平成23年 2月定例会 本会議●平成23年秋田県議会2月
定例会会議録 第4
号---------------------------------------議事日程第4号 平成23年2月18日(金曜日) 午前10時開議第1、
一般質問---------------------------------------本日の会議に付した案件 議事日程に同じ
---------------------------------------本日の出席議員 43名 1番 鈴木孝雄 2番 石川錬治郎 3番 田口 聡 4番 山内梅良 5番 佐藤雄孝 6番 北林丈正 7番 下間俊悦 9番 東海林 洋 10番 瀬田川栄一 11番 三浦英一 12番 こだま祥子 13番 竹下博英 14番 中泉松司 15番 原 幸子 16番 工藤嘉範 17番 近藤健一郎 18番 加藤鉱一 19番 淡路定明 20番 石川ひとみ 21番 中田 潤 22番 樽川 隆 23番 佐藤賢一郎 24番 小松隆明 25番 平山晴彦 27番 渋谷正敏 28番 大関 衛 29番 石田 寛 30番 安藤 豊 31番 土谷勝悦 32番 川口 一 33番 小田美恵子 34番 武田英文 35番 金谷信栄 36番 鶴田有司 37番 冨樫博之 38番 佐々木長秀 39番 小田嶋伝一 40番
大野忠右エ門 41番 能登祐一 42番 大里祐一 43番 佐藤健一郎 44番 鈴木洋一 45番 北林康司本日の欠席議員 1名 26番
柴田正敏---------------------------------------
△午前10時開議 出席議員 42名 1番 鈴木孝雄 2番 石川錬治郎 3番 田口 聡 4番 山内梅良 5番 佐藤雄孝 6番 北林丈正 7番 下間俊悦 9番 東海林 洋 10番 瀬田川栄一 11番 三浦英一 12番 こだま祥子 13番 竹下博英 14番 中泉松司 15番 原 幸子 16番 工藤嘉範 17番 近藤健一郎 18番 加藤鉱一 19番 淡路定明 20番 石川ひとみ 21番 中田 潤 22番 樽川 隆 23番 佐藤賢一郎 24番 小松隆明 25番 平山晴彦 27番 渋谷正敏 28番 大関 衛 29番 石田 寛 30番 安藤 豊 31番 土谷勝悦 32番 川口 一 33番 小田美恵子 34番 武田英文 35番 金谷信栄 36番 鶴田有司 37番 冨樫博之 38番 佐々木長秀 39番 小田嶋伝一 40番
大野忠右エ門 41番 能登祐一 42番 大里祐一 43番 佐藤健一郎 45番
北林康司--------------------------------------- 地方自治法第121条による出席者 知事 佐竹敬久 副知事 堀井啓一 副知事 中野 節 総務部長 足達雅英
総務部危機管理監 大石 勤
企画振興部長 佐々木昌良
健康福祉部長 中野 惠
生活環境部長 佐藤 充
農林水産部長 三浦庄助
産業労働部長 柴田 誠 建設交通部長 加藤修平 会計管理者(兼)出納局長 高橋清悦 総務部次長 相場哲也 財政課長 粟津尚悦 教育長 根岸 均 警察本部長
石田高久---------------------------------------
○議長(
冨樫博之議員) これより本日の会議を開きます。 日程第1、一般質問を行います。14番
中泉松司議員の一般質問を許可することに御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(
冨樫博之議員) 御異議ないものと認めます。14番中泉議員の発言を許します。 [14番(
中泉松司議員)登壇](拍手)
◆14番(
中泉松司議員) おはようございます。自由民主党の中泉松司です。議場に平山先生の元気な声が戻って、ほっとしております。 昨年9月の質問に続き、再び質問の機会をいただきました。任期最後の議会で質問の機会を与えていただきましたすべての皆様に感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。 先日、この質問を作りながら気分転換にとテレビをつけましたら、
衆議院予算委員会の質疑が行われておりました。その余りにひどい対応・答弁に怒りを覚えましたが、国の来年度当初予算に関して政権与党が迷走を続ける中、どういう方向性を見出せるかは極めて不透明な状況にあります。目玉であった子ども手当の財源に関しても、来年度も地方負担を残す形となっており、2012年以降に関しては、できるだけ早い段階で
地方負担解消へと期待感を持たせようとはしてはいますが、根拠なき答弁で乗り切ろうとしているのが見え見えで、
マニフェスト実現も今後の財源不足が確定的な中、国民の、そして地方に暮らす我々の不安は日に日に高まっております。 国の来年度予算を見ても、地方の取り組みとの矛盾や納得しかねる部分が見られます。一例を挙げれば、来年度予算において県では一定の成果が見られたとして少人数学習をさらに進め、今までの小学1・2年、中学1年を対象としていた30人程度学級に小学3年も加え、先進的な取り組みをさらに進める姿勢を示しております。その内容に関しては今後の予算審議で是非が問われますが、一方、国では先日、小学1年について、これまでの40人学級から35人学級にする法案を閣議決定しております。これに伴い、秋田県のように先進的な取り組みをしていない他の県では新たに予算配分がなされることになり、既に取り組みを進めている本県にはそういった恩恵はありません。また、国の新たな取り組みという扱いとなるため、文部科学省内の限られた財源の中で振り分けられることになることから、
一般教育関連補助金等の予算がそちらに回されることとなり、本県の一般的な教員に対する補助金も減額されることになります。つまり、後進他県に比して相対的にも、予算の絶対額でも、何もメリットがありません。先進的な取り組みを県独自で行っていた恩恵どころかデメリットしかなく、せっかくチャレンジをして結果を出しても基本的に報われないシステムとなってしまっております。これでは厳しい現状を打破しようともがく地方が報われません。国に対して地方の先進的・意欲的な取り組みを後押しするよう積極的に訴えるべきと考えますが、まず初めに、そういった国の予算編成に対する県の姿勢について知事の所見を伺います。 次に、秋田県
イメージアップ戦略に係る大使等の活用について伺います。 県では、昨年12月の議会において、佐々木希さん、加藤夏希さんをあきた美の国大使に任命しました。ノルディック複合の高橋大斗選手、
ヤクルトスワローズ石川雅規選手といった
スポーツ大使や、
ベジフル大使の王理恵さん、食彩あきた応援大使の藤あや子さん等を活用し秋田県のPRを図るとしており、
スポーツ大使等は既に比内地鶏の新メニューの開発PRや冬季国体のPR等、幅広い部分での活用が図られております。県では今後も国内外に積極的に活動を広めていくという方向性を示しておりますが、どのように首都圏を中心に活動している皆さんの協力を得て広く県民のために働いてもらうか、明確な考え方を持って臨まなければならないと考えます。大使の種類もふえてきておりますが、今後どういった役割分担で取り組むのかお考えを伺います。 次に、大使を活用したPRの拡充についてであります。 今述べたように、著名人を活用した大使は現在6名でありますが、まだまだ本県出身・ゆかりの各分野で活躍中の方々がいらっしゃいます。ふるさとを愛する思いを持って本県を応援してくれる皆さんの輪は、これからも積極的に広げ、本県のPRを進めていくべきと考えます。 先日、
スポーツ大使の石川選手が秋田入りした際、母校訪問に同行させていただきました。石川選手との交流を通して希望にあふれる子供たちの瞳を見て、一線で活躍するアスリートが与える希望は非常に大きいものがあると改めて感じた次第です。 輪を広めるべきはスポーツ界に限った話ではありませんが、例えばスポーツ界では、大相撲の世界で小兵ながらもクリーンに一生懸命に励んでいる豪風関がおります。入幕以来、常に場所が終われば本県入りし、施設訪問や病院訪問等の活動を繰り返し、相撲ファンのみならず、本県に暮らす皆さんに広く元気を与えております。残念ながら現在、相撲の世界は不祥事に揺れておりますが、本人は全く関係なく、懸命に相撲道に、地域貢献にと精進し続けております。同い年の友人として豪風関の潔白を確信しておりますが、これからも秋田の希望として頑張ってほしい、県民に希望と夢を与えてほしいという思いを込め、私は今、豪風関を
スポーツ大使に推薦したいと思います。今まで個人で続けている活動の輪を県と協力して広げていくことも可能です。こういった本県を愛し、それぞれの分野で頑張る皆さんのさらなる活用が、これからの本県のPRにはまだまだ必要だと考えますが、今後の積極的な拡充等についてお考えを伺います。 次に、秋田港の利活用について伺います。 まず初めに、
日本海側拠点港についてです。
シーアンドレール構想に代表される対岸との貿易への期待や環日本海の拠点港の必要性などから、日本海側の港に対する関心も期待も高まっている中、これからの秋田港の活用のあり方が秋田県の今後に直結すると言っても過言ではない状況になっており、県民の期待もますます高まっております。 今までも一般質問等を通して伺ってきましたが、秋田港と港湾に係る行政対応の可能性は非常に大きいと感じるのは、県民共通の認識ではないかと思います。
日本海側拠点港の選定に関して国の明確な指針がいまだ示されていないのが現状でありますが、民間の皆さんもさまざまなビジョンを示した上で要望等を出しております。 現在進めようとしている
秋田港国際コンテナターミナルの整備とあわせ、最近の状況と県の姿勢についてお聞かせください。 次に、秋田湾産業新拠点、いわゆる
大王製紙予定地跡地等の利活用について伺います。 前知事時代には、知事・副知事ともに細かく切り売りはしないという一定の認識のもとで企業誘致等に奔走されております。今回予算計上されている大規模製材所の話も一時期ありましたが、残念ながら、結局、現在も更地のままで残っております。大王製紙が進出断念を表明してから約十年が経過し、近年では菜の花栽培の実験に利用され、イベント等でにぎわっていた時期もありましたが、現在はまた元の状態に戻っております。 また、その土地に加え、秋田港の後背地においても道路整備に伴い広大な工業用地が確保されており、それを含めると県内有数の工業用地となっております。 最近では、港湾とその周辺地域の活用に関してさまざまな可能性が指摘・提案されておりますが、今後これらの土地をどのように活用していくかは、物流の拠点を目指す港湾の整備とあわせ、非常に大きなキーポイントになると考えます。秋田湾産業新拠点とその周辺地域の今後の利活用に関して、どのような方向性を持って臨まれるのか。そして、今後の秋田港との相乗的な発展に向け、県としてどのようなお考えをお持ちか。先日の代表質問の答弁において「新エネルギーを新たな県の
