宮城県議会 > 2020-09-24 >
10月01日-03号

  • "損益勘定留保資金等"(/)
ツイート シェア
  1. 宮城県議会 2020-09-24
    10月01日-03号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 2年  9月 定例会(第375回)          第三百七十五回宮城県議会(定例会)会議録                              (第三号)令和二年十月一日(木曜日)  午前十時開議  午後三時四十分散会      議長                     石川光次郎君      副議長                    齋藤正美君出席議員(五十六名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  小畑きみ子君        第三番                  三浦ななみ君        第四番                  石田一也君        第五番                  柏 佑賢君        第六番                  福井崇正君        第七番                  渡邉重益君        第八番                  わたなべ 拓君        第九番                  伊藤吉浩君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  枡 和也君       第十三番                  佐藤仁一君       第十四番                  遠藤伸幸君       第十五番                  八島利美君       第十六番                  瀬戸健治郎君       第十七番                  櫻井正人君       第十八番                  村上久仁君       第十九番                  高橋宗也君       第二十番                  庄田圭佑君      第二十二番                  遠藤隼人君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  渡辺忠悦君      第二十六番                  佐々木功悦君      第二十七番                  境 恒春君      第二十八番                  太田稔郎君      第二十九番                  高橋 啓君       第三十番                  横山のぼる君      第三十一番                  渡辺勝幸君      第三十二番                  横山隆光君      第三十三番                  佐々木賢司君      第三十四番                  守屋守武君      第三十五番                  外崎浩子君      第三十六番                  佐々木幸士君      第三十七番                  村上智行君      第三十八番                  高橋伸二君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  菅間 進君      第四十二番                  坂下 賢君      第四十五番                  吉川寛康君      第四十六番                  伊藤和博君      第四十七番                  庄子賢一君      第四十八番                  菊地恵一君      第四十九番                  佐々木喜藏君       第五十番                  石川光次郎君      第五十一番                  中島源陽君      第五十二番                  本木忠一君      第五十三番                  中山耕一君      第五十四番                  齋藤正美君      第五十五番                  安藤俊威君      第五十六番                  畠山和純君      第五十七番                  仁田和廣君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠席議員(一名)      第四十三番                  ゆさみゆき君欠員(二名)      第二十一番      第四十四番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    佐野好昭君      副知事                    遠藤信哉君      公営企業管理者                櫻井雅之君      総務部長                   大森克之君      震災復興・企画部長              佐藤達哉君      環境生活部長                 鈴木秀人君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   佐藤夏人君      水産林政部長                 小林徳光君      土木部長                   佐藤達也君      会計管理者兼出納局長             宮川耕一君      総務部参事兼秘書課長             藤田信治君      総務部参事兼財政課長             小野寺邦貢君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      理事兼教育次長                小林一裕君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   鈴木雄貴君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   山本雅伸君    公安委員会      警察本部長                  千野啓太郎君      総務部長                   内海裕之君    労働委員会      事務局長                   蜂谷 洋君    監査委員      委員                     石森建二君      事務局長                   斉藤敬一君-----------------------------------    議会事務局      局長                     小野和宏君      次長兼総務課長                小野寺 明君      参事兼議事課長                菅原 正君      参事兼政務調査課長              二瓶克之君      総務課副参事兼課長補佐            砂金義徳君      議事課長補佐                 二上秀幸君      政務調査課長補佐               長谷川共子君      議事課長補佐(班長)             田村和江君      議事課主幹                  渡辺祐司君-----------------------------------    議事日程 第三号                  令和二年十月一日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案、議第百五十号議案、議第百五十一号議案及び報告第六十四号ないし報告第八十三号第三 議第百五十七号議案 令和元年度宮城県一般会計決算及び各特別会計決算の認定について第四 議第百五十八号議案 令和元年度宮城県公営企業会計決算の認定について第五 議第百五十九号議案 令和元年度宮城県水道用水供給事業会計処分利益剰余金の処分について第六 議第百六十号議案 令和元年度宮城県工業用水道事業会計処分利益剰余金の処分について第七 議第百六十一号議案 令和元年度宮城県地域整備事業会計処分利益剰余金の処分について第八 議第百六十二号議案 令和元年度宮城県流域下水道事業会計処分利益剰余金の処分について第九 報告第八十四号 令和元年度宮城県水道用水供給事業会計継続費精算の報告について第十 報告第八十五号 令和元年度宮城県工業用水道事業会計継続費精算の報告について第十一 報告第八十六号 令和元年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率の報告について第十二 一般質問(代表)   〔菊地恵一君、佐々木功悦君、天下みゆき君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二ないし日程第十一       議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案、議第百五十号議案、議第百五十一号議案及び報告第六十四号ないし報告第八十三号       議第百五十七号議案ないし議第百六十二号議案及び報告第八十四号ないし報告第八十六号三 日程第十二 一般質問(代表)       〔菊地恵一君、佐々木功悦君、天下みゆき君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(石川光次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(石川光次郎君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、九番伊藤吉浩君、十番大内真理君を指名いたします。----------------------------------- △諸報告 ○議長(石川光次郎君) 御報告いたします。 お手元に配布のとおり、令和二年度政策評価・施策評価に係る評価の結果の概要について提出がありました。----------------------------------- △議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案 △議第百五十号議案 △議第百五十一号議案 △報告第六十四号ないし報告第八十三号 △議第百五十七号議案ないし議第百六十二号議案 △報告第八十四号ないし報告第八十六号 △一般質問(代表) ○議長(石川光次郎君) 日程第二ないし日程第十一、議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案、議第百五十号議案、議第百五十一号議案及び報告第六十四号ないし報告第八十三号並びに議第百五十七号議案ないし議第百六十二号議案及び報告第八十四号ないし報告第八十六号を一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました議第百五十七号議案及び議第百五十八号議案は、一般会計及び特別会計並びに公営企業会計の令和元年度決算について、それぞれ議会の認定をお願いするもの、議第百五十九号議案ないし議第百六十二号議案は、水道用水供給事業会計工業用水道事業会計地域整備事業会計及び流域下水道事業会計の令和元年度未処分利益剰余金の処分について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであり、詳細につきましては、会計管理者及び公営企業管理者から御説明申し上げます。 何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。 ○議長(石川光次郎君) 会計管理者から説明を求めます。会計管理者兼出納局長宮川耕一君。    〔会計管理者兼出納局長 宮川耕一君登壇〕 ◎会計管理者兼出納局長(宮川耕一君) 令和元年度宮城県歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。 初めに、県政運営の状況についてであります。 令和元年度の我が国の経済は外需が弱い中、雇用・所得環境の改善等により内需を中心に緩やかに回復してきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により景気は急速に悪化し年度末には極めて厳しい状況となりました。 このような中、本県の経済動向は、年内は雇用や住宅投資、公共投資は高水準を維持したものの年明けから震災復興需要の反動などから総じて回復の動きが鈍化し、生産や住宅投資などで弱めの動きが見られました。 令和元年度の県政運営においては、引き続き震災対応分を優先し復旧・復興の完遂に向けた取組を着実に推進するとともに、復興の進展に伴い生じる新たな課題への対策や復興需要の収束も視野に入れた経済振興策に加え、その他の行政課題にも的確に対応した財政運営を目指しました。 このため、予算編成に当たっては、震災対応分について国の制度や支援を最大限活用しながら宮城県震災復興計画に掲げた施策を円滑に実施できるよう努めるとともに、継続的な対応が求められる取組については復興計画期間の終了後を見据え、その在り方を検討していくこととしました。また、通常分については、引き続き必要性や適時性、優先度などの観点で徹底した見直しを行った上で、宮城県地方創生総合戦略に掲げた施策などに予算を重点配分し、将来にわたる財政の健全性の確保に留意しつつ効果的・効率的な財政運営に努めました。更には、令和元年東日本台風による被害への対応や、国が公表した新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策を踏まえた対策に要する経費等について、状況の変化に即応した補正予算の編成を行いました。 こうした財政状況の中で、令和元年度は宮城県震災復興計画に定める発展期の二年目として、震災からの復旧・復興に向けた施策に最優先で取り組むとともに、地方創生の推進や富県宮城の実現に向けた施策のほか、持続可能な地域社会の形成に向けた施策に取り組みました。 被災された方々の生活再建については、防災集団移転促進事業の全ての計画地区で造成工事が完了し住宅などの建築工事の着手が可能となったほか、仮設住宅や災害公営住宅等に入居されている方々へのきめ細かな支援を行い、早期の生活再建に向けてハード及びソフトの両面から取り組みました。 保健・医療・福祉については、心のケアセンターや子どもの心のケアハウスの運営を支援し、引き続き被災者の心のケアに関する体制の整備に努めました。 経済基盤の再構築については、引き続きグループ補助金等により被災事業者の事業再開を支援し、販路の回復・開拓や取引拡大に向けた取組を推進しました。 また、観光については、通年観光キャンペーンを実施するとともに、東北各県と連携しトップセールスを行うなど外国人観光客の誘致に取り組みました。 農林水産業については、引き続き被災した農地や漁港施設の復旧を推進しました。また、スマート農業の推進による生産性向上の取組やだて正夢、にこにこベリーをはじめとした県産農林水産物のブランド戦略の展開や販路拡大など、様々な取組をより機動的に展開しました。 公共土木施設については、引き続き他自治体からの応援など可能な限り人員を配置するとともに、外部委託なども活用することで事業の円滑な進捗を図り災害復旧事業における箇所ベースの完成率は九六%となるなど、震災復興計画期間内に復旧・復興工事を完了させるよう取り組みました。 教育については、志教育を推進するなど宮城の将来を担う人づくりを進めるとともに、県民が生きがいを持ち生涯にわたり学ぶことができるよう豊かな文化と活力ある地域社会の形成に努めました。 また、本県では十月に発生した令和元年東日本台風により、死者・行方不明者が二十一人に達するなど甚大な被害が生じました。県では災害対策本部を設置し、初動対応として捜索救助活動など被災者の救助・救援を国等と協調して行うとともに、予算措置を講じ応急仮設住宅の建設、公共土木施設や農地等の災害復旧事業を実施したほか、市町村の災害廃棄物処理を支援するため県内外での広域処理の調整等を行いました。 更に、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応するため、宮城県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置するとともに、緊急予算措置を講じ県民等への周知・相談体制の整備や医療体制の確保など、全庁挙げて感染拡大防止に取り組みました。 次に、一般会計及び特別会計の決算額について御説明申し上げます。 令和元年度の最終予算規模は、一般会計で一兆三千七百七十億六千六百余万円、特別会計で四千四百五十五億八千五百余万円、合計一兆八千二百二十六億五千二百余万円となり、前年度に比べ四百十五億九千百余万円、二・二%の減となりました。一般会計において復興事業の進展により復興関連予算が減少しているほか、流域下水道特別会計を企業局に移管したことによる減少が主な要因であります。 これらの執行に当たりましては、議会の議決の趣旨を踏まえ財源の適切な確保と事業の効率的な執行に意を用いるなど、適正な執行に努力してまいりました。 まず、歳入決算についてでありますが、決算額は一般会計で一兆一千八百七十九億九千六百余万円、特別会計で四千四百七十五億一千余万円、合計一兆六千三百五十五億七百余万円となり、前年度に比較し七百七十六億九千八百余万円、四・五%の減となっております。 歳入の主要科目について見ますと、県税については、県費負担教職員制度の見直しに伴う政令指定都市への税源移譲による個人県民税の減少や地方消費税の減少等により、県税全体で二千九百二十億三千四百余万円と前年度に比べ六十九億九千七百余万円の減となりましたが、一般会計に占める県税の割合は二四・六%となり前年度より〇・四ポイント高くなっております。 地方交付税は、令和元年東日本台風の影響により特別交付税が増加し、二千三十七億余万円と前年度に比べ百二十七億七千六百余万円、六・七%の増となっております。 国庫支出金は、災害復旧費国庫負担金災害復旧費国庫補助金などのうち東日本大震災からの復旧・復興に係るものの減少により、二千百八億八千六百余万円と前年度に比べ二百六十一億一千六百余万円、一一%の減となっております。 繰越金は、繰越事業費の減少により八百九十五億三千二百余万円と前年度に比べ二百五十二億一千五百余万円、二二%の減となっております。 収入未済額については、一般会計で一千三百八十五億八千百余万円となっておりますが、そのうち国庫支出金が一千三百億三千二百余万円で、その主なものは翌年度繰越事業に係る国庫支出金であります。 また、特別会計の収入未済額は一億一千六百余万円となっておりますが、その主なものは貸付金の未返還金であります。 次に歳出決算についてでありますが、決算額は一般会計で一兆九百四十九億八千八百余万円、特別会計で四千四百二十二億五千四百余万円、合計一兆五千三百七十二億四千三百余万円で前年度に比較し七百八十五億六千九百余万円、四・九%の減となっております。 一般会計の歳出決算総額に占める構成比が最も高いのは、教育費の一六・三%であり、次いで民生費一二・六%、土木費一一%、諸支出金一〇・七%、公債費一〇・二%の順になっております。 主な特別会計の歳出決算額については、公債費特別会計が二千三百六十七億八千二百余万円、国民健康保険特別会計が一千九百七十五億六千余万円となっております。 なお、主な事業の実績については、宮城の将来ビジョン及び宮城県震災復興計画成果と評価のとおりであります。 次に令和二年度への予算の繰越しについては、一般会計において繰越明許費が二千百四十一億六千八百余万円、事故繰越が三百十三億四千四百余万円となり、特別会計においては、繰越明許費が八億四千七百余万円、事故繰越が一億七千七百余万円となっております。 不用額については、一般会計で三百六十五億六千四百余万円、特別会計で二十三億五百余万円となりましたが、これは事業の執行残などによるものです。 実質収支については、一般会計で百四十五億八千九百余万円の黒字となり、前年度の一般会計の実質収支額に比較し四十四億六千二百余万円、二三・四%の減となりました。 次に、基金については、県債管理基金などの年度末残高が増加している一方、地域整備推進基金東日本大震災復興交付金基金などの取崩しにより基金全体としては前年度より九億一千七百余万円減少しております。 以上をもちまして、令和元年の決算の概要についての説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(石川光次郎君) 公営企業管理者から説明を求めます。公営企業管理者櫻井雅之君。    〔公営企業管理者 櫻井雅之君登壇〕 ◎公営企業管理者(櫻井雅之君) 令和元年度宮城県公営企業会計の決算の概要及び利益の処分について御説明申し上げます。 企業局では、水道用水供給事業工業用水道事業地域整備事業に土木部から移管された流域下水道事業を加え四事業を実施しており、地方公営企業の経営の基本原則である企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉の増進を図るため事業の運営に努めているところです。 しかしながら、経営する事業を取り巻く環境は、水道事業では人口減少社会の到来や節水型社会の進展、産業構造の変化等による水需要の減少に加え、施設の老朽化に伴う更新・修繕への対応や東日本大震災の教訓を踏まえた耐震化の推進など課題が山積しており、また、地域整備事業では、仙台港国際ビジネスサポートセンター、愛称アクセルや仙台港周辺地域に保有する資産の有効活用のほか、新たな人の流れが生まれている仙台港周辺地域の更なるにぎわいの創出などの取組が求められております。 このような中で令和元年度は、水道施設の耐震化工事や災害時バックアップ体制の整備などに取り組んだほか、公共施設等運営権制度を活用した、いわゆるみやぎ型管理運営方式の令和四年四月からの導入に向け手続を進めているところです。 また、地域整備事業では、保有資産の適正な運営を行ったほか、仙台港周辺地域のにぎわい創出についても周辺企業と連携し取り組んでまいりました。 今後も厳しい経営環境が続くものと想定されますが、市町村や関係団体との連携を強化し、将来を見据えた事業の安全性、安定性、持続可能性の確保に努めてまいります。 以下、各事業会計の決算概要について御説明申し上げます。 初めに、水道用水供給事業会計について御説明申し上げます。 水道用水供給事業は、大崎広域水道事業及び仙南仙塩広域水道事業の二事業で、給水対象の二十五市町村に対し九千四百余万立方メートルの水道水を供給しました。 収益的収入の決算額は百六十四億九千五百余万円、収益的支出の決算額は百十六億三千余万円となっており、四十四億四千二百余万円の純利益となっております。 資本的収支に係る建設工事については、大崎広域水道事業では多重無線設備更新工事等を、仙南仙塩広域水道事業では脱水機機械設備更新工事等を実施しました。 資本的収入の決算額は十二億三千二百余万円、資本的支出の決算額は百六億五千八百余万円となり、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額、九十四億二千六百余万円は過年度分損益勘定留保資金等で補填しております。 水道用水供給事業については、水道施設の耐震化や強靱化に取り組んだほか、災害時バックアップ体制の整備などを計画的に進めるとともに、近年発生しているカビ臭や大雨等に起因する水質悪化に対し迅速かつ適切に対応するなど、安全で良質な水の供給に努めました。 今後も水需要に応じた適正規模での施設更新を進めるほか、安全・安心な水の安定供給を継続できるよう、みやぎ型管理運営方式の導入に向け国や受水市町村等関係機関と連携し、慎重かつ確実に取り組んでまいります。 次に、工業用水道事業会計について御説明申し上げます。 工業用水道事業は、仙塩工業用水道事業、仙台圏工業用水道事業及び仙台北部工業用水道事業の三事業で計七十事業所に対して、年間三千二百余万立方メートルの工業用水を供給しました。 また、仙南工業用水道事業は、事業廃止に伴う清算事務が完了しました。 収益的収入の決算額は十九億三千百余万円、収益的支出の決算額は十五億四千七百四万円となっており、三億四千百余万円の純利益となっております。 資本的収支に係る建設工事については、仙塩工業用水道事業では大梶浄水場排水管路改築工事等を、仙台圏工業用水道事業及び仙台北部工業用水道事業では伸縮可とう管補強工事等を実施しました。 また、仙南工業用水道事業では、事業廃止による清算事務として企業債の償還を行いました。 