• "知事交際費"(/)
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  1. 山形県議会 2008-02-01
    03月03日-03号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成20年  2月 定例会(第337号)  平成二十年三月三日(月曜日)午後一時零分 開議議事日程第三号  平成二十年三月三日(月曜日)午前十時開議第一   議第二十六号 平成二十年度山形県一般会計予算第二   議第二十七号 平成二十年度山形県公債管理特別会計予算第三   議第二十八号 平成二十年度山形県市町村振興資金特別会計予算第四   議第二十九号 平成二十年度山形県母子寡婦福祉資金特別会計予算第五   議第三十号 平成二十年度山形県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算第六   議第三十一号 平成二十年度山形県土地取得事業特別会計予算第七   議第三十二号 平成二十年度山形県農業改良資金特別会計予算第八   議第三十三号 平成二十年度山形県沿岸漁業改善資金特別会計予算第九   議第三十四号 平成二十年度山形県林業改善資金特別会計予算第十   議第三十五号 平成二十年度山形県流域下水道事業特別会計予算第十一  議第三十六号 平成二十年度山形県港湾整備事業特別会計予算第十二  議第三十七号 平成二十年度山形県電気事業会計予算第十三  議第三十八号 平成二十年度山形県工業用水道事業会計予算第十四  議第三十九号 平成二十年度山形県公営企業資産運用事業会計予算第十五  議第四十号 平成二十年度山形県水道用水供給事業会計予算第十六  議第四十一号 平成二十年度山形県駐車場事業会計予算第十七  議第四十二号 平成二十年度山形県病院事業会計予算第十八  議第四十三号 山形県公益認定等審議会条例の設定について第十九  議第四十四号 山形県情報公開条例の一部を改正する条例の制定について第二十  議第四十五号 山形県個人情報保護条例の一部を改正する条例の制定について第二十一 議第四十六号 山形県職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第二十二 議第四十七号 山形県部設置条例の一部を改正する条例の制定について第二十三 議第四十八号 山形県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十四 議第四十九号 公益法人等への職員等の派遣等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十五 議第五十号 知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十六 議第五十一号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第二十七 議第五十二号 議会の議決に付すべき契約並びに財産の取得、管理及び処分に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十八 議第五十三号 住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例の制定について第二十九 議第五十四号 山形県社会貢献活動促進基金条例の設定について第三十  議第五十五号 山形県県民会館条例の一部を改正する条例の制定について第三十一 議第五十六号 山形県保健所及び山形県衛生研究所使用料、手数料条例の一部を改正する条例の制定について第三十二 議第五十七号 山形県医師修学資金貸与条例の一部を改正する条例の制定について第三十三 議第五十八号 山形県後期高齢者医療財政安定化基金条例の設定について第三十四 議第五十九号 山形県国民健康保険調整交付金交付条例の一部を改正する条例の制定について第三十五 議第六十号 山形県こども館条例の一部を改正する条例の制定について第三十六 議第六十一号 山形県福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例の制定について第三十七 議第六十二号 山形県牧野条例を廃止する条例の設定について第三十八 議第六十三号 山形県家畜保健衛生所使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の制定について第三十九 議第六十四号 山形県営土地改良事業分担金徴収条例の一部を改正する条例の制定について第四十  議第六十五号 山形県空港管理条例の一部を改正する条例の制定について第四十一 議第六十六号 山形県特定優良賃貸住宅条例を廃止する条例の設定について第四十二 議第六十七号 山形県県営住宅条例の一部を改正する条例の制定について第四十三 議第六十八号 山形県立高等学校等及び小学校、中学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定について第四十四 議第六十九号 流域下水道の維持管理を行う事業に要する費用の負担について第四十五 議第七十号 流域下水道の維持管理を行う事業に要する費用の負担の一部変更について第四十六 議第七十一号 流域下水道の維持管理を行う事業に要する費用の負担の一部変更について第四十七 議第七十二号 包括外部監査契約の締結について第四十八 議第七十三号 地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構に係る重要な財産について第四十九 議第七十四号 地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第五十  議第七十五号 山形県教育委員会委員の任命について第五十一 議第七十六号 山形県監査委員の選任について第五十二 発議第一号 山形県飲酒運転をしない、させない、許さない条例の設定について第五十三 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第三号に同じ。出席議員(四十四名)    一番 渡辺ゆり子君    二番 吉村和武君    三番 楳津博士君    四番 高橋啓介君    五番 阿部昇司君    六番 大内理加君    七番 竹田千惠子君    八番 菅原 元君    九番 伊藤誠之君    十番 村山 隆君   十一番 笹山一夫君   十二番 木村忠三君   十三番 和嶋未希君   十四番 海鋒孝志君   十五番 青柳信雄君   十六番 小池克敏君   十七番 中川 勝君   十八番 小野幸作君   十九番 児玉 太君   二十番 金澤忠一君  二十一番 伊藤重成君  二十二番 舩山現人君  二十三番 寒河江政好君  二十四番 吉田 明君  二十五番 田澤伸一君  二十六番 森田 廣君  二十七番 坂本貴美雄君  二十八番 星川純一君  二十九番 加藤国洋君   三十番 佐藤藤彌君  三十一番 澤渡和郎君  三十二番 志田英紀君  三十三番 野川政文君  三十四番 土田広志君  三十五番 広谷五郎左エ門君  三十六番 阿部賢一君  三十七番 鈴木正法君  三十八番 佐貝全健君  三十九番 平 弘造君   四十番 阿部信矢君  四十一番 今井榮喜君  四十二番 土屋健吾君  四十三番 松沢洋一君  四十四番 後藤 源君説明のため出席した者  知事          齋藤 弘君  副知事         日野雅夫君  副知事         後藤靖子君  企業管理者       遠藤克二君  病院事業管理者     野村一芳君  総務部長        安居孝啓君  危機管理監       森 秀夫君  文化環境部長      細谷知行君  健康福祉部長      藤田 穣君  商工労働観光部長    高橋 博君  農林水産部長      安孫子昴也君  土木部次長       三浦秋夫君  財政課長        大澤賢史君  会計管理者       小山壽夫君  教育委員会委員長    石坂公成君  教育長         山口常夫君  公安委員会委員長    中山眞一君  警察本部長       安田貴彦君  代表監査委員      加藤淳二君  人事委員会委員長    小野 勝君  人事委員会事務局長   斎藤亮一君  労働委員会事務局長   清野和平君      午後一時零分 開議 ○議長(阿部信矢君) これより本日の会議を開きます。 △会議時間の延長 ○議長(阿部信矢君) 本日は議事の都合によりあらかじめ会議時間を延長いたします。 △日程第一議第二十六号議案から日程第五十二発議第一号まで及び日程第五十三県政一般に関する質問(代表質問) ○議長(阿部信矢君) これより日程に入ります。 日程第一議第二十六号平成二十年度山形県一般会計予算から、日程第五十二発議第一号山形県飲酒運転をしない、させない、許さない条例の設定についてまでの五十二案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第五十三県政一般に関する質問をあわせ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 二十七番坂本貴美雄君。 ◆27番(坂本貴美雄君) 自由民主党を代表し質問させていただきます。 私ども新庄・最上の地域にも、やっと春の足音が聞こえるようになってまいりました。冬が厳しければ厳しいほど春の訪れは本当に格別な思いがございます。 時間の関係上、早速質問に入らせていただきます。 まず初めに、齋藤県政の三年間の自己検証について質問をいたします。 齋藤知事は、平成十七年一月二十三日、二十七万五千四百五十五票の得票を得て、四選を目指した前高橋知事、新人の本間和也氏、二人を破って見事初当選を果たされました。 当時、選挙のマニフェストのやまがた夢未来宣言において、教員が採用後も継続的に研さんできるフォローアッププログラムをつくり、その受講の義務づけ、県独自の基準を満たす県産品の認定制度・山形セレクションを創設、県のホームページで知事交際費を公表などと掲げるとともに、知事給与を二〇%カットし、県職員の人件費も削減して、その節減分は景気浮揚に投入、県庁内に女性のための女性による部署を創設することなども進めることといたしました。 そして、初めての議会、平成十七年二月定例会所信表明・知事説明では、百年後にも誇りに思える元気な山形県の実現のため、やまがた夢未来宣言に掲げたアクションプランを着実に実行し、今、山形にあるものをしっかりと育て、物づくりの技術や知恵、地域に根差した文化を生かし、県民と助け合い、分かち合い、はぐくみ合い、山形県づくりを進めていくなどの決意表明をなされたわけであります。 平成十八年二月定例会では、「改革断行」と「時代創進」の理念のもと、やまがた総合発展計画「子ども夢未来宣言」、集中改革プランを両輪として、県庁改革、県と市町村の新しい関係の構築、県民の主体性発揮を進め、それを原動力に地域力・基盤力・経済力を高めて、子供たちが夢を持てる山形の未来づくりを推進していくなどの考えを示されました。 また、平成十九年の二月定例会では、平成十八年度の改革への断固たる決意とふるさと山形への熱い思いを込めた「改革断行・時代創進」に引き続き、「改革深化」の一年と位置づけ、各分野で芽生えつつある新しい動きを踏まえ、いぶきを形にする、若者を山形に引きつける、手ざわり感のある県政を推進していく事業を前面に出して、積極的な県政運営と行財政改革に対する強い意思を示されております。 今まで三年間、齋藤知事は過去の所信表明・知事説明の内容にもあるように、選挙公約・マニフェストを守り、社会状況の変化に対応しつつ、かたくなにみずからの政策を実行してまいりました。行財政改革、山形セレクション山形カロッツェリアプロジェクト、隣接県との自動車産業、観光での連携、高速道路の整備促進、やまがた緑環境税の導入などなど、多くの実績を上げてまいりました。 特に行財政改革は、国の構造改革、三位一体改革が進められ、地方財政が厳しくなる中で、県民の痛みが伴うものにもかかわらず、齋藤知事の強い信念のもとに進められてきたものと思います。平成二十一年度末には、収支のバランスがとれ、基金を取り崩すことなく予算が組めるまでに改革が進んでまいりました。 しかし、行財政改革は、政治、県政の究極の目標ではありません。一つの過程であります。目標は、どの地域に住んでいる人も、またどんな職業の人も、またどんな立場の人もそれぞれ一定の収入があり、心豊かに日々の幸せを感ずる社会をつくることにあるものと確信をいたします。齋藤県政の道はまだまだ長いものと存じます。 以上のように、私自身は、平成十七年からの齋藤県政について一定の評価をさせていただいているところでありますが、知事御自身はどのように評価しておられるのか、お伺いをしたいと思います。 次に、平成二十年度予算の特徴についてお伺いをいたします。 平成二十年度の予算編成のスタートである昨年九月の平成二十年度県政運営の基本方向において、齋藤知事は、脱・悲観論をキーワードとして、人口減少や格差感の拡大を払拭すべく、いぶきを形として着実に積み上げることにより、だれもが誇りと自信、そして希望を抱けるふるさと山形の実現に向けて、経済力、基盤力、地域力の三つの力を一段と高め、また、取り組みの推進に当たっては、県民みんなで支え合う手ざわり感を一層深化させることを重視するとの考えを示されました。県民の期待に光を当てる施策の展開を明確に進めていくという意思のあらわれと心強く思ったところでございます。 これまで、齋藤知事は、就任以来一貫して財政改革を「一丁目一番地」と位置づけ、聖域なき改革を進めてまいりました。中には、県民の痛みを伴う改革も見られたわけでありますが、平成十八年度末には初めて県債残高を減少させるなど、その成果が見え始めているようであります。 一方で、本県財政を取り巻く状況を見ますと、国の地方財政対策では、税収の伸びが鈍化する中で、前年度を上回る地方交付税が確保されたことに加え、地域間の税源偏在対策として、来年度新たに地方再生対策費枠が創設されることになっております。これは、財政力の弱い地方に重点的に配分される見通しであることに歓迎はできるものの、平成十六年度から平成十八年度に実施された三位一体改革による本県の削減額三百四十二億円を埋めるにはほど遠いものと考えざるを得ません。加えて、今年度三十億円の税収減が見込まれること、これがそのまま平成二十年度にも影響を与えることなどを考えますれば、依然として厳しい財政状況と言わざるを得ないのではないかと思います。 このような中において、齋藤知事の一期目の集大成となる平成二十年度予算は、七年連続のマイナス予算となる五千六百七十二億円となったところであります。知事就任以来、毎年度マイナス予算とならざるを得ない厳しい財政環境で、なかなか思うような政策展開ができない状況と推察されるところでありますが、平成二十年度においてはどのような考え方に基づき、どのような効果的・効率的な予算を編成されたのか、齋藤知事にお伺いをいたします。 次に、今後の財政見通しについてお伺いをいたします。 昨年度、平成十九年度予算と同時に公表された山形県財政の中期展望において、一定の条件下という制約はあるものの、平成二十一年度には調整基金の取り崩しに頼らない財政運営が可能になるとの見込みを示されました。その際の説明では、「平成二十一年度の新たな聖域なき改革の断行は三十億円であるが、これは自然体で達成可能な数値であり、一定の前提条件をクリアすれば任期中の四年間での財政バランスの回復が可能である」とのことでありました。 しかしながら、今回発表された中期展望では、調整基金の取り崩しは減るものの、聖域なき改革の断行により生み出すべき金額は七十五億円と、前年度の倍増となっております。削減額は、平成二十年度の九十億円から比べ圧縮されてはおるわけでありますが、改革に次ぐ改革で県民の痛みは増大しており、さらなる削減が与える影響は非常に大きく、容易ならざるものではないかと考えております。 知事は、百年後にも誇りに思える元気な山形県の実現のため、懸命に努力を重ねてまいりました。今、地方に住む人にとって本当に厳しい時代であります。県民はみずからを律しながら、五年後の山形県はどうなるのか、十年後の県民生活は一体どうなるのか、物静かに問いかけているものと認識いたしております。 このような状況を踏まえて、来年度、さらには平成二十二年度以降の財政見通しはどのように考えておられるのか、どのような予算編成のあり方を描いておられるのか、齋藤知事にお伺いをいたします。 次に、山形県飲酒運転をしない、させない、許さない条例案について質問をいたします。 平成十八年八月、幼児三人が犠牲になった福岡市の飲酒運転追突事故の判決が、ことし、新年早々一月九日に、福岡地方裁判所で言い渡されました。この事故は、一家五人が乗った車に福岡市職員が飲酒運転で追突し、車を海に転落させ、父親と母親が必死に助けようとしたにもかかわらず、四歳、三歳、一歳の子供たち三人が死亡した悲惨な事故でありましたが、遺族や検察側が求めた危険運転致死傷罪が認められず、業務上過失致死傷罪、道路交通法違反と合わせた懲役七年六カ月の判決に、遺族の悔しさと深い悲しみの声が報道されておったわけでございます。 交通事故は、多くの人を悲しい不幸のどん底に陥れます。特に、飲酒運転による事故は決して許すことはできません。山形県の交通事故発生状況は、平成十九年が八千四百十二件で減少傾向にあり、うち飲酒運転による事故は、平成十九年が八十二件で、平成十三年をピークに減少傾向にあるわけでありますが、依然として飲酒運転による事故や摘発が後を絶たない状況であります。 