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  1. 宮城県議会 2022-11-01
    11月24日-01号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 4年 11月 定例会(第386回)          第三百八十六回宮城県議会(定例会)会議録                              (第一号)令和四年十一月二十四日(木曜日)  午後一時開会  午後二時五十一分散会      議長                     菊地恵一君      副議長                    池田憲彦君出・欠席議員(五十五名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  佐々木奈津江君        第四番                  石田一也君        第五番                  佐藤剛太君        第六番                  伏谷修一君        第七番                  松本由男君        第八番                  柏 佑賢君        第九番                  福井崇正君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  三浦ななみ君       第十三番                  枡 和也君       第十四番                  佐藤仁一君       第十五番                  渡邉重益君       第十六番                  わたなべ 拓君       第十七番                  伊藤吉浩君       第十八番                  八島利美君       第二十番                  櫻井正人君      第二十一番                  村上久仁君      第二十二番                  高橋宗也君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  佐々木功悦君      第二十六番                  境 恒春君      第二十七番                  太田稔郎君      第二十八番                  遠藤伸幸君      第二十九番                  横山のぼる君       第三十番                  高橋 啓君      第三十一番                  庄田圭佑君      第三十二番                  遠藤隼人君      第三十三番                  渡辺勝幸君      第三十四番                  横山隆光君      第三十五番                  佐々木賢司君      第三十七番                  外崎浩子君      第三十八番                  池田憲彦君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  渡辺忠悦君      第四十二番                  菅間 進君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十六番                  吉川寛康君      第四十七番                  伊藤和博君      第四十八番                  佐々木幸士君      第四十九番                  高橋伸二君       第五十番                  菊地恵一君      第五十一番                  佐々木喜藏君      第五十二番                  石川光次郎君      第五十三番                  中島源陽君      第五十四番                  本木忠一君      第五十五番                  中山耕一君      第五十六番                  安藤俊威君      第五十七番                  畠山和純君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠席議員(三名)       第十九番                  瀬戸健治郎君      第三十六番                  守屋守武君      第四十五番                  仁田和廣君欠員(一名)        第三番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    遠藤信哉君      副知事                    池田敬之君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   志賀真幸君      復興・危機管理部長              佐藤達哉君      企画部長                   千葉 章君      環境生活部長                 佐藤靖彦君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   宮川耕一君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             冨田政則君      総務部参事兼秘書課長             相澤一行君      総務部財政課長                大町久志君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      副教育長                   嘉藤俊雄君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    西條 力君      事務局長                   千葉幸太郎君    公安委員会      委員                     庭野賀津子君      警察本部長                  原 幸太郎君      総務部長                   佐藤孝治君    労働委員会      事務局長                   小松直子君    監査委員      委員                     吉田 計君      事務局長                   武内浩行君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   阿部正直君      副事務局長兼総務課長             藤田信治君      議事課長                   菅原敏彦君      参事兼政務調査課長              川村 満君      総務課総括課長補佐              堀 喜昭君      議事課副参事兼総括課長補佐          二上秀幸君      政務調査課副参事兼総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査(副班長)           狩野嘉孝君-----------------------------------    議事日程 第一号               令和四年十一月二十四日(木)午後一時開議第一 議席の変更第二 会議録署名議員の指名第三 会期の決定第四 議第百七十八号議案 令和四年度宮城県一般会計補正予算第五 議第百七十九号議案 個人情報の保護に関する法律施行条例第六 議第百八十号議案 核燃料税条例第七 議第百八十一号議案 フレックスタイム制の導入に伴う関係条例の整備に関する条例第八 議第百八十二号議案 情報公開条例の一部を改正する条例第九 議第百八十三号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例第十 議第百八十四号議案 申請等の受理の特例に関する条例の一部を改正する条例第十一 議第百八十五号議案 総合運動場条例等の一部を改正する条例第十二 議第百八十六号議案 損失補償契約に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例第十三 議第百八十七号議案 当せん金付証票の発売限度額について第十四 議第百八十八号議案 指定管理者の指定について(宮城県慶長使節船ミュージアム)第十五 議第百八十九号議案 指定管理者の指定について(閖上漁港の指定施設(護岸及び物揚場横泊地並びに物揚場横泊地))第十六 議第百九十号議案 指定管理者の指定について(閖上漁港の指定施設(ヨット等の保管施設及び倉庫)及び研修室)第十七 議第百九十一号議案 指定管理者の指定について(気仙沼漁港の指定施設(魚町二丁目護岸横泊地))第十八 議第百九十二号議案 支払督促の申立てに係る督促異議の申立てがあった場合における訴えの提起について第十九 議第百九十三号議案 地方独立行政法人宮城県立病院機構が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第二十 議第百九十四号議案 宮城県道路公社による有料道路の料金変更の同意について第二十一 議第百九十五号議案 財産の取得について(情報通信機器タブレット端末等)一式)第二十二 議第百九十六号議案 財産の取得について(情報通信機器タブレット端末等)一式)第二十三 議第百九十七号議案 工事請負契約の締結について(一般国道百十三号福岡蔵本二号橋(仮称)新設(上部工)工事)第二十四 議第百九十八号議案 工事請負契約の締結について(宮城県栗原警察署(仮称)庁舎新築工事)第二十五 議第百九十九号議案 工事請負変更契約の締結について(主要地方道女川牡鹿線飯子浜道路改築工事)第二十六 議第二百号議案 工事請負変更契約の締結について(主要地方道石巻鮎川線大原浜道路改築工事)第二十七 議第二百一号議案 工事請負変更契約の締結について(主要地方道気仙沼唐桑線本町道路改築工事)第二十八 議第二百二号議案 工事請負変更契約の締結について(南部地区職業教育拠点校(仮称)校舎等新築工事)第二十九 議第二百三号議案 製造請負契約の締結について(宮城県慶長使節船ミュージアム展示改修)第三十 報告第三十六号 専決処分の報告について(荒川護岸等改良工事の請負契約の変更)第三十一 報告第三十七号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)第三十二 報告第三十八号 専決処分の報告について(県営住宅等の明渡請求等に係る訴えの提起)第三十三 報告第三十九号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)第三十四 大震災復興調査特別委員会調査結果報告第三十五 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告第三十六 地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告第三十七 少子化対策調査特別委員会調査結果報告第三十八 地方デジタル化調査特別委員会調査結果報告第三十九 議会運営委員の選任第四十 常任委員の選任第四十一 予算特別委員会設置-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 議席の変更二 日程第二 会議録署名議員の指名三 日程第三 会期の決定四 日程第四ないし日程第三十三       議第百七十八号議案ないし議第二百三号議案及び報告第三十六号ないし報告第三十九号五 日程第三十四 大震災復興調査特別委員会調査結果報告六 日程第三十五 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告七 日程第三十六 地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告八 日程第三十七 少子化対策調査特別委員会調査結果報告九 日程第三十八 地方デジタル化調査特別委員会調査結果報告十 日程第三十九 議会運営委員の選任十一 日程第四十 常任委員の選任十二 日程第四十一 予算特別委員会設置----------------------------------- △開会(午後一時) ○議長(菊地恵一君) 第三百八十六回宮城県議会を開会いたします。----------------------------------- △開議 ○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △議席の変更 ○議長(菊地恵一君) 日程第一、議席の変更を行います。 宮城県議会会議規則第五条第三項の規定により、お手元に配布のとおり、議席の変更をいたします。……………………………………………………………………………………………    議席の変更                     令和四年十一月二十四日(木)    遠藤伸幸君を二十八番に、横山のぼる君を二十九番に、    高橋啓君を三十番に、仁田和廣君を四十五番に、    吉川寛康君を四十六番に、伊藤和博君を四十七番に、    佐々木幸士君を四十八番に、高橋伸二君を四十九番に、    菊地恵一君を五十番に、佐々木喜藏君を五十一番に、    石川光次郎君を五十二番に、中島源陽君を五十三番に、    本木忠一君を五十四番に、中山耕一君を五十五番に、    安藤俊威君を五十六番に、畠山和純君を五十七番に    それぞれ変更する。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(菊地恵一君) 日程第二、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、五番佐藤剛太君、六番伏谷修一君を指名いたします。----------------------------------- △表彰状伝達 ○議長(菊地恵一君) 御報告いたします。 十月二十五日に開催されました全国都道府県議会議長会定例総会において、議員在職十五年以上の永年勤続功労者として表彰された方々がおられます。 心からお祝いを申し上げます。 ただいまから、表彰状及び記念品の伝達を行います。 ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) それでは、表彰状と記念品の伝達を受けられる方々のお名前を申し上げますので、御登壇をお願いいたします。 在職十五年以上の方を申し上げます。高橋伸二殿。    〔高橋伸二君登壇〕 ○議長(菊地恵一君)     表彰状                   高橋伸二殿 あなたは宮城県議会議員として在職十五年以上に及び地方自治の発展に努力された功績はまことに顕著であります よってここにその功労をたたえ表彰します    令和四年十月二十五日                    全国都道府県議会議長会                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 佐々木幸士殿。    〔佐々木幸士君登壇〕 ○議長(菊地恵一君)     表彰状                   佐々木幸士殿 以下同文でございます。                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 吉川寛康殿。    〔吉川寛康君登壇〕 ○議長(菊地恵一君)     表彰状                   吉川寛康殿 以下同文でございます。                               (拍手) ◎議会事務局議事課長(菅原敏彦君) 渡辺忠悦殿。    〔渡辺忠悦君登壇〕 ○議長(菊地恵一君)     表彰状                   渡辺忠悦殿 以下同文でございます。                               (拍手) ○議長(菊地恵一君) このたび小職も、在職十五年以上によりまして、ただいま伝達いたしました方々と同様に表彰されました。 心より感謝申し上げます。                               (拍手) 以上をもって、伝達を終わります。-----------------------------------
    △諸報告 ○議長(菊地恵一君) 御報告いたします。 地方自治法第百二十一条の規定により、お手元に配布のとおり、議場出席者の通知がありました。 公安委員会委員長山口哲男君から本日欠席、公安委員会委員庭野賀津子君が代理出席する旨の届出がありました。……………………………………………………………………………………………    議場出席者名簿               第386回県議会(令和4年11月定例会)    知事                     村井嘉浩    副知事                    遠藤信哉    副知事                    池田敬之    公営企業管理者                佐藤達也    総務部長                   志賀真幸    復興・危機管理部長              佐藤達哉    企画部長                   千葉 章    環境生活部長                 佐藤靖彦    保健福祉部長                 伊藤哲也    経済商工観光部長               千葉隆政    農政部長                   宮川耕一    水産林政部長                 吉田信幸    土木部長                   千葉 衛    会計管理者兼出納局長             冨田政則    総務部参事兼秘書課長             相澤一行    総務部財政課長                大町久志  教育委員会    教育長                    伊東昭代    副教育長                   嘉藤俊雄  選挙管理委員会    委員長                    皆川章太郎    事務局長                   後藤和隆  人事委員会    委員長                    西條 力    事務局長                   千葉幸太郎  公安委員会    委員長                    山口哲男    警察本部長                  原 幸太郎    総務部長                   佐藤孝治  労働委員会    事務局長                   小松直子  監査委員    委員                     成田由加里    事務局長                   武内浩行----------------------------------- △会期の決定 ○議長(菊地恵一君) 日程第三、会期の決定についてを議題といたします。 お諮りいたします。 今回の会期は、本日から十二月十四日までの二十一日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、会期は二十一日間と決定いたしました。----------------------------------- △議第百七十八号議案ないし議第二百三号議案 △報告第三十六号ないし報告第三十九号 ○議長(菊地恵一君) 日程第四ないし日程第三十三、議第百七十八号議案ないし議第二百三号議案及び報告第三十六号ないし報告第三十九号を一括して議題といたします。 知事から提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 本日ここに第三百八十六回宮城県議会が開会され、令和四年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。 先ほど御披露と伝達がありました菊地恵一議長高橋伸二議員佐々木幸士議員吉川寛康議員渡辺忠悦議員におかれましては、長年にわたり地方自治の発展に尽力された御功績により、全国都道府県議会議長会から表彰をお受けになりました。県民の皆様とともに心からお祝い申し上げ、多年の御功労に対しまして深く敬意を表するものであります。なお一層御自愛の上、県勢発展のため今後とも御活躍いただきますよう御期待申し上げます。 昨日、気仙沼市内の農場において、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されました。現在は、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、当該農場の鶏の殺処分や移動制限区域の設定等の防疫措置を講じるとともに、主要な道路に消毒ポイントを設けるなど、感染拡大防止に努めております。全国的に見ても、今年は十月に最初の事例が確認されたほか、発生件数も昨年を上回るペースで推移しており、今回の事案への速やかな対応と並行して、県内の養鶏場に対し、衛生管理の徹底等について改めて周知を図ってまいります。 それでは御説明いたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。比較的低水準で推移してきた新規感染者数は、先月中旬以降顕著に増加しており、ウイルスの変異等による更なる急激な感染拡大や季節性インフルエンザとの同時流行などによる医療体制の逼迫も懸念されるところです。基本的な感染対策の徹底やワクチンの早期接種、テレワークの推進といった感染拡大防止に向けた要請は現在も継続しているところであり、引き続き御協力を賜りますようお願い申し上げます。 社会経済活動の状況に関しては、我が国に入国する際の水際対策が先月十一日から大幅に緩和されるとともに、観光需要の喚起に向けた全国旅行支援がスタートいたしました。行楽シーズンとも重なり、県内観光地には多くの方が足を運んでおります。一方で、感染症の影響に加え急激な円安やウクライナ情勢等による物価高騰は、県民生活や事業活動に大きな影を落としております。国においては、エネルギーや食料品等の高騰に対し地域がきめ細かな取組を行えるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に新たな区分を創設したところであり、県としてもその趣旨を踏まえ、今回の補正予算案に様々な支援策を盛り込みました。迅速かつ臨機応変な対応に努め、県内経済の下支えに万全を期してまいります。なお、国では現下の社会情勢を踏まえ、物価高騰・賃上げへの取組、円安を活かした地域の稼ぐ力の回復・強化、新しい資本主義の加速などを柱とする物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策を打ち出し、物価対策と景気対策を一体として行うこととしております。県としても切れ目の無い対応ができるよう、継続的な情報収集に努めてまいりたいと考えております。 令和元年東日本台風から、先月で三年が経過いたしました。県民の皆様の平穏な生活を一日も早く取り戻せるよう、被災した公共土木施設の復旧をはじめとする各種事業を計画的に進めてきたところでありますが、県北部を中心とした七月の大雨被害は、自然の猛威を改めて見せつけるとともに、これまでの対応にとどまらない抜本的な対策の必要性を浮き彫りにいたしました。特に、鳴瀬川水系名蓋川では度重なる被害が発生していることから、検討会を設置し、堤防決壊の要因や流域全体で講ずべき対策について年内を目途に検討を進めております。安全・安心な県土の実現に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。また、日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関し、国の中央防災会議は特別措置法に基づく地域指定を行い、我が県全域が地震防災対策推進地域とされました。特に、沿岸十五の市町は津波避難対策特別強化地域となり、計画に基づき市町が行う避難場所や避難経路の整備に対し財政支援の強化が図られることとなっております。県としても、東日本大震災やその後の新たな知見も踏まえ、沿岸市町と連携しながら津波防災対策の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。 県制百五十周年記念事業については、多くの皆様をお招きし、記念式典を開催いたしました。県内各地の多様な魅力を探求・発信する取組や宮城県民歌の合唱、書道の披露といった若い世代による様々な発表を拝見し、我が県の未来に改めて大きな希望を感じたところであります。今年度実施してきた一連の取組を契機に、我が県の将来がますます躍動したものとなるよう尽力してまいりますので、議員各位の御理解・御協力を賜りますようお願い申し上げます。 再生可能エネルギーの普及拡大は、温室効果ガス削減に向け、最優先に進める必要がありますが、施設の設置が環境面に与える影響を懸念する声も多く、地域との共生は大きな課題となっております。そのため、大規模な森林開発の抑制と発電施設の適地誘導の両立を目指し、先の定例会で独自課税の導入方針を表明いたしました。