• "号議案工事請負変更契約"(/)
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  1. 宮城県議会 2020-11-01
    11月25日-01号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 2年 11月 定例会(第376回)          第三百七十六回宮城県議会(定例会)会議録                              (第一号)令和二年十一月二十五日(水曜日)  午後一時開会  午後一時三十七分散会      議長                     石川光次郎君      副議長                    齋藤正美君出席議員(四十三名)      第一番                    金田もとる君      第二番                    小畑きみ子君      第三番                    三浦ななみ君      第四番                    石田一也君      第七番                    渡邉重益君      第八番                    わたなべ 拓君      第九番                    伊藤吉浩君      第十番                    大内真理君     第十一番                    福島かずえ君     第十二番                    枡 和也君     第十三番                    佐藤仁一君     第十四番                    遠藤伸幸君     第十五番                    八島利美君     第十六番                    瀬戸健治郎君     第十九番                    高橋宗也君    第二十三番                    天下みゆき君    第二十四番                    三浦一敏君    第二十五番                    渡辺忠悦君    第二十六番                    佐々木功悦君    第二十七番                    境 恒春君    第二十八番                    太田稔郎君    第二十九番                    高橋 啓君     第三十番                    横山のぼる君    第三十五番                    外崎浩子君    第三十九番                    熊谷義彦君     第四十番                    岸田清実君    第四十一番                    菅間 進君    第四十二番                    坂下 賢君    第四十三番                    ゆさみゆき君    第四十五番                    吉川寛康君    第四十六番                    伊藤和博君    第四十七番                    庄子賢一君    第四十九番                    佐々木喜藏君     第五十番                    石川光次郎君    第五十一番                    中島源陽君    第五十二番                    本木忠一君    第五十三番                    中山耕一君    第五十四番                    齋藤正美君    第五十五番                    安藤俊威君    第五十六番                    畠山和純君    第五十七番                    仁田和廣君    第五十八番                    藤倉知格君    第五十九番                    中沢幸男君欠席議員(十四名)      第五番                    柏 佑賢君      第六番                    福井崇正君     第十七番                    櫻井正人君     第十八番                    村上久仁君     第二十番                    庄田圭佑君    第二十二番                    遠藤隼人君    第三十一番                    渡辺勝幸君    第三十二番                    横山隆光君    第三十三番                    佐々木賢司君    第三十四番                    守屋守武君    第三十六番                    佐々木幸士君    第三十七番                    村上智行君    第三十八番                    高橋伸二君    第四十八番                    菊地恵一君欠員(二名)    第二十一番    第四十四番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    佐野好昭君      副知事                    遠藤信哉君      公営企業管理者                櫻井雅之君      総務部長                   大森克之君      震災復興・企画部長              佐藤達哉君      環境生活部長                 鈴木秀人君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   佐藤夏人君      水産林政部長                 小林徳光君      土木部長                   佐藤達也君      会計管理者兼出納局長             宮川耕一君      総務部参事兼秘書課長             藤田信治君      総務部参事兼財政課長             小野寺邦貢君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      理事兼教育次長                小林一裕君    選挙管理委員会      事務局長                   鈴木雄貴君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   山本雅伸君    公安委員会      委員長                    佐藤勘三郎君      警察本部長                  千野啓太郎君      総務部長                   内海裕之君    労働委員会      事務局長                   蜂谷 洋君    監査委員      委員                     成田由加里君      事務局長                   斉藤敬一君-----------------------------------    議会事務局      局長                     小野和宏君      次長兼総務課長                小野寺 明君      参事兼議事課長                菅原 正君      参事兼政務調査課長              二瓶克之君      総務課副参事兼課長補佐            砂金義徳君      議事課長補佐                 二上秀幸君      政務調査課長補佐               長谷川共子君      議事課長補佐(班長)             田村和江君      議事課主幹                  渡辺祐司君-----------------------------------    議事日程 第一号              令和二年十一月二十五日(水)午後一時開議第一 会議録署名議員の指名第二 会期の決定について第三 発議第四号議案 賀詞第四 発議第五号議案 賀詞第五 議第百六十四号議案 令和二年度宮城県一般会計補正予算第六 議第百六十五号議案 令和二年度宮城県土地取得特別会計補正予算第七 議第百六十六号議案 令和二年度宮城県水道用水供給事業会計補正予算第八 議第百六十七号議案 令和二年度宮城県流域下水道事業会計補正予算第九 議第百六十八号議案 部制条例の一部を改正する条例第十 議第百六十九号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例第十一 議第百七十号議案 手数料条例及び家畜改良増殖法施行条例の一部を改正する条例第十二 議第百七十一号議案 手数料条例の一部を改正する条例第十三 議第百七十二号議案 宮城県県税条例の一部を改正する条例第十四 議第百七十三号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例第十五 議第百七十四号議案 地域環境保全特別基金条例の一部を改正する条例第十六 議第百七十五号議案 食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例第十七 議第百七十六号議案 興行場法施行条例の一部を改正する条例第十八 議第百七十七号議案 公衆浴場法施行条例の一部を改正する条例第十九 議第百七十八号議案 職業訓練に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例第二十 議第百七十九号議案 家畜伝染病予防法施行条例の一部を改正する条例第二十一議第百八十号議案 当せん金付証票の発売限度額について第二十二 議第百八十一号議案 指定管理者の指定について(宮城県こもれびの森)第二十三 議第百八十二号議案 指定管理者の指定について(宮城県さくらハイツ及び宮城県コスモスハウス)第二十四 議第百八十三号議案 指定管理者の指定について(宮城県啓佑学園及び宮城県第二啓佑学園)第二十五 議第百八十四号議案 指定管理者の指定について(宮城県船形の郷)第二十六 議第百八十五号議案 指定管理者の指定について(宮城県七ツ森希望の家)第二十七 議第百八十六号議案 指定管理者の指定について(小鯖漁港の指定施設(小鯖護岸横泊地))第二十八 議第百八十七号議案 指定管理者の指定について(鮪立漁港の指定施設)第二十九 議第百八十八号議案 指定管理者の指定について(波路上漁港の指定施設(七半沢防波堤横泊地及び内沼防波堤横泊地))第三十 議第百八十九号議案 指定管理者の指定について(浦の浜漁港の指定施設(田尻防波堤横泊地磯草B防波堤横泊地浦の浜桟橋横泊地①及び浦の浜桟橋横泊地③))第三十一 議第百九十号議案 指定管理者の指定について(志津川漁港の指定施設(林防波堤横泊地、南防波堤横泊地、大森護岸横泊地及び大森防波堤横泊地②))第三十二 議第百九十一号議案 指定管理者の指定について(桃ノ浦漁港の指定施設)第三十三 議第百九十二号議案 指定管理者の指定について(仙台港多賀城地区緩衝緑地)第三十四 議第百九十三号議案 指定管理者の指定について(石巻南浜津波復興祈念公園)第三十五 議第百九十四号議案 指定管理者の指定について(仙塩流域下水道)第三十六 議第百九十五号議案 指定管理者の指定について(阿武隈川下流流域下水道)第三十七 議第百九十六号議案 指定管理者の指定について(鳴瀬川流域下水道及び吉田川流域下水道)第三十八 議第百九十七号議案 県行政に係る基本的な計画の策定について(新・宮城の将来ビジョン)第三十九 議第百九十八号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十 議第百九十九号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十一 議第二百号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十二 議第二百一号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十三 議第二百二号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十四 議第二百三号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十五 議第二百四号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十六 議第二百五号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十七 議第二百六号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十八 議第二百七号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第四十九 議第二百八号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十 議第二百九号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十一 議第二百十号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十二 議第二百十一号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十三 議第二百十二号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十四 議第二百十三号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十五 議第二百十四号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十六 議第二百十五号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十七 議第二百十六号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十八 議第二百十七号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第五十九 議第二百十八号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十 議第二百十九号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十一 議第二百二十号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十二 議第二百二十一号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十三 議第二百二十二号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十四 議第二百二十三号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十五 議第二百二十四号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十六 議第二百二十五号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十七 議第二百二十六号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十八 議第二百二十七号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第六十九 議第二百二十八号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十 議第二百二十九号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十一 議第二百三十号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十二議第二百三十一号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十三 議第二百三十二号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十四 議第二百三十三号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十五 議第二百三十四号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十六 議第二百三十五号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十七 議第二百三十六号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十八 議第二百三十七号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第七十九 議第二百三十八号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第八十 議第二百三十九号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第八十一 議第二百四十号議案 和解及び損害賠償の額の決定について第八十二 議第二百四十一号議案 公立大学法人宮城大学が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第八十三 議第二百四十二号議案 工事請負契約の締結について(日門漁港防潮堤等新築工事)第八十四 議第二百四十三号議案 工事請負契約の締結について(宮城県志津川高等学校屋内運動場等改築工事)第八十五 議第二百四十四号議案 工事請負契約の締結について(南部地区職業教育拠点校(仮称)校舎等新築工事)第八十六 議第二百四十五号議案 工事請負変更契約の締結について(大谷川地区海岸等護岸等災害復旧工事)第八十七 議第二百四十六号議案 工事請負変更契約の締結について(坂元川等護岸等災害復旧工事(その三))第八十八 議第二百四十七号議案 工事請負変更契約の締結について(野々島地区海岸護岸等災害復旧工事)第八十九 議第二百四十八号議案 工事請負変更契約の締結について(西沢川護岸等改良工事)第九十 議第二百四十九号議案 工事請負変更契約の締結について(加茂川護岸等改良工事)第九十一 議第二百五十号議案 工事請負変更契約の締結について(富士川護岸等災害復旧工事(その五))第九十二 議第二百五十一号議案 工事請負変更契約の締結について(吉田川堤防等改良工事)第九十三 報告第八十七号 専決処分の報告について(松岩漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第九十四 報告第八十八号 専決処分の報告について(波路上漁港防潮堤災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第九十五 報告第八十九号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号崎山トンネル(仮称)工事の請負契約の変更)第九十六 報告第九十号 専決処分の報告について(主要地方道奥松島松島公園線宮戸道路改築工事(その二)の請負契約の変更)第九十七 報告第九十一号 専決処分の報告について(大谷地区海岸等護岸等新設工事の請負契約の変更)第九十八 報告第九十二号 専決処分の報告について(戸花川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第九十九 報告第九十三号 専決処分の報告について(富士川堤防等災害復旧工事の請負契約の変更)第百 報告第九十四号 専決処分の報告について(東名地区海岸護岸等災害復旧工事(その七)の請負契約の変更)第百一 報告第九十五号 専決処分の報告について(中島川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百二 報告第九十六号 専決処分の報告について(水尻川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百三 報告第九十七号 専決処分の報告について(津谷川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百四 報告第九十八号 専決処分の報告について(仙台塩釜港塩釜港区水門等建設工事の請負契約の変更)第百五 報告第九十九号 専決処分の報告について(仙台塩釜港塩釜港区上屋災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第百六 報告第百号 専決処分の報告について(都市計画道路矢本門脇線新定川大橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第百七 報告第百一号 専決処分の報告について(都市計画道路門脇流留線浦屋敷道路等改築工事の請負契約の変更)第百八 報告第百二号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)第百九 報告第百三号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)第百十 大震災復興調査特別委員会調査結果報告第百十一 自然災害対策調査特別委員会調査結果報告第百十二 鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告第百十三 不登校・ひきこもり対策調査特別委員会調査結果報告第百十四 地域再生対策調査特別委員会調査結果報告-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 会期の決定について三 日程第三及び日程第四 発議第四号議案及び発議第五号議案四 日程第五ないし日程第百九       議第百六十四号議案ないし議第二百五十一号議案及び報告第八十七号ないし報告第百三号五 日程第百十 大震災復興調査特別委員会調査結果報告六 日程第百十一 自然災害対策調査特別委員会調査結果報告七 日程第百十二 鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告八 日程第百十三 不登校・ひきこもり対策調査特別委員会調査結果報告九 日程第百十四 地域再生対策調査特別委員会調査結果報告----------------------------------- △開会(午後一時) ○議長(石川光次郎君) 第三百七十六回宮城県議会を開会いたします。