平成24年 第2回定例会●平成24年
秋田県議会第2回
定例会会議録 第2
号---------------------------------------議事日程第2号 平成24年9月13日(木曜日) 午前10時開議第1、
一般質問---------------------------------------本日の会議に付した案件 議事日程に同じ
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△午前10時開議 本日の出席議員 45名 1番 沼谷 純 2番 小原正晃 3番
丸の内くるみ 4番 田口 聡 5番 山内梅良 6番
瀬田川栄一 7番 菅原博文 8番 菅原広二 9番 加藤麻里 10番 虻川信一 11番 三浦茂人 12番 東海林 洋 13番 佐藤雄孝 14番 北林丈正 15番 竹下博英 16番 中泉松司 17番 原 幸子 18番 工藤嘉範 19番
石川ひとみ 20番 渡部英治 21番 三浦英一 22番
こだま祥子 23番
近藤健一郎 24番 加藤鉱一 25番
佐藤賢一郎 26番 小松隆明 27番 平山晴彦 28番 柴田正敏 29番 宮腰 誠 30番 中田 潤 31番 安藤 豊 32番 土谷勝悦 33番 渋谷正敏 34番 大関 衛 35番 川口 一 36番
小田美恵子 37番 武田英文 38番 鶴田有司 39番 冨樫博之 40番
大野忠右エ門 41番 能登祐一 42番 大里祐一 43番
佐藤健一郎 44番 鈴木洋一 45番
北林康司--------------------------------------- 出席議員 45名 1番 沼谷 純 2番 小原正晃 3番
丸の内くるみ 4番 田口 聡 5番 山内梅良 6番
瀬田川栄一 7番 菅原博文 8番 菅原広二 9番 加藤麻里 10番 虻川信一 11番 三浦茂人 12番 東海林 洋 13番 佐藤雄孝 14番 北林丈正 15番 竹下博英 16番 中泉松司 17番 原 幸子 18番 工藤嘉範 19番
石川ひとみ 20番 渡部英治 21番 三浦英一 22番
こだま祥子 23番
近藤健一郎 24番 加藤鉱一 25番
佐藤賢一郎 26番 小松隆明 27番 平山晴彦 28番 柴田正敏 29番 宮腰 誠 30番 中田 潤 31番 安藤 豊 32番 土谷勝悦 33番 渋谷正敏 34番 大関 衛 35番 川口 一 36番
小田美恵子 37番 武田英文 38番 鶴田有司 39番 冨樫博之 40番
大野忠右エ門 41番 能登祐一 42番 大里祐一 43番
佐藤健一郎 44番 鈴木洋一 45番
北林康司--------------------------------------- 地方自治法第121条による出席者 知事 佐竹敬久 副知事 堀井啓一 副知事 橋口昌道 総務部長 木村宗敬
総務部危機管理監 佐藤浩二
企画振興部長 柴田 誠
観光文化スポーツ部長 前田和久
健康福祉部長 市川講二
生活環境部長 山田芳浩
農林水産部長 藤井英雄
産業労働部長 関根浩一 建設部長 冨田耕司
会計管理者(兼)出納局長
東海林文和 総務部次長 高橋美紀 財政課長 出雲隆志 教育長 米田 進
警察本部長 志村
務---------------------------------------
○議長(
大里祐一議員) これより本日の会議を開きます。 諸般の報告は、お手元に配付してあります議長報告のとおりでありますので、朗読を省略いたします。
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△議長報告(朗読省略) 1、
地方公務員法第5条第2項の規定により次の議案について
人事委員会の意見を聞いたところ、別紙(9月11日付)のとおり回答があった。 議案第165号 一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案 議案第167号 職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案 議案第203号
市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案 議案第204号 教育長の給与及び旅費等に関する条例の一部を改正する
条例案--------------------------------------- 人委-365 平成24年9月11日
秋田県議会議長 大里祐一様 秋田県
人事委員会委員長 柴田一宏 条例案に対する意見について(回答) 平成24年9月7日
付け議事-113で求められた条例案に対する当委員会の意見は、次のとおりです。
県議会議案第165号 一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案 (意見) 職員の給与は、
地方公務員法の給与決定の原則によるべきものでありますが、このたびの給与の削減措置は、現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応するため、県財政の状況を踏まえ実施する臨時・特例的なものと理解します。
県議会議案第167号 職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案 (意見) 本条例案は、
東京電力株式会社福島第一
原子力発電所の事故に係る
避難指示区域の見直し及び職員の勤務の実態にかんがみ
帰還困難区域等において作業に従事した職員に対し
災害応急作業等手当を支給する措置等を講じようとするものでありますので、適当と考えます。
県議会議案第203号
市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案 (意見)
市町村立学校職員の給与は、
地方公務員法の給与決定の原則によるべきものでありますが、このたびの給与の削減措置は、現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応するため、県財政の状況を踏まえ実施する臨時・特例的なものと理解します。
県議会議案第204号 教育長の給与及び旅費等に関する条例の一部を改正する条例案 (意見) 本条例案は、知事等の給料との均衡等を考慮し教育長の給料を減じようとするものでありますので、適当と考えます。
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○議長(
大里祐一議員) 日程第1、一般質問を行います。38番
鶴田有司議員、20番
渡部英治議員、37番
武田英文議員、36番
小田美恵子議員、9番
加藤麻里議員、2番
小原正晃議員、23番
近藤健一郎議員、3番
丸の内くるみ議員、17番
原幸子議員、以上の9名から
一般質問主意書が提出されております。 まず、38番
鶴田有司議員の一般質問を許可することに御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(
大里祐一議員) 御異議ないものと認めます。38番鶴田議員の発言を許します。 [38番(
鶴田有司議員)登壇](拍手)
◆38番(
鶴田有司議員) 自由民主党の鶴田有司でございます。一般質問の
トップバッターを務めさせていただきます。よろしくお願いします。 昨年3月11日の
東日本大震災から1年半が過ぎましたが、復興への道は遅々として進まず、被災された方々の相変わらずの厳しい生活への無念さを考えますと、本当にじくじたる思いであります。そして、国内経済も回復の兆しすら一向に見えず、我が国の行く末を案じないわけにはいかない毎日であります。さらに追い打ちをかけるかのように起きた竹島・尖閣諸島をめぐる中国及び韓国との
領有権争いは、政権与党の外交力の稚拙さが招いた大失態であると言うほかありません。
党内分裂騒動に揺れる現政権与党は、もはや末期症状であり、風雲急を告げる様相を呈する事態となっており、国民は戸惑いを隠せないでいるものと思います。 そのような中にあっても、ホットなニュースもありました。
ロンドンオリンピックでの
日本選手団の活躍であり、県内にあっては
秋田商業高校野球部の頑張りであります。日本選手の
メダル獲得など上位入賞のうれしい情報は、私たちに勇気と希望を与えてくれるものでした。 そして、県勢として14年ぶりとなった昨年に続き、ことしも2年連続の
甲子園初戦突破を果たしてくれた
秋田商業高校野球部。テレビの前で熱狂的な応援を送り、その堂々とした戦いぶりに感動させてもらった県民も多かったに違いありません。 県を挙げた高校野球の
強化支援策など、努力と工夫次第で甲子園で勝利できることを実証してくれたと思います。そして、忘れてならないことは、このたびの
県民栄誉賞に輝いた
五十嵐俊幸選手と
江畑幸子選手です。お二方には、心からお祝いを申し上げる次第です。 初めに、知事の政治姿勢についてお伺いします。 早いもので、平成21年4月に佐竹知事が就任されてから、任期も残すところ6カ月余りとなりました。この3年半の知事の県政運営に対する私の率直な評価を申し上げますと、さすが県庁の幹部や秋田市長など豊富な行政経験を踏んだだけあって、県政運営については奇をてらうことなく、施策の推進に当たっても、戦略性と手堅さをともに兼ね備え、適切な対応をしてこられたと理解しております。 しかしながら、財源が十分に確保できた
高度経済成長時代と違い、今は、いけいけどんどんと事業を行えるような時代ではなく、それこそ県の
行財政運営も大変厳しい状況の中での推進を余儀なくされております。 また、県外からの企業誘致も難しくなっているばかりでなく、県内の既存工場が秋田から海外へ移転してしまいかねない時代となっており、難しいかじ取りが求められております。 さらに、昨年の
東日本大震災を初め、さまざまな災害が襲ってくる中、速やかな対応や日ごろからの防災・減災の取り組みが重要になっております。このような環境にあっても、知事は各分野にわたり無難な県政運営をしてこられたのではないかと思います。 しかし、その一方で、閉塞感が漂う時代にあっては、ときには
石原東京都知事や
橋下大阪市長ほどでないにしても、「秋田県は今何をしようとしているのか」を県民に訴え、ともに頑張っていくためにも、もう少し県民を引きつけるような発言や行動があってもいいのではないかという思いがあります。つまり、「戦略の見える化」にもっと力を入れてはいかがでしょうか。 そういう意味でロシアの
プーチン大統領に秋田犬を贈呈したことは、国際社会ではトップのプレゼンスが大変重要でありますので、今後、ロシアとの交易拡大を目指す本県にとって、とてもタイムリーな対応であったと思います。 ここで、これまでの知事の主な実績に触れてみますと、東アジアとの交流拠点となる秋田港の
国際コンテナターミナルの整備や、
福祉医療費助成の小学校までの拡大、少人数学習の拡充、あきた
結婚支援センターの開設、
再生可能エネルギーの大
規模導入等に向けた取り組みの推進、そして、
災害廃棄物の
早期受け入れによる震災復興への貢献など数多くありますが、スポーツ好きの私にとりましては、「
スポーツ立県宣言」を行ったことは大ヒットだったと思います。ただ、その後、全く音沙汰なしで、看板倒れに終わってしまうのではないかと心配しておりましたが、ここにきてやっと「
観光文化スポーツ部」が設置されましたので、今後はスポーツの振興にも大いに期待したいと思っております。 しかしながら、まだまだ施策として不十分なのは、知事が就任当初から「県政の一丁目一番地」と位置づけておられる経済・雇用対策です。 経済の
グローバル化が進み、国内企業が厳しい国際競争にさらされている現状を考えますと、県でできることには限度があり、そのような中で産業の振興や雇用の確保を図っていくことが大変難しいことは十分に承知をしておりますが、特に県内の
自動車関連産業の育成がなかなか進まないことや、TDKの事業縮小に伴う離職者の増大など、多くの課題がいまだに残されております。 さて、今年度からは、県と市町村が一体となって地域の課題解決に取り組む「秋田県
市町村未来づくり協働プログラム」がスタートいたしました。また、来年度には、観光の
一大イベントであるデスティネーションキャンペーン、そして平成26年には、
国民文化祭の開催が予定されております。 このような現在の県政の状況の中で、私は知事が今取り組んでおられる県政の課題の改善や解決策は、いまだ道半ばであり、行政の継続性の観点からも、一期4年という限られた時間では、目指す政策・施策の実現が困難なものもあると考えますと、来年度以降も引き続きトップとして県政を担当していくべきではないかと考えております。 ここで、これまでの御自身の県政運営を振り返りつつ、知事の固い御決意のほどをお伺いいたします。 なお、震災後の危機管理についての取り組みは進んでいることと思いますが、知事御自身の体の危機管理も万全を期すようにお願い申し上げます。 次に、雇用の創出についてお伺いいたします。 雇用情勢は、総じて改善傾向にあると言われているものの、地域によってばらつきがあり、今後もTDKの
製造拠点再編に伴う
協力企業等の離職者の増加により、さらなる雇用情勢の悪化が懸念されております。 こうした中、さきの六月補正予算に計上された「
省エネルギー型植物工場による
先端アグリビジネスシステムの実証事業は、食品加工や流通までを見据え、雇用の創出も一つの目標としている旨の説明があったところでありますが、今回の植物工場で雇用される人数は3人程度と聞いており、雇用効果は極めて小さいものと言わざるを得ません。 部品工場が厳しい中で空き工場を活用して植物工場にすることを否定するものではありませんが、県が力を入れて取り組む事業であれば、雇用の創出も大きく求められるのは当然のことであります。 この事業は、6月議会以降、大きな進展も見られないようですし、植物工場がどのようなプロセスで食品加工や流通と連携が図られ、そして雇用の増に結びついていくのか、それまでにどれくらいの時間がかかるのかわからないことが多く、私はそれほどまでに県として取り組むことに疑問を感じております。今後、植物工場の取り組みを、どのように発展させていこうとしているのか、実現時期の見通しも含めてお伺いいたします。 次に、
食品加工業の振興についてお伺いいたします。 私は、植物工場の
プロジェクトに力を入れることよりも、
食品加工業の振興に力を入れることの方が重要だと思っております。
食品加工業は、既存の農家や
県内事業者等が多くかかわり、農産物の付加価値を高め、その生産・販売額の増加につながるほか、
製造品出荷額の増大による県民所得の増加に確実につながるものと考えますし、雇用も生まれます。 ところで、
工業統計調査により、
食料品製造業について東北六県を比較してみますと、平成22年における従業者4人以上の事業所の数は最下位ながら他県との差は余りありませんが、
製造品出荷額では最下位である本県の991億円に対して、第5位が福島県の2,782億円、第4位が山形県の2,900億円と、いずれも本県の3倍近い金額となっております。第1位の宮城県とは、実に6倍近い差が生じているのが現状です。果たして、これだけの大きな差が生じているのは、どのような理由によるものなのでしょうか。 お隣の山形県について見てみますと、売上高で100億円を超える規模の
菓子製造業者や
食肉加工業者がすぐに思い浮かぶなど、大規模な
食品加工業者の存在が一つの要因になっているのではないでしょうか。私は、山形県と本県に、農業や食品加工に関して絶対的な条件の違いはないと考えております。 そこで、
食料品出荷額の拡大と雇用機会の増大を図るため、
食品加工業者と
総合食品研究所との交流の強化はもちろんのこと、県や民間活力を活用した
コンソーシアム化により、商品開発・市場開拓・販売拡大に向けた取り組みへの支援を強化することが極めて効果的と考えます。そして、大消費地への売り込みを積極的に行い、需要の拡大を図り、本県での生産・出荷の増に結びつけていくよう取り組むべきであります。 今すぐ50億や100億の企業を誕生させることには無理がありますが、企業誘致が難しい時代にあって、地道であっても地域に根ざした
食品加工業の振興を図ることは重要であり、また、秋田の食文化を守り育てるためにも有効と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、農業問題についてお伺いいたします。 農業県秋田でありながら、
農業生産額は東北で最下位となっております。平成15年には、まだお隣の青森県と肩を並べていた
農業生産額ですが、最近では約1,000億円の差がついております。これは、とりもなおさず、果樹や野菜で大きく水を開けられているのが要因であります。私は、長引く円高で新たな企業誘致は厳しく、秋田県の経済を支えるのは、これからは新
エネルギーと農業ではないかと考え、農業再生には、さらに本腰を入れなければならないと思っております。 まず、
新規就農者等の確保と育成についてお伺いいたします。 本県では、平成2年から平成22年までの20年間に、農家数と
農業就業人口が、ともに4割近く減少しており、
農業就業人口に占める65歳以上の高齢者の割合が6割まで上昇するなど、全国と同様に農業者の減少と高齢化が急速に進んでおります。 先般開催された「あきた
子ども議会」においても質問されておりましたが、
新規就農者等の確保・育成が本県農業の最も重要かつ喫緊の課題の一つとなっております。 こうした中、最近は、就農のスタイルに変化があらわれていると感じております。私の管内の平鹿地域でも、農家以外の出身者が農業法人に就職したり、県外から移住した者が研修を受け、独立・自営して菌床しいたけ生産に取り組んでいる例もあります。私は、秋田の農業を将来にわたって維持・発展させるためには、農家の後継者だけでなく、非農家の方や
県外在住者など、あらゆるルートから
就農希望者を掘り起こし、地域へ定着させることも方策の一つであると考えております。 また、多様な
就農希望者を着実かつ円滑に就農へと導くためには、農業に関する基本的な知識と技術を学ぶ就農研修の受け皿となる研修施設の充実・強化が不可欠であります。 このたび秋田市では「