現在、審議会への諮問を行うとともに有識者からの意見聴取も進めており、様々な見地から御意見を伺いながら、その可能性を検討してまいります。 新たな産業廃棄物最終処分場については、大和町鶴巣地区を建設予定地として、関係者による整備基本協定を締結いたしました。現在供用中のクリーンプラザみやぎは四十年以上にわたり県内の産業活動を下支えしてきましたが、震災廃棄物の受入れもあって残容量が僅かとなり、次期処分場の整備は喫緊の課題となっておりました。御理解を賜った大和町及び地区住民の皆様に、この場を借りて心より感謝を申し上げます。今後とも、環境事業公社と連携しながら地域との丁寧な意見交換を重ねつつ、令和九年度中の運用開始を目指し、所定の手続きを進めてまいります。 日本三景松島は、国道四十五号が海岸近くを通り大型車の通行量が多く、慢性的な交通渋滞や観光客の安全確保が長きにわたり課題となっておりました。そのため、安心して周遊できる沿道環境の実現や道路空間を活用したにぎわい創出などを目的に、多くの関係機関の御協力の下、車両通行を規制する大規模な社会実験を実施いたしました。我が県が誇る観光地の更なる魅力向上は、私にとっても念願であり、アフターコロナにおける観光需要を取り込んでいく上でも大きな意義があると考えております。取組の成果や明らかになった課題をしっかりと検証した上で、今後の対応を検討してまいります。 令和六年の創建一千三百年に向け、一帯の環境整備を進めている特別史跡多賀城跡附寺跡については、城前官衙エリアの復元が一部完了し、先月から公開を開始いたしました。古代の姿を甦らせることで東北の政治・文化の中心地であった歴史的価値を広く伝えるとともに、観光資源としても大きな発信力を有するものとなるよう、多賀城市と連携しながら整備を進めてまいります。 東北財務局が今月公表した四半期ごとの経済情勢報告において、県内経済に対する総括判断は、前期に引き続き緩やかに持ち直しているとされました。先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって持ち直しの動きが続くことが期待されますが、物価上昇による家計や企業への影響、供給面での制約、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要があるとされているところです。 次に、今後の県政運営の基本的な考え方につきましては、来年度の予算編成に先立ち、令和五年度政策財政運営の基本方針を先月策定いたしました。我が県は、被災者の実情に応じたきめ細かなソフト対策や人口減少、大規模化・多様化する自然災害や新型コロナウイルス感染症など、多くの課題への対応が求められております。このため、基本方針においては新型コロナウイルス感染拡大防止対策と社会経済活動の両立をはじめとする六つの政策推進の基本方向を掲げ、感染症対策や復興完了に向けた施策に力を入れるとともに、新・宮城の将来ビジョンに基づく取組を進めることとしております。特に、DXによる変革みやぎの実現に向け、あらゆる分野でデジタル技術をフル活用し、県民サービスの向上や県内産業の活性化などを図るとともに、昨年度創設した次世代育成・応援基金を活用した若者の県内定着や子供・子育てを社会全体で支える環境整備、頻発化・激甚化する自然災害から県民を守るための災害に強い県土づくり等の取組を重点的に推進いたします。 国が公表した来年度の地方財政収支の仮試算においては、昨年度に引き続き、地方税や地方交付税が増加し、臨時財政対策債は大きく減少する見込みとなっております。しかし、地方交付税は依然として巨額の財源不足が続いており、新型コロナウイルス感染症や国際情勢、世界各国の金融政策など、今後の推移によっては県内経済に大きな影響を与える要因も多く、緊張感を持って動向を注視していく必要があると認識しております。 このような状況を踏まえ、来年度予算につきましては、新・宮城の将来ビジョンに掲げる宮城の将来像の実現に向けた施策の推進とともに、持続可能な財政運営の実現に向け、歳入歳出両面にわたる対策を講じることとしております。 今回御審議をお願いいたします補正予算案の主な内容ですが、感染症関連の施策としては、先ほど御説明いたしましたとおり、昨今の著しい物価高騰を踏まえ、国において創設された電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用し、生活者・事業者の皆様に対する幅広い物価高騰対策を実施いたします。 具体的には、省エネ性能が高い家電等への買換え促進や、高校生等奨学給付金受給世帯に対する上乗せ給付による経済負担の軽減のほか、生活困窮世帯を対象に灯油購入費へ助成を行う市町村を支援いたします。また、燃油価格高騰の影響を軽減する観点から、医療機関や保険薬局、生活衛生事業者や倉庫事業者などを新たに支援するとともに、交通事業者や貨物運送事業者、社会福祉施設などへの支援を拡充します。更に、社会福祉施設等における省エネ設備の導入や農業生産現場における穀類乾燥機の更新、農業水利施設の修繕補修等について、更なる需要が見込まれることを踏まえ、予算を追加計上いたします。このほか、国が実施する肥料価格高騰対策への上乗せ支援や畜産農家の配合飼料購入費への追加支援を行うとともに、水産関連事業者の電力コスト削減に向けた設備導入や養殖業における出荷用包装資材費に対する助成を行うなど、農林水産分野における負担軽減を図ります。 三月に発生した福島県沖を震源とする地震への対応としては、これまでの計画認定や被災事業者の意向などを踏まえ、グループ補助金の追加計上を行います。 このほか、地方財政法に基づき、令和三年度一般会計決算剰余金を財政調整基金に積み立てるとともに、災害防止を目的とした盛土総点検において課題のあった箇所に対する地滑り防止対策の実施に要する経費を計上するほか、来年開催されるG7仙台科学技術大臣会合に向けた体制整備を進めます。また、河川管理や道路の除融雪など今年度末から来年度初めにかけて行う必要がある公共事業費や指定管理者制度による公共施設管理運営業務委託費について債務負担行為を設定しております。なお、人事委員会からは、一般職の職員の給与に関して月例給とボーナスともに引き上げることなどを骨子とする勧告があり、その取扱いを慎重に検討した結果、勧告の内容どおり実施するとともに、知事等の特別職についても期末手当を引き上げる方向といたしました。給与の改定に係る条例改正案につきましては、後日提案させていただきたいと考えておりますが、これに伴う人件費の増額分は、今年度の異動等に伴う減額分と併せて既決予算の範囲内で対応できる見込みであり、最終補正予算で整理したいと考えております。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに四百一億三千七百余万円となります。財源としては、繰越金二百六十八億九千七百余万円、国庫支出金百四十一億九千九百余万円、地方交付税九億五千万円などを追加する一方、繰入金二十億五千四百余万円を減額しております。この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆二千三百六十九億二千四百余万円、総計で一兆七千百三十億六千九百余万円となります。 次に、予算外議案については、条例議案八件、条例外議案十七件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず、条例議案でありますが、議第百七十九号議案は、個人情報の保護に関する法律の改正に伴い委任された事項について、新たな条例において定めようとするもの、議第百八十号議案は、現行の核燃料税条例の適用期間が来年六月二十日に終了することに伴い、新たに条例を制定しようとするものであります。また、議第百八十一号議案は、職員の多様で柔軟な働き方の推進に向けフレックスタイム制を導入しようとするもの、議第百八十三号議案は、知事の権限に属する事務の一部を新たに市町村が処理できるようにしようとするもの、議第百八十六号議案は、新型コロナウイルス感染症の社会経済への影響が長期化していること等を踏まえ、宮城県信用保証協会から回収納付金を受け取る権利を放棄することができる場合について所要の改正を行おうとするものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第百八十七号議案は、令和五年度における自治宝くじの発売限度額について、議第百八十八号議案ないし議第百九十一号議案は、指定管理者の指定について、議第百九十二号議案は、応急仮設住宅に係る損害賠償を求める訴えの提起について、議第百九十三号議案は、地方独立行政法人宮城県立病院機構の中期目標を定めることについて、議第百九十五号議案及び議第百九十六号議案は、財産の取得について、議第百九十七号議案及び議第百九十八号議案は、工事請負契約の締結について、議第二百三号議案は、製造請負契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。 ○議長(菊地恵一君) 補正予算案に係る各部長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------大震災復興調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第三十四、大震災復興調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。大震災復興調査特別委員長、五十四番本木忠一君。    〔五十四番 本木忠一君登壇〕 ◆五十四番(本木忠一君) 大震災復興調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、東日本大震災からの復旧・復興対策について、発災以降、県議会として積極的な調査特別委員会活動を継続し、被災地域や県民生活の再生に向けた活動について調査検討するため、令和三年十二月十五日に設置されました。 付議事件、大震災復興に関する諸施策についてを受け、特に、津波による甚大な被害を受けた沿岸被災地域を中心に、復旧・復興に係る課題について調査を実施したほか、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する補償状況や風評被害等について、精力的に調査を実施してまいりました。 また、これらの調査で把握した課題等を取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく、要望活動や意見交換を通じ、国及び東京電力等への働きかけを重点的に行ってまいりました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、本県の東日本大震災からの復旧・復興への道のりは今後も続きます。時間の経過とともに顕在化・深刻化する様々な課題の的確な把握と残された課題の解消に向け、今後も同様の特別委員会を設置し、県議会として、課題の解消に向けた国等への働きかけを継続し、本県の震災からの復旧・復興の完遂に向けて、全力を傾注すべきものと考えております。 以上、今後の県議会における被災地に根差した、より効果的な調査活動を期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    大震災復興調査特別委員会報告書 大震災復興調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、東日本大震災からの復興に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置され、付議事件「大震災復興に関する諸施策について」を受け、調査活動を行った。一 はじめに 本委員会は、県議会として、東日本大震災の発災以降、これまでの積極的な調査特別委員会活動を継続しつつ、刻々と変化する被災地の状況に即応し、的確な実態把握を行うとともに、新型コロナウイルス感染症に注意をしながら、時宜を得た要望・要請活動等を行っていくものとし、特に次の二項目を重点活動等とした。 1 被災市町の復旧・復興状況の調査及び国等への要望・要請活動に重点的に取り組むこと。 2 東日本大震災からの復旧・復興の完遂に向けて、現状の課題を整理するとともに、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)に起因する諸問題をはじめ、時間の経過とともに顕在化・深刻化する様々な課題に対して積極的に調査を行うこと。  以上のことを踏まえ、県関係部局から復興の進捗状況等を聴取するとともに、県内の現状と課題を把握するため、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)から参考人を招致して意見を聴取した。また、宮城県漁業協同組合、石巻水産復興会議、福島県及び東京電力福島第一原子力発電所に対して調査を実施し、これらの調査活動で把握した課題等をまとめ、国等への要望活動や意見交換を行った。  その概要は、次のとおりである。二 参考人意見聴取 1 令和四年四月二十二日(東京電力フェロー 新妻常正氏ほか四人)   新妻氏ほか四人は、原発事故に起因する損害賠償の概要と進捗状況及び今後の方針等について、また、福島第一原子力発電所の廃炉及び汚染水の現状と対策について、さらに、多核種除去設備等処理水(以下「処理水」という。)の現状と今後の取組等について、次のように述べた。   初めに、損害賠償関係については、令和三年九月から東北補償相談センターを仙台事務所に改称し、損害賠償業務等を一元的に担務することで適切に対応を進める体制となっている。また、個人、漁業団体、農業団体及び地方公共団体からの損害賠償請求については、引き続き個別の事情を丁寧に伺い対応していきたい。   次に、廃炉作業については、一号機は建屋へのがれき撤去用大型カバー設置に向け、準備工事を開始しており、二号機は燃料取り出し用構台の設置に向けた地盤改良工事を進めている。また、燃料デブリの取り出しについては、令和三年に予定していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により一年程度遅れているが、二号機の燃料デブリから取り出しを開始することとし、現在、取り出し用ロボットアームの動作確認試験を行っている。一号機については、遠隔ロボットによる格納容器内の調査作業を行っている。さらに、汚染水の対策については、汚染水の発生を抑制するため、建屋の屋根の補修、敷地の舗装、豪雨に備えた排水路の整備、遮水壁の維持及び五号機・六号機サブドレン設備の運用開始等を行っている。   処理水に対する取組等については、海域モニタリングの強化の計画、海洋生物の飼育試験の準備を行っているほか、トリチウムの分離技術を公募し技術設備の評価等を行っている。   そのほか、令和四年三月十六日に発生した福島県沖地震後の福島第一原子力発電所の状況について、SNSによる情報発信に遅れがあり、今後も改善に努めること、また、宮城県産品の需要創出に取り組んでいること、さらに、今後は処理水の理解醸成に向け取り組んでいくことなどを述べた。   最後に、損害賠償に関して、これまで東京電力に至らない点があったことを反省し、今後はこれまでの課題を踏まえ、関係団体の皆様に丁寧に事情を伺いながら枠組みを具体化していくと述べた。   これらの説明に関して委員からは、損害賠償に関する地域や業種ごとの請求内容・支払内訳などを示すこと、処理水の海洋放出により、復興途上の被災地が受けるダメージは大きく、海洋放出ありきではなく、海洋放出以外の処分方法についても引き続き検討し、トリチウム等を除去する方法の研究・開発に積極的に取り組むこと及び関係機関や国民に対して透明性のある情報公開・情報発信と説明責任を果たすことを求める意見が出された。三 県内外調査  本委員会は、令和四年六月九日、同年七月十九日及び同年八月三十一日の三日間、県内外調査を実施した。  被災地域における震災からの復旧・復興に係る課題を把握するため、宮城県漁業協同組合及び石巻市水産復興会議から、福島第一原子力発電所における処理水の処分に関する風評被害等の現状及び課題について説明を受けたほか、福島県から、主な震災復旧・復興関連事業の概要説明を受けた。また、東京電力福島第一原子力発電所を視察し、廃炉に向けた作業の状況や処理水の保管状況等について説明を受けた。その実施状況は、次のとおりである。 1 六月九日 宮城県漁業協同組合(石巻市)、石巻市水産復興会議(石巻市) 2 七月十九日 福島県 3 八月三十一日 東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町) これらの調査時における、調査先の方々の主な発言は次のとおりである。 1 農林水産物等の風評対策   国が示した「多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針(以下「基本方針」という。)」のとおり、処理水の処分方法が海洋放出となった場合、販路の縮小や、買い控え等が課題となる可能性が高いことから、全国の消費者、流通関係者及び食品関係事業者等が正しい理解を得られるように、科学的根拠に基づく情報発信を強化するよう求める声があった。また、処理水の海洋放出後に起きた風評被害への対策だけでは足りず、海洋放出の前から、本県の農林水産物等の安心・安全をPRできるような手を打っていく必要があるとの意見があった。   加えて、処理水の風評被害に対する業種別の賠償基準を早急に示すことや、風評被害があった場合には迅速かつ適切な賠償をすること、また、本県産農林水産物等の輸入規制を行う諸外国に対して、一刻も早く輸入規制が撤廃されるよう働きかけることを国や東京電力に対して求める声があった。 2 産業・なりわいの復興に向けた支援   原発事故による影響から、現在も完全な風評の払拭には至っておらず、また、国から処理水の処分方法を海洋放出とする基本方針が示されたことにより、現場では風評被害の拡大を危惧し、安心して漁業に従事することができない状況であることに加え、原発事故に起因して東京電力が行う損害賠償では、人件費などの経費が対象外とされていることから、加工業者等も含めた水産業全体の雇用や後継者・人材育成の観点からも、当該経費を対象とすべきであるとの意見があった。   そのほか、国内販路だけでなく輸出に活路を見出したい水産加工業者の風評被害に対する取組への支援や、資金融通の円滑化をはじめとする事業継続に向けた支援及び新たな担い手・新規参入者への支援の拡充を求める声があった。四 要望(要請)活動 1 復興大臣に対する要望活動   本委員会は、震災からの復旧・復興対策について、参考人意見聴取や県内外調査を実施し、課題の把握に努めてきたところである。これらを整理し「震災からの復旧・復興対策に係る要望書」を調製し、その実現のため、令和四年十一月十一日に秋葉賢也復興大臣に対して要望活動を実施した。   要望事項については、次のとおりである。  (一) 東日本大震災復興関連予算の確実な措置  (二) 福島第一原子力発電所事故の損害賠償に対する支援  (三) 福島第一原子力発電所に係る廃炉・汚染水・処理水対策  (四) 農林水産物等の風評対策  (五) 放射能に汚染された廃棄物の処理及び除去土壌等の処分  (六) 東日本大震災の記憶と教訓の伝承に係る支援  (七) 産業・なりわいの復興に向けた支援  (八) 被災者支援の継続  (九) 移転元地の利活用の促進   このうち、「(二) 福島第一原子力発電所事故の損害賠償に対する支援」、「(三) 福島第一原子力発電所に係る廃炉・汚染水・処理水対策」及び「(四) 農林水産物等の風評対策」を重点要望項目とした。   「(二) 福島第一原子力発電所事故の損害賠償に対する支援」については、原発事故により本県の農林水産業や観光業などの事業者が被った損害は甚大かつ深刻なものであることから、国は東京電力に対し、加害者としての立場を十分自覚させた上で、事故がなければ生じることのなかった全ての損害について、影響を正しく認識し、損害範囲を柔軟に捉え、地域や期限の制限を設けることなく、被害者の立場に立って十分かつ迅速な賠償を継続的に行うとともに、賠償請求時の過度な負担を強いることのないよう、強く指導するよう要望した。また、地方自治体の被害対策経費は、政府指示の有無にかかわらず事故との因果関係があることから、国は地方自治体の被害対策の実情を的確に把握し、賠償範囲として明確に示すよう要望した。   「(三) 福島第一原子力発電所に係る廃炉・汚染水・処理水対策」については、国は基本方針において、処理水の海洋放出による処分方法等を決定したが、国民・国際社会の理解はいまだ深まっておらず、本県の水産業をはじめとした各種産業への新たな風評の拡大を懸念していることから、処理水の海洋放出以外の処分方法について継続して検討するよう要望するとともに、復興に向けたこれまでの努力と積み重ねてきた成果が、決して水泡に帰することのないよう、本県の生産者・事業者の「なりわい維持」に必要な、業種・業態に応じた実効性ある十分な対策について、対象地域を福島県に限定することなく、国が責任をもって取り組むよう要望した。また、廃炉・汚染水・処理水対策に当たっては、国が前面に立って、正確な情報を迅速かつ分かりやすく、そして丁寧に説明するとともに、安全かつ着実に進めるよう要望した。   「(四) 農林水産物等の風評対策」については、原発事故以降、本県産農林水産物をはじめとする食品が、いまだに完全な風評払拭には至っていないことから、今後も国の責任の下で、首都圏をはじめ全国の消費者、流通関係者及び食品関係事業者等に対し、食品に含まれる放射性物質の基準値の意味やこれまでの検査結果で得られた知見について、正しい理解が得られるよう確実に普及啓発を行うとともに、本県産農林水産物等の輸入規制を行う諸外国に対し、一刻も早く輸入規制が撤廃されるよう引き続き働きかけることを要望した。また、「処理水の取扱いに関する宮城県連携会議」で協議事項となっている「将来にわたる事業の継続・拡大につながる支援」、「徹底した安全対策による安心の醸成」及び「風評被害への対応」に関する要望事項について、国の積極的な支援・対応を要望した。   また、意見交換の中では、「(九) 移転元地の利活用の促進」について触れ、移転元地の維持管理等に係る財源措置や地域の実情に合った移転元地の利活用に対する支援を求めた。   これに対して、秋葉賢也復興大臣から、次のような発言があった。   東京電力が賠償を実施するに当たっては、風評対策をはじめ、様々な取組をしている事業者や地方自治体から事情をよく伺い、丁寧な対応を行うことが重要であると考えている。復興庁としても必要に応じて経済産業省に対して、東京電力への指導を適切に行うよう求める。   宮城県の水産業のなりわい維持に向けた対策として、処理水の処分に関連し、令和五年度予算では水産関係対策の拡充を要求している。具体的には、福島県のみを対象としている被災地の担い手の確保に対する支援について、宮城県を含む五県にも対象を拡大することとしており、がんばる漁業についても、収益性の向上を目指す取組を支援するメニューを追加することとしている。他方で、処理水の処分については、国内外の幅広い方々の理解と協力が極めて重要であることから、復興庁としても、風評対策の推進に向けた取組を実施している。政府一丸となって、決して風評被害を生じさせないという強い決意の下、科学的根拠に基づいた情報発信等の風評対策に引き続きしっかりと取り組んでいきたい。   被災地の農林水産物等の安全性については、関係省庁と連携し、引き続き適切な情報発信に努める。日本産食品等の輸入規制の撤廃については、今後もあらゆる機会を活用し、政府一丸となって、科学的知見に基づいて、当該規制が早期に撤廃されるよう、より一層働きかけを強めていきたい。 2 東京電力に対する要請活動   本委員会は、「福島第一原子力発電所事故に起因する被害への迅速かつ十分な対応及び原発事故の早期完全収束を求める要請書」を調製し、その実現のため、令和四年十一月九日に、東京電力に対して要請活動を実施した。要請事項については、次のとおりである。  (一) 福島第一原子力発電所事故に起因する被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実施   (1) 賠償金の迅速かつ十分な支払について   (2) 請求手続の一層の簡素化について   (3) 被害の実態に即した損害賠償の実施について   (4) 自治体や生産組合等において風評被害防止のために要した経費の補償について  (二) 原発事故の早期完全収束の実現   (1) 処理水の対策について   (2) 発電所内におけるトラブル、周辺環境のモニタリング結果等の迅速な公表と丁寧な説明について   このうち、「被害の実態に即した損害賠償の実施について」及び「処理水の対策について」を重点要請項目とした。   前者については、生産者、事業者による賠償請求に関して、東京電力が法令・政府指示等に基づかないことを理由に十分な賠償に応じないなど、消極的な姿勢のままであることを指摘した。その上で、原発事故の原因者たる責任を十分に自覚し、請求者との協議に当たっては、生産者、事業者が被っている損害の実態や、原発事故後に新たに強いられている費用負担を十分に斟酌すること、また、原発事故に起因する被害が存在する限り、その賠償金の支払いに向け、真摯かつ柔軟な対応に努めるとともに、迅速かつ十分な賠償を行うことを要請した。   後者については、原発事故に伴う風評被害が依然として収束しておらず、地域産業に大きな影響をもたらしている中で、東京電力が処理水希釈放出設備等の整備に着手していることや、国の基本方針決定が国内外の理解を十分に得られている状況にあるとは言えず、安全性や新たな風評への懸念や、これまで積み重ねてきた復興や風評払拭の成果が水泡に帰す懸念があることを指摘した。