秋田県議会 > 2014-12-08 >
12月08日-12号

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  1. 秋田県議会 2014-12-08
    12月08日-12号


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    平成26年 第2回定例会●平成26年秋田県議会第2回定例会会議録 第12号---------------------------------------議事日程第12号  平成26年12月8日(月曜日)  午前10時開議第1、一般質問---------------------------------------本日の会議に付した事件    議事日程に同じ--------------------------------------- △午前10時開議 本日の出席議員    43名    1番  佐藤正一郎    2番  三浦茂人    3番  丸の内くるみ   4番  沼谷 純    5番  小原正晃     6番  最上英嗣    7番  菅原博文     8番  菅原広二    9番  田口 聡    10番  加藤麻里   11番  渡部英治    12番  東海林 洋   13番  虻川信一    14番  佐藤雄孝   15番  北林丈正    16番  竹下博英   17番  原 幸子    20番  石川ひとみ   21番  三浦英一    22番  こだま祥子   23番  工藤嘉範    24番  近藤健一郎   25番  加藤鉱一    26番  佐藤賢一郎   27番  小松隆明    28番  平山晴彦   29番  瀬田川栄一   30番  宮腰 誠   31番  中田 潤    32番  土谷勝悦   33番  柴田正敏    34番  渋谷正敏   35番  大関 衛    36番  川口 一   37番  小田美恵子   38番  武田英文   39番  鶴田有司    40番  大野忠右エ門   41番  能登祐一    42番  大里祐一   43番  佐藤健一郎   44番  鈴木洋一   45番  北林康司---------------------------------------   出席議員    42名    1番  佐藤正一郎    2番  三浦茂人    3番  丸の内くるみ   4番  沼谷 純    5番  小原正晃     6番  最上英嗣    7番  菅原博文     8番  菅原広二    9番  田口 聡    10番  加藤麻里   11番  渡部英治    12番  東海林 洋   13番  虻川信一    14番  佐藤雄孝   15番  北林丈正    16番  竹下博英   17番  原 幸子    20番  石川ひとみ   21番  三浦英一    22番  こだま祥子   23番  工藤嘉範    24番  近藤健一郎   25番  加藤鉱一    26番  佐藤賢一郎   27番  小松隆明    28番  平山晴彦   29番  瀬田川栄一   30番  宮腰 誠   31番  中田 潤    32番  土谷勝悦   33番  柴田正敏    34番  渋谷正敏   35番  大関 衛    36番  川口 一   37番  小田美恵子   38番  武田英文   40番  大野忠右エ門  41番  能登祐一   42番  大里祐一    43番  佐藤健一郎   44番  鈴木洋一    45番  北林康司---------------------------------------          地方自治法第121条による出席者               知事             佐竹敬久               副知事            堀井啓一               副知事            橋口昌道               総務部長           藤井英雄               総務部危機管理監(兼)広報監 松浦春男               企画振興部長         山田芳浩               観光文化スポーツ部長     前田和久               健康福祉部長         梅井一彦               生活環境部長         佐々木 誠               農林水産部長         奈良 博               産業労働部長         佐々木定男               建設部長           冨田耕司               会計管理者(兼)出納局長   相場哲也               総務部次長          天利和紀               財政課長           光永祐子               教育長            米田 進               警察本部長          小嶋典明--------------------------------------- ○議長(能登祐一議員) これより本日の会議を開きます。 諸般の報告は、お手元に配付してあります議長報告のとおりでありますので、朗読を省略いたします。--------------------------------------- △議長報告(朗読省略)  1、委員会に付託した請願は、別紙請願文書表(第2号)のとおりである。 1、委員会に送付した陳情等は、別紙陳情文書表(第2号)のとおりである。---------------------------------------   [平成26年第2回定例会(12月議会)請願文書表陳情文書表(各第2号)は巻末に登載]--------------------------------------- ○議長(能登祐一議員) 日程第1、一般質問を行います。 本日は、12番東海林洋議員、29番瀬田川栄一議員、9番田口聡議員一般質問を許可することに御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(能登祐一議員) 異議ないものと認めます。まず、12番東海林議員の発言を許します。   [12番(東海林洋議員)登壇](拍手) ◆12番(東海林洋議員) おはようございます。会派いぶきの東海林洋でございます。秋田県の持続的発展を願って、一般質問をさせていただきます。 初めに、地方創生について伺います。 人口減少対策としての地方活性化と東京一極集中の是正を柱とする地方創生関連二法案が、さきの国会で可決・成立いたしました。この法律の内容は、既にこれまでの質問で示されておりますので省略いたしますが、日々、地域の持続的発展を目指して努力している我が秋田県を初め地方公共団体にとって、国が国家的課題として地方創生に取り組むことを決めたことは、歓迎すべきことと思います。 これまで、「ふるさと創生事業」や農山村振興対策、地方への産業再配置対策、過疎対策など、さまざまな取り組みがなされてきましたが、産業移転は進んでおらず、人口減少に歯どめがかからないのが地方の現状です。 本来、国が果たすべきは、医療・介護、年金など社会保障制度の確立や、一定年齢までの子育て費用の軽減などであると思いますが、この機会に、長期的あるいは恒常的な仕組みとして、地方への財源シフトと規制緩和などの分権推進を強く求めるべきと考えます。 平成の大合併で、本県の市町村数は69から25になりました。合併に際しては、「このままでは、財政的に立ち行かなくなるから」という理由で、県が積極的に進めたものと記憶しています。 10年以上経過し、合併した市町村でも人口減少が続いています。行政規模の拡大だけでは、地方の活性化は難しいことの証でしょうか。一方で、合併しなかった市町村で消滅したところは一つもありません。むしろ、個性を発揮し、住民と行政が一体となって、充実した地域運営を行っているようにさえ感じます。 決して合併が失敗だったと言っているのではありません。スケールメリットの効果が、まだ発揮できていないのかもしれませんし、合併したからこそ、ぎりぎりのところで踏みとどまっているのかもしれません。 申し上げたいのは、「地方」は決して画一的な存在ではなく、それぞれの地域が、地理的条件を含めて、長い歴史と独自の文化や生活感を持っていること。そして、その地域の持っているよい点を伸ばしていくことが、住む人に幸せを感じさせ、魅力のある地域となって続いていくということであります。 今回の地方創生を進める上で、国においては、総務省や国土交通省を中心に、地方拠点都市を柱として整備・集約を図ることが検討されております。個性ある地域を効率優先で都市化することが、長い目で見て、本当に地方創生につながるのか私には疑問です。病院や学校など一定の規模が必要なものはやむを得ないとしても、居住を含め、生活圏をも集約することとは明確に区別すべきと思います。都市部への機能集約やコンパクトシティについて、将来を見据えた本質的議論が必要であると考えます。 そこで、知事に伺います。地方創生に対する県の取り組みの基本的な考え方は何か、また、県内での秋田市一極集中を是正することは考えておられるのか、さらに、県内各地域の活性化について、拠点に集約する方向なのか、御答弁をお願いいたします。 この項の最後に、知事にお願いがあります。 私は、50年後の秋田が消滅しているとは思いません。むしろ、秋田のよさを満喫しながら、老いも若きも、女性も男性も、各地域で楽しく暮らしている姿を想像しております。 さきに公表された県民意識調査において、各分野に非常に厳しい評価が多い中で、農林水産業の振興や観光誘客、新エネルギーの導入促進などに、20代の若者が多くの高い評価を与えております。将来を担う彼らの期待と関心の高さが伺えます。 秋田の持つ良質な自然資源や、築き上げてきた文化・技術などを磨き、伸ばすことを、今後50年の県政の指針として県民に明確に発信していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 次に、人口減少社会への対応について伺います。 まず、基本的考え方についてお聞きします。 県が取りまとめた「2040年、人口70万人社会のシミュレーション(中間報告)」において、2040年の医療、介護、子育て、教育などの社会構造と人数等の予測数値が示されております。これらの予測数値は、公表されている客観的な資料に基づいたものであり、大きくずれることはないと思われます。 人口が急激に変化するときや長期にわたって減少するときなど、社会構造の変化に対応して適切な施策を講ずることは、行政として当然の責務ですので、財政面や人材面を考慮しながら、早目早目に手を打つ必要があると考えます。 一方で、減少要因の分析は、公表されている資料からの推測だけでは不十分と考えます。確かに今現在の少子化の理由としては正しいのかもしれませんが、昭和22年をピークに出生数が減少していることを考えると、当時の進学状況や就労状況、子育て環境も現在とは全く異なる状況だったはずであります。何カ所かの特徴的な地区を選び、聞き取り調査を実施してみてはどうでしょうか。また、人口が減少すること自体が大変なことだと考えることも、必ずしも正しいことでしょうか。 世界の人口は現在72億、毎日20万人が増加しており、食料不足や環境への影響が懸念されております。日本の人口や秋田の人口の適正数は一体何人なのか、どこを調べても出てきません。人口が減少しても、生産性が向上し、より豊かな生活ができるのであれば、その方向を目指すことも一つの方法として考えるべきと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、人口減少社会において、現実に対応すべき課題について伺います。 一つは、地域公共交通システムの再構築についてであります。 かつて、鉄道と路線バスが主役だった地方公共交通の時代は、モータリゼーションの進展により、すっかり自家用車に取ってかわられた感があります。列車の本数は減り、採算の取れなくなったバス路線は減少や撤退となり、地域交通の利便性は今や大きく低下しております。車を自分で運転できない高齢者や、子供たちは不便さを感じ、車を持っている人でも、通勤や学校への送り迎えなどで、経済的・時間的制約を感じていると思います。今後、本県では超高齢社会を迎え、車を運転しない高齢者はさらに増加していくものと予想されます。加えて、小・中学校の統合が進んでおり、スクールバスの運行も、市町村にとっては大きな財政負担を伴うものであります。 こうした状況を踏まえると、地域公共交通の再構築は、活力ある地域社会実現のために不可欠な要素であり、道路や上下水道と同様、インフラと捉え、行政が積極的・計画的に整備を進める時期に来ていると考えます。 本県においては、12の市や町で、地域公共交通活性化再生法に基づく「法定協議会」が設置されているほか、24市町村で、道路運送法に基づく「地域公共交通会議」もつくられております。地域の公共交通を、多くの住民や事業者、市町村などとともに考え、地域にとって最適なものに再構築することを、県も積極的にかかわって進めるべきと考えます。 最近では、民間の商業施設が送迎バスを試験的に運行する事例も出てまいりました。病院や金融機関、学校関係者、商工業者なども含め、先進事例を県内でつくっていくべきだと思います。知事のお考えをお聞かせください。 二つ目は、健康長寿についてであります。 人口減少高齢化社会にあっても健康長寿を実現できるのなら、楽しく理想的な社会と言えるのではないでしょうか。これまでは、病気にならないこと、イコール、予防を中心に健康対策が行われてきたと思いますが、今後高齢期を迎える、私も含め、これからの方々は、それまでの生き方を考えると、より積極的な健康指向、専門的なスポーツとしての取り組みなどを求めるのではないでしょうか。「第2期健康秋田21計画」においては、多様な分野における連携として、総合型地域スポーツクラブ等とのつながりを掲げていますが、これに加え、ゴルフ場やアスレティッククラブなどとの連携についても検討すべきと考えます。 また、豊富な温泉を活用した健康増進施設も、本県の魅力を高め、観光資源としても活用できるものと思います。