令和 3年 2月 定例会(第377回) 第三百七十七回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)令和三年二月二十五日(木曜日) 午前十時開議 午後三時五十三分散会 議長 石川光次郎君 副議長 齋藤正美君出席議員(五十七名) 第一番 金田もとる君 第二番 小畑きみ子君 第三番 三浦ななみ君 第四番 石田一也君 第五番 柏 佑賢君 第六番 福井崇正君 第七番 渡邉重益君 第八番 わたなべ 拓君 第九番 伊藤吉浩君 第十番 大内真理君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 枡 和也君 第十三番 佐藤仁一君 第十四番 遠藤伸幸君 第十五番 八島利美君 第十六番 瀬戸健治郎君 第十七番 櫻井正人君 第十八番 村上久仁君 第十九番 高橋宗也君 第二十番 庄田圭佑君 第二十二番 遠藤隼人君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 三浦一敏君 第二十五番 渡辺忠悦君 第二十六番 佐々木功悦君 第二十七番 境 恒春君 第二十八番 太田稔郎君 第二十九番 高橋 啓君 第三十番 横山のぼる君 第三十一番 渡辺勝幸君 第三十二番 横山隆光君 第三十三番 佐々木賢司君 第三十四番 守屋守武君 第三十五番 外崎浩子君 第三十六番 佐々木幸士君 第三十七番 村上智行君 第三十八番 高橋伸二君 第三十九番 熊谷義彦君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 菅間 進君 第四十二番 坂下 賢君 第四十三番 ゆさみゆき君 第四十五番 吉川寛康君 第四十六番 伊藤和博君 第四十七番 庄子賢一君 第四十八番 菊地恵一君 第四十九番 佐々木喜藏君 第五十番 石川光次郎君 第五十一番 中島源陽君 第五十二番 本木忠一君 第五十三番 中山耕一君 第五十四番 齋藤正美君 第五十五番 安藤俊威君 第五十六番 畠山和純君 第五十七番 仁田和廣君 第五十八番 藤倉知格君 第五十九番 中沢幸男君欠員(二名) 第二十一番 第四十四番
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 佐野好昭君 副知事 遠藤信哉君 公営企業管理者 櫻井雅之君 総務部長 大森克之君 震災復興・企画部長 佐藤達哉君 環境生活部長 鈴木秀人君 保健福祉部長 伊藤哲也君 経済商工観光部長 千葉隆政君 農政部長 佐藤夏人君 水産林政部長 小林徳光君 土木部長 佐藤達也君 会計管理者兼出納局長 宮川耕一君 総務部参事兼秘書課長 藤田信治君 総務部参事兼財政課長 小野寺邦貢君 教育委員会 教育長 伊東昭代君 理事兼教育次長 小林一裕君 選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 鈴木雄貴君 人事委員会 委員長 千葉裕一君 事務局長 山本雅伸君 公安委員会 警察本部長 千野啓太郎君 総務部長 内海裕之君 労働委員会 事務局長 蜂谷 洋君 監査委員 委員 石森建二君 事務局長 斉藤敬一君
----------------------------------- 議会事務局 局長 小野和宏君 次長兼総務課長 小野寺 明君 参事兼議事課長 菅原 正君 参事兼政務調査課長 二瓶克之君 総務課副参事兼課長補佐 砂金義徳君 議事課長補佐 二上秀幸君 政務調査課長補佐 長谷川共子君 議事課長補佐(班長) 田村和江君 議事課主幹 渡辺祐司君
----------------------------------- 議事日程 第三号 令和三年二月二十五日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第四十七号議案及び議第六十四号議案ないし議第六十八号議案第三 議第七十号議案 令和二年度宮城県一般会計補正予算第四 議第七十一号議案 令和二年度宮城県
公債費特別会計補正予算第五 議第七十二号議案 令和二年度宮城県
母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算第六 議第七十三号議案 令和二年度宮城県
国民健康保険特別会計補正予算第七 議第七十四号議案 令和二年度宮城県
中小企業高度化資金特別会計補正予算第八 議第七十五号議案 令和二年度宮城県
農業改良資金特別会計補正予算第九 議第七十六号議案 令和二年度宮城県
沿岸漁業改善資金特別会計補正予算第十 議第七十七号議案 令和二年度宮城県林業・
木材産業改善資金特別会計補正予算第十一 議第七十八号議案 令和二年度宮城県
県有林特別会計補正予算第十二 議第七十九号議案 令和二年度宮城県
土地取得特別会計補正予算第十三 議第八十号議案 令和二年度宮城県
港湾整備事業特別会計補正予算第十四 議第八十一号議案 令和二年度宮城県
水道用水供給事業会計補正予算第十五 議第八十二号議案 令和二年度宮城県
工業用水道事業会計補正予算第十六 議第八十三号議案 令和二年度宮城県
地域整備事業会計補正予算第十七 議第八十四号議案 令和二年度宮城県
流域下水道事業会計補正予算第十八 議第八十五号議案
東日本大震災復興基金条例の一部を改正する条例第十九 議第八十六号議案 手数料条例の一部を改正する条例第二十 議第八十七号議案
福祉有償運送運営協議会条例の一部を改正する条例第二十一 議第八十八号議案 軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第二十二 議第八十九号議案 養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第二十三 議第九十号議案 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第二十四 議第九十一号議案 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第二十五 議第九十二号議案 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例第二十六 議第九十三号議案
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例第二十七 議第九十四号議案
指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第二十八 議第九十五号議案
指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに
指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例第二十九 議第九十六号議案 介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第三十 議第九十七号議案 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第三十一 議第九十八号議案 地域活動支援センターの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第三十二 議第九十九号議案 福祉ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第三十三 議第百号議案 指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例第三十四 議第百一号議案
指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例第三十五 議第百二号議案
指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例第三十六 議第百三号議案 指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例第三十七 議第百四号議案
障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第三十八 議第百五号議案 障害者支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例第三十九 議第百六号議案 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行条例の一部を改正する条例第四十 議第百七号議案 緊急雇用創出事業臨時
特例基金条例の一部を改正する条例第四十一 議第百八号議案 道路占用料等条例の一部を改正する条例第四十二 議第百九号議案 県道の構造の技術的基準等を定める条例の一部を改正する条例第四十三 議第百十号議案 建築基準条例の一部を改正する条例第四十四 議第百十一号議案 県道の路線変更について(高城停車場線)第四十五 議第百十二号議案 和解について第四十六 議第百十三号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十七 議第百十四号議案 工事委託契約の締結について(
主要地方道築館登米線萩沢道路改築工事)第四十八 議第百十五号議案 工事委託変更契約の締結について(
主要地方道仙台村田線菅生道路等改築工事)第四十九 議第百十六号議案 工事請負契約の締結について(宮城県船形の郷居住棟改築工事)第五十 議第百十七号議案 工事請負契約の締結について(宮城県船形の郷活動棟等改築工事)第五十一 議第百十八号議案 工事請負契約の締結について(渋井川水門新築工事)第五十二 議第百十九号議案 工事請負変更契約の締結について(女川町
道女川出島線出島大橋(仮称)新設工事)第五十三 議第百二十号議案 工事請負変更契約の締結について(
吉田川堤防等改良工事(その二))第五十四 議第百二十一号議案 工事請負変更契約の締結について(吉田川堰等改良工事)第五十五 議第百二十二号議案 権利の放棄について第五十六 議第百二十三号議案 令和二年度市町村受益負担金について第五十七 議第百二十四号議案 令和二年度市町村受益負担金の変更について第五十八 議第百二十五号議案 令和二年度
