宮城県議会 > 2022-09-26 >
09月28日-03号

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  1. 宮城県議会 2022-09-26
    09月28日-03号


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    最終取得日: 2023-06-18
    令和 4年  9月 定例会(第385回)          第三百八十五回宮城県議会(定例会)会議録                              (第三号)令和四年九月二十八日(水曜日)  午後十時開議  午後四時二十一分散会      議長                     菊地恵一君      副議長                    外崎浩子君出席議員(五十六名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  佐々木奈津江君        第四番                  石田一也君        第五番                  佐藤剛太君        第六番                  伏谷修一君        第七番                  松本由男君        第八番                  柏 佑賢君        第九番                  福井崇正君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  三浦ななみ君       第十三番                  枡 和也君       第十四番                  佐藤仁一君       第十五番                  渡邉重益君       第十六番                  わたなべ 拓君       第十七番                  伊藤吉浩君       第十八番                  八島利美君       第十九番                  瀬戸健治郎君       第二十番                  櫻井正人君      第二十一番                  村上久仁君      第二十二番                  高橋宗也君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  佐々木功悦君      第二十六番                  境 恒春君      第二十七番                  太田稔郎君      第二十八番                  高橋 啓君      第二十九番                  遠藤伸幸君       第三十番                  横山のぼる君      第三十一番                  庄田圭佑君      第三十二番                  遠藤隼人君      第三十三番                  渡辺勝幸君      第三十四番                  横山隆光君      第三十五番                  佐々木賢司君      第三十六番                  守屋守武君      第三十七番                  外崎浩子君      第三十八番                  池田憲彦君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  渡辺忠悦君      第四十二番                  菅間 進君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十六番                  伊藤和博君      第四十七番                  佐々木幸士君      第四十八番                  高橋伸二君      第四十九番                  菊地恵一君       第五十番                  佐々木喜藏君      第五十一番                  石川光次郎君      第五十二番                  中島源陽君      第五十三番                  本木忠一君      第五十四番                  中山耕一君      第五十五番                  安藤俊威君      第五十六番                  畠山和純君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠席議員(二名)      第四十五番                  吉川寛康君      第五十七番                  仁田和廣君欠員(一名)        第三番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    遠藤信哉君      副知事                    池田敬之君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   志賀真幸君      復興・危機管理部長              佐藤達哉君      企画部長                   千葉 章君      環境生活部長                 佐藤靖彦君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   宮川耕一君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             冨田政則君      総務部参事兼秘書課長             相澤一行君      総務部財政課長                大町久志君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      副教育長                   嘉藤俊雄君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    西條 力君      事務局長                   千葉幸太郎君    公安委員会      委員長                    山口哲男君      警察本部長                  原 幸太郎君      総務部長                   佐藤孝治君    労働委員会      事務局長                   小松直子君    監査委員      委員                     吉田 計君      事務局長                   武内浩行君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   阿部正直君      副事務局長兼総務課長             藤田信治君      議事課長                   菅原敏彦君      参事兼政務調査課長              川村 満君      総務課総括課長補佐              堀 喜昭君      議事課副参事兼総括課長補佐          二上秀幸君      政務調査課副参事兼総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査(副班長)           狩野嘉孝君-----------------------------------    議事日程 第三号                令和四年九月二十八日(水)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百三十九号議案ないし議第百四十三号議案、議第百四十五号議案ないし議第百六十七号議案及び報告第二十九号ないし報告第三十二号第三 議第百六十八号議案 令和四年度宮城県一般会計補正予算第四 議第百六十九号議案 令和四年度宮城県県有林特別会計補正予算第五 議第百七十号議案 令和三年度宮城県一般会計決算及び各特別会計決算の認定について第六 議第百七十一号議案 令和三年度宮城県公営企業会計決算の認定について第七 議第百七十二号議案 令和三年度宮城県水道用水供給事業会計処分利益剰余金の処分について第八 議第百七十三号議案 令和三年度宮城県工業用水道事業会計処分利益剰余金の処分について第九 議第百七十四号議案 令和三年度宮城県地域整備事業会計処分利益剰余金の処分について第十 議第百七十五号議案 令和三年度宮城県流域下水道事業会計処分利益剰余金の処分について第十一 報告第三十三号 令和三年度宮城県水道用水供給事業会計継続費精算の報告について第十二 報告第三十四号 令和三年度宮城県工業用水道事業会計継続費精算の報告について第十三 報告第三十五号 令和三年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率の報告について第十四 一般質問(代表)   〔佐々木賢司君、ゆさみゆき君、天下みゆき君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二ないし日程第十三 議第百三十九号議案ないし議第百四十三号議案、議第百四十五号議案ないし議第百六十七号議案及び報告第二十九号ないし報告第三十二号       議第百六十八号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十三号ないし報告第三十五号三 日程第十四 一般質問(代表)       〔佐々木賢司君、ゆさみゆき君、天下みゆき君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(菊地恵一君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、四十八番高橋伸二君、五十番佐々木喜藏君を指名いたします。----------------------------------- △議長発言 ○議長(菊地恵一君) この際、一言申し上げます。 このたび、本県議会議員が公職者あっせん利得罪の容疑で逮捕されましたこと、誠に遺憾であります。県民の皆様の県議会に対する信頼を著しく損なう結果となり、議会を代表し県民の皆様に深くおわびを申し上げます。本県議会では過去に不祥事があったことを踏まえ、平成十一年に宮城県議会議員の政治倫理確立のための条例、平成二十一年には宮城県議会基本条例を定めるなど、公正で開かれた民主政治の進展に努めてきたところではありますが、再びこのような事態に至ったことを議員一同、厳粛に受け止めているところであります。議会として、今後より一層政治倫理の徹底に全力を挙げるとともに、不祥事防止に取り組み、県民に信頼される議会を目指し、最善を尽くしてまいる所存であります。----------------------------------- △諸報告 ○議長(菊地恵一君) 御報告いたします。 お手元に配布の諸報告一覧表のとおり、地方自治法第百五十条第六項の規定により、令和三年度宮城県内部統制評価報告書について提出がありました。 お手元に配布のとおり、条例の規定により、令和四年度政策評価・施策評価に係る評価の結果の概要について、提出がありました。----------------------------------- △議第百三十九号議案ないし議第百四十三号議案 △議第百四十五号議案ないし議第百六十七号議案 △報告第二十九号ないし報告第三十二号 △議第百六十八号議案ないし議第百七十五号議案 △報告第三十三号ないし報告第三十五号・一般質問(代表) ○議長(菊地恵一君) 日程第二ないし日程第十三、議第百三十九号議案ないし議第百四十三号議案、議第百四十五号議案ないし議第百六十七号議案及び報告第二十九号ないし報告第三十二号並びに議第百六十八号議案ないし議第百七十五号議案及び報告第三十三号ないし報告第三十五号を一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提出理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました議案の概要を御説明申し上げます。 初めに、議第百六十八号議案及び議第百六十九号議案は、七月に発生した大雨被害からの復旧に要する経費を追加計上するための令和四年度一般会計補正予算案及び令和四年度県有林特別会計補正予算案であります。 その主な内容ですが、災害救助法の適用を受けた大崎市と松島町を対象として、避難所の運営や賃貸型応急住宅の供与など応急救助に要する経費を計上いたします。冠水等の被害を受けた農業者に対しては、農業用ハウス等の復旧を支援するとともに、事業の継続を図る観点から生産資材や飼料の購入費等に対する助成を行います。 また、道路や河川などの公共土木施設や農地・農業用施設、林道施設などの復旧に要する経費を計上するとともに、流域全体で取り組む治水対策に向けた計画策定等を行います。 今回の補正規模は一般会計で二百四億一千六百余万円、総会計で二百四億九千七百余万円となります。財源としては、国庫支出金九十九億九千百余万円、県債七十六億七千五百余万円、繰入金二十六億六千余万円などを追加しております。 この結果、今年度の予算規模は一般会計で一兆一千九百六十七億八千七百余万円、総計で一兆六千七百二十九億三千二百余万円となります。 次に、予算外議案でありますが、議第百七十号議案及び議第百七十一号議案は一般会計及び特別会計並びに公営企業会計の令和三年度決算について、それぞれ議会の認定をお願いするもの、議第百七十二号議案ないし議第百七十五号議案は水道用水供給事業会計工業用水道事業会計地域整備事業会計及び流域下水道事業会計の令和三年度未処分利益剰余金の処分について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであり、詳細につきましては会計管理者及び公営企業管理者から御説明申し上げます。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。 ○議長(菊地恵一君) 会計管理者から説明を求めます。会計管理者兼出納局長冨田政則君。    〔会計管理者兼出納局長 冨田政則君登壇〕 ◎会計管理者兼出納局長(冨田政則君) 令和三年度宮城県歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。 初めに、県政運営の状況についてであります。 令和三年度の我が国の経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響の下にありましたが、九月末に緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除された以降は、厳しい状況が徐々に緩和され、持ち直しの動きが見られました。このような中、本県の経済動向は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続し厳しい状況にあり、一部に持ち直しの動きが見られましたが、年度後半からはその動きに足踏みが見られました。新・宮城の将来ビジョンの初年度となる令和三年度の県政運営においては、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策に取り組みつつ、復興の完遂や富県宮城の更なる発展に向けた施策を推進するとともに、子育て支援や教育・福祉の充実、各分野における人材確保対策やデジタル改革の推進などの県政課題を解決するための施策を積極的・重点的に予算化し、着実に進めました。特に、新型コロナウイルスへの対応については、前年度に引き続き、感染拡大の防止と県内経済の再生に向けて、全力で取り組みました。 次に、令和三年度に実施した主な施策について御説明申し上げます。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。 新型コロナウイルス感染症対策については、医療提供体制と感染拡大防止策の強化として、病床の確保や民間宿泊施設の借り上げなど療養体制の整備、大規模接種会場の設置などの新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築のほか、飲食店の認証制度や県が発出した営業時間短縮等の協力要請に応じた施設を運営する事業者に対して協力金を支給する市町村への補助などに取り組みました。また、宿泊割キャンペーンなど県内経済の立て直しに向けた仕組みづくりを推進しました。 次に、被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポートについてであります。 被災地の復興完了に向けては、心のケアや地域コミュニティーの再生など、被災された方々に寄り添った取組を行ったほか、グループ補助金等を活用した被災事業者の施設・設備の復旧整備や生産性向上への支援など、きめ細かなサポートを引き続き行いました。また、四月に東日本大震災の記憶・教訓の伝承に関する基本方針を策定し、その取組を着実に進めるとともに、六月には石巻南浜津波復興祈念公園内にみやぎ東日本大震災津波伝承館を開館し、展示の管理・運営を通して、震災の記憶・教訓の伝承に関する取組を推進しました。 次に、富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進については、AIやIoTの社会実装に向けた取組を推進するとともに、5Gを活用した地域課題解決のための実証モデル事業を実施したほか、県産品のEC販売やデジタルマーケティングの推進を図りました。更に、産業用地造成を検討する市町村を支援するとともに、首都圏からのUⅠJターンの促進のほか、新規就業者支援女性就労環境整備等の農林水産業の総合的な担い手確保対策に取り組みました。加えて、需要に応じた米や大豆等の作付支援や県産材需要を拡大するため、新たな木質建材開発への支援に取り組みました。また、天皇皇后両陛下にオンラインで御臨席を賜り、第四十回全国豊かな海づくり大会を開催しました。 次に、社会全体で支える宮城の子ども・子育てについてであります。 子育て環境の整備や少子化対策として、子供・子育て支援や若者の職業生活における活躍の推進のための基金を造成したほか、結婚希望者に対してAIマッチングシステムにより支援強化を図りました。また、教育分野では児童生徒の学力・体力の向上に取り組むとともに、県立学校における国際バカロレア・ディプロマプログラムを推進しました。 次に、誰もが安心して生き生きと暮らせる地域社会づくりについては、障害を理由とする差別解消に向け、スマートフォン用アプリを活用した助け合いサービスの実証事業を行ったほか、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の推進に取り組むとともに、美術館リニューアル基本方針等に基づき改修設計等を実施しました。 最後に、強靭で自然と調和した県土づくりについては、頻発化・激甚化する豪雨災害等への対策として、河川堤防の安全度確保対策や田んぼダムの取組拡大に向けた実証事業など、防災・減災対策による県土の強靭化に取り組みました。また、水素ステーション整備への助成等による水素エネルギーの利活用促進に取り組みました。 次に、一般会計及び特別会計の決算額について御説明申し上げます。 令和三年度の予算現額は、一般会計で一兆四千八百十八億三千百余万円、特別会計で四千二百九億九千四百余万円、合計一兆九千二十八億二千六百余万円となり、前年度に比べ二百九億四百余万円、一・一%の減となりました。これは、一般会計において復興事業の進展により、復興関連予算が減少したことが主な要因であります。これらの執行に当たりましては、議会の議決の趣旨を踏まえ、財源の適切な確保と事業の効率的な執行に意を用いるなど適正な執行に努力してまいりました。 初めに、歳入決算についてでありますが、決算額は一般会計で一兆三千三百三十二億八千六百余万円、特別会計で四千二百十六億七千六百余万円、合計一兆七千五百四十九億六千二百余万円となり、前年度に比べ百七十五億三千三百余万円、一・〇%の増となっております。 歳入の主なものは、県税については法人事業税及び地方消費税等が増加し、県税全体で三千九十七億八千五百余万円と前年度に比べ百六十八億九千九百余万円の増となり、一般会計に占める県税の割合は二三・二%となり、前年度より一・〇%高くなっております。 地方交付税は、震災復興に係る特別交付税が減少し、一千七百四十億四百余万円と前年度に比べ二百二十五億四千五百余万円、一一・五%の減となっております。 国庫支出金は、新型コロナウイルス感染症関連の交付金が増加し、二千八百六十五億五千六百余万円と前年度に比べ二百二億一千四百余万円、七・六%の増となっております。 諸収入は、中小企業経営安定資金等貸付金の償還金が減少した一方、道路橋りょう費市町村受託収入等が増加し、一千三百二十億七千五百余万円と、前年度と比べ十二億五千六百余万円、一・〇%の増となっております。 収入未済額については、一般会計で九百三十九億四百余万円となっておりますが、そのうち国庫支出金が八百五十七億八千百余万円で、その主なものは、翌年度繰越事業に係る国庫支出金であります。また、特別会計の収入未済額は九千七百余万円となっておりますが、その主なものは貸付金の未返還金であります。 次に、歳出決算についてでありますが、決算額は一般会計で一兆二千七百三十四億二千余万円、特別会計で四千百六十一億三千八百余万円、合計一兆六千八百九十五億五千八百余万円で、前年度に比べ六百億五千五百余万円、三・七%の増となっております。このうち、一般会計の歳出決算額について構成比が高いものは、商工費一四・七%、教育費一四・二%、諸支出金一二・〇%、民生費一一・九%の順となっております。また、主な特別会計の歳出決算額については、公債費特別会計が二千三十四億六千六百余万円、国民健康保険特別会計が二千二十四億九千七百余万円となっております。なお、主な事業の実績については新・宮城の将来ビジョン成果と評価のとおりであります。 令和四年度への予算の繰越しについては、一般会計で繰越明許費が一千二十七億四千八百余万円、事故繰越が五百二十六億一千三百余万円となり、特別会計で繰越明許費が十一億七千九百余万円、事故繰越が一億一千百余万円となっております。不用額については、一般会計で五百三十億四千八百余万円、特別会計で三十五億六千五百余万円となりましたが、これは事業の執行残などによるものであります。 その結果、実質収支については、一般会計で二百六十八億九千七百余万円の黒字となり、前年度に比べ七億八千百余万円、二・八%の減となりました。 次に、基金については、財政調整基金などの年度末残高が取崩しにより減少する一方、県債管理基金地域整備推進基金などの増加により、全体としては前年度より四百三十八億七千九百余万円増加しております。 以上をもちまして、令和三年度決算の概要についての説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(菊地恵一君) 公営企業管理者から説明を求めます。公営企業管理者佐藤達也君。    〔公営企業管理者 佐藤達也君登壇〕 ◎公営企業管理者(佐藤達也君) 令和三年度宮城県公営企業会計の決算の概要及び利益の処分について御説明申し上げます。 企業局におきましては、地方公営企業の経営の基本原則である企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉の増進を達成すべく、健全経営、安心信頼の確保、安定供給の持続を目指した企業経営に取り組んでおります。 しかしながら、水道用水供給事業、工業用水道事業及び流域下水道事業においては、人口減少社会の到来等による水需要の逓減傾向に加え、施設の老朽化に伴う更新費用の増加等により、経営を取り巻く環境が厳しさを増していくものと考えられます。また、地域整備事業においては、仙台港国際ビジネスサポートセンター、愛称アクセルや仙台港周辺地域に保有する資産の有効活用のほか、仙台港周辺地域の更なるにぎわいの創出に向けた取組が求められております。 このような中、令和三年度は宮城県上工下水一体官民連携運営事業、いわゆるみやぎ型管理運営方式の令和四年四月からの事業開始に向けて、県民向けの説明会を開催するなど、適時適切な情報発信に取り組んだほか、事業者間の調整を図り、運営権者への事業引継ぎが円滑に行われるよう努めました。また、地域整備事業では貸付けや売却により保有資産を有効に運用したほか、仙台港周辺地域の恒久的なにぎわいの創出に向けて、周辺企業と連携し、取組を進めてまいりました。 今後も厳しい経営環境が続くものと想定されますが、市町村や関係団体との連携を強化し、将来を見据えた事業の安全性・安定性・持続可能性の確保に努めるほか、事業初年度となるみやぎ型管理運営方式については、運営権者による安定的な運営の早期確立を支援するとともに、運営権者、県及び経営審査委員会による複層的なモニタリングを着実に実施してまいります。 以下、各事業会計の決算概要について御説明申し上げます。 初めに、水道用水供給事業会計について御説明申し上げます。 水道用水供給事業は、大崎広域水道事業及び仙南・仙塩広域水道事業の二事業で、給水対象の二十五市町村に対し、八千九百余万立方メートルの水道用水を供給しました。 収益的収入の決算額は百三十五億七千三百余万円、収益的支出の決算額は百十四億四千九百余万円となっており、十七億五千六百余万円の純利益となっております。 資本的収支に係る建設工事については、大崎広域水道事業では田尻川水管橋工事等を、仙南・仙塩広域水道事業では足立送水連絡管布設工事等を実施しました。 資本的収入の決算額は十三億余万円、資本的支出の決算額は八十一億四千二百余万円となり、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額、六十八億四千二百余万円は過年度分損益勘定留保資金等で補填しております。 水道用水供給事業については、水道施設の耐震化や強靱化に加え、水管橋の定期点検計画策定に向けて取り組んだほか、災害時バックアップ体制の整備などを計画的に進めるとともに、近年発生しているカビ臭や大雨等に起因する水質悪化に対し、迅速かつ適切に対応するなど、安全で良質な水の提供に努めました。 今後も、水需要に応じた適正規模での施設更新を進め、安全・安心な水の供給に努めてまいります。 次に、工業用水道事業会計について御説明申し上げます。 工業用水道事業は、仙塩工業用水道事業、仙台圏工業用水道事業及び仙台北部工業用水道事業の三事業で、延べ七十四事業所に対して、年間三千二百余万立方メートルの工業用水を供給しました。 収益的収入の決算額は十九億五千余万円、収益的支出の決算額は十六億一千九百余万円となっており、三億百余万円の純利益となっております。 資本的収支に係る建設工事については、仙塩工業用水道事業では砂押川水管橋外伸縮可とう管補強工事等を、仙台圏工業用水道事業では熊野堂配水池上屋改築工事等を、仙台北部工業用水道事業では濁度低減処理施設工事等を実施しました。 資本的収入の決算額は十億余万円、資本的支出の決算額は十四億九千余万円となり、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額、四億九千余万円は過年度分損益勘定留保資金等で補填しております。 工業用水道事業については、異常気象等に起因する原水の高濁度対策として整備した濁度低減処理施設を令和三年五月に稼働させたほか、経営状況の改善に向けての検討結果を踏まえ、適切な管理修繕の実施や施設の長寿命化に取り組み、更新投資を抑制することにより費用の削減に努めました。 今後も、厳しい経営環境を意識し、経営の安定化に向けた取組を着実に実施してまいります。 次に、地域整備事業会計について御説明申し上げます。 地域整備事業は、アクセルの運営や仙台港周辺地域における土地の貸付け及び売却を行いました。 収益的収入の決算額は五億八千三百余万円、収益的支出の決算額は三億二百余万円となっており、二億七千六百余万円の純利益となっております。 資本的収支に係る建設工事については、アクセルの空調設備更新工事等を実施しました。 資本的収入の決算額は二億九千九百余万円、資本的支出の決算額は五千百余万円となっております。 地域整備事業については、保有資産の適正な管理に努めるとともに、仙台港周辺地域のにぎわいを確かなものとするための推進母体である官民連携組織仙台港周辺地域にぎわい創出コンソーシアムの事務局として運営を支援しております。 今後も、保有資産の有効かつ効率的な運用や官民連携による仙台港周辺地域の更なるにぎわい創出に向けて事業を進めてまいります。 最後に、流域下水道事業会計について御説明申し上げます。 流域下水道事業は、仙塩流域下水道事業、阿武隈川下流流域下水道事業、鳴瀬川流域下水道事業、吉田川流域下水道事業、北上川下流流域下水道事業、北上川下流東部流域下水道事業及び迫川流域下水道事業の七事業で、二十六市町村が管理する公共下水からの汚水、一億二百余万立方メートルを処理しました。 収益的収入の決算額は、百五十三億五百余万円、収益的支出の決算額は百四十八億一千六百余万円となっており、四億七千六百余万円の純利益となっております。 資本的収支に係る建設工事については、主なものとして仙塩流域下水道事業の仙塩流域下水道幹線流量計改築工事、北上川下流流域下水道事業の石巻浄化センター汚泥処理棟耐震改築工事等を実施しました。 資本的収入の決算額は三十六億七千八百余万円、資本的支出の決算額は四十八億八千百余万円となり、資本的収入が資本的支出に対して不足する額、十二億三百万円余は過年度分損益勘定留保資金等で補填しております。 流域下水道事業については、下水道施設の計画的な更新や耐震化に取り組んだほか、処理後の放流水が河川や海域の水質に悪影響を与えないよう、浄化センターごとに法令基準よりも厳しい県独自の管理目標値に基づいた運転を実施し、公共用水域の水質維持に努めました。 今後も、公衆衛生の向上と公共用水域の水質保全に資するため、下水道施設の適切な運用、維持管理に努めてまいります。 続きまして、公営企業会計の利益の処分について御説明申し上げます。 水道用水供給事業会計においては、令和三年度の純利益である十七億五千六百余万円と、減債積立金から取り崩して企業債の償還に使用したことにより未処分利益剰余金となる二十二億六百余万円の、合わせて三十九億六千二百余万円が未処分利益剰余金として発生しております。 このうち、十七億五千六百余万円は、翌年度以降の欠損金の補填に要する財源として利益積立金に積み立てを行い、また、二十二億六百余万円は、資本金に組み入れる予定としております。 工業用水道事業会計においては、令和三年度の純利益である三億百余万円と、減債積立金から取り崩して企業債の償還に使用したことにより未処分利益剰余金となる八千三百余万円の、合わせて三億八千四百余万円が未処分利益剰余金として発生しております。このうち、一億八千八百余万円は翌年度以降の施設更新に要する財源として建設改良積立金に、一億一千三百余万円は翌年度以降の欠損金の補填に要する財源として利益積立金にそれぞれ積立てを行い、また、八千三百余万円は資本金に組み入れる予定としております。 地域整備事業会計においては、令和三年度の純利益である二億七千六百余万円の未処分利益剰余金が発生しており、全額を一般会計へ納付する予定としております。 流域下水道事業会計においては、令和三年度の純利益である四億七千六百余万円と、減債積立金から取り崩して企業債の償還に使用したことにより未処分利益剰余金となる三億一千六百余万円の、合わせて七億九千三百余万円が未処分利益剰余金として発生しております。このうち、四億七千六百余万円は翌年度以降の欠損金の補填に要する財源として利益積立金に積立てを行い、また、三億一千六百余万円は資本金に組み入れる予定としております。 以上をもちまして、令和三年度公営企業会計の決算の概要及び利益の処分についての説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
