平成16年 9月定例会 本会議●平成十六年
秋田県議会九月
定例会会議録 第二
号---------------------------------------議事日程第二号 平成十六年九月二十一日(火曜日) 午前十時三十分開議第一、
一般質問---------------------------------------本日の会議に付した案件 議事日程に同じ
---------------------------------------
△午前十時三十分開議 本日の出席議員 四十七名 一番 淡路定明 二番 田口 聡 三番 山内梅良 四番 三浦英一 五番
こだま祥子 六番
渡部英治 七番 門脇光浩 八番 平山晴彦 九番
柴田正敏 十番
鈴木洋一 十一番 加成義臣 十二番
渋谷正敏 十三番 川口 一 十四番
瀬田川栄一 十五番 中田 潤 十六番 杉江宗祐 十七番 京野公子 十八番 大関 衛 十九番
小田美恵子 二十番 武田英文 二十一番 宮腰 誠 二十二番
小田嶋伝一 二十三番 木村友勝 二十四番 加藤義康 二十五番 安藤 豊 二十六番 土谷勝悦 二十七番 金谷信栄 二十八番 鶴田有司 二十九番 冨樫博之 三十番 原 盛一 三十一番 石田 寛 三十二番 高松和夫 三十三番 菅原 昇 三十四番 菅原龍典 三十五番 穂積 志 三十六番
大野忠右エ門 三十八番
中泉松之助 三十九番 津谷永光 四十番 安杖正義 四十一番
佐々木長秀 四十二番 佐藤次男 四十三番
工藤嘉左衛門 四十四番 長谷部 誠 四十五番 北林康司 四十六番 藤原俊久 四十七番 辻 久男 四十八番 北林照助
--------------------------------------- 出席議員 四十六名 一番 淡路定明 二番 田口 聡 三番 山内梅良 四番 三浦英一 五番
こだま祥子 六番
渡部英治 七番 門脇光浩 八番 平山晴彦 九番
柴田正敏 十番
鈴木洋一 十一番 加成義臣 十二番
渋谷正敏 十三番 川口 一 十四番
瀬田川栄一 十五番 中田 潤 十六番 杉江宗祐 十八番 大関 衛 十九番
小田美恵子 二十番 武田英文 二十一番 宮腰 誠 二十二番
小田嶋伝一 二十三番 木村友勝 二十四番 加藤義康 二十五番 安藤 豊 二十六番 土谷勝悦 二十七番 金谷信栄 二十八番 鶴田有司 二十九番 冨樫博之 三十番 原 盛一 三十一番 石田 寛 三十二番 高松和夫 三十三番 菅原 昇 三十四番 菅原龍典 三十五番 穂積 志 三十六番
大野忠右エ門 三十八番
中泉松之助 三十九番 津谷永光 四十番 安杖正義 四十一番
佐々木長秀 四十二番 佐藤次男 四十三番
工藤嘉左衛門 四十四番 長谷部 誠 四十五番 北林康司 四十六番 藤原俊久 四十七番 辻 久男 四十八番 北林照助
--------------------------------------- 地方自治法第百二十一条による出席者 知事 寺田典城 副知事 西村哲男 出納長 品田 稔 理事 川辺征夫 総務部長 小林憲一
企画振興部長 渡部文靖
健康福祉部長 京屋 太
生活環境文化部長 佐藤憲之助 農林水産部長 竹村達三
産業経済労働部長 加藤清美
建設交通部長 小玉良悦 出納局長 藤原 宥
総務部次長兼
知事公室長 佐々木松彦 財政課長 前 健一
公営企業管理者 根津谷禮蔵 教育委員会委員長職務代理者 渡部 聡 教育長 小野寺 清
選挙管理委員会委員長 田中伸一
人事委員会委員長職務代理者 鈴木迪也
公安委員会委員長 藤井 明
警察本部長 石川正一郎 地方労働委員会会長 阿部讓二
代表監査委員 山田昭郎---------------------------------------
○議長(
鈴木洋一君) これより本日の会議を開きます。 日程第一、
一般質問を行います。三十番原盛一君、六番
渡部英治君、十二番
渋谷正敏君、二十八番鶴田有司君、十四番
瀬田川栄一君、二十一番宮腰誠君、十九番
小田美恵子君、以上の七名の諸君から
一般質問主意書が提出されております。 まず、三十番原盛一君の
一般質問を許可することにして御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(
鈴木洋一君) 御異議ないものと認めます。三十番原君の発言を許します。 [三十番(原盛一君)登壇](拍手)
◆三十番(原盛一君) おはようございます。自由民主党の原盛一でございます。 平成十六年度九月定例会に臨み、前もって知事に
質問主意書を提出してございますので、それに従い、質問をさせていただきます。 一ページ、二ページ割愛させます。 今まで金科玉条のごとく、改革、規制緩和、三位一体が叫ばれてきましたが、この言葉のどの一つを考えても、県民の利益を考えるなら、まだまだ内容について説明が足りないと感じられます。 地方の自治体は、現在、もがき苦しみ、将来の一点の光明を見出すためにありとあらゆる知恵を出し、満身創痍になりながらも、地域住民のために頑張っています。 今年度予算では、
三位一体改革推進のため、
地方交付税など約三兆九千億円削減されたにもかかわらず、国から地方への財源移譲は六千六百億円と少なく、まさに泣きっ面にハチであり、政府に裏切られたと反発すれど、一本取られたわけであります。 今年度の予算編成の轍を踏んではならないと、国と地方が財源を争い、八月十八、十九日の両日、新潟市で行われた
全国知事会議において、採決の結果、
国庫補助負担金三兆二千億円を廃止し、地方に税源移譲する案に合意した旨の新聞記事がありました。知事の「地方の声を投げ返せた」と
補助金削減案を評価したコメントが載っていましたが、まず最初に、
知事会議における
国庫補助負担金等に関する改革案について、
知事会議の当事者として、県の置かれた現状を踏まえ、総括的な所見をお伺いいたします。 次に、削減案の内容を見ますと、
義務教育費国庫負担金のうち中学校分の八千五百億円が削減対象とされ、その上で税源移譲するものとなっていますが、税源移譲された分に
義務教育費国庫負担金分として色がついてくるのでしょうか。 それについて知事は、一般財源化されても教職員の報酬であり、また、機会均等の確保や
教育レベルを下げないことは当然だとおっしゃっていましたが、しかし、憲法第二十六条を持ち出すまでもなく、教育は国の義務であります。補助金や
負担金等の廃止は、国の義務教育の責任放棄であります。さきに
総額裁量制を導入したところ、これでは負担金、補助金と変わりなく、地方が努力して効率化しても財源をほかに使えないから、
総額裁量制はだめだという声もありました。さきに述べましたが、一般財源化されると、この課題はクリアできるのでしょうか。 新聞等の報道に、
全国市長会会長の記事が、
小・中学校教職員の給与を国と県が折半する
義務教育費国庫負担金について、なぜ中学校分だけの廃止を求めるかの問いに、この負担金を全廃して税源移譲を求めるとありましたが、本当にこれでよいのか疑問であります。 我が県の財政を考えると、地域格差が出ないという保証はできないと思います。地域格差が生まれたら、国の憲法上の義務とされている国民の就学義務を財源的に保証したことにならないという学者もおります。
知事会議の決定は、教育の
基本的議論に時間も割かずに、ただ
数字合わせを行ったとしか見えないものであり、人づくりこそ県の基本との考えをお持ちの知事は、このような教育費の安易な削減案と財源移譲についてどのようにとらえ、考えているのか、お伺いいたします。 次に、
公共事業費の削減について、
経営体育成基盤整備事業費補助、
担い手育成基盤整備事業を例にお伺いいたします。 我が秋田県の基幹産業の一つは農業であります。食料基地としての地位確立のため、現在までさまざまな農業施策を講じてまいりました。そのうちの一つが、根幹であります
農業生産基盤であります。
圃場整備事業は、平成十五年度までに八万四千四百九ヘクタールの圃場が整備され、今後整備が必要とされる圃場は三万七千二百九十一ヘクタールの面積があります。しかるに、我が県で最も利用されている
担い手育成基盤整備事業費八百九十四億六千四百万円が今風の都会感覚でばっさり切られたことに対し、ただ地方政治の確立という美名に酔い、決めた結果に多大なる懸念を抱くものであります。 会議に出席していた知事は、財政力の弱い秋田県の今後の
土地改良事業に対しての危機感をどのようにとらえ、今後どのような対応で事業進捗を図るのか、今後も引き続き事業を継続していくのか、心配であります。本県のこうした事情にもかかわらず、改革案に賛成した知事のお考えをお伺いいたします。 次に、四公社に対する債務保証と
損失補償についてお伺いいたします。 本県の財政の厳しさは予想以上の速さで進んでいますが、
三位一体改革の流れで、今後、関連公社のあり方などの大幅な見直しも避けて通れない事態が予想されます。現在、公社に対し、
損失補償二百六億六千四百万円、債務保証として予算額で十五億五千九百六十三万円であります。四公社のうち、林業公社には、特に林業県としてのあり方から、事業の継続性を持たせるため、国に対して本年度の概算要求に林業公社への
財政支援強化について要望していますが、現状をかんがみるとき、このような改革のあらしにいつまで耐えられるのか、心配であります。公社の努力により財務内容も改善されていますが、将来に希望と夢のある
林業行政確立と、あわせて、
農業公社、住宅供給公社、
土地開発公社の
持続的発展を目指した改革の議論をすべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、農業問題についてお伺いいたします。 最初に、「
ひとめぼれ」の採種圃等における異品種の混入についてお伺いいたします。 平成十六年八月四日に
農林水産部からの報告を受けましたが、
採種圃農家の一組合員として一番恐れていた異品種の混入の説明を受け、まさに青天のへきれきでありました。説明を受けている間、さまざまな推測を立てながら、異
品種混入面積が拡大しないよう念じていましたが、結果的に五百五十五戸、六百五十二・六ヘクタールの面積が特定され、関係者多数に迷惑をかけてしまい、まことに遺憾であります。 まず、種の大もとの原原種の生産に取り組む
農業試験場の管理体制についてお伺いいたします。 最初に疑問を持ちましたのは、六月九日のある会議の席上で、大内町の関係者から、「
ひとめぼれ」の圃場に異形株らしきものがあるとの発言があったという情報であります。その後、異形株かばか苗か判断がつかないということで時間を費やし、七月十四日を迎え、
農業改良普及センター等が行った巡回調査で、「
ひとめぼれ」と比べ明らかに草丈が長いものが散見されたという報告があり、あとは皆様御案内のとおりであります。 平成十二年まで酒米であります「吟の精」の原種圃場に、平成十三年、原原種の「
ひとめぼれ」を作付したところ、前年の「吟の精」の
こぼれもみから発芽し、原原種の「
ひとめぼれ」に混入したということでありますが、この場面での誤りは、まず法律に基づく種子生産の場としての認識の欠如であります。ああすれば、こうすればと考えるとき、一番安全でリスクの少ない解決策を考えるのが当たり前でありますが、研究機関であり、
指導的機関のやることとは到底考えられない対応であると言わざるを得ません。 また、同じ十三年原原種から十五年に
農業公社で原種として生育生産した「
ひとめぼれ」に、日常管理の過程で異形株としてどうして発見できなかったのか、後の思いですが、この公社でストッパー的な役割を果たしてくれたら被害は拡大せずに済んだものと思いますと残念でなりません。 十五年産の公社供給の原種は、金浦町、大内町の
指定採種圃場に作付されたほか、
JA秋田みなみ、
JA秋田しんせいにも供給されています。この供給された種もみを、春の育苗のとき、農家の皆さんは、苗箱におかしな苗が混じっているのを発見し、家庭で取り除いたということがあったそうです。七月の調査のとき、抜き取った農家の圃場の異形株は明らかに少なく、育苗時の管理が非常に大事なものと改めて感じたそうであります。 原種生産を委託されているのも
農業試験場であります。管理の問題点は、たくさんあります。予算の削減等に一番の問題点があったのではないかと考えるものであります。異
品種混入再発防止対策のため、県では、今後、国の研究機関や大学の専門家の意見を伺うとありますが、全く責任の転嫁にほかなりません。最高の
農業試験場であります。
再発防止策はまず現場からと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、農家補償及び
秋田米信頼確保についてお伺いいたします。 本県では、トレーサビリティーシステムの導入により、
種子更新率一〇〇%を目指していますとき、
秋田米ブランドに与える影響と信頼回復を図るためには、多岐にわたる対策が求められると思います。県では、
債務負担行為を行い、課題対応を計画しておりますが、今後、どの程度までの予算の範囲で取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、責任の所在についてお伺いいたします。 過去昭和六十年にも、「ササニシキ」「トヨニシキ」との異
品種混入という問題がありましたが、当時、関係職員四人が減給から戒告までの処分でありました。今回はどのような処分内容になるのか、まずお尋ねいたします。 次に、
種子事業対策基金の設立についてお伺いいたします。 昭和六十年から平成十六年と、十九年の時を隔てて発生した異
品種混入は、決して他人事ではありません。再びこのようなことは起こしてはなりませんが、もしもの対応として、県財政の厳しいときではありますが、種子農家を含み、関係機関との出資で基金を設立してはと考えるものであります。県内十三カ所の種場全体の問題としてとらえても必要性が強いと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、塩害についてお伺いいたします。 まず、災害に対する融資について知事の考え方をお伺いいたします。 私ども内陸に生活の居を構える者にとり、八月二十日に本県を襲った台風十五号の被害の甚大さには、ただただ驚くばかりでありました。今月の十六日に鶴岡市、酒田市と由利郡の水田を調査いたしましたが、稲刈りの盛んな鶴岡市、酒田市は、幾分稲の生育が「はえぬき」の品種特性により早く、被害は秋田県ほどではないと感じてきましたが、それでも大変な被害であることに変わりはありません。保存食の漬物をつくるときに必要な塩が、まさに作物の脱水を促進し、稲穂は枯れススキみたいになり、見る影もありませんでした。 本荘市から由利郡に抜ける車中で、無意識に宮澤賢治の「
雨ニモマケズ」の詩の「ヒデリノトキハナミダヲナガシ、サムサノナツハオロオロアルキ」という一節を口ずさんでいた自分にはっとし、同じ農民として、春先から今までの苦労を考えますと、涙を禁じ得ないものでありました。 改めて、被害に遭った皆様に、元気を出して頑張っていただきますよう激励を申し上げます。 日本海に面した県内のほとんどで、塩害による減収と再生産に向けての資金確保は速やかに発動し対応していただきたい気持ちであります。 しかしながら、農業を災害から守る
基本的制度は
農業災害補償法であると私は思います。食料・農業・
農村基本法の解説によりますと、第三十一条に言う「災害による損失の合理的な補てん」とは、主として
農業災害補償法に基づく
農業共済制度の適切な運用を通じた災害による損失の補てんが念頭に置かれているものであるとされており、そのほか必要な施策としては、
災害金融制度、農地、
農業用施設の
災害復旧事業、
防災事業等が挙げられるものであるとされています。 この条文解説を見ますと、
農業災害補償法に基づく
農業共済制度を土台として、その上に大きな災害が発生したときや、
農業災害補償法で賄い切れないときに、その他の制度である
天災融資資金等で賄い、農業の再生産が阻害されることを防止し、経営の安定を図る目的が達成されると思います。したがって、私は、農業共済に加入していない地域に
災害資金を認めるには無理があると思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 また、あらゆる面で問題がないとすれば、その都度、
災害資金の適用をしたほうが合理的と思いますが、あわせて知事の所見をお伺いいたします。 次に、
共済組合未
加入自治体に対する今後の加入指導と県の対応について質問いたします。 平成五年十月発行の新聞記事の内容を、同僚議員、
