• "障害者基本法"(1/1)
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  1. 宮城県議会 2023-09-01
    09月14日-04号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 5年  9月 定例会(第389回)          第三百八十九回宮城県議会(定例会)会議録                              (第四号)令和五年九月十四日(木曜日)  午後十時開議  午後三時一分散会      議長                     菊地恵一君      副議長                    池田憲彦君出席議員(五十八名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  佐々木奈津江君        第四番                  石田一也君        第五番                  佐藤剛太君        第六番                  伏谷修一君        第七番                  松本由男君        第八番                  柏 佑賢君        第九番                  福井崇正君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  三浦ななみ君       第十三番                  枡 和也君       第十四番                  佐藤仁一君       第十五番                  渡邉重益君       第十六番                  わたなべ 拓君       第十七番                  伊藤吉浩君       第十八番                  八島利美君       第十九番                  瀬戸健治郎君       第二十番                  櫻井正人君      第二十一番                  村上久仁君      第二十二番                  高橋宗也君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  佐々木功悦君      第二十六番                  境 恒春君      第二十七番                  太田稔郎君      第二十八番                  遠藤伸幸君      第二十九番                  横山のぼる君       第三十番                  高橋 啓君      第三十一番                  庄田圭佑君      第三十二番                  遠藤隼人君      第三十三番                  渡辺勝幸君      第三十四番                  横山隆光君      第三十五番                  佐々木賢司君      第三十六番                  守屋守武君      第三十七番                  外崎浩子君      第三十八番                  池田憲彦君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  渡辺忠悦君      第四十二番                  菅間 進君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十五番                  仁田和廣君      第四十六番                  吉川寛康君      第四十七番                  伊藤和博君      第四十八番                  佐々木幸士君      第四十九番                  高橋伸二君       第五十番                  菊地恵一君      第五十一番                  佐々木喜藏君      第五十二番                  石川光次郎君      第五十三番                  中島源陽君      第五十四番                  本木忠一君      第五十五番                  中山耕一君      第五十六番                  安藤俊威君      第五十七番                  畠山和純君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠員(一名)        第三番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    伊藤哲也君      副知事                    池田敬之君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   小野寺邦貢君      復興・危機管理部長              千葉 章君      企画部長                   武者光明君      環境生活部長                 佐々木 均君      保健福祉部長                 志賀慎治君      経済商工観光部長               梶村和秀君      農政部長                   橋本和博君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             大庭豪樹君      総務部参事兼秘書課長             村田俊顕君      総務部参事兼財政課長             高橋寿久君    教育委員会      教育長                    佐藤靖彦君      副教育長                   佐藤芳明君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    西條 力君      事務局長                   北沢康一君    公安委員会      委員                     星 倫市君      警察本部長                  原 幸太郎君      総務部長                   横山 裕君    労働委員会      事務局長                   中村今日子君    監査委員      委員                     吉田 計君      事務局長                   小林一裕君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   目黒 洋君      副事務局長兼総務課長             大場則昭君      参事兼議事課長                菅原敏彦君      政務調査課長                 佐野浩章君      総務課副参事兼総括課長補佐          堀 喜昭君      議事課総括課長補佐              大友幸二君      副参事兼政務調査課総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査(議事運営担当)        二上秀幸君-----------------------------------    議事日程 第四号                 令和五年九月十四日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号第三 一般質問    〔庄田圭佑君、わたなべ拓君、福島かずえ君、遠藤伸幸君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号三 日程第三 一般質問    〔庄田圭佑君、わたなべ拓君、福島かずえ君、遠藤伸幸君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △会議録署名議員の指名 ○議長(菊地恵一君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二番佐々木奈津江君、四番石田一也君を指名いたします。----------------------------------- △諸報告 ○議長(菊地恵一君) 御報告いたします。 公安委員会委員長庭野賀津子君から本日欠席、公安委員会委員星倫市君が代理出席する旨の届出がありました。----------------------------------- △議第百十号議案ないし議第百三十二号議案 △報告第二十五号ないし報告第三十号・一般質問 ○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。三十一番庄田圭佑君。    〔三十一番 庄田圭佑君登壇〕 ◆三十一番(庄田圭佑君) 自由民主党・県民会議の庄田圭佑でございます。議長のお許しを頂きましたので、通告に従い、今任期最後の一般質問に臨みます。 まず、村井知事におかれましては、全国知事会会長への御就任、誠におめでとうございます。「結果を残す知事会を目指す」と抱負を述べられているように、知事会の方向性としては、海外へのアプローチ、国内へのアプローチ、大規模自然災害時の支援機能の強化を掲げておられます。今後、全国知事会でのますますの御活躍を御祈念申し上げるとともに、子供たちに誇れる未来をつくっていただくことを切に願うものであります。 さて、そんな知事会の方向性と同じくするかのような、大綱一点目、宮城県の国際交流強化についてお伺いいたします。 去る六月一日から九日の日程で、安藤俊威議員を団長に、ブラジル宮城県人会創立七十周年記念式典参加と、ブラジル及びアメリカとの国際経済交流・海外ビジネス支援政策等に関する海外調査に参加いたしました。今回の調査の主な目的は、急速に人口減少が進む中にあって、農林水産物をはじめとした県産品や加工品の販路拡大、今後の経済連携の可能性を見いだすというものです。八泊九日のうち機内泊が四回という強行スケジュールでしたが、訪問した南加宮城県人会、ブラジル宮城県人会、ハワイ宮城県人会の皆様との交流に加え、在サンパウロ日本国総領事館ジェトロサンパウロ事務所地元カメイグループミツワコーポレーションやハワイ州観光局との意見交換では、今後の宮城県とのコラボレーションの可能性など、様々な御示唆を頂き、大変意義深い調査となりました。今回の訪問は、今後の国際交流強化、販路拡大に向けた布石を打つよい機会になったとも感じております。その一方で、各県人会との交流は、周年事業や会長が来県される際の意見交換程度と、決して積極的に交流を図っている状況ではなく、各県人会の皆様からも宮城県ともっと交流を深めたいとの声もありましたし、本県の各種PRに協力したいと、大変頼もしいお話もありました。特に、ハワイ県人会の皆様からは、すずめ踊りをぜひ、ホノルルフェスティバルと呼ばれる、日本各地のお祭りをはじめ文化・芸能並びに武道・スポーツ、手芸などの様々な交流を図るイベントに出演してほしいと、より踏み込んだ御提案もありました。そこで、これらの点を踏まえ、今回のブラジル訪問の所感及び県人会を活用した海外での本県PR活動について、今後どのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 また、今回訪問したミツワマーケットプレイスは、米国内で日本食料品や生活雑貨を中心に扱う日系最大のショッピングセンターチェーンであり、カリフォルニア州を中心に十二店舗を運営しています。各店舗では定期的に日本の各自治体や地域とのコラボレーションイベントも多く開催しており、お隣の山形県では、トップセールスでつや姫のPRをした実績もあるとのお話でした。また、訪問したタイミングでは、本土のトーランス店など三店舗で独自に宮城フェアを開催しているとのことでした。カメイグループということもあり、今後は宮城をはじめとした東北の食材提供の拡大に取り組みたいとの大変ありがたいお話も頂きました。そこで、県が積極的に関与する形で、ミツワマーケットプレイスを核に、米国での県産品の販路拡大に向けた取組を検討していくべきと考えます。県の見解をお伺いいたします。 布石を打つという点で、私は平成二十八年三月の予算特別委員会において、当時中間所得人口が十二倍に増え、人口二億五千万人を有する魅力的なマーケットである、インドネシアをインバウンドのターゲットにしてはどうかと尋ねたことがありました。当時は、マーケットとして大変魅力的、将来有望だと考えているが、東アジアの国々を重点地域にしている。農林水産部のハラール対応食の事業もあるので、これを契機として、インドネシア大使館または留学生の活用、そういった面からまずは始めて、観光情報の収集・発信に努めたいという答弁でありました。その後も、何度かインドネシア関連の質問をさせていただきましたが、現状維持の答弁が続き、執行部というガリバー企業に挑む個人事業主の私は、おのれの無力さを痛感したものでありました。ところが、私の質問が布石となったか否かは知事のみぞ知る世界ですが、今議会の提案理由説明でも述べられていたように、七月二十八日に、全国の都道府県に先駆けて、県はインドネシア政府と人材交流に関する覚書を締結しています。また、締結に合わせ、みやぎフェアを開催し、既卒含むインドネシア国内の学生を対象に、県の情報発信や、県内企業とインドネシア人材の相互の理解を深めたと伺っております。まずは、インドネシアでの覚書締結及びみやぎフェアの所感について、知事にお伺いいたします。 初質問から約七年が経過して、インドネシア市場を開拓する雰囲気が整い、私の思いが知事に通じたのだと勝手に思っていますが、議員をやっていてこれほどうれしいことはありません。ただ、議連役員として調印現場に伺えなかったのが唯一の心残りであります。昨年十二月にインドネシア友好議連を会派内で立ち上げて以降、宮城県とインドネシアの積極的な交流について、全国から耳目を集めています。先日、日本インドネシア協会の皆様と意見交換した際にも、本県の今後の取組を注視しているとのお話を頂いておりますし、協会が発行する月刊誌に議連の取組を連載させていただくことにもなりました。協会からは、今後の事業展開について特に興味を持たれておりましたし、私といたしましても、様々な機会を捉えて、インドネシアと更なる交流を深めたいと考えております。そうした中、次年度以降もみやぎフェアを開催したいというような知事の声も漏れ伝わってきております。次年度以降、インドネシアでの事業展開についてどのようにお考えなのかお伺いいたします。 知事会の海外へのプロモーション活動等の効率化という方向性を我が県に当てはめるなら、みやぎフェアというイベント開催だけでは、効率的なものとは考えにくいかと感じます。インドネシアでの事業シナジーを考えれば、過去に私が取り上げた縁日祭への本県ブース出展や、縁日祭に合わせてみやぎフェアの開催を検討すべきと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 あわせて、インバウンド誘客のターゲットにインドネシアを加えるべきと考えます。県の見解をお伺いいたします。 大綱二点目、行政改革の取組についてお伺いいたします。 行政改革について広辞苑で調べると、「国・地方の行政機関または特殊法人の機構・制度・運営を改革すること。主として合理化・簡素化や定員削減を行い、行政の効率化と行政費用の抑制を図ることを目的とする」とあります。何やら大層な印象を受けますが、行政組織の効率化と経費削減ということに尽きると理解しております。この点から申し上げると、私がこれまで積み重ねてきた、働き方改革をはじめとしたデジタル化やシステム統合による業務効率改善も、行政改革ということになります。つい先日も、六月議会の予算総括質疑で指摘させていただいた、事業によってばらつきのある委託事業費の在り方について、県は、補助金給付する事業の委託費削減に向け、複数事業を一社に一括委託する改善策を固めた旨の記事が掲載されておりました。この点、スピード感を持って御対応いただいたことに、執行部の皆様に感謝申し上げる次第であります。まずは、委託事業における一括委託の現状と今後の予定についてお伺いいたします。 小さな改善一つだけでは改革とまでは言えないまでも、小さな改善が幾つも続き、やがて大きなうねりとなって改革につながる、そう信じて、これまでも質問を積み重ねてまいりました。本県においても、こうした小さな改善を積み重ねる組織として、新しい働き方推進の中で、庁内複業制度が導入されています。令和三年九月には、デジタルツールを活用した業務改善を図るデジタルカイゼン隊の前身となるエクセルカイゼン隊が、令和四年七月には、ナッジやデザイン思考を活用し、アジャイル文化の普及とEBPMのきっかけづくりを通じて政策効果の向上を図る、宮城県行動デザインチームMyBiTが設立されています。担当課からは、所属や役職にとらわれず、得意分野を生かして業務の効率化や課題解決に取り組むグループ活動を庁内複業として推進し、職員の自己実現や働きがいの向上を図っていると伺いました。また、二年間で千三百時間の事務作業時間を削減したデジタルカイゼン隊の活躍ぶりが、七月に地元紙でも取り上げられ、今後の動向を一層注視したいと思っております。そこで、これまでの働き方改革推進、MyBiTによる取組成果や行政コスト削減効果について、可能な範囲でお示しください。また、働き方改革に向けた現状の課題認識と今後の取組についてお伺いいたします。 こうした働き方改革をはじめとした行革の取組は、我が国の人口減少社会を鑑みれば、更に進めていくべきことに異論を挟む余地はないものと思っております。村井知事も、全国知事会の方向性の中で、人口減少と拡大する行政需要に対応するため、行政のスリム化を目指しております。これまでの行政は、時代の変遷とともに、様々な住民サービスを提供するため仕事を増やす決断をしてきましたが、これからの時代は職員数を増やすこともままならず、仕事を減らす決断をする、あるいはデジタルで代替していく、最低限このことは進めていかなければなりません。人や時間がないなら仕事を減らす決断をすることが鉄則であります。私は、人口減少社会の中で求められる、これからの行革に必要な視点は何か考えてみました。究極には、生産性の最大化です。具体的には、デジタル化で職員の事務負担を減らし、その時間を県勢発展に向けた創造的な仕事に邁進してもらいます。そして、職員一人一人の事務負担削減と創造的な仕事の成果を可視化すること。次に、行政コストを削減した課に、削減額の一部を事業予算として認めるインセンティブを与え、更なる創造的な仕事に邁進してもらい、県民サービスの向上につなげる好循環の流れをつくること。最後に、優れた人材を確保するために、これまでの職員給与体系にとらわれない、成果報酬型などの給与体系を導入することが必要ではないかと考えました。そこで、このことを踏まえて、これからの行革に必要と思われる取組等について、知事の御所見をお伺いいたします。 大綱三点目、安全・安心づくりについてお伺いいたします。 これまでも、県民の皆様の安全・安心の確保に向けて、再犯防止、特殊詐欺対策に向けた振り込み制限、消費者教育の強化など、様々な角度から質問をさせていただきました。今回も、防犯、治水、福祉の面から、県民の安全・安心づくりについて、何点かお伺いさせていただきます。 昨年の刑法犯認知件数は、新型コロナウイルスの行動制限が緩和された影響か、前年比五・九%増の六十万千三百八十九件で、二十年ぶりに増加に転じました。街頭犯罪の件数が一四・四%増加した一方で、侵入犯罪は一・九%減少したとのことです。これまでは行動制限があったので、認知件数の増加という表現よりは、元に戻ったと捉えるほうが適正な印象を受けます。昨今では特殊詐欺被害が後を絶たず、今議会でも、特殊詐欺被害防止対策費として二百十万円が計上されております。私も実際に泉区内の交番を何か所か回り、直接、現場の警察官と意見交換いたしましたが、特殊詐欺被害が増え、一軒一軒啓発活動で歩いているというお話を伺い、頭が下がる思いであります。また、交番によっては、事故が多発する幹線道路があったり、交番設置以降に新たな団地が造成されて、受持ち区域の人口も市街化区域も増えているところもあり、交番ごとの負担感には相当な差があるものと認識しております。実際、東日本大震災以降、泉区では西中山に住宅が増え、仙台大観音周辺に新たな商業施設も張りついています。最近では都市計画区域外の根白石川向地区でも住宅が増え、更に泉パークタウン朝日街区の分譲も始まり、若い世代の流入が続いております。こちらのパネルを御覧ください。(パネルを示す)泉区とその周辺を含む、泉区の交番・駐在所マップでございます。水色の線が区境を、薄い赤色の建物が交番・駐在所を、薄いグレーが市街地を表しています。先ほど述べた西中山や仙台大観音周辺の商業施設を受持ちする長命ヶ丘交番、根白石・朝日を受持ちする根白石交番の区域を、それぞれ紫、オレンジの網かけで表しております。マップを見ると一目瞭然ですが、泉区に隣接する北署管内の交番・駐在所は近い範囲に六つもありますが、寂しいかな、泉署管内は八つの交番・駐在所で全域をカバーしております。特に長命ヶ丘交番は、北環状線や大規模商業施設を有し、かつ、受持ち区域も広く、多忙な交番の一つです。また、根白石交番は、泉区西部全域と受持ち区域がとても広範な上に、今後、朝日の入植が進むことで相当の人口増が見込まれ、負担が増すことが推測されます。そこで、今申し上げた長命ヶ丘交番及び根白石交番の受持ち区域を見直し、赤い網かけで示した泉中山・泉ヴィレッジかいわいの要交番新設区に、新たな交番を設置する必要があると考えます。警察本部長の御所見をお伺いいたします。 初当選以来、二〇一五年の関東・東北豪雨で甚大な被害をもたらした七北田川の河川整備について、幾度となく質問させていただきました。この間、二〇一六年に上流域が水位周知河川に指定されるとともに、二級河川七北田川水系河川整備基本方針が示されました。その後、二〇一八年には二級河川七北田川水系河川整備計画が策定され、計画策定からおおむね三十年の間に河川を整備することとされています。三十年の計画とはいえ、新たな計画により赤生津大橋から上流区間で築堤や河道掘削などが進められ、流下能力が向上し、浸水被害対策が進むものと期待している一方で、雨のシーズンを迎えるたびに、七北田川流域の皆様からは、整備の早期完了など、多くの御要望を頂戴いたします。これまで、令和二年度に詳細設計や用地買収を行い、令和三年度の工事着手を目指す旨、知事から答弁いただいておりますが、一般的に事業着手が遅くなる上流域の皆様からは、現状を問うお尋ねも多い状況であります。そこで改めてお伺いいたしますが、七北田川上流域の河川整備の進捗状況及び今後の見通しについてお示しください。 先日、会派医療福祉議連役員と宮城県介護事業者連盟役員の皆様と意見交換を行いました。このとき、仙台市を含めて福祉関係に関する御要望を幾つか頂きましたので、お尋ねさせていただきます。 現在、本県での認知症施策の中核を担う認知症介護実践者等研修事業に関しては、宮城県社会福祉協議会に委託し開催されていると伺いました。しかしながら、連盟からは、認知症対応型サービス事業者管理者研修など、開設基準要件の研修や人材育成に関する研修回数が年一、二回程度にとどまり、事業者側として受講選択の柔軟性に欠けるため、時期を逃すと次年度に受講せざるを得ないというお話を頂きました。今後、高齢人口の増加が進めば、認知症施策推進における人材育成及び研修体系の充実が求められることから、現在の研修について、受講者が受講しやすいよう、委託先を増やすなどして開催回数を充実させることで、人材育成確保につなげるべきと考えます。県の見解をお伺いいたします。 重度の知的障害を伴う自閉症の方に多いと言われる、自分自身や周りの人を傷つけたり、物を壊したりといった行動が頻繁に見られる強度行動障害を持つ人は、全国に少なくとも延べ七万八千人以上いるとされています。ところが、この状態にあると、グループホームなどでは支援スタッフの負担が大きいとして利用を断られるなど、本人や家族が十分な支援を受けられず、行き場のない状態に強いられているとのお話を伺いました。こうした状況を受け、厚生労働省は、次年度より強度行動障害の専門的な知識を持った広域的支援人材を新たに育成し、都道府県や政令市が運営する発達障害者支援センターなどに配置する方針を固めています。