資本的収入の決算額は二億三千四百余万円、資本的支出の決算額は八億三千四百余万円となり、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額、五億九千九百余万円は過年度分損益勘定留保資金等で補填しております。 工業用水道事業については、産業構造の変化などによる水需要の停滞に加え、東日本大震災で被災した受水事業所の廃止による水需要の減少など、経営環境はより一層厳しい状況にあります。 今後とも経営状況の改善に向けた検討結果を踏まえ、更新投資の抑制を意識した事業経営を行ってまいります。 次に、地域整備事業会計について御説明申し上げます。 地域整備事業は、アクセルの運営や仙台港周辺地域における土地の貸付けを行いました。 収益的収入の決算額は五億三千七百余万円、収益的支出の決算額は三億二百余万円となっており、二億三千四百余万円の純利益となっております。 資本的収支については、流域下水道事業会計への貸付けを行ったほか、他会計からの長期貸付金返還金を受け入れております。 資本的収入の決算額は五億三千余万円、資本的支出の決算額は十二億一千万円となっており、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額、六億七千九百余万円は繰越現金等で補填しております。 地域整備事業については、保有資産の適正な管理運営に努めるとともに、仙台港周辺地域のにぎわいを確かなものとするための推進母体である官民連携組織、仙台港周辺地域賑わい創出コンソーシアムの事務局として運営を支援しております。 今後も保有資産の有効かつ効率的な運用や官民連携による仙台港周辺地域の更なるにぎわい創出に向けて事業を進めてまいります。 最後に、流域下水道事業会計について御説明申し上げます。 流域下水道事業は、仙塩流域下水道事業、阿武隈川下流流域下水道事業、鳴瀬川流域下水道事業、吉田川流域下水道事業、北上川下流流域下水道事業、北上川下流東部流域下水道事業、迫川流域下水道事業の七事業で、二十六市町村が管理する公共下水から一億立方メートル余の汚水を受け処理しました。 収益的収入の決算額は百六十億二千五百余万円、収益的支出の決算額は百四十八億九千四百余万円となっており、十一億五千六百余万円の純利益となっております。 資本的収支に係る建設工事については、主なものとして仙塩流域下水道事業の仙塩浄化センター汚泥焼却施設改築工事、北上川下流東部流域下水道事業の河北桃生幹線藤巻管渠移設工事等を実施しました。 資本的収入の決算額は二十六億七千余万円。資本的支出の決算額は二十七億一千百余万円となり、資本的収入が資本的支出に対して不足する額、四千余万円は引継金等で補填しております。 流域下水道事業については、下水道施設の計画的な更新や耐震化に取り組んだほか、処理後、放流水が放流先の河川や海域の水質に悪影響を与えないよう浄化センターごとに法令基準よりも厳しい県独自の管理目標値を定めた運転を実施し、公共用水域の水質維持に努めました。 今後も公衆衛生の向上と公共用水域の水質保全に資するため、下水道施設の適切な運用、維持管理に努めてまいります。 続きまして、公営企業会計の利益の処分について御説明申し上げます。 水道用水供給事業会計においては、令和元年度の純利益である四十四億四千二百余万円と、減債積立金から取り崩して企業債の償還に使用したことにより、未処分利益剰余金となる四十三億二千六百余万円の合わせて八十七億六千八百余万円が未処分利益剰余金として発生しております。このうち四十四億四千二百余万円は、翌年度以降の企業債の償還に要する財源として減債積立金に積立てを行い、また、四十三億二千六百余万円は資本金に組み入れる予定としております。 工業用水道事業会計においては、令和元年度の純利益である三億四千百余万円と、減債積立金から取り崩して企業債の償還に使用したことにより、未処分利益剰余金となる六千五百余万円の合わせて四億六百余万円が未処分利益剰余金として発生しております。このうち三億四千百余万円は、翌年度以降の施設更新に要する財源として建設改良積立金に積立てを行い、また、六千五百余万円は資本金に組み入れる予定としております。 地域整備事業会計においては、令和元年度の純利益である二億三千四百余万円の未処分利益剰余金が発生しており、全額を一般会計へ納付する予定としております。 流域下水道事業会計においては、令和元年度の純利益から前年度繰越欠損金を減じた結果、九億五千五百余万円の未処分利益剰余金が発生しており、全額を翌年度以降の企業債の償還に要する財源として減債積立金に積み立てる予定としております。 以上をもちまして、令和元年度公営企業会計の決算の概要及び利益の処分についての説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
    ○議長(石川光次郎君) 公営企業管理者から発言を訂正したい旨の申し出がありますので、発言を許します。公営企業管理者櫻井雅之君。 ◎公営企業管理者(櫻井雅之君) 十一ページの二行目でございますが、二十六市町村というものに対しまして二十七市町村と言いました。二十六市町村の訂正でございます。また同じページでございますが、七行目でございます。資本的収入の決算額というところを収益的収入の決算額と言ってしまいました。正確には資本的収入の決算額でございます。大変失礼いたしました。 ○議長(石川光次郎君) 決算に係る各部局長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 地方自治法第二百四十三条の二第二項の規定により、関係議案について県監査委員の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。……………………………………………………………………………………………                            宮監委第94号                          令和2年9月24日 宮城県議会議長 石川光次郎殿                      宮城県監査委員 本木忠一                      宮城県監査委員 太田稔郎                      宮城県監査委員 石森建二                      宮城県監査委員 成田由加里           条例案に対する意見について 令和2年9月23日付け宮議第227号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。                 記「議第137号議案 知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は,地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)の一部改正に伴うものであり,異議ありません。…………………………………………………………………………………………… ○議長(石川光次郎君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第十二、一般質問とを併せて行います。 質疑、質問は、順序に従い許します。四十八番菊地恵一君。    〔四十八番 菊地恵一君登壇〕 ◆四十八番(菊地恵一君) おはようございます。自由民主党・県民会議の菊地恵一でございます。議長のお許しをいただきましたので会派を代表して質問を行わせていただきます。 大綱八点ございますがどうぞ順次よろしくお願いしたいと思います。 まず、大綱一点目、四期目のラスト一年を迎える知事の政治姿勢についてということで質問いたします。 昭和三十五年八月二十日生まれの村井知事は本年還暦をお迎えになりましたが、本来であればそのお祝いの席も多くあったことかと存じますが、コロナ禍の中ではそれもかなわず少し残念な状況だったかもしれません。この場をお借りいたしまして改めて還暦のお祝いを申し上げたいと思います。おめでとうございます。 さて、その村井知事が宮城県知事に就任されたのは平成十七年十一月のことでした。以来、今日まで四回の知事選を経て現在四期目の三年目を迎えております。実は現在の県議会議員の五期生以上は県議会議員時代の村井知事を御存じでございますが、私ども平成十九年初当選の四期生以下は知事が知事となってからの当選であり、私どもにとっての知事は村井知事お一人でもありました。 この間、十三年と六か月、県政の両輪の輪として共に歩んでまいりましたが、また今年もいろいろな話題となった案件がございました。 二月議会におきましては宿泊税が提案され、私ども自由民主党・県民会議としても慎重に検討を重ねましたが、会派からの制度内容の変更、更には議案の取下げという二回にわたる提案に対し、新型コロナウイルス感染症拡大の状況なども鑑みて速やかに決断をいただけたことは内容はともかくとして、知事として一度提案した議案の取下げという通常はあり得ないことに対応いただきましたことに敬意を表したいと思います。 更に六月議会では県立高校へのエアコンの設置が話題となりましたが、これも議会最終日の七月六日月曜日でございましたが、自由民主党・県民会議と公明党県議団、そして二十一世紀クラブのいわば直談判に応じていただき、その週のうちに予算を確認して方針を転換し、わずか十五日後の二十一日の臨時議会に全体の半数ではありましたがエアコン設置の議案を提案いただき可決成立。更に、引き続き今回の議会に残る学校への設置の議案も提案され、一〇〇%の満額回答となりました。 村井知事はこの在任期間を通じてトヨタ自動車株式会社の県への誘致だったり、また平成二十三年の東日本大震災からの復旧・復興に向けての取組など、様々な県政課題に時に斬新な視点をもって当たってこられました。 また、先ほどの宿泊税やエアコンについても、私ども議会へいわば大人の対応をしていただいたと思っております。 政治家は何をどうしたところで、その仕事ぶりで非難されることはあっても褒められることはほとんどないと、あるいはたまに褒められてもそれはすぐ忘れられてしまう立場だとも言われておりますが、私はこれまでの十五年間の知事としての活躍に改めて尊敬と敬意を表したいと思います。 そこで、間もなく四年目の最後の一年となり、更に東日本大震災からの十年目の年を迎え、また、今回のコロナ禍の中の状況を踏まえて知事としてどのような所感をお持ちか、更にどのような方向性を持って県政運営に当たろうとしているのかについて、まずお尋ねいたします。 次に、県立高校へのエアコンの設置についてでございます。 先ほど申し上げましたように七月補正予算では、全学校数七十二校のうち整備済みの美田園高校を除く七十一校の中で、整備順位が高いとされた三十一校分のエアコン設置へ約二十三億円の予算が措置されました。その整備順位の決定には多少の異論もありましたが、時間を置くことなく引き続き今回の九月補正予算案では、再編統合や校舎建設中の三校を除く三十七校分のエアコン設置にかかる約二十七億円の予算が計上されましたことは、夏の暑さが年ごとに厳しく感じられるこの状況において、学生や保護者の皆様にとってはまさに朗報だと思います。 しかしながら、それらの工事は家庭用エアコンの設置と状況が違う大きな工事が必要とされますが、現在の段階でそれぞれいつ頃までに設置を完了する予定なのか、お尋ねいたします。 また、七月補正及び九月補正によるエアコン設置工事は、これまでのまず設計を行ってから施工者を選定するという設計・施工分離方式ではなく、設計事務所と施工者がコンソーシアムを組んで業務を受注するデザインビルド方式を採用することにより、工事期間の短縮を目指したいと伺いました。このデザインビルド方式をいわば厳格に行政としてのルールが定められている公共施設工事で採用する場合、そのメリット並びにデメリットがあると思われますが、まずはその点についてお示しください。 更に、私の素人としての認識でもスピーディーな設計施工を目指す場合には、今後もこのデザインビルド方式の適用が有効と考えますがいかがでしょうか、御所見をお尋ねいたします。 また、今回のエアコン設置に関する入札については、その工事が県内各地に所在する高等学校が現場になるということで、県内それぞれ地元業者の方々への受注への期待も高いと推察されますが、そのような地元業者の方々の受注が可能となるような配慮はなされているのでしょうか。 ところで、エアコンには電気で作動するエアコンのほかにガスによって作動するガスエアコンもあります。私の地元大崎市でも先に整備された小中学校の中でガスが配管されている地域では、現実にガスエアコンが設置されている学校もあり、この夏にそれらの学校の調査に訪問した際の印象では、まずパワフルで立ち上がりが早く、静音性にも優れているというような感じでした。設置の初期費用は若干割高ではありますが、ランニングコストは割安とも伺います。そのような観点も加味して、地域によってはガスによる施工も可能とする入札になるのかどうかについてもお尋ねいたします。 次に、大綱三点目、女川原子力発電所二号機の再稼働について質問を行います。 東日本大震災以降、全国の原子力発電所が停止し石油や天然ガスなどの利用量が大幅に増加しておりますが、これらの化石燃料の約四割を占める石油の八割以上は中東からの輸入に頼っており、二〇一八年度でのエネルギー自給率はたった一一・八%で、G7の中で最低、世界的にも三十四位という低い数字となっており、これはエネルギーの安全保障上の重要な問題と言わざるを得ません。 また、異常気象の原因と言われる地球温暖化問題が深刻化する中、化石燃料への依存度の高まりによる温室効果ガス排出量の増加も大きな課題となっており、七月三日に梶山経済産業相は、二〇三〇年までに非効率な石炭火力をフェードアウトする具体的な手法を含めた仕組みづくりを目指すことを表明し、環境適合性を意識した電源構成は大きな課題となっています。 更に、再生可能エネルギーについて目を向けますと、太陽光や風力などを現在以上に普及させるためには蓄電の技術の進化が必須ですが、その蓄電技術はいまだ研究段階で量産化による低価格化も実現が見通せない状況です。 また、自然条件によって発電電力が大きく変動するため火力発電との組合せも必要になりますし、太陽光発電のパネルの景観や反射光の問題、大雨の際の地滑り、土砂崩れ、被害施設の放置などの問題も顕在化しており反対運動も現実に起きております。つまり再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しないというメリットのみが注目をされていますが、その発電が自然条件に大きく左右されることや景観問題、あるいは風力発電の低周波による健康被害など、現時点では火力発電や原子力発電にとって代われるベースロード電源にはなり得ない状況であることは理解しなければなりません。 また、よく原子力発電所が止まっていても停電は起きないのだから電力は足りていると主張される方もいらっしゃいますが、停電を起こさないために電力会社は様々な努力をしており、時にはほかの電力会社から電力の融通を受けるなどの方法をとりながら、安定した電力の供給に努めているというのが現状であって、そのことからも目を背けることはできませんし、原子力発電所が停止していても電力の供給力は万全だという見方は不適切だと言わざるを得ません。しかも電力は家庭用だけではなくて多くの産業の分野でも使用されるものであり、もし電気が止まるようなことがあれば日常生活だけではなく産業にも大きな混乱が生じることは明らかです。したがって現在の状況においては、宮城県内の産業と県民の皆さんの毎日の生活を守るためにも、低廉かつ良質な電力の安定供給が必要なこと、温室効果ガスを排出しない環境適合性の高い電源が求められること、また、その一方で今後拡大が見込まれる再生可能エネルギーには様々な課題があることなどを踏まえると、もちろん発電所の安全性がしっかりと担保されたという条件の上ですが、やはり女川原子力発電所二号機の再稼働が当面は必要と考えます。村井知事は議会の判断をもって対応するとかねてより発言をされておりますが、この原子力発電を取り巻く状況にどのような見解をお持ちでしょうか、お伺いいたします。 一方、女川町、石巻市にわたる両地域において、原子力発電所が建設され電力の安定供給に大きな役割を果たしてきたとともに、建設事業を含め四十年以上にもわたる長い期間、地元の雇用創出や経済発展に寄与してきたことは事実ですし、運転を停止している現在でも、七月一日現在、五百四十四名の東北電力の社員の方々と発電所構内で勤務する協力会社の社員も六月三十日現在で二千二百二十名に上り、その方々の一部は女川町や石巻市に居住あるいは地域のホテルに宿泊して勤務するなど、地域コミュニティーの一端も担われていると伺いました。 更に、固定資産税や国の電源三法交付金などを直接的に自治体財源に貢献したことも含め、知事はどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。 女川町議会や石巻市議会での議決も、このあたりの要因によるところも大きいのではないかと推察をいたしますが、併せて所感をお伺いいたします。 また、東日本大震災後、私もいろいろな資料を当たり、また関係者からお話を伺い、更に八月二十八日には会派の環境・エネルギー議連のメンバーによって、女川原子力発電所を調査し停止中の第二号機の原子炉建屋の中も視察をすることができました。 これらのことから理解できるのは、東京電力福島第一原子力発電所と女川原子力発電所の相違点、更に申し上げれば両者の企業風土の違いというような観点です。 原子力発電所が万が一事故を起こした場合には、まず原子炉を止めて燃料を冷やして放射性物質を閉じ込めるという考え方で安全を確保するように設計がされております。しかし、福島第一原子力発電所はアメリカのゼネラル・エレクトリック社の設計によるもので、地震直後には確かに原子炉を止めて燃料を冷やすことには成功しましたが、その後の津波によって敷地内及び発電所建屋内に大規模な浸水が発生し、多くの冷却装置や電源装置が浸水して機能を喪失してしまうという状況に陥り、結果、燃料の崩壊熱を除去できず燃料の溶解、炉心の損傷、水素爆発へと事故が拡大いたしました。これらの冷却装置や電源装置がほぼ全て海側あるいは低地に存在し、そのことに危機意識を持たなかったことも事故の原因の一つだとも指摘されております。 一方、女川は設計時点から敷地の高さを慶長地震や貞観地震等の古い記録を基に、当初の想定から大きく上回る十四・八メートルとしており、その結果約十三メートルの津波の影響をわずかなものに抑えられましたし、安全最優先という考え方の下、海水ポンプの設置も工夫がなされ、更に岩手・宮城内陸地震など地震や土木学会の指針改定などを踏まえて早期に耐震工事も行い、結果、東日本大震災でも事務所建屋を含めて大きな被害を受けることはなかったとも伺いました。 更に電源対策も多重化の防御が準備されており、よく外部電源が一本しか残っておらず極めて危険な状態だったと主張される方もおられますが、実際にはあの全県的な停電の中でも外部電源一本をちゃんと確保できていたという言い方が正確なところで、加えて非常用発電機八台が津波被害のない高台に設置をされており、慎重な検討と準備が重ねられてきた結果、震災時にも設計どおり原子炉を止めて燃料を冷却し続け、放射性物質を閉じ込めることに成功したということが現実であり、東京電力福島第一原子力発電所のような深刻な事故を引き起こしたわけではないことは、事実として認めなければならないと思います。このような東京電力福島第一原子力発電所と女川原子力発電所の違いを知事はどのように認識をされていらっしゃるんでしょうか。 ところで、原子力規制委員会から女川原子力発電所二号機の原子炉設置変更許可が交付されたことを受け、三月二日に梶山経済産業大臣から再稼働に関する理解確保要請があり、その一環としてコロナ禍の中ではありましたが八月一日から八月十九日までの期間中、四自治体の七会場で住民説明会が開催されました。合計七百五十七名の参加があったと伺いましたが、私もホームページで拝見いたしました。その成果と課題について知事はどのように考えておられるか、所見をお伺いいたします。 また、八月六日に村井知事は女川町の須田町長、石巻市の亀山市長らとともに女川原子力発電所を視察されたと伺いました。私ども自由民主党・県民会議の環境・エネルギー議連でも先ほど申し上げましたとおり、八月二十八日に現地を視察し安全対策工事を調査確認し、防潮堤や原子炉建屋内のフィルタベント等の実物の装置も目の前で拝見してまいりました。知事御自身が女川原子力発電所を視察された際、知事もその様子を御覧になられたかと思いますが、どのような所感をお持ちになられたか、改めてお伺いいたします。 次に、四番目、県有施設の再編について質問を行います。 宮城県美術館を宮城県民会館及びみやぎNPOプラザと集約移転する方向で基本方針が策定されてから、専門家や関係者をはじめとした県民の方々による美術館現地存続を求める活動が広がりを見せておりますが、県としてはこの状況をどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。 また、概算事業費約五十億円から六十億円の現在地での増改築プランと、施設の集約・複合化プランの二つの案の比較検討に当たっては、行政経営の観点と現在の美術館を大切にしてほしいという、いずれの願いも重要であることから鑑み、整備の在り方について基本方針の内容を最大限に尊重しながら、より柔軟に考えることも必要と思われますが、県の考え方をお尋ねいたします。 次に、第二期復興・創生期間における県組織の在り方について質問を続けます。 我が県にも甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から九年六か月が経過し、創造的復興の総仕上げに向けて復旧・復興事業が進められているところですが、今後も心のケアや地域コミュニティーづくり、産業再生など被災地ではまだ数多くの課題が残っており、引き続きそれらの地域の実情を踏まえた対応が必要となっております。 また、戦後最大の未曽有の被害をもたらした東日本大震災の教訓は、その復旧・復興の姿も含めて今後も末永く後世に伝えていく責務が我が県にはあるものと考えます。こういった状況の中、大震災の発生から十年目の節目の年を迎えようとするとき、今後県の復興を進める体制をどのようにしていくのかを考える時期に来ているのではないかと思います。 県においては、昨年十二月に復興・創生期間後における東日本大震災からの復興方針の策定により復興庁の設置期間を十年間延長するとともに、我が県を含む地震・津波被災地域においては五年間での事業完了を目指すとするなど、被災地における復興を支援する体制を既に示しております。 震災後の被災三県の組織体制としましては、これまで岩手県では復興局を設置し、福島県は企画調整部内に復興推進本部総括班を設け、併せて避難地域復興局も設置しております。我が県におきましては企画部を震災復興・企画部として全庁挙げて復興に取り組む体制をとってまいりましたが、一方、最近の状況では、仙台市は復興事業がほぼ完了したとして平成二十八年度には復興事業局を廃止して、まちづくり政策局に防災環境都市・震災復興室を置きました。仙台市の場合はそれでもよいとして、我が県において、もしこのように震災復興を担当とする部局の名称がなくなってしまったならば、震災復興に取り組むという意思の表示が薄れてしまうとともに、被災地の様々な課題や復興の伝承に引き続ききめ細やかに対応していこうとする姿勢が問われることになるとも思います。更に、復興事業のほかにも近年は毎年のように大規模な自然災害が各地で多発し、加えて今年は新型コロナウイルス感染症への対応も必要となるなど課題は山積しております。このような中、来年から新・宮城の将来ビジョンに沿って引き続き震災復興に取り組むとともに、新たな県政課題解決に向けて様々な施策の展開を図っていくためには、それを確実に実行できる組織体制がどうしても必要であると考えます。震災復興の名称を部局名に残すことも含めて、組織の見直しという課題に知事はどのような認識をお持ちなのか、御所見をお伺いいたします。 次に、大綱六点目、新型コロナウイルス感染症対策に向けた保健所の体制についてでございます。 新型コロナウイルス感染症についてですが、宮城県でも昨日の段階で感染者が四百名を超え、また塩竈市や多賀城市でもクラスターが発生するなど、まだ予断を許さない状況が続いております。これからインフルエンザなどの感染拡大も懸念される冬の時期を迎えることを考えれば一層の対策が必要であると考えます。その新型コロナウイルス感染症への対策は、その最前線で感染拡大防止に奮闘している保健所の役割が重要であることは言うまでもありません。更に、コロナウイルスの感染制御にとどまらず頻発化している大規模災害発生時の避難所における感染症対策が必要になるなど、住民の健康を守るためには保健所機能の強化と体制の整備が一層必要であると考えます。そのような中で保健所の体制強化の一環として、組織再編の検討がなされていると伺っておりましたが、現状と今後の見通しについて、どのように考えているかについてお伺いいたします。 新型コロナウイルスに係る課題については、この後のほかの質問者の方々も取り上げておりますので詳細はそちらに譲るといたしまして、この項に関して関連して一点だけお尋ねします。 