宮城県議会 2024-06-18
06月20日-02号
令和 6年 6月 定例会(第392回) 第三百九十二回宮城県議会(定例会)会議録 (第二号)令和六年六月二十日(木曜日) 午前九時五十八分開議 午後三時散会 議長 高橋伸二君 副議長 本木忠一君出席議員(五十九名) 第一番 ふなやま由美君 第二番 かっち 恵君 第三番 平岡静香君 第四番 石森ゆうじ君 第五番 阿部眞喜君 第六番 柚木貴光君 第七番 高橋克也君 第八番 さとう道昭君 第九番 熊谷一平君 第十番 藤原益栄君 第十一番 金田もとる君 第十二番 荒川洋平君 第十三番
佐々木奈津江君 第十四番 小野寺 健君 第十五番 大池康一君 第十六番 菊地忠久君 第十七番 杉原 崇君 第十八番 村岡たかこ君 第十九番 伏谷修一君 第二十番 松本由男君 第二十一番 渡辺重益君 第二十二番 わたなべ 拓君 第二十三番
天下みゆき君 第二十四番 小畑仁子君 第二十五番 三浦ななみ君 第二十六番 枡 和也君 第二十七番 佐藤仁一君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番 横山のぼる君 第三十番 伊藤吉浩君 第三十一番 八島利美君 第三十二番 瀬戸健治郎君 第三十三番 村上久仁君 第三十四番 高橋宗也君 第三十五番 高橋 啓君 第三十六番 遠藤隼人君 第三十七番 渡辺勝幸君 第三十八番 横山隆光君 第三十九番 三浦一敏君 第四十番 渡辺忠悦君 第四十一番 熊谷義彦君 第四十二番
佐々木功悦君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 吉川寛康君 第四十六番 伊藤和博君 第四十七番
佐々木賢司君 第四十八番 守屋守武君 第四十九番 外崎浩子君 第五十番 村上智行君 第五十一番 佐々木幸士君 第五十二番 高橋伸二君 第五十三番 菊地恵一君 第五十四番 佐々木喜藏君 第五十五番 石川光次郎君 第五十六番 中島源陽君 第五十七番 本木忠一君 第五十八番 中山耕一君 第五十九番 藤倉知格君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君 公営
企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・
危機管理部長 高橋義広君 企画部長 武者光明君
環境生活部長 佐々木 均君
保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君
水産林政部長 中村彰宏君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君
総務部秘書課長 鈴木政幸君
総務部財政課長 後藤和隆君
教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君
選挙管理委員会 委員長 櫻井正人君 事務局長 黒澤 治君
人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 駒井達貴君
公安委員会 委員 庭野賀津子君 警察本部長 細田 正君 総務部長 鈴木孝彦君
労働委員会 事務局長 諸星久美子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 佐藤洋生君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 相澤一行君 議事課長 千葉良信君
政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼
総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 政務調査課副参事兼
総括課長補佐 工藤智広君 議事課主幹(班長) 山崎能子君
議事課主任主査(
議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第二号 令和六年六月二十日(木)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第九十二号議案ないし議第百十四号議案及び報告第七号ないし報告第十号第三 一般質問 〔枡和也君、
佐々木賢司君、
天下みゆき君、遠藤隼人君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第九十二号議案ないし議第百十四号議案及び報告第七号ないし報告第十号三 日程第三 一般質問 〔枡和也君、
佐々木賢司君、
天下みゆき君、遠藤隼人君〕
-----------------------------------
△開議(午前九時五十八分)
○議長(高橋伸二君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
-----------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○議長(高橋伸二君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、四十番渡辺忠悦君、四十一番熊谷義彦君を指名いたします。
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△諸報告
○議長(高橋伸二君) 御報告いたします。
公安委員会委員長佐藤勘三郎君から本日欠席、
公安委員会委員庭野賀津子君が代理出席する旨の届出がありました。
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△議第九十二号議案ないし議第百十四号議案
△報告第七号ないし報告第十号・一般質問
○議長(高橋伸二君) 日程第二、議第九十二号議案ないし議第百十四号議案及び報告第七号ないし報告第十号を議題といたします。
地方公務員法第五条第二項の規定により、関係議案について
県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり、意見が提出されました。…………………………………………………………………………………………… 宮人委第78号 令和6年6月18日
宮城県議会議長 高橋伸二殿 宮城
県人事委員会 委員長 西條 力 条例案に対する意見について 令和6年6月13日付け宮議第122号で意見を求められた条例案に対する意見については、下記のとおりです。 記「議第92号議案 職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は、
災害応急作業等手当の支給対象の見直し等に伴い所要の改正を行うものであり、適当と認めます。「議第94号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は、
国立大学法人法(平成15年法律第112号)の一部が改正されたことに伴い、規定の整理を行うものであり、適当と認めます。……………………………………………………………………………………………
○議長(高橋伸二君) 地方自治法第二百四十三条の二の七第二項の規定により、関係議案について県監査委員の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。…………………………………………………………………………………………… 宮監委第21号 令和6年6月14日
宮城県議会議長 高橋伸二殿 宮城県監査委員 佐々木喜藏 宮城県監査委員
佐々木功悦 宮城県監査委員 成田由加里 宮城県監査委員 吉田 計 条例案に対する意見について(回答) 令和6年6月13日付け宮議第123号で意見を求められた下記条例案については、異議ありません。 記 議第93号議案 知事等の
損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部を改正する条例……………………………………………………………………………………………
○議長(高橋伸二君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 質疑、質問は、順序に従い許します。二十六番枡和也君。 〔二十六番 枡 和也君登壇〕
◆二十六番(枡和也君) 皆さん、おはようございます。みやぎ県民の声の枡和也です。
高橋伸二議長から発言の許可が出ましたので、通告に従い、一般質問いたします。 周知のように、今年一月まで十二か月の世界気温が、観測史上初めて、産業革命前と比較して一・五度を上回ったことが、欧州連合の気候・
気象監視機関より報道されていました。恒常的でないにせよ、ついにその一線を越えてしまったのです。現実に地球環境が危機的な状況にさらされていることが、数値としても明らかになってきました。甚大な被害を伴う気候変動に関する情報が日々報道され、世界的規模で影響を受けることを個人がそれぞれ感じているかと思います。悲観しているだけでは何も変わらないと分かっていても、何かを始めなければならないと焦るばかりで、どのような行動が必要なのかさえ分かっていない状況です。しかし、そのような状況でも身近で個人的にできることから始めようと思い立ち、
電気自動車--EVの試乗をしました。ディーラーの方から操作に係る説明を受け、いざ発進。今回試乗したのは、軽自動車のEV。もちろん走り出しは静かでスムーズ、加速も今乗っている軽自動車よりも力強く、そして坂道も軽自動車の感覚を超えるような走行で驚きました。乗り心地は最高でした。しかし、やはり気になるのは、ガソリン車に比べて一回の充電で走行距離が短く、充電時間が長い、充電器の設置数が少ないなど、まだまだ不便なことが多いことや、国などからの補助金はあるにせよ、軽自動車にしてはやはり高価など、乗り換えるとなると不安があるのが事実です。しかし、技術は現在でも進化し続けているので、
カーボンニュートラルの必要性を思えば、私たち一人一人の意識改革とこれまでの
社会システムを変えなければならないことを考えると、トライする予定です。みんなが共に安心して暮らせる共生社会を目指すためには、一人一人が自分でできることから行動することによって、社会全体でそのムーブメントが伝搬し、小さな粒でもやがて大きな流れになり、地域が変わっていくと思っています。誰もが共生できる社会であるために大切なことだと思っています。 それでは、今回、大綱三点について質問をさせていただきます。 大綱一点目、みんなが共に暮らせる共生社会を目指すための、
障害福祉サービスにおける
障害者ピアサポート研修についてです。
障害者総合支援法の見直しにおいても、精神障害者の地域移行や、地域生活において有効とされる
ピアサポートについては、全国レベルの
統一的仕組みがなく、自治体ごとに取りまとめている状況であり、その質を確保するため、
ピアサポートを担う人材を養成する研修も含め必要な支援を行うべきと明示され、国は、障害当事者の経験と専門知識と協働することで、
障害福祉サービスの向上に結びつくと考え、平成二十八年度から養成制度や研修のプログラムを開発し、研修などを行い、令和三年度の報酬改定で、
障害者ピアサポート研修修了者の配置が
ピアサポート体制・実施加算の算定要件になっていることを踏まえ、以下伺います。 初めに、
ピアサポートは、当事者の経験だけではなく、専門領域で活用するため技術が必要なので、実施主体が都道府県、指定都市の
障害者ピアサポート研修が事業所の
報酬加算取得には必須なのですが、令和六年度においても、宮城県では研修が行われていないようです。その理由はなぜか伺います。 また、日本でも批准された障害者の権利に関する条約は、障害者の人権を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として制定されました。
ピアサポート活動が注目され、
福祉サービスにおける活用が進められている背景には、障害者の権利に関する条約が大きく影響しているのですが、
地域生活支援事業の
障害者ピアサポート研修開催の遅れは、障害者の権利の侵害が進んでしまうという認識はあるのか伺います。 次に、東北での
ピアサポート研修実施状況を調べてみますと、令和五年度
ピアサポート研修を実施していないのは東北六県では宮城県だけですが、この状況を県は認識しているのか、また、今後の
障害者ピアサポート研修開催の具体的なスケジュールと方法はどう考えているのか伺います。 次に、事業者などに聞きますと、令和六年度の報酬改定は、
福祉サービスの事業所の大半は減算になっているようです。各事業所の努力が必要な部分も当然ありますが、取り組もうにも、そもそも配置基準の前提の研修が行われていない実情では、運営が苦しくなるのみです。現在、A型のみでなく
B型事業所の県内での閉鎖が見られます。この状況を県は認識しているのか、また、順当であるなら令和三年度から実施していたはずの
障害者ピアサポート研修ですが、例えば、三年の遅れは
B型事業所で定員二十名の二十名通所と想定すると最大で一年間で約二十四万円、三年間で約二十七万円報酬を受けられなかったことになりますが、それについて、県の認識と所見を伺います。 次に、
障害者ピアサポート研修実施先受皿や講師の選定に当たっては、
ピアサポートはリカバリーの精神があり、当事者の体験がリカバリーを歩もうとしている他の当事者への希望をもたらすことが期待されています。そのためには、研修実施先や講師の選定に当たっては当事者の意見も反映していただきたいのですが、三障害、先天性、中途、そして就労など社会参加の実績の有無ももちろん関係しますが、どのように検討されているのか伺います。 次に、大綱二点目、二〇五〇
カーボンニュートラルに向けた県の取組についてです。 周知のとおり、昨年開催されたG7では、二〇三五年の
温暖化ガス排出削減幅を一九年度比六〇%減と共同声明として盛り込まれました。現時点での日本の二〇三〇年の目標は、二〇一三年度比で四六%削減です。更に先進国としての積極的な取組が世界から求められることと思います。この刻々と急激に変化するエネルギーを取り巻く社会的状況を県民の皆様と共有し、次の世代のためにどのようなアクションを起こせばよいのか考えさせられます。県運営の
地球温暖化対策情報発信ポータルサイト、みやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇は、子供たちも含めて多くの県民とこの状況を共有する、とても重要なメディアです。導入部での
ビデオメッセージは、熊の
イメージキャラクターを使って親しみやすくつくられて好印象なのですが、一方で、
地球温暖化対策を何のためにする必要があるのかといった根源的な問いかけがなく、いきなり方法論になってはいないでしょうか。どうも方法論に偏っている印象を受けます。使っていない部屋の電気を小まめに消すことはとても重要なことでありますが、一方で、社会全体で取り組まなければ到底目標は到達できない状況は自明の理であります。要望の一つは、温暖化を抑制するために、個人と社会全体で取り組む二つの側面が必要であるといった重要なメッセージを伝えることです。一つ目は、個人の意識改革と、その行動変容をスタートすること。「あなたにとっての
気候変動対策は」との問いに対する日本人の意識調査では、生活の質を脅かすものであるとの回答が六〇%と発表されていました。世界平均は二七%です。多くの日本の方は、取組には我慢が必要だと感じているようです。
気候変動対策のために個人のできることで効果的なことの一位は車を使わないこと、二位は電気自動車への切替え、四位は
再生可能エネルギーの利用と調査機関から発表されています。個人ができる効果的なことがあるのです。二つ目は、大きな変革として社会の仕組みを変えることです。昨今、スイスの市民団体が政府の
気候変動対策が不十分だとして国を訴えた裁判があり、市民の主張を認める判決が出されたことが報道されていました。このように、行政として取り組む姿勢がますます問われる時代になっています。まさに個人と社会の両方で取り組むことが必要で、我々が暮らす地域を守ることは、地球規模での動きを知って、個人が当事者として意識を持って社会と共に行動を起こさなければなりません。 パリ協定では、二〇三〇年までに、産業革命前からの
世界平均気温上昇を二度Cより十分低く、できれば一・五度Cに抑えるという目標を掲げました。この目標を達成できた場合には、極端な気象現象とその影響を低減できることがシミュレーションによって分かってきました。このプラス一・五度Cに抑えるということが、重要なキーワードです。このように、社会状況を伝えるために
ホームページ再編集をしなければならないと思います。令和五年十一月定例会にて一般質問させていただいたところ、回答は抽象的で、子供や家庭、事業者など、属性に合わせた内容で情報発信ができるよう検討を行っているとの回答でした。前段でも述べたように、
カーボンニュートラルの取組には、個人と社会全体で取り組む二つの側面が必要であるといった重要なメッセージと、そして具体的にプラス一・五度Cに抑えるといったキーワードを、分かりやすい内容とともに早急にこの
ポータルサイトに掲載していただきたいのですが、今後、
ホームページの改変を含めて上記の二つの内容を掲載すべきと思いますが、所見を伺います。 次の動画サイトを紹介させていただきます。先日、担当課の方々に紹介したので御覧になっているとは思いますが、
国立環境研究所地球環境研究センター副
センター長江守正多氏による、地球温暖化の
リアル圧縮版動画サイトがとても参考になりました。個人と社会の両方における行動変容が大事であることを分かりやすく説明している
国立センターの
公共メディアですので、可能であればぜひ、みやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇でもリンクを張って共有していただきたいと思います。 次に、
カーボンニュートラルへの目標の共有についてです。内容を伴った改革と実績で、県が率先してその向かうべきベクトルを示して、民間を誘導していくことが求められます。かねてより一般質問にて御要望させていただいた、CO2削減における目標までの
年次棒グラフを事前に見させていただきました。とても分かりやすいものになったと思います。そのグラフを、みやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇でも目標の共有と現時点の実績を把握するために、目につきやすい位置に掲載したほうがよいと思いますが、今後の予定を伺います。 次に、情報の開示についてです。みやぎゼロ
カーボンチャレンジの
ホームページがありますが、環境に対する大切な情報をアップ・ツー・デートなタイミングで周知できるような仕組みになっていないと感じています。みやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇戦略令和五年三月に公表されている世界動向のEUの削減目標は、いまだに二〇三〇年に五五%となったままです。一方で、欧州委員会では、二〇四〇年に一九九〇年比で九〇%削減することを欧州議会に勧告したことが、昨年度発表されています。このように目まぐるしく、しかも急激に政策が変化しているのが、エネルギーに伴う情報です。アップ・ツー・デートな仕組みを構築していただき、時代の流れに即応した情報を発信するメディアとして、県民の皆様と共有できることを目指すべきだと思います。このように情報に対し即応する仕組みを
ホームページにつくる予定があるのか伺います。 次は、県有施設の再エネ電力利用割合についてです。令和五年六月定例会の一般質問にて、県有施設の電力使用量に占める再エネ電力の割合について質問をし、二〇三〇年度目標での県有施設の電力使用量に占める再エネ電力の割合を約五%にすると回答がありました。事前ヒアリングにて、県全体での二〇三〇年における使用電力の再エネ電力利用割合は三六%であるとのグラフを見せていただきました。この県全体の目標に対して、県有施設として約七分の一の数字です。行政として示さなければならない数値として、あまりに低い値だと思います。せめて県全体の数値を超えて計画及び実績をつくることで、民間の意識を変えていくことが県として求められていることと思います。東京都では、二〇三〇年に都有施設の使用電力の再エネ電力利用割合を一〇〇%にすることが既に発表されています。また、政府実行計画では、公共施設での目標として、二〇三〇年度までに調達する電力の六〇%以上を
再生可能エネルギーとすることも発表されています。少なくても本来は政府目標を目指すべきだと思います。率先垂範を行動目標に挙げている県として、県有施設の対策がこのようなことでは、到底民間を誘導できるようなものではなく、行動規範になっていないと思いますが、いかがでしょうか。所見を伺います。また、この数値を上方修正する予定はあるのでしょうか。併せて伺います。 次に、リーディングケースになるZEB施設についてです。国土交通省から、脱炭素社会の実現に向け、官庁施設整備において消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにするZEB化を推進するために、新築する場合には原則ZEB Oriented相当とすることを想定し、官庁施設整備においてZEB化を推進することが報道されています。このパネル--皆さんの配付資料の右側、図一の右下を御覧ください。(パネルを示す)ZEB Oriented相当以上は、次の基準で表されます。事務所など、学校など、工場など、BEI数値(
再生可能エネルギーによる削減量を含めない)がコンマ六以下。今言った以外の建物については、BEI数値が〇・七以下という基準であります。弊党、立憲民主党でも、政府に公共施設について次のように提言させていただいております。日本では建物の断熱性能が諸外国に比べて低く、穴の空いたバケツ状態になっていることから、日本全体の建物の断熱性能の大幅向上、ZEH及びZEB化の早期実現を図るものです。 宮城県民会館・宮城県民間非営利活動プラザ複合施設について、ZEB Orientedとして基本設計を行っているとのことでした。県全体の目標に対して、その一部である県有施設としてどうあるべきかをフィードバックして、それぞれの施設の省エネ性能を設定するべきだと思います。また、県有施設を完全なZEB施設にすることは大変な県民へのメッセージとなり、啓蒙活動の一環としても初めてそのランドマークとなるのだと思います。少しでも効果的に削減目標に近づける努力をしなければならないときです。公共建築として少なくとも今後五十年以上使用され、エネルギーを使い続ける施設です。現在設計を進めている県有施設における省エネ設定によって、県全体での目標が達成できるのでしょうか。全体計画に対する位置づけを基本設計完了させた宮城県民会館・宮城県民間非営利活動プラザにての計画について、どのような経緯でZEB Orientedにしたのでしょうか、所見を伺います。単なる国の設定といったことでは、全体の目標達成ができないのではないでしょうか。発注する側の県として、全体計画におけるBEIの設定が妥当であるか、併せて伺います。 次に、既存の県有施設の改修計画です。事前ヒアリングにて、既存県有施設のZEB化可能性調査の対象施設は、類似施設への水平展開が期待できる試験研究機関、学校、宿舎つき施設の三施設を選定したとお聞きしました。建物用途、既存の条件や改修における状況によって、省エネをそれぞれ個別に設定するべきだと考えています。東京都では、既存施設の省エネ推進のため、省エネ手法と効果を定めた省エネ更新基準を策定して計画していると発表されていました。このように、結果としてのBEI数値ではなく、目標設定が必須だと考えています。県がその建物の省エネグレードを設定して、県全体としての一次エネルギーの消費を抑制して目標を達成させること、また、この三施設の改修計画として事前にヒアリングしたところ、高効率設備の更新、照明のLED化、人感センサー、BEMSの導入などが改修の方向性と伺っております。そこで、またこのパネル及び配付資料、今度は右側の図二のように、まずはこの三角形の下段、パッシブ技術による断熱とサッシなどのグレードアップをして一次エネルギーを抑制し、省エネをしてから、次にこの三角の中段の分、アクティブ技術による設備改修へ計画をすることが大切な順序であると国土交通省から発表されています。それぞれの施設が県として全体の目標設定からフィードバックして省エネ性能を設定しているのか、経緯を伺います。また、県の考え方は、なぜ最初にアクティブな手法ではなく、徹底的な省エネを試みていないのでしょうか。併せて伺います。 次に、既存施設のZEB改修の計画の公表についてです。ZEB化をする計画の建物を、県民にきちんと