柴田正敏様から見せていただく機会がありました。紹介させていただきます。 要点抜粋でありますが、「入植者一人一人が
社長さん然としていて、自己責任の原則が徹底している。実は共済制度がない。
共済組合のたび重なる加入の要請を断って、独自の道を歩んできた。滋賀県から入植してきた人は「共済は甘ったれた農家のもんや。おれらはないから頑張れるねん」と胸を張る」と記事にありました。 知事、大潟村は治外法権の場所でありますか。昭和三十八年の法改正で、
共済設立命令関係の条文、法第二十九条が削除され、行政庁の
共済組合設立命令が法律上不可能になっているそうですが、水稲、麦は一定規模以上の面積を作付すると、当然加入、強制的に加入しなければならないとなっています。過去に、県では、大潟村に対し、再三
共済組合の設立を求めた経緯がありますが、水の確保、災害発生の可能性は少ない、掛金が多額になるなどの理由で、組合設立はされないまま現在に至っているわけであります。 ちなみに、
水稲共済市町村毎引受方式ごとの純掛金は、私の仙北町では十アール当たり半相殺で平均三百三十五円であり、
大曲仙北地域一市十三町村平均で四百五十円であります。大潟村に対する正確な掛金の予想数字はわかりませんが、そんなにかけ離れた数字ではないと考えます。 昭和三十九年に大潟村は発足しております。発足以来、約四十年であります。私は、大潟村の人々も、ある面、農政に翻弄されての苦労と葛藤があったと思います。生まれ育ったふるさとを後に、身をこの地に埋める覚悟で入村した人たちも同じ県民であります。もう二世、三世の時代であります。同じ県民として協調融和の精神を高揚させ、わだかまりを取り除かなければと考えるものであります。自己責任も結構でありますが、基本の部分は現在の六十八市町村と足並みをそろえ、全体の利益を考えるべきと感じます。それはそれ、これはこれでは、ほかの市町村が納得しにくいと思います。 知事、どうですか。このままの姿でよいとお思いですか。
共済関係機関と連動し、組合の設立と加入の指導を働きかける考えはございませんでしょうか、お伺いいたします。 次に、
暗渠排水資材の変更についてお伺いいたします。 平成十六年二月定例会において、会派先輩、中泉議員の質問の中で、知事に対して
暗渠資材変更についての質問がなされましたが、私の視点からも確認したい点がありましたので、今回の質問で取り上げさせていただいた次第です。 昭和六十二年、
仙北東部土地改良一部
事務組合主体で、
総合パイロット事業に取り組み、圃場整備、
暗渠排水工事を行いましたが、平成八年ごろまで
暗渠排水溝からは一滴の排水もされず、圃場は排水不良のために、春作業、秋作業と、ぬかるみとの戦いでありました。秋作業のときは、コンバインのぬかるみからの脱出で
全身泥んこ状態であり、今、当時のことを思い出すと、作業時間より、ぬかるみからの脱出時間のほうが多く、何でこんな整備を行ったものかと思ったものであります。一時は怒りのやり場がなく、県を恨んだものであります。 当時、
工事用排水委員長としての責任から、工事施工に伴う
暗渠排水資材の材質と施工方法に疑問があり、県側と数カ月にわたり交渉いたしましたが、最後は県側に押し切られ、施工いたしたのであります。あとはさきに述べたとおりであります。その後、平成九年、別事業を取り入れて、再度暗渠排水の工事を行い、一時二回分の
暗渠工事費の支払いが続いたものであります。残りは平成二十三年までの借金でありまして、支払いが済む予定であります。 私がなぜ、知事の嫌なことであります、このようなことをぐずぐずと言うのかというと、農家の皆さんは、春先に田んぼが乾燥していないと、ことしも頑張るぞと張り切っても、元気が出てこないのであります。もう一つは、今、知事が進めています
コスト重視の吸水管に疑問があるからであります。 平成二年度に、県で吸水管の材質をポリ管から
素焼き土管に切りかえるときの資料の比較検討に、
素焼き土管は水あかが付着しにくいため、管の洗浄が不用である。その上で、
ランニングコストと工事費を足しても
素焼き土管のほうが有利であると書かれています。そして、平成十六年三月十九日、
農林水産部の資料では、昭和五十五年から平成五年まで薄肉のポリ管を使用していたが、その後改良されたので、平成十六年全面移行するとあります。約十年間で薄肉は二重管に水あかの付着の差異はないとなっていますが、このポリ管の原材料は、水あかの付着する要因の
石油化学製品でつくられたものではないのか、どうでしょうか。 また、
農林水産省構造改善局土地改良事業計画設計基準にある特徴欄の③には、
素焼き土管は水酸化鉄などが付着しにくいと記入されています。よくポリ管はつぶれるからだめであると言われましたが、つぶれるとは、ポリ管全体がつぶれるのではなく、ポリ管の吸水のための穴が赤カナのためにふさがれるのであります。先般、土地改良区を回り、吸水管についての考え方を伺いましたが、県の強引さ、半分おどしみたいな言動があったとの声も聞かれております。
農林水産部計画指導班設計積算要領の中で、
暗渠排水資材の選定について、地元農家の意向等を考慮することとありますが、どこを指しているのか。威圧を加えて地元農家の意向等を考慮できるのか、全く疑問であります。 八月五日のある町の
とことんトークの場で、町長みずからが町民の代表として、「工事費に違いがありますが、その差額を負担する方向でも
素焼き土管による暗渠工事ができないものか」と質問していますが、部長の答弁で「難しい」と言っています。
受益者負担の原則で負担金を取っていながら、出すというものを要らないと言うのであるなら、
受益者負担はやめたほうがいいと思います。これだけの決意で町長みずからの発言があるにもかかわらず、知事は「費用対効果なので」と答弁しています。 平成十七年度、国の施策・予算に関する提案、要望書には、農業農村整備事業における地方財政措置の充実について、水田の汎用化のための暗渠排水工を一般公共事業債の対象工種とすることとありますが、全く同感であります。稲作圃場を投資的な対象とみなし、適債工種に認めないというのは納得いきません。汎用化のため、暗渠排水工が必要なときに、整備事業の整合性の面からも財務省の理解を得るための努力をもっとするべきと考えますし、知事の努力に期待をしております。 知事は、国で適債工種として認めるなら、今までどおり
素焼き土管の使用を認めるとの判断でありましたが、今でも変わりありませんか、お伺いいたします。 あわせて、コスト面からの見直しですから、今後、企業努力により、ポリ管と同等の価格で内径七十五ミリの
素焼き土管があるとすれば対応可能かどうか、お伺いいたします。 県内の六十九市町村には、それぞれ土質の違いがあります。その地域に適した選択に幅を持たせる考えも必要と考えますので、その点についてもお伺いいたします。 次に、家畜排せつ物法の施行に伴う畜産農家の現況と指導についてお伺いいたします。 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律の施行が、ことしの十一月からと、目前に迫ってきました。平成十一年の法律の成立以来、五年間の猶予期間中に、施設資金の確保や排せつ物の再利用等のソフト面も含めた対応が進められてきたものと思います。 しかしながら、法律対象農家、牛、馬十頭以上、豚百頭以上、鶏二千羽以上の中では、法律が適用されない規模まで縮小を予定する畜産農家や、廃業を検討している農家等の声も聞こえてきます。BSE等の影響により畜産農家は経済的に厳しいながら、みずからの汗を宝として努力していますが、平成十五年度末の状況を見ますと、県内の家畜飼養農家二千三百八十七戸のうち、法対象農家七百四十戸、その中で整備済み農家四百三十二戸となっています。 特に心配なのは、未整備農家三百八戸についてであります。これまで、未整備農家の巡回指導を実施されているようですが、残された期間ですべての対応を完了するのは難しいのではないでしょうか。このまま未整備農家が法律に触れ、罰金刑に処されるのは、極力避けなければなりません。この事業は、畜産農家にとって収益には結びつかないものでありますが、耕畜連携のシステムを確立しながら、説得性のある指導をすべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、内水面漁業におけるコイヘルペス防止についてお伺いいたします。 茨城県でKHVが発生以来、養殖業者の最も恐れていたことが、七月十六日雄勝町で見つかり、その後、県南地区でコイヘルペスの検体数は五十に上り、現在は水温の低下と流通と移動の制限により発生はおさまっているような気配でありますが、まだまだ心配な点があります。 一つには、雄勝地区で発生時点で、県内の関係業者に、検査結果を待つでなく、県の機関を通じて速やかに自粛指導すべきでなかったのか。水産漁港課長名でコイ取扱業者に自粛についての文書施行日が七月二十日であります。市町村には七月二十三日の施行でありますから、どうして県内のコイ取扱業者四十数業者に同時に連絡できなかったのか不思議でなりません。持続的養殖生産確保法に規定する命令を速やかに行うべきであったと思います。実際、ある業者は、自分の池になかったニシキゴイを平鹿町の業者から買い求め、自分の池に放流した後でコイヘルペスに罹病し、全部焼却処分されています。この法律の取り扱いも、危機管理ととらえてもよかったのではないかと考えるものであります。 また、第三の二に規定する蔓延防止措置推進事業を施行されて損失の補償を受けても、事業再開に資金面で大変厳しいものと感じています。台風被害には再生産を目的とした資金がありますが、養殖業に対してもしかるべき対応が必要と考えます。 また、幸いにも県中央、県北では罹病が確認されていませんが、大潟村の残存湖に入ったら大変なことであります。この点の考えを含め、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、新市「白神市」の名称撤回要求に対する知事のお考えをお伺いいたします。 能代市と山本郡六町村でつくる法定合併協議会が八月三十日、合併後の名称を「白神市」と決定したことに対し、青森県側では、白神山地の面積は秋田県より多いと、県議会でも釈然としないなどと、声のトーンも上がり調子であります。青森県東奥新聞掲示板を見てみますと、全国からのさまざまな意見が、その当時、二百五十件掲載されていました。その中で驚くのは、秋田県に前に住んでいた人、秋田県内の人など、たくさんの県民が意見を述べていることであります。 また、青森県のNPO白神山地を守る会は、三日、県庁を訪れ、寺田知事あてに名称の撤回を関係市町村に指導するよう求める申し入れをしたとの新聞記事がありました。 そうこうしている間に、今度は、岩手県で八幡平の名称をつけることに鹿角市議会から名称見直しを求める声が上がりましたが、当該自治体としては大変なことと思います。 三県合併を進めている知事としては、どのような感想を持ち、また、青森県NPOの要請にどのようなお考えを持ち、関係市町村に対応されるつもりか、お伺いいたします。 以上をもって私の質問を終わります。議員各位には御清聴を賜り、まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(
鈴木洋一君) 県当局の答弁を求めます。 [知事(寺田典城君)登壇]
◎知事(寺田典城君) 原議員の御質問にお答えいたします。 最初に、県財政と三位一体の改革についてでありますが、初めに、知事会の
国庫補助負担金改革案については、八月十八日、十九日の両日、新潟市で開催された全国知事会において、深夜に及ぶ激論の末、
国庫補助負担金等に関する改革案が採決されました。 この改革案は、昨年度の三位一体の改革において、補助金と
地方交付税の一方的な削減を行ったことに対する地方からの反発と不信感の高まりを踏まえ、小泉総理の決断により、三兆円の税源移譲が先に決定され、それに見合う補助金の削減案を地方で取りまとめてもらいたいとの要請にこたえたものであります。 三位一体の改革は、国と地方の役割を見直し、分権型社会を構築するとともに、国と地方を合わせた長期借入残高が七百兆円を超え、国債依存度がほぼ四五%になるなどの危機的財政状況を改善するものであります。このたびの改革案は、全国知事会や都道府県議会議長会を初め、全国の市町村長や議長で構成される地方六団体それぞれが、国家の行く末を案じ、議論を重ね、互いの立場や利害を乗り越えて取りまとめたものであります。三千を超える地方公共団体が一致団結して、国と地方の新しい姿に向けた具体的第一歩を踏み出すことができたという意味において、地方自治の歴史に刻まれる画期的なものであったと高く評価しております。 次に、教育費の削減案と財源移譲についてでありますが、義務教育は、憲法上の要請に基づいて国民に確実に提供しなければならないものであり、その実施に当たっては、国と地方がともに協力し、適切な役割分担のもとで行われるべきであります。教育の機会均等が達成された今日においては、国は、権限と財源で地方を画一的に規制するのではなく、基本的な枠組みの制定や教育水準の確保など、企画、立案等に専念し、現場での運用は地方に任せるべきであると考えます。地方が一定の教育水準を確保した上で、それぞれに知恵と工夫を凝らし、競い合うことにより、我が国全体の教育の質の向上につながるものと考えております。 義務教育の実施に当たって必要となる財源については、国から地方への税源移譲や、
地方交付税の財源調整及び保障機能の充実強化により、確実に確保されるべきものと考えております。今後、
義務教育費国庫負担金が全額一般財源化された場合において、教育に必要な財源を他に回したり、ましてやおろそかにするようなことがあれば、納税者である国民、県民に許されるはずもないと思います。 本県では、これまでも、全国に先駆けて三十人程度学級の実施や、郷土の自然や歴史などについて学ぶふるさと教育を実践してまいりました。三位一体の改革が実現することで、地方は、これまで以上に地域の声やニーズをしっかりと受けとめ、時代の変化に対応できる、柔軟で特色のある教育を行い、未来を担う人づくりに取り組んでいく必要があると考えております。 次に、
公共事業費関連補助金の削減案についてでありますが、地方六団体の
国庫補助負担金等に関する改革案は、三兆円の税源移譲を決断した小泉総理の要請を受けて、各県ともさまざまな事情があるものの、地方分権改革の流れをとめてはならないという判断のもと、総意をもってまとめたものであります。この改革案には、公共事業関連の補助負担金も廃止対象に加えており、平成十八年度までの第一期改革分として、
担い手育成基盤整備事業を初め、本県に大きくかかわりのある公共事業が幾つか含まれております。したがって、地方からの提案がそのまま認められた場合には、応分の税源が移譲されると同時に、補助金としては廃止されることになりますので、他県に比べて重点的に補助金を受けていた分野では、大きな影響も懸念されます。もちろん、今検討されている税源移譲の規模は、地方全体トータルのものであり、本県など個別の団体の事情に配慮した財源措置については、今後、
地方交付税による財源調整や保障のあり方などを含め、国と地方の協議機関において、十分に議論を尽くす必要があります。 いずれにしましても、本県は、農業が基幹産業であり、我が国の食料供給基地として重要な役割を担っていることを考えても、農業分野の事業については、将来とも重点的に取り組まなければならないと考えておりますので、地域の特性を生かした創意工夫により、事業効果の向上やコストの軽減を図りながら進めてまいりたいと思います。 次に、公社等に対する今後の指導とかかわりについてでありますが、公社等を含む第三セクターの改革については、行政改革大綱、第二期行政改革推進プログラムを通じ、第三セクター整理合理化指針を定め、統廃合の促進、経営評価の実施など経営改善への取り組みを強化し、指導監督の徹底を図ってきたところであります。特に、
損失補償が巨額に上る林業公社及び住宅供給公社については、今後の財政負担の軽減を図るため、特定プロジェクトとして、その経営改善に取り組んでまいりました。 林業公社につきましては、経営を取り巻く厳しい状況から、公社林の管理区分の見直しや、公庫資金の利息低減など、現時点における可能な限りの経営安定化に向けた取り組みを内容とする第七次長期経営計画を平成十六年三月に策定したところであります。さらに、本年度には、毎年度の経営改善目標や具体的な改善手法等を定めた短期実行計画を策定し、着実な経営改革を実施することとしております。しかしながら、県としては、長期に及ぶ木材価格の低迷や、公社の経営が今後八十年もの期間を要することなどを考慮いたしますと、公社のあり方について抜本的に見直すべき時期にあると考えております。