    ○議長(菊地恵一君) 補正予算及び決算に係る各部局長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。……………………………………………………………………………………………                           宮人委第167号                          令和4年9月26日 宮城県議会議長 菊地恵一殿                         宮城県人事委員会                           委員長 西條 力           条例案に対する意見について 令和4年9月15日付け宮議第257号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。                 記 「議第140号議案 会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第141号議案 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第142号議案 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第143号議案 職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正等に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第145号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第146号議案 一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第147号議案 職員の高齢者部分休業に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正等に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第148号議案 人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第149号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正等に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第150号議案 職員の勤務時間,休暇等に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第151号議案 職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正等に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第152号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正等に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第159号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等の特別措置に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正等に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第160号議案 学校職員の勤務時間,休暇等に関する条例の一部を改正する条例」  この条例案は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)の改正に伴い,職員の定年引上げに関して所要の改正を行うものであり,適当と認めます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(菊地恵一君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と日程第十四、一般質問とを併せて行います。 質疑、質問は順序に従い許します。三十五番佐々木賢司君。    〔三十五番 佐々木賢司君登壇〕 ◆三十五番(佐々木賢司君) 自由民主党・県民会議を代表して県民皆様に申し上げます。 昨日、我が会派の所属議員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、心より深くお詫び申し上げます。今後、捜査に全面的に協力していくとともに、改めて信頼していただけるように、我が会派所属議員一人一人が最善を尽くしてまいります。御心配、御迷惑をおかけいたしまして、誠に申し訳ございませんでした。 それでは質問に入ります。 令和元年十月六日に南鳥島近海で発生した台風十九号は西に進みながら発達し、七日十八時には猛烈な勢力となり、その勢力を維持したまま十二日には伊豆半島に上陸。東北地方では十一日から雨が降り出し、翌十二日には激しい雨に変わり、十二日夕方から十三日明け方にかけて局地的に猛烈な雨となり、阿武隈川水系や鳴瀬川水系の中小河川の氾濫や土砂崩れ等によって、二十名の貴い命が奪われ、住宅等の被害も二万棟近くに上り、被害総額一千五百億円余りと甚大な規模でありました。吉田川が大郷町粕川地内で決壊し、その水が鹿島台志田谷地地域に達し、広範囲で浸水被害が発生。二百九世帯が冠水被害に遭い、秋の収穫後と重なり、志田谷地遊水地では稲わらが排水作業を妨げ、志田谷地排水機場や品井沼排水機場の能力をはるかに超える水量に国土交通省のポンプを増設して排水作業を行うも一向に進まず、湖に浮かんでいるかのような家屋を吉田川の堤防から眺め、その時に感じた悔しさを今でも忘れることはありません。十月十八日、県議会議員選挙の告示を迎え、再び県民の負託を受けた議員として、改めて台風十九号からの復旧復興に取り組む決意でスタートした二期目。年が明けて令和二年一月に国内で一例目となる新型コロナウイルス感染症の陽性者が発表され、今日に至るまでの二年八か月、未だ衰退を見せないウイルスとの闘い。そして令和四年七月十五日からの大雨によって宮城県は広範囲で浸水冠水被害。近年の大雨や東日本大震災をはじめとする自然災害と照らし合わせれば、社会の安全・安心を構築するにあたりコンクリートの貢献度は高かったのではないか。私の政治の師から「目の前の問題・課題を先送りすることはあってはならない。その時代の政治家がその時代の問題課題に正面から向き合い、解決しなければならない。」と、御教授いただいた時、二〇〇九年の「コンクリートから人へ」という誤りから「コンクリートは人を創る、人を守る、地域を潤す」へと正しく理解し、県民の安心・安全な生活環境を保ち、高齢化社会を支える県土の強靭化を進めるべきであります。度重なる自然災害と変化を繰り返すウイルスとの闘いの中、県民の不安は増すばかりでありますが、今こそ県民生活の安寧と強い県土づくり、誇れる県内産業を世界に発信する宮城県を目指し、自由民主党・県民会議を代表して、これより質問いたします。 大綱一点目、宮城県の諸課題についてのうち、河川と排水施設整備について。 七月十六日午前五時四十分頃、名蓋川左岸側が決壊したのをはじめ、翌日右岸側、翌々日には左岸側が決壊。名蓋川は平成二十七年、令和元年にも決壊し、周辺地域が床上床下浸水を三度経験することになりました。令和元年の東日本台風による災害発生後、堤防補強工事等に関して当時の北部土木事務所の職員は地元説明会を丁寧に行ってきました。令和三年二月に行われた説明会では、河道内調査結果が報告され、多田川合流点から上流の国道三百四十七号までの区間において二〇%程度の阻害率の堆積土砂が確認され、背水区間二・三キロメートルを本年十一月から堤防補強を進める計画であったことから、今回の決壊は無念であると同時に、令和二年四月から五月にかけて行った堤防の緊急点検結果に基づき、名蓋川の対策を早めるべきであったと言わざるを得ず、地元の行政区長さんから人災だと指摘されたゆえんかもしれません。その反省に立って、知事は現地視察で改良復旧工事を集中的に行う旨の発言。その後、国土交通大臣の視察では輪中堤整備の提案がされ、その後大崎市でも協議を行うと新聞等でも報道があり、現在の河川堤防の早期の改良復旧を願っている地域住民にとって、聞き慣れない輪中堤という言葉が一人歩きをして、戸惑いや地域住民の意見も聴かず輪中堤整備を進めるのか、という不信感を持っているのも事実であります。 九月十三日に設置された検討会は、年内に三回程度の開催を目安としているものと認識しておりますが、決壊した大崎市古川矢目地域はもちろんのこと、上流に位置する加美町でも大きな被害が発生していることを鑑み、流域治水整備事業の重点箇所と位置づけた上での整備着手が求められます。七号補正として河川調査費が計上されますが、七年間で三度決壊した河川の原因、現状について、知事はどのように考え、改めて災害に強い河川整備を目指すのか、御所見を伺います。 名蓋川とその南側を流れる立堀川の下流には多田川につながる長堀川があり、この河川は三本木高柳地区から国道四号までが土地改良区河川、国道四号から県管理河川、その先に国土交通省の排水機場につながります。しかし、県の河川整備計画がありません。高柳地区は、これまでも幾度となく集落を囲むような冠水被害があり、今回も三日程度は集落外に出ることが困難な状況でした。昨年、農政部と地元の土地改良区、大崎市の立会いの下、現地を視察して現状を説明させていただきましたが、所管の異なる一本の川、更には国も関係するとして苦慮しております。流域治水を計画的に推進する中で長堀川のように所管が異なる川について、国や県、市と関係機関、地域が同じテーブルで河川の整備に向けた協議を進めなければならないと考えますが、御所見を伺います。 令和元年の東日本台風で決壊した吉田川は今回決壊を免れました。これは鳴瀬川水系流域治水プロジェクトの推進による効果と考えます。令和元年に決壊した大郷町内の堤防の改良復旧をはじめ、河道掘削や支障木伐採等を進めた結果、吉田川が決壊を免れたことは長年水害に苦しんできた住民の安心につながりました。県として、この鳴瀬川水系流域治水結果をどのように評価しているのか、また、更なる推進に向けての課題、克服すべき問題点について、御所見を伺います。 鹿島台の鶴田川は、吉田川サイフォンで松島町の高城川につながり、明治潜穴を通過して松島湾へと向かいます。平成三十年二月には、明治潜穴公園改修事業が着手されました。明治百五十周年を記念しての事業であり、観光客の訪問地、子供たちの学習の場、住民の憩いの場所として改修したものでありますが、先人たちが干拓事業を手作業で行っていたことに敬意を表するのであれば、本来は高城川の整備を含めたリノベーション事業として進めるべきであったと考えますが、高城川の整備計画と氾濫対策の状況について伺います。 令和元年の水害で機械や操作盤が浸水し、稼働不全になった排水機場が発生したことを受け、その後の復旧で操作盤を高い位置に移動するなどの対策を実施されたものと考えますが、今回の大雨ではそもそも作動しなかった、または作動するまで時間を要したという報告があったと伺っています。中には、小型消防ポンプ車のポンプをかき集め、その場をしのぎ、床上浸水を免れたという地域もあります。例えば民間会社の工作機械の場合、作業前の日次点検や月次点検、有資格者による年次点検を実施することによって、機械の不具合を早期に発見し、誤作動等による事故や生産工程の停滞を防ぐ仕組みがあります。排水機場や移動ポンプの日常点検を含む点検方法やメンテナンスの時期等はどのような基準で実行され、記録管理はどのようにされているのか、伺います。 次に、浸水時における県道の在り方について。 我が会派所属議員は、それぞれの地域で河川や道路、農地等の現場を深夜から確認。道路の冠水、土砂崩れ等状況を確認。私は、同時に避難所開設状況も確認するも、準備はしているが自主的避難をされる住民に対応するという回答に、いささかの不安を感じながら一旦帰宅。夜が明け、再度状況確認のために車を走らせると、道路冠水箇所は増え、冠水した県道に取り残された車両を数箇所で発見。その数メートル前には立入禁止のバリケードと地元消防団数人。聞けば、自主的に通行規制をして迂回するように誘導していたとのこと。近年の大雨や台風が頻発化する中、消防団は水防団としての役割も担っていますが、今回も被害が広範囲であり、行政側の対応にも限度があったと思われる中で、通行車両の迂回誘導は消防団の本来の業務であったのか。また、七月の連休であったこともあり、通行できる道路を探そうとした他県ナンバーの車両も多く見られ、冠水した県道と知らずに次々に入ってくる車両同士の二次災害を案じて自主的な通行規制をしたものであります。しかし、県管理の道路であり、通行規制の指示も本来は県が行うべき案件だと考えますが、消防団の在り方も含めて御所見を伺います。 今回大郷町内の鶴田川が越水し、その水が県道小牛田松島線を越えて鹿島台上志田地域に流れ込み、床下浸水を被りました。令和元年の東日本台風の時と同様に西側からの浸水でありました。なぜ同じことが繰り返されるのか。お話を伺った住民の不満は当然であると考えます。県道は、災害時の避難道路としても活用されるものであり、頻発化する大雨や台風の際に通行不能になることは避けなければならないという観点から、これまでの浸水被害の結果を照らし合わせて冠水リスクの高い県道のかさ上げを検討すべきと考えますが、御所見を伺います。 次に、内水対策について。 堤防決壊による被害がクローズアップされる中、内水による家屋等の浸水被害は未解決のままです。特に大崎市鹿島台姥ヶ沢地区では、幾度となく冠水被害に遭い、大崎市では現在の貯水池のほか、新たに増設する計画があるものの、大雨のたびに床上・床下浸水に悩まされております。住み始めて九回も床上浸水した住宅や新築して早々に浸水被害に遭った住宅など、住民の不安と不満は増すばかりです。私は、八月に地元の市議会議員と共に用水路を下流まで歩き、現状を確認。大雨が降った際に、二線堤外側の水が用水路から流れ着く先が姥ヶ沢地区であるということ、また二線堤外側と二線堤内側の水の合流点では外側の水圧が強く、内側、いわゆる姥ヶ沢地区をはじめとする住宅地から流れてくる水の流れが弱く負けてしまうということ、二線堤の整備がいまだ完了していないことが影響していると感じます。頻発化する大雨や台風による内水氾濫対策は市町村だけでは解決できない案件であり、現状を把握・共有した上で県もしっかりと関わりを持つことが重要と考えますが、二線堤整備の見込みを含め、御所見を伺います。 次に、田んぼダム整備の推進について。 大雨の際、一時的に田んぼに水をためて、ゆっくり排水することで洪水被害を軽減する田んぼダムは、新潟県では平成十四年から取り組んでいると聞いています。平成二十三年の新潟福島豪雨の際、南区の旧白根地区では総降水量三百五十二ミリの大雨を記録しましたが、田んぼダムの取組によって浸水被害を三割程度軽減することができたと聞きます。この田んぼダムは、農地のみならず、市街地や住宅地の浸水被害を少しでも軽減させることから、地域防災という観点からも個々の農家だけではなく、農業農村の多面的機能を活用した取組として地域全体の理解と協力で推進すべきものであります。水は上流から下流に流れるため、下流で被害が発生するものです。田んぼダムの効果も上流での取組が重要であり、効果は下流に現れるものと考えます。県内の田んぼダムの整備状況、特に上流部での取組や更なる推進に向けた諸課題等について御所見を伺います。 次に、産業振興について。 東京商工リサーチによると、二〇二二年に全国で新型コロナウイルスに関連して経営破綻した企業は一千四百件を超えたとされ、倒産集計の対象外である負債一千万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破綻は累計で四千二百三十二件に達したと発表されました。国内の企業数を基にした比率では一千社に一社が破綻した計算であります。コロナ関連融資の返済開始時期が本格化する時期を迎え、コロナ禍以前の水準までに業績が回復せず、現在の資材高騰、物価高、更には円安の進行も相まった中で事業活動の環境悪化が重なり、返済原資の捻出が困難な企業が今後も増加し、コロナによる経営破綻が増勢する可能性が高まっているとされますが、宮城県内のこれまでの状況と今後の情勢をどのように捉え、中小企業・小規模事業者を支え、業績回復と成長に向けてどのように取り組んでいくとお考えなのか、伺います。 また、今年四月に公開された全国の旅行・観光消費動向調査によると、二〇二一年の日本人の国内消費額は九兆一千八百三十五億円で、二〇二〇年から七・九%の減少、二〇一九年からは五八・一%減少と報じられました。その後、まん延防止等重点措置が解除されたことを受け、地域観光事業支援県民割が拡大され、消費行動喚起につなげようとしましたが、実際に恩恵を受けたのは宿泊業者やインターネットで予約販売可能な、カバーの細やかな大手旅行会社であって、地元の中小・小規模事業者は設備投資や事業転換に対するコスト捻出が難しく、苦戦を強いられていると認識しています。その県民割も今月三十日宿泊分で終了となりますが、十月からは新たな観光需要喚起策として全国旅行支援が検討され、更には台湾便の再開という明るい兆しを感じさせるニュースもあるものの、インバウンド需要の回復まではもうしばらく時間を要するのではとの懸念もあります。中小・小規模事業者の現状についての認識と県としての観光事業支援策について、御所見を伺います。 次に、再生可能エネルギーの導入推進と環境問題について。 地球温暖化によるものと考えられる異常気象や災害は世界各地で起こっています。毎年、日本のどこかで大雨による災害が発生し、そのたびに、人命も含めて大きな被害が発生しているような状況であります。世界各地でも大雨による災害が多発し、例えばパキスタンでは今年六月から一部の地域で過去三十年の平均の五・五倍を超える降雨量を観測し、国土の三分の一が冠水したと報じられているなど深刻な被害が出ている一方で、中国やヨーロッパ等では大規模な干ばつが起こり、穀物の生産に被害が生じたり、重要な水運路である主要な河川の水位が低下し、サプライチェーンにも打撃を与えています。欧州連合欧州委員会は、少なくとも過去五百年で最悪の状況、との懸念を表明しました。これ以上の地球温暖化の進行を防ぐため、脱炭素社会の実現を目指さなければなりませんが、そのための主要な取組の一つが再生可能エネルギーの最大限の導入です。近年の夏の異常な暑さや頻発する大雨被害などを目の当たりにして、再生可能エネルギーの導入促進などを通じて、カーボンニュートラルに取り組むことが、一刻の猶予も許されない喫緊の課題であることを、県民皆様は感覚としても御理解いただいているものと考えます。また、昨今のウクライナ危機や円安により、ガソリンなどのエネルギー価格の高騰、あるいは電力の逼迫による節電要請が行われるなど、エネルギーの安全保障という観点からも、再生可能エネルギーの導入などの重要性がますます高まっているものと考えられます。その一方で、近年の急速な再生可能エネルギー施設の導入拡大により、景観も含めた自然環境への影響や土砂災害の発生などに対する地域の懸念が高まっており、丸森町の太陽光や風力発電施設、川崎町の関西電力による風力発電施設、そして大崎・栗原両市にまたがる六角牧場風力などをはじめとして、県内各地で住民の方々による反対運動が起こっています。六角牧場風力の計画に対しては「温泉郷の景観に著しい悪影響がある」として今年八月に地元鳴子温泉郷観光協会が反対することを表明しました。このほか、市民団体の鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会、環境保護団体日本雁を保護する会、NPO法人田んぼが反対し、県や大崎市に署名を提出しています。知事も記者会見の際などに、大規模に森林を開発しての再エネ施設の設置には、度々懸念を表明されていますが、再生可能エネルギーを最大限導入しなければいけない一方で反対運動も多く起こっている、この難しい状況に対する知事の基本的な認識について伺います。 県は、これらの問題に対応するため、土砂災害発生の可能性を高めるおそれがある区域を設置規制区域とすること、あるいは事前に地域住民への説明を義務づけることなどを定めた太陽光発電施設の設置等に関する条例を六月議会に上程し、様々な議論を経て可決され、十月一日に施行されることとなりました。私も令和元年十一月の予算特別委員会総括質疑で神戸市の例を挙げ、条例制定を提案させていただきましたが、まずは第一段階をクリアしたかのように思い安堵しております。この条例を適切に運用すれば、太陽光発電施設について地域との共生や土砂災害の発生防止に大きく貢献するものと期待をしているところです。更に、同じく六月議会では、環境コミュニケーション拡充を図るため、事業者に対し初期段階における住民説明を義務づけるなど、環境影響評価条例の改正も可決されました。このような制度の新設・改正などの対策を通じて、再生可能エネルギーに係る県民の皆様の不安に応えようとする県の努力は評価しておりますが、これらの対策により、「県民の皆様の御心配が十分解消できるのか」と、不安な面もあります。太陽光の条例については、環境福祉委員会などにおける執行部の説明では、「たとえ設置規制区域であっても、擁壁の設置などの必要な対策が取られれば許可せざるを得ない、また、住民の方々の合意を条件とすることは財産権の問題から困難である。」とのことであります。また、風力発電施設については現在反対運動が起こっているような大規模なものは環境アセスメントの対象となるといっても、環境影響評価は事業実施の際に環境の保全への適正な配慮を行うためのものであって、事業そのものをストップさせることはできない制度です。県民の共通の財産である山林などの豊かな自然がいかに財産権があるからといって、いかに再生可能エネルギーを最大限導入しなければならないからといって、無造作に開発される状況は県民の皆様も納得できないものがあり、その思いが各地の反対運動につながっているのではないでしょうか。先ほど述べたように、県としてはこの問題の解決に向けて、条例の制定などに積極的に取り組んできたと考えていますが、反対運動が多く起こっている状況などを踏まえて、現在の対策で十分だと考えているのか、この問題に県がこれまで取り組んできた経緯なども含めてお答えください。 また、十月に施行される太陽光発電施設の設置等に関する条例の効果を最大限に発揮させるには、この条例に基づき具体的にどのようなことに取り組むのかが県民の皆様の不安を払拭する上で非常に重要と考えます。既に設置されている太陽光発電施設については、大雨の際に土砂災害を誘発するおそれがないか、暴風でパネルが吹き飛ばされて、周辺の家屋などに被害を生じさせるおそれはないか、草刈りなどの管理が行き届かず感電事故などが発生するおそれがないか、森林を開発して設置された施設からの水が家屋や農地に流入しないかなど、住民の方々から不安の声が多く寄せられています。そこで、我が会派の環境・エネルギー議員連盟では、本年七月に兵庫県と広島県を訪問し、条例制定後の取組について調査を行なってまいりました。平成二十九年七月に条例施行された兵庫県では、令和三年に発生した熱海市の大規模土石流災害を受け、市町と連携し、県独自で施設の点検を実施し、結果として対象一千百五十四件のうち一千百三十九件から自己点検報告を受け、一千百三十六件について安全性を確認。未確認の三件については指導を継続。事業者不明等の理由から報告の無かった十五件についてパトロールによる点検、督促、事業者把握を行い、県民の安全確保に努めているということでありますが、事業者不明によって施設管理が放置されるなど、トラブルが多いとも聞いております。他県の実例も踏まえ、県も設置済みの施設について、一斉点検を行い、不適切な事例については指導を行うなどの徹底した対策が必要と考えますが、御所見を伺います。 先日、環境福祉委員会で集中審議を行った、新たな地球温暖化対策・再生可能エネルギー関連計画、仮称みやぎゼロカーボンチャレンジ二〇五〇戦略の中間案では、地域と共生した再生可能エネルギーの導入を促進する新たな取組の検討を重点対策としています。再生可能エネルギーの導入を促進しつつ、自然環境や地域との共生を図るという、この困難な課題を解決するため、この中間案に示されているとおり新たな取組が必要と考えます。私は、令和元年十一月の予算特別委員会総括質疑において、岡山県美作市の事業用太陽光発電パネル税の導入などを例に挙げ、知事に検討を求める質疑をしております。この税は、美作市内の事業用の太陽光発電設備のパネルの総面積一平方メートルにつき五十円を課税し、防災対策、生活環境対策及び自然環境対策のための施策に要する費用に充てるというものです。私が質疑を行った際の知事の答弁は「御紹介のあった事例をよく勉強したい。」というものでした。その答弁を聞いたときは、「勉強しますか--検討しますよりも下だな--一番消極的で全く考えていませんって意味なんだな。」とガッカリしたことを今でも覚えております。勉強したいと答弁されてから三年が経過しようとしていますが、この間、県内の太陽光発電設備施設は増加の一途をたどり、風力やバイオマスなど様々な発電設備施設が物議を醸しています。