広域的支援人材の主な支援内容は、専門的な研修を受けた人材が困難事例などに対して支援計画を作成するなどの指導・助言を行うこととされています。国の方向を踏まえ、次年度以降、本県でも強度行動障害のある方やその家族が地域で安心して暮らせる環境を整えていくことになろうかと思いますが、現段階で、本県での強度行動障害の実態についてどのように捉え、次年度の事業にどのように取り組むのかお示しください。 大綱四点目、投票率向上についてお伺いいたします。 今回の宮城県議会議員選挙では、届出用紙がデジタル配信されること、立候補の段階では候補者の自宅住所が居住地区までしか公表されないなど、時代の変遷とともに、選挙の在り方も変わってきているものと実感しております。一方、時代の変遷とともに投票率は低下し続け、去る七月三十日に執行された仙台市議会議員選挙の投票率は、過去最低の三四・三%と、有権者の三人に一人しか投票に行かない状況でありました。投票率が低いということは、企業・団体など特定の組織を持つ候補が有利になり、その結果、候補が一部の支持者のことのみを考えるようになり、世論を無視した県政運営につながる可能性もあり得ます。我々議員も含め、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」ということを再度認識し、多様な意見を反映する民主主義の根幹となる選挙の投票率向上に努める必要があると考えます。そこで、今回の仙台市議会議員選挙をはじめとした低投票率に関する問題認識について、知事の御所見をお伺いいたします。 一昨年八月には、県議会が包括連携協定を結ぶ宮城大学と初の連携事業となる、投票率向上のためにできることを考えるシンポジウムを、宮城大学にて開催しました。また、後日、宮城大学からシンポジウムに基づく政策提言を、当時の石川議長に手交いただきました。この提言は、学生自身がKJ法を使ってシンポジウムで出された意見を分析し、取りまとめたものであります。具体的な内容として、一、投票率向上のためには、変化する多様なニーズに応える環境、情報発信や投票の方法などを整えること、一人一人の意識づけが必要。二、学生からの視点では、議員・候補者の取組や選挙・投票について知り、選挙を自分事として考えることが求められる。三、上記二点を目的とする議員と学生・若者は関わることができる機会を継続して実施し続けることというものでありました。この提言書は、議長を経由して、選挙管理委員会にも送付されております。送付から約二年が経過し、この間、国政選挙も含む各種選挙が執行されています。提言を受け、具体的な対応や事業の取組状況についてお伺いいたします。 これまで選挙管理委員会では、投票率向上に関して、選挙出前講座の実施や啓発冊子の作成、大学入学式での啓発物配布などを実施してきております。また、大学への期日前投票所の設置は若年層の投票率向上に有効であると認識し、様々な機会を捉え、関係市町村選挙管理委員会に働きかけを行う旨、答弁を頂いております。大学への投票所設置は、様々な事情があり、具体的な成果は見えてきておりませんが、今回の宮城県議会選挙は、少なくとも前回選挙の投票率三四・八%という数値は最低限死守することが必要と認識しております。そこで、今回の県議会議員選挙における投票率向上に向けた取組について、お示しください。あわせて、大学などの有権者にとって利便性の高い場所への投票所設置について、市町村選管の動向についてお伺いいたします。 以上で壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 庄田圭佑議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、宮城県の国際交流強化についての御質問にお答えいたします。 初めに、ブラジル訪問の所感と県人会を活用した海外でのPR活動についてのお尋ねにお答えいたします。 私は今回、ブラジル、米国カリフォルニア州、ハワイ州を訪問し、現地で我が県とのかけ橋となっている県人会の皆様と、様々な意見交換などを通して交流を深めてまいりました。今回の訪問を通して、三世、四世の方でも日本の伝統文化に関心が高い方や、トレッキング愛好者が多いなど、現地に住んでいるからこそ得られる知見を基に、今後の我が県の海外プロモーションに対する様々な御意見を頂いたところであります。また、来年三月には、ハワイ県人会から御提案を頂きましたホノルルフェスティバルに参加し、七夕飾りの設置などによる観光PRや、みやぎ米をはじめとした県産品の紹介などを行う予定であります。県としては、引き続き、県人会への助成や定期的な本県情報の提供を通じて、我が県のPR活動へ御協力を頂くなど、県人会の皆様との連携を強化しながら、現地のニーズを踏まえた効果的なプロモーション活動に取り組んでまいります。 次に、米国での県産品の販路拡大に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 海外販路を開拓する我が県の企業にとって、米国は人口増が続き、個人消費支出がGDP全体の約七割を占めるなど、購買力が高いことから、大きな可能性を持つマーケットとなっております。一方、米国への食品輸出については、加工品の添加物規制や対米HACCPへの対応が必要であるほか、生活習慣や文化が多様であり、世代により価値観や嗜好も異なっていることから、戦略的に開拓すべき国の一つと認識しております。このことから、県では、これまで、米国輸出に関するコンプライアンス実務の専門家派遣やセミナーの開催に加え、米国シアトル都市圏において、テストマーケティングを兼ねた物産展等のプロモーション事業を実施してまいりました。今年度は、御指摘のありましたミツワマーケットプレイスの協力を得ながら、販路開拓の有望地域とされるダラス都市圏を中心とした物産展を実施する予定としております。今後も、同社を含め現地での販売のノウハウを持つ企業の知見も十分に活用しながら、なお一層、米国での県産品の販路拡大を図ってまいります。 次に、インドネシアでの覚書締結とみやぎフェアの所感についての御質問にお答えいたします。 私は今回、インドネシア労働省と人材の受入れに関する覚書を締結し、これを契機に優秀な人材を送り出したいとの強い要望を受けてまいりました。あわせて、日本への就職に関心を持つ学生等を対象に、我が県の主要産業や暮らしやすさなど、宮城の魅力を紹介し、県内での就労を促すため、みやぎフェアを開催いたしました。当日は六百人を超える多くの若い方々に御来場いただき、インドネシアの方々の我が県に対する熱い思いを肌で感じ取った次第であります。親日国であり勤勉なインドネシアの皆様に、我が県で就労し定着していただくことは、地域活力の維持や活性化につながるものと認識しております。県といたしましては、インドネシアをはじめ県内産業を支える外国人材の更なる受入れ促進に向け、今後も関係機関と連携し、我が県で能力を発揮したいと望む外国人材の就労を積極的に推進してまいります。 次に、大綱二点目、行政改革の取組についての御質問のうち、行政改革に必要な取組等についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、持続可能な行財政運営を図るため、財政基盤及び組織体制の強化とDXを通じて業務プロセスの変革を進める、宮城県行財政運営・改革方針を策定し、四つの取組の柱を掲げて、行政改革を進めております。四つの取組の柱のうち、特にICT活用と働き方改革の推進については、デジタルツールを積極的に活用して業務の生産性向上を図り、創造的な業務に充てる時間の確保に努めております。また、マイナンバーカードを活用したデジタル身分証アプリの普及を通じて、災害時における安全かつ効率的な避難活動のほか、地域経済の振興などにつながる取組を進めているところであります。今後も、これまでの仕組みや手法にとらわれることなく、民間の知恵やデジタル技術を積極的に活用しながら、急速に進む人口減少社会にも対応できる県政を推進してまいります。 次に、大綱四点目、投票率向上についての御質問のうち、低投票率に関する問題認識についてのお尋ねにお答えいたします。 選挙は民主主義の基盤をなすものであり、国民一人一人にとって、よりよい社会を築くための代表者を選ぶ重要な政治参加の機会であると考えております。県議会議員選挙の投票率につきましては、平成七年執行の一般選挙以降、低下傾向が続いておりますが、民主主義が実効的に機能するためには、多様な民意ができるだけ政治に反映されることが必要であり、投票率の向上は重要な課題であると認識しております。県といたしましては、選挙管理委員会と連携を図りながら、投票環境の向上や県民の政治意識の涵養に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 総務部長小野寺邦貢君。    〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕 ◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱二点目、行政改革の取組についての御質問のうち、補助金給付事業の一括委託についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県における補助金給付業務については、想定される補助対象者が少ない場合は、各所属内の職員で対応しておりますが、補助対象者が多いと見込まれる場合には、申請書類の確認等の業務について、各所属単位で会計年度任用職員を任用するほか、業務委託や労働者派遣の活用などにより対応しているところです。六月議会での補助金給付業務の委託に関する御指摘を踏まえ、庁内で改善策を検討した結果、今後は補助金給付業務に必要な人材の派遣を人材派遣会社との間で一括契約し、各所属に適正な人員を割り振る方向で調整を行っております。こうした取組により、県としては、国の物価高騰対策に係る追加の支援策が明らかになり次第、県民や事業者の皆様に、必要な補助金を効率的かつ速やかにお届けできるよう、準備を進めてまいります。 次に、働き方改革に関するこれまでの成果や今後の取組についての御質問にお答えいたします。 県では、議事録作成支援システムやペーパーレス会議システムを導入するなど、働き方改革を推進した結果、昨年度は、少なくとも八千時間に及ぶ作業時間の縮減と、四十二万枚ものコピー用紙削減を達成いたしました。また、庁内複業を推進するために昨年七月に設置したMyBiTの活動を機に、研修会や勉強会を通じて横展開が図られ、職員のデザイン思考等の認知度が向上したところです。今後、人口減少が本格化する中で、拡大する行政需要に対応しながら県民サービスの維持・向上を図るには、デジタル技術を活用した生産性向上の取組が一層必要になるほか、時代のニーズに対応できる優秀な人材の確保が重要であると認識しております。そのため、職員の負担軽減につながるデジタルツールを積極的に導入・活用するとともに、一人一人の職員が働きがいを感じ、気持ちよく仕事ができる職場づくりに努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。    〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱三点目、安全・安心づくりについての御質問のうち、認知症介護実践者等研修事業についてのお尋ねにお答えいたします。 認知症については、原因となる疾患によって様々な特徴があり、介護従事者等には、その特徴に応じた知識や対応が求められることから、研修を充実していくことは大変重要であると認識しております。県では、介護従事者等に対して、適切な介護方法などの研修のほか、指導者養成研修などを実施し、認知症ケアの質的向上を図っており、昨年度には、認知症介護基礎研修において、研修機会の確保のため、eラーニングを導入しているところです。各研修の開催回数については、申込者数の状況等を踏まえて設定しておりますが、今後も市町村や関係団体の声を聞きながら、受講者が受講しやすい環境づくりに努め、介護人材の育成に取り組んでまいります。 次に、強度行動障害の実態と次年度の取組についての御質問にお答えいたします。 強度行動障害は、周囲の環境等によってあらわれる状態であり、適切な支援や環境により改善され得るものですが、自分や他人を傷つける行為など、危険を伴う行動を特徴としており、障害福祉施設の受入れが困難であったり、適切な支援がなされない可能性があると認識しております。国では、昨年度、地域における支援体制の在り方や支援人材の育成・配置等について検討・報告が行われており、今後、強度行動障害に関する専門的知見を持つ広域的支援人材等の育成のための研修を実施することとしております。県としましては、国の研修への参加を促進し、地域における指導的人材の育成を目指すとともに、市町村や発達障害者支援センターなどの関係機関と連携を図り、強度行動障害を持つ方々の地域支援体制の整備を図ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 経済商工観光部長梶村和秀君。    〔経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕 ◎経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、宮城県の国際交流強化についての御質問のうち、インドネシアでの次年度以降の事業展開についてのお尋ねにお答えいたします。 インドネシアとの交流に関し、来年度については、今回締結した覚書に基づき、これまで以上にインドネシアからの労働者の受入れを促進していく必要があるものと認識しております。このため、みやぎフェアをより規模を拡大して実施し、人材の送り出しを通じて、現地と有力な関係を構築している機関を多数お招きするほか、介護、水産、建設分野等で、特に人材不足に直面している県内企業に現地に赴いていただき、実際に我が県で就労を希望する方との個別相談も実施することなどにより、戦略的なマッチングを図ってまいります。あわせて、外国人材の確保に関しましては、人口減少や労働力不足に直面する他国との競争でもあることから、みやぎフェアにおいては、既にインドネシアの方々が活躍している県内企業を紹介するなど、具体的な就労環境や生活環境をお伝えし、宮城で働きたいと思っていただけるような取組も盛り込んでまいります。これらの事業の実施により、より多くの方々に我が県で就労していただくよう、今後とも強力に推進してまいります。 次に、インドネシアの縁日祭を活用したPRとインバウンド誘客についての御質問にお答えいたします。 インドネシアで開催される縁日祭は、日本の食と文化が集うインドネシア最大級のお祭りでありますが、二〇一九年を最後に開催を見合せていると伺っており、県といたしましては、開催の見通しについて、引き続き情報収集を行ってまいります。また、みやぎフェアと縁日祭の同日開催については、会場の確保やスケジュール調整など難しい課題もありますが、今後、縁日祭の主催者やインドネシア政府などの意見を伺いながら検討してまいります。一方、インドネシアから我が県へのインバウンドについては、観光庁の二〇二二年宿泊旅行統計調査によると、全体の二・四%にとどまっておりますが、大変な親日国であり、経済成長に伴い誘客拡大が期待される市場であることから、県では、東北観光推進機構等と連携して、影響力のある現地インフルエンサーを招請し、宮城・東北の魅力を発信しているところです。今後とも、インドネシアを重要なターゲット市場と捉え、縁日祭のほか、一般消費者へ直接PRする機会となる他の現地イベントへの観光ブース出展を検討するなど、インバウンド誘客促進に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
    ◎土木部長(千葉衛君) 大綱三点目、安全・安心づくりについての御質問のうち、七北田川上流域における河川整備の進捗状況と今後の見通しについてのお尋ねにお答えいたします。 七北田川上流部については、令和二年十月に改訂した河川整備計画において、赤生津大橋から冠橋までの十四キロメートルを整備区間に位置づけ、このうち、下流側の赤生津大橋から実沢大橋までの六・五キロメートル区間について、国の補助事業である大規模特定河川事業を活用しながら、重点的に整備を進めております。これまで、浸水被害の要因となった狭窄部の流下能力を確保するため、河道掘削を実施したほか、浸水域に要配慮者利用施設がある野村地区を優先整備区間に位置づけ、昨年度から用地測量や土地境界の立会いを実施し、今年度からは用地買収や築堤工事に着手する予定としております。県といたしましては、地域の皆様が安全に安心して暮らせるよう、引き続き、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策予算も最大限活用しながら、浸水被害の軽減に向けて鋭意取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。    〔選挙管理委員会委員長 皆川章太郎君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 大綱四点目、投票率向上についての御質問のうち、宮城大学の提言を受けた対応等についてのお尋ねにお答えいたします。 令和三年八月に宮城大学から県議会に提出された提言書では、大学生の視点に基づく課題意識が示されており、多様なニーズに応えた情報発信や投票方法の整備、選挙を自分事として考えることに資する啓発活動などを求めるものであったと認識いたしております。県選挙管理委員会では、近年の選挙執行の際には、若年層を意識し、SNSを活用したウェブ広告等による情報発信に取り組んできております。また、主権者教育に取り組む団体と連携し、高校生が学校内で実施する投票啓発キャンペーンを自ら企画する選挙啓発サポート事業を行ってきたほか、ポスター掲示やチラシ配布に協力いただける選挙啓発サポーターとして十三の大学等教育機関に登録していただくなど、若者が選挙について知り、考える機会の創出に努めてまいりました。更に、投票方法の整備については、期日前投票所の増設をはじめ、若者を含む有権者が投票しやすい環境の整備に向けて、市区町村選挙管理委員会とともに取り組んできたところであり、引き続き有権者の利便性向上に向け働きかけてまいります。 次に、今回の県議選における投票率向上に向けた取組及び市町村選管の動向についての御質問にお答えいたします。 県議会議員一般選挙は、国政選挙等と比べ選挙期間が短いため、限られた期間で多くの有権者に周知する観点から、SNSを活用したウェブ広告の積極的な発信や、JRや地下鉄の駅など、多くの方が利用する場所でのポスター掲示、啓発キャンペーンの実施などを通じ、若年層をはじめ、より多くの有権者に投票いただけるよう周知してまいります。また、投票所設置につきましては、これまで、市区町村選挙管理委員会に対し、各種会議の機会を捉えて、有権者の利便性向上に資する効果的な投票所の配置について働きかけを行ってきたところであり、今回の選挙でも、気仙沼市や富谷市において、大型商業施設への期日前投票所の設置が新たに行われる予定であるなど、取組は着実に広がっているところであります。大学への設置についても、若者の投票率向上に一定の効果が期待できるものと考えております。なお引き続き働きかけを行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 警察本部長原幸太郎君。    〔警察本部長 原 幸太郎君登壇〕 ◎警察本部長(原幸太郎君) 大綱三点目、安全・安心づくりについての御質問のうち、新たな交番の設置による長命ヶ丘交番等の受持ち区域の見直しについてのお尋ねにお答えいたします。 交番の設置については、地域人口の推移、事件事故の発生状況、県下全体の治安情勢等を総合的に勘案しながら、個別かつ具体的に検討することとしております。長命ヶ丘交番及び根白石交番管内の治安情勢は、中長期的に分析すると、刑法犯認知件数や交通事故発生件数が減少傾向にあり、新たな交番の設置による受持ち区域の見直しを早急に行う現状にはないものと認識しております。一方、御指摘のとおり、当該地域では新たな団地の造成が進むなど発展が見込まれるため、県警察としては、今後の地域における治安情勢の推移等を注視しつつ、必要な体制の整備に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) ありがとうございました。いい答弁を頂いたものと、大変残念な答弁を頂いたものと、いろいろとありましたけれども、再質問させていただきたいと思います。 まず、国際交流強化ということで、テキサス州ダラスのほうでと知事からお話がありました。知事もこれまでずっとやはり県産品の販路拡大を熱心に取り組まれてきて、米国が有望な市場だということで御答弁があったわけでございます。本当に人口が減っていく中で販路を確保していくということは、我々のこの地場の産業を維持していくために極めて重要なのだろうと理解しております。ぜひこれは、今アメリカというお話をさせていただきましたけれども、今回の質問の中で、県人会の中心の話と、あとはインドネシアの話をさせていただきました。インドネシアも私が最初に質問したときは二億五千万人人口がいて、今二億八千万人、将来的には三億三千万人まで増えるという推計が出てございまして、ここも大変有望なマーケットだということでございます。梶村部長からもインドネシアのことについてるる答弁があったわけでございますけれども、やはりいろんな角度、いろんな地域に積極的に進出していく、極めてこれが効率的かどうかというとそこはちょっと微妙なところもあると思うのですが、積極的に宮城をPRしていくことが、ほかの自治体が出ていないところに積極的に出ていけば、宮城県が先行して利益を取れるということになりますので、海外に積極的にもっと打ち出していきたいと、そういったことを私は強く知事にお願いさせていただきたいと思いますけれども、米国、インドネシア、そのほかにも海外に積極的に打っていきたいと、そういう知事のお考えがあれば、ちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) やはり日本はこれからどんどん人口が急激に減っていきますので、そういった意味では、市場を広める意味でも、海外にどんどん打って出ていきたいというふうに思っております。特に、インドネシアに実は初めて私行ったのですけれども、非常に親日的で、そしてその前、昨年はベトナムに行きました。ベトナムではかなり厳しいことも言われたんですね。韓国のほうが人件費も高いし、非常に魅力があると。日本より韓国のほうがいいんだということを言われたのですけれども、今回インドネシアに行きましたらば、インドネシアは非常に日本に関心があると。若い人たちはアニメを見て育ってきて、日本に非常にいいイメージを持っていると。そして、日系企業がたくさんインドネシアに進出しているのですけれども、高卒ではなかなか就職ができないと。しかし、高卒であっても、日本で日本のマナーを学んで、慣習を学んで、そして日本語を学べば、帰ってきてから日系企業で働くチャンスが非常に増えるというようなことでありますので、非常にインドネシアの政府にとってもいいという話でございました。労働大臣との調印は実は宮城県が全国で初めてだそうでありまして、そういったことからもインドネシア政府の意気込みも伝わってまいりましたので、これからはあちらこちらに手を広げないで、まずはアジアはインドネシアにちょっと注力してみたいなというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) ぜひちょっとインドネシアに軸足を置きながら、いろんな面で開拓をしていただきたいというふうに思っております。本当にインドネシアは宮城ともつながりが深いところでございまして、大東亜戦争のときにインドネシアのほうに赴任されていた仙台出身の三浦襄さんという方がいらっしゃいまして、バリの父と言われており、バリの皆様とともに生活をして、それで日本が戦争に敗れたときに、バリの皆さんをちゃんと解放できなかったということで自決をされたと、そういう最期を迎えたわけでございますが、本当にバリの方からも尊敬されている方がこの宮城県の出身であるということで、非常につながりもある、そうした地縁もあるということを、もっとバリの人にも知っていただく、あるいはインドネシアの人にも知っていただくということが、この宮城を更に知っていただくことにつながっていくのだろうと思っております。 それで、行革の話なのですが、人口が減っていって、これからの政治家というのは多分住民の皆様に嫌われることをやっていかなくてはいけないのだろうと思っております。そういう意味で、知事が今一生懸命いこじになって進めていらっしゃる四病院の問題、これもそういったところなのかなと。