県も山形県交通安全計画の中に、交通安全思想の普及徹底のために飲酒運転の根絶を盛り込み、交通安全対策協議会と連携し、職場・家庭における飲酒運転追放運動交通安全県民運動と連携した飲酒運転追放キャンペーンに取り組むなど、警察、民間団体、行政が一体となって飲酒運転防止に懸命に努力を重ねてまいりました。 また、県議会といたしても、平成十八年九月定例会で飲酒運転撲滅に関する決議を行うなど、県民一丸となって運動しているさなかの平成十九年五月二日に、村山隆議員が飲酒運転で摘発をされました。まことに残念でなりません。五月十六日、全会一致での辞職勧告決議を議決、その後、県議会としての信用と権威を守るため政治倫理審査会を設置しての審査と、これに基づく議長勧告、各委員会での辞職の要請などを重ねて行ってまいりました。しかし、この出来事以来、地元住民を初め県内外から数多くの抗議や批判を招いております。 今回の、山形県飲酒運転をしない、させない、許さない条例は、飲酒運転による悲惨な事故撲滅のために、県議会として安全で安心な県民生活実現のための強い意思を打ち出すとともに、議員など公職にある者の良識を喚起する思いも込められているものと、私個人は認識をいたします。 また、地方分権の進展に伴い、議会の政策形成機能の充実が求められている中、住民の日常生活にかかわる実質的な政策条例として本県初めての議員提案であり、また、飲酒運転に関する条例としては大分県、宮城県に続き全国三番目のものであり、大きな意義があるものと思います。 条例等に対する意見募集においては、公職にある者が飲酒運転した場合の失職や罰則などの規定を求める声など数多く寄せられていると聞いております。これらの点について、条例策定の際どう検討しどうこたえようとしているのか、条例案の提出者である金澤忠一議員にお伺いしたいと思います。 さて、山形県警においては、ことしの運営方針を「県民の期待と信頼にこたえる力強い警察」と定め、副題として「安全・安心を誇れる山形県を目指して」を掲げております。昨年の県内の治安情勢は、刑法犯認知件数が五年連続して減少し、平成八年以来の八千件台まで回復してまいりました。また、交通事故防止対策についても、死者数は前年に比べ増加したものの、交通事故発生件数や負傷者数は二年連続して減少しております。 しかし、昨年、県警察が実施した治安に関する県民の意識調査結果によれば、県民は、犯罪の広域化や匿名性の増大により、自分の身近でも犯罪が起きるのではないかという不安を依然として強く持っており、県内においても出会い系サイトに絡む強盗致傷事件を初め、子供に対する声かけ事案、高齢者をねらった振り込め詐欺事件などが発生し、また、交通事故死者数の半数以上を高齢者が占めるなど、多くの課題を抱えているのが実態と認識いたしております。 このような情勢の中、県警察としては、今後どのような方策により県民の不安を解消し、その期待と信頼にこたえ、安全・安心を誇れる山形県を目指そうとしているのか、警察本部長にお伺いしたいと思います。 次に、今年度策定される第五次山形県保健医療計画に関連して質問をいたします。 平成十八年八月三十一日、県立五病院の経営見直しのため外部委託しました山形県立病院事業分析評価調査業務報告書が新日本監査法人から病院事業管理者に提出され、また、同年九月には、本県の医療提供体制の基本方向が示されました。第五次山形県保健医療計画は、これらの県立病院事業分析評価調査業務報告書、本県の医療提供体制の基本方向などを踏まえて、山形県保健医療推進協議会で議論を重ね、検討され、策定されたものと聞いております。 保健医療計画を見ますと、基本理念は県と国、市町村、民間との協働による保健医療提供体制の充実ということが掲げられており、やまがた総合発展計画の目標である未来に広がるやまがたの実現のために、未来を開く力が発揮され、一人一人が輝く地域社会をつくるという視点に立って、官民の協働により、県民だれもがいつでもどこでも適切な保健・医療・福祉サービスを受けられる保健医療提供体制を強化、確立しますとうたわれております。 しかし、具体的な内容は、例えば新たな基準病床数を見た場合、療養病床及び一般病床は一万一千五百五十一床となっており、平成十九年十二月一日現在の既存病床数より百二十七床減少しております。 これを、二次保健医療圏ごとに見ますと、村山二次保健医療圏が六千百三十一床で、十二月一日現在の既存病床数より四百十三床プラスになってはいるものの、置賜は二千五十六床でマイナス百六床、庄内は二千七百八十四床でマイナス百六床となっており、最上に至っては五百八十床で既存病床数より三百二十八床もマイナスとなっております。 また、精神病床の新たな基準病床数について見ますと、全県で三千三床となっており、十二月一日現在の既存病床数より一千八十七床もマイナスとなっております。 少子高齢化が進行し、産業の高度化、グローバル化した競争化の時代、労働環境が厳しさを増す中にあって、精神疾患も増加しておりますし、また、特別養護老人ホームなどの福祉施設への入所待機者も数多く抱えている現状において、既存病床数を大きく下回るような基準病床数を新たに設定することは、計画の基本理念でうたわれているとおり、県民だれもがいつでもどこでも適切な保健・医療・福祉サービスを受けることにつながるのか、私は大きな疑問を感じてならないわけでございます。 そこで、健康福祉部長に、保健医療計画における基準病床数の設定の考え方についてお伺いをいたします。 また、保健医療計画の基本理念を実現するためには、本県における医師不足の解消が重大な課題であると強く認識をいたします。「日本の医療を問いなおす」などの著書を出しております山形県生まれの医師鈴木厚氏は、「日本の論点」の中で、「日本は世界一の長寿国、乳児死亡率の低さも世界一、最高の医療を提供はしておるが、人口千人当たりの医師数は一・九八人で世界では六十三位、看護師は二十七位と人的パワーが低いのに頑張っている。患者さんを助けたい思いで医師や看護師になったのに、感謝のない過重労働と患者からのクレームの多さから逃げ出そうとしている」と述べております。 県内の公立病院を退職した幾人かの医師も、このような思いはあるものと確信をいたします。県立病院の医師も同じ思いで退職された方がいると聞いており、それが地域の医師不足の要因の一つにもなっております。大規模な民間病院の少ない山形県にあって、特に県立病院は県民の命を守る大切な共通の社会資本でございます。守り充実させていかなければなりません。 地域における基幹的・中核的役割を担い、地域住民あるいは県民に高度医療、専門医療及び救急医療などの医療サービスを提供する県立病院にあって、そこに勤務する医師を確保するためには、経営の効率化を優先する余り医師に過大な負担をかけないように環境整備を図ることも重要と考えます。 具体的には、知事も提唱しており、平成二十年度から診療報酬への位置づけが予定されている医療クラークの導入も有効と考えますし、あるいは県立病院勤務医や県立病院への貢献が大である地域の開業医に対する表彰制度を創設して医師への感謝を目に見える形であらわすことなども一つの方策ではないかと考えます。 そこで、県立病院における医師確保と過重労働の解消策についてどのように取り組みを考えているのか、病院事業管理者にお伺いしたいと思います。 次に、産業振興として、初めに農業振興について質問をいたします。 昨年の九月、全農が打ち出した六十キログラム当たり七千円の概算金・仮渡金は、稲作農家に大きな驚きと危機感となって広がりました。米取り扱い業者の動向、農家の強い反発もあって、概算金は一万円程度に変更されたわけでありますが、生産者の手取り額はかつての半分ほどで、六十キログラム当たりの生産費一万三千数百円にも届かない状況でありました。 私ども自由民主党山形県連は、この農家の厳しい状況に対応いたしまして、農協の代表や関係者、また、県内四ブロックの生産者などとも意見交換を重ね、米価の下落対策、生産調整、価格安定策の強化、品目横断的経営安定対策や農地・水・環境保全向上対策の見直しなどについて、国への要望活動を展開させていただきました。三十四万トンを備蓄米に回すなどの国の緊急対策も実行され、今後の米価格センターでの入札価格の上昇が期待されるわけでありますが、厳しい状況はまだまだ続くものと思います。 また、穀物価格の急騰による飼料価格の値上がり、原油高での燃料の値上がりなどによって、畜産・園芸部門などでも経営は厳しさを増しております。 農業は、人の命と健康に欠くことのできない食料を生産する大切な産業であり、確実に守っていかなければならないと思います。山形県には、十四年連続食味ランキング特Aのはえぬき、サクランボ、ラ・フランス、だだちゃ豆、米沢牛などなど数多くのすぐれた農産品があります。県が開発した水稲新品種山形97号も大きく期待されます。農業振興にはこれらすぐれた農産品を生かし、ブランド化し、生産力を高めていくと同時に、新たな取り組みが必要であります。 高く評価されている米沢牛や山形牛、しかし素牛は、県内の生産で賄えるのは限られた頭数でしかありません。肥育素牛すべて県内で生産できる繁殖牛頭数の拡大や乳用牛による受精卵移植の拡大を推進するとともに、畜産試験場の研究で、高級牛肉の生産につながる和牛遺伝子が解明されておりますし、これを畜産農家への指導に生かしていくことによって安定的に高品質の牛を生産することが可能となり、よりブランドとしての評価は高まっていくものと考えます。 また、試験場研究員の長年の努力でつくられた水稲新品種山形97号の作付は、米の味は土によって決定されるという原点を忘れずに、水田の土壌検査、堆肥や土壌改良材の投入、減農薬など差別化した一定の栽培マニュアルを策定し、作付面積の拡大を図っていくべきと考えます。 また、イチゴの夏秋栽培を可能とした二層ハンモック気化冷却ベンチを、最上総合支庁の産地研究室で開発し特許も取りました。イチゴの端境期に出荷できる利点があって、今後、積極的に産地化を推進していくべきと考えます。 県は、平成二十年度農業振興の方向性として「山形らしい農業施策」、一、条件不利地域等に向けた施策、二、複合経営など地域事情にあわせた施策、三、農業所得の向上・農業の体質強化に向けた施策、四、農村集落の活力向上に向けた施策、五、農林業の多面的な機能を発揮させる施策、六、基幹作物である米の持続的な生産の確保としております。また、ブランド戦略を推進するとともに、企業的な農業経営体を育て、農業と食品製造業など多様な分野の組み合わせに力を入れ、新たな価値創造を目指す総合産業化を推進しておるわけでありますが、これによる本県の農業振興の道筋と具体的取り組みはどのようなものなのか、農林水産部長にお伺いをしたいと思います。 次に、製造業の振興について質問いたします。 山形県の製造業の出荷額は二兆七千億円台で推移しておったわけでありますが、近年、中央の景気回復に伴い、平成十八年には三兆二百十一億六千九百万円に伸びてまいりました。就業人口の約二〇%の構成率となっており、本県産業の中核的役割を担ってまいりました。 県は、やまがた産業振興プランで、基本目標に、「地域の力を活かし、新時代に挑む産業やまがたの創造」とし、アクションプログラムでは「ものづくり産業群の競争力強化」として、有機EL、超精密など先進的プロジェクトの推進、自動車関連産業の育成、カロッツェリア型物づくりの推進、商品開発力、生産する力、売る力を高めることによる物づくり企業の個々の競争力強化、物づくり産業群の集積促進などに取り組んできました。 齋藤知事も、みずから提案した山形セレクション、カロッツェリア物づくり、ブランド育成事業など、国内外での積極的なトップセールスを実施してきました。 特に、自動車産業集積に向けた取り組みは、平成十七年十一月には岩手・宮城・山形広域連携による自動車産業振興に関する三県知事合意、平成十八年五月に山形県自動車産業振興会議設立、七月に山形、岩手、宮城三県によるとうほく自動車産業集積連携会議を設立、平成十九年には東北六県に拡大をいたしました。中央発條が青森県に、アイシン・コムクルーズが岩手県に、東海理化が山形県に、セントラル自動車が宮城県に進出することが決定しましたし、大きな成果であり、齋藤知事初め商工労働観光部長、関係職員皆様に深く敬意を表したいと存じます。 特にセントラル自動車は、トヨタ系の車体組み立てメーカーであり、年間二十万台の生産を目指す方針で、将来的にはロシア向けの生産拠点とすることを視野に入れ、平成二十二年秋に本格稼動する予定と聞いております。 山形県の自動車関連事業所は、東北経済産業局によれば二百三事業所があり、また、トヨタ系と取引のある事業所も四十余りに上ると聞いております。今後の取り組みによっては、雇用の促進や、県内企業に大きな経済効果が期待されると同時に、酒田港の利用拡大に連動させることも可能となります。実現するには、関連する県内事業所の営業活動、知事のトップセールス、関係部局の積極的な対応と企業への支援事業の充実、酒田港のグレードアップ、太平洋側と日本海側を結ぶウエストラインと言われる石巻酒田道路の早急な整備などの受け皿づくりが必要不可欠であります。 今後の取り組みについて、齋藤知事の意欲ある思いをお伺いしたいと思います。 最後に、建設業の振興、特に建設工事等の入札・契約制度改善について質問をいたします。 山形県の建設投資額は、ピークと言われる平成八年が九千六百一億円、平成十七年が四千八百十五億九千九百万円で、約半分に減少してまいりました。一方、業者数は倒産件数は増加している反面、新たな設立もあってほぼ変化しておらず、収益性は〇・三%と大幅に低下し、従業員数も激減しておるわけでございます。 平成十三年度から談合防止を目的に一般競争入札を段階的に実施し、ことしは適用金額の下限を撤廃しており、一般競争入札の拡大が進んだ結果、競争が激化し、平成十八年度は八八・五%の落札率までに低下してまいりました。その結果、従業員の賃金低下に大きな影響を及ぼしている状況であります。行き過ぎた低入札が増加することによって、企業の体力を弱め、長期的には公共工事の品質への影響が懸念されております。 このような厳しい現状であり、県でも第三者委員会である公共調達改善委員会を昨年十月に立ち上げ、先週その報告書が知事に提出されたと聞いております。報告を受けての見直しの基本的考え方と、また、公共調達に関する基本条例の制定についても提言されておるわけでありますが、条例化の取り組みについての考えもあわせて、知事に考えをお伺いしたいと思います。 また、今、建設業界は、過当競争によってダンピングまがいの低入札が恒常化し、それが影響して賃金の低下を招いておるわけでございます。設計労務単価は、その賃金を調査し決定するので、次の年の労務単価も下がり、その設計単価で積算するので予定価格も低下してくる。このような構造が長く続くことによって、品質や価格両面で努力してきた健全な建設業まで体力が弱まり、無理な工事につながり、下請へのしわ寄せや品質への影響が出てくるものと思います。 このような状況が推移することは、今後の良質な社会資本整備に大きな影響が及ぶものと考えられます。 建設業の置かれている現状を踏まえ、公共調達改善委員会での提言もあったものと推察するわけでありますが、提言を受け、低入札対策あるいは労務単価の低下の問題、さらには元請・下請の関係の適正化など、今後どのような改善策を進めていくのか、現時点での知事の御所見をお伺いしたいと思います。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。 ○議長(阿部信矢君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) 自由民主党坂本議員からは大変多岐にわたって御質問ございましたので、順次お答えさせていただきます。 まず最初に、齋藤県政三年間の自己検証、自己評価という点についてであります。 私は、子供たちは未来のために今を生きる私たちに何を求めているのか、そのために何をなさねばならないのかという子ども夢未来指向を基本理念に据え、情熱と信念を持って県政運営に当たってまいりました。 今、時代は本格的な人口減少社会の到来、急速なグローバル化の進展など、歴史的な転換・変革のときを迎えております。この時代の大きな波を前に、とかく閉塞感が漂いがちな現況下、あえて脱・悲観論を掲げ、新しい山形を県民の皆様一人一人と御一緒につくり上げていきたいと願ってまいりました。 そのためにも、既存の仕組みを根本から見直し、新たな発想とスピード感、そして大胆な決断力を持って県づくりを進めることが必要であり、このような観点に立って「やまがた改革」を強力に進めてまいりました。 中でも、特に力を注いでまいったのは、財政、情報、連携の三点であります。 一つ目は、財政であります。 新しい県づくりを進めるに当たっては、まずもって自由度の高い持続可能な財政基盤を確立することが何よりも重要であります。このため、子ども夢未来指向の理念にのっとり、未来の子供たちに負担を残さないよう、財政改革による財政健全化を通じて持続的財政の確保を政策の根本に据えてまいりました。 すなわち、歳出面では事務事業の総点検による事業の再構築を初めとする聖域なき改革の断行の一方、歳入面では産業廃棄物税、緑環境税の新設、遊休資産の有効活用、ネーミングライツの設定、広告収入の拡大などの対策を進めてまいりました。これらの取り組みを進める過程では、県民の皆様からの理解と信頼、そして協力が不可欠であるのも事実であります。 その結果、人件費や県債残高は着実な減少を見たところであり、一定の前提の条件のもとではあるものの、中長期的には調整基金の取り崩しに頼らない財政運営も可能と見込まれるまで財政健全化の歩みを進めたところであります。 二つ目は、情報であります。 新しい県づくりを進めるに当たっては、県民の皆様と県づくりへの思いを分かち合いながら、理解と信頼を得た上で、県民の皆様の積極的な参画を伴いながら御一緒に取り組むことが不可欠であります。 