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  1. 宮城県議会 2024-02-01
    02月27日-05号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 6年  2月 定例会(第391回)          第三百九十一回宮城県議会(定例会)会議録                              (第五号)令和六年二月二十七日(火曜日)  午前十時開議  午後三時十四分散会      議長                     高橋伸二君      副議長                    本木忠一君出席議員(五十七名)        第一番                  ふなやま由美君        第二番                  かっち 恵君        第三番                  平岡静香君        第四番                  石森ゆうじ君        第五番                  阿部眞喜君        第六番                  柚木貴光君        第七番                  高橋克也君        第八番                  さとう道昭君        第九番                  熊谷一平君        第十番                  藤原益栄君       第十二番                  荒川洋平君       第十三番                  佐々木奈津江君       第十四番                  小野寺 健君       第十五番                  大池康一君       第十六番                  菊地忠久君       第十七番                  杉原 崇君       第十八番                  村岡たかこ君       第十九番                  伏谷修一君       第二十番                  松本由男君      第二十一番                  渡辺重益君      第二十二番                  わたなべ 拓君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  小畑仁子君      第二十五番                  三浦ななみ君      第二十六番                  枡 和也君      第二十七番                  佐藤仁一君      第二十九番                  横山のぼる君       第三十番                  伊藤吉浩君      第三十一番                  八島利美君      第三十二番                  瀬戸健治郎君      第三十三番                  村上久仁君      第三十四番                  高橋宗也君      第三十五番                  高橋 啓君      第三十六番                  遠藤隼人君      第三十七番                  渡辺勝幸君      第三十八番                  横山隆光君      第三十九番                  三浦一敏君       第四十番                  渡辺忠悦君      第四十一番                  熊谷義彦君      第四十二番                  佐々木功悦君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十五番                  吉川寛康君      第四十六番                  伊藤和博君      第四十七番                  佐々木賢司君      第四十八番                  守屋守武君      第四十九番                  外崎浩子君       第五十番                  村上智行君      第五十一番                  佐々木幸士君      第五十二番                  高橋伸二君      第五十三番                  菊地恵一君      第五十四番                  佐々木喜藏君      第五十五番                  石川光次郎君      第五十六番                  中島源陽君      第五十七番                  本木忠一君      第五十八番                  中山耕一君      第五十九番                  藤倉知格君欠席議員(二名)       第十一番                  金田もとる君      第二十八番                  遠藤伸幸君-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    伊藤哲也君      副知事                    池田敬之君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   小野寺邦貢君      復興・危機管理部長              千葉 章君      企画部長                   武者光明君      環境生活部長                 佐々木 均君      保健福祉部長                 志賀慎治君      経済商工観光部長               梶村和秀君      農政部長                   橋本和博君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             大庭豪樹君      総務部参事兼秘書課長             村田俊顕君      総務部参事兼財政課長             高橋寿久君    教育委員会      教育長                    佐藤靖彦君      副教育長                   佐藤芳明君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    西條 力君      事務局長                   北沢康一君    公安委員会      委員                     庭野賀津子君      警察本部長                  原 幸太郎君      総務部長                   横山 裕君    労働委員会      事務局長                   中村今日子君    監査委員      委員                     成田由加里君      事務局長                   小林一裕君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   目黒 洋君      副事務局長兼総務課長             大場則昭君      参事兼議事課長                菅原敏彦君      政務調査課長                 佐野浩章君      総務課副参事兼総括課長補佐          堀 喜昭君      議事課総括課長補佐              大友幸二君      副参事兼政務調査課総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査(議事運営担当)        二上秀幸君-----------------------------------    議事日程 第五号                令和六年二月二十七日(火)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第九十一号議案及び報告第一号ないし報告第六号第三 一般質問   〔かっち恵君、杉原崇君、高橋啓君、小畑仁子君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第九十一号議案及び報告第一号ないし報告第六号三 日程第三 一般質問       〔かっち恵君、杉原崇君、高橋啓君、小畑仁子君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(高橋伸二君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(高橋伸二君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二十五番三浦ななみ君、二十六番枡和也君を指名いたします。----------------------------------- △議第一号議案ないし議第九十一号議案 △報告第一号ないし報告第六号・一般質問 ○議長(高橋伸二君) 日程第二、議第一号議案ないし議第九十一号議案及び報告第一号ないし報告第六号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 二月二十二日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。二番かっち恵君。    〔二番 かっち 恵君登壇〕 ◆二番(かっち恵君) おはようございます。立憲・無所属クラブのかっち恵です。さきの県議選では、岸田清実前県議の後継として、初当選させていただきました。岸田前県議のように、県民の声を聞き、真摯に県政と向き合う姿勢を継承してまいります。通告に従い、質問をいたします。 大綱一点目、四病院移転統合・合築に関する問題のうち、県立がんセンター仙台赤十字病院の移転統合についてお尋ねします。 二〇二三年十二月に、突然、県立がんセンターを運営する県立病院機構と、仙台赤十字病院を運営する日本赤十字社との基本合意が締結されました。十一月定例会終了直後、そして八木山での住民説明会が開催され、間を置かずに行われたこの基本合意については、議会軽視、当事者置き去りと言わざるを得ません。その後、日立システムズホールで行われた住民説明会においても、ガス抜きという発言が来場者から聞かれたように、アリバイづくりの住民説明会といった印象が拭い切れないのが現状です。現在まで計三回の説明会で、住民の意見をしっかり聞いたと言えるでしょうか。甚だ疑問です。仙台赤十字病院について言えば、通院している患者さんは、八木山地区だけではありません。本当に住民に広く説明したいのであれば、もっと細かく様々な場所で説明会を開催する必要があると考えますが、御所見を伺います。 二〇一九年の県立がんセンターあり方検討会議の報告では、がんを総合的に診ることができる病院へとありますが、がんを総合的に診るとは、「単に従来の総合病院の「総合」とは異なり、より高度で多様化するがん診療を可能にする総合的な診療体制を意味するもの」とあります。また、研究所機能があることにより、県立がんセンターでは専門性の高いがん治療を行ってきましたが、一般の総合病院で研究所を維持するのは困難と聞いています。周産期医療、救急医療、災害医療、新興感染症対策に対応する病院といった枠組みの中で、がんを総合的に診るということが担保されるのか。これでは、総合病院の中で、がんを診療しているほかの総合病院と変わらないと考えますが、このことについて御所見を伺います。 仙台赤十字病院の通院圏内の患者さんの中には、最も近い総合病院が仙台赤十字病院という方も多数いらっしゃいます。また、そもそも近くに開業医がいない、若しくは開業医がいたが閉院してしまったなど、様々な理由で仙台赤十字病院が主治医である方がたくさんいらっしゃいます。県は、国が勧める、ふだんは近くのクリニックで、何かあれば総合病院でという病診連携について、説明会の中で言っていましたが、そもそも通えるところがなくなってしまうのです。若い人であれば、開業医を探すのも難しくはないでしょう。自家用車がある方ならば、多少遠くても通院は可能かもしれません。高齢者や免許のない方はどうなりますか。バスで通うこともできない状況であれば、年金の中からタクシー代を捻出し、通院せざるを得ない状況になります。病院の問題は、誰にとっても死活問題です。今まで安心して暮らすことのできた環境が、一気に壊されることとなります。このことについて、知事の御所見をお伺いします。 また、二〇二四年一月に、仙台医療圏が国から重点支援区域に選定されました。しかし、全国では例のない条件付の選定となっており、その条件は、仙台市をはじめとする関係自治体に理解を得ること、地域住民に理解を得ることとあります。どのように仙台市をはじめとする関係自治体に理解を得るのか、また、地域住民に対して理解を得るのか、具体的にお示しください。 次に、職員の雇用について伺います。 現在、両病院合わせて約七百八十床のベッド数となっていますが、新病院の想定されるベッド数は四百床となっています。現在、両病院の正規職員数は約八百七十名、そのうち県立がんセンターの職員数は約五百二十名です。県立がんセンターの職員は、全員が新病院に移行できないことが想定されます。民間では整理解雇の四要件で、雇用主に対し、解雇回避に向けた最大限の努力が求められています。県及び県立病院機構は、県立がんセンターの設置者及び雇用主として、雇用責任をどのように考えているのかお示しください。また、病院の職員というと、医師や看護師が真っ先に思い浮かぶと思いますが、ほかにも放射線技師や臨床検査技師、薬剤師、臨床工学技士、臨床心理士、社会福祉士など、多くの職種の方がいます。看護師はもちろんのことですが、今申し上げたコメディカルと呼ばれる職員は、就職先も限られており、また、新病院での必要人数も限られることから、特に県立がんセンター職員の雇用確保の問題は、非常に重要となってくると考えます。県として、県立がんセンター職員の雇用確保についてどのように考えているのか、御所見を伺います。 現在、手術後のがん治療も通院で行うことがスタンダードとなってきた中で、県立がんセンターでは、年間八千件もの外来化学療法を担っています。また、放射線治療においても、県立がんセンターだからできる腔内照射などを行っており、東北で唯一のがんセンターとして、重要な役割を担っています。外来治療を同じ規模で新病院でも行うことができるのか。もしできないとすれば、今行っている外来での治療は、どこで行うことになるのか。新病院ではどの程度の規模を想定しているのか、お聞かせください。 次に、精神医療センターと東北労災病院についてお尋ねします。 十一月定例会において知事は、県南部の精神医療体制や、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム、いわゆるにも包括体制の維持継続のためと、民間病院の誘致から、サテライトを設置することを決定されました。しかしながら、現在の医療体制、そしていわゆるにも包括体制の継続に必要な分の機能が、サテライトでも担保できるのか全くもって不透明です。精神医療センター移転に関する様々なことが新聞報道で先行され、患者さんや家族、そこで働く職員の不安は計り知れません。現在通院中の患者さんが移転に対する不安で病状が不安定になり、相談の電話が頻回になったり診察時に訴えたりしている現状を、県はどのように受け止めているのでしょうか。県北には古川グリーンヒルズこだまホスピタルなどアクティビティーの高い精神病院がある一方、仙南においては県立精神医療センターが急性期を担っており、役割分担が定着しています。県立精神医療センターが富谷に移転してしまえば、県北では病院間での競合が起きると考えられますし、仙南では精神医療空白地帯が生まれることとなりますが、このことについてはどのようにお考えなのか伺います。 これは児童・思春期外来にも共通していることであり、県北では児童・思春期外来を設置している病院がある一方、仙南では県立精神医療センターのみが診察を行っています。県立精神医療センターの児童・思春期外来、入院の子供たちは約二百四十名で、県南部の患者が多く、富谷のみの児童・思春期外来となれば、仙南の子供たちは富谷まで通う必要があります。これは患者軽視と言えるのではないでしょうか、御所見を伺います。 また、県立精神医療センターに入院中の子供たちは、症状が改善傾向にある子供は、病棟から自身が通学している学校に通学したりしています。更に、西多賀支援学校から派遣で相談支援や学習支援を受けています。県内で病弱教育を行っている支援学校は、西多賀支援学校、山元支援学校、拓桃支援学校の三校のみと、入院中の子供にとって、外部の方と触れ合うことのできる貴重な機会となっています。もし富谷に移転してしまえば、近くに病弱教育を行っている支援学校はなく、そういった支援を受けることも不可能となってしまいます。子供たちの将来を考えれば、西多賀支援学校からの支援は非常に重要と考えますが、御所見を伺います。 次に、いわゆるにも包括について伺います。 十一月定例会で志賀保健福祉部長から、富谷市でのにも包括の構築に関して、移転実現のおおむね五年程度を目途に受皿整備を進めていくとの答弁がございました。退院後の受皿は、デイケア、グループホームをはじめとして、作業所、訪問看護など、多岐にわたるサービスが必要とされます。おおよそ開院五年前から整備を始めるとのことですが、現在富谷市にそのサービスを現実的に必要としている人がいるのか、いないのであれば、開院までの施設の維持や人件費はどのようにするのか、利用者との関係性はどうするのかなど、今考えられるだけでも様々な疑問が浮かびますが、これらの点についてどのようにお考えなのか。更に、富谷市及び近隣の関係自治体との、いわゆるにも包括に対する話合いの進捗状況についても、併せてお示しください。 県は、救急搬送を受け入れる医療機関を傷病ごとに一覧化した救急搬送実施基準を改定し、精神疾患の項目を追加しました。仙台医療圏では、精神状態が不安定な患者の身体合併症に対応するのは四つの病院であり、合築する東北労災病院は、精神状態が安定した身体合併症に対応した病院となっています。現在、東北労災病院は精神科を標榜しておらず、果たしてどこまで治療ができるのか、また、二次救急である東北労災病院で対応困難な場合、どのように身体合併症を伴う患者さんに対して対応する想定なのか、御所見を伺います。 精神科の入院は、任意入院、医療保護入院、措置入院と、一般の入院とは異なる部分があります。精神病院、特に県立であれば、サテライトであっても、病床がある以上、全ての入院に対応できる施設整備でなければなりません。例えば、機能を本院とされる富谷に集約した場合、病状によっては、精神状態が不安定になり、興奮したり、他傷・自傷のおそれのある患者さんを、本院のある富谷まで安全に搬送できるのか、非常に疑問です。この点について御所見を伺います。 病床を持つサテライトを機能させるためには、現在の職員数では絶対的に不足が生じます。精神科看護は一般の看護に比べて専門性も高く、スキルが要求されます。富谷と名取の二つの病院に分散することになった場合、様々な理由で富谷に通えず、退職を選択する職員が出てくる可能性があります。精神看護のスペシャリストが離職してしまえば、病院の損失、ひいては県の人的財産の損失と考えますが、御所見を伺います。 また、職員数の少ない専門職は、二つの病院を掛け持ちすることはできず、不足してしまいます。看護師も同様ですが、採用したからといって即戦力になるのは難しく、キャリアを積むことが必要です。しかし、人的に不足をしてしまえば、そのキャリアアップもままなりません。そうなることにより、質の高い精神医療が担保されなくなる恐れがありますが、どのようにお考えでしょうか。 病院が二つになることにより、運営費負担金の増額が見込まれます。運営費負担金は、毎年の総務省からの通知、「地方公営企業繰出金について」で繰出基準が定められており、具体的には、病院事業の各項目について、地方交付税の各単位費用で積み上げられることになっています。運営費負担金を繰り入れてもなお赤字とされていますが、それをどのように負担するのか、永久的に負担していくのか、御所見を伺います。 大綱二点目、原子力災害時避難計画についてお尋ねします。 女川原発二号機の再稼働について、二〇二四年五月頃としていましたが、安全対策工事の増加により、九月頃再稼働予定と発表されました。しかしながら、避難計画については、その実効性が高まったとは思えないのが実態です。 まず、福祉施設における避難計画について伺います。 県が平成二十六年十二月に発出している、避難計画[原子力災害]作成ガイドラインの基本方針の中で、「原子力災害と自然災害が複合して発生した際を想定し、人命確保を最優先とした住民の安全対策をあらかじめ検討すること」とあります。しかしながら、県が提示した個別福祉施設の原子力災害時避難計画のひな形では、解説の部分に「複合災害対策についても検討」としか明記しておらず、施設においては、原子力災害のみの避難計画を策定しているのが現状です。複合災害が前提となっているガイドラインと、前提となっていないひな型では、整合性が取れないと考えます。また、本来であれば、複合災害を前提とした避難計画が策定されるべきと考えますが、併せて御所見をお聞かせください。 PAZ、UPZ圏内の福祉施設と避難先福祉施設で避難協定を結んでいますが、協定書を郵送で交換し、避難訓練もファックス・電話のみと、直接の面識がない現状だと聞いています。令和五年度のUPZ圏内における入所施設は、高齢者施設七十七施設、障害者施設七十三施設、合計百五十施設あります。そのうち、令和五年度避難訓練実施状況は、施設間の情報訓練を行ったのは、高齢者施設五十三施設、六八・八%、障害者施設十八施設、二四・七%、合計七十一施設、四七・三%。行政機関との情報連絡訓練を行った施設は、高齢者施設四施設、五・二%、障害者施設三施設、四・一%と、半数しか参加していない状況です。この避難訓練の実施状況について、どのように受け止めているのか、また、課題について御所見を伺います。 私が伺った石巻市にある特別養護老人ホームでは、長期入所者が五十名、短期入所者が二十名、そのうち七割が寝たきり、自力歩行が可能な方は五名ほどとのことでした。避難に使用できる車両は三台、一回の避難で運ぶことができる利用者は四名。不足分は長期入所者だけで四十六名分。不足分は県と石巻市に要請することになっていますが、この施設に限って言えば、ほとんどの利用者が福祉車両でなければ対応できません。不足分の福祉車両の確保はどのように考えているのか、お示しください。 また、二十四時間点滴や、たんの吸引、エアーベッドの使用など、医療依存度の高い利用者もいる中で、ガイドラインでは、避難元施設ができるだけ自力での避難をとあります。自力避難は非常に困難を極めると考えますが、御所見を伺います。 この施設は仙台市七か所の特別養護老人ホームに利用者を分散して避難することとなりますが、受入れ側が医療依存度の高い利用者を受け入れる体制が整っているのかも疑問です。このような場合の医療的支援をどうするのか。万が一、医療依存度により避難先で受入れが困難な場合、どのような手段で避難先を見つけるのか、御所見を伺います。 そもそも、施設のマッチングは県で行ったと聞いていますが、施設間での顔合わせもないままの避難訓練の実施や、入所者の状況が分からないままでのマッチングは、実効性がないと言わざるを得ません。また県は、できる限り避難元の自力での避難をと言っていますが、ピストン輸送での移送は、運転手の被曝のリスクを高めるものと考えます。ピストン輸送による避難が適切と考えているのか、実施する場合の具体的な防護策などの御所見を伺います。 避難元、避難先、どちらの施設からも要望があったことですが、施設入所者は長時間の移動が身体に大きな影響を及ぼします。中継点での引渡しができることで、利用者をいち早く避難させることが可能となるとの御意見がありました。更に、備蓄物は避難元から持参するとのことですが、避難先に原子力災害時の備蓄保管できる体制づくりを求めていました。このことについて、御所見をお伺いします。 また、避難先施設においては、複合災害の場合には、福祉避難所となる場合もあります。福祉避難所となった場合の施設の受入れ体制についてのお考えをお聞かせください。 次に、保育所、幼稚園、学校等における避難計画及び安定ヨウ素剤についてお伺いします。 