農業未来づくりプロジェクト」として、園芸に特化した
新規就農者の育成研修や非
農家出身者向けの
就農ほ場つき研修など、先進的でモデル性が高い
研修システムを取り入れようとしております。 また、新聞報道によりますと、「農」の営みを見直す機運の高まりや国の「
青年就農給付金制度」の創設に伴い、若者の農業への関心が高まり、
新規就農者が増加しているようであります。 こうした追い風が感じられる中で農業に若者を呼び込む必要があると思いますが、県の研修制度のあり方を含め、今後、
新規就農者等をどのように確保・育成していくのか、知事のお考えをお聞かせください。 次に、野菜振興についてお伺いいたします。 本県の平成22年の
農業産出額は、1,494億円と大きく減少いたしました。これは、高温による米の不作と米価の低迷が大きな要因でありますが、裏を返すと米の影響を野菜や果樹などで補えなかったためであり、根本的な原因は稲作依存の体質にあります。 本県の
農業産出額は、最も大きかった昭和60年が3,175億円で、25年間で実に1,681億円減少し、現在では半分以下になっております。このうち米は、2,155億円から785億円と1,370億円減少しており、全体の減少額のほとんどが米であります。 さて、戦略作目といわれる野菜や畜産、果樹は、ほぼ横ばいか微減傾向にあります。とりわけ、力を入れている野菜は、263億円から平成4年には318億円まで増加しましたが、その後減少に転じ、平成22年には249億円となっております。 このように、長年にわたり県農政が最重点に取り組んできた米依存からの脱却と足腰の強い農業構造の確立は、まだまだ道半ばといったところではないでしょうか。 申すまでもなく、水田で米以外の作物を生産し、所得を確保することは、農家のみならず農村地域の経済・社会にとっても重要な課題であります。 最近、国では六次産業化の推進を目玉にし、県でも雇用対策の柱の一つに据えています。私は、付加価値を農家・農村に取り込むことは、ぜひとも進めるべきと思いますが、何といってもその土台となる一次産業、つまり農業生産がしっかりしないといけないと思うのであります。特に、その大もとである野菜生産が、拡大どころか縮小傾向にあることは、非常に心もとなく、本県農業の将来を危惧しております。 こうした中で、県は「え
だまめ日本一」を目指した取り組みを進めております。昨年は、8月から9月の
東京中央卸売市場での入荷量が全国一位となるなど、取り組みの成果もあらわれてきているようであります。「え
だまめ日本一」の取り組みは、行政・農業団体・農家といった方々がうまくかみ合い、JAや農家から評価する声を聞いております。六次産業化の一つのモデルケースとなっております。 しかし、この取り組みが牽引役となって野菜の生産量を引き上げなければならないところですが、現実的には、まだ増加に結びついていないのが現状であります。 今後は、例えば県北が主産地のネギや県南で主に生産されているアスパラや菌床しいたけなど、目玉となる他の品目にも広げ、大きな視点に立って野菜全体の生産拡大を図っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。 ところで、集落の農家や
新規就農者など一定の雇用を抱える農業法人の経営者の方と話をしますと、作付段階では幾らで売れるかわからず、出荷後に、そのときどきの相場の中で価格が決まり、しかも全国的な豊凶に価格が大きく左右される市場出荷は、リスクが大き過ぎて取り組みにくいといった意見が多くあります。 さらに最近の野菜の状況を見ますと、昭和40年には野菜需要の23%しかなかった
業務用需要が、今や60%近くまで上がってきており、さまざまな外食や中食、加工業者などからの
業務用需要がふえているようであります。 これまでの産地育成は、JAを単位とした個々の農家の集合体であったように思いますが、大規模な法人がふえてきている現在、契約栽培などの需要に対応した取引も進める必要があると思います。あわせて、取引先の規格に合わせて計画的に生産・出荷する技術も必要となっております。こうした、経営体に合わせた野菜振興・技術指導は欠かせませんが、知事のお考えをお聞かせください。 次に、
医師不足対策についてお伺いいたします。 現在、県では医師不足や医師の地域偏在・
診療科偏在を解消するため、「医師不足・
偏在改善計画」を策定中であり、先月その中間報告が、この計画を検討する地域医療対策協議会に対してなされたところであります。成案は11月ということですが、各二次医療圏の病院における診療科ごとの目標医師数を設定し、平成37年ごろまでの15年間の計画期間で目標を達成しようという構想と聞いております。 しかし、実現に向けたハードルが少し高いのではないかという印象を受けます。例えば、私の地元である「横手医療圏の病院における診療科ごとの年次計画医師数の推移」では、平成37年には、必要な医師数142人に対し、5人多い147人が確保され、医師が不足する診療科はなくなり、小児科や整形外科、眼科などは、若干ですが目標医師数を上回る医師が確保されるとしております。 しかしながら、地域枠医学生の義務期間終了後の県内定着の確実性や医学生が将来どの診療科の医師になるかの選択が各自の自由な判断に任せられていることを考慮しますと、計画どおりに医師不足や
診療科偏在が解消されるのか、未知数部分が多いと考えなければなりません。目標数値も重要ですが、それをしっかりと実現していくための対策が、さらに大事であると考えます。 そこで、今後どのような方策が中長期的な課題解決のために必要と考えているのかお聞かせください。 さて、他県に目を移しますと、熊本市では市内にある医療機関が、それぞれが得意とする疾病分野を持っていたり、特定の専門分野で高度な医療を提供するなどの特徴を持つことで、機能分担を図りながら、医師を初めとする医療資源の有効活用が図られ、全体として質の高い医療の提供につながっていると聞いております。 また、医療機関の連携においても、熊本市内の拠点病院が中心となって「地域連携クリティカルパスの導入」などを進めてきたため、急性期病院とかかりつけ医との連携や、急性期・回復期・維持期の機能分担も進んでいるとのことであります。 このような先進事例のように、県は、病院が必要だとする医師の確保に努めるだけではなく、長期的には医療機関の役割分担を踏まえながら、医師の不足や偏在解消を図るという視点からの取り組みも、医療行政として必要ではないかと思います。とはいえ、長期的な取り組みも重要でありますが、県民にとっては身近な中核病院の特定診療科の現在の常勤医師不足が不安の種であります。 例えば、私の住んでいる横手市の二次医療圏の中核病院である平鹿総合病院では、常勤の麻酔科医が不在となってから2年間が経過しようとしております。秋田大学等からの非常勤医師の応援により、あらかじめスケジュールを組むことが可能な日中の手術については対応ができているようですが、夜間や休日に行う緊急手術には十分な対応ができない状況にあります。他の地域でも由利組合総合病院の消化器内科医、かづの厚生病院の循環器内科医など、常勤医の確保が難しく、地域住民に不安を与えている事例が見られます。 各医療機関とも不足している特定診療科の常勤医確保に向けて、独自の取り組みや努力をしているようですが、本当に苦労しており、なかなか思うような成果が上がっていないのではないかと心配しております。もちろん、一人前の医師を育てるのは時間がかかるということは承知しておりますし、中長期的な対策が大切なこともわかりますが、このような喫緊の個別の問題に対して、県も手を差し伸べるべきものと思います。 例えば、平鹿総合病院については、麻酔科にはフリーの医師が多いと聞いておりますので、こうした医師に対する個別のアタックをするとか、1名の募集であれば負担が多く敬遠されることから複数募集にするという手法もあると思います。 そこで、県として長期的には秋田大学との連携は欠かせないと思いますが、今ある問題解決が迫られております。即効性のある医師確保対策に、どのように取り組もうとしているのかお尋ねいたします。 次に、いじめ問題についてお伺いいたします。 滋賀県大津市におけるいじめの問題は、目に余るほどの内容の陰湿さと自殺という最悪の結果となった後に、調査を行った学校と教育委員会には、事実の隠蔽とも取られかねない対応のまずさもあり、大きな社会問題として注目されております。 不幸にも今回の被害者となってしまった少年の家族、関係者の心情を考えると胸が痛んでなりません。心から御冥福をお祈り申し上げます。 警察が介入したこの事件は、加害者であると言われる三少年の立件について、秋にも最終判断が下されるようでありますし、先ごろは元裁判官を委員長とする第三者委員会も設置され、年内には自殺の原因といじめの防止策を盛り込んだ報告書がまとめられる予定とのことで、改めて事の重大さを認識させられるものです。 少年が通っていた中学校では、この夏休み中に、いじめを目撃した生徒たち約300人から警察による聞き取りが行われたとのことであります。始業式が行われた今月3日には、学校とその周辺を警戒する目的で、十数名もの警察官が厳戒態勢を敷いていたとの報道もあります。こうしたことは、子供たちにとって楽しいはずの夏休みがこの事件によって奪われてしまったばかりか、一つのいじめが子供たちと保護者、そして地域を巻き込む大事件に発展してしまったわけであり、子供たちのつらさや悲しさは、大人の私たちの想像を絶するものであると思います。 残念ながら、いじめはどの子供にも、どの学校でも起こり得る問題であり、根絶の特効薬となるものは、なかなか見つからないと言われています。 本県にとりましても大津市のいじめ問題は決して他人事ではありません。であるならば、芽が小さいうちに早期発見し、即時対応することが大事であるということは言うまでもありません。 大津市教育委員会の内部にある「いじめ対策検討委員会」では、市内の全小・中学校に2学期から、いじめ対策担当者を置くことを決定し、各学校のいじめに関する情報を把握して担当者間で共有し、現行のいじめ対応マニュアルの見直しを図るなどして、いじめ発生防止に向けた指導策を早期に立案するための行動をスタートしたようであります。 私は、まず何より重要なのは、いじめを未然に防ぐことであります。家庭においても、学校においても、子供さんと真摯に向き合うことが大切であることは当たり前のことであります。 基本的には、日ごろから先生方のコミュニケーション能力を常に高めておくことが大切だと思っており、環境や時代の移り変わりで対応も変わってくることもありますから、その教育を定期的に、そして徹底して行っておくこと、また、学校内や教育委員会を含めた他校との情報交換による情報交流を交わすことが重要だと思っております。 そこで教育長にお伺いいたします。 今回の大津市におけるいじめ問題について、どのような感想をお持ちでしょうか。また、これまでに判明したいじめ問題に対して、これまでにどのような対応をとってこられたのか、そして、今後どのような対策を講じていかれるのかをお伺いいたします。 知事はまた、「学校内だけで処理できない事案は、場合によっては知事部局や県警の対応も必要である」との認識を示されました。 そこで、
警察本部長にお伺いいたしますが、大津市における事件以降、全国各地で、いじめについて警察へ相談するケースや被害届を提出するケースが多くなっていると聞いておりますが、そのような場合には秋田県警としてどのようなスタンスで対応されるのか、学校内におけるいじめ問題への県警の対応についてお考えをお聞かせください。 最後に、知事は今議会冒頭での知事説明の中で、いじめ問題について「教育現場での取り組みはもとより、家庭・地域と一体となっていじめが起きないような環境づくりを教育委員会とともに進めていく」と言われました。未然防止が最も重要なのは先ほど申し上げたとおりですが、知事は具体的にどのような取り組みを考えておられるのかお伺いいたします。 これで私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
大里祐一議員) 県当局の答弁を求めます。 [知事(佐竹敬久君)登壇]
◎知事(佐竹敬久君) おはようございます。 初めに、私の政治姿勢についてであります。 私は知事就任以来、時代の潮流や刻一刻と変化する社会経済情勢を見きわめながら県政運営を進めてきたつもりであり、主要な施策・事業においては、それぞれ幾つかの視点に分けて取り組んでまいりました。 まずは、これまでテーブルに乗りながら結論が出ていない、いわば積み残しの事業については、さまざまな議論はありましたが、スピード感を持って
エネルギーを投じてきたところであります。 中通一丁目市街地再開発や厚生連病院の整備、大型製材工場や総合家畜市場の建設、子供の医療費助成、高速交通体系の整備推進などであります。 また、すぐには成果があらわれない多様な視点での取り組みを要する基本的課題については、将来展望を踏まえるとともに、必要なものについては、国への政策提言を行いながら重点的に取り組んでまいりました。 新
エネルギー産業戦略や林業・木材産業振興、東アジア時代を見据えた港湾整備や海外へのトップセールス、少子化対策ともリンクする結婚支援策、イメージアップ戦略を含む新しい切り口での観光政策などであります。 また、
スポーツ立県宣言、文化ルネサンス宣言と、連動した国レベルの大型イベント等の誘致などもあります。 中でも、特に重要となる産業経済面の充実では、大量生産型工業の国内生産の限界が現実になる中で、既存中核企業群の技術力向上や競争力のある新分野への進出、今後も国内での発展が見込まれる地域密着型産業の拡充や誘致に焦点を当て、取り組んでまいりました。 さらに、市場ニーズを踏まえた食農観連携の推進や食品加工分野の拡充にも積極的に取り組んでまいりました。 国への積極的な政策提言で実現したものでは、このたび政府から発表された日本海側基幹送電線網計画や林業再生予算の大幅拡充などがあります。 加えて、
東日本大震災、リーマンショックや欧州の国家財政危機による国際経済環境の急激な悪化など、予期しない事象に対しては、県内の実態に即した緊急的な経済・雇用対策の推進、スピーディーで広範な被災地支援、瓦れき受入れなどを行っているところであります。 一方において、本県農業や地域医療の再生の重点化と施策の継続性の確保のため、県単独基金創設という財政面にも意を用いたところであります。 いずれ、県政運営は単一面だけでは成り立つものではなく、幅広い分野における選択と集中により、全体としての進展を図ることが基本であります。 さて現在、いわゆる著名人の劇場型政治手法が国内で際立っております。すなわち、マスメディアを多く活用したり、政府や既存システムなど敵対する対象を設定し、簡単には結論を得るのが難しい国レベルの基本的政策課題を突きつける手法であります。 しかし、これには著名人のタレント性をバックとしていることから、一時的ブームに終わりがちなことや行政との接点が希薄で政治的無関心層の多いとされる大都市において、求心力を確保するためのワン・イシュー、すなわち単一争点政治が個々の価値観や社会経済構造が複層的な現代社会において、果たして総体的に国の発展や住民生活の向上につながるのかという基本的問題を包含しております。 私はそのような立場をとれる部類ではなく、それが県民生活の向上につながるとは思っておりません。 なお、本県の歴代知事を含む全国の知事の中では、ユーチューブなどのソーシャルメディアやテレビ番組、各種イベント等への出演、また、全国版の幅広い書籍等への寄稿などによる本県情報の発信は比較的多い方ではないかと思っております。 加えて、信念に基づくものについては、ときには強い言動で世論喚起もしており、私なりに精いっぱい頑張っている点は御理解いただきたいと思います。 ただ、議員御指摘の「戦略の見える化」というのは、大変に示唆に富む言葉であり、今後、重点施策において、それぞれの分野の方々はもとより、多くの県民に理解していただき、心を一つにして取り組むため、具体的方策を検討してまいりたいと考えております。 さて、前置きが長くなりましたが、来年春の知事改選への私の思いであります。 以上述べてまいりましたとおり、知事就任以来、全力で取り組んできた結果、主要な県政課題において、具体化したもの、具体化に入りつつあるもの、今後さらに積極的に取り組まなければならないもの等々さまざまあることは事実でありますが、いずれも成果を結実させるためには、これからが大切な時期であります。 このような中で、私としては、一定の成果を得るための責任を果たさなければならないという気持ちが強いのも偽らざる気持ちであります。 したがって、来春には再度県民の皆様の選択を受けるとの覚悟を持って、残す任期に全力を尽くしてまいります。 次に、雇用の創出と
食品加工業の振興について、まず、植物工場についてであります。 最近の外食産業等はもとより、スーパーなど店先でも洗浄やカットが不要で、入荷して直ちに使用できるものなど、いわゆる植物工場等で生産され、衛生面も含め規格管理された食材のウエイトが急激に高くなってきていると見られます。 このような傾向は、今後、国内あるいは世界的に見ても拡大するものと思われ、単に雇用面のみならず本県農業の振興のためにも、こうした流れに対応した取り組みが求められております。 植物工場は、季節や天候に左右されずに通年で安定供給が可能なことや、農産物の高付加価値化、製造業の技術を活用した高い生産性などが見込まれることから、新しい産業としての期待が高まっており、周年農業にもつながるため、県としても関連する
プロジェクト等に積極的に取り組んでいるところであります。 今回の