その上で、海洋放出ありきではなく、海洋放出以外の処分方法について引き続き検討するとともに、トリチウム等を除去する研究・開発に積極的に取り組むことを要請した。また、処理水の海洋放出によって、本県の水産業、農業及び観光業等への新たな風評被害を生じさせないよう、国民・国際社会へ向けた科学的根拠に基づく説明と理解醸成に向けた取組の強化、安全最優先の工事、厳格なモニタリング及び分かりやすい情報発信などを行うとともに、風評の懸念に対する万全な対策の実施、万が一に備えた賠償基準の策定などについても、生産者、事業者等の十分な理解が得られるよう本県の関係団体等の要望も取り入れ、国とともに責任を持って対応するよう要請した。   当該重点要請項目の内容について、東京電力から、次のような発言があった。   一 点目の「被害の実態に即した損害賠償の実施について」については、生産者、事業者からの請求に対して、法令・政府指示の有無を問わず、請求者が抱えている状況や個別具体的な事情を丁寧に伺いながら、被害を受けた方々の立場に立って誠実かつきめ細やかな対応に努める。また、事故の当事者として、事故と相当因果関係のある損害が継続する限り賠償するという考えの下、迅速かつ適切な賠償に取り組む。   二点目の「処理水の対策について」については、トリチウムを分離する技術について、新たな技術動向を継続的に注視していくとともに、福島第一原子力発電所の処理水に現実的に実用化可能な技術があれば、積極的に取り入れていく方針である。また、処理水の取扱いに関しては、広く社会に理解を深めてもらえるよう、安全性の向上、科学的根拠に基づく分かりやすい情報発信、放射性物質のモニタリング強化及び国際原子力機関を含めた第三者の関与による客観性・透明性の確保などに取り組む。そのほか、風評被害が生じた場合には、賠償期間や地域・業種を限定することなく、被害の実態を踏まえ迅速かつ適切に賠償すること、請求者に過度な負担がかからないよう柔軟に対応すること及び関係団体等の意見を伺いながら賠償基準を検討することなどを述べた。五 総括  本委員会は、参考人意見聴取や県内外における調査活動等を通じ、本県における震災からの復旧・復興に係る様々な課題の把握に努めるとともに、これらを取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく、関係機関や国との意見交換や働きかけを重点的に実施してきた。  東日本大震災の発災から十一年以上が経過し、特に津波による甚大な被害を受けた沿岸市町においては、防災集団移転促進事業や被災市街地復興土地区画整理事業等のまちづくりに関わる事業、災害公営住宅の整備など住宅の再建に関する事業がほぼ完成し、被災者の生活再建が加速している。また、県内の産業についても、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業をはじめとする各種支援施策が継続的に実施されるとともに、「石巻南浜津波復興祈念公園」や「みやぎ東日本大震災津波伝承館」など、県内各地に震災遺構・伝承施設が完成し、復興完遂に向けて着実に歩みが進められているところである。  一方で、子供からお年寄りまでの被災者の心のケアをはじめ、地域コミュニティの再構築、高齢者の見守り・相談支援や交流の場の確保、震災伝承の取組及び防災集団移転促進事業の移転元地利用など、時間の経過に伴って顕在化・深刻化する様々な課題を抱えている状況にあり、令和五年度以降も被災市町が必要とする財政支援や各種制度を確実に講じるとともに、制度の運用に当たっては、地域の実態に即した柔軟な対応が求められている。  また、原発事故に起因する被害に関しては、使用済燃料プールからの燃料取り出し等の廃炉作業が進められている一方、賠償については必ずしも十分とは言えない状況にある。さらに、従来から本県産品等に対する不安が払拭されず、国内外において、風評等の被害が続いている中、国においては、令和三年四月に処理水の処分方法を海洋放出とする基本方針を決定し、本県の水産業をはじめとした各種産業への新たな風評の拡大が懸念される。  特に、風評被害の払拭に向けては、本県のみならず国内外の消費者等に対し、本県産品等の安全性についての理解を増進することが極めて重要であり、本県はもとより国等による国内外を対象とした継続的な取組が必要である。また、処理水の処分に関しても、国民の理解醸成を図るとともに、本県の生産者・事業者の「なりわい維持」に必要な、業種・業態に応じた実効性ある十分な対策が必要である。さらに、近年、全国的に台風、地震及び豪雨等による大規模な自然災害が頻発している状況を踏まえ、東日本大震災からの復旧・復興の取組の中で培った伝承の教訓や知見を広く発信し、後世に確実に継承していくことは、被災県として国内外の防災力向上に貢献するためにも重要である。  東日本大震災からの復興については、令和二年六月に復興庁設置法等の一部を改正する法律が成立し、復興庁の設置期間が十年間延長されたほか、同年七月には、「令和三年度以降の復興の取組について」が決定され、令和三年度から令和七年度までの五年間が「第二期復興・創生期間」と位置付けられており、今後も、本県として残された事業に全力を挙げて取り組むとともに、東日本大震災の伝承と記憶の風化防止、津波防災教育への対応について、震災遺構やみやぎ東日本大震災津波伝承館等の積極的な活用も含めて主体的に十分な施策を講じていくことが強く求められる。  このような現況の下、本委員会では、刻々と変化する被災地の状況を把握するため調査活動を行ってきたが、本県の東日本大震災からの復旧・復興への道のりは今後も続くことから、様々な課題の的確な把握とその解消に向け、県議会として、継続的に県及び国等への働きかけを行うためにも、次期においても特別委員会を設置し、本県の早期復興に資する最も効果的な調査活動の在り方について絶えず検討を行うものとし、被災地の復旧・復興の進捗状況に応じて、多岐にわたる課題について、より精緻な調査活動を展開し、本県の復興に資するべく全力を傾注する必要があると当委員会では考える。 以上、今後の県議会における、被災地に根差したより効果的な調査活動を期待して、活動の報告とする。 令和四年十一月二十一日             宮城県議会大震災復興調査特別委員長 本木忠一宮城県議会議長 菊地恵一殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第三十五、再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員長、五十一番佐々木喜藏君。    〔五十一番 佐々木喜藏君登壇〕 ◆五十一番(佐々木喜藏君) 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置されました。 付議事件、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策についてを受け、一、脱炭素社会実現に向けた諸施策、二、再生可能エネルギー、省エネルギー関連産業の振興及び研究開発の取組、以上を調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねてまいりました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………     再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会報告書 再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置され、付議事件「再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。一 脱炭素社会実現に向けた諸施策二 再生可能エネルギー、省エネルギー関連産業の振興及び研究開発の取組 調査項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人として招致した国土交通省東北地方整備局建政部住宅調整官野原邦治氏、東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻教授中田俊彦氏から意見を聴取し、さらに、電源開発株式会社鬼首地熱発電所の取組について調査を実施したほか、国や他県の事例を参考にするため、山梨県及び経済産業省の取組などについて調査を行った。 その概要は、次のとおりである。一 現状と課題  温室効果ガスの排出量について、本県では平成三十年十月に地球温暖化対策推進法に基づき、「宮城県地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定しており、この計画において二〇三〇年度の県内の温室効果ガス排出量を基準年である平成二十五年度比で三一%削減する目標を掲げている。県内の温室効果ガス排出量は平成二十三年度まで減少傾向にあったが、東日本大震災後は復旧・復興事業の影響などにより増加に転じており、その後、平成二十六年度をピークとして再び減少している状況となっている。温室効果ガスの排出は、あらゆる経済活動に起因しているため県民生活・地域社会・産業など様々な分野において、総合的な取組を進めていくことが必要である。  なお、温室効果ガスの排出量については、国が新たな地球温暖化対策計画において、二〇三〇年度までに四六%削減する目標を掲げたほか、本県においても、「宮城県環境基本計画」の長期目標として、二〇五〇年までに二酸化炭素排出実質ゼロとすることを掲げた。  再生可能エネルギーの導入量について、本県では、「再生可能エネルギー・省エネルギー計画」において、二〇三〇年度の再生可能エネルギーの導入量を三万五千九百六十九テラジュールとする目標を掲げており、令和二年度の再生可能エネルギーの導入量は二万二千六百十五テラジュールで、目標値の六二・九%となっている。令和二年度の再生可能エネルギーの導入量全体として、熱利用は減少傾向にあるものの、太陽光発電の増加により電力利用は順調に増加しており、前年度の令和元年度から約三千テラジュール増加している。  各種再生可能エネルギーの導入量の現状について、二〇三〇年度の目標値に対する令和二年度の達成率は、太陽光発電は百一一・八%、バイオマス発電は五三・六%、風力発電は一二・二%、水力発電は八二・一%となっている。  省エネルギーによるエネルギー消費量の削減量について、震災直後は復興需要によりエネルギー消費量の増加傾向が続いたが、平成二十六年度をピークに減少傾向に転じている。各部門の現状としては、産業部門において、最もエネルギー削減量が大きい一方、家庭部門や業務部門、運輸部門については、目標に向けて着実に削減が進んでいるものの、更なる省エネルギー対策が必要である。  二酸化炭素の吸収源としては、森林の間伐や植林に加え、農地への堆肥施用などが挙げられるほか、海水中の二酸化炭素を吸収する藻場の維持・拡大が新たな吸収源となるブルーカーボンとして着目されている。  農業分野における吸収源対策としては、農地に施用された堆肥等の一部が、分解されにくい土壌炭素となり長期間土壌中に貯留されることを踏まえ、環境保全型農業直接支払交付金等の活用により、堆肥の施用や有機農業等の環境に配慮した農業生産の取組を支援している。  水産分野における吸収源対策としては、生産力の高い藻場に二酸化炭素の吸収・固定や地球温暖化の緩和といった働きが期待されることから、本県では、藻場の造成と維持管理に取り組むこととしている。また、二酸化炭素の固定・吸収量をブルーカーボンとして評価するとともに、本県の漁業・養殖業の活動に伴い発生する二酸化炭素を定量し、削減貢献量を明らかにすることとしている。  林業分野における吸収源対策としては、本県では年間五千六百ヘクタールの間伐実施や再造林の推進に取り組むこととしている。  再生可能エネルギー施設の設置をめぐる規制や地域住民との調整における課題については、国の固定価格買取制度(FIT制度)の創設以降、本県でも太陽光発電を中心に再生可能エネルギー施設の導入が進展してきたが、国が二〇五〇年のカーボンニュートラル実現や二〇三〇年の温室効果ガス四六%削減といった高い目標を掲げたことから、再生可能エネルギーの更なる導入が必要になっている。その一方、急速な施設の増加に伴い、説明不足等による地域住民・事業者間の関係悪化や、周辺環境・住民生活に及ぼす影響、土砂災害などに対する地域の懸念が高まっており、国は地球温暖化対策推進法を改正し、市町村が円滑な地域合意形成に基づいた再生可能エネルギー等の促進区域を設定できる制度を新たに創設している。関係法令の遵守の徹底に加え、地域と共生する再生可能エネルギーの推進が求められている。二 参考人からの意見聴取 1 国土交通省東北地方整備局建政部 住宅調整官 野原邦治氏   野原氏は、住宅・建築物の省エネルギー化の推進について、以下のように述べた。   今後の住宅・建築物の省エネルギー対策の在り方及び今後の建築基準制度の在り方について、今年一月に新たな答申がとりまとめられた。   この答申では、第一に、建築物の省エネルギー性能の一層の向上が掲げられている。具体的には、二〇二五年度以降に新築される住宅・建築物の原則全てに省エネルギー基準適合を義務付けることや、義務対象の拡大に伴い、審査体制の整備についても万全を期すことが提言されている。さらに、省エネルギー基準の段階的引上げを見据えた、より高い省エネルギー性能の確保のため、各種誘導基準をZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能に引き上げることとされた。既存建築ストックの省エネルギー化に向けては、過度な負担とならないよう、増改築部分のみ省エネルギー基準へ適合することを求めることとされた。このほか、建築物における再生可能エネルギーの利用の促進のため、地域の実情に応じた制度の導入について提言されている。   このほか、第二に、温室効果ガスの貯蔵に寄与する木材の利用促進について、延べ面積三千平方メートルを超える建築物を含めて、「現し」での木造化を可能とする提言が、また、第三に、既存建築ストックについて、長寿命化や省エネルギー化に必要な改修を行う場合は、最新の防火規制などを既存部分に求めることはしないという合理化を図るべきと提言されている。国土交通省では、今後、具体的な対応を進めていくこととしている。   住宅・建築物への木材利用は、温室効果ガスの貯蔵と、森林における温室効果ガスの吸収能力向上といった観点から重要な取組の一つであり、木材製造時のエネルギー消費量は、鉄骨やコンクリートの材料製造時のエネルギー消費量よりも少ないとされている。このため、国土交通省では、木材を住宅・建築物に活用することを促進するために、三つの取組を進めている。一つ目に、実験で得られた科学的知見等により安全性の確認等を行い、構造関係及び防火関係の規制を順次合理化している。二つ目に、補助制度により木造の住宅・建築物の先導性・普及性の高いプロジェクトを支援し、また、中大規模の木造建築物の設計者に対し、設計に有益な情報を集約して一元的に提供している。三つ目に、住宅における木材の利用の促進として、地域の中小工務店が資材の供給者等と協力して行うZEHや長期優良住宅など、省エネルギー性能等に優れた木造住宅等の整備を支援しているほか、木造住宅・建築物の担い手である大工技能者等の育成の取組を支援している。 2 東北大学大学院工学研究科 技術社会システム専攻 教授 中田俊彦氏   中田氏は、カーボンニュートラル社会とイノベーションについて、以下のように述べた。   イノベーションで最も重要なことは新規性である。イノベーションの種類には、製品だけではなくサービスやプロセスもあり、また、社会から見たときには、インクリメンタルやラジカルイノベーション等がある。つまり、イノベーションとは、部品を作ることだけではなく、社会システムをいかに良い方法に変えていくのかということである。   ゼロカーボン社会の実現に向け、エネルギーの三要素である電気、熱、自動車燃料について、まず、質をローカーボンに変える。そして、量を変えることで、暮らしをより豊かにする。また、自分の住んでいる地域について、データ分析をすることが重要である。再生可能エネルギーの発電所を増やすだけではなく、熱も自動車も含めてグリーンにしていくためには、地域の担い手が関与していくことが大事であり、そこには地元の人たちの英知が必要である。三 県内調査 1 電源開発株式会社鬼首地熱発電所(大崎市)   県内唯一の地熱発電所である鬼首地熱発電所は、一九七五年の運転開始から四十年以上経過しており、地下には今後も利用できる豊富な地熱資源が確認できたことから、現在、最新設備への更新工事を行っている。   新しい発電所の建て替えに当たり、出力は、現状の一万五千キロワットから一万四千九百キロワットに変更となる。既存の坑井は全て埋め戻し、五坑の生産井と五坑の還元井を新規に採掘した。これまでの坑井は敷地内に点在していたが、新たに還元基地、生産基地を設け集約した。また、栗駒国定公園内に位置することから、敷地の広さ、建屋の高さ、色彩等において環境負荷に配慮した計画としている。また、この地域には鳴子温泉郷の一つである鬼首温泉があり、地域の環境や地域との共生にも配慮を行っている。発電所の完成前から約五十年間、毎月、湯量や温度、成分等のモニタリングを行っており、今後も、地域住民の安心や信頼確保のため継続していくとのことであった。   地熱発電は、天候の影響を受けることがなく、また、出力をコントロールできるため、太陽光発電や風力発電に比べて非常に高い八〇%の稼働率を得ることができる。また、二酸化炭素の排出量が少なく、持続的な発電が可能な再生可能エネルギーと言われており、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて重要な純国産のエネルギーであるとの説明があった。四 県外調査 1 山梨県  (一) 四パーミル・イニシアチブの取組について    人間が世界で排出している炭素量はおおよそ百億トンであり、そのうちの五十七億トンが森林や海洋などで吸収され、残りの四十三億トンが毎年積み重なって二酸化炭素が上昇する。この四十三億トンを全部土に閉じ込め、土壌の表層の炭素量を年間〇・四%増加させることにより、大気中の二酸化炭素を実質ゼロにすることができるという考え方に基づく取組が、四パーミル・イニシアチブである。国際的には、不耕起、後作草生、生垣樹木、牧草管理、土壌復元、有機肥料の六つの方法があるとの説明があった。    山梨県は、日本の都道府県で初めて四パーミル・イニシアチブの取組に参加した。全国有数の果樹生産地である特徴を生かし、果樹園でこの取組を始めている。果樹園では、これまでも堆肥などの有機物の投入や草生栽培、剪定枝チップの投入が行なわれていたが、炭素貯留効果を更に大きくする方法として、光合成により多くの炭素が蓄積している剪定枝を炭化することにより、より多くの炭素を長期間、土壌中に貯留することが可能となる。剪定枝の炭化は、剪定枝が発生した圃場で行い、その圃場に投入することで、運搬等で発生する二酸化炭素はほぼゼロとなるとのことであった。山梨県では効率的な炭化方法や、炭素貯留量の推定、土壌改良効果や果樹の生育への影響等を研究している。また、脱炭素社会の実現に貢献する農産物の新たなブランドを創造するため、やまなし四パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度を創設した。認証制度には、土壌への炭素貯留量が確実に見込まれる計画を認証する「エフォート」と、炭素貯留量の実績を県が確認し、そこで生産された農産物やその加工品を認証する「アチーブメント」の二種類がある。生産者が作った作物を、ただ環境に優しいという点だけでなく、新しいブランドとして販売をする。有機物投入、草生栽培、剪定枝チップ投入といったこれまでの農家の取組を評価しながら、加えて剪定枝バイオ炭の投入の取組を評価して、認証をしているとの説明があった。    この四パーミル・イニシアチブは、二酸化炭素を土に貯める取組であり、気候変動に具体的な対策を行うものである。また、土を豊かにする土壌改良効果もあり、陸の豊かさを守るということから、SDGsにも貢献している。積極的に農業サイドから脱炭素に貢献できる新しい取組であるとの説明があった。  (二) やまなし水素・燃料電池バレーの実現に向けた取組について    山梨県では、自立・分散型エネルギー社会の構築を基本方針としており、グリーンイノベーション推進事業として、環境学習の場の提供、次世代エネルギーに関する情報発信、電力貯蔵技術の研究開発、小水力発電の普及推進等を行っている。現在、二十七箇所の水力発電所で再生可能エネルギーを生産している。    電気の需要を高めていくことが再生可能エネルギーを育てるためには重要であるとの説明があった。現在は、不安定な電力から水素を作る、貯める、運ぶ、使うという一連の実証試験を行っているとのことである。水の電気分解から水素を製造し、貯蔵及び利用するP2G(Power to Gas)システムの技術開発の現況としては、少しずつ大型の技術に変わってきている。効率については、大きさに関わらず高い効率を発揮できるレベルに達しており、これは世界最高水準の技術とのことであった。また、産業分野におけるカーボンニュートラルを目標として会社を立ち上げており、大規模な百メガワット級の水電解、そして小規模な水電解の技術開発を進めている。国内市場だけでなく海外にも進出しており、特にアジア地域が重要とのことであった。このほか、新たに研究開発拠点を整備し、八つの次世代エネルギー技術の研究が始まるとのことである。共同研究開発では、補助金ではなく出資という形へと転換しており、一緒に研究を行い、成果が出てきた内容には、積極的に出資を行い、事業拡大の手伝いをしているとのことであった。    さらに、水素・燃料電池関連産業の集積について、山梨県は機械電子関連製造業の比率が高いことから、その優れた技術力を生かし、今後成長が見込まれる水素・燃料電池産業への進出を支援しており、専門人材の育成や新たな市場の開拓等を行っている。水素・燃料電池関連企業の誘致強化のため、県単独の助成を行っているとの説明があった。 2 経済産業省(東京都千代田区)   クリーンエネルギー戦略においては、産業など需要サイドの各分野におけるエネルギー転換の方策について整理されているほか、エネルギー安全保障の確保や脱炭素化に向けた対応について整理されている。   エネルギー安全保障の確保について、ロシアによるウクライナ侵攻や、地震等の影響による電力需給ひっ迫の状況から、エネルギーの安定供給の重要性を再認識した。日本は、大胆な構造転換を進め、産業競争力を高めていく必要がある。そして、ロシアへのエネルギー依存の低減を進め、脱炭素化を加速させる。徹底した省エネルギーを進めるとともに、脱炭素効果の高い電源を最大限使っていくことが基本方針であるとの説明があった。また、エネルギー政策の大原則は、安全性を大前提とした上で、第一に安定供給、そして経済効率性、環境適合である。そのためには、様々な選択肢をバランスよく使っていくということが大事であるとの説明があった。   脱炭素の実現を目指すと同時に、日本経済の成長・発展も実現していく必要がある。その実現に向けては、現在のエネルギー需給構造の転換に加えて、産業構造も大幅に転換していくことが重要となる。脱炭素の実現と経済の成長・発展の両方をしっかりと追い求めていくとの説明があった。五 総括・提言  これらの検討結果を踏まえ、本特別委員会は、再生可能エネルギー・脱炭素に関する諸施策について、次のとおり取りまとめた。 1 エネルギーの安定供給   今年三月、電力需給ひっ迫警報が発令され、また六月には需給ひっ迫準備情報が発表されるなど、電力需給は厳しい状況にある。脱炭素に向けた取組を進める上でも、まずはエネルギーの安定供給が確保されなければならない。エネルギーの安定供給には、エネルギーの自給性を高めること、そしてエネルギー供給源の多様性を持つことが重要となる。このため、再生可能エネルギーを最大限に活用することが必要であり、太陽光発電をはじめ、バイオマス発電や風力発電、水力発電、地熱発電など、地域の有効資源を活用し、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組む必要がある。また、水素エネルギーについては、幅広い分野における利活用の検討を行い、普及促進を図る必要がある。視察調査の予定を立てながら諸般の事情により実行できなかった大型蓄電池システムについても、エネルギーの安定供給や再生可能エネルギーの導入等の観点から、実現に向けて努力すべき課題であり、引き続き調査が必要である。さらに、実効性の高い節電を行うことが必要不可欠であることから、県民、事業者、民間団体及び行政など地域社会を構成する全ての主体が、省エネルギーなどに自分ごととして取り組み、一人一人が着実に行動することが求められている。 2 自然、景観、住民に配慮した事業の推進   本県では、震災後の自立電源の確保に対する関心の高まりや、国の固定価格買取制度(FIT制度)により再生可能エネルギーの導入が進み、その中でも太陽光発電の導入が急速に拡大している。一方で、急速な増加に伴い、地域住民への説明不足によるトラブルの発生や、設置後の維持管理や設備の廃棄、土砂災害の発生などに対する住民の不安が高まっている。脱炭素社会の実現に当たっては、再生可能エネルギーの最大限の活用が求められるが、そのためには、地域と共生した太陽光発電の推進が必要である。本県では、地域と共生した太陽光発電事業を進めるため、令和二年四月に「宮城県太陽光発電施設の設置等に関するガイドライン」が策定されており、発電事業者へ適正な手続を執るよう協力を求めてきた。また、今年十月には、太陽光発電施設の適正な設置、維持管理、廃止等の手続を定め、地域と共生する太陽光発電の普及及び拡大を図るため、ガイドラインの実効性を確保し、災害リスクがある区域への設置を規制するなどの内容を盛り込んだ「太陽光発電施設の設置等に関する条例」が施行された。