リーディング産業に」といった知事の答弁もありましたが、そういった産業展開の可能性も含め、今こそ今後に向けた具体的な展望を示すべきと思います。県の考えを伺います。 次に、秋田港の利活用にあわせた
港湾アクセスについて伺います。 今まで述べたように今後の秋田港への取り組みが大きな可能性を秘めている中で、
高速道アクセスへの利便性の向上の必要性は今後ますます高まるものと思います。 知事は市長時代からよく御存じだと思いますが、平成9年に都市計画決定がなされた
大浜上新城線という路線があります。この路線に関しては、今年度も昨年の11月に
秋田商工会議所が秋田市へ早期の開通を求める要望も提出しております。秋田市との協議連携が必要な事案でありますが、現秋田市長も就任当時、さまざまな場面で県と協力して整備を進めたい旨、話しておられます。
港湾アクセスとしての
大浜上新城線の可能性についてお答えください。 次に、職員人事の
ローテーションについて伺います。 県では今回の
教育庁人件費計上ミスの再発防止に向けた対策として、これからの職員の一層の意識向上や啓発等を挙げております。起こってしまったことに関しては、時計の針を戻すことはできません。今までたくさんの指摘があったとおりですので、あえてここでこれ以上責めるものでもありません。何重にもなるチェックをスルーした今回の事案に関して、チェック機能の一翼を担う我々議会も含め一丸となって、原因の検証の上に二度とこういったミスを起こさないよう取り組んでいく必要があります。 この一件が起こる前ですが、県は今までの人事のあり方を変える方針を示し、現在は3年から4年へと人事の異動期間に変更がなされております。先日の質問への答弁にもありましたが、今後はさまざまな啓発活動等とともに、こういった長期スパンの体制のもとで再発防止に向けた取り組みをしていくことになるかと思います。 ただ、ここで考えなければならないのは、行政運営の中でいかにして今までのような
ローテーションが組まれることになったかということです。配置が長ければ単純に仕事を覚える時間もふえ、業務内容には明るくなるというメリットがありますが、長く同じ席にいることにより、慣れ合いや業者との癒着など不祥事が発生した例も過去には残念ながらあります。今、再発防止のためにという思いを強く持つのは大事ですが、同時に、任期が長くなることによって引き起こされる可能性のあるデメリットの部分についても未然に対策を考える必要があると考えます。メリット、デメリットをどうとらえるのか。また、今後不祥事を防ぐためにどのような取り組みをなさるか、あわせて伺います。 次に、子育て支援に関して伺います。 来年度予算でも重点施策として雇用対策や
子育て環境づくり、総額で104億円超の予算を計上しておりますが、少子化対策や子育て支援、そして根本的な問題となる、安心して産み育てることのできる環境をつくり上げていくことは、人口減少著しい秋田県においては特に喫緊の課題であります。まず、個別の質問に入る前に、子育て支援に係る根本的な姿勢に関して伺います。 現在の国の子育てにかける基本的な姿勢は、鳩山前首相が提唱した「社会全体で子供を育てる」というところにあります。「社会全体で」という文言は以前から本県における子育て支援のあり方にもうたわれておりますが、地方議員の一人としても、子育て中の親の一人としても、現在の国の考え方には根本的な誤りがあるような気がしてなりません。 そもそも子供はだれが育てるものでしょうか。私は、子供を育てる一番の基本は社会ではなく、あくまで親、そして家族にあると考えます。親を初め家族が責任を持って育てるという自助、そしてそれを近隣の皆さんや地域が協力して支え合う共助、そして頑張るそれらを公助たる行政が支援するというのが本来あるべき姿ではないでしょうか。つまり子供は社会全体で育てるのではなく、子育てを一生懸命頑張る家族や地域を社会全体が支える、助け合うという環境が必要であると考えます。具体的には、社会全体が子育てをするという考え方に立つのが
子ども手当等に代表される無差別手当政策であり、子育てを応援するという考え方に立つのが、待機児童解消などの子育てに係る環境整備を進める政策であります。社会が子供を育てるのではなく、子育てを社会が支えるという姿勢が
子育て支援施策等の根幹にあるべきと考えますが、県のこれらの施策全体に対する基本的姿勢について伺います。 次に、県の来年度の個別の施策に関して、時間も限られていますので、今回は特に子育てを支える環境の整備に関して伺います。 県では、
子育て教育税構想時の議論以降、私も所属した
子育て教育調査特別委員会の提言なども受け、子育てしやすい環境の整備を目的とした各種施策を展開してきております。新規・継続含め、環境づくりには総額で93億超の予算が計上されておりますが、それらを効率的に展開し、複合的な効果を生み出すことが肝要であり、今後もさらなる環境の整備が求められております。 初めに、
子育て家庭優待事業について伺います。 以前から申し上げておりますが、私はこういった取り組みの進展が社会全体の環境整備に向け、実益もあり、
メッセージ性も持っていると考えております。現在の事業では、使う側を意識したものになっていないと過去にも取り上げ、県でも改善について言及しておりますが、この事業に関して、改善された部分、そして、これから改善される部分、今後の利用促進に向けた取り組みに関して伺います。 次に、新規事業に関して伺います。 県では地域の
子育て力向上事業として、今述べた
子育て優待カード事業等の既存事業に加え、公共施設やスーパー等におむつの交換所や
ベビー休憩室、ベビーカーの設置や遊び場の提供等をする「こどものえき設置事業」、乳幼児を伴っての外出サポートや子供だけの送迎等を担う「
子育てタクシー導入支援事業」等を新規で挙げております。 初めに、「こどものえき設置事業」に関して伺います。 この施策により、どの程度の施設数を目指していくのでしょう。こういった事業を進めるには、現在の数を把握した上で効率的な配置をしていく必要があると考えますが、そもそも現在こういった役割を担っている施設数はどの程度あるのでしょうか。そういった恩恵に授かりやすい、いわゆる県が今回の予算で言う「こどものえき」が比較的密集している地域に新たにふえるのも悪いことではないと思います。が、優先順位を考え、空白となっている部分に関して、まず積極的に配置されるべきではないかと考えますが、いかがですか。この施策を通して、どの程度の施設数を想定し、また、今後どのようにしてその配置をバランスさせていこうとしておられるのか、県の方針を伺います。 また、
子育てタクシーに関しては、自動車保有率の高い本県においてそもそも需要があるのか疑問を抱きます。この
子育てタクシーは香川県が発祥で、全国に広がりつつあるとのことですが、他県の実施例を見ても不明な点が幾つかあります。今後、個別の議論に入る前に、本県におけるそもそもの施策の意義の説明も含め、お考えを伺います。 また、こういった個々の施策展開により、子育てをしやすく、社会が支えるシステムをつくっていくことは重要だと思いますが、環境の整備を進め、全体が利用者・子育て世帯にとって使いやすいシステムとして機能しなければ、十分な施策効果は得られません。こういった取り組みが拡大しつつある今、私はこれらの取り組みを包括的に機能させるために、例えば「
子育て応援マップ」のようなものをつくっていく必要があるのではと考えております。さきに述べたような「こどものえき」機能を持った既存の施設や
子育てカード協賛店の把握などをしながら、県全域をカバーし、情報を広く示すマップを製作し、取り組みを発展させていくべきではないでしょうか。それにより、買い物などの日常生活をする上での利便の向上のみならず、県内各地域の
子育て応援店舗等の現状をそれぞれの地域で知ることができる上、子育てを応援するお店や「こどものえき」の空白地域を把握し対策を立てることもでき、社会全体の子育て機運を高めていく上での取り組みの指標にもなり得るのではと考えます。こういった視点に立った積極的な施策展開が必要と考え提案をさせていただきますが、県の考えを伺います。 次に、虐待防止の取り組みと多世代同居への支援に関して伺います。 自民党も少子化対策や虐待防止の取り組みの重要性を強く主張しておりますが、先日、党大会にて上京した際、取り組みの一環としての
虐待防止シンポジウムに参加させていただき、我が国における虐待の実状とその対策に向けた取り組みに関して、虐待は精神的・経済的な要因等が複雑に絡み合うものであること、こういった悲しい事案を防ぐには、いわゆる「地域力」とでも言いましょうか、小さなおせっかいが可能性を持っていることなど、改めて認識を深める機会をいただきました。 本県での
虐待報告件数を見ると、他県と比較すれば件数自体は少ない状況にありますが、少なければいいという問題ではなく、本来起こってはいけないものであり、虐待が少ないと言われる本県でもゼロに近づけていくことを目指した取り組みをしていく必要があると考えます。 今般、県の来年度当初予算において、国の交付金で創設した基金を活用した事業が計上されておりますが、県として今後どのような取り組みをなさるのか伺います。 また、虐待の防止に向け、前述のように虐待はさまざまな要因が絡み合ったものですが、それを防ぐには家族・地域が一体となった支え合い、特に基本となる家族のあり方が重要と考えます。近年は秋田でも核家族が増加し、地域間だけでなく家族の世帯間の関係も希薄になりつつありますが、家族あり方をもう一度見つめ直し、広く世代間の関係を構築し直す必要があるのではと考えております。 そこで、多世代で支え合う生活を選択肢として示す意味でも、虐待を未然に防ぐという意味でも、強制できるものではありませんが、多世代での同居を選択肢の一つとしてとらえていただけるような方向づけもできるのではないでしょうか。もちろん個々の事情もありますので、行政が無理矢理そちらに向けるようなことはできません。ただ、家族のあり方を考えるきっかけとしても意味を持つと思います。例えば、現在、県では経済対策として