ホームページにて公表することが大切だと思います。既存の県有施設の改修についてですが、東京都は、東京都公文書館を一次エネルギー消費量は従来の建物と比べて省エネルギーにより五〇%以上の削減、ZEB Ready相当を達成した上で、更に、太陽光発電による創エネルギーを加えて七五%以上の削減、Nearly ZEB相当を目指し、設計時のシミュレーションツールによる計算では約九割削減できる見込みとなったことを、経過も含めて分かりやすく公表しています。ZEB化をする計画について、民間にも取組を啓発する意味でも、既存改修も含めて計画を具体的に公表すべきと思うが、所見を伺います。 次に、ZEB化をする施設の調査のスケジュールについてです。環境省のZEB PORTALのZEBの実現・普及に向けたロードマップによると、公共建築物の取組において、二〇二〇年度前半でデータの収集、進捗管理をして、標準仕様化に至ることが明記されています。県は、現在でもまだ調査をしている段階であると想定されます。迅速に調査を進めることが必要かと思いますが、いかがでしょうか。所見を伺います。 次に、大綱三点目、女川原子力発電所についてです。 五月二十七日、東北電力は、女川原発二号機の安全対策工事が完了したと発表しました。今後は、今年九月頃に想定している再稼働に向けたプロセスを進めていくということであります。しかし、この安全対策工事は、今年元日の能登半島地震発生以前に計画されたものであり、したがって当然、能登半島地震の知見は一切反映されていません。想定を上回る海底活断層の連動や地殻変動が起きたこと、それらが原発に与える影響などについては、まだ調査・研究の途上です。また、能登半島地震では家屋の倒壊や道路の寸断が多発し、原発事故との複合災害が起きていたら、半島部では避難も屋内退避もできなかったことが大きな問題となりました。この問題について、五月十日に開催された第百六十八回女川原子力発電所環境調査測定技術会に、原子力対策課から能登半島地震を踏まえた対応についてという資料が提出されています。この資料で説明されている女川原発周辺の原子力防災対策を踏まえて、以下伺います。 まず、女川原発周辺の避難道路について伺います。現在、防災道路ネットワークの構築に向けて、国道三百九十八号線石巻バイパス沢田工区、県道石巻鮎川線風越Ⅲ期桃浦工区、県道女川牡鹿線大谷川浜小積浜工区の整備を進めているということですが、それぞれ完成はいつ頃を予定しているのか。また、これらの道路が完成するまでの間は原子力防災体制が十分ではないということになりますが、どのような対策を取る考えか。なぜ避難道路が完備する場合に女川原発再稼働を認めてもよいのか、併せてその理由も伺います。 また、能登半島地震では、道路の崩壊や亀裂が多発し、志賀原発三十キロ圏内の三十か所以上で道路が通行止めとなり、うち八路線は迂回路が確認できなかったということです。女川原発周辺においては、どこで何か所の通行止めが起こると想定しているのか、その対策はどのように立てているのか伺います。 次に、女川原発事故の屋内退避について伺います。自宅の損壊などで使用できない場合は、指定避難所など別の建物へ屋内退避を実施するということですが、能登半島地震では、学校や公民館などの避難所も損壊する事例が発生しました。その対策はどのように立てられているのか。また、女川原発三十キロ圏の住民避難用の放射線防護対策施設は十二か所あるとのことですが、能登半島地震では、建物の健全性が失われ陽圧化装置が意味をなさなくなる施設が発生しました。対策はどのように立てられているのか、併せて伺います。 次に、女川原発三十キロ圏に二十一か所設置されている、モニタリングステーションについて伺います。これらのモニタリングステーションには、商用電源に加えてUPS、非常用発電機を備えて電源を二重化しているということですが、このUPS、非常用発電機は、それぞれ何時間ぐらいもつものなのですか。そのもち時間は、今般の能登半島地震、更には東日本大震災で発生した停電期間に照らして、十分なのでしょうか。もし十分でないとしたら、電源切れで欠測期間が生じる対策をどのように立てる考えか、所見を伺います。 次に、避難においても屋内退避においても、女川原発周辺の原子力防災体制について、能登半島地震を踏まえた検証・見直しが十分に行われたとはとても言えない状況です。同じく再稼働前の原発を抱える新潟県では、能登半島地震の課題を検証するための新たな有識者会議を設置するということです。宮城県においても、能登半島地震の課題を検証し、対策を見直すための有識者会議を設置すべきと考えます。二〇二〇年の地元同意を出す前に設置した女川原発安全性検討会を再開し、議論を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。そして、県としての検証と見直し作業が終わるまでは、女川原発二号機の再稼働を待つように東北電力に申し入れるべきと考えますが、併せて知事の所見を伺います。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴、誠にありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 枡和也議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、
障害福祉サービスにおける
障害者ピアサポート研修についての御質問にお答えいたします。 初めに、研修が行われていない理由と、権利の侵害に対する認識についてのお尋ねにお答えいたします。 障害当事者が自らの経験等を踏まえて同じ目線で相談・助言等を行うピアサポーターは、障害者が自立的に生活する上で重要な役割を担っています。このピアサポーターを育成するための
障害者ピアサポート研修は、令和二年度から国の
地域生活支援事業費等補助金の対象事業に位置づけられておりましたが、県と同様に実施主体となる仙台市との調整や、研修講師の確保等について、他の都道府県等の実施状況等を踏まえながら検討を進めているものであります。本研修は、
障害福祉サービス事業所等で働くピアサポーターの質を担保し高めていくためのものであり、研修開催の有無が直ちに障害がある人の権利を不当に侵害するものではないと考えておりますが、障害者の地域生活支援の向上と事業所の報酬加算の取得に向けて、更に検討を進めてまいります。 次に、東北六県での
ピアサポート研修実施状況に対する認識と、研修開催のスケジュールや方法についての御質問にお答えいたします。
ピアサポート研修の実施状況については、今年三月に国から通知のあった調査の結果により、御指摘のような状況にあることを認識しております。こうした状況も踏まえ、現在、早期の研修実施を目指して、仙台市と具体的内容を協議しているところでございます。 次に、大綱二点目、二〇五〇
カーボンニュートラルに向けた県の取組についての御質問のうち、県有施設の再エネ電力割合についてのお尋ねにお答えいたします。 二〇三〇年度の県の事務事業における温室効果ガス排出削減の目標達成を確保するために必要な再エネ電力の割合について、発電事業者からの調達分は計画では三六%を見込んでおり、これに加え、太陽光発電設備を設置するなどの県独自の取組により、最大で五%導入する必要があると試算しております。更に、二〇五〇年の
カーボンニュートラルの実現に向けては、今後、再エネ電力の使用割合を大幅に引き上げていく必要があります。そのため、今年度、県の施設及び未利用地を活用した最大限の太陽光発電設備の導入について調査検討しているところでありますが、導入に当たっては、県内の自治体や民間企業の取組の参考となり得るような、地産地消型及び地域共生型の先導的なモデルを構築したいと考えております。また、再エネ電力割合の目標については、温室効果ガスの排出削減目標に関する国際的な動向や国の方針を踏まえ、みやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇戦略の削減目標を改訂する場合において、
再生可能エネルギー技術の普及状況なども考慮しながら、必要な見直しを行ってまいります。 次に、大綱三点目、女川原子力発電所についての御質問のうち、能登半島地震を踏まえた安全性検討会の再開と、再稼働を待つように東北電力に申し入れるべきとのお尋ねにお答えいたします。 女川原子力発電所二号機の安全性に関する検討会は、国の新規制基準に適合することにより向上する安全性等について、東北電力からの施設変更に関する事前協議への回答の参考となる御意見を頂くことを目的として設置したもので、もう既に役割を終えております。能登半島地震を踏まえた検証につきましては、我が県に限った問題ではなく、国により検証が進められるものと考えており、新しい知見等が確認された場合には、必要に応じ、地域防災計画等の見直しを行うこととしております。なお、女川原子力発電所二号機の再稼働については、令和二年十一月、県議会や市町村長の御意見等をお聞きした上で、政府の方針に対し、県として理解表明をしたものであり、現時点で原子力規制委員会から特段の問題は報告されていないことから、現在もその考えに変わりはございません。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 復興・
危機管理部長高橋義広君。 〔復興・
危機管理部長 高橋義広君登壇〕
◎復興・
危機管理部長(高橋義広君) 大綱三点目、女川原子力発電所についての御質問のうち、避難道路についてのお尋ねにお答えいたします。 国において整備が進められている国道三百九十八号石巻バイパス沢田工区は、現在、道路等の設計を実施するとともに、今年度から一部用地買収に着手すると伺っております。また、県が整備を進めている県道石巻鮎川線風越Ⅲ期桃浦工区は、鮎川側の道路改良工事を進めているほか、県道女川牡鹿線大谷川浜小積浜工区は、来月から主要構造物であるトンネルの掘削工事に着工する予定です。県としましては、引き続き、早期の工事完成に向け、国と連携しながら鋭意取り組んでまいります。また、女川地域原子力防災協議会において令和二年三月に避難計画を取りまとめた、女川地域の緊急時対応は、国において具体的かつ合理的であると了承されており、この三工区が整備されることにより、実効性が更に高まるものと考えております。なお、大規模災害発生時には、発電所周辺の道路が通行止めになることも想定されますが、緊急時対応では、陸路が使用できない場合も想定し、海路・空路での避難を行うこととしており、自衛隊等にも御協力いただき、実際に訓練も行っているところです。 次に、住民等の屋内退避についての御質問にお答えいたします。 女川地域の緊急時対応では、原子力災害時に、発電所からおおむね五キロメートル圏内のPAZ及び牡鹿半島周辺の準PAZにおいては、避難することとされており、それ以外の三十キロメートル圏内のUPZでは、屋内退避をすることとされております。緊急時対応で定められた屋内退避に関する方針では、自然災害による家屋倒壊など、屋内退避が困難な場合には、市町が開設する近隣の指定避難所等へ屋内退避を行うこととされております。更に、指定避難所等における屋内退避も困難な場合には、近隣の別の指定避難所等や、UPZ外の避難先へ速やかに避難を実施することと定められております。また、PAZ及び準PAZにおいて、避難の実施により健康リスクが高まる方などは、放射線防護対策施設で屋内退避を行うことになっており、この施設については、耐震構造あるいは耐震性能に支障がないことを確認しております。仮に施設の陽圧化設備が十分に機能しない場合であっても、放射線防護の観点から、まずは屋内退避をすることが有効であり、その上で、安全に避難ができる準備が整い次第、健康状態や原子力災害等の状況に応じて、避難の実施を判断することになります。 次に、モニタリングステーションの非常用電源についての御質問にお答えいたします。 無停電電源装置であるUPSについては、非常用発電機が稼働するまでの電源を補完するために設置するものであり、五分程度の稼働が可能となっております。非常用発電機については、緊急時モニタリングについて国が定めた方針に基づき、燃料補給等をすることなく、三日間は連続稼働できる設備を設置しています。また、国は、長期対策として「燃料補給や可搬型モニタリングポストによる代替等により、連続して測定できる体制を確保すること」と示しており、我が県では、県石油商業組合及び県石油商業協同組合と締結した災害協定により、七日以上の燃料を確保し、職員等が非常用発電機に補給を行うこととしております。更に、測定機器の故障等にも対応できるよう、交換可能な充電知識の可搬型モニタリングポストを整備するなど、欠測期間が発生しない体制を構築しております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
環境生活部長佐々木均君。 〔
環境生活部長 佐々木 均君登壇〕
◎
環境生活部長(佐々木均君) 大綱二点目、二〇五〇
カーボンニュートラルに向けた県の取組についての御質問のうち、
ポータルサイトへ掲載する情報についてのお尋ねにお答えいたします。 県民、事業者、行政など、あらゆる主体が一体となり、県民総ぐるみによる温暖化対策を推進していくためには、県内の幅広い方々に、温暖化対策の必要性や目標、それぞれが果たすべき役割について理解していただくことが大変重要と考えております。県では、今年八月をめどに
ポータルサイトの見直しを進めておりますが、新しいサイトでは、社会全体で二〇五〇年
カーボンニュートラルに取り組む機運を醸成していくため、気温上昇一・五度の抑制を全世界の共通目標としていること、我が県としてみやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇県民会議において官民連携の取組を推進していくことなどを広報してまいります。あわせて、県民一人一人が地球温暖化問題を自分事として捉え、脱炭素型のライフスタイルや事業活動に転換していくための後押しができるよう、温暖化による影響や取組例について、国立環境研究所のサイトも含め、身近で分かりやすい情報の発信に努めてまいります。 次に、二酸化炭素の削減における目標までの
年次棒グラフの掲載位置についての御質問にお答えいたします。 みやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇戦略の目標達成に向けては、戦略で掲げる目標とその進捗について、県民の皆様との共有に努め、行動を喚起していくことが重要であると認識しております。そのため、
ポータルサイトでは、温室効果ガス排出削減の目標及び達成状況について、より多くの方に閲覧いただけるよう掲載箇所を見直すとともに、日々の生活や経済活動における温暖化対策の積み重ねが目標達成に貢献することをお伝えするなど、改善を図ってまいります。 次に、急激に変化する情報に即応する仕組みについての御質問にお答えいたします。 みやぎゼロ
カーボンチャレンジ二〇五〇戦略は、三年ごとに見直しを行い、必要に応じて改訂することとしております。しかしながら、
地球温暖化対策をめぐる国内外の動向が急激に変化していることを踏まえ、戦略の内容と関わりの深い情報については、
ポータルサイトを活用し、最新の情報を随時発信してまいります。 次に、県民会館と民間非営利活動プラザ複合施設のZEB化についての御質問にお答えいたします。 県民会館及び民間非営利活動プラザ複合施設については、より高いレベルのZEB化を目指し、基本設計において検討を行ってまいりましたが、現在進めている実施設計において詳細なシミュレーションを行った結果、エネルギー効率上不利な、ホールなどの大空間を有する建物形状等の特性もあり、エネルギー消費量を五〇%以上を削減するZEB Ready以上を達成することは困難との結論に至りました。一方で、外壁・屋根の高断熱化や遮熱性能が高いサッシの採用により断熱性能を向上させることに加え、高効率の設備機器や制御機能を備えたLED照明の採用など、更なる設計上の工夫を凝らした結果、エネルギー消費量を三〇%以上削減するZEB Orientedを達成できる見込みとなったものです。今後は、県民会館及び民間非営利活動プラザ複合施設を先行事例とし、新築及び改修を予定している県有施設について、計画的にZEB化や省エネ化の検討を進め、各施設の特性や費用対効果を踏まえながらエネルギー使用量の削減に取り組むことによって、二〇三〇年度の目標を達成できると見込んでおります。 次に、ZEB化可能性調査の目標設定についての御質問にお答えいたします。 昨年度実施したZEB化可能性調査では、あらかじめ省エネ性能の目標値を設定するのではなく、対象施設ごとに構造や空調・照明等の設備の状況を調査し、複数の改修モデルの中から費用対効果を確保できるものを選定しております。そのため、対象施設によって省エネ性能は異なっております。また、調査では、外壁やサッシの断熱化は施設の改修工事と併せて実施することが経済的であることや、空調・照明設備の高効率化のみの実施でも経費を抑えながら十分な省エネ効果を得られることが明らかになっております。そのため、対象施設の改修計画を踏まえ、二施設については高効率設備への更新を中心とし、一施設についてはサッシの断熱化を含めた改修モデルを選定いたしました。今年度は、昨年度の調査を踏まえ、県有施設のZEB化・省エネ化に関する指針を策定することとしており、この策定作業の中で、ZEB化や省エネ性能の目標設定、施設の特性に応じた改修モデルについても検討してまいります。 次に、県有施設のZEB化の公表についての御質問にお答えいたします。 県有施設のZEB化によって得られた知見を市町村や民間部門の取組の参考にしていただくことは、県内のZEB建築物の普及拡大に寄与するものと考えております。そのため、ZEB化の事例のほか、今年度策定する県有施設のZEB化・省エネ化の指針について積極的に公表していきたいと考えており、その具体的な内容や実施方法について、今後検討してまいります。 次に、ZEBの実現・普及に向けた調査についての御質問にお答えいたします。 県では、昨年度実施したZEB化可能性調査において、三施設の改修モデルを検討したほか、国のロードマップを参考にしながら、二百十の県有施設の使途や規模、使用している機器の熱源、エネルギー消費量などのデータを収集いたしました。今年度は、これらのデータを基に、優先的にZEB化を実施すべき施設の選定基準のほか、設計段階における手続及び検討事項、省エネ化の目標設定の考え方などを定めた指針を、今年中に策定したいと思います。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、
障害福祉サービスにおける
障害者ピアサポート研修についての御質問のうち、就労継続支援事業所の閉鎖と報酬を受け取れていないことへの認識についてのお尋ねにお答えいたします。 今年度の報酬改定においては、主に就労継続支援A型では、一日の平均労働時間が短い事業所で単価が引き下げられ、B型では、平均工賃月額が低い区分の事業所で、同じく単価が引き下げられたところです。経営を取り巻く厳しい状況の中で閉鎖する事業所があることは承知しておりますが、その主な理由として、特にB型においては、利用者不足のケースが多いと伺っております。また、
障害者ピアサポート研修に関連する報酬加算については、一月一人当たりの報酬単価が千円であり、事業所の閉鎖との関連性は限定的であると認識しておりますが、質の高い
ピアサポート活動を推進するためにも、今後、報酬加算の取得に向けた研修体制を整備していく必要があると考えております。 次に、研修の実施先や講師の選定についての御質問にお答えいたします。
障害者ピアサポート研修は、質の高い人材を確保する観点から、国で実施要綱を定め、標準的なカリキュラムが明示され、ピアサポーター等の障害当事者を講師とすることとされております。また、受講者が障害当事者であることから、コミュニケーション支援などの受講環境や休憩時間等に配慮することとされております。本研修の実施に当たっては、障害福祉関係施策に精通し、類似の研修事業の実績があるなど、円滑な運営が可能である事業者を選定したいと考えております。講師の選定についても、障害種別を考慮した上で、関係団体等の意見を伺いながら、リカバリーの信念を持ち、ロールモデルとなり得る障害当事者の方となるよう努めてまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 二十六番枡和也君。
◆二十六番(枡和也君) 答弁ありがとうございました。知事の答弁はあんまり前向きな答弁がなかったんですけれども、
障害者ピアサポート研修について伺います。今検討しているということなんですけども、実際この検討っていつから始まったのか、その辺お聞かせください。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 仙台市御当局と、政令市と都道府県で両方で実施主体になり得るということもありますので、その辺の協議は具体的に進めているところでありまして、そういった検討状況でございます。なるべく、知事も答弁申し上げたとおり早期に開催できるように準備を進めてまいりたいと思ってございます。
○議長(高橋伸二君) 二十六番枡和也君。
◆二十六番(枡和也君) 知事の答弁の中で早期という言葉はなかったんですけれども、やはり、この間障害福祉課のほうから頂いた資料では、講習会が令和二年度から始まり、令和三年度実績が四十七都道府県で約九県一九%、そして令和四年度で四十七都道府県のうち二十二県四七%、そして令和五年度にはもう三十六県で、もう八割強で終わっている準備なので、本当にいつから始まるのか、やはり事業所として見れば待っているような状況なので、その辺もう少し前向きな答弁が欲しいのですが、いかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私の答弁も、できるだけ早期にというふうに答弁をさせていただきました。難しいのは、これ、やる気がないわけではなくて、やる気はあるんですけれども、仙台市さんとの調整がちょっと時間がかかっているということです。仙台市もやる気がないわけではないんですけれども、ですから、その調整、ちょっと時間がかかっていますけれども、今年度中か来年度には必ずやれるというふうには思っておりますが、まだちょっと調整中ですので、いつからやるということを明言することは控えさせていただきたいと思っております。
○議長(高橋伸二君) 二十六番枡和也君。
