令和 6年 6月 定例会(第392回) 第三百九十二回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)令和六年六月二十一日(金曜日) 午前九時五十八分開議 午後二時四十八分散会 議長 高橋伸二君 副議長 本木忠一君出席議員(五十九名) 第一番 ふなやま由美君 第二番 かっち 恵君 第三番 平岡静香君 第四番 石森ゆうじ君 第五番 阿部眞喜君 第六番 柚木貴光君 第七番 高橋克也君 第八番 さとう道昭君 第九番 熊谷一平君 第十番 藤原益栄君 第十一番 金田もとる君 第十二番 荒川洋平君 第十三番
佐々木奈津江君 第十四番 小野寺 健君 第十五番 大池康一君 第十六番 菊地忠久君 第十七番 杉原 崇君 第十八番 村岡たかこ君 第十九番 伏谷修一君 第二十番 松本由男君 第二十一番 渡辺重益君 第二十二番 わたなべ 拓君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 小畑仁子君 第二十五番 三浦ななみ君 第二十六番 枡 和也君 第二十七番 佐藤仁一君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番
横山のぼる君 第三十番 伊藤吉浩君 第三十一番 八島利美君 第三十二番 瀬戸健治郎君 第三十三番 村上久仁君 第三十四番 高橋宗也君 第三十五番 高橋 啓君 第三十六番 遠藤隼人君 第三十七番 渡辺勝幸君 第三十八番 横山隆光君 第三十九番 三浦一敏君 第四十番 渡辺忠悦君 第四十一番 熊谷義彦君 第四十二番
佐々木功悦君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 吉川寛康君 第四十六番 伊藤和博君 第四十七番 佐々木賢司君 第四十八番 守屋守武君 第四十九番 外崎浩子君 第五十番 村上智行君 第五十一番 佐々木幸士君 第五十二番 高橋伸二君 第五十三番 菊地恵一君 第五十四番 佐々木喜藏君 第五十五番 石川光次郎君 第五十六番 中島源陽君 第五十七番 本木忠一君 第五十八番 中山耕一君 第五十九番 藤倉知格君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君
公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・
危機管理部長 高橋義広君 企画部長 武者光明君
環境生活部長 佐々木 均君
保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君
水産林政部長 中村彰宏君 土木部長 千葉 衛君
会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君
総務部秘書課長 鈴木政幸君
総務部財政課長 後藤和隆君
教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君
選挙管理委員会 委員長 櫻井正人君 事務局長 黒澤 治君
人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 駒井達貴君
公安委員会 委員長 佐藤勘三郎君 警察本部長 細田 正君 総務部長 鈴木孝彦君
労働委員会 事務局長 諸星久美子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 佐藤洋生君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 相澤一行君 議事課長 千葉良信君
政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼
総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君
政務調査課副参事兼
総括課長補佐 工藤智広君
議事課主幹(班長) 山崎能子君
議事課主任主査(
議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第三号 令和六年六月二十一日(金)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第九十二号議案ないし議第百十四号議案及び報告第七号ないし報告第十号第三 一般質問 〔遠藤伸幸君、中島源陽君、
佐々木奈津江君、菊地忠久君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第九十二号議案ないし議第百十四号議案及び報告第七号ないし報告第十号三 日程第三 一般質問 〔遠藤伸幸君、中島源陽君、
佐々木奈津江君、菊地忠久君〕
-----------------------------------
△開議(午前九時五十八分)
○議長(高橋伸二君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
-----------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○議長(高橋伸二君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、四十二番
佐々木功悦君、四十三番坂下賢君を指名いたします。
-----------------------------------
△議第九十二号議案ないし議第百十四号議案
△報告第七号ないし報告第十号・一般質問
○議長(高橋伸二君) 日程第二、議第九十二号議案ないし議第百十四号議案及び報告第七号ないし報告第十号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。二十八番遠藤伸幸君。 〔二十八番 遠藤伸幸君登壇〕
◆二十八番(遠藤伸幸君) おはようございます。
公明党県議団の遠藤伸幸です。議長のお許しを頂きましたので、大綱四点にわたり質問をさせていただきます。 大綱一点目、持続的な賃上げに向けた取組についてお伺いいたします。 長引く物価高や人手不足への対応で、企業の間で賃上げの動きが広がっています。労働団体の連合が今月五日に発表した、今年の春闘の中間報告によれば、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率は五・〇八%となり、三十三年ぶりの高水準となりました。また、
日本商工会議所も同日、今年四月時点の中小企業の
賃上げ状況に関する調査を発表、それによると、昨年四月と比べた正社員の賃上げ率は平均三・六二%となり、大企業とは差があるものの、中小企業にも賃上げの動きが着実に広がっていることがうかがえる結果となりました。一方、
消費者物価指数は三十か月以上上昇を続けており、
厚生労働省が五日発表した毎月勤労統計では、四月の実質賃金は前年同月に比べて〇・七%減少し、二十五か月連続のマイナスとなりました。依然として賃金の上昇が物価上昇に追いついていない状況が続いています。ちなみに、本県の賃金動向はどうか調べてみたところ、昨年は全国同様に実質賃金のマイナスが続いていたものの、今年に入ってからは、実はプラスで推移しています。毎月
勤労統計調査地方調査結果によると、県内の規模五人以上の企業の実質賃金は、今年一月に前年同月比一・九%プラスに転じ、二月は二・〇%プラス、三月は少し落ちたものの、一・一%プラスでした。この数字だけを見れば、本県は全国の中でも賃上げが進んでいると見ることもできますが、統計課によれば、
サンプル入替えの影響もあるとのことでしたので、ぬか喜びは禁物です。また、二〇二〇年と比べた場合の実質賃金はマイナスであり、県民がいまだ所得増加の実感を持つまでには至っていない状況であることは確かだと思います。 こうした中、政府は成長戦略として掲げる新しい資本主義の実行計画を改定し、中小・
小規模企業等で働く労働者の
賃上げ定着を施策の柱として掲げました。また、先日まとまった今年の骨太の方針原案でも、政府を挙げて
賃上げ定着に取り組むと強調しています。これに本県も呼応し、県内企業の
賃上げ促進と定着に全力を挙げていくことが、県が目指す富県躍進の実現に向け重要と思いますが、知事の御所見を伺います。 さて、中小企業の賃上げに向けては、安定的に
賃上げ原資が確保できるよう、生産性の向上と価格転嫁の推進が肝要です。このうち
価格転嫁対策に関し、内閣官房と
公正取引委員会は、昨年十一月二十九日、労務費の適切な価格転嫁のための価格交渉に関する指針を策定し、公表しました。それによると、発注者が採るべき行動として、一、労務費の価格転嫁を受け入れる取引方針を
経営トップまで上げて決定、その方針を社内外に示す、二、受注者から求めがなくとも、定期的な協議を設けるなど、六指針を示し、発注者がこれに沿わない場合は、
公正取引委員会として法に基づき厳正に対処するとしています。この指針は、民間企業だけでなく、官公需の発注者である
地方公共団体も対象としており、県や市町村も指針に沿った対応が求められます。一方、
公正取引委員会が昨年実施した価格転嫁に関する特別調査では、
情報サービス業や
技術サービス業が価格転嫁できていない発注者の上位三業種の中に、地方公務が入っていることが明らかになっています。このため、総務省では、指針を踏まえた具体的な対応を都道府県や市町村に要請していますが、地方側の反応は鈍い状況です。総務省が五月末に公表した
フォローアップ調査の結果によれば、本県も指針の通知以外は特段の取組を行っていない状況ですが、まずは隗より始めよであり、県が価格転嫁の範を示していくべきではないでしょうか。県発注の官公需の規模は千五百億円を超えます。ここで適切に価格転嫁がなされれば、地域経済に与える影響も大きいと思います。県として、指針を踏まえた
ガイドライン等の整備や経済団体との価格転嫁に関する会議の開催など、積極的に対応すべきと思いますが、御所見を伺います。 さて、官公需に携わる中小企業からは、価格転嫁のためには入札制度の改善が必要との声が上がっています。
一般競争入札や
オープンカウンター方式においては、標準価格よりもかなり低い価格でないと落札できないことが多く、ある経営者は「常に定価の三割引きを求められている状況だ」と嘆いていました。本県では、公共工事をはじめ、ほとんどの業務で
最低制限価格を廃止し、低
入札価格調査制度を導入していますが、低入札で落札したとしても排除されることは少なく、ダンピングの防止に有効に機能していないとの指摘もあります。物価高が続く中、無理な低価格での入札を放置していては、業務の質の低下や県職員の負担増にもつながり、最悪の場合、昨年全国で発生した学校給食の停止のような事態を招く可能性もあります。官公需に携わる企業が適正な利益と
賃上げ原資を確保できるよう、低
入札価格調査制度の実効性の確保や、価格以外の要素を加味した入札方法の拡大等、落札率向上への取組を強化すべきと考えますが、御所見を伺います。 次に、中小企業の
生産性向上と賃上げに向けた支援策について伺います。 昨年十一月、県はみ
やぎ中小企業等賃上げ支援連絡会議を設置して、庁内で情報共有を行い、賃上げに向けた中小・
小規模事業者への国や県の支援策を部局横断で取りまとめて、ホームページで公開しています。国は七施策、県は三十施策列挙されておりますが、県の施策には、賃上げをちゅうちょする中小企業の背中を押すような施策は乏しいという印象を受けます。
厚生労働省が今年四月に取りまとめた各都道府県の
賃上げ支援策一覧によると、全国七県で
業務改善助成金の上乗せ補助を実施しているほか、岩手県や滋賀県など、賃上げに取り組む事業者への奨励金給付や必要経費の補助、低利融資などに取り組む自治体もあります。本県でも更に踏み込んだ
賃上げ支援を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、昨年度まで実施してきた
中小企業等再起支援事業補助金は、生産性の向上や販路拡大に役立つと、中小・
小規模事業者から高く評価されております。これまでは政府の経済対策に合わせて実施してきましたが、賃上げを後押しするため、国の交付金がなくとも、県単独で実施する価値のある施策と思いますが、御所見を伺います。 次に、
仙台医療圏の四病院再編について伺います。 令和三年九月にこの
病院再編構想が公表されてから間もなく三年が経過しますが、この間、県は病院再編の必要性について、救急医療や
がん医療等の政策医療の課題解決とともに、偏在が著しい病床機能の適正化、すなわち過剰とされる
急性期病床の削減も、目的の一つと説明してきました。この
急性期病床削減の根拠として、説明会で何度も示されてきたのは、
地域医療構想で示された将来の
必要病床数と、毎年の
病床機能報告数の乖離を示すグラフです。(パネルを示す)例えば、このパネルのとおり、直近の県政だより令和六年五月・六月号でも、二〇二二年の
病床機能報告数と二〇二五年や二〇四〇年の
必要病床数を比べたグラフが掲載され、
急性期病床は「過剰」と赤字で強調されています。しかし、この
病床機能報告数は、医療機関が病棟ごとに自主的に機能を報告するため、実態を反映していない数字ではないかと、私は令和四年二月
定例会一般質問で指摘し、
急性期病床を二段階に分けて報告を求めている奈良県などの事例を紹介しながら、本県においても
病床機能報告をよく分析するべきと提案いたしました。実態を反映していない数を前提としていては、
急性期病床の過剰な削減に誘導されるおそれがあるなど、適切な政策判断ができないと考えたからであります。私の指摘に対して当時、県は、より実態を踏まえた議論ができるよう対応していると答弁しましたが、あれから二年以上たった先月二十日、
仙台医療圏の
地域医療構想調整会議で、県は、他の先行府県が採用している
病床機能報告の
定量基準分析を
仙台医療圏に当てはめた場合の
機能別病床数を初めて明らかにしました。それがこちらのグラフでございます。(パネルを示す)それによると、一般病床を具体的な機能に応じて客観的に区分する埼玉県の分析方式を当てはめた場合、
仙台医療圏の
急性期病床は七千三百七十九床から四千九百五十四床に減る一方、
高度急性期病床は千九百五十一床から二千六百二十八床に増加。回復期は千五百二十六床から三千二百八十床に増加し、
慢性期病床は二千六十床から二千三十五床に微減という結果でした。この結果を二〇二五年の
必要病床数と比較すると、
急性期病床と
高度急性期病床を合わせた過剰数は、二千五百三十三床から七百八十五床に減少しました。一方、回復期への転換協議が整った病棟などを回復期とみなす佐賀県の方式では、ほぼ補正効果は見られませんが、届出入院料に基づき病床機能の区分変更を行う静岡県の方式や、急性期を
重症急性期と
地域急性期に分け、
地域急性期を回復期とみなす大阪府の方式を当てはめた場合は、
高度急性期と急性期の合計数と、回復期と慢性期の合計数は、いずれも二〇二五年度
必要病床数とほぼ一致するという結果が出ています。こうした分析結果から見えてくることは、報告の上では
急性期病床とされた病床の相当数が、実は
回復期病床として使われているということであり、これまで
急性期病床は大幅に過剰としてきた県の説明は不正確と言えるのではないかと思います。仙台市の郡市長も会見で、これまで繰り返してきた説明と全く違うと批判しましたが、県として今回埼玉方式などの
定量基準分析を導入した理由、及び急性期が過剰という前提が崩れたのではないかとの指摘に対してどのように答えるのか。また、県民への情報発信の在り方について再検討すべきではないかと思いますが、御所見を伺います。 さて、専門家からは、この
病床機能報告数と実態のギャップを放置することは、地域医療や病院経営に非常に悪影響を与えると指摘されています。今年二月に県が開催した
地域医療構想推進セミナーで講演した、
株式会社日本経営の角谷哲氏は、病院からは急性期と報告されたものの、定量分析の結果、回復期となった病棟の稼働率が最も低くなるといったデータを示し、病院が自認する役割と病床利用の実態が整合していなければ患者は増えず、病院経営の悪化を招き、ひいては地域内で共倒れの原因ともなると指摘しました。このことを踏まえると、
仙台医療圏における
病床稼働率や
救急応需率の低迷といった課題解決には、このギャップの解消にこそ県として力を入れるべきであり、各病院に対し、病床使用の実態を示して自院の役割や経営方針を見直してもらい、病床機能の転換や病院間の連携を推進するといった施策がもっと必要だったのではないかと思います。もちろん、
急性期病院の再編統合の意義を否定するものではありませんが、そちらにリソースが偏って、地道な取組がおろそかになっていたのではないかと思わざるを得ません。そこで伺いますが、県として、病床機能の適正化に向けてこれまでどのように取り組み、どんな成果を上げてきたのか、また、今後はどう取り組むのか伺います。 さて、
仙台医療圏の病床については、このほど策定された第八次
地域医療計画でも、これまでの常識とは違った数値が示されています。それは、医療法に基づく
基準病床数です。過去の
地域医療計画では、
仙台医療圏の
既存病床数は
基準病床数を上回っており、仙台では病院を増やすことができないとされてきました。しかし、今回の第八次計画では、
基準病床数一万二千六百四十七床に対し、
既存病床数は一万千八百九十二床で、七百五十五床足りないという結果が出ました。県は、
県立がんセンターと
仙台赤十字病院の統合により、約四百床の病床を削減する計画ですが、これにより、
基準病床数に対して、病床不足は千百床を超えることとなります。今後の
医療ニーズの増大を考えると、この不足を埋めるための取組が必要です。そこで提案したいのは、二月定例会でも我が会派の
横山のぼる議員が取り上げましたが、
仙台赤十字病院跡地への回復期を主体とした民間病院の誘致であります。私も以前、
回復期病院の誘致を提案したことがありますが、
基準病床数と同数の許可病床があるため困難だという答弁でした。しかし、そのハードルはなくなったわけであります。また、民間病院の跡地に県の意向で病院を誘致することはできないとの答弁も頂いたことがありますが、全国の
病院再編事例を見れば、民間病院の跡地利用に行政が積極的に関わっている例がないわけではありません。例えば兵庫県伊丹市では、ともに四百床規模の
急性期病院である、
市立伊丹病院と
公立学校共済組合近畿中央病院を統合し、約六百床の基幹病院を令和八年中に開院させる再編計画が進められています。新病院は市立病院の敷地内に整備されるため、民間病院である
近畿中央病院の跡地利用が課題となりましたが、市と
公立学校共済組合は、基本合意の一年四か月後、地域で不足する
回復期病院を協力して誘致する方針を決定し、両者の間で跡地活用に関する覚書を締結しました。今後、令和八年の統合新病院開院後二年をめどに、旧病院を解体した上で、
回復期病院への土地売却を完了させる予定です。この事例は本県の状況とも似通っており、参考にできるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 全国には、回復期を主体とした病院の運営にたけた医療法人は多く存在します。先日、
公明党県議団で、昨年四月から公設民営に移行した白石市の
公立刈田綜合病院を視察してきました。以前は毎月一億円の赤字を計上していた同病院は、全国五十八施設を運営する医療グループの経営ノウハウにより、大幅に収支が改善。
病床稼働率は一年で五六・四%から七四・五%に向上し、中でも回復期病棟の稼働率は九割を超えているとのことでした。
高度急性期を担う県南中核病院の後方支援病院としても機能を発揮しています。短期間の激変ぶりに驚くとともに、
仙台医療圏においても、
回復期病院の誘致に取り組めば、意欲を示す医療法人は必ず出てくるはずと意を強くしたところであります。本県としても、日本赤十字社との協議の中で跡地活用を議題とし、
仙台医療圏の
急性期病院の後方支援として機能する
回復期病院の誘致を求めていくべきと考えますが、御所見を伺います。 さて、四病院再編のうち、
県立がんセンターと