人に嫌われても将来の人たちに評価される、あのときの選択は間違っていなかったのだと、そういう評価をされる政治家に知事は多分なりたいのだろうと思っているわけでございますけれども、その辺りの覚悟をちょっと改めてお伺いさせていただきたいなと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決していこじになっているわけではなく、淡々と手順を追って、いろんな人の意見を聞きながらやっているつもりでございます。ただ、批判があっても、常に言っていますけれども、全体の利益、そして将来の皆さんにとっても必要なことを、今いる人たちの子供たちもなんですけれども、やはりこれから生まれてくる子供たちのことも考えながら、将来宮城が、日本がどうなっていくのかということを考えながら、先手で手を打っていくというのが私は非常に重要なことではないかなと思っておりますので、これからもそういう姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) 私は二年前の知事選挙のときに、副知事に知事は独断専行なのか、いさめたことはあるのかということでお尋ねをさせていただきました。あのときとこの二年間で大分状況が変わっているなというふうな印象も受けますけれども、今回の四病院の件に関して、いろいろと突っ走っている感は否めないなと思っています。行革として進めていくということは私はそこは異を唱えることはないのですが、しっかりとそこは皆さんの声を聞いていただいて、時には副知事も厳しい言葉をちゃんと知事に申し添えていただきたいなというふうに思っておりますけれども、何か両副知事からあれば、一言頂きたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 副知事伊藤哲也君。 ◎副知事(伊藤哲也君) 様々な課題解決に知事以下県庁一丸となって取り組んでいるつもりであります。様々な御意見、見方もあります。県庁内でよく議論して、申すべきことは知事に申し上げるというつもりで、今後も臨んでまいります。 ○議長(菊地恵一君) 副知事池田敬之君。 ◎副知事(池田敬之君) 伊藤副知事に同じでございます。言うべきことは申し上げまして、その上で御判断いただくということをしっかりやっていただきたいというふうに思っております。以上です。 ○議長(菊地恵一君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) 全国知事会の会長になかなか申し上げるのは大変なのかもしれませんけれども、しっかりとそこは間違った判断がされないように、やはり執行部としてちゃんと一丸となって英知を結集していただきたいというふうに思っているところでございます。 それと、警察の交番の件ですけれども、早急に見直しをする必要はないというお話でございました。私も今今やってほしいということを申し上げているわけではなくて、将来を見越して、例えば二十年後にこうなってから、その時に変えようとなったのでは遅いかなというふうに私は思っていますので、しっかりとそのエリアの治安状況とか交通事故の状況とか、個別具体的に検討しながら設置しているというお話だったのですが、なかなか、さっきも北署管内が桜ヶ丘、中山、荒巻、そして南吉成と、近隣にたくさん交番・駐在所があるということでございますので、そうしたところの再編も含めて、交番・駐在所の計画、こういうのを、個別具体だというお話もありましたけれど、全体を俯瞰しながら、全体のリバランスということもしっかりと考えていく必要があるのではないかと思いますけれども、警察本部長の御所見を伺いたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 警察本部長原幸太郎君。 ◎警察本部長(原幸太郎君) 議員御指摘のとおり、全体のバランスというのは大変治安維持にとって重要なことでございますので、県警本部としてしっかり情勢を分析しながら対処してまいりたいと考えております。よろしくお願いします。 ○議長(菊地恵一君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) よろしくお願いいたしますと言われても、何とか住民の皆様の不安が解決されるような取組をぜひお願いしたいというふうに思っております。 それと、投票率向上ということで、宮城大学さんのほうから提言書をまとめていただいてお出しいただきました。やはり若い人に聞くと、投票に行っても何も変わらんでしょうというようなお声を頂くことが多いわけでございまして、今回この提案書を受けて、新たに選挙管理委員会として、例えばSNS、ウェブの広告を注力していきましたとなれば、我々若い世代の提言が受け入れられたのだと、何かちゃんと言えば変わるんじゃないかと、多分そういった身近な小さい成功体験を積み重ねていくことで、若年層の投票率の向上につながっていくのだろうというふうに思っております。ぜひこれからも引き続き大学への投票所の設置など頑張っていただきたいと思いますが、最後に一言、委員長からお願いしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。 ◎選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 議員のおっしゃることはもっともでありますし、私どもも、若年層対策につきましては、今後のこの地域を担う、あるいは日本を担う皆さんでございますので、しっかりときめ細かな作業で、時間はかかりますけれども、みんなで、委員会一丸となって進めてまいりたいという覚悟でおりますので、何とぞよろしくお願いします。 ○議長(菊地恵一君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) 終わります。ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。    〔十六番 わたなべ拓君登壇〕 ◆十六番(わたなべ拓君) 自由民主党・県民会議、太白区選出のわたなべ拓でございます。議長のお許しを頂きましたので、以下、大綱二点につき、一般質問をいたします。 スタートアップ支援による新産業創出、質の高い雇用創出の試みを通じた富県宮城の実現、婚姻支援による少子化抑止、就職氷河期世代の県正規職員採用、下水道DX、安全・安心の県土づくりなど、中長期の本質的課題認識と取組の方向性、それ自体は知事と共有しつつも、この四年間というもの、宿泊税の反対に始まり、宮城県美術館の移転反対、水道みやぎ型管理運営方式の是正などをめぐり、是々非々の立場を貫いてまいりました。 令和二年六月定例会において、夏季休暇中の登校日も含め熱中症予防の暑さ指数WBGTのデータを基に県立学校普通教室へのエアコン整備を訴えました。エアコン整備の優先順位は劣後するとして難色を示した知事でしたが、自民党会派など与党三会派の要望を受け入れていただき、県立学校全普通教室のエアコン整備が実現したことは、議会人としてひそかに誇りとするところであります。知事の英断に敬意を表します。今夏の連続真夏日の最長記録更新の事態を考えても、やはり令和二年にエアコン整備を断行していて本当によかったと痛感する次第であります。 さて、県立学校普通教室のエアコン整備率は一〇〇%を達成したとして、特別教室については課題が残ります。特別支援学校は九三・九%、県立中学校は七〇・六%の整備率である一方、高等学校特別教室は三七%の整備にとどまるのであります。特別教室の中でも、図書室、コンピューター室への整備は比較的進んでいるものの、実習室への整備は遅れているようであります。特に、実業高校の実習室は、使用頻度も高いため、エアコン整備の必要性は、喫緊の課題であります。宮城県工業高校を視察し、校長、教頭の懇切な御案内をいただきましたが、実習室の中でも規模的にはいわゆる工場の大きさである溶接や旋盤の実習室は、大規模な換気を要するなどエアコン整備に適しないようでしたが、製図室などはエアコン整備が待たれる状況でありました。ほかにも、県内の工業高校の現場に聴取したところ、例えば、白石工業高校の電子回路実習室は、基礎から応用まで実習で使用し、授業以外の活動でも日常的に使用するそうですが、エアコンがないために、今夏はサウナのような苛酷な利用状況だったと現場の教員からは切実な声が届いております。村井知事は、本県の産業構造を転換すべく、第二次産業の振興に注力していますが、その担い手を輩出する本県県立工業高校など、実業高校の実習室をはじめとする県立学校特別教室にエアコン整備を進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 今春、仙台市太白区に開校した学びの多様化学校である、ろりぽっぷ小学校を視察しました。私立では東北初の開校となり、二十名ほどの児童が学んでいます。同校では、不登校の子どもの実情に合わせた柔軟な教育課程を設け、指導に当たっています。同校に通学するお子さんの保護者から、学費が比較的高額であり教育費の負担が重いとの相談が寄せられました。月額ベースで、授業料二万二千円、施設充実費一万三千五百円など四万円あまり、更には、給食費九千円、スクールバスで登校の場合は一万五千円と、月額で総額六万五千円ほどにも上り、教育費の負担軽減が課題であります。東京都では、フリースクール等民間団体・民間施設に通う不登校児童・生徒及びその保護者の支援ニーズやフリースクール等での活動内容などを把握するために調査研究を行うとし、調査協力金の名目で年間二十四万円を補助しています。学びの多様化学校は、学校教育法第一条に定められた、いわゆる一条校であるため、東京都の制度だと調査協力金の対象にはなりませんが、不登校出現率が高止まりする本県の課題解決や保護者の教育費負担軽減に資するべく、私立の学びの多様化学校に対し、本県独自に補助する余地があるものと考えますが、当局の所見を求めます。 特異な才能を持つ子ども、いわゆるギフテッドの子どもの支援に向けて、国が初めて予算を計上しました。ギフテッドの子どもはIQ百三十以上とされますが、五十人に一人はいるとされます。不登校になっている子どもの中には、学校の授業が簡単過ぎて苦痛に感じるなど、学校になじめず不登校になっているケースがあります。既存の学びの多様化学校やフリースクールでは、主として不登校による勉強の遅れを取り戻す授業となっており、ギフテッドの需要に即した授業は、ほぼ手つかずな現状であります。本県として、ギフテッドの子どもに着目した教育支援を講じる余地があると考えますが、当局の所見を求めます。 令和元年第四回定例会における一般質問で、みやぎの先人集において奇妙なことに、その偉大な功績にもかかわらず先人集に採録されていないばかりか、推薦すらされていない先人たちがいると指摘しました。硫黄島の父、横尾東作や、近代八重山諸島の父、岩崎卓爾、バリ島独立の父、三浦襄、昭和の聖将、今村均、最後の海軍大将、井上成美のような人物こそ志教育を体現する人物として顕彰する余地もあると提言しました。本年は、第二集から五年を経過したみやぎの先人集第三集刊行のタイミングではありますが、その後の検討状況につき伺います。 昨年十一月三日には、北朝鮮による弾道ミサイル発射に際して、本県も平成二十九年以来三度目のJアラート対象地域となるなど、複数の周辺懸念国による我が国に対する武力攻撃の可能性は年々高まっております。令和四年六月定例会において、県による緊急一時避難施設、特に地下施設の指定が二か所にとどまるなど低調であると指摘し、その後、当時の佐藤部長の努力もあって、令和四年十二月には地下横断歩道二十か所の追加指定がなされるなど急速に県の指定が進みました。県当局の努力を評価するものであります。もっとも、緊急一時避難施設のうち県有施設の指定状況は、県立高校三十校、宮城野原公園総合運動場の合計三十一か所にとどまります。仙台市内の緊急一時避難施設の指定権者は仙台市であるためか、仙台市所管の小学校、中学校、市立高等学校の全校が指定を受けています。しかしながら、仙台市内に所在する県立高校は、一校も指定を受けるには至っておりません。仙台市所管の施設だけで収容能力が十分とは言えないことを考えると、現在の指定状況は、仙台市が所管外である県立学校の指定を遠慮した結果であることがうかがえます。事は、有事の県民・市民の生命に関わるのであって、区々たる所管の問題などにこだわっている場合ではないのであります。横浜市、川崎市、相模原市と三政令市を抱える神奈川県では、避難施設の指定が進まなかったため、政令市内に所在する県有施設については、県が指定の同意を得る手続までは調整を実施し、指定を促進しています。仙台市の所管課においては、仙台市内の県立学校指定の意向を有していることを確認済みであります。本県として、仙台市と連携して、仙台市に所在する県立学校十六校について、本県が積極的に緊急一時避難施設指定に向けた調整の役割を果たすべきと考えますが、当局の所見を求めます。 さきに村井知事が、全国知事会会長に選出されましたが、東北からの選出は四十八年ぶりで、自衛官出身者としては初とのことで、危機管理や安全保障の観点からも積極的な提言を期待したいところであります。結果を残す知事会の方向性として「首都直下型地震などにより、大きな被害に見舞われた場合に、全国的な支援が機能するよう、全国知事会における実効性ある地方を挙げたバックアップ体制を強化すべく、首都直下型地震を想定した訓練を全国知事会を中心に実施する」としていますが、大いに期待するものであります。東日本大震災を経験し危機管理の陣頭指揮に立った知事として、訓練にあるべき視点と、現時点で想定する訓練の概要を伺います。また、防災・減災だけでなく、武力攻撃事態における国民保護などについても、課題は山積しています。特に緊急一時避難施設、核シェルターの整備は待ったなしの課題として、全国知事会として正面から議論すべき論点と考えますが、知事の所見を伺います。 全国知事会では、「分権型社会の実現に向け、国民的議論を喚起」するとしていますが、知事は、道州制推進知事・指定都市市長連合の共同代表にもついておられます。「地域主権型道州制を導入する道筋をつけるため」とする同連合には、残念ながら東北地方の首長の名前は見当たりません。しかしながら、厳しい人口減少の危機に直面する東北地方こそは、今後も持続可能な東北であるために、限りある資源のより効率的な運用のため、大胆な広域連携が必要であると考えます。広域連携の先行例である関西広域連合では、ドクターヘリの広域運用など広域救急医療体制の充実、広域産業振興、圏域内における一部資格試験の共同化などを既に実現しております。一方、東北六県をカバーする広域的取組としては、広域観光や大規模災害時の相互支援の枠組みなどにとどまるのが現状であります。知事には、全国知事会の会長として、地域主権型道州制を含む広域連携について、結果を残す議論を主導していただくことを期待しますが、東北州実現についていかにお考えなのか、御所見を伺います。 新型コロナの感染拡大に際して、新型コロナを共に乗り越える宮城・山形共同宣言を表明し、山形県との間で医療・福祉、観光・交流分野で広域連携に取り組むとしましたが、医療・福祉分野について、具体の広域連携には至りませんでした。本来は、未曽有の危機に際して、医療福祉施設における感染拡大時の患者受入れ等の広域調整・相互バックアップ体制の構築など、本格的連携に踏み込むべきだったはずであります。実現へ向けた課題認識につき伺います。 秋田県と山形県との間で、地域医療情報ネットワークによる県境を越えた広域連携が実現しています。広島県と岡山県との間でも同様の連携が実現しております。本県と隣県との間にも同様の広域連携の要請がありますが、実現には至っておりません。県境をまたいだ広域的医療リスク管理の拡充へ向けた課題認識と具体の取組の方向性について、所見を伺います。 JR南仙台駅の鉄道の高架化は、地域の悲願であります。地上を走る鉄道を橋脚の上に上げることで、踏切を除去し慢性的な交通渋滞を解消し、太白区中田地区の東西分断を解消し、異次元の発展をもたらすことができるのであります。仙台市副都心あすと長町地区の発展の大前提をなしたのは、鉄道の高架化でありました。事業期間が十年単位と長大で、自治体負担部分は四十億円ほどと試算されるものの、総事業費は一キロメートル当たり百億円ほどと多額に上り、仙台市が主管として、国、鉄道会社、県など多岐にわたる調整を要するなど様々な課題はあるものの、仙台市の発展にとっては、当然あるべき重要インフラ整備であり、本県の広域交通政策の観点からも、国道四号線と二百八十六号線を結節することで仙南の一大交通軸を創出することになり、中長期の県勢発展に寄与する重大な取組であると考えます。ところが、令和四年十月に開催された太白区中田地区まちづくり勉強会に際して招聘された仙台市担当課長が作成し配布したケーススタディー、南仙台駅周辺の鉄道高架下における課題についてでは、南仙台駅周辺の場合、連続立体交差事業の要件を満たさないと結論しており、これをうのみにする地方議員、地域自治関係者が複数見られました。いわく、三百五十メートル以上離れた二本の幹線道路、国道、県道、都市計画道路、その他の道路の合計三本の道路が鉄道と交差していることとの要件を満たさないとの見立てなのですが、南仙台駅周辺の地図を見ますと、相互に優に一キロメートルほど離れている都市計画道路、中田北線、中田南線と、その間に中田西浦踏切で鉄道と高架する道路の計三本の道路が鉄道と交差しており、連続立体交差事業の補助金の要件をしっかり充足していることは明らかなのであります。念のため、国土交通省本省並びに東北運輸局の所管幹部に直接確認を取りましたが、補助金の要件を満たしているとの見立てでありました。本県として、純粋に連続立体交差事業の補助金の要件をもとに判断した場合、JR南仙台駅周辺の鉄道高架化について、連続立体交差事業の補助金措置の要件を満たしているのか、当局の所見を求めます。 さて、八月三十一日に開催された県精神保健福祉審議会における知事の提案・発言により、いよいよ専門家・実務家との間に埋めがたい亀裂が生じ、四病院再編統合問題は深刻な危機に直面していると言わざるを得ないのであります。名取市への民間精神科新病院を誘致するとの知事の提案には、いつもながらの奇襲攻撃とはいえ、さすがにその内容には、専門家だけでなく全県民が驚愕した次第であります。審議会の議事録によると、百二十床ほどの民間精神科新病院を誘致するとの案については、民間の精神科病院経営の専門家が一致してその実現可能性を否定していました。複数の委員が異口同音に述べたように、県立センターが担う政策医療については、本質的な不採算性ゆえに本来的に公的医療機関が担うべきであり、これを補助金もなしに民間精神科病院があえて自らの既存の精神科病院の病床数を減じてまで、新病院を設置するようなリスクを冒せるものではないことは、素人にも分かるわけであります。県立精神医療センターを富谷市に移転させるという案そのものの無理を糊塗するために、新たに民間の精神科病院を名取に誘致することで精神医療の空白をカバーしようと、更に無理のある案を持ち出したようにしか受け取れないのであります。今回の知事の提案は実現可能性が乏しく、これをさきの知事選の公約だったのだから、駄目もとでも公募だけは断行するなどと強弁するのでは、傲慢のそしりを免れません。知事だからといって、実現可能性もない思いつきのよう案で県政を無用に混乱させてよいものではありません。そもそもの四病院再編構想それ自体が根回し不足で、患者、専門家、実務家、地域住民と圧倒的多数の関係者から明確に反対されています。ここは、公約だからとそもそも無理のある四病院構想案に拘泥するのではなく、いっそ四病院再編構想それ自体を一旦白紙に戻し、県民に対して率直におわびして出直したほうが県民の不満・不信感を解消することになり、よほど知事の株は上がるものと考えます。その証拠に、本件について知事に公約遵守を声高に迫る者はこの議場のどこにもいないではないですか。この際、初動から失策続きだった四病院再編構想それ自体を一旦白紙に戻すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 以上、壇上における第一問といたします。御清聴、誠にありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) わたなべ拓議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、県政の諸課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、私立の不登校特例校に対する独自の補助制度についてのお尋ねにお答えいたします。 私立小中学校は、特色ある学びを希望する児童生徒のみならず、不登校やいじめ等の事情により、転学を希望する児童生徒等の受皿としての役割も果たすなど、多様な教育を提供していることから、教育課程の特例や地域の実情にかかわらず、教育費の負担軽減を等しく受けられることが必要であると考えております。全国知事会では、先月国に提出した提案・要望の中で、私立の小中学校の教育費負担軽減について、国による支援をより一層充実させるよう求めていたところであり、全国知事会会長として、まずはこの要望の実現に全力を尽くしてまいりたいと考えております。一部の学校というより、全体の私立の小中学校の教育負担を軽減するというところから始めるべきではないかと考えているということであります。 次に、全国知事会で行う首都直下型地震を想定した訓練のあるべき視点と概要についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災では、応援職員の派遣など全国知事会をはじめ多くの皆様方から温かい御支援を賜りました。私はこの御恩を忘れることなく、万一、大規模災害が発生した際には、被災した自治体を支援することが責務であると心から強く思っております。このような思いから、会長就任に当たり、大規模自然災害時の支援機能の強化を取組の柱に掲げたところであり、まずは首都直下型地震で全国知事会事務局が被災することを想定し、代行する県が応援職員の派遣調整を行う訓練をしたいと考えております。訓練に当たりましては、今後、国や東京都の被害想定を参考に、具体的な内容を検討することとしておりますが、どのような災害が発生した場合でも、全国知事会として、しっかりと被災地を助けていくという強い思いを胸に、訓練を重ね、万一の場合に備えてまいりたいと考えております。 次に、緊急一時避難施設等の整備について、全国知事会で議論すべきとの御質問にお答えいたします。 緊急一時避難施設や核シェルターの整備については、弾道ミサイルの発射等に伴い、国際情勢の緊迫度が高まる我が県にとって重要な課題であると認識しております。全国知事会においては、昨年度国に対し、緊急一時避難施設を含めた避難施設について、国有施設を積極的に開放することや、民間施設の指定が進むよう民間団体への働きかけを強化することなどを内容とする提言を行っております。また、今年度は、国に対し、新たに将来的な核シェルターの整備も含めた実効性のある避難施設の在り方について検討することを求めております。緊急一時避難施設等につきましては、国際情勢や国の動きを踏まえ、今後も、全国知事会で議論すべきものであると考えております。 次に、道州制と広域連携についての御質問にお答えいたします。 私は、道州制については将来的に目指す姿であると考えておりますが、そのためには、国と地方が同時に取り組む、いわゆるそったく同時の対応が必要であり、現在、国での議論は停滞していることから、その動向を注視しているところであります。また、東北各県との広域連携を進めることは、東北の発展のために非常に重要であると考えており、これまでも大規模災害への対応に加え、自動車関連産業の集積や外国人観光客の誘致、文化振興などの幅広い分野において積極的に取り組んでまいりました。引き続き、東北各県の知事をはじめとする産学官のトップらによる連携会議なども活用しながら、具体的な成果を着実に積み上げてまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、四病院再編統合についての御質問にお答えいたします。 今回の病院再編につきましては、仙台医療圏を中心に県全体の地域医療の現状及び将来を見据え、病院機能の集約・拠点化により、政策医療の課題解決を図るとともに、県民に適切な医療を持続的に提供していくために取り組んでいるものであります。令和三年九月に病院再編に係る今後の方向性を公表してから、これまで様々な御意見をいただいておりますが、県としては、病院再編の意義を丁寧に説明しながら、引き続き関係者との協議を進めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長千葉章君。    〔復興・危機管理部長 千葉 章君登壇〕 ◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱一点目、県政の諸課題についての御質問のうち、緊急一時避難施設の指定についてのお尋ねにお答えいたします。 緊急一時避難施設については、国の国民の保護に関する基本方針等に基づき、令和三年度から令和七年度末までを集中的な取組期間として、堅牢な建物や地下施設の指定を推進することとされております。