秋田市河辺に県が設置した「ユフォーレ」の活用状況と、今後の健康長寿取り組みについて伺います。 三つ目は、安心・安全の確保についてであります。 まず、道路・橋梁や法面などの安全対策と、土砂災害警戒区域の指定について伺います。 道路・橋梁等については、県・市町村とも調査を完了し、長寿命化など必要な対策については、国・県・市町村・関係団体や民間事業者で構成する「協議会」において、検討の上、計画的に実施していると聞いております。 しかし、広島県の土砂災害や、先般長野県で発生した直下型地震の被害状況を考えると、とても人事とは思えません。これから厳冬期を迎える、しかも夜間に同様の災害が発生したらどうなるのだろうと、不安が広がります。 可能な限り、安全対策土砂災害警戒区域の指定について、計画を前倒しに実行し、被害を最小限にとどめるべきと思います。現状と計画の前倒しについて、県の考えをお伺いいたします。 もう一つは、「振り込め詐欺」などの防止対策についてであります。 連日の報道にあるとおり、依然として被害は後を絶たず、その手口は巧妙化・多様化してきております。金融機関との連携協力で、ATMでの振り込みを直前で防ぐことができるようになったと思ったのもつかの間、今度は、銀行員や警察官を装い、被害者から直接だまし取るという悪質さであります。地域住民が最も信頼できるはずの「警察官」に成りすまされたら、高齢者の方々はもちろん、一般の住民も対処に窮してしまいます。 これまでの答弁で示された個別具体的対処は当然必要なことですが、これ以外にも二つの方法が考えられると思います。 一つは、重い刑罰を科すことです。社会の安全を脅かす犯罪として、法律を改正すべきではないでしょうか。 二つ目は、地域を所管する警察官が、積極的に地域に溶け込み、多くの方と知り合いになることです。かつて、駐在所に警察官が長く住んでいたときは、勤務としてはもちろん、同じ地域の生活者として、住民との十分な交流がありました。現在の交番勤務の方に同じことを望むのは無理かもしれませんが、町内会の会合や交通安全、防犯など、関連する地域の集まりに参加することは可能だと思います。こうした活動を通じて、多くの住民に顔を知ってもらうこと、これが最大の防止策と考えますが、いかがでしょうか。 法改正の動きと、地域に積極的に入り込む活動について、警察本部長の見解をお伺いいたします。 次に、秋田の特性を生かした産業振興等について伺います。 私は、県議会議員として2期8年のうち、6年を産業関連の委員会に所属させてもらいました。委員会での調査や議員連盟での活動、個別課題についての視察研修などを通じて、県内や全国における産業振興策や文化について、多くを学ぶ機会をいただきました。こうした経験を通じて、秋田の産業振興は、自分たちが持っている良質な自然資源や、文化、技術などを磨き上げ、活用していくことだとの思いを一層強くいたしました。地方創生の方針とも重なりますが、いま一度、基本的な考えをお聞かせください。 こうした観点から、具体的な活用について伺います。 1点目は、自然資源の活用についてです。 まず、水力発電について伺います。 本県は豊富な山林や十分な降雨・降雪量があることから、水力発電が行われており、県営発電所も16カ所設置されております。水力発電は、建設するとき以外は環境への負荷が少なく、安定的供給が可能なエネルギー源であり、その価値は高いものと考えます。 水力発電の発電電力は、「水の流れる量掛ける有効落差掛ける9.8」とされていますが、これに水車や発電機等の効率を乗じた値が、実際の発電量になります。 県営水力発電所16カ所のうち、半分の8カ所は、昭和30年代から40年代に設置されたものであり、老朽化や発電効率に問題は生じていないのでしょうか。最新の技術や機器に更新すれば、どれだけの発電量の増加が見込めるのか、検討しているのでしょうか。更新計画とあわせてお示しください。 また、国内では既に大規模水力発電の適地はないとされていますが、例えば、鳥海ダムのように高い位置に貯水できる場合、一定の水量を専用の導水管に引き込み、必要な落差を持つ複数箇所の発電所を建設することができれば、有力なエネルギー源となると思われます。実現についての課題と可能性について、見解をお伺いいたします。 次、バイオマス発電について伺います。 全国一の杉人工林面積を持つ本県においては、森林資源の有効活用は喫緊の課題であります。木質ボイラーやペレットストーブの導入は順調に進んでいるようですが、発電となると、単体事業では採算面や原料の確保の問題などから、今ひとつ踏みきれていないのではないでしょうか。 そんな中で、先日、大館市の釈迦内工業団地に、電子部品商社が発電とその排熱を利用した野菜生産工場を建設するとの報道がありました。完全人工光によりリーフレタスを生産する植物工場であるとの内容も記されておりました。まだ計画段階とは思いますが、このバイオマス発電にはどれだけの県産材が使われるのか、どう確保するのか、また、植物工場には県内企業や県立大学の技術や製品は導入されるのかなどについて、お知らせください。 木材に関してもう一つ、CLTについて伺います。 CLTは、板を直交するように重ねて接着した大判のパネルのことで、既にオーストリアを中心に、ヨーロッパでは中高層のアパート、集合住宅も建設されております。 日本においても、今後、木質構造用材料としての活用に向けて、林野庁と国交省が連携し、普及に向けたロードマップを公表しております。平成28年度までに、強度や施工ノウハウの実証試験を行い、当初の5万立方メートルから平成36年度までには50万立方メートルの生産体制を構築するとしております。 本県からは、県立大学の木高研が日本CLT協会特別賛助会員として参加しており、強度試験等を担っていることは大いに期待するところであります。肝心のCLTの生産体制について、本県木材業界取り組みはどう進めていくのでしょうか。現状と今後の対応について、お示し願います。 2点目は、文化や技術などの資源活用についてです。 今年最大のイベントだった「国民文化祭」も、11月3日、無事終了いたしました。私も幸い、開会式と閉会式に出ることができましたし、県民参加事業にもかかわらせてもらいました。また、県立図書館のホールで行われた、11月1日の「県民読書の日」宣言イベントにも出席させていただきました。佐竹知事の話し方が、いつにも増して穏やかで、静かな雰囲気の中、感動したことを覚えております。 速報によると、国民文化祭の観客数は101万人、出演者2万8,000人、スタッフやボランティアの人が1万7,000人に上るそうです。多くの県民が参加し、楽しいときを過ごした、秋田らしい「文化祭」だったと思います。 一方で、県や市町村、民間団体などの総費用は、かかわった職員の人件費を除いても17億5,000万円に上ります。さらに、相当の準備期間を要し、多くの人がかかわり、資金集めや会場の確保、集客などに苦労した事業も多いと聞いております。まさに、初めての「国民文化祭」だからこそ実現できたことだと思います。今後は、長期的視点で、今回の国民文化祭にかかわったそれぞれの分野の方々が、交流を深めたり、活動の範囲が広がるような施策を講じていくべきと考えます。 これまでの答弁において、各種イベント支援や「文化芸術振興月間」等の検討をされているようですが、今後も文化振興に力を入れていくことを県民に具体的に示し、将来にわたって各種文化活動の芽を育んでいくためには、現在設置されている「芸術文化振興基金」の使途拡大や充実なども有効だと思います。知事の御所見を伺います。 3点目は、秋田の資源の国際的な活用についてであります。 本県には、秋田大学国際資源学部国際教養大学があり、今後も留学生や研究者が多く訪れることと思います。 我が県は、かつて鉱山県として名をはせ、現在も微量ながら油田から石油を産出しているほか、天然ガスも生産しており、国内では極めて貴重な地域であります。ここ秋田を、資源学の実証研修の場として、世界から人を呼び込めないでしょうか。 また、秋田は、日本の中では田舎ですが、都会にはない良質な田舎であり、自然や伝統文化が数多く残っている地域です。日本の原風景や生活・文化を学ぶには、格好のフィールドであると思います。国際教養大学を通じて、世界に発信していくことも可能と思います。 地方創生に関して、全国知事会では、これまで軽視されてきた地方の大学の充実を要望していくと聞いております。これも追い風になると思います。 秋田には、多様な自然、資源、文化や伝統的技術など、地方創生に生かせるたくさんの素材があります。その持てるものを世界に発信し、活用するための切り口として、まずは大学を通じた国際的な秋田の資源の活用について、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、観光推進について伺います。 これまで申し上げました、地方創生基本的考え方や秋田の特性を生かした産業振興は、全て本県の観光推進に結びつくことです。観光文化スポーツ部が設置されて3年を経過します。秋田の観光の柱が何なのかは、既にわかっていることと思います。これまでは、県の職員を中心に企画立案や事業実施を行ってきましたが、いつまでもこの状態を続けることが最適であるとは思えません。 観光産業は、本県の持つ自然環境や文化的資源を、最も活用できる成長産業であるはずです。3年間、多方面での経験と研さんを積み、準備もできたことと思います。将来にわたって観光産業を伸ばしていくためにも、市町村や関係する民間も含めて、観光推進の拠点組織をつくるべきと考えます。知事の考えをお伺いいたします。 これで私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(能登祐一議員) 県当局の答弁を求めます。   [知事(佐竹敬久君)登壇] ◎知事(佐竹敬久君) おはようございます。東海林議員一般質問にお答え申し上げます。 まず、地方創生でございます。 地方創生国家的課題としてクローズアップされておりますが、これは、我が国全体が人口減少局面を迎えており、とりわけ、地方における人口減少の弊害が著しく、このままでは国家の存立にも影響を与えかねないといった危機感が、国民の間で共有されたことによるものと考えております。 地方創生については、人口面だけで捉えられがちですが、突き詰めて考えれば、大切なことは、人々が多様な価値観のもと、満足のいく暮らしができるかどうかということであります。 このような考えに立ちますと、我が国全体を全て都市化すればよいというものではなく、農業を基幹として発展してきた本県においては、一定の都市機能を備えた都市が存在し、その周辺部に豊かな自然環境を有する農村部が広がるという姿が理想であります。隣県を見ても、高次な都市機能を備えた県庁所在地と、地域住民のニーズを満たす一定規模の都市が複眼的に存在している状況にあります。 こうした中にあって、本県においては、農村と都市のバランスを取りつつも、県都秋田市が全県をリードする都市として力強く発展するとともに、他の地域においても、拠点となる都市が複数存在するような県土の形成を目指す必要があると考えております。 もとより、地方創生を進めていく上では、本県の有する有形無形の多様な資源に着目しながら、これらの資源に斬新な発想を加えて磨きをかけていく視点が重要であり、こうした考え方が、将来にわたって県政の運営指針のベースになっていくことは明らかであります。 次に、人口減少社会への対応について、基本的な考え方でございます。 本県の人口減少要因については、年度内に取りまとめる「秋田の人口問題レポート(仮称)」において、より詳細にお示しすることにしております。今後、このレポートをもとに、小規模集落も含め、地域の方々と幅広く意見交換を行いながら、地域の実情を踏まえた効果的な対策を盛り込んだ「地方版総合戦略」を策定してまいります。 人口問題を一気に解決する決定打はなく、一定の人口減少を前提としつつも、ふるさと秋田の活力を維持していくことが重要であります。そのためには、人口減少下にあっても県経済の規模を維持していくことが不可欠であり、「第2期プラン」は、まさに、こうした視点に立って策定したもので、生産性や付加価値の向上、販路の拡大、交流人口の拡大などにより、県民1人1人の所得の向上を図るため、現在、各般の施策を展開しているところであります。 今後とも、本県が持つ特性や強みを最大限に活用しながら、秋田ならではの地方創生に取り組むことにより、日々の暮らしに安心と豊かさが感じられる秋田の実現を目指してまいります。 次に、地域公共交通システムの再構築でございます。 今後の人口減少等の進行を見据えると、地域公共交通の維持確保はますます困難になると考えられることから、これまでの取り組みを検証し、一律の方法ではなく、地域ごとの実情に即した取り組みを検討していく必要があります。 現在、さまざまな形態で公共交通が運行されておりますが、例えば、規制緩和を前提に、宿泊施設が所有し送迎等に使用しているバスを、平日は公共交通として活用するなど、さまざまな手段の組み合わせも含め、今までにない思い切った手法を検討していかなければならないと考えております。 次に、健康長寿でございます。 県では、多くの県民が身近なところで気軽に運動を楽しむことができるよう、総合型地域スポーツクラブなどと連携し、県内各地での運動機会の提供に努めております。 日常的な運動から専門性の高いスポーツまで、県民ニーズが多様化するとともに、高齢化が進行する中で、スポーツ関係の民間企業や団体等において、さまざまなサービスの提供が見込まれることから、県としても、健康づくりへの活用の視点から、こうした動向を注視してまいりたいと考えております。 また、ユフォーレは、健康に関する情報提供や研修等を行う拠点施設として、水中エクササイズ教室などの各種運動教室を開催しており、年間約8,000人の方々が参加しているほか、温泉やトレーニングルーム、プールの利用などを合わせた入館者は、年間9万人を超えております。 今後とも、市町村や総合型地域スポーツクラブと連携しながら、ライフステージに応じてさまざまな運動に親しむことができるよう、その環境づくりに取り組み、「健康長寿あきた」の実現に努めてまいります。 次に、安心・安全の確保でございます。 最初に、道路・橋梁等の安全対策土砂災害警戒区域の指定でございます。 