プロジェクトにつきましては、今年度、植物工場プラントの設計・設置とあわせ、作物選定やマーケティング調査を実施し、来年度以降、加工・流通の体制整備も視野に入れ、できるだけ早期に営業ベースでの量産化につなげてまいります。 さらに、そのノウハウを全県に波及させ、地域の資源や特徴を生かしたオリジナルな植物工場を県内に展開してまいりたいと考えております。 一方、植物工場単独では多くの雇用に結びつかないことから、加工・流通を含めた、いわゆるバリューチェーン化に取り組むことにより、雇用の拡大につなげたいと考えており、具体的には、薬用植物では、薬品やサプリメント、化粧品向けに成分の抽出加工を行うほか、高付加価値野菜や特定機能野菜については、外食やホテルチェーン、医療・福祉施設など特定のマーケットをターゲットとし、みずから流通や販売に取り組むことなども一例として挙げられます。 このように、他の作物などとの差別化を図り、マーケットに受け入れられることが肝要であり、まずは今年度の実証にしっかりと取り組んでまいります。 こうした事業成果をもとに、農産物の生産、加工、流通といった農業分野の知見と、環境制御、生産管理、新
エネルギーなどの製造業分野の知見を相互に活用することにより、各エリアで植物工場やハウスによる周年栽培などの先端的な農業が一体的に展開され、「周年化」や「雇用の創出」が図られている、いわゆる「スマートカントリー」の実現を目指してまいりたいと考えております。 次に、
食品加工業の振興についてであります。
食品加工業は、地域で生産される原料を用い、地域で最終製品の製造まで完結できる数少ない業種であり、県経済の活性化を図る上で重要な産業分野の一つであります。 東北各県の
製造品出荷額を見ると、特に本県との差が大きい項目は、青森、岩手の畜産加工品、青森、宮城の水産加工品、山形、福島の野菜・果実等の缶詰加工品等であり、いずれも加工品の原料生産と結びついて得意分野を形成しております。 本県では、農林水産物の産出額の大半を米が占め、
食品加工業の原料となる畜産物、水産物、野菜・果樹等の生産量が絶対的に少なかったため、酒や味噌といった米を原料とする加工品を除けば、一定規模以上の食品加工事業者が育つための環境になかったのではないかと考えられます。 また、隣県の山形県については、藩政時代から大消費地である江戸と結びついた二次加工品取引が行われてきた一方で、本県では北前船により関西経済圏と結びつき、米や非鉄金属など一次素材を中心とした取引が行われていたという歴史的背景も一因となっているのではないかと考えられます。 さらに、本県の農業生産現場においては、専ら高品質な農産物の生産や販売に力点が置かれ、これに付加価値をつけて出荷するという意識が十分に浸透しなかったことも、食品加工への取り組みをおくらせた要因の一つとなっております。 なお、統計上は、食料品
製造品出荷額には本県が得意とする酒造業は含まれておりません。 これまで申し上げたとおり、本県の
食品加工業が抱える問題は、一朝一夕に解決するものではありませんが、多様な食の素材や暮らしや風土に根ざした食文化など、潜在的な地域資源の活用による
食品加工業の振興は重要な政策課題であることは間違いありません。 このため、県といたしましては、地場野菜のカット加工を行う新たな経営体の育成、すぐれた加工素材の掘り起こし、加工技術の開発・普及、販路開拓のサポート、観光分野との連携等を含め、県内の
食品加工業のレベルアップを支援してまいります。 次に、農業問題について、
新規就農者等の確保・育成についてであります。 本県の
新規就農者数は、平成23年度で146人と、ここ数年は年間百人を超えておりますが、将来の担い手を十分に確保するためには、さらなる上積みを図る必要があります。 かつては、農家の後継者が経営を引き継ぐ形が大半でありましたが、議員御指摘のとおり、最近は農外からの参入や農業法人での雇用就農がふえており、就農スタイルも多様化してきております。 折しも、本年度から国の「
青年就農給付金制度」がスタートしており、この機を逃さず、就農前の相談活動から実践段階の現地指導に至るまで、一貫したサポート体制のもとで
新規就農者の確実な増加を図ってまいりたいと考えております。 一方、就農者確保の要となる研修制度について、本県では平成四年に営農大学校を廃止して以来、農業試験場等における「フロンティア農業者研修」が、その中心的な役割を担っており、これまで413名の修了生を輩出してまいりました。 しかしながら、本研修は、制度創設から20年余りが経過し、研修生からは研究員のもとでの基礎的な技術習得を評価する一方、より実践的な研修を望む声も多く、多様化する
就農希望者のニーズに十分応えられなくなってきております。 また、今後の
就農希望者の増加を見通した場合、その受け入れ能力の拡大も求められてきております。さらに、これからの農業者には、単に農産物の栽培のみならず、マーケティングや生産管理など、経営者としての資質が求められることから、こうした面での研修カリキュラムの充実も不可欠と考えております。 これまで新規就農研修については、そのほとんどを県が行ってまいりましたが、今回の秋田市未来づくり
プロジェクトに見られるように、市町村や産地が、それぞれの立地条件や将来展望を見据え、独自に人材育成に取り組む動きも広がってきております。 こうした状況も踏まえ、市町村との連携や役割分担を含め、これまでの県の農業研修制度を質・量とともに充実・強化する方向で、見直しに着手したいと考えております。 野菜の生産振興についてでありますが、本県ではこれまで、ネギ、アスパラガス、ホウレンソウのメジャー3品目とキャベツ、えだまめなどのブランド6品目を重点に産地づくりを進めてまいりました。 しかしながら、全国の主要産地に比べて規模が小さく、認知度も低いことから、オリジナル品種「あきた香り五葉」の誕生を機に、まずは全県の産地連携体制が整った「えだまめ」を秋田の顔となる全国ブランドに育て上げ、これを牽引役に野菜全体の底上げを図ることとし、出荷量日本一を目指す取り組みを展開してきたところであります。 現在、徹底した市場調査のもと、機械化の推進による作付の拡大や百日出荷体制の確立、食品・飲料メーカーとタイアップしたPR活動、さらには加工施設の整備など、生産から加工・流通・販売に至る対策を総合的に実施しております。 その結果、首都圏での知名度も向上し、県産えだまめは、量販店等における夏の定番商品としての評価が定着しております。今後、さらに野菜生産の拡大を図るためには、えだまめの取り組みで培った経験やノウハウを最大限に生かし、第2、第3の品目を育てていくことが重要であります。 このため、全国的に需要が堅調で、県内の作付面積が拡大し、周年出荷の下地が整ってきた「ネギ」を対象に、先般、農業団体と戦略会議を立ち上げ、産地連携による生産・販売体制の確立に向けた取り組みをスタートさせたところであります。 一方、需要が拡大している中食や外食、加工等の業務用野菜への対応も、野菜振興を進める上での重要な課題と認識しております。 業務用野菜は、加工業者等の取引先との契約栽培が一般的で、価格の安定など経営的なメリットが大きい反面、定時・定量・定規格などの取引条件を確実にクリアする必要があり、通常の市場出荷とは異なる高いレベルの技術とリスク管理が求められます。 また、取引先の事業規模に応じたロットの確保等を図るためには、個別農家では限界があることから、一定の経営規模があり、柔軟に対応できる農業法人等に対する期待が高まっております。 こうした農業法人等を主体とした契約栽培を進めるため、東京事務所の企業開拓員等が取引先とのマッチングを行うとともに、普及指導員が産地のコーディネート役となり、試験研究機関等と連携しながら、個々の取引内容に応じたきめ細かな技術・経営指導を行ってまいります。 加えて、最近では洗浄や調理に手間のかからない新しいタイプの葉物野菜等の需要がふえており、そのほとんどは水耕栽培を主体とした植物工場等で生産されていることから、こうした新分野の取り組みも強化していかなければならないと考えております。 野菜の生産拡大は、本県農業の構造改革の根幹をなすものであり、引き続き、「オール秋田」の視点と担い手確保の視点の両面から、全力で野菜振興に取り組んでまいります。 次に、医師確保対策についてであります。 医師不足・
偏在改善計画については、先月、将来の目標医師数等を示しながら中間報告を行ったところであり、その中で中長期的な課題解決に向けた方策を示しております。 一つ目は、地域枠等の修学資金制度上の義務期間を活用し、若手医師が大学と地域の医療機関を循環しながら医師としての研鑚を積む「地域循環型キャリア形成システム」の構築であります。 これにより、医師不足の課題を抱えている地域の中核病院等において安定的な医療サービスが提供でき、かつ、若手医師の養成が図られるものと考えております。 また、このシステムの充実を図るため、臨床研修病院等の指導体制の充実や研修環境の整備、情報発信の強化を図り、県外で学んでいる県出身の医学生に積極的にアプローチしながら、初期研修医の確保に力を入れてまいります。 議員御指摘のとおり、地域枠等医学生の県内定着率には不確定要素もありますが、このような将来展望を示すことで、安心して県内に残り、義務期間終了後も、引き続き意欲を持って地域医療を支えていただけるよう努め、目標達成を確実なものにしてまいりたいと考えております。 方策の二つ目は、女性医師に対するさらなる支援であります。 県内の医師総数に占める女性医師の割合は、現在は15%程度でありますが、秋田大学医学部における女子学生の割合は40%を超えており、女性医師は年々増加していくものと考えられます。このため、育児等の理由により、離職や長期間の休職を余儀なくされるケースも見られることから、女性医師の職場定着は重点的に取り組むべき課題ととらえ、病院内保育所に対する支援の拡充や就業相談窓口の設置、秋田大学にオープンしたシミュレーション教育センターを活用した復職支援など、女性医師に対するサポートに引き続き取り組んでまいります。 三つ目の方策は、将来の秋田の医療を担う次世代の医師の育成であります。 県内高校生を対象に、地域医療への使命感を持った医師になっていただくため、医師という職業の魅力や、やりがい、秋田の医療の現状に関する講演のほか、病院体験研修などの取り組みを大学や病院と協力して実施しており、さらに充実を図ってまいります。 今後、11月をめどにこの計画を成案化し、目標の実現に向けて必要な対策を講じながら、着実に推進してまいります。 次に、医療連携と短期的な医師確保対策についてであります。 ある程度の医療機能や人材の集積が進んでいる都市部では、熊本市のように医療機関の機能分担による医療連携が、医師不足や偏在解消対策として有効であると考えられます。 しかしながら、その前提として、一定数の医師の確保、現在ある医療機関の担う役割の調整、地理的条件など、さまざまなクリアすべき課題があることから、私も出席しております医療政策会議等において御意見をいただいているところであり、さらに議論を深めるべきものと認識しております。 短期的な医師確保対策についてでありますが、県では、秋田大学に医師派遣型の寄附講座を設け、医師不足の著しい地域の病院に対する診療応援として、現在11人の非常勤医師を派遣しております。 また、麻酔科、精神科、消化器内科、循環器内科、産婦人科、小児科、総合内科の専門医等を目指す研修医や大学院生に対して研修資金を貸与することにより、不足している診療科へ若手医師の誘導を図っており、これまで17人の医師がこれらの診療科で勤務を開始しております。 さらに、県内医療機関に医師を紹介・あっ旋するドクターバンク事業では、これまで6人の医師が紹介した医療機関で勤務しておりますが、現在、医師確保専用の新しいホームページの制作を進めており、今後、議員御提案の平鹿総合病院を含む求人病院個々のニーズに即した効果的な情報発信を一層強化していくこととしております。 加えて、秋田大学では来年度から初期臨床研修において、麻酔科及び総合内科を重点的に研修できるプログラムを新設し、不足している診療科に研修医を呼び込み、早期に就業が可能な医師の育成に取り組んでいるところでもあります。 今後とも、大学、医師会、医療機関等と連携を密にし、中長期・短期の両面に渡り、医師不足や偏在の解消に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、いじめ問題についてであります。 未然防止策についてでありますが、中学生がみずから命を絶ってしまった大津市のいじめ問題について、毎日のように新聞等で報道されております。一日一日、追い込まれていった彼の苦しみ、残された御家族の方々の悲しみを思うと、心痛に堪えません。 また、ある生徒の、「自分も見て見ぬふりをしていたが、これもいじめだと気づき、本当に申しわけなかった」という主旨のコメントを新聞で目にしましたが、その学校の多くの子供たちが自責の念にかられていることを知り、大人として大変つらい思いであります。 このようなことが二度と起きないよう、子供たちが一人一人の命の重さについて、改めて心の中に刻み込むことや、正しいこと、間違っていることをしっかりと意思表示できる子供を育成することが大切であると考えております。 特に、いじめは被害者本人の自尊心を深く傷つける行為であることを再認識し、我々大人は、いじめは絶対に許されないという毅然とした態度をもって、県全体でこの問題に臨む必要があると考えております。 こうしたことから、学校ばかりではなく、家庭や地域と連携して、命や人権を大切にする心を養っていくとともに、第三者を交えて所要の対策を検討するなど、いじめの未然防止に努めてまいります。 また、いじめ問題に対処するには、何より早期発見と即時対応が肝要であります。そのためにも、児童・生徒及び保護者に配布する「子どもSOSカード」や、全県各地に設置されているすこやか電話など、相談窓口のより一層の活用や、いじめの相談があった場合の家庭や学校、市町村教育委員会などとの連携強化を進める必要があると考えております。 加えて、スクールカウンセラーのより効果的な活用を図るなど、児童・生徒へのサポート体制のさらなる充実に向け、県教育委員会等の取り組みを支援してまいります。 いずれ、いじめ問題は、関係者ばかりでなく県全体の問題であり、思いやりの心を持ち、命を大切にするという意識を県民一人一人の中に醸成していくことが、いじめの根絶、ひいては自殺予防など、命と健康を守っていく上での要になるものと考えております。 私からは以上でございます。 [教育長(米田進君)登壇]
◎教育長(米田進君) 鶴田議員から御質問のありました、いじめ問題について、これまでの対応と今後の対策についてお答えいたします。 連日報道されているような、いじめが原因で生徒がみずから命を絶つという痛ましい事件は、決してあってはならないことであり、大きな衝撃と深い悲しみを感じております。亡くなった生徒の御冥福を心からお祈りいたします。 このようなことが二度と繰り返されないようにするために、すべての命は一つしかなく、かけがえのないものであることを子供たちの心に深くしみわたるよう、訴え続けていかなければならないと考えております。 平成23年度の本県におけるいじめと認知された事案は、公立小・中・高・特別支援学校合わせて389件となっており、そのうち解消しているものは329件でありますが、いじめは決してあってはならないことであり、その根絶に向けたさらなる指導の充実に努めていくことが必要であります。 県教育委員会では、これまで全教育活動を通じて思いやりの心を持った豊かな人間形成を目指した取り組みを進めてまいりました。特に、いじめへの対応については、教員がチームをつくり、さまざまな視点から指導に当たることが重要であることから、学校教育の指針等でそのことを示して、各学校への指導を行っております。 加えて、子供たちからのSOSを見逃さないよう、日常の観察や個別面談、県教育委員会が提供している「いじめ学校自己診断表」によるアンケート調査の活用など、定期的に、そして丁寧に取り組むよう各学校に働きかけております。 今後、いじめ根絶に向けて各学校に対し、これまで以上に道徳教育を初め教育活動全体を通じて、命や人権の大切さを実感できる指導が充実するよう働きかけてまいります。 さらに、児童・生徒がみずから主体的にいじめ問題に取り組むことも大切であり、例えば生徒会によるいじめ追放キャンペーン等の具体的な取り組み例を紹介するなどして、子供一人一人の居場所がある学校づくりを支えてまいります。 また、各学校に設置されているいじめ対策委員会等を一層機能させるために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの、より効果的な活用を図るとともに、地域や関係機関との連携の強化など、組織的・計画的にいじめへの対応ができるよう支援してまいります。 以上でございます。 [
警察本部長(志村務君)登壇]
◎
警察本部長(志村務君) 御質問のありましたいじめ問題への県警の対応について、お答えいたします。 犯罪の予防、少年の人権の擁護の職責を有する立場にある警察としましては、被害少年の保護及び加害少年の補導の観点を踏まえつつ、刑事手続を活用し、いじめ事案の真相を明らかにし、それを通じて得た資料・情報等を関係方面の諸活動の利用に供することなどにより、加害少年に対する適切な処遇と、いじめによる被害の回復及びその拡大防止のため必要な諸対策を推進する等、被害少年の保護対策に万全を期することを基本としております。 こうした考えのもと、いじめ問題については、教育上の配慮等の観点から、一義的には教育現場における対応を尊重しつつ、犯罪等の違法行為がある場合には、被害少年や保護者等の意向や学校における対応状況等を踏まえながら、警察として必要な措置を講じることとしております。 いじめの相談につきましては、警察署、チャイルド・セーフティー・センター等の相談窓口や少年相談専用電話「やまびこ電話」で積極的に対応しているところであります。 また、被害届の受理に関しましては、被害に遭われ、警察を頼りに来られる方の心情にも配慮し、明白な虚偽または著しく合理性を欠くものを除き、速やかに受理することとしております。特に、被害少年の生命・身体の安全が脅かされているような重大な事案がある場合は、迅速・確実な対応を図り、捜査、補導等の措置を講じることとしております。 また、いじめ問題では、学校長や担任等の学校関係者との連携が必要不可欠でありますので、今後とも連携を密にした対応に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
◆38番(