農業公社につきましては、平成十二年度の統合以来、各年度とも黒字決算となっておりますが、国、県を通じた厳しい財政状況の中、公社みずからの経営努力による事業収入の確保や経費節減、さらには人件費の抑制に努めております。これからも、農業行政を補完する総合的な公社として、食の安全・安心など新たなニーズに的確に対応し、統合のメリットを引き続き十分発揮できるよう指導してまいります。 住宅供給公社につきましては、厳しい経営状況が続いているため、一層の販売促進と経費節減による経営改善を進めるとともに、南ケ丘ニュータウンにおいて、県営住宅や教育施設、福祉・医療施設の建設用地としての検討を進めることとしております。また、南ケ丘ニュータウンを最後に分譲事業から撤退することとしており、公社のあり方については、平成十九年度末までを目途に、その存廃を含めて検討することとしております。
土地開発公社につきましては、近年の公共事業の減少により、平成十五年度には、設立以来の赤字決算となるなど、経営環境が厳しさを増していることから、事務所の移転や人件費の抑制などにより、経費節減に努めているところであります。今後とも、一層受託業務の確保に努めながら、本年六月に策定した経費節減計画に基づき、健全な経営の確保が図られるよう指導してまいります。 四公社を含む第三セクターの改革については、次期行財政改革推進プログラムの大きな柱として、今後も一層その取り組みを強化してまいりたいと思います。 二点目の農業関連についてでありますが、初めに、「
ひとめぼれ」の異
品種混入については、この原因が原原種の生産段階にあったこと、また、原種生産においても混入を発見できなかったことは、県の重大な責任であり、改めて農家や県民の皆様に深くおわびを申し上げます。こうした事態を招き、秋田米に対する信頼を損なったことや、これを回復するために多大な労力と時間を要することは、極めて残念であります。 原原種や原種の生産段階では、圃場の巡回と異形株の抜き取りを綿密に行ってまいりましたが、異品種を完全に排除できなかった要因は、同じ圃場に前の年と異なった品種を作付したこと、
農業試験場が移転して間もない時期で、生育にばらつきの出やすい土壌条件であったこと、目視による圃場の見回りや異形株の抜き取りには限界があることと判断しております。 したがって、こうした事態を再び起こさないためには、原因となるあらゆる可能性を念頭に置きながら、種子の生産システム全体を詳細に検証した上で改善策を講じる必要があります。
再発防止策は、県みずからが策定いたしますが、より高い透明性を確保するためには、第三者による客観的な原因の検証と、それに基づく提言が必要と考え、外部の専門家による調査委員会を設置することといたしました。 次に、この問題への県の対策でありますが、まず混入種子を作付した農家に対しまして、経済的な不利益が生じないよう、銘柄米との価格差を補償してまいります。また、混入米の区分出荷を徹底するため、これに伴うカントリーエレベーターの利用料などのかかり増し経費についても助成することとしております。 さらに、秋田米への信頼確保でありますが、全国の卸業者に対して、直接訪問やリーフレットの送付により、混入米の流通防止に十分な対策を講じていることについて理解を求めてまいりました。こうした対策について、農家や関係農業団体などの不安を解消するため、全体の枠組みや支援の総額を明らかにしたところであり、引き続き秋田米の信頼確保に努めてまいります。 次に、責任問題についてでありますが、さきに申し上げた調査委員会による検証の結果を踏まえて、厳正に対処してまいります。 御指摘の基金についてでありますが、農家の方々や県民に納得していただける万全の防止策を講ずることが今とるべき対応策であり、こうした事態だけに備えることを目的とする基金創設は、現状では難しいものと考えております。 次に、塩害についてでありますが、融資に対する考え方については、農業共済は、不慮の事故に備え、農家と国が掛金を出し合い、損失の補てんを行う政策的な保険制度であり、内容もみずから選択するなど、農家の自主的な相互扶助を基本としております。一方、
災害資金は、天災等により被害を受けた農家をあまねく救済することを目的に、当面の営農基盤の確保と、生活維持に必要な最小限の資金を貸し付ける制度で、ともに災害対策の根幹と位置づけられるものの、その考え方や仕組みなど基本的な性格を異にするものであります。 このため、
災害資金の融資に当たり、共済への参加の有無をその条件とすることは趣旨に反し、公平性を欠くだけでなく、制度自体の意義がなくなるものと考えており、このたびの資金においても、すべての被災農家を対象として、一日も早い営農の安定に向け、支援してまいりたいと思います。 自然災害を初め、県民の営みを脅かすさまざまな危機が増大する中、こうした危機を未然に防ぐ努力とともに、一たん発生した際の迅速かつ公平な救済対策の実施は、行政に求められる大きな役割であり、今回の災害はもちろんのこと、今後とも、共済制度を基礎としつつ、融資制度など県独自の対策を的確に講じてまいりたいと考えております。 また、
共済組合未
加入自治体に対する今後の加入指導と県の対応についてでありますが、大潟村に対しては、
共済組合連合会とともに、これまで再三にわたり制度の趣旨を訴え、組合の設立を働きかけてまいりましたが、自然災害が比較的少なく、また、農家の自立志向が強いことなどを背景に、共済制度がないまま今日に至っていることは極めて残念であります。 私は、大潟村に六十億円もの被害をもたらした今回の台風は、大きな被害と同時に、今後ともリスクを承知の上で現状維持を選ぶのか、このたびの経験を教訓として、共済制度への参加というセーフティーネットの構築を選ぶのか、厳しい選択を村に突きつけたものと思っております。組合の設立に法的拘束力を持たない状況の中で、その選択は、基本的に農家を初めとする村自身が熟慮の上判断すべきものでありますが、県としては、改めて組合設立に向けた気運の醸成に努めるとともに、村当局や農協等の関係機関に対し、いま一度、災害発生時の対応を確認し、最終的な決断を求めてまいりたいと思います。 次に、暗渠排水用資材の変更についてでありますが、暗渠管については、これまで排水性能や管材の強度などを勘案しながら、それぞれの地区にふさわしいものを採用してまいりました。平成五年まで使用していた薄肉のポリエチレン管は、強度の面から破損等の不ぐあいが一部に生じたため、平成六年からは主に土管を使用しておりました。 本年度、ポリエチレン管のみを使用することとしましたのは、その後の改良により、十分な強度が確保され、県内の施工実績から見ても、土管と比べ、管材の強度や排水性能について遜色がなく、特に、経済性にすぐれているためであります。この変更により、工事費を三割以上縮減し、地元負担の軽減を図るとともに、その縮減分を事業量の拡大に振り向け、早期実施を望む地元要望にこたえております。 御指摘の水あかについては、土壌中の鉄分が酸化して管内に付着するものであり、その付着状況を県内の実施六地区において内視鏡で調査したところ、管の種類による違いは認められませんでした。地元に対しては、こうした内視鏡の映像や現地の状況を確認していただきながら、排水性能や経済的メリットなどを各地区ごとに十分に説明し、変更について理解をいただいたところであります。 御提案の
素焼き土管については、排水性能や安定的な供給などが確保され、ポリエチレン管と同等の工事費の場合には、暗渠排水管の選択肢に取り入れてまいります。 また、暗渠排水工の適債化については、事業量の拡大、工期の短縮や事業効果の早期発現にぜひとも必要と考えております。このため、私自身、昨年から農林水産省に働きかけており、本年七月には全国知事会からも国に要望しておりますが、引き続き、みずから先頭に立ち、働きかけてまいりたいと思います。 次に、家畜排せつ物法の施行に伴う畜産農家の現況と指導についてでありますが、この法律の対象となる畜産農家の九六%に当たる七百十二戸が補助事業等を活用し、十月末までに処理施設の整備を終える見込みとなっております。取り組みのおくれている二十八戸については、不利益をこうむる場合もあることから、県、市町村、関係団体から成るプロジェクトチームを編成し、資金面の手当てや低コストの整備方法などを個別に指導し、十月末までに整備を終えるようにいたしたいと考えております。 また、こうして整備した施設から生産される堆肥を有効に活用するため、畜産農家と稲作農家等が参加する堆肥需給ネットワークを今年度中に構築するとともに、良質堆肥の安定生産と利用拡大を図るため、引き続き技術講習会等を実施し、堆肥の広域流通を一層進めてまいります。 次に、内水面漁業におけるコイヘルペス防止についてであります。 コイヘルペス病が昨年十月末に我が国で初めて確認されたことを受けて、直ちに県内のコイ取扱業者に対して、異常があった場合に報告を求めるとともに、感染地域から移入したコイを検査する監視体制をとりましたが、感染は認められませんでした。 しかし、七月十七日に雄勝町で本県初の感染が確認されたことから、速やかに郡内の取扱業者に対して注意を喚起したところであります。さらに、七月二十六日に仙北郡内でも感染が確認されたことから、全県に広がるおそれがあると判断し、同日付で全県の取扱業者に対し、移動の自粛を要請するなど、状況に即した適切な措置を行っております。 次に、取扱業者に対する支援でありますが、感染したコイを所有している業者は、知事命令に基づいてコイを処分することになりますので、その損害を一定の価格で補償することとしております。また、移動自粛に伴って、事業運営に支障を来す方には、低利の公庫資金や近代化資金を活用していただきたいと考えております。 今後の感染の拡大防止につきましては、まず速やかな通報、移入の際には感染がないことの確認、飼育魚等の河川や湖沼への放流の禁止が基本であります。その旨を徹底するとともに、取扱業者を対象とした定期的なモニタリング調査を実施するほか、巡回指導を強化してまいります。 三点目の新市「白神市」の名称撤回要求についてでありますが、この問題についてさまざまな意見があることは十分承知しておりますが、合併後の市町村の名称については、住民が愛着を持ち、心を一つにして新たなまちづくりに努力できるような名前を地域みずからが決定すべきものと考えております。能代山本地域の合併協議会では、そうした観点から、現市町村名を使用しないことを確認し、広く公募して、適正な手続により「白神市」と決めたものであり、その決定を尊重してまいりたいと考えております。この地域としては、長くなれ親しんだ市町村名を捨てることも、そして世界遺産地域の名前を冠することも、相当の覚悟を要したことと思いますが、「白神市」と決めた以上、まずは合併を成就させ、地域一丸となって、その名にふさわしいまちづくりを進めていただきたいと思います。
◆三十番(原盛一君) 一点だけ確認をさせていただきます。 災害補償法がなくとも、災害が発生した場合には災害制度の適用という知事の答弁がございました。私は、今現在、地球環境がこのように変化に富み、かつて考えられないような災害が発生するということは、これはだれしも考えていることだと思ってございます。しかしながら、共済制度にも--組合もつくっていないし、組合がないために入りたくても共済には入れないという、そういう農家の方々もおるわけなんでございまして、そういう方々を救済するためには、やはり
農業災害補償法に基づく共済制度の確立が最も喫緊の課題と思います。 それで、来年度、もし同じような災害に遭った場合、今年度と同じ災害制度の適用を知事は考えるのかどうか、その点についてだけお伺いいたします。 [知事(寺田典城君)登壇]
◎知事(寺田典城君) 原議員の再質問にお答えさせていただきますが、来年度同じような災害が起こった場合、ことしと同じような融資制度をするのかということでございます。
災害資金というのは、先ほども答弁したとおりでございまして、あまねく救済をすることを目的に融資するものでありますので、災害の対策の基本となる制度と考えておりますので、同じような形になり得ると、そのように御理解していただきたいと思います。 以上でございます。
◆三十番(原盛一君) ただいまの災害制度に関する再質問に対しまして、知事の答弁を聞いていますと、共済制度は必要ないというふうな感じに受け取られます、私の感じとしましては。やはり私は、今、そのうやむやな点をきっちりしておかなければ、共済制度は要らないし、
共済組合にも入る必要がない、つくる必要もないという意見になりかねないわけなんでございますので、その点を知事みずからの考えできっちりと答弁をお願い申し上げます。 [知事(寺田典城君)登壇]
◎知事(寺田典城君) 原議員の再々質問にお答えしますが、共済制度がないまま今日に至っていることは、私はまことに残念であるということは、大潟の村長さんにも含めてお話もしております。また、現地を訪問したときは、おたくは共済制度ありませんねと、こういうことについても指摘もしております。できるだけ加入するように努力していただきたいというふうな話もしております。ひとつ御理解賜りたいと思います。 以上でございます。
○議長(
鈴木洋一君) 三十番原君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。
△午前十一時三十四分休憩
---------------------------------------
△午後一時零分再開 出席議員 四十六名 一番 淡路定明 二番 田口 聡 三番 山内梅良 四番 三浦英一 五番
こだま祥子 六番
渡部英治 七番 門脇光浩 八番 平山晴彦 九番
柴田正敏 十一番 加成義臣 十二番
渋谷正敏 十三番 川口 一 十四番
瀬田川栄一 十五番 中田 潤 十六番 杉江宗祐 十七番 京野公子 十八番 大関 衛 十九番
小田美恵子 二十番 武田英文 二十一番 宮腰 誠 二十二番
小田嶋伝一 二十三番 木村友勝 二十四番 加藤義康 二十五番 安藤 豊 二十六番 土谷勝悦 二十七番 金谷信栄 二十八番 鶴田有司 二十九番 冨樫博之 三十番 原 盛一 三十一番 石田 寛 三十二番 高松和夫 三十三番 菅原 昇 三十四番 菅原龍典 三十五番 穂積 志 三十六番
大野忠右エ門 三十八番
中泉松之助 三十九番 津谷永光 四十番 安杖正義 四十一番
佐々木長秀 四十二番 佐藤次男 四十三番
工藤嘉左衛門 四十四番 長谷部 誠 四十五番 北林康司 四十六番 藤原俊久 四十七番 辻 久男 四十八番 北林照助
--------------------------------------- 地方自治法第百二十一条による出席者
地方労働委員会会長職務代行者 小西尚志 他は休憩前に同じ
---------------------------------------
○副議長(穂積志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第一、
一般質問を継続いたします。六番
渡部英治君の
一般質問を許可することにして御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○副議長(穂積志君) 御異議ないものと認めます。六番渡部君の発言を許します。 [六番(
渡部英治君)登壇](拍手)
◆六番(
渡部英治君) きょうは二十一日、みらい21の渡部です。 このたびは、二回目の質問の機会を与えていただき、議員各位に厚く御礼を申し上げます。 初当選以来、早いもので一年半が過ぎようとしております。また、昨年の決算特別委員会の総括質疑の当日、その朝に産まれた、イの一番に寺田知事からおめでとうと言われた二番目の孫も、間もなく十カ月になろうとしています。月日のたつのは大変早いという感じに思っています。これまでを顧みますと、いろいろな経験をさせていただいておりますし、毎日が勉強と、そういった状態であったと思います。特に、先輩議員の皆様にはいろいろ御指導をいただいていますこと、そして、当局の皆様に改めて厚く御礼を申し上げます。 それでは、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 ところで、この後で質問が予定されています渋谷議員が先回の