----------------------------------- △開議 ○議長(石川光次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △会議録署名議員の指名 ○議長(石川光次郎君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二十四番三浦一敏君、二十六番佐々木功悦君を指名いたします。----------------------------------- △議長発言 ○議長(石川光次郎君) ここに謹んで一言申し上げます。 天皇陛下におかれましては、今月八日、立皇嗣の礼を挙行され、文仁親王殿下が皇嗣であることを広く内外に宣明されましたことは、誠に慶賀に堪えないところであります。 また、皇嗣殿下におかれましては、常に人々の安寧と幸せを願われ、これまで幾たびも御来県いただきました。 県民とともに謹んでお喜び申し上げますとともに、皇室の繁栄を心からお祈り申し上げます。----------------------------------- △諸報告 ○議長(石川光次郎君) 御報告いたします。 御手元に配布のとおり、議員派遣の変更がありました。 過日、御手元に配布のとおり、県人事委員会から、職員の給与等に関する報告及び給与に関する勧告がありました。 地方自治法第百二十一条の規定により、御手元に配布のとおり、議場出席者の通知がありました。 選挙管理委員会委員長皆川章太郎君が本日及び明日、欠席する旨の届出がありました。……………………………………………………………………………………………    議員派遣の変更について                        令和二年十一月二十五日一 第二十回都道府県議会議員研究交流大会(令和二年十一月十日)  派遣議員の取消 三浦ななみ議員、小畑きみ子議員二 第二十回都道府県議会議員研究交流大会(令和二年十一月十一日)  派遣議員の取消 大内真理議員、渡邉重益議員、三浦ななみ議員……………………………………………………………………………………………    議場出席者名簿               第376回県議会(令和2年11月定例会)    知事                     村井嘉浩    副知事                    佐野好昭    副知事                    遠藤信哉    公営企業管理者                櫻井雅之    総務部長                   大森克之    震災復興・企画部長              佐藤達哉    環境生活部長                 鈴木秀人    保健福祉部長                 伊藤哲也    経済商工観光部長               千葉隆政    農政部長                   佐藤夏人    水産林政部長                 小林徳光    土木部長                   佐藤達也    会計管理者兼出納局長             宮川耕一    総務部参事兼秘書課長             藤田信治    総務部参事兼財政課長             小野寺邦貢  教育委員会    教育長                    伊東昭代    理事兼教育次長                小林一裕  選挙管理委員会    委員長                    皆川章太郎    事務局長                   鈴木雄貴  人事委員会    委員長                    千葉裕一    事務局長                   山本雅伸  公安委員会    委員長                    佐藤勘三郎    警察本部長                  千野啓太郎    総務部長                   内海裕之  労働委員会    事務局長                   蜂谷 洋  監査委員    委員                     成田由加里    事務局長                   斉藤敬一----------------------------------- △会期の決定について ○議長(石川光次郎君) 日程第二、会期の決定についてを議題といたします。 お諮りいたします。 今回の会期は、本日から十二月十六日までの二十二日間といたしたいと思います。 これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、会期は二十二日間と決定いたしました。----------------------------------- △発議第四号議案・発議第五号議案 ○議長(石川光次郎君) 日程第三及び日程第四、発議第四号議案、賀詞及び発議第五号議案、賀詞を一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………発議第四号議案 賀詞 右の議案を別紙のとおり宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により提出します。  令和二年十一月二十五日    提出者  議員 中山耕一    賛成者  議員 坂下 賢  三浦一敏  伊藤和博            岸田清実  菅間 進  吉川寛康            高橋 啓 宮城県議会議長 石川光次郎殿……………………………………………………………………………………………    天皇陛下に差し上げる賀詞 天皇陛下におかせられましては 皇嗣殿下の立皇嗣の礼をあげさせられ皇位継承者としての地位を宣明されましたことは まことに慶賀に堪えないところであります ここに宮城県議会は 県民を代表して 謹んで慶祝の意を表します  令和 年 月 日                              宮城県議会……………………………………………………………………………………………発議第五号議案 賀詞 右の議案を別紙のとおり宮城県議会会議規則第十五条第一項の規定により提出します。  令和二年十一月二十五日    提出者  議員 中山耕一    賛成者  議員 坂下 賢  三浦一敏  伊藤和博            岸田清実  菅間 進  吉川寛康            高橋 啓 宮城県議会議長 石川光次郎殿……………………………………………………………………………………………    皇嗣殿下に差し上げる賀詞 皇嗣殿下におかれましては 立皇嗣の礼をあげさせられましたことは まことに慶賀に堪えないところであります ここに宮城県議会は 県民を代表して 謹んで慶祝の意を表します  令和 年 月 日                              宮城県議会…………………………………………………………………………………………… ○議長(石川光次郎君) お諮りいたします。 発議案二か件については、提出者の説明及び委員会審査を省略することにいたしたいと思います。 これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。 これより発議第四号議案及び発議第五号議案を一括して採決いたします。 原案のとおり決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、発議第四号議案及び発議第五号議案は原案のとおり可決されました。 この際、ただいま議決されました賀詞二か件を朗読いたします。 ◎議会事務局参事兼議事課長(菅原正君) 御起立をお願いいたします。    〔全員起立・議長朗読〕
    ◎議会事務局参事兼議事課長(菅原正君) 御着席願います。 ○議長(石川光次郎君) 天皇陛下及び皇嗣殿下に対します賀詞の奉呈につきましては、議長に一任願いたいと思います。----------------------------------- △議第百六十四号議案ないし議第二百五十一号議案 △報告第八十七号ないし報告第百三号 ○議長(石川光次郎君) 日程第五ないし日程第百九、議第百六十四号議案ないし議第二百五十一号議案及び報告第八十七号ないし報告第百三号を一括して議題といたします。 知事から提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 本日ここに第三百七十六回宮城県議会が開会され、令和二年度一般会計補正予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。 説明に先立ちまして、今月八日、天皇陛下におかれましては、立皇嗣宣明の儀において文仁親王殿下が皇嗣であることを広く内外に宣明されました。県民一同心からお祝い申し上げますとともに皇室の一層の御繁栄をお祈り申し上げます。 それでは御説明いたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。 新規感染者の確認については、全国的には八月上旬をピークに減少が続いた後ほぼ横ばいでしたが、先月から増加傾向となり今月にはその傾向が強まっております。本県においても九月以降、感染者の確認が相次ぎ大規模なものを含む多様なクラスターが発生するなど、依然として予断を許さない状況が続いております。県では、引き続き感染状況の推移等を踏まえ必要な病床や宿泊療養施設の確保に努めているところであります。 また、感染拡大の大きな要因であるクラスター発生を抑制することが大変重要であることから、感染リスクが高い場面における感染防止対策の徹底に重点的に取り組んでおり、県民一人一人に対して注意喚起を呼びかけております。 今後の季節性インフルエンザ流行期に向けては、新型コロナウイルス感染症との同時流行が懸念されることから、県医師会等の協力を仰ぎながら開業医等のかかりつけ医を診療・検査医療機関として指定し、地域において適切に相談、診療、検査が可能な体制の整備を進めております。 更に、さきの定例会でお認めいただきました予算を活用し、これまでに栗原地域や大崎地域で開設されている地域外来・検査センターについて、ほかの地域においても開設に向け市町村や地域の医師会などと鋭意協議を行っているところであります。今後とも地域において適切な対応が図られるよう全力を挙げて取り組んでまいりますので、関係者及び議員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。 最近の地域経済については、先月末の東北財務局による経済情勢報告では、感染症の影響により厳しい状況にあるものの緩やかに持ち直しつつあるとされ、今後も同様の傾向が続くものと見込まれております。しかしながら、欧州では感染症の再拡大に伴い新たな規制を導入する動きがあるなど、世界中で感染再拡大に伴う経済活動への影響が懸念されており、この先の動向に十分な注意を払っていかなければならないと考えております。 次に、震災復興計画の推進と宮城の将来ビジョンの実現に向けた取組状況についてであります。 震災からの復興については、さきの定例会で御説明したとおり、来年度以降の国からの支援の在り方や必要な財源確保が示されたところであり、九月末には宮城復興局を来年四月に石巻市内へ移転する旨が公表されました。現場主義を徹底し、被災地に寄り添いながら復興に全力で取り組むという国の姿勢の現れとして歓迎するものであります。 我が県においても、来年度以降も復興の完遂に向けた体制を維持しながら、震災復興の伝承等に継続的に取り組む必要があります。 また、近年は全国的に大規模自然災害が頻発し、更には新型コロナウイルス感染症等の様々な危機事案が発生しております。こうした状況を踏まえ、これらの大規模かつ複合的な危機に全庁を挙げて取り組み、事前防災から初動、そして伝承まで一貫して対応し得る体制を構築するため、来年四月に復興・危機管理部を新設するとともに、震災復興・企画部を企画部に改め、スポーツ振興に関する部局横断的な取組の強化を図るなどの組織改編を行うこととし、今議会に条例案を提案しております。 安倍政権の取組を継承した菅内閣が発足してから二か月が経過しました。先月の菅総理の所信表明演説では、「東北の復興なくして日本の再生なし」、被災者の心に寄り添いながら一層のスピード感を持って復興・再生に取り組むとされ、復興への決意が表明されました。 また、各省庁や自治体の縦割りを打破し、行政のデジタル化を進め、自治体のシステムの統一・標準化を図ることとし、司令塔となるデジタル庁の設立に言及されました。 今回の新型コロナウイルスへの対応では、国や自治体のデジタル化の遅れや不十分なシステム連携等に起因する行政手続の非効率など、デジタル化に関する様々な課題も明らかになりました。 本県では、国の動きに先んじて、行政運営を含めた県民生活全般のデジタル化を積極的に推進する姿勢を打ち出すため、九月十四日に「みやぎデジタルファースト宣言」を行い、行政のデジタル化による県民サービスの向上のほか県内産業の活性化や働き方改革の推進に取り組み、地域経済の発展と社会課題の解決の両立を目指すこととしました。具体的には、行政手続のオンライン化の推進や各産業におけるICT等を活用したイノベーションの促進、先端技術を利活用できる人材の育成などの検討を進めてまいります。 東北電力女川原子力発電所二号機の再稼働については、さきの定例会でお示しいただきました県議会としての御意思や今月九日に開催しました市町村長会議における御意見等のほか、安全性検討会の結果や住民説明会の様子、現地視察による安全性の確認結果、地域に果たす役割等を総合的に勘案した結果、再稼働に理解を示すことが民意と判断し、去る十八日に経済産業大臣に対して、その旨を文書で伝えました。 また、東北電力との安全協定に基づく事前協議については、同日付で了解する旨の回答を行いました。 私としましては、将来的には再生可能エネルギーの導入や技術革新等により原子力発電への依存度を低減すべきものの、現時点においては安定的に電力を供給する観点から、ベースロード電源として原子力発電に頼らざるを得ないものと考えております。今後とも、関係市町と連携した避難計画の更なる実効性の向上など原子力防災対策に万全を期すとともに、安全協定に基づく立入調査を行うなど安全性確保の確実な履行を求めてまいります。 美術館については、昨年度策定した県有施設等の再編に関する基本方針に基づき、仙台医療センター跡地において、県民会館及び民間非営利活動プラザと集約・複合化する方向で更に検討を進めてまいりました。これまで業務委託も活用しながら現地改修と移転新築の比較分析を行ってきたところですが、美術館等の機能充実を通じた文化芸術の振興をはじめ様々な観点から総合的に判断した結果、県としては美術館は増築せずに現地改修を行い、県民会館と民間非営利活動プラザを移転集約する方針案といたしました。 今後、この案について県民の皆様の御意見をお聞きした上で方針を決定し、年度末までに仙台医療センター跡地における県有施設の再編に関する基本構想を策定する予定としております。 今年は例年になく台風の発生が少なく、これまで日本への上陸件数がゼロとなっておりますが、平成二十七年の関東・東北豪雨や令和元年東日本台風により甚大な被害を受けた我が県としては、気候変動等により頻発化・激甚化する水災害から県民の生命・財産を守るため、河川の流域全体であらゆる主体が連携を図りながらハード・ソフト一体となって総合的な治水を行う流域治水の考え方に基づく防災・減災に新たに取り組むこととし、現在策定中の新・見える川づくり計画や新・災害に強い川づくり緊急対策事業アクションプランにその取組を位置づけてまいります。 豚熱対策については、九月に福島県内において野生イノシシの豚熱陽性が確認されたことから、本県もワクチン接種推奨地域に指定され、先月中旬から県内の全飼養豚等に対し順次ワクチン接種を行っているところであります。なお、ワクチン接種に当たり、早期接種及び農家負担軽減の観点から初回の接種に係る手数料の免除について、今議会に関係議案を提案しております。 次に、今後の県政運営の基本的な考え方についてでありますが、来年度の予算編成に先立ち、先月下旬に令和三年度政策財政運営の基本方針を策定いたしました。東日本大震災以降、県の総力を挙げて復旧・復興に取り組んでおりますが、本格的な人口減少や大規模化・頻発化する自然災害や新型コロナウイルス感染症などへの対応も求められております。このような状況を踏まえ、新たな県政運営の指針となる新・宮城の将来ビジョンの初年度となる令和三年度においては、これらの課題に的確に対応するとともに、新ビジョンに掲げる宮城の将来像の実現に向けた施策等を着実に実行する必要があります。このため、被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポートや社会全体で支える宮城の子ども・子育てなどの五つの政策推進の基本方向の下、引き続き復興の完遂に向けた施策とともに、富県宮城の更なる発展や子育て支援・教育の充実などの取組に加え、各分野における人材の育成・確保や魅力あふれる地域づくり、デジタルファースト宣言に基づくICT等を活用したイノベーションや行政のデジタルシフトなどに取り組みます。 また、SDGsの理念である誰一人取り残さない社会の実現に向けて、人口減少・少子高齢化対策、持続可能な地域社会づくりに取り組むとともに、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動の両立を図りながら、時代の変化を捉えた新たな地方創生の実現を目指してまいります。 財政の見通しについては、来年度の地方財政収支の仮試算において、歳入面では感染症拡大に伴う景気悪化の影響で地方交付税や地方税等が大きく減少し、財源不足を補う臨時財政対策債の発行額の大幅な増加が見込まれ、歳出面では社会保障経費をはじめとする一般行政経費の増加が見込まれております。なお、国の概算要求では感染症対策が事項要求となっていることから、この仮試算は流動的な部分が多く予算編成過程をしっかりと注視する必要があります。 また、地方交付税や地方税の減少で生じる財源不足を国と地方が半分ずつ負担する折半ルールが三年ぶりに適用される見通しであるなど、地方財政を取り巻く環境は一層厳しいものになると見込まれます。 これらを踏まえ、来年度予算については年末の地方財政対策や県税収入の動向などに留意するほか、将来にわたる財政の健全化にも意を用いながら、引き続き復興の完遂に向けた施策を最優先に予算化するとともに、新・宮城の将来ビジョンに掲げる施策に重点的かつ適切に予算配分いたします。 また、新型コロナウイルス感染症への対応については、感染の広がりや地域経済の状況等を踏まえ適時適切に対応してまいります。 更に、国では追加経済対策を策定中であり、その裏づけとなる今年度第三次補正予算編成の動きがあることから、情報収集に努め必要な予算措置を講じてまいります。 