PAZ、UPZ圏ともに、女川地域の緊急時対応には、基本的には保護者へ引渡しとなっています。しかし、保護者へ引渡しができなかった場合においては、学校管理下で避難し、避難先で引き渡すこととなっています。UPZ圏内においては、全面緊急事態となった際は、引渡しができなかった児童生徒は学校管理下で屋内避難を実施し、避難先に移動し、保護者へ引渡しとなっています。複合災害となれば、保護者へ引渡しすることができず、学校管理下で避難する可能性も高くなると想定されます。万が一、学校管理下において安定ヨウ素剤を服用しなければならなくなった場合、服用の判断、服用指示、服用に関する家族の意思確認をどのように考えるのか。子供らは常に安定ヨウ素剤を持ち歩いているのか、それとも学校に人数分の安定ヨウ素剤が保管されているのか、併せてお伺いします。 能登半島地震の際は、道路の寸断などにより、避難計画どおりの避難ができませんでした。例えば、福祉施設の避難計画をとってみても、避難計画の実効性については、子供たちや高齢者、障害者、施設入所者、医療ケアを必要としている方などの、支援を必要とする社会的弱者と言われる方に関しては、通常の避難計画よりも更に実効性がないと言わざるを得ません。避難計画の策定については、市町村や施設だけに責任を押しつけるのではなく、県の責任において、実効性のあるものにしていただきたいと考えます。 以上で壇上からの質問を終わります。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) かっち恵議員の一般質問にお答えいたします。かなり多岐にわたっておりますので、簡潔に答弁いたします。大綱二点ございました。 大綱一点目、四病院移転統合・合築に関する問題についての御質問にお答えいたします。 初めに、地域説明会についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台医療圏の病院再編に係る地域説明会については、これまで仙台市内で三回開催しており、病院再編の背景や目的などについて県から説明を行うとともに、地域住民の方々と意見交換を行ってまいりました。仙台赤十字病院県立がんセンターの統合について、昨年十二月に基本合意が締結されたことから、今後は日本赤十字社や県立病院機構と連携して、八木山地区のほか、関係自治体である名取市などの各地域で、地域説明会の開催を検討してまいります。 次に、県及び県立病院機構の雇用責任並びに県立がんセンター職員の雇用確保についての御質問にお答えいたします。 仙台赤十字病院県立がんセンターの統合に伴う職員の処遇については、新病院の医療機能に関する今後の詳細な協議を踏まえ、職員の意向に配慮した上で、日本赤十字社、県及び県立病院機構の三者で協議し決定することとなります。県といたしましては、県立病院機構と連携し、がんセンター職員の雇用確保に向けて最大限の調整に努め、新病院での採用が難しい場合は、病院機構内での異動や公立病院等への就職あっせんなど、職種や職員の意向に配慮しながら対応し、その責任を果たしてまいりたいと考えております。 次に、県立精神医療センターの移転による病院間での競合などについての御質問にお答えいたします。 富谷市に移転後の県立精神医療センターについては、通年夜間の精神科救急や、民間病院では対応困難な患者など、現在の精神医療センターの医療需要と、身体合併症患者への対応を主な機能として想定しており、県北部の既存病院の患者について、競合などの影響は少ないものと考えております。また、現在、精神医療センターの職員の方々と意見交換を行いながら、名取市に設置するサテライトの具体的な機能や人員配置などの検討を進めているところであり、県南部の精神科医療提供体制を確保できるよう、引き続き検討を行ってまいります。 次に、児童・思春期外来についての御質問にお答えいたします。 現在、県南部の精神科医療提供体制の確保に向けて、県立精神医療センターの職員の方々と意見交換を行いながら、本院とサテライトの具体的な機能や人員配置などの検討を進めているところであり、児童・思春期外来についても、児童・思春期患者の現状や県内の医療提供体制などを踏まえ、患者や家族、関係者の意見も伺いながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。 次に、病院の分散化による人的財産の損失についての御質問にお答えいたします。 現在、県立精神医療センターの職員の方々と意見交換を行いながら、本院やサテライトの具体的な機能や人員配置などの検討を進めているところであり、県といたしましては、高い士気とやりがいを感じながら、引き続き新精神医療センターで力を発揮していただけるよう、県立病院機構と連携し、検討を行ってまいりたいと考えております。 次に、運営費負担金についての御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターにサテライトを設けた場合の案について、現行ルールによる県からの運営費負担金を考慮しても、収支は赤字となる試算となっておりますが、本院での身体合併症対応能力の向上や精神科災害拠点機能、県南での地域移行の推進等の機能強化の観点から、運営費負担金について独自の加算をすることで、県立病院機構の設立団体である県として、責任を持って対応してまいります。なお、本院とサテライトを合わせた病床数が現在より減少するため、独自加算をした場合でも、運営費負担金は従前から大きく増加しない見込みでありますが、県といたしましては、財政的な観点を踏まえながら、県南部の精神科医療提供体制の確保に向けて、サテライトの必要な機能や人員体制を十分に検討してみたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 復興・危機管理部長千葉章君。    〔復興・危機管理部長 千葉 章君登壇〕 ◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱二点目、原子力災害時避難計画に係る諸課題についての御質問のうち、福祉施設入所者の避難に係る車両等についてのお尋ねにお答えいたします。 福祉施設入所者の避難については、施設が所有する車両を最大限活用し避難に努めることとしておりますが、更に輸送手段が必要となる場合には、県において福祉車両を含む輸送手段を調達するほか、必要に応じ、自衛隊や海上保安庁等の実動組織に協力を要請し、輸送手段を確保することとしております。また、各施設においては、それぞれ避難計画を作成しておりますが、入所者の状況に応じて柔軟に対応しなければならないことから、県としましては、避難が円滑に行われるよう、引き続き、計画作成の支援や、訓練を通じて課題を把握し、改善に努めてまいります。 次に、ピストン輸送を実施する場合の防護策についての御質問にお答えいたします。 避難元施設の所有車両が足りない場合には、県が民間事業者や自衛隊などの車両を確保し、避難することとしております。防災業務関係者の安全確保については、活動内容に応じた防護装備の装着や安定ヨウ素剤の服用などとともに、被曝線量の管理徹底が求められるものと認識しております。県としましては引き続き、研修や訓練などの機会を通じて、防災業務関係者の原子力災害への理解促進を図るとともに、個人線量計等の必要な資機材の整備などを行い、防災体制の充実・強化を進めてまいります。 次に、学校管理下での避難における安定ヨウ素剤の服用についての御質問にお答えいたします。 安定ヨウ素剤の服用については、原子力規制委員会が必要性を判断し、その判断に基づき、国の原子力災害対策本部が服用の指示をすることとされております。県では、指示に基づき速やかに服用できるよう、PAZ及び準PAZで事前配布をしているほか、災害時の緊急配布用として、県及び関係七市町の施設に備蓄しております。保護者への引渡しができなかった児童等については、一時集合場所で市町の職員から安定ヨウ素剤の配布を受け、服用することになります。服用に当たっては、災害時に連絡が取れない場合も想定されることから、事前に保護者への意思確認を行っておくことが有効であると認識しており、他県の事例も参考にしながら、国、関係市町とともに、安定ヨウ素剤の児童への服用手法について研究してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 保健福祉部長志賀慎治君。    〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四病院移転統合・合築に関する問題についての御質問のうち、がん医療に係る総合的な診療体制についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台赤十字病院県立がんセンターの統合については、令和元年度のあり方検討会議で提言された「がんを総合的に診療できる機能を有する病院」の実現を目指し、日本赤十字社や県立病院機構、東北大学などの関係者と共通認識の下に協議を重ねているものであります。県といたしましては、昨年十二月の基本合意の締結を踏まえ、今後、新病院の具体的な病院機能の検討を行う中で、高齢化等により増加するがん患者の合併症への対応など、高度化・多様化する治療にも対応できるよう、新病院のがん医療の機能について、関係者と十分に検討してまいります。 次に、通院困難な患者への対応についての御質問にお答えいたします。 仙台赤十字病院の現在の患者のうち、新病院への通院が困難な方々に対しては、それぞれの事情や意向を踏まえ、他の病院や診療所をかかりつけ医として紹介するなどした上で、手術や入院などが必要な場合に新病院を利用いただく形の病診連携体制を想定しており、今後、日本赤十字社及び仙台赤十字病院において、具体的な対応を検討していくものと認識しております。また、県といたしましても、仙台市との協議において、病院移転後の周辺地域への影響について検証する中で、通院患者の現状と影響分析を行ってまいります。 次に、関係自治体と地域住民の理解についての御質問にお答えいたします。 今回の重点支援区域の選定において国から付された条件について、県といたしましては、新病院の開設に向けて、日本赤十字社や県立病院機構と協力しながら、地域説明会を開催し、病院再編の意義を引き続き丁寧に説明するとともに、仙台市との協議を通じて、病院再編に伴う地域医療への影響などを改めて検証の上、仙台医療圏全体での病院再建の効果を広く提示することで、関係自治体や地域住民の理解を得られるよう努めてまいります。 次に、新病院の外来治療についての御質問にお答えいたします。 名取市に整備を予定している新病院では、がん診療連携拠点病院の位置づけを引き継ぐことを想定しておりますが、外来治療の規模など具体的な機能については、県内のがん医療の状況や、東北大学病院を含めた他のがん診療連携拠点病院などとの役割分担・連携を踏まえ、必要な機能や体制を確保できるよう、日本赤十字社や県立病院機構、東北大学などの関係者と協議してまいりたいと考えております。 次に、富谷市への移転実現に向けた、にも包括構築についての御質問にお答えいたします。 精神障害のある方が住みなれた地域で安心して生活していくためには、関係機関のネットワーク構築や人材育成などのソフト面と、精神障害にも対応したグループホームをはじめとする障害福祉サービス等のハード面の整備が欠かせないものと認識しております。ハード面については、民間事業者によるグループホーム等の開設が段階的に行われることを想定しておりますが、富谷市と近隣市町村の実態や、地域にお住まいの患者の方々のニーズを把握しながら、開設に向けた必要な支援を検討してまいります。また、にも包括体制構築に向けた地域での取組については、黒川地域の市町村が協議の場を設置しているほか、更に、仙台圏域という広域の協議の場においても、個別支援内容の検討や地域ネットワークによる支援体制の整備などについて、継続した話合いが行われております。県といたしましては、県内全ての市町村におけるにも包括推進のため、引き続き重層的な支援を行ってまいります。 次に、救急搬送の受入れについての御質問にお答えいたします。 現在、東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築による身体合併症対応能力の向上を図るため、両病院間で協議を行っているところであり、救急搬送の受入れ体制や患者への具体的な対応などについて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。なお、身体症状における重症度や緊急度の判断基準により、二次救急で対応が困難な事例については、引き続き三次救急医療機関である東北大学病院や仙台市立病院、仙台医療センターで対応することを想定しております。 次に、患者の移送についての御質問にお答えいたします。 精神疾患患者の搬送については、自傷他害のおそれがある措置入院患者について、県職員などが、県全域から県立精神医療センターをはじめとした指定病院に移送しているほか、医療及び保護のため入院を必要とする患者については、主に家族などが送迎を行っているところであります。現在進めているサテライト案の検討においては、精神状態が不安定な患者について、患者搬送の観点も踏まえ、富谷市の本院と名取市のサテライトが連携して対応できるよう、配慮してまいります。 次に、専門職が不足すると質の高い精神医療が担保できないおそれがあるとの御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターでは、医師や看護師のほか、精神保健福祉士などの専門職の方々が連携し、精神科救急医療や患者の地域移行などの専門的な機能を担っているものと認識しており、県といたしましては、本院とサテライトの必要な機能や人員体制を確保し、質の高い精神医療を提供できるよう、引き続き様々な職種の方々の御意見を伺いながら、検討を進めてまいります。 次に、大綱二点目、原子力災害時避難計画に係る諸課題についての御質問のうち、複合災害を前提とした避難計画の策定についてのお尋ねにお答えいたします。 介護保険施設、障害者支援施設等の社会福祉施設の管理者は、関係法令に基づき、地震や台風などの非常災害に関する具体的計画を作成することとなっております。また、女川原子力発電所からおおむね三十キロメートル圏内の施設については、それに加えて、宮城県地域防災計画・原子力災害対策編に基づき、県及び関係市町と連携し、原子力災害時における避難計画の作成が必要となりますが、それぞれの計画が個別につくられており、必ずしも原子力災害と自然災害が複合して発生することを前提とした避難計画となっていない施設があることは認識しております。県といたしましては、原子力災害に備えた避難計画作成のためのひな形をお示しし、複合災害対策についても検討することを付記しておりますが、引き続き、実地での指導の機会などを捉えて、複合災害にも対応できる避難計画となるよう働きかけてまいります。 次に、今年度の避難訓練の実施状況についての御質問にお答えいたします。 先月に実施した原子力防災訓練では、社会福祉施設間の情報連絡訓練は必須項目としておりましたが、行政との情報連絡訓練や要配慮者避難訓練については、施設の負担を考慮して、任意参加としていたところです。参加施設が少なかったことについては、能登半島地震の対応のため、施設への働きかけが十分でなかったことや、日程を直前に変更したことなどが影響しているものと認識しております。県といたしましては、原子力災害が発生した場合に施設の入所者が速やかに避難できるよう、避難元施設と避難先施設が平時から連携するためにも、多くの施設に訓練に参加してもらうことが重要であると考えております。なお、現在、対象となる施設に訓練に関するアンケート調査を実施中であり、その結果を分析し、次年度以降の訓練の改善につなげてまいります。 次に、医療依存度の高い利用者の避難についての御質問にお答えいたします。 社会福祉施設においては、県のガイドラインに基づき、原子力災害時における避難場所等の避難計画をあらかじめ定めるとともに、避難先施設と利用者の受入れに関する協定の締結に努めているところです。この受入れ協定では、医療依存度が高いなど、諸般の事情により利用者の受入れが十分にできない場合は、避難元施設や避難先施設が、県に対し、受入れ先の確保について支援を要請することとなっております。県といたしましては、施設から要請がなされた場合には、速やかに医師会などの関係機関と連携しながら、利用者の医療依存度に応じた受入れ先を確保してまいります。 次に、中継点での引渡しや備蓄物を避難先で確保する体制づくりなどの質問にお答えいたします。 県では原子力災害時において、社会福祉施設の入所者が円滑に避難できるよう、避難先施設と協定書を締結するよう指導に努めておりますが、入所者の移送や物資の確保についても、協定書の作成例の中でお示ししているところでございます。複数の避難先へ移送が必要な場合など、中継点での引渡しが有効な場合もあると思いますが、具体的な入所者の引渡し方法や備蓄物確保の体制づくりについては、それぞれの施設において、お互いの実情などを踏まえ、個別に調整いただくものであると考えております。 次に、避難先施設が福祉避難所となった場合の受入れ体制についての御質問にお答えいたします。 避難先施設が複合災害時に福祉避難所となる場合については、市町村において、受入れ人数などの状況を踏まえて、個別に調整するものと考えております。また、市町村は、あらかじめ指定した福祉避難所だけでは受入れ能力が不足すると見込まれる場合は、内閣府が策定した福祉避難所の確保・運営ガイドラインにより、公的宿泊施設、旅館、ホテル等と協定を締結して借り上げるなど、事前に対応することとなっております。県といたしましては、災害時において速やかに要配慮者が避難できるように、平時から市町村、社会福祉施設などとの連携に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。    〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、四病院移転統合・合築に関する問題についての御質問のうち、入院中の子供に対する特別支援学校の関わりについてのお尋ねにお答えいたします。 県立精神医療センターに入院している児童生徒については、特別支援学校のセンター的機能の一つである教育相談事業により、西多賀支援学校の教員による相談支援や学習支援を実施しているところです。県教育委員会といたしましては、仮に精神医療センターが富谷市に移転した場合においても、引き続き特別支援学校のセンター的機能を活用し、入院している児童生徒や保護者の希望を踏まえ、精神医療センターと連携しながら、一人一人に応じた教育支援を継続してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 御答弁ありがとうございました。御答弁を受けて再質問をさせていただきます。 知事は、わたなべ議員の質問に対して、もはやがん医療は政策医療ではないとおっしゃいました。国が定めている政策医療は十九あります。その中にがん医療も入っています。県は、このがんの政策医療から撤退するということでしょうか。お願いします。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
    ◎知事(村井嘉浩君) 答弁時間が限られている中で、言葉足らずであったというふうに思って反省しているところでございます。今お話のあったとおり、厚労省のほうが定めておりまして、政策医療というのは十九診療科に分かれているわけであります。その中にはがん医療も入っているわけであります。あのときの私の言いたかったことは、まず質問の趣旨の捉え方が、政策医療だから県立でやらなければいけないといったような、そういう論旨での質問でありましたので、そうではありませんと。同じ日赤でも、石巻日赤はしっかりと治療されていますと。三次救急までされていると。三次救急というのは、どこがやっても大体赤字になるのですけれども、それをやっていながらでもですね、コロナ禍以外でも、国の補助金が入ったコロナ禍以外の期間も含めて、ずっと経営は黒字で頑張っておられますので、決して民間ができないというわけではありませんと。したがって、政策医療イコール県立でやらなければいけないというようなことであれば、そういう見方はできないのではないでしょうかということを言いたかったのですけれども、それをちょっと踏み込み過ぎて、政策医療ではないといったような表現をしてしまいました。それは正確には誤りでありますので、訂正させていただきたいというふうに思います。当然、県民の命に関わる、特に非常に大きい五大疾病の中の一つ、がん診療ですから、これに対して県がしっかりとコミットしていくというのは当然であります。がんセンターは、特にその中でも希少がんだとか難治がん、そういったような治療もされているわけでありますが、それにつきましても、先般は、今までは県立がんセンターが担っておりましたけれども、今後、宮城県には二つ目の医学部ができて、まだ産声を上げて間もないのですけれども、だんだん力をつけてまいりますので、そういった意味では、医学部が二つある県の中で、そういったようなものを県が担っていくというのも、時代の流れを考えて、これから大きく時代が少子高齢化の中で進む中でですね、人口減少に進む中で、見直していく必要があるのではないかと、そういう趣旨でお話をしたということでございます。したがって、政策医療でないと言ったことについては、この場で訂正をさせていただきたいというふうに思います。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 令和元年度の県立がんセンターあり方検討会議の中では、政策医療として県立病院が提供すべきがん医療は、民間医療機関では限界のある高度先進医療であり、今後も必要な機能は県の責任において維持する必要があると明記されています。あり方検討会議では、政策医療として希少がん・難治がん等高度先進医療を県の責任で維持するとありますけれども、今おっしゃった知事の発言とは矛盾しているのではないでしょうか。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決して県が放棄するということではなくて、これを担うところが、東北大学であろうが新しい病院であろうが、あるいは東北医科薬科大学であろうがですね、それに対しては、当然しっかりとコミットしていくということになります。現時点においては、新しい日赤病院に難治がん・希少がんの部分をどうするのかということまでは、まだ正式に決まっておりません。当然、日赤さんの御意向を最優先にしながらということになりますけれども、今後その辺をしっかり詰めていきたいというふうに思っていますし、これは東北大学さんにも当然協力いただかなければなりませんので、私どもと日赤さんだけではなくて、東北大学さんに間に入っていただきながら、よく協議してまいりたいというふうに思っています。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 県立がんセンターは、主要五大がん以外の難治がん・希少がんの件数が、ちょっと平成二十九年のデータで古いのですけれども、年間で千二百三十件中六百六十九件と、半数を超えている状況なんですね。これを日赤と統合しても維持していくことが可能なのかというところもありますし、あとは県立がんセンターだからこそできている治療というのもあると思うんです。それが東北大を間に入れて協議してというのも分かりますけれども、やはりそこは県立がんセンターの意向をしっかりと県と県立がんセンターとして日赤に伝えるべきだと思いますが、そこはいかがですか。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) その点は十分に日本赤十字社本社のほうも認識はされているわけであります。ただ、当然、今後協議をしていく中でいろんな御意見が出てくるだろうというふうに思います。先ほど言いましたように、宮城県は新たな医学部ができました。宮城県内に二つの医学部があるということです。そういった意味では、今後の将来どうなるのかということを見据えながら、今あることだけではなくて、将来どのように宮城県が変わっていくのかということを見据えながら、対策を取っていくということであります。私、医学部、震災の特例でつくらせていただいたのですけれども、やはりそういったようなことも見据えながら、医学部を誘致したということもありますので、長い目で見て、県民にとってどういう選択をすれば一番いいのかということをしっかり考えながら、日本赤十字社、そして東北大学さんと、よく調整してまいりたいというふうに思っています。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 研究所機能に関してなのですけれども、研究所機能は、私は残すべきと考えているんですね。