このため、人に言えないことは行わないという強い信念のもと、「旬」なる情報は発信者の説明力を高める一方、受信者の共感力を増すとの考え方に基づき、毎日の記者会見や出前知事室、夢未来トークなどを通じて、県民の皆様と不断の直接対話を積み重ねてまいりました。さらに、予算編成過程における要求概要の公表など、透明性の高い県政運営にも努めてまいりました。 その結果、民間が過去十年以上にわたり実施している全国情報公開度ランキングにおいて、これまで最下位ないし最下位グループであった本県は昨年度全国第四位と、トップグループに位置づけられるまでに躍進したのであります。 三つ目は、連携であります。 私たちが直面するさまざまな課題は、行政にだけ任せておけば解決できるものではありません。従来の領域や圏域を越えて、県同士の連携、県と市町村、行政と県民、そして県民同士の連携など多様な主体がそれぞれの力を合わせ、新しい価値を生み出し、それを循環させ、さらに大きな力としていくことが求められております。 そのため、東北各県知事と就任直後の各県訪問などを通じて、まずは互いの信頼関係を醸成し、その上で産業や観光、防災分野などで広域経済圏の形成や広域連携の取り組みを進めてまいりました。 また、県内では、農業の総合産業化に向けた生産、加工、流通、販売の各部門の連携、男女共同参画社会を実現するための県民・企業の連携、医療分野での行政・民間の枠を超えた連携など、新しい発想に基づき、従来の考え方や枠組みの延長線上では考え得なかった主体や分野などの垣根を越えた取り組みを積極的に推し進めてまいりました。 その結果、東北全体に面的展開を見ている自動車関連産業の集積に向けた取り組みや東北観光推進機構の設立、宮城県とのソウル事務所共同開設や将来構想の締結、仙台空港アクセス鉄道への出資、さらには、隣接各県との防災協定の締結など、これまでには見られなかった県境を越えたさまざまな連携が進展いたしました。 また、県内においても、食産業クラスター協議会の設立や産業連携推進監の配置などにより、官民ともに農商一体化、総合産業化を目指す動きが広がってまいりました。 さらに、県立日本海病院と市立酒田病院との統合再編、各道路管理者間の路線交換による一体除雪、子育て応援パスポート事業や男女いきいき子育て応援宣言企業登録制度など、全国的に見ても先駆的な連携・サービス提供の輪が生まれてまいりました。 もとより、「やまがた改革」は緒についたばかりであります。また「やまがた改革」は、私、知事一人でなし遂げ得るものでもございません。議員御指摘のとおり、今後これらの成果を礎として、県民の皆様が日々の幸せを実感することができる社会をつくり上げ、そのためにみんなで一緒に取り組む、それを自律的に展開するよう力を尽くしていかなければなりません。 翻って、これまでの取り組みを通じて多くの分野においてさまざまないぶきが芽生え、育ち、広がりつつあります。平成二十年度は、こうした取り組みの歩みをとめることなく、そして次代への布石もしっかり打ちながら、さまざまな取り組みによるいぶきを形としてさらに着実に積み上げてまいります。 そうした基本姿勢のもと、今後とも誠実に県政に取り組むことにより、県民協創のもと、県民だれもが誇りと自信を持ち将来に希望を抱ける未来に広がるやまがたの基礎を確固たるものとする改革実効の年としてまいる所存であります。 次に、平成二十年度予算の特徴についてでございます。 平成二十年度当初予算につきましては、昨年九月にお示しした平成二十年度県政運営の基本方向を踏まえ、次の二つの方針に沿って効率的・効果的な予算編成に努めたところであります。 すなわち一つには、「やまがた改革」を着実に推進し、持続可能な財政運営を確保すること、そしてもう一つは、限られた財源を本県が持つ三つの力、すなわち地域力、基盤力、経済力をなお一段と高める施策に重点的に配分することであります。 第一の持続可能な財政運営の確保につきましては、税収の大幅な落ち込みにもかかわらず、引き続き歳出削減と歳入確保に努め、財政調整のための基金残高を何とか前回試算並みの八十九億円を確保いたしました。中長期的な財政健全化目標として設定したプライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡についても、十八年度、十九年度に引き続き、地方税の偏在是正に伴うつなぎ特例債を除き、二十年度も達成いたしました。また、中長期的に漸減傾向をたどるべき目標として今回新たに設定した義務経費率も十九年度以下を実現したところであり、財政の自由度の回復に向けてさらに着実な歩みを進めました。 第二の三つの力のさらなる向上については、これまで数多く芽生えたいぶきが形となってきたものを蓄積・発展させるとともに、次の世代のために布石となる施策も織り込んだところであります。 具体的には、やまがた教育C改革、コミュニケーション改革や、子供たちの三つの日本一化関連事業など、子ども夢未来指向の理念に立った施策を基盤力の強化のために、また、意欲的な小規模農家への支援など、山形ならではの農の力をさらに高める施策や、東北各県と連携した自動車産業の振興を初めとした他県との連携、民間企業や県民との協創を進める施策を経済力の拡大のために、さらにNPO支援基金の創設・運営や世界遺産登録に向けた県民運動の展開、山形ふるさと塾や男女共同参画・子育て支援のさらなる推進のための施策を地域力の向上のためにそれぞれ織り込んだところであります。 この間、こうした施策を前向きに受けとめ、また一緒に力を合わせて取り組むためにも、県民の皆様の間に漂う漠然とした不安感を払拭する必要があります。このために、ふるさとやまがた元気対策と銘打って、橋梁の長寿命化や学校等の耐震化などの社会資本長寿命化対策に加え、牽引産業の育成やブランド戦略の推進など、県民参画促進対策を重点的に展開いたします。 いずれにいたしましても、子ども夢未来指向を基本理念として未来に広がるやまがたを実現するため、脱・悲観論を県政運営の中心に据え、これまでの改革の成果を県民の皆様が強く実感し、自信を確信へと強める改革実効の年といたします。また、あらゆる分野において多様な力を結合する県民協創による取り組みを進めるべく、効果的な事業の追求、効率的な施策展開を図ってまいります。 次に、今後の財政見通しについてであります。 本県財政が危機的な状況にある中、持続可能な財政運営を確保するため、十八年度には百六十億円、十九年度には百二十億円の人件費を初めとする聖域なき歳出改革を断行してまいりました。その結果、昨年二月の山形県財政の中期展望においては、着実な経済成長や、国の地方財政対策等に大きな変更がないという一定の条件のもとではありますが、二十一年度以降は調整基金の取り崩しに頼らない財政運営も可能となる見通しをお示ししたところであります。 これに対し、十九年度においては景気の減速が強まり、法人関係税を中心として県税収入が想定を超えて低調となり、今後も景気の先行きが不透明であることから、二十年度は税収見込みを下方修正せざるを得ない状況にあります。他方、二十年度においては地方再生対策費の創設により、臨時財政対策債と合わせた実質的な地方交付税は増額となります。しかしながら、全体としては税収等の落ち込みをカバーするには至らず、想定を上回る多額の財源不足を生じる厳しい予算編成となりました。 こうした税収減など、その後の事情変化により、今年度の中期展望においては、二十一年度についても昨年度の中期展望でお示しした削減額を上回る七十五億円の歳出削減を余儀なくされるとの姿になっております。 しかしながら、これまでに進めてきた人件費の削減を初めとする歳出削減の努力により、財源不足額は着実に圧縮されてきております。したがいまして、もう一頑張りすれば、やはり一定の前提条件つきではありますが、二十一年度以降、調整基金の取り崩しに頼らない財政運営も可能であるとの試算を行ったところでございます。 また、その前提として、二十年度においては、さらなる歳入確保や一層の効率的な予算執行に努めることにより、できる限り二十一年度の歳出削減の負担を軽減できるよう全力を尽くしてまいる所存であります。 いずれにいたしましても、税収減というだれもが予期せざる大きな状況変化があったわけですが、今後とも県民の皆様の声に耳を傾けながら、引き続き持続可能な財政運営の実現に向けて邁進してまいりたいと考えております。 次に、製造業の振興に向けた今後の取り組みについてのお尋ねでございます。 県民だれもが生きがいを持ち希望を抱いて生活するためには、暮らしを支える産業経済の力を一層拡大していくことが重要であります。このため、高い技術力を有し本県の強みである物づくり分野を本県産業を支える基幹産業と位置づけ、有機EL、超精密加工など、先導的なプロジェクトに取り組んでおります。 また、東北各県との広域的なネットワークのもと、自動車産業の集積促進に向け、六県合同の技術展示商談会や戦略的な誘致活動などを通じ、その取り組みを強化してきたところ、それらが実を結び、企業個々の取引拡大や新たな関連生産技術開発拠点の本県進出という具体的な成果につながってまいりました。 このほどのセントラル自動車の宮城県への進出決定は、東北地域が我が国自動車産業における北の拠点として発展していくための足がかりとして意義深いことであります。とりわけ、本県にとりましては、隣県であるといった地理的事情のみならず、高い技術力と探究心を持った小さな大企業が多いといった産業構造にかんがみれば、三万点とも言われる自動車部品のユニット化・モジュール化を求める自動車産業にとってなくてはならない地域として、その存在感がより一層高まることが期待されます。 こうした本県の物づくり力や特色ある産業構造などの強みを生かし、県内企業の取引拡大や新規参入の促進につながるよう次の点に注力してまいります。 第一に、取引拡大等につながるような環境整備・支援であります。具体的には、引き続き東北六県合同及び本県単独の展示商談会を開催いたします。また、新たにトヨタ生産方式の普及に向けたアドバイザーを設置いたします。さらに、技術・製品開発向け助成、設備投資に対する金融支援などもあわせて行ってまいります。 第二に、新規参入促進等のための制度拡充・組織対応であります。具体的には、誘致促進のための企業立地補助金等インセンティブ拡大とともに、大規模な産業用適地の調査・研究もあわせて実施いたします。また、商工労働観光部及び名古屋事務所に、産業立地に向けた取り組みを強化するための組織並びに専担者を新設することにより、機能・情報収集力を戦略的に強化いたします。 第三に、短期的、中長期的双方の視点に立った人材育成です。具体的には、産業技術の高度化に対応するべく職業能力開発施設の機能強化を図るとともに、県教育委員会との連携のもと、物づくり分野で関心を高め、力を発揮する人材育成に取り組んでまいります。 この間、これらの取り組みを進めると同時に、東北地域を一つの核とする自動車産業の物流を新たに考えていく必要があります。とりわけ、東アジア・極東ロシア方面向けでは既存・新規ともども自動車組み立て地域と最も短い距離にある有力な港の一つとして、酒田港を改めてクローズアップし、その利用拡大につなげることは、本県の物流機能の強化と産業の活性化のために極めて重要であります。 このことにつきましては、去る一月末に私が直接冬柴国土交通大臣にお会いし、酒田港と東北の自動車産業を結ぶ道路網及び鉄道網など総合的な交通体系の計画的な充実・整備促進並びに酒田港の機能の拡充などについて特段の配慮をお願い申し上げたところであります。 また、県といたしましても、現在、東北地域における自動車産業の集積に資する酒田港を含めた物流体制のあり方の調査・研究に関係部局が一体となって取り組んでおります。今後は、国の関係機関、自動車関連及び物流関連企業などの参画を得て、新たに自動車産業物流活性化推進会議を設置の上、本県が東北地域における日本海側の自動車産業に係る物流拠点となるよう取り組みを強化してまいります。 いずれにいたしましても、本県製造業の振興に当たりましては、このように山形の牽引産業づくりに積極的に取り組んでまいりますとともに、本県固有の伝統やたくみのわざを生かした山形カロッツェリアプロジェクトなど地場産業の振興もあわせて推進し、物づくり立県山形の位置づけを確固たるものにしてまいる所存であります。 次に、公共調達に関する条例化の取り組みについてであります。 本来、公共工事・公共事業とは、品質の高い社会インフラを整備し、豊かで安全安心な県土を形成することによって、県民の皆様が幸せに安心して生き生きと生活できるという大きな社会的使命及び責務を有しております。しかしながら、本県において残念ながら過去に当該分野をめぐる工事、測量、設計等において談合事件の発生を見てきました。 このため、本県においては、とりわけ近年、談合の防止など不正の排除に重点を置き、建設工事における一般競争入札の拡大、地域要件の見直し、ペナルティーの強化など、入札・契約制度の改善に全国に先駆けて取り組んできたところです。その結果、競争性・透明性については、一定の改善効果が得られたものと考えております。 しかしながら、競争性は増したものの、御指摘のように投資額と業者数の減少の非均衡性から、一部に採算を無視した過度な低入札に踏み切る先が発生し、その結果、技術と経営にすぐれた企業が受注できないという事態が発生するに至っております。仮に、このような弊害がさらに進行し広がりを見せるようになれば、公共工事の安定的な品質の確保は極めて困難になるものと懸念されるところであります。 そこで、これらの問題意識のもと、今後の入札・契約制度の抜本的改善に向けた基本方針を検討・策定するため、今年度、山形県公共調達改善委員会を設置し、先週、委員会としての御提言をいただいたところです。 かかる提言、さらには、これまで丹念にうかがってまいりました建設業関連団体等からの御意見などを踏まえ、今後、次の三つの基本方針で臨みたいと考えております。 一つ目は、引き続き「談合の防止など不正の排除」を徹底して進めてまいります。二つ目は、「安定的な品質の確保」のために厳しい財政制約のもとであっても、長期的に安定した高い品質が確保できるような制度にしてまいります。そして三つ目は、「適正な市場環境の整備」のため、技術力と経営の効率化により品質と価格両面に努力する企業が公共事業を受注できるように配慮した制度とすることでございます。これにより建設業の振興にも配慮してまいります。 また、このような方針に沿った入札・契約制度確立のためには、不断の改善努力が求められます。したがって、そうした改善プロセスにつきましては、PDCAサイクルシステムを導入すること、すなわち新たな制度の導入の際にはまず試行をし、その結果や影響を十分に事後検証し、もし検証が不十分であればさらに試行を繰り返し、よりよい制度へと進化させる仕組みにしてまいります。そのために、制度を総合的に監視・管理するのみならず、制度改善や運用を具体的に審議・検証し、建設的に提言または勧告する中立的な専門機関として、新たに第三者機関を設置いたします。 さらに、今、制度設計・改善に当たり最も重要なことは、これらの基本方針や制度改善のための新たな仕組みなど、今後の入札・契約制度の改善に当たっての方針や公共調達の分野において求められる業者像とその評価手法などを、行政だけではなく、県民の皆様及び県議会議員の皆様が共通の認識として持ち、みんなが同じ方向を目指す枠組みを構築することであります。 こうした公共調達をめぐる考え方や枠組みを県民協創の精神のもとで県民の皆様と民主的に共有するため、県民の代表である議員の皆様が集まります本議会において、できるだけ早い段階で条例化していただけるよう取り組んでまいります。 最後に、具体的な取り組みというお尋ねでございます。 具体的な入札・契約制度の改善に当たっては、公平性・競争性・透明性の高い制度として再構築することは極めて重要ですが、他方、適切な市場環境整備の観点からも制度の使い勝手にも配慮したものでなければなりません。このため、これまで私自身も参画し建設業関係団体等との意見交換やヒアリングを丹念に実施してまいりました。 今回、こうした市場参加者の御意見などに加えまして、新たに山形県公共調達改善委員会の提言を踏まえ、新しい時代にふさわしい具体的な改善措置や新制度の考え方を今年度中には取りまとめ、新年度から順次実施してまいる所存であります。 今回、県独自として打ち出す施策には、大きくは対応が急がれる低入札対策の強化、下請対策の強化、議会でも御指摘の多い労務や資材単価の適正化、地元企業の技術力や地域貢献などへの配慮、そして県独自の総合評価制度であります。関係団体からも意見の多かった予定価格の公表のあり方についても工夫・改善してまいります。 具体的な改善措置等の実施につきましては、基本的には段階的に試行し、その後、先ほど申し上げましたPDCAサイクルシステムの採用を考えております。 いずれにいたしましても、公共事業等の安定的な品質を確保し適正な市場環境が整備されるよう、早急に対応してまいります。 以上であります。 ○議長(阿部信矢君) 二十番金澤忠一君。 ◆20番(金澤忠一君) 山形県飲酒運転をしない、させない、許さない条例案における失職や罰則強化などに係る基本的な考え方について、坂本議員より質問がありましたので、私の方から答弁させていただきます。 本条例案につきましては、骨子及び条例案の二回にわたり、県民や関係事業者などに意見募集を行い、三十七件の意見などをいただいたところでございます。意見などの内容は、総じて本条例の趣旨に賛同するものでありましたが、坂本議員御指摘のとおり、公職にある者が飲酒運転をした場合に、失職や罰則強化を求める意見なども寄せられたところであります。いただいた意見などにつきましては十分精査し、条例で失職や罰則の強化が可能か否かも含めて協議を重ねてきたところでございます。 