県が管理する道路・橋梁等については、適切な点検を行いながら積極的に安全対策に取り組んでいるところであり、平成21年度に策定した「橋梁長寿命化計画」の進捗率は、現在のところ計画を上回るペースで推移しております。 また、市町村に対しては、国と連携した技術的支援に加え、個別に実施されている道路施設の点検業務の包括的な発注を推進するなど、その取り組みを強化してまいります。 土砂災害対策については、全ての危険箇所を住民に周知するため、説明会の開催や看板の設置を今年度中に終えることにしており、さらに、土砂法に基づく警戒区域等の指定についても、手続の効率化を図りながら加速してまいります。 次に、秋田の特性を生かした産業振興等について、まず基本的な考え方でございます。 かつて本県は、食料や木材、鉱物資源など多くの資源を供給し、我が国の経済発展や国民生活の向上に大きく貢献してまいりました。現在においても、これまで蓄積してきた産業技術や人材、さまざまなエネルギー資源、清浄で広大な空間を持つ豊かな自然や、先人から営々と引き継がれてきた地域文化など、これからの日本の発展になくてはならないハード・ソフトの資源を有しております。 こうした有形無形の豊富な資源を、時代の変化や多様化する価値観に合った形で最大限に活用することで、産業経済の活性化を図るなど、「秋田ならではの地方創生」を進めてまいりたいと考えております。 次に、各種資源の活用について、県営水力発電所でございます。 公営企業中期経営計画に基づき、定期的なオーバーホールや補修改良を実施し、当初と変わらない発電効率を維持しており、近年の水車技術の革新によって数%の発電出力の増加が可能で、これは経営の安定にもつながると考えております。 早口発電所については、今年度、300キロワット増を見込んで全面更新事業に着手したいと考えており、その他の発電所については、基幹である発電機の老朽度合いや将来の電力価格動向などを見据え、今後の収支計画や投資見通しの中で全面更新を検討してまいります。 また、鳥海ダム本体の建設に向け、現在、国では調査検討を行っておりますが、発電所の建設については、既に同水系で発電している事業者と協議しながら検討してまいります。 バイオマス発電でございます。 議員御指摘の、大館市での発電施設の設置計画については、出力が約1,000キロワットと比較的小規模な施設であることから、使用する木材チップは、原木に換算して年間5,000立方メートル程度で、全て県内業者から供給されるものと見ております。 また、発電の排熱を利用した植物工場については、大館市の協力を得ながら、事業計画の検討を進めている段階と伺っております。 現在、県では、県立大学や民間企業と連携して、植物工場における機能性野菜などの栽培実証に取り組んでいるところであり、今後、こうした生産システムや栽培技術のノウハウなどの情報を提供してまいりたいと考えております。 次に、CLTでございますが、CLTは中高層建築に対応できる建築部材であり、将来の県産材の需要拡大を図っていく上で、注目すべき新製品であると考えております。 現在、国では、このCLTを用いた建築工法を一般化するため、平成28年度までに技術基準等を制定することにしており、県内においても、木材高度加工研究所が強度試験などを進めております。 このような中、その将来性に着目し、県外の先進事例の視察を行う企業も出てきたほか、本年4月に設立された日本CLT協会には、県内の4社が会員登録しております。 一方、CLTの製造には多額の設備投資を伴うことから、企業が事業の実施を決断するためには、将来の需要見通しや採算性を十分に見きわめることが重要と考えております。 こうしたことから、まずは木材高度加工研究所と連携の上、試験データの蓄積と技術情報の収集に取り組むとともに、先進企業における生産動向等、経営判断に資する情報の提供に努めるなど、県内企業によるCLT生産の実現に向けた取り組みを支援してまいります。 次に、文化や芸術資源の活用についてであります。 国民文化祭の開催を契機として、地域の文化を再認識し、それを継承していこうとする機運が高まっており、市町村等では、この盛り上がりを今後の取り組みにつなげる方策が検討されております。 県としては、来年度にも、県内の伝統芸能関係の方々が発表し、県内外の団体と交流を深める場として、一般財団法人地域伝統芸能活用センターや横手市との共催により、「第23回地域伝統芸能全国大会」を開催する予定であります。 また、芸術文化振興基金の活用については、国民文化祭の成果を検証した上で、今後の民間団体等が行う文化事業への支援のあり方や財政事情を勘案しながら、その充実の方向性を探ってみたいと考えております。 次に、秋田の資源の国際的な活用でございます。 本県には国際資源大学校があり、毎年海外から多数の研修生が来ているほか、今年4月に新設された秋田大学国際資源学部は、地球規模の資源問題の解決に向け、国際的視野と実践力を備えた人材を育成する国内唯一の学部として、鉱山や精錬施設、鉱物資源を活用した実習を行うなど、秋田の特徴を生かした教育に取り組んでおります。 同学部の教育研究水準が世界トップレベルにあり、また、本県が多様な実習フィールドを有していることを踏まえると、秋田が世界における資源学の実証研修の場になるものと考えております。 国際教養大学では、毎年約300人の留学生が地域の祭りや農作業等に積極的に参加し、秋田の自然や生活、文化に親しんでおり、それぞれの国において、本県のPRにつながっているものと考えております。 さらに、大学では、インターネットを利用して、秋田の民俗文化や伝統芸能などに関する講座を世界に配信することにしており、秋田の情報発信が一層進むものと考えております。 県としては、大学のグローバル化が進展する中で、県内の大学と緊密に連携し、留学生を含め、海外から多くの方々に来ていただけるよう、秋田の魅力を世界へ発信する取り組みを促進してまいります。 次に、観光推進の拠点組織でございます。 観光地間の競争が激しさを増す中、行政と民間が一体となって観光振興に取り組むことは極めて重要であることから、観光文化スポーツ部の設置を契機に、秋田県観光連盟の組織改革と機能強化を図っているところであります。 具体的には、大手旅行代理店から2名の観光ディレクターを迎え、観光事業者間のコーディネートを行うとともに、昨年のデスティネーションキャンペーンでは、オール秋田でのおもてなし運動などを展開いたしました。その結果、各地域においては、事業者みずからが、おもてなしを初め、主体的な誘客活動に取り組む機運が醸成されたところであります。 県としては、国内外の観光客から秋田を選んでいただけるよう、今後とも、観光連盟の機能強化を図るとともに、適切な役割分担のもと、これまで以上に連携を強化しながら、地域や事業者が主役となった観光地づくりに積極的に取り組んでまいります。 私からは以上であります。   [警察本部長(小嶋典明君)登壇] ◎警察本部長(小嶋典明君) 御質問のありました、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺に関する法の改正についてお答えいたします。 特殊詐欺につきましては、刑法の詐欺罪が適用され、法定刑は10年以下の懲役となっております。 重罰化に向けた法改正の動きにつきましては、現在のところ承知しておりませんが、悪質な犯罪に対してどのような刑罰を科すかについては、世論の動向を踏まえた国政レベルでの議論となるものと考えております。 県警察としましては、末端被疑者からの突き上げ捜査や関係都道府県警察との連携を強化するなど、引き続き、被疑者の検挙に向けた捜査を強力に進めてまいります。 次に、地域に積極的に入り込む活動についてお答えいたします。 今年は、特殊詐欺の被害を防止するため、5月から7月までの3カ月間、警察官が県内の全世帯を訪問し、特殊詐欺の手口の周知や被害防止の注意喚起を実施しております。 また、地域における各種会合につきましては、今年10月末までに、駐在所の勤務員が1,236回、交番の勤務員につきましても762回出席し、特殊詐欺の被害防止や交通安全に関する講話などを実施しております。 今年は、治安に関する県民の意識調査を実施しましたが、この中で、地域住民の防犯に対する関心を高めるためには、防犯講習会の開催が効果的であるという結果が出ております。 こうしたことも踏まえまして、引き続き、地域の方々との交流を深めるとともに、地域と密着した活動の積極的な推進に配意し、特殊詐欺を初めとする各種犯罪、あるいは交通事故の防止に努めてまいりたいと考えております。 ◆12番(東海林洋議員) 御答弁ありがとうございました。1点だけ再質問をさせていただきます。 水力発電の風車等の技術が数%上がるという答弁もありました。また、バイオ、食物工場、CLT、全て技術的なことがからむ問題ですけれども、県内企業で、県の大学や試験研究機関、あるいは民間企業と、さまざまな産学官連携等が行われているところがあると聞いております。今の答弁では、できるだけ情報提供等に努めるという話が主であったと思いますが、せっかく県内企業や、県に技術があるのであれば、情報提供にとどまらず、県内はもちろんですが県外にも売り込んでいく支援--一緒になって売り込んでいくという姿勢が必要だと思います。県として、単なる情報提供にとどまらず、もっと積極的にそれを売っていく、あるいは進めていくということについて、踏み込んだ答弁をお願いいたします。   [知事(佐竹敬久君)] ◎知事(佐竹敬久君) 県にも試験研究機関がありますけれども、オールジャパンという技術分野の中で見ると、対応できない部分が大半ですが、例えば、水力発電については、特にこれから全国の水力発電の水車が更新期を迎えます。今、1番効率がいい水車がフランシス型水車というもので、設計が非常に難しいのですが、コンピューターで、いろいろな水力発電所に合わせたものを産業技術センターと県内企業との共同研究で設計開発ができます。これがうまくいきますと、全国の7、8割へは売り込めますので、このように情報提供のみならず、分野によっては一緒にやり、ものにするなど、県内にお金が入るようにする取り組みにこれからも力を入れてまいります。 ○議長(能登祐一議員) 12番東海林議員の質問は終わりました。 暫時休憩します。再開は午前11時5分といたします。 △午前10時49分休憩 --------------------------------------- △午前11時5分再開    出席議員    42名    1番  佐藤正一郎    2番  三浦茂人    3番  丸の内くるみ   4番  沼谷 純    5番  小原正晃     6番  最上英嗣    7番  菅原博文     8番  菅原広二    9番  田口 聡    10番  加藤麻里   11番  渡部英治    12番  東海林 洋   13番  虻川信一    14番  佐藤雄孝   15番  北林丈正    16番  竹下博英   17番  原 幸子    20番  石川ひとみ   21番  三浦英一    22番  こだま祥子   23番  工藤嘉範    24番  近藤健一郎   25番  加藤鉱一    26番  佐藤賢一郎   27番  小松隆明    28番  平山晴彦   29番  瀬田川栄一   30番  宮腰 誠   31番  中田 潤    32番  土谷勝悦   33番  柴田正敏    34番  渋谷正敏   35番  大関 衛    36番  川口 一   37番  小田美恵子   38番  武田英文   40番  大野忠右エ門  41番  能登祐一   42番  大里祐一    43番  佐藤健一郎   44番  鈴木洋一    45番  北林康司---------------------------------------          地方自治法第121条による出席者  休憩前に同じ--------------------------------------- ○議長(能登祐一議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。29番瀬田川議員の発言を許します。   [29番(瀬田川栄一議員)登壇](拍手) ◆29番(瀬田川栄一議員) 県民の声の瀬田川栄一であります。通告に従いまして、14回目の一般質問を行います。今回の質問は、将来に関することが中心でありますので、答えにくい点や意見の違うところもあると思いますが、どうぞ聞いている人がわかるように答弁を期待しております。 それでは、一般質問に入ります。 最初に、人口減少問題についてお伺いをいたします。 このたび、衆議院が解散され、争点は経済対策や消費税などであります。私は、この国の最大の課題は人口減少問題だと思います。地方創生など一部重なる点はありますが、正面からこの問題について議論されていないようであります。 もともと人口減少問題は、東京一極集中が我が国の経済構造にいかに大きな影響を与えているかを如実にあらわしているのであります。つまり、東京は若者を地方から大量に吸収する一方で、その出生率は極端に低いことが、日本全体の人口減少の大きな要因になっているのであります。よく、働く場が少ないことが人口減少の要因と言われますが、必ずしもそればかりではありません。例えば、静岡県は産業の集積地域でありますが、人口減少は進行しているのであります。 合計特殊出生率が、現在の1.43から30年後に2.07に回復しなければ、2060年には1億人程度の人口を維持できないことになります。日本政府や各政党などが、この大きな問題におざなりであったと言わざるを得ません。これらのことについて、知事の所見をお伺いいたします。 次に、本県が実施すべき政策について、私の考えと識者からの提案も含め、質問してみたいと思います。 基本的な考え方として、出会い、結婚、出産、子育てなどの助成など、現在の政策を遂行しつつ、時間をかけじっくりと県民との議論を重ね、人口減少社会についての将来ビジョンを段階的に描くことが大事だと私は思います。 まず、産業のあり方についてお伺いいたします。 11月11日の都道府県議会議員研究交流大会で、東大の神野教授は「日本の産業は、ものづくりから知的産業へと変化する。したがって、今は変化のときであるから、慌てずじっくりと方向を見定めよ」と提言されておりました。