しかし、一般の総合病院が研究所を維持するのは困難だということももちろん聞いています。日赤として研究所を残すという前提の協議をしているのか、それとも東北大に移管する方向での協議なのか、若しくはまた別の第三の協議先があるのか、そこをお伺いしたいと思います。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) この点はまだ協議の途上でございますので、現時点においては未定ということでございます。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 治療に関してなのですけれども、県立がんセンターは腔内照射を行う機械があります。東北大と連携して、切れ目のない治療が受けられるように、お互いに片方が点検のときはもう片方が稼働してというふうに連携してきたという経緯がありますけれども、その腔内照射を行う機械ですね、令和五年度中には東北大からがんセンターのほうに機械を提供していただくことにもなっているということも発表されていますけれども、そちらは日赤でも今後、その腔内照射など先進医療というか、そういう放射線治療を行うことを考えているのかどうかということをお聞かせください。 ○議長(高橋伸二君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 様々な高度医療機器等をはじめとして、そういった様々な引継等も含めてですね、まだ五年以上先の話になる中で、どういった形が取れるかどうか、そういったことも協議の中で定めていくことになろうかと思ってございました。課題としては認識してございますので、そういった相互の、東北大だけではないですけれども、県内のがん診療連携拠点病院と全て連携した体制の中で、どういった形を取っていくべきか考えてまいりたいと思ってございます。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 続いて、精神医療センターのほうなのですけれども、今、患者さん、本当に不安定になっていらっしゃるんですね。病院が移転するかもしれないということで、本当に、診察時に不安を訴えたり、それだけではなくて、もう自分が名取にしかいれないんだという、病状の中でそういう気持ちになって、ここからは移動できないんだ、そういうふうに考えていらっしゃる患者さんもいらっしゃるのです。そういった中で、看護師たちはそういった電話を頻回に受けたり、そういったことをして業務を遂行しているのです。そういった状況を県はどのようにお考えですか。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 患者さんにも大変心配をおかけしていますし、何よりも医療スタッフの皆さんに、そういった意味で、通常業務以外の御負担をおかけしているということに対しては、大変申し訳ないという思いを持っているのは事実です。ただ、北のほうの患者さんで非常に期待をされている方もおられて、この間、前もこの議会で言いましたけれども、名取を含めた、仙台市の太白区より南の患者さんと、仙台市の太白区を除いた分の北の患者さんの割合というのは六対四で、全体の四〇%は青葉区、若林区、宮城野区、泉区より北の患者さんということになりますので、その患者さん方からは非常に期待をする声もまたあるということでございます。北に全部寄せるということで当初考えたのですけれども、それでは南の患者さんがとても耐えられないということでありましたので、南のほうにサテライトと。サテライトは、場所はまだ決まっておりませんけれども、患者さんの負担の軽い形で場所を設けたいというふうに今思っておりまして、そういった意味では、患者さんの目線から考えると、北の患者さんも非常に対応していただきやすくなるし、南の患者さんも入院もできるような病院が近くにできるわけでありますので、しかもスタッフが今までと変わらないということでありますので、そういった意味では非常にいいと思います。ただし、一番やはり課題としては、医療スタッフの皆さんに負担がかなり重くなってしまう可能性がありますので、その点については、しっかりと医療スタッフの皆さんと意見交換をしながら、この形で何とかなりそうだというところまでは詰めていければなというふうに今思っているということであります。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 名取市は、にも包括に対して何十年も前からずっとドクターだったり看護師さんだったりとかが尽力して、地域の皆さんに協力を得て、今の体制ができているという状況です。これはとても全国的に見ても先進的な事例なんですね。その事例を壊してまでも北に移動させる、その意味が私はちょっと分からないのが正直なところです。でしたら、名取にしっかりとそのにも包括ができている中で、それを富谷のほうにも新しくそういうふうににも包括体制をしっかりと整えるための提供をするという形での移転ではなく、分院を持っていくとか、そういった対応であれば分かるのですけれども、この先進的なことをしている名取の病院のほうを分院にするというのは、やはり患者さんからしても職員からしても納得がいかないところだと思いますが、そのことに関してはどう思われますか。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決して南のにも包括を壊すということではなくて、南のにも包括はしっかりと維持しつつ、北のほうにも、時間はある程度かかるでしょうけれども、新たな展開を考えていくということでございます。これは精神医療センターができてから今までの歴史がありますから、やはりある程度時間はかかると思いますけれども、徐々に徐々につくっていきたいなというふうに思っております。そして今回、富谷にと言っておりますのは、何と言いましても、身体合併症の対応ができるということです。今まで--今になって土地を提供してもいいと言うところも出てきているようでありますけれども、今すぐにでも建てられる場所で、自治体も非常に協力的であって、そして総合病院が隣にできる場所というと富谷ということでございますので、これはこのままできれば進めさせていただきたいと。その上で、南の患者さんが、どうしても行けないという患者さんも中にはおられるでしょうから、そういった患者さんがおられる限りは、サテライトでしっかりとケアをしていくという。これについては、繰り返しになりますけれども、精神医療センターのスタッフの方でないと分かりませんから、スタッフの皆さんの御意見を聞いて、対応を今考えさせていただいているということでございます。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 身体合併症については、今、名取の精神医療センターでも、もちろん診察というか、ほかの病院と協力してやっているわけで、特に、精神医療センターの職員から言わせてみれば、今の状態でも問題はないんだというお話があるのですけれども、そこは知事、どう思われますか。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 角藤院長等にお伺いすると、やはり合併症の対応ができる病院が隣にあるというのは非常に心強いというふうに、角藤院長からはお話を聞いておりますし、また、労災病院さんのほう、労災機構と、この間も私、理事長と会って話をしてきたのですけれども、理事長さんがおっしゃるには、精神医療センターにとってもメリットはあるけれども、逆に言うと労災病院も、精神でない患者さんで来られて、同時に精神を病んでしまっている患者さんもおられると。そういう患者さんのケアをやはり隣の病院でやっていただけるということでありますので、決して労災病院が全部提供するということではなくて、ウィン・ウィンの関係なのだというようなお話をされて、私、非常にうれしく思った次第であります。そういった意味では、労災病院に通っている患者さんにとっても、メリットは必ずあるだろうというふうに私は思っているということであります。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 精神科を今、労災病院は標榜しておりません。精神科の患者さんは他の病院に紹介するという状況になっております。そういった中で、新しく合築する労災病院に精神科がないとなると、身体合併症を見るのは非常に困難だと思いますけれども、そちらに関してはどう思われますか。 ○議長(高橋伸二君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) そういった中で、同じ敷地に隣り合ったところの合築のような形で精神医療センターと労災病院との連携体制の中で、しっかりとした、相互のメリット・デメリットを補い合うような身体合併症対応ができないかといったことについて、今、協議を具体的に進めているところでございます。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) 時間がないので、今ですね、先ほど申し上げた精神医療センターの病弱教育のことなのですけれども、西多賀支援学校、山元支援学校、そして拓桃支援学校、この三つしか病弱教育を行っているところはございません。どうやって富谷のほうまで、どこの学校が具体的に支援をするのかお答えいただけますか。 ○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 精神医療センターに入院している児童生徒につきましては、病弱教育の専門性に基づく教育的対応が必要であることから、病弱教育の特別支援学校による支援がより望ましいというふうに考えておりまして、富谷市に仮に移転した場合においても、現在支援を行っている西多賀支援学校が継続して支援を実施するように考えているところでございます。 ○議長(高橋伸二君) 二番かっち恵君。 ◆二番(かっち恵君) すみません、最後に、東日本大震災から十三年がたとうとしていますが、ここまで復興できたのは村井知事のおかげだと私は思っています。そんな村井知事だからこそ、住民を見捨てない、働くものを見捨てない、真の地域医療構想実現のために、いま一度立ち止まって再考していただきたいと思います。 すみません、以上で質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(高橋伸二君) 十七番杉原崇君。    〔十七番 杉原 崇君登壇〕 ◆十七番(杉原崇君) 自由民主党・県民会議の杉原崇でございます。議長のお許しを頂きましたので、任期最初の一般質問をさせていただきます。 私は、松島町議会議員として五年七か月務めさせていただいておりましたが、このたびの宮城県議会議員一般選挙の宮城選挙区において、多くの皆様から御支援を頂き初当選させていただきました。いつまでも感謝の思いを忘れず、住民の皆様の負託に応えられるよう、議会議員としての職責を全うすべく、宮城県、松島町、利府町の発展のため一生懸命頑張る所存ですので、今後とも、御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 初めに、元旦に発生しました能登半島地震において、甚大な被害が発生し多くの貴い命が奪われました。お亡くなりになられた皆様に心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、復旧に向けて頑張られている全ての皆様に対し、感謝申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興を祈念しております。 改めまして、私の初めての一般質問につきまして、大綱四点を伺ってまいります。 まずは、大綱一点目、松島町交通社会実験を踏まえた観光の広域連携についてです。 松島町交通社会実験は、国道四十五号の慢性的な交通渋滞の解消や、約九割と通過が多い大型車両の流入抑制と、騒音や振動の改善、観光客など歩行者の安全性確保や利便性・回遊性向上など、日本三景松島における安心・安全な道路空間の構築を目的として、二回行われました。昨年十月十四、十五日の二日間行われた第二回目では、第一回目と同様、県営第一駐車場から松島レストハウスまでの二百五十メートル区間の全車両の通行規制と、松島レストハウスから松島海岸駅交差点までの四百五十メートル区間の大型車両通行規制を実施しました。今回は交通規制など事前周知の強化や、三陸自動車道仙台松島道路への迂回の促進を目的とした料金割引の実施、石田沢防災センターや三十刈駐車場からのシャトルバスの運行ルートの見直し、グリーンスローモビリティーの活用による回遊性の向上、そして、更なる地元事業者への理解促進と連携の強化を目指した地元説明会を複数回実施するなど、一昨年行われた一回目の実証結果や課題を踏まえた取組が実施されました。あいにく十五日は雨の影響で観光客は少なかったのですが、十四日に関しては前年以上のにぎわいの空間創出が図られ、多くの観光客の皆様が松島を楽しまれ、静寂な空間を含め、美しい景観や歴史と文化がある日本三景松島を体感いただけたのではないでしょうか。現在、松島町交通社会時実験協議会において、観光客だけではなく、道路利用者や住民などを対象とした、アンケート調査における検証・評価を行っている段階ではありますが、二度にわたる社会実験における効果や課題についての知事の御所見を伺うとともに、次年度以降の実施についての県としての考えを伺います。 国道四十五号の渋滞の要因の一つとして、観光客の車両が集中し、駐車場の満車に伴う空車待ちの影響もあります。現在、十五か所の有料と三か所の無料駐車場があり、県営の松島公園駐車場は五か所あります。そのうち、車椅子用五台含め二百八十五台分の駐車スペースがある松島公園第五駐車場は、中心地から離れていることもあり、満車になることは少ない状況で、町営三十刈駐車場の拡張や石田沢防災センター駐車場が完成してからは、特に利用者が減少傾向にあります。この第五駐車場の近くには雄島があります。この地は僧たちの修行場でもあり、死者供養の霊場「奥州の高野」とも呼ばれており、松尾芭蕉も訪れるなど、歌枕の地としても知られております。霊場松島としての雄島は通行規制がなくても、静寂な松島のよさを知ってもらえる場所でもあります。松島の美しい景観を体感でき、また、駐車場待ちにおける渋滞緩和策の一つとしても、民間駐車場がある中心地から離れている、松島公園第五駐車場を以前のように無料化すべきと考えますが所見を伺います。 今回、広域連携の観光づくりに向けた地域振興部会を開催し、地場産品の物販や遊覧船特別便の運行など、周辺自治体も前回以上ににぎわいづくりに取り組まれている中で、利府町では、馬の背散策ツアーとして、ボンネットバスによる送迎を行いました。馬の背は波の浸食によってできた天然の桟橋と言われており、人気アイドルグループが撮影で訪れてからは、聖地巡礼スポットとして、特に若い女性が訪れることが多くなり、その後もテレビや雑誌等に取り上げられることも増え、令和四年には土日で千人を超える観光客が訪れるなど観光スポットとなりました。また、浜田地区では、海の体験アクティビティーが盛んとなっており、新たな体験型観光として人気が出てきておりますが、この相乗効果により、松島から馬の背まで、レンタサイクルや徒歩で向かう方が増えました。しかし、国道四十五号の双観山入り口から馬の背入り口は歩道がなく、大変危険な状況が見られることからも、松島と利府の観光の広域連携という観点から、歩道やサイクリングロードの設置が必要と考えますが、県の所見を伺います。 観光連携の取組として、一体となった広域観光連携を目指し、二〇一四年に、宮城県と松島湾エリアの三市三町、塩竈市、多賀城市、東松島市、松島町、七ヶ浜町、利府町による、再発見!松島湾ダーランド構想が始まり、平成二十八年度に策定した松島湾ダーランド推進計画の下、これまで様々な取組を行ってきました。今年は多賀城創建千三百年で、様々な事業が行われるに当たり、三市三町による自転車アクティビティーのライドアラウンドの実施等、更なる連携も図られるでしょうが、この松島湾ダーランド構想は、滞在型観光を目指すため、連携して取り組む事業や、松島湾の観光振興を担う人材の育成等の施策を定め、五年間で成果を上げることを目指しておりました。そこで、松島湾ダーランド推進計画の進捗状況をどのように捉えているのか、見解を伺います。 今回、観光客の回遊を目指したグリーンスローモビリティーの運行では、AI・IoTと連動した効率的な運行を行いました。また、前回同様、ミヤギタビマップによる混雑状況を情報発信し、デジタル技術を活用した観光客の利便性向上も図られました。観光庁では、旅行者の利便性向上による消費拡大や、観光産業における業務の効率化などとともに、地域間・観光事業者間の連携による、データを活用した分析・利活用を行う観光DXを推進しています。現在、観光産業における人手不足が顕著になっており、そのため、松島の宿泊業においても満室にできない状態が続き、またエネルギーや物価高騰も相まって、大変厳しい経営状況だとのお話も伺っております。これらの課題解決のためにも、業務の効率化の対応策として、顧客予約システムの導入はもちろん、宿泊・体験・交通等の予約・決済を可能とするサイトの構築や、顧客情報を一元管理するシステムなど、観光DXの推進を図っていくべきと考えます。そして、この顧客情報などのデータ連携・分析の活用、そして情報を共有していくことは、効果的なプロモーションを含め、今後のインバウンド需要への対策にもつながります。また、松島海岸駅がバリアフリー化され、JRも増便されたことに伴い、渋滞緩和策として、自動車から鉄道など公共交通利用を促す政策として、観光MaaSを松島湾エリアの三市三町で推進していくことも今後は必要と考えますが、地域経済の更なる活性化や、消費拡大につながる観光DXの推進について、知事の所見を伺います。 大綱二点目、温暖化における漁業対策についてであります。 私は、松島の島々から昇る朝日とともに、静寂で美しい松島の景観に囲まれながら、カキ養殖を行う漁師でもあります。この松島湾においては、一六〇〇年代に天然のカキが発見されたのが始まりと言われており、養殖技術の発展により現在に至っております。松島の島々のおかげで、震災時の津波の被害が軽減され、震災の年にカキ生産を行えましたが、一方で、震災後、様々な理由により死滅が発生することもあり、昨年は温暖化による海水温の上昇により生育が遅れたこともあり、厳しい生産状況となっております。この温暖化における海水温の上昇は、宮城の水産物全体に影響が出ており、漁師の先輩方が築き上げてきた宮城の漁業の存続を危惧しております。気象庁のデータでは、二〇二三年の日本の平均気温は、一八九八年の統計開始以降、最も高い値となりました。二〇二三年は、暖かい空気に覆われやすかったことのほか、黒潮続流が三陸沖まで北上した状態が続き、海洋内部まで水温が高いために、海面水温が下がりにくくなり、宮城県沿岸の水温上昇の主な要因として考えられています。養殖生産物では、浜ごと、養殖場所などで違いはありますが、一部の漁場でホヤの死滅が見られ、カキは産卵が続き、実入りの回復が遅れた影響で、生産開始が一か月遅れ、ノリやワカメなどでも作業の遅れなど、今後の影響も懸念されております。現在、高水温耐性ワカメの養殖試験や陸上養殖の研究など、将来に向けた取組が行われておりますが、昨年の猛暑の影響を受けて、来年度に向けての対処など検討もされていると思います。そこで、養殖水産物に対する当面の温暖化対策や支援策について、県の所見を伺います。 温暖化の影響は、養殖生産物だけではなく、魚種についても変化が起きております。代表的な例で言いますと、サンマの水揚げに関し、昨年は一昨年より持ち直して四千九百五十二トンありましたが、平成二十年の十万五千二百二十四トンから見ると、十分の一以下であったり、スルメイカ、アキザケ、イサダ、コウナゴなどが減少する一方、東日本では水揚げが少なかったタチウオが宮城県でも多く水揚げされるようになり、二〇一〇年では年間八百八十キログラムの水揚げがここ数年で一気に増え、二〇二一年には五百トンとなりました。また、トラフグが四トンだったものが、二〇二二年には、二十七トンと大幅に増加し、そのほかにもチダイやノドグロ、イセエビなど、海水温の上昇による水揚げが増加している魚種もあります。温暖化による海洋変化に対応した対策として、魚種転換を図るなどの補助事業を県として行っているところではありますが、まだまだ地元食材としての認知には至っていない状況と考えます。温暖化により増加した、県内で認知度が低い魚種を地元食材にすべく、消費拡大に向けた取組が必要であり、魚価アップにより、漁師の収益力向上や宮城の新たな商品開発にもつながると考えます。環境と調和した持続可能で活力ある水産業の確立に向け、魚種転換による新魚種の普及促進、消費拡大への方針と対応を伺います。 海水温の上昇の原因でもある地球温暖化によって、猛暑や豪雨などの異常気象が頻発しており、海洋環境も変化しているため、早急な対策が必要であります。宮城県では、みやぎゼロカーボンチャレンジ二〇五〇戦略を策定し、二〇五〇年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目標に、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化の推進など、温暖化対策の推進に取り組んでいます。この脱炭素として注目されているのが、海藻などの海洋植物が大気中の二酸化炭素を吸収して、光合成反応によって有機炭素化合物を作り、海底に貯留されるブルーカーボンです。二〇〇九年に公表された国連環境計画の報告書、ブルーカーボンにおいて、二酸化炭素の吸収源として定義され、ブルーカーボンの主要な吸収源としては、ブルーカーボン生態系と呼ばれる海藻の藻場や干潟などがあり、宮城県では、藻場の造成や保全、海藻養殖の増産に向けた取組を推進するため、水産業の振興に関する基本的な計画第三期における重点プロジェクトとして、ブルーカーボン推進に対する施策が立てられており、現在、宮城県ブルーカーボン協議会を立ち上げ、藻場造成のためのモデル地区設定や試験研究、そしてブルーカーボンの認知度向上のための普及活動を行っております。また、吸収されたCO2の排出量をクレジットとして認証し、CO2削減を図る企業・団体等とクレジット取引・販売するブルーカーボン・オフセット・クレジット制度が注目されております。この制度を利用して藻場の造成など、更なる活動の取組につながっていきます。このクレジット化を導入し、更なるブルーカーボンの推進のためにも、県民の理解醸成はもちろん、企業への周知・広報活動を更に進めるべきと考えますが、所見を伺います。 平成二十五年に世界で最も美しい湾クラブに加盟した松島湾は、島々が織りなす美しい景観とともに、ハゼやアナゴなど豊かな漁場でもあります。また、小魚の住みかや産卵場所として、アマモやアカモクが生い茂り、赤潮の原因となる窒素やリンなどの栄養分を吸収する水質浄化にも役立っておりましたが、東日本大震災に伴う津波の影響で九九%が流出してしまいました。アカモクについては大分増えた印象がありますが、一年藻のため、流れ藻としてカキ棚や船のスクリューに絡みついてしまいます。定着し続け、脱炭素の観点からも、松島湾内においては、アマモ場の造成が必要と考えます。しかし、震災以前のような生育状況に戻っていないのが現状であります。今年度、東松島東名地区でアマモの藻場造成活動が行われておりますが、松島湾内における藻場造成について、今後の方針を伺います。 津波の影響で流出してしまった松島湾の藻場復活のためには、海底の状況改善が必要と考えます。平成三年から松島湾リフレッシュ事業計画の策定作業を進め、平成六年にマスタープランが策定され、海域環境の改善が図られました。この事業における評価懇談会では、水質や藻場の改善が見られ、効果が現れてきているとの評価がありました。その後も定期的水質・底質等などモニタリング調査を継続的に行っていると思いますが、震災により海洋環境が悪化し、海底にヘドロがたまり、砂泥地に生えるアマモ等の海草が生育しづらい状況であります。また、ヘドロにより海底が浅くなったため、海水温が上昇しやすく、低酸素化の影響により、カキのへい死や産卵後の生育にも影響を及ぼしております。松島湾におけるブルーカーボン推進のため、アマモなど藻場が育ちやすい環境をつくっていく必要性を鑑み、松島湾内における大規模なしゅんせつなど、リフレッシュ事業を改めて行うべきと考えますが、今後の対応と方針について伺います。 大綱三点目、総合型地域スポーツクラブの設置推進についてであります。 子供の体力・運動能力の状況を把握・分析することにより、体力・運動能力の向上に係る施策等の検証・改善を図ることや、学校が各児童生徒の体力や生活習慣、食習慣、運動習慣を把握し、体育・健康に関する指導などの改善に役立てるため、全国体力・運動能力、運動習慣等調査が、全国の小学五年生と中学二年生を対象に毎年行われております。この調査は、八種目の実技調査と運動習慣等の質問、学校における取組状況を調査するもので、平成二十年から始まりました。