令和 5年 11月 定例会(第390回) 第三百九十回宮城県議会(定例会)会議録 (第五号)令和五年十二月八日(金曜日) 午前九時五十九分開議 午後二時四十七分散会 議長 高橋伸二君 副議長 本木忠一君出席議員(五十八名) 第一番 ふなやま由美君 第二番 かっち 恵君 第三番 平岡静香君 第四番 石森ゆうじ君 第五番 阿部眞喜君 第六番 柚木貴光君 第七番 高橋克也君 第八番 さとう道昭君 第九番 熊谷一平君 第十番 藤原益栄君 第十一番 金田もとる君 第十二番 荒川洋平君 第十三番 佐々木奈津江君 第十四番 小野寺 健君 第十五番 大池康一君 第十六番 菊地忠久君 第十七番 杉原 崇君 第十八番 村岡たかこ君 第十九番 伏谷修一君 第二十番 松本由男君 第二十一番 渡辺重益君 第二十二番 わたなべ 拓君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 小畑仁子君 第二十五番 三浦ななみ君 第二十六番 枡 和也君 第二十七番 佐藤仁一君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番 横山のぼる君 第三十一番 八島利美君 第三十二番 瀬戸健治郎君 第三十三番 村上久仁君 第三十四番 高橋宗也君 第三十五番 高橋 啓君 第三十六番 遠藤隼人君 第三十七番 渡辺勝幸君 第三十八番 横山隆光君 第三十九番 三浦一敏君 第四十番 渡辺忠悦君 第四十一番 熊谷義彦君 第四十二番 佐々木功悦君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 吉川寛康君 第四十六番 伊藤和博君 第四十七番 佐々木賢司君 第四十八番 守屋守武君 第四十九番 外崎浩子君 第五十番 村上智行君 第五十一番 佐々木幸士君 第五十二番 高橋伸二君 第五十三番 菊地恵一君 第五十四番 佐々木喜藏君 第五十五番 石川光次郎君 第五十六番 中島源陽君 第五十七番 本木忠一君 第五十八番 中山耕一君 第五十九番 藤倉知格君欠席議員(一名) 第三十番 伊藤吉浩君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君 公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・危機管理部長 千葉 章君 企画部長 武者光明君 環境生活部長 佐々木 均君 保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君 水産林政部長 吉田信幸君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君 総務部参事兼秘書課長 村田俊顕君 総務部参事兼財政課長 高橋寿久君 教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君 選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 後藤和隆君 人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 北沢康一君 公安委員会 警察本部長 原 幸太郎君 総務部長 横山 裕君 労働委員会 事務局長 中村今日子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 小林一裕君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 大場則昭君 参事兼議事課長 菅原敏彦君 政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 副参事兼
政務調査課総括課長補佐 千葉恵子君 議事課長補佐(班長) 我妻則之君 議事課主任主査(議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第五号 令和五年十二月八日(金)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十四号ないし報告第三十九号第三 一般質問 〔三浦ななみ君、熊谷一平君、熊谷義彦君、菊地忠久君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十四号ないし報告第三十九号三 日程第三 一般質問 〔三浦ななみ君、熊谷一平君、熊谷義彦君、菊地忠久君〕
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△開議(午前九時五十九分)
○議長(高橋伸二君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(高橋伸二君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、十番藤原益栄君、十一番金田もとる君を指名いたします。
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△議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案
△報告第三十四号ないし報告第三十九号・一般質問
○議長(高橋伸二君) 日程第二、議第百四十二号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十四号ないし報告第三十九号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。二十五番三浦ななみ君。 〔二十五番 三浦ななみ君登壇〕
◆二十五番(三浦ななみ君) みやぎ県民の声の三浦ななみです。十月に
宮城県議会議員選挙が行われ、議員として二期目の壇上に押し上げていただきました。御支援いただいた全ての皆様に、心から感謝を申し上げます。自らの政治信条に基づき、これからも県民の皆様の声を県政に届け、一つでも多くの声を形にすることが私の務めと考え、今後とも研さんを怠らず、邁進してまいります。 議長のお許しを得ましたので、以下、大綱四点について質問させていただきます。 大綱一点目、四病院再編に関する知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 地域活動を通して改めて感じたこと、それは四病院再編における県民の皆様の関心の高さでした。「唐突過ぎるね、びっくりしたよ」、「独りよがりの政策」、「県民の声に聴く耳を持っていない」などなど。また、
精神医療センターの看護師さんからは、「今までつくり上げてきた私たちと皆さんの関係を壊さないでください」との訴え、そして「私たち県民と知事の間には隔たりがあることを、しっかりと伝えてきてください」との知事への思いも大きいものでした。改めて、これら多くの御意見を真摯に受け止めた、心ある知事の御所見をお伺いいたします。 これまでもたくさんの議員の皆さんも一般質問等で取り上げており、繰り返しになるところもあるかもしれません。お許しいただければと存じます。
精神医療センターと東北労災病院の合築において県は、この合築により、精神疾患の身体合併症の診断が東北労災病院にて可能となり、CTなどの検査や治療を円滑にできるなど、その有効性を挙げています。しかし、この二病院では、そういった話合いまでは至っていないとのことです。患者さんの受入れ体制などの話合いが十分なされていないのであれば、その有効性はないに等しいのではないかと考えます。そして、この大切な議論は、合築における最も重要なポイントの一つであると考えます。御所見をお聞かせください。 合築後、身体合併症の方が三次救急でしか対応できない場合、患者さんをどこに運ぶのかとの問いに、県は、今までどおり三次救急医療機関にて対応するとの回答でした。
精神医療センターでの骨折などといった身体症状を伴う精神疾患を有する患者数は、年に三百五十件ほどであり、うち身体科優先の事由により
精神医療センターで対応できなかった件数は、五十七件であるとの報告です。その患者さんたちは、仙台市立病院と連携することにより、これまで対応してまいりました。また、
精神医療センターの患者さんの来院理由としてまず一番多いのは、当センターにかかりつけ医がいること、二番目には措置入院、そして三番目が仙台市立病院からの転移の申入れであるとのことです。
精神医療センターでは、これまでも身体合併症になった患者さんの受入れを市立病院との連携により行っており、二つの病院での関係性が円滑であることが分かります。加えて、市立病院は精神科が設置されている総合病院であり、三次救急医療機関でもあります。これらを踏まえ、この環境を変えてまで合築する意味は本当にあるのでしょうか。確固たる志、理念があるならばお伺いいたします。 一旦数名の地権者からの反対により建設が中止になった
がんセンター西側の土地が、改めて合意に至っているとのことで、
精神医療センターをここに建てることは可能になりました。老朽化が進む
精神医療センターにて、建て替えを心待ちにしている患者さんのために頑張ってきた医療現場の、そして患者さんの御家族の、そして生きるために頑張ってきた患者さん全ての方々の、この奥の深い問題にかけてきた時間と労力、人生を、更に深く真剣に考えなければいけません。
県立医療センターを一刻も早く新しくしなければならない、そう思う心だけは皆さん一緒です。それならば、この土地に新しい医療センターを早急に建設することも選択肢の一つではないかと考えますが、知事の見解を求めます。 みやぎ県民の声会派では、富谷市に移転した場合の候補地への視察に行ってまいりました。市のアンケート調査によると、多くの住民の皆さんは、総合病院の設立を強く望んでいるとの報告でした。富谷市の皆さんが望んでいるものは総合病院です。それならば、こちらには、これからますます必要となる回復期機能を備えたリハビリ施設の充実とか、増え続ける精神疾患の患者さんに対応するための精神科を増設するなど、これからの医療モデルとなる総合病院を建設することこそ、これからの持続可能な医療施設と言えます。また、これからの医療に重要なことは、予防医学です。機能の低下や病気を予防し、地域全体で健康水準の上昇を目指せるような病院施設の取組にしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
県立精神医療センターの移転におけるアンケートでは、職員の九割が反対し、七割の看護師が離職を考えているとのことです。老朽化した病院施設の中で、心の病を抱えている患者さんと向き合い、必死に頑張ってきた職員の方々や看護師の皆さんが離職を考えるのは不本意なのではないでしょうか。そして何より、環境が変わることにより患者の方々が精神不安定になり、病状が悪化することは避けなければいけないことなのです。心の問題はとても奥が深く、センシティブな問題です。誰にでも起こり得ることです。
心理カウンセラーがとてもポピュラーな欧米に比べ、日本はまだまだカウンセリングや心の問題において敷居が高いとされています。欧米ではカウンセリングをメンタルの自己管理をするための相談相手として気軽に受ける習慣を持つ一方で、日本はカウンセリングは精神疾患などの心の病気の人が受けるものとの認識であるのも大きな要因です。この心の問題へのバイアスを払拭していくためにも、私たち一人一人がいま一度自分事と捉えて寄り添い考えていくことは、これからの多様性を考える入り口でもあると考えます。ガラスのようなこの繊細な問題における環境を整え、関係性を培っていくことは、とても難しく長い道のりです。信頼関係の構築には、忍耐強さとたくさんのエネルギーを要します。これは物質では換算することのできない尊いものなのです。同時に、もし失われたら、ほぼ再構築は難しいのが人の心です。宮城県
精神科病院協会会長、岩舘氏が知事に宛てた意見書には、「精神科は地域医療構想の枠外とされており、地域医療構想における病院再編の必要性は精神科には当てはまらない」と記されています。今の
県立精神医療センターは、宮城県の精神医療の中心であり、拠点病院として名取にて守るべき病院です。知事がこの四病院統合の構想の中でやろうとしている精神医療のあるべき姿は何でしょうか。ビジョンをお示しください。 四病院問題は、医療現場に関わる皆さんだけでなく、県民の皆さんも、命を守る医療とは何か、生きる上で大切な医療とは何かなどについて考える貴重な契機となりました。高齢者人口が増加することによって、雇用・医療・福祉などへも様々な影響が及ぶ二〇二五年を迎え、二〇四〇年には人口減少が更に進むと言われています。来年度からは、医師の働き方改革も始まります。今後ますますいろいろなことが変化する中、大きな事業に着手するには、その犠牲はあまりにも大きいと感じます。今からでも遅くはありません。宮城県の地域医療構想を再検討すべきと考えます。知事は、病院統廃合が大切な守るべき公約であるとお話ししています。では、この公約を守らず変えたところで、知事を非難する方がいるでしょうか。非難されるどころか、皆さんに大変喜んでいただけるだけでなく、私たち県民の声を真摯に受け止め、受け入れてくれた心温かい県知事として、忘れられない存在となると私は考えます。公約にとらわれることのない、県民・市民の声を真ん中に置いた知事の心あるお言葉を、皆さんにお聞かせください。 大綱二点目、宮城県の人材育成についてお伺いします。 平成三十年度から、日本専門医機構が認定する
専門医プログラムが始まりました。これは、「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに、先端的な医療を理解し情報を提供できる医師」と定義されています。これからの医療の在り方を考えるとき、複数疾患を有する御高齢の方々にとっては、従来のように複数の領域別専門医による診療よりも、総合的な診療能力を有する医師による診療のほうが適切な場合もあると考えられます。また、地域の病院や診療所の医師がかかりつけ医として地域医療を支えている現在、どの科がよいかを適切に案内することは、早期発見につながる重要なポイントとなると考えます。適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に行っているこの総合専門医が、時代に沿った医師の形と考えます。領域別専門医に求められるものが深さが特徴であるのに対し、扱う問題の広さと多様性が特徴である総合診療専門医の人材育成に力を入れていくべきと考えます。いかがでしょうか。 その将来性を考えて、この認定の取得に積極的な若い医師が増えているということです。このプログラムを有する病院での研修を、自己研さんの場として啓発するなどして、
総合診療専門医取得後の研修の充実に力を入れることは重要であると考えます。宮城県のこれからの医療においても、身体合併症の患者さんに対応する医師を育てるためにも、大切な認定と考えます。所見をお聞かせください。 さて、人手不足はどこの業界でも大きな問題となっており、農業分野もその一つです。先日、御家族で農業を営む住民の方のお話をお伺いしたところ、新規就農者に対する支援策の一つ、就農準備資金を使い、研修をして現在に至っているとのお話でした。この研修は最長二年間ですが、海外でも研修をすることができ、その場合は三年間となります。対象者は、農業大学校や県が認定する研修機関等で研修を受ける者となっています。その方は、アメリカで研修をして、日本の農業との違いを肌で感じ、その研修が人材育成となっており、そこでの研修を今の農業に役立てているとのお話でした。とてもよい事業なので、たくさんの方に利用してほしいとおっしゃっていました。執行部からの交付実績を見ましたが、平成三十年が三十六人で、令和四年度は二十三人と減っており、海外の研修に至っては、一番近いところで、平成二十九から三十年度の一年間に一名がヨーロッパで参加という報告です。農業の人手不足における人材育成は、世界中の国々でも深刻な問題であり、いろいろな取組が行われています。農業分野においても、多角的にグローバルの視点から捉えることはこれから求められていくと思います。こうした就農に関する事業については、これから職業として農業を考える方たちの人材育成の観点からも、よりよい事業であると考えます。大学校のみならず、高校などにも積極的に広報の場を広げ、職業選択の視野を広げる契機としていけばよいかと考えますが、いかがでしょうか。 大綱三点目、自転車の安全対策について伺います。 四月施行の改正道交法で、自転車利用者の
ヘルメット着用が全年齢の努力義務となり、警察当局が七月、初めて全国調査をしたところ、着用率は一三・五%であり、地域差も顕著となったとの報告です。自転車の利点として、気軽に使えて便利な点、二酸化炭素を発生せず環境に優しい点、運動にもなる点などがあり、学生の中には、片道十キロほどの通学路を自転車で通う学生もいます。利用者はこれからもますます増えることが予想されますが、
ヘルメット着用に対する県の方向性をお聞かせください。また、このヘルメットの習慣ですが、義務づけられることに抵抗を覚える方も多くいらっしゃるとお伺いしております。その理由の一つに、ヘルメットにかかる費用が挙げられます。好みの問題等もあり、自分に合ったものなど考えていると、物によっては一万円を超えるものもありますが、自転車人口が増える中で、ヘルメットはますます命を守る大切な道具となっていくと考えます。助成制度を設けている自治体も増えている現在、県でも、自転車使用者への助成金や、自転車で配達する事業者への
ヘルメット給付事業等を考えることは大切な交通安全対策と考えますが、いかがでしょうか。 また、自転車の交通安全について、そのマナーも挙げられます。私の住んでいる地域、荒町通りや、そこから広がる市内など、自転車用とされる白線や矢印など、とても増えたと感じており、安心して通行できるとのお声もお伺いしております。また、矢印のおかげか、自転車の左側通行も広がっていると実感しています。一方で、通勤通学などによるトラブル等も増えています。通学に自転車を多く利用する生徒がいる学校へ、地域の方から学生の自転車マナーについて苦情が寄せられるケースもあるとのことです。その対策として学校側では、交通安全指導を行っているとのことでしたが、同時に環境整備も同じくらい大切だと考えます。自治体と連携を図り、各地域の通学路や人通り、車通りの多い場所などに自転車と車道、あるいは歩行者と自転車道など、区分けのはっきりとした白線や矢印などをつけるなど、まずはできるところから、自転車通行における各地域での更なる道路の整備を進めるべきと考えます。いかがでしょうか。 大綱四点目、日本語教育について。 先日、
公益財団法人宮城県
国際化協会MIAの主催セミナーに参加いたしました。そこで講義をしてくださった
岩手大学国際教育センター教授、松岡先生のお話では、
日本語ボランティア活動においては、できることに注目し、多様な日本語使用を尊重しながらコミュニケーションを取るといった運用重視へと変わってきているということでした。日本語のボランティア活動について改めて考えさせられた、とてもよいセミナーでした。