条例の施行により、適正適切な手続の下、地域と共生した太陽光発電の普及拡大が図られるよう、今後も引き続き事業者等に対し、制度周知等に取り組む必要がある。 3 再生可能エネルギーの導入拡大   再生可能エネルギーの導入拡大に当たっては、今後、森林の開発等を伴わない建築物の屋根や屋上を活用した太陽光発電の導入など、未利用地を有効に活用する再生可能エネルギーの導入を普及促進していくことが重要である。バイオマス発電においては、未利用間伐材等の木質バイオマスの地産地消の推進等の取組を引き続き進める必要がある。風力発電においては、地域との共生のもと導入余地を検討し、水力発電においては、農業用水路等の未利用資源を活用した小規模発電の導入を進める必要がある。地熱発電においては、鬼首地熱発電所の稼働が来年に予定されている。また、新たな施設の導入検討の支援も必要であり、地元関係者の理解や関係機関との連携が重要となる。今後も、地域資源を活用した取組を進め、多様な再生可能エネルギーの更なる導入余地を検討していく必要がある。 4 水素エネルギーの利活用の促進   本県では、走行時に二酸化炭素を排出しない燃料電池自動車(FCV)等の導入促進に向けて、商用水素ステーションの整備のほか、FCVの貸し出しや燃料電池(FC)バスの路線運行が実施されており、また、昨年度末からはFCVタクシーの本格運行が始まっている。今後、一般の乗用車に加え、バス等の商用車におけるFC化など、モビリティ分野における水素利活用の更なる促進が必要である。このため、FCV購入補助やFCVタクシーの導入補助、FCバスの路線運行の支援拡充に取り組み、さらに将来的には、モビリティ分野だけでなく、幅広い分野における水素の利活用が期待される。このほか、水素関連産業への事業参入や、貯蔵技術の普及促進も図る必要がある。一方、水素と既存燃料には大きく価格差があり、この価格差を解消していくことが重要となる。水素の利活用に当たっては、県民の認知や理解が不可欠であることから、イベントやセミナーなどを通じて理解促進に努めるほか、積極的に水素エネルギーの利用機会を創出していくことが必要である。 5 二酸化炭素の吸収源対策   農林水産業サイドからの炭素貯留政策(四パーミル・イニシアチブ)は、二酸化炭素の濃度を低減し、地球温暖化の抑制に寄与するものである。農業分野においては、例えば、もみ殻のくん炭化による土壌還元等の取組への支援が必要である。また、水産分野においては、藻場や漁場が二酸化炭素削減の効果が期待されていることから、藻場の造成や維持管理等の取組への更なる支援が必要である。林業分野においては、山林及び森林整備による良好な環境の維持や増進が必要であることから、間伐及びくん炭化等に取り組む事業者等に対し、経費補助等の支援が求められる。これらの吸収源対策を推進していくため、なお一層の取組が重要である。 6 省エネルギーの一層の推進   二〇二五年度以降の新築住宅・建築物における省エネルギー基準適合の義務化や、各種誘導基準のZEH・ZEB基準の水準への省エネルギー性能の引き上げなど、建築物の省エネルギー性能の一層の向上が求められている。住宅・建築物における省エネルギー化の推進に当たっては、省エネルギー設備の導入経費補助や、省エネルギー改修の経費補助等の支援の拡充が必要である。また、事業活動で生じる二酸化炭素排出量の削減や光熱費等のコスト削減を図るため、再生可能エネルギー設備や省エネルギー設備を導入する事業者に対しては、引き続き経費補助等の支援が必要である。脱炭素に向けた取組は、業種や事業所ごとに異なることから、それぞれの状況に応じた取組の方向性を検討する必要があり、事業者向けのエネルギー診断の実施等、適切な支援が必要である。 以上、これらの提言が今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。 令和四年十一月二十一日    宮城県議会再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員長 佐々木喜藏宮城県議会議長 菊地恵一殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。----------------------------------- △地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第三十六、地域再生・活性化対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。地域再生・活性化対策調査特別委員長、二十七番太田稔郎君。    〔二十七番 太田稔郎君登壇〕 ◆二十七番(太田稔郎君) 地域再生・活性化対策調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、地域再生・活性化対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置されました。 付議事件、地域再生・活性化対策に関する諸施策についてを受け、一、人口減少等による地域経済の現状を踏まえた地域再生・活性化対策、二、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた地域再生・活性化対策、以上を調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねてまいりました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    地域再生・活性化対策調査特別委員会報告書 地域再生・活性化対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、地域再生・活性化対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置され、付議事件「地域再生・活性化対策に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。一 人口減少等による地域経済の現状を踏まえた地域再生・活性化対策について二 ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた地域再生・活性化対策について 以上の項目について、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、参考人として招致した株式会社巻組代表取締役の渡邊享子氏及び宮城学院女子大学現代ビジネス学部現代ビジネス学科教授の宮原育子氏から意見を聴取し、さらに、県内の実情を把握するため、一般社団法人雄勝花物語、遊佐翔氏、株式会社MAKOTO WILL、川崎町及び丸森町の取組について調査を実施したほか、他県における先進事例を参考にするため、岡山県英田郡西粟倉村、瀬戸内ワークス株式会社、徳島県上勝町及び徳島県神山町の取組について調査を行った。 その概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 地方創生について   本県の人口は、平成十五年の推計人口約二百三十七万二千人をピークに減少傾向が続いており、令和三年十月一日現在の推計人口は約二百二十九万人であった。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、令和二十七年の本県の人口は約百八十万九千人となっており、令和三年との比較では、約四十八万人、約二一%減少する見込みとなっている。   このような中、令和三年度から、宮城の将来ビジョン、県震災復興計画とともに、宮城県地方創生総合戦略を「新・宮城の将来ビジョン」に統合し、「地域資源を最大限活用した、持続可能で安全・安心な社会の実現」を将来の方向性として掲げ、地方創生の更なる推進に向けて、継続的に取り組んでいる。   これまでの取組の評価から、地方創生総合戦略の基本目標の一つ「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」については、その実現に向けて、取組をより一層強化する必要があるため、「新・宮城の将来ビジョン」では、子育て支援や教育分野について、「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を新たに柱立てしている。 2 移住・定住の推進について   人口減少や高齢化等が進行していく中で、地域コミュニティの維持・活性化を図るためには、担い手となる人材の育成とともに、外部人材の確保が必要である。したがって、市町村や民間企業等とも連携し、首都圏等からの移住を更に推進する必要がある。   また、移住希望者は、二十代から四十代の働き盛りが中心となってきており、移住に際して就業が重視される傾向にあることから、移住希望者に対し、県内企業の魅力を伝えることや、就業に向けた丁寧なマッチング支援を行うことが重要である。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う企業や国民の意識・行動の変容に対応した移住・定住施策を推進する必要がある。   そこで、「みやぎ移住サポートセンター」を設置し、「みやぎIJU(移住)ターン就職支援オフィス」と連携し、就業先の紹介やあっせん等の支援を行っている。「みやぎ移住サポートセンター」では、対面での相談のほか、Zoomによるオンライン移住相談を開始したほか、移住イベントをオンライン開催するなど、コロナ禍での取組を実施した。また、移住専用サイト「みやぎ移住ガイド」を始めとした各種媒体による広報やインスタグラムのアカウント開設などにより、「宮城の魅力」をPRしている。さらに、サテライトオフィス借上げへの助成や開設支援等も実施している。   今後は、Zoomを活用したオンライン常時相談システムの構築、SNSによる情報発信・交流の強化及び移住イベントの充実強化など、従来の対面型とデジタル技術の活用を組み合わせながら効果的な展開に戦略的に取り組む必要がある。 3 観光戦略について   本県では、第四期みやぎ観光戦略プランに基づき、令和二年までに観光客入込数を七千万人、宿泊観光客数を一千万人泊にするなどの目標値を設定し、関係者と連携しながら具体的な取組を進めた。その結果、令和元年の観光客入込数は六千七百九十六万人、宿泊観光客数は九百八十九万人泊と、それぞれ震災前を上回り、過去最高を記録した。また、外国人観光客宿泊者数は五十三万人泊を超えて、計画の目標値である五十万人泊を一年前倒しで達成するなど、順調に推移してきた。   しかし、その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、インバウンドが壊滅的な状況となるなど観光需要は大幅に落ち込んでおり、県内の観光事業者に甚大な影響が生じている。   そこで、本県では、令和二年十一月に「みやぎ観光回復戦略」を策定し、短期的には、観光関連事業者の経営安定に向けた資金繰り等の支援を継続しながら回復フェーズに応じた需要喚起策を実施するとともに、中長期的には、新たな観光需要を受け入れる体制を整備し、宮城の優位性を打ち出す取組を進めている。   具体的には、温泉地の活性化のための自治体や地域事業者等とのワークショップの開催や、地域資源を活用した体験型プログラム等の高付加価値な観光コンテンツの造成などに取り組んでいる。   コロナ禍における取組については、「せんだい・みやぎ絆の宿キャンペーン」、「仙台・宮城すずめのお宿キャンペーン」などの観光・宿泊需要創出事業を展開し、観光需要の回復に努めた。さらに、旅行形態のシフトやライフスタイルの多様化に加えて、感染症の影響により、観光の在り方も大きく変化している中で、宿泊・観光事業者等によるワーケーションなどの新たな旅行スタイルへの対応や生産性向上、競争力強化のためのデジタル変革によるビジネスモデル転換等の支援にも取り組んでいる。   今後の取組として、地域資源の掘り起こし・磨き上げを行い、「コト消費」に対応した体験型プログラムの構築やアウトドアコンテンツの充実を図るとともに、マイクロツーリズムやワーケーションなどの新たな観光需要の取り込みによる観光の推進を図る。また、県外からの受け入れが増加している教育旅行の更なる誘致のため、「防災教育」及び「SDGs・探究学習」プログラム等の拡充並びに学校交流の促進に取り組み、交流人口に加えて、関係人口の創出を図る。さらに、他産業との連携強化、観光資源の高付加価値化、観光宿泊施設等の災害・感染症発生時の対応力・態勢強化や多言語化、キャッシュレス化等の推進、人材の確保・育成など、観光客の受入環境の整備にも努める。あわせて、デジタル技術を活用したサービスの効率化及び感染症対策並びにデジタルマーケティングを活用した戦略的なプロモーションなど、観光分野全般におけるデジタル化を促進していく。 4 企業誘致について   東日本大震災後、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金や復興特区等、国の手厚い支援により、企業の県内立地が進んだ。誘致に当たっては、自動車、高度電子機械及び食品関連の各分野について重点的に取り組んできた。引き続き、沿岸部の復興を後押しするとともに、県内投資の促進に向けた施策を展開していく取組が求められている。   新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、サプライチェーンの脆弱性が顕在化したほか、人口減少社会による人手不足の深刻化、産業用地の不足などの課題がある。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、IT関連企業ではテレワークの普及やリスク分散を目的とした地方移転・分散化の動きがみられる。   そのため、サプライチェーン構築支援事業補助金を創設し、企業の県内立地を促進しているほか、企業の人材確保を支援するため、新卒者の雇用支援に向けた「企業と合同の学校訪問」や、既卒・キャリア採用に向けた「企業と合同の関係機関訪問」等、雇用確保の伴走型支援を実施している。また、本県への地方移転・分散化を検討する県外IT関連企業に対し、関係機関と連携してワンストップ窓口で対応し、拠点開設が円滑に図られるよう支援した。   今後は、自動車関連産業におけるEVへのシフトや、高度電子機械関連産業における5GやIоT、AI等の進展により、関連企業の投資が見込まれることから、重点的に誘致活動に取り組む。また、IT関連企業を中心としたテレワークの定着等、社会全体の働き方が変化していることから、この機を捉え、県外から県内への事業拠点の移転や県内各地への立地が図られるよう、誘致の促進を図る。 5 中小・小規模事業者への支援について   県内中小企業等は、少子高齢化、人口減少の影響に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が加わり、飲食・観光関連事業者をはじめ、多くの事業者が厳しい経営環境に置かれている。国や地方自治体の資金繰り支援を含めた各種支援策などにより、令和三年の倒産件数は七十二件で、平成二十九年以来四年ぶりに百件を下回ったものの、オミクロン株の流行により、再び先行きに懸念が生じている状況であり、引き続き、経営状況の早期回復と地域の持続的発展に向けて、商店街の活性化、創業の促進、需要喚起、事業者の新商品開発及び新事業分野進出への支援などに取り組む必要がある   そのため、創業の促進を図るための「スタートアップ加速化支援事業」、商品開発等を支援する「新事業創出支援事業」、生産性改善等の取組を支援する「生産現場改善強化支援事業」などを実施した。   また、コロナ禍における事業継続への支援のため、県制度融資による資金繰りの支援、金利負担を軽減するための利子補給、売上げが減少した事業者への支援金の支給を実施したほか、需要回復の支援として、「中小企業等再起支援事業」及び「観光・宿泊需要創出支援事業」を実施した。   さらに、「中小企業等デジタル化支援事業」において、中小企業等のデジタル化に向けた意識の底上げに向けたセミナー開催や機器導入補助を実施したほか、製造現場の非対面化や省力化等を推進するため、「ポストコロナ対応AI・IoT導入等支援事業」を実施した。   あわせて、地域商業の発展を図るため、商店街等が実施する集客促進のための取組を支援する「商店街グローアップ支援事業」や、商店街の空き店舗等を活用したサテライトオフィスの誘致など、商店街再生のモデルケースを構築する「まちなか活性化パートナー支援事業」を実施するとともに、「中小企業等事業再構築支援事業」において、中小企業・小規模事業者の事業再構築による持続可能な経営に向けた業態転換等を支援した。 6 農林水産業への支援について   少子高齢化の進行等による担い手、働き手不足が課題とされる中、新型コロナウイルス感染症の影響により、農業分野においては新規就農者や担い手確保に懸念が出てきている。水産業分野でも、外国人技能実習生等が入国できなくなったため、漁業や水産加工業の現場で人手不足が発生している状況にある。   また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、飲食店への休業・時短要請をはじめとするコロナ対応によって、県産品の生産・販売事業者へも多大な影響が出ている。   そこで、農業分野においては、農業改良普及センターでの地域農業の担い手支援に加え、農業経営相談所において、農業経営の規模拡大や労務管理支援、法人化などの経営力の強化や担い手の育成等を推進している。また、民間のマッチングアプリの導入やオンライン就農相談を実施したほか、新規就農特設ホームページを新たに開設し、県内外の就農希望者に向け、必要な情報をワンストップで提供している。水産業分野においては、求人情報の発信、企業とのマッチング支援を行っているほか、「みやぎ漁師カレッジ」等の取組や従業員宿舎整備支援等による人材確保を図っている。林業分野においては、作業員同士の接触機会低減のため、スマート技術を活用した取組への支援を行った。   また、急激に進んでいる消費のデジタルシフトに対応するため、県産品及び県内事業者の電子商取引(以下「EC」という。)サイトを紹介するポータルサイト「宮城旬鮮探訪」の開設、大手ECモールにおける「宮城県WEB物産展」の開設及び割引クーポンキャンペーンの実施並びにデジタル広告を活用した誘客などによるEC販売の拡大支援を行った。水産業分野においては、大規模展示商談会への出展補助や量販店において実施する県産水産物販売促進キャンペーンへの補助等を実施した。林業分野においては、飲食店・商業施設等が新しい生活様式に対応するために行う、県産材を活用した改築や改装に要する経費への助成を行った。   今後は、農業分野においては、Webを活用した情報発信を強化し、県内外からの優秀な人材の確保に取り組むほか、マッチングの取組を強化することで、労働力の安定確保と地域農業の担い手確保に繋げる。水産業分野においては、SNS等を活用した情報発信、オンラインによる面談等によって新規就業希望者の呼び込みを強化していく。林業分野においては、生産性や安全性の向上、作業の省力化・省人化を図るため、ICT機器の導入等による「スマート林業」の推進に取り組む。   また、県産食品の消費拡大・販売支援については、リアルイベントの再開を受け、販売会開催支援や「宮城ふるさとプラザ」割増商品券発行などの対面販売支援を行うほか、県産農林水産物の需要を喚起するキャンペーンを実施する。水産業分野においては、新しいビジネスモデルへの対応を促進するため、オンライン商談会を実施し、県内サプライヤーの育成を進める。林業分野においては、県産材の安定供給体制の構築を図るとともに、需要拡大に向け、住宅における利用はもとより、非住宅分野での更なるシェア拡大を図る。二 参考人からの意見聴取 1 株式会社巻組代表取締役 渡邊享子氏   渡邊氏は、株式会社巻組の取組を通して、空き家の利活用や地方での新たなコミュニティの創生について次のように述べた。   株式会社巻組は、空き家を借り上げて、リノベーション、賃貸運営をしており、石巻市以外にも、沿岸では塩竈市、東松島市で事業を行っている。また、加美町と事業連携協定を結んでおり、関係人口の創出やテレワークの推進などを行っている。   全国で何十年も前から議論されてきた空き家活用が進まないことの背景には、築浅でそこそこ設備が整っている物件を値段で選ぶという消費者志向がある。   現在、SDGsなどが流行しているが、既存のものを活用し、資源を大事にしながら、ミニマルな暮らし、あまりものを消費しない暮らしのようなことに興味があるような、クリエイティブなコミュニティをつくっていくということを重視している。そのようなところから大手がつくっているようなマーケットに対して、何か一石を投じるようなことができればと思っている。   東日本大震災で被害を受けた方々の生活再建という点では、大きな事業や計画なども重要だが、人口が減少する次の十年を見据えたときに、フィットするものだったのかという点に関しては、振り返る必要があると考えている。ライフスタイル、コンテンツが大事であると考えており、人が幸せにその地域で活動、生活していくためのスタイルをどのように描けるかということが重要である。集客施設を大きく開発して、そこに経済の流れをつくるというのは今後なかなか難しいのではないかと考えている。   空き家については、文化的に価値がある古民家や、商店街で昔象徴的だったというような事例以外では、私財価値は低いものが多く、未接道敷地の立地の問題や解体すると相続税や固定資産税の問題もある。一方で、一定の若者の中には、使い勝手がよく、逆に非常に高い評価を受ける例もある。コロナ禍では働き方も変化しており、副業、兼業、二拠点生活などが浸透している。必ずしも高性能な家が必要なのではなく、自由で多様なライフスタイルを受け入れる体制、受皿を地方としてどうつくっていくかが重要なのである。また、県内の特徴として、出張や支店勤務で短期、中長期で来県する方がいる一方で、ウイークリーマンションやマンスリーマンションが首都圏に比べて相対的に少ない。また、インバウンドなど外国人への対応も必要である。   他拠点居住や、短期滞在など、暮らすように滞在できる、いわゆる関係人口と言われる分野をどう増やしていくかが重要で、関係人口や関わってくれた人の総量数が増加すれば定着率が見込める。一か月定住する人がいるということと、月に五日くらいいる人が六人ぐらいいることは、結局は同じ経済効果になる。   問題は、古い家の処分というものが想定されていないことや、入居や退去がしづらい賃貸不動産の仕組みである。試しに入居してみたり、三か月ぐらい入居するというような住居形態があまりないような状態なので、入居や退去がしやすいようなモデルをつくっていくということを行っている。   ほかに、シェアハウスシリーズ「Roopt」事業や、オンラインプラットフォーム「Creative Hub」を運営しており、そのイベント参加者から入居者が出てくる例もある。会員制のコワーキングスペース「Third Self」も開設している。   シェアハウスなどはスペックよりコミュニティが重要であるが、東日本大震災以降、様々な企業の支援やボランティアなどで首都圏の企業とも連携している。今後、例えば、ふるさと納税の返礼品などで、物品を送るだけではなく、着地型の観光や、その先で地域の人たちとつながりをつくる機会などが提供できればと考えている。   関係人口の効果測定については、実際の住民票から離れて、仮想の住民票をアプリで発行したり、ふるさと納税や、リモートワーク、オンラインコミュニティの会員数や利用者数などで計測が可能ではないかと考えている。   資金を調達するうえでは、プロジェクト型の資金調達スキームが有効である。行政からは、資金調達支援があればよいと考えており、例えば、自治体の認定を受けると金融機関等からお金を借りやすくなるような制度があればよいのではないかと考えている。   ECサイトの発達により、小売店の役割は変わってきている。ECサイトで売られている商品を試しに使えるというような役割や、地域ならではの商品をいかに売っていくかということが重要であり、それに対しては、短期・中長期で滞在しながら、生産の現場や生産者の顔も見られるということが効果を発揮するのではないかと考えている。 2 宮城学院女子大学現代ビジネス学部現代ビジネス学科教授 宮原育子氏   宮原氏は、人口減少などの地域課題への対応に向けた、ジオパーク等の整備による地域社会での「つながり」の創生について、次のように述べた。   東北各地の人口減少や高齢化が加速しており、更に、令和二年からは新型コロナウイルス感染症の拡大によって、地域の観光関連産業は大きな打撃を受け、市民生活も大きな変化を強いられている。自然災害、疾病及び戦争は、家族、友人、仲間及び地域社会が築いてきた様々な関係を切り離し、それぞれが孤立する流れを生み出している。今後、地域では「分断・孤立」の流れに対して、今ある「つながり」を大切にし、更に新たな「つながり」をつくる取組みが重要になる。   太平洋の沿岸部では、三陸復興国立公園や三陸沿岸道路、震災伝承ロード、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパークといったインフラが様々整備されてきている。このような国際的な認証エリアなどは、インバウンドの方やアドベンチャーツーリズムの方たちには非常に魅力的である。また、震災遺構を訪ねる防災学習も盛んになってきている。   地域資源の利活用については、例を挙げると、鎌倉野菜や鎌倉海藻ポークがあり、生産者と消費者、レストランなど、様々な人をつなげていく事例となっている。鎌倉海藻ポークの例では、海藻を豚の飼料にするまでのプロセスにおいて、地域の福祉作業所の利用者や老人養護施設の利用者が関わっている。