仙台市では、市有施設を中心に、避難施設の指定を進め、国の動きも踏まえ、特に地下施設の指定を推進していると伺っております。県としては、今月上旬、県有施設の情報を仙台市に提供しており、今後、仙台市の意向を確認し、課題なども共有しながら県立学校を含めた県有施設の指定について調整を図ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。    〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、県政の諸課題についての御質問のうち、新型コロナ感染拡大時の患者受入れの広域調整についてのお尋ねにお答えいたします。 新型コロナ患者の入院先については、五類移行までの間は、行政が全ての患者の入院調整を行う仕組みとなっており、できるだけ患者に負担が生じないよう、まずは各医療圏内で、それが難しければ全圏域といったように、通常医療と同様の考え方で調整を行ってきたところでございます。五類に移行した現在において、入院調整は医療機関同士で行うことが基本となっており、医療機関は医療圏にとらわれず、広範に受入先を調整することが可能になっております。県としては、現時点では、行政が主体となって県境をまたいだ広域調整を進める段階にはないものと認識しておりますが、今後の感染動向やウイルス特性の変異などにより、その必要が生じた場合は、改めて山形県と調整の上、連携に向けた検討を進めてまいります。 次に、広域的医療リスク管理についての御質問にお答えいたします。 県境をまたいだ広域的な医療リスク管理の拡充に向けては、現在実施している他県とのドクターヘリやDMATの連携に加え、地域医療情報ネットワークによる医療情報の共有が有効な取組であると認識しております。現在、国においては、医療DXを推進するため、保健・医療・介護の情報を共有可能な全国医療情報プラットフォームの構築を目指して検討を進めているところです。県としては、国の検討状況を注視しながら、県内で構築されているみやぎ医療福祉情報ネットワークMMWINの事業主体と連携し、広域的な医療リスク管理に向けた活用を検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、県政の諸課題についての御質問のうち、JR南仙台駅周辺の鉄道高架化についてのお尋ねにお答えいたします。 国の補助事業である連続立体交差事業は、鉄道を連続的に高架化・地下化することで複数の踏切を撤去し、都市内交通の円滑化を図るもので、周辺道路の渋滞緩和や良好なまちづくりのために効果的な事業であると認識しております。事業の実施に当たっては、国の都市における道路と鉄道との連続立体交差に関する要綱を踏まえ、道路管理者がその事業区間も含め総合的に判断し、鉄道事業者と調整の上決定するものです。JR南仙台駅周辺については、事業区間の設定によっては、採択要件の一つである、鉄道と道路との交差数や、事業区間における幹線道路間の距離、踏切除去の件数など、要綱に規定した条件に該当する場合もあると考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。    〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、県政の諸課題についての御質問のうち、県立学校の特別教室へのエアコン整備についてのお尋ねにお答えいたします。 県立学校のエアコンについては、生徒が日常的に利用する教室を優先して整備を進めてまいりました。普通教室については、令和三年度までに全ての教室に整備済みであり、実業高校の実習室などの特別教室は、学校によって利用の形態や頻度が異なることから、その意向を十分に確認しながら、順次整備を進めてきたところです。今年の夏の厳しい暑さを踏まえると、特別教室へのエアコン整備は、課題であると認識しており、関係部署と十分に協議を行ってまいります。県教育委員会としては、生徒が安全・安心に学校生活を送ることができるよう、引き続き、県立学校の教育環境整備に努めてまいります。 次に、ギフテッドの子どもに対応した教育支援についての御質問にお答えいたします。 特定分野に特異な才能のある児童生徒に関しては、令和四年九月の国の有識者会議において、指導・支援の基本的な考え方の一つとして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実について示されております。県教育委員会としても、自分の興味・関心に応じて、児童生徒自らが課題を設定し学習を進める個別最適な学びや、児童生徒が互いに高め合う協働的な学びは、特異な才能のある児童生徒の力を伸ばすことにも適した学びの在り方であると捉えております。現在、国において、指導・支援に関する実証研究が行われているところであり、その成果や蓄積された実践事例なども参考にしながら、特異な才能のある児童生徒の個性を尊重し、伸ばしていけるような取組について、市町村教育委員会とも連携し、引き続き検討してまいります。 次に、みやぎの先人集第三集の編集に向けた検討状況についての御質問にお答えいたします。 県教育委員会では、児童生徒が生き方や考え方について学び、夢や志を持つことができる教育資料集として、我が県にゆかりのある先人を取り上げ、みやぎの先人集、第一集及び第二集を発行しております。第一集は主に江戸・明治期、第二集は主に大正・昭和期に功績を上げた人物を選定しており、第三集については、主に平成期以後の先人を取り上げることを想定しているところです。第二集発行から五年が経過したものの、平成期以後については、現在活躍中の方もいらっしゃることから、第三集は時期を見て検討することとしております。県教育委員会としては、児童生徒に功績を伝えたい先人は、時代を問わず多数いるものと認識しており、今後、地域や学校の実情に応じて教材として取り上げられるよう、市町村教育委員会や学校に働きかけてまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) るる答弁いただきまして、前向きな内容も、もうちょっとというところもあったように思います。 まず、最後の答弁なのですけど、教育です。みやぎの先人集、私は思い入れがあって、県議会の初陣のときに訴えた内容なのです。お伝えした内容を全く踏まえていないのだなということが分かって非常に残念だなと感じています。第三集、平成期以後で今検討していると。ただ活躍中の人もいるので云々ということでしたけれども、私はそういうことは聞いていないのであって、構造的に推薦すらされてこない、採録されていないばかりか、これまで推薦さえされていないある特殊な系譜があるのではないかと。要するに、国家に尽くしてきた方々です。そういう系譜がすっぽり欠落していると。こういう構造的な欠落について、やはり人間観の形成に影響があるのではないかと言っているわけです。先ほど同僚議員の質問でも出てきた三浦襄です。異民族の独立のために一つしかない命を捧げた人です。先ほど知事は不思議なことに、元自衛官で元幹部であるにもかかわらず、どういうわけか「インドネシアは親日的なのです」などと言っているわけですけど、それは当然です。知事は御存じだと思いますけれども。残留日本兵の方々は、あと一年余り待って英軍のキャンプでぶらぶらしていれば、本国に復員できたわけです。それを自らなげうって大東亜戦争の第二目的、植民地の開放に殉じようとして現地で脱柵までして、そして異民族のための独立、血をもってあがなってあげたわけです。それは、最大限の敬意があったわけで、天皇陛下がインドネシアに行かれた際にも、カリバタ英雄墓地に行かれました。そういうことをしっかり背景にあるのです。本県としても、そうした意味で重要な先人を輩出している。それがために宮城県を特別な目で見ておられる方が今なお、おられるということをもっと意識しないといけないと思います。また、残念ながらそうなっていない。その遠因は、やはり今申したように、先人集の構成が極めて偏っているから。構造的にある種の欠陥を抱えているから。ここはやっぱり是正すべきなのではないですか。教育長と知事に伺います。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 現在、第三集の先人集については、様々情報収集しながら検討しているところでございまして、第一集、第二集と同じやり方でいいのかとかも含めて、幅広に検討しているところでございますので、引き続き、研究してまいりたいというふうに考えております。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは教育分野に関わることですので、私がああしろこうしろということを申し上げることは控えたいというふうに思いますけれども、確かに、そういった世界の発展のために貢献した宮城県人がいるということに対しては、我々も大変誇りに思うことでありますので、そういった人がきちんとしっかりと後世の人に伝わるように残していくということは、非常に重要な御指摘だというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) やっぱり口だけではなくて、しっかり具体の検証・形にしていただきたいのです。私は三浦襄先生の娘さんにもお会いして、今まだ青葉区に御存命です。そういった近い昔の先人のことをしっかり受け取らなくてはいけないと思うのです。バリ島に行くと、一番大きなお墓は当時のスルタンのお墓、その隣に三浦襄のお墓があるのです。今も現地人による花は絶たないわけです。こういうことがあるからこそ我々はあちらで安心して商売ができて、そして日本人は尊敬されているということにもっと目を向けるべきではないでしょうか。そうしたことを教育においてもしっかりやっていただきたいと思います。 あと、いろいろと前向きなお話がありましたけれども、やはり教育なのですが、特別教室について、課題と認識してエアコンの整備・検討したいということで、これはぜひともお願いしたいのです。一番使用頻度の高い普通教室から百%整備した。これはあるべき方向としても、やっぱり実業高校は実習室をかなりの頻度で使うと。控え目に見ても四分の一ぐらいそこで過ごしているわけです。かつ夏も何も関係なくやっていたりするわけです。甚だしい場合は、あまりにも暑いので、関係ない授業をコンピューター室に避難してやっているとか、これは、現場の人を責めてはいけません。これは責める立場に立たないです。そういうふうな便宜的な使用をしながら、暑さをこらえてやっているのです。もう汗かいて汗かいて。彼らは、宮城の産業を興してくれる本当に貴重な人材なのですから、特別教室についてももっと前倒しでエアコンを実装していただきたいと考えますが、どのようにお考えですか。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 私もこの夏の厳しい暑さにより大変な思いをして授業を行った学校の話については、聞いているところでございます。特別教室については学校によって利用の形態・頻度が異なっておりますので、現在改めて学校にその状況を調査しているところでございます。その結果も踏まえまして、優先度の高い特別教室について、整備を進めていきたいというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) 教育は未来に対する最大の投資でありますので、もっとしっかりとやっていただきたいと思います。 さて、今日は割とスパイシーな発言もいたしましたけれども、これはやっぱり知事に申し上げなければいけないのは、四病院再編統合です。最近は「五病院だ」と私は街頭で怒られましたけれども、三病院がいつの間にか五病院になったり、とにかくこれでは不定見と言われてもしょうがないのではないでしょうか。我々も正直、どうにか合理的なレールにしっかり載せていきたいと現場で努力しています。だって与党だから。しかし、やっぱり根本的に専門家の意見を無視していると受け取られかねない発言をしたりということがあると我々はサポートし切れません。県民の安心・安全の医療を付託しているわけですから、二元代表制の一方を担っているわけですから、おかしいものはおかしいとやっぱり言わなければいけないのです。知事、そもそもなんですけど、いろいろ突っ込みどころがあるのですが、新病院を名取につくるとおっしゃいますけれども、所要の医師数は八人ということです。これは専門家から異口同音に出ているのですけれども、一人確保するのにも四苦八苦していると。八人なんてどうやってどこから連れてくるのですかということなのですが、これはどうお考えですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今度の病院というのは当然、富谷に病院ができる時期、そして、名取のほうにがんセンターと日赤が一つでできるタイミング、それとほぼ同じような時期にできるということでありますので、今日明日の話ではなくて、五年六年七年先の話でございますので、その間に、お医者さんが一人も見つけられないということは、私はないのではないかなというふうに思います。その件については、当然公募の中に病床数まで書き込んでありますので、手を挙げる病院があれば、そこは検討された上で手を挙げてくださるというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) ちなみに、看護師さんは五十六名必要だということで、もう慢性的な医療人材の不足は、本県も悩まされています。ちょっとこれは、どう考えても手当てが難しいのではないのかと精神医療に関する専門家の一致した意見だということは、ここであえて再確認しております。それで、まだまだ言わなければいけないところがあるのですけれども、専門家からもいろいろ言われていまして、まず、これまでの経緯を確認しますけれども、富谷市に完全移転するとなってから、でもそれではまずいということで議会で批判を受けて、あるいは審議会でも批判を受けて、名取市に外来機能を残しますとおっしゃいました。次いで、名取市に入院機能を残しますとおっしゃいました。今度は名取市に民間精神科病院を新設するということです。これはまるで富谷市に出ていく県立精神医療センターの機能を追いかけて、全部残します残します残しますということです。いっそのこと、やっぱり名取に残すというのは、普通に考えて筋なのではないですか。これについて改めてどうですか。誰がどう考えてもそうだという反応になってきていますよ。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 昨日開かれた審議会におきましても、名取市へ残す案といった複数の考え方のものが提示されました。また、渡辺勝幸議員からの御質問の中で私が答弁した部分もございましたが、私どもの考えでは、名取市内に、今挙げられている幾つかの御指摘いただいている土地についてはいろいろ検討いたしましたけれども、適地としては考えられないといった見解を持っております。したがって現状の中で、これは五月以降提示をしてきた様々な条件を見比べた上で、スケジュール的にも、そして在り方検討会で示された身体合併症の対応をはじめとする様々な要件に見合う土地というのは、今のところ富谷の土地しかないといったことで、そちらに移ることを前提に考えていきたいといったことを主体に、様々なそこから生じる影響等についての方策を考えさせていただいたということでございます。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) そもそもですけれども、富谷に移転するということの大前提として、身体合併症への対応ということが提起されています。身体合併症専門家によると、現状でも仙台市立病院でも対応しているし、民間の現状のシステムも十分対応しているところもあるにもかかわらず、富谷にわざわざ出ていって、これを対応しなければならないと。ほとんどの理由はこれだと言わんばかりなのですけれども、身体合併症にかかるそのインパクトはどのぐらいなのですか。どのぐらいの精神医療にかかる患者さんを想定されておられるのですか。実数について伺います。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 想定される患者数でありますとか、どういった程度・症状の患者さんを具体的に受入れていくかといったことにつきましては、まさに、現在労災病院さん側のほうと実務的な詰めを行い、こういった形で受入れをしていこうといったことに形づくっていけたらなという思いでございますので、現状は今、検討途上であるといったことでございますが、仙台市立病院との連携等については現状、今の名取のほうでも試みているところはもちろんあるということですが、現院長のほうからも、なかなかやっぱり現実問題としてうまくいかなくて、在り方検討会の中で示されたように、やはり隣のほうにそういった総合的に連携・協力できる病院があるべきだということに立ち返って、今、こういった検討を進めているといった経緯がございます。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) 富谷への移転の最大の理由であるというように、極めて重要な論点であると言われている身体合併症。これについて実数も踏まえずに、前に進めようというのですか。何の理由もないではないですか。富谷でなくていいではないですか。現に審議会でこういう意見が出ていました。移転する必要はないのではないかと。東北労災病院に精神科をつくって、そこで身体合併症を診るというふうな機能を備えればそれで足りると。そして、精神医療センターは、名取に存置する、建て直す。そうすれば、これまで営々と培ってきた有形無形の周辺の福祉的なサービスであるとか、いろいろなサービスを存置できる。連携もそのまま温存できる。そして名取と富谷で役割を分担したらいいではないかという案も出ています。普通に考えたらそのほうが合理的なのではないですか。どうですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 全くその話は、時計の針を元に戻すような話だと思います。そもそも、総合病院と一つにするような方向でやるべきであるということを専門家の先生方から提言をいただき、そして考えたと。そして場所はどうするのだと。名取市内にないだろうかと探して、総合病院として一つになれるような土地が当然なかった。そう言っているときに富谷から広い土地を提供できますという非常にいい条件が出てきたと。しかももう既に造成が終わっていますから、今すぐにでも設計図さえあれば工事着手できるような状況であるということ。それから、この病院は精神科の問題だけではなくて、仙台医療圏全体のバランスをどう取るのかというところも大きな出発点となって議論してきたわけです。黒川郡の救急搬送時間がどうしても非常に長くなってしまっている。それを少しでも早く総合病院に救急搬送できるような病院を黒川郡につくることによって、黒川地域の皆さんの救える命が救える、重い障害だった人が軽い障害で済むといったようなことになるということで、富谷に総合病院をつくるということは、これから黒川郡は人口が増えますので、そういったようなことから、総合病院を黒川につくるといったようなことも含めて考えたということです。精神科の病院だけを考えて富谷に持っていくわけではなくて、総合的に仙台医療圏のことを考えて、富谷に、そして名取に総合病院を持っていく。また、仙台市内の救急病院の数が非常に多いというようなことからも、これから人口が減っていく中で、仙台市内にそれだけの急性期の病院が集積しているといずれは、仙台市内の急性期の病院で競争原理の中で、だんだんなくなってしまう可能性もあるから、仙台医療圏全体のことを考えてやっているということです。今のわたなべ議員の言い方は、まさに精神科の中の問題だけでおっしゃっています。もちろん、その問題はあろうかと思いますし、精神科の問題で考えればそうかもしれませんけれども、仙台医療圏全体のことを考えたならば、私はそうすべきだというふうに思います。また、わたなべ議員は、そもそも、絶対に民間病院が手を挙げるはずがないということで言っておりますけど、それはやってみないと分からないわけで、私からすると、手が挙がってきたときにはどうされるのですかという話です。だから、手が挙がる可能性がゼロだとおっしゃっているわけですけど、私はゼロでないと思っているということです。 ◎知事(村井嘉浩君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) 驚くべき発言が多々ありましたけれども、私は精神医療の部分間だけを見ているものではありませんで、全体最適から見てこれは取り得ないものではないかと。全く事実がないのではないかと言っております。いろいろ言わなければならないのですけれども、まず、私は、知事が言っていることと本質に私が言っていることは、別に折り合える、本質的には整合すると思っているのです。精神医療センターを富谷に持っていくだけの合理的な事由がないと言っているのです。また比較考慮した場合、それは成り立たないと思うのです。東北労災病院に精神科を設けて、そこで身体合併症に対応すればそれで足りるのです。そのひとつの身体合併症の機能だけ。まさに先ほどおっしゃったように患者数さえも算定できないような現状であって、そこに精神医療センターの移転が引っ張られていく必要はないのです。精神医療センターを名取に存置したほうが、これまで四十年間かけてきた有形無形の価値もそのまま存置できるし、また、一般病院との連携が必要であれば、まさに今、名取市内に他の二病院の移転が取り沙汰されているではないですか。それは、そことの連携を考えればいいのです。だから、精神医療センターにこれほどのハレーションが起きているということをしっかり受け止めるのであれば、次善の策についても具体に考えるべきです。どうして精神医療センターを北に持っていって、それの後を追うように抜けがらのような機能をどんどん名取に集積して、それが民間病院案になっているわけですが、そのようなものは、下策というのです。やっぱり取るべきではありません。それは普通に考えて、素直に考えたらそうなると思いますけど、どうですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 素直に考えたら、私の案のほうが正しいというふう思います。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) 知事は、宮城県美術館のときもそうだったのですけれども、宮城県美術館のときはこう言っていましたよ、あと十年もすればコンクリートもガタガタになるので壊れると。要するに、学問的に全くエビデンスのないことを根拠に、強弁するということなのです。私は、これはまずいと思います。知事は公職なのですから。だいたいにして、私の公約だからということをしきりにおっしゃいますけれども、公約をつくられた時点で、精神医療関係者に一言でも諮ったのですか。当事者にそれを諮ったのですか。それをもとにした公約だったのですか、伺います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 精神保健福祉審議会といったような場には諮っていませんけれども、当然、精神医療センターの院長であります角藤先生をはじめ、何人かの関係者の方には相談をさせていただいております。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) 全く質問の意味を捉えてないのです。精神障害者の方に問うたかと言っておりまして、条約でもそうですし、障害者権利条約のことについてはもう触れておりますし、障害者基本法十条二項においても、施策の際には、障害者の意見をしっかり参酌しそれを施策に反映しなければならないと言っているのですが、知事の公約をつくったときにはこうしたプロセスを全く欠いています。つまり、公約をつくる過程に瑕疵があるのです。公約をつくる過程に根本的な瑕疵が、法に違背があるのです。それを墨守するということ自体は、違法な状態をむしろ維持しようとしていることであって、むしろこの場合は論理的に見れば、こうした公約は一旦取り下げる。そして虚心にあるべきことを考えるべき、それが論理的に考えた結論ではありませんか。違いますか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 驚きました。政治家であるわたなべ拓議員が、政治家が自分の責任で公約を掲げるときに制約を設けるようなことをおっしゃるなど信じられないです。政治家は、公約を掲げるのは自分の考え・信念を持って言うべきであって、それを、何々しなければならないというようなことを言うべきではないと私は思います。わたなべ議員が何を言おうと、それは政治家ですから、ご自由に発言なさればいいと思いますし、知事選挙に出馬されるもう一人の方は、白紙撤回とおっしゃいました。