それはコロナウイルス感染者に対する差別についてです。 県民の方々はそれぞれには御理解をいただいているのだろうと思いますけれども、コロナウイルスに感染した方はいわば被害者であり、多くの場合にはその方、個人には何の罪もありません。ところが現実には感染者に対する誹謗中傷、不当な差別的言動が多く報じられております。日本赤十字社によれば、このコロナウイルスは病気としての感染症のほかに、ワクチンや薬がまだ開発されていないことから分からないことが多く不安と恐れによって振り回されてしまうという第二の側面に、更に嫌悪、偏見、差別を引き起こすという第三の側面も持ち合わせているとされております。過日、私の地元の小学校児童に感染者が発生した際にも明らかに事実とは異なる情報が錯綜しており、更にSNSなどにおいてもそれらの拡散も見受けられる状態でした。このような状況において、全国各地において県や市レベルでの条例制定や共同宣言の公表、あるいは啓発のキャンペーンなどの対応がとられておりますが、我が県としては県内の状況をどのように認識されているのでしょうか。 また、どのような対応策を実施、あるいは予定されているのかについてお尋ねいたします。 次に、七番目、国土強靱化のための緊急防災・減災事業などの延長について質問を続けます。 さきの質問の際にも述べましたように、我が国では特に平成十二年以降気候変動に起因したと思われる自然災害が頻発かつ激甚化しております。平成二十年からだけを見ても平成二十年八月末の西日本から東北までの広い範囲での豪雨。平成二十一年七月の中国・九州北部豪雨。平成二十三年七月の新潟・福島豪雨。平成二十四年七月の九州北部豪雨並びに八月末の台風十二号による和歌山県、奈良県、三重県などでの豪雨。平成二十六年八月広島県などに大きな被害をもたらした豪雨。平成二十七年九月の関東・東北豪雨、平成二十九年七月の九州北部豪雨。平成三十年七月の西日本豪雨、そして令和元年の台風十九号による豪雨など、毎年のように発生する豪雨によって甚大な被害が生じ多くの貴い命が奪われ、またインフラ機能に支障を来すなど国民の生活を脅かす事態となっております。 更に、本年七月には一か月ほど近い大雨が九州から東日本までの広い範囲を襲い、各地で大河川の氾濫が起きたことは記憶に新しいところです。 私の地元でもある大崎市古川でも平成二十七年の関東・東北豪雨で渋井川や名蓋川などが氾濫し、令和元年の台風十九号では丸森町や大郷町、そして大崎市鹿島台をはじめ県内でも広域において甚大な被害が生じ、更に大崎市の渋井川と名蓋川でも再び堤防が決壊する被害も発生し、今も県内では懸命に復旧・復興の取組がされております。 このような中、国においては平成三十年に防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策をまとめ、今年度までに集中的に緊急対策を実施することとなっており、緊急防災・減災事業や緊急自然災害防止事業などの地方財政措置も講じ、鋭意取組を進めているところでありますが、これらの地方財政措置は実は今年度で終了する予定と聞いております。しかしながら先ほど述べましたとおり、自然災害が更に頻発化しており国土強靱化に向けての取組は、今後ますますその必要性や重要性が増すことは明らかです。 また、全国的に公共インフラの老朽化対策が大きな課題となっており、我が県でも公共施設等の総合管理方針や管理計画を策定し、計画的に施設等の長寿命化を進めていると伺っております。 国においては、平成二十九年度にそれまでの公共施設等の集約化、複合化等の取組に長寿命化などの内容を追加し、公共施設等適正管理推進事業を創設しましたが、この制度については来年度、令和三年度で終期を迎えます。 我が県においては、施設の老朽化対策は緒に就いたばかりであり、引き続き国の手厚い支援が不可欠であると考えます。 県議会においては、六月定例会において社会資本の整備促進を求める意見書を取りまとめたところでありますが、県として緊急防災・減災事業等の期間延長を国に強く働きかけるべきと思いますが、知事のお考えを伺いますとともに、改めて県土の強靱化にかける知事の思いをお聞かせください。 また、国土強靱化に向けた取組では住民への迅速な情報伝達も重要な要素であります。この部分については、まずは基礎的自治体である市町村が担うべきであることは十分に承知しておりますが、市町村の取組を促す県としての役割も極めて重要であると考えます。現在、県内自治体において住民への情報伝達手段の構築に関しての国の緊急防災・減災事業等の活用があまり進んでいないとのお話を耳にいたしました。緊急防災・減災事業等は手厚い地方交付税措置などがされている国の支援であることから、県として期間延長の要望に併せて、改めて県内市町村への制度周知並びに活用促進を働きかけるべきと思いますが、知事の考えをお伺いいたします。 この緊急防災そして減災事業等の期間延長については、我が自由民主党・県民会議の安藤俊威議員が総務省の黒田事務次官に直談判するなど、積極的かつ精力的に活動されており心強い限りであります。私も渋井川、名蓋川、渋川などの河川氾濫を抱える地域から選出された議員として、この課題については執行部とともにより積極的に取り組んでまいりますので、引き続きの御協力をお願いしたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、ウィズコロナ、アフターコロナに向けての仙台空港への取組と宮城の観光について質問を続けます。 二〇一六年七月の完全民営化から仙台空港はそのメリットを最大限に活用し、年ごとに国内線、国際線の旅客数を伸ばしてきたことは周知のとおりです。フジドリームエアラインズによる出雲便の開設やピーチ・アビエーション、アイベックスエアラインズ等の増便、更に国際線に目を向ければピーチ・アビエーションとエバー航空による台湾便のダブルトラックによるデーリー化や、バンコク便、大連・北京便の再就航などを実現し、二〇一八年にはピア棟を増設するなど設備の拡充にも取り組んでまいりました。 更に、この四月一日付で会社設立時から社長を務められた岩井拓也氏から鳥羽明門氏にバトンタッチされるなど、この次のステージを目指そうとしたそのタイミングでコロナウイルス感染症拡大に見舞われました。本来ならば二〇二〇年の夏スケジュールでは一日十一路線五十六便の運航が予定されておりましたが、五月の最多運休時には七路線十七便のみと三割程度の運航まで減便となりました。しかしながら、現在は一日三十二便までに回復。また、十月二十五日からはピーチ・アビエーションによる沖縄那覇線が参入することとなるなど、このようなコロナ禍の状況下においても明るいニュースであると思います。とは申しながらも搭乗率、そのほかではまだまだ厳しい状況であることに間違いなく、九月の連休時にはそれなりの搭乗率が確保されたものの十月は全般的に弱い状況だとも伺いました。 更に、全て運休中である国際線の復活も大きな課題であり、それらは決して仙台国際空港だけで対応できることではありませんが、とにかくできることから取り組んでいくという姿勢が大切だとの観点から以下質問をいたします。 まず、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えて既に宮城県ではCOVID-19対策プロモーションが計画され、また一部では既に実施されていると伺いますが、その状況をお示しください。 また、これまでの関西以西の地域から仙台空港へと向かう方々への誘致促進活動の強化と被災した現地を見ていただくという、そういう形での様々な取組が進められてきた被災地域、現場とも連携しながら十年目を迎える被災地への誘客促進という企画に取り組むことが必要だろうと考えます。あわせて、仙台空港利用者が多い山形県、岩手県を含めての仙台空港から関西以西に向けて出かける皆様への何らかのインセンティブも必要かと思いますが、お考えをお尋ねいたします。 国際線に目を向けた場合、被災から十年という節目を迎えようとしている今日、これまで物心両面から多くの支援をいただいてきた台湾、そして国民の多くの方々が海外への旅行を希望している台湾、その台湾と仙台空港との路線を回復することがまず第一に目指すべき方向ではないかと考えます。定期便の再開を前にしてコロナの状況を鑑みた上でのことですが、これまでに培ってきた台湾とのあらゆるルートを駆使し、更に日本政府にもいわば被災地としての特別枠というような形で、例えばPCR検査を実施することを条件としてまずは台湾から仙台空港への、あるいは仙台空港から台湾へのチャーター便の運行を検討してみるということはいかがでしょうか。 どちらの航空会社も運休により機材に余裕はありますし、やはり特に台湾にお世話になった被災地の皆様には、どうしても被災十年目という節目で台湾を訪問し御礼を申し上げたい。更には台湾に向けて観光プロモーションを行いたいという思いが強いと過日も伺ってまいりました。更に、台湾においてもそろそろ海外への旅行を再開したいという機運が高まっているとも伺います。何とか工夫を重ねて実現できればと思いますがいかがでしょうか、御所見をお尋ねいたします。 また、仙台空港にとってはアシアナ航空は共に国際化の道を歩んできたパートナーと言える航空会社です。さすがに現下の国と国との状況を鑑みれば台湾とのことより簡単ではないと思いますけれども、実はビジネスでも民間交流でも在日の皆様の往来であっても一定の需要が存在すると言われております。仙台空港にとっても古くからの仲間であるアシアナ航空についても何らかの配慮と支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。 ところで、ここ数年、仙台空港と地元との間で仙台空港二十四時間化について協議が行われてきたと伺います。仙台空港の更なる発展を目指すためには、やはり二十四時間化というハードルをクリアすることが必要なのではないかと考えます。もちろん地元住民の方々の意向も尊重されなければなりませんし、決して低いハードルではないと思われますが、現段階においてその状況はどのようになっておりますでしょうか。 更に、コロナ禍のこのような時期だからこそ逆に落ちついて協議を行い、アフターコロナに向けてその方向性を見出すという取組も意義があるものと考えますが、御所見をお尋ねいたします。 また、ウィズコロナ、アフターコロナに向けてワーケーションへの取組についても重視すべきだろうと考えます。ワーケーションは、いわば旅先で休暇を楽しみながらテレワークで仕事をするというスタイルですが、コロナでダメージを受けた観光業界がその苦境を脱出するための新しいスタイルの働き方になる可能性を秘めており、首都圏のみならず仙台空港においても関西以西からの誘客にも取り組みたいとされております。あたかも九月二十五日に宮城ワーケーション協議会が設立され、村井知事も名誉会長に就任されました。報道によれば都道府県レベルで一体となった取組は極めて珍しいとされておりますが、ワーケーションへの期待と受入れ環境整備など、宮城県がワーケーション先進県を目指すためのこれからの取組をどのように進めていこうとお考えなのか、お示しください。 ところで、我が県の観光資源として期待される素材の一つが宮城オルレだと考えております。二〇一八年に気仙沼・唐桑コースと奥松島コースがオープンし、二〇一九年に大崎・鳴子温泉コース、更に本年三月には登米コースということで合計四コースがオープンしております。鳴子温泉の関係者の方々に伺ったところ、このコロナ禍の中で観光客が本当に減少した際に、その中でも少人数であったけれどもオルレを歩きに来てくれた人がいて、その存在にとても力づけられたと話されておりました。確かにオルレは自然の中、しかも密になることもなく、この時節でも安全なレジャーだと言えると思います。一言申し添えれば、現在の韓国と我が国の国対国の状況を鑑みれば、オルレに対してよくない感情をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、それは国家間のことと御理解いただきたいということであり、更に私は宮城オルレは宮城オルレという一つの自前のブランドだと認識すべきと考えます。更に、みちのく潮風トレイルとの連携などの魅力もあります。この秋には宮城オルレフェア二〇二〇も予定され、既に九月十九日には大崎・鳴子温泉コース、九月二十日には気仙沼・唐桑コースにおいて盛況の中開催されたと聞いております。これまでの二つのコースでの開催状況と、またウィズコロナ、アフターコロナにおいて、宮城オルレの活用と可能性についてどのような考えなのかお尋ねし、壇上からの質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 菊地恵一議員の代表質問にお答えいたします。 大綱八点ございました。 まず、大綱一点目、四期目ラスト一年を迎える私の政治姿勢についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災の発生以来、私は震災からの復興を県政の最優先課題として全力で取り組み着実に歩みを進めることができました。 一方で、被災された方々の心のケアなどについては今後も対応が必要な課題があると認識しております。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大は県民生活に多大な影響を与えており、今後も総力を挙げた取組が必要であります。四期目の残りの期間におきましても、引き続きこれらの課題解決に力を尽くすとともに、人口減少など今後想定される社会の変化に的確に対応しながら、誰もが生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかったと思っていただけるような宮城の実現を目指して県政を推進してまいります。 次に、大綱二点目、県立高校へのエアコンの設置についての御質問にお答えいたします。 初めに、エアコン設置の完了見通しについてのお尋ねにお答えいたします。 七月補正予算で議決いただいた三十一校分のエアコン設置につきましては、来年七月の供用開始を目指し、現在、入札手続を進めているところであります。 また、今回提案しております三十七校分につきましても、関連予算をお認めいただければ速やかに入札手続を行い、できる限り早期の供用開始に努めてまいります。 次に、デザインビルド方式のメリット及びデメリットについての御質問にお答えいたします。 デザインビルド方式の採用により従来工法よりも設計及び施工に関する発注手続が軽減され、工期が短縮されるものと考えております。 一方、設計・施工一括の発注方式となることから、その工程管理を十分に行わなければならない側面があり、設計完了時の成果品チェックや第三者の工事管理等により対策を講じる必要があるものと認識しております。 次に、デザインビルド方式の採用見通しについての御質問にお答えいたします。 県では、公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づき入札及び契約方法の決定に当たっては、発注に係る公共工事の性格、地域の実情等に応じ従来からの設計・施工分離発注方式や設計・施工一括発注方式、地域維持型発注方式など適切に選定してまいりました。そのうち設計・施工一括発注方式については、大規模で技術的難易度の高い工事や早期完成が特に求められる工事に採用してきたところであります。設計・施工一括発注方式の一つであるデザインビルド方式の採用につきましては、メリット・デメリットや発注工事の特性等を十分に検討した上で、発注工事ごとに判断してまいりたいと考えております。 次に、地元事業者の受注が可能となる配慮についての御質問にお答えいたします。 今回のエアコン設置につきましては、全県一括の発注ではなく各学校の所在地等を考慮し地域ごとに工区を分割して発注するなど、地元事業者の受注機会の確保を図っております。 また、必ず県内本社の事業者を加えた共同企業体での入札参加を条件とし、地元事業者の参入を促したところでございます。 次に、ガスエアコン設置についての御質問にお答えいたします。 エアコン設置の施工方法については、電気式、ガス式、いずれも可能としており、各学校の立地状況や校舎の配置等も考慮した上で、初期費用、維持管理費用等を総合的に比較検討し、電気式、ガス式等も含めて最も優位な方式で施工することとしております。 次に、大綱三点目、女川原子力発電所二号機の再稼働についての御質問にお答えいたします。 初めに、原子力発電を取り巻く状況についてのお尋ねにお答えいたします。 我が国は資源が少なくエネルギー安全保障上の脆弱性を有しておりますが、原子力は準国産エネルギーとして優れた安定供給性を有することから、国策として原子力政策が進められてきた経緯があります。こうした中、我が国ではエネルギー政策の基本的視点として、安全性、安定供給、経済効率性及び環境適合を図るため最大限の取組を行うこととされていますが、これらを満足する単独のエネルギー源はなく多層的なエネルギー供給構造の実現が必要とされております。現在、電源の多くを化石燃料に依存していることから、国では安定供給や環境適合なども考慮し安全性の確保を大前提に原子力発電所の再稼働を進め、再生可能エネルギーの拡大を図る中でその依存度を可能な限り低減させる方針であると認識しております。 次に、女川原子力発電所による地域経済の発展及び自治体財政への貢献と、地元議会の議決への影響についての御質問にお答えいたします。 女川原子力発電所は、我が県のみならず東北地方における電力の安定供給に大きな役割を果たすとともに、地元女川町をはじめ石巻圏域の経済発展と自治体財政に貢献してきたものと認識しております。特に発電所の立地に伴う固定資産税や電源三法交付金は、学校、病院、消防施設などの公共施設の整備や産業振興、福祉対策事業等に幅広く活用され、住民福祉の向上に大きく寄与してきたものと考えております。 なお、女川町議会、石巻市議会における再稼働をめぐる陳情・請願に対する判断は、こうした状況も含め様々な要素を勘案して総合的に判断されたものと受け止めております。 次に、東京電力福島第一原子力発電所と女川原子力発電所との相違点についての御質問にお答えいたします。 福島第一原子力発電所事故については、外部電源を喪失した上、津波の襲来により非常用発電機が浸水し原子炉への注水・冷却機能を失ったため、燃料が溶融するとともに原子炉が損傷して放射性物質が外部に放出されたものであります。 一方、女川原子力発電所については、建設当時において敷地の高さに余裕を取っていたことから津波は敷地を乗り越えず、また、地震の影響により外部電源が一系統となりましたが、安定した冷温停止状態にするために必要な電源は確保されておりました。女川原子力発電所は、このような対策を講じていたことで東日本大震災の震源に最も近い原子力発電所であったにもかかわらず、地震にも津波にも耐えることができました。東北電力には今回の様々な経験を教訓として、安全性の向上に全力を傾注していただきたいと考えております。 次に、住民説明会の成果と課題についての御質問にお答えいたします。 住民説明会は県内七つの会場で開催し、県や市町の議員を含め延べ七百五十七人と多くの県民の皆様にお越しいただけたものと考えております。説明会では、主に原子力発電所の安全対策や事故時の避難に関する視点で全会場で延べ百二十四人の方から質問がなされ、時間の許す限り各機関から回答が行われました。特に原子力災害時におけるUPZ住民の屋内退避や段階的避難について多数の質問がありましたことから、県といたしましては、こうした不安の声をしっかりと受け止め放射線に関する正しい知識や屋内退避の重要性について、あらゆる機会を通じて周知に努めてまいります。 次に、女川原子力発電所を視察した際の安全対策工事についての御質問にお答えいたします。 私は八月六日、女川町長と石巻市長とともに女川原子力発電所の視察をいたしました。特に防潮堤や大容量ポンプのほか、屋内にあるフィルタ付きベント装置や水素再結合装置等の安全対策設備などを拝見したところ、安全対策工事が想像以上に進められており、東北電力が国の厳しい基準にしっかり応えていると実感いたしました。 しかしながら、いかに設備等の安全対策が万全であっても、それらを適切に運用することが重要であることから、今後も安全には最優先で取り組むことはもとより関連企業も含め社員教育にしっかり力を注ぐよう、視察時に私から東北電力に対して要望したところであります。 次に、大綱四点目、県有施設の再編についての御質問にお答えいたします。 初めに、宮城県美術館の現地存続を求める活動が広がりを見せていることについてのお尋ねにお答えいたします。 現在、美術館の現地改修と移転新築のそれぞれのメリット・デメリットについて、有識者の意見等もお聞きしながら様々な観点から検討を進めておりますが、現地存続を求める方々からいただいた要望や意見交換等を通じて、現美術館を大切にしたいという皆様の思いについて認識を深くしたところであります。県といたしましては、こうした御意見も参考にしながら更に検討を進め、施設整備の方向性を総合的に判断してまいります。 次に、県美術館の整備手法を検討するに当たっては、宮城県美術館リニューアル基本方針の内容を最大限尊重しつつ、より柔軟に考えることも必要ではないかとの御質問にお答えいたします。 美術館の現地改修と移転新築のメリット・デメリットの整理に当たっては、いずれの場合も基本方針で示された目指す姿やコンセプトなどを十分に尊重しながら検討しております。 このうち現地改修については、基本方針に示された増築を伴うプランを基本に検討を進めておりますが、関係団体の皆様との意見交換等においては、規模を縮小した改修での対応についても検討してはどうかとの御提案をいただいているところであります。県といたしましては、このような御意見もあることから、現在の二つの案に加え基本方針のコンセプト等を尊重しつつ増築は行わない現地改修プランにつきましても、併せてメリット・デメリットを検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱五点目、第二期復興・創生期間における県組織の在り方についての御質問にお答えいたします。 来年度は、震災から十年が経過するとともに新・宮城の将来ビジョンがスタートする年でもあり、県組織につきましてもビジョンに掲げる政策を効率的かつ効果的に実施できるよう体制整備を図ってまいりたいと考えております。 その際の課題認識といたしましては、まず震災復興に関しては、心のケアなどのソフト面の対応や震災の記憶・教訓の伝承などについて、引き続き中長期的な取組が必要となっております。 また、危機管理につきましては、全国で大規模な災害が頻発していることに加え感染症などとの複合的な危機事案への対応も課題となっており、全庁挙げた危機管理体制の構築が必要であると認識しております。 更には、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催とそのレガシーの次世代への継承のほか、スポーツ振興に関しては部局横断的な取組を更に強化できるような体制整備が求められております。 こうした課題に対応するため、現在、復興の名称を部局名に残すことも含めた組織の再編について検討を進めているところであり、今後十一月定例会へ部制条例の改正を提案したいと考えております。 次に、大綱六点目、新型コロナウイルス感染症対策に向けた保健所の体制についての御質問にお答えいたします。 初めに、保健所の組織再編についてのお尋ねにお答えいたします。 地域保健対策の中核を担う保健所に求められるニーズは、法令等に基づく指導・監査業務など近年一層多様化、複雑化しており、こうしたニーズに的確に対応できるより専門性の高い組織体制としていくことが求められております。 また、市町村合併や道路交通網の整備状況も踏まえながら、限られた人員での合理的、効果的な組織運営が求められております。このため、大崎、石巻の両保健所の所管区域を拡大するとともに、栗原市、登米市には各種申請や相談業務等を担う支所を設置することとし、人員の集約化による体制強化を検討しているところであります。 この組織再編の実施時期についてでありますが、現下の新型コロナウイルス感染症対策を最優先とし、保健所間の臨時的な支援体制をとっており、今後の感染状況を見通すことも困難でありますことから令和四年四月以降と考えております。再来年の四月以降と考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症患者に対する誹謗中傷や差別的言動についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症につきましては、誰もが感染する可能性がありますが、感染者やその関係者の方々が差別や偏見、誹謗中傷などにさらされる事例が見受けられます。感染や濃厚接触したことで批判にさらされるという状況は、患者本人を傷つけるほか、その家族をはじめ周りの方々にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。 更には、症状のある方への検査受診へのちゅうちょや疫学調査への協力拒否にもつながり、感染者や濃厚接触者の確実な把握、感染経路の特定に支障を来すことにもなります。