結論としては、憲法及び地方自治法上、地方公共団体は法律の範囲内で条例を制定することとされており、公職にある者の身分に関しても地方自治法の範囲内で行うことが基本であることから、条例でその身分を失わせるような規定はできないと解されております。 つまり、公職にある者は、県民の厳粛な信託のもとにその職についており、出処進退はみずから明らかにしなければならない立場にあるからこそ、特に重い責任を負い、みずからを厳しく律しなければならないのであります。それゆえに、仮にも公職にある者が飲酒運転した場合には許されないのであり、みずからやめざるを得ないという厳しい意味と強固な決意を込め、公職にある者の率先垂範の規定を明記したのであります。 いずれにしましても、飲酒運転の撲滅のためには、まず私たち一人一人の自覚と行動が基本となることから、日ごろより家庭や地域において飲酒運転の撲滅のために自主的に取り組んでいくことが肝要であります。 本条例が、我々みんなが力を合わせ、ともに取り組んでいくよりどころとして浸透し、県民挙げた取り組みにより、飲酒運転のない安全で安心な社会が形成されることを切に望むものであります。 以上であります。 ○議長(阿部信矢君) 野村病院事業管理者。 ◎病院事業管理者(野村一芳君) 県立病院におきます医師確保について御答弁申し上げます。 議員御指摘のとおり、全国的に過重労働などから病院勤務医が病院をやめる傾向が強まっておりまして、医師の確保が一層困難になってきていると言われております。県立病院におきましても同様の傾向が危惧されております。医師を確保し定着を図っていくためには、医師の過重労働の解消のみならず、処遇・待遇面の改善、増加している女性医師のための環境整備、研修医の確保、研究・研修体制の充実、さらには医療機器の整備など、医師が意欲を持って働ける病院づくりが重要であるというふうに考えておりまして、鋭意取り組んでいるところでございます。 特に、過重労働対策といたしましては、事務の負担軽減のためにこれまでも事務補助員の活用を行ってまいりましたが、平成二十年度から新たに医療クラークが診療報酬の加算対象となるということから、今後計画的な配置をしてまいりたいと考えております。また、疲弊感の大きい夜間・休日の救急医療の負担軽減につきましても、昨年十月から、河北病院におきまして平日夜間に地元医師会の協力を得て病院医師の負担軽減を図っているところでございます。 いずれにいたしましても、地域医療を担っております県立病院の医師が、地域の方々から信頼されモチベーションを保ち安心して働けるよう、議員の御提案を含め引き続き検討するとともに、大学、県関係部局、医師会などの関係機関と密接な連携を図りながら医師の充足に努めてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(阿部信矢君) 坂本貴美雄君に申し上げます。議会運営委員会の申し合わせ時間が超過いたしておりますので、答弁の終わらない事項については文書をもって答弁いたさせますので、御了承願います。 この場合、休憩いたします。 午後二時三十分再開いたします。      午後二時二十二分 休憩      午後二時三十分 開議 ○議長(阿部信矢君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二十四番吉田明君。 ◆24番(吉田明君) 山形県民クラブの吉田明です。質問の機会を与えていただいた皆様に感謝を申し上げ、質問をさせていただきます。 あす以降も一般質問、常任委員会、特別委員会、予算特別委員会が開催され、活発な議論が展開されます。私は、この際、知事の政治信条、基本的な考えを中心にお尋ねします。 今月七日から九日まで、山形市で二〇〇八年第四回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム・山形が、「樹氷のように光り輝けこの感動 この友情」のスローガンのもと、アルペンスキー、フィギュアスケート、フロアホッケーなど七種目のほかに、競技に参加できない冬のスポーツを楽しむ機会を提供する体験プログラムや、ヘルシーアスリートプログラムなどとともに開催されます。 全国各地から、選手団として三十二都道府県から五百七十一人のアスリート、県内からは六十三名、コーチ等三百五十名、海外招待選手団などがエントリーされているようです。また、大会を支えるボランティアは、県内外から個人及び企業の皆さん延べ二千人の方々が登録を予定されています。 大会本番を前にしてさまざまなイベントも開催され、準備活動を通じても支援と交流の輪が広がっているようですが、大会での出会い・交流を通じてさらに感動・友情が深まりますことを心から期待したいと思います。 スペシャルオリンピックスとは、知的発達障がいのある人たちに、日常的なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を年間を通して提供し、社会参加を応援する国際的な組織で、一九六二年、故ケネディ大統領の妹ユニス・ケネディ・シュライバーが、ケネディ家の兄弟が多くの人と交際を広めているのに反し、知的障がいのある姉は、障がいがあるためほとんど世間と没交渉であることに疑問と不満を感じ、多くの知的障がい者のために自宅の庭を開放して大会を開催したことが始まりです。現在は、百六十五カ国、二百五十万人の選手の参加があり、四年に一回世界大会が開催されています。オリンピックではなくオリンピックスと複数形にしてあるのは、アスリートをボランティアのコーチたちが日ごろからトレーニングを通して支えているからだそうです。 本年二月十七日開催の第三十二回上山市女性のつどいの講師として来形された細川佳代子名誉会長の講演を聞く機会がありました。昨年五月にも上山市で講演されていますので、二回目の機会となりましたが、大変感動しました。ビデオで紹介された、ハンディを負いながらも懸命に走り、跳び、投げるアスリートの姿、天使の笑顔で喜ぶ顔、顔、顔、そして喜びを共有する多くのコーチやボランティアの姿にも感動し、熱い涙を禁じ得ませんでした。ボランティア活動されている皆さんも大変な感動だそうですが、この感動がボランティア活動の御褒美なのだそうです。アスリートのために力をおかししていると思っていたのに、純粋ですばらしい心を持っているアスリートから逆に感動と喜びを与えられているのですとのことでした。 細川さんは、当初、かかわらずにいられるならかかわらずにいたいと思っていたのですと告白されました。だれもが生きていく上で障がい者にかかわらずとも何も不都合を感じることはないわけです。見て見ぬふりすることも簡単です。しかし、細川さんは無関心ではいられなかったそうです。子供たちの笑顔のために、自分は人集め、資金集めのためにやれることをやってみようと決心され、すっかりはまってしまったとのことでした。そして、今の社会は、すべての価値観が自分の利益のための拝金主義、市場競争原理やコスト論との考えが大手を振っていますが、それが正しいとは思わない、社会的弱者のために、他者の痛みを和らげるために真心で対応すること、自分の能力を発揮することこそが大切であり、このことは政治の原点でもあると考えるとのことでした。私も全く同感ですが、知事にとりましては、政治の原点はどのようなものでありましょうか。 さて、私は今、監査委員を拝命し、病院、事務所、公社、協会、高等学校等教育関連施設、警察署、研究施設等々多くの県・県関連施設を訪問する機会を得ました。本年一月、二月には県内三十三カ所を訪問しました。県民の福祉向上、教育の充実、住民の安全安心の確保のため、真剣にあるいは命をかけて第一線で奮闘されているさまざまな職種の職員が多くいることを知りました。例えば、やまなみ学園、朝日学園、山形聾学校、山形盲学校、総合療育訓練センター、ゆきわり養護学校等の児童福祉施設や障がいのある子供たちを支援する施設・学校では、文字どおり一人一人を大事にした、個々の能力に合ったカリキュラムを組むなど、きめ細かい対応をしています。ここにも競争原理は不似合いとの思いがします。 現場の職員には、現場で直接子供たちと接しているがゆえにとてもつらいこともあります。寄宿舎で生活する重複障がいを有する子供たちや体温調整の苦手な子供たちに冷暖房など十分に快適な環境を提供できているだろうか、今いる施設を卒業、退園した後の生活環境は果たして万全なのだろうか等々、現実と理想の乖離を認識し、不安と不満を内に抱えています。実現される将来を信じたいのですが、厳しい現実があります。 知事は、現場の声を聞き、考えを知り、やる気、意欲を喚起したいとのお考えのようですが、どのように実践されておられますか。 また、財政、事業、組織を一体のものとして聖域なく見直すと発言されています。見直し・点検は、いつでもどこでも当然と考えますが、「市場競争原理」と「聖域なく」が合体しますと、必ずしも声の大きくない障がい者等にかかわる多くの県民に不安感を与えることになりますが、知事の基本的政治姿勢をお尋ねします。 地域間格差を解消するための地方税財政制度の見直しについてお尋ねをいたします。 目が、耳が不自由であっても、障がいがあっても、高齢者でも、だれもが幸せになれる人間らしい生活が可能な社会を実現するためには、財政の裏づけが大事です。地方財政を確立しなければなりません。しかし、今、地方自治体は大変な借金で苦しんでいます。借金漬け状態にあると言われます。 知事は、これまで、議会において「何ゆえにこれまで返済不可能と言える状態が放置されてきたのか」「これまで何ら抜本的な施策も講ぜずに、したがってまさに我々が今直面している危機的財政状況--」と発言されました。 何ゆえでしょうか。 九〇年代、国は、景気対策の一環として地域活性化施策を実施し、地方単独事業の財源に地域総合整備事業債の発行を誘導、地方自治体が起債する場合には、その元利償還金を地方交付税基準財政需要額に算入し、地方交付税で措置することを約束していたはずです。 地方分権の本質は、地域がみずからの責任と権限によって地域のことを決定することにありますが、当時の実情はどうだったのでしょうか。 国の施策誘導のための補助金や優遇措置、地方交付税措置するから心配ないとの施策に乗せられては、将来禍根を残すことになるのではと抵抗すべきだったのでしょうか、できたのでしょうか。 今日でさえ、地域がみずからの責任と権限によって地域のことを決定でき、財政基盤が確立したとは言えないと考えます。 平成十六年九月予算特別委員会でも、藤沢周平作品「風の果て」の一節を紹介しました。 藩の経営は大変。何年に一回かは冷害、日光東照宮を修繕、東海道の街道修復等の国役といった国の仕事の押しつけ。藩は借り上げ米として禄高の二割の飯米を家中藩士から借り受ける、あるいは御賄いということで全額借り受ける。もっと大変なのは雑用金。国元で使う金と江戸で使う金が一対六、江戸で使う金が六倍。国元では皆質素な服を着て、内職して、つめに火をともして生活しているのですが、江戸ではつき合いがある、だから六倍の金がかかる。毎年国の仕事を受けているようなものなんだというくだりがあります。 山形でとれた米が現金化され江戸で消費される。全国総合整備計画でも、太平洋ベルト地帯から、地方は後回し。昔から都市への一極集中を繰り返してきたわけですから、税源が偏在しているのは当然だと考えます。 二月十五日、新聞全面広告に、「道路は県民の命を守り、未来を開く大切な社会資本です」「これまでは道路整備のため約二倍の上乗せをした(暫定税率の)ガソリン税などで都会の高速道路が整備されました。これから地方の道路整備にという時に、この暫定税率を廃止するのは『地方の切捨て』と言わざるを得ません。」とあります。唖然としてしまいました。「都会が整備され--これから地方の」とあります。一体、だれが、いつ都会からお先にどうぞと認めたのでしょうか。 百歩譲って、国土の均衡ある発展、国土の社会資本の均衡ある整備がなされた上での地域間競争であればまだしも、大都市優先の施策、偏在した社会資本の整備をそのままに、地方交付税の財源である国税を地方税に移譲すれば、地方交付税や補助金の削減に結びつき、財政力の弱い団体をさらに弱くし、分権が進むどころか、地域間の格差を拡大する結果になることは至極当然です。 財政力の弱い団体でも、地域の決定権を高めるためには、社会資本整備の格差を是正するための道路整備の改良率や舗装率などの基準を明確にし、透明性、客観性を高め、進捗状況を点検し、文字どおり国土の均衡ある発展を図るとともに、財政力の弱い団体に一般財源として重点的に交付するような地方財政調整制度の抜本的な見直し・制度が重要と考えます。 このような格差が生じた原因はどこにあるのでしょうか。都会の整備が先で地方は後回しとの現状は、とても納得できるものではありません。 地域間格差を解消するための地方税財政制度の見直しについて、知事の御所見をお尋ねします。 長期的な財政運営の考え方についてお尋ねします。 公共事業の減少・削減で民間企業が疲弊していることは、御存じのとおりです。一般競争入札における元請企業の低価格入札の増加は、下請や専門業者への、労働者へのしわ寄せとなってあらわれています。 国は、先ほども申しましたように、バブル崩壊後、地方債や交付税を増額し、地方自治体にも地域総合整備事業債などの交付税措置を有利として、公共事業中心の景気拡大対策をとりました。一定の効果はあったものと考えます。しかし、国は、景気は回復したとの判断に基づき、財政再建を理由に公共事業費、地方単独事業費を縮小・削減し、財源保障としての地方債、交付税まで縮小・削減しました。そして、借金は自治体に残されることになったと考えます。 まず、大都市と地方では景気回復の体感が違います。よく地方の景気は、不景気時は真っ先に落ち、好景気時は最後に離陸することから、離着陸時のジェット機後部に例えられます。ジェット機の後部がまだ滑走路を離れていないにもかかわらず、先頭の都市は既に離陸したのでシートベルトを外しても安全ですよとはなりません。タイミングがずれているとしか思えませんし、地方の実態を理解しているとは思えないのです。 民間需要が低迷時に公共事業を抑制することは、県民経済に二重の打撃となります。長期的視点からは、民間需要の低迷時には公共事業を増大し、民間需要が好調時には公共事業を少し控えることにより歳出を抑制し歳入の確保を図る。そして、結果的に長期間にはプライマリーバランスの黒字化が図られるというような考え方もあると思います。 昨年成立しました地方公共団体の財政の健全化に関する法律により、自治体財政、財政運営はますます国により日常的にコントロールされる危惧もありますから、長期的に財政運営を展望・計画することは大変困難なことだとは思いますが、知事は、百年後にも誇りに思えるふるさとやまがたと言われます。おおようでおおらかで、悠久を感じるいい言葉だと思っています。明けない夜はないと考えます。 知事の長期的な財政運営の考え方をお尋ねします。 県税徴収確保対策についてお尋ねをします。 具体的施策を実現する財源確保のために、県税を初め収入を確保することは喫緊の課題です。自治体は、国が定める地方財政計画に基づき予算編成するよう内簡で定められているとお聞きしていますから、このたびの平成十九年度一般会計補正予算に係る歳入予算の県税二十九億五千万円の減額と、例年にない大幅な減額補正も、国が地方の実態を理解していないことに起因しているのではと考えます。 地方税の伸び率は当初に比べて大変厳しいものがありますが、税源移譲により地方税の額は増大し、従前の収納率を維持した場合は、税収も増大しますが、未収金も増大することになります。収納率の向上、県税徴収確保対策は喫緊の課題と考えます。 やまがた緑環境税導入時にも、県民の緑豊かな郷土を愛する心を醸成できるか否かがこの事業の成否のかぎを握ると申し上げましたが、環境税に限らず、これまで述べてきましたように、社会的弱者の安全安心確保のためにも県民の貴重な税金は充当されますから、県民の思いやりの心を醸成し、税制度に対する県民理解を深め、納税意欲を高めることが重要と考えます。また、市町村とのさらなる連携など組織的な課題もあります。 今後の取り組みについて、総務部長にお尋ねします。 中山間地域における集落対策についてお尋ねします。 まず、孤立集落の現状と今後の課題についてお尋ねします。 地域コミュニティーについて、過疎化・高齢化に対応した公共サービスについては、以前にも総務部長にお尋ねをいたしました。少子高齢化、人口減少が本格化した中山間地域においては、自立の基盤となる地域コミュニティーそのものが崩壊の危機に瀕していることを申し上げました。地震などの自然災害や火災などの災害、急病に対する備えなど、住民の安全安心を確保することは自治体の大切な業務ですが、孤立の危険性が心配されるすべての集落に対し、日常、ふだん二十四時間提供することにはもはや限界があるのでは、困難度を深めているのではと考えます。 県は、これまでも中山間地域の孤立集落に関する実態調査を実施していますが、調査を踏まえ、どのような対策、施策を実行しようとしておられるのか、今後の対応について、危機管理監にお尋ねします。 次に、高齢化が進んだ過疎集落対策についてお尋ねをします。 高齢化が進んだ過疎集落、いわゆる限界集落への対応は喫緊の政策課題となる中で、国でも、来年度の予算において各種の取り組みを行おうとしておるようです。それを見ますと、ハード整備や都市との交流事業など、各省単位で、従来型の発想のものと感じております。 新たな取り組みの具体的な例を挙げれば、中心市街地対策と連携した施策も考えられます。中心市街地では空洞化が進み、居住人口が減少し、空き家になった建物は再利用計画のないまま取り壊されていることなども以前から申し上げています。市町村では、住宅用土地については固定資産税評価額の三分の一または六分の一を乗じて固定資産税が課税されるということから、住宅を取り壊すことにより固定資産税が高くなるのを避け、取り壊さずに放置している家屋が増加しているような気がいたします。