• "接種主体"(/)
ツイート シェア
  1. 宮城県議会 2023-02-01
    03月02日-06号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 5年  2月 定例会(第387回)          第三百八十七回宮城県議会(定例会)会議録                              (第六号)令和五年三月二日(木曜日)  午前十時開議  午後二時五十九分散会      議長                     菊地恵一君      副議長                    池田憲彦君出席議員(五十八名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  佐々木奈津江君        第四番                  石田一也君        第五番                  佐藤剛太君        第六番                  伏谷修一君        第七番                  松本由男君        第八番                  柏 佑賢君        第九番                  福井崇正君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  三浦ななみ君       第十三番                  枡 和也君       第十四番                  佐藤仁一君       第十五番                  渡邉重益君       第十六番                  わたなべ 拓君       第十七番                  伊藤吉浩君       第十八番                  八島利美君       第十九番                  瀬戸健治郎君       第二十番                  櫻井正人君      第二十一番                  村上久仁君      第二十二番                  高橋宗也君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  佐々木功悦君      第二十六番                  境 恒春君      第二十七番                  太田稔郎君      第二十八番                  遠藤伸幸君      第二十九番                  横山のぼる君       第三十番                  高橋 啓君      第三十一番                  庄田圭佑君      第三十二番                  遠藤隼人君      第三十三番                  渡辺勝幸君      第三十四番                  横山隆光君      第三十五番                  佐々木賢司君      第三十六番                  守屋守武君      第三十七番                  外崎浩子君      第三十八番                  池田憲彦君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  渡辺忠悦君      第四十二番                  菅間 進君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十五番                  仁田和廣君      第四十六番                  吉川寛康君      第四十七番                  伊藤和博君      第四十八番                  佐々木幸士君      第四十九番                  高橋伸二君       第五十番                  菊地恵一君      第五十一番                  佐々木喜藏君      第五十二番                  石川光次郎君      第五十三番                  中島源陽君      第五十四番                  本木忠一君      第五十五番                  中山耕一君      第五十六番                  安藤俊威君      第五十七番                  畠山和純君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠員(一名)        第三番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    遠藤信哉君      副知事                    池田敬之君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   志賀真幸君      復興・危機管理部長              佐藤達哉君      企画部長                   千葉 章君      環境生活部長                 佐藤靖彦君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   宮川耕一君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             冨田政則君      総務部参事兼秘書課長             相澤一行君      総務部財政課長                大町久志君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      副教育長                   嘉藤俊雄君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    西條 力君      事務局長                   千葉幸太郎君    公安委員会      警察本部長                  原 幸太郎君      総務部長                   佐藤孝治君    労働委員会      事務局長                   小松直子君    監査委員      委員                     吉田 計君      事務局長                   武内浩行君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   阿部正直君      副事務局長兼総務課長             藤田信治君      議事課長                   菅原敏彦君      参事兼政務調査課長              川村 満君      総務課総括課長補佐              堀 喜昭君      議事課副参事兼総括課長補佐          二上秀幸君      政務調査課副参事兼総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査(副班長)           狩野嘉孝君-----------------------------------    議事日程 第六号                  令和五年三月二日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第十五号議案、議第十七号議案ないし議第八十五号議案及び報告第一号ないし報告第十七号第三 一般質問   〔三浦一敏君、横山のぼる君、庄田圭佑君、佐々木功悦君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第十五号議案、議第十七号議案ないし議第八十五号議案及び報告第一号ないし報告第十七号三 日程第三 一般質問       〔三浦一敏君、横山のぼる君、庄田圭佑君、佐々木功悦君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △会議録署名議員の指名 ○議長(菊地恵一君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二十七番太田稔郎君、二十八番遠藤伸幸君を指名いたします。----------------------------------- △議第一号議案ないし議第十五号議案 △議第十七号議案ないし議第八十五号議案 △報告第一号ないし報告第十七号・一般質問 ○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第一号議案ないし議第十五号議案、議第十七号議案ないし議第八十五号議案及び報告第一号ないし報告第十七号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。二十四番三浦一敏君。    〔二十四番 三浦一敏君登壇〕 ◆二十四番(三浦一敏君) 皆さん、おはようございます。日本共産党宮城県会議員団、三浦一敏でございます。ただいまから一般質問を行います。 四病院再編移転について、まずは伺います。 今、県政の最大の焦点は、知事がトップダウンで持ち出した四病院再編です。二〇二〇年八月の三病院問題からスタートし、知事選後も含めこの二年半、病院統合問題で、県政も議会もどれだけ振り回され、エネルギーを費やしたことでしょう。情報を開示せずに密室で事を運び、関係者の理解を得ることなく、突然、十八日付地元紙一面に四病院再編基本合意が報道され、二十日の知事記者会見では一転して、基本合意は先送り、協議確認書に署名と肩透かし。これに対し住民の不信、憤りが大きく高まっており、厳しく抗議するものであります。記者会見までの二日間、誤解して落胆する声を私はたくさん聞きました。二月二十三日、「ストップ精神医療センター富谷移転」を考えるシンポジウムが開かれました。医療センターを利用している精神障害者やサポートしている方々が怒りの声を上げた集会です。幾つか紹介します。五十歳のAさんは「三十歳で医療センターにお世話になり、今は独り立ちし仕事もしている。長町に住んでいるが、富谷に移転して急に悪くなったら、タクシー代往復二万円もかかる」。名取市のBさんは「十七歳からセンターに通っている。実態を知事や富谷市長に見てもらいたい。富谷に必要だったら富谷に造ればいい。名取を守りたい」。仙台家族会のCさんは「当事者を大切にしない行政だ。福祉も障害者も考えない。お金のことだけ。美術館のときも同じ」。精神医療センター利用者のDさんは「行政の都合で押しつけている。今まで培われてきた地域性が失われ、利用者は行き場がなくなり孤立化する。怒りを持って反対する」。車椅子のEさんは「何で知事は富谷に行きたいのか、何かあるんじゃないか、不思議だ」。Fさんは「デイケアに通ってリハビリでよくなった。今、事業所で働いている。社会に恩返ししたいと思い、二つの資格を取った。知事は、昔は県民寄りだったが、バックに隠し事があるのかね。がんセンター隣に建ててほしい」。最後に、呼びかけ人でセンターに入院した経験のある精神保健福祉士Gさんは「退院後の受皿が富谷では難しい。弱者を脅かす移転に反対です」と締めました。知事は、患者や障害者のこのような切実な訴えや不安にどう答えるのですか、お答えください。 結局、仙南から精神医療センターがなくなることは、患者や家族を事実上見捨てることになるのではないか、長年構築してきた地域包括ケアシステムを壊すことになるのではないか、この二つの懸念にどう答えるんでしょうか。精神医療センター職員のアンケートによれば、富谷移転に反対、どちらかといえば反対が七七・六%、また、仮に移転するとした場合、「かなり」と「やや支障がある」が八四・一%を占めました。献身的に頑張っている精神医療センター職員の意向を無視できるのか、知事に伺います。 富谷に移転した場合、精神医療の病床バランスが崩れるんじゃないですか。現在、県北二千百床、県南千三百床ですが、県精神医療センターの二百五十八床が県北に加われば、患者や看護師の奪い合いとなり、民間精神医療病院との矛盾も拡大しかねません。また、県南部は大きな空白になりますね。お答えください。 県から提案された仙台日赤との精神科外来機能について、二月二十四日の代表質問に対する答弁では、県立精神医療センターに通院されている患者や家族の皆様の負担の軽減につながるよう提案し、今後具体的な内容を検討することを確認したものとされている。現時点で知事がイメージする精神科外来の規模について伺うとともに、太白区以南の約二千人の外来患者を本当に診ることができるのですか、併せてお答えください。 また、この件は、二月八日の県精神保健福祉審議会でも、大半の委員が宮城県に懸念や反対の意見を述べ、議論は二時間にも及んだのであります。私が強調したいのは、県内六千百五十一床の八〇%の病床を抱える民間病院でつくる県精神科病院協会が再考を求める意見書を出しているのに、これを知事は無視できるのですか、お答えください。 昨年十一月十四日の知事定例記者会見で、「民間の精神科の病院は、精神医療センターの患者がまた、治療がある程度終わった方について通院等で診ていただく、あるいは入院をしていただくような病院だということですから、私はすみ分けは十分可能ではないかと思っております」と述べました。私は先日、石巻・登米・気仙沼医療圏最大の民間精神医療病院の理事長さんから話を聞きました。非常に憤慨していました。これは全く間違った知事の認識ではないか、それが民間で頑張っている精神病院の先生たちから見れば下請発言として受け取られ、怒りの抗議まで出ている。もはや関係者の理解を得ることは無理だと思う。五期十八年、知事最大の正念場、このまま突き進むのですか。名誉ある撤退も選択肢の一つとして考えるべきと思うが、答弁を求めます。 次に、矛盾だらけの原発推進について伺います。 岸田内閣は、二月十日の原発の新規建設や、六十年を超える運転を推進する、GX基本方針を閣議決定。そして、規制委員会は十三日、原発六十年超の運転を石渡委員反対のまま多数決で押し通しました。石渡委員からは「この改変は科学的・技術的な新知見に基づくものではない」、「審査を厳格にすればするほど、将来、より高経年化した炉を運転することになる」と指摘し、反対しました。また、賛成した杉山委員からも「外から定められた締切りを守らなければいけないと、せかされて議論してきた」と疑問が出されました。これも重要です。知事は、政府が任命した委員から、このような発言が出されたことの見解を伺います。 老朽化した原発を延々と動かすやり方は、福島事故の教訓を忘れ、国民的議論もなく、財界、産業界の要望を丸のみした暴挙であります。そもそも、自民党は昨年の参議院選挙で、原発の新規建設は考えていないと公約したではありませんか。ところが、ウクライナの危機を口実に、原発を最大限活用に転換し、今国会に原発延長法案を提出したのであります。電気代の高騰で再稼働に期待する声もありますが、日本総合研究所会長の寺島実郎さんは、燃料費高騰の三分の一は、アベノミクス失敗による円安為替相場と指摘します。未来のためのエネルギー転換研究グループが引用した米国Lazard(ラザード)の資料によると、発電コストが一番高いのが原子力、次は石炭火力、最も安いのが太陽光と風力なのです。ですから、原発をやめることになったら、電気代は下がります。一番安いのは再生エネルギーです。違いますか、知事の見解を伺います。 十二月四日、原発を止めた裁判長、樋口英明氏の講演会を女川町で聞きました。樋口氏は、原発の運転が許されない理由を、地震大国日本において、高度の安全性と耐震性が必要であるにもかかわらず、我が国の原発の耐震性は極めて低いと指摘しました。トルコ・シリアの大地震の悲劇を見るとき、知事は、一千ガル以上の地震が、今後、女川原発周辺では発生しないと断言できますか、お答えください。 女川原発耐震基準は、建設当初は三百七十五ガルで、これを超えることはあり得ないと規定しました。ところが、二〇〇三年五月と二〇〇五年八月の地震で基準地震動を超えて、二〇〇六年に五百八十ガルに見直しがされた。しかし、東北電力も国も、なぜ超えられたのかの説明はしてこなかった。今度は、二〇一一年三月と四月の東北地方太平洋沖地震で、二号機では六百七ガルを記録した。そして今度は、一千ガルに引き上げられたとされるが、現在の地震科学では、最大の地震動を正確に設定する方法はいまだ確立していないのではないか。このことを政府に問いただしていただきたい。いかがでしょうか。 女川原発が来年二月に再稼働するとして、一年後には建設から三十年となり、老朽原発の仲間入りとなる。経済産業省から独立したはずの原子力規制庁が完全に一体化する中では、現在工事中のサプレッションチェンバー、いわゆる圧力抑制室の溶接補強工事が一千ガルに耐えられるのかの検査は、県独自の安全性検討委員会を復活させて厳密にやる必要があるのではないでしょうか、お答えを求めます。 春から夏にかけて、ALPS処理水、汚染処理水の放出が迫っています。現在、百三十万トンもたまっていますが、凍土壁で地下水を完全に遮断できないとすれば、何と、完了まで五十年間もかかると言われます。先日開催された宮城県連携会議に出席した県漁協の寺沢組合長は、「我々は反対という立場でやっている。まず賠償とかそういう協議は、今のところしたくない、できない」と述べました。知事は、海洋放出された場合、水産宮城の漁業や水産加工業にどれだけの悪影響を及ぼすと考えているのか伺います。 汚染処理水の一番の解決策は、陸上での長期間保管であり、放射能を減衰させていくことではないか。知事は、そのことを国にもっと言うべきと思うがどうか。 次に、避難計画がいかに実効性のないものかについて質問します。 私は、原発立地自治体から選出されている議員として、住民の命と暮らしに関わる問題として、この再稼働を断じて容認することはできません。原発事故から十二年、福島の避難者は現在も三万人に上り、統計外の避難者も数万人と言われます。私ごとですが、実は、ひたちなか市に住んでいた私の娘夫婦、孫たちも、放射能被曝を恐れて九州に自主避難し、もはやこちらには帰ってきません。ですから、安全性とともに、避難計画に実効性が欠如したまま、国策として再稼働が推進されていることは看過できません。指摘したいことは多々ありますが、ここでは、女川原発立地自治体の県知事として、再稼働にいち早く同意を表明した村井知事の責任の重大性を指摘しながら、以下質問します。 二〇二二年十月二十九日に実施された避難訓練では、知事の肝煎りで「アプリの活用で受付ステーションを廃止して渋滞の大幅緩和」が大々的に宣伝されました。昨年十二月、石巻で新潟県の避難計画の検証委員会委員を務める上岡直見代表の講演会を聞いたが、避難アプリを活用しても、石巻市民が避難所に到着するのに四日以上かかるケースがあるとの指摘に対し、どう反論されるのかお聞きしたい。 また、大震災・津波の複合災害のとき、携帯もスマホも全然通ぜず苦労したことが思い出されます。こういった場合、スマホのない人、アプリを活用できない人はどうするんですか。アプリを活用しようが何をしようが、最大の障害である退域時検査場所の開設や渋滞緩和には、何の役にも立ちません。村井知事自身、あなたですよ。昨年二月の住民避難訓練のときに、涌谷町スタジアムの退域時検査場所を視察し、そこの解消が一番だと強調したじゃないですか、違いますか、伺います。 知事はその後、記者の質問に対して、検査場所の渋滞は屋内避難や段階的避難により発生しないと主張しました。しかし、屋内避難の放射能防護効果の有効性は、科学的には立証されておらず、モニタリングに基づく段階的避難も実効性はなく、訓練すらやられていません。私の家もそうですが、UPZの三十キロメートル圏で、放射能を遮断できる住宅がどれほどあるでしょうか。逆に室内にとどまっているほうが放射能を吸い続けるんじゃないですか。ですから、全く実効性のない避難計画は駄目だと思うが、知事の見解を伺います。 なお、昨年の二月議会と九月議会で質問した、福島原発三号機の水素爆発に関する実証実験を原子力規制委員会が指示したとなっているが、いまだ何の情報も得られていないのか、専門の職員を派遣するなど一体どうなっているのかはっきり確認していただきたいと思うが、いかがでしょうか。 安全性でも避難計画でも問題点を未解決のまま、規制委員会が承認したから安全だということには絶対なりません。何よりも県民が納得していない事実があります。そして、私たち県議会も大きな責任を負っているということを強調したいのであります。 次に、子育て支援、若者対策について伺います。 今や人口減少対策が社会全体の大きな問題になっている。二〇二二年の出生数は八十万人にも達しない深刻な状況だ。宮城県の二〇二一年の出生数は一万三千七百六十一人で、前年より七百十九人減少し、県が統計を公表している昭和二十五年以降、最も少なくなりました。また、合計特殊出生率は六年連続の低下で一・一五まで落ち込み、宮城県は最下位の東京都に続き、全国ワースト二位の不名誉な状態が続いている。新年度の少子化対策は、従来の枠を出ないものとなっていますが、知事はこの現状をどう認識しているのかまず伺います。 そうした中、新年早々、菅原気仙沼市長が財源を確保して、新年度から小中学校の給食費無償化などを発表し、県内の自治体に衝撃が走りました。そして、実施を表明している栗原市、富谷市に続くビッグニュースであります。町村にも全額無償化が拡大し、一部無償化の自治体は十四市町村に広がり、東松島市も一部補助に踏み出します。相次ぐ物価高で苦しんでいる親御さんにとっては、どんなにかうれしいことでしょう。昨年十二月十六日に、宮城県市長会からも給食費の無償化についての要望が提出されていますね。この流れはもはや止められません。村井知事は長く県政を担っているのですから、国に働きかけるだけでなく、このくらいのことはやったらどうか、率直な感想を伺います。 憲法第二十六条第二項には、「義務教育は、これを無償とする」と規定しています。学校給食費も教育の一環なのです。自公政権がやらない中でも、宮城県は市町村で学校給食費無償化に踏み出した自治体には二分の一、これは全部やったとして、二分の一やったとして四十五億円なんです。これは一般会計一兆二千億円ぐらいだったでしょうか。これの〇・四%を工面すれば実現できるのです。やる気の問題なんです。お答えいただきたい。 また、政府が二〇二〇年に行った意識調査では、子育て支援で何が重要かと聞きますと、断トツは教育費の軽減、学費の軽減なんです。七割の方がそう答えた。県立宮城大学の学生に修学支援新制度として、令和二年から学生の約一三%の該当者に減免していますが、国の制度として無償化を要望しつつも、学費軽減の更なる努力を図ってはどうかと提案するものですが、お答えください。 最後に、石巻圏域の活性化策について伺います。 石巻市、東松島市、女川町の二市一町は昨年、石巻市を中心とした定住自立圏の形成を目指した共生ビジョンを策定。人口が減っても住む人々の満足度が高く、経済的にも持続可能な将来像を目指すことを確認した。今後は人口減少対策に全力を挙げながら、移住・定住の促進や滞在型観光の振興などが重要な課題となってくると思われます。東日本大震災から十二年、また、三・一一がやってきます。この三年間コロナ感染に悩まされ、そして今度は異常な物価高が襲いかかり、沿岸被災地は苦しんでいる。水産加工業や農畜産の一次産業、地元中小企業などは本当に大変な状況です。ここにこそ県政の光を当ててほしいと願うものです。率直に言って、百万都市仙台と沿岸部、内陸部の落差は大変なものです。均衡ある県土発展の是正のため、県政のかなりの力を注ぐべきと思うが、知事の見解を伺います。 その上で、石巻、東松島、女川の現状と新しい魅力をいかに発信していくかが肝腎であり、まず強調したいことは、震災遺構を若い世代に見ていただきたい。東松島市震災復興伝承館、みやぎ東日本大震災津波伝承館、石巻市震災遺構の門脇小学校や大川小学校などです。令和四年度十二月までの九か月間で、みやぎ津波伝承館が四万三千人、門脇小学校が三万人、大川小学校が六万人入館されていますが、コロナ禍とはいえ、南浜の津波伝承館の入館者数が増えていません。旅行会社や他県の学校にもよくPRして、大型バスが続々来るような魅力的な施設に改善することが急務だと思います。私は昨年二月の議会で、みやぎ津波伝承館の展示室やシアターの天井から音声が外部に漏れること、来館者のための休憩施設の新設や駐車場の改善を質問しましたが、その後、東北地方整備局との交渉はどのようになったのか伺います。 