日本語ボランティア活動は、外国人の方々とマンツーマンで日本語を使って会話する形式が多く、日本で暮らす外国人の方々の日常生活の様子を聞く機会にもなると同時に、貴重な交流の場になるなど、地域日本語教育体制の構築において、その果たす役割は大きいと考えます。地域に根差した日本語ボランティア団体等、どれくらいあるか、県では把握しているかお伺いします。 外国人等が適切な日本語教育を国内外で継続的に受けられるようにするためなどの目的から示された、日本語教育の枠組みにおいて、教授は、日本語の置き換えの必要性が示されていると述べています。MIAでは、日本語ボランティアの皆さんのための研修会を定期的に開催しています。そこでは、ふだん使っている日本語からやさしい日本語への置き換えの研修もしています。とてもよい研修だと思います。やさしい日本語でコミュニケーションすることで、外国人の皆さんにとっては、自分の日本語が日本人に通じる喜びを味わうことができます。また、日本人にとっては、相手の母国語を使わなくても、日本語で外国人と意思疎通をすることができる楽しさを実感することができます。外国人だからといって英語を話さなければいけないとか、身構える必要もなくなります。やさしい日本語は、私たち日本人にとっても、外国人の皆さんとの言葉の壁が低くなる、もう一つの日本語だと言えます。こういった研修は、各日本語ボランティア団体へ広げて、更に積極的に行ってはどうかと考えます。御所見をお聞かせください。 また、最後にセミナーの中で教授は、日本語における行政の役割についてお話しされており、行政における教育機関の充実を挙げていらっしゃいました。仙台市を除く宮城県の外国人児童生徒は、平成二十三年の三百四人から、令和二年には四百九十人と十年間で一・六倍となり、そのうち日本語指導が必要な児童生徒は、平成二十四年の九十五人から、令和三年には百八十一人と十年間で一・九倍であり、日本語教育の重要性は高まってきていますが、県の日本語指導を要する児童生徒における学校での日本語教育の現状についてお伺いします。 日本語指導を要する個々の児童生徒にとって大切な存在に、日本語指導担当教員が挙げられます。この教員は、在籍するクラスの授業中に、該当の児童生徒のそばで学習サポートする入り込み授業を担当する先生であり、どの科目にも対応しています。言語や日本の暮らしに不安を抱く彼・彼女たちの学校生活に欠かせない存在であると考えますが、役割として、ときには児童生徒の保護者対応にも及ぶとのことでした。先生は一つの学校に複数人いるわけでもなく、また、限られた勤務時間内での指導には限界があり、行き届かないところも多いとお話しされていました。勤務時間が週十時間程度の教員もいらっしゃるとのことです。この勤務時間には、規定があるわけではなく、とても曖昧であると感じます。また、週に十時間は短過ぎるのではないかと考えますが、日本語指導担当教員の待遇について、県の御所見をお聞かせください。 また、この担当教員の悩みとして、気軽に相談できる先生がいないことも挙げられます。学校の先生方はいつも忙しく、なかなか時間がありません。それに加えて、先ほどお話ししたとおり、担当教員の勤務時間が短いことから、先生たちとコミュニケーションを取ることは難しいと考えます。県では、学校の課題点を共有する場でもある担当教員向けの研修を行っているとのことですが、指導担当教員向けの研修であるにもかかわらず、教員本人が参加できていないということです。ほかの常勤の先生が研修に参加し、それを情報共有する形を取ることも多いとお伺いしましたが、その情報共有も徹底されてはいないように思われます。この研修には指導教員本人が行ける環境を整える必要があると考えます。研修は貴重な学びの場であり、交流の場を持つことのできる、大切な横のネットワークを広げる機会であると考えますが、御所見をお聞かせください。 県では、公立日本語学校が新設されます。開校予定地となる大崎市や石巻市は、令和三年度の資料によると、仙台市に次ぐ日本語指導を要する外国人児童生徒が多い自治体です。例えば、その日本語学校に定期的に通って勉強するセンター校方式を取るなどして、日本語義務教育での日本語学の充実に努めることは重要と考えますが、御所見をお伺いします。 日本語教育も時代とともに変わり、今はボランティアが果たす役割と行政が責任を持って取り組む日本語教育について、両輪で取り組んでいくことが、これからの多文化共生社会、誰もが安心して暮らしていける宮城県をつくっていくために必要とされていることだと考えますが、いかがでしょうか。 これから求められる多文化共生社会の実現のために、外国人住民に一方的に歩み寄りを求めるのではなく、私たち日本人が日本で生活する外国人に寄り添い合いながら、共に社会をつくっていくことが重要です。日本語学習者と日本語学習支援者は、教え合い学び合う関係で、そこに温かく深い人間関係が生まれます。こういった関係性は、私たちの周りにいる人との間でも同様と言えるのではないでしょうか。一人一人が多様性を受け入れ、全ての人が心地よい社会の実現を心から願いつつ、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 三浦ななみ議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、四病院の再編に関する知事の政治姿勢についての御質問にお答えいたします。 初めに、多くの意見を真摯に受け止めるべきとのお尋ねにお答えいたします。 令和三年九月に県立病院等の今後の方向性を公表し、関係者と病院再編の協議を開始いたしましたが、これまでも様々な機会を通じて、賛成・反対のそれぞれの立場にある当事者や関係者の意見を幅広く伺うとともに、施策の検討過程において、その意見をできる限り尊重するよう努めてまいりました。県としては、患者や家族をはじめ、医療・保健・福祉の関係者と意見交換を重ねるとともに、地域住民に対する説明会の開催などにより、丁寧に説明を行い、病院再編に対する県民の理解が得られるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 次に、病院再編構想における精神医療の姿やビジョンについての御質問にお答えいたします。
県立精神医療センターでは、富谷市への移転後も、県の精神科救急二十四時間三百六十五日システムの基幹病院として全県的な対応を行うとともに、治療の困難な事例や障害の高度な事例など、民間医療機関での対応が難しい高度な専門医療を引き続き担うほか、身体合併症と災害医療への対応能力の向上を目指してまいりたいと考えております。また、県南部の精神科医療提供体制の確保に向けて、県立として設置するサテライト案の検討を進めるほか、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム、いわゆる「にも包括」の構築に向けて、県の事業や予算を拡充し、全県域での精神医療・保健・福祉の体制づくりを目指してまいります。 次に、公約の考えを改めることについての御質問にお答えいたします。 少子高齢化や人口減少が進む中で、地域医療を取り巻く環境変化に対応していくためには、将来的に必要となる医療機能等を見据え、地域の医療機関の補完・連携を一層進めることが不可欠であると考えております。また、仙台医療圏では、仙台市内に医療機関が集中しているとともに、手術などに対応する急性期病床が必要数を上回っており、急性期を担う病院では、病院間の競合から病床稼働率が低迷するなど、経営面での困難も生じているところであります。私はこのような状況を見据え、救急医療などの政策医療の課題を解決し、将来に向けて県民に適切な医療を持続的に提供していくためには、病院再編が必要であると考え、公約にも掲げたものであり、実現に向けて引き続き真摯に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、宮城県の人材育成についての御質問のうち、総合診療専門医の人材育成についてのお尋ねにお答えいたします。 近年、高齢化が急速に進み、医療ニーズが多様化する中、総合的な診療能力を有し、幅広い領域に対応できる総合診療専門医は、その必要がこれまで以上に高まっているところであり、今後の地域医療を支える重要な存在であると認識しております。このため、医学生を対象とした夏季セミナーで、総合診療に携わる医師の講演を行ったほか、東北医科薬科大学の宮城枠医師が選択する専門領域について、総合診療医を推奨診療科の一つに位置づけるなど、総合診療専門医を目指す医師の育成を促しているところであります。県といたしましては、引き続き、こうした取組を通じて、地域で必要とされる総合診療専門医の育成に努めてまいります。 次に、大綱四点目、日本語教育についての御質問のうち、ボランティアと行政の両輪での取組についてのお尋ねにお答えをいたします。 外国人が生活に必要な日本語能力を習得し、地域社会の一員として活躍していただくため、県では、地域日本語教育体制の構築に向けた総合調整会議の設置などを通して、ボランティア団体を含む関係機関との連携を深めてまいりました。地域のボランティア団体が運営する日本語講座は、日本語教育のみならず、地域住民との交流、生活習慣やマナーの習得など、より低廉な価格できめ細やかに実施されており、このような活動を担うボランティアは、地域の日本語教育体制を充実させる上で欠かせない存在となっています。このため、県といたしましては、ボランティア団体に対して、日本語講座の運営全般の助言を行う地域日本語教育コーディネーターや、日本語講座カリキュラムへの助言を行うアドバイザーを派遣し、日本語講座の内容の充実を図るなど、ボランティア団体と両輪となって、積極的に県内の外国人の日本語学習の機会を確保し、多文化共生社会の実現を目指してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱三点目、自転車の安全対策についての御質問のうち、
ヘルメット着用に対する県の方向性等についてのお尋ねにお答えいたします。 自転車利用者の
ヘルメット着用は、交通事故による致死率の大幅な減少につながることから、着用率を高めていくことは重要であると認識しております。ヘルメットを着用しない理由としては、経済的なことよりも、周りが着用していない、安全上問題がないと考えている、努力義務であり罰則がないことなどが挙げられておりますことから、まずは助成や現物給付ではなく、
ヘルメット着用の効果に関する正しい知識についての更なる普及啓発に力を入れていくべきと考えております。県としましては、市町村や県警察、教育機関、関係団体等と連携し、みやぎ高校生サイクルサミットの開催や自転車利用マナーアップ大使の委嘱による高校生の自発的な啓発活動、県警察によるフードデリバリーサービス配達員へのメール配信などを行っているところであり、引き続き様々な工夫を凝らした普及促進を積極的に行ってまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四病院の再編に関する知事の政治姿勢についての御質問のうち、合築による有効性についてのお尋ねにお答えいたします。 東北労災病院と
県立精神医療センターとの合築の協議においては、施設や医療機器の共有による診療の効率化やコスト削減のほか、円滑な救急対応や相互の往診など、病院間の連携による身体合併症対応能力の向上を目指し、検討を進めております。現在、患者の症状に応じた救急時の受入れ体制など、病院連携を図る上での運用面の課題等について、病院間で協議を行っているところであり、合築の効果を最大限発揮できるよう、引き続き議論を重ねてまいりたいと考えております。 次に、身体合併症への対応についての御質問にお答えいたします。 身体合併症への対応能力向上には、複数の診療科の医師・スタッフの体制確保や施設整備などが必要であり、
県立精神医療センター単独での対応では難しいことから、令和元年度のあり方検討会において、一般病院との連携体制の構築を提言されたところです。県としましては、東北労災病院との連携により、二次救急相当の患者受入れを想定しておりますが、様々な身体疾患の鑑別が可能になるとともに、救急受入れ対応可能な事例が増え、県全体の精神科医療体制の向上に寄与するものと考えております。また、高齢化が進む中、
精神医療センターの入院患者のうち、約三割の患者が高血圧や糖尿病等の身体症状を有しており、今後も増加が見込まれることから、東北労災病院との合築・連携により、こうした患者にも適切な医療が提供できるものと認識しております。 次に、がんセンター隣接地への移転についての御質問にお答えいたします。 県立がんセンターの隣接地については、地権者との用地交渉がまとまらず、平成二十八年度に当該地での
県立精神医療センター建て替えを断念した経緯があります。県としては、現時点で地権者の同意が確認できておらず、仮に同意が得られたとしても、埋蔵文化財に関する行政手続が必要となり、近隣の調査実績等を踏まえると、未完了の確認調査と本発掘調査を合わせて、二年から三年を要するものと想定しております。また、当該地は傾斜が急な山林地のため、切土や盛土、樹木の伐採・伐根等の造成期間が必要になることを考慮すると、老朽化が進み、早期建て替えを要する
精神医療センターの整備場所として適切ではないものと考えております。 次に、医療現場のモデルとなる病院建設や予防医学に着目した取組についての御質問にお答えいたします。 東北労災病院と
県立精神医療センターの合築による新病院については、今年二月の協議確認書に掲げた医療機能を基本として、病院間の連携や機能・規模などについて、関係者間で協議・検討を行っているところであります。新たな東北労災病院については、労働者健康安全機構において、その理念である勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化の達成と、救急医療や災害医療等の県の政策課題の解決に向け、診療内容の充実や病院の取組など、地域ニーズを踏まえた新病院の姿について検討を進めているものと認識しております。また、県としましても、身体合併症への対応など、
精神医療センターとの連携によるモデル的な取組が実現するよう、しっかりと協力してまいります。 次に、大綱二点目、宮城県の人材育成についての御質問のうち、総合診療専門医の認定取得後の研修等についてのお尋ねにお答えいたします。 平成三十年四月に現行の専門医制度が導入され、現在では、当該制度に基づく専門医の取得が広く一般化しているところですが、質の高い医療を提供する専門医としての能力を維持するため、各学会等が定める基準により、原則として五年ごとに資格を更新する必要があります。このため、専門医取得後も、診療経験の積み上げや知識の習得等の継続的な研さんが重要となります。総合診療については、内科や救急科の領域と一定の親和性があると言われており、また、現行の専門医制度導入時に追加された新しい領域であることなどを踏まえ、専門医取得後の支援の在り方を検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱四点目、日本語教育についての御質問のうち、県内の日本語ボランティア団体等の数についてのお尋ねにお答えいたします。 外国人が安心して我が県で暮らしていくためには、生活に必要な日本語を理解し、使用する能力を身につけていただくことが求められます。このため、県内においては、公的機関やボランティア団体が日本語講座を開設し、日本語学習を希望する外国人を支援してまいりました。現在、県内で定期的に日本語講座を開設しているボランティア団体等は二十二団体となっており、その中には、御指摘のとおり、実際の生活場面で頻繁に使われる日本語を優先的に学習する、より運用を重視した日本語教育を実施している団体も増えてきているところです。 次に、やさしい日本語研修のボランティア団体への拡大についての御質問にお答えいたします。 我が県における外国人の数は、昨年十二月末現在で二万四千五百六十八人と過去最高に達し、今後も外国人の増加が見込まれることから、県民が外国人と円滑なコミュニケーションを図ることが大変重要であると認識しております。その手法の一つとして、難しい言い回しを避け、短い文章で端的に伝えるやさしい日本語は、非常に有効なツールであると考えております。このため県では、県国際化協会とともに、日本語講座を開設しているボランティア団体に加え、民生委員や市町村の担当職員を対象とした研修会を実施し、やさしい日本語の必要性や使い方等について、積極的に普及啓発を図ってまいりました。今後は、外国人と接する機会が多い地域で交流活動をしている市民団体や外国人を雇用している企業などにも幅広く対象を広げ、言葉の壁の解消に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱二点目、宮城県の人材育成についての御質問のうち、新規就農者に対する支援についてのお尋ねにお答えいたします。 新規就農者への支援策の一つである就農準備資金は、就農することを要件に、年間最大百五十万円が最長二年間交付されるものです。この資金を活用し、優れた農業形態や海外での研修等を受けた結果、実践的な農業技術や経営手法などの習得に結びつき、就農後の円滑な営農に生かされております。就農準備資金など新規就農者向けの支援策については、月二回の定例就農相談会や県内九か所の農業改良普及センターに設置している相談窓口、県外で開催される就農フェア等での案内に加え、県内農業関係高校、農業大学校、宮城大学等で組織する宮城県農業教育機関連携推進会議を通じて活用を推進しているほか、県ホームページでも周知をしているところです。県といたしましては、より多くの若者が職業として農業を選択し、就農準備に各種支援策を活用していただけるよう、引き続き、市町村、JA等関係機関と連携し、広報に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱三点目、自転車の安全対策についての御質問のうち、自転車通行における道路整備についてのお尋ねにお答えいたします。 通勤や通学等の身近な移動手段である自転車については、近年のサイクリングを通じた健康づくりや余暇の充実等の機運の高まりにより、利用者の更なる増加が見込まれることから、安全で快適に走行できる環境整備が必要であると認識しております。県ではこれまで、地域の御意見や自転車利用環境などを考慮し、名取市閖上地区の県道閖上港線や、利府町加瀬地区の県道塩釜吉岡線等において、自転車通行帯や車道等に自転車の通行位置を示す路面標示などを実施してきたところです。県といたしましては、引き続き、関係市町村や交通管理者と緊密に連携を図るとともに、市町村が自転車通行空間の効果的な整備を目的に策定を進める自転車ネットワーク計画も踏まえ、安全で快適な自転車走行環境の構築に向けて、鋭意取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱四点目、日本語教育についての御質問のうち、日本語指導が必要となる児童生徒への教育現場での指導状況についてのお尋ねにお答えいたします。 県教育委員会では、外国人児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、一人一人の実態に応じた指導・支援を行うことが大切であると考えており、日本語指導を必要としている県内の全ての児童生徒に対して日本語指導を担当する加配教員を配置するなどの体制を整備しております。学校においては、特別の教育課程に基づき、日本語指導担当教員が、在籍学級の授業の中で学習を支援する入り込み指導や、別の教室で日本語の学習を行う取り出し指導のほか、
公益財団法人宮城県国際化協会が派遣した外国人児童生徒サポーターによる学習支援や、オンラインによる家庭学習支援など、児童生徒の日本語の能力に合わせて効果的な指導方法を組み合わせながら取り組んでおります。県教育委員会といたしましては、今後も増加することが見込まれる外国人児童生徒が、学校生活や学習活動に安心して臨めるよう、市町村教育委員会や宮城県国際化協会と、引き続き連携して取り組んでまいります。 次に、日本語指導担当教員の待遇についての御質問にお答えいたします。 日本語指導担当教員の配置に関して、国では、特別の教育課程による日本語指導の授業時数は、週八単位時間程度までを標準としているところです。県教育委員会では、児童生徒の日本語能力に応じて、対象の児童生徒一人につき、国の標準を上回る週十単位時間程度までを基準に配置しております。今後も外国人児童生徒が増加することが見込まれることから、一人一人の状況に応じた指導ができるよう、日本語指導担当教員の適切な配置に努めてまいります。 次に、日本語指導担当教員の研修参加のための環境についての御質問にお答えいたします。 日本語指導担当教員による日本語指導が必要な児童生徒への教育を充実させるためには、日本語指導を担当する教員が知識と専門性を身につけるとともに、担当教員同士が情報を共有することが重要であると認識しております。そのため、県教育委員会では、外国人児童生徒等の指導に関わる教員を対象とした研修会を年二回実施し、大学教授による講義や参加者同士の情報交換等を行っております。研修会の実施形態をオンライン形式にすることにより、県内各地域からの参加が可能となり、より多くの教員が参加するようになってきたところです。今後、更に多くの教員が参加できるよう、本研修会の趣旨を広く周知するとともに、研修会の時期や実施時間の設定を工夫し、研修会への参加について、市町村教育委員会を通じて、各学校へ働きかけてまいります。また、研修内容をウェブページで紹介するほか、講義動画をオンデマンドで配信するなど、研修会に参加できなかった教員に対しても学びを共有できるよう努めてまいります。 次に、センター校方式の採用など、日本語教育の充実についての御質問にお答えいたします。 外国人児童生徒が増加する中、日本語教育の充実は重要であると認識しておりますが、義務教育における外国人児童生徒に対する日本語指導は、在学する学校において行われることが原則とされております。県教育委員会では、現在、