◆二十六番(枡和也君) ぜひ早期に検討してもらって、例えば先ほどの講習会の受皿とか、あと講師の養成にも多分時間がかかると思いますので、遅くても令和七年度くらいから始められるようにぜひ努力してほしいのですけれども、いかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 御指摘のような様々な調整もありますし、当然ながら予算措置を伴うことになりますので、そういった観点も含めながら、仙台市との協議を含め、急ぎ検討を進めてまいりたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 二十六番枡和也君。
◆二十六番(枡和也君) ぜひそのようにお願いしたいなというふうに思っております。 先ほど知事の答弁の中で、
カーボンニュートラルについての答弁がありました。ちょっと意味がよく……。三六%に五%上乗せするという答弁でよかったんでしたかね、この辺ちょっと。
○議長(高橋伸二君)
環境生活部長佐々木均君。
◎
環境生活部長(佐々木均君) 三六%の関係なんですけれども、これは国のエネルギー基本計画で再エネ電源の構成比率が三六~三八%というふうになっております。これを受けまして、電気事業者において、この目標において、国全体で二酸化炭素の排出係数とかの目標を定めているというような状況でございます。これらを踏まえて、県の戦略では、事務事業におけるCO2の削減を五一%というような設定をさせていただいているところでございます。要は、調達電源につきまして約六割、三六%を再エネで調達しますというような形で行っておりますので、我々が調達する電源では三六%相当が再エネ相当が含まれていると。これに基づいて、二酸化炭素、我々の事務事業で排出する削減量を計算すると、約六割くらい削減ができると。我々としてはまだ五一%まで削減しなければいけないので、その差分を全て
再生可能エネルギーで電力を調達するというような形になった場合は、現在の電気の使用量の五%相当分に該当する部分が再エネ相当になるということで、今、知事から説明をさせていただいたというところでございます。
○議長(高橋伸二君) 二十六番枡和也君。
◆二十六番(枡和也君) ありがとうございます。分かりました。 それでは、先ほどの知事の原発に対する四番目の回答で、有識者会議、安全性検討会議をもう一回設置したほうがいいという、その役割は終わっているんだということなんですけれども、知事の答弁の中で、国により検証が進められているというような答弁がございました。やはり立地自治体である県でも、本当は組織を設けて検証しなくちゃいけないのではないのかなというふうに思うのですが、その辺の御認識をお聞かせください。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) これは宮城県内で起こった問題ではなくて、能登半島で起こった問題だということでありまして、これに対して県が検証しようとしても、データを取り寄せることも簡単にはいかないということであります。やはりこういったような問題は、一地域の問題ではなくて、国がしっかりと検証を進めるべきであるというふうに考えているということでございます。
○議長(高橋伸二君) 二十六番枡和也君。
◆二十六番(枡和也君) 今回は能登半島で離れているところだというような回答なんですけれども、やはり海底が四メートルも隆起してみたり、大自然相手なのでどういうふうになるのか分からないのが常だというふうに思っておりますので、やはり県でももう一度、しつこいようですけれども検討すべきだと思うのですが、もう一度お願いします。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 能登はかなり隆起をいたしました。宮城県のほうはプレートの関係があって地面が沈み込んだといったような違いもございます。したがって、能登の状況がそのまままた宮城で反映できるかというと、決してそうではないというふうに私は思っております。そういった意味では、国が日本全体を見ながらしっかり検証した上で、能登の状況から、宮城の場合はこのようなことを考えられるという新たな知見が出てくれば、その際にはまたいろいろ検討もしてまいりますけれども、現在においては、宮城のこの周辺の状況について、特に大きな新たな知見というものが出ていないということでありますので、県としてこれに合わせて、能登半島を教訓にして新たなものをまた検討するということは、今の段階では考えていないということでございます。
○議長(高橋伸二君) 二十六番枡和也君。
◆二十六番(枡和也君) やはり原発には想定外というようなことはあってはならないと思いますので、ぜひその辺、常に検討をしていただければというふうに思っております。 それで、今回、池田副知事、大変二年間お世話になりまして、ありがとうございました。会派でも勉強会を行っていただいたりいろいろお世話になり、本当に感謝申し上げます。例えば宮城、これからの半導体産業、PSMCさんを迎えてこれからというときだったのですが、非常に時期的には残念ではございますけれども、総務省に戻ってからも健康に留意され御活躍されることを御祈念申し上げまして、一般質問を終わらせていただきたいと思います。本当にお疲れさまでございました。
○議長(高橋伸二君) 四十七番
佐々木賢司君。 〔四十七番
佐々木賢司君登壇〕
◆四十七番(
佐々木賢司君) 自由民主党・県民会議の
佐々木賢司でございます。議長から発言の許可を頂きましたので、御支援をいただいております、宮城県民、大崎市民全ての皆様に感謝を申し上げながら、一般質問をいたします。 初めに、樹齢千年以上と言われる宮城県の指定天然記念物、千年クロベを見に行くと家族に告げ、今年五月に栗駒山に入山した大崎市三本木在住の男性が、山中で道に迷い、その後連絡が取れなくなり、いまだ見つかっておりません。御家族の心中いかばかりかと察しますが、一日も早く見つかることを祈るばかりであります。 それでは、大綱一点目、観光振興事業について。 新型コロナウイルス感染症が五類に分類され、本格的な経済回復施策に取り組んでまいりましたが、特に観光分野においては、持続可能な観光への関心・意識が高まる中で、地球環境に配慮した旅行を推進するとともに、地域が一体となって持続可能な観光地域づくりを行うことが重要であると観光庁が発表しております。
カーボンニュートラルな交通手段の活用やプラスチックごみ・食品ロス削減などに取り組む宿泊施設の利用が重要であり、観光事業者の自発的な取組推進や旅行者を含めた普及啓発、認知度向上を図るとも言われています。先般六月四日に、宮城県観光連盟DMO登録記念シンポジウムが開かれ、「地域の観光の鍵を握るDMOの果たす役割」と題して、観光庁長官高橋一郎氏から基調講演があったと伺っております。国内外からの交流人口の拡大や旅行消費によって地域の活力が維持し、社会を発展させること、また、訪日された外国からの旅行者との触れ合いの中で、日本人もその価値を再認識し、日本文化や地域を誇りに思うことにつなげなければならないということであります。観光は、かつては国民の福祉のためにあるツールという考え方が日本にあったようですが、現代では、地域経済の活性化、訪日外国人の誘致を中心とした成長産業としての役割になっています。現に政府の観光政策に出現する単語として多いのが、外国人と訪日、魅力や環境、コンテンツ、プロモーション、産業、効果などと言われます。観光は経済活性化のためのツール、稼ぐための産業という位置づけであるならば、その恩恵をしっかりと受けられるのかどうかが重要ではないかと考えます。観光による経済活性化には、観光客数や消費額が増えれば経済効果が発生していると言われますが、実際に地域の観光産業の雇用や経済成長に結びつかなければ、観光が稼げるツールであるとは言い切れないのではないかと考えます。観光による県内各地域の経済成長と雇用についての現状と、具体的な目標数値を立て施策を推進されようと考えているのか、知事の御所見を伺います。 農村地理学者の大橋めぐみ氏は、ルーラルツーリズムに注目し、日本の条件不利農村の維持可能性を論じています。ルーラルツーリズムは、農山漁村の地域資源を活用し、地域環境や暮らし、文化を体験として提供することであり、特有の生態環境や社会・文化をルーラルアメニティーと呼ぶそうであります。その地域の伝統的な資源や文化、環境を活用したルーラルツーリズムは、農山漁村を守るべき価値として認識し、これまでの農業から観光などの多面的な機能を持つ農業として成長する可能性を秘めていると考えます。 国連世界観光機関UNWTOは、令和三年にガストロノミーツーリズムに関するガイドラインを発行しています。ガストロノミーツーリズムとは、気候風土が生んだ食材や習慣、伝統、歴史などによって育まれた食を楽しみ、食文化に触れることを目的としたツーリズムということで、地方へインバウンド誘客の促進効果が期待できるものと考えます。世界で最も大きな影響力を持つワインコンテストと言われるIWCインターナショナルワインチャレンジにおいて、二〇二四年SAKE部門で、本社が大崎市三本木にある新澤醸造店が、本醸造部門で「愛宕の松県内本醸造」、熟成酒部門で「NIIZAwA KIZASHI2019」がゴールドを獲得し、この二つの銘柄が部門で最も優れた銘柄と認められ、最高賞となるトロフィーを受賞されました。大崎管内では、若い蔵元や杜氏が、新しい日本酒、毎日たしなむことができる日本酒造りに日々努力を続けています。このような食や農に関する地域の宝を発掘し、磨き上げ、世界に発信することが、インバウンド誘客を含め、国内の誘客を増加させる手だてとなるものと考えます。先ほど述べたように、観光事業は直接的影響がある業種のみならず、他業種への好影響があることを示す必要があります。中でも、宮城県が全国、世界に自信を持って発信できるのは、食、農ではないでしょうか。宮城の食と農業を観光にどのように結びつけ、生産者の利益に影響を与えようと考えているのか、知事の御所見を伺います。 国内外の観光客や観光事業者に対して、宮城県の観光資源、地域文化、歴史、食などを発信・提案する国内観光活性化フォーラムinみやぎを、一般社団法人全国旅行業協会宮城県支部が企画し、第二十回となる令和八年二月の開催地に宮城県として立候補いたしましたが、残念ながら奈良県での開催となり、宮城県での開催は次年度以降に改めて立候補することとなりました。関係者は宮城県の観光に並々ならぬ熱い思いで取り組んでおり、越えなければならない高いハードルがあるのも事実ですが、県としてその思いに応えなければならないと考えます。第二十一回大会開催誘致への県の姿勢、考え方を伺います。 観光振興事業の最後に、宿泊税について伺います。 宮城県が導入しようと進めている宿泊税は、平成三十年に設置された宮城県観光振興財源検討会議にて、観光振興施策、財源確保の在り方など協議をされ、令和二年一月に報告書にまとめられたものであります。その当時も様々な団体・組織から宿泊税条例導入後の影響を心配され、懸念や反対の声が寄せられましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、一旦見送られたものであります。 私は、昨年四月に会派所属議員とともに教育旅行誘致拡大について台湾を訪問し、教育関係者の方々と意見交換した際、宮城県は訪問先として魅力的であるが、行程は宮城県から入国し松島をめぐり、岩手と山形を訪問して仙台国際空港から台湾へ帰るということで、宮城県に滞在する時間はそれほど長くはないということであり、長期滞在するだけの情報やコンテンツを宮城県のみならず、各市町村からも多く発信してほしいという意見・要望を頂きました。このことから、県が観光振興財源として導入を目指す宿泊税は、東北観光復興対策交付金の終了や復興関係基金残高の減少という現実と、成長産業である観光事業を鑑みれば、私も必要ではないかと考えておりました。しかし、現地、現場や特別徴収義務者として予定される宿泊事業者の意見は大変厳しいものであります。 六月六日に大崎市役所鳴子総合支所で行われた意見交換会に出席させていただきました。参加された宿泊事業者からは、様々な意見や指摘がありました。「宿泊税ありきの議論なのではないか」、「導入を前提として意見交換を実施されたが、それ以前に現場の意見を聞く場があるべきではなかったのか」というものでありましたが、複数の方々が発言されていたのは、「見送りとなった令和二年からこれまでの四年間、一体何をしてきたのか、その経過説明がない」ということであります。令和二年一月の新たな観光振興財源についてという説明資料には、地元関係者で構成する圏域会議と、その圏域代表者を含めた全体会議の観光振興会議を新たに設置し、その中で、宿泊税の使途の検討や事業実施後の検証に当たり、意見聴取するとしています。六月六日当日に配布された資料にも記載がありましたが、令和二年からこれまで、みやぎ観光振興会議、また圏域会議の開催回数はどれだけあったのでしょうか。開催されたのであれば、宿泊税に関して宿泊事業者の皆様に説明し、意見を聴取したのでしょうか。委員の反応はどうだったのでしょうか。開催がされなかったのであれば、その理由は宿泊税が制度化されていないからなのか、伺います。 参加された宿泊事業者からは、宿泊事業者の負担が大きいという意見よりも、「湯治客や長期滞在者から大手ホテルと同様に徴収するのは疑問」、「入湯税も頂いており、更に宿泊税となると、顧客にどう説明したらいいのか」などといった、現地を訪れる宿泊観光者が納める税の負担に対する心配であります。確かに、長期滞在される湯治客は一日ごとに加算されていくわけですから、大きな負担になることは誰にでも判断できることであります。改めてお聞きいたしますが、免税点や課税免除を検討する協議の中で、湯治客のような連泊される方に対しては、初日の宿泊分に課税し、二泊目からは免税あるいは免除する配慮等が必要だという、部課内での意見や検討はされなかったのでしょうか。私は、湯治客のような長期滞在の場合は、宿泊一日分のみとすることでよろしいのではないかと考えますが、御所見を伺います。 次に、税率の検討について伺います。 宮城県観光振興財源検討会議の報告書にも記載されているように、東京や大阪、京都など、他の自治体の事例を挙げています。東京や大阪、京都などの外国人宿泊数は、宮城県と比較して桁違いであり、東京は一万円以上一万五千円未満が百円、一万五千円以上が二百円という設定であっても、約三十億円の税収が見込めるとされております。オーバーツーリズム対策という観点があると思いますが、宮城県の免税点がホテルや旅館等の宿泊代金にかかわらず、一人一泊三千円からという点は疑問があります。先ほど述べたように、温泉旅館・ホテルで徴収される入湯税との関係や、仙台市内のビジネスホテルのように、同じ客室でも曜日や地域イベント等で宿泊料金が変動する施設と条件が同一なのは腑に落ちません。ふだんなら六千円程度で宿泊できるビジネスホテルでも、一万円を超える料金を支払う場面がよくあります。三千円以上の宿泊と一万円以上の宿泊が同一税率三百円という設定こそ、税の不公平を感じるものではないでしょうか。免税点と税率の設定を再考すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 鳴子地域での意見交換会では、「宿泊税の使途が不明確」という意見や、「誘客のための宿泊税では宮城県の政策としてマイナス」といった意見がありました。また、地域や宿泊業者の現状を知ってもらい、今後も意見を聞き、話合いの場を持ってほしい旨の要望があり、出席された副部長もそれに応じる答弁をされていました。各地で説明会を計画されていますが、特に税の使途については、配布資料だけでは具体的にイメージできるような説明につながっていないと考えます。この先、県として各圏域の宿泊事業者との話合いの場を設け、意見聴取・意見交換を行うのか。また、宿泊税の使途について、地域の実態に合わせてイメージできる説明をするように見直すべきと考えますが、御所見を伺います。 大綱二点目、教育行政の諸課題について。 今年五月十八日、澄み渡る青空の下、大崎市内の小学校では運動会が開催されました。徒競走では、保護者だけでなく、招待された来賓たちも大きな声援を送り、中には転倒してしまった児童もいましたが、泣きながらでも最後まで諦めずに走る姿に感動いたしました。また、開会式では校長先生から、水分を十分に取ること、具合が悪くなったらすぐに先生に伝えるようにというお話もされていました。以前は、五月は爽やかな季節と表現できましたが、今では五月であっても、気温や湿度に十分注意しなければならない状況だと思います。日本の夏季の気温は猛暑が続くようになり、五月、六月でも夏日や真夏日が観測されるようになるなど、児童生徒の健康や学校環境の改善が急がれています。外気温が三十五度を超える日が続くと、教室内では温度と湿度が高くなり、熱中症になる危険が高まるとされており、今年も注意が必要であることは言うまでもありません。このような状況において、児童生徒たちが学習に集中できる環境を整える必要があり、エアコンの整備は必要不可欠でありますが、県立中学・高校・特別支援学校のエアコン整備は、現在どの程度まで進められているのか伺います。 特に、特別支援学校に通学する児童生徒については、それぞれの健康状態や障害の特性から、より心や体の負担が少なく、快適な学習環境の提供が重要であると考えます。特に猛暑の中での体育活動や学校行事は、特別支援学校の児童生徒にとって大きな負担であり、健康リスクの高まりにつながることから、体育館へのエアコン整備が急務であり、喫緊の課題であります。学校によっては、体育館が送迎バスに乗るまでの待機場所になっているとも伺っており、早急に対応すべきことと考えますが、今後の整備について、教育長の御所見を伺います。 我が会派の教育機会確保法に関する調査チームでは、本年五月に県外調査を実施し、全国で初めて宮城県が連携協定を締結した株式会社LITALICOを訪問し、その取組について伺い、意見交換してまいりました。特別な教育的支援を必要とする子供たちに対して、未就学の段階から義務教育期間、高等学校の段階まで、切れ目のない支援を可能とする教育ソフトの導入であります。全国の特別支援学級の在籍数は、令和四年五月一日時点で三十五万三千四百三十八人、十年前の平成二十四年では、十六万四千四百二十八人と比較し二倍を超えます。通級指導を利用する子供たちも二・三倍になるなど、特別支援教育の教員不足や初めて特別支援教育に携わる教員の不安解消は県の大きな課題だと考えていましたが、LITALICOの開発された教育ソフトの導入は、事細かなアセスメントで子供自身が困っていることを把握し、その結果を基に保護者や他の教員との情報共有ができるものであり、教員の負担や不安を解消し、保護者の安心につながるものと確信できるものですが、教員がしっかりと使いこなすことが必須であり、そして何よりも子供たちのために、県
教育委員会と市町村
教育委員会双方の理解と連携を強くしてほしいと願うところです。現在は実証事業、トライアル期間と伺っていますが、昨年度当初は大崎市、気仙沼市、白石市、多賀城市が導入し、その後、石巻市、栗原市、登米市、松島町、美里町、村田町、利府町、涌谷町、亘理町が導入しているとのことであります。そこで伺いますが、先んじて導入した四市のこれまでの取組状況はどのようなものなのか、また、中間報告を含めて結果報告はどの時期に行う予定なのか、更には、いまだ導入されていない市町村の状況はどうなのか、併せて伺います。 LITALICOの教育ソフトは、未就学児から高等学校まで切れ目なく活用できるものでありますが、宮城県が導入する趣旨・目的には、小学校段階から高等学校段階まで切れ目のない支援を可能にするとともに、各学校において適切な支援が早期に可能となるような資料を提供する仕組みを構築するとあり、未就学児の記載がありません。幼児の段階から特別な教育的支援を実施することは、保護者の安心につながることはもちろんですが、子供本人に利するものです。子供が保育所や幼稚園から学校へステージが変化する引継ぎのときがスムーズか否か、非常に重要だと考えますが、未就学児の時期にソフトを導入する考えはあるのかを含め、保健福祉部と教育庁の連携・対応をどう考えているのか、それぞれに伺います。 特別支援学級の教員は、特別支援教育に取り組みたいと志願する教員もいれば、学校の事情や配属の関係で担任となった教員もいらっしゃると聞きます。特別支援学級の在籍者や通級を利用する生徒たちの増加傾向を鑑みれば、福祉の学びを専攻した教員の配置を増やさなければならないと考えますが、市町村立小中学校を含め、福祉の学びを専攻した教員の採用の必要性と採用状況、現在の学校の配置状況はどのようになっているのでしょうか、教育長に伺います。 今回の県外調査では、東京大学先端科学技術研究センターにも伺い、読み書き計算が苦手、人とのコミュニケーションがうまくいかず、学びにつまずき不登校になった子供たちが、目的や時間、場所、学び方や協働を強制せず、能動的に動き出すことを待つアクティビティープログラムLEARNの取組について学び、意見交換させていただきました。LEARNは親から離れ、真冬に北海道の牧場で働く体験や、行き先すら分からない場所に旅に出て、漁船に乗り、釣った魚をさばく体験をしてみるなど、ふだん家の中に閉じこもっていては体験できないことを「家出体験」と称し、子供自らが考え行動するプログラムであり、子供自身に秘めている可能性や心の優しさ、人間性を表に出して、それを自信に代え生きていく力を養うものであります。運営には日本財団の支援や民間企業、全国に協力者が存在するからできるのであって、そう簡単な事業でないことは理解できるのですが、子供の可能性を引き出すきっかけを与える方法・手段は幾通りもあるのだと感じたところです。このような民間や大学の発想・事業による支援を県が発掘し支える取組も必要と私は考えますが、教育長の御所見を伺います。 先月、宮城広瀬高等学校が令和九年度に、新たなタイプの学校、アイデアルスクールを開校予定であるとの報道がありました。設置の背景や基本理念から、多様な学びを確保し、子供たちの居場所と自立を支援する新しい学校を設置しようとする考え方には共感するものですが、様々課題があるのではないかと思います。学びの内容から、これまでのカリキュラム踏襲型の高校教育から、多様な生徒を受け入れ、自ら考えフレキシブルな学びを選択する学校をつくることは理解できます。しかし、学校の特色をフルに生かすとした場合、一般の高校と比較し、多くの教員と外部人材、サポートスタッフ等が必要になるのではないでしょうか。一学年二百人の生徒に対して、それに対応できる教員をはじめスタッフは総勢何人程度と見込んでいるのか、伺います。 既存の学校に通えない児童生徒の受入先、学びの場の確保の観点から学校を設置しようと考えるのであれば、宮城広瀬高等学校だけでなく、県内の既存の中学校や高等学校内に小規模でもそのような学びの場を設置すれば、どこに住んでいても、より家から近い場所に通うことができるのではないかと考えます。それがなぜ仙台市の高等学校なのでしょうか。当然、仙台市以外からも入学を希望する子供たちが出るものと思いますが、寮の整備あるいは通学手段など、どのように対応するお考えなのか、更には今後、アイデアルスクールは県内に増設することも想定しているのか、伺います。 六月十一日に大崎市内で、大崎管内選出県議会議員と北部大崎地方行政連絡調整会議との意見交換会が開催され、それぞれの公所から令和六年度の主要事業について説明を頂きましたが、いじめ・不登校の未然防止に向けた継続的・計画的な指導・支援事業にある、学び支援教室支援事業と、みやぎ「魅力ある・行きたくなる学校づくり」推進事業の概要に対して、非常に違和感を覚えました。何らかの事情で学校に通えない児童生徒に対して、登校復帰が前提となる事業ではなく、その児童生徒一人一人の特性に合わせ、更に望まれるのは、その現象を細分化し、支援の在り方を検討し取り組むことが必要であると考え、これまでずっと私も訴えてきたのですが、相も変わらず学校への登校復帰を目指すかのような表現には、正直情けなく、学校に通えない子供たちの実情を理解しようとしているのか、その姿勢さえも疑いたくなります。とはいえ、要約された説明資料ですので、それだけで判断することはできないと思います。改めて伺いますが、宮城県の不登校児童生徒への支援の在り方についてどう考えているのか、教育長の御所見を伺います。 以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君)