それはそれで一つの選択肢として、私はあるだろうというふうに思いました。それを選ぶのは県民です。これは、私は、県民が最終的にそれを判断すべきことだというふうに思っています。全てに聞いたわけでは当然ないですけれども、私の知り合いにも、精神医療センターに関わっている方、患者さんという方もおられまして、そういった方には、こういったようなことを考えているのだけれどもというようなことは、当然、お話ししました。非常に心配であるという声もあれば、逆に、ぜひやってほしいという声もあったのは事実です。まるで全ての方が反対しているかのような捉え方をされていますけれども、決してそうではなくて、今回の富谷移転を楽しみにしている方も必ずいるわけです。そういった声を、全体の声を聞きながら判断していくということが非常に大切だと思います。ぜひ、一方的に反対なさっている方の声だけではなくて、わたなべ議員は非常に行動的ですので、いろんな方に、逆に賛成だという方の声も拾うように努力したほうがいいのではないかなというふうに思います。 ○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 ◆十六番(わたなべ拓君) 私は筋を通す政治家でありまして、公約について熱い思いを持っておりますけれども、これは、法や条約に違背しない限り、公理に排しない限りでありますから、そこは重大な前提の違いがあるかなと思います。混同していただきたくないなと考えます。 さて、いろいろお話しなければならないのですが、今回、知事の説明不足ということが当初からずっと一貫して言われております。これは、他のケースを見ますと仙台市立病院移転の場合は、説明会を十回開催しています。兵庫県の三田市と神戸市が基幹病院をつくるということで、首長の直接説明の五回を含む計三十回の住民説明会をしっかりやっております。あと新潟県は、五月に本県の常任委員会でも招聘して、仙台市出身の事業部長にもお話を聞きました。この際に、新潟県県央基幹病院、燕労災病院と三条総合病院をつくるということを発起したのは、平成二十一年。それから毎年、年々再々やっています。直近に関しては、途方もないです。コロナ期間中でさえ、しっかりオンラインで説明しているのです。視聴数が二千五百回。住民説明会も、昨年九月に集中的に五回やっています。こうした当たり前の姿勢をしっかり示していただきたいと思います。圧倒的にコミュニケーション不足だと思いますが、移転する病院の住民に対して、しっかり説明の機会を設けていただけますか。どうですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 何度も申し上げていますけれども、がんセンターと精神医療センターについては、県立ですからやはり我々、どのようにするかということ、患者さんの情報も持ち合わせておりますので、説明する責任があるというふうに思っています。ただまだ基本合意に至っていないということですから、県立病院をどこかに移すだけの問題ではなくて、相手方があって、どのようにするかということはまだ方針が確実に決まっているわけでありませんので、それが決まりましたならば、当然、がんセンターや精神医療センターの関係者の方には、職員も含めて、しっかり説明する場を設けていかなければならないと思っています。また労災病院と日赤病院についても、労災病院・日赤病院から協力要請があれば、これは我々きちんと責任を持って協力して説明することを一緒にやっていきたいなというふうに思っております。 ◆十六番(わたなべ拓君) 終わります。 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩-----------------------------------    午後一時再開 ○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十一番福島かずえ君。    〔十一番 福島かずえ君登壇〕 ◆十一番(福島かずえ君) 日本共産党の福島かずえです。一般質問を行います。 物価高騰とコロナ禍から被災者と県民の命と健康、暮らしを守るために伺います。 県は、二〇一一年から東日本大震災の被災者健康調査を仮設住宅で行い、災害公営住宅に移行しても二〇二〇年度まで継続しました。今年三月には検証報告書も出しています。しかし、仙台市や石巻市などから継続の要望が出ていたにもかかわらず、県は十年間で健康調査を打ち切りました。被災から十二年半が過ぎました。そのうち、四分の一に当たる三年以上の間、被災者はコロナ禍に置かれました。コロナ禍が被災者にどういう影響を与えているのかを、県は健康調査をやめたので、正確に把握できていません。宮城県民主医療機関連合会、宮城民医連は、二〇一五年から被災者の健康調査を毎年継続し、行っています。二〇二二年度の調査結果について、私たち県議には三月に、県の関係部署へは八月下旬に直接報告いただいています。治療の必要な病気を抱えている人は七六・四%、体調が悪くても受診を我慢することが多い人は一四・六%もおり、その理由は、医療費の問題が五八・五%ということです。重度の抑うつ状態が疑われる人が八・八%おり、日本の平均の四・三%を大きく上回っています。コロナ禍が健康状態、経済状態、人付き合いの全てに影響を与え続けていることや、健康に対する不安が大幅に増えていること、災害公営住宅に住む人たちの健康状態に経済的困難が関与していると指摘し、今後、孤独死や自死・自殺が各地域の災害公営住宅で増え続けると、警鐘を鳴らしています。こうしたデータも示されているのですから、県は災害公営住宅の健康調査を再開し、アウトリーチ、訪問対話型での相談機能を強化することを求めます。お答えください。 宮城民医連は、被災以外で入居した人の調査も行い、重度の抑うつ状態が疑われる人は、被災者よりも多い九・五%いることを報告しています。被災以外で公営住宅に入居する人は、政令月収十五万八千円以下が原則で、所得の少ないことが要件です。コロナ禍に加えての物価高騰は、こうした低所得の人たちに大きな打撃を与えています。不要の外出を避け、エアコン使用が推奨される中で、各家庭の電気料金の負担が増大しています。県独自で、県民を対象とした電気代支援制度を創設すべきです。いかがですか。 生活保護を新たに受給する世帯には、エアコン設置費用が認められるようになりました。しかし、その上限額が低いので自己負担が伴うことや、既に受給している世帯は対象にならないこと、エアコンの電気代は自己負担になっているため、生活保護世帯のエアコン利用は進んでいません。猛暑から命を守るために、生活保護世帯でもエアコン利用ができるよう、県が市町村に補助する独自の制度をつくることを求めます。いかがですか、伺います。 宮城民医連の調査では、災害公営住宅の家賃の支払いが苦しい人は四二・四%もいました。災害公営住宅の家賃減免制度の継続と、収入超過になっても家族が離れて暮らさなくてもいいように、岩手県や女川町のような所得要件の緩和などの対応を市町に強く県が働きかけることを求めますが、お答えください。 四病院再編移転問題について伺います。 県立精神医療センターの富谷移転について、当事者である利用者、患者さん、職員などの関係者、精神保健福祉審議会、そして、精神医療保健福祉関係団体七十八機関・団体がこぞって反対しているのですから、公約だからといって固執するのはやめて断念し、名取市内での新築を急いで進めるべきです。土地は、がんセンター西側や、今回提案している高等看護学校の跡地、現在地など、候補地が複数あります。当事者や関係者の声を聞きながら、名取市内での建設を決断すべきです。いかがですか。 その上で、今ある県立精神医療センターの抜本的な改修・修繕を行うことを求めます。さきの精神保健福祉審議会でも、雨漏りや天井板の石膏ボードが一メートルぐらい落下する事故があり、警備員がけがをしたという話がありました。四年間で約七億円の修繕を行っているとのことですが、それでも雨漏りや天井が落下するのですから、不十分な状況です。名取市内への建て替えを急ぐ一方で、緊急に予算を計上し老朽化した今の建物の抜本的な改修・修繕を行うべきです。利用者・職員の安全と命を守るためにぜひ必要です。いかがですか、伺います。 子どもの健やかな成長とゆきとどいた学びの保障について伺います。 昨年一年間で自死・自殺をした小中高生が五百十二人と過去最悪となりました。コロナ禍前から若い世代の死因のトップが自死・自殺で、未成年の自殺率は最悪を更新し続けています。「子どもの死にたいという思いや、親との関係などを安心して話せる社会にしていくためには、もっと多様性を持ったゆとりのある大人社会をつくっていかないと、子どもの自死・自殺は防げない」と文科省が設置した、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議の委員である国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦さんは指摘しています。 今、全国の学校で教員定数を充足できない、教員不足が常態化しています。宮城県でも小学校の教員は十七名、中学校は十名不足し、未配置、いわゆる穴が空いている状態が続いています。子供が発したSOSに気づき、受け止めて、子供の話を聞き、子供との関係性を教員がつくるためには、もっと教員を増やすことが求められています。しかし、教員の多忙化、長時間過密労働が顕在化するにつれて、教員志望者が減り、過重負担で現場を離脱する若者や高齢層は増えており、ますます教員不足は深刻になっています。教員不足、未配置の解消は急務であり、国を挙げて行うべき課題です。全国知事会として、学級定数を少人数化し、教員を大幅に増やし、教員の負担を減らす抜本的解決策を講ずるよう国に強く求めるべきです。知事会会長として、全力を挙げて取り組むことを知事に求めますが、いかがですか。 東北の中で、少人数学級の取組が遅れている宮城県が、他県並みに取り組んでこそ、知事の国への教員定数増の取組も説得力を増します。宮城県も少人数学級にもっと本腰を入れて取り組むべきです。いかがですか。 佐藤教育長は、八月に行った教員組合との交渉で「未配置解消は喫緊の課題であると認識を深めた。やれることは全てやりたい。引き続き施策を打っていきたい」と話したそうです。まず、教員のプール制や、任期付き採用、講師が採用試験を職専免で受験できるようにすること、臨時的任用教員の給与を正規と同様の二級に格付し、賃金アップを図ることは、教員未配置解消の第一歩です。それぞれについて、実施の決意を伺います。 今年の夏は、本当に暑い夏でした。県立学校の普通教室に全てエアコンが設置済みで、本当によかったです。しかし、特別教室の多くや体育館は、いまだエアコンなしです。先日、調査に伺った県立高校で、エアコンのある普通教室とない特別教室の違いを実感してきました。エアコンがなければ、授業に集中できないと実感しました。ぜひ、体育館や特別教室にもエアコン、冷房を計画的に整備することを求めますが、いかがですか。 全国で給食調理業務を展開しているホーユーが、広島県内の公立高校七校の寮の給食提供を九月初旬に停止。このほかにも、京都府、岡山県の公立高校や大阪府の特別支援学校、島根県、徳島県の警察学校などで食事の提供が滞る事態になっていると報道されています。宮城県内の特別支援学校等でこうした事態に追い込まれる懸念、可能性はないのか、緊急に調査すべきです。いかがですか。 宮城県では、県立高校六十九校のうち二十七校に食堂がなく、売店もない学校も二〇二一年度、十三校あります。少子化を背景に、高校の食堂や売店の経営環境は厳しさを増し、コロナ禍が追い打ちをかけ、撤退が相次いでいます。松島高校には、二〇二二年三月まで近隣の業者が請け負っていた食堂がありましたが、コロナ禍で営業日が減り、採算がとれず撤退しました。売店でのおにぎりやパンの販売でしのいでいる状況が報道され、今年の夏休み前には、お弁当等の販売業者が新たに決まりました。その業者は、数年前に食堂がなくなり、今年三月には売店の業者が撤退して困っていた多賀城高校でも販売を始めたそうです。様々な理由により、高校生の昼食確保も困難に直面しています。食べ盛りの高校生の昼食確保に、県教委としてもっと関りを持ち、支援すべきです。現場任せにしない対応を求めますが、いかがですか。 子供の生きる力を育む上で、読書は欠かせません。国は、第六次学校図書館図書整備等五か年計画で、学校図書館図書標準の達成、主権者として必要な資質・能力のため学校図書館への新聞の複数紙配備、専門的な知識・技能を持った学校司書の更なる配備・拡充を三本柱に据えて、二〇二二年から五年間で総額二千四百億円の財源を措置しました。しかし、一般財源なので、県や市町村、それぞれの教育委員会、学校が一体となって学校図書館の充実を目指して、計画的に整備することが重要です。特に、市町村での格差が生じないような、県教委のイニシアチブと支援を求めます。お考えを伺います。 宮城県で学校図書館図書標準を達成している小学校は七六・五%、中学校は六二・六%、特別支援学校小学部は三八・九%、中学部は一六・七%です。読書バリアフリー法も二〇一九年に制定されました。小中学校の一〇〇%達成とともに、遅れている特別支援学校の学校図書館の充実にも力を注ぐことを求めます。いかがですか、伺います。 正しい情報に触れる環境整備の観点から国は、図書標準達成だけでなく、新たな図書の整備、古くなった本の廃棄・更新を促進しています。そのためには学校司書の存在が欠かせません。学校司書は、正規・専門・専任の三つが大切です。しかし県内の市町村ごとに、学校司書の配置の在り方はバラバラです。名取市のように正規、専門、専任での配置のところもあれば、非正規で専門性を問わないで配置する自治体もあります。県立高校では、一九七〇年から県費労務職での任用が始まり、一九七四年に行政職、一九九三年には職名が学校司書に改正され、正規・専門で配置されてきました。二〇〇四年、二〇〇六年の二度も県議会において全会一致で県に、学校図書館司書の独自採用、専任化を求める請願が採択されました。しかし、現在に至っても実現せず、学校事務職での採用となっています。まず、県自身が独自の学校司書採用試験を実施し、県立高校での事務室支援をなくし、学校司書を専任にすること、中高一貫校や塩釜高校など、複数キャンパスを有する学校には、正規の学校司書を二名配置すること、夜間定時制高校や特別支援学校にも学校司書を配置することを求めます。いかがですか、伺います。 県営住宅の廃止撤回と建て替え、維持管理の充実を求めて伺います。 去る九日、住みよい県営住宅をつくる県民の会が県営住宅入居者の皆さん中心に発足しました。私も、設立の集いに参加しました。県が打ち出した、古くなった県営住宅は建て替えないで、順次、廃止するという方針に反対し、住みよい県営住宅をつくることが目的です。廃止方針を撤回させ、建て替え計画と設備や維持管理の充実を求める署名等に取り組んでいくそうです。住民・入居者を当事者、主人公にして、住民福祉の向上を目指して仕事を進めるのが、自治体やその職員の仕事です。ところが、県が行っているのは、それとは真逆のことです。七月に行われた非公開での説明会でも、「方針を決める前に入居者、住民に説明会を開くべきだったのではないか、順番が逆、決めてから押しつけるのはやめてほしい」「廃止の経緯を知りたい」等の意見や質問がたくさん出て、説明ができなかったところもあったそうです。説明会を密室で行うのはやめて、公開でマスコミや県議も傍聴に来るような環境で、再び行ってほしいという要望も出されたそうですが、県は二回目の説明会を開くこともせずに、移転希望先を聞くアンケートを送付しています。「県は、丁寧な対応をすると随所に書いているが、とんでもない。入居者の状況はみじんも考えておらず、まるで私たちを物のように扱っていて許せない」という怒りの声が私のもとに届いています。十分な説明を行わないで、当事者の要望も聞かず、移転を迫るやり方はやめるべきです。公営住宅法や憲法に基づき、県は住まいを低額所得の方々に保障する責務があります。公営住宅法第一条にも明確に「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」とあります。宮城県が打ち出した廃止方針とこのような進め方は、この目的に反しているのではないですか、伺います。 国の住生活基本計画でも宮城県の計画でも、「住宅セーフティーネットの中心的役割を担うのは公営住宅」と書き込まれています。公営住宅全体に占める県営住宅の比率は、宮城県の場合、僅か二〇%にすぎず、市町村営住宅が八〇%です。岩手県も福島県も県営住宅は三〇%の割合で、全国平均では、都道府県営住宅は四〇%を超えており、宮城県は著しく低い割合です。県営住宅は建て替えないと言って、県営住宅から撤退し、市町村営住宅ばかりを当てにするような方針は撤回すべきです。いかがですか、伺います。 このような県の、公営住宅の県と市町村の役割分担の考えについて、仙台市からは、以前から意見が出され、協議を求められているにもかかわらず、その協議は進んでいない現状です。二〇二〇年度の宮城県の公営住宅の応募倍率は三・一倍となっており、岩手県の〇・七倍、福島県の〇・八倍と比べても高く、宮城県の公営住宅の需要はあります。公営住宅法第三十五条では、「地方公共団体は、公営住宅建替事業を施行するように努めなければならない」とあり、公営住宅は基本的に建て替えるのが原則と受け止めるべきです。老朽化した県営住宅を順次廃止する方針は撤回し、建て替え計画をつくるべきです。いかがですか、伺います。 県営住宅の浴室に浴槽やバランス釜等の給湯設備を一年間で百戸ずつ整備する県の計画では、全ての県営住宅に整備するのに、六十年以上かかってしまいます。今年度の予算ベースで県営住宅の家賃収入は十九億二千五百万円です。一方、県営住宅の管理費は、十二億三千五百万円の支出と見込んでいます。家賃収入は、県営住宅の維持管理や設備の修繕・更新に充てるべきです。今年度で言えば、家賃収入から管理費を引いた残り七億円の半分、三億五千万円を浴槽や給湯設備の設置費用に充てれば、年間九百戸から千戸の整備ができます。六年か七年で全戸にお風呂を完備することができます。思い切った整備計画をつくるべきですが、いかがですか、伺います。 こうした家賃収入の使い道についての提言は、六月の建設企業委員会でも行いました。そこでは、「自動火災報知機設備改修、高架水槽取替えなどの補修費、加えて外壁改修や屋上防水工事などの工事費もあり、三千百万円しか余らない。その他に、住宅課の人件費も入れれば、収入よりも支出のほうが多い」という驚きの答弁がありました。県営住宅は、公営企業会計でなく一般会計です。それを住宅課職員の人件費まで、県営住宅の家賃収入から充てるべきだという主張です。国と県が責任を持って住まいを保障している県営住宅に、税金の投入は当然です。人件費を含めると、支出分が多くなるという考えは撤回し、設備や維持管理にもっと予算を計上して、快適な住まいを提供すべきです。公営住宅法に基づく公営住宅等整備基準第三条は、良好な居住環境の確保を定めており、「安全、衛生、美観等を考慮し、かつ、入居者等にとって便利で快適なものとなるよう整備しなければならない」とあります。いかがですか、伺います。 格差と貧困が広がり、物価・エネルギー高騰の中、家賃が低廉な県営住宅を求める人は多くいます。また、課題解決のために目的外使用も増えています。埼玉県では、ケアリーバー、児童養護施設退所者の住まいとして二〇二〇年度から活用が始まり、札幌市では、高齢化が進む市営住宅の自治会等の地域コミュニティーを活性化することを目的に、自治会活動、除雪、清掃活動、イベントの手伝い等に積極的に参加することを条件に、学生に対して、市営住宅の空き住宅を低廉な家賃で提供する事業を二〇一八年度から行っています。宮城県も、空き室を放置するのではなく、知恵と工夫で利活用を進めるべきです。いかがですか。 問題の多い水道コンセッション方式民営化から再公営化へ、伺います。 昨年四月から、県の上工下水道事業のコンセッション民営化が始まりました。全国で初めての大がかりな水道事業コンセッション民営化について、県民への丁寧な説明も、県民の十分な理解もないままに今日に至っています。二十年間で三百三十七億円のコストを削減すると言ってコンセッション民営化を導入しました。修繕費は百一億円増えるものの、更新投資を三百四十八億円、人件費百六十七億円削減するという説明でした。人件費は三割もカットになり、これまで指定管理で働いていた人の多くは職場を去り、その蓄積された現場の知見や技術はなくなりました。施設更新の根拠となる健全度調査結果は、県民へも県議会にも非公開です。事業の運営状況を評価・分析するために、経営審査委員会が設置されましたが、そこに提出される資料は限定的で、毎回のように一部が非公開となっています。今議会には、来年度、二〇二四年度からの広域水道の供給料金単価と流域下水道の維持管理負担金の改定案が議案となっています。宮城県の広域用水事業料金は全国トップレベルの高い水となっています。本来であれば、初期投資の減価償却、過大なダムや管路建設の借金返済が進んでいる今、市町村にとって重い負担となっている基本水量や責任水量の本格的な見直しを行い、供給単価の引下げの議論を議会でも活発に行うべきときです。私は、一年以上前から随時開かれていた企業局と関係市町村の担当者会議に提出された料金改定の資料を求めてきましたが、市町村の合意がないので公開できないと拒否されてきました。県と関係市町村の覚書が締結される八月中旬まで、ほとんどの情報が非公開であり、詳細な資料が出そろったのは、九月八日でした。大事な料金改定について、県議会にも県民にも情報を非公開で進め、首長と自治体職員だけで議論を進め、供給料金等の覚書を結んだ後にようやく、議会にも資料を出すというやり方は、議会の調査権をないがしろにしているものと言わざるを得ません。単価改定の妥当性の検証は、議会も県民も参加して行えるように、情報公開の抜本的改善を求めますが、いかがですか、お尋ねします。 メタウォーターグループの事業提案書に記述されていた鳴瀬川と吉田川流域下水道での汚泥含水率の目標値について、県企業局は取り違えを認めないまま、今年四月には、鳴瀬川での汚泥含水率の管理目標値を達成できず、吉田川では超過達成するという結果になり、二年目の計画ではそれぞれの管理目標値を入れ替えました。性能発注だから削減額を守れば、その維持管理の中身は問わないとする県の姿勢の表れです。県企業局や運営権者の技術力とチェック能力を疑わざるを得ません。昨年十二月には仙南・仙塩広域水道で、今年四月には大崎広域水道で水質悪化事故が発生しました。いずれも、ヒューマンエラーといえるものです。心配していたことが現実となりました。今後の事故を防ぐために、運営権者に任せきりにならずに、県が全体のマネジメントに責任を持つことを強く求めますが、いかがですか、伺います。 みずむすびマネジメントみやぎ、MMMの株主である日立製作所が、これから二、三年かけて、コンセッション部分の中央監視装置の全てを更新していくことに対して、東芝が反発し、今後一切の部品納入や故障について拒否していると伺いました。東芝はこれまで、仙塩浄化センターの中央監視設備や監視制御など六か所で十数種類の設備を納入してきました。いわゆるベンダーロックインが生じていると運営権者のMMMから報告されています。企業局はこの事態をどう解決しようとしているのか、伺います。 コンセッション期間が満了する二十年後には、日立製作所が今回の東芝のような対応を行うのではないかと懸念しています。他社システムへの移行ができず、競争性も働かず、結局、高額な費用の負担を強いられることが予測されます。コンセッション民営化におけるベンダーロックイン問題、情報システムなどの中核部分に特定の企業の製品やサービスなどを組み込んだ構成にすることで、他社製品への切替えが困難になることをどう認識し、対処しようとしているのか、お答えください。 水は命の源であり、水道事業は公衆衛生上、重要な社会的インフラです。二〇一〇年国連総会で水は人権決議が採択されて以降、世界各地で再公営化が進展しています。宮城県でも水の権利者であり、利益を享受すべき住民や議会が関与する新たな公共による再公営化を目指すことが求められています。今議会には、コンセッション民営化後、初めての決算が出ます。しかし運営権を売却した部分の決算は出てきません。議会のチェックも監査委員の監査もできないことになっています。二元代表制や議会制民主主義と、コンセッション民営化は相入れないものと言えます。知事のお考えを伺って第一問といたします。御清聴、誠にありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 福島かずえ議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、物価高騰とコロナ禍から被災者と県民の命と健康、暮らしを守るためにとの御質問にお答えいたします。 初めに、県立精神医療センターの名取市内での建設を決断すべきとのお尋ねにお答えいたします。 