仙台赤十字病院の統合は基本合意に至りましたが、もう一方の県立精神医療センターと東北労災病院の富谷市への移転・合築については難航しております。県では、県立精神医療センター移転後の県南の精神医療の空白を埋めるため、サテライト分院を設置する方針を決め、現在、県と精神医療センターの職員との間で、病床規模等をめぐり協議が続けられていると伺っています。このサテライト分院案に対して、二月の県精神保健福祉審議会では、「人員が分散し、夜間・休日の精神科救急が回らなくなるおそれがある」など疑問が相次ぎ、賛成する委員はいませんでした。また、県立精神医療センター院長は、県の案と現場の要望がかみ合っていないと苦言を呈していましたが、あれから四か月が経過し、議論は進展しているのでしょうか。昨日も答弁がありましたが、これまでの協議回数や現在の論点について、改めて御説明ください。 また、県のこれまでの答弁を読む限り、拙速にはならないようにすると言いつつも、県と精神医療センターの現場との間で合意ができてしまえば、東北労災病院との基本合意にまで突き進むのではないかと憂慮します。大きな変化を生む改革を実施するからには、やはり専門家によるオーソライズは必要と思います。センター側との調整終了後には、基本合意前に精神保健福祉審議会の意見を聞くということでよろしいか、確認します。 次に、救急医療について伺います。現在県と仙台市の間で行われている四病院再編に関する協議の中では、我々として何度も求めてきた救急搬送のシミュレーションに関する検討が進められており、県民にとって分かりやすい試算が示されることを期待します。去る六月七日に行われた第四回目の協議では、仙台市の救急搬送件数の影響について検討がなされ、今後、更に県市の意見をすり合わせた上で、救急搬送時間のシミュレーションが示されると認識していますが、仙台市でも地域ごとに病院配置にばらつきがあり、例えば青葉区西部の宮城消防署管内は、人口七万五千人を抱えながらも総合病院がない地域であることから、仙台市の消防署ごとに搬送時間のシミュレーションを示すことが必要だと思いますが、御所見を伺います。 次に、おとな救急電話相談#七一一九の三百六十五日二十四時間化についてです。高齢化に伴う救急搬送の増大や医師の働き方改革を背景として、全国的にも#七一一九を開設する県が相次いでおります。神奈川県は今年度から、横浜市のみで運用されていた#七一一九を全県展開するほか、栃木や富山、福井、沖縄でも、今年度新たに開設または開設予定となっています。先日、全国で初めて開設された東京都の#七一一九の運用状況を調査してまいりました。東京都では、年間の救急搬送件数九十一万件に対し、#七一一九の受付件数はほぼ半数に当たる四十六万九千件に達し、都民の認知率は七割を超えており、救急搬送の適正化に大きな効果を発揮していることがうかがえました。これに対し本県では、令和四年実績で救急搬送件数約十二万二千件に対し、#七一一九の利用は約一万七千件であり、認知率は三割弱にとどまっています。今後ますます#七一一九の認知度を向上させ、利用を普及していくためには、二十四時間いつでも利用できる利便性の向上が必要です。先日の救急医療協議会でも二十四時間化を求める声が上がったとうかがっていますが、早期の対応時間拡充について、前向きな御答弁を求めます。 次に、大綱三点目、帯状疱疹の予防対策について伺います。 帯状疱疹は、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが加齢に伴う免疫力の低下によって再活性化することで発症する病気で、発症すると皮膚に帯状の発疹が出て、激しい神経痛を伴います。成人の九割、五十歳以上の一〇〇%がこのウイルスの抗体を保有しており、八十歳までに約三割の人が発症すると言われております。そして、約二割の患者は帯状疱疹後神経痛という後遺症を発症し、有効な治療法がないため、長期間神経痛に悩まされる人も多くいます。この病気には発症を防ぐワクチンが開発されており、二〇一六年に生ワクチンが、二〇一八年には不活化ワクチンが薬事承認されています。接種対象は五十歳以上で、効果が持続する期間は、生ワクチンは五年程度、不活化ワクチンは十年程度とされています。ただ、接種費用が高く、生ワクチンは約一万円、不活化ワクチンは二回接種が必要で計四万数千円の費用がかかるため、多くの人から接種費の助成を求める声が寄せられてきました。そこで公明党では、帯状疱疹ワクチンの定期接種化を推進するとともに、各自治体による公費助成を後押ししてきました。私も令和四年十一月
定例会一般質問において、帯状疱疹ワクチン接種の助成に取り組む市町村を県として財政支援するよう、提案させていただきました。当時、帯状疱疹ワクチンの助成を実施していたのは全国四十七市町村でしたが、現在は、名古屋市や神戸市など、政令市も含め全国六百三十五市町村まで広がっており、高齢者を中心に、非常にニーズが高い施策であることが明らかになっています。本県でも、令和四年度から開始した川崎町を皮切りに、栗原市や登米市、加美町など八市町村で助成をスタートさせました。こうした中、昨日になって、思いがけない朗報が飛び込んできました。帯状疱疹ワクチンの定期接種化を検討してきた
厚生労働省厚生科学審議会の専門家委員会が、昨日の会合で、定期接種化は科学的に妥当との判断を示したとのことであります。報道によれば、今後、接種の対象年齢など詳細を議論した上で、定期接種化を正式に決定する方針とのことでありました。同じく定期接種化が議論されているおたふく風邪ワクチンは十年以上議論が続いていますので、帯状疱疹ワクチンも審議会の了解が得られるまでにはまだ時間がかかるのではないかと思っていただけに、驚きました。比較的早期に定期接種化が了解されたということは、それだけこのワクチンの安全性や効果が高いということを物語っているように思えます。ただ、定期接種が実際にいつ始まるかはまだ不明ですし、始まったとしても対象年齢が限られると思いますので、独自に助成を講じる市町村も多いのではないかと思います。帯状疱疹の患者数は年々右肩上がりで増加しており、その医療費も増え続けています。また、帯状疱疹の外来受診回数は平均五・七回で、五十代から六十代の働き盛りの世代が罹患することによる労働損失額も無視できません。本県では年間、五十歳以上の県民一万二千人が罹患し、約七億円の医療費がかかっていると推計されますが、医療費の増大を抑制するとともに、中高年の健康維持のために早期に予防対策を講じていくことは、費用対効果の面で合理的な施策だと思います。東京都では、帯状疱疹ワクチンが定期接種化されるまでの間の措置として、個人負担の軽減に取り組む市町村に対し、必要な経費の二分の一を補助する制度を令和五年度に創設しました。これを受け、東京都の計六十二の特別区や市町村のうち、六十一自治体が助成制度をスタートさせています。本県においても、まずは帯状疱疹ワクチンの定期接種化がなされる前までの間、接種助成に取り組む市町村に対する財政支援を実施することを改めて求めますが、御所見を伺います。 また、県として接種費用の助成が難しいのであれば、帯状疱疹の予防に対する普及啓発のほか、市町村が事業を実施するに当たっての広報・周知費用などの諸経費を補助し、支援制度の導入をサポートしてもいいのではないかと思いますが、御所見を伺います。 最後に、大綱四点目、自転車の安全利用の促進について伺います。 自転車のヘルメット着用が努力義務化されてから、約一年が経過しました。県警のまとめによると、今年一月から五月の自転車事故による死傷者数二百二十三人のうち、ヘルメットを着用していたのは三十三人で、一四・八%でした。事故時のヘルメット着用率は、おととしは八・八%、昨年は一〇・九%でしたので、着実に向上してはいるものの、いまだ二割以下にとどまっている状況です。警察庁が昨年九月に公表した全国調査では、自転車ヘルメットの着用率は平均一三・五%で、本県は一〇・八%でした。全国一位は愛媛県で五九・九%、二位は四六・三%の大分県、三位は四三・八%の群馬県と続いていますが、この三県に共通することとして、かねてから高校生のヘルメット着用に力を入れてきたことが挙げられます。愛媛県では平成二十七年度に、全国で初めて高校生の着用を義務化し、三万人の生徒にヘルメットを無償配付しました。大分県でも令和三年度から、県立高校や支援学校での自転車通学生のヘルメット着用を義務化。三位の群馬県では、高校生を対象としたモニター制度やモデル校制度を導入し、着用促進を図ってきました。自転車事故の負傷者は、年代別では高校生が突出して多い状況にあります。私は令和三年六月定例会において、県立高校での自転車ヘルメット着用義務化を提案しましたが、一部の県立高校では、自転車通学の条件としてヘルメットの着用を義務づけていると聞いております。現在、そのような取組は県立高校の間でどの程度広がっているかを伺うとともに、山形県など他県で行っている、高校生を対象としたヘルメットの購入費助成制度の導入を求めますが、教育長の御所見を伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 遠藤伸幸議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、持続的な賃上げに向けた取組についての御質問にお答えいたします。 初めに、県内企業の
賃上げ促進と定着についてのお尋ねにお答えいたします。 今年の春闘の結果や各種賃上げ動向調査からは、各企業における賃上げの動きに大きな前進が見られ、今後もこの流れを確実なものとしていくことが重要であると認識しております。これまでも、宮城働き方改革推進等政労使協議会において、県内企業の賃上げに向けた機運を高めていただいている中、中小企業が持続的な賃上げに取り組むためには、適正な価格転嫁の実現とともに、賃上げの原資となる収益の拡大に向けた生産性や売上げの向上を図り、稼ぐ力を強化していく必要があります。このため、県といたしましては、デジタル技術の導入により
生産性向上を支援する中小企業等デジタル化支援事業や、中小企業の受注獲得を伴走型で支援する取引拡大チャレンジ支援事業など、
生産性向上や販路拡大等につながる施策を推進し、中小企業における賃上げの動きが定着するよう、引き続き、国や市町村、商工会・商工会議所等の関係機関と連携を強め、しっかりと取り組んでまいります。 次に、
中小企業等再起支援事業補助金についての御質問にお答えいたします。
中小企業等再起支援事業補助金は、国の交付金を活用し、令和二年度以降五千八百六十三件、約四十九億円の支援を実施し、交付を受けた企業の約七割が売上げが増加したと回答するなど、中小企業の経営基盤の強化につながったものと認識しております。この事業は、従来、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金等を財源に実施してきたところでありますが、交付金の財源措置の見通しが不透明であったため、今年度の予算措置を見送っていたところであります。しかしながら、御指摘のとおり、県内中小企業からは経営基盤強化に大きな効果があるなどの声が大きいことから、来年度の事業実施に向けてしっかりと研究してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、四病院再編についての御質問にお答えいたします。 初めに、サテライト分院案についてのお尋ねにお答えいたします。 県立精神医療センターのサテライト案については、職員との意見交換を今年二月までに計三回行っておりますが、財政面や人員配置などの観点から様々な意見や御指摘があったことから、現実的に運営可能となるよう、現在、具体的な機能や規模などの精査を行っているところであります。県といたしましては、本院の移転とサテライト設置案について更に検討・検証を行ってまいりますが、患者や家族などの当事者をはじめ、関係団体や精神保健福祉審議会などから頂いている御意見も踏まえ、令和元年度のあり方検討会議で提起された諸課題の解決に向けて、より柔軟かつ多角的に対応策の検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、精神保健福祉審議会についての御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターと東北労災病院の富谷市への移転・合築を進める上では、これまでも、患者や家族などの当事者や精神保健福祉審議会などから頂いた御意見や御指摘を踏まえながら、慎重に対応策の検討を重ねてまいりました。基本合意に向けては、労働者健康安全機構及び県立病院機構との協議・調整を進める必要がありますが、精神医療センターの建て替えに関する柔軟かつ多角的な検討を進めていく中で、精神保健福祉審議会の具体的なスケジュール等を検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、四病院再編についての御質問のうち、
定量基準分析についてのお尋ねにお答えいたします。
地域医療構想の実現に向けた議論は、
高度急性期や急性期、回復期、慢性期ごとの
必要病床数と既存の病床数を比較するなどして行われますが、既存の病床数については、各医療機関が病棟単位で報告するため、例えば急性期として報告された病棟にも、回復期機能の医療が提供されている患者が入院しているなど、必ずしも実態に即していない面があるといった課題が指摘されております。そのため、入院料や診療実績、在院日数により病床機能の分類を行う定量基準を地域の実情に応じて作成の上、病床数を分析し活用するよう、国から求められているところです。御指摘のございました埼玉方式でございますが、診療実績や届出入院料に基づき病床機能を分類し、より実態に近い病床数を把握できると考え、検討材料の一つとして、我が県における分析結果を
地域医療構想調整会議に提示したところでございます。その結果、
仙台医療圏では、
高度急性期を含めた広義の
急性期病床数は七百八十五床の過剰となり、急性期が過剰という前提が崩れたとの指摘は当たらないものと考えております。なお、
定量基準分析については、
地域医療構想調整会議においても、採用する基準の考え方などの分かりやすい説明を求められたことから、県といたしましては、丁寧な説明と適切な情報発信に努めてまいります。 次に、病床機能の適正化に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 県ではこれまで、医療圏ごとに開催する
地域医療構想調整会議において、病床機能の分化・連携に向けた議論を進めるとともに、
地域医療構想推進セミナーの開催等により、適正な病床機能への転換等について理解が深まるよう、取組を進めてまいりました。また、公立病院を対象とした病床機能再編等のプラン策定や、合意形成に向けたコンサルティング支援のほか、医療機関における病床削減や機能転換等に対して、地域医療介護総合確保基金による財政支援を行ってまいりました。こうした取組を通じて、
病床機能報告上の病床数は、
地域医療構想における将来の
必要病床数に一定程度近づいてきているものと認識しておりますが、
高度急性期を含む広義の
急性期病床の過剰と、回復期、
慢性期病床の不足の状況を大きく変えるには至っておりません。県といたしましては、病院再編の取組とともに、今年度からは新たに、病床機能転換などについての相談窓口の設置のほか、民間病院を対象としたコンサルティング支援など、
地域医療構想の実現に向けた取組を更に進めてまいります。 次に、
仙台赤十字病院跡地の活用についての御質問にお答えいたします。 病院跡地の活用方法については、基本的には土地所有者である日本赤十字社において様々な検討が行われるものと考えておりますが、地域住民から病院移転後の地域医療提供体制への懸念の声があることなどを踏まえ、今後、新病院の開院に向けた協議を重ねていく過程で、日本赤十字社の考え方を確認するとともに、県としても意見を述べてまいりたいと考えております。なお、県と仙台市の協議において、病院移転後の現病院周辺地域への影響についても協議を行っているほか、
地域医療構想調整会議など様々な議論を踏まえながら、病院跡地の活用も含め、
仙台医療圏の将来の医療提供体制について検討してまいります。 次に、救急搬送に係るシミュレーションについての御質問にお答えいたします。 今月七日に開催した仙台市との協議において、救急搬送件数のシミュレーション結果を提示しましたが、新病院の救急対応能力の向上を見込んだ場合は、仙台市内の医療機関の負担軽減効果が認められ、対応能力を相当低く見積もった場合においても、仙台市内の救急搬送件数に大きな影響を及ぼすものではないことが示されたと考えております。今後は、条件を更に精査した上で、搬送件数のシミュレーションを改めて実施するとともに、その結果を踏まえて、搬送時間に関するシミュレーションを行う予定であり、消防署ごとの搬送時間の分析についても、条件を精査する中で仙台市と調整の上、検討してまいります。 次に、おとな救急電話相談の二十四時間化についての御質問にお答えいたします。 おとな救急電話相談は、急な病気やけがに際し、県民の方に今すぐ受診すべきかどうかを適切に助言する目的で実施しており、現在は夜間及び休日での相談体制を敷いております。同事業の二十四時間化については、先日開催した救急医療協議会においても、救急医療の専門家から、高齢化の進展に伴い救急搬送件数が増加し続ける中、不要不急の救急要請の抑制に有効であるとして、御意見を頂いているところです。また、全国の実施状況としては、二十四時間での運用が昨年度以降五県増え、十四都府県となっております。県といたしましては、県民への広報を強化し、#七一一九の認知率向上に努めるとともに、二十四時間化については、他県の実施状況や効果等も調査しながら、引き続き仙台市との協議も含め検討を進めてまいります。 次に、大綱三点目、帯状疱疹の予防についての御質問のうち、帯状疱疹ワクチン接種に関する市町村への財政支援についてのお尋ねにお答えいたします。 帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスに感染した後、神経内に潜伏しているウイルスが、加齢や疲労等により免疫力が低下した際に再活性化することで発症し、五十歳代以降で罹患率が高くなるとされております。治療法としては抗ウイルス薬が存在し、また、その予防にはワクチン接種が有効とされているところですが、帯状疱疹ワクチンは予防接種法に定められていない任意接種となっております。現在、国の厚生科学審議会において、帯状疱疹ワクチンの定期接種化に向けた議論が継続して行われており、年齢ごとの罹患率、ワクチンの有効性、その効果の持続期間、安全性、費用対効果等が主な論点とされております。県といたしましては、こうした定期接種化についての国の議論をしっかり注視してまいりたいと考えてございます。 次に、帯状疱疹予防の普及啓発及び市町村への諸経費の補助についての御質問にお答えいたします。 現在、県内では八つの市町村において独自に帯状疱疹ワクチン接種の費用助成を行っており、その広報・周知については、市町村の広報誌や全戸配布のチラシ等により適切に実施されているものと考えております。県といたしましては、各市町村の取組状況等について情報収集と意見交換を行うとともに、県ホームページ等により帯状疱疹の予防に関する普及啓発を図ってまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、持続的な賃上げに向けた取組についての御質問のうち、県における
賃上げ支援策についてのお尋ねにお答えいたします。 他県においては、賃上げを後押しするため、賃上げを実施した企業に対し、支援金を支給しているなどの例があることは承知しております。県といたしましては、中小企業の持続的な賃上げには、中小企業自らが収益を増やし、賃上げの原資を継続的に確保していく必要があり、新商品の開発や販路の開拓、生産性の向上等の取組を通じて稼ぐ力をつけ、経営基盤を強化していくことが欠かせないと考えております。このため県では、これまでも、中小企業等デジタル化支援事業、取引拡大チャレンジ支援事業、中小企業販路開拓総合支援事業などを実施し、収益の拡大に取り組む企業のニーズに応じた総合的な支援を進めているところでありますが、
賃上げ支援に特化した事業についても、他県の事例などを含め研究してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
会計管理者兼出納局長大庭豪樹君。 〔
会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君登壇〕
◎
会計管理者兼出納局長(大庭豪樹君) 大綱一点目、持続的な賃上げに向けた取組についての御質問のうち、
ガイドライン等の整備や経済団体との会議の開催などについてのお尋ねにお答えいたします。 県発注の官公需契約において、労務費の価格転嫁を適切に行うことは、地域経済を活性化させる上で重要であると認識しております。このため県では、特に建設工事において、契約後における資材価格や労務費の変動に適切に対応するため、契約約款の中にスライド条項を定め、運用マニュアルに基づいて契約額の変更を行ってきたところです。また、建設工事以外においても、国の通知を踏まえ、急激な物価上昇が発生した場合には、適切かつ柔軟に対応しております。更に、昨年五月には、中小企業の賃上げ環境の整備に向け、国、県及び商工労働関係機関で、価格転嫁の円滑化に関する協定を締結し、それぞれの取組状況を共有しながら、連携した取組について検討することとしております。県といたしましては、国の指針を踏まえ、契約制度の運用マニュアルの必要に応じた見直しや、
公正取引委員会を招いた職員向け説明会の開催など、引き続き労務費の適切な価格転嫁が図られるよう、関係機関と協力しながら取り組んでまいります。 次に、低
入札価格調査制度の実効性の確保や入札方法の拡大などの取組についての御質問にお答えいたします。 官公需に携わる企業の健全な経営を図るためには、社会情勢の変化に対応した入札契約制度を適切に運用していくことが重要であると認識しております。このため県では、平成十二年度以降、段階的に低
入札価格調査制度を導入し、適用範囲や適用金額を拡大しながら、ダンピング受注の防止を図ってきたところであります。この結果、低入札により調査対象となった案件のうち、昨年度は建設工事で約五割、建設関連業務及びその他役務調達で約四割の入札において、低入札者が排除されるなど、制度は有効に機能しているものと認識しております。更に、価格以外の要素を加味した総合評価落札方式の着実な運用もあり、建設工事における落札率は、震災前の平成二十一年度の八五%から、昨年度は九三%に上昇し、建設工事以外の業務においても同様の傾向にあります。県といたしましては、引き続き、入札制度の適正な運用に取り組むとともに、低
入札価格調査制度の適用拡大など、社会情勢の変化に応じた制度の改善に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔
教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱四点目、自転車の安全利用の促進についての御質問にお答えいたします。 高校生が自転車に乗る際のヘルメットの着用は、交通事故から大切な命を守るために、大変重要と考えております。県
教育委員会では、令和三年に施行された自転車安全利用条例により、ヘルメット着用が努力義務になったことを踏まえ、生徒や保護者に向けたリーフレット等による啓発を行うとともに、自転車通学者への着用を義務づける許可申請書の参考様式を作成して配布するなど、着用を推進してまいりました。また、高校生自身が自転車の安全利用について議論するみやぎ高校生サイクルサミットを開催し、生徒の交通安全に対する意識の向上や自発性の育成に努めております。これらの取組により、自転車通学者がいる県立高校のうち、ヘルメットの着用を義務づけている割合は、令和三年度は五・一%でしたが、昨年度は、義務づける予定がある高校を含めると、四五・五%となっております。購入費助成制度の導入については、現状、ヘルメット着用義務化する高校が増加傾向にあることから、引き続き取組を推進しつつ、現在の取組効果を見極めながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。県
教育委員会としましては、今後も、県警察や関係機関と連携し、生徒や保護者に対し積極的にヘルメット着用を促してまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 二十八番遠藤伸幸君。
◆二十八番(遠藤伸幸君) 御答弁ありがとうございました。 まず、#七一一九について、何度も聞いてきたわけでございますけれども、今年十月で開設七周年となります。これまで多くの方から、二十四時間化してほしいという要望をたくさん頂いてきました。先ほどの部長の答弁でも、救急医療協議会でもそうした声が上がった、また、他県でも二十四時間化が進んでいる、また、県の医療機関アンケートによりますと、行政に期待することとして、この#七一一九の二十四時間化を求める意見が多く、特に石巻、登米、気仙沼で、この二十四時間化を求めている医療機関が多いという結果が出ております。また、第八次医療計画でも、この#七一一九の対応時間拡充が明記されているということで、二十四時間化、決断をする時期になっていると思いますが、知事、前向きな答弁を期待したいと思います。いかがですか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 確かに、二十四時間化につきましては、先日開催いたしました救急医療協議会におきましても、救急医療の専門家から、高齢化の進展に伴って救急搬送件数が増加し続ける中で、有効であるという御意見を頂いたのは事実でございます。また、全国的に見ても、昨年度五県更に増えて、十四都府県が二十四時間化をしているということでございます。これ、電話を受けるのは民間のコールセンターというわけにいきませんで、やはり専門性を持った方に電話を受けていただかなければならないということがあります。また、土曜日・日曜日も含めて二十四時間ということになりますと、そういったいろんな調整も必要になってまいります。平日、病院が開いている時間帯にそこまで必要なのかどうかということ、もう少しよく検討させていただきたいというふうに思っております。
○議長(高橋伸二君) 二十八番遠藤伸幸君。
◆二十八番(遠藤伸幸君) ぜひ決断をしていただきたいなと。本当に待ったなし、この救急車の適正利用ですとか、あと県民の安全・安心を図っていくためには、本当にこれは望まれている施策でございますので、ぜひ前向きに御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。 次に、病院再編についてでございますが、最初に
病床機能報告数と実態のずれというものを指摘させていただきましたけれども、やはり、こんなに過剰なのだから
急性期病床を一つなくしても支障がないだろうという考えでいると、減った分を増やそうという発想はなかなか出てこないのかなというふうには思うのですが、実態を見ると、
急性期病院といっても
回復期病床がかなり含まれているということで、その分を補わなければいけないんじゃないかなという考えになるのではないかと思っておりまして、
仙台赤十字病院の跡地の活用につきましては、二月定例会の横山議員に対する答弁では、かなり受け身な印象だったのですが、今回の答弁では、結構、言っていくという、前向きかつ強気な発言だというふうに私は受け止めたのですけれども、この回復期を主体とした病院の誘致を私が提案しているのは、単に移転元地に配慮しろというだけではなくて、やはり、急性期を脱した患者を受け入れる後方支援病院が少ないという、
仙台医療圏の抱える課題の解決に大きく貢献するというふうに思うからでございます。新病院の建設には本県としても二百億円の支援をやるということでございますので、跡地利用についても、受け身ではなくて、やはりこういうふうに使ってもらいたいんだという攻めの姿勢で、ぜひ提案をしていくべきではないかと思いますけれども、知事の御所見をお願いします。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 先ほど部長答弁いたしましたが、おっしゃるとおりなんです。一番それが望ましいと思うのですが、当然、人の土地、人の建物、これを県が、しかも民間ですから、行政同士ではなく民間のものですから、これに県がああせえ、こうせえとは言えないということも事情は御理解いただきたいと思っております。そういった声が地元のほうから高いのも事実ですし、また、急性期ではなくて回復期の病床があれば、仙台市全体の、今、
仙台医療圏全体で
回復期病床が足りないといったようなことの解消にもつながるわけですから、非常に望ましい姿だというふうには思っております。これは当然、そういう声が多く出ているということは、日赤のほうにはお伝えしているということです。基本合意まで行きましたので、病院が移転するということはもう病院としては意思決定をされておりますので、その跡地につきましても、今いろいろ検討されているものだというふうに思っております。その際に、我々としては、そういう考え方、要望を出しているということでございます。
○議長(高橋伸二君) 二十八番遠藤伸幸君。
◆二十八番(遠藤伸幸君) 知事はPSMCの誘致を実現して県民に希望を与えてくださいましたけれども、ぜひ、その手腕を病院誘致でも発揮していただきまして、地域医療の分野でも希望を与えていただきたいと念願をいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。 〔五十六番 中島源陽君登壇〕
◆五十六番(中島源陽君) 先日、ある鳴子の旅館にお邪魔すると、ちょうど湯治に来たという御夫婦とロビーで一緒になりました。宿泊税のことが話題となりました。二週間ほどの宿泊予定とのことでしたが、宿泊税に関しては「何で取るんかね、やめてほしいね」の一言でありました。その後も、鳴子温泉郷を中心に二十数件の旅館ホテルを訪れて、宿泊税に関して懇談させていただきました。たくさんの意見を頂きましたが、賛成との声を聞くことはありませんでした。また、六月六日に鳴子公民館で開催された宿泊税に関する意見交換会においても、全てが導入反対という意思に基づく発言だったと思います。以下、私が直接頂いた御意見と、意見交換会での意見を踏まえつつ、私自身が疑問に感じている事項に関して、県としての基本的なお考えをお伺いいたします。 まず、最初に、宮城県という人の考え方についてであります。 私は、宿泊税が導入された場合、ホテルや旅館のフロントで、お客さんが、どうして私が宿泊税を払うんですかと疑問を持った瞬間に、そのときまでのサービスに満足していた心が吹っ飛んでしまうのではないだろうかと私は心配しています。宮城県という人も同じような心配をしてくれますか。それとも、自分たちのためになるお金なんだから、集めたっていいでしょと思うのでしょうか。更に、鳴子温泉郷のホテル・旅館では、お客さんにできるだけ安心してもらえる料金で過ごしていただきたいという思いで、十年以上も料金を据え置いているところもあります。私は、鳴子温泉郷には、そうしたお客様第一のおもてなしの文化が根づいていると思っています。宮城県という人は、そうしたおもてなしの文化を大切にしてくれますか。それとも、料金が宿泊税で三百円ぐらい上がったっていいじゃないと思うのでしょうか。極めて単純な問いかけではありますが、宮城県という人の考え方が端的に表れる、極めて重要な問いかけであると思います。この二つの問いに、宮城県という人はどんなふうに答えますか、伺います。 次に、観光思想についてであります。 令和二年一月の宮城県観光振興財源検討会議の報告書によれば--以下、報告書と言います。観光予算の財源確保を行う理由の中で、「より消費単価の高い観光客を呼び込み、観光消費額を高めることが、地域経済を活性化させ、地方創生につなげていく上で効果的と考えられる」と記されていて、高単価思想が根底をなしています。しかし、消費単価の低い観光客は来なくていいのかといえば、決してそんなことはありません。鳴子温泉郷のホテル・旅館の皆様には、宿泊料金の高い低いにかかわらず、宿泊か日帰りかにかかわらず、おいでいただいたことに心から感謝し、お客様の満足を第一に考える観光思想が根っこにあると思います。宮城県という人は、どんな観光思想をお持ちですか、お伺いいたします。 次に、宿泊税を導入することの合理的根拠についてであります。 今回、県は宿泊税導入に向けた資料の中で「県内経済は順調に回復しており、税導入の環境が整ってきているものと判断している」としています。また、幾つかの指標の中で、宿泊者の回復率を示して、宿泊客も「順調に回復している」としています。まず、この現状認識について、今年の五月発行のみやぎ経済月報によれば、三月を中心とした宮城県経済の概要において「緩やかに持ち直しているものの、このところ弱い動きもみられる」としており、その他の個別指標を総じて見ても、厳しい実態があります。宿泊者数についても、県内合計数の推移をもって回復としていますが、地域ごとに見ると、コロナ前の七割ほどしか戻っていない地域もあり、ホテル・旅館からは、融資を受けたその支払いや昨今の物価高、エネルギー高、人件費高、人材不足などもあり、経営はむしろ厳しくなっているとの声もあります。決して、順調に回復して環境が整ったなどと言える状況ではないと思います。改めて、税導入の環境が整ってきているとする合理的根拠について伺います。 私が鳴子温泉のホテル・旅館の方とお話する中で、必ずと言っていいほど指摘されるのは、県が取り組んできた観光施策の評価についてであります。県は、震災後の国からの交付金や基金を活用した取組は一定の成果が出ているとの認識を示していますが、それぞれの観光現場においては、その実感を持てないという声があります。こうしたことは、施策の信頼性に大きく影響を与えるものであります。改めて、これまでの交付金や基金を活用した取組における一定の成果があったと評価する合理的根拠について伺います。 最新の宿泊税に関する資料によれば、宿泊税導入の必要性の中で、インバウンド需要の更なる拡大やDX等の社会変革等にも対応できる持続可能な観光地域づくりを構築するため、宿泊税を活用した新たな観光施策を展開していくことが急務としています。つまりは、新たな観光施策を展開するために宿泊税を導入するということでありますが、新たな観光施策のために、なぜ宿泊税なのかという根本的な問いには答えていません。報告書によれば、宿泊は観光行動として明確で、観光客等の捕捉が可能であること、それ以外の観光行動は捕捉がほぼ不可能であること、担税力を有しているのかを判断しやすいことが理由として挙げられています。しかし、これらの示されている理由は消去法的、推測的な理由であり、新たな観光施策のために、なぜ宿泊税なのかという問いに真正面からは全く答えていないと思います。この根本的な問いに対する合理的根拠に基づく理由を明確に示すことは必須であると思いますが、どのように整理されていますか、お伺いいたします。 また、宿泊事業者の方々にとって、特別地方消費税廃止に向けた取組は極めて重要な出来事として記憶に残っています。特定の業界や利用者に不利益を生じさせるとの声が大きくなり、平成十二年三月三十一日をもって特別地方消費税は廃止されました。この特定の業界や利用者に不利益を生じさせるという点では、今般の宿泊税も共通していると思います。特別地方消費税が廃止された一方で、宿泊税が導入されるとすれば、税体系としての整合性が取れないのではないかと思いますが、所見を伺います。 次に、宿泊税そのものの正当性についてであります。 報告書によれば、負担を求める対象の検討の中で、「その受益に応じた負担の一部を「観光客等」に求めることが、地方税の原則である負担分任性や応益性からも適当と考えられる」と示されています。負担分任性は、地方自治体の構成員が広くその共通の費用の負担を相互に分かち合うべきであるという考え方であります。厳密に解釈すれば、本来は地方自治体構成員以外の観光客等は、負担を求める対象にはなり得ないのだと思います。更に、地方自治体構成員は既に地方税を支払っていることから、加えての宿泊税となると二重課税になる可能性もあり、また、地方税を負担していない当該地方自治体構成員以外の観光客等と同額の宿泊税は、公平性が担保されるのかという疑問もあります。こうした点を踏まえて、負担分任性を根拠とした場合の宿泊税の正当性についての所見を伺います。 住民は
地方公共団体の行政サービスによって利益を受けるため、その利益に応じた負担をすべきという応益性を根拠にする場合においては、その利益に応じた負担なので、まずは、その利益を特定する必要があるのだと思います。しかし現実的には、観光客等一人一人の受けた行政サービスの利益を特定することは不可能であり、捕捉することはできないと考えます。課税対象とする利益が特定できず、かつ、捕捉もできないのに課税するという税制の正当性をどう整理されているのでしょうか、伺います。 本県における令和四年の宿泊者数は七百七十八万人泊であり、観光客数は五千七百二十四万人であります。宿泊税の課税根拠が観光行動において行政サービスを享受しているからということであれば、本県の現状からすれば、観光客数五千七百二十四万人の約八分の一の宿泊者だけがその負担をすることになります。本来の課税対象の八分の一の人が負担する税制に正当性はあるのでしょうか。この点についても所見をお伺いいたします。 次に、宿泊税が県政に問うものについてであります。 今回の宿泊税の問題は税の問題であり、観光振興の問題であると同時に、県政民主主義の問題でもあると思っています。今の案のまま宿泊税が導入されれば、ホテル・旅館の経営者の方々は条例上、宿泊税を徴収し納入する義務を負う特別徴収義務者となります。しかしながら、三月に県内各地のホテル・旅館組合等の十団体が宿泊税導入反対の要望書を県に提出して、現在も改めて導入反対を要望する署名活動を展開中と聞きます。現時点においては、とても県内ホテル・旅館の皆様の共感と納得を得ているとは言い難いと思います。こうした状況のまま宿泊税が導入されていいのか、同時に、自分の意思とは関わりなく特別徴収義務者になってしまうことがあっていいのかという率直な思いもあります。今後の状況次第ではありますが、ホテル・旅館の皆様の共感と納得のありなしによっては、県政民主主義が問われることになるのではないかと思いますが、知事の所見を伺います。 また、衆知を集める県政は、広く県民や関係者、専門家等の声を聞くことであると思いますが、もう一つ、そのことによって影響を受ける当事者の声にしっかりと寄り添うことの意味もあると思っています。これまでの宿泊税に係る経過を見たときに、私は県としての衆知を集める県政そのものも問われていると考えますが、所見を伺います。 鳴子公民館での意見交換会では、湯治文化や国民保養温泉地に関しての意見が多数出されました。温泉宿に数日、長ければ一か月以上も連泊して心と体を休める湯治、また、国指定の国民温泉保養地において自分自身を癒すための宿泊、こうした世界に税金をかけることへの強い違和感と拒絶の意思表明であったと思います。ある意味では、県としてのそうした価値観への認識が問われたのではないかと思っています。県としての湯治文化や国民温泉保養地に対する認識を伺います。 この項の最後に、今後の在り方についてであります。 私は、新税を創設する場合には、県民と関係者の共感と納得が不可欠であると思っています。ましてや今回の宿泊税は、特別徴収義務者が位置づけられる仕組みを想定しており、その当事者になる可能性のある方々の宿泊税に対する共感と納得は、最優先必須事項であると思います。まずは、今後に向けて、こうした共感と納得の価値観を村井知事とも共有したいと思いますが、所見を伺います。 また、今後の観光施策を推進するに当たっての財源に対する考え方であります。本県では、二〇〇八年にみやぎ発展税を創設しています。令和六年度の期首残高は百七十五億円余、積立て予定として五十二億円余、活用予定額として六十七億円、そして令和六年度期末残高百六十億円余の計画となっています。この中で、観光分野への予算も確保されておりますが、ここ数年はおおむね一億円ほどであります。本県の観光産業における経済効果が約八千億円になると県が試算しており、県内総生産額が九兆円台との対比からすれば、一億円の予算はあまりにも少ない予算であります。観光振興を最優先施策の一つとしている本県として、みやぎ発展税の観光予算枠の大幅拡大も有力な財源確保の選択肢と考えますが、所見を伺います。 次に、多様な居場所と学びの場を支える県政についてであります。 五月二十三日、文教警察委員会の県内視察で、気仙沼市内のフリースクールのフリースペースつなぎを訪問させていただきました。当日も十人前後の子供たちが通っていましたが、その中から、中学生の生徒さんが自分自身の体験について語ってくれました。更には、お子さんをつなぎに通わせているお母さんも、自分自身の体験や複雑な思いを語ってくれました。子供たちにとっては本当になくてはならない居場所であり、お母さんにとっても心がつながっている場所であると実感してきました。帰り際に、代表の中村さんより、「震災復興の予算枠からの支援も来年で終わるので、その後の運営が本当に心配です」との言葉をかけられました。以前から何度もフリースクールへの財政的支援の必要性を訴えてきましたが、残念ながら、学習支援員の派遣に係る支援を超える回答はないままであります。本県が足踏みしている間に、全国に目を向けると、フリースクール等の団体への助成は、二〇〇四年に神奈川県に始まって、その後、福岡県、鳥取県、京都府、三重県、茨城県、群馬県、そして今年度より、静岡県、長野県、東京都と着実に広がっています。更には、世帯への助成においても、茨城県、栃木県、沖縄県、東京都、富山県、滋賀県、長野県と年々広がっています。全てを調べたわけではないのですが、こうした予算は