石巻には、地元密着のすぐれた企業が幾つもあります。二月十一日昼、NHKの中川家探検ファクトリーで、聖人堀鐵工所が造るアルミ船が放映されました。北上川河口の大震災で被災し、二か月で工場再開、三年後には以前の業績に回復、今や海外まき網漁業船搭載船の国内シェア九割を誇る、すごい技術なのです。また、今年一月の県水産加工品品評会の審査で、鯨肉のイタリアンバーグが最高賞に選ばれるとか、県東部地方振興事務所がお試し移住体験ツアーを二月十八・十九日企画し、東京都や大阪府、仙台市などから九組十二人が参加され、石巻地方の魅力を実感してもらうなど頑張っているのです。県としても、被災沿岸部の中小企業を一層支援していただくと同時に、若者や女性が働ける場の確保、産業の活性化に特に力を入れてもらいたいと思いますが、知事の意気込みを聞きたいのであります。 最後に申し上げたいことは、石巻、登米、気仙沼には、公式の第三種陸上競技場がありません。石巻地区の中学校総体も宮城野原陸上競技場まで来て実施しているのですから、まさに長年の悲願となっているのです。本来、県下第二の都市圏に県立の陸上競技場があってしかるべきです。石巻市もスポーツ関係者や市議会の請願を受け、やっと基本計画の策定に取りかかりますが、多額の費用の捻出は容易ではありません。ぜひ県としてしかるべき応分の財政支援を強く求めるものですが、いかがでしょうか。 以上で壇上での質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 三浦一敏議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、四病院の再編移転についての御質問にお答えいたします。 初めに、精神医療センターの患者や障害者の切実な訴えと地域包括ケアシステムについてのお尋ねにお答えいたします。 現在、県立精神医療センターに通院されている患者や家族の皆様から移転に関する不安の声があることは承知しております。私といたしましては、不安を抱いている方々にもできる限り地域で安心して生活を続けていただきたいと考えております。そのために、このような方々を支える精神科外来機能など、精神医療センター移転後も必要な体制の確保、維持について検討し、できる限り不安の払拭に努めてまいります。 次に、精神医療センターの移転は名誉ある撤退も選択肢の一つと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。 現在、関係者の方々に移転の影響に関して御意見を伺っているところであり、これらを踏まえ、引き続き早期の建て替えの実現を目指してまいります。今回の再編は、県の政策医療の課題解決に必要であると考えて提案しているものであり、私のほうから撤退することは考えておりません。 次に、大綱二点目、矛盾だらけの原発推進についての御質問にお答えいたします。 初めに、発電コストに関する認識についてのお尋ねにお答えいたします。 電源種類別の発電コストは、国によって燃料の調達コストや発電設備の立地条件などが異なるため、他国の状況を単純に我が国に当てはめることは難しいものと考えております。国がエネルギー基本計画の策定に当たり、令和三年九月に取りまとめた試算によれば、令和二年における我が国の原子力発電コストは火力とほぼ同程度であり、風力や太陽光に比べた場合でも、比較的安価であることが示されているものと承知しております。また、同計画では、発電コストを可能な限り引き下げる取組を進めるほか、エネルギーの安定供給に向けた対策を十分に講じていくことが示されており、私といたしましても、必要な電力を安定的に確保するためには、特定の電源に頼ることなく、バランスの取れた電源構成とすることが必要であると考えております。 次に、多核種除去設備等処理水の海洋放出に係る我が県の漁業・水産加工業への影響についての御質問にお答えいたします。 処理水の海洋放出について、水産関係事業者等は、風評被害の発生による事業継続への不安を感じており、私自身も危機意識を強く持っているところであります。県といたしましては、国と東京電力に対して、海洋放出以外の処分方法の検討と併せ、風評被害が生じることのないよう、処理水に関する正しい情報を分かりやすく継続的に発信するなど、国内外の理解醸成に向けた取組を引き続き求めてまいります。 次に、大綱三点目、子育て支援、若者対策についての御質問のうち、出生数と合計特殊出生率についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県においては、二十代・三十代の女性の有配偶率と有配偶出生率がともに低いことや、平均初婚年齢と第一子出生時年齢が高いといった非婚化、晩産化の実態が明らかとなっております。私はこのことに強い危機感を抱き、新・宮城の将来ビジョンの政策の柱に、社会全体で支える宮城の子ども・子育てを掲げるとともに、新たに基金を創設し、結婚・子育てを応援する取組の実施、不妊検査や治療費用の助成、市町村が実施するきめ細かな子育てサービス利用料の無償化などの施策を強力に推進してまいりました。これらに加えまして、若者の定着支援、質の高い雇用の創出など、総合的な少子化対策を継続して推進していくことが重要であると認識しております。 次に、大綱四点目、石巻圏域の活性化策についての御質問のうち、均衡ある県土の発展についてのお尋ねにお答えいたします。 今後、人口減少が本格化する中で、我が県が持続的に発展していくためには、仙台都市圏が有する都市機能を活用しながら、その他の地域が持つ固有の資源や機能を維持・発展させることで、県全体の持続可能性の底上げを図ることが重要であると考えております。昨年策定された石巻圏域の定住自立圏共生ビジョンは、地元二市一町が有機的な連携を図りながら、自立した魅力ある地域を形成しようとするものであります。県といたしましては、この共生ビジョンに掲げる将来像も十分に踏まえ、生活機能の確保や産業の振興、移住・定住の促進などを積極的に支援し、多様な主体と連携しながら、持続可能な地域づくりを進めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 総務部長志賀真幸君。    〔総務部長 志賀真幸君登壇〕 ◎総務部長(志賀真幸君) 大綱三点目、子育て支援、若者対策についての御質問のうち、宮城大学の修学支援新制度による授業料減免についてのお尋ねにお答えいたします。 高等教育の修学支援新制度については、令和二年度から運用が開始されており、宮城大学においては、令和三年度は入学金六十一人、授業料については延べ四百五十四人の適用実績がございます。支給対象の拡大、給付額の引上げについては、全国的・制度的な課題であるとともに、多額の財政負担を伴うことから、運用方法の弾力化を含め、現在、全国知事会を通して国に要望しているところであり、引き続き制度の充実に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長佐藤達哉君。    〔復興・危機管理部長 佐藤達哉君登壇〕 ◎復興・危機管理部長(佐藤達哉君) 大綱二点目、矛盾だらけの原発推進についての御質問のうち、原子力規制委員会で、委員から様々な意見が出されたことについてのお尋ねにお答えいたします。 先月開催された原子力規制委員会において、高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討が行われ、その中で、各委員がそれぞれの立場から、反対を含め様々な意見を述べた後に、原子炉等規制法の改正案等が賛成多数で決定されたものと承知しております。このことは、国家行政組織法第三条に基づく独立性の高い規制委員会において、専門的な知見に基づき、原子力の安全規制に関して率直な議論が行われている結果であると認識しております。今後、規制委員会では、新たに設置した高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チームで、高経年化した原子力発電所の安全規制の詳細を議論していくとしておりますことから、検討経過を注視してまいります。 次に、女川原子力発電所で千ガルを上回る地震は発生しないと断言できるのかとの御質問にお答えいたします。 二号機については、平成二十八年十二月、原子力規制委員会の新規制基準適合性に係る審査会合での指摘事項等を踏まえ、厳しい条件のもとで七つの基準地震動を設定しております。このうち最も厳しい設定は、千ガルの海洋プレート内地震であり、この結果は、原子力規制委員会から妥当と評価されております。一方で、新規制基準では、バックフィット制度が採用されており、新たな科学的・技術的知見を基に、千ガルを超える地震が想定されることとなった場合には、追加の検討と、より厳しい規制がなされるものと考えております。 次に、現在の科学水準で、最大の地震動を正確に設定する手法は確立しているのかとの御質問にお答えいたします。 最大の地震動の設定に当たっては、地質学の専門家等が、より精度の高い解析方法等について研究を重ねており、原子力規制委員会においても、これらについて情報収集するとともに、新規制基準への適用について常に検討しているものと承知しております。女川原子力発電所の基準地震動については、東北地方太平洋沖型地震や宮城県沖型地震などを考慮し、より厳しい条件で設定したもので、原子力規制委員会が過去に発生した地震の分析と最新の科学的・技術的知見を踏まえ審査し、許可したものと認識しているところでございます。今後、より正確な手法の確立に向けて、様々な研究が進められるものと考えております。 次に、女川原発で実施中の圧力抑制室工事に係る検査は、県独自の検討会を再設置して行うべきとの御質問にお答えいたします。 圧力抑制室に関しては、平成二十四年に原子力利用を推進する経済産業省から分離して設置されました原子力規制委員会において、原子炉等規制法に基づき、専門的な知見に基づく中立公平な立場で工事の確認を行うことから、新規制基準への適合性は確保されるものと考えております。 次に、処理水の陸上保管を国に主張すべきとの御質問にお答えいたします。 処理水の海洋放出以外の処分については、令和三年四月、国の基本方針が公表された直後、国に緊急要望するとともに、連携会議においても構成団体の皆様から強い御要望があり、継続して国に申し入れてきたところでございます。処理水の陸上保管に関しては、国の基本方針において、保管タンクの老朽化や災害による漏えいリスクのほか、保管施設を設置する自治体等の負担などの課題があるとされ、難しいものと考えておりますが、トリチウムの分離技術をはじめ、今後の技術開発も併せて申し入れていることから、県といたしましては、連携会議の構成員の総意であります海洋放出以外の処分方法の検討を、国と東京電力に対し、引き続き求めてまいります。 次に、避難支援アプリを活用しても避難所への到着に相当の日数を要するとの指摘に対する認識についての御質問にお答えいたします。 原子力災害時における避難時間の試算においては、避難経路や避難手段をはじめ、設定する前提条件によって結果が異なってくるものと認識しております。避難時間の短縮に向けましては、事態の進展に応じた段階的避難の考え方に基づく行動が重要と考えており、県では、避難先や避難退域時検査等場所までの経路、屋内退避の方法などを記載したリーフレットをPAZとUPZの全戸に配布し、平時から住民の皆様の御理解の醸成を図っております。また、新たに避難支援アプリを活用することにより、スマートフォンの画面に避難先を表示することで、避難所受付ステーションを経由せず、避難所へ直接向かうことや、避難所での受付時間の短縮などが可能となります。県といたしましては、引き続き、毎年実施しております原子力防災訓練を通じて、段階的避難の重要性について理解を深めていただくとともに、市町と連携して情報発信に努めてまいります。 次に、避難支援アプリを活用しても渋滞緩和の効果は期待できないとの御質問にお答えいたします。 新たに導入予定の避難支援アプリについては、災害時に住民の皆様が迅速に避難できるよう、様々な検討や実証訓練を重ねながら開発を進めている中で、スマートフォンを持たない方、あるいは使えない方が一定数いらっしゃることは承知しております。昨年十月に実施した原子力防災訓練においては、スマートフォンをお持ちでない方にも避難支援アプリを使用していただくことで、避難所受付ステーションを経由せず、直接避難所に向かうことによる避難時間の短縮や、QRコードでの簡易な避難所受付が可能になるなど、その有効性が実証されているところでございます。県といたしましては、毎年実施している原子力防災訓練において、実際に手に取って利便性を感じていただくとともに、今後も、アプリ機能の充実や使いやすさの向上を目指しながら、更にUPZの住民避難への活用も図り、原子力防災体制の継続的な強化に取り組んでまいります。 次に、避難計画の実効性についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災後に、IAEAの最新の知見などを取り入れて作成されました国の原子力災害対策指針には、PAZの住民の皆様は、放射性物質が放出される前の段階から予防的に避難を開始し、UPZの住民の皆様は、屋内退避を行った後に、一定の条件の下で一時移転を行う段階的避難が定められております。屋内退避の効果については、原子力規制委員会が平成二十六年、木造家屋においては四割まで、気密性の高いコンクリートの建物においては二割まで低減できると試算しております。県といたしましては、毎年実施しております原子力防災訓練において、段階的避難を実施する中で、住民の皆様にその重要性を御理解いただくとともに、普及啓発パンフレットの配布やホームページでの啓発用動画の公開などを行い、今後も関係市町と連携しながら、原子力防災体制の充実・強化に努めてまいります。 次に、福島第一原子力発電所の水素爆発に関する実証実験の状況についての御質問にお答えいたします。 水素の蓄積による事故防止に向けた実証実験については、関係する電力事業者が水素滞留・拡散挙動を評価するため、実際の施設を用いて実験を計画しているところでございますが、詳細については、現時点で検討中と伺っております。今後の進捗については、引き続き情報収集を行い、実験の経過を注視してまいります。 次に、大綱四点目、石巻圏域の活性化策についての御質問のうち、みやぎ東日本大震災津波伝承館の改善に関する国との協議状況についてのお尋ねにお答えいたします。 伝承館の展示室とシアターから音声が漏れる事案への対策や、新しい休憩施設の設置、駐車場へのアクセス改善などについては、御来場いただいている皆様からも御要望として伺っており、石巻南浜津波復興祈念公園の国営追悼・祈念施設を所管する国に対し、改善の検討を要請しております。国からは、伝承館の改修については意匠や建築基準法等の制約があることから困難であること、追加の公園施設整備については、基本計画を策定した際の有識者委員会や地域住民への説明と合意形成が必要であると助言をいただいております。一方で、伝承館や公園内の利用方法などについては、国、県、石巻市や伝承団体等で構成される協議会などにおいて課題を共有し、解決に向けて検討していくこととしております。県といたしましては、今後とも県民や利用者の皆様からの声に耳を傾けながら、国や石巻市などと連携して、若い世代をはじめ、県内外から多くの方々が集う魅力的な施設づくりに努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 企画部長千葉章君。    〔企画部長 千葉 章君登壇〕 ◎企画部長(千葉章君) 大綱四点目、石巻圏域の活性化策についての御質問のうち、陸上競技場整備についてのお尋ねにお答えいたします。 現在、石巻市では、陸上競技場の整備に向けた検討が進められており、市議会の二月定例会において、基本計画策定に係る新年度予算案が提案されているものと承知しております。今後、計画策定の過程において、必要な機能や建設費用などの具体的な議論がなされるものと考えておりますが、県としましては、石巻市における検討が円滑に進むよう、必要に応じ、国の財政支援制度や民間資金活用方法などの情報提供を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱一点目、四病院の再編移転についての御質問のうち、精神医療センター職員の意向を無視できるのかとのお尋ねにお答えいたします。 昨年六月、県立病院機構で精神医療センターの富谷市への移転について職員にアンケートを行ったところ、反対の意見が多かったのですが、これは新病院の概要が固まっていない段階で整備場所についての意見を聞いたものであり、寄せられた自由意見と合わせると、通勤への不安や、患者や家族への負担を懸念する声が多かったものと受け止めております。精神医療センターは老朽化が著しく、一刻も早い建て替えが課題であり、また、身体合併症への対応などで医療機能を充実することについては、期待が大きいものと思っております。先月二十日の確認書において、今後は精神医療センターも交えて新病院の姿を検討することとしておりますので、県立病院機構と連携しながら、職員にも説明に努めてまいります。 次に、精神医療センターが移転した場合の患者、看護師の奪い合いと空白地域が生じることについての御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターは、民間精神科病院とは、精神科救急医療などで連携しながら対応しており、対応困難症例の受け入れなどにより、補完関係にあります。特に、県内の民間病院では対応が難しいような事例に対応することで、全県的な精神科医療の体制を支えることが県立病院としての役割であると考えております。今回の東北労災病院との合築により、課題でありました身体合併症対応について、精神医療センターが役割を担うことで、県内の民間精神科病院との連携が一層充実するものと期待しております。また、県南部の精神医療体制につきましては、民間事業者等と連携しながら、名取の新病院への精神科外来機能を設置するほか、必要な体制の確保について検討してまいります。 次に、想定する精神科外来機能の規模と診療の見通しについての御質問にお答えいたします。 名取市の新病院への精神科外来機能の設置については、県立精神医療センターの患者や家族の方々の負担の軽減につながるよう、日本赤十字社と今後協議を進めていくことにしたものです。今後、県立病院機構等を検討に加え、現場の実情を勘案しながら、できるだけ早期に具体的な外来機能の方向性や規模について合意できるよう、協議を進めてまいります。 次に、精神科病院協会からの再考を求める意見書についての御質問にお答えいたします。 宮城県精神科病院協会をはじめとした精神科に関わる関係者とは、これまで県立精神医療センターの移転の影響に関して御意見を伺ってきており、県の考え方も説明してきているところです。県精神科病院協会からは、先月二十七日にも「県立精神医療センターの富谷移転に関する協議確認書に対する疑問」として書面をいただいております。今後とも、精神科に関わる医療関係者などのほか、身体合併症に対応する救急など、精神科以外の医療関係者の様々な声に耳を傾けながら、移転後の必要な体制について検討を進め、県民全体にとって一層有益な再編となるよう努めてまいります。 私からは、以上でございます。
    ○議長(菊地恵一君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱四点目、石巻圏域の活性化策についての御質問のうち、沿岸被災地の中小企業に対する支援等についてのお尋ねにお答えいたします。 沿岸被災地では、ハード面の整備事業がおおむね完了したものの、被災地の中核産業である水産加工業等においては、依然として売上げが震災前の水準に回復していない事業者が見られるほか、多くの市町が人口の減少傾向にあり、産業を支える人材の確保などが課題となっていると認識しております。こうした中、複数の水産加工業者等が新たな企業を設立し、ブランド化による販路拡大を行うなどの例も生まれており、県といたしましては、このような地域企業の競争力強化に結びつく取組などを積極的に支援してまいります。また、沿岸部の事業所における人材確保に対する支援や、水産加工業における女性が働きやすい職場づくりなどの雇用創出、更には、関係人口・交流人口の拡大につながる取組などを通じ、今後とも沿岸各地の産業の活性化を図ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱三点目、子育て支援、若者対策についての御質問のうち、県内小中学校の学校給食費無償化に対する助成についてのお尋ねにお答えいたします。 県や多くの市町村は、昨今の物価高騰への対策として、国の臨時交付金を活用して、栄養バランスや量を保った給食の確保と保護者負担の軽減に取り組んでおります。また一部の市町村では、子育て支援や定住促進などの観点から、給食費を無償化していると認識しております。一方で、学校給食法第十一条では、給食の実施に必要な施設・設備と運営に関する経費は学校設置者である市町村が、食材料費等は児童生徒の保護者が負担すると定められており、給食費の負担の在り方については、国において統一的に整理されるべきと考えられることから、法改正を含め、国に要望してまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) では、幾つか質問いたします。 まず、陸上競技場の問題、知事にお聞きしたいんですが、この問題は石巻選出県会議員皆共通の願い、思いなんですよ。時期は分かりませんが、石巻市長も、いずれ県にも要望に来ると思うんです。ですから、国や民間というだけではなくて、ここで幾らというようなことを求めているんではないんですよ。県でもこの問題については真剣に考えて、財政支援を考えてほしいということなんですが、いかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) お気持ちはよく分かっていますし、市長からもそういうお話をいただいているんですけれども、県内のどの市町村におきましても、いろいろな体育施設、運動施設をお造りになる場合に、県がそういったものに対する助成、補助というものを出したことはありませんし、やはり全体的に平等性ということを考えた場合、国の財政支援制度、または民間資金の活用方法など、こういったことに対するアドバイスはできますが、県の財源を使ってはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) そういうことを言っているから駄目なんですよ。とにかくよく考えてやってほしいと思います。 それから、女川原発についてお伺いしますが、この圧力抑制室の工事というのは、何のためにやっているんですか。 ○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長佐藤達哉君。 ◎復興・危機管理部長(佐藤達哉君) 新規制基準がございまして、女川原子力発電所二号機の基準地震動が五百八十ガルから一千ガルに引き上げられたことから、このサプレッションチェンバーの外部の支えの部分、それから内部構造の部分、こちらについての耐震補強工事が必要となったものでございます。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) この検査は誰がやるんですか。 ○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長佐藤達哉君。 ◎復興・危機管理部長(佐藤達哉君) 工事の検査につきましては、これは原子炉等規制法に定めておりますけれども、事業主である東北電力が使用前検査としてまず検査を実施して、その検査について原子力規制委員会が確認するという手法になっていると聞いております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) では、原子力規制委員会が来るんですね。 ○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長佐藤達哉君。 ◎復興・危機管理部長(佐藤達哉君) 私のほうでは詳細はちょっと把握できませんけども、原子力規制委員会が確認するということですので、東京からお見えになるということもございますし、また、既に常駐している検査官もいらっしゃいますので、その双方による確認が行われるものと推定しております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 分かりました。 では、四病院問題についてお聞きします。 