推進してまいります。 ○議長(野川政文議員) 答弁者に申し上げます。答弁は簡潔に願います。 菅野教育長。 ◎教育長(菅野滋君) 小規模小・中学校の統廃合について申し上げます。 本県における過去五年間の小・中学校の推移を見ますと、統廃合によりまして、小学校は五十三校、中学校は十三校の減少となっております。 学校教育法施行規則では、学校規模の標準は、小・中とも十二学級以上十八学級以下とされておりますが、文部科学省がことし一月に示した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」では、小学校につきましては六学級以下、中学校につきましては三学級以下の学校について、規模の適正化のための統廃合の適否を速やかに検討するよう市町村に求めております。本県の小学校の約六〇%の百五十五校、中学校の一四%に当たる十四校が対象となります。 小・中学校の統廃合については、市町村が主体的に判断していくことになります。このたびの手引につきましても、この立場に立つものと考えております。学校は、地域住民の心のよりどころであり、まちづくりと密接不可分でありますので、学校の統廃合については、小規模化による教育条件への影響とあわせまして、「地域とともにある学校」という視点から検討していく必要があると思っております。 県教育委員会としましても、小規模校として存続を選択した市町村が行う、地域人材を活用しての学習支援や、学校を活動拠点とした地域活性化の取り組みに対する支援事業を今年度新たに立ち上げたところでありますし、統廃合を選択した場合にあっては、統廃合が円滑に進むよう教員の特別な加配を行っております。 次に、探究型学習の推進についてお答え申し上げます。 探究型学習は、主体的に学習に取り組む態度や、みずから課題を設定し意欲を持って課題を解決しようとする力を養っていくものであります。六教振においては、この力は、児童生徒がこれからの社会を生き抜く上で不可欠なものであり、小・中・高を通して確かな学力を養っていく上で基本となるものと位置づけております。 五月十四日の教育再生実行会議におきましては、アクティブ・ラーニングの必要性を提唱されておりますけれども、これは、児童生徒が知能・技能を駆使し、他者と議論しながら課題を解決していく学習方法であり、探究する力を育む上で極めて有効であると考えております。 本県では、探究型学習を推進するため、小・中学校におきましては、県内八地区十六校の推進協力校が県教育委員会、市町村教育委員会と連携し、大学の支援も受けながら、探究型学習の実践と研究に取り組み始めたところであります。 今後、この成果につきましては、授業公開や教育事務所単位の研究協議会、全県を対象としたフォーラムなどを通して、実践と研究の成果の普及に努めてまいります。さらに、全国に先駆け複数教科を合わせた本県独自の学力調査を試行しながら、探究型学習を評価検証するシステムの構築を図るとともに、当該調査の拡大を進めてまいります。 また、高等学校におきましては、専門学科やスーパーサイエンスハイスクール指定校で取り組んでまいりました探究型活動を取り入れた学習、これにつきまして、普通科高校におきましても普及していくとともに、探究科等の設置検討を進めてまいります。 ○議長(野川政文議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明日定刻本会議を開き、議案に対する質疑と県政一般に関する質問をあわせ行います。 本日はこれをもって散会いたします。     午後零時三十四分 散会...