令和 2年 9月 定例会(第375回) 第三百七十五回宮城県議会(定例会)会議録 (第六号)令和二年十月七日(水曜日) 午前十時開議 午後三時五分散会 議長 石川光次郎君 副議長 齋藤正美君出席議員(五十七名) 第一番 金田もとる君 第二番 小畑きみ子君 第三番 三浦ななみ君 第四番 石田一也君 第五番 柏 佑賢君 第六番 福井崇正君 第七番 渡邉重益君 第八番 わたなべ 拓君 第九番 伊藤吉浩君 第十番 大内真理君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 枡 和也君 第十三番 佐藤仁一君 第十四番 遠藤伸幸君 第十五番 八島利美君 第十六番 瀬戸健治郎君 第十七番 櫻井正人君 第十八番 村上久仁君 第十九番 高橋宗也君 第二十番 庄田圭佑君 第二十二番 遠藤隼人君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 三浦一敏君 第二十五番 渡辺忠悦君 第二十六番 佐々木功悦君 第二十七番 境 恒春君 第二十八番 太田稔郎君 第二十九番 高橋 啓君 第三十番 横山のぼる君 第三十一番 渡辺勝幸君 第三十二番 横山隆光君 第三十三番 佐々木賢司君 第三十四番 守屋守武君 第三十五番 外崎浩子君 第三十六番 佐々木幸士君 第三十七番 村上智行君 第三十八番 高橋伸二君 第三十九番 熊谷義彦君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 菅間 進君 第四十二番 坂下 賢君 第四十三番 ゆさみゆき君 第四十五番 吉川寛康君 第四十六番 伊藤和博君 第四十七番 庄子賢一君 第四十八番 菊地恵一君 第四十九番 佐々木喜藏君 第五十番 石川光次郎君 第五十一番 中島源陽君 第五十二番 本木忠一君 第五十三番 中山耕一君 第五十四番 齋藤正美君 第五十五番 安藤俊威君 第五十六番 畠山和純君 第五十七番 仁田和廣君 第五十八番 藤倉知格君 第五十九番 中沢幸男君欠員(二名) 第二十一番 第四十四番
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公営企業管理者 櫻井雅之君 総務部長 大森克之君 震災復興・企画部長 佐藤達哉君 環境生活部長 鈴木秀人君 保健福祉部長 伊藤哲也君
経済商工観光部長 千葉隆政君 農政部長 佐藤夏人君 水産林政部長 小林徳光君 土木部長 佐藤達也君 会計管理者兼出納局長 宮川耕一君 総務部参事兼秘書課長 藤田信治君 総務部参事兼財政課長 小野寺邦貢君 教育委員会 教育長 伊東昭代君 理事兼教育次長 小林一裕君
選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 鈴木雄貴君 人事委員会 委員長 千葉裕一君 事務局長 山本雅伸君 公安委員会 警察本部長 千野啓太郎君 総務部長 内海裕之君 労働委員会 事務局長 蜂谷 洋君 監査委員 委員 石森建二君 事務局長
斉藤敬一君
----------------------------------- 議会事務局 局長 小野和宏君 次長兼総務課長 小野寺 明君 参事兼議事課長 菅原 正君 参事兼政務調査課長 二瓶克之君 総務課副参事兼課長補佐 砂金義徳君 議事課長補佐 二上秀幸君
政務調査課長補佐 長谷川共子君 議事課長補佐(班長) 田村和江君 議事課主幹 渡辺祐司君
----------------------------------- 議事日程 第六号 令和二年十月七日(水)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案、議第百五十号議案、議第百五十一号議案、議第百五十七号議案ないし議第百六十二号議案及び報告第六十四号ないし報告第八十六号第三 一般質問 〔守屋守武君、高橋宗也君、小畑きみ子君、佐々木喜藏君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案、議第百五十号議案、議第百五十一号議案、議第百五十七号議案ないし議第百六十二号議案及び報告第六十四号ないし報告第八十六号三 日程第三 一般質問 〔守屋守武君、高橋宗也君、小畑きみ子君、佐々木喜藏君〕
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△開議(午前十時)
○議長(石川光次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(石川光次郎君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に十五番八島利美君、十六番瀬戸健治郎君を指名いたします。
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△議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案
△議第百五十号議案
△議第百五十一号議案
△議第百五十七号議案ないし議第百六十二号議案
△報告第六十四号ないし報告第八十六号
△一般質問
○議長(石川光次郎君) 日程第二、議第百三十四号議案ないし議第百四十七号議案、議第百五十号議案、議第百五十一号議案、議第百五十七号議案ないし議第百六十二号議案及び報告第六十四号ないし報告第八十六号を議題とし、これらについての質疑と日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。三十四番守屋守武君。 〔三十四番 守屋守武君登壇〕
◆三十四番(守屋守武君) おはようございます。一般質問三日目でございます。どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。 まず、震災から九年六か月が経過し、被災地は大きな変化を遂げてまいりました。約九年前に計画された復興再生事業は、今まさに終盤に差しかかってきたところでございます。この間、気仙沼市だけでも復興事業費は九千三百十二億円に上り、ハード事業は四百五十九事業を進めてまいりました。この膨大な事業量を昼夜たがわず対応してきた自治体職員、そしてまた県職員の皆様に改めて感謝を申し上げます。 しかし、復興事業のつち音はいまだやまず、百七十四億円に上る繰越明許費を計上しているところでございます。完遂に向けて、更なるお力添えをよろしくお願いをいたします。 また、昨年の台風十九号被害、そしてこのコロナと立て続けに発生する災害・天災に、村井県政と我々議会ともども取り組んでまいりますことをお誓い申し上げて、質問に移ります。 スポーツ活動から見えてきた諸課題でございます。 非認知能力を軸にした幼稚園と小学校の連携による不登校防止対策についてお伺いをいたします。 認知能力とは、テストの点数、偏差値といった数字で計れる力のことであり、走るのが早いなど結果で認識できるものであります。一方、非認知能力は、認知能力の対極にある力のことで、数字で表すことができず、結果ではなく、結果に至るプロセスで重要となる力と言えます。この非認知能力に含まれるものは、協調性、回復力、やり抜く力、自信、自己肯定感、リーダーシップ、主体性、社会性、共感力など挙げれば切りがありません。一言で言うなら人間力であり、生きる力ではないでしょうか。非認知能力が注目されるきっかけとなったのは、一九六〇年代初頭、シカゴ大学の
ジェームズ・ヘックマン教授のペリー就学前計画という介入研究でございます。これは、経済的安定も含めて、生涯にわたって幸せな生活を送るには、幼少期にどのような力を蓄えることが大切なのか、主に貧困層の就学前三、四歳の子供を対象に、三十週間にわたり幼稚園に通ったグループと、そうでないグループで調査をし、更に四十年にわたり追跡して、その効果を比較したものでございます。開始から三年後の六歳の時点で幼稚園に行った子供たちは、そうでない子供たちに比べて文字も書けるし、算数もよくできました。ところが更に三年後、九歳になったときの知能レベルはほとんど同じになっていたということでございます。そこで、更に追跡調査を続けていった結果、二十一年後、四十歳になったときに、幼稚園に行ったグループは、そうでないグループに比べて、学歴や持ち家率が高く、犯罪率が低いという結果が出ました。このことを考えると、認知能力は一度は九歳の段階で差がなくなりましたが、幼稚園というコミュニティーに入ったことで何が違ったのかということであります。そこで考えられたのが、相手を尊重する気持ちなどの非認知能力が生まれたことが、彼らの人生を分けた最大の要因ではないかと位置づけられたのであります。今では世界規模で幼児教育における非認知能力が注目を集めており、日本の幼稚園、保育所では既に非認知能力の重要性について認識され、平成三十年度に改正された
保育所保育指針では、卒園までに育ってほしい姿を明確化するとともに、非認知能力の向上を図りますとしております。すなわち、読み書き計算などの授業ではなく、主体的な遊びを中心とした教育内容を通じて、思考力や判断力、表現力、人間性を育むということに取り組んでいるのです。しかしながら、小学校になると学習指導要領に基づいたカリキュラムを消化することが基本的なノルマとなり、認知能力教育に偏っていることが大きな課題ではないかと感じております。この点についての考えを伺います。 県では、幼稚園等での遊びを通じた学びが、小学校の各教科における学習に円滑に接続されるよう、
接続カリキュラムの編成や実践等を支援するとしておりますが、ここまで申し上げた非認知能力を伸ばす教育環境を小学校に組み込み、継続することが、協調性・社会性の中で発生するいじめ・不登校などの問題を予防する効果があると思いますが、いかがでしょうか伺います。 続きまして、ルルブルとアクティブ・チャイルド・プログラムの組合せの活用について、幼児期から小学校段階における活用が有効と考えますが、この点についてお伺いをいたします。 非認知能力の具現化を考えると、しっかり寝る、きちんと食べる、よく遊ぶ、健やかに伸びるのルルブルと、アクティブ・チャイルド・プログラムとの組合せが幼保小の接続に有効であると考えます。アクティブ・チャイルド・プログラムとは、