教育委員会予算の場合もありますが、知事部局の保健福祉や子育て支援の予算で支援が行われている例も多数あります。知事部局において、全国の先行例をしっかりと調査し、再度検討いただくことを願うものですが、所見を伺います。 また、フリースクールの皆さんは、様々な支援を求める際に、クラウドファンディングをよく利用しています。民が民の力を求めて、様々な企画を実現しています。明治維新後の会津鉄道建設プロジェクトは、時の政府から全く相手にされなかったので、当時の福島県知事が福島県内をくまなく歩いて、会津鉄道ができればどれだけ福島県が豊かになるのかについて熱弁を振るい、県民、企業、実業家等に寄附を求め、多額の資金を確保して建設された歴史を有しています。今まさに、全てを県行政の予算に頼るということでなくとも、この会津鉄道建設に習い、知事が先頭に立って、宮城の未来を担う子供たちの多様な学びを保障するために寄附を募り、新たなみやぎ型多様な学び支援基金を創設することを提案したいと思いますが、所見を伺います。 六月十一日から十三日まで、みやぎ総合家畜市場において、和牛子牛の競りが行われました。雄の平均四十九万円、雌の平均四十二万円と、極めて厳しい相場でした。また、数年前はトン当たり五、六万円であった配合飼料は、現在約十万円ほどであります。このままでは、多頭化している経営ほど持続可能性の危機が高まっていきます。過日の東京で行われた枝肉共励会では、出品牛十二頭全てがA5で、そのうち四頭は最高ランクの十二番であったにもかかわらず、枝肉価格は、チャンピオン以外はキロ二千五百円ほどであったとのことであります。極めて衝撃的な低い相場であります。生産現場から消費までの総合的な対策として、餌の高騰対策、和牛肉の消費拡大、経営支援等、持続可能な和牛経営のために国に対しての緊急的な要望、そして、県としての独自の緊急対策と、急を要する状況であると思います。県としてのお考えをお示しください。 また、六月七日には、自民党会派農業議員連盟の県内視察で大崎市を訪れ、お米のささ結に関する取組について研修させていただきました。ささ結は、平成二十六年に登録されたお米の品種で、ササニシキを母とし、ひとめぼれを父として交配され、東北百九十四号として世に送り出されました。その後、大崎市の御尽力により、大崎の米ささ結ブランドコンソーシアムが結成され、食味と栽培方法等を厳格に守りつつ、栽培面積を拡大してきました。ささ結とササニシキの食味ナンバーワンを決定するササ王決定戦も、年々出品者が増えてきています。ササ王になると、その米は銀座の有名デパートで一俵当たり六万円ほどで販売されます。昨今では関東圏の有名寿司業界からも引き合いが強くなり、今年度は大崎市内でも百ヘクタール規模から二百ヘクタール規模へと大幅に栽培面積が拡大しています。こうした状況を受けて、県内において別の商標名で栽培している地域からも一緒にやりたいという声も届いているとのことであります。ここは、県が生みの親でありますから、まずは大崎市との緊密な連携を図りながら、県一本としての取組へと進化発展させていくことを検討していくべきと思いますが、所見を伺います。 同県内視察の午後には、子実用トウモロコシの実証栽培を行っている古川農協にお邪魔して、現地での研修をさせていただきました。米、麦、大豆、子実用トウモロコシの四作物の組合せは非常に効率よく、水田環境にも合理的であることを学ばせていただきました。食料自給率の向上や食料安全保障の観点からも、大いに拡大していくべきと感じてきました。しかしながら、この取組はあくまでも今年度までの実証栽培なので、来年度以降の取組には様々な不安も抱えていました。継続的に、安定的に栽培のサイクルを確立していくためには、当面の優先課題として、子実用トウモロコシの収穫、乾燥後の保管施設等の整備が欠かせないとのことでした。本県としても、実証後の本格栽培体系を確立し、県内全体への普及にもつなげていくべきと考えます。そのためにも、まず来年度に向けて、古川農協の実証後の生産が軌道に乗るよう、しっかりと支援していくべきと考えますが、所見を伺います。 以上、壇上からの一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 中島源陽議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、宿泊税についての御質問にお答えいたします。 初めに、宿泊客の満足心やおもてなし文化についてのお尋ねにお答えいたします。 今回、宿泊事業者の現状や思いを伺うため、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の各支部との意見交換を重ねているところでありますが、鳴子地区との意見交換会におきましては、宿泊事業者から、自分たちのおもてなしに対して満足いただき笑顔だったお客様が、宿泊税をお支払いいただく際に笑顔が消えてしまうのではないかといった御心配の声があったと聞き、鳴子地区での宿泊客に対する深いおもてなしの心に感銘を受けた次第であります。第五期みやぎ観光戦略プランにおいても、本県を訪れる人々におもてなしの心を持つことが重要と位置づけており、県としても思いを同じくするところであります。また、今回の意見交換会においては、物価上昇により収益が上がらない、人手不足で稼働率を上げられない、地域に活気がなく人の流れが少なくなっているといった切実な御意見も伺い、改めて宿泊事業者の危機感を共有したところであり、引き続き、宿泊事業者の思いに寄り添って、宿泊客を含む観光客、地域がともに高い満足度を得られるような観光地域づくりを進めてまいります。 次に、宮城県の観光思想についての御質問にお答えいたします。 御指摘のありました鳴子地域の宿泊客に対するおもてなしの心、そしてお客様の満足を最優先に考える心につきましては、第五期みやぎ観光戦略プランの根底にある考えと同じであり、深く共感したところであります。観光は、地域の魅力の再認識や、郷土に対する誇りや愛着の醸成といった地域づくりそのものに寄与するものと認識しており、観光振興を図る上では、観光地を訪れる方の満足度を高める観光地域づくりを進めていくことが重要であると考えております。また、持続可能な地域づくりを進めていくためには、各地域において得られた収益をもとに、地域内経済の好循環につなげていくことも重要であると考えております。このため、県といたしましては、お客様に満足していただけるよう、宿泊事業者の皆様の声をしっかりと受け止めながら、一緒に今後の観光振興施策を考えてまいります。 次に、当事者の声に寄り添うべきとの御質問にお答えいたします。 宿泊税の導入に当たっては、宿泊事業者の声を反映した制度とし、御理解と御協力を得ることが必要と考えており、令和二年二月議会に提出した条例案は、宿泊事業者をはじめ学識経験者や観光関係事業者で構成する宮城県観光振興財源検討会議からの答申のほか、パブリックコメントで頂いた県民からの御意見も踏まえたものとしております。更に、昨年十二月以降、宿泊事業者への個別訪問やみやぎ観光振興会議において、宿泊税の必要性などを議論してきたほか、現在、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の支部ごとに意見交換会を実施し、宿泊事業者が抱える課題や今後実施すべき施策などについて意見交換をしているところであります。御指摘のとおり、私の県政運営の基本姿勢の柱の一つとして、衆知を集める県政を掲げており、現場に足を運び、県民の皆様の懐に飛び込んで御意見を伺うことなどを重視しているところであります。この衆知を集める県政の姿勢の下に、引き続き、宿泊事業者との意見交換会やみやぎ観光振興会議を開催し、関係者の皆様の声をしっかりと聞いてまいりたいと思います。 次に、大綱二点目、多様な居場所と学びの場を支える県政についての御質問のうち、フリースクールへの支援についてのお尋ねにお答えいたします。 多様な学びの場の充実は、個々の児童生徒への適切な対応の観点から重要なものであり、県においては、これまでも全国知事会等を通じて要望を行ってまいりました。また、県では、みやぎ子ども・子育て幸福計画に基づき、様々な子育て支援施策を推進しているところでありますが、一昨年のみやぎ子ども・子育て県民条例改正の趣旨を踏まえ、令和四年度の中間見直しにおいては、学校に登校していない子供への多様な学びの場の提供と、その保護者も含めた支援の充実を新たに盛り込んだところであります。教育庁との間では、関係機関の連携に向けたガイドラインの策定など、これまでも足並みをそろえた対応に努めてきたところでありますが、今回の御指摘も踏まえ、私といたしましても、改めて全国における取組状況を調査してまいります。その上で、個々の児童生徒に必要な居場所を確保するために、県全体としてどのような対応が可能であるかについて、教育庁とも連携しながら検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、畜産危機と水田農業対策についての御質問のうち、和牛経営に関する国への要望及び県独自の対策についてのお尋ねにお答えいたします。 飼料価格高騰の影響が長期化する中、和牛枝肉価格、子牛価格ともに下落しており、和牛経営は極めて厳しい状況にあると認識しております。県ではこれまで、国の配合飼料価格安定制度では補い切れない飼料購入費の一部支援や、草地更新に対する補助など、農家に寄り添った支援を行ってまいりました。しかしながら、今年度も引き続き厳しい状況が続いており、畜産農家の経営継続のためには全国的な対策が必要であると認識しております。このため、県では、配合飼料価格安定制度の発動基準や、肉用子牛生産者補給金制度の保証基準価格の見直しなどのほか、県が行う対策に要する財源確保について、今週月曜日に国に対して要望してきたところであります。県といたしましては、これまでの施策の効果を検証しつつ、今後も個々の畜産農家の経営状況を把握しながら、必要な対策について検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 総務部長小野寺邦貢君。 〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕
◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱一点目、宿泊税についての御質問のうち、廃止された特別地方消費税との整合性についてのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のありました特別地方消費税については、平成九年四月の地方消費税創設に伴い、平成十二年三月に廃止されております。この理由といたしましては、双方の税が、物品の販売やサービスの提供などの消費行為に対して課税される普通税であり、類似性の高いものであることのほか、地方消費税の導入により、代替の地方財源が確保されたことによるものです。一方、現在検討を進めている宿泊税につきましては、その課税対象を宿泊行為としていることで客体が異なること、時代に即した新たな財政需要、これからの観光振興に必要不可欠な財源であり、使途を限定した目的税とする点で、特別地方消費税とは異なった性質を持つものであります。県といたしましては、安定した財源確保により、持続可能で魅力あふれる観光地域づくりを進めてまいりたいと考えております。 次に、負担分任性を根拠とした場合の宿泊税の正当性についての御質問にお答えいたします。 地方税における負担分任の原則とは、地域社会の全ての住民が、地方税により負担を分かち合うというものであります。一方で、今日における社会経済活動は、地域社会を越えて広範囲に及ぶことが一般的であり、観光客を含む宿泊者におきましても、公衆衛生、治安維持、快適な旅行環境の提供等に関して、観光地等での滞在期間中、その地域の行政サービスを一定程度享受することとなります。このため、当該
地方公共団体の構成員であるか否かにかかわらず、観光客等に対して同一の負担を求めることは、負担分任の原則の趣旨に沿うものと考えております。 次に、税制の正当性についての御質問にお答えいたします。 一般に、応益性の原則における利益とは、一般報償であって個別報償ではないとされており、租税を負担したことをもって、個別の利益の請求権を持つものではないことから、おのおのの観光客等が享受する行政サービスを個別具体に特定するところまでの厳密性は求められていないものと認識しております。また、納税義務者を宿泊者、すなわち課税対象を宿泊行為としたことについては、客体としての捕捉が確実であり、日帰り旅行者に比して滞在時間が長く、公共サービスの受益の程度が大きいほか、一定の担税力を有していると判断したものであります。こうした観点は、租税の三原則である公平・中立・簡素に則したものであり、適正であると考えております。 次に、県民と関係者の共感と納得についての御質問にお答えいたします。 税の在り方につきましては、一般論として、租税法律主義の原則に基づき、創設や改正がなされるものと認識しておりますが、今後の県政の在り方と同様、県民や関係者の皆様から共感と納得を頂くことが大事であると考えております。宿泊税の導入に当たりましても、納税義務者となる宿泊者の方々はもとより、一定の事務処理を担っていただく宿泊事業者の皆様や、地元の業界関係者・市町村への丁寧な説明を行うことにより、理解を得てまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、多様な居場所と学びの場を支える県政についての御質問のうち、多様な学びを保障するための基金の創設についてのお尋ねにお答えいたします。 フリースクールなどの学びの場は、民間からの寄附に大きく依存している例も多く、継続的な運営を実現する観点からは、安定的な支援スキームの確立が重要になるものと考えております。現在、県において、子供たちへの支援を目的とした寄附等を受け入れている事例としては、東日本大震災みやぎこども育英基金のほか、子ども食堂など困難を抱える子供への支援に活用するふるさと納税、子供の貧困対策推進事業への企業版ふるさと納税などの取組があるところです。御提案のありました新たな基金の創設については、既存基金や制度との整合と活用可能性を精査するとともに、国による安定的な財源確保への取組と、他県の状況把握を踏まえて検討する必要があると考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、宿泊税についての御質問のうち、宿泊税導入の環境が整っている合理的根拠についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、第五期みやぎ観光戦略プランにおいて、令和元年度と同水準とする回復目標として、令和六年の宿泊観光客数九百九十万人泊、外国人観光客宿泊者数五十万人泊、観光消費額三千九百九十億円とする目標を掲げ、インバウンド誘致施策の充実のほか、国内外からの教育旅行誘致、宿泊施設の外国人観光客受入れ環境整備などに取り組んでまいりました。その結果、今年二月に国が公表した宿泊旅行統計調査の令和五年の速報値として、外国人観光客宿泊者数が目標を上回る五十・七万人泊となったほか、宿泊観光客数、観光消費額も回復目標と同水準の九百四十三万人泊、三千九百八十五億円となるなど、観光需要は着実に回復しているところです。また、県が公表している景気動向指数においては、令和二年一月を百とした場合、直近の今年三月は百八・七となっているほか、東北財務局が今年四月に公表した宮城県の経済情勢では、「県内経済は持ち直している」、加えて、日本銀行仙台支店が今年五月に公表した経済の動きでは、「東北地域の景気は、緩やかに持ち直している」とコメントされており、これら経済情勢に関する客観的なデータを踏まえ、県内の経済状況は回復してきていると判断しているところです。 次に、交付金や基金を活用した観光施策は、一定の成果があったとする合理的根拠についての御質問にお答えいたします。 県では、東日本大震災により落ち込んだ観光・宿泊客数の回復のため、国内外への誘客プロモーションや、宮城オルレをはじめとした滞在型・体験コンテンツの発掘、磨き上げなどに取り組んでまいりました。その結果、令和元年の県内への観光客入り込み数は約六千七百九十六万人、宿泊観光客数は約九百八十九万人と震災前水準を大きく上回り、過去最高を記録したほか、特に外国人観光客宿泊者数は初めて五十万人の大台を突破するなど、大きな効果が得られたところです。なお、最近の鳴子地区での観光施策を例に取りますと、令和四年度には、鳴子温泉郷の宿泊・観光施設の高付加価値化のための改修支援を行い、ホテル・旅館のほか土産物屋等も対象として、合計二十八事業者に対して助成を行ったところです。加えて、令和二年度から昨年度にかけて行った蛻変プロジェクトにおいては、地域の活性化に向けたイベント開催やにぎわい拠点整備への支援を行い、cafe guttoのオープンにつながったところであり、鳴子地区を含む大崎地域の交流人口拡大に寄与したものと考えております。 次に、新たな観光施策のためになぜ宿泊税を導入するのかという問いに対する合理的根拠についての御質問にお答えいたします。 人口減少に伴い、経済規模の縮小が見込まれる中、交流人口の拡大に向けた取組を推進していくことは、従来より我が県にとって喫緊の課題となっております。今後、交流人口の拡大を図るためには、受入れ環境や体験型コンテンツ等の充実、人材確保、経営効率化などの多岐にわたる取組が必要と考えており、既存事業を含めた観光に係る予算規模は総額で約三十七億円程度を見込んでおります。令和二年一月の宮城県観光振興財源検討会議答申では、新たな財源確保の手段として、宿泊行為への課税が適当であること、法定外目的税の導入が提案されており、現在もこの考え方に基づいて、宿泊税の導入を検討しているところです。 次に、宿泊事業者の皆様の共感と納得についての御質問にお答えいたします。 宿泊税を導入するためには、御指摘のとおり、県の観光振興の考えと税導入の必要性を特別徴収義務者となる宿泊事業者の方々に、共感と納得をしていただくことが大切であると考えており、現在、県内各地域において、宿泊事業者の皆様との意見交換を開催しているところです。具体的には、今月六日の鳴子地区五支部を皮切りに、石巻・女川・東松島地域の来月九日までに、制度設計などに対する意見のほか、宿泊事業者が抱える課題や今後実施すべき施策などについて、それぞれ忌憚のない意見交換を行っているところです。その後、一回目の意見交換会で出された御意見を踏まえ、施策のブラッシュアップを行い、改めて支部ごとに意見交換を重ねてまいります。県といたしましては、宿泊事業者の皆様の御理解を頂けるよう、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。 次に、湯治文化や国民保養温泉地に対する県の認識についての御質問にお答えいたします。 温泉宿に長期滞在し心身の保養を行う湯治は、数多くの温泉地を抱える我が県にとってなじみのある文化であり、特に鳴子温泉郷は、県内有数の湯治場として古くから数多くの人々に癒しをもたらしてきました。また、鳴子温泉郷は県内では唯一、国の国民保養温泉地に指定されており、豊かな自然や風情ある町並みとともに安らげる温泉地として、観光客のみならず県民にとって大切な地域資源となっております。県といたしましては、将来にわたって湯治文化が継承され、国民保養温泉地である鳴子温泉郷の魅力を一層高めていく必要があると認識しております。 次に、みやぎ発展税の観光関連予算の拡大についての御質問にお答えいたします。 みやぎ発展税は、基金に積み立てた上で、ものづくりをはじめとした産業振興に関する施策や、大規模な災害による被害の最小化に関する施策に活用することとなっております。その基金残高は昨年度末時点で百七十億円程度となる見込みですが、既に交付を約束したみやぎ企業立地奨励金に相当する額を除くと、実質的に今後活用可能な基金残高は五十億円程度であり、この額は今後のJSMCホールディングスや小糸製作所などの新工場立地や関連産業の集積による奨励金の交付額に相当するため、現在の基金残高は最低限確保すべき水準にあるものと考えております。このような中、半導体関連産業の集積促進や、ものづくり産業をはじめとする人材確保対策などの喫緊の課題に対して、発展税を重点的に配分した上で、富県宮城の実現にとって重要な施策の一つである観光振興にも、発展税をはじめ様々な財源を活用し、鋭意取り組んでいるところでございます。今後も、基金残高や分野ごとの配分を考慮しながら、可能な範囲で発展税を観光関連予算に充当してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱三点目、畜産危機と水田農業対策についての御質問のうち、ささ結への県の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 ささ結は、ササニシキ系統の食味を備え、地域や販売者などが独自の名称をつけて販売できるよう登録した品種である東北百九十四号を用いて、大崎市で生産される地域ブランド米として展開されております。県ではこれまで、ささ結ブランドコンソーシアムへの参加や補助事業により、生産や販売促進の取組を支援しておりますが、大崎市では、ささ結の商標や認証基準を管理し、新たな需要開拓や付加価値の向上を図るなど、全国にも誇れる地域ブランド米育成事例として成果を上げてこられたものと認識しております。一方、他地域でも東北百九十四号を用いた加美よつば農協のささゆた香などの取組が展開されていることから、県といたしましては、今後のささ結の取組について、まずは大崎市との意見交換を進めてまいります。 次に、子実用トウモロコシ栽培への県の支援についての御質問にお答えいたします。 水田農業を基幹とする我が県においては、需要に応じた米生産と、麦・大豆・飼料作物などへの作付転換を推進しております。子実用トウモロコシについては、省力的な栽培が可能であり、排水性改善や土づくりの効果も期待でき、飼料自給率向上にもつながることから、輪作体系における新たな品目として有望であると考えております。そのため、県では、令和五年度から七年度にかけて、古川農業試験場などの試験研究機関が、東北農業研究センターや古川農協などと連携して輪作体系の構築に向けた研究プロジェクトに取り組んでおり、害虫防除による収量性向上などの成果が出ている一方で、収益性や品質の確保、流通体系の確立などの課題が明らかになってきたことから、県といたしましては、引き続き関係機関と連携して、課題解決に向けた試験研究を継続してまいります。なお、古川農協からは、今後、転作作物として子実用トウモロコシの定着を図っていきたいとのお話を伺っており、実証結果を踏まえた具体的な事業計画などを確認しながら、必要な支援について検討してまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) 今、各地域を回っていただいている努力には、本当に敬意を表したいと思うんですけれども、ただ、丁寧な説明をして理解を求めると何度も答弁されているんだけれども、理解を求める前に、理解する心を持ってほしいなと私は思うんですよ。要は、理解を求めるというのは一方通行なんだね。我々の考えは正しいと、ぜひ皆さんこれを理解してほしい、だから丁寧な説明をしますという、その一直線なんです。それだと、どこまでいっても一直線で交わることはないと思う。やはり、何でそう思っているのかということを本当に理解してあげないと、理解するという気持ちをまず持たないと、どこ行ってもそこからスタートしてしまっているところに、もう一緒になれない原点が僕はあると思います。まず県側としても、我々はちゃんと皆さんの気持ちが分かりますという、そこからいかないと、もう丁寧な説明は多分、いいですと言われてしまいますよ、このままだと。そこをやはり県として意識を変えてほしいと僕は思うんですが、どうですか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 中島議員がまさに地元で皆さんの声をしっかり一番よく聞いておられる方ですから、おっしゃることはよく分かります。