勉強していただいた成果も踏まえて、再生可能エネルギーに係る県民の皆様の不安を払拭するため、岡山県美作市のような税の導入も含めた新たな取組の検討が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、公共事業に対する影響について。 ロシアによるウクライナ侵攻やコロナ禍における原油価格や物価高騰に伴い、九月議会において農業者等に対する物価高騰対策費を今回の補正で計上されております。資源エネルギー庁エネルギー白書二〇二二によれば、二〇二一年以降エネルギー価格が世界的に高騰している中、二〇一五年比で六割上昇した木材・木製品は、エネルギー価格の上昇に加え、アメリカの住宅着工戸数の増加や中国の木材需要が増えたことによる価格高騰、いわゆるウッドショックの影響が大きいとされ、鉄鋼や非鉄金属等もエネルギーが主な要因として四割上昇し、大量の電力と熱を使用するものはエネルギーコストの割合が高い産業ほど、価格変動の影響を大きく受けるとされ、世界各国に様々な影響を及ぼしています。県民の暮らしや経済活動に影響を与えている現状でありますが、原油や物価、価格の高騰は公共事業にも影響が出ていると聞いていますが、県としてどのように対応しているのか、伺います。 また、物価高騰と合わせて資材の納期遅延等も発生していると聞いており、公共事業の工程にも影響が出ているのではないかと考えますが、対応状況について、併せて伺います。 原油価格や物価の高騰の状況にあっても、県民の安心・安全・利便性向上のために必要とされる公共事業はしっかり進めなければなりません。中でも現在進行中の公共事業として最大のプロジェクトは、宮城県広域防災拠点整備事業と認識しております。東日本大震災時の医療活動や救助・救急・消火活動、救援物資等の集配などで問題が明らかになり、その問題に対応するために整備する中核的機能を担う広域防災拠点でありますが、ここにも原油や物価高騰の影響が懸念されるところです。現在の進捗状況や今後の整備の見通しについて伺います。 次に、暴力団排除条例の改正について。 我が会派の会長である佐々木幸士議員が本年二月議会の代表質問で取り上げましたが、改めて改正への進捗状況を伺いたいと思います。本条例は平成二十三年四月一日に施行されたことにより、当時一千六百人ほどであった勢力は令和二年時点で六百人と大幅な減少につながっているものと考えます。しかし、本県以外の全ての都道府県の条例に規定されている暴力団事務所の開設や運営の禁止とともに、罰則規定が設けられていること、また複数の府県で、事務所開設と運営の禁止の範囲を拡大するための条例改正を行っていること、更には特殊詐欺事件に暴力団が関与し、青少年を特殊詐欺に加担させる事実が全国的に確認されていることから、宮城県の暴力団排除条例の改正が必要であると、当時の猪原本部長に御所見を求め、本部長からは条例改正に前向きに検討する旨の答弁がありました。その答弁から半年以上経過いたしましたが、暴力団排除条例改正に向け、現在の進捗状況について、県警本部長の御所見を伺います。 大綱二点目宮城県の子どもサポートについて。 何らかの理由や事情によって学校に登校できない子供達への支援については、いわゆる教育機会確保法によって学びの確保や居場所づくり、フリースクール等民間事業者との連携によって取り組んでいるものと理解しています。また、県は心理・教育・福祉の専門家によって構成された、心のケア・いじめ・不登校児童生徒等対策支援チームを結成し、子供や保護者のみならず、学校や関係機関の悩み解決に向けて取り組んでいるものと理解しますが、心のケアといじめ、不登校という、似て非なる課題を一つのチームにまとめた理由について伺います。 また、対策支援チームのこれまでの相談件数と解決に向けた活動実績について、伺います。 生まれつき並外れた能力や特別な才能を持つ子供をギフテッド・チャイルドと呼び、アメリカではギフテッド教育は障害児教育と並ぶ特別支援の教育施策であるとも聞きます。ギフテッド・チャイルドは、通常の学校教育に物足りなさを感じ、学習意欲を失ったり、違和感を抱える場合があり、才能を発揮する機会を失ってしまうこともあるそうです。日本では、どういった子供がギフテッドなのか明確な定義はないともされますが、ギフテッド・チャイルドは高い能力や特別な才能を持っているがゆえに、一般的に生きづらさを抱える場合が多いともされ、同じスピードで学ぶ傾向にある現在の学校現場では、優秀すぎる結果浮きこぼれになり、周りの子ども達となじめず、疎外感を感じてしまう場合もあると聞いていますが、こういった特別な才能・能力に合わせたカリキュラムを進めることでギフテッド・チャイルドのサポートにつながるのではないでしょうか。アメリカではギフテッド教育が盛んであるとされますが、残念ながら日本ではその議論や導入がまだまだ十分ではないとされます。そのような中、東京都渋谷区では二〇一七年からギフテッド教育を小学三年生から中学三年生までの長期欠席の児童生徒や情緒障害等の通級指導学級に在籍する生徒等を対象として取り組んでおり、また、東京都中野区の翔和学園では、才能児であると同時に発達障害等の障害がある、二重に特殊な子供達を対象としたクラスを設置しているとのことであります。ギフテッド教育は個人の才能を更に伸ばすことができるメリットがある反面、特定のことに夢中になりすぎて問題になる場合も多く、専門的支援が必要であることも事実ですが、何らかの理由によって学校に行けない子供たちの中にはギフテッド・チャイルドが存在し、私たちはその存在を見過ごしているのではないか、その子の才能の芽を摘み取っていないか、と強く感じています。県教育委員会として、ギフテッド・チャイルドの存在をどのように認識し、日本での議論や導入は不十分と言われているギフテッド教育について、教育長はどのように認識しているのか、御所見を伺います。 大綱三点目、新しい宮城県民歌について。 今から八十四年前の昭和十三年、初代の宮城県民歌が誕生し、その八年後の昭和二十一年、戦後の荒廃した宮城県の復興を願い、新たな希望と情熱を持って理想のふるさとを築くための士気高揚を図ることを目的として、公募により選定された二代目宮城県民歌「輝く郷土」ができました。それぞれが東北人の粘り強さ、宮城県人の高い志が歌詞となって表現されており、また、白銀の蔵王や松島の朝日、青葉城など、風景や歴史、文化など郷土愛を歌詞に乗せ、当時の県民の愛着につながっていたのではと思いをはせるところです。ササニシキやひとめぼれといったお米のふるさと宮城県。昭和五十三年の宮城県沖地震、昭和六十一年の八・五豪雨災害、平成二十三年東日本大震災をはじめとする多くの自然災害に見舞われながらも不屈の精神ではい上がってきた宮城県。昭和三十二年に仙台空港、昭和四十六年には仙台港が開港、昭和五十三年には東北自動車道が県内を貫通し、北は一関まで延伸。昭和五十七年には東北新幹線が大宮-盛岡間を開業するなど、人や物の往来によって地域の繁栄をもたらし発展してきた宮城県。時代が変わっても、変わらぬふるさとを思う心。県制百五十周年を迎えた宮城県が次の百年に歩み出していく今、地元で頑張る人たち、地元を離れ、遠方からふるさとに思いをはせる人たち、これから宮城県を創造していく子供たちのため、宮城県民として胸を張って生きていく、新しい宮城県民歌を制定する、まさにその時であると考えますが、知事の御所見をお伺いして、代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 佐々木賢司議員の代表質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、宮城県の諸課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、名蓋川の決壊の原因や現状に対する認識と災害に強い河川整備についてのお尋ねにお答えいたします。 名蓋川については、これまでの被害を踏まえ、堤体盛土の改良や天端舗装などの堤防強化を進めていたところでありますが、七月の大雨により再度被害を受けたことから、県といたしましても重く受け止めており、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。決壊の原因については、観測史上最大の降雨により、河川の流下能力を大きく超える洪水が発生し、堤防からの越水による浸食や堤体への浸透により、決壊に至ったものと推定しており、先日の学識者による検討会においても確認をいただいたところであります。復旧に当たっては、被害の原因を踏まえた堤防の機能強化や河道改良に加え、遊水地や輪中堤などの流域治水の考え方を取り入れながら、災害に強い河川整備を行う必要があると考えております。県といたしましては引き続き、地元の皆様や関係自治体に御理解いただけるよう、丁寧に説明を行いながら、早期の整備に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、異なる管理主体が存在する河川における協議の在り方についての御質問にお答えいたします。 農業用排水路が接続するなど、異なる管理主体が存在する河川については、これまで、各管理者が個別に協議・調整を行い、整備を進めてきたところでありますが、流域全体で治水対策を効果的に進めていくためには、地域住民や関係者が緊密に連携して取り組んでいくことが大変重要であると認識しております。現在県では、国と連携し、近年の気候変動による水害の激甚化・頻発化に対応するため、市町村や河川管理者、農業関係者などで構成される流域治水協議会を設置し、ハード・ソフト一体となった対策を進めているところであります。県としては、この協議会などの枠組みを活用し、地域住民の参画を得ながら、個別河川ごとの整備の在り方について協議するなど、各管理者間で連携した取組を進めてまいります。 次に、吉田川における鳴瀬川水系流域治水プロジェクトの効果に対する認識と更なる推進に向けた御質問にお答えいたします。 吉田川においては、令和三年三月に鳴瀬川水系流域治水プロジェクトを策定し、国と県が連携して、河道掘削や堤防整備などを進めたことにより、河川の流下能力が大幅に向上したことから、七月の大雨においてもその効果が発揮されたものと認識しております。更なるプロジェクトの推進に当たっては、ハード対策に加え、避難体制の充実・強化などのソフト対策にも流域全体で取り組むとともに、河川の被害状況や地域の特徴などを踏まえ、それぞれの支川ごとの対策にも重点的に取り組む必要があります。県といたしましては、近年、水災害が激甚化・頻発化していることから、県民の方々が安全に安心して暮らせるよう、あらゆる関係者の連携の下、流域治水プロジェクトの推進に取り組んでまいります。 次に、高城川の整備計画と氾濫時の対策についての御質問にお答えいたします。 高城川については、平成三十年に河川整備計画を策定し、令和二年度までに河口から高城大橋までの区間で、高潮や津波に対応した整備が完成しております。一方、高城大橋の上流においては、明治潜穴や掘込みとなっている河道の断面確保が、吉田川サイフォン上流の鶴田川の氾濫対策に直結することから、定期的な河川の巡視のほか、土砂撤去や支障木伐採を進めてきたところであります。七月の大雨では、これまでの観測記録を上回る降雨となり、上流の鶴田川では、品井沼遊水地が効果を発揮したことにより、流域の浸水被害の軽減が図られましたが、一部支川においては、溢水や越水による被害が発生しております。県といたしましては、堤防や河川施設の被災状況などを調査し、その結果を踏まえ、堤防強化や流下能力の向上を図るための河道掘削等を進めるなど、引き続き適切な河川の維持管理に努めてまいります。 次に、排水機場の点検やメンテナンスの現状についての御質問にお答えいたします。 県内の農業用排水機場は、農地のみならず地域の排水も担っており、平時及び出水時の適正な機能発揮が求められるため、施設の点検やメンテナンスが重要であると認識しております。点検やメンテナンスについては、土地改良区などの施設管理者が行う巡回点検による異常等の把握及び軽微な補修などの日常管理に加え、ポンプメーカー等の専門技術者による、年一回程度の定期点検も実施されており、点検報告書等のデータについては管理記録として蓄積し、施設機能の維持や施設が突発的に故障し補助事業により復旧する場合の保全管理資料として活用されております。県としては、農業用排水機場の多くが、造成から相当の年数を経過し老朽化が進行していることから、施設の機能が適正に発揮されるよう、引き続き長寿命化対策等を推進するほか、施設管理者の取組を支援してまいります。 次に、冠水した県管理道路の通行規制の対応及び消防団の活動の在り方についての御質問にお答えいたします。 七月十五日からの記録的な大雨に伴い、県管理道路では道路冠水やのり面崩壊などにより、全面通行止め五十六か所を含む六十五か所で通行規制を実施したところであります。通行規制に当たっては、地元市町村や交通管理者である警察等と連絡調整を行い、道路管理者がバリケードの設置及び誘導などを行うこととしておりますが、今回は広範囲でかつ短時間での豪雨であったことから対応に時間を要し、一部箇所においては消防団や地域の方々に迂回誘導に当たっていただいたところであります。消防団につきましては、市町村の消防機関として、消火、救助をはじめ、避難誘導や予防啓発など多様な役割を果たしており、近年の自然災害が頻発化している中で、今後も地域防災力の維持・向上に向けて重要な存在であると認識しております。県といたしましては、消防団の活動を含め、今回の通行規制の実施状況を検証し、今後の通行規制の在り方について検討するとともに、引き続き道路利用者や地域の方々の安全確保に向け、市町村や警察等との連絡体制の強化を図りながら、適切な通行規制の実施に取り組んでまいります。 次に、冠水リスクの高い県道のかさ上げについての御質問にお答えいたします。 今回の大雨では、大郷町や松島町などにおいて一時間に約百ミリの猛烈な雨を観測するなど、県の北部を中心に記録的な大雨となったことから、河川の越水や内水氾濫に伴う冠水により、県道小牛田松島線など複数箇所で通行止めとなりました。これまで県では、令和元年東日本台風の被害を踏まえ、冠水原因の調査・分析を行い、沈下した道路の一部かさ上げやアンダーパス部におけるポンプの更新など、順次、道路施設の改善を図ってきたほか、対策に時間を要する箇所については、注意喚起の看板を設置するなど、冠水発生時の安全確保に努めてきたところであります。県としては、大規模災害時において、住民の方々が安全かつ円滑に避難できる道路の確保は極めて重要であると認識していることから、関係市町村と連携を図り、緊急輸送道路や避難路など優先すべきルートを整理した上で、周辺地域や沿道の土地利用への影響などを総合的に勘案し、具体的な道路のかさ上げ計画について検討してまいります。 次に、内水氾濫対策への県の関与と二線堤整備の見込みについての御質問にお答えいたします。 大崎市鹿島台においては、市街地を囲む形で二線堤が整備され、吉田川や鳴瀬川の氾濫に対する治水機能が確保されている一方で、二線堤に囲まれた姥ヶ沢地区などでは大規模な内水氾濫による被害に度々見舞われていることから、早期に内水対策を図っていくことが必要であると認識しております。公共下水道の設置等による内水対策は下水道法により、原則市町村が行うとされておりますが、事業費の確保や財政負担が大きな課題となっていることから、県では七月の大雨被害を踏まえ、補助率のかさ上げをはじめとする財政措置等について、今年八月に国に対し要望しております。また、鹿島台においては、令和元年東日本台風を契機に策定した吉田川・新たな水害に強いまちづくりプロジェクトにおいて、二線堤事業のうち吉田川の河川管理用通路の兼用区間となる国道三百四十六号の整備が位置づけられております。県といたしましては、地域住民の安全・安心を確保できるよう、引き続き大崎市への技術的な支援を積極的に行うとともに、残る二線堤の整備についても、国や関係市町等と調整しながら取り組んでまいります。 次に、田んぼダムの整備と更なる推進についての御質問にお答えいたします。 田んぼダムは近年頻発化・激甚化する水災害に備えるため、水田の持つ雨水貯留機能を強化する取組であり、流域面積に占める水田面積割合が大きい流域や集落等の上流部に広範囲に設置することで、下流部の浸水被害リスクを軽減できる効果が期待できると認識しております。田んぼダムの普及拡大に当たっては、流域全体の関係機関や農家等の御理解を得ながら推進していくこととしておりますが、特に上流部の浸水被害が少ない地域の理解が進まないことが課題であると考えております。そのため、県では、昨年六月に宮城県田んぼダム実証コンソーシアムを設立し、田んぼダムの効果を検証するための実証事業を進めており、そこで得られた知見を基に、流域の上流部から下流部までの関係機関や農家等の合意形成が図られるよう取り組んでおります。県といたしましては、流域関係者の理解の下で、持続的な田んぼダムの整備が進むよう取組を支援してまいります。 次に、県内中小企業や小規模事業者の状況と今後の取組についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響により経営破綻した県内事業者数は、民間調査会社によると、令和二年三月から先月末までの累計で八十八件となっており、全国と同様、厳しい経営環境にあると認識しております。更に、実質無利子・無担保の新型コロナウイルス感染症対応資金による約一万八千件の融資等を通じ、県内事業者の事業継続を支援してまいりましたが、長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、物価高騰や円安等により、返済が困難になる事業者の増加も懸念されております。このため、県では、金融機関に対し、据置期間や返済期間の延長など、事業者の経営状況に配慮した柔軟な対応を要請するとともに、新型コロナウイルス感染症伴走支援型資金等、県制度融資の活用を呼びかけているところであります。また、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応し、今後の業績回復と成長につながるよう、中小企業等に対して、新分野展開などの事業再構築や生産性向上・販路拡大の取組を支援しております。県としては、引き続き国や市町村、商工会・商工会議所等、関係機関と連携し、地域経済を支える県内中小企業・小規模事業者を積極的に支援してまいります。 次に、中小・小規模旅行会社の現状認識と支援策についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、深刻な状況にある観光産業を支援するため、昨年十月から実施している県民宿泊割については、八月末現在で延べ約八十四万人泊の実績となっており、一定の需要拡大につながっているものと考えております。一方、中小、小規模旅行会社からは、北海道・東北六県の中でも、県民宿泊割を活用して送客できる県が限定されていることなどが影響し、旅行取扱量が伸び悩んでいるとも伺っており、事業者間での回復速度の違いにもつながっているものと認識しております。県では、北海道・東北ブロック内の旅行会社が、各道県の県民宿泊割の対象事業者となるように県内事業者限定要件の撤廃について、他道県に働きかけ、制限緩和を実現したほか、県内外での広報活動など需要喚起に取り組んでまいりました。今後実施予定の全国旅行支援については、送客対象地域の全国拡大に加えて、交通つき旅行や日帰り旅行商品も割引対象となることから、中小を含めた旅行会社に対する需要が一層高まるものと期待しております。県といたしましては、交通事業者と連携した旅行商品造成への支援策や地域の観光資源を旅行会社に紹介する商談会の開催を通じ、引き続き、中小・小規模旅行会社をしっかりと支援してまいります。 次に、再生可能エネルギーの導入と地域での反対運動をめぐる状況への認識はどうかとの御質問にお答えいたします。 地球規模で進行する大規模な気候変動を最小限に抑え持続可能な社会を実現するためには、できるだけ早期にカーボンニュートラルを実現する必要があると考えております。そのための主要な取組の一つが再生可能エネルギーの普及拡大であり、県としても最大限導入を図ることとし、現在策定中の仮称みやぎゼロカーボンチャレンジ二〇五〇戦略の目標や施策にも反映しているところです。一方で、再エネ施設の事業計画をめぐっては、特に森林に設置される場合、土砂災害や景観、環境への悪影響等について、多くの県民の皆様が懸念を抱いているのも事実だと認識しております。県といたしましては、先人たちが大切に守ってきた県民共有の財産である森林や景観の保全などに最大限配慮しながら、地域と共生した再生可能エネルギーの普及拡大を図ることが非常に重要であると考えております。 次に、再エネ施設の設置等に関する対策への認識について、経過も含めてどうかとの御質問にお答えいたします。 県では、地域と共生した再エネ施設の導入促進を目指し、令和元年度から、再エネ施設の望ましい設置の在り方について検討してまいりました。太陽光発電施設に関しましては、設置場所の制約が少なく、短期間で設置できるなどの特性があり、地域住民とのトラブルも発生していることから、令和二年度にガイドラインを策定し、適正な設置や管理を促してまいりました。しかし、ガイドラインに基づく届出は約六割にとどまるなど、実効性に課題があったことから、今年度、太陽光発電施設の設置等に関する条例を制定し、土砂災害のおそれがある区域への設置規制や、住民への事前説明の義務化などを行いました。あわせて、環境影響評価につきましても、条例の一部改正を行い、環境コミュニケーションの強化などを図ったところであります。一方、地域住民の同意の義務化などの規制を行うことは、財産権等の関係で難しく、許可基準を満たせば結果的には事業の実施が可能であるなど、地方自治体による規制強化には限界があるものと認識しております。県といたしましては、再エネの最大限の導入と環境保全の両立を図るため、規制に代わる新たな対策が必要であると考えております。 次に、太陽光発電施設の一斉点検などの対策についての御質問にお答えいたします。 太陽光発電施設は設置場所の制約が少なく短期間で設置できることから、様々な事業者が参入しており、地域の皆様からは土砂災害の発生をはじめ、不適切な管理による事故や生活環境への影響などを懸念する声が寄せられております。来月から施行となる太陽光発電施設の設置等に関する条例では、新たな施設だけでなく、既存の施設も対象とし、事業者には維持管理計画の策定や公表を義務づけるなど、施設の稼働後も適正に事業を行うことを求めております。県としては、今後、現時点で届出のない事業者に届出を求め、全事業者の維持管理状況の把握を行うとともに、土砂災害の危険性が高い地域などを優先して、計画的に現地調査を実施することとしており、その結果、不適切な状況を確認した際には、関係機関と連携し、指導を行ってまいります。 次に、地域と共生した再生可能エネルギーの導入促進のための新たな取組についての御質問にお答えいたします。 県では、再エネ施設の望ましい設置の在り方検討を進める中で、全国の太陽光発電の条例やガイドラインの導入状況等の調査を行ったほか、美作市の事業用発電パネル税も含めて、幅広く他都道府県等における事例を分析するなどし、より効果的な手法がないか検討を重ねてまいりました。その結果、地方自治体による規制強化には限界があることを踏まえ、再エネ施設を森林以外の適地に誘導するため、何らかの対策を講じることが適当であるとの結論に至りました。具体的には、新たな森林を開発して再エネ施設を設置する事業者に課税することにより、経済的な負担が重くなる状況をつくり出すことで、森林以外の適地に誘導する方法を検討しております。今後、このような新しい税について、有識者の意見を伺うなどしながら、具体的な内容の検討を進め、令和六年四月の導入を目指してまいりたいと考えております。ちゃんと勉強しておりました。 次に、物価高騰の公共事業への影響及び資材の納期遅延などによる事業工程への影響に対する対応についての御質問にお答えいたします。 世界的な新型コロナウイルス感染症拡大や原油価格の高騰等の影響に伴い、鋼材やアスファルト合材などの建設資材価格が上昇していることに加え、半導体や電子機器類の不足による資機材の納期の遅れにより、一部工事の進捗に影響が出ていると認識しております。公共事業の執行に当たっては、適正な予定価格の算出が重要であることから、毎月市場調査を行うなど適切に単価を設定した上で設計価格を算出し、工事発注を行っているところであります。また、工事契約後の著しい単価の変動につきましては、賃金または物価の変動に基づく請負代金額の変更、いわゆるスライド条項を運用することにより、請負額に適切に反映できるよう対応しております。更に、納期の遅れに対しては受注者の協議に応じて繰越制度を活用するなど、工期の延長に柔軟かつ的確に対応しております。県といたしましては、今後も国際情勢の影響の長期化が想定されることから、引き続き建設資材価格や市場の状況も注視し、円滑かつ適正な公共事業の執行が図られるよう取り組んでまいります。 次に、広域防災拠点整備事業の進捗状況と物価高騰などの影響を踏まえた今後の見通しについての御質問にお答えいたします。 仙台市宮城野原地区で整備を進めている広域防災拠点につきましては、これまで整備の前提となる仙台貨物ターミナル駅の岩切地区への円滑な移転に向け、関係機関との協議調整を行うなど、事業者であるJR貨物に対し積極的な支援を行ってきたところであります。岩切地区では、JR貨物が行う水路の移設や新駅構内の盛土、国道四号函渠工事などが本格化しているほか、県においても宮城野原地区の防災機能の早期発現を図るため、広域支援部隊の一時集結場所等として約二ヘクタールの広場を暫定的に整備し、既に今年四月から運用を開始しております。現在、県では鉄道事業者から提出された仙台貨物ターミナル駅移転に伴う詳細設計を踏まえ、公共補償基準に基づきその内容を確認しており、あわせて近年の急激な物価高騰に対する事業費への影響や具体的な工程について精査しているところであります。広域防災拠点につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、大規模災害時に中核的機能を担う大変重要な施設であると認識していることから、一日も早い供用に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、新しい宮城県民歌についての御質問にお答えいたします。 我が県には二つの県民歌がありますが、このうち昭和二十一年に戦後の荒廃した宮城県の復興を願い、理想のふるさとを築くための士気高揚を図ることを目的につくられた「輝く郷土」はこれまで我が県で開催された平成六年及び平成十三年の国民体育大会で演奏されたほか、今年十一月一日に開催される宮城県制百五十周年記念式典では中学生による合唱が予定されております。今年の十一月一日でございます。県といたしましては、これら二つの県民歌は、当時の人々の郷土を大切に思う気持ちや今後の発展に対する強い願いを知ることができる貴重な財産でもあり、大切に次代に引き継いでまいりたいと考えております。新しい県民歌の制定につきましては、今後の機運の高まりなどを踏まえ、しっかりと検討してまいりたいと思っております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱二点目、宮城県の子どもサポートについての御質問のうち、心のケア・いじめ対策、不登校児童生徒等支援チームについてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災後、児童生徒を取り巻く課題は震災の影響を大きく受け、多様化・複雑化したことから、学校を外から支える仕組みとして全庁横断的なチームを立ち上げるとともに、心理・教育・福祉の専門家によるワンストップ的な支援を行う児童生徒の心のサポート班を設置し、児童生徒や保護者、学校関係者等の抱える悩みや問題に幅広く対応してきたところです。昨年度の相談件数は三千六百五十件あり、相談内容に応じて様々な悩み等の解決に向けた支援を行ってまいりました。また、みやぎ子どもの心のケアハウスや学校への巡回訪問を通して、それぞれの活動状況を把握するとともに、指導助言を行ったり好事例を紹介したりしながら、学校や関係機関の課題解決に向けた支援も行っております。県教育委員会といたしましては、今後更に児童生徒や保護者、学校関係者等の様々な悩みや課題に応じた適切な対応ができるよう、市町村教育委員会をはじめ関係機関と連携した教育相談体制づくりに努めてまいります。 次に、ギフテッド教育に対する認識についての御質問にお答えいたします。 ギフテッド・チャイルドについては、特定分野に特異な才能のある子供であり、その才能や認知の特性等がゆえに、学習上・学校生活上の困難を抱えることがあると指摘されております。このような子供たちへの支援については、国において子供の能力・関心に合った柔軟な授業の提供や支援に取り組むNPO等との連携、そして才能と障害を併せ持つ子供への対応など、有識者による議論がなされているところです。