日本スポーツ協会が開発した、子供たちが楽しみながら積極的に体を動かし、発達段階に応じて身につけておくことが望ましい動きを習得する
運動プログラムでございます。どちらの理念も子供たちの体と心の成長を健全に進めるためのものとして共通しており、これらを実効性のあるプログラムにすることについて取組を進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか伺います。 続いて、現代社会の身体活動・運動不足における課題と子供たちの現状についてお伺いをいたします。 近年の子供たちは運動遊びの場がないことなどで、様々な環境変化の中で身体に異変が出ております。代表的な症状は、一位はアレルギー、二位はすぐ疲れたと言う、三位は授業中じっとしていられないなどで、更に四位は背中ぐにゃ、これは全国の調査で七二%の保育者が姿勢の定まらない子が実感として増えたと答えているのです。このことは、運動動作でもまっすぐ走れない、立ち幅跳びを両足で蹴れない、ボールが普通に投げられないなどの症状として見られます。また、子供たちの運動能力は一九八三年、昭和五十八年と二〇一八年、平成三十年を比べると大きく落ちていることが分かります。子供のころに運動やスポーツに取り組むことは、大人になってからの運動習慣につながる率が高いことが分かっていますから、幼少期、小学生における運動環境の整備は、県民の健康増進のための第一歩と言えます。県の取組と認識について伺います。 更にコロナ禍の中で、教育環境のICT化に拍車がかかって進んでおります。さきに述べた非認知能力が協調性や集団に溶け込む力などを養う場であるのに対して、ICT化における学習環境の変化は、人と人の関わり合いの減少につながるのではないかなど、更なるストレスになることが想定されます。人間力の育成、人づくりが教育の大きな根幹であるべきですが、教育現場のICT化と
スポーツ文化活動のバランスをどのような形で進めるのか伺います。 子供たちの健全育成を担う
スポーツ少年団の活動について県の考えを伺います。 運動やスポーツが子供にとって非認知能力を伸ばすことに有効であることは申し上げました。このような意味で、宮城県
スポーツ少年団の活動は大きな役割を担っていると言えます。令和元年度の団員登録数は約二万三千人、指導者は約六千五百人であります。そして活動は全てボランティアで支えられております。今年度から
日本スポーツ協会の公認資格制度が改定され、
スポーツ少年団の有資格指導者は登録移行手続を行わなければなりません。その場合、初期登録料三千円と登録料一万円の計一万三千円、更に、以後四年ごとに一度、更新費用一万円の負担となります。近い将来、学校部活動が地域に移行することも考えると、
公認資格指導者の育成は不可欠と言えます。今回の移行に伴う登録費用についての助成を県で対応できないか伺います。 また、
県内スポーツ少年団活動では、毎年様々なトラブルも発生しておりますが、指導者研修会などを実施し、指導者意識の改善を図るとともに、随時役員が対応しているところでございます。更に、コロナ禍での活動に対する批判などもあり、指導者の皆さんに大きな負担をかけているところであります。幼少期から小学校にかけての身体活動の重要性が認識されてきた昨今、スポーツ活動の受皿として入り口を担う
スポーツ少年団に対し、県は積極的に支援をするべきであると思いますが、いかがでしょうか伺います。 続きまして、コロナ禍における
スポーツコンベンションの取組について伺います。 連日、
コロナウイルス感染者発生の報道と飲食宿泊業の打撃について報道されております。全国知事会も国に対し、
GoToキャンペーンは予備費の活用も視野に、期限にこだわらず継続するよう要望しております。私も
旅館宿泊関係者から、スポーツの大会などの開催を前向きに検討いただきたい旨、要望を受けているところでございます。そこで、
スポーツコンベンションなどの取組について宿泊業界などと連携し、
GoToキャンペーン等の活用も含め、前向きに検討すべきではないのか伺います。 これからの時期、県大会及び全国大会などの運営についても、感染防止策をとり、観光業界と連携した取組推進を図ることが、
ウィズコロナ対策として必要になります。幸い感染症研究の第一人者である賀来先生、吉田先生が我が県におられます。県としての取組を伺います。 続きまして、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について伺います。 九月一日に文部科学大臣から、第四回学校における働き方改革推進本部において議論され、具体的検討を進めるよう指示があったと報道されました。特に部活動に関しては、令和五年度以降、休日の部活動を段階的に地域に移行を進めていく方針を示しました。教師の負担軽減のために、休日の部活動を段階的に地域に移行していくこととして、地域部活動と位置づけ、指導運営は地域人材が担うこととしております。この地域部活動の運営主体は、退職教員、
地域スポーツ指導者、
スポーツ推進委員、生徒の保護者等の参画や協力を得て、
総合型地域スポーツクラブ、民間の
スポーツクラブ、
芸術文化団体等が担うとしております。内容はるる記載をされておりますが、国では各都道府県において拠点校を設け、国として拠点校における実践研究を実施するとしておりますが、県はどのような対応をとるのか、お伺いをいたします。 また、地域部活動は事故の備えとして保険への加入を促しておりますが、学校の部活動で加入している保険の適用とならないのか伺います。 指導者に対する謝金の関係に関しましては、受益者負担の原則をうたっておりますが、本来、学校教育の一環として位置づけられていた部活動を、学校運営上の都合で地域に移行するのですから、公費での負担が妥当ではないでしょうか。その旨国との交渉を進めるべきでありますがいかがでしょうか、伺います。 また、教員が指導に当たる場合には、兼職兼業の許可を得て従事するとなっております。この考えだと他校の指導も可能に思えるのですがいかがでしょうか、お伺いをいたします。 沿岸漁業の活性化対策と環境に対する取組について伺います。 藻場ビジョンの進め方についてですが、磯焼けの対策として藻場ビジョンが完成し、七ヶ浜以北、九海域でハード・ソフト両面の整備によって、二〇二九年までの十年間で、現在のほぼ倍になる面積の約一千八百ヘクタールまで藻場を再生することで、漁協をはじめ各方面に説明をされました。沿岸で暮らす者にとって大きな期待を寄せるものであります。磯焼けは海水温の上昇で海藻類の成長速度が低下するのと、逆に暖かくなり食餌行動が活性化するウニによる食害が主な原因とされております。そこで、今回のハード事業は、北部二海域、中部五海域にブロックを設置し、新たな藻場を造成するもので、事業費約十億円を見込んで進めております。ソフト事業は
水産多面的機能発揮対策事業を活用し、ウニの除去などを行うものであります。今現在も各漁協支部などで様々な取組もされておりますが、今回のハード事業の進め方については、地域内で十分に協議をしながら対応していくべきでありますので、そこの現状についてどのように進めていくのかお伺いをいたします。 また、以前にも魚礁の設置なども実施をしてきた経緯がございます。設置した後の調査・経過等について成果がまとめられておりますか伺います。 今回の取組で除去されるウニの有効活用について伺います。 先日、仙台市太白区の
宮城大学食産業学群の片山助教を訪ね、クローバーウニについて話を伺ってまいりました。事業は、宮城大学と九州大学に
フィッシャーマン・ジャパン・マーケティングの三者の共同研究でスタートし、目的はニーズに合わせ、養殖、畜産技術の開発を目指すとしたものであります。ウニのニーズが時期外れの十二月に高いとなれば、その時期の出荷を目指すとして、事業化を目指した飼育方法の開発を進めるものであります。駆除されるウニの有効活用が事業として成り立っていくことは、県としても大きなメリットがあります。県の考え方を伺います。 次に、水産研究機関の有効活用について伺います。 先日、
気仙沼水産試験場を訪ね、「浜と水試の情報交換会」について話を伺ってまいりました。ワカメ、ホタテ、貝毒の状況などの説明を受けましたが、面白いと思ったのはナマコの種苗生産であります。比較的高値取引されるナマコは三陸沿岸には随分といるように思いますが、商売ベースになるかどうか可能性のある研究だと思います。このような研究成果を浜に還元し、新たな資源の開発を進めるためにも、更なる人員の補充が必要ではないかと思います。この点について伺います。 また施設は震災後に再建しており、設備も新しいので、大学との連携事業などを積極的に取り組むことができれば、地域にとってもいい刺激になります。宮城大学の片山先生は、海から離れた場所でのウニの養殖の可能性を研究しております。