ただ、聞く気持ちを持てということは、やめてくれということですよね。我々は、これをやりたいということですから、やめてくれという声を聞こうという気持ちを持つと、何もしゃべれなくなってしまうという、そういった矛盾もございます。私どもは、観光客、お泊りになったお客さんからお金を取って、それを何か一般財源に入れて使おうというのではなくて、しっかりと基金に入れて観光振興のために使いたいというふうに考えています。これからまさに人口が減ってくる中で、交流人口というのも非常に重要であります。今は一時的にお客がどんどん戻ってきていますけれども、またいつ何かあって止まってしまうかもしれない。私は非常にそういう不安感があります。東日本大震災のときもぴたっと止まってしまいました。だから、何かあったときにまた大変なダメージを受けてしまうと。そういうことにならないためにも、しっかりと観光施策を進めていきたいのですが、今、年間五億円以上はやはり出せないんです。いろんなところでお金を検討していますけれども、五億円が限界だと。ほとんど何もこれ以上膨らますことができないような状況になっている。その中で観光振興を進めていくためには、やはり事業者の皆様に御協力を頂いて、また、お泊まりいただく方にも御協力をぜひとも頂きたいという、その強い思いを、まずはそこから、そこを伝えなければいけないということです。その上で、こういうことをしてほしい、こういうことをこういうふうにすれば認められるのにというような声もありますので、それはできるだけ聞き入れたいと思うのですが、今、中島議員がおっしゃるように、まずはその聞く気持ちを持て、つまりやめる気持ちを持てというようなことになれば、なかなかそこは、分かりましたとは言えないということを御理解いただきたいというふうに思います。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) なぜ宿泊税なのかということの根拠、よりどころは、報告書ですという御答弁だったと思うんだけれども、報告書をかなり読みましたよ、僕。本当に読みました。でも、何度読んでも、本当にいいのかなという疑問が消えないんです。今、部長からも、税制としては間違っていないという趣旨の回答だったと思うんだけれども、本当にそうでしょうかという--税制ですよ。これは本当に誰がどこから見てもそうですね、分かりましたと言ってもらえるものじゃなかったら、これはやはり正当性がある、整合性があるというふうに僕は言い切れないんじゃないかなと本当に思っているんです。一つ例を出せば、その負担分任性と応益性のお話も含めて、要するに、課税対象、観光行動が捕捉できないから、一般客、日帰りの人は対象にしない、できない。でも、こっちでは、その受けた行政サービスは捕捉も確定もできないんですよ。できないんだけれども、でも、それはそんなに厳密なものじゃないからかけていいんだという、それは一つの税制を考えるときに、僕は一貫性があるとは思えないんですよね。どうですか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) どこで線引きするか、ミシン目を入れるかというのは本当に非常に難しいことで、何をやるにしても、どういう施策をするにしても同じ問題はあるわけでありますけれども、先ほど部長が答弁したように、ここが丁度ミシン目としては適切--他県の事例なんかもいろいろ調べさせていただきましたけれども、やはり同じように、宿泊客に限定しているということです。そういった先例を見ながら、多少違いますけれども、基本的にはミシン目の入り方については、他県を大いに参考にさせていただいたということで、ぜひ御理解いただきたい。まだ提案していないので、認めてくださいという次元ではないんですけれども、そういうことで、今、やる方向でいろんな検討をしているということです。六月議会に提案するという方法もなかったわけではないんですけれども、やはりもっと時間をかけると、しっかり丁寧にという議会側の声もありまして、今、改めて各圏域を回りながら、いろいろお話を聞かせていただいているということでございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) 先ほども言ったんですけれど、意見・声を今聞いていただいていることは本当に大事だし、ありがたいんだけれども、でも、反対の要望書が出ましたと。今また、反対の要望の取りまとめをやっていますという関係の方からのお話です。そうすると、八割以上反対のほうに賛同されているというのが今の現状なんだそうです。そこからすると非常に僕--理解を頂くということのハードルは極めて高いし、でも一方で、先ほどの答弁の中で、共感と納得ということに関しては大切にするとおっしゃいましたよね。大切にするということは、そうした方々の共感と納得は税導入の前提になるというふうに僕は理解するんですよ。僕はそう理解します。どうですか、そういう理解でいいですか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 共感と納得が得られるように、ぎりぎりまで最大限努力するということでございます。
○議長(高橋伸二君) 五十六番中島源陽君。
◆五十六番(中島源陽君) 今の段階では多分それ以上お答えしづらいのはよく分かりますけれど、でも、共感と納得を大切にすると言ったことは極めて重いと思っています。これは絶対外せないと思います。別にそれで条件を今ここで課そうなんて思いませんけれど。でも、それは極めて重いことだと思っています。もう一つ、非常に私が最近気にすることは、県民の皆さんが本当にどう思っているのかということです。観光のために財源が県としてはないんだ。だから、お泊りで一泊三百円をお願いしたい。ここだけ聞けば、いいよ、三百円ぐらいという人もいるかもしれないし、でも、先ほど私がいろいろ懸念がありますよと言ったいろんな論点があります。そんなときに、あなたが通ってきた道路、社会インフラを使ったことに対しても課税しているんですよと。看板を見てきたよね、その看板を見たことに対しても課税される要素になっているんですよという課税根拠じゃないですか。理由が課税の報告書に示されています。行政サービスの恩恵を受けている例として幾つか挙がっています。そういうことも含めて、県民の皆さんに説明したときに、県民の皆さんがそれでもいいよと、とにかく観光を応援したいんだというふうに本当に言ってくれるのかどうか、やはり私はしっかりと県民の声を聞くこともまだまだ足りないと思っています。そこは最後いかがですか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) パブリックコメントなども実施しております。改めて県民の皆さんに何かアンケートといったようなことをする予定は今のところございませんが、当然、いろんな方の声を聞いていくというのは重要なことだと思っています。この問題は、やはりいろいろコロナのときに大きな問題になりましたので、それを一回取り下げてから先例でやっている県がございます。複数ございますから、そういったところの県の知事さんに会ったときにどうなのと聞いてみたのですが、当然、宿泊税を出したときには同じような議論がやはり起こったみたいです。どこでも起こっています。同じような議論が起こっています。ただ、通って実際スタートした後は、いろいろ多少意見はあったとしても、だから泊まらないとか、だから困るといったような声は、俺のところには来てないよというような話がありました。ですから、これは、しっかり聞かなければいけないということは事実そうだというふうには思いますので、改めてアンケートといったような行為は行いませんけれども、できるだけいろんな声を聞けるように努力してまいりたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 暫時休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩
----------------------------------- 午後零時五十九分再開
○副議長(本木忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十三番
佐々木奈津江君。 〔十三番
佐々木奈津江君登壇〕
◆十三番(
佐々木奈津江君) みやぎ県民の声の
佐々木奈津江でございます。議長のお許しを頂きましたので、通告に従い、大綱三点について伺います。 まず、大綱一点目、宿泊税の導入と宿泊事業者の理解について伺います。 現在、県は、観光振興を推進する財源を確保するために、宿泊税の導入を進めています。大手旅行会社のシンクタンクは、宿泊税の導入が観光振興を飛躍的に推進する力となっていると分析しています。加えて、宿泊税導入の先進地の実態を見る限り、導入により宿泊客が減少するという現象は起きていないとのリポートがあります。また、前回の宿泊税導入検討時に反対していた県内の宿泊事業者の中には、宿泊税が地域の観光振興に効果的に使われるのであれば条件付きで賛成するという方もおられます。このほか、全国的に宿泊税導入の動きが広がる中、栃木県那須町では、町の観光協会が町に対して、宿泊税導入についての要望書を提出する予定と伺いました。しかし、宿泊税の導入には懸念されることが多く、不安の声も多数上がっています。観光事業者の分析では、宿泊税の導入による宿泊客の減少は見られないというリポートがあるにもかかわらず、観光地の宿泊事業者や土産物店などの業界関係者は、観光客が宿泊税のない隣県の宿泊施設を選び、観光客が減少すると心配しています。なぜ、このような心配が解消されないのでしょうか。先般開催された鳴子温泉での事業者との意見交換会では、宿泊税導入について厳しい声が相次いだとの報道がありました。鳴子温泉旅館組合の藤田組合長代理は、時間がかかっても、行政と事業者とお客さんとで納得がいくような話をしていくことが大事だとおっしゃっていました。更に、仙台ホテル旅館組合と作並温泉旅館組合が仙台市に対して、市民や宿泊事業者の理解が得られていないとして、宿泊税導入反対の要望書を提出しました。このような中、七月上旬までに県内八か所で、宿泊事業者との意見交換会を開く予定と伺いました。導入撤回や延期などを示さない限り、説明会が紛糾するのは目に見えています。説明内容や方法によほどの工夫が必要です。また、回数を重ねて理解を得る努力も必要と考えます。加えて、宿泊税の使途を明確にすることが非常に重要です。宿泊事業者の皆さんは、自分たちが集めた税金がどのように使われるかを心配しています。執行部からの説明では、受入れ体制の強化とか、コンテンツの充実など、一般的かつ抽象的な説明が多く見られます。数年前の女性タレントを使った県の観光CMは非難の声も多く、このような使い方をされては困るという声が多数あるのも事実です。宿泊税と似たような徴収形態や使途を持つ入湯税についても、温泉旅館の経営者からは、「徴収した温泉地とは違う場所の施設改修に使われた。徴収した地域や業者の目に見える直接的な支援に使ってほしい」という声があります。宿泊税にも同様の意見が出ています。また、宿泊税は宿泊事業者が特別徴収義務者となります。これは宿泊事業者にとって大きな負担になるでしょう。宿泊事業者には徴収と納入に関わる事務作業が生じ、特に、不満を述べる宿泊客に対する税の説明や、万一、納税を拒否された際の対応など、事務作業の手間や精神的な負担が増加します。ただでさえ人手不足が顕著な観光・宿泊業界は、なお一層厳しい状況になると思われます。これらのことも、宿泊事業者の理解を得られない原因の一つになっているのではないでしょうか。税の活用による事業展開と同様に、宿泊事業者の理解を得ることは必須であります。このように、宿泊税導入に向けては、非常に課題が多いと感じます。まず、宿泊税ありきではなく、県の観光戦略を効果的に進めるためには、どれくらいの予算が必要なのかしっかりと考える必要があります。今年度の予算額は約九億円。この額では何ができないのか、幾らあれば満足できる事業展開が可能なのか、しっかり検証すべきと考えます。必要な事業費が固まらなければ、税額は決まらないのではないでしょうか。担当課からの説明では、宿泊客を一千万人、税額を三百円と仮定して、税収は三十億円を想定しているとのことですが、そのような話ではないと思います。更に、税額が高額になれば、宿泊客の負担感が強まるから低額に抑えて、その税収の範囲で事業を行うというのは、本末転倒ではないでしょうか。これまでの観光振興予算の検証と、今後の事業展開に当たって満足できる予算額、それに必要な税額について、どのようにお考えなのか伺います。 次に、宿泊事業者の理解を得るには、丁寧な説明が必要と考えます。今後開催が予定されている意見交換会では、これまでと同じような説明内容では理解を得られないのではないでしょうか。鳴子地区での説明会での厳しい状況を受けて、今後どのような説明を行うのか伺います。あわせて、各地区一回の開催のようですが、一回限りの説明で理解を得ることは難しいと考えます。複数回の説明会が必要と思いますが、いかがでしょうか。 宿泊事業者の理解を得るためにも、宿泊税の使途が宿泊事業者に直接還元されることが必要ではないでしょうか。宿泊施設の満足度が高ければ、宿泊客は快く税を払ってくれることでしょう。宿泊施設の魅力向上に向けた施設整備の支援に宿泊税を使うべきと考えますが、いかがでしょうか。特別徴収義務者となる宿泊事業者に対し、例えば、徴収奨励金を創設し、徴収した税の一部を直接還元することを提案いたします。徴収事務及び精神的負担軽減のための工夫や配慮について、具体的にどのような方策をお考えなのか伺います。 観光振興に多額の予算が必要であることは十分理解しております。しかし、多くの宿泊事業者の方々が反対の立場を取っておられます。宿泊税導入ありきということではなく、まずは事業者の皆様の十分な理解を得られるよう、慎重かつ積極的な取組を求めます。 次に、大綱二点目、新たな産業進出と人材の育成・確保について伺います。 台湾の半導体大手PSMCとネット金融大手のSBIホールディングスが、大衡村に半導体工場を建設する計画を進めています。知事のトップセールスはもちろんですが、短期間でこのような大きな成果が生まれた背景には、職員の皆様の昼夜をいとわぬ資料作成や交渉準備などがあったことと思います。知事はじめ関係職員の御努力に感謝申し上げます。この半導体産業進出が宮城県にもたらす経済波及効果は計り知れません。関連産業も含めて、多数の企業進出が期待されています。これらによる経済効果は、取引先など直接関連事業者だけでなく、従業員の住宅や飲食といった個人消費を通じて、様々な業界に及びます。一方で、このような大規模な産業進出は、地域社会や人材など、様々な分野にひずみを生みかねません。まず、立地が決定した大衡村の周辺に企業が集中すると考えます。裏返せば、大衡村から遠い地域には、企業立地が進まなくなるということになるのではないでしょうか。更に、人材確保には大きな不安があります。現在、ほとんどの産業分野で人手不足が顕著になっています。宮城労働局の調査によれば、この春卒業した県内学生の県内就職率は、過去最低の三九・二%とのこと。また、報道によれば、県幹部も企業誘致への影響を懸念しているとのことでした。加えて、半導体産業は、高度な知識や技術力が必要であり、この分野の人材育成や確保は喫緊の課題と言えます。熊本大学では情報融合学環と工学部半導体デバイス工学課程を、県立技術短期大学校は半導体技術科を、それぞれ新設しました。県立工業高校でも半導体技術科目を新設したほか、小中学校においては、出前授業や動画などによる半導体の魅力発信に取り組み、半導体産業に対する児童生徒や教職員の理解促進を図るなど、人材育成に産官学が連携して取り組んでいます。県内でも早急にこのような取組が必要と考えます。 先日、県北の中小製造業の経営者からお話を伺いました。その方は、「県北地域は過疎で人口も減り続けている。少子化も相まって特に若者が少ない。県内への大手企業の立地は喜ばしいが、労働力が全て大衡村に持っていかれるのではないかと不安になる。このままでは事業継続が難しくなる」とおっしゃっていました。人材獲得競争に勝つには賃上げという有効な手段がありますが、これには限界があります。賃上げは、特に中小企業の経営を圧迫し、その結果、事業の継続が困難になるでしょう。 先般、半導体先進地の熊本県を会派で視察してまいりました。熊本県半導体立地支援室の担当者から、半導体産業集積強化に向けた取組についてのお話を伺いました。さきに述べた人材育成や確保策だけでなく、交通渋滞や水需要、環境保全など企業進出によるプラス面だけでなく、先進地ならではの様々なお話を聞くことができ、大変参考になりました。 県内は、東北大学をはじめとする高度教育・研究機関が充実しています。特に稼働が始まったナノテラスには大きな期待が寄せられています。世界最先端のナノテラスと業界トップレベルの半導体関連の開発拠点を合わせて、世界中から優秀な研究者や企業が結集することが可能になります。県でもナノテラスを活用して研究開発に取り組む企業に様々な支援を行っています。更なる充実を期待しています。以下七点お伺いいたします。 一、産業集積は理解しますが、やはり県内全ての地域や企業に恩恵が及ぶことが理想と考えます。関連産業の広域的な誘致や配置、県内企業の参入支援などについてのお考えを伺います。 二、関連産業も含めて多くの企業の進出が見込まれます。一方で、現状でも人手不足は深刻で、その上、半導体産業に人材が集中すると、既存の地元企業の人手不足に拍車がかかります。これらの人材確保について、どのようにお考えか伺います。 三、新聞報道にもあった学生の首都圏流出。この流出を防ぎ、更に若者を呼び込むための対策について伺います。 四、半導体産業は、高度の知識や技術力が必要です。専門知識や技術力を持つ人材育成に当たって、県内高等教育機関との連携は必須です。具体的な取組の状況や、今後の計画について伺います。 五、県内の大学などでの育成だけでなく、県内の高校生や大学生を台湾の大学に留学させる方法もあると考えます。検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。 六、半導体産業は国を支える産業です。一つの県の取組云々ということではありません。熊本県への工場立地や、茨城県つくば市の半導体研究拠点の整備には、国からの多額の補助、各分野での支援を受けております。本県も国に対して積極的な働きかけが必要と考えます。国への働きかけの状況や今後の支援見込みについて伺います。 七、ナノテラスは、半導体に限らず様々な分野での活用が期待されます。宮城県の産業優位性を確立するためにも、積極的な活用が求められます。一方で、活用のハードルが高いという声もお聞きします。活用促進に向けた現在の取組状況や今後の展望について伺います。 大綱三点目、身近な交通手段の安全対策について伺います。 自転車など、身近な交通手段で重大な事故が発生しています。令和五年までの十年間に県内では、自転車乗車中の死傷者が八千七百七十三人に上ったというデータが公開されました。死亡者は四十五人でしたが、そのうちヘルメット着用が二人、非着用が四十三人でした。亡くなった方の致命傷が頭部を打ったことによるかは明らかではありませんが、着用していた方が交通マナーやルールを重視していたため、死亡者が少ないと考えることもできるかもしれません。詳しいことは県警で分析していることと思いますが、いずれにせよ、ヘルメットを着用していれば亡くならずに済んだ事故もあったのではないかと考えると、非常に残念です。 さて、全ての自転車利用者に乗車用ヘルメット着用の努力義務が課せられてから一年になりますが、宮城県内での着用率は一〇・八%と全国平均より低く、定着しているとは言えません。一方、自転車通勤をしている県職員のヘルメット着用率は七一・四%と高い状況にあります。県当局に確認したところ、年二回の着用状況調査と着用促進の声がけが功を奏しているのではないかということでした。県職員の方々が真面目で規範意識が高いので着用率が高いとも思いますが、地道な調査や声がけの繰り返しが着用率向上につながっているのではないでしょうか。 今年五月、千葉県で走行中の車の前を自転車で蛇行運転をしたり、対向車の前へ飛び出すなど危険な運転を繰り返していた、いわゆるひょっこり男が逮捕されました。この男は、過去にも同様の危険運転を繰り返し、逮捕、実刑判決を受けていました。自転車のような手軽な交通手段であっても、このような危険な運転の指導、取締りを徹底してほしいと考えます。前を見ずにスマホだけを見ている自転車や、車道中央付近を疾走する自転車、自動車と同じように交差点を一気に右折するスポーツサイクル、交差点での一時停止や信号無視をする自転車を見かけます。このような自転車の危険な運転、それに伴う事故が後を絶たないことから、自転車による悪質運転に対し、いわゆる青切符を交付し、反則金を科す改正道路交通法が成立しました。このことは、自転車のような身近で手軽な交通手段であっても、危険な運転に対しては厳しく対処していかなければならないという姿勢を示したものであると考えます。 電動キックボードは、十六歳以上であれば運転免許がなくても乗ることができ、ヘルメット着用は努力義務となっています。手軽かつ小回りが利くなど便利なことから、若者を中心に利用者が増えています。また、大都市や観光地で普及が進み、外国人による利用も多くなっています。仙台市内でも仙台駅近くにポートが増え、県庁近辺にもコンビニやスポーツジムの前にポートを見かけるようになりました。一方で、手軽なゆえに安易な利用も少なくありません。それによって、交通違反や事故も増えつつあります。電動キックボードの全国での違反件数は、導入開始から半年間で七千百三十件に上り、電動キックボードに関する交通ルールやマナーの理解が低いと考えます。また、歩道を通行しているのは、歩行者だけではありません。ベビーカーや車椅子、高齢者が使うシニアカー、自転車など、様々な身近な交通手段が走行します。加えて、一定の要件を満たせば、電動キックボードも歩道を走行することもできます。全ての歩道利用者が安全で快適に通行できるように、歩道の環境整備がますます重要となります。 現在、仙台市泉区内で、県道の拡幅事業が行われています。この事業では、車道が片側一車線から二車線に広がるのに対し、歩道は現道より狭くなり、一メートル足らずとなる場所もあり、点字ブロックも強引に曲げられています。近隣には高校やスポーツ施設もあり、また、地下鉄駅まで自転車を使う通勤者も多い場所です。拡幅により自動車のスピードは上がり、歩道は狭くなる。自転車や歩行者の安全確保に不安が残ります。以下四点伺います。 自転車利用時のヘルメット着用率向上に向けた取組が必要と考えます。自転車利用が多いのは、通学で使う中学校や高校、大学などでしょう。県立高校で自転車通学をしている生徒のヘルメット着用率について伺います。また、中学校の多くは、市町村立でありますが、自転車で通学する中学生の着用率を把握していれば回答願います。 着用率を向上させるためには、徹底した啓発活動が重要であると考えます。啓発活動の現状と今後の取組について伺います。あわせて、着用率の高い県庁での取組も参考になると考えますが、御所見を伺います。 電動キックボードの事故が多発しています。自転車同様にヘルメット着用推進や、ルール、マナーの徹底に向けた啓発活動の現在の取組や、今後の計画などはどのようになっているでしょうか、伺います。 キックボードなどの普及によって、歩行者以外が歩道を通行するケースが増えています。その上、自動車が二車線化などでスピードを出して走るようになれば、自転車は車道を避けて歩道を走ることになります。高齢化に伴い、シニアカーの利用もますます増えることでしょう。更には、子育てを充実させる観点から、ベビーカーの安全も確保しなければなりません。車椅子や白杖を頼りにする障害者の安全確保も必須です。今後、歩道は、歩行者以外の様々な移動手段が様々なスピードで往来することになります。このように、歩行者と自転車など様々な移動手段の円滑な走行と安全確保を両立させるためには、歩道の拡幅や段差解消などの環境整備が求められます。歩行者と自転車など身近な交通手段の共存に向け、歩道の整備方針や具体的な取組について伺います。 以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君)