住宅リフォーム支援事業を緊急的に行っており、来年度も継続するという基本的姿勢を示しておりますが、現行の制度に上乗せして、多世代での同居を目的としたリフォームについてさらなる補助をするといった方向づけも可能であると考えます。こういった事例がほかの自治体にあるか確認したところ、東京都北区では「三世代世帯員が日常生活を長きにわたり、安定してともに営むことができるように」と、そういった理由から三世代住宅の建設に対し一律50万円を助成しております。賛否はあるかと思いますが、少子化対策や子育て支援に関しては待ったなしの状況であり、全国的に進んでいる行政の出会い支援などと同様に、タブー視せずに積極的にこういった議論をしなければならない時代になりつつあります。あくまで選択肢を提示するという考え方に立って議論・検討すべきではないかと考えますが、県のお考えを伺います。 最後に、農業について伺います。 政府がTPPへの前向きな意向を示して以来、この是非が大きく取り扱われております。議論は議論として大いにすべきでありましょう。この問題に関しては、農業だけではなく金融・サービスなどのあらゆる分野での影響について考えなければいけませんが、基幹産業の一つとして農業が挙げられる本県では、特に慎重な議論と明確な意思表示が必要だと感じております。本県の今後のみならず、日本の農政全体の行く末を左右する大きな議論が必要なものでありますが、私はその議論の前提として、「食料自給率向上との矛盾の解消」、「日本の農政の今後の明確な方向性」、そして「今後も農家が農家として存在していくための支援」が必須であり、特に韓国におけるアメリカとの二国間貿易協定に係る大幅な農業支援のように、合意・予算措置等の明確な前提を築くことができなければならないと考えます。「平成の開国だ」と耳障りのいいスローガンを掲げ、さも参加しなければ時代に乗り遅れるかのような発言を繰り返すのではなく、実態を把握し、冷静に議論を進めるべきと現状を危惧しております。そういった状況を注視しつつも、県として取り組むべき課題、現状において米に特化した形となっている本県農業の今後の方向性を決めていくのは重要なことでありますが、特に今回の補正で目標額が達成されることとなる農業基金の今後の運用に関しては、農家の関心も高く、注目されております。この基金では、本県農業の構造改革を大きな目的とし、平成25年までの3年間で集中的に取り組むとしており、もみがら暗渠補助などを初めとした施策が示され、今まで複合化等に取り組みたくても一歩を踏み出せなかった農家に可能性を示すものだと評価をいたします。ただ、まだまだ農家の間では衰退していく現状に対する支援を求める声も多く、県の意図がすべての農家ときちんと共有されているかは疑問な点を抱きます。この基金運用を図る三年間を本県農業の未来をかけた最重要の期間と位置づけ、県内農家との意識共有を徹底していく必要があると思いますが、その点に関する県の今後の取り組みにかける思いを伺います。 そして今後は、啓発と意識共有の徹底という観点から、施策の
メッセージ性をもっと強める必要があるのではないでしょうか。既存事業として農業夢プランがあり、今までも複合化等への支援として活用されてきましたが、先進事例に対する別枠の夢プラン的制度の創設や新たな取り組みへの既存の夢プランの規模拡大など、強い
メッセージ性を持った施策展開が必要と考えます。県のお考えを伺います。 次に、新規就農への支援対策についてであります。 担い手不足と言われ久しいですが、農業の後継者確保同様、希望と勇気を持って新たに農業に挑戦する皆さんを応援するのも行政の役割であります。現状がどうなっているのかといえば、県全体で新たに農業に参画する人は、ある程度の成果を上げているものの、農外から参入してみずからの経営を開始しようとする新規就農者は厳しい状況にあります。伸びない問題点はどこにあると考えておられるのか。今後の議論に向け、今の県の現状認識と今後の取り組みに関して伺います。 以上で私の質問は終わります。 最後に、27歳という若さで県政に参画して4年、この若輩に御指導いただきました先輩同僚議員に心から感謝を申し上げます。今回勇退を決断された3名の皆様に敬意を表しながら、再度挑戦を決意された議員各位とともに、またこの議場で県政発展に向けた侃々諤々の議論をできますようお互いの健闘を祈り合って、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(
冨樫博之議員) 県当局の答弁を求めます。 [知事(佐竹敬久君)登壇]
◎知事(佐竹敬久君) おはようございます。 中泉議員の御質問にお答え申し上げます。 国の予算編成に対する県の姿勢についてでありますが、国の来年度の政府予算案は、一般会計総額が過去最大となり、国債発行額も2年続けて税収を上回っております。 国の財政は、将来の国民への負担増が見込まれる構造的な問題を抱えたものとなっており、極めて憂慮すべき深刻な状況であります。 また、社会保障などの財源問題が先送りされ、埋蔵金等の税外収入に頼る予算案となっていることから、将来に向かって持続可能な財政運営システムの確立が急務となっております。これは、政策を遂行するために必要な財源について、確たる見通しを持たないままに掲げられた民主党のマニフェストそのものに原因があると考えております。 このため、子ども手当を増額する一方で、医師不足対策などの地域医療確保対策予算を減額したほか、農業の戸別所得補償制度は拡充したものの、農業農村整備事業予算は大幅に削減された本年度とほぼ同額にとどまるなど、本県として最も充実を臨む政策予算にしわ寄せが来ている状況にあります。 また、教育については、今般、国において小学校1年生の35人以下学級への新たな取り組みを始めることとしております。しかしながら、国全体の教員に関する予算額はほとんどふえないことから、これまで本県へ配分されていたティーム・ティーチング等のための予算の削減が見込まれるところであり、こうしたつじつま合わせの国の予算編成が、先進的な取り組みを行ってきた本県にとってデメリットをもたらすことが懸念されます。 さらに公共事業についても、国の全体額は本年度の大幅減に引き続き来年度も削減されており、社会資本整備が不十分な地方への配慮や地域経済の振興、将来の成長に向けた投資といった視点からは極めて不十分なものとなっております。 我が国が持続的に発展していくためには地域の活性化・発展が不可欠であり、各地域が創意と工夫により、自立した地域づくりを行うことが重要であります。国としても、こうした地方の先進的・意欲的な取り組みを積極的に支援すべきであると考えております。 このような中で、平成22年度限りの暫定措置であった子ども手当の地方負担について、国が全額を負担すべきであると主張してきたのにもかかわらず再び継続されるなど、さまざまな面で国と地方との意思疎通が欠けている状況にあります。 こうした状況を生み出す要因としては、政策や制度の立案等に当たって地方の声を反映させるための「国と地方の協議の場」の設置を含む地域主権関連三法案が、政府与党の掛け声とは裏腹にいまだに成立していないことによるものと考えております。地方分権を推進するためにも、一刻も早く成立させることが今、強く求められております。 今後とも、国予算の矛盾点の指摘も含め、本県としての考えを全国知事会等を通じて国に強く主張してまいります。 次に、秋田県
イメージアップ戦略及び大使についてであります。 現在、県では4部門に6人の大使を委嘱しております。 「あきた美の国大使」は加藤夏希さんと佐々木希さんに委嘱し、秋田の総合的な認知度向上とイメージアップを図るための活動を行っていただいております。 「食彩あきた応援大使」は藤あや子さんに委嘱し、本県の食や物産に関するPR活動をしていただいております。 「秋田県
スポーツ大使」は高橋大斗選手と石川雅規投手に委嘱し、「スポーツ立県あきた」のシンボルとなるアスリートとして、県民に夢と勇気、活力を与えていただいております。 「あきた
ベジフル大使」は王理恵さんに委嘱し、本県産青果物のPRを行っていただいております。 大使の委嘱は、基本的には県外に向けて秋田をPRし、秋田のイメージアップにつなげていただくことが大きな目的であります。 各大使の皆様には、ふるさとに貢献したいというボランティア的な気持ちで、日常の活動の中において、例えば出演番組や雑誌のインタビュー、プロフィール紹介などで「秋田」をPRしていただくほか、日程の都合がつく範囲内で首都圏でのイベントやキャンペーン等への出席をお願いしております。 本県の大使は、それぞれの分野で全国的にも著名なトップクラスの方にお願いしており、今後とも多様な視点から大使の委嘱を検討してまいります。 なお、豪風関や石川雅規投手の秋田での活動については私も承知しており、秋田に寄せる熱い思いが伝わるとともに、触れ合いを通じて、県民が大きな夢と元気をちょうだいしていることに感謝をいたしております。 一方、東北各県の状況を見ると、100名を超える大使を委嘱している県もあるなど、その考え方や位置づけはさまざまであります。本県においても、ふるさと秋田に貢献したい方が多数いることも事実であります。 このため県では、首都圏等において御活躍されている県出身者やゆかりの方々から、御意見や情報をいただくための「秋田産業サポータークラブ」や「秋田の応援団」という制度を設け、合わせて359名の皆さまに御協力いただいております。 また、報道・文化・芸術関係者などによる「秋田文化会議」や「首都圏秋田懇話会」、クリエーターによる「ZERODATE(ゼロダテ)」、若者たちによる「We Love AKITA(ウィ・ラブ・アキタ)」や「A-LINE(ア・ライン)」など、首都圏の方々も秋田を盛り上げるために活発に活動していただいております。 秋田を愛する皆さんのこのような活動の輪をさらに広げていくとともに、今後はそれぞれの役割にあわせ効果的な連携を図り、秋田のイメージアップを推進してまいります。 次に、秋田港の利活用についてであります。
日本海側拠点港についてでありますが、環日本海交流の促進による地域経済の活性化を実現するためには、行政が秋田港の可能性を生かした広範なポートセールスと計画的な港湾インフラ整備を一体的かつ集中的に実施することが、特に重要であると認識しております。 こうした中、「
日本海側拠点港」の選定に向け、先行的な取り組みである