地域において何らかの役割が担えるということが重要になる。   ジオパークは、地域の資源を組み合わせて総合的な観光や学びの空間をつくる取組であり、持続可能な地域経済の活性化を目指すことが活動のゴールとなっている。   資源となるものは地域にある全てであり、地形や地質だけではなく、その上に暮らしている生物や人間、人間社会の歴史や文化など、これらがジオパークの対象になっており、大事なものは保護をし、教育活動で後世に伝えていく、そして地域に観光客を呼んで、地域の活性化を図っていくといった活動である。   ジオパークなどは責任ある観光、レスポンシブル・ツーリズムである。観光客にも地域を理解してもらい、例えば、環境に配慮した活動を観光客自らが行い、観光地の保全や伝統を守るという活動である。   どの人でも地域の役割を持って活動ができる場というものをつくっていく役割が求められ、ジオガイドは女性や高齢者が活躍している例も多く、ジオファーマーズなどの活動に発展している事例もある。   地域活性化で大事なことはストーリー化であり、大地と人の営みのつながりを説明するということが重要である。子供たちへの継承、教育活動も重要な要素である。三 県内調査 1 一般社団法人雄勝花物語(石巻市)   一般社団法人雄勝花物語(以下「雄勝花物語」という。)からは、東日本大震災の被災地における地域再生・活性化の取組について、次のように説明があった。   東日本大震災の被災地である石巻市雄勝町では、震災後に雄勝町以外の場所に集団移転が認められたことにより、通勤や通学の利便性を求めて多くの住民が移住し、人口が激減した。復興の初期段階から、ハード事業となりわいの再建を組み合わせて、住民主体で考える必要がある。人口減少という地域課題への取組では、交流人口と関係人口の増加及び若者の就労機会の創出が重要である。また、雄勝町の低平地の利活用も課題である。このような観点から、人口減少という地域課題に取り組むために、雄勝花物語を立ち上げた。   雄勝花物語では、被災者支援として、被災地緑化、ガーデン無料開放及び無料コンサートの実施などを行っている。また、教育支援として、語り部・防災教育、ボランティアの受入及び雄勝環境教育センターの運営などを行っている。さらに、雇用創出事業として、ガーデニングや小物作成の体験教室、ハーブ栽培及びオリーブの試験栽培などの実施に向けて取り組んでいる。   地域課題の解決のために外部の企業と連携する際は、地域の課題解決が自社の利益となるような経済活動を目指していくという価値観が重要であり、社員研修を受け入れる際に、企業に提案を行っている。   土地利用については、中心部の移転元地(災害危険区域)を有効活用し、住民主体で市有地を維持管理するという手法を採っている。今後は水産加工場やソーラーパネル等の収益を未活用地の購入に充てる計画である。   最終的には体験農園や研修農園などを実施し、地元の産業に子供たちが触れられる機会を提供し、後継者育成に力を入れていきたいと考えている。また、地域の大人が誇りや自信をもって新しい価値観を示していけば、子供たちは地域に残ると考えている。 2 遊佐翔氏、株式会社MAKOTO WILL(大崎市)   遊佐翔氏、株式会社MAKOTO WILL(以下「MAKOTO WILL」という。)からは、鳴子温泉郷の地域活性化の取組、ウィズコロナ・アフターコロナにおける取組及び空き家活用について、次のように説明があった。   鳴子温泉郷の観光客は、年々減少傾向にあり、平成十九年から令和元年にかけて宿泊者数が三割減少している状況にある。遊佐翔氏を含む鳴子の再生に意欲のある住民らが、観光地としての底上げが必要であると考え、平成三十年に「NARU-Go!再生プロジェクト」を立ち上げ、鳴子温泉郷の活性化事業に取り組んできた。令和二年度からは宮城県、大崎市、他の地域事業者及びMAKOTO WILLと連携し、ワークショップや勉強会を開催して、鳴子温泉郷の未来像を共有のうえ、その実現に向けた具体的なアクションを協議している。   鳴子温泉郷の課題として、観光客の八割以上が四十代以上であり、若者への訴求力が低いことが挙げられる。原因は若者向けのコンテンツが不足しているということであり、若者は、インスタグラムなどを活用して、宿泊施設のチェックイン・チェックアウト前後の立ち寄り場所を含めて旅行先を決める傾向があり、エリア全体魅力を高めることが必要である。   そのため、鳴子温泉駅前商店街の空き家等を活用して、新しいコンテンツを入るなど、まちの周遊性を高めることを考えている。昨年度実施した空き家等の実態把握調査の際には、地元関係者などと一緒に調査したことにより、調査に協力してくれる方が多く、有益な情報が多く集まった。また、調査に同行した空き店舗の改修や地方ビジネスを行っているプレイヤーからの興味も高く、手ごたえを感じている。   その他にも、鳴子ダムの夜間ライトアップの実施、河川管理のボランティアの実施及び近隣の道の駅との連携などを通じて、地域活性化を図っている。 3 川崎町   川崎町からは、移住定住・起業支援、地域おこし協力隊及び空き家バンクなどについて、次のように説明があった。   川崎町の人口は昭和三十年の一万三千六百三十六人をピークに減少しており、令和二年では八千三百四十五人となっている。こうした状況を踏まえ、令和三年度に策定した第六次川崎町長期総合計画では、その減少幅を抑えることを目標として、様々な取組を行っている。   移住定住・起業支援については、移住定住・起業希望者の総合窓口としての機能のほか、コワーキングスペース等を備えた多機能型施設として移住定住・起業サポートセンター「SPRING」を開設し、町職員のほか、地域おこし協力隊によって移住希望者等へ町の魅力を発信している。   また、平成二十九年度から地域おこし協力隊制度を導入し、川崎町の魅力の発掘、ワークショップなどのイベントの企画運営などに取り組んでいる。   空き家バンクについては、東日本大震災を契機に平成二十三年度から空き家の情報収集を開始し、平成二十五年度に制度化している。その後、平成二十七年の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行を受け、空き家調査や補助金事業の導入に取り組み、平成二十五年度から令和三年度までの累計で、空き家の売買又は賃貸の契約数八十一件、移住者数百四十三人の実績を上げている。また、空き家バンク活用移住者に対しては、住宅の修繕・改修やクリーニングに要した経費などへの補助事業等も実施している。   なお、空き家バンクへの魅力ある空き家の登録が進まず、事業が停滞しているという課題があるが、シルバー人材センターと協力を図り、事前登録を進めるなど、登録の促進を図っている。   令和元年には、移住希望者の体験施設として、お試し移住施設兼お試しサテライトオフィス「ENGAWA」を開設したほか、おためし移住ツアーや首都圏での移住フェアの開催など、移住者へのアピールを行っている。 4 丸森町   丸森町からは、移住定住・起業支援、地域おこし協力隊及び空き家バンクなどについて、次のように説明があった。   丸森町では、移住・定住希望者への情報提供や支援のため、平成二十八年に、まるもり移住・定住サポートセンター「じゅーぴたっ」を設置しており、地域おこし協力隊による情報発信、相談業務、申込者の希望に沿ったオーダーメイドによる移住体験の実施及び空き家調査・紹介等の業務を行っている。   また、移住者への住宅取得、リフォーム及び家賃助成などの補助として、「しあわせ丸森暮らし応援事業」を実施している。   あわせて、平成二十七年には官民連携による起業家のサポートの場として起業支援サポートセンター「丸森CULASTA」を齋理屋敷内に整備し、起業家向けビジネススクールやミニ勉強会などを実施しているほか、個別相談対応による経営・事業立ち上げのサポートを実施し、二十八名が起業している。また、コワーキングスペースも新たに追加している。   さらに、平成二十九年からは「『しごと』づくり人材誘致事業」として「まるまるまるもりPJ」を実施し、起業しやすい環境づくりの整備を図っている。   移住・定住者や起業家と地域との関係については、元々住民の中で人口減少が課題と認識されており、住民が主体的に課題解決に取り組んでいたため、大きな問題は起きていない。   このような取組を進める中、移住後、起業後の定着支援が課題と考えており、定住者へのリフォーム支援や子育てへの支援の充実などの取組が進められているが、転出抑制に係る財源の不足が課題となっている。四 県外調査 1 西粟倉村(岡山県英田郡)   西粟倉村からは、百年の森林構想とSDGs未来都市について、次のように説明があった。   西粟倉村の人口は自然減で徐々に減少しているものの、高齢化率は三八%を切ったところで維持しており、若年層の単独世帯が増加していることにより、世帯数は過去最高となっている。村の面積の九三%が森林である。   百年の森林構想は平成二十年に着想されたもので、地域の資源である森林を活用し、持続可能な地方創生を目指すものである。主産業であった林業は小規模であり、市場の価格競争には適さないため、少数でも良いから買う、西粟倉村だから買うというストーリーの創出を行い、市場の価格競争からの脱却を図った。百年の森林構想事業が成功した要因として、地方創生を考える際、特産品づくりや観光に目が行きがちだが、地域の本質的課題、資源、デッドストック化していたものに向き合い、外部の人材を入れ、新しいスキームを作ったことが挙げられる。   木材の伐木、加工、販売までを村内で行い、間伐材などを利用した新商品の開発などにも取り組んでいる。また、残材の木質バイオマスでの利用や、公共施設での木材使用も実施しており、徹底した村内での利活用を図っている。   森林の所有者が高齢化又は都市部に出ており、森林の集約化が難しいという課題が顕在化しており、信託銀行を介して所有者と管理者をつなぐ森林商事信託スキームを開発した。   事業の実施主体は民間が主体であるが、レーザー航測による森林解析情報システムなどの事業開始に係るインフラ整備は行政が整えるべきと考えている。インフラの整備により、若い事業者が参入しやすくなる。   西粟倉村は脱炭素先行地域に選定されており、地域内で資金を循環させる仕組みを整えている。木質バイオマス発電や太陽光発電の利用で村内の電力需要を賄うことで、村外からの調達による資金の流出を防いでいる。木質バイオマス発電や太陽光発電の初期費用は、水力発電による売電利益や地方創生推進交付金などによって賄っている。再生可能エネルギーやデジタルの文脈で考えることにより、様々な公共施設や社会インフラの整備においても地域脱炭素移行・再エネ推進交付金やデジタル田園都市国家構想推進交付金が活用できるため、初期費用を抑えることができる。その余力を新規事業の補助や事業継続に回すことができる。   ローカルベンチャーへの支援も行っており、林業関係だけではなく、福祉や飲食など様々な分野のローカルベンチャーが育っており、経済規模は八億円規模から二十一億円規模までに成長してきている。   今後は、十五歳までの若者に対し、地域のアイデンティティーを高めるような社会教育の実施や、宿泊交流施設の整備による観光業の再生、アプリ住民票の発行などに取り組んでいく予定である。 2 瀬戸内ワークス株式会社(香川県三豊市)   瀬戸内ワークス株式会社からは、運営している食文化体験型宿泊施設UDON HOUSE(以下「UDON HOUSE」という。)や滞在型宿泊施設GATEなどによる地域密着型の観光業について、次のように説明があった。   UDON HOUSEは空き家であった古民家をリノベーションして開業した食文化体験型宿泊施設である。うどん作り体験、座学での勉強、農家での野菜収穫体験、近隣のうどん屋での食事体験などを通して瀬戸内の食文化を学ぶというコンセプトで、イタリアのアグリツーリズモを参考としている。メインターゲットは食文化に関心の高い外国人で、宿泊者のうち三割が外国人であり、この地域としては高い誘客率を誇っている。コロナ禍で大きな打撃を受けたが、学習型製品の通信販売を開始して対応している。   地元の人には「うどんで一泊二日三万円は高い」と言われたり、「うどん店の朝の風景を見ても何が面白いかわからない」と言われたりしたが、事業を行う上で重視したことは、地域にある既存の価値を誰に届けるかということである。   また、関係人口の増加に向けた取組のため、滞在型宿泊施設GATEを運営している。UDON HOUSEの開設当時、人材育成の必要性を感じ、地域内で雇用を促進していくだけではなく、地域の外から人材を呼んでくることを考え、リモートワークや副業ができる場、移住までの期間に住居や人脈、仕事を探すために利用できる場を開設した。   三豊市は観光地ではなかったが、きれいな写真が撮れる父母ヶ浜が有名になり、観光客が五千五百人から四十五万人に増加した。既にオーバーツーリズム気味であり、住民が心地よく生活するためにはサスティナブル・ツーリズムやレスポンシブル・ツーリズムにシフトしていく必要がある。   観光客が増加したが、宿泊施設がなかったため、一棟貸しタイプの宿泊施設URASHIMA VILLAGEを開設した。開設に当たり、地元企業十一社が出資し、各事業をそれぞれの企業が受注する形で運営している。一〇〇%自然エネルギーを利用しており、建築材に地域の伝統技法を使うなどのコンセプトで、コロナ禍においても年間の稼働率が六〇%を超えている。   また、瀬戸内暮らしの大学という市民大学も始め、子供も大人も楽しめる社会学習を目指しており、こちらも地元企業十八社で実施している。   地域が世界とつながる、地方が最先端だという時代が既に訪れており、人口が減少している中で、いかに、同じコミュニティ、同じ志を持った人たちが一緒にサービスを考えていくかが重要になってくる。 3 上勝町(徳島県勝浦郡)   上勝町からは、彩事業及び上勝町役場の地域活性化への取組について、次のように説明があった。   上勝町は、八八%が森林であり、人口は令和四年現在で千四百三十四人、毎年、平均で四十五人から五十人が減少しており、高齢化率は五三%に達している。そのため、森林の間伐も進んでおらず、耕作放棄地、鳥獣被害も増えている状況である。   かつて盛んだった林業やミカン栽培の代わりに、昭和六十一年から葉っぱビジネスの彩事業に着手し、売上げは年間二億四千万円、全国シェア六〇%を誇っている。   彩事業従事者の八〇%は六十五歳以上の高齢者であり、その六割は女性が担っている。収穫するつまものは軽くてきれいなため、高齢の女性でも収穫が可能であり、百四十九件の農家が実施しており、年収二千万円弱に届く人も居る。収入の安定以外にも地域における自分の居場所や役割ができることと、毎日の運動により、健康を維持できるなどの効果もある。結果、後期高齢者医療制度の行政負担では、徳島県全体では一人当たり百二万円であるのに対し、上勝町では八十六万円となっている。   課題として、後継者不足があり、インターン制度などを実施したが、決定的な解決策にはなっていない。原因としては下草狩りなどの手入れが必要で、結局は農業であり若者が敬遠するということが挙げられる。   上勝町役場の地域活性化への取組として、焼却、埋立てごみゼロを目指すゼロ・ウェイスト宣言がある。町が建設した焼却炉がダイオキシン規制の強化により使用できなくなり、新しい焼却炉建設の予算もなかったため、住民自らが分別して持ち込む今のシステムとなった。リサイクル率を上げるために、ごみを細かく分別し、現在は四十五分別となっている。リサイクル率は、現在、七九%で全国トップクラス、一人当たりのごみ排出量は全国平均のおよそ半分、一人当たりのごみ処理費用はおよそ三分の二に抑えられている。   また、住民自治の取組として「1Q運動会」があるが、この取組においても人材不足が課題である。   このほかにも、有償ボランティア輸送事業や廃校を利用した複合住宅、教育施策の充実など様々な事業に取り組んでいるが、根本的な後継者不足の解消には至っていない。 4 神山町(徳島県名西郡)   神山町からは、神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス(以下「KVSOC」という。)とアーティスト・イン・レジデンス等について、次のように説明があった。   KVSOCは平成二十五年に、徳島県、神山町、NPO法人グリーンバレーの三者が出資し、縫製工場を一千万円で改修し整備されたコワーキングスペースである。現在、十八社と契約しており、月額料金は一万円から五万五千円となっている。契約企業は東京都及び徳島県の企業であり、業種としてはIT系、コンサルタント系が多い。コンセプトとして、エコなシステム、クリーンなエネルギーの使用があり、薪ストーブや木材の使用などが実践されている。また、成長するオフィスを掲げており、使用しながら改修をしていくという方法を採っている。また、地元の木材や地元業者による施工も理念の一つである。   企業が地方でサテライトオフィスの利用を考えた場合、民家を改修して入ろうとすると、賃貸借契約や、地域での信用の獲得、費用や人員の確保など、様々な手間がかかるが、KVSOCでは手軽にお試し感覚で利用できるためハードルが低くなる。実際にKVSOCを利用後、町内の古民家を改修してサテライトオフィスを開いた事例もある。   アーティスト・イン・レジデンスについては、コロナ禍以前は外国人アーティストの関係者などが町内に来訪することが多かったが、コロナ禍によって来訪者が減っている。   町内に新しく起業したカフェオニヴァは、薪ボイラーの使用など、ハード的な持続可能性以外にも、営業時間が年の半分であり、残り半分はそれぞれのプログラムをする時間というように、働き方に関しても持続可能性に取り組んでいる。   株式会社プラットイーズのリモートオフィス兼株式会社えんがわオフィスについては、縁側がガラス張りであるなど、地元の住民と壁を作らないオフィスをコンセプトとしている。神山町にサテライトオフィスを開設した理由は十三年前の段階で、光ファイバー網が整備されていたことと、都市部ではなかったことが要因で、通信環境が良かったことが挙げられる。五 総括・提言  これらの調査結果を踏まえ、本委員会は「地域再生・活性化対策に関する諸施策」について、次のとおり取りまとめた。 1 人口減少等による地域経済の現状を踏まえた地域再生・活性化対策について   調査結果からは、実際に移住・定住し、地域で活躍している方は、移住・定住に際し、就労時の金銭的条件や労働環境、子育て支援や教育分野でのサポートのほかに、地域の文化、住民との関係性、自然環境、社会的責任、再生可能エネルギーの利用、持続可能性などについても高い関心を持っていることがわかった。   また、地域においても、地域に対して愛着や誇りを持ち、地域に根付き活躍している方が、地域再生・活性化に対して熱意を持って取り組んでいることがわかった。   このことから、地域における地域再生・活性化の取組を進めるためには、地域外の人材と、地域で地域再生・活性化に取り組む人材を結びつけることが重要である。そのうえで、地域の文化や歴史、自然環境などを包括したストーリー性のある地域産業を創生し、住民との関係性や労働環境を含めた、将来にわたって持続可能なシステムを構築する必要がある。さらに、その地域産業によって得た利益や人材を、子育て支援や教育分野でのサポートに活用し、後継者を育成するサイクルへと発展させる必要がある。   そのためには、地域の文化や歴史、自然、人材、地域産業などで、未活用となっているものと向き合い、ストーリー化や持続可能性の文脈で再度検証し、あらゆる地域資源を利活用することが求められる。   このことから、県は次の取組を行う必要がある。  (一) 市町村における包括的な取組の推進に対し、必要な支援及び助言を行うとともに、必要となる費用に対しても、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金やデジタル田園都市国家構想推進交付金などの各種交付金の活用促進を促すなど、必要な支援及び助言を行うこと。  (二) 市町村における包括的な取組を推進する際に、地域内部のみからでは気づきにくい視点もあるため、外部人材の受入に対して支援を行うこと。  (三) 市町村における包括的な取組を外部にアピールするため、体験型・滞在型の観光産業の強化などにより、関係人口、交流人口の増加に取り組むこと。また、市町村における同様の取組を支援すること。  (四) 移住、起業後の定着率向上のため、市町村における転出抑制、後継者育成の取組を支援すること。 2 ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた地域再生・活性化対策について   新型コロナウイルス感染症の影響は徐々に収束する兆しを見せ始めているが、完全に収束したとは言い難く、その影響は長期にわたっている。また、今後、新たな変異株の流行や、同様の新型感染症の流行は避けることができない課題である。   その影響を最小限に抑えるためには、今回のコロナ禍で得た知見を最大限活用する必要がある。コロナ禍が長期化する中で、テレワークやワーケーション、非接触型のコミュニケーションといったデジタル環境の整備はもはや必須のものとなってきているが、加えて、県は次の取組を行う必要がある。  (一) 新しいライフスタイルとして、住居や働く場の流動化が進んでおり、コワーキングスペースや滞在型宿泊施設など、簡易な手続きで滞在、就労できる環境の整備を支援すること。また、市町村における同様の取組を支援すること。  (二) 観光産業や宿泊産業においては、家族単位や個人単位で使用する一棟貸しなどの形態を持つ宿泊施設への需要が高まっており、感染症流行時でも影響を受けにくい形態の宿泊施設、観光資源の開発を支援すること。  (三) (一)及び(二)の取組について、情報を一元的に集約し発信するゲートウェイ型の情報発信に取り組むこと。  (四) 県産品の販売については、感染症流行時でも影響を受けにくいEC販売を強化するとともに、通常の商品販売に留まらず、学習型の商品や感染症流行収束後に生産地と交流できるなどの体験型の商品の開発など、関係人口、交流人口の増加に寄与する商品の開発を行うこと。また、市町村における同様の取組を支援すること。 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。 令和四年十一月二十一日        宮城県議会地域再生・活性化対策調査特別委員長 太田稔郎宮城県議会議長 菊地恵一殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------少子化対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第三十七、少子化対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。少子化対策調査特別委員長、四十六番吉川寛康君。    〔四十六番 吉川寛康君登壇〕 ◆四十六番(吉川寛康君) 少子化対策調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、少子化対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置されました。 付議事件、少子化対策に関する諸施策についてを受け、地域で安心して子どもを生み育てるための環境整備についてを調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねてまいりました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    少子化対策調査特別委員会報告書 少子化対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、少子化対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置され、付議事件「少子化対策に関する諸施策について」を受け、「地域で安心して子どもを生み育てるための環境整備について」を調査項目とした。 調査項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、国立大学法人東北大学大学院経済学研究科及び公益社団法人宮城県医師会より参考人を招致して意見を聴取し、さらに、県内の実情を把握するため、富谷市及び利府町の取組について調査を実施したほか、他県等の事例を参考にするため、国立大学法人北海道大学、北海道及び福井県の取組などについて調査を行った。 その概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 少子化をめぐる現状と課題について  (一) 総人口と人口構造の推移について    本県の人口は、国勢調査開始以降、増加を続けてきたが、平成十五年の二百三十七万二千人をピークとして、同年以降は減少に転じており、令和三年十月一日現在の推計人口は、約二百二十九万人となっている。七十歳前後の団塊の世代及び四十代中盤の団塊ジュニアの人口が多く、団塊ジュニアより若い世代は極端に少ない人口構造となっている。    生産年齢人口については、平成十二年に約百六十万人となり、それまで一貫して増加してきたが、平成十七年に減少に転じ、令和二年には約百三十五万人と、本県人口の六〇%を割り込む結果となっている。また、年少人口及び老年人口についても、平成十二年に人口数、人口割合ともに逆転し、少子高齢化が加速している状況となっている。  (二) 出生数及び出生率について    出生数、出生率・合計特殊出生率は、全国的に減少傾向が続いており、本県も同様に、少子化の流れに歯止めがかかっていない状況となっている。    令和二年における本県の出生数は一万四千四百八十人と、七年連続で減少となっており、人口千人当たりの出生率は、令和二年まで五年連続で低下しており、令和二年は六・四となっている。    