• "知事交際費"(/)
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  1. 山形県議会 2007-06-01
    06月25日-03号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成19年  6月 定例会(第334号)  平成十九年六月二十五日(月曜日)午前十一時二分 開議議事日程第三号  平成十九年六月二十五日(月曜日)午前十時開議第一  議第九十二号 平成十九年度山形県一般会計補正予算(第一号)第二  議第九十三号 山形県職員等に対する退職手当支給条例等の一部を改正する条例の設定について第三  議第九十四号 山形県特別職の職員の給与等の支給に関する条例の一部を改正する条例の制定について第四  議第九十五号 山形県職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定について第五  議第九十六号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第六  議第九十七号 山形県地方拠点都市地域拠点地区における不動産取得税の不均一課税に関する条例を廃止する条例の設定について第七  議第九十八号 山形県県税条例の一部を改正する条例の制定について第八  議第九十九号 山形県過疎地域自立促進税課税免除条例の一部を改正する条例の制定について第九  議第百号 山形県議会議員及び山形県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十  議第百一号 山形県法定外公共用財産使用料等徴収条例の一部を改正する条例の制定について第十一 議第百二号 山形県県立学校設置条例の一部を改正する条例の制定について第十二 議第百三号 山形県警察本部の組織に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十三 議第百四号 一般国道百十二号道路改築事業出羽大橋床版工事請負契約の一部変更について第十四 議第百五号 抗インフルエンザウイルス薬の取得について第十五 議第百六号 山形県公安委員会委員の任命について第十六 議第百七号 山形県監査委員の選任について第十七 議第百八号 山形県人事委員会委員の選任について第十八 県政一般に関する質問第十九 請願本日の会議に付した事件 議事日程第三号に同じ。出席議員(四十四名)    一番 渡辺ゆり子君    二番 吉村和武君    三番 楳津博士君    四番 高橋啓介君    五番 阿部昇司君    六番 大内理加君    七番 竹田千惠子君    八番 菅原 元君    九番 伊藤誠之君    十番 村山 隆君   十一番 笹山一夫君   十二番 木村忠三君   十三番 和嶋未希君   十四番 海鋒孝志君   十五番 青柳信雄君   十六番 小池克敏君   十七番 中川 勝君   十八番 小野幸作君   十九番 児玉 太君   二十番 金澤忠一君  二十一番 伊藤重成君  二十二番 舩山現人君  二十三番 寒河江政好君  二十四番 吉田 明君  二十五番 田澤伸一君  二十六番 森田 廣君  二十七番 坂本貴美雄君  二十八番 星川純一君  二十九番 加藤国洋君   三十番 佐藤藤彌君  三十一番 澤渡和郎君  三十二番 志田英紀君  三十三番 野川政文君  三十四番 土田広志君  三十五番 広谷五郎左エ門君  三十六番 阿部賢一君  三十七番 鈴木正法君  三十八番 佐貝全健君  三十九番 平 弘造君   四十番 阿部信矢君  四十一番 今井榮喜君  四十二番 土屋健吾君  四十三番 松沢洋一君  四十四番 後藤 源君説明のため出席した者  知事          齋藤 弘君  副知事         日野雅夫君  副知事         後藤靖子君  企業管理者       遠藤克二君  病院事業管理者     野村一芳君  総務部長        安居孝啓君  危機管理監       森 秀夫君  文化環境部長      細谷知行君  健康福祉部長      藤田 穣君  商工労働観光部長    高橋 博君  農林水産部長      安孫子昂也君  土木部長        高村義晴君  財政課長        大澤賢史君  会計管理者       小山壽夫君  教育委員会委員長    石坂公成君  教育長         山口常夫君  公安委員会委員長    吉田美智子君  警察本部長       安田貴彦君  代表監査委員      加藤淳二君  人事委員会委員     中山秀子君  人事委員会事務局長   斎藤亮一君  労働委員会事務局長   清野和平君      午前十一時二分 開議 ○議長(阿部信矢君) これより本日の会議を開きます。 △諸般の報告 ○議長(阿部信矢君) 日程に先立ち報告があります。 さきに人事委員会の意見を求めておりました議第九十三号及び議第九十五号について、六月二十一日付をもってお手元に配付のとおり回答がありましたので、報告いたします。〔参照〕 △(イメージ)意見の聴取について △日程第一議第九十二号議案から日程第十七議第百八号議案まで及び日程第十八県政一般に関する質問 ○議長(阿部信矢君) これより日程に入ります。 日程第一議第九十二号平成十九年度山形県一般会計補正予算第一号から、日程第十七議第百八号山形県人事委員会委員の選任についてまでの十七案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第十八県政一般に関する質問をあわせ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 十六番小池克敏君。 ◆16番(小池克敏君) おはようございます。改選後初の本定例会における一般質問の先陣を承りましたが、県政史上初めてあるいはまれに見る事態によって、ようやくこの演壇にたどり着くことができました。この混乱のもととなったのは、県政史上初めての辞職勧告決議によるものと流会などの事態に立ち至ったことに、御本人は深く思いをいたし今後しかるべき行動と考え方で臨んでいただきたい、こう思うことが一つであります。 アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクト女史の著書「菊と刀」は、日本人の心の深遠を探り、日本人論の源流となった不朽の書と言われておりますが、日本文化を恥の文化と評し、人に恥じる行動を慎むということが日本人の規範意識や行動を大きく支配していると分析しております。さきの統一地方選挙において、主権者たる県民の厳粛なる信託によって県政に携わる権能と責務を与えられましたが、いやしくも県民に対して恥じることのないよう、凛とした使命感と倫理観を持って県政の一翼を担っていかなければならないという、むしろ当然の思いを殊さらに深くいたしているのは私ばかりではないと思います。 さて、「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と住みかと、またかくのごとし」。これは、徒然草、枕草子と並び三大随筆と言われる、鴨長明があらわした方丈記の冒頭の名文であります。一二一二年に記されたとありますので、今をさかのぼること八百年も前の著書でありますが、その無常観たるや、今に通ずるものがあります。 私は、さきの任期中において、一般質問三回、予算特別委員会での質問を三回、それぞれ発言の機会を得て、多くの質問、提言を行ってまいったところであります。新しい任期をスタートするに当たり、これまでの質問と答弁をいただいた内容を整理・検証を行ってみたところであります。まさしく「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」であります。わずかばかりの時を経て、時代の荒波にもまれ、新たなる課題として取り上げる必要を思わせる項目が幾つかありました。それら含め、以下質問をさせていただきたいと存じます。 さきの二月定例会において、〇六年度に増加した普通交付税不交付団体は市町村で二十三団体であり、多くが関東・中部圏に偏在しており、自治体間の二極化、つまり勝ち組と負け組の構図が加速していることに加え、ふるさと納税制度の考え方のもとになっている若者の県外流出による地方側の公費負担の実態について申し上げ、新たな財政調整機能の必要性と、それをふるさと共同税に求める案が浮上していることに対する知事の認識をお尋ねをいたしたところであります。 ごく最近公表された数字では、〇六年の都道府県間における人口移動集計では、東京への転入超過が四十三年ぶりに九万人を突破、本県は四千六百七十四人の転出超過ということであり、古くて新しい課題である過疎過密問題は、人口、税収両面で拡大の一途をたどっていることを改めて証明しております。 知事からは、地方六団体が設置している新地方分権構想検討委員会の席上で都市と地方の所得再配分の問題を正面から議論する必要性を指摘していること、さらに、全国知事会議では都市と地方の格差を念頭に地方共有税について提案していること、中央と地方の財源調整機能の強化が必要であるという認識が示されたところであります。 その後間もなく、大きな流れの変化がありました。「ふるさとは遠きにありて思うもの。これからは遠きにありてお金を送るものなのかもしれない」。これは、香西政府税調会長の談でありますが、ふるさと納税制度が登場し、賛否両論、連日話題沸騰中であります。 去る五月十八日開催の全国知事会議では、都市と地方が税源をめぐって一時紛糾し、半ば利害が相反する両論の折衷案的な修正案で決着したと報じられておりました。また、「全国知事調査、地方を中心に二十人が賛成」という見出しの報道もありました。賛成派は、「税源の偏在を解消するステップ」あるいは「子供が教育を受けたふるさとへ受益者負担の後払い論」を展開する一方、反対派は、「何をもってふるさととするかはその人のセンチメントの問題、ナンセンス」と口をきわめております。地方の知事でも、「税源移譲という大きなテーマが置き去りにされることを懸念」と反対論を唱えております。三位一体改革によって地方交付税の実質目減りにより苦しんでいる地方側の率直な意見としてうなずけるところであります。知事会においても、文字どおり賛否両論、悲喜こもごもであります。 知事会を構成する四十歳代の若手知事五人による政策集団結成という報道がありましたが、集団が果たすべき役割と期待、そしてふるさと納税制度財源調整機能との関連性、具体的には税収の地域間格差の縮小ということを含め、知事の御認識を改めてお伺いをいたしたいと思います。 続いて、知事にお伺いをいたします。 知事は、多様な言葉を用いられ方針を示し、あるいは答弁をなされております。いつぞやの議会における質疑の中で、行政改革の断行と今後の財政見通しについて「北風と太陽」という言葉を用い答弁されたと記憶をいたしております。次の世代が抱え切れないような負の遺産を回避することは、今を生きる私たちの責務でありますので、今はひたすら暖かな太陽を待ちわびながら寒風に耐えるという心情をあらわしたものと思いますが、一方、「忍耐は希望を持つための技術である」という格言もあります。 新年度初の、そして私たちが改選されて初めての議会でありますので、県財政の中期的見通しについて、改めて県民にお示しをいただきたいと思います。 また、知事が就任し、早いもので折り返し点を過ぎ五カ月が経過しております。これまでの県政運営を振り返り、さきの齋藤県政のマニフェスト検証大会では評価が分かれておりましたが、一期目の仕上げとも言える残された期間をどのような決意を持って県政運営に当たり県民の期待にこたえようとされているかについて、改めて御決意のほどを承りたいと存じます。 次に、石坂教育委員会委員長にお尋ねをいたします。 委員長にはアメリカに長く滞在され、その間、大学で教壇に立たれ、そして研究機関の責任ある立場で御活躍されるなどの功績が認められて、アメリカにおいて数多くの賞を受賞され、日本では若くして文化勲章を、さらには日本国際賞を受賞されるなど、華々しい経歴をお持ちであり、我が県はおろか、日本を代表する国際人であられると思います。 さて、政治・経済、文化のあらゆる分野で国際化、ボーダーレス化が急速に進展し、その流れは速まるばかりであります。これからは、だれしもが国際社会の一員であることを自覚し、我が国と異なった文化や歴史を持つ人々といかに共生していくかが重要であることは申し上げるまでもなく、すなわち、みずからの国の歴史や文化について理解を深め、みずからをはぐくんできた国と郷土を愛する心を養うことが重要とされていることは自明の理であります。 前回の質問でも申し上げましたが、国際的な数学者藤原正彦氏は、アメリカの大学に学び、帰国後もアメリカ流を通すものの、やがて諸外国から見た日本が国際化という名のもとに国柄も国家としての品格も失っていることを、みずからのベストセラー「国家の品格」という著書で憂えております。また、アメリカの市民権を取った日系歌人摺木(するのぎ)洋子さんの歌は、「星条旗見上げる我は今日市民 されど心は白地に赤く」であります。お二人とも、日本を遠く離れ、より強くみずからの国に思いをはせ、愛着心を募らせていると言えます。 そこで、グローバル化が進展する中、国際社会を生き抜く上で、我が国の伝統と文化について理解を深め、そして尊重し、それらをはぐくんできた我が国や郷土を愛することが求められているという認識に立ち、昨年十二月改正された教育基本法第二条第五号の我が国と郷土を愛する心を養うことについて、長くアメリカの地で活躍された石坂教育委員会委員長の我が山形県の教育にかける思いを含め、御所見を承りたいと存じます。 私は、冒頭より、都市と地方の地域間格差の拡大についてるる申し上げてまいりましたが、教育の地域間格差についても知事の御所見を承りたいと存じます。 地域づくりは人づくりに始まり人づくりに終わると言われるように、人材は最も大切な社会資本であることは申し上げるまでもなく、地域力を高めることは教育力を高めることそのものと申し上げても過言ではありません。しかし現実は、先ほど申し上げましたが、若者の都市への流出がやまず過疎と過密が一層拡大していることに加え、少子高齢化の進行などにより、特に過疎地域における教育力の低下が一層進行しております。 政策企画課の取りまとめた資料によると、県内四地域に千二百五の集落があり、このうち六十五歳以上の人口率五〇%以上の限界集落は五十七集落もあり、なお拡大する傾向にあります。こうした集落を多く抱える町村では、熱心な話し合いのもと、地域の小・中学校を一時休校し、他の地域の学校と統合あるいは近年中に統廃合もやむなしという苦渋の選択をし、現状を乗り切ろうとしております。 それに県立高校の再編計画が重なります。本県の場合、平成十八年度の高校進学率は九八・九%と、全国二位の高い水準にあり、半ば義務教育化していると言えます。通学手段として公共交通機関が手薄のため、それに頼ることができない地理的条件にある家庭にあっては、止宿による多額の費用負担に耐えながらも、半ば義務教育化している後期中等教育を終えさせなければならない。例えば、小国町より県立小国高校がなくなることは、将来ともそこに暮らし続けて頑張っていけるかどうかの重大な選択を迫られ、教育の機会均等と定住要件の著しい阻害要因となることが懸念されます。 もちろん、魅力ある学校づくり入学志願者をふやすなどの努力は地域が主体的に取り組むことが大切でありますが、知事は、子ども夢未来指向を県政運営の基本に掲げ、そして、やまがた総合発展計画の県土のグランドデザインにおいては均衡ある県土の発展をうたっております。高校再編は避けられない行政課題でありますが、地域によっては教育サービスの便益を享受できなくなり、県内における過疎と過密が一層加速することが懸念されます。 拡大しつつある教育の地域間格差について、知事の御所見を承りたいと存じます。 次いで、総務部長にお尋ねいたします。 全国市町村の四〇%強の七百三十八、人口わずか八・四%の一千万人余り、それでいて面積は五四%の二十万四千平方キロメートル余り。本県では、三十五の市町村のうち五一%強の十八市町村、人口は二七%強の三十三万七千人余り、それでいて面積は六四%強の五千九百九十三平方キロメートル余り。これは、少ない人口で大きな面積を守りながら、水源涵養、自然環境の保全、都市住民への安らぎ空間の提供、地球温暖化の防止などの多面的機能を有し、持続可能な自然との共生を図るために重要な役割を担っている過疎市町村の実態であります。近年、過疎市町村においても広域合併が進んでおり、この四年間で過疎市町村は全国で六割程度にまで減ってきております。 市町村合併を進めることは至上命題であります。しかし、合併特例法によって過疎地域の市町村を含む合併があった場合、合併市町村全体が過疎地域に該当しない場合であっても、合併市町村のうち従来から過疎地域に指定されている地域にあっては過疎法上の措置をすべて適用するという特例のもとで合併を施行した合併市町にとっては、過疎地域自立促進特別措置法は重大な関心事であります。 私は、平成十六年二月定例会の一般質問において、「平成二十一年度まであと五年」と、過疎地域自立促進特別措置法の次期対策について話題にしましたが、いよいよ残すところ二年余りとなりました。過疎市町村を多く抱える本県にとって重要な課題である同法の具体的な次期対策について、総務部長にお尋ねをいたします。 次に、商工労働観光部長にお尋ねします。 広域観光推進の優位性については、平成十七年二月の一般質問で取り上げ、当時の岡村部長より、タイミングのいいテーマを題材に共同宣伝でありますとかあるいは国の内外の観光客に受け入れられる周遊観光ルートを開発したり、旅行商品として提供していくということを進めてまいりますという答弁をいただいているところであります。 このたび、関係の皆さんの長年の努力が実り、共同宣伝や周遊観光を広域で取り組むに絶好のテーマが提供されたと思います。それは、戦国の乱世にありながらも利になびかず、主君のため、民のため、そして家族のために生きた直江兼続公の波乱万丈の生涯を描いた「天地人」が、平成二十一年よりNHKの大河ドラマとして放映されることが決定したからであります。 大河ドラマの及ぼす経済効果は、先例をまつまでもなくはかり知れないものがあり、ドラマの脚本は最近売り出し中の小松江里子氏が当たるということもあって、さらに期待は膨らみます。 しかも、兼続公が歩んだ足跡をたどれば、二年に一回持ち回りで三県知事会議が行われている新潟、山形、福島の三県にまたがっており、まさしく三県が連携し取り組む広域観光推進には格好のテーマであり、三県知事会議の会場がことしはくしくも米沢市となっているとお聞きしていることもグッドタイミングであります。 間もなくスタートすると思われるシナリオあるいはロケハンティングなどに積極的にフイルムコミッション活動を展開するなど、効果を最大限に生かすための時期を失しない体制づくりが急がれていると思います。お隣新潟県では、県内広域で取り組むプロジェクトをスタートさせているようであります。 関係隣県との広域連携による観光のより具体的な推進方策について、商工労働観光部長の意気込みを承りたいと存じます。 次に、農林水産部長にお伺いをいたします。 