鶴田有司議員) いろいろと答弁ありがとうございました。 まず、一番目の質問に対しまして、知事の思いを十分に聞かせていただきましたので、とりあえず残された任期中の頑張りを大いに期待したいと思いますし、その後の決意も伺いました。ぜひとも、その後も引き続き頑張っていただきたいと思っております。 植物工場について少し確認をさせていただきたいと思います。 知事が非常に思い入れを持ってこの事業に取り組んでおられることは、6月議会でも感じておりましたし、きょうの答弁でも十分にわかるのですが、私は先ほど申し上げたように植物工場そのものを否定するものではありませんが、県が取り組むということになると、やはり雇用というものにつなげていかなければならないわけで、なかなか大変だと思うのです。特に植物工場で栽培されるものは、どちらかというと実をつけるものよりも葉物が中心になることを考えると、加工にそう簡単につながるものではないと。先ほどの答弁で、薬草ですとか、あるいは化粧品などに何とかつなげられればという話がありました。現実に薬草などの取り組みをしている会社も企業もあり、今、研究をしている企業もあると伺っております。県もそういう研究を一緒になって取り組んでいくべきと思うのですが、雇用までつなげていくとなると、非常に長いスパンで取り組むことになると思います。ですから、どの辺まで県が力を入れて、そしてどの辺から民間に受け渡していくかというところを、もう少しお聞かせいただければと思っております。いずれ全県的な事業としてやっていかなければならないという思いでしょうから、ある程度の見通しを今考えておかなければならないのではないかと思いますので、その辺もお聞かせください。 それから、医師確保についてですが、長期的には、女性医師の増加ですとか、あるいは開業志向の高まりだとか、臨床研修制度なども影響していると聞いておりますが、その対応に向けた取り組みをまずしっかりとお願いしたいと思います。喫緊の課題としては、現実的に私は地元にある平鹿総合病院が質問の中心になってしまうわけですが、この病院は二次医療圏の中核病院という立場でもあるわけで、それ以上に県南地域全体を網羅する三次医療体制を敷いているということを考えると、やはりこの2年間の麻酔科医の不在は、大きな問題になっているのではないかと思います。基本的には、その病院が対応するとか、あるいは厚生連が対応するということも当然あるわけですが、地域の中核医療は、厚生連病院にお願いをしている現実があるわけです。そういう意味で、何とか、県が手を差し伸べて、この事態を解消できるようにお願いしたい、これは私の強いお願いということで改めて申し上げさせていただきたいと思います。 それでは、先ほどの植物工場について、もう一度お聞かせいただければと思います。 [知事(佐竹敬久君)]
◎知事(佐竹敬久君) 雇用対策は今回もかなり予算等でお願いしてございますが、植物工場については全体の雇用対策の、ごく一部であります。 ただ、一つ御認識していただきたいのは、有り体に言えばTDK、あるいは雇用整理をする企業にも、秋田弁で言うと、「はまってもらわないと困る」わけです。離職者対策は県や地域がやりなさいでは--そういう中で工場を活用する、あるいは自分たちの技術、手法を活用するとなると、一定の狭められた範疇になるということ。一方で、御承知のとおり葉物野菜を中心として、今、中国では猛烈に植物工場ができつつあります。葉物野菜は中国の植物工場でつくって、世界戦略商品にしようということで、日本の商社等が猛烈な勢いで動いております。そういう意味では、秋田の場合、冬期も考えると、周年農業も一つの方策であります。 御承知のとおり、単純なものをつくってはとても間に合わない。おそらく植物工場でつくられた葉物野菜の半分以上はホテル等で使われておりまして、その流れに沿ったマーケティング、あるいは先ほどお話した高機能食品への粉末化など、かなり進んできております。そういう意味で、例えばうちの秋田県総合食品研究センターも含めて、一定のフォローをし、そして自然
エネルギーの活用も一部できます。これからの農業の一つのあり方としても着目していかなければならないだろうと思います。 雇用面につきましては、今回たまたまこういう形で少ないのですが、これはほんの一部でありまして、雇用対策はもっと大きな柱を今回出させていただいているということを御認識していただきたいと思います。 それから、
医師不足対策についてですが、短期的なものは全く議員おっしゃるとおりで、我々一生懸命頑張っております。絶対的な数の限界がありますので、なかなか難しいのは確かです。ことしの春も、あるところからあるところへ移って、そこは充足したけれどもこっちがその分欠けたという、そういう中で、秋田大学医学部が新しい体制になりまして、私も直接トップ等とさまざまな形で情報交換をしております。現在、非常に協力的で県の立場を理解していただいていると思っています。そういうことで、これらの面については前進してきていると思っておりますので、今後とも、特に地元の秋大との連携は、より密にしてまいりたいと思います。 以上でございます。
○議長(
大里祐一議員) 38番鶴田議員の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。再開は11時30分といたします。
△午前11時15分休憩
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△午前11時30分再開 出席議員 44名 1番 沼谷 純 2番 小原正晃 3番
丸の内くるみ 4番 田口 聡 5番 山内梅良 6番
瀬田川栄一 7番 菅原博文 8番 菅原広二 9番 加藤麻里 10番 虻川信一 11番 三浦茂人 12番 東海林 洋 13番 佐藤雄孝 14番 北林丈正 15番 竹下博英 16番 中泉松司 17番 原 幸子 18番 工藤嘉範 19番
石川ひとみ 20番 渡部英治 21番 三浦英一 22番
こだま祥子 23番
近藤健一郎 24番 加藤鉱一 25番
佐藤賢一郎 26番 小松隆明 27番 平山晴彦 28番 柴田正敏 29番 宮腰 誠 20番 中田 潤 31番 安藤 豊 32番 土谷勝悦 33番 渋谷正敏 34番 大関 衛 35番 川口 一 36番
小田美恵子 37番 武田英文 38番 鶴田有司 39番 冨樫博之 40番
大野忠右エ門 41番 能登祐一 43番
佐藤健一郎 44番 鈴木洋一 45番
北林康司--------------------------------------- 地方自治法第121条による出席者 休憩前に同じ
---------------------------------------
○副議長(小松隆明議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。20番
渡部英治議員の一般質問を許可することに御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○副議長(小松隆明議員) 御異議ないものと認めます。20番渡部議員の発言を許します。 [20番(
渡部英治議員)登壇](拍手)
◆20番(
渡部英治議員) 新みらいの渡部英治です。今回で6回目の一般質問となりますが、改めまして議員各位、当局関係者、そして本会議場へ傍聴に来ていただきました地元の皆様を初め全県民の皆様に、感謝の気持ちを込めて質問をさせていただきます。 あらかじめ御了解をお願いします。お昼になりますけれども、その点の御配慮もよろしくお願いいたします。 さて、猛暑の連続であった夏も過ぎ、秋の気配が感じられるようになりましたが、その猛暑よりも熱い戦いと大きな感動を与えてくれたのが
ロンドンオリンピックでの日本選手の活躍でありました。中でも、28年ぶりの銅メダルに輝いた女子バレーの
江畑幸子選手の大活躍には、秋田県民の誰もが大きな拍手を送ったはずです。特に、オリンピックでは一度も勝ったことのない中国との準々決勝での勝利は、江畑選手なしでは考えられませんでした。まさに、県民に夢と希望を与えた江畑選手、
県民栄誉賞おめでとう。そして、新体操の深瀬菜月選手は、華麗な演技と実力発揮により、日本チームの7位入賞に大きく貢献いたしました。どちらも秋田県の大きな誇りであります。 それでは、通告に従い、質問に入ります。 初めに、知事の政治姿勢と知事選への出馬表明についてであります。 佐竹知事に単刀直入にお尋ねします。来年の知事選に出馬する決意ができましたか--と質問する予定でしたけれども、既にマスコミでも報道されています。そして先ほどの鶴田議員の答弁でも明らかになっておりますので、私からは、今後の県政運営の大事な局面という視点から、知事の出馬意欲と県政への基本姿勢について質問をいたします。 ところで、佐竹知事の本音を語ったと思われる貴重な講演会がありました。それは、ことし4月開催の内外情勢調査会主催の講演会における「時代の先駆けを」というテーマでの佐竹知事の講演であります。その内容は、講演シリーズの冊子として発行されていますので、御承知のことと思いますが、佐竹知事自身が「生の話」と言っているように、結構本音の部分が感じられ、いつもよりインパクトが感じられました。 また、佐竹知事の政治姿勢もかいま見ることができました。 例えば、「世の中に、これ平穏無事なんていうことは人間社会にはないんです。今、日本社会全体が少し安定志向になっています。私は役所の職員によく言っています。『もうちょっと騒げ、施策をもめ』と。丸く収めるというのはだめです。」と強い姿勢を示しています。そして、『時代の先駆け』として、情報や状況と社会の方向性について分析し、それによって手を打っていくことの大切さを強調し、「私は派手なことはしませんけれども、そんなに外れたこともしないはずです。相当先は見ているつもりです。秋田は、まだまだ資源をいっぱい持っています。これを生かすか殺すか、どうするか、これが最大の課題であり、少しでもにこっと、元気な社会をつくりたい。」と結んでいます。県政への強い意気込みと受けとめた次第であります。 さて、改めて知事にお尋ねします。佐竹知事の政治姿勢は、秋田の誇れる有形無形の資源を、時代の先駆けの視点を持って最大限に生かすという理念に基づいていると思います。いかがですか。 また、知事が「ふるさと秋田元気創造プラン」の策定に当たり、県民の夢の実現に向けて発信した「『秋田に生まれてよかった。秋田に暮らしてよかった。人間として豊かに暮らせるふるさと秋田は私の誇り。』と心からそう思い、日々の暮らしの中で、幸せを肌で実感できる秋田を県民の皆様とともに築いていきたい。」という思いは、県民からどのように評価されていると認識しておりますか。 ちなみに、先般開催された「あきた
子ども議会」では、小・中学生から県に対する鋭い質問や提言がありました。それに対する県側の答弁は、いつもどおりというか、余り突っ込んだ答えは少なかったと感じたのは私だけでしょうか。 ちょっと脱線しましたけれども--そんな中、子供たちの注目すべき発言は、県の少子化対策について「今回調べてみて初めて知った。PRが不足しているのではないか。」との指摘であります。実は、昨年実施した「県民意識調査」でも、「ふるさと秋田元気創造プラン」の認知度が約23%、7割の県民が知らないという結果が出ています。また、主要施策である「産業経済基盤の再構築戦略」に関しても、満足度が2割に満たないという結果であります。佐竹知事のマニフェストとも言える「ふるさと秋田元気創造プラン」の認知度や主要施策の満足度が、このように低いという状況を知事はどのように認識していますか。 ところで、来春の知事選については、この時期にして余り動きが見えないというか、話題やうわさ話もほとんど聞かれないと思いますが、知事は以前に県と県議会のなれ合いではないかというある記者の質問に対して、議会から十分に理解をいただけるように、しっかり仕事をしているからだと、さりげなく、自信満々に答えております。今もそう思っておりますか。 また、佐竹知事は余りパフォーマンスは好まないようですが、維新の会の
橋下大阪市長のような劇場型の首長や、その維新の会への合流を目指す国会議員に対して「人間ころころ変わるはずがない。選挙のために人気ある政党などにすり寄るのはいかがなものか。」と批判しています。私も同感でありますが、佐竹知事は国や国会議員に対しても堂々と苦言を呈しています。が、もしかしたら、県民の目から余りその辺が見えていないかもしれません。ある意味では、可もなく不可もなくという印象を受けてしまうかもしれません。その点、よしあしは別にして、
橋下大阪市長や
石原東京都知事はうまいですね。 佐竹知事、先ほどの講演のように、知事の熱い思いと、ブレない政治姿勢を大いにアピールするべきではありませんか。そして、何よりも県民が心配しているのは知事の健康状態だと思います。恐らく激務に耐えれるだけの十分な体力に戻っていると思いますが、そのことも含めて明確な決意表明をお願いいたします。 次の質問は、県民に夢と希望の持てる独自策についてであります。 先ほどから県民の夢の実現に向けて、知事の思いについて述べてまいりましたが、今必要なことは県の思い切った独自策であります。何と言っても最も重要なことは、経済・雇用対策の強化でありますが、この問題は後ほど改めて質問しますので、ここでは何点かに的を絞ってお尋ねします。 1点目は、秋田のよさを売り込むことであります。 先ごろ秋田県よりロシアの
プーチン大統領に秋田犬「ゆめ」を贈呈し、そのお礼として猫好きの佐竹知事へシベリア猫が贈られることになりました。ちょっと到着がおくれているようですが、いずれにしてもロシアとの新たな懸け橋として「ゆめ」に大きな期待が寄せられています。秋田県として明るい話題であり、久しぶりのヒットとも言えます。 また、ことし4月にリクルートが実施した「じゃらん宿泊旅行調査」では、観光客を迎える本県のホスピタリティー、いわゆる「おもてなし」への評価は全国で3位、駅やホテルの観光情報の充実ぶりは4位と、2部門で上位にランク入りしています。 ところで、6月議会の総括審査での「佐竹知事がナマハゲになって秋田を売り込んではどうか」という私の提案に結構反応がありました。知事は「顔が隠れるのでナマハゲでない方がいい」と遠慮し、議場の笑いを誘ったわけですけれども、実は現在、人気アイドルグループ「嵐」がナマハゲに扮して各地域に突然あらわれるというテレビコマーシャルが話題を呼んでいます。ナマハゲはインパクトがあるのです。改めてお尋ねします。県出身の佐々木希さんなどと一緒に、首都圏でありったけのパフォーマンスをしてみてはいかがですか。 2点目は、大仙市神岡地区に予定されている大規模工業団地についてであります。 3年間の環境アセスメント調査がことしの3月に終了し、特別な影響がないことが報告され、先般、地元地権者を対象に状況説明が行われたと聞いています。 言うまでもなく、この大規模工業団地への企業立地は、地域の雇用創出や地域経済の活性化に加え、県内産業の一層の発展に資するものであります。 しかしながら、昨年6月議会での私の一般質問への知事答弁では、知事が先頭に立って積極的に誘致活動を展開してまいりますとは言うものの、全国的な電力需給の不安や加工組立工場などの投資の低下による海外へのシフト化など、工場立地については、かなり悲観的な見解であったと思います。そして、何ら動きが見えないという現状にあります。 たしかに今、企業立地、特に自動車、電子部門の誘致は難しいと認識しております。 そこで提案でありますが、研究機関、食品産業に特化した誘致活動を展開したらいかがでしょうか。予定地である神岡地区周辺には、県の畜産試験場を初め大曲農業高校、大曲工業高校、そして農業科学館があり、県内屈指の穀倉地帯として農作物も豊富であり、秋田市が計画中の県農業試験場跡地を活用する通年営業モデル事業とも連携を図りながら、大
プロジェクトとして取り組むことはできないでしょうか。もちろん大仙市でも積極的な誘致活動をしていますので、知事が目指す「秋田県
市町村未来づくり協働プログラム」としても検討に値すると考えますが、いかがですか。 ちなみに先日、新幹線の中で読んだJR東日本発行の「トランヴェール9月号」には、栃木県の企業立地PRマンとして、福田知事みずからが登場しているのが目につきました。知事の企業立地への思いと具体の取り組みについて、御所見をお聞かせ願います。 3点目は、情報の格差解消についてであります。 かつて私は、寺田知事時代に秋田の若い世代の強い要望として、TBS系の中継局を秋田に誘致できないかと一般質問で取り上げました。答えは、検討課題ということで、今は立ち消えになっています。 しかし、当時の反応は強く、高校生や若者から問い合わせや実現要望の声が寄せられました。その要望に応えられないのが今でも心苦しいのです。現在、北海道・東北地区では秋田県と青森県だけが民放一局なしの状態です。 一方、県内では、民間のケーブルテレビとして秋田市、潟上市、三種町、五城目町、そして大館市へTBS系放送が配信されています。 また、由利本荘市では、市町村合併後の総合発展計画により、ケーブルテレビ施設整備事業として平成21年より放映開姶しており、加入率は約三三%とのことです。 そこで、佐竹知事にお尋ねしますが、今の情報化時代における秋田県内の情報格差をどのように受けとめていますか。若い人への知事からの夢のプレゼント、特に県南地区への対策を講じてほしいと思いますが、御所見をお聞かせください。 夢の実現の4番目として、大曲の花火についてであります。 私は、日本、いや世界に誇る地元大曲の花火は、秋田を代表する大きな資源として自信を持ってPR、アピールできます。ことしも復興の願いを大輪に込め、河川敷を埋めた76万人という大観衆の中、全国から、よりすぐれた花火師たちが競技大会に参加いたしました。そして、呼び物の大会提供花火では「Believe 夢を未来につなげよう」のテーマで、子供のころに思い描いた夢の世界が六分間の花火ショーで実現し、大衆を魅了しました。その光の軌跡に酔いしれながらフィナーレを飾るのは、10号玉30連発の大スターマインで、ラストに秋田県民歌が流れ、「秀麗無比なる、鳥海山よ…」の大合唱となり、そして最後の「黄金と実りて、豊けき秋田」では、感激の涙があふれ、大きな拍手も鳴りやみませんでした。「ああ、やっぱり大曲の花火はすごいな。また来たいな。」とあちこちから感動の声が、いつしか大きなうねりとなっていました。 橋口副知事、前田部長、志村本部長、どうでしたか。やっぱり花火はテレビで見るより花火会場で見てほしい。大きなキャンパスとなる出羽丘陵、打ち上げ場と桟敷席の間にある雄物川、広大な河川敷と堤防の大観覧席。こんなに恵まれた花火会場は、ほかにあるでしょうか。 そこで知事に要望ですが、大曲の花火を特区として実現していただきたいのです。 例えば、観光ネットワークとして毎月第4土曜日を「花火の日」と設定し、秋田に訪れる観光客に花火を観賞してもらう。そのためには、常設のトイレ等が必要であり、河川敷の堤防付近に設置するなど、国への働きかけはできないでしょうか。 そのほか、花火大会前夜祭や野外コンサートの開催など、地元、商工会議所、大仙市、花火倶楽部など、知恵を出し合った取り組みのためにも特区申請を強く望むものであります。知事の御所見をお聞かせください。 次に、経済・雇用対策の強化についてお尋ねします。 待ったなしの経済・雇用対策ですが、県はTDKの生産拠点再編などに伴う雇用情勢の悪化や、七月の有効求人倍率が0.69倍と、2カ月連続で低下していることなどから、今後2年間で少なくとも108億円を投じ、約5,000人の雇用を創出する方針を示しました。 さて、今回の県の経済・雇用対策については、一定の評価と効果を期待しつつも、幾つか疑問点もあります。 まず1点目は、安定的な雇用創出についてであります。 緊急的な対策とはいうものの、緊急就職サポート事業や既設の緊急雇用創出等臨時対策など短期的な雇用が多く、安定的な雇用を考えた時、正規雇用奨励対策だけでいいのか。 確かに地域資源を活用した新たな事業展開への支援を盛り込んではいますが、果たして、どの程度雇用が創出できるのか。 例えば、中核企業の育成と技術イノベーションの創出、自動車・航空機などの新たなリーディング産業の育成、新
