○議長(
石川光次郎君) 日程第三ないし日程第六、意見書第五号議案、
学校教育における
デジタル化の適切な推進を求める意見書、意見書第六号議案、
地方財政の充実・強化を求める意見書、意見書第七号議案、
子供政策の充実を求める意見書、意見書第八号議案、
性的指向・性自認に関する差別の解消を求める意見書を一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………意見書第五号議案
学校教育における
デジタル化の適切な推進を求める意見書 右事件について
宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により
別紙意見書案を提出します。 令和三年七月一日 提出者 議員
村上智行 賛成者 議員 坂下 賢
三浦一敏 伊藤和博 岸田清実 菅間 進
宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… 意見書 現在、教育の現場では、「誰一人取り残すことのない公正に個別最適化され、創造性を育む学び」の実現を目指す「
GIGAスクール構想」の一環で、児童生徒への一人一台の情報端末の貸与及び校内の
高速通信ネットワークの整備が進められている。 「
GIGAスクール構想」に対しては、ICTを活用したオンラインでの授業や宿題の配布、さらに
デジタル教科書・教材の活用など、各人の状況に合わせた学習を推進することにより、多様な学びの実現と教職員の負担軽減などへの期待が高まっている。 一方で、すべての教員が情報端末を活用した一定レベルの授業を行うことができるように、個人情報の取扱い及び管理も含めた教職員の資質の向上が求められる。また、
デジタル教科書・教材は、学校から貸与された端末を使い、学校のシステムに接続する必要があることから、例えば、転校先でも復習や学びが継続できる環境を整備しておくことも重要である。さらに、
デジタル教科書・教材のみを使用した場合には、学習の基本能力である「読解力」の低下が危惧されることから、これを防ぐような学習の進め方の検討が必要である。 よって、国においては、各自治体が
学校教育にICTを浸透させ、更なる教育の充実を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。一 情報端末の利活用や個人情報の取扱いなど、教育現場の
デジタル化に対応する教職員研修の在り方について検討を進めること。二 基幹となるシステムや個々のソフトウェアの整備、情報端末や通信設備の修繕や定期更新など、教育現場や家庭学習に必要なICT環境を整備するための
学校教育予算の充実・確保とその在り方について検討を進めること。三 様々な規格や出版元の情報端末及び
デジタル教科書・教材の互換性を確保するための統一規格について検討を進めること。四 よく聞き、よく読み、よく書くなどの生涯学び続けるための基本的な「学ぶスキル」を身に付ける上で、紙面の活用や、オンラインでの学習と対面学習の併用を検討すること。 右、
地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。 年 月 日
宮城県議会議長 石川光次郎 衆議院議長 + 参議院議長 | 内閣総理大臣| |あて 総務大臣 | 財務大臣 | 文部科学大臣+……………………………………………………………………………………………意見書第六号議案
地方財政の充実・強化を求める意見書 右事件について
宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により
別紙意見書案を提出します。 令和三年七月一日 提出者 議員
村上智行 賛成者 議員 坂下 賢
三浦一敏 伊藤和博 岸田清実 菅間 進
宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… 意見書 地方自治体は、
地方財政が厳しい状況にある中、医療、介護などの社会保障、子育て支援策の充実、児童虐待防止、生活困窮者自立支援、貧困対策、環境対策、地域交通の維持・確保、空き家対策など、その果たすべき役割が拡大し、より多様化、複雑化した行政需要への対応を求められている。また、公的サービスを担う人材が不足している中でも、人口減少対策に加え、地域経済の活性化、地域社会の維持・再生、近年多発している災害への対応、防災・減災事業、被災地の復興、さらに新型コロナウイルス感染症対策などの重要課題に取り組んでいかなければならない状況にある。 地方自治体が必要な行政サービスを安定的かつ効果的に提供していくためには、国が増大する地方の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保を図ることをはじめとした、持続可能な地方税財政基盤の構築が不可欠であることは言うまでもない。 また、地方の財源不足を解消するためには、臨時財政対策債等の特例措置に頼るのではなく、
地方財政の基盤となる地方交付税の法定率の引上げを含めた抜本的な見直し等を行うべきである。 よって、国においては、地方自治体が地域の実情に応じた自主的かつ主体的な取組を長期間にわたって実施していくことができるよう、地方交付税の総額を安定的に確保・充実するとともに、地方交付税の財源保障機能と財源調整機能を維持・拡充するなどして、
地方財政の一層の充実・強化を図ることを強く要望する。 右、
地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。 年 月 日
宮城県議会議長 石川光次郎 衆議院議長 + 参議院議長 | 内閣総理大臣 | |あて 総務大臣 | 財務大臣 | 内閣府特命担当大臣(地方創生)+……………………………………………………………………………………………意見書第七号議案
子供政策の充実を求める意見書 右事件について
宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により
別紙意見書案を提出します。 令和三年七月一日 提出者 議員
村上智行 賛成者 議員 坂下 賢
三浦一敏 伊藤和博 岸田清実 菅間 進
宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… 意見書 少子高齢化が深刻な我が国において、子供たちの健やかな成長・発達を力強くサポートしていくことの重要性がかつてなく高まっており、国、都道府県、市町村が強力に連携して取り組むべき課題である。 地方行政の現場では、子供・子育てに関する様々な相談や、家庭教育支援の充実などの多様な要望が住民から日々寄せられている。妊娠、出産、保育、教育、医療、福祉、児童虐待、非行、貧困、いじめ、事故など多岐にわたる相談や要望に適切に対応すべく、現場の職員は国と連携しつつ尽力しているが、国の一元的な窓口が存在しないため、十分な連携が取れず、迅速かつ適切な対応ができないケースもある。また、必要な施策を進める上で、財政的な制約も深刻である。 よって、国においては、