気仙沼水産試験場であれば更に成果が出しやすいのではないかと思いますが、三陸道が開通してもなお気仙沼は遠い。ですが、ここで活躍するのがICT、リモート研究を進めることでございます。相手のあることですが、民間も含めて今後の研究の進め方として検討することもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。 海洋プラスチック問題については、毎回委員会でも質問させていただいております。 まず初めに、天皇皇后両陛下の出席をいただいて開催をされる豊かな海づくり大会が二〇二一年予定の兵庫県、二〇二二年の北海道に協力をいただき、来年に延期して開催できることに調整をいただいた道県に、心より感謝をするところでございます。東日本大震災の津波災害最大被災県である宮城県に、現在の上皇様はたびたびお越しいただき、被災者がどれだけ励まされたことか、今でも涙が出ます。この機会に海洋プラごみの規制に関する取組を宮城県として打ち出すことは、SDGsにも関連した取組でもあり、大きなインパクトがあります。まさに水産みやぎ、豊富な水産資源をベースにした水産業をイメージ的に牽引する力となりますので、県の取組について伺います。 防潮堤の有効利用について伺います。 「また気仙沼は防潮堤で何かあるの」と知事は警戒するかもしれませんが、そんなことはありません。向洋高校跡の震災伝承館のある階上地区は、防潮堤整備が進み、防潮堤の天端の管理道路を多くの人たちが散歩に活用しております。私のウオーキングコースにも入っているのですが、風光明媚な最高のコースであります。そこで防潮堤の管理については、そのほとんどが県か市となります。今まで防潮堤について多様な御意見をいただきながら、地域の安全と持続的な沿岸漁業の安定のために進めてまいりました。ぜひ、ウオーキングコースとしての位置づけや、防災意識高揚のための活用を官民一体となって構築してはいかがか、お伺いをいたします。 最後の質問になります。 NHK朝ドラ「おかえりモネ」、観光喚起策にどうかということで、いよいよ宮城に朝がやってきた。朝ドラ百四作「おかえりモネ」は、ヒロイン永浦百音は気仙沼の離島で生まれ育つとのことですが、離島は大島しかありません。それで登米市で青春を送り、気象予報士として活躍する物語であります。でもこれは全て宮城であります。気仙沼、登米はもちろんですが、ともに宮城の観光を盛り上げてまいりましょう。宮城県の応援対策について伺います。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。 どうぞよろしくお願いをいたします。
○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 守屋守武議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず大綱一点目、スポーツ振興から見える課題についての御質問のうち、コロナ禍における
スポーツコンベンションの取組についてのお尋ねにお答えいたします。 全国規模のスポーツ大会等を開催することは、県内外からの交流人口拡大による経済効果が生まれ、地域の活性化に資するものと認識しております。県内における各種スポーツ大会の開催に当たっては、各主催団体に対して、競技特性に応じた新型コロナウイルス感染症の予防対策を講じるよう周知しているところでありますが、今後、国際大会や全国規模のスポーツ大会を開催する際には、県内外からの選手や観客等の受入れ体制が課題となります。 県といたしましては、県内への全国大会等の誘致に向け、専門家の意見も伺い、必要な感染症予防対策を講じながら、安全安心な大会が開催できるよう、宿泊業界等とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、沿岸漁業振興と資源管理についての御質問にお答えいたします。 初めに、水産研究機関の有効活用についてのお尋ねにお答えいたします。 震災復興を進める現状にあって、職員数が限られる中、県では四十人の職員を
気仙沼水産試験場を含む水産技術総合センターに配置しているほか、成果の普及を行うため、地方振興事務所の水産業普及指導員十一人を兼務としております。 我が県においては、震災復興の過程で大学等研究機関や漁業者などとの共同プロジェクトも行われており、現在策定中の新しい水産業の振興に関する基本的な計画においても、産学官の連携を深め、調査・研究体制の充実を図ることとしております。 また、気仙沼地方振興事務所では宮城大学と共同研究契約を結び、南三陸クローバーうに検証プロジェクトを立ち上げており、
気仙沼水産試験場においても、蓄養試験など積極的に協力してまいります。 次に、全国豊かな海づくり大会において海洋プラスチックごみ問題への取組を打ち出すべきとの御質問にお答えいたします。 第四十回全国豊かな海づくり大会では、復興が進んだ宮城の豊かな海や本県水産業の持続的な発展を全国に発信するとともに、開催の基本方針の一つでもある豊かな自然環境の保全も強く訴えることとしております。特に、海洋プラスチックごみ問題については喫緊の課題であると認識しており、国のプラスチック資源循環戦略における海洋プラスチックゼロエミッションを踏まえ、マイバッグ・マイボトル利用の推奨や不法投棄防止などを呼びかけるほか、大会記念リレー放流での環境教育などに努めているところであります。 県といたしましては、大会を通してこの問題に対する取組をアピールするとともに、次期循環型社会形成推進計画においても、ごみの発生抑制や資源化のための分別の徹底などを一層推進し、プラスチックごみ対策の充実を図ってまいりたいと考えております。 次に、防潮堤の今後の活用方策等についての御質問にお答えいたします。 県では、海岸防潮堤の復旧・復興事業に当たっては、地元への説明会のほか、必要に応じて検討会を開催するなど、地域の皆様の意見も取り入れながら整備を進めております。海岸防潮堤は、津波等に対する防護機能のほか、東日本大震災の伝承や沿岸部の津波に対する防災意識の啓発などに寄与するものと考えております。 一方、一部の海岸においては、地元自治体などにより、防潮堤の管理用通路を利用したウオーキングイベントの開催や、展望スポットの整備など沿岸部のすぐれた自然環境や海岸景観を生かした利活用も行われております。 県といたしましては、今後とも海岸防潮堤を利用した新たなレクリエーションの場の創出や地域振興、防災意識の向上などにつながる取組について、関係する市、町や地元関係者の御意見を伺いながら、しっかりと対応してまいります。 次に、大綱四点目、NHK朝ドラ「おかえりモネ」と観光喚起策についての御質問にお答えいたします。 震災から十年の節目となる来年春から、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」が気仙沼市及び登米市を舞台として放送されます。復興の様子や宮城の自然と文化を全国に発信できる絶好の機会であり、地域活性化や関係人口拡大など様々な分野への波及効果も期待されております。先日、主演の清原果耶さんがインタビューの中で、気仙沼の海や登米の森など宮城の魅力を実感してもらえる温かいドラマにしたいと力強く抱負を語る姿を拝見し、これは間違いなくすばらしい作品になると確信いたしました。ロケ地となる両市では、それぞれ県も参画した官民連携の実行委員会が組織され、既に撮影時の協力や機運醸成のためのシンポジウムの開催などが行われております。 県といたしましては、NHKや両市と緊密に連携して、ドラマに登場する活発な漁港の雰囲気や森が与えてくれる人の心の穏やかさなど、宮城の魅力を大いに発信するとともに、来年度の東北デスティネーションキャンペーンや復興五輪とも相乗効果を図りながら、県全体の観光誘客につなげてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 水産林政部長小林徳光君。 〔水産林政部長 小林徳光君登壇〕
◎水産林政部長(小林徳光君) 大綱三点目、沿岸漁業振興と資源管理についての御質問のうち、藻場ビジョンにおけるハード整備の進め方についてのお尋ねにお答えいたします。 藻場ビジョンの策定に当たっては、それぞれの海域で漁業者や関係漁協の意見をしっかり伺いながら、ハード整備の計画づくりを進めてまいりました。計画の実施に際しては、具体的なブロック設置位置や施工時期などについて、今後とも地元と十分に協議を行いながら進めるとともに、地域の漁業者等が自主的かつ継続的に藻場の保全を行うことができるよう支援してまいります。 次に、魚礁設置後の効果についての御質問にお答えいたします。 県では、震災前から魚類やウニ、アワビなど磯根資源の増殖に向けた漁場造成を行い、ブロック設置後は、その効果を把握するための調査を実施してまいりました。その結果、アラメなどの海藻類がブロックに着生し、周辺にも藻場が確認されるなど、海藻類の着生を促進する効果が認められております。また、施設の機能を高めるためには、食害生物であるウニの生息密度を一定程度抑制することが必要であることも明らかとなっております。 これらの知見を踏まえた上で、藻場ビジョンではブロックの設置によるハード整備と食害生物除去などのソフト対策を一体的に進め、効果的な藻場の再生を図ることとしております。 次に、除去したウニの有効活用についての御質問にお答えいたします。 ウニは高級食材として流通しており、除去したウニの身入りを改善し、活用することは有効であると考えております。このため県では東北大学と連携し、南三陸町の磯焼け漁場から除去したウニにノリを原料とした固形飼料を与え、身入りを改善させる研究を進めているほか、宮城県漁協石巻地区支所では配合飼料を、宮城大学ではクローバーを、神奈川県ではキャベツを餌としてウニの身入りの改善を図るなど、様々な試験が行われております。 県といたしましては、これらの試験や研究の成果を踏まえ、身入りだけではなく、味等も含めた品質向上の効果やコスト面なども整理し、事業化に向けた検討を行ってまいります。 私からは以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、スポーツ振興から見える課題についての御質問のうち、小学校の教育についてのお尋ねにお答えいたします。 幼児教育に引き続く小学校以降の学校教育においても、意欲や協調性、粘り強さなどの測定できない能力、いわゆる非認知能力を育成することは大変重要であると認識しております。特に小学校低学年においては幼児期の遊びを生かした生活科の学習を中心に、校庭や公園で遊びを工夫したり、身近な自然などを利用した活動を通して友達と楽しく交流するなど、幼児教育から小学校教育への円滑な接続を図っています。 更に、今回改訂された新学習指導要領においては、豊かな人間性や社会性等をバランスよく育むことが強調されており、県教育委員会といたしましては、志教育をはじめ、様々な教育活動を展開していく中で、確かな学力・豊かな人間性・健やかな体の調和のとれた生きる力の育成に一層努めてまいります。 次に、小学校において子供の協調性や社会性を育むことについての御質問にお答えいたします。 子供たちが幼児期に引き続き、学校教育において非認知能力を高めていくことは重要であり、いじめなどの未然防止につながるものと認識しております。学校現場では、異なる学年が一緒にする活動や、子供たち自らが計画して実践する活動など、相手を思いやり、関わり合う力を高める取組を進めているところであり、県教育委員会といたしましても、学校教育活動全体を通して、社会性や協調性などを育んていくことができるよう、市町村教育委員会とともに取り組んでまいります。 次に、ルルブルとアクティブ・チャイルド・プログラムを組み合わせた活用についての御質問にお答えいたします。 ルルブルは寝る・食べる・遊ぶといった基本的生活習慣の定着を促進することで、子供の健やかな育ちを促すものです。一方アクティブ・チャイルド・プログラムは、現在の公益財団法人