流域下水道事業受益負担金の変更について第五十九 報告第一号 専決処分の報告について(一般県道石巻雄勝線藤の巻道路改築工事の委託契約の変更)第六十 報告第二号 専決処分の報告について(波路上
漁港防潮堤等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第六十一 報告第三号 専決処分の報告について(
石巻漁港防波堤災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第六十二 報告第四号 専決処分の報告について(
波伝谷漁港防潮堤等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第六十三 報告第五号 専決処分の報告について(水門・陸閘(漁港)
遠隔監視制御設備工事の請負契約の変更)第六十四 報告第六号 専決処分の報告について(
気仙沼漁港防潮堤新築及び
鹿折川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第六十五 報告第七号 専決処分の報告について(
気仙沼漁港防潮堤等災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第六十六 報告第八号 専決処分の報告について(
気仙沼漁港防潮堤等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第六十七 報告第九号 専決処分の報告について(水門・陸閘(漁港)
遠隔監視制御設備工事(その二)の請負契約の変更)第六十八 報告第十号 専決処分の報告について(
一般県道石巻女川線浦宿橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第六十九 報告第十一号 専決処分の報告について(
一般県道石巻雄勝線真野道路改築工事の請負契約の変更)第七十 報告第十二号 専決処分の報告について(
一般県道大島浪板線磯草道路改築工事(その二)の請負契約の変更)第七十一 報告第十三号 専決処分の報告について(
主要地方道石巻鮎川線大原浜道路改築工事の請負契約の変更)第七十二 報告第十四号 専決処分の報告について(
神山川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十三 報告第十五号 専決処分の報告について(
追波川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第七十四 報告第十六号 専決処分の報告について(
大沢川護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第七十五 報告第十七号 専決処分の報告について(
白浜地区海岸護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第七十六 報告第十八号 専決処分の報告について(皿貝川等護岸等災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第七十七 報告第十九号 専決処分の報告について(追
波沢川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十八 報告第二十号 専決処分の報告について(西沢川護岸等改良工事の請負契約の変更)第七十九 報告第二十一号 専決処分の報告について(大原川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十 報告第二十二号 専決処分の報告について(
浦戸地区海岸護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十一 報告第二十三号 専決処分の報告について(
中島地区海岸離岸堤災害復旧工事の請負契約の変更)第八十二 報告第二十四号 専決処分の報告について(
八幡川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十三 報告第二十五号 専決処分の報告について(
大島地区海岸護岸等災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第八十四 報告第二十六号 専決処分の報告について(
真野川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十五 報告第二十七号 専決処分の報告について(
津谷川護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第八十六 報告第二十八号 専決処分の報告について(
川内沢川護岸等改良工事の請負契約の変更)第八十七 報告第二十九号 専決処分の報告について(旧砂押川護岸等改良工事(その一)の請負契約の変更)第八十八 報告第三十号 専決処分の報告について(
主要地方道気仙沼唐桑線神山川橋災害復旧工事の請負契約の変更)第八十九 報告第三十一号 専決処分の報告について(荒川護岸等改良工事の請負契約の変更)第九十 報告第三十二号 専決処分の報告について(仙台塩釜港仙台港区防潮堤建設工事(その二)の請負契約の変更)第九十一 報告第三十三号 専決処分の報告について(仙台塩釜港仙台港区防潮堤建設工事(その四)の請負契約の変更)第九十二 報告第三十四号 専決処分の報告について(
都市計画道路門脇流留線浦屋敷道路等改築工事の請負契約の変更)第九十三 報告第三十五号 専決処分の報告について(
都市計画道路門脇流留線捨喰橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第九十四 報告第三十六号 専決処分の報告について(宮城県石巻好
文館高等学校校舎等改築工事の請負契約の変更)第九十五 報告第三十七号 専決処分の報告について(宮城県松島自然の
家本館等災害復旧工事の請負契約の変更)第九十六 報告第三十八号 専決処分の報告について(宮城県
石巻警察署待機宿舎災害復旧工事の請負契約の変更)第九十七 報告第三十九号 専決処分の報告について(宮城県
南三陸警察署庁舎災害復旧工事の請負契約の変更)第九十八 報告第四十号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)第九十九 報告第四十一号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)第百 一般質問(代表) 〔村上智行君、坂下賢君、福島かずえ君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二ないし日程第九十九 議第一号議案ないし議第四十七号議案及び議第六十四号議案ないし議第六十八号議案並びに議第七十号議案ないし議第百二十五号議案及び報告第一号ないし報告第四十一号三 日程第百 一般質問(代表) 〔村上智行君、坂下賢君、福島かずえ君〕
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△開議(午前十時)
○議長(石川光次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△会議録署名議員の指名
○議長(石川光次郎君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、四十六番伊藤和博君、四十七番庄子賢一君を指名いたします。
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△議第一号議案ないし議第四十七号議案
△議第六十四号議案ないし議第六十八号議案
△議第七十号議案ないし議第百二十五号議案
△報告第一号ないし報告第四十一号・一般質問(代表)
○議長(石川光次郎君) 日程第二ないし日程第九十九、議第一号議案ないし議第四十七号議案及び議第六十四号議案ないし議第六十八号議案並びに議第七十号議案ないし議第百二十五号議案及び報告第一号ないし報告第四十一号を一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました令和二年度一般会計補正予算案をはじめ提出議案の概要を御説明申し上げます。 間もなく東日本大震災の発生から十年が経過しようとしております。 今年度は、震災復興計画の最終年度として復興の総仕上げに向けたラストスパートの年であるとともに、復興期間後の取組も見据えていくべき重要な年でありました。 しかしながら、振り返ってみますと、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に直面し、その対応に優先的に取り組んだ一年でありました。本県では、昨年三月下旬からの感染拡大により県民生活や県内経済は甚大な影響を受け、外出の自粛要請や学校の臨時休業、事業者への休業要請など前例のない措置を講じることとなりました。また、東京二〇二〇オリンピック・
パラリンピック競技大会や第四十回全国豊かな海づくり大会が延期となるなど、様々な取組が予定の変更を余儀なくされました。 昨年の国内での感染発生から一年が経過しますが、不自由な生活等を余儀なくされる中で、一丸となって感染拡大防止に取り組んでいただいております県民の皆様と、医療現場の最前線において最善を尽くされている医療従事者をはじめとする関係者の皆様に対し、この場をお借りいたしまして深く感謝申し上げますととも、引き続き御協力、御尽力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。昨年末から第三波とも言われる感染拡大の波が本県にも押し寄せ、これまでにない多くの新規感染者が確認されたところですが、県内医療機関等と調整を図りながら必要な検査や病床、宿泊療養施設の確保などの対応を講じているほかワクチン接種体制の整備も進めており、今後も適切な体制の構築に努めてまいります。 東日本大震災からの復興への歩みについては、感染症拡大の影響を受けたもののハード面では復興の目指す姿の全容がほぼ現れてまいりました。昨年四月には