子供政策の充実を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。一 専任の大臣のもとで強い権限を持って子供・子育てに関する施策を一元的に所管する省庁を設置すること。二 地方自治体間での格差が生じないよう、国が主導して国・都道府県・市町村の連携体制を構築すること。三 地方自治体の
子供政策を充実させるため、財政支援を強化すること。 右、
地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。 年 月 日
宮城県議会議長 石川光次郎 衆議院議長 + 参議院議長 | 内閣総理大臣 | |あて 文部科学大臣 | 厚生労働大臣 | 内閣府特命担当大臣(少子化対策)+……………………………………………………………………………………………意見書第八号議案
性的指向・性自認に関する差別の解消を求める意見書 右事件について
宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により
別紙意見書案を提出します。 令和三年七月一日 提出者 議員
村上智行 賛成者 議員 坂下 賢
三浦一敏 伊藤和博 岸田清実 菅間 進
宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… 意見書 多様な性の在り方や、それぞれの違いを当然のこととして受け入れ、多様な生き方を認め合う社会を実現することは、「個人の尊厳」が尊重される社会の形成に欠かせない。 近年、性的少数者に対する認知が大きく進む一方、日常生活や、就職活動を含む職場や学校などの社会生活においては、
性的指向・性自認を理由とする差別的な取扱いを受けることが少なくないため、多くの当事者が本来の自分を隠して生きている現状がある。 性的少数者は、
性的指向・性自認をカミングアウトした場合や、意図せずに知られた場合、差別や偏見、ハラスメントにさらされるという困難に直面する。また、本人の性の在り方が同意なく第三者に暴露されるアウティングも大きな問題となっている。こうしたことから、
性的指向・性自認を理由とする差別の解消は喫緊の課題である。 海外では、国や地方公共団体、企業等において役職を有する者が性的少数者であることを表明したとしても、差別的な取扱いを受けることなく、その者が持つ能力を十分に発揮することが歓迎される社会を既に形成している国も数多くある。 よって、国においては、社会全体が性の在り方の多様性を受け入れていくことを目指し、
性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進や差別の解消を目的とした環境整備を行うよう強く要望する。 右、
地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。 年 月 日
宮城県議会議長 石川光次郎 衆議院議長 + 参議院議長 | 内閣総理大臣| 総務大臣 |あて 法務大臣 | 文部科学大臣| 厚生労働大臣+……………………………………………………………………………………………
○議長(
石川光次郎君) お諮りいたします。 意見書案四か件については、提出者の説明を省略することにいたしたいと思います。 これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、提出者の説明を省略することに決定いたしました。 これより質疑に入ります。 意見書案四か件に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 お諮りいたします。 意見書案四か件については、委員会の審査を省略することにいたしたいと思います。 これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、委員会の審査を省略することに決定いたしました。 これより採決いたします。 初めに、意見書第五号議案、
学校教育における
デジタル化の適切な推進を求める意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、意見書第五号議案は、原案のとおり可決されました。 次に、意見書第六号議案、
地方財政の充実・強化を求める意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、意見書第六号議案は、原案のとおり可決されました。 次に、意見書第七号議案、
子供政策の充実を求める意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、意見書第七号議案は、原案のとおり可決されました。 次に、意見書第八号議案、
性的指向・性自認に関する差別の解消を求める意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、意見書第八号議案は、原案のとおり可決されました。
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△議第百四十三号議案ないし議第百六十二号議案
△議第百七十号議案
△議第百七十一号議案
○議長(
石川光次郎君) 日程第七、議第百四十三号議案ないし議第百六十二号議案、議第百七十号議案及び議第百七十一号議案を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。
環境福祉委員長、十八番村上久仁君。 〔十八番 村上久仁君登壇〕
◆十八番(村上久仁君)
環境福祉委員会の審査の結果を御報告申し上げます。 一議第百五十五号議案。一議第百六十一号議案。 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、全会一致で原案を可決すべきものと決しました。 以上のとおり御報告申し上げます。
○議長(
石川光次郎君) 経済商工観光委員長、三十二番横山隆光君。 〔三十二番 横山隆光君登壇〕
◆三十二番(横山隆光君) 経済商工観光委員会の審査の結果を御報告申し上げます。 一議第百六十二号議案。 本委員会は、この付託議案を審査した結果、全会一致で原案を可決すべきものと決しました。 以上のとおり御報告申し上げます。
○議長(
石川光次郎君)
建設企業委員長、二十番
庄田圭佑君。 〔二十番
庄田圭佑君登壇〕
◆二十番(
庄田圭佑君)
建設企業委員会の審査の結果を御報告申し上げます。 一議第百五十六号議案。 本委員会は、この付託議案を審査した結果、全会一致で原案を可決すべきものと決しました。 一議第百五十七号議案。一議第百七十一号議案。 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、可否同数により、