また、相続放棄により固定資産税を徴収できなくなる土地・家屋が周辺部のみならず中心市街地においても増加するのではないかと危惧をしています。これら土地・家屋につきましては、例えば限界集落の受け皿として活用できないか検討する価値があると考えます。 そこで、県ではこれら集落の現状をどう認識しているのか、また、こうした新しい取り組みも含めて、今後の対応としてどのような方向性を考えているのか、総務部長にお尋ねをいたします。 農業施策の今後の展望についてお尋ねをいたします。 まず、厳しい農村集落の現状と今後の施策展開についてお尋ねをいたします。 これまでの農業施策は、国民への安定した食料の供給、貿易自由化への対応、米の供給過剰に伴う生産調整など、その時々に直面している課題を克服するため、農業関係者が全力を挙げて対応してきたと考えています。県機関などでの品種改良や新品種開発など、地道な研究が確実に成果を上げていることも承知をしています。しかし、今、私たちが目の当たりにしている農業・農村の現状は、必ずしもこれまでの施策が功を奏してきたとは言えないのではないかとの思いを強くさせるものです。 諸外国との価格格競争によって、米を初めとする農産物の価格は低迷を続け、農業者の方々の生産をしようとする意気込みをくじくばかりか、我が国の食料自給率は四割を切り、先進諸国の中でも最低水準となっています。また、現在、農村に残っておられる方々の高齢化が進んでいます。こういった現象が相まって、先ほど申し上げた限界集落のような問題が特に農村部において顕著になってきているのではないでしょうか。 その結果の一つが、昨年の農政をめぐる大きな民意の流れであり、農業・農村の活性化は今後の大きな課題であると考えます。もちろん、この課題は、決して一つの県だけで解決できるものではありませんが、農業県と言われる本県において、農業・農村の活性化に向け積極的に施策を講じていくべきと考えます。 厳しい農村集落の現状と今後の施策展開について、農林水産部長のお考えをお尋ねします。 少子高齢社会に対応した農業従事者の確保についてお尋ねをいたします。 自給率が七三%ありました一九六五年、全国の農業従事者数は約一千百万人、四十年後の二〇〇五年には二百七十万人にまで減少したと言われています。十五歳以上人口の三%未満で、しかも六割強が六十歳以上だそうです。本県におきましても、六割近い方が六十五歳以上と高齢化が急激に進んでいます。 農業の歴史を俯瞰しますと、林業と同様、戦後復興、高度経済成長期、外米輸入、価格低迷、労働者不足、高齢化、経営意欲喪失と、大変厳しい現実に直面します。このような負の連鎖は、やはり安い人件費で生産される安い輸入品には対抗できない市場競争原理、価格優先の狭い範囲での経済効率論のゆがみを見る思いがいたします。このままでは、農業を営んでいる方の家族であってさえも、これまでほとんど農業に携わったことのないような若い人が、例えば退職後に家の農業を継ぐ、後継者になることがまれなことになるのではないかと思われます。 これからますます若年労働生産人口が減少していく将来において、農業従事者を確保していくためには、大胆に、高齢者になっても就労可能な、高齢者になってからでも新規に就労できるようなさまざまな工夫が必要と考えますが、農林水産部長のお考えをお尋ねします。 犯罪被害者対策の命の大切さを訴える施策についてお尋ねいたします。 昨年十一月三十日、山形ビッグウイングにおいて、山形県被害者支援議員連盟も後援しました犯罪被害者支援県民研修会二〇〇七が開催されました。平成十四年に東京都中野区で発生した連続放火事件の現場に遭遇し、犯行を阻止するために犯人と格闘になった末、犯人からナイフで反撃を受け生死をさまよう重体に陥った当時二十五歳の男性のお父さんの講演に続き、「社会全体で行う被害者支援」をテーマに、警察、行政、被害者、民間支援団体等の立場で四名の方の対談がありました。遺族の会渡邊理香代表の幼い娘さんを交通事故で亡くされたお母さんのお話は、愛する大切な娘さんを突然失ったことの衝撃、事実だと信じたくないお気持ちを訴えるものでした。 地元の上山市でも、昨年十一月、宮川中学校で、少年犯罪被害者当事者の会の武るり子代表が大阪から来形され、「命の大切さ-少年犯罪で息子を奪われて-」と題して講演されたとお聞きしています。武さんは、高校一年生、十六歳の息子さんを少年による暴行事件で失ったこと、人の命を奪うことは絶対許せない、悩んだときには周りに助けを求めるべき、子供たちを被害者にも加害者にもしたくない、自分を大切にすると他人も大切にできる、一日一日を大切に生きてほしいと話されたそうです。 いかに高齢であっても、親族や親しい方を失うことは大変悲しいことです。ましてや愛する我が子の命、幼い子の命を奪われた御遺族の悲しみは、はかり知ることができません。御遺族のお気持ちを考えれば、我が子の命を奪われた事実を認めたくない、忘れてしまいたい、触れてほしくないことなのかもしれません。しかし、命のとうとさは我が子だけのことではないとの強い思いが、他者の痛みがわかる優しさが、被害者の生の声を語りかける行動になっているのではないでしょうか。それぞれの御遺族の方々の勇気ある行動が、大勢の子供の青少年の琴線に触れ、生きる力を与えているか、はかり知れません。 被害者支援推進事業の中の命のとうとさ、自分や他人を大切にすることをみずから考える機会を提供する施策展開について、警察本部長にお尋ねをします。 交流人口の増大策についてお尋ねします。 人口減少社会において本県経済の活性化を図る上では、観光を核とした交流人口の増大策によるいわゆる外貨獲得が重要と考えます。観光立国の実現に向け、国では、ビジット・ジャパン・キャンペーンにより二〇一〇年までに一千万人の外国人観光客を誘致すべく取り組んでいるところですが、本年十月には新たに観光庁の設置が予定され、観光客誘致に一層弾みがつくものと考えられます。 言うまでもなく、観光は、関連産業が宿泊業、運輸業、飲食業、商業、製造業、そして農業など広範な業種に及びますから、観光の振興は県内経済の波及効果を高め、雇用拡大にもつながるものであり、地域の活性化にとりましても不可欠な、経済波及効果の大きい総合産業です。旅行形態が団体客から個人・小グループ客中心へと変わった今日では、国内観光客の伸びが以前ほど期待できない中、外国人観光客は誘客増を図る上で重要なターゲットとなるものであり、さらなる誘客に向けた取り組みが求められるものではないでしょうか。 先日、上山温泉の関係者から聞きましたところ、台湾人を中心とした外国人観光客の宿泊がふえてきており、地元上山温泉としましても大いに期待しているとのことでした。台湾を初め東アジアからの観光客には、山寺や最上川舟下りなど主要観光地めぐりだけでなく、果物狩りや雪遊びなどが大変好評な様子です。 県では、宮城県と共同でソウルに事務所を設置し、韓国では日常的な観光客誘致活動やPR活動を行っておりますが、その成果として、蔵王温泉スキー場への韓国人スキーヤーが大幅に増加したのを初め、ゴルフ場や主要な観光地などでも韓国人旅行者の姿が見られ、順調な観光客誘致が進んでいると感じております。本年七月には仙台-台北便が週二便から五便に増便されると聞いており、台湾人観光客の誘致に有利な状況となります。この機会を踏まえ、韓国に引き続き台湾に向けて山形県に関する的確な観光情報提供やプロモーション活動を行うことが重要と考えます。 外国人観光客の受け入れには、文化や習慣の違いなどを理解し、通訳・観光ガイドの確保や看板・パンフレットの外国語表示という受け入れ態勢を整備することも重要と考えます。幸い、本県には、先人から受け継いだすばらしい歴史と伝統、文化に裏打ちされた、大都会にはない、相手の立場になっておもてなしを提供できるすばらしい人情、ぬくもりのある思いやりの心があります。 県としては、観光を中心とした交流人口の増大策、とりわけ、今後有望な台湾を中心とした東アジアからの観光客の誘致をどのように進めていかれるのか、商工労働観光部長にお尋ねし、質問といたします。 ○議長(阿部信矢君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) 山形県民クラブの吉田議員から私に三点ばかり御質問がございましたので、順次お答え申し上げたいと思います。 まず最初は、私の基本的な政治姿勢についてでございます。 私は、県民の皆様と助け合い、分かち合い、はぐくみ合いながら、百年後にも誇りに思える元気なふるさとやまがたづくりに取り組むということを目指しております。このため、就任以来、子ども夢未来指向を基本理念に据え、すなわち、子供たちは未来に向けて今を生きる我々に何を求めているのか、そして何を我々はそのためにしなければいけないのかということを基本に据え、また、常に問いかけながら「やまがた改革」に全力で取り組んでまいりました。 その際、とりわけ注力してまいったのは、情報と連携でございます。 新しい県づくりを進めるに当たっては、県民の皆様との間で相互の信頼関係を確立・維持すること、そして熱い思いを共有することが重要であります。そのためにも、人に言えないことは行わないという強い信念のもとで、情報の透明性及びタイムリー性を最大限重視し、とりわけ原則毎日の記者会見や県民の皆様との不断の直接対話に重きを置いてまいりました。特に、記者会見は年間百回前後に上りまして、四十七都道府県知事の中でも突出してトップを数えております。また、出前知事室や夢未来トークでは、私自身が県内各地に出向いて県民の皆様の社会活動や仕事の現場を実際に拝見し、そしてまた意見交換を行いながら、そこで得られた生の声を県政に反映してまいりました。これらもこの三年間で百回近くを数えております。 私は、人口減少社会を乗り越えるためには全員野球型の社会づくりが不可欠である旨、常々申し上げております。すなわち、老若男女、健障等の主体や従来の領域、圏域を越えて、一人一人が意欲と能力を持ち、そして発揮できる社会を意味しております。だからこそ、男女共同参画社会の実現や広域経済圏の形成に向けた産業連携などに懸命に取り組んでまいったゆえんであります。 とりわけ今年度は、社会福祉分野において県民の皆様との直接対話に注力してまいりました。例えば、施設を訪問し、障がいを持っている方々と直接意見を交換したり、障がい者協会、社会福祉協議会等の方々から悩みや要望をうかがったり、また、多くの障がい福祉関連大会等に参列して、すべての人が当たり前に生活し、またその持てる力を生かすことができることが大切であるとの思いを分かち合ってまいりました。こうした方々は、本年度だけでも延べ約五千人近くに上っております。 本定例会にも、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた山形県福祉のまちづくり条例の一部を改正する条例案の提案を行っております。そこでは、障がい者のみならず高齢者や子育て中の方も含め、さまざまな不安を感じながら生活している県民がその不安を払拭し、安心して持てる能力を発揮しながら活動していけるようにとの思いが込められております。 今後とも、改革実効、県民協創の視点に立って、県民の皆様の信頼にこたえ、文字どおり山形県がみんなに優しいまちとなるよう県政運営に努めてまいります。 なお、来る三月七日から九日までの三日間、二〇〇八年第四回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム・山形が開催されます。約一年半前の平成十八年九月に細川佳代子名誉会長が来庁され、本県での開催要請があった際に、私は、席上、二つ返事でお引き受けしたい旨のことを申し上げたのは、以上のような思いや考え方が根底にあってのことと御理解いただければ幸いでございます。 県庁からも延べ八百名もの職員ボランティアが参加いたします。大会の成功を心より祈っております。 次に、地域間格差を解消するための地方税財政制度の見直しについてのお尋ねでございます。 都市と地方の格差感が拡大しているより根本的な原因は、税収格差の拡大以前に、いわゆる三位一体の改革により、特に財政力の弱い団体において税収増以上に地方交付税が削減され、財政状況が大幅に悪化した点にあります。こうした格差感を緩和するためには、地域偏在性が少ない地方税体系の再構築を実現しなければならないのは当然でありますが、まずは、大幅に削減された地方交付税の復元・充実を行うことが何としても必要であります。 そうした中、平成二十年度は、地方再生対策費の創設により臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税は増額となりました。また、平成二十年度税制改正案には、地域間の税源偏在の是正に対応するため、暫定措置として、法人事業税の一部を国税化し地方法人特別譲与税として再配分する方式をとることが盛り込まれました。こうした措置に加え、閣議決定された税制改正の要綱では、偏在性が小さく税収の安定的な地方税体系を構築するとの方向性と、税制の抜本改革の際に地方消費税の充実を含む地方税改革の実現に取り組むことについて新たに明記されたところであります。これらの国の対応は、格差の縮小に向けた一歩であると評価できるものであります。 真の地方分権の確立、すなわち、地方がもっと活性化し自由に県政運営をデザインできるようになるためには、大胆な権限移譲、国の関与の大幅な縮減に加え、これらの基礎となる地方税財政制度の充実強化が必要であります。と同時に、我々としてもしっかりと足元を固めることが求められているのであります。その前提となるのが、持続可能な財政運営の確保ということになります。 さらに、分権型社会に適応するためには、それにふさわしい職員の育成や組織の再構築も必要となります。志の高い自律したプロ職員を育成するとともに、新しい発想に立って自律的に改善が進む組織づくりを進めてまいりたいと思います。 今後も、動き出した第二期地方分権改革を軌道に乗せ、自律的経営が可能な地方政府の確立を目指し取り組みを進めてまいります。 最後に、長期的な財政運営のあり方についてのお尋ねでございます。 長期的な財政運営のあり方を考えるに当たっては、私は、子ども夢未来指向の考え方に基づき、我々の子供たちが今の我々にどのような財政運営を求めるかとの視点が重要であると考えます。そうした視点からは、何よりも財政の破綻を避けることはもとより、将来の世代に過大な負担を残さない、そして将来はより自由度の高い財政運営が可能となる、すなわち県債残高という将来へのツケを減らし、また財政の自由度を高めることが、子供たちが求めていることにほかなりません。したがって、中長期的に達成すべき目標として、プライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡を堅持し、さらに義務経費率も漸減傾向をたどるよう財政を運営することが必要であると考えております。 そうした中にあって、二十年度当初予算においては、「ふるさとやまがた元気対策」として、投資的経費を中心に総額で約七十億円を計上し、いわば科学的調査分析に基づく橋梁の長寿命化や耐震診断に基づく学校等の耐震化などを進めることで県民生活の安全を確保すると同時に、県内業者が施工できる身の丈に合った事業の確保も図るなど、県内景気・雇用への配慮にも努めたところであります。また、本県産業経済力の強化や広域展開を促進していく取り組みも盛り込んでいるところであります。 今後とも、子ども夢未来指向に基づき、財政規律をもって財政運営に当たるとともに、県内の産業や景気にも十分に配慮した施策を展開してまいる所存であります。 なお、議員御指摘の、民間需要の低迷時には公共投資をふやして景気浮揚を図るという運営でございますが、これは、政策面からは有効需要政策、また、財政面からは景気安定化機能の発揮と呼ばれるものでございます。ただし、地方財政では国のように自由に地方債の発行ができないという制度的制約があることに加えまして、本県財政は調整基金残高が百億円を下回るという危機的な状況にありますことから、そうした考えによる財政運営を行うことは、目下のところ、制度的にも、また実態的にも困難だと言わざるを得ないと思います。 以上であります。 ○議長(阿部信矢君) 安居総務部長。 ◎総務部長(安居孝啓君) まず、県税徴収確保対策についてお答えをいたします。 県税収入を確保していくためには、議員の御指摘にもありましたとおり、県民の皆様の県税に対する理解と協力が必要不可欠であります。このため、県では、これまでも税務広報や租税教育の推進に努めてまいりました。 まず、税務広報でございますけれども、県民の皆様の納税意識の醸成を図るため、各税目のあらましや使途などをわかりやすく解説しました「県税のしおり」を県のホームページに掲載するほか、自動車税などにつきましては、県民のあゆみや新聞、ラジオ、ポスターなど各種媒体を活用いたしまして自主的な納税の促進を呼びかけてきているところでございます。中でも、やまがた緑環境税についてでございますけれども、議会での附帯決議を踏まえまして、県のホームページ上に税の充当事業を掲載し、使い道の紹介をするなど、県民の理解の促進に注力してきているところでございます。 次に、次代を担う児童・生徒たちに税に関する正しい知識を提供する租税教育についてでございますけれども、将来における租税のよき理解者の育成につながるものであり、教育委員会と協力をしながら、小・中・高校生用の副教材を作成するほか、税に関する作文応募の呼びかけを行うなど、一層の推進に努めているところでございます。 一方、県税収入の確保のためには、的確な徴収対策も同様に重要でございます。特に、三位一体の改革に伴います税源移譲により、個人住民税の徴収対策というのは、県及び市町村にとって昨今の緊急の課題というふうになっております。このため、県では、昨年五月に山形県地方税徴収対策本部を立ち上げまして、市町村を戸別訪問し滞納整理に関する助言を行うほか、本県初の試みであります個人住民税の直接徴収を実施しているところでございます。 本県の平成十八年度現年度課税分における県税徴収率は九九・五%と、全国第三位でありまして、県民の皆様の御理解のもと大変高い位置にあるわけでございますが、地方分権を推進していくためには、地方税財源の充実確保がますます重要となっておりますことから、今後とも、各種メディア等を活用した積極的な広報に努め、県民の皆様の県税に対する一層の協力を得ながら県税収入の確保に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。 続きまして、高齢化が進んだ過疎集落対策についてお答えをいたします。 過疎地域につきましては、これまで、四次にわたる過疎法に基づき交通基盤や生活環境の整備などを行ってまいりました。しかし、人口減少、高齢化など、過疎地域を取り巻く環境は一段と厳しさを増しており、集落機能の維持が困難になるなどの課題も生じてきているところでございます。このため、県では、現行過疎法が平成二十一年度末に失効することも踏まえまして、昨年九月に過疎地域等振興懇話会を設置いたしまして、県としての今後の過疎地域の支援・振興方策を取りまとめるということとしているところでございます。これまで懇話会は二回開催しております。 また、このほかに、市町村からの意見聴取や住民意識も含めた実態調査などを実施してきておりますが、そこでは、水源の涵養、自然環境の保全、地球温暖化の防止など多面的な機能を保全する観点から、国全体の問題としてとらえた対策が今後とも必要であるといった意見でございますとか、厳しい状況にありながらも引き続き集落に住み続けたいと考えている人々の生活を支える支援体制として、行政区域を越えた視点での対策や人々の生活や地域の状況に応じた交通システムの構築が必要であるとの意見などが出されているところでございます。 さらに、夏場は集落で暮らし、降雪期は町場で生活するというライフスタイルの拡大を進めるべきといった意見も出されておりまして、こうしたものは、議員の御提案とも相通じるものがあるのではないかというふうに考えるところでございます。 今後、これらの意見を踏まえながら、部局の枠にとらわれず新たな発想も取り入れて、過疎地域の支援・振興方策の取りまとめを行ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