一般質問でいわく、「自分は気持ちが小さいので、十分の一も思ったことを言えない」と。私は、逆に、思ったことはすぐ出す性格であります。渋谷議員ほど心臓は強くないんですけれども、多少勇み足があるかもしれませんが、その辺は寛大なる議員各位の御協力をいただきながら、質問をさせていただきます。また、午前中の原議員と重複する部分もあると思いますが、その点もよろしくお願いいたします。 初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。 七月十三日付新聞報道によると、寺田知事は定例記者会見で、参議院選秋田選挙区の結果が来春の知事選にどう影響するかとの問いに対して、「私には有利に働くと思う」と、思わず本音とも取れる発言をしたとのことでした。しかし、三期日の出馬の意思については、「市町村合併や学校の統合など日々の仕事に追われている。ほかのことを考えている余裕がない。一日一日が重い」と言葉を濁したと報じられております。 私なりに解釈すると、三期日への意欲はあっても、今のところ出馬のタイミングを見ているという状況にあり、いずれそのうちにその時があろうと受けとめております。したがって、その前提のもとで質問をしていきますので、御了承のほどよろしくお願いいたします。 寺田知事は、平成九年の初当選以来、これまで、斬新なアイデアと大胆な手法により、行政改革を初め数々の実績を積み上げてこられました。そして、二期目の任期としても最終段階に入ろうとしている今こそ、知事としてのこれまでの総括をするべきではないでしょうか。 そこで、第一点目として伺いたいのが、総合計画の総括と将来ビジョンについてであります。 まず総括に当たっては、ことしが第二期実施計画の二年目に当たる、あきた21総合計画政策に対する検証と評価を的確に行うことが不可欠であります。私は、その上に立って、将来の秋田県の姿を示す必要があろうと考えております。 もっとも県としては、平成十一年度から政策評価システムを導入し、政策、施策、事業の各段階で評価を実施しているところであります。さらに、平成十四年度からは、秋田県政策等の評価に関する条例の施行により、政策評価のより客観的で厳格な実施と県民への説明責任の徹底を図ってきたものであります。 十五年度実施の政策等に対する評価結果については、ことしの二月に報告書が作成されておりますが、あきた21総合計画に関しては、「総じて順調」及び「おおむね順調」との総合評価がなされております。そこで、十六年度実施の評価結果の施策目標の達成状況に関する当局資料に基づき、十五年度末までの目標達成率を私なりに検証してみました。全体の約三分の二程度はほぼ目標達成との成果を上げているようですが、目標未達成の施策で、特に目につくこともあります。例えば、地域中核病院整備済数目標達成率六〇%、あったか子育てサポート施設の整備数六七%、また、戦略作物の販売額では、野菜七一%、花卉八八%、果樹六五%、さらに新規創業の促進が七三%、Aターン就職者数が六八%等々であります。つまり、医療体制、子育て支援、農林水産業の振興、雇用対策等の施策については、まだまだ十分な状況になっていないと言えます。このことは、先ごろまとめられた県民意識調査で、県の施策に対するプラス評価がわずか四項目だったという結果に符合するものと思います。 そこで知事にお尋ねしますが、あきた21総合計画については、これまでの総括と次期実施計画に向けた目標値の見直しが必要と考えます。そして、先ほども申し上げたとおり、その成果と反省の上に立って、今後の秋田県の姿について示す必要があることを強調したいわけであります。知事の御所見をお聞かせ願います。 二点目は、知事公室新設のねらいについてであります。ことしの六月に次期行革の基本方針が示され、分権型行政運営システムの整備の一環として、知事部局の組織の再編、見直しを行い、新たに知事直属の知事公室を設置することが明らかになりました。知事公室のあり方については、二月定例会の総務企画委員会でも質疑が行われ、知事のトップダウンがさらに加速されないか懸念する意見や、知事の考え方などを調整する受け皿として必要であるとの意見が出されています。また、先般実施された秋田県行革推進委員会でも、知事公室の新設に関して質疑が交わされたと聞いております。 そこで知事に改めてお尋ねいたしますが、知事が目指す知事公室の新設のねらいとメリットについてであります。私は、シンクタンクの形成が最も重要であると思いますが、知事の率直な御答弁をお願いいたします。 政治姿勢の三点目は、知事の夢についてであります。寺田知事は、六月定例会の総括質疑における中田潤議員の「知事の夢は」という質問に対して、「将来の夢と現実的な考え方の夢といろいろある中で、当面する県政の諸課題について、具体的な事例を挙げながら、その実現に向けて一生懸命努力している」と答えられております。また、「夢はその人の考えることとか、また、自分が持っている希望ということもあるでしょうから、一概にすべて割り切って話できるというわけではない」とも述べております。確かにそのとおりだとは思いますが、中田議員が期待した答えは、できるだけ県民にわかりやすく、県民に勇気を与えていただけるような夢であったと思います。私も全く同感であります。 ところで、先般、海外調査としてアメリカ合衆国のネバダ州を視察し、ネバダ州知事の側近の方と対話する機会がありました。その内容については別途報告することになっておりますので、特に対話の中で印象に残ったことを申し上げます。それは、ネバダ州知事の夢について質問したところ、「教育のグレードアップ」と自信を持って即答してくれたことであります。 ネバダ州は、大学進学率が五〇%と決して高くはなく、教育にこそ一番力を入れたいとの話でした。まさに「教育は人なり」、ネバダ州知事の思いがみんなに伝わっていることが感じられました。また、ネバダ州立大学として教育の輸出を考えており、既に東京キャンパスが開設されております。決して自然環境に恵まれているとは言えないネバダ州。しかし、交通の利便性を活用した企業の活性化対策により人口が増加するなど、着実な成果を上げております。 私は、ネバダ州の現状をただうらやましく思うのではなく、我が秋田の未来は自分たちの手でと、決意を新たにしたところであります。 大変前置きが長くなってしまいましたが、本題に入ります。 秋田は、自然に恵まれたすばらしい県だと思います。しかしながら、現状はどうでしょうか。人口減少率ワーストワン、自殺率ワーストワンは、一体何を意味するのでしょうか。確かに、寺田知事は、これまでの二期七年間、負の遺産から脱却し、新たな寺田カラーのもとで行財政改革を初め、県政運営の長期指針となるあきた21総合計画--時と豊かに暮らす秋田を策定し、少子・高齢化対策、産業の振興など、本県の基本課題へ的確・果敢に対処してきたことは県民も認めているところであります。また、情報公開も積極的に行い、県民参加による開かれた県政の確立に努力されたことも事実であります。特に国際教養大学の開学に当たっては、強い信念と情熱で、将来の秋田や日本を切り開く優秀な人材を育成する場を築いたこととなり、県民の一人として深い敬意を表します。 しかし、改めて県民生活の向上という視点から見詰め直したとき、本当に県民が現状満足しているかという点では疑問符であります。 そこで、改めて知事にお尋ねいたします。寺田知事の夢は県民の夢であり、知事が描く夢や希望が持てるようなグランドデザインは、県民の未来に対するエネルギーになると確信しております。知事の夢をずばりお答え願います。 さて、県民の間では、知事選三期目への出馬を望む声が高まっています。私も、これまで知事が県政運営の基本としてきた、徹底した情報公開による公正で透明性のある県政の推進、厳しい財政状況の中での行財政改革の実施、県民参加型行政の推進など、その取り組みを高く評価しております。 そこでお伺いいたしますが、寺田知事にはぜひ三選出馬への決意を期待するものでありますが、もし決意できないとすれば、どのような心情にあるのか、率直にお聞かせ願いたいと思います。 時間の関係で、ちょっと急ぎます。 次に、新たなテレビ局の開設についてお尋ねします。 この件については、平成十四年度の「県民の声」でも設置の要望があり、県からの回答は、平成十八年度からは地上波が順次デジタル化することもあって、新規開局は難しいとありました。しかし、現時点での計画では、秋田県においては、必ずしもすべてが十八年からデジタル化となるかは未確定であると承知しております。現在、秋田市や大内町ではケーブルテレビでTBSが見られるようですが、全県への拡大は予定にないとのことです。 さて、それでは、北東北三県と山形県の現状はというと、TBS放送局がないのは秋田県だけ、フジテレビ放送局なしは青森県だけ、岩手県と山形県はテレビ朝日、日本テレビを含め四局ともあり。もちろん宮城県、福島県は四局のほかに他の放送局もあります。 なぜこの問題を取り上げているかというと、サッカーワールドカップやオリンピック、そしてナイターなどの独占中継が秋田県では見られないという悔しい思いをしている県民の声が聞かれるからであります。また、若い層向けの番組も多い同局の放送が見られないということなど、若者の閉塞感につながらないか、心配です。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、知事が目指す県民の協働という観点からは、情報・文化の不公平に当たるとも言えるのではないでしょうか。 県では、既設の三局に出資するなど放送局とのかかわりはあるわけですが、県の厳しい財政事情からすると、新たな開局は難しい面はあることは承知しております。そこで、北東北三県の歩調を合わせる意味でも、民活を含めた知事の諮問機関なども視野に入れた取り組みを要望し、知事の御所見をお聞かせ願います。 次に、
三位一体改革と財政運営についてお尋ねします。 一点目は、税源移譲シミュレーションと財政見通しについてであります。 国から地方への三兆円規模の税源移譲の見返りとして、全国知事会など地方六団体がまとめた
補助金削減案が八月二十四日の経済財政諮問会議に提出され、国と地方の税財政改革である
三位一体改革の論戦が火ぶたが切られたのは御案内のとおりであります。 ここに至るまで、毎日のようにマスコミ報道がなされていますので、詳しい内容は申し上げる必要もないと思いますが、「悩める知事会・深夜まで激論」とか「国と地方が財源争い、今秋まで議論難航も」などの新聞記事にも象徴されるように、限られた時間の中で、財政再建と地方分権の両立をどのように図るかが焦点であることは間違いありません。決して税が減って異常事態になるという、いわゆる「税減異常」とならないように願っております。ちょっと意味がわからなかったようですけれども。 いずれにしても
三位一体改革は、平成十八年度まで三年間の第一期改革における税源移譲の三兆円と、移譲対象補助金三兆二千億円の全体像の策定と、財務省による予算編成を見きわめなければなりません。 そこで知事にお尋ねしますが、年内に改めて示すことになっている中期的な財政見通しについては、
三位一体改革を加味したもので作成するものと認識しておりますが、十七年度予算編成の上からも、税源移譲シミュレーションも作成すべきと思います。今後の財政見通しについてもあわせて、知事の御所見をお聞かせ願います。 二点目は、
義務教育費国庫負担金の関連についてであります。 全国知事会に異論が続出した
義務教育費国庫負担金削減については、二兆五千億円のうち、中学校分八千五百億円を削減対象とした最終案に対して、寺田知事は条件つき賛成、つまり財政的に弱い地方でも義務教育制度がしっかり機能するような制度をつくるなどして機会均等を確保した上でなら賛成という立場をとったわけであります。 しかしながら、この件については、疑問視する声もあり、経済財政諮問会議でも意見が対立し、政党や省庁、識者の間でも意見が割れているという実態にあります。 肝心なことは、国の根幹でもある義務教育のあり方を十分議論した上での決定であったのか、また、財政力のある自治体とそうでない自治体との間で教育水準に格差が生じないためのしっかりとした財源の保障がなされるかどうかが重要なポイントであると思います。 そこで改めて知事にお尋ねします。義務教育費負担金削減に関する知事の基本的な考え方と、財源の確保についてどのように対処していくのか、お答え願います。 次に、農林水産業対策についてお尋ねします。 一点目は、台風十五号等による災害対策についてであります。 質問に入る前に、このたびの一連の台風により被害に見舞われました農林水産業の方々を初め、被害者の皆様には、改めまして心からお見舞いを申し上げます。また、復旧作業や被害対応に当たられました関係者の皆様の御労苦に対しましても、県民の一人として厚くお礼申し上げます。 さて、平成三年九月の台風十九号に次ぐ被害規模となった台風十五号の被害額は、農林水産関係では百九十七億二千万円となり、台風十六号、十八号と合わせて二百億円にも達しております。中でも、南秋田郡から由利郡にかけての沿岸部を中心とした水稲の塩害は百五十三億円を超え、十八市町村の平均減収率は三六%と見込まれ、特に象潟町での八三%を筆頭に、金浦町七五%、仁賀保町七三%と、深刻な被害状況になっていることは周知のとおりであります。 県当局では、知事を先頭に、現地確認調査の実施や被害対策について
農林水産部を中心として鋭意取り組み、今般の九月補正に速やかに予算措置しており、その対応の早さには敬意を表します。一方、県議会においても、農林水産委員会が現地調査や委員会を開催しており、私も九月一日の委員会を傍聴させていただいた次第であります。 今さらながら痛感させられるのは、台風や洪水などの災害が発生するたびに、大きな被害と痛手を受けてきたのは、農林水産業の方々だということであります。汗水流し、精魂込めて育てた稲や野菜、そして花卉が風で倒される、泥水で流される。いや、根こそぎ倒される。漁船や網なども容赦なくこわされる。森林は、松くい虫の被害ともあわせ、無残な姿になってしまいます。思い起こしただけでも、落胆する人たちの顔が目に浮かびます。 このままではやり切れないでしょう。せめて、ふだんは夢や希望の持てる農林水産業経営であれば問題はないわけですが、現状はそうではなく、厳しい、苦しいと感じている農家も多いと思います。県や国では、これまでも農林水産業の振興策に重点を置いたさまざまな政策や施策を講じてきておりますが、果たして現状を打開できるものであったかは、疑問も生じるところであります。決して机上プランなどとは申しませんが、もっと農業県秋田にマッチした施策が必要と思います。 すべてを見直しせよなどとは申しません。特に強力に対策を講じてほしいのは、農林水産業総体の経営基盤安定策の充実であります。抽象的な表現で申しわけありませんが、とにかく県と市町村が連携をとった独自の対策に重点を置くべきであります。 今回の台風被害に際しては、県当局では、被害対策として、共済金の早期支払いや融資条件の緩和、そして経営安定や施設復旧のための県単資金創設の検討など、さまざまな対策を講じることになっており、評価できますが、特にその中で、県単資金の創設や
災害復旧事業、そして天災融資法適用も含め、あらゆる角度から検討の上、知恵と工夫による被災者の意欲を支える態勢づくりに万全を期すべきと考えます。また、台風などによる塩害に対しても、品種改良も視野に入れた方策を講じる必要があると思います。今後、分権時代の到来で、国から県への税源移譲も進むことが期待される今こそ、思い切った独自策を望みます。農林水産業が元気にならなければ、秋田も元気が出ません。秋田県の存亡は、農林水産業にかかっていると言っても過言ではないでしょう。知事の力強い御答弁をお願いいたします。 二点目は、「
ひとめぼれ」への酒米混入問題についてであります。 前代未聞の出来事と思っていたら、昭和六十年にも同様な問題が発生していたことがわかり、正直言って唖然としております。 被害を受けた農家の皆様には、台風の被害と重なった方もおり、まさにダブルパンチを受けたことになり、重ねてお見舞い申し上げます。 この問題については既に十分に検証が行われているわけで、あえて私から内容を説明する必要もないと思いますので、対策に的を絞って三点についてお尋ねします。 一点目、農家の不安の払拭と秋田米の信頼確保については、イメージダウンが懸念されることからも、特に消費者の目は厳しいことを念頭に置き、市場に出回らなくても、万全な対策を講じること。 二点目、「