宮城県内においては、平成三十年以降、子供の体力が低下傾向にあり、コロナ感染症の拡大により拍車がかかった運動不足による改善が課題となっておりましたが、令和五年度の調査において、宮城県内の中二男子は、都道府県別順位が過去最高の十五位になり、男女ともに各合計点は、過去最低を記録した前年度を上回ったとのことで、この一年間、改善に向けた取組は大変評価するものであり、御尽力された方々に敬意を表するところであります。そこで、全国体力・運動能力、運動習慣等調査についての見解と、中二男子以外は全国平均点を下回っている中で、今後の体力向上への取組についての考えを伺います。 中学生の体力向上に密接に関わるのが部活動であります。少子化や教師の働き方改革により、これまで教員が担ってきた部活動の指導を、地域団体や関係事業者に担ってもらうことで、地域の活動に位置づける地域移行を目指しています。国は、令和五年度から七年度末までの三年間を改革推進期間として、地域連携・地域移行に取り組みつつ、地域の事情に応じて可能な限り早期の実現を目指し、まずは休日における地域移行を推進していくこととしておりました。宮城県では、各市町村を訪問し、進捗状況や地域の課題を把握しながら、協議会設置への働きかけや推進計画策定に必要な情報提供などを行い、生徒・保護者への周知や指導者に対する研修会の開催などの支援を行ってきました。スポーツ庁では、地域の実情に応じて、実施主体として総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、プロスポーツチーム、民間事業者、大学、地域学校協働本部や保護者会など、学校関係の組織、団体などを想定しています。文化庁も同様であり、いずれにしても、準備が整った市町村から地域の活動に移行することとしています。この実施主体だけではなく、体制整備や指導者確保など、各自治体の取組状況が違っているのが現状である中で、地域移行への進捗状況について、県の所見を伺います。 地域移行後の活動においては、会費や保険料など、保護者の経済負担が課題となります。学校部活動と地域のクラブ活動等のガイドラインでは、生徒や保護者、地域住民等の理解を得つつ、活動の維持・運営に必要な範囲で可能な限り低廉な会費を設定する。市町村は地域クラブ活動に係る施設使用料を低廉な額とするなどの支援を行うとあります。しかし、財政が厳しい市町村に求めるのは酷であり、今まで以上に国へしっかりと財政支援を求めることが必要と考えます。また、参加する生徒に対し、自身のけが等を補償する保険及び個人賠償責任保険に加入するよう促すとありますが、団体競技の編成により複数中学校の生徒が集まる場合の送迎や、外部の設備等の活動費なども含め、保護者負担の増加が懸念されております。ガイドラインでは、経済的に困窮する家庭の生徒に対する地域クラブ活動への参加費用の支援等の必要性を検討するとありますが、家庭の経済状況に関係なく、希望する全ての生徒が参加できる環境をつくるため、また、子育て世代への支援策としても、宮城県として保護者の負担増への軽減を図るべきと考えますが、見解を伺います。 部活動の地域移行の受皿として総合型地域スポーツクラブが挙げられています。総合型地域スポーツクラブは、身近な地域で子供から高齢者まで、それぞれのレベルで様々なスポーツを楽しめる地域住民により自主的、主体的に運営されるスポーツクラブであり、スポーツを核とした地域コミュニティーの創造を基本理念としています。松島町にある総合型地域スポーツクラブのマリソル松島では、まずはサッカーにおいて大郷の子供たちが加わり、部活動の地域移行への第一歩が始まります。マリソル松島では、部活動だけではなく、未就学児や高齢者を対象としたスポーツ教室など、町民の健康増進に向けた取組も行っており、地域コミュニティーの核としての役割を果たしております。第二期宮城県スポーツ推進計画では、総合型地域スポーツクラブの全市町村への設置を目標としていますが、休日だけではなく、平日の部活動の地域移行も見据えた推進策としてはもちろん、気軽にスポーツに触れながら、子供の体力向上、そして高齢者の健康寿命の延伸につながるよう、更に地域住民の交流を図りながら、誰もが安心して生き生き暮らせる地域社会づくりを目指し、総合型地域スポーツクラブの全市町村への設置を更に推進すべきと考えますが、県の所見を伺います。 大綱四点目、小規模事業者の持続的発展についてであります。 本県の企業者数合計に占める中小企業数の割合は九九・八%、そのうち小規模事業者の割合は八四・二%であります。小規模事業者支援法では、宿泊業・娯楽業を除く商業・サービス業で従業員五人以下、サービス業のうち、宿泊業・娯楽業、製造業、その他従業員数が二十人以下を小規模事業者としており、小規模企業庁による小規模企業白書では、少子高齢化・人口減少に伴い、地域の社会課題等が顕在化する中でも、支援組織や自治体のサポートも得ながら、引き続き地域の持続的発展を担うことが重要としており、地方経済を支える小規模事業者の存在意義を示していると思います。しかし、コロナ禍からの地域経済の回復はもとより、地域の人口減少、経営者の高齢化や後継者不足、人手不足に伴う生産性の向上、物価高騰等による価格転嫁など課題が多く、小規模事業者の持続発展に向けた経営環境が厳しい状況が続いております。宮城県においては、令和四年度から始まった宮城県中小企業・小規模事業者振興基本計画第三期が来年度までとなっており、今後、検証等が行われると思いますが、現時点において、第三期における各施策の評価と今後の課題、第四期に向けた取組についての考えを伺います。 改めて能登半島地震における復旧に向け、御尽力いただいている方々に敬意を表するところであります。その中でも、災害協定の下、多くの地元の建設業者が重機を使用するなど、いち早く現場に駆けつけ、最前線で緊急対応・復旧活動に尽力されていることは、東日本大震災発生当時も同様でありました。地域の特徴を熟知し、地域に根差した建設業者がいてこそ、早期に災害にも対応できます。しかし、建設業就業者は一九九七年に六百八十五万人だったものが、二〇二二年にはピーク時比六九・九%の四百七十九万人と大幅に減少しており、しかも、五十五歳以上が三六%、二十九歳以下が約一二%と高齢化が著しく高くなっており、六十歳以上である約八十万人について、十年の間に引退するだろうと見込まれている中で、災害への対応を鑑みても、担い手の確保・育成は喫緊の課題と考えます。宮城県においては、第三期みやぎ建設産業振興プランを策定し、持続可能な建設産業を目指した取組を行っていますが、建設業における若年層の雇用創出に関する所見を伺います。 以上、大綱四点についてお伺いいたします。御清聴いただきありがとうございました。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 杉原崇議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱二点目、温暖化における漁業対策についての御質問にお答えいたします。 初めに、養殖水産業に対する当面の温暖化対策等についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の養殖業は、近年の海水温上昇により、カキのむき身生産開始やワカメ種苗の沖出し時期の遅れのほか、ホヤなど養殖生産物のへい死が増加しており、海洋環境変化への対応が重要な課題であると認識しております。このため県では漁業者に対して、水温・塩分などの情報を迅速に提供するための自動観測ブイの整備や、ワカメなどの高温耐性品種の開発等に加え、今年度から松島湾でのカキのへい死要因究明のための漁場環境調査を開始したところであります。当面の対策としては、来年度、松島湾での調査を拡充して実施するとともに、各地の漁場条件に即して水温に合わせた作業時期の徹底や、より深い水深での養殖手法の検討など、漁業者と連携しながら即応可能な対応策に取り組むこととしております。県といたしましては、他県の養殖生産の状況や大学等の研究情報も活用し、高水温耐性を持つ養殖種の導入、開発を進めながら、各海域の状況に合わせた生産技術の確立、普及に向けて、漁業者と一体となって取組を進めてまいります。 次に、ブルーカーボンの取組についての御質問にお答えいたします。 ブルーカーボン・クレジット制度の導入は、藻場造成による水産資源の維持や海藻養殖の増産など、水産業の振興に向けた取組を推進する上で、有効な手法であると認識しております。このため県では、宮城県ブルーカーボン協議会の取組として、国内でクレジット制度を運用しているジャパンブルーエコノミー技術研究組合との協議を重ね、ワカメ養殖を対象としたクレジット認証を早期に取得できるよう取り組んでいるところであります。また、我が県のブルーカーボンに関する取組を、クレジットの購入者となる企業等に広くPRするため、シンポジウムの開催や、マスメディアとの連携により情報発信を行うとともに、仙台うみの杜水族館での体験イベントの開催など、県民の皆様の理解醸成にも努めております。県といたしましては、引き続き、企業等への周知・広報活動を実施するとともに、ワカメ以外の海藻養殖のクレジット化も視野に入れながら、二酸化炭素吸収源として期待されるブルーカーボンの取組を積極的に推進してまいります。 次に、大綱三点目、総合型地域スポーツクラブの設置推進についての御質問のうち、全市町村への設置推進についてのお尋ねにお答えいたします。 総合型地域スポーツクラブは、地域住民が主体となって、誰でもスポーツや文化活動を楽しめることを目的としており、地域移行に伴い、新たにその受皿としての役割を期待されております。県では第二期宮城県スポーツ推進計画において、県内全市町村にクラブを設置することを目標として掲げ、その設置に向け市町村を個別に訪問し、他の地域の優良事例を紹介するほか、県スポーツ協会と連携し、参考となるクラブの視察や設立準備を支援するなど、積極的に働きかけを行ってまいりました。こうした活動を通じて、今年度は五つのクラブが新設され、現在二十七の市町で五十七のクラブが活動しております。県といたしましては、スポーツや文化活動を通じた健康増進や地域づくりが図られるよう、引き続き、未設置の市町村に対して丁寧に総合型地域スポーツクラブの設立を働きかけてまいります。 次に、大綱四点目、小規模事業者の持続的発展についての御質問にお答えいたします。 初めに、宮城県中小企業・小規模事業者振興基本計画についてのお尋ねにお答えいたします。 基本計画における各施策の実施状況は、中小企業・小規模企業の振興に関する条例に基づき、毎年度検証し公表することとされており、今年度も商工会・商工会議所など、九十団体に意見聴取を行い、約千三百件の御意見を頂いたところであります。基本計画に掲げる経営の革新や国内外における販路開拓及び受注機会の確保など十の施策について、評価する御意見が約八割となっているなど、事業者の皆様におおむね効果的に活用いただいているものと判断しております。一方で、御指摘のとおり、急激な物価高騰に伴う経営環境の変化への対応や、今後の急速な人口減少を見据えた、事業の後継者や従業員など人材の確保、更なる生産性の向上等が課題であると認識しております。来年度に策定する第四期の基本計画においては、こうした課題や社会情勢の変化を踏まえ、本県産業活力の源泉である、中小企業・小規模事業者の振興に向けて、DXによる生産性の向上や事業承継の一層の推進等、実効性の高いものとなるよう、企業経営者や関係団体の御意見を丁寧に伺いながら検討を進めてまいります。 次に、建設業における若年者の雇用創出についての御質問にお答えいたします。 近年、頻発化・激甚化する自然災害や、加速化する社会資本の老朽化への対応など、地域の守り手である建設業が持続的に発展していくためには、担い手の確保・育成が極めて重要な課題であると認識しております。このため県では、第三期みやぎ建設産業振興プランにおいて、担い手の確保・育成を基本目標の一つに掲げ、公共工事における労務単価の適切な設定、社会保険加入対策の強化、週休二日工事の拡大や、女性が働きやすい現場環境の整備など、建設業就業者の処遇・労働環境の改善に向けた働き方改革や若者・女性等の活躍及び定着の取組を推進しております。また、若手入職者を増やすためには、建設業への理解と関心を深めていただく必要があることから、小学生とその保護者を対象とした現場見学会や、みやぎ建設ふれあいまつり、高校生と若手技術者が交流する、みやぎ建設産業架け橋サロンを開催するほか、建設業を紹介する動画を配信するなど、建設産業の戦略的広報にも取り組んでいるところであります。県といたしましては、関係機関や建設関係団体と連携をしながら、建設業の担い手の確保・育成を図り、若年者の雇用創出にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 企画部長武者光明君。    〔企画部長 武者光明君登壇〕 ◎企画部長(武者光明君) 大綱三点目、総合型地域スポーツクラブの設置推進についての御質問のうち、地域移行後のクラブ活動における保護者の負担軽減についてのお尋ねにお答えいたします。 部活動の地域移行においては、会費や保険料など、保護者の新たな負担が課題となっております。このため、全国知事会や都道府県主管課長協議会と連携し、市町村の財政状況や家庭の経済状況にかかわらず、生徒がスポーツ・文化活動に親しむ機会を確保するため、国において必要な財政措置を講じるよう求めているところです。県としましては、市町村から実情をよく伺うとともに、子育て世代への支援といった観点も踏まえて、部活動の地域移行に伴う保護者の負担が軽減されるよう、引き続き国に対して要望してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 経済商工観光部長梶村和秀君。    〔経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕 ◎経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、松島町交通社会実験を踏まえた観光の広域連携についての御質問のうち、県営松島公園第五駐車場の無料化についてのお尋ねにお答えいたします。 松島公園駐車場については、昭和五十九年に第一から第四駐車場、平成十九年に第五駐車場を有料化し、駐車料金を松島公園内の清掃費用や駐車場管理費などに充て、観光客の受入れ環境の整備に努めてまいりました。第五駐車場の有料化は、観光客以外の長時間駐車や大型トラックの休憩場所としての利用が目立つ状況の中、混雑時に駐車できないとの苦情が多数寄せられていたことなどから、松島公園を訪れる観光客の皆様が不快に感じることなく、適切な駐車場の利用が図られるよう実施いたしました。第五駐車場に隣接する雄島は、御指摘のとおり小倉百人一首の歌枕の地として古来より多くの方が訪れており、また、最近人気テレビ番組で紹介され、観光客が増加しているところであり、県としても松島を代表する観光資源として更なる磨き上げを行う予定です。以上のことを踏まえ、松島公園第五駐車場については、松島を周遊して観光していただく方々の拠点の有料駐車場として、引き続き利用いただきたいと考えております。なお、無料化については、まずは地元の意見を伺うとともに、他県の日本三景の公設駐車場の状況などを確認してまいります。 次に、松島湾エリア三市三町の広域観光振興を目指した松島湾ダーランド推進計画の進捗状況についての御質問にお答えいたします。 県では、御指摘のとおり、平成二十八年度から五年間、松島湾ダーランド推進計画に基づき、松島湾周辺の三市三町と連携し、魅力あふれる観光地づくりに取り組みました。その主な取組としては、湾周辺市町サイクリングコースを五件造成するとともに、三市三町の主要施設九か所に、多言語での松島湾エリア全体の広域案内看板等を設置したほか、エリア情報を集約したウェブサイトの開設や、観光地域づくりの次世代リーダーを育成する人材育成未来塾の開講などを行いました。更に、後継事業として、水上輸送を活用した周遊モデルルートの造成、松島湾体験学習ガイドブックの作成・配布、松島湾エリアの次世代を担う観光人材の育成などを実施してまいりました。これらの取組の成果により、松島湾エリアの宿泊観光客数は、震災前の約九十六万人からコロナ禍前の令和元年度では約九十八万人となるなど、一定の成果があったものと認識しております。県といたしましては、引き続き三市三町やDMOと連携しながら、松島湾エリアでの一層の広域観光振興に取り組んでまいります。 次に、地域経済の活性化や消費拡大につながる観光DXの推進の御質問にお答えいたします。 旅行者の利便性向上や観光産業の業務効率化、生産性向上による地域経済の活性化を図る上で、観光DXを推進することは大変重要であると認識しております。県ではこれまで、旅行者の利便性向上・周遊促進施策として、デジタル身分証アプリ、ポケットサインを活用したスタンプラリーや、首都圏・東北に来訪されたインバウンド客向けのプッシュ型広告配信などに取り組むとともに、観光産業の収益・生産性向上施策として、宿泊・観光施設における多言語対応案内ツール等の導入支援、宿泊予約から支払いまでを一括管理するアプリ導入等に関するセミナーなどを実施したところです。更に、御指摘の観光DXを推進するため、データに基づくマーケティングを重視するDMPの活用により、誘客促進を図っている下呂温泉観光協会に、県観光連盟の職員を研修派遣するなど、取組を強化しているところです。県といたしましては、地域間・観光事業者間のデータ連携に関する先行事例なども参考にしながら、引き続き、地域活性化や観光消費拡大のための施策に取り組み、観光DXによる持続可能な観光地づくりを進めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 水産林政部長吉田信幸君。    〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕 ◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱二点目、温暖化における漁業対策についての御質問のうち、新魚種の普及促進・消費拡大についてのお尋ねにお答えいたします。 近年、タチウオやチダイなどの暖水性魚種の水揚げが顕著に増加しており、このような変化に柔軟に対応し、新しい魚種を積極的に活用していくことが重要であると認識しております。このため県では、新しい業種を対象とした漁法への転換を支援するとともに、水産加工業者の新商品開発を促進するため、成分情報や試作品の提供、加工技術の支援のほか、開発経費への助成を行っており、これまでに、チダイを用いた加工品が商品化されるなどの成果が出てきているところです。また、地元で捕れる新しい魚種の認知度向上のため、みやぎ水産の日での販売促進やSNSなども含め、各種メディアでの調理方法や加工品の紹介など、消費者への情報発信を進めております。県といたしましては、引き続き、生産から加工、販売までの各段階において様々な支援を行うことで、新しい魚種の普及促進・消費拡大に努めてまいります。 次に、松島湾における藻場造成についての御質問にお答えいたします。 アマモをはじめとする藻場は、水産生物の産卵や生育の場となるほか、ブルーカーボンや水質浄化など様々な機能も有しており、その維持・造成が重要であると認識しております。松島湾では、震災に伴う津波の影響により、アマモの生息域が大きく減少したことから、現在、漁業者や市民、企業が参加する、松島湾アマモ場再生会議を中心に、再生に向けた取組が行われておりますが、造成したアマモ場が、高水温の影響等により再び消失するなど、震災前の状況には回復しておりません。このため県では、宮城県ブルーカーボン協議会の取組として、今年度から松島湾アマモ場再生会議の活動を拡大するための支援を開始するなど、地域の取組を一層後押ししていくこととしております。県といたしましては、引き続き、松島湾内の環境調査等による現状の把握に努めるとともに、活動団体への支援を行うなど、水質の浄化や漁業資源の増大、二酸化炭素の削減にも貢献する、アマモ場の回復に向けた取組を推進してまいります。 次に、松島湾内におけるリフレッシュ事業についての御質問にお答えいたします。 県では、平成六年に策定した松島湾リフレッシュ事業マスタープランに基づき、関係部局が連携し、環境保全事業を実施してまいりました。水産関係では、平成十一年度までに、漁場環境の改善を目的とした作澪工事を実施し、事業完了後も環境モニタリング調査を継続しております。この調査では、現在のところ漁業生産に影響を及ぼすような数値の変化は確認されておりませんが、一方で、震災以降、松島湾では、アマモ場の回復の遅れや、近年のカキのへい死の増加などから、漁場環境の変化を懸念する漁業者の声があることは承知しております。このため県では、従来の水質・底質調査に加え、今年度から漁業者と連携し、カキのへい死対策として、週一回のサンプリングによる生残率等の調査や、連続的な水質データの収集など、より詳細な漁場環境調査を開始したところです。県といたしましては、来年度も内容を拡充しながら調査を継続し、松島湾の漁場環境の把握に努めるとともに、調査の結果や地元漁業者などの意見も踏まえながら、必要な対策を検討し、藻場の回復を含め、安定した漁業生産につながるよう取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、松島町交通社会実験を踏まえた観光の広域連携についての御質問のうち、交通社会実験の効果や課題及び来年度以降の実施についてのお尋ねにお答えいたします。 日本三景松島としてふさわしい道路空間の構築に向けて、国、県、松島町、県警や県トラック協会等で構成する、松島町交通社会実験協議会が実施主体となり、昨年度から二度にわたり社会実験を実施したところです。国道四十五号の通行止めに伴う周辺道路への迂回については、事前の周知・広報の強化や、AI・IoT技術を活用したきめ細やかな情報提供を行った結果、著しい渋滞は発生しませんでしたが、主要な迂回路である県道仙台松島線の機能改善を望む意見が利用者から多数寄せられるなど、安全で円滑な交通確保に課題があることを確認したところです。にぎわいの創出状況については、観光客の約九割が満足したとの意見であり、滞在時間の増加が見られるなど、日本三景松島の魅力を発信する機会として効果があったものと考えております。今後、国道四十五号の継続的な通行規制の実施に当たっては、県道仙台松島線をはじめとする周辺道路の機能強化はもとより、観光事業者や地元にお住まいの方々など、地元からの御理解と御協力が何よりも重要であると認識しております。県といたしましては、協議会が三月末までに取りまとめる社会実験の効果検証や課題を踏まえ、引き続き松島町や地元関係者と連携しながら、今後の対応について検討してまいります。 次に、国道四十五号への歩道等の設置についての御質問にお答えいたします。 松島海岸地区を通過する国道四十五号は、日本三景松島と周辺市町の観光施設を連絡し、広域観光にも寄与する重要な幹線道路でありますが、一部区間において歩道が未整備であることから、歩行者の安全で安心な通行に課題があると認識しております。国道四十五号を管理する国土交通省では、これまで車道に自転車の通行位置を示す路面表示による自転車走行環境の整備や、JR松島海岸駅付近から松島海岸中央公園付近の歩道拡幅工事を実施したほか、現在は、旧オルゴール博物館付近から松島町役場付近までの区間で歩道拡幅工事を進めております。御指摘のありました、歩道が未整備となっている松島町松島の双観山入り口から、利府町赤沼の馬の背入り口までの区間については、地形が急峻で松島湾に面しており、整備には大規模な事業が想定されると伺っております。県といたしましては、日本三景松島を訪れる旅行者の安全で安心な通行空間の確保に向け、歩道未整備区間の早期事業化について、松島町や利府町と連携しながら国に働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。    〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱三点目、総合型地域スポーツクラブの設置推進についての御質問のうち、体力・運動能力、運動習慣等調査についてのお尋ねにお答えいたします。 今年度の調査結果では、中学二年生男子をはじめ、全ての対象学年で昨年度を上回ることができました。その要因としては、これまでの体力向上対策を見直し、各学校に具体的な取組例を示すなど、より実践的な対策を講じたこと。また、新たに設置した体力・運動能力向上センターのコーディネーターが、県内全ての小中学校を訪問し、個別のデータ分析によるアドバイスを行い、それらを基に各学校や市町村教育委員会において、組織的に取り組んでいただいたことによるものと認識しております。一方で、持久力に関する項目に伸び悩みがあること、小学生の運動時間が少ないことなどが今後の課題であると捉えております。