公益財団法人宮城県国際化協会の協力の下、日本語指導に関する特別の教育課程の編成等について、学校に対し助言を行うアドバイザーや、児童生徒の学習支援や保護者との面談等での通訳を行うサポーターの派遣を行っております。今後とも、義務教育における日本語指導の支援体制の更なる充実に向け、外国人児童生徒一人一人が意欲を持って学習に取り組める環境を整えながら、適切な日本語指導プログラムの下で指導に当たるとともに、保護者が安心して学校に通わせることができるよう、関係団体と協力しながら、市町村教育委員会への支援に努めてまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 二十五番三浦ななみ君。
◆二十五番(三浦ななみ君) 御答弁ありがとうございました。 まず、日本語教育についてなのですけれども、重ねて申し上げます。語学としての日本語と、コミュニケーションとしての日本語というのが違うので、両輪で進めていってほしいという意図がありましたので、こちら考えていただいて、これから進めていただければと思います。 日本語教育についても一点、JSMCの半導体新工場の建設において、たくさんの社員とその御家族の皆さんが来日されるということで、生活環境支援に取り組むとしています。御家族やお子さんの日本語教育で、お子さんには義務教育の方もたくさん来ることが予想されるのではないかと思いますので、こちらの充実も求められると考え、早めの準備をすることが大切かと思いますが、現状どのような感じでしょうか、お伺いします。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 議員御指摘のとおり、台湾から現段階では二百人以上の方がいらっしゃると。それで御家族の方もいらっしゃるということで、現段階では、早速、副知事をトップとしたプロジェクトチームの中で、そういった学習の環境面も教育委員会と連携しながら今検討を始めてございますので、適切な対応でしっかりと支援してまいりたいと考えてございます。
○議長(高橋伸二君) 二十五番三浦ななみ君。
◆二十五番(三浦ななみ君) ありがとうございます。日本と台湾の更なるかけ橋となるように努めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 それから、日本語指導担当教員のお話になります。私、今一般質問でお話しされたように、情報共有ができなかったり困っている方もいらっしゃったりとか、あと勤務時間のことについても課題点があると思います。ウェブとかいろんなところでやっていらっしゃると思いますが、こちらは現場の声でございますので、こちらの先生方への待遇について、いま一度教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 担当教員の方、非常勤ということで限られた時間での対応になっているということではございますけれども、本県の特徴といたしまして、日本語指導が必要な外国人生徒全てに対して担当教員を配置しているということで、児童生徒一人一人にとっては、安心して学べる環境の提供に努めているというふうには感じております。今後、外国人が増えることが想定されておりますけれども、教育委員会といたしましては、児童生徒の学校での学習が安心してできるようにサポートしているところですけれども、児童生徒が必要な日本語を習得して、地域の中で安心して学んで生活できるよう、関係部局と連携しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○議長(高橋伸二君) 二十五番三浦ななみ君。
◆二十五番(三浦ななみ君) ありがとうございます。配置はされているということなのですけれども、時間数にも大変課題があると思います。あと重ねて申し上げますが、地域で行くコミュニケーションとしての日本語と、あと勉強のために必要な日本語学は違いますので、こちらのほうもこれから更に努めていただきたいと考えます。 次に、ヘルメットのことなのですけれども、金額に対してというか、買うのが大変ということに関して触れていただけなかったので、こちらも現場の声として上がっていますので、ちょっとお言葉を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君) 企画部長武者光明君。
◎企画部長(武者光明君) 自転車のヘルメットの着用に対しての補助について御質問いただきました。ヘルメットの着用率を高めていくために、どういった手法がまず効果的なのかというふうに考えております。自治体と、先に議員からのお話もありました警察が今年七月に全国で実施した目視調査結果を見ますと、上位を占めている県は必ずしも補助金を実施しているところではないということでございます。今後は自治体で補助金を出すところも増えてくるかと思いますので、そちらの状況なども見ながら考えていきたいと思いますが、当面は私ども、先ほど申し上げたとおり着用の必要性を感じていただくということが必要だと思っております。ヘルメット自体は三千円ぐらいで買えますので、そちらの財政的な支援よりも、まずは意識啓発のほうが必要だと思っております。高価なものですと一万円ぐらいしますけれども、高価なものを買うために県としての財政支援をしていくというのも課題としてどうなのかと考えております。そういったことなども引き続き検討してまいりたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 二十五番三浦ななみ君。
◆二十五番(三浦ななみ君) 着用の必要性を感じていただくためにも、ヘルメットを広報するということは大切だと思います。あと一般質問で申し上げましたが、自分に合うものとかいろいろ考えると、三千円で買えるって全部皆さん三千円のが好きかどうかというのは好みもあると思いますので、そちらこそ多様性というか、個人的な問題にもなると思いますので、そちらも考慮して考えていただければと思います。 続きまして、交通安全についてなのですが、道路とかも大切であると思いますが、皆さんの安全のために、県警のほうとかでも歩行者、そして自転車、そして自動車に対しての交通安全指導を、皆さんができるような公正な立場で安全指導もやっていただけるのはどうかなと思いますが、その点いかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君) 警察本部長原幸太郎君。
◎警察本部長(原幸太郎君) 県警察では、自動車関連事故の発生状況を踏まえて、自転車交通秩序の実現が必要であると認められる十六地区四十三路線を自転車指導啓発
重点地区に選定して、まずはウェブサイトなどで公表するとともに、当該地区等において自転車安全利用の広報啓発活動や指導取締りを集中的かつ重点的に実施しております。例えば、毎月十五日を自転車交通安全の日に指定して、関係機関・団体等と連携し、街頭での交通ルールの周知活動や指導取締りを集中的に実施しております。今後とも、良好な自転車交通秩序の実現に向けて、関係機関・団体と連携しながら対策を進めてまいります。
○議長(高橋伸二君) 二十五番三浦ななみ君。
◆二十五番(三浦ななみ君) ありがとうございます。細かい通学路とか、そういった地域の中での通学路について考えていただければと思います。 では最後に、四病院についてになります。地域回りで、皆さんとの会話から、皆さんの知事への思いについて、私が気づいたことがあります。さて、それは知事、何だと思われますか。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 恐らく、いろんな御意見があるから、しっかりといろんな御意見に耳を傾けてほしいと、そういうことだと思います。
○議長(高橋伸二君) 二十五番三浦ななみ君。
◆二十五番(三浦ななみ君) ありがとうございます。皆さんの思い、それは希望です。知事に希望を託しているということです。これからの医療政策は、その県民の皆様の思いを胸に、しっかりと進めていただきたいと心から願います。 以上で終わります。ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 九番熊谷一平君。 〔九番 熊谷一平君登壇〕
◆九番(熊谷一平君) 九番、気仙沼・本吉選出、自由民主党・県民会議の熊谷一平でございます。議長のお許しを頂きましたので、通告に従い質問させていただきます。 私は、十四年間、県の職員として働き、六年の時を経て、このたび議員として宮城県に戻ってまいりました。二元代表制の一翼である議会の一員として、立場は変わりましたが、宮城県勢の発展と宮城県民福祉の更なる向上にかける思いに変わりはございません。これまでの宮城県職員としての行政経験、気仙沼市議会議員としての政治経験、この二つを生かし、県と県民、県と市町村をつなぐことが私の使命であると心に刻み、県民の皆様から頂いた任期の中で、全力を尽くすことをここにお誓い申し上げ、質問に臨ませていただきます。 本日は、大綱四点でございます。 大綱一点目は、地方自治と宮城県の在り方についてです。 ここでは、分権型社会に向けた道州制の実現、財政健全化と臨時財政対策債、広域自治体としての宮城県と県内市町村との関係についての三点伺います。 今年九月に知事が全国知事会会長に就任されたことは、私も宮城県民の一人としてうれしく思うとともに、分権型社会の実現を目指す政治家の一人としても大いに期待を寄せるところであります。とりわけ道州制は、新しい日本の形として実現していきたい課題の一つでありますが、さきの定例会の一般質問において、道州制に関する質問への知事の答弁に、国での議論は停滞していることから、その動向を注視しているとの発言がありました。近年の地方分権の動きは、地方の提案が取り入れられ、実務面や住民生活面での改善が見られますが、全体としては停滞気味な印象を受けます。しかしながら一方で、全国知事会会長には、国へ議論を促す役割があるとも考えます。かつて知事が最初の将来ビジョンに、活力と安らぎの邦づくりというスローガンを掲げた際、邦、「邦」という字。この時には、道州制を見据えた思いも込めたというコメントに感銘を受けた記憶がございます。物事には機というものがございますが、道州制に対する知事御自身の構想やそこに至る道筋をお聞かせいただけるのであれば、所見を伺います。 続いて、地方自治の要である財政制度について伺います。 我が県の財政は、平成十一年の財政危機宣言以降、数次にわたる再建への取組により、東日本大震災やコロナ禍を乗り越えながら、健全化に向けて着実に歩みを進めてまいりました。県債残高の減少がこれを物語っております。しかしながら、これもかねてからの議論が積み重ねられていることですが、懸念を抱くのは臨時財政対策債の残高です。臨時財政対策債以外の県債残高が順調に減っていくのに対し、臨時財政対策債の残高が積み上がっていき、結果、財政健全化のスピードが落ちることは当局としても納得がいかない思いであるでしょうし、予算・決算を審議する議会としても、多くの議員が同じ思いを持っていることでしょう。今後の財政運営については、人口の減少による税収減やインフラ、公共施設の維持管理費増大により厳しい見通しが見込まれており、これまで以上の取組が求められます。地方財政制度改革の中でも、臨時財政対策債は最大の課題であると考えます。また、数次にわたる地方分権改革の中でも、大きな動きを見せたのは、財政制度の改革が実現したときでもあります。我が県の財政健全化と分権型社会の実現に向けて、全国知事会会長としての知事の活躍に期待するものでありますが、所見を伺います。 三点目は、広域自治体としての宮城県と県内市町村の関係についてです。 分権型社会を目指す過程で、国から地方への権限移譲とともに、地方から地方、すなわち広域自治体である県から基礎自治体である市町村への権限移譲といった、地方間の関係も重要な要素であります。県内市町村に対する権限移譲については、宮城県権限移譲推進要綱に基づき、市町村の特性や行財政能力によって差があると見受けられるものの、ある程度進んだものと評価できると考えます。この流れを進めていきつつも、今後は、宮城の将来ビジョンにもあるように、県の調整機能・補完機能を生かした県内市町村とのパートナーシップ関係を強めていくことが必要です。既にある取組として、大規模災害時における職員の応援体制の構築・運用は評価できるものですが、その他の具体的な取組としてはどのようなものがあるでしょうか。一例として、市町村によって行政サービスに差があると考えられるのは、デジタル化への対応です。ホームページの充実度から電子申請、料金納付などは、行財政規模の小さい自治体ほど手が回っていないと感じます。これは財源や各市町村での政策優先度の問題というより、人的リソースの問題ではないかと考えます。デジタル化に限らず、各市町村民であり県民でもある住民が受けるサービスに差が出ないよう、サービスの底上げを図る支援として、より一層のパートナーシップの強化を進めていくべきと考えますが、方針や取組について伺います。また、市町村との協議の場は十分であるか、体制についても併せて伺います。 大綱二点目、地元企業の振興・支援について伺います。 知事が富県宮城を掲げて就任以降、トヨタ自動車東日本、東京エレクトロン宮城の誘致を皮切りに、我が県では、ものづくり産業の集積が進み、多くの雇用が創出されました。東日本大震災を経ても、企業誘致の流れはとどまらず、このたび台湾の半導体メーカーPSMCと国内金融機関のSBIホールディングスが出資するJSMCによって、大衡村に新たな半導体工場が建設される運びとなりましたが、これは世界経済の情勢変化による産業構造の変化、技術革新の流れと、我が県の長年にわたる産業立地政策の実績がうまくマッチしたものとして、大きな功績であると高く評価できるものであります。我が県の産業方針の方向性として、この取組を将来にわたって継続していくことが、富県宮城の更なる躍進につながるものと私も確信しております。時流に合致した大資本の企業誘致を実現していく一方で、産業政策のもう一つの柱として重要なのが、地元企業の振興と支援であると考えます。県内には大規模な工場などの建設に有利な立地である自治体ばかりとは限らず、企業誘致に不利な立地条件の自治体もあります。こうした自治体の雇用の場を守り、つくっていき、自治体レベルあるいは商圏レベルでの域内経済循環を活性化していくには、地元中小企業・小規模企業への振興策・支援策が必要です。ここでは、地元企業への伴走型経営支援、事業承継、上場企業創出の三点について伺います。 中小企業・小規模企業経営への伴走型支援としては、制度融資や補助金などの従来的な支援がメインとなっております。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、売上げ減少や資金繰りに困る事業者にとっては、資金面での支援は大いに役立ったことでしょう。急激な経済情勢の変化で事業継続を支援する取組を守りの支援とするならば、これからは商品開発、販路拡大、プロモーションの促進といった売上げを伸ばす攻めの支援も必要となります。気仙沼市では、伴走型支援を全国展開する全国bizネットワークと提携し、気仙沼ビジネスサポートセンターを開設しております。企業・事業者と、それぞれが抱える経営課題に向き合い、何度も無料の相談を重ねながら、売上げアップにつながる取組にチャレンジし一定の成果を収めております。県では、みやぎ産業振興機構が同種の支援をはじめとした各種事業を行っておりますが、県内全域の企業をカバーする体制や事業規模は適正なものでしょうか。県内企業の潜在的な需要や成長性を考えれば、まだ伸ばせる余地があり、今後はこうした支援を拡充させるべきと考えますが所見を伺います。 続いては、事業承継についてです。 中小企業庁では、事業承継の二〇二五年問題として、全国二百五十万社余りの中小企業経営者が七十歳以上となり、その半数が後継者未定となることを危惧しております。日本の企業・事業者の三分の一が存続の危機に瀕しております。我が県においてもその傾向は同様あるいはそれ以上に深刻化していくものと推測されます。これまでの事業承継は、家族や親族が経営を引き継ぐことから、贈与や相続対策が主な課題でありましたが、家族や親族が引き継がない、あるいは引き継がせない経営者が増え、黒字でありながらも廃業に至るケースが増えております。そこで注目されてきたのが第三者承継、すなわち企業の合併・買収、以下、M&Aと言います。これを通して事業と雇用、社名を守り、新たな後継者の下、更なる成長を目指すケースが増えていくものと見込まれます。M&Aというと、大企業同士のものであるというイメージがありますが、M&A事業の大手である日本M&Aセンターによれば、ここ十年で東北内でもM&A成立件数が増えているとのことでした。県では、企業誘致に加え創業支援や起業者育成にも力を入れているところですが、新たな創業の形としてM&Aによる事業承継を支援し、雇用と地域経済を守っていくことが喫緊の課題として取り組むべきであると考えますが、所見を伺います。 この大綱の最後、三点目として、上場企業創出について伺います。 東京証券取引所への上場企業は約四千社あり、我が県に本社のある企業は二十二社です。これは地方の中枢である政令指定都市を抱える北海道五十九社、広島県五十社、福岡県八十六社に比して見劣りする点は否めません。上場基準を満たす企業が増えていくことが、経済力、活力の増大につながることは間違いないことでしょう。東京証券取引所が二〇〇九年に開設した市場であるTOKYO PRO Market、以下TPMといたします。これは、その他の市場と異なり、上場の形式基準がなく、株主構成を変えなくてもいいなど、中小企業にとってもチャレンジしやすい市場となっております。仙台市においては昨年、同市の仙台未来創造企業創出プログラム事業から一社TPM上場の実績を収めました。TPMの特性上、事業承継という点で、また、上場企業という信用力やブランド力は、今後成長や学生採用の面などでメリットが多大であると考えます。仙台市以外の市町村でも、地元にスター企業が生まれることは、県内全域の活性化につながることから、上場への支援を進めるべきと考えますが所見を伺います。 大綱三点目、地域交通の支援について伺います。 国の規制改革推進会議地域産業活性化ワーキング・グループにおいて、地域交通が議論され始めました。人口減少による公共交通機関の利用者減少で、交通サービスの利便性低下や事業撤退、自動車運転免許を返納した高齢者の移動手段の確保など、地域の足を守り、新たに組立てていくことが急務の課題です。令和三年度に策定された宮城県地域交通プランに定めた、誰もが安心して住み続けられる、地域の暮らしを支える地域公共交通の実現の理念の究極形として、私は、行きたい場所へ行きたいときに、いつでもドア・ツー・ドアで移動できる社会の実現を目指しております。本日は、近年注目を集めているライドシェアと、既に取り組まれている事業や、過去に議論された個別的な課題の二点について伺います。 初めは、ライドシェアの可能性についてです。 規制改革推進会議や国会議員の超党派勉強会、二〇二五年の大阪・関西万博開催に向けたライドシェア導入のニュースが続き、議論が加速しそうな様相を呈してまいりました。ライドシェアはウーバーなどの配車アプリを介して、個人のドライバーが自家用車で利用者を運び、対価として利用者から報酬を受け取るものです。配車アプリの普及とともに、アメリカや中国などの海外では利用が増えておりますが、我が国ではこのような行為は、タクシーを扱う道路運送法に違反する行為として、福祉目的や交通空白地での輸送などの例外を除き禁止されています。