ひとめぼれ」を栽培した農家に、経営安定対策として、実質的な不利益を生じないよう的確な補償を行うこと。 三点目は、再発防止対策について。県内の農家の方々は、地域水田農業ビジョンにも掲げているように、売れる米づくりに向けて一生懸命頑張っています。それに水を差すようなことは二度と起こさないよう、再発防止を徹底することが大使命であります。 折しもことしは、「あきたこまち」誕生二十周年に当たり、各種イベントも開催され、あきたこまち誕生二十年懇談会では、安心感提供、品質アップ、コスト削減に励み、
秋田米ブランドの向上に一層努力することを誓ったとの報道がありました。指導的立場にある県職員の初歩的ミスとも言える酒米混入問題については、厳しい姿勢のもとで、責任問題をも視野に入れた再発防止に努めるべきと思います。以上、三点について知事の御所見をお答え願います。 次に、真木ダムの建設についてお尋ねします。 太田町の県立自然公園真木渓谷に建設が予定されている真木ダム建設については、昭和五十六年の調査着手から、幾多の紆余曲折を経て、現在は五市町村による真木ダム建設推進協議会が中心となって、事業の目的である洪水調節、流水の正常な機能の維持と水道用水確保の実現に向けた運動を展開していることは、御存じのとおりであります。これまでの約三十年という長い間、かつてははんらんを繰り返した斉内川の改修や、玉川を水源とするいわゆる田沢疎水によるかんがい事業の完成などは、先人たちのたゆまぬ努力の賜であり、国や県を初め関係市町村、そして先輩議員など関係各位に対しまして、改めて敬意を表するものであります。 しかしながら、地元住民の切実なる願いである水源確保については、いまだにダム建設のめどが立っていないことからも、建設計画に対する期待と不安が入りまじった声が出ていることは事実であります。特に、最近の動きとして、大きな転換期を迎えているような気がします。 まず第一に、八月六日に開催された真木ダム建設推進協議会での「ダムは地域住民の悲願であり、県当局の一日も早い決断を望みたい」との会長発言に対して、地元の先輩県議からは、「真木ダムは、農業用水だけでなく、上水道の水源としても必要だと計画されて以来、一向に進展がない。その原因は何か。かけ声だけでなく、もう一度過去を振り返って検証すべきではないか。市町村合併で来年からは大仙市全体の問題になる。そういう意味でもことしは節目の年であり、実現に向けて努力したい」と、まさに本質を突いた発言であったと思います。 一方、前後して八月五日に開催された太田町、仙北町、中仙町を対象とした知事の市町村懇談会の席上では、各町村から真木ダムの早期着工が要望されたことに対して、寺田知事は、「今後、ダム関係の補助金が不透明なことに加えて、環境問題や費用対効果の問題も含めて事務レベルで多方面にわたり検討している。住民の意見も聞いて十六年度中に方針を示す予定である」と答えたとのことでありました。まさに、十六年度中に方針をという点では、それぞれの思いが一致しているのではないでしょうか。 真木ダム建設については、これまでも多くの先輩議員が工業用水活用なども含めて議論を展開してきたところは承知しておりますし、昨年の十二月定例会の建設委員会でも、十五年度公共事業再評価調書における真木ダム建設事業の進捗状況や、事業をめぐる社会経済情勢の変化、そしてコスト縮減や代替案立案の可能性の観点などが確認されたところでもあります。 私は、この際、この問題については、知事の発言にもあったように、住民の意見を十分に聞くことが大切であり、そのためにも多方面にわたる検討事項を速やかに住民に示す必要があると考えます。例えば、秋田第二工業用水の活用についても、国庫補助金の取り扱いが柔軟な対応も期待できる要素なども勘案すると、一考察に値するのでは。 いずれにしても、いろいろな角度から科学的な根拠に基づき、県が主体的になって調査し、住民が具体的に判断できるデータを示すことが肝要であります。もちろん真木ダム建設推進協議会や関係市町村との十分な協議も必要であります。そういった段取りを踏んで方針を打ち出すべきと考えます。知事の基本的な御所見をお聞かせ願います。 ところで、もう一点、大変気になることがありますが、最後の質問に入らせていただきます。さきに述べた市町村懇談会の中で、地元からは、玉川ダムの水を飲料水に使うことは、安全性の面から住民の理解を得ることは困難であるとの発言が出ております。実は、これまでも、「真木ダムのかわりに毒水である玉川の水を飲ませるのか」という地元住民、あるいは首長や議員の発言を耳にすることもありました。 確かに、玉川ダムの上流約二十二キロメートルに位置する玉川温泉は、全国でもまれに見る強酸性泉で、その温泉が流れ込む玉川は、昔から玉川毒水と呼ばれ、魚もすめない、沈黙した川でした。しかし、平成元年の酸性水中和処理施設の運転開始により、下流の水利用のため、恒久的に水質改善が図られていることは御案内のとおりであります。現に、雄物川及び玉川沿いの仙北平野の農地約一万二百ヘクタールに対してかんがい用水を補給しており、秋田市や雄和町の水道水として、一日最大十一万三千九百トンを供給しています。また、秋田県の平成十五年版「環境白書」によれば、角館町岩瀬川付近でpH六・五、中仙町の長野大橋付近で六・九、大曲市の玉川橋付近では七・〇とほぼ中性に近く、水質汚濁についても、上流、下流ともBOD、CODに係る環境基準を満たしています。 なぜ私がこの玉川の水質のことを申し上げているかというと、認識の違った話が広まると、売れる米づくりを目指している農家や、毎日飲んでいる住民の皆様の不安をあおることになり、大変大きな問題になりかねないからであります。この際、ダムの建設の有無にかかわらず、玉川の水質に関しては県当局が責任を持ってきっちり説明する必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問は終わりますが、再度、寺田知事に申し上げたいことがあります。 感動と日本選手のメダルラッシュに沸いたアテネオリンピックが終わってから約一カ月が過ぎようとしています。まだその余韻が冷めやらぬ中、某自動車メーカーのキャッチコピーが、新聞広告から私の目に飛びこんできました。 勇気。自信。あきらめない強さ。……あなたがくれたものは、メダルよりずっと重い。ありがとうアテネオリンピック日本選手代表!その挑戦はきっと、どこかで誰かのチカラになる。MORETHANBEST!もっと先へ行ける。 まさに、私たちに必要なのは、「モア ザン ベスト」であります。そして、それと同時に、厳しい行財政運営のもとで、諸課題山積の状況にあっても、常に頂上を目指す寺田知事にとって、熱いエールとも受けとめることができます。寺田知事の今後ますますの御活躍、御奮闘を期待申し上げますとともに、秋田県民に夢と希望を与えてくれる、そんな御答弁をお願いいたしまして質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(穂積志君) 県当局の答弁を求めます。 [知事(寺田典城君)登壇]
◎知事(寺田典城君) 渡部議員の御質問にお答えいたします。 最初に、私の政治姿勢についてでありますが、初めに、総合計画の総括と将来ビジョンについては、あきた21総合計画では、目標達成型の行政を目指し、三年ごとに定めてきた実施計画において、すべての施策に達成すべき数値目標を設定し、県民に秋田の将来の姿をわかりやすく示しております。平成十五年度から十七年度までの第二期実施計画においては、二十一の政策と七十の施策を掲げ、特に、少子化対策や経済・雇用対策などを重点的に進めることとしております。 現在、初年度である十五年度分の評価を取りまとめ中ですが、政策ではおおむね順調と評価できますし、施策ごとに見ても、七十の施策を構成する二百七の施策目標のうち、達成率が九〇%以上のものが全体の約七割となっております。 しかしながら、第二期実施計画策定以降、携帯電話やブロードバンドの普及などIT化の進展、基幹産業の海外進出に見られる経済のグローバル化のほか、デフレの長期化など、予想を超えた経済・社会の変化が生じております。また、国、地方を通じ、長期借入残高が七百兆円を超えるなど、財政状況は一層厳しさを増しており、従来型の財政出動による景気浮揚は困難であります。 こうした状況の中で、企業においては、徹底した人員削減や組織の効率化を進めた結果、ようやく利益を出せる自立型の経営体質に転換してきております。 一方、雇用面では、契約社員やフリーターの増加などによって労働者の所得に大きな格差が生じてきており、年金や医療保険の制度にも影響を与えるなど、新たな社会問題になりつつあります。 このような経済・社会の変化とともに、三位一体の改革の動向や市町村合併後の姿を踏まえた上で、施策目標の見直しはもとより、重点的に取り組むべき分野について検討を行いながら、来年度、次期実施計画を策定してまいります。 なお、平成十二年に策定した基本構想は、地方分権への対応や人々の価値観の多様化など、時代の流れを先取りしたものであり、「遊・学3000」自由時間の活用という視点と、計画が目指す「時と豊かに暮らす秋田」は、現在も変わることなく、県民と共有できるものであると考えております。 次に、知事公室の新設のねらいについてでありますが、さきに開催された全国知事会では、
三位一体改革について、深夜を挟みながら二日間にわたり、本音のぶつかり合いとも言うべき激しい議論が交わされました。その結果、国に対する国庫補助金削減についての改革案の提出という、知事会としての歴史的な決定がなされました。 このことに象徴されるように、今、国と地方の関係は、中央集権システムではなく、それぞれの地方が独自にその個性と特徴を生かしながら競い合い、国に対しても意見や政策の提言をしていく時代を迎えております。今、知事に求められている責務は、国際化や情報化などの進展により、ますます多様化する時代に対応し、国レベルでの動向を踏まえた判断に基づき、県民に対して確たる方向性を示し、スピーディーに行動することであると考えております。 このため、国内外の情報を独自のルートで収集、調査、分析し、県政の基本的な課題に大局的な観点から方向づけを行い、さまざまな問題を調整するセクションが必要と考えております。現在、新設を検討しております知事公室は、従来の総務部及び企画振興部の一部を再編し、こうした役割を担うため、行政改革の推進、道州制を含む広域行政のあり方や地方分権への対応、情報収集機能や情報提供機能の強化、災害発生時などにおける危機管理システムの充実などを図るものであります。このような体制を整えることにより、県政を担う責任あるリーダーにとって、時代が要請する多様な課題に、より一層柔軟かつスピーディーに対応することができるようになるものと考えております。 次に、私の夢についてでありますが、平成九年に知事に就任して以来、今日に至るまで、県勢の発展を目指し、全力を挙げて職務の遂行に当たってまいりました。この間、過去の問題の処理に追われた時期もありましたが、県政運営の長期指針となるあきた21総合計画の着実な推進を基本としながら、自己決定、自己責任に基づく行政運営を行う地方分権の推進、男性も女性もともに個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の形成、国際化への対応など、県政を取り巻く諸課題に、機動的、重点的に取り組んでまいりました。こうした施策の推進を通じて、県民一人一人がこの秋田に住んでよかったと実感できる、豊かな秋田を実現していくことが私の夢であり、県民の負託にこたえることになると考えております。 その基本は、本県の未来を切り開く、個性豊かな教育・人材の育成であり、生涯にわたって健やかで生き生きと活躍することができる健康づくりであり、また、水と緑豊かな自然と調和し、快適な生活を享受できる環境の整備であります。夢の実現に向けては、片時も歩みをとめることなく、日々全力を挙げて取り組んでおりますが、多くの克服すべき課題もありますので、今後とも、県議会を初め県民の皆様の御協力を得ながら、最善を尽くしてまいりたいと思います。 また、議員から、知事の夢は県民の夢であるとの御指摘がございましたが、県民の皆様の夢を受けとめ、それを実現していくことは、知事としての使命であると考えておりますので、できる限り県内各地を訪問するとともに、市町村懇談会や
とことんトークなどを開催しながら、県民の声、県民の夢の把握に努めております。 次に、知事選への出馬についてでありますが、ただいまは、私の県政運営に対する評価をいただき、率直に感謝を申し上げたいと思います。 グローバル化を初め、時代の流れは速く、従来の中央集権など、さまざまなシステムが追いつけないほど社会が変化する中で、私はこれまで、本県が自立し生き残っていくためには何をなすべきか、また、県民、そして県政の発展にとって何が必要かということを常に考えながら、一生懸命、県政運営に努めてまいりました。ここまで来られましたのも、県議会を初め県民の皆様のおかげであり、心より感謝いたしております。 現在、国の
三位一体改革に伴う取り組みや、教育や警察も含めた県行政全体の聖域なき改革、さらには、地域の未来を切り開く市町村合併への対応など、地方分権の実現に向けたさまざまな取り組みが本格化する段階を迎えております。今は、こうした仕事に、常にベストコンディションを心がけながら、一日一生、全力を傾けてまいりたいと思います。 なお、三選出馬についてでありますが、これから先の数年間は、国政、県政ともに、あらゆる面で大きな変革期を迎えることになります。今後の日本全体の行く末に多大な影響を及ぼすことになるこの時期における知事の責任というものは、これまでにも増してはかり知れないものになると認識しており、公正な判断力、行動力、体力、気力など、政治の世界に長く身を置くことに耐え得る力、そのどれが欠けても責務の遂行は不可能であります。このような時期において、私たちが愛する郷土のために、何を、どれぐらいできるのかということについて、現在、真摯に思いをめぐらせているところであります。いずれにいたしましても、私には、県民の皆様に対しまして大きな責任があり、いろいろな課題や重圧の中で一生懸命考えているところであります。できるだけ早く結論を出させていただきたいと思います。 二点目の新たなテレビ局の開設についてでありますが、県においては、テレビ局が開設される際には、情報格差の是正、県民文化の向上という観点から、積極的な支援を行ってきたところでありますが、これまで同様、開設はあくまでも民間がみずからの経営判断のもとに行うべきものと考えております。 また、平成十八年度からは本県でもデジタル放送が始まることを受けて、新しいテレビ局は、当然デジタル放送への対応が前提になります。所管する総務省では、デジタル放送を許可するのは、アナログ放送が終了する平成二十三年までは、現在アナログ放送を行っている事業者に限定し、それ以降の新規参入については改めて検討する方針を示しております。 しかしながら、県民への情報提供の機会を拡大していくことが重要であることから、既存テレビ局に対して、デジタル放送が有する高機能サービスを活用し、県民がより多方面から情報を享受できるよう対応を促すとともに、新たなテレビ局については、今後、産業界を含めた気運の盛り上がりに応じて、平成二十三年を待つことなく開局できるよう、国に対して働きかけてまいりたいと考えております。 三点目の
三位一体改革と財政運営についてでありますが、初めに、税源移譲シミュレーションと財政見通しについては、さきの
全国知事会議において、国から要請された
国庫補助負担金削減の具体案を取りまとめることができたのは、各県知事とも、政府からの要請に対し、全国知事会としての責務を果たすという使命感や、地方分権の流れはもはやとめられないといった強い思いがあったからこその結果だと思います。この
三位一体改革については、地方六団体からの改革案提出を受けて、国は、十一月ころには、補助金改革、税源移譲、交付税改革の全体像を示すとしております。現時点で、この全体像の中身は明らかではありませんが、来年度に向けた税制度の改正や地方財政対策の内容等を総合的に示すものになると受けとめております。県としては、それをもとに税源移譲等のシミュレーションを行い、年内に改めて示すこととしている中期的な財政見通しに反映してまいりたいと考えております。 いずれにしましても、国の予算における国債依存度が約四五%となり、国と地方を合わせた長期債務残高が七百兆円を超えるなど、国、地方を通じた財政は、まさに危機的な状況にあると言わなければなりません。そうした中で、三位一体など国の改革の動向にかかわらず、県と市町村が一体となって、実行できることを着実に実行することが必要であります。いかなる厳しい状況になろうとも、それに耐え得るようなスリムで効率的かつ柔軟な行政システムを構築し、徹底したコスト縮減と施策の重点化を図りながら、一層の行財政改革を進め、県民の期待にこたえることのできる行政体にすることが何よりも重要であると考えております。 次に、