シーアンドレール構想等を盛り込んだ「港湾戦略ビジョン」を
秋田商工会議所などと協働で策定するとともに、昨年6月から官民一体となって国への要望活動を展開しております。 国では、昨年11月に設置した「
日本海側拠点港の形成に関する検討委員会」において拠点港のあるべき姿などの議論を進めておりますが、具体的な選定基準については検討中であり、いまだに明らかにされていない状況にあります。 県といたしましては、秋田港の選定を目指しビジョンに基づく取り組みを集中的に進めるほか、外港地区の国際コンテナターミナルについて、平成24年3月の供用開始に向け、コンテナヤードやガントリークレーン、青果物等の殺虫・殺菌を行う「薫蒸施設」などの整備を計画的に進めてまいります。 次に、秋田湾産業新拠点等の利活用についてであります。 秋田湾産業新拠点は秋田港に隣接する広大な産業用地であり、これまでも分譲価格を半額に減額し、輸出型関連産業や貿易流通産業などの企業誘致を目指して訪問活動を行ってきており、経済専門誌やインターネットなどを活用して国内外に広くPRし、分譲に努めております。 将来的にも、経済発展の著しい極東ロシアや中国東北部など環日本海地域との経済交流の進展が期待できることから、生産拠点や物流拠点として一定規模の用地を要する、幅広い業種の港湾機能活用型企業や施設の誘致・導入を目指してまいります。 また、下新城地区の工業用地は、既存の秋田港産業団地の完売が見込まれたことから、秋田港後背地の中小規模工業用地の供給不足を解消するために計画したものであり、この整備については需要動向を見据えながら検討してまいりたいと考えております。 なお、新たな成長分野として重点的に誘致活動を行っている新エネルギー関連産業についても、港湾機能を活用できるという当該地域の特徴を売り込みながら積極的に誘致に取り組んでまいります。 次に、
大浜上新城線についてでありますが、
大浜上新城線は秋田港と秋田北インターチェンジを結ぶ、秋田都市圏における外周環状道路を形成する幹線道路であり、秋田港の物流機能を高めることを目的の一つとして平成九年度に都市計画決定されております。 これまで、秋田港へのアクセスを含む市街地の幹線道路整備計画として、東西の軸となる秋田中央道路と南北の軸となる横山金足線を整備しており、今後は、これらの路線整備による効果を検証しながら、幹線道路網全体の整備方針を検討することとしております。 御質問の
大浜上新城線の整備につきましては、秋田港における自動車取り扱い貨物量の推移を見ながら物流ルートのあり方を確立することが重要であり、秋田市との連携を図りながら整備の必要性を検討してまいります。 次に、職員人事の
ローテーションについてであります。 採用後の若年時は幅広く多様な業務の経験を積ませるため、おおむね10年で3つの分野の業務に従事させ、その後は、ある程度業務を絞り込み、特定業務での中核職員となるように
ローテーションを行っているところであります。 今年度から人事異動サイクルの標準を3年から4年に延長いたしておりますが、これは複雑化・専門化する業務に迅速・的確に対応するための措置であり、これにより専門的な能力を持った職員を育成し、行政の質の向上を目指すものであります。 一方、異動サイクルの延長によりマンネリ化やモチベーションの低下が懸念されますが、異動に際しては職員の希望や適性に十分配慮するなど、本人が意欲を持って職務に当たり、能力をフルに発揮できるように努めてまいります。 また、契約に関する業務などに従事する職員の異動サイクルについては、これまでどおり3年程度とし、なれ合いや業者との癒着などの不祥事が起こらないようにしてまいります。 業務改善については、定員適正化計画に基づき業務の効率化に重点を置いて取り組んでまいりましたが、今回の事案を教訓として、内容の正確性という業務の基本に立ち返った上で、意識向上にもつながる職員みずからの創意工夫に基づく業務改善運動を全庁一丸となって展開してまいります。 次に、子育て支援についてであります。 施策に対する基本姿勢についてでありますが、子供は、ふるさと秋田の将来を担う宝であり、未来への希望であります。安心して子供を生み、喜びを感じながら子育てができる社会の中で、子供たちが健やかに成長していくことは、どのような時代にあっても大切なことであります。 議員御指摘のとおり、本来、子供は親や家族のきずなの中で育つことが望ましい姿と認識しておりますが、核家族化や地域のつながりの希薄化、また、厳しい経済情勢の中で子育て家庭は悩みや不安を抱え、地域の支援に対するニーズが高いことなどから、社会全体で子育てを支える仕組みづくりが重要であるとの考えのもと、環境整備や経済支援等の施策を展開しております。 次に、子育てを支える環境整備についてでありますが、「
子育て家庭優待事業」については現在1千230店舗から協賛をいただいておりますが、今年度は事業の定着と浸透を図るため、地域の商店街等が実施している優待カードの啓発イベントへの助成、協賛店ガイドブックの更新などに取り組んでおります。 来年度は、カードの利用促進を図るため、耐久性の高い材質への変更や利用者に対するプレゼント企画を実施してまいります。 「こどものえき」については、現在、県や市町村の公共施設約百カ所に、おむつ交換所や授乳できる場所などが設置されております。今後その機能を拡充するとともに、新たに公共施設・民間施設合わせて123カ所の設置を予定しており、子育て家庭のニーズが多い施設を優先し、空白地域の解消にも十分配慮してまいります。 「
子育てタクシー」は、妊婦の通院や出産時の送迎、子供だけの乗車による放課後児童クラブや習い事への送迎などのニーズに対応するため、研修を受けたドライバーが責任を持って送り届けるサービスとして導入するものであります。 同様の事業を昨年10月に導入した山形県では、利用件数が当初の月49件から2カ月後には2倍以上になったほか、親が同乗しなくても安心して任せられるなどサービス内容を評価する声が多く、本県においても効果が期待されることから、全県で25事業者を目標に取り組んでまいります。 子育てマップは、既に一部の市町村において独自に作成されておりますが、幼稚園・保育所などの施設情報に加えて
子育て家庭優待事業協賛店、「こどものえき」などの情報も取り入れたものがより効果的であると考えられますので、県といたしましてはこうした情報の提供に努めてまいります。 また、市町村と連携して子育て家族が地域外に旅行する際に活用できるように、全県的な状況がわかるホームページの作成なども今後検討してまいります。 次に、虐待防止の取り組みと多世代同居への支援についてであります。 児童虐待は、子供の成長・発達に悪影響を及ぼすだけではなく、時には子供の命にかかわる深刻な問題であり、早期に発見し、社会全体で支援の手を差し伸べる必要があります。 こうした中、県では市町村との連携を深めネットワークを強化するとともに、虐待防止啓発のためのオレンジリボン・キャンペーンや二十四時間・365日相談電話の設置、複雑化する事例に対応するための職員研修などを実施しております。 来年度はこうした事業を引き続き実施するとともに、「虐待防止のための親支援プログラム普及事業」を拡大するほか、児童相談所の職員を増員するなど体制の強化を図り、虐待の発生予防から事後ケアまで切れ目のない総合的な対策を推進し、児童虐待事案がゼロとなるように努めてまいります。 また、多世代同居向け住宅づくりにつきましては、新築住宅の場合は「住まいづくり応援事業」が、既存住宅の増改築等の場合は「住宅リフォーム緊急支援事業」がそれぞれ利用できますが、これらは一定期間の緊急経済対策事業であります。 御提案の多世代同居を推進する住宅施策は今後推進すべき施策の一つととらえており、経済対策事業とは切り離して検討してまいります。 なお、子育て支援について、さまざまな支援メニューの組み合わせの中でそれぞれの状況に合ったものを適宜選択するという方式は大変参考となる意見であり、今後の研究課題とさせていただきます。 次に、農業についてであります。 今後の施策の展開についてでありますが、私は昨年来、多くの生産現場を訪問し、生産者の方々と意見交換を重ねてまいりましたが、野菜や果樹などの生産現場では比較的、意欲的で明るい表情をしている方々にお会いする場面が多く、野菜や果樹のブランド化、施設園芸の推進など幅広い複合化が本県農業に欠かせないとの思いを抱いたところであります。 このため、今般の「農林漁業振興臨時対策基金」では水稲の生産・販売を確保しつつ、競争力を持った担い手の確保・育成や食農観ビジネスの創出、野菜・果樹・畜産など収益性の高い農業の実現といった、本県農業の構造改革を加速するための前向きな施策に重点的に取り組むこととしております。 この基金を積極的に活用していただくためには、ねらいや目指す姿を御理解いただくことが重要であることから、「農林漁業競争力強化・跳躍プラン」として基金事業を体系的にわかりやすく取りまとめたところであり、今後、集落座談会などを通じ、市町村や関係団体と連携しながら広く農家の方々に御説明し、意識の共有を図ってまいります。 さらに来年度からは、各地域振興局に基金事業を統括する専任の職員を配置するなど推進体制を強化し、生産現場への周知を徹底するとともに、円滑な実施を図ってまいります。 次に、施策の