こうした国の動きや他の自治体の先行事例等も参考にしながら、児童生徒一人一人の持つ力や個性をしっかりと把握し、尊重し伸ばしていけるよう取り組んでいくことが重要であると考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 警察本部長原幸太郎君。    〔警察本部長 原 幸太郎君登壇〕 ◎警察本部長(原幸太郎君) 大綱一点目、宮城県の諸課題についての御質問のうち、暴力団排除条例改正に向け、現在の進捗状況についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県における暴力団排除条例の改正については、既に改正に向けた取組を進めております。主な改正点といたしましては、他の都道府県の条例で禁止され、罰則規定が設けられている暴力団事務所の開設及び運営禁止規定などを盛り込む予定としております。今後、早期に条例案を提出できるように進めてまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 三十五番佐々木賢司君。 ◆三十五番(佐々木賢司君) 私は音楽の力を信じている人間の一人なんですが、やはり宮城県も芸術・文化にもっと深く関わるべきだと思っていますが、今の知事の答弁が非常に軽いなという感じがしました。やはり、郷土を思う気持ちは非常に大事です。それに、何というんでしょうか、音楽は心に染み込むものというんでしょうか。特に長野県や、それから秋田県もだったかと思いますが、みんなが常に合唱できるようになっています。十一月の一日だけ合唱しても駄目なんです。中学生だけでも駄目で全体が歌えるような、そういった中で、知事もおそらく御覧になっていただいているかと思うんですが、歌詞が今の時代にちょっと合わないというんでしょうか……。その辺は十一月議会でしたり、二月議会の一般質問でもう一回やりますので、それまで勉強していただければと思っております。今回、知事には大変勉強していただいたなということで、令和元年に提案させていただいた太陽光パネルの現状について、私は規制だと思っていたんですが、知事からは誘導だということで、適地といいますかそういったところにしっかり誘導するような策を考えていただいたなと思っているんですけれども、その中で今回答弁していただいたこの条例と同様の趣旨の条例というのは他県にもあるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 実は参考にさせていただいたものがございます。東京都豊島区でワンルームマンションに課税をするという仕組みがあります。この税の趣旨は、東京都豊島区に単身者が非常に多いということでワンルームマンションをどんどんつくると、ワンルームマンションばかりになってしまい、家族が住みづらくなってしまうということで、ワンルームマンションには税を課すと。ワンルームマンションをつくってはならないではなく、つくったら課税される。そして豊島区においては、ワンルームマンションをできるだけつくらないでもらいたいという、そういう意思表示と併せて、建ててしまった場合は税を課すというものであります。先ほどから言っているようにいろいろな問題があって、つくってはならない、建ててはならないということはできません。つくることはできます、ただし、つくったならば税が課されますよと。利益が減ってしまいます、もしかしたらなくなるかもしれませんよと、そういうリスクがありますよというようなことで、この税を課せないような場所にできれば建てていただく、つくってくださいと、そういう誘導をするということです。したがって、通常の税と違って、この税は極端な話、税収がなかったということになればうまくいったことになる、そういう税だということになります。 ○議長(菊地恵一君) 三十五番佐々木賢司君。 ◆三十五番(佐々木賢司君) 先ほどの知事の答弁の中で、森林からの誘導ということで、宮城県の約六割が森林・山林と言われておりますけれども、全てが対象区域と認識してよろしいんでしょうか。いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これから有識者の方に御意見を伺ってということになりますので、審議会のようなものを立ち上げたいと思っております。私の考え方が全てそのとおりになるかどうか分からないのですけれども、今、私の中でイメージしておりますのは、地球温暖化対策推進法という法律で、今回新たに市町村が促進区域を求められるということになりました。これは、市町村長が決められるんですが、市町村長が住民の皆さんの意見を聴いて、山林であっても、ここは再生可能エネルギーの風力発電であったり、太陽光発電であったり、バイオマスであったり、こういったものをぜひつくってもらいたい、つくるべきだと考えるところを市町村長が促進区域として指定したならば、そこは課税の対象から外して、逆につくってもらいたい場所だということで、そこに誘導するようにしてはどうかなと、今の段階では思っております。この法律は施行されたばかりなんですけれども、今の段階では市町村の中で促進区域を指定したところはまだないということです。したがって、今は促進区域を指定してもしなくてもあまり変わらないんですけれども、この税を入れることによって、市町村長の考え方によって、住民の皆さんの意見によって、つくりづらい場所、つくりやすい場所というのが色分けされてくるのではないかなと考えているということです。 ○議長(菊地恵一君) 三十五番佐々木賢司君。 ◆三十五番(佐々木賢司君) そういった中で、今現在もう設置されている施設等々たくさんあって、それぞれ問題・課題を抱えているわけなんですが、現在設置されている施設に関しては、中身はどうあれ、課税対象にするのかどうかという、その辺の考え方はいかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これも有識者の皆さんの御意見も聴かなければいけないのですが、実は先ほどの質問の中でありました美作市ですけれども、現在の条例が定まってかなり時間がたっているんですが、まだ国の総務省からゴーサインが出ていないんです。それは条例ができる前に設置されたパネルに税をかけるというようなことと、特定の非常に大規模なメガソーラーをつくったところがあってそこがほとんど課税の対象になってしまうということがあって、まずその事業者とよく話し合って合意を取ってくださいというような形で、まだ国からゴーサインが出ていないんです。ですから、そういったようなこともよく考えていかなければならないのではないかと思っております。もちろん、つくったときには、認めたときには、この条例がなかったわけですから、それをベースにつくろうとされているのに、果たして全てオーケーを出してから税を課すことが認められるのかどうかというようなことを、法律の専門家の意見も聴きながら、正しいかどうか、できるかどうかということをよく考えていかなければいけないと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 三十五番佐々木賢司君。 ◆三十五番(佐々木賢司君) これからもっと中身を詰めていく、様々な御意見をいただいて形づけていくと理解しているんですけれども、今、知事の中で課税をするに当たって、例えば、発電の出力なのか、面積なのか、どういう基準で課税しなければいけないと考えているのか、まず伺いたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) それはこれからということであります。いろいろな選択肢があると思っております。出力にかけるという方法があったり、美作市は面積にかけております。ただ、面積にかけると風力はほとんど面積がかからないということになりますので、風力もかなり反対の意見が多いものですから、私としては、太陽光や風力、またバイオマス、こういったようなもの全体で考えたほうがいいのではないかなと思っております。今日はまずキックオフとして、ここで意思表示をいたしまして、令和六年の四月に通すためには、その前に来年の二月か六月には議会で条例を通さないといけないということになりますので、それまでよくたたき台をつくって、有識者の意見を聴いたり、あとはパブリックコメントで県民の意見を聴いて判断してまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 三十五番佐々木賢司君。 ◆三十五番(佐々木賢司君) 質問の中にもあり、お話をさせていただきましたが、やはり地域との共生というのが一番大事なところだと思うんです。今回知事から答弁いただいた中で、市町村としっかりと連携しながら、協議しながらということを伺いましたので、ここは慎重ながらも大胆にやるべきではないかなと思っておりますので、ぜひとも前向きに進めていくべきだとお話をさせていただきたいと思います。 それから、輪中堤の整備について伺いたいと思います。輪中堤というのはあくまでも選択肢の一つだと私たちは認識しているんですけれども、どこの会社か分かりませんが、輪中堤についてどう思いますかと報道に聞かれている住民の方がいらっしゃるんですよ。輪中堤ということ自体、聞き慣れない言葉なので、聞かれても住民の方は分からないわけですよ。ということは、知事が勝手にもう決めているのかというような印象が与えられているところがあるんです。先ほどの答弁でも、知事から輪中堤という言葉が出てきてしまっている。ただ、それも選択肢の一つというお話をいただいたかと思いますけれども、改めて輪中堤を前面に出すのではなく、それも含めて整備の在り方を検討するということを、もう一度県民の方々にメッセージを発していただきたいと思いますが、いかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) もちろん輪中堤ありきでは決してございません。ただ国土交通省も、河川の堤防だけで全ての洪水を抑えるという発想から、流域全体で洪水を防ぐというより、被害を最小限にするという考え方でありました。その中で輪中堤という考え方を新たな取組として考えていきたいという方針を示されているということであります。したがって、これは私どもの単なる思いつきではなくて国の考え方とも協調した考え方であります。それありきではないんですけれども、まず、それをしっかりと住民の皆さんにこういうメリットがありますよと。また、デメリットがあるかどうか分かりませんが、デメリットがあればこういうデメリットがありますと、ちゃんと説明した上でやっていく。ただ、名蓋川を強固にすればもう二度とないのかということは、正直、絶対大丈夫だということは申し上げられないので、どういう状況であっても今回のような床上浸水といったような被害がまた起こらないようにするためにはどうすればいいのかと、そこに一番力を置きながら進めていきたいと思っております。先ほど言ったように、輪中堤という考え方自体が国土交通省の新たな方針であり、新たに最近出てきた単語です。昔からあるんですけれども、最近クローズアップされた単語ですので、そういった意味では丁寧に、よくメリット・デメリットを説明しながら合意を得られるようにしてまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 三十五番佐々木賢司君。 ◆三十五番(佐々木賢司君) お話を聞いた方々は、本当に戸惑ってらっしゃいました。何で知らないところで進めているんだと怒ってました、その辺は誤解が生じているので今のような説明が直接できればいいですけれども、我々も伝えていくという使命がありますので、今日の発言は伝えていきたいなと思っております。終わります。ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十分休憩-----------------------------------    午後一時一分再開 ○議長(菊地恵一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十四番ゆさみゆき君。    〔四十四番 ゆさみゆき君登壇〕 ◆四十四番(ゆさみゆき君) みやぎ県民の声を代表して、質問させていただきます。 その前に、昨日、県議会開会中に、現職の県議会議員が逮捕された報道がなされました。現在、司直の手に委ねられており、事実関係が分からない状況です。県民の付託を受けた県議会として、説明責任を果たし県民の信頼を回復するために、厳正な対応を行ってまいりたいと思います。 それでは、質問いたします。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、物価の高騰や新型コロナの影響などが、県民の暮らしを直撃しています。新型コロナオミクロン株第七波による感染拡大の中、七月の記録的な大雨による農業被害への対策、医療提供体制を中心とした保健・医療・福祉の充実、ひとり親・低所得世帯など子供の貧困対策、中小・小規模・零細企業などの事業者への継続した支援が急務です。日本経済新聞では、日本の現状は世界から取り残され、後進国になった。とりわけ、財政、ジェンダー、デジタル、人権、グリーンの政策、これらのお粗末さが報道されています。では、宮城県はどうでしょうか。村井知事が就任して二十年、震災から十一年と半年。不登校、合計特殊出生率は、全国ワースト二位。DVや児童虐待、性暴力などの件数が増加しています。人権、ジェンダー、教育、子供・子育て、農業、今こそ、効果的・重点的な政策を推進すべきだと考えます。県は昨年、人口減少社会を見据えた新・宮城の将来ビジョンを策定し、SDGs「誰一人取り残さない」宮城県政を掲げ、県民一人一人が幸せを実感し、地域の活力を維持、持続的な発展を目指すとしています。私どもみやぎ県民の声は、あらゆる人々の人権を守り、障害がある人もない人も共に生きる社会、誰一人取り残すことのない宮城を目指し、現場の声を県政に反映するために、調査・意見交換を行ってまいりました。県民の皆さんの声を踏まえて、これまでの施策の検証や提案を含め、質問してまいります。 初めに、令和四年七月大雨への災害対応についてお伺いします。 七月十五日からの記録的な大雨により、現時点においても、県民の生活や事業者の経済活動に多大な影響を及ぼしています。会派の調査として、七月二十五日に大崎市、松島町、また、八月二十九日には栗原市、登米市米山町、そして大崎市古川を訪問し、被災された農家の皆様から、切実な声が寄せられました。この被害に加えまして、肥料、飼料、燃料などの高騰の影響により、今後更に厳しい経営環境に置かれ、県民の基幹産業である農業分野への影響も懸念されます。被災した農業関係者の皆さんが、一日も早く日常生活を取り戻すために、早急な対策を講じていただくよう、三点質問いたします。 初めに、被災地域の早期復旧や被災者支援など、災害による特別の財政需要に対応できるよう、特別交付税の措置について特段の配慮を国に求め、国による被災者生活再建支援制度の対象外になる災害について、被災者に対する同等の支援制度を検討するとともに、過去七年の間に三回もの被害を受けている地域が多いことも考慮し、宮城県独自の見舞金制度を創設すること。 二点目、大規模な冠水・浸水被害を受けた水稲、大豆などの農作物に関し、経営所得安定対策の柔軟な対応及び農業共済制度に基づく適切な措置が計られるよう、関係団体と連携を図るとともに、生産者が営農意欲を失わないよう、高騰している肥料・飼料・燃料等の購入支援、並びに営業再開に向けた無利子制度資金などによる支援策を講じていただきたいと思います。 そして、地球温暖化や気候変動に伴って、大雨の頻度や量が一層増えることが想定されます。河川復旧整備に関して、堤防やダムの整備対策では水害を防げなくなっている現状への対策として、流域全体で水害を防ぎ軽減させる流域治水計画の見直しは必要不可欠です。先ほどの代表質問の答弁で、知事は「連携して対策を講じる」と御答弁されましたが、河川管理者である県だけではなく、これまで以上に流域関係者の協力も得ながら、流域治水計画の本質的な改定と更なる推進を図ることを求めます。 次に、農業政策についてお伺いします。 国の農林水産業・地域の活力創造プランでは、食料の安全保障の確立と、農林水産業の持続可能な成長を推進しています。ウクライナへのロシアの侵略により、世界的な食糧不足が懸念されており、食料の安全保障は大きな課題と言えます。宮城県は、令和三年三月に、みやぎ食と農の県民条例基本計画の第三期計画が策定されています。食料の安全保障の確立においては、安定的な国内生産の維持と拡大が最も重要です。現在の農業は、農薬や肥料、飼料の多くを海外に依存しており、今回のように、世界情勢の悪化により海外からの輸入が難しくなるおそれがあることから、今後は、輸入に依存しない循環した有機農業の役割がますます必要になると考えます。県では、みやぎの有機農業推進計画を策定し、有機農業の産地づくりを支援するため、みやぎオーガニック・エコ農業協議会を設置しています。その中で、栽培農家や指導者の育成、ネットワークづくりを、具体的にどのように進めるのでしょうか。 有機農業を推進するに当たり、消費者の理解促進が必要です。学校教育現場における生物多様性の調査やSDGsの取組を通じて、有機農業の必要性の醸成を図る取組についてお伺いします。 次に、農林水産業の持続可能な成長についての取組についてです。 農業の生産現場では、ますます担い手の高齢化が進み、担い手不足から耕作放棄地も多くなっています。今後も宮城県民の食料を生産してもらえる農業を維持していくためには、いま一度、農業の生産構造を再編する必要があると考えます。令和四年五月に農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律が成立し、従来の地域農業の今後の在り方を落とし込む、人・農地プランが地域計画として法定化され、基礎自治体で令和六年度末までに地域計画を策定することになります。市町村において、限られた人員、そして職員で、農業者の皆様の意見を取りまとめて計画策定をするために、現在、国においては支援事業を準備しているようですが、ただ外部に作業を委託するのではなく、県職員の皆さんも市町村と一緒に汗水を流して、この作業に取り組むべきだと思います。支援に当たる職員は何人確保するのか、どのような就労形態と組織にするのか、県としての具体的な支援策についてお伺いします。 次に、地域資源を生かした農山漁村の持続発展する地域づくりについてお伺いします。 会派で七月に、北海道の東川町、中富良野町等のまちづくりについて調査してまいりました。その地域では、高齢者の皆さんがその土地を大切にし、地域への思いを持って、その土地の文化や歴史につながる活動を地道に続けてきたことが、現在の農村振興や観光資源につながっている。その原点を大切にしていくことこそが、まちづくりの基本だということを学んできました。今、棚田や生物多様性、景観など公益的機能として、私たちに恵みを与え、農山漁村で暮らす、ゆったりとした人間らしい生活を取り戻すことが、若者に受け入れられつつあります。こうした中、みやぎグリーン・ツーリズム推進協議会は、「豊かな農山漁村なくして日本国なし」、高齢者が担い手となる新しい産業の構築こそが、なりわいとしてのグリーン・ツーリズムに必要であり、高齢者はその牽引役としてはハードルが高いので、他の者--よそ者と言われていますが、若者たちが地域住民をリードする役割を担ってくれる仕組みが必要だと提言しています。そのマッチングができるのは、県の役割と考えます。全国で最大の課題となっている少子高齢化問題に、宮城県が先駆けて、持続可能な農山漁村の新しい産業構築を支援すべきではないでしょうか。 現在、県では農泊に力を入れていますが、その推進に当たり、これまで宮城県のグリーン・ツーリズムを先導してきたグリーン・ツーリズム推進協議会をどう評価し、連携をどう考えているのか。更にプレーヤーが育成できていない現状、どのように推進し育成を行うのか、お伺いします。一つの提案としまして、まずは、宮城県のグリーン・ツーリズムを活性化するために、宮城のグリーン・ツーリズム推進協議会と山形のグリーン・ツーリズム関連組織との協定を結ぶなど、広域化を図ってはいかがでしょうか。他県の活動を参考にすることにより、宮城のグリーン・ツーリズム、または農泊のプレーヤーの育成にもつながるのではないでしょうか、お伺いします。 次に、宮城ふるさとプラザの今後の運営についてお伺いします。 東京都豊島区にある宮城ふるさとプラザは、宮城の農業生産物等を外部に発信する大事な役目を長年担ってきています。十七年間愛着があって、顧客もそのつながりを生かした戦略が必要と考えます。物産販売と観光PRは一心同体で進めたほうが、宮城の魅力を発信するには重要だと思います。今後はどのように連携を図るのか、首都圏における販売戦略として物産振興策についてどのようにお考えなのか、お伺いします。 次に、新型コロナウイルス感染防止対策についてお伺いします。 宮城県は、新型コロナウイルス感染症罹患者に対し、全数把握の簡略化を先駆けて行いました。新たな国の制度に基づいて、陽性者サポートセンターを新設し、陽性者の相談には引き続きこまめに対応していくとしていますが、発生届の対象者を六十五歳以上、または重症化リスクがあって治療投薬が必要な方、あるいは妊娠している方に限定するとしておりますが、その課題としては、発生届のない罹患者に従ってもらうための制度設計がないのに隔離を求め、自主的に感染対策に取り組んでもらえるのか。また、発生届の患者が急変した場合に、気づかれにくくなっていないか。フォローアップセンターの機能は十分なのか懸念されます。新型コロナ感染症対策が大きく転換しておりまして、県民の皆さんに陽性者サポートセンターの仕組みが伝わっておらず、周知徹底を図るべきです。 また、医療機関従事者や保健所の負担を軽減する目的で、陽性者の全数把握の簡略化を導入することになりましたが、本来は感染者の治療、ケアが必要とされます。発熱外来を含め、受入れの医療機関を増やしていくことが必要ではないでしょうか。また、今後、第八波を見据え、各病院にシステムとハーシスを連携させるなど、デジタル化の推進を求めますが、いかがでしょうか。お伺いします。 次に、被災地の復興に向けたきめ細かな支援についてお伺いいたします。 東日本大震災から、十一年半経過いたしました。福島第一原発事故では、今も多くの皆さんがふるさとに帰還できず、命と暮らしが長期間において深刻な被害を被っている現状が続いています。そうした中、政府は、ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料価格の高騰で電力の安定供給が難しく、気候変動の問題への関心の高まりから、次世代原発の新増設や、最長六十年としてきた既存原発の運転期間延長の検討を始める方針を打ち出しました。これは、原発政策の大転換とも言える極めて重大な問題です。まず、原発は安全保障上のリスクが大きく、福島第一原発事故で発令された原子力緊急事態宣言が、事故から十一年半が過ぎようとしている今もなお解除されていないことを、政治は決して忘れてはいけないと思います。福島第一原発事故から十一年たち、再生可能エネルギーが全電力に占める割合は、ほぼゼロの状態から約一〇%にまで増えました。日本は、国内で使う全電力を再生可能エネルギーで賄うことが可能だと考えます。にもかかわらず、原発に頼り続けて再生可能エネルギー中心の社会への転換が遅れれば、かえって電力の安定供給に支障を来すことになりかねません。日本は、一刻も早く再生可能エネルギーを中心とした社会に転換すべきです。知事は、政府の方針をどのように受け止め、女川原発再稼働についてどう対応していくのか、お伺いします。 また、福島第一原発ALPS処理水への対応についてですが、政府は昨年四月、国民の十分な理解が進まないまま、ALPS処理水の海洋放出をする基本方針を決定しました。これに対して、県民の幅広い層--消費者をはじめ、漁協、農協、生協連、ホテル旅館組合などから多くの反対があります。地元の理解のないままALPS処理水の海洋放出を行わないこと、海洋放出以外の処分方法についての検討を、国及び東京電力に要請することを、強く求めます。 次に、東日本大震災の経験・教訓の伝承活動、拠点施設の充実についてお伺いします。 二〇一九年の九月定例会で、私は、全世界からの受入れを視野に入れた防災教育の拠点となる震災遺構の構築について、震災遺構の運営は市町村任せではなく、県が主導的役割を果たすべきであると提案しました。国と連携して、ハード面の支援政策や震災遺構の相互連携による情報発信の仕組みの構築、とりわけ大川小学校については、広島の原爆ドームの保存と同様にまず調査予算を措置し、世界に発信する防災拠点として保存の在り方を検討してはどうかとも提案いたしました。当時、部長は、震災遺構を含めたネットワーク化や情報発信に関する取組を検討、震災の教訓を世界へ発信、海外を含め多様な関係者との交流を進めていくと答弁されました。九月九日に震災伝承みやぎコンソーシアムが設立されましたので、例えば、今後はトラウマ学術国際会議を開催するなど、世界遺産として研究、研修、震災遺構管理運営を行う財団を設置するよう、石巻市と協議してはいかがでしょうか。ぜひ実現をしていただきたく、その後の検討経過も含めて、知事にお伺いいたします。 次に、障がいの有無に関わらず誰もが安心して暮らせる共生社会についてお伺いします。 まず、インクルーシブ教育についてです。 国連の障害者権利委員会は九日、八月に実施した日本政府への審査を踏まえ、政策の改善点について勧告を発表しました。勧告は、障害児を分離した特別支援教育の中止を要請、精神科の強制入院を可能にしている法律の廃止を求めました。日本では二〇一四年に障害者権利条約を締結後、勧告は初めてのことです。特別支援教育をめぐっては、なぜ障害者だけの学校があるのかと怒り、通常教育に加われない障害児がおり、分けられた状態が長く続いていることに懸念を表明し、分離教育の中止に向け、障害の有無にかかわらず共に学ぶインクルーシブ教育に関する国の行動計画をつくるよう求めました。勧告には拘束力はありませんが、国際社会の一員として尊重することが求められます。また、二〇二一年六月に成立した医療的ケア児支援法では、学校設置者は、在籍する医療的ケア児に対し、障害のない児童と共に教育を受けられるよう最大限配慮しつつ、医療的ケアが必要な児童及び保護者の意見を最大限に尊重して、適切な支援を行う責務を有するとされています。一方、文部科学省は、令和四年四月二十七日に、特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について、通知を出しています。「特別支援学級に在籍する児童生徒の交流及び共同学習の時数について」という項目では、「特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において児童生徒の一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと。」と記載があり、まさにインクルーシブ教育の逆行と受け止められる通知を出しています。 そこで、共生社会の実現、インクルーシブ教育についてお伺いします。国連のインクルーシブ教育への勧告についてどのように受け止めているのか、知事、教育長にお伺いします。 県は、宮城県特別支援教育将来構想として、障害の有無によらず、全ての児童生徒の心豊かな生活と共生社会の実現を目指し、多様な学びの場の中で、一人一人の様々な教育的ニーズに応じた適切な教育を展開することを目標に、共に学ぶ教育推進モデル事業を行っておりまして、角田市では桜小学校、北郷小学校、北角田中学校、角田高校、大崎市では松山小・中学校、二つの地域で共に学ぶ教育環境づくりが行われています。まず、これらの成果についてお伺いします。モデル地域から全県に広げていく取組、実施計画を立て推進していくべきではないでしょうか。 また、医療的ケア児支援法に基づき、医療的ケア児や重症児が安心して地域の学校で学ぶことができる体制と実施事例を御紹介ください。今後、環境整備をどのように推進していくのか、お伺いいたします。 また、二〇二四年に、仙台市太白区秋保地区には小中高等部--初めて職業教育機能を併設する特別支援学校が新設されるほか、障害者支援施設船形の郷として二百八十人の施設整備も予定されています。福祉、教育におけるインクルージョンと、地域の中で支え合い障害のある人とない人が共に生きる社会における学校、福祉施設の在り方について、どのように考えているのか、知事、教育長にお伺いします。 次に、宮城県内の公立高校において、定員内でも不合格にされている子供たちが、令和四年度は百八人おります。他の都道府県より群を抜いて多くなっています。定員に合わせて教員が配置され、設備も整えているはずなのに、受験者が募集定員に満たないにもかかわらず、これだけの定員内不合格を出すことは大きな問題です。一方、志願者が定員に満たない場合、全国の都道府県では、定員内であれば原則不合格を出さないこととしているのは北海道、東京都、神奈川県、群馬県など十六都道府県あります。