県立精神医療センターは老朽化が著しく、建て替えが喫緊の課題であることから、令和元年度のあり方検討会議で示された条件も踏まえて、これまで相当の時間をかけて移転先の検討を重ねてまいりました。その結果、県立がんセンター西側山林や現在地建て替えを含め、名取市内では条件に見合う土地が見つからず、建て替えの実現に至っていない状況にあります。一方、現在検討を進めている富谷市明石台地区については、土地区画整理事業地内であり、十分な面積が確保でき、早期建て替えが可能であるとともに、東北労災病院との合築により、精神医療センターの身体合併症への対応能力の向上が図られることが大きなメリットだと考えております。県としては、患者や家族、関係者の方々に丁寧に説明を行うとともに、移転の影響が大きい県南部の精神科医療提供体制の確保等に取り組み、富谷市への移転を進めてまいりたいと考えております。 次に、県立精神医療センターの抜本的な改修・修繕を行うべきとの御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターでは、令和二年度から三年度にかけて大規模修繕工事を実施するとともに、建築基準法に基づく定期調査等を行い、利用者・職員の安全確保に努めております。また、中期計画に基づき、医療機器や施設の整備を行っているほか、雨漏りなどの急を要する修繕につきましては、業者と委託契約を締結し、随時対応しておりますが、建物の老朽化が進み、抜本的に対応するためには建て替えが必要な状況となっております。県としては、県立病院機構と協議の上、計画に沿った資金貸付けを行い、適切な施設・設備の整備を行うとともに、早期建て替えの実現に向けて、取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、子どもの健やかな成長とゆきとどいた学びの保障についての御質問のうち、学級定数を少人数化し、教員の負担を減らす抜本的解決策を講じるよう、全国知事会会長として取り組むべきとのお尋ねにお答えいたします。 教育現場は、いじめ等の問題行動への対応、不登校児童生徒への支援、特別な支援が必要な児童生徒の増加など、様々な課題が複雑化かつ困難化していることは承知しております。義務教育の教職員定数については、全国どこに住んでいても同じ教育が受けられるよう、国の責任において定められるべきものと認識しております。これまでも、全国知事会を通じて、教職員定数の更なる改善等について要望しているところであり、全国知事会会長としても実現に向けて努力してまいります。 次に、大綱三点目、県営住宅の廃止撤回と建て替え、維持管理の充実をとの御質問にお答えいたします。 初めに、県営住宅の建て替え計画をつくるべきとのお尋ねにお答えをいたします。 人口減少・少子高齢化の進行に伴い、住宅ストックの余剰が増えていくことに加え、我が県では、災害公営住宅が整備され、新しい公営住宅の整備を積極的に進める状況ではなくなってきております。また、耐用年限を迎える県営住宅の老朽化の進行や耐震性の低下など、入居者の安全性の確保が課題となっております。県では、こうした状況を踏まえ、宮城県住生活基本計画等に基づき、県営住宅の新しい建設及び建て替えは行わず、既存ストックの長期的活用を図りながら、耐用年限を迎え、用途廃止が適当とされた住宅については、より居住環境の整った県営住宅への移転を基本として、集約を進めることとしております。県としては、県営住宅の集約に伴う移転支援の方針に基づき、入居者の個別事情に十分配慮し、市町村とも協議を行いながら、円滑な移転に向けて時間をかけて丁寧に進めていくとともに、入居者の方々が安心して暮らせるよう、引き続き、県営住宅の長寿命化対策や居住環境の改善に努めてまいります。 次に、県営住宅の空き室の利活用についての御質問にお答えいたします。 県営住宅については、本来の目的である低所得者向けの住宅供給を基本としながら、昨今の社会情勢の変化を踏まえ、犯罪被害者や離職者等への住宅の提供や災害時の一時避難場所などに活用してきたほか、入居者確保に向けて、単身入居の要件緩和や、風呂釜設置など、居住環境の改善にも努めてまいりました。また、沿岸市町では、災害公営住宅の一部を、見守り支援員の事務所や小規模保育施設などに活用する取組も進んでおります。県としては、各市町村の意向や、地域の実情を踏まえながら、他県の事例も参考に、空き住戸の利活用について、引き続き、検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 公営企業管理者佐藤達也君。    〔公営企業管理者 佐藤達也君登壇〕 ◎公営企業管理者(佐藤達也君) 大綱四点目、問題の多い水道コンセッション方式民営化から再公営化へとの御質問のうち、料金改定の議論における情報公開の改善についてのお尋ねにお答えいたします。 水道用水供給事業の供給料金及び流域下水道事業の維持管理負担金改定については、事業運営に必要な経費を算定し、それに見合った料金水準を定めております。その内容については、昨年度より関係市町村と協議を重ね、常任委員会等においても、その都度、関係市町村の了解を得ながら協議状況等の情報提供に努めてきたところであり、引き続き、丁寧な説明を行ってまいります。 次に、県が運営権者を含め全体のマネジメントに責任を持つことについての御質問にお答えいたします。 汚泥含水率の変更は、運営権者が使用薬品や運転操作方法についてのトライアルを重ね、月例報告会において検討結果の報告を受け、県の意見も踏まえて見直されたものです。また、水質悪化事故においても、県と運営権者において、事故原因の究明と効果的な再発防止策について意見交換を行い、改善計画書の提出を受けるとともに、点検作業への臨場や運営権者の研修に参加するなど、県職員が直接改善状況を確認した上で、事故対応力強化のための危機管理マニュアルの見直しなど、継続的な改善も行ったところです。県としては、引き続き、運営権者との連携を密にしながら事業を運営するとともに、厳格なモニタリングを継続し、安全・安心な水道用水の供給に取り組んでまいります。 次に、既存メーカーが、今後の部品納入等を拒否する事態をどのように解決するのかとの御質問にお答えいたします。 先月二十五日に開催された経営審査委員会において、運営権者から「更新を予定している中央監視装置の一部において、当該納入メーカーの協力が得られない状況があり、突発故障が発生した場合には、施設運転に大きな影響を与える可能性があった」との報告がありました。現時点では、故障影響は軽微にとどまっているものの、今後の施設運転に支障が生じないよう、県としても、運営権者と連携し設備故障時の対応をあらかじめ検討するとともに、装置の改築時期の前倒しや早期の設備更新に努めてまいります。 次に、情報システムなどの切替えについての御質問にお答えいたします。 みやぎ型管理運営方式においては、民間のノウハウを最大限活用することで、既存システムの納入メーカーにとらわれることなく、自由な発想で、効率的なシステムの導入を可能としております。一方で、運営権者の事業終了後においても、システム等が支障なく運営できるよう、運営権者と締結した実施契約書において、システム等の利用の権利や権限を県が有することなどを規定しています。また、データの受渡しが可能な汎用性のあるシステムを構築するとともに、更新後は全てのデータをクラウド上に蓄積し、事業終了時の既存データの受渡しを可能とするなど、データ連携上の工夫も図っているところです。更に、事業終了前に、寿命の短い機器は再度更新し、製造終了が見込まれる部品については、予備品購入等の対応を実施した上で、運営権者から引き受ける予定とするなど、メンテナンス上の工夫も図っていることから、事業終了後も支障なく運用が可能であり、大きな問題は生じないものと考えております。 次に、二元代表制や議会制民主主義とコンセッション事業との関わりについての御質問にお答えいたします。 水道事業は、県民生活と産業基盤を支える極めて重要な社会資本であることから、みやぎ型管理運営方式においては、運営権者の経営状況について、実施契約書及び要求水準書に基づき公開を義務づけるとともに、運営権者の予算や決算の内容について、条例の定めにより第三者機関である経営審査委員会に諮問し、審議されることとなっております。また、運営権者が行う業務の運営状況についても、条例において県議会への報告が義務づけられており、委員会の答申を経て報告することとしております。県としては、引き続き、運営権者と連携して積極的な情報公開に努めるとともに、透明性のある事業運営に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 環境生活部長佐々木均君。    〔環境生活部長 佐々木 均君登壇〕 ◎環境生活部長(佐々木均君) 大綱一点目、物価高騰とコロナ禍から被災者と県民の命と健康、暮らしを守るためにとの御質問のうち、県独自の電気代支援制度の創設についてのお尋ねにお答えいたします。 国では、電気・都市ガス料金の上昇による家庭や企業の急激な負担増加を軽減するため、今年一月から、電気・ガス価格激変緩和対策事業を実施しております。事業期間については、今年九月使用分までとされていましたが、十二月分まで継続することが先月末に決定されたところです。家庭や企業などにおけるエネルギー価格の負担抑制については、居住地や自治体の財政力によって格差が生じないよう、国が責任を持って全国統一的な対応を実施することを全国知事会として要望してきたところです。県としては、国に対し、支援の拡充も含め、必要な対策を講じるよう、今後も全国知事会を通じて強く働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長志賀慎治君。    〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、物価高騰とコロナ禍から被災者と県民の命と健康、暮らしを守るためにとの御質問のうち、健康調査の再開についてのお尋ねにお答えいたします。 災害公営住宅における健康調査については、これまで市町と共同で実施してきたところですが、入居者の健康状態の把握が、その日常生活支援とともに、市町による通常の保健福祉活動に移行している状況を踏まえ、令和二年度で終了しております。県としては、引き続き、市町が実施する被災者に対する見守り・相談支援の取組を支援するとともに、健康課題の把握と情報共有に努めてまいります。 次に、生活保護世帯のエアコン利用に対する補助制度についての御質問にお答えいたします。 生活保護世帯のうち、高齢者等、熱中症予防が特に必要とされる方に対しては、一定の要件の下、エアコンの設置経費を支給できることとされております。また、受給者が事前相談を行った場合には、収入認定から除外される生活福祉資金の貸付けを受けることも可能となっております。県としては、これら制度の周知に努めるとともに、家計管理等の指導助言を行うなど、必要な支援を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、物価高騰とコロナ禍から被災者と県民の命と健康、暮らしを守るためにとの御質問のうち、災害公営住宅の家賃減免制度等についてのお尋ねにお答えいたします。 災害公営住宅の家賃減免や収入超過者の所得要件の緩和については、事業主体である各市町が地域の実情に応じて判断すべきものと考えておりますが、県ではこれまで、市町村連絡調整会議や圏域ごとの会議などを通じて、関係市町の対応状況に関する情報を共有するとともに、個別減免の制度設計などについて助言してきたところです。県としては、被災者が地域で安心して暮らしていけるよう、引き続き、市町の状況を確認しながら支援してまいります。 次に、大綱三点目、県営住宅の廃止撤回と建て替え、維持管理の充実をとの御質問のうち、廃止方針とその進め方についてのお尋ねにお答えいたします。 人口減少・少子高齢化の進行により、住宅ストックの余剰が増えており、我が県では、新しい公営住宅の整備を積極的に進める状況ではなくなっているほか、県営住宅の老朽化の進行や耐震性の低下など、入居者の安全性の確保が課題となっております。こうした状況を踏まえ、県では、県営住宅の入居者や市町村などの御意見を伺った上で、県営住宅の集約に伴う移転支援の方針を策定したものです。県では、この方針に基づき、移転をお願いする六団地を対象に、七月から延べ十八回にわたり入居者説明会を開催し、移転方針の考え方や具体的な支援内容等について説明させていただいたところです。なお、開催に当たっては、外部の方の出席は自由な意見交換に支障を来すことや、プライバシーに関わる質問等も想定されたことから、非公開で実施したものです。今後は、説明会で頂いた御意見や、現在実施している入居者へのアンケート結果を踏まえ、お一人お一人と面談を行い、入居者の個別事情に十分配慮しながら、時間をかけて丁寧に進めてまいります。 次に、県営住宅から撤退し、市町村営住宅を当てにするような方針は撤回すべきとの御質問にお答えいたします。 低所得者向けの住宅については、県及び市町村の公営住宅と、低廉な民間賃貸住宅を合わせた供給量が需要量を上回っており、今後も人口減少や少子高齢化の進行に伴い、その傾向が続くと想定されることから、我が県では、新たな公営住宅の整備を積極的に進める状況ではなくなってきているものと認識しております。県では、こうした状況を踏まえ、県営住宅の新たな建設及び建て替えは行わず、既存ストックの長期的活用を図りながら、耐用年限を迎え用途廃止が適当とされた住宅については、より居住環境の整った県営住宅への移転を基本として、集約を進めることとしております。県としては、今後も県全体や各市町村の公営住宅等の需給バランスの推計を定期的に確認するとともに、市町村営住宅の管理戸数の適正化に向けた動向なども踏まえ、引き続き、市町村と緊密に連携しながら、公営住宅の適正な運営に取り組んでまいります。 次に、浴槽と給湯設備の整備計画についての御質問にお答えいたします。 県では、県営住宅の適正な管理を図るため、全九千四十八戸の管理委託に加え、宮城県県営住宅ストック総合活用計画に基づき、屋上防水や給排水管改修等の長寿命化対策、外壁断熱化や浴槽・給湯設備の設置など、住環境の改善について計画的に実施しているところです。このうち、浴槽・給湯設備については、立地条件などから応募の見込みが高い住戸を選定し、令和三年度から年間百戸整備してきたところであり、空き住戸対策にも一定の効果があるころから、引き続き、限られた予算の範囲内で効果的な対応が図れるよう取り組んでまいります。 次に、設備や維持管理の予算についての御質問にお答えいたします。 県営住宅につきましては、宮城県県営住宅ストック総合活用計画に基づき、定期的な点検を行うなど、状況を把握しながら、適切に維持管理を実施するとともに、より快適な住まいとなるよう、外壁及び屋上の断熱化や照明設備のLED化など、居住環境の改善にも取り組んでいるところです。県としては、入居者が引き続き、安心して暮らしていけるよう、国の補助事業を最大限活用しながら、効果的な対応が図れるよう取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。    〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱二点目、子どもの健やかな成長とゆきとどいた学びの保障についての御質問のうち、少人数学級の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 少人数学級については、義務標準法の改正により、小学校二年から順次基準が引き下げられており、令和七年度には、小学校の全学年において三十五人以下学級となる見込みです。義務教育における学級編制の在り方については、国において定められ、その責務として必要な財源を確保すべきものと考えており、少人数学級の対象範囲の更なる拡大などについて、国に対し引き続き要望してまいります。 次に、教員未配置解消に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 教員の未配置数は、ここ数年で減少傾向にはあるものの、解消には至っておらず、喫緊の課題であると認識しております。未配置が生じている主な要因としては、新規教員の大量採用により、講師経験者の多くが採用され、講師の登録者数が減少したことなどが挙げられ、育児休業や病気休暇職員などの代替講師の配置ができなくなっているケースもあります。未配置解消に向け、教員のプール制など様々な御提案をいただきましたが、講師の確保については、今年度から新たに産育休代替講師の前倒し任用に取り組んでいるほか、様々な広報活動や、いわゆるペーパーティーチャーを対象とする説明会を引き続き実施してまいります。県教育委員会としては、今後も教員を志す大学生のインターンシップの実施や、採用選考説明会における教員の魅力発信など、様々な手だてを講じることにより、教員の確保に取り組んでまいります。 次に、体育館や特別教室へのエアコン設置についての御質問にお答えいたします。 県立学校のエアコンについては、生徒が日常的に利用する教室を優先して整備を進めてまいりました。音楽室、図書室などの特別教室については、学校からの要望を踏まえ、順次整備を進めており、引き続き、学校の実情を把握しながら、整備に努めてまいります。また、体育館のアリーナについては、建物の断熱化をあわせて検討する必要があることから、改築や改修の時期に合わせて、整備の在り方等について検討してまいります。 次に、特別支援学校における安定した給食の提供についての御質問にお答えいたします。 現在、学校給食調理業務を外部委託している県立特別支援学校は、分校を含め十六校ありますが、給食の提供停止に関する報道のあった事業者との契約はございません。学校給食に関する調理業務を外部に委託する際には、契約が確実に履行されることを担保するため、過去に複数回、同様の業務を受託し、誠実に履行していることを入札の参加条件としています。県教育委員会としては、委託事業者に対し、必要に応じて契約の履行状況について調査を行うなど、引き続き、安定した学校給食の提供に努めてまいります。 次に、高校生の昼食確保に向けた支援についての御質問にお答えいたします。 県立高校の食堂や売店は、生徒の福利厚生施設として、食事の確保や文房具類等の購入など、学校生活の利便性向上に資するため、学校長の判断により設置されているものです。近年、県内の高校においても、経営者の高齢化やコロナ禍の影響等により、食堂や売店の撤退が見られることから、これまでも、学校への支援を希望する事業者からの問合せに応じ、こうした学校の情報を提供してきたところです。県教育委員会としては、引き続き、学校の相談に応じながら、支援を希望する事業者の情報を提供するなど、必要な支援に努めてまいります。 次に、学校図書館の充実についての御質問にお答えいたします。 学校図書館を充実させ、活用を図ることは、児童生徒が読書習慣を身につけるとともに、生涯にわたって学び続ける基礎的な力や人間性を育むために重要であると認識しております。県教育委員会では、今年一月に、国の通知を基に、市町村教育委員会に対し、学校図書館の現状把握と適切な予算措置について促してきたところです。また、毎年度、各学校に配布している、学校教育の方針と重点において、蔵書や資料の整備・充実に努めることを示しており、図書整備や新聞配備、司書配置等に成果が見られております。今後とも、市町村教育委員会や学校の取組状況を把握しながら、学校図書館の充実に取り組んでまいります。 次に、学校図書館図書標準の小中学校の一〇〇%達成と特別支援学校の学校図書館の充実についての御質問にお答えいたします。 読書を通して、児童生徒の想像力を培い、学習に対する興味・関心を呼び起こし、豊かな心や人間性等を育むことは重要であると認識しております。国の調査によると、令和二年五月現在、県内小・中学校においては、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は、小・中学校とも全国平均を上回っております。また、県立特別支援学校においても、児童生徒一人一人の障害特性に合わせて、毎年度、新しい図書を購入するなど、学校図書館の蔵書の整備を進めております。県教育委員会としては、小・中学校における図書標準の一〇〇%達成に向け、市町村教育委員会に働きかけていくとともに、県立特別支援学校においても、学校図書館が将来の自立と社会参加につながる場の一つとなるよう、今後も充実に努めてまいります。 次に、県立学校における学校司書の採用等についての御質問にお答えいたします。 学校司書を含む事務職員については、様々な職務を経験させることが、職員の資質向上や、円滑な学校運営を実施する上で望ましいと考えているため、学校司書に特化せず、事務職員として採用しております。また、学校司書は、図書館業務に専念することを基本としており、学校の実情や、学校司書本人の希望や了解の下、事務室の業務支援を認めている一部の学校においても、図書館の運営に支障が生じないよう配慮しているところです。学校司書の配置に当たっては、生徒数や蔵書数、学校の要望などを勘案して、全日制高校及び一部の夜間定時制高校に各一名を配置しているところであり、今後とも、学校の意向を確認しながら、適切な配置に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 十一番福島かずえ君。