義務教育費国庫負担金の削減についてでありますが、去る八月十八日、十九日の両日にわたり開催された
全国知事会議においては、会議の冒頭、義務教育のあり方を徹底して論議し合うということを確認した上で、出席した知事のほぼ全員が、さまざまな観点から教育論について熱く意見を述べ合うなど、大変に有意義かつ歴史的な会議であったと思っております。
義務教育費国庫負担金が廃止され、一般財源化されたとしても、義務教育の機会均等、水準確保及び無償制の維持のために必要な財源を他に回し、教育をおろそかにするなどということは私には到底考えられないことであり、県民も容認するはずもないと思います。むしろ、一般財源化によって、地域の自由度と責任が高まり、地域間での競争が生まれ、地域の特性を生かした教育を行うことができるようになるものと考えております。 国は、
国庫補助負担金の廃止に伴う税源移譲を確実に行うとともに、それにより生じる地方公共団体間の財政力格差を是正する
地方交付税の財源調整機能等を引き続き確保すべきであると考えております。 地方六団体においては、八月二十四日、それぞれの代表が、総理大臣や総務大臣等主要閣僚と面談し、この改革案の実現を強く求めるとともに、経済財政諮問会議の場でも説明をしております。また、去る九月十四日には、新たに設けられた国と地方の協議の場において、地方六団体の代表が関係閣僚に対し、地方の思いを強く訴えております。 平成十二年の地方分権一括法の制定以降、自治事務の拡大や市町村合併の推進など、分権型社会の実現に向けた具体的な取り組みは着実に進んでおり、本県においても、六十九の市町村が二十一の市町村に再編される見込みとなっております。三位一体の改革は、このような国と地方の役割の見直しと、その裏づけとなる税財源のあり方を変えようとするものであり、国と地方が一体となって進めていくべきであると考えております。また、国民や県民に対しても、地方分権に向けたこうした時代の流れについて、あらゆる機会を通じ、理解してもらうよう強く訴えていきます。 四点目の農林水産業対策についてでありますが、初めに、台風十五号等による災害対策については、このたびの台風では、強風による果樹の落下やハウスの倒壊に加え、かつて経験したことのない塩害により、収穫皆無という壊滅的な被害を受けた地域もあります。私自身、現地の状況を目の当たりにし、農家の方々が、この苦難を乗り越え、今後の営農に意欲を持って取り組んでいただくことが何よりも重要であるとの思いを強くいたしました。 このため、被災農家が緊急に必要とする営農基盤の確保と生活維持のための資金として、県単独で十五億円の融資枠を設け、低利の災害対策資金を創設したいと考えております。さらに、水稲、大豆の種子購入助成や、収穫の望めない稲の飼料・堆肥としての利用促進、ハウス等の生産施設や果樹の復旧支援など、各作目ごとの対策を提示し、その中から、市町村が被害の実態に即し、効果的な対策を選択し実施するというメニュー方式の支援制度を設け、農家の経営基盤の復旧と再生産への取り組みを全力を挙げてサポートしてまいります。 なお、塩害対策については、現在の交配育種の技術では、塩分付着に耐えられる品種の育成は困難であり、被害の軽減には、収穫時期の異なる品種の作付による作期の分散が考えられますが、今後、被害状況を詳細に検証し、有効な軽減策があるかどうか、研究してまいりたいと思います。 農業は天災の影響を最も受けやすく、また、天候により価格も左右されやすい特性を有しております。農業者が創意工夫を生かし、意欲を持って農業経営を展開するには、こうした災害や価格の乱高下を乗り越え、果敢にチャレンジできるシステム、いわゆるセーフティーネットの充実が不可欠であります。 このため、経営リスクの分散の観点からも、引き続き戦略作目の導入・拡大のための支援策や、野菜、花卉の価格安定対策の充実を図り、経営の複合化、多角化への取り組みを加速化してまいります。また、収入・所得の激変緩和を目的とした新たな経営安定対策の早期創設や、
農業共済制度の改善について、国に対し積極的に提言・要請してまいりたいと思います。 次に、「
ひとめぼれ」への酒米の混入についてでありますが、この原因は、種子生産の根幹をなす原原種の生産段階で発生したものと判断しており、秋田米全体の信頼を損なう深刻な問題で、その責任は重く、私自身、大きな衝撃を受けております。県としましては、混入の事実を確認した直後から、この問題によって農家の経営や秋田米の評価などに影響が生じないよう、各種の対策に全力を挙げて取り組んでまいりました。 第一点目の秋田米の信頼確保につきましては、収穫や集荷において、他の銘柄米と厳格に区分することが不可欠であることから、農家や農協の協力を得て、現地調査により混入種子が作付された圃場を特定し、刈り取りや集荷、保管の体制を整えたところであります。 さらに、こうした対策について、全国の卸業者に直接出向くなどにより説明したところであり、おおむね理解が得られたものと考えておりますが、引き続き秋田米の信頼確保に努め、県内農家の不安を解消してまいりたいと考えております。 二点目の農家の経営安定対策については、酒米の混入した種子の供給を受けた農家の方々に対し、全農あきたや農協の協力を得て、通常の種子や銘柄米と同額の仮渡金と精算金を支払い、稲作経営に支障を来さないようにすることとしております。 三点目の
再発防止策についてでありますが、異
品種混入の防止を徹底するためには、第三者による客観的で専門的な視点から原因を詳細に検証し、その上で混入防止のための改善策を策定する必要があると考えております。このため、法律や品種改良等の専門家で構成する調査委員会を設置し、十一月上旬を目途に、混入防止対策を策定することとしております。また、責任問題については、調査委員会による検証結果を踏まえて、厳正な対応をしてまいります。 五点目の真木ダム建設についてでありますが、真木ダムは、多目的ダムとして昭和五十六年から国の補助を受け、調査を進めてまいりましたが、貯水池が真木真昼県立自然公園にかかることから、ダムサイトの位置の検討や環境への影響調査に時間を要してきたところであります。その間、環境保護に対する意識の高まりや県の厳しい財政事情、秋田第二工業用水の未利用水など、真木ダムを取り巻く社会情勢も大きく変わってまいりました。 このようなことから、今後は、工業用水の利活用を含め、検討に必要なデータをお示しし、関係機関及び住民の意見を十分に聞く機会を設けるなどして、今年度中に県としての方針を示したいと考えております。 六点目の玉川の水質問題についてでありますが、県では、地域全体の長年の願いであった恒久的な酸性水中和処理施設が玉川ダムの附属施設として平成元年十月に完成して以来、国や
東北電力等関係機関と連携しながら、中和処理施設の維持管理費の負担や水質調査などの酸性水対策に積極的に取り組んできております。 玉川の水質については、毎年、上流部から大曲市の雄物川合流部まで十五カ所の定点を設けて、月ごとに調査をしておりますが、それによりますと、田沢湖町の生保内川の合流地点より下流域では、既にpHやBODは生活環境上の安全の目安となる水質環境基準に適合しており、水質は着実に改善されてきております。こうしたことから、玉川の河川水については、農業用水としての利用はもとより、浄水場で処理が行われる水道水の原水として利用する場合においても、水質面で問題がないものと考えております。 玉川は、酸性度が強いことから、かつて毒水とも言われましたが、今やその流域は農作物を中心に豊穣の地となり、中和処理施設の稼働によって、将来にわたっても恒久的な改善が図られる状況にあります。また、その水質は、化学的な分析によっても、雄物川本流とほぼ同様の水質であり、こうしたことからも、地域に恵みをもたらす水資源としてとらえるべきであると考えております。 以上でございます。
◆六番(
渡部英治君) 一点だけ再質問させていただきます。 まず知事が、先ほどの夢と、それから出馬の関係については、思いがわかりました。ただ、ちょっと心配してあったのは、三戦出馬については、ためらいがあってのことだと大変心配でしたが、今、前向きに熟慮していると、こういうふうに受けとめていいのかなということで、私なりに解釈しております。 ただ、夢の関連で、私はテレビ局にこだわってちょっと聞きたいんですけれども、状況説明、あるいは民活が中心になるということは十分にわかるんですが、やはりいろいろな状況の中で、必ずしも、デジタル化と同時に県民が享受できるかというと、ちょっと私はそれが心配だなと思います。そこで、いろいろな受信における電波法等の関係とかあると思いますけれども、例えば、さっき申し上げました青森県と秋田県は共通の課題を持っているわけですから、北東北の中でのいろんな検討の中で、共同受信とか、そういった規制緩和のこういった中で検討できるものかどうか、その辺、一点だけお聞かせ願いたいと思います。 [知事(寺田典城君)登壇]
◎知事(寺田典城君) 渡部議員の再質問にお答えさせていただきますが、テレビ等の開局等も含めた、それから、これからの将来に向けた方向づけでございますけれども、ありとあらゆることを考えた上で県民へのサービスの向上に努めることが県政にとって重要な課題だと思っております。今、共同受信等も御提言ありました。そのあたりについてもいろいろ検討させていただきたいと。そして、できるだけ速やかに県民に対してお示ししたいと、そう思っております。 以上でございます。
○副議長(穂積志君) 六番渡部君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。
△午後二時四分休憩
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△午後二時二十分再開 出席議員 四十六名 一番 淡路定明 二番 田口 聡 三番 山内梅良 四番 三浦英一 五番
こだま祥子 六番
渡部英治 七番 門脇光浩 八番 平山晴彦 九番
柴田正敏 十番
鈴木洋一 十一番 加成義臣 十二番
渋谷正敏 十三番 川口 一 十四番
瀬田川栄一 十五番 中田 潤 十六番 杉江宗祐 十七番 京野公子 十八番 大関 衛 十九番
小田美恵子 二十番 武田英文 二十一番 宮腰 誠 二十二番
小田嶋伝一 二十三番 木村友勝 二十四番 加藤義康 二十五番 安藤 豊 二十六番 土谷勝悦 二十七番 金谷信栄 二十八番 鶴田有司 二十九番 冨樫博之 三十一番 石田 寛 三十二番 高松和夫 三十三番 菅原 昇 三十四番 菅原龍典 三十五番 穂積 志 三十六番
大野忠右エ門 三十八番
中泉松之助 三十九番 津谷永光 四十番 安杖正義 四十一番
佐々木長秀 四十二番 佐藤次男 四十三番
工藤嘉左衛門 四十四番 長谷部 誠 四十五番 北林康司 四十六番 藤原俊久 四十七番 辻 久男 四十八番 北林照助
--------------------------------------- 地方自治法第百二十一条による出席者 休憩前に同じ
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○議長(
鈴木洋一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第一、
一般質問を継続いたします。十二番
渋谷正敏君の
一般質問を許可することにして御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(
鈴木洋一君) 御異議ないものと認めます。十二番渋谷君の発言を許します。 [十二番(
渋谷正敏君)登壇](拍手)
◆十二番(
渋谷正敏君) 前の質問者である渡部議員より、大変気の小さい男であるという御紹介を受けました新生会の渋谷でございます。 二度目の質問にもかかわらず焦りまして、手を挙げなくてもいいときに挙げたり、そして、足はがたがた震え、のどはからからであります。(笑声あり)その割には、一期目のまだ一年半にもかかわらず、態度だけは十年だと、親しい議員から言われておりまして、毎日気をつけているわけでございます。 それはさておき、昨年の十二月定例会に続き、今回二回目の
一般質問となります。前回は、県の工業団地の分譲価格やリース制度の思い切った見直しなどを提言いたしましたところ、この四月から早速、分譲価格の大幅な値下げを実施するなど、知事が信条とするスピードをもって対応していただけたことに対しまして、感謝申し上げるとともに、今回の質問に対しても、前回同様、知事の明確かつ具体的な答弁と速やかな実行をお願いいたしまして、質問に入らせていただきます。 初めに、台風十五号の被害対策等についてお伺いします。 去る八月二十日の早朝、本県沖を通過した台風十五号は、本県の農林水産業を中心に、多くの被害をもたらしました。さらに、追い打ちをかけるように、八月三十一日には台風十六号も本県沖を通過しました。特に、台風十五号により、沿岸部ではかつて経験したことのない塩害による水稲などの被害や漁港施設、漁船などの被害が多く出ております。 このうち、例えば本荘由利管内においては、塩害による水稲の被害が管内水稲作付面積の六割に当たる四千ヘクタールで確認され、うち千六百ヘクタールでは白穂の発生率が八〇%を超え、収穫がほとんど見込めず、その被害額は、管内の米による農業産出額の約三割に当たる三十六億円にも達する状況となっております。 また、水産関係では、当管内において、漁船などの破損・沈没の被害が九十四隻生じたほか、防波堤や護岸、臨港道路、ヒラメの養殖施設、クルマエビの中間育成施設など、多くの被害が出ています。 そこで質問ですが、第一点は、農作物の塩害被害農家への対応についてであります。 本来であれば、ちょうど今ごろは、一面黄金色の田んぼで、稲の刈り取りが始まるころであります。しかし、ことしは、実の入っていない真っ白い穂がむなしく風に吹かれているだけであります。天災とはいえ、これまでの努力が一夜にして無になった農家の心中は、察するに余りあります。 ところで、
JA秋田しんせいが先ごろ行った塩害水稲の一部の試し刈りにおいては、平年の一、二割程度の収量しか見込めないとの結果が出ており、その一、二割も品質が悪く、水稲共済の補償単価よりも大幅に安い三等米にも及ばないとのことであります。 共済金は、原則として減収量で算定されますが、共済基準のふるい目に残った米が収量とみなされます。このため、
共済組合の刈り取り調査で収量にカウントされた米が規格外になると想定される場合は、むしろ収量皆無と評価されたほうが、規格外米を出荷するよりも、農家にとっては一キログラム当たり百五十円前後収入がふえる計算になるということであります。 そこで、こうした農家が来年以降の営農への意欲を失うことのないよう、県としてもあらゆる施策を講ずるべきと考えます。例えば、共済制度の速やかな適用による共済金の早期支払い要請、県独自の低利な営農資金の貸し付け、十七年用水稲・大豆種子確保への支援など、いろいろあると思われますが、現段階で県として農家支援策についてどのような具体策をお考えなのか、お伺いします。 第二点は、水産関係の被害への対応についてであります。 台風が去って、私もすぐ近くの象潟漁港に駆けつけましたが、まるで津波でも来たような惨状でありました。満潮時と重なったこともあり、防波堤や臨港道路の被害はもちろんのこと、高波による漁港周辺の住宅の浸水や流木ごみによる被害や、この波によって陸地に打ち上げられた漁船やプレジャーボートの被害が目立ち、まさしく何から手をつけてよいのかわからない状況でありました。現在は、関係者の方々の努力により、大分落ち着きを取り戻したように見受けられますが、またいつかこうした災害が発生するのではと、住民の不安は解消されておりません。たとえ百年に一回の災害であっても、来年来るのか、次にいつ来るのかは、だれにもわからないのであります。 そこで質問ですが、強風を特徴とする台風であったことと、当沿岸部が満潮時であったことから、こうしたかつてない甚大な被害が発生したものと考えられますが、災害箇所の復旧はもちろんのこと、今回の災害を教訓としたとき、現在の防波堤や護岸のかさ上げなどの改良を今後どのように進めようと考えておられるのか、お伺いします。 次に、「
ひとめぼれ」への異品種の混入問題についてお伺いします。 去る七月に、採種圃の巡回調査で、「