プレハブ仮設住宅入居者の退去が完了したほか、石巻市内の内海橋の開通や沿岸部の震災伝承施設の開設、更には来月六日に三陸沿岸道路の気仙沼港インターチェンジから
唐桑半島インターチェンジ間が開通し、県内の復興道路が完成するなど復興に向けた取組は着実に進んでいるものと実感しております。今後は心のケアや地域コミュニティーの再生などソフト面に軸足を移し、復興の完遂を目指してまいります。また、令和元年東日本台風により大きな被害を受けた阿武隈急行線は昨年十月に全線で運行が再開されたほか、丸森町内や大崎市内などにおける公共土木施設等の災害復旧については、国や関係市町と連携しながら着実に進めております。 新型コロナウイルスの感染拡大を契機として様々な分野で変革が求められ、社会の在り方は大きく変化しており、収束後のポストコロナを見据えた時代の変化にも的確に対応していく必要があります。来年度からは新たな県政のステージがスタートいたします。今後も批判を恐れず新たなことに果敢に挑戦してまいる所存でありますので、議員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。 今年度の財政運営については、普通交付税や臨時財政対策債はおおむね所要額を確保できる見込みでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により県税や地方譲与税は大幅な減収が見込まれ、国の対策により拡充が図られた減収補填債を十年ぶりに発行するなど、特例的な制度を最大限活用することで何とか埋め合わせができる見通しとなりました。 今回の補正予算案では、新型コロナウイルス感染症対策に係る追加経費を予算化したほか、復旧・復興事業をはじめとする歳出予算の執行額や財源の確定見込みに伴う計数整理を行ったところであります。また、先ほど述べました減収補填債を最大限発行することにより、今後の感染症対策に備えて財政調整基金の残高を一定程度確保するなど、この先もしばらく続くと見込まれる厳しい財政運営を見据えながら編成したものであります。 なお、国の第三次補正予算に対応した経済対策関係などの補正予算案については、後日追加提案したいと考えております。 補正予算案の主な内容ですが、新型コロナウイルス感染症対策については、感染の拡大を受けて必要な病床及び軽症者宿泊療養施設の確保や医療機器の整備支援を行うなど、引き続き適切な医療提供体制の整備を進めてまいります。震災復興関連事業については、震災で親を亡くした子供達などのためにお寄せいただいた御厚意を東日本大震災みやぎこども育英基金に積み立てます。通常事業では、降雪量の増加に伴い除融雪経費を大幅に増やすほか病床機能の再編に関する支援経費を追加しております。また、県有施設及び設備の維持更新や長寿命化を計画的に進めるため、県庁舎等整備基金をはじめとした関係基金の残高を前年度末並みに維持することとしております。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正額は、一般会計で七百六十二億一千三百余万円の減額、総計で七百二十六億九千二百余万円の減額となります。財源としては、普通交付税三十四億七千五百余万円などを追加する一方、国庫支出金三百二十一億一千三百余万円、諸収入百三十一億三千五百余万円、繰入金百十九億七千三百余万円などを減額しております。 この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆二千四百四十四億五千四百余万円、総計で一兆七千四十五億九千五百余万円となります。 予算外議案については、条例議案二十六件、条例外議案十五件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず、条例議案でありますが、議第八十五号議案及び議第百七号議案は、東日本大震災復興基金及び緊急雇用創出事業臨時特例基金の失効期日を延長しようとするもの、議第八十八号議案ないし議第百五号議案は、国が定める基準の改正に伴い、福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等について所要の改正を行おうとするものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第百十一号議案は県道の路線変更について、議第百十四号議案及び議第百十六号議案ないし議第百十八号議案は工事委託及び工事請負契約の締結について、議第百二十二号議案は権利の放棄について、議第百二十三号議案ないし議第百二十五号議案は市町村の受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
○議長(石川光次郎君) 補正予算案に係る各部局長説明要旨はお手元に配布のとおりであります。 地方公務員法第五条第二項の規定により、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第二項の規定により、関係議案について県教育委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。…………………………………………………………………………………………… 宮人委第291号 令和3年2月19日 宮城県議会議長 石川光次郎殿 宮城県人事委員会 委員長 千葉裕一 条例案に対する意見について 令和3年2月16日付け宮議第380号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。 記 「議第23号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」に対する意見 この条例案は,県の公署が存在しない地域に在勤する職員の地域手当の取扱規定の追加等に伴い所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第24号議案 職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例」に対する意見 この条例案は,居住地等から出張する場合の旅費支給方法の見直しに伴い所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第25号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」に対する意見 この条例案は,船舶乗組手当の支給方法の見直し等に伴い所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第32号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例」に対する意見 この条例案は,公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等の特別措置法(昭和46年法律第77号)の改正に伴い,教育職員の業務量の適切な管理等の規定を追加するものであり,適当と認めます。…………………………………………………………………………………………… 総第295号 令和3年2月18日 宮城県議会議長殿 宮城県教育委員会 教育長 伊東昭代 条例案に対する意見について(回答) 令和3年2月16日付け宮議第381号で聴取のありました下記条例案については,異議ありません。 記 議第16号議案 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第一項の規定に基づく職務権限の特例に関する条例……………………………………………………………………………………………
○議長(石川光次郎君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第百、一般質問とを併せて行います。 質疑、質問は、順序に従い許します。三十七番村上智行君。 〔三十七番 村上智行君登壇〕
◆三十七番(村上智行君) 皆さんおはようございます。自由民主党・県民会議の村上智行です。 質問に先立ちまして、さきの福島沖を震源とする地震で被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げますとともに、改めて東日本大震災により犠牲になった方々に哀悼の誠をささげ、被災された皆様にお見舞い申し上げます。 そして、今日まで復旧・復興に多くの国内外からの温かい御支援に改めて心から感謝申し上げます。 さて、村井知事の四期目は宮城県震災復興計画の発展期と重なり、東日本大震災発生以前の状態へ回復させる復旧にとどまらず、これからの県民生活や農林水産業、商工業の在り方、公共施設・防災施設の整備、配置などを抜本的に再構築することにより、将来を見据えた最適な基盤づくりを進めるとした創造的復興の総仕上げに取り組んできた四年間であります。 しかし、震災復興計画の期間終了後における地域コミュニティーの再生や心の復興、移転元地の利活用、震災伝承体制の構築、原発事故を起因とする農水産物の風評被害など積み残された課題の解決に向けた取組の推進とその財源確保、そして、更なる県勢の発展に向け我が県の将来の姿を見据えた新たな取組の検討など、令和元年東日本台風や新型コロナウイルス感染症といった不測の事態が生じる中で進めていかなければならない激動の四年間であり、十年間であったとも言えるでしょう。今後は時間の経過に伴って顕在化・深刻化する積み残された課題への対応はもちろんのこと、震災から十年を迎え宮城県の将来を見据えて、必要となる新・宮城の将来ビジョンに掲げる取組や新型コロナウイルス感染症対策をはじめとした目下に迫る課題の解決など、その全てが宮城県政の更なる発展に必要不可欠なものであるとの認識の下、通告に従い代表質問をいたします。 