合計特殊出生率については、令和二年は、前年の一・二三を〇・〇三ポイント下回り、過去最低の一・二〇で、全国四十六位という結果であった。  (三) 婚姻及び出産の状況について    婚姻数については、全国と同様に、本県も減少しており、特に令和二年の婚姻数は八千九百二十一件と、前年と比較して千百五十二件減少した。    出産の状況については、本県の令和二年の出生順位別でみた父母の平均年齢は、第一子で父三十二・四歳、母三十・四歳、第二子で父三十四・四歳、母三十二・六歳、第三子で父三十五・七歳、母三十三・八歳と、いずれも全国平均よりやや若い状況にある。  (四) 結婚・出産・子育てをめぐる意識等について    平成二十八年に本県で実施した「結婚・出産・子育てに関する意識調査」によると、結婚をめぐる意識等については、全体の七割が「結婚はしたほうが良い」と回答している。    また、未婚者全体では、「結婚するつもりはない」が約一割、「いずれは結婚したい」が約五割となっているものの、四十代女性では、「結婚するつもりはない」が二五・〇%、「わからない」が三五・七%と、男性や他年代に比べて高い状況が見受けられる。    現在結婚していない理由については、「適当な相手にめぐり合わないから」が最も多く、未婚者で交際相手がいない場合、交際相手を求めるために行いたいこととしては、「特になし」が約三割となっており、積極的に出会いを求めようとしない層が一定数存在することが窺える。    結婚に関して行政に期待する取組については、「雇用の安定化」が最も多く、次いで「結婚後の生活資金の支援」、「結婚資金の支援」が上位となっている。    次に、出産をめぐる意識等については、未婚者では「将来は子どもが欲しいと思う」が約八割となっている一方で、現在子供がいる人のうち、約三分の二が「これ以上、子どもは欲しいとは思わない」と回答している。子供が欲しくない理由としては、「現時点でもともと欲しいと思っていた人数の子どもがいる」という回答もある一方で、教育費や育児にかかる費用の心配などの経済的な理由が上位に挙げられている。    子育てをめぐる意識等については、子育てで不安に思っていることとして、「経済的にやっていけるか」が最も多く、特に二十代の女性で約七割、三人以上の子供がいる場合で約七割と大きな割合を占めている。次いで、「仕事をしながら子育てすることが難しそう」が多く、特に十八歳から十九歳の女性の比率が高い状況にある。子供を持つことに積極的になる要素については、「将来の教育費に対する補助」が最も多く、次いで「妊娠・出産に伴う医療費の補助」、「幼稚園・保育所などの費用の補助」などが挙げられている。  (五) 少子化の背景と要因について    少子化の背景と要因については、全国的な傾向として、未婚化・晩婚化と、有配偶出生率の低下があり、特に若い世代での未婚率の上昇や、初婚年齢の上昇の影響が大きいと言われている。    その背景としては、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、仕事と子育ての両立の難しさ、家事・育児の負担、子育て中の孤立感、費用負担、年齢や健康上の理由など、様々な要因が複合的に絡み合っているものと考えられる。 2 少子化対策に関する取組について  (一) 少子化対策の方向性について    本県では、令和三年度からスタートした新・宮城の将来ビジョンにおいて、「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を政策推進の新たな柱として位置付け、結婚・出産・子育てを希望する全ての人たちが、安心して子供を生み育てることができるよう、総合的な少子化対策を重点的に取り組むこととしている。    また、少子化対策は、幅広い取組が必要であることから、知事を本部長とする「宮城県次世代育成支援・少子化対策推進本部」を設置し、部局の枠を超え、連携して施策を推進している。  (二) 「みやぎ子ども・子育て幸福計画」について    現在の計画は、平成二十七年三月に策定した「みやぎ子ども・子育て幸福計画」(第1期)の後継となる計画であり、計画期間は令和二年度から令和六年度までの五年間で、次世代育成支援対策推進法に基づく「地域行動計画」、子ども・子育て支援法に基づく「子ども・子育て支援事業支援計画」、みやぎ子ども・子育て県民条例に基づく「基本計画」という位置づけとなっている。    同計画で推進する施策として、「社会全体で子ども・子育てが大切にされる環境づくり」や「東日本大震災により影響を受けた子どもへの支援」などの八つがその柱となっており、地域社会全体で子供、子育てを支援する機運の醸成、待機児童の解消に向けた保育所等の整備や保育士等の確保、結婚支援の充実などを進めていくこととしている。  (三) これまでの取組と成果について    県では、市町村、企業及びNPOなどと連携した子育て支援を進める県民運動の展開などにより、地域社会全体で子育てを支援する機運の醸成を図ったほか、市町村が実施する地域子ども・子育て支援事業におけるサービスの充実に向けた取組を進めている。また、保育所等利用待機児童の解消に向け、保育所等の整備促進や保育士確保対策を実施し、保育の受け皿の拡大に努めており、保育所等の定員は平成二十九年度から令和三年度までの五年間で約七千人増加した。  (四) 少子化対策に係る主な施策・事業について    経済的負担を軽減するための施策としては、乳幼児医療費助成、小学校入学準備支援事業、子育て世帯支援融資事業「みやぎっこ応援ローン」などの取組を行っている。    未婚化・晩婚化への対応としては、AIマッチングシステムを活用した、みやぎ結婚支援センター「みやマリ!」を開設するなどの結婚支援事業に取り組んでいるほか、若い世代へのライフプランセミナーなどを実施している。    また、子育てしやすい環境整備の一環として、「みやぎ・どこでも授乳室プロジェクト」に取り組むとともに、地域の企業や店舗の協賛を得ながら、社会全体で子育てを応援していく取組として、「みやぎ子育て支援パスポート」事業などに取り組んでいる。    さらに、宮城県少子化対策市町村交付金の制度を設け、市町村の少子化対策について、国の補助事業等でカバーしきれない部分についての、きめ細やかな支援を実施している。具体的には、プッシュ型での情報提供が可能な母子手帳アプリや、オンラインでの妊婦相談、父子手帳の作成、産後ママ交流、ファミリー・サポート・センターによる産後ママ応援など、それぞれの市町村における地域の実情に合わせた事業展開への支援を実施しているほか、国の特定不妊治療費助成制度への独自上乗せを実施する市町村への補助も行っている。 3 社会減対策(主に若年層の県内定着)に関する取組について  (一) 若年層の就業状況について    十五歳から三十四歳までの就業状況については、総務省統計局の平成二十九年就業構造基本調査によると、男性は、卸売・小売業、製造業、建設業の割合が多くなっており、女性は、医療・福祉、卸売・小売業、製造業の割合が多くなっている。    なお、事務的職業の有効求人倍率が〇・四〇倍である一方で、保安、建設・採掘、水産加工等においては四倍を超えるなど、求人・求職のミスマッチが生じており、その解消が求められている。  (二) 若年層の転入・転出状況について    十八歳から三十五歳までの若年層の社会増減については、十八歳での転入超過が顕著で、年々増加しているが、これは進学等によるものと推測される。一方、二十二歳以降は転出超過が顕著であり、特に二十二歳の転出超過が年々増加している状況となっている。    新規学卒者の県外就職割合については、高卒者は県外就職割合が二割程度で推移している一方で、大卒者は五割超で推移している状況となっている。直近の令和四年三月卒の新規学卒者においても、高卒者で一九・四%、大卒者で五七・五%となっていることから、特に大卒者の県内定着を進めていく必要がある。  (三) 若年層の県内定着に向けた主な施策・事業について    就職支援として、働き方改革の促進を通じた人材確保・定着支援や、高卒者・大卒者向け就職面接会の開催、UIJターンの支援等を行っている。また、人材育成・キャリア形成として、キャリア教育の推進や農業の担い手育成、ものづくり人材の育成等にも取り組んでいる。 4 周産期医療・小児医療体制の整備について  (一) 周産期医療体制の現状について    分娩を取り扱う医師が不足している状況が続いており、分娩施設も減少傾向にある。また、地域周産期母子医療センターであったみやぎ県南中核病院が、産科医師不足により令和二年十月から分娩休止となるなど、安心して子供を産み育てる地域づくりにとって憂慮すべき状況が続いている。    なお、医師一人当たりの年間取扱出生数については、近年、減少傾向にはあるものの、全国平均を上回っている状況が続いている。  (二) 周産期医療体制の整備に向けた施策について    産科医師の確保については、これまで本県で行ってきたドクターバンク等の取組に加えて、県外から転入し、仙台市以外の自治体病院等で勤務する産科医師に奨励金を交付するなどの取組を行っている。また、東北医科薬科大学医学部における宮城枠の修学資金貸与者に係る義務年限について、十年間を二年間短縮し、八年間とする「特定診療科」に産婦人科を指定することで、産科医師の増加を図ることとしている。    一方で、産科医師の不足は全国的な問題であることから、限られた医療資源を効率的・効果的に活用するため、当面は、分娩施設と健診施設の機能分担を図る産科セミオープンシステムの推進や、救急搬送先の調整・確保を行う周産期救急搬送コーディネーターの配置等により、周産期医療ネットワークの更なる強化を図ることとしている。  (二) 小児医療体制の現状について    本県は、小児人口当たりの小児科医師の数が全国平均に比べて少なく、小児科医師が不足している状況となっており、小児人口十万人当たりの小児科医師の数は、全国では百七・三人であるのに対し、本県は九十九・六人に止まっている。    また、県内においては、小児科医師の八割が仙台医療圏に集中しており、小児科医師の偏在が顕著となっている。一部の医療機関では、診療所で内科医が小児医療を担っている場合や、病院で常勤医師が一人から二人の体制である場合が見られるなど、診療体制確保のための医師の負担が大きい状況となっている。    さらに、休日の小児救急医療については、初期救急を各地域の在宅当番医制や休日夜間急患センターにより対応しているものの、夜間には十分な体制をとれない地域も出てきている。  (三) 小児医療体制の整備に向けた施策について    小児科医師の不足については、東北大学病院が実施している小児科医師育成事業への補助を行っており、本事業の魅力ある育成プログラムにより、全国から広く小児科医師を呼び込み、地域の医療機関に勤務しながら養成することで、小児科医師の県内定着を図っている。    また、産婦人科同様、東北医科薬科大学医学部の宮城枠における「特定診療科」として小児科を指定することにより、小児科医師の増加を図ることとしている。    さらに、東北大学病院による各地域の休日夜間急患センターなどへの医師派遣に対して補助を行い、医療提供体制の充実に努めるとともに、県として、小児救急電話相談事業「こども夜間安心コール(#八〇〇〇)」を実施し、保護者の不安軽減と救急医療の適切な受診の啓発を図ることで、軽症者の救急医療の受診を抑えるなど、小児初期救急医療体制の補完に努めている。二 参考人からの意見聴取 1 国立大学法人東北大学大学院経済学研究科                高齢経済社会研究センター長 吉田 浩氏   吉田氏は、宮城県の少子化の特徴について、次のとおり述べた。   近年は全国的に晩産化の傾向があり、三十代前半が出産のピークとなっている。宮城県では、三十代前半の女性の人口割合は全国平均より高いものの、三十代前半の女性の既婚率(有配偶率)は全国平均よりも低いことから、女性が少ないわけではないのに、結婚している女性が少ないという傾向がみられる。   また、子供(最年少の子供の年齢が三歳から五歳)がいる世帯に占める母親が就業している世帯の割合を見ると、宮城県は、子供の数の増加に伴う母親の就業率(有業率)の増加量が全国平均に比べて小さいことから、女性の子育てと仕事の両立が他県に比べて難しい状況になっている可能性がある。   国立社会保障・人口問題研究所の「結婚と出産に関する全国調査」(二〇一五年)によると、結婚の利点として「子どもや家族をもてる」ことや「経済的に余裕がもてる」という点が女性にとって重要になってきており、働きながら子育てができる状態が実現しないような社会では、結婚の価値の低下が懸念される。   このようなことから、少子化問題を解決するためには、女性がワークライフバランスを達成できる社会の構築が必要であり、具体的には、男性の育児休業の取得率向上や育児施設の増設、家族や地域の助け合いなどにより、男女が同じように働きながら子育てできる社会を構築していくことが重要である。   また、少子高齢化の進行により、現役世代の負担が増大して社会が維持できなくなるという問題に対しては、就労意欲のある高齢者が年齢に関係なく働き続けることができる生涯現役社会を構築するなど、元気で自立した高齢者には社会を支える側に回ってもらうことで社会を維持していくことも、少子化対策の一つと考えることができるとの説明があった。 2 公益社団法人宮城県医師会 常任理事 佐々木悦子氏   佐々木氏は、宮城県における少子化対策について、次のとおり述べた。   出生率の減少は、全国的な問題であるが、その要因としては、家制度の崩壊などの価値観の変革、大家族から核家族へという家族構成の変化、女性の社会進出による出産年齢の高齢化及び避妊法の開発等の医学の進歩などが考えられる。   少子化対策が成功した国としては、フランス、スウェーデン及びフィンランドが挙げられる。   フランスは、家族政策として、子供が多い大家族を優遇する仕組みを構築している。具体的には、税制において、家族を課税の単位とみなし、子供が多くなるほど所得税負担が緩和されるN分N乗方式を採用している。家族給付も手厚く、二子以上を養育する家庭には、子供が二十歳になるまで所得制限なしで家族手当が支給されるほか、第一子から支給される乳幼児迎入れ手当や、休業又は勤務時間短縮に応じて受給することができる就業自由選択補足手当などがある。また、これらの給付と連動して、出産休暇、父親休暇、育児親休暇などの様々な休暇制度が用意されており、週三十五時間労働制とあいまって仕事と育児の両立を可能としている。   スウェーデンは、男女が子供を生み育てる際の障害を取り除くという考え方を家族政策の基本に置いており、充実した育児休暇制度が特徴的である。スウェーデンにおける育児休業取得率の高さは顕著であり、女性では八割強、男性では八割弱が取得しており、公的機関、民間企業を問わず高い取得率となっている。その理由としては、全ての父母を対象に高水準の育児休業手当を支給する両親保険やスピードプレミアム制といった休業中の所得補償の充実と、パパ・ママ・クオータ制などの休暇を取得しやすい仕組みの構築などが挙げられる。   フィンランドも、スウェーデンと同様に、育児休暇制度や所得補償が充実しているほか、ネウボラと呼ばれる妊娠期から就学前にかけての子育て支援制度が特徴的であり、家族ごとに担当の保健師がおり、妊娠、出産及び子育てに関するあらゆる相談にワンストップで対応するという体制を構築している。   最後に、こうした各国の成功事例及び佐々木氏のこれまでの経験等を踏まえた宮城県の少子化対策として、佐々木氏から次の三点について助言があった。  (一) 診察、健診、出産費用等に対する経済的支援や税制における優遇措置を講じるなど、若い世代が経済的な事情によらないで、できるだけ若いうちに妊娠、出産できるようなサポート体制を構築すること。  (二) 期待されている機能を十分に果たせていない「子育て世代包括支援センター」によるサポート体制を強化し、妊娠、出産及び子育てに悩んでいる方の相談窓口としての機能を充実させること。  (三) 知事や超党派の議員、医療・教育関係者等を構成員とする「みやぎ少子化対策プロジェクトチーム」を結成し、施策の実行性を高めること。三 県内調査 1 富谷市   富谷市における十四歳までの年少人口は、平成二十六年度から微減傾向にあるものの、総人口に対する年少人口の割合は、令和三年度で一五・八%と、全国平均の一一・八%を大きく上回っている。   富谷市は、子育て世代の転入が多く、共働き世帯の増加や低年齢児の保育所の早期入所の傾向が強まっているものの、子育て支援施策の最重点プロジェクトとして、保育所の整備や保育士の確保などに継続して取り組んできた結果、令和二年度からは三年連続で待機児童ゼロを達成している。   また、安全で安心できる子供たちの居場所をつくるため、市内全ての小学校の敷地内に児童クラブを設置するとともに、平成二十九年には、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援と相談の拠点として、とみや子育て支援センター「とみここ」を整備し、産前産後のサポートや、転入者が地域で孤立することのないよう交流を中心とした様々な子育て支援策を実施している。   さらに、子育て世帯における経済的負担の軽減を図るため、新生児聴覚検査の費用助成を実施し、子ども医療費の助成は、五歳から十八歳の年度末までとし、所得制限を撤廃している。   富谷市総合計画後期基本計画の新たな視点として採用された「子どもにやさしいまちづくり事業」は、国際連合児童基金(ユニセフ)が、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の内容を市町村レベルで具現化することを目指して、世界各国の自治体で事業展開しているもので、日本では、富谷市のほかに北海道ニセコ町など全国五市町に委嘱されている。富谷市では、子供たちがまちの活動に積極的に参加し、子供の力や子供の声がまちづくりに活かされることを目指しており、これまで、市の総合計画の審議会に中学生がオブザーバーとして参加したり、小学生の意見を反映して歩道橋の修繕に係る塗装色を決定するなど、子供たちをまちづくりの主体・当事者として位置付けた取組を様々な場面で実践している。富谷市では同事業を総合的かつ長期的に推進し、全庁的に取り組むこととしており、子供に関わる部署のみならず、関連性が低いと考えられる部署も「子どもにやさしいまちづくり」の視点に立って事業に取り組むこととし、将来的には、市全体が「子どもにやさしいまちづくり」の視点をもつことで、「子育てにもやさしいまち」、「すべての人にやさしいまち」へとつなげていくことを目標としているとの説明があった。 2 利府町   利府町は、昭和五十八年頃からの団地開発により急激な人口の増加が見られ、その後も人口は増加し続け、令和二年は人口が町制施行以降初めて減少に転じたものの、三万五千百八十二人となっている。人口割合は、老年人口が二四・七%、生産年齢人口が六〇・九%、年少人口が一四・四%となっており、若い世代の割合が全国平均よりも高い状況となっている。   若い世代の転入が多いものの、二十代から四十代までの全ての年代で未婚率が増加傾向となっていることから、利府町では、新たな婚活支援策を検討するとともに、引き続き子育てと仕事の両立支援などの総合的な子育て支援策にも取り組むことで、二〇三〇年までに合計特殊出生率を二〇一八年の一・三四から一・六に向上させることを町の総合計画の目標としている。   利府町では、経済支援、待機児童解消、地域における子育て支援及び子育てと仕事の両立支援を四つの柱として、総合的な子育て支援策に取り組んでいる。   経済支援としては、町内の小学校及び中学校に通う一年生全員に対する運動着の支給や、小学校就学前の三年間における第三子以降の児童の保育所等にかかる給食費の助成などを行ってきたほか、令和四年度からは、新生児聴覚検査の費用助成などにも取り組んでいる。保育所等における待機児童の解消については、民設民営による保育所整備や町立保育所の民営化などを進め、年度当初の待機児童数は令和元年度から三年連続でゼロの状態が続いている。また、地域ごとの実情に応じたきめ細やかな子育て支援を実施するため、町内六か所に子育て支援センターを設置するとともに、利府町ファミリー・サポート・センターを設置し、会員である町民相互間で子育てを支え合う仕組みを構築しており、令和四年度からは、産後支援サービス体験事業として、同センターで利用可能な無料クーポン券を子育て世帯に配布するなどして、子育てと仕事の両立を支援している。   最後に、利府町から、宮城県における乳幼児医療費助成の対象年齢の引き上げ、出産に関する給付額の拡大及び県独自の産後ケア事業を行う施設の開設などの少子化対策に係る財源確保等に関して要望された。四 県外調査 1 国立大学法人北海道大学(北海道札幌市)   北海道大学COI「食と健康の達人」拠点では、平成二十七年から、子供とともにみんなが健康で元気に成長できる地域モデルを構築し、「ひととまちが食と健康の達人として育つ社会」の実現に取り組んでいる。   日本では、平成二年以降、低出生体重児が急激に増加し、近年は出生児のおよそ十人に一人が低出生体重児という状況が続いており、その原因の一つとして母親の痩せが指摘されている。低出生体重児は、将来の疾病リスクが高まるとする研究報告があり、妊娠期の母子の栄養・生活習慣を改善することは、低出生体重児の減少のみならず、子供の健全な発達・育成につながるものと考えられる。   同拠点では、低出生体重児ゼロを目指し、岩見沢市や複数の企業と連携して、母子を中心に家族が安心して暮らせる社会を実現するためのプロジェクトを立ち上げ、妊産婦の出産・子育てを継続的にフォローする母子健康調査や、若い世代を対象としたワークショップを開催して日常的に議論を繰り返すなど、多様なアプローチにより、妊産婦の行動変容を促すことで、プロジェクト開始当初一〇・四%であった岩見沢市における低出生体重児比率は四年間で六・三%まで低減した。また、母子健康調査から得られた知見に基づき、岩見沢市と企業が一体となって母子に最適な食を届けるリカーリングサービスを開始するとともに、ICTを活用して日常的に健康を見守るサービスを提供するなど、新たな公共サービスの構築を実現した。   さらに、令和三年からは、北海道大学COI‐NEXT「こころとカラダのライフデザイン共創拠点」において、「若者が、自分の選択肢を増やすことができ、他者とともに、自分らしく幸せに生きる社会」の実現に取り組んでいる。   日本では、近年、高齢出産や不妊治療の件数が増加しており、必ずしも望んだ時期に妊娠・出産できていない状況があるが、その原因としては、個々人の身体的特性のほかに、妊娠可能期間や妊よう力等に関するヘルスリテラシーの低さが考えられている。また、日本のジェンダーギャップ指数は、先進国の中で最低レベルであり、いまだ根強く残っている性別役割分担意識は、男女がともに働き、子育てをする社会の実現を妨げている。   そこで、同拠点では、岩見沢市において、学校、医療機関、地域住民及び企業が一体となって、小児期から包括的なプレコンセプションケアに取り組み、若者との継続的な対話を通じて、若者のヘルスリテラシーの向上やジェンダーギャップの解消を図り、「こころとカラダの理解」を通して、「生きるための選択肢」を増やし、少子化を克服しようとするプロジェクトに取り組んでいる。 2 北海道   北海道の令和三年の合計特殊出生率は一・二〇であり、東京都、宮城県に次いで低い状況となっており、生涯未婚率の状況や妊娠届出件数の状況から、少子化の更なる進行も懸念されるため、北海道では、少子化対策として様々な取組を行っている。   北海道では、子供の健やかな成長に適した豊かな自然環境である北海道の特性を十分に生かしながら、社会全体で出産や子育て、子供の成長をしっかりと支えることができる社会を目指すこととして、平成十六年度に、「北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」を全国に先駆けて制定している。また、同条例に基づく取組を進めるための具体的な計画として、平成十七年度に、「北の大地子ども未来づくり北海道計画」を策定し、令和二年度からは、第四期計画がスタートしている。同計画では、安心して子供を生み育てることができる環境と、子供が健やかに成長できる環境の二つの環境づくりを進めていくこととしており、ライフステージに応じた切れ目のない支援を総合的かつ計画的に実施することとしている。   令和四年度は、結婚や妊娠・出産への支援を重点的に進めており、結婚支援としては、婚活中の道民と移住を検討している道外在住者とのオンラインによる婚活イベントを開催することとしており、妊娠・出産支援としては、特定不妊治療における保険適用以前の治療開始者に対する助成や不育症治療における国の助成対象外となる検査等に対する助成などを行っている。   また、子育て支援としては、子育て世代包括支援センターの更なる整備を進めていくほか、妊娠中の女性や子育て世帯の外出を支援するため、子育て世帯優先マークを創設するなど、子育てバリアフリーを促進することとしている。   さらに、こうした結婚支援や子育て支援策などの施策の検討に、若い世代の感性や意見を反映させるため、道内の大学生を対象として、意見やアイデアを募集する「北海道ユースプランナー制度」を創設し、時代のニーズや若い世代の意識に即した取組の充実を図ることとしている。   道内の市町村では、えりも町、別海町及び共和町の合計特殊出生率が高く、その背景としては、漁業や農業といった基幹産業が安定していることに加え、三世代が同居、近居している世帯が比較的多く、地域や家庭で子供たちを見守る環境が整っていることが大きいのではないかとの説明があった。 