県教育委員会といたしましては、センター事業の充実・強化を図り、学校生活だけでなく、家庭や地域における運動時間の確保や、児童生徒が自ら運動に親しむ環境づくりを推進し、更なる体力・運動能力の向上を目指してまいります。 次に、部活動の地域移行における進捗状況についての御質問にお答えいたします。 我が県では、今年度を移行のための検討期間と位置づけ、市町村の関係者を対象とした、圏域説明会や地域移行フォーラムを開催し、先進事例の紹介、情報交換などを行うとともに、各市町村を訪問し、理解の促進や進め方の助言などを行ってまいりました。先月実施した市町村を対象としたアンケートでは、二十六市町村が「協議会を設置している」、または、「本年度中に設置予定」と回答しており、そのほかの市町においても、関係団体との情報交換会が行われるなど、何らかの形で検討が始まっているものと認識しております。来年度は十四市町が、全てまたは一部の学校で段階的に移行を開始する予定としていることから、引き続き市町村の進捗状況などを共有するとともに、保護者や学校、地域の関係者に対する周知活動を充実させ、全ての市町村が円滑に地域移行を進められるよう支援してまいります。 以上でございます。 ○議長(高橋伸二君) 十七番杉原崇君。 ◆十七番(杉原崇君) 再質問させていただきます。 まず社会実験について、私はやっぱり渋滞緩和策としては三陸道の無料化が一番早いという思いはあるのですが、前回の答弁で、インターチェンジの改修だったり、道路の維持管理で難しいというお話もあった中で、結果的に初原バイパスの延伸だったり、国道四十五号の架け替えっていうのが、一番の、今はそこが目的、目標じゃないのかなと思っております。その中で、今、御答弁いただいたのですが、昨年の知事の定例会見で、あくまでも周辺自治体の意向ではあるが、社会実験としては数年は続けたいというお話もあった中で、今の答弁をお聞きする限りでは、あくまでも協議会で決めることではあるという話なのですが、予算面を考えても県が主導していかないと、続けていくいかないは--だと思うんですよ。改めて、来年度に向けて改善するのかしないのか、知事の考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 私自身は、二年続けて現場に行って、非常に皆さんが楽しそうに、車の往来を気にすることなく、座ったり歩いたり食べたり飲んだりされている姿を見て、やってよかったなと思っています。来年度以降やるかどうかについては、協議会で話をしてもらうというふうに思っているのですが、先般、土木部の職員といろいろ意見交換をした中で言われたのは、これはあくまでも知事、社会実験ですと。この実験をする狙いは、これによってどれぐらいの効果があるのか、それを見極める。そして課題は何なのかということを抽出、これが狙いでやっていますと。その後、課題があれば、どうすればその課題を解決できるのか、またこれやる必要があるのか、やめたほうがいいのか、こういったようなことを議論するための社会実験ですと。したがって、今回、二回やったことによって、大体課題が分かり、そして成果も大体見えてくるということになれば、次のステップに向かって社会実験をずっと繰り返すということについて、どの程度の意味があるのかということも、しっかりと立ち止まって考えるべきではないでしょうかというふうに言われました。なるほどそうだなと思いまして、私は一応、私が右だ左だというよりも、まずは協議会でよく話し合っていただいて、その後、ここで一旦、社会実験をやめてということであれば、それはそれでいいのではないかと。ただし、これでもう何もなく、もう一回元の状態に戻すのではなくて、次に向かって前に進むための社会実験ですから、そこはしっかりと協議してほしいというふうに、今指示をしているということでございます。 ○議長(高橋伸二君) 十七番杉原崇君。 ◆十七番(杉原崇君) あくまでも知事のお考えとしては、協議会次第ではあるけども、来年度に向けての開催というのは、前向きでないという言い方はおかしいんですが、そこら辺、もう一度お伺いしてよろしいですか。答弁が納得いかないというか、もう一度お願いします。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 繰り返しになりますけど、これ実験ですので、これによってどういう成果が、効果があるのか、また課題があるのかということが、大体、もう見極めることができたと。分かったということを協議会で判断されたならば、もうこれをまた同じことを繰り返すことは必要ないだろうというふうに思っていますし、もう少し課題なり成果を見極めたいというふうに協議会が考えたならば、それはそれでいいのではないかなというふうに思います。私が何もかも決めるのではなくて、やはり協議会を通じて意思決定をするというふうにしていますので、まず協議会の意思を尊重したいと考えているということでございます。 ○議長(高橋伸二君) 十七番杉原崇君。 ◆十七番(杉原崇君) 分かりました。何度も同じことを聞いてすみません。私この実験は、もう一つの裏の課題として、取組として、カーボンニュートラル、自動車があまり来ないようにということで、脱炭素の観点からも、この社会実験あったのかなと思っております。そういった中で松島の公共交通機関、鉄道を利用した観光MaaSを私は、やはりこれも、三市三町で今、東北MaaSやられていますが、三市三町でやるべきだという考えはあるのですが、観光MaaSについて知事の御所見を伺いたいと思います。 ○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 私は大賛成ですね。DXを今、宮城県進めておりますので、MaaSをDXとかみ合わせて、三市三町のいろんな観光施策を進めていくというのは、非常に有意義なことだというふうに思っております。それに対して、県としてサポートさせていただくことは、やぶさかではないというふうに思っております。 ○議長(高橋伸二君) 十七番杉原崇君。 ◆十七番(杉原崇君) ぜひ今後検討していただければと思います。 もう一つは、ブルーカーボンについて、今温暖化で、来年度も長期予報で暑くなるという予報が出ている中で、やはりどういった対応をしていくのかというのが課題であると思っております。その中で今、私は松島湾でカキの養殖をしているのですが、先ほどの知事の答弁で、より深いところに養殖するというお話があった中で、松島湾は浅いので、それができない環境であります。先ほど話しましたが、ヘドロもどんどん実際たまってきていて、干潮になると漁船が出航できなかったり、遊覧船も障害物に引っかかったり接岸できないという状況も、実はお話もお聞きしています。そういった中で、やはり、ブルーカーボンの観点から言うと、アマモの造成に関しては、泥では育たなくて、砂と泥がまじり合って初めてアマモが生育しやすい環境につくっていく中で、やはり松島湾内において、私は大規模なしゅんせつをすべきだと思っております。その答弁がなかったものですから、改めて、リフレッシュ事業という話はしているのですが、松島湾内において大規模なしゅんせつを、私は必要だと思いますが、そこの考えをお聞きしたいと思います。 ○議長(高橋伸二君) 水産林政部長吉田信幸君。 ◎水産林政部長(吉田信幸君) ただいま御質問ございましたけれども、松島湾で以前、リフレッシュ事業ということで実施したわけでございますが、現在、その後のモニタリング調査のほうをずっと続けておりまして、その数値の結果としては、漁業に直接的な影響を及ぼすような水質の変化は見られないところなんですけれども、ただ御指摘のように水温の上昇もあるというふうなことでございます。その影響は特にカキに顕著に出ている部分もあろうかなと思いまして、今年度から、松島湾における漁場環境調査を開始したところでございます。現在、まずその調査の中で、カキのサンプリング調査等々を実施してございますけれども、来年度、更にその調査を深めて、松島湾内でのプランクトン等の流れとか、そういったものも含めて調査して、漁場環境としての環境調査をまずしっかりやった上で、その上で漁業者の皆様、あるいはその調査結果も踏まえて、いろいろ検討を重ねてまいれればというふうに考えております。そういった上で、安定した漁業あるいは藻場回復に向けた取組も、併せて取り組んでいければというふうに考えているところでございます。 ○議長(高橋伸二君) 十七番杉原崇君。 ◆十七番(杉原崇君) 時間もないので、部活動についてお聞きしたいと思います。 私、コロナ感染拡大が始まったときに、私の子供が部活動が自粛・制限されたのを間近で見ていて、そのときに親として何もしてあげられなかったというのが、ずっと心残りでありまして、そういった、子供が頑張りたい環境をつくっていくのが務めではないかなと思っており、部活動について取り上げさせていただきました。今、休日移行に向けて話を進めていく中での指導者確保、やはり平日を見据えた中で、総合型地域スポーツクラブに担っていただくというのが、私の中では一番ではないかなと思っております。今、人材バンクとか様々な取組を行っている中で、仙台市さんも経済同友会さんと協定を結んだという中で、小さい自治体はそこまでできないのかなと。そういうことがある中で、指導力の確保というのは喫緊の課題なのかなと思いますが、指導者に関してお伺いしたいと思います。 ○議長(高橋伸二君) 企画部長武者光明君。 ◎企画部長(武者光明君) 部活動の地域移行に当たりまして、指導者の確保が非常に重要なことだというふうに伺っております。また学校と連携した形での引き続いた指導をしていく、そういった方々を仙台市内だけじゃなく、それぞれの地域において確保していくことは非常に大事だというふうに思っております。このため、宮城県内の実業団のスポーツチームなどにも個別にお伺いし、指導者として協力いただけないかということをお願いして、一定の前向きな御回答を頂いているところであります。また、今お話ありました経済同友会も、まず仙台市内からのスタートであるけれども、できるだけ宮城県内のほうに広げていきたいというようなことを伺っております。こういったいろんな団体の御協力も頂いた上で、それぞれの地域で部活動を希望する生徒さんが思う存分部活動できるように、指導者の確保、市町村と力を合わせて対応してまいりたいと思います。 ○議長(高橋伸二君) 暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩-----------------------------------    午後一時十分再開 ○副議長(本木忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。三十五番高橋啓君。    〔三十五番 高橋 啓君登壇〕 ◆三十五番(高橋啓君) 自由民主党・県民会議の高橋啓でございます。午後の一番ですので、本木副議長のお許しを頂きましたので、一般質問をさせていただきます。 まず、質問に先立ちまして、本年、元日に発生しました令和六年能登半島地震では、多くの貴い命が失われ、住家や公共施設、道路などの公共インフラに甚大な被害が発生しました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、被災された方々に改めましてお見舞い申し上げます。 昨年十月の選挙で当選の栄誉を頂き、本県議会に臨むに当たり、改めて身の引き締まる思いがしております。地元の皆さんに訴えてきたことや、地元の声を具体的に実現していくこと、そして、それが地域の振興につながり、ふるさと宮城の更なる発展につながっていければとの思いから、質問を行わせていただきます。 そこで、東日本大震災を乗り越え、コロナを克服してきた宮城が、更に可能性に満ち、世界に広がる宮城となっていくためどうあるべきか、具体的に伺ってまいります。ぜひ、知事をはじめ各部長・委員長・本部長からも、夢のある正しい回答をお願いするものであります。 最初に、大綱一点、能登半島地震への支援の方針と、県内インフラ施設の耐震化について伺います。 御案内のとおり、このたびの地震はマグニチュード七・三クラスの地震が連続して、十三秒間に別の近場で発生拡大し、マグニチュード七・六クラスの地震となったものです。半島という地形もあり、地盤の液状化が発生し、道路、上下水道、家屋等の生活インフラが壊滅状況で、発災から二か月がたとうとしていますが、まだまだ生活排水・用水等の復旧のめどがない状況です。もちろん、全国の支援隊が派遣されており、宮城県からも応援支援隊が派遣されております。このような中で、東日本大震災を経験した宮城県としての能登半島地震への支援方針や意気込みなどについて伺います。また、今後、予定されている支援などについて伺います。 次に、能登半島地震では、インフラの損傷が大きく、道路、ライフライン、電柱などの破損が被災者の生存、生活を厳しくいたしました。このように、ライフラインの施設の耐震化が大変重要なポイントになりました。そこで、県内の状況はどうなっているのか。全国と比較してどのようになっているのかお聞きします。最初に、県内のライフライン上水道施設における基幹管路及び浄水施設の耐震化の状況について伺います。また、県内の下水道施設の管路及び処理場の耐震化の状況についても伺います。 昨年十月、知事の先見とトップセールスで実現した、台湾の大手半導体受託製造企業が国内法人を設立し県内進出を決定したことは、本県製造業の裾野を広げ、更なる飛躍の期待と我が国のサプライチェーンの強靱化にも寄与するもので、宮城から世界に向けた新たな躍動を感じるものがあります。進出決定の一つの要因として、宮城のきれいな水の供給インフラがあるということです。半導体工場は、水を大量に使います。水の安定供給が不可欠です。そこで、半導体工場への工業用水の供給体制と供給規模等について伺います。また、供給元の広域水道と工業用水施設は、供用開始から四十四年を経過していますが、広域水道と工業用水施設の管路及び施設の更新と耐震化の現状について伺います。 次に、大綱二点、ポスト復興事業の展開と県道認定の基準等について伺います。 東日本大震災からの復旧・復興を全県民一丸となり、成し遂げた宮城県。その成果は、現在の復興発展につながっております。全県から人、物、資金を集中し、復興支援を完遂しました。復興を成し遂げた現在、今後の県土の均衡ある発展と総合発展の観点から、以下について伺います。県土の総合発展のための取組と今後の事業展開について伺います。また、今議会にも県道廃止議案が提出されておりますが、県道認定廃止基準と見直し時期、手続等について伺います。また、アプリを活用したインフラ異常箇所通報システムの活用について、実証実験中とお聞きしましたが、災害の通報や道路河川等の危険状況の通報など、いち早く対処できるので、大変有効で期待しているところでございます。これまでの活用の状況と今後の利用拡大計画及びアプリの普及等について伺います。 次に、大綱三点、宮城の農業の現状と持続可能なもうける農業について伺います。質問事項は所属委員会ですが、この場をお借りし、質問させていただくことをお許しいただきます。 最初に、昔の話を少しさせていただきますと、先日、司馬遼太郎の「街道をゆく」の仙台・石巻編を読んでいたところ、次のような文章に出会いました。皆さんももう既に御案内と思いますが、少し紹介させていただきます。「仙台藩は表高こそ六十二万石だが、実際の穫れ高は百万石をゆうに超えた。この大藩の経済活動は単純すぎ、徹底的に米に立脚し続けたのである。むりもないことで、仙台平野という肥沃な穀倉地帯のおかげで、腹は十分養えるのである。さらに江戸に近いという有利さがあり、仙台藩は余剰米を江戸送りして売った。江戸送りの米は、江戸中期には三十万石前後にもなった。巨大な米穀商ともいうべき藩だった。(中略)「殖産興業」という多様な商品生産の事業が、江戸後期、西国大名のあいだで流行のように活発になるのだが、そういう時代でも仙台藩は泰然として米一本槍であった。仙台藩はそれほど沃土だった。しかし、江戸中期から日本の経済社会が変化し、諸藩は産業を志向した。中期以降の仙台藩はそれを怠った。」と書いています。つまり、仙台藩は肥沃な穀倉地帯があり、米を作っていれば人を養うことができた。しかし、それゆえに、他の産業が生まれなかった。これは、一九八五年に書かれたものですが、久しく米依存からの脱却が言われている現在、新たな産業の振興が求められています。当然、米は本県の主産品であり、これからもおいしい宮城県産米を作っていくと同時に、野菜や花卉にもシフトしていく必要があるということですが、県内では既に園芸作物や農水産物の海外への販路拡大にも力を入れております。各県がそれぞれ海外に販路を持って進めている状況にあります。宮城県は、パプリカやセリなどは既に日本一の出荷量を誇っておりますが、我が県の農業を取り巻く現状を見ますと、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の停滞や自然災害の激甚化、特定家畜伝染病の頻発化、更には国際情勢の変化等による資材価格の高騰も加わり、農業をめぐる環境は一層厳しさを増しています。一方で、東日本大震災からの創造的な復興の取組により、大規模土地利用型農業や先進的施設園芸に取り組む法人が増加し、農業生産の効率化・高度化が現実に進んでいるほか、契約栽培による園芸作物のバリューチェーンの進展など、新たな動きも見られています。そうした中、県においても、昨年三月に宮城県みどりの食料システム戦略推進基本計画を策定しました。これは、農林漁業者の環境負荷低減事業活動などを推進することにより、本県の農林水産業が我が国における食料供給基地としての役割を果たしていけるよう策定されました。また、国のみどりの食料システム戦略を踏まえた、宮城県みどりの食料システム戦略推進ビジョンでは、これまでの取組と今後の方向性として、調達、生産、加工・流通、消費のサプライチェーン全体において、一、労力軽減と生産性の向上、二、地域資源の最大活用、三、脱炭素、温暖化防止、四、化学農薬や化学肥料の使用量の低減、五、生物多様性の保全・再生の観点から、技術開発と社会実装の二段階の目標を掲げております。そして、これらのことを実現し、雇用の拡大と地域所得の向上、そして豊かな食生活の実現を目標に、地域農業の振興を進めていくものとしております。しかし今、改めて農業が置かれている状況を見ますと大変厳しく、地元の声を拾ってみると、前述のように、原材料高、肥料・飼料・燃料高等により、厳しくもうからない農業には魅力がないとの声が返ってきます。そして、高齢化もあり農業を離れて、農地を委託する方が多くなっています。また、委託先の組織も既に高齢化が進んでおり、受け手もままならない状況です。更に、魅力のない農業には働き手も集まらない状況で、特に畜産・酪農家は経営が大変厳しく、十頭以上飼育する専業肥育農家については、地域においても激減。以前四十戸ほどあった農家が、現在は加美では二戸、色麻では一戸のみとなりました。繁殖農家も徐々に減少しており、酪農家は赤字経営で、この辺が農畜産業の限界かなと思うところであります。魅力ある農業、そしてもうかる農業を実践していかないと、後継は続かないし、その切り札がこれからの農業の主力となろうスマート農業であるのか。そして、国内消費では限界があり、農産物の輸出拡大に農業の未来を託すのか。そこで伺います。 疲弊している農畜産業への今後の取り組み方と、県内農産物の市場拡大策について所見を伺います。また、スマート農業の推進拡大と今後の展開についても伺います。そして、県が今、力を入れて進めている輸出重点五品目を含め、販路拡大策として輸出拡大を推進すべきと考えるが、所見を伺います。 最後に、昨年三月の策定の宮城県みどりの食料システム戦略推進基本計画は、二〇三〇年を目標年度としており、始まったばかりですが、これからの実現のための具体的な事業や地域への展開について計画を伺います。 次に、大綱四点、放射性物質汚染廃棄物の処理方針について伺います。 福島第一原発事故から十三年が経過。放射性物質汚染廃棄物の処理問題は、現在、八千ベクレル以下の農林系放射性物質汚染廃棄物三万六千四十五トンを各自治体で安全な処理を優先して行われております。決して棚上げされているということではなく、各自治体で県の協力を得て、実証実験を経て、焼却処理やすき込み処理、そして堆肥化処理など、安全性を最優先に地域の協力を得ながら進められています。また、四百ベクレル以下はすき込み処理を優先し、四百を超え八千ベクレル以下は一般ごみとの混焼により安全に処理を進められています。そこでお聞きいたします。現在の処理の進捗状況について伺います。また、八千ベクレルを超える未指定の廃棄物五百七十八トンのうち、一部は県外の事業者の協力を頂き、安全に処理を進められていることも報告頂きました。未指定分の処理として、県外事業者への委託処理を今後も進めるのか伺います。 現在、事故から十三年が経過し、濃度もどうなっているのか。以前、平成二十八年に測定、平成二十九年六月公表時点から、濃度はどのように変化しているか。その後、環境省から示された指定廃の量変化が震災から十五年後、六%まで低減することが示されました。また、四百ベクレル以下の放射性物質汚染廃棄物の土中処理の安全性と放射性物質の半減期の低減速度が速いことが考えられています。そこで、今後の方針も含め、改めて放射性濃度を再測定し、減衰状況を見て処理方針を定めてはどうか伺います。同様に、国の処理分として現在、県内の指定廃棄物は二千八百二十八トンあるわけですが、それについても今後検討されると思います。放射能の低減を待って安全に処理することも視野に、集約して長期保管後、安全に処理することを国に提案していくことはどうか伺います。 次に、大綱五点、投票率の向上と公職選挙法の考え方について伺います。 最近の県内の選挙の投票状況を見ると、ほとんどの選挙で投票率が軒並み下がってきております。社会現象なのか、投票年齢を下げたからなのか。市町村長選挙や市町村議会選挙でも同じ傾向が見られています。以前八〇から七〇%の選挙が、今は五〇から三〇%台に推移しております。昨年実施された県議会議員選挙では平均で三六%、二十年前は平均五四%でした。約十八ポイント下がっております。ただし、衆議院選挙では、二十年前は五九%で、直近の令和三年十月の選挙では五六%でしたので、あまり低下は見られていません。関心度の差なのか。先般、同じ時期に行われた福島県議会議員選挙では四一%、山形県議会議員選挙では五四%と投票率は我が県より高い状況です。年齢層によっても大分差があるようですが、そこでお聞きいたします。県内選挙における最近の投票率の推移と今回の県議選において独自に調査した年齢階層別投票率の変化等について、その傾向等をお伺いします。また、県選挙管理委員会では、この対策として実施されてきたこと並びに今後どのように対策を考えているのか伺います。 次に、これはある事例として伺います。ある選挙の告示の三か月前、ある立候補予定者の運動員が、その立候補予定者への支持と票の取りまとめのため、ある事務所を訪問し、その立候補予定者のパンフレットと名刺を数十枚並びに果物セットを添えて、置いて行きました。その後、地元警察に情報が入ったことが分かり、その本人が慌てて置いてきたものを回収するため再度訪問し、果物だけ持って帰った事件が発生しました。この一連の行為は、公職選挙法に抵触するのか。あくまで一般論としてお答えいただいて構いません。選挙管理委員長並びに県警本部長の見解を伺います。 最後に、大綱六点、人口減少対策について伺います。 知事は、人口減少対策について、令和六年度の重点項目に掲げました。人口減少対策は、国や地方自治体が重要課題として取り組んでおります。ほかの自治体とここが違う、宮城県はここが優れている、ぜひ宮城県に住んでほしいという特徴をここでお示しいただき、そして、魅力ある宮城、住みたくなる宮城を子育て世代に発信できること、そしてすばらしい人材を輩出できる教育県宮城をぜひつくり上げて、日本一住みたい県を目指して、これからも県土づくりを進めていただきたいと思います。最後に知事の所見をお伺いいたしまして、壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 高橋啓議員の一般質問にお答えいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱一点目、能登半島地震への支援の方針と県内インフラ施設の耐震化についての御質問のうち、能登半島地震への支援の方針と予定についてのお尋ねにお答えいたします。 先月一日に能登半島を震源とする最大震度七の地震が発生したことを受け、我が県では広域応援本部を設置し、被災地の情報収集と応援体制を整えました。その後、対口支援方式による支援先の石川県能登町への応急対策職員の派遣、更には、被災地のニーズに応じて、公衆衛生や災害廃棄物、応急仮設住宅、農地・農業用施設、漁港施設等、各分野の支援に当たる職員の派遣を行っております。