今回御審議をお願いいたします補正予算案の主な内容ですが、新型コロナウイルス感染症対策関連では、重点医療機関等における病床確保に要する経費を大幅に追加したほか、多くの方々から寄せられている寄附金等を活用し検体採取や直接診療に携わる医療従事者の方々への県独自の支援金を拡充しました。 また、先日策定したみやぎ観光回復戦略に基づき、県内宿泊事業者が新しい観光ニーズを取り入れたビジネスモデルへの転換等を進めるための支援や地域の実情に応じた官民連携の観光振興策の実施、デジタルマーケティング手法を活用した国内外向け観光プロモーションの実施などの観光再生に向けた施策のほか、県業務のペーパーレス化の推進に要する経費を計上しております。 東日本大震災関連では、国の交付金を活用し、津波被災地のほ場整備を進めてまいります。 また、令和元年東日本台風関連では、被災した市町の災害廃棄物処理に対する支援経費を追加しております。 そのほかの事業としては、地方財政法に基づき令和元年度一般会計決算剰余金を財政調整基金に積み立てるほか、豚熱対策に係るワクチン接種等に要する経費や水道用水供給事業会計において、仙塩地区送水管と仙南地区送水管との連絡管の設置に要する経費を計上しております。 そのほか、河川管理及び道路の除融雪など今年度末から来年度初めにかけて行う必要のある公共事業費や指定管理者制度による公共施設管理運営業務委託費について債務負担行為を設定しております。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計で二百四十九億六百余万円、総計で二百五十五億八千八百余万円となります。 財源としては、繰越金百四十五億八千九百余万円、国庫支出金七十六億四千三百余万円、繰入金二十四億二千百余万円などを追加しております。 この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆三千三十九億八千七百余万円、総計で一兆七千六百六億七百余万円となります。 次に、予算外議案については、条例議案十二件、条例外議案七十二件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず、条例議案でありますが、議第百六十八号議案は、先ほど御説明いたしました部の再編整備を行おうとするもの、議第百六十九号議案は、児童相談所に勤務する職員の特殊勤務手当の額を改正しようとするもの、議第百七十二号議案は、みやぎ環境税の適用期間を延長しようとするもの、議第百七十九号議案は、豚熱のワクチン注射に係る手数料の免除規定を新設しようとするものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第百八十号議案は、令和三年度における自治宝くじの発売限度額について、議第百八十一号議案ないし議第百九十六号議案は、公の施設の指定管理者を指定することについて、議第百九十七号議案は、新・宮城の将来ビジョンの策定について、議第百九十八号議案ないし議第二百四十号議案は、退職手当の決定手続における瑕疵により発生した損害に係る和解及び損害賠償の額の決定について、議第二百四十一号議案は、公立大学法人宮城大学が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて、議第二百四十二号議案ないし議第二百四十四号議案は、工事請負契約の締結について、議第二百四十五号議案ないし議第二百五十一号議案は、工事請負変更契約の締結について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。 ○議長(石川光次郎君) 補正予算案に係る各部局長説明要旨は、御手元に配布のとおりであります。 ただいま議題となっております各号議案中、議第二百四十二号議案及び議第二百四十五号議案ないし議第二百五十号議案についての質疑に入ります。 質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 お諮りいたします。 議第二百四十二号議案及び議第二百四十五号議案ないし議第二百五十号議案につきましては、委員会の審査を省略することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、委員会の審査を省略することに決定いたしました。 これより採決いたします。 議第二百四十二号議案及び議第二百四十五号議案ないし議第二百五十号議案について、原案のとおり決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(石川光次郎君) 御異議なしと認めます。 よって、議第二百四十二号議案及び議第二百四十五号議案ないし議第二百五十号議案は、原案のとおり可決されました。-----------------------------------大震災復興調査特別委員会調査結果報告 ○議長(石川光次郎君) 日程第百十、大震災復興調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。大震災復興調査特別委員長、四十九番佐々木喜藏君。    〔四十九番 佐々木喜藏君登壇〕 ◆四十九番(佐々木喜藏君) 大震災復興調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。 本委員会は、東日本大震災からの復旧・復興対策について発災以降、県議会として積極的な調査特別委員会活動を継続し、被災地域や県民生活の再生に向けた活動について調査検討するため、令和元年十二月十七日に設置されました。 付議事件、大震災復興に関する諸施策についてを受け、特に津波による甚大な被害を受けた沿岸被災地域を中心に復旧・復興に係る課題について重点的に調査を実施したほか、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する補償状況や風評被害等について精力的に調査を実施してまいりました。 また、これらの調査で把握した課題等を取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく要望活動や意見交換を通じ、国及び東京電力等への働きかけを重点的に行ってまいりました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、本県の東日本大震災からの復旧・復興への道のりは今後も続きます。時間の経過とともに顕在化・深刻化する様々な課題の的確な把握と残された課題の解消に向け、今後も同様の特別委員会を設置し県議会として課題の解消に向けた国等への働きかけを継続し、本県の震災からの復旧・復興の完遂に向けて全力を傾注すべきものと考えております。 以上、今後の県議会における被災地に根差した、より効果的な調査活動を期待して御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    大震災復興調査特別委員会報告書 大震災復興調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、東日本大震災からの復興に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置され、付議事件「大震災復興に関する諸施策について」を受け、調査活動を行った。一 はじめに 本委員会は、県議会として、東日本大震災の発災以降、積極的な調査特別委員会活動を継続し、刻々と変化する被災地の状況に即応して的確な実態把握を引き続き行うとともに、適切な時期に要望・要請活動等を行っていくものとし、特に次の二項目を重点活動等とした。 1 被災市町の復旧・復興状況の調査(主に市町議会及び首長等との意見交換並びに現地視察による)及び国等への要望・要請活動に重点的に取り組むこと。 2 東日本大震災からの復旧・復興の完遂に向けて、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)に起因する諸問題を初め、時間の経過とともに顕在化・深刻化する様々な課題に対して積極的に調査を行うこと。 以上のことを踏まえ、県関係部局から復興の進捗状況等を聴取するとともに、県内の現状と課題を把握するため、沿岸被災自治体三市二町と一法人に対して調査を実施し、また、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)から参考人を招致し、意見を聴取した。 これらの調査活動で把握した課題等をまとめ、国等への要望活動や意見交換を行った。 この後、宮城学院女子大学から参考人を招致し、意見を聴取した。 その概要は、次のとおりである。二 県内調査 本委員会は、令和二年二月四日及び同年三月十八日、十九日の三日間にわたり、県内調査を実施した。 被災地域における震災からの復旧・復興に係る課題を把握するため、津波により特に甚大な被害を受けた沿岸市町を対象とし、当該市町内の主な震災復旧・復興関連の現地視察を行うとともに、当該市町からの概要説明を受け、当該市町議会議員等と意見交換を行ったほか、気仙沼市の法人から事業概要等について説明を受けた。その実施状況は、次のとおりである。 1 二月四日 亘理町、山元町 2 三月十八日 気仙沼市 3 三月十九日 石巻市、東松島市 これらの調査時における主な発言は次のとおりである。 一点目は、「マンパワー不足の解消について」である。復興・創生期間後も、一部のハード事業や心のケア等の各種ソフト事業を継続して実施する必要があることから、職員の派遣の継続を求める声があった。 二点目は、「被災者の心のケアと地域コミュニティの再構築について」である。被災者の心のケアについては、震災後、専門職による心のケア事業及び被災者の健康支援事業等を実施しているが、今後も、子どもから大人まで中長期的な事業の継続が必要であるとの説明を受けた。地域コミュニティの再構築については、災害公営住宅に入居した被災者は、地域によっては高齢者の単身世帯や日中独居が多く、孤立やひきこもり防止のために関係機関と連携しながら見守りを継続する必要がある。また、自治会組織や住民の交流の場づくりなど、住民自治として持続可能な体制を構築するためには、今後も一定期間の支援継続が必要であるとの説明があった。 三点目は、「移転元地の利活用について」である。防災集団移転促進事業により被災市町が買い取った移転元地について、小規模の土地が沿岸部に点在していることから、土地の利活用を進めるための制度の整備を求める声があった。 四点目は、「災害公営住宅家賃低廉化事業及び東日本大震災特別家賃低減事業に係る支援水準の維持継続について」である。災害公営住宅家賃低廉化事業及び東日本大震災特別家賃低減事業に係る支援水準については、被災者の居住の安定確保及び速やかな生活再建を図るため、激甚災害や阪神・淡路大震災よりも補助率が高く設定されているが、国は支援水準を見直すとの方針を示している。被災市町は現行の水準が継続されることを前提に制度設計しており、将来的な財政運営にも大きな影響を及ぼすものであることから、現行制度の支援継続を求める声が多く聞かれた。 そのほか、復興・創生期間内での完了が危惧される一部のハード事業への支援や、復興事業の遅れ等によって生活や事業の再建が完了していない被災者に対する支援など、復興・創生期間後の復興予算や特例措置の継続的な運用を求める声があった。 以上のとおり、県内では東日本大震災の発災から九年以上が経過し、復興完遂に向けて着実に事業を進めている一方で、やむを得ない事情により復興・創生期間後も対応が必要な事業が一定数見受けられる。また、時間の経過とともに新たな課題も顕在化しており、当該市町等において対応が求められている。三 参考人意見聴取(東京電力フェロー 新妻常正氏ほか四人) 令和二年八月二十四日に、新妻氏ほか四人は、福島第一原子力発電所(以下「原発」という。)の廃炉及び汚染水の現状と対策について、また、原発事故に起因する損害賠償の概要と進捗状況及び今後の方針について、次のように述べた。 初めに、廃炉に向けた使用済み燃料プールからの燃料の取り出しについて、一号機はオペレーティングフロアのガレキの撤去を、二号機はオペレーティングフロアの残留物の移動を行っており、三号機は令和二年度末までの取り出し完了に向けて、令和二年八月九日時点で五百六十六体のうち二百九十四体の取り出しが完了し、四号機については既に取り出しが終わっていると述べた。 次に、原発の汚染水対策と処理水の取扱いについて、多核種除去設備等の浄化装置により処理された水(以下「ALPS処理水」という。)の貯蔵状況は令和二年七月二十三日時点で約百二十二万立方メートルであり、令和二年十二月末までに約百三十七万立方メートル分のタンクを建設する計画であるが、令和四年夏頃には計画した容量に達する見込みであると述べた。 ALPS処理水の処分方法については、国の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の報告書において、技術的には海洋放出及び水蒸気放出が現実的であること、処分を行う際には、徹底的な風評被害対策が必要であることが述べられている。また、国によって地元を初めとした幅広い関係者から意見を伺う場が設けられており、それらを踏まえて国が基本的な方針を決定した後に、改めて東京電力として具体的な取扱いの決定等を行うが、方針の決定から実際に処分を開始するまでには、二年程度かかる見込みであると述べた。 風評被害対策については、情報を正確に伝えるために、マスメディアを通じた情報発信やインターネットを通じた情報ツールの活用等を一層進め、風評被害を発生させないような理解活動に取り組むこと、国がALPS処理水の処分方法についての基本的な方針を決定した後に、改めて東京電力として風評被害対策の具体的な方針を示すことなどを述べた。 説明後、ALPS処理水の海洋放出による風評被害等が、本県の基幹産業である水産業に及ぼす影響や、海洋放出と水蒸気放出以外の処分方法の検討、ALPS処理水に含まれるトリチウムを分離する技術の開発等に関する意見が委員から出された。 続いて、賠償関係については、三つの誓い(「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」)に基づき、事故と相当因果関係のある損害が存在する限り賠償する方針であること、令和三年三月には事故から十年が経過するが、消滅時効の完成後も請求者の個別の事情を踏まえ、柔軟な対応をすることなどを述べた。 説明後、未賠償額や支払率の開示、養殖ホヤの賠償内容に関する情報開示、仮にALPS処理水を海洋放出した場合の風評被害額の想定等に関する意見が委員から出された。四 要望(要請)活動 1 東京電力に対する要請活動 本委員会は、「福島第一原子力発電所事故に起因する被害への迅速かつ十分な対応及び原発事故の早期完全収束を求める要請書」を調製し、その実現のため、令和二年八月二十四日に、東京電力に対して要請活動を実施した。要請事項については、次のとおりである。  (1) 福島第一原子力発電所事故に起因する被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実施   イ 賠償金の迅速かつ十分な支払について   ロ 請求手続の一層の簡素化について   ハ 被害の実態に即した損害賠償の実施について   ニ 自治体や生産組合等において風評被害防止のために要した経費の補償について  (2) 原発事故の早期完全収束の実現   イ 放射能汚染水に係る抜本対策及び緊急対策の確実な履行について   ロ トリチウム汚染水の自然界放出の絶対阻止について   ハ 発電所内におけるトラブル、周辺環境のモニタリング結果等の迅速な公表と丁寧な説明について このうち、「賠償」及び「ALPS処理水の自然界放出の絶対阻止」を重点 要請項目とした。前者については、生産者、事業者による賠償請求に関して、県境に関係なく、被害の実態に応じて十分かつ迅速な賠償を行うこと、また、あらゆる風評被害について、風評が完全に払拭されるまで賠償を行うことなどを要請した。 後者については、トリチウムを含むALPS処理水の処分方法について、自然界放出を行えば、風評被害をさらに拡大・深刻化させるおそれがあることから、ALPS処理水の自然界放出を行わないよう要請した。 当該要請の内容について、東京電力新妻常正フェローからは冒頭で、原発事故やその後の放射性物質の管理、処理について、多くの人に迷惑や心配をかけていることに改めておわびの言葉があり、要請書の内容については真摯に対応していくことが述べられた。 次に、当該要請に関する東京電力の基本的な考え方として、一点目の「賠償」については、賠償に関する三つの誓いの中で、事故と因果関係がある被害については、損害がある限り賠償するという方針を掲げていること、来年で震災から十年を迎えるが、損害賠償の消滅時効の取扱いについては柔軟な対応をすることなどが述べられた。 二点目の「ALPS処理水の自然界放出の絶対阻止」については、今後示される国の基本的な方針を踏まえ、事業者としての責任の下、丁寧なプロセスを踏みながら対応していきたい。あわせて広報については、迅速でわかりやすいものでなければならないという宮城県議会からの意見を踏まえ、インターネット等を活用して情報発信を行っている。 この原発事故は前例のないものであり、今後も作業には長い時間がかかるが、事故の原因者としての責任の下、安全を第一にこの作業を成し遂げたいとの発言があった。 2 復興大臣に対する要望活動   本委員会は、震災からの復旧・復興対策について、沿岸市町等における県内調査や参考人意見聴取等を実施して課題の把握に努めてきたところである。これらを整理し、「震災からの復旧・復興対策に係る要望書」を調製し、その実現のため、令和二年八月三十一日に、田中和徳復興大臣(当時)に対して要望活動を実施した。要望事項については、次のとおりである。  (1) 東日本大震災復興関連予算の確保及び運用等  (2) 復旧・復興に要する人的支援の継続  (3) 中小企業等グループ施設等復旧整備事業における財政支援の継続  (4) 二重債務問題対策に係る支援の継続  (5) 被災した子どもの心のケア対策充実のための継続した財源と人的資源の確保等  (6) 被災者の生活再建のステージに応じた切れ目のない支援の実現  (7) 移転元地の利活用の促進  (8) 災害公営住宅に係る家賃低廉化事業の補助率の維持  (9) 復興・被災者支援に取り組むNPO等への支援の継続  (10) 東日本大震災地震津波防災ミュージアム等の整備  (11) 被災した鉄道各線の復旧及び復興まちづくりへの支援  (12) 事業復興型雇用確保事業の延長  (13) 地方において必要な外国人材を確実に確保できる実効性のある対策  (14) 三陸沿岸部の海岸線における山腹崩落等対策事業の創設  (15) 震災ガレキの処理に対する継続的な支援  (16) 復旧・復興事業における事務の簡素化  (17) 国際リニアコライダー(ILC)の実現  (18) 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被害への対応等   イ 原発事故に起因する風評被害に係る迅速かつ十分な損害賠償の実現   ロ 中国、韓国などにおける農林水産物等の輸入規制への対応   ハ 海洋への汚染水の流出防止対策、放射性物質の飛散防止対策及び多核種除去設備等(ALPS)処理水の風評被害対策   ニ 放射能に汚染された廃棄物の処理 このうち、「(1)東日本大震災復興関連予算の確保及び運用等」及び「(18)東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被害への対応等」を重点要望項目とした。前者については、復興の完遂に向けて、特例的な予算措置を継続し、被災自治体が必要としているハード・ソフトの両事業について、財政支援や各種制度を確実に講じるとともに、制度の運用に当たっては、地域の実情に応じて柔軟に対応することを要望した。 後者については、トリチウムを含むALPS処理水の処分方法について、国の基本的な方針の決定に際しては、地元関係者の意見を十分に聴き、風評被害を拡大・深刻化させることのないように、慎重かつ丁寧な検討を行うことを求めるとともに、農林水産物の全面輸入停止措置を講じている中国や厳しい規制を続けている韓国、台湾等に対して、一刻も早く輸入規制が撤廃されるよう、引き続き働きかけること、東京電力による賠償について、県境に関係なく、被害の実態に応じて十分かつ迅速な賠償を行うよう、東京電力に対して国から強く指導することを要望した。 また、意見交換の中では、「(5)被災した子どもの心のケア対策充実のための継続した財源と人的資源の確保等」について触れ、大震災から十年を迎えるに当たり、震災が子どもの発達、成長に与えた影響や、不登校等の記録・報告等をまとめた「東日本大震災子ども白書」を作成するように求めた。 それに対して、田中和徳復興大臣(当時)から、次のような発言があった。 復興・創生期間後の財政支援については、復興推進会議で平成二十三年度から令和七年度における十五年間の総額三十二・九兆円程度の新たな復興財源フレームを決定した。引き続き必要な復興事業を着実に実施できるように責任をもって取り組みたい。