佐々木奈津江議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、宿泊税の導入と宿泊事業者の理解についての御質問のうち、これまでの観光振興予算の検証と今後の事業展開に当たっての予算額及び税額についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、東日本大震災により落ち込んだ観光・宿泊客数の回復のため、東北各県と連携した国内外への誘客プロモーションや、宮城オルレをはじめとした外国人ニーズに対応した滞在型・体験コンテンツの発掘、磨き上げなどに取り組んでまいりました。その結果、令和元年の県内への観光客入り込み数は約六千七百九十六万人、宿泊観光客数も約九百八十九万人と震災前水準を大きく上回り、過去最高を記録し、特に外国人観光客宿泊者数は初めて五十万人の大台を突破するなど、大きな効果が得られたものと考えております。今後更に観光客の増加による交流人口の拡大を図っていくためには、受入れ環境や体験型コンテンツ等の充実、人材確保、経営効率化などの多岐にわたる取組が必要と考えており、既存事業を含めた観光に係る予算規模は、総額で約三十七億円程度を見込んでおります。そのうち、宿泊税の充当が必要となる事業は、県全体で約二十三億円程度となることから、宿泊者数や課税免除等を勘案し、税率三百円としているところであります。 次に、大綱二点目、新たな産業進出と人材の育成・確保についての御質問にお答えいたします。 初めに、学生の県外流出についてのお尋ねにお答えいたします。 宮城労働局によれば、今年三月に卒業した県内大学生等の就職率は九五%と高水準が続く一方で、県内企業への就職率は三九・二%と統計開始以来最低となり、学生の県外流出は、企業経営や人口減少対策の観点から喫緊の課題となっております。流出が増加傾向にある背景として、学生が企業を知る重要な機会であるインターンシップが十分に活用されていないことなどが考えられ、地元就職を希望する学生が県内企業を知る機会を積極的につくる必要があります。県では、学生と企業とのマッチングを目的としたインターンシップ情報発信サイト、みやぎむすびを先月立ち上げ、今年八月には、県内企業約二十社に参画いただき、学生が短期間に複数の県内企業を体験できるパッケージ型インターンシップを開催する予定としております。また、県外学生を積極的に呼び込む施策については、UIJターン就職情報を発信するみやぎジョブカフェ東京サテライトを今年四月に開設するとともに、県内企業への就職活動に要した交通費、宿泊費への補助制度を設け、昨年度は卒業年次の利用七十名中三十名の県内就職につながりました。県といたしましては、こうした取組を通じて、若者の県内定着を図ってまいります。 次に、半導体人材育成に関する高等教育機関との連携状況や今後の計画についての御質問にお答えいたします。 国の半導体・デジタル産業戦略では、今後十年間で更に約四万人を超える半導体人材が必要になると見込まれており、半導体人材の育成は喫緊の課題と認識しております。このため県では、JSMCホールディングスの新工場建設を見据え、今年三月に東北大学や県内の工学系学部を有する私立大学、高等専門学校等で構成するみやぎ半導体人材育成に関する連絡調整会議を設置したところであり、今後、この連絡調整会議において、学生や社会人を対象とした県独自の人材育成システムの構築について検討してまいります。また、先月には全国知事会としても国を挙げて半導体の人材育成に取り組むよう国に要望したところであり、今後も国や大手半導体企業が立地する自治体と連携し、半導体産業の振興に欠かせない半導体人材を育成してまいります。 次に、半導体支援に関する国への働きかけの状況と今後の支援見込みについての御質問にお答えいたします。 今回のJSMCホールディングスの新工場進出は、国内における半導体生産拠点の確保等に貢献する国家的プロジェクトの一つであると考えております。このため、県では、今年二月に半導体生産拠点の整備や関連産業の集積、人材育成、インフラ整備等に関する国への要望活動を実施し、工場操業に必要な工業用水や下水道、道路整備に対する国の交付金について、我が県への配分に向けた具体的な協議を進めてきたところであります。更に、JSMC新工場の建設や製造装置の導入に対する補助金について、国と事業者との間で最終的な調整が行われていることなどを踏まえ、今月十七日及び十八日には、私自ら関係省庁を訪問し、改めて国の積極的な支援を強く訴えかけてまいりました。引き続き、大手半導体企業が立地する自治体との連携を図りながら、我が国の半導体産業振興に資する取組について、国による一層の支援を求めてまいりたいと考えております。 私からは、以上です。
○副議長(本木忠一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱三点目、身近な交通手段の安全対策についての御質問のうち、自転車利用者のヘルメット着用の啓発活動の現状と今後の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、改正道路交通法に先駆け、令和三年四月から自転車安全利用条例に基づき、ヘルメットの着用率向上に努めてまいりました。具体的には、市町村や学校へのポスター等の配布に加え、保険会社と協同組合の御協力によるチラシの作成及び宅配時の同梱配布、新聞やラジオ広報など、常日頃から様々な媒体を活用し啓発活動に取り組んでおり、今年度は商業施設で自転車シミュレーターの体験イベントも行うこととしております。更に、自転車事故の割合が高い高校生への取組として、県
教育委員会や県警察と連携し、ヘルメット着用の誓約を含めた自転車通学許可申請書の参考様式の県立高校への通知や、高校生による街頭での呼びかけなどを進めております。また、県職員に対しては、法令遵守を求める通知や通勤時の着用状況の調査を実施しており、通勤・通学時の着用率向上のためには、職域や学校での啓発が有効と考えておりますことから、職員の意識向上はもとより、企業や団体、教育機関と連携した働きかけに力を入れて取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、宿泊税の導入と宿泊事業者の理解についての御質問のうち、宿泊事業者との意見交換を複数回実施すべきとのお尋ねにお答えいたします。 県では、県議会や宿泊事業者の御意見を踏まえ、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の十七の支部・地域において意見交換会を実施することといたしました。具体的には、今月六日の鳴子地区五支部を皮切りに、来月九日までに、制度設計などに対する意見のほか、宿泊事業者が抱える課題や今後実施すべき施策などについて、それぞれの地区で忌憚のない意見交換を行っているところです。鳴子地区五支部での意見交換会においては、納税する宿泊者の負担感など宿泊税導入に対する懸念のほか、県の施策に対する御意見を頂戴いたしました。県といたしましては、一回目の意見交換会で出された御意見を踏まえ、宿泊者や宿泊事業者の皆様に納得していただける施策の検討を継続して行うとともに、宿泊事業者の皆様の御理解を頂けるよう、引き続き、支部ごとに意見交換会を重ね、丁寧な説明に努めてまいります。 次に、宿泊施設の魅力向上への宿泊税の活用についての御質問にお答えいたします。 宿泊税の活用に当たっては、徴収事務を担っていただく宿泊事業者が、税導入の効果を実感していただける施策とすることが大変重要であると考えております。このため、重点的に取り組む施策として、観光産業の体制強化を掲げ、宿泊施設の収益力向上のための施設改修や小規模宿泊施設の施設改修・備品購入支援、外国人観光客の受入れ環境整備などを検討しているところです。県といたしましては、宿泊客の高い満足を得られるよう、引き続き意見交換会等を重ねながら、宿泊事業者と共に宿泊施設の魅力向上に向けた施策を検討してまいります。 次に、徴収事務の負担軽減のための配慮についての御質問にお答えいたします。 県では、これまでも、宿泊事業者との意見交換等を通して、宿泊税を徴収する際の事務負担増加に対する懸念の声を伺ってきたところです。宿泊税を導入している自治体では、宿泊事業者の徴収事務の負担軽減に向けた取組として、税収の一定割合を交付する特別徴収義務者交付金の創設や、窓口での説明時に使用するリーフレットの作成に取り組んでいると伺っております。県といたしましては、他自治体の取組を参考に、特別徴収義務者交付金など、宿泊事業者の負担軽減策を検討するとともに、宿泊税徴収開始までの周知期間を十分に確保し、宿泊者への丁寧な説明に努めてまいります。 次に、大綱二点目、新たな産業進出と人材の育成・確保についての御質問のうち、関連産業の広域的な誘致などについてのお尋ねにお答えいたします。 半導体産業は、原材料や製造装置、最終製品に加え、水処理、ガス、電気、薬品、空調など、自動車産業と同様に裾野の広い産業と言われており、県内企業の取引拡大が大いに期待されているところです。このため、多岐にわたる関連産業の誘致に当たっては、県内に広く立地が図られるよう、市町村とは可能な限り企業情報を共有しながら企業のニーズに合った用地を提案し、市町村とともに円滑な企業立地に努めてまいります。また、地元企業との取引創出についても、立地企業の要求水準などを丁寧に伺いながら、県内企業向けの市場セミナー等の開催や、みやぎ産業振興機構等の関係機関と連携したマッチングを行うなど、地元企業の半導体産業への参入を積極的に支援してまいります。 次に、地元企業の人材確保についての御質問にお答えいたします。 JSMCホールディングスの新工場立地に伴い、多くの関連企業の進出が期待される一方、急速に進む人口減少社会の中で、地元企業を中心に人手不足を懸念する声があることは認識しております。このため、今年度、県内工学系の私立大学や産業界と連携し、県内ものづくり企業の特色や魅力を大学生に伝えることで大卒人材の県内定着を促進するものづくりカレッジプロジェクトを実施するとともに、ものづくり企業奨学金返還支援制度を創設し、大学生などの地元企業への就職を強力に後押ししてまいります。加えて、外国人材も積極的に活用することとし、インドネシア等における現地サポートセンターの開設や、海外現地ジョブフェア等の開催のほか、大崎市が開設を予定している日本語学校を通じ、様々な国の人材を県内に呼び込むことで、ものづくり産業などの人材確保にしっかりと取り組んでまいります。県では、これらの取組を、富県躍進!!チャレンジ・アクション・プログラムとして位置づけまして、様々な観点から地元企業の人材確保を総合的に支援してまいります。 次に、高校生や大学生の台湾の大学への留学についての御質問にお答えいたします。 台湾においては、政府の強力な方針の下、産業と大学が強く連携し、学生や社会人が半導体を専門的に学ぶ学部や、世界で活躍する半導体人材を育成する半導体学院があり、大変有効な半導体人材の育成が行われていると認識しております。このため、御提案のあった台湾への留学については、みやぎ半導体人材育成に関する連絡調整会議の場において、東北大学をはじめとする大学や県
教育委員会と協議の上、その可能性について十分検討してまいります。 次に、ナノテラスの活用促進に向けた取組と今後の展望についての御質問にお答えいたします。 ナノテラスは世界最先端の構造解析能力を持つ優れた施設であり、企業の新技術や新商品の開発などに大変有益ですが、加入費が必要なことに加え、活用方法が分からないなど、利用をためらう声があることも承知しております。このため、少額で試し利用ができる制度として、東北経済連合会が実施するものづくりフレンドリーバンクや、仙台市が実施するナノテラスシェアリング二〇〇〇を設けており、これらの利用企業には、県が利用料金の一部を減免する制度も今年度から実施しております。また、放射光施設の利用経験がない企業等には、宮城県放射光利用実地研修を実施しており、県内企業の場合、対象経費の一部補助や、産業技術総合センターの職員による伴走支援も行っております。県といたしましては、ナノテラスを利用した研究成果が広く知られることにより、更に利活用が進むものと考えており、地域パートナーである光科学イノベーションセンターや東北大学、東北経済連合会、仙台市と協力し、支援策の一層の周知に努め、利活用促進を図ってまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱三点目、身近な交通手段の安全対策についての御質問のうち、歩道の整備方針や具体的な取組についてのお尋ねにお答えいたします。 児童生徒、高齢者等の歩行者や自転車など、誰もが安全かつ円滑に移動できる道路空間の確保は、高齢化社会の進展や電動キックボードの普及などによる道路利用の多様化の観点からも、極めて重要であると認識しております。このため、県では、道路構造令や、移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める条例等に基づき、利用者に配慮した歩道幅員の確保や段差の解消など、通学路を優先に、計画的に整備を進めているほか、自転車等に対しては、車道や歩道に自転車の通行位置を示す路面標示の整備を実施しているところであります。県といたしましては、引き続き、歩行者や自転車など道路利用者が安心して通行できる環境整備に向けて、市町村や交通管理者と緊密に連携しながら、鋭意取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔
教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎
教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱三点目、身近な交通手段の安全対策についての御質問のうち、自転車通学をしている生徒のヘルメット着用率についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年度実施した学校安全に係る調査では、自転車通学者がいる学校のうち、ヘルメットの着用を義務づけている、または義務づける予定である県立高校の割合は四五・五%、仙台市を除く公立中学校では九七%となっております。生徒が交通ルールを遵守し、マナーを守ることは、命を守るために大変重要と考えており、これまで、ヘルメットの着用促進に向けた通知の発出や教員を対象とした安全フォーラム等の開催、更に県警察と共同開催しているみやぎ高校生サイクルサミットにおいて、生徒が県内の高校に向けてヘルメット着用の啓発メッセージを送るなど、交通安全に対する意識の向上を図ってまいりました。県
教育委員会としましては、引き続き、県警察や関係機関と連携し、生徒や保護者に対し、積極的なヘルメットの着用を促していくとともに、電動キックボード等の新しい交通手段にも対応した交通安全教育の充実に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 警察本部長細田正君。 〔警察本部長 細田 正君登壇〕
◎警察本部長(細田正君) 大綱三点目、身近な交通手段の安全対策についての御質問のうち、いわゆる電動キックボードの安全対策についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年七月、改正道路交通法の施行により、十六歳から利用可能で運転免許を要しない特定小型原動機付自転車が新たに区分され、これまでに当該車両による人身事故は、県内では一件発生しております。県警察では、自転車利用を含め、特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進するため、街頭における指導取締りや広報啓発活動、県警察のウエブサイトによる交通ルールの周知等に努めております。また、道路交通法で、シェアリングまたは販売事業者が利用者または購入者に対し交通安全教育を行う努力義務が課されていることを踏まえ、事業者等が交通安全教育を行うために必要な情報の提供や支援・指導を実施しております。引き続き、県内の交通実態等を踏まえながら、関係機関・団体と連携の上、自転車と同様にヘルメットの着用など、特定小型原動機付自転車の安全利用に関する啓発活動等をより一層推進してまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 十三番
佐々木奈津江君。
◆十三番(
佐々木奈津江君) 御答弁ありがとうございました。再質問をさせていただきます。 知事に伺います。六月十七、十八日に国に対して、財政支援を直接要望されたと新聞記事にもなっておりました。具体的な要望内容と、そして手応えはどうだったのか、伺います。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 半導体関係のことでよろしいでしょうか。これから十年間で四万人の半導体人材が必要だと言われております。台湾に行きましたときに、台湾の半導体学院を視察させていただき、台湾政府が半導体人材にどれだけエネルギーを注いでいるのかということがよく分かりました。台湾はもう半導体で生きていくんだという、そういう意思が伝わってきたということです。非常に体系的にしっかり教育をされておられました。日本にも東北大学などしっかり教育をするような仕組みはあるんですけれども、まだまだ投資額が足りないということで、四万人の人材を育てるために、台湾の半導体学院を見習って、しっかりと投資していくべきではないかというお願いをさせていただきました。あわせて、今回のJSMCを誘致するに当たりまして、いろいろインフラ整備が必要になってまいります。今年度、インフラ整備交付金という半導体に特化した交付金が準備されたんですけれども、六十億円しかないんですね。これは、もう既に熊本だとか北海道とかで取ってしまっていて、宮城にはないということでございます。これから来年度いろいろ工事が始まってまいりますので、まずは全体のインフラ整備交付金の枠を大きく増やすように、財務省とよく交渉してくださいと。その上で、宮城県にも必要な額を配分してほしいと。また、通常のそういった公共事業の予算につきましても、優先的に回していただきたいというお願いをさせていただきました。まず、今の質問に対する答えはそれだけなんですけれども、今後、大きな半導体の工場を有しております全国の六道県、北海道から熊本まで、そういったところの知事さんと一緒になって、同じような要望をしていきたいというふうに思っております。先般、知事さん方全員に私から直接連絡いたしまして、一緒に歩調を合わせて国に要望しましょうということで話はついております。恐らく来月になるのではないかなと思いますけれども、そういった要望をまたみんなで一緒にやっていって、成果を上げていきたいというふうに思っています。