3 福井県   福井県の合計特殊出生率は、平成十六年に一・四五となるまで減少傾向が続いていたが、それ以降は増加傾向にあり、令和三年の合計特殊出生率は一・五七と、全国平均を上回る状況が続いている。また、平成二十九年の就業構造基本調査によると、福井県における女性の有業率は全国二位となっており、さらに、令和二年の国勢調査によると、共働き率は全国一位、三世代同居率は全国二位という状況となっている。   福井県の人口は、平成十二年の八十二・九万人をピークに減少傾向にあることから、福井県では、平成二十七年十月にふくい創生・人口減少対策戦略を策定し、その基本戦略として「希望が叶う結婚・出産・子育て応援の強化」、「県内定着・UIターンの拡大」などを掲げている。また、福井県では、人口減少対策の立案に当たり、データサイエンス(EBPM)の手法を取り入れており、施策立案のためのデータ分析を専門家の協力のもとに実施し、分析結果から得られた新たな知見を活用して、新しい人口減少対策に取り組んでいる。   結婚支援については、地域においてボランティアで縁結び活動を行う方を「地域の縁結びさん」として登録し、地域の縁結びさん同士の情報交換によりマッチングの機会を増やし、縁結び活動を活発化させる事業に平成二十二年度から取り組んでおり、寺院の住職や理美容業者など約二百八十人が登録している。また、福井県内の全市町が連携して、オールふくい体制で県民の結婚支援を進めるため、オールふくい連携婚活応援事業として、令和二年四月に「ふくい結婚応援協議会」を設立し、令和二年十一月には、同協議会が運営する「ふくい婚活サポートセンター」を開設し、広域的な婚活イベントの開催やAIを活用したマッチングシステムの運用などを行っている。また、市町では、新婚世帯を対象として、家賃や転居費用などの新婚生活を始めるに当たって必要な費用の補助を行っており、県としても当該事業の補助率を通常の二分の一から三分の二に引き上げる上乗せ補助を行っている。さらに、同支援を受ける夫婦のいずれかが二十五歳以下であれば、県独自の支援として十万円を支給することとしており、若い世代の結婚支援に特に力を入れている。   子育て支援については、令和四年度から「ふく育県」を宣言して子育て支援日本一を目指すこととしており、子育て支援に係る令和四年度の予算を、令和三年度の二十億円から四十億円に倍増させ、各種事業に取り組んでいる。具体的には、企業や店舗が子育て世帯応援の取組を宣言し、「ふく育」応援団として登録する「ふく育」応援事業に取り組んでいる。令和四年三月末時点で約千五百店舗が登録しており、県内の多くの企業や店舗が優待・割引サービスの実施や外出応援サポート、従業員の子育て応援などを実施することで、社会全体が子育てに協力するという機運の醸成を図ることとしている。また、福井県は雨や雪の日が多いことから、全天候型の子供の遊び場の整備について、市町に対して一億円を上限として全額補助している。さらに、令和二年度から、「子だくさんふくいプロジェクト」として、保育料等無償化の対象を世帯の収入に応じて第二子に拡大するとともに、在宅で育児する世帯への手当を創設し、子ども医療費助成については、令和二年度から対象年齢を中学三年生までに引き上げて助成することとしている。   移住・定住支援については、市町と連携して移住支援金の支給額や支給要件を定め、福井県への移住を促進する制度を実施している。また、職業相談や移住相談などを総合的にサポートする「福井暮らすはたらくサポートセンター(福井Uターンセンター)」を設置するとともに、各市町に既に移住して生活している先輩移住者を「移住サポーター」に委嘱し、各エリアの移住サポーターが移住希望者を実際に案内し、移住相談などに応じる仕組みを構築している。さらに、学生の県内就職を促進する取組として、県内に定住して就業することを希望する県外の理系学生に対して、奨学金の返還を支援する取組などを行っている。五 総括・提言  これらの調査結果を踏まえ、本委員会は、「地域で安心して子どもを生み育てるための環境整備」について検討し、次のとおり取りまとめた。 1 社会全体で子供・子育てを支援する環境づくりについて   核家族化の進行や地域のつながりの希薄化などにより、子育てが孤立化するなど、子供を持つ親の負担が増大していることから、県は、子育て世代を支える地域の協働体制の整備や、三世代同居・近居のための環境整備などにより、家族や社会全体で連帯して子育てを支援する機運の醸成を図ること。 2 安心して子供を生み育てるための保健・医療の充実について  (一) 近年の晩産化や不妊治療の件数が増加している背景の一つとして、妊娠可能期間や妊よう力等に関するヘルスリテラシーの低下が考えられることから、県は、学生等に対するプレコンセプションケアを促進するなど、若い時期から結婚と出産に関する正しい知識を持つための取組を強化すること。  (二) 出産、子育てにおける不安として、多くの若者が経済的な不安を挙げていることから、県は、不妊治療費や出産に伴う費用への支援を継続的に行っていくとともに、居住地にかかわらず子供が安心して医療を受けられるようにするための支援制度の充実を図ること。  (三) 産科医師の不足は、地域で安心して子供を生み育てるための医療体制にとって憂慮すべき状況であることから、引き続き産科セミオープンシステムの活用により、周産期医療施設の機能分担と連携を図るとともに、産科医師への奨励金の交付など、産科医師の県内定着のための取組を強化することで、持続可能な周産期医療体制の確保に努めること。 3 仕事と子育ての両立に関する取組について  (一) 本県は、二十代及び三十代の女性の有配偶率と有配偶出生率が低く、育児をしている母親の就業率が全国平均と比較して低いため、女性の子育てと仕事の両立に向けた取組の充実が特に重要であることから、県は、男性の育児休業の取得率向上や保育サービスの充実に向けた取組を強化するとともに、出産・子育てが一つのキャリアとして評価されるような職場復帰しやすい環境の整備を、企業や団体とともに推進するなど、男女が同じように働きながら安心して子育てできる社会の構築を図ること。  (二) 結婚に関して行政に期待することとしては、雇用の安定化を求める声が最も多く、若年層の不安定な雇用環境は未婚化・晩婚化につながり、少子化を促進する要因となっていることから、県は、非正規雇用労働者の正社員化を促進するための企業等に対する働きかけを継続的かつ積極的に行うとともに、出産や育児等を契機とした離職者の早期再就職を支援するなど、結婚や出産を希望する若者が安心して働ける環境づくりに取り組むこと。 4 結婚機会の創出に関する取組について   未婚化・晩婚化を背景とする少子化の進行に歯止めをかけ、地域経済を維持していくためには、出会いや結婚につながる支援を充実させていく必要があることから、県は、結婚を希望する独身者を支援するための取組を今後も継続するとともに、更なる結婚機会の創出・拡大を図るため、企業や団体が独身社員の結婚を応援する仕組みを構築し、異業種間の交流イベント等の開催に向けた必要な支援を行うこと。 5 若年層の県内定着に関する取組について  (一) 本県では、大卒者の県外転出が顕著であることから、若年層、特に大卒者の県内定着を進めていく必要があり、また、未婚化・晩婚化の背景として、経済的な不安などが挙げられていることから、県は、引き続き安定した収入が得られる質の高い雇用の創出に取り組むとともに、県内に居住又は就業すること等を条件とした奨学金返還支援制度を創設するなど、若者の県内定着や可処分所得の実質的向上に向けた取組を強化すること。  (二) 若年層の社会減問題に対し、より効果的な施策を実行するためには、若年層の人口動態や就業状況等に係るデータの分析から得られた客観的な情報に基づき施策を立案することが重要であることから、県は、大学等の研究機関と連携し、関連データの分析結果に基づく新たな知見を活用した政策立案(EBPM)に取り組むこと。 6 実効性のある少子化対策を実現するための取組について  (一) 若い世代の行動変容を促すような実効性のある少子化対策を実現するためには、当事者である若い世代の意見を積極的に反映していくことが重要であることから、県は、定期的なワークショップの開催や関係会議等における意見聴取など、若い世代の意見を取り入れるための機会を創出し、求められる支援・施策の積極的な実現を図ること。  (二) 少子化対策は長期的かつ総合的に取り組む必要があり、そのための安定的な財源の確保が重要となることから、県は、次世代育成・応援基金を積み増すなどの一層の財政措置を講じること。 以上、これらの提言が今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。 令和四年十一月二十一日             宮城県議会少子化対策調査特別委員長 吉川寛康宮城県議会議長 菊地恵一殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------地方デジタル化調査特別委員会調査結果報告 ○議長(菊地恵一君) 日程第三十八、地方デジタル化調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。地方デジタル化調査特別委員長、三十番高橋啓君。    〔三十番 高橋啓君登壇〕 ◆三十番(高橋啓君) 地方デジタル化調査特別委員会の調査結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、地方デジタル化に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置されました。 付議事件、地方デジタル化に関する諸施策についてを受け、一、地方における社会や行政のデジタル化に関する諸施策、二、デジタルを活用した医療、産業振興等の方策、三、情報格差や個人情報保護等の諸課題、以上を調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行ったほか、県内・県外調査を実施して検討を重ねてまいりました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して、御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    地方デジタル化調査特別委員会報告書 地方デジタル化調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、地方デジタル化に関する諸施策について調査・検討するため、令和三年十二月十五日に設置され、付議事件「地方デジタル化に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の三項目とした。一 地方における社会や行政のデジタル化に関する諸施策について二 デジタルを活用した医療、産業振興等の方策について三 情報格差や個人情報保護等の諸課題について 以上の項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人として招致した行政システム株式会社・行政システム総研顧問榎並利博氏、一般社団法人MyDataJapan理事・事務局長石垣一司氏から意見を聴取し、さらに、多賀城市、多賀城高等学校、一般社団法人DX NEXT TOHOKUの取組について調査を実施したほか、国や他県の事例を参考にするため、デジタル庁、グーグル合同会社、総務省、広島県、兵庫県の取組等について調査を行った。 その概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 県政のデジタル化の経過と課題について   本県では、平成十三年度に高度情報化社会の構築に向け、ITを活用して主体的に取り組むべき重点事項を明らかにした行動計画として、「宮城県IT戦略推進計画I」を策定した。   その後、平成十八年度には「宮城県IT推進計画」、平成二十三年度には「みやぎIT推進プラン二〇一三」、平成二十六年度には「みやぎICT推進プラン(二〇一四~二〇一六)」を策定したほか、平成三十一年度にはそれまでのプランを官民データ活用推進基本法に基づく都道府県官民データ活用推進計画に位置付け、「みやぎICT・データ利活用推進プラン」に改定した。   そして、新・宮城の将来ビジョンに掲げる将来像の実現を下支えするため、令和三年四月に「みやぎ情報化推進ポリシー(二〇二一~二〇二四)」を策定している。   それぞれの計画に基づき、平成十七年度には県民がオンラインで行政手続を行うことができる「みやぎ電子申請サービス」の運用を開始し、平成十九年度には外部IT人材としてITアドバイザーを設置し、また、平成二十年度には県税納付においてペイジーによるATMやインターネットバンキングでの納付を開始したほか、平成二十八年度には機械判読に適したデータ形式により公共データを民間が自由に二次利用できる「オープンデータみやぎ」を公開している。さらに、平成二十九年度にはみやぎFree Wi‐Fiを提供しているほか、平成三十年度には職員のテレワークを開始している。   そして、令和三年度からは、みやぎ電子申請サービスを活用した県有施設の利用予約サービスを開始し、県税納付においてスマートフォン決済を導入したほか、指定車駐車場の使用許可証作成等の県業務において、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の活用により業務の効率化を図っている。   課題として、国においては令和三年九月にデジタル庁を創設し、デジタル庁を中心にデジタル時代の官民のインフラを今後四年で一気呵成に作り上げることを目指していることから、県としても誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向け、スピード感を持って全力で取組を進める必要があるとしている。 また、県として住民に身近な行政を担う市町村に対して必要な助言や計画的な取組の支援等の役割を果たす必要があるとしている。 2 宮城県行政に係るデジタル化の対応方針について   本県では官民を挙げたデジタル化に関する県の政策を力強く推進する決意表明として、令和二年九月に「みやぎデジタルファースト宣言」を行った。 同宣言の趣旨にのっとり、県の情報化政策の基本的方針である「みやぎ情報化推進ポリシー(二〇二一~二〇二四)」を策定し、その中で次の三つの重点目標を掲げ、誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向け様々な取組を行っている。  (一) D for Citizen 最適化による県民サービスの向上 デジタルディバイド(情報格差)の解消を図ること等を目的として、無料公衆無線LAN「みやぎFree Wi‐Fi」の整備を進めており、設置個所は令和三年十二月末時点で千四十六箇所となっている。また、行政手続のオンライン化により県民サービスの向上を図るため、県及び県内二十五の市町が共同で運用する電子申請サービスを活用し、各種行政手続をはじめ、新型コロナウイルス感染症関連の手続等をオンライン化している。さらに、電子申請サービスを活用し、オンラインによる施設利用予約を令和三年七月から総合運動公園や県民会館等六施設において運用を開始し、その後令和四年一月から都市公園四施設に対象を拡大し運用している。  (二) D for Local 地域の課題解決と活力の創出    県内産業の生産性向上やイノベーションの創出を図るため、業務フローを見直し、自動化・省力化を図るシステムの導入及び開発やオンラインによる新たな販路開拓等を支援するとともにIT人材の育成を推進している。5Gを活用した実証モデル事業では、県内自治体や県内事業者から地域課題の解決や産業の振興に役立つ5G利活用アイデアを募り、選定された事業者と実証実験の計画作成を行っており、令和四年度には作成した計画を踏まえ実証実験を行う等の取組を行っている。  (三) D for Business デジタル化による働き方改革の推進    令和三年度からペーパーレス会議システムを利用し紙資料のコスト削減を図っているほか、オンライン会議に対応できるよう令和元年度から順次庁内ネットワーク環境やICT機器の整備を進めており、新型コロナウイルス感染症対策として整備を加速化し、全職員が業務用パソコンでウェブ会議システムを利用できるようにした。また、職員の柔軟な働き方を確保するため、在宅勤務やモバイルワークの更なる実施に向けた実証事業を展開している。    これらの重点目標を達成するための基盤となる取組は二つある。    一つ目は「市町村の情報化への支援」であり、具体的には、機器の共同調達等により事務の共同化や、みやぎ電子申請サービスの共同運用、会議等開催による情報共有を行い、市町村の情報化を推進している。    二つ目は「県行政の情報化の基盤整備」であり、具体的には、「情報システムの最適化」、「サイバーセキュリティ及び個人情報の適正な取り組みの確保」、「庁内の人材育成」の三つの取組を軸として進めている。「情報システムの最適化」では、情報システム調達ガイドラインに沿ってシステム調達を行い、総合的なデジタル化や業務の見直しを推進し、行政サービスの利便性の向上や行政運営の効率化を図っている。「サイバーセキュリティ及び個人情報の適正な取組の確保」では、自治体情報セキュリティクラウドを市町村と共同運営して、専門人材による二十四時間三百六十五日の監視及びログの分析、解析を始めとする高度なセキュリティ対策を講じている。また、個人情報保護条例及び令和五年度中に県に適用される個人情報保護法に基づく規律の順守と制度の適切な運用に努めていくこととしている。 3 県のITリテラシー強化・対策について   時代の変化に即して自発的に創意工夫しながらデジタル技術等を活用できる職員を育成する必要があるとしている。主な施策としては、情報システムにおける技術革新に対応するため、新任管理者、新任担当者、新規採用職員等を対象とした研修を実施している。また、外部人材のデジタルみやぎ推進アドバイザーの活用により、庁内のデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)推進に係る助言やデジタル化施策への提案等により職員のICT等の活用に係る意識の向上を図っている。 4 医療分野におけるデジタル化について   県の医療分野におけるデジタル化の一翼を担っているみやぎ医療福祉情報ネットワーク(以下「MMWIN」という。)は、東日本大震災により津波で貴重な医療情報が流出した経験を踏まえ、災害に強い情報バックアップ及び情報共有により医療・福祉環境の改善を図るために、国及び県の補助を受けて県内全域に整備された。しかし、運営法人の資力が乏しく、運営資金をMMWINの利用料収入に頼っている現状があり、中長期的に経営を安定させていくことが課題となっている。また、MMWINへの参加施設数が伸び悩んでいる現状があり、参加施設の増加を含めたネットワークの更なる活用が課題となっている。 5 中小・小規模事業者へのデジタル化の支援について   新型コロナウイルス感染症拡大の影響による新たな行動・生活様式の浸透によるデジタルツールの利用が促進されており、既にデジタル化に取り組んでいる事業者がある一方、県内事業者を対象に実施した意識調査によると、利用が十分進んでいない事業者も見られる。このため経営者等の意識の底上げを図るほか、デジタル化に必要なツールの導入促進や人材の育成に向けた一層の取組が必要である。県としては、生産性、付加価値向上に向けた支援として、セミナーの開催や機器導入補助に取り組んでいる。また、販路開拓、取引拡大に向けてオンライン等を活用した販路開拓や生産性向上等に係る取組支援を行っているほか、デジタル人材の育成として、デジタル化に取り組む社内の中核人材の育成等を支援している。 6 農林水産分野へのデジタル化支援について   農業分野においては、中山間地域を含む農山漁村等で住民の高齢化や減少による産業、生活基盤の脆弱化等の問題を解決するため、農業経営の革新、農村生活の利便性向上を目指した農村DXの構築を促進することが必要であるとしている。また、労働力の確保や効率的な作業体系が求められており、農業にスマート技術を含むICT等の先進技術を導入する取組等が必要になっている。   そのため、みやぎ農山漁村DX推進連絡会議を設置するとともにモデル地域を設定し、DX地域戦略計画の策定と計画実行に向けた体制づくりを支援しているほか、スマート農業機械、施設の導入支援等を行っている。   水産業分野においては、生産、流通、販売の各段階において業務のスマート化を促進する必要があるが、生産現場では情報不足や現場とのミスマッチ等によりスマート化が進んでいない現状がある。   そのため、スマート水産業推進プロジェクトとして、AI自動魚種選別機の導入による魚市場業務のスマート化やドローンを活用したノリ養殖業のリモートセンシングに取り組み、スマート化による生産性の向上を図る等の取組を行っている。   林業分野においては、担い手不足や、森林所有者の高齢化が進む中で生産性の向上や省力化といった課題があり、解決に当たっては森林情報の精度向上や需要動向を踏まえた生産管理、加工、流通情報を共有化する仕組みの構築が必要であるとしている。   そのため、宮城県スマート林業推進構想を定め、森林の経営管理、木材流通の各分野におけるICT等先端技術の導入推進等の取組を行っている。 7 学校におけるIT教育の取組について   ICT環境整備やオンライン教育を推進するため、令和二年度にプロジェクトチームを設置し、各種施策を展開してきたほか、市町村との連携によりみやぎGIGAスクール構想の実現に係る連絡協議会を設置し、市町村における校内通信ネットワーク環境整備や、児童生徒一人一台端末整備、ICT活用促進等を支援している。   校内通信ネットワーク環境整備については、県内全ての自治体で令和三年度までに完了している。また、児童生徒用端末の整備については、令和二年度中に小中学校では一人一台の水準まで、高等学校では三人に一台の水準まで整備が進んでいる。   今後の課題と取組としては、教員のICT活用指導力の向上が必要であることから、各種研修会を開催するほか、指導主事訪問による活用支援を実施している。また、ICTを活用した授業づくりの取組として、グループウェア等を活用した実践教育等を行っている。   ほかにも、高等学校段階における一人一台端末環境の実現を図るため、公費による貸出用端末の整備等の取組に努めている。 8 高齢者、障害者及び地域間のデジタルディバイド問題の解消について   デジタルディバイド問題の解消が課題であり、特に高齢者など助けを必要とする人に十分な支援が行き渡るようにすることが急務となっている。   障害者については、障害によって自ら情報発信することが困難な場合もあるため、情報量や社会参加の機会が制限される等の課題がある。そのため、みやぎ障害者ITサポートセンターを設置し、講習会の開催や相談に対応する等、ITを活用した障害者の社会参加等の支援を行っている。   また、携帯電話やインターネット接続サービスにおいて、採算性の低い地域ではエリア整備が進んでいない等の課題がある。これに対して、誰もが無料で利用できるみやぎFree Wi-Fiの整備を推進するなど、格差の解消を図っている。 9 警察におけるデジタル化の取組について   県民サービスの向上に向けたオンライン化の推進が課題となっているが、これについては、警察庁が設置している警察行政手続サイトを利用することにより、電子メールによる申請や届出が可能となっている。   また、警察力を最大限に発揮するためのデジタル化の推進については、ソフトウェアとウェブカメラを搭載した端末の整備により、開催場所や時間にとらわれない会議等を可能とし、警察活動を支えている。   社会全体のデジタル化を支えるサイバーセキュリティの確保の推進としては、知事部局と連携し、県内の産学官が参加する宮城県サイバーセキュリティ協議会を設立して運用する等の取組を行っている。   デジタル化の推進を支える人材の育成については、最新の専門的知見を有する民間企業や国の研究機関等の研修を通じて、スキルを持った職員の育成を図っている。二 参考人からの意見聴取 1 行政システム株式会社 行政システム総研 顧問 榎並利博氏   榎並氏は、富士通株式会社や富士通総研に在籍し、自治体の現場でシステム開発に携わるほか、電子政府・電子自治体、マイナンバー等のテーマで研究活動に専念した経験を踏まえ、以下のように述べた。   コンピュータが公共分野で利用されて半世紀が経過し、その間に大半の事務処理はデジタル化されている。今後更に踏み込んでデジタル化を活用するには、個人情報やAIの活用が必至となる。しかし踏み込んだデジタル活用は、プライバシー侵害や差別等の人権問題、そして技術に対する過剰な恐怖心を引き起こす。これらを突破するには行政だけの努力では不可能である。   日本はこれまでに「グリーンカード制度」、「住民票コード(住基ネット)」の制度を導入し、番号を秘密にすることにしたが、結果的にどこでも使われないような番号になってしまった。それ以来、番号は秘密にしなければならないということが共通認識となった。マイナンバー制度は番号が見えてもいいものであり、これからは国民自身が政府をデジタルで監視できるような仕組みを作っていく必要がある。これからデジタル活用を成功に導くには、地域住民やその代表としての議員(立法府)も含めた社会全体で関与ができるような、DX化に取り組む体制を築き上げるべきである。   また、DX時代においては、自治体やビジネスは、顧客(県民)のニーズは何であるか、また、どのような手続が必要であるのか再定義して、ゼロベースで考えなければならない。 2 一般社団法人 My Data Japan 理事・事務局長 石垣一司氏   石垣氏は、富士通株式会社や富士通研究所に在籍し、社会を対象としたICTのデザイン等に携わってきた。