高校教育におきましては、令和三年度高校進学率が九九・二%であり、今後、定員内不合格についての在り方を検討していくとしていますが、高校で学ぶ機会を保障していくために、定員内であれば原則不合格を出さない方針へ転換を図るべきです。不合格になって行き場のない子供たちを放置していくのでしょうか。教育長の考えを伺います。 次に、旧優生保護法、分け隔てのない共生社会づくりについてです。 二〇一九年四月二十四日に成立し公布・施行された、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律について、県に対する相談件数を見てみますと、令和元年度相談件数は二百八十七件、令和四年度は三件。請求件数が令和元年度は八十九件、令和四年度は四件。認定件数は令和元年度が六十七件、令和四年度は五件で、令和元年度からの累計認定件数は百十一件となっており、年々相談件数が減少しています。九月十八日に、みやぎアピール大行動二〇二二の集会が、仙台市内のエル・パーク仙台で行われました。「いのちを分けない社会へ~障害者差別と優生保護法~」と題して、障害当事者は「戦後最大の人権侵害とも言われる旧優生保護法に係る強制不妊・中絶手術の被害について、裁判も行われていますが、国は私たちが望む謝罪をしていません。優生保護法の問題は、過去の障害者の話だけではなく、国が行ってきた障害者差別の責任を、いまだに誰も取っていない」と訴えました。優生保護法の被害者は高齢化しており、今こそ、国が優生保護法の被害者全員の人生そのものの被害を償う賠償を行い、優生保護法によって引き起こされた差別、優生思想の解消に向けた施策を実施し、優生保護法の問題の全面解決を図るべきです。以下、伺います。 宮城県で記録のある被害者や一定年齢以上--法改正時点で九歳以上などの県内の障害者と児童養護施設に在籍歴のある方へ、プライバシーを確保した上で、法の概要と申請方法など、一時金の支給を行うための周知をあまねく行うべきです。 兵庫県明石市では、旧優生保護法の被害者等に支給される支援金は、旧優生保護法被害者等の尊厳回復と支援を目的に支給されているものであり、損害賠償ではない。規定で除斥期間の適用もないことを確認しています。宮城県も、人工妊娠中絶を含む旧優生保護法被害者を支援し尊厳を回復するための条例を検討してはどうでしょうか。 また、知事は、全国知事会の国民運動本部長として、優生保護法の被害者への対応について、法に基づく一時金の請求期限の延長を国に要望し、被害者が正当な権利として一時金を受け取れるよう働きかけるとともに、優生保護法の問題の全面解決に向けた対応を求めていただきたいと思います。 続いて、社会全体で支える子ども・子育てについてお伺いします。 震災から十一年半が経過した現在におきましても、被災地の子供のいる家庭の問題が一向に改善しない状況が報告されています。宮城県議会子ども政策研究会が協力して、東日本大震災子ども支援ネットワークが昨年度まで二年間県内の保育所を利用する保護者千十二人の協力を得た調査では、中高校生時代に被災体験して子育てをする約二四%が、ひとり親での子育てになっていることが明らかになりました。被災体験のない家庭は一〇・一%でしたから、被災体験した若者が新しい家族の形成にも苦しんでいる状況です。宮城県では、被災地全体から若者が転入しています。一般的な日本の母子保健、子育てなど子ども・若者育ちの課題に、被災体験が重なっています。母子保健、子育て支援制度には課題があって、被災した子ども・若者が困難な状況を乗り越えることができる経験と力、困り感を発見、受け止め、支える仕組みがどのようになっているかを明らかにして、それを具現化する取組は必要です。国では、児童福祉法の一部を改正し、市区町村において設置している、児童福祉法に基づく子ども家庭総合支援拠点と、母子保健法に基づく子育て世代包括支援センターを、機能は維持した上で見直し、全ての妊産婦、子育て世帯、子供への一体的な相談支援を行う機能を有する機関として、二〇二四年度以降、こども家庭センターの設置に努めるとされ、二〇二三年四月には、内閣府の外局として創設されるこども家庭庁が所管することになっています。また、こども基本法の来年施行に伴って、こども大綱ができた後には、市町村においてこども計画を策定するよう努めるとされておりまして、市町村において策定に向けた準備が必要です。以下、国の法改正等に伴う子ども・子育て施策についてお伺いいたします。 県では、九月補正予算で、新たな子育て家庭支援の基盤を早急に整備していくための支援として、五億三千九百二十二万八千円の予算を提案しています。県内市町村では現在、子育て世代包括支援センターは三十三か所、子ども家庭総合支援拠点は二十四か所ありますが、連携が十分とは言えない状況です。今後、東日本大震災の被災地においてモデルとなるこども家庭センターへの支援、また、広域連携による整備なども考えられます。市町村における整備推進への支援をどのように行っていくのか、予算、人員配置、ソフト面などについてお伺いします。 また、デジタル庁において、子供に関するデータを活用して貧困や虐待などの早期発見、予防につなげる取組として、モデル自治体の実証事業が始まります。使用するデータには、センシティブな情報が含まれています。その個人情報の取扱いへの対応について、県の考え方と対処方法をお伺いします。 次に、県では、宮城の将来を担う子供の健全な育成と、子供を産み育てやすい地域社会づくりを総合的に推進するため、みやぎ子ども・子育て幸福計画令和二年度から令和六年度を策定しました。これは、誰もが安心して子供を産み育て、全ての子供が愛情に包まれ、心身ともに健やかに成長できる社会づくりを目指しています。施策の検証すべき視点、子どもの権利条約の視点として、命、発達、参加・意見表明、差別禁止など、子供にとって一番大切なのは何かを子供と一緒に考え、子供当事者の視点に立ち、教育委員会と連携して取組を進めることが大切です。みやぎ子ども・子育て幸福計画の検証と成果、今後の課題についてお伺いします。 また、虐待、DVは増加の一途をたどっておりまして、震災、コロナ、災害等により、子育て世代・家族に与える影響は大きく、より問題が複雑化、深刻化しています。子供への一体的な相談機関の設置に向け、複雑なケースへの対応、スーパービジョン、技術支援等を行うことを目的に、発達心理学専門家、保健師、児童精神科医、弁護士、保育士、社会福祉専門家による、県の子供支援専門チームを設置してはどうでしょう。これは、教育庁による子供サポートの支援者支援を兼ねて、提案をしております。 最後に、「人づくり」「地域づくり」「イノベーション」の推進についてお伺いします。 日本は、その地形、地質、気象などの条件から、台風、豪雨、土砂災害、地震、津波など、自然災害が発生しやすい国土となっています。近年では、地球規模の気候変動により、大雨による河川の洪水、台風による災害等が発生しています。宮城県は十一年前の東日本大震災を経験していることから、東北大学をはじめとする県内大学は、大規模自然災害からの復興に関する学術研究を続けてきました。そこで蓄積された知見は、世界的にも高く評価されています。また、平成二十三年、文部科学省の事業として復興大学を開設。そして二十八年からは宮城県の補助金を受けて、この事業を継続しました。しかし、その補助金の事業は令和二年までとなっていることから、復興大学の事業は各大学の予算で実施されることとなりました。現在、世界的な気候変動により、多くの自然災害が続いています。東日本大震災後の本県がそうだったように、災害後の人づくり、地域づくり、そして復興のためのイノベーションの推進が求められます。今述べましたように、国や宮城県の助成によって継続されてきた復興大学は、残念ながら補助金の打切りによりその活動が縮小しています。これまでの十年間に復興大学で培った知見を次の十年に生かす、新たな復興大学の事業を、県として検討してはどうでしょうか。 最後に、令和四年度宮城県における男女共同参画の現状及び施策に関する年次報告では、指標となっている県の管理職に占める女性の割合は一〇・八%となっており、目標である一五%に満たないほか、企業の役職に占める女性の割合も伸びていない状況です。持続可能な開発目標SDGsは、国連の二〇三〇年に向けた具体的行動です。ジェンダー平等の実現は、人づくりの全ての目標達成に向けた横断的価値として新・宮城の将来ビジョンの推進を図るべきです。今後の目標達成に向けた具体的な取組について、お伺いします。 知事、教育長の積極的な答弁を求め、壇上からの質問を終わります。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) ゆさみゆき議員の代表質問にお答えいたします。大綱七点ございました。 まず、大綱一点目、令和四年七月大雨災害への対応についての御質問にお答えいたします。 初めに、特別交付税措置を国に求めるべきとのお尋ねにお答えいたします。 今回の大雨のもたらした被害は甚大であり、被災地域の復旧・復興には、特別な支援が必要不可欠と考えております。そのため、被災自治体がちゅうちょなく災害復旧事業や被災者支援に取り組めるよう、先月上旬、国に対しまして、特別交付税を含む必要な財政措置を講じるよう、要望書を提出したところでございます。 次に、国の被災者生活再建支援制度と同等の支援制度や見舞金制度についての御質問にお答えいたします。 現行の地方交付税制度では、被災者生活再建支援法の適用災害であれば、法による支援の対象外となった被災世帯に対して県が独自に支援する場合、その費用の二分の一が特別交付税として措置されますが、それ以外の災害では、全額が地方負担となります。県独自支援の実施や見舞金制度の創設に当たっては、財源の確保が前提となりますが、今回の大雨災害につきましては、現時点で同法は適用されておらず、実施は難しいものと考えております。一方で、災害が頻発する中、被災者の生活再建は重要な課題であると認識しており、その実現には、大きな経済的負担が伴うことから、水災・地震保険の加入を促進する補助制度を昨年度から実施しているところであり、引き続き、自助の取組をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。 次に、被害を受けた農作物への経営所得安定対策等での柔軟かつ適切な対応や、生産資材の購入支援等についての御質問にお答えいたします。 県では、被災された農業者への経営所得安定対策や共済制度等に基づく支払いが早期に行われるよう、国や宮城県農業共済組合に対して、制度の柔軟な運用を働きかけており、一部では既に支払いが始まっております。また、無利子融資につきましても、既に国及び県の制度資金が活用可能となっております。生産資材の購入支援といたしましては、被災した水稲、大豆、バレイショ、ネギなどの次期作付を支援するための事業の実施を予定しているほか、飼料の掛かり増し経費やLPガスの購入経費につきまして、県独自の支援を行うこととしております。更に、肥料につきましても、国の支援制度が迅速かつ確実に実施されるよう、推進体制の整備と対象農家への丁寧な説明に取り組んでまいります。県といたしましては、今後とも被災された農業者が営農意欲を失うことのないよう、資材価格の動向も注視しつつ、農業経営の継続と安定に向けた支援に努めてまいります。 次に、流域治水計画の抜本的な改定と、一層の取組推進を図ることについての御質問にお答えいたします。 今年七月の豪雨をはじめ、近年の気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化に対応するためには、あらゆる関係者が協働し河川整備のみならず、流域全体で被害を軽減させる治水対策--いわゆる流域治水を推進していく必要があると認識しております。県では、国と連携し、昨年六月までに全ての河川において流域治水協議会を設置し、具体的な対策内容やロードマップ等を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定しており、現在、ハード・ソフト一体となった取組を推進しております。また、協議会ではプロジェクトの実施状況を定期的にフォローアップしており、今年度は流域の環境を生かしたグリーンインフラの取組を追加しております。県としては、気候変動の影響による降雨量の増加や土地利用の動向など、今後の社会情勢の変化に対応できるよう、引き続き、必要な改定を随時行うとともに、国や市町村などあらゆる関係者と協働し、流域治水対策の更なる推進に向け、取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、農業政策についての御質問にお答えいたします。 初めに、有機農業に係る生産者や指導者の育成等についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、昨年三月に策定したみやぎの有機農業推進計画に基づき、熟練農業者と連携した新規取組者への技術支援や、普及指導等を対象とする研修会の開催による指導体制の強化に取り組んでおります。また、食料安全保障の観点から、輸入に依存した化学肥料の使用量を減らすため、有機質肥料を使った栽培に取り組む生産者に対し、資材や機械の導入支援を行うこととしております。更に、みやぎオーガニック・エコ農業協議会と連携し、生産者同士の技術研さんやイベントでの交流機会の拡大など、ネットワークづくりを支援しております。県としては、これらの取組を着実に進めることで、有機農業に係る人材の育成と取組面積の拡大を推進してまいります。 次に、有機農業の必要性に対する理解の醸成についての御質問にお答えいたします。 有機農業を推進するためには、生物多様性の保全や環境への負荷を低減する効果などについて、消費者の理解を進めていくことが重要と認識しております。そのため、県では、小学生を対象とした田んぼの生き物調査のほか、有機農業の現場を見学する消費者バスツアーや百貨店等での販売会を開催してきており、今年度は有機農産物等の販売促進キャンペーンを実施する予定としております。また、JAグループ等が取り組む環境保全米が小中学校等の給食へ提供されているほか、県内複数の農業高校において自主的に環境保全米の栽培などが行われており、学校現場での理解醸成につながっております。県としては、関係機関との連携を強化しながら、今後とも、有機農業をはじめ、環境に配慮した農業に対する消費者の理解促進に努めてまいります。 次に、人・農地プランの法定化に伴う地域計画策定に関する具体的な支援策についての御質問にお答えいたします。 市町村が地域計画を策定するに当たっては、協議の場の在り方、計画エリアの範囲、合意形成手法などの面で、十分な検討・準備が必要になるものと考えております。このため県では、今年度、国の人・農地将来ビジョン確立・実現支援事業を活用し、県内四か所にモデル地区を設置して、地域における話合いが円滑に進むよう、ワークショップ等の開催を通して支援しております。また、市町村職員や県職員を対象に、コーディネートスキルの習得に向けた研修会を開催し、計画策定を牽引する人材育成を進めることとしております。更に、計画策定に当たっては、県が既に設置しております農地集積推進本部及び圏域ごとの地方推進本部を中心に、市町村を積極的に支援してまいります。 次に、持続可能な農山漁村の構築についての御質問にお答えいたします。 高齢化や人口減少が進む農山漁村の維持・活性化には、地域住民だけではなく、外部人材に力を発揮していただくことが、極めて重要であります。このため県では、令和二年二月に設置した農山漁村交流拡大プラットフォームにより、地域おこし協力隊の活動や定着に向けたサポート、意欲ある県内外の企業や若者と農林漁業者とのマッチング、大学生による援農ボランティアのあっせん・紹介など、外部人材を地域に巻き込む取組を積極的に進めております。県としては、農山漁村のにぎわいや新たななりわい創出に向け、更なる関係人口の拡大と多様な人材確保に努めてまいります。 次に、農泊実践者の育成の在り方と、みやぎグリーン・ツーリズム推進協議会の評価や連携についての御質問にお答えいたします。みやぎグリーン・ツーリズム推進協議会は、平成十七年に設立され、我が県の都市農村交流を長きにわたって牽引し、地域の活性化に大いに貢献しているものと認識しております。県では、昨年度策定したみやぎ農山漁村交流拡大推進プランに基づき、同推進協議会をはじめ関係団体と連携し、農泊の牽引役となる地域コーディネーターを養成するなど、地域での受入れ体制づくりと実践者の育成等に取り組んでおります。また、他県との連携による広域化については、既に同推進協議会が山形県の組織と定期的な意見交換や販売会の共催などに取り組んでおり、県としては、このような各団体が主体的に行う活動を引き続き支援してまいります。今後とも、同推進協議会など関係団体と連携し、都市農村交流の拡大に取り組んでまいります。 次に、宮城ふるさとプラザが立地する豊島区と連携した物産振興策についての御質問にお答えいたします。 宮城ふるさとプラザは、平成十七年の開設以降、年間約五十万人の方が来店されており、物販・飲食に加え観光動画の放映など、主に首都圏における対面型の県産品販売及び観光情報発信の場として活用しております。また、豊島区とは、定期的に情報交換を行っているほか、区内で開催される各種イベントへの参加、区広報誌によるふるさとプラザの情報発信などの御協力をいただきながら、県産品の販売促進に努めてまいりました。一方、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、EC販売やデジタル広告が台頭するなど、県産品販売及び観光情報発信の手法は多様化しております。このような状況を踏まえ、県といたしましては、現在の社会環境に合った最適な県産品販売支援及び観光情報発信手法について検討を進め、より効果的に我が県の魅力を発信できるよう、取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、新型コロナウイルス感染防止対策についての御質問にお答えいたします。 初めに、陽性者サポートセンターの仕組みの周知徹底を図るべきとのお尋ねにお答えいたします。 発生届の限定化を導入した今月二日以降、発生届対象外の患者は、体調悪化時等に自ら陽性者サポートセンターに相談していただくことになっております。そのため、こうした仕組みや陽性者サポートセンターの窓口を案内する患者説明用シートを医療機関で陽性者に配布しているほか、マスコミや県ホームページを活用して、積極的に県民にお知らせをしております。これまで、発生届の対象外となった方のうち約七割の方が、ホテル療養の希望や生活支援物資の申請をしていることから、一定程度周知が行き渡っているものと認識をしておりますが、更なる周知を図ります。 次に、受入れ医療機関の拡充とデジタル化の推進についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウィルス感染症患者への対応が可能な診療・検査医療機関については、現在、県内六百五十六医療機関を指定しており、また、同意のあった四百八十六医療機関について、県のホームページで公表しております。県では引き続き、患者へ適切な医療を提供するため、医師会等と調整を図りながら、診療・検査医療機関の指定拡大や、指定済み医療機関のホームページでの公表を進めております。また、感染症の情報に係るデジタル化の推進については、国が現在検討している感染症法等の改正案において、情報基盤を強化し積極的疫学調査に資するため、発生届等の疫学情報とレセプト情報やワクチン情報との連結分析の仕組みの整備について検討するとの方向性が示されております。我が県としても、各医療機関の事務の負担軽減や、保健所業務の効率化を図るデジタル化の推進について、国へ要望してまいりたいと考えております。 次に、大綱四点目、被災地の復興に向けたきめ細かな支援についての御質問にお答えいたします。 初めに、国の原子力政策に関する方針と、女川原子力発電所の再稼働についてのお尋ねにお答えいたします。 今回の政府の方針は、地球温暖化対策や電力の安定供給の確保などを考慮した上で、中長期的な観点から、国において総合的に判断したものと考えております。女川原子力発電所二号機については、昨年十二月、原子炉等規制法に基づく設計・工事計画が認可され、現在、保安規定認可等の審査や安全対策工事が行われているところでありますが、県といたしましては、引き続き工事の進捗等について随時報告を受けるとともに、必要に応じて立入り調査等を行うなど、女川原子力発電所の安全管理の徹底を求めてまいります。 次に、地元の理解抜きに海洋放出を行わないこと、海洋放出以外の処分方法の検討を国と東京電力に要請すべきとの御質問にお答えいたします。 昨年四月の基本方針決定以降、県では、一貫して海洋放出以外の処分方法の検討を求めてまいりました。今月開催した連携会議においても、構成団体等の総意として、海洋放出以外の処分方法の検討を国と東京電力に求めたところです。処理水の海洋放出については、国民・国際社会の理解醸成が進んでいない状況にあると認識しており、既に風評リスクも高まっていることから、スピード感を持って風評対策・なりわい支援を実施していく必要があります。県としましては、今後とも、国と東京電力に対し、海洋放出以外の処分方法の検討とともに、理解醸成の取組推進、我が県の生産者・事業者のなりわい維持に必要な責任ある対応を、強く求めてまいります。 次に、震災遺構の管理運営等を行う財団の設立や、震災伝承施設のネットワーク化等の御質問にお答えいたします。 震災の記憶や教訓を将来にわたって伝承していく上で、震災伝承施設のネットワーク化や情報発信の取組は重要と考えております。県ではこれまで、伝承団体や市町との意見交換をはじめ、災害教訓を学ぶ研修会等を実施し、今月には、多様な主体の参画による更なる連携の強化を目指して、震災伝承みやぎコンソーシアムを設立いたしました。また、みやぎ東日本大震災津波伝承館での語りべ講話のオンライン配信、県内の伝承施設等を取りまとめたパンフレットの作成やホームページの多言語化、SNSの活用など、国内外に向けた情報発信に努めております。御提案のありました、大川小学校の管理運営等を行う財団設立に関する石巻市との協議については、平成二十五年に国が示した方針に基づき、市町がそれぞれの実情に合わせて震災遺構を管理することとなっておりますことから、難しいものと考えております。 次に、大綱五点目、障がいの有無に関わらず誰もが安心して暮らせる共生社会の実現についての御質問にお答えいたします。 初めに、国連の委員会による勧告についてのお尋ねにお答えをいたします。 国連の勧告に対し、国は、特別支援教育への理解が深まる中、「特別支援教育を中止することは考えていない。」とし、併せて、引き続き障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学ぶインクルーシブ教育システムの推進に努めていくとしております。私といたしましても、インクルーシブ教育システムは、誰もが相互に人格と個性を尊重し合い安心して暮らせる社会の実現に向けて、重要な取組であると認識しており、今後とも、県教育委員会において、取組の充実を図っていただきたいと考えております。 次に、共生社会における福祉施設の在り方についての御質問にお答えいたします。 障害のある人もない人も支え合いながら共生する社会は、私が目指す地域社会の姿であります。施設に入所している方についても、できる限り地域社会へ移行できるよう、県といたしましても、精神障害や重度障害のある方々を対象としたグループホームの整備や緊急的な一時受入れ、専門人材の育成など、地域での受入れ体制の整備を進めております。一方で船形の郷は、重度・最重度の障害者支援施設であり、高齢化や障害の重度化によって地域での生活が困難となった方々を受け入れるセーフティーネットとして重要な役割を果たしており、一定の定員を確保する必要があるものと考えております。今後、船形の郷では、住宅等での生活が一時的に困難となった場合のバックアップ機能や、地域の社会資源をつなぐコーディネート機能を備えることとしており、障害のある方の地域生活を支える拠点として、その役割を果たしていけるよう整備を進めます。 次に、旧優生保護法の一時金の周知についての御質問にお答えいたします。 被害者本人への通知につきましては、プライバシーに関わる問題であり、例えば家族には一切伝えていない場合や、当時のことを思い出したくない場合も想定されますことから、一律に通知することは慎重に考えるべきという国の立法過程における議論があり、県としても、その観点から対応しているものであります。一方で、支給対象となり得る方に情報が行き届くよう、一時金支給制度について県民に広く伝えることは、極めて重要であると考えており、これまでも、関係団体への説明や、市町村、医療機関、障害者関連福祉施設、高齢者関連福祉施設へのポスター等の配布のほか、県政だよりへの掲載やラジオ放送により、広く周知を図ってまいりました。今後も、市町村や関係団体と協力しながら、一人でも多くの方の救済につながるよう、様々な手段を活用した広報に努めます。 次に、旧優生保護法被害者の尊厳回復と支援を目的とした条例についての御質問にお答えいたします。 優生手術を受けた方やその御家族が、大変つらく苦しい思いをされたことにつきましては、私としても大変重く受け止めております。しかしながら、旧優生保護法に関する事務は、いわゆる機関委任事務として、当時の法律に基づいて国全体で行われたものであることから、自治体ごとの条例ではなく、国の責任において、法令による統一した対応が必要であります。県としては、一時金制度の十分な周知や請求手続などのサポートにより、一人でも多くの方の救済につなげるとともに、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、一時金の請求期限の延長を国に働きかけるべきとの御質問にお答えをいたします。 一時金の請求期限は令和六年四月二十三日となっておりますが、一時金支給法の附則で、請求の状況を勘案し、必要に応じ検討が加えられることとされております。県といたしましては、一人でも多くの方を救済できるよう、請求期限を延長することが必要であると考えており、機会を捉えて国に要望してまいります。 次に、大綱六点目、社会全体で支える子ども・子育てについての御質問にお答えいたします。 初めに、市町村のこども家庭センター整備への支援についてのお尋ねにお答えいたします。 令和四年改正児童福祉法により、市町村が設置に努めることとされたこども家庭センターについては、今後、国が作成する設置運営に関するガイドラインを踏まえながら、市町村の検討を支援してまいります。また、令和六年四月の制度施行時期を待たずに、母子保健と児童福祉の一体的な相談支援機関の整備や、双方に十分な知識を持つ統括支援の配置を行う市町村に対しましては、今議会に提案しております補正予算案で積み増しする子育て支援対策臨時特例基金を活用し、その経費の一部を補助することにしております。県としては、市町村に積極的な活用を働きかけてまいります。 次に、子供に関する各種データの連携による情報の取扱いについての御質問にお答えいたします。 令和三年十二月に閣議決定された、デジタル社会の実現に向けた重点計画に基づき、こどもに関する各種データの連携による支援実証事業が行われていることは承知しております。この実証事業では、個人情報の取扱いやデータ連携による倫理面での課題などについても検証を行うこととされておりますので、その内容を見守ってまいります。 次に、みやぎ子ども・子育て幸福計画の検証と成果、今後の課題についての御質問にお答えいたします。 子ども・子育て支援は、教育委員会も含め、部局横断的に施策を進める必要があることから、私を本部長とする次世代育成支援・少子化対策推進本部や、有識者で構成する子ども・子育て会議において、計画に掲げる十一の指標や、事業の進捗状況について、評価・検証を行っております。十一の指標のうち、合計特殊出生率は低迷しているものの、保育所等利用待機児童数は大きく減少するなど、一定の成果が見られるところであります。今年三月には、学校に登校していない子供たちの教育機会の確保の課題に関しまして、みやぎ子ども・子育て県民条例が改正されたことから、現在、教育委員会とも連携し、多様な学びの場の提供、子供の事情や意思を尊重した支援、関わる人材の育成などについて、計画の見直しを進めております。今年六月に成立したこども基本法に基づき、国が策定する大綱などを踏まえ、引き続き私が先頭に立ち、新・宮城の将来ビジョンの柱に掲げる「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」の実現に向け、施策を推進してまいります。 次に、子供支援専門チームの立ち上げについての御質問にお答えいたします。 子供に関する相談への対応に当たっては、子供やその保護者などが置かれた状況を把握し、当該家庭のリスク判定を適切に行い、支援することが特に重要であります。