二月八日の県精神保健福祉審議会でも相当厳しい意見が出されたと、昨日も報道がありました。ある委員からは、医療センターを富谷市に移転することについて障害者や家族会の意見を聞いたことがありますかと指摘されているんですが、改めてどうなんですか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) お話の審議会の場では、県のほうから障害を持つ方に出向いて聞いたことはあるんですかということが言われて、私たちとしては、いろいろな場面でお話を伺って、陳情などもいただいて聞いているんですけれども、こちらから出向いて聞いた場面はありませんでしたということをお答えしたと、そういう経緯でありました。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 出向いて聞いているということはないということですね。それで、別の委員からは「知事は時計の針を戻すことはできないと言っているが、間違っているのか正しいのか、その議論なしに、時計の針ばかり進めるわけにはいかないんだと、三病院から急に四病院にして、精神医療センターが加わったが何の情報もなく、そういう事態になったわけだから、混乱するのも当然と思われます」と。これは県が任命した委員がそう指摘しているんですよ。知事、どう思いますか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 私たちとしては、地域医療の課題整理、それから政策医療の今後を見据えた課題の解決ということで整理をして、そのことについては、議会をはじめ様々な自治体とか県民の方々にお示ししているつもりであります。二月八日の審議会の中では、一部の委員の方からは、要するに、全然聞いていないぞというお話がありましたけれども、県としましては、引き続きそのような課題を整理して、何のために移転推進をするのかということについて、丁寧に説明してまいりたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 知事は二月八日の審議会の議事録、読みましたか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) はい、読みました。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 知事も一言感想を言ってみてください。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 報道にあるとおりでありまして、厳しい御意見があったものと受け止めております。ただ、何度も申し上げているように、ある程度の方向性がしっかりと仙台赤十字病院も東北労災病院も御理解の上で、了解された上で表に出ましたので、今後はしっかりとお話を聞くような形を取っていきたいと思ってます。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) これ、真剣に読めばやはり考え直すなりですよ。動揺しますよ。ところで、中身を見ると、医療政策課の職員が説明するのに大変苦労してましたでしょう。職員を守るべき知事が、職員にこういう苦しい回答をさせていいんですか。知事の決定でそういうようなやりとりになっているんですよ。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) この問題に限らず、私は政策をいろいろやってきまして、当然、賛否両論分かれる政策もやってまいりましたので、その都度、職員は前面に立って頑張ってくれまして、職員が苦しくても大変な状況であったとしてもやるべきことはしっかり前に進めていくということで、みんなで力を合わせてやっておりますので、御理解いただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) やり方が間違っているから、職員が苦しいんですよ。 名取市に造る新病院で対応する外来患者なんですが、仙台市太白区以南で約二千人と言われています。これをやるために、医師と看護師は何人必要なんですか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 医師と看護師の数等については、これからの協議で具体的に決めていきたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 精神医療センターに勤務していた医師によりますと、二千人の外来に対応するには医師七人、看護師十人は必要だと言っているんです。これ、でたらめを言っているんではないんですよ。実際にやっている中で、これらの数、本当に確保できるんですか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 今のお話は報道でも伺っておりました。現時点では、精神科外来について、先ほど数はこれからと申しましたけども、一定の見込みは持っております。具体的に、名取市の新病院が民間病院等との連携の中でどのぐらいの患者の方を受け入れるかというようなことを推定して、実際に必要なスタッフの数を割り出して、そしてそれを大学等との連携の中でどうやって確保するかということをこれから具体的に決めていきたいと、そういうふうな考え方、見通しを持っております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 今の数、部長は否定しませんでしたね。それで、入院が必要なときはどうするんですか。名取市のほうで。外来に行きますよね。入院が必要な場合はどうするんですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) そういうことも含めて、これから協議をしていくということです。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 協議と言いますが、外来でしょう、入院施設は置かないんですから。そうしますと、富谷市の新センターに行くときの移動手段とか、患者や家族の対応をどういうふうにするんですか、実際は。想定なんかはできるでしょう。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) その辺はまさにこれから検討してまいるわけでありますけれども、県としましては、今名取市の患者の方々が、富谷市だと距離が遠くなって負担がかかるというような声も聞いております。できれば住み慣れた地域で、外来それから入院まで対応できれば望ましいと思っておりますけれども、今後、精神医療センターが担う機能、それから民間の医療資源でどのぐらい対応できるかということもしっかりと検討しながら、その辺の具体的な対応を考えてまいりたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) そういう適当なことを言ってもらっては困るんです。そうすると入院も考えるということなんですか。これと、話は別ですよ。県は、富谷市に移転すれば全県の精神科救急を担えると主張してきたが、協議確認書では措置入院だけに精神科救急を絞るというように読み取れるんですよ。違うんですか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 協議確認書では措置入院に限ったという趣旨ではなくて、措置入院を含めた全県的な救急医療について機能を果たすという趣旨で記載しております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) ということは、あの読み方は措置扱いだけではなくて夜間救急などもできると解釈してよろしいんですね、目指すということで。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 現在、県の精神科救急体制の中では、二十四時間三百六十五日ということで、特に夜間の救急の受入れは県立精神医療センターだけが担っております。今後どのような体制を取るかは検討してまいりますが、基本的には、そのような民間病院では対応が厳しいところは、まさに県立病院として県の精神医療センターが担うべきものと今考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 知事は、昨日も言ってましたかね。知事選の公約だから四病院再編は進めると言いますけど、知事選はそれだけで有権者が判断したのではないんですよ。一方、知事に対して、仙台平均で四割、東北労災病院と仙台本赤十字病院の地元である太白・青葉区では四割以上の批判票が出たんですよ。調べたら、現職を長くやっている知事で票を減らしたのは、宮城県知事だけなんだそうです。あまりこういうことは言いたくないですが、今は亡き長先生が一か月前に出馬して、三十七万票も取りました。ですから、再選されたので公約全て信任されたと思い上がっては駄目なんです。こういうときこそ、もっと謙虚に受け止めるべきではないですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 逆に長さんが当選をされて四病院を進めますと言ったら、おそらく三浦議員は公約違反だと、辞めろと、きっとそうおっしゃると思いますよ。逆に私は同じようにやると言って当選したんですから、やるように頑張る。これがもしやれなくなったら公約違反だというお叱りを受けるわけですから、当然のことだと私は思いますけれども。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) それだけの批判票が出たということに耳を傾けるべきだということを言っているんですよ。三病院から四病院と二年半かかっているんですよ。やっと具体性のない協議確認書が今議会ぎりぎりになって出てきた。これは知事の思惑どおりに進んでいないんですよ。本当にできるんですか。これほど世論が反発する中で、知事、無理ではないですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) やれるように最大限努力をさせていただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) これ、聞きたくないですが聞きますね。せんだっての代表質問で、知事は四病院問題が駄目になったときは責任を取ると言いましたよね。それは政治責任を取って知事を辞めるという意味でよろしいんですね。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは相手のあることですから、仙台赤十字病院や東北労災病院がもうやめるということでおっしゃったら、これは私の責任ではないんですけれども、私の意志で、宮城県の意志でやめるということになれば、それはもう公約違反ですから、それは知事を辞めるということになるのではないかなと思いますが。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 仙台赤十字病院さんも東北労災病院さんも、県民、世論のこういう反発の中では、やはり確信を持って、この移転や合築というものに進むのは大変だと思うんです。どれだけ知事が推進すると言っても世論が味方してないんですから。そういうふうに知事、思いませんか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 精神医療センターに通っている患者さんやお医者さん方の中には、そういう意見の方も多いんですけれども、私はいろいろな方から道すがら「四病院頑張ってください」と声がけされることが多いです。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 知事はそのように言うのかもしれないけど、これはよほどの不満、怒りなんですよ、これだけ出ているというのは。大体、十二年も延び延びになっている広域防災拠点とか、四病院再編・移転も完全に行き詰まっているでしょう。よく、権力は腐敗する、陳腐すると言うでしょう。結局、話をだんだん聞かなくなってくるわけです。長くやり続けると、誰の意見も聞かなくなると。ですから、やはり為政者とは、弱者に寄り添って政治をやるということがなくなったら辞めたほうがいいんですよ。つまり、一番大変な精神障害の方々とかそういう人たちが、これほど声を上げてやっているということなんですから、そういう声に耳を傾ける為政者であってほしいなと思うんですがどうですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) その言葉を、共産党の志位委員長にぜひお伝えしたいなと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十四番三浦一敏君。 ◆二十四番(三浦一敏君) 知事、あまりそういう、我が党の党首のことまで言わなくたっていいですから。我が党は民主的にやっています。今は、やはり真逆になっているんですよ。民意を尊重しない形で強行していると。ですからみんな怒っていますし、職員も苦しんでいる。部長だって、とても丁寧な対応で大変なんですよ。四病院を何とかするというふうな頭に知事がなっているから、結局、子供のそういう問題とか学校給食費の問題とか、原発問題、その他みんな、そういうふうになって停滞しているということで、やはり県政を変えなくては駄目だということを申し上げて、質問を終わります。以上でございます。    〔「議長、議事進行」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 十一番福島かずえ君。 ◆十一番(福島かずえ君) 先ほどの知事の答弁の中で、公党・政党に対する侮辱とも取れる、内政干渉とも取れる発言がありました。議長においては、精査していただきたい。 ○議長(菊地恵一君) 本件については会議録を精査の上処置したいと思いますので、御了承願います。 ○議長(菊地恵一君) 二十九番横山のぼる君。    〔二十九番 横山のぼる君登壇〕 ◆二十九番(横山のぼる君) 公明党県議団、横山のぼるでございます。本日は、私の後援会会長もお越しいただいていますので、前向きな答弁をいただけるよう期待いたしまして、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、以下、質問させていただきます。 大綱一、物価高騰、エネルギー価格高騰対策について。 三年にも及ぶコロナ禍に加えて、ロシア危機に端を発する物価高騰、エネルギー価格高騰、とりわけ直近の電気料金高騰は、県民・市民の生活、生産活動や企業活動に大きな負担となっております。電気代はオール電化の一般家庭では、一か月十万円を超える家庭も多くあると聞きます。県内の高齢者施設、障害者施設においては、電気代が前年同月比で倍以上に跳ね上がっているとのことです。県内のある企業では、電気代の高騰により利益が圧迫され、賃上げを行うどころか賞与のカットをせざるを得ない状況に追い込まれているとのことです。このような状況の中、国ではガソリン等の燃油代、電気・ガス代等の支援、県においても国の交付金等を活用して、多様な支援を行っていただいているところです。しかし、その施策が物価高に追いついていない状況となっています。その中で、プロパンガスについては、直接的な補助がなく、都市ガスは補助があるため、都市ガスを使っている家庭に比べ不公平だと、多くの方からお声をいただいています。政府は都道府県に対して、地方創生臨時交付金を使ったプロパンガス料金の上昇抑制を促しております。本県としてプロパンガスの負担軽減策を実施してほしいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、県として、いつ終息するか分からない物価高・エネルギー価格の高騰について、非常事態宣言を発出し、県民とともに物価高を乗り越えるメッセージを示すとともに、経産省のウクライナ情勢の変化に伴い中小企業・小規模事業者対策の特別相談窓口の周知徹底を行うとともに、県としては、中小企業等がデジタル化や労働生産性の向上につなげていける専門性の高い窓口を設置して、物価高を克服できる体制づくりを行うべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 あわせて、老人福祉・介護事業所の倒産が過去最高を記録しています。コロナ禍での利用客の回復も鈍く、食材や光熱費、介護用品などが値上がりする一方、価格転嫁が難しい状況に置かれております。高齢者施設、介護事業所、障害者施設への更なる支援を求めますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、インフレ率以上に賃上げを行っていくためには、政府は税制も含めて、あらゆる政策を総動員して賃上げを行っていくとしております。長引くデフレ脱却のチャンスを捉えて、ある意味果敢に攻めていくことが求められますが、具体的に賃上げを行うにはどうすればよいのか。東京商工リサーチの二月七日付の記事によれば、「価格転嫁と賃上げに相関関係、転嫁進む企業ほど賃上げ率アップ」とあり、東京商工リサーチが二〇二二年十二月に実施した、価格転嫁と賃上げに関するアンケート調査を分析した結果によると、価格転嫁率と賃上げ率は相関関係にあることが分かったとあり、実際に十分な価格転嫁ができていない企業が圧倒的に多く、このため賃上げが進まない一因となっていると分析しています。価格転嫁を行っていくために、国の制度である業務改善助成金の県単独分のかさ上げの検討や、県内のパートナーシップ構築宣言企業を増やすための取組を一層進めていかなければならないと思いますが、県として、賃上げの取組について、知事の御所見をお伺いいたします。 都市部以外の地方においては、特に公共事業の発注が景気動向に大きな影響を与えることは言うまでもありません。適正な価格を請負金額とするために、急激な物価変動や資材の高騰の変動に伴う単品スライド条項、インフレスライド条項を申請することができますが、本県において適用可能な請負金額の中で、今年度これまで何件に適用したのか、件数ベースで何割が適用を受けているのか、お伺いいたします。 また、元請けの請負金額の物価上昇に対応したスライド条項適用とともに、その下請・孫請企業の請負価格についても、適正価格となるようにしていかなければなりませんが、県の認識と、その下請企業に対する対策等を伺います。 民間発注においても、スライド条項などが請負契約書に明記されていないケースがほとんどで、物価変動に伴う価格転嫁が進んでいない一つの要因ともなっています。スライド条項について、民間でも定着するようにしていく必要があります。建設業協会など業界団体とも協議の上、進めていくことが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、この機会に発注の評価点の在り方も検討の余地があると思います。SDGsの取組やCSR調達の有無について評価対象とすることや、女性活躍のポイント加算がまだ低いと思いますが、発注評価項目について、知事の御所見をお伺いいたします。 大綱二、新型コロナウイルス対策について。 新型コロナの感染拡大は、ウイルスが変異し弱毒化しつつも、新規感染者の数が第一波から第八波に至るまで徐々に大きくなってきており、併せて死者数の増加が見られる傾向にあります。一方、国際社会ではいち早くウィズコロナ、ポストコロナ社会への移行を進めてきております。日本においても、コロナウイルスを社会が受任する方向にかじを切り、五月八日から二類相当から五類へ引き下げられる予定です。しかし今後も、感染拡大の更なる波が来ることを予想して、事前の備えを十分にしていくことが何よりも重要です。仙台市医師会の安藤健二郎会長からお話をお伺いしたところ、五類移行後に大きな感染拡大があった場合に備えて、今まで以上の規模のコロナ・ケア療養体制を準備すべきであり、医師の常駐など医療の関与をより厚くする必要があると考えているとの認識を示されておりました。二類相当から五類へ引き下げた以降、本県として、死者・重症者を減らす対策やケア付き宿泊療養施設の四月以降の期限延長とその施設の拡充、そして、ケア付き宿泊療養施設への医師の常駐について、知事の御所見を伺います。 国は、季節性インフルエンザ等と同様に幅広い医療機関でのコロナ患者を診る体制の移行を目指していますが、地域医療体制の移行はそう簡単ではないと考えます。国は三月の上旬に具体策を示すとしていますが、県内にインフルエンザの診療できる医療機関がどのくらいあり、スムーズなコロナ診療移行体制に当たって、どのような対策を考えているのかお聞きします。 国は、行政、保健所が担っているコロナ患者の入院調整については、当面の間、行政が担うが、将来的には医療機関にも担ってもらうことになるとしていますが、今後、救急搬送体制が逼迫することが予想され、不安材料でもあります。そのための対策を事前に行っていくことは喫緊の課題と思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 大綱三、メディカルジェットの導入について。 本県は、平成二十八年十月二十八日からドクターヘリの運航を開始し、令和五年一月まで、千八百五十二回の運航を行い、一刻を争う事態から多くの命を救出し、今や欠かすことのできない空の救急搬送体制を担っております。北海道では、ドクターヘリに加えて、国内初の医療専用ジェット機による患者の搬送事業の本格運航を、三か年の試験運航を経て、平成二十九年七月三十日から、国庫補助事業のへき地保健医療対策等実施要綱にメディカルジェットが追加されたことにより、国から二分の一の補助を受け、北海道が実施主体となり、患者搬送固定翼機運航事業、メディカルウイングを北海道航空医療ネットワーク研究会に事業委託して、本格運用を開始しました。初年度十六件、それ以降一年間で三十件から四十件の運航実績を重ねております。小児先天性患者の搬送が最も多く、都市部に医療機関が集中している高度専門医療など、先進医療や呼吸器系疾患、脳神経系疾患の患者搬送に大きな役割を果たしております。北海道は広大な地域であり、島にある空港を含め十二の空港があり、それぞれの地域の空港から主に札幌丘珠空港へ、場合によっては首都圏の空港への搬送も行っております。ドクターヘリとの相違点については、ドクターヘリは救急搬送が主目的ですが、メディカルジェットが搬送する患者は、その地域で受けられない高度な医療が必要な患者ということになります。また、ドクターヘリと比べてスピードが速いため、長い運航距離の搬送が可能で、航行安定性にもすぐれています。機内スペースも広く、医療機器等も充実しており、安定的な医学的管理を行うことができるなどのメリットもあります。このように、僻地医療をカバーする観点から、北海道が最初に導入に至っておりますが、今後、宮城県内での運航や東北全体での運航を検討していくことは有効であると思います。宮城県内には現在、ジェット機が離着陸可能なのは、仙台空港、航空自衛隊松島基地ですが、自衛隊所有の霞目飛行場や民間飛行場の栗原瀬峰飛行場、角田滑空場など、将来的には、法的な縛りや滑走路の延長など、施設の整備を行うことにより、ジェット機の利用可能性が高くなります。また、東北全体として考えた場合には、宮城県にしかない県立こども病院、また、山形県では重粒子線治療、福島県では陽子線治療など、各県で特色のある先進医療を展開しており、医療ジェットを運行することにより、東北全体で医療体制網の底上げにつながることは確かであると思います。あわせて、首都圏への搬送なども考えられると思います。以上の点を踏まえて、将来を見据え、県内又は東北内でのメディカルジェットの運航について、知事の御所見をお伺いいたします。 大綱四、県民福祉等の向上について。 介護保険制度を活用したボランティアポイント制度については、二〇〇七年度から地域支援事業実施要綱の改正を行うとともに、介護支援ボランティア活動への地域支援事業交付金の活用についての事務連絡が発出され、市町村の裁量により、地域支援事業交付金を活用して、介護支援ボランティア活動の実績に応じてポイントを交付することが可能となりました。具体的には、散歩補助や行事手伝いをするとポイントがたまり、商品券と交換できるシステムなどがあり、高齢者が介護支援ボランティア活動を通じて社会参加、地域貢献を行うとともに、高齢者自身の健康増進も図っていくことを積極的に支援するという画期的な施策となっています。二〇二〇年度まで全国で五百九十九市町村に広がっており、宮城県では、介護予防に取り組んでいる塩竈市ほか六市町となっています。また、二〇一四年から健康ポイント制度の大規模実証実験がスマートウエルネスシティ総合特区に参加する六市でスタート。