    ◆十一番(福島かずえ君) 御答弁ありがとうございます。 まず、四病院ですけれども、先ほど答弁で、県南部の課題解決という話がありましたが、今議会で民間精神科病院の公募が突然出されました。四病院再編移転の是非が議論中であるにもかかわらず、富谷への二病院の移転・合築を前提にしているものであり、これは具体的な手続に着手したものと言えます。仙台市長からも十二日に、重大な懸念を抱くとして、公募手続前に疑問や懸念に書面回答することを求められています。昨日の精神保健福祉審議会でも、時期尚早という意見が賛成多数で可決されました。また、今議会では先ほども与野党問わず、公募のみならず、四病院移転再編の白紙撤回・中止を求める意見も出されています。議会では、了解・議決の手続も踏んでおりません。四病院移転再編の実施に大きく踏み出す拙速な公募はやめるべきですが、いかがですか。知事に伺います。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今まで、るる説明したとおりでございまして、その方針に変わりはございません。 ○副議長(池田憲彦君) 十一番福島かずえ君。 ◆十一番(福島かずえ君) 名取での精神医療センターの建設には、適地が見つからないと先ほども御答弁いただきましたが、主な理由としては造成等に時間がかかるということです。だからこそ、大規模改修工事をしっかり行っていただきたいと求めました。その上で、仮に四、五年遅れても、六十年かけて名取でつくり上げてきたにも包括を壊さないことのほうが、患者さん・当事者にとっては、はるかに重要だと思います。いかがですか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) まず、本当に老朽化が著しいのです。そしてやっぱりお医者さんとか医療スタッフからも、こういう環境ではなかなか働きづらいというような声もありまして、私も知事になりましてからこの十八年間、ずっと土地を探し続けてきたのです。本当にないのです。今回は、総合病院と一つにするというようなこともありまして、富谷ということになりました。その際に、やはりにも包括について、厳しい御意見があって、そのとおりだなと。私も、にも包括についてあまり見識がありませんでしたので、職員にいろいろ聞きましたら、予算も非常に少ないということから、予算も増やしてやっていくと。ただ、他の地域で、にも包括をやっていただいているところも当然あるわけです。これは民間の精神病院が担っていただいているわけでございますので、そういった民間病院のノウハウのあるようなところが、もしやっていただけるのであれば、やるかどうかまだ分かりませんけれども、サテライト的な意味合いを持つ病院として、官と民が一緒になって協力してつくり上げていけば、今の大切なにも包括を壊すことなく、しっかりと引き継いでいけるのではないかなと、このように考えております。 ○副議長(池田憲彦君) 十一番福島かずえ君。 ◆十一番(福島かずえ君) 同じ答弁の繰り返しでありますけれども、将来にわたって禍根を残さないためには、やはり名取での建設というのが一番皆さん求めていることです。それに時間がかかるのであれば、しっかりと改修してほしいということで、昨日、精神保健福祉審議会でも意見がまとまりました。ぜひ、これは強調したいと思います。 それから、県営住宅のことですけれども、県営住宅入居者からは、自分たちを物のように扱っている、人権侵害だという指摘です。人権を侵害して進めている県営住宅の廃止・移転の強要はやめるべきです。いかがですか、知事。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これから二十年ほどで、五十万人ほど宮城県の人口が減ります。二百三十万人の人口が百八十万人になると。もちろん減らないような努力はしますけれども、東京・関東圏以外は全国的に同じような状況ですので、私は、その勢いを一気に止めることは難しいだろうというふうに思っています。しかも、宮城県の場合は、災害公営住宅がたくさん出来上がりました。そういったようなことから、やはり需要と供給のバランスというものをしっかり考えていく必要があるだろうと考えたということでございます。決して人権侵害にならないように、まず、方針を決めるまでは当然表に出せませんから、今回方針を出しましたので、それに基づいてしっかりと説明をさせていただく。そして、協力していただける方から民間のアパートやマンションに入るではなくて、県の別の県営住宅に移り住んでいただくということをお願いしていこうというふうに思っています。どうしても出たくないという方は、無理やり追い出すことはできないと思っておりますけれども、よりよい環境のほうに移っていただけるように、我々も最大限努力していきますので、御理解いただきたいというふうに思います。 ○副議長(池田憲彦君) 十一番福島かずえ君。 ◆十一番(福島かずえ君) また、家賃収入の使い道について、職員の人件費に充てるような費用対コストという考え方もやめていただきたいなというふうに思って、指摘しておきます。 四病院問題、精神医療センターの移転強行は、障害者権利条約に反し、県営住宅の廃止方針、移転の強要は、公営住宅法に反しています。そしてどちらも人権や地方自治を侵害して、十分な説明も、そして関係者・当事者の合意を得ずに強引に進めています。県が行っていることは憲法や条約、法律に反しているという自覚、知事は持っていますか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決して反していないというふうに思っております。 ○副議長(池田憲彦君) 十一番福島かずえ君。 ◆十一番(福島かずえ君) 水道コンセッション民営化も、県民や自治体の十分な理解のないままで強行され、二元代表制を保障する議会の調査権も奪われました。知事会会長の足元では、こんなにひどいことが進んでいると発信し、横暴な独断専行の宮城県の政治をストップさせるため、引き続き、頑張る決意を申し述べて終わりたいと思います。ありがとうございます。 ○副議長(池田憲彦君) 二十八番遠藤伸幸君。    〔二十八番 遠藤伸幸君登壇〕 ◆二十八番(遠藤伸幸君) 公明党県議団の遠藤伸幸です。初当選以来、十二度目の一般質問の機会を頂きました。議長のお許しを頂きましたので、大綱四点にわたり質問をいたします。 大綱一点目、少子化対策と若者支援について伺います。 厚生労働省が先月二十九日に発表した、今年上半期の人口動態統計速報によると、今年一月から六月までの出生数は、前年同期と比べて三・六%減の三十七万千五十二人で、過去最少を更新しました。婚姻数も七・三%減の二十四万六千三百三十二組で過去最少。本県では、出生数は前年比四・七%減の六千百二十二人、婚姻数は八・二%減の四千百九組で、全国平均よりも大きい減少率となっています。昨年一年間の全国の出生数は、初めて八十万人割れし、少子化への危機感を訴える声が高まりましたが、依然として、その進行に歯止めがかかっていない状況です。我が国の少子化のスピードは近年加速しており、二〇〇〇年から二〇一五年までの減少率は一%程度と緩やかでしたが、二〇一六年以降は年率三・七%程度と急加速しました。出生数は、二〇〇〇年から十五年かけて、年間百二十万人から同百万人へと二十万人減少しましたが、それ以降は僅か七年で二十万人減って、年間八十万人を割ってしまいました。このままの減少率が続けば、数年で七十万人割れし、あっという間に六十万人、五十万人となり、我が国の経済・社会システムを維持することは難しくなってしまいます。こうした状況を踏まえ、政府は、今年六月十三日、「少子化は、我が国が直面する、最大の危機である」との一文から始まるこども未来戦略方針を閣議決定し、若年人口が急激に減少する二〇三〇年に入るまでが少子化トレンドを反転させるラストチャンスとの認識の下で、次元の異なる少子化対策を推進する方針を打ち出しました。今回の少子化対策で特に重視されているのは、若者や子育て世代の所得を伸ばすことです。各種調査によれば、結婚をして子供が欲しいにもかかわらず、収入や雇用の現状から、その願いがかなわないと考える人がかなりの割合に上ることが分かっています。所得向上の方策としては、児童手当の大幅な拡充などの社会保障的な経済支援の強化がクローズアップされがちですが、こども未来戦略方針では、もう一方の柱として、賃上げに取り組む姿勢も強調しております。賃上げについては、現下の物価高を背景として、今年は過去三十年間で最も高い水準となったほか、十月に改定される最低賃金は、全国平均で初めて時給千円を突破。本県は昨年から過去最大の四十円アップの時給九百二十三円となります。八月三十一日には、岸田首相が二〇三〇年代半ばまでに千五百円を目指すことを表明しています。ただ一方で、今後は最低賃金の大幅な引上げに伴い、中小企業の経営が圧迫され、雇用に影響が出ることも懸念されます。また、価格転嫁が難しい介護や障害福祉サービス事業者からは、他産業の賃金改善の流れについて行けず、担い手不足に拍車がかかることを訴える声が上がっております。今こそ、県としても、県内事業者の賃上げ環境の整備に積極的に取り組んでいくことが求められると思います。また、さきにも述べたように、賃上げは、物価高対策のみならず少子化対策として重要であり、若者の県内定着にもつながる取組です。近年、我が県では、大学や専修学校などの学卒者で、県外企業を選ぶ人が増えております。宮城労働局が発表した、今年三月の新規大卒者等の就職状況によると、県内企業への就職者の割合は四〇・六%で、二〇一二年以降で最少となっています。毎年の推移を表したグラフを見ると、県外と県内の差がワニの口のように開いてきており、全国的な人材獲得競争が熾烈になる中で、県内企業の魅力が相対的に低下してきているのではないかと危惧するところであります。こうしたことからも、県においては意欲的な取組が必要と考えますが、まず県内の中小企業等の賃上げの現状と課題について、県としてはどう捉えているか、また、賃上げ支援の必要性についてはどのように考えているのかをお聞かせください。 その上で、具体的な対策について提案いたします。中小企業等の賃上げ支援策としては、業務改善助成金など、賃上げした事業者への補助金支給や税制優遇、労働生産性向上への支援、デジタル化への支援、円滑な価格転嫁の推進など、国も様々な支援策を講じておりますが、これらの支援策が県内の事業者に積極的に活用されているかと言えば、十分ではないと思います。一方で、県が毎年度発行している中小企業施策活用ガイドブックには、賃上げに関する支援策の情報がほとんど記載されておりません。今後、県として、賃上げの促進に向けて部局横断的な組織を立ち上げ、国や県の施策を整理・パッケージ化し、事業者への周知や利用促進を図るとともに、国補助金の上乗せや新たな補助金の創設など、踏み込んだ支援策を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、賃上げには、労働生産性の向上が重要です。中小企業は、大企業に比べて人件費の割合が高く、労働者への分配率を高めて持続的に賃上げをしていくことは難しい状況です。そのため、労働者一人一人の仕事の質を高め、生産性を向上させていくことが重要です。近年は、技術革新やビジネスモデルの変化に合わせて、新しい知識やスキルを学ぶリスキリングの必要性が叫ばれるようになりました。しかし、大企業に比べ、中小企業は社員にリスキリングの機会を提供するのは難しいのが実情です。そこで、中小企業のリスキリングを行政で支援する取組が始まっています。鳥取県では、民間の大手eラーニング会社と連携して、オンライン学習受講促進事業を二〇二一年度から導入し、中小企業の社員がビジネススキルの獲得を目的にオンライン講座を受けた際の費用助成を行っています。本県においては、産業デジタル中核人材育成プログラムによるDX人材の育成支援を行っていますが、DXに限らず、より幅広いリスキリングの機会を提供することを目的とした事業の導入も検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、求職者や転職を考える個人のリスキリングを支援する取組も重要です。そこで提案したいのが、みやぎジョブカフェの機能強化です。開設から十九年を迎えたジョブカフェは、学生、若者や就職氷河期世代までを対象として、利用者数が年間八千人を超え、就職や転職を支援する拠点として定着しています。ただ、現状ではキャリアコンサルタントによる相談や面接練習などの支援にとどまり、リスキリング機会の提供までは行っておりません。ジョブカフェでも民間の教育事業者等と連携して、キャリア相談とリスキリング支援、職業紹介を一体的に提供できる体制を整えるべきと思いますが、いかがでしょうか。 経済産業省では、キャリア相談からリスキリング、転職支援までを一体的に支援する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」をスタートさせておりますが、ジョブカフェにおいて、この事業の活用や連動も可能ではないかと思いますが、御所見を伺います。 次に、若者の所得向上、手取り増加の方策として、奨学金返還支援や住宅支援に取り組む都道府県が増えております。奨学金返還支援制度については、これまでも何度かその必要性を訴えてまいりましたが、昨年、県が県内の大学・短期大学の学生を対象に行ったアンケートによれば、就職先として宮城県内の事業所等を選ぶ学生を増やすために、県や市町村に取り組んでほしい支援について教えてくださいとの質問に対して、三八・六%が奨学金返還補助制度を挙げており、学生にとって同制度への期待が高いことが、改めて浮き彫りになりました。六月定例会で、わたなべ拓議員の一般質問に対して、本県でも検討を進めているとの答弁がありましたが、若者の所得向上や県内定着を重視する観点から、幅広い業種の県内企業が参加でき、多くの若者が利用できる制度としていただきたいと思います。ぜひ来年度からの導入を決断していただきたいと思いますが、知事の前向きな答弁を期待します。 次に、若者への住宅支援についてですが、公営住宅に低所得の若者が単身で入居できるよう、入居要件を見直す自治体が増えております。兵庫県や福岡県などでは、六十歳未満の単身者は同居の親族が必要とするという要件を削除しました。本県では、増え続ける県営住宅の空き家の解消対策の一環として、昨年の九月募集から、単身世帯が入居可能な住宅を大幅に増やしましたが、申込み資格は六十歳以上や障害者等に限っております。本県でも、単身入居要件の年齢制限を撤廃し、低所得の若者や就職氷河期世代に対する住宅支援を行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。高齢者等への影響が懸念されるのであれば、空き家が多い傾向にある、エレベーターのない住宅の高層階に限って年齢要件を外すという方法も考えられると思います。ぜひ御検討をよろしくお願いします。 大綱二点目、四病院再編について伺います。 現在名取市にある県立精神医療センターと仙台市青葉区にある東北労災病院を合築し富谷市に整備する一方、名取市の県立がんセンターと仙台市太白区にある仙台赤十字病院を統合して名取市に新病院を整備するという四病院再編構想について、去る八月三十一日に開催された県精神保健福祉審議会の席上、村井知事は、精神医療センター移転後に懸念される県南の精神医療の空白を埋めるため、名取市に新設する新病院に精神科をつくるというこれまでの方針を撤回し、新たに同市の県有地に民間の精神科病院を誘致することを表明しました。この新提案について、精神保健福祉審議会の委員からは、「手を挙げる病院がいるとは考えられない」「精神医療センターの役割を民間病院が引き継ぐことは不可能」など、その実現可能性について懐疑的な声が目立ち、すばらしいアイデアだと高く評価する声は上がっていないようであります。とはいえ、県が九月中にも東北労災病院の経営主体である労働者健康安全機構との基本合意の締結を目指す構えだと地元紙に報じられていたことを踏まえれば、今回、その方針を改め、県として県立精神医療センター移転後の責任ある受皿を固めない限りは基本合意は締結しないという方針を明確に表明したこと自体は、拙速で強引な進め方に一貫して反対し、関係者の声を重く受け止めるよう求めてきた一人として、一定の理解はできるものと考えております。ただ、県として受皿を固めたとしても、それが本県の精神医療の課題解決に真につながる案として専門家の支持が得られないようなものであれば、我々県議会としても、容易に賛同することは難しいことは言うまでもありません。精神保健福祉審議会の委員の大方の支持を得られるような対応策が固まらない限りは、基本合意はできないものと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 さて、県は、精神医療センター移転元地への影響については一定の配慮をし、対応策を検討しておりますが、東北労災病院や仙台赤十字病院の移転元地である仙台市や市民の疑問や不安の声に対しては、ほとんど対応していないのは残念であります。県は、昨年十一月に公表した、仙台医療圏の四病院の統合・合築に関わる宮城県の考え方の中で、二病院が移転した場合の患者や地域住民に生じる影響の分析、評価を明らかにすべきとの仙台市の質問に対して、基本的には仙台市内の他病院でカバーできるとか、移転による大きな支障は生じないなどと、仙台市が言っていることはささいな話だとでも言わんばかりの回答を出していますが、地域の基幹病院の移転は、患者や地域住民にとっては大きな問題であり、その不安に寄り添い、説明を尽くそうとしない県の姿勢は、批判されても仕方がないと言わざるを得ません。また、県が昨年度、経営コンサルティング会社である株式会社日本経営に委託して実施した、仙台医療圏の医療提供体制の分析及び新たな拠点病院の構想の検討の結果報告書を読むと、精神医療センター移転元地への主要な影響やその対策案については、一ページを割いて整理をしております。しかし、東北労災病院や仙台赤十字病院の移転元地への影響や対応策については、一切触れられておりません。県が多額の予算をかけて調査を実施したにもかかわらず、患者や地域住民の疑問や不安に応える内容とはなっておらず、遺憾であります。今年度も同じコンサルティング会社に委託して調査を実施しておりますが、東北労災病院や仙台赤十字病院の移転元地への影響について、詳細な分析を行い、患者や地域住民の理解と安心につながる対応策についても整理をするべきであると思いますが、御所見を伺います。 また、東北労災病院と仙台赤十字病院が仙台市外に移転した後、市内の医療機関の救急受入れ能力に余力が生じ、仙台市も含めて仙台医療圏全体の救急搬送時間の短縮が図られるとする県と、逆に負担が増え、市内ひいては医療圏全体の救急搬送時間の延伸につながるおそれがあると主張する仙台市の意見の対立に関して、今回の調査で取り上げられていないのも問題です。どちらの言い分が正しいのか、曖昧模糊としたままでは、県民の不安を払拭することは到底できません。県として、仙台市内の救急搬送に与える影響について、より詳細な分析やシミュレーションを行い、客観的なデータや課題を明らかにして、県民に説明をする責任があると考えますが、御所見を伺います。 なお、二病院は、休日・夜間に直接来院するウオークイン患者の受入れも行っており、コロナ禍前の令和元年度は、合わせて年間三千五百四十六件の患者を受け入れております。二病院が市外に移転した場合は、これらの患者の受入れ先がなくなり、仙台市の初期救急医療体制への影響が懸念されますが、県としてはどのように考えているのか伺います。 この綱の最後に、これまでも取り上げてきた、おとな救急電話相談#七一一九について伺います。 本県の二〇二二年の救急搬送件数は、過去最大の十二・二万件を記録しました。搬送に占める高齢者の割合は、十年前の五三・三%から六一・七%へと増大し、高齢者救急が大幅に増えております。今後、高齢化に伴い、救急需要の更なる伸びが想定されることから、仙台市は、八月四日に県に提出した医療政策及び第八次宮城県地域医療計画に関わる意見において、救急医療を必要とする人が救急性や重症度に応じて適切に医療機関を受診することができるよう、#七一一九及びこども夜間安心コール#八〇〇〇を二十四時間化するほか、周知を強化することを求めました。これも踏まえ、第八次県地域医療計画の素案には、#七一一九の対応時間拡充や、#七一一九や#八〇〇〇の普及啓発が明記されたところであります。#七一一九については、消防局の救急隊員からは、救急要請の多い平日の日中こそ必要との声も頂いているほか、医療機関側からも、電話応対に当たる看護師の負担軽減の観点から、平日の二十四時間化を求める声が上がっております。利用者にとっては、時間を気にせず利用できるのは大きなメリットであり、利用促進につながります。お隣の福島県では、昨年二月に夜間帯の救急電話相談#七七九九を開設しましたが、今年四月から全国共通の#七一一九へと番号を変更し、三百六十五日二十四時間体制へと拡充しました。ぜひ本県でも、来年度から#七一一九の三百六十五日二十四時間化を実現していただきたいと思いますが、知事の前向きな答弁を期待します。 大綱三点目、公共交通機関への自動運転導入について伺います。 高齢化の進展に伴う免許返納者の増加や、訪日外国人旅行客の増加などにより、路線バス等の公共交通の維持・充実の重要性が増しています。しかし、民間バスは利用者の減少や運転手不足等により運行本数を減少しており、その代替手段として、各地でデマンド型乗り合いタクシー等が導入されていますが、人口減少を背景に、年々、市町村の財政負担は大きくなっています。こうした運転手不足や公費負担の増大といった地域の公共交通の課題解決に向けて、近年各地で取組が進められているのが、路線バスなどへの自動運転技術の導入です。自動運転には、自動ブレーキなどの運転支援を行うレベルワンから、完全自動運転のレベルファイブまで五段階ありますが、今年四月には、道路交通法が改正され、運転手が乗らないレベルフォーの自動運転の公道走行が解禁されました。これを受けて、五月から、福井県永平寺町では、全国で初めて、約二キロの公道でレベルフォーの自動運転サービスを開始しました。また、二〇二〇年十一月から、全国で初めてレベルツーの自動運転バスを定時・定路線で走らせて注目を集めている茨城県境町では、今年度、レベルフォーに対応した車両を導入し、無人走行実現へのギアを上げております。国土交通省では、二〇二五年度に全国五十か所程度、二七年度に百か所以上で、レベルフォーの自動運転バスの導入を目指し、市町村の実証事業を支援する補助金を創設。昨年度は四地域を採択し、今年度は約三十地域に拡大することとしています。本県では、JR東日本が気仙沼線BRTの一部の便でレベルツーの自動運転を実施しており、今後レベルフォーの認証取得を目指していますが、他の地域で、導入に向けた本格的な検討はなされていないようであります。県では、二〇二一年三月に策定した宮城県地域交通プランの中で、自動運転技術の実用化研究を新規で盛り込み、公共交通への導入を目指し、実用化に向けて関係機関とともに取り組みますとしましたが、これまでの県や市町村の取組状況について伺います。 さて、自動運転バスの導入と普及に向け、愛知県や静岡県、栃木県では、県主導のプロジェクトを推進しています。愛知県では、全国に先駆けて、二〇一六年度から自動運転の実証実験を積み重ねており、昨年度までに県内十九市町で実施。静岡県でも、二〇一八年度から「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」を立ち上げ、毎年度、自動運転の実証実験を実施しています。また、栃木県でも、二〇二〇年度から無人自動運転移動サービス導入検証事業、通称「栃木県ABCプロジェクト」を立ち上げ、これまで県内七か所の公道で自動運転バスの実証実験を行ってきました。このうち、私は栃木県の事例を調査しましたが、同県では、産官学から成る推進協議会を設立しプロジェクトを推進。全二十五市町に意向調査を行った上で、二〇二一年六月から今年三月末にかけて、県内七市町の市街地や観光地、中山間地でレベルツーの自動運転バスの実証実験を行った結果、運行日数は延べ七十五日間、運行距離は千七百十六キロ、乗車人数は七千七百七十九人に上り、無事故だったとのことです。同県では今後、これらの実証実験で得られた知見をもとに、各市町が地域の特性に合わせた自動運転バスを導入するのを支援していく方針とのことです。交通政策課の担当者は、「市町が単独で自動運転バスの実証実験を行うことは財政的にも技術的にも難しい状況だったため、まずは県の取組が必要と考えた」と話しておりました。自動運転の導入には、地域住民の理解と協力、いわゆる社会的受容性が欠かせず、そのためには、実証実験を積み重ねる必要があります。本県でも後れを取らないよう、先進県に学び、産官学の推進体制を構築するなど、より積極的な取組が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。 大綱四点目、動物愛護行政について伺います。 猫などのペットを無秩序に繁殖させ、悪臭や騒音によって周囲とトラブルになったり、動物虐待になったりする、多頭飼育崩壊が後を絶ちません。二〇一八年度の環境省の調べでは、全国の都道府県や政令市、中核市で、多頭飼育に関する苦情が合わせて二千件以上寄せられました。本県では昨年度、多頭飼育により行政が猫を引き取ったケースが、仙台市を除き十一件に上ったとのことです。多頭飼育崩壊に至る背景には、飼い主の経済的困窮や社会的孤立など、人の問題があることから、環境省が二〇二一年三月に策定した多頭飼育対策ガイドラインでは、動物愛護管理部局と社会福祉部局が連携・協働して、問題の早期発見・早期対処に取り組む必要性が指摘されています。これを受け、他県では、動物福祉の専門家や福祉関係団体の代表から成る多頭飼育対策検討会を設置し、県独自の対策マニュアルの作成や啓発動画の作成、研修会の開催等に取り組んでいる例があります。本県でも、多頭飼育対策に関する他機関連携の充実・強化を図っていく必要があると思いますが、現在の取組と今後の方針について伺います。 さて、多頭飼育対策としては、条例で届出を義務づける自治体が増えております。神奈川県では、十頭以上の犬や猫を飼育する場合に届出を求め、飼い主への指導や支援を行っています。石川県では、六頭以上を買う人に届出を義務づけ、違反した場合は五万円以下の過料を科す罰則も設けております。この制度の実効性を疑問視する声もありますが、導入した自治体のほうが、住民への普及啓発や多機関連携が進んでいるとの環境省の調査結果もあります。本県でも導入に向けた検討を進めるべきと考えますが、御所見を伺います。 次に、多頭飼育崩壊の防止や解決には、飼い主からの引取り・譲渡や不妊去勢手術の支援が必要となることもありますが、行政が全て対応できるわけではなく、動物愛護団体が多大な労力とお金をかけて御尽力いただいている実情があります。滋賀県では、多頭飼育対策事業補助金を創設し、動物愛護団体の負担軽減を図っていますが、本県でも、問題解決に当たる動物愛護団体への助成制度を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、動物愛護団体からは、多頭飼育崩壊の抑止のためにも、不妊去勢手術の一層の負担軽減を求める声が寄せられております。本県では、飼い主のいない猫の不妊去勢手術の助成を大幅に拡充し、昨年度は千件以上の手術を支援しました。これは全国的にも例のない規模であると聞いていますが、もちろん予算には限りがありますし、飼い猫にはこの助成金は使えないという制限もあります。そこで、負担軽減に向けた新たな対策として、いわゆるスペイクリニックの県内での開設や普及を後押ししてはどうかと考えます。スペイクリニックは、動物の不妊去勢手術を専門に行う病院のことで、手術費用を低額に抑えているのが特徴です。近年、全国で開設が相次いでおります。本県でも、NPO法人がスペイクリニックを開設している例がありますが、こうした取組を後押しするため、運営費の助成金の創設を検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 最後に、様々な事情でペットを手放したい人と、譲り受けたい人を結びつける取組も、多頭飼育の抑止や遺棄・虐待の防止に有効と考えます。千葉県や鳥取県では、犬猫を譲りたい人と譲り受けたい人のマッチングを支援するサイトを立ち上げております。本県でも同様のマッチングサイトを導入してはどうかと考えますが、御所見を伺います。 以上、当局の前向きな御答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 遠藤伸幸議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、少子化対策と若者支援についての御質問にお答えいたします。 