今後は、生活インフラ等の応急復旧に加え、本格的な復旧・復興の段階に入ることから、息の長い支援を行っていく必要があると考えております。そのため、県としては、要請があった場合に、速やかに対応できる体制を構築するとともに、東日本大震災から得た経験や知識を継続的に提供し、被災地への支援に県庁一丸となって取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、ポスト復興事業の展開と県道認定の基準等についての御質問にお答えいたします。 初めに、復興後の県土の総合発展についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災からの復興に当たっては、創造的な復興を掲げ、災害に強いまちづくり宮城モデルの構築や、防災道路ネットワークの構築など、沿岸被災地を中心に災害に強く安心して暮らせるまちづくりを進めてまいりました。間もなく震災から十三年を迎えますが、近年、自然災害は頻発化・激甚化しており、平成二十七年九月、関東・東北豪雨や令和元年東日本台風などにより、県内各地が甚大な被害を受けていることから、国の国土強靱化予算等を積極的に活用し、引き続き、強靱で安全・安心な県土づくりを進めていかなければならないと考えております。県としては、市町村など多様な主体と連携・協働しながら、度重なる自然災害やコロナ禍、物価高騰等の影響により、疲弊した地域経済を元気にするとともに、人口減少対策など、将来を見据えた課題に果敢に挑戦してまいります。 次に、インフラ異常箇所通報システムの利用状況等についての御質問にお答えいたします。 インフラ異常箇所通報システムは、マイナンバーカードと連携したデジタル身分証アプリのミニアプリであり、道路や河川等の異常箇所の写真と発生場所をスマートフォンにより手軽に通報できる仕組みで、昨年十一月二日から実証を開始し、今年二月十六日時点の通報件数は百十八件となっております。通報された情報は、担当の土木事務所と管理委託業者に電子メールで通知され、写真や地図で詳細に内容を確認できることから、電話による通報と比べて効率的で迅速な対応が可能となっております。県では、これまで、県政だよりやホームページのほか、新聞やテレビなど、報道を通じて広く周知を図ってきたところであり、引き続き、利用者の利便性向上を図るためのアプリの改良や、庁内外の関係部署と連携した様々な媒体による広報など、更なる利用拡大に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、宮城の農業の現状と持続可能なもうける農業についての御質問のうち、農畜産業の今後の振興と市場拡大に向けた取組についてのお尋ねにお答えいたします。 近年の農業を取り巻く情勢は、コロナ禍による需要の減退に加え、国際情勢や円安等による資材等の価格高騰が長期化し、農業経営は大きな影響を受けており、特に畜産部門は深刻な状況にあるものと認識しております。そのため、県ではこれまで、高騰している飼料・肥料・燃料への一部助成等を行うことで、農業者が営農を継続できるよう支援してまいりました。このような中、新型コロナウイルス感染症が五類に移行し、外食やインバウンド需要等の増加に伴い、米価も回復基調となるなど、一部に明るい兆しも見られ始めており、食料供給県である我が県としては、今後の需要を見据えた農畜産物の生産をしっかりと行っていく必要があると考えております。このため、県では、収益性の高い園芸作物への転換や、スマート農業の導入による生産性の向上を図っていくほか、販路の拡大に向けては、輸出拡大や県産農畜産物のブランド化推進等の取組、サプライチェーン構築による生産拡大の取組を支援していくこととしております。県としては、引き続き、もうける農業への転換を進めることで、持続可能な魅力ある農業と農村の実現を図ってまいります。 次に、大綱六点目、人口減少対策についての御質問にお答えいたします。 急激に進む人口減少は、我が県の将来に大きな影響を及ぼすことから、強い危機感を抱いており、総合的な対策をより一層強化することとしております。来年度は、特に、半導体製造工場の誘致実現を契機に、更なる企業の誘致・集積等による質の高い雇用の創出を図るとともに、県外学生のUIJターンを促進するため、県内での就職活動の支援をしてまいります。また、外国人材の受入れを促進するため、都道府県で初めて覚書を締結したインドネシアと連携し、取組を強化することとしております。加えて、産後ケアサービスの利用拡大やAIマッチングによる婚活支援の機能強化を図り、結婚・出産・子育てを応援する環境整備を進めてまいります。県としては、こうした人口減少対策を推進するとともに、豊かな自然環境、多彩で豊富な食材、学術研究機関の集積、東北の経済活動の中心地などの我が県の強みを最大限に生かしながら、市町村をはじめ、多様な主体と連携し、多くの皆さんに日本で一番住んでみたいと言っていただけるような宮城を目指して、全力で取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 公営企業管理者佐藤達也君。    〔公営企業管理者 佐藤達也君登壇〕 ◎公営企業管理者(佐藤達也君) 大綱一点目、能登半島地震への支援の方針と県内インフラ施設の耐震化についての御質問のうち、半導体工場への工業用水供給の体制や規模等についてのお尋ねにお答えいたします。 大衡村に進出が決定した半導体工場への工業用水は、企業局が所管する仙台北部工業用水道から供給することとなります。仙台北部工業用水道の水源となる漆沢ダムでは、一日当たり六万立方メートルの最大取水量に対し、現在の契約水量は、一日当たり約二万立方メートルであるため、残り約四万立方メートルが供給可能な量となっております。半導体工場の必要水量は、企業誘致活動の過程で一日当たり五千五百立方メートルと示されていることから、供給規模として支障がないものと考えております。県としては、今後、関連企業の進出なども想定されるため、施設の機能や規模などについて、引き続き検討を進めてまいります。 次に、半導体工場へ供給する広域水道と、工業用水道の管路及び施設の更新と耐震化の状況についての御質問にお答えいたします。 企業局では、東本大震災の教訓を踏まえ、災害復旧に時間を要する水管橋や、重要な構造物と管路の接合部に設置されている伸縮可とう管の耐震化を重点的に実施しております。そのうち、水管橋については、昨年度までに三十七か所全ての工事が完了し、伸縮可とう管については、これまでの調査で対策が必要とされた六十二か所のうち、五十二か所の工事が完了しております。また、沈殿池やろ過池などの基幹土木施設については、大崎広域水道で約九六%、仙台北部工業用水道で一〇〇%の耐震化率となっております。管路については、軟弱地盤や過去の漏水履歴などを踏まえ、重要度や緊急性を考慮しながら耐震化を進めており、大崎広域水道では約六六%、仙台北部工業用水道では約七一%の耐震適合率となっております。なお、本格的な更新については、今後、AI等の新技術を活用した劣化診断等に基づき、更新計画を策定するなど、計画的に実施する予定としております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 環境生活部長佐々木均君。    〔環境生活部長 佐々木 均君登壇〕 ◎環境生活部長(佐々木均君) 大綱一点目、能登半島地震への支援の方針と県内インフラ施設の耐震化についての御質問のうち、県内上水道に係る管路及び浄水施設の耐震化の数値的な状況についてのお尋ねにお答えいたします。 県内の全水道事業体における令和三年度末の基幹管路の耐震適合率は約四八%となっており、全国平均の約四一%を上回っている状況にあります。また、浄水施設の耐震化率は約一六%であり、全国平均の約三九%を下回っているところです。県といたしましては、事業主体である水道事業体に対して、災害時における断水リスクなどに備えるため、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策予算を前倒しで活用するなど、水道施設の耐震化を進めるとともに、国に対しても、政府要望を通じて国庫補助制度の拡充を図るよう引き続き要望してまいります。 次に、大綱四点目、放射性廃棄物の処理方針についての御質問のうち、処理の進捗についてのお尋ねにお答えいたします。 平成二十九年六月時点で県内二十六市町村が農林業系廃棄物を保管しておりましたが、昨年四月一日時点では、十一市町となっており、十五市町村で処理を完了しております。また、保管量は、平成二十九年六月時点の推計量約三万六千四十五トンから、昨年四月時点で、市町の報告によると約五割の処理が終了しております。 次に、未指定廃棄物の県外処理についての御質問にお答えいたします。 未指定廃棄物については、指定廃棄物と同様に、国が積極的な役割を果たすべきものと考えておりますが、保管している多くの市町では、処理のめどが立っていない現状であります。そのような中、今年度、大崎市が保管農家の負担軽減のため、八千ベクレル以下に減衰した未指定廃棄物を県外事業者に委託し処理を行いました。大崎市からは、この処理について、搬出から最終処分までトラブルなく安全に実施されたと伺っております。県外事業者の活用については、県としても、処理推進の一つの方策として考えており、引き続き、処理事業者を含め、処理に関する情報の提供を行うなど、未指定廃棄物を保管する市町の処理に向けた取組を支援してまいります。 次に、放射能濃度の減衰状況を踏まえた処理方針についての御質問にお答えいたします。 通常の一般廃棄物と同様の方法で処理できる八千ベクレル以下の農林業系廃棄物については、平成二十九年七月に開催した市町村長会議の合意に基づき、焼却やすき込みなどの処理が行われていることから、現行の処理方針を継続してまいります。また、東日本大震災の発生から十三年が経過し、時間の経過による濃度の減衰が想定されることから、県といたしましては、市町の要請があれば、実際に農林業系廃棄物の処理が行われる際の再測定や、濃度に応じた処理方法の提案などの技術的支援を行っているところです。引き続き、一日も早く保管農家や市町の負担軽減が図られるよう、処理に向けた取組を進めてまいります。 次に、指定廃棄物の処理に関する国への提案についての御質問にお答えいたします。 国が処理責任を負う指定廃棄物については、平成二十八年に八千ベクレル以下の農林業系廃棄物の処理に一定のめどがついた段階で、市町村長会議の場で改めて議論を再開することを国に伝え、その間、最終処分場設置に関する現地調査を見合わせるよう要請いたしました。国はこの要請を受け、県内で一定の方向性が出るまで、調査を見合せている状況にあります。また、指定廃棄物の保管が継続する中で、国に対し、政府要望などで安全確保の取組に万全を期すよう求めてきております。指定廃棄物を集約保管し、減衰を待って段階的に処理していくことも、選択肢の一つになり得るものと考えておりますが、県といたしましては、まずは、現在取り組んでいる農林業系廃棄物の処理を進め、一定のめどがついた段階で、市町村長会議の場で改めて議論をし、その結果を踏まえて、国に適切な対応を求めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 経済商工観光部長梶村和秀君。    〔経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕 ◎経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱三点目、宮城の農業の現状と持続可能なもうける農業についての御質問のうち、輸出拡大の推進についてのお尋ねにお答えいたします。 日本国内の人口減少は更に加速していくと見込まれており、農産物に関する国内市場規模の減少は避けられない状況です。このような中、我が県の農業や食品産業が発展していくためには、輸出の拡大が必要であり、宮城県農林水産物・食品輸出促進戦略に掲げる輸出基幹品目をはじめ、海外での販路開拓は重要であると認識しております。県では、現在、東南アジアに向けたイチゴの定期・定量輸出や、欧州に向けた日本酒のプロモーションを実施し、取扱量が拡大しているほか、昨年十二月にはドン・キホーテ等の店舗を展開する株式会社パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングスと包括連携協定を締結するなど、県産品の更なる販路拡大に取り組んでおります。県としましては、今後とも輸出の拡大を通じて生産者の利益を増大できるよう、関係機関と連携しながら、輸出に挑戦する事業者を強力に支援してまいります。 私からは、以上です。 ○副議長(本木忠一君) 農政部長橋本和博君。    〔農政部長 橋本和博君登壇〕 ◎農政部長(橋本和博君) 大綱三点目、宮城の農業の現状と持続可能なもうける農業についての御質問のうち、スマート農業の推進拡大についてのお尋ねにお答えいたします。 農業者の減少や高齢化が進展する中、担い手農家の規模拡大や労力の軽減、生産性の向上を進め、地域農業の維持・発展を図るためには、先端技術を活用したスマート農業の普及拡大を推進し、魅力ある農業を実現していくことが重要であると考えております。このため、県では、全国に先駆けて、農業機械の高精度な自動運転を可能とするRTK基地局の整備と併せて、スマート農業機械の導入を支援しており、今年度からの運用で既に百三十を超える経営体、約五千五百ヘクタールで活用され、各方面から注目されています。また、昨年九月に産学官連携によるRTK利用拡大コンソーシアムを設立し、セミナーや現地研修会の開催などを行っており、今後は、RTKの有効活用に向けたモデル実証を新たに展開し、宮城ならではの営農体系の構築に取り組むこととしております。県といたしましては、引き続き、スマート農業機械の導入支援に加え、その効果的な活用に向け、新たに配置したコンシェルジュによる伴走支援を行うなど、経営の効率化と高度化を一層進めることで、スマート農業先進県を目指してまいります。 次に、宮城県みどりの食料システム戦略推進基本計画の目指す姿の実現についての御質問にお答えいたします。 昨年三月に、県内全市町村と共同で策定した宮城県みどりの食料システム戦略推進基本計画では、二〇三〇年度までに農林水産業における温室効果ガス排出量を四万五千トン削減するなどの目標を掲げ、本県農林水産業が持続的に発展できるよう取り組むこととしております。この実現に向けて、県では、農業者の家畜排せつ物の利用促進、水田作における中干しの延長やバイオ炭の農地施用によるカーボン・オフセット制度の取組検討、施設園芸における高度環境制御や省エネルギー機械の導入、化学農薬・化学肥料の使用量低減、有機農業の取組面積の拡大などに取り組むこととしております。県といたしましては、引き続き、市町村など関係団体との連携を強化しながら、目標の達成を目指し、持続可能な農林水産業の実現に向けて取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、能登半島地震への支援の方針と、県内インフラ施設の耐震化についての御質問のうち、下水道に係る管路と処理場の耐震化の数値的な状況についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の下水道施設における耐震化につきましては、管路延長のうち、国の下水道施設の耐震対策指針に基づき、耐震化を図る必要がある重要な幹線等の約五三%が対策済みとなっており、全国平均の約五六%を下回っております。また、処理場については、五〇%が対策済みとなっており、全国平均の約四〇%を上回っております。県といたしましては、今般の令和六年能登半島地震による被害状況を踏まえ、県民の安全・安心な生活を確保するためには、インフラ施設の耐震化が重要であると改めて認識したことから、引き続き、市町村と連携し、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策予算を活用しながら、下水道施設の耐震化に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、ポスト復興事業の展開と県道認定の基準等についての御質問のうち、県道認定廃止基準と見直し時期、手続等についてのお尋ねにお答えいたします。 県道については、生活者の豊かさを支え、活力ある地域づくりのための道路整備を推進するという観点から、主要都市間を結ぶ道路など、地域相互の広域的な連携強化等を考慮し、道路法に基づく認定基準により、議会の議決を経て路線認定を行っております。また、周辺地域の開発状況や県道の利用形態等に変化が生じたときには、認定基準等を踏まえ検討し、関係機関と調整の上で、議会の議決を経て路線の変更・廃止をすることとしております。これまで、県では、平成の市町村大合併や東日本大震災からの復興まちづくりの進展等に伴い、既存路線の位置づけなどが変化し、認定要件を見直す必要が生じた県道について、順次再編を進めてきたところです。県といたしましては、沿岸部の復興道路の整備が完了したことから、今後、道路の交通量や沿線の利用形態の変化等を確認し、関係市町村の意見も伺いながら、県全体の広域的な道路ネットワークの在り方を踏まえ、道路網の見直しを進めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。    〔選挙管理委員会委員長 皆川章太郎君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 大綱五点目、投票率の向上と公職選挙法の考え方についての御質問のうち、最近の県内での選挙の投票率の推移と年齢階層別変化の傾向についてのお尋ねにお答えいたします。 投票率は、社会情勢や政治的課題、有権者の意識、当日の天候など、様々な要因に左右されますが、近年における県内の選挙の投票率は、全体として低下傾向にあるものと認識しております。選挙種別ごとに申し上げますと、国政選挙の投票率は、地方選挙に比べると高く推移しているものの、平成の初めの頃に比べれば低下しておりました投票率も、地方選挙の投票率についても、国政選挙と同時執行となった平成二十九年と令和三年の知事選挙を除き、同様に低下傾向にあります。なお、今回の県議会議員選挙は三十年ぶりに投票率が上昇し、これまでの取組が一定の効果を上げたのではないかと考えております。今回の選挙における年齢階層別投票率については、二十歳代前半が最も低く、年齢が上がるにつれて徐々に上昇する傾向にあり、これまでの県内の選挙とほぼ同様となっております。 次に、投票率向上のための取組と今後の対策についての御質問にお答えいたします。 選挙の啓発については、息の長い取組が必要であると考えており、県選挙管理委員会では、これまで、選挙出前講座の実施や高校生による選挙啓発活動サポート事業などを通じて、主権者意識の向上に努めてまいりました。また、今回の県議会議員選挙では、選挙時の啓発の一環として、SNSを活用したウェブ広告の積極的な発信のほか、JRや地下鉄の駅などのポスター掲示、啓発キャンペーンの実施などを通じて、幅広い年齢層に受け入れられるように努めていたところでございます。更に、市区町村選挙管理委員会に対し、投票しやすい環境の整備を働きかけてきた結果、今回、気仙沼市や富谷市における大型商業施設に期日前投票所が新設されるなど、投票率向上につながる取組が広がってきているところでございます。今後は、投票率が最も低い二十歳代前半の底上げに向けて、大学生等との意見交換を進めるとともに、移動期日前投票所の導入など、全国の優れた事例も参考にしながら、投票環境の向上に引き続き取り組んでまいります。 次に、立候補予定者の運動員の行為が公職選挙法に抵触するのかとの御質問にお答えいたします。 選挙管理委員会といたしましては、個別事案についてのお答えは差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば、公職選挙法第百二十九条の規定により、立候補届出前の選挙運動は認められておりません。また、同法第百三十八条の規定により、何人も選挙に関し、得票を得るなどの目的をもって戸別訪問をすることはできません。更に、同法第百三十九条の規定により、原則として、何人も選挙運動に関し、飲食物を提供することなどはできません。今後とも、選挙が公明かつ適正に行われるよう、あらゆる機会を通じて、選挙制度の周知徹底に努めてまいります。 私からは、以上であります。 ○副議長(本木忠一君) 警察本部長原幸太郎君。    〔警察本部長 原 幸太郎君登壇〕 ◎警察本部長(原幸太郎君) 大綱五点目、投票率の向上と公職選挙法の考え方についての御質問のうち、一連の行為は、公職選挙法に抵触するのかについてのお尋ねにお答えいたします。 県警察としては、公正な選挙の実現に向けて取締りを推進しております。違反に当たるかについては、具体的な事実関係に即して、個別具体に判断しており、お尋ねの想定の下での回答は困難であるため、答弁を差し控えさせていただきます。 以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) 丁寧な御回答ありがとうございました。それでは、再質問させていただきますが、後ろから行わせていただきますけれども、人口減少対策については時間を見て最後になります。 最初に、大綱五の投票率の向上と公職選挙法の考え方についてお伺いさせていただきます。 先ほど、現状、四年前、それから今回の年齢別の投票率の御説明を頂きました。やっぱり見ると、二十歳から二十四歳までが一六・六%ということで一番低いのですけれども、その次に二十五歳から二十九歳が二〇・四%。そして十八歳から十九歳は意外と頑張っていて二四・六%ということで大分あるのですが、最も高いのが六十五歳から六十九歳で五二・三%ということであるのですけれども、年齢の高い人たちは大体、投票率は大分安定して高いのですが、この結果については四年前と全く同じなのです。それで先ほど、投票率が上がったというのですけれど、一ポイントです。三十五から三十六に上がったのですけれども、いかんせん他県と比べても、やはりどんどん低くなっているなという印象があります。それで、これは提案なのですけれど、やっぱり特に今県でも進めておりますが、専門学生や大学生、その年代に関わる方々にどんどん働きかけていただいて、先ほど委員長からもショッピングセンターとか、期日前投票のお話がありました。ぜひ各学校、大学にもそういった形で入っていただいて、期日前投票場として設定していくと。もちろん区が四つそれぞれあるので、その人しか期日前投票はできないのですけれど、一日ごとに変えていくとか、いろんなやり方を検討して、若い世代の投票率を上げていったらどうかなと思っておりました。 あともう一つ、選管にお聞きさせていただきますけれども、昨年の県議会の選挙の中で、委員長、これは公務なのかちょっと分からないのですけれども、地元で何件か戸別訪問されたと。投票率を上げるかどうか--あるのかなと思うのですけれども。地元で「私のところに来ましたよ」というお話も数人から報告がありました。これは公務として訪問されているのか、個人として訪問されているのか、その目的をお聞きさせていただきます。 ○副議長(本木忠一君) 選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。 ◎選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 今質問がありました、私は具体的にどこがどうだということは、全然承知しておりません。しかしながら、宮城県の選挙管理委員長としてしっかりその職責を果たすという一点について、曲がった行動なり何なりは一切行っておりません。はっきりと表明させていただきます。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) 戸別訪問については、例えば、若い人もいる事業所さんとか、あとは学校・病院等と、そういったところを戸別訪問しながら投票への働きかけをしたほうが、より効率的かなと思っております。また、委員長、同じ選挙の中で、地元のある選挙後援会事務所へ手土産を持って訪問されたとお聞きしました。これの目的は何なのか。それを見た方からの報告であったのですけれども、そういった事実はございますか。 ○副議長(本木忠一君) 選挙管理委員会委員長皆川章太郎君 ◎選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) そういうことについては記憶にございません。
    ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) あと、もう一点なのですけれども、県議会議員の選挙期間中に入って、ある候補者の運動員数名が委員長宅に入っていって休憩していた。それを目撃している方がいらっしゃって、休憩所として提供されたのかどうか、お伺いさせていただきます。 ○副議長(本木忠一君) 選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。 ◎選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) そういうことも私は一切承知しておりません。以上です。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) 記憶にないということであれば仕方ないのですが、あまり誤解されないよう、委員長は、あと一か月任期があると思うのですけれども、公職選挙法の百三十六条が適用される方だと思います。恐らく委員長としてはお分かりだと思うのですけれども、特定公務員という立場で地位利用の運動の禁止に該当しますので、その辺は公平公正な立場の行動をしていただくように--例えば、市町村の選挙管理委員会委員も同じなのですけれども、あと行政区長さんとか、あと民生委員さんも同じ立場で大分指導されておりますので、模範を示していただければと思っております。どうぞ、推薦された皆さんを裏切らない形でよろしくお願いし、任期が終わったら、あとは存分に活動していただければと思います。 次に、公職選挙法の考え方なのですが、一般論として先ほどお聞させていただいたのですけれど、なかなか該当するところは、事前運動の百二十九条、それから戸別訪問の百三十八条、それから買収は二百二十一条なのですけれども、飲食の提供は百三十九条ということで、それから違法な文書図画等の禁止というところも該当するのかなと思っております。百二十九条なのですけれど。そういったところはどうなのか、これはできれば本部長にお伺いさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○副議長(本木忠一君) 警察本部長原幸太郎君。 ◎警察本部長(原幸太郎君) 質問の趣旨がきちんと理解できていないのですけれども、もう一度お願いできますでしょうか。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) 今先ほど説明した一連の行動が、どういった法律に抵触するのかといった質問だったのです。それで該当するところを今四つほど述べさせていただいたのですけれども、該当するかどうか。本部長がお答えできなければできないで結構です。 ○副議長(本木忠一君) 警察本部長原幸太郎君。 ◎警察本部長(原幸太郎君) 県警といたしましては、刑事事件として取り上げられるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適切に対応いたしますけれども、違反に当たるかどうかにつきましては、先ほど申し上げたとおり、具体的な事実関係に即して個別具体に判断しておりますので、このような想定の下で回答するというのは難しいということでございます。以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) 今本部長から想定というお話があったのですけれども、これは、実際に事実としてあった事件でございます。恐らく本部長は分かっていると思います。そんなところで、警察にも全部物証としても押収されておりますし、写真等もあって、要は、これがボーダーラインになって、怖いのは、地域がもう当たり前にそれができるんだよというふうに判断されるのは大変困るというか、その辺は大変なことになっていきますので、ぜひ警察には、県警の捜査もその小さな地域に何十人か入ったということですので、きちんと、そういったものは戒めていただければと思います。例えば、これを許してしまうと先ほどの懸念もありますし、万引きしてもそのものをお返しすれば罪にならないのかといった例えもあるので、きちんと罪は罪として対処して欲しいということで、この問題については、その人はもう確信犯ですから、現職の議員もなさっている方ですから、分かってやっています。ですから、そういったところを許しては、町民の皆さんの付託に応えていかなければならないので、そういったところを考えさせていただいて、再度、再発防止をするためにぜひ再調査をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 それから、最後の質問になるのですが、環境省関係で放射性指定廃棄物なのですけれども、環境省からの協議とか相談等はこれまであったのかお聞きさせていただきます。 ○副議長(本木忠一君) 環境生活部長佐々木均君。 ◎環境生活部長(佐々木均君) これまで、特に指定廃棄物等に関しましては、環境省と綿密に調整しながら、これからの取扱い、あと八千ベクレル以下のものにつきましてもどういうふうに処理するか、環境省と協議、御相談しながら、御助言を頂きながら取り扱っておりますので、これからも県と保管市町、そして国と連携・協力しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) あとこの項目で最後なのですけれども、指定廃棄物、それから未指定廃棄物を今各自治体で保管している状況があって、そういった保管の補償については、市町村はどのようになっているのかお伺いさせていただきます。 ○副議長(本木忠一君) 環境生活部長佐々木均君。 ◎環境生活部長(佐々木均君) 保管するその保管料の関係につきましては、それぞれの各市町の御判断によりまして、東電とやりながらお支払いする方向でやっている自治体もございますので、その点に関しましては、あくまで保管自治体のほうで御判断された上でやられるかというふうに判断しております。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) ちょっと時間もないので、人口減少対策なのですけれども、一つだけ、ある高校生の父兄からいじめの相談があって、学校に相談しても取り合ってくれないという状況があって、いじめ相談の窓口は警察所管にはあるのですけれども、高校を含む教育機関についての設置はどうなのかお伺いさせていただきます。 ○副議長(本木忠一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 教育委員会におきましても、いじめ等の相談については相談窓口を設置しておりまして、学校等でそういう問題があった場合には、教育委員会のほうに相談が届くというような状況になってございます。 ○副議長(本木忠一君) 三十五番高橋啓君。 ◆三十五番(高橋啓君) 最後なのですけれども、時間がありませんので省略させていただきます。以上をもちまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。    〔二十四番 小畑仁子君登壇〕 ◆二十四番(小畑仁子君) みやぎ県民の声の小畑仁子です。議長のお許しを得ましたので、二年ぶりの一般質問をさせていただきます。 質問に先立ち、このたびの能登半島地震でお亡くなりになられた皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。能登半島での災害は想定をはるかに超え、東日本大震災後、私たちは災害への備えを見直してきましたが、更に見直すべき点があることを教えてくれました。私は、医療と福祉の現場経験を基に、障害の有無にかかわらず、誰も取り残されず、命と健康が守られる宮城県にするため、議員となりました。ところが、今の宮城県では、障害児者やその家族、支援者に手を差し伸べるどころか、真っ先に切り捨てられ、しわ寄せが集中している現状です。障害の有無にかかわらず、誰もが住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、宮城県民の安全・安心を守る県政について質問いたします。 四病院移転・合築について伺います。 私は、二月十五日に開催されました第九回精神保健福祉審議会を傍聴いたしました。三十人近い傍聴者とマスコミが多数駆けつけ、報道もされました。宮城県精神保健福祉審議会条例の第二条第二項に、委員は、精神保健または精神障害者の福祉に優れた識見を有する者、関係行政機関及び県職員その他知事が任命するとあり、審議会の委員は、仙南地域で長く「にも包括」に関わっておられる方々をはじめ、精神保健福祉の代表と言える方々が参加されております。しかし、過去の審議会の議事録や資料を読み、実際に傍聴してみても、審議会の意見を反映させるつもりがないように感じます。参加委員からは、「審議会に対する背信行為」「現場の声が反映されていない」と訴えがありました。一体何のために審議会を開催しているのでしょうか。サテライト案に対し、「シミュレーションと現場の差が大きい」「二か所では医療スタッフの人数も減り、精神医療の質が低下する」「宮城県の精神医療が壊れる」など、行政として真摯に受け止め対応すべき専門家の御意見が多数でした。県の提案に対し机上の空論という委員の発言は、現場にそぐわないことを意味しますが、県は全く耳を貸そうとしません。知事はどのような信念を持ち、宮城県の精神保健福祉について審議する委員を任命し、審議を託しているのでしょうか、伺います。 精神科のない総合病院で働いていた私は、看護師十年目の頃、初めて統合失調症の方が入院し、学生以来、改めて疾患について学び、医療従事者、家族との情報共有、そして転倒・転落防止にと、より一層環境整備に努めたことを覚えております。このように、精神科領域は他科とは違う独自の支援技術、看護業務があり、他科にはない看護の観点が必要な場面があり、簡単に人材確保もできません。机上の空論とも言われている県のシミュレーション案は、一体どのような現場でどのような活動、そして実績を残された方々と構想しているのか、伺います。 精神看護学の基本的な考えとして、生きにくさはその人だけの問題ではなく、家族・友人・地域社会の問題でもある。したがって、精神看護の対象は個人だけではなく、家族、集団、組織、地域社会をも含むため、その地域で一から築く「にも包括」が大切であるといいます。名取で患者とともに育ってきた医療センターは、なれ親しんだ医師・看護師をはじめ、デイケアなどに関わる医療従事者がおり、環境の変化に脆弱な精神疾患患者にとって、移転や人材の変化は非常に危険で、病状の悪化につながる可能性があります。精神病院を二か所にするのであれば、富谷・黒川圏域に新病院を誘致し、「にも包括」を一から築いていくことで、救える県民が増えると考えますが、所見を伺います。 次に、能登半島での地震、そして停電から、すぐに取り組むべき課題である防災について伺います。 医療的ケア児者に関わるようになり、防災について情報収集を行っております。全国各地の医療的ケア児者や家族、支援者で、月に一度防災について政策提言や情報交換を行っており、宮城県の当事者家族と一緒に参加しております。昨年、永田町子ども未来会議で、北海道ブラックアウトを教訓とする災害弱者対策、佐賀県武雄市医療的ケア児家族の防災訓練の報告があり、防災に対する情報交換が行われました。能登半島地震から四日後には、福島県いわき市で医療的ケア児が福祉避難所で過ごすことを想定した訓練が行われ、「湯たんぽ、電気毛布、湯を沸かすのも全部電気。発電機一台で二人が限界かも」と、実際に訓練したからこそ分かる課題が浮かび上がりました。宮城県では地震以外にも風水害があり、防災に対する取組はより重要です。医療的ケア児者の現場で長く往診をされている田中総一郎先生は、一、自力では避難できない要援護者の避難をどう支援するのか。二、避難した後、生命に直結する医療機器の電源や薬剤をどのように確保できるのか、そして安全に過ごせる場所を確保できるのか。三、平時から防災対策をどのように普及させるのか。この三点が重要になるとおっしゃっています。東日本大震災での犠牲者の割合は、障害者手帳を有する方では、一般の二倍に上りました。誰一人取り残さない防災が進むことを願い、障害者や高齢者など優先度の高い避難行動要支援者について、個別避難計画を作成することは、市町村の努力義務です。現在、県内市町村における個別避難計画作成の取組状況を伺います。 東日本大震災では、電源確保を理由に医療機関に入院された方が多く、医療機関では重症者の対応に追われる中で、大変混乱しました。医療的ケア児は直近十年で二倍に増加し、人工呼吸器を必要としている児童の数は十年で四倍になっています。人工呼吸器の装着者は、呼吸器のほかに在宅酸素、吸引機、吸入器、排たん補助装置、酸素飽和度モニターなど複数のデバイスを利用しており、停電対策は生命に直結する重大な課題です。介護職員として在宅療養に関わる中で、医療的ケア児者の御家族は日々のケアに追われ、災害のことについては考える機会も奪われているように感じております。受診先の病院をはじめ、各自治体から災害時の備えに関する啓蒙活動が必要です。長期停電時において、国からは、医療機関が該当者に貸し出せるように、簡易自家発電の整備に必要な経費の一部を補助する制度があります。しかし、災害の状況により医療機関まで借りに行くことができない可能性があり、在宅から近い場所での電源確保が必要です。医療的ケア児者は、車から電源の供給を受けることができ、県内どこでも見かけるトラックやバス、倉庫にあるフォークリフトからは電源を供給することができます。更に災害時、一拠点で支援をすることは、拠点地が被災した際に支援が滞るリスクから、複数の拠点地での支援が必要です。宮城県には、災害発生時に人的あるいは物的な援助を受けられるよう、自治体が民間や関係機関との間で締結する救援協定が二百七十四件あります。しかし、電源を必要とする医療的ケア児者に関わる協定内容はありません。災害時、電源確保を必要とする医療的ケア児者に対し、優先的に電源供給できる防災協定など、運送トラックやバス会社等と締結することは可能でしょうか、伺います。 次に、避難所について伺います。 田中医師によると、「東日本大震災でも、夜間の吸引音や奇声を発する子供のことを気兼ねして、障害者の多くが自家用車や知人宅で過ごし、避難所へは避難しなかった。指定避難所で行動に問題があって対応に苦慮する親子も含めて支援するために、子供の障害に熟知したコーディネーター設置と、指定避難所内に障害児のスペースを確保する必要がある」といいます。避難所運営の研修に障害児者の特性を学ぶ機会をつくり、指定避難所に障害児者コーディネーターを設置し、指定避難所に障害児のスペース確保について、所見を伺います。 また、ふだん通い慣れた特別支援学校や福祉施設が福祉避難所として整備されることを障害児者の御家族は希望されていますが、整備に向けての取組はどうか伺います。 先日の河北新報で、冬の避難所運営の実施状況について掲載されました。宮城県で訓練を実施したことがあるのは、石巻市、気仙沼市、多賀城市、山元町、七ヶ浜町、南三陸町でした。自治体での避難訓練には、障害児者と家族が参加しやすいよう配慮し実施されているか伺います。 次に、移行期医療について伺います。 令和六年度の予算案に、移行期医療支援センター設置に関わる予算が確保されました。現在、全国で九か所設置されており、宮城県は十か所目、東北では初となります。移行期医療の支援体制が整わないまま、かかりつけ医から移行を進められてきた当事者にとって、待ち望んでいた事業です。昨年二月議会、ゆさ議員の代表質問で、センター設置について知事は、子供から大人に移行するとき、このときに、それぞれの病院で連携を取っていかなければいけませんので、その移行支援というのは非常に重要だと考えておりまして、組織をしっかりと、できるだけ早期につくれるように努力したいと答弁されました。答弁いただいたとおり非常に重要な事業でありますが、このたびの予算は四百万円で、消極的な予算と考えます。移行期医療には、医療体制整備の課題と、自立的な患者を育てる自立支援の課題と、二つの柱があります。医療体制整備については、受入れ先となる成人診療科の理解と協力を得て、全国どこでも移行支援が受けられる医療体制整備が求められます。そして、自立的な患者を育てる自立支援の課題については、患者よりも患者家族と小児科医の強い信頼関係があるため、移行するときに家族が見放されたような印象を受け、移行が困難にならないよう、早期から患者自身が主体性を持ち医療を受ける自立支援が必要です。このことからも、専門性のある人材の対応が不可欠です。しかし、センターの事業内容は、他県の情報収集や啓蒙活動、セミナー活動実施ということで、今ある小児慢性サポート支援センターの事業内容と類似しています。設置により当事者の期待が高まる中、その機能が整備されていなければ、こども病院など現場の負担が増えるばかりです。結果、現場にお任せになると考えますが、移行期医療に対して、どれだけ本気で取り組もうとされているのか伺います。 移行期医療は、学齢期頃から患者に対してヘルスリテラシーを高め、将来、自らの医療について自己決定できる自律的な患者を育てるための自立支援プログラムを展開する必要があります。家族に対しても、児の適切な自立支援を後押しするための指導が必要です。そこで、宮城県心臓病の子どもを守る会では、慢性疾患を持つ子供が病院ノートを使用した定期的な外来受診を行うことで、自分自身の病気を理解し、医師とのコミュニケーション能力を体得するために、全国初の病院ノートを作成しています。この取組に関して、行政として支援することができないか伺います。 自立が難しく転科先がない重症心身障害児者については、転科することが最善と考えられない場合に、無理な転科はしなくてもよいとあります。しかし、成長とともに成人ならではの疾患、生活習慣病や悪性腫瘍などの罹患リスクもあり、それらの疾患を発症した際に受皿が必要です。病院再編による協議の中で、移行に適さない患者が成人領域に関わる疾患を発症した際に受け入れる体制を構築することができないか、伺います。 私が看護学生だった一九九〇年代には、在宅で人工呼吸器を装着し日常を送るという日が訪れるとは、思いもしませんでした。教育でも、在宅看護の長期実習はありませんでした。宮城県の在宅医療に関わる看護師の一番多い年齢層は四十代で、まさに私世代であり、同じように驚きの声が聞かれています。そのため、在宅に関わる人材が不足しており、日本看護協会、そして宮城県看護協会でも、基礎看護教育三年制を四年制とし、医学の進歩に合わせ教育時間を確保してほしいという希望があります。現場で教育に関わる看護師からも、教育時間を増やしてほしいとの声はありますが、看護師不足から、今は教育時間を増やすことは困難となっております。このため県は、看護協会の協力の下、実践に基づいた学び直しの機会を持ち、潜在看護師が現場復帰できるように支援しています。しかし、より一層の取組が必要と考えますが、今後の支援状況はどうか伺います。 在宅で医療を受けながら療養できる医療的ケア児は、地域に帰り在宅で過ごすようになると、生活者の一人となります。たとえ医療が必要であっても、医師の許可があれば就園できます。今年度、宮城県で初めて、就園に関わるフローチャートとガイドラインが石巻市と医療的ケア児等相談支援センターちるふぁで作成され、就園に至りました。今後、医療的ケア児の就園希望をより加速するためには、就園支援に特化した支援体制が必要です。さいたま市には、子育て支援の一つとして、医療的ケア児に特化した保育支援センターがあります。センター長は長く障害児者に関わっておられる看護師で、「医療的ケア児を日々支える保護者をまず受け止め、日々のケア行為をねぎらい、寄り添うことが大切」と話します。私が県内で伺った就園希望者の声は、就園希望先で医療的ケアの話になると、「そのケアはできないと言われ、就園に至ることができない。医療的ケア児受入れとうたっているのに、断られるたびに心が折れる」ということでした。就園が促進されれば、働きたい保護者も働くことができ、宮城県の女性活躍プロジェクトにも参加できます。宮城県でも、就園を促進していけるように、子育て支援の一つとして、医療的ケア児に特化した保育支援センターの設置ができないか伺います。 宮城県の発達障害者家族支援事業の中に、先輩保護者であるペアレントメンターを活用した家族支援、ピアサポート等の支援事業があります。しかし、医療的ケア児の家族にはこのような事業はなく、孤立してしまいます。東京都では、医療的ケア児等の支援として、医療的ケア児を育てる御家族が抱える就労に関する不安、悩みに寄り添い、必要な情報提供を行うための医療的ケア児ペアレントメンターによるオンライン相談を行っております。この支援は大好評で、ペアレントメンター自体の就労にもつながっており、女性活躍の就労支援としても大変重要な支援事業になります。宮城県にも必要な支援と考えますが、設置可能か伺います。 医療的ケア児に関わる問題は、ほかにも重要で喫緊の課題があります。それは、きょうだい児支援です。小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の中で、介護者支援事業が努力義務となり、この事業には、きょうだい児支援があります。自分のきょうだいに障害児がいる人たちへの支援に関しても取り組んでいく必要があります。保護者は医療的ケア児から目が離せないことが多く、きょうだい児には注意を向ける時間が少なくなってしまいがちであるとか、きょうだい児の発育にとても重要なことが不十分な環境になってしまう可能性があります。先日、きょうだい児支援に取り組んでいる医学生と小児科医、小児に関わる専門家と意見交換をしました。医学生は、医療的ケア児の家族と関わる中で、障害児のお世話もありなかなか外出ができない、きょうだい児を連れ出すことが難しいなど、目の当たりにし、きょうだい児の心の孤立や、自身の感情・思いを受け止めてもらいにくい状況があることに気づき、きょうだい児のやりたいことに寄り添い、きょうだい児の心の成長を見守るお兄さん・お姉さんとして活動を開始したそうです。同席したお二人からは、「病院では、保護者からきょうだい児の状況について聞くだけになってしまう。病院ではできない支援、病院関係者と違う人との関わりは大切。病院の都合や患児の病状により保護者が病院に付き添うことになり、それが長期化、頻回であると、家庭が大変な状況になることは聞いている。何とか保護者の負担を軽減したい」と話されました。きょうだい児も一人の子供であり、子育て支援の対象です。子育て支援としてもきょうだい児の支援を行う必要があると考えますが、所見を伺います。 最後に、伊藤副知事が保健福祉部長のときに、治療法のない病で余命一年と宣告を受け、在宅でお子様をみとったお母さんと、小児と若年性の在宅療養支援のお願いに伺いました。その事業が令和六年度予算に確保され、県民の声は届くと実感しました。お母さんからは、喜びの声と、「残された時間をよりよく生きるため、制度の可決を心から願っている」という声を頂きました。この支援が実現するのと同じように、たとえ少数派であっても、県民の声がより多く届くことを願って、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 小畑仁子議員の一般質問にお答えいたします。 大綱一点、宮城県民の安全・安心を守る県政についての御質問にお答えいたします。 初めに、精神保健福祉審議会委員の任命についてのお尋ねにお答えいたします。 精神保健福祉審議会は、精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項の調査審議を目的として設置した県の附属機関であり、精神医療、保健、福祉の各分野の経験者や学識者、精神障害の当事者から委員を選任しております。審議会においては、それぞれの立場で議論がなされ、様々な意見が出されておりますが、県全体を見据えた精神保健福祉の課題を踏まえ、執行部の施策や事業に各委員の立場からの御意見を頂くことを期待しております。県といたしましては、審議会だけではなく、患者や家族、関係者など現場の意見も伺いながら、不安や懸念の解消につながるような提案と丁寧な説明に努め、精神保健福祉体制の充実に向けた取組を進めてまいります。 次に、移行期医療支援センターの取組についての御質問にお答えいたします。 県では、令和四年三月に東北大学病院や県立こども病院等の医療関係者から構成される移行期医療支援体制検討委員会を立ち上げ、これまで四回にわたり、移行期医療についての現状把握や課題についての議論を進めてまいりました。その上で、これまでの議論を踏まえ、来年度、移行期医療を総合的に支援する機能として、移行期医療支援センターを設置したいと考えております。同センターでは、医療ソーシャルワーカー等を支援コーディネーターとして配置し、成人期に達した患者に対応可能な診療科や医療機関情報の把握・公表、患者や家族向けの相談支援のほか、医療機関に対する研修や普及啓発などの業務を行うこととしております。また、同センターの運営に当たっては、東北大学病院をはじめとする医療機関や、小児慢性特定疾病児童等の相談を受けている小慢さぽーとせんたーなどの関係機関と連携を図るとともに、患者やその家族、医療関係者の声もお伺いしながら、更なる機能の強化に努め、より充実した移行期医療支援体制の構築ができるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、移行に適さない患者が成人領域に関わる疾患を発症した際の受入れ体制構築についての御質問にお答えいたします。 