二〇一五年五月施行の医療保険制度改革では、保険者が加入に対してインセンティブを提供する取組が努力義務として位置づけられ、この結果、保険者である市町村が健康ポイント事業を展開する事例が全国で増えており、ポイント事業を観光振興や地産地消につなげていこうという試みも出ております。この類似のポイントを付与する事業を、私の地元仙台市太白区郡山の地域包括ケアセンターにおいて、昨年度、仙台市の事業で実施したヘルステック推進事業「みんチャレ」として取り組みました。歩いた歩数に応じてポイントがたまり、そのポイントを付与できる仕組みとなっており、ポイントの付与で社会貢献できることが喜びとなっているとのことです。このようなボランティア制度の内容を県内の自治体に周知し、多くの自治体が地域支援事業交付金を活用して事業を行えるように働きかけるとともに、知事が進めようとしているマイナンバーカードを活用したDXの取組に、このポイントを付与できるように検討してはどうかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 あわせて、健康ポイントの付与についても、県内自治体に周知するとともに、スマートみやぎ健民会議の取組として進めることや、知事が進めようとしているマイナンバーカードを活用したDXの取組に、このポイントを付与できるように検討してはどうかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 宮城県の公式ツイッターについては、プッシュ型の情報発信が可能ですが、フォロワー数は約千六百人、ちなみに仙台市の公式LINEは約四万六千人が登録しております。多くの県民へプッシュ型で情報発信ができるような体制構築を求めますが、知事の御所見をお伺いいたします。 大綱五、子宮頸がん対策について。 子宮頸がんの発症予防を目的としたHPVワクチンについて、本年四月より定期接種対象者への積極的勧奨が約九年ぶりに再開されました。また、積極的勧奨差し控えの期間に定期接種年齢を過ぎてしまった女性に対しても、再度接種機会を設けるキャッチアップ制度も開始され、全国的にHPVワクチンに関する接種や関心が高まっております。そこで、本県の積極的勧奨再開に伴う対応と、県内市町村の定期接種対象者及びキャッチアップ対象者への周知の状況、併せて、今年度直近までの実施率と、十人中何人に接種したのか、その率をお示しください。 さて、現在、定期接種やキャッチアップ制度で使用できるHPVワクチンは、二価ワクチンと四価ワクチンとなっております。これらのワクチンより高い感染予防効果があるとされる九価ワクチンがあります。九価ワクチンの接種は、現在自己負担となっておりますが、十一月八日、厚生労働省は専門部会で令和五年四月から定期接種とする方針を決めました。定期接種として自己負担なく効果の高いワクチンを使えるようになることは、対象者にとって喜ばしく、接種を検討するための大変重要な情報と思います。そこで、九価HPVワクチンの効果や安全性についてお答えください。 定期接種の運用は市町村が大きな役割を担います。とりわけ個別通知による情報提供は重要です。十分な情報が届かなかったために、接種の検討が遅れてしまったり、接種機会を逃すといったことがないように、九価ワクチンの接種が可能となる方全員へ郵送による個別通知、国作成のリーフレット送付を市町村が速やかに確実に案内できるように、県から市町村に文書を発出していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 大綱六、四病院の再編について。 二月二十日に、仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合に向けた確認書、並びに東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築に向けた確認書の取り交わしを行いました。その確認書の内容によると、それぞれの進捗に大きな違いがあることが分かります。東北労災病院と県立精神医療センターの確認書では、運営主体が明確になっており、令和五年度内の合意に至らなかった場合には、確認書の内容を解除できるとしており、期限を明確にしていることからも、その協議内容が比較的順調に進んでいるように思われます。一方、仙台赤十字病院と県立がんセンターの確認書では、運営主体について、今後の協議とし、明確になっていないことや、合意に至らなかった場合の解除期限も明示されていないことから、協議が遅れている、もしくは難航しているような印象を受けます。そこで伺います。最終的に東北労災病院と県立精神医療センターは合意に至り、仙台赤十字病院と県立がんセンターの合意が至らない場合も想定されると思いますが、その場合には、四病院再編の検討をゼロベースに戻すことになるのか。二病院の東北労災病院と県立精神医療センターの合築・移転のみを進めることになるのか、お伺いいたします。 また、統合する新病院に、当事者や関係者からの声を考慮し、精神科外来機能の協議を進めるとのことですが、統合する新病院に精神科外来機能が設置されることを前提とした東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築で、統合する新病院に精神科外来が設置されない場合は、東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築も進めないという理解でよろしいか、お伺いいたします。 仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合による新病院の運営主体については、診療機能を適切に提供できることなどを考慮して協議を進めるとありますが、運営主体を県立・公立とするかどうかで、今後の宮城全体の医療の在り方を大きく左右すると言っても過言ではありません。どのような場合に県立で維持し、どのような場合に日本赤十字社側での運営に任せるか、その分水嶺をお示しください。 これまで県立がんセンターで担ってきた、がんの先進医療である希少がんや難治がんの診療については、県立だからこそ維持できたと思います。新病院については、県立で運営すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 仮に、県立・公立以外、日本赤十字側が運営者となる場合に、民間病院ですので、持続可能な経営基盤の確立が最重要課題となってまいります。経済的に採算がとれないとされる希少がん、難治がんに加えて、がん研究医療機能などは、確認書記載のとおり東北大学と補完・連携を進め、他のがん診療拠点病院とともにがんの政策医療において必要な機能を維持することにならざるを得ないと推測しますが、採算がとれない、そして、県の政策医療として欠かすことのできない、今まで県立がんセンターがカバーしてきたこの領域を、他の病院の連携により補完することは、相当な困難が伴うものと推察されます。東北大学だけでは補い切れるものではなく、ほかのがん診療連携拠点病院の力を借りることも必要となると思いますが、ほかの病院、例えば、仙台医療センターや東北医科薬科大学病院との協議は行っているのか、お伺いいたします。 先ほど述べた当事者や関係者からの声を考慮し、精神科外来機能の協議を進める件については、当会派の伊藤和博議員も、十一月議会に提案しておりました。切実な声を県知事に酌み取っていただいたと認識はしておりますが、病院がなくなる移転元の仙台赤十字病院及び東北労災病院についても、民間病院ではあるものの、移転元地の自治体である仙台市及び仙台市医師会と十分に協議をして、外来機能等の受皿整備を含めた検討を行うなど、移転元病院に通院・入院している患者と住民への安心材料としてほしいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、知事は記者会見の中で、今後、当事者の声を聞きながら丁寧に進めていくと話しておられましたが、今後、移転元・移転先のそれぞれの自治体と住民、医療関係者への説明の日程、スケジュールを可能な限り早期に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。決まっている日程等があればお示しください。 大綱七、再生可能エネルギーの導入について。 太陽光パネルの導入については、みやぎゼロカーボンチャレンジにおいて、二〇三〇年までの最も重要視する再生可能エネルギーの一つでありますが、県として今後の一般住宅、事業所など屋根等への導入方向性をどのように考えているのか、お伺いします。 太陽光パネルについては、日本では、二〇一二年から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度、FITによって、太陽光パネルが大量に導入されました。資源エネルギー庁の、出力低下及びFIT買取り期間終了に起因したパネルの排出量予測によれば、二〇三六年頃には、国内で約十七万から二十八万トンの大量の太陽光パネルが廃棄される見込みとなっております。こういった問題を受けて、環境省が太陽光パネルのリサイクル義務化の検討を行っており、二〇二四年度には、リサイクルの義務化をする方針を示すのではないかと言われています。国のリサイクル義務化を待つまでもなく、太陽光パネルの設置を進めるために、県内においていち早くリサイクルできる体制を構築すべきと考えますが、リサイクル技術を持つ企業の誘致状況、また、リサイクル施設への設備投資を県としてどのように考えているのか、お伺いいたします。 太陽光パネルの製品寿命が約二十五年から三十年と言われておりますが、現に、既に一部が新しいものに取り替えられたり、故障したりという理由によって寿命を待たず廃棄されている状況にあります。そのような中、太陽光パネルのリサイクル化に加えて、リユース(再使用)、アップサイクルを進めていくことが求められます。二〇二二年七月、改正再エネ特措法の下で、太陽光発電設備の廃棄等に関する費用について、太陽光発電事業者に対して、原則、源泉徴収的な外部積立てを求める制度が始まっています。しかし、対象は十キロワット以上の太陽光発電のFIT認定案件となりますので、これから普及拡大が見込まれる十キロワット未満の一般家庭や自家消費型は対象外となりますので、太陽光パネル施設廃棄に係る解体、撤去、処分など、公費助成を設けることにより、リサイクル化、リユース、アップサイクルの循環の流れをしっかりつくっていくことはどうでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。 大綱八、騒音対策について。 新幹線騒音について伺います。 令和三年度新幹線鉄道騒音の測定結果では、県内の仙台市も含めた十五地点の新幹線騒音の観測地点において、二地点を除く十三地点が環境基準を超過している状況になっております。環境省、新幹線が通っている県が同席し、騒音問題を協議する唯一の会議体である「東北・上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策十県協議会」では、環境省は出席しているものの、事業者であるJR東日本の監督官庁である国土交通省は出席していない状況であります。これでは事業者に環境基準の遵守をさせることができないのではないでしょうか。この会議の場に、国土交通省も参加することを県から求めていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 低周波騒音について伺います。 令和四年二月の予算総括において、エコキュート等の低周波騒音に対して、県として対応方針の整備や条例の改正を行い、各市町村が低周波騒音に適切に対応できるような相談体制の強化を求めましたが、その後の検討状況をお伺いいたします。 以上で、壇上からの質問とさせていただきます。大変ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 横山のぼる議員の一般質問にお答えいたします。大綱八点ございました。 まず、大綱一点目、物価高騰、エネルギー価格高騰対策についての御質問にお答えいたします。 初めに、物価高克服に向けた体制整備についてのお尋ねにお答えいたします。 昨今の社会経済情勢の急速な変化に伴う物価高騰は、様々な分野に大きな影響を及ぼしていることから、昨年十月には全国知事会において、全国的な物価高騰等を受けた総合経済対策への緊急提言を取りまとめ、国とともに物価高克服に向け全力で取り組む決意を示しました。国の要請に基づく「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」について、県内では、東北経済産業局、政府系金融機関、商工関係団体等に設置されており、県としては、ホームページ等での掲載のほか、中小企業向け補助金の募集機会等を捉え、一層の周知に努めてまいります。また、中小企業の生産性向上等を図るため、県での一次的な相談のほか、みやぎ産業振興機構に加え商工関係団体における専門性の高い経営相談や、専門家派遣事業等を通じて積極的に支援しております。県としては、国や市町村、商工会・商工会議所等の関係機関と連携し、物価高克服等、中小企業が直面する経営課題の解決にしっかりと取り組んでまいります。 次に、総合評価落札方式における評価項目についての御質問にお答えいたします。 県では、公共工事における入札の透明性、公正性及び競争性を確保し、価格と品質が総合的に優れた公共調達を行うため、全ての一般競争入札に原則として総合評価落札方式を適用しております。総合評価落札方式における入札価格以外の評価項目については、入札企業の技術力、社会性、地域性及び働き方改革等の視点を踏まえ、昨今の公共工事を取り巻く社会情勢も捉えながら設定してまいりました。具体的には、入札企業及び配置技術者の施工実績や成績のほか、「女性のチカラを活かす企業認証」の有無、ICTの活用や週休二日工事の実績、維持管理や災害対応など、SDGsが目指す十七の目標達成にもつながる様々な項目を定めております。県といたしましては、公共工事の品質確保や県内建設企業の持続的な発展に向け、引き続きSDGsの推進やCSR調達等の評価内容や評価点につきましても、建設関係団体の意見をはじめ、国・他県の動向も見極めながら見直しを行っていくなど、総合評価落札方式の適切な運用に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、新型コロナウイルス対策についての御質問のうち、死者・重症者を減らす対策及びケア付き宿泊療養施設についてのお尋ねにお答えいたします。 県ではこれまで、高齢者や基礎疾患のある方など、重症化や死亡するリスクの高い方を守るため、保健・医療提供体制を整備してまいりました。国の方針では、五類移行後も医療機関や高齢者施設でのクラスター防止対策は継続していくこととされておりますが、具体的な取扱いにつきましては、まだ不明でございますので、国の動向を踏まえ検討してまいります。ケア付き宿泊療養施設につきましては、昨年十二月上旬に新たな施設を確保し、入所可能者数を十六名から四十三名に拡大いたしました。また、施設への医師の常駐はありませんが、オンコール医師の協力の下、点滴をはじめとする一部の医療的ケアの提供が可能な体制を整備したところであります。施設の運営につきましては、四月以降も五類移行時までは現行体制を継続する予定でありますが、移行後の対応につきましては、高齢者施設等の関係者の意見や国の方針を踏まえながら検討を進めてまいります。 次に、大綱六点目、四病院の再編についての御質問にお答えいたします。 初めに、仙台赤十字病院と県立がんセンターが合意に至らない場合の想定についてのお尋ねにお答えいたします。 協議先である日本赤十字社及び労働者健康安全機構とは、仙台医療圏南部及び北部の医療提供体制の充実に向け、誠実に協議を続けており、先般、確認書を取り交わし、双方来年度中の合意を目指すこととしております。このため、東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築に限らず、名取市の新病院も含め、それぞれ我が県の政策医療の課題解決実現に必要な再編であることから、私といたしましては、実現に向けて最大限力を尽くしてまいりたいと考えておりますが、仮にどちらかの協議が合意できなかったとしても、全体を白紙にすることや、他方の協議を中止するといったようなことは考えておりません。県といたしましては、いずれの協議につきましても実現に至るよう、今後も最大限力を尽くしてまいります。 次に、仙台赤十字病院とがんセンター統合後の新病院に精神科外来機能が設置されない場合の対応についての御質問にお答えいたします。 名取市の新病院への精神科外来機能の設置につきましては、県立精神医療センターが富谷市へ移転することに伴い、県南部の精神科医療体制が手薄になるという懸念の声を踏まえ、私から日本赤十字社に提案して理解をいただき、確認書に盛り込んだものであります。県南部の精神科医療のためには、この精神科外来機能だけではなく、日常の生活をサポートするための体制や機能の確保が課題であり、実情を踏まえて検討してまいりたいと考えております。このように、県南部については、総合的に体制を維持していくことを考えておりますので、県の重要課題である東北労災病院と精神医療センターの合築の協議は進めてまいります。 次に、外来機能等の受皿の整備を含めた検討と説明日程を早期に示してほしいとの御質問にお答えいたします。 今回の病院再編につきましては、仙台医療圏の医療提供体制の強化につながるものと考えて推進しております。移転元の地域の方々にとっては、外来機能等の整備があれば望ましいものとは思いますが、仙台市内の移転元地の活用につきましては、県の意向で検討を進めることは適当ではないと考えております。また、関係自治体や医療関係者への説明は、これまでも行っておりますが、地域住民や患者の方々への説明につきましては、病院設置者が行うべきものでありますので、県としても連携して対応してまいります。 次に、大綱七点目、再生可能エネルギーの導入についての御質問のうち、住宅や事業所への太陽光パネル設置についてのお尋ねにお答えをいたします。 太陽光発電につきましては、比較的導入までの期間が短いことや、住宅や事業所、未利用地など、様々な設置場所が活用できることなどから、県では、今議会に提案しております、みやぎゼロカーボンチャレンジ二〇五〇戦略の中で、最も高い導入目標を掲げ、重点的に取り組むこととしております。特に、住宅や事業所の屋根等への設置につきましては、災害時の電源確保にもつながることなどから、住宅における太陽光発電設備・蓄電池の設置や事業所への大規模導入などを支援しているところであります。来年度は、県民の皆様が、より安価に設置できるよう、新たに住宅用太陽光パネル等の共同購入事業を実施する予定としております。県といたしましては、新たな戦略に掲げた二〇三〇年度までの目標達成に向けて、太陽光発電の更なる導入拡大を目指してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 総務部長志賀真幸君。    〔総務部長 志賀真幸君登壇〕 ◎総務部長(志賀真幸君) 大綱四点目、県民福祉等の向上についての御質問のうち、多くの県民にプッシュ型で情報発信できる体制の構築についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県では、ツイッターに限らず、各種SNSやホームページ、広報誌といった媒体を目的に応じて総合的に活用し、幅広く県政情報を発信しております。その上で、より多くの県民にプッシュ型で情報発信するためには、利用者にとってより有益かつ興味・関心の高い情報を発信していくことが重要と認識しております。このため、職員の意識啓発を図るべく、研修会などを実施するとともに、より県民に身近な行政サービスを双方向でやりとりできる新たな仕組みを全庁的に検討しながら、更なる情報発信に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長佐藤達哉君。    〔復興・危機管理部長 佐藤達哉君登壇〕 ◎復興・危機管理部長(佐藤達哉君) 大綱一点目、物価高騰、エネルギー価格高騰対策についての御質問のうち、LPガス料金の負担軽減策についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年九月、国は、地方創生臨時交付金に、電気・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設しましたが、その時点では、推奨事業メニューにLPガス消費者への支援に関する記載はございませんでした。翌十月、国の総合経済対策においても、LPガス消費者への支援は対象外となりました。事業の検討が一定程度進んだ十一月になって初めて、交付金の推奨事業メニューにLPガス消費者への支援が記載されたところでございます。生活に不可欠なガス等の価格高騰対策は、地域によって支援に差が出ることは望ましくないことから、LPガスにおいても、都市ガスと同様に、国が消費者の負担軽減策を講じることが重要と考えており、先月、同じ課題を抱える三十九都府県連名で、国に緊急要望を行ったところでございます。今後とも、他都府県と連携し、要望内容の実現に向けて取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 環境生活部長佐藤靖彦君。    〔環境生活部長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎環境生活部長(佐藤靖彦君) 大綱七点目、再生可能エネルギーの導入についての御質問のうち、太陽光パネルのリサイクル施設への支援等についてのお尋ねにお答えいたします。 太陽光パネルについては、今後、排出量の増加が見込まれており、適正処理に向けて、リサイクル体制の充実強化を図っていく必要があると認識しております。太陽光パネルのリサイクル施設整備については、国の補助事業のほか、県では、産業廃棄物税を活用した補助事業の中で、補助率や補助上限額を優遇し、重点的に支援を行っております。現在、県内ではこうした補助を活用し、稼働済みの施設が一か所、今年度整備予定の施設が二か所となっております。県といたしましては、環境産業コーディネーターが現場を訪問し、ワンストップで補助制度をはじめとする各種の情報提供を行うなど、引き続き太陽光パネルのリサイクル施設の整備を支援してまいります。 次に、太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度対象外設備への支援等についての御質問にお答えいたします。 一般家庭などに設置された太陽光発電設備は、通常、解体時などに、工事事業者の産業廃棄物として排出され、許可を有する処理業者によって処理されることになります。太陽光パネルの処分に当たっては、可能な限り、リユースやリサイクルされることが望ましく、そのためには、受皿となる施設を確保し、資源循環の流れを構築することが重要と認識しております。県といたしましては、二〇三〇年代後半と予測されている排出量のピークに向けて、引き続きリサイクル施設の確保を進めるとともに、国の動向も注視しながら、必要な対応について検討してまいります。 次に、大綱八点目、騒音対策についての御質問のうち、新幹線の騒音問題を協議する会議体への国土交通省の出席を求めることについてのお尋ねにお答えいたします。 新幹線鉄道騒音については、開業以来、環境基準が達成されていない地域が存在することから、東北・上越・北陸新幹線の沿線十県の公害担当課長で構成する協議会において、JR東日本に対し、環境基準達成のための効果的な対策の実施を要請しているところです。この、いわゆる十県協議会には、騒音に係る環境基準や公害防止対策を所管する環境省が出席しておりますが、国土交通省が参加することで、更に効果的な対応が図られると考えられることから、構成する各県と協議の上、国土交通省の出席について求めてまいりたいと考えております。 次に、低周波騒音への対応に係る検討状況についての御質問にお答えいたします。 低周波音は、それを体感する個人差が大きく、国においても、評価方法がいまだ確立されていない状況にあります。国では、地方公共団体等が低周波音の苦情などに適切に対応できるよう、手引書やガイドブック、相談事例集等を作成しており、県としましても、公害苦情処理を担当する市町村に対し、こうした手引書等の提供のほか、技術的な助言や測定機器の貸出し、測定協力などの支援を行っております。また、今年度は、市町村等の公害苦情担当者研修会において、低周波音の事例検討課題のグループ討議を実施したほか、環境省が主催する講習会に県職員を派遣するなど、対応力の向上を図ったところです。県といたしましては、引き続き国の動向を注視するとともに、市町村に対し必要な支援を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕
    ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱一点目、物価高騰、エネルギー価格高騰対策についての御質問のうち、高齢者施設等への更なる支援についてのお尋ねにお答えいたします。 今年度、県では、高齢者施設や障害福祉施設に対し光熱費等を支援したところですが、事業者からは支援はありがたいものの、現実的な高騰分を補うまでには至っていないという声も聞いております。このことは全国的な問題でありますことから、全国一律の対策を国が講じるべきであり、これまでも全国知事会を通じて要望しておりますが、引き続き強く要望してまいります。 次に、大綱二点目、新型コロナウイルス対策についての御質問のうち、五類移行後の診療体制についてのお尋ねにお答えいたします。 現在、県内で季節性インフルエンザの診療が可能な医療機関は約千二百か所あり、一方、新型コロナウイルス感染症の診療が可能な診療・検査医療機関は約六百九十か所となっております。今年一月二十七日に決定されました、新型コロナウイルス感染症の位置づけの変更等に関する対応方針では、患者の外来診療について、幅広い医療機関において対応する体制へと段階的に移行していくものとされており、詳細は今月上旬をめどに、具体的な方針が示される予定であります。県としましては、国の方針が明らかになった場合には、県医師会等の関係機関と医療提供体制の構築に向けて協議を進めてまいります。 次に、コロナ患者の入院調整を将来的に医療機関が行うことへの対策についての御質問にお答えいたします。 現在、新型コロナ感染症患者は、保健所及び宮城県新型コロナウイルス感染症医療調整本部が入院調整を行っております。一月に示された国の方針では、位置づけの変更後は幅広い医療機関が患者を受け入れ、入院調整も行政が関与するものから個々の医療機関の間で調整する体制へと、段階的に移行していくとされているところです。県としましては、今月上旬をめどに国から示される具体的な方針を踏まえ、引き続き医療機関等と連携しながら、救急搬送体制が逼迫することがないよう対応してまいります。 次に、大綱三点目、メディカルジェットの導入についての御質問にお答えいたします。 現在、我が県では、ドクターヘリの運航により、県内のほぼ全域を三十分でカバーしております。また、平成二十九年四月から岩手・山形・福島の各県と広域連携協定に基づく相互利用を開始しているところです。我が県においては、運航準備や飛行場へのアクセスなどを考えると、まずは、ドクターヘリの一層の活用と、広域連携の推進による医療提供体制の充実が重要であると認識しております。 次に、大綱四点目、県民福祉等の向上についての御質問のうち、ボランティアポイント制度や健康ポイント付与の取組の周知及びマイナンバーカードを活用したポイントの付与を検討すべきとのお尋ねにお答えいたします。 それぞれのポイント制度については、これまでも市町村の介護保険事業、市町村国民保健事業の各担当部署に周知を行っており、一部の市町村で既に実施しているところです。今後も高齢者の方のニーズに応じた社会参加の促進や、住民の健康づくりに取り組む市町村を後押しするよう、県内の好事例を周知するとともに、ポイント制度の活用も含め、地域の実情に応じた市町村の各種サービスの充実・推進や健康増進の取組について支援してまいります。また、御提案のありましたマイナンバーカードを活用したDXの取組については、スマホアプリの導入など、他の取組事例を参考として、健康ポイント等の付与についても、市町村の意向を踏まえながら検討してまいります。 次に、大綱五点目、子宮頸がん対策についての御質問のうち、HPVワクチンの接種状況についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年四月から定期接種の積極的勧奨の再開及びキャッチアップ接種が実施されておりますが、県では、市町村に対して個別勧奨の推進や接種体制の整備について、情報提供や助言等を行ってまいりました。また、市町村においては、全ての定期接種対象者及びキャッチアップ接種対象者に対して、国配布のリーフレット等を活用した個別送付による情報提供を実施しております。接種状況ですが、国の通知に基づき六か月間ごとに調査することとされ、昨年四月から九月までの接種率は、定期接種が八・九%、キャッチアップ接種が五・八%となっており、昨年十月から今月までの実施状況については、来月以降に調査を行うこととしております。 次に、九価HPVワクチンについての御質問にお答えいたします。 現在接種されている二価及び四価のHPVワクチンがそれぞれ二種類、四種類のHPVの感染を防ぐ効果を有するのに対して、九価HPVワクチンは九種類のHPVの感染を防ぎ、子宮頸がんの原因の約八十から九〇%を占めるHPVの感染を予防することができるとされております。接種後に現れる可能性のある副反応としては、接種部位の痛みや腫れ、赤み、頭痛、発熱等が報告されておりますが、安全性は従来のものと変わらないと言われております。県としましては、接種主体である市町村が、国作成のリーフレット等を活用しながら広く住民へ周知できるよう、情報提供や助言等を行ってまいります。 次に、大綱六点目、四病院の再編についての御質問のうち、新病院の運営主体に関する考え方及び新病院は県立で運営すべきとのお尋ねにお答えいたします。 仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合による新病院の運営主体については、がん・周産期・救急など、協議確認書に掲げた政策医療を総合的に運営する能力とともに、仙台医療圏南部における急性期医療を担う中核的な医療機関として安定的に運営できることが求められていると考えております。 次に、新病院での希少がん、難治がんの取扱いや運営主体は協議中でありますが、具体的に、新病院がどのような症例を取り扱うかについては、東北大学病院等との役割分担により協議しているところです。こうした希少がんや難治がんを含め、新病院に求められる機能を的確に提供できることが重要でありますので、運営主体は県立のみを前提とすることなく検討すべきものと考えております。 次に、仙台医療センターや東北医科薬科大学との協議状況についての御質問にお答えいたします。 県立がんセンターがこれまで果たしてきた機能につきましては、東北大学が中心となって担うことを想定しておりますが、協議を通じて具体的な方向性を検討していく中で、他の地域がん診療連携拠点病院との役割分担や連携の体制についても検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱一点目、物価高騰、エネルギー価格高騰対策についての御質問のうち、業務改善助成金とパートナーシップ構築宣言についてのお尋ねにお答えいたします。 国では昨年九月に、業務改善助成金制度の活用に向け、原材料高騰の影響を受けている事業者を特例事業者として追加し、十二月には助成上限額と助成対象経費などを拡充するなど、制度の充実を行ってきております。県といたしましては、本制度が積極的に活用されるよう、ホームページやセミナー等を通じて周知に努めております。国が推進するパートナーシップ構築宣言制度の普及促進に向けては、ホームページへの掲載に加え、補助金交付先へ案内チラシを送付するなど周知を図っているほか、宣言企業数の増加に向けて、優遇措置の創設を検討しているところです。県といたしましては、円滑な価格転嫁への機運醸成を図るとともに、中小企業の生産性向上等の支援による経営基盤の強化を通じて、賃上げの実現につなげてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、物価高騰、エネルギー価格高騰対策についての御質問のうち、スライド条項の適用状況についてのお尋ねにお答えいたします。 県が発注する公共工事については、工事請負契約書第二十七条において、物価高騰などに対応して変更契約協議を可能とする「スライド条項」を定めております。具体的には、基準日以降の残工事の全ての単価を見直す「全体スライド」や、特定の資材の急激な価格変動に対応する「単品スライド」、価格水準の急激な変動に対応する「インフレスライド」があり、残りの工期や価格変動幅の条件に応じて適用できることとなっております。適用した工事件数につきましては、今年度実施している請負額五千万円以上の工事約八百件のうち、今年一月末現在で、全体スライドが一件、単品スライドが六件、インフレスライドが十九件、合計二十六件となっております。 次に、元請業者へのスライド条項の適用とともに、下請業者の請負価格を適正にすべきとの御質問にお答えいたします。 県工事の執行に当たっては、品質確保や下請業者へのしわ寄せ防止の観点から、下請契約を適正に行うことが必要と認識しております。このため、元請業者が下請契約を締結する際は、宮城県建設工事元請・下請関係適正化要綱に基づき契約を締結することとしており、県では、契約の内容や契約金額、保険料等の費用計上について、一次下請にあっては下請契約を結ぶ前に、二次下請以下にあっては契約後において、下請契約の内容について確認を行っております。また、スライド条項の適用などにより、契約が変更された場合においても、再度、下請契約の内容について確認を行っているところです。県といたしましては、元請業者から下請業者に対して適正な下請金額が支払われるよう、引き続き、宮城県建設工事元請・下請関係適正化要綱に基づき、適切に対応してまいります。 次に、民間の契約書へのスライド条項の明記の定着についての御質問にお答えいたします。 民間工事における請負契約の締結に当たっては、スライド条項が盛り込まれた、民間建設工事標準請負契約約款及び、建設工事標準下請契約約款を使用することとし、下請企業から協議の申出があった場合には、適切に協議して対応を図るよう、国から建設関係団体に対して、通知等により周知が図られているところです。このため我が県においては、建設業法に基づく建設業者の営業立入り検査を実施する際には、標準契約約款が使用されているか、また、その下請契約書に物価変動に関する条項が盛り込まれているかなどについて、確認指導を行っているところです。県といたしましては、今後も建設関係団体との意見交換の場などを活用して、民間工事におけるスライド条項を含めた適正な契約が履行されるよう取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 二十九番横山のぼる君。 ◆二十九番(横山のぼる君) 御答弁大変にありがとうございました。本当に物価高、エネルギー高の部分については、なかなか頑張っていただいてはいるものの、そういった物価高に追いつかない民間団体が大変苦しんでいるというような状況なので、本当に県庁一丸となってしっかりやってほしいですし、現地にメッセージをしっかり出してほしいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 特に四病院再編については、答弁の中で、全体、四病院、例えば二病院だけでもしっかりと進めていきたいという、知事の並々ならぬ決意が感じられたところがあって、ただ一方で、本当に一つは、県立にするかどうかも含めた形で運営主体をしっかり協議していくという話なんですが、この運営主体を県立にするのか、民間に任せるのかという部分については、民間に任せられても、しっかりと経営を安定維持、向上させるということがないと、なかなか進まないんじゃないかなというふうに思っているところがあって、そこが民間病院として、ある面すごい大事なところでもありますし、県は県として、政策医療、精神もそうですし、がんもそうですし、そこを全体としてどう取り組んでいくかというところ、譲れない点ってあると思うんですよね。譲れない点がどこなのかというところが明確になって--分からない、例えば、難治性とか希少性のがんの症例についても、東北大学三千弱に対して、県立がんセンターについて二千三百ぐらいの、そういった採算性の取れないところをやっているわけなんですけど、であれば、全部、新たな運営主体、民間が担うことになれば、そこが全部受けるかといえば、なかなか厳しいと。県としては、それをどういうふうにコーディネートしていくかといったところ、どこを分水嶺として考えているのかというところがすごく大事だというふうに思いまして、今年度の予算の中でも経営シミュレーションとか多分やっていると思いますから、引き続き来年度もやるんでしょうけど、そういったところで、その辺りどう考えているのか、知事からお伺いしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 今議員がおっしゃいましたように、特に今回の協議の中でも、これまで県立がんセンターが担ってきていた難治がん、希少がん等をどのようにするのかということは、大きなポイントであると思っております。いわゆる不採算部門ということで、そういうこともあって、県が担ってきたということに一定の合理性もあって、また、評価委員会等でもそのことは高く評価されてきているところです。一方で今後のがん治療の均てん化、それから、昨日も申しましたが、今後のがんの入院や手術の動向などを踏まえた上で、東北大学を中心に今協議しておりますのは、どのような分担ができるかというふうなことを考えております。そういう中で、先ほど申しましたような、難治がんだから県立というふうなことをですね、そういうことを前提にすることなく、協議しているというような趣旨で先ほど答弁したわけでありますけれども、引き続き、県民全体にとってしっかりとしたがん治療対策ができるような体制になるということを前提に、協議を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十九番横山のぼる君。 ◆二十九番(横山のぼる君) その辺りですね、政策医療の維持、若しくはレベルを落とさないというか、そういったところをしっかり協議、ハード整備もありますけれども、しっかりやっていただきたいなと思いますし、そこは知事の政治手腕が問われるんじゃないかというふうに思っておりますので、知事の決意をお願いします。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 何よりも重要なのは、県全体として今の医療レベルを維持できるかどうかと、先ほど分水嶺という言葉がありましたけれども、やはりそこが一番重要だというふうに思っております。そこに力を置きながら、しっかりと両組織と調整を進めてまいりたいというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 二十九番横山のぼる君。 ◆二十九番(横山のぼる君) まだまだ協議することがいっぱいあって、それを住民に開示しながら行っていくというのは、非常に困難を伴うと思います。出向いてお話しをしていくという話ではありますが、一方、経営主体との話もあって、なかなかそこがうまく住民との理解を得ながら進めていくのは大変難しいというふうに思います。でも、そうでありながら、しっかりと住民の皆様、移転元地の皆様にお話を継続してやっていくという、そこが大事だと思いますので、しっかりやってほしいと思いますが、そこをちょっと知事、よろしくお願いしたいと思います。ぜひお願いします。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 基本的に両病院を、富谷と名取というのをですね、確認書でしっかりとそこまで書きました。そこを中心に検討するということを書かせていただきましたので、これからは、いろんな地域の方にお話をさせていただきながら、御意見を聞かせていただきたいなというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 二十九番横山のぼる君。 ◆二十九番(横山のぼる君) 続いて、メディカルジェットということで、ドクターヘリを導入していただいて、多くの命を救っていただき、そして県民にとって、夢があって希望があって、こういうふうに東北一体となって、宮城として医療体制を更に進めていくという部分で大きな希望になるところかと思いますので、北海道はそういった僻地医療ということで、空港が多いという状況もあるんですけど、そういった中でしっかりですね、そこについては、医療ジェットもすごくその効用は大きいので、しっかり研究してほしいなというふうに思いますけど、知事いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 研究はさせていただきたいなというふうに思っております。ただなかなか、私、元ヘリのパイロットだったから分かるんですけれども、宮城県は比較的土地が面積が広いんですけれども、東北のほかの県に比べたらコンパクトでありますし、平野部が割と多いということもありますので、どちらかというと、ジェットよりもヘリのほうが機能的かなと思いますが、研究をさせていただきたいというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 二十九番横山のぼる君。 ◆二十九番(横山のぼる君) ぜひよろしくお願いしたいと思います。 あと第八波、第九波が更に来る可能性もあるわけで、そこは、国はそう方針を決めたわけで、全体としても受容していくということでしょうから、そこをどういう形でフォローアップしていくかという、すごく大事だと思いますので、しっかりやっていただきたいですし、ポイントをつける、ボランティアポイント、健康ポイント、高齢者の皆様は、寄附できるとかポイントがたまるというのはすごく喜ぶわけなんですね。知事も肝煎りでマイナンバーカードを使ったDXを進めると言っていますので、そこについては、本当にポイントがたまるという、ある面潤滑油にもなりますし、地域包括ケアの接着剤的な役割を果たすんじゃないかと思っていますので、そういったところを、ボランティアポイント、介護ポイントですね、県として市町村に周知するということもしっかりしていただきたいと思いますが、併せてどうでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) やっと緒に就きましたので、今後いろいろ事業展開していく中で、そういったボランティアポイント、いろんなポイントですね、そういったようなことも考えていきまして、まずは、皆さんにアプリを入れていただく、マイナンバーを取っていただいて、アプリを入れていただくというのが非常に重要ですので、そういった動機づけをいろいろ考えていきたいなというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 二十九番横山のぼる君。 ◆二十九番(横山のぼる君) 再生可能エネルギー推進、要するに太陽光パネルの廃棄処分、しっかりやっていかないと、逆に足元をすくわれるという形になっておりますので、リサイクル施設の導入も結構進んでいるようでありますが、しっかりとリサイクルできる、アップサイクルできるような体制を構築していただきたいと要望して終わります。以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩-----------------------------------    午後一時十分再開 ○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。三十一番庄田圭佑君。    〔三十一番 庄田圭佑君登壇〕 ◆三十一番(庄田圭佑君) 自由民主党・県民会議の庄田圭佑でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い大綱二点質問いたします。 大綱一点目、人口減少社会の人財確保についてお伺いいたします。 今年一月に総務省が公表した住民基本台帳に基づく二〇二二年の人口移動報告では、東京都の転入超過は三万八千二十三人となり、二〇二一年から三万人以上も増え、東京一極集中の再加速が示されています。幸いなことに、本県は辛うじて転入超過の六百三十七人という結果でした。内訳は、日本人が九百六十二人の転入超過でしたが、外国人は三百二十五人の転出超過となっています。また、本県の転入超過の大部分は、仙台市の二千九百三十八人が寄与していることからも、改めて仙台が東北における人口のダム機能を発揮していることがこの報告から読み取れます。ところが、仙台市の年齢三区分別転入超過数は、生産年齢人口の十五から六十四歳が二千九百二十人、六十五歳以上が二百六十一人に対し、ゼロから十四歳では、二百四十三人の転出超過となっています。これは、二〇二二年に限らず、ゼロ歳から十四歳の転出超過が近年のトレンドとなっています。また、令和二年国勢調査の本県の五歳階級の人口動態では十五から十九、二十から二十四歳の階級合計で約九千六百人の転入超過である一方、二十五から二十九歳の階級では約七千三百人が転出超過となっています。これらより、宮城を支える将来の人材である小中学生を抱えるファミリー世代が転出し、進学とともに単身学生が転入してきて、卒業と同時に就職で他県へ転出という流れが出来上がっていることが推測できます。少子高齢化の中、人口の自然減は仕方がない事象としても、転出超過による社会減を何とか食い止める必要があります。本県では、二〇二〇年の生産年齢人口百三十六万人が、二〇四五年には九十万六千人に減少する推計値が示されています。生産年齢人口の減少は、単なる労働力不足だけではなく、経済や教育、医療、福祉などの維持が困難になることや、税収減による行政サービスの低下も懸念されることから、人材を確保することが本県に課された最大の使命と言っても過言ではないと認識しているところです。これらを踏まえれば、自然減の歯止めと着実な社会増を図る施策展開がマストと言えます。短期的には、移住・定住の促進や海外に人材を求めることが考えられますし、中長期的には、少子化対策強化やファウンダーを養成することで、人材の充実と、起業により雇用創出に努めることなどが考えられます。 そこで、本県での人口減少への認識と社会増に向けた今後の施策展開について、知事の御所見をお伺いいたします。 社会増を意図し、本県への移住・定住強化を考えると、さきの人口移動の実態から、家族での移住がメインとなる小中学生を抱えるファミリー世代をターゲットにすることが考えられます。移住・交流推進機構の若者の移住調査では、自然との触れ合いや、学力・知力の向上ができる教育環境を重視することが明らかになっており、この分野の対応が必要です。例えば、先日視察で伺った長野県では、教育の充実こそが地域再生の鍵と考え、県の総合計画では、学びと自治の力を政策の推進エンジンに位置づけ、学びの県づくりを推進しています。具体な取組として、小中学生を対象に一年間お試し移住で自然豊かな農山村地域の共同宿泊や農家などで暮らし、地元の学校に通いながら自然体験や生活体験する山村留学を実施しています。令和四年は百七十二人の実績があり、令和十年には倍の三百四十人を目指すとのお話でした。また、二〇一八年には伊那市立伊那西小学校が小規模特認校を受け、豊かな自然の中での活動、少人数、地域との連携を特徴とした教育を展開し、今年度は児童数五十八人中十七人が通学区域外からの入学・転学で、家族ごと市内に引っ越してくる教育移住などの影響で、児童数も増えているとのことであります。ほかにも、二〇一九年にはイエナプラン教育の私立大日向小学校が、二〇二〇年には幼小中一貫校の軽井沢風越学園など先進的な私立学校が、相次いで開学しています。特に、大日向小学校では、異年齢集団で活動しながら、子供一人一人の個性を尊重し、自立と共生を学ぶドイツ発祥のイエナプラン教育を、日本で初めて導入しています。現在は、県外からの移住者が七割以上を占めるなど、教育に興味関心の高い家庭の教育移住が進んでいます。このように教育移住は、本県で流出している小中学生を抱えるファミリー世代の獲得に有益な手法となりそうです。 そこで、本県の教育移住に対する認識をお伺いするとともに、移住・定住施策に教育移住を盛り込むべきと考えます。知事と教育長の御所見をお伺いいたします。 さて、教育移住の推進に当たっては、特色ある教育機関の存在が不可欠です。先日、東京のインターナショナルスクールを視察してまいりました。この学校は、設置者自身の子供を通じて、小学校の教育現場が昔と変わっていないことに憤り、学習指導要領の枠を超え、社会につながる一貫したキャリア教育ができる学校をとの思いで開設したものです。特徴は、仕事の現場に役立つPBL課題解決型学習と、子供の自分で学ぶ力を養うSTEAM教育です。設置者のテストで百点を取ったから、あとは苦手な科目を克服するということではなく、百二十点を目指し、子供の長所をより伸ばすことに力を入れているというお話も特徴的でした。