メッセージ性についてでありますが、夢プラン事業については米を除く施設整備に特化することとし、支援枠を今年度の4億円から4.8億円に拡充したほか、別枠で食農観連携などの新ビジネスへの取り組みに要する施設整備や新設農業法人による複合経営の拡大に要するハード整備などへの支援を基金事業に組み込んでおります。 そのほか、来年度予算事業では、えだまめ日本一を初めとするネギやアスパラガスなど野菜部門のナショナルブランド化、リンドウやダリアなど花き部門におけるトップブランド産地の育成、さらには秋田牛の全国チャンピオン獲得に向けた取り組みなど、全国トップレベルという、あえて高い目標を設定した事業に取り組むこととしております。 これは産地間競争を勝ち抜く、強い秋田県農業の実現を目指そうとするメッセージの一つと考えております。 基金事業は4月からスタートいたしますが、生産現場の皆様の励みとなるよう、強いメッセージを届けることができるよう、今後とも各方面からの御意見を伺いながら、可能なものは前向きに取り込んでまいりたいと考えております。 次に、新規就農への支援体制についてであります。 本県における新規就農者数は、これまで100人前後で推移してきておりましたが、雇用就農の拡大により平成21年度は134人となり、全体としては増加傾向にあります。しかしながら、このうち新たに農外から参入し、みずからが農業経営を開始した方は10人に満たないのが実状であります。 農外からの参入者が農業経営を開始するに当たっては、栽培技術の習得や販路先の確保に加え、農地や機械施設の確保、営農資金の調達、さらには住居の確保など生産・生活基盤をセットで準備する必要があります。 栽培技術の習得などについては各種研修制度を用意しておりますが、農地等の確保は本人の努力だけで解決することは難しく、地域の理解・協力とともに、行政など関係機関からの支援がなければ実現が困難なものと考えております。 このため、県では関係機関・団体を構成員とする「就農定着支援チーム」を設置し、就農前から定着までの各段階において、営農のみならず生活面も含めたきめ細かなサポートを行うとともに、今般創設した基金を活用し、機械・施設等の導入や営農開始時の立ち上げ経費に対する助成などの支援措置を講じることとしております。 また、県の関与が難しい部分については関係機関や団体が連携し、住居については市町村が、農地については農業委員会が情報提供やあっせんを行うなど、それぞれの役割を担っていただきながら、総力を上げて新規就農者を支援してまいります。 以上であります。
○議長(
冨樫博之議員) 14番中泉議員の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。
△午前10時51分休憩
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△午前11時5分再開 出席議員 42名 1番 鈴木孝雄 2番 石川錬治郎 3番 田口 聡 4番 山内梅良 5番 佐藤雄孝 6番 北林丈正 7番 下間俊悦 9番 東海林 洋 10番 瀬田川栄一 11番 三浦英一 12番 こだま祥子 13番 竹下博英 14番 中泉松司 15番 原 幸子 16番 工藤嘉範 17番 近藤健一郎 18番 加藤鉱一 19番 淡路定明 20番 石川ひとみ 21番 中田 潤 22番 樽川 隆 23番 佐藤賢一郎 24番 小松隆明 25番 平山晴彦 27番 渋谷正敏 28番 大関 衛 29番 石田 寛 30番 安藤 豊 31番 土谷勝悦 32番 川口 一 33番 小田美恵子 34番 武田英文 35番 金谷信栄 36番 鶴田有司 38番 佐々木長秀 39番 小田嶋伝一 40番
大野忠右エ門 41番 能登祐一 42番 大里祐一 43番 佐藤健一郎 44番 鈴木洋一 45番
北林康司--------------------------------------- 地方自治法第121条による出席者 休憩前に同じ
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○副議長(小田美恵子議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。3番田口聡議員の一般質問を許可することに御異議ございませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○副議長(小田美恵子議員) 御異議ないものと認めます。3番田口議員の発言を許します。 [3番(田口聡議員)登壇](拍手)
◆3番(田口聡議員) 公明党の田口でございます。質問通告に従い、順次質問をさせていただきます。 初めは、平成23年度における国の予算と秋田県の予算についてであります。 政府は92兆4千億円余りの平成23年度予算を組み、現在、通常国会で審議中であります。 この予算の歳入を見てみると、税収が41兆円でありますが、それを上回る44兆円も国債を発行し、それでも足りなくて埋蔵金で7兆円を捻出しております。 今年度も92兆3千億円の予算でありますが、過去3年間の予算規模と比べると、平成21年度が88兆5千億円で、平成20年度が83兆円、平成19年度が82兆9千億円でありますから、民主党政権になってからどれだけ予算規模が膨らんでいるのかがわかります。その膨らんだ予算の財源をどこに求めているのかと言えば、44兆円にも上る国債の発行であります。ちなみに、今年度も44兆円の国債発行であります。 過去3年間の国債発行額と比べてみると、平成21年度が33兆円、平成20年度が25兆円、平成19年度も25兆円でありますから、この2年間で平成19年度から平成21年度までの3年間で発行した国債の発行額を上回っており、将来に大きな負担を残す予算と言わざるを得ません。 ここで、民主党のマニフェストと国の予算についても触れておきたいと思います。 政府は、平成23年度も子ども手当に対する地方負担分を求めていますが、当初、地方負担は平成22年度限りではなかったかということ。3歳未満の子ども手当が7千円引き上げられますが、その財源として年少扶養控除が廃止されており、それは所得税だけではなく住民税にも及びます。基礎年金の国庫負担分については恒久財源化できず、埋蔵金で手当をしました。道路特定財源の暫定税率も維持をされておりますし、農家への戸別所得補償についても米以外の品目に拡大はされてはおりますが、制度運営の根拠となる法案を提出すると言いながら予算措置だけで対応しております。 これらのことは、すべて県負担や税収、地域経済、県民所得に密接にかかわってきます。 今定例会に6千億円余りの予算が提案されておりますが、その中の歳入で、国からの交付税や補助金の一括交付金はどのような影響を与えるのでありましょうか。 平成20年度から、国の経済対策の一環として緊急雇用やふるさと雇用の交付金、安心こども基金、介護従事者の処遇改善への交付金など、これまで18の交付金が交付され、県に基金として積まれました。その基金を財源にこれまで多くの事業が実施されてきており、それにより経済・雇用への一定の効果はあったものと認識をしております。 加えて、国の地方財政計画において、経済対策として交付税を別枠で平成21年度及び22年度で1兆円増額し、それにより、県では基金を活用した事業以外の公共事業や経済対策が実施されてきました。その別枠分が23年度、確保されているかであります。それにより、来年度の事業実施が大きく左右されます。 次に、地方の裁量権を拡大すると言われる「ひもつき補助金」にかわる一括交付金についてであります。 政府は国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にするとの基本方針のもと、現行の補助金・交付金等を改革しようとしております。 ここで、懸念されるのが交付金化にあわせた総額の削減であります。国からの補助金の総額は21兆円と言われており、そのうち社会保障関係や義務教育人件費などの文教があわせて17兆円であり、これらは地方に裁量権がなく、交付金にはなじまないものとなっております。 そこで伺います。2年続けて44兆円の国債を発行している国の23年度予算について、どのような認識を持たれているのか。 民主党のマニフェストでは国費で賄うと言ったにもかかわらず、子ども手当の地方負担分を求めていること、また、恒久的に必要となる基礎年金の国庫負担分を一時的な埋蔵金に頼っていること、さらに、農家の戸別所得補償が法制化されず予算措置されたことについて、どのような認識を持っているのか。 歳入で平成23年度の交付税と臨時財政対策債を合わせると、平成22年度より45億円縮減されておりますが、それが県予算に与える影響について伺います。 平成23年度から都道府県向けに5千億円が一括交付金として交付されますが、その中身はどのようなものなのか、総額は削減されていないのか、地方の裁量権が拡大されている内容なのか、一括交付金の内容と、それに対して県はどのような認識を持っているのか、以上、四点についてお聞かせください。 次に、秋田県の特性を生かした政策について伺います。 秋田県は全国で最も出生率が低く、最も高齢化率の高い少子高齢県であります。また、がん死亡率も全国ワーストワンが続いております。さらに基幹産業の農業は、特に米価の下落による農業所得の減少により元気がありません。余りよい材料がないようでありますが、これらの特性を生かし、秋田県を活性化できないものかと考えます。 例えば、秋田県では自殺率のワーストワンが15年間も続いておりますが、自殺対策は全国で最も進んでおります。秋田方式と言われる行政と大学と民間団体とが連携した自殺対策により、年々自殺者は減少してきており、昨年は368名と、念願だった年間400名を切ることができました。このことを教訓にできないかと考えます。 全国で最も出生率が低く、生まれる子供が少ないのであれば、その大事な子供を全国で一番大事にはぐくむ秋田県を目指します。全国で最も高齢化率が高いのであれば、全国で一番、高齢者が元気に暮らせる秋田県を目指します。がんの死亡率が全国で最も高いのであれば、がんにならないためのがん予防とがん検診を全国で一番充実しますなど、全国に先駆ける政策が必要と考えます。 初めに少子化の問題でありますが、子供を大事に育てるとは、何も財政的に支援することだけではありません。育児をしている、特に若い母親へのさまざまな負担軽減策が必要であります。まずは、日中一人で育児をしている母親へのケアが重要です。国の施策で、地域の保健師等が生後4カ月までの赤ちゃんがいる家庭を全戸訪問し、育児の相談やアドバイスを行っていますが、生後4カ月以降の手当も必要です。生後1年から2年まで、定期的に専門家がアドバイスをする体制の整備も必要と考えます。 また、共働きの家庭では保育園に子供を預けますが、急な発熱や体調不良の場合、親は仕事を中断して迎えに行かなければなりません。そういう場合にも安心して預けられる体制の整備の拡充が必要であります。そして、子育て世代が集い、情報交換や子育て支援のできるスペースの確保も不可欠であり、児童虐待の防止策も充実しなければなりません。 子育ての経済的な負担軽減策については、国も保育料の軽減策を検討しているようではあります。県でもこれまで保育料の助成や福祉医療などを推進してきておりますが、これ以上の制度の拡充は、県の財政的負担が重いことを考えれば、そう簡単には実現できないものと考えます。 そこで、佐竹知事の基本姿勢である「選択と集中」が必要と考えます。