    ○議長(阿部信矢君) 森危機管理監。 ◎危機管理監(森秀夫君) 孤立集落の現状と今後の対応についてお答えを申し上げます。 土砂崩落などにより山間地や中山間地で孤立集落が発生した新潟県中越地震の教訓を踏まえ、県が平成十六年度に実施した各集落の実態調査では、県内四百五十七集落で孤立する危険性のあることが判明いたしております。県では、この調査結果を踏まえ、関係部局において当該集落へのアクセス道路の改良や土砂災害対策事業、地すべり防止事業などを実施し、孤立化の危険要因の解消対策に取り組んでいるところであります。 また、孤立時の通信確保のため、平成十七年度に市町村に対し衛星携帯電話等の整備費助成を行うなど通信体制の整備にも取り組んでおりますが、固定電話以外に通信手段を持たない集落が百集落程度残っておりますことから、引き続き市町村総合交付金の自主防災組織整備事業を活用するなど、非常用通信手段の確保対策に努めてまいります。 このほか、平成十八年度に実施したヘリコプター離着陸可能場所の調査結果等、孤立危険集落に関する情報について今年度中にデータベース化いたしまして、市町村や消防、警察、自衛隊等の関係機関と情報を共有し、孤立した際に関係機関が連携して迅速かつ的確に対応できるよう備えてまいります。 さらに、市町村による要援護者に対する避難支援プランの作成を推進するなど、こうした集落の方々が安心して暮らすことができますよう、孤立集落対策の一層の充実強化に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 高橋商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(高橋博君) 交流人口の増大策についてお答えを申し上げます。 海外からの観光客誘致につきましては、昨年度策定いたしました東アジア経済戦略に基づきまして、台湾、韓国、香港からの誘客に向け積極的な取り組みを行っており、平成十八年受け入れ実績で五万人の大台を突破したところであります。とりわけ、台湾は全体の約三分の二に当たる三万二千八百六十人が訪れており、本県にとって大変重要な市場であると認識をいたしております。 また、議員御指摘のとおり、仙台-台湾の定期便の週五便化の動きもありますことから、来年度重点的な誘致活動を展開することといたしてございます。具体的には、台北市に現地コーディネーターを配置し、航空各社、旅行エージェントなどに対するPR、セールス活動を日常的に展開してまいりますほか、おしんの知名度を生かしたプロモーションとして、本年七月の松竹新橋演舞場「おしん」公演を絡めた山形観光ツアーのPR活動を、主演の小林綾子さんなど関係者とともに台湾現地で行うことなども予定をいたしているところでございます。 いずれにしましても、台湾を初めとする東アジアからの観光誘客につきましては、今後ともこうした実践的な取り組みを推進していきますとともに、広域的な視点を踏まえた魅力的な観光ルートづくりや人づくりを初めとする受け入れ態勢の充実により、その増大に努めてまいりたいと考えてございます。 ○議長(阿部信矢君) 安孫子農林水産部長。 ◎農林水産部長(安孫子昴也君) まず、厳しい農村集落の現状と今後の施策展開についてお答えをいたします。 米を初めとする農産物価格の低迷や農業従事者の高齢化の進展などにより農村集落が厳しい状況にある中で、本県農業の振興を図っていくためには、農業・農村の活性化が重要な課題であります。こうした観点から、平成二十年度におきましては、農業経営の安定を基本としながら、農村地域の活性化に向け、新たな各種の施策を講じてまいります。 具体的な取り組みといたしましては、まず、経営の安定の観点から、ソバや飼料用米など中山間地域に適した転作作物について独自の支援策を創設しますほか、小規模ながら複合経営に取り組む意欲ある農業者を支援するため、新たな園芸緊急拡大推進事業の展開や小規模な水田畑地化への支援などに取り組むこととしております。 また、農林水産業の振興を通じた定住化や、都市住民の農林漁業の体験など地域間交流の促進により農山漁村の活性化を図っていくことが重要であると考えております。このため、新たに棚田など地域の農業資源を活用しました農村集落の活性化や二地域間の居住を推進します農山漁村活性化プロジェクトなど、国の施策を活用しながら、地域の自主性と創意工夫によります農山漁村の活性化を支援してまいります。 さらに、本県独自の取り組みといたしまして、地域固有の伝統文化や資源を活用したコミュニティーの形成、女性の新たな農ビジネスの展開によります都市との交流などを促進してまいります。 このような施策を地域の実情に合わせ展開することにより、農業・農村集落の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、少子高齢社会に対応した農業従事者の確保についてお答えします。 農業従事者の確保のためには、後継者を初めとして高齢者や農外からの参入など、幅広く人材を確保・育成していくことが重要であります。このため、県としましては、去る十二月に新たに設立しました財団法人やまがた農業支援センターを核としまして、総合的に課題に対応していくこととしております。具体的には、就農についての情報提供や後継者の確保、新規就農者の支援や就農後の技術・経営指導、さらには経営の多角化への支援など、就農者の実態や経営の発展段階に応じた支援体系を整備しまして、広く後継者や担い手の確保・育成に努めてまいります。 また、中高年齢層の就農促進につきましては、現在、西川町において、首都圏のNPO法人と連携し、団塊の世代を対象とした農業体験研修を実施しております。さらに、今後は、中長期間滞在しますワーキングホリデーや、大手企業の退職者などを対象とした就農相談や農業体験学習などに取り組んでまいります。 また、農業大学校におきましては、農業の基礎講座と農家での実習を組み合わせた新たな研修コースを設け、中高年齢層の就農を促進していくこととしております。 さらに、高齢化が進み兼業後継者が多い果樹地帯におきまして、中高年齢層の後継者などを対象として、円滑な世代交代を図る新たなモデル事業を実施してまいります。 今後とも、就農意欲の喚起から経営の安定まで、ニーズに応じたきめ細かな施策を展開し、シニア世代の新規就農の促進に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 安田警察本部長。 ◎警察本部長(安田貴彦君) 犯罪被害者対策の命の大切さを訴える施策についてのお尋ねでございました。 犯罪等の被害者が再び平穏な生活を取り戻すためには、被害者を直接の対象とする従来からの施策だけでは不十分であり、社会全体で被害者を思いやり支え合う機運を醸成することが不可欠であると考えているところでございます。そのため、県警察では、被害者や遺族がみずからのつらい体験を語り、命の大切さを訴えることにより、できる限り多くの方々に被害者の痛みを理解していただくとともに、被害者への配慮や支援活動に対する協力を促す施策を展開しております。 議員御指摘のとおり、昨年十一月に開催いたしました犯罪被害者支援県民研修会二〇〇七におきましては、犯罪被害者の御家族による基調講演のほか、交通事故遺族自助グループの代表や自治体の担当者を交えた「社会全体で行う被害者支援」をテーマとした対談を実施したところであります。また、中山町と上山市の二つの中学校において、昨年、被害者の生の声を聞いていただくことによって命のとうとさを学ばせ、自殺やいじめ、非行の防止につなげる「いのちの授業」を実施したところ、その後、生徒や保護者等に対するアンケート調査におきましても、命や思いやりについて考えるいい機会になったという結果が出ております。本年も同様の講演会を数多く開催したいと考えているところでございます。 また、運転教育の分野におきましても、ドライバーを対象とした講習におきまして、交通事故遺族から生の声で直接語りかけていただき、被害者にも加害者にもならないための交通安全意識の向上につなげる施策を実施していきたいと考えております。 被害者の生の声は、聞いている方々の心にダイレクトに訴えかけるものでありますので、教育現場だけでなく、地域におけるさまざまな活動との連携を図りながら、一人でも多くの皆様に聞いていただけるよう取り組みを強化してまいる所存でございます。 以上です。 ○議長(阿部信矢君) 二十三番寒河江政好君。 ◆23番(寒河江政好君) 皆さんお疲れでございましょうけれども、最後でございますのでおつき合いのほどどうぞよろしくお願い申し上げます。 私は、県政・公明クラブを代表いたしまして、知事の政治姿勢並びに県の当面する諸課題について質問いたします。 まず最初に、財政改革に向けた基本姿勢について知事にお伺いをいたします。 知事は、任期最終の四年目を迎えられました。就任されて以来、助け合い、分かち合い、はぐくみ合う山形のきずなを大切にしながら、百年後にも誇りに思えるふるさとやまがたを県民の皆様とともにつくり上げるため、財政、情報、連携にかかわる取り組みに力を注ぎ、大きな成果を見たと、このようにおっしゃっておられます。 特に、財政改革は、「一丁目一番地」として力を入れてこられました。国においては、三位一体の改革、第二期地方分権改革の推進など、県を取り巻く大きな構造変化の中で、今まで以上に厳しいかじ取りが求められておりますが、その努力に対し敬意を表するものでございます。 しかしながら、県税収入の約三割を占める法人二税の落ち込みなどで、県の歳入は不安定です。知事は、産業廃棄物税とやまがた緑環境税を新たに導入されましたが、目的税の性格を持つものであり、一般財源の増収とまでは結びつきません。各地方自治体は、消費税の地方配分をふやすよう求めておりますが、これもまだ先が見えません。また、ふるさと納税制度も話題になっております。 そんな中、新たな税による増収策も必要と思われますが、これまでの成果と課題を踏まえ、今後どのような基本姿勢で取り組まれるのか、お尋ねいたします。 安全安心の勢いのある国づくりを目指さねばと思いますが、大事なのは景気・雇用の力強さ、勢いと思います。今、一人当たりの国民所得は、ОECD加盟国三十カ国中二位、三位だったものが、〇六年には十八位にまで低下しました。また、名目GDPはここ十年横ばいが続いております。また、雇用者報酬もここ十年横ばいの状態のままであり、景気回復の果実がいまだ家計に十分浸透していない、これが現状でございます。 この国を、我が県を勢いのある県にしなければいけません。閉塞感を打破し、人口減少社会にあっても、元気な山形県に、とりわけ家計を元気にする施策に今こそ力を入れるべきと思います。そして、何よりも大事な点は、労働力、すなわち雇用であります。人口減少社会の中で、まさに今、この点が大きな不安要素になっております。私は、雇用対策に関しては、特に若年者、高齢者、女性の社会参画に施策を集中的に講ずることが大切と考えます。山形労働局が二十九日発表しました一月の有効求人倍率が〇・八九倍で、一割割れは十二カ月間連続となっております。 まず、雇用の問題についてお伺いをいたします。 ふえ続ける非正規社員、長年にわたり不安定な生活を強いられる年長フリーター、まじめに働いても生活保護水準程度の収入しか得られないワーキングプアなど、今、雇用はさまざまな問題を抱えています。一九八五年に六百五十五万人だった非正規雇用者は年々ふえ続け、二〇〇七年には、二・六倍の一千七百二十六万人まで膨れ上がっています。若者を中心に、今や雇用者全体の三人に一人が非正社員だから驚くべき状況でございます。 二〇〇五年の厚労省の調査に、若者が派遣社員を選択する理由を調べたものがございます。若者が派遣社員を選ぶ理由は、働きたい仕事・内容を選べるからが四〇・二%で第一位、正社員として働きたいが就職先が見つからなかったが三三・二%で第二位と、正社員への就職難が背景にあることがこの理由からもうかがえます。 問題は収入の低さでございます。派遣社員の全国の平均年収は三百万円弱、同じ年齢の正社員の七割程度と言われます。アルバイトを中心に生活するフリーターになりますと、平均年収は二百万円未満で、正社員の半分しかありません。 それで、国は、若者の雇用対策に全力を挙げています。国が二〇〇六年度に掲げたフリーター二十五万人常用雇用化プランでは、ジョブカフェやトライアル雇用による就職支援、ハローワークのフリーター向け相談窓口の開設や職業紹介、就職後の職場定着指導などの支援を実施した結果、目標を上回る約三十六・二万人の常用雇用を実現し、来年度もさらに三十五万人の常用雇用化を目指すとのことでございます。 将来を見据えた労働市場のあり方を議論し、所得格差の拡大などを真正面からとらえ、雇用格差の是正に必要な措置を講ずる必要があると思うところでございます。 県内の若者の非正規雇用の実態と、若者の所得向上や安定した雇用を実現するための雇用対策にどのように取り組んでいく考えなのか、商工労働観光部長にお伺いをいたします。 地域若者サポートステーションは、二〇〇六年に全国二十五カ所設置され、職につかないニートらの職業的自立を支援する拠点として本格的にスタートしました。 二〇〇七年度に五十カ所に倍増され、二〇〇八年度には七十七カ所にまで拡充される計画と聞きます。サポステでは、ニートらの就労を支援するキャリアコンサルタントや臨床心理士などが、一人一人の相談に親切に対応したり、地域の若者自立支援機関と連携をとったり、職業意識の啓発セミナー開催や職業体験事業などを実施しております。これによって、引きこもり状態だった若者が外に出て働くようになったなど、着実に成果を上げ始めております。 全国のサポステ利用者は、二〇〇六年の開設から昨年八月までの期間で、延べ約八万六千人に達しました。一方で、各地のサポステの認知度はまだまだ低いのが実態と言われております。 私どもの実態調査では、運営上の課題として、財政的基盤が乏しい、専門スタッフが足りない、地域の支援機関との連携が弱い、もっと普及啓発活動が必要などの意見が寄せられております。しかも、最近の傾向として、利用者に精神障がい者や知的障がい者らがふえていることから、一人当たりの相談回数が増加し、自立・就労支援の対策がおくれている実情があることも課題だという話もございました。 県内の地域若者サポートステーションにおける実情と課題、また、国の拡充計画に対する県としての対応を商工労働観光部長にお聞きいたします。 我が国経済が戦後最長の景気回復期にある中、企業規模や地域によるばらつきが拡大しています。このような状況のもと、地域経済の大宗を占める小規模企業支援のため、中小企業庁における来年度予算要求の主な対策の一つに、「頑張る小規模企業応援プラン」の推進がございます。 この新事業は、小規模企業者が基礎的経営力強化を図るため、ITの活用を通じた会計・財務等の経営力の向上支援や、小規模企業者の前向きな取り組みを支援するためのモデルとなるような先進的な拠点の整備などの柱で構成されています。 この柱の中でも、支援体制の強化に多くの予算を割り当てられております。全国のモデル拠点整備については、経営力向上・事業承継等先進的支援体制構築事業として五十一億円が計上されており、全国三百カ所程度の商工会、商工会議所等をモデル拠点として委託されることになっているとお聞きします。 この中の事業目的の一つに、事業承継への支援がございます。