エネルギー関連産業の創出・育成といった成長分野の展開支援に力を注ぐべきではないでしょうか。 2点目は、県独自の雇用対策として投じる1億3,739万円という額が妥当なのか伺います。果たして2年間で5,000人雇用の達成は可能なのか。少なくとも正規雇用の1,500人達成は、是が非でもクリアすべきと考えます。その目標達成のためにも雇用創出ビジョンや県独自の予算増額も必要ではないでしょうか。 さらに3点目は、原資確保についてであります。 国・県の財源で賄う予算のうち約39億円は、経済・雇用対策に充てるため11月から2年間削減する県職員給料が原資となり、24年度は削減分8億493万円を計上することになっていますが、職員、特別職だけの痛みでは済まない状況であることは認識しており、議会は議会として議論をすることとして、本来の原資確保の手だてを講ずる必要はないでしょうか。 以上3点について知事の御所見をお伺いします。 次に、
エネルギー政策についてお尋ねします。 昨日、政府は新たな
エネルギー環境戦略の原案として、「2030年時代に原発稼働ゼロを可能にする」との目標を明記しましたが、つい先日までは二段階で脱原発を実現するとの考えも示しています。 いずれにしても、その代替えとなる太陽光などの
再生可能エネルギーの拡大には、2030年までには約50兆円の投資が必要と試算し、電気代を含む家庭の光熱費が10年実績比では、ほぼ倍増し、月額3万円を超え、国民生活への影響の大きさも浮き彫りとなっております。結局、「脱原発、見えぬ打開策」、「試算の実現性に疑問符」といった状況にあります。 確かに、国民の過半数は原発に依存しない社会の実現を望んでいるという政府の調査・分析もされていますが、一方、ゼロパーセント案以外の支持も5割程度あることから、世論を明確に位置づけるのは困難との見方を示しています。 ところで、先ほど話題とした佐竹知事の講演の中で大変興味深い話がありますので、その一部を紹介させていただきます。 それは、「新
エネルギーの課題と有用性」という一節です。「最近は、よく新
エネルギーが話題となりますが、これもほとんど知識を持たず話している方が多い。新
エネルギーには二つの課題があります。一つは、とにかく国家的命題として発電量をいかに確保するかです。もう一つは、自然
エネルギーの関係機器、これを通して地域波及をどのようにするかという課題です。むしろ、これから必要とされるのは、新しい部分でなく機器のメンテナンス、どうやってコントロールするか、どうやってバッテリーを蓄えていくか、それをどういう使い方をするかという産業です。その辺は既に秋田県にたくさんあります。新電元、TDKなどもそうです。本当の地域波及とは、そこなんです。」まさに、東北大学工学部卒業の佐竹知事ならではの講義であります。 さて、本題ですが、知事は今の国の
エネルギー政策について、どのように考えていますか。また、
エネルギーの安定供給として、
エネルギーセキュリティーについて、どのような見解をお持ちですか。 さらには、今、最も重要なことは、
エネルギーの安全性、とりわけ原子力発電については究極の安全の追求が不可欠であり、同時に代替
エネルギーの確保を目指しつつも
エネルギーのベストミックスといった現実的な対応が重要と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。 次に、水力発電についてお尋ねします。
再生可能エネルギーとして最も安定的に供給できるのが水力発電であります。秋田県は雪も多い分、水も豊富であります。県営では15の水力発電所があり、最大出力は合計で11万200キロワット、年間の売電電力量は約4億キロワットアワーで、県内の家庭用使用電力量の2割近くを担っております。もちろん電気事業は黒字経営であります。今年度から萩形ダムの放流水を活用した萩形発電所の建設に着手しているわけですが、中小水力発電については、まだ開発の可能性があると思います。 しかしながら、昭和31年運用開始の鎧畑発電所を初め、老朽化による施設の更新やメンテナンスなど、計画的・効率的な運用を図る必要があります。この際、将来の秋田県としての水力発電のあり方について、
再生可能エネルギーの核として、パワーアップも含めた拡充策等を検討すべきと考えます。知事の御所見をお尋ねします。 次に、地域医療の充実と医師確保についてであります。 さて、大曲・仙北地区の中核病院である仙北組合病院は、ことしの7月から建設工事が始まり、既に大型のクレーンが出現するなど、平成26年五月の開院に向けて着実に工事が進められています。私自身、4年間の長期休暇の間にも、地元の医療関係者と地域医療のあり方について、幅広くディスカッションを重ねてきましたが、その間に知事は100億円規模の基金を設置するなど、さまざまな施策を講じており、その取り組みは高く評価すべきと思っております。特に、地域の中核的な病院である厚生連病院の改築については、従来の建設事業費への支援に加え、厚生連の自己負担分に対する無利子長期貸付を新たに行うほか、湖東総合病院の移転改築費に対する補助率を引き上げるなど、イニシャルコストに対する支援はかなり充実してきています。 しかしながら、厚生連にとって建設直後の数年間は、やはり負担が重くなります。病院の運営は大丈夫でしょうか。新病院の建設が経営の悪化につながることを危惧するものであり、同時に病院経営の悪化が地域医療の低下につながることは避けなければなりません。今後、厚生連の経営に関して、どのような支援や連携を図っていくつもりなのか、例えば、改築に伴う
医療機器整備に対する支援の拡充などが必要と考えますが、固定比率の改善など厚生連の経営見通しとあわせて、知事の御所見をお聞かせ願います。 次に、医師確保についてお尋ねします。 平成22年にオープンした「かづの厚生病院」や「北秋田市民病院」は、当初予定していた医師を確保できず、計画どおりの機能を十分に発揮しきれていない状況にあることは御存じのとおりであります。 貴重な予算をつぎ込んで支援し、立派な施設を建てても、そこで勤務する医師を確保できないために、地域に必要な医療を提供できない上、病院経営が赤宇となってしまうようでは困ります。 医師不足については、これまで県議会の一般質問でたびたび取り上げられ、知事からは、「修学資金を活用した地域枠入学制度などにより積極的に取り組んでいく」と、力強い答えをいただいていますが、医師不足の現状は、依然として改善しているようには思われません。 現在、県が策定を進めている「医師不足・
偏在改善計画」では、二次医療圏や診療科ごとの目標医師数を掲げており、十数年後には医師の需給バランスが合致すると推計しているようです。その中で今後、医師がふえていく最も大きな要因として見込んでいるのは、地域枠で育った医師の増加であります。 しかしながら、知事、大丈夫でしょうか。新臨床研修制度がスタートして、全国的に見ても、若い医師は首都圏等の都市部へ集中する傾向にあります。地域枠医師のすべてが県内に定着するという考え方は甘くありませんか。お金で縛っても、義務期間が終われば県外へ流出しませんか。 そこで知事にお尋ねします。地域枠医師を初めとする若い医師に、将来も引き続き県内で働いてもらうために、知事は具体的にどのような方策を考えているのでしょうか。医師確保の実現の見通しについて、「あきた
子ども議会」での
健康福祉部長の答弁より、一層踏み込んだ知事の答弁を期待します。 最後の質問となりますが、冬期間のスポーツ施設についてであります。 この件については、さきの6月議会の総括審査でも質問しておりますが、「スポーツ立県あきた」の宣言に基づく元気な秋田を目指すスポーツの振興という観点から、地元住民の切なる要望として再度お尋ねします。 確認のため申し上げますが、冬期間のスポーツ施設の利用については、スポーツ少年団から高齢者まで、各団体とも大変苦慮しているところであり、知事はどのように認識しているかとの私の質問に対して、知事からは「冬期間はグラウンドの利用ができないことから、屋内である程度の広さや空間のある施設での活動となるが、施設の整備状況は市町村によって差が生じているのが現状である。県が全体的に整備を行うことは難しいが、広域的な施設使用の連携や地域の既存施設の活用などについて、今後、課題を整理してまいりたい。」との答弁がありました。 また、県北や中央には屋外ドームがあるが、県南にはないことも触れていました。できればドームが欲しいのですが、今の財政事情では難しい注文でしょう。 そこで浮上したのが、大曲西道路の高架下を運動施設として活用することであります。これまで、体育関係者や仙北地域振興局とも現地調査をするなど検討したところ、国土交通省からも積極的な有効活用について通知が出ていることや、現に類似事業として活用された実績もあり、また、さきの総括審査において、知事もケースバイケースの判断になるが、使用の希望には相談に応じてまいりたいとの一定の理解を示しています。 具体の活用方法についてでありますが、現地に足を運んでいただければ一目瞭然でありまして、高架下の敷地は幅25メートル、長さ155メートル、高さ約6メートル、橋脚により5つに区分され、さらに道路を挟んで長さ50メートルの同様のスペースがあります。周りは高さ1.5メートルのフェンスに囲まれ、道路も完備されています。全国花火大会では、大型バスの駐車場としても活用されています。そこで提案でありますが、高架下の運動施設への活用は、少ない経費で大きな効果が期待できます。つまり、冬期間だけビニールカバーを設置できる装置と土砂を敷くことで、さまざまな競技スポーツが可能となります。比較的市街地に位置することから、市内の小・中・高の生徒も利用でき、特に冬場の施設の分取り合戦も解消されます。そして、決め手となるのは、県が管理している土地を県の施設として活用することが最も効果的であります。佐竹知事、県の冬期スポーツ施設のモデル事業として夢を与えていただけないでしょうか、知事の英断をお願いいたしまして、一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(小松隆明議員) 県当局の答弁を求めます。 [知事(佐竹敬久君)登壇]
◎知事(佐竹敬久君) 渡部議員の御質問にお答え申し上げます。 初めに、私の政治姿勢と知事選への出馬表明についてであります。 まず、政治姿勢の視点でございますが、経済のみならず社会の営みは、営みの主体となるさまざまなベースと時系列が乗じられて成り立つものであります。本県の持続的発展を展望するときにも、その起点は、持てるもの、すなわち人間も含め本県にある有形無形の資源をベースとして、それを的確に生かすための最適化、すなわち時代とのマッチングという視点が肝要であり、議員御指摘のとおりであります。 「ふるさと秋田元気創造プラン」の理念については、県民の評価はさまざまでしょうが、極めて普遍的で県民誰もが望むことを素直に表現したものであります。 理念も含め、プランの認知度や施策の満足度が低いことは認識しております。 一般論として、経済活動や行動圏の広域化、各種各様で膨大な情報流通の中で行政情報が埋没する傾向にあり、また、価値観の多様化の中で自治体の行政計画に興味を示さなくなってきている傾向はありますが、少なくても個別プランについて関係者との情報共有は不可欠であり、プランに掲げた主要施策の充実に加え、これらの点には今後とも私自身の情報発信も含め、よりアピール性のある手法を用いるなど意を用いていかなければならないと思っております。 また、議会との関係でありますが、私としては主義主張や所属政党、会派による区分は一切してはならないという信念であり、よしと思う意見や政策提言は、これまで分け隔てなく政策に反映する努力をしてまいりました。 また、手厳しい御指摘を受けることもありますが、丁々発止の議論を行いながら、譲られないところは譲らずにきております。 己を際立たせるため、議員の方々と殊さら敵対するのは愚の骨頂と思っており、なれ合いという低次元なものではないことを御理解いただきたいと思います。 橋下市長や石原都知事がうまいかどうかは判断がつきかねますが、少なくとも著名人だからできる技であり、あの方式を私や秋田に当てはめても、真の意味での県勢の発展につながるかは、甚だ疑問であります。 熱しやすく冷めやすいという現在の風潮下では、きっちりと私の考えを受けとめる人を着実にふやしてまいりたいと考えております。 「プロセスのみに注目を引きつけ、結果はどうでも」という劇場型政治からの脱却こそ本来のあり方だと思います。 健康状態については、大幅減量の結果、内臓的には良好な状態ですが、若干左手足の運動能力が低下したことは事実であります。 しかし、今年に入って4回の海外出張を通常ぺースで行い、また、この夏も夏期休暇中、3日間炎天下でゴルフを普通にプレーできたことから、人並みの健康状態と思っております。 以上申し上げましたが、来春には再び県民の選択を受けるつもりで頑張ってまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 県民に夢と希望の持てる独自策についてであります。 まず、秋田のよさの売り込みについては、県では本年1月より、「あきたびじょん」を旗印に、県民と一体となって秋田のよさを広くPRするとともに、県外在住の本県出身者やゆかりのある方々と連携し、積極的な情報発信に努めております。 特に、あきた美の国大使の加藤夏希さんや佐々木希さん、食彩あきた応援大使の藤あや子さんには、出演番組や雑誌のインタビューなど、通常の芸能活動の中で秋田を話題にしてもらったり、御自身のホームページやブログなどによるPRのほか、県主催のイベント等へも御参加いただいております。 また、来月から始まるプレデスティネーションキャンペーンに向けた首都圏集中キャンペーンの一環として、今月末に開催する「ふるさと秋田まつりイン有楽町」では、加藤夏希さんにも御登場いただき、秋田の魅力を大いにアピールすることとしております。 私がナマハゲに扮することが効果的かどうかは別にして、知事の中では、私は比較的さまざまな形で情報発信に努めているつもりであります。 例えば、テレビのバラエティ番組である「秘密のケンミンショー」での秋田米の売り込みや首都圏における料理教室などで、実演を交えた食材のPRを行ったり、また、ユーチューブなどのソーシャルネットワークでも情報を発信しております。さらに、行政分野のみならず、例えば「文藝春秋」などの有名雑誌に多数寄稿するなど、私の得意分野やキャラクターを生かしたアピールをさまざまな形で積極的に行っており、今後とも引き続き努力してまいります。 次に、大規模工業団地の
プロジェクト化についてでありますが、国の工場立地動向調査によりますと、全国の平成23年の工場立地件数は、過去4番目に低い水準となり、立地面積も四年連続して減少しております。 こうした工場立地の低迷は、海外経済の減速や円高の進行等による国内設備投資計画の凍結・見直しに加え、
東日本大震災の影響などが要因と考えられ、依然として企業誘致をめぐる状況が厳しいことは確かであります。 しかしながら、一方では、トヨタ自動車の東北の拠点化に伴う関連会社の進出や
東日本大震災を契機としたリスク分散など、県内での投資が期待できる動きも出てきております。 大仙神岡地区工業団地については、雇用や経済波及効果の高い大規模な面積を必要とする製造業の誘致を目指して計画したものであり、昨年度までに整備に向けた事前の準備としての環境アセスメント手続を終了しております。 今後の具体的な整備については、企業立地の見通しがついた段階で判断することとしており、輸送機関連産業やエレクトロニクス産業、新
エネルギー関連産業などを中心に、粘り強く誘致活動に取り組んでまいります。 特に、