まず、東日本大震災についてですが、間もなく震災の発生から十年という大きな節目を迎えます。震災発生以降、知事は応急復旧や人命救助など震災直後の陣頭指揮だけではなく復興に命をかけるという強い決意の下、復旧にとどまらない創造的復興を掲げ三十七年ぶりとなる医学部の新設や仙台空港の民営化、広域防災拠点の整備など、従来の災害復旧の枠組みにとらわれない将来を見据えた新しい復旧・復興の形を模索・具現化してまいりました。そして、今年は昨年から延期を余儀なくされた東京オリンピック・パラリンピック大会や第四十回全国豊かな海づくり大会が予定されており、国内外に向けて震災から立ち上がった本県の姿を発信する絶好の機会となります。 さて、定例会冒頭において、村井知事はこうした復興への歩みに対する評価については後世に委ねたいとのことでしたが、震災から十年の節目を迎えるに当たり復興の歩みや後世に伝えておきたいことなど、これまでの震災復興についての知事の率直な気持ちをお聞かせください。 こうした創造的復興の中で、仙台空港については今年、二十四時間運用という新たなステージに向け大きな一歩を踏み出すことになりました。 また、平成二十三年五月定例会の私の一般質問で取り上げたのは、仙台空港を二十四時間供用の国際拠点空港として先を見据えた復興を図るべきと提案していただけに、今回の二十四時間化実現は心からうれしいことであります。そして、今回の二十四時間化のために尽力した名取・岩沼両市、仙台空港とともに歩んできた周辺住民の皆さん、そして県執行部をはじめとする関係者の皆さんに心から敬意を表します。 十年前を思い起こせば、東日本大震災の発災時、仙台空港はターミナルビル一階が完全に水没し、国際貨物棟が全焼するなど東北の空の玄関口が完全に機能不全に陥りました。一か月後には臨時便、九月には全面復旧し、平成二十八年には全国に先駆けて空港の民営化を果たし、路線数は倍増するとともに旅客数は毎年、過去最高を更新するなど目をみはる成果がありました。 また、今回、運用二十四時間化を成し遂げ国内外が注目する存在感のある国際空港になったと言えるでしょう。震災から十年の節目を迎え、まさに創造的復興の総仕上げに値する取組だと思いますが、改めて知事の所感について伺います。 この運用二十四時間化は、人口減少社会における交流人口拡大の切り札とも位置づけられて、東南アジア各国や東アジアや主要都市との就航も可能となり今後の観光・インバウンド振興への期待も大きく、現在コロナ禍による航空需要の低迷状況はあるものの、アフターコロナを見据え運用時間二十四時間化を観光・インバウンド施策に生かしていくべきと思いますが、今後の展望を伺います。 更に、地元では、「夜間の騒音への不安や懸念はあるが地域や県が発展するための必要性も理解できる。」、「相当に悩んだ末の選択だった。」との声が聞かれました。二十四時間化は地元の理解があって実現したもの。今後、騒音問題や空港と地域がともに発展できるよう特に空港周辺地域の方々と継続的な対話が大変重要だと思いますが、県としてどのように対応していくつもりか、伺います。 次に、新型コロナウイルス感染症について伺います。 国は、今年一月七日、一都三県に対して二回目の緊急事態宣言を発出、十三日には十一都府県に拡大し外出や移動の自粛、飲食店への時短要請、出勤者七割削減のテレワーク、イベントは五千人以下など経済活動に制約を課すものになっております。本県においても昨年十二月から感染拡大に歯止めをかけるべく、仙台市内において昨年末から二月八日まで飲食店等に三期にわたって時短要請を行い、その効果もあって現状においては新規感染者数が一桁台になるなど着実に減少しております。 しかし、飲食店等にとっては一年で最も忙しい年末年始と時短要請期間が重なり、売上げが消失し、要請が解除された今もお客さんが戻らず深刻な状況にあります。一連の時短要請の対象となっていない仙台市以外の県内の飲食店も外出自粛の影響により、一向に需要が戻らず支援を求める声が日に日に大きくなっており、私も長年慣れ親しんだ店舗からの窮状に応えられず胸を痛めております。 そして、宿泊施設等においては、宿泊者の利用率が九割近くを占めていたGoToトラベル、全国一斉停止の反動が大きく経営を直撃しております。国においてはGoToトラベルの地域限定や制度内容の変更も検討されておりますが、GoToキャンペーンなどが再開した折には、県支援策と併用するのではなく実施時期を考慮してほしいなどの意見も宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の皆さんから届いております。このように飲食店、宿泊事業者をはじめ関連する交通、物販分野などにも影響が広がり、県経済へも暗い影を落としております。このような状況を知事はどう受け止めているのか、また、当然ながら反転攻勢期には関係者との連携を密に前回に増して効果的な支援策が望まれており、今後の展開をどのように考えているのか、伺います。 また、先週から国内においても全国百か所の病院で医療従事者約四万人への先行接種が始まり、今後は医療従事者や高齢者などへの優先接種がなされ、新型コロナウイルス感染症の収束へ向けて大きな一歩を踏み出したものと期待されております。 しかし、県民の皆さんからは、ワクチンに関して期待の声だけでなく安全性、有効性や副反応などについて不安視する声もあり、それに加え大変残念なことでありますが、SNSを中心に根拠が明確ではなく不安をあおることや虚偽の情報が広がっているのも事実です。ワクチン接種に関する相談窓口や情報発信は一義的には国の責務ではありますが、県としても県民の不安を取り除くためにもワクチン接種の主体者である市町村自治体や宮城県医師会など医療関係団体と連携し、あらゆる世代の県民に向けて適時適切な情報発信が求められていると思いますが、今後県としての情報発信の在り方について改めて伺います。 次に、県財政について伺います。 今年は、村井知事が就任してから四期十六年の締めくくりの年でもあり、新たな県政運営の指針となる新・宮城の将来ビジョンのスタートの年でもあります。村井知事が就任した平成十七年度と直近の令和元年度の決算状況を基に、県の財政状況を比較してみますと、県政健全化比率については経常収支比率が悪化し財政の硬直化が常態化しているものの、財政力指数は〇・四八から〇・六三に、実質公債比率は一六・八%から一二・九%に改善しており、また県債残高については一兆三千六百五十三億円から一兆五千八億円と増加しているものの、地方交付税の振り替わりである臨時財政対策債を除く県債残高は一兆二千二百三十二億円から八千九百五十二億円まで減少するとともに、財政調整関係基金残高については百四十億円から四百八億円に増加しております。こうした数字を眺めてみますと、知事就任以来、東日本大震災という未曽有の災害がありながらも県財政は総じて好転しているとの印象を受けたところです。これは知事就任以来の一貫した方針である富県戦略や独自課税による税収の増加と知事の財政手腕によるものと考えますが、四期目の節目に当たりこれまでの県財政状況と財政運営に対する率直な感想・認識についてお伺いします。 令和三年度の当初予算を見てみますと、新型コロナウイルス感染症の影響を如実に受けており、県税収入は昨年度の二千九百三十二億円から百六十二億円減少し二千七百七十億円まで落ち込むとともに、地方譲与税についても三百九十六億円から百三十一億円減少し二百六十五億円まで落ち込んでおります。 一方、これを補うため臨時財政対策債は平成二十五年当初予算以来八年ぶりに六百億円台まで増加し、例年百二十億円程度の財政調整関係基金の取崩し額は百五十億円まで増加しております。これに加え令和二年度の補正予算においては、平成二十二年度以来十年ぶりとなる減収補填債を計上するなど、これまで比較的安定していた県財政について暗雲が立ち込めているのではないかとの印象を受けたところであります。 令和三年度当初予算については、今後十年の県政の方向を示す新・宮城の将来ビジョンへの対応や今後五年間の第二期復興・創生期間における復興事業へのきめ細やかな対応、国土強靱化の推進など、様々な県政の課題解決に向けた予算措置をコロナ禍の中で行わなければならないという例年にない大変な予算編成になったと思いますが、苦心の末、編成した来年度当初予算の基本的な考え方や期待される効果、財源対策などについて伺います。 さて、新たに策定された財政運営戦略においては、持続可能性に十分に配慮した財政運営の実現と国の復興・創生期間における復興事業の着実な推進、新・宮城の将来ビジョンに掲げる取組への着実な予算措置の両立が目標として掲げられました。新型コロナウイルス感染症により地域社会のみならず、県財政においても大きなマイナスの影響を受ける中、新たな戦略に掲げる二つの目標を達成し得るのか大変危惧しているところでありますが、持続可能な財政運営を新・宮城の将来ビジョンに掲げる取組や復興事業の着実な推進の両立について、その実現可能性と実現に向けた意気込みについて伺います。 昨年は県美術館と県民会館の再編統合問題が県議会をはじめ大いに議論を呼びました。美術館については、その文化的・芸術的価値に配慮し現地存続・大規模改修を進めるとの方針となりました。この問題では美術館建物の文化・芸術的な価値を背景に、建物の取壊しが既定路線となりかねない県民会館との統合の可否が議論の中心となっていたように感じておりました。少子高齢化の進展により地域社会の人口減少が見込まれており、県民サービスについても維持するべきか縮小するべきかなどを真剣に考えていく必要がある中、県有施設においても単純に建て替えるべきなのか、他の施設と統合すべきなのか、立地条件をどこにするかなど特定の施設に限定した議論ではなく、今後の県有施設の老朽化対策の大きな方向性についても大所高所から、より議論がなされるべきだったのではないかと感じているところです。今後十年間で一千億円とも言われる県有施設の老朽化対策については、人口減少の見通しや人口構造の変化、施設そのものに対するニーズを的確に把握・検証した上で施設の規模や新たに必要となる機能、ランニングコストなどについて熟慮を重ねながら建て替え、再編統合、廃止など最適な答えを導き出す必要があります。 