去る十六年二月定例会で、隣県は秋田藩の家老渋江政光が「山は国の宝なり、山の衰えすなわち国の衰えなり」とし、藩の財政窮乏する中、美林を残す礎を築いた先例に学ぶべしと申し上げ、そのための費用負担について広く県民に理解を求めるべきと申し上げました。 今年度より、いよいよやまがた緑環境税を原資に森林整備がスタートされます。条例制定の折付された課題に早期かつ適切に対応し、事業の目的が発揮されますよう御努力をお願い申し上げますとともに、さきの定例会で、間伐材の活用について県民に向けアイデアを募るなどし、緑環境税とそれに関する取り組みのすそ野を広げるべきという提案を申し上げておりますが、積極的に推進されるよう再度要望を申し上げておきます。 さて、次なる戦略は、持続可能な林業の振興であります。それは、県産材の利用拡大に尽きると思います。 林業白書では、木材については加工技術の向上などにより国産材の利用量は下げどまり、近年では増加の兆しを見せ、一部では木材の海外輸出等の積極的な動きが見られるとしております。一方、県の木材統計によると、木材が素材として取り扱われる量四十九万三千立米のうち、県内生産量は約半数の二十六万立米で、ほかは輸入外材及び他県産材に頼っているという状況にあります。 私は、先日、とある製材所の経営者と意見を交えました。いわく、「県内産材は厳しい自然環境に耐えているためムク材としての利用にはなかなか向かない。成木、間伐材などの小径材は集成材あるいは合板として加工に回されることが利用拡大を喚起することにつながる。しかし、県内に加工所がないため県外に輸送することになり、その輸送コストが山の木の価格を圧迫している。県内に相当の加工所があればな」と、半ば林業白書に記載されている木材加工が重要という同じ趣旨の話をされました。 林業の資本回転率の低さが、林業後継者の確保を含め森林・林業の長期低迷、ひいては山の多様な公益的機能の低下につながっており、間伐材を含めた県産材の利用拡大について、抜本的な計画の策定と推進が必要と思われます。 今後の森林振興について不可欠な県産材の利用拡大策について、農林水産部長の御所見を承りたいと存じます。 最後になりますが、自主防災組織の拡大と育成強化、防災意識の高揚についてお尋ねをいたします。 平成十六年二月の一般質問で、兵庫県南部地震で生き埋めや閉じ込められる状況で、自力及び家族や隣人等による共助によっておおむね九五%の命が救われているという日本火災学会調査報告書をもとに、身近なところの自主防災の重要性について申し上げました。 高齢化の進行は一段と加速しており、特に、昼間において高齢者が占める割合が高い集落が当時と比べてかなり多くなっていると思います。災害初動期において、何を目標にどのような行動をとったかが被害を最小限に食いとめるキーポイントと言われ、集落単位のきめ細かな自主防災組織の組織化と訓練、そして日ごろの災害に関する意識の啓発・啓蒙が大切であると言われております。 平成十八年四月現在、本県の自主防災組織の組織率は五七・八%の二千三百八十七組織で全国二十五位と中位にありますが、市町村別組織率を見ると大きなばらつきがあり、特に中山間地集落を多く抱えている市町村の組織率の低さが気になるところであります。 地域自主防災組織組織率拡充強化策について、危機管理監にお尋ねをいたします。 以上、よろしくお願い申し上げます。 ○議長(阿部信矢君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) ただいま小池議員から私には、特に持続可能な財政の確立についてという視点から二つ、それから教育の視点から一つ御質問がございましたので、順次お答え申し上げたいと思います。 まず最初に、ふるさと納税に関する基本的認識でございます。 いわゆるふるさと納税制度は、住民税の一部を生まれ故郷などの自治体に納められるようにするという構想であり、多くの人が抱くふるさとに貢献したいという真摯な思いや志を形にする仕組みであると認識いたしております。これは、近年、地方法人二税の急速な税収回復などから、地域間とりわけ大都市とその他地方との間の税収の差が広がる傾向にあるということが見てとれることが背景になっているようでございます。このため、地方における税財源の確保はもとより、税源の偏在是正についても早急に取り組むべき課題であると認識されるに至ったことであります。また、この仕組みは、税収の地域間格差の縮小にも貢献する可能性もあると見られております。 しかしながら、個人住民税の応益原則との関係やふるさとの定義をめぐる考え方など、制度の具体化に当たっては、解決すべき課題が少なからずあると見られております。また、全国知事会の中においても意見が分かれていることは、議員御指摘のとおりでございます。 私といたしましては、納める側の意思を大切にするというふるさと納税制度構想は、地方重視、地方の活性化などといった観点からも重要な視点の一つであると考えております。地方分権改革の議論の中において、地方税源の充実強化や税源偏在是正といった本質的な課題解決とあわせ、困難を乗り越えて検討・議論し、実現化に向けて取り組むべきであると考えております。 次に、県財政の短期的見通しと後半にかける思いということであります。 本県の財政状況は、歳出面では、社会保障関係費の増加や公債費の高どまりといった義務的経費による圧迫の一方、歳入面では、三位一体改革の影響における一般財源の大幅な減少によりまして、全体として財政の硬直化が進行する危機的な状況が続いております。そのような中で、私は、財政の健全化を県政の最重要課題と位置づけて、この二年間、百年後にも誇りに思える未来に広がるやまがたの実現に向けて諸改革に取り組んでまいりました。 具体的には、持続可能な財政運営を確保するために、まずは財政の中期展望を数値目標化した上で、プライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡を政策ターゲットとして、これを達成してまいりました。この結果、県債残高が県政史上初めて減少するなど、財源不足は着実に圧縮され、中期展望でお示ししたとおり、一定の条件のもとではありますが、二十一年度以降は、調整基金の取り崩しに頼らず、大幅な歳出削減の深掘りを必要としない財政運営が可能となる見込みであります。また、まさに「やまがた改革」の基本理念である子ども夢未来指向に合致した姿が展望されつつあるというところでございます。 ただし、このような姿を実現するためには、先ほど一定の条件と申し上げました二つのハードルをクリアする必要があります。 まず一つ目は、二十年度における九十億円規模の新たな歳出削減であります。この容易ならざることは十分承知しておりますが、今後、山形県が財政の自由度を回復し元気になるために乗り越えなければならないハードルであります。その実現に当たっては、県民の皆様そして議会の皆様から十分に理解が得られるよう、丁寧に進めてまいる所存であります。 二つ目は、国が想定する経済成長と地方交付税の財源保障、財源調整機能の維持などによる一般財源の安定確保の実現であります。この点につきましては、地方分権の第二期改革に向けた全国的な議論に積極的に関与していくことにより、地方の安定的な財政基盤の確立に向けて尽力してまいる所存であります。また、地方税収の確保という観点からは、本県経済が力強く発展するために、山形らしい強い産業の創出に向けた取り組みなどを戦略的に展開してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、後半の二年間は、就任期間の最終的な仕上がりを展望しながら、総合発展計画や集中改革プランなどを踏まえまして、常に政策の評価と検証を行いながら、より確かに、そしてこれまで以上にスピード感と手ざわり感にあふれた改革・県政運営に邁進してまいりたいと、そして未来に広がるやまがたづくりを実現してまいりたいと考えております。 最後に、地域間の教育格差についてのお尋ねでございました。 地域社会の次代を担う人材を育てるということは極めて大切なことであります。とりわけ、人口減少が進む中で、一人一人が大切にされ、自己実現を図れる地域社会を築くためには、まさに「やまがた改革」が掲げる三つの力のうちの一つである基盤力としての人材が不可欠であり、そのための人づくりと地域における教育力の向上がますます重要になってまいります。 地域における教育力は、学校・家庭・地域がそれぞれの役割を明確にして、それぞれの地域が持っている特性を発揮することによって醸成されるものであります。地域が学校をつくり、学校が地域をつくると言われています。そのように、地域にとって学校が果たす役割は極めて大きいものであると認識いたしております。 他方、少子化が進む中で、県立高校の再編整備は、教育力の維持向上を図るためにも、それぞれの地域や県全体の将来の姿についてしっかりとした展望を持った上で進めていかなければなりません。例えば、生徒数の急減がかなりの蓋然性を持って見通される中で、仮に地域の熱望である学校存続がかなったとしても、国全体としての現行の制度を前提とする限り、魅力的教員配置など、質・量ともに子供たちの学校教育環境が劣悪化することが果たして県政の基本理念たる子ども夢未来指向に合致するのか、慎重に見きわめ、判断する必要があります。 いずれにいたしましても、学校再編を進めるに当たっては、幸せ三倍の法則のごとく、全体最適の観点から、しゃくし定規に基準を適用したり一方的に考え方を押しつけたりするようなことなく、地域が抱える実情をしっかり踏まえて、子供や地域が夢を持てるような整備のあり方を提起していくことが行政としての責務であると認識いたしております。 御指摘のございました小国高校でございますが、平成十三年度から連携型小中高一貫教育を実施しており、小中高を通した地域学習など、地域の教育力を生かした特色ある教育活動が展開されているとうかがっております。これらの教育活動は高く評価されるべきものであり、やや長い目で見て見守っていく必要があります。こうした小国町での取り組みは、地域との結びつきが地域の活力の源泉となり、やがては新しい価値観に基づく魅力ある地域社会が形成されるといったモデルとなるように大いに期待しているところであります。 県といたしましては、こうした地域の取り組みを大切にしながら、未来に広がるやまがたを形づくってまいりたいと考えております。 以上であります。 ○議長(阿部信矢君) 安居総務部長。 ◎総務部長(安居孝啓君) 私には、過疎地域自立促進法の次期対策についてのお尋ねがございました。 県におきましては、これまで、四次にわたる過疎法に基づきまして、過疎地域の市町村と連携しながら、その振興・自立促進に取り組んできておりまして、例えば、交通基盤や生活環境の整備といった面におきましては、一定程度の成果が得られているものと認識しております。一方、地域の担い手であります若者の流出、急速な高齢化の進行といったことによりまして、地域経済の停滞や集落機能の維持といったことに支障が生じてきているところもあるなど、過疎地域には依然として課題が多く残されております。また、さらに、今後本格的な人口減少社会を迎える中で、より厳しい状況に直面するというふうにも見られております。 このような中、総合的な過疎対策を進める法制度というものは、引き続き大変重要な役割を担うものというふうに考えておりまして、国の政策展開を求めます平成二十年度やまがたの重要施策の中でも、次期過疎法制定について提言を行ってまいりたいというふうに考えております。 また、現在、国におきましては、総務省の過疎問題懇談会におきまして次期の対策に向けた議論が始まろうとしているというふうに承知しております。県といたしましても、今年度新たに関係市町村や有識者等で構成します研究会を設置いたしまして、今後二年間をかけて集落や地域コミュニティーの課題を含めた過疎地域の振興方策等について研究・検討を行うこととしております。こうした検討に基づきまして、地域の現状を踏まえた提案を国に行うなどしながら、本県過疎地域の自立・振興に努めてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(阿部信矢君) 森危機管理監。 ◎危機管理監(森秀夫君) 私からは、地域自主防災組織の重要性についてお答えを申し上げます。 議員御指摘のとおり、災害の発生時におきましては、自主防災組織による人命救助等の初期対応が被害の軽減に重要な役割を果たしております。 県内の組織化の状況を見ますと、市町村間や地域間でばらつきがあり、特に、中山間地域など、若者が働きに出て高齢者等の占める割合が高い地域における自主防災の組織づくりが重要な課題であると認識いたしております。このため、県では、これまでも県内各地におきまして、自主防災リーダーを養成するための研修会や防災意識の普及啓発を図るための防災フォーラムなどを開催するとともに、消火器や簡易トイレ等の防災資機材の整備に対する助成を行うほか、職員が市町村や集落に直接出向いて自主防災組織の必要性について普及啓発に取り組むなど、組織の育成強化を行っているところであります。 今後とも、市町村と一体となって、高齢者を多く抱え組織率の低い地域を重点に普及啓発等を行い、なお一層の自主防災組織の育成強化に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 高橋商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(高橋博君) 私には、広域観光の推進について、中でも、大河ドラマ「天地人」の放映決定を受けての取り組みについてのお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。 このたびの直江兼続公の大河ドラマ化につきましては、「直江兼続公をNHK大河ドラマに推進する会」を中心とする山形・福島・新潟三県の官民が一体となったこれまでの要望活動が実を結んだものととらえておりまして、ゆかりの地となる本県にとりましては、全国における知名度向上、観光振興を図る上で絶好の機会になるものというふうに考えているところでございます。 県といたしましては、置賜地域を核とする官民一体となった推進組織を設置し、歴史・文化資源の発掘と情報提供や、御指摘にありましたシナリオハンティングやロケーションハンティングへの対応など、積極的に番組制作への支援の施策を行いながら、大河ドラマを活用した観光誘客、ホスピタリティーの高い地域づくりを進め、継続性のある地域活性化につなげてまいりたいというふうに考えてございます。 また、このたびの大河ドラマの舞台となる福島、新潟の両県とは、これまでも観光面におきまして多様な連携・交流事業に取り組んでまいったところですが、このたびのドラマ化を契機にこの取り組みをなお一層深め、周遊観光ルートの開発、商品の造成、首都圏でのプロモーションなど、大河ドラマのPR効果を積極的に活用した広域観光戦略を展開してまいりたいというふうに考えているところでございます。 以上であります。 ○議長(阿部信矢君) 安孫子農林水産部長。 ◎農林水産部長安孫子昂也君) 持続可能な林業の振興についてお答えいたします。 森林の整備や林業の振興を図っていくためには、県産木材の利用拡大を推進することが極めて重要であります。 近年、集成材や合板分野におきまして国産材利用の動きが顕著になってきており、こうした分野への供給体制の整備や需要にこたえ得る木材産業の構築が大きな課題となっております。このため、素材生産から加工・流通、建築などまでの木材関連事業者で構成します、仮称ですが県産木材利用拡大・安定供給対策協議会を来月にも新たに設置しまして、本県林業・木材産業の総合的な振興策を協議していくことといたしております。具体的には、各分野における諸課題を整理しながら、県産木材の生産から販売までの計画的な利用推進方策や、品質・性能が高い製品の安定的な供給体制につきまして、集成材などの加工体制も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。 また、公共施設などでの県産木材の一層の利用促進や、県民の方々の参加・協働のもとに、利活用の輪をさらに拡大するため、やまがた木づかい運動を全県的に展開をしてまいります。こうした取り組みを通じまして、山形の木の循環利用の促進に努め、本県林業の振興を図ってまいりたいと、こう考えております。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 石坂教育委員会委員長。 ◎教育委員会委員長石坂公成君) 小池議員の国と郷土を愛する教育に関する御質問にお答えいたします。 議員は、御質問の中で日系アメリカ人の心境を吐露した歌を引用されましたが、確かに、日系アメリカ人は、自分たちの祖先が日本人であることにプライドを持っております。私もアメリカにおります間、自分たちが日本人であることにプライドを持っておりました。 しかし、こういう感覚は日本人に限ったことではございません。アングロサクソンもユダヤ系のアメリカ人も自分の民族の歴史に誇りを持っております。アメリカ市民のこういう感覚は、アメリカという国が多民族国家であることと関係があると思います。多民族国家が成立するためには、それぞれの民族が宗教や習慣や考え方は民族によって違うのだということを認め、他の民族の習慣や伝統を尊重し合うことが必要なのであります。 日本では、ほとんどすべての人が同一民族に属しておりますので、宗教の違い、習慣の違いや考え方の違いをお互いに尊重し合うということは強調されておりません。日本では、みんなと同じように行動することが美徳とされております。したがって、多くの子供たちは、マジョリティーと同じ行動をとらない子供を仲間外れにしたり、いじめたりすることに対して罪悪感を持っていないんだと思います。 私が日本に帰ってきて感じましたことは、多くの日本人は、個性を尊重することと利己主義とを混同しているということであります。アイデンティティーを認めるということは、自分が勝手に振る舞うということではなくて、他人の特徴や長所を尊重することなのであります。 一方、我々の祖先がどのようにしてこの国をつくり上げてきたか、彼らがどんな人生観を持っていたかということを知ることは、子供たちが人間として成長していくためには大切でありますし、そういう教育を通じて、子供たちには自分が日本人であることに誇りと自信を持たせるべきだと思うのであります。しかし、同時に大切なことは、自分とは異なった習慣や伝統を持つ他民族の考えを理解し、それを尊重することができるような日本人をつくらなければなりません。 当然、山形県としてもこのようなプリンシプルで教育を行う必要があると思っております。 以上であります。