ひとめぼれ」の採種圃の中に、通常の「
ひとめぼれ」と比べ、明らかに丈の長い稲が散見されたのが発端でしたが、鑑定の結果、酒米の「吟の精」の混入が確認されたのであります。また、その影響は採種圃にとどまらず、多くの一般農家に対しても、異品種が混入した「
ひとめぼれ」の原種が種子として供給されていたことが確認されております。 異品種が混入している可能性のある「
ひとめぼれ」は、全県では十一市町で五百五十五戸の農家により、六百五十三ヘクタールで作付されております。このうち本荘由利管内では、採種圃がある金浦町、大内町を初めとし、一市七町で五百十九戸の農家、六百九ヘクタールの作付が行われており、混入作付の大半が当管内に集中しております。今、当管内は、主力の電気機器製造業の業績回復により、ようやく景況が上向き、地域の活性化の兆しが見えてきており、また、農家もことしの出来秋に大いに期待していたやさきのことであります。この問題と、先ほどの台風十五号の被害により、農家経営は危機的な状況にあります。 そこで質問ですが、まず第一点は、異
品種混入の徹底した原因究明と
再発防止策についてであります。これまで、平成十三年の県
農業試験場での原原種生産段階が問題と言われておりますが、混入の原因と、農家に種子を渡すまでのチェック機能が働かなかった原因について、詳細な説明を求めます。 また、再発防止についてでありますが、昭和六十年においても、県の
農業試験場からの原種供給において、ササニシキとトヨニシキの原種が混入したまま供給されたことがありました。その結果、金浦町のササニシキ採種圃五十一ヘクタールを初め、延べ百一へクタールで種子としての生産が不可能になったため、県内五カ所の種子生産組合に対して六千六百七十七万五千円の補償費を支払うため、十二月補正予算に盛り込むことを決めるとともに、関係職員四人を処分しております。 それぞれの問題の原因は違うのかもしれませんが、県に全面的な信頼をおいて稲作を行っている農家にとって、県への信頼を一気に失うような出来事であります。今回の問題も、前回の教訓が全く生かされなかった結果、発生したものと言わざるを得ません。こうした問題を二度と起こさないよう、
再発防止策をどのように考えておられるのか、お伺いします。 第二点目は、農家の経営安定対策についてであります。 異品種の混入により、県では今月十日付で金浦、大内両町の採種圃で生産している「
ひとめぼれ」の種子を十七年産用として県内作付農家に供給しない方針を決定しました。
採種圃農家の方々は、秋田の米に対する消費者の信用を落とさないためにはやむを得ないと思いながらも、採種圃はいい種をとるために他の田の何倍も手をかけており、果たしてどんな補償をしてもらえるのか、大変心配しております。 また、一般の農家は、種子の混入した米は当然でありますが、混入していない米まで風評被害を受け、銘柄米として出荷できなくなるのではないかと心配しております。これらを作付した農家にとっては大きな収入減となるわけですが、そもそも天災ではなく、県が問題の原因者であります。知事は、農家に不利益が生じないよう、どのような価格補てん策を講じようとしておられるのか、お伺いします。 この異品種混入被害と台風被害のダブルパンチを受けた農家への対応について、あわせてお伺いします。 異品種混入と台風という別々の原因による収入の減は、それぞれ対応策が違ってきます。基本的に、異
品種混入については県の補てん、台風被害については共済制度による補てんということになりますが、不幸なことに、収穫が少なくなればなるほど、共済による補てんのウエートが大きくなり、あれほど農家を騒がせた異
品種混入被害への県の補てんが見えなくなることに対し、何か割り切れない気持ちになるという農家の声が数多くあります。収穫皆無、もしくは収穫が平年の一、二割といった農家がほとんどであり、こうした混入被害とともに、台風被害という天災を受けた農家に対し、県として異
品種混入に対する被害への対応策にどのような配慮を加えようと考えておられるのか、お伺いします。 第三点目は、集荷・検査・流通対策とブランドの信頼確保対策についてであります。 区分集荷の徹底を作付農家及びJAに求めているようでありますが、今後、刈り取り、調製、出荷・集荷作業などにかかり増し作業や混乱などが予想され、農家の方々が大変心配しており、県としても万全の支援をすべきであると思いますが、知事はどのように考えておられますか。 また、県担当者の話によりますと、風評被害の対策について万全を期すとのことでありますが、全国的な豊作基調のもとでの米余りの状況では、風評被害の影響が大いに懸念されます。今回の問題で、これまで築き上げてきた消費者の秋田米というブランドに対する信頼が一挙に崩壊しかねません。秋田米のお客様である消費者や卸小売店などへの対応をどのように行うのか、お伺いいたします。 いずれにせよ、県は猛省の上、農家や消費者の方々に対し、誠意ある対応をとっていただきたいと強く要望するものであります。本件については、県としての徹底した対策を講ずる必要がありますが、知事の考えをお聞かせください。 次に、少子化対策についてであります。 少子化は、高齢化、年金制度ともリンクすることから、少子化対策は県政における最重要課題の一つとして、その推進は急務となっております。県では、子供は社会の財産であるという観点から、数多くの事業に二十億円以上の予算が措置されております。他県にも負けない多種多様な施策事業を展開しているにもかかわらず、合計特殊出生率は一・三一で、全国でも低いほうから十二番目、出生率、すなわち人口千人当たりの出生数は、平成七年以降、九年連続で全国最下位であります。 もちろん、私は、少子化問題に積極的に取り組んでいらっしゃる知事の姿勢を評価するものであり、この問題は一朝一夕に解決を見るものではないことは重々承知しております。しかし、一向に希望が持てる明るい数値が出てこない現実を見るにつけ、秋田県の将来を思うとき、暗たんたる思いに駆られるのであります。そんなに本県は子供を育てる社会環境が悪いのか、そんなに仲が冷え切っている夫婦が多いのか(笑声あり)、いろいろ考えるわけです。どこかに問題があるはずであります。 そこで質問いたします。「あきた県政概況」には、企業を含めた社会全体で子育て環境の整備を促進するため、夢ある子育て家庭づくり県民会議を主体に、子供の多い、明るい地域社会づくりを目指す県民運動を展開していると記載されております。この県民会議を、私は見たこともなければ、活動の実態も存じません。私は女子型の会社も経営していますが、一度も意見を求められたり、運動への参加要請を受けたこともございません。知事は、秋田版エンゼルプランとして実施されている、こうした各種施策の推進状況、成果、効果をどのように検証・評価されておられるのか、そして、施策目標値の達成は期待できませんが、少なくともこの凋落傾向に歯どめをかけるため、今後、少子化対策をどのように展開しようとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、
三位一体改革に伴う
義務教育費国庫負担金の削減についてお伺いします。 国と地方の税財政を見直す
三位一体改革に関連し、先月の全国知事会において、公立の小・中学校の教員給与などへの補助金である
義務教育費国庫負担金約二兆五千億円のうち中学校分八千五百億円を削減する案が、大激論の末、決定されました。 義務教育は国の責任であり、補助金を廃止し一般財源化すると、財政的な差により教育の質に地域格差が生じるおそれが出てくるという意見と、一般財源化により地方の裁量余地が増し、地域の実態に合った教育が可能となるという意見の対立でありました。 憲法や教育基本法では、すべての国民は等しくその能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないし、教育を受ける権利を有するとされております。その理念に基づいて、義務教育費国庫負担法があるのであります。 かつて、我が国では、シャウプ勧告に基づき、昭和二十五年に義務教育費国庫負担法を廃止したことがありました。その結果、地方によって教育水準に大きな差が生じたため、昭和二十八年に同法を復活させ、今日に至るという苦い経験があります。私は、国が一定額を出して、それと同じ額を県が負担するという現行制度が維持されないと、義務教育に地域差が生じる可能性があり、保護者や教育関係者に不安を与えることになりはしないだろうか、都道府県間の財政力の格差によって、憲法の保障する教育の機会均等に反する結果につながりはしないかと危惧する一人であります。今回の議論は、教育論の議論ではなく、
義務教育費国庫負担金が削減リストに盛り込まれたのは、税源移譲との
数字合わせにあったという報道もなされております。 そこで質問ですが、知事は廃止案に賛成の立場をとられました。私は、反対派のような意見もなかなか説得力を持つ考えだと思いますし、また、
三位一体改革の初年度である今年度が、税源移譲よりも補助金や
地方交付税の削減にウエートが置かれた点から考えると、より義務教育のあり方についての議論を深め、かつ今後の義務教育制度に対する国のしっかりとした理念や具体的対応を見きわめてから決定すべきではなかったかと思うのですが、知事はどのような観点、理由から、知事会の廃止案に対し賛成されたのか、お伺いします。 次に、漁港の管理と育てる漁業についてであります。 本県の漁業、とりわけつくり育てる漁業に関しては、順調に進展しているようであります。本県の重要魚種であり、県の魚でもあるハタハタは、漁業者による三年間の自主的な禁漁と、種苗放流や資源管理を実施した結果、平成十五年の漁獲量三千十五トンと、禁漁前の年の十五倍もの水揚げとなっております。 しかしながら、全般的に水産資源は低水準で推移し、また、昭和五十六年には四千七百五十人を数えた漁業就業者が、平成十四年では千三百三十人にまで減少し、加えて高齢化も引き続き進んでおり、今後の漁業振興が懸念されるところであります。 県では、つくり育てる漁業と漁業生産基盤の計画的な整備の二つを施策の両輪として推進することとしています。その内容は、有用魚介類など水産資源の維持増大を図るとともに、漁港、漁場、漁村の総合的な整備、漁業就業者の確保・育成、県民へ地元産魚介類を供給する産地流通機能を強化するといったものであります。 第一点目のつくり育てる漁業に関しては、さきのハタハタの種苗放流のほかにも、アワビの稚貝放流、天然岩ガキの生育岩礁づくりなどがあります。鳥海山ろくの伏流水で育てられた天然岩ガキは、今や全国ブランドとなっており、このカキを食べるためだけの旅行ツアーが企画されるほどの状況であります。 そこで、
農林水産部長にお伺いします。県では、このつくり育てる漁業のために、近年どの程度の予算を、どのような考え方で確保しているのか。これからの観光秋田をつくるためには、地産地消、地元の人に食べてもらうばかりではなく、観光客に秋田の海の幸、山の幸を食べてもらうことも大事と思われますが、基盤となる第一次産業、とりわけ水産業関係に対する補助や予算が少ないように思えてなりません。 一例を挙げますと、特定海域栽培漁業定着強化事業というものがあります。すなわちアワビの稚貝放流事業のことです。総事業費が、平成十二年には約二千百八十万円だったものが、十三年には一千三百七十二万円、十四年には一千八十二万円、十五年には六百七十九万円と、年々少なくなっているのですが、国の補助が四割、漁協などの負担が六割となっており、県では補助していないのであります。そのほかにも、根つけ漁業の人たちは、平成十四年から三カ年にわたり、毎年十万個のアワビを、水揚げの約一割に当たる七百三十五万円を負担しながら、単独で放流しているのであります。県では、そうした漁業者の取り組みをどう評価し、今後、仮に国からの補助金が打ち切られてしまった場合、県単独でも新しい制度をつくる考えがあるのか、お聞きします。 第二点目は、漁港整備についてであります。 漁港については、漁港漁場整備長期計画に基づき、合理的な操業が可能となる魚礁・漁場や幼稚魚の保護育成を図る増殖場など、つくり育てる漁業に対応した漁港の整備や、自然環境と調和しながら安全性や機能性を高めるため、防波堤や護岸などの基本的施設の整備を効率的、計画的に推進していると聞いております。 しかし、一方では、漁港の防波堤のように海岸構造物を設置した区域では、流況の変化に伴って漂砂動態が変わったことから、航路上への砂の堆積や局所的浸食などの問題が発生しているということを最近よく耳にするのであります。また、最近、使用料を負担して漁港内でプレジャーボートを係留することが可能となっておりますが、こうした漁業者以外の方からも、港内の砂の堆積のため、港への出入りに支障を来しているとの声もあります。先ほど申しましたとおり、漁港の整備はもとより、良好な状態に維持管理するのは、漁業の振興上、当然のことであります。 そこで、
農林水産部長に質問でありますが、県管理漁港において、漁港の砂の堆積問題など維持管理上の問題として、現在どのようなものがどの漁港で発生してきているのか、そして、その解決ため、予算措置を含め県としてどのような対応をしているのか、お伺いします。 そして、基本的な考え方として、漁港管理上の問題はすべて県が解決すべきものなのか、市町村にも経費負担を含めて何らかの負担があるのか、あわせてお聞きします。 最後に、産業振興についてであります。 最近の県内経済は、業種間、企業間での格差は依然として見られるものの、電気機械を中心に製造業の生産額の増加が続くなど、ようやく回復の動きが見られております。これは言わずもがな、長く厳しい冬の時期を乗り越えてきた県内企業の努力の賜物であります。 そこで、この回復基調をより確実なものにするためにも、これまで県が実施してきた各種の県内企業活性化のための施策の状況と、その課題について明らかにするとともに、今後の県の取り組みについてお伺いします。 第一点目は、最近の新規創業やベンチャー企業などへの支援実績と、支援を受けた企業の現在の活動状況、そして、ベンチャー企業などへの育成・自立の面での課題と、その対応策についてお伺いします。 二点目は、先ほどのベンチャー企業などと、産業の活性化の両輪である地元企業の設備投資などへの支援策についてお伺いします。 県では、県内経済を活性化し、雇用の安定的な確保を図るため、県内の企業集積を促進する必要があるとし、設備投資や工業団地の割引分譲販売などの支援策を講じております。このうち企業立地のための設備投資に対する助成制度には、ことしの四月から雇用に対する助成も追加され、これについては高く評価しているところであります。 しかしながら、確かにこの制度は、現在では誘致企業と地場企業との間では雇用要件以外に助成適用条件に差異がなくなってきておりますが、その対象業種や投資規模、新規雇用人数などの諸条件を拝見する限り、現状ではまだ、地場企業が頑張って設備投資や雇用の拡大を図っても、なかなか県が定める助成要件を満たすことができないのが現実ではないでしょうか。 一例を挙げますと、県の補助制度ですが、一億円以上の機械を購入し、建物を建て、新たに五人以上の新規雇用を行うという条件つきのものや、県で融資する際、保証人は二人以上となっていることなど、利用したくともなかなかかなわない制度が存在しております。 知事、考えていただきたい。他人が簡単に一億円の保証人になってくれるでしょうか。親戚に頼めば、「やめたほうがいい、無理するな、かまけす」の一言で終わりであります。今、秋田県内の地元資本企業で、これらの制度を使える恵まれた企業が果たして何社あるでしょうか。いろいろな制度をつくっても、使えなければ絵にかいたもちであります。 そこで提案でありますが、新規創業やベンチャー企業などへの支援もよいのですが、県内製造業による、より一層の県内経済の活性化や雇用の創出を図るため、五人未満の製造業者でも利用できるような助成業種の拡大や、設備投資額要件を緩和した地場企業活性型といったような制度を検討できないものでしょうか。県内の製造業には、自分たちが県経済や雇用を支えているのだという自負があり、必ずや県の支援にこたえ、大きな効果をあらわすものと考えます。 民間企業の出身者であり、生きた経済のわかる知事だからこそ、あえて進言させていただいているのであります。選挙で落選して、夜逃げ、自殺、一家離散した人のことを聞いたことがありません。しかし、小さいながらも事業を行っている人たちは、自分の財産を担保に入れ、借入金に対して個人保証をし、まさに命がけで、つめの先に火をともしながら、必死に頑張っているのであります。何とぞ、かような零細個人企業の経営者を助ける、使いやすい制度をつくっていただきたい。 以上、六件の質問と幾つかの提案をさせていただきましたが、前回同様、誠意のある答弁に期待して