また、県庁舎等整備基金をはじめとした老朽化対策のための基金などを活用しながら、将来を見据え適切に財源手当を行うことも必要と考えますが、老朽化した県有施設の今後の整備の在り方・考え方とその財源確保策について見解を伺います。 次に、農業振興について伺います。 新型コロナウイルス感染症の影響による消費減退は米どころ宮城の稲作にも大きな影響を与えております。令和二年産の主食用米については、人口減少などによる需要減と相まって深刻な在庫過剰に直面しております。このため令和三年産に向けては、全国で最大規模の六・七万ヘクタールに上り、平年作ベースの生産量に換算すると三十六万トンものの作付転換が必要な状況であり、これが実現できなければ在庫の増加によって需給バランスが崩れ、平成二十六年産米のような米価の下落につながるのではないかと懸念されております。そのような中、県農業再生協議会は昨年十一月、令和三年産主食用米の生産の目安を昨年産の作付実績より約二千ヘクタール削減の六万二千五百三十八ヘクタールと設定いたしました。これは過去最大の減産幅ではありますが、本県の令和三年産主食用米の生産の目安は国で必要とする削減率に至っておらず、価格などに影響が出るのではないかと懸念されますが、県としての認識を伺います。 そして、過去最大規模の作付転換を円滑に実施できるよう、国では従来の転作作物への支援策である水田活用の直接支払交付金に加え、今年度の第三次補正予算で水田リノベーション事業などの追加の支援策を措置しております。そして令和三年度予算においては、都道府県が転作作物を生産する農業者を独自に支援する事業を行う場合に同額を追加支援する都道府県連携型助成を創設し、転作作物を生産する農業者が主食用米を生産した場合と遜色のない所得を確保可能なものになっております。県としても令和三年産の大規模な転作を達成するため、国の都道府県連携型助成を活用し農業者が安心して取り組める独自の支援策が必要と考えますが、県としての取組を伺います。 また、来年度は新たに策定される第三期みやぎ食と農の県民条例基本計画と連携したみやぎ園芸特産振興戦略プランも併せてスタートいたします。この戦略プランでは、本県園芸の目指すべき姿について先進技術を駆使した全国トップレベルの施設園芸、担い手を核とした収益性の高い大規模露地園芸を掲げ、園芸産出額を三百三十三億円から五年後の令和七年には五百億円、そして令和十二年には六百二十億円、売上げ五千万円の先進的園芸経営体数も八十七経営体から百四十経営体と産出額、経営体数も非常に高い目標値を掲げており、これまでにはない一歩踏み込んだ県の積極的な姿勢を強く感じる計画として評価をしております。 しかし、どんなにすばらしい計画であっても実効性が伴っていなければ絵に描いた餅になってしまいます。今後も目標を達成するためには、水田フル活用、産地形成、販売先の開拓などあらゆる分野でのレベルアップが必要です。そのためには、今後は生産振興に加え園芸品目の価値を高め販売力強化を図るなど、これまでにはない取組が行政サイドにも求められますが、どのように考えているのか、伺います。 また、園芸産出額目標の達成にかける村井知事の強い決意をお聞かせください。 次に、私学振興について伺います。 少子化が社会問題となる中、育児において大きな支出を占める教育の負担軽減は少子化問題の解決に向けた有効な手段の一つでもあり、保護者負担が大きくなる傾向にある私立学校に通う児童生徒を持つ家庭への支援は喫緊の課題と考えます。 また、高等学校等就学支援金については、年収五百九十万円未満までは年額三十九万六千円が支援されるのに対し、年収が五百九十万円を超えると十一万八千八百円に支援額が急激に下がってしまうため、多くの保護者から所得制限の緩和等を求める声が聞かれます。そして昨年から猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症拡大の長期化は、保護者世帯にも大きな影響をもたらし経済的な理由により就学機会が奪われかねないなど深刻な状況が続いております。そのような状況を考慮し支援策を打ち出す県もあり、その一つである静岡県などはこれまでも就学支援金を独自に上乗せしておりましたが、来年度は七百五十万円未満まで所得制限を拡大し、実に私立校全生徒の六二%が県独自支援金の対象となっております。 一方、本県においても私学振興は、今年度私立高校入学金軽減補助などにより保護者の負担軽減がなされており一定の評価をするところであります。 しかし、来年度は就学支援金制度の所得制限が五百九十万円から六百二十万円まで拡大され支援金の独自加算が行われますが、今回の拡大によりどの程度の生徒が対象になると想定しているのか、伺います。 また、コロナ感染症の影響も長期間に及ぶことが予想され所得制限引上げの支援策が必要と考えますが、本県の就学支援金に対しての考えを伺います。 次に、私立学校施設の耐震改修について伺います。 全国の私立学校施設を対象とした令和二年度私立学校施設の耐震改修状況調査によると、本県の耐震化率は九二・八%であり全国でちょうど真ん中の二十四位となっておりますが、東日本大震災を経験した本県においては学校施設耐震化率一〇〇%を一刻も早く実現し、児童生徒の安全をより確かなものにしなければなりません。ほとんどの都道府県は、県の耐震補強工事、耐震診断、耐震改築への補助に対し独自の上乗せ補助を行い、耐震化率一〇〇%に向け推進しております。本県においても各種の補助制度の導入が必要と考えますが、今後の見通しを伺います。 次に、地域建設業について伺います。 震災発生直後には危険を顧みず、昼夜を問わず被災箇所などの応急復旧を行い、その後も地域の復旧・復興に向けたインフラの再構築に献身的に取り組んできた地域建設業は、宮城の復旧・復興を進める大きな原動力の一つであったものと認識しております。そして、もとより地域建設業は地域の雇用を支え地方創生でも積極的に役割を果たすことが期待されている産業でもあります。震災前、地域建設業の業績は建設市場の大幅な縮小により、経常利益率がマイナスを計上するなど大変厳しい経営状況でありました。この間、県工事の建設投資額は、平成十年度の約二千五百三十億円から平成十九年度には約七百四十億円と十年間で七割も減少しております。その後、震災からの復旧・復興工事で一気に増加した建設投資額は平成二十五年度に約七千二百億円でピークを迎え、地域建設業は復興関連工事の受注増加を背景にその業績を大きく改善させ今日に至っております。そして、この機会を捉え明日の担い手を確保するために長時間労働の是正や給与などの処遇改善に取り組み、ICTの活用や新技術の導入で生産性向上を図るなど鋭意働き方改革を進めているところですが、復興関連工事の終了に伴い震災前の水準まで一気に縮小していけば働き方改革への取組を後退せざるを得ず、それどころかハードランディングによる倒産など最悪の事態を引き起こしかねません。こうした中、昨年十二月に防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策が閣議決定されたことは、本県における国土強靱化への取組が一層推進されるという期待が高まるとともに、建設投資額が一定規模確保できるという点で大変喜ばしいことであります。事業規模は五年でおおむね十五兆円、現行の三か年緊急対策から事業期間や規模を大きく拡充し、公共事業関係費の通常分を継続したまま対策の所要額が別枠で上積みされるということであります。国では既に初年度分を国費約二兆円、事業費ベースで約三兆円を令和二年度第三次補正予算で措置しております。今回の五か年加速化対策の特徴は、例えば治水事業ではこれまで単体の河川で進めていたような河川掘削や堤防強化だけではなく、流域全体であらゆる関係者が連携して行う流域治水や高規格道路のミッシングリンク解消や四車線化、インフラの老朽化対策などの新たな事業メニューが盛り込まれたところであります。このところ激甚化・大規模化をしている自然災害や県有施設への老朽化への対策などはいずれも本県の喫緊の課題でありますので、復興のハード事業が落ち着きつつあるこのタイミングで国土強靱化関連予算を最大限活用し、災害から県民の命と財産を守るため重点的かつ集中的に実施すべきと考えます。 あわせて、復興最優先のためにこれまで抑制されてきた通常予算を元に戻しながら、ポスト復興においても一定規模の建設投資額を堅持していくことが必要と考えますが、知事の御所見を伺います。 また、地域建設業は今、大きな転換点を迎えています。生産年齢人口が減少し建設業就業者の高齢化が一層進行している中で、将来の担い手確保は地域建設業が生き残るための絶対的な必要条件であり、一方で、i-Constructionの活用とデジタルトラスフォーメーションの推進などによって生産性向上を図り、従来の産業構造や就業構造を変えていくことも必要な取組として今後の重要な課題となっております。地域建設業は東日本大震災からの復旧・復興に加え、平成二十七年関東・東北豪雨、令和元年東日本台風など豪雨被害からの早期復旧や社会基盤の整備及び維持管理、更には家畜伝染病の発生時における防疫の対応など県政の発展と安全・安心な県民生活を支えています。県では現在、第三期みやぎ建設産業振興プランを策定中ですが、プランの中間案ではこのような地域建設業を将来にわたって維持・発展させていくために、効果的、体系的に支援していくこととしております。地域建設業が抱える課題解決のために今後とも県の手厚い支援が必要であります。建設産業振興にかける知事の思いをお聞かせください。 次に、みやぎ型管理運営方式について伺います。 水道事業や下水道事業は、少子化などの人口減少の影響を大きく受けることによりその使用量が減少の一途をたどるため、本県のみならず全国的に見ても収益減収が見込まれております。今後は様々な設備、管路などの更新時期も迫り、このままでは水道料金の大幅な上昇は避けられず、県が実施する水道用水供給事業経営は厳しさを増すばかりであります。そのような背景から平成二十八年度以降、公開の場で外部有識者などによる検討会を重ね、平成二十九年度には導入可能性調査と資産調査を実施し事業概要書を取りまとめ、平成三十年十二月改正水道法成立後に政策財政会議を開催して、県としてみやぎ型管理運営方式の導入の意思決定をしております。