    ○議長(阿部信矢君) 十六番小池克敏君。 ◆16番(小池克敏君) 知事からは、特に地域の教育力を心配した質問に対して、やや長い目で見るというふうな御回答を賜ったところであり、傍聴できないでむなしく帰った小国町の人たちにお伝えをしておきたいなと、こんなふうに思います。 それから、農林水産部長からは、新たな協議会を設置して計画づくりを具体的に進めるというふうなことであります。とかくリスクが伴う、例えば合成、合板、集成材等々の工場の立地等にあっては、これは県産材をダイナミックに利用拡大していく決め手になるかなとも思われますので、こういう民間のハイリスクなものについては行政が先導してと、こういうふうになろうかと、それが行政の役割だろうと、こんなふうにも思いますので、ひとつよろしく御検討を賜りたいなというふうに思います。 それから、教育委員長さんには、国際人としては互いに認め合うことが必要だというふうな、総じて言えばそういう御高説を賜りまして、ありがとうございました。 以上で、残された時間は休憩時間に御提供申し上げたいと思います。 ○議長(阿部信矢君) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。      午前十一時五十五分 休憩      午後一時零分 開議 ○議長(阿部信矢君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 △会議時間の延長 ○議長(阿部信矢君) この場合、議事の都合によりあらかじめ会議時間を延長いたします。 ○議長(阿部信矢君) 質疑及び質問を続行いたします。 四番高橋啓介君。 ◆4番(高橋啓介君) さきに行われました県議会議員選挙で初当選いたしました高橋啓介です。歴史と伝統のある県議会の責務をしっかり受けとめ、住民の幸せのため誠心誠意努力してまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願いいたします。 このたび、一般質問の機会を与えていただきました。そこで、これまで市政に携わってまいりまして、そこから見た県政につきまして感じたことを申し上げながら質問いたします。 それにしましても、日本の行く末は本当に大丈夫なのだろうか、そんな不安を抱かざるを得ません。連日のように報道される残虐な事件の数々、ましてや肉親同士が殺し合う世の中、三万人を超える人がみずから命を絶つ社会、社会全体が病んでいるようでなりません。貧しくとも周囲の人をいたわり、困った人がいれば手を差し伸べ、そんな思いやりのある時代もありました。 豊かな時代になった反面、何か大切なものを置き忘れてきたような気がしてなりません。人々の価値判断が知らず知らずのうちに変わってしまったのでしょうか。自己中心的であったり、あるいは損得勘定が優先され、間違っていると思っても言わない方が得、そんな人間関係の希薄さが出てきているようでなりません。 また、雇用環境の悪化も社会の不安を増す大きな要因であると考えます。職につこうと思ってもつけなかったり、あるいは派遣労働やパートで使い捨てにされたり、人権が後退させられてきていると思います。加えて、障害者自立支援法に見られるように実態と乖離した法改正、同様のことが生活保護家庭の母子加算見直しにも見られ、生活が困窮し、憲法で保障されている生存権さえ危ぶまれていると言えます。 このような環境を改善し、いかに多くの皆さんが安心して暮らせる社会をどう築いていくのか。現場主義に徹して、県民の幸せのため努力を重ねてまいりたいと考えております。 さて、二〇〇〇年に地方分権一括法がスタートし、地方自治体も大きく転換をしてきました。県の役割も以前と変わって、基礎自治体と対等・平等の関係になり、まさに住民の生活を守り高めるためのパートナーの位置づけになったと言えます。しかし、完全な分権とはなっておりませんので、今後とも補助金行政の撤廃や縦割り行政の弊害をなくすとともに、税財源の改善を求め、地方が主体性を持ち自立して運営ができるよう努力していかなければなりません。 また一方、議会におけるチェック機能の重要性、このことも分権を進める上において大切になってきています。連日のように報道されました北海道の夕張市の財政破綻問題、財政状況の悪化は夕張市に限ったことではありません。ちょうど私が市会議員になった平成三年は、まさにバブルがはじけた年でもありました。この年から景気回復と称して国が公共事業優先の政策を長年行ってまいりました。その結果、国を初めとして地方自治体も莫大な借金を抱えることになってしまいました。以前、国は交付税対応を約束しておりましたが、三位一体改革によって確かなものにはなっておりません。そういった状況を踏まえましても、地方自治の確立、確かな分権に向けて議会の役割は非常に重要であると考えます。そのことを肝に銘じて歩んでまいる所存でございます。 それでは、順次質問に入らせていただきます。 最初に、齋藤知事にお伺いいたします。 県政運営において基礎自治体とのかかわり、とりわけ連携をいかに進めていくのかをお尋ねいたします。 一昨年になりますが、山形市の議会におきまして、県の乳幼児医療費の一方的見直しに対しまして意見書を提出した経緯があります。分権になって何が変わったのか、今、このことが問われる時代であります。財政的に豊かな時代であればまだしも、大変な時代だからこそ、県と市町村が連携して、住民の生活を維持するため少なくともここだけは守っていこうといった取り組みが大切な時代だと感じます。 この間、住民の皆さん方からなるほど分権だなと理解された事業として、お互いの領域を越えた道路の除雪作業を上げることができます。この視点が大切になってきていると言えます。まさに垣根を越えた税の有効利用、そして住民から理解される事業の展開が大切と考えます。これまでのように県は県、市は市といったことでなしに、例えば、同じような機能を持った施設については共同で建設し、管理も一体で行う、そんな取り組みを模索する時代ではないでしょうか。また、ことしの二月議会で新設されました緑環境税について、市議会の中でも民有林に税金をつぎ込む上でのルールを執行部に質問しましたが、残念ながら明確な答弁はありませんでした。この件につきましても、市町村との事前の調整が求められていたのではないでしょうか。 以上申し上げましたが、市町村と連携した事業の展開、これがこれまで以上に求められていると思いますが、今後、基礎自治体との連携をどう図っていくのか、お伺いいたします。 次に、介護保険の改善策につきまして、健康福祉部長にお伺いいたします。 御案内のように、介護の社会化を国民に約束をして、二〇〇〇年四月から介護保険制度がスタートいたしました。この制度は、家族介護の悲惨な事件が全国的に発生し、介護を社会全体で支えていこうということで発足を見ることができたわけであります。制度的には走りながらのスタートとなりましたが、行政主体の措置から保険に変わることで大きな変革でもあり、安心して高齢化社会を迎えることができるものと大きな期待を寄せておりました。 私も、スタート前段から地域におきまして在宅サービスなどの利用拡大に向け介護保険の説明会も行ってまいりました。特に、古い集落では高齢者の面倒を他人に任せる風習がありませんでしたので、介護の社会化について話を進めてきた経緯もあります。しかし、昨年の見直しによって介護の社会化が大きく後退してしまいました。特に問題なのは、山形県に多い三世代同居の家庭にあっては利用が制限されていることでございます。介護の社会化はどこに行ってしまったのでしょうか。 また、この制度は、低い利用料金で介護を受けられるよう費用の一割負担でスタートいたしました。それがどうでしょうか。食事代や部屋代まで新たに負担を強いられてしまいました。また、老健施設に入所した際の利用料金は、同居家族の収入によって利用料金が違ってきます。なぜこのようになったのでしょうか。介護保険が導入されない措置時代の福祉であれば理解もできますが、保険になってなぜ以前の福祉と同様の対応を取り入れているのか、非常に疑問です。 世帯分離等利用者負担の考えをしっかり打ち出すことが求められていると考えますが、その点についてお尋ねいたします。 また、介護施設等の将来の方針が国から示されております。本当にそのまま受け入れてよいものでしょうか。私は大変な状況が発生するのではないかというふうな心配をしております。 特に問題なのは、病院におけるベッド数の大幅減についてであります。これまでも言われてきましたが、いわゆる社会的入院の患者が病院から追い出され、行き場を失い在宅対応を強いられてしまいます。訪問介護を利用し生活できる方であれば何とか対応できるでしょう。しかし、徘回する人や認知症の人の場合どうなるでしょうか。共稼ぎ率が高い山形県の場合、だれが面倒を見るのでしょうか。働く喜びを否定するわけではありませんが、家族総労働の背景には、山形県の低賃金の実態が横たわっています。一人が仕事をやめて見られる環境には全体としてないに等しいと言えます。まさに、山形県にとっては、ベッド数の減少は死活問題と言わざるを得ません。 現在、山形県全体として、施設入所の希望者は七千名ほどになると聞いております。病院や老健施設等に三分の二の方がおり、あとの三分の一の二千名の方が自宅で待機となっています。国の方針どおり、特別養護老人ホームは抑制、さらに医療制度改革によって療養病床数が大幅に削減され本当に大丈夫と言えるのでしょうか。確かに、新たな施設建設は保険料の値上げを招くことになることは理解しておりますけれども、介護地獄が待っているようで不安でなりません。 ことしの一月に、高齢化社会の中で老後の不安を抱える方が七割を超すという報道があり、そこで、私もことしの二月に市民の方々を対象に介護に関するアンケートを実施しました。百三十名の皆様方から御協力をいただきました。この中の主な結果を紹介させていただきます。 介護保険の導入をよしとする方とどちらとも言えない方、この比率はほぼ同率で、四四から四五%になっておりました。保険料が高いとする方、この方については五三%になっております。また、年齢が高ければ高いほど在宅介護を希望し、一方、四十歳代と五十歳代の方にあっては、最初から施設を希望と、それから在宅を希望したいが家族の負担を考えると施設を希望する方がほぼ一〇〇%近い比率になっています。非常に特徴的だったというふうに思っています。そのため、介護保険料が上がっても施設増を望む方が六割を超えておりました。また、食費等が加算されたことにつきましては、五〇%の方が低所得者層の利用が抑えられることを心配した結果が出ておりました。また、今でさえ完治していないのに病院から追い出される話がこれまでも多く寄せられています。 医療制度改革による療養病床数の削減計画への本県の対応についてお伺いいたします。 また、施設職員の処遇が問題になってきました。特別養護老人ホームが当初建設された当時は、福祉施設で働く人々の希望が非常に多くありました。今、それが大きく変わってまいりました。都市部などでは人材不足が深刻化している介護福祉士でありますが、国家資格を持つ四割の人が実際には福祉の仕事についていないことが厚生労働省の調査でわかりました。あくまでも労使間の雇用条件に帰するところが大でありますが、かといって、施設運営も人的問題も含め大変な現状になってきています。 マンパワーの確保は、いわば持続可能な介護保険を運営する上で非常に重要であり、人材の安定供給が図られる仕組みに関する方策について国に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、県民の命を守る取り組みについて、二点についてお伺いいたします。 第一点目は、健康福祉部長に自殺予防の取り組みについてお伺いいたします。 我が国におきましては、残念なことに、平成十年から九年連続して自殺者が三万人を超えるという、まさにゆゆしき状態になっております。毎年一つの市がなくなるほどの国民がみずから命を絶っています。連日報道されております悲惨な交通事故の今や四倍強になっています。全く異常な状態だというふうに思います。 このような状況を受けて、国におきましては、昨年の十月に自殺対策基本法が施行されました。また、自殺総合対策大綱もつくられ、平成二十八年までに平成十七年の自殺死亡率を二〇%以上減らすことを目標にしています。 警察庁発表の自殺者数の統計では、死亡順位として無職の方が約半数に達しており、次いで被雇用者、そして自営業者となっており、その流れは長年変わっておりません。また、特徴的なのは、自殺者数と失業者数が強く関連していることが言えます。その中でも、五十歳代の失業者の自殺者が多いのも雇用環境の悪化のあらわれではないでしょうか。 世界保健機関におきましても、自殺はその多くが防ぐことのできる社会問題であると明言しています。そのことを踏まえ、「自殺する個人」の問題から「自殺する個人を取り巻く社会」に問題点を見出すことによって改善策が生まれてくるものと思われます。 私自身も以前、県の職場から自殺者を出さないため労働安全衛生に取り組んでまいりました。この取り組みを行う前は、毎年のようにみずから命を絶つ人が出ており、私たちも、自殺は個人の問題でありどうしようもないものと思っておりました。しかし、個々人で健康を守ることに限界があることも知り、労使双方が努力を重ねた結果、不幸な事態を少なくすることができましたが、残念ながらいまだになくなっておりません。 さきに申し述べましたように、自殺者と失業者の関連のように、職場環境の悪化によってその危険性が増すことは明らかであります。メンタルヘルスの対応も大切ですが、現象面にとらわれず、社会全体のひずみを改善することが自殺予防の基本的取り組みであると考えます。 東北地方において、本県を含め青森、秋田、岩手の四県が全国的にもワーストの自殺率になっています。本県としましても、二〇〇四年に自殺予防対策推進会議を設置し取り組みを行っているようでありますが、その効果と今後の取り組みについて、健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、命を守る取り組みの二点目についてであります。警察本部長にお伺いいたします。 まずもって、交通事故の撲滅に向け、公安委員会そして警察行政におきまして日夜御尽力いただいておりますことに深く敬意と感謝を申し上げます。 全国そして本県におきましても交通事故の死亡者がここ数年減少傾向にあることは、関係機関の努力の結果であると言えます。以前の本県における交通事故の死者数は百名を超える状況にありましたが、平成十二年から減少傾向に転じ、昨年にあっては五十七名というこれまでにない結果になりました。さらに不幸な事態をなくす努力が多くの県民に日々求められていることは言うまでもありません。しかし、毎日のように発生する交通事故の犠牲者をいかに減らすか、本県におきましても大きな課題と言えます。あすは我が身、その視点でこの問題をとらえることが大切であると考えます。 ところが、本年の県内における交通事故の発生を見ると、交通事故の発生件数と負傷者数は前年より減少しているものの、死者数は大幅な増加になっていると承知しています。特に、高齢化社会の進展を反映するかのように、全死者数の約六割強が高齢者となっております。この点から、今後、自転車を含めた高齢者の歩行者対策の強化を図っていく必要があると考えます。 また、事故の発生場所に注目をすると、全交通事故の約五割強が交差点で発生し、さらに、死亡事故の四割が交差点で発生しております。その原因として、運転者から見ると、交差点で右折する際右折レーンがなかったり、右折信号の時間が短かったりしての待ち時間から来るストレスも上げることができるのではないでしょうか。交差点は、歩行者も自転車も車も、道路を利用するすべての人が混在する状態にあります。その意味で、交差点における交通事故防止対策の強化を図らなければならないと考えます。 現在の交通事故の発生状況を踏まえ、今後、高齢者対策及び交差点対策をどう進めていくのか、警察本部長にお伺いいたします。 なお、飲酒運転撲滅に向け県民一丸となって力を注いでいるときに、村山県議のこのたびの行為は断じて許されるものではありません。本議会の辞職勧告を真摯に受けとめ、早急な対応を求めるものであります。 次に、県立病院の運営につきまして、病院事業管理者にお尋ねいたします。 現在、県立日本海病院と市立酒田病院の統合再編の基本構想ができ上がり、それに伴う経営形態が、先般、有識者委員会の報告として出されました。その内容は、一般地方独立行政法人の非公務員化というものです。その報告を要約しますと、現在の医療制度改革に追いついていくためには迅速性が求められること、さらに、病院長の権限を増すことで特徴ある病院経営ができることを挙げております。本当に五年あるいは十年後、医療スタッフが充足されているのでしょうか、そして、医療サービスは充実されていくのでしょうか。さらに、地域における病診連携や病病連携が果たして確立するのでしょうか、非常に不安を感じております。 このたびの統合再編は、以前の公立置賜総合病院の設置と違い、現在の県立五病院の将来の経営形態にも大きく影響を及ぼす内容であると思われますがいかがでしょうか。山形県として、将来にわたって県民に信頼され安心して医療を提供することができるかどうか、非常に重要な段階と言えます。 去る平成十八年八月三十一日に出されました新日本監査法人の報告書の中にも、山形県医療の歴史としまして、「住民がいつでもどこでも安心して暮らすことができるよう県や市町村は公平な医療確保の取り組みを行ってきた。特にその中でも、県立病院は民間医療では対応が困難な不採算性の強い高度・専門医療などを重点に公共性を追求してきた」とあります。まさにそのとおりだと言えます。また、この報告書の中で、県立病院に期待される役割、とりわけ機能分担についても触れられています。日本海病院では患者の流出率も低く、庄内医療圏域で完結していることを上げ、三次救急医療提供体制の整備が求められ、このことにつきましては統合再編の中で進めることになったことは大きな評価と受けとめます。 しかし、統合再編すれば将来とも庄内医療圏域は守れるのでしょうか。医師不足の抜本的な解決策が見出せない中では、非常に不安な環境と言えます。ましてや、一般地方独立行政法人の非公務員化、裏を返せばいかに一般会計から繰入金を減らすか、その結果は労働環境の悪化を招き、医師を初め医療スタッフの不足を来たす危険性をはらんでいると言えます。 報告書の分析でも、同規模の病院と比較していずれの診療科においても医師が少ないことを認めております。また、県立五病院の医師の出身大学では、山形大学医学部が全体の六三%を占めており、日本海病院にあっては九四・三%という現状になっています。この比率をどうとらえるのか、山形大学医学部とのしっかりした連携のもとに進められているのか。そのことは看護師も同様ではないでしょうか。庄内出身の方だけで医療スタッフを補完できる状況にはないと言えます。 さて、多くの自治体で先人が大変な努力を強いられながら、これまで不採算部門を抱え病院経営をしてきました。また、昭和四十八年九月には医師の確保を旨として山形大学医学部を設置し、県内の医療の充実に努めてまいりました。それはなぜなのでしょうか。市場主義でないことだけは確かです。もう一度原点に立ち返って考えてみることが求められていると思います。 また一方、病院を取り巻く環境として何が以前と比較して大きく変わってきたのでしょうか。その検証をしっかり行い、将来に禍根を残すことのない慎重な対応が求められているというふうに思います。特に、ここ数年自治体病院を取り巻く環境として赤字問題や医師不足がクローズアップされてきております。その背景には、一般会計からの繰入額が財政の硬直化を受けて厳しくなっていることや、国の医療制度改革によって病院経営が以前に増して大変になっていること、さらに、ここに来て医師臨床研修制度の改正によって医学部における医局の権限が大きく後退し、医師の確保が困難になっていることなどが上げられます。