一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
鈴木洋一君) 県当局の答弁を求めます。 [知事(寺田典城君)登壇]
◎知事(寺田典城君) 渋谷議員の御質問にお答えいたします。 最初に、台風十五号の被害対策等についてでありますが、初めに、農作物の塩害被害農家への対応については、多くの農家から収穫の喜びを奪い去った一連の台風は、県全域に総額二百億円を超える大きなつめ跡を残し、特に、沿岸部を中心とした農作物への塩害は、過去に例を見ないほどの深刻な状況にあります。県としては、当面の営農維持のための緊急融資と今後の再生産に向けた支援の両面から、復旧対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。 具体的には、国の
災害資金の対象とならない農家に対し、低利の県単独資金を融資するほか、被災地域がそれぞれの被害状況に柔軟に対応できるよう、収穫の見込めない稲の刈り取りや来年の種子確保に対する助成、さらには、果樹等の生産基盤の復旧支援などの対策をメニュー方式で選択・実施できる支援制度を創設いたします。 また、こうした対策とあわせ、私みずから国に赴き、農業共済金の早期支払いはもとより、損害評価に当たり、規格外米の品質低下分を減収量としてカウントする特例措置の実施を要望してまいりましたが、先ごろその了承が得られましたので、速やかに手続を行うよう
共済組合連合会に要請しております。 今後、市町村や農業団体と一体となり、こうした対策を着実に実行し、被災農家の営農意欲をしっかりと支え、地域農業の維持向上に取り組んでまいりたいと思います。 次に、防波堤・護岸のかさ上げ等改良についてでありますが、漁港の整備に当たっては、国の設計基準に基づき、過去三十年間の波の高さのデータにより、防波堤や護岸の高さを決定しており、県管理の十一漁港中、現在、七漁港でこの基準に従った整備を進めております。残りの四漁港については、これまでの台風や季節風などによる港内の静穏度から、現在の防波堤や護岸で対応できるものと考えております。 しかし、このうちの象潟漁港については、台風の通過が満潮と重なった特異な気象条件であったものの、港内の漁船などの被害が多かったことから、防波堤や護岸の高さについて検証し、今後の方針を判断してまいります。 二点目の「
ひとめぼれ」への異
品種混入問題についてでありますが、初めに、原因究明と
再発防止策については、本荘由利地域は、県内の「
ひとめぼれ」生産量の約七割を占める産地であり、地域農業において、経済的にも精神的にも柱となっている「
ひとめぼれ」ブランドの信頼性を脅かす事態を招いたことをまことに申しわけなく思っております。原原種の生産では、常時、圃場の見回りを徹底し、少しでもその品種と異なる形質を持つ株の抜き取りを、播種から収穫までの生育段階に応じて六回行うなど、異品種の混入を防止するための管理体制をとっているところであります。 さきの質問でもお答えいたしましたが、原原種圃場から異品種を完全に排除できなかった要因は、同じ圃場に前の年と異なった品種を作付したこと、
農業試験場が移転して間もない時期で、生育にばらつきの出やすい土壌条件であったこと、目視による圃場の見回りや異形株の抜き取りには限界があったことによると判断しております。 これらの要因を解消し、再発を防止するためには、同一圃場、同一品種の作付、異形株を発見・除去するチェックシステムの強化、DNA鑑定や試験栽培などによる原原種、原種の最終的なチェックシステムの導入などについて、第三者による客観的で専門的な視点から幅広く検討する必要があると考えております。このため、稲の品種改良や種子生産などに関する専門家から成る調査委員会を設置し、原因の詳細な検証を行うとともに、具体的な提言をいただいた上で、改善策を取りまとめ、再発防止を徹底してまいります。 次に、農家の経営安定対策についてでありますが、酒米混入の事実が明らかになった直後から、市町村ごとに農家の方々へ混入のおそれがある圃場の米は種子や銘柄米として出荷できなくなることを説明するとともに、これに伴う経済的な不利益が生じないよう、十分な対策を講じる考えを伝えてまいりました。具体的には、全農あきたや各JAの協力を得て、
採種圃農家には通常の種子価格と同様の、また、一般農家については、銘柄米「
ひとめぼれ」の価格と同様の仮渡金や精算金を支払うこととし、県から全農あきたに対しては、卸等への販売価格が確定した段階で、その差額を補てんすることとしております。 一方、このたびの酒米の混入した種子の供給を受けた農家の中には、台風十五号による塩害を受けた方も多いと聞いております。酒米混入に伴う補償対策は、銘柄米の「
ひとめぼれ」を出荷する農家と稲作収入に差が出ないようにするための対策で、出荷された米について、その価格差を補償するものであり、台風被災に伴う減収分については、通常の「
ひとめぼれ」を作付している農家と同様に、農業共済のほか、融資や補助による災害関連対策で必要な支援を行ってまいります。 次に、集荷・検査・流通対策とブランドの信頼確保対策についてでありますが、秋田米全体に対する市場や消費者の信頼を維持していくためには、何よりも異品種が混入した米が他の銘柄米と混じって流通することのないよう、収穫や集荷において厳格に区分することが不可欠であると考えております。 このため、農家や農協の協力を得て、現地調査を実施し、混入種子が作付された圃場を特定するとともに、この圃場における収穫作業や出荷が適切に行われるよう、農家の方々にその手順やスケジュールを具体的に示すなど、区分集荷体制の整備を進めてきたところであります。こうした区分集荷に伴って、新たにカントリーエレベーターを利用する場合や例年と異なる倉庫に搬入する場合には、かかり増しとなる経費についても県が助成することとしております。 また、秋田米を扱う全国の卸業者に対しては、問題の発生原因や区分集荷対策などを説明するリーフレットを送るとともに、大口の取引先には直接出向いて状況を説明し、十分な対策を講じていることを広くアピールしてまいりました。幸い、これまでのところ、取引先や消費者から秋田米の信頼性について不安視する声は聞かれておりませんが、今後とも、こうした県の対策について周知に努め、
秋田米ブランドの信頼を確保してまいりたいと考えております。 三点目の少子化対策についてでありますが、少子化の問題を解決するためには、社会の仕組みを子育てしやすいものに変えていくことが不可欠であり、多様な働き方ができる雇用形態や男女共同参画社会の定着を図るとともに、社会全体で子育てを支えることのできるような社会システムとすることが極めて重要であると考えております。 このためには、国民全体による新たなシステムづくりが求められており、国、県、市町村、企業、住民それぞれが責任と役割を分担しながら取り組んでいく必要があるものと考えております。県では、これまでも少子化対策を県政の基本課題と位置づけて、各種施策・事業を積極的に推進しておりますが、こうした取り組みの成果等については、県の社会福祉審議会や夢ある子育て・家庭づくり県民会議などを通じて、広く県民からの御意見を把握するよう努めております。 また、政策評価条例に基づき、定期的な検証と客観的な評価を実施しており、子育てサポート体制の整備や子育てと仕事の両立支援に関しては、具体的な数値目標を達成するなど、政策全体としてはおおむね順調に推移しているものと考えております。特に、子育てに係る経済的負担の軽減対策については、県民へのアンケート等により、昨年度から検証を行っておりますが、この調査においては、出生率向上のために最も重要と考える対策は経済的負担の軽減であるとの結果が示されたほか、対象の拡大も含めた、さらなる見直しについての要望も多く寄せられております。 結婚や出産は個人の考え方によるものであり、対症療法的な支援策のみでは少子化傾向に歯どめがかからないことも理解しておりますが、今後、多様な角度からの分析や検討を加え、社会情勢の変化に対応した効果的かつタイムリーな施策を強力に展開してまいりたいと考えております。 現在、県では、次世代育成支援対策推進法に基づき、いわゆる行動計画の策定に向けて取り組んでいるところでありますが、この策定に当たっては、特に企業や民間をも含めた県段階での支援システムづくりを含めた、総合的な支援策を構築してまいりたいと思います。 四点目でございます。
三位一体改革に伴う
義務教育費国庫負担金の削減についてでありますが、シャウプ勧告に基づいて廃止された義務教育費国庫負担法がわずか二年後に復活した当時は、戦後の混乱期であり、国民は生きることに精いっぱいで、教育よりも食べることを優先せざるを得ない時代でありました。 経済的に一定の豊かさを達成した現在は、国民の間に、義務教育の機会均等、水準確保及び無償制の考え方が定着しており、当時とは状況が全く異なっております。また、高等学校への進学率は、全国平均で九七・五%に達しておりますが、これは国庫負担金ではなく、地方の責任で運営されております。 こうしたことから考えますと、
義務教育費国庫負担金が廃止され、一般財源化されたとしても、地方が必要な財源を他に回したり、ましてや教育をおろそかにするなどということは到底あり得ないことであると思います。むしろ、一般財源化され、使い方の自由度が増すことによって、これまでの全国横並びで画一的な教育から、地方の創意工夫による、よい意味での地域間競争が行われることになり、教育水準の向上はもとより、特色ある取り組みにつながるものと考えております。
国庫補助負担金を廃止・削減し、税源移譲による地方税財源の確保が行われた場合であっても、税源の偏在は避けられないことから、改革案では、地方公共団体間の財政力格差を是正する財源調整機能の充実強化を強く求めております。 また、国は、義務教育における地方公共団体との適切な役割分担を踏まえ、その責務を法律上明記すべきであることや、都道府県間において教育費の水準に著しい格差が生ずることのないよう考慮すべきであることなども明記しています。 政府は、この改革案に込められた、全国の知事、県議会議員などを代表する地方六団体の思いを真摯に受けとめ、十一月に示される
三位一体改革の全体像に確実に反映させるよう期待しております。 六点目でございます。産業振興についてでありますが、初めに、新産業・新事業の創出に向けた支援状況と成果については、県では、新規創業の促進やベンチャー企業の育成を目的として、支援機能のネットワークを強化するとともに、経営や技術開発、さらには創業や市場調査に対する相談、アドバイス等をワンストップで提供することができるよう体制を強化しております。 また、資金的な支援として、新しく創業する企業等については平成十三年度からの三年間で百四社、ベンチャー企業については平成十年度からの六年間で二十二社に対し、事業展開に必要な経費を補助しております。これらの企業のうち、過去三年間に補助金の交付を受けたベンチャー企業十一社を対象として、昨年度追跡調査を実施いたしましたが、九社は県の支援が売上増加に貢献していると積極的に評価しており、中には、同業他社に優越した独自技術による製品の開発に成功し、大幅に受注を拡大した事例や、商品のブランド名が消費者に浸透した結果、関連製品の販売など、さらなる事業展開を計画している事例があります。 また、平成十五年度には、県が中心となって、あきたアカデミーベンチャーファンドを設立し、高い技術を有する生命科学分野のベンチャー企業を中心として、投資・育成に積極的に乗り出しており、既にアロマオイルを販売する企業など、二社に投資を行っております。 しかし、ベンチャー企業にあっては、総じて資金調達やマーケティングに多くの課題を抱えていることから、本年度からは起業家意識の醸成から事業展開までの各段階に応じて、きめ細く、かつ切れ目のない一貫した支援を実施しており、今後とも積極的にベンチャー企業等に支援することによって、新産業、新事業の創出に努めてまいります。 次に、地元企業の設備投資への支援策についてでありますが、地域経済の活性化と雇用機会の拡大を図るためには、地元企業の強化と積極的な企業誘致を車の両輪として推進することが肝要であることから、県では、企業の設備投資等に対する融資や補助等の制度を充実してまいりました。中でも、県内企業の自立した経営展開を促進するため、特に基盤業種や食品関連企業など、県内産業に大きな影響を与える特定企業の立地を重点的に進めており、誘致企業、地元企業ともに、工場の新増設などの大規模な設備投資を行う場合には、支援を行うこととしております。この事業については、これまでも資源循環型企業や情報通信関連企業に対象を拡大してまいりましたが、今後も、地域経済の環境変化等を踏まえながら、施策上、特に必要な措置について検討してまいります。 これ以外の設備投資に対するさまざまな支援制度についても、経済環境の変化等を踏まえ、県内企業の実情に即して、有効に活用されるよう改善を重ねてきており、この八月には、機械類等の貸与事業について、導入される機械の高度化や精密化に合わせ、限度額を八千万円から一億円に引き上げるとともに、償還期間を延長したところであります。 この制度は、中小企業における経営基盤の強化を目的に、規模の小さい企業や資金調達力の弱い企業でも、低利で設備投資ができるように支援する制度であり、これまで、各企業の事業計画に合わせて積極的に対応してきておりますが、この制度を持続的に運営するため、貸し付けに当たっては、一定の債権保全を図るための保証人をつけていただいており、当面は現行の措置を続けたいと考えております。適時適切に設備投資が実施され、企業の発展に役立ってこそ、企業支援制度に魂が入るということになりますので、今後とも制度の利用状況を見守るとともに、産業界の意見を聞きながら、より使い勝手のよい制度になるよう努めてまいります。 [
農林水産部長(竹村達三君)登壇]
◎
農林水産部長(竹村達三君) 渋谷議員の漁港の管理と育てる漁業についての質問にお答えします。 まず、つくり育てる漁業への補助制度についてでありますが、本県の漁獲高は、ここ数年、漁業関係者の努力により、おおむね五十億円となっております。これを支えるため、漁港の整備、漁場の管理、漁業経営の強化、試験研究などに、積極的に予算を措置いたしてございます。 行財政の見直しが進み、その効率化が求められている厳しい状況の中では、漁業関係も例外ではありませんが、本県漁業の振興に必要な予算の確保に努めていることをまず御理解いただきたいと思います。 本県沿岸は優良な漁場が少ないことから、漁業経営を安定させるために、早くから、「とる漁業」から「つくり育てる漁業」へと転換してまいりましたが、今後ますます重要性が高まるものと考えております。このため、ハタハタやマダイなどの種苗放流、魚礁や藻場造成の基盤整備など、つくり育てる漁業の関連予算といたしまして約三億六千万円を計上いたしております。 御指摘のアワビの種苗放流事業については、平成九年度以降、栽培漁業の定着を目的として実施してきておりますが、安定した漁獲を得られるようになりつつあること、アワビなど移動の少ない魚介類については、漁業者の受益が特定されることなどから、今後は、みずからが放流から管理まで主体的に行うべきものと考えております。県といたしましては、引き続き生産基盤の整備などを進め、水産業の振興に努めてまいります。 次の漁港の整備についてでありますけれども、漁港機能を維持するためには、港内に堆積した砂のしゅんせつや、漁港内の道路及び安全施設の補修などを定期的に行う必要があります。特に、県が管理する漁港の中で、八森漁港椿分港、象潟漁港小澗分港、平沢漁港の三漁港については、砂が堆積し、漁船の航行に影響が出やすくなっております。 このため、しゅんせつの実施に当たりましては、比較的規模の大きな場合には、市町村に事業費の一五%の負担をしていただき、国庫補助事業を活用して行うこととしており、緊急的なものについては、県単独事業で実施することにいたしております。今後とも漁港の状況を十分に把握し、漁船などの航行に支障を来さないよう努めてまいります。 以上であります。
○議長(
鈴木洋一君) 十二番渋谷君の質問は終わりました。 本日はこれをもって散会いたします。
△午後三時十八分散会
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