今、子育て世代がどのような経済的負担軽減策を求めているのか、もう一度、現在の子育て支援を検証してみる必要はないものでしょうか。 そこで伺います。全国で一番、子供を大事に育てる県を目指すために、育児支援のあり方や保育環境の整備、経済的負担軽減策など、これまでの秋田県の支援策を振り返り検証し、再構築する必要はないものか、県の考え方をお聞かせください。 次に、高齢者が生き生き暮らせる秋田県づくりについてであります。 秋田県は現在39万8千世帯でありますが、そのうち65歳以上の高齢者だけの世帯が9万1千世帯あり、全体の22.8%に上ります。まずは、これらの方々が孤立しない対応が求められます。また最近では、地方だけではなく都市部でも買い物難民の問題が大きくなっております。私は地域によってはその対応に、市民生協などが実施している共同購入を活用できないものかと考えます。共同購入では商品の申し込みをマークシートで行いますが、それを高齢者でも簡単に申し込みができるよう簡素化できないものかと考えます。 孤立した高齢者を作らないためには地域での支援体制の確立が不可欠でありますが、この一翼を担う民生委員の高齢化も大きな問題です。 地域の支え合いには、現役世代や地域の企業だけではなく、リタイア間もない団塊の世代の協力が不可欠と考えます。地域の高齢者の状況について一番身近に掌握できている町内会や集落の単位での見守りや声かけが必要であります。 例えば介護ボランティアなどの活動を評価し、それを対価としてポイントを蓄え、自身が要介護者になったときにボランティア活動で貯めたポイントを使うことができるような、地域でのボランティアポイント制度も必要と考えます。そして、緊急時の対応についてもマニュアル化が必要であり、これらの体制をどう構築するのかが重要な課題です。 また、寝たきりにならないための疾病予防や介護予防の重要さは以前から指摘されていることではありますが、それらの事業が普及し、啓発され、全県域で実施されているかということであります。 また、疾病予防や介護予防の拠点の整備も不可欠であります。現在、疾病予防や介護予防は自治体のコミュニティーセンターや公民館・保健所などで行われておりますが、その会場まで行ける高齢者は限定されます。今後は高齢者が徒歩でも参加できる、きめ細かな単位での実施が必要と考えます。 そこで考えられるのが、町内会館や自治会館であります。私の地元秋田市には1,019の町内会がありますが、その半数以上、530の町内会に町内会館が整備されております。県ではそのような施設が全県で何カ所あるのかは掌握していないようではありますが、疾病予防や介護予防を普及啓発するためには、これらの施設の活用を検討すべきであります。 そこで伺います。買い物難民の解消や地域の支え合いの充実、ボランティアポイント制度、疾病予防や介護予防の拠点整備など、秋田県が全国で一番元気な高齢者が暮らす県を目指すための課題と対策について述べましたが、県はどのような見解を持っているのかお聞かせください。 次に、秋田県のがん対策について伺います。 秋田県では、がん死亡率が13年間ワーストワンを続けており、これも県の重要課題の一つになっております。今議会に議員提案で「がん対策推進条例」が提案されますが、県民挙げて取り組まなければならない課題だとの認識からの提案であります。 私は、がん対策の分野でも、秋田県の自殺対策の取り組みを教訓に、全国で最もがん対策が充実している秋田県を目指すべきと考えます。 これまで県では、がん診療連携拠点病院の整備により、がん治療の高度化を図っておりますが、これら、がん治療の高度化も必要な対策ではありますが、それとあわせて推進しなければならないのは、がんを予防する生活習慣の改善とがんの発症をいち早く発見する、がん検診の充実です。 全国で最もがん死亡率が高い秋田県の現状を克服するためには、全国で一番、がんを予防する生活習慣の改善への取り組みが必要であり、全国で一番、がん検診を充実させる必要があるものと考えます。 がん発症の要因としては、飲酒や喫煙、塩分の取り過ぎなどが挙げられますが、過去に秋田県が脳卒中の死亡率が極端に高い時期がありましたが、それを克服したのが脳血管研究センターの整備と、県民挙げての塩分の取り過ぎを控える生活習慣の改善でした。まずは、秋田県民の生活習慣の改善を重点的に取り組むべきであります。そして、がんを早期に発見できるがん検診の充実と検診受診率の向上であります。 そこで秋田県のがん検診の受診率を見てみると、胃がんが14.7%、大腸がんが23.3%、肺がんが21.9%、子宮頸がんが22.4%、乳がんが21.7%と、いずれも3割を大きく切る受診率となっております。 がん検診の受診率を上げるためには、これまでの住民検診型の対策型検診ではなく、組織型検診の導入が不可欠と考えます。組織型検診とは、対象者を中央登録システムで管理し、事前に定められたガイドラインに従って組織的に管理して行われる検診であります。 大阪府では、がんの早期発見への取り組みとして、平成23年度予算に「がん予防対策重点プロジェクト事業」を計上しております。その事業内容は、がん検診対象者を正しく把握した台帳に基づき、系統的に受診勧奨を実施する組織型検診のこの体制を整備するというもので、そのために組織型検診台帳データシステムを開発し、市町村への導入を図る計画であります。さらに、地域別のがんの発症状況の把握や医療水準の指標となる「がん登録」の制度を高めるために、住民基本台帳ネットワークシステムをがん登録に活用するというものであります。秋田県でも、このような組織型検診の導入が必要と考えます。 さらに、働いている方々が検診を受けやすいよう、土日や祝日でも検診が受けられる体制のさらなる整備も必要です。 ここで、秋田県がこれまで取り組んできたがん予防とがん検診のあり方を振り返り、効果的な取り組みをしてきたのか検証する必要があるものと考えます。その上で、今後のがん予防とがん検診をどのように推進していくのかであります。 そこで伺います。これまでの秋田県におけるがん予防とがん検診受診率の向上策と成果について。組織型検診の導入と、土日・祝日の検診について。県は今後どのような取り組みで、がん死亡率ワーストワンを脱却するのか。 以上3点についてお聞かせください。 次は、農業問題についてであります。 秋田県の農家数は約6万戸でありますが、農業産出額は年々減少してきており、平成21年度では1千760億円と東北で最下位となっております。その秋田県農業を活性化するには、やはり収益の改善が不可欠と考えます。農業で再生産が可能な収益が上がり、農家が安定した収入を得て暮らしていける政策が求められます。 これまでの議会の質問でも農家が置かれている厳しい経営実態が明らかになりましたが、これでは新たな担い手が出てくるわけがありません。 また、農家の平均年齢が65歳でありますから、このまま若者の担い手がふえなければ、10年後には農業経営が立ち行かなくなる農家がふえるものと考えます。今後は、農地の集約化と新たに就農する若者の確保が重要課題です。 現在、新規就農者を支援する国や県の施策により、新規就農者数は平成20年度では161名、21年度では134名と、以前に比べるとふえる傾向にあります。 しかしながら県内の農家戸数が6万戸であることを考えあわせると、毎年150名ずつ新規就農者がふえるにしても10年後でも農家の2.5%にしか過ぎず、農家の若返りにはほど遠いものがあります。 新規就農者が大幅にふえない要因は、農業では食っていけないことということであります。収入が他業種と同程度にならなければ、今後、新規就農者はふえないものと考えます。 また、集落営農組織を見ても、年々ふえる傾向にはあるものの任意組織が大半で、法人化された集落型農業法人は平成21年度でも19%に過ぎず、農地の集約が進まず、脆弱な経営基盤からの脱却ができておりません。 そして、昨年沸き起こったTPPの問題です。国からいまだにTPPにおける農業の位置づけや将来展望が示されないまま、政府は6月に交渉参加について結論を出すと言っております。 このような状況の中で、県は農林水産業の振興を目的に100億円の基金を造成します。その中身は農業の活性化に向けての事業が中心となりますが、果たしてこの基金による事業展開で秋田県の農業者が将来に対する展望を開くことができるのでありましょうか。 そこで伺います。県は高齢化が進む農業従事者をカバーするために、新たな担い手の確保と、そして農地の集約、経営基盤の強化をどのように進めていくのか。 また、農林水産の振興を図るための基金を造成しますが、この基金の活用により再生産が可能になり、県内農家が将来に展望が持てるものと認識をしているのか。 さらにTPPに参加した場合と、しない場合、それぞれにおける10年後の秋田県農業の姿をどのように変化すると考えているのか。 以上3点についてお聞かせください。 次に、農業における戦略について伺います。 佐竹知事はよく、農家の取り組む作物について、米依存から転作作物を主に収益を上げる取り組みが必要と言われております。 県では転作作物としてえだまめを全国一にと取り組んでおり、また、大豆も全国で3位の作付面積となっておりますが、それ以外では産地づくりといっても地域が限定され、収量が確保できない課題があります。 鹿角市の北限の桃や横手市山内のいものこ、湯沢市三関のサクランボなどは商品としては評価されながら大量に集出荷できないのが現実でありますが、私はそれを逆手に取った戦略で収益を上げることができないものかと考えます。品質がよく、評価の高い商品が少ししか採れない。大量出荷できない。品質のよさと希少価値による付加価値をつけて売れないものかと考えます。そのかわり品質にはこだわります。 そこで伺います。すべて大量出荷の産地づくりを目指すだけではなく、地域によってはそのような戦略で販売する必要があると考えますが、県の産地づくりに対する考え方をお聞かせください。 先日、秋田県は農業における女性の起業家の数が全国でもトップクラスと伺いましたが、それは農産物の産地直売所を運営する農家の女性がふえてきた結果ということでありました。 農家は、収穫した農産物や加工品を卸業者を通さないで消費者に直接販売し、収益を上げる。また、消費者は生産者の顔が見え、新鮮で安全な農産物を買うことができる。このような農家の女性を支援し、県内の全域で産地直売所のような展開ができないものかと考えます。既に成功している地域もありますが、多くは道の駅での販売となっており、収益につながっているのか疑問を持ちます。