それにしましても、最終的には赤字論が大きなウエートを占めることには変わりないと思います。 世の中全体が損得勘定で動いている、そんな社会になってきております。県内医療を市場原理で進めるのか、それとも安心安全のとりでとして病院を位置づけ、政策として県立病院をしっかり堅持し今後とも進めるのか。社会の治安を維持する警察や消防行政は、まさに安心安全のため税金を投入してやっています。そのことと医療行政も同じ次元で考えてもしかるべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、県立病院の位置づけは、地域における医療連携の拠点の役目も加味しており、そのことを踏まえましても、報告の内容は多角的視点に欠け、経営面に重きを置いたものになっていると考えます。さらに、病院経営を採算ベースに乗せるためには、不採算部門の切り捨てや、診療報酬の点数を上げるため必要以上の検査や、ベッドの回転率を上げるため早期退院あるいは満床対応するなど、患者優先から経営優先の対応に走ることは目に見えてくるのではないでしょうか。加えて、働いている人々の労働環境の切り捨てにつながり、ひいては患者サービスの後退、さらには医療事故の危険を増すものと思われます。ましてや、県が音頭をとって進めてきた医療のすみ分けにつきましても机上の空論になってしまいます。 このたびの結論を病院事業管理者はどう受けとめているのか、県内医療を考えた場合、将来不安を感じる報告であると考えますが、いかがでしょうか。 この件に関しても、緊急に県立中央病院と県立日本海病院のお医者さん方を中心にアンケートを行い協力いただきました。ここでは、県立日本海病院のお医者さん方の結果を三点に絞って報告させていただきます。 第一点目の、一般地方独立行政法人の非公務員化で将来とも医師が確保できると思いますかとの問いに、「できる」と答えた方は五・九%、「できない」とする方は四一・二%、「何とも言えない」と答えた方は五二・九%となっています。次に、看護師等のスタッフの確保については、「できる」と答えた方が一八・八%、「できない」と答えた方が三七・五%と、それから「何とも言えない」が四三・七%となっておりました。また、独立行政法人であったら職を希望しますかとの問いに、希望者は一人もおりませんでした。「しない」と答えた方は一七・六%、「労働条件が不明確なので判断できない」とする方が五二・九%、「何とも言えない」方が二九・四%となっておりました。第一線で大変な努力をされている先生方のアンケートからしても、非常に深刻な結果だと認識しております。ましてや、独立行政法人の歴史も浅く、不透明な点がある中では、慎重に事を進めるべきと考えます。 なお、県立中央病院のお医者さんとは地理的条件や救急医療のこれまでの対応から確かな違いが出ていたこともつけ加えさせていただきたいと思います。 私は、無医村で生まれ育ちました。そのため医療のありがたさを身にしみて感じる一人でもあります。市場原理だけにとらわれない温かい県政の対応を求め、質問を終わります。 ○議長(阿部信矢君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) 高橋議員から私には一点、県政運営における基礎自治体の施策連携についてでございますので、お答え申し上げます。 二十一世紀に至りまして、我が国の国民の価値観やライフスタイルというものはより一層多角化しているというふうに受けとめております。我が山形県においてもそのらち外ではないと認識いたしております。 これら住民に対して的確かつ最適な行政サービスを提供する主体の基本は、「ニア・イズ・ベター」、すなわち、住民に最も身近な基礎自治体としての市町村であります。そして、これからの市町村には、こうした行政サービスを自立的に提供し得る高い行財政能力を備えることが求められてまいります。それゆえに、私は、行財政のさらなる効率化のために、市町村合併を積極的に推進すること、さらには、権限移譲等を通じて基礎自治体としての市町村機能の一層の強化に取り組むことなどが重要であるとの認識のもとで諸施策を展開してまいりました。 また、県としての伝統的政策分野においても、例えば国に対する重要施策の提案の際に市町村長会議などの意見を徴したり、また、県の予算編成過程の概算額を開示したりすることなどによりまして、県の政策形成プロセスに市町村の意向なども適切に反映することができるような仕組みづくりにこれまでも取り組んでまいりましたし、今後ともそうしたより一層の努力をしてまいりたいと思っております。 ことし平成十九年は地方自治法施行六十周年の記念すべき年に当たります。そして、この記念すべき年は、地方分権改革の推進にとっていわば正念場ともなる年であります。それだけに、こうした県と市町村との協力連携をこれまで以上に深めていくことにより地域がさらに活性化し、その活力が未来に広がる元気なやまがたづくりの原動力となっていくことを期待しております。 ぜひ高橋議員も御一緒にこうした方向性で取り組んでまいりましょう。 ○議長(阿部信矢君) 野村病院事業管理者。 ◎病院事業管理者(野村一芳君) 県立病院の運営について、日本海病院の統合再編に関しましてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。 現在、医療を取り巻く環境は、医療費の抑制を柱といたしました国の医療制度改革の推進や地方における医師不足など、極めて厳しい状況にございます。地域によっては医療の崩壊すら懸念されている状況にございます。このため、全国の自治体病院におきましては、病院の民間移管、統廃合、経営体の見直しを行うなど、地域医療をいかに確保するかという点でのさまざまな取り組みがなされてございます。 今般の県立日本海病院及び市立酒田病院の統合再編につきましても、厳しい医療環境の中で、将来にわたって庄内地域を中心といたしました医療を確保していくために避けては通れないものというふうに考えてございまして、統合再編によりまして、限られた医療資源を効率的かつ集約的に活用していくものでございます。 こうした状況の中で、統合病院が地域の基幹病院として役割を果たしていくというためには、引き続き設立団体であります県と酒田市が政策医療につきまして責任を持つということとともに、病院みずからが医師を初めといたしました医療スタッフを柔軟かつ迅速に確保できる体制、また、診療報酬の改定など医療制度改革に対しまして柔軟に対応できる体制の構築が必要不可欠というふうに考えてございます。そのためには、病院運営の自律性の向上、院長権限の強化によります現場主義の徹底など、病院運営のマネジメント力が強化される経営形態を選択する必要がございます。有識者委員会では、そうした観点から、統合病院の経営形態といたしまして、今般の一般地方独立行政法人が最も適当であるとの結論に至ったというところでございます。 一般地方独立行政法人は、頑張れば頑張っただけの成果が現場に還元される仕組みでございまして、統合病院の経営形態としては最適なものというふうに考えてございます。アンケートにもございましたけれども、職員の皆様にも丁寧に理解を求めながら、この経営形態のもと、職員が意欲を持って働ける生活環境づくりに配慮いたしまして、県と市の職員が一丸となって病院運営に携わる体制を構築することによりまして、県民に安心・信頼・高度の医療を将来にわたり継続して提供できるよう全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 藤田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(藤田穣君) 高橋議員から私に、介護保険制度に関するものと、それから自殺予防の取り組みということでお尋ねをちょうだいいたしております。 まず、介護保険関係でございますが、三つの角度から御質問いただいたというふうに考えてございます。 最初が、利用者負担の考え方についてということでございました。 現行の介護保険制度におきましては、利用者負担の決定に当たり、本人の収入のみならず、世帯の負担能力にも着目した設定区分が用いられてございます。御質問の中にありましたいわゆる世帯分離の考え方につきましては、制度上生活の場として位置づけられてございます特別養護老人ホームへの入所に当たりましては、利用者が実質的に一つの独立した世帯となるため、まさに別世帯となるがゆえにそうした考え方が適用されているものでございます。 一方、こうした世帯分離の考え方を施設利用全般に広げることにつきましては、低所得に区分される利用者の増加をもたらし、ひいては保険料の増額や公費負担の増加につながりかねず、制度の持続可能性に大きな影響を及ぼすことが懸念されるところでございます。 こうした中、現在、国におきましても、高齢者のみの世帯の増加といった昨今の世帯構造の変化等を踏まえまして、保険料の設定方法や利用者負担のあり方について検討が続けられているところというふうに承知をしてございます。 いずれにいたしましても、利用者負担のあり方等につきましては、介護保険制度上の大きな論点の一つであると認識をしてございまして、今後とも国の検討状況等を注視してまいりたいと考えてございます。 次に、医療制度改革による療養病床数削減への対応ということでのお尋ねでございました。 御案内のように、国では、医療制度改革の一環として、介護保険が適用される介護療養病床については平成二十三年度末に廃止するということを決定してございます。また、医療保険が適用される医療療養病床につきましては医療の必要性の高い方に限定し、医療の必要性の低い方に対しては老人保健施設などで適切な介護サービス等を提供するという方針もあわせて示されているところでございます。 今後、国からは、療養病床の再編に向けた基本的考え方や構想策定の具体的手順について、地域ケア体制の整備に関する基本指針として示されることとなってございまして、県といたしましては、これを踏まえて、仮称ではございますが、山形県地域ケア体制整備構想を本年の秋を目途に策定することといたしております。策定の過程に当たりましては、本県の実情も十分に踏まえながら、市町村、医師会など関係機関との意見調整を行いつつ、高齢者の状態に応じた適切な医療や介護サービスが受けられるよう意を用いてまいりたいと考えているところでございます。 三つ目のお尋ねは、介護施設職員の人材確保に向けた方策ということでございました。 介護職員の現状を見ますと、認知症高齢者の介護など、専門的かつ高度な知識・介護技術が求められております一方で、任用資格等の面から専門職としての認知度がまだ十分ではないこと、キャリアアップへの道筋が未整備であることなどの課題がございます。 現在、介護福祉士の資格取得についてはすべて国家試験によることとすることなどを内容とした法案が国会で審議されておりますが、国では、将来的には、介護職につくための資格については介護福祉士を基本とすることにより、専門的職業としての認知度の向上を目指してございます。また、介護職員のキャリアアップを支援するため、研修体系の見直しなども進められているところと承知をいたしてございます。 県といたしましても、こうした動きを見据えつつ、各種研修の実施を通して介護職員の能力向上への支援を図りますとともに、さきに申し上げました国の方針が早期に実現に向かうよう機会をとらえて働きかけてまいる所存であり、このような取り組みを通じて介護職の職業としてのさらなる魅力の向上を図っていくことが、介護サービスにおける人材の安定供給につながるものと考えているところでございます。 次に、自殺予防の取り組みについてお答えを申し上げます。 自殺は、社会的・人的な損失が甚大であるばかりではなく、残された遺族に与える影響も極めて大きいことから、本県では、平成十六年七月より自殺予防対策推進会議を設け、自殺に係る現状と課題や自殺予防に関する効果的な取り組みなどについて検討してきたところでございます。 この会議の検討を踏まえ、本県では、自殺に大きくかかわるとされておりますうつ病を早期に発見し、その治療や地域でのケアにつなげていくという地域のシステムを構築することとしまして、平成十八年度においては、市町村うつ病予防対策事業を県内四地域ごとに一カ所ずつ実施したところでございます。こうした取り組みによりまして、うつ病の罹患などが懸念されるいわゆるハイリスク者発見に資するとともに、これまで個人の問題とされてきた自殺について、地域を挙げて取り組むべき課題であるとの認識が広がってきたところでございます。 県といたしましては、今後とも、これまで重点的に取り組んできたうつ病予防対策を継続していくとともに、今月初旬に閣議決定されました自殺総合対策大綱も踏まえつつ、教育や労働、生活安全など、関係分野の機関・団体や専門家の方々とも連携をさらに強めていきながら、自殺予防に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 安田警察本部長。 ◎警察本部長(安田貴彦君) 交通事故防止対策、とりわけ高齢者の事故防止及び交差点における事故防止対策についてお尋ねがございました。 県内の昨日、本年六月二十四日までの交通事故につきましては、発生件数、負傷者数ともそれぞれ一割前後減少しておりますものの、死者数は三十一人と、昨年の同時期より十四人増加しており、高齢者の犠牲者は死者全体の約六八%の二十一人で、昨年の同時期より十四人の増加となっております。また、その中で自転車・歩行者の犠牲者は十三人であり、うち十人が交差点で犠牲になっています。また、交差点事故が交通事故全体の五割強を占めており、交差点対策が交通事故防止全体の中で大変重要であるということは議員御指摘のとおりであります。 県警察としましては、高齢の歩行者・自転車対策として、警察官や高齢者交通安全指導員等による高齢者宅への戸別訪問指導活動や出前式交通安全教室の開催、夜光反射材の貼付の促進等の施策を推進しているところであります。また、交差点における事故防止対策としては、横断歩行者妨害や信号無視等の取り締まりを推進しているほか、道路管理者等と協働して交差点強調標示、カラー舗装等の道路交通環境の整備を進めており、信号機につきましても所要の予算確保に努め、交通の流れや道路交通環境等の実態を踏まえながら信号機の改良・高度化などを進めているところであります。 警察としましては、今後とも関係機関・団体等との緊密な連携のもと、高齢者等の交通事故防止を一層強化してまいる所存であります。 以上です。 ○議長(阿部信矢君) 四番高橋啓介君。 ◆4番(高橋啓介君) 齋藤知事初め執行部の皆さん、御回答ありがとうございました。 今、知事の方からもありましたけれども、基本はやっぱり基礎自治体がしっかりこれからやっていくというような部分が非常に大切です。先ほどの質問の中でも申し上げたんですが、市町村の段階でも非常に財政的にも厳しくなっている。そういった状況の中で、一昨年の乳幼児の関係を先ほど申しましたけれども、ぜひ知事回答のような形で、さらに連携を深めるとこういうふうな話でありますので、事業の展開については、そのことを注視をしてお願いを申し上げたいというふうに思っております。 私どももそういった視点で、いろいろな事業を検討する中でも、県民会館があったり市民会館があったりとこういうふうな部分がこれまでもあったんでしょうけれども、私はそういうような部分は一緒に事業展開できないかと、これは一例ですけれども。そういった事業の展開というのは、私は分権の時代、本当に大切になってきているのかなというふうに思っていました。ぜひそのことをよろしくお願いしたいというふうに思います。 あと、健康福祉部長、私、先ほどの質問の中で申し上げたんですけれども、特に介護の問題で、私自身も実際相談を受けました。三世代同居で介護認定3、これ入れないんですね、なかなか施設に入れない。山形県のように三世代同居、いわゆる親を大切に見守って一緒に暮らしている方々が非常に大変になっている。そして、先ほどの所得の分離の関係もそうです。個々人であればそれはそのままなっているんでしょうけれども、面倒見ている人が保険料も払って、利用するときにまた全体の総所得で支払いをする。出すところは別ですけれども、そういった状況はいかがなものか。ここはやっぱり三世代同居の一番多いところから声を出していく、あるいは本当に使いやすい環境をどういうふうにつくっていけばいいか、ここをやっぱりしていかないと根本的に変わっていかないと思うんですね。 あるいは介護保険の事業そのものもそうです。雪国だからここはもっと介護保険に入れてくださいと、こういうような事業主からの話もあるんでしょうけれども、そういった視点も、やっぱり雪国ならではの対応の仕方、あるいは三世代が多い山形県として制度を持続可能なようにどういうふうにしてもっていくか、このことを追求をしていただきたいと、こういうふうに思います。 また、自殺案件、先ほど最後に申し上げたんですけれども、メンタルヘルス、うつ病の予防対策、これは、全体の流れからすると百のうち言ってみれば一割ぐらいの考え方だと思うんです。先ほど申し上げました、東北四県でなぜこういうふうな状況が起きているのか。私は、経済的な観点からも、あるいは先ほど、これは警察の発表でなかったんですけれども、先ほど申し上げました失業と自殺率の関係、本当にずっと同じような形に流れていく。そういった全体的な流れをしっかり踏まえて、本気になって対応していってもらいたい。 これまで、私たち自身もそうなんでしょうけれども、自殺というのは個人の問題だとこういうような形で終わらせてきた嫌いがあると思うんですが、三万人を超えているそういった状況、あるいは山形県においても三百人を超えている、こういった状況があるわけですから、ここをやっぱり全体の流れをしっかり踏まえた対策を現象面でなくて本気になって取り組んでいただきたい。このことをお願いしたいというふうに思います。 あと、本部長の方から先ほどもありましたけれども、本当に大変な実態だというふうに思います。ぜひ私たちも、これまでも自分自身も交通安全の運動なんかに取り組んできているんですけれども、ぜひ皆さん方一緒になって撲滅するような形での啓蒙を含めた取り組みをお願いを申し上げたいし、ハード的な部分を含めて今後ともよろしくお願いを申し上げながら質問を終わりたいというふうに思います。ありがとうございました。 ○議長(阿部信矢君) 二番吉村和武君。 ◆2番(吉村和武君) 私はこれから当面する県勢発展のための幾つかの課題について、県政・公明クラブ及び多くの県民を代表して、知事初め関係部長に質問を展開いたします。 質問に先立ち一言申し上げます。 去る四月八日行われました統一地方選挙において、私は山形市区より初当選を果たさせていただきました。その責務の重さを実感いたしておりますが、思えば、今は亡き父吉村和夫も、県民の負託を受け、六期にわたり県議会議員として県勢発展のためこの席より質問をさせていただきました。当時に比べ、時代の進みはその速度を増し、地方自治を取り巻く環境は激変しておりますが、同じように、ここにこうして立ち、質問を展開できることはまさに感無量でございます。 これまで、県勢発展のために御尽力をされた皆様、現在県をお支えいただいている職員の皆様に敬意を表し、そして県民の皆様に感謝を申し上げながら、質問に入らせていただきます。 初めに齋藤知事にお伺いいたします。 