例外としてライドシェアが認められている京都府京丹後市の「ささえ合い交通」の例を見ると、地域の足として有効な手段であると考えられますが、安全性やタクシーを主とする他の交通事業者との競合による、共倒れなどのリスクもあり、どの地域でも円滑な導入と地域の足の確保ができるかは難しい点があります。そのような中、鳥取県は、先月末に鳥取型ライドシェアとしてコミュニティ・ドライブ・シェア事業の予算化を議会に提案することとなりました。内容を見れば、事業者と住民の協働により、中山間地域等で事業者からの委託を受けた住民が運送業務に当たる際の補助など五種類の事業形態からなり、我が県においても、導入により交通の利便性が大いに高まる地域は多々あると考えます。ライドシェアをはじめとした事業を県が主導し、事業者、市町村に提案して、地域の足の確保のために積極的に関わることが県の役割だと考えますが、所見を伺います。 続いて、この大綱の最後として、既に取り組まれている事業や、過去に議論された個別的な課題について三点伺います。 供給側事業者の課題として運転士不足が今後一層深刻化するという見通しがあります。宮城県地域交通プランには言及されてはいるものの、就職希望の高校生に対する第二種免許取得の特例しか施策に盛り込まれておりません。既に免許を持つ社会人への転職支援等の他の対策について所見を伺います。 気仙沼市山田地区では、移動支援サービスとして地域住民が互助会をつくり、会員制でコミュニティ・カーシェアリングを行っております。また、宮城県地域交通プランにもあるように、一般社団法人日本カーシェアリング協会と石巻市は包括協定を締結し、市内での展開を行っております。コミュニティー内での柔軟な運用は導入しやすく、同じ枠組みで他地域への横展開も容易であることから、今後、各市町村にも推奨していく価値があるものと考えられます。県では、今年度から同種事業の横展開を計画しておりますが、進捗状況や課題について所見を伺います。 過去に、気仙沼市議会において、宮城交通の高速バス、気仙沼・南三陸-仙台線を石巻で乗降できないかという質問がありました。石巻赤十字病院への通院・見舞いなどでの利用のために、市民からの声があったことによる質問でしたが、これに対し、許認可の関係で高速バス路線から路線バスとしての認可となるため、運賃設定の変更を運輸局から求める可能性があり、利用者への影響が大きいことから、実現は困難と事業者から伺っているとの答弁がありました。需要がありそうなアイデアだと思ったのですが、そのままこの話は立ち消えとなってしまいました。こうした規制の壁で利用者の利便性が損なわれたり、ビジネスの機会を失ってしまうことは、ほかにも多々あるのではないかと考えます。法の改正や運用変更を国に働きかけることは、県の役割であるとプランにも明記されておりますが、県としての取組について所見を伺います。 大綱四点目、気仙沼地域における道路ネットワークの整備について伺います。 震災復興のリーディングプロジェクトとして位置づけられた三陸沿岸道路の全線開通により、気仙沼市・南三陸町をはじめとした三陸沿岸地域と仙台都市圏、そしてその先の首都圏が高速道路ネットワークで結ばれました。これにより沿線住民のみならず、道路利用者は、物流や観光といった経済、交流人口拡大の面だけでなく、通勤、通院、買物といった県民の日常生活の面でも利便性が高まり、大きな恩恵を享受できるようになりました。東北自動車道と合わせて、南北の縦軸が二本になった次の課題は、これらを東西につなぐ東西横軸の形成と、圏域内の幹線道路の整備をどれだけ早く行えるかということだと考えます。これについて、気仙沼圏域における道路ネットワークの整備に焦点を当て、大きく二点伺います。 まずは、東西横軸の形成についてです。 県内における横軸ネットワークについては、みやぎ県北高速幹線道路が令和三年十二月に三期区間が供用となり、今後は東北自動車道との乗り入れが可能となる栗原インターチェンジの建設が進んでいるほか、国道百八号、四十七号の石巻新庄道路と東北自動車道村田ジャンクションと仙台東部道路を結ぶ宮城県横断自動車道の二路線が調査に入っているなど、横軸の形成が進んでおります。岩手県陸前高田市を起点とし、気仙沼市と岩手県一関市を結ぶ国道二百八十四号は実延長四十六・四キロメートルのうち、宮城県区間が五・七キロメートルと、大半が岩手県区間となっておりますが、東日本大震災の際には、避難路、物資の輸送路として多くの命を救っただけでなく、気仙沼市民にとっては、東北自動車道や東北新幹線の利用は、一関に行くのが最もアクセスが速く、通勤、通院、買物など、日常生活でも極めて重要な道路です。この道路を高規格化し、気仙沼市と一関市の移動時間を短縮することで、経済の活性化、観光などでの交流人口の拡大、防災力の向上と多方面で大きな効果を気仙沼市をはじめとした三陸沿岸地域にもたらすことができます。県内で完結する他の横軸と異なり、宮城・岩手の二県にまたがる整備の難しさを抱えながらも、沿線自治体住民は熱心な活動を継続しております。国道二百八十四号の地域高規格道路に準じた規格の道路整備早期実現が必要と考えますが、所見を伺います。 続いては、気仙沼圏域の幹線道路についてです。 県道二十六号、主要地方道気仙沼唐桑線のうち、旧気仙沼市と旧唐桑町を結ぶ区間、通称舞根峠は国道四十五号と並んで両地区を最短でつなぐ重要な路線として早期整備を実現しようと長い間運動を続けてきた区間です。当区間は現在、近年の自然災害によるのり面崩壊や対向車との擦れ違いのための待避所の設置の工事が行われており、これはこれで、通行の安全性をより高める上で必要な整備であることは、地域住民として歓迎すべき事業ではあります。しかしその一方で、この事業完了により当区間の整備が終わってしまうのではないかという不安を多くの地域住民は抱いております。この整備が終わっても、今後、別の箇所でののり面崩壊が起きれば、新たな整備が必要になることに加え、大型車両や救急車などの緊急車両が通行できないことには変わりはございません。 令和二年には、国道四十五号唐桑トンネル付近でのり面が崩れ、数時間通行止めとなりました。このとき、迂回路として一般国道二百八十四号、四百五十六号、三百四十三号が示されましたが、実際に通行車両の多くが利用したのは、舞根峠区間でした。しかし中には道路事情を十分に知らないまま大型車両が通り、立ち往生したということもありました。現在は、三陸自動車道があるものの、やはり当区間には、国道四十五号の代替ルートとして、冬季でも、安全で大型車両や緊急車両が通行できる道路が強く求められています。この区間の事業化の前提として過去には、三陸自動車道全線開通後の交通の流れを見て考慮して判断する旨の見解が示されたほか、同路線の別区間である化粧坂道路改良事業の後に検討する旨の見解も示されました。三陸道は、令和三年に全区間で開通となり、交通の流れを判断するには十分な時期に来ているものと考えます。また、令和五年二月に暫定供用が開始された化粧坂道路改良事業の二期工事も今月から着手となり、次は舞根峠だという地元、とりわけ旧唐桑町の住民の期待が大いに高まっております。唐桑の悲願であり最大のプロジェクトである、唐桑最短道の事業化に向けて、直近の取組と次期計画への見通しについての所見を伺います。 また、同様に県道三十四号主要地方道気仙沼陸前高田線は、国道四十五号の迂回路としての機能を持ち得ながら、大型車両の通行が困難であり、十分な機能を果たせずにいる状態であります。一般道から岩手県とのアクセスという点からも、この路線の整備も重要であると考えますが、同路線の整備についても併せて所見を伺います。 以上、壇上からの質問といたします。御清聴誠にありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 熊谷一平議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、地方自治と宮城県の在り方についての御質問にお答えいたします。 初めに、分権型社会に向けた道州制の実現についてのお尋ねにお答えいたします。 我が国の人口減少が本格的な局面を迎え、今後、多様化・増大化する行政ニーズに的確に対応していくため、私は、将来的には道州制の導入が必要であると考えております。国と地方の在り方を抜本的に変える道州制の実現に向けては、国と地方が同時に取り組むことが不可欠でありますが、現在、国における議論が停滞していることから、その動向を注視しているところであります。このようなことから、まずは全国知事会等における議論の場を通じて、分権型社会の実現に向けた国民的議論を喚起してまいりたいと考えております。 次に、財政健全化と臨時財政対策債についての御質問にお答えいたします。 臨時財政対策債は、国から地方自治体に交付される地方交付税の原資が不足していることから、その補填として地方自治体に発行が認められる特例的な地方債であり、我が県の県債残高の約四割を占めております。八月に公表された令和六年度の地方財政の課題において、地方一般財源の総額について、令和五年度地方財政計画と実質的に同水準を確保するとされ、地方交付税を増やして臨時財政対策債の発行額を大幅に減らしていることは評価できるところであります。しかしながら、過去の借金の返済に新たな借金を重ねる姿は健全な財政運営とは言いがたく、こうした現状からの脱却は全国地方自治体共通の悲願であります。このため、臨時財政対策債については、その廃止や地方交付税の法定率の引上げを含めた抜本的な改革等を行い、地方交付税総額の安定的な確保を図れるよう、全国知事会会長として、私が先頭に立って国に強く働きかけてまいりたいと考えております。 次に、市町村とのパートナーシップについての御質問にお答えいたします。 我が県においては、地域の自主性・自立性を高めるため、宮城県権限移譲推進要綱を定め、行政サービスの向上や市町村の自主的・総合的な施策の展開が図られるよう、住民に最も身近な行政主体である市町村への権限移譲を進めてきたところであります。一方で、人口減少など、地域社会を取り巻く環境が大きく変容する中、市町村が持続可能な形で行政サービスを展開していくためには、市町村の自主性・自立性も尊重しつつ、県が有する専門的機能や調整機能も活用しながら、県と市町村とのパートナーシップを更に強化し、地域課題に共に取り組むことが重要であると認識をしております。県としては今後とも、市町村長会議や市長会、町村会との意見交換会をはじめ、様々な協議の場を通じて、市町村の抱える地域課題を的確に把握するとともに、課題解決に向けて市町村との連携を深めてまいりたいと思います。 次に、大綱二点目、地元企業の振興・支援についての御質問のうち、事業承継についてのお尋ねにお答えいたします。 民間の信用調査会社によると、県内企業の後継者不足率は五九・二%となっており、地域の雇用と経済を支える企業の事業承継は喫緊の課題であると認識をしております。このため県では、地域の商工会・商工会議所、金融機関等の百十一機関から成る事業承継ネットワークを構築し、地域の経営者に対する事業承継に向けた動機づけのための事業承継診断や相談会を実施しているほか、国の事業承継引継ぎ支援センターに対して、事業承継専門員二名を県が配置し、M&Aを含めた事業承継案件の積極的な掘り起こしに努めているところであります。昨年度の事業承継引継ぎ支援センターにおける支援件数は三百十九件であり、事業承継が成約した件数は四十二件、そのうちM&Aは二十二件と我が県でもM&Aが増加しております。県といたしましては今後も、事業承継引継ぎ支援センターをはじめとした関係機関と連携をしながら、M&Aを希望する事業者の掘り起こしに注力し、事業承継に向けた支援にしっかりと取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、地域交通の支援についての御質問のうち、ライドシェアなどの新たな取組についてのお尋ねにお答えいたします。 地方において人口減少が急速に進む中で、地域の足を持続的に確保していくことは大変重要であると認識をしております。いわゆるライドシェアについては、国の規制改革推進会議などにおいて議論が進められておりますが、その導入に当たっては、地域の実情に応じた制度であるべきだと考えております。このようなことから、国の検討状況について情報を聴取するとともに、市町村や交通事業者から、地域の実情をよく伺い、把握し、制度の検討を進めている他県の事例を参考にしながら、我が県としてDXを最大限活用するなど、あるべき制度を検討してまいりたいと考えております。また、このような新しい取組を検討していく過程において、利用者、ドライバー、交通事業者、地域が共にメリットを感じられるものとなるよう、法制度の改正や運用の改善など、必要に応じて国に対し提言してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱三点目、地域交通の支援についての御質問のうち、運転士不足への対策についてのお尋ねにお答えいたします。 運転士不足が課題となっている中で、即戦力として二種免許、大型二種免許を取得している社会人を採用していくことは、交通事業者にとって有用であると考えています。バス事業者においては、社会人などを対象とした求人説明会やバス運転体験会を実施するなど、その採用活動に力を入れているところですが、バスはトラックなどの運転士との勤務環境の違いなどがあるため、転職希望者は多くないのが現状であります。このため県では、国とともに、県内バス事業者が採用する運転士の大型二種免許を取得する際の費用を支援するなど、運転手確保に向けた取組を行っております。更に、みやぎ移住サポートセンターでは、移住希望者のうち、運転士として就職を希望される方に対して、バス事業者等を紹介するとともに、移住支援金を交付するなど転職に向けた支援を行っております。引き続き、運転士を確保していくためどのような方策が有効か、バス事業者と話合いを重ねながら、国と連携して運転士の安定的な確保と育成に向けた取組を進めてまいります。 次に、移動支援サービスに関する事業の進捗等についての御質問にお答えいたします。 コミュニティ・カーシェアリングは、地域の移動問題の解決に資するとともに、住民同士のつながりをつくるきっかけになるなど、地域交通を補完し、地域の活性化に有効な手段であると認識しております。県内では、石巻市や南三陸町などの地域でコミュニティ・カーシェアリングを行う組織である「カーシェア会」が設立され、取組が進められています。県としましては昨年度、日本カーシェアリング協会と連携して、登米市石越地区でのカーシェア会「松の実フレンド」の立ち上げを支援し、昨年十二月に会の設立がなされたところであります。また今年度は、この団体の一年間の活動を踏まえ、市町村等に対し導入事例として紹介を行うなど、横展開に向けた取組を進めていくこととしております。コミュニティ・カーシェアリングの取組を広げるためには、それぞれの地域において持続可能な仕組みを構築することが重要であると考えており、日本カーシェアリング協会や市町村、関係団体等と協力して、実施希望地域の掘り起こしを行うとともに、事業実施に向けた課題の解決を支援してまいります。 次に、気仙沼市と仙台市を結ぶ高速バスの路線変更についての御質問にお答えいたします。 現在、気仙沼市と仙台市間で運行されている高速バスについては、途中で石巻市内で乗り降りする場合、利用者の利便性が向上する反面、現在三時間を要している所要時間が更に増加することになるため、利用する地域の方々の意向が重要であると認識しております。また、運行する事業者が新たな停留所を設置するに当たっては、途中下車による運賃収入の減少や所要時間の増加による利用者離れの影響なども勘案して判断する必要があると伺っております。県といたしましては、安定的なバス路線の維持確保の観点から、路線の変更は、地域の方々の利用希望や、これを踏まえた運行事業者の意向が大事であると考えており、関係市や運行事業者から実情を伺うとともに、変更するために法改正や運用の改善が必要となる場合には、国に対し運行事業者や関係者と共に積極的に働きかけを行ってまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱二点目、地元企業の振興・支援についての御質問のうち、地元企業への伴走型支援についてのお尋ねにお答えいたします。 地域経済を担う中小企業が売上げを伸ばすために、伴走型支援を受けながら新しい商品の開発や販路開拓に取り組むことは、地域の活力を維持するために重要であると認識しております。このため、県においては、みやぎ産業振興機構による様々な伴走型支援を行っており、一例として、中小企業販路開拓総合支援事業では、専門家を活用したマーケティング調査を行った上で、商品力・販売力の向上のための継続的な助言を行い、大手商社OB等から成る販路開拓ナビゲーターの人脈を活用した首都圏等企業とのマッチングを実施するなど、市場調査から取引まで一貫した支援を実施しております。今後もこうした伴走型支援について、利用者をはじめ、市町村、商工会・商工会議所等の声を伺いながら、支援の充実に努めてまいります。また、この事業を含めた主な伴走型支援の昨年度の実績としては、県内全域において三百社を超える支援を行っているところであり、利用者からも好評を頂いておりますが、引き続き、地域における利用ニーズの把握等に努めながら、必要に応じて支援体制等について対応してまいります。 次に、上場企業創出についての御質問にお答えいたします。 上場企業は、取引における信用力の向上や人材確保における優位性など、様々なメリットがあると考えられることから、上場を目指す企業への支援は、企業の成長を通じた雇用や取引の拡大など、地域経済の活性化にもつながる取組であると認識しております。このため、県では今年度から、地元金融機関が中心となって運営している、上場を目指す企業の経営者層を対象とした人材育成プログラムに、主催者の一機関として新たに参加し、関係者と共に、地元中小企業の上場支援に取り組み始めたところです。県といたしましては、今後ともこうした支援を継続するとともに、地域における企業のニーズを丁寧に伺いながら、TOKYO PRO Marketへの上場も含め、必要な支援の検討を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱四点目、気仙沼圏域における道路ネットワークの整備についての御質問のうち、国道二百八十四号の地域高規格道路に準じた道路整備についてのお尋ねにお答えいたします。 国道二百八十四号は、気仙沼市と岩手県一関市を結び、第一次緊急輸送道路として広域的な防災道路ネットワークを構築するとともに、岩手県との交流を促進し、気仙沼地域の産業・観光振興等に大きく寄与する重要な路線であると認識しております。このため県では、これまで新月バイパスなどの整備を進めてきたほか、岩手県側においても、真滝バイパスや室根バイパスなどが完了し、円滑な交通が確保されております。また、令和三年六月に策定した我が県の中長期的な広域道路網の整備方針を定めた宮城県新広域道路交通計画において、県北地域の重要な横断軸として、現道の国道二百八十四号を一般広域道路に位置づけ、現在、橋梁耐震化などの機能強化に取り組んでおります。県といたしましては、地域高規格道路に準じた道路整備については、三陸沿岸道路やみやぎ県北高速幹線道路など周辺道路の交通状況を踏まえつつ、国による広域道路ネットワーク再編等の動向にも注視しながら検討してまいります。 次に、気仙沼・唐桑最短道の整備についての御質問にお答えいたします。 県道気仙沼唐桑線は、気仙沼中心部と唐桑半島を結び、地域の方々の安全で安心な暮らしを支えるとともに、気仙沼地域の産業や観光振興等に寄与する路線であります。これまで県では、舞根地区のバイパスや防災集団移転団地を結ぶ道路に加え、国道四十五号へのアクセス強化を図るため、只越バイパスの整備を進めてきたところです。本路線のうち、浪板地区から舞根地区までの未改良区間については、幅員が狭く擦れ違いが困難な箇所が多いため、これまで大雪時や倒木などによる通行止めが発生するなど、車両の通行に支障を来していることから、早期に現道の安全で円滑な交通の確保を図ることが重要であると認識しております。このため県では、本区間を令和三年三月に策定した宮城のみちづくり基本計画に、現道を機能強化する事業箇所と位置づけ、地域の方々と意見交換などを行い、現在、路面表示や部分的な現道拡幅などを計画的に進めているところです。県といたしましては、まずは現道の機能強化を優先的に進めることとし、唐桑最短道につきましては、その在り方を含め、引き続き気仙沼市や地域の方々と意見交換を行いながら、今後の宮城のみちづくり基本計画への位置づけについて検討してまいります。 次に、県道気仙沼陸前高田線の整備についての御質問にお答えいたします。 県道気仙沼陸前高田線は、気仙沼市鹿折地区と岩手県陸前高田市を結び、地域の生活道路としての役割を担うとともに、国道四十五号を補完する幹線道路であります。本路線においては、幅員が狭い箇所が多く、河川や住宅地に隣接する区間もあるほか、県境部は地形が急峻であることから、抜本的な改良は難しいものと考えております。このため県では、これまで県境部ののり面対策や、地域の方々と協働しながら、部分的な道路拡幅を実施してきたほか、現在は橋梁の耐震化や長寿命化対策を行うなど、現道の機能強化を図っているところです。気仙沼市から陸前高田市へのアクセスについては、高規格道路である三陸自動車道とその代替機能を担う国道四十五号とのダブルネットワークが形成されていることから、県といたしましては、安全で円滑な交通の確保に向けて、引き続き適正な維持管理に努めてまいります。 以上でございます。