初めに、県内の中小企業等の賃上げの現状と課題、賃上げ支援の必要性への認識についてのお尋ねにお答えいたします。 民間の信用調査会社が県内企業二百二十一社を対象に行った調査によりますと、今年度賃上げを行う見込みと回答した事業者は五七・九%と、三年連続の増加となりましたが、企業規模が小さくなるほど、賃上げしないとする回答が増えるなど、企業規模による格差が課題となっていると認識しております。これらを踏まえ、引き続き、経済の好循環に向けて、中小企業の賃上げに向けた取組を支援していく必要があると考えております。事業者が賃上げに取り組むためには、収益拡大のための生産性の向上などに加え、適正な価格転嫁の取組が重要であり、県では中小企業等再起支援事業や中小企業等デジタル化支援事業などを実施しているほか、今年五月には、国及び商工関係団体等と連携し、価格転嫁の円滑化に関する協定を締結したところであります。県といたしましては、今後とも、国をはじめとした関係機関と連携をしながら、こうした事業等を最大限活用し、賃上げに向けた事業者の取組を支援してまいりたいと考えております。 次に、中小企業の賃上げに向けた施策の利用促進や新たな補助制度の創設などの検討についての御質問にお答えいたします。 国におきましては、業務改善助成金や中小企業向け賃上げ促進税制など、県にはない賃上げ支援制度があると承知しております。県では、各部局において、販路拡大や生産性向上などの支援事業を実施しておりますが、今後は、御指摘を踏まえ、部局横断的な連携の場を設け、幅広く賃上げ支援に資する事業を取りまとめた上で、事業者への分かりやすい周知と利用促進に努めてまいります。また、国の各種支援事業を踏まえながら、国補助金の上乗せや新たな補助制度など、どのような支援を行うことが事業者にとって利用しやすく効果的な賃上げ支援になるか、検討を進めたいと思います。なお、御指摘のありましたハンドブックにつきましては、国の制度も含め、賃上げ支援に関する項目を追加してまいりたいと思います。 次に、奨学金返済支援事業についての御質問にお答えいたします。 県ではこれまで、先行都道府県へのヒアリングを行い、事業を実施した場合の若者定着への効果や企業側の負担などの課題の整理を行ってまいりました。また、御指摘のありましたアンケート調査につきましては、その結果を踏まえ、奨学金返済支援制度が地域の産業等の担い手となる若者の地方企業への就職や地方定着を促進をするものであると改めて認識したものでございます。今後は、県内への若者の定着、県内ものづくり企業における人材確保を基本として、受入れ企業との調整を進め、来年度の導入に向けて、検討を加速化してまいります。 次に、県営住宅の単身入居要件についての御質問にお答えいたします。 県営住宅の入居に際しましては、同居親族等がいることを基本としておりますが、県ではこれまで、住居確保が困難な高齢者や障害のある方について、単身での入居を可能としてきたところであります。また、空き住戸の有効活用を図ることを目的に、単身入居が可能な住戸の対象について、昨年九月に二DK以下から三LDK以下へと拡大したところでありますが、近年、若年単身世帯も増加傾向にあることを踏まえ、現在、単身入居要件の緩和についても検討を進めております。御提案のありました年齢制限の撤廃につきましては、空き住戸対策及び低所得の若年層への支援につながるものと考えており、県といたしましては、高齢者や障害者等の入居に配慮しながら、まずは定期募集で応募のなかった住戸等を対象に募集するなど、空き住戸の更なる有効活用に向け、具体的な方法について検討してまいります。 次に、大綱二点目、四病院再編についての御質問のうち、移転・合築に向けた関係者との基本合意についてのお尋ねにお答えいたします。 県立精神医療センターの移転につきましては、県南部の精神科医療提供体制の確保が課題となっていることから、県では、精神保健福祉審議会などの御意見を踏まえ、官民連携による民間精神科病院の公募等を提案したものであります。県の提案に対しましては、「病院経営や人材確保の視点から実現は困難である」などの御指摘を頂いたところでありますが、昨日開催した精神保健福祉審議会において募集要項案を示し、新病院に求める役割や応募資格、選定手続などのほか、土地の無償貸与等の県の支援についても御説明を行いました。県としては、審議会をはじめ、医療関係者などから頂いた御意見について真摯に検討した上で、東北労災病院と精神医療センターの移転・合築に向けて、労働者健康安全機構との基本合意を目指して協議を進めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 企画部長武者光明君。    〔企画部長 武者光明君登壇〕 ◎企画部長(武者光明君) 大綱三点目、公共交通への自動運転導入についての御質問のうち、これまでの県及び市町村の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 自動運転技術は、人口減少や高齢化等が進む中で、地域交通の運転者不足などの課題解決に有効な手段であると認識しております。これまで県内では、栗原市が慶応義塾大学等と連携し、小型電気自動車の自動運転の実証実験に取り組んだほか、産学官連携組織「東北次世代移動体システム技術実証コンソーシアム」が、仙台市泉区寺岡地区において、自動運転による小型低速EVバスの実証実験を実施しております。これらについては、安全確保などの面で様々な課題があり、実用化には至っておりません。また、昨年十二月には、JR東日本が、気仙沼線BRTにおいて、自動運転レベルツーでの自動運転バスの営業運転を開始し、来年秋頃までに国内発の時速六十キロレベルのレベルフォーによる運行を目指し、準備を進めております。こうした動きを踏まえ、県では、JR東日本などから自動運転についての話を伺っているところであります。 次に、産学官の推進体制の構築など、積極的な取組が必要ではないかとの御質問にお答えいたします。 公共交通への自動運転の導入については、安全確保など様々な課題の解決を図るため、各地で技術開発や実証実験などが進められております。実証実験の実施に当たりましては、自動運転技術を提供できる事業者と、自動運転を行う運行事業者、更には実際に運行を行うフィールドを提供する自治体の参画が必要となります。このため、県といたしましては、東京都や栃木県など他の自治体で行っている実証実験などの事例も参考としながら、関係する事業者などに対する働きかけやコンソーシアムを組成することなどについて検討し、県内での自動運転導入に向けた実現可能性を高めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 環境生活部長佐々木均君。    〔環境生活部長 佐々木 均君登壇〕 ◎環境生活部長(佐々木均君) 大綱四点目、動物愛護行政についての御質問のうち、多頭飼育対策に関する多機関連携の取組状況と今後の方針についてのお尋ねにお答えいたします。 多頭飼育問題を解消していく上では、人の問題や動物の問題として個々に対応するのではなく、関係者が連携して対応していくことが重要であることから、多機関連携は必要不可欠であると考えております。県では、多頭飼育者の情報や飼育頭数、飼育状況等の情報を記載したシートを作成し、市町村の福祉部局と共有しており、保健所において、飼育環境が悪化することのないよう、多頭飼育者を戸別訪問し、必要に応じた指導や助言を行っております。今後は、飼育するペットの種類や飼育する場所が多様化することも考えられることから、まずは、県や市町村の福祉部局、環境部局、動物愛護推進員等で構成する研究会を立ち上げ、他の自治体の解決事例における課題や対処方法を学習し、対応職員のスキル向上を図ることで、多機関と連携した体制の充実・強化を更に進めてまいります。 次に、条例での届出義務の導入についての御質問にお答えいたします。 多頭飼育問題の発生を未然に防ぐためには、早期に飼育者の情報を的確に把握し指導することが重要であると認識しております。特に、多頭飼育の飼い主には、経済的困窮や社会的孤立等が関係する場合が多いことから、県及び市町村の福祉部局と連携を図りつつ、情報を把握しているところです。条例による届出の義務づけについては、飼育者の状況把握の面で有効と考えられますが、御指摘のとおり、実効性の確保などの課題もあることから、先行自治体の状況を研究しながら、導入の適否を検討してまいります。 次に、動物愛護団体への助成制度についての御質問にお答えいたします。 県では、動物愛護団体と連携した譲渡の推進に取り組んでおり、その際、県が譲渡する犬や猫には、感染症を予防するワクチンの接種や寄生虫の駆除、マイクロチップの装着を行い、団体の負担軽減をしてきたところです。動物愛護団体が飼い主からの引取りや譲渡などを行っていく上で、労力と費用を要することは承知しておりますので、今後、団体への支援について、実情を伺いながら、支援の在り方や必要性を検討してまいります。 次に、スペイクリニックへの支援についての御質問にお答えいたします。 犬や猫は多産で、年に複数回出産できることから、多頭飼育対策には、不妊去勢手術が有効な手段であると認識しております。一方で、不妊去勢手術は、飼い主が金銭的な事情によって実施したくてもできない場合もあることから、費用の負担軽減に向けた対応も必要と考えているところです。県といたしましては、手術費用の負担軽減が図られるよう、スペイクリニックを含めた動物病院で現在実施している、飼い主のいない猫の不妊去勢事業の対象範囲の拡大に向けて、事業主体である公益社団法人宮城県獣医師会と今後協議してまいります。 次に、ペットのマッチングサイトの導入についての御質問にお答えいたします。 これまで県では、動物の適正譲渡の推進のため、保健所などに収容されている動物について、ホームページへの掲載やSNSを活用して新たな飼い主を募集する取組を進めているほか、飼い主が動物を手放す際には、自らの責務として新たな飼い主を探すよう助言しているところです。県といたしましては、新たな飼い主を見つけやすい環境を提供することは重要であり、御提案のあったマッチングサイトは有効な方策であると考えておりますが、個人情報の取扱いなどの課題もあることから、先行自治体の運営状況を研究し、導入の適否を検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長志賀慎治君。    〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、四病院再編についての御質問のうち、東北労災病院や仙台赤十字病院の移転後の対応策についてのお尋ねにお答えいたします。 富谷市及び名取市に開設予定の新病院は、救急医療や周産期医療などにおいて、移転による大きな支障が生じないよう、仙台市内も含め、仙台医療圏全体の医療需要と医療提供体制を踏まえて、整備する機能等の検討を進めております。東北労災病院や仙台赤十字病院が移転した場合、かかりつけ医との連携や患者の通院など、現在の診療に生じる影響については、基本的には各病院が調整して対応いただくべきものとは考えておりますが、県といたしましても、こうした課題の解決に協力をしてまいります。引き続き、各病院と合同で説明の機会を設けるなど、地域住民をはじめ県民の理解が得られるよう、丁寧に対応してまいります。 次に、救急搬送に与える影響についての御質問にお答えいたします。 東北労災病院と仙台赤十字病院の移転に伴う救急搬送への影響については、仙台市からの御意見に対し、昨年十一月に県の考え方を示しており、県としては、重症度別搬送件数などのデータも踏まえ、新病院の救急医療機能の強化によって、仙台医療圏全体として搬送時間の短縮化が図られるものと考えております。県としては、広域的な視点から医療圏全体で救急医療体制の向上に取り組むことが必要であると考えており、新病院がその機能を最大限に発揮できるよう検討を進めるとともに、仙台市と連携しながら、仙台医療圏全体の救急受入れ能力の向上を目指してまいります。 次に、ウオークイン患者の受入れ先がなくなる懸念についての御質問にお答えいたします。 今回の病院再編は、仙台医療圏の北部と南部における急性期機能の集約・拠点化により、バランスの取れた救急受入れ病院の配置や救急医療機能の強化を図り、仙台医療圏全体の救急受入れ能力の向上を目指すものであります。県としては、これまで名取市以南や黒川地域から仙台市内に救急搬送されていた患者を新病院が受け入れることにより、仙台市内の医療機関の負担軽減につながるものと考えております。御指摘のありました、いわゆるウオークイン患者への対応については、救急受入れ体制を取り巻く環境変化に対応した全般的な検討が必要な時期にあり、仙台市の対応を踏まえながら、県としてもしっかりと連携してまいります。 次に、おとな救急電話相談の二十四時間化についての御質問にお答えいたします。 おとな救急電話相談は、医療機関の休診時間帯の急な病気やけがに際し、県民の方に今すぐ受診すべきかどうかを適切に助言する趣旨で実施しております。医療機関での通常対応が可能な時間帯は、かかりつけ医や地域の医療機関に相談できることから、医療機関が閉じた後の準夜帯を中心に相談体制を敷いてきたところです。時間帯の拡充による二十四時間化については、高齢化の進展に伴う救急搬送件数の増加等に対する施策として、現在、救急医療協議会等の場で専門家の御意見を伺っているところですが、引き続き、全国の実施状況等も踏まえながら検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 経済商工観光部長梶村和秀君。    〔経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕 ◎経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、少子化対策と若者支援についての御質問のうち、リスキリングを目的とした事業の導入についてのお尋ねにお答えいたします。 企業が収益を増加させ、その収益を従業員の給与に反映するためには、リスキリング等を通じて人材育成し、労働生産性の向上に取り組むことが必要であると認識しております。県では、中小企業等の在職者を対象に、宮城県立高等技術専門校等において、経理事務やデータ集計、技能向上のための機械加工、建築大工など幅広い分野の訓練を実施しております。また、国においても、全国のポリテクセンターにおいて、マーケティングなど、企業が生産性を向上させるために必要な知識を習得する訓練を実施しているところです。御指摘のありました他県の事例は、オンラインによる訓練となっており、我が県では実施しておりませんが、産学官の人材育成機関で構成される、みやぎ産業人材育成プラットフォームの中で、関係機関の意見を伺うとともに、現状の検証や導入効果などを調査しながら、実施の可能性について検討してまいります。 次に、みやぎジョブカフェの機能強化についての御質問にお答えいたします。 みやぎジョブカフェでは、併設するハローワークと連携し、新規学卒者から就職氷河期世代を対象として、キャリアコンサルティングから職業紹介までをワンストップで実施しております。ジョブカフェの利用者の多くは若者が占めており、就職に関する悩みや不安、就職活動の進め方などの相談が中心であることから、現在リスキリング機能は有しておりませんが、利用者の就労に向けて、キャリアコンサルタントが必要と判断した場合には、宮城県立高等技術専門校や宮城職業能力開発促進センターなどの公的機関を紹介しているところです。一方で、利用者のリスキリングに対するニーズが広がっていることから、今後は、例えばeラーニングを実施している企業など、民間の教育事業者等との連携も検討してまいります。また、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業につきましては、国が採択した民間団体等がキャリア相談、リスキリング、職業紹介までを一貫して行うものであることから、ジョブカフェ利用者の中でも、当該事業に適するとキャリアコンサルタントが判断した場合には、新しい支援先として紹介してまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 二十八番遠藤伸幸君。 ◆二十八番(遠藤伸幸君) 御答弁ありがとうございました。 少子化対策、若者支援については大分前向きな御答弁を頂きまして、ようやく、奨学金返還支援については来年度の導入を決断されたというふうに受け止めましたけれども、改めて知事のお考えを確認したいと思います。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 来年度の導入に向けて検討を加速化するということでありますので、実行したいというふうに思っております。 ○副議長(池田憲彦君) 二十八番遠藤伸幸君。 ◆二十八番(遠藤伸幸君) 実行したいという御答弁を頂きましたので、大変期待したいというふうに思います。壇上でも御紹介しましたけれども、本県の人材が結構最近流出していると。県外企業を選ぶ若者が増えているというのは非常に私も危機感を持っておりまして、やはりこれについては対策を講じていかなければいけないのではないかと。その一環として、奨学金返還支援について提案をさせていただいたわけでございますが、本日、大変前向きな御答弁を頂いて、本当にほっとしているところでございます。 続きまして、四病院再編の問題についてでございますけれども、時節柄、様々な方、多くの方とお会いして、労災病院の周辺の方とも、いろいろお話を聞く機会がございます。やはり絶対反対だと、阻止してほしいという御意見もあれば、将来を見据えたら知事の言っていることも分からなくはないなと言う方も、少数ですけれどもいらっしゃるということです。ただ、その両者に共通しているのは、やはり説明が足りないと。なぜそういうことを言うんだと、説明が足りずに、住民への説明がされていないという不満が非常にあるのだなということ、それがやはり強引だとか拙速だとかいう評価につながっているのではないかというふうなことを今痛感しているところでございます。そういう意味で、先ほど部長からは、説明の機会を設けるという御答弁がありました。ただ、いわゆる地域住民に開かれたセミナーとかシンポジウムみたいなものが、昨年九月の地域医療構想セミナーから一度も開かれていないのではないかと思っておりまして、やはり今後そういった県民に開かれた説明会をしていくべきではないかと思っているのですけれども、これについてはいかがでございましょうか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決してやりたくないわけではないのですけれども、まず基本合意に至りますと、大体、病床数、診療科、ベッドの数、そういったようなものが表に出てまいります。そして、労災さんも日赤さんも、それについてはもうやるんだという正確な意思表示ということになりますので、その段階にならないと、まだどうなるか分からない段階でなかなか説明はしづらいということ。それから、やはり民間の病院ですので、我々がこうする・ああするとは、患者の情報も何も持ち合わせておりませんので、簡単にはできないということであります。したがって、基本合意に至るようなことになって、そして、両病院ともそういう調整も今しているのですけれども、説明をする機会を設けたいと、ただ病院単独ではなかなか難しいということであれば、県もお手伝いをして、県からこういう説明をしてくれということであれば、県のほうも説明をしたいというふうに思っています。会場の設営であったり、あるいはお声がけといったようなものは我々のほうでやらなければいけないなと思っておりますし、必要に応じて説明をしたいというふうに思っています。もう少し煮詰まるまで待っていただきたいということでございます。 ○副議長(池田憲彦君) 二十八番遠藤伸幸君。 ◆二十八番(遠藤伸幸君) 説明不足と感じている県民が多いということはしっかりと受け止めていただきたいと思います。また、壇上でも指摘しましたけれども、やはり専門家の賛同が得られないような案については、我々も賛同がなかなかしづらいということだと思うんですね。なので、今回、精神保健福祉審議会においては、なかなか--なかなかというか反対の意見が大勢を占めている状況でございますけれども、この精神保健福祉審議会のやはり大方の理解がないと、先になかなか進めないのではないかと私は思っているわけでございますけれども、その点については、これまでの議論を聞いていますと、県としては理解を求めていく姿勢なのだという方針なのかなと。最終的にはやはり精神保健福祉審議会にも大方の理解を得ていくという姿勢なのではないかと思ってはいるところなのですけれども、そこはどうなのでしょうか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩。 ◎知事(村井嘉浩君) 私が八月三十一日に精神保健福祉審議会に出ましたのは、大きな目的が二つございました。まず一つは、県の新しい考え方を、やはり私の口から説明したいと。皆様方のいろんな御意見を聞いてこういう案を出しましたということを、しっかり私の口から説明したいと思ったということ。それからもう一つは、過去の審議会の議事録を見ますと、審議会がやる・やらないの意思決定をするのだというような、そういう内容の話が多かったので、審議会はそういう位置づけではありませんと。最終的には、審議会から出たいろんな意見は当然参考にさせてはいただきますけれども、意思決定するのは私であり、そしてそれを議会にお諮りして、県民から選ばれた議員の皆さんの御理解を頂いて前に進めていくんですよということを、やはりはっきり私の口から説明したほうがいいかなと思って説明したということでございます。したがいまして、精神保健福祉審議会だけが専門家ではない、全ての専門家が集まったわけでありませんので、もし今回の公募をやって、手を挙げてくださるところがあるかどうか分かりませんけれども、手を挙げてくださるところがあれば、県内で精神科の治療をされているちゃんとした病院であるということであれば、そこも専門家の先生方が集まった病院ということになりますので、まずは精神保健福祉審議会の御意見をしっかり聞きながらでありますけれども、どこかで公募はスタートしたいなと思っております。その後、どこも手を挙げてこないということであれば、それは、私としてはまたその時点で反省をしながら、次の方向に向かってまた検討していくということになると思います。その点は、精神保健福祉審議会も専門家の皆さんの集まりではありますけれども、その声をもって全ての声であるということにはならないのではないかと私は思っているということでございます。 ○副議長(池田憲彦君) 二十八番遠藤伸幸君。 ◆二十八番(遠藤伸幸君) 確認しますけれども、そういった責任ある受皿が決まらない限りは、基本合意はしないということでよろしいですね。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) いえ、違います。精神保健福祉審議会の御意見は当然参考にさせていただきますけれども、最終的に前へ進めるかどうかは、その審議会のいろんな御意見を聞きながら、私のほうで判断させていただくことになります。そして基本合意に向けて前に進めていくということになります。 ○副議長(池田憲彦君) 二十八番遠藤伸幸君。 ◆二十八番(遠藤伸幸君) エビデンスがある政策決定を我々はしなければいけないというふうに思っております。そういう意味では、今私が聞いたのは、県としてもしっかりと責任を持って、そういった批判に耐え得る受皿が決まらない限りは合意はしないということでよろしいかという、精神保健福祉審議会とは別にですね、そういうことです。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) はい、それは当然のことでありまして、労災さんも日赤さんも、経営面だけではなくて、しっかりとした治療ができるか、患者さんに迷惑をかけないかというようなことを全部総合的に判断をされておりまして、非常に、正直に申し上げて、労災さんも日赤さんも交渉はシビアでございます。それはいいかげんなことはできないという思いでありまして、当然県も同じでございますので、そういったしっかりとしたエビデンスに基づいて、県民の皆さんの本当にお役に立つという確証がない限りは、これは間違いなく合意に至ることはないだろうということでございます。 ○副議長(池田憲彦君) 二十八番遠藤伸幸君。 ◆二十八番(遠藤伸幸君) 終わります。 ○副議長(池田憲彦君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(池田憲彦君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時一分散会...