日本スポーツ協会が開発した、発達段階に応じて身につけておくべき動きを習得する
運動プログラムであり、幼児及び小学生等を対象とし、遊びを通じて積極的に体を動かすという点で、ルルブルと共通していると認識しております。幼稚園や小学校等における教育課程での取組と、地域・家庭におけるルルブルの取組に加え、アクティブ・チャイルド・プログラムを導入することで、運動習慣の定着や体力・運動能力の向上が期待できることから、県教育委員会といたしましても、今後、アクティブ・チャイルド・プログラムの有効活用等について検討してまいりたいと考えております。 次に、幼少・学童期における運動環境の整備についての御質問にお答えいたします。 幼少期から小学校の時期に、望ましい健康習慣や運動習慣を身につけることは、生涯にわたり健康で活力ある生活を送るための基盤形成に大きな役割を果たすものと認識しております。 県教育委員会といたしましては、小学校において児童が楽しみながら体力・運動能力の向上に取り組めるように、Webなわ跳び広場の推進による運動機会の創出を図るほか、大学や民間企業の外部人材を活用して、小学校の体育の授業改善や休み時間における運動遊びの一層の充実に取り組んでおります。 今後とも、子供たちの健康な身体づくりと体力向上に努めてまいります。 次に、教育現場のICT化と
スポーツ文化活動の均衡についての御質問にお答えいたします。 GIGAスクール構想の推進や今般のコロナ禍により、教育現場のICT化は急速に進展しております。変化の激しい未来を生きる子供たちにとってICT教育は必要不可欠なものとなっておりますが、同時に、児童生徒の人格形成という教育の根本的な目的と、そのためには人と人との関わりが重要であることを忘れてはならないと考えております。 県教育委員会といたしましては、ICTを効果的に活用した教育を推進するとともに、児童生徒の学習意欲の向上に加え、責任感や連帯感などの涵養に資する
スポーツ文化活動の推進にもしっかりと取り組み、子供たちの生きる力を育成してまいります。 次に、
スポーツ少年団への支援についての御質問にお答えいたします。
スポーツ少年団の活動は、子供たちの体力向上だけではなく、仲間や指導者との交流を通じて、コミュニケーション能力や思いやりの心を育む大切なものであると認識しており、その活動を担う指導者は重要な役割を果たしているものと考えております。 今年度から
日本スポーツ協会において指導者に求められる資質能力を確実に習得させるため、公認指導者資格制度が改定され、指導者の登録費用が必要になったと承知しております。 県教育委員会としましては、
スポーツ少年団も含め、競技団体には多数の資格や登録の必要な指導者がいることもあり、登録費用への助成には課題があるものと考えておりますが、まずは指導者に対する研修会に積極的に関わるなど、
スポーツ少年団に対する支援に努めてまいります。 次に、大綱二点目、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についての御質問のうち、拠点校での実践研究についてのお尋ねにお答えいたします。 休日の部活動の地域移行に向けて、各都道府県に拠点校を設けた実践研究事業が文部科学省の令和三年度概算要求に盛り込まれたところです。 県教育委員会といたしましては、学校の働き方改革を進める観点からも、今後この事業に関する情報収集に努めるとともに、国の予算の動向を踏まえた対応ができるよう準備を進めてまいります。 次に、地域部活動への保険や謝金、教員の他校での指導についての御質問にお答えいたします。 現在の国の改革案では、いわゆる地域部活動は学校管理下外の活動と位置づけられており、通常の学校事故に備える保険とは別の新たな保険に加入する必要があると示されております。休日の部活動の地域への移行については、費用負担の整理のほか、地域人材や運営団体の確保などの課題があると考えております。また他校での指導は、いわゆる地域部活動においても可能であると考えられますが、その運用について整理すべき課題があるものと考えております。 これらの課題につきましては、国が実施する実践研究等を通じ検証するとされていることから、県教育委員会といたしましても、国に対して学校現場の状況を伝え、必要な要望をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 三十四番守屋守武君。
◆三十四番(守屋守武君) ありがとうございました。 まず教育委員会のほうの取組について伺っていきたいと思います。 先ほど教育長のほうから、いろんな部分で、幼稚園、保育所、小学校といろいろと非認知能力の関係するところのいろんな授業を小学校にも引き継いで、取り組んでいきますということでお話をされてました。中を見ていくと、以前にもそういうことの中でやってはいるけれども、結果的に、昨日の話でもありましたけど、不登校の発現が収まっていない。それで、非認知能力の研究調査でいくと、ここをしっかり育てると、その人が幸せになると言っています。それが裏づけられたということです。そうすると、ここの中で、いかにしてここをつないでいくのかということです。今、新任の教師の方の自殺が大変多くて、新任で学級の担任を受ける教員の方も多い。まだお子さんをお持ちでない方が、急に例えばいろんな学びはしてきたとしても、そこで小さい子供たちを受け持って、要は本で学んだこと、または聞いたことをやっていくということに、非常に大きな負担があるのだろうと思ってます。こういうところを具体的に変えないと、今、教育長が話ししたようなことをやると言っても、どうやってやるのか、誰がやるのかという話になるんですね。その辺のところはどうですか。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 先ほどお話ししたとおり、生きる力ということで、いわゆる非認知能力についても育てていこうということでの取組というのは進められているところでございますが、今お話のとおりなかなかそれが実践できていないところもあろうかと思います。 新たに採用する教員も増えているという中でございますので、そうしたところをよく実践ができるような研修ですとか、あるいは保育所、幼稚園のほうでやってきたものをどうつなげていくのかということについて、もう少し具体的に検討しながら、研修なり学校内でのOJTなりの中で取り組めるようにしたいと思っております。 また、今年からやっている学びの支援の教室といって、学校の中で別室登校というのがありますけれども、その中でもそうしたプログラムを入れていけないかということで、今、検討しているところでございます。
○議長(石川光次郎君) 三十四番守屋守武君。
◆三十四番(守屋守武君) 文部科学省でも幼稚園、保育所と小学校がちゃんと接続してという話を出しています。だけども、ここの人の交流なんかしてますというのは七、八〇%いってるんだけども、幼小の接続において、接続を見通した教育課程の編成・実施が行われていない市町村というのが七七%、八〇%ぐらいでほとんどやってない、やれていないんですよ。それで私がここで言いたいのは、先ほどのアクティブ・チャイルド・プログラムの研修などに幼稚園の先生方が今たくさん来てます。例えば仙台市の教育関係に関わる職員も来ています。どうやったら対応していいのかということを一生懸命学んでいます。だけど小学校の先生は学習指導要領とか初任研究だとか、それだけで手いっぱいなんです。だからここは文部科学省のほうでも、それぞれ人事交流もしなさいという話をしているので、そういった制度を利用して、ベテランの保育士を小学校に上げるとか、そういうことをすることで子供たちの活動だとか、先ほど述べたように、いろんな形の子供たちが増えている。そういったことをきちっとサポートするということになると、ベテランの先生が就くというのは、今、非認知能力が必要だと言われているときに、そのことをやってこなかった。確かに指導要領をこなすのはできるけれども、そうでない部分の力を引き続き伸ばすということが、かなり子供たちの生きる力を育てあげることができるし、新任の例えば担任を受け持つ先生も相当楽になるのではないかと思います。そういうことを、今までいろんなことやってきても防げてないのだから、宮城県がまず最初に率先して取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 幼小連携ということで、接続のプログラムなどについても県教育委員会として検討して、それを広げようということでやってまいりました。ただいまお話あったように、確かにその人の交流ですとか、小学校の先生がそういうアクティブ・チャイルド・プログラム、これすごくいいなと私も思ってますけど、そういうところの知識を得るとか、あと保育園・保育所でどういうことをやっているのかというのをいろいろ共有していくのは、とても大事なことだと思います。 小中だと小中連携ということで小学校の先生が中学校行ったり、中学校から小学校に来たりということでつなげていますが、なかなか確かに幼稚園と小学校というところで、具体にそこまでできていないところもあると思いますので、そこは市町村教育委員会の話も聞きながら、どのように進めていったらいいか検討してまいりたいと考えております。
○議長(石川光次郎君) 三十四番守屋守武君。