○議長(高橋伸二君) 九番熊谷一平君。
◆九番(熊谷一平君) それでは、順を追って再質問をしてまいりたいと思います。 まず大綱一点目につきましては、こちらは知事御自身の見解を伺ってみたかったと、政治家としてどのようなお考えを持っているのかということを伺ってみたかったというところから問うてみたところだったんですけれども、恐らく国との調整というのもありますし、また、地方分権っていろんな形を皆さん描いているのだと思います。ですので、そうした、いろんな考えを調整していくということ、なかなか大変なのかなというふうにも思っておりましたし、また、いつこういったことを公にするかというタイミングも大事かなということで、もう少し踏み込んだお考えをお聞かせいただければと思っていたのですが、今後に期待してまいりたいかなと思っております。 特に、この大綱でお伝えしたかったというところは、市町村の職員なのですが、やはり定員管理をしっかり進めていくと。財政の健全化の中でなんですけれども、私も市議会を通して、気仙沼市はじめ市政・町政、見ておりますけれども、職員の皆さんは少ない人手で複数の業務を掛け持ちしているという状況で、県でいえば一つの班でそれぞれ担当がいる中で、市町村の職員はお一人でそれを請け負っているような状況で、なかなか恐らくデジタル化ですとか、やりたくてもできないのだろうなと感じております。どうしてもホームページを充実させるということ、あまりいい話ではないのかもしれないのですが、やはり技術的なところもありますし、どんどん遅れていっているということが課題なのかなというふうに思っておりましたので、財政の支援だけではなくて、人的な支援、職員の派遣ということ、それぞれの市町村の状況に応じまして、適切な人材を派遣しているというところでありましたけれども、今後それを進めていくということが、広域行政自治体としての補完機能になるのかなと思いますが、その取組についてお伺いしたいと思います。
○議長(高橋伸二君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 宮城県も、県行政も決して人手に余裕があるわけではないのですが、市町村長から、こういう理由で人を出してほしいというようなことがあれば、いろいろ検討して、実際職員を派遣している事例も多々あるわけであります。特に災害時などは、急を要するということで、災害の大きさによって優秀な職員を派遣するというようなこともやっておりますし、また、その他のところから、副市長・副町長といったような形で出してほしいといった要望もあります。柔軟に対応させていただきたいと思っております。
○議長(高橋伸二君) 九番熊谷一平君。
◆九番(熊谷一平君) 域内の分権というか地方間の分権ということを進めていただければというふうに思っております。 次いでTPM、TOTYO PRO Marketについてお伺いしますけれども、こちらのほう、現在七十社が上場していると。そのうちどういった規模の会社かというと、売上げが五十億円未満が約八割、しかも十億円未満、一桁億円の売上げの会社というのも三割ほどある。それから従業員についても、百名以下が六割、十名以下の小さい企業もあるということで、そうした企業が上場できるというのは非常に魅力的なことなのかなと思っております。かつて大分県で一村一品運動というのがありましたけれども、宮城県で一村一企業ということで、スター企業を、いろんな企業がありますけれども、まず地元を代表する企業と上場ということが大きいのかなと思いますが、取組について今後より一層力を入れていただければと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 議員御指摘のとおり、TOTYO PRO Marketを今回勉強させていただきました。やはり形式基準、例えば株主数とか流通株式数とかがないため、上場のハードルが非常に低いと。それから準備期間が短い、それから公式なアドバイザー制度があるなど、今、御指摘のような小さい、体力がまだないような企業にとっては非常に魅力的な上場の制度だと思ってございますので、ここにつきましては先ほど、答弁申し上げましたとおり、少し我々も勉強しながら、今回、御紹介しました、IPO経営人材育成プログラム、こちら七十七銀行、それから我々宮城県と東京証券取引所もメンバーとなってございますので、このプログラムの中で何とか上場ができるような企業を育成してまいりたいと考えてございます。
○議長(高橋伸二君) 九番熊谷一平君。
◆九番(熊谷一平君) あわせて後継者の話ですが、今、UIJターン、いろいろ県でも進めておりますが、社長候補として来ないかというような、就職ガイダンスとか、そういった事業承継前提での就職ということも、結構、需要があるのではないかなと思いますが、そうした取組についてはいかがでしょうか。
○議長(高橋伸二君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) それにつきましても、我々最近力を入れてございまして、特にプロフェッショナル人材活用プロジェクト。これにつきましては、今、全国で三位ぐらいまで件数が伸びてきているような状況になってございまして、それは東京とか首都圏から、例えば社長であったり、社長という例はなかなか少ないのですけれども、その会社の中の取締役でこの部分を見ていくと、DXを見ていくとか、そういった部分で来ていただきまして、結構、千人を超える方、毎年来ていただいてございますので、そういったことで、今後とも引き続き、我々としては注力してまいりたいと考えてございます。
○議長(高橋伸二君) 九番熊谷一平君。
◆九番(熊谷一平君) 最後の舞根峠について伺います。 新規事業採択の基準にいろいろあるかと思うのですけれども、例えば水道・電気などのインフラ整備というのは、プラスの評価対象になるのかなと思うんですが、どのようになっているのか。例えば舞根峠でいえば、立木の枝が伸びたり、倒木によりまして停電リスクやメンテナンスが大変だという課題があります。また、水道ポンプ場では……(「時間、時間」と呼ぶ者あり)失礼しました。今後また、ふるさとの大事な道の整備につきまして、引き続き取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(高橋伸二君) 暫時休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩
----------------------------------- 午後一時再開
○副議長(本木忠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十一番熊谷義彦君。 〔四十一番 熊谷義彦君登壇〕
◆四十一番(熊谷義彦君) 今日は十二月八日、有機農業の日であります。よって、農業問題についてからお話させていただきます。 水不足に見舞われた他県ほどではありませんが、一等米比率が昨年を下回っています。その原因は、梅雨時期の曇天続き、梅雨明けからの猛暑、そして登熟期の降雨と暑さ、そのため腹白米、芯白米被害が発生し、米粒の充実不足も重なった結果であります。生産者の米値段の値上げがその分吹っ飛んでしまっています。加えて、肥料をはじめとする生産資材全般の値上がりは深刻であります。日本農業新聞の記事によれば、肥料は二〇二〇年を百とした場合、今年九月は百四十一とのことであります。値上がりしています。資源もない国と教えられ、外国依存に突き進んできた今日までの国策がいかに脆弱であるかを思い知らされています。しかし、このことが国民全体にとって本当に深刻な事態であるとの認識はあるのでしょうか。私はないだろうと思っています。日本農業の現実を国民、消費者の方々に分かってもらわなければなりません。これらの課題に加えて、数年前から米価の下落、そして高齢化、後継者不足、更に獣害が加わり、離農者が急増しています。その要因は、高齢化、不採算、それに農業機械更新時期を迎えての不安であるとお聞きしております。こうした事態を受けて、今まで規模拡大を進めてきた農家も、あるいは農業法人も、もはや更に水田を借り入れる余裕はなくなってきているとお聞きしています。まさに、農地バンクは、機能不全を起こしています。耕作放棄地は、今に始まったことではありませんが、獣被害対策の電気柵に守られなければ栽培できない事態になっています。コミュニティーなど成り立たない事態が生じてきています。こうした事態が国策の危機として捉えられているのか。食料・農業・農村基本法の見直し議論が進められているが、果たして現実を委員の方々は理解しているのでしょうか。疑問であります。一部報道を見ると、今度もまたぞろ規制改革論者が幅を利かせ、経済の合理性のみで農業政策議論が行われているのではないかと感じています。前の基本法から二十年、この実態とその原因をしっかりと受け止めているのかと怒りを込めた感情を持たざるを得なくなっています。農業問題を論じると、多くの時間が必要になりますので、今回は絞って質問いたします。 一点目は、農業人材確保についてであります。 これまで行ってきた事業は認めますが、新たなステージに上げないと地域コミュニティーがなくなってしまいます。それほど厳しい現実があります。農業者の平均年齢は六十九歳、七十歳と言われていますが、あと五年もすればリタイアする方が数多く出てまいります。農業法人の規模拡大も先ほど言ったように無理が出てきています。担い手もいない結果、更に、荒廃地とコミュニティーの崩壊を生むことが目に見えてきます。そこで、人材確保策として提言したいと思います。 一つは、大学など農学部に入学し、就農される学生への授業料などの支援、免除を含めて、社会人枠の検討を図れないのかお聞きいたします。現在も農業大学校を含めて社会人の入学はあるわけでありますが、夜間も含めて検討されたいと思います。二つ目、農業試験場の解放を定期的に進められたい。現在もやっていますが、PR不足であります。農業試験場以外も含めて同様の対応をぜひお願いしたいというふうに思います。三つ目、新規就農者に対する住居、農地・農機具等の貸与であります。四つ目、就農後の生活保障であります。先ほど、二年間百五十万、三百万の話がありましたが、それでは到底私は足りないだろうと思っています。五つ目、公務員などに対する農業の兼業禁止を解除すること。六つ目、就農希望者への農地提供、行政のあっせんによって、都市部を除いたあっせんをぜひ進めていただきたい。書いていても、これぞとの具体的な案はなかなか出てきませんが、結局はもうかれば就農者が増えるとの結論に至ります。私の提言に対する見解を知事にお聞きいたします。 次に、畜産振興ですが、多くの関係者の方々から高い評価をされている茂福久をどのように県として考えているのか。茂福久という言葉を初めて聞いた方もいるかもしれませんが、日本一の牛であります。和牛です。経過を振り返ると、昭和四十九年兵庫県より茂重波を導入し、宮城県和牛の肉質向上を目指してきました。昭和五十四年より肉用牛集団育種推進事業を立ち上げ、宮城県内の和牛改良を進めてきています。現在も進められています。その中で、多くの種雄牛の選抜をされてきています。平成五年茂勝の選抜、平成十九年茂洋、茂重波の孫牛になりますが、平成二十五年好平茂の選抜、平成二十六年勝洋の選抜、平成三十年に先ほどお話を申し上げた茂福久の選抜となっています。茂勝の孫牛になります。ちなみに、茂福久のBMSは十・九、A5の率は一〇〇%だと言われました。これは検定時でありますが、言われています。この茂福久の系統をどのように生かしていくのか、宮城県畜産振興の大きな課題だと私は思っています。いかがでしょうか。まさに先ほど申し上げた日本一の種雄牛です。しかしながら、宮城県のPRはあまりにも少な過ぎると考えています。今後の課題について、コロナ禍を経て、現在の物価高騰による子牛価格の下落が続いていることへの不安。そして離農への加速化が急速に進む不安です。特に高齢者、小規模頭数の離農が大変心配されていますが、どのように対策をとっているのか。私自身の提言を申し上げます。 一つは、検定成績用試験牛選抜頭数が減少されます。交配頭数の確保が困難になりますので、離農者が今後も予想されるため、検定用子牛の確保が困難になります。今後、ゲノム事業を取り入れ、確実な成績を出せるものへシフトすべきではないかと私は思います。茂福久を主軸としたもの、特に優良雄牛の県内の保留を急ぐべきであります。現在、ゲノム検査はどこまで進んでいるのか。他県ではもう既に大きく前進しています。宮城県はやる気があるのかどうか。このままでは他県に負けてしまいます。二つ目、検定用子牛の確保をどのようにしていくのか。検定待機の牛も現実にいますが、基幹種雄牛になるまで五年かかります。更に、息牛の肥育結果が出るのに三年半から四年かかります。検定待機の牛が十六頭いますが、結果までは時間を要します。十六頭中毎年四頭が検定され、三頭か四頭は淘汰されていますが、検定後、現在、絵里波が選抜されています。この絵里波は栗原産であります。絵里波の検定結果は出ているのか、評価をお聞きいたします。三つ目、今後はゲノム事業を取り入れ、確実な成績を出せるものへシフトする考えはあるのかないのか。あわせて、優良雄牛の県内確保保留を財源的支援する必要がありますが、みやぎ総合家畜市場では、検定済みの種雄牛以外の子牛は、購買者からあまり望まれていないのではないでしょうか。だからこそ現実的な価格格差が大変ひどくなっています。四つ目、種雄牛能力のピークは八歳頃までと言われていますが、茂福久は十一歳になっています。息牛が出てきていないが、どのように対応するのかお聞きいたします。種雄牛を生産した生産農家にメリットはあるのか。どのようにストローを配布しているのか。地域の生産基盤をつくるにはどうしているのか。県基幹種雄牛は十頭と思いますが、栗原産の種雄牛は五頭になります。改良を進めるためにも、生産基盤が確立されている地域を優先すべきであります。国は、令和五年度補正予算から生産基盤拡大加速化事業を優良繁殖雌牛更新加速化事業と変更されていると思いますが、どのように変わるのか、どのように宮城県に影響するのか、お聞かせください。 次に、本県の種雄牛事業は順調に進んできましたが、茂福久以降五年経過した中で、茂福久と同等もしくは超える牛の選抜が確認されていません。本事業を二〇二四年度から行うにあたり、あらゆる事業の再点検を行い、本事業も活用し、血統、体型、能力のしっかりとした育種改良を進めていくべきであります。再点検は、県、畜産団体が進めてきた事業を見直し、または更新し、まずは三年後、五年後の基盤づくりをすべきであります。残念ながら、現状の頭数は、畜産農家の減少とともに減っていくことは念頭に置きながら、現在行っている事業の内容を一段階上げることが必要になってきます。それによって、次回、北海道全共での宮城県の底力を再認識させること。宮城県の育種改良基盤を全国に示す場所であります。もう一つは、一段階アップした生産基盤の確保ができます。三番目には、生産者・購買者から信頼される和牛基盤が確立できます。次に、安定した子牛価格が維持できます。提言についての見解を示されたいと思います。いずれにしても、第一次産業、耕畜連携の活性化のために提言しましたが、上記の課題解決のために、こうしたことを実現するために畜産試験場などの研究開発費の大幅な増額を求めたいと思いますが、一次産業を大事にする知事であると私は願いたい。そのように思います。 次に、子実トウモロコシの栽培についてですが、メリットとして、大型機械が利用できる省力的な夏作物、排水性改善による後作への増収効果、堆肥利用による地域内耕畜連携があります。課題として、現在の物価高騰などによる個人での大型機械などの整備導入の難しさが出てきています。新規及び増頭、牛舎の増築をした場合の返済に滞りがあり、個人対応が大変難しくなっています。クラスター事業を始めてから年数が浅いため、新たな設備投資ができない課題があります。三番目、畜産団体のバックアップを思い切って取り組んでいただけるようにお願いしたい。個人の対応ではなくて、新たな組合組織の発足も含めて、子実トウモロコシの活動の手助けの必要性が私はあるのではないかと思っています。多くの畜産農家から子実トウモロコシ栽培の必要性がありながら、今申し上げた理由などから、踏み切れない現実があります。あわせて、子実トウモロコシの茎、葉も発酵すれば飼料になるのですが、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。 続いて、ALPS処理水についてお話申し上げます。 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十二年を迎える今年、政府は、原発全面回帰政策を打ち出しました。十二年前、政府が発令した原子力緊急事態宣言はいまだ解除されていないにもかかわらずです。原発事故は、人々の暮らしを一変させた。多くの人々が避難を強いられ生業を失った。この間、避難者数は減少してきていますが、復興庁によれば、福島県内・県外を含め二万七千人を超える方々がいまだ避難しております。そして、茨城、福島、宮城の沿岸地域を被災海域と称する名称もいまだ残っています。その被災海域に更に被災をさせるのが海洋放出であります。全くもって情けない。福島第一原発に至るまで、日本でも大きな原発事故が繰り返し発生されてきた。また、原発をめぐる数々のトラブル隠しや不正が内部告発などで暴露された。そのたびに、電力会社・原子力産業界全体は猛反省し、安全性を最優先に取り組むことが確認されてきた。しかしながら、原子力村の体質は変わりなく、ルール違反、事故がなくなることはありません。北海道・東北地方知事会の提言での原子力部門を読ませていただきましたが、言葉の根拠、背景、そして宮城県の状況についての記載がありませんので不明な点が数多くありました。時間がないので、今回これは質問しません。 次に、福島原発の現状について疑問があります。 一つに、福島原発の一号機・二号機、いわゆる被災をされた原発でありますが、耐震度はどのようになっているのか不明であります。二番、汚染水貯蔵タンクの耐震度はどのようになっているのか、これも不明であります。三つ目、上記以外の放射性物質収容器の保管はどのようになされているのか、疑問な点であります。これは、質問いたしません。 次に、海洋放出。私は、ALPS処理水の海洋放出は絶対に認められない。即時中止、放出撤回を求めます。代替案は何度も示しています。福島第二原発敷地及び東京電力が所有の土地活用であります。ほかの様々な方法も多くの方から提案されています。ここからは私の見解ですが、福島第一原発から汚染水処理の海洋投棄が開始され、二か月が経過しました。代替案の検討も不十分なままに、流されるのはトリチウムのみであるかのような印象操作が行われ、関係者の理解が得られない中での強行となりました。