このことから、児童相談所では、相談の初期対応を担う市町村と虐待事案のリスク判断を共有するアセスメントシートを作成し、連携して対応しております。県としては、現在、県の児童相談所に配置している児童福祉司、児童心理司、保健師、保育士、児童精神科医などに加え、委託しております弁護士などの専門職が連携して相談支援に当たっていることから、今後ともその充実を図り、複雑なケースについても、適切に対応してまいります。 次に、大綱七点目、「人づくり」「地域づくり」「イノベーション」の推進についての御質問にお答えいたします。 初めに、復興大学についてのお尋ねにお答えいたします。 復興大学は、県内の大学等が加盟する学都仙台コンソーシアムが主体となり、復興支援の担い手となる人材の育成、地域の将来を担う児童・生徒の学習支援、被災地企業の復興支援、災害ボランティア活動などの事業を実施しております。県内はもとより、首都圏や関西圏からも、多くの学生や社会人がプログラムを受講するなど、被災地の復興に重要な役割を果たしているものと認識しております。復興大学の今後の展開につきましては、運営主体であるコンソーシアムのお考えを十分に尊重していく必要がありますが、県といたしましても、県が復興サポートの観点から取り組む様々な事業との連携も視野に入れながら、更なる取組の充実に貢献してまいります。 次に、ジェンダー平等の実現に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 あらゆる分野におけるジェンダー平等の実現は、誰もが個性と能力を十分に発揮していくために必要不可欠なものであることから、新・宮城の将来ビジョンの政策推進に向けた横断的な視点として掲げている人づくりにおいても、重要な要素として位置づけております。このため県では、昨年三月に第四次宮城県男女共同参画基本計画を策定し、各種施策によりジェンダー平等の推進を図るとともに、毎年度年次報告を取りまとめ、進捗管理を行っております。特に今年度は、重点事業として女性応援プロジェクトを実施し、大学や企業の協力の下、女性の活躍や県内定着を図るための実態調査やウェブサイトの開設などに、関係部局が連携して取り組んでおります。今後も、私が本部長を務める推進本部において、庁内の連携を一層強化するとともに、女性活躍促進連携会議等を通じて、経済団体、市町村等と共に、女性が活躍しやすい環境の整備を推進し、ジェンダー平等の実現を図ってまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱五点目、障がいの有無に関わらず誰もが安心して暮らせる共生社会の実現についての御質問のうち、国連の委員会による勧告についてのお尋ねにお答えいたします。 国連の勧告について、国は、特別支援学級や特別支援学校に在籍する児童生徒が増えている中、現行の特別支援教育を続けながら、勧告の趣旨を踏まえて、インクルーシブ教育システムの推進に努めていくとしております。県教育委員会といたしましては、一人一人の教育的ニーズに応じた多様な学びの場の整備と、インクルーシブ教育システムの構築をともに進めていくことが必要であると考えております。引き続き、特別支援学校の狭隘化解消も含め、多様な学びの場の整備を進めるとともに、特別支援学校に在籍する児童生徒が、居住地の小・中学校で学習活動を行う取組や、共に学ぶ教育推進モデル事業等を推進してまいりたいと考えております。 次に、共に学ぶ教育推進モデル事業の成果及び県内全域に広げていくべきとの御質問にお答えいたします。 障害のある子供もない子供も地域の中で共に学ぶことは、共生社会の実現に向けて重要であると認識しております。そのため、県教育委員会では、共に学ぶ教育推進モデル事業を、平成二十七年度から第Ⅰ期、平成三十年度から第Ⅱ期、令和三年度から第Ⅲ期として取り組んでおり、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた教育活動等を実践しているところであります。取組の成果としては、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた授業を行うことで、個別の支援を要する子供だけではなく、全ての生徒にとって、分かる喜びや学ぶ意義の実感、学習意欲の喚起につながることや、授業以外の場面でも、障害の有無にかかわらず、子供同士が関わり合う姿が見られるようになったことなどが挙げられております。県教育委員会としては、小中高等学校を通した地域全体に広がりのある共に学ぶ教育の実践に取り組むとともに、その成果をまとめ、県内全域に周知することで、インクルーシブ教育の取組を広げてまいります。 次に、医療的ケア児などが安心して地域の学校で学ぶための体制と実施事例、今後の環境整備についての御質問にお答えいたします。 医療的ケアが必要な児童生徒が、地域の小中学校等へ就学できる環境を整えていくことは、大変重要であると認識しております。県内では、一部の市町において、国の補助制度を活用しながら、医療的ケア児が在籍する小中学校に看護師等を配置し、導尿などの医療的ケアを実施しているところです。県教育委員会といたしましては、医療的ケア児支援法の趣旨を踏まえ、研修会などを通じて、市町村教育委員会や小中学校が医療的ケアの実施体制を構築するよう促し、医療的ケア児がどの学びの場においても安全・安心な学校生活を送れるよう、支援してまいります。 次に、共生社会における学校の在り方についての御質問にお答えいたします。 令和六年四月に仙台市太白区秋保地区に開校を予定しております、仮称秋保かがやき支援学校については、これまでも、機会を捉えて、秋保温泉旅館組合や町内会会長に現場実習の受入れのお願いに伺ったり、校名選定に関わっていただいたりしており、また、地域の皆様を対象とした説明会を開催するなど、開校前から地域の学校として応援していただけるよう準備を進めております。これまでも、特別支援学校においては、地域の皆様と一緒に避難所運営訓練に取り組むなど、地域と連携した教育活動を展開しており、障害のある子供たちを健やかに育むためには、学校、家庭及び地域住民等が力を合わせながら、地域全体で教育に取り組む体制づくりが必要であると考えております。県教育委員会といたしましては、地域との連携・協働による学校づくりを一層推進してまいります。 次に、県立高校における定員内不合格についての御質問にお答えいたします。 我が県の県立高校の入学者選抜においては、多様な能力と適性等を積極的に評価し選抜するという基本原則に基づき、学校・学科の特色に応じて、学校長の判断で公平・公正に選抜をしております。選抜の結果、三年間の教育を履修することが難しいと判断された場合には、定員内であっても不合格となることもあります。県教育委員会としては、受験生の学ぶ機会を保障する観点から、可能な限り定員内不合格を出すことを避けることができるよう、校長会等のあらゆる機会を捉えて、慎重な検討を学校に促しているところです。今後も、こうした考え方を更に学校に周知するとともに、定員内での不合格者を出さないことを原則とする他県の取組等も参考に、定員内不合格の在り方について検討してまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 四十四番ゆさみゆき君。 ◆四十四番(ゆさみゆき君) たくさんの質問への答弁、本当にありがとうございました。今回我が会派では、共生社会に向けて、副会長の境さんはBPO--障害者就労ですね。政調会長の石田さんは介助犬など、現場の声をしっかりと受け止めて、皆さんで調査してまいりました。そこで、なぜこの国連の勧告があるかということを、もう一回考えなければならないと思います。これは、障害のある方が弱い立場にあるために、本人の意思を問わずに介入すること、人権を中心とした考え方になっていないことが指摘をされているんですね。よって、県政は様々な課題がありますけれども、知事は本当に責任を持って、「私がやらなければ誰がやる」と、その強靭な精神力で断行してきたことは、私は認めるところもありますが、真似ができないところもあります。というのは、最も行政として大切な医療的ケアや福祉のことの在り方に、当事者の声や視点が、今の県政運営の中に入っているかということです。今回私どもの取り上げた施設、施設解体宣言をした船形コロニーは船形の郷として二百八十人の施設になり、教育委員会の特別支援学校かがやきについては今お話がありましたとおりで、世界から見てみるとなぜ宮城県はこういう施設になるのですかという施策を、しっかりともう一回検証しないと、地域福祉の在り方はどうなのか、行政とはどうあるべきなのか、もう一度原点に立ち返るべきではないかということで投げかけております。先ほど知事は、セーフティーネットのために船形の郷があるというふうに言いましたけれども、啓佑学園から十八歳以上の子が入っていまして、二十一歳の大人になる子も入っているわけですね、結局は、ふるさとは施設であって、地域ではない現状になっているのが確かなのです。よって、知事になってから--浅野知事から村井知事に変わってから、どんな命であってもその子の力を感じて、地域の中で暮らす仕組みをつくることこそが、少子化社会、そして人口減少社会、その原点に立ってほしいという思いがあるのです。よって、もう一度その考え方を基に、今の県政の本当の軸の在り方をお答えいただきたい。教育長にもお答えいただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 私は県議会議員のとき、ゆさ議員とは同期ですので、当時の浅野前知事といろいろ議論したことを今でもよく覚えております。浅野知事は、施設を地域に移行すべきだということで、船形の郷--前船形コロニーを解体すべきだという考え方でございました。それに対して、私は、強制的に出すというのは無理ではないかと。戻りたくても戻れない人もたくさんいるんだというようなことでありました。その後、浅野さんが引退されて、私が知事になりました。私はすぐに船形コロニーまで行きまして、入所されている方だけではなく家族の方にもお話を聞いたところ、「潰さないでくれ。これを潰されると、残念ながら地域の中に戻れないんだ。」という声が圧倒的に多かったわけであります。その後、一旦出た人もまた戻ってきたというようなこともありまして、そういった意味では、船形の郷の役割はしっかり果たしていただいているのではないかなというふうに思っております。ただ、残りたくないと言う方について、無理やりとどめておくことは、その方のふるさとがまさに施設だということになってしまい、本末転倒であります。そういった意味では、御本人の御意向に沿った形でしっかりやっていきたいなと思っています。決して閉じ込めるつもりはございませんので、地域移行していただけるならば、これに越したことはないなというふうに思っております。啓佑学園は、以前は十八歳を超える方も入所させていたのですけれども、ちょっと詳しくは忘れたので、もし更に聞くなら保健福祉部長に聞いていただきたいのですが、何かルールが変わって、十八歳以降の子は啓佑学園にとどめてはいけないというルールに変わったことに合わせて、どうしても外に出ていただかなければならなくなったということです。そして、平成二十八年から令和三年までに、児童四十七人が外に出ていくことになったのですけれども、そのうち十二人がグループホームに移っていただいた。つまり地域に戻っていただいたということですね。それから四人が御家庭に帰られ、これも地域に帰っていただいた。残念ながら三十一人の方は受入れが難しい、御家庭も難しいということで、結果的には施設のほうに、船形の郷も含めて、施設に入っていただいたということでございます。ゆさ議員のおっしゃっていることはまさに私の理想でありまして、こういったようなことをやはり追求し続けることが重要だと思いますので、当然、施設に閉じ込めるよりも地域になるべく移行していただけるように、しっかりと考えていくということは忘れないようにしていきたいとに思っておりますが、どうしても受入れが難しい人がいるということも考えなければならない。そこは御理解をいただきたいというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 議員のお話しのとおり、障害のあるなしにかかわらず共に学んでいく教育の環境を整備していくということは、大変重要だというふうに思っています。先ほど答弁したような県教育委員会としての取組もしております。また、特別支援学校がセンター的機能としてその地域の小中学校で障害のある子もない子も一緒に学んで行けるように小中学校からの相談を受けたり、あるいは訪問していろいろと助言をしたりという取組も行っているところでございます。ただ一方で、やはり就学についてどこで学ぶかという相談を受けるときに、基本的に今、本人、そして保護者の意向を最大限に尊重していくということでいろいろと相談を受けているわけですが、特別支援学校での学びを選ぶ保護者の方も多いという状況があって、少子化の中でも特別支援学校に入学してくる子供たちが増えています。そのため、現実問題、その学校が狭隘化して教育の環境としては非常に望ましくないということが出てきており、今回秋保の支援学校を新しく整備するというような動きになっております。今お話ししたように、その子供たちの力をどこでどう伸ばしていくのかというのはとても重要なことで、みんな一緒に教育を受けていくというのも本当に大事なことなのですが、どうしても、今特別支援教育でその子に本当に応じた学びというものができているところを保護者の方も御理解いただいて、そこでぜひという話もあります。そういう意味では、柔軟な学びといいますか、特別支援学校にいるからずっとそこでということではなくて、やはりその子その子で小中学校に行ってみたり、あるいは交流してみたり、場合によっては転籍をしてみたりということで、その子のニーズに応じた適切な教育が展開できるように、今後も努めてまいりたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 四十四番ゆさみゆき君。 ◆四十四番(ゆさみゆき君) 知事、そして教育長からお話をいただきました。この話をすると、「分かるけども、難しいよね」と言うんですね。でもそのときに、誰の問題なのか、なぜかということを、私ごとと捉えて、医療モデルというのは個人の問題ではなく社会モデルとして自分ごとであると捉えて、社会全体の総合的な対応としてこれからは県政の軸となって、人権が中心に守られている県政運営をしていただきたいと考えております。 そこで、その具体的なこと、旧優生保護法ですね。宮城県は非常に大きな修正がございまして、今知事にもお答えいただいたのですが、手術を受けた方が、国の責任でそうなったということを分かっていないのです。個別通知の難しさというのは非常に分かるのですけど、弁護団からはこんな提案があります。例えば、施設内で説明会をしたり相談会をしたりと、できるだけ努力をする。そういうことがあるんだよと周知する最大限の努力をして、お一人お一人の人間の尊厳を回復する。これをやっていただけないか。知事、いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁いたしましたとおり、しっかりと周知をする努力というのは継続していかなければならないと考えておりますが、本当にかなりの数の職員がいろんな資料を全て調べました。榴岡にあった旧公文書館に資料が残っていて、それを全部ひっくり返して調べたのですけれども、まず当時の手書きのやつで残っていないものもあって、その中で分かる限りの範囲内で資料を集めたのですが、全ての人を特定するのはどうしてもできないというようなこともありまして、今のやり方で周知を図るということです。ただし、当然いろんな方、施設に入っている方もたくさんおられると思いますので、そういったところを通じて一人一人に当たっていっていただくように、これからも努力していきたいというふうに思っております。その上で、一時金の支給が、期間が切られて「はい、終わり」ということにならないように、これについては国の責任で、我々もお手伝いして、こういうことをしてしまったわけでありますので、しっかりと最後まで、ぎりぎりまで、そういった人たちが一時金をもらえるように努力をしていきたいと思っております。本当に申し訳ないという思いではあります。 ○議長(菊地恵一君) 四十四番ゆさみゆき君。 ◆四十四番(ゆさみゆき君) 県議会では、全国で初めて、優生保護法問題の早期全面解決を求める意見書を出しました。皆さんの命を守るために、私たちも党派を超えて全力で取り組んでまいりたいと思います。 インクルーシブ教育も、障害がある方も、それから不登校の問題も、実は申し上げましたように様々複雑な課題となっておりまして、児童相談所の専門家も非常に大変なのです。それで、専門家チームの設置ということをお話しました。これは、専門家の皆様の支援者支援、コンサルテーション、またはアウトリーチの下、各保育所などに支援を行うチームであります。今の職員で対応ができないところをサポートするチームなので、これなくして今の課題解決は非常に困難なのです。教育長もお話しされましたけれど、発達障害児の親御さんは本当に今悩んでいるんですね。その複雑な問題を解決するチームこそ、今、行政では必要ではないかということを言っております。これの再答弁をお願いいたします。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 支援専門チームを立ち上げて、しっかりとサポートしなさいということでございました。答弁いたしましたとおり、現在、児童相談所におきましては、相談の初期対応を担う市町村と虐待事案のリスク判断を共有するアセスメントシートを作成いたしまして、非常に連携を取ってやっているというふうに考えております。また、児童相談所に配置しております児童福祉司や心理司、保健師、保育士、そして児童精神科医、または弁護士さんといった人たち。時には、問題のある御家庭等については警察のほうにも御協力をいただいて対応しておりまして、特段、その子供支援専門チームを立ち上げなければこの問題に対処できないという状況にはないというふうに思っております。御提案でありますので、今後しっかり状況を見ながら、その専門チームといったようなものが必要なのかどうかということを含めて、よく検討してまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 四十四番ゆさみゆき君。 ◆四十四番(ゆさみゆき君) 復興大学について再質問いたします。 復興大学、コンソーシアムについて、この間、宮城大学の学長ともお話をしてまいりました。やはりこれからは復興の十年間を、今の課題も含めて、トラウマケアなどは専門家がまだ日本には少ないものですから、学術連携をした在り方、これは補助金を出すことも含めつつ、知のネットワークをつくっていく。イノベーションはそれぞれの学術を連携して発信していく。知事も海外にどんどん出ていく。こういうことを、ぜひ復興大学との連携システムをつくっていただきながら、やるべきではないかというふうな提案です。その辺、もう少し具体的な御答弁をお願いいたします。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 復興大学が果たした役割は非常に大きいと思っております。県外から参加されている方もおられまして、非常に有益でありました。学都仙台コンソーシアムが主体となって、実質的な事務局は東北工業大学さんがやっていただいているということであります。その役割をしっかり認識しておりますので、今後とも、運営主体でありますコンソーシアムの考え方をお聞きしながら、県としてもサポートしてまいらなければならないというふうに思っております。おっしゃるとおり、この復興大学は非常に意義のあることでしたので、すぐ終わるといったことのないように、お手伝いをさせていただきたいというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 四十四番ゆさみゆき君。 ◆四十四番(ゆさみゆき君) やっと前向きな答弁をいただきました。 それでは、豊島区にある宮城ふるさとプラザ。聞くところによりますと、あと二年後には廃止の方向も検討しているというふうに聞いていたのですが、これはやはり、交流拠点は都市部にあってしかるべきだと考えています。ネットだけでは交流できませんよね。どうしますか、知事。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 物産振興協会が実質やっているのですけれども、協会の方といろいろ意見交換をいたしましたら、協会のエネルギーが豊島区の宮城ふるさとプラザの運営と、県外に行ってデパート等でやります物産の販売・展示コーナーだけで終わってしまっているということで、ほかに新しいことがなかなかできないんです。確かに非常に売上げもありますし、観光の拠点の一つにはなっているわけですけれども、基本的にあそこは毎日七夕祭りのようなすごい人の流れなのです。ですが、六割七割ぐらいは同じ方たちが流れていて、大東京の中であそこに宮城ふるさとプラザがあると知っている人はごく一部だということもあるので、それだったら、予算を減らすことを目的とするのではなくて、もっと有効に予算を活用できるようにお考えいただいたらいいのではないかと。ただ、突然やめるということになると、恐らく物産振興協会が非常に困るので、この間、契約期間が四年だったと思うのですけど、四年のときにこれで最後にするということを前提に考えてくださいと。それで、その予算を、全額は分かりませんけれども、予算を有効に活用できる方法を一緒に考えましょうよというふうに言っております。そういう理由で考えているということで、物産振興協会のほうにも「分かりました。その方向で前向きにやりましょう」という御返事をいただいておりますので、今のところ大きな問題はないだろうというふうに思っております。 ○議長(菊地恵一君) 四十四番ゆさみゆき君 ◆四十四番(ゆさみゆき君) 前段に農泊と交流とありますので、一体的に都市と農村の物産を連携した取組を、ぜひこれは構築していただきたい。忘れてはいけないのは、豊島区とは給食の米の交流もやっていますので、そこを大切にしながら検討していただきたいと思います。 それから、教育長。定員内不合格、これはぜひ検討いただきたい。百八人の子供を、ぜひ取り残さないでほしいです。一言お願いします。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 定員内不合格については先ほどお話ししたとおりでございますが、できる限り受け入れて、そこで力を伸ばしていくということが、公的な教育として基本姿勢だというふうに思っております。ただ、やはり高校ですので、三年間卒業に向けて学習をしっかりと積み上げていっていただかなければなりません。それができるかどうかというところの判断も一定必要かなというふうに思っておりますので、中身をよくしっかりと我々も精査してまいりたいと考えます。 ◆四十四番(ゆさみゆき君) 終わります。ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午後二時二十七分休憩-----------------------------------    午後三時再開 ○議長(菊地恵一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二十三番天下みゆき君。    〔二十三番 天下みゆき君登壇〕 ◆二十三番(天下みゆき君) 天下みゆきです。日本共産党県会議団を代表して質問いたします。 最初に、一言申し上げます。 仁田和廣議員の突然の逮捕に大変驚いております。容疑内容が事実であれば、誠に遺憾であり、議会としても厳正に対処し、議会に対する県民の信頼回復に力を尽くしていくことを表明いたします。 それでは質問いたします。 大綱一、知事の政治姿勢について伺います。 最初に、世界平和統一家庭連合、旧統一協会、以下、「統一協会」という、と知事の接点について伺います。 知事は、九月五日の記者会見で、二〇〇六年五月に仙台市内で行われた、統一協会の関連団体である天宙平和連合の集会に祝電を送ったことは認め、その後は一切関係がないと説明されました。その説明の中で、「こっちが被害者の意識だ。」と発言したことは、聞き捨てなりません。統一協会は、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、七十以上もあるという友好関連団体を入り口に、政治家のお墨つきを得ることで会員を増やし、霊感商法や高額献金などによる被害者を増やしてきました。知事が分からなかったと幾ら言っても、知事の行為が統一協会による被害者を増やすことに一役買ったという事実は消えません。知事は、記者会見での「こっちが被害者」の発言を撤回し、祝電を送ったことについて被害者に謝罪し、被害者救済に県としても全力を挙げるべきです。いかがですか。 次に、昨日の安倍元首相の国葬について伺います。 今回の国葬は法的根拠がない、法の下の平等に反し、内心の自由を侵害して憲法に違反する、統一協会と深い関係になっていた安倍氏を評価できない、多額の費用がかかることなどを理由に、各種世論調査では六割が反対の意思を示していました。こういう中で知事は、宮城県は安倍元総理の功績に敬意を表する、県として弔意を示すと、県庁や県の出先機関に半旗を掲げ、宮城県民の代表として、公務として国葬に出席しました。知事、宮城県の主権者は県民です。県民の総意になっていない中での半旗掲揚や知事の国葬出席は、県民に安倍元首相に対する敬意と弔意を押しつけたことになったと思いますが、いかがですか。 大綱二、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 九月二日から、県は全数把握をやめて、陽性者サポートセンターを設置しました。二日の夜間、自己検査で陽性となった中学生が発熱と嘔吐症状があり、母親が陽性者サポートセンターに見てもらえる病院を教えてほしいと電話したところ、県の受診相談センター(コールセンター)との間でたらい回しされたとの苦情が寄せられ、担当課に改善を要請しました。無料検査や自己検査で陽性となって、サポートセンターに相談する若い方は、かかりつけ医を持っていない場合が多く見受けられます。県の陽性者サポートセンターのうち、陽性者支援部門は札幌市に置かれておりますが、宮城県内の地域の医療機関の状況を十分に把握して相談に対応するため、どのような手だてを打っているのか、また、病状を判断して適切に対応できる看護師等の配置が、夜間も含めてどうなっているのか、お答えください。 また、おとな救急電話相談及びこども夜間安心コールの活用をもっと周知するとともに、土日、祝日、お盆期間、正月の日中にも拡充することを求めます。いかがですか。 次に、保健所体制について伺います。 保健所体制が逼迫し、厚生労働省は、令和四年三月十六日付の事務連絡により、濃厚接触者の調査を陽性者の同居家族とハイリスク施設である高齢者・障害者施設と病院に限定する旨、通知しました。県の資料によりますと、それまで月三十五、六件あった保育所のクラスターの報告が、七月からゼロとなっています。しかし、感染者の発生により休園した保育所は、八月が百三十八件と過去最高でした。保育所での感染拡大は、家族感染を広げ、高齢者の感染にもつながります。保健所業務がパンクしている中で、どうやって保育所の感染拡大を防止するのか、お答えください。 濃厚接触者の調査を限定して応援体制を強化しても、保健所職員の激務が続いています。今年四月から八月の全保健所、支所の疾病対策班、計五十九人の時間外勤務は、過労死ラインの月八十時間を超える人が延べ百十人に上り、特に八月は、全ての保健所、支所で百時間を超える時間外勤務が発生するという苛酷な労働実態でした。この苛酷な長時間労働は二年以上続いており、過労死を生まないための対策が必要です。どのような対策を打つのか、お答えください。 また、コロナ前の二〇一九年度と二〇二二年度の保健所、支所各班の人員体制を調べました。九つの保健所、支所全体で僅か八人の増員でした。一保健所当たり一人くらいしか増えていないのです。国にも予算を要求し、抜本的な人員体制の強化を図ることを求めます。来年に向けた保健師の増員予定数と併せてお答えください。 塩釜保健所は、仙台市を挟んで五市八町の十三市町村を管轄する保健所で、岩沼支所と黒川支所を置いています。九月二十日現在の支所を含めた塩釜保健所管内の陽性者数は五万人を超え、仙南、大崎、石巻の各保健所の三倍を超えています。それなのに、コロナ前に比べた人員体制は、岩沼支所が二名、黒川支所が一名増員した一方で、本所の塩釜保健所は五名も削減したことは問題で、速やかに元に戻すべきです。いかがですか。 併せて、岩沼支所と黒川支所を保健所にすることを求めます。お答えください。 次に、高齢者施設の感染対策について伺います。 