◆三十四番(守屋守武君) 教育長、話が合うようになりましたね。これはすごく実は大事なんですよ。ここは制度をそうするだけで変わってくるので、そこをぜひ取り組んでいくことで、いろんな課題から少し脱却できるのかなと私は思っているので、そこをお願いします。 その手段として、私はルルブルとアクティブ・チャイルド・プログラムが大事だと思って話を出してるんですよね。このルルブルというのは、知事、分かりますか。しっかり寝る、きちんと食べる、よく遊ぶ、健やかに伸びるなんですよ。語呂はルルブルと呼びやすいだろうけど、最初に寝て、それから食べて、よく遊ぶって順序が違うと思いませんか。やっぱり最初はよく遊ぶんですよ。よく遊んで、おなかが減って、食べて、疲れて寝る。それが健康のサイクルをつくる。そして健やかに伸びるんですよ。今さら語呂を変えると変なことになるからだけれども、ここの意識をしっかり持って、そしてアクティブ・チャイルド・プログラムに取り組むということが大事だと思います。 教育長は先ほど進めていくと言ったけども、でもこのアクティブ・チャイルド・プログラム、今まで進めてきているWebなわ跳び広場も被災者支援交付金でやってきていて、結果的にはこれが終了するから、令和三年度から縮小しますともう書いてあるじゃないですか。ここを縮小してやると言っても、話のつじつまが合いません。ここはどうですか。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) これも含めて、復興財源を用いながらやっているいろいろな事業につきまして、効果を出しながらどのようにしていくかというのは、今いろいろ検討しているところでございます。こうしたアクティブ・チャイルド・プログラムについて取り組んでいくためにどうしたらいいのかというのも、今検討しているところでございますので、復興財源がなくなっていくというのは、この時期やむを得ないところでございますが、その中でも必要な事業をどういうふうにしていくかというのを、今検討しているところでございます。
○議長(石川光次郎君) 三十四番守屋守武君。
◆三十四番(守屋守武君) 不登校いじめが非常に大きな課題になっていて、宮城県が悪いと言われているとしたら、まずここを一番しっかりやっていかなければならない。不登校いじめが発現した後は、自民党のチームもいろんな対策を考えて動いています。だけど予防という観点の中でも動かないと、どこまでも教員とか、更なる費用負担になります。だから、この非認知能力をどうやって育てたらいいんだという話なんです。 先日、東松島市の日本ウェルネス宮城高校に高橋宗也議員に連れて行ってもらいました。そして事務長にお話を聞いたら、ここでは発表会をやらないんですよ。孫が二人いる私としてはちょっと納得できないんだけども。でも、学校法人タイケン学園グループでは子供たちが自分たちで考えて行動するということをサポートする。運動する。まさに非認知能力を育てているんですよ。発表するために何か覚えさせるのではなくて、自分たちで考える時間を多く取っている。こういうことを私立の保育所が更にやっている。このことが小学校に行くと切れてしまう。こういう理念が切れてしまう。これが問題なので、さっき教育長が言っていたように、このところをしっかりと職員の交流とかそういうことで進めていただきたいと思います。 ちなみにWebなわ跳び広場は今どんな状況でありますか、お伺いをします。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) Webなわ跳び広場につきましては、かなり取り組んでいただいていて、これに取り組んだ学校については、体力・運動能力のところで成果があると捉えております。
○議長(石川光次郎君) 三十四番守屋守武君。
◆三十四番(守屋守武君) Webなわ跳び広場も、縄跳びができない子もいることも考えて、だからアクティブ・チャイルド・プログラムをこういうところに入れるということを提案してるんですね。そこで差がついてしまう。縄跳びやっちゃだめではないんですよ。だけどもできる子もできない子もいる。そして休み時間にやるのではなくて、しっかり時間を設けてやることが健康な脳の育成につながる。その後、きちっと学びの脳が働くということが言われてますから、そこに重点を置くことで大分改善をするのではないかと思います。
スポーツ少年団についてであります。先ほど出たように、今後、地域にスポーツ活動を移行していくのであれば、この有資格制度をきちっとサポートしないといけないと思います。なお、知事はいろんなものは外に出して、外にやってもらうというのは得意だけども、
スポーツ少年団はもともと外部の団体です。それもみんなボランティアで、団員からお金を集めてやっている。これを県は本当に積極的にきちっとした形で支援をしていただきたい。こういう団体がなくなると大変です。知事、この辺どうですか、お考えは。
○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 当然そうした人たちに子供たちの育成の御協力をいただくというのは、非常に重要なことだと思います。今後どのような形で協力体制を取っていけばいいのかということを、よく検討してまいりたいと思います。
○議長(石川光次郎君) 三十四番守屋守武君。
◆三十四番(守屋守武君) それからコンベンションの関係です。実はこの間
スポーツ少年団バレー全国大会の中止決定を、我々もそうせざるを得なかったんだけども、してしまった。全国で八百人の子供たちが来て、関係者を含めると千何百人となるんです。私にもいろんな宿泊関係の人たちから何とかという話があったけれども、この人たちを例えば鳴子でもどこでもいいですが、大きなところに一斉に泊めていただいて、それで輸送する。非常に大きな大会、こういうことが実は多々あると思います。
スポーツコンベンションをしっかりとくみ上げて、これを観光関係と連携していくことは、今まさにウィズコロナをどうするかなんです。ただ、こういう言い方がいいか悪いか分からないけれども、各団体のみんな高齢者なんですよ。子供たちの目線で見てないのかなというところが、ちょっと残念なところですかね。やっぱりコロナというものは怖い、やらないほうがいい、何かが出たらどうしよう、これを考えているといつまでたってもできません。こういったところは教育委員会も大会なんかあるじゃないですか。こういうところ拾い上げてやっていただきたいと思います。ここは要望で終わります。 学校の働き方改革。これはるる申し上げましたけど、これからくみ上げるところです。それで、今こういう方向にしなさいという骨子は一応出ました。保険も自分たちでかけろ、何しろという話なんですよ。ちょっとあり得ないですよ。更に例えば子供たちに負担かけろという話なんです。ここはしっかり対応していただきたいと思いますが、どうですか。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 今回示されました部活動改革というのは、これまで学校で外部の方の力を借りながら部活動をするというところを一部、今回は休日ということで、休日は外で地域でやっていただくということで、非常に大きな改革でございます。我々もこの中身で、議員からお話あったようなところがほんとにどういうふうにしていくのだろうと。地域の人材をどう確保していくのか。あるいは費用負担をどういうふうにしていくのか。いろんな課題があるというのは承知しておりますので、実際現場の課題、現場でどうなっていくのかというのを、しっかりと国ともよく意見を交わしていきたい。そして県としてもどういうふうに考えていくのかというのをまとめていきたいと思います。
○議長(石川光次郎君) 三十四番守屋守武君。
◆三十四番(守屋守武君) 村井知事の記事を取ってきたんです。ポケットに大事に入れてるんです。最後にお話ししますけど、地域の資源を活用した多様ななりわいを創出して、所得の機会の高揚ということを言っています。藻場ビジョンに取り組んで、しっかりと地域資源を育て上げていただきたいと思います。肌身離さず持っておきますから、よろしくお願いします。 以上で終わります。
○議長(石川光次郎君) 暫時休憩いたします。 午前十時五十五分休憩
----------------------------------- 午前十一時九分再開
○議長(石川光次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十九番高橋宗也君。 〔十九番 高橋宗也君登壇〕
◆十九番(高橋宗也君) 自由民主党・県民会議、高橋宗也であります。どうかよろしくお願いいたします。 あの東日本大震災から、もうすぐ十年の節目を迎えようとしています。歳月は経過いたしましたが、多くの震災の御遺族にとって、また被災した当事者、そして被災地にとってあの大震災はつい昨日のことです。一日たりとも忘れたことはありません。改めて最大被災地、我が宮城県では実に一万五百六十七人の貴重な人命が失われ、そしていまだ千二百十八人の方が行方不明であるという厳然たる事実をもう一度かみしめ、そして未来につながるまちづくりを確実に実現していく責任が我々にはあります。またあえて私たちと申し上げますが、震災の遺族の多くは、私たちのようなあまりにも悲しい経験を、この世の現実とは思えないつらい惨状を二度と繰り返すことがないよう、強く強く望んでおります。私はともすれば成功事例や命が助かった状況など、美談的な情報だけが語り継がれるような状況は、決して望ましくないものと考えています。反省点や課題、改善点こそしっかりと将来に引き継ぐべきです。また、復興を進める上で課題となった法令的、制度的な壁など、いわゆる岩盤規制については、県として情報を強く発信し、次なる災害に備えていく必要があります。二〇二〇年は産業の復興や教育の再生、防災力の強化など、大震災とその後十年間の復興の諸課題をしっかりと検証し、次世代につないでいく重要な節目に当たります。 以上のような観点から、大綱一点目、東日本大震災の課題総括と防災力の強化について、知事そして執行部の方針を横断的に伺います。 まず、ハード分野の復興について伺います。 この十年間で集団移転や復興住宅などの住居系を中心に、施設の復興は進みつつあります。一方で、今議会にも年度の繰越議案が提出されていますが、当初計画による震災からの十年間で事業が完了しない道路や橋梁、堤防等も存在しています。