重症心身障害などの障害のある患者への支援に当たっては、年齢や障害特性に応じた入所や、通所・訪問支援などの障害福祉サービスの提供のほか、医療機関との連携を含めた総合的な支援体制の整備が必要であると認識しております。重症心身障害者への対応については、来年度において、御本人やその家族、医療機関等を対象とした実態調査を実施する予定であり、重症心身障害児者の療育や医療の状況などを確認しながら、今後の支援体制の在り方を検討することとしております。小児期から成人期への移行に課題がある方への医療の提供の在り方につきましても、病院再編に関する検討状況にかかわらず、この調査結果等を踏まえ、小児期と成人期における医療機関の連携体制や、受入れ体制の構築に向けて取り組んでまいります。 次に、潜在看護師の現場復帰に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 国では昨年十月に、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づく看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針を約三十年ぶりに改定しており、その中では、看護師等の確保に向けた三本柱の一つとして復職支援が位置づけられたことから、潜在看護師の復職支援は、今後より一層重要になるものと認識しております。県では、宮城県看護協会と連携し、県政だより等による潜在看護師の掘り起こしや、離職期間中の技術面に対する不安を解消するための研修など、復職を支援する様々な取組を行っております。また、県から指定を受け、宮城県看護協会が運営する宮城県ナースセンターが、就職を希望する潜在看護師に対し、それぞれのキャリアやニーズに寄り添った丁寧なマッチング支援を実施しているほか、ハローワークと連携した移動相談等に取り組んでおります。こうした取組が潜在看護師の復職につながっていることから、県といたしましては、今後も宮城県看護協会などの関係機関と連携しながら、復職支援に努めてまいります。 次に、医療的ケア児のきょうだい児への支援についての御質問にお答えいたします。 医療的ケア児とその家族への支援においては、きょうだい児が自己肯定感を持ち、健やかに成長できるよう、自身の気持ちを受け止めることや、親との時間を確保することなど、きょうだい児の目線に立った支援が重要であると考えております。県では、宮城県医療的ケア児等相談支援センターちるふぁにおいて、家族のニーズ把握や相談支援を実施するとともに、仙台エコー医療療育センターに医療型短期入所コーディネーターを配置し、家族のレスパイト確保のための相談調整を実施しております。県といたしましては、きょうだい児も含め、医療的ケア児とその家族が健やかに安心して暮らせるよう、支援の充実に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 復興・危機管理部長千葉章君。    〔復興・危機管理部長 千葉 章君登壇〕 ◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱一点、宮城県民の安全・安心を守る県政についての御質問のうち、障害児者とその家族の支援のための指定避難所へのコーディネーター配置とスペースの確保等についてのお尋ねにお答えいたします。 国が避難所運営の参考とするために策定した、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針においては、避難所内で要配慮者用スペースの確保や、避難所の運営管理者などを対象に要配慮者の特性等に関する研修を実施することを明示しております。また、避難所の運営として、障害児者とその家族の支援に特化したコーディネーターの設置ではないものの、障害児者等の要配慮者支援のための全体コーディネートを行う連絡会議の開催について示されているところです。県としましては、障害児者等の要配慮者とその家族をはじめとする被災者の避難所における良好な生活環境が確保されるよう、引き続き、避難所の開設主体である市町村に対し、取組指針やこれに関連するガイドラインなど、要配慮者への配慮の必要性の周知に努めるとともに、必要な助言を行ってまいります。 次に、避難所運営訓練が障害児者とその家族が参加しやすいように配慮されているかとの御質問にお答えいたします。 宮城県地域防災計画では、防災訓練について、高齢者、障害者などの要配慮者とその家族を含めた実施について定めており、障害者とその家族が防災訓練に参加しやすいよう配慮することは重要であると認識しております。県内市町村における今年度の防災訓練については、三十四市町村で計画され、このうち十五市町が高齢者、障害者などの要配慮者を含めた避難所運営訓練を実施しております。県としましては、障害者とその家族が参加しやすい訓練となるよう、市町村防災担当課長会議などを通じて周知を図ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 保健福祉部長志賀慎治君。    〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点、宮城県民の安全・安心を守る県政についての御質問のうち、県のサテライト案についてのお尋ねにお答えいたします。 県立精神医療センターのサテライトについては、病院経営や精神科医療の知見を有する医療コンサルタントを活用しながら検討しており、精神医療センターから患者データの提供を受け、居住地域や入院形態、入院の時間帯などに基づき医療需要を分析し、診療機能や人員配置の検討、経営収支の検討などを行い、三つの案を作成したものであります。現在、この三案について、精神医療センターの職員の方々と意見交換を行いながら、財政面や医療スタッフの確保などの観点から、現実的に運営が可能となるよう、具体的な機能や規模などを精査しているところであり、県といたしましては、サテライトの実現に向けて、引き続き現場の声を伺いながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、富谷・黒川圏域の新病院の誘致についての御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターの富谷市への移転・合築については、令和元年度のあり方検討会議の提言を踏まえ、老朽化した施設の早期建て替えや、東北労災病院との合築による身体合併症の対応能力の向上などを目指して取り組んでいるものであり、昨年二月に労働者健康安全機構と取り交わした協議確認書に基づき、現在、協議を進めております。富谷・黒川地域への新精神科病院の誘致案は、労働者健康安全機構としても想定していないものであり、県といたしましても、あり方検討会議の趣旨にかなう移転用地が名取市内では見いだせない現状において、身体合併症の対応能力の向上など、精神科医療に係る政策医療の課題を解決するため、富谷市への移転・合築とサテライト案の検討を進めてまいりたいと考えております。なお、「にも包括」の構築については、来年度から関連予算を拡充し、関係機関のネットワーク構築や人材育成のほか、精神障害にも対応するグループホームなど、地域移行の受皿の整備を進めることにより、富谷・黒川地域をはじめ県内全域で、精神医療・保健福祉の体制づくりを目指してまいります。 次に、市町村の個別避難計画の作成状況についての御質問にお答えいたします。 障害者や高齢者など、自ら避難することが困難であり、特に支援を要する避難行動要支援者の個別避難計画の作成は、令和三年の災害対策基本法の改正により市町村の努力義務となり、地域における洪水や土砂災害などの危険度や対象者の心身の状況などから判断し、優先度の高い要支援者について、おおむね五年程度で作成することとされております。県内では、昨年十月現在において二市町で全部作成、十九市町で一部作成しており、未作成は十四市町村となっております。県では、市町村担当者等を対象とした研修会において作成に向けた働きかけを行うとともに、未作成の市町村を訪問し課題や進捗状況を伺うなど、計画作成を促進する取組を行っております。今後とも、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図るため、市町村の取組を支援してまいります。 次に、電源確保を必要とする医療的ケア児者のための防災協定についての御質問にお答えいたします。 医療的ケア児者を含む要配慮者の電源確保については、災害が起きる前から、日常使用している医療機器に合わせた専用のバッテリーなどの外部電源を個別に確保していくことが必要であると認識しております。避難所における電源確保のため、車両からの電力供給に関する協定を締結している事例はありますが、実際に災害が発生した際に、民間の事業者から個別に医療的ケア児者に電源を供給することは、アクセスや確実性の面などで課題があるものと考えております。県といたしましては、国立成育医療研究センターが発行する医療機器が必要な子どものための災害対策マニュアルなどを参考にしながら、宮城県医療的ケア児等相談支援センターちるふぁを中心に、家族や支援者向けに情報発信を行うとともに、関係部署が連携し、市町村が策定する個別避難計画において、医療的ケア児者の電源確保について具体的に盛り込むよう働きかけるなど、平時から医療的ケア児者の災害対策に取り組んでまいります。 次に、通いなれた特別支援学校や福祉施設を福祉避難所として整備してはどうかとの御質問にお答えいたします。 福祉避難所は、一般の避難所では避難生活が困難な障害児者などのため、バリアフリー等の基準を満たした施設を市町村が指定することになっております。その多くは高齢者施設などですが、障害福祉施設や特別支援学校も指定されております。県といたしましては、障害児者にとって通いなれた場所が福祉避難所となることは、心身への影響も少なく、不安の払拭につながるものであると考えており、災害時に障害者を含めた要配慮者が安心して避難できるよう、市町村に働きかけてまいります。また、県有施設について福祉避難所の指定要請があった場合は、積極的に協議に応じてまいります。 次に、病院ノートの作成支援についての御質問にお答えいたします。 移行期医療が患者と家族が望む真に有益なものとなっていくためには、当事者である患者やその家族の意思も踏まえながら、移行支援を推進していくことが必要であると認識しております。成人期になってからの診療科の変更など、移行期医療の選択に当たっては、患者、家族、医療者の十分な話合いを経た上で、最終的には患者自身の意思で医療を決定することが望ましいとされており、御指摘のありました患者会による病院ノートのような取組は、患者主体の移行期医療を進める上で大変重要であると考えております。県といたしましては、円滑かつ適正な患者自立支援を進める観点から、移行期医療支援センターを中心に、こうした患者会の取組などの情報収集も行った上で、その支援策について今後検討してまいります。 次に、医療的ケア児に特化した保育支援センターの設置についての御質問にお答えいたします。 医療的ケア児とその家族にとって、保育所等への入所は、本人の健やかな成長と家族の離職防止などのためにも大変重要であると認識しております。御指摘のありました保育支援センターの設置について、保育所等への医療的ケア児の受入れは市町村等の設置者が対応していることもあり、県といたしましては、保育所等の人材育成や受入れガイドラインの策定など体制整備を支援しながら、ちるふぁの相談支援の中で、保育所等への入所を希望する家族への対応を行ってまいります。 次に、医療的ケア児のペアレントメンターについての御質問にお答えいたします。 医療的ケア児を育てた経験を持つ方が、その経験を生かしながら行う相談支援は、悩みや思いを共有し、専門職による支援では得られない安心感を享受できる取組として、大変有効であると認識しております。県といたしましては、他県の先進事例なども参考にしながら、ちるふぁで定期的に実施している県内家族会の情報交換など、家族が抱える悩みや不安を共有する取組を通じて、医療的ケア児とその家族に寄り添った支援に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) 答弁ありがとうございました。まず、病院のほうの問題から再質問させていただきます。 精神保健福祉審議会の委員の任命について、もう一度伺います。委員は、精神保健または精神障害者の福祉に優れた識見を有する者と審議会条例にあり、知事は任命されています。優れた識見とは、物事に対する正しい判断、考え、またその能力というふうに書かれています。委員の声は正しい判断と私は感じるのですが、あまり反映されていないように思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 正しい判断であると思いますけれども、その考え方に全て寄って立たなければならないということでもないということであります。つまり、いろんな御意見を聞く中で、精神保健福祉審議会の委員の皆様方の、先生方の御意見を聞く。また併せてそれ以外の方の声も聞いていって、総合的に判断していくというのが重要なことではないかなと考えているということです。ですから、おっしゃっていることを決して私は否定はしていないということです。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) 県は、身体合併症の件で、労災病院に一応見てもらうということで先日も話をしたということでしたが、労災病院のほうに現時点では心療内科のドクターしかいないというところで、やはり統合失調症の疾患と心療内科では別物だというふうに先生も言っていて、心療内科はあくまでも精神科とは異なる、精神医療センターに多くかかる統合失調症は対応困難というふうにホームページには書かれていたのですけれども、実際に現場を持っている労災病院の先生、担当の先生は多分そういう思いがあって載せているとは思うのですが、この辺についてはどうでしょうか。 ○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 精神医療センターのドクターが一切労災病院と関わらないわけではなくて、連携を取ってやっていくということであります。そして、まだ基本合意になっていないので、両病院間で具体的にテーブルに着いてお話をしていないんですね。まずやはり基本合意で労災本部と病院機構と県のほうでこれで行きますよとならないと、次のステップとして具体的な話合いができないということです。当然、合併症の患者を労災病院のほうに丸投げするということでは決してなくて、しっかりと協力し合いながら、時にはドクターや看護師さんや看護スタッフが御一緒すると、あるいは行って調整をするとか、あるいは治療を新しい精神医療センターの中ですると。検査はあちらに行っていただいてドクターに診ていただいて、そして治療は精神医療センターの中でやるといったようなことも可能だというふうに思いまして、決して丸投げするわけではないというふうに私は今思っていますので、これから具体的に協議をしたいと思っているということであります。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) ありがとうございます。ただですね、労災病院自体は今DPCを使っているので、例えば労災病院のほうからちょっと精神疾患見てほしいんだけどという形で見てもらったりすると、支払いの関係で、労災病院のほうが精神科のほうに自分たちでお金を出さなきゃいけなくなったりするということが起こるんですね、DPCを使っていると。そうすると、県も県で自分たちが診察したのにお金をもらえないという状況も多分あり得ることになるというところでは、やはり経営基盤が違うところでうまく操作はちょっとできないのかなと。一番大事な診療報酬の部分で、労災病院も赤字は出せないし、県もなるべく赤字は出さないようにというところでは、やはり経営基盤の違う病院同士だとちょっと難しいのかなと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○副議長(本木忠一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 経営主体の異なる総合病院と精神科病院の合築なりといった形は全国的にもなかなか例がないといったことは事実でありますけれども、経営主体が違う病院同士の連携、あるいは経営主体は一つだけども総合病院と精神科病院の連携といった形の事例は他県でも多数ございます。そういった中、多々問題点はありますけれども、今後具体的な協議を進める中で、他県の事例等のいいとこ取りといったわけではないですけれども、そういったところを取り入れ、また課題は課題としてしっかり検討しながら、よりよい体制を築き上げるように協議を進めてまいりたいと思います。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) 基本合意の、例えば結ぶときに、やはり労災病院のほうで精神科のドクターもなかなか用意できないし、診療報酬の関係とかも細かく話をしていったときに難しいと例えばなったら、この話はやはり精神医療センターを移転するということを元に戻す、白紙に戻すということはあり得るでしょうか。 ○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) そのための基本合意でありまして、今までと違って基本合意というのは法的な拘束力もあって、そして県も病院機構も労災病院も、精神医療センターもですね、一緒にやりましょうということを意思決定をするということですので、意思決定をするということは、基本的には後戻りは考えていないというふうに捉えていただきたいと思います。まだ現時点においては基本合意まで至っておりませんので、まだ現在はその入り口で止まっているというような受け止め方であります。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) 分かりました。では次に移ります。 災害時の電源確保についてです。昨年、知事の地元の宮城野区で防災訓練がありました。トラックからの給電で大型の扇風機を回す実証実験が行われていました。私はそれを見たときに、これがやはり医療的ケア児者に使える手段じゃないかというふうに強く思いました。実験自体は成功しまして、医療的な機械に直接つなぐことは、そのインバーターからつなぐことはできないのですが、バッテリーにつないで、バッテリーを充電することは可能であるということでした。県内では大昇物流さんや協和運輸倉庫さん、あと白石倉庫さんなどが今協力してくれて、その実証実験等に当たってくれています。在宅で過ごされているお母さん方からは、一つでも何かそういうつながりがあることが安心につながると言っていて、自宅に自家発電等があっても、耐用年数とか、あと金額とかを考えたときに、やはりこういう協定等があるとすごく安心につながるという声があるのですが、医療的ケア児者を含んだ協定内容にすることは難しいでしょうか。もう一度伺います。 ○副議長(本木忠一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 答弁申し上げた部分とも重なりますけれども、避難所等へのある程度アクセスがきちっと確保できる可能性が高くて医療的ケア児者が集まりやすいようなところについて、そういった協定を結んでいくような形というのは考えられるかと思いますが、個別の医療的ケア児者に直接ダイレクトに電源供給する旨の協定といった取組は、なかなかリスクとか非常にハードルが高い部分は確かに課題としてあろうかと思っています。ですので県といたしましては、まず市町村で、これも答弁申し上げたとおり、まだ個別避難計画が全般的に策定し切れていない、これからきちっと検討していくところが多い自治体がある中で、その個別避難計画の策定の中で、お一人お一人の体制に、例えば近隣でそういった事業を取り組んでいらっしゃる方とのマッチングを図るですとか、そういった形の可能性も含めまして、より実効性のある形での取組なりを進めていけるように働きかけを行ってまいりたいと思います。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) 在宅療養を受けられている方は、なかなかやはり避難所等に行くことはないので、避難所で生活していない人が外から避難所に行って、そこから電源だけをもらって帰っていくというのはすごく肩身の狭い思いをするというお話もありますので、ヘルプカードとか、そういう何か、私は医療的ケア児を育てているので使うんですという形の表示でもいいので、そういうのをつくっていただいて、優先的に電源が確保できるようにしていただけるように要望いたします。 次に、ちるふぁさんについてなんですけれども、先ほどいくつかちるふぁさんにお仕事を振るような形で答弁ありました。先日、渡辺重益議員からもちるふぁの人員を増やしたらどうかという話があったと思います。やはりちるふぁさんの、三名で歩く相談事業所という形で市町村に歩いて向かって情報収集してくださる、本当に力強い機能だと思っております。ただやはり仕事量が増えているのかなというところで、仕事を機能別に分けていく必要があるのではないかと思うのですが、その点ではいかがでしょうか。 ○副議長(本木忠一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) ちるふぁは今年の夏で開設から二年になるといった段階になっておりまして、周知徹底ももちろん進んでまいった関係もあって、非常に相談機能のほうも充実に向かった動きになっているのかなというふうに承知してございます。したがいまして、組織的な強化の必要性の検討といったものを並行して行う時期が来ているのかもしれませんけれども、まずもって地域の方々とのネットワークの強化を図ることによって、当事者の方々への支援体制をより強固なものにしていくことの取組をまずもって優先して取り組んでいくと。こういったことを踏まえつつ、様々な観点からの検討も併せて進めてまいりたいというふうに思います。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) ぜひ、ちるふぁさんは三人で本当に、土日も私、研修を受けたりとかしていまして、ちるふぁさん本当に一生懸命働いてくださっていますので、できる限り人材確保のほうも、今本当に優れた三名なので、それに同じぐらいの方々をやはり集めるのは大変だと思うのですが、どうかその辺の支援もよろしくお願いいたします。 移行期支援に関わるノートについてです。発起人のほうは心臓を守る会の方ですが、あらゆる慢性疾患に合わせてアレンジ可能になるように作成をしております。移行期をスムーズに行うためには、県もおっしゃっていたとおり患者や家族自身がいつかは移行していくんだということを小児の段階から認識していないと、やはり認識を持てるような支援が必要になっています。そのための支援をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。 ○副議長(本木忠一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 移行期医療の問題点につきましては、かねてから非常に重要な課題という指摘を受けて、これまでもいろんな場面で議論を重ねてまいりました。その議論の集大成というか結果の一つとして、来年度からの移行期医療支援センターの設置といったことで、今回予算案を提案させていただく段に持ってきました。具体的な体制等についてはまだこれから検討をまた詰めていくところがありますけれども、まず新年度の予算をしっかりと実行していくことによりまして、本当に小慢さぽーとせんたーとの連携も加えまして、幅広い、そういった子供さんから大人に移行する方々へのニーズに応えていけるように取り組んでまいりたいというふうに思います。 ○副議長(本木忠一君) 二十四番小畑仁子君。 ◆二十四番(小畑仁子君) 答弁ありがとうございました。障害児者が過ごしやすい社会は、私たち自身も過ごしやすい社会になりますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。 質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(本木忠一君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(本木忠一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。    午後三時十四分散会...