齋藤県政がスタートしてから一期目の折り返し点を過ぎました。改革元年と名づけられました初年度は、やまがた総合発展計画、やまがた集中改革プランを策定し施行されることにより、改革改善の土台づくりが完成されたとの御所見でした。 二年目に入り、息吹となりつつあるものを具体的に形にということで、地域力、基盤力、経済力を強化し相乗効果を高め、「やまがた改革」の推進、深化を図ってこられました。そういった取り組みの中で、特にインナー・マニフェストの施行については、各部局の役割が浮き彫りとなり、検証・今後の課題が目に見えて理解されたと思います。 一方、六月十七日に、ローカルマニフェスト推進ネットワーク山形と社団法人日本青年会議所東北地区山形ブロック協議会の共催によりますマニフェスト検証大会のディスカッションがビッグウイングで行われ、齋藤知事も参加されました。検証結果の中で、山形セレクションについての取り組み等は非常に高い評価を得ておりましたが、逆に、県政の透明化についてなどはそこまでの評価ではありませんでした。知事御自身も意外な印象を受けられたとのことでしたが、県民に施策の内容を周知徹底するという課題も提起されたかと思います。 先日の県議会議員選挙におきましては、県全体の投票率は六五・二二%、県都山形市に至っては六〇・〇一%という非常に低い投票率となり、全国的に政治離れが進んでいる中、本県も例外ではないと考えられます。これは、もちろん議員の責任もございますが、今後インターネットの広がりも利用しながら、民間で公開討論会・マニフェスト検証等で施策を評価いただきながら、政治に興味を持っていただくことが必要と考えます。 齋藤知事は、五月臨時会の冒頭で、三つの力に山形県の意思を加え、さらなる改革を進めていくと決意を述べられましたが、県民にわかりやすい県政の運営との観点から、改めて、任期前半における齋藤県政の自己評価と今後の課題についてお伺いいたします。 次に、道州制についての対応についてお尋ねいたします。 この問題については、これまでも議論されてまいりましたが、安倍政権のもと、政府は強固な意思でその流れを加速させております。 昨年二月には、地方制度調査会の答申の中で、広域自治体改革を実現するため、一、地方分権の推進及び地方自治の充実強化、二、自立的で活力のある圏域の実現、三、国と地方を通じた効率的な行政システムの構築の三項目に沿った道州制の具体的な制度設計を検討すべきとし、広域自治体改革のあり方としては、国と地方及び広域自治体と基礎自治体の役割分担の見直しを基本とし、これに沿って、事務権限の再配分やそれぞれの組織の再編、また、それにふさわしい税財政制度を実現すべきであり、その具体策としては、道州制の導入が適当との回答を示しました。 それに対し、全国都道府県議会議長会では、今後国民生活の各面に即して道州制の導入によりどのように変わっていくのかをより具体的かつわかりやすく示した上で、国民的な議論を行い、合意形成に努めていくべきとの会長意見が出されました。今後、全国で道州制の議論が進められていくわけですが、山形県としても権限・税源移譲がどれくらいなされるのか、市町村の受け皿として道州制では住民自治の観点から行政サービスの低下を招かないか、各県によって違う財政問題を本当に解決できるか、州都の選出に当たり、仮に政令指定都市が州都となった場合、地方間格差を助長しないか等の問題を慎重に検討しながらこれに当たる必要があると考えます。 しかし、国民的な議論を行い、合意形成をしていくということを考えるとき、本県県民の間では道州制に関する興味・認識はいまだに低調なものが感じられます。こうした中、隣県福島県では、佐藤知事は、道州制には批判的なスタンスながら、今月までに市町村の部課長と構成する地域密着型地方自治制度研究会議を改編し、議会代表を交えた議論を七月にもスタートさせる方針を打ち出したほか、県民からも意見公募を行い県の総意をまとめる作業を開始いたしました。 本県でも、広く県民に現在の状況をしっかりと広報しながら意見を求めていく必要はもとより、市町村と県、そして各議会合同での会議開催等も視野に入れながら、道州制を支持するのかしないのかの意思を集約していく段階に来ていると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、商工労働観光部長にお尋ねいたします。 他県の人に山形県の印象を聞くと、サクランボを初めとするフルーツ王国であるとか、そばがおいしいとか、米どころの農業県という反応が返ってきますが、最近では、自動車産業振興の取り組みなどにより、本県は全国有数の物づくり技術を有している地域として注目を集めるようになってきております。 山形の物づくりは、約九百年の歴史を持つ山形鋳物や約六百五十年の歴史を持つ山形打ち刃物のほか、米織や鶴織などに代表される織物などが原型となっております。明治・大正時代には、農機具、機械器具、織機がつくられ、戦後のミシン、自動車部品の製造などを経て、現在は、これまでの伝統的な産業と誘致企業が相まって鋳造、鍛造、切削、研削、表面処理、プレスなどの物づくり基盤技術を持つ農業機械、機械部品、工作機械などの企業群が集積する地域となっております。 山形の物づくりの歴史を見ると、これまでの伝統に根差した技術の継承と発展こそが現在の山形の物づくりの礎であり、今後の山形の発展を占うキーポイントであると言っても過言ではないと考えております。 私は、先人の残してくれた遺産を継承し、この山形をぜひ物づくり世界一と呼ばれる地にしたいと考えております。そのためには、中国を初めとするアジア諸国の追随を許さず、蓄積された物づくりのわざを発展させ、付加価値の高い製品づくりを行っていくこと、そしてそれを国内のみならず、世界に向けて発信していくことが重要であると考えております。 このためには、企業の意欲はもちろんのこと、それを支える行政としての支援やアドバイスが地道でありますが大事であります。かつて、県職員の方々が、年末年始休暇を返上して中小企業から資金繰り等に関する相談に対応していた姿が鮮明に思い出されますし、工業技術センターに寄せられる技術相談も毎年相当な数に上るともお聞きしております。中小企業者にとっては、特に新商品開発をする場合などに、技術的なアドバイスや新しい情報、そして資金面での支援をしてもらうことが必要であり、いつでも相談に対応してもらえることが本当に心強いと感じているのではないでしょうか。 企業のほとんどが中小企業である山形県では、企業と行政が一体となって経済を支えていく必要があると考えます。私としては、山形の物づくりを発展させていくためには、中小企業に対するきめ細かな支援が何より重要であると考えておりますが、技術力向上、新商品の開発などに対する県の支援の現状と今後の対応についてお伺いいたします。 次に、中心市街地の活性化に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 県内における主な都市の中心部は、空き店舗が目立ち、人通りもまばらであるなど、以前に比べて厳しい状況が際立ってきております。私の住む山形市においても例外ではなく、郊外型の大型店の集積が進み、中心商店街への逆風はますます強くなるばかりであります。 中心市街地においては、郊外への住宅地・商業地の展開によって、近年とみに中心部の人口減少、住んでおられる方の高齢化、さらに商業の面では顧客の減少や売り上げの減少、空き店舗の増加など、さまざまな課題を抱えております。 これまで、長い歴史によって培われてきた都市の中心部の活力が失われ、このまま空洞化に歯どめがかからなければ、地域そのものが持つ魅力、アイデンティティーが失われかねないことから、私は中心市街地・中心商店街の課題は重要かつ深刻なものととらえており、今後、都市計画という観点も含め、熟考していく必要があると考えております。 国では、従来の政策の効果が思うように上がらなかったことを受け、昨年、いわゆるまちづくり三法のうち中心市街地活性化法、都市計画法が改正されました。都市計画関係では、大規模集客施設を立地できるエリアを商業地域、近隣商業地域、準工業地域に限定し、それ以外への立地を規制するとともに、中心市街地活性化法の改正により、新たに市町村の基本計画を国が認定することによって、選択と集中による効率的な市街地活性化に向けた支援策を展開していくこととしております。全国的に見ても、青森市、富山市を初めとする十三の市において、基本計画が国から認定され、新たなまちづくりが進められているところであると聞いております。 私は、本県の市町村においても、中心市街地活性化基本計画を策定することによってまちづくりに向けた起爆剤としていくことが必要であると考えますが、今後の基本計画策定に向けた現在の状況はどうなっているのか、商工労働観光部長にお尋ねいたします。 続きまして、教育長にお尋ね申し上げます。 本県では、第五次山形県教育振興計画、いわゆる五教振を平成十六年に策定し、教育に関するさまざまな課題を包括的にとらえ、「いのち」「まなび」「かかわり」というテーマを掲げ、新しい教育の流れに的確に対応しながら、学校・家庭・地域の密接な連携を構築しつつ、次代を担う人材の育成を積極的に行っております。こういった取り組みは、県民の高い評価を得ておりますが、今後さらに地域と連動した県民参加型の教育の推進が必要と考えます。 現在、高等学校の教育現場においては、いじめなどコミュニケーションがうまくとれないという要因から、長期休学者、中退者等の勉学を挫折する学生がいらっしゃいます。これらの原因といたしましては、現在の学歴重視主義、多方面にわたる格差の社会構造、地域コミュニケーションの減退等さまざまなものが考えられます。 そうした背景の中、問題が発生したときの対症療法的な施策も必要ですが、しっかりとした理念のもと、根治治療的な施策を中長期的な考えで行っていく必要があると思います。 平成十八年度学校基本調査によると、本県の高校進学率は九八・九%と、ほぼ全入に近い状況でありました。しかし、一方では、学校生活や学業への不適応などの理由による中途退学者も六百四十人を数え、中途退学率は一・六%にも上り深刻な問題となっております。そうした中、多様な教育の機会を提供する山形県立霞城学園高等学校の重要性も県民の間で広く認識されてきております。 先日私は、山形県の高校を中退されたお子さんがいるある保護者の方から相談を受けました。お子さんは、やはりコミュニケーション等の問題から不登校になり、結果中退を選んだとのことでしたが、その後数カ月、いろいろ悩みながら考え、もう一度勉学に頑張っていこうと決心をされたとのことでした。そこで、霞城学園の定時制の編入試験を受けたいと希望されましたが、試験は一年近くも先であり、本人は一時断念する気持ちになりましたが、御両親が説得をされ、何とか試験を受けることとなりましたが、残念な結果に終わってしまったとのことでした。 結果は別にして、さまざまな要因で一度は勉学を断念したお子さんがもう一度意欲を取り戻したとき、学ぶチャンスがほとんど与えられなかったとおっしゃられておりました。まさに、県民の叫びであろうと思います。 現在、霞城学園の定時制においては、他校に在籍する生徒を対象にした転入試験を三月と九月の年二回、中途退学者を対象とした編入試験を三月の年一回行っておりますが、転入試験の方はほとんどの人が合格することに比較して、編入試験では非常に合格するのが困難である状況です。 平成十五年の中央教育審議会の答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の中では、一人一人が生涯にわたり学び続けるとともに、それを社会全体で支えていく必要があるとなっておりますが、霞城学園の定時制は二学期制に基づく授業カリキュラムでもあることから、この際、定員等の物理的な制約はありますが、編入試験を年二回開催し、学ぶ気持ちのある県民を積極的に受け入れていくべきと考えます。 このような多様化する教育環境の整備に対する教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、県体育館の今後の整備方針についてお尋ねいたします。 高齢化の急速な進展や、以前は想像もつかなかった悲しい事件が多い現代社会において、スポーツは、健康の保持・増進、体力向上のみならず爽快感や達成感などの精神的充足、青少年にあっては人間形成など、さまざまな恩恵を県民にもたらしております。 多くの県民が、競技スポーツから生涯スポーツまで自分に合ったスポーツを楽しみ、生きがいとし、新たな出会いや交流を促進するとともに、それぞれの地域に根差したスポーツ文化を創造しております。山形県では、べにばな国体の開催などを契機として、これまで県民のスポーツ意識の高揚と競技力向上に向けて体育施設の整備を進め、県議会においても、平成十一年二月定例会においてスポーツ県山形宣言に関する決議を行うなど、スポーツ振興に力を入れてまいりました。そういった背景の中、高齢者や青少年など、みずからの移動手段を持たない県民にとりましては、身近なスポーツ施設の存在は欠かせないものとなっております。 特に、県都山形市の中心部の霞城公園内にある県体育館・武道館は、好条件にある施設として、年間十万人を超える多くの県民・市民が利用しており、本年四月から従来閉館日である月曜日も開館するなど、まさに県民の体育館としてその重要性が再認識されております。 県体育館については、平成十八年度に撤去予定でありましたが、存続を望む三万人以上の署名が県民から寄せられ、齋藤知事と山形市長の間で当面存続するとの英断が下されたのは記憶に新しいものであります。 先日行われた文教公安常任委員会の視察において、私も現況を見てまいりましたが、建設から四十年以上が経過し、建物も相当傷んできており、早急な耐震改修・補修事業が必要であることを実感いたしました。また、山形市が進めている史跡で霞城公園整備事業の区域内にあることから、これからさらなる文化庁や山形市との調整も必要と聞いておりますが、今後、県体育館・武道館をどのようにしていかれるのか、方針をお伺いいたします。 次に、放課後子どもプランへの取り組みについてお尋ねいたします。 現在、子供を取り巻く家庭・地域の教育力の低下が指摘される中、子供が犠牲となる犯罪、凶悪事件が続発し、大きな社会問題となっております。そういった中、昨年、文部科学省の地域子ども教室推進事業と、厚生労働省の放課後児童健全育成事業の放課後対策事業を一元的に実施してはどうかという議論が行われ、本年度から、文部科学省の放課後子ども教室と厚生労働省の放課後児童クラブを連携して実施する放課後子どもプランが開始されました。 本県では、二十四市町村八十九カ所で放課後子ども教室が、三十一市町村百六十六カ所で放課後児童クラブが実施される見込みとなっております。 教育再生会議においても、本プランの全国的な展開を強く要求していることから、国ではすべての小学校区での実施を求めておりますが、私も地域の積極的な参加が本事業の成果に大きな影響を与えると思いますし、それによって地域コミュニティーの再生という側面的な効果もあらわれてくると考えます。 本プランの連携方策としては、実施主体である市町村を都道府県では円滑な取り組み促進が図られるよう、事業推進に向けた支援を実施するとなっておりますが、本県としては、こういった現状を踏まえ今後どういった推進方策を考えているのか、また、放課後児童クラブは、従来から日中保護者がいない児童のために機能してきた事業でありますが、無料の放課後子ども教室を実施することにより、現在実施している児童クラブの存続に危機感を持つ関係者もいらっしゃいます。国では、全小学校区にコーディネーターを配置し、事業間の連携を十分に図っていくこととしておりますが、こうした心配はないのか、お尋ねいたします。 次に、土木部長にお尋ねいたします。 本県の人口は、今議会の冒頭の知事の御説明にもありましたように、百二十万人を切ろうとしている状況にあり、ことし五月末に厚生労働省が公表した約三十年後の二〇三五年の都道府県別将来推計人口によりますと、本県の人口は二四%減の約九十二万人になると予測されています。また、本県の平成十七年における高齢化率は二五・五%で、全国四位となり、全国的な少子高齢化の問題が本県にも該当することが如実にあらわれております。 このような中にあって、人口減少に歯どめをかけ、逆ピラミッド型の世代構成を修正していく努力も行政としてはもちろん必要ですが、これからの山形県の姿を思い描くとき、広域連携の推進を図る上で欠かせない交通ネットワークの整備や、県民の安全で安心な暮らしを支える社会資本の整備は、大変重要であると考えます。しかしながら、本県の現状を見てみると、交通ネットワークの形成に必要不可欠である高速道路の供用率が約四八%と、全国平均が約七〇%であることと比較しても大変おくれております。 また、県民生活の利便性や安全を支えてきた道路や河川などのこれまで整備されてきた社会資本も、近年の予想できないような天災や老朽化により、その疲弊を強めております。 余談ではありますが、交通ネットワークの整備は、道州制における州都選定において極めて重要な要素であるとの見解が示されておりますし、私も県内の道路・河川を視察させていただき、その現状に非常に危機感を覚え、維持管理の重要性を再認識いたしました。 つきましては、厳しい財政下ではございますが、高齢化のさらなる進展や人口減少社会であることを見据え、社会資本の整備をどのように進めていかれるのか、中長期的な観点からその考え方と今後の方針を土木部長にお伺いいたします。 次に、健康福祉部長に、障がい者支援への取り組みについてお尋ね申し上げます。 昨年、障がいのある方々が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指した障害者自立支援法が施行されました。障害者自立支援法の施行については、応能負担から応益負担への移行により原則一割負担となり、障がい者の経済的負担増や急速な制度変化により、障がい者福祉の現場で十分な対応がし切れていないというような問題も言われておりますが、県においてはそういった県民の声を集約しつつ、今後的確な対応をしていくことが求められていると思います。 このような制度の改革にとどまらず、障がいのある人もない人も互いに支え合う地域社会を築いていくためには、ノーマライゼーション、すなわち障がいのある人もない人もともに生きるという理念や、近年、福祉先進国でうたわれているインクルージョン、つまり一人一人の違いや個性を認め合う考え方をさらに広めていく必要があると考えます。 本県では、昨年度末に、全国の都道府県では初めて全面条例改正が行われ、障がい者の一層の人権の尊重を図るという観点から、負のイメージが強い障害の害の字が平仮名表記に改められました。 さらに、障がいのある方々の社会参加の促進を図るために、身体障がい者等用駐車施設利用証制度を導入し、六月十五日から運用を開始いたしました。この制度は、身体障がい者を初め、歩行が困難な方々に利用証を発行し、官民の駐車施設管理者の方々の御協力をいただきながら、障がい者などのために駐車施設の利用の適正化を図るものでございますが、障がいのある方々を官民協働で支援するという新たな取り組みであり、高く評価されるものであります。 