また、復興・創生期間後の事業の運用等については、地震・津波地域における心のケア等の残された課題に全力で取り組むこととしており、復興庁としては、今後とも復興の司令塔としての役割を果たしていく。 原発事故に伴う対応としては、ALPS処理水の自然界放出について、国としては風評被害対策も含めて結論を出すものと承知している。地元の関係者等からの様々な要望をしっかりと受けとめたい。輸入規制の撤廃については、問題を払拭し、相手国に正しい知識をもって対応してもらえるよう努力を続けたい。 東京電力の賠償については、丁寧な対応が重要であることから、復興庁としても、経済産業省に、東京電力に対して適切な指導を行うように求める。五 参考人意見聴取(宮城学院女子大学教授 足立智昭氏) 足立氏からは、令和二年九月八日に、震災発生時から現在までの、子どもとその家族を取り巻く状況や、今後の課題について説明を受けた。 宮城県子ども総合センターから平成二十八年に出されている「東日本大震災における子どもの心のケアに関する報告書」によると、震災後、保護者が心の問題や経済的な問題を解決することができないまま子育てを行うことによって、「家族機能」が低下することや、地域における子育ての見守りといった「地域力」が低下することによって、虐待や不登校が増えるとされていた。 実際に、震災から一年を過ぎた頃の子どもに関する相談内容を見ると、「攻撃的な行動の増加」や「腹痛や頭痛の訴えの増加」などに加えて、「保護者の精神疾患」や「DVや虐待」等の問題も増えている。 また、「震災後の小中高生における暴力行為」に関するデータを見ると、宮城県においては、特に小学生の暴力行為の増加が顕著であり、具体的な事例としては、学校で教師に対して怒りをぶつける等であることから、家庭において子どもたちが安心できる環境が整っていないと考えられる。加えて、「震災後の中学生における不登校の出現率」に関するデータを見ると、宮城県は震災前から全国平均よりも不登校の出現率が高いものの、震災以降はさらに高くなっていることから、子どもたちが学習に集中できる環境が整っていないと考えられる。 これらの震災後の子どもに関する問題を解決し、支援を行うに当たっては、継続性があり、子どもにとって魅力的なプログラムとメンターとなる支援者が存在する居場所があり、子どもの学習支援への参加を後押しする家族の存在が必要である。しかしながら、日本では、災害後に長期にわたって子どものいる家族を支えるシステムが確立していないこと、虐待や不登校はあくまで家族の問題であり、子育てを地域で支えるという意識が育っていないことが課題として挙げられる。 また、現在の医療モデルは、本人が異常を訴えて初めて支援につながる仕組みになっているが、災害による心の問題は本人が気づかないことが多く、異常を訴えないため、必要な支援につながらないという現状がある。そこで、まずは自分の心と体の健康を自分で理解する「自己覚知」の教育を行うこと、必要な人に確実に支援が行き届くように医療と福祉を一体的に行うことといった、医療・福祉・教育連携モデルを目指す取組が必要であると述べた。 そして、そのような取組とあわせて、現在は国、県、NPO等による、様々な支援の仕組みがあるものの、支援を必要としている人が、積極的に情報を集めることは現実的には難しいことから、ICTを活用し、情報を登録すれば、AIが必要な支援をインターネット上から探し出し、自動で情報を提供するような仕組みをつくり、活用していくことが必要であると述べた。六 総括 本委員会は、県内における調査活動や参考人意見聴取等を通じ、本県における震災からの復旧・復興に係る様々な課題の把握に努めるとともに、これらを取りまとめ、現状の課題の解消に資するべく、国や関係機関との意見交換や働きかけを重点的に実施してきた。 東日本大震災の発災から九年以上が経過し、特に津波による甚大な被害を受けた沿岸市町においては、防災集団移転促進事業や被災市街地復興土地区画整理事業等のまちづくりに関わる事業や、災害公営住宅の整備など住宅の再建に関する事業などがほぼ完成し、被災者の生活再建が加速している。また、県内の産業についても、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業を初めとする各種支援施策が継続的に実施され、復興完遂に向けて着実に歩みが進められているところである。 一方で、被災地においては依然としてマンパワー不足、被災者に対する心のケアや地域コミュニティの再構築、高齢者への生活支援、防災集団移転促進事業の移転元地利用など、時間の経過に伴って顕在化・深刻化する様々な課題を抱えている状況にあり、市町から要望の声が寄せられていることから、令和三年度以降も被災市町が必要とする財政支援や各種制度を確実に講じるとともに、制度の運用に当たっては、地域の実情に応じて柔軟に対応することが求められている。 また、原発事故に起因する被害に関しては、廃炉に向けた道筋が検討され、使用済燃料プールからの燃料取り出し等の廃炉作業が進められている一方、賠償については必ずしも十分とは言えない状況にあるほか、指定廃棄物や除去土壌等の課題も残っている。さらに、従来から本県産品等に対する不安が払拭されず、国内外において、風評等の被害が続いている中、昨年四月には世界貿易機関(WTO)の上級委員会において、韓国による水産物輸入禁止措置に対する我が国の主張が認められないという追い打ちをかけるような出来事があった。また、トリチウムを含むALPS処理水の処分方法については、国の小委員会で海洋放出等の方法が検討されているが、ALPS処理水の海洋放出は、本県産業に対して風評被害にとどまらない多大な影響を与えるおそれがあるほか、国民に対し、的確に情報開示がなされておらず、今なお東京電力に対する不信は解消されていない。 特に、風評被害の払拭に向けては、食品と放射能に関する正しい知識のかん養により、本県のみならず全国の消費者等に対し、本県産品等の安全性についての理解を増進することが極めて重要であり、本県はもとより国等による全国を対象とした継続的な取組が必要である。 今年は宮城県震災復興計画の最終年度であり、復興の総仕上げに向けて各種事業が着実に進められている。令和三年度からの五年間は、国において「第二期復興・創生期間」と位置付けられ、地方創生のモデルとなるような復興の実現に向け、取組を前進させる時期となることから、今後は、一部のハード事業や心のケア等の被災者支援を初めとする残された事業に全力を挙げて取り組むとともに、復興の進展に伴う新たな課題に対応することが求められている。 そのほか、東日本大震災地震津波防災ミュージアム等の施設及び復興祈念公園の整備など震災の記憶の風化防止及び継承を目的とした事業や、津波防災教育への対応などについて、県議会としても議論を尽くすとともに、引き続き十分な対策を講じていくことが強く求められている。 このような現況の下、本委員会では、刻々と変化する被災地の状況を把握するため調査活動を行ってきたが、本県の東日本大震災からの復旧・復興への道のりは今後も続くことから、時間の経過とともに顕在化・深刻化する様々な課題の的確な把握とその解消に向け、県議会として、継続的に国等への働きかけを行うこととし、重点的に要望活動等に取り組む必要がある。このため、次期においても特別委員会を設置し、本県の早期復興に資する最も効果的な調査活動の在り方について絶えず検討を行うものとし、被災地の復旧・復興の進捗状況に応じて、多岐にわたる課題について、より精緻な調査活動を展開し、本県の復興に資するべく全力を傾注する必要があると当委員会では考える。 以上、今後の県議会における、被災地に根差したより効果的な調査活動を期待して、活動の報告とする。  令和二年十一月二十日            宮城県議会大震災復興調査特別委員長 佐々木喜藏 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(石川光次郎君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------自然災害対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(石川光次郎君) 日程第百十一、自然災害対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。自然災害対策調査特別委員長、五十八番藤倉知格君。    〔五十八番 藤倉知格君登壇〕 ◆五十八番(藤倉知格君) 自然災害対策調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。 本委員会は、自然災害対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置されました。 付議事件、自然災害対策に関する諸施策についてを受け、一、令和元年台風第十九号の被害状況について、二、風水害の防災・減災対策について、以上を調査項目として、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、参考人から意見を聴取して検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    自然災害対策調査特別委員会報告書 自然災害対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、自然災害対策に関する諸施策を検討するため、令和元年十二月十七日に設置され、付議事件「自然災害対策に関する諸施策について」を受け、調査項目を以下の二項目とした。一 令和元年台風第十九号の被害状況について二 風水害の防災・減災対策について 以上の項目について、県関係部局から県施策の概要を聴取するとともに、参考人意見聴取を実施した。参考人として招致したのは、国土交通省東北地方整備局河川部河川調査官の成田秋義氏、同仙台河川国道事務所副所長の齊藤正道氏、同北上川下流河川事務所副所長の福田修氏、同宮城南部復興事務所副所長の吉田良勝氏及び東北大学災害科学国際研究所准教授の佐藤翔輔氏の五人である。 なお、予定していた県内調査及び県外調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を鑑み、実施を見送った。 調査結果の概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 令和元年台風第十九号の被害状況 昨年十月十二日から十三日にかけ、本県沿岸を通過した令和元年台風第十九号(以下「台風第十九号」という。)は、全国の広い範囲に記録的な大雨をもたらし、本県でも、降り始めからの総雨量が五百九十四・五ミリメートル、最大二十四時間雨量では五百八十八ミリメートルに達するなど、短時間に猛烈な雨が降った。 これにより、県内でも甚大な被害が発生し、令和二年二月七日十三時現在で、人的被害が死者十九人、行方不明者二人等となっているほか、住家被害が全壊、半壊等合わせて約二万棟に上った。 また、各部局が所管している施設の被害額については、合計で千六百三十五億円余りに上っており、特に、公共土木施設や農業用施設等に被害が集中している。 2 風水害の防災・減災対策  (一) 避難勧告等 市町村では、東日本大震災などの大規模災害を踏まえ適切な発令を十分認識しており、台風第十九号においても県内全市町村において警戒レベルを付した避難勧告等を発令し、住民の避難行動を促した。 本県としても、台風第十九号が本県へ最接近した際に、県総合防災情報システム及び災害情報共有システムにより、報道機関を通じて広く住民へ発令内容等を周知したほか、県内全市町村に対し事前に避難勧告等の発令に関する注意喚起を行い、的確な発令につなげた。 しかしながら、全員避難である警戒レベル四の上に警戒レベル五が新たに設けられるなど、警戒レベルと避難行動との関係性にわかりにくさが残っているほか、避難勧告等が発令されても自宅にとどまり被災した住民や、避難勧告等が継続発令中にもかかわらず、大雨特別警報の解除をもって安全な状況になったと考え帰宅した住民等がいたことから、今後、より的確な発令の支援や速やかな発令判断の助言等を行っていくとともに、地域住民の自主的な避難行動につなげる取組を行うことが必要である。  (二) 防災行政無線 防災行政無線については、平成三十年度末現在で、二十八市町村が同報系システムを整備しているほか二十六の市町村において戸別受信機を全戸又は一部世帯に配布している。 台風第十九号の接近時には、防災行政無線のほか、緊急速報メールなど複数の手段により、一人でも多くの住民に伝達されるよう努めたところである。 本県においても、地上系、衛星系の二系統が機能しており、丸森町を含め県と市町村との通信が確保され、被災状況などの把握や情報の伝達を行うことができた。 しかしながら、一部地域において、防災行政無線により発信した避難勧告等が風雨でかき消され、屋外スピーカーの音声が聞き取れなかったという事例が生じたことから、そうした市町村にあっては、情報伝達手段の更なる冗長化を検討する必要があるものと考える。また、防災行政無線を未整備の市町村に対し、財政支援制度などをさらに周知していくとともに、SNSなど新たな情報伝達手段の適切な活用について、市町村へ情報提供等していくことも必要である。  (三) 地域防災力向上への取組 本県では、「自助」、「共助」による市民レベルの防災体制の強化を目的として、地域の防災リーダーを養成する講習等を実施しており、修了者を「宮城県防災指導員」として位置付け、その活動の推進を図っている。また、大学等と連携しながら、市町村が行う自主防災組織の育成・活性化に係る取組を支援している。さらに、「自助」、「共助」を推進する取組等について、出前講座や防災フォーラム等の機会を通じて広く県内に情報発信し、県民の防災意識の普及啓発に努めているところである。 その結果、ある地域の自主防災組織において、日ごろの防災訓練や防災マニュアル等に基づき、声がけなどによる避難誘導や避難行動要支援者への支援が適切に行われた事例があった。その一方で、地域によっては、組織内の役割分担の不備や市町村との連携不足から、避難行動要支援者への対応などがうまくいかなかった事例もあった。また、早期避難の呼びかけを行ったものの、過去の災害経験に基づく自己判断により、適切な避難行動に至らなかった住民もおり、住民の防災意識に課題が残ったところである。  (四) 宮城県国土強靱化地域計画    「宮城県国土強靱化地域計画」は「国土強靱化基本法」に基づく計画として平成二十九年四月に策定したものであり、災害に強い地域づくりに向け、ソフトからハード対策まで幅広く県が取り組むべき施策を推進方針としてとりまとめたものである。 本計画は、計画策定に当たり、大規模自然災害に対する脆弱性を評価したことにより、国土強靱化に関して取り組むべき課題を明確化させていたことから、事前防災や減災に向けた施策を推進した結果、河川整備等のハード対策による浸水被害の軽減のほか、緊急速報メール等を活用した避難情報の伝達、自主防災組織による防災活動や避難誘導などソフト対策による効果も見られた。 今後は、気候変動による影響も想定した対応が課題となるものと認識していることから、令和三年度からの新計画では、台風第十九号による被害はもとより、気候変動による影響や社会資本の老朽化等を踏まえた上で想定災害を設定するなど、必要な施策が網羅された計画となるよう取り組むことが必要である。 また、全ての市町村で早期に地域計画が策定されるよう引き続き研修会の開催や助言を行うことも必要である。  (五) 災害に強い川づくり緊急対策事業~アクションプラン~ 本県では、平成二十七年九月の関東・東北豪雨での甚大な被害を契機として、頻発化、激甚化が予想される豪雨災害に対応すべく、「災害に強い川づくり」を目指して、より一層効果的なハード、ソフト事業を展開する必要が生じているとの認識の下、「災害に強い川づくり緊急対策事業~アクションプラン~」を策定し、令和二年度までに緊急かつ集中的に対策を推進することとしている。 台風第十九号では、これまで整備してきた河川、ダム、遊水地など、洪水防御施設が一定の効果を発現するとともに、アクションプランにより加速化を図って取り組んできた河川整備や堆積土砂撤去、支障木伐採により、浸水被害を軽減した河川もあった。また、増設した水位計等の情報が円滑かつ迅速な避難行動に活用された。 しかしながら、県内各地域で観測史上最大の豪雨となり、十八河川三十六箇所の堤防決壊を含む百八十二河川千二百十箇所で被害が発生した。また、洪水時における降雨や水位などの情報を一般向けに発信する河川流域情報システムについても、台風第十九号の接近に伴うアクセスの集中により、一時的に閲覧しにくい状態が発生した。 したがって、今後の防災・減災対策については、台風第十九号による被災箇所の迅速な災害復旧を図るとともに、災害復旧と一体となった一連区間の改修により、更なる水害リスクの軽減を図ることが求められる。また、台風第十九号による甚大な被害は、関東・東北豪雨からわずか四年でそれを上回ることになったことから、県内の治水安全度を再検証し、ハード、ソフト、流域治水対策が一体となった河川整備の行動計画となる新たなアクションプランを策定し、引き続き対策を講じていくことが必要である。  (六) 市町村に対するハザードマップ(洪水・土砂災害)の策定支援    市町村は、国や県が作成、公表した「洪水浸水想定区域図」に基づき、洪水ハザードマップを策定することとなっている。また、市町村は、県から提供された警戒区域の地図データに基づき、土砂災害ハザードマップを策定することとなっている。 台風第十九号の発生時点では、気仙沼市の大川、鹿折川を除く全ての洪水予報河川、水位周知河川で洪水浸水想定区域図を公表しており、対象となる二十四市町村中、十二市町村で洪水ハザードマップが作成済みとなっており、円滑かつ迅速な避難行動に寄与した。また、県内全ての市町村において、土砂災害ハザードマップが作成されており、気仙沼市などでは、例年実施している総合防災訓練において、土砂災害ハザードマップを活用した訓練を実施している。 しかしながら、台風第十九号により堤防が決壊した十八河川のうち、洪水浸水想定区域図が作成されていたのは二河川にとどまったことから、本県では、洪水浸水想定区域図の作成が必要な全ての河川について、令和四年度までの概ね三か年で作成をしていくこととしている。また、洪水ハザードマップが未作成の市町村に対しては、大規模氾濫時の減災対策協議会を通じて、早期の作成を促していくこととしている。さらに、土砂災害の危険性等に関して、砂防総合情報システムの高解像度化・高頻度化など改修を実施し、住民に適切な情報提供を行うとともに、意識醸成が図られるよう市町村が開催する防災訓練等において、出前講座を行っていくこととしている。  (七) 土砂災害警戒区域等の指定    土砂災害警戒区域等については、令和二年一月三十一日現在、六千五百三十七箇所、約七七%の指定率となっており、指定の加速化を図ってきた。    指定に伴う基礎調査では、地区住民や地権者などを対象に調査結果説明会を開催し、関係者に土砂災害警戒区域等の予定指定区域を示した図書を郵送するとともに、市町村と連携して説明会を実施し、土砂災害のおそれがある土地の周知が図られたと考えている。    しかしながら、土砂災害の発生が危惧されるにもかかわらず県民の避難行動が伴わない場合が見受けられるとともに、土砂災害警戒区域等の指定基準に満たない場所や地形図判読では危険箇所を把握することが困難な場所も被災した。    今後は、一巡目の基礎調査結果を基に行っている土砂災害警戒区域等の指定を急ぐとともに、土地の改変があった場所の基礎調査を実施し、住民や市町村へ土砂災害の危険性等に関して、適切に情報提供を行い、土砂災害警戒区域等の指定を着実に行っていくこととしている。  (八) 要配慮者の避難対策    本県では、災害時に避難行動要支援者等に対する支援を適切かつ円滑に推進するため、平成二十五年に「宮城県避難行動要支援者に対する支援ガイドライン」を改訂した。このガイドラインでは、市町村における「避難行動要支援者名簿」や要支援者の個々の状況に応じた個別の避難計画である「個別計画」の策定、また、福祉避難所の設置について県の基本的な考え方を示しており、実施主体である市町村に対し整備を促している。「避難行動要支援者名簿」の策定は県内全市町村で終えている。また、「個別計画」は、令和元年六月時点で、四市町が全部策定済み、七市町が一部策定済みとなっている。福祉避難所は、令和元年七月時点で、三十四市町村で七百十箇所が指定されており、指定箇所数は年々増加している。    台風第十九号において、「避難行動要支援者名簿」は、市町村からあらかじめ名簿情報の提供を受けている民生委員等により、避難行動要支援者の安否確認や避難の呼びかけに活用されたことを確認している。また、福祉避難所は、十市町で開設されたほか、三市町で指定避難所の一部に福祉避難スペースが設けられた。 しかしながら、現時点で「個別計画」の策定率が低いことから、台風第十九号では「個別計画」が活用された避難は少なかったと認識している。また、多くの福祉避難所は、市町村と地域の福祉施設等が事前に締結した協定に基づき災害時に設置されるため、その開設は施設側の状況に大きく依存することとなる。また、台風第十九号では、福祉避難所に指定されている施設が浸水等の被害を受けたため、福祉避難所の開設が遅れたケースもあった。 