県としては、これまでも私自ら県民に対して差別や誹謗中傷につながるような行動を控えるよう呼びかけを行ったほか、連日の患者発生の記者発表時にも冷静な行動をお願いしてきているところであります。これ以上の差別や誹謗中傷で苦しむことがないよう実際に被害を受けていると感じている方々の相談窓口として、新たにみやぎ新型コロナ人権相談ダイヤルを早急に設置したいと考えております。 次に、大綱七点目、国土強靱化のための緊急防災・減災事業等の延長についての御質問にお答えいたします。 初めに、議会と連携した期間延長の国への働きかけと県土強靱化にかける思いについてのお尋ねにお答えいたします。 このところ激甚化・大規模化している自然災害や、これまで復興最優先で先送りせざるを得なかった県有施設の老朽化への対策は、いずれも県政の最重要課題の一つであると認識しております。 御指摘の事業終期が迫っている緊急防災・減災事業など三事業については、地域の実情に応じて行う単独事業が対象であり起債充当率や交付税の措置率が高く、これらの課題解決には必要不可欠な制度であります。こうした認識の下、事業期間の延長については、さきの政府要望の中で重点要望事項として私から総務大臣に直接訴えかけたほか、先日行われた全国知事会議においても知事会として国に強く要望するよう改めて提案いたしました。県議会におかれましても国への意見書提出をはじめとして、執行部と協働歩調をとっていただいておりますことに大変感謝し心強く感じているところであります。今後も要望実現に向け力を合わせてまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解、御協力をよろしくお願いいたします。 次に、国土強靱化に向けた市町村に対する制度の周知や活用促進についての御質問にお答えいたします。 国土強靱化に向け、県ではこれまで市町村に対し地方債説明会での周知や活用事例集の紹介等を通じて、積極的な制度の活用を促してまいりました。これにより市町村においては、防災行政無線のデジタル化や、いわゆるJアラートの整備、消防団用の消防車両の更新といった防災対策の推進が図られてきたところであります。県といたしましては、住民への迅速な情報伝達手段の充実強化も含め、市町村における国土強靱化に向けた取組が着実に進むよう、引き続き当該事業の周知や活用促進に取り組んでまいります。 次に、大綱八点目、ウィズコロナ、アフターコロナに向けて、仙台空港への取組と宮城の観光についての御質問にお答えいたします。 初めに、国内線の需要回復に向けたプロモーションについてのお尋ねにお答えいたします。 仙台空港は、平成二十八年七月の民営化以来、旅客数、路線数とも順調に伸ばし、昨年度の旅客数は過去最高を記録しましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により国際線は全便欠航し、国内線も旅客数は大幅に減少しているところであります。 こうした状況の中、国が実施するGoToトラベルキャンペーンを契機に、まずは国内の航空旅行に対する機運の醸成を図ることが重要だと考え、十月中旬から仙台空港国内線リカバリープロモーション事業を実施することとしております。この事業は、宮城、山形、岩手の三県において、テレビCMや交通広告などの各種媒体を活用し就航地のPRを行うもので、GoToトラベルキャンペーンとの相乗効果を狙いとしております。県といたしましては、仙台国際空港株式会社や仙台空港国際化利用促進協議会と連携し、手だてを尽くして航空需要の早期回復に向けた取組を推進してまいります。 次に、関西以西からの誘客活動の強化と関西以西に向かう空港利用者への取組についての御質問にお答えいたします。 仙台空港の国内路線が徐々に再開される中、観光需要の回復のためには航空路線を活用したプロモーション活動が重要であります。 県では、仙台国際空港株式会社と連携し、就航先の主な空港のデジタルサイネージを活用して宮城の魅力を情報発信するとともに、旅行商品造成を働きかけております。 更に、震災から十年の節目に開催する来年の東北デスティネーションキャンペーンでは、復興ツーリズムや教育旅行の誘致に積極的に取り組むこととしており、関西以西をはじめとした航空利用による誘客を強力に進めてまいります。 また、仙台空港から関西以西への隣県も含めたアウトバウンドの促進については、仙台空港国際化利用促進協議会と連携し、昨年度から大阪線及び神戸線を利用される方を対象に仙台空港の駐車場料金を無料にするほか、大阪、神戸の観光施設等で使える割引クーポンをプレゼントするなどの搭乗キャンペーンを行っており、今年度につきましても事業内容を拡大して実施してまいります。県としてはこのような取組を通じて、航空路線を活用した関西以西との相互の交流拡大を図ってまいります。 次に、台湾との定期路線再開に向けたチャーター便の運航についての御質問にお答えいたします。 台湾の皆様からは東日本大震災からの復興に大きなお力添えをいただいており、また、仙台と台湾を結ぶ路線は仙台空港の国際線旅客数の六割以上を占める最重要路線であることから、県といたしましても早期に再開したいと考えております。 国際線の再開に向けては、入国制限の緩和動向を注視しつつ、県においても仙台国際空港株式会社が行うPCR検査体制の構築を支援するとともに、国に対して水際対策の強化について全国知事会を通じた提言を続けているところであります。 チャーター便の出入国の手続は定期便と同様とされており、また路線を早期再開したいとの航空会社もあることから、県といたしましては仙台国際空港株式会社と連携しながら、まずは台湾との定期路線の再開にしっかりと取り組み、併せてチャーター便の運行についても働きかけてまいりたいと考えております。 次に、アシアナ航空への配慮や支援についての御質問にお答えいたします。 アシアナ航空は、平成二年に仙台空港初の国際定期便として仙台-ソウル線を就航して以来、今日まで継続して運航いただいており大変重要な航空会社であると認識しております。 特に、今年は仙台空港の国際化とアシアナ航空の就航三十周年という節目の年であることから、仙台空港国際化利用促進協議会等と連携し各種記念行事を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により残念ながら実施できなくなりました。県といたしましては、駐機誘導や手荷物の運搬などのグランドハンドリングに係る助成制度を創設し、アシアナ航空をはじめとする国際線の早期再開を支援することとしております。 仙台-ソウル線はビジネスと観光の両面において今後も重要な路線であることから、アシアナ航空とのパートナーシップの下、仙台国際空港株式会社をはじめ東北観光推進機構や東北各県とも連携し、ソウル線の需要回復にしっかりと取り組んでまいります。 次に、仙台空港の二十四時間化に係る地元協議の状況と今後の取組についての御質問にお答えいたします。 本格的な人口減少社会を迎えつつある中、東北経済の活性化と地域の持続的な発展のためには交流人口の拡大が必要であり、仙台空港は将来的に二十四時間運用を目指すべきと考えております。 運用時間の延長には地元の御理解が何よりも重要であることから、これまで延べ四十八回にわたり地元説明会等を重ねてきた結果、県が提示した騒音対策案については一定の御理解が得られているものと認識しております。 こうした状況を踏まえ先月開催した第三回仙台空港四者会議では、今後は地域振興策についても地元との協議を更に深めていくことについて、名取・岩沼両市長の御理解をいただいたところであります。 現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により県民生活や経済に深刻な影響が及んでおりますが、県といたしましてはアフターコロナ、更には宮城・東北の将来をしっかりと見据え、引き続き地元の御意見を丁寧に伺いながら、仙台空港の二十四時間運用の実現を目指してまいりたいと考えております。 次に、ワーケーションについての御質問にお答えいたします。 県では、みやぎ観光振興会議を今年六月に設立し観光業の回復に向けた議論を重ねてまいりました。こうした中で多くの委員から、コロナ禍において関心が高まっているワーケーションを進めるべきとの御意見をいただいております。県といたしましては、ワーケーションの推進が今後の新しい観光の在り方につながり、観光業界が苦境を抜け出す糸口にもなるものと認識していることから、現在策定中のみやぎ観光回復戦略に位置づけ、観光再生の柱の一つとして育ててまいりたいと考えております。 今後は民間主導で設立された、宮城ワーケーション協議会が首都圏からの誘致につなげるべく実施する情報発信や、ワーケーションに意欲的な企業・団体のマッチングなどを県として支援していくとともに、滞在先として選ばれる観光地づくりを目指し受入れ環境の整備などに努めてまいりたいと思います。 次に、宮城オルレについての御質問にお答えいたします。 県内四か所に設定されているオルレコースをより多くの方に知っていただくため、先月十九日から来月三十日にかけて宮城オルレフェア二〇二〇を開催しております。 先月十九日の大崎・鳴子温泉コース、二十日の気仙沼・唐桑コースのイベントでは定員を超える申し込みがあり、参加者には新型コロナウイルス感染症の対策をしっかりと講じながら、宮城ならではの自然や歴史などコースの魅力を十分に感じていただきました。 今後はウィズコロナ、アフターコロナの観光スタイルとしてアウトドア志向が更に高まっていくものと期待されております。このため県といたしましては、自然の中で密にならず安心してトレッキングを楽しめる宮城オルレを根づかせるため、国内外へのPRや商品造成の働きかけなど地域の方々と一緒になって取り組んでおります。 更に、宮城オルレの拡充を図っていくとともに、みちのく潮風トレイルや九州オルレとの連携を一層深めるなど、積極的な誘客に努め落ち込んだ観光需要の回復につなげてまいりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 四十八番菊地恵一君。 ◆四十八番(菊地恵一君) 御答弁をいただきました。ありがとうございます。 まず、何点か再質問させていただきます。 エアコンでございますが、おかげさまで全ての高校に対して設置のめどがついたということで、ただ三十一校につきましては入札準備中、そして残りにつきましては今からこの予算案が議決されたら入札の準備を進めていくということでございまして、先ほどお話がありましたが来年の夏を目標としながらも、なかなか大がかりな工事等になるでしょうから間に合わない部分があるのかもしれませんが、やっぱり付くとなった以上は一日でも早く付けてほしいと、うちの学校だけ付かない、こちらだけ付いているっていうのもまた微妙なものですが、それのめどはまだついておりませんでしょうか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) まずこの議会で通していただくということが大前提なんですけれども、私が職員から聞いておりますのは早くても来年度いっぱいかかるということですので、来年度の夏までに全て整うことはかなり難しいと。来年度中には終わるということですから、全ての学校で夏の暑い中エアコンが入るのは再来年の夏からということになるだろうと思います。なるべく急ぎたいと思います。 ○議長(石川光次郎君) 四十八番菊地恵一君。 ◆四十八番(菊地恵一君) 県内全域の工事ですので確かにそれぐらいの時間はかかるのかもしれませんが、せっかくここまで来たんですから一校でも早く解決できるようにお願いをしたいと思います。 原子力発電所でございますが、私どももあのようには申しましたけれども、やはり万が一事故が起きてしまったときの影響というのは福島の現場を見ても分かるわけですし、私ども県議会議員も様々な県民の皆様の負託を受けてここに来させていただいているわけでありまして、先ほどお話がありました安全対策も十分なくらい十分に行ってもらわなければなりませんし、またヒューマンエラーがあっても困るということで、やはりどういう方向に進むにしてもそれをしっかりと見守っていくという体制は県としても持たなければならないなと。いくら国策と言えどもここに立地をしてるわけですから、そういったことを十分に対応してし過ぎることはないと思うんですが、それについてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) おっしゃるとおりでありまして、どんなにやっても絶対大丈夫だということにはならないと思いますので、二重、三重、四重の安全対策というのが必要だろうと思います。 先日、女川原発を視察した際に、やはりヒューマンエラーも考えられるということで、別のところにシミュレーションを設けていろんな状況をシミュレーションの中で起こして、それに対するトレーニングもされているとお聞きいたしました。そういう場所も確認いたしました。そういった意味では、そういったヒューマンエラーも考えながら対策をとられているということで、私はまずは一安心をしたというのが本音のところであります。 ○議長(石川光次郎君) 四十八番菊地恵一君。 ◆四十八番(菊地恵一君) 確かに現場を見てみますと、これだけのことををやっているんだ、想定以上だということは感じますが、まさにその点も見守っていきたいと思っております。 それから先ほどお話がありましたコロナウイルス感染症についてでございますが、人権相談ダイヤルを設けるというようなお話でございまして、やっぱりこれはかなり早急にやっていかなければならないと思います。実は東京は、前は自警警察というようなお話もありましたが、今、東京もあまりにも増え過ぎていてそういう動きがあまりないそうですが、逆に地方がそういうことになっていて、例えばワーケーションとか移住がいいでしょうという話をしても、田舎に行くとそういう人たちが多いのかみたいな話があって、違う意味での風評が出るのはまずいと思いますし、その前段として、コロナに感染した方々が悪者のように扱われているのは絶対に避けなければならないし、その人権相談ダイヤルはかなり早く手当てはしていただけるんでしょうか。 ○議長(石川光次郎君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 新たにみやぎ新型コロナ人権相談ダイヤルを早急に設置するよう知事から指示を受けたところでございますので、これからどのような支援団体と連携できるかということを含めて、早急に検討させていただきまして一日でも早く開設をしたいと考えております。 ○議長(石川光次郎君) 四十八番菊地恵一君。 ◆四十八番(菊地恵一君) ぜひ一日でも早い開設をお願い申し上げたいと思います。 それから仙台空港の件ですが、実は私どもの会派の方でも気仙沼市に行ったり松島町に行ったり地元の皆さんといろいろお話をさせていただいております。少しずつ少しずつこうやって戻ってきているわけですが、皆さん一様に申し上げるのは台湾との関係で、「すごくあのとき助けられたよね。」ということが多くて、「せっかくここまで戻ってきたんだから台湾からぜひ来てほしい。」と。プラスで「こちらから台湾に出かけて、ぜひお礼を申し上げるタイミングだろう。」と。震災から十年というこの節目のときに、それは必要だなと私も痛切に感じましたし、気仙沼市や松島町の皆さんもぜひにというお話でございましたが、そこまでに定期便が再開できるかどうかというのはまだ微妙なところであります。今日から入国あるいはそれについても緩和されたようでございますけれども、先ほど働きかけてみるというお話でしたが仙台空港等ともお話をしながらチャーター便というのも可能時期になれば、ぜひ前向きにまずは飛ばしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほども答弁いたしましたとおり、台湾便は我々にとっても一番重要な路線でございまして、国際線の旅客数の六割以上が台湾のお客様で、我々も含めて行き来してるということでございますので、そういった意味では台湾路線の回復なしに国際線の回復はないと考えてございます。最優先に捉えたいと思います。その際に、一気に今までと同じように三つの航空会社が同時に入ってくるということも考えられないと思いますので、まずは三つの航空会社に仙台国際空港株式会社と一緒に働きかけをいたしまして、定期便がすぐに難しければチャーターでまずつないでいただけないかとお願いしてまいりたいと思っております。 ○議長(石川光次郎君) 四十八番菊地恵一君。 ◆四十八番(菊地恵一君) それからアシアナ航空の件も触れていただきました。これまでずっと町中に事務所を持っていたアシアナ航空がこの十月の半ばに事務所を閉鎖して、仙台空港事務所と一緒にするというようなお話でございますが、仙台空港の国際化にはずっとお互いに両輪の輪のように歩んできた航空会社ですし、グランドハンドリングの件とか様々な施策を立ていただきたいと思いますが、需要は間違いなくあると思われますので、それにつきましてもぜひ御対応いただきたいと思います。 反面エアアジア・ジャパンがせっかく路線を開設できたのに、会社をもうしまうというようなお話もありますし、なかなか空港の開設ということは厳しいと思いますが、地元の皆さんが仙台空港があることの重要性というか仙台空港があってよかったという、その意識がワーケーションの分野にもつながりますし、首都圏だけではなくて関西以西ということを考えれば空港の存在が大切だと思いますので、そのあたりは今後とも地元と協議しながらしっかりと続けていただきたいと思います。 いずれにいたしましても十一月に入りますと、あと一年の任期でございますので、しっかりとお進めいただきますようお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。 ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 暫時休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩-----------------------------------    午後一時再開 ○議長(石川光次郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二十六番佐々木功悦君。    〔二十六番 佐々木功悦君登壇〕 ◆二十六番(佐々木功悦君) みやぎ県民の声の佐々木功悦でございます。県民の皆さん、議場にいる皆さん、東日本大震災による福島第一原発事故当初のことを思い出してみてください。事故当時、国民のほとんどが原発事故の惨状に触れ、原発はもうやめたほうがよいとの声が大勢でした。しかし、それから九年半が過ぎ、そのときの思いを忘れ去ったかのように、今や全国で原発の再稼働が進められてきて、新たな安全神話をつくり始めつつあります。原発事故のあのような惨状を目の当たりにしても変えられない日本は、また誤った同じ道を進もうとしているように思われてなりません。誠に遺憾です。こうした県民多数の思いを踏まえ、大綱一点、女川原発再稼働に関わる諸課題について、以下七点御質問いたします。 一点目、県が設置した安全性検討会について伺います。 七月二十九日、知事が設置した有識者による安全性検討会の第二十四回が、知事、女川町長、石巻市長の出席の下、開催されました。検討会の若林座長が三首長に対し意見のまとめを手渡して各委員が一言ずつコメントを述べて閉会という、この日も形式的な内容に終始し、検討会は終結してしまいました。安全性検討会と言いながら、結局女川原発が安全なのか安全でないのか、委員同士の議論もなければ結論も出さない。再稼働の是非にも一切触れない。国の原子力規制委員会の報告を後追いして、追認するだけに終わったというのが私の感想です。新潟県の安全性検討会とは大違いであります。この日の各委員のコメントを聞くだけでも、女川原発二号機の安全性検討にはまだまだ課題が山積しており、検討会を終わらせてならないことは明らかであります。特に、緊急時対応・避難計画の実効性を検討対象から除外したことは、県民の安全を顧みない重大な誤りです。避難計画については、委員の側から論点として提起されたにもかかわらず、なぜ検討に付さなかったのか疑問が残ります。ほかにも委員が指摘した重大事故に関わる多くの問題が積み残されております。原子力規制庁は、「設置変更許可は基本設計方針の審査であり、詳細設計・手順・体制については、今後の工事計画認可及び保安規定変更認可の審査で確認していく」と認めております。すなわち、工事計画認可、保安規定変更認可の審査が終わるまでは新規制基準への適合性は確認されてはいないと考えます。この状況でなぜ安全性検討会を終えることができるのか、スケジュールありきであまりにも無責任ではないかと思うので、知事の御所見を伺います。 二点目、女川原発に関わる諸問題について伺います。 女川原発の再稼働で最大の問題は処理する方法がない使用済み核燃料を増やしてしまう問題です。東北電力がホームページで公開している情報では、女川原発二号機の運転では、毎年十八トンの核燃料を交換するとしております。再稼働すると、使用済み核燃料が一年当たり十八トン増えるのではないかと思うのですが、正確には何トン増えるのか伺います。気になることがあります。東北電力は一号機の廃炉に着手しましたが、地元紙が当座の保管をする乾式貯蔵庫を敷地内外に設置する計画だと報道いたしました。この報道が事実であれば、女川原発の敷地外に保管場所を設置しようとしていることになりますが、県はそれがどこか聞いておりますか、伺います。 女川原発の敷地は、他県の原発と比べると猫の額のように狭いのが特徴です。一号機から出る使用済み核燃料だけでも持て余しているのに、この上二号機を再稼働させ三号機の再稼働も考えるというのであれば、敷地の外にどんどんどんどん使用済み核燃料と放射性廃棄物があふれ出てくるのではないでしょうか。このことをどう思うか、伺います。 使用済み核燃料の保管経費については、三百年の保管を想定した経費しか考えられていないと思いますが、政府の計算の仕方と計算した結果が幾らになるか御説明ください。 使用済み核燃料に大量に含まれるプルトニウム239は、放射能の半減期が約二万四千年で、途方もなく長いのが特徴で何万年も保管しなければなりません。その経費は天文学的な金額になると思うので、伺います。 子々孫々に途方もないツケを残す再稼働は、倫理的に許されないと思いますが、知事の御所見を伺います。 次に、重大事故における沸騰水型原発の危険性について伺います。 日本で使われている軽水炉原発は、チェルノブイリ原発事故のように、核分裂が暴走する危険を抱えています。実際に制御棒が抜け落ちたり、誤って挿入した事故が分かっているだけで二十件も発生しており、このうち二回は想定外の核分裂が発生した臨界事故でした。見過ごすことができないのは、沸騰水型と加圧水型の違いです。加圧水型原発は制御棒を上から挿入するので、重力で自然落下させて比較的楽に制御棒を挿入することができます。しかし沸騰水型原発は下から挿入する設計なので動力を使わざるを得ず、停電や油圧系統の故障などのトラブルが発生すれば、制御棒が思うように入らなくなります。日本で発生した制御棒の事故二十件は全て沸騰水型原発で発生したもので、そのうち三件は女川原発で発生した事故ですが、間違いありませんか、伺います。 また、沸騰水型は格納容器の大きさが加圧水型の七分の一程度と小さいために、事故が起きたときに加圧水型よりも圧力が上昇しやすく温度も上昇しやすいという弱点を抱えています。つまり炉心破壊が起こり大量の水蒸気が発生した場合、爆発を防ぐ余力がないことを意味いたします。ここで思い出してみていただきたい。原子力規制委員会が新基準適合審査を沸騰水型原発ではなく、加圧水型原発を優先させました。それは重大事故が発生した場合、加圧水型のほうが格納容器が沸騰水型より大きく容積余力があるためです。これは当初から原子力委員会の共通認識だったと聞いております。この欠陥は福島第一原発で証明済みであります。女川原発で使われているのは沸騰水型原子炉で、加圧水型よりも多くの危険を抱えていると思いますが、知事の御認識がどうなのか、伺います。 次に、女川原発の六十年運転等について伺います。 東北電力の広報・地域交流部は脱原発の住民運動団体に対して、女川原発二号機の再稼働は原則の四十年までで廃炉ではなく、一回だけ二十年まで認められている運転期間の延長を申請して六十年運転を考えていると、公言しているそうであります。二十年延長は事前に審査はありますが、老朽化した後の二〇五五年まで使い続けることは、事故のリスクが増えることがあっても減ることはありません。県は六十年運転について承知をしておりますか。六十年運転につながる再稼働は、多くの県民にはますます受け入れ難いことであります。六十年運転による事故リスクの増大に関して、知事の認識を伺います。 六十年運転は他の電力会社にも共通した動きがあり、その背景には原発はもう事業として採算が取れなくなっているという事情があります。福島原発事故前までは資源エネルギー庁は原発の発電コストは平均で一キロワット時当たり八円六十銭だとしていましたが、二〇一五年には十円十銭になりました。