国内で放出リスクへの懸念を口にすれば、風評加害者と批判されるなど、私は、言論空間が大きくゆがめられていると考えております。更に憂慮すべきは、海洋放出の背後で、福島第一原発の廃炉問題が見えにくくされていることです。政府・東京電力は、今回の放出が廃炉と復興に不可欠と繰り返していますが、廃炉の最終形は何も描かれていません。三、四十年で完了というのは全くの幻想にすぎないと私は思います。通常の原発の廃炉で発生する量の数百倍といわれる膨大な量の放射性廃棄物の大半の行き先は、全くもって未定。ゼロであります。八百八十トンもあるとも言われる核燃料デブリに至っては、僅かにこすり取られただけであります。その一方、事務処理費用は青天井に膨らみ、将来世代にまで続く国民負担は増すばかりであります。私たち一人一人も電気代として負担しています。東電は、海洋放出する前に二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしています。問題なのは、タンクに残留するこれらの放射性物質の総量が示されていないことです。また、二次処理した結果、どれくらい放射能が残留するかも分かっていません。全体の汚染水の量が膨大であるため、濃度を下げたとしても、放出される放射性物質の核種は存在します。何がどのくらい放出されるのかという基本的な情報が明らかにされていないのです。薄めても、放射能の絶対量は変わりません。トリチウムの影響について専門家でも意見が分かれています。政府は、トリチウムからの放射線は紙一枚でも遮ることができる水と同じ性質を持つため、人や生物への濃縮は確認されていないなどと安全性を強調しています。トリチウムが有機化合物中の水素と置き換わり、食物を通じて人体を構成する物質と置き換わったときには、体内に長く留まり近くの細胞に影響を与えること。更に、DNAを構成する水素と置き換わった場合には被曝の影響が強くなること。トリチウムがヘリウムに壊変したとき、DNAが破損する影響などがもう既に指摘されています。今回の処理汚染水の放出が今までの原発からの排出と大きく違う点は、処理されているとはいえ、デブリ核燃料が解け落ちたものでありますが、デブリに触れた水の放出であるということです。これは、トリチウム以外にも様々な放射性物質を含んでいることを意味します。また、環境中のトリチウム量が少しずつ多くなっていることへの累積的評価についてはまだ何も分かっていません。世界中の原発から出されているからよいということにはなりません。以上のトリチウムの科学的特性及び海洋放出の特性について見解をお示しいただきたい。 政府・東電は、処理汚染水を海水で希釈し、トリチウム濃度を一リットル当たり千五百ベクレルにして放出するとしています。これは、トリチウムの排出濃度基準一リットル当たり六万ベクレルの四十分の一と説明されていますが、果たしてそうなのでしょうか。一リットル当たり六万ベクレルというのは、原発敷地内に排水以外に配慮すべき放射線源がない場合、かつ排水中にトリチウムのみが含まれている場合の基準になります。東電の放出案に関して、設備面では規制委員会及び福島県の廃炉安全監視協議会での確認を経ていますが、具体的に運用計画はありません。それには、対象となるタンク・希釈水・放出量の詳細内容が含まれなければなりませんが、運用計画の実施の前年度まで提出しなければならないことになっています。出されていません。また、当原発は事故後に特定原子力施設として特別な規制の下に置かれており、それは敷地境界上の個体・気体・液体由来の放射線の総量規制、年間一ミリシーベルトという廃炉全期間にわたって遵守しなければならない厳しい制約も含まれています。政府と東電による海洋放出案の説明は、この規制内容を配慮せず、IAEAのレビューもこの認識が欠けている点でも、極めて問題であり不十分であります。必要な規制や手続に沿って計画の立案・審査をすべきであることを明確にする必要があります。知事、風評をなくすには、放出をやめることです。改めて、国・東電に強く求めることを、知事に求めます。 次に、四病院問題についてお話申し上げます。 さきの質問の方とダブるところがありますがお許し願います。四病院再編問題に関してさきの県議選を通して明らかになった点について伺います。 まず、仙台市内では、知事与党と言われる現職の皆さんが苦戦し、病院再編問題で反対を鮮明にした候補者が得票を伸ばす傾向が顕著だった点であります。仙台市内にある仙台日赤病院、東北労災病院の二病院の市外への転出に対する不安が大きかったものと考えています。仙台日赤病院に関して言えば、太白区の八木山以西、秋保町までの地域で出産、通院で最も近い総合病院であり、旧宮城町の皆さんも通っています。地域からは「名取市に移転したらどこに通うのか」「出産はどこですればいいのか」との声が出ています。仙台市民も県民であります。このような不安を無視して再編を進めてはならないと考えますが、知事はどのように考えているのでしょうか。 次に、知事の政治姿勢についてです。 県議選前後に「知事は強引過ぎるのではないか」「何でもできると思っているのではないか」という声を私も栗原で数多く聞かされました。その声が大きくなったきっかけは、八月三十一日に行われた県精神保健福祉審議会での「この審議会でどのような意見が出ようと進めさせていただきます」「私を止めることができるのは、県議会だけだ」という知事発言であったと考えています。県精神保健福祉審議会は、宮城県が設置する公的機関であるにもかかわらず、その審議会の場でたんかを切るような言葉に多くの人が驚き、違和感を感じたものと思います。このような批判を知事はどのように受け止めるのでしょうか。
精神医療センターについて伺います。 宮城県精神科病院協会は、現センター立地場所の道路向かいにある旧仮設住宅跡地への移転を提案しています。それに対して県は、一つとして、敷地が富谷の六万平米に比較して一万二千平米と手狭である。二つに、敷地への進入路に問題があるとしています。これに対して、精神科病院協会は、富谷市の六万平米は東北労災病院敷地も含むもので、容積率・建蔽率を勘案すれば、旧仮設住宅跡地で二万平米程度の病院建設は可能。全室個室でも建坪は一万二千平米であり、敷地として利用可能であること。旧仮設住宅跡地の県道の間に県有地があり、それを活用できれば直接乗り入れが可能。反対車線側からの乗り入れはほかに例があるがごとく、付近交差点でのUターンで解決可能と指摘しています。先ほどから部長はできない理由を並べ立てていますが、いたずらにできない理由を並べ立てるのではなくて、可能性を追求すべきと考えていますが、いかがでしょうか。協会が指摘する点についての見解を求めます。 名取市に新たに民間精神科病院を設置する件について書き込みました。しかしこれは、サテライトに答弁もありましたので、具体的にお聞きしながら答弁を求めたいと思いますが、県は、
精神医療センターを中心とする地域包括ケアが移転によって崩壊するとの指摘に対して、新たに百二十床を上限とする新たな民間精神科病院を設置して対応すると提案しました。宮城県第八次地域医療計画では、精神科病床の基準病床数は四千六百十八床で、現状は六千百二十四床です。
精神医療センターの改築にあたって八十八床の減少が予定されていましたが、この提案では一床の減少にとどまります。精神科病床の減少の方向に寄与しないばかりか、減少に取り組む民間病院の意欲をそぐことになったと指摘されていますが、どうお考えでしょうか。また、今回の提案では、仙台医療圏南部以南で二百人以上が通院している児童・思春期や定期的な診察が必要なクロザピン服薬者は診察対象とはしないとしていますが、こういった方々は富谷まで、通院は適切だとお考えなのでしょうか。お聞きいたします。 最後に、防災拠点事業についてお尋ねいたします。 当初事業費は二百九十五億円から、二〇一九年に三百二十四億円に変更され、宮城野原のJR貨物用地を防災拠点用地とするのに、そもそも公共補償対象事業とする必要があったのか。そして、今回の四百二十二億円と増額の説明ですが、ほとんどが用地費であることから、改めてお伺いいたします。整備費の予算は青天井で、このまま増え続けたらどこまで行くのか。これで予算は完了で、追加はないとはっきり言えるのかどうか。完成時期も三度延び、二〇三二年度までずれ込んでおり、工期がまた延びれば、誰も責任が取れなくなるのではないでしょうか。お尋ねいたします。二つ目、大規模評価の八番目に想定される事業リスクに触れてありますが、仙台貨物ターミナル駅の用地買収が難航し、移転できなくなったときとの指摘があるが、要素は異なるが種々の要因で当初二〇二〇年度の完成から、今のところ二〇三二年度と大幅に遅れていますが、普通ではない遅さであります。県民が納得のいく理由と分かりやすい説明が必要と考えますがどうでしょうか。三つ目……。
○副議長(本木忠一君) 発言時間を超過しておりますので、簡明に願います。
◆四十一番(熊谷義彦君) 用地費百三十七億八千万円、移転補償費二百十五億二千万円で総額四百二十二億円中、用地・補償費三百五十三億円くらいとすると、一平米当たり二十万二千円となる増額で、既取得面積に九・四ヘクタールの路線価九万円の二倍以上となります。一応路線価の二倍強でありますが、県民の理解を得られるでしょうか。公共補償について県説明は、広域防災拠点整備費案公共工事の施行に伴い、貨物駅の敷地が必要となった。そして、JR貨物はJR会社法による特殊会社である民間会社ではない。しかし一方で、大規模事業評価では民有地との表現があります。JR貨物の新駅は県が用意したのか。そうだとすると、当初調査はずさんだったのか。そうでないとすると、新用地を選定した企業に責任があるのでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 四十一番熊谷義彦君、発言の中止を命じます。 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 熊谷義彦議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、農業問題についての御質問のうち、今後の和牛生産基盤づくりについてのお尋ねにお答えいたします。 県では、令和十二年度を目標とする宮城県家畜改良増殖計画を令和二年度に策定し、現在の脂肪交雑を維持しつつ、和牛肉のおいしさに関わる形質に着目した育種改良を進め、消費者ニーズに対応した県産牛肉の安定的供給を図ることとしております。その実現に向けて、肉用牛集団育種推進事業にゲノミック評価を活用し、種雄牛選抜の信頼度を向上させていくことで、効率的な種雄牛造成を進めてまいりたいと考えております。また、前回の全国和牛能力共進会で課題となった和牛肉のおいしさに関わる脂肪の質につきましては、蓄積したデータに基づいた繁殖雌牛の改良を図ることで、令和九年に開催される次の大会において上位入賞につなげてまいりたいと思います。なお、これらの取組を進めるために必要な研究開発費につきましては、しっかりとその確保に努めてまいります。 次に、大綱三点目、四病院再編問題についての御質問にお答えいたします。 初めに、仙台市外への病院転出への不安を無視して再編を進めるべきではないとのお尋ねにお答えいたします。 令和三年九月に病院再編の協議を開始してから、県では協議の進捗に応じて、県議会への報告や県政だよりによる広報等を行うとともに、仙台市からの御意見を踏まえ、県の考え方を公表するなど、県民に対してできる限り情報提供に努めてまいりました。また、今月、仙台市内で地域住民への説明会を開催する予定であり、様々な機会を通じて、引き続き丁寧に説明を行うとともに、患者や家族、医療・保健・福祉の関係者、地域住民の方々などから御意見を伺いながら、協議を進めてまいりたいと考えております。なお、仙台赤十字病院や東北労災病院の移転によって生じる患者などへの影響につきましては、基本的には各病院によって適切な対応策が講じられるものと想定しておりますが、県としても、両病院や地元自治体と協力して対応を検討してまいります。 次に、県精神保健福祉審議会での発言についての御質問にお答えいたします。 今年八月に開催いたしました精神保健福祉審議会での私の発言は、政策形成過程において賛成・反対の様々な意見がある中で、最終的には執行機関である知事の私が判断することから、審議会の意向に即した形にならないケースもあり得るという前提でお話したものであり、あわせて、法令にのっとり、予算を含む関係議案についての可否を御審議いただく場が県議会であるということを申し上げたものであります。私といたしましては、引き続き、審議会委員をはじめ、患者や家族、関係者など現場の御意見をしっかりと伺いながら、不安や懸念の払拭につながるよう、施策の検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、大綱四点目、防災拠点についての御質問のうち、事業費の増額及び事業期間の延伸についてのお尋ねにお答えいたします。 広域防災拠点整備につきましては、鉄道事業者から提出された詳細設計の内容について、公共補償基準に基づきその妥当性を確認するとともに、物価高騰の影響も考慮しながら、その内容を精査した結果、全体事業費が約四百二十二億円となったところであります。また、完成時期につきましては、今年の二月議会で御報告したとおり、駅移転完了は令和十一年度、防災拠点整備完了は令和十四年度を予定しております。これらの全体事業費や完成時期の変更につきましては、鉄道事業者の詳細設計の完了を受け、軌道、電車線、信号などの補償内容や工程を一つ一つ確認した結果に基づくものであり、駅移転時に必要な資機材等の引っ越し費用はまだかかるかもしれません。引っ越し費用を除き、事業費の更なる増額や完成時期の延伸は想定しておりませんが、今後、自然災害の発生や工事進捗に伴い判明した新たな事象などがあった場合は、変更もあり得るものと認識しております。広域防災拠点は、我が県が進める防災体制の構築に極めて重要な施設であることから、引き続き、一日も早い完成に向けてしっかりと取り組んでいくことが、県の責務であると考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 復興・危機管理部長千葉章君。 〔復興・危機管理部長 千葉 章君登壇〕
◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱二点目、ALPS処理水等についての御質問のうち、トリチウムの特性と海洋放出の特性についてのお尋ねにお答えいたします。 処理水に含まれるトリチウムは、三重水素と呼ばれる水素の放射性同位体で、水分子として自然界に広く存在しますが、体内に取り込まれた場合でも速やかに排出され、特定の臓器等に蓄積することもないと言われており、県としてもそのように理解しております。また、処理水の海洋放出については、国際原子力機関、IAEAの包括報告書で、人や環境への影響は無視できるレベルであると評価されていることに加え、トリチウム及びトリチウム以外の放射性物質が国の定める安全基準を下回っていることを放出前に確認していることから、科学的な安全性は担保されているものと認識しております。県としては、科学的な安全と安心は別であるとの考えのもと、今後とも、海洋放出以外の処分方法の継続検討をはじめ、科学的根拠に基づく情報発信と、国内外における理解醸成の取組を国と東京電力に求めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱三点目、四病院再編問題についての御質問のうち、精神科病院協会の提案についてのお尋ねにお答えいたします。
県立精神医療センターの移転については、令和元年度のあり方検討会議の提言も踏まえ、老朽化した施設の早期建て替えや東北労災病院との合築による身体合併症の対応能力の向上を目指して取り組んでいるものであります。宮城県精神科病院協会から提案がありました現
精神医療センターの道路向かい側の応急仮設住宅跡地については、周辺が住宅密集地であり、現在の進入経路である市道も狭隘なため、隣接する高低差のある県道から乗り入れる必要があります。県道の上下線に高低差がある現状では、交通量が多い県道での転回、Uターンが必要になり、乗り入れに不自由な状況が続くことから、高低差解消のための関連工事が必要となりますが、それに伴う用地買収や補償、公安委員会との交差点協議など、困難な対応が想定されるため、特に二十四時間救急を担い、身体合併症や災害医療への対応を行う
精神医療センターの建設用地として適切ではないと考えております。 次に、名取市への民間精神科病院の誘致案についての御質問にお答えいたします。 名取市への民間精神科病院の公募については、
県立精神医療センターの富谷市への移転後の、県南部の精神科医療提供体制に対する不安や懸念の声を踏まえ、提案したものですが、精神保健福祉審議会における審議状況等に鑑み、年度内の基本合意に向けて協議を進めるため、県立として設置するサテライト案とする方向で、具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。サテライト案については、御指摘のありました病床削減の観点も踏まえながら、整備費用や人材確保等の課題を整理の上、機能や規模、地域連携などについて、早急に検討してまいります。 次に、児童思春期の患者やクロザピン服薬者の通院についての御質問にお答えいたします。 児童思春期患者やクロザピンの治療を受けている患者に対しては、富谷市に移転する