佐々木賢司議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 大綱一点目、観光振興事業についての御質問にお答えいたします。 初めに、観光による経済成長と雇用の現状及び具体的な目標数値と施策についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、第五期みやぎ観光戦略プランにおいて、令和元年度と同水準とする回復目標として、令和六年の宿泊観光客数九百九十万人泊、外国人観光客宿泊者数五十万人泊、観光消費額三千九百九十億円とする目標を掲げ、インバウンド誘客施策の充実のほか、国内外からの教育旅行誘致、宿泊施設の外国人観光客受入れ環境整備などに取り組んでまいりました。その結果、令和五年の速報値として、外国人観光客宿泊者数が目標を上回る五十・七万人泊となったほか、宿泊観光客数・観光消費額も回復目標と同水準の九百四十三万人泊、三千九百八十五億円となるなど、観光需要は着実に回復しているところであります。一方、観光産業の雇用については、賃金水準の低さや宿泊・観光施設における人手不足などの課題を抱えているものと認識しております。このため、県といたしましては、宿泊観光客や観光消費額の増加が地域の経済成長や雇用に結びつくよう、次期観光戦略プランの策定に当たり、具体的な目標数値の設定や効果的な観光施策について検討してまいります。 次に、我が県の食と農業を観光にどう結びつけ、生産者の利益に好影響を与えるのかとの御質問にお答えいたします。 我が県では、地域ごとに特色ある気候風土を生かした農業が営まれ、多彩で豊かな食材や食文化にも恵まれていることから、これらを活用し、観光振興に結びつけていくことは非常に重要であると認識しております。このため県では、農山漁村に宿泊し、豊かな地域資源を活用した体験や食文化などを楽しむ農泊等を推進してきており、大崎地域での酒蔵めぐりや、登米地域でのはっとづくり、南三陸地域での漁業体験や語り部による震災の学びなどの体験プログラムが県内各地で行われております。今年度は、新たに大崎市など県北四市町の農泊団体が連携して取り組む、農泊周遊ツアーの造成をモデル事業として支援し、誘客拡大を図ることとしております。また、インバウンドが回復基調にあることから、旅行業者等を招いて商談会を開催し、海外からの需要も取り込みながら、持続可能な農泊ビジネスの仕組みづくりにつなげていくこととしております。県といたしましては、人口減少が進む中、我が県の食と農業の魅力を積極的に発信し、交流人口や関係人口を増やすことで、農山漁村の維持・活性化を図り、生産者及び地域全体の所得向上につなげてまいりたいと考えております。 次に、宮城観光振興会議についての御質問にお答えいたします。 県では、令和二年度から令和四年度まで、みやぎ観光振興会議を全体会議八回、圏域会議五十五回の計六十三回開催し、新型コロナウイルス感染症からの早期回復に向けた取組や、ポストコロナを見据えて新たに必要となる施策などについて、宿泊・観光事業者の方々と意見交換を行ってまいりました。昨年度開催した全体会議・圏域会議においては、次期観光戦略プランの策定に向けた今後の観光振興施策に加え、景気動向指数や県内の宿泊者数が回復傾向にあったことから、宿泊税の必要性についても御議論いただいたところであります。全体会議においては、出席委員十二名のうち十一名から新たな財源確保に賛同いただいたところでありますが、宿泊事業者の委員からは、経営環境が厳しいことなどから、税導入に反対の御意見も頂きました。また、圏域会議においては、七圏域のうち五つの圏域が宿泊税の導入に理解を示していただいたところですが、残り二つの圏域からは、「低価格の宿は宿泊客に負担がかかる」、「税導入は時期尚早」といった厳しい御意見を頂いたところであります。このため、宿泊事業者に対しましては、引き続き、御理解を頂けるよう丁寧な説明に努めてまいります。 次に、連泊客に対する配慮についての御質問にお答えいたします。 湯治客などの長期滞在者に対して配慮を望む声は、みやぎ観光振興会議等でも頂いているところであります。湯治客は低廉な価格で宿泊しており、結果的に長期滞在となるケースが多いことから、こうした方々への配慮については、同じく導入を検討している仙台市と協議をしてまいります。 次に、宿泊事業者との意見交換の実施や、地域の実情に合わせた説明をすべきとの御質問にお答えいたします。 県では、県議会や宿泊事業者の御意見を踏まえ、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の十七の支部・地域において意見交換会を実施することといたしました。具体的には、今月六日の鳴子地区五支部を皮切りに、石巻・女川・東松島地域の来月九日までに、制度設計のほか、宿泊事業者が抱える課題や今後実施すべき施策などについて、それぞれ忌憚のない意見交換を行っているところであります。その後、一回目の意見交換会で出された御意見を踏まえ、施策のブラッシュアップを行い、御指摘のような地域の実情に合わせた分かりやすい施策イメージを作成した上で、改めて支部ごとに意見交換を重ねてまいります。県といたしましては、宿泊事業者の皆様の御理解を頂けるよう、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、教育行政の諸課題についての御質問のうち、未就学時期からの教育ソフトの導入を含む、教育庁との連携対応についてのお尋ねにお答えいたします。 子供の発達や学びの連続性を確保するためには、いわゆる保幼小接続期に、関係者が認識を共有しながらそれぞれの役割を果たしていくことが重要であり、保健福祉部においては、接続期のカリキュラムの実践に向けた事例の紹介等に、教育庁と連携しながら対応してまいりました。特別な教育的支援が必要な児童の処遇に当たり、関係者の連携は一層重要であることから、保健福祉部といたしましても、小学校教育への円滑な引継ぎの実現に向け、今回の教育ソフトの実証事業の成果等について教育庁と情報を共有し、保育現場に周知するなど、必要な対応に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、観光振興事業についての御質問のうち、国内観光活性化フォーラムの誘致についてのお尋ねにお答えいたします。 国内観光活性化フォーラムは、一般社団法人全国旅行業協会の四十七支部組織や会員である旅行業者が、着地型旅行企画の発表会やシンポジウムを通じて、開催地の観光振興に貢献することを目的とするもので、地域の魅力を全国に発信できる貴重な機会であると認識しております。また、当該フォーラムにおいては、開催地への年間を通した送客キャンペーンの実施について決議することとしており、過去に開催された自治体における送客数は、数万人の規模であったと伺っております。県といたしましては、我が県での開催に向け、引き続き宮城県支部から具体的な実施内容をお伺いしながら、必要な協力を行ってまいります。 次に、免税点や税率の設定を再考すべきとの御質問にお答えいたします。 令和二年二月定例会に提出した条例案での税率については、二次交通の充実や観光案内板の整備、Wi-Fi環境の整備など、宿泊者が享受する観光に係る公共サービスの利益の程度が、宿泊料金にかかわらず同等であることに加えて、宿泊事業者の負担軽減を考慮し、できるだけ簡素な税制度とすることが適当であることから、一律三百円としたものでございます。また、免税点については、必要な財源を確保するとともに、蔵王自然の家など低廉な宿泊施設に児童生徒が宿泊する際の負担への配慮から、宿泊税の割合が一〇%を超えないよう、三千円と設定したものでございます。御指摘の税率や免税点の見直しについては、県議会からの御意見や、現在開催している各地域の意見交換会での宿泊事業者からの御意見などを踏まえ、同じく導入を検討している仙台市と協議してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔
教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱二点目、教育行政の諸課題についての御質問のうち、県立学校のエアコン整備状況についてのお尋ねにお答えいたします。 県立学校のエアコンについては、児童生徒が日常的に利用する教室を優先して整備を進めてまいりました。普通教室については、令和三年度までに全ての校種において整備が完了しております。また、音楽室や図書室などの特別教室は、学校によって利用の形態や頻度が異なることから、学校の意向を十分に確認しながら整備を進めてきており、中学校は完了、特別支援学校はほぼ完了、高校は約五割の教室で整備が完了しております。県
教育委員会といたしましては、児童生徒が安全・安心に学校生活を送ることができるよう、引き続き県立学校の教育環境整備に努めてまいります。 次に、特別支援学校体育館へのエアコン整備についての御質問にお答えいたします。 特別支援学校の児童生徒については、健康状態や障害の特性等を踏まえ、より心や体の負担に配慮した学習環境の提供が重要であると考えております。また、特別支援学校の体育館は、体育の授業のみならず、児童生徒の遊び場やスクールバス等の送迎時の待機場所としても利用されております。このため、県
教育委員会では、昨今の猛暑の現状を踏まえ、体育の授業におけるクールダウンなど、熱中症対策に一定の効果が認められているスポットクーラーの整備を進めたいと考えており、全ての特別支援学校において、今年の夏から使用できるよう、早急に整備を進めてまいります。 次に、特別な支援を必要とする子供の支援のための教育ソフトの取組状況についての御質問にお答えいたします。 県
教育委員会では、特別な支援を必要とする児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、一人一人の特性に応じた指導・支援を行うことが大切であると考え、県としては全国で初めて、株式会社LITALICOと連携協定を締結し、特別支援教育に関する支援体制の充実を図ってきたところです。先行して本教育ソフトを導入した市町村からは、「具体的なアセスメントにより支援方針が明確になった」、「支援に関わる教員同士が指導目標を共有することで指導の焦点化を図れた」など、児童生徒一人一人の特性に応じたアセスメントや指導・支援計画の作成について成果が上げられております。今年度は八月に中間報告会を実施し、年度末には本教育ソフトの活用に係る成果と課題について検証結果をまとめる予定としております。県
教育委員会としましては、既に導入している十二市町以外にも活用を検討している市町村もあることから、本教育ソフト活用の成果等について周知するなど、導入拡大に向けて働きかけてまいりたいと考えております。 次に、未就学時期からの教育ソフトの導入と保健福祉部との連携対応についての御質問にお答えいたします。 県
教育委員会では、本教育ソフトの活用により、指導・支援の方向性を学校と家庭等が共有することで、児童生徒本人の特性に応じた支援が行えるとともに、保護者の安心感や担任をはじめとした支援に携わる教員等の不安解消にもつながるものと認識しております。また、幼児期の教育から小学校教育への接続は大変重要であると考えており、就学時の接続においても、幼稚園・保育所からの引継ぎに本教育ソフトを活用することで、義務教育段階への切れ目のない支援が可能となると期待しております。県
教育委員会としましては、義務教育課内に設置している幼児教育センターの機能を活用し、幼児教育担当者の研修会等を通して情報提供を行うなど、特別な支援を必要とする児童生徒に対し、未就学の時期からの切れ目のない支援が適切に行われるよう、市町村
教育委員会や保健福祉部と連携して取り組んでまいります。 次に、福祉の学びを専攻した教員の必要性、採用及び配置状況についての御質問にお答えいたします。 特別な支援を必要とする児童生徒については、一人一人の障害の状態や特性に合わせた指導や支援が求められており、日々の授業や生活指導等を充実するため、専門性のある教員の採用及び配置が重要と認識しております。このため、教員採用選考において、小中高全ての学校種で、特別支援学校教諭の免許状を有する受験者等に加点措置を行うほか、特別支援学校枠を設け、専門性と意欲のある教員の確保に努めております。今年四月の教員採用では、特別支援学校教諭の免許状を有する教員を、小学校で七十一人、中学校で二十二人採用し、配置しております。また、特別支援学級を初めて担任する教員に対しては、障害に応じた学習指導の在り方等についての研修を悉皆で行うなど、その専門性の向上に努めているところです。加えて、大学と連携して免許法認定講習を開設し、現職教員の特別支援学校教諭の免許状の取得を促進しております。県
教育委員会では、教職員の育成指標を今年一月に改定し、全ての教員に特別支援教育に関する知見が求められることを明記したところであり、引き続き、特別支援教育に専門性を有する人材の積極的な採用、育成、配置に取り組んでまいります。 次に、民間や大学等の発想・事業による支援を県が発掘し、支える取組についての御質問にお答えいたします。 学校に登校していない児童生徒にとって、自ら学び自ら考える力を育てる、LEARN活動プログラムのような体験活動に参加することは、自己肯定感の向上を図り、社会的自立を目指す上で大変意義のあるものと考えております。県
教育委員会では、登校することに不安を抱える児童生徒を対象に、青少年自立支援事業ウインターチャレンジinMIYAGIを実施しており、ハイキングや漁業体験等の自然体験活動を通じて、人との関わりを深め、自己肯定感や自立心の向上につながる取組を行っております。県
教育委員会としましては、学校に登校していない児童生徒の成長につながる体験活動などの取組を、社会全体で支えていくことは大変重要であると考えており、民間や大学等の事業も含め多くの情報を収集し、
ホームページに掲載し周知を図るなど、体験活動の機会の充実に努めてまいります。 次に、アイデアルスクールの教員配置数等についての御質問にお答えいたします。 新たなタイプの学校、アイデアルスクールは、定時制と通信制の機能を併せ持った全国にも例がない全日制の高等学校となります。フレキシブルな学びが特色の一つで、一校時から八校時の幅広い授業時間帯に設置された様々な科目の中から、生徒が自分の興味・関心に応じて選択できるようにします。また、生徒が自ら意欲的に学べるよう、様々なスタッフにより支援する体制を整えることとしております。教員については、標準法に基づく基礎定数のほか、学校生活や学習、進路相談等の面できめ細かなサポートが行えるよう、単位制加配などを最大限活用し、現時点では四十五人程度を見込んでおり、同規模の高校より三割程度手厚く配置することを想定しております。更に、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、地域やNPOなどの外部人材とも綿密に連携し、学習支援や相談対応など、学校生活を様々な側面からサポートできる体制を構築したいと考えております。県
教育委員会といたしましては、今後、関係機関と調整を図りながら、連携体制の構築に取り組み、アイデアルスクールの特色を十分発揮できるよう、開校に向けて準備を進めてまいります。 次に、アイデアルスクールへの通学や今後の増設についての御質問にお答えいたします。 アイデアルスクールは、生徒の興味・関心、進路希望の多様化、学校生活や学習に困難を抱える生徒の増加などを踏まえ、個に応じた多様な学びと、学習者中心の支援により、生徒の自律的な学びの実現と、将来の社会的自立に必要な資質・能力の育成を目指して設置するものであります。設置場所については、広く県内から通学しやすいよう、公共交通機関での通学が便利な宮城広瀬高等学校を選定したところであり、公共交通機関での通学を想定しております。県
教育委員会といたしましては、仙台地域以外においても同様のニーズがあるものと捉えており、アイデアルスクールの機能を持った学校の他地域への設置についても、現在策定を進めております、次期県立高校将来構想の中で検討してまいりたいと考えております。 次に、不登校の児童生徒に対する支援の在り方についての御質問にお答えいたします。 県
教育委員会では、不登校は問題行動ではないという認識の下、児童生徒一人一人の状況に応じた教育機会の確保が何よりも大切であると考え、学校に登校するという結果だけを目標とするのではなく、社会的自立を目指した支援が適切に行われるよう、様々な施策を進めているところです。各市町村においては、学校以外の学びの場となるみやぎ子どもの心のケアハウス等の教育支援センターを設置し、学習支援や自立支援を行うなど、多様な教育機会の確保に向け、民間団体や関係機関と連携して取り組んでおります。また、魅力ある・行きたくなる学校づくりを進める中で、全ての児童生徒の居場所を確保し、友達と関わりながら自己肯定感が高められるよう取り組んでいるところです。県
教育委員会としましては、現在、各市町村
教育委員会を訪問し、その実態や取組について意見交換を行っているところであり、児童生徒一人一人に応じた支援が行われるよう、市町村の取組を支援してまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 四十七番
佐々木賢司君。
◆四十七番(
佐々木賢司君) まず教育長、ありがとうございました。支援学校のほうにスポットクーラーを導入していただけるということで、子供たちもそうですが、御家族の方々も大変安心されると思います。ただ、何とか間に合うでしょうか、現状というか、自分の希望もあるでしょうけど。
○議長(高橋伸二君)
教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 今現在、各学校に準備を進めていただいておりますけれども、何とか今年の夏に全ての学校で利用できるよう、設置してまいりたいというふうに考えております。
○議長(高橋伸二君) 四十七番
佐々木賢司君。
◆四十七番(
佐々木賢司君) よろしくお願いいたします。 それから、教育ソフトの件ですけれども、
保健福祉部長にも御答弁いただきましたが、実際に、卒業されている保護者の方から、今、県でこういうのを進めているんだよということを説明しましたら、「ぜひ私が保護者のときにあって欲しかったソフトです」と。要は学年が替わるごとに先生が替わる、これまでは自分の子供の状況、こういう特徴があるんですということを、その都度話をしなければなりませんでしたと。何で同じ学校なのに一貫して連携してもらえないんですかねというのが、ずっとあったんだそうです。今回、東京に行って実際にこの取組のお話を聞きましたけれども、保護者の方々が待っていた事業だと思いますので、先ほど答弁がありましたけれども、連携をしっかり取っていただいて進めていただきたいと思います。 宿泊税についてなのですが、正直想定はしていたというか、もう少し考える余地はなかったのかなと思うんですけど、基本、観光地というか宿泊地もそうですが、商売で一番大事なのはリピーターですよね。そうしたときに、次も行ってみたいなと思ってもらえる人をどうつくるかというところの、まず第一歩って国内の人だと思うんですよ。近隣の人、その人たちが宿泊税があるから行かないということにならないように、この制度を見ると、インバウンドに特化してもいいのではないのと私は思ってしまうんですよね。国内客はもう外して、インバウンドに対応してもいいのではないかと思ってしまうんですよ。これだけ国内の--先ほど答弁がありましたが、湯治客とか長く来ていただける方々からも頂くということでありますが、その人たちが行きづらくなるんだよねと言っているのに、それでも、先ほど梶村部長からは、仙台市と協議しますという話でしたけれども、私、仙台の人間ではないので、大崎市、地元鳴子温泉があるところから選出された議員なので、あえて地元の話をすると、そこのお客さんたちがそういうふうに言っているのですから、もうちょっと検討--仙台市と協議しますという答弁ではなくて、もう少し検討しますの中身は変えてもらわなければいけないのではないかと思うのですが、戻りまして、インバウンドに対しての宿泊税という考え方というのは、そもそも持ち合わせてはいなかったのでしょうか。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 宿泊税の対象としまして、やはり課税客体として、いろいろ議論がございましたけれども、最終的な宿泊客を対象とするということになりまして、その際には、やはり広くインバウンドだけではなくて県内外の宿泊客の方も対象とするということで、税の公平性を負担するということで、そのようなインバウンだけに特化するという議論ではなくて、宮城県に来て宿泊される方を対象とすることで議論を進めさせていただいているところでございます。
○議長(高橋伸二君) 四十七番
佐々木賢司君。
◆四十七番(
佐々木賢司君) そうなんだよなとは思いますよ。思いますが、お客さんね、さっきも言いましたけど、リピーターの方々が行きづらくなるということは、そもそもそういうお客さんが逃げていくことですよ。宿泊事業者からすれば非常に大きなマイナスになるんですね。何か話がどんどん前に戻っていくような感覚になるのですが、しっかり地元の意見を聞いていただきたいと思います。残り時間がないので、ここでやめさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 暫時休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩
----------------------------------- 午後零時五十八分再開
○副議長(本木忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二十三番
天下みゆき君。 〔二十三番
天下みゆき君登壇〕
◆二十三番(
天下みゆき君)