今、中小企業の四社に一社しか後継者がいない状況にあると言えます。このまま続きますと、年間七万社が廃業に追い込まれるとの推計もあり、今後十年間の雇用喪失は、三百五十万人にも上るとも言われております。今こそ、事業承継税制の抜本的な拡充が重要であり、予算、制度面を含め、事業承継の円滑化のための手だてを政策集中させる必要があると思うところでございます。 中小企業庁の予算要求では、中小企業の事業承継円滑化に向けた総合支援の窓口として、三百カ所のモデル拠点のうち百カ所に事業承継支援業務を付加して設置する方針が盛り込まれています。 事業内容としては、地域企業の巡回やアンケートで廃業の危機にある中小企業と開業希望者を掘り起こし、交流会開催などで両者を引き合わせ、意向が一致し、事業引き継ぎへ進んだ場合は、株式の譲渡など専門知識が要求されるため、弁護士、税理士、公認会計士等の専門家を派遣するという流れで支援を進めるとのことでございます。 このように、国においては、人、情報、金の政策資源を集中的に投入するような事業実施を図ろうとしておりますが、このような国の施策と連動して、県として小規模企業の支援についてどのように取り組んでいかれるのか、商工労働観光部長にお伺いをいたします。 子供たちの豊かな心をはぐくむためには、自分で体を動かし、感動や興味を内面からわき上がらせる実体験が欠かせないものと思います。職場体験を通して、「社会の中で一生懸命働くお父さんを見直した」、「自分で野菜を育てることで自然に野菜嫌いがなくなった」など、体験学習を通して聞こえてくる子供たちの声は、今後の教育行政が目指すべき方向を示していると思います。ゆとり教育の方向転換を詰め込み教育への逆戻りとさせないために、体験学習の充実を図ることが大切であると思います。 先日、中央教育審議会が、主要教科の授業時間数の一割増などを柱とする学習指導要領改訂に関する答申をまとめました。背景には、国際学力調査における日本の順位低下などの学力低下に対する批判が存在するものと思います。しかし、調査結果で明らかになった学習意欲低下や応用力の低さは、授業時間をふやすことだけで改善されるものではないと思います。この点を履き違えてはならないのではないでしょうか。 また、中教審は、学習指導要領とともに、子供の健康や安全に関しても答えをまとめており、事件・事故の防止策を学校が策定するよう、法的な義務づけの検討のほか、学校給食の目的を、従来の栄養改善から食の大切さや文化、栄養バランスなども学ぶ教育に転換するよう促しております。 食習慣は、子供のころの習慣を大人になってから改めることは難しく、子供が将来にわたって健康で生活できるようにするためには、早い段階で正しい知識と習慣を身につけることが求められます。こうした実生活に直結する授業こそが子供の関心を高めるものであり、積極的な推進を図っていかなければならないと思います。 来年度は、子供と向き合う時間を確保するために、外部人材の活用や事務負担の軽減が図られるとうかがっております。また、長期宿泊や農山漁村などの体験活動の推進や地域の教育力再生のための予算も拡充されるようです。 教育長に、中教審答申についての所感、また、体験を通し、学ぶ意欲の向上への取り組みについて、そして、授業増だけでは学力低下は防げないとも思いますが、教育にかける思いとあわせてお伺いいたします。 救急医療を必要とする患者が適切な医療を受けられないケースが全国で後を絶たず、国民の不安が高まっています。 私たち公明党は、昨夏、奈良県で起きた産科救急システム不備による痛ましい妊婦死産の事故などを受け、救急医療対策本部を設置、全国レベルで救急医療の実態について把握し、今後の党の政策に反映させることを目的に、昨年十一月十一日から同十二月十日の一カ月間をかけて救急医療に関する調査を行いました。 その中で、二次救急病院へのアンケート調査結果によりますと、救急医療に対応する勤務医などスタッフの勤務ローテーションについて、二七・四%が極めて厳しい、五七%が厳しいと回答、八割以上の病院が、救急スタッフに過酷な勤務を課している実態が明らかになりました。また、救急医療が病院にとって重荷であると答えた病院は六六%に上りました。 一方、医師会などに対するヒアリング調査では、「夜間救急の多くが軽症の小児患者と言われており、二次・三次救急医療を担う病院勤務医の過重労働の一因になっている」、「小児科・産科などの夜間診療ができない医療機関が多く、現場で搬送医療機関の選定に苦慮し、遠隔地への搬送を余儀なくされている」などの声が寄せられました。 また、空床情報を消防機関に提供するシステムについては、二次救急病院へのアンケート調査では、こうしたシステムが「ない」が三六・三%に上り、導入を予定しているところも一・九%にとどまっておりました。 一方、システムの利用状況については、総務省消防庁、一月十七日のまとめによりますと、救急医療情報システムを備える四十三都道府県の七百四十五消防本部のうち、約五三%の三百九十四本部が同システムを利用していないと回答しております。利用されない主な理由は、病院側が情報の更新を頻繁に行っておらず、リアルタイムの情報でないためとのことであります。 消防庁によると、空きベッドや当直医などの情報の更新回数は、多くの病院で朝夕の二回程度ということです。スタッフ不足が原因なのでしょうが、救急隊と医療機関を調整するコーディネーターの配備もまた必要と考えます。救急患者のたらい回しを防ぐには、早急にシステムを整備し、消防機関と医療機関の連携を密接にしていくことが何よりも重要と思います。 健康福祉部長には、このアンケート調査をごらんいただいたと思いますが、県内の救急医療に携わる病院勤務医の勤務実態をどのように認識されておられるのか、また、空床情報を提供するシステムについてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。 外傷や脳卒中、急性心筋梗塞等の救急治療を要する傷病者に対する救急車の全国の出動件数は、平成十八年で五百二十四万件に上ります。この救急救助の主体的役割を担う人材が救急医及び救急救命士等であり、一刻を争う救命処置とともに高い専門性が求められていることから、救急隊が行う応急処置の質の向上を協議するメディカルコントロール体制の充実、特に、医師による直接の指示・助言、オンラインMC体制の整備が求められているところです。 しかし、各県に設置されているメディカルコントロール協議会では、救急救命士等が実施する応急手当て・救急救命処置や搬送手段の選定等について、医師の助言、事後検証、教育体制の整備等の手順及び活動基準のマニュアル化が十分なされていないことから、早急に住民の目線からのメディカルコントロール体制づくりを推進すべきと考えます。 昨年五月に都道府県メディカルコントロール協議会を統括する全国メディカルコントロール協議会連絡会が発足したとのことでございます。国としての各地域の現場の声を集約する環境が整ったことから、地域のメディカルコントロール体制における課題や先進事例等について、しっかりと意見交換をした上で、速やかに情報をフィードバックしていくシステムを構築すべきであります。このような対応を進めることにより、救急治療を要する傷病者に対して、救急隊による適切な応急処置と迅速・的確な救急搬送が行われるよう、メディカルコントロール体制の充実を図るべきと思います。 本県の現状と今後の取り組みについて、危機管理監にお伺いをいたします。 ドクターヘリが全国に着実に配備されています。ことしに入ってから、大阪、福島の二府県で新たに導入されました。また、私どもが調べたところによれば、二〇〇八年度導入予定を目指しているのが、青森、群馬、沖縄の三県、導入検討中としているのが岩手、新潟など十一県とのことです。 厚労省によりますと、〇六年度一年間のドクターヘリの搬送件数は、全国十道県で三千九百三件、一日平均十件、--これは東京都は除かれています--交通事故や脳血管疾患などによる重篤・重症な患者の救命活動に出動しているといいます。 最近では一月二日、愛知県設楽町で、三歳男児が氷が張る用水路に落ち心肺停止で意識不明の重体になった事故で、愛知県のドクターヘリが出動中だったため、静岡県のドクターヘリによって救急搬送され、一命を取りとめたケースが大きなニュースとなりました。 東北地方で初となる福島県のドクターヘリが、一月二十八日から運航を開始しました。広大な県土を四十分でカバーするといいます。 この際、置賜地方を中心に県南地域は福島市から県境を挟んで大変近い距離です。いざというときに、福島県のドクターヘリの出動をお願いできる体制づくりをと思いますが、その対応について、齋藤知事の御所見をお伺いいたします。 二十一世紀の新たな重要産業として、観光が注目されております。観光は、経済への波及効果が大きく雇用の創出効果も高いものであります。 政府は、地方自治体や関係民間団体などと連携して、日本の魅力をPRするVJC、ビジット・ジャパン・キャンペーンを繰り広げているほか、昨年一月には、観光立国推進基本法が施行され、同基本法に基づく観光立国推進基本計画が昨年六月に閣議決定されました。同計画は、昨年度から五カ年の計画で、日本文化や日本食に関する情報の海外への発信を強化するなど、観光立国実現に関する具体的な目標と達成に向けた施策を示しております。 国際観光振興機構によりますと、日本を訪れた旅行者数は、二〇〇三年の五百二十一万人に対して二〇〇六年には七百三十三万四千人に急増し、三年連続で過去最高を更新、初めて七百万人を突破しました。さらに二〇〇七年には、速報値でございますけれども、前年比一三・八%増の八百三十五万人となりました。 VJCの目標どおり、訪日外国人旅行者が一千万人に達した場合について、政府は、日本人の観光消費と合わせて経済効果は六十五兆二千億円と、二〇〇五年より約十兆円も増加、これに伴う雇用の誘発効果も二〇一〇年には全就業者数の八・二%に相当する五百二十八万人と、二〇〇五年対比で六十万人増加すると推計しております。 こうした現状の中、都市との経済格差が広がる地方では、外国人向けの観光を有望産業の一つととらえ、海外でのPR活動や呼び込み作戦などにより、外国人観光客誘致による地域活性化に取り組む自治体がございます。 例えば、上質のパウダースノーが好評で、オーストラリア人のスキー客などに人気の北海道倶知安町では、オーストラリアからの観光客が二〇〇一年度は二百十四人だったのに対して、一昨年度は約九千四百人にふえ、全体では約七万人の外国人観光客が宿泊したといいます。案内標識や食堂のメニューなどに英語表記も付記するなど、具体的な受け入れ態勢の整備に取り組んだことも奏功したとのことでございます。 国交省は、二〇〇八年度に観光庁を新設する方針を閣議決定しました。観光立国の実現に向けて推進体制を強化し、外国人旅行者の誘致や魅力的な観光地を整備するなど、観光振興を足がかりにした地域再生に弾みをつけようという試みということでございます。 庄内地方では、北前船コリドール構想に基づき設立された株・北前船庄内などの民間企業を中心に、観光客の受け入れ態勢整備や、観光振興による地域活性化に熱心に取り組み始めておりますが、今後、県内各地で観光による地域再生の動きが活発化するものと考えております。 このような状況にあって、県として、外国人観光客誘致に向けどのような取り組みを行おうとしておられるのか、後藤副知事の御所見をお伺いいたします。 地球温暖化問題をめぐり、京都議定書で定める第一約束期間、二〇〇八-一二年がいよいよスタートしました。 京都議定書は、日本に対し、CO2などの温室効果ガスの排出量を第一約束期間の年平均値で一九九〇年度比六%削減するよう義務づけております。しかし、実際には〇五年度、日本は排出量を年度ごとに集計しておりますけれども、基準年比七・七%増、〇六年度、これは速報値ですけれども六・四%増、このようになっております。現行の対策だけでは、義務の達成が危ぶまれているところでございます。 目標達成に向けた方策を検討してきた環境、経済産業両省合同の審議会は、本年二月八日、政府計画の見直し案となる最終報告をまとめました。報告は、産業界の自主努力強化や省エネへの協力を呼びかける国民運動などの追加策、CO2換算で三千七百万トン以上分を講じることで目標は達成し得ると結論づけ、政府や地方自治体など関係者に一段の努力を求めています。政府は、最終報告をもとに、三月に京都議定書の新たな目標達成計画を決定します。 そして、ことしは、七月七日から九日にかけて、北海道洞爺湖町で主要国首脳会議があり、地球温暖化対策が主要課題の一つであり、議長国日本は、より具体的な削減提案をしていくことになります。開催国日本が、温室効果ガス削減の先頭を切っている姿を示してこそ、洞爺湖サミットで世界のリーダーシップをとれるのではないでしょうか。 こうした中、平成九年に施行された新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法に基づき、地域新エネルギーが大きく脚光を浴びてきました。 この新エネルギー問題の背景には、化石燃料から排出される二酸化炭素やそれによる大気の温度の上昇という「地球温暖化問題」と、エネルギーの高い石油依存度、日本の低いエネルギー自給量という「エネルギー問題」という二つの深刻な重要課題があることは言うまでもないわけでございます。地球環境の保全とエネルギーとそれにかわる新エネルギー施策も、ビジョンからプランへ、そしてアクションにステップアップしていかなければなりません。 地方政治に身を置く私たちとしても、国に任せるのではなく、我が県としての温室効果ガス排出量削減に向けた具体的行動を強力に進めていく必要があると思います。 そこで、本県の基準年の排出量と最近の排出量はどのような状況にあるのでしょうか。また、我が県の排出量削減のための具体的な取り組みについて、知事にお伺いをいたします。 最後になりますけれども、次は、通常国会の焦点となっておりますガソリン税など道路特定財源問題についてでございます。 道路特定財源は、戦後、欧米諸国に比べて著しく立ちおくれていた我が国の道路整備を進めるために、そのための費用を受益者である自動車ユーザーに負担していただくとの考えで制度化されたものです。以来半世紀の間、道路特定財源によって日本の道路整備は進んできました。 では、日本の道路整備はもう十分かといえば、都市部であれば、渋滞のひどい道路やあかずの踏み切り、密集市街地も多く、都市整備の課題は山積しています。他方、地方ではぶつ切りの高速道路が点在し、生活道もすれ違いができず、いざというときに救急車も通れない道路があり、通学路の安全やバリアフリー化など、全国共通の課題も残っています。まだまだ十分とは言えないのが実態であります。 そこで、国土交通省は、昨年、今後十年をかけて最低限ここまでは整備しなければならないという中期計画素案を策定しました。この中期計画に必要な財源について、政府・与党は、昨年末、十年間は暫定税率による上乗せ分を含めて道路特定財源の税率水準を維持する方針を決定しましたが、最終的には、五年後の中期計画見直しや今後の抜本的な税制改正にあわせて、道路特定財源のもとになっている自動車関係諸税の簡素化や暫定税率の見直しなどをも含む検討を行うことを確認しております。 地域活性化や安全安心な暮らしの確保のために、道路整備は重要です。しかし、納税者の理解を第一義に考え、使い道に無駄がないように徹底的に見直すことが大事なことだとも思います。 平成二十年度の国の予算で見た場合、暫定税率による上乗せ分の地方税・譲与税は約九千億円、三月末に制度の期限切れを迎える交付金が約七千億円であり、道路特定財源をもとにした国からの補助金への影響なども含めると約二兆円になります。この金額は、地方の税収の約一割になるといいます。これだけ収入が減れば、その分、福祉や教育などの予算を切り詰めるどころか、削減しなければならず、大きな影響が出てきます。 そこで、改めて齋藤知事に、道路特定財源に対する御所見と今後の対応をお聞かせいただきたいと思います。 以上、質問とさせていただきます。 ○議長(阿部信矢君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) 県政・公明クラブを代表して寒河江議員から私には四点御質問がございましたので、順次お答え申し上げます。 まず一点目、財政改革に向けた基本姿勢ということでございます。 私は、財政の健全化を県政の重要課題と位置づけまして、未来に広がるやまがたを実現するために、財政改革を進めてまいりました。取り組みの成果として、実質的に県政史上初めて県債残高の減少を実現し、一定の前提条件のもとですが、中長期的には調整基金の取り崩しに頼らない財政運営も可能と見込まれるようになりました。 ただし、こうした財政運営の前提となるのが制度、実態両面からの県税などの一般財源の安定的確保であり、これが今後とも前提条件であり、また大きな課題であると考えております。新たな税による増収策も必要との御指摘でございますが、現在のところ、まずは山形県といたしましては、これまでの取り組みにおいて、導入した二つの新税の一層の定着と着実な活用に努めることが肝要と考えております。 税収の安定的確保に関しましては、地方税制上の構造的な問題として、地域間の税収偏在の是正が早急に解決すべき課題であると考えております。このため、地域偏在性が少なく安定した税収確保が可能となるよう、地方消費税の充実など地方税体系の再構築が必要である旨、これまでさまざまな機会を通じて強く主張してまいりました。 平成二十年度税制改正案には、地域間の税源偏在の是正に対応するために暫定措置として法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税及びその再配分機能を担う地方法人特別譲与税を創設することが盛り込まれております。