人口減少社会を見据え、本県がどんな産業を創出していくのか、お聞かせください。 第2は、県民は多様な考え方や意見を持っており、また、ある意味ではそれぞれの専門家であります。そして何より、自分たちの住む地域社会がどうなるのか、そのために自分たちが何をし、何に責任を背負うのか、こうした議論を通して、県民が一丸となり、人口減少を少しでも食いとめるための県民運動を巻き起こす必要が、私はあると思います。 これまでは、ともすれば一部の有識者や知事の決断により進めてきたことが多いのですが、人口減少問題は少なくても60年、3世代以上、長期にわたるテーマであります。県民のあらゆる知恵を結集するための方策と行動と責任、そして何よりも、覚悟を持ち、それぞれの世代で分担して継承すべきであります。ぜひそうした仕組みづくりを検討するべきであります。知事の考えをお聞きいたします。 第3は、平成15年の県議に当選して最初の質問で提案いたしましたが、人口流出防止都市構想、これは私の勝手な名前でありますが、ついてであります。 今から12年前のことでもあり、人口減少問題も余り現実的課題と捉えられておらず、しかも秋田市中心の提案であったことから、答弁は否定的なものでありました。 改めて提案しますが、それは県内に3カ所ほど、30万人規模の都市をつくり、そこに人と財源を集中投資をして、少しでも大都市への流出を抑える構想であります。長期的視野から、私は有力な一つの選択肢であるように思います。当面は市町村を合併しなくても広域連携を重視し、県北、県南に中核的都市を県が設定し、そこに高等教育、産業、研究、文化の拠点を集中的に整備する構想であります。幸い、以前より交通体系が格段に整備され、情報社会も日進月歩の感がある今日では、それが可能であるように思います。 もし障害があるとすれば、それは木を見て森を見ず、あるいは悪しき平等の精神であります。とりわけ政治に携わる者は、時には大きな批判にさらされることが予想されます。前に述べた県民運動とも連携し、思い切った広域連携と三極を軸とした集中投資を私は改めて提案しますが、知事の考えをお伺いいたします。 第4は、外国人の移住政策についてであります。 これまでは、途上国への支援や労働者不足に対する1時的雇用や研修が中心でありました。しかし外国人移住のテーマは、近い将来必ず必要になってくる問題であります。今後、本県の高齢化率がますます高くなり、女性や高齢者の就労を高めてもなお絶対的な労働者が不足することを考えれば、今から外国人の本県への移住策を積極的に進めることが、あらゆる面で私はプラスになると考えます。心配なのは、犯罪の増加や県民の国際化への理解の問題で、それらに対応する必要があります。 いずれ東京が超高齢化になったときに、医療、介護系の職員が根こそぎ東京に奪われることが予想されており、そうなる前に、秋田の地にしっかり根を張る政策を今から準備すべきでありますが、どうお考えでしょうか。 第5は、少子化対策であります。 新聞紙上での堺屋太一先生の提言から引用してお聞きいたします。それは、若いうちに結婚し出産をすることが大事だと論じております。特に、教育期間中の結婚や出産を社会が許容する制度をつくるべきだという提案であります。そして、それは老老介護を変えていくという役割もあると言います。同時に、出産した場合に、若い両親が一定の年齢になるまで育児資金を低利で融資する制度をつくる、さらに、社会が認めた証に、自治体が大学や専門学校に託児所を設置するという提案であります。まさにこうした施策こそ、「異次元の施策」であると私は思うのでありますが、知事の御見解をお聞きします。 最後の質問は、県民意識の転換を図る意味から、あえて教育長にお尋ねします。 高校生が、同意のもとで妊娠、出産することの是非についてであります。聞くところによると、こうした生徒は不純異性交遊として処分あるなしにかかわらず、学校をやめると伺っております。私は、本人たちがしっかりとした考えと合意の上で子供を産むという意思があるのであれば、教育委員会なり社会がそれを認め、支援していくべきだと思います。教育長はどう思われますか。また、学校として、そうした生徒に対しカウンセリング等、サポート体制はあるのか、あわせてお伺いをいたします。 次に、県財政等についてお伺いいたします。 消費税10%への再増税が2017年4月まで延期されました。2%の増税をしないことによる地方への影響額は、マイナス1兆7,000億円であります。社会保障や少子化に対応すべき財源は先送りされたのであります。 今年3月に公表された秋田県財政の中期見通しでは、社会保障費は着実に伸び、2019年には約100億円増の645億円と見込まれています。また、中期見通しでは、消費税10%、経済成長率を3%と1.5%として試算されておりますが、当然見直しが必要になると思います。 見直しに当たっては、大都市圏はともかく、本県が大きな成長率で試算するのは現実的でありません。人口減少などを加味した上で、改めて試算すべきだと考えますが、知事の御見解をお聞きかせください。 第2は、プライマリーバランスについてであります。 平成25年度は、国からの「地域の元気臨時交付金」130億円の活用などにより11億円の黒字で、初めて県債残高が減少しました。しかし、年度末県債残高は1兆2,834億円であり、膨大な借金の割にはプライマリーバランスの黒字額が少な過ぎます。県債残高は、後世の方が返済しなければならない負の財産であり、いつになったら県民の借金はなくなるのでしょうか。念のために、臨財債も借金にかわりがないことを申し添えておきます。今後の見通しについてお聞かせください。 第3に、主要な財政指標についてお伺いいたします。 佐竹県政の5年間を見ると、知事初め当局の努力により、経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率は、次第に改善の方向にきているように思います。しかし、財政力指数は0.27と次第に下降してきておりますし、人件費、物件費は減少はしているものの、人口1人当たりの決算額は24年度で14万3,731円であります。全国平均が11万5,769円であることから、一層の経費削減が望まれます。主要な財政指標について、知事の御見解をお聞かせください。 次に、人口減少社会と財政の関係についてお伺いします。 これから、我々が経験したことのない人口減少社会が到来します。自治体には県民サービスを行う義務があり、その財源確保は欠かせません。しかし、生産年齢人口が減少して税収が減り、逆に高齢者が多くなることにより社会保障費等が増大することは、誰しもが想定できるのであります。こうした状況を踏まえ、将来を見通したインフラ整備や公共サービスのあり方を検討しつつ、政策を遂行することが必要であると思います。 元日経連会長の故大槻文平氏が提唱したハンブルライフ社会、つまりこれは、物質的には質素で精神的には豊かな社会ということであります。私は、今まさに大槻氏の提唱を基礎にすべきと思います。 知事は、人口減少社会を見据え、どんな考えで今後の財政運営に当たるのか、基本的な考えをお聞かせください。 最後に、市町村財政についてお伺いいたします。 平成の大合併から10年、地方交付税の合併算定替えがその期限を迎えようとしております。合併市町村からは、合併算定替えの縮減・廃止により急激な行政サービスの低下が懸念されることから、新たな支援策を求める声が相次いでおります。 国では合併市町村の変化に対応した交付税算定を検討していると聞いておりますが、27年度以降の国の支援のあり方が注目されています。その見通しと、県として合併市町村への支援策をどうお考えかお伺いします。 次に、行政改革等についてお尋ねいたします。 改革は、いつの時代も求められ、時代が厳しくなればなるほど、重要度を増すように思います。 私が県議に初当選した12年前と比較して1番感じるのは、県職員の気質の問題であります。かつては職員と議論すれば、議員に対しても正論を吐き、なるほどと大変勉強になったことがしばしばありました。最近ではそうしたことがほとんどありません。恐らく県庁内でも同じではないかと、私は拝察をしております。役職や立場に遠慮なく議論するところに、その人のやる気や仕事に対する情熱を感じるのであります。 これからの時代、物や金だけで県政はよくなりません。県民の幸せのために燃えるような心を持った職員こそが最大の財産であり、武器なのだと思います。知事はどう感じているのでしょうか。 第2に、3セク等の評価の問題であります。 県の出資が25%以上の公社等が32ありますが、私は、財政上黒字なのか赤字なのかだけの基準で評価しているのは間違っていると思います。県政に必要として設立または出資した団体の評価は、設立趣旨等に対して役割を果たしているのか、そうでないのかを評価の基準にすべきであります。 例を挙げますが、活動を年々縮小している青少年育成秋田県民会議などは、むしろ財政支援を強化し、もっと活発に活動を展開するべきであります。青年は少なくなり、孤立化しつつある社会構造を考えると、県民会議の役割はまだまだ多いのであります。 知事の3セク等への評価について、どのようにお考えであるかお聞かせ願います。 次に、風力発電の送電網整備事業等についてお伺いをいたします。 経済産業省は9月26日、秋田港から能代沖までのルートを秋田送電株式会社に、さらに、青森県上北地区に上北送電株式会社を事業者として選定をいたしました。順調なスタートであります。 私は、秋田市から北側についてはめどが立ったことを歓迎し、一方で、南側については何ら情報がないことを懸念しております。以前の風況調査で、秋田沖から山形沖についても洋上風力発電が十分可能との調査結果が出ております。しかしながら、送電網がないと、これらの発電事業が進まないわけであり、秋田市から南の送電事業化は必至であります。このことについて、本県から国への要望を含め、今後の見通しについてお聞かせください。 第2に、洋上風力発電についてであります。 この事業は、やり方次第では本県の基幹的産業となる可能性を秘めており、当局において心して取り組むようお願いする次第であります。 陸上の風力発電の倍近い設置費用を想定すれば、数千億円の事業規模になります。これにどのくらいの地元企業が参入できるかが、本県の発展に欠かせない要素になります。 ドイツの人口10万人のブレーマーハーフェン市では、地元でブレード等を生産し、工事のための造船業を発達させ、低迷にあえいでいた市が活気あふれるまちによみがえったのであります。 環境影響調査から工事着工まで今後約5年から10年の間に、しっかり準備し、できる限り秋田で生産し、地元で建設できるようにするべきであります。そのために今、県では何をしなければならないとお考えでしょうか。 第3に、風力発電のメンテナンスについてであります。 私は、先月17日に北海道旭川市にある株式会社北拓を訪問し、幹部や技術者の方々と会い、トレーニングセンター及び部品倉庫を見てまいりました。関係資料を見ると、計画中の風力発電の新増設分だけで、4,800基、1,000万キロワットが予定されております。これを維持するために2,000人以上のメンテナンス技術者が必要とのことであります。加えて、既存の風車の経年劣化による故障や基幹部品の交換業務の激増等を考慮すると、圧倒的に人員不足が生じ、業界全体の問題になっているとのことであります。 そこで北拓では、全国に4カ所のトレーニングセンター兼部品の備蓄庫をつくる案でありました。計画では、旭川市と北九州に既にあり、もう2カ所、できれば秋田市と中部地方に1カ所ずつつくりたい、それにより1日で部品の運搬ができることになるそうであります。部品の8割が海外の製品であることから、部品の早期取りつけは稼働率を上げるのに大いに役立つのであります。 また、トレーニングセンターでは技術者を養成しますが、対象は北拓社員だけでなく、他のメンテナンス会社社員でもよいとのことでありました。ただしそれには条件があり、1億3,000万円くらいのセンターを自治体で建設してほしいとの要望でありました。センターが秋田市にできれば、少なくても東日本の拠点になることであり、今後ふえ続けるであろう風力発電の増設や維持管理を考えるならば、大きな意味を持つことになるのではないでしょうか。 本県でも昨年度からメンテナンス業務に対する支援を行っておりますが、年3回程度の研修等では余り実践的な仕事は難しいと関係者から聞いています。ちなみに北拓は、世界の大手メーカーにほぼ対応できる事業者でありますので、ぜひ真剣に検討していただきたいと思います。 最後に、火力発電所の新設についてであります。 御存じのように秋田火力発電所は老朽化し、代替発電所の建設が急務となっております。こうした中で、非公式ながら複数の発電事業者が名乗りを上げております。場所は、いずれも秋田湾産業新拠点を予定しているとのことでありました。また、価格を抑えるために石炭を使用するようでありますが、科学技術の進歩から一定の資金を投ずることにより、大幅にCO2を削減できるようであります。 水面下の交渉でもあり、深く立ち入るつもりはありませんが、秋田火力発電所の耐用年数を考えるならば、余り時間的余裕はないように思います。県として、待ちの姿勢でなく、積極的に誘致を呼びかけるべきであります。規模によっては環境アセスが必要かもしれませんし、構想が決定しても稼働するまでにかなりの時間を要するのは必至であります。 問題の一つは、船の着岸であります。秋田湾産業新拠点周辺岸壁の現在の水深は11メートルから13メートルでありますが、輸送コストを下げるために、さらに大きな船が着岸できるようにしなければなりません。また、秋田湾周辺は洋上風力発電の部品製造拠点としての可能性も秘めております。 将来の産業振興のためにも、発電企業や風力発電部品メーカー等が進出しやすい環境の整備が必要ではないでしょうか。発電事業者の進出の状況と港湾整備について、可能な範囲でお知らせください。 最後に、海外青年派遣事業についてお伺いいたします。 地元紙の報道に、11月12日の佐竹知事とロシア沿岸地方行政府副知事との会談により、来年7月に沿岸地方へ秋田の青年が派遣されるとあり、大変よいことだと喜んでおります。これからの若い世代は、大変厳しい時代に秋田を背負っていかなければなりません。