自動車関連産業については、トヨタ自動車東日本が部品の現地調達率を現状の2割から8割まで引き上げる目標を掲げていることから、トヨタ自動車本体の組立工場の進出は難しいものの、部品供給分野の関連企業が進出する可能性はあると考えております。 このため、県内企業と提携できる部品メーカーにターゲットを絞った誘致活動を行っているほか、今年11月には名古屋市でセミナーを開催し、グループ企業に対して本県への進出を強く働きかけるなど、ここ数年を重点期間として全力を挙げて取り組んでまいります。 また、研究機関・食品産業についても誘致の対象としておりますが、食品産業の多くが大消費地直結型となっていることや、本県では米以外は調達できる原材料のロットが小さいことなどから、農業関係機関と連携を図ったとしても、大規模な食品工場の立地は難しいものと考えており、むしろ、規模は小さいながらも地域資源を活用し、地域と密接に連携した企業立地を図るため、今後も全県の工業団地を視野に入れながら積極的に取り組んでまいります。 また、私みずからの情報発信については、東京、名古屋、大阪での企業誘致説明会で、私みずからが相当専門的なレベルでプレゼンテーションを行っておりますが、先般も「日経ビジネス」で本県の立地環境や企業誘致に向けた取り組みを強くPRしたほか、JR東日本の「大人の休日倶楽部ジパング」など各種媒体を利用して広く秋田県を売り込むこととしております。 なお、秋田県
市町村未来づくり協働プログラムについては、大仙市から提案があった場合に、県としても検討いたしてまいります。 次に、情報格差の解消についてであります。 本県ではTBS系列のネット局がなく、若者を中心に系列局の開局を待ち望む声があることは、私も承知しております。 現在は、地上デジタル放送以外にもケーブルテレビやBS・CS放送、インターネット等の多様なメディアがありますが、国民が同じ条件で等しく情報を入手することができない情報格差が現実の問題として存在しており、解消していかなければならない課題であると考えております。 しかしながら、新たな民間放送局の開設は、あくまでも民間の経営判断に基づいて行われるものであり、昨今の広告収入の縮減など、放送業界を取り巻く厳しい経営環境のもとでの実現は、相当難しいものと認識しております。 本県においてもケーブルテレビに加入することによって、他県のTBS系列局の番組を見ることは可能となりますが、現時点ではサービスを受けられる地域は限られております。 こうしたことから、県民の情報環境の整備という観点から、今後とも、事業者に対してサービスエリアの拡大を働きかけてまいりたいと考えております。 なお、県内には、いまだに地上デジタル放送が視聴できない地域や携帯電話が利用できない地域がありますので、一日でも早くこれらの地域にお住まいの皆様の不便をなくし、災害発生時の情報入手や伝達手段の確保ができるよう、格差解消に向けた取り組みを推進してまいります。 次に、大曲花火大会の特区についてであります。 御提案のありました河川敷への常設トイレの設置につきましては、昭和62年に花火大会の桟敷席やトイレが2度流されるなどの例もあり、特区による規制緩和でとらえられる事案としては、現実的には困難と考えております。 しかしながら、国内外に誇れる夏の一大行事である「大曲の花火」を、年間を通じた地域活性化につなげるという観点は大切であると考えております。 このことから、「大曲の花火」を観光資源としてより発展させるため、さまざまな規制を緩和することができ、さらに活性化できる方策があれば、特区申請を含め、幅広い視点から地元や関係機関と連携して取り組んでまいります。 次に、経済・雇用対策の強化についてであります。 これまで新規雇用の創出に一定の役割を果たしてきた国の雇用対策基金制度が、実質今年度で終了することや、歴史的な円高の長期化やグローバル社会での競争激化等により、TDK関連企業を初めとして1,000人程度の離職者の発生が見込まれるなど、今後の経済雇用情勢の悪化が懸念されることから、地域の雇用の維持・創出を図るため、おおむね2年間にわたる緊急的かつ集中的な対策を講じてまいります。 この対策としては、まず、国の雇用対策基金事業が必ずしも継続雇用につながっていないことを踏まえ、安定的な雇用形態である正規雇用につながる事業を重点的に実施することとしており、具体的には、正規雇用に対する奨励金の支給や、採用意欲のある企業が離職者を雇用して行う人材育成等に対して助成することにより、その後の正規雇用につなげることを目指す「緊急就職サポート事業」などの対策を実施し、約4,800人の新規の雇用創出を図ってまいります。 一方、こうした離職者対策とともに、個別の企業ニーズを踏まえ、早急かつ確実に雇用効果が期待できる意欲的な企業への支援による雇用の創出も重要であります。このため、農林漁業の六次産業化に取り組むための拠点施設整備や企業等の農業参入に支援をするとともに、コールセンター等の企業立地を促進するための制度創設など、地域資源を活用した新たな事業展開を促すことによって、約200人の新規雇用創出を見込んでおり、離職者対策とあわせて約5,000人の新規雇用を創出したいと考えております。 事業の実施に当たっては、市町村や商工団体等を通じて広くPRするとともに、こうした団体と連携し、事業の掘り起こしを行ってまいります。 また、緊急的な対策はもとより、県内の雇用維持・創出を図るためには、企業の経営基盤・競争力の強化が不可欠でありますので、中核企業の育成や県内企業の技術力・製品開発力の向上に加え、新
エネルギーや次世代自動車といった今後発展が見込まれる産業分野への参入支援などについては、私も一丁目一番地の最重点施策として取り組んできたところであり、これからも全力を挙げて実施してまいります。 なお、緊急的な経済・雇用対策の財源の一部として、2年間で県職員の給料減額分約39億円を活用することとしておりますが、対策全体にかかる予算規模は、現段階で約百八億円を見込んでおります。 このため、消費の下支え対策としての公共事業については県債を、また、成長分野への展開支援等については国費や基金を活用するなど、あらゆる財源を有効に活用しながら対策を推進することとしております。 厳しい財政状況ではありますが、経済・雇用対策は、最重点施策でありますので、事業の選択と集中を徹底し、さまざまな工夫を凝らしながら必要な財源の確保に努めてまいります。 次に、
エネルギー政策について、まず、
エネルギー政策のあり方についてであります。 本政策は、国民生活や企業活動に多大な影響を与えることから、今後、原子力発電に関する徹底した安全対策や
再生可能エネルギーの導入促進に関するロードマップなどについて、一刻も早く明確な方向性を示すべきものと考えております。 また、我が国が必要とする
エネルギー資源は、現在の科学技術水準や国土の物理的性状から国内だけでは賄えないことは明らかで、特に、ほぼ100%を海外に依存している化石燃料の確保については、国家安全保障の観点から長期的に調達可能な状況をつくり出すことができるかどうかの検討も必要であり、我が国の
エネルギー政策は、こうしたことを強く認識した上で論じられるべきものと考えております。 私は、最終的には脱原発が望ましいものと考えておりますが、その過程において、火力や水力などのべース電源を確保した上で送電網の強化を図り、
再生可能エネルギーを十分に活用しながら、段階的に原子力発電の割合を減らし、
エネルギーの安定供給を図ることが肝要と考えております。 県といたしましては、発電コストの問題はあるにしても、国民の原子力発電への不安に加え、地球温暖化への対応などを考慮し、今後とも
再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいります。 水力発電の拡充についてでありますが、水力発電所は、法定耐用年数をはるかに超えて運転できる設備でありますので、常日ごろの安定運用のため、職員の専門能力の育成と技術力の向上に努め、万全な保守管理を行っております。 また、今後予定される各発電所の大規模改修については、最新の技術を採用して、水車と発電機を一体で更新するなど、計画的に進めることとしております。 水力は、火力と並ぶべース電源としてだけではなく、今後も
再生可能エネルギーの核でありますので、県営の15発電所の計画的な改良、修繕を行いながら、新たな発電所として萩形発電所や成瀬発電所の建設を推進するほか、将来の水力発電の開発可能性調査などを通じて、本県における水力発電のパワーアップを図ってまいります。 次に、地域医療の充実と医師確保についてであります。 まず、厚生連の経営見通しと支援についてでありますが、厚生連病院は、二次医療圏の中核的な医療機関として、救急や周産期、がん医療等の地域医療を守る重要な役割を担っていることから、県としても健全な病院経営とあわせて、着実な病院改築が行われるよう支援しているところであります。 このたびの仙北組合総合病院や湖東総合病院の改築に当たっては、厚生連の経営状況を悪化させることがないよう、従来の建築事業費や移転諸経費に対する補助に加え、厚生連の自己負担分に対する無利子長期貸付や、湖東総合病院の移転諸経費に対する補助率のかさ上げを行うこととしております。 さらに、改築後の負担軽減を図るため、固定資産取得に係る繰り延べ消費税に対する補助や、既存の病院改築に係る借入金に対する利子補給、
医療機器整備に対する補助の増額のほか、地元町村と共同で湖東総合病院の運営費に対する助成を行うこととしております。 また、厚生連の平成23年度決算は、平成21年に策定した経営改善計画に基づく取り組みが着実に進められていることから、当期剰余金が18億8,400万円、固定比率は、計画を上回る54%となっており、今後、県や市町村が行う支援とあわせ、平成30年度までには目標である100%を達成できる見通しとなっております。 厚生連病院は本県に欠かせない医療機関であることから、県といたしましては、厚生連自身の経営改善努力を前提としつつ、必要な支援を行っていくほか、今後とも緊密な連携を図りながら経営の安定化に向けた取り組みを着実に進めてまいります。 医師確保についてでありますが、今年11月の成案を目指して策定中の「医師不足・
偏在改善計画」では、今後の供給医師数の将来推計を示しておりますが、その根拠の一つとして地域枠等の修学資金の貸与を受けた医学生が、将来医師となり県内の医療機関で従事するということを考慮しております。 しかし、御指摘のとおり、地域枠等で入学した医学生が、義務期間終了後、秋田の地域医療に魅力を持てない等の理由により、県外に流出してしまう可能性もあります。 秋田を愛し、難関を突破した医学生が、その意欲を失うことなく地域医療に従事し、義務期間終了後も秋田に残り、後輩の若手医師の指導に当たっていただくというのが理想の姿であります。 これを実現するため、県が秋田大学に設置した総合地域医療推進学講座では、1年次、3年次において地域医療体験実習等で県内の医療機関で経験を積み、地域医療への関心を高めるとともに、現場の医師との親交を深めております。 また、1年次から、将来どの診療科に進んでも必要とされる総合的な診断能力を養い、幅広く患者に対応できるような医学教育を行っております。 このような取り組みを地域枠医学生のみならず、すべての医学生を対象に実践しており、こうした先駆的な医学教育は、秋田方式として全国から極めて高い評価を受けているところであります。 私自身も来月、医学生を対象に秋田市で開催されるセミナーに出席し、将来秋田の医療を担う医師として活躍してもらえるようお話しする予定であります。 さらに、地域枠医師を含む若手医師が、一人でも多く県内に残り、本県医療を支えていただくため、秋田大学と連携し、大学と地域の医療機関を循環しながら医師としての研鑚を積めるキャリア形成システムを構築し、医師不足や地域偏在が解消できるよう、鋭意取り組んでまいります。 次に、冬期間のスポーツ施設についてであります。 1年のうち4カ月以上が雪に閉ざされてしまう本県にとって、土や芝生のフィールドを必要とする競技については、冬期間の場所の確保が大きな課題となっております。 このため、能代市や大仙市のように体育館の床を土や人工芝にするなどして対応しているところもありますが、県全域を見た場合、不足しているのが現状であり、練習場の確保については、市町村や関係団体と現在、意見交換しているところであります。 冬期間のスポーツ施設として高架下を活用することは、この課題を解決する一つのアイデアであると考えております。 このような地域住民の利用が中心となる施設は、市町村がかかわることで、より効果が発揮されることから、県としても関係市町村と具体的に協議してまいります。 以上でございます。
◆20番(
渡部英治議員) 佐竹知事、大変丁寧かつ前向きな答弁、ありがとうございました。そして、知事の来年に向ける思いも、しっかりと受けとめました。その上で2点ほど再質問させてもらいます。 まず1点目は、県の夢を県民に与える独自策ということに触れましたが、なぜ秋田を売り込むかといいますと、県で出されています秋田県勢概況の一番最後のページに「データで見る秋田県」が記載されております。私は「これいいな」と思ったのは、1番最初にくるのが日本一と全国ベストスリーです。特に注目するのは、小・中学校の学力の問題、そして、ちょっと違う観点で見ると、理容室・美容室の数が、全国1位です。これは、ある意味では秋田県の明るい要素ではないかなと、こんなことをいろいろ感じています。その下には自殺率の問題だとか、もちろん人口問題などもありますが、とかくこれまでは悪い部分、悲観的な部分を前面に出して、本当の秋田のよさがなかなか主張されていない。知事が先ほど言われましたように、あらゆるところで前面的に、秋田の良さを県民全体に広げていく姿勢が必要ではないかと。そうした意味で私は、まず一つ申し上げたいのは、TBSの関係。ケーブルテレビは確かに民間です。ただ、由利本荘市のように、行政として取り組んでいる事案もあります。県南地区に対して少し働きかけをするべきではないかと、これはいろんな補助事業もありますので、単体で市の動きを待っていたのではなかなか進まないと。そこでの県のバックアップが必要ではないかと、これがまず1点であります。 それから、いろいろ前向きな話の中で、最後の問題ですけれども、市町村と十分に具体の話をしていくということで、一つのアイデアとして理解を示していただきました。 とかくこの種の問題は、事業主体をどこにするか--実際に利用するのは体育関係者や地元市町村ですので、その動きを見てから県がバックアップするのが通常のやり方だと思うのです。モデル事業としてとにかくやってみて、その後の維持管理等については、いろいろ考えていこうという一歩突っ込んだ取り組みが夢を与えるものではないかと思っておりますので、再度その二点についてお尋ねいたします。 [知事(佐竹敬久君)]
◎知事(佐竹敬久君) いわゆるテレビ第4局の話でございます。 実際に私も秋田市長時代--秋田市は民放の株主そのものでありますので--取締役でしたけれども、極めて民間の放送局は厳しい、どんどん厳しくなっているというのは確かであります。猛烈に広告収入は減っております。しかもデジタル化によって相当な債務を抱えております。 そういう中で新しい局を民間が立ち上げる、あるいは県がという話ではないでしょうけれども、なかなか難しい。現実の問題として、もう県が放送局をやるでもしない限り全くできないと私は思っています。ただ、いわゆるケーブルテレビ等に対する支援でございますが、秋田市のケーブルテレビ、これは今、黒字であります。かなりの黒字であります。ただ、これも、合併当時、秋田市の中心部から河辺・雄和に延ばすとするとちょっとイメージできないような経費がかかるため、なかなか進んでいないのが確かであります。ですから、都市部などの人口集積地であれば、一定の採算性はありますけれども、農村部まで全部となりますと、黒字運営できるかどうかということであります。実は私が秋田市長のときに厳密な計算をしております。かなり難しいというのは確かであります。ただ、いずれにしても部分的であれ、一定の採算性があって、それをやるという事業体が地方で、地域で出てくれば、我々としても応援するのはやぶさかではございません。 そういうことで、なかなかこの辺はそう簡単にはいかないということを御理解いただきたいと思います。特にスポンサーがきちっとしていないと、なかなか難しいということがあります。 高架下の問題は、我々も十分検討しました。実際、法的にもできます。ただ、一つだけ、管理運営だけは地元住民が使用するものについては市町村に絡んでもらわないと、県がそこに職員を置くというのは、ちょっとできません。例えば財政的支援などは考えられますので、市町村と十分協議してまいりたいと思います。いずれこの件については、大仙市は、これをやろうという前提で具体的に協議をしたいということでありますので、御理解いただきたいと思います。
○副議長(小松隆明議員) 20番渡部議員の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。
△午後12時33分休憩
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△午後1時30分再開 出席議員 44名 1番 沼谷 純 2番 小原正晃 3番
丸の内くるみ 4番 田口 聡 5番 山内梅良 6番
瀬田川栄一 7番 菅原博文 8番 菅原広二 9番 加藤麻里 10番 虻川信一 11番 三浦茂人 12番 東海林 洋 13番 佐藤雄孝 14番 北林丈正 15番 竹下博英 16番 中泉松司 17番 原 幸子 18番 工藤嘉範 19番
石川ひとみ 20番 渡部英治 21番 三浦英一 22番
こだま祥子 23番
近藤健一郎 24番 加藤鉱一 25番
佐藤賢一郎 26番 小松隆明 27番 平山晴彦 28番 柴田正敏 29番 宮腰 誠 31番 安藤 豊 32番 土谷勝悦 33番 渋谷正敏 34番 大関 衛 35番 川口 一 36番
小田美恵子 37番 武田英文 38番 鶴田有司 39番 冨樫博之 40番
大野忠右エ門 41番 能登祐一 42番 大里祐一 43番
佐藤健一郎 44番 鈴木洋一 45番
北林康司--------------------------------------- 地方自治法第121条による出席者 休憩前に同じ
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○議長(
大里祐一議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。37番