県立精神医療センターにおいて、全県を対象として対応することを想定しておりますが、現在、移転後の新病院と名取市に整備するサテライトについて、具体的な機能の検討を行っているところです。なお、富谷市が検討している、泉中央駅や仙台駅と新病院間の直通バス路線の確保などにより、患者の新病院への通院にかかる負担を軽減できるよう努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱一点目、農業問題についての御質問のうち、農業人材確保に係る各種提案への見解についてのお尋ねにお答えいたします。 御提案のありました項目のうち、就農を希望する学生への授業料支援や就農後の生活保障については、国の就農準備資金や経営開始資金を活用し、就農前から就農後まで切れ目のない支援を行っております。また、就農希望者の農地や住居等の確保については、市町村・農業委員会・JA等関係機関と連携し、就農相談を行いながら、情報提供やマッチングなどの支援をしております。更に、試験研究機関の開放については、コロナ禍で開催を見送っていた参観デーや視察受入れを今年度から一部で再開しているほか、農業改良普及センターと連携して技術指導に対応しております。知事部局の職員の農業への従事については、今年度から一定の要件の下、認める取扱いとしているところです。県としては、今後とも、第三期みやぎ食と農の県民条例基本計画に掲げるもうける農業の実現に向けて、次世代の地域農業を担う人材の確保・育成に取り組んでまいります。 次に、県の基幹種雄牛茂福久の活用方針についての御質問にお答えいたします。 茂福久は、平成三十年に牛肉の霜降り度合いを示す脂肪交雑能力が当時日本一の成績で県基幹種雄牛となり、今年度の仙台牛枝肉共進会では、茂福久を父とする肥育牛が最高位を受賞するなど、非常に高い成績を収めております。また、今年度の県内子牛市場上場頭数の約三割を茂福久の子牛が占め、市場平均より高値で取引されていることから、繁殖農家の経営安定に貢献しているところです。このような優れた能力を持つ茂福久の活用については、茂福久を父に持つ雌子牛の保留を進めているほか、和牛肉のおいしさに関わる形質に優れる種雄牛との交配により、茂福久を超える新たな種雄牛の選抜に努めているところであり、引き続きこれらの取組を進めてまいります。 次に、ゲノム検査の実施状況と今後の方針についての御質問にお答えいたします。 県では、平成二十六年度から肉用牛のゲノム解析に着手しており、霜降り度合いやおいしさに関する形質について、ゲノム情報を用いて評価するゲノミック評価を活用し、種雄牛を効率的に選抜しております。なお、畜産農家の協力を得て実施する候補種雄牛の検定には、十五頭以上の枝肉調査が必要と規定されておりますので、ゲノミック評価を活用しても、検定頭数の削減にはつながらないものと考えております。県としては、今後も候補種雄牛の選抜にゲノミック評価を活用し、更に雌牛の能力評価にも取り入れることにより、効率的に肉用牛の育種改良を進めてまいります。 次に、県の基幹種雄牛絵里波についての御質問にお答えいたします。 絵里波は、栗原地域で生産された県を代表する基幹種雄牛洋糸波初の後継となる種雄牛であり、今年六月に牛肉の霜降り度合いを示す脂肪交雑能力が県歴代四位となる優秀な成績を収め、基幹種雄牛に選抜されております。また、絵里波を父にもつ雌牛が、令和五年度宮城県総合畜産共進会に出品され、最優秀第一席に入賞しております。来年度からは、絵里波の子牛が家畜市場に上場されてくることから、県としては、生産者や市場の評価を注視していくほか、枝肉成績の収集・分析を進めてまいります。 次に、優良な雄牛の県内保留についての御質問にお答えいたします。 体型や遺伝的能力が優れる母牛から生まれた優良な雄子牛については、県の肉用牛集団育種推進事業により、種雄牛候補として選定されております。それ以外の雄子牛は、去勢され、肥育用として家畜市場に上場されるため、農家においては雄子牛を保留することはないものと認識しております。 次に、茂福久の後継となる種雄牛についての御質問にお答えいたします。 茂福久は、平成三十年から家畜人工授精用精液の配布が開始されており、その高い能力を受け継ぐ後継牛の造成が必要と認識しております。茂福久の後継牛については、現在六頭を種雄牛候補として検定しており、そのうち一頭は、来年度に検定が終了する見込みです。今後、その結果を基に県で評価を行い、関係者で構成する肉用牛改良委員会で認定されれば、初の茂福久後継種雄牛が誕生することになります。 次に、種雄牛の造成についての御質問にお答えいたします。 家畜人工授精用精液については、一般社団法人宮城県畜産協会が、家畜人工授精師からの申請に基づき配布しておりますが、県では、基幹種雄牛を生産した農家及び生産地域の和牛改良組合に対し、当該種雄牛の精液を一般配布に先駆けて、優先的に配布しております。なお、すぐれた種雄牛を確保するためには、多くの候補牛から選抜することが効果的であり、今後も、県内全域を対象に種雄牛の造成を行ってまいります。 次に、優良繁殖雌牛更新加速化事業についての御質問にお答えいたします。 これまでの生産基盤拡大加速化事業では、生産者が繁殖雌牛を増頭した場合に、奨励金が交付される内容となっており、我が県では、令和二年度からの三年間で千五百三十五頭が対象となっております。一方、今回、国の令和五年度補正予算で新設された優良繁殖雌牛更新加速化事業では、高齢の繁殖雌牛から優良な若い繁殖雌牛へ更新した場合に、奨励金が交付される内容に変更されております。増頭の要件がなくなり、より多くの生産者が参加しやすい事業となったことから、我が県でも優良な繁殖雌牛への更新が進むものと考えております。 次に、子実トウモロコシの取組についての御質問にお答えいたします。 子実トウモロコシは、子実のみを収穫・利用する目的で栽培されるトウモロコシであり、家畜用の配合飼料の原料として利用されております。県内では、主に水稲や大豆、麦等を栽培する耕種農家が組織する転作組合等が所有する機械を活用し、機械投資を抑えて栽培に取り組んでおり、十アール当たりの労働時間が短いことから、新たな転作作物として、県内でも作付面積が拡大しています。県としては、引き続き生産費、労働時間、生産量などの基礎データの収集と栽培技術指導、機械導入の支援に取り組んでまいります。なお、子実トウモロコシの茎や葉の利用については、収穫時の水分が少なく、飼料としての利用は難しいことから、現状では、土壌改良を目的に、圃場にすき込みされております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱四点目、防災拠点についての御質問のうち、事業期間の延伸に対する県民への説明についてのお尋ねにお答えいたします。 広域防災拠点につきましては、当初、平成三十二年度の完成を予定しておりましたが、埋蔵文化財の発掘調査や駅移転地内の市道・踏切廃止のために必要となるアンダーパス工事の軟弱地盤対策の追加、更には詳細設計を踏まえた工程精査などにより、整備完了を令和十四年度へ延伸したものです。本事業は、事業着手から十年目となることから、現在、公共事業再評価を実施しているところであり、その中で、全体事業費の増額や事業期間の延伸、費用対効果等を示しながら、その必要性、有効性について、丁寧に説明するとともに、学識者や県民の皆様から御意見を頂いた上で、事業継続の妥当性について審議いただくこととしております。県としては、引き続き、様々な機会を通じて、広く県民の皆様に御理解いただきながら、一日も早い供用に向け、しっかりと取り組んでまいります。 次に、移転補償費についての御質問にお答えいたします。 広域防災拠点整備事業の全体事業費約四百二十二億円のうち、仙台貨物ターミナル駅の用地取得費用は約百三十八億円であります。取得単価については、近傍の取引事例を参考とした土地鑑定評価結果を踏まえ、一平方メートル当たり約七万九千円としており、平成二十五年度に実施した大規模事業評価時における路線価九万円を下回るものとなっており、なお、この路線価には建物等の補償費は含まれておりません。今回、鉄道事業者から提出された詳細設計の内容を公共補償基準に基づき精査した結果、事業着手時からの全体事業費は約百二十七億円増額しており、このうち、移転に係る公共補償費は約百十六億円となっております。その主な要因は、資材・人件費高騰等の影響のほか、関係機関との協議による変更、着手後の現地調査等による変更、鉄道事業者の詳細設計等に基づく変更によるものであり、現在実施している公共事業再評価などを通じて、県民の皆様に御理解いただけるよう丁寧に説明してまいります。 以上でございます。
◆四十一番(熊谷義彦君) 発言時間を超えてしまいましたことを議長、それから同僚議員の皆さんにおわびを申し上げて終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。 〔十六番 菊地忠久君登壇〕
◆十六番(菊地忠久君) さきの県議会議員選挙において、白石・刈田選挙区から当選させていただいた、自由民主党・県民会議の菊地忠久でございます。今回、初めての定例会において早速、一般質問をする機会を与えていただきました会派の諸先輩方の御配慮に心より感謝申し上げるとともに、皆様に御指導を頂きながら、県勢発展にともに全力を尽くしてまいる所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ここで、少しだけ自己紹介をさせていただきます。私は、白石市生まれの白石市育ちでございます。平成二十八年十月の白石市議会議員補欠選挙で当選し、本年七月までの二期六年八か月にわたり白石市議会議員を務めてまいりました。地域をよくしていくために、二元代表制の一翼を担う市議会の力は非常に大きく、責任も重いと考えておりましたが、様々な場面で市議会議員としての限界があることも感じ、また違う角度・立場からふるさとの未来を切り開きたい、盛り上げていきたいという思いで、県議会議員選挙に挑んだ結果、今、この場所に立たせていただいております。 そのような経緯から、今回の一般質問は少々白石市の立場に寄り過ぎているような感じも否めないと自覚しておりますが、他の市町村にも大きく関わっている県政課題だと認識しておりますので、御理解いただきたいと思います。また、ここまでの一般質問と重複する部分もありますが、通告に従い、以下、大綱三点について質問をいたします。 大綱一点目、水道事業についてお伺いいたします。 宮城県は、水道用水供給事業二事業、工業用水道事業三事業、流域下水道事業七事業を運営しております。全国的に水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増しております。本県においても例外ではなく、今後の水需要の減少を踏まえた施設の統廃合や、管路のダウンサイジング等により、効率化を図るだけでは、将来の料金上昇は避けられないことから、宮城県上工下水一体官民連携運営事業、いわゆる、みやぎ型管理運営方式を令和四年度から導入いたしました。県が最終的な責任を持ちながら、民間のノウハウを十分に活用することで、経営基盤を強化し、継続的に安心・安全の水の供給と安定的な汚水の処理を行っていこうとするものです。このことにより、二十年間で約三百三十七億円の事業費の削減が図られる見込みです。そして、宮城県は、水道用水供給事業として、大崎広域水道と仙南・仙塩広域水道の二つの広域水道事業を運営しております。そして、この広域水道から供給される水をそれぞれの市町村が購入、または、自治体によっては自己水源を持つところもあり、それらの水源を併用するなどして、各市町村の水道事業として家庭に配水しております。仙南・仙塩広域水道事業においては、七ヶ宿ダムを水源としております。この七ヶ宿ダムは、洪水の調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水・水道用水など多目的ダムとして機能しておりますが、歴史を振り返れば、七ヶ宿ダムは、仙台市を中心とする仙南・仙塩地域の著しい発展によって、将来、大幅な水需要の増加が見込まれるとして、阿武隈川治水計画の一環として、昭和四十一年度より予備調査が開始され、昭和五十二年度から建設工事に着手、平成元年度までに一日最大十五万立方メートルの取水に対応する第一期工事が完了、平成二年度から十五の市町に、平成四年度からは、南は白石市や山元町、北は富谷市や松島町まで仙南地区・仙塩地区の十七市町に給水しております。また、新たな給水に対応するため、平成二年度から着手した第二期工事が平成五年度に完成し、平成六年四月からは、ダム取水系の計画給水量である一日最大二十七万九千立方メートルの給水が可能となっております。そして、広域水道事業の料金は、一般家庭の水道料金と同じように、二部料金制度となっております。具体的には、各自治体が県に対して受水費として料金を支払っておりますが、この料金は、給水量の多少に関係のない基本料金と給水量に応じた使用料金からなっております。そして、基本料金は、各市町が最終的に必要になるとした計画水量に基づき算出されており、使用料金は、ダム系給水量に近い数字に市町間のバランスも見て調整されている覚書水量が単価算定の基礎となっております。基本料金の算出の基となるこの計画水量は、まだ七ヶ宿ダムが建設される以前、今から四十七年前の昭和五十一年に設定されました。ここで、白石市の計画水量に目を向けさせていただきます。昭和五十一年当時の白石市の人口は約四万千人でありましたが、将来的には白石市は大きく発展し、人口は約十万人になると見込み、十万人の水需要に対応できる、一日当たり二万四千七百立方メートルの計画水量と取り決めました。確かに、この将来予想は白石市が自ら主張したものであります。しかしながら、現在の白石市の人口は、約三万千四百人であり、計画水量設定時から一万人も減少しておりますし、今から七年後、令和十二年の将来推計人口は約二万八千三百人と、現在から更に約三千百人減少することが見込まれております。そして、実際の受水量は、こちらは令和三年の数字になりますが、一日当たり約三千六百八十四立方メートルであり、計画水量二万四千七百立方メートルの約一五%にすぎません。これらのことを踏まえ、以下、お伺いいたします。 使用料金算出の基礎となる覚書水量は五年ごとに実情に合わせて見直しを行っておりますが、基本料金算出の基礎となる計画水量は、これまで見直しがなされたことがありません。そんな中、令和二年からの仙南・仙塩広域水道の覚書水量を決定した際、今後三年をめどに、各自治体間で計画水量の見直しについて、話合いの場を持つという取決めがなされました。そこで、その後の構成自治体間による計画水量に関する協議についての経過はどうなっているのか、お伺いいたします。 全国的に少子高齢化と人口減少に起因する課題が山積しております。白石市も例外ではなく、水道事業においても施設の老朽化や管路の更新など維持管理を行っていかねばならず、日々様々な努力は行っているものの、将来的な健全経営の見通しが厳しい状況が続いております。特に、現状の人口、水需要から大きくかけ離れている計画水量を基に算出されている仙南・仙塩広域水道の基本料金部分が白石市の水道事業、ひいては白石市の財政に大きな負担となっております。計画水量が設定されてから、四十七年が経過しております。四十七年前と現在の社会を取り巻く情勢や環境、将来に対する見通しなど、大きく変化しております。その当時は、人口も経済も右肩上がりで伸びていくと半ば本気で信じられておりました。この設定から四十七年が経過し、現実とあまりにかけ離れている、仙南・仙塩広域水道における基本料金算出の基礎になる計画水量を現在の人口や受水量などに即したものに見直しを行うべきだと考えますが、御所見を伺います。また、繰り返しになりますが、各市町村や企業団が実施している上下水道事業については、人口減少に伴う料金収入の減少や事業の実施に必要な人員の確保、施設の老朽化に伴う更新需要の増大等により、その経営環境は厳しさを増すばかりです。今後、経営基盤を強化し、安定的な水道事業を継続していくための対策の一つとして、広域化が挙げられます。平成二十七年度、国は県に対し広域連携の検討体制構築についての要請をし、平成二十九年度までは既存の協議会などにより広域連携についての検討がなされました。平成三十年十二月の水道法改正により、都道府県には広域連携の推進役としての責務が規定されました。平成三十一年一月には、宮城県と県内三十三市町村及び石巻地方広域水道企業団による宮城県水道事業広域連携検討会が設置され、その後、本年、令和五年三月、宮城県水道事業広域化推進プランが策定されております。そこで、宮城県における水道事業広域化について、現状と将来の見込み、更に推進役としての宮城県の役割についてお伺いいたします。そして、また、現在、多くの市町村で水道事業に携わる職員が不足しております。そのため、様々な業務を民間委託することで、何とか職員不足に対応している事業所も少なくありません。そのような中、特に技術職員の不足は深刻で、更に若手職員が少なく、職員の高齢化も進んでおります。このままでは、近い将来、人的資源が枯渇し、技術の継承が困難となり、事業の継続にも大きな影響がもたらされる懸念があります。基本的に人材の確保や育成といったものは、各市町村の役割ではありますが、特に規模の小さな市町村ほど職員不足は顕著になっております。水道事業は最も重要なライフラインの一つであり、事業の継続を果たしていかねばなりません。そこで、県として、技術職員の不足について対策・支援等が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。 続きまして、大綱二点目、企業誘致支援についてお伺いいたします。 去る十月三十一日、台湾の半導体大手PSMCが大衡村の第二仙台北部中核工業団地に半導体工場を建設することが発表されました。国内三十一の自治体が誘致に名のりを上げたと言われる中で、宮城県に進出が決まったことは、県民の一人として大変喜ばしい限りです。知事就任以来、富県宮城の実現のため、数多くの企業誘致を成功させてこられた村井知事ですが、今回のPSMC誘致に関しても、知事自らがトップセールスを行うなど、強いリーダーシップとスピード感、粘り強い交渉力を発揮し、誘致成功に結びつけたその手腕に改めて敬意を申し上げます。投資規模は約八千億円、工場は二〇二七年に稼働予定とされており、フル稼働の第二期には台湾から来日する技術者などを含めて約千二百人体制になるとの報道もありました。更に、これを契機として、半導体関連の企業などが宮城県に進出してくることも考えられ、人流の増加などによる経済活性化など、県内の様々な業態に恩恵を及ぼすことが予想されます。このたびのPSMC誘致の経緯と、本県に及ぼす影響や期待感について御所見をお伺いいたします。 企業誘致によって、新たな雇用が生まれ、需要が生まれ、自治体にとっては税収の確保につながるなど、様々なメリットがあり、人口動態にも好影響を与え、地方創生にとって重要な要因の一つになることは間違いありません。そしてまた、地方において人口減少の大きな要因である社会減を減らすには、住み続けたいと思える魅力ある地域づくりが必須であり、そこにはやはり働く場所があるということも含まれると考えます。企業誘致による働く場所の確保は、まさに、新・宮城の将来ビジョンが掲げる「時代と地域が求める産業人材の育成と活躍できる環境の整備」に合致し、宮城県で生まれ育った若者がしっかりと地元で生活していける環境を整えることが、本県の地方創生を実現させる基本であるとも思っております。そのためにも、県内の各市町村が行っている企業誘致に対して、県としてこれまで以上に支援をしていくことが必要ではないでしょうか。市町村で取り組んでいる企業誘致に対してマッチング等の支援や人材育成など、各市町村とこれまで以上に連携を図りながら、更に進めていくべきと考えますが、現状と今後の方向性についてお伺いいたします。 新たに企業誘致に取り組みたい、成功させたいという市町村も多いと感じております。そのためには、工業団地を整備する等、工業用地の確保が必須であることは言うまでもありません。そのような中、地方においては、用地を確保するにしても、工場立地に適した平たんな一定規模以上の土地となると、そこが今現在、農業振興地域であり、かつ、農用地区域に指定されていることも多いです。そういった場合、農業振興地域の農用地区域の除外手続が必要となってきます。農用地区域除外の申請が認められるための要件については、農業振興地域の整備に関する法律に定められた要件全てに該当する場合に除外が認められますが、除外の申出から除外の決定通知が交付されるまで、一般的に半年から一年ほどかかります。民間企業は、周辺の変化に迅速に対応すべく、行政に比べ、意思決定が早く、スピード感が重要視されております。そのため、農業振興地域を多く抱えている地方にとって、企業誘致・立地に関して、スピード感という点で大きく不利なものとなっていると感じております。本年十一月二日、政府が閣議決定したデフレ完全脱却のための総合経済対策には、「産業立地円滑化のための土地利用転換の迅速化」が示されており、市街化調整区域の規制緩和により、半導体工場の進出・増設を可能とするとのことです。ただ、宮城県において市街化調整区域が設定されているのは、仙塩広域都市計画区域と石巻広域都市計画区域のみであり、その他の地域は、この規制緩和の恩恵を受けることができません。そこで、例えば企業誘致による工業立地に係る場合、地域振興対策として、企業のスピード感に対応できるよう、市街化調整区域だけではなく、また、半導体工場などに限定せずに、農業振興地域においても規制を緩和し、事務手続の迅速化が図られないか、所見をお伺いいたします。 大綱三点目、県と市町村の関係性についてお伺いいたします。 県と市町村の関係は、地域における行政主体として対等であり、市町村は基礎自治体として、県は広域自治体として、それぞれの役割を果たしていくという関係にあることは言うまでもありません。地方自治法には、その事務内容、役割分担が規定されており、県は市町村を包括する広域の地方自治体として、地域における事務及びその他の事務で、法律またはこれに基づく政令により処理することとされている事務のうち、「広域にわたるもの」、「市町村に関する連絡調整に関するもの」、「その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるもの」を処理することとなっており、市町村は、県が行うこととされる事務以外の事務を一般的に処理することとされております。基礎自治体である市町村を取り巻く環境は厳しいと言わざるを得ません。住民の行政に対するニーズも多様化・高度化しております。とはいえ、住民に最も身近な基礎自治体として、市町村はその機能を充実させ、自ら特色あるまちづくりを進めるとともに、行財政改革を推進し、持続可能な自治体として、住民福祉の向上を図っていかなければなりません。そのような状況の中、市町村単独で様々な施策を展開し、事業を進めることは困難な場合も多く、国や県の協力・支援が不可欠となっております。