今後、県外から来られた障がいのある方々への対応などの課題もあるのではないかと考えられますが、この制度の定着を図るためには、どのようなことが課題でありどのような取り組みを進めていくお考えなのか、お伺いいたします。 以上をもちまして私の一回目の質問を終了させていただきます。 ○議長(阿部信矢君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) 吉村議員から、私に県政運営について全般的なお尋ねがございました。特に二問ございましたので、順次お答え申し上げます。 まず一つは、県民にわかりやすい県政運営についてというお尋ねでございます。 私は、就任初年を改革元年、そして二年目を改革断行、時代創進、そして三年目に当たりますことしを改革深化という位置づけを行ってまいっております。そして、この三年目に当たる改革深化の年に当たっては、いぶきをかたちに、若者を山形にひきつける、県政における手触り感というこの三つを柱にして県政運営を行っていくことで、職員一丸となってまさに今その取り組みを行っているところでございます。 その底流にあるのは、私が選挙のときに七つの柱、十四項目にわたりますマニフェスト「やまがた夢未来宣言」を県民の皆様とのお約束として掲げたところにございます。お約束の実現に向けて誠心誠意努力するということが、県民の皆様からの負託におこたえすることであると認識いたしております。 中でも、御質問の県民にわかりやすい県政の運営ということでございましたが、直ちに実行する項目として、透明性と効果の高い行政サービスの提供、県民と対話し築き合う県政の推進を掲げまして、これらについてはこの就任二年間、特に力を入れて取り組んできた分野であります。 幾つか例を挙げて申し上げますと、就任以来県民との対話を積極的に進めるために、出前知事室を継続的に開催してまいりました。また、県のホームページも全面的にリニューアルいたしまして、かつ全庁的にタイムリーな情報提供となるような仕組みづくりに努力してまいりました。さらには、記者会見は、平成十八年度全国でも群を抜いてトップの九十九回を数えております。 また、裁量的色彩の強かった知事交際費につきましても、その支出基準及び実績を県ホームページで都度公表するなど、情報公開にも積極的に取り組んでまいりました。そうした取り組みの成果として、例えば市民オンブズマンによる平成十八年度の全国情報公開度ランキングにおいては、本県はこれまで最下位ないしは最下位グループにあったところ、大幅にこの順位を上げ、全国第四位ということでトップクラスに躍進したところでございます。 さらに、私と各部長とのお約束でございますインナー・マニフェストを毎年締結し、その内容及び検証評価結果を公表しております。加えて、平成十九年度当初予算案の編成に際しては、要求の段階から公表し、行政の意思決定プロセスの透明化、予算編成内容の納得性向上などに取り組んでまいりました。 以上のようなことを踏まえまして、私自身、わかりやすさについてはC以上、すなわち一定の成果以上との自己評価を行ったところでございます。 いずれにいたしましても、私としては、県民の皆様から負託されたもの、地方行政のトップとして行政はだれのためにあるのか、行われるのかという根本的な考え方や哲学といったものを常に意識して行動しております。人に言えないことは行わないということを基本に据えて、積極的な情報公開を進めながら、行政意思決定の三百六十度の透明化に努めていくとともに、今後とも、さまざまなチャネルで県民の皆様との継続的な対話に心がけてまいりたいと思っております。 次に、道州制への本県としての対応についてのお尋ねでございます。 道州制の導入は、単純に複数の都道府県同士の合併を進めるものではなく、この国の形そのものを変えることを意味するものであると理解しております。とりわけ、我が国において、少子高齢化や人口減少が進む中において、生産の基本要素たる資本と労働を十分に確保することができなくなるというような世界を考えていきますと、地域が持続的に発展するようなそれぞれの地域に根差した産業の振興がより一層重要になってまいります。 そのためには、各地域が比較優位にある分野に特化して、互いに補完・連携し合うことが大切でございますし、人の育成はもちろんのこと、その地域が対外投資を呼び込み得るだけの魅力を持つ必要がございます。 こうした道州制の役割について、本年一月二十二日付日本経済新聞社の社説において、「十八日の知事会の総会で齋藤弘山形県知事が『道州制で直接投資を呼び込む産業基盤をつくる』と指摘していたがそのとおりである」と述べております。 そのためには、例えば徴税権である、さらには立法権であるということも道州制の中に求められてくることになります。したがいまして、そうしたことを考えますと、まさにこの国の形に関する議論であるということが言えるのではないかと思っています。 このような認識の上で、本県といたしましては、県単位の発想から脱却した広域経済圏の形成、広域連携の強化に取り組んでいるところでございます。 さらに国の形そのものの議論でございますことから、地方にできることは地方が担うという原則のもとに、分権型社会を実現していくことが先に取り組むべき課題であると考え、第二期の地方分権改革に向けた取り組みを進めているところでございます。 なお、政府におきましても、道州制ビジョンの策定に取り組んでおりますし、政党においても議論がなされているとうかがっております。また、先ほど申し上げたような発言を、私自身が発言を行った全国知事会では、その一月十八日に道州制に関する基本的考え方をまとめておりまして、この中で、道州制は地方分権を推進するためのものでなければならないことなどの基本原則を掲げ、道州制議論にかかわらず、地方分権改革を進めるべきという立場を明らかにしたところでございます。 こうしたさまざまな議論が立ち上がっていることを踏まえながら、道州制はこれから取り組むべき第二期地方分権改革をしっかりと実現しながら、中長期的に取り組むべきものと考えております。 本県としては、まず実態面からの連携などの取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。 ○議長(阿部信矢君) 藤田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(藤田穣君) 議員からは、身体障がい者等用駐車施設利用証制度についてのお尋ねをちょうだいいたしております。 この制度につきましては、お話の中にもございましたとおり、去る六月十五日に運用を始めたところでございますが、これまでに一千枚を超える利用証を交付いたしますとともに、民間施設、公共施設合わせまして約三百七十カ所の御協力が得られるなど、県民の皆様から高い関心を寄せていただいているところでございます。 この制度の定着を図りますためには、より多くの県民の皆様方に制度について御理解をいただくことが重要でございまして、そのことによって制度の実効性も上がってくるものというふうに考えてございます。このため、県の広報誌やホームページを活用いたしました広報、また、障がい者団体や企業への訪問などによりまして、障がいのある方には利用証の交付を受けていただくこと、駐車施設管理者には制度への協力、利用証を持たない方には対象となる駐車スペースの利用は控えていただきたいことなどを周知していくことといたしております。 また、この制度の趣旨にかんがみますれば、御指摘の県外からの来県者への対応はもとより、利用証の県外施設における適応等についても今後の課題というふうに受けとめてございまして、宮城県や福島県などの近隣県にも制度の導入を働きかけますとともに、既に同様の制度を実施してございます佐賀県などとも連携しながら、こうした取り組みを全国に広げてまいりたいというふうに考えてございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 高橋商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(高橋博君) 私には二問お尋ねがございましたので、順次お答えを申し上げます。 まず第一点目が、県内企業の技術力向上等に対する支援についてのお尋ねでございます。 本県における物づくり産業は、本県GDPにおいて最も高いシェアを占めておりますことから、昨年三月に策定いたしましたやまがた産業振興プランの中におきましても、本県経済を牽引する基幹産業と位置づけをいたしたところでございます。 その振興に当たりましては、有機EL、超精密加工等の先導的技術開発プロジェクトやカロッツェリアプロジェクトの推進に取り組みますとともに、広域的な観点に立った自動車関連産業の振興や、本県産業の基盤力の強化に資する企業誘致などについても、積極的な取り組みを展開いたしておるところでございます。また、技術力、開発力など県内物づくり企業個々の競争力強化につきましては、工業技術センターによる技術相談や生産現場指導を行っておりますほか、開発、生産から販売に至るまで、各種助成金や商工業振興資金、チャレンジ山形ファンドなどを準備いたしまして、きめ細かな支援を実施いたしておるところでございます。 いずれにいたしましても、技術力や開発力に根差した足腰の強い物づくり企業の振興に努め、東日本屈指の集積を目指し、世界でも比較優位に立つことのできるものづくり産業群を育成してまいりたいと考えてございます。 二点目が、中心市街地活性化基本計画の策定に向けた対応状況についてのお尋ねでございます。 県では、本年三月、改正まちづくり三法を受けました市町村の取り組みを推進するため、中心市街地再生まちづくり基本方針を取りまとめたところでございまして、これにより、市町村による中心市街地活性化法に基づく基本計画の策定や事業の実施などについて、国と一体となって支援することといたしておるところでございます。 現在、県内では、鶴岡市、山形市、酒田市が今年度内での認定、申請に向けて中心市街地活性化基本計画の策定を進めているとうかがっておりますが、鶴岡市におきましては、六月中にまちづくり会社を立ち上げることといたしておるところでございます。また、それぞれが取り組む事業につきましては、今後、基本計画の中で具体化するわけですが、ちなみに山形市では、現在町中を流れる堰を活用した空間整備や蔵などの既存施設を活用した施設など、幾つかの事業を検討しているというふうに聞いてございます。 いずれにいたしましても、県といたしましては、議員御指摘のように、基本計画の策定がまちづくりに向けた起爆剤になるとの認識のもと、県の基本方針の啓発を図りながら、多くの市町村で意欲的な基本計画が策定されるよう、取り組みの推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 高村土木部長。 ◎土木部長(高村義晴君) 社会資本整備に対する考え方と今後の方針に関する御質問にお答え申し上げます。 都市やまちというものが時代の荒波を越えて長く活力を持ち続けるには、歴史的にも安全と交流が大事であると言われております。少子高齢化が急速に進み、県土をめぐる環境が大きく揺れ動く中、これからの社会資本整備にはまさにこの点にこたえていくことが求められます。次の時代に向けた戦略や方針を明らかにし、新たなシステムを築いていく必要があります。 その際、大きくは四つの課題があると思っております。 一つは、広域交流のための高速道路等の基幹的道路のネットワークづくり、そして安全安心のための自然災害への対応施設の重点的整備です。 二つには、事業評価、コスト縮減、民間活力の導入、より品質の高い社会資本を整備するための入札制度、長寿命化に向けた維持管理システムなど、これら全体を包括した総合的・戦略的なマネジメントシステムの追求です。 三つ目は、個別の社会資本整備に当たっての地域づくりとの連携です。地域づくりの視点や市町村等との連携の仕組みが求められます。 そして最後は、現在国で作成中の国土形成計画の主題の一つともなっている「新たな公」、すなわち市民等との参画と連携の仕組みです。 特に、ことしは、国において道路の中期計画や国土形成計画が策定される大切な年に当たっております。交流のための高速道路等の整備がこれらの計画に反映されるよう、全力を挙げてまいります。あわせて、ただいま申し上げた方向に沿って、次の時代を見据えた社会資本整備にも真剣に取り組んでまいります。 以上です。 ○議長(阿部信矢君) 山口教育長。 ◎教育長(山口常夫君) 吉村議員より私に対して教育問題につきまして三点御質問をいただいております。順次お答え申し上げます。 まず、多様化する教育環境の整備についてでございます。 何らかの事情によりまして高等学校を中途退学した方が、自分を見詰め直し社会の厳しい現実に触れていく中で、高等学校でもう一度やり直してみたいという思いを強く持つに至った場合、その思いにこたえ、高等学校への再挑戦の機会を設けることは、霞城学園高校に限らず大変に重要なことであると認識しております。 議員お尋ねの霞城学園高校定時制におきましては、一年を前期と後期の二学期に区切り、学期ごとに単位の認定を行うことが可能なカリキュラムになっております。また、午前、午後、そして夜と、異なる学習時間帯から成る三部制であることから、転入学や中途退学者の受け入れにも比較的柔軟に対応できるシステムになってございます。 中途退学者の学び直しに対する支援におきましても、希望者本人やその保護者に対して事前に教育相談を丁寧に行いまして、入学の意思や学習意欲、適性の把握に取り組んでおります。本人の修学への熱意や収容定員などの面から、受け入れが可能な場合は、九月の編入学試験につきましても実施可能な体制はできておりますので、今後、個々の相談ケースに即しまして対応してまいりたいと考えております。 次に、二点目の県体育館の今後の整備方針について御質問をいただいております。 山形市の中心部にスポーツレクリエーションの拠点施設といたしまして、昭和四十一年に県体育館、翌四十二年には武道館を建設しております。 両施設は、市内の中心部にございまして利用しやすい環境にあることから、毎年十万人を超す県民・市民の皆様から御利用をいただいております。また、今年度からは利用者の要望を踏まえまして、毎月第三月曜日を除きまして月曜日も開館し、利用者の利便を図っております。 しかし、両施設とも建設から四十年以上が経過した建物であることから、昨年度、耐震診断を実施しましたところ、耐震強度が低く、耐震補強工事が必要との判断を受けております。そのため、現在、耐震補強工事の実施設計を行っているところでございます。もとより、やまがた総合発展計画「やまがた夢未来宣言」におきましては、既存ストックの有効活用をうたっております。こうした基本的考えに立ちまして、できるだけ早い時期に耐震補強工事や補修工事を実施し、利用者の安全安心を図って、当分の間使用してまいりたいと考えております。 三点目でございますが、放課後子どもプランの今後の取り組みについて御質問をいただいております。 放課後子どもプランにつきましては、五月に県推進委員会を開催するとともに、すべての市町村で既に設置済みでございます運営委員会で、地域の実態に即した運営のあり方や具体的な事業展開を検討していただいております。 基本的に子ども教室も児童クラブも、放課後における子供の安全安心の場を提供する点で共通しておりますが、子ども教室は希望するすべての子供を対象とした学習や体験の場であるのに対しまして、児童クラブは日中保護者がいない児童の生活の場として運営されているものでございまして、両者は補完する関係にございます。 特に、本県でこれまで実施してまいりました地域子ども教室は、土日に公民館等で地域のボランティアによるさまざまな体験活動が展開されてきておりまして、今後とも、こうした特色を伸ばすことで、児童クラブとの相乗効果が期待できるものと考えております。 県といたしましては、今後、両事業の長所や、都市部・農村部それぞれのニーズを十分に踏まえた上で、山形ふるさと塾の展開等も視野に入れながら、すべての市町村でみずからの地域に合った形で主体的に実施できますよう、参加を働きかけてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 二番吉村和武君。 ◆2番(吉村和武君) 本当に誠意ある答弁ありがとうございました。 齋藤知事には道州制のことに関しましてですけれども、非常に対外投資を呼び込むという考えから、広域連携を中心にこれから中長期的な考え方で進められていくというお話でございました。非常に今から県民の関心はますます高くなってまいると思います。その中で、やはりまだ県民の中でどこかの話と申しますか、なるかならないかわからない、そういったものに関する関心が非常に低いのが現状ではないかと思います。そういった論議の啓発を含めまして、道州制につきましては、継続的にお考えいただきたいというふうに要望する次第でございます。 また、教育長から非常に前向きなお考えをお聞きしましてありがとうございました。本当に、中途退学者に関しましては今非常にふえてきている、そして皆さんお困りの現状でございます。そういった実情はもちろんおわかりだと思いますけれども、より一層、現場の声、県民の声をお聞きいただきながら対応していっていただきたいというふうに心からお願い申し上げる次第でございます。 以上をもちまして私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ○議長(阿部信矢君) この場合、休憩いたします。 午後三時再開いたします。      午後二時四十七分 休憩      午後三時零分 開議 ○議長(阿部信矢君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二十番金澤忠一君。 ◆20番(金澤忠一君) 今定例会最後の一般質問となりました。 冒頭、小池議員からありましたが、今定例会の初めから異例の流会となり、日程が大幅に変更となりました。なぜこのような事態を招いたのか、その要因は全県民が周知しているところであります。 私たち議員は、さきに実施された改選において県民の負託を受けて、心新たに県勢発展に取り組んでいくやさきの出来事でございます。残念でなりません。 村山議員には、県民から理解の得られる決断を早急に望むことを申し上げさせていただきます。 それでは、早速質問に入らせていただきます。 初めに、人口減少社会と今後の県政についてお尋ねいたします。 過日、厚生労働省は、都道府県別将来推計人口の公表を行いました。その内容によると、二〇〇五年の国の総人口は一億二千七百七十七万人であったが、二〇三五年の推計では一億一千六十八万人と、二〇〇五年に対して一三・四%の減少が見込まれております。 本県においては、戦後初めて百二十万人を割り込む状況の中で、さらに二〇三五年には九十二万人まで減少し、年代別の構成は高齢者の割合が増加し、六十五歳以上が三六・三%を占め、年少者の割合は減少すると推計されており、今後、人口の減少や少子高齢化社会が一層進展することが確実になっております。 知事は、今定例会の冒頭に、当面の県政課題である人口減少への対応について説明がなされました。知事は、常に県政運営の理念として子ども夢未来指向を掲げ、百年後にも誇りに思える元気なふるさとやまがたをつくり上げようとしておりますが、このたびの人口推計をどう受けとめ、今後どのような政策を展開していく考えなのか。 