宮城県議会委員会条例第十六条の規定に基づく
委員長裁決の結果、原案を可決すべきものと決しました。 以上のとおり御報告申し上げます。
○議長(
石川光次郎君) 少数意見の報告を求めます。四十三番ゆさみゆき君。 〔四十三番 ゆさみゆき君登壇〕
◆四十三番(ゆさみゆき君) 七月二日の
建設企業委員会において、議第百五十七号議案、公営企業の設置に関する条例の一部を改正する条例、議第百七十一号議案、
公共施設等運営権の設定について、
宮城県議会会議規則第七十五条第二項の規定により、三名の賛同を得て留保した少数意見について述べます。
公共施設等運営権の設定については、上工下水道の二十年間の運営権を民間に一括売却する条例です。 しかし、
優先交渉権者の
メタウォーターなど十社で設立した特別目的会社SPCが実際にどのような事業を行うのか、具体的な
事業計画、実施体制、税務管理、セルフモニタリング、危機管理、改築計画などの重要事項が資料として提示されませんでした。 また、運営権を設定する全ての現場は、外資系の
ヴェオリア・ジェネッツ株式会社が運営権を握る
OM会社が当たるとしていますが、SPC共々、その経営内容の監視が徹底されるのか。 また、上工下水道を遠隔地から制御する監視システムに関し災害時は自動操作から手動に切り替わるとされ、施設特有の持つ個性にその対応と技術力の継承が可能なのかどうか。 また、経費節減として大きく占める人件費についてですが、初年度の二百六十九人から七年目は二百二十五人と四十四人も削減され、災害時における
事業継続計画、BCP等市町村との連携及び対応は万全なのか。 そして、受水市町村及び他の市町村への対応として、企業局から受水している市町村の水道料金は市町村が独自で行っている水道料金よりも高く、それぞれの料金格差が大きいことや今後二十年間の間に市町村水道の広域連携と現在受水していない市町村水道との垂直連携に県が前のめりであること、そして、上水道未普及地域への整備計画への影響も大きく懸念されます。 公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、経営審査会設置が提案されていますが、業務実施状況や水質の安全性等管理結果について財務諸表等の必要な情報公開の徹底が行われ、十分に審査することができるかどうか分かりません。 また、この議会への報告ですが、県民の意見の反映や議会の関与が不明確です。 第十条には、運営権者が収受する利用料金の減免規定を新たに追加していますが、第二項の公益上の理由その他の特別な事情により運営権が必要と認めたときとあります。営利本位の住民福祉の後退が懸念されます。第二項については県の承認とすべきです。 第十九条の運営権設定の施設を利用する者は運営権者に利用料金を納めなければならないとありますが、これは具体的な料金額も収受額割合も書き込まれておらず不十分です。 み
やぎ型管理運営方式の県民説明会は一人一問しか質問が認められないことから、多くの県民は説明不足、理解できないなど不信を抱いています。 よって、議第百五十七号議案、議第百七十一号議案は、審議に値する状況ではなく、拙速な採決はやめて継続審議にすべきという意見があったことを御報告いたします。
○議長(
石川光次郎君) 文教警察委員長、十九番
高橋宗也君。 〔十九番
高橋宗也君登壇〕
◆十九番(
高橋宗也君) 文教警察委員会の審査の結果を御報告申し上げます。 一議第百五十八号議案。一議第百六十号議案。一議第百七十号議案。 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、全会一致で原案を可決すべきものと決しました。 以上のとおり御報告申し上げます。
○議長(
石川光次郎君) 総務企画委員長、三十六番
佐々木幸士君。 〔三十六番
佐々木幸士君登壇〕
◆三十六番(
佐々木幸士君) 総務企画委員会の審査の結果を御報告申し上げます。 一議第百四十五号議案。一議第百四十六号議案。一議第百四十七号議案。一議第百四十八号議案。一議第百四十九号議案。一議第百五十一号議案。一議第百五十二号議案。一議第百五十三号議案。一議第百五十九号議案。 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、全会一致で原案を可決すべきものと決しました。 一議第百五十号議案。一議第百五十四号議案。 本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、賛成多数で原案を可決すべきものと決しました。 以上のとおり御報告申し上げます。
○議長(
石川光次郎君) 予算特別委員長、三十八番高橋伸二君。 〔三十八番 高橋伸二君登壇〕
◆三十八番(高橋伸二君) 予算特別委員会の審査の経過及び結果について御報告いたします。 本委員会は、議第百四十三号議案及び議第百四十四号議案の付託を受け、六月三十日の委員会では、八名の委員が総括質疑を行いました。 その主なものは、予算編成の考え方、令和三年二月十三日に発生した福島県沖を震源とする地震等への対応、
流域下水道施設災害復旧費、自治体情報セキュリティ強化対策費、鳥獣被害防止対策促進費、子育て県民運動推進費、地域食農連携プロジェクト推進費などについてであります。 続いて、同日午後に各分科会を開催し、慎重かつ詳細な審査を行いました。 以上のような審査経過を経て、本日の委員会で主査報告を行い、採決した結果、議第百四十三号議案及び議第百四十四号議案については、全会一致で原案を可決すべきものと決しました。 以上のとおり御報告申し上げます。
○議長(
石川光次郎君) 以上で、
委員長報告及び少数意見の報告を終わります。 これより質疑に入ります。
委員長報告及び少数意見の報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 討論の通告がありますので、発言を許します。一番金田もとる君。 〔一番 金田もとる君登壇〕
◆一番(金田もとる君)
日本共産党宮城県会議員団の金田もとるです。会派を代表して、提案されている議案二十二件のうち、議第百五十号、百五十四号、百五十七号、百七十一号議案に反対し、討論いたします。 議第百五十号議案は、原発立地地域に新設または増設した企業に対して事業税、不動産取得税及び固定資産税の減免を受けられる期間を延長するものです。これは女川原発再稼働を前提とするものであり、反対いたします。 議第百五十四号議案は、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律、いわゆるデジタル手続法の改定に基づき条例改正するものですが、以下の理由により、賛成できません。 一つは、条例の目的に、「県内の社会経済活動の更なる円滑化を図り」の文言が新たに入り民間手続とのオンライン化を可能としていることです。行政手続で収集された個人情報が民間企業に無条件に提供されることが危惧されます。 もう一つは、マイナンバー活用の対象を拡大しようとしていることです。そもそもマイナンバー制度は、一般社団法人日本経済団体連合会などの要望のままに国民の所得、資産、社会保障給付を把握し、国民への徴収強化と社会保障費の削減を進める仕組みとしてつくられました。毎年のように二百件を超えるマイナンバーの情報漏えいが報告されていることも含め、マイナンバー活用の拡大は認められません。 日本で初めて上下水道と工業用水の三分野九事業を一体化し、二十年間の運営権を売却するという