したがって、本県では「個別計画」の策定が進んでいる県内の市町村の事例等を収集し、各市町村に提供していくことで「個別計画」の策定及び活用を促進していく。また、福祉避難所の指定が少ない市町村に対し、地元の福祉施設等との協定の締結を促進していくこととしている。  (九) 防災重点ため池    農業用ため池に係る防災減災対策については、国の「国土強靱化アクションプラン」等に基づき、平成二十五年度から、緊急連絡体制の整備やハザードマップ作成等のソフト対策、また、地震・豪雨に対する詳細調査を行い、対策工事を実施する等のハード対策に着手している。その結果、関係住民に対して、ハザードマップを作成し説明を行ったことにより、防災意識の向上につながったほか、浸水想定区域図を作成し、想定被害調査を実施したことにより、監視体制を強化する必要性が高いため池が明確となった。    台風第十九号の豪雨により決壊したため池においては、ワークショップの開催等により関係住民にハザードマップの内容は周知されていたが、事前の避難行動には結びつかなかったほか、一部のため池においては、管理者と関係行政機関との連絡体制の整備が未了であったことから、被害調査を含む点検作業に時間を要することとなった。    今後も、本県では、引き続き市町村と連携して、緊急連絡体制の整備やハザードマップの作成等のソフト対策と併せて、地震・豪雨に対する詳細調査及び対策工事等のハード対策を行っていくこととしている。  (十) 排水施設のストックマネジメント    県内の農業用排水機場については、「みやぎ農業農村整備基本計画」の第二期計画中間見直し時点で、標準耐用年数を超過している施設が約七割に上ることが確認されたことから、これらの施設の状態の適正な把握と長寿命化を図るため、定期的な施設の機能診断の実施や機能保全計画の策定を行い、計画的な対策工事を実施している。その結果、多くの排水機場で、台風第十九号の際には、従来の能力を発揮し、円滑な湛(たん)水の解消に寄与した一方で、河川堤防の決壊や越水等により、電気設備等が浸水被害を受け、稼働不能となった排水機場もあった。    したがって、今まで進めてきた施設の長寿命化対策に加え、浸水被害の軽減対策の実施が求められる。  (十一) 山地災害の防災対策    本県では、山崩れや地すべり、土石流などの山地災害が発生するおそれの高い民有林の二千二百四箇所を「山地災害危険地区」に指定し、定期的な点検を行うほか、大雨などの後には随時、現場を確認しているところである。このうち、災害が発生した箇所や発生の危険性の高い箇所については、市町村の意向も踏まえながら、治山施設の設置や機能の低下した森林の整備を行う治山事業を実施している。近年は、異常気象に伴う山地災害が全国各地で頻発していることを踏まえ、国の「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」に基づき、流木捕捉式治山ダムを導入するなど流木対策の取組も開始している。    県内では、台風第十九号により山腹崩壊が二百二十一箇所発生したが、このような中、治山ダム等の施設を整備した地区では、渓床の浸食や渓岸の崩壊が抑制され、被害の軽減が確認されており、従来整備した施設が機能したものと認識している。 しかしながら、台風第十九号の記録的な集中豪雨により山腹が崩壊した多くの地区では、山地災害危険地区の指定がされていない状況が確認されている。 したがって、今後は、山地災害危険地区の指定について再検討するとともに、治山対策の計画的な推進に取り組むことが求められる。二 参考人からの意見聴取 1 国土交通省東北地方整備局河川部河川調査官 成田秋義氏   国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所副所長 齊藤正道氏   国土交通省東北地方整備局北上川下流河川事務所副所長 福田 修氏   国土交通省東北地方整備局宮城南部復興事務所副所長 吉田良勝氏   参考人からは、まず、台風第十九号の概要及び東北地方整備局としての対応の状況について説明を受けた。今回は、記録的な大雨となったため、広範囲にわたって人的被害及び浸水被害が発生した。東北地方整備局では、まず市町村の支援要請の把握を行った上で、実際に現地に出向いて調査を実施した。その結果、被害が広範囲だったため、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の支援を受け、排水作業、道路や堤防の復旧を行った。 次に、「吉田川・新たな『水害に強いまちづくりプロジェクト』」について説明を受けた。このプロジェクトは、昭和六十一年八月の大洪水を契機に進めてきた「水害に強いまちづくりモデル事業」について、台風第十九号による大規模な氾濫被害を踏まえ、より水害に強いまちづくりを目指し、新たな取組をとりまとめたものである。「①治水安全度の向上」、「②氾濫拡大の防止」、「③避難地警報システム」、「④氾濫水排除の迅速化」、「⑤適正な土地利用の規制誘導」、「⑥新たな減災・ソフト対策」の中に計七十のメニューがあり、関係機関が連携を図りながら、取り組むこととしている。   次に、「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」について説明を受けた。「①河川における治水対策の推進」、「②減災型都市計画の展開」、「③地区単位・町内会単位での防災体制の構築」、「④バックウォーターも考慮した危機管理対策の推進」、「⑤市町村の実情に応じた減災の取り組み」の中に計四十二のメニューがあり、関係機関が連携を図りながら、取り組むこととしている。   次に、「宮城南部復興事務所」の事業内容について説明を受けた。丸森町の災害復旧事業の更なる加速化のために設置され、令和二年四月一日から業務を開始している。当該事務所では、権限代行により県管理河川の河道掘削等を行うほか砂防関係の工事や道路工事を行っている。   最後に、今後の防災・減災に向けた取組について説明を受けた。気候変動等により氾濫危険水位を超過する河川数や一時間降水量五十ミリメートル以上の雨の年間発生回数が増加傾向にあり、これまで整備してきた施設の能力を超えるような豪雨は必ず発生すると思わざるをえない状況にある。このような近年の状況を受け、今後、流域治水へ転換をしていく必要がある。流域治水では、河川の流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で治水対策を行うこととなると述べた。また、台風第十九号では、浸水想定区域図の作成が義務付けられていない小規模河川の氾濫により浸水被害が発生したことから、令和二年六月に「小規模河川の氾濫推定区域図作成の手引き」を公表したことも併せて述べた。 2 東北大学災害科学国際研究所准教授 佐藤翔輔氏 参考人からは、まず、大崎市鹿島台、大郷町及び丸森町を対象に実施した質問紙調査について説明を受けた。調査の結果、自宅の二階以上に避難した住民が多かった丸森町に対し、犠牲者がいなかった大崎市鹿島台や大郷町では、自宅以外の高台の避難所に避難した住民が多かったことが分かった。また、避難を開始するタイミングについても、大雨特別警報が出てから避難を始めた住民が多かった丸森町に対し、大崎市鹿島台や大郷町では、避難準備情報の段階で避難行動を開始した住民が多かったことが明らかになった。この差については、「台風や大雨によってご自宅が浸水または土砂災害の被害をうけると思っていたか」、「台風・大雨に備えて避難場所を決めていたか」、「過去の台風・洪水災害でお住まいの地域で被害があったことを知っていたか」といった設問の回答でも大崎市鹿島台及び大郷町と丸森町とで差があることから、事前の備えや認識の部分で差があったということが結果に表れた。   次に、大郷町中粕川地区での調査結果について説明を受けた。この地区は過去に水害を繰り返し経験してきた地区であるため、外水氾濫のメカニズムが住民の体に染みついており、きちんと対応行動ができている。また、住民はその経験を固定化せず、経験以上のことが起こる可能性を想定しながら行動している。さらに、どんなに小さい災害でも、災害の度に詳細な振り返りを行い、対応経過と課題の洗い出しをしている。役場の対応としては、住民に普段とは違うということを意識してもらうために、各家にある個別受信機のボリュームをプッシュ型で大きくしたことも分かったと述べた。   次に、大崎市鹿島台志田谷地地区での調査結果について説明を受けた。この地区はもともと人が住んでいなかった土地を移住者が開拓した場所である。過去に水害を繰り返し経験してきた地区であるが、氾濫により土地が肥沃になるという恩恵を得られるため、住民は災害というリスクを受容して住んでいる。台風第十九号で、ある社会福祉施設では、避難準備情報が出る前から荷造りを始めて車で避難したり、ある農家では、農業機械を地区で一番高い場所である堤防上に移動したりする等対応していたと述べた。   最後に、昨今の課題について説明を受けた。一点目は、経験をベースにすることの限界である。災害経験があるところは、その経験を固定化しない取組をすれば良いが、経験のない地域はその取っかかりすらない。したがって、経験のある地域が経験のない地域にいかにその経験を伝えるかということを考えなければならないと述べた。   二点目は、中小河川の避難の判断基準である。中小河川は川幅が狭いため雨が降るとすぐに水位が上昇してしまうだけでなく、観測点が不十分だという不利な条件がそろっているため、河川水位を避難判断の基準にするのは危険である。そこで、気象庁が出す「特別警報を出すかもしれない」という情報を避難判断基準にすれば良いと考えていると述べた。   三点目は、災害時に自治体から配信される緊急速報メールについて、配信されたメールの情報を頭の中でうまく整理できない人がいるという実態である。したがって、緊急速報メールを見ていない人が相当数いるということについて考えなければならないと述べた。三 総括・提言   これらの調査結果を踏まえ、本委員会は「自然災害対策に関する諸施策」について、次のとおり取りまとめた。 1 台風第十九号からの復旧・復興について   台風第十九号からの復旧・復興はいまだ途上にあることから、国、県、被災市町及び関係機関が連携して各種復旧・復興事業に引き続き取り組むこと。 2 台風第十九号の教訓を踏まえた今後の風水害の防災・減災対策について  (一) 気候変動等の影響もあり、近年は水害が激化する傾向にあることから、従来の「管理者主体の治水対策」から「流域全体のあらゆる関係者による治水対策」へ、また、「河川区域や氾濫域における対策」から「集水域を含めた流域全体での対策」へ転換(流域治水)すること。  (二) 近年、浸水想定区域図の作成が義務付けられていない小規模河川の氾濫により浸水被害が発生していることから、これらの河川においても水害リスク評価を行い、浸水想定区域図を作成する等住民の避難及び浸水の防止に資する取組を行うこと。  (三) 小規模河川は川幅が比較的狭く、水位上昇が早い場合があることから、避難の判断基準を水位にすると避難が間に合わない可能性がある。したがって、気象庁が「特別警報を出すかもしれない」と発表したことを避難行動開始の基準とする等地域の実情に応じた避難行動の在り方を検討すること。  (四) 近年の水害の激化傾向により、これまで水害を経験していない地域にも水害が起こり得ることから、水害経験地域の教訓や取組を未経験地域に伝えていく取組を検討すること。  (五) 災害時には、情報を取りに行ったり、情報内容を判断したりすることが重要なことから、移動することを主体にした従来の避難訓練だけではなく、情報訓練も実施すること。  (六) 避難行動要支援者の把握について、先進自治体の取組等を参考にしながら、地域の実情に応じた把握の方法を引き続き検討すること。  (七) 風水害は発災時期を予測できることから、事前に安全な地域に住む親戚や家族の家に行ったり、安全な地域の旅館やホテルなどに行ったりする等指定避難所ありきではない避難の在り方について住民に啓発すること。 なお、冒頭でも述べたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を鑑み、県内調査及び県外調査を実施しなかったため、調査を尽くすことができなかった。したがって、今後、機会を捉えて特別委員会を設置し、改めて調査・検討を行う必要があると当委員会では考える。 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和二年十一月二十日            宮城県議会自然災害対策調査特別委員長 藤倉知格 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(石川光次郎君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(石川光次郎君) 日程第百十二、鳥獣被害対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。鳥獣被害対策調査特別委員長、二十七番境恒春君。    〔二十七番 境 恒春君登壇〕 ◆二十七番(境恒春君) 鳥獣被害対策調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。 本委員会は、鳥獣被害対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置されました。 付議事件、鳥獣被害対策に関する諸施策についてを受け、拡大する鳥獣被害の現状と防止・軽減対策についてを調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人から意見を聴取して検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    鳥獣被害対策調査特別委員会報告書 鳥獣被害対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、鳥獣被害対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置され、付議事件「鳥獣被害対策に関する諸施策について」を受け、「拡大する鳥獣被害の現状と防止・軽減対策について」を調査項目とした。 調査項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、一般社団法人宮城県猟友会及び宮城県内水面水産試験場より参考人を招致して意見を聴取した。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、県内調査及び県外調査については、実施を取りやめた。 調査結果の概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 野生鳥獣による被害の現状について  (一) 農業分野における被害について    本県の野生鳥獣による農作物被害額は、平成二十六年度の二億九百九十四万円をピークとして平成二十七年度は一億三千八百七十万円と減少したものの、その後、平成二十九年度まで二年連続で増加し、平成三十年度は一億四千六百十一万円と再び減少している。しかし、東日本大震災以前の平成二十一年度と比較すると、被害額は倍増している状況にある。    平成三十年度の被害額を鳥獣の種類別で見ると、特にイノシシによる被害が約六割を占めており、発生地域は二十四市町村に上る。次いでニホンジカによる被害が約一割を占め、発生地域は六市町に上る。このほか、獣類ではハクビシン、サル、クマ、鳥類ではスズメ、カラスなどによる被害が発生している。    なお、作物別で見ると、稲が六割、野菜が二割を占めている。    鳥獣被害は、対策に係る経費や労力の増大、収量・品質の低下による営農意欲の減退、耕作放棄の増加などにも進展し、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしている。  (二) 森林・林業分野における被害について    ニホンジカによる被害については、主に県内の東部地域(石巻・気仙沼・登米地域)で造林木の食害が発生しており、再造林を進める上で支障となっている。また、食害で下層植生が消失することにより、森林の土砂流出や崩壊防止機能の低下が懸念されている。    ツキノワグマによる被害については、七ヶ宿町や大和町において、主に人工林のスギの樹皮を剥ぐ「皮はぎ」被害が確認されており、森林の経済的価値の低下を招いている。    これらの被害を防止するためには、侵入防止柵の設置や忌避剤の散布などの対策が必要となり、森林整備に係る経費のかかり増しとなることから、低コストで効果の高い対策手法の確立が課題となっている。  (三) カワウによる水産被害について 東日本大震災により、カワウの生息地であった海岸付近の樹木が消失したことに伴い、カワウの生息域が内陸部に移動したと考えられ、県内各河川において内水面水産資源の食害が報告されるようになった。その生息状況については、平成十六年度は約六百羽とされていたが、平成三十年度には約千百羽から千六百羽とされており、内陸部の地域活性化の一端を担う内水面漁業の振興を図る上で障害になっている。 県では、県内水面漁業協同組合連合会・県内水面漁業協同組合が主体となり、追い払いなどを行っているものの、被害実態が十分に把握されていないため、関係機関と協力して被害実態等を把握し、速やかに効果的な対策手法を確立・普及するための被害対策指針を策定して、被害の拡大を防ぐ必要がある。  (四) ツキノワグマによる人身被害について    ツキノワグマによる人身被害について、平成二十九年度は三件、平成三十年度は一件であった。しかし、令和元年度は六件に上っており、気仙沼市では死者が一人出ている。 2 鳥獣被害の防止・軽減対策について  (一) 「鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律」について 「鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律」(以下「鳥獣被害防止特別措置法」という。)は、鳥獣被害の深刻化を踏まえ、市町村が中心となって被害防止のための総合的な取組を支援するもので、平成十九年に成立した。    同法に基づき、市町村が被害防止計画を作成することにより、農林水産省補助事業「鳥獣被害防止総合対策交付金」による支援や、鳥獣被害対策実施隊を組織することによる狩猟人材の確保など、施策を推進するための必要な措置が講じられるものとなっている。   (1) 鳥獣被害防止総合対策交付金の活用について     市町村被害防止計画は県内で三十二市町村が作成し、これに基づき対策を実施している。また、鳥獣被害対策実施隊は二十八市町村が設置している。     同交付金での主な支援内容としては、有害鳥獣捕獲に係る経費の補助、わな等の捕獲機材購入費の補助、捕獲技術向上等のための研修会の実施、侵入防止柵や解体処理施設等の整備、放置果樹の伐採や刈り払い等の生息環境の管理が挙げられる。     なお、同交付金を補完する事業として、国予算の割当て不足分を県単独で補助する取組を平成三十年度から実施している。   (2) 捕獲頭数の状況について     鳥獣被害防止総合対策交付金(緊急捕獲)による平成三十年度の捕獲頭数は、イノシシが四千三百四十六頭、ニホンジカが七百十四頭で、被害の多いイノシシ及びニホンジカに集中し、捕獲を進めている。また、令和元年度の捕獲頭数はイノシシが五千二百五十頭、ニホンジカが千百三頭であり、更に捕獲を進めている。   (3) 侵入防止柵の整備状況について     電気柵やワイヤーメッシュ柵を主体に、平成三十年度までに約七百キロメートルの侵入防止柵が整備されている。     今後は、侵入防止柵設置後の適正な維持管理が効果継続のポイントであり、見回りによる日常管理が重要である。   (4) 寄せ付けない環境管理の取組について     県では、県内にモデル地区を設置し、集落ぐるみで鳥獣被害対策に向けた活動を展開し、その事例を研修会や会議等で紹介している。この取組は、平成三十年度までに十一地区で実施されている。   (5) 解体処理施設等の整備状況について     捕獲された鳥獣については、市町村の多くで埋設処理を行っているが、埋設場所の確保や作業労力の軽減が課題となっている。     その対策として、広域行政事務組合の焼却場で処分する市町も出てきていることに加え、事前処理として、解体施設や減容化施設が蔵王町、白石市、村田町、川崎町で整備されている。   (6) ICT技術の活用について     県内では、鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して、わな用受信器、センサーカメラなどを導入し、わな設置後の見回り労力の軽減など効率化を図る取組が進んでいる。平成三十年度は、仙台市など七市町の協議会で導入されている。   (7) 捕獲技術等向上対策について     県の主催で鳥獣被害対策実施隊を対象とした研修会を開催しているほか、新たな担い手の確保策として、県農業大学校での鳥獣被害対策に関する講義も実施している。  (二) 「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」について 「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(以下「鳥獣保護管理法」という。)は、生物多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを目的として、鳥獣の捕獲等の規制、鳥獣捕獲等事業の認定、狩猟制度等に関する事項を規定している。    同法に基づき、集中的かつ広域的に管理を図る必要があり、指定管理鳥獣捕獲等事業(個体数調整)の対象となる指定管理鳥獣として、国はイノシシ及びニホンジカを指定している。また、生息数が著しく増加又は生息域が拡大しており、管理を図るため都道府県知事が指定する第二種特定鳥獣として、県はイノシシ、ニホンジカ、ツキノワグマ及びニホンザルを指定している。 県では、これらの第二種特定鳥獣について、平成二十九年度から令和三年度を計画期間として「第二種特定鳥獣管理計画」を策定するとともに、毎年度当該鳥獣の管理事業実施計画を策定し、個体数の適正管理や必要な管理事業を実施している。   (1) 「第二種特定鳥獣管理計画」に基づく個体数調整等の推進について イノシシ、ニホンジカについて、指定管理鳥獣捕獲等事業を活用し、生息調査等を実施し、その結果を踏まえて策定した実施計画に基づき、個体数調整の強化を図っている。平成三十年度の捕獲実績は、イノシシが千六百五十三頭、ニホンジカが四百九十九頭であった。また、令和元年度の捕獲実績は、イノシシが千七十七頭、ニホンジカが三百一頭であった。 加えて、野生鳥獣の捕獲促進及び被害防止対策の強化のため、平成二十九年度から大河原地方振興事務所林業振興部に鳥獣被害対策専門指導員を配置し、令和元年度は六人体制でイノシシの捕獲等を実施している。   (2) 県内の狩猟免許所持者数について 県内の狩猟免許所持者数の推移について、狩猟免許所持者全体で見れば増加傾向にあり、平成二十年度と平成三十年度で比較すると、網猟・わな猟免許所持者数は増加しているが、銃猟免許所持者数は減少している。   (3) 狩猟者確保対策について 県では、狩猟経験の浅い者や狩猟に関心のある者を対象に「新人ハンター養成講座」を開催し、有害鳥獣捕獲の担い手を育成・確保している。また、狩猟免許試験の受験機会の確保のため、狩猟免許試験の開催場所の分散化や土日の開催、わな猟限定の試験回数を増やすなど、受験者の利便性の向上に努めているほか、市町村の希望を踏まえ、令和元年度は栗原市で出前試験を実施している。  (三) 森林・林業分野における防止・軽減対策について 県では、食害のおそれがある地域で植林を行う場合、侵入防止柵(防鹿柵)の設置、忌避剤の散布などの対策に係る経費について補助を行っている。 また、事例集などを発行して被害防止対策の普及を図るとともに、地域に合ったニホンジカの効果的な捕獲手法の実証試験などにも取り組んでいる。  (四) カワウによる水産被害対策について    県では、カワウの生息状況調査を実施するとともに、県内水面漁業協同組合と協力して被害量の推定に取り組んでおり、駆除したカワウの胃の内容物から、アユやサケ等の重要な内水面水産資源の食害が明らかになっている。    今年度以降、関係機関と協議し、被害対策指針を策定する予定としており、当該指針に基づき、関係機関への効果的な被害対策手法の確立・普及を図り、県内水面漁業協同組合連合会・県内水面漁業協同組合を中心に防除等の対策を実施し、被害の拡大を防いでいくこととしている。  (五) ツキノワグマによる人身被害対策について    県では、平成二十六年度に、ツキノワグマが市街地等に出没した場合の緊急捕獲許可フロー図を定め、各地方振興事務所、宮城県警察、市町村、一般社団法人宮城県猟友会(以下「宮城県猟友会」という。)と共有し、出没の通報から捕獲までに至る関係者の役割分担の周知徹底を図っている。 また、県のホームページでクマの出没情報、クマに遭わない方法、クマに遭ってしまった場合の対応法などを掲載し、注意喚起を行っている。 3 野生イノシシの豚熱及びアフリカ豚熱対策について 豚熱については、平成三十年九月、二十六年ぶりに国内で発生した。令和二年九月末現在、十一府県で防疫措置を実施し、約十七万頭の豚が殺処分された。また、令和元年十月に、国は豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針を改正した。これにより、予防的ワクチン接種が可能となり、令和二年九月末現在、本県を含む二十七都府県がワクチン接種推奨地域に指定された。 アフリカ豚熱については、令和二年九月末現在、国内での発生事例はない。しかし、アジアでは、平成三十年八月に中国で発生して以来、十三カ国・地域に拡大し、日本への侵入リスクが高い状況が継続している。このため、養豚経営体へのウイルスの侵入防止の強化を含めた飼養衛生管理基準の徹底や指導助言の強化、アフリカ豚熱を想定した防疫研修・演習の実施などの対策を進めていく必要がある。 県では、農場の立入調査等を実施し、飼養衛生管理基準の遵守状況を確認するとともに、精度の向上のため、指導助言を継続的に実施するなどの取組を行っているほか、市町村と連携して、野生イノシシのサーベイランス検査を実施している。 4 東日本大震災による放射性物質に係る鳥獣肉の出荷制限について  (一) 現状 鳥獣肉(ジビエ)の利活用は捕獲の促進に有効な取組であるが、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県内全域を対象として、イノシシ及びツキノワグマについては平成二十四年六月二十五日付けで、ニホンジカについては平成二十九年十二月十三日付けで出荷制限指示が出され、現在も継続している。 このうち、ニホンジカを取り扱う石巻市内の二事業者については、国と調整した結果、全頭検査を前提とした県の出荷・検査方針が整ったことから、平成二十九年十二月二十七日付けで出荷制限が解除されている。また、女川町内の一事業者についても、同様に令和二年七月二十七日付けで出荷制限が解除されている。  (二) 鳥獣肉の出荷制限指示への対応について 県では、宮城県猟友会に有害鳥獣捕獲等により捕獲したものの一部から検体の採取を委託し、民間事業者に検体中の放射性物質の測定を委託し、測定結果を国に報告するとともに、県民に情報提供している。 出荷制限の一部解除に向けては、全頭検査を前提とした新たな出荷制限解除について、事業者からの要望があった場合は、事業者ごとに全頭検査に基づく出荷・検査方針を作成し、国と調整して、出荷制限の解除に向けた手続を行うこととしている。 その一方で、出荷制限の影響で狩猟による捕獲頭数の減少が危惧されることから、十分な捕獲圧を維持するため、イノシシ及びニホンジカを狩猟で捕獲した者に報償金を支給している。二 参考人からの意見聴取 1 一般社団法人宮城県猟友会 会長 生駒純一氏、副会長 宍戸 修氏、                認定事業管理責任者 山形勇彦氏、                認定事業推進委員会副委員長 大宮喜久江氏 宮城県猟友会は、県内に二十一支部、令和元年度末時点で千八百四人の構成員を有している。同会は、鳥獣保護管理法の規定による認定事業者として、県から委託を受けて指定管理鳥獣捕獲等事業を行っているほか、鳥獣被害防止特別措置法の規定による鳥獣被害対策実施隊の一員としての有害鳥獣捕獲活動、狩猟者の確保や安全教育などの取組を行っている。   山形氏は、狩猟者の確保の現状について、次のとおり述べた。 宮城県猟友会の構成員数は、昭和五十七年度の八千七百五十五人をピークに、高齢化の進行で減少が続き、平成二十五年度には千四百五十九人となったが、県と連携した狩猟免許初心者講習会及び新人ハンター養成講座の開催による狩猟免許取得に向けた支援を行ってきたこと、農林業被害が増加していることにより、若手農家が自ら狩猟免許を取得する事例が増加し、令和元年度末時点で千八百四人まで増加している。 しかし、増加しているのはわな猟免許を所持している構成員数であり、銃猟免許を所持している構成員数については高齢化の影響で年々減少しており、鳥獣被害対策の継続強化が求められる中にあって、その担い手の育成・確保は喫緊の課題となっている。 特に若い後継者の育成・確保が急務となっており、宮城県猟友会は新人ハンター養成講座などを通じて育成に努めているが、育成には多大な時間と労力がかかり、現場では苦労しながら若い後継者を指導しているのが現状である。 そのため、狩猟者の確保について、現状の宮城県猟友会の取組だけでは困難であり、県・市町村がこれまで以上に現場の危機感を共有し、実効性のある担い手の育成・確保に取り組む必要があると指摘した。具体的には、捕獲に当たって狩猟者は狩猟税や弾薬費など多大な手間とコストを負担して自治体に協力している実態を踏まえ、狩猟で生計を立てられるよう捕獲予算単価を増額する必要があると指摘した。また、捕獲した鳥獣は、狩猟者が自ら埋設又は焼却により処分しているが、埋設場所の確保や焼却施設までの運搬など、処分負担の軽減に取り組む必要があると指摘した。 このほか、鳥獣肉の利活用について、山形氏は、現状の人員では自治体からの捕獲の依頼に応えることで精一杯であり、専門の人員を別に確保しないと対応できないと意見を述べた。 生駒氏からは、大河原地方振興事務所林業振興部に配置されている鳥獣被害対策専門指導員について、人件費、猟銃及び猟銃保管庫の整備で多額の費用を要していることから、費用対効果について意見があった。   さらに、生駒氏らは、鳥獣の捕獲に係る制度について、次のとおり述べた。 農林水産省所管の鳥獣被害防止特別措置法に基づく事業(有害鳥獣捕獲)を行っている自治体と、環境省所管の鳥獣保護管理法に基づく事業(指定管理鳥獣捕獲等事業)を行っている自治体とがあり、市町村単位で、実施方法も予算規模も異なっている状況にある。宮城県猟友会はその中で、両方の事業に取り組んでいるが、会として足並みをそろえるためには事業の一本化が望ましいと意見を述べた。 宍戸氏からは、捕獲鳥獣の処理について、一般ごみ扱いで一頭丸ごと受け付ける自治体もあれば、小分けにしないと受け付けない自治体もあり、市町村ごとに処理方法が異なっており、統一に向けた議論が必要ではないかとの意見があった。 また、県内にはライフルの練習場が非常に少なく、練習のために他県まで行っている状況にあるため、事故防止の観点からも、村田町の県クレー射撃場に併設するなどして、ライフルの練習場を整備することについて検討する必要があるとの意見があった。 2 宮城県内水面水産試験場 場長 高橋昭治氏、主任研究員 中家 浩氏 県では、カワウの生息実態や被害実態を調査しており、このうち宮城県内水面水産試験場では、内水面漁業における被害実態を把握するため、平成二十九年十月からカワウの胃の内容物の解析を行っている。 中家氏は、カワウの生態の特徴について、集団性が強いこと、魚食性があり一羽あたりの一日の捕食量は五百グラムとされていること、移動能力が高く一日に採食に出かける範囲はねぐらから十五キロメートル圏内とされていることを挙げた。   また、中家氏はカワウの胃の内容物の解析について、次のように述べた。 平成三十年度の解析状況としては、名取川水系で捕獲されたカワウ五十三羽のうち四十二羽から八科十三種の魚二百五十九尾四千百七十六グラムが確認された。アユは、六・七月には十五尾二百四十五・一グラム(重量比七〇・八%)、九・十月には六十四尾千五百二・四グラム(重量比四一・三%)が確認され、九月には抱卵したものも確認された。サケ稚魚も、一月に二十尾六・四グラム(重量比三・三%)が確認された。 令和元年度の解析状況としては、名取川水系で捕獲されたカワウ三十八羽のうち三十三羽から八科十四種の魚及び甲殻類二百六十二尾二千二百六十七・七グラムが確認された。アユは、五月には四尾二十七・四グラム(重量比五・五%)、六月には十三尾百七十七・三グラム(重量比五八・九%)、八月には二尾十五・六グラム(重量比一二・一%)、十月には三尾七十四・六グラム(重量比三六・七%)が確認された。サケ稚魚も、二月に十九尾七・三グラム(重量比六・三%)、三月に四十三尾二十一・二グラム(重量比二・三%)が確認された。 この解析結果をもとに、令和元年度の名取川水系におけるカワウの捕食によるアユ及びサケ稚魚の内水面漁業被害額を算定すると、アユは約六百五十九万円と推定され、被害にあったアユが全て放流魚と仮定した場合、放流魚の被害額は放流金額の八一%に相当する。ただし、名取川には天然アユも遡上するため、被害額はあくまでも試算値である。また、サケ稚魚は約四万七千円と推定され、漁協による放流尾数の一三%(二万九千尾)に相当する。 なお、中家氏からは、被害額の算出についてはサンプルが多く取れている地域で行ったものであり、北部の沿岸地区などではサンプルが集まりにくく算出できていないとの説明があった。三 総括・提言 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は、「拡大する鳥獣被害の現状と防止・軽減対策」について検討し、次のとおり取りまとめた。 1 狩猟者の育成・確保について  (一) 県は、鳥獣被害防止に必要な人材を確保するため、指定管理鳥獣捕獲等事業における捕獲予算単価の増額を図るなど、関係機関の捕獲活動に要する経費に対し、一層の財政的支援を行うこと。  (二) 県は、狩猟免許の取得を検討する者に対し、わな猟のみならず銃猟の免許も併せて取得を目指せるよう、関係機関と連携の上、取得までのフォローアップを積極的に行うこと。また、猟銃等の機材の取得に要する経費に対し、補助を行うこと。  (三) 県は、狩猟者の鳥獣捕獲技術の維持・向上を図るため、狩猟向けライフルの練習場の更なる整備を検討すること。ただし、整備に当たっては、県内の特定の地域に偏りが生じないよう、立地に十分配慮すること。  (四) 県は、大河原地方振興事務所林業振興部に配置されている鳥獣被害対策専門指導員について、関係機関と連携し技術向上を図るなど、配置目的に見合った効果的な活動ができるよう、体制の強化を図ること。 2 鳥獣被害の防止・軽減対策について  (一) 県は、捕獲鳥獣の処理負担軽減及び感染症対策の観点から、市町村と連携して、埋設場所の確保や解体処理施設の整備に向けた支援を行うこと。また、市町村単位で処理方法が異なっている現状を踏まえ、統一に向けた議論を進めること。  (二) 県は、カワウによる内水面漁業における被害実態を把握するための調査を実施しているが、引き続き当該調査を継続して実態の把握に努めること。また、今後策定が予定されている被害対策指針に基づき、関係機関と連携の上、被害防止・軽減に向けた取組を強化すること。  (三) 県は、引き続き鳥獣被害対策のモデル地区を設定することにより、地域一丸となって生息環境の維持管理などの鳥獣被害対策に取り組めるよう普及啓発に努めること。また、侵入防止柵について、県や市町村の連携による設置はもちろんのこと、地域一丸となって維持管理に取り組めるよう啓発に努めること。 3 鳥獣肉の利活用について 県は、鳥獣肉の流通販売による利活用を希望する事業者から相談があった際には、出荷制限の解除に向けて、事業者の個別の事情に応じて必要な支援を行うこと。 4 鳥獣被害対策に係る県関係部局の体制について 鳥獣被害に係る情報収集や鳥獣被害対策に係る施策は県の各担当部局で行われており、個別に情報共有しながら連携を図っているが、県として鳥獣被害対策を強力に推進するため、一元的に情報を集約し施策を実行する組織体を設置するなど、体制の整備を検討すること。 報告の結びにあたり、今期は新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた県内調査及び県外調査が取りやめとなり、十分な調査活動が行えなかった。したがって、今後、機会を捉えて特別委員会を設置し、改めて調査活動を行う必要があると当委員会では考える。 以上、これらの提言が今後の県の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和二年十一月二十日            宮城県議会鳥獣被害対策調査特別委員長 境 恒春 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(石川光次郎君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。----------------------------------- △不登校・ひきこもり対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(石川光次郎君) 日程第百十三、不登校・ひきこもり対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。不登校・ひきこもり対策調査特別委員長、四十番岸田清実君。    〔四十番 岸田清実君登壇〕 ◆四十番(岸田清実君) 不登校・ひきこもり対策調査特別委員会の調査結果について御報告申し上げます。 本委員会は、不登校・ひきこもり対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置されました。 付議事件、不登校・ひきこもり対策に関する諸施策についてを受け、不登校・ひきこもりの現状及び対策についてを調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人からの意見聴取を行って検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    不登校・ひきこもり対策調査特別委員会報告書 不登校・ひきこもり対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、不登校・ひきこもり対策に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置され、付議事件「不登校・ひきこもり対策に関する諸施策について」を受け、「不登校・ひきこもりの現状及び対策について」を調査項目とした。 調査項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人意見聴取を実施した。参考人として招致したのは、社会福祉法人わたげ福祉会理事長の秋田敦子氏、認定特定非営利活動法人Switch理事長の高橋由佳氏の二人である。 なお、予定していた県内調査及び県外調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を鑑み、実施を見送った。 調査結果の概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 不登校の現状及び支援等について  (一) 不登校の現状、背景、要因    「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(以下「教育機会確保法」という。)が、平成二十八年十二月に公布され、本県においても取組を進めているところであるが、平成三十年度の県内の不登校児童生徒数は、小学校九百四十八人、中学校二千九百十九人、高等学校千六百二十四人で、いずれも前年度より増加している。不登校の背景、要因等については、「平成三十年度における宮城県長期欠席状況調査」では、不安などの情緒的混乱や親子関係をめぐる問題、いじめを除く友人関係などが挙げられるが、個々の児童生徒の状況が異なることから、多様化・複雑化しており、限定することは困難である。また、震災の影響については、震災の影響があると思われるとの回答は、年々減少しているものの未だに見られる。  (二) 不登校に係る支援と課題   (1) 不登校の要因の早期把握、解消 不登校の要因や背景については家庭環境も含めて、個々の児童生徒の状況が異なっていることから、児童生徒一人一人が抱える要因を的確に把握し、早期にかつ丁寧にその要因の解消に努めていくことが必要である。 本県では、教育庁内に横断的な組織である「心のケア・いじめ・不登校等対策支援チーム」を設置したほか、適応指導教室にアウトリーチ機能を加えた、みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援事業による横断的・総合的な支援や、心のサポートアドバイザー、児童生徒の心のサポート班を、不登校児童生徒や保護者、学校へ派遣し、地域内の児童生徒、保護者及び教員の不登校に関する相談に当たるとともに、学校への指導・助言等も行っている。さらに、直接、家庭や学校を訪問し、学習支援等を行う訪問指導員も配置している。また、保護者同士や教育機関関係者と不登校について共に考えることができる機会を確保するため、各教育事務所において、在学青少年育成員と事務所カウンセラーが企画して開催する保護者対象の懇話会が、令和元年度内に合計二十回開かれている。 今後の取組として、令和二年度には、仙台市、七ヶ宿町を除くほぼ全ての市町村に設置することとなる「子どもの心のケアハウス」が、不登校児童生徒への支援の中核である教育支援センターとしての機能を十分果たすことができるよう検討を行う。   (2) 新たな不登校を生まない支援 不登校児童生徒への支援については、不登校が続いている児童生徒への支援の充実のほか、新たな不登校を生まない支援が必要である。 このため、国の事業として「魅力ある学校づくり調査研究事業」を、県の事業として「みやぎ『行きたくなる学校づくり』推進事業」を行うとともに、高等学校においては、「魅力ある県立高校づくり支援事業」を展開している。   (3) 支援に関わる人材 加配教員等の活用により、学校・学級復帰において成果を上げている学校も多いが、いずれの学校も人手不足であり、対応に苦慮している。     本県としては、全ての学校において「いじめ対策・不登校支援担当者」を任命するとともに、拠点となる学校に安全担当主幹教諭を配置している。また、児童生徒支援教員を加配するほか、全ての学校にスクールカウンセラーを配置・派遣し、スクールソーシャルワーカーについては、全市町村教育委員会及び三十六の県立高等学校に配置している。さらに、フリースクール、特定非営利活動法人など関係機関との連携については、各教育事務所に設置する不登校支援地域ネットワークセンター連絡協議会の場において、地域内のフリースクール等民間団体と不登校支援の在り方について情報共有をするとともに、意見を交換し連携強化に努めている。また、児童生徒の心のサポート班が主たる民間団体を直接訪問し、情報共有に努めている。     今後の取組として、加配教員を効果的に活用し、校内における教室で過ごすことに困難を抱える児童生徒の居場所を学校内につくるとともに、自立支援の充実を図る。また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーに係る市町村教育委員会と連携した研修体制の充実を図る。 2 ひきこもりの現状及び対策等について  (一) ひきこもりの現状、背景、要因 ひきこもりの推計数は、平成二十八年九月内閣府公表の「若者の生活に関する調査報告書」によると、満十五歳から満三十九歳が全国で五十四万千人、その結果に基づく宮城県推計数は約一万三百人となっている。また、平成三十一年三月内閣府公表の「生活状況に関する調査報告書」によると、満四十歳から満六十四歳が全国で六十一万三千人、その結果に基づく宮城県推計数は約一万千二百人となっている。 ひきこもりの期間は、十五歳から三十九歳の「七年以上」が三四・七%、四十歳から六十四歳の「七年以上」が四六・七%で、ひきこもりの長期化がみられる。 なお、宮城県ひきこもり地域支援センターが開設された平成二十六年一月から平成二十七年度末までの来所相談のうち、八十七事例を対象にまとめた結果、ひきこもりの開始年齢は十八歳以下が累計で三十六人、全体の四一・四%、また、不登校歴がある人が五十四人、六二・一%となっている。 ひきこもりの背景、要因は、十五歳から三十九歳は「不登校」、「職場になじめない」が最も多く、四十歳から六十四歳は「退職」が最も多くなっている。  (二) ひきこもりに係る対策と課題   (1) 早期に発見し、必要な支援機関に繋げる体制の構築 ひきこもり状態にある人は、自ら相談に赴くことが少ないため、把握が難しく、早期に相談に繋がりにくい状況であることから、早期に発見し、必要な支援機関に繋げる体制の構築が必要である。 本県では、宮城県ひきこもり地域支援センターを平成二十六年一月に精神保健福祉センター内に設置し、平成二十七年八月には南支所を仙台市内に設置しており、電話相談、面接相談、家庭教室、居場所支援、各種啓発活動を行っている。また、福祉事務所設置自治体である各市が、自立相談支援センターを設置しているほか、県内町村向けには県委託により三箇所が設置されており、訪問支援等を含め、生活保護に至る前の段階から早期に支援を行っている。また、子ども・若者支援地域協議会、子ども・若者総合相談センターにおいては、関係機関等のネットワークの構築、強化を進め、各地域における支援体制の充実を図っている。 今後の取組として、引き続き、ひきこもり地域支援センターにおける相談や家族教室、自立相談支援センターにおける相談等支援体制の充実を図っていくとともに、地域のひきこもり状態の人を早期に発見し、適切な支援機関につなぐために、民生委員・児童委員、地域包括支援センター職員等を、ひきこもりサポーターとして新たに養成していく。   (2) 段階に応じた支援 ひきこもりに対する支援は、当事者の年齢やひきこもりの期間、状態等により異なる。家族支援から始まることが多いが、当事者支援、就労準備及び就労支援など、段階に応じた支援の充実が必要である。 本県では、宮城県ひきこもり地域支援センターにおいて、家族教室を月一回程度実施し、講話や勉強会を行いながら、家族同士が交流を持っている。また、就労支援の取組として、宮城県若者自立支援ネットワーク、みやぎ若年者就職支援センター、地域若者サポートステーションを設置し、ひきこもり状態にある若年無業者への就職支援、就業体験、相談等の支援を行っている。 今後の取組として、自信回復と精神的自立を促し、社会活動の準備等を行う場を身近な地域に設置していくため、県内二箇所にモデル事業として新たな居場所を設置する。   (3) 切れ目のない支援体制づくり ひきこもりに対する支援は、長期的かつ継続的に関わる支援者が必要であることから、支援者支援や関係機関と連携した切れ目のない支援体制づくりが必要である。 また、「八〇五〇問題」に代表される、中高年のひきこもりに対する支援は、家族の孤立や介護、経済的問題なども絡みあっていることから、介護、生活困窮、コミュニティ支援等の関係部署が連携して取り組んでいく必要がある。県内においても、四十代以上やひきこもりの期間が十年以上の長期にわたる人もおり、高齢化・長期化している状況である。 本県では、今後の取組として、相談に繋がっていない家庭も存在すると考えられることから、民生委員や地域包括支援センターの職員等をひきこもりサポーターとして養成し、ひきこもり状態にある人を早期に発見し、適切な支援機関につないでいく体制を構築していく。また、ひきこもり状態にある人の孤立を防止するとともに、自立等への支援を行っていくため、関係機関が情報共有・連携した支援体制を構築していく。   (4) 地域でひきこもり支援を継続的に担う人材と段階に応じた社会資源 地域でひきこもり支援を継続的に担う人材と段階に応じた社会資源が不足していることから、人材確保とスキルの向上、社会資源の充実に向けた取組が必要である。     本県では、宮城県ひきこもり地域支援センターによる、市町村や相談支援事業所等の支援関係者向けの研修会を実施している。 今後の取組として、地域人材としてひきこもりサポーターの養成を行うとともに、ひきこもり支援従事者の人材育成として、市町村職員や自立相談支援センター職員を対象として研修を実施し、アドバイザーの派遣により、市町村職員等のひきこもり支援従事者への助言や同行支援等を行い、ひきこもり支援従事者の資質向上を図っていく。   (5) 教育機関との連携 ひきこもり当事者には、不登校経験者が多く見られることから、教育機関との連携が必要である。 本県では、「心のケア・いじめ・不登校等対策支援チーム」、日常的、定期的な情報交換会及び子ども総合センターによる事例交換会などで教育機関と連携を図っている。二 参考人からの意見聴取 1 社会福祉法人わたげ福祉会理事長 秋田敦子氏 秋田氏からは社会福祉法人わたげ福祉会の取組や不登校・ひきこもりの要因等について説明を受けた。  (一) 社会福祉法人わたげ福祉会の支援の流れ 不登校・ひきこもりの相談は、本人からではなく、家族や地域の方、区役所などから連絡がある場合がほとんどである。本人が支援の場に出てくるまでは時間がかかるが、家族の個別面談や家族教室などの家族支援を行っていく中で、本人の姿が見えてくる。 支援の流れは、「ステップⅠ 家族支援中心」、「ステップⅡ 家族支援継続、アウトリーチの開始」、「ステップⅢ 本人支援中心」の三段階に分かれている。これらの三つのステップを本人と家族の状況に合わせて、長期的、トータル的な支援として行い、その実践の場が居場所である。 支援の目的は自己肯定であり、回復のストーリーをそれぞれが描くこと、想像力を身につけることが大事であると述べた。  (二) 不登校・ひきこもりの要因 不登校・ひきこもりになる要因は皆違っており、時がたてばたつほど状況は深刻化する。不登校・ひきこもりの要因を五つに分けると、「体や心の病気」、「本人の特性・性格」、「環境」、「対人関係」、「原因がはっきりしない失敗や挫折・傷つき・頑張り過ぎ」である。 東日本大震災の時は不登校が多かったが、実際には地震の影響だけではなく環境が要因ではないか。今の社会ではゲームやネット、通販などひきこもりやすい環境ができていると述べた。  (三) 中間就労及び地域のネットワークについて 支援を行う上で、一番難しい部分は中間的就労であり、本人に障害がなければ自分の力でバイトなどをしなければならず、潰れてしまう。公的支援があれば良い。回復し、地域に出て行くためには地域ネットワークが必要であり、提供者、企業との連携が必要であると述べた。  (四) 家族支援について 支援において大事なものは家族である。家族の苦しさも計り知れないものがあるため本人に対しての支援だけではなく、同時進行で家族への支援の在り方にも目を向けていくことが不可欠である。家族の力を借りることが必要であり、エネルギーのない家族のエンパワーメントを高める役割も、支援者が担っていかなければならない。 また、家族が不安を感じた時にすぐに行けるような窓口、一緒に遊んだり、来やすい雰囲気がある、行政よりも民間の中でサロン的な、誰でも入れるような、相談しやすいところがあればよい。トータル的に人としてみんな困っていることがあれば相談できるような窓口があればよいと述べた。  (五) 学校との連携について 不登校は学校で、ひきこもりは福祉で、ではなくて一緒の問題であり、横のつながりにした方がよい。今の教員は大変で、学校にお任せではなく、家族の部分、学校の部分を役割分担する、学校との連携はそういうことである。地域と学校の連携は守秘義務や段取りなどで課題があり、時間をかけて少し緩やかに、雑談ができる程度でもよいと述べた。 2 認定特定非営利活動法人Switch理事長 高橋由佳氏 高橋氏からは認定特定非営利活動法人Switchの取組や、包括的な地域支援体制について説明を受けた。  (一) 認定特定非営利活動法人Switchの取組    認定特定非営利活動法人Switchは、平成二十三年に障害福祉サービス事業としてスタートした。個別伴走型支援であり、一人一人メニューが違う。障害のある方、社会的弱者も健康な人も、いろいろな方が一緒に共に豊かな生活をできるような社会を構築するという理念で活動している。福祉の制度に該当しないとセーフティネットとしては機能しないということがあり、自主事業であるが寄附金や助成金を使って解決する枠組みを作っていると述べた。  (二) データから見るひきこもりの現状    ひきこもりは全国で百十五万人おり、きっかけは様々で、条件が重なれば誰もがなり得る。精神疾患の未治療のものや、発達障害に移行している、発達障害を抱えている児童生徒が見過ごされ、高校で問題が浮き彫りになる。また、発達障害の傾向を持ちながら診断を受けていない若者が増加傾向にある。 他に、ひきこもりの要因として、本人に問題が起きているというよりも、環境要因から問題が起きている。子供ではなくて大人の課題である。貧困と生活困窮、生活保護、虐待やネグレクトなど家族の問題が起因していることが多い。    自尊感情には基本的自尊感情と社会的自尊感情の二つがあり、バランスを取りながら社会生活を営むが、環境要因により基本的自尊感情が低い場合は、社会的自尊感情を高めていくことをしていくようなスキームや枠組みが必要であると述べた。  (三) アウトリーチ支援と早期介入 アウトリーチ支援はもっと強化するべきである。小学校の低学年の時に適切な支援や、サポートを受ける、何か手だてをしていくという早期介入が重要である。不登校・ひきこもりになってから対処療法で何かするというよりも、こういった時期に何か予防的なもう一つのスキームで支える仕組みを学校の中につくっていく必要がある。 精神疾患の予防については予後が悪くなるなどのエビデンスはあるものの、不登校とひきこもりについては、これは予備群で、これは予防で、介入前と介入後でどう変わったかというのを測ることが難しい。内閣府からの社会的インパクト評価のような指標が使えるのではないかと述べた。  (四) 包括的な地域支援体制、サードプレイスについて    包括的な地域支援体制が重要である。地域というのは、リカバリーリソースであり、回復できるリソースをたくさん秘めている。専門職とか専門家だけではなく、地域の住民、地域の力を借りることが重要である。顔の見える関係で、この地域の方が見守っているんだというのがあると、安心安全な地域になる。地域の中にある普通のリソースをいかに居場所として機能させていくかが重要で、子どもたちのサードプレイスとなる。 Switchの例では、学ぶ場として、近隣の農業法人での実習を勧め、サードプレイスとして機能した。都市部より地方の一つの強みを生かした事例である。 また、柴田町の生涯学習課の協働教育事業は、地域との協働がうまく機能している例であると述べた。  (五) 学校における支援 教員は、カウンセラーやソーシャルワーカーに頼る前に、何とか自分で担任として責任を持ってこの子を助けたい、解決したいという思いが強く、疲弊している教員もいる。誰かに相談したり、チームで解決するなど、教員が一人で抱え込まない仕組みを学校の中で構築することが重要である。 また、スクールソーシャルワーカーが一人で解決できるケースもほとんどなく、学校の中にキーパーソンとなる人物が配置されていることが重要である。あわせて、クラスを少人数制にし、手厚いサポート支援でSOSをキャッチしていくことも必要ではないか。同時に、教育格差をなくし、高校の無償化を行って欲しい。加えて、学校外のみにフリースクールを作るのではなく、学校の中にもフリースクールをつくることでサードプレイスとして機能するのではないかと述べた。  (六) 切れ目のない支援 特定非営利活動法人TEDICが、子ども・若者総合相談センターを運営し、Switchなど関係機関と連携して、零歳から三十九歳までワンストップで切れ目のない支援を行なっている。これは、学校や、福祉、家族などと情報を共有しながら、途切れのない支援体制を取っていこうというものである。 就労支援については、企業との関係性が重要であり、Switchにおいて関係性を作った後に、雇用につながる場合が多い。また、就労後、OB会のようなフォローアップの会を行っていると述べた。  (七) 連携について 行政との連携などで課題となっていることは、児童生徒の人権侵害の部分について、児童相談所は多数案件を抱えていて多忙なため、もう少し地域とか社会資源を信頼してもらい連携できればと考えている。 また、横断的なネットワークづくりについては、守秘義務などどうしてもセンシティブなものが入ってくるので、そこをすぐにというのは難しいのではないかと述べた。三 総括・提言  これらの調査結果及び教育機会確保法を踏まえ、本委員会は「不登校・ひきこもり対策の課題及び諸施策」について、次のとおり取りまとめた。 1 不登校の現状及び対策等について 不登校の相談は本人からではなく、家族や地域支援者、行政などから行われる場合が多いことから、アウトリーチ機能の更なる強化が求められている。また、不登校からひきこもりになることも多く、時間が経つほど状況は深刻化するため、予防及び早期発見・介入が重要である。 学校においては、これまで様々な取組が進められており、一定の成果を上げているものの、不登校児童生徒は増加しており、新たな取組が求められている。しかしながら、支援人材は依然不足しており、体制の改善・強化とともに、地域資源の活用も検討するべきである。 同時に、予防及び早期発見・介入並びに支援全体において重要な役割を持つ家族等への支援も拡充するべきである。  (一) 予防、早期発見・介入及びアウトリーチ機能の強化 発達障害や家庭環境の問題など、不登校となる要因を抱えている児童生徒が、小学校低学年時などの早期に、適切な支援等を受けられるよう、医療・保健・福祉・教育の各分野において、様々な支援機関同士や地域支援者等が連携したアウトリーチを実施するなど、体制の強化を図るとともに、その効果についても評価を行うこと。  (二) 学校における支援 児童生徒にとって身近な支援者であり、普段の状態を把握できる教員から、専門家であるスクールカウンセラー等へ適切な連携が図られるよう、役割分担の明確化など体制の改善を図ること。  (三) 地域資源の活用 地域協働事業の推進や居場所となるサードプレイスの創設、地域支援者の育成など、地域資源を活用できる環境整備を行うこと。  (四) 家族等に対する支援 内容にかかわらず相談できるような、家族等にとって身近な相談窓口を地域で整備するなど、不登校の相談支援の拡充を図るとともに、家族等に対する支援を重視した取組を行うこと。 2 ひきこもりの現状及び対策等について ひきこもりの相談は、不登校の場合と同様に、本人からではなく、家族や地域支援者、行政などから行われる場合が多いことから、相談体制とアウトリーチ機能の更なる強化が求められている。また、不登校からひきこもりになることも多く、時間が経つほど状況は深刻化するため、不登校の予防を含めた早期発見・介入が重要である。 また、一般的にひきこもりからの回復のプロセスは、支援機関への相談後、ボランティア参加などの地域での居場所確保、就労支援などの社会参加といった段階を経るため、居場所となるサードプレイスや地域での就労支援など、段階的かつ包括的な地域支援が必要であり、地域支援の新たな取組が求められている。 あわせて、「八〇五〇問題」に象徴されるひきこもりの長期化に対しては、支援の長期化を踏まえた、切れ目のない支援体制を整備する必要がある。 同時に、予防及び早期発見・介入並びに支援全体において重要な役割を持つ家族等への支援も拡充するべきである。  (一) 予防、早期発見・介入及び相談体制、アウトリーチ機能の強化 不登校や発達障害、家庭環境の問題、退職など、ひきこもりとなる要因を抱えている者が、早期に、適切な支援等を受けられるよう、医療・保健・福祉・教育の各分野において、様々な支援機関同士や地域支援者等が連携したアウトリーチを実施するなど、体制の強化を図るとともに、その効果についても評価を行うこと。  (二) 段階的かつ包括的な地域支援 地域協働事業の推進や居場所となるサードプレイスの創設、地域支援者の育成など、地域資源を活用するとともに、地域での就労支援など、段階的かつ包括的な地域支援が行われるような環境整備を行うこと。  (三) 切れ目のない支援 ひきこもりが長期化している人が学齢期、成人期のそれぞれの段階において、必要なサービスを受けることができるよう、医療・保健・福祉・教育の各分野において、様々な支援機関同士や地域支援者等が連携を図り、切れ目のない支援を行う体制を整えること。  (四) 家族等に対する支援 内容にかかわらず相談できるような、家族等にとって身近な相談窓口を地域で整備するなど、不登校の相談支援の拡充を図るとともに、家族等に対する支援を重視した取組を行うこと。 なお、冒頭でも述べたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を鑑み、県内調査及び県外調査を実施しなかったため、調査を尽くすことができなかった。したがって、今後、機会を捉えて特別委員会を設置し、改めて調査・検討を行う必要があると当委員会では考える。 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和二年十一月二十日      宮城県議会不登校・ひきこもり対策調査特別委員長 岸田清実 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(石川光次郎君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。-----------------------------------地域再生対策調査特別委員会調査結果報告 ○議長(石川光次郎君) 日程第百十四、地域再生対策調査特別委員会調査結果報告を議題といたします。 本件について委員長の報告を求めます。地域再生対策調査特別委員長、二十五番渡辺忠悦君。    〔二十五番 渡辺忠悦君登壇〕 ◆二十五番(渡辺忠悦君) 地域再生対策調査特別委員会の調査・検討結果について、御報告申し上げます。 本委員会は、地域再生に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置されました。 付議事件、地域再生対策に関する諸施策についてを受け、地域再生の推進に向けた現状・課題及び諸施策についてを調査項目として、県関係部局から県施策の概要及び県内の現状を聴取するとともに、参考人から意見を聴取して検討を重ねて参りました。 その結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでございますが、この報告が今後の関係施策に反映されることを期待して御報告申し上げます。