また、長野県総合教育会議の中で、阿部知事は「学習指導要領からどこまで離れられるのか追及が必要。今までの暗記型は完全に打破しなければいけない」と発言されています。この二人に共通しているのは、従来の学習指導要領の型にとらわれない教育の中で、個性を伸ばすことや、とがった人材を育成することを意図しているという点です。このように、学習指導要領にとらわれない特色ある教育機関の県内展開も必要と考えます。県の認識と今後の取組をお伺いいたします。 さきに紹介したイエナプラン教育は、新学習指導要領が掲げる個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びの実現とも親和性が高いものです。実際に、昨年四月からは、広島県福山市の公立学校でも導入されています。また、同県江田島市の公立学校では、二〇二〇年よりイエナプランを参考に学校づくりを進めたところ、複式学級を生かすことで、異学年の学び合いや助け合いが生まれ、学習意欲が大きく向上し、成績も向上しています。本県でも、公立学校においてイエナプラン教育の概念を導入した学校を求めるものです。教育長の御所見をお伺いいたします。 県教委での導入が厳しいというのであれば、知事部局で取り組む手法も考えられます。例えば、宮城大学附属中高一貫校などの創設が挙げられます。高校統廃合で廃校になった校舎を活用すれば、地域コミュニティーの核を失うこともなく、一石二鳥の取組ではないかと考えます。実際に奈良県では、廃校となった学校を活用して奈良県立大学附属高校を設置しています。残念ながら、佐野理事長予定者からは、附属学校の設置は考えていないとのお話でした。とはいえ、知事が本県の教育レベルを本気で向上させようと考えているのならば、宮城大学附属中高一貫校を活用した手法も十分検討に値すると考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 さて、人材不足の観点では、介護や医療、農業など様々な業界団体から担い手確保の要望を数多くいただいております。根本的な人材確保には、生産年齢人口の総数を増やさなければなりません。DXを活用した生産性向上も欠かせませんが、この点は次回に質問するとして、不足人材を海外に求めることも必要です。介護人材に目を向けると、第八期みやぎ高齢者元気プランでは、令和七年に介護人材の需給ギャップが四千百八十八人生じると見込まれ、第八期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数を見ると、二〇四〇年度には約一万人不足すると予測されています。このことから、本県ではこれまでベトナムの人材確保に向けた取組を強化してきています。昨年九月には知事がベトナムに渡航し、実際に研修施設などを御視察されました。知事は「ベトナムの実習生は優秀な方が多いと聞いているので、提携して、今後の人材不足を補いたい」とコメントされております。この点を踏まえ、今後のベトナムとの施策展開についてお伺いいたします。 ベトナムの将来推計人口は、現在の九千九百万人から一億一千万人まで増える推計が示されておりますが、群馬、埼玉、千葉、神奈川、長野など、実に多くの県で人材の育成や受入れに関する協定を締結しております。また、円安傾向にあることでベトナム人労働者が日本だけに目が向いているわけではなく、国内外と人材を奪い合うことになります。この状況から、確実な外国人材確保に向けて、他国からの受入れ強化も考えておく必要があります。この点も踏まえ、我が会派では、世界第四位の約二億八千万人の人口を有するインドネシアに着目し、昨年十二月に、インドネシア友好議員連盟を立ち上げ、すぐにJICAと外国人材受入れ・多文化共生支援の取組について意見交換を実施いたしました。その中で、日本が選ばれる国になることが課題であるとお話がありました。その実現に向けた取組として、責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム、JP-MIRAIを紹介されました。この組織は、日本国内の外国人労働者の課題解決に向けて、二〇二〇年十一月に民間企業、自治体、NPO、学識者、弁護士などが集まり設立されました。外国人労働者の受入れに当たっての法令遵守、労働環境・生活環境を把握し、課題解決に努めること、相互理解を深めること、能力開発などを行動規範とし、「世界の労働者から信頼され選ばれる日本」となることを目指しています。技能実習生の送り出し機関や監理団体の中には不適切な団体もあるとのことで、受け入れる側の責任として、JP-MIRAIに加入しておくことは、外国人労働者に一定の安心感を与えることもできます。また、積極的に外国人労働者を受け入れている県は既に加盟していますし、JICAからも、宮城県もぜひ加盟してほしいと要望をいただいております。本県でも、外国人労働者から選ばれる県となるために、JP-MIRAIに加盟すべきと考えます。県の見解をお伺いいたします。 先般、議連役員でインドネシアを訪問してきました。詳細は福井議員がさきに触れておりますので割愛しますが、インドネシア労働省移民局や技能実習生の送り出し機関の協会であるAP2LN、商工会議所、日本大使館やJICAなどとの意見交換、県内の進出企業を視察してまいりました。今回の訪問では、日本に対する憧れや、積極的に日本人と関わりを持ちたい、自国の優れた人材を海外で活躍させたいという強い思いを感じた一方で、宮城県を知っているインドネシアの方が極めて少ないという印象を持ちました。その点、今回の視察では、県の名前を売るよいきっかけになったとも感じております。また、視察先でいただいた共通の質問が、具体的にどの業種でどのぐらい人材が足りないのかというものでした。恥ずかしながらこの質問に回答できず、情報を集約し一元管理する必要性を痛感しました。これを踏まえ、県が各種業界団体やインドネシアの各機関と連携し、情報の一元管理と見える化を行い、県内事業者が容易に外国人労働者とマッチングできる仕組みを構築する必要があると考えます。情報の一元管理の体制構築について、県の認識と今後の対応をお伺いいたします。 インドネシアの各機関との連携という点で、労働省移民局からは、日本の都道府県とは人材交流に関する協定を結んでいるところはないので、ぜひ協定を結びたいというお話をいただきました。移民局と協定を結べば各州を紹介し、更に県と州同士での協定締結の後押しをするとのお話でした。また、技能実習生については、受入れ可能な職種は製造業からサービス業など八十六もあることから、様々な職種に対応した送り出し機関との連携が必要となります。この点、訪問したAP2LNでは、送り出し機関約百七十社が加盟していることから、特定の企業・職種に偏ることなく、人材を本県に送り出すことができます。コロナ禍で滞留した数千人の人材を今すぐにでも送り出せる状況とのお話でしたし、移民局同様に都道府県レベルで人材交流の協定を結んでいるところはないとのことでした。このように、巨大なマーケットを有するブルーオーシャンとも言えるインドネシアと積極的な人材交流に向け、他県に先駆けて移民局やAP2LNと人材交流に関する協定を締結し、外国人労働者の確保を進めるべきです。知事の御所見をお伺いいたします。 一方、技能実習生の受入れに当たっては、口コミ文化の国であるため一度悪評が立つとその団体や企業を避けるため、適切な監理団体が必要とのお話がありました。仮に協定を締結しても、しっかりした監理団体がなければ、技能実習生の宮城県への評価は下がることになります。せっかく受け入れるのですから、宮城県のファンになってもらうことが必要だと認識しております。この点、宮城県が主体となって監理団体を設立、あるいは県が認定した監理団体の連絡組織を設立し、技能実習生を支援できる体制を構築すべきと考えます。例えば、第三期宮城県多文化共生社会推進計画では、行政機関、事業者、関係機関で宮城県多文化共生社会推進連絡会議を設置しています。この連絡会議を母体として、監理団体の設立あるいは監理団体を連携させ、選ばれる宮城県の実現を目指す必要があると考えます。県での設立が難しいのであれば、みやぎ産業振興機構などの外郭団体を活用することも考えられます。県が関与した監理団体の設立・連携について、知事の認識と今後の対応をお伺いいたします。 大綱二点目、県政の諸課題についてお伺いいたします。 初めに、仙台医療圏の医療提供体制についてお伺いいたします。 先日の知事定例記者会見で、仙台医療圏の病院再編に係る協議確認書の取り交わしについて報告がありました。令和二年八月に、がんを総合的に診療できる機能を有する病院の実現に向けた検討開始の公表から、約二年半の時間をかけて、新病院整備の方向性を議論するたたき台が合意されたことになります。この間、文書での合意がされていないとの理由で、議会でも具体的な話ができず、統合・移転の話だけが先走り、病院関係者や患者、地域住民から反対の声が上がる他方で、移転予定の自治体からは歓迎の声が上がり、仙台医療圏で住民間の分断を生じかねない状況であっただけに、今回の合意で具体的な検討が進み、状況の好転を期待しているところであります。知事は、記者会見の中で、賛成している人も反対している人からも御意見を聞くことができるようになったと答弁しております。この点、反対派の中には感情的になっている方もいるので、丁寧な合意形成を進めるのは必然であります。今回の再編統合が最適解という認識なら、県だけではなく当事者の病院も職員や患者、地域住民に対して説明し理解を求める責任もあるはずです。連携病院の説明責任も含め、知事として今後どのように住民と合意形成を図っていくのか、御所見をお伺いいたします。 仙台医療圏での医療提供体制を考えたときに、今後注視すべき課題は、二〇二四年からスタートする医師の働き方改革だと認識しています。この働き方改革では、年間の時間外労働時間の上限が九百六十時間で、月の残業が百時間を超えないこと、連続勤務時間制限二十八時間、勤務間インターバル九時間の確保、代償休息のセットが努力義務として課されることになります。一部救命救急病院などは時間外上限の例外はありますが、医師が働きやすい環境を構築しなければ、医師確保がままならず、病院機能を維持することは困難になります。特に、医師の絶対数が多い病床数の大きな病院よりも、病床数の小さな病院のほうが働き方改革に対応するのは難しく、医師の負担が重い病院とそうでない病院で医師確保の勝ち負けがはっきりする可能性があると認識しております。この点、病院の規模にかかわらず医師が集まる病院を目指すには何が必要なのか、しっかり考えておくことは重要です。 そこで、医師が集まる病院は一体どんな病院なのか、医師の勤務先選好についてどのように認識し、どう対応しているのかお伺いいたします。 DPC導入病院の医療機関が担うべき役割や機能を評価したDPC機能評価係数Ⅱを見ると、標準群病院千五百一のうち、県立がんセンターが千二十七、東北労災病院九百三十五、仙台赤十字病院八百五十六という順位になっています。残念ながら、どの病院も半分以下に位置しており、このままの状況では質の高い医療を提供し続けるのは困難であると私は考えております。したがって、今回の再編の根底には、下位の病院が医師確保も考慮しつつ機能強化することで、可能な限り質の高い医療を提供し、生き残りをかけて勝ち組病院に生まれ変わるための経営判断であると認識しております。病院機能が強化され、医師が確保されるのであれば、仙台医療圏の医療提供体制は総体として強化されることになります。今回の再編の根っこの部分について、私の認識でよいのか、知事の御所見をお伺いいたします。 しかし、繰り返しになりますが、仙台医療圏の医療提供体制が強化される前提だとしても、丁寧な合意形成がなければ、医療圏内でいたずらにあつれきを生じさせるだけです。二〇二四年から始まる医師の働き方改革も加味すれば、丁寧かつスピード感を持って合意形成が図られるよう強く求めて、次に移ります。 オープンデータの利活用についてお伺いいたします。 国は、二〇一六年に官民データ利用活用促進基本法を施行し、都道府県に官民データ活用推進計画策定を義務づけし、官民データを様々な主体が容易に活用できるようにするため、オープンデータ推進を求めております。本県では、みやぎ情報化推進ポリシーにおいてオープンデータ化の推進をうたい、昨年十月には、宮城県及び市町村共同オープンデータポータルサイトdataeyeを設置・公開し、オープンデータの活用を進めています。このオープンデータは、単なる分析での活用のみならず、地理情報システムであるGISと連携させることで、情報を見える化させることも可能です。県は、既に様々なデータをGISに落とし込んできておりますが、部署ごとに整備してきており、全ての情報をワンストップで提供できておりません。一方、国では、地図情報を統合させた統合型GISを進めています。先行する自治体では、統合によるシステム管理費の大幅な圧縮も実現しており、本県でも個別に運用しているGISの統合を進めるべきと考えます。本県での統合型GISの認識と今後の取組についてお伺いいたします。 さて、コロナ禍からいよいよ抜け出し、これから本格的にインバウンド等誘客促進を進めていく必要があります。私含め観光客の多くは、観光地の移動手段を検索する際、グーグルマップを使うケースが多いかと思います。この点も踏まえれば、オープンデータとグーグルマップの連携も欠かせないものと認識しております。例えば、宮城県地域交通プランにおいては、標準的なバス情報フォーマットGTFSの推進を目標に掲げております。GTFSは、公共交通機関の時刻表と地理的情報に関するデータフォーマットをオープンデータ化することで、路線検索などを行う際に、利用者に公共交通の情報が届きやすくなります。利用者にとっては、そこに公共交通があることが認知されるので、利用者の増加と利便性向上につながるものであります。これまでも、二次交通の充実を多くの議員が求め、県も拡充させてきましたが、まだまだ認知度が低く、県内でのGTFS推進を強く求めるものです。県内の実施状況と今後の取組についてお伺いいたします。 さて、県では次年度、業務効率改善に向け、ノーコードツールを導入予定と伺っております。プログラミングに明るくない職員でも簡単にプログラムを構築できるツールにより、作業時間の削減ができるものと期待しているところです。私は、これまで議会質問の中で何度かEBPM推進に向け、いじめや不登校、健康など県が持つビッグデータを分析し見える化すべきと訴えてきました。こうした分析については、ノーコードツールの活用で極めて容易になると考えております。とりわけ、BIツール--ビジネスインテリジェンスツールは、企業が持つ様々なデータを分析・見える化し、経営や業務に関する迅速な意思決定に役立つソフトウエアです。これまでコンサルに頼んでいた外注業務を簡単に内製化し、知事や管理職が時期にかなった意思決定に活用できるため、今後の県政運営にBIツールを導入し、EBPMの政策立案や迅速な意思決定に役立てるべきと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 以上で壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 庄田圭佑議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、人口減少社会での人財確保についての御質問にお答えいたします。 初めに、我が県の人口減少と社会増についてのお尋ねにお答えいたします。 今後見込まれる急速な人口減少は、産業の衰退や地域の担い手不足など、幅広い分野に深刻な影響を及ぼすものと危惧しております。このため県では、新・宮城の将来ビジョンに基づき、自然増と社会増の両面から対策を講じているところであり、今年度からは、次世代育成・応援基金も活用し、子供・子育て支援や若者の県内定着に向けた取組を一層強化しております。とりわけ、社会増に向けては、質の高い雇用の創出に継続的に取り組むとともに、幅広い産業分野で女性が活躍できる環境の整備や、首都圏等の副業・兼業人材と県内企業とのマッチングシステムの構築、大学生等がDXに関するアイデア・技術を競い合うハッカソンの開催など、県内外の若者の興味を引きつける新しい施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。 次に、ベトナムにおける今後の施策展開についての御質問にお答えいたします。 介護人材不足が喫緊の課題となっている中、外国人介護人材の確保は重要な取組であると認識しており、私が昨年九月にベトナムを訪問し、政府関係者及び現地送り出し機関に対して、我が県への優秀な人材の輩出について強く協力を要請したところであります。新型コロナウイルス感染症の影響による渡航制限が緩和されたことから、今後、介護施設での外国人介護人材の受入れが一層進むものと考えておりますが、関係団体からは、技能実習生だけではなく、即戦力に近い在留資格、特定技能での受入れも必要との意見があると聞いております。また、国の統計によりますと、令和四年十二月末現在で、県内の特定技能一号在留外国人人数は千三百四十一人であり、そのうちベトナム人は約半数の六百九十七人と最も多くなっていることから、県にとって、今後ますます重要な存在であると認識しております。こうしたことから、来年度は、技能実習生に加えまして、特定技能の受入れに向けた、介護施設とのマッチングの取組を実施してまいりたいと考えております。特定技能一号になると五年間住むことができますので、ぜひ進めてまいりたいと考えております。 次に、JP-MIRAIへの登録についての御質問にお答えいたします。 JP-MIRAIは、官民およそ五百を超える団体や個人が参画し、独立行政法人国際協力機構JICAが事務局となって、令和二年十一月に設立された団体であり、外国人労働者をめぐる多様な諸課題の解決に向けて、相談・救済窓口の設置や、企業・団体の取組に対する支援などを実施しております。都道府県による登録状況としては、茨城県、群馬県、山梨県、佐賀県、鹿児島県が会員登録を行っております。外国人労働者の確保に向けて、優良事例の共有や関係団体との連携は大変重要であることから、県としては、登録による会員向けサービスの内容や、必要となる負担等について、JICAから情報収集し、登録をする方向で検討を進めております。 次に、インドネシアとの提携についての御質問にお答えいたします。 世界第四位の人口規模を誇るインドネシアは、平均年齢が二十九歳で、生産年齢人口比率が七割近くを占めるなど、今後一層の人口増加と経済発展が見込まれる国と認識しております。我が県においても、在住インドネシア人の増加が続いており、特に漁業や建設などの現場においては、多くのインドネシア人に活躍いただくなど、今後の外国人材の受入れ促進を図る上で、大変有望な地域と考えているところであります。現地政府機関等と連携を図ることは、我が県にとって安定的な人材の確保に大きな効果が期待できることから、来年度、人材交流に関する協定の締結を目指し、私自らがインドネシアを訪問する予定としております。 次に、大綱二点目、県政の諸課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、医師が集まる病院の在り方や医師の勤務先選好についてのお尋ねにお答えいたします。 医師が勤務先として選好する病院としては、一般的には規模が大きく、診療科がそろっており、様々な症例が集まる病院であるとともに、それらの症例に対応する優秀な指導医がいることが条件であると考えております。今回の再編により新たに設ける病院は、東北大学の全面的バックアップを得て整備する予定であり、指導医を含むスタッフの充実が図られるなど、最新の医療ニーズに応え、また、医師の働き方改革にも対応した勤務環境を提供できる魅力ある病院となるものと考えております。 次に、今回の再編協議は仙台医療圏総体としての体制を強化することが根底にあると思うがどうかとの御質問にお答えいたします。 今回の病院再編は、御指摘のとおりスケールメリットを生かした診療内容の充実や医療従事者の確保を図り、県民に質の高い医療を提供するとともに、将来を見据えた持続可能でバランスの取れた医療提供体制の整備を目指すものであります。県としては、新病院が機能を最大限に発揮することを通じて、仙台医療圏及び全県的な医療体制の強化を目指してまいりたいと考えております。 私からは、以上です。 ○副議長(池田憲彦君) 総務部長志賀真幸君。    〔総務部長 志賀真幸君登壇〕 ◎総務部長(志賀真幸君) 大綱一点目、人口減少社会での人財確保についての御質問のうち、宮城大学への中高一貫の附属学校の設置についてのお尋ねにお答えいたします。 全国に九十九校ある公立大学のうち、附属の中高一貫校を有するのは一大学、高校などの附属校を有するのは五大学にとどまっており、いずれも、既存の公立校の再編等に伴い附属化した経緯がございます。高校等の収容定員については、今後見込まれる人口減少・少子化を十分に踏まえる必要があり、我が県においても、公立・私立双方の関係者で対応を協議していることから、新たな公立の中高一貫校の設置については、県内生徒数の動向等も勘案した慎重な検討が必要と考えております。県としては、各教育機関において、様々な生徒のニーズに応じた特色ある教育が柔軟に展開できるよう、教育委員会とも連携し、県内外の先進的な取組について、幅広く情報提供を行ってまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 企画部長千葉章君。    〔企画部長 千葉 章君登壇〕 ◎企画部長(千葉章君) 大綱一点目、人口減少社会と人財確保についての御質問のうち、教育に関心の高い家庭の移住・定住につながる施策についてのお尋ねにお答えいたします。 教育環境に高い関心を持つファミリー層をターゲットとして、移住の推進を図ることは、我が県への移住・定住を拡大していくための有力な選択肢の一つであると認識しております。県では現在、移住情報サイトであるみやぎ移住・交流ガイドにおいて、県内市町村と協力しながら、教育や子育て支援に関する様々な情報発信を行っているほか、東京都千代田区に設置しているみやぎ移住サポートセンターでは、教育環境などに関する相談も対応しているところであり、引き続き、教育委員会や各市町村などと連携しながら、効果的な移住・定住施策を進めてまいります。 次に、大綱二点目、県政の諸課題についての御質問のうち、統合型地理情報システムについてのお尋ねにお答えいたします。 地理情報システムGISは、位置に関する情報を持ったデータを総合的に管理・加工し、視覚的に表示するほか、高度な分析や迅速な判断を可能にするために有効な技術であると認識しております。そのため県では、宮城県総合防災情報システムをはじめ、みやぎため池マップ、道路管理GISシステムなどを整備し、業務に活用しているほか、県民・企業の方々に災害・防災、交通規制情報等を提供しているところであります。統合型のGISについては、部局横断でデータを共用できるため、データ重複整備の防止や業務の効率化を図れるほか、行政サービスの更なる高度化が期待される一方で、地図データ量増加に伴う表示速度の鈍化や、業務ごとに必要となる機能要件が異なるなどの課題もございます。県としては、統合型GISについて、技術の動向や先行自治体の取組を参考にしながら研究してまいります。 次に、時刻表や地理情報のオープンデータ化の現状と今後の取組についての御質問にお答えいたします。 GTFSは、経路検索サービス等への情報提供を目的とした公共交通データフォーマットであり、GTFSに基づいたオープンデータとして公開することは、公共交通の利用促進の観点から有効な手段の一つであると認識しております。県内では、仙台市、石巻市の二自治体と二事業者が公開しておりますが、データ作成に一定の労力を要すること等から、整備が進んでいない現状となっております。県としては、市町村や交通事業者と情報交換を行い、普及に向けた課題の整理と支援策について検討してまいります。 次に、BⅠツールについての御質問にお答えいたします。 政策形成において、統計的分析や実証的研究等によるエビデンスを活用して意思決定を行うことは大変重要であると認識しております。近年、ビッグデータの活用の拡大に伴い、BIツールを活用して経営の意思決定などを行う企業が増加しており、行政においても、業務の効率化等に向けて導入している事例が出てきております。県においても、全庁的に業務の一層の効率化を図るため、来年度からはノーコードツールを導入する予定であり、職員自ら業務アプリを構築することも可能となることから、今後、エビデンスに基づく政策立案の質的向上や意思決定の迅速化につなげてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、県政の諸課題についての御質問のうち、再編協議の当事者である病院の説明責任と今後の合意形成についてのお尋ねにお答えいたします。 