個別の原発の発電コストは安全対策の工事費用や残存運転期間により異なります。龍谷大学の大島堅一教授は、女川原発二号機の発電コストは十八円六十銭に跳ね上がっていると試算していますが、これは大口需要者への売電価格を上回る水準であります。テロ対策の特定重大事故等対処施設に更に六百億円から一千億円を投資しなければならないので、もう女川原発は不採算施設でしかありません。大島堅一教授の試算についての御所見や、女川原発二号機の発電コストについての情報はあるのでしょうか。原発の採算が取れなくなっていることは間違いないと思いますので、伺います。 採算が取れなくなっている原発を延命させるために政府が新しい電力市場をつくり始めたことが、大変な問題になっております。電力小売事業の全面自由化や再生可能エネルギーの導入拡大により卸電力市場の取引数量が増加して市場価格が低下傾向にあるので、電源への投資を発電事業者がためらって将来の電源不足が起きないようにするという触れ込みで、電源の供給能力に対してお金を支払う容量市場などの導入が今年度から始まりました。ところが、新しい発電所も古い発電所も、キロワット当たり同じ落札価格がもらえる仕組みにしたため、電気料金の一部が原発や石炭火力などの古い発電所を維持する資金になり、大規模電源を持たない再生エネルギー主体の新電力会社は市場に拠出する容量拠出金で経営が大きく圧迫されていきます。再生可能エネルギーの普及や地球温暖化対策に取り組んでいるNGO・NPOは、原発と石炭火力を延命させて再生可能エネルギーを潰し気候危機の打開に逆行するものだと、その抜本的見直しを求めております。採算が取れない原発は、市場から撤退してもらうのが当たり前であります。気候危機の打開はここ数年の取組で人類の未来が変わると言われています。政府に電力市場の見直しを要求していただきたいのですが、いかがでしょうか。温暖化に逆行する再稼働容認の判断はすべきでないと思いますので、伺います。 次に、特定重大事故等対処施設、特重施設について伺います。 特重施設の本来の目的はテロ対策です。特重施設がないのに、世界一の安全性があるとして再稼働させたのであれば、後になってから特重施設がないことを理由に停止命令を出す根拠が理解できません。もし特重施設がないと停止命令を出さなければならないほど危険なら、もともと再稼働させるべきではないと思いますが、知事の見解を伺います。 次に三点目、住民説明会への対応をめぐる問題について伺います。 女川原発二号機再稼働に関する住民説明会は、結果としては、総参加者は募集定員二千人の三八%に当たる七百五十七人。うち三十キロメートル圏内は三百二十九人で、避難対象約十九万九千人に占める参加率は〇・二%の低さでありました。にもかかわらず、村井知事は想定内の数と話されましたが、定員の三割しか参加がなくて、想定内との発言はいかがなものでありましょうか。石巻市長はインタビューで、コロナウイルスの影響はあったと思う、と認めておりました。コロナウイルス感染が急速に拡大し住民が不安と懸念を抱く中、スケジュールありきで東京から人を呼ぶ説明会を強行した村井知事の責任は大きいと思います。住民に説明し声を聴いたという単なる実績づくりのための強行開催であったと、多くの県民の皆さんが思っております。村井知事は判断の誤りを認め、しかるべき時期に改めて住民が心置きなく足を運び安心して説明を聞き質問ができる場を設定し直すべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。 次に八月二日、三日の全国紙、地方紙とも県内版紙面の半分を使用して、女川と牡鹿地区での住民説明会開催を報じておりました。女川でも牡鹿でも再稼働反対の声、適合性審査や避難計画への疑問・不安の声が会場を埋め尽くしたという記事でありました。それに対する国や電力の答えはすり替え、先送りに終始したもので、そのことは各社の記事に掲載されている質疑応答の一覧を読んだだけでも伝わると思います。特に、UPZ住民に屋内退避を強いて、住民を避難させない避難計画になっているのではないかという質問に対し、内閣府が福島第一原発事故では被曝よりも無理な移動で健康を害する人が多かったと、あたかも屋内退避が福島第一原発事故の教訓であるかのような答弁をしたことは許し難いことであります。現在、福島県の県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会長を務める鈴木元氏は、屋内退避の効果は限定的と指摘し、一般の家庭は二時間たつと五〇%外気が入る。放射性物質の放出が続くと屋内退避をしても三、四時間後に防護効果がなくなると述べております。このように被曝を防ぐ保証もないのに、避難させない屋内退避について、知事はどのように思いますか、伺います。 次に、八月二十四日の定例記者会見の知事発言について伺います。 七か所で開かれた住民説明会の受け止めを記者から問われた村井知事は、避難について不安に思っている方がたくさんおられたと認め、避難計画の実効性を高めるために、実動訓練を重視してやっていく、訓練の現場に行って状況視察をしてみたいと述べた。ここまでは住民説明会会場で自ら言明した内容でありますが、しかしその後すぐさま、避難計画は内閣総理大臣が議長である原子力防災会議が了承したのだからそれを前提にする、国の防災会議で実効性があると認めたということなので、私がそれに対して物申すことは控えるべきだ、という恐るべき責任転嫁の論理を展開されました。この知事発言に対して記者会見を聞いた多くの県民からの声は、知事が自ら住民説明会に出席し住民の声を直接聴いたにもかかわらず、住民よりも国の判断を優先するとは一体誰のためにどっちを向いて仕事をしているのか、自分が直接聴いた県民の声を地元同意の判断材料にしないとは一体知事は誰の代表なのか、何のために住民説明会を開き自ら出席までしたのか、国の下請として県民に対峙するのが知事か、県民の生命と財産を守るために県民の代表として国に対峙するのが知事ではないのか、等々生々しい声でありました。こうした県民の皆さんの声についてどう思われますか、伺います。 それが国策であったとしても県民の生命と財産を守る立場から検証し、判断をするのが知事の役割のはずです。自分の考えを言わないのでは責任回避、責任転嫁にすぎないのではないでしょうか、伺います。 次に、稼働していても稼働していなくても避難計画は必要なのだから避難計画と再稼働はリンクしないという論理は問題がありますので、伺います。 停止中と比べて稼働中の原発の危険度は格段に上がります。村井知事がよく持ち出す、稼働していても稼働していなくても避難計画は必要なのだから避難計画と再稼働はリンクしない、という論理は誤りです。停止中の原発と比べて、稼働中の原発の危険度は格段に上がります。稼働中は放射能も発熱量も桁違いに大きいからです。電力出力八十二・五万キロワットの女川二号機の運転中にその三倍強の約二百七十万キロワットの熱が出ると、一千三百五十倍の発熱量と聞きました。つまり、原子炉を停止して百五十日後の使用済み核燃料と比べて、稼働中の原子炉には一千三百五十倍の大量の放射能があると推察できます。このように原発の稼働中は半減期が短時間の放射能も含めて多数の放射性元素があり放射能も発熱量も大きい状態ですから、稼働中の原発事故は最も恐ろしい事故です。原発が稼働中と停止中では事故が起こった場合の恐ろしさが違いますから、避難計画・避難訓練と再稼働への同意判断を切り離すという論理は成り立ちません。同意表明する前に、実効性ある避難計画を策定し、避難訓練で検証することは絶対の最低条件と考えますので、知事の発言を撤回する考えはありませんか、御所見を伺います。 次に四点目、原発再稼働による立地自治体への経済効果と活性化について伺います。 再稼働による経済的波及効果は女川や石巻市議会が再稼働賛成になった大きな要因と思われますが、本当にそうなのでしょうか。正直私自身も、これまで漠然と経済効果があるのだろうと思っておりました。そう思うと女川商工会の皆さんの気持ちも分かります。しかしこれまでの経過をよく調べてみますと経済効果はかなり限定的なもので、女川原発は一部の産業には確かに一時的な経済効果をもたらしましたが、恩恵と言えるほど大きな効果がないと聞きます。例えば女川町全産業の生産額を合算した町内純生産額のピークは一九九二年の約三百六十億円で、建設業で見れば一号機、二号機着工後に増加し一九九六年の三号機着工後は戻っております。これは一九八〇年から一九九〇年代に相次いだ総合体育館や町立病院など、電源三法による公共事業の影響が大きいと言われています。一方でサービス業は一時的に原発に関わる労働者に支えられた側面はあると思われますが、町内の就業者数で見ますと一九七〇年の八千五百人が最多で、一九八〇年代以降に減少に転じております。特に卸売・小売業は事業所数も一九八一年の四百二十九事業所から震災前の二〇〇九年は百八十九事業所に落ち込んでおります。この事実から見ても、町への経済効果は一時的なもので、住民の皆さんが原発の危険性・安全性と引き換えるほどの恩恵に結びついていないと思いますが、知事の御所見を伺います。 今、須田女川町長を先頭に懸命に努力し震災後につくり上げつつあるすばらしい新たな女川町を、原発事故によって東日本大震災と同様に一瞬にして無に帰してしまうことのない判断を願うものであります。原発に依存しないまちづくりへと移行することが正しい選択と思うので、伺います。 五点目、東北電力への事前了解と政府への地元同意の判断時期について伺います。 九月十四日の定例記者会見において知事は、東北電力女川原子力発電所二号機の再稼働の前提となる地元同意の判断時期について、県原子力防災訓練の結果は関係ない、切り離して考えると述べられました。重大事故時の広域避難計画の実効性を確認するため、今秋以降に予定されている訓練の前に、同意の判断をする可能性を示唆したと報道がありました。更に判断時期を問われ、まだ分からないがいつまでもだらだらというわけにいかないと強調し、事前了解と地元同意の伝達は同時期になるとの見通しも明らかにしました。この知事の発言に大変驚きました。多くの県民の方からも失望の声が寄せられました。私は知事が何よりも考慮しなければならないのは、八月十八日の東松島市の会場での閉会の挨拶の中で、知事は住民の皆さんの避難計画への不安を強く感じたと自ら切り出して、「知事は避難訓練に参加すべきだ。現場へ行くべきだという話に自分も納得した。訓練の際に現場に行って、どこで詰まるのか、渋滞するか、自分の目で確認することを約束する。」と述べられました。住民説明会の場で知事はこのように説明しておいて、後になって避難訓練と再稼働は関係ない、と覆すとは一体どういうことでありましょうか。あの説明会場にいた誰もが、知事は住民の不安に応えるために、避難訓練の場に行き、自分の目で渋滞状況などを確認した上で、課題解決に向け不利な点をいかに改善できるかを見極めて、再稼働への地元同意の判断をするものと受け止めておりました。私もあの会場でそのように受け取りました。知事は説明会会場での参加者との間で交わした約束を守りその上で判断をすべきと考えますので、伺います。 次、六点目、再稼働中止こそ県民の安全を守る道と考え原発固執政策からの転換を望むので、伺います。 原発はもともと未完成の技術です。核分裂が暴走する危険性、冷却に失敗すればすぐに燃料棒が溶融する危険性、使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物を処理する方法がないなどの欠陥を抱えております。原子力規制委員会も事故はゼロではない、合格しても安全とは申し上げられないと認めております。使用済み核燃料などに大量に含まれるプルトニウム239は極めて毒性が強く、放射能が半分に減るまで約二万四千年もかかると聞きます。処理する方法がなく、保管に要する費用は天文学的金額です。子々孫々にツケを残す核のごみを更に増やすことになる再稼働は倫理上も許されません。ドイツのメルケル首相は、福島に学ぶとして、全ての原発を廃止することを決断しました。原発事故を引き起こした当事国である日本も見習い決断すべきです。原発ゼロでも電気は十分です。東北電力管内では東日本大震災から九年以上も原発ゼロであります。太陽光・風力の発電が急速に普及し、東北管内では今年五月の連休に再生可能エネルギーの比率が最高時に七七・五%に達したと聞きました。もう原発はいりません。原発の電気代は安いという言葉は最近聞こえてきません。既に三千四百億円も安全対策費をかけた女川原発二号機の発電コストは、資源エネルギー庁が示している一キロワット時一〇・一円から大幅に上回り、更にテロ対策に最大で一千億円もかかると言われており、発電コストが大きく跳ね上がることが予想されます。また、全国の原発での雇用は二万人前後ですが、再生可能エネルギーによる雇用は既に二十八万人に達しております。雇用を増やし、地域経済を元気にする力は再生可能エネルギーのほうがはるかに大きいと考えますが、知事の御所見をお伺いします。 次に、最後の質問、七番目、重大事故時における責任と補償について伺います。 不幸にして女川原子力発電所で重大事故が発生し県民の多くが避難を余儀なくされた場合、誰が責任を負い、避難生活を強いることによる生活保障及び帰還できない居住を奪われた方々への損害賠償は誰が補償し支払うことになるのか、伺います。 以上、壇上からの質問を終わらせていただきます。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 佐々木功悦議員の代表質問にお答えいたします。 大綱一点、女川原発再稼働に関わる諸課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、安全性検討会を終了したことについてのお尋ねにお答えいたします。 東北電力との安全協定に基づく事前協議においては、関係者間の合意に基づき、いわゆる原子炉施設の基本設計である原子炉設置変更許可申請の内容により、施設等の安全性を確認することとしております。安全性検討会は事前協議への回答に当たり科学的・工学的観点から確認するため設置されたものでありますが、九十一の論点について十分に議論が尽くされ確認がなされたことからその段階で終了したものであります。なお、工事計画や保安規定の内容については、国の審査等を踏まえながら、県としてもその都度確認を行っていくこととしております。 次に、二号機再稼働による使用済み核燃料についての御質問にお答えいたします。 東北電力女川原子力発電所二号機を再稼働することによる使用済み燃料の発生量は、東北電力が原子力規制庁に提出した原子炉設置変更許可申請書によりますと、設備利用率を八〇%と仮定した場合、一年当たり平均約十六トンとなっております。 次に、使用済み核燃料の保管施設についての御質問にお答えいたします。 女川原子力発電所の使用済み燃料については、東北電力では、日本原燃株式会社の六ヶ所再処理工場への搬出を前提として、当面は既設の貯蔵設備を活用して保管することとしております。また、東北電力においては、敷地内外における乾式貯蔵等の方策についても検討しているとのことでありますが、具体的な計画については承知をしておりません。 次に、使用済み核燃料や放射性廃棄物が敷地外にあふれ出てくるのではないかとの御質問にお答えいたします。 女川原子力発電所が再稼働した場合に生ずる使用済み燃料については、先ほど申し上げましたとおり、当面は既設の貯蔵施設を活用して保管が可能であると聞いております。また、運転中に発生する低レベル放射性廃棄物については、以前より発電所敷地内で保管した後、日本原燃株式会社の六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターに輸送し埋設処理がなされております。県では安全協定に基づき、東北電力から使用済み燃料と低レベル放射性廃棄物の発生・管理状況について定期的に報告を受けており、今後とも適切に管理されるよう監視してまいります。 次に、使用済み核燃料の保管経費についての御質問にお答えいたします。 我が国において使用済み燃料は資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度の低減等の観点から再処理を行い、回収されるプルトニウム等を有効活用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としております。そのため、使用済み燃料を数百年にわたる長期間保管することは想定されていないものと認識しております。 次に、プルトニウムの保管経費についての御質問にお答えいたします。 繰り返しになりますが、我が国では使用済み燃料については再処理を行い、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としております。そのため、再び核燃料として使用することとなるプルトニウム239を、御指摘のような長期にわたって保管することは想定されていないものと認識しております。 次に、再稼働は倫理的に許されないと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。 原子力発電所の再稼働は、高レベル放射性廃棄物の最終処分とともに、後世に負担を残さないためにも国が主体となり責任を持って取り組むべき問題と認識しております。県といたしましては、課題の解決に向けた電気事業者の取組の促進、貯蔵の安全性に対する国民の理解促進、核燃料サイクル施策との連携に係る検討などについて、全国知事会や原子力発電所関係団体協議会を通じて引き続き国に対し要望してまいります。 次に、制御棒に関する事故や沸騰水型原子炉の安全性についての御質問にお答えいたします。 これまでに国内で発生した制御棒に関するトラブルについては沸騰水型原子炉のみならず加圧水型原子炉においても制御棒落下に伴う原子炉手動停止等、国への法令報告事象が発生しているものと認識しております。また、過去に女川原子力発電所においても、制御棒に関する事案が発生しており、このような事態は避けなければならないと考えております。県といたしましては原子力発電所の運営に当たり、東北電力に対し万全の措置を講ずるよう、今後とも厳しく指導を行ってまいります。 次に、女川原子力発電所二号機の運転期間についての御質問にお答えいたします。 原子力発電所の運転期間については、原子炉等規制法の規定に基づき認可を受けた場合に最大六十年まで運転できることとされておりますが、女川原子力発電所がこの制度を利用するか否かは承知しておりません。また、長期運転による事故リスクの増大への懸念については原子力規制委員会の審査において、現状の劣化状況を確認するための設備点検結果や延長した場合の原子炉等の技術評価及び施設管理方針を厳格に確認し認可することとなっているため、事故リスクが増大することはないと認識しております。 次に、二号機の発電コストについての御質問にお答えいたします。 東北電力では、女川原子力発電所二号機の再稼働に当たり、安全対策工事に係る投資額や火力燃料費の低減効果を見極めた上で経済性も含めた総合的な評価を行っており、現時点では安全対策工事に係る投資分を回収できるだけの経済性があると聞いております。なお、女川原子力発電所二号機の発電コストについては事業経営に関わるものであり承知しておりません。 次に、電力取引市場の一つとして導入された容量市場について国に見直しを求めるべきとの御質問にお答えいたします。 容量市場は、電力の小売自由化や再生可能エネルギーの導入拡大等による市場価格の低下などにより既存発電所が閉鎖され、結果として中長期的な供給力不足に陥ることへの懸念を背景に、今年度から導入された将来の供給力を確保するための制度であります。先月公表された取引の結果を受け、国では制度の在り方について、有識者や事業者の意見を聴きながら、見直すべき点があるかどうか議論を進めることとしていることから、県といたしましてはまずはその動向を注視してまいりたいと考えております。 次に、特定重大事故等対処施設と再稼働についての御質問にお答えいたします。 原子力発電所に対するテロによる重大事故等への対策については、新規制基準において外部から電源を供給する電源車やガスタービン発電車等の可搬型電源設備、外部から原子炉を冷却するためのポンプ車や熱交換ユニット車等の可搬型冷却設備の配置等、必要な対策が求められているところであります。特定重大事故等対処施設は安全性能の終わりなき追求の観点から、その信頼性を更に向上させるためのバックアップ施設として位置づけられており、新規制基準に係る原子力発電所本体の工事計画認可から五年間はその追加的な基準の適用を猶予することとされております。このためこの間は法令上当該施設がなくとも、原子力発電所の運転が認められているものと認識をしております。 次に、住民説明会を改めて開催すべきとの御質問にお答えいたします。 住民説明会についてはソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、検温など十分な感染症対策を施し、滞りなく開催することができたと認識しております。また現在も県のホームページにおいて当日の説明資料や全会場における動画を公開しており、関心のある方は説明内容や質疑応答をありのまま御覧いただけることから、追加での開催は考えておりません。 次に、屋内退避についての御質問にお答えいたします。 原子力災害時におけるUPZ住民の屋内退避については八月に開催した住民説明会において参加者から質問がなされるなど、県民の不安の声があったことは承知をしております。しかしながらUPZにおける屋内退避は、UPZ住民が放射性プルーム通過時の被曝の影響を低減する効果的な防護措置として確実に実行していただくべきものであると認識しております。県といたしましては、こうした不安の声をしっかりと受け止め、確実に防護措置を実施していただけるよう放射線に関する正しい知識や屋内退避の重要性についてあらゆる機会を通じて広報するなど、周知に努めてまいります。 次に、避難計画に関する責任転嫁の発言についての御質問にお答えいたします。 避難計画の策定は災害対策基本法等において自治体の責務と定められておりますが、原子力災害の特殊性から国が策定を支援することになっております。また、災害時の対応は国の原子力災害対策本部が住民避難などの重要事項の指示を行うこととされており、国策として進められている原子力の利用は原子力災害時の対応を含め、最終的に国が責任を持つべきものと考えております。 次に、避難計画と再稼働についての御質問にお答えいたします。 避難計画については六月二十二日に開催された原子力防災会議において女川地域の緊急時対応が了承されたことから、その基本的な部分についての実効性は確保されたものと認識しております。また、原子力防災訓練の実施や訓練結果を踏まえた避難計画の見直しなど、原子力防災体制の充実・強化は住民の安全・安心の観点から重要と考えております。県といたしましては再稼働の有無にかかわらず今後も引き続き関係市町と連携して、避難計画の更なる実効性の向上に取り組んでまいります。 次に、女川原子力発電所の経済効果と原子力発電に依存しないまちづくりについての御質問にお答えいたします。 女川原子力発電所は国のエネルギー政策の下、安全性の確保を前提に電力の安定供給に貢献してまいりました。地元市町ではこれまで発電所の立地に伴う固定資産税や電源三法交付金を活用し社会資本整備などを進め住民福祉の向上を図るとともに、電力会社等の従業員の増加により交流人口が拡大し、相当程度の経済効果があったものと認識しております。また、今後のまちづくりについては人口減少社会において持続可能な地域づくりを進めていくことが極めて重要と考えており、引き続き地元市町と連携しながら取り組んでまいります。 次に知事は、避難訓練に参加し、再稼働の是非を判断すべきとの御質問にお答えいたします。 今年度の原子力防災訓練は国の訓練と一体的に実施するため、実践により近い形での訓練となり実態に即した課題抽出が容易になることから、避難計画の改善につながるものと考えております。訓練の実施に当たっては、私自身の現地への参加も含め関係機関等と調整を行い、再稼働への理解表明の有無や時期にかかわらず実施してまいります。なお、再稼働への理解確保の要請への回答については、県議会や市町村長に意見を伺った上で総合的に判断することとしており、東北電力との安全協定に基づく事前協議への回答については、安全性に関する県としての考え方を整理した上で判断してまいります。 次に、原子力発電よりも、再生可能エネルギーのほうが地域の雇用・経済に及ぼす効果が大きいと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。 再生可能エネルギーは太陽光、水力、風力等様々な電源があることに加え、国内での生産も可能なことから、新たな産業や雇用の創出が期待できる分野であると認識しております。一方、エネルギーはあらゆる活動を支える基盤であり、安定的で負担の少ない供給が我が国発展の基本となることから、国の第五次エネルギー基本計画においては原子力を重要なベースロード電源と位置づけた上で、その依存度を再生可能エネルギーの導入等により可能な限り低減することとされており、こうした考え方に基づき進められていくものと考えております。 