コンセッション方式の導入による民営化を行おうと知事が強引に今議会に議案を提出しました。 以下の理由を述べて、議第百五十七号議案、公営企業の設置に関する条例の一部を改正する条例と議第百七十一号議案、
公共施設等運営権の設定について、反対いたします。 第一に、議案審査を行う上で必要な資料を提出しないまま議決を求めていることです。議第百七十一号議案には、運営権者のSPC特定目的会社、株式会社みずむすびマネジメントみやぎが県に代わって二十年間行う業務内容の項目が記載されています。しかし、実際にどのように事業を進めていくのか具体的な関係資料を求めても、ほとんどがまだ出来上がっておらず提出できないという状況です。例えば、事務事業の中の経営に係る業務は募集要項や要求水準書には十項目挙げられていますが、出てきたものは運営権者の情報公開取扱規程と二十年間の収受額の二つだけです。セルフモニタリングや危機管理は骨格的な案が示されただけです。水質管理については、仙南・仙塩広域水道の素案だけで大崎広域水道や四つの
流域下水道と二つの工業用水については素案さえも示されていません。肝腎要の
事業計画や実施体制の確保、財務管理、技術管理などは全く資料が出ていません。議案審査に必要な資料も出さずに賛成してくれという議会軽視も甚だしいやり方を認めることはできません。 第二に、これらの議案を可決すると、あとは議会の議決なく二十年にわたる運営権売却の実施契約書を県とSPCが交わすことになります。実施契約書が公募後に事業者との
競争的対話の中で百六十一か所も変更され、突発的事象の費用負担やライセンス料を伴う知的財産権使用料の支払い、再委託の手続の簡素化、運営権者に瑕疵がある場合の免責規定の追加、業務や監査報告書提出期限延長など運営権者のリスクは大きく減り県の負担は増えました。実施契約書は今まだ案の段階であり、これからも変更される可能性があります。SPCへ支払うライセンス料を伴う知的財産権使用料は、開始時、年間五千万円ということですが、二十年の間にその使用料も変更され増額する可能性があることが七月一日の委員会審査で明らかになりました。更に、二十一年目以降も永久にSPCを構成する親会社に多額の使用料を支払い続けることになってしまいます。実施契約書の締結は議決案件として議会の同意を得るべきです。 第三に、二つの議案は共に大事なお金の取決めが欠落していることです。議第百五十七号議案として改正案が出されている公営企業の設置に関する条例の第十九条には、運営権設定施設を利用する者は運営権者に利用料金を納めなければならないとありますが、具体的な料金額も収受額の割合も書き込まれておりません。下水道
コンセッション型民営化を先駆けて行った浜松市では、下水道条例そのものに運営権者が収受する利用料金の上限を三割と書き込み、その条例施行規程には二三・八%と具体的に記入しています。 議第百七十一号議案、
公共施設等運営権の設定についてには運営権対価が十億円であることも明記されておりません。宮城県の水道三事業全体の施設の帳簿価格は二千九百九億円で、運営権設定施設の帳簿価格はそのうち九百十八億円です。完全民営化であれば二千九百九億円の総資産を購入しなければ事業に参入できません。僅か十億円の運営権対価で経営し利益を上げることができるみ
やぎ型管理運営方式は、知事の言うとおり、この上なく「民間企業がやりやすい」方式と言えます。ちなみに、
処理人口四十万人の浜松市下水道
コンセッションの運営権対価は二十五億円でした。み
やぎ型管理運営方式では、二つの広域水道の給水人口百八十九万人、四つの
流域下水道の
処理人口七十三万人がその対象になります。運営権対価が十億円とは大きな驚きです。 また、SPCの事業費削減額二百八十七億円について、SPCと県が結ぶ
実施契約書案に明確に記述されていないことも問題です。 第四に、運営権が設定される事業の予算・決算は県の監査対象からも議会審査からも外れます。み
やぎ型管理運営方式を県民や議会がどうチェック・コントロールしていくのか、その手段と前提となる情報公開のルールが不十分な点です。今回、議第百五十七号議案で経営審査委員会の設置や議会への報告等が条例提案されていますが、経営審査委員については
公営企業管理者が「議会の同意を得て任命する」ことに、議会への報告等については「報告し承認を受ける」に条例を変え、いずれも議決事項にすべきです。そうしてこそ二元代表制や議会制民主主義という憲法と地方自治の原則を守ることになります。SPCの情報公開取扱規程では、SPCが幾らでも開示を拒否でき不服申立ての判断もSPCの親会社の法務部門や顧問弁護士が判断するとされ、客観性はないに等しく県民の知る権利が保障されません。
メタウォーターグループは、SPCだけでなくオペレーションマネジメントを担う
OM会社、株式会社みずむすびサービスみやぎをつくり、全ての浄水場と
浄化センターの運転と維持管理を委託させるという提案が
PFI検討委員会で高く評価され運営権者に選定されました。県とSPCは実施契約を結びますが、どのようにして県が
OM会社をコントロールするのか、できるのか不明です。県は
OM会社とも契約を結ぶと議会答弁していますが定かではありません。
OM会社はヴェオリア・ジェネッツ社の支配下に置かれ、二十一年目以降も宮城県で根を下ろして利益を上げていくと言っていることも県民の不安と心配を一層大きくしています。 第五に、今、世界の水道事業の流れは再公営化にあるということです。フランスに本社を置くヴェオリア・ジェネッツ社は、世界最大規模の水メジャー会社であり各地で水道事業民営化を進めてきました。一旦民営化したものの料金高騰や財政の透明性の欠如、劣悪な運営による水質悪化、過度な人員削減によるサービスの低下などの問題が噴出し、二〇一七年時点で世界三十三か国二百六十七の事業体が再公営化を決断しています。知事は、「
コンセッション方式によるみ
やぎ型管理運営方式は海外での民営化失敗の教訓に学んだ。」と強調されていますが、その根拠は明確に示されないままです。このまま、み
やぎ型管理運営方式を進めることは世界の流れに逆行することになります。 第六に、SPCは人件費で百六十七億円、設備や機械の更新投資で三百四十八億円、合わせて五百十五億円のコスト削減を図ろうとしています。人件費は三割もカットされます。施設設備の改築計画や健全度計画もまだできておらず、県民の安全安心や働く人の賃金や権利がどのように守られるのか、はっきりとした説明もなく、それをどう担保、検証するのかも曖昧なままです。