私はこれまで、秋田の若者にしっかりと力をつけるための政策を実施してほしいと主張してきました。この事業は若い方々に大きな励ましになると思います。 そこで、幾つかお尋ねいたします。 第1に、名称の問題であります。若い人に次の世代をしっかりと背負い頑張ってもらうような、イメージを持ってもらえるネーミングを考えるべきだと思います。 第2は、対象者であります。知事説明では産業界と表現されましたが、私は、高校生や大学生、そして一般勤労青年を対象にしてはどうかと考えます。 第3は、派遣人数であります。私は、100名を超える人数を派遣することが望ましいと思います。秋田の青年同士が友情を深め、多くの仲間と交流ができる、それは青年たちの大きな財産になり得るからであります。また、数10人では、県が若者を支援していくというインパクトが小さいものになってしまうからであります。 第4は、事業期間です。単年度で終わるのではなく、5年程度は継続することが重要なことと思います。 最後に、知事自身が青年たちと一緒に行動し、秋田のことを虚心坦懐に話し合い、交流してみてください。次の世代を担う自覚が、若者の心にしっかり根づくはずであります。若者の目を見れば、その国の将来がわかると言われています。この事業が必ずや秋田の将来に明るいものを引き出す力になると信じて、実行していただきたいと思います。知事の思いをお聞かせください。 質問は以上でありますが、一言御挨拶申し上げます。 私は来春の県議会議員選挙には立候補せず、若い人を支援していくことにいたしました。佐竹知事初め県当局の皆さん、傍聴の方々、長い間支えてくださった多くの方々に心から感謝し、県政のさらなる発展を祈念いたしまして、最後の一般質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(能登祐一議員) 県当局の答弁を求めます。   [知事(佐竹敬久君)登壇] ◎知事(佐竹敬久君) 瀬田川議員の一般質問にお答え申し上げます。 まず、人口減少問題について、人口減少の要因と国の対応でございます。 我が国の人口減少問題を概括すれば、その要因としては、まず、ライフスタイルや価値観の変化などにより、結婚・出産に関する国民の考え方が大きく変わり、少子化が続いていることであります。 また、経済のグローバル化の進展により、これまで地方の雇用を支えてきた農業や製造業の縮小傾向と相まって、金融経済機能や高次サービス機能が集中する首都圏へ、おのずと人口が集まるという構造上の大きな流れがあります。 さらに、諸外国の例に見られるように、多極分散型の国土形成に欠かせない、地方分権社会の実現に向けた抜本的な政策がいまだ講じられていないことなどが挙げられます。 こうした人口減少問題の克服に向け、国による本格的な取り組みがようやく始動したところでありますが、この問題の解決には、もはや地方の努力だけでは困難であることは明らかであります。 国の責任において、東京一極集中を是正し、人口の流れを東京から地方へ変える、大胆な政策が展開されることを期待いたしております。 次に、産業のあり方でございます。 先進国においては、これからの産業は、先端の知識や多様な感性と独自の技術を組み合わせ、付加価値の高い製品やサービスを提供する、いわゆる知識集約型産業に変化していくものと認識しております。 こうしたことから、本県において、製造業では、社会経済活動の根幹をなす「新エネルギー分野」、次世代自動車や先端技術の粋を集めた航空機をターゲットとする「輸送機分野」、多様化する医療・福祉ニーズに対応した「医療・福祉機器分野」、さまざまな産業の高度化などに貢献する「情報関連分野」などが、今後成長の見込まれる分野であると考えております。 また、農林水産業では、生育環境をきめ細かに制御できる「先進的な農業生産分野」や、原材料となる生産地に近接した「大規模な食品産業クラスター分野」、日本一の資源量を誇る杉材を活用した「高度な木材加工やバイオマス資源の活用分野」が挙げられます。 その他にも、国民文化祭において県内外に再認識された多彩な芸術文化、四季を通じたスポーツ環境、農村の暮らしと食文化など、さまざまな観光資源を組み合わせた癒し空間の提供や高齢者の暮らし・余暇活動を広汎にサポートするビジネスなども、今後の成長が期待できる分野であります。 このように、秋田の強みや特徴である、高度なものづくり技術と人材、豊富なエネルギー資源、広大な農地や豊かな森林など、秋田の資源をあらゆる切り口から活用し、これらソフトとハードを融合させた産業分野を、今後の本県経済を支える大きな柱にしていかなければならないと考えております。 次に、県民議論の仕組みづくりでございます。 県政の重要課題の解決に当たっては、多くの県民の皆様と意見を交換し、議論を深めることが大切であると考えております。このため、私は、現在も多くの機会を捉え、人口減少のみならず、さまざまなテーマについて、直接、県民の方々の御意見をお伺いしているところであります。 人口問題については、県民の皆様と問題意識を共有するとともに、合意形成を図ることが肝要であり、来年度は、さまざまな分野の方々と人口減少をテーマに、その具体的な課題について意見交換する場を新たに設け、それらを通じて、今後の県民運動へとつなげてまいりたいと考えております。 次に、人口流出防止都市構想でございます。 人口問題を冷静に捉えれば、本県の主要産業である農林水産業においては、土地利用型であることや資源量の制約があることから、人口を維持する力はおのずと限られており、さきに述べた経済のサービス産業化など産業構造の変化を踏まえれば、人口の多くを都市部で支えなければならないことは自明の理であります。 こうしたことから、広大な県土を持つ本県においては、豊かな自然環境の中で第1次産業が展開される農山村とともに、一定の都市機能を備え、地域の拠点となる都市が複数必要であると考えております。 このため、さきに国から示された「地方中枢拠点都市圏構想」の考え方も踏まえながら、秋田市のほか、県北、県南にどのように都市群を形成していくべきか、中長期的な観点から、今後大いに議論していく必要があると考えております。 次に、外国人の移住政策でございます。 外国人の受け入れとその活用については、さまざまな議論があるものの、グローバリズムの進展の中で一概に否定的に捉えるものではなく、むしろ我が国と相手国の双方にメリットがあることを前提として、肯定的に捉えなければならないものと考えております。 このようなことから、将来への布石として、例えば、今後全国的に不足すると見込まれている介護人材等を確保するための方策の一つとして、国家戦略特区の提案をしたところであります。もとより、介護分野においても、国内人材の活用や待遇改善という基本的な手当を十分した上で、次の手段として外国人人材の活用を考えるべきであることは言うまでもありません。 次に、少子化対策について、教育期間中の結婚や出産を許容する制度等についてであります。 新聞紙上における堺屋太一氏の少子化に関する考察は、戦後社会の動きを「団塊の世代」という言葉で鮮やかに切り取り、社会に提示した、作家・経済評論家らしい分析であったと感じております。 極めて単純な論理ではありますが、私も、若いうちの結婚や出産が、おのずと第2子・第3子の誕生へとつながっていくものと考えており、こうした世代を支援することは、今後の重要な施策分野であると認識しております。 現在、県では人口問題対策プロジェクトチームを設置し、中長期的な施策の方向性を取りまとめているところでありますが、議員の御提案も踏まえ、思い切った対策を講じてまいりたいと考えております。 次に、県財政等について、まず、中期見通しであります。 毎年3月に公表している財政の中期見通しでは、県財政が国の財政と密接にかかわっており、国全体の景気動向の影響を受けることから、国が示す経済成長率を用いた上で、県税収入や地方交付税については人口減少の影響を織り込んで試算しております。 次期の中期見通しにおいても、こうした基本方針に基づくとともに、地方財政対策の動向のほか、消費税率の引き上げの先送りの影響など、諸般の情勢を十分に踏まえて試算してまいります。 次に、プライマリーバランスでございますが、本県では平成15年度以降、地方交付税の代替財源として発行せざるを得ない臨時財政対策債を除いたプライマリーバランスの黒字を確保しております。 今後も、公債費の負担が財政運営の圧迫要因とならないよう、プライマリーバランスに留意しつつ、県債発行の抑制により、県債残高の縮減に努めてまいります。 主要な財政指標でございますが、定員縮減や県債発行の抑制などの行財政改革に取り組んできた結果、本県の財政状況は、財政指標から見て一定の健全性が保たれているものと考えておりますが、リーマンショックに伴う景気の低迷や急激に進む人口減少の影響等により、全国平均を下回る指標もあることから、今後とも一層の行財政改革に取り組んでまいります。 今後の財政運営でございますが、本県の財政状況は、今後の地方財政対策にもよりますが、人口減少に伴い、より厳しくなることが想定されます。 そのような中で、人口減少に伴う行政需要の低減は見込まれるものの、各種の要望に対応する形での予算編成を行っていれば、おのずから限界が生ずることは目に見えております。 このため、今後は、県民や議会の理解を得ながら、一部事業の取りやめや思い切った取捨選択を行うなど、一層の行財政改革に取り組み、プライマリーバランスの黒字化や財政2基金の残高維持を図りながら、健全な財政運営に努めてまいります。 次に、市町村財政でございます。 普通交付税の合併算定替えについては、平成27年度から8市町で、28年度からは7市町で縮減されることから、県では昨年度、全市町村とともに「普通交付税の算定方法に関する研究会」を立ち上げ、国に対して、合併に伴う増加需要を適切に算定するよう提言を行ったところであります。 本県や他の自治体の提言等を踏まえ、国では今年度から交付税算定の見直しに着手し、合併団体の支所の経費を交付税算定に反映したほか、来年度からは、市町村の区域の拡大に伴う消防、保健・福祉サービス等の経費や公民館等の施設数の見直しなどを行うことにしており、これにより、交付税の縮減額は一定程度抑えられるものと期待しております。 県としては、引き続き、合併市町に対して、合併算定替えの終了を見据えた財政シミュレーションに基づき、適切な行財政運営を行うよう助言するとともに、「人口減少社会に対応する行政運営のあり方研究会」で、県や市町村の有する行政資源の効果的・効率的な活用策について議論を重ねてまいります。 次に、職員の気質についてであります。 民間企業も含め、IT化の進展や個人主義の流れの中で、職員気質が変化してきていると言われております。また、余りにも細かな規制が多くなり過ぎており、自由闊達な意見や行動の制約となっているとの論もあります。 このような流れを捉えつつ、私も含め、管理監督者の立場にある職員については、より自由闊達な議論ができる職場環境の醸成に努めていかなければならないと考えております。 次に、3セク等の評価でございます。 3セクについては、経営健全化のための行動計画を定めるとともに、主に経営改善という観点からの課題を明らかにするため、公認会計士による経営評価を実施しております。 しかしながら、現在、3セクが抱えている多様な課題を解決していくためには、一律に評価するのではなく、個別に、その設立主旨を踏まえ、どのような事業を実施しているのか、それが今の時代に合っているのか、事業規模が妥当なものかなど、3セクを取り巻くさまざまな状況を見きわめた上で、改めて、その存在意義や県の関与などを判断していく必要があると考えております。 こうしたことから、今後は、経営健全化を進めていく中で、評価基準を含む評価のあり方についても、幅広い視点から検討してまいります。 次に、風力発電のための送電網整備事業等についてであります。 まず、送電網整備事業の見通しでございますが、本県沖における洋上風力発電の着実な導入を図るためには、沿岸部の地域内送電網や電力会社間の連系線を含む首都圏までの基幹送電網の整備を進めていくことが不可欠であります。 地域内送電網については、現在、民間事業者が国の補助事業を活用し開発可能性調査を実施しており、また、首都圏までの基幹送電網については、先月、私みずから経済産業大臣に対し、国が主体となってその整備を加速するよう要望したところであります。 なお、こうした送電網を活用する洋上風力発電については、秋田港や能代港周辺に加え、着床式による風車設置に適した沿岸海域のうち、八峰町からにかほ市までの約350平方キロメートルのエリアを最大ポテンシャルとして想定し、現在、漁業など海域の利用状況等の調査検討を進めております。 次に、洋上風力発電の今後でございます。 秋田港及び能代港については、来年2月に実施事業者を決定することにしておりますが、その沖合については、現在、漁業などの海域の利用状況や施工・メンテナンス・風車製造等への県内事業者の参入可能性、導入に伴う県内への経済波及効果などに関する調査検討を進めております。 今後は、国に対し、沖合における円滑な事業化に向けて、必要な法手続や関係団体との調整のあり方などを示した導入マニュアルの策定などを働きかけてまいります。 送電網整備を含めた洋上風力発電の導入に当たっては、本県経済や雇用の創出に最大限の効果をもたらすことが何よりも重要と考えており、県内事業者の参入拡大に努めてまいります。 次に、風力発電のメンテナンスでございます。 風力発電の導入拡大とあわせ、メンテナンスや部品供給へ進出する県内事業者を育成するため、メンテナンス研修を開催するとともに、スキルアップを目指す企業に対し技術者養成支援を行ってきており、風力発電の日常的なメンテナンスにかかわる県内雇用は、着実に増加してきております。 また、こうした取り組みに加え、国内外の風車メーカーや大手発電事業者に対し、メンテナンスについて県内企業の活用や拠点設置などを働きかけており、現在、大手を含め複数の事業者から問い合わせがありますが、県としては、今後とも、何よりも県内事業者の育成や関連産業の振興につなげていくことを目指し、取り組みを進めてまいります。 次に、火力発電所の新設でございます。 安定したエネルギー需給構造を確立する上で火力発電は重要であり、国や東北電力に対しては、能代火力発電所3号機の建設とともに、老朽化が進んでいる秋田火力発電所の早期の設備更新についても働きかけを行ってきております。 