経営診断し、サポートする必要があるのではないでしょうか。また、道路端で小規模に販売している地域がありますが、集約化を図り、品揃えを充実し魅力を高める必要があります。 そこで伺います。農家の収益を上げる戦略として、直売所の全県展開について県の考え方をお聞かせください。 次に、今までにない農業展開、ハウスの栽培と植物工場について伺います。 秋田県では、転作作物と言えば大豆やえだまめ、戦略作物と言われる野菜、花きなどでありますが、私は秋田県でイチゴやバナナの観光農園ができないものかと考えます。 同じ雪国である青森県のおいらせ町に「観光農園アグリの里おいらせ」という施設があります。ここではハウスでバナナやイチゴを栽培し、観光農園を営業しており、バナナやイチゴを消費者に直接販売することにより収益を上げていると伺いました。 また、県では、パワー半導体やLEDなど新エネルギーを導入した植物工場の実証実験を予定しております。この取り組みは、昼夜や季節を問わず栽培でき、天候に左右されないなどのメリットがあり、雪国のハンデを克服できる農法であります。しかし、初期投資が膨らむ事業でもあり、生産する作物は付加価値が高く収益性のある作物でなければなりません。 私は、秋田県農業の将来展望を開くには、これまでにない取り組みが必要ではないかと考えます。ハウス栽培や食物工場も、その一つであります。 そこで伺います。これまで、秋田県では余り取り組んだことのないハウス栽培や新たな技術を駆使した植物工場について、秋田県の認識と将来展望についてお聞かせください。 以上で私の質問を終了させていただきます。御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)
○副議長(小田美恵子議員) 県当局の答弁を求めます。 [知事(佐竹敬久君)登壇]
◎知事(佐竹敬久君) 田口議員の御質問にお答え申し上げます。 平成23年度予算についてでありますが、まず、国の予算と民主党政権の政策についてであります。 平成23年度の政府予算案は、一般会計総額が過去最大となる一方で国債発行額が2年続いて税収を上回るなど、将来の国民の負担増が避けられない極めて憂慮すべき内容となっております。 また、予算編成の頼みの綱である埋蔵金も24年度以降は活用できるかどうか不透明であり、将来に向け危機的な財政状況にあると考えております。 こうした状況を招いた要因は、子ども手当や高速道路の無料化などの政策を十分な財源の見通しを持たないまま掲げたマニフェストそのものと、これをかたくなに実現しようとする民主党の政権運営にあると考えております。 その結果、国民にとって緊急かつ重要な政策分野の予算がしわ寄せを受けており、例えば医師不足対策などの地域医療確保対策予算が減額されたほか、本県が強く充実を要望していた農業農村整備事業予算についても、大幅に削減された本年度とほぼ同額にとどまっている状況であります。 また、子ども手当について再び地方負担が求められたことは、まことに遺憾でありますが、県民に不利益が及んではならないとの思いから、不本意ながら県負担による予算を計上せざるを得なかったものであります。 これは、総務大臣と全国知事会等とのやりとりの中で、政府から24年度の予算編成に当たっては十分に地方との協議を行うとの意向が示されたことから計上したものでありますが、当然のことながら、国に誠意が見られない場合には24年度の地方負担については認められないものと考えております。 基礎年金については、制度を持続可能なものとする上で公平で安定した財源の確保は不可欠であり、埋蔵金を充てるといった一時しのぎ的な措置は早期に解消すべきと思っております。 戸別所得補償については、将来に向けて安定的に実施していくとすれば、必要な財源の確保とあわせ、早期に法制化する必要があるものと考えております。 今後、こうした地方の意見をあらゆる機会を通じ国に対し強く主張してまいります。 次に、交付税が県予算に与える影響についてでありますが、平成23年度の地方財政計画では、地方交付税について「地域活性化・雇用等対策費」として1兆2千億円の特別加算等が行われておりますが、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税は4.3%の減となっております。 また、本県の当初予算案における実質的な地方交付税は、人口の減少等もあって45億円の減少と推計しております。 このほか、県税収入についても、経済情勢等を反映し14億円ほど減少するものと見込んでおります。 一般財源の太宗を占める地方交付税や県税収入の減少により予算編成は厳しいものとなり、このため、行財政改革の徹底や既存事業の見直しによる「選択と集中」により財源を確保するとともに、「地域活性化対策基金」や今年度設置した「県民の医療の確保に関する臨時対策基金」、「農林漁業振興臨時対策基金」を効果的に活用することとしております。 これにより経済・雇用対策の強化を図るとともに、新エネルギー産業の創出、農林漁業の競争力強化、さらには地域医療の確保など「ふるさと秋田元気創造プラン」の取り組み等を重点的に推進していくこととしております。 財政状況が厳しい中、さまざまな財源対策を講じながらプライマリーバランスの黒字を確保しつつ、「秋田の再生」に向けた積極型の予算を編成したものであります。 次に、一括交付金に対する県の見解についてであります。 平成23年度においては、第一段階として都道府県分の投資的補助金が対象とされておりますが、その詳細な内容はいまだ示されておらず、総額が5,120億円であること、その配分は恣意性のない客観的指標に基づく基準によることなどが明らかになっているに過ぎません。 県といたしましては一括交付金化の制度趣旨には賛同するものでありますが、交付金の額や対象となる補助金の範囲が十分なものではなく、運用の中身も不明であるなど、現時点では地方の裁量の拡大に資するものであるかどうかを評価する段階にはありません。 このため、今後とも制度創設の趣旨が十分に反映されたものとなるよう、あらゆる機会を通じて国に対して強く主張してまいります。 次に、秋田県の特性を生かした政策についてであります。 まず、少子化対策についてでありますが、県では厳しい財政状況の中、子育て支援策として妊婦健康診査の公費負担など安心して出産できる環境の整備、保育料や乳幼児医療費への経済的支援、病児・病後児保育の体制強化等、県独自の事業も含め各種の施策を実施しており、こうした取り組みは一定の評価を得ているものと認識しております。 現在、国では「子どもの育ち・子育て家庭を社会全体で支えること」を目的として、市町村を実施主体とした包括的・一元的な制度を構築しようとしております。 県単独事業については有効に機能しているものと認識しておりますが、国の政策が転換期にあることや市町村の対策にも変化しているものがあることから、新年度において時代に合ったより有効な支援策となるよう、プロジェクトチームを立ち上げ、関連施策について多方面から検証してまいります。 高齢者支援についてでありますが、本県では平成27年には県民の3人に1人が高齢者になると推計されており、ますます高齢者のみの世帯や、ひとり暮らしの高齢者が増加するものと予想されます。また、地域住民の交流が希薄となり、高齢者が地域の中で孤立する危険が増大しております。 このため、高齢者が元気に生きがいを持って住み慣れた地域で安心して暮らすとともに、地域社会の担い手として活躍できる環境づくりが大きな課題となっております。 こうした課題に対応するため、まず高齢者の健康づくり対策として、高齢者相談や介護予防の拠点である地域包括支援センターの運営を支援しているほか、地区の集会所や公民館などを活用して開催されている栄養教室や転倒予防教室などに助成しております。 また、新たに健康や生きがいづくりの日常的な生活の指針となる、わかりやすい「健康長寿あきたの秘訣10ケ条」を作成し、普及啓発を図ってまいります。 なお、介護支援ボランティア活動のポイント制度につきましては、社会のつながりを深める観点からも先進的なものと認識しており、今後研究が必要と考えております。 次に、地域における支え合いの仕組みづくりとして老人クラブ会員による高齢者宅の訪問活動を支援しているほか、新たに住民組織やNPO等が実施する高齢者等への支援を目的とする事業の立ち上げに助成するなど、態勢の整備に努めてまいります。 また、買い物難民対策としては、新たに市町村や流通販売業者、NPOなどとの協働により、安否確認、各種施設への送迎などを含めた総合的な生活支援のモデル事業を実施することとしており、共同購入方式についても検討してまいります。 さらには高齢者の社会参加を促進する取り組みとして、現在、高齢者の社会活動を拡大・進展させるためのアクションプログラムを策定中であり、今後これに基づき、経験を生かした子育て支援や技能の伝承など高齢者ならではの取り組みや起業・NPOの立ち上げなど、高齢者の活躍の場の拡大を図ってまいります。 こうした施策を展開しながら、高齢者が生涯現役で活躍できる「健康長寿秋田」を目指してまいりたいと考えております。 次に、がん対策についてであります。 本県では、がん対策推進計画において、がんの年齢調整死亡率を平成17年時点の人口10万人当たり96.1から、10年以内に76.8へと20%減少させることを目指しております。 しかし、平成21年時点では88.6と4年間で7.8%減少しているものの、目標とする87.9には届いていない状況にあります。 このため、がん予防対策として、その入り口となる「減塩と野菜を食べよう運動」などの食事に関する生活習慣の改善とともに、受動喫煙防止フォーラムや健康教育の実施に取り組んでいるほか、新たに子宮頸がん予防ワクチンについて、市町村と協働して13歳から16歳の女子に対する無料接種の実施体制を整備したところであります。 また、がん検診の受診率につきましては、50%を目標に、今年度は乳がんと子宮頸がん検診の無料クーポン券配布、未受診者に電話などで受診を呼びかける「コール・リコール事業」、土日・祝日の受診機会を拡大するための検診団体に対する支援などを行っております。 来年度は、新たに胃がん検診の無料クーポン券の配布、課題とされている職域等における検診実態の把握、一定の受診率向上効果が見られた「コール・リコール事業」の拡大などに取り組んでまいります。 