協議確認書では、今後の協議に県立病院機構や再編対象の病院を加えることとしており、今後は、県からの説明だけでなく、各運営主体や各病院においても説明機会が増え、関係者の御意見を伺えるようになると考えております。職員や患者への説明に対しては、新しい病院の具体的な姿が定まった段階など、協議の進捗に応じて、各運営主体が責任を持って行うべきものと考えておりますが、県としては、説明会への対応には協力してまいります。また、県立がんセンター、県立精神医療センターの職員に対しても、今後の協議の進捗に応じて、県立病院機構と連携しながら、できる限り説明に努めてまいります。あわせて、地域に対しても、御要望への対応のほか、協議確認書の内容も含めて、県のホームページや県政だよりなど、様々な方法で情報発信に努め、御理解を得てまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱一点目、人口減少社会での人財確保についての御質問のうち、情報の一元管理体制と県の関与による監理団体の設置についてのお尋ねにお答えいたします。 技能実習制度の中心となっている団体監理型において、監理団体は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について、極めて重要な役割を担うこととされております。このため、技能実習生の受入れに当たって、監理団体は、現地の送り出し機関との契約を前提に、指導監督を行う外国人技能実習機構等から監理団体としての許可を受け、各事業者から必要業種及び人数等の情報を集約し、送り出し機関と調整の上、事業者が技能実習生との雇用契約を締結し、最終的に技能実習計画について機構の認定を受ける仕組みとなっております。現行制度上、県など自治体が監理団体になることは想定されておらず、また情報の一元化を図る場合においては、これまで特定の送り出し機関と信頼関係を築いてきた既存の各監理団体からの理解を得る必要があります。県としては、外国人材の受入れ促進を図る上で、監理団体相互の連携は重要と考えており、国の有識者会議における受入れ体制全般の議論を注視しつつ、他県における監理団体連絡協議会設立の事例なども踏まえながら、官民一体となった外国人材受入れ体制構築について検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、人口減少社会での人財確保についての御質問のうち、教育に関心の高い家庭の移住・定住につながる施策についてのお尋ねにお答えいたします。 他県から我が県の学校に通いたいと思っていただくためには、児童生徒や保護者にとって魅力があり、他の地域にはない特色のある学校であることが必要であると考えております。県教育委員会では、本県独自の志教育において、児童生徒一人一人が地域と関わりながら、よりよい生き方を主体的に求めていけるよう、各地域や学校に実践の更なる充実を促しているところです。県内には、塩竈市立浦戸小・中学校のように、離島という豊かな自然の中で地域の人々と触れ合いながら子供たちが生き生きと育つ環境に魅力を感じて、多くの児童生徒が通学区域外から通っている例もあります。今後も、各市町村教育委員会と連携しながら、県内外の児童生徒や保護者にとって魅力ある学校づくりに努めてまいります。 次に、特色ある教育機関の県内展開についての御質問にお答えいたします。 児童生徒や地域の実態に応じた特色ある教育を推進していくことは、児童生徒の意欲の向上や、より効果的な学びの実現につながるものと認識しております。文部科学省では、特別な教育課程を編成することのできる教育課程特例校制度を設けており、県内では、松島町での観光産業と英語を関連づけた子ども国際観光科の取組や、気仙沼市での産業と震災復興等を関連づけた海と生きる探求活動の実践など、七つの市町村教育委員会で、この制度を取り入れた特色ある教育が進められているところです。県教育委員会としては、市町村教育委員会と連携し、この教育課程特例校制度も活用しながら、特色ある教育の充実に努めてまいります。 次に、イエナプラン教育の理念を取り入れた取組についての御質問にお答えいたします。 イエナプラン教育は、異年齢の子供たちが教え合い、助け合いながら、お互いを尊重し、自立と共生を学ぶ教育として、日本でも広がりを見せていると認識しております。我が県においても、四月に私立の不登校特例校として開校するろりぽっぷ小学校において、イエナプラン教育を導入すると承知しているところです。県教育委員会としては、イエナプラン教育を含む多様な教育の在り方について、他県等の先進的な取組を参考にするとともに、ろりぽっぷ小学校とも情報を共有し、市町村教育委員会に紹介してまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) 知事から満額以上の回答が来た答弁もあって、大変うれしく思っているところでございます。ちょっと順番逆に質問させていただきたいと思います。 まず、大綱二点目の中で、働き方改革の話をさせていただきました。二〇二四年四月以降、九百六十時間を超えそうな病院というのは、県内でどのぐらい医療機関としてあるのか、ちょっとそこは確認させていただきたいと思います。 ○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 申し訳ございません。ただいまそれに関する情報を持ち合わせておりませんので、大変失礼いたします。 ○副議長(池田憲彦君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) 質問原稿の中で働き方改革の話に触れていますので、ぜひ手元にそういう資料があっていただけたらうれしいなというふうに思います。何で今その話を聞いたかというと、先ほど答弁の中で、新しい病院については東北大学の協力をしっかり得ながらやるという答弁があったと思うんですけれども、多分東北大学病院とか、あとはみやぎ県南中核病院とか大崎市民病院とか石巻赤十字病院とか、いわゆる救急医療を抱えているところは、間違いなく九百六十時間を超えるんですよね。九百六十時間を超えると、先ほどの一般質問の中で話したんですけれども、インターバル勤務とか連続勤務時間二十八時間というのが努力義務じゃなくて、これは必ずやらなければいけないマストとなるんですよね。そうすると、例えば仮にこの連携する・しないにかかわらず、今労災病院、仙台赤十字病院、がんセンター、多分東北大学病院のほうからお医者さんの派遣というのを受けているのは間違いないと思うんですが、派遣する先生が派遣できなくなると、病院機能がもたなくなるんじゃないかと私は懸念しているので、今回ちょっと質問させてもらったんです。ですから、その辺りをしっかりと現状分析、把握をしていただいた上で取り組んでいただきたいなと、医師の働き方改革を進めていただきたいなというふうに思っています。今申し上げたんですが、東北大学病院については九百六十時間を多分超えているんだと思うんですが、そこは御認識はありますか、部長。 ○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 東北大学病院の先生方から伺っているところですけれども、現在では新しく適用される基準を超えている実態があることは伺っております。 ○副議長(池田憲彦君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) ということなんですよね。九百六十時間の上限を超えた場合は、B連携とかBとか、C-1とかC-2という基準があって、年間の時間外労働条件が千八百六十時間、月百五十五時間までということになるんですけれども、そうなったときに、お医者さん、引き上げられたらやはり困るわけですよね。その辺りはどのような認識でいらっしゃいますか。 ○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 今どこの病院でも医師の働き方改革について非常に関心といいますか意識を高く持っておりまして、これはもちろん個々の従業員としての勤務状況もありますけれども、今後にわたって、医師にそれこそ選好される病院としてあるためにはどうあるべきかということで、考えているものと思っております。今回、新しい病院の再編の議論もしていますけれども、大学のほうでも協議しておりますが、今後想定されるその病院の特徴、その診療科の内容とか特徴に合わせまして、どのような医師を配置していくか、若い医師もそうですけれども、指導的な立場にある医師を配置できるかということを、大学のほうで今後しっかりと検討していただけるものと思っていますし、県としても協議をしていきたいと思っております。 ○副議長(池田憲彦君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) しっかりと議論していただくのは当たり前なんですが、実はそういった観点が、多分県民の皆様に十分に周知されていないんだと思うんです。我々って、保険証一つでフリーアクセスでどこの病院も行けますし、大きい病院に行ったらもちろん初診料でプラスアルファを取とられますけれど、お医者さんは使い捨てじゃないんですよね。我々の命を預かっていただく方なんですよ。そうした方の働き方改革がしっかりとなし得ないと、病院の機能そのものが機能しなくなっちゃう。そういう議論をちゃんと住民を巻き込んでしないと、なかなか厳しいんだと思いますよ。感情論になっているから。目の前の病院がなくなったら困るというのは当たり前の話であって、だから、そういうことも含めて、丁寧な合意形成というのは私は必要だと思っています。この点を踏まえて、知事からも一言いただければと思います。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 意外と、おっしゃったように、医師の労働環境というものに対しては、あまり視点が行っていないんですよね。これは非常に重要なことだと思いますので、そういった視点も含めながら、よくいろいろな方と話合いを進めていきたいというふうに思っております。 ○副議長(池田憲彦君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) ぜひしっかりと進めていただいて、住民の皆様が合意形成を上手くできるようにやっていただきたいと思います。私も今後の動向を注視させていただきたいと思います。 大綱一点目の人材の件については、インドネシアのほうで協定を結ぶということで知事にお話しいただいたんでございますが、認識としては、政府といわゆる協定を結ぶという理解でよろしいでしょうか。 ○副議長(池田憲彦君) 経済商工観光部長千葉隆政君。 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 現在考えておりますのが、インドネシア政府の移民局とかそういった政府機関との協定を想定しております。 ○副議長(池田憲彦君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) ぜひ進めていただきたいと思います。最初の大綱一点目の質問で、人口減少に対する認識と社会増の取組のお話をさせてもらったんですが、本当にその人口が減って労働人口が減る中で、この宮城県がどうやって労働人口を確保するのかという本気度が問われるんだと思うんです、様々な政策が。そうした中で、移民の話とか、特色ある教育機関の話もしたんですけれども、残念ながら知事が一生懸命人材確保しようと、こうやってもですね、前の職員の答弁とかちょっと申し訳ないけど、聞くと、やはり現状のまま、取りあえず他県の状況を見てやりますというような答弁だったふうに私は思うんです。そうじゃなくて、宮城県が先頭に立って人材確保するんだと、子育てにもっと力を入れていくんだと、教育にもっと力を入れていくんだと。宮城県の人口も自然増を目指していくんだ、社会増を増やしていくんだ。そういう本気度が問われると思うんですよ。今までの皆さんの答弁を聞いていると、そういう本気度が足りないと思うんですけど、知事どうですか。そう思いませんか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 実際問題として、宮城県は去年から過去十年遡って十年間で、男性も女性も社会増なんですね。これは全国で八都道府県しかないんですよ。その中に宮城県も入っている。一番最後の八位なんですけどね。その下からはマイナスということになってます。ということで、宮城県は企業誘致等、職員が頑張りまして、社会増に男性も女性も今なっているということです。ただ残念ながら、出生率が低いということがあって、自然減であることはもう間違いないと。それは、ほかの県よりも先んじて減っていってしまっているということになろうかと思っています。これに関しては、職員、本当に危機意識を持って一生懸命やってきております。やはりこれは、県内で一番初めにやらなければいけないし、真摯に取り組まなければいけないのは、やはり県であると。市町村任せではいけない。やはり外に向かっていろいろ行動を起こし、発信できるのは県であるという意識はみんな持っております。議員のほうからそのように見えるということであれば、決してそうではなかったと、見誤ったと言ってもらえるように、職員一丸となって頑張ってまいりたいと思います。 ○副議長(池田憲彦君) 三十一番庄田圭佑君。 ◆三十一番(庄田圭佑君) やはり、見誤ったとなかなかまだ言える状況じゃないと私は思っています。まだまだ頑張っていただけるところはたくさんあるんだと思ってます。ぜひ、宮城県で働いてよかったと、県の職員の皆様に思ってもらえるような県政運営というのを目指していただきたいなと思っています。 先ほどインドネシアのお話もあったんで、ついでにちょっとこれはお話しさせてもらいたいんですが、県庁の中に、インドネシアと積極的に交流していくのであれば、様々な宗教の方がいますので、礼拝室の設置も考えたらどうかなと思うんですが、最後にいかがでしょうか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 政教分離というか、行政機関が特定の宗教に対してなかなか難しいということもありまして。仙台空港は、今回民営化しましたので、そういった場所を設けていただくようにしているんです。非常に重要だと思っているんですが、ここが礼拝室だと設けるというのは、いろいろ憲法上の制約もあって難しいということです。何でも使えるフリースペースのようなものをつくって、そこをどうぞご自由にということはできるかと思うんですが、そういう宗教のためにというのは、なかなか難しいということは御理解いただきたい。 ◆三十一番(庄田圭佑君) 終わります。ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 二十五番佐々木功悦君。    〔二十五番 佐々木功悦君登壇〕 ◆二十五番(佐々木功悦君) 一月二十三日、第二百十一回通常国会が開会しました。最大の課題は、昨年の出生数が八十万人を割り込み、外国人を除いた概数で七十七万人と見込まれ、国の将来推計人口の予測より十一年も早くなったとの衝撃的な少子化問題です。少子化は国家の存亡に関わる問題で、政治の覚悟と決断が求められますが、同時に、私たち国民も危機感を共有しなければ解決できない問題です。また、難題なのが、ロシアによるウクライナ侵略等に乗じて、戦後の安全保障政策を大転換し、これまで進めてきた「国民の命と暮らし、平和を守る政治の実現」が危ぶまれる、極めて大きな課題が投げかけられていることです。ここでいま一度、確かめたい誓いがあります。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。憲法第九条です。この憲法の規範があるがゆえに、歴代政権は、専守防衛を我が国安全保障の原則としてきました。しかし、岸田政権が言う敵基地攻撃能力保有の意味することは、戦争への準備であり、間違いなく戦争の確率が高まることに議論の余地はありません。広島・長崎の壊滅的な惨害の経験した国が核兵器で国民の安全を守ると考えるのが、そもそも間違っています。平和を望むなら、求められるのは、平和を準備する政治です。二〇二三年は、まさしく歴史的岐路に立つ年となりました。更に、政府の原発への回帰も重大です。過ちの歴史で得た教訓と誠実に向き合おうとしない、岸田首相の政治姿勢の表れです。福島第一原発事故後、政府は一貫して「新増設や建て替えは想定していない」と繰り返して表明してきたにもかかわらず、かかる大転換を国会論議も経ず岸田首相の号令一下で決めるなど、許されることではありません。国民に問うべき重要課題です。教訓の風化は原子力安全の後退を意味するもので、岸田首相には、いま一度原点を思い起こしていただきたい。 さて、現在、気候危機打開は待ったなしです。脱炭素、脱原発、再生可能エネルギーの大規模普及への政策展開は急務と考えておりますが、特に今、原発のリスクが見過ごされやすい局面にありますので、本日は、女川原発再稼働に係る懸念一点について質問いたします。 女川原発再稼働に係る懸念について、五点質問いたします。 まず、女川原子力発電所天井クレーン支持台亀裂事故等について伺います。 昨年九月十二日、東北電力株式会社は、国への報告を必要としないひび・傷等の事象として、一号機の原子炉建屋天井クレーンで、走行部の支持台座に亀裂を確認したと明らかにし、これは「今年三月十六日の地震により亀裂が入ったものと推定しました」と原因報告されました。なぜ国へ報告せずに済まそうとしているのか、本当に施設設備の耐震は保障されているのか、三・一一東北地方太平洋沖地震の影響はなかったのか、二号機や三号機のクレーン部の耐震は本当に大丈夫なのか等々、疑念があります。原発問題を考える市民団体が質問状を作成し、去る九月二十七日、東北電力の樋口社長へ提出されたと伺いました。その後、十一月二日、東北電力本店において口頭で回答があったと聞きましたので、内容を確認しましたが、回答は疑念が増すばかりの内容で、特に、度重なる地震による施設設備の耐震安全について、大変憂慮をいたしております。アメリカ原子力学会の論文によれば、女川原発は世界一地震の影響を受けやすい原発との指摘があり、私たち県民は、改めて肝に銘じなければならないと思います。昨年十二月二十七日、宮城県、女川町、石巻市は、東北電力との原子力安全協定に基づき、天井クレーン台座の亀裂の問題で、女川原発の立入調査を行ったとの報道がありました。この問題等について市民団体が東北電力から得た回答と意見交換を通じて、明らかになった問題を検証しなければなりません。六点について所見を伺います。 東北電力は、なぜクレーン事故に関して国へ報告しなかったのかについて伺います。 今回の事故を国へ報告しないことにした理由は、実用発電用原子炉の設置、運用等に関する規則第百三十四条の運用に関わる訓令三、運用上の留意点二で「当該安全上重要な機器等又は常設重大事故等対処設備に属する機器等の使用中または待機中に損傷が存在していないのであれば、安全上の影響はないので報告対象外である」とあり、このことを根拠に判断したとの回答であります。同訓令の三の目的には、安全上重要な機器等がひび割れ等の損傷により一定の基準に適合していないと判断された場合は、安全に影響を及ぼす事象である場合があるため、報告を求めるものであると明記されております。天井クレーンは、安全上重要な機器に該当します。クレーンの使用中または待機中に損傷が存在していないのであれば、安全上の影響はない、それで報告対象外になる。クレーンが使用されていない場合は、傷があっても報告対象外という意味に東北電力は捉えたようであります。ところが、現在一号機は、廃炉作業の第一段階であり、この事故により、定期検査が約一年延長されました。燃料プールの使用済み燃料等の取り出し移動などがあり、この観点からは、今回の事故は待機中の損傷になるはずであり、国への報告対象になるはずです。また、今回の事故は地震により発生したものであり、他の原発へその原因と対応などを情報公開し教訓とするため、国へ報告すべき事故と考えます。事故を過小評価し、国への報告をせずに済まそうとしているのではと思われますが、県の見解を伺います。 次に、四か所ある支持台座の全てに震度五強で亀裂が発生とは、耐震設計の誤りではないかについてお伺いいたします。 亀裂が最大のものは、長さ六センチ、幅一ミリ、深さ約一センチとのこと。一つの支持台座に二つの亀裂が入り、台座は四つありますので、計八か所の亀裂です。メーカーに交換手配中とのことですが、溶接で亀裂を修復するのは困難ということで、交換になるのだろうと思われます。支持台座の基準地震動は五百八十ガルで耐震補強したとのことですが、三月十六日の地震は、一号機地下二階で三百六十七・五ガル、震度五強と聞きました。これでは、五百八十ガルの耐震が三百六十七・五ガルの地震に耐えることができず亀裂が入ったことになり、耐震補強の効果がなかったことになりますので、その原因究明と情報公開が求められます。今回、支持台座の交換はどの程度の耐震安全で行うのかとの市民団体からの質問には、答えがなかったと伺いました。女川原発の耐震安全に答えられない東北電力任せで、本当に大丈夫なのでしょうか。県の見解を伺います。 次に、クレーン台車亀裂の原因は、いまだ不明です。東北電力と意見交換の場で、昨年「三月十六日の地震、震度五強程度で亀裂が入るようでは、耐震設計がおかしいのではないか」との質問に、電力担当者は「四十年以上経っており、大きな地震に何度も見舞われている。それが影響したものかどうか、いまだ原因は分かっていません」と答えています。これは、地震に見舞われるごと、原発全体の材料にどの程度の影響があったのか厳密な点検がなされず、その影響について科学的に解明されていないことを示しております。一号機から三号機建屋等全体について、震度六強以上の地震に耐えられるのか分かっていないことを示しております。天井クレーンの破損した支持台車、破損した軸受の交換物に係る耐震設計や補強はどのように行われたのかの質問に答えられなかったことからも、耐震が厳密に行われていないことが分かります。クレーン台車亀裂の原因が不明のままでは、またこのような事故が起こり、屋上使用済み燃料プールの燃料を取り出せないことになり、安全が損なわれるのではないでしょうか。県の見解をお伺いいたします。 次に、天井クレーン重量物運搬中に大地震が襲来した場合、最悪の事態への対応に答えていません。天井クレーンが重量物をつり下げ稼働中に大地震に襲われた場合について、「重量物は燃料プールに落下しない安全機能になっている」「大地震が発生した場合など、仮定の事象に対する質問には答えられない」とのことでした。大地震では長周期地震動になり、共振が心配されます。使用済み燃料の落下の可能性があるのではないかとの最悪のケースの想定には、答えがありません。このことは、福島原発事故の教訓を真剣に受け止めていないことを示しており、何よりも住民の安全を守ることが第一に考えられていないと理解するしかありません。県の見解をお伺いいたします。あわせて、クレーンの固有周期は幾らでしょうか、お伺いいたします。 次に、宮城県へは事故の詳細報告や事後対策の報告をされていないのか伺います。 東北電力は、二〇一一年三月十一日大地震により天井クレーンの軸受が損傷した事故について、「詳細報告は公表していない。二〇一三年十月に過重影響を受けにくい軸受に交換した」とのことでした。また、二〇二二年三月十六日地震による天井クレーン亀裂事故についても、詳細報告は公開していないとのことです。東北電力は詳細報告を公表していないが、二〇一一年三月十一日事故について、原子力規制委員会の報告書評価が公開されており、これから軸受の損傷は南北方向の水平荷重により発生したことになっています。果たして水平方向の過重に耐える軸受に交換されたのかについては、答えはありません。軸受の損傷原因、南北方向の水平荷重の原因は、科学的に解明されているのでしょうか、お伺いいたします。更に県では、詳細報告を受け、軸受の効果について実施期日等確認されていたのでしょうか。また、県で詳細報告を情報公開する予定はありませんか、お伺いいたします。 次に、昨年十二月二十七日、宮城県、女川町、石巻市が実施した、東北電力の立入調査についてお伺いいたします。 原子力安全協定に基づき、天井クレーン台座の亀裂の問題で、女川原発の立入調査を行ったとの報道がありました。立入調査の報告の内容と、その評価をお伺いいたします。 次に、女川原発の安全性の検証についてお伺いいたします。 福島第一原発事故を経験した後に、自・公連立政権は、原発依存から脱却という立場を取ってきましたが、岸田政権は、原発推進政策への転換を閣議決定いたしました。