天下みゆきです。大綱一、四病院再編構想の撤回を求めるについて伺います。 精神医療センターと東北労災病院の合築に向けた基本合意については、令和六年度に協議継続となりました。当事者の皆さんからは、「方針の二転三転によって、多大なる不安と精神的苦痛を与えられ続け、平穏な日常を脅かされてきたが、協議継続は更に精神的苦痛を助長し病状を悪化させている。精神医療センターの富谷市移転はやめて、もう私たちを苦しめないでくれ」と、悲痛な叫び声が上がっています。知事はこの声にどう答えますか、お答えください。 そもそも県内の精神科病院は、県北が約二千百床に対して、県南が千三百五十床と少なく、更に精神医療センターの本院が富谷に移ったら、県南は拠点を失ってますます薄くなり、県北は民間病院との競合が起きると指摘されています。一方、精神医療センターの患者さんは太白区以南の方が多いわけですから、この計画は、県内の精神医療のバランスを更に大きく崩し、南の患者さんから医療を奪う計画と言わざるを得ませんが、知事の見解を伺います。 また、名取市内にはグループホーム九施設、短期入所七施設、居宅介護十六施設、生活介護や就労支援など日中活動系二十六施設、相談支援八か所、児童通所系十七施設が集積し、患者さんたちが医療を受けながら安心して暮らせる地域をつくってきました。名取が分院となれば、三十年くらいかけてつくってきた地域包括ケアシステム、にも包括の維持は困難となると思いますが、いかがですか。 昨年九月一日に、宮城県精神科病院協会が県立精神医療センターの富谷移転反対の声明を発表。この反対声明に、仙台市医師会、県精神神経科診療所協会、日本精神科看護協会宮城県支部、県精神保健福祉士協会、県精神障がい者家族連合会、各精神科病院・クリニックなど、県内の精神医療保健福祉に関係する、なんと七十九機関・団体が賛同していることについて、知事の受け止めを伺います。また、病院は医療・保健・福祉との連携なしには成り立ちませんが、反対を押し切って富谷市に移転して、関係団体との連携はうまくいくとお考えですか。知事、お答えください。 県と精神医療センター職員とのサテライト案に対する意見交換は、二月定例会後行われていないと、県の担当課から伺いました。その理由は、県が示したサテライト案三案について、センター職員から出された問題点、具体的には、人員体制の問題、三案とも赤字計算で経営的に非効率であること、南の患者数が多いのに富谷を本院、名取を分院としていること、この三点の問題点を解決する県の案がつくれていないからだということでした。精神医療センターの職員と合意できるサテライト案がまとまる見通しはあるのか、お答えください。 共産党県議団で四月二十三日に、労働者健康安全機構本部に行ってきましたが、機構では「県のサテライト案がまとまらないと協議できない」と言っており、協議が止まっています。同じ理由で、県精神保健福祉審議会との協議も止まっています。知事が精神医療センターを病院再編に巻き込んでから三年たちますが、患者さんの病状を悪化させ、精神医療センターの職員との協議もまとまらず、労働者健康安全機構との協議もできない状況です。知事、富谷移転は断念し、名取での建て替えに方針を転換すべきではありませんか、お答えください。 四病院再編構想の議論が始まる前の二〇二〇年度と二三年度の退職者数を調べたところ、精神医療センターは十人から十八人に八〇%増、がんセンターは三十一人から五十四人に七四%増えていました。その中でも、精神医療センターの看護師は五人から十二人に二・四倍、がんセンターの医師は九人から二十一人で二・三倍、看護師は十六人から二十五人で一・六倍の退職者の増加でした。退職者が急増していることについて、知事の見解を伺います。 県は、四病院再編の議論の中で、仙台医療圏について、総人口は減少するが、六十五歳以上の人口増で入院患者数は二〇四〇年にかけて増加すると予測される。一方、生産年齢人口が減少するため、働き手、医療従事者が不足する。この需要と供給のギャップを解消するために、急性期病床から人員配置基準の少ない回復期病床や在宅等への移行を進めると言っていますが、二つの疑問があります。 一つは、需要と供給のギャップを解消するために、急性期病床から人員配置基準の少ない回復期病床や在宅等への移行を進めると言っていることです。急変しやすく重篤になりやすい高齢者は急性期医療も重要ですし、退院に向けたリハビリ等を行う回復期医療も必要です。本来、病床機能は目的に応じて使われるべきです。それが急性期は人手がかかるからという理由で、人員配置基準が少ない回復期病床や在宅に移行するというのでは、助かる命も助からないことが危惧されます。また、在宅医療は家族の離職により更に働き手を減らすことにつながることも考慮されるべきと考えますが、知事の認識を伺います。お答えください。 もう一つの疑問は、不足する医師や看護師等を抜本的に増やす計画をなぜつくらないのかということです。宮城県の二〇二〇年の人口十万対医師数は二百五十八・五人で、全国値二百六十九・二人より低く、全国順位は二十九番目です。二次医療圏別では、仙台医療圏は全国値を超えていますが、ほかの三つの医療圏は全国値の六割台と大きく下回っています。厚生労働省が定めた医師偏在指標では、仙台医療圏は医師多数区域、ほかの三医療圏は医師少数区域とされています。ところが、医師確保計画における二〇二四年度から二六年度まで三年間の宮城県の目標医師数は、全ての医療圏で二〇二〇年現在の医師数と同じなのです。医師少数区域の三つの医療圏も、一人も増えない計画となっています。しかし、県の資料によると、県内の公立病院の求人数は、今年六月一日現在で、十六病院・一診療所で五十四人に上ります。民間病院も入れると更に増えます。医師の働き方改革を進めるためにも、医師を増やすことが必要です。実は、この問題は二〇二〇年二月議会でも取り上げました。地域の実態と乖離した目標を撤回し、新たな目標医師数を定めよ、国のガイドライン見直しを求めよという私の質問に対して、当時の伊藤哲也
保健福祉部長は、全国一律の基準で機械的に算定したため、必ずしも地域の実情を反映した内容とはなっていないと認識している。次回の見直し時期に向け、より実効性の高い計画となるよう国に要請すると回答しました。しかし、今回も四年前と同様、一人の医師も増やさない計画でした。高齢化で患者数は増えるのに、医療従事者が不足すると脅すだけでなく、地域の実態を踏まえた新たな目標医師数を設定し直すよう求めます。いかがですか。 看護師の確保も喫緊の課題です。二〇二二年の宮城県の人口十万対看護師数は九百三十四・四人で、全国の千四十九・八人を下回り、全国四十一位です。四つの医療圏全てが全国値を下回り、中でも仙南医療圏は特に不足しています。また、宮城県の病院看護職員の確保状況は、二三年四月一日現在で、採用予定人数千三百七十九人に対して採用人員が千百四十五人と、八三%の採用率です。慢性的な看護師不足を解消するためには、従来の取組にとどまらない抜本的かつ総合的な対策と予算の増額が必要ですが、どのように進めるのかお答えください。 次に、大綱二、宿泊税導入は断念せよについて伺います。 二〇二〇年二月定例会に宿泊税導入の条例が提案されましたが、宿泊事業者からこぞって反対の声が上がり、そこに新型コロナの拡大でホテルや旅館のキャンセルが相次ぎ、知事は宿泊税の撤回を表明しました。それから四年後、コロナが落ち着いて県内経済が順調に回復しているとして、県は、今年の一月十五日のみやぎ観光振興会議で宿泊税導入について説明。直後の経済商工観光及び総務企画委員会に、観光振興会議では十二人中十一人から賛同を得た。圏域会議では、七圏域のうち五圏域から理解を得たと報告しました。ところが、三月二十五日に、鳴子・作並・遠刈田など七温泉旅館組合、日本旅館協会県支部、県ホテル旅館生活衛生同業組合松島支部など十団体が、県に宿泊税導入反対の要望書を提出。六月十一日には、仙台ホテル旅館組合と作並温泉旅館組合が、仙台市に宿泊税導入反対の要望書を提出するなど、宿泊事業者の反対の声が広がっています。県が後ればせながら開いた六月六日の鳴子温泉での意見交換会は、非公開の予定が参加者の声で急遽公開となり、次々と反対の声が出されました。日本共産党県議団は、五月十七日と十九日に、松島と東鳴子温泉の事業者からお話を伺いました。以下、宿泊事業者の声をお届けしながら質問いたします。 第一は、宿泊客数の回復についてです。松島と鳴子の事業者は、こぞって「宿泊客数はコロナ前まで回復していない」と言っています。県の観光統計概要を見ますと、過去最高の宿泊者数を記録したコロナ前の二〇一九年は、県内全体で九百八十八万七千人余でしたが、二〇年・二一年はコロナで約六割に激減、二二年にやっと七九%まで回復しています。二三年は、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の調査で一九年比約九五%と、回復途上というのが今の到達です。こうやって必死で回復を図っているのに、宿泊税の導入はお客さんへの抑制効果につながるのでないか、山形や岩手など隣接県に流れてしまうのではないかと、事業者の危惧が出されています。この声にどう答えますか、伺います。 第二は、宿泊事業者の深刻な経営実態です。「コロナで宿泊産業はぼろぼろ。補助金で息を長らえてきたが、財務状況も悪く累積赤字。赤字解消に十年から十五年かかる。借金もかさみ、猶予されていた固定資産税の支払いやゼロゼロ融資の支払いが始まっている。人手不足でお客さんを目いっぱい受け入れられない。そこに物価高騰で仕入れが大変」など、深刻な実態が次々と出されました。一般社団法人日本旅館協会のアンケートによれば、宿泊事業者はコロナ禍での借入金の膨張により約四割が債務超過に陥り、四年前より経営は悪化していると言います。こういう経営環境での宿泊税の導入は、更にリスクを事業者に強いることになると思いますが、いかがですか。 第三は、宿泊税の徴収についてです。「入湯税と宿泊税で四百五十円は高い。素泊まり三千円以上で三百円は乱暴。東京都では一万円以下はゼロだ」、「料金を下げた途端に予約が入るくらいお客さんは料金にシビアなのに三百円は大きい」、「湯治で十泊すれば三千円の宿泊税。料金を上げないために努力をしているのに報われない」など税率への不満や、「入湯税や宿泊税はフロントで徴収することになるが、フロントの負担が大きい」など人的体制への懸念、「取りっぱぐれたら身銭を切るのか」、「外国人にはどう説明をするのか」、「カードで払うと言われたら、手数料はどうするのか」などの疑問が次々と出されました。これらの意見や疑問にお答えください。 第四は、宿泊税の効果についてです。宿泊税を導入してお客さんが増えるのかという疑問が寄せられています。県は、震災前には七億円だった観光関連予算を、震災後は最高二十四億円という巨額の予算を投入してきました。ある旅館の事業者は、「デスティネーションキャンペーンをやってもお客さんが増えた実感はない」と言っていました。この震災後投入した巨額の予算が、県内の宿泊施設にどのような効果をもたらしたのか、お答えください。 第五は、宿泊税の納税義務者である宿泊事業者の声を十分に聞かず、協議もしないで進めようとしていることへの怒りの声です。「七圏域の二つだけが反対ではなく、宿泊業界はどこも反対だ」と言っていました。県はやっと、鳴子温泉から始まって、七月上旬までに八か所で意見交換会を開催するということですが、開催に当たっては公開して行うこと、また、事業者の皆さんの意向を尊重して、宿泊税導入は断念するべきです。併せてお答えください。 次に、大綱三、女川原発再稼働の中止を求めるについて伺います。 五月九日、当県議団で志賀原発のある志賀町の被害状況を調査しました。原子力災害の避難計画では、志賀原発より北の住民は能登町に避難予定でしたが、避難道路となっている国道二百四十九号線は土砂崩れなどで何か所も寸断。二か所の土砂崩れに挟まれた七海地区の約四十件の集落が一時孤立しました。震度七に見舞われた富来地区は、家屋の倒壊などの被害が今も生々しいままでした。町立富来病院は放射線防護施設となっていましたが、廊下の天井が崩落して、七十二人の患者さんを移送したそうです。七海地区も富来地区も原発から三十キロ圏内で、まずは屋内退避の地域です。しかし、家屋の倒壊や断水で屋内退避自体が難しく、避難の指示が出ても道路の寸断や海岸線の隆起で陸路も海路も絶たれ、能登空港に自衛隊が降り立つことができたのは、地震から十日後でした。おまけにモニタリングポストも十八局が計測不能となり、一時移転の判断もできない状況でした。 能登半島地震を踏まえて、原子力規制委員会では、三月二十七日に原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームの設置を確認し、宮城県の原子力安全対策課の長谷部課長が委員となりました。また、内閣府では、多数の道路寸断や孤立地区の発生、放射線防護施設の損傷について被災状況を調査し、調査結果のほかの地域への共有を図るとしています。その後の屋内退避の運用の検討状況と検討結果が出る時期がいつか、また、内閣府の調査結果を踏まえた宮城県の課題について、お答えください。 三陸沖も地震多発地帯で、今後も大きな地震が予測されています。東北電力は九月に再稼働予定ですが、再稼働すれば原発のリスクは高まります。女川原発の再稼働をする前に、能登半島地震の検証を踏まえて、緊急時対応をつくり直すべきです。知事、いかがですか。 志賀町には、要配慮者の避難場所として、放射線防護施設が十二か所ありましたが、そのうち五か所が損壊し、うち二か所は閉鎖、富来病院と特養ホームの二か所が患者・利用者を移転させました。新聞報道によりますと、東北大災害科学国際研究所の柴山明寛准教授は、能登半島地震では阪神大震災後の二〇〇〇年基準の耐震基準を満たさない木造住宅も大きな被害を受けたことを紹介し、宮城も注意が必要だと警鐘を鳴らしています。宮城県の十二か所の放射線防護施設についても、二〇〇〇年基準に基づいた点検と耐震補強が必要と考えますが、いかがですか。 女川原発二号機は、九月に再稼働すると、四年程度で使用済み燃料プールが満杯になります。そこで東北電力は、使用済み燃料を発電所から搬出するまでの間、発電所の敷地内で一時的に貯蔵する施設として、乾式貯蔵施設を二棟設置するための原子炉設置変更許可申請を、二月二十八日に原子力規制委員会に提出しました。そこでお聞きいたします。一時的に貯蔵する施設ということですが、何年間貯蔵して、どこに搬出するのかお答えください。 青森県六ヶ所村にある日本原燃の再処理工場は、一九九三年四月に着工して、当初九七年稼働の予定でした。ところが、なんと二十六回も工事延長して、今年度上期の完成を目指すとしていますが、二十七回の延長が確実で、各原発では敷地内に新たな保管場所を確保する動きが相次ぐと新聞等で報道されています。六ヶ所村の再処理工場は、二三年六月現在、総事業費は十四兆七千億円に上っていますが、完成するめどは立っていません。福井県の高速増殖炉もんじゅは既に廃炉になっています。核燃料サイクル自体が破綻していると思いますが、知事の認識を伺います。 乾式貯蔵施設は、ほかに使用済み核燃料を保管する場所もなく、再処理工場完成のめどが立たなければ、一時的な貯蔵施設ではなく、長期間貯蔵することになってしまう、下手すれば女川が核のごみ捨場になってしまうことを危惧しますが、いかがですか。 東北電力は、乾式貯蔵施設について、今年十二月頃の規制委員会の許可を希望しています。許可が出れば、県と石巻市、女川町の地元同意が求められます。女川が核のごみ捨場になりかねないという、地域住民及び宮城県民にとって重要な問題です。県は、石巻市や女川町はもとより、県内各地で住民説明会を開いて意見を聞くべきです。いかがですか。 まさにトイレのないマンションです。使用済み核燃料の行き場がないのに原発を再稼働することは、無責任極まります。核のごみを増やさないために、今からでも女川原発再稼働を中止すべきと考えますが、知事の御答弁を求めて、壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君)
天下みゆき議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、四病院再編構想の撤回を求めるとの御質問にお答えいたします。 初めに、県立精神医療センターの移転反対の声についてのお尋ねにお答えいたします。 東北労災病院と県立精神医療センターの富谷市への移転・合築の協議につきましては、令和元年度のあり方検討会議の提言を踏まえ、老朽化した施設の早期建て替えや、東北労災病院との合築による身体合併症への対応能力の向上などを目指して取り組んでいるものであり、県の精神科医療体制の向上に資するものと考えております。患者や家族、関係者の方々からは、移転後の県南部の体制などを懸念し、移転に反対する声などを頂いておりますが、県といたしましては、当事者からの御意見などを踏まえ、現在、本院の移転とともにサテライト設置案の検討を進めているところであり、病院再編に伴う不安や懸念を少しでも払拭できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県内の精神医療のバランスを大きく崩すのではないかとの御質問にお答えいたします。 富谷市に移転後の県立精神医療センターについては、全県を対象とした措置入院をはじめとする精神科救急や、現在、受入れ体制に課題のある身体合併症患者への対応などを主な機能として想定しており、また、サテライトの設置により本院の病床規模も当初より小さくなる想定であるため、県北部の既存病院との競合などの影響は少ないものと考えております。また、名取市に整備予定のサテライトの規模や機能につきましては、現在、精神医療センターの入院患者の居住地や入院形態等の属性などに基づき検討を行っており、入院中心から地域移行を推進するという流れを見据えながら、県南部の精神科医療提供体制を確保できるよう、引き続き検討を進めてまいります。 次に、名取市の分院では地域包括ケアシステムの維持は困難ではないかとの御質問にお答えいたします。 名取市に整備予定のサテライトには、入院機能のほか、外来・デイケア・訪問看護の機能を備えることを想定しており、本院の移転後においても県南部の地域包括ケアシステムを維持できるよう、サテライトの機能や規模を引き続き検討してまいります。また、県南部の地域ネットワークの確保に向けては、入院中心から地域移行を推進するための受皿が比較的整っているという特質を踏まえ、にも包括推進のためのコーディネーターの配置など、保健福祉事務所の体制を強化することにより、一層の充実を図ってまいります。更に、関連予算を拡充し、にも包括の普及啓発や
ピアサポート活動への支援、入院者訪問支援などの取組について、全県的に実施してまいります。 次に、大綱三点目、女川原発再稼働の中止を求めるとの御質問のうち、使用済み核燃料の行き場がないので女川原子力発電所の再稼働を中止すべきとのお尋ねにお答えいたします。 我が国は資源が少なく、エネルギー安全保障上の脆弱性を有していることから、使用済み燃料対策を含む核燃料サイクルや、原子力発電所の稼働の是非を含む原子力政策については、国において総合的に判断されるべき問題であると考えております。また、令和二年に行った、経済産業大臣からの再稼働に係る政府方針への理解の要請に対する回答時には、私から大臣に対し、国が責任を持って使用済み燃料対策について行うよう要請をしております。県としては、使用済み燃料対策の促進について、国がこれまで以上に前面に立って取組を進めるよう、引き続き要請するほか、全国知事会や原子力発電関係団体協議会を通じて要請してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 復興・
危機管理部長高橋義広君。 〔復興・
危機管理部長 高橋義広君登壇〕
◎復興・
危機管理部長(高橋義広君) 大綱三点目、女川原発再稼働の中止を求めるとの御質問のうち、原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームの検討状況と内閣府の調査結果を踏まえた我が県の課題についてのお尋ねにお答えいたします。 検討チームでは、これまで二回の会合が開催され、屋内退避を効果的に運用するための検討を行っており、現在、国の新規制基準に基づく重大事故等対策が機能した場合を想定した、放射性物質の拡散シミュレーションを実施しているところです。検討チームの検討結果については、今年度内に原子力規制委員会に報告されることになっております。また、内閣府による能登半島地震に係る被災状況調査では、孤立地区の発生などが確認されており、我が県においても複合災害時の対応の重要性を改めて認識したところです。このため、去る六月十二日のみやぎ県民防災の日総合防災訓練では、初めて原子力災害を想定した訓練を行っております。引き続き、国、関係市町と連携し、避難計画の更なる実効性の向上に努めてまいります。 次に、緊急時対応の見直しについての御質問にお答えいたします。 関係七市町の避難計画を取りまとめた女川地域の緊急時対応については、道路寸断や孤立地域の発生など、複合災害時の対応も含め、国の原子力防災会議において具体的かつ合理的であるとして了承されたものです。現在、内閣府が中心となり、志賀地域で複合災害時の対応の検討が進められていることから、県としましては、その動向を注視し、必要に応じ、国、関係市町とともに緊急時対応の見直しを検討してまいります。 次に、放射線防護施設についての御質問にお答えいたします。 阪神淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことを踏まえ、いわゆる二〇〇〇年基準では、木造住宅を対象に耐震基準の強化が図られたものと認識しております。我が県の放射線防護施設は、鉄筋コンクリート構造などであり、耐震構造あるいは耐震性能に支障がないことを確認しております。 次に、乾式貯蔵施設には使用済み燃料を何年間貯蔵して、どこに搬出するのかとの御質問にお答えいたします。 東北電力女川原子力発電所の敷地内に乾式貯蔵施設を設置することについては、東北電力との安全協定に基づき、事前協議を受けております。協議に際し、東北電力からは、乾式貯蔵施設における使用済み核燃料の貯蔵は一時的なものであり、搬出先は、これまでに搬出実績のある国内外の再処理事業者とすると伺っております。 次に、核燃料サイクルが破綻しているのではないかとの御質問にお答えいたします。 我が国では、資源の有効活用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進が基本的方針とされております。令和三年十月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画では、核燃料サイクルについて、これまでの経緯等も十分に考慮し、引き続き関係自治体や国際社会の理解を得ながら取り組むこととされております。核燃料サイクルを含む原子力政策については、エネルギー政策を所管する国において、総合的に判断すべき問題であると考えております。 次に、乾式貯蔵施設は、再処理工場完成のめどが立たなければ、一時的ではなく、長期間貯蔵する施設になってしまうとの御質問にお答えいたします。 使用済み燃料対策の促進については、国に対し、全国知事会や原子力発電所関係団体協議会を通じ、継続的に要望してまいりました。使用済み燃料対策は、国が前面に立って主体的に対応し、取組を着実に進めていく必要があることから、引き続き国に対し、対策の促進について求めてまいります。 次に、県内各地で住民説明会を開催し、意見を聞くべきとの御質問にお答えいたします。 乾式貯蔵施設の設置については、事業者の判断で実施することであるため、東北電力が主体的に説明責任を果たすべきと考えております。県としましては、東北電力に対し、乾式貯蔵の意義や安全性等について、地元住民への丁寧な説明を行うよう求めてまいります。 私からは、以上です。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四病院再編構想の撤回を求めるとの御質問のうち、県立精神医療センターの富谷移転反対の声明に対する受け止めと、関係団体との連携についてのお尋ねにお答えいたします。 宮城県精神科病院協会をはじめとする関係団体からは、富谷移転反対の声明など、様々な機会で要望や要請を受けておりますが、移転後の具体的な対応が定まっていないことが、不安や懸念の大きな理由になっているものと認識しております。県といたしましては、頂いた御意見を真摯に受け止め、引き続き対応策の検討を進めるとともに、医療・保健・福祉の連携についても、全県的なにも包括の構築に向けて、当事者団体や県自立支援協議会等から意見を伺いながら、県民への普及啓発や関係機関のネットワーク構築、人材育成のほか、地域移行の受皿となる精神障害にも対応するグループホームなどの整備も進めてまいりたいと考えております。なお、移転先となる富谷市においても、心のサポーターの養成や精神障害への理解を深めるシンポジウムの開催などの取組を行っているところであり、市町村とも協力しながら、医療・保健・福祉の連携による体制づくりを目指してまいります。 