さらに、私自身が先頭に立って受診率向上を推進するための組織を立ち上げ、県民すべてにがん検診の重要性を認識していただけるよう、市町村はもとより保険医療関係者、患者団体、教育機関、企業などと一体となって県民運動を展開してまいります。 なお、組織型検診は検診の理想型と言われておりますが、その実現には課題や制約があると承知しており、今後、大阪府の取り組みなども参考にしながら研究してまいりたいと考えております。 次に、農業問題についてであります。 新規就農者の確保と支援についてでありますが、農業従事者の高齢化が進行する中で本県農業の持続的な発展のためには、将来を担う新規就農者などの担い手を確保することが重要であります。 このため、今年度創設した基金を活用して複合化・多角化などを進め、新規就農者が収益性の高い農業に取り組める環境を整えてまいりたいと考えております。 新規就農者に対しては関係機関・団体が連携してきめ細かなサポートを行うとともに、来年度からは新たな試みとして、新規参入者の営農立ち上げ経費に対し年間70万円を2カ年助成する制度を創設するなど、早期に経営を軌道に乗せ、安定した農業所得が得られるよう支援してまいります。 次に、農地の集約化についてでありますが、大規模で効率的な経営を拡大するため、国の戸別所得補償制度の規模拡大加算に加え、来年度から県独自に農作業受委託と所有権移転にも10アール当たり1万円の助成を行うこととしており、これまで以上に農地集積を加速化してまいります。 また、本県では全国でもトップクラスの集落営農組織数を確保しておりますが、その8割が任意組織にとどまっていることから、経営基盤の強化を図るため法人化を促進することとしております。 このため、地域振興局ごとに重点支援組織を定め、法人化に向けて濃密に指導を行うとともに、設立間もない法人については法人経営専門員による法人運営のアドバイスや情報提供などを行っております。 来年度からは、さらに法人経営専門員を増員するとともに、設立初期の経営管理経費への助成や経営の複合化・多角化に必要な機械・施設の整備も支援し、経営体質の強い農業法人の育成・確保に努めてまいります。 基金の意義と効果についてでありますが、農家の方々に将来展望を持って意欲的に営農に取り組んでいただくためには、政策の方向性を明らかにし、そのための支援策を継続することが何よりも重要であります。 そうした考えのもと、国の政策転換やその時々の財政事業に左右されることなく安定した財源を確保し、県として独自の支援策を講ずる必要があると判断し、先般、基金を創設したものであります。 この基金では、偏り過ぎた米依存体質からの脱却や競争力を持った担い手の育成などを図るため、複合化・多角化による収益性の高い農業への転換を推進するとともに、集落型農業法人や認定農業者などの担い手に対し重点的な支援を行うこととしております。 しかしながら、基金を活用した支援策、とりわけこの3カ年の集中実施期間の中だけで本県農業の抱えるさまざまな課題を一挙に解決できるとは考えておりません。 私としては、基金事業による取り組みを本県農業の飛躍の第一歩と位置づけており、県内各地で規模拡大や野菜・果樹など新たな作目への取り組みといった本県農家の果敢なチャレンジが拡大することにより、再生産可能な農業が実現し、本県農業全体の展望が開けてくるものと考えております。 TPPの影響についてでありますが、TPPは関税撤廃が原則であるため、仮に参加することになれば国産志向の強い消費者であっても一部は安価な輸入品に流れ、国の支援措置があったとしても本県農業への重大な影響は避けられないと思われます。 しかし、国の基本的な方向や具体的な対策が何ら示されず、我が国農業の全体像すら見通すことができない現段階で、本県農業の将来像を思い描くことは極めて困難なことと言わざるを得ません。 一方、TPPへの参加が見送られても、米の消費が減退し続け価格が下落基調にある中では、たとえ戸別所得補償制度で一定の生産コストの下支えがあるとはいえ、米の偏り過ぎた生産構造のままでは本県農業の地盤沈下が進行し、明るい展望を切り開くことは厳しいものと考えております。 このため、早急に本県農業の構造改革を進め、米に加え、野菜、果樹、畜産などの生産拡大を図ることにより、真の意味での「総合食料基地」を目指していかなければならないと考えております。 次に、新たな農業戦略についてでありますが、産地づくりの戦略についてであります。 本県の青果物は、これまで総じて品質は良いもののロットが小さく、出荷期間も夏秋期に集中しているといった課題を抱え、量販店や卸売市場の要請に十分にはこたえられない状況にありました。 このため、全県的な視点から重点品目を絞り込み、集中的な支援に努めてきた結果、えだまめやアスパラガス、菌床しいたけ等では全国の主産地と肩を並べるまでに成長してきております。 こうしたロットの拡大を目指す一方、議員御指摘のとおり、量は少なくとも品質の高さやこだわりの栽培法など特別な価値で勝負することも、産地づくりの有効な手法であると考えております。 県内においても、例えば、全国で最も出荷時期が遅いことを逆手に取った「かづの北限の桃」や伝統野菜の代表格である「三関のせり」、冷涼な気象立地を生かし急成長している「鳥海りんどう」などは、その希少性や品質のよさから首都圏等で高い評価を得ております。 また、近年、力を入れているスイカの「あきた夏丸」やリンゴの「秋田紅あかり」などオリジナル品種のブランド化も、まさにオンリーワン産地を目指した取り組みの一つであります。 県といたしましては、えだまめなどメジャー品目を対象にオール秋田の取り組みで全国トップレベルの大規模産地を目指す一方、小さくともキラリと光る個性豊かな産地を県内各地に育成し、米のみに依存しない収益性の高い農業への改革を加速してまいります。 次に、収益確保と直売所の展開についてであります。 女性農業者が主体となり取り組んでいる直売所は、平成4年に大潟村に「産直センター潟の店」、平成6年には八竜町に「ドラゴンフレッシュセンター」などの大型・常設直売所が設置されたのを機に県内全市町村に広がり、規模の大小はありますが、平成21年には177カ所にふえております。とりわけ、大仙市では大小合わせて25カ所の直売所が設置されるなど、活発な活動が展開されております。 また、販売額についても、地産地消や食の安全・安心への関心の高まりなどを背景に年々伸びており、ここ10年間で4倍の45億円に達しているほか、1億円以上の直売所も2カ所から15カ所にふえておりますが、一方で、ここ数年は収益性の低い直売所は閉鎖する動きも見られます。 このため県としては、今後は単に直売所の数をふやすのではなく、首都圏のスーパーや飲食店等への販路拡大、さらには加工、レストラン、学校給食への食材供給などによる経営の多角化を図ることが重要と考えており、今年度新たに「直売所関係者連絡会議」を立ち上げ、全県の特色ある取り組みについて情報交換を行っているほか、来年度からは基金事業を活用し、経営の発展に応じた支援をすることとしております。 今後とも女性のパワーを活用し、生産主体の農業から直売や加工等への取り組みにより、農業所得の向上と地域活性化を目指してまいります。 次に、新たな技術を導入した農業の将来展望についてであります。 積雪や低温・日照不足など冬季の生産活動に制約の多い本県にとって、植物工場など生育環境を制御する栽培施設は、季節や天候に左右されず計画的・安定的に生産を行うことができることから、本県農業に新たな可能性をもたらすものであると考えております。 県内においても、イチゴやサンチュのハウス養液栽培やハイブリッド電極蛍光管を使用した植物工場で野菜を生産する先駆的な取り組みも見られますが、これらの施設では初期の設備投資や電力等の運営コストが高いといった課題があり、広く普及する段階までには至っておりません。 こうした課題を解決するため、県では来年度、研究用の植物工場を設置し、太陽光発電など地産エネルギーの活用によるランニング・コストの低減と環境への負荷軽減を可能にする技術について、県内企業と共同で実証研究に取り組むこととしております。 また、旧農業試験場跡地を活用し、太陽光や地中熱、バイオマス燃料などの新エネルギーの利用により一年を通して野菜や花きを栽培する周年型農業の実証普及プラントの整備に向けて、当初予算案にその調査費を計上しております。 こうした取り組みを全国に先駆けて進めることにより、環境に負荷をかけない自然エネルギーを使った先進型施設農業の実現に向け積極果敢にチャレンジしてまいります。 以上でございます。
○副議長(小田美恵子議員) 3番田口議員の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。
△午前11時58分休憩
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△午後1時再開 出席議員 41名 1番 鈴木孝雄 2番 石川錬治郎 3番 田口 聡 4番 山内梅良 5番 佐藤雄孝 6番 北林丈正 7番 下間俊悦 9番 東海林 洋 10番 瀬田川栄一 11番 三浦英一 12番 こだま祥子 13番 竹下博英 14番 中泉松司 15番 原 幸子 16番 工藤嘉範 17番 近藤健一郎 18番 加藤鉱一 19番 淡路定明 20番 石川ひとみ 21番 中田 潤 22番 樽川 隆 23番 佐藤賢一郎 24番 小松隆明 25番 平山晴彦 27番 渋谷正敏 28番 大関 衛 29番 石田 寛 30番 安藤 豊 31番 土谷勝悦 32番 川口 一 33番 小田美恵子 34番 武田英文 35番 金谷信栄 36番 鶴田有司 37番 冨樫博之 38番 佐々木長秀 39番 小田嶋伝一 40番
大野忠右エ門 42番 大里祐一 43番 佐藤健一郎 45番
北林康司--------------------------------------- 地方自治法第121条による出席者 休憩前に同じ
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○議長(
冨樫博之議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。2番石川錬治郎議員の一般質問を許可することに御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(
冨樫博之議員) 御異議ないものと認めます。2番石川議員の発言を許します。 [2番(石川錬治郎議員)登壇](拍手)