メタウォーターグループの事業提案書に記述されていた鳴瀬川と吉田川
浄化センターでの汚泥含水率の目標について、県企業局はいまだ取り違えを認めていませんが、性能発注だから削減額を守ればその維持管理の中身は問わないとする県の姿勢をかいま見ることができる象徴的で深刻な問題です。汚泥含水率は下水道施設のコスト削減に大きく影響する重要事項であり、その取り違えを見抜けず指摘・是正できない県企業局や
メタウォーターグループの技術力とチェック能力を疑わざるを得ません。 第七に、応募した三
企業グループとの
競争的対話を経て
優先交渉権者を決定した過程にも不透明感があります。九事業のうち一事業でも赤字の計画であれば失格とする判断基準は公募要件の中には明示されていませんでした。この一点をもって
JFEグループが失格とされたことは公平・公正な選考という点で問題があります。 第八に、市町村水道の広域化という名前で圏域ごとに市町村水道を合併し、更に、垂直連携といった県事業との統合を国の言うままに県が進めようとしていることです。市町村水道は多くの地元中小・小規模事業者が公共事業として仕事を受注しており、適正な単価で安定した事業を営んでいます。昼夜を問わず発生するトラブルにも対応し地域に根づいて働いています。ところが、ヴェオリア・ジェネッツ社が経営権を握る
OM会社が二十年間にとどまらず、将来にわたって県内市町村上下水道で影響力を強めていけば、地域で循環していたお金が県外どころか国外へ流出してしまいます。世界一の水メジャー、ヴェオリアグループの支配を許すわけにはいきません。 第九に、まだまだ県民の多くがこの事業を理解していないことです。そのことは
説明会開催と
パブリックコメントを再度行うこと、そのために議案審査の凍結を求める請願が一万九千四百四十九人の署名と共に県議会に提出されたことでも明らかです。知事は、「全ての県民ではなく一万人越えの人が疑問を持っていると受け止めている。非常に多くの県民は理解している。」と答弁しました。県民の心配や不安の声を酌み取ることができない知事なのかと暗たんたる思いにとらわれます。 第十に、水は命の源であり国と自治体が責任を持って提供しなければならないものです。商品として販売し利潤を上げ株主配当するようなものにしてはいけません。
地方自治法第一条の二第一項では、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとすると規定しています。水道事業が危機的な状況にあるのであれば住民福祉に貢献する水道行政の実現に向けてどう改善するのか、自主的・総合的な議論が今こそ必要です。 今日の水道事業の経営的困難の根幹には、将来の水需要を過大に見積もり管路や設備への過剰投資が行われてきたことがあります。今、そのツケが巨額な更新費用としてのしかかっている。加えて、地域人口の減少と節水技術の発達による水の需要量の減少があります。大口需要者である企業の中には自前で地下水利用設備を備えるところも増えています。地域の水循環や水需要などの科学的分析の基に、管路のダウンサイジングや地域の実情に即した水源の確保・活用を含む仕組みを再構築する必要があります。 国が道路や橋などのインフラ整備、改修にお金を出すように水道施設の更新費用にも税金を投入することが求められます。そういう政策の転換こそが重要です。そして、議会はその推進を図る組織として役割を果たさなければなりません。 当該の議第百五十七号議案、議第百七十一号議案を審査した
建設企業委員会では、今議会での議案採択に当たって、
継続審査を求めた動議について四対四の賛否同数、最後は委員長の裁決で否決となり、議案そのものの採択についても四対四の賛否同数で同じく委員長の裁決で可決となりました。両議案に関しては、一般質問の中でも県政与党・野党を問わず多くの疑問が呈されておりました。これらの経過を鑑みても性急に今議会で両議案を可決することは大きな禍根を残すことになると考えます。 議員諸兄諸姉の賢明なる判断をお願いして、討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○議長(
石川光次郎君) 三十三番
佐々木賢司君。 〔三十三番
佐々木賢司君登壇〕
◆三十三番(
佐々木賢司君) 自由民主党・県民会議を代表し、今定例会に提出されております議第百五十七号議案及び議第百七十一号議案について、賛成の立場から討論を行います。 今議会において県政課題について執行部との間で活発な議論、やりとりが行われました。その中でも民間の力を最大限に活用し上水道、工業用水道、下水道の三事業の管理・運営を一体で行うみ
やぎ型管理運営方式については、我が会派も含め多くの議員が取り上げ熱く議論を交わしたところであります。 皆様も御承知のとおり、水道事業や下水道事業は県民生活と産業基盤を支える最も重要なインフラでありますが、想定を上回るスピードで進行する人口減少等により将来の水需要の減少に加え老朽化する施設や管路の更新投資の増加などが見込まれ、我が県のみならず全国の水道事業を取り巻く環境が今後一層厳しさを増すことが想定されることから、経営基盤の強化が喫緊の課題となっております。 この制度を検討するに至った大きな要因の一つに人口減少があります。六月二十五日に総務省から二〇二〇年国勢調査の速報値が発表されたところですが、日本の総人口は前回調査から約〇・七%減少。我が県については二〇〇五年の調査以降、四回連続で減少しており、二十八市町で人口が減り減少率も過去最大の約一・三%に達するとのことであります。 また、水道事情においては、国内法人の研究レポートでは、二〇四三年までに全国の約九四%の自治体で水道料金が値上げされ、その値上げ率は全国平均で四三%に上る可能性があるとの衝撃的な報告がありました。 言うまでもなく、水が県民生活に欠かすことのできないものであるということは我々の共通理解だと考えますが、一方で、料金収入の減少や更新投資増加という遠くない将来に確実に訪れるであろう現実に目を背け、将来世代に負担を強いるようなことは可能な限り抑制・回避しなければなりません。安心安全な水をできるだけ低廉な価格で安定的に供給するため、県が民間活力を最大限に活用する官民連携のみ
やぎ型管理運営方式のスキームは極めて妥当なものであると考えます。確かに、PFI事業という本制度の性格もあり、導入に向け今なお調整途中である部分や経営審査委員会の運営、情報公開の在り方など今後の執行段階において、なお慎重な検討を要する事項があることは事実であります。その点については今後とも我々県議会として、しっかりと意見を申し述べていくことで制度の一層の向上につなげていくべきではないでしょうか。 み
やぎ型管理運営方式に関する検討は、平成二十六年度から段階的に進められてきました。そして、県議会においても本会議や常任委員会の場などで長きにわたり議論を積み重ねてまいりました。一昨年の十一月定例会では、