次に、重大事故発生時の責任と補償についての御質問にお答えいたします。 原子力発電所において発生した事故については、第一義的には原子炉の運転を行う電気事業者が責任を負うものと考えております。また、帰還困難者等に対する補償については、原子力損害の賠償に関する法律に基づき、地震、噴火、津波または一般的な事故が原因の場合には事業者が、異常に巨大な天災地変または社会的動乱が原因であれば国が賠償責任を負うこととされております。なお、県といたしましては、万が一原子力災害が発生した場合には、県民の生命、身体及び財産を守るため、全力を挙げてその責務を果たしてまいりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 二十六番佐々木功悦君。 ◆二十六番(佐々木功悦君) 御答弁ありがとうございました。 それでは早速再質問させていただきたいと思います。少し順序が逆になりますが、屋内退避についての再質問をさせていただきます。国の機関が出した屋内退避について言及した報告書がございます。今年の三月、内閣府原子力防災担当と日本原子力研究開発機構の連名で、屋内退避についての新しい試算報告書が提出されました。屋内退避では、内部被曝を防ぐことができないことが明らかにされました。この新しい試算の結論は、一つの施設で二億円かかると言われる陽圧化により被曝は九割以上低減できるけれども、陽圧化しない屋内退避では三割の低減にとどまるとして、高気密住宅でないいわゆる一般家屋の場合、屋内退避では内部被曝を防ぐことができないとしております。これまで説明された古い知見に基づいた国の方針どおり、屋内退避がベストなのでしょうか、改めて伺います。 ○議長(石川光次郎君) 環境生活部長鈴木秀人君。 ◎環境生活部長(鈴木秀人君) ただいまの質問でございますが、国が示した資料というのは暫定版と受け止めておりまして、県といたしましては屋内退避による効果として屋内退避をすると、外部被曝につきましては二〇%から四〇%まで低減される、また、吸入による内部被曝につきましては五%から二五%まで低減されるといった国から示された方針を受けての対応を考えておるということでございます。 ○議長(石川光次郎君) 二十六番佐々木功悦君。 ◆二十六番(佐々木功悦君) 今申し上げたとおり、もはや古い知見に基づいての原子力防災避難訓練は、やはり抜本的に見直していく方向で進めていくことが、必須だと思います。今は被曝ありきの避難計画になっておりますが、先ほど申したとおりもう既に内閣府の原子力防災担当と原子力機構でははっきり明示しておりますから、それを受けて新しい知見に基づいて方針をしっかりと変更するように重ねてお願いしておきたいと思います。これはお願いです。 次に、住民説明会の追加開催について伺います。放射能の及ぼす影響は、三十キロメートル圏域を超えて県内全体に関わる問題です。避難者を受け入れる側の仙台市をはじめ、広域圏での説明会は絶対必要だと私は思います。九月二十四日開催された議員全員協議会において、資源エネルギー庁政策統括調整官は、呼ばれればいつでもどこでも説明に出かけると、要望に即して対応すると何度も強調されておりました。国が説明責任を果たすべく前向きに話しているのに、七か所以外の開催は考えていないとは余りにも県民を無視した回答ではないでしょうか。再考をお願いしますが、いかがでしょうか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほども答弁いたしましたが、県が七回開催いたしまして、時間の許す限り参加者に対して各機関から適切な回答がなされたものと考えてございます。また、先ほど言ったように、インターネットでいつでも御覧いただける環境にありますので、ぜひ関心のある方はそちらを御覧いただきたいと思います。国の関係者から議員全員協議会でそういう発言があったということでございますが、どういう意図でお話しになったのか、国に対して改めて確認をさせていただき相談をさせていただきたいと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十六番佐々木功悦君。 ◆二十六番(佐々木功悦君) ぜひよろしくお願いしたいと思います。 次に政府への地元同意の判断時期について、関連して伺います。知事は、度々経済産業大臣への回答は全市町村、県議会に意見を伺うなど必要なプロセスを経た上で判断するとしておりますが、知事の言う県議会の意見を伺うとは具体的にどのような方法を考えておられるのか、伺います。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは議会が考えること、決めることであり、こうしてほしいというようなことを申し上げるのは控えるべきだと私は思いますが、今回の議会、議員の皆さんの発言も含めて、今日の質問も含めて、議員の皆さんがどのようにお考えになっているのかということをしっかりと見定めたいと思ってございます。できれば、議会としてこういう意思を持っているということを、議会全体として表していただくと大変ありがたいと思ってございますが、それは私が強要できるものでは決してないと考えております。 ○議長(石川光次郎君) 二十六番佐々木功悦君。 ◆二十六番(佐々木功悦君) 今の知事の発言を聞いて、何というか、あくまで議会の議論を待つという、何となく主体性がない、言わば他力本願的な消極的な解決方法を考えておられるのかなと思わざるを得ません。知事はもっと主体的に、主体性を持って、取り組むべきだろうと私は思います。その点を申し上げさせていただきたいと思います。 次に、政府への電力市場の見直し要求について再質問をさせていただきます。ドイツも電力市場をつくろうとしたことがありましたが、やめました。理由は再生可能エネルギーの普及・開発を阻害するからであります。ドイツの判断がいかに正しかったかは、再生可能エネルギーの普及の状況を見れば明らかだと思います。知事は女川原発二号機の再稼働については総合的に判断したいと表明しましたが、直ちに再稼働に同意することは、気候危機を深刻化する方向にアクセルを踏み込むことになります。少なくとも政府に電力市場の見直しを求め、それを待ってから判断を下すべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 度々申し上げておりますが、この国のエネルギー供給をしっかりと統括をして判断するのは、国の責任でございます。私は決して再生可能エネルギーを否定するものではなく、将来性に非常に大きな期待を寄せておりますし、国の方針と同じように再生可能エネルギーの割合を増やしていくことによって原発依存度を減らしていく、いずれはゼロになればいいなと正直思っております。そういう意味で、過去私も原発を将来なくしていく方向に考えていますということをお話ししたこともあったと思います。ただ、先ほど言いましたように、エネルギーの割合を考える国が原発をベースロード電源だと、基幹的な電源だと位置づけている以上、その考え方をベースに物事を考えていくことは当然必要なことであると考えているということでございます。 ○議長(石川光次郎君) 二十六番佐々木功悦君。 ◆二十六番(佐々木功悦君) 私宛てに東北電力に関係する方々からこれまで多数の声、意見が寄せられております。一部紹介させていただきます。原発事故の被災地にありながら、地域住民の声に積極的に耳を傾けようとせず、再稼働へ前のめりに突き進む東北電力に憂える、という内容のメッセージであります。脱原発を真剣に考えておられる県民の立場から「東北電力に対し下記事項を問いただしていただきたく投稿をいたします」とあり、その内容は「再稼働を優先するあまり防潮堤をはじめとした安全対策に関する各工事を、許認可前に見切り発車で実施した。しかし、その後工事のやり直しが多数必要となり結果的に巨額の損失を生んでいる。その経緯や経営責任に対する説明が全く行われていない。安全対策に関する各工事は、原発の特殊性を考慮しても、市場価格に比べてあまりにも高額である。ほとんど業者の見積り額のままであり、再稼働を最優先とし、工事費の妥当性は無視されています。かけ離れた工事費の異常さは、専門的な立場から確認すれば明らかである。」。この指摘は、電気料金を支払う県民にとっては料金に跳ね返る看過できない問題であると考えます。そして更に次のように述べております。「原発稼働と放射性廃棄物処分は切り離せない問題であるにもかかわらず、再稼働へ向けて安全性向上のみを強調し、廃棄物処分についてはないがしろ。廃棄物処分が懶惰、進展していないだけでなく、電力会社も国も責任を持って取り組む覚悟は全くない。原発事故の被災地にありながら、地域住民の声に耳を傾けようとせず、再稼働を前のめりに突き進む東北電力。原発の是非、再稼働の是非等について意見することが許されず、考えることも放棄している。これが東北電力企業グループの社員の実態です。」という趣旨の話であります。一部を今お話し申し上げましたが、この東北電力関係者からの訴えに対して、今お聞きしたとおりでありますが、知事の何か感ずるところがあれば伺います。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 東日本大震災からここまで九年かかりました。この間、新たな原子力規制庁という組織ができて、非常に厳しいチェックをされて、安全のみを強調し、再稼働を最優先したわけでは決してないと、かなり厳しいチェックをしたと私は認識をしておりますが、ただ県民の皆さんの中にそのような思い、考え方を持っている方がおられるということについては、しっかり受け止めなければならないと思います。繰り返しになりますが、安全に終わりはないわけでありまして、何があるか分からないということを常に念頭に置きながら、やはり対策を考えていくということは重要なことであると思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十六番佐々木功悦君。 ◆二十六番(佐々木功悦君) 今のは県民の声というよりは東北電力の関係者からの手紙でありますので、御承知おきいただきたいと思います。 最後になりますが、知事に申し上げます。原発再稼働は、県民の命、暮らしに直結し、ふるさと宮城を担う子供たちの将来に関わる大きな問題です。県民の目線が一人の人間として、子供たちの将来を考え、どう判断することが正しいのか。原発再稼働問題は、国が決めることなどと他人ごとのような安易な考えはもはや許されないと考えるべきです。子供たちの未来に責任を持ち、後世に取り返しのつかないことにならないように心から願い、知事に懸命な御判断をされますことを切望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 暫時休憩いたします。    午後二時一分休憩-----------------------------------    午後二時二十分再開 ○議長(石川光次郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二十三番天下みゆき君。    〔二十三番 天下みゆき君登壇〕 ◆二十三番(天下みゆき君) 天下みゆきです。日本共産党県議団を代表して質問いたします。 最初に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 八月下旬以降の仙台市、塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町等での感染拡大を踏まえ宮城県は九月十八日、緊急警報を初めて発令し感染対策の徹底を呼びかけました。感染を封じ込めていくためには、予防対策の徹底とともにPCR検査の拡大により陽性者を早期に発見して、隔離・治療につなげることが必要です。感染多発地域やクラスター発生地域、そして地域内の医療機関や介護・福祉施設の職員・利用者等へのPCR検査を無料で実施することを求めます、いかがですか。 この間、患者数の増加に病床の確保が追いつかず、入院調整中の患者さんが増えました。病床確保の見通しをお答えください。また、今後インフルエンザと新型コロナの流行が危惧される中で、医療機関の財政状況の悪化による医療崩壊が懸念されます。新型コロナ患者の受入れの有無にかかわらず、医療機関への減収補填を国に再度要請するとともに、県として支援することを重ねて求めます、いかがですか。 一方、感染者が拡大した地域では客足が減り再び休業に追い込まれるなど、地域経済に与える影響は深刻です。生活を支え事業の再起を支援する手だてが必要ですが、高齢の個人事業主が多くウェブ申請に対応できないなど課題があります。そこで市町村とも連携して家賃支援給付金などの申請への支援を行うこと、国に持続化給付金の対象拡大と継続的な支給を求めること、県の中小企業等再起支援事業は希望者もいることから再募集をすること、また事業者支援市町村補助金の拡充など中小・小規模事業者への支援の強化を求めます、お答えください。 さて、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、これまでの社会の弱いところ、もろいところを明るみに出しました。コロナ危機により明らかとなったことから県政課題を検証し、新・宮城の将来ビジョン、以下、新ビジョンとの関連も含めて質問いたします。 保健所と保健環境センターについて伺います。 新型コロナにより感染対策のとりでである保健所と保健環境センターの脆弱性が浮き彫りとなりました。春の第一波は、保健師や事務職員など合計三十五人を七保健所二支所に応援・配置して乗り切りましたが、それでも百時間を超える時間外勤務が発生しました。そして九月に入って感染者が急拡大した塩釜保健所では、ほかの保健所の保健師や厚生労働省のクラスター対策班の派遣を受けるとともに、公衆衛生医師をトップに特別対策チームを設置して対応しました。来年度十人の保健師増員は一歩前進ですが、実態から見ればまだ足りず、更に体制強化が必要です。ところが、知事は先ほど栗原保健所と登米保健所を令和四年度から支所にすると表明いたしました。栗原市長と登米市の担当者に支所化について意見を聴いてきました。栗原市長はコロナ禍での支所化は全く時期を間違えていると指摘し、登米市の担当者は登米から石巻まで直通の交通機関はなく登米の生活圏は石巻だけではない、地域も知らないで専門性が高められるのか、と言われました。新ビジョンの取組には感染症対策推進体制の整備も入っていますし、コロナ後も新たな感染症の危惧が指摘されております。保健所の統廃合は中止し、県内の保健所体制を更に強化することを求めます、お答えください。 また仙台保健福祉事務所及び塩釜保健所は塩釜地域二市三町と岩沼市・名取市と亘理郡、富谷市と黒川郡の計十三市町村を管轄しています。岩沼支所と黒川支所を置いていますが、人員体制は今年の四月一日現在、塩竈市にある本所が六十四人、岩沼支所が十八人、黒川支所が十二人です。塩釜保健所管内での感染者急拡大の対応には、県内外からの応援が必要でした。また、黒川支所は生活保護や住居確保給付金などを扱う生活支援班がないために、仙台保健福祉事務所の職員は限られた日にしか対応できず、相談が速やかに進まない状況も見受けられます。岩沼支所と黒川支所の体制を強化して、それぞれ保健福祉事務所及び保健所にする検討を求めますが、いかがですか。 次に、宮城県保健環境センターについて伺います。 共産党県議団で視察をしてきました。PCR検査を三月は五人体制、四月以降、所内外からの応援で十五人体制となり、九月からは一日百二十件の検査ができるということでした。視察をして技術者育成の重要性と大変さが分かりました。来年度に向けて、応援ではなく安定した人員配置の強化と系統的な技術者の研修システムの構築を求めますが、いかがですか。 また、PCR検査は必ずバックアップ用の機械が必要だそうです。現在の二台がフル稼働したときにはもう一台あると安心です。PCR装置の一台購入も併せてお答えください。 次に、公立病院統廃合の問題です。 第二波の感染拡大を受け知事が記者会見で医療崩壊を懸念していると発言するなど、医療提供体制の脆弱さも明らかになりました。ところが、こういうときにも宮城県は公立病院の再編・統合を進めようとしています。宮城県と東北大学が牽引している公立刈田綜合病院とみやぎ県南中核病院との連携プランにより、刈田綜合病院は、回復期医療や総合診療などにシフトし、三百床から百九十九床に病床を削減し、医師七名、看護師五十九名、医療技術者七名を削減する計画です。七月十二日に白石市で行われた住民説明会に参加いたしました。率直に言って経営改善ばかりが先行して、地域医療を充実させる展望は見えませんでした。そういう中で白石市医師会の会長さんが、医師会やみやぎ県南中核病院の実態を踏まえ、刈田綜合病院での救急医療の維持と外来医療の充実、訪問診療、訪問看護の実施を提案していたのが印象的でした。また、刈田綜合病院は感染症指定医療機関ですが、感染症や呼吸器科の医師がいません。公立刈田綜合病院の病床削減・人員削減先にありきの統廃合計画は撤回し、地域で求められる医療は何かをよく議論をして、そこに医師や看護師を配置して収益を増やす検討を行うこと、そして感染症を診る医師を配置することを求めます、お答えください。 さて、宮城県は突如、東北労災病院・仙台赤十字病院・県立がんセンターの三病院での連携・統合によるがんを総合的に診療できる機能を有する病院の実現に向けた検討を開始し、年内には一定の方向性を決定すると発表しました。担当課はまだ協議中で何も決まっていないと言っていますが、富谷市と名取市が病院誘致の名のりを上げるなど、統合ありきの動きが進み、三病院それぞれの職員や患者、地域住民に病院がなくなるのかと大きな不安を与えています。名取市議会では村井知事に対して、宮城県立がんセンターの名取市内での存続と医療機能の充実に関する決議が採決されました。病院は医療の営みはもとより、多くの取引業者が出入りし、周囲にお店ができ、バス路線が整備されるなど、まちづくりや地域経済にも大きな役割を果たしています。それを関係者の意見も聴かず、僅か三、四か月の検討で方向性を決めるということはあり得ないことです。方向性を決定する前に、職員や患者、地域住民の意見を聴くことを求めます、いかがですか。 そして、宮城県が循環器・呼吸器病センターに続いて、病院事業から更に撤退することがないよう強く求めます、お答えください。 次に、教育について伺います。 新ビジョンの政策推進の基本方向に、社会全体で支える宮城の子供・子育てを新たに加えたことは評価いたします。新型コロナウイルス感染症は日本の学校の問題点も浮き彫りにしました。四十人学級では感染症予防のための十分な距離を確保することが困難なことです。また、学校の休校により夏休みの短縮や七時間授業、勉強の進み方も速く子供たちはストレスがたまっています。子供一人一人の学びを支え心のケアを行う手厚く柔軟な教育が必要ですが、教師は検温や消毒作業なども加わり多忙化が加速をしています。これらの問題を解決するためには、教師を増やして少人数学級の導入しかありません。七月三日に全国の知事会など三団体が、七月三十日には小中高校の校長会会長がそれぞれ少人数学級実現の要望書を文部科学大臣に提出しました。九月八日の政府の教育再生実行会議は、来年度の予算編成において少人数学級導入の検討を促すことで合意し、九月二十四日には自由民主党の教育再生実行本部が三十人学級の実現を文部科学大臣に申し入れました。そして、文部科学省は二十九日、来年度予算案概算要求に少人数学級を事項要求として盛り込みました。知事、新ビジョンの社会全体で支える宮城の子供・子育ての取組に少人数学級の導入を書き込むことを求めます。ウィズコロナの時代、宮城の子供たちに知事から少人数学級をプレゼントしてください、いかがですか。 次に、雇用の問題です。 新型コロナは雇用の脆弱さも浮き彫りにしました。解雇・雇い止めがじわじわと増えて九月二十五日現在で、宮城県は一千四百四十一名に上りました。この数はハローワークなどに相談があった数で、実態はもっと深刻でしょう。今回の解雇・雇い止めは宿泊、飲食業、小売業などで働く非正規雇用労働者を直撃しています。ある非正規雇用の女性は、雇用保険や労災保険もなく休業期間中の休業手当も支給されず解雇されて仕事を探しているがなかなか見つからないと言います。そこで、第一に解雇・雇い止めを未然に防ぐよう全力で取り組むこと、第二に失業者の雇用対策を講ずるとともに失業手当がない人への救済措置を講ずること、第三に雇用調整助成金や社会福祉協議会の総合支援資金の特例期間住居確保給付金の支援期間の更なる延長を国に求めること、第四に最後のセーフティーネットである生活保護の更なる要件緩和を図ることを求めます。困窮したときは、国民の権利である生活保護をためらわずに申請するよう知事から県民にこの場で訴えてください。そして、五つ目に新ビジョンに正規雇用を増やすと明記をしてください。以上、五点についてお答えください。 次に、十年目を迎えようとしている東日本大震災の復興について伺います。 宮城県の復興は創造的復興と称して空港民営化や水産特区、水道民営化などを全国いち早く進め、活断層のそばの広域防災拠点整備に三百二十四億円も投入する一方で、知事は市町村の仕事だ、国の責任だ、予算がないと言って県営の災害公営住宅は一戸も造らず、被災者医療への県の支援は早々に打ち切り、県独自の生活再建支援制度が全国で広がる中で宮城県はいまだつくっておりません。在宅被災者は取り残されたままです。村井知事が力を入れてきた創造的復興とは、大災害に乗じて大企業のもうけ先を提供する、まさに惨事便乗型の復興であり、一番肝心の被災者の生活再建が置き去りにされてきたと思います。知事は宮城県の被災者の生活再建は十分に対応してきたとお考えですか、お答えください。 生活再建に関連して伺います。被災者生活再建支援制度の適用基準を満たさない市町村であっても、都道府県が条例で全壊等の世帯に被災者生活再建支援法と同様の支援を行えば支給額の二分の一を特別交付税で措置するという国の制度があり、全国二十四都府県で全壊世帯に最大三百万円を支給する独自支援制度をつくっています。国は、今年四月二十三日付の通知で、この支援措置の対応を各県に呼びかけており、宮城県でも条例を整備して独自支援制度をつくることを求めます、いかがですか。 次に、新ビジョンの県政運営の理念と基本姿勢について伺います。 富県共創を掲げた宮城県政について検証します。知事は、県内総生産が約一兆円増加したと言いますが、その約七割が復興需要による建設業の伸びでした。二〇一五年をピークに建設業は減少し、県内総生産の伸びは鈍化してきています。中でも農林水産業は、物価変動の影響を除いた実質の県内総生産では二〇〇七年から二〇一八年までに二六%の減少となりました。観光客入り込み数が過去最高と言いますが、仙台中心部の独り勝ちで沿岸部や鳴子など地方の観光地がむしろ減少していることは、二月の宿泊税の質問で明らかにいたしました。個人消費は既存店の百貨店・スーパー販売額が二〇一二年をピークに減少し、実質賃金は二〇一一年をピークに約二〇%減少した後、横ばいです。その一方で、消費者物価指数は二〇一三年以降ほぼ毎年上昇傾向でした。生活保護率は二〇〇七年四月の八・四二パーミルから、二〇二〇年四月は一二・七八パーミルと一・五倍となり、貧困世帯が増えております。富県共創の十三年間は、新型コロナ前の段階で県内総生産は増えたものの、二回にわたる消費税増税も影響し県民の暮らしは年々厳しくなり格差と貧困が進んだ十三年間だったと思いますが、知事はどのように受け止めますか、お答えください。 知事は富県共創、創造的復興を掲げ、日本の政財界が進める民営化路線を日本のトップランナーとして推進してきましたが、子供の医療費や少人数学級などは全国の後進県でした。コロナ禍が明らかにしたものは、経済効率最優先の政治から、人間のケア、雇用、教育など人間が生きていくために必要不可欠なものを最優先にする政治への転換です。よって、新・宮城の将来ビジョンの理念は、富県共創を土台に更に躍進をする富県躍進ではなく、一人一人の県民が幸福を実感し希望が持てる宮城県など、県民が主人公の理念に改めることを提案します、いかがですか。 次に、新ビジョンの政策推進に向けた横断的な視点にジェンダー平等を入れることを提案します。世界経済フォーラムが二〇一九年十二月に発表した各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数の日本の順位は過去最低を更新し、百五十三か国中百二十一位でした。日本はジェンダー平等の後進国です。現在、コロナ禍で解雇された雇用者の多くが非正規雇用の女性でした。宮城県の非正規雇用労働者は三六・五%を占め、特に女性の非正規雇用率は五四・九%と半分以上を占めています。また、東日本大震災では避難所での女性のニーズの軽視や深刻な性被害、仮設住宅でのDVなど女性の人権侵害が問題となりました。そこで、ジェンダー平等の視点を県政のあらゆる施策に貫き、県職員の採用や管理職の登用、各種審議会委員等の女性比率の向上を図ること、そして全庁挙げた取組とするために、県の機構を男女共同参画推進班から男女共同参画推進課に格上げすることを求めます。また、県の男女共同参画基本計画の指標に女性の正規雇用・非正規雇用の比率を入れることを提案します。併せてお答えください。 