武田英文議員の一般質問を許可することに御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(
大里祐一議員) 御異議ないものと認めます。37番武田議員の発言を許します。 [37番(
武田英文議員)登壇](拍手)
◆37番(
武田英文議員) このたび、一般質問の機会を与えていただきました皆様に心からお礼を申し上げます。 早速、質問に入らせてもらいます。 まず最初に「秋田県水と緑の森づくり税事業」についてであります。 地球温暖化防止、県土の保全水源涵養などの公益的機能を有し、すべての県民がその恩恵を受けている森林を守り育て、次代に引き継いでいくことを目的として森林環境の保全に関する施策を推進するため、「秋田県水と緑の森づくり税」--以下、「森づくり税」と言います--が、平成20年4月に施行され、ことしは5年目を迎えています。5年ごとに制度の見直しを実施することになっていますので、今年度中に次期計画に取り組まなければなりません。 この「森づくり税」は、県当局が提案し創設された県条例ではありますが、議会が主導したものと言っても過言ではないものであります。 森林整備にかかわる県の独自課税は、高知県が平成15年4月に施行したのが全国初でありました。豊かな森林資源を有し、全国有数の林業県である本県も、地方税としての森林環境税を創設し森林整備を図るべしと一般質問に初めて登場したのが同年12月の定例会でありました。 早速、超党派の議員で高知県と全国で2番目として施行準備中の岡山県を訪れ、調査活動を行いました。それから条例制定までの4年間に、各会派から実に九名の議員が一般質問に取り上げ、その創設を強く訴えたのであります。 当時の寺田知事は、当初、これは国として実施すべきものとの見解で、地方税としての創設には極めて消極的でありました。私たち議員の多くは、地方分権時代を迎え、自分たちでできることは自分たちでやろう、そして自分たちが取り組んでこそ、国に対する要望にも説得力が増し、より重みが加わると強く主張したのであります。 「国と並行して県独自の制度をどのようにすべきか、できるだけ速やかに結論を出したい」と、初めて県当局がそれまでの姿勢に変化を示したのが平成17年の2月定例会でありました。そして、最初に一般質問で取り上げてから丸2年経過した17年12月の定例会において、「国による環境税の導入を待つだけでなく、県独自の『森林環境税』について県民生活における森林の持つ意義や多様な森づくりの必要性など、幅広い議論を喚起し、広く意見を聞く機会を設けるなど、導入について具体的に検討する」とそれまでの方向を明確に転換したのであります。 その発言から2年余り、議会での真摯な議論の積み重ねと県民への周知期間を経て、ようやく平成20年4月に施行されたのであります。 この間、全国では条例の制定が相次ぎ、本県は全国で24番目、東北では岩手、福島、山形に次いで4番目でありました。 その内容として、課税方法が県民税均等割超過課税、税率などは個人年額800円、法人は年額法人県民税均等割額の8%相当額、税収見込み額は約4.6億円と見込まれました。 また、税収の使途の明確化と透明性の確保のために基金を設け、基金の管理は民間委員等からなる運営委員会で行うこととなりました。 主な税の使途は次のとおりであります。生育の思わしくない杉人工林の混交林への誘導、松くい虫被害地の健全化、広葉樹林や里山林の保全と再生、県民の自発的な活動の促進。 事業内容は大別するとハードとソフトからなり、事業費はハード事業にほぼ8割、そしてソフト事業に二割という配分になりました。ハード事業の中で、そのほぼ半分は針広混交林化事業に向けられることとなりました。したがって、全体のほぼ4割が針広混交林に使われることになったのです。残りは松林健全化事業と広葉樹の保全・再生事業であります。 ソフト事業は、県民参加の森づくり事業でボランティア団体などが実施するさまざまな活動への支援や指導者育成への助成などであります。 そこで、過去4年間の実績と今年度の見込みを含む全体としての取り組み状況と、これまでの成果をどのように受けとめておられるのか、知事にお伺いします。 県では「森づくり税事業」の次期計画の基礎資料を得るため、昨年の7月から8月にかけて県民や企業、税事業活用者等を対象にしたアンケート調査を実施しました。郵送による回収率で、県民へのアンケートが36.1%、企業が54.6%という数字は、「森づくり税事業」への関心の高さを十分うかがわせるものであります。 アンケートの中で「森林の機能で特に重要だと思うもの三つを挙げてください」という設問については、「水源涵養機能」、「山地災害防止機能」、「地球温暖化防止機能」が、どの対象者向けでもぬきんでて高いものであり、森林に期待する機能がよくわかります。 次に、「県内の森林の現状をどのように見ているか」の設問には、県民へのアンケートでは「手入れが不十分」が37%と最も多く、次いで「病害虫などの被害が目立つ」が19%となっており、企業へのそれでも、これらとほぼ同じ傾向を示しています。手入れが行き届かない森林が多く、また、病害虫などの被害が目立つといった本県の現状を的確に指摘しております。 これまでに税事業を活用した人たちへの調査では、活用した感想について「大いによかった」が最も多く73%、「どちらかといえばよかった」を合わせると、実に96%にも上り、大変好評であったことがわかります。アンケートの中に制度の改善点や事業要望も幾つか寄せられております。 こうした事柄を参考にし、来年度からの5年間の計画を作成することになります。 次期計画に向けての見直し点など、私の考えを申し述べます。 ハード事業の中で特にウエイトの高かった針広混交林化事業でありますが、標高の高い尾根筋など成長の悪い杉林を強度間伐し、周囲からの広葉樹の侵入を促進し、混交林に誘導するというものであります。 この事業については、当初計画を上回る達成率と伺っております。標高が高い、いわば奥山での杉人工林の面積比率は低いこと、この5年間で必要とする箇所の整備がおおむね進んだと思われること、さらには、そうした環境下においては時間は多少要するものの、いずれ自然の遷移により広葉樹林化に向かうことなどを考え合せると、今後は里山にその対象を移すべきでありましょう。 次に、松林健全化事業でありますが、マツ材線虫病被害による枯死、白骨化した枯れ松の伐採処理により、見る影もなかった松林の景観が大きく改善されました。猛威を振るった同被害も、このところ鎮静化の方向にありますが、被害跡地の更新にはさらに力を入れていかなければなりません。 一方、ナラ枯れ被害が急激に増加してきています。里山林の整備について、地域の先輩たちがかつて植栽しつくり上げてくれた各地の学校林が放置されたままになっております。自然環境の教育の場として、また、地域の人たちとのつながりを再認識し、ふるさとをより深く理解する上でも学校林の整備は重要と考えます。 ソフト事業については、活用者の評価が極めて高いことから、より拡充すべきものであり、一方で指摘事項については、その改善を図らなければなりません。 知事は、「森づくり税事業」の次期計画について、どのように取り組まれるのか、事業内容や今後の策定スケジュールなど、お知らせください。 次に、ひきこもり者等への支援対策についてであります。 県の推計によると、県内に約5,100人ものひきこもり傾向のある若者がいると言われています。私はこの数字を初めて目にしたとき、その数の多さに驚きました。 そこで、専門家等にいろいろと話を聞いてみると、ひきこもり者を取り巻く状況は大変深刻であり、それへの行政の対応はまだまだ手薄だと言わざるを得ません。ひきこもり調査は、都道府県レベル、全国レベルで実施されていますが、その実数を正確に把握することは難しいと言われます。そうした中で、これまでの調査で信頼性が高いものとして、平成19年度に東京都が実施した「ひきこもりの実態等に関する調査(若年者自立支援調査)」があり、また、平成22年度に内閣府で実施した「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」が挙げられます。 前者の調査結果では、対象者15歳から34歳の0.72%がひきこもり状態にあると推計され、また、いつひきこもり状態に陥ってもおかしくない心理状態にある「ひきこもり親和群」の割合は4.8%と推計されるとしております。 後者の調査では、対象者を15歳から39歳と広げており、ひきこもり状態にある若者は対象者の0.61%、普段は家にいるが、趣味に関する用事のときだけ外出する者を含めた広義のひきこもりを含めると1.79%と推計しており、また、「ひきこもり親和群」の割合を3.99%としております。 藤里町社会福祉協議会は、2010年2月から2011年8月の1年半をかけて、ひきこもりの実態調査を実施しました。その結果、18歳から55歳の町民のうち、少なくとも113人が長期の不就労状態で自宅などにひきこもっていることがわかりました。対象年齢人口に占める割合は実に8.74%、また、40歳以上が半数近くにも上り、高年齢化も浮かび上がりました。調査方法や対象年齢などが異なるために単純な比較はできませんが、先の二つの調査結果に比較して、際立って高い数値であることがわかります。 厚労省によると、自治体を単位とした詳細な調査は全国的にも極めて珍しいということであります。ひきこもりの現状を把握し、就労などの支援に生かす目的で、一軒一軒訪問し調査したものです。「不就労期間がおおむね2年以上である」、「家族以外の人との交流や外出の機会がほとんどない」という条件で、本人や家族から直接聞き取ったもので、実態を正確に反映しているものと考えられます。調査結果は、若年層を取り巻く雇用の悪化とともに、不就労状態の長期化によるひきこもりの人の高年齢化をうかがわせるものでもあります。男女比では、男性が75人で66%を占め、女性の約2倍となるなど、全国的な傾向とほぼ同様の結果でありました。 また、調査結果からは、生活困窮者やひとり暮らし世帯の増加、親の高齢化が目立ち、長期のひきこもりによる精神疾患の発症事例も見られるといいます。この数字の大きさ、この現実の重みを、知事はどのように受けとめられるでしょうか、お伺いします。 町の社会福祉協議会は、調査で把握した113人のうち、本人と家族の承諾を得た78人に対し訪問支援などを継続しております。調査を主導した菊池事務局長は、「調査結果は、あくまで現時点で確認している人数であり、実態把握は難しい。何をもってひきこもりと見るかという定義づけも曖昧で、幅広い対策と支援が必要だ。」と語っています。 この問題の複雑さは、健常と障害の狭間に存するということでありましょう。そのため、福祉・医療制度を利用することには踏み出しにくく、一方で、健常者枠での社会生活に固執すると、その履歴等が大きなハンディキャップとなります。対象者の自立を支援するためには、個々の特性疾病の有無、環境要因等さまざまな視点から分析し、段階的に支援していく必要があります。単一要素だけに着目し、その改善に固執する支援は、無効に終わる可能性が高いと指摘されています。そうした視点から、多方面から分析、支援できる体制づくりが求められ、民間、NPO法人、行政等の連携による支援ネットワークづくりが重要と考えます。 自立に向けた若者の就労支援に関しては、新たな視点での体制づくりが求められると思います。「不登校・ひきこもり」という過去を持つ若者は、履歴上空白の期間が存在し、就職等に際して大きなハンディキャップとなっています。対象者の多くは、採用になっても、その責任感の強さや失敗に対するおびえ等から萎縮しがちで、みずからの能力を発揮するまでに時間がかかる傾向が強いのであります。彼らは総じてスロースターターと言えますが、雇用された場合に、この点に関する時間的猶予を与えてくれる企業は、極めて少ないのが現状であります。 こうした状況を理解した上で、職場環境に「慣れる」というプロセスが必要であります。しかしながら、実社会及び行政的支援策において、このプロセスの確保には十分に手が差し伸べられておりません。本来働ける能力があるにもかかわらず、若者と実社会を橋渡しする過程の欠如によって一歩を踏み出せていない現状を何とか打破していかなければなりません。それには情報発信やセミナー等の形で企業への受入気運を醸成するとともに、ある一定期間の無償での就労訓練の実施により、若者と企業との意思疎通を図り、雇用主側が有給に値すると判断した時点で正規採用へと進むといったことなどが求められます。 就労支援に関しては、秋田市御所野にある「あきたサポートステーション」を拠点として支援網の拡充を図っていますが、まだまだ全県一円を網羅するまでには至っていない状況と受けとめます。 また、厚労省が各都道府県等に原則2カ所の開設を目指している「ひきこもり地域支援センター」は、県内にはまだ設置されておりません。地域における関係機関とのネットワークの構築を図り、広く情報提供を行うため、早急に設置すべきであります。今後どのような施策を、どのような体制で進めていくのか、知事のお考えをお伺いします。 次に、読書活動の推進についてであります。 平成22年2月定例会において「秋田県民の読書活動の推進に関する条例」--以下、「条例」といいます--が全会一致で可決され成立し、同年3月に公布、4月1日から施行されました。そして、条例第4条に基づき、平成23年3月には「秋田県読書活動推進基本計画」--以下「基本計画」といいます--が策定されました。基本計画の冒頭に、知事は次のように記しております。「本は人の心を動かし、勇気や希望を与えてくれます。また現在、過去、そして想像の世界へと自由に行き来できる夢の扉でもあります。読書活動は、子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであります。そして大人になっても、生涯を通じての学習として、人類が長い歴史の中で蓄積してきた知識及び知恵の継承と向上、豊かな人間性を涵養するために欠くことのできない文化活動であります。もとより、読書活動は個人の自主的な活動ではありますが、人格の形成や個人の能力の伸長に資するとともに、民主的で文化的な社会の発展に不可欠であり、就職や企業へのビジネス支援、高齢者の生き甲斐づくりとして社会的に大きな役割を果たしているため、県としても積極的にその推進を図っていく必要があります。」これは、知事が読書についての高邁な理念を披瀝し、読書活動の推進を県として積極的に取り組んでいくとの内外への力強い宣言でありました。 この基本計画は、読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に進めるとともに、態勢の整備を図ろうとするものであります。 この6月、条例第4条第2項に基づき、平成23年度に基本計画に従って実施した施策についての報告がありました。それによりますと、基本計画実施の1年目として、広範に、かつきめ細かくさまざまな施策を展開してきたことがよくわかり、評価できます。しかしながら、今後さらに力を入れていかなければならない課題もまた浮き彫りになっております。 まずは、読書活動を推進する体制の確立であります。知事部局及び教育庁の関係各課間の連携を図り、一体的に施策を進めるための体制を整備し、県民の読書活動の推進を総括し、県全体での取り組みを調整すため、「秋田県読書活動推進本部」の設置が不可欠であります。さらに、県民の読書活動を促進するためには、すべての県民が意識を同じくして取り組む必要があることから、行政と民間団体、企業等が連携して取り組む県民運動を展開していくため、県、市町村、教育機関、民間団体等で構成する「読書活動推進県民会議」といったものの創設が極めて重要であります。県として、こうした枠組みをしっかりと構築し、組織的に取り組む体制をつくり上げることを何よりも優先すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 今議会冒頭の知事説明で、平成24年度全国学力・学習状況調査結果に触れ、「平成19年から連続して全国トップクラスの成績を収めることができたのは、児童・生徒の努力、学校でのきめ細かな指導、さらには家庭、地域の積極的なかかわりなど、本県の教育環境が充実している証である」と述べております。読書活動の推進は、教育環境のさらなる充実に向けて大きな役割を果たすことは間違いないところでありましょう。児童・生徒の学力が全国トップクラスであるということほど、近年、秋田のイメージアップに責献したものはありません。 本県は全国に先駆けて「秋田県子ども読書活動推進計画」を含む「県民の読書活動推進計画」を策定いたしましたが、市町村で子ども読書活動推進計画を策定したところは、いまだ半分程度に過ぎません。また、学校図書館図書標準を達成している学校の割合が全国平均を下回っていることから、市町村において標準の早期達成に向けて取り組みを強化していく必要があります。今後これらのことを含め、県として市町村にどのような働きかけをしていくおつもりなのか、知事のお考えをお聞かせください。 図書館の整備や図書資料というハード面のみならず、それらを活用する人材面での体制も同時に整えていく必要があることは論を待ちません。そこでいつも話題に上るのが県立高等学校図書室への専門職の配置であります。現在、司書は10名体制で非常勤職員として勤務していますが、県内高校の一部に配属されているに過ぎず、さらなる増員を図るべきであります。 また、専門職としての司書の処遇面の課題が残っております。さきの総括審査において論議され、給与面においては、わずかながらも改善が見られましたが、組織における身分、位置づけといった点は、いまだ明確になっておりません。知事のお考えをお伺いします。 ところで、昨年10月、県立秋田西高等学校が「子供の読書活動優秀実践校」として文部科学大臣表彰を受けました。日ごろのさまざまな図書活動が高く評価されたものですが、同校は昭和60年から図書館を地域開放し、一般利用者へ貸し出しも行っていることを初めて知りました。学校図書館を地域に開放している学校の割合は、平成20年度調査で高等学校では6%に過ぎず、これを26年度までに10%ヘ伸ばす目標を設定しています。地域に開かれた学校図書館づくりを促進するためには、この目標数値を上方修正すべきと考えますがいかがでしょうか、教育長にお聞きいたします。 さて、平成26年度に本県において