また、こうした措置に加えまして、閣議決定された税制改正の要綱では、地方分権改革や地方の歳出構造の変化等を念頭に、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系を構築していくとの方向性とともに、地方消費税を充実していくことが新たに明記されました。これは、我々がこれまで求めてきた方向と一致するものであり、評価できるものと思っています。 全国知事会としても、新たに特別委員会を設け、地方財政の将来展望を見通しながら、地方消費税について広く検討を開始したところでございまして、これらを通じて、偏在性の少ない安定的な地方税制の確立に向け、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 なお、地域間の財政力格差を拡大させた最大の原因は、一般財源の大宗を占める地方交付税の大幅な削減であり、安定的な地方税体系の再構築とともに、地方交付税の復元・充実についても、引き続き強く訴えていきたいと考えております。 以上のように、財政力格差を縮小させる地方税財政基盤の構築を目指すとともに、今後とも、歳入面で遊休資産の処分等の歳入確保に最大限努力する一方、歳出面でも人件費の削減等の聖域なき改革の断行を進めるなど、全体として自由度の高い持続可能な財政運営の確保に努めてまいります。 次に、ドクターヘリの配備についてでございます。 ドクターヘリについては、救急患者が消防機関や病院等から遠方で発生した場合、医師の治療開始時間と病院への搬送時間を大幅に短縮できるという利点がございます。一方で、ドクターヘリの導入につきましては、ヘリ出動に備え、常時スタッフが待機する必要がありますことから、現時点ですら全国平均より少ない救急医をさらに増員しなければならないことや、多額の経費を要するといったような事情から、山形県単独でこれを運用していくことについては、慎重な検討を要すると言わざるを得ないと思っています。 こうした中で、議員からお話がございました福島県において、ドクターヘリを導入し運用を開始しているところでございます。私が常々主張している広域連携には、経済面のみならず安全安心の分野におけるそれも当然に含まれているのでございまして、さらに医療資源の有効活用の観点を踏まえれば、ドクターヘリの活用に係る近隣県との連携についても前向きにとらえるべき課題と考えております。 次に、我が国の温暖化対策への取り組みについてでございます。 地球温暖化対策は、待ったなしであります。私どもとしても本腰を入れて取り組まなければならない課題でございます。すなわち、地球温暖化は、人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題であり、その影響を最小限にとどめるため、県民挙げて、早急に温室効果ガスの排出削減に取り組むことが重要であります。 本県では、これまで、山形県地球温暖化対策地域推進計画に基づき、二〇一〇年度までに温室効果ガス排出量の七%削減を目標に、森林吸収源対策と、家庭や事業所での省エネルギーの推進や、新エネルギー導入の促進などに取り組んできたところでございます。 県内の温室効果ガス排出量は、基準年度である一九九〇年度は八百二十五万トンでございましたが、核家族化の一層の進行、多様な家電製品の普及、自家用車の増加など、県民のライフスタイルの変化や企業活動の拡大により、二〇〇五年度にはむしろ二百三十二万トン増加し、一千五十七万トンとなってございます。 こうした状況から、目標の七%削減を達成するためには、二〇一〇年度までに二百九十万トンを削減する必要がございます。このうち、百六十五万トンは、森林吸収源対策により削減することとしておりまして、残りの百二十五万トンについては、家庭や事業所の省エネ・新エネの促進により削減することが必要となります。 このため、目下取り組み中の山形県地球温暖化防止アクションプログラムの策定を年度内に終え、新年度から家庭や事業所が本腰を入れて排出量削減行動の実践に移すことができるように、削減目標、重点取り組み項目、国・県の支援策等をわかりやすく示し、また、その際、参加家庭の世帯数、自主削減計画策定事業所数の目標を掲げ、効果の検証と改善策の検討を行いながら推進してまいりたいと考えております。 県といたしましては、このアクションプログラムの全世帯、全事業所への浸透を図るべく、市町村や経済団体とも一体となって進めてまいります。 いずれにいたしましても、この豊かで美しい山形県を未来の子供たちに手渡すためには、地球温暖化対策を人類の生存基盤に係る最重要課題ととらえ、県民や事業所が個々に高い意識と関心を持って取り組むことが重要であり、県民との協創により、地球温暖化防止を実施してまいりたいと考えております。 最後に、道路特定財源の考え方についてのお尋ねでございます。 道路特定財源のあり方につきましては、国会を初め国を挙げて議論されてございます。 道路財源については、特定化か一般財源化かの是非や、暫定税率維持の是非などをめぐる諸論点はともかく、本県を初め多くの地方にとって道路財源の確保は真に必要な道路の着実な整備のためだけでなく、除雪を含めた道路の維持管理などのためにも極めて重要であります。すなわち、地方の道路整備は、まさにそこに暮らす人々にとって生活・産業基盤整備そのものであり、地方活性化には必要不可欠であります。 もとよりこの問題は、県政の基本理念である子ども夢未来指向にのっとれば、将来の山形県の担い手である子供たちへの贈り物をどうするのかという観点から考える必要があるととらえております。 一つは、子供たちが安全安心に暮らせる生活基盤と、希望の持てる産業基盤を我々の世代で整え得ることができるのかという社会インフラの整備の観点。二つ目は、道路財源が確保されなければ、今ある道路の維持管理に必要な財源すらも借金をして確保しなければならなくなるが、子供たちに借金をツケ回していいのかという地方財政の観点。そして三つ目は、環境という観点から、日本のガソリンは本当に高いのか改めて考える必要があるのではないかということであります。 特に三点目は、ヨーロッパを初め多くの国では、ガソリンの税率を我が国に比べ相対的に高く設定して消費をより抑制し、よりよい環境を子供たちに伝えるための努力をしてございます。我々自身が、次の世代のために豊かな自然環境を伝える努力をしていく必要があるのではないかと考えております。 このようなことを広く御理解いただくために、去る二月十五日に、道路財源の確保を求める山形県大会を開催し、約八百名にも上る多くの県民の皆様からの御参集をいただき、地方に生活する者にとっての道路をめぐる思いを共有したところでございます。 今後とも、さらに本県の道路整備が着実に推進され、豊かな地域社会の形成と安全で安心な県民生活を実現できるよう、真に必要な道路の財源はしっかり確保できるよう、あらゆる機会をとらえて積極的に行動してまいります。 以上であります。 ○議長(阿部信矢君) 後藤副知事。 ◎副知事(後藤靖子君) 私に対しましては、国際観光振興に向けた取り組みについての御質問でございました。 委員御指摘のとおり、国においては、観光立国の実現に向けまして、観光立国推進基本計画の着実な推進を図り、観光庁の設置を初め関連施策の総合的な展開を図っているところでございます。 こうした中、本県におきましても、経済発展の著しい台湾、韓国、香港などを重点ターゲットといたしまして、ソウル事務所、あるいは東北観光推進機構、隣接各県との連携を図りながら活動を展開しており、着実に成果を上げているところでございます。 しかしながら、一方、日本全国各地では、受け入れにしのぎを削っている状況でもございます。本県としましても、従来にも増して地域の魅力向上に向けた取り組みを強化することは肝要であり、その根幹をなすものとしての人づくり、人材のネットワーク化を推進し、地域の総合力を高め、そしてそれをつなぐ実施主体の企画・実践力を具体的につくり上げていく必要があると考えております。 県といたしましても、今後とも地域の人材づくりを進めながら、国別の市場動向を的確にとらえた各種観光プロモーション、あるいは情報発信、そして受け入れ態勢の整備に取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(阿部信矢君) 森危機管理監。 ◎危機管理監(森秀夫君) メディカルコントロール体制の充実についてお答え申し上げます。 まず、本県の現状ですが、救急隊員が行う応急処置の質の向上や救急業務を円滑に実施するため、平成十四年七月に医療機関・消防機関から成る山形県救急業務高度化推進協議会を設置したところであります。 設置以来、医療・消防機関の連携のもと、県民の生命の安全安心を守ることを最優先に、救急救命士を百二十八名から二百九名へ増強するとともに、新たに呼吸確保のための気管挿管を行える者を六十二名、薬剤投与を行える者を四十二名養成したほか、現場での応急処置に対する医師からの指示・指導体制の構築や医学的観点からの事後検証などに取り組み、メディカルコントロール体制の整備を図ってまいりました。 また、年度内に策定予定の山形県消防広域化推進計画案におきましても、急増する救急業務に対応するため、広域化のメリットを生かし救急隊員の増強を行う等により、救急医療体制の充実強化を図ることとしております。 今後は、全国メディカルコントロール協議会連絡会を通じて、救急業務の課題認識と対応策に関する情報を他県とも共有しながら、救急隊員が現場から迅速に医師の指示・指導を受けられる体制の充実や、応急処置の的確性を事後検証し、救急活動に生かしていく体制を強化してまいります。 あわせて、救急隊員の病院実習や医療機関と消防機関の合同訓練を実施し、応急処置の質の向上を図るとともに、引き続き救急救命士の養成にも積極的に取り組み、メディカルコントロール体制の一層の充実強化を図ってまいります。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 藤田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(藤田穣君) 救急医療の現状等に関しての御質問をちょうだいいたしました。 まず、御質問の一点目、県内の病院勤務医の勤務実態についてでございます。 議員からのお話のあったアンケート結果にもありますように、軽症の小児患者を含む救急患者への対応が病院勤務医の過重労働の一因となっているとの認識を本県関係者全体が共有しているところであります。県といたしましても、小児救急電話相談事業や、小児救急ガイドブックの配布、平日夜間における初期救急医療体制への支援などの事業を推進するとともに、次年度以降も、医療クラークの配置など、救急医を含む病院勤務医の負担軽減に向けた方策を関係者とともに進めてまいりたいと考えているところでございます。 二点目は、空床情報の提供システムについてのお尋ねでございました。 現在、本県では、国作成の救急医療情報システムは採用してございませんが、一方で、具体的には、例えば地域の救急病院が複数病院の輪番制などにより空床を確保し、受け入れ態勢に支障のないよう取り組んでおるところでございますとともに、消防機関の方では、救急担当医師とPHS等により直接傷病者の状態を連絡できるようにしておくことなどによりまして、地域の実情に合わせた体制の構築に努めているところでございます。 いずれにいたしましても、空床情報を含めた受け入れ態勢の状況をリアルタイムで把握していくことは、議員御指摘のとおり極めて重要でございますので、こうした視点を踏まえ、今後とも医療機関と消防機関の十分な連携のもと、また、国における検討状況なども注視しながら、救急医療・搬送体制の充実強化を図ってまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 高橋商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(高橋博君) 私には、三点お尋ねがございましたので、順次お答えを申し上げます。 まず、若者の非正規雇用についてのお尋ねでございます。 本県の十五歳から三十四歳層の若者の非正規雇用比率は、平成十四年就業構造基本調査によりますと二四・二%で、平成十七年国勢調査では三〇・二%と、いずれも全国値を約六から六・七ポイント下回っておりますが、本県における非正規雇用比率も上昇傾向にあり、労働条件面での格差、人材育成や技能継承、少子化対策において懸念される課題もあるものと認識いたしてございます。 若者の所得向上や安定した雇用を実現するためには、足腰の強い産業基盤を確立し、良質な就業の場を創出していくことが重要でございますが、企業の高いニーズにこたえ得る人材を育成する取り組みも重要でございます。このため、座学と企業実習を組み合わせたデュアルシステム訓練事業を初めとする多くの職業訓練事業の実施により必要なスキルを身につける取り組みや、常用雇用への移行を進めるためのトライアル雇用制度の活用促進並びに若者就職支援センターによる専門相談や職業講話など、学校におけるキャリア教育や適性を踏まえた職業選択の支援を行い、安定的な職業生活への移行を進める施策も展開してございます。 さらに、来年度、国において正社員化を進める中小企業を助成する奨励金や、能力や経験の正当な評価に資するためのジョブカード制度の構築等の実施が予定されておりますので、制度が十分に活用されるよう、国と連携して周知・啓発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。 二点目が、地域若者サポートステーションの整備・充実についてのお尋ねでございます。 本県におきます地域若者サポートステーションにつきましては、国の事業が開始されました十八年九月に、いち早く全国二十五カ所の一つとして、庄内地域に設置・開所し、今年度で二年目となりますが、これまで延べ二千八百九十六人の方々が利用されております。 これらの方々には、専門相談員や心の問題に取り組む臨床心理士が、窓口相談や出張カウンセリング等を行いますほか、一人一人の抱える問題にきめ細かに対応した支援を行ってございます。その結果、就職や進学等進路が決定された方がこれまで百四十六人いるほか、今年度の場合、来所後六カ月間で就業意欲の回復や進路の方向性の明確化など、一定のレベルアップをした方が約三〇%となるなど、成果が見られるところでございます。 このような中で、国の事業が二年間というモデル事業としての取り組みを終了いたしますが、本県としては、サポートステーションの支援を必要としている方々はまだまだ潜在的に存在すると考えられますことから、引き続きサポートステーションの継続を図るべく国に対し支援を要請しますとともに、さらにきめ細かい相談体制を充実すべく、国事業の対象外となった臨床心理士の配置やネットワーク強化のためのコーディネーターを県単で配置するなどにより、支援機能の維持・充実に努めてまいりたいと考えてございます。 最後に、小規模企業の振興についてのお尋ねでございます。 小規模企業は、県内商工業者の約八四%を占めており、まさに本県経済の大宗をなしており、これまでも国の施策と連動して本県独自の振興策を実施してまいったところでございます。 議員御指摘の「頑張る小規模企業応援プラン」でございますが、その中で、事業の中核となるモデル拠点の整備につきましては、本県の実情等に照らし、事業承継型二カ所を含め六カ所程度の設置に向けて、関係団体と連携して国に対して働きかけをしてまいります。 また、小規模企業振興策といたしましては、まず総額六十五億円のやまがた産業夢未来基金を組成し、新事業、新技術の芽出し、育成を重点的に支援する助成事業の実施や、産業IT高度化推進事業を展開し、小規模企業の付加価値向上に向けた取り組みを支援してまいります。 さらに、商工業振興資金におきましても、来年度は小規模企業を対象とした資金の融資枠を七十億円確保しますとともに、新たに事業承継を支援するための資金を追加し、資金面からの支援強化を図りますとともに、事業承継に直結する商店街の空き店舗利用についても支援をしてまいります。 いずれにいたしましても、今後とも国の施策と協調しながら、引き続き商工支援団体や金融機関との連携のもとに、小規模企業の振興に努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 山口教育長。 ◎教育長(山口常夫君) 議員におかれましては、教育の諸課題への対応についてお尋ねでございます。御答弁申し上げます。 まず、中央教育審議会答申では、確かな学力、豊かな心、そして健康や体力で構成されます生きる力の理念を継承し、言語活動や体験活動等の充実という方向性が示されております。これは、本県の第五次教育振興計画の理念と共通するものでございまして、現在進めておりますやまがた教育C改革が目指す方向性と軌を一にするものであると考えております。 次に、授業時間数の増加についてでございますが、量的な問題というよりはむしろ授業の質の高さを求めることが重要であり、やまがた教育C改革を軸として、体験による実感や感動が行き交うような教育活動を展開してまいります。 そのための大きな推進力として考えておりますのが、地域の教育力でございます。昨今、地域の教育力が弱体化していると言われておりますが、本県では、ふるさと塾に代表されます地域ぐるみの体験活動が力強く展開されております。そういった取り組みを生かして、子供たちの学習意欲を高め、互いに心を通わせ、社会の一員となるために必要な人格形成に積極的に取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明日定刻本会議を開き、議案に対する質疑と県政一般に関する質問をあわせ行います。 本日はこれをもって散会いたします。      午後四時三十一分 散会...