また、市町村域をまたがる課題については、市町村間の連携によって対応することが必要です。県は、市町村が行う団体自治強化への取組を促進・支援する機能や、市町村間連携の取組を支援する機能が求められます。しかしながら、特に市町村連携といった場合、市町村の主体性や自主性を重要視するあまり、県は市町村と距離を置き、県の関わり、支援が薄くなっている場合があるのではないかと感じられることがあります。その結果、連携が十分に図られなかったということはないでしょうか。新・宮城の将来ビジョンには、県行政運営の基本方針として、市町村とのパートナーシップ、「市町村間の広域連携に向けた調整機能」「市町村の規模や体制に応じた個別的、補完的な支援」が掲げられております。そこで、最後に、県と基礎自治体の現在の関係性についての認識と今後の方向性、目指すべき姿について所見をお伺いいたします。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 菊地忠久議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、水道事業についての御質問のうち、水道事業広域化の現状等についてのお尋ねにお答えいたします。 水道事業につきましては、今後厳しい経営環境が見込まれることから、県では、市町村等水道事業体を構成員とした宮城県水道事業広域連携検討会を通じて、各事業体が抱える課題の把握や、広域連携した場合の効果のシミュレーションを実施してまいりました。検討会での議論を踏まえ、今年三月に宮城県水道広域化推進プランを策定し、将来にわたり各事業体の経営基盤の強化が図られるよう、広域化推進のための必要な施策に取り組んでおります。現状では、各事業体の広域化に関する考え方に違いがあることから、まずは比較的取り組みやすい連携策から進めることとし、短期的な目標である管理の一体化等に向け、資機材の調達や人工衛星、あるいはAIを活用した管路の漏水調査等の委託について、県主導による共同発注等を検討しているところであります。県としては、このような取組を段階的に進め、中長期的には経営の一体化などの広域化の実現を目指してまいります。広域化に向けては、各事業体が主体的にその方策を選択するものであることから、県としては、事業体の御意見を聴きながら、広域化の推進役として、事業体間の総合的な調整の役割を果たしてまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、企業誘致支援についての御質問にお答えいたします。 初めに、PSMC誘致の経緯と我が県に及ぼす影響や期待感についてのお尋ねにお答えいたします。 今年七月、SBIホールディングス株式会社とPSMC株式会社が、国内に半導体工場を新たに建設するとの報道がありました。巨額の設備投資を伴う半導体工場の誘致は、我が県産業の飛躍的な発展と県民生活への好影響が期待できる重要な案件だと判断し、私自らが台湾のPSMC本社を訪問し、直接、会長に立地環境や用地紹介を行うなど、スピード感を持って徹底したトップセールスを行いました。こうした努力と立地環境が評価され、三十を超える提案自治体の中から、我が県が選定され立地決定に至ったことは大変喜ばしいことであり、今後、後工程などの関連産業の急速な集積にもしっかりと対応してまいります。更に、今回の工場進出を契機とした半導体産業の振興により、産学官連携による研究開発の促進や、高度人材の育成、台湾との交流拡大によるインバウンド増加や、国際線の増便、教育機関等における国際化の進展など、様々な波及効果が創出され、県内総生産十兆円の安定的な維持と、富県躍進に大きく貢献するものと大変期待しております。 次に、市町村に対するマッチング支援や人材育成についての御質問にお答えいたします。 県では、市町村とともに実行委員会を組織し、例年、東京と名古屋において企業立地セミナーを開催しており、東京は今年度で四十三回目、名古屋は十八回目の開催となります。かつては、市町村長の参加が少なかったものの、現在では、ほとんどの市町村長に参加を頂いており、それぞれの地域の工業団地や立地環境の魅力を企業に直接PRする重要な機会となっております。また、誘致対象企業に対する情報提供や立地を促すため、年二十回から三十回程度、県と市町村が合同で企業訪問や現地案内を行っております。更に、市町村の誘致担当職員を対象に、業界の動向や誘致ノウハウを学ぶ座学に加え、実例をもとにしたグループワークなどの研修会を年三回程度開催しているほか、本庁及び県外事務所に研修職員を毎年十人程度受け入れるなど、市町村職員の育成支援にも取り組んでおります。このたびの半導体工場の立地により、今後、多くの関連企業の進出が見込まれることから、企業が求める用地や生活環境等の条件に迅速かつ的確に対応し、立地につなげられるよう、市町村との連携を一層強化してまいります。 次に、大綱三点目、県と市町村の関係性についての御質問にお答えいたします。 県では、市町村の行財政運営に係るヒアリングや意見交換を通じて、きめ細かく課題を把握し、その解決に向けた主体的な取組を支援してまいりました。一方、人口減少など、地域社会を取り巻く環境が大きく変容する中で、市町村が行政サービスを持続可能な形で提供できるよう、これまで以上に地域の実情に応じた支援が必要となるほか、各市町村や県が一体となって取り組む課題も増えてくるものと認識しております。こうした認識のもと、例えば、住民サービス向上や働き方改革、地域の活力創出を推進する上で欠かすことのできない自治体DXに、県と市町村が足並みをそろえて取り組んでいくため、今年五月の市町村長会議において、私から各市町村長に対し、デジタル身分証アプリの活用に向けた提案をさせていただいたところであります。今後とも、市町村との間では、首長から担当者の各レベルにおいて、何でも腹を割って話し合える関係を一層深め、互いに知恵を絞りながら、地域課題の解決に共に取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 公営企業管理者佐藤達也君。 〔公営企業管理者 佐藤達也君登壇〕
◎公営企業管理者(佐藤達也君) 大綱一点目、水道事業についての御質問のうち、計画水量に関する協議の経過についてのお尋ねにお答えいたします。 広域水道事業における現在の料金体制は、受水市町村の計画水量を基に事業を進めてきた経緯を踏まえ、計画水量に基づく施設整備費用等を対象とした基本料金と、使用水量に応じた維持管理費用等を対象とした使用料金からなる二部料金制を、受水市町村の了解のもと採用しております。一方で、基本料金の算定基礎となる水量及び料金負担の在り方については、様々な意見があることから、令和元年度に県と受水市町村で締結した覚書に基づき、三か年を目途に意見の集約を図り、速やかに料金設定に反映させることとしたものです。これまで、広域水道協議会幹事会や基本水量等検討会において継続して協議を行っておりますが、将来にわたる広域水道事業の継続を前提とした公平な料金負担が必要との認識は一致しているものの、中長期的な視点で議論を深めるべきという意見や、みやぎ型管理運営方式の導入効果を踏まえて協議する必要があるという意見などから、合意には至っておらず、継続した検討を行うこととしております。 次に、計画水量の見直しについての御質問にお答えいたします。 仙南・仙塩広域水道事業における計画水量は、水源となる七ヶ宿ダム建設にあたり必要となる利水容量を確保するため、各受水市町の水需要を満たす最終的な使用水量を基に、県と受水市町で覚書を締結して決定したものです。現在の二部料金制における基本料金については、最終的な使用水量である計画水量を基に案分し算定しているため、実際の使用水量と計画水量に大きな乖離のある受水市町において、料金負担が重くなっていることは認識しております。県としては、今年度、県と受水市町で締結した覚書に基づき、今後三か年を目途に意見の集約を図り、速やかに料金設定に反映させるため、受水市町と料金負担に関する意見聴取や勉強会などを行い、見直しの議論を深めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 環境生活部長佐々木均君。 〔環境生活部長 佐々木 均君登壇〕
◎環境生活部長(佐々木均君) 大綱一点目、水道事業についての御質問のうち、水道事業に携わる技術職員の不足等についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の市町村等水道事業体における、現在の技術職員数は、圏域ごとに偏在が見られ、特に小規模事業体においては不足している状況にあります。また、技術職員の約七割が四十歳以上で、若手職員への技術力の継承が課題となっており、水道事業の継続に大きな影響を及ぼすものと認識しております。多くの事業体においては、人員不足の解消に向けて、浄水場の管理や水質検査などの技術系業務を中心に外部委託等が進められていますが、県としても、施設管理等に関する勉強会の開催や、全事業体に対し、ウェブシステムにより浄水技術や管路技術を学習できる仕組みを導入するなど、技術の継承や人材育成のための環境整備に努めております。県としては、これまでの取組に加え、主に小規模事業体を対象とした緊急時の設備操作などの実地研修を検討するほか、人材の確保にも有効とされている広域化の取組を積極的に進め、技術職員の育成・確保を支援してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱二点目、企業誘致支援についての御質問のうち、工業用地の確保のための農業振興地域内での規制緩和等についてのお尋ねにお答えいたします。 農業振興地域内の農用地区域においては、農地を利用した工業団地整備等の開発行為は原則認められませんが、地域未来投資促進法等による承認を受けた場合には、開発行為が可能になります。承認後の農地法等に基づく手続期間としては、通常四か月程度が必要となります。ただし、その区域が市街化調整区域内である場合には、都市計画法上の地区計画策定が追加になるケースがあり、その際には、全ての手続が完了するまでに一年程度を要しています。これに対して、国では、市街化調整区域内に限り、半導体など重要物資等の国内生産拠点整備に係る都市計画法上の立地基準の規制緩和と、土地利用転換手続に要する期間を合わせて四か月程度に短縮を図ることを十一月二日に閣議決定しています。なお、農地関連の法令等に関しては、市街化調整区域内外を問わず、今回の規制緩和には含まれておりません。県としては、国の動向を踏まえつつ、優良農地の確保を図りながら、産業立地円滑化のための土地利用転換手続の迅速化に努めてまいります。 以上でございます。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。
◆十六番(菊地忠久君) 御答弁ありがとうございました。それで、何点かお伺いしたいと思うのですけれども、広域水道の基本料金の見直しの自治体間の協議の場について、令和元年度に今後三年をめどに話し合うということで、結局、やはり、各自治体間によってそれぞれ利害というか、ありますので、なかなか話がつかなかったというのが現状だというふうにも認識しておりますけれども、そして、それで今後また更に話合いを継続するというような、今、御答弁でしたけれども、いつまで話合いを続ければいいのか。というか、早急に結論を出していただきたい。このままだと、結論が出ませんでしたとまた先送りになってしまうのではないかというそういった心配が私はあるのですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) この件は、県南サミットなどでも度々、白石市長さんからも要望いただいておりますし、個人的にも私の知事室に来て要望いただいているということで、白石市にとっては、高い水道代を市民が払い続けなければいけないということでありますので、非常に大きな問題であることは間違いないというふうに思います。ただ、難しいのは、仙南・仙塩広域水道というのは、仙台市も含め富谷、利府、松島まで入っているということでありまして、その皆さんの合意が得られなければ実現できないということです。逆に、これはゼロサムの世界でありまして、どこかが料金を下げればどこかの料金を上げなければいけないということで、それでバランスを取らなければいけない。公営事業ですから、独立採算ということでありますから、どうしてもそうなってしまうということです。白石市さんが納得していただけるような形を取ろうとすると、どこかの自治体が歯を食いしばって我慢しなければいけない。なかなかそれが、総論賛成・各論反対で皆さんに納得していただけないということで難しいのです。ですから、できるだけ早くということでありますけれども、我々も努力はしておりますが、簡単にいかないと。私としては、当然それもしながら、水を使う人口が減りますから、世帯で使う水の量は節水型の機器も増えていますので簡単にいきませんけれども、今回の半導体のような工場が誘致できれば、かなり、そういった問題も解消できるということでございます。今回の半導体は大崎のほうから持ってくるのですけれども、ですから、そういったようなことを南のほうでもやはり考えていきながら、水を使うという、需要を増やすということも考えながら、そういった調整を進めていきたいなと考えております。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。
◆十六番(菊地忠久君) 知事のおっしゃることも理解はできるのです。他の白石市以外の、例えば見直すことによって料金が上がる自治体が出てくるというのも承知し、なかなか一筋縄ではいかないというのも承知しているのですが、やはり先ほども言いましたけれども、人口三万千四百人の白石市の最終水量が二万四千六百立方メートルで、これは、仙南・仙塩広域水道の十七の市町の中で、仙台市に次いで二番目に大きい最終水量となっております。使用料金の基になる覚書水量は、五千五百立方メートルで、その計画水量と覚書水量の差が約四・五倍なのです。ここで比較対象として、例えば名取市を挙げさせてもらうのですけれど、名取市がどうこうというわけではないのですが、名取市は人口約八万人で、最終水量は二万七百立方メートル。覚書水量は、白石市の倍の一万千立方メートルと、この覚書水量と最終水量の差は一・九倍しかないわけで、何で今名取市と比べたかというと、この二つの市とも全体の給水量に占める仙南・仙塩広域水道から受水する割合が三六%ぐらいで、ほぼ同水準ということで今あえて名取市さんの例を出させていただきました。各市が県に対し年間で払っている基本料金と使用料金を足した受水費を年間受水量で割ると、受水単価というものが導き出せるわけですけれども、白石市は一立方メートル当たり二百二十六・二円。これはもう構成十七市町で一番高いものとなっております。次に高いのが仙台市で百六十二円と、ここだけで大分開きがあり、ちなみに名取市は百八・八円と、白石市の半分以下。一番安いところだと、利府町の八十二・〇円と、白石市の二百二十六円に対し八十二円と大分差があるわけです。だから、こういう数字を見てしまうと、やはり不公平感があまりにあるのではないかと白石市の皆さんは思っているわけで、これは是正していっていただかないと本当に困るなということで、水源である七ヶ宿ダムの水は同じ宮城県民が同じ水を使うのに、こうまで差があるのは本当に納得いかないのです。地方公営企業法には、料金について規定されており、それは、公正妥当なものであることとされております。四十六年前に取り決めた今の料金体系、実態に合わない最終水量に基づいた料金体系をこれからも継続していくことが、果たして公正妥当と言えるのか。本当に納得がいかないというところもあるのですけれども、それも踏まえまして、改めてしつこいようですけれど、いかがお考えでしょうか。
○副議長(本木忠一君) 公営企業管理者佐藤達也君。
◎公営企業管理者(佐藤達也君) 先ほど知事から御答弁申し上げましたけれども、様々な御意見があるということでございます。今の議員のお話は、私もよく認識しているつもりでございます。一方で、計画水量というのは、将来これだけ使いますと言って市町村から申告していただいた数字、その数字に近い数量を使っている市町村、なおかつ、仙南・仙塩広域水道をより多く使っている、例えば一〇〇%を仙南・仙塩広域水道に依存する市町村もございます。そういった市町村にとりましては、もっと使ってもらえば我々の負担が軽くなるのだと、そういった思いもございます。そういった様々な思いを調整しながら議論していかなければいけないという中で、先ほど少しお話ししましたが、その議論の中で、みやぎ型管理運営方式の導入効果を踏まえて協議を進めるべきだという御意見もございます。これに対しましては、九月議会で料金改定をお認めいただいて、みやぎ型の効果もあって水道料金を下げることができました。一方で、ダムの権利、償還等もどんどん進んできているという現状もございますので、そういったことも踏まえて、県も十分調整し、コーディネートしながら議論、いい落としどころを見つけていくように努力していきたいと思います。
○副議長(本木忠一君) 十六番菊地忠久君。
◆十六番(菊地忠久君) 分かるようで、でもやはり納得はできないというところが……。そうなのですね。七ヶ宿ダムの建設についてはもちろん起債、いわゆる借金をして建設しておりますが、こういうものを基に最終水量をいろいろ決めたというのも分かっております。けれども、この七ヶ宿ダムを建設した際の企業債の償還というのも平成三十一年度で終了しておりますので、ある意味、イニシャルコストは払い終わった。これからは、ランニングコストのみというところで、そういった意味でもやはりこの基本料金を何とかしてほしい。なぜ白石市がここまで基本料金・計画水量の見直しにこだわるかといえば、受水費に占める基本料金の割合が約七九%。県に払っている水の料金のうち、約八割は基本料金部分を占めているのです。年々人口減少のペースも進んで、水需要も減少して水道事業の収入は減る一方。先ほど知事は、水を使うような工夫も進めていかなくてはいけないとおっしゃいましたが、確かにそのとおりでございますけれども、実際減少する一方で、そういったときに、この仙南・仙塩広域水道の基本料金は一定でございますから、年々その負担感が重くなってくるわけです。未来永劫このままでいくと、どんどんこれが八割から九割、十割ということはもちろんないのですけれども、本当にそういったもので、何も白石市だけを見直していただきたいと言っているわけではございませんし、これまでの水道新設拡張期における負担の公平性と、今後施設や機器の更新、維持管理が中心となる時代における負担の公平性というのは異なってくると思いますので、これから新しい時代に即した負担の公平性について、ぜひ真剣に、そして早急に検討していただきたいと思いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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△休会の決定
○副議長(本木忠一君) お諮りいたします。 明日から十二月十一日まで三日間本会議を休会とし、十二月十二日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(本木忠一君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から十二月十一日まで三日間本会議を休会とし、十二月十二日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。 残余の質疑、質問は、十二月十二日に継続することにいたします。
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△散会
○副議長(本木忠一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 十二月十二日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時四十七分散会...