○副議長(本木忠一君) 十三番
佐々木奈津江君。
◆十三番(
佐々木奈津江君) やはり国からの支援がないと少し心もとないという、そういう気持ちでおりました。半導体の工場については、県民が大変期待しておりますので、どうぞ実現に向けて一層の尽力をしていただきますようお願い申し上げます。 次に、県警本部長にお伺いいたします。半導体工場進出で、台湾などから技術者やその御家族など多数の外国の方が来県することと思います。長期で勤務される方は、自家用・業務用を含めて、自動車や自転車を運転される方が少なくないと思います。一方、台湾をはじめ、日本以外の国の多くの国や地域は、自動車が右側運転で歩行者などは左側通行。日本の交通ルールに不慣れな外国出身の運転者や自転車利用者が今後ますます増えることと想定されます。自動車の右側通行に慣れてもらうことや、国内免許への切替えなどをスムーズに行うために、運転免許試験場のコースをこのような外国の方に利用していただくことについて、お考えを伺いたいと思います。あわせて、指定教習所、自動車学校ですね。それらについてもコースの開放などをしていただければ大変ありがたいなと感じるところなのですが、御所見を伺います。
○副議長(本木忠一君) 警察本部長細田正君。
◎警察本部長(細田正君) まず、運転免許試験場につきましては、平成九年から交通安全協会と締結した上で、交通安全協会の管理の下で、これについては外国人の方も含めまして、利用することができるようにしております。しかしながら、ここ最近の新型コロナウイルス感染症の関係で今中断しておりまして、このことにつきましては現在、早期に再開することとして調整中であります。一方で、指定自動車教習所につきましては、そもそもそういう練習場の場所のコースとしての予定はしておりませんけれども、このことにつきましても、その関係で外国人の受入れ準備が全くできていないという状況にあります。しかしながら、県警といたしましても、今後外国人が増加するということは十分予想されるところでありますので、将来的に外国人の方々の利用について、その頻度であるとか、あとは指定教習所の準備状況に応じて働きかけをしてまいりたいと考えております。
○副議長(本木忠一君) 十三番
佐々木奈津江君。
◆十三番(
佐々木奈津江君) 市内の認定自動車学校、あるいは宮城県内の自動車学校で受け入れていただけるのであれば、大変ありがたいことであります。神奈川県では、有料ではありますが、取り組んでいらっしゃるところもあるということです。例えば、気仙沼にお住まいの方が、教習のため、運転の練習のためだけに仙台に来て練習するということでは大変だと思うんです。県内の四つある運転免許センターにおいても同様の措置をしていただければ大変ありがたいと思うのですが、そこら辺、御所見を伺います。
○副議長(本木忠一君) 警察本部長細田正君。
◎警察本部長(細田正君) 今議員が御指摘のとおり、指定自動車教習所につきましては、そもそも予定はしておらなかったんですけれども、これは警察庁のほうからも指示がございまして、今後、そのような指定教習所のほうにもできる限り使えるようにしていこうという方針が示されておりますので、県警といたしましても、準備ができたところにつきましては働きかけをしていきたいと考えております。
○副議長(本木忠一君) 十三番
佐々木奈津江君。
◆十三番(
佐々木奈津江君) どうもありがとうございます。以上で質問を終わります。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。 〔十六番 菊地忠久君登壇〕
◆十六番(菊地忠久君) ただいま議長より発言のお許しを頂きましたので、大綱四点について一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 大綱一点目、少子化と地域医療についてお伺いいたします。 我が国の少子化のペースが加速しております。今月五日、
厚生労働省は、二〇二三年の人口動態統計を発表いたしました。我が国の一人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は、一・二〇と過去最低を更新しました。宮城県においては、二〇二二年に一・〇九と四年連続で東京に次ぐワースト二位だったものが、二〇二三年は東京、北海道に次ぐワースト三位と、順位こそよくなりましたが、数字は一・〇七と更に悪化した結果となりました。その原因は、経済的負担や働き方改革の遅れ、多様な価値観等、様々ではありますが、結婚や出産をためらう若い世代が増加していることは間違いありません。村井知事は本年二月、第三百九十一回県議会定例会において、令和六年度の県政運営の在り方と議案の概要説明をする中で、更なる少子化の進行は、県経済や県民生活に多大な影響をもたらすことが懸念され、看過することができない課題である。少子化の加速による人口減少に対応するため、少子化対策に加え、様々な施策に積極的に取り組むことが肝要と述べられておりましたし、本定例会冒頭におきましても、人口減少対策を重要な政策課題に掲げ、我が県の総力を挙げて取り組んでいる。必要な対策として、まずは少子化傾向に歯止めをかけることが重要と発言されておりました。少子化の要因は複合的かつ複雑に絡み合っていることは理解しておりますが、宮城県がこうして毎年ワーストに名を連ねるということは、他府県とは異なる何らかの理由があるのではないでしょうか。知事は、安心して子供を産み育てることのできる環境整備を進めるとも述べておられます。そのためには、住み慣れた地域で安心して分娩ができる環境があることは必要不可欠であり、そのことによって、若い世代の方々が地元に定着することにつながると考えます。 しかしながら、全国的に産婦人科の医師が不足しているとともに、分娩できる施設も減少しております。日本
産婦人科医会によると、分娩を扱うクリニックの数は、この十年間で、全国で約四百施設ほど減少しているそうです。仙南地区二市七町で構成する仙南医療圏においても、かつては、
公立刈田綜合病院やみやぎ県南中核病院をはじめ、分娩可能な施設が多数ありました。そのような中、平成二十八年五月に刈田病院が分娩の取扱いをやめ、セミオープン方式に移行しました。その後、仙南地域において唯一の分娩可能な公立病院として、みやぎ県南中核病院がその役割を担ってきましたが、東北大学産婦人科教室の医師不足から、産科医の派遣が困難となり、令和二年十月、県南中核病院においても分娩の取扱いを休止し、セミオープン方式となりました。現在、仙南医療圏において分娩可能な医療機関は、柴田町にある個人開業の二施設のみとなっております。妊婦さんやその御家族にとって、出産することは大きな希望や期待がありながらも、同じように不安も感じていらっしゃいます。容態の急変など、いざまさかの際、自分が住んでいる近くのところに分娩施設があるのとそうでないのでは、安心感が全く異なってくるのは言うまでもありません。住み慣れた地域で安心して分娩ができる環境がないことは、妊娠や出産をためらう要因の一つになるのではないでしょうか。現在、宮城県内には分娩可能な施設が三十二施設あるうち、仙南医療圏では個人経営の診療所二施設しかないことは、安心して分娩ができる環境とは言えず、医療圏全体の大きな課題となっております。そこで、仙南医療圏における周産期医療の現状をどのように捉えておられるか、少子化対策も含めながら、御所見をお伺いいたします。 令和五年十月に示されたみやぎ県南中核病院の経営強化プランには、「当院での分娩復活は喫緊の課題である。東北大学産婦人科からの支援だけでなく、東北医科薬科大学産婦人科との連携を強化し、経営強化プランの実施期間内に当院の分娩復活の目途を立てることを重要課題とする」とあります。また、今月号の院外広報紙、中核だよりでは、伊勢副病院長が「周産期医療の再開を視野に入れている」と述べておられます。更に、本年度からスタートした第八次宮城県
地域医療計画では、仙南医療圏の課題と取組の方向性として、「みやぎ県南中核病院の分娩再開までの間、産科セミオープンシステムによる連携を図るとともに、医療従事者を確保するなど、周産期医療体制の維持・充実を図ります」とあります。そこで、みやぎ県南中核病院における分娩の再開についての所見と、今後の具体的な支援等についてお伺いいたします。 近年、白石市にある
公立刈田綜合病院は、慢性的な経営不振により、構成市町からの補助金・負担金が年々増え続け、そのままではその負担割合が八六・七%と大部分を占めた白石市の財政が破綻するという危機に直面しました。その後、紆余曲折がありましたが、一市二町で構成し公設公営で病院を運営する組合を解散し、令和五年四月から白石市単独で運営する市立病院として、指定管理者制度を導入し、再スタートを切りました。民間の経営感覚、活力を存分に発揮していただき、救急患者の受入れの増加や、午後も外来診療を行うようになったなど、住民の方々からも好意的に受け止められております。
病床稼働率も、令和四年度は五六・四%だったものから、公設民営化一年目である令和五年度は七四・五%へ上昇するなど、それまで毎月約八千万円から一億円の赤字が出ていたものが、昨年度、年間で約五千百万円のプラスとなる医業利益がありました。現在、公設民営化二年目であり、まだまだ再建途上にある状況ですが、公設民営化の効果が如実に現れ、地域医療の充実、そして経営的な観点からも、非常によい方向に進んでいると言えます。また、
地域医療構想に基づき、県南中核病院と刈田病院との機能分化、すなわち、中核病院は急性期の患者を重点的に、刈田病院は回復期・慢性期の患者を重点的に扱うという連携も順調に進んでおります。
公立刈田綜合病院の経営再建に向けたこれまでの取組と、経営が改善に向かっている現状についての御所見をお伺いいたします。 診療体制や経営状況はよい方向に進んでおりますが、安定的な黒字化を目指すには課題もあります。その一つとして、医師や看護師をはじめとする医療スタッフの人手不足が挙げられます。現在、看護師等の不足等によって、総ベッド数百九十九床のうち、四十七床が休止となっております。また、刈田病院においても県南中核病院と同様に周産期医療の再開を目指しておりますが、産科医がいないなど体制が整っておらず、現時点で再開の見通しは立っておりません。 そこで、医師不足の対応に関し、東北医科薬科大学における修学資金制度についてお伺いいたします。この制度は、宮城県が東日本大震災への復興支援として、クウェート国より寄附を頂いた五百万バレルの原油を原資として、九十億円を地域医療の復興に活用するため、震災後新たに医学部が設立された東北医科薬科大学に修学資金の基金として支援することとなったものです。それを受け、東北医科薬科大学が東北の医療を支え、地域医療に貢献できる医師の養成を目的とするクウェート国友好医学生修学基金を設け、管理運営をしております。この修学資金制度A方式の宮城県枠として、毎年三十名の学生に対し、六年間で計三千万円を貸し付けるという制度があります。そして、貸付けを受けた学生は、大学卒業後、初期臨床研修の二年間を除き、以後、知事の指定する医療機関等に十年間勤務することを条件に、返済が免除されるというものです。そして、この制度を活用して派遣された医療機関は、資金管理団体である東北地域医療支援機構に年間三百万円を十年間、特別会費として支払うということによって、基本的には基金が枯渇することなく制度を継続していけるという、非常に優れた制度設計になっております。東北医科薬科大学は、地域医療を支える医師の養成のため、特に宮城県や東北地方への医師の定着のために、地域医療ネットワーク病院等を活用し、二年生時から体験学習を実施するなど、様々な特色ある教育を行っております。また、第八次宮城県
地域医療計画によると、令和二年人口十万人当たりの医師数は、全国平均二百六十九・二名に対し、宮城県は二百五十八・五名、仙南医療圏では百六十六・九名となっており、東北の地域医療を支える使命を持って医学部が開設された東北医科薬科大学への期待は大きなものがあります。更に、修学資金制度A方式の宮城県枠で年間三十名、十年間にすると三百名もの医師が知事の指定する医療機関に派遣されるということは、医師不足に悩む刈田病院のような県内医療機関や公立病院を持つ自治体は、大いに期待しているところです。しかしながら、修学資金制度A方式の宮城県枠について、二〇二五年度の入学者から、定員が現行の三十名から十名に減少することとなったと伺いました。東北各県や国との調整を踏まえて変更に至ったとのことですが、この経緯について詳細をお伺いいたします。 二〇一八年から、日本専門医機構が認定する新たな専門医の養成制度、専門研修プログラムが始まりました。これは、医師免許を取得し、二年間の臨床研修を修了後、選択する診療科による違いはありますが、専門医を取得するために三年から五年間の専門研修が必要となるものです。各学会が認定していた旧制度では、個人の事情によってばらばらであったものが、新制度の基本領域専門医は、臨床研修後、まず取得すべきものと位置づけが変化し、専門医取得が医師としてのキャリアアップの第一歩となっているそうです。そして、専門医の診療科は全部で十九診療科があり、取得するには条件を満たした基幹病院で専門研修プログラムを受けることになりますが、この基幹病院の条件を満たせるのは、いわゆる大病院と言われるところとなっております。宮城県には十四の基幹病院がありますが、その多くが仙台市に存在しており、東北大学は十九の診療科全てにおいて、東北医科薬科大学は十四診療科、仙台医療センターは五診療科に対応しております。一方、大崎市民病院は内科と外科の二診療科、石巻市立病院は総合診療科の一診療科、みやぎ県南中核病院と気仙沼市立病院は内科の一診療科の対応となっております。このことによって、専門医取得を目指す若手医師が都市部に集中することになります。そして、修学資金A方式の宮城県枠については、この専門医取得の研修期間は、知事指定の医療機関に勤務する履行義務期間には含まれる上、東北大学病院と東北医科薬科大学病院で専門研修プログラムを履行する場合、病院に対して特別会費の負担を求めないこととなりました。また、例えば、東北大学で三年間の専門医の研修プログラムを受けた医師は、その後の四年間は東北大学の医局員として仙台市以外の東北六県の東北大学関連病院で勤務し、その後の三年間が地域貢献期間として仙台市以外の東北六県の中小規模の病院や診療所に勤務することになります。すなわちこれは、当初の制度設計では、知事の指定する医療機関に勤務する義務期間が十年間であったものが、変更後の制度では、実質的に最後の三年間のみが義務期間となっております。これらの制度変更は、刈田病院のような東北大学病院の関連病院以外の医師不足に直面している医療機関にとって非常に不利な変更であり、地方の医師不足への対応機能が低下するものと考えますが、このことについて、県の御所見をお伺いいたします。 次に、大綱二点目、地域交通網の整備についてお伺いいたします。 (パネルを示す)初めに、配付資料の御説明をいたします。資料の一枚目、黄色で示されたところが、既存の県道五十号白石柴田線で、紫色が白石沖西堀線、赤色が中河原馬場掘東線と未整備の都市計画道路の区間となっております。そして二枚目が、資料の一枚目の一部を拡大して示しているところでございます。資料を見ながらお聞きください。 県道五十号白石柴田線は、白石市半沢屋敷を起点に、終点柴田町までの主要地方道に指定されている路線です。この路線ですが、全体的に幅員が狭い区間や、歩道が未整備の区間も多く見られます。特に白石市内や蔵王町内の区間は顕著であり、例えば白石市内では、JR東白石駅付近は特に幅員狭小で、対向車との擦れ違いが困難となっております。地元住民にとっては重要な生活道路であり、また、白石市中心部や国道四号を迂回するルートにもなっており、かねてより地元住民の皆様から早期整備を求める声が聞かれております。そういった中で、現在、白石市白川地区内においては、地元先輩議員の御尽力もあり、道路の拡幅工事が実施されており、利便性や安全性の向上が大いに期待できるものであり、住民の方から大変喜ばれております。安全第一で工事を進めていただくことを望みます。 この白石柴田線の起点となる白石市半沢屋敷の南側付近には、国道百十三号線が通っておりますが、朝夕の通勤通学の時間帯になると、亘理町交差点で慢性的な渋滞が発生しております。この亘理町交差点での渋滞を避けるため、県道白石柴田線に迂回する車も多くなっており、特に朝の時間帯は、東側から西側へ向かう交通量、すなわち国道百十三号線から県道十二号白石上山線を通り、国道四号方面へ向かう交通量が多く見られます。この区間は、延命寺北の三差路交差点から白石柴田線の起点となっている半沢屋敷前の丁字路交差点までの約四百五十メートルの区間ですが、そこには白石第一小学校が立地しており、この区間は児童の通学路にもなっております。しかしながら、交通量が多いにもかかわらず、幅員が狭く、歩道も未整備となっており、非常に危険な道路であると言わざるを得ません。児童や地元住民、ドライバーの皆さんが危険な道路であると認識しているからこそ、幸いにして大きな事故などは発生しておりませんが、住民の方に伺うと、冷やりとする場面は時折見られるそうです。また、今述べたように、国道百十三号線から白石柴田線へ迂回するには、不澄ケ池交差点を右折し白石市の市道を通り、延命寺北の三差路交差点で白石柴田線に合流するわけですが、この市道部分も幅員は狭い上、歩道もありません。そのような狭小な道路の上、県道と接する箇所は三差路かつ見通しも悪く、信号も未整備となっており、この市道は、白石市の都市計画道路、白石沖西堀線となっておりますが、このような状況を踏まえ、白石市では、今年度から道路拡幅に整備着手する予定となっております。そこで、歩行者、特に児童の安全対策や慢性的な混雑の解消を図るために、白石柴田線の約四百五十メートルの区間について、歩道の設置や道路の拡幅等の整備をすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 現在の沿道開発状況や社会情勢の変化に合わせた白石市の都市計画道路網の形成と機能強化を図るため、仙南都市計画道路の変更が決定され、本年四月五日に告示され、都市計画道路、中河原馬場堀東線が追加されました。この路線は、白石市福岡長袋字高畑の国道四号線を起点に、白石川に橋梁を架け、白石市郡山字馬場掘東の終点の県道白石柴田線を結ぶ、約九百六十メートルの幹線街路です。現在、中心市街地と国道四号を結ぶ橋梁は二か所しかないため、一部区間に交通量が集中し、亘理町交差点等に慢性的な渋滞が発生しております。この中河原馬場掘東線が整備されれば、交通の流れが大きく変わり、その結果、市内中心部の渋滞が緩和される期待が持てます。そして、県道白石柴田線とほぼ並行するように計画されている白石沖西堀線の未整備区間についても一体的に整備が図られれば、更にその効果が高まるものと考えます。しかしながら、この路線を白石市のような小さな自治体が単独で事業化するには、負担が非常に大きなものとなっております。そこで、県の技術的・財政的な支援の下、整備を行うことで事業化につながると考えますが、御所見をお伺いいたします。 大綱三点目、宿泊税についてお伺いいたします。 現在、宮城県と仙台市は、宿泊税の導入に向け検討を進めております。これまでも県は、宿泊税を導入する理由として、人口減少により県内経済の縮小が見込まれる中で、交流人口の拡大に向けた取組、観光振興を推進するための財源確保と説明されておりますが、改めて宿泊税を導入する背景、意義、効果についてお伺いいたします。 本年四月、会派の皆様と佐賀県並びに福岡県へ視察に行ってまいりました。福岡県では、令和二年四月から福岡県と福岡市が宿泊税を実施しており、五月には、会派の一期生で本年十一月から実施が決定している北海道ニセコ町を視察し、それぞれ宿泊税について説明を受けてまいりました。宿泊税導入検討段階において、我が宮城県と異なり、かつ福岡県やニセコ町に共通する点が二点あります。一点目は、導入の際、オーバーツーリズムに対する危機感があり、その対策や更なる受入れ環境の充実が宿泊事業者や住民の側から求められたため、導入への反対意見があまりなかったということです。二点目は、事業者等への説明が十分になされていたということです。宮城県は、事業者の理解を得るため、これまで事業者等へのヒアリングを行ってきましたが、説明不足の指摘を受け、現在、県ホテル旅館生活衛生同業組合の支部単位での意見交換会を開催しております。このことについては評価をしておりますが、より多くの方から理解を得られるためには、やはりまだまだ説明や意見聴取の機会が不足しているのではないでしょうか。更に、コロナ禍で打撃を受けた旅行需要が回復傾向にあるとはいえ、コロナ禍で多額の運転資金を借入れするなど、経営が安定しているとは言えない事業者も多く存在しております。そのような中、今回宿泊税を導入すれば事業に打撃を受けると考える事業者がいるのも大いに理解できるものであります。そのような観点から、結論を急がずに一度立ち止まり、県内の社会情勢等を踏まえながら、期限を設けずに改めて時間をかけて検討すべきものと考えますが、所見をお伺いいたします。 宿泊税の制度設計について、仙台市と調整中のものも多くあります。そのような中で、税率については、仙台市が一人一泊当たり二百円、宮城県は三百円で、仙台市内の宿泊者は百円、仙台市分と合わせて三百円と一部報道で伝えられております。東京都や大阪府のように、宿泊料金に応じた段階的定額制で実施している自治体も多くあります。また、北海道倶知安町のように、宿泊料金の二%を一律に徴収する定率制で実施している先行自治体も存在しております。この税率について、これまでの検討状況と今後の見通しについてお伺いいたします。 県内の宿泊者は観光客だけでなく、湯治目的やビジネス目的の方もたくさんいらっしゃいます。湯治目的では自炊をしながら長期滞在することも多いですし、例えば建設業者では、建設現場に近い宿泊施設に複数の社員が長期滞在することもあります。このような連泊客の場合、宿泊税の負担は大変大きなものとなり、観光産業の体制強化や受入れ施設の整備を訴求しても、理解が得られることは難しいと考えるのも無理がありません。そこで、税を徴収する日数の上限を設ける等、連泊への対応を考慮すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 持続可能な観光地域を構築するため、新たな観光政策を展開するために宿泊税を活用する目的税であっても、実際何に使われるか使途事業が分からない、一般財源に組み入れられるのではないかという不安を抱えている事業者や宿泊者も多くいらっしゃいます。そのような声に対応するため、ニセコ町では、宿泊税充当事業予算は、町のホームページや広報誌での周知やチラシの作成、ロゴマークを表示して分かりやすさを工夫されておられます。本県においても、そのように使途を明確にすることが必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。 特別徴収義務者である宿泊事業者に対する交付金ですが、宿泊税額の一定割合を交付するものとして、仙台市と県が同一の交付金とする方向で調整中とのことです。宿泊税を実施している自治体を見ると、おおむね税額の二・五%から三%となっているところが多いようです。しかしながら、昨今、我が国においてもキャッシュレス化が進展し、多くの宿泊客がキャッシュレス決済をしております。その場合、宿泊事業者はカード決済手数料等によって相殺されてしまいます。そのため、ニセコ町では、特別徴収義務者交付金を五・〇%交付することになっております。町の担当者からは、この交付金を手厚くすることは大事で、宿泊事業者の理解や協力が得られやすくなるとおっしゃっておりました。特別徴収義務者交付金について、御所見をお伺いいたします。 以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 菊地忠久議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、少子化と地域医療についての御質問にお答えいたします。 初めに、仙南医療圏における周産期医療の現状についてのお尋ねにお答えいたします。 少子化対策を進めるためには、安心して子供を産み育てるための保健・医療の充実を図る必要があり、周産期医療体制の整備も重要な施策の一つであると認識しております。仙南医療圏における周産期医療は、みやぎ県南中核病院が分娩を休止して以降、分娩施設と健診施設が機能分担を図る、セミオープンシステム等により、圏域内二か所の既存診療所とともに、