大震災に対して当時のICTはほとんど無力であったと考えており、その後自らフィールドワークをしながら、地域のためにデジタルで何ができるのか、何をすべきか、中心になるパーソナルデータをどう使えばいいのか考えてきた。その経験を踏まえ、「スマートシティと地域DX」と題して以下のように述べた。   スマートシティとは、ICT等の新技術や官民各種のデータを活用した、市民一人一人に寄り添ったサービスの提供や、各種分野におけるマネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域が抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society5.0の先行的な実現の場と定義されている。   スマートシティの構成としては、地域に存在する様々なデータをオープンAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)で提供し、データ連携基盤を通じて様々なサービスで利用可能としている。データ連携基盤では、個別領域で閉じていたデータを、他の領域で安全に利用できるようにするための仕組みが必要であり、そこで大事なのは、道路そのものよりも、交通ルールや信号機といった「相互運用性」の確保である。   公助や民間サービス任せの自助のみによるデジタル化では本質的な課題解決にはならないと考えており、行政と民間の連携、多様な市民の社会参加、いわゆる共助と呼ばれるものが大事である。分野横断型のデータ連携や市民参加、そういったことを実装するのが地域全体のデジタル化を目指す都市型スマートシティと定義し、そのために、市民を含めた多様な主体の協働が必要である。課題解決のために産学官民の役割分担を見直し、デジタルを活用し、信頼確保の上でデータを共有し協働していくことが必要である。三 県内調査 1 多賀城市   多賀城市では令和三年一月に「多賀城市ICT利活用方針」を定めた。この方針は、ICTの的確な利活用と「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化の実装により効率的・効果的に行政サービスを提供するスマート自治体への転換を実現することを基本理念としており、「住民・企業等の利便性向上」、「地域課題の解決」、「行政経営の効率化、高度化」、「情報基盤の整備」の四点を基本方針としている。   市役所の職員の確保は厳しい上、業務は増大している。その業務をいかにスリム化するかという課題があり、デジタル化により業務改善改革を進めていく必要があるということが方針策定の背景にあった。   現在は、手続のオンライン化を進めるとともに、窓口では手書きせずに申請ができる仕組みを職員自らが構築する等の取組をしている。   また、効率的な情報提供として各種SNSに取り組んでおり、令和三年三月からは市民向けの公式LINEを開始し、職員が改善を加えながら広報や市民情報を発信している。一万四千人ほどが登録しており、比較的高い割合と評価しているとのことである。コロナワクチン接種の申し込みの際には、電話が混雑したことから、高齢者が家族の支援を受けてLINEから申し込みを行った事例があり、市では支えあいの環境があればデジタルの恩恵にあずかれることを認識したとのことであった。   今後の課題としては、引き続き高齢者のデジタルディバイド解消に取り組みつつ、誰もがデジタル化の恩恵を受けられるような社会にしていきたいとのことであった。 2 多賀城高等学校(多賀城市)   多賀城高等学校は、平成二十八年四月に県内初となる災害科学科を設置している。同学科は災害を科学的に捉えた探求的な学びを目指し、防災教育のパイオニアスクールとして全国に情報発信している。また、開設年から一人一台ずつタブレット端末(iPad)を導入しており、多賀城市内に開通した津波避難道路や、栗駒山の地滑り箇所等の被災地を訪問し、自分の目で確かめ、写真に収め、レポートを作成し、又はチームで議論し、プレゼンテーションを行うという一連の学習をタブレット端末一つで行っている。この学びを通じて自分を表現する力が付いて、大学入試でもその力を発揮し合格していく生徒が増えている。学校ではこの効果を普通科の生徒にも広げていきたいと考え、令和四年四月から普通科に入学する生徒にも一人一台ずつタブレット端末を購入してもらっている。   また、コロナ禍においては、グループウェアを活用して、休校せざるを得ない場合の連絡や課題提出のほか、毎朝自宅から体温を計って学校に連絡する健康管理にも活用されている。   校舎内のインフラ設備としては、各教室にはプロジェクターとAppleTVが整備され、電子黒板の利用が可能となっている。校内の通信ネットワーク環境は、県が整備したもののほかに、学校独自の予算を活用して整備したものもある。ただし校舎内全域での整備完了には至っておらず、面談や自習用に活用されているエリアへの整備が課題となっている。また、タブレット端末の購入は、生徒の家庭の経済的な負担が大きいという課題もあるとのことである。 3 一般社団法人DX NEXT TOHOKU(仙台市)   一般社団法人DX NEXT TOHOKUは、地元のDXを推進する強みを持つ企業が集まり、人が減っても豊かで幸せな未来を創って次世代につなぎたいとして、令和三年に設立された。   デジタル化のメリットの中でも、効率が図られて標準化ができるということや、企業と企業や、企業と人が簡単につながることができる点に一番注目しているとのことである。   また、参加企業が持っているコンテンツを出し合い、より良いものにして、みんなで共有していきたいと考えている。ビジネスモデルを攻めのDXで支えることにより、全く想像もしなかった新しいビジネスモデルを創っていきたいと考えているほか、それを横展開することが大切だとしている。   あわせて、DXを支える人材育成、特にこれから将来を担う若い人材の育成を目指している。   デジタル化を進めるに当たっては、データの統一化が重要で、一つのデータを修正すれば全ての手続が完了する仕組みを作るべきだとの意見があった。   また、日本のデジタル化が進まないのは、できない人に合わせてしまい、できる人が進めないためという問題点の指摘と、できる人にはどんどんやらせて、それ以外の人には別にフォローする仕組みづくりが大切であるとの意見もあった。四 県外調査 1 デジタル庁(東京都千代田区)   デジタル庁は、デジタル社会の実現に向けた司令塔という役割で、令和三年九月に設置された。デジタルにより目指す社会の実現に向け、国・地方公共団体・事業者が連携・協力しながら社会全体のデジタル化を推進していく際に、デジタル庁が司令塔として取組をけん引していくことと位置付けられている。   構造改革のためのデジタル原則として「デジタル完結・自動化原則」、「アジャイルガバナンス原則(機動的で柔軟なガバナンス)」、「官民連携原則」、「相互運用性確保原則」、「共通基盤利用原則」の五原則を策定し、規制の横断的見直しを行うほか、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指してデジタル田園都市国家構想の実現に取り組んでいる。   デジタル化に必要な予算の確保や、マイナンバーカードを今年度末までほぼ全ての国民に取ってもらえるよう普及促進を進めている。   また、地方公共団体の基幹業務システムの標準仕様を策定し、業務効率化の支援を行うこととしている。 2 グーグル合同会社(東京都渋谷区)   グーグル合同会社でGoogle for educationの本部長を務めている陳内裕樹氏は、日本各地の自治体に助言を行っている。陳内氏から、静岡県浜松市の取組事例が次のとおり紹介された。   令和四年三月に浜松市がデジタルを活用したまちづくり条例を制定した。この条例は、デジタルを活用したまちづくりが、市民の利便性の向上に資するとともに人口減少及び少子高齢化を始めとする社会課題に対応する上で極めて重要であるとの認識の下、全ての市民が安全及び安心で幸せに暮らし続けることができる持続可能な都市を築くことをその目的としている。そのため、市長はデジタルを活用したまちづくりに関する施策について総合調整を行うとともに、これを実効性のあるものとするための推進体制を整備しなければならないと定めている。   また、陳内氏からは、本県のデジタル変革の進め方について、浜松市同様のデジタル変革まちづくり理念条例の制定や、DX部署の一層の司令塔機能や権限の強化と各部署の意識の強化、さらに、デジタル理解として誰も取り残されないための住民の理解と合意形成を図っていくべきだとの助言があった。   質疑応答の際に、本県が今後DXを進めていく中で、どの分野が特に必要だと思うかとの問いかけに対して、陳内氏からは「防災」、「観光」、「教育」が必要との回答があった。 3 総務省(東京都千代田区)   令和二年六月二十六日に安倍内閣総理大臣へ手交された第三十二次地方制度調査会の「二〇四〇年ごろから逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制の在り方等に関する答申」では、二〇四〇年までにかけて人口減少・高齢化等の人口構造の変化が進み、更新時期の到来したインフラが増加する一方で、その支え手・担い手が減少する等の資源制約に伴い、地域社会の持続可能性に関する様々な課題が顕在化することが指摘されている。   総務省では、この答申結果を踏まえた上で、これまでの地方行政改革により職員数が減少している中でも、将来的に人口が減り、税収が減って、高齢化すればするほど、また人の価値観が多様化すればするほど、地方行政としては様々な仕事を更にしていかなければならないと見込んでいる。そのため、デジタル化により行政の効率化を図り、浮いた人材を手厚い福祉のサービスに回す必要があると考えている。   このことから、地方で何を目指すのかを示すため、「情報システムの標準化・共通化」、「マイナンバーカードの普及促進」、「行政手続きのオンライン化」、「AI・RPAの利用促進」、「テレワーク」、「セキュリティ対策の徹底」の六項目からなる「自治体DX推進計画」を策定した。   また、全国の自治体が取り組む先進的な事例を紹介し、自治体に参考にしてもらいたいと考えて事例集を作成した。この中には、本県がデジタルみやぎ推進アドバイザーの派遣を行いDX推進のための人材確保に取り組んでいる事例が紹介されている。   さらに、デジタル田園都市国家構想推進交付金を創設し、二百億円の予算を確保し、一千の地方公共団体を支援することとしている。   加えて、政府ではマイナンバーカードをデジタル社会のパスポートと位置付け、その普及にも力を入れ、令和四年度末までにほぼ全ての国民に行き渡ることを目指している。 4 広島県  (一) 広島県行政デジタル化推進アクションプラン    広島県では、湯崎知事がICTの積極的な活用を図りたいとして強力にDXの取組を進めている。    比較的早い時期からデジタルツールの活用を進めており、平成二十三年度からはタブレット端末を導入し幹部会議等においてペーパーレス会議を実施している。議会においても、平成三十年度からタブレット端末を導入して、本会議と委員会についてはペーパーレスで行っている。    また、テレワークについては平成二十五年一月から開始している。令和二年一月には西日本豪雨災害の教訓を生かして、全職員にSIMカード内蔵のノートパソコンを整備した。このことにより、その後のコロナ禍でテレワークを行うことができ、県内の事業所に出勤率三割を呼びかけた際にも、県庁でも三割出勤を行うことが可能となった。    このように庁内の働き方改革や業務効率化については先導的な取組を行ってきたが、行政手続のオンライン化やデータの利活用といった県民生活の利便性向上に資する取組は十分ではなかったと考えているとのことである。これを受けて、令和三年八月に策定した「広島県行政デジタル化推進アクションプラン」の中で、令和五年度末の到達目標として次の二点を掲げている。    (1) 多くの手続・業務がデジタル化され、県民は時間や場所を気にすることなく必要な手続を行ったり、必要な情報を活用できている状態    (2) デジタル化により、内部の業務が低コストで円滑かつスピーディーに行われ、満足度の高い住民サービスにつながっている状態     究極的には必要な手続を行政側から通知できるような仕組みを作りたいと考えているとのことだった。  (二) 先駆的なDXの取組    IоT・AI・ビッグデータ等の新たな技術・ノウハウをビジネス環境に取り入れ成長エンジンとする「第四次産業革命」が世界的な潮流となっている中、広島県では企業現場でのデジタル技術導入が進まず、世界の潮流から大きな後れを取る可能性が高いとの危機感を抱いていた。    そこで、デジタル技術で様々な課題解決や新たな価値を創出するオープンな実証実験を提供する取組として「ひろしまサンドボックス」事業を開始した。    「サンドボックス」とは、砂場で作ってはならし、作ってはならして、創作を繰り返すことにより新しいソリューションが生まれてくるとの考えから名付けたものである。また、自治体としては前例のない十億円の予算措置を行い、失敗も許容しながら何度でも試行錯誤できる場としている。    あらゆる課題について、県内外の企業や大学等の様々なプレイヤーが参画し、業種・業態間の垣根を越えて共創で試行錯誤ができる実証プロジェクトを進めているとのことであった。 5 兵庫県   兵庫県では、県民誰もがデジタルの恩恵を享受し自らのニーズに応じたサービスを選択できる「スマート兵庫」の実現を目指し、これまでの「ひょうご・データ利活用プラン」を改訂し、二〇二二年から二〇二四年までの三年間を推進期間として、行政のデジタル化、暮らしのデジタル化、産業のデジタル化及びデジタル社会を支える基盤の確立の四つを柱とする、「スマート兵庫戦略」の策定を調査時に進めていた。   また、行政手続のオンライン化を、総合的かつ実効的に推進するため、「行政手続オンライン化推進計画」の取組も紹介された。県民の利便性向上と職員の事務効率化の両立、効果性・実現性の高い手続から優先してオンライン化するという考え方に基づくもので、例えば、スマートフォン、パソコン等で申請書類を提出できることで、職員のデータ入力作業が不要となった。また、県有施設予約ではいつでもリアルタイムの空き状況を確認可能で、予約から支払まで一貫してオンラインで完結することで、施設職員の窓口業務の削減につなげる取組を行ったとのことであった。五 総括・提言  これらの検討結果を踏まえ、本委員会は、地方デジタル化に関する諸施策について、次のとおり取りまとめた。  二〇四〇年までにかけて、人口減少・高齢化の傾向は続いていくものと予測され、そのスピードを抑えたとしても流れを変えることは難しいと思われる。一方で地域社会の持続可能性に関する様々な課題が顕在化し、これまでの手法では解決が難しくなっている。  地方行政におけるデジタル化は、今後見込まれる社会構造の急速な変化や、人口減少や人口動態の変化による税収減、限られた予算の中でも増える行政需要、行政職員や関係者の働き方改革、産業における生産性向上といった課題の解決や、県民の豊かな暮らしに大きく寄与するものである。  デジタルファースト宣言を行った本県も、問題意識を持ちながら積極的に様々な課題解決に当たっていることが分かった。さらに、デジタル庁が司令塔となって、総務省も全国の自治体のデジタル化に積極的に取り組んでおり、各自治体においても様々な取組が行われている。一方で、デジタル人材の不足や、いわゆるデジタル弱者に対する対応が不可欠であるという課題も分かった。  県は、これまでの取組の更なる加速化を図り、究極的には手続がワンストップで完了できるデジタル化に向け、スピード感を持って、以下の取組を進めていく必要がある。 1 デジタル化に関する諸施策  (一) 県庁内でデジタル化に取り組むための司令塔を強化し、全庁的にデジタル化を推進できるような体制をとるとともに、デジタル化推進に必要な予算の確保を行うこと。  (二) 市町村により規模も異なるため、デジタル化を担う職員に限りがある。そのため、本県自らもデジタルの人材育成を積極的に行い、県内の市町村デジタル化推進の役割をより強力に担えるような取組を行うこと。  (三) 国においてはマイナンバーカードの取得促進を重点施策に掲げており、本県でも出張窓口申請等の取組を強化し、効果が表れている。しかし、安全性に対して不安を感じている県民もまだ多いことから、引き続き丁寧に説明し、理解してもらうこと。  (四) 行政手続のオンライン申請については、申請から料金の支払いまでワンストップで済ませられるようにし、究極的にはスマートフォンやパソコン一台だけで手続が完了できる仕組みを構築すること。  (五) サイバーセキュリティ対策については、これまでの取組を継続しつつ、確実な人材育成と必要な予算を確保すること。 2 医療・介護、産業振興等の方策  (一) 医療・介護や各産業分野においては、DX化の取組によるイノベーションが喫緊の課題であり、関係機関との連携を強化し、情報共有を図る必要がある。そのため、プラットフォーム形成のための組織づくりや関係機関との連携の強化に当たっては、県が主導的な役割を果たすこと。  (二) 医療分野においては、MMWINとの協力体制による医療の情報化を推進すること。 3 情報格差や個人情報保護等の諸課題  (一) 「誰も取り残されないための住民のデジタル理解」に具体的に取り組むこと。  (二) 行政手続のオンライン申請の構築に当たっては、分かりやすい申請画面を県民から提案してもらうなどにより、県民誰もが簡単に使えるシステムを構築すること。  (三) 高齢者や障害者がデジタル化から取り残されないように、講習会の開催や地域社会のサポート体制の強化を図るなど、県が市町村と連携して取り組むこと。地域のサポートに当たっては、地域内にいる人たち全てが年代や障害の有無に関わらず協力できるような仕組みづくり、市町村を中心に相談しやすい窓口づくりに取り組むこと。 以上、これらの提言が今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。 令和四年十一月二十一日           宮城県議会地方デジタル化調査特別委員長 高橋 啓宮城県議会議長 菊地恵一殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------議会運営委員の選任 ○議長(菊地恵一君) 日程第三十九、議会運営委員の選任を行います。 議会運営委員の選任につきましては、宮城県議会委員会条例第七条の規定により、お手元に配布のとおり指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。……………………………………………………………………………………………    議会運営委員名簿                    令和四年十一月二十四日(木)     佐々木奈津江君  枡 和也君    八島利美君     天下みゆき君   遠藤伸幸君    遠藤隼人君     渡辺勝幸君    佐々木賢司君   熊谷義彦君     中島源陽君    中山耕一君    安藤俊威君----------------------------------- △常任委員の選任 ○議長(菊地恵一君) 日程第四十、常任委員の選任を行います。 常任委員の選任につきましては、宮城県議会委員会条例第七条の規定により、お手元に配布のとおり指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。……………………………………………………………………………………………    常任委員名簿    第三百八十六回宮城県議会(十一月定例会)令和四年十一月二十四日総務企画委員会(十人)      松本由男君      瀬戸健治郎君      天下みゆき君      佐々木功悦君      遠藤伸幸君      佐々木賢司君      外崎浩子君      渡辺忠悦君      佐々木喜藏君      畠山和純君環境福祉委員会(十人)      金田もとる君      佐藤剛太君      伏谷修一君      わたなべ 拓君      庄田圭佑君      岸田清実君      ゆさみゆき君      仁田和廣君      石川光次郎君      安藤俊威君経済商工観光委員会(九人)      佐々木奈津江君      福井崇正君      櫻井正人君      村上久仁君      境 恒春君      横山のぼる君      吉川寛康君      菊地恵一君      藤倉知格君農林水産委員会(十人)      枡 和也君      渡邉重益君      高橋宗也君      三浦一敏君      太田稔郎君      高橋 啓君      守屋守武君      池田憲彦君      熊谷義彦君      中島源陽君建設企業委員会(九人)      石田一也君      福島かずえ君      佐藤仁一君      伊藤吉浩君      遠藤隼人君      渡辺勝幸君      伊藤和博君      本木忠一君      中山耕一君文教警察委員会(十人)      柏 佑賢君      大内真理君      三浦ななみ君      八島利美君      横山隆光君      菅間 進君      坂下 賢君      佐々木幸士君      高橋伸二君      中沢幸男君-----------------------------------予算特別委員会の設置 ○議長(菊地恵一君) 日程第四十一、予算特別委員会の設置を議題といたします。 お諮りいたします。 県予算を審査または調査するため、議員全員で構成する予算特別委員会を別紙要綱案により設置することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。……………………………………………………………………………………………    予算特別委員会設置要綱(案)第一条 県予算を審査又は調査するため、宮城県議会に予算特別委員会(以下「委員会」という。)を設置する。第二条 委員会は、議員全員をもって構成し、委員長及び副委員長は、委員会において互選する。第三条 委員会の円滑な運営を図るため、委員会に理事会を置く。2 理事会は、委員長、副委員長及び理事をもって構成する。3 理事は、委員会で選任し、十二人とする。4 理事会は、委員長が招集する。第四条 委員会に六分科会を置く。2 分科会は、現に設置されている常任委員会の委員をもって構成し、県予算のうちその所管事項に関する部分を審査又は調査する。3 分科会に主査、副主査及び主査職務代行者を置くものとし、主査には常任委員長、副主査には同副委員長及び主査職務代行者には同委員長職務代行者をもって、それぞれ充てる。第五条 委員会は、設置の日から翌年の最後に招集される定例会の開会日の前日まで存続し、閉会中も審査又は調査を行うことができるものとする。第六条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、理事会に諮って委員長がこれを定める。…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) あらかじめ会議時間を延長いたしておきます。 議会運営委員会、各常任委員会及び予算特別委員会の委員長及び副委員長互選のため暫時休憩いたします。    午後一時四十二分休憩-----------------------------------    午後二時四十九分再開 ○議長(菊地恵一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 御報告いたします。 議会運営委員会、各常任委員会及び予算特別委員会の委員長及び副委員長は、互選の結果、次のように決定いたしました。    議会運営委員会      委員長   中島源陽君                 副委員長  渡辺勝幸君    総務企画委員会      委員長   佐々木賢司君                 副委員長  瀬戸健治郎君    環境福祉委員会      委員長   庄田圭佑君                 副委員長  伏谷修一君    経済商工観光委員会    委員長   横山のぼる君                 副委員長  福井崇正君    農林水産委員会      委員長   守屋守武君                 副委員長  渡邉重益君    建設企業委員会      委員長   遠藤隼人君                 副委員長  伊藤吉浩君    文教警察委員会      委員長   横山隆光君                 副委員長  八島利美君    予算特別委員会      委員長   石川光次郎君                 副委員長  太田稔郎君 以上のとおりであります。----------------------------------- △休会の決定
    ○議長(菊地恵一君) お諮りいたします。 議案調査のため、明日から十一月三十日まで六日間本会議を休会とし、十二月一日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(菊地恵一君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から十一月三十日まで六日間本会議を休会とし、十二月一日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。----------------------------------- △散会 ○議長(菊地恵一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 十二月一日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時五十一分散会...