次に、サテライト案の合意見通しについての御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターのサテライト案については、今年二月までに精神医療センター職員との意見交換を計三回行っており、職員からの様々な意見や指摘を踏まえ、財政面や医療スタッフの確保などの観点から、現実的に運営が可能となるよう、具体的な機能や規模などを精査しているところであります。県といたしましては、本院の移転とサテライトの設置案を更に検討・検証した上で、改めて職員と意見交換を行う予定であり、引き続き現場の声を伺いながら、検討を重ねてまいりたいと考えております。 次に、県立精神医療センターを名取市内で建て替えすべきとの御質問にお答えいたします。 東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築の協議については、県南部の精神科医療提供体制の確保に向けたサテライト案や、移転・合築後の両病院の診療連携の在り方などについての検討に時間を要しており、今年度も引き続き、基本合意に向けて協議を行っているところであります。県といたしましては、県立病院機構とも十分に調整の上、精神医療センターの富谷市への移転に向けた協議を進めてまいりたいと考えておりますが、本院の移転とサテライト設置案に対するこれまでの当事者や関係者などからの御意見も踏まえ、令和元年度のあり方検討会議で提起されている諸課題にどのように対応していくかについて、引き続き検討してまいります。 次に、県立精神医療センター及び県立がんセンターの退職者数についての御質問にお答えいたします。 県立がんセンターの退職者数のうち、医師について、令和二年度と五年度の比較では十二人増加しておりますが、そのうち八人は東北大学から派遣された医師の交代人事に伴うものであります。また、同じく、看護師の退職者数については、両センター合わせて十六人増加しておりますが、内訳としては定年退職者が六人、自己都合退職者が十人の増となっており、自己都合については、家庭の事情やキャリアアップに向けた進学のためなど、個人的な理由によるものが多かったと伺っております。病院の安定的な運営のためには、職員に長く勤務していただくことが重要であることから、県といたしましても、働きやすい職場づくりの推進に向けて、県立病院機構に協力してまいりたいと考えております。 次に、回復期病床や在宅等への移行についての御質問にお答えいたします。 県民が将来にわたって安心して暮らせる医療環境を実現するためには、少子高齢化の急速な進展や疾病構造の変化等に対応しながら、効率的で質の高い医療提供体制の構築を図ることが非常に重要であります。今年度策定した第八次地域医療計画では、地域医療構想上の必要病床数に対し、仙台医療圏における急性期病床は二千四百五床過剰であり、病床利用率も六五・六%にとどまっています。一方、回復期病床は二千三百七十三床不足しておりますが、増加が見込まれる高齢者等の患者の状態に応じてリハビリ等の適切な医療を提供するため、回復期や療養病床、介護施設や在宅への移行を進めるべき状況にあります。そして、こうした回復期等への移行は、今後の人口減少を見据えた医療人材確保の観点からも、重要な意味を持っていると考えております。また、在宅医療については、介護サービスと連携した地域包括ケアシステムの中で治療や療養を必要とする患者が、御本人や御家族の希望に沿って適切な医療を受けられるよう、体制の整備等を進める必要があると考えており、先月改正された育児・介護休業法の趣旨を踏まえ、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等も図っていくべきものと認識しております。 次に、医師確保計画における新たな目標医師数についての御質問にお答えいたします。 医師確保計画における目標医師数については、地域の医療提供体制を維持することを考慮して国が算出した必要医師数を基準に、設定することとされております。この基準により、今年四月に策定した県の医師確保計画における目標医師数は、前回計画と同様、結果的に策定時点の現在医師数と同数になっておりますが、前回よりも増えており、より地域の実態に近づく形になったものと認識しております。県といたしましては、地域や診療科によって医師不足が生じており、医師の偏在が大きいという課題を踏まえ、今後とも、県内医療機関等からの要望を真摯に受け止め、医療現場の実態や将来的なニーズ等も的確に捉え、地域医療に必要な医師の確保に努めてまいります。 次に、看護師不足解消のための取組についての御質問にお答えいたします。 県では、看護師不足の解消に向け、新規養成と県内就業促進、復職支援、定着促進を三つの柱に据え、様々な対策を実施してまいりました。特に今年度は、関連予算を増額し、看護職員採用に関するセミナーの開催を通じて県内病院の採用力向上を支援するとともに、合同就職説明会への参加支援などにより県内病院の知名度向上を図り、看護職員の県内就業及び定着促進を目指すこととしております。また、学識経験者、県医師会、県看護協会、看護師等学校養成所、医療機関などの関係機関が一堂に会した検討会を新たに設置し、地域の実情に応じた一体的かつ総合的な看護職員の確保を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱二点目、宿泊税導入は断念せよとの御質問のうち、宿泊税導入による宿泊事業者の危惧についてのお尋ねにお答えいたします。 宿泊税の導入が宿泊客の抑制につながるのではないか、隣接県に流れてしまうのではないかといった声は、みやぎ観光振興会議や個別訪問の際などに頂戴しており、県としても、こうした声に十分寄り添っていくことが必要であると認識しております。なお、先行して宿泊税を導入している自治体からの情報では、宿泊税の導入による宿泊客の減少や隣接自治体への流出はないと伺っているところでありますが、県といたしましては、宿泊者の増加につながるよう、必要な観光振興施策を展開してまいります。 次に、宿泊税の導入が更なるリスクを事業者に強いるとの御質問にお答えいたします。 県では、宿泊事業者の方々から、実質無利子・無担保で融資を行う、いわゆるゼロゼロ融資の償還開始に加え、物価やエネルギー価格の高騰により、コロナ禍以前より経営が厳しい、空き室があっても人手不足で宿泊者を受け入れることができないといった声を頂戴しております。宿泊税の導入が更なる経営上のリスクとならないよう、宿泊事業者の状況を確認しながら、必要な対応を行ってまいります。 次に、宿泊税の徴収に関する宿泊事業者の不満や懸念、疑問についての御質問にお答えいたします。 県では、これまでも宿泊税に関して、宿泊事業者の皆様から様々な御意見を伺ってきたところです。引き続き、現在実施している意見交換会や個別訪問等を通じて、事業者の不満や懸念、疑問をお伺いしながら、丁寧な対応に努めてまいります。 次に、震災後の観光関連予算が県内宿泊施設にもたらした効果についての御質問にお答えいたします。 県では、東日本大震災により落ち込んだ観光・宿泊客数の回復のため、東北観光復興対策交付金や復興関係基金等を活用し、東北各県と連携した国内外への誘客プロモーションや、宮城オルレをはじめとする外国人ニーズに対応した滞在型・体験コンテンツの発掘、磨き上げに加えまして、沿岸部の交流人口拡大のための宿泊観光施設整備などに取り組んでまいりました。その結果、令和元年の県内への観光客入り込み数については、約六千七百九十六万人、宿泊観光客数も約九百八十九万人と、震災前の水準を大きく上回り、過去最高を記録したほか、特に外国人観光客宿泊者数は初めて五十万人の大台を突破するなど、大きな効果が得られたものと考えてございます。 次に、意見交換会は公開とし、宿泊税導入を断念すべきとの御質問にお答えいたします。 意見交換会の実施に当たっては、制度設計などに対する意見のほか、宿泊事業者が抱える課題や今後実施すべき施策などについて、忌憚のない意見交換が行えるよう、非公開を基本としてまいりますが、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の支部から公開したいとの申出があった場合は柔軟に対応する方針であり、今月六日に開催した鳴子地区での意見交換会は公開で開催したところです。また、宿泊税は、宿泊施設の収益力の強化や深刻化する人手不足、持続可能な観光地域づくりに対応する施策を推進する上で必要な安定的財源と考えており、同じく宿泊税の導入を検討している仙台市と協議を続けてまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 御答弁ありがとうございました。 最初に、原発の問題について再質問をさせていただきます。 屋内退避の検討会議は今年度内までということでございました。また、孤立地区の発生などは宮城にとっても課題だと認識しているということでした。これらの方向性が見えてきたときに、改めて緊急時対応・避難計画は見直しを行うということでよろしいのですよね。確認です。
○副議長(本木忠一君) 復興・
危機管理部長高橋義広君。
◎復興・
危機管理部長(高橋義広君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、今、国のほうで志賀地域の災害対応について検討しているということでございます。そこで新たな知見が入りました場合には、我々のほうとしても、その内容に応じて見直しをする必要があるのではないかなというふうに考えております。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) はい、見直しをする方向だということだと思います。それで、ただ、九月に再稼働ということなんですよね。再稼働してしまいますと、この屋内退避の検討などはまだ結果が出ていないわけですよね。そういうときに、万が一、再稼働して、いざというとき、複合災害などが起こったときには危険ではないかと思うのですが、いかがですか。
○副議長(本木忠一君) 復興・
危機管理部長高橋義広君。
◎復興・
危機管理部長(高橋義広君) こちらの女川地域の緊急時対応については、国のほうの了承も得た避難計画という形ではありますけれども、能登半島地震の後、そういったことで、こちらの見直しをする必要があるということを国のほうから言われているわけではございません。ですから、先ほども申し上げたとおり、現在能登半島のほうで検証している中で新しい知見が出て、それで我々のほうの避難計画も、それに合わせて見直す必要があるのであれば見直すと。そうでなければ今の避難計画はそのまま継続してやっていくという形になりますので、今の時点ではそういう状態であります。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 国の新しい知見を待たずに、宮城県としてもしっかりと検証して、改めて県民の安全第一に避難計画を見直すべきだと言っておきます。 次に、乾式貯蔵施設についてですが、青森県では、むつ市の中間貯蔵施設について、六市で県として県民説明会をやると言っています。県としてやらないということは、知事は県民の声を聞かずに理解の表明をするということでしょうか。いかがですか。
○副議長(本木忠一君) 復興
危機管理部長高橋義広君。
◎復興・
危機管理部長(高橋義広君) こちらの乾式貯蔵施設に関しましては、今現在女川原子力発電所の建屋内にあるプールの中に保管している使用済み燃料を、同じ敷地内の外側に施設を造って保管するというものなんですね。青森県の場合ですと、これは新しくむつ市の中にそういう場所を造って、県外からそういった使用済み燃料を持ってくるということで、全然状況が違うわけですね。そういった中で、我々としては、ここはまず事業者である東北電力のほうでそういうことをやりたいということであれば、きちんと地元に対しては説明してほしいという形の話をしております。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 乾式貯蔵施設は、先ほど言ったように、下手すれば一時的でいつになるか分からないということですので、ここはしっかり住民の声を聞くべきです。要望しておきます。 次に、宿泊税なのですが、知事は六月十日の記者会見で、宿泊税について、鳴子は反対意見が多かったようだが、そのほかの地域、全体的には理解を示していると言っていますが、反対は鳴子だけではありません。気仙沼、南三陸、そして松島、遠刈田、作並、仙台ホテル旅館組合も、既に反対の要望書を出しているところなんですね。賛成多数のように描くのは誤りだと思いますが、いかがですか。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 先ほど知事答弁に記者会見のお話がございましたけども、それにつきましては、やはり我々、各圏域ごとに、宿泊事業者だけではなくて観光事業者も含めた会議も含めまして言っている中で、その中で、各宿泊事業者につきましては、それ以外にも各個別に、累計、延べですと百八を超える事業者の方々にも意見を聞いてございます。その中で、支部単位ではなかなか反対という声も、要望書を頂いていますけども、その中にはやはり宿泊税を導入してこの地域を活性化したいとかっていう声も聞いているということを、我々としましても知事にもお伝えしているものですから、そのような背景もあっての発言ですので、その辺は今後ともしっかりと、宿泊事業者の皆様には今後とも丁寧に説明して理解いただけるように、我々としては丁寧に努めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 宿泊税を直接頂くのは宿泊事業者ですので、やはりそこの声は非常に重要だと思います。ほかの観光事業者と一緒というわけにはいかないと思います。そのことをまず指摘しておきたいと思います。 そして、四年前の宿泊税の条例提案時に公表が間に合わなかったパブリックコメントの結果を、このたび頂きました。一千二十八人から千三百二件の意見が寄せられておりましたが、明確に賛成の意見は、よく数えたのですが、僅か十二件だけで、一%にも満たない状況でした。出されている意見は、今回私たちが伺ってきた松島や鳴子の意見と重なっていました。四年間、宿泊事業者の意見は基本的に変わっていないじゃないかと。むしろ経営状況はより一層厳しくなっているんだと思いますが、やはりこの宿泊事業者の意見をしっかり聞くということについて、もう一度いかがですか。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 我々としてもしっかりと今も御意見を頂いておりまして、事業者の皆様の声も、やはり我々と危機感は共有しているのかなという部分が多々あります。例えばなんですが、物価が上がっており収益がなかなか上がらない。ゼロゼロ融資の返済が始まった、どうしよう。それから、人材育成に手が回らない。人手不足で稼働率を上げられない、若者の採用ができず、これからの経営が不安である。それから、地域に活気がなく周辺の人の流れが少なくなってきているということで、そういった危機意識を我々共有していますので、今、宿泊事業者の方々とやっていますのは、それをじゃあみんな一緒に考えていきましょうと。今後、宿泊税の導入の時期もあるんですけれども、それを一緒になって考えながら、こういった課題を解決していこうということで、今意見交換会をやってございますので、これ、今後、六月中、それから七月、八月、続けてまいりますので、その中で皆様との共通理解を得ながら、本県の観光施策を推進してまいりたいと考えてございます。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) コロナ前ですけれども、予算の投入で宿泊者数が大幅に増えたと、さっき御答弁がありました。しかし中身を見ますと、松島、それから鳴子温泉、二口渓谷、気仙沼唐桑半島、南三陸などは、みんな宿泊事業者は逆に減っているんですよね。増えているのは旧仙台市の部分で、ここが大幅に増えているのです。つまり、県内の名だたる観光地の宿泊客が、あれだけの予算を投入して減少していることをどのように見ていますか。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 宿泊者数とか観光客の入り込み数につきまして、県内での格差があるのは我々十分承知しております。ですので、我々としては今も、仙台市に一旦来た観光客の方を、いかに県内周遊させようか、そういった取組をいろいろと行っております。その一つが宮城オルレということで、県内各地にコースをつくりながら周遊していただいたりとか、実際にいかにして仙台に宿泊する方を気仙沼だったり大崎だったり県南だったり行っていただくかということを、今本当に宿泊税の振興施策の中で皆さんに御議論していただいていますので、これは今後とも大きな課題だと思っておりますので、引き続き我々としても力を入れて推進してまいりたいと考えてございます。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 時間の関係で、四病院の問題に行きます。 知事は、分院があれば名取市のにも包括は維持できるとお考えのようですが、それは間違いです。先日、グループホームの支援員さんのお話を聞く機会がありました。支援員さんは病院から退院支援の依頼を受けると、病院を訪問する。拒絶されることもある中で、何回も何回も病棟を訪ねて、患者さんの不安に寄り添い、半年くらいかけて信頼関係をつくっていくそうです。その間も何度も何度も行きつ戻りつしながら、グループホームの見学、そして退院にこぎ着けるそうです。近くに病院があってこそできることだと言っていました。患者さんが平穏に暮らすためには、病院とにも包括は一体のものとして、同じ地域に必要なのです。名取のにも包括を壊してまで富谷市に移転すべきではないと思いますが、知事いかがですか。知事に答えてほしい。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 名取のにも包括を壊すなんて一言も申し上げておりません。とにかくいろんな御意見がありますので、しっかりお声を聞きながら、よく判断してまいりたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 壊すというより壊れると言っているんですね。壊れてしまうよっていうことを専門家が皆さん指摘していることを重く受け止めるべきです。そして富谷にもつくると言ってはいるわけですが、実際は名取のような形になるには何十年もかかると思います。退院の受皿は、病院ができて退院者が出てこなければ始まりません。その間は結果として地域移行は後退することになると思いますが、いかがですか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 先ほど答弁でも触れましたけれども、基本合意が順調にまとまったとして、新しい病院がスタートできるのは五年以上先の話でございます。その間、今年度から向こう五年間に向けて、にも包括関連予算について非常に多額の財源をしっかり確保した上での予算計画を定めさせて取り組むことにしております。富谷市のほうでは自主的に、先行した様々な地域移行、にも包括の強化に向けての自主的な取組もしていただいているということもあります。また、我々としても、黒川の保健所の機能強化等々も併せまして、様々な判例の中から、地域の中で、富谷の地域でもそういった名取のような理想的な体制に近づけていけるようなことを今今から取り組んでいくことで、何とか頑張ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 次に、児童思春期の患者さんが二百四十名いらっしゃいます。その七割が太白区以南の患者さんです。富谷では通院できなくなります。入院中で病状が改善した方は病棟から学校に通学していましたが、それもできなくなります。なぜここまで子供たちに困難を強いるのか、お答えください。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 児童思春期の患者さんは県内全域にいるということも前提に、いろいろと我々、考えを進めてまいりました。例えば、子ども総合センターのメンタルクリニックがございます。それは気仙沼と石巻等々、古川にも分院というか構えて巡回型でやっておりますけれども、そういったトータルの患者数を考えますと、むしろ県北部のほうが数は多いということになっております。全県的にはそういった傾向にあるという形なんですね。したがって、サテライト案については、富谷のほうに児童及び思春期病棟を持ってくるというような提案もしておりますが、それに対する反論というか、別な観点から検討できないのかといった精神医療センターの職員のほうからの意見も頂戴しておりますので、様々そういったことを考え合わせながら、全体的な観点に立って底上げを図っていけるような体制づくりに努めていくように検討を進めているところでございます。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 今の精神医療センターの職員との膠着状態では、私は労災本部との基本合意は難しいのではないかと思います。担当の職員はむしろ困っているんじゃないかと思うのですが、その辺りは本当にやれると思っているのですか。どうやって切り開くつもりなのですか。お答えください。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 基本合意へ今年度に持ち越しというか延期して取り組んでおりますが、労災病院側のほうからも、どういった規模・機能の精神科の体制を、県立精神医療センターの体制を持っていくのかというところができない限り、具体的な議論に入れないということを指摘いただいております。したがって、現在目下の喫緊の課題は、県立精神医療センターの在り方、サテライト案も含めた在り方をどのような形で落ち着けていけるかの検討を鋭意進めていくことに尽きるということでございます。先ほど来答弁申し上げたとおり、まだまだ課題はありますけれども、課題も明確化して御提示いただいて、それを我々今引き受けて検討している、精査している段階でございますので、そういったことも踏まえながら、県としての考え方を至急取りまとめ、それをまた県立精神医療センターの職員の方に御説明いたしまして、意見交換を重ねていく先でしっかりと基本合意に向けて頑張ってまいりたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 職員の皆さんが指摘していることは、もうサテライト案自体が現実的ではないっていうことだと思います。私もそのように思います。専門家もそう言っています。そういう点では、富谷への移転そのものが撤回されるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 我々としては、サテライト案について職員の皆さんから頂戴している意見も様々なものがございますので、例えばサテライトにするにも、南のほうを大きくした北のサテライトという形ができないかとか、あるいは段階的に南から北に移行していくようなサテライトができないのかといった意見もあるわけです。中身をいろいろと精査しながら検討しておりますが、いずれにしましても、令和元年のあり方検討会議で提起された新しいいろんな課題をどうやったら全県的に解決できるのかといった観点に立って、様々な視点から検討を進めてまいりたいと思っております。
○副議長(本木忠一君) 二十三番
天下みゆき君。
◆二十三番(