なお、これまで、多くの事業者から秋田湾産業新拠点における発電施設建設の可能性に関する問い合わせがありますが、その実現に向けては、前提条件として、将来の発送電分離体制の中における首都圏までの基幹送電網の整備主体の確立とともに、多額の経費の調達方法、加えて、長期にわたる整備時間など、解決すべき課題が多岐にわたり、現時点では将来的な案件と承知しております。 次に、海外青年派遣事業でございます。 来年度はロシア沿海地方との友好協定締結5周年に当たることから、ロシア極東地域との交流拡大を目的に、産業分野を中心とした青年交流訪問団の派遣を検討しております。 その対象者については、先月の沿海地方行政府やハバロフスク地方行政府との会談において、農業を含む産業分野の交流を強く要望されたところであり、まずは、産業分野の若手リーダーを主体にしたいと考えております。 また、事業の名称や派遣人数、実施期間等については、事業の成果が上がるよう今後検討してまいります。 この事業には私自身も参加する方向で検討しており、広大な隣国で団員と寝食をともにしながら、ふるさと秋田の発展について大いに語り合いたいと思っております。 以上でございます。   [教育長(米田進君)登壇] ◎教育長(米田進君) 瀬田川議員から御質問のありました、高校生の妊娠、出産についてお答えいたします。 高等学校においては、保健や家庭基礎といった必履修科目の中で、青年期の心身の発達や健康な結婚生活のあり方、男女が協力して家庭を築くことや子供を産み育てることの意義などについて学習しております。そのような学習を通して高校生たちは、生涯にわたっての生活設計を考え、将来自立した生活を営み、家庭や地域の生活を主体的につくり出していくことの重要性について、認識を深めているところであります。 御指摘のような状況により学校を退く生徒は極めてまれでありますが、その際においても担任や養護教諭等が相談に当たり、心のケアに努めるほか、今後の就学などについてサポートを行っております。 高校生の妊娠、出産については、心身の発達や経済的自立の観点から課題があるとともに、学業との両立の面など、さまざまな困難が考えられます。 県教育委員会といたしましては、1人1人の高校生が豊かな学校生活を送り、よりよい生活設計を描きながら、将来の社会的自立に向けてその基盤をつくることができるよう、指導の一層の充実に努めてまいります。
    ◆29番(瀬田川栄一議員) 前向きな答弁ありがとうございました。三つ、質問したいと思います。 初めに水素エネルギーについてですが、これについては一般質問の通告後に「これだけはぜひ聞いてくれ」と県民の方に言われたものでして、発言通告にはありませんが、知事の答弁の中で水素エネルギーの話が出ましたので、議長の判断により、再質問させていただきたいと思います。 水素をエネルギーにした自動車の普及について、全国的に報道されていますが、県民の方から「補給のためのステーションがなければ秋田に来ることができないではないのか」、「水素自動車を公用車で走らせたらどうか」という質問がありました。知事からは、次世代の自動車について研究をしていくと、また、産業として考えていくという答弁がありましたので、多少曖昧なこともあるとは思いますが、秋田に水素を補給するためのステーションをつくる気があるのか。また、公用車で導入してみる気があるのか、お伺いします。 二つ目は、風力発電のメンテナンスのことです。実際に研修した人にも聞きましたが、今、県でやっている年2回や3回程度のメンテナンス研修では、全く使い物にならないのです。何も私は、北拓でなければいけないと言っているわけではありません。ただ北拓が全国約2,000カ所ある風力発電の中で、1,200所にかかわっているのです。また、風力発電については海外の会社の製品が多いのですけれども、北拓は海外の大手5社にかかわっておりまして、それらのメンテナンスができるということなのです。全国のメンテナンス業者の一覧表を持っていますが、北拓のような会社というのは余りありません。トレーニングセンター兼部品の備蓄庫の建設に1億3,000万円と言ったので、県の担当者もしり込みしたかもしれませんが、ただでつくれとは言っておらず、その建設費については貸す、あるいは国の補助金を活用するなどいろいろな施策があることから、そのようなことを少し検討したらどうかという話をしたのです。けれども今の答弁では、やる気が全くないように受けました。確かに県内にもメンテナンス業者がいますが、特定のメーカーのメンテナンスしかできないのです。しかし北拓は、2,000カ所近い風力発電のうち、1,002カ所にかかわってきた会社であり、大体のところはメンテナンスができるのです。しかも県内のメンテナンス業者を1人前に育てるためには、大体2年間かかるということであり、県が言う研修を2、3回やれば育つという話は、全くおかしな話なのです。ですから、そういうところにお願いをし、県内のメンテナンス業者を育てていきこの会社は薩摩に研究拠点も持っていることもあり、その研究機能を持った一大拠点が東日本にできるのではないかという期待を持ってこの話をしたのです。このことについてもう一度、答弁をお願いします。 最後に、プライマリーバランスについてですが、冒頭言いましたように、25年度は年間150億円の金利を払っているのです。1兆2,800億円の金利が150億円で、県民に話したらみんなびっくりします。金利は急になくなるものではありません。臨財債を含めて黒字化していくという答弁でありましたが、どうか1日も早く減らしてもらいたい。恐らく佐竹知事なってから初めてプライマリーバランスが黒字になったと思うのですが、黒字額は、わずか11億円です。減らしていくことは非常に難しいと思いますが、行政改革と連携するなど、あらゆる努力をしながら減らしていく必要があると思います。その覚悟を伺いたいと思います。 以上です。   [知事(佐竹敬久君)] ◎知事(佐竹敬久君) 水素自動車と水素充填ステーションの関係でございます。 現在、トヨタ自動車が「ミライ」を出ましたが、年間の台数が限られていまして、主に中央地区の官庁ということや水素ステーションの設置にかなりの費用がかかることから、相当の台数がそろう首都圏や名古屋圏例えば秋田で2、3台走っただけでは、とてもできません。ホンダも出すようでありますが、一般車の普及にはもう少し時間がかかるのではないかと思います。 ちなみに、今、トヨタと大手が手がけていますけれども、最終的には水素ステーションなしの水素自動車ということで、水素をガスで入れるのではなく、普通のスタンドから液体で入れて、それをエンジンのところで、小さい還元装置によりガスにするという、水素のオンボード置換の研究が始まってます。この過渡期が水素ステーションですから、民間にといっても絶対にペイしませんので、設置するとしたら完全に県でやるしかなく、そこをどう見るかです。また、実験的にやるといっても、相当の台数をそろえなければならないなど、実際のところいろいろな課題があります。ただし、水素の関係の動向については、我々が1番情報を持っていますので、その流れを見ながらどのような選択をするのかは考えていかなければならないと思います。 風力発電のメンテナンスについては、北拓がどのぐらいのレベルなのかわかりませんが、県内企業で、装置を実際つくり、それなりの投資をしてやりたいというところも出てきておりまして、なるべくそのようなところと、県内の企業をからませたいのです。そのような会社の関係も含めて調査しながら、少し前向きに検討します。 プライマリーバランスについては、ここの立場に立ちますと、なかなか全て歳出圧力ですので、そのような中で私どもがどのようにやっていくかということであります。少しずつ改善はしていますが、行財政改革だけでは解決できません。最終的には、何かをばっさりやめる、あるいは取捨選択をして、ある部分の仕事はもう県から外すということまでやらないことには解決できないと思います。そこについては、議会ときちんと議論をしながらやっていかないと、県民の方々に誤解を受けますので、この後も県民の方々や、議会と十分議論をしながら、前向きに取り組んでいきたいと思います。 ○議長(能登祐一議員) 29番瀬田川議員の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午後12時2分休憩 --------------------------------------- △午後1時30分再開    出席議員    41名    1番  佐藤正一郎    2番  三浦茂人    3番  丸の内くるみ   4番  沼谷 純    5番  小原正晃     6番  最上英嗣    7番  菅原博文     8番  菅原広二    9番  田口 聡    10番  加藤麻里   11番  渡部英治    12番  東海林 洋   13番  虻川信一    14番  佐藤雄孝   15番  北林丈正    16番  竹下博英   17番  原 幸子    20番  石川ひとみ   21番  三浦英一    22番  こだま祥子   23番  工藤嘉範    24番  近藤健一郎   25番  加藤鉱一    26番  佐藤賢一郎   27番  小松隆明    28番  平山晴彦   29番  瀬田川栄一   30番  宮腰 誠   31番  中田 潤    32番  土谷勝悦   33番  柴田正敏    34番  渋谷正敏   35番  大関 衛    36番  川口 一   37番  小田美恵子   39番  鶴田有司   40番  大野忠右エ門  42番  大里祐一   43番  佐藤健一郎   44番  鈴木洋一   45番  北林康司---------------------------------------          地方自治法第121条による出席者  休憩前に同じ--------------------------------------- ○副議長(佐藤健一郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。9番田口議員の発言を許します。   [9番(田口聡議員)登壇](拍手) ◆9番(田口聡議員) 公明党の田口でございます。通告に従い、順に質問いたします。 初めに、高齢者への対応について伺います。 本県の高齢化率は本年7月で32.4%と、全国で最も高くなっており、高齢者がそれぞれの地域で安心して暮らせる環境づくりが喫緊の課題となっております。 そこで、公明党秋田県本部では、高齢者がそれぞれの地域で安心して暮らすためには何が必要なのかを探るため、「高齢者の生活や健康に関するアンケート」を実施し、1403名から回答を得ました。その調査結果をもとに、去る11月19日、佐竹知事に政策提言を行ったところであります。本日は、そのアンケート結果を踏まえ質問をいたしますので、よろしくお願いをいたします。 アンケート調査は、最初に「家族や健康」について伺いました。 家族構成では「家族と同居」が最も多かったものの、半数が「高齢者夫婦の2人暮らし」か「ひとり暮らしの高齢者世帯」でありました。 住まいについては、「現在住んでいる住宅に住み続けたい」と考えている人が9割近くおり、ほとんどの高齢者が現在の地域に住み続けることを希望しておりました。 健康状態については、「健康な暮らしをしている」人が最も多く、3分の2を占めていることがわかりました。また、病気や障害がある高齢者でも「日常生活が1人でできる」高齢者が3割おり、「日常生活で介護が必要」な高齢者は2.3%でありました。 健康について、日ごろ気をつけていることでは、「睡眠や休養を十分にとる」が最も多く、「ジョギングやテニスなどのスポーツを行っている」人は1.7%と、ごく少数でありました。また、「定期的に健康診断を受けている」のは14.4%にとどまっており、自身で健康管理をしている高齢者は少数でした。かかりつけ医(主治医)については、「主治医を決めている」高齢者は半数を割っておりました。 この項では、日常的に高齢者の健康を管理する体制づくりが必要であることと、高齢者の健康状態を管理する、かかりつけ医を持つ意識が薄いことがわかりました。 次に、「日常生活」について伺いました。 近所とのかかわりについては、「親しくよく行き来している人がいる」が最も多く、半数を超えており、「会えば話をする人がいる」と合わせると、約9割の高齢者が近所とのかかわりを持っていましたが、「ほとんど他人と会話をすることがない」高齢者も5.4%おりました。 家族や親族が住んでいる場所では、「居住地域」と「居住地市町村内」に7割が住んでおり、「秋田県内に居住」していると合わせると、家族や親族の9割以上が県内に住んでおりました。 なお、「身寄りがない」高齢者は0.2%でしたが、今後はふえることが予想されます。 緊急時の援助者の有無については、約9割の高齢者に緊急時の援助者がいることがわかりました。緊急時の援助者がいる場合の対象者は「身内」が最も多く、次いで「近隣の人」、「知人・友人」と続き、「民生委員」や「福祉委員」は合わせても4%と、極めて低くなっておりました。また、緊急時援助者がいない高齢者が一割近くおり、その対策が急務となっております。 さらに、地震や津波など、災害によっては「身内」や「知人・友人」の緊急時の援助者が間に合わない場合があり、その場合の対処策を講ずる必要もあります。 「日常生活で不安に感じていること」については、「自分や配偶者の健康や病気についての不安」が最も多く、次いで「自分や配偶者が要介護者になることへの不安」となっており、医療や介護・経済面での不安が高くなっておりました。 「日常生活で不自由に思っていること」については、「災害時の手助け」が最も多く、以下「通院時の送迎や付き添い」となっており、3分の2の高齢者が日常生活に不自由を感じておりました。 「何の手助けが必要か」については、「災害時や交通手段、買い物」の要望が多く、約5割を占めておりました。 相談先については、「家族や親せき」が最も多く、以下「知人・友人」、「かかりつけ医」、「役所や保健センター」となっており、行政より身近で、日ごろからかかわりのある人への相談が約7割と多くなっておりました。