それぞれに事情があることは理解しつつも、事業完了を待望している各被災地域では、事業期間の延伸はまことに深刻な問題です。今後、ハード施設の復興が十年間で完了しない事業、箇所数等について、現時点でどのように把握し、課題をどう分析しているか伺います。 あわせて、遅滞する事業を抱える地元住民等の関係者には、今後いつどのような説明を行っていく方針か伺います。 次に、海岸復興の課題について伺います。 海岸堤防、海岸防潮堤は一見一筆書きのように連続しているため、全てを一体的に管理整備しているようにも見えますが、県が管理する海岸の場合、通称建設海岸、港湾海岸、漁港海岸、林野海岸、農地海岸、一般公共海岸等に複雑に分かれており、それぞれ所管省庁や事業制度が異なります。一体的に復興したほうが明らかにメリットがある海岸施設の場合でも、制度が異なるため別事業として整備せざるを得ない場合もありました。現行法による海岸の管理制度とその復興業務は、あまりにも複雑でかつ縦割りに過ぎます。単純に堤防の高さだけを問題とする検証も多く、制度的な課題や現場の労苦はほとんど検証の俎上にすら上がりませんが、今回の復興では、基礎自治体・県ともに法令の壁と省庁対応に時間を要した点は課題です。折しも政府は、新たな政策として縦割り一一〇番制度を創設するなど、改善に向けて動き始めています。復興事業を現場で指揮してきた知事として、現行の海岸法令や関連諸制度について、どのような御見解をお持ちで、今後どのように対応していく方針か伺います。 また今後は、海岸周辺の自然環境の復興再生など、細やかで地域に寄り添った継続的な対応が必要です。自然環境の再生や附帯設備の整備等、今後の海岸部の復興に関する県の対応策について伺います。 次に、自転車道の復興について伺います。 昨年、仙台市と亘理町を結ぶ自転車専用の県道二百二十七号が全線復興いたしました。私はツール・ド・東北に何度も参加しておりますが、県道二百二十七号は全国のサイクリストに大変好評でありました。沿岸被災地を巡るこの自転車イベントは、全国各地から訪れた方々、地域の方々、宿泊事業者など地域・経済にも好評で、被災地の情報が発信できる幾重にも効果のある、優れた復興関連イベントの一つだと思います。 一方で、震災以前、県道二百二十七号以上にたくさんのサイクリストが訪れていた仙台・松島・石巻を結ぶ自転車専用道路の復旧復興は、いまだ計画すら公表されていません。大前提として、震災以前に存在していた自転車道を含む道路の復旧は最優先の事業です。県北沿岸地域の自転車道の復興は、十年を経過した今後、どのような計画で進もうとしているのか、まず伺います。 なお、平成三十一年四月、道路構造令が改正され、道路管理者は、通称ブルーラインとも言われる自転車専用通行帯を整備することが可能になりました。加えて今年六月には、県独自の自転車安全利用条例が制定され、県としても自転車の安全な交通環境を整備推進する旨、自ら宣言したところであります。今後の県道整備計画線には自転車通行帯の整備を進めるべきと思います。あわせて、知事の見解を伺います。 次に、原発に係る広域避難計画について伺います。 県主催の説明会質疑では、UPZ地域から万一避難する際の広域避難計画に多数の質問が寄せられました。現時点の避難計画は、県が各市町に対して避難計画作成のガイドラインを示し、基本的に県内への避難を行うものと定め、UPZ地域からの避難先はガイドラインに基づき県が避難先自治体との調整を行い、受入れ施設や避難所運営等の具体的要件について取決めを行うものとされています。例えば、涌谷町や美里町など、当該自治体内に避難先を有する自治体がある一方で、東松島市では、現行計画の避難先は、岩沼市、名取市、亘理町、山元町など東日本大震災の際、東松島市と同じく大きな被害を受けた沿岸部が第一候補とされています。もちろん、各地域ではそれぞれ防災対策を整えておりますが、津波や高潮等の被災想定の場合は、特に沿岸部から同じ沿岸部に避難することには疑問が残ります。避難計画に十分な地元理解は欠かせません。UPZエリア地域、各市町の意向を十分に踏まえ、住民の理解がより高い避難計画に進化させていくことが必要です。ちなみに、島根県においては、避難先として、県内だけでなく、隣接の岡山県、広島県の施設を避難受入れ先として設定し、島根県広域避難計画を策定しています。なお、長期避難先としての体育館や学校避難は、世界的な避難所基準であるスフィア基準にも合致しておりませんし、感染症の対策は今や必要不可欠であります。三・一一の際、体育館等の避難先でノロウイルスやインフルエンザが蔓延した状況を忘れてはなりません。県内の旅館やホテル、更に隣県も含めれば多数の宿泊施設があります。住民の理解が得られ、かつ感染症対策も含めて、より安全性が高い広域避難計画に改善していく視点は欠かせません。より安全な計画へのブラッシュアップが必要ではないでしょうか。また、知事は、東松島市で行われた説明会の際、避難訓練に参加し、自分の目で現場を確認するとコメントされています。今後の知事の避難訓練参加の予定、また、避難計画改善の方向性について見解を伺います。 五点目として県の防災備蓄体制について伺います。 去る二月議会一般質問において、防災備蓄の強化を提言いたしました。前回の答弁は、災害に備え、市町村との連携を深め、備蓄品及び流通備蓄の双方を通じて、より実効性のある物資等の確保に取り組んでいくという前向きな回答でありました。また、基礎自治体の防災備蓄体制の事例の一つ、東松島市防災備蓄倉庫を現地視察されるよう知事に提言いたしました。早速知事には、八月十八日、東松島市の防災備蓄倉庫を現地で調査していただき、迅速な対応に感謝するとともに、今後の県備蓄体制の強化について見解を伺います。 なお、防災上の定義として流通在庫備蓄があります。単なる民間との連携協定だけでは不十分で、災害時に一定数量の物資納入を受ける民間との明確な数量契約等が必要とされております。令和二年三月、消防庁の地方防災行政の現況調査においては、宮城県の流通在庫備蓄はトイレ以外、食品、飲料水、衛生品等いずれの項目でもゼロカウントでありました。あの三・一一では三日間、被災地に水も食料も外部からの物資提供はほぼ皆無であり、単なる連携協定だけでは、実務上大災害の際には機能しないことを私たちは経験いたしました。もう一歩先に進むことが必要であります。また、現況では市町村の防災備蓄にも濃淡があり、備蓄数が非常に少ない自治体もあります。この状況を踏まえ、宮城県、そして基礎自治体間の防災備蓄の連携体制について、新たな仕組みづくりを進めるべきではないでしょうか。 一案として現行の市町村総合補助金に防災備蓄品の購入をメニューに加えるよう提案いたします。基礎自治体が財源も含め、計画的に防災備蓄を進めていくことが可能になり、県内の防災力は間違いなく向上いたします。市町村によって備蓄品の保管が困難な場合には、東松島市防災倉庫も含め、広域的な連携で対応することも十分可能だと思います。 以上、東松島市防災倉庫を視察した所見も含め、備蓄に係る県の体制、そして総合補助金のメニュー化等について、知事の考え方を伺います。 次に、水産業の復興課題について伺います。 アキサケのシーズンになりました。昨年のサケ漁獲量は、地域によって最盛期の一割から三割という危機的状況でありましたが、誠に残念ながら、今年のアキサケ漁は厳しかった昨年以上に、更に厳しい状況でスタートしております。サケ回帰率の低下等により水揚げが急速に減少しています。これまで宮城県のサケマス増殖はつくり育てる漁業のモデルとも言われ、震災前は沿岸漁獲数が三百万尾を超え、水揚げ金額も三十五億円以上に達していました。豊漁時、採卵から放流、水揚げに至る一連のコスト比較をしてみると、投入コストに対するサケの直接水揚げだけで十倍以上のリターンがありました。イクラの加工や外食産業、流通雇用等を考えると、はるかに十倍返しを超える、まさに水産業の優等生でありました。これも長年にわたる内水面漁業者と海面漁業者の連携協力のたまものであり、あの大震災の翌年に宮城県で四千五百万尾の稚魚放流を行うなど、復興でも大変な御努力を重ねた結果であります。しかし近年、海面の水揚げが急速に減少し、宮城のサケは誠に大変な状況を迎えております。内水面における採卵・稚魚育成財源の一部は、海面漁業の水揚げ協力金七%で補っています。このままサケ水揚げが落ちていくと、稚魚育成放流に関する予算も確保できず、放流数の減少が更なる漁獲の減少に向かい、悪循環が加速する負のスパイラルが進むことが懸念されます。仮にサンマに続き、宮城の食文化の柱、サケを失った際の痛手はあまりにも大きいものがあります。稚魚の放流数について、今年度は震災以前の六千万尾から七千万尾の水準で放流が確保されるかどうか、まず伺います。 また、増殖事業を実施してきた内水面漁業の一部では、収入の減少とともに組合員数の減少や高齢化の進行など厳しい経営が進行しています。私は実際にふ化場の現地調査にもまいりましたが、効率化を進める新たなふ化場の整備が極めて有効だと痛感いたしました。県内では女川ふ化場など大震災で失われたふ化場のうち、まだ復旧・復興していない施設もあります。宮城のサケを失うことがないよう、持続的な水産業経営に資する水産施設の整備が急務であります。今後の施設整備そしてサケ増殖に係る支援方針を伺います。 次に、農業復興と今後の振興について伺います。 農業のハード施設復興については、ほぼ完成を見ることができました。九年前、震災瓦礫がうずたかく積もり、用排水路は埋没、全ての農業機械や園芸施設等が流失したあの困難な状況の中から立ち上がった農業者の皆様、そして関係機関の御尽力に心からの敬意を表します。県内では、低コスト型、大規模型の農業経営が進み、地域に好循環をもたらしたところが見られます。一方でいわゆる格差も懸念されるところであります。事業が完了し、圃場整備や用排水の施設整備が実施済みの地域とそうでない地域の差。また、昨年の台風十九号など災害の多発により、土地改良事業の実施年次の先送りや水利施設の機能向上など、対応の遅滞も懸念されるところです。来年度以降の農業環境の整備方針について対応を伺います。 