議会においても平成二十九年二月定例会から四年間にわたって代表質問、一般質問及び予算特別委員会において数多くの議論を重ねております。そして、現在は交渉権者選定の最終審査書類となる企画提案書が三グループから提出されておりますが、昨日、一グループに絞られたみたいでありますが、その削減額や企画内容はどのようなものだったのか、お示しください。 また、水道事業は代替性のない社会資本であることから、削減額はもちろんですが、水質や災害時の対応など県民の安全・安心は担保された提案となっているのか、伺います。 言うまでもなく、水道事業は県民や企業にとって最も身近な社会資本であり、県民の中にはスケジュールが拙速であるとの意見や民間事業者が運営権を取得して水道事業を運営することに不安を感じている方もいらっしゃることから、事業導入には安心感を持ってもらうために、事業説明会を開催するなど県民や市町村の理解を得ることが今後も重要であると考えますが、今後の情報提供の在り方について伺います。 また、水道事業の将来にわたる安定経営に向けて令和四年度からの事業導入を確実にするためには、議会提案のスケジュールを明確に提示すべきものと考えますが、見解を伺います。 最後に、みやぎ型管理運営方式では、運営権者は自らの提案に基づき民間の創意工夫により効果的・効率的な事業運営に取り組むことになっておりますが、運営権者である特別目的会社、いわゆるSPCの予算・決算は県の公営企業会計とは別に区分されることになります。現行制度では県民の代表である議会に対して水道事業の経営状況を決算において毎年報告されていますが、みやぎ型管理運営方式導入後は運営権者の経営状況について議会への定期報告を実施すべきと考えますが、どのような方針を持っているのか、伺います。 最後に、地球温暖化対策について伺います。 近年の自然災害の頻発化・激甚化の要因にも挙げられる地球温暖化への対応についてですが、二〇二〇年以降、地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定では世界共通の長期目標として、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して二度より十分に低く保つとともに一・五度に抑える努力を追求することを目標としており、さきのレポートでは、そのために世界の二酸化炭素排出量を二〇一〇年の水準と比較して二〇三〇年度までに四五%削減し、二〇五〇年度前後に正味ゼロにしなければならないということであります。 このような中、各国でも大きな動きが見られます。アメリカ合衆国のバイデン大統領は、就任後早速離脱したパリ協定に復帰するための大統領署名を行いました。また、中国やEUも既に温室効果ガスの削減目標を引き上げることを表明しております。 一方、我が国でも昨年十月の菅内閣総理大臣の所信表明演説において、二〇五〇年度までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル宣言を行いました。政府はこれまで二〇三〇年に二〇一三年度比で二六%の削減、二〇五〇年度までに八〇%の削減という目標を掲げていた中で、このようなチャレンジングな目標を表明したことは国際社会への潮流に呼応した動きであると受け止められております。政府は昨年末に菅政権が掲げる二〇五〇年カーボンニュートラルへの挑戦を経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定したほか、地球温暖化対策推進法や地球温暖化対策計画の改正作業に着手するなど、より実効性の高い温暖化対策に向けて大きく踏み出しました。 また、国内でも本県を含む二百五十以上の自治体が二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロを表明するなど、このような国内外の動向を踏まえ本県として地球温暖化対策に取り組む知事の決意を伺います。 我が県議会においても昨年十二月、再生可能エネルギー・脱炭素調査特別委員会が設置され、再生可能エネルギーの導入促進や脱炭素化に向けた課題及び諸施策についての検討が始まりました。執行部による現状報告では、東日本大震災以降、復興需要に伴い温室効果ガスの排出量が増加に転じ、その後もあまり低減していないとのことです。平成三十年度に策定された県の地球温暖化対策実行計画では、二〇三〇年の目標値として三一%の削減目標という意欲的な目標を掲げておりますが、国が目指す二〇五〇年ゼロの目標達成のためには、更に高い削減目標を掲げるべきであり具体的にどのように取り組むのか、知事の御所見を伺います。 更に、地球温暖化対策には、二酸化炭素の排出抑制を進めると同時に二酸化炭素の吸収源対策に取り組むことが必要です。自然界では植物が光合成によって二酸化炭素を取り込んで有機物を合成し、幹を太くし、枝葉を伸ばして成長していきます。二酸化炭素の吸収のみならず森林の持つ多面的機能を維持するためには、間伐や造林などの適正な森林管理が不可欠です。 また、自然界における二酸化炭素の循環を考慮すると、陸上以外にも海中の森である藻場の維持・拡大としてブルーカーボンにも注目すべきです。これら森林や海洋における今後の取組についてどのように進めていくのか、最後にお伺いいたします。 以上、壇上から申し上げ、自由民主党・県民会議を代表しての質問を終了させていただきます。 御清聴誠にありがとうございました。
○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 村上智行議員の代表質問にお答えいたします。 大綱一点、これからの県政展望についての御質問にお答えいたします。 初めに、これまでの震災復興への取組等に対する率直な所感についてのお尋ねにお答えいたします。 多くの貴い命が失われた東日本大震災から間もなく十年を迎えます。改めて亡くなられた方々に深く哀悼の意を表します。 これまで復興に命をかけるという強い決意の下、県民の皆様とともに復旧・復興に全力で取り組んでまいりました。この間、国内外からたくさんの温かい御支援をいただき復興の大きな支えとなりました。心より感謝申し上げます。 これまでの取組でインフラの復旧などのハード整備はおおむね完了いたしましたが、被災者の心のケアや産業・なりわいの再生などについては継続的な取組が必要と考えており、引き続き被災者の皆様の思いを受け止めながら復興の完遂に向けて取り組む決意を新たにしております。 また、同じ悲しみを繰り返さないよう震災の記憶や教訓を後世に伝えるとともに、国内外に広く発信していくことは我が県が果たすべき責務であると考えており、市町村や民間団体の皆様と連携しながら取り組んでまいります。 次に、仙台空港の運用時間二十四時間化についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災での壊滅的な被害から宮城・東北の復興を果たすためには、東北の空の玄関口である仙台空港を最大限に活用する必要があると考え、創造的復興の一つとして全国に先駆けて空港民営化を成し遂げ、運用時間の二十四時間化についても果敢に取り組んでまいりました。このたびの二十四時間化の実現は、仙台空港の利便性や存在感を飛躍的に高め交流人口の拡大や地場産品の海外販路の新規開拓などを促進し、宮城・東北の発展に大きく寄与するものと確信しております。現在、新型コロナウイルス感染症の影響により航空業界は大変厳しい状況にありますが、県といたしましては、仙台国際空港株式会社や地元自治体・経済界との連携を強め、二十四時間化された仙台空港を最大限に生かし、コロナ収束後の早期の経済回復や今後の人口減少社会を見据えた宮城・東北の持続的な発展に全力で取り組んでまいります。 次に、仙台空港の運用時間二十四時間化の観光やインバウンド施策への活用についての御質問にお答えいたします。 運用時間の二十四時間化によってゲートウエーとしての利便性が向上し、ビジネス客も含めてこれまで以上に多くの方が東北・宮城を訪れるようになり、観光消費も増大するものと期待しております。県といたしましては、新型コロナウイルス感染症収束後を見据え、直行便の就航都市や新規就航が見込める地域に対して戦略的なプロモーションなどを実施するとともに、旅行者の様々なニーズに合わせた魅力ある旅行商品の造成促進に取り組むなど、観光・インバウンド施策の推進に当たり運用時間の二十四時間化を最大限に活用してまいります。 次に、住民の方々との継続的な対話についての御質問にお答えいたします。 運用時間の延長は地元の御理解が何よりも重要であることから、これまで延べ六十七回にわたる意見交換を重ねるとともに、各段階における諸課題について仙台空港四者会議で名取・岩沼両市長と忌憚のない話合いを行ってまいりました。こうした取組を重ねる中で夜間の航空機騒音に対する不安や懸念の声もいただいたことから、地元の御意見を基に航空機騒音対策の充実を図ってまいりました。今後も地元の方々との対話を継続し、仮に予見できなかった課題が生じた場合には改めて協議の場を設けその解決に努めてまいります。県といたしましては、運用時間の二十四時間化は、空港周辺地域のお住まいの方々の御理解なしには実現できなかったものであることを肝に銘じ、騒音対策はもとより地域の発展についても両市及び仙台国際空港株式会社と連携し、しっかりと取り組んでまいります。 次に、時短要請等による影響及び経済回復に向けた効果的な支援策についての御質問にお答えいたします。 時短要請やGoToキャンペーンの一時停止等の影響により、県内経済は飲食、宿泊業を中心に大変厳しい状況にあると認識しており、事業者などから「個々の事業者の経営努力では乗り越えられない。」、「多数のキャンセルが発生しておりいまだ客足が戻っていない。」といった切実な声を私自身も伺っております。県といたしましては、新型コロナウイルス感染症対応事業者支援市町村事業補助金を活用し、市町村と連携しながら観光関連をはじめとした事業者支援を効果的に実施してまいります。 