地域包括支援センターへの相談については、1.8%と低い結果になっておりましたが、設置数や業務内容の周知不足によるものと考えられます。 この項では、高齢者が気軽に利用できる交流の場づくりが必要であることや、高齢者に対する災害ごとの緊急時援助者の担当割り振りが必要であること、通院や買い物の交通手段の確保が課題であること、地域包括支援センターの機能強化と周知が必要であることがわかりました。 次に、「生きがいづくりと助け合い」について伺いました。 「今後、どのように過ごしたいか」という問いについては、「趣味や余暇を楽しみたい」が最も多く、次いで「知識や教養を高め、自分自身の向上に努めたい」となっており、趣味や自身の向上、地域貢献などが上位を占めました。 今後の高齢者施策に対する要望については、「ひとり暮らしや支援の必要な高齢者のためのサービス」が最も多く、次いで「認知症高齢者の早期発見や認知症予防のための事業の充実」となっており、このほかにも公共交通対策、雪対策、ボランティア活動の育成、交流の場づくりなどが求められておりました。 この項では、シルバー世代の人材活用が必要であることや、シルバー世代が活動しやすい環境の整備が必要であること、認知症高齢者への対応が急務であること、公共施設のバリアフリー化の促進が必要であることがわかりました。 今回の「高齢者の生活や健康に関するアンケート」では、秋田県が超高齢社会を迎えるに当たり、課題や問題点が浮き彫りになったと考えております。 そこで、「高齢者の生活や健康に関するアンケート」の結果を踏まえて、伺います。 まず初めに、高齢者の健康管理について伺います。 ひとり暮らしの高齢者や高齢者世帯に対し、定期巡回随時対応サービスのように保健師や看護師等が家庭訪問し、高齢者の健康管理と適正な医療と介護を提供する制度の実施と、それを実施する人材の確保が急務であると考えますが、その体制づくりをどのように進めていくのかお聞かせください。 次に、かかりつけ医(主治医)について伺います。 県では、かかりつけ医(主治医)を持つことや、趣味を持つこと、ボランティアなどについて県民意識の醸成を図るために、「元気にとしょる十ケ条」を作成し、高齢者の健康意識を高める県民運動に取り組んでおります。高齢者の健康管理と総合病院の勤務医の負担を軽減するためにも、地域の開業医をかかりつけ医とすることを普及させることが重要だと考えますが、しかしながら、かかりつけ医を持つことがなかなか進んでいない現状にあり、今後、県民意識の醸成をどのように図っていくのか、お聞かせください。 次に、健康づくりと介護予防について伺います。 高齢者の健康を維持するためには、地域の公民館やコミュニティセンターだけではなく、身近な町内会館を活用して、地域の高齢者が集い、健康づくりと介護予防ができる体制づくりを進める必要があると考えます。県内ではほとんどの市町村でこのような取り組みが行われていますが、その事業をなるべく多くの自治会等で定期的に行う必要があると考えます。こうした取り組みの現状と今後の展開について、どのように考えているのかお聞かせください。 次に、住民参加型の福祉供給体制について伺います。 在宅介護サービスの提供を進めるためには、健康な地域住民が介護や看護などのケアを無償で行う--ケアラーと言いますが、このケアラーや、NPO法人を活用し、軽度の要介護者等に住民参加型の在宅介護のサービスを提供する体制づくりが必要と考えますが、どのような認識を持たれているのか。また、住民参加を進めるためには、秋田市で現在実施しているボランティアポイント制度を全市町村に普及させ、市町村の垣根を越え、県内どこでも使えるような制度を創設する必要があると考えますが、どのような認識を持たれているのかお聞かせください。 次に、認知症対策について伺います。 認知症が疑われる高齢者等を早期の段階から家庭訪問し、認知症の早期発見や患者への家族支援を行う「認知症初期集中支援チーム」は、現在モデル事業として、全国では、地域支援事業で44市町村、地域支援事業以外で64市町村に設置されておりますが、秋田県内ではどのようになっているのか、秋田県内での状況をお知らせください。 また、医療従事者の中にも認知症への認識が薄い方が多いと伺っております。専門医による医療従事者への認知症対策の講習が必要と考えますが、どのように取りまれているのか。さらに、認知症を正しく理解し、偏見をなくすために活動が期待されている認知症サポーターの養成を進める必要があると考えますが、どのような認識を持たれているのかお聞かせください。 次に、高齢者等の交通手段の確保についてであります。 高齢者の交通手段については、従来のコミュニティバスやデマンド交通に加え、介護施設等の送迎バスなどを活用した福祉有償運送サービス等の活用も必要と考えます。また、現在実施しているコミュニティバスやデマンド交通では、「予約が面倒くさい」、また「自宅まで来てくれない」、「病院の予約時間に間に合わなかった」などの意見が出されております。このため、これまでの交通政策や事業を検証し、利用者の視点に立った交通支援システムづくりを進める必要があると考えますが、どのような認識を持たれているのかお聞かせください。 次に、「互助」による社会づくりについて伺います。 高齢化と人口減少が進展している中では、これまでの「自助・共助・公助」に加え、住民間の信頼関係に基づくネットワークである「互助」による社会づくりが不可欠であります。そのために、元気な高齢者が自身の技術や特技等を地域で生かす仕組みをつくるべきと考えます。 福井県や福岡県には、高齢者が子育て支援の現場で活躍する「子育てマイスター制度」があります。また、市町村単位では、栃木市に文化振興を図るための「文化振興マイスター」制度があります。 そこで、秋田県でも、元気な高齢者が自身の技術や特技等を地域で生かす、秋田版「マイスター制度」を創設する必要があるのではないかと考えますが、どのような認識を持たれているのかお聞かせください。 次に、除雪について伺います。 高齢者住宅の除雪については、行政や業者による除雪に加え、ボランティアまたは市町村からの委託による「互助」を活用した除雪体制の整備に取り組んでいるところでありますが、今後、こうした「互助」による除雪体制の整備をより一層進める必要があるのではないかと考えますが、どのような認識を持たれているのかお聞かせください。 次に、要援護者の支援体制について伺います。 災害時において要援護者を適切に支援するためには、市町村での要援護者情報の名簿化と、避難者支援プラン個別計画を早期に策定するなど、災害発生前からの体制整備が必要であります。しかしながら、現在、県内11市町村でしか避難者支援プランの個別計画が策定されておりません。加えて、策定済みの市町村でも、対象者の一部についてしか定めていないなど、要援護者の支援体制が遅れているのが実態であります。 そこで、こうした現状に対する認識と今後の対応についてお聞かせください。 次に、地域包括支援センターについて伺います。 高齢者の総合相談支援や介護予防マネジメントを一体的に実施する「地域包括支援センター」については、国は中学校区に1カ所を設置としております。秋田県内では平成18年度から設置が始まり、全市町村に設置されているものの、中学校区123のうち、55カ所の設置にとどまっております。特に、男鹿市や湯沢市、鹿角市、由利本荘市、潟上市、北秋田市、にかほ市、仙北市では、市でありながら1カ所しか設置されておらず、極端に不足しているのが現状であります。 また、人員基準は、第1号被保険者につき3,000人から6,000人ごとに、保健師と社会福祉士、主任介護支援専門員を1人ずつ配置することになっておりますが、同様に不足しております。 今後、地域包括支援センターの機能の強化・充実を図る必要があると考えますが、現状認識と今後の対応についてお聞かせください。 この項の最後には、公共施設のバリアフリー化について伺います。 公共施設のバリアフリー化は、まだまだ進んでおらず、また、整備された車いす用のスロープについても、場所によっては傾斜がきつく、自力で登れないという声も聞かれます。このため、利用者の視点に立った公共施設のバリアフリー化をさらに進める必要があるのではないかと考えますが、どのような認識を持たれているのかお聞かせください。 次に、経済・雇用対策について伺います。 最近、冨山和彦氏が書いた「ローカル経済の再生」という本を読んでみて、なるほどと納得させられました。冨山氏は、この著書において、これまでの大企業と中小企業という企業の区分けではなく、グローバル経済圏で競争する企業とローカル経済圏で競争する企業に分けて論じています。冨山氏は昭和35年生まれで、東京大学法学部卒、スタンフォード大学修士課程及び公共経営課程を修了しており、これまで産業再生機構の最高執行責任者、COOとして、カネボウやダイエーの再建を手がけてきました。現在は、企業再生などを取り扱う株式会社経営共創基盤の最高経営責任者、CEOに就任しており、また、医療機器のオムロンや朝日新聞社の社外取締役を務めており、さらに、関東と東北で五つのバス会社を運営する、みちのりホールディングスの最高経営責任者、CEOも務めております。グローバル経済圏で競争する企業とローカル経済圏で競争する企業の、両方の経営に参画している方です。 冨山氏によれば、グローバル経済圏とは、地球規模で企業が競争する経済圏で、市場が世界に広がっているために競争が激しく、その業種のトップクラスにならなければ生き残れない経済圏であります。電機・機械や自動車、医療機器などの製造業、IT産業がその中心で、物や情報を扱い、立地条件などがよければ、生産拠点を国内から海外に移しやすく、産業の空洞化を招きやすい特徴があります。 比べて、ローカル経済圏とは、地域ごとに商品を提供する人たちが競争する経済圏で、飲食や宿泊、医療・介護などの社会福祉、交通などのサービス産業で構成する経済圏で、主に対面型のサービスが主軸であり、労働集約型で、空洞化が起きにくい特徴があります。 グローバル経済圏で競争する企業は、トヨタやソニーなどの大企業が多く、秋田県ではTDKやニプロなどがそれに当たります。それらの企業は我が国の経済を牽引していることは確かでありますが、GDPや雇用に与える影響は3割余りに過ぎません。一方で、ローカル経済圏を支えるサービス産業は多くの人手を必要とし、GDPの6割を占め、雇用では7割を超えるほど大きくなっております。しかし、少人数で効率的な生産活動を行う製造業と比べ、労働生産性や賃金は低くなっており、団塊の世代がリタイヤした現在、ローカル経済圏では慢性的な人手不足が続いていると言われております。 ローカル経済圏を活性化するには、労働者をふやして人手不足を補うとともに、労働生産性を高めなければなりません。また、女性や高齢者、障害者の労働参加をどう引き上げるのかがポイントになります。女性や高齢者、障害者の労働参加を引き上げるためには、フルタイムで1人が複数の仕事をしなければならない伝統的な日本の雇用形態では難しいことから、1人の業務内容を絞り込み、専門性を高めることが必要となります。 また、ローカル経済圏では、生産性の低い企業でも生き残ってしまうと言われており、これが産業全体の生産性向上を妨げているとも言われております。今後は、企業の新陳代謝を進め、生産性と賃金が高い企業へ集約することが重要となります。 政府の成長戦略はグローバルな戦略志向が強くなっておりますが、今後はローカル経済圏を支える若者をどう支援するのかが重要となります。経済の好循環といっても、ローカル経済圏でできなければ本当の効果が出たとは言えず、ローカル経済圏の労働生産性を上げて、賃金の上昇を促す政策に重点化すべきと考えます。 国でも、10月に地方創生を目指して、内閣府から「地方版総合戦略」に向けての基本政策検討チームの中間報告が出されました。「中間報告」では、「しごとの創生」として、地域に根づいたサービス産業の活力、生産性の向上、経済の状況や変動に応じた円滑な雇用のミスマッチへの対応など、「雇用の質」の確保・向上に取り組む必要がある旨、示されております。特に、「若年世代が地方で安心して働くためには「相応の賃金」と「安定した雇用形態」、「やりがいのある仕事」の要件を満たす必要があり、そのためには、経済・産業全体の付加価値や生産性を継続的に向上させていくことが必要である」としています。また、「高付加価値商品の開発や地域への新たな人の流れなど、地域経済に新たな付加価値を生み出す核となる企業の集中的な育成、企業の地方転出、新たな雇用創出につながる事業継承の円滑化、地域産業の活性化などに取り組み、将来に向けて安定的な「雇用の量」の確保・拡大に取り組む」としており、さきに御紹介した冨山氏の主張と同様の報告となっております。 そこで、伺います。 初めに、グローバル経済圏とローカル経済圏についてであります。 知事は、グローバル経済圏とローカル経済圏について、どのような認識を持たれているのか、また、秋田県のローカル経済圏の現状をどのように認識しているのか。 現在、国の経済政策アベノミクスにより、グローバル経済圏で競争するトヨタやTDKなどは過去最高益を計上していますが、秋田県の企業はどうでしょうか。円安による原材料の高騰や東日本大震災の復興需要による資材の高騰により、経営が圧迫されているとの声を多く聞きます。そこで、県内企業の状況はどのように変化をしていると認識しているのか。 また、ローカル経済圏を活性化するには、労働者数をふやして、人手不足を補い、労働生産性を高める必要があります。それには、女性や高齢者、障害者の労働参加をどう引き上げるのかが重要な課題となりますが、県はどのような認識を持たれているのか。女性や高齢者、障害者の労働参加などを全体的に引き上げるためには、1人の業務内容を絞り、専門性を高めることが重要となります。そのためには、従来の職業訓練や資格取得に対する支援だけではなく、例えば、保育士や小型二種・大型二種の資格取得など、支援メニューの拡充も必要になると考えますが、これらについてどのような認識を持たれているのか。 また、「雇用の質」を確保・向上させるためには、地域経済に新たな付加価値を生み出す核となる企業の集中的育成が必要と考えますが、現状認識と今後についてどのような展望を持っているのか、以上5点についてお聞かせください。 次に、企業経営者の高齢化と後継者不足について伺います。 