また私は八月、会派同僚議員とともに、新型コロナ感染症の拡大により大きな影響を受けた、県内の花卉、イチゴ、肉牛等の農業生産者との意見交換を行ってまいりました。いずれの農業者の場合も感染症の影響はあまりにも大きく、経営努力で対応する限界を明らかに超えている厳しい状況でありました。感染症の長期化が懸念される中で、農業者の生産意欲にも影響が及んでいます。復興途上にある農業分野です。感染症対応も含め、今後のソフト支援策について併せて伺います。 続いて、被災地におけるコミュニティー支援について伺います。 集団移転地や災害公営住宅のコミュニティー形成はまだまだ途上にあります。十年という期間は震災からの年月であり、住宅移転の日から起算すると沿岸北部の最大被災エリアでは、まだ五年に満たない地区がほとんどであります。実際にまだ完成していない土地区画整理事業地区もあります。我が県が地域復興支援助成金や心の復興支援事業など、国の制度も活用し支援してきたことを評価する一方で、多くの被災地では今後のコミュニティーの継続に大きな不安を感じております。復興は言葉を変えれば自立に至るプロセスです。未来永久に被災地支援が続くことはなく、我々自身の手でしっかりと支え合う地域社会をつくっていかなければなりません。一方で、単純に震災から十年という時間的制約が付きまとうことには、大きな疑問を感じております。県当局として今後、復興の成否を左右すると言っても過言ではない被災地のコミュニティー形成・支援について、二〇二一年以降はどのような方針で対応していくか伺います。 次に、石巻市南浜地区に整備中の津波復興祈念公園について伺います。 私は何度か復興祈念公園に関する震災伝承団体、御遺族等の関係者による意見交換会に参加しております。最近、担当部署の御調整により、説明側として国・県・市、そして関係者が一堂に会する方式に改善され、地域の意見や要望が少しずつ反映されつつあることは評価いたします。一方で、祈念公園の構想・設計・整備に至る一連のハード事業については、当初の平成二十八年度有識者委員会で検討を開始した時点から、地元も含めた関係者の意見を反映する仕組みが機能していれば、施設の躯体や使い勝手共に、態様はかなり異なっていたかもしれないという残念な思いもございます。この施設は宮城県の震災伝承の中核施設であることを改めて認識し、各地の団体や関係者がこの祈念公園を核として、交流や伝承・情報の輪が広がっていくよう、ソフト政策を今後充実していくべきです。県内各地に点在する震災遺構、または各地区単位で行っている伝承活動について情報共有や研修、広報に係る連携支援を展開していくことが、この施設に課せられた使命であります。単なる維持管理にとどまらず、伝承活動に関して総合的なソフト支援を強化して臨むことが必要です。当局の方針を伺います。 次に、大綱二点目、長期計画とSDGsの連携について伺います。 感染症が世界を覆い、誰もが未経験の世界的なパンデミックの真っただ中におります。我が国では感染症対策を進める上で、医療体制の構築やデジタル化の遅れなど、様々な課題が浮き彫りになりました。一方でピンチこそチャンスでもあります。感染症は都市部ほど脆弱なことが改めて明確になりました。自然にあふれ、安全な東北地方、そして我が宮城からすれば人の流れを地方に戻す大きな機会でもあります。今後、単にコロナ前に戻るのではなく、人口減少や経済・教育など、従来からの課題を克服する千載一遇の機会としての視点が重要です。今回の感染症そして温暖化をはじめとする地球環境の問題、食料、貧困、差別、資源、エネルギーなど、今我々の世代で何とかしないと、また変えて、変わっていかないと地球規模で大変な事態が加速し、それは年々深刻になってまいります。SDGsは世界共通の目標として協定され、目標が明確にされています。一方で実現する手段・方法は、それぞれに任されているという、ある意味で自治体にとってまさに腕の見せどころと言うべきツールです。 まず基本となる県長期総合計画について伺います。 SDGs型の計画策定は最終盤まで来ておりますが、宮城県の戦略として打ち出す次期総合計画における政策の柱について、知事の考え方を伺います。 次に、県の教育支援策について伺います。 特に震災以来、学力、体力ともに低い状況が続いており、不登校児童生徒の割合も高止まりとなっております。現状を改善するためには、あらゆる手段を講じていく必要があります。その中で、三十人学級制度については、これまでも多方面から県議会で議論してきたところですが、一連の新型コロナ感染症をトリガーとして、政府としても改革構想が進みつつあります。先月二十四日には、小中学校の三十人学級の実現に向けて、与党の教育再生実行本部が一クラスの定員を四十人以下と定めている義務標準法を改正するよう文部科学大臣に申入れを行い、文部科学省も来年度の事項要求に盛り込む動きがあります。政府の動向を注視しつつ、県としても教育改革の動きを速めていく必要が生じています。知事の見解を伺います。 最後に、縦割りを超えた私学と公立の連携について伺います。 県教育委員会では平成三十一年、県立高校の将来構想を示し、新たな高校の配置方針を打ち出しています。この構想の中では、協調して人事交流や研修を通じた教育環境の整備を図ると表現されていますが、私学との具体的連携方策や方針は見えてきません。最近の高校再配置の結果では、登米地域、気仙沼地域、石巻地域等の沿岸被災地や内陸部の学校が先行して統合されています。被災地、内陸部の少子化は加速しており、子供の実数が減っている以上、単なる現状維持は誠に困難であります。しかし、将来予測値を見ると、更に驚愕すべき深刻な数値が見えている中で、単純に生徒数で学校配置を進める政策からは一歩進めることが必要不可欠です。現状の県立だけの配置の方向性を示す県立高校将来構想にとどまらず、私学との連携・協働を進め、私学公立を包含した構想を打ち出すべきであります。私学も公立も、沿岸・内陸部も含めて高校生は平等であり、生徒が家から通える高校配置を将来にわたって持続していかないと、県の発展は望めません。一極集中を加速することなく、宮城の持続的な発展を期すよう進めていくべきではないでしょうか。今年、私学助成制度が改善され、私立と公立の学費差は大きく解消されました。また、感染症下でのリモート学習やエアコン配置等でも、私学が先行している分野は非常に大きいものがあります。折しも文部科学省は高校改革に乗り出し、今年七月、高校普通科を「SDGsなど現代課題の対応学科」、「少子高齢化など地域課題を探る学科」、「文化やスポーツなど特色教育の学科」の三つのパターンに再編する案を示し、中央教育審議会でも議論しております。知事及び教育長双方に、県内の高校配置に係る課題について対応方針を伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 高橋宗也議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 まず大綱一点目、東日本大震災の課題総括と防災力の強化についての御質問にお答えいたします。 初めに、今年度末までに完了しない復旧・復興事業についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災に伴う復旧・復興事業については、これまで早期完了に向けて全力で取り組んでまいりましたが、用地取得や関係機関との調整に時間を要したこと、現地の地質状況に合わせた工法の変更が生じたことなどにより、今年度中に完了できない事業が九十八件となっております。これらの事業については、早期に受注者と工期延期の変更契約を行わないと資材の調達や下請負人の確保が困難となり、円滑な工事の執行に支障を来すおそれがあることなどから、今議会に繰越明許費を計上したものであります。 県といたしましては、議会でお認めいただいた後、速やかに受注者と協議を進めながら、確実な施工体制を確保するとともに、地元住民等に対して、施工期間の延長等について丁寧な説明を行い、理解を得ながら一日も早い復旧・復興事業の完了に向け、総力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。 次に、原子力防災訓練への参加と今後の避難計画についての御質問にお答えいたします。 これまでの県の原子力防災訓練では、私は県の総括責任者である災害対策本部長として、災害対策本部運営訓練を指揮する役割を果たしてまいりました。今年度の訓練は、感染症対策も含め、現在その具体的な内容を調整しているところでありますが、私自身、本部長の立場に加えて、住民避難訓練に参加し、避難の実情を確認したいと考えております。 県といたしましては、今年度実施される訓練で得られる課題や今後の情勢の変化などを踏まえ、関係市町の避難計画の継続的な改善を支援してまいります。 次に、県全体の防災備蓄体制の強化等についての御質問にお答えいたします。 初めに、東松島市の防災拠点備蓄基地を視察した所感でありますが、非常に大規模な施設で、備蓄物資も品目ごとにしっかり管理されており、大変すばらしい取組だと感じました。県では、防災備蓄について市町村の備蓄を補完するため、企業や団体等との防災協定に基づく流通備蓄により対応していくことを基本としておりますが、加えて、新型コロナウイルス感染症への対策として、マスクなど一部の衛生資材については現物備蓄を進めております。また、各市町村では東日本大震災以降、避難所の分布や地区バランスにも配慮しながら計画的に現物備蓄を進めてきたほか、企業や団体等と防災協定を締結するなど、備蓄体制の充実を図っております。 県といたしましては、市町村相互応援協定や国の物資支援システムを活用し、備蓄品の相互活用を支援するなど、これまで以上に市町村間の連携強化を図ってまいります。なお、御提案のありました市町村振興総合補助金のメニュー化につきましては、今後検討してまいりたいと思います。 次に、被災地でのコミュニティー形成について来年度以降の支援方針はどうかとの御質問にお答えいたします。 県ではこれまで住民主体の活動を対象とする地域コミュニティ再生支援事業や民間団体による支援活動を対象とするみやぎ地域復興支援事業等を通じて、被災地における地域コミュニティーの再構築に向けた取組を支援してまいりました。