また、裾野の広い観光産業の需要喚起に向け、県独自の宿泊割引キャンペーン実施に要する経費五億五千万円を今議会に追加提案することにいたしました。 開始時期は感染状況などを慎重に見極めて判断いたしますが、今年九月までの間、東北六県及び新潟県在住の方を対象に一人当たり旅行代金の二分の一、最大五千円を約十万人泊分補助することとし、そのうち半分程度を県民枠として設定したいと考えております。県といたしましては、市町村や関係団体等としっかり連携しながら観光関連をはじめ落ち込んだ県内経済の早期回復に全力で取り組んでまいります。 次に、市町村や医師会などと連携した適時適切なワクチン情報の発信の在り方についての御質問にお答えいたします。 県民がワクチンの接種について適切に判断し、安心して受けることができるようワクチンの有効性や安全性、副反応の情報等を速やかに把握できるようにすることは大変重要であります。このため、県では国に対してワクチン接種に関する具体的な情報を積極的に周知・広報するよう要望しております。県といたしましては、国から示された情報について、これまでも市町村や医師会など医療関係団体などへ速やかに周知してきたところでありますが、今後も関係団体と一層連携するとともに県ホームページなどにより広く県民への適時適切な情報の発信に努めてまいります。 次に、これまでの財政状況と財政運営についての御質問にお答えいたします。 私が知事に就任した平成十七年当時の県財政を振り返ってみますと、それ以前に借り入れた債務の返済が重くのしかかり何をするにも自由がきかない、まさに手かせ足かせをはめられたような状況でありました。以来、職員とともに時には痛みを伴う事務事業の見直しを断行するとともに、みやぎ発展税などの独自財源も最大限活用しながら富県宮城の取組を果敢に進めてまいりました。この間には、リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症など気持ちが折れそうになる場面に何度となく直面し、まさに山あり谷ありの険しい道のりでありましたが、県民の皆様をはじめ議員各位の御理解と御協力の下、何とかここまで乗り越えてまいりました。私が県政をお預かりしてきた十五年間で好転している財政指標も見られますが、これは英知を結集して地道な取組を着実に続けてきた結果の現れであり、御協力くださった方々に深く感謝申し上げたいと思っております。 次に、来年度当初予算編成の基本的な考え方になどについての御質問にお答えいたします。 来年度当初予算は、「富県躍進!新ビジョンスタートアップ予算」と銘打ち、新・宮城の将来ビジョンの初年度にふさわしく、これまでの富県宮城の取組を更に前進させ元気に活躍する県民の皆様と躍動する宮城の姿を思い描きながら編成したものであります。同時に喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、東日本大震災からの復旧・復興についてソフト事業に軸足を移しながらその完遂を図ってまいります。今回の予算により、これまでの復旧・復興最優先から子育て支援や教育・福祉の充実、人材確保対策やデジタル改革など各分野における県政課題の解決にも腰を据えて取り組み、県民の皆様の御期待に少しでもお応えしてまいりたいと考えております。 その一方で、来年度も県財政への新型コロナウイルス感染症の影響が避けられず、県税収入の大幅な減少などから財源対策として財政調整基金から百五十億円もの取崩しを余儀なくされました。我が県の財政運営は今後も厳しさを増すものと覚悟せざるを得ず、なお一層気を引き締めてかじ取りに当たってまいりたいと思います。 次に、持続可能な財政運営と新ビジョンに掲げる取組や復興事業との両立についての御質問にお答えいたします。 今月策定したみやぎ財政運営戦略第三期の基本的な考え方は、まさに議員御指摘のとおり、持続可能な財政運営を目指すと同時に新ビジョンに掲げる取組や復興事業に予算を重点配分し、その両立を図ることであります。新たな戦略にはこれを実現するための具体策を盛り込んだところであり、令和四年度以降もこれまでと同様に地方一般財源が確保されれば、実質公債費比率と将来負担比率を安定的に推移させるとともに、県債残高の適正管理に努めることによって両立は十分可能であると考えております。戦略に掲げた取組は当たり前のものばかりで、いわゆる特効薬はありません。仕事に対する職員一人一人の日頃の問題意識と改善の着実な積み重ねこそが大事であり、私と全職員が一体となって常に意識を共有することにより財政運営と政策推進の両立はもとより、双方の取組効果を更に引き上げてまいりたいと考えております。 次に、県有施設の整備の在り方などについての御質問にお答えいたします。 県では、平成二十八年七月に公共施設等総合管理方針を策定し、施設の更新や管理に当たっては予防・保全の考え方を取り入れ、計画的な修繕による長寿命化や施設の統廃合など総合的に進めるとともに、費用全体の縮減を図っていくこととしております。現在、この管理方針に基づき施設ごとに整備の方向性を定める個別計画を策定しているところであり、今後、その結果を踏まえ具体的な改修等について検討を進めてまいります。 財源については、今後十年間の老朽化対策に要する費用が一千億円を超えると見込まれることから、国の補助金や交付税措置のある県債を積極的に活用するとともに、総合管理方針で定めたとおり県庁舎等整備基金など関係基金の残高の確保に努めてまいりたいと思います。 次に、我が県の令和三年産主食用米の減産幅についての御質問にお答えいたします。 国内の米の消費が年々減少している中、新型コロナウイルス感染症の拡大による外食の需要減少などの影響も加わり全国的に米の在庫が増加し、農業者からは米価への影響を危惧する声も出ており需要に応じた生産がより重要になっております。宮城県農業再生協議会では昨年十一月、国の米の需要見通しを基にJAグループの事前契約数量を考慮して我が県の今年産主食用米の生産の目安を算定し、昨年産の作付実績より面積ベースで三%減の六万二千五百三十八ヘクタールとしました。県といたしましては、この生産の目安に即して主食用米の作付を確実に減少させ、需要に応じた生産を行うことが重要であると考えております。 次に、稲作からの大規模な転作に向けた支援策についての御質問にお答えいたします。 我が県の今年産主食用米の生産の目安は、昨年産の作付面積から約二千ヘクタールの減少となり生産の目安の設定以降最大の減産が必要となります。主食用米の大幅な減産を推進するため、国の水田活用の直接支払交付金などによる転作作物への支援に加え、作付転換すると主食用米に戻りにくい高収益な園芸作物への転換の取組に対し県独自の支援策を講じることとしております。県といたしましては、これらの国及び県の事業を組み合わせて農業者が転作を行っても主食用米と遜色のない所得を確保できるよう支援し、生産の目安の確実な達成に向けて取り組んでまいりたいと思います。 次に、園芸産出額目標の達成についての御質問にお答えいたします。 主食用米の需要減少が進む中、我が県の農業・農村の維持・発展のためには需要があり収益性の高い園芸生産の大幅な拡大が必要であることから、第三期みやぎ食と農の県民条例基本計画では県の園芸産出額を倍増する目標を掲げております。この目標の実現に向けて、みやぎ園芸特産振興戦略プランを策定し品目別、地域別に実効性のある具体的な振興方策を定めることとしております。園芸産出額の倍増という高い目標を達成するためプランではこれまでの取組を加速させることに加え、新たに産地と食品加工業者との連携による園芸サプライチェーンを構築し、販路の拡大、付加価値向上を図るなどの取組を展開することとしております。 更に、プランが着実に実行されるよう来年度の園芸振興予算を大幅に拡充するとともに、組織についても園芸振興室から園芸推進課に再編し推進体制を強化することとしております。県といたしましては、生産者や実需者、関係機関と連携し、園芸産出額の目標達成に向け総力を挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。 次に、私立高等学校等就学支援費についての御質問にお答えいたします。 現行の私立高校生への就学支援については、年収約五百九十万円未満の世帯を対象に年額三十九万六千円を支給し授業料が実質無償化されておりますが、年収約五百九十万円以上九百十万円未満の世帯に対する支援は、公立高校授業料相当額である十一万八千八百円となっております。このことから入学金軽減補助といった対策も講じてまいりましたが、保護者の一層の負担軽減を図るため来年度から年収約五百九十万円以上六百二十万円未満の世帯に対して、県単独の上乗せを行い合計二十三万七千六百円を支給することとし、対象となる生徒数は五百人程度を想定しております。御指摘のありました修学支援の更なる拡充については、国の動向を注視しつつ他県の状況や今後の財政状況等を勘案しながらできる限りの努力をしてまいりたいと思います。 次に、私立学校施設の耐震化に係る補助制度についての御質問にお答えいたします。 今年度に実施した私立学校施設の耐震化調査においては、対象となった百十一棟のうち耐震診断未実施のものが七棟、耐震性の低いものが一棟ありました。県では、それらの施設を所有する学校法人に対し使用状況や今後の活用方策を伺った上で、早期に耐震診断または耐震化を行うよう働きかけているところであります。 現行の耐震化に係る補助については、国の制度を活用し体育館や講堂のつり天井などの非構造部材の耐震対策へ県単独補助を実施しているところでありますが、校舎の耐震補強や改修等への県単独補助につきましては、当該学校法人の需要動向を確認しながらその必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。 次に、国土強靱化への取組と復興後の建設投資額についての御質問にお答えいたします。 県では、これまで東日本大震災や令和元年東日本台風からの復旧・復興事業に加え、国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策事業を活用し道路改築や河川堤防のかさ上げ、河道の堆積土砂撤去のほか、防災重点ため池における安全対策や治山施設の整備など災害に強い県土づくりに積極的に取り組んでまいりました。