天下みゆき君) 精神医療センターの建て替えが遅れるだけだと指摘しておきます。 最後にですが、六月十六日の河北新報に、四月に病院機構理事長に就任した山田秀和がんセンター総長へのインタビュー記事がありました。理事長は、新病院にはがんセンターの三つの特徴、希少がんを含めた幅広い治療、ロボット支援手術やがんゲノム医療など高度で先進的な治療、患者を支える手厚い体制、この三つはもちろん、臨床と研究が表裏一体で発揮していた科学的なマインドや緩和ケアも残したいと話しておられました。知事、私はこの記事を読んで、改めて県立がんセンターはなくしてはいけないと思いました。県立がんセンターが果たしてきた役割は、県民のかけがえのない財産です。基本合意を撤回して県立がんセンターを維持するよう強く求めて、時間ですので終わります。ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 三十六番遠藤隼人君。 〔三十六番 遠藤隼人君登壇〕
◆三十六番(遠藤隼人君) 自由民主党・県民会議の遠藤隼人です。議長のお許しを頂きましたので、随時、通告に従い質問させていただきます。本日最後ということで、どうぞよろしくお願いいたします。 大綱一、病院再編について。 県では、令和三年九月に、政策医療の課題解決に向けた県立病院等の今後の方向性を公表し、仙台医療圏の病院再編について関係者と協議を重ねてきたところであり、昨年十二月に仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合について、日本赤十字社、県及び県立病院機構の三者による基本合意が締結されました。今年一月には、新病院の整備に係る地域医療介護総合確保基金の活用に向けて、仙台医療圏が国から重点支援区域に選定されたところでありますが、その際、関係自治体や地域住民の理解を得ることとの条件が付されたところであります。そこでお伺いします。県では、重点支援区域の選定における条件に関し、この間、六回にわたって地域説明会を開催してきました。その受け止めと所感についてはいかがでしょうか。 また、関係自治体の理解を得る上で、特に仙台市では、県が病院再編の協議を開始以降、仙台赤十字病院と東北労災病院が市外に移転する影響を懸念しており、これまで県と市でそれぞれの考えを文書で表明してきたほか、今年二月からは、仙台市からの要請を踏まえ、県と仙台市の協議が始まっております。県と仙台市の協議については、これまでに四回開催されていると伺います。その概要と成果、今後の展開などについてお伺いいたします。 なお、第四回の協議資料においては、仙台市の資料として、第三回までの協議を踏まえた仙台市の見解が示されており、救急医療に関しては、合理的な前提条件でのシミュレーションを行っておらず、県の説明の根拠が確認できないとの市の見解であります。そこでお伺いします。仙台市との協議において、特にポイントとなるのは、救急医療であります。シミュレーションの実施状況を含め、協議の進捗状況についてお伺いいたします。 なお、名取市に整備を予定している新病院の設置・運営は、日本赤十字社が行うということでありますが、救急医療やがん医療、周産期医療をはじめとした政策医療を新病院で担っていくためには、日本赤十字社や県立病院機構とともに、県も積極的に協議に関わっていく必要があると考えます。仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合について、基本合意に基づく協議の進捗状況と、基本構想の策定など、今後の展開についてお伺いいたします。 仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合に係る協議が進む一方で、東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築については、昨年二月に県と労働者健康安全機構で、協議確認書を取り交わし、令和五年度中の基本合意の締結を目指しておりましたが、県南部の精神科医療体制の確保や、診療連携の在り方などの検討を行うため、今年度も協議が継続されることとなりました。県では、県立精神医療センターのサテライト案の検討を進めており、今年二月の精神保健福祉審議会で、収支シミュレーションなども示されたところであります。委員からは、本院と分院に分けることに伴う経営面での負担、また、人員配置などの懸念、そのほか、名取市内で本院の整備を求める意見などもあり、今後の検討には時間を要するものと思われます。また、労働者健康安全機構としても、県立精神医療センター移転後の診療規模などが明らかになり次第、診療連携等の具体的な計画及び内容について協議・検討を行う意向であるというふうに伺っております。そこでお伺いします。東北労災病院の移転については、県立精神医療センターの方向性が決まらないと議論が進まない状況と思われますが、サテライト案の検討が長引く中、方針の変更も視野に入れて対応を検討すべきではないでしょうか、お伺いいたします。 今回の病院再編は、少子高齢化、人口減少が進む中で、将来にわたり県民に適切な医療を持続的に提供するために行うものであり、その意義は理解できます。しかし、これまでの進め方も含め、賛成・反対それぞれの立場から様々な意見がある中で、県としても、県民の理解を得られるよう、引き続き丁寧に病院再編の協議と説明を進めていただきますように意見を申し上げ、次の項に移らせていただきます。 大綱二、県民の安全を守る警察行政について。 警察庁で出している令和五年の犯罪情勢に目を通しますと、昨年一年間の刑法犯認知件数は前年比一七%増の七十万三千三百五十一件で、戦後最少だった二〇二一年から二年連続で増加しているということが分かりました。特殊詐欺に関しては、認知件数が前年比八・四%増加の一万九千三十八件で、被害額は約八十二億円増えて約四百五十三億円に達し、指標として科学技術の急速な発展により国民生活の利便性が向上する裏側で、当該技術が悪用され、犯罪を拡大しているサイバー事案及び特殊詐欺を取り上げていました。その中では、略取、人身売買については、通話、通信アプリを利用した手口の増加、殺人及び強盗においても、SNSで実行犯を募集する手口が特殊詐欺のみならず、強盗等まで拡大していると指摘しています。実際に起こった大きな強盗事件等においても、このように無知な若者を闇バイトで募集し、実行役とするものが多くあります。ルフィ事件であったり、銀座の腕時計店強盗事件などが有名だと思いますが、この特徴としては、お互いの名前も知らずに、連絡には秘匿性の高いアプリが使われ、首謀者や指示役までたどり着くことが難しく、まさに上層部には暴力団や半グレ等が関わっているとは思われるものの、逮捕した若者はトカゲの尻尾のように切り捨てられ、本当の犯罪者には捜査の手が及びにくい。この闇バイトによるリクルートが新たな犯罪の形態となってしまっています。対策としては、地道にインターネットやSNSの書き込みをパトロールするしかありませんが、警察官の人数には限りがあります。この点において、我が県に目を移しますと、今年四月二十六日に、学生を犯罪から守るための相互協力に関する協定を、全国初となる闇バイト加入防止などを念頭に置いて、県内二十一の大学、短大、大学校と締結したと伺いました。私自身、この闇バイトの勧誘からいかにして若者を守っていくのかということは、何度か質問させていただきました。当事者でもある大学と連携というのは、内閣府の緊急対策プランの四本柱に合致する、すばらしい協定であります。更に、宮城県警の動きを見ていくと、五月には犯罪につながるインターネット上の違法な情報を市民の目で発見するサイバーボランティアに県内七団体と百五十六人を委嘱したとのことでした。この中には、当事者である大学生も含まれており、大変有用であります。この取組自体は二〇〇七年に開始され、SNS上の闇バイトや児童の性被害を通報してもらうものであり、昨年はこのサイバーパトロールによる通報が五千九百七十七件で、前年比二千三百六十五件の増加。この通報により、二つの事件が検挙に至っています。今後、この種類の犯罪が減ることはないでしょう。無尽蔵に増える犯罪情勢の中、対応する警察官の数は我が県において十分とは言えない中、今後どのようにサイバーボランティアや二十一校と連携し、県民を守っていくのかをお伺いいたします。 サイバー事案において脅威は極めて深刻な情勢と分析されており、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の手口は様々で、時代により移り変わるが、令和五年においては、その被害の多くはフィッシングサイト、つまり偽物のサイトのログインに誘導し個人情報を抜き取る手口で、そのような電子メールが多数確認されているとの記載がありました。実際に私のPCやスマホにも、偽の大手カード会社や偽の電力会社から、ログインをしないと使えなくなりますよという詐欺のメールが毎日届きます。我が県に目を移しますと、前回の一般質問でも取り上げましたが、増大する金融商品詐欺の被害が甚大であり、昨年被害は三億六千七百六十一万円でした。今後最も注意が必要であるSNS型の投資詐欺について、警察庁は昨年、この詐欺とロマンス詐欺の認知件数が三千八百四十六件となり、被害総額は約四百五十五億円に達して、特殊詐欺の被害額である四百五十三億円を超えていると警鐘を鳴らしています。我が県では、昨年の四月末で認知件数は十七件。今年の四月末では、プラス六十件の七十七件の被害。被害金額は、昨年四月末で一億二百三万円の被害でしたが、今年の四月末現在の被害額は、実に六億千五百九十三万円プラスの七億千七百九十五万円であります。我が県においても大変な被害状況であります。現在最も警戒すべきSNS型の投資詐欺は、手口としてはSNS上の広告やダイレクトメッセージがファーストコンタクトであり、広告やメッセージに返信してしまうと、LINEに誘導され、副業、原油、仮想通貨への投資を持ちかけられる。ごく簡単に言えば以上ですが、巧妙な部分は、最初に送金すると何度かは利益の分配であるということで、逆に現金の振り込みがある。被害者は更に信用し、多額の金額を振り込んでいくということです。全国ニュースにもなっている著名人を使った動画や画像で投資の広告を出している詐欺は、この手口に分類されます。当然、著名人には無断で画像を使用している上、中にはAIや生成AIを使った動画もあるということです。なぜ今猛威を振るっているのかといえば、中国やインドの犯罪組織が関わっているとされており、当初はAIの翻訳技術が未熟で変な日本語変換をされるため、明らかに外国人の書いた詐欺のメールだと分かりましたが、今は犯罪情勢で述べていたとおり、技術がよくも悪くも進歩し、的確な翻訳や著名人を使ったディープフェイクが生成AIで簡単に作れるようになりました。犯罪組織からすると、安全に多額の利益を得る、まさに進化し続ける技術を悪用した新しい犯罪の手法であると言えると思います。 過日、沖縄に視察に行ってまいりました。内容は、県で実施しているデジタル・DX人材確保関連事業において、先端IT人材育成支援事業という事業があり、令和六年の実施内容は、先端技術資格対策講座やサイバーセキュリティー対策講座を開催し、二十回の講座で延べ二百名の参加があったということです。中でも民間企業と連携し行うホワイトハッカーの育成講座は、サイバー先進国のイスラエルとオンラインでつなぎ行う本格的なもので、大変先進的な取組であると感じました。我が県におけるサイバー人材の育成は待ったなしであり、このように我が県のみならず世界的に、日本全国で横行するSNS型投資詐欺に対する対応は急務でありますが、今後どのように取り組むのかを伺います。これまで繰り返し述べたように、犯罪組織にとって新しい形の資金源は早いうちに潰さなければ、日々進歩するテクノロジーに便乗し、また新たな被害者を生み続けることとなってしまいます。 次に、県民の安全を守るために有用な防犯カメラの普及に関してお伺いします。 私自身、議員にしていただいてから継続してこのことは質問させていただいておりました。目標としている先進事例は、例えば千葉県の市川市では、平成十七年に市川市防犯カメラの適正な設置及び利用に関する条例が施行され、平成十八年には百三十八台であった防犯カメラは、十二年後の平成三十年には八百六十一台にまで増設され、地域の安全を見守っています。同市の犯罪認知件数は、平成十八年に九千八百三十五件でありましたが、平成二十九年には三千八百二十三件となり、約三分の一まで減少しております。これは極端な例かもしれませんが、その犯罪抑止効果は絶大であり、更には、犯罪捜査においても、現代ではドライブレコーダーと併せて、最も重要な証拠となり得るものであります。我が県においても、昨年六月にアサヒ飲料、県及び宮城県警が地域安全に関する協定を締結し、防犯カメラ付き自動販売機を五台設置。また、今年二月にキリンビバレッジ、七ヶ浜町及び塩釜署が防犯に関する協定を締結し、防犯カメラ付き自動販売機を二台設置したとも伺っております。よい取組であるとは思いますが、まだまだ不足していると私は考えております。この宮城県内における防犯カメラ設置推進について、予算も当然かかりますので一気に進めることは難しいと思いますが、民間の力を今のように活用したり、例えば子供たちのために通学路を優先する優先順位をつけるなど、宮城県警のお考えを伺います。 大綱三、今後の観光振興について。 コロナ禍も収束し、現在、我が県における観光振興は、このコロナ禍前にまで戻ろうとしています。私の持論ですが、現在の我が国・我が県の最も深刻な課題は、人口減少であります。特効薬はありません。唯一取り組むことのできる対策は、交流人口を増やすことです。それはつまり、行ったことのない場所に引っ越す人間はいないのですから、観光振興に取り組み、魅力的なコンテンツを磨き上げることが、地域を守ることにつながっていくのだと思っています。観光庁の発表によれば、二〇二三年の宿泊者数は、速報値で延べ五億九千二百七十五万人泊、前年比三一・六%増加。そのうち、日本人の延べ宿泊者数は四億七千八百四十二万人泊、前年比一〇・二%の増加。これに対して、外国人の延べ宿泊者数は一億一千四百三十四万人泊で、実に前年比五九二・八%の増。円安の追い風を受け、国としては、インバウンド自体は堅調であるのだと思います。しかし、この外国人延べ宿泊者数が前年比五九二・八%増という強烈な数字よりも着目すべきなのは、新型コロナウイルスの影響がまだなかった二〇一九年の数字との比較であります。日本人延べ宿泊者数は二〇一九年と比較するとマイナス〇・四%。外国人延べ宿泊者数も二〇一九年と比較するとマイナス一・一%となり、まだコロナ禍の前まで戻り切っていないというのも数字上の事実であります。我が県においては、まだ速報値が出ていないため比較ができませんが、先に述べたとおり、交流人口を増やし、宮城の魅力を知っていただく、更に言えば、地域への理解を深めていただくには、教育旅行こそ最適であると考えます。 今年四月に、
経済商工観光部長、教育長とともに台湾に伺い、高級中等以下学校国際教育交流連盟との覚書締結式や台北市政府教育局表敬訪問、そして台北市内の学校向け教育旅行の説明会等に同席させていただきました。そもそも、台湾の教育旅行における宮城県とのカウンターパートであるこの高級中等以下学校国際教育交流連盟とは、台湾における小学校、中学校、高校の教育旅行や国際交流の調整等を行う組織であり、台湾地域を十一のエリアに分けて、各区の長は高校の校長先生が務めているということであります。遡れば今年一月、この高級中等以下学校国際教育交流連盟関係者をはじめとする台湾の皆様を宮城県に招聘し、魅力をアピールする経済商工観光部の事業にも参加させていただきましたが、この覚書締結に至るまでのスピード感に頼もしさを覚えておりますが、最初に述べましたとおり、この覚書締結は、これからの県における教育旅行推進のスタートであり、これからの運用が何よりも大事であります。直接的な支援としては、バス一台最大七万円で十台までのみやぎ教育旅行バス助成金というものを新設していると伺いました。今年度の実績としては、五月に既に台湾の学校の三校に対し補助の実績があるということをお伺いいたしました。台湾へ伺い、高級中等以下学校国際教育交流連盟の李重毅執行長をはじめとする各処長の皆様との意見交換の中で伺った話によれば、日本においての修学旅行は全校生徒が参加し、中学校や高校がメインであるイメージですが、台湾においての教育旅行は全く日本のそれとはイメージが異なり、参加者は希望者のみであることや、大切なのは、親がその教育旅行における意義を認め、お金を出すかどうかであるということでありました。台湾においても、今年四月三日、マグニチュード七・二の台湾東部沖を震源とする地震が起こり、防災教育の意義や関心は必然的に高まっているものと思います。そこで伺いますが、この覚書締結や台湾東部沖を震源とする地震による関心の高まりを受け、今年度や来年度初め、どのように目標を設定し、それを実現していくのかお答えください。 次に、これも李重毅執行長や処長の皆様との意見交換で頂いた意見でありますが、台湾においては、日本とは違い、むしろ小学生の教育旅行が熱心であると伺いました。この小学生の教育旅行の誘致については、どのように目標を設定し、どのように取り組むのかお答えください。 今年四月の台湾訪問の際には、南三陸町の職員の方も、町独自にこの教育旅行の売り込みにいらっしゃっていました。南三陸高校における東日本大震災の経験を踏まえた防災学習を通じた交流や国立嘉義高級中学校等の受入れの事例を交えアピールしておられました。その際に感じたのですが、市、町、村単独によるこのような教育旅行の誘致に関して、活動には限界があるのではないかということです。広域行政を預かる県が、この動きを今回の覚書締結を契機に支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、台湾における教育旅行では、五泊六日が基本であるとも伺っております。六日の日数があるわけですから、宮城の魅力や歴史の詰まった、現在宮城県内で推し進めている宮城オルレの教育旅行における活用についてはどのようにお考えであるかもお伺いいたします。 引き続き、宮城オルレについて伺います。 始まりは二〇一八年十月、気仙沼・唐桑コース及び奥松島コースがオープン。二〇一九年九月に大崎・鳴子温泉コース、二〇二〇年三月に登米コース、二〇二三年十一月に村田コースが開設され、全五コースとなっております。その後、昨年十一月には台湾の淡蘭古道との友情の道を締結し、日本と台湾の相互交流及び相互理解など、持続可能な発展に寄与することが期待されており、各コースには淡蘭古道の記念碑が設置されました。そして先月、淡蘭古道の各コースに宮城オルレのカンセを設置するため、宮城オルレ設置自治体五つ全ての市長・町長と共に台湾にお伺いしました。現地においては、大変な歓迎を受けるとともに、これからの相互交流に対する期待を感じてまいりました。村田町については今後の締結となるかと思いますが、宮城県内各地において、このような地域と地域のつながりを持つことは、根本的な交流人口を増やすことに寄与すると考えますが、今後の宮城オルレの広がりについて、第六、第七のコース等の策定についてどのように検討がなされているのか、お伺いいたします。 また、二〇二二年に台湾で開催された際には私も参加させていただきましたが、アジア各地のトレイルファンが大々的に集うアジア・トレイルズ・カンファレンスについても、もし我が県でこの大々的な大会を開催することができれば、まさにアジアのトレイルファンに対し大きなアピールとなることは間違いないと思います。ぜひ御検討いただけないでしょうか。お伺いいたします。 この項の最後に、現在の五コースにおいても団体の受入れ等が増えてきていると伺いました。すばらしいことですが、その受入れについて、町ごとに温度差があり対応が同じではなく、もっと言うと、どこに相談すればいいか分からないという声を聞きます。ガイドの紹介やいくつかのオルレコースを歩く際には、広域行政を預かる県が窓口を担うなり、宮城オルレに関しての統一的対応が可能な体制の構築が必要かと思いますが、この点はいかがでしょうか。 次に移ります。大綱四、国民スポーツ大会について。 国民体育大会とは何か。スポーツ庁いわく、広く国民の間にスポーツを普及し国民の体力向上を図るとともに、地方スポーツの振興と地方文化の発展を目的として、戦後間もない昭和二十一年の第一回大会から毎年開催する国内最大の総合スポーツ大会である。国体は都道府県対抗で行われ、男女総合成績一位に天皇杯が、女子総合成績一位に皇后杯が授与される。更に、天皇皇后両陛下が地方に訪問される三大行幸啓は、全国植樹祭、全国豊かな海づくり大会、国民体育大会の三つを指します。これに国民文化祭が加わり、四大行幸啓と現在はなっております。今年十月に開催される佐賀大会からは、名称は国民スポーツ大会に変更となりますが、これまでの伝統と大会への敬意は決して薄れることはありません。今年四月の、国スポは廃止も一つの考え方であるとの村井知事の発言には、正直、大変驚きました。その後の会見においても、都道府県対抗の大運動会が本当に必要なのかをよく考えたいとも発言されました。さきに述べましたとおり、国スポは権威ある大会であり、その大会に出るためにたゆまぬ努力を続けるアスリートや子供たちは、この議論をどのように受け止めていたでしょうか。自分の愛する都道府県を代表して競技大会に臨むということは、かけがえのない機会と言えるのではないでしょうか。この村井知事の発言を受け、日本スポーツ協会は、大会の在り方を考える検討会を設置すると伺いました。また、都道府県の財政負担が大きく国の負担は少ない、このことも理解はできます。今月十一日には、日本スポーツ協会を訪れ、持続可能な大会にできるよう知事会として検討していく、廃止は視野に入れないという発言に安堵はいたしておりますが、一連の発言によって、我が県のスポーツに携わり、青少年の健全育成や競技力向上に尽力していただく多くの関係者は、私と同じように驚きをもって知事の発言を聞いていたことと思います。その皆様や国スポを目標に各競技に打ち込む皆様に、これまでの知事の一連の発言の真意をお聞かせいただきますようにお願いいたしまして、以上で壇上での質疑を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 遠藤隼人議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、病院再編についての御質問にお答えいたします。 初めに、地域説明会の受け止めと所感についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、昨年十二月以降、仙台市内で四回、富谷市と名取市でそれぞれ一回、計六回地域説明会を開催し、病院再編の背景や目的などについて説明を行うとともに、意見交換を実施し、地域住民の理解醸成に努めてまいりました。病院の移転先となる富谷市や名取市では、地元市町村と共催し、参加者から新病院の早期実現を望む声などの賛成意見を多く頂いた一方、移転元である仙台市では、病院が移転した後のかかりつけ医の確保などに対する不安や懸念の声が多い状況であったと認識しております。県といたしましては、病院再編に係る関係者との協議の進捗状況に応じて、できる限り情報提供を行いながら、地域住民の不安や懸念を払拭できるよう、引き続き丁寧に説明を重ねてまいります。 次に、県立精神医療センターのサテライト案についての御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターの富谷市への移転に伴い、現在、名取市内に分院を設置するサテライト案の検討を行っておりますが、精神医療センター職員との意見交換において、拠点が増えることによる経営面や人員配置などの懸念が示されていることを踏まえ、改めてサテライト案の内容を検討しているところであります。