予定されている政策転換は、本県に立地している女川原発の安全性について重要な変更をもたらすもので、原発の運転期間の定めをなくすることは、事故の危険を増すだけです。特に、原子力規制委員会が岸田政権に追随する対応を始めたことは、政府から独立した規制機関としての役割を投げ捨てるもので、危機感を抱かざるを得ません。女川原発の重大事故を招かず、県民の命と安全を守るために、宮城県と石巻市、女川町の立地自治体が、自治体として独自の役割を発揮する必要があります。女川原発二号機は、合格、地元同意がなされてから後に、県の安全性検討会で議論されなかった問題が幾つも持ち上がっております。圧力抑制室について、新しい基準地震動千ガルに耐えられないことが公表されました。現在、溶接による補強工事が行われていますが、東北電力が自ら経験したことがない難しい工事だと述べており、工事終了後の検証が重要課題に浮上しております。水素爆発を防止する対策は、福島第一原発事故を踏まえたものにはなっておらず、対策の見直しが求められております。女川原発の安全性は、今後において系統的に検証する取組が必要です。東北電力は二〇二四年二月の再稼働を目指していますが、その翌年の二〇二五年七月には運転開始から三十年目を迎えるので、その後は老朽原発を見る視点で安全性の確認を続ける必要があります。以上の理由で、さきに設置された女川原子力発電所二号機の安全性に関わる検討会のような一時的な附属機関ではなく、常設の機関の設置が求められると判断し、二点についてお伺いいたします。 仮称女川原子力発電所に関わる安全性検討会を常設の機関として設置し、県民の安全を守るとともに、得られた知見を基に、国と原子力規制委員会に質問及び問題提起をする役割を果たすべきと思うが、知事の所見をお伺いいたします。 次に、仮称女川原子力発電所に関わる安全性検討会において、差し当たり三点の事項について検討すべきと思うので、知事の所見をお伺いいたします。 女川原発二号機の圧力抑制室の補強工事について、特に溶接が適切に行われたかどうかを独自に検証することを求めますが、いかがでしょうか。 次に、特定重大事故等対処施設について、一体どのような事態に対処しようとしているのか、シナリオが公表されていません。原子力規制委員会の審査では、テロ対策を口実にして、ほとんどの資料が公表されず、対策が妥当なものかどうか確認することができません。そこで、安全協定に基づいて、東北電力に対し、仮称女川原子力発電所の安全性に関する検討会に関係資料を提出するよう求め、県独自に検証してはいかがでしょうか。 女川原発が運転開始から三十年を超えて運転する場合の健全性を確認する方法の妥当性について、仮称女川原子力発電所の安全性に関する検討会を活用し、県が独自の検証を行うことを求めますが、いかがでしょうか。県が独自に検証することが、原発に関わる県民の信頼と、県民の安全・安心につながると確信して、知事の所見を伺うものであります。 次に、原発の電気を「安価」とした知事の発言についてお伺いいたします。 岸田政権は、ロシアのウクライナ侵攻後に生じているエネルギー危機や気候危機に便乗して、原発推進政策を正当化しようとしており、宮城県政は、国民を誤った方向に誘導する根拠のない宣伝に加担すべきではありません。岸田政権は、気候危機に便乗して、原発で地球温暖化対策が進むかのように宣伝しておりますが、原発は、ライフサイクル全体を見ると、石炭火力に次いで温室ガスを排出いたします。気候危機打開の要は再生可能エネルギーの導入ですが、原発推進はこれを妨げるもので、原発ゼロに向かってこそ、気候危機打開の道です。原発を除く発電設備の半分が稼働すれば、ピーク時の電力需要を賄うことが可能で、発電設備が絶対的に不足していたわけではありません。一時的に発生した電力逼迫は、需要側の対策等で対応できるもので、原発推進政策の口実にすべきではありません。特に、既存原発の発電コストは、安全対策費がかさんで、火力発電や再生可能エネルギーによる発電のコストを上回るようになったと指摘されています。ところが、電気代が高騰している下で、原発の発電コストが安いかのように宣伝する動きがあることは、極めて不当であります。こうした状況下で、知事は昨年十一月二十八日の定例記者会見で、原発を「安価な電力を供給する発電施設」と評価し、原発の維持を「国と電力会社の責務ではないか」と発言しました。知事が発電コストの高い原発の電気を「安価」と発言したことについて、その根拠をお伺いいたします。知事の発言が県民の意識に与えた影響は大きいと思うので、伺うものであります。 次に、女川原発一号機の廃炉についてお伺いいたします。 女川原発一号機の廃止措置は、二〇二〇年度から二〇二七年度にかけては、解体工事準備期間第一段階とされ、汚染状況の調査や汚染の除去などが進められております。二〇二八年度からタービン建屋や原子炉建屋などの原子炉領域周辺設備の解体・撤去が始まる予定ですが、放射能のある廃棄物の処理方法や核のごみの保管に関する事項は、徹底した情報公開と住民合意の下で進めるべきです。特に危惧している問題は、L3廃棄物の処理方法、使用済み核燃料の保管の二つであります。L3廃棄物は五千三百四十トン発生すると推計され、女川原発の敷地内にトレンチ処分する方向がいずれ示されるとお聞きいたします。しかし、放射能レベルの極めて低いものという説明とは裏腹に、放射能の強さは、福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の焼却灰と同程度であります。指定廃棄物の焼却灰は、水が浸透しない遮断型処分場に処理する方針が示されているのに、L3廃棄物は、海の近くにある女川原発敷地内に素掘りの穴を掘って投棄するというトレンチ処分で十分なのでしょうか。福島第一原発事故で発生している放射能汚染水の海洋放出に、漁業関係者や多くの県民が反対しています。海の汚染が心配されるL3廃棄物のトレンチ処分について、女川町と周辺住民の合意が可能だとはとても考えられません。使用済み核燃料は再処理工場に搬出して処理するという計画でしたが、再処理については全くめどが立っていません。現実には、核燃料を冷却した後、乾式貯蔵庫で相当の期間の保管をしなければならなくなっていますが、それをどこで行うのでしょうか。岸田政権は原発の建て替えを打ち出しましたが、それならなおさら、使用済み核燃料の行く末を明確にすべきであります。 以上の理由で、二つの事項について質問いたします。 L3廃棄物をトレンチ処分する方針を撤回するよう、国に求めること。解体作業が始まる二〇二八年度を待つのではなく、今から住民合意が可能な方法に関する論議をスタートさせるべきと思いますが、いかがでしょうか。また、使用済み核燃料の保管場所と保管方法に関わる、率直でオープンな議論を始めるべきと思いますが、いかがでありましょうか。 最後に、高レベル放射性廃棄物の最終処分についてお伺いいたします。 現在、北海道の寿都町と神恵内村で第一段階の文献調査が始まってから二年が過ぎ、今年は二町村が第二段階の概要調査に進むかどうかが焦点になっております。政府は、地元の知事や市町村の意見に反して、概要調査には進まないとしておりますので、北海道知事の動向が注目されます。更に岸田首相は、今国会で「国が前面に立ち、最終処分事業を進める。自治体からの手挙げを待たず、政府から調査の検討など調査地点の拡大を段階的に申し入れる」と明言いたしました。岸田首相の言葉の真偽と覚悟を見極める必要がありますが、更なる原発利用に理解を得るための施策でないことを期待するものであります。最終処分問題は、原発稼働に賛成・反対の立場であっても避けて通れない、国民共通の早急に解決しなければならない問題です。私は、今回の政府の最終処分場実現に向けた取組を政府の責任と明記するなど前向きな姿勢には、評価すべきと思っております。このような政府の方針に沿って、宮城県において政府から文献調査や概要調査などの受入れの打診があった場合、知事はどのように対応されるのかお伺いいたします。 以上、多くの県民の皆様の懸念を払拭するような答弁を期待し、壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございます。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 佐々木功悦議員の一般質問にお答えいたします。 大綱一点、女川原発再稼働に関わる懸念等についての御質問にお答えいたします。 初めに、安全協定に基づく立入調査の内容と評価についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年十二月二十七日、関係七市町とともに実施した立入調査では、一号機の天井クレーンを現地確認するとともに、点検工事に関する報告書等を書面で確認いたしました。更に、県側から、現状の認識や想定される原因、今後の対応策等について説明を求め、東北電力からは、指摘を真摯に受け止め、発電所の運営に反映していくとの回答がございました。県としては、引き続き安全対策工事や廃炉作業の進捗状況等を把握していくとともに、発電所の安全管理に問題があると判断した場合には、速やかに立入調査を行い、東北電力に対し必要な改善を求めてまいります。 次に、女川原子力発電所の安全性を検討する常設機関を設置すべきとの御質問にお答えいたします。 発電所の状況を監視する仕組みとしては、女川原子力発電所周辺の安全確保に関する協定に基づき、専門的な見地から、発電所周辺地域における環境放射能等の状況を把握し、地域住民の安全を確保するために必要な事項を協議する環境保全監視協議会や環境調査測定技術会を設置し、定期的に開催しております。その中で、発電所の徹底した安全管理に向け、学識経験者や地元の皆様から御指摘や御要望等をいただいているところであります。今後ともこれらの会議を活用し、女川原子力発電所に係る課題を御協議いただき、御意見も参考としながら、国への要望等を行ってまいります。 次に、昨年の記者会見における私の発言についての御質問にお答えいたします。 国のエネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを主力電源化するほか、原子力については、水力・地熱とともに安定的に発電を行うことができるベースロード電源と位置づけているところです。このエネルギー基本計画の策定に当たり、令和三年九月に取りまとめた試算によれば、令和二年における原子力の発電コストは火力とほぼ同程度であり、風力や太陽光と比べた場合でも比較的安価であることが示されております。私の昨年の記者会見は、こうした試算のほか、最近の電気料金の値上がりが県民生活に及ぼしている影響や、化石燃料がいずれ枯渇する有限の資源であること、更に、直ちに再生可能エネルギーのみで電力需要を賄える状況にはないことなどを踏まえ、発言したものであります。 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、国から文献調査や概要調査等の受入れを打診された場合の対応についての御質問にお答えいたします。 高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定のための文献調査は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づいて、最終処分を実施する主体となる原子力発電環境整備機構への応募、または国からの調査実施申出への受託のいずれかの方法により行われ、その対象は市町村とされておりますので、お答えする立場にはないと考えております。仮に、次の段階となる概要調査を行う際には、都道府県知事と市町村長の意見を聞き尊重することとされておりますことから、県民の皆様の御意見や市町村の意向を十分にお聞きすることが重要であると考えております。 私からは以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 復興・危機管理部長佐藤達哉君。    〔復興・危機管理部長 佐藤達哉君登壇〕 ◎復興・危機管理部長(佐藤達哉君) 大綱一点、女川原発再稼働に関わる懸念等についての御質問のうち、天井クレーン支持台の亀裂事案に関して、国への報告を要しないとした東北電力の判断についてのお尋ねにお答えいたします。 原子力施設において発生した機器の不具合等のうち、原子力規制委員会へ報告が必要となる案件は、実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則等に定められております。本件については、東北電力から、昨年三月二日以降、当該クレーンは電源を切った状態であったことから、報告の対象となる使用中や待機中には当たらないと判断したとの説明がありました。また、原子力規制委員会においても、発電所に常駐する検査官が行う原子力規制検査の中で、本件に対する対処状況を把握していると伺っております。県といたしましては、引き続き東北電力に対し、発電所において異常等が認められた場合には、法令に基づき適切に対応することを求めてまいります。 次に、東北電力から耐震強度に係る説明がなかったことについての御質問にお答えいたします。 原子力施設を構成する機器等については、発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針に基づき、その重要度に応じて求められる耐震力が定められており、天井クレーンは中程度のBクラスとされております。このクラスの機器には、最重要とされるSクラスの機器等に影響を与えない性能--具体的には、クレーン自体が落下しないこと、更には、クレーンによる運搬物が落下しないことが求められております。東北電力からは、地震直後の点検において、そうした性能に異常がなかったものと報告を受けておりますが、県民の皆様が不安を抱くことのないよう、しっかりとした対策が必要と考えております。東北電力には、情報の公開と分かりやすい説明を引き続き求めてまいります。 次に、原因が不明のままでは、同様の事案が発生する可能性についての御質問にお答えいたします。 東北電力では、亀裂の原因について、その発生状況から、台座に対して水平に力が加わった結果と考えており、異常が確認されなかった定期点検以降、亀裂が発見されるまでの間に、昨年三月十六日の地震以外に水平に力が加わる事態がなかったことから、地震の揺れによるものと推定したとしております。地震による天井クレーンへの影響について、クレーン自体が落下しないという求められる性能は発揮しましたが、地震に対する施設の安全性を更に向上させ、安全上重要な機能が損なわれることのないよう、東北電力に引き続き求めてまいります。 次に、重量物の運搬中に大地震が発生した場合の東北電力の説明が不十分であること及び天井クレーンの固有周期についての御質問にお答えいたします。 東北電力では、天井クレーンが運搬中に大地震が発生した場合においても、クレーン自体が落下しない、運搬物が落下しない性能を保持しているものとしております。県といたしましては、東北電力には、様々なリスクを想定したあらゆる事象に対応できるよう、常に最新の知見を取り入れて検討を行い、一層の安全性の向上に努めるよう、引き続き求めてまいります。また、クレーンの固有周期については、製造メーカーとの間で商業機密に関わる約定があり、非公開とされていると東北電力から伺っております。 次に、平成二十三年の地震で生じた軸受の損傷原因、詳細報告や交換状況の確認の有無及びそれらの情報公開についての御質問にお答えいたします。 天井クレーン軸受の損傷における水平荷重の評価結果については、平成二十六年、東北電力から原子力規制委員会に報告され、その原因や再発防止策について受理されているものと承知しております。軸受の交換については、平成二十五年十二月に実施した旨報告を受けており、その時点で確認しております。また、県が東北電力から提供を受けております詳細報告は、現在、原子力規制委員会のホームページで公開されている内容と同等のものでございます。 次に、二号機の圧力抑制室の耐震補強工事について、溶接が適切に行われたかを、安全性を検討する機関で独自に検証すべきとの御質問にお答えいたします。 圧力抑制室の耐震補強工事は、新規制基準に適合した耐震性を確保するために、本体や内部構造物に補強部材の追加を行うものです。新規制基準適合のための安全対策工事は、原子炉等規制法に基づき、原子力規制委員会が使用前確認を行うこととなっており、新規制基準への適合性は確保されているものと考えております。 次に、特定重大事故等対処施設について、東北電力との協定に基づき、安全性を検討する機関への関係資料の提出を求め、独自に検証してはどうかとの御質問にお答えいたします。 特定重大事故等対処施設は、新規制基準で新たに配備を求められた可搬型の電源車やポンプ車等のバックアップとして設置を義務づけられた施設であり、現在、原子力規制委員会において、設置変更許可の審査が行われているところでございます。この施設は、テロに対応した施設であり、その性質から、情報公開法に基づき、主要な情報は不開示となっておりますことから、独自の検証は実質的に困難であると考えております。 次に、女川原子力発電所の高経年化対策の妥当性について、安全性を検討する機関で独自に検証すべきとの御質問にお答えいたします。 高経年化対策制度は、運転開始後三十年を経過する原子炉施設について、電力事業者に機器・構造物の劣化評価や長期施設管理方針の策定を義務づけ、原子力発電所の機能や性能を維持・回復するため、適切な保守管理を確実に実施させるものでございます。高経年化対策に係る健全性確認の手続としては、原子炉等規制法に基づき、十年ごとに事業者が策定する長期施設管理方針等を原子力規制委員会が認可することとされており、健全性は確保されているものと考えております。 次に、L3廃棄物のトレンチ処分の方針撤回を国に求めるとともに、住民合意が可能な方法を議論すべきとの御質問にお答えいたします。 原子力発電所の廃炉に伴い発生する低レベル放射性廃棄物については、原子炉等規制法等に基づき、放射能濃度により、L1、L2及びL3の三段階に区分され、その区分に応じた処分方法で地下へ埋設し、管理されることとなっております。放射能濃度が最も低いL3については、雨水及び地下水の侵入を十分に抑制することや、廃棄物埋設地の外への放射性物質の漏出を低減する機能を確保した上で処分する、いわゆるトレンチ処分を行うことが、国際原子力機関、いわゆるIAEAや国際放射線防護委員会、いわゆるICRP等の勧告を踏まえて決められたものでございます。低レベル放射性廃棄物については、原子力事業者が処分場所を確保することが基本とされておりますが、一号機の廃炉で発生する廃棄物の埋設場所については、現時点では未定と伺っております。県といたしましては、今後とも東北電力に対し、安全を最優先に廃炉作業を進めるとともに、処分方法等について県民の皆様にしっかりと説明を行うよう求めてまいります。 次に、使用済み燃料の保管場所と保管方法について、率直でオープンな議論を開始すべきとの御質問にお答えいたします。 使用済み燃料は、発電所内の使用済み燃料プールで十年程度保管した後に、再処理工場に搬出することとされております。現在、女川原子力発電所で発生した使用済み燃料は、一号機から三号機までの使用済み燃料プール内で保管されているところでございますが、東北電力からは、将来的な方策として乾式貯蔵施設の設置等について検討していると聞いております。県といたしましては、しっかりした対策や工程管理とともに、県民の皆様の安全・安心につながるよう、丁寧な説明や情報公開を求めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 二十五番佐々木功悦君。 ◆二十五番(佐々木功悦君) 最後の五点目の文献調査等の受入れについての質問に回答いただきましたけれども、知事のお話では、いわゆる文献調査は市町村によると。だから県は関与できないのだというような話でしたが、今回岸田総理が政府で方針として決めたのは、最終処分場の選定に当たり、今後は各原子力発電所設置自治体と国が協議の場を設置して進めていくんですという説明が盛り込まれたと聞いております。したがって、本県の場合は、当然女川町、石巻市及び県がその自治体になるわけでありますから、文献のところからもうすぐに県も直接入るという過程になるのだろうと思いますが、そういう認識に立っていないような発言だったと思います。その辺のところはいかがでしょうか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) まず、先ほど答弁したように、法律に基づいて最終処分を実施する主体は、あくまでも原子力発電環境整備機構ということでございまして、そちらに応募するか、あるいは自分の自治市町村から申入れを行ってということですので、基本的に、現時点においては法律にのっとって考え方を述べるしか方法がないということでございます。岸田総理はそのようにおっしゃったということですけれども、私は原発の立地県だけの問題ではなく、これは国全体の問題であり、原発を立地しているということはそれだけ負担も多いわけですから、逆に原発を立地していない県も含めて、我々の大変さを理解していただきながら、国民全体で考えるべき問題ではないかなと私は思っております。ただ、まだそういうアクションは一切県のほうにはありません。 ○副議長(池田憲彦君) 二十五番佐々木功悦君。 ◆二十五番(佐々木功悦君) 国が決めることなのだろうとは思いますけれども、ただ、岸田総理が今回表明されたのは、あくまで発電所がある自治体と、この問題については協議を進めるとはっきり申し上げているのですよ。ですから当然、もはやこの宮城県も、国が決めることだというふうにも言えないのではないかなと思います。その辺のところは、やはり拙速に対応していかなければならないと思いますので、よろしくお願いします。 それから、クレーン事故等についての質問に対しては、本日いただいた答弁を十分精査して、改めてほかの機会にまとめてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。 二点目の、女川発電所に係る安全性検討会。知事がお話しのとおり、県に技術会なり協議会といったものがあることは、私も承知はしております。ただ、新潟県や鹿児島県の事例にもあるように、しっかりといろんな関係者を呼んで、そして県民に対して説明責任をはっきりとやるような検討会を常設して説明をしながら、その対策をやっていると。知事も地元同意を決めた責任者でありますし、何か起きてからでは大変なので、やはりいろんな住民の不安などにしっかり対応するような常設機関を設けて、そして県民に知らせるということが重要だと思いますが、いかがでしょうか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁したとおりですけれども、協議会、また技術会といった常設の組織がございまして、屋上屋にならないかということを考えながら、よく検討してまいりたいと思います。必要なタイミングになれば--原発の再稼働を協議したときには、また別にいろいろ検討するために有識者の方に集まっていただいて、御議論をいただきました。ですから、絶対何もやらないということではないのですけれども、現時点においては、特にこれ以上必要ないのではないかと考えております。また必要なタイミングが生じたら、そのときには直ちにそういったことを考えたいと思っております。 ○副議長(池田憲彦君) 二十五番佐々木功悦君。 ◆二十五番(佐々木功悦君) やはり知事は、県民の皆さん方の心配に応えるということが本当に大切だと思いますよ。四病院の問題のみならず、この原発問題も、その最たるものではないかと私は思っております。原発再稼働問題は、決定プロセスに緊張感を持たせる重要課題であり、常設の検討会を県独自に検証して進めていくことが何よりも大切ですので、早い機会にこれをぜひ進めていただきたいと思います。何か起これば知事の責任になるということだけはやはり覚悟していかなければなりませんから、知事の立場も私は考えて提案したつもりでございますので、よろしくお願い申し上げます。 そのほか、知事が原発の電気を「安価」と発言した問題なのですが、結果的には、知事も申されたように、火力発電や再生可能エネルギーと遜色ない値段だということなのでしょうけれども、ただ、現実そうだとしても、安価だという誤解を生んでいるのですよ。それをやはりしっかりと県民に知らせることが重要ですので、よろしくお願いしたいと思います。終わります。 ○副議長(池田憲彦君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(池田憲彦君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時五十九分散会...