復興事業は最終段階を迎えておりますが、今後も頻発化・激甚化する自然災害や県有施設の老朽化等への対応は、引き続き重点的に取り組むべき課題であると認識しております。こうした中、今般、国では国土強靱化の加速化を図るため、これまでの三か年緊急対策を大きく拡充した防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を打ち出したところであります。県といたしましては、現在策定中の第二期宮城県国土強靱化地域計画に基づき、国の五か年加速化対策事業を最大限活用しながら、県土の更なる強靱化に向け取組を進めてまいります。 あわせて、人口減少や少子高齢化をはじめとした地域社会を取り巻く諸課題にも対応するため、震災復興期間終了後においても引き続き必要な公共事業予算を確保し、未来につなぐ社会資本整備に取り組んでまいりたいと思います。 次に、建設産業の振興についての御質問にお答えいたします。 地域建設業は、社会資本の整備や維持管理をはじめ東日本大震災の復旧・復興や近年の激甚化・頻発化する自然災害からの復旧、更には家畜伝染病発生時における防疫対策対応など県土の発展と安全で安心な県民生活を支える上で、その果たす役割は今後ますます重要になるものと認識しております。 一方で、震災復興期間終了後の建設投資額の大幅な減少、人口減少・少子高齢化に伴う深刻な担い手不足、デジタル化への対応など建設産業を取り巻く環境は厳しさを増しております。そのような環境に対応していくため、現在、県では仮称第三期みやぎ建設産業振興プランの策定を進めております。本プランでは、週休二日制の普及拡大などの働き方改革による担い手確保・育成、施工時期の平準化やICTの活用拡大による現場の生産性の向上、経営基盤の強化に向けた専門講座や相談対応による経営の安定・強化、更には社会資本の維持管理や災害対応の拡充を図る地域力の強化の四つを柱として目標値を設定しながら着実に進めることとしております。県といたしましては、これまで以上に関係団体と連携しながら、地域の守り手として宮城の県土づくりを担う地域建設業が将来にわたり維持・発展できるよう積極的に支援してまいります。 次に、地球温暖化対策の取組についての御質問にお答えいたします。 地球温暖化の主な原因である二酸化炭素の排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現は、人類の生存基盤である豊かな自然環境を次世代に引き継いでいくための世界的な政策課題であります。我が県では、令和元年十二月に二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロを国に先んじて表明したほか、今議会に提案している第四期環境基本計画においても長期目標として掲げ、地球温暖化対策を一層推進していくこととしております。この長期目標は環境への負荷を抑制することのみならず、社会経済を変革し、生産性を向上させ、環境と経済の好循環を生み出すことにより達成されるものであると認識しております。二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロの高い目標の下、県民、事業者など地域社会を構成する全ての主体と連携した地球温暖化対策に全力で取り組んでまいります。 次に、温室効果ガス排出削減の目標設定と今後の取組についての御質問にお答えいたします。 国においては、先月、今年十一月に開催予定の第二十六回気候変動枠組条約締約国会議までに、二〇三〇年における意欲的な削減目標を表明することを宣言したほか、現在、地球温暖化対策の見直しを行っているところであります。県といたしましては、国における動向を見極めながら二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロの長期目標も見据え、現行の削減目標を更に高い目標へ見直してまいります。 この目標の達成に向けて、具体的には建築物の省エネルギー化のほか木質バイオマスや地中熱など地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入促進、燃料電池自動車の導入支援など、水素エネルギーの普及拡大や技術開発支援による脱炭素型ビジネスモデルの推進などの取組を一層強化し、二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロの実現につなげてまいりたいと考えております。 次に、森林や海洋における吸収源対策としての今後の取組についての御質問にお答えいたします。 地球温暖化対策を推進する上で、二酸化炭素の排出削減と同時に吸収源対策も強化していくことが重要であると認識しております。二酸化炭素の吸収源は、現在、その大部分を森林吸収源対策が担っており、県土の約六割を占める森林を適切に整備し健全に成長させることが重要であります。このため、間伐や再造林などの森林整備や木材利用拡大などの取組を一層強化し、森林における二酸化炭素吸収量の確保と吸収能力の維持・向上に努めてまいります。 また、海藻類の二酸化炭素の吸収に着目したブルーカーボン生態系も新たな吸収源として注目されております。現在、国において吸収源対策として評価できるよう検討が進められており、県では昨年策定した藻場ビジョンに基づきブルーカーボンに資する藻場の面積を倍増させるべく様々な取組を行っております。今後も吸収源対策としての役割もしっかりと担えるよう環境と調和した持続可能な水産業・林業の確立に努めてまいりたいと思います。 私からは、以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 公営企業管理者櫻井雅之君。 〔公営企業管理者 櫻井雅之君登壇〕
◎公営企業管理者(櫻井雅之君) 大綱一点、みやぎ型管理運営方式についての御質問のうち、企業グループからの企画提案書の内容等についてのお尋ねにお答えいたします。 みやぎ型管理運営方式における最終審査書類となる企画提案書については、今年一月に三企業グループから提出があり、その内容を確認したところ県が設定した約二百億円の削減額を達成しているだけでなく、それぞれ民間ならではの創意工夫が盛り込まれた提案となっております。水道三事業は代替性のない社会資本であることから、みやぎ型管理運営方式を担う運営権者には削減額のみならず、水質管理はもちろん組織体制、財務状況及び危機管理等について厳しい要求水準を設定しております。現在、事業に精通した専門家で構成するPFI検討委員会において、要求水準が全て満足されていることを確認するとともに、それぞれの独自の提案等について経営の安定性、効率性や導入技術の先進性、実現可能性等の観点から厳正な審査が行われております。このようなプロセスを踏まえながら、長期安定経営が可能な我が県にとって最もふさわしい企業グループが今年度中に選定されるものと考えております。 次に、県民への情報提供と議案の提案時期についての御質問にお答えいたします。 みやぎ型管理運営方式の導入に当たっては、県民への正確な情報提供が重要であると認識しており、これまでシンポジウムや事業説明会などを開催するとともにホームページや県政だよりによる広報も行っており、幅広い周知に努めてきたところであります。現在、公平・公正な審査に影響を与えることのないよう応募者の名称や企画提案書の内容の公表は控えておりますが、PFI検討委員会による審査が予定どおり進捗し今年度末に優先交渉権者が選定されれば、全ての応募者の企業名や提案内容について公表した後、令和三年六月議会に運営権設定議案を提案することとしております。県といたしましては、令和四年度からのみやぎ型管理運営方式の円滑な導入に向けて、引き続き事業説明会の開催など県民への説明責任を果たしながら着実に取り組んでまいります。 次に、運営権者の経営状況を議会に報告すべきとの御質問にお答えいたします。 水道三事業は、県民生活と企業の経済活動に密接に関わる大変重要な社会資本であることから、県民の代表である県議会に対して定期的に報告しながら事業を進める必要があると認識しております。このため、県といたしましては、運営権者の財務状況や水質のモニタリング等について毎年議会に報告することを予定しており、令和三年六月議会に運営権設定議案に併せて議会報告に関する条例についても提案することとしております。 以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 三十七番村上智行君。
◆三十七番(村上智行君) ありがとうございました。あれから十年ということで本当に特別な年になるのではないのかと思っております。まだまだ完遂したところばかりではありません。私も昨日、千年希望の丘から仙台空港の東側のほうを見渡してまいりました。空き地があり活用されているところはまだまだまだら模様になっております。そういった現実もあるということをしっかりと受け止めながら、これから震災復興の新たなるステージに入ってまいりますが、そういった積み残された課題というのは本当にこれは県の力だけではなかなかできないところがあります。市町村だけでもできないところがあります。震災伝承についてもこれから大変大きな課題になってくると思っております。県内には震災伝承の第三分類と言われる二十一か所があるのですが、そのうち十七か所を回ってまいりました。今度石巻市に開園する祈念公園が三月十一日に間に合わないという、これは本当に残念なことであり、その中核施設がしっかりと機能を果たして震災伝承をこれから十年、二十年、三十年、五十年と我々が未来につなげていくことができるのかということをこれから本当に真剣に考えていかなくてはならないと思っておりますし、そのためには全ての力を傾注していかなくてはならないと思っております。そういった様々な課題、これからも出てくると思います。知事の任期は今年で終わりですが、まだまだ続いていくと思いますが、その辺りも踏まえながらいま一度お答え願いたいと思います。