国民文化祭が開催されます。
国民文化祭は、日本中でいろいろな文化活動に親しんでいる個人や団体が集まって日ごろの成果や実力を披露する日本最大の文化の祭典であります。 文化祭の主催事業には、継続事業と独自事業があり、後者は開催地の特色を盛り込み、企画・アレンジされた事業となっています。 そこで、読書に関する県民運動の展開を、本県の特色ある文化活動の一つとして
国民文化祭に参画できるよう、ぜひとも検討していただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。 これで私の質問は終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
大里祐一議員) 県当局の答弁を求めます。 [知事(佐竹敬久君)登壇]
◎知事(佐竹敬久君) 武田議員の御質問にお答え申し上げます。 「秋田県水と緑の森づくり税事業」についてであります。 まず、これまでの取り組みの成果についてでありますが、いわゆる「森づくり税事業」は、「水と緑の条例」に基づき、県議会の御意見をいただきながら、ふるさと秋田の豊かな水と緑の創造と未来への継承を目指し、「森林環境や公益性を重視した森づくり」と、「県民参加の森づくり運動」の二つを柱として、ハード・ソフト両面からさまざまな取り組みを展開しております。 ハード事業については、針広混交林化事業による多様な生態系の維持回復や、松くい虫の被害を受けた松林の健全化に取り組み、五年間の目標を大幅に超える3,628ヘクタールを整備する見込みとなっております。 また、ソフト事業については、森林ボランティアや森林環境教育など県民参加の森づくり活動を積極的に支援してきており、参加者は目標の6万人に対し7万8,000人が見込まれているなど、県民運動として着実に盛り上がってきております。 さらに、昨年度実施いたしました県民アンケート調査では、税事業で取り組むべき内容として、松くい虫の被害木処理による景観向上などを望む声が多かったほか、実際に事業を活用した方からは、事業メニューが多くわかりにくいという意見があったものの、9割以上が事業の継続を希望いたしております。 このように、この5年間を振り返ってみますと、取り組み目標を達成しており、一定の成果があったと受けとめております。 次期計画の策定についてでありますが、現計画の取り組みを踏まえ、手入れ不足の里山林の増大やナラ枯れ被害の拡大など、森林環境をめぐる状況変化に対応できるよう、内容の見直しを行った上で、さきに申し上げました二つを柱として、引き続き推進してまいりたいと考えております。 主な見直し内容についてでありますが、おおむね整備が進んだ標高の高い場所での針広混交林化を集落周辺等の里山林に移行し、手入れ不足により景観上支障を来している森林を整備するなど、健全な生態系の維持回復に努めたいと考えております。 また、これまで海岸部で実施してきた枯れ松の伐採を内陸部に拡大するとともに、近年、中央地域や県南地域で増加しているナラ枯れ被害木の伐採処理を新たに実施したいと考えております。 さらに、学校林などを森林環境教育の場として活用する「学びの森」や地域住民に親しまれている「湧水・名水の森」など、県民が気軽に森や水とふれ合えるフィールドの整備を進めたいと思います。 一方、県民参加の森づくり運動については、イベントや活動フィールド等の情報提供の一元化が求められていることなどから、事業メニューの再編や、森林ボランティア活動を総合的にサポートするワンストップ窓口の設置など、県民が森づくりに参加しやすい環境を整えてまいりたいと考えております。 こうした考え方を基本に、水と緑の森づくり基金運営委員会等で検討を進めており、今後、県民や関係団体等を対象にした説明会やパブリックコメントなどにより、事業に対するニーズを把握した上で内容を具体化し、県議会にお示ししながら次期計画を策定する予定であります。 私は今年度、林野庁に設置されました「森林関係の地球温暖化対策を考える会」で、全国知事会代表として委員を務め、森林吸収源対策と排出源対策の両面から、地球温暖化防止を進める必要性を訴えてまいりました。 この会では活発な議論が行われ、「森林の再生が喫緊の課題であることから、国や地方、国民一人一人がそれぞれの役割を果たすべき」との宣言を行ったところであります。 このように、森林の重要性は、国全体でもますます高まってきておりますので、今後とも本事業を効果的に推進し、貴重な財産である「ふるさと秋田の水と緑」を次代に引き継げるよう、県民の皆様と一緒に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、ひきこもり者等への支援対策についてであります。 まず、ひきこもりの現状についてでありますが、近年、ニート・ひきこもりといった社会的自立に困難を抱える若者がふえ、大きな社会問題になってきております。国の調査によると、全国では約60万人であり、これをもとに推計すると、県内でも約5,100人と見込まれます。 県では、「子ども・若者育成支援推進法」に基づき策定した「あきた子ども・若者プラン」において、社会的自立に困難を有する子供・若者の支援を基本目標の一つに掲げ、社会的自立に向けた支援に積極的に取り組んでいるところであります。 ひきこもりの問題につきましては、本人の資質や個々の家庭環境などが複雑に重なっていることから、その状態に適した、柔軟で継続的な支援が必要であるとの意見や、最近の雇用情勢の悪化がこうした若者の増加に拍車をかけているとの見解を、プラン検討委員会等の場においてNPOや大学などの専門機関の方々から伺っております。 この問題につきましては、少子高齢化が進む中で経済的な側面からも課題となってきており、教育、医療、福祉、就労など、さまざまな分野にわたり問題が複雑に絡み合っていることから、私といたしましても、今後とも地域社会全体で取り組んでいく必要があると認識しております。 なお、藤里町社会福祉協議会が行った実態調査は、全国で初めて中高年層を含めて行ったもので、ひきこもりの割合の多さについて改めて認識したところであります。 中高年層のひきこもり対策につきましては、これまで取り組んでいない分野であることから、今後、国も含めて対応していかなければならない重要な課題であると考えております。 今後の支援策についてでありますが、本県においては、ひきこもりといった働くことに課題を抱えた若者の就労支援については、秋田市に設置されている「サポートステーションあきた」が行っているほか、ひきこもりの状態を脱し、就労意欲が高まってきた場合には、大館市と横手市に設置されている「フレッシュワークAKITA」のサテライトセンターにおいても就職に向けたカウンセリングを受けることが可能となっており、全県域で就労支援を実施しております。 このほか、県で養成したボランティアを若者自立サポーターとして家庭に派遣する訪問支援を行っており、また、「精神保健福祉センター」を中心とした相談対応や親の会の開催等により、ひきこもり本人の自立を促し、本人と家族等の支援に努めております。 今後は、これまでの施策に加え、本議会に予算を提案しております訪問支援型のモデル事業を実施し、その検証を踏まえながら、「ひきこもり地域支援センター」の設置についても検討してまいります。 また、中高年層のひきこもりについては、市町村社会福祉協議会が行う見守りや支援などが行き届かなかったケースもあるなど、その実態把握や対策もおくれているのが現状でありますので、県としましても、支援体制の構築を含めた新たな施策を講じていく必要があると考えております。 今後とも、こうしたひきこもりの問題については、さまざまな分野にわたる対策が必要であることから、関係機関やNPO等で構成する「若者の自立支援ネットワーク会議」などにおいて、情報共有や連携を図ることにより、一人でも多くの方々が社会へ踏み出せるよう、それぞれの状況に応じた、きめ細かな支援を行ってまいります。 特に今後ますます高齢化が進む本県にとって、中高年層のひきこもりは重要な課題であり、その解決に向け、国に対しても支援策や財政措置について問題提起するなど、率先して取り組んでまいりたいと考えております。 次に、読書活動の推進についてであります。 読書活動の推進に向けた体制づくりについてでありますが、読書活動の推進については、昨年度から企画振興部内に読書活動推進監を配置するなど、体制を整えた上で庁内の部局横断的な推進組織を設置し、関係各課の連携のもとに「秋田県読書活動推進基本計画」に基づくさまざまな事業の一体的な推進を図ってまいりました。 具体の取り組みとしては、県民から寄贈していただいた絵本などを児童施設等で再活用する「スギッチ・リサイクル文庫」や、プロバスケットボールチーム「秋田ノーザンハピネッツ」とともに読書活動を推進する事業など、話題性が高く、県民の皆様の主体的な参加を促すような事業を展開してきたところであり、その詳しい内容につきましては六月議会に御報告させていただいたところであります。 今年度は、県PTA連合会と連携した「家族で読書」運動の展開など、読書に親しむ習慣の定着と広がりを目指した事業にも取り組んでおります。 読書活動を県民運動として広げていくためには、書を読むということについて、何より県民それぞれの自主性と自由な選択を尊重することを基本とした主体的な取り組みが不可欠であり、市町村や教育機関はもとより、民間団体との連携をさらに強化し、県民の読書への関心を一層高めていくことが大切であると考えております。 推進本部と県民会議のあり方については、読書活動を県民が身近に感じられるような幅広い活動として、より実効性があるものにするためにどのようにすべきか、関係団体等と議論を深めてまいります。 市町村への働きかけについてでありますが、「子どもの読書活動の推進に関する法律」では、市町村が「子ども読書活動推進計画」の策定に努めることとなっております。 この計画は、市町村が主体的に地域の読書活動を推進するよりどころとなることから、県としては「秋田県読書活動推進基本計画」の推進体制の大きな柱と位置づけ、平成27年度までに全市町村が策定することを目標に掲げております。 これまで各市町村の取り組み状況を全県の教育委員会などに情報提供するほか、策定手順の相談に応じるなど、市町村それぞれに対し個別具体の支援を行いながら策定を促してまいりました。こうしたことにより、現在では策定済みが7市町村、策定中が5市・町となり、全市町村の48%に当たる12市町村が計画に取り組んでおります。 計画期間内に、すべての市町村で推進計画が策定されるよう、引き続ききめ細かに働きかけてまいります。 次に、学校図書館図書標準についてでありますが、平成22年度の文部科学省の調査によりますと、本県で図書標準を達成している学校の割合は、小学校が全国平均50.6%に対し51.0%、中学校が全国平均42.7%に対し36.6%となっております。 県といたしましては、子供の健全な教育環境づくりを進めていく上で学校図書の充実は大切なものであると考えており、図書標準の達成が図られるよう、今後も各市町村に働きかけてまいります。 読書は、子供にとっても大人にとっても豊かな人生を送るために欠くことのできないものであります。県立図書館の「打って出る司書」や人事交流などにより、市町村と連携を強め、個別の課題に応じ、県全体の読書活動の充実に努めてまいります。 次に、学校図書館の司書についてであります。 県立高等学校に勤務する非常勤職員の学校司書につきましては、平成19年度から採用し、10名体制をとっております。 高等学校における学校司書は、各学校で組織されている「学校図書館運営委員会」において、その中心となっている司書教諭資格を持った教諭のもとで図書館運営業務の一部を行っております。 また、高等学校においては、生徒が図書委員会活動に主体的にかかわり、本の貸し出しや館内の環境整備を行うなど、生徒たちも図書館業務の一端を担っております。 こうした現状を踏まえ、県教育委員会では、今年度、高校図書館の利活用状況等を調査し、各校の実情に応じて、人員配置などについて一定の方向性を出そうとしているところであります。 高等学校に、専門職員として学校司書を配置することは望ましいことではありますが、国の定数措置は行われておらず、学校司書の配置をふやすためには県単独予算で措置することになります。削減してきている職員定数の枠の中で新たな職を設けることは、今の職員をさらに減らして措置することになり、難しいことと認識しておりますが、教育委員会の出した方向性を受けて検討してまいりたいと考えております。
国民文化祭への参画についてでありますが、さきに取りまとめた「秋田県
国民文化祭基本構想」では、基本理念を「地域の文化力を高め、文化の力で地域を元気にしていく」と定め、本県の有する多様な資源を幅広く文化資源としてとらえていくこととしております。その観点から、「読書活動」も文化資源の一つとして取り上げることは意義のあることと考えております。
国民文化祭では、県が主催する「総合フェスティバル」などのほかに、全国的に継続して実施されている事業や開催地の特色を盛り込んだ独自の事業で構成される「市町村主催事業」があります。こうした取り組みに加え、民間団体等がこれまでの枠にとらわれることなく自由な発想で企画し、実施する「県民参加事業」を創設することとしております。 読書に関する県民運動につきましては、「市町村主催事業」や「県民参加事業」として
国民文化祭に参画できるものと考えており、今後、市町村や関係団体等に周知し、事業実施者の掘り起こしを図りながら、意欲的な取り組みを支援してまいりたいと考えております。 以上でございます。 [教育長(米田進君)登壇]
◎教育長(米田進君) 武田議員から御質問のありました、学校図書館の地域開放についてお答えいたします。 県教育委員会では、地域に開かれた学校づくりを推進しておりますが、その一環として、施設面の条件を満たしている高等学校については、図書館を地域住民に開放する取り組みを進めております。 現在、県内で図書館を地域に開放している高校は4校でありますが、その中でも秋田西高校は、昭和60年から学校図書館の地域開放を進め、一般利用者への図書貸し出しを行っております。「利用のしおり」を地域に配布したり、地元の広報誌に利用案内を掲載したりすることで、地域に学校図書館の存在が浸透しております。 一方、学校図書館の地域への開放につきましては、学校の安全管理上、図書館が校舎一階に位置しているなど施設面での条件を満たしていることが前提となり、すべての学校において地域への開放を行うことは難しいと言わざるを得ません。 現在の設定目標は、そのような点を考慮したものでありますが、今後、統合・改築が予定されている学校には、図書館の地域開放を想定した設計となっているところもあります。 また、既存の学校についても開放の可能性について検討してまいります。 目標については、来年度中の達成を目指すとともに、地域のニーズや施設面に配慮しながら、図書館の地域開放を行う学校のさらなる増加に努めてまいりたいと思います。 以上でございます。
◆37番(
武田英文議員) 知事に質問を1点、それから要望を1点申し上げたいと思います。 質問ですけれども、ひきこもり地域支援センターについてでありますが、先ほどの御答弁では、設立を検討していきたいということと受けとめました。 全国的には、既に二十数県でそのセンターが設立されていると聞いております。検討していくということでありますけれども、例えば今年度とか、そういう時期的な点、もう少し踏み込んで御答弁いただけないものかというのが質問の第1点です。 あとは要望事項でありますが、読書活動の推進につきまして、いろいろ体制づくりが重要だということを申し上げました。ぜひそうした観点で、県全体での取り組みを推進するための推進本部とか、また、県民運動として県民全体を巻き込んでいくための読書活動推進県民会議といったようなものを、ぜひとも県が主導的に設立していただくよう心から要望いたします。 以上です。 [知事(佐竹敬久君)]
◎知事(佐竹敬久君) ひきこもり支援センターでございますが、かなり他県でも設立されております。私どもの方でも、高齢化の問題もございますので、できるだけ早くつくりたいというのは真実であります。ただ、相談体制などの専門家のネットワークをどう組むのか、専門のお医者さんも必要ですので、その手配、あるいは配置がどうなるのか、そこら辺が今ちょっと研究課題でございます。 いずれ具体的な設置を目指しての検討に入りつつありますが、あす、あさって、今年度というのはちょっと難しいのですが、そう遠くない--いずれもう少し検討は必要だと思います。設置場所はどこかというところまで今構想してございますので、我々もできるだけ詰めていきたいと思います。 あと、読書の関係でございますが、要望でございますので--我々としても、さらにこの後の体制を整えなければならないと思っておりますが、議員の方々に御理解いただきたいのは、特に若者の電子書籍化がものすごく進んでいます。多分、もう10年しますと、ほとんど電子書籍になるのではないかと。確かに紙を読むことは大切ですけれども、若者の電子書籍へのアプローチというのは、ものすごく強いのです。こういう全く新しいIT部門をどう動かすのか、こういう新しいファクターも入ってきますので、相当幅広くこれから議論しなければなりませんので、そういう意味でも専門的な方も入れて、できるだけ前へ進むようにやっていきます。
◆37番(
武田英文議員) ありがとうございました。最近、遠からずというのは、何かできないということと同じような意味に受け取られがちでありますので、近いうちとかですね、本来の意味での近いうちということでよろしくお願いしたいと思います。 以上です。
○議長(
大里祐一議員) 37番武田議員の質問は終わりました。 本日は、これをもって散会いたします。
△午後2時25分散会
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