2014年度版の中小企業白書によると、全国の中小企業へのアンケートから、事業を引き継ぐ準備ができていない経営者は、60代で約6割、70代で約5割、80代で約4割に上ることが明らかになっております。このような高齢化が進む企業経営者の後継不足が深刻になっており、親族以外に事業を引き継ぎやすくする仕組みづくりの重要性が指摘をされております。 そこで伺います。高齢化で廃業の危機にある企業や生産性の低い企業から、生産性と賃金の高い企業への事業承継をスムーズに行う必要がありますが、それには法改正なども必要と考えますが、県は、事業承継をスムーズに行うためにどのような取り組みをしているのか、また、成果があればお知らせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(佐藤健一郎議員) 県当局の答弁を求めます。   [知事(佐竹敬久君)登壇] ◎知事(佐竹敬久君) 田口議員の一般質問にお答え申し上げます。 まず、高齢者への対応について、訪問介護・看護の体制づくりでございます。 24時間を通じ、訪問により必要なサービスを提供する「定期巡回随時対応型訪問介護・看護事業」は、平成24年度に創設され、現在、潟上市やにかほ市、横手市の3事業所で実施されております。 これまで、人口密度の低さや積雪の影響により移動効率が悪いなどの問題があり、事業者の参入が進んでおりませんが、一方では、来年度の介護報酬の改定において、サービスの利用拡大に向け、利用者の負担軽減を図ることが検討されております。 県では、こうした動きを踏まえ、現在、市町村で策定中の次期介護保険事業計画に、必要なサービス見込み量を適切に反映するよう助言しております。また、事業実施に必要な介護職や看護職などの人材の確保についても、来年度から、使途が拡充される「地域医療介護総合確保基金」を活用しながら、効果的な取り組みを進めてまいります。 次に、かかりつけ医でございます。 かかりつけ医を持つことは、日常の健康管理や疾病の重症化防止に役立つほか、病院勤務医の負担を軽減する観点からも大切なことであります。 また、地域包括ケアシステムにおいて、高齢者の在宅医療や介護へのつなぎ、病状急変時の対応や必要に応じた適切な医療機関の紹介などは、かかりつけ医を基点に地域の関係機関が連携して行うため、その普及によるメリットは一層大きくなるものと考えております。 県では、これまでもホームページのほか、テレビやチラシなどを活用して啓発に努めてまいりましたが、今後も市町村や医師会等と連携し、さまざまな媒体を活用しながら、かかりつけ医の必要性や果たす役割等の情報提供に努め、県民の理解がさらに深まるよう取り組んでまいります。 次に、健康づくりと介護予防の取り組み等についてであります。 県内では、全ての市町村において介護予防教室が開催されており、保健師などが講師となって、地域の高齢者を対象にストレッチや健康体操などを行っております。こうした介護予防については、日常的に取り組むことが大切であり、そのためには、できるだけ身近な施設で教室が開催されることが望ましいと考えております。 現在、五城目町では、秋田県市町村未来づくり協働プログラムの中で、町内にある54の集会所を健康づくりや地域づくりの拠点として活用する取り組みを進めているところであり、今後、こうした事例を他の市町村に紹介しながら、町内会館等の身近な施設の活用を働きかけてまいります。 次に、住民参加型の在宅介護等であります。 地域住民によるボランティア活動は、高齢者の生活を支えていく上で重要な役割を担っておりますが、特に、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者の支え手となることは、自身の介護予防にもつながり、一層効果的な取り組みになるものであります。こうした地域住民等によるボランティアは、来年度から始まる新しい介護予防事業の担い手としても期待されており、県としては、市町村に配置される「生活支援コーディネーター」の養成を積極的に支援するなど、住民参加型の活動を促進してまいります。 秋田市が実施している介護支援ボランティア制度は、地域の互助を促す仕組みとして効果があると考えられますので、他の市町村に紹介するとともに、今後も、各市町村で行われる特徴的な事例を収集しながら、効果的な方法を研究してまいります。 次に、認知症対策でございます。 「認知症初期集中支援チーム」は、平成30年4月までに全ての市町村で設置することになっておりますが、これまで、県内で設置されているところはございません。 その主な理由としては、今年6月に義務化が決定されてから日が浅いこと、県内には専門医が少なく、秋田市に偏在していることが挙げられます。こうした状況については、厚生労働省に情報提供しており、国では、専門医などの事業要件の緩和について検討していると聞いております。 これまで、県では、かかりつけ医や認知症サポート医の研修のほか、県医師会や認知症疾患医療センターと連携し、医療従事者向けの研修を実施しており、引き続き、その取り組みを進めてまいります。 また、本県では、本年9月末時点で4万4,000人の認知症サポーターが養成されておりますが、サポーターは、認知症の方やその家族を地域で支える上で大きな役割を担うことから、今後とも、多くのサポーターの養成に力を入れてまいります。 次に、高齢者の交通手段の確保でございます。 人口減少が進む中で、高齢者にとっては、買い物や通院などに必要な交通手段の確保が重要な問題であると認識しております。しかしながら、地域の置かれている状況はさまざまであり、全県一律の方法では課題の解決にはつながらないことから、県では、各地域の現状と課題について調査しているところであります。 今後、過疎化が進む地域においては、地域公共交通の確保がますます困難となり、その解決は容易ではありませんが、地域の実態に合わせ、市町村や交通事業者などと十分な協議を行いながら、一歩ずつ前進できるよう努力してまいります。 秋田版マイスター制度の創設でございます。 県では、昨年度、高齢者が生涯現役で活躍する秋田を構築するための指針として、「はつらつ高齢者輝きアクションプログラム」を策定し、学ぶ、貢献、働くといった視点で、高齢者の社会参加を促進するための事業を実施しているところであります。 本県のマイスター制度としては、既に「あきたエコマイスター制度」を創設し、専門的な知識や経験等を生かした取り組みを進めており、各市町村においても、名称はさまざまでありますが同様の取り組みをしているところも多く見受けられます。 こうした取り組みを進めるに当たっては、マイスターの認定・登録の要件や活動の場づくりなど、制度を効果的に運用するための仕組みづくりが必要であることから、ボランティアやNPOなど関係者の意見を聞きながら、元気な高齢者の社会参加を後押しする新たな制度についても研究してまいります。 「互助」を活用した除雪体制の整備でございます。 本県では、自宅の除排雪をみずから行うことが困難な高齢者等が増加していることから、地域全体で支え合う体制づくりが重要な課題となっております。 このため、市町村や社会福祉協議会などにおいては、高齢者等の雪おろしや除排雪を支援しているほか、除雪ボランティアを派遣するなど、互助の取り組みが進められております。 県でも、除排雪を行う住民組織の立ち上げを支援しており、横手市の南郷地区など4地区で既に活動しているほか、今年度は、湯沢市と美郷町においても新たな組織が設立されております。 今後は、引き続きこうした住民組織の立ち上げを支援するとともに、地域の実情に応じた支え合い体制の充実や効果的な支援のあり方などについて、市町村や関係団体と協議しながら検討してまいります。 次に、要援護者の支援体制についてでありますが、現在、全ての市町村が、県で示した策定指針に基づき、「災害時要援護者避難支援プラン」の全体計画を策定しておりますが、要援護者1人1人の避難方法等を定める個別計画を策定している市町村は、11にとどまっております。 また、昨年6月の災害対策基本法の改正により、市町村に避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられたことから、県では、名簿の作成と個別計画の策定を速やかに行うよう市町村に働きかけながら、災害時における要援護者の支援体制の確立を図ってまいります。 地域包括支援センターについてでありますが、おおむね中学校区ごとに配置するという目安は示されておりますが、各市町村では、人口規模や生活圏域等を考慮した区域割に基づいて設置しております。 配置職員数については、ほとんどの市町村で人員基準を満たしておりますが、センターの運営に充てられる額が介護保険給付費の一定割合に制限されていることから、一部市町村では必要な人員を配置できない状況にあります。 このため、国では、センター運営費に関する制限の緩和を検討しているほか、来年度以降、認知症地域支援推進員と生活支援コーディネーターを配置し、センターの機能強化を図る方針を示しております。 県としても、こうした国の動きを注視しながら、市町村に対し適正な人員配置について助言するとともに、各種研修等の実施によりセンターの機能強化が図られるよう支援してまいります。 公共施設のバリアフリー化でございますが、「秋田県バリアフリー社会の形成に関する条例」において、施設整備を行う場合は、県が定める基準の遵守と県への事前協議が義務づけられておりますが、その対象としては、不特定多数が利用する一定規模の施設等を新築や増改築する場合などに限られていることから、既存施設についてはバリアフリー化が進まない現状にあります。 こうした施設のうち、県や市町村等が管理するものについては、県が毎年、バリアフリー化の実態調査を行い、その結果を管理者に情報提供するとともに、既存施設についても積極的に整備に取り組むよう働きかけております。あわせて、施設の形状等により整備が困難な箇所は、職員の互助により対応すること、施設を新設する場合は、基準の遵守のみならず、高齢者や障害者施設利用者の意見を反映した設計を行うことなどを助言・指導しているところであります。 こうした取り組みに加え、県の整備基準を満たす施設への適合証の交付や、バリアフリーに関するすぐれた施設・活動の表彰などを行い、公共施設のバリアフリー化を推進してまいります。 経済・雇用対策でございます。 グローバル経済圏とローカル経済圏等についてでありますが、現在、国では、それぞれの圏域における産業振興に向けた課題と対策の方向性を検討しており、その中で、地域経済と雇用を支えるローカル経済圏の立て直しの重要性が指摘されております。 本県でも、人口減少に伴うマーケットの縮小など、中小企業を取り巻く環境が大きく変化してきていることから、「中小企業振興条例」に基づき、付加価値の高い製品やサービスの開発、生産効率の高い設備の導入など、県内企業の生産性を高める意欲的な取り組みを支援しております。 また、国や県の経済対策により、県内中小企業にも総じて景気回復感が出てきておりますが、円安の進行に伴う輸入価格の高騰などの懸念材料もあることから、引き続き、その動向を注視し、必要に応じて機動的な対応を講じてまいります。 なお、例えば、情報化の進展により、グローバルとローカルがオーバーラップするグローカルという言葉が生み出されるなど、経済構造の捉え方はさまざまでありますが、企業発展のファクターは多岐にわたることから、まずは、それぞれの企業が幅広くアンテナを張りめぐらし、的確な情報を得ながら機敏に対応することが、その原点となるものと思われます。 次に、人手不足解消と労働生産性の向上等でございますが、人口減少社会における労働力不足に対応するためには、女性や高齢者、障害者の就労が重要であり、これまでも国と連携しつつ、就業支援セミナーの開催やマッチング機会の提供、経済団体への要請、雇用労働アドバイザー等による個々の企業への働きかけなどを行っております。 また、県の技術専門校や国の関係機関においては、地域や企業が求める人材を育成するため、保育士や介護福祉士、建設機械運転などの資格取得や障害者向けの職場実習など、職業訓練メニューを設定しており、今後とも、地域や企業のニーズを踏まえ、専門性の向上に向けた支援メニューの充実などを図ってまいります。 地域経済の核となる企業を育成することは重要であることから、平成22年度から「ものづくり中核企業育成事業」を実施しており、中核企業候補として認定されている企業においては、新技術開発や販路拡大、雇用の創出など、一定の成果が上がっております。 今後は、中核企業の育成とあわせ、さらなる付加価値と安定した雇用を創出するため、新エネルギーや輸送機、医療機器といった成長分野において、中核企業を中心とした企業連携やサプライチェーンの構築を強力に促進してまいります。 事業承継でございます。 昨年、県や商工団体、金融機関等からなる「事業承継ワーキンググループ」を設置し、現在、先進事例の調査を行うとともに、課題抽出のためのアンケートの実施や事業承継セミナー、個別相談会の開催などに取り組んできております。 総合相談窓口である秋田商工会議所の「事業引継ぎ支援センター」では、県が商工団体に配置している「事業承継・創業相談員」からの引き継ぎを含め、経営者の悩みを解決する具体的な支援を行っており、既に、事業承継の完了が1件、事業承継計画の策定中が3件などの成果があらわれてきております。 また、後継者不在企業と事業意欲のある人材とのマッチングを進めるため、「事業引き継ぎ支援センター」を中心に「後継者人材バンク(仮称)」の創設を検討しており、県としても積極的に支援してまいりたいと考えております。 さらに、事業承継の円滑化を図るため、事業用資産を他の一般資産と切り離して非課税とすることや、取引相場のない株式の適正な評価など、事業承継に係る税制の抜本的な見直しについて、国に対し、強く要望しているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(佐藤健一郎議員) 9番田口議員の質問は終わりました。 以上で一般質問を終了いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 △午後2時19分散会 ---------------------------------------...