公共施設等運営権の設定に係る規定の整備を内容とした公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例に関して、賛成側、反対側双方が討論を行った上で当該議案は可決されております。 これを受けて、県は、令和二年三月から運営事業者の公募を開始し
PFI検討委員会による公平・公正で厳格な審査が行われ、
優先交渉権者を選定したとされるところであります。
優先交渉権者からは、県の要求水準より厳しい水質基準や目標を超えるコスト削減の提案があり、特に施設の運転管理や保守点検を行う
OM会社を設立するという点が安定的な事業運営や雇用創出にも寄与するという観点から評価されております。 県によるものを含め三百三十七億円のコスト削減については、ICT機器の導入や業務の効率化により組織体制を最適化するとともに、センサー類を活用した設備の監視など新たな技術を活用しながら効果的な修繕を行い、設備の長寿命化、延命化を図ることにより実現しようとするものであり、財務基盤の強化や料金の抑制に大きな効果が期待できるだけではなく、契約期間満了後の施設の健全度も担保されるものとなっております。
OM会社に対するモニタリング体制については、複数の議員から質問がありましたが、SPCと同等に財務諸表、財務指標の報告を
モニタリング計画に位置づけることとされております。また、関連して今回提案されている条例案においては、有識者から成る経営審査委員会が設置され、運営権者、県、経営審査委員会の三段階によるモニタリング体制となるだけではなく、議会に対する報告規定も新たに設けられることとなっております。 更に、運営権者が事業から撤退するリスクについても、相手方には業務の引継ぎ義務が課されているほか代表企業による融資枠の設定なども提案内容に含まれており、一日たりとも絶やすことのできないインフラを管理・運営するに足りる
事業継続策が講じられているものと判断いたします。 改めて申し上げますが、み
やぎ型管理運営方式は水道事業そのものを売り渡す民営化ではないということは、令和元年十一月定例会の討論においても我が会派の
佐々木幸士議員からはっきりと申し上げており、その後に採決もされました。議員全員がみ
やぎ型管理運営方式は民営化ではないということを共通認識した瞬間だったと私は記憶しておりますが、反対されている議員の皆様はお忘れなのでしょうか。あれから一年六か月が経過してもなお民営化に反対。水道事業を取り巻く環境が今後一層厳しさを増し、県民負担の増加につながるとされているのに判断を先送り。我々は同じ場で説明を受け議論を続けてきたわけですが、民営化ではないと再三再四申し上げてきたのに、なぜ理解できないのでしょうか。事実と異なる情報を発信し県民の不安を先導するような行為は許されるはずがありません。私には全く理解できない行為であります。 我が会派においても所属議員がそれぞれの考え方を何度も何度もぶつけ合い、今定例会中にも
厚生労働省医薬・生活衛生局とオンラインで意見交換を実施して、水道事業における課題、また外資系企業が参画することへの懸念などの質疑を行い、県民の利益に資するために議論と熟慮を重ね理解を深めてまいりました。また、国家安全保障を確保する鍵として経済上の手段を用いる動きが先鋭化している中、国益を守るために規制や取締りを強化する、いわゆる経済安全保障の観点から技術の流出防止や持続可能な県民のための水道事業について熱い議論を経て、監視の一層の評価が県議会としての責任であることを再認識した上で我々は本日を迎えております。我が会派は、村井知事、県執行部の提案に対して追従する会派ではありません。提案に賛成ありき、反対ありきからの議論スタートではなく、様々な角度から議論を尽くしてまいりました。安直な考え、十分な議論や理解を経ずに結論を導き出してきたわけではないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。 今、我々が共有すべきは、将来に向けて大局的な視点に立ち、み
やぎ型管理運営方式をよりよい姿にすべく建設的な議論をしていこうとする姿勢ではないでしょうか。単に先送りすることにつながるような姿勢は、県民から負託され民意を代表する我々議員の責任ある対応ではありません。これまで積み重ねてきた判断の重みに強い責任を持ち、我が県の将来、そして我が県の将来を担う県民の皆様の暮らしを考えればこそ、今定例会で関係議案を可決し制度開始に向け万全の体制を整えることこそ、我々議員が果たすべき最大の責任であると考えるところです。 以上、るる申し述べてまいりましたが、今回提出されております議第百五十七号議案及び議第百七十一号議案をはじめ、その他の議案についても付託された常任委員会の委員長から報告がありましたとおり、原案を可決された上で本会議に提出されていることを重く受け止めるべきであると考えます。 議員各位におかれましては、賢明な判断のもとに御賛同賜りますようお願いいたしまして、会派を代表しての
賛成討論といたします。 御清聴ありがとうございました。
○議長(
石川光次郎君) 四十一番菅間進君。 〔四十一番 菅間 進君登壇〕
◆四十一番(菅間進君) 無所属の会を代表し、議第百五十七号議案、公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例、み
やぎ型管理運営方式の導入に係る議第百七十一号議案、
公共施設等運営権の設定に反対の立場から討論を行います。 先に議第百七十一号議案でありますが、県の上工下水道事業九つの公共施設等の運営権をSPC、株式会社みずむすびマネジメントみやぎに設定しようとするものであります。確かに人口減少や節水機器の普及で料金収入が激減、水道施設の老朽化等水道事業そのものが危機的状況にあると認識します。その上下水道については、日本人としてノーベル経済学賞に一番近いと言われていた宇沢弘文氏が理論を構築した社会的共通資本に属するものとされています。社会的共通資本は、たとえ私有ないしは私的管理が認められているような希少資源から構成されていたとしても、社会的な基準によって管理・運営されるべきものとされ、更に、その管理については、社会的共通資本は決して国家の統治機構の一部として官僚的に管理されたり、また利潤追求の対象として市場的な条件によって左右されてはならないともしています。まさに上下水道はそのような位置づけがなされ、その認識を持って先ほど述べた水道事業の危機的状況の打開をしていかなければならないと私は思います。だからこそ民間に丸投げをする民営化はノーですし、知恵を絞って官民連携していく選択になるのだろうと思います。 株式会社水みらい広島のような公民共同事業体方式も一つです。自治体も出資し三割以上の株式を保有して発言権を確保。財務内容も捕捉でき役員報酬や人事異動も決められることになります。自治体が発言権と利益処分方法まで管理できる仕組みをつくれば民営化丸投げにはなりません。 知事は