八月の宮城県の新型コロナに係る死亡者数は九十三人に上り、過去最高だった二〇二一年四月の二・四倍と、一気に増加しました。そのうち九割が、七十歳以上の高齢者です。八月は高齢者施設のクラスターも過去最高の五十七件、感染者数は利用者と職員合わせて一千人を超えました。高齢者施設での感染拡大を防止し、高齢者の命を守るために、以下二点を提案いたします。 一つは、高齢者施設で陽性者が出た場合、現在のゾーニングをして施設内で療養する方針をやめて、原則入院する方針に切り替えることです。二つ目は、陽性者が出た高齢者施設には、入院までの期間、感染症専門医や感染管理認定看護師を必ず派遣し、施設内の感染拡大を防ぎ、命を守るために必要な支援を行うことです。八月の感染管理認定看護師の派遣は、クラスターが発生した五十七施設のうち、僅か五か所だけだったと聞いていますが、それでは全く不十分です。以上についてお答えください。 医療機関の逼迫も深刻でした。仙台市の医療機関の関係者からは、病院職員に陽性者や濃厚接触者が出て、新規入院や発熱外来を止めた。看護師不足で残業や夜勤回数が増えて、過重負担が続いている、発熱患者や救急隊から電話が一日中鳴りっ放しで、救急車が暇なく入ってきて対応し切れないなど、医療崩壊とも言える現場の切々たる声が寄せられています。医療機関の逼迫度合いは、仙台市消防局の救急搬送困難事案が、八月は昨年の二・三倍、一昨年の五・五倍に上ったことからも明らかです。医療機関のクラスターの発生も八月は十五件と過去最高でした。知事は、仙台市は急性期病床が過剰だと繰り返し言っておりますが、なぜこんなにも病床が逼迫したのか、知事の見解を求めます。いかがですか。 こういう医療機関の苦難が続いているときに、岸田政権が罰則導入を柱とした感染症法などの改定案を、秋の臨時国会に提出を狙っていることは大問題です。具体的には、公立・公的病院や特定機能病院、地域医療支援病院に都道府県と事前協定を結ばせ、感染拡大時の病床確保や発熱外来の設置を義務づける。協定を守れなかった場合、都道府県が勧告、指示、病院名を公表できるようにする。特定機能病院と地域医療支援病院の承認取消しも盛り込むというものです。そもそも、医師・看護師不足が深刻なところに、コロナ患者により多くの人手がかかり、更に職員の感染者、濃厚接触者の発生でベッドが空いていても稼働できない、発熱外来をストップせざるを得ないという実態を顧みず、罰則ありきは認められません。知事には、罰則ありきの法改定はやめて、医師、看護師等を増やして財政支援こそ行うよう、国に対して求めるとともに、県としても尽力することを求めます。お答えください。 大綱三、四病院再編問題と地域医療構想について伺います。 県立がんセンターと仙台赤十字病院を統合して名取市に、県立精神医療センターと東北労災病院を合築して富谷市に、それぞれ拠点病院をつくるという四病院再編統合の議論は、県と県立病院機構、日本赤十字社、労働者健康安全機構、東北大学の五者による協議で、今年度中に基本合意を目指すとしています。 最初に、精神医療センターについて伺います。 九月一日に施行された、第七次宮城県地域医療計画の中間見直しの第五節、精神疾患には、精神科病院に長期間入院されている患者が、住み慣れた地域で安心して生活していくためには、精神疾患や精神障害に対する地域の理解促進を図るとともに、グループホーム等の住まいの場の確保、居宅介護などの訪問系サービスや通所系サービスの充実、住まいに近い地域で安心して外来診療を受けられる精神科病院、診療所に加え、往診や精神科訪問看護、デイケアなど患者のニーズに応じた医療の充実が求められると書かれております。この精神疾患を支える地域ネットワークを、六十五年という長い年月をかけて築いてきたのが、名取市の取組でした。県立精神医療センターの富谷市への移転は、この地域ネットワークを揺るがしかねないと、患者、家族、関係者に動揺と不安を広げています。八月二十九日に行われた障害者団体との懇談で、知事は、患者は決して切り捨てないと述べ、再編構想の協議が進んだ段階で、関係者と対応策を話し合う意向を示したと報道されていますが、ネットワーク構築は、対応策などという簡単な言葉で済むものではありません。名取で築いたネットワークを、今後、拠点となる精神医療センターがなくなったときに、どのように維持・発展させるのか、また、富谷でどうやって新たなネットワークを構築するのか、お答えください。 次に、救急医療について伺います。 仙台赤十字病院と東北労災病院が移転した後の仙台市の救急医療体制への影響について、宮城県は昨年十二月に、仙台市内の医療機関の救急受入能力に余力が生じるという見解を出しました。これに対し、仙台市は今年三月に、余力が生じるという県の見解に疑問があると反論し、県の見解を求めました。ところが、県からの見解が出されないので、仙台市は再度、九月十三日付文書で知事に見解を求めております。県と仙台市の論点の違いは、第一に、移転後も仙台市内に搬送される重篤事例件数について、県は三次救急病院で対応した重症事例数の割合を基に案分計算しておりますが、仙台市は、三次救急病院及び専門特化型病院に搬送された実績値を使っていること。第二に、県が計算に含めた塩釜地区からの搬送件数は、影響が限定的であることから、仙台市は除外したことです。私は仙台市の見解のほうが妥当だと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、地域医療構想セミナーに関連して伺います。 四病院再編に向けて、仙台医療圏のデータ分析を委託した株式会社日本経営の川端康正氏の講演の中で、急性期病床の更なる在院日数短縮により病床を削減し、その余力を回復期に振り向ける。まずは、急性期の削減から議論を進める必要があるという趣旨の御発言がありました。在院日数短縮は、検査や治療など医療密度が濃くなり、医師や看護師等の労働密度も濃くなるため、病床稼働率が下がってベッドが空いても、医師、看護師等の余力は生まれないと言われておりますが、知事の所見を求めます。 また、川端氏は、「仙台医療圏で、仙台市以外の人口は四十四万人と相当数に上る一方で、ICU等を有する救急搬送に対応可能な中核的な病院がない。中核的病院の体制構築の検討が必要。」と言っております。名取市、富谷市につくる病院は、ICU等を有する中核病院として整備する予定なのか、伺います。 これまでの議論を概括いたしますと、名取市と富谷市に建設予定の病院は、四つの病院の現在の医療機能である地域医療支援病院、災害拠点病院等、東北労災病院の勤労者医療、仙台日赤病院の周産期医療等を継続し、新興感染症にも対応し、がんを総合的に診る医療体制の構築や、精神疾患と身体疾患合併症患者の医療を新たに開始し、更に、ICU等を有する中核病院として整備して救急医療を強化する。富谷については、脳卒中センターも設置する。そして、いずれの病院も急性期病床数は、現在より減らすということになります。本当に急性期病床を減らして、これだけの機能が持てるのか、伺います。 また、ICUの設置や救急医療の強化のためには、医師、看護師等の体制強化が必要ですが、移転に伴って退職者が増える危惧もある中で、どうやって確保するのか、併せてお答えください。 知事、四つの病院の職員、患者さん、地域住民や医療関係者、仙台市などが置き去りにされています。全く蚊帳の外です。地域住民や関係者から、現地存続を求める署名や要望書が提出されても、知事は無視し続けています。まだ何も決まっていないと言いながら、名取市と富谷市に候補地の名乗りを上げさせるなど、既成事実を積み上げています。こんな当事者無視の進め方は許されません。四病院再編構想を先頭に立って進めている知事が、関係者としっかりと向き合い、意見交換することを強く求めます。お答えください。 大綱四、女川原発広域避難計画と汚染処理水海洋放出について伺います。 女川原発について東北電力は、二〇二三年十一月に安全対策工事を完了し、二〇二四年二月に再稼働の方針です。八月十日に石巻市を訪問し、広域避難計画の準備状況についてお聞きしてきました。県が五月に公表した津波浸水想定の見直しにより、一時集合場所や避難ルートの変更が必要となり、二〇二三年度中に津波・大雨・原子力災害対応の防災計画の見直しをするとのことでした。石巻市も含めた関係七市町の広域避難計画を見直し、再稼働前に住民に改めて周知徹底する必要があると思いますが、どのように具体化する予定ですか、伺います。 また、石巻市の広域避難計画における市役所職員の配置について伺うと、PAZと準PAZのみの避難で済めば対応が可能だが、UPZ圏まで避難する場合の職員の割当ては検討中とのことでした。そこで、UPZ圏の広域避難計画を実行するに当たり、県及び七市町、東北電力の職員配置は、それぞれマックス何人必要で、確保できるのか、配置計画は整っているのか、伺います。 次に、UPZ圏内の要支援者の避難計画について伺います。 最初に、在宅の避難行動要支援者は、七市町で七千百四人に上るということでした。石巻市にお聞きしたところ、在宅の要支援者の避難計画は、PAZと準PAZまでで、UPZについては、まだできていないということでした。他の六市町の到達及び七市町がいつまでに具体化をするのか、伺います。 次に、UPZ圏内の社会福祉施設は百四十八施設、定員三千四百八十四人で、うち百四十四施設の避難先施設が決まり、百四十一施設が避難計画策定済みで、協定締結は七十四施設とのことです。ある施設に伺ったところ、「計画はつくって避難先施設と協定も結んだが、車両の確保がまだできていない。」と話していました。社会福祉施設百四十八施設について、必要台数と自前で確保できる台数、行政に依頼する台数を調査することを求めます。お答えください。 次に、医療機関の避難計画です。UPZ圏内の病院と有床診療所は十九医療機関、二千百六十九床で、その全てで避難計画が策定済みです。八月十日に、石巻赤十字病院の院長先生からお話を伺ってきました。石巻赤十字病院では現在、三日間はこもれる体制をつくっているが、屋内退避の行動計画はまだつくっていない。避難指示が出た場合の搬送方法や避難先決定の手順、患者家族への情報提供の手順等についてはこれからだということでした。県として、他の病院の実態も把握して、屋内退避や避難する場合の具体的なマニュアルづくりを支援すべきです。いかがですか。 また、医療機関の避難計画は、原子力災害発災後に、県災害対策本部に配置される原子力災害医療調整官が中心となって、避難元医療機関の入院患者の容体を個別に確認した上で、UPZ外にある医療機関に受入可否を確認するという計画です。一人の医療調整官が一日に何人の患者のマッチングを図る計画か、お答えください。 知事は、防災訓練を通じて避難計画の実効性を上げていくと繰り返していましたが、今回、石巻市及び石巻赤十字病院からお話を伺って、防災訓練は当然重要ですが、それ以前に避難計画自体が未完成であることがよく分かりました。このままでは、いざ原発事故があった場合、在宅の要支援者は置き去りにされてしまい、福祉施設や病院の自己責任では、車両の確保すら困難を来すことは明らかです。要支援者の避難計画は何度も取り上げてきましたが、全く実効性は見えてきません。知事、女川原発に万が一事故があった場合、要支援者の命が守れると断言できますか、お答えください。 次に、福島第一原発の汚染処理水海洋放出問題について伺います。 全国漁業協同組合連合会は今年六月の総会で、我が国漁業の将来にとって壊滅的な影響を与えかねないとして、断固反対する特別決議を採択しましたが、東京電力は海底トンネル掘削工事を八月四日に着工し、来年春の海洋放出を目指しています。福島県漁連も反対の立場を崩しておらず、地元理解は得られておりません。そもそも水産業界は、過去に経験したことがないような不漁問題に直面しています。東日本大震災被災地の水産加工業は、震災時の借入金の返済が重くのしかかる中で、新たな自然災害やコロナ禍、燃油高騰などが経営を圧迫し、更に、ロシアのウクライナ侵攻により、加工原料の調達困難と原料価格の高騰を招き、加えて政府の円安政策が経営危機に拍車をかけています。汚染処理水の海洋放出は、こうした何重もの危機に直面している被災地の水産業界に、三、四十年という長期にわたって、風評被害という壊滅的な打撃を与えることが懸念されます。何としても海洋放出を中止して、危機に直面している水産業界の支援こそ、国を挙げて行うべきだと考えますが、知事の見解を伺います。 知事は、海洋放出ではない別の処分方法を国と東電に求めていますが、そのための積極的な動きが見えません。そこで、知事が主催する、処理水の取扱いに関する宮城県連携会議に、ほかの処分方法を提案している専門家をお呼びして、公開で意見交換する場を設けることを提案します。いかがですか。 福島大学の柴崎直明教授ら地質や地下水の分析を踏まえた研究グループは、建屋への地下水の流入を止めるために、十年程度の中期的な対策として、地下水をくみ上げて地下水位を管理するサブドレンという井戸を増強すること、長期的な対策として、凍土壁より広く、長さ三・七キロを囲む広域遮水壁の設置と、地滑り対策で使われてきた集水井を組み合わせるという提案をしています。こうした汚染水の発生量を減らす抜本的対策も、ぜひ御検討いただき、東電や政府に提案していただきたいと思いますが、いかがですか。 ところで、宮城県庁に対する福島第一原発事故に係る東京電力への損害賠償請求状況は、二〇一一年度から二〇二〇年度までの十年間の累計で、四十二億六千百七十四万円余の請求額に対して、賠償額は二十六億九千二百六十九万円余で、賠償割合は六三・二%です。そのうち、風評被害対策分は、何と僅か五・一%にしかすぎません。また、原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆるADRセンターでの和解交渉は、二〇一二年度分までしか成立しておらず、それ以降は、いまだ審議中です。東京電力が負担すべき風評被害対策であることを、東電に認めさせることがいかに困難か、その実態がよく分かります。九月十七日の第六回連携会議で、東電は風評被害の賠償基準を年内をめどに公表する方針を表明し、風評被害が生じた場合、迅速かつ適切に賠償すると明言したと報道されておりますが、東電は言っていることとやっていることが違います。知事は東電に対して、これまでの風評被害も含めた原発事故に対する賠償を速やかに行うよう、しっかりと迫るべきです。お答えください。 宮城の基幹産業である水産業の未来がかかっています。知事は、海洋放出ありきの条件闘争に陥ることなく、諦めずあらゆる英知を総動員して、海洋放出以外の処分方法を求めて国や東電と全力で交渉することを求めます。お答えください。 大綱五、個人情報保護法施行条例について伺います。 昨年五月に、国会で個人情報保護法が改定され、来年四月から新たに、地方自治体にもこの改定法が適用されることになりました。これに伴い、宮城県でも現行の個人情報保護条例、以下、「現行条例」という、を廃止して、国の法律に基づく、仮称、個人情報保護法施行条例、以下、「新条例」という、の制定に向けてパブリックコメントを行うなど作業が進んでいますが、新条例は重大な問題をはらんでいます。問題点の第一は、宮城県の知事部局、教育委員会、警察などに保管されている県民の膨大な個人情報が、当該県民の了解を得ずに、企業等の求めに応じて匿名加工されて提供できるようになることです。そこで伺います。 第一に、そもそも、匿名加工すれば企業等に個人情報を提供してよいとする宮城県民のコンセンサスは得られているのか。第二に、現行条例では第八条第八号で、目的外利用の場合、審査会に意見を聴く仕組みがあります。今後も必要と考えますが、この仕組みは新条例でも継続されるのか。第三に、匿名加工を県の各部署が行うとすると、大変な業務量になるでしょう。業者への委託は、個人情報を取り扱う関係から慎重な検討が必要です。宮城県は匿名加工の作業を自前で行うのか、委託するのか。第四に、厚生労働省が難病患者の診断書情報を流出させていたことが、八月二十四日に報道されました。研究者に提供した情報ファイルに、本来削除されるべき氏名、生年月日、住所等の個人情報、五千六百四十人分が含まれていたそうです。こうした情報漏えいが起こる恐れはないのか、情報漏えい防止対策はどのように行うのか。以上、四点について、お答えください。 問題点の二つ目は、現行条例で認められていた死者の個人情報が、新条例で除外されたことです。例えば、県庁職員の過労死などが起きた場合、新条例において、遺族は亡くなった職員の個人情報の開示請求ができるのか、できる場合はどのように行うのか、伺います。 問題点の三つ目は、現行条例で宮城県が定めていた、個人の人格と尊厳の尊重に寄与することを目的とする、人種、心情、社会的身分、病歴、犯罪の経歴などの要配慮個人情報の収集の制限、オンライン結合による提供の制限などの条文が、新条例ではなくなります。人権を守り、情報漏えいを防ぐための大事な条文です。個人情報保護法ガイドラインは、あくまで技術的助言であることから、宮城県の条例の到達点を後退させないために、新条例にも盛り込むべきと考えますが、いかがですか。 改定個人情報保護法は、目的に、「新たな産業の創出並びに活力ある経済社会(中略)に資するものであること」と書き込まれ、個人情報保護から企業利益のために、個人情報の利活用に転換するものです。この法改定は、全国で約二千の地方公共団体などの条例を全てリセットして、全国共通ルールの統一を自治体に押しつけるもので、地方自治の侵害です。よって、村井知事は現行の宮城県条例が継続できるよう、国に個人情報保護法の再改定を要請すべきです。お答えください。 以上で、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 天下みゆき議員の代表質問にお答えいたします。大綱五点ございました。 まず、大綱一点目、知事の政治姿勢についての御質問にお答えいたします。 初めに、旧統一協会に関する定例記者会見における私の発言と、被害者救済についてのお尋ねにお答えいたします。 私が知事に就任した直後の十六年ほど前、国会議員からの依頼により、御指摘の団体に祝電を送りましたが、当時は就任直後ということもあり、どのような団体かということを十分に確認する余裕もなく対応したものであります。十六年も経過した今になって、あたかも私が当該団体と関係があったかのように報道されたことは誠に不本意であり、私の意識といたしましては、ある意味被害を受けたという思いから発言したものであります。 次に、安倍元首相の国葬についての御質問にお答えいたします。 故安倍晋三国葬儀当日の行政庁舎等への半旗掲揚や国葬儀への出席は、政府において閣議決定された国の儀式に対し、儀礼の範囲で対処したものであり、敬意と弔意を県民に押しつけたことにはならないと考えております。 次に、大綱二点目、新型コロナウイルス感染症対策についての御質問にお答えいたします。 初めに、陽性者サポートセンターの相談対応及び看護師等の配置についてのお尋ねにお答えいたします。 陽性者サポートセンターでは、仙台市民を除く県内全域の広い範囲の患者から体調悪化時の相談を受けることから、適切な診療・検査医療機関を紹介し、速やかな受診ができるよう対応に注力しているところです。特に、地理的な情報を補うため、各保健所の管轄区域や市町村の位置が一目で分かる地図の活用や、相談者の所在地から近い診療・検査医療機関を確認できるシステムを利用し、紹介等を行っているところです。また、保健所がこれまで使用してきた医療機関紹介リストや、電話診療等が可能な医療機関のリストなども活用し、相談対応の充実に努めております。センターには夜間を含め二十四時間看護師が常駐し、体調悪化時の相談に応じています。県といたしましては、引き続き自宅にいる患者が安心して療養できる体制の充実に取り組んでまいります。 次に、おとな救急電話相談及びこども夜間安心コールの周知及び相談時間の拡充についての御質問にお答えいたします。 おとな救急電話相談及びこども夜間安心コールは、医療機関の休診時間帯の急な病気やけがに際し、県民の方に今すぐ受診すべきかどうかを適切に助言する趣旨で実施しております。このため、医療機関での通常対応が可能な時間帯は、かかりつけ医に相談できることなどから、相談ニーズが少ないものと認識しており、医療機関が閉じた後の準夜帯を中心に相談体制をしいております。周知及び普及については、チラシや携帯カードの作成・配布、ホームページ、県政だよりなどにより取り組んでいるところです。また、時間帯の拡充を含めた事業の在り方については、救急医療協議会等の場で専門家の意見を伺ってまいります。 次に、保育所の感染拡大防止についての御質問にお答えいたします。 県では七月以降、希望する保育施設の保育士や調理師などの従事者全員を対象に、抗原検査キットを配布し、感染防止対策の強化を図りました。これに加えて、一週間で五人以上の陽性者が発生した施設には、頻回検査として従事者全員が三日間、毎日検査を実施できるよう、これまで五十七施設に約四千キットを配布いたしました。更に、感染管理認定看護師が、感染防止対策などに関する保育施設からの具体的な相談や現地研修に対応しているほか、衛生資材購入費への補助などを実施しており、今後は、今議会の先議で予算をお認めいただいた衛生設備整備への補助も進め、更なる感染防止対策に努めてまいります。 次に、保健所職員の勤務状況と体制強化についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の最前線で対応に当たる保健所の体制につきましては、感染拡大の都度、強化に努めてまいりましたが、特にこのたびの感染再拡大では、これまでにない規模の新規陽性者が発生し、保健所職員にも非常に大きな負担がかかることとなりました。そのため県では、BCPを再徹底するとともに、会計年度任用職員の増員、全庁的な応援に加え、市町村からの応援派遣、これまで以上の民間派遣人材の活用など、人員体制の強化に努めてきたほか、その財源につきましても、全国知事会を通じ国に要望しております。引き続き、これらの取組を進め、保健所職員の負担軽減に努めてまいります。また、保健師の増員についてですが、県では昨年度から退職者数を上回る採用により、保健師の総数を増やしており、来年度におきましても退職予定者を上回る十三名を最終合格者としております。 次に、塩釜保健所の組織体制についての御質問にお答えいたします。 令和元年度から今年度にかけて、塩釜保健所の職員数が五名減少したことにつきましては、育児休業など実際に勤務していない職員を除けば一名の減であります。一方で、限られた定数の中で企画班を新設し、疾病対策班を増員することで、危機管理や感染症対策の強化にも努めてまいりました。また、塩釜保健所岩沼支所と黒川支所につきましては、平成九年の地域保健法施行に伴い、母子保健等の業務を担うこととなった市町村の支援を行うこととされ、その所管区域につきましては、二次医療圏や老人保健福祉圏を参酌するものとされたことから、より高い専門性が求められる業務を本所に集約するとともに、住民に身近な業務を担うため、支所を設置したものであります。なお、生活保護や廃棄物に関する事務を岩沼支所に分掌させるなど、地域のニーズに応じた対応も行っており、現時点では、支所を保健所にする予定はありません。 次に、高齢者施設における陽性者発生時の対応についての御質問にお答えいたします。 県では以前から、高齢者施設の陽性者で必要と判断された方については、原則として全て入院の上、療養していただいております。入院の必要のない高齢者の方については、高齢者施設に対し、経口薬投与や点滴等のプライマリケアの実施をお願いしてきたところです。また、全ての感染症発生施設に対し、感染管理認定看護師等を派遣することは困難な状況となっておりますが、高齢者施設への業務継続支援として、保健所による施設内のゾーニングや換気状況の確認等の感染拡大防止に係る指導のほか、医師や看護師等からなる業務継続支援チームの派遣、感染症対策の研修、応援職員の派遣調整や衛生資材の配布等を行ってまいりました。 次に、最近の病床逼迫に対する認識についての御質問にお答えいたします。 これまで確保病床数や軽症者等の宿泊療養施設を段階的に拡充し、また、後方病院の体制整備などにも努めておりますが、感染の拡大により、医療スタッフが勤務できなくなるなどの事情もあり、医療機能が逼迫している状況であります。感染拡大時の医療体制は、今後とも充実が必要と考えておりますが、急性期病床数につきましては、人口減少を踏まえた地域医療構想の着実な実現が必要と考えております。 次に、感染症法の改正及び医師、看護師の確保や財政支援についての御質問にお答えいたします。 今回の感染症法等の改正案では、平時において、都道府県知事と医療機関が病床や発熱外来等に関して協定を締結し、特定機能病院、地域医療支援病院等については、感染症発生・蔓延時に担うべき医療の提供を義務づけ、これらの医療機関が知事の指示に従わない場合は、勧告・指示等の措置に加え、承認の取消しができることとされており、県では改正内容の詳細について注視してまいります。また、医療人材の確保につきましては、看護職員が不足している医療機関に応援派遣できる看護職員の確保に努めるとともに、これまでの医師・看護師確保対策を着実に進めてまいります。県としましては、今後、全国知事会等を通じて、必要に応じ感染症法の改正に関する意見を国に申し上げるとともに、これまでも感染症等に対応する医療機関に係る平時からの人的・財政的負担を要望してきたことから、引き続き、国へ財政支援を求めてまいります。 次に、大綱三点目、四病院再編問題と地域医療構想についての御質問にお答えいたします。 初めに、県立精神医療センターの移転による、地域ネットワークの維持・発展及び移転先での新たなネットワークの構築についてのお尋ねにお答えいたします。 県立精神医療センターは、これまで名取市をはじめ県南部を中心に、訪問看護やデイケア機能を生かしながら、グループホームなど外来療養を要する患者の方々の生活を支えてきたものと認識しております。精神医療センターが現地から移転した場合にも、こうした患者の方々の生活や療養環境が維持できる体制の確保について、地域の医療機関をはじめ関係者と十分に協議、調整を図ってまいります。また、県といたしましては、今後、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が重要であると考えております。高度精神医療を担う精神科基幹病院としての役割に加え、精神医療センターの機能を生かしながら、他の医療機関や市町村等と連携して、富谷市にとどまらない全県的な体制整備を目指してまいりたいと考えております。 次に、県と仙台市の見解の相違についての御質問にお答えいたします。 仙台市からいただいた文書の中では、大きく二点の指摘がございます。第一に、病院移転後もなお仙台市以外から仙台市内に救急搬送される数の推計に当たり、県の考えでは、三次救急医療機関で受け入れる重篤事例件数割合である三・八%としていたところ、仙台市の考えでは四九・三%としております。これは、三次救急医療機関で受け入れている軽症を含む全件数に加え、脳卒中などの専門病院への搬送数も計上しているためであります。現実に、搬送の実態を見ると、仙台市以外の消防本部の全搬送数に占める重症は一割程度にすぎず、大部分は新病院で受入れ可能と考えております。第二に、仙台市の考えでは、塩釜地区への影響がないとしておりますが、この点は、現在、各種データ分析を進めているところであり、引き続き検証してまいります。なお、移転後の新病院においては、診療科の強化と合わせ、応需率の高い二次救急医療を担うことを目指しており、今般の再編により、仙台医療圏全体の救急受入能力の強化が図られるものであります。更に、仙台市の考えでは、仙台市から市外への搬送を想定しておりませんが、市外への搬送を含め、再編後の救急医療体制を医療圏全体で活用することによって、搬送時間の短縮化が図られるものと期待しているところでございます。 次に、在院日数短縮の効果についての御質問にお答えいたします。 在院日数短縮により、患者一人当たりの医療密度が濃くなることで、職員の負担の増加が想定されますが、一方で、一日当たりの入院患者数の減少が見込まれ空床が増えるため、全体の必要職員数は減少するものと思われます。 次に、新病院のICU等の整備予定についての御質問にお答えいたします。 新病院の機能につきましては、地域の医療ニーズや政策医療の課題を踏まえ具体化するものであり、急性期医療や救急医療が充実した病院を目指したいと考えておりますので、必要な機能について十分に検討してまいります。 次に、急性期病床を削減した場合の、新病院の機能維持及び医療従事者の確保についての御質問にお答えいたします。 急性期病床を削減することは、地域医療構想の趣旨からも、安定した経営の観点からも必要であると考えており、その規模の中でも実現できる高度な医療機能について検討しているところです。また、新病院の姿を考える上では、病床規模や機能に加え、その運営に必要な人材の確保も重要であり、スタッフがやりがいや魅力を感じられる病院を目指し、検討を進めております。