新ビジョンの県行政運営の基本姿勢に民の力を最大限に生かすと掲げられていますが、知事は民営化にのめり込み県民本位の行政運営の視点が忘れられています。民営化に関連して県民の不安が大きいみやぎ型管理運営方式について伺います。 水道も下水道も水質検査が重要です。企業局の説明では、みやぎ型管理運営方式に移行しても、水質検査は現行と同等以上の項目、方法、頻度で行うと言っています。しかし、仕様発注から性能発注に変わるためより厳密なチェックが必要だと思います。県が新たに行う抜き打ち検査の対象とその頻度はどのように考えていますか、伺います。 また、水は生存権を具現化する公共の福祉そのものであり何よりも情報の透明性が大切です。ところが、この事業は企業の利益を損ねるからと導入可能性調査のときも、運営権者選定に当たっても、県民に情報がほとんど公開されません。PFIに基づいて情報公開ができないのであれば、水の公共性を優先してPFI方式を取っているみやぎ型管理運営方式はやめるべきです、お答えください。 次に、女川原発再稼働中止を求めて質問いたします。 最初に、女川地域の緊急時対応について伺います。 女川原発の住民説明会では原発から三十キロメートル圏内のUPZ内住民から、私たちは被曝するのではないかという不安の声が出されました。女川地域の緊急時対応では「UPZ内住民は全面緊急事態となった場合は屋内退避を開始し、放射性物質の放出に至った場合も、放射性プルームが通過している間は被曝リスク増加のおそれがあるため屋内退避を継続する。その後原子力災害対策本部の指示により、一週間程度内に一時移転を開始する」とされています。そうすると、放射性物質放出後に避難するUPZ内住民は被曝しながら避難するということになりますが、そういう認識でよろしいですか、お答えください。 屋内退避中の住民の健康状態や食料、水、薬などの充足状況をどうやって把握をするのか、また屋内退避中の住民は物資や薬が足りなくなった場合は、どうやって調達をするのか、そもそも屋内退避のマニュアルはあるのか、伺います。 屋内退避中に市町で生活物資が足りなくなった場合は宮城県が災害時における物資の供給に関する協定を締結した民間企業等に要請するとのことでした。この協定書には、原子力災害時にUPZ内にも供給することや運転手が被曝した場合の労災補償も入っているのかお尋ねします、いかがですか。 UPZ内住民への安定ヨウ素剤の緊急配布場所は、一時集合場所二百十三か所と避難退域時検査場所十八か所の合計二百三十一か所とされています。安定ヨウ素剤の配布に必要な医師や薬剤師は何人確保し、安定ヨウ素剤について研修した自治体職員は何人確保しているのか、伺います。また、安定ヨウ素剤は飲むタイミングが重要で、被曝前二十四時間以内または被曝直後とされています。UPZ内住民は既に汚染している中での避難となりますので、避難時に服用できるよう事前配布とすべきと考えますが、いかがですか。 次に、要支援者の避難計画について伺います。 総勢一万二千人を超える三十キロメートル圏内の医療機関、福祉施設、在宅の要支援者の避難のために必要なバスや救急車、福祉車両などの車両は何台必要で何台確保しましたか、伺います。 医療機関に避難指示が出た場合、県の災害対策本部が患者さんの病状に合わせて受入れ病院を選定することになっています。三十キロメートル圏内全ての病院の患者数は約二千人ですが、避難先病院の選定と搬送にどのくらいの時間がかかる計画ですか、お答えください。 さて、知事は八月二十四日の記者会見で、国が内閣総理大臣を議長とする原子力防災会議で避難計画をオーソライズした。私は実効性の有無を判断する立場にはないので、国が実効性を認めたことに対して私が物申すことは控えるべきだ、と発言しましたがこれは大問題です。知事には県民の命と暮らし、財産を守る責任があります。国が決めたことには物が言えない、と知事が言うようでは憲法に基づく地方自治の本旨に反し、県民に対して無責任ではないでしょうか。改めて知事に伺います。 現時点の女川原発の広域避難計画は、安全に避難する条件が整っていると判断していますか、それとも整っていないと判断しますか、根拠も含めてお答えください。 次に、エネルギーコストについて伺います。 女川原発の住民説明会で、資源エネルギー庁は各エネルギーの発電コストを示し、一キロワット時当たり、太陽光発電が二十九・四円、風力発電二十一・六円に対して、原子力発電は十・一円で一番安いと説明をしました。以下、単価は一キロワット時当たりです。まず、原子力発電の十・一円についてお聞きします。十・一円は、二〇一五年五月資源エネルギー庁の発電コスト検証ワーキンググループが報告した試算です。その算定方法は、福島の原発事故による事故対応費用を十二・二兆円と想定し、出力規模を勘案して約九・一兆円で計算しています。ところがその後、経済産業省は福島の事故費用を二十一・五兆円と発表しました。また追加的安全対策は六百一億円しか計上されておりませんが、女川原発は三千四百億円かかり、更にテロ対策工事の費用も加算されます。これらの費用を見直すと原発のコストは概算幾らになるかお答えください。 一方、二〇一八年九月十二日付の資源エネルギー庁のコストダウンの加速化についてによりますと、世界では太陽光発電、風力発電ともに二〇一三年以降コストが大きく低減し、二〇一七年上半期の世界の発電コストは太陽光発電が九・一円、洋上風力発電が十三・六円、陸上風力発電が七・四円程度になっているとしています。そして日本が二〇三〇年に目指すべきコスト水準について、資源エネルギー庁は太陽光発電で事業用が七円、住宅用ができるだけ早期に十一円、風力発電は八から九円とし、更に太陽光発電は三から五年目標の前倒しを検討するとしています。福島の事故後、事故対応費用や追加的安全対策費用の増加により原発のコストが上がる一方で、資源エネルギー庁自身が日本でも再生可能エネルギーのコストは大幅に下がるという見通しを出しており、原発のコストと再生可能エネルギーのコストは逆転すると思いますが、知事の認識を伺います。 九月十六日に日立製作所が英国の原発建設計画からの撤退を正式に表明いたしました。これで前安倍政権が成長戦略の目玉として推進してきた原発輸出戦略が全て頓挫をしました。原発はビジネスとして成り立たなくなっており、再稼働は世界の流れに逆行していると思いますが、知事の見解を求めます。 また、CO2削減のために原発再稼働という意見がありますが、安全性と採算性の両面から原発ではなく再生可能エネルギーへの転換でCO2対策を進めるべきです、いかがですか。 次に、地元経済の問題です。東北学院大学の菊地登志子名誉教授が一九六〇年代以降の女川町の経済データの分析を基に、建設業の生産額が原発建設時と電源三法交付金による箱物建設の時期に増加したことなどを挙げて、女川原発は一部の産業に一時的な経済効果をもたらすことはあったが、恩恵と言えるほど大きな効果は認められないと、地元紙でコメントしておられました。知事はこのコメントをどのように受け止め、原発の地元経済への効果をどのように考えますか、お答えください。 原発に将来性がないことが見えてきた今、原発ではない新たな道を考えていくことが大切ではないでしょうか。再稼働をやめて廃炉とした場合、廃炉作業中の約三十年から四十年間は原発労働者の雇用が継続されます。その間に地場産業である漁業や水産加工業の振興や再生可能エネルギーへの転換など、原発に頼らない地域振興策を国や県も応援しながら推進していくことが必要だと思いますが、知事の見解を求めます。 最後に、七回の住民説明会について知事は意見は十分出尽くしたとコメントしていますが、一人一問しか質問できず回答が不十分でも再質問できなかったことで、議論が深まらず住民にとっては不満が残り、不安が解消できず不信感ばかりが募った説明会でした。原発再稼働は、処理の見通しも立っていない核のごみを増やして、将来世代にまで影響を与えるものです。限られた地域の僅か七回の説明会で、不満と不安と不信が残ったままでは今に生きる私たちが将来世代に責任を果たしたとは言えません。議員全員協議会で、国の担当者は機会があれば住民説明会に行くと何度も言っておりました。工事完成までにはまだ二年あり、急いで理解の要請に応える必要はありません。もっと双方向で意見交換ができる住民説明会を、全ての三十キロメートル圏内の市町はもとより仙台市はじめ県内各地で開催することを求めます、お答えください。 以上で壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 天下みゆき議員の代表質問にお答えいたします。 大綱二点ございました。 まず大綱一点目、新型コロナウイルス感染症と新・宮城の将来ビジョンについての御質問にお答えいたします。 初めに、感染多発地域等でPCR検査を無料で実施することについてのお尋ねにお答えいたします。新型コロナウイルスの感染抑制の上では、迅速に検査を行い感染者を把握していくことが重要と考えております。このため、クラスターの発生など地域の感染状況を踏まえ、感染拡大防止のため必要と判断した場合には、感染者が発生した施設や濃厚接触者にとどまらず、地域内の重症化リスクの高い医療機関・高齢者施設等の職員や入所者への全員検査などについても検討してまいります。 次に、今後の病床確保の見通しについての御質問にお答えいたします。 八月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大により、県では先月十三日に感染症指定医療機関及び入院協力医療機関に対して更なる病床の確保を要請し、現在七十床程度を確保しております。一時的に入院調整中の患者の数が増えた時期もありましたが、軽症の患者が宿泊療養施設入所前の外来受診に時間を要した場合も含んでおり、入院が必要な方については円滑に入院措置ができております。更なる感染拡大に備え、我が県では国の患者推計に基づきピーク時で四百五十床程度の病床が必要であると想定し、段階的に確保することとしております。 次に、医療機関への減収補填等の支援についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、厳しい状況にある医療機関への財政的支援につきましては、国が統一的な観点から対応すべきものと考えており、県独自の要望のほか全国知事会等を通じて国に求めてまいりました。今般、国の予備費の活用により、感染患者の入院に係る診療報酬の特例的な対応や重点医療機関の病床確保料の更なる引き上げ、発熱患者を受け入れる医療機関に対する体制確保料など、支援が拡充されたところであります。県といたしましてはこれらの取組を速やかに実施し、医療機関への経営支援につなげてまいりたいと思います。 次に、中小・小規模事業者への支援を強化すべきとの御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、県内の中小企業におきましては、売上げ減少など大きな影響を受けていることから、事業継続のための支援が必要と認識しております。このため県では新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、中小企業等の販路開拓・感染防止対策等の取組を支援する中小企業等再起支援事業や、市町村が地域の実情に応じて行う事業者支援を後押しする事業者支援市町村補助金のほか、制度融資による資金繰り支援や雇用調整助成金への上乗せ等、事業者への各種支援を行うとともに、持続化給付金の拡充についても全国知事会を通じて国に対し要望してまいりました。また、家賃支援給付金につきましては、国の申請サポートセンターや商工会・商工会議所が中心となり地元自治体と連携しながら申請支援を行っているところであります。県としては今後も感染状況や経済活動の回復の状況を見極めながら、県内事業者が事業継続できるよう、国や市町村、関係団体等と連携し必要な支援に取り組んでまいります。 次に、保健所の統廃合の中止と体制強化についての御質問にお答えいたします。 地域保健対策の中核をなす保健所には、より専門性の高い対応が求められております。このため市町村合併や道路交通網の整備などの地域の状況変化を踏まえながら、限られた人員の中で保健所体制を強化するための組織再編が必要であると考えておりますが、栗原、登米の両保健所の支所化につきましては、現下の新型コロナウイルス感染症対策を最優先することが必要であるため、令和四年四月以降と考えております。 次に、岩沼・黒川支所の体制強化についての御質問にお答えいたします。 仙台保健福祉事務所及び塩釜保健所には、保健所業務を中心に業務の一部を担う岩沼支所と黒川支所を設置しております。これまでも地域の状況を踏まえながら、生活保護や廃棄物に関する事務などにつきましては、岩沼支所にも分掌させるなどの見直しを行ってきたところでありますが、今後とも住民に身近な市町村と連携しながら、地域のニーズに応えてまいりたいと考えております。 次に、保健環境センターの体制強化についての御質問にお答えいたします。 県においては今般の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ウイルス検査経験を有する県の技術職員に対してPCR検査に対応するための実務研修を行い、即戦力の検査要員として保健環境センターに増員配置し、検査体制の強化を図ってまいりました。また、PCR検査機器につきましても、現在稼働している二台に加え新たに一台の追加導入を予定しているところであります。県としては、今後の感染拡大の動向を踏まえながら、保健環境センター技術職員の適切な人員配置に努めるとともに、検査精度維持のための技能研修等に取り組み、試験研究機関としての体制整備に努めてまいります。 次に、公立刈田綜合病院の統廃合計画等についての御質問にお答えいたします。 公立刈田綜合病院につきましては、将来の医療需要を見据え地域の持続的な医療提供体制の確保と経営の安定化に向け、みやぎ県南中核病院との機能分化と連携強化、医療従事者の配置の適正化を図ることとしております。この方針は、地域医療構想調整会議で合意を得るなど、地域の総意で決定したものであり、県としても引き続き支援してまいりたいと考えております。また、公立刈田綜合病院では、関係機関との医師派遣等の連携により、感染症指定医療機関としての役割を果たしていくこととしております。 次に、がんセンター等三病院の連携・統合についての御質問にお答えいたします。 がんセンター等の三病院の連携・統合については、有識者で構成する県立がんセンターのあり方検討会議での報告書において、がんを総合的に診療できる機能を有する病院とすることや、他の医療機関との連携・統合について提言があったことを踏まえ、東北大学等の助言を基に今年八月に協議を開始したところであり、県としては年内に一定の方向性について合意したいと考えております。協議の状況等については各病院において可能な範囲で職員への情報提供に努めているものと承知しております。また、検討に際しては患者や県民の視点を十分に踏まえて協議してまいりたいと考えております。 次に、新・宮城の将来ビジョンに少人数学級の導入を盛り込むことについての御質問にお答えいたします。 義務教育の学級編制については、国の責任において定められるべきものと認識しており、少人数学級の拡大については我が県からも要望してまいりました。現在、国において新型コロナウイルス感染症対応も踏まえ、学級編制の標準の引き下げを含め検討が進められていることから、その動向を注視しております。新・宮城の将来ビジョンにおいてはこれらも視野に入れながら、多様な子供たちの学びを支える学習環境の充実等について方向性として示してまいりたいと思います。 次に、解雇・雇い止めを未然に防ぐ取組等についての御質問にお答えいたします。県では、宮城労働局と連携し雇用調整助成金の積極的な活用等について、県内経済団体・事業所に要請するとともに、県独自の取組として雇用調整助成金等の支給決定を受けた中小企業に対し、上乗せ補助を行い、解雇・雇い止めの未然防止に全力で取り組んでおります。また、解雇や雇い止めなどにより離職を余儀なくされた方を正社員として雇い入れた事業主に対し雇用奨励金を支給することにより、非正規雇用労働者を含め失業者の早期再就職・正社員化を促進しているところであります。なお、失業等給付の非受給者への救済措置につきましては県の独自支援は難しいものと考えておりますが、国の求職者支援制度の活用を促すなど宮城労働局と連携しながら早期就職を支援してまいります。雇用調整助成金につきましては、先般厚生労働省から特例措置を十二月末まで延長することが公表されております。今後の更なる延長につきましては、雇用情勢の悪化が全国に共通する課題でありますことから、全国知事会を通じて先月二十九日に要望しております。 次に総合支援資金と住居確保給付金の支援期間等の延長に関する国への要望と生活保護の更なる要件緩和についての御質問にお答えいたします。 総合支援資金の特例貸付の貸付期間及び住居確保給付金の支援期間についてはいずれも原則三か月以内となっておりますが、それぞれ最長六か月及び九か月まで延長が可能となっております。県としては引き続きこれらの制度周知に努めるとともに、今後の新型コロナウイルス感染症の発生状況や雇用情勢等を注視し、必要に応じて受付期間の延長などを国へ要望してまいります。また、生活保護については現在国の通知に基づき、柔軟な取扱いが可能となっており、これらが適切に実施されるよう当該業務を行っている県の保健福祉事務所及び市の福祉事務所に対して周知徹底を図っております。 次に、困窮時における生活保護の申請についての御質問にお答えいたします。 生活保護は最後のセーフティーネットとして大変重要な制度であり、様々な支援制度を活用してもなお生活に困窮する事態になった場合は、ぜひ活用していただきたいと考えております。このためホームページ等により制度を広く周知するとともに、市町村や民生委員と連携し、生活保護が必要な方の把握と適切な支援に努めているところであります。 次に、新・宮城の将来ビジョンの正規雇用に関する記載についての御質問にお答えいたします。 新・宮城の将来ビジョン中間案においては、地域の将来を担う若者や子育て世代が安定した収入を得ることを視点とし、そのための政策推進の基本方向として、富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進を通じ、質の高い雇用を生み出すことを掲げております。質の高い雇用とは相応の収入、安定的な雇用形態、やりがいのある仕事といった要素を兼ね備えた雇用であり、正規雇用を増やしていくという観点についても既に盛り込んでおります。 次に、被災者の生活再建についての御質問にお答えいたします。 被災者の生活再建は、県としても被災された方々の心の復興や安心に向けた重要な課題であると認識しており、被災者生活支援実施本部や被災者支援に関して、被災十五市町との情報共有・連携を図る会議を設置し、課題の解決に取り組んでおります。これまで市町サポートセンターによる見守り活動への支援や被災者生活支援を行う団体への助成、被災市町への支援による災害公営住宅の整備など着実に進めておりますが、被災者の心のケアや地域コミュニティーの再生など、引き続き取り組むべき課題もあることから、今後も被災地域の実情に応じたきめ細やかな支援を行い、被災者の生活再建に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、我が県でも条例を制定し、県独自の生活再建支援制度を創設すべきとの御質問にお答えいたします。 被災者生活再建支援制度の対象とならない一定規模以下の災害について県が同制度と同等の支援を行った場合、条例制定の有無にかかわらず支給額の二分の一が特例交付税措置の対象となることは承知しております。県といたしましては、今後被災規模が限定的で被災者生活再建支援制度の適用に至らない災害が県内で発生した場合には、具体的な被害の状況を踏まえ、県独自の支援策を含め適時的確な対応に努めてまいりたいと考えております。 次に、富県共創を掲げた県政十三年間で格差と貧困が顕著になったのではないかとの御質問にお答えいたします。 県ではこれまで富県共創を掲げ企業誘致や地域産業の振興を通じて、雇用の創出・確保に積極的に取り組み、県民所得の向上を図るなど着実に成果を上げてきたものと認識しております。併せて、生活困窮者への自立支援や子供の貧困対策などに取り組んでおり、引き続き国や関係団体とも連携をしながら、誰もが安心して生き生きと暮らすことができる地域社会づくりを推進してまいります。 次に、新・宮城の将来ビジョンでは、県民が主人公の理念に改めるべきとの御質問にお答えいたします。 新・宮城の将来ビジョンでは、新しい県政運営の理念を富県躍進と掲げており、今後人口減少が大きく進展する局面の中で多様な主体の連携などにより、これまで積み重ねてきた富県宮城の力を更に成長させていくという考え方を表したものであります。富県躍進を通じて目指す宮城の将来像を県民一人一人が安全で恵み豊かな県土の中で幸福を実感し、いつまでも安心して暮らせる宮城としており、その実現に向けて様々な施策を推進してまいります。 次に、ジェンダー平等の視点による施策についての御質問にお答えいたします。 男女共同参画の推進につきましては、他の政策分野との連携強化を図るため、共同参画社会推進課内に男女共同参画推進専門監を配置し、施策を積極的に推進してまいりました。県全体の取組としては、審議会等委員の女性の割合を四五%とすることなどを目標に掲げ、全庁を挙げて取り組んでいるところであります。また、県組織の取組としては管理職に占める女性職員の割合の目標を一五%以上とし、女性職員の採用促進についても取り組んでまいりました。正規・非正規雇用比率につきましては、男女間・正規・非正規間の経済格差が大きいことなど様々な課題があると認識しております。県としては、私が本部長である男女共同参画施策推進本部を通じて、男女共同参画社会の実現を目指し、着実に施策を推進してまいります。 次に大綱二点目、女川原発再稼働中止を求めるについての御質問にお答えいたします。 初めに、UPZ住民の避難についてのお尋ねにお答えいたします。 UPZにおいては、原子力災害対策指針に基づき、放射性物質放出後、放射性プルームが通過している間に屋外で行動すると、被曝のリスクがより増加するおそれがあるため、無用な被曝を避ける観点から原則屋内退避を行っていただくこととしております。また、一時移転に当たっては可能な限り移動中の被曝を低減できるよう緊急時モニタリングの結果に基づき、避難のタイミングや経路等を指示することとなります。更なる被曝線量の低減には避難時間の短縮が重要となりますことから、原子力防災訓練等を通じて迅速かつ円滑な避難が可能となるよう取り組んでまいります。 次に、屋内退避についての御質問にお答えいたします。 災害対策基本法では住民には食品、飲料水等の生活必需品の備蓄等が求められておりますが、国、地方自治体及び原子力事業者においても物資の備蓄とその供給体制を整備しており、必要に応じてこれらの物資が供給されることとなっております。屋内退避のマニュアルについては、退避方法や災害情報の伝達方法、食品及び飲料水等の持ち出し品リスト等を記載した原子力防災の手引きを作成し、UPZ内に全戸配布しているところであります。県としては今後とも引き続き原子力災害時における住民の取るべき行動について、関係市町と連携して普及啓発を行ってまいります。 次に、原子力災害時の物資の輸送についての御質問にお答えいたします。 県では災害時における物資の輸送のため、昨年四月に公益社団法人宮城県トラック協会と原子力災害時の物資の輸送に関する覚書を締結いたしました。覚書ではUPZ内への物資供給を前提として、輸送従事者の安全を確保するため運転手に線量計を装着していただき、覚書で定める被曝線量の上限を超えないよう線量管理を行い、従事していただくこととしております。 次に、安定ヨウ素剤の配布に必要な医師などの確保についての御質問にお答えいたします。 安定ヨウ素剤の緊急配布については国が作成した配布・服用に係る解説書に基づき、医師や薬剤師のほか、研修を受けた県及び市町職員等も可能となっております。そのため毎年国や県が実施している基礎研修等に県及び七つの市町の職員を派遣し、年々対応可能な職員の増加を図っているところであります。県としては医師、薬剤師が関与する体制を整備するため、医師、薬剤師の資格を有する県職員の配置を検討するほか、民間薬剤師の緊急配布場所への派遣について県薬剤師会及び石巻薬剤師会との協議を進めてまいります。 次に、安定ヨウ素剤の事前配布についての御質問にお答えいたします。 原子力災害対策指針については、全面緊急事態で直ちに安定ヨウ素剤を服用するPAZ、準PAZについては事前配布を行い、避難や一時移転を行う場合に必要に応じ服用するUPZについては、緊急配布を行うことを基本的な考え方としております。なお、安定ヨウ素剤については過剰摂取により甲状腺機能の低下等のおそれがあるため、その服用は施設の状況や空間放射線量率等に基づき、原子力規制委員会での専門的・技術的判断の下、国の原子力災害対策本部の指示等により実施することとなっております。 次に、要支援者の避難計画についての御質問にお答えいたします。 