仙台医療圏にある病院が仙南の分娩を担っている状況にあります。本来であれば、二次医療圏ごとに、地域の周産期医療の中核となる地域周産期母子医療センターがあることが望ましいと考えておりますことから、県といたしましては、仙南医療圏において、住み慣れた地域で安心して分娩ができる環境の実現に向け、取り組んでまいりたいと考えております。 次に、みやぎ県南中核病院の分娩再開への所見と具体的な支援についての御質問にお答えいたします。 みやぎ県南中核病院では、令和二年十月以降、分娩の取扱いを休止したものの、産科医師の確保に努め、再開を目指して努力を続けているとのことであり、県としても期待しているところであります。分娩再開のために必要となる産科医師の確保は、全国的な課題でありますが、県としては、ドクターバンク事業や、東北医科薬科大学のA方式宮城県枠に係る特定診療科の指定による産科医師への誘導など、様々な取組を通じて、産科医師の養成・確保に努め、引き続き、できる限りの支援を行ってまいります。 次に、
公立刈田綜合病院の取組と現状についての御質問にお答えいたします。
公立刈田綜合病院については、近接するみやぎ県南中核病院との診療科目や医療機能の重複、医療従事者の不足などによる稼働率の低下や病棟の休止等の問題に対応するため、令和二年一月に国の重点支援区域の指定を受け、医療機能の分化・連携に向けた取組を進めてまいりました。具体的には、みやぎ県南中核病院は急性期医療の拠点機能を、
公立刈田綜合病院は回復期を中心とする医療を担い、両者の連携により、効率的で持続可能な医療を提供できるものであり、現在、この医療連携が実践されてきているものと認識しております。
公立刈田綜合病院は、昨年四月から公設民営化により再スタートを切りましたが、回復期などの地域に求められる医療に注力した成果が、経営面にも徐々に現れているものと受け止めております。県といたしましては、今後も、
地域医療構想調整会議等において、医療機関などの関係者と医療機能の分化・連携に向けた議論を進めながら、仙南地域の医療提供体制の確保に向け、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、宿泊税についての御質問のうち、導入の背景、意義、効果についてのお尋ねにお答えいたします。 宿泊税の導入を検討している背景には、人口減少に伴い、経済規模の縮小が見込まれる中、国内外からの交流人口拡大が期待できる観光の重要性が高まっており、観光振興に資する安定的かつ継続的な財源確保の課題があります。このため、宿泊施設の収益力強化や深刻化する人手不足への対応などの課題を解決する新たな施策に取り組み、持続可能な観光地域づくりを進める財源として、観光振興を目的とした宿泊税は意義あるものと考えております。宿泊税の導入により、宿泊施設の収益力強化や人手不足解消のほか、地域資源の磨き上げや観光客の受入れ環境整備、閑散期対策などの観光振興施策を実施することにより、インバウンドを含めた交流人口の拡大を図ることができることから、地域経済の活性化につながる効果を期待しているところでございます。 私からは、以上です。
○副議長(本木忠一君) 総務部長小野寺邦貢君。 〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕
◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱三点目、宿泊税についての御質問のうち、特別徴収義務者交付金についてのお尋ねにお答えいたします。 特別徴収義務者となる宿泊事業者の方々には、宿泊客への対応、帳簿記入、申告・納入などの事務負担が生じることから、その事務費の一部を補助するものとして、交付金の導入を検討しております。その額については、申告納入された税額の一定割合と考えておりますが、仮にキャッシュレス決済の手数料を考慮に入れた場合、事業者がキャッシュレス決済に対応していない場合や、宿泊者が現金で決済した場合の交付額をどう算定すべきかとの課題が生じます。なお、地方税における特別徴収義務者交付金は、納税義務者の過重負担につながる懸念があることから、国の指導に基づき、全国的な均衡を図った上で、軽油引取税などの一部税目に限って交付しているところでございます。このような考え方の下、宿泊税におきましても、先行自治体の制度を参考にしながら、適切な交付金の在り方を検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
保健福祉部長志賀慎治君。 〔
保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎
保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、少子化と地域医療についての御質問のうち、東北医科薬科大学における修学資金制度の宮城県枠定員が減少することになった経緯についてのお尋ねにお答えいたします。 今回の募集人員の変更については、国、東北各県の医療担当部局、医学部を有する大学や医師会などで構成される、東北医科薬科大学医学部教育運営協議会において昨年五月に決定されたもので、来年度入学者選抜から、修学資金制度A方式の宮城県枠の募集定員を三十名から十名に変更し、東北五県の修学資金制度を活用する、募集人員二十名の総合型選抜を実施すると伺っております。これは、国が公表した将来的な必要医師数や、医師の需給推計などを踏まえると、我が県を除く東北五県については不足が見込まれることから、東北医科薬科大学において、設立の趣旨である、東北全体の地域医療への貢献を果たすという観点から見直しが行われたものと認識しております。 次に、東北医科薬科大学における修学資金制度の宮城県枠医師の義務履行についての御質問にお答えいたします。 東北医科薬科大学宮城県枠医師の義務履行については、同大学医学部開設後の平成三十年四月から新専門医制度が開始されたことを受け、臨床研修後すぐに専門医取得が可能となるような制度に変更しております。また、専門医取得後についても、
公立刈田綜合病院を含む一定規模の病院で十分な臨床経験を積んだ後、中小規模の病院や診療所で地域に密着した医療を実践していただくことにより、医師としてのキャリアアップに配慮しながら、地域医療体制の充実に寄与することができる制度としております。県としましては、東北医科薬科大学宮城県枠医師に、義務履行後も将来にわたって宮城県内に定着していただくため、医師としてのキャリア形成を丁寧に支援しながら、医療機関のニーズにも十分に応えることができるよう、今後とも適切な制度運用に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱三点目、宿泊税についての御質問のうち、一度立ち止まり、期限を設けずに検討すべきとのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のとおり、宿泊事業者の方々からは、コロナ禍以前より経営が厳しいなどといった切実な声が寄せられておりますが、このような声に応えるためにも、宿泊税の導入により想定している、収益力向上のための宿泊施設改修や省力化のための設備導入等への支援、閑散期の誘客対策などの取組により、宿泊事業者の経営環境の改善等に努めてまいりたいと考えております。導入に当たっては、同じく導入を目指す仙台市との調整に加え、宿泊事業者の理解が重要だと考えておりますので、引き続き丁寧に進めてまいります。 次に、税率の検討状況等についての御質問にお答えいたします。 令和二年一月の宮城県観光振興財源検討会議の答申では、段階的定額制の案と、一律定額制の案が示されました。この答申に基づき検討した結果、二次交通の充実や観光案内板の整備、Wi-Fi環境の整備など、宿泊者が享受する観光に係る公共サービスの利益の限度が、宿泊料金にかかわらず同等であることに加えて、宿泊事業者の負担軽減を考慮し、できるだけ簡素な税制度とすることが適当であることから、令和二年二月議会に提出した条例案の税率を一律三百円としたものです。また、宿泊税の充当事業の規模は、前回提案時と同程度を想定しており、同じく導入を検討している仙台市も一律定額制で検討を進めていることから、一律三百円の税率をベースに協議してまいります。 次に、連泊への対応を考慮すべきとの御質問にお答えいたします。 湯治やビジネス目的などの長期滞在者に対して配慮を望む声は、みやぎ観光振興会議等でも頂いているところです。湯治客は低廉な価格で宿泊しており、長期滞在となるケースが多いことから、こうした方々への配慮については、同じく導入を検討している仙台市と協議してまいります。また、ビジネス目的の宿泊者からは、ワークスペースやインターネット環境の整備など、長期滞在に伴う施設環境の快適性を求める声があることから、ビジネスホテル事業者の御意見も伺いながら、必要な施策を検討してまいります。 次に、宿泊税の使途を明確にすべきとの御質問にお答えいたします。 現在検討している宿泊税については、課税目的に沿った観光施策のみに充当するため、納入された税を管理する基金を設置した上で、税収と使途を明確にすることとしております。効果的な観光振興施策に充てられるのかといった宿泊事業者の懸念の声に加え、宿泊客の中には県民も多く含まれることから、宿泊税がどのような施策に充当されているかについて、広く県民に対して十分に説明するため、先行自治体の取組も参考にしながら、広報の在り方を検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、地域交通網の整備についての御質問のうち、県道白石柴田線の歩道の設置や拡幅等の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 県道白石柴田線は、白石市と柴田町を結ぶ幹線道路であり、並行する国道四号の代替機能も担う重要な路線でありますが、一部に幅員狭小区間があるなど、安全で円滑な交通の確保に課題があることから、現在、白石市北白川地区などにおいて、地域の方々と協働しながら、道路拡幅等に取り組んでおります。御指摘のありました、通学路に指定されている白石第一小学校前の約四百五十メートル区間については、令和三年度に市
教育委員会や警察等と通学路合同点検を実施し、その結果を踏まえて策定した通学路危険箇所対策プログラムに基づき、令和四年度に横断歩道付近に注意喚起の路面表示を行うなどの交通安全対策を実施したところです。一方、当該区間は、沿線の両側に住宅が立ち並び、歩道の設置や道路拡幅等の抜本的な整備は、多くの家屋移転が伴うなど、まちづくりにも大きな影響があることから、早期の整備は難しいと考えております。県といたしましては、引き続き、安全な歩行空間の確保に向けて、市や地域の方々の御意見を伺いながら、関係機関と連携し、注意喚起看板の設置や路肩へのカラー舗装による路面表示など、必要な安全対策について検討してまいります。 次に、都市計画道路の事業化についての御質問にお答えいたします。 白石市では、令和四年十二月に策定した白石市都市計画マスタープランを踏まえ、長期未着手となっている都市計画道路の見直しを行ってきたところであり、今年四月に市街地環状線の一部を形成する路線として、中河原馬場堀東線は市が、白石沖西堀線は県が、それぞれ都市計画決定しております。これら二路線は、市街地の通過交通の流入を抑制するための路線であり、物流の円滑化や渋滞解消が図られるなど、白石市内の道路ネットワークを形成する重要な幹線道路であると認識しております。事業化に当たっては、白石川を渡る長大橋の整備や多くの家屋移転が伴うなど、大規模な事業が想定されることから、県といたしましては、周辺の土地利用や今後のまちづくりの進展を踏まえ、白石市と連携しながら、事業手法や進め方などについて検討してまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。
◆十六番(菊地忠久君) 御答弁ありがとうございます。それでは、何点かお伺いいたしたいと思います。 修学資金制度A方式宮城県枠で、特別会費の支払いを東北大学と医科薬科大学で研修期間中は支払わなくていいということですと、これはシンプルに考えると、もともと修学資金が枯渇することなくずっと回っていくという制度だったと思うんですけれども、返済しなくていいとなると、三百万円の十人で三千万円。それが三年間で九千万円ですから、今後、一年間ごとに九千万円ずつ基金が単純計算で目減りしていくというものになると思うのですが、この辺りについて、知事はどのようにお考えでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 制度設計をしたときは、専門医制度というのはなかったんです。もちろん、専門医制度をやってはならないということも、やれないことはなかったのかもしれないですけれども。そうすると、当然、若い方はみんな辞めていってしまうということです。それならば俺は辞めるということになってしまうということで、専門医制度をやらざるを得なかったということです。そうすると、当然、義務年限十年のうち三年間はそれに食われてしまうということになります。おっしゃったような問題が起こるわけであります。また、三十人ずつとなってしまうと、いろいろ調整していくと、やはり受入れが大変だということもありました。東北医科薬科大学が本来は全部調整すればいいんですけれども、東北医科薬科大学も調整は自分たちは難しいということで、東北大学にコントロールしていただくということ、これは結構苦労したんですけれども、調整してもらうことになって、人数を十人に絞ってということです。ただ、今おっしゃったように、どうしても、期間が短くなるということは、ずっと回っていくシステムが一旦は崩れていってしまいますから、だんだん目減りしていくことは間違いないというふうに思います。ただし、これから二〇四〇年頃に高齢者のピークが来ます。それ以降は今度高齢者も減ってくるということで、人口がどんどん減ってきますから、当たり前ですけれど、病院の数をやはり減らさざるを得なくなってくる。そうすると、今、医者が足りないと言っていますけれども、いずれは医者に余裕が出てくるということになってくるということです。それまでは、ずっと増やし続けていって、ピークを超えたときには、ほぼお金がなくなっていくという形に持っていこうかなと。東北医科薬科大学のA枠以外の人達も、当たり前ですけれども、宮城県で卒業されるわけですから、A枠以外の方も宮城県に残って勤務医として働いていただく方が当然いるわけですよね。ですから、そういうことを考えると、基金は、クウェートから頂いたお金でありますので、まずは今、医者が足りない間はしっかり確保して、いずれは基金がなくなることも、県民もクェートのほうも理解してくれるだろうということで、今回こういう制度設計をしたということでございます。少なくとも今医者が足りないときは、ずっと増やしていくことには間違いございませんので、安心していただきたいと思います。刈田病院のほうにしっかりと医師を派遣できるようにしてまいることはお約束したいというふうに思います。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。
◆十六番(菊地忠久君) 今、刈田病院のほう、お約束をしていただいたということで、大変ありがたいお話を頂きました。よろしくお願いいたします。 それで、そもそもその医師不足とか医師の地域の偏在というのは、県の支援も必要ですけれども、本来であれば国がしっかりと力を入れていかなければいけないというところでありますので、そこはやはり知事会の会長として村井知事のほうで国にしっかりと訴えていただきたいと思うのですが、その辺りについて一言お願いいたします。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) やはり大都市以外は、みんな同じ問題--まだ宮城はいいほうなんですけれども、本当にどんどんひどくなってくるということです。したがって、大都市対地方の闘いにはなるんですけれども、当然、私は、日本全体を見て、そういった問題を国としてしっかりとやっていただけるように強く訴えていきたいというふうに思っております。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。
◆十六番(菊地忠久君) ありがとうございます。それで、特に産科医師が不足しているというところも理解しておりますので、周産期ですけれども、中核病院とか刈田病院ですぐに再開するのは非常に難しいなというのも実際理解しております。県もいろいろ支援はしていただいておりますけれども、すぐにというわけにはいかないというのも分かっております。そういった意味で、やはり高度な医療を提供できる総合周産期母子医療センターに指定されている日赤病院が県南の名取に来るというのは、この仙南医療圏の人たちにとって非常に大きなことですし、
仙台医療圏に限らず角田や丸森、亘理といった方々も大きな期待をしているところでございますので、その期待に応えるためにも、ぜひ進めていただきたいと思いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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△休会の決定
○副議長(本木忠一君) お諮りいたします。 明日から六月二十四日まで三日間、本会議を休会とし、六月二十五日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(本木忠一君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から六月二十四日まで三日間、本会議を休会とし、六月二十五日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。 残余の質疑、質問は、六月二十五日に継続することにいたします。
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△散会
○副議長(本木忠一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 六月二十五日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時四十八分散会...