県としましては、新病院の実現に向け、医師の確保につきましては東北大学の協力を得るとともに、看護師等につきましても十分確保できるよう関係者と協議を進め、有為な人材を確保できるよう努めてまいります。 次に、関係者との意見交換についての御質問にお答えいたします。 これまで寄せられた署名や要望に対しましては、意見交換の場において、県の方向性や考え方を示してまいりました。今後も引き続き、関係者からの意見を聞きながら丁寧に議論を進めるとともに、協議を進めていく過程においても、できる限りの情報提供に努めてまいります。 次に、大綱四点目、女川原発広域避難計画と汚染処理水海洋放出についての御質問にお答えいたします。 初めに、市町の広域避難計画見直しに係る住民への周知徹底と、その工程についてのお尋ねにお答えいたします。 市町が策定する広域避難計画は、原子力災害時における避難先、避難経路、住民への周知方法や支援体制など基本的な事項を定めており、法令や制度の改正、新たな知見などに伴い、必要に応じて改正し、その内容を速やかに住民に周知すべきものであり、発電所の稼働の有無にかかわらず、常に改善を重ねていくことが重要であると認識しております。今回、津波浸水想定の公表に伴い、関係市町においては、計画見直しの必要性と、その時期について検討しているものと伺っておりますので、関係市町等で構成されるワーキンググループ等を通じ、課題解決に向け、今後とも連携してまいります。 次に、UPZの広域避難計画における職員配置計画等の状況についての御質問にお答えいたします。平成二十四年に策定された、国の原子力災害対策指針には、原子力災害時における県、市町、原子力事業者の役割が規定されており、それに基づき、広域避難計画をはじめ、それぞれの計画の中で事務局体制、情報伝達経路、指示連絡系統などの基本的な体制を定めております。職員の配置については、災害の規模や緊急性、風向、風速、発生時刻、季節や天気などの条件に応じて、最適な配置場所、か所数、人数等を判断する必要があるため、県・市町の災害対策本部や関係機関等が連携して調整することとしております。 次に、UPZ圏内の在宅の要支援者に係る市町の避難計画策定の進捗状況についての御質問にお答えいたします。 災害時に自ら避難することが困難な在宅の避難行動要支援者への支援の在り方を、平時から検討していくことは重要であると認識しております。そのため、全てのUPZ市町の広域避難計画において、家族や支援者等による同行支援、国や自治体が準備する福祉車両等の使用、福祉避難所への入所の考え方を定めているところであります。 次に、UPZ圏内の社会福祉施設に対する車両台数の調査についての御質問にお答えいたします。 社会福祉施設の入所者の避難につきましては、県のガイドラインにおいて、社会福祉施設が所有する車両を最大限活用し、自力による避難に努めることとしており、各施設には、これを前提に実効性のある避難計画の策定を働きかけているところであります。また、社会福祉施設で車両の確保が困難な場合は、国や県、関係市町が確保した車両により避難を実施するとされていることから、県といたしましても、社会福祉施設が自力で確保できる台数を把握することは非常に重要であると考えておりますので、各施設の状況を調査してまいりたいと考えております。 次に、具体的な行動計画や受入調整数についての御質問にお答えいたします。 UPZ内医療機関の避難計画につきましては、県による説明会や計画のひな形作成などの支援により、全ての施設において策定が完了しており、搬送手順や患者家族の確認などについても、この中に盛り込まれております。策定された避難計画の実効性の向上につきましては、引き続き訓練を通じて検証を進めてまいります。また、受入調整数につきましては、UPZ内の病床数である最大約二千二百の患者数に見合う、UPZ外での受入医療機関を確保しております。避難に要する日数につきましては、避難指示の対象区域等により一概には言えませんが、原子力災害医療調整官が中心となって、災害医療コーディネーターの協力を得ながら具体的な受入先の調整を行うこととしております。 次に、女川原子力発電所に事故が発生した場合に、要支援者の命を守れるのかとの御質問にお答えいたします。 県ではこれまで、原子力災害への備えとして、宮城県地域防災計画原子力災害対策編の充実、市町の広域避難計画の策定支援をはじめ、原子力災害医療ネットワークの構築、半島・離島部における防護施設の整備など、女川原子力発電所周辺地域の防災体制の強化に取り組んでまいりました。これらを取りまとめた「女川地域の緊急時対応」は、国の原子力防災会議の了承を受け、毎年実施している原子力防災訓練において検証、改善を継続的に行っております。原子力防災体制の整備に終わりや完璧はないことから、今後とも、県、市町、関係機関が連携し、より実践的できめ細かい訓練を行いながら、防災体制の充実・強化を図り、要支援者はもとより、地域住民の安全を守る体制づくりを進めてまいります。 次に、処理水の海洋放出の中止と、水産業への支援に国を挙げて取り組むべきとの御質問にお答えいたします。 我が県の水産業界は、海洋環境の変化による不漁や新型コロナウイルス感染症の拡大、輸入原材料や原油価格、電気料金の高騰などにより、その経営環境は非常に厳しい状況にあるものと認識しております。このような中、処理水の海洋放出により、水産業界をはじめ関係事業者が不利益を被ることのないよう、海洋放出以外の処分方法の検討を求めるとともに、私自身が先頭に立ち、具体的かつ効果的な風評対策の実施について、連携会議の開催や関係大臣への要望などを通して、国、東京電力と協議しているところであります。その結果、今月開催された連携会議において、漁業担い手確保対策や種苗放流支援、販路拡大の取組をはじめ、我が県の要望項目への対応が国と東京電力から示され、具体化された施策も出てきたと認識しております。県としては厳しい情勢に直面している水産業界が、将来にわたり安定して事業の継続、拡大が図られるよう、関係者の皆様の御意見を伺いながら、国に対し、引き続き必要な支援を強く求めてまいります。 次に、連携会議に海洋放出以外の処分方法を提案している専門家を招いて、意見交換してはどうかとの御質問にお答えいたします。 国は平成二十五年、トリチウム水タスクフォースを設置し、五つの処分方法を評価するとともに、平成二十八年、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会を設置し、専門家による検討を行い、その報告書を踏まえ、昨年四月、海洋放出による処分を内容とする基本方針を決定したと承知しております。処理水の問題につきましては、原子力政策を推進してきた国と、事故の原因者である東京電力が責任を持って対応していくべきものと考えており、連携会議においては、引き続き国と東京電力に対し、構成団体の皆様の御意見や御要望を申し入れてまいります。 次に、処理水の発生量を減らすための抜本的な対策も検討し、東京電力や国に提案すべきとの御質問にお答えいたします。 処理水対策においては、原子炉建屋内への地下水や雨水の流入をできるだけ減らすことが重要であると認識しております。そのため、全国知事会などを通じ、処理水のもととなる汚染水の発生量を、これまで以上に抑制する対策を講じるよう国に要請しております。処理水の発生を極限まで抑制するための効果的な対策に重層的に取り組むよう、引き続き国と東京電力に求めてまいります。 次に、福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償を速やかに行うよう、東京電力に強く求めるべきとの御質問にお答えいたします。 県ではこれまで、東京電力に賠償請求してまいりましたが、法令、政府指示等に基づくものではなく、事故との相当因果関係を認めがたいとの理由から、賠償に至らない事案があり、その全額について原子力損害賠償紛争解決センターへ和解仲介の申立てを行っております。こうしたことから、県では東京電力に対し、事故がなければ生じることのなかった全ての損害について、迅速かつ確実に賠償されるよう要請するとともに、国に対しましては、東京電力を強く指導するよう求めてまいりました。県としては引き続き、国及び東京電力に対し、新たな風評被害が発生した場合も含めて確実な賠償実現を求めてまいります。 次に、海洋放出以外の処分方法を国や東京電力へ求めていくべきとの御質問にお答えいたします。 昨年四月の基本方針決定以降、県では一貫して海洋放出以外の処分方法の検討を求めてまいりました。今月開催した連携会議においても、構成団体等の総意として、海洋放出以外の処分方法の検討を国と東京電力に求めました。一方、設備工事が着工されるなど、既に風評リスクも高まっていることから、スピード感を持って風評対策・生業支援を実施していく必要があります。連携会議の構成団体等からも同様の御意見をいただいていることから、県といたしましては、海洋放出以外の処分方法の検討とともに、宮城の実情に合った各種事業の実施が着実に、そして加速度的に行われるよう、引き続き県が先頭に立って国と東京電力に強く求めたいと思います。 次に、大綱五点目、個人情報保護法施行条例についての御質問にお答えいたします。 初めに、行政機関等匿名加工情報についてのお尋ねにお答えいたします。 この制度は、国会での審議を経て昨年五月に成立した改正個人情報保護法に基づき、行政機関等が保有する個人情報のうち、千人以上のデータを有する個人情報ファイルについて、特定の個人を識別できないよう加工した上で、利用を希望する事業者等に提供するものであります。我が県においても、法の改正に伴い現行の個人情報保護条例を廃止し、新たに個人情報保護法施行条例を制定することとしておりますが、パブリックコメントの実施に当たっても、同制度の概要について周知を図っております。今後も来年度からの制度のスタートに向けて、改めて県ホームページ等の広報媒体を活用しながら、その趣旨や具体的な内容等について丁寧に周知してまいります。 次に、目的外利用に関する規定についての御質問にお答えいたします。 現行条例においては、個人情報の目的外利用が可能な場合について、本人の同意があるとき等の具体的なケースが列挙された上で、最後に、「前各号に掲げる場合のほか、審査会に意見を聴いた上で、個人情報を利用することに相当な理由があると実施機関が認めるとき」との規定が置かれております。補足いたしますと、目的外利用に当たり、常に審査会の意見を聴く制度とされているわけではありません。今回の法改正に伴い、個人情報の目的外利用については慎重に対応すべきとの考えから、地方自治体においても法の規定に基づき対処することとされており、新条例において、現行条例と同様の規定を設けることは考えておりません。 次に、行政機関等匿名加工情報の作成についての御質問にお答えいたします。 行政機関等匿名加工情報の提供に当たっては、厳格な基準のもと、慎重な作業が必要と考えております。現時点においては、先行して制度がスタートしている国においても、いまだ匿名加工情報提供の実績は少ないと伺っておりますが、国における今後の取組等も踏まえながら、具体的な実施方法を検討してまいります。 次に、匿名加工に係る情報漏えい防止対策についての御質問にお答えいたします。 行政機関等匿名加工情報の提供においては、提供するファイルの加工に関し、要綱等において厳格な手続きを定め、個人の識別につながる記述や符号等を完全に削除するなど、個人情報を保護するための措置を適切に行うこととされております。県としては、それらの安全管理措置を徹底することで、匿名加工情報の提供が適正に実施できるよう取り組んでまいります。 次に、死者の個人情報に係る遺族の開示請求についての御質問にお答えいたします。 個人情報保護法においては、死者に関する情報は個人情報の定義に含まれておらず、原則として、遺族が本人に代わって死者に関する情報の開示請求を行うことはできません。これは、法が目的とする個人の権利利益の保護に関与することができるのは、生存する本人のみであるとの考え方によるものとされております。一方で国は、法令に抵触しない範囲において、地方公共団体が死者に関する情報の提供について、制度を設けることは妨げないとの見解も示しており、県といたしましては今後、取扱いのルール化に関し、その是非も含めて必要な検討を行ってまいります。 次に、要配慮個人情報の収集制限などの規定を、新たな条例にも盛り込むべきとの御質問にお答えいたします。 今回の法改正は、これまで別個の法律や条例により生じていた個人情報の規律に関する不整合を是正することを目的としております。このため、個人情報の規律に関する基本的な枠組みについては、法において統一的に規定され、条例においては、法の施行に当たって必要な事項を定めることとされております。しかしながら、法においても、その目的として、個人の権利利益の保護がうたわれているほか、個人情報の保有や利用、提供の制限等が規定されており、要配慮個人情報やオンライン結合等に関する規律についても、従来の水準が維持されているものと考えております。県といたしましては、現行の条例が果たしてきた役割を十分に踏まえつつ、今後とも、個人情報保護施策に適切に取り組んでまいります。 次に、現行条例の内容が継続できるよう、法の再改定を国に求めるべきとの御質問にお答えいたします。今回の法改正により、個人情報の取扱いについて全国共通のルールが整備されたことは、制度の分かりやすさや公平性の観点から、一定の意義があるものと考えております。来年四月の改正法施行後も、我が県がこれまで行ってきた個人情報保護の取組が後退したと受け止められないよう万全を尽くすとともに、実際に運用していく中で制度的な課題が明らかになった場合には、国に見直し等を要望したいと考えております。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 御答弁ありがとうございました。再質問いたします。 最初に、新型コロナ対策について伺います。 この間の国や県の新型コロナウイルス感染症への対応は、保健所や医療機関の体制強化がなされないまま新たな感染拡大に突入し、ますます保健所や医療機関が逼迫するということが繰り返されております。感染者が急増して保健所が対応できなくなれば、濃厚接触者の調査対象を縮小して、結果、市中感染が広がる。入院ベッドが足りなくなれば、高齢者施設等では施設内療養を原則とし、結果、クラスターが急増する。この間の対応は、成り行き任せと言わざるを得ません。冬の感染拡大期に向けて、保健所や医療機関の体制強化、そのための予算の拡充などの支援策を、国や自治体が本気になって進めることが必要だと思いますが、いかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 御質問のとおり、医療機関や保健所の業務が逼迫しているということについては、そのように認識しております。ただ、業務が逼迫してクラスターを助長しているという認識ではありませんで、国のほうでも全国一律で様々な見直しをしている中で、何とかめり張りをつけながら優先順位をつけて、クラスター対策も行っていると認識しております。引き続き、必要な予算等についても全国知事会で求めておりますので、医療提供体制の効率的な構築、それから必要な予算について、国に求めてまいりたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 知事、八月の保健所体制を見ますと、一保健所平均で、少ないときでも六人、多いときには十六人の応援が行われていました。そもそも疾病対策班の人数は、一保健所平均で六・六人です。この間の応援体制を見れば、各保健所の疾病対策班を少なくとも倍の体制にして、ピーク時は更に応援を派遣することが必要だと考えます。先ほどの知事の御答弁では、来年度に向けた保健師の増員予定数が十三人ということでしたが、各保健所にすると一人か二人ということになります。疾病対策班の倍加を目指して、ぜひ国に財政支援を要求するとともに、人員体制の確保を図ることを求めますが、いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 人員体制の充実は急務であると思っております。ただ、平時の定員管理ということも合わせて考えておりますので、先ほど知事から御説明いたしましたように、様々な手法として、会計年度任用職員の増員、民間派遣の増員、BCPの徹底、それから事務職員の応援体制など様々な対応をとる中で、個々の職員の負担は増しておりますけれども、何とか乗り切りたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 保健所の定数が六人ぐらいからだったということですので、その辺りも御検討ください。 知事、県管轄の保健所、支所の中で一番応援体制が厚かったのに、一番時間外勤務が多かったのが、実は岩沼支所です。七月が平均百十七時間、最大百六十七時間の残業、八月が平均百六時間、最大百五十三時間の残業でした。そして岩沼支所は、塩釜保健所の本所に次いで新型コロナの累計陽性者数が多く、仙南・大崎・石巻の各保健所よりも多かったのです。まずは、岩沼支所の保健所化を検討していただきたいのですが、いかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 支所の保健所化については、先ほど知事から御説明したとおりでありますが、いずれの支所も大変なわけでありますけれども、御指摘のとおり、中でも特に業務負担の多い支所があることも認識しておりますので、様々な方策で負担軽減に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 岩沼支所と黒川支所で、感染症対策を所管する地域保健班は、ほかの保健所の疾病対策班とは違って、母子・精神分野も管轄しています。感染者数が多い実態も踏まえて、栗原・登米の支所同様、体制を強化して、せめて疾病対策班と母子・障害班に分割したらいかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 具体的な定数、あるいは組織のありようについては、先ほども申し上げましたが、平時の業務量と併せてよく検討してまいりたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 今の組織の再編については、ぜひ検討してください。これは、ぜひお願いしたいと思います。 続いて、医療機関の体制強化も大変必要です。感染者数の拡大で病床が逼迫するのは、そもそも医師、看護師がぎりぎりの体制で現場に余力がないからです。急性期病床を減らすために在院日数を下げて、効率化ばかり目指してきた日本の医療政策の結果が、パンデミックにもろい医療体制をつくってきたのです。病床削減ありきの地域医療構想や四病院再編は、これに更に拍車をかけることになると思いますが、知事いかがですか、お答えください。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 医師、看護師等のスタッフが非常に逼迫していることは事実であります。ただ、これは日本だけの問題ではなく、世界中で同じ問題を抱えております。つまり、非常時は当たり前ですけれども、このパンデミックの状況で、医師や看護師が充足するわけはないので、それに全部合わせていくと、今度は平時に医師や看護師が余るということになってしまうと、その辺のバランスを先ほど保健所のことで部長が答弁いたしましたけれども、やはり全体のバランスを考えながら対応していかなければならないということだと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 平時の体制ということですけれども、そもそも平時でもぎりぎりで足りない中で頑張っているということをしっかり認識していただく必要があると思います。 知事は事あるごとに、地域医療構想については二十年後、三十年後のためにと言っておりますが、県民の命を守るために今必要なことは、医師、看護師を増やすことです。そして、そのための財政支援を行って医療体制を強化することだと思います。今必要なことはしっかりやっていただきたいのですが、知事の決意を伺います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 当然、医師や看護師は、都市部から離れれば離れるほど足りないということ、平時でも足りないわけでありますので、そういうようなこともありまして、特例的に医学部をつくっていただいたり、あるいは看護師を増やせるような施策を今、一生懸命やっているということであります。急に増やせるかといったら、やはり医師を育てるには大変時間もかかりますので、全体のバランスを見ながら、優秀な医師や看護師を育てられるようにしっかり努力してまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 次に、四病院再編問題の救急医療体制についてです。 先ほどの御答弁なんですけれども、救急隊は最初から、この方が重症だと分かって三次救急病院に運ぶわけではありません。重症らしい方を運ぶわけですので、そういう意味では、データの中で重症の割合だけをとっても、それは狭くなってしまうということ。それから、循環器の専門病院とか脳卒中の専門病院とかありますけれども、今後、仙台のほうには来ないで二つの病院だけで診られるというふうには、私はならないかと思いますので、先ほどの答弁で、塩釜地区については引き続き検証が必要だということでしたが、しっかり検証して仙台市とディスカッションしていただきたいと思います、いかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今は議会中のため、私も含めて対応がとれませんが、できるだけ早く仙台市のほうに出せるものについてはしっかり回答させていただきたいと、その上で、ディスカッションするということが重要だと思います。患者をぱっと見て重症かどうか分からないとおっしゃいましたが、救急隊員の方は経験がありますので、この方が重症かどうかっていうのは、ある程度分かるのではないかと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 救急隊員が重症だと判断した方が、最終的に病院で重症と判断したかどうかということは、また違うということを申し上げています。 知事、二つの病院が移転しても、仙台市内の医療機関の救急受入能力に余力が生じると言ってしまっていることが問題なんです。余力が生じるかはっきりしないのであれば、それを一度撤回すべきだと思いますが、いかがですか。
    ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 余力が生じると私たちが見込んでいて、昨年そのように整理したとおりであります。仙台市の見解は、具体的にどれだけ減少するのかについては分からないという言い方で、先ほど答弁いたしましたとおり、仮に新病院を整備したとしても、仙台市内への三次救急等への搬送件数は変わらないだろうというのが、仙台市の一つの仮定であります。確かに救急隊は症状が分からないので、まず搬送することを優先するという意味では、そのような懸念を持つのも分かるわけでありますが、さすがにそれはないだろうと思っております。仙台市の議論は、現状の医療機関での搬送数を前提にしてどう変わるのかってことでありますが、我々の再編の狙いというのは、医療圏全体で救急の受入能力を高めるということであります。脳卒中センターあるいは循環器内科の整備を含めて、もっと救急隊が断られずに直接搬送できるような高度の二次救急の病院を目指すということでありますので、結果として医療圏全体で搬送数の増大、それから搬送時間の短縮につながると見込んでいるところであります。いずれにしても、具体的な数字の検証等を現在行っているところであります。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 次に、県立がんセンターの機能について伺います。 六月議会での同僚議員への質問に対して、知事から、がんセンターが将来、希少がんや難治がんを今と同じような形で行うべきか、あるいは別の形を目指せばいいのか、東北大学に御指導いただきながら考えていくという趣旨の答弁があり、保健福祉部長からは、東北大学の機能分担や民間病院との機能分担の検討という答弁もありました。知事はがんセンターについて、希少がんや難治がんは東北大学で、民間病院でやれることは民間でという選択肢も検討しているのか、また、このような選択をした場合、統合した病院のがんセンターは何をやるのか、お答えください。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) いろんな幅を持って検討する、これは当然のことでございますので、天下議員がおっしゃったようなことも当然考えなければならないというふうに思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 県が、がんセンターから手を引くようなことはしないようにということだけ申し上げておきます。 次に、精神医療センターについてですが、知事は地域ネットワークを軽く見ているのではないでしょうか。小手先の対応策でできるものではありません。公共交通機関を利用できない患者さんもいます。精神医療センターの移転により、現在通院している患者さんの医療中断や症状悪化が起きないと、知事は断言できますか、お答えください。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 断言はできませんけれども、しっかりとそういったケアをしていかなければならないと思っています。また、天下議員の言い方を聞いていると、まるで精神医療センターは地域の人のためだけの病院のように聞こえるのですが、決してそうではなく全県をケアする病院であって、逆に言うと石巻や県北から精神医療センターに通っている人もおられるわけでありますので、お困りの方はしっかりケアしますし、また、それによってメリットを享受する方もおられるということも御理解いただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) これだけ今、患者や地域の方から不安の声が上がっているわけです。知事は基本合意の前に、精神医療センターの職員、患者、地域の連携事業者等にきちんと説明して、意見を聴く場を設けるべきです。いかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) まだ基本合意もできていないうちから何も話しようがないということ、それから仙台市内の病院については、患者のデータを何も持っていないわけですから、これはやはり我々ではなくて、患者のデータを持っている二つの病院のほうが、ある程度責任を持っていただかなければならない。そして、精神医療センターとがんセンターにつきましては、当然方針が出たのならば、職員に対する説明も含めて我々でしっかりやっていきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 知事、基本合意というのは、地域の方に説明しても対応策が十分にできない場合は、一回引っ込めることもあるんですか、どうですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 基本合意した内容について、御理解いただけるように説明するということであります。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 今の患者さんに対して責任を持っていないと言わざるを得ません。知事、医療は人権です。知事が、現在の患者の医療を受ける権利を無視して四病院再編を強行することは、人権侵害に当たるのではないかと指摘しておきます。 最後に、女川原発の広域避難計画について伺います。 広域避難計画は、新たな津波浸水想定にも、UPZの要支援者にも対応できておらず、先ほど知事は、原子力防災体制の整備に終わりや完璧はないと言いましたけれども、未完成なんです。こういう状況で再稼働すべきではないと思いますが、いかがですか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 広域避難計画につきましては、何度も答弁しているように、このたたき台で国から御理解いただいたというふうに受け止めておりますが、先ほど答弁したとおり完璧はありませんので、繰り返し訓練をやりながら、いろいろ改善を加えていくということであります。 ○議長(菊地恵一君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 避難計画が未完成では、県民の命は守れません。再稼働の中止を強く求めて、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○議長(菊地恵一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十一分散会...