また、現在、格差に関する問題が、政治・行政・経済を論ずるさまざまな場面で話題となり、活発な議論が行われております。一言で格差といっても、単に経済的な格差のみならず、医療、治安、教育などの格差、また、視点を変えれば税収や雇用に代表される中央と地方間の格差、さらには世代間、男女間の人口格差など、格差を論ずる視点は数多くあるものと考えられます。 そこで、先ほど申し上げた人口減少によりさまざまな格差も生じてくるものと思われますが、これらに対する認識と対応についてあわせて知事の御所見をお伺いいたします。 次に、国の教育改革の動きを受けた本県の対応についてお尋ねいたします。 昨年九月に発足した安倍内閣は、教育改革を内閣の最も重要な課題として位置づけ、すぐさま十月には、内閣官房に教育再生会議を設置し、検討が進められ、先般、六月一日には「社会総がかりで教育再生を」という第二次報告がまとめられたところであります。この間、昨年十二月には教育基本法が六十年ぶりに大改正がなされ、また、教育再生会議の議論なども踏まえて、緊急に必要とされる教育制度の改正について、いわゆる教育三法改正案としてまとめられたと承知しております。この教育三法については国会で審議され、このたび成立を見たところであります。 審議の途中経過では、去る五月九日に衆議院教育再生に関する特別委員会の地方公聴会が山形市で開催され、齋藤知事が意見陳述人として、山形市逸見教育委員長、山形市立第一中学校の後藤校長とともに意見を述べられております。地方公聴会では、地方自治体の教育委員会に文部科学大臣が是正指示できることや、小・中・高校に副校長などの職を創設すること、あるいは教員の免許更新制について意見のやりとりがあったとのことですが、三者三様の意見があったと私は受けとめたところであります。 このたび成立を見た教育三法の改正を受けて、殊のほか教育行政に力を入れている知事として、今後本県としてどのように対応していくのか、先般の地方公聴会での意見陳述の感想も含めて知事の御所見をお伺いいたします。 次に、山形市周辺の市町村合併の推進についてお尋ねいたします。 私は、昨年九月定例会の予算特別委員会において、山形市周辺の市町村合併の推進について知事の所見をお聞きしておりますが、合併新法が残り三年を切ったことから、改めて市町村合併に関して質問させていただきます。 本県の平成十九年度当初予算においては、既に合併した庄内の酒田市、鶴岡市、庄内町に対し、道路事業費の重点投資や幹線国道の早期完成を進めるなど、重点的に支援を行うとしておりますが、合併した地域の住民の皆さんが合併してよかったと実感できるような施策を講じることは、これから内陸地域の合併を進める上でも大きなインパクトになるものと評価しているところであります。 また、さきに質問させていただきました将来における本県の人口減少に伴う行政格差、特に市町村の財政状況に目を向けますと、税源移譲や定率減税廃止などの税制改正による影響で地方税が増加する一方、所得譲与税などが廃止されたほか、地方交付税も減少が見込まれることなどから、十九年度の市町村の当初予算においては、県内三十五市町村のうち二十二市町村の予算総額が前年度より減少となっております。さらには、三十三市町村が貯金に当たる基金を取り崩して予算編成を行っており、基金が底をつくおそれがある団体もあるなど、市町村の財政状況はさらに厳しさを増しております。 このように、今後、市町村を取り巻く環境は一層厳しさを増すことが予想される中で、住民に最も身近な自治体であり地方分権の受け皿となるべき市町村行財政基盤の充実強化を図ることは、避けて通れない課題であります。平成二十一年度までの合併新法期間内で市町村合併を実現させるため、県としてこれまで以上に強い姿勢で取り組んでいくべきであると思うのであります。 振り返ってみますと、旧合併特例法のもとで、山形市、上山市、山辺町、中山町の二市二町の合併協議が破綻に終わったことから、本県は、東北地方で政令指定都市または中核市を持たない唯一の県となる見通しであります。県都の発展、山形県の発展を考える上で、合併の破綻は今さらながら残念な結果でありました。 県が策定した市町村合併推進構想では、新たに山形市、上山市、天童市、山辺町、中山町の三市二町の組み合わせが示されております。この地域は、通勤・通学や買い物などの住民の日常生活圏が山形市を中心に形成されていることに加え、山形ニュータウンの開発・分譲のように、山形市と上山市にまたがって展開されている事業もあり、合併の行方が今後の事業の展開に影響することも懸念されております。また、山形市周辺の市町においては、現在、山辺町、中山町が常備消防を備えておらず、消防体制の充実・広域化が大きな課題となっており、さらには財政上の理由により老朽施設の改築もなかなか進まない現状もあるようであります。 このような状況を解消し、住民が地域の将来に夢を持って生活できる行政サービスを安定的に供給していくとともに、本地域の特性を生かし、将来的に発展していくためには、今こそ市町村合併が必要であり、願わくは中核市を目指すべきと考えるのであります。このことは県都の発展だけでなく、県内の他地域における合併の進展にも大きな影響を及ぼすことになることから、ぜひとも積極的にすべきものと考えております。 市町村合併は、最終的には地域住民と市町村が判断することでありますが、関係する市町村長には地域の将来を見据え、リーダーシップを発揮していただきたいと願っております。県としても、関係市町村のトップが合併を初めとする課題について率直に話し合う場を設けるなど、山形市周辺の市町村合併実現に向けてこれまで以上に積極的に取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 続いて、農業関係について何点かお尋ねいたします。 依然として米価の低迷が続くなど、本県農業を取り巻く環境は厳しさを増しているが、そのような中で、品目横断的経営安定対策や米生産調整施策などから成る新しい経営所得安定対策などが四月から始まりました。その中で、品目横断的経営安定対策は、戦後の農政を根本から見直すものと言われ、施策の対象となる担い手を明確にした上で、その経営の安定を図るものとなっております。 農家が、みずからの経営を維持・発展させていくためには、本対策に加入した上で農業生産に係る経費を確保するとともに、品質や生産性の向上により所得を増大させていくことが必要であろうと考えております。加えて、経営の新たな展開を目指して、直売や宅配などの新たな流通チャンネルの活用、加工業者など食品関連企業と連携などを進めていくことも重要になってくるものと思われます。 本対策は、生産実績に応じて交付金が交付されるだけでなく、品質や生産量に応じて交付金が増額される仕組みであり、まさに頑張った農家が報われるという点は理にかなった措置と考えておりますが、対策の対象作物は米にかわる土地利用型作物として大豆や小麦などに限定されており、これまでの本県の栽培状況から見てもそう簡単に転作は容易ではないと考えられますが、これら作物の本県における生産の状況はどのようになっていくのか。また、米も含めて、品目横断的経営安定対策の現段階の加入申請の状況と本年度の加入の見通しはどうか、農林水産部長にお伺いいたします。 次に、集落営農についてお尋ねいたします。 本対策の対象は、一定の面積を集約した認定農業者や集落営農組織などの担い手となっております。加入を促進するためには、認定農業者に農用地の利用集積を進めたり、集落営農という形でみんなで取り組むことが必要になってきます。その上で、農業用機械の保有の整理・合理化や機械利用効率の向上、さらには生産性や品質の向上を図っていくことが重要であろうと思われます。 しかし、三月の新聞報道によると、山形農政事務所では、本県の加入見込みは全国平均とそれほど差はないと見られるとしつつも、集落営農による加入見込みが全国平均の半分以下となっております。集落営農による取り組みが少なければ、地域ぐるみでの対応がおくれているということになるわけでありますが、集落営農の取り組み状況はどうなっているのか。また、県は集落営農を進める上でどのような課題があると認識し、どのように対応しようとしているのか、農林水産部長にお伺いいたします。 関連して、集落営農組織の法人化についてであります。 今後、この品目横断的経営安定対策への加入が促進されるに伴い、県内各地で多くの集落営農組織が設立されていくことになると考えられます。そして、大豆や麦などの生産に取り組み、交付金の交付を受けながら生産費を補い、経営を成り立たせ、地域農業を支えていくことが期待されております。 しかし、この対策に加入するためには、集落営農組織を五年以内に法人化することが必要と聞いております。一方、法人化には参加者の出資、農地取得、法人税などのさまざまな課題があり、現場の農家にとって法人化を進めることはかなり難しいことであると考えられます。 県として、集落営農組織をどのように法人化に向けて導いていくのか、農林水産部長にお伺いいたします。 続いて、本県の産業振興の展開についてお尋ねいたします。 特に、若者を引きつける産業政策についてでありますが、私も昨年度、商工労働観光常任委員会の委員としてフリーターやニートと呼ばれる若者の増大、非正規雇用者の増加といった問題について議論してまいりました。そこで、その背景にあるのは、バブル景気が崩壊した一九九一年ごろから十年余りの期間、すなわち失われた十年と呼ばれる長期不況により多数の企業倒産やリストラがなされたこと、また、失われた十年を取り戻すべく年功序列型雇用システムからの転換を初め大きな構造改革の実施をしてきたことが挙げられます。 私としては、すべての格差が悪いということを申し上げるつもりはありませんし、格差のない社会など存在しないのではないかと思いますが、初めから正規・非正規のコースが分かれており、一生懸命働き仕事の成果を出しても報われず、生涯にわたり格差が続いていくような状況では、労働意欲はわかず、企業にとってはもちろんのこと、地域経済にとってもマイナスに作用していくのではないかと懸念しております。 地域社会にとって、老・壮・青すべての世代が生き生きと意欲を持って働き、生活していく環境をいかにつくっていくかということに力点を置いて、施策の展開を考えていくことこそが重要であると考えております。 とりわけ、このたびの長期不況、構造改革の一番のあおりを受けているのは若者であります。一九九〇年代の就職氷河期に卒業した人たちは、いまだに就職難や経済的困窮から抜け出せない状況にあります。まずは、この人たちが就職難や経済的困窮などの状況を克服するため、再チャレンジの機会を支援し、きめ細やかな対応を行うことが必要であります。それに加え、本格的な人口減少社会が推測される中で、若者がどうすれば将来にわたって本県に定着し、生き生きと活躍しながら社会基盤を支える役割を担っていくことができるのかといった課題に対しても、真剣に考えていかなければならないと思います。 県としても、今年度重点施策の一つとして、若者を山形に引きつける施策の展開を掲げておりますが、特に重要なのは、若者を引きつける産業政策ではないでしょうか。本県の産業基盤をどのように強化し、雇用や所得の増加にどうつなげていくのか。また、本県産業を担う人材の確保はどのように行っていく考えなのか、商工労働観光部長にお伺いいたします。 次に、ものづくり産業振興プロジェクトの今後の展開についてお尋ねいたします。 本県の景気の状況を見ると、総じて緩やかな回復の動きが続いていると報じられているところでありますが、業種ごとの格差、地域ごとの格差が見られるなどまだら模様であり、まだまだ実感の得られる状況ではありません。 一方で、毎年、中小企業庁から公表される「元気なモノ作り中小企業300社」を見ると、本県からは、他の企業にまねできない独創的かつ高度な技術を持つ企業や地域資源を活用して内外の市場で評価される製品をつくる企業など、昨年度は七社、今年度は四社が選ばれたと聞いております。また、東北産業活性化センターでは、東北六県と新潟県にある企業のうち、世界一、日本一のシェアを持つ企業をまとめたところ、この中にも本県からは十二もの企業が含まれており、改めて本県中小企業の技術力のレベルの高さと地域経済を支えながら活躍する中小企業者の熱意が伝わってくる思いであります。 県では、これまで自動車産業の振興、超精密加工プロジェクト、有機ELバレー構想などを通じて、企業の技術力の向上や受注機会の拡大を図ってきたほか、地場産業のわざと現代的なデザインを組み合わたカロッツェリアプロジェクトによる新たな物づくりを推進してきたところであり、また、山形セレクションによるブランド戦略により、県内のすぐれた産品を県内外に向けて戦略的に売り込むなど、本県産業を活性化する取り組みを行ってきたわけであります。 このような物づくり産業の競争力を強化するためのプロジェクトについては、次世代製品の開発や自動車関連産業を核とする物づくり基盤の集積などをにらみ、県がいわば旗振り役となって推進してきたものであり、一定の評価をしておりますが、流通開発に向けた研究であれ生産管理技術の向上であれ、これらの取り組みを実践するのは企業自身であります。県としては、共同研究を初めとする技術支援や専門家によるアドバイスなどの支援のほかにも、プロジェクトなどで得られた成果を企業に橋渡ししていくことが肝要であろうと考えております。 物づくり産業の競争力の強化を目的とした自動車産業集積推進プロジェクト、超精密加工テクノロジープロジェクト、有機ELバレー構想の三プロジェクトの今後の展開について、商工労働観光部長にお伺いいたします。 次に、乳幼児医療給付制度についてお尋ねいたします。 最近、特に生活の格差や所得の格差は県民にとって大きな問題であり、格差問題を解消するための施策の推進や制度の改正に取り組むことは、非常に重要であると考えております。 そこで、昨年の七月に改正が行われた乳幼児医療給付制度は、福祉的な観点に加え、少子化対策の観点を取り入れるという明確な政策意図を持って行われたとのことであり、三歳児未満の無料化や第三子以降の無料化など、無料化の範囲が拡大されましたが、その一方で、第一子、第二子については所得制限の基準が引き下げられたところであります。 県のこの所得制限の基準の引き下げに対し、県内の市町村は、逼迫する財政事情から県と同様に基準を引き下げざるを得なかった市町村と、市町村の持ち出しによって何とか基準を引き下げなかった市町村、また、これまで以上に給付拡大を図った市町村とに対応が分かれたところであります。このため、第一子、第二子を持つ子育て家庭において、同じ所得であっても、その住んでいる市町村により、乳幼児医療給付を受けられたり受けられなかったりと格差が生じているのも事実であります。 そもそも乳幼児医療給付制度は、子育て家庭の経済的負担を軽減し、医療を受ける機会を確保するという福祉的観点を持つべきものであり、県内の市町村においてあるいは所得制限を厳しくすることによって、乳幼児医療給付制度に差が生じてはならないものと考えております。 そこで県では、一年経過する今年七月以降に、アンケート調査や市町村の担当者との会議などの意見も参考にして、制度の評価・検証を行おうとしておりますが、その状況と今後の乳幼児医療給付制度のあり方についてどのように考えているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 最後に、子育てを支援する環境づくりについてお尋ねいたします。 過日、平成十八年の人口動態の結果が発表されました。本県の合計特殊出生率は一・四五と前年と同じでありましたが、出生数では九千五百十三人と前年に比べ百五十六人増加が見られたところであります。このままじりじりと低下してしまうのではと危惧したところでありますので、久しぶりにほっとしたところであります。しかし、出生数が多少増加いたしたとしても、長期的には人口減少という大きな流れは変わらないというのが事実であり、今後も、積極的に少子化対策に取り組むことが必要であると考えております。 これらを踏まえて、県においては、現在、平成十七年に策定したやまがた子育て愛プランに基づき総合的な対策を講じているところでありますが、加えて知事からは、若者が山形に誇りと愛着を持ち、住み続けてもらうという視点からの取り組みも示されているところであります。この点につきましては、私も知事と全く同じ認識であり、若者の県外流出が少子化の要因の一つとなっている本県にとりましては、長期的視点で取り組んでいかなければならない問題だと考えております。 しかし、少子化対策につきましては、こうした長期的な取り組みと並行し、今、実際に子育てのさまざまな問題に直面している県民の方々への施策の充実も不可欠であります。私もさまざまな会合で子育て中の県民の皆様の御意見をうかがう機会が多いところですが、その中で特に多いのは、「周りにサポートしてくれる家族や親戚がいなくて不安である」、「子育てしていることに負担を感じる」、「仕事と子育ての両立が大変である」という声であります。こうした不安や悩みを軽減し、安心して子供を産み育てやすい環境づくりをしていくことこそが、今一番求められていることだと思うのであります。 県では、今年度、子育てを社会全体で支える機運づくりを進めるため、就学前の子供のいる家庭を対象に企業の協賛によるやまがた子育て応援パスポート事業を、また、企業における子育て支援の取り組みを促進するため、男女いきいき・子育て応援宣言企業登録制度が創設されたところであります。 いずれの事業も、企業等の協力を得て、県民が安心して子育てできるよりよい取り組みになるように進めていく必要があると考えており、これらの事業の内容と現在の進捗状況について、文化環境部長にお伺いいたします。 以上をもちまして私の質問は終わらせていただきますが、具体的かつ誠意ある御回答をお願い申し上げる次第であります。 ○議長(阿部信矢君) 齋藤知事。 ◎知事(齋藤弘君) 金澤議員からは、私に三点お尋ねございましたので、それぞれ順次お答え申し上げます。 まず第一点目の、人口減少社会と今後の県政についてであります。 御案内のとおり、本県の人口は平成元年以降減少が続きまして、その減少幅も年々拡大している状況にございます。今般の厚生労働省による推計結果は、そうした傾向が今後さらに深刻化する可能性を示唆しているものと受けとめております。それだけに、やまがた総合発展計画に位置づけられた人口減少への対応策を着実かつ迅速に実行するということが極めて大切なのではないかと認識いたしております。 すなわち、さらなる人口減少というのは、労働力の減少による生産活動の低下などという経済産業分野のみならず、社会生活分野など多方面に影響を与える問題であると、また、逆に申せば、これが問題の本質を人口減少に求めることもでき得るというふうに考えております。また、今回の推計結果が示すような大都市への人口の偏在とそれに対応する地方の急激な人口の減少という観点から見てみますと、経済や社会、福祉・医療、雇用などの面で中央と地方の格差を拡大する懸念があり、これが対応を的確に行っていくということが、これからの国づくりさらには県づくりにとって極めて重要であると思っています。 そのために、人口減少への対応をこれからの県政運営の最重要課題と位置づけて、二つ。