要支援者等の一時移転に必要となる車両台数については、事故の規模、避難指示の対象となる区域、その時点での患者数等の状況により異なるため、具体的な数値をお示しすることはできません。なお、災害時に必要となる車両については、各医療機関等のほか、民間搬送機関、消防組織、警察、自衛隊等が所有する車両により搬送することとしております。搬送車両が不足する場合においては県内外を問わず他の組織に応援要請を行うなど、災害時の応援体制を活用し車両を確保することとしております。また、医療機関からの避難にかかる所要時間については発災時の入院患者数等の状況に即して、県災害対策本部が個別に受入先選定や搬送手段の調整を行い、一週間程度内にUPZ外へ避難をすることとしております。今後とも、原子力防災訓練などを通じて実効性の向上に努めてまいります。 次に、避難計画の実効性についての御質問にお答えいたします。 関係市町が策定した避難計画につきましては、その内容を取りまとめた女川地域の緊急時対応が今年六月、内閣総理大臣を議長とする原子力防災会議において、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であると了承されたことから、その基本となる部分について実効性は確保されたものと認識しております。なお、県といたしましては今後とも原子力防災訓練の結果を踏まえるなど、関係市町と連携し避難計画の更なる実効性の向上に努めてまいります。 次に、原子力発電と再生可能エネルギーのコストについての御質問にお答えいたします。 原子力発電コストについては、事故リスク対応や安全対策、政策的経費、運転維持費など全国の様々な要素を加味して算定されており、県として個別施設のコスト増による積算を行うことは困難でありますが、全国的に安全対策が強化されている現状においては一般的にコストは上昇するものと考えております。また国の第五次エネルギー基本計画において主力電源化を目指すとされている再生可能エネルギーは二〇三〇年に向けた対応として、更なるコストダウンを図る方向性が示されておりますが、将来におけるそれぞれの発電コストを比較することは困難であると考えております。 次に、原子力発電の再稼働は世界の流れに逆行すると思うがどうか、また、再生可能エネルギーへ転換すべきと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。 国の基本計画では安全性の確保を大前提として原子力を重要なベースロード電源と位置づけた上で、その依存度を再生可能エネルギーの導入等により可能な限り低減することとされております。こうした考え方に基づき、再生可能エネルギーへの転換が進められていくものと考えております。 次に、女川原子力発電所による地元経済への効果についての御質問にお答えいたします。 女川町における原子力発電所立地の経済効果については、産業別純生産額等のデータを基に有識者が分析した記事が掲載されたことについては承知をしております。県といたしましては、昭和五十五年度から交付した電源三法交付金の活用や固定資産税収入の増加等により、町の社会資本整備が進展するとともに電力会社や関連企業の従事者の増加による交流人口の拡大などを通じ、原子力発電所立地による経済効果は相当程度あったものと認識をしております。 次に、原子力発電所に頼らない地域振興策の推進についての御質問にお答えいたします。 人口減少社会において持続可能な地域づくりを進めていくことは極めて重要であると認識しております。県といたしましては引き続き地元市町と連携をしながら、水産業の活性化をはじめ地域の振興に取り組んでまいります。 次に、住民説明会を県内各地で開催することについての御質問にお答えいたします。 住民説明会は、東北電力女川原子力発電所からおおむね三十キロメートル圏内にお住まいの方を対象に、国から新規制基準適合性の審査結果や原子力防災対策についての説明を聞く機会を設けたものであり、一方的な説明だけではなく時間の許す限り参加者からの質疑に対する回答がなされたものと考えております。説明会には三十キロメートル圏外の県民の皆さんも参加を可能といたしました。実際に、仙台市や多賀城市などからもお越しいただきました。また、県のホームページにおいて当日の説明資料や全会場における動画を公開していることから、追加での開催は考えておりません。 私からは以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 公営企業管理者櫻井雅之君。    〔公営企業管理者 櫻井雅之君登壇〕 ◎公営企業管理者(櫻井雅之君) 大綱一点目、新型コロナウイルス感染症と新・宮城の将来ビジョンについての御質問のうち、みやぎ型管理運営方式において県が新たに行う抜き打ち検査についてのお尋ねにお答えいたします。 みやぎ型管理運営方式においては、安全・安心な水の供給と汚水の安定処理を継続していくことが最も重要であると認識しております。このため県では上下水道の水質検査について、独自に抜き打ち検査などのモニタリングを厳正に行うこととしており、項目や頻度については来年一月に予定する応募者の提案内容等を踏まえ、上下水道事業者としてしっかりと検討し実施してまいります。 次に、情報公開が不徹底であるため、みやぎ型管理運営方式はやめるべきとの御質問にお答えいたします。 みやぎ型管理運営方式の導入に当たっては、国が示すPFI事業の手順に基づき進めておりますが、県では県民理解が重要であると認識していることから、通常実施方針条例制定後に示す期待削減額や運営権設定の基本的考え方について、前倒しで公表するなど積極的な情報公開に努めております。運営権者の選定においても、引き続き可能な限り情報開示に努めながら、県民理解を深めみやぎ型管理運営方式の導入を着実に推進してまいります。 以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 御答弁ありがとうございました。 それでは再質問いたします。 最初に、保健所の支所化についてですが、本日、栗原市議会で知事宛ての栗原保健所の継続を求める意見書が全会一致で可決をされました。そして、全議員で県に要請に来るということになったそうです。一年遅れで納得できるものではありません。栗原・登米両保健所の支所化は断念すべきと考えますが、もう一度お願いします、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) こちらの意図がしっかり伝わっていないのだと思います。合理化のために統廃合するということでは決してなく、より機動的に動けるようにということと、あとやはりかなり人が限られておりますので、そういった力をうまく使いながら糾合しながらしっかりと適時適切に職員が対応できるようにという目的で行っております。議会の方が来られましたら、ちゃんとうちのほうから説明をさせていただきたいと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 意見書の中身が非常にすばらしいもので、現在の栗原保健所のやっている中身が大変専門性が高いものだと、なくてはならないものだと、感染対策だけではなく難病もそれから障害の問題だとかほかのことも含めてしっかりと書かれておりました。専門性を言うのであれば、地域に根差した専門性ということをぜひ考えていただく必要があるかと思いますが、この点についてお願いします。 ○議長(石川光次郎君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 意見書の中身については頂きましたら拝読したいと思いますが、栗原保健所が地域で専門性を発揮しているというのはそのとおりだと思いますが、これまでまた今後とも一層複雑化する事案に対するためには、やはり限られた人員の中では専門性をどこまで保てるかという問題がありますので、公益的な見地から職員を集中して、専門性を高めるという方向を検討しているということであります。なお職員の地域に身近な窓口業務等については引き続き残す方向でありますので、御理解を賜ればと思っております。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 続きまして、女川原発の問題について伺います。最初に、再生可能エネルギーは不安定だとよく言われます。それは日本での普及率が低いためです。IEA、国際エネルギー機関の統計によりますと、二〇一九年の電源構成における自然エネルギーの割合は、デンマークが七九%、カナダ六六%をはじめドイツやイタリアでも四〇%を超えていますし、イギリスも三八%です。しかし日本は僅か二〇%です。省エネの徹底と併せて、再生可能エネルギーは普及が進めば進むほど、また、太陽光や小水力、風力など多様なエネルギーを組み合わせれば安定をし、そして蓄電技術の研究開発を進めれば更に安定をしていくと思います。日本は原発に固執していることから、再生可能エネルギーの普及が進まないのではないかと思いますが、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 原発を守るために再生可能エネルギーを抑えているということでは決してないと思います。ただ日本の場合は春夏秋冬があって、どうしても冬は曇りがちになってしまいますし、夏は気温が上がるんですが、太陽が当たるんですが、季節によって状況が変わってくることもありますので、一概に諸外国と同じように比較するというのは難しいのではないかなと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) そこは諸外国との比較は今後も新しいデータがどんどん毎年更新されていきますので、しっかり見ていただきたいと思います。 そして、午前中の質問でもありましたが、再生可能エネルギーによる乱開発などの問題、これは私も解決が急がれると思います。それは、環境面や土地利用に関するルールや規制が未整備のまま、地域外資本や外国資本による利益優先の乱開発が行われているからです。環境アセスメントの抜本強化と事業の計画段階からの情報公開、自治体、住民、専門家などを交えた住民合意の仕組みづくりが必要だと思います。宮城県でもすぐにやるべきだと思いますが、知事いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 確かに住民合意というのは非常に難しいんです。私のところに来るのも、ぜひつくらせてほしいというところも来れば、逆につくらせてほしくないという地元の声もたくさん届きまして、各地でそれがいろいろともめごとになっております。そういったことで、しっかりとしたルールをつくるということは重要なんですが、これは宮城県だけのルールというわけにもなかなかいきませんで、やはり国の基準というものをしっかり見ながら、その中で、県としてできる限りの調整を図っていくということを考えていきたいと思います。県は、再生可能エネルギーの導入については積極的に取り組んでいこうということは指示をしているところであります。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 国待ちにならずに県も自主的にどんどん進めていくことも必要かと思いますので、お願いします。 そして、再生可能エネルギーの雇用創出効果は原発を大きく超えています。福島事故以前に原発が五十四基体制のときでも、日本の原発関係従事者は約四万六千人でした。一方、ドイツの再生可能エネルギーの従事者は二〇一七年で三十三万二千人です。原発再稼働をやめて再生可能エネルギーにシフトして、エネルギーの地産地消、地域の活性化、地域経済の発展を、知事、進めていく必要があるかと思いますが、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 何度も繰り返しますが、再生可能エネルギーを導入してそれによって雇用が生まれるのであれば、それは当然進めていくことが重要だろうと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) つまり、再生可能エネルギーの道をしっかりと歩んでいくことで、原発も再稼働しなくていいのではないかということを私は言いたいと思います。 そして次に、広域避難計画について伺います。二十マイクロシーベルト以上の中を避難するUPZの人たちの被曝は免れません。避難時だけではありません。議員全員協議会で、国の答弁では木造住宅の場合屋内退避により外部被曝で四割程度、内部被曝で半分程度の削減効果があるということでした。裏返しますと木造住宅で屋内退避しても、屋外の半分程度は被曝をするということです。UPZ住民には、屋内退避の時にはまだヨウ素剤は配られていません。プルームが通過しているときにヨウ素剤も服用せずに屋内にいる住民、特に子供たちの健康は守れると、知事、断言できますか、お答えください。 ○議長(石川光次郎君) 環境生活部長鈴木秀人君。 ◎環境生活部長(鈴木秀人君) 被曝のタイミングとして一番高まるのが、放射性プルームが通過する時でございます。それは御案内のとおりでございますが、それをいかに回避するかということで無用な被曝を避けるという意味で、国といたしましては屋内退避を勧めるということでございます。確かにいろいろなデータがありますが、前の佐々木議員にもお答えいたしましたとおり、屋内退避をすれば外部被曝は二〇%から四〇%まで低減されますし、内部被曝につきましても、五%から二五%まで低減されるということでございますので、この考えに従って県といたしましては屋内退避をぜひ実行していただきたいと、このような考えでございます。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 二〇%から四〇%低減されるということはひっくり返すと六〇%位の量の被曝になるということですから、それで子供たちの健康は守れるのかと伺いました。守れるという言葉は聞くことができませんでした。つまり、屋内退避は安全とは言えないのではないかと思います。だから、UPZの住民にもヨウ素剤を事前配布すべきだと私は言いました。再度伺います、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 環境生活部長鈴木秀人君。 ◎環境生活部長(鈴木秀人君) 国の原子力災害対策指針というものがあるのですが、それによりますと、PAZ及び準PAZの住民に対しましては事前配布、そしてまたUPZの住民に対しましては必要に応じて緊急配備と、こういう考えが示されておりますのでその考え方に従って対応するということで考えております。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 全体にそうなんですが、国の考えに従うということで思考停止になっていないでしょうか。実際に宮城県自身が検証してどうなのだということを子供たちのため、住民のためにしっかりと打ち出していただく、検討していただくということが必要だと思いますが、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 環境生活部長鈴木秀人君。 ◎環境生活部長(鈴木秀人君) いろいろなやり方があろうかと思いますが、非常に専門的な知識を要する分野でございますので、そこは国の考え方に従って対応してまいりたいと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) それもしっかり検討を引き続き県でもするということを求めたいと思います。 次に医療機関の避難ですが、現在、県は新型コロナ患者の入院ベッドの調整に毎日御苦労されています。十人前後の陽性者が続いた九月半ば頃は入院先が決まらず、調整中の患者は二十数人に上っていた時期がございました。病院で働いていた私の経験でも、転院先の病院を探すことは本当に大変なことです。これを一度に数百人分、最悪で二千人分も確保することは、全く現実的ではないと思います。車両の確保についても、先ほど台数は結局言われませんでした。医療機関の避難計画は破綻していると思いますが、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 具体的に避難を対策本部のほうから、屋内退避ではなく避難を命じられた場合に具体的に被曝の状況等によりまして、二千人全員というわけではなく、必要な範囲での避難ということになると思います。それから受入先のマッチング等につきましても、入院する患者さんの状況等に応じまして決めることといたしますので、一概に今その規模でありますとか、それから、必要な輸送手段等の規模について申し上げることはできないんですが、先ほど知事から答弁がありましたように、一週間程度内にはUPZ外へ避難する計画としているところであります。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) なぜ三十キロ圏内で避難する病院が限定的、必要な範囲ってさっきから何度もおっしゃっていますが、限定的だと言えるんでしょうか。その根拠をお示しください。 ○議長(石川光次郎君) 環境生活部長鈴木秀人君。 ◎環境生活部長(鈴木秀人君) 緊急時対応の中では、三十キロメートルを一つのUPZと定めており、その範囲の中で医療機関は十九施設二千百六十九床で、そこで限定することになろうかと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。
    ◆二十三番(天下みゆき君) 医療機関の避難計画の実際の発災時にどのくらい時間がかかるのかと。例えば百床の一つの病院の患者さんを移転させるためにどのくらいかかるかという訓練といいますか、実地の検討はしたことがございますか。 ○議長(石川光次郎君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) これまで、実際に避難を想定した手続でありますとか、図上等の訓練はしていると聞いております。今後の防災訓練の中で、実地の訓練等を踏まえつつ実効性を高めてまいりたいと考えております。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 実地訓練はまだだということが分かりました。結局、屋内退避が安全だという保証もありませんし、屋内退避時の生活をどうしていくのかというのも先ほどの答弁ではちょっと分かりませんでした。あとUPZの要支援者の車両は、ずっと毎回のように私聞いていますが、ずっと調整中というところです。医療機関の避難計画は、実質絵に書いた餅、まだ図上のものです。これでは訓練で実効性を上げるという段階ではないのではないかと。安全に避難する計画がそもそもできていないのではありませんか。知事答えてください、どうですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 避難計画が妥当かどうかということにつきましては、答弁いたしましたとおり、国の防災会議において方向性が出され、それが了承されたということでございますので、私は大丈夫だと、今現段階においては。ただ、これで完全なものだとは決して思いませんが、少なくとも国において了承されたことをベースに今後訓練をしながら改善をしていくことが適切ではないかと思っております。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) そうすると知事は、国が安全だと言っているから安全だと、こういうこと以上のものはないと思います。今の御答弁、これで県民が納得すると思いますか。自治体は国の出先機関ではありません。新潟県では避難計画を含めた県独自の検証が終わらない限り、同意の議論を進めない考えです。これこそ地方自治ではないでしょうか。国策だから安全だと言って思考停止に陥ったことが福島の事故につながったと思います。また同じことを繰り返すことになるのではないかと危惧されますが、知事どうですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) この原発問題というのは、エネルギー政策でして、エネルギー政策について県が、我が県はこうするということを申し上げることはできないと。国の全体のエネルギーの中でどういうふうなエネルギーを構成するのかということは、国の専権事項であると。ですから何かあったときには国と会社、ここで言うと東北電力ですね、これが全ての責任を負うことになっている。その責任を負う立場の人たちがゴーを出したことは非常に重く受け止めるべきだなと私は思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 国の専権事項であったとしても、憲法では国民の生存権や幸福追求権、地方自治が認められています。この立場で知事が県民のために国に意見を言うことができるんではないですか、どうですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 当然のことだと思います。私が国に申し上げるのは当然のことだと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 国に申し上げるのは当然だということでした。それで避難計画の実効性についてですが、国が認めたから安全だという先ほどの発言ですが、知事自身が検証しているわけですか、どうですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 私自身が検証をしているかどうかというと、私は個人的にはしておりません。ただ、国の防災会議において認められたということは、これは繰り返しになりますが、国が認めたということであると。この問題については責任のある人が決めるべきだと、それは国だということで。私が先ほど言った国に何か申し上げるというのは、私に与えられた権限の中で言うべきことについてははっきりと物申すと。自治体のトップとして申し上げるべきことは申し上げますし、要望することは要望する、駄目なものは駄目だと申し上げますが、この件については客観的な理由で、申し上げる力を私には与えられていないということであります。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 結局、知事自身が実効性について最後までお答えにならないということは、知事が県民に対する責任を果たしていないことにつながるということをみんなが今指摘をしているわけです。そこを、しっかりと見ていただきたいと強く申し上げたいと思います。 そして、福島県や宮城県の方も交じっているようですが、約三千六百人の住民が提訴していた福島第一原発事故に関する生業訴訟が昨日仙台高裁で勝訴しました。国家のエネルギー政策に深く関わる問題だとして、高裁レベルで初めて国の法的責任が認められました。国は今回の判決を尊重して、事故を真摯に反省し原発頼みから転換をすべきだと、まさに知事、これを国に言っていただきたいと思いますが、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 国に対しましては、当然言うべきこととしては、こういう事故があったらこういう被害が起こりまして、こういったダメージがありますので、もし稼働する場合には二度とこのような事故のないようにしっかりしていただきたいと思いますし、また、いざ何かあったときには被害を最小限にするような対策を取るようにということを申し上げるのが私の責務だと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 議員全員協議会で内閣府は、本日の説明の中でも屋内退避に対する御理解を得ることは難しいと再認識したと言っておりました。住民や議員の理解が得られていないと国が認めているのですから、引き続き住民説明会を双方向で議論できる形で開くべきだと思いますが、もう一度知事に求めます、いかがですか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これも繰り返しになりますが、既に七回開催いたしましてその内容についてはホームページで公表し、またインターネットでいつでも見られるようになっているということでございます。したがいまして同じ趣旨での追加開催というものは私は必要ないのではないかと思ってございます。なお国の担当者の方がそのようにお話しになったということで、どういう趣旨でどういう質問があって、どういう趣旨でお話しになったのかということは確認させていただきたいと思います。 ○議長(石川光次郎君) 二十三番天下みゆき君。 ◆二十三番(天下みゆき君) 地元紙の調査でも六割以上の方が女川原発再稼働反対です。この意見もしっかりと踏まえて、知事の判断をすることを求めます。 以上で終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 残余の質疑、質問は明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○議長(石川光次郎君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。    午後三時四十分散会...