……………………………………………………………………………………………    地域再生対策調査特別委員会報告書 地域再生対策調査特別委員会の調査・検討結果について報告する。 本委員会は、地域再生に関する諸施策について調査・検討するため、令和元年十二月十七日に設置され、付議事件「地域再生対策に関する諸施策について」を受け、「地域再生の推進に向けた現状・課題及び諸施策について」を調査項目とした。 調査項目について、県関係部局から県施策の概要及び県内の状況を聴取するとともに、宮城大学事業構想学群教授徳永幸之氏を参考人として招致して意見を聴取した。 なお、予定していた県内調査及び県外調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を鑑み、本年度は実施を見送った。 調査結果の概要は、次のとおりである。一 現状と課題 1 最近の県内全市町村の人口動態について  (一) 本県の人口は、平成十五年の推計人口の約二百三十七万二千人をピークに減少に転じており、令和元年十月一日現在の推計による本県の人口は、約二百三十万三千人となっている。  (二) 近年、年少人口(十五歳未満)と生産年齢人口(十五歳から六十四歳まで)は減少傾向にあり、平成二十七年に年少人口は国勢調査開始以来最低となっている。一方、老年人口(六十五歳以上)は、平成二十七年に国勢調査開始以来最高となり、初めて本県人口の四分の一を超えている。  (三) 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると令和二十七年(二〇四五年)の本県の人口は、約百八十万九千人になると見込まれている。年齢区分で見ると、生産年齢人口及び年少人口がさらに減少する一方で、老年人口は増加し、令和二十七年の本県の高齢化率は四〇・三%に達すると見込まれている。  (四) 平成二十七年十月に策定した「宮城県地方創生総合戦略」では、安定した雇用の創出、宮城県への移住・定住の流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、時代に合った地域をつくり、安全・安心な暮らしを守るの四つの基本目標に沿って具体的施策を推進し、急激な人口減少に歯止めをかけ、令和四十二年(二〇六〇年)の本県の人口を百八十四万人とする目標を掲げている。 令和二十二年(二〇四〇年)に団塊世代ジュニアが一斉に六十五歳を迎え、人口減少、特に生産年齢人口が大幅に減ることとなるが、適時に的確な手を打たなければ令和四十二年には百五十七万人となることから、いかに減少を抑え、交流人口の受け入れや移住受け入れなどを行うのかが課題である。 2 地域再生に関する取組の概要  (一) 地方移住等の推進について   (1) 地方移住の推進について 近年、二十代から四十代の移住希望者が増加していることに伴い、移住に際して「就業」が特に重視される傾向にある。そのため、首都圏等からの移住希望者に対し、市町村・関係団体・民間企業とが連携しながら、県内企業の魅力を効果的に発信することや、就業に向けたマッチング支援が重要となっている。 県では、東京有楽町の移住相談窓口「みやぎ移住サポートセンター」の相談員を増員するとともに、県内企業の求人開拓や学生向け就職支援を行う「みやぎIJU(移住)ターン就職支援オフィス」等連携・協力し、個々の移住希望者に適した就業先の掘り起こしやきめ細かな相談対応を行っているほか、創業を希望する移住者に対し、「みやぎ創業サポートセンター」で相談対応や情報提供による支援を行っている。また、地方移住推進の情報発信として、首都圏でのイベント開催や雑誌掲載などにより宮城の魅力を積極的にPRしている。   (2) UIJターン就業支援(第一次産業を含む)について 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少による労働力不足への対応や震災からの復旧・復興を進めていくためには、県外からの人材の環流を促進することが重要であり、県外の学生に対するUIJ就職支援を行う必要がある。そのため、県では前述した「みやぎIJUターン就職支援オフィス」において、首都圏の大学生に特化し、県内企業の紹介や学内セミナーでの周知、専用窓口の設置、県内企業への就職活動に要する交通費等の補助等を行っている。また、首都圏の大学等とUIJターン就職支援の協定を締結し、宮城へのUIJターン就職の促進を図っている。     さらに、一般社団法人みやぎ工業会内に「宮城県プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置し、企業と連携しながら、民間事業者を通じたマッチング支援を行うほか、農林水産業については、首都圏において、県内農林水産業の魅力を発信するとともに、就業に向けた相談の受付や就業体験・研修の実施、みやぎ漁師カレッジの開催などにより就業の促進を図っている。   (3) 空き家の解消について 移住に当たっては、就業や自然環境と並んで住居の確保も重要な要素とされており、移住希望者が安心して住居を確保できる体制を整備することが重要である。平成二十七年五月に空き家に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、空き家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、市町村が主体となり、空き家の調査や対策計画の策定などに取り組んでおり、県内では十四市町村が策定、十市町村が協議会を設置している。また、空き家バンクの設置は二十三市町となっており、その情報はみやぎ移住サポートセンター等で首都圏の移住希望者の相談に活用されている。  (二) 地域における経済・生活圏の形成について   (1) 地域公共交通対策について 東日本大震災で被災した五路線は、BRTでの復旧を含め全て復旧しているものの、県内の基幹交通であるJR各線は、駅舎のバリアフリー化、所要時間の短縮、踏切による交通渋滞など様々な課題を有している。また、利用者数の低迷により交通事業者への赤字に対する補助等だけで地域交通の維持・確保は困難となっている。地域公共交通対策は、交通分野のみならず、まちづくりや観光など様々な分野で大きな効果をもたらすことから、住民や交通事業者、行政など様々な主体が連携し「移動手段」だけで考えるのではなく、地域の資源と組み合わせ、「まちづくりの手段」として捉え、地域の多様な交通再編を目指す地域公共交通網形成計画を策定することが必要である。   (2) 高齢者等交通確保(運転免許証自主返納に伴う代替措置等を含む) 県内のほとんどの市町村では乗り合いバスを運行し、運転免許証を持たない高齢者等の「生活の足」の確保のため、交通事業者や住民代表、行政で構成する地域公共交通会議において、路線の維持や利便性の確保に努めている。しかし、乗り合いバスの利用者は年々減少傾向となっており、県内では従来の定時路線バスでの運行からデマンド交通への転換が進んでいる。平成三十一年四月現在、県内では十五市町三十六地区でデマンド交通を導入しているが、デマンド交通は乗り合いバスと比較して利用率が低い傾向にあり、利用促進に向けた効果的な周知方法を検討していく必要がある。 また、加齢に伴う身体機能や判断力の低下などから高齢ドライバーの交通事故が問題となっており、高齢者の運転免許証の自主返納を促していく必要がある。免許証返納者の生活の足を確保するため、地域公共交通の新たな需要への対応が必要であり、免許証返納者の不安を解消するとともに、地域公共交通の利便性の向上への的確な対応が必要となっている。  (三) 中山間地域等における「小さな拠点」の形成について   (1) 小さな拠点づくりについて 中山間地域等で将来にわたり地域住民が暮らし続けることができるよう必要な生活サービスの維持や地域における仕事の確保等を継続できる取組として、「小さな拠点」を形成していくことが重要である。県内では従来より集落の維持や、まちづくりの施策を展開しており、「小さな拠点」の趣旨である情報支援、人材支援、財政支援の三つの柱に沿い十市町村五十六地域で取組が行われている。県では、中山間地域等への人の流れをつくるために、地域住民の当事者意識の向上を図る必要があることから、研修会の開催や小さな拠点形成に関するワークショップ等の開催経費の一部を負担することなどにより市町村を支援している。   (2) 地域おこし協力隊・集落支援員等の人材活用について 県内での地域おこし協力隊の導入市町村数は、平成三十一年四月現在で九市十町であり、百一人の隊員が委嘱されている。平成二十二年度の導入以来、導入市町村数及び隊員数は、年々増加しており、一番多い年齢層は三十代で、全体の七五%を占めている。しかしながら、都市地域から多くの若者が隊員として県内に転入してきているものの、任期終了後の定住率は全国平均と比較して低いことから、定住に向けたフォローアップが必要であり、先進地域の分析や他の地域の協力隊員との人的ネットワークの構築、任期後の起業・就業に向けた支援や研修会を開催し定住に向けた支援を行う必要がある。 また、地域の実情に詳しく、集落対策の推進に関してのノウハウや知見を持つ集落支援員制度については、県内での導入市町村数が、平成三十一年四月現在で三市二町であり、専任・兼任併せて八十二人の集落支援員が委嘱されている。しかしながら、全国と比して導入市町村が少ないことから、市町村に対して集落支援員の有効性や先進事例の紹介などの情報提供支援が必要である。  (四) 地域産業の競争力強化について   (1) 耕作放棄地の有効活用について 県においては、平成二十七年度の耕作面積の九%に当たる約一万一千七百ヘクタールが耕作放棄地となっており増加傾向にある。耕作放棄地の発生防止や有効活用を推進するため、県の耕作放棄地再生利用緊急対策事業などを活用し、これまでに約十八ヘクタールの農地が有効活用され、小麦やソバ、野菜などが作付けされている。耕作放棄地の解消を支援するとともに、市町村の農業委員会が実施する農地パトロールや遊休農地調査などを支援し、農地の適正利用と耕作放棄地の有効活用を推進することが必要である。また、交付金の活用による地域活動を支援し、耕作放棄地の発生防止に向けた話し合いや共同活動の促進を図り、農地が有効に維持され、適正に活用されるよう推進する必要がある。   (2) 地域を担う中核企業支援について 地域経済の活性化のためには、地域経済を牽引する中核的な役割を果たすことが期待される中核企業の県内進出に伴い、今後成長が見込まれる分野など、県内製造業の更なる取引拡大や技術支援に対するニーズが高まっており、県としても積極的に支援する必要がある。しかしながら、ものづくり産業等の県内企業において、人材不足が深刻化しており、若手人材等の確保と人材育成が課題となっている。   (3) 商店街の空き店舗対策について 県内の空き店舗の現状としては、空き店舗の解体や空き地化が進んだこと、経営不振や後継者不足による廃業等が多く見られ、空き店舗数は減少しているものの、店舗の老朽化や商店街に活気・魅力がないなどにより、現存する空き店舗の利用率は低い状況である。 空き店舗があることにより、市街地を空洞化させ、回遊性及び利便性が低下し、商店街のイメージを悪化させる等、新規出店意欲の低下を招いており、町そのものの魅力の低下や不動産価値の低下といった悪循環を発生させている。 空き店舗活用については、所有者に貸す意思がないことや、既存の店舗規模ではスペースや家賃が課題となるケース、店舗兼住宅の場合、店舗部分だけの貸し出し困難など、貸し手側と借り手側のニーズがあっていないことなどがあげられる。また、商店街の八割が空き店舗対策を実施しておらず、個々の事業者や商店街組織だけではなく、地域全体の課題として捉え、幅広い地域の関係者の参画により、商店街の将来ビジョンの形成に対する支援を柱とし、国の専門家派遣事業などを有効に活用し、空き店舗の解消に向け地域の取組を支援していく必要がある。   (4) 農山漁村地域の持続可能性向上について 農山漁村地域、特に中山間地域においては、人口減少と高齢化が都市部に比べ急速に進み、地域の担い手不足の深刻さが増している。その結果、多くの集落で、集落機能の維持が困難となりつつある。 そのため、農山漁村が発揮してきた多面的機能が脆弱化又は喪失の危機に直面しており、県の農林水産業の競争力や県土の均衡ある発展等を阻害しかねない状況にある。 集落及び集落機能を維持し、農山漁村地域の持続可能性を高めるためには、若い世代を中心に高まりをみせている「田園回帰志向」を好機と捉え、関係人口の創出・拡大やUIJターンの促進、若者等の人口流出防止等に取り組むことにより、地域の担い手を確保することが重要である。 また、企業誘致や観光開発のような従来型・外発的な産業振興に加え、地域を支える多様な人材の育成・確保、地域資源を生かした多様ななりわいの創出等による所得と雇用機会の確保、生活インフラ維持等を通じた安心して暮らせる農山漁村環境の整備、課題解決型・協働型の地域コミュニティへの転換など、内発的な地域の活性化と経済的自立を促していく必要がある。 県では、令和元年度から、複数課にまたがった農村振興施策の一体化を図り効果的に推進する体制をとっており、持続可能な農山漁村づくりに向けた地域の主体的な取組を支援するとともに、「地域経済循環」の仕組みを構築し、農山漁村地域の持続可能性を確かなものにする必要がある。二 参考人からの意見聴取 1 宮城大学事業構想学群 教授 徳永幸之氏   徳永氏は、地域公共交通の確保に関する施策等について、次のように述べた。 県内の自治体によるバス運行の現状については、国による規制緩和により民間事業者が、参入の自由とともに撤退の自由も選択できることになり、民間事業者の路線縮小や撤退が進み、県内ほぼ全ての市町村が自主運行をせざるを得ない状況となっている。民間事業者から引き継ぎ住民バスのような形で自治体が運営することとなったが、人口構成や周辺環境、地域性等の一つ一つの要素が異なるため、地域の数だけ様々な課題・要因を抱えている。 自治体間の課題や要因を分析すると、運行面積や運行エリア・運行回数と、運行路線経費の問題や収支率の問題などが関係していると予測される一方で、高齢化率が高い地域においては、高齢者の需要が増加し、収支率が上がるとの予測とは一致しないなど、単純に面積や人口密度だけの問題ではないことが見て取れた。 これまでの地域公共交通計画では、自治体の財政力に応じ、減便や循環路線の集約化による効率性の追求、まちの構造変化によるミスマッチの見直等を通じ、効率的なサービスの提供に努めてきた。 しかし、これからは更なる循環路線の集約化や住民バスの再編成等の組み合わせにより、既存バス資源を最大限に活用する取組が求められるのではないかと考えられる。 また、生活行動も変化してきており、現在の高齢層の自動車運転免許証保有率から考えると、壮年期から自家用車を利用し、その利便性を享受してきているため、免許証を返納し公共交通への利用転換を進めるには、それら高齢層の不安を解消しなくては、免許証返納率や公共交通利用率は上がらないと考えられる。免許証を返納し、公共交通へ利用転換した高齢層は、多少運賃が高くても高頻度で運行することを地域公共交通に求めるであろう。一方、運転免許証をもたない高齢層では、多少乗車時間がかかり、低頻度運行でも運賃の安さを重視するなど、需要が二極化することを示している。これからの地域公共交通を考えるに当たっては、従来の高齢者像からの転換が必要であり、使い勝手のいいサービスを適正な価格で提供することや、移動のしにくさが活動の制約にならないような取組が求められると思われる。 さらに、今後、加齢等により運転が難しくなる高齢者層が増え、免許証返納率が上がることを想定すると、高齢者の出控え等による移動制約が生まれ、生活不活発病等の健康面での問題が起き得る可能性もあり、運賃もさることながら、外出の機会の創出と利便性を確保することが重要である。これからの地域公共交通には、タクシー業界と福祉タクシーとが連携・協力する等の業種の縦割りを超えた新たな事業形態が必要である。国では、これまでの縦割りによる公共交通の弊害を無くすべく、貨物輸送と一体で混載という形で規制緩和を行ったが、新規事業への参入はなかなか進んでいない。今後は、NPOなどの新規事業への参入等が進むよう成功事例を作ることが大事であり、絶え間なく変化する住民ニーズや地域の課題にもきめ細かく対応するため、特区などを活用することにより、より良い地域交通サービスの提供が図られると考える。三 総括・提言 これらの調査結果を踏まえ、本委員会は、「地域再生対策に関する諸施策について」を次のとおり取りまとめた。 1 地域移住の取組の充実  (一) 県は、地域をよく知る地元の商工会議所等の多様な組織と連携し、その地域の季節や気候、生活環境、食べ物、その地域に暮らす人々などの情報を積極的に発信し、移住後の暮らし等具体的イメージが想起できるような情報発信の仕組みを支援するとともに多様な働き方の選択肢を示し、移住への取組を積極的に支援すること。  (二) 県は、情熱や想いを持ってUIJターンする学生や移住者に対し、生活環境の充実を図るだけでなく、デジタル・ディバイド(情報格差)をなくし、安心して定住し続けられるよう地域全体で受け入れ・応援する態勢を整えるとともに、従来から地域を支え守ってきた住民の気持ちにもしっかりとより添い、お互いが住みやすい地域になるようバランスのとれた支援に努めること。  (三) 県は、空き家の解消のため、ノウハウや経験のある地元の商工会・商工会議所や不動産関連団体等と連携して、地域の空き家対策の仕組み作りの支援を進めること。 2 地域公共交通対策の推進  (一) 地域公共交通対策は、交通分野のみならず、まちづくりや観光など様々な分野で大きな効果をもたらすことから、県は地域住民の主体的な参加の意識付けを行うとともに住民や交通事業者、行政など様々な主体と連携し、地域の多様な交通の組合せによる地域公共交通網形成計画の策定を支援すること。  (二) 県は、高齢ドライバーの事故防止のため、踏み間違い防止機能などの安全運転サポート車の普及促進を積極的に図るほか、運転免許証の自主返納を促す施策として、返納後の生活全般の不安の払拭や「住民バスの無料・割引」、「タクシー料金割引」等の生活の足の確保等の市町村の施策を支援すること。  (三) 県は、関係部局との連携により、運転免許証の自主返納者等を含めた高齢者の外出機会の創出を支援し、心身両面での健康についても配慮した交通施策の構築を行うような仕組みを支援すること。 3 中山間地域における「小さな拠点」の形成推進  (一) 県は、中山間地域等の集落や地域コミュニティ維持に向け、地域をよく知る住民や行政が一体となり、地域の生活実感に基づいた解決方針を定めるため、今後も市町村等が積極的に活動できる体制を支援すること。  (二) 県は、地域おこし協力隊の着任前後の理想と現実のギャップやミスマッチの防止や期待する役割の相互理解が進むよう支援するとともに、任期終了後を見据え、具体的な定住フォローアップの強化支援を行うこと。また、集落支援員等の人材活用について、先進事例によるその有効性の情報提供に努め、市町村での人材活用の導入を支援すること。 4 地域産業の競争力強化の促進  (一) 県は、耕作放棄地の有効活用のため、地元の住民や農業者団体、企業などが連携し、より具体的な情報発信の仕組みづくりを支援すること。農林水産業においては、首都圏における県内農林水産業の魅力発信と就業に関する相談の受付、体験・研修などを通じて就業促進を図ること。  (二) 県は市町村が商工会議所や商工会と連携し、商店街の魅力アップに取組む施策について、国の「空き店舗総合支援パッケージ」や県の補助事業の積極的な活用を支援し、モデルケースを作り周知すること。 新型コロナウイルス感染症のような無視できない大きな変化、生活様式や社会の在り方の変化があり、また、コロナ禍による田園回帰、分散型社会への機運の高まりにより、地域再生への取組や移住・定住政策は大きな転換期を迎えようとしている。アフターコロナ時代を迎えるにあたり、社会経済情勢の変化を注視しながら大きな成長の芽を見つけ、適宜、長期ビジョンについての検証と見直しを行うとともに、地域の実情をよく知る圏域単位のビジョンや施策を十分に尊重するよう求める。 報告の結びにあたり、今期は、新型コロナウイルス感染症の拡大の状況を鑑み、予定していた県内調査及び県外調査が取りやめとなり、調査を尽くすことができなかった。したがって、今後、新たな時代の地域再生の取組を検討するため、機会を捉え特別委員会を設置し、改めて調査活動を行う必要があると当委員会では考える。 以上、これらの提言が今後の関係施策に十分反映されることを期待して、報告とする。  令和二年十一月二十日            宮城県議会地域再生対策調査特別委員長 渡辺忠悦 宮城県議会議長 石川光次郎殿…………………………………………………………………………………………… ○議長(石川光次郎君) これより質疑に入ります。 委員長報告に対し、質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。----------------------------------- △散会 ○議長(石川光次郎君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後一時三十七分散会...