県といたしましては、老朽化が進む精神医療センターの早期建て替えや、身体合併症への対応能力向上のため、富谷市への移転と東北労災病院との合築を進めておりますが、サテライト案の更なる検討・検証に時間を要していることから、精神保健福祉審議会や、患者とその御家族など当事者の御意見も踏まえ、より柔軟かつ多角的視点での検討も併せて行ってまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、今後の観光振興についての御質問にお答えいたします。 初めに、台湾との教育旅行推進に向けた目標及び取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、昨年度から、宮城県議会と一体となって台湾訪日教育旅行の誘致に取り組み、台湾全域の学校の教育旅行実施に強い影響力を有する高級中等以下学校国際教育交流連盟及び台北市と覚書を締結いたしました。覚書締結直後の今年五月には、台北市立南港高級工業職業学校が教育旅行で来県し、防災学習に取り組んだほか、宮城県工業高等学校と姉妹校提携に向け、協議していると伺っております。また、来月には、台北市との覚書締結の中心的役割を担った台北市立大安高級工業職業学校の校長等が高校生十六人を引率して来県され、県内に立地する主要企業の見学や防災学習に取り組む予定となっております。県としては、覚書締結や防災教育の関心の高まりを踏まえ、コロナ禍で令和二年度から四年度までの間、ゼロとなった受入れ数を年間三十校、千人以上とする目標を掲げ、バス借り上げ経費助成や交流受入れ学校の拡大などに取り組んでいるところであります。更に、国際教育交流連盟の執行長やエリア処長、旅行先の決定権限を有する学校長など約百人を今年度内に招請し、台湾側との連携を強化することとしており、目標達成に向けた取組を力強く進めてまいります。 次に、今後の宮城オルレの新たなコース等の検討についての御質問にお答えいたします。 宮城オルレについては、五コース目となる村田コースのオープンの際に、韓国・台湾・アメリカをはじめ国内外から千人規模の参加者があり、当日実施した関連イベントも含め、五千人以上の方々に訪れていただき、村田町が大いににぎわった一日となったところであります。また、平成三十年十月の一コース目オープンから今年三月までの延べ利用者は、国内外合わせて六万二千人となるなど、我が県の魅力ある観光コンテンツの一つとして認知度が高まっているものと認識しております。県では、更なる利用者の増加に向けて、地域の特色を生かした新規コースの造成により、宮城オルレの魅力向上を図ることとしており、現在、今年度中のコース認定を目指している蔵王町と丸森町に対して、現地調査をはじめ、コース案作成に当たっての支援を行っているところであります。また、多賀城市及び栗原市においても、新規コース造成に向けた準備を進めており、現地調査を含めたコース案やスケジュールについて調整を行っております。県といたしましては、宮城オルレの当面の目標である八コース開設の実現に向けて、来年度中に三コースを開設するため、関係市町と連携しながら、引き続き私が先頭に立って強力に推進してまいります。 次に、アジア・トレイルズ・カンファレンスの開催についての御質問にお答えいたします。 アジア・トレイルズ・カンファレンスは、台湾・千里歩道協会や韓国・済州オルレのほか、アジア圏の二十二トレイル団体が加盟するアジア・トレイルズ・ネットワークが主催し、トレイルに関する知識の共有やトレイル文化の構築、海外プロモーション、国際協力を目的に開催される国際会議であります。アジア・トレイルズ・カンファレンスの事務局である千里歩道協会や済州オルレからは、来年度の我が県での開催を打診されており、現在、宮城オルレ・トレイル推進議員連盟と一体となって調整を進めているところであります。この会議を開催するに当たっては、宮城オルレの新規コースのオープンと併せて実施することで、国内外のトレイル愛好者に宮城オルレを発信できるほか、食や歴史、文化など、我が県の魅力を伝える絶好の機会となることから、開催の実現に向けて強力に取り組んでまいります。 次に、大綱四点目、国民スポーツ大会についての御質問にお答えいたします。 国民スポーツ大会は、スポーツを広く国民に普及し、地域の競技力向上やスポーツ環境の整備はもとより、地域の活性化にも大きな役割を果たしてまいりました。一方、開催都道府県の人的・財政的負担が非常に重いだけでなく、大会運営が選手本位となっていないなど、様々な課題があることから、人口減少が進む中で現行の開催方式を続けていくことは限界があると考えられております。折しも、日本スポーツ協会では、大会三巡目を迎えるに当たり、今年度中に大会の将来像について一定の方針を示すとされていたことから、私といたしましては、大会の在り方についてゼロベースで検討していただきたいと思い、一連の発言をしたものであります。今回、都道府県の声に御配慮いただき、日本スポーツ協会が設置する今後の在り方を考える有識者会議に全国知事会として参画できることとなりましたので、アスリートや関係者、更には国民にとっても持続可能で価値ある大会となるよう、都道府県の立場から一緒に議論してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、病院再編についての御質問のうち、仙台市との協議の概要等についてのお尋ねにお答えいたします。 病院再編に係る仙台市との協議については、今年二月以降四回実施し、市の求めに応じてデータ等を提供した上で、救急医療や精神医療をはじめ、仙台医療圏における政策医療への影響などについて、一つ一つ丁寧に説明を行いながら協議を重ねてまいりました。仙台市が懸念する再編後の市内の医療提供体制のうち、救急医療については、一定の条件下で市内の救急搬送への影響を検証するシミュレーションを実施するなど、協議が着実に進んでいるものと認識しております。県といたしましては、今後、関係者との協議の進捗を踏まえて、新病院の具体的な姿などを示しながら、仙台市との協議を通じて、個別課題の解決策や病院再編の効果などを県民に広くお示しできるよう、引き続き真摯に対応してまいります。 次に、救急医療に係る仙台市との協議の進捗状況についての御質問にお答えいたします。 仙台市との協議では、救急医療に係る各種データを共有するとともに、仙台市内の救急搬送への影響を検証するため、病院移転後の救急搬送件数に関するシミュレーションを行い、今月七日に開催した第四回協議において試算結果を提示したところであります。県の説明の根拠が確認できないとする市の見解は、第三回までの協議時点のものと理解しておりますが、今回のシミュレーション結果では、新病院の救急対応能力の向上を見込んだ場合には、一千件を超える負担軽減効果があり、一方で、対応能力を相当低く見積もった場合でも、仙台市内の救急搬送件数に大きな影響を及ぼすものではないことが示されたと考えております。県といたしましては、今後、仙台市と調整の上、条件を更に精査したシミュレーションを実施するほか、高齢化に伴う医療需要の増加に対し、不要不急の救急要請の抑制や、医療機関同士の役割分担と連携強化など、病院再編だけでは解決できない救急医療の全般的な課題への対応についても、仙台市と協議を重ねてまいりたいと考えております。 次に、仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合に係る協議の進捗状況と今後の展開についての御質問にお答えいたします。 昨年十二月に締結した基本合意を踏まえ、現在、日本赤十字社、県立病院機構、宮城県のほか、東北大学を加えた四者で協議を進めており、統合後の新病院の診療科や人員体制、具体的な医療機能などの検討を重ねているところであります。また、基本構想については、新病院が担うべき医療機能など、新病院の整備に係る関係者間での協議を踏まえ、日本赤十字社が中心となり、策定する予定であります。県といたしましては、政策医療の課題解決に向けて、救急医療や周産期医療、がん医療をはじめ、基本合意に掲げた医療機能を新病院が最大限に発揮できるよう、引き続き関係者との協議を進めるとともに、適時的確な説明と情報提供に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱三点目、今後の観光振興についての御質問のうち、小学生の教育旅行誘致の目標及び取組についてのお尋ねにお答えいたします。 今年四月に宮城県議会と一体となって台湾の高級中等以下学校国際教育交流連盟を訪問した際、台湾においては、小学生の段階から国際教育交流拡大に取り組んでおり、宮城県として小学生の教育旅行の誘致にも力を入れるべきとの助言を頂きました。県ではこれまでも、昨年十二月に、台湾との教育交流に力を入れている女川町
教育委員会の職員を講師とした県内の小学校向けのセミナーを開催したほか、今年一月には、柴田町立柴田小学校と台北市大安区龍安国民小学との交流を実現させるなど、県内の小学校の理解促進と台湾の小学校の受入れ拡大を進めてまいりました。今回の助言を受け、小学生の教育旅行誘致の目標については、過去の実績を踏まえ、百人を当面の目標とし、今後、台湾の教育関係者を招請する際に、県内の市町村
教育委員会と連携の上、台湾の小学校長と県内の小学校長とが直接交流する機会を設けるなど、更なる受入れ拡大に向けた取組を強力に推進してまいります。 次に、市町村単独での教育旅行誘致の取組に対する支援についての御質問にお答えいたします。 高級中等以下学校国際教育交流連盟及び台北市との覚書締結を契機として、台湾訪日教育旅行の受入れ拡大を確実に実現するためには、受入れ先となる市町村と連携して取り組むことが一層重要となると認識しております。県内においては、南三陸町が平成二十七年度から県と一体となり台湾訪日教育旅行の誘致を行っていることから、県といたしましては、南三陸町と同様に、教育旅行誘致への強い意欲を持つ市町村に対し、県と一体となって取組を進めていただけるよう、台湾現地での誘致機会の創出や誘致活動経費助成などの必要な支援を検討してまいります。 次に、台湾の教育旅行における宮城オルレの活用についての御質問にお答えいたします。 宮城県議会や関係市町と一体となって推進してきた宮城オルレは、我が県ならではの風景や文化、歴史等をじっくりと時間をかけて体験するものであることから、日本の暮らしや歴史などの文化体験を重要視する台湾訪日教育旅行のニーズに適応するものと考えております。このため、今後予定している台湾訪日教育関係者を対象とした招請の行程に宮城オルレを取り入れ、来県した台湾の校長等に対してしっかりアピールするなど、台湾訪日教育旅行の更なる受入れ拡大に向け、宮城オルレの活用を強力に推進してまいります。 次に、宮城オルレの体制構築についての御質問にお答えいたします。 宮城オルレの推進に当たっては、県が済州オルレ事務局との各種調整やガイドブックの製作、海外プロモーションなどの役割を担当し、市町村がコース設定に係る各種調整やコースの維持管理、コースガイド育成などの役割を担当しており、基本的にはこの役割分担に沿って取り組んでおります。各コースの現状については、最初にオープンした気仙沼・唐桑コースや奥松島コースでは、ノウハウが蓄積され、ガイドの対応や案内看板の設置など、オルレの魅力向上が十分に図られているところであり、それに比例して利用者数も増加しているところです。オープン後間もない村田コースなどにおいては、済州オルレや先行のコースを見習いながら、コースの充実に努めているところであり、県といたしましては、必要に応じて済州オルレからコース整備のアドバイザーを招請し、助言・指導を頂くなど、県内五コースの更なる魅力向上に向け、引き続き取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 警察本部長細田正君。 〔警察本部長 細田 正君登壇〕
◎警察本部長(細田正君) 大綱二点目、県民を守る警察行政についての御質問のうち、サイバーボランティアや大学等と連携し、どのように県民を守っていくのかについてのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のありましたとおり、大学生を含む若年層がSNSを通じて犯罪グループとつながり、特殊詐欺のみならず殺人や強盗などあらゆる犯罪に加担させられている状況にあり、その対策が急務となっております。県警察では、これまで、若年層の犯罪加担防止のため、少年に対する非行防止教室を通じた広報啓発活動を推進してきたほか、今年、学生を各種犯罪から守り、地域における安全安心の担い手として育成するため、県内の大学など二十一校と警察との相互協力に関する協定を締結いたしました。また、IT関連企業や情報系学部がある大学の学生に対して、サイバー空間における有害情報の削除要請を担うサイバー防犯ボランティアを委嘱しており、昨年は五千百五十二件の情報を削除したほか、このサイバー防犯ボランティアの活動を通じて、昨年十月、SNS上における闇バイト募集に関する投稿者を特定し、職業安定法違反で検挙しております。引き続き、サイバー防犯ボランティアや大学等と連携し、サイバー空間においても県民の安全安心の確保を推進してまいります。 次に、我が県におけるサイバー人材の育成に関する今後の取組についての御質問にお答えいたします。 県警察では、平成十三年度から高度な情報処理技術を有する人材を特別採用しているほか、IT企業が主催するデジタルフォレンジックに関する研修等を通じて、専門機関や民間企業における最新の解析技術と高度なサイバー犯罪の手口等を学ばせるなどして、広くサイバー捜査官の育成を推進しております。また、SNS型投資詐欺への関与がうかがわれる匿名・流動型犯罪グループに対処するため、今年度、組織犯罪対策局を再編するなど、捜査体制を強化したほか、本年四月以降、増加を続ける特殊詐欺に対して、都道府県警察の垣根を越えた捜査連携が強化されたところであります。引き続き、サイバー空間を利用した新たな犯罪へ迅速的確に対処するため、組織の総力を挙げた各種対策を推進してまいります。 次に、防犯カメラの設置促進についての御質問にお答えいたします。 防犯カメラは各種犯罪の予防と被害の未然防止に極めて有効であり、県警察といたしましても、通学路や駅周辺、繁華街などの公共空間への設置を推進することが、地域住民の安全安心の確保に大きな効果が期待できるものと認識しております。そのため、自治体や地域住民等への働きかけのほか、民間企業への協力要請等を行い、公共空間における防犯カメラの整備を進めております。また、県においては、市町村の防犯カメラ設置に補助金を交付して支援しているほか、一部の市町では、防犯協会、町内会等の防犯カメラ設置に関する補助事業を実施していると承知しております。県警察といたしましては、公共空間における防犯カメラの整備促進に向け、引き続き、自治体や関係機関と連携を継続するとともに、今後、県警察が主体となって防犯カメラの設置についても検討してまいります。 私からは、以上です。
○副議長(本木忠一君) 三十六番遠藤隼人君。
◆三十六番(遠藤隼人君) ありがとうございました。幾つか前向きな答弁も頂きまして、まず再質問させていただきたいのは、病院再編についてでございます。 今、具体的には仙台医療センターに関してでございますが、サテライト案について経営面であったり人員の面であったりということで、いろいろな不安があるというふうに指摘があります。その中で今、知事の答弁において、多角的視点での検討というふうに答弁を頂きました。具体的に、多角的な検討というお話でしたので、現在、もちろん言うまでもありませんが、提示している本院を富谷市に、サテライトを名取市にという案以外の案についても、今の答弁ですと幅広く検討していくということなのかなと受け止めたのですが、そこのところをもう少し踏み込んで御答弁いただければと思います。よろしくお願いします。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 二月議会で検討する予算を認めていただきましたので、幅広に検討したいなというふうに指示しております。その際、職員に私から指示しておりますのは二つございまして、一つは、やはり一番重要なのは、今いる患者さんとこれから出てくるであろう患者さんです。ですから、患者ファーストの目線で物事を考えてほしいと。なかなか患者さんと直接会ってお話は難しいと。病気が病気ですからね。ですから、精神医療センターの皆さんの御意見などをしっかり聞いて、そして実現ができるような方向で考えてほしいということを一つ言っています。それから二つ目は、とはいえパートナーである労災病院、合築でありますけれども、一緒にというふうに言ってくださっていますので、一方的にこちらの方針を労災病院に押しつけるわけにいきませんから、いろんな案が出てきたら、その案を、これが決まりましたから労災病院さんはこうしてくださいではなくて、幾つかの案が出てきたら、労災病院さんにそれをお示しして、労災病院さんがこれなら我々と一緒にやれるのではないかというのをちゃんと聞いてくれと。労災病院さんからは、まずは県のほうでしっかりと案を固めて持ってきてくれと言われているのですが、「決まりました」「できません」ではもう一回振出しに戻ってしまいますから、同時並行的に、労災機構本部のほうとよく話をしてくれというふうに指示しております。今、それでいろいろなところといろいろ調整しておりますので、現時点においてはまだ何も決まっておりませんけれども、相当柔軟に検討しているのは事実でございます。多角的にということでございます。
○副議長(本木忠一君) 三十六番遠藤隼人君。
◆三十六番(遠藤隼人君) 今知事がおっしゃったような、患者ファーストということであります。今の患者さんとこれからの患者さん。その中にあって、労災病院との合築。先方のあることでありますので、二点目として、知事が今挙げられたのは、労災との話合いということです。もちろんおっしゃるとおりだなというふうに思いますが、この中にあって、今、多角的にという答弁であったし、それをまた再質問しても同じお答えであったし、いろいろ幅を持って検討なさるのかなというふうに受け止めさせていただきました。もう一つ、この病院再編について質問させていただきますが、今、宮城県議会と同じく、仙台市議会も議会中であります。先週の十四日金曜日、仙台市議会の代表質問におきまして、郡仙台市長が、精神医療センターの富谷市の移転については明確に反対を表明されたということであります。仙台市長の発言に対しましては、どのように受け止められているかなということ、今後の対応についてはどのように考えているかということをお伺いしたいなと思います。よろしくお願いします。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私が五橋から仙台市立病院を長町に移すと言ったときに、反対でありますということを明確に公の場で言いましたら、恐らく、自治権の侵害だと。これは市議会議員に言われることがあっても、あなたに言われることはないときっとおっしゃったというふうに思うんです。ですから、その発言を聞いて、正直、おやと思ったんです。おや、こういうことおっしゃるんだなと思ったのですが、同時に、郡市長としては相当踏み込んだ、覚悟を持った御発言をされたなというふうに受け止めたんです。といいますのが、要は名取から動かすべきではないというのが郡さんの主張ということです。名取には今度、がんセンターと日赤が病院を一つ造るんですが、今どんどん話が進んでいますけれども、日赤さんからは、精神医療センターと御一緒はできませんということを明確に言われております。それで今、労災さんと話を進めているわけなんです。ですから、名取でいかに病院を造ったとしても、がんセンターと日赤をくっつけることはできないんです。つまり単独で造るということです。現在、精神医療センターにかかる合併症の患者さんは、どちらかというとやっぱりかなり重い方が多いので、三次救急の病院、つまり仙台医療圏におきましては、東北大学病院や、あるいは宮城野区にあります仙台医療センター、それから仙台市立病院、この三つでお世話になっているんです。今回、あまり表には出ていませんけれども、富谷に精神医療センターを持っていって労災病院とくっつけることによって、一つ大きなメリットは、例えば、仙台市立病院の負担が軽くなるということもあったんです。それを言下に否定される、つまり名取から動かさないでくれということは、仙台市立病院に対する負担が今後、高齢者が増えてきますから、合併症の患者も増えてまいりますから、仙台市立病院の負担が重くなるということです。ですから、それは当然覚悟の上でお話になったのだろうなというふうに思います。私としては、そこまで思い切って反対であると議会で、公の場でお話しになったということは、裏を返せば、その仙台市立病院の負担が重くなることについて、患者をしっかり受け入れることについて、覚悟を示されたんだなというふうに思いました。ですから、そういった仙台市長の発言なども考えの中に入れながら、それこそ多角的に考えなさいというふうに職員には今指示しているということであります。そういった仙台市の市長の発言でございますので、私としてはしっかりと受け止めなければいけないかなというふうに思っています。ただ、これでどうするのかということはまだ何も決まっておりません。ここまでいって、仙台市立病院さんにいろいろお世話になろうとしたときに、それは協力できませんということになれば、これはちょっと問題だなということになるかもしれません。
○副議長(本木忠一君) 三十六番遠藤隼人君。
◆三十六番(遠藤隼人君) 仙台市長の発言というのは重いのだろうと思いますが、その中にあって、知事のおっしゃる仙台市立病院負担軽減につながるはずであるということもまた、この再編計画の中にあって、目的の一つであるというふうに私も思っておりますので、そういう思いであるということはお伺いいたしました。 次に、私が今回提案させていただきましたアジア・トレイルズ・カンファレンスでありますが、すごく前向きな答弁を頂きまして、とてもうれしいなと思っております。答弁の中でありました宮城オルレの五つのコースにおいて、令和五年度までで延べ六万二千人がおいでになったということ。もともと、議員になった九、八年前から、このことにつきましては、一生懸命取り組ませていただきました。先輩方の指導を頂きながら、一つ目のコースの造成から、もともとは、お金をかけて建物とか造らなくてもお客さんを呼べるんじゃないかという思いがあって、特に沿岸部なんかは何も当時なかったものですから、これはどうなるか分からないけれどもやってみたいという思いで、私含め先輩方とやらせていただいたのを覚えています。それが、五つコースができ、そしてまた、蔵王・丸森・多賀城・栗原。この四つがうまくいけば、九つのコースになるということで、大変期待しておるところですが、このアジア・トレイル・カンファレンスの誘致に関しての意気込みを一言お願いいたします。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) まだ、これから具体的に詰めていかなければなりませんけれども、まさに観光にも直接つながり、外国からお越しになるわけですから、皆さんお泊りになりますので、ぜひ実現できるようにいろいろ調整してまいりたいなというふうに思っております。発展税があればやりやすくなるななんてちょっと思いながら、発言させていただきました。
○副議長(本木忠一君) 三十六番遠藤隼人君。
◆三十六番(遠藤隼人君) 終わります。ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。
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△散会
○副議長(本木忠一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後三時散会...