コンセッション方式を選択し、企業局にその実現に向けての実務を進めさせ今議会に運営権設定の議案を提出しております。 しかしながら、今議会での一般質問や常任委員会の質疑でも様々な懸念は消えませんし、県民から更なる説明を求める声も上がっています。個々には既に反対討論等で申し上げておりますので省きますが、運営権を握るということの重み、水道料金を基本的には自由に設定できるということ。運営権設定予定者のSPCは二十年間の契約終了後は清算を経て解散するとなっていますが、二十年後の県民への上下水道の供給がどうなされるのか見えていません。少なくとも、この方式を選択、進める責任者として、二十年後の安全・安心を提示する責務が社会的共通資本として間違いなくあると思います。 そのような観点で、今議会でのこの議案については県議会、県民に対する説明がまだ十分ではないということ、また、SPC及び
OM会社の監視やモニタリング等、先ほど
建設企業委員会ゆさみゆき議員から少数意見の留保による報告がありましたように、やはり問題点が多いことを指摘し、反対するものです。 議第百五十七号議案についても運営権設定議案そのものに反対なので、それに伴っての議案でありますので、反対です。 以上で、私の反対討論といたします。
○議長(
石川光次郎君) 三十番
横山のぼる君。 〔三十番
横山のぼる君登壇〕
◆三十番(
横山のぼる君) 公明党県議団を代表して、議第百五十七号議案、公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例と議第百七十一号議案、
公共施設等運営権の設定について、賛成の立場から討論をいたします。 本格的な人口減少社会の到来や管路・浄水場等の施設の老朽化、更に、専門知識を持つ人材の減少など我が国の水道事業を取り巻く環境は厳しさを増しており、その持続可能性が危惧されています。 EY新日本有限責任監査法人の推計によれば、全国千二百三十二の給水事業者のうち二〇四三年度までに値上げが必要とされるのは約九四%に及び、その値上げ率の平均は四三%と推計されています。特に、値上げ幅が大きい自治体は北海道、東北、北陸に多く、本県も値上げ率で全国平均を超える給水事業者が多い状況です。 一方、本県の水道料金は、全国平均を大きく上回り県民の家計に重くのしかかっております。各種統計によれば、本県が市町村に供給する水道用水の単価は全国二十二の広域水道で最も高く、市町村の水道料金の平均額は全国トップクラスの高さとなっております。現行の体制のままでは、現状でも高い水道料金を近い将来、更に大幅に値上げせざるを得なくなるということであります。 しかし、大幅な水道料金の値上げは簡単に受け入れられるものではなく、結果として、一般財源の繰り出し増による財政の悪化や管路更新の先延ばしに伴う事故や断水の多発といった事態が発生することも十分に想定されます。すなわち、命の水を将来にわたって守っていくためには何らかの改革をしなければならないのは明らかであり、これは各会派の議員におかれましても共通して持っている認識であります。 こうした問題意識から、県が五年前から検討を進め議会でも議論を重ねてきたのがみ
やぎ型管理運営方式です。み
やぎ型管理運営方式は、上工下水三事業の一体運営によってスケールメリットを発現させるとともに、民間活力を最大限生かすことにより経営基盤の強化を目指すものです。ただ、民間の力を生かすと言っても県が引き続き水道事業者として管理・運営の責任を持つため、一部で喧伝されるような水道民営化とは全く異なるものです。み
やぎ型管理運営方式は本県の水道事業の課題解決に向けて効果的かつ現実的な処方箋として高く評価できるものであります。 さて、議第百七十一号議案は、み
やぎ型管理運営方式を担う運営権者として、水処理国内最大手の
メタウォーター株式会社を中心とするグループが設立したSPCと呼ばれる株式会社みずむすびマネジメントみやぎを選ぼうとするものであります。 これまでの選定手続を振り返ると、県が昨年三月に開始した公募には三つの
企業グループが名乗りを上げ、半年にわたる県と応募者の
競争的対話の後、有識者から成る
PFI検討委員会による公平・公正で厳格な審査が行われました。その結果、全ての審査項目において高い評価を得た
メタウォーターグループが
優先交渉権者として今年三月に選定されました。この一連の手続について、
競争的対話の後、募集要項や契約書案等の関係書類が修正されたことを疑問視する声もありますが、それらの修正は料金の抑制と安全・安心を確保する観点からなされたものであり何ら問題ないものであります。 また、第二次審査で一グループが失格になったことについて県の説明不足を問う声もありますが、仮に提案書の提出後に県が特定のグループに何らかの配慮をしたとすれば、審査の公平性が大きく損なわれ事業全体の正当性が失われます。 したがって、
優先交渉権者の選定手続は何ら瑕疵もなく公平かつ適正に行われたと考えるべきであります。 さて、
メタウォーターグループの提案によれば、三事業を一体的に監視制御する統合型監視制御システムの構築や現行より厳しい水質基準の設定、災害時の危機管理体制の強化、人材育成など民間の知恵とノウハウを生かし、現行よりも経営基盤を格段に強化する提案がなされております。また、県が求めたコスト削減額二百四十七億円を約九十億円上回る三百三十七億円のコスト削減が可能とされており、水道料金の上昇抑制や将来の管路更新に大きな効果があると期待されています。 一方、同グループの提案では、浄水場の運転管理やメンテナンスを担う
OM会社を県内に設立することになっております。
PFI検討委員会の審査では、この新会社設立の提案は安定的な事業運営と雇用創出への効果が期待できると高く評価されましたが、今定例会の議論においては同社に対する監視やその出資割合などをめぐって懸念する声が相次ぎました。しかし、SPCが運転管理業務等をほかの企業に委託することは想定されていたとのことであります。事前に
OM会社の設立が明らかになったことにより県の
モニタリング計画の中に同社が明確に位置づけられるとともに、財務諸表等に基づき経営状況も県がチェックすることになりました。
OM会社設立の提案は透明性の観点からも評価できるものと考えます。 また、
OM会社の議決権株式の半数超を外資系企業であるヴェオリア・ジェネッツ社が握ることを懸念する声も聞かれましたが、同社は日本国内で多くの水道事業に携わっております。浄水場の運転管理は神奈川県企業庁はじめ七十二事業、
下水処理場の運転管理では千葉市、広島市など六十四事業を手がけ適正に業務を遂行しており、外資系だからと言って問題視する意見には賛同しかねるところです。重要なのは外資系企業であろうとなかろうと適切に運営や経営状況をチェックしていくことであります。 み