一つは人口減少そのものの抑制と、それからもう一つは人口減少に適応する地域社会の形成と、こういう両面作戦で県民の総力を挙げて取り組んでまいりたいと思っています。 具体的に申し上げると、人口減少に歯どめをかけるという、第一の人口減少そのものの抑制という観点から、やまがた子育て愛プランによる総合的な少子化対策の着実な推進といったようなこと、さらには、若者の定住対策、県外の団塊の世代等をターゲットとした半定住・長期滞在の促進など、人口の定着、還流の促進に積極的に取り組んでいく必要があるものと思っています。 一方、二つ目の作戦として、人口減少に適応する地域社会づくりという観点からは、三つほど申し上げておきたいと思います。 第一には、人口減少社会においてますます重要となってくる一人一人の力を重視していこうという観点であります。男女共同参画社会の形成に向けた取り組みや地域文化の伝承を通じた高齢者のさらなる能力発揮のための場づくりなどということを通じて、県民一人一人の能力発揮の場を確保しながら促進してまいりたいと思っています。 二点目は、人口減少のもとでも着実に発展し続ける強い産業経済の確立を目指す観点であります。御指摘のようなカロッツェリアプロジェクトの推進や東北六県による広域的な自動車関連産業の集積促進、さらには、食産業群の形成を志向した農業と他産業との連携強化などを通じて、より高付加価値型の産業構造をつくり上げ、地域経済の活力と雇用の確保ということにつなげてまいりたいと考えております。 三つ目は、人口減少下においてもだれもが将来にわたって安心して暮らせる地域社会の実現を目指すという観点であります。地域に根づくまさに我が山形県の特徴でもあります助け合って分かち合ってはぐくみ合うと、こうした互助・互恵の精神を生かした山形らしい地域コミュニティー機能の再生、それから市町村合併を通じた行財政基盤の充実、それからNPOなど多様な主体の参画による生活サービスの維持・確保などを推進していきたいと考えています。 こうしたさまざまな観点に立って取り組みを着実に推進することによって、人口減少社会にあっても県民生活、経済、地域社会それぞれの活力が向上し続け、ひいてはいわゆる格差の問題をも乗り越えることができる、未来に力強い、まさに未来に広がるやまがたを形づくっていくことができるものと考えているところでございます。 二点目の、教育改革への対応についてのお尋ねでございます。 教育は、国家百年の計であります。したがって、本県としても質の高い教育の展開を「やまがた改革」の最重要課題として取り組みを進めているところでございます。 先般五月に、教育三法改正等にかかわる地方公聴会がございました。私は、その場で三つの視点から申し上げたところでございます。一つは山形らしさを生かした教育の実践、二つ目は教育現場の徹底重視、そして三つ目は教育委員会の当事者意識と責任の重要性であります、こうした基本的な骨子として意見を陳述させていただいたところでございました。 私自身、みずからのマニフェストの中で、「県民と教師が共に育む教育立県の創造」として、「教師の質日本一のやまがた」をうたっております。その確立のためには、さらなる教職員の人間としての魅力の磨き上げを含めた資質の向上策を図っていく必要があります。 このたびの教育三法の改正は多岐にわたるものであり、また、一部地方分権推進の流れに逆行して、国の権限強化につながりかねない点も含まれておりますが、とりあえず教員の免許更新制度創設などは、その運用次第では教員の資質向上に資する可能性も見出せるものと考えております。 したがいまして、今後の本県の対応といたしましては、具体的な運用に向けた国の法制度の動向も見きわめながら、石坂委員長や山口教育長の強力なリーダーシップのもとで、本県教育委員会が主体性と責任を持って意識改革を含めた教育改革全般に取り組んでいただくことを大いに期待しているところであります。 三点目でございますが、山形市周辺の市町村合併についてのお尋ねでございます。 前回、県都山形市を含む二市二町の合併協議が破綻して、はや三年がたとうとしております。この間、全国的には平成の大合併が相当進んだ結果、県庁所在地を比較した場合、山形市は東北では最下位、全国では四十二番目の少ない人口規模となりました。 県といたしましては、県都山形市が、周辺市町との合併を実現し中核市となることにより、経済面を初めさまざまな発展の可能性が広がって、ひいては隣県宮城県仙台市とともに東北地方をリードする役割をも担えるものとなるのではないかと考えているところでございます。 合併新法期限でございます平成二十二年三月まで残り三年を切りました。関係首長や各議員の皆様には、市町村が置かれている現状を十分に御認識いただいて、過去の経緯にとらわれることなく、まさに地域百年の計に立ち、大局的見地から地域の発展、住民サービスの維持向上といった、まさにそうした観点から、今、御英断のときであろうと思っております。県といたしましても、そのためには精いっぱいできることをやってまいる所存であります。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 細谷文化環境部長。 ◎文化環境部長(細谷知行君) 子育てを支援する環境づくりにつきましてお答えを申し上げます。 やまがた子育て応援パスポート事業は、御指摘のように、地域全体で子育てを支援する社会機運を醸成し、子育て家庭の負担感の軽減を図ることを目的に、妊婦や未就学児のいる家庭にパスポートカードを発行し、協賛店舗から商品購入額の割引など、さまざまなサービスを受けることができる仕組みを構築するもので、十月からサービスを開始することといたしております。 これまで、企業・店舗を初め同業組合や地域の商工団体を訪問し、協力を依頼しており、現在、二百五十を超える店舗から協賛の意向をいただいております。今後は、個別店舗に加え、商店街が一体となったサービスの提供など面的な広がりも図りながら、協賛店舗数の拡大に努めてまいります。 次に、男女いきいき・子育て応援宣言企業登録制度は、企業における子育て支援を促進するため、育児休業の取得促進など仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組む企業を登録いたしまして、登録した企業に対しまして奨励金の交付やアドバイザーの派遣等を行うもので、今年度は四十社の登録を目指しております。現在、十社から問い合わせや申し込みがございますが、より多くの企業から応募していただけるよう、積極的に事業の周知を行ってまいります。 これらの事業を通じまして、県民、行政、企業等が協働し、地域が一体となって子育てを支援する環境づくりを一層推進してまいりますので、議員の皆様におかれましても御理解と御協力をお願い申し上げます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 藤田健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(藤田穣君) 私へは、乳幼児医療給付制度についてのお尋ねをちょうだいいたしております。 乳幼児医療給付制度につきましては、議員御指摘のとおり、福祉的観点に少子化対策の観点を加味するという明確な政策意図を持ちまして、再構築を行ったところでございます。 もとより、政策遂行にはいわゆるPDCAサイクルを確立する中で、常に評価・検証を伴うものと認識してございますけれども、本制度につきましても、七月に就学前乳幼児を持つ家庭を対象としたアンケート調査、八月にかけては地域子育て支援センター等を訪問しての聞き取り調査、そして九月上旬には市町村との意見交換を行うべく、現在準備を進めているところでございます。 これらの調査や意見等を踏まえまして、来年度に向けて福祉的観点にも十分意を用いながら、少子化対策全般を視野に入れた評価・検証、さらには政策立案につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ○議長(阿部信矢君) 高橋商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(高橋博君) 私には二点お尋ねがございましたので、順次お答えを申し上げたいと思います。 まず、若者を引きつける産業政策についてのお尋ねでございます。 議員御指摘のとおり、少子高齢化・人口減少が進展する中、本県産業の持続的発展を支えていくためには、意欲ある若者の県内定着を図っていくことが不可欠であり、そのためには、産業基盤の強化等により魅力ある雇用の場を数多く創出していくことが重要でございます。 このため、県といたしましては、有機EL、超精密加工などの先導的なプロジェクトや、カロッツェリアプロジェクト、山形セレクション事業に取り組みますとともに、広域的な視点に立った自動車関連産業や観光産業などの振興を図っているところでございます。さらに、本県産業の競争力の強化につながる企業誘致の促進や、組み込みソフト技術に着目したIT産業の集積などにも積極的に取り組んでいるところでございます。 一方、県内におきます人材の定着を図るため、工業高校を初めとする高等学校、産業技術短期大学校、鶴岡工業高等専門学校、山形大学等の教育機関と県内企業との連携・交流を一層強化していきますとともに、首都圏等に進学した学生等に対しましては、これまでの就職相談会に加え、本県の産業・企業に関する説明会を開催しますほか、東京事務所に新たに相談・情報発信窓口となるキャリアカウンセラーを配置し、県外学生等の県内への還流を促進してまいりたいと考えてございます。 次に、ものづくり産業振興プロジェクトの今後の展開についてのお尋ねでございます。 まず、自動車関連産業につきましては、広域連携の取り組みを本年五月には東北六県に拡大し、過日、初めてホンダグループ向けの合同展示商談会を開催しましたほか、昨年度に引き続きトヨタグループ向けの展示商談会も九月に開催することといたしているところでございます。また、本県独自の取り組みとして、今年度新たに県内企業の提案力の強化に向け、モジュール化・ユニット化に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えてございます。 次に、超精密加工テクノロジープロジェクトにつきましては、その成果について既に一部製品化されたのを初めとしまして、県内における技術の広がりに大きな貢献をいたしているところであり、今年度からは第二期の取り組みとして、さらなる技術移転を目指し、超精密加工技術の深化とすそ野拡大を図ってまいりたいと考えているところでございます。 さらに、有機ELバレー構想につきましては、選択と集中の考え方のもと、研究開発の焦点を照明やその応用製品となる表示装置の分野に絞り、プロジェクトを進めているところでございますが、現在、照明用の有機発光パネルの供給体制を構築していくことが重要な課題であると考えてございまして、具体の展開に向け、ものづくり工房についての検討や企業の誘導、育成等に取り組んでいるところでございます。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 安孫子農林水産部長。 ◎農林水産部長安孫子昂也君) 農業経営基盤の確立について、三件の御質問をいただきました。 まず、品目横断的経営安定対策への加入状況についてお答えいたします。 品目横断的経営安定対策の対象となります転作作物は、大豆、麦などとなっておりますが、本県の平成十八年における生産状況は、大豆が作付面積で六千二百四十ヘクタール、収穫量が八千二百四十トンでありますが、麦については積雪の影響を受けることなどから、作付面積が百三十四ヘクタール、収穫量は二百二十一トンと少なく、両作物とも平成十四、十五年をピークに減少傾向にあります。 大豆につきましては、水田農業を確立する上で重要な作物であり、高品質・安定収量の確保に向けて、新品種や新技術の導入を推進しております。また、麦につきましても要望の多い品種の導入を進めながら、品質・収量の安定確保を図っているところでございます。 また、品目横断的安定対策への加入申請状況につきましては、六月十五日現在、米が一万二千九百ヘクタールで、平成十八年作付面積の一八%、大豆が千四百ヘクタールで、十七年作付面積の二三%、麦は昨年の秋段階でほぼ一〇〇%の加入状況となっております。 本年度の加入見通しにつきましては、米、大豆について農協などからの大口一括申請が今月末に予定されており、最終的には作付面積のおおむね五〇%ほどになるものと見込んでおります。 次に、集落営農の課題についてです。 集落営農については、意欲ある小規模農家や園芸農家などを含めて、地域ぐるみで農業・農村の維持発展を図るという観点から、市町村、JAなどと連携し、集落営農組織の設立を支援してきております。加入見込みにつきましては、二月段階では低かったものの、現在、加入を目的に約百六十の集落営農組織が設立されており、最終的には一万ヘクタールを超え、全国的にも高い加入面積になるものと見込んでおります。 また、集落営農の課題につきましては、活動の核となり集落を先導するリーダーの確保のほか、共同組織の運営や経理の一元化に対する懸念、農家みずからの農地に対するこだわり、こうしたことがあるものと認識をしております。このため、関係団体などともさらに連携し、地域の声を十分にお聞きしながら、合意形成に向けた活動支援や集落リーダーの育成に努めますほか、集落ぐるみの共同営農やオペレーター型の営農組織、こうした組織へ誘導を図るなどきめ細やかな対応を行いながら、引き続き集落営農の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 次に、三点目の集落営農組織の法人化についてお答えいたします。 品目横断的経営安定対策の導入に当たりましては、昨年度来、まずは制度への加入を優先的に、集落営農の組織化を積極的に支援をしてきております。あわせて、今後は、品目横断的経営安定対策の活用により、生産費の確保を図りながら、集落営農組織として経営の自立を図ることが重要でございます。また、集落営農に参加する農業者が自信と自覚を持ちながら、所得の向上や経営の安定など、組織としての経営基盤を確立していくことにより法人化に向けた機運が高まるものと考えております。 県といたしましては、今後とも組織の法人化によるメリットなどの啓発普及、優良事例の情報提供、さらには特定農業団体に対する法人化指導などを行ってまいります。また、県内三十地区を新たなモデル地区として指定し、税理士など専門家を招いての経営計画の策定指導を行うほか、地域の実情に対応した現地支援を重点的に実施するなど、今後とも集落営農組織の法人化を積極的に推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(阿部信矢君) 二十番金澤忠一君。 ◆20番(金澤忠一君) ただいまは、知事初め執行部からの御回答あったわけでございますけれども、私も、最後につけ加えさせていただきました具体的かつ的確に御答弁をお願いしたいということですが、何かきょうの答弁全部聞いても、執行部の答弁が抽象的で具体性に欠けていると私は感じておったところでございます。 まず、知事の人口減少社会については、やはり百年なら百年という形の中で、身近な問題を検証しながら進めていくというのもまた必要であろうというふうに考えております。 ただ、健康福祉部長の方で言われました乳幼児医療給付制度ですね、それは今から検証したり意見を聞いたりというようなことをあえて私は質問させていただきましたが、それは、去年のうちから各町村長会、また市長会の方でも取り上げられた問題なんですね。それをしっかりと一年間の検証をして、そしてやはり政策的意図でなくして、--私は、医療は平等に受けるべきだと思う。第三子が生まれたから、子育てを支援するためにこちらの方に補助金をつけるみたいな制約的な形でなくして、福祉・医療は福祉・医療の水準をきちっと保っていくこと、そして子育ては子育て、子供を産みやすい環境の政策は政策としてきっちりと打ち出して、それを連動していく、そういうシステムにしていただきたい。 私は、そういう観点から、来年度の医療給付制度、また昨年も行われました、あの重度心身障害者給付制度もそうなんでございますが、義務的経費と非義務的経費の中でのはざまがそういうところにあらわれてきているのかなと、そんなことを今回の答弁で感じ取ったところでございます。 まずそういう点も踏まえながら、また前向きな形の中で対応していただくことを希望し質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 ○議長(阿部信矢君) 以上をもって通告者の発言は全部終わりました。 質疑及び質問を終結いたします。 △議第百六号議案から議第百八号議案までの採決 ○議長(阿部信矢君) この場合、お諮りいたします。ただいま議題となっております案件中、議第百六号山形県公安委員会委員の任命についてから、議第百八号山形県人事委員会委員の選任についてまでの三案件については、事件の性質上所定の手続を省略、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(阿部信矢君) 御異議なしと認めます。よって、所定の手続を省略、直ちに採決することに決定いたしました。 これより採決に入ります。 まず、議第百六号山形県公安委員会委員の任命についてを採決いたします。 お諮りいたします。議第百六号については、これに同意することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(阿部信矢君) 御異議なしと認めます。よって、議第百六号はこれに同意することに決定いたしました。 次に、議第百七号山形県監査委員の選任についてを採決いたします。 お諮りいたします。議第百七号については、これに同意することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(阿部信矢君) 御異議なしと認めます。よって、議第百七号はこれに同意することに決定いたしました。 次に、議第百八号山形県人事委員会委員の選任についてを採決いたします。 お諮りいたします。議第百八号については、これに同意することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(阿部信矢君) 御異議なしと認めます。よって、議第百八号はこれに同意することに決定いたしました。 △議第九十二号議案から議第百五号議案まで(各常任委員会付託) ○議長(阿部信矢君) この場合、ただいま議題となっております議第九十二号から議第百五号までの十四案件は、それぞれ所管の委員会に付託いたします。〔参照〕 △(イメージ)常任委員会付託表(平成19年6月定例会) △日程第十九請願 ○議長(阿部信矢君) 次に、日程第十九請願を議題に供します。 本件についても、願意の内容審査のため所管の委員会に付託いたします。 ○議長(阿部信矢君) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明二十六日から二十八日までの三日間は委員会審査のため休会とし、二十九日定刻本会議を開き、各常任委員長より審査の経過と結果について報告を求めます。 本日はこれをもって散会いたします。      午後三時五十八分 散会...