やぎ型管理運営方式では、監視体制についてSPCによるセルフモニタリングと県によるモニタリングに加えて、専門家などから成る経営審査委員会によるモニタリングを実施することとしています。また、県では、毎年度、事業の運営状況を議会に報告することとしており、議会でのチェックも含めると四重のチェックがなされることになり、万全な監視体制が構築されております。 このほか、今定例会では運営権者による情報公開の在り方についても議論がなされました。情報の不開示に対する不服申立てといった事案が発生し、県が相談を受けた場合には経営審査委員会の審査事項として取り扱うなど、県民の知る権利の保障には最大限の配慮がなされることが明確に示されたところであります。 なお、各種計画が未策定であることを理由に今議会での採決が拙速であるとか申請の前提がそろっていないなどの主張もありましたが、その各種計画の骨子は提案書に明確に示されております。提案書は契約書の一部をなすものであり、その提案の全てを実施する義務があることを踏まえれば、詳細な計画が完全に仕上がっていないから判断ができないという主張には首をかしげざるを得ません。 また、県民への説明機会が不十分で県民の理解が深まっていないため採決を凍結するべきとの請願も出されましたが、県はこれまでシンポジウムや圏域ごとの事業説明の開催に加え、県政だよりやホームページ、動画配信など情報発信を行っております。また、事業に関する資料もほぼ全てホームページで公開しており説明責任はしっかりと果たしております。 ただ、県民の理解が十分に進んでいるとは言い難いのは事実であり、県として引き続き分かりやすい説明に努めることは必要と考えます。 以上、るる申し述べてまいりましたが、本県の水道事業の課題解決には、み
やぎ型管理運営方式が最もふさわしい手法であり、人口減少が急速に進む中、早期導入が必要であります。また、運営権者の選定は公正かつ公平に行われており、その提案内容は大いに期待できるものであります。県が株式会社みずむすびマネジメントみやぎに運営権を設定することは適切であり、議第百七十一号議案は可決すべきものであります。 また、事業をしっかりと監視するための経営審査委員会の設立や県議会への毎年度の報告を盛り込んだ議第百五十七号議案も当然可決すべきものであります。 議員各位の御賛同を賜りますことを御期待して、
賛成討論といたします。 御清聴、大変ありがとうございました。
○議長(
石川光次郎君) 以上で、討論を終結いたします。 これより採決いたします。 初めに、ただいま議題となっております各号議案中、議第百七十一号議案を採決いたします。
委員長報告は、原案可決であります。
委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔
賛成者起立〕
○議長(
石川光次郎君) 起立多数であります。 よって、議第百七十一号議案は、
委員長報告のとおり決定いたしました。 次に、議第百五十七号議案を採決いたします。
委員長報告は、原案可決であります。
委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔
賛成者起立〕
○議長(
石川光次郎君) 起立多数であります。 よって、議第百五十七号議案は、
委員長報告のとおり決定いたしました。 次に、議第百五十号議案及び議第百五十四号議案を一括して採決いたします。
委員長報告は、全部原案可決であります。
委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔
賛成者起立〕
○議長(
石川光次郎君) 起立多数であります。 よって、議第百五十号議案及び議第百五十四号議案は、いずれも
委員長報告のとおり決定いたしました。 次に、残余の各号議案を一括して採決いたします。
委員長報告は、全部原案可決であります。
委員長報告のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、残余の各号議案は、いずれも
委員長報告のとおり決定いたしました。
-----------------------------------
△委員会の
継続審査・
調査事件について
○議長(
石川光次郎君) 日程第八、委員会の
継続審査・
調査事件についてを議題といたします。 各常任委員長及び議会運営委員長から、
宮城県議会会議規則第七十四条の規定により、お手元に配布のとおり、閉会中の
継続審査・
調査事件の申出がありました。 お諮りいたします。 各委員長からの申出のとおり、閉会中も
継続審査・調査とすることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(
石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、閉会中も
継続審査・調査とすることに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… 常任委員会及び議会運営委員会
継続審査・
調査事件一覧表 第三百七十九回
宮城県議会(六月定例会)令和三年七月五日 総務企画委員会番号件名一行財政の運営について二県政の総合企画調整について三地域振興対策について四総合交通対策について五私立学校の振興及び公立大学の運営について六スポーツの振興について七前記各号に係る放射線対策について
環境福祉委員会番号件名一環境の保全及び公害の防止について二県民生活の安定及び向上について三青少年の健全育成について四保健衛生及び医療対策について五社会福祉対策及び社会保障対策について六病院事業について七前記各号に係る放射線対策について 経済商工観光委員会番号件名一商業及び工業の振興について二観光の振興について三雇用及び労働対策について四前記各号に係る放射線対策について 農林水産委員会番号件名一農業、林業及び水産業の振興について二農地関係の調整について三土地改良事業について四前記各号に係る放射線対策について
建設企業委員会番号件名一道路及び河川事業について二都市計画及び住宅事業について三建築行政について四港湾及びその他の土木事業について五公営企業の運営について六前記各号に係る放射線対策について 文教警察委員会番号件名一
学校教育(私立学校及び公立大学関係を除く。)及び社会教育の振興について二学校体育及び文化財保護対策について三交通安全対策について四防犯対策について五前記各号に係る放射線対策について 議会運営委員会番号件名一定例会等の日程について二議員発議の議案、委員会条例及び会議規則について三議会運営に関する事項について四議長から諮問された事項について
-----------------------------------
△閉会
○議長(
石川光次郎君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 これをもって、第三百七十九回
宮城県議会を閉会いたします。 午後三時五十二分閉会
△(イメージ)提示資料...