こうした支援により、住民自らによる見守り活動の定着や交流行事の活発化など、自立が進む地域がある一方で、自治会の設立が遅れたことなどにより、今後、活動の本格化が見込まれる地域もあり、取組の進捗に差が生じているのが現状でございます。このため県としても、地域の実情に応じたきめ細やかな対応が今後とも必要であると認識しており、来年度以降につきましても、復興の完了に向けて必要な事業の在り方を検討した上で、支援に努めてまいりたいと考えております。 次に大綱二点目、教育支援の拡大と長期計画・SDGsについての御質問にお答えいたします。 初めに、SDGsとの関係も含めた次期総合計画における政策の柱の考え方についてのお尋ねにお答えいたします。 現在策定中の次期総合計画では、これまで取り組んでまいりました富県宮城の力を更に成長させ、県内経済の安定的成長を図りながら、子育て・教育分野をはじめ、福祉、環境、社会資本整備などの取組の充実につなげていくことを基本としております。このため現行の将来ビジョンに掲げる三つの政策推進の基本方向に加え、社会全体で子供や子育て世代を支えていくことの重要性から、子育てや教育分野を新たな柱として位置づけ、四つの政策推進の基本方向としております。これら四つの基本方向については、相互の関連性を重視するSDGsの考え方を取り入れ、お互いに影響を及ぼし合う関係にあることを示すとともに、具体的な取組においても、SDGsの理念や特徴、十七のゴールとの整合を図りつつ、我が県が目指す姿を描き、実現に向けた方向性を明らかにしてまいりたいと思います。 次に、私学を含めた県内の高校配置についての御質問にお答えいたします。 高校教育においては、公立高校と私立高校がそれぞれの役割を果たしながら、生徒数の推移や時代のニーズに対応した魅力ある学校づくりに取り組んできたところであります。私立高校においては、建学の精神や経営方針に基づき特色ある教育が展開されているところでありますが、少子化が今後ますます加速する中において、公立高校と私立高校が更に連携し、各地区において質の高い学びを確保していくことが極めて重要であると考えております。 私からは以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。 〔震災復興・企画部長 佐藤達哉君登壇〕
◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 大綱一点目、東日本大震災の課題総括と防災力の強化についての御質問のうち、津波復興祈念公園についてのお尋ねにお答えいたします。 国及び石巻市とともに整備を進めております石巻南浜津波復興祈念公園は、東日本大震災で亡くなられた全ての方々に対する追悼と鎮魂の場であり、震災の記憶と教訓を後世に伝える拠点となる場所でもあります。現在県では、公園内の中核的施設に震災伝承に関する展示の整備を進めており、被災の実態や津波から貴い命を守るための教訓など、当時の映像等を用いながら伝えることとしております。また、各地の震災伝承施設や語り部活動を行う団体などを様々な立場や視点からの証言を交えて紹介するほか、国との連携により、市町や伝承団体等が来場者に直接語りかける機会なども設けることとしております。 県といたしましては、こうした展示や活動を通じ、一体的に情報を発信するとともに、伝承団体等の連携強化に向けた研修を実施するなど、県内の震災伝承の拠点としての役割を果たしていくことができるよう取り組んでまいります。 私からは以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 農政部長佐藤夏人君。 〔農政部長 佐藤夏人君登壇〕
◎農政部長(佐藤夏人君) 大綱一点目、東日本大震災の課題総括と防災力の強化についての御質問のうち、来年度以降の農業環境の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災の被災地では、農地・農業用施設の復旧・復興事業がおおむね完了し、大区画圃場での土地利用型農業や大規模施設園芸など、効率的な農業経営が増加しています。一方、被災地以外の内陸部などでは、復興期間中農地整備事業が進展しない地域もあったことから、来年度以降、内陸部の地区を中心に、農業の収益性向上に向けた整備を計画的に進めていくこととしております。また、今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、肉用牛では飲食店における需要が減少し、売上げが減少するなどの影響が全県的に生じております。今後、ウィズコロナの社会に対応した形で県産農産物の販路を確保するため、インターネットなどを活用した家庭内需要の開拓や、飲食店における需要喚起の取組などに対してソフト支援を行うこととしております。 県といたしましては、今後とも我が県の農業が持続的に成長できるよう、県全域で均衡のとれた農業環境の整備を支援してまいります。 私からは以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 水産林政部長小林徳光君。 〔水産林政部長 小林徳光君登壇〕
◎水産林政部長(小林徳光君) 大綱一点目、東日本大震災の課題総括と防災力強化についての御質問のうち、今年度のサケの稚魚放流数についてのお尋ねにお答えいたします。 サケは我が県沿岸漁業の重要な魚種であることから、宮城県さけます増殖振興プランを策定し、持続的かつ安定的な資源造成が図られるよう努めてまいりました。震災後、サケの沿岸来遊数が減少する中、稚魚の放流数は平成三十年度まで、このプランの目標である五千万尾をおおむね達成しておりました。しかしながら、昨年度は沿岸来遊数が約二十七万尾と極端に少なく、更には台風の影響もあり、稚魚の放流数は約二千万尾にとどまっております。今年度の沿岸来遊数は約六十六万尾と予測されており、昨年度の二倍以上にはなるものの、震災後の平均来遊数の半分程度であることから、目標の放流数五千万尾を確保することは難しい状況にあります。このため、宮城県さけます増殖協会と連携し、ふ化場間での卵の融通や海で漁獲したサケから直接採卵するなど、様々な卵の確保対策を行い、可能な限り放流数の目標が達成できるよう努めてまいります。 次に、今後の施設整備を含めたサケ増殖事業の方向性についての御質問にお答えいたします。 県内のサケふ化場のうち、震災で被災したふ化場はおおむね復旧しておりますが、その一方で、その他のふ化場は老朽化が進み、施設の更新が課題となっております。これらのふ化場では、現在、同じ水系にあるふ化場で採卵用のサケをまとめて漁獲するなど、連携を強化しております。 県といたしましては、今後、稚魚生産の効率化を推進し、その上でコスト削減が図られるよう、地域の拠点となる施設から整備を進めてまいります。また、放流に適したサイズや時期を見直し、回帰率の向上を図るほか、サケ稚魚の買上げ事業の継続や水揚げ協力金の効率的な運用に努め、安定したふ化放流事業の確立に向け取り組んでまいります。 私からは以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 土木部長佐藤達也君。 〔土木部長 佐藤達也君登壇〕
◎土木部長(佐藤達也君) 大綱一点目、東日本大震災の課題総括と防災力の強化についての御質問のうち、海岸関係の制度についてのお尋ねにお答えいたします。 海岸については、国土の保全に加え、環境の整備や適正な利用を図る観点から、砂浜海岸や港湾、漁港など利用形態に即して管理者を定め、目的に沿って整備や管理を行う必要があると考えております。海岸堤防の復旧・復興事業に当たっては、関係四省庁から示された設計津波の水位の設定方法に基づき、県と関係省庁間で統一した堤防高や構造などを定めるとともに、一連の海岸線を速やかに整備するため、関係部局で構成する宮城県河川・海岸復興推進会議を設置し、各管理者が横断的に連携して事業間調整等を行ってきたところです。 県といたしましては、海岸堤防の整備を一日も早く完了させるとともに、水門・陸閘の遠隔操作システムを統一し効率化するなど、施設管理についても、引き続き各管理者間の連携を図ってまいります。 次に、今後の海岸整備についての御質問にお答えいたします。 復旧・復興事業に当たっては、施設整備に併せて豊かな生態系の保全や再生に取り組むことが重要であることから、県では環境アドバイザー制度を設け、専門家の助言や調査結果に基づき、自然環境に配慮した施設整備を行ってまいりました。海岸における環境配慮の具体的な取組としては、砂浜の植生を保護するための貴重種の移植や、湿地を保全するための堤防位置の変更、水循環の確保などを行ってきたところであり、こうした環境保全対策を宮城県河川海岸環境配慮指針として取りまとめております。 県といたしましては、今後、これまでの環境保全対策で得られた知見を生かし、保全対象のモニタリング調査や各海岸の特性に応じた環境配慮に努めながら、海岸の整備や管理を行ってまいります。 次に、仙台・松島・石巻間を含む自転車道の整備についての御質問にお答えいたします。 県では、東日本大震災で被災した県内の自転車道の復旧について、まちづくりや河川・海岸堤防などの関連工事と連携を図りながら鋭意整備を進めております。また、自転車周遊環境の構築による地域活性化等を目的に官民で組織した宮城サイクルツーリズム推進協議会と連携しながら、宮城県自転車活用推進計画を今年度末までに策定し、自転車の活用に関する目標や施策を定めることとしております。推進協議会においては、今後、圏域ごとに部会を立ち上げ、昨年決定した沿岸被災地を巡るモデルルートである震災復興・伝承みやぎルートを基本に、仙台・松島・石巻間も含め、各地域のサイクルルートの設定や施設配置など、具体的な整備計画を策定する予定となっております。 県といたしましては、自転車の利用促進によるサイクルツーリズムの推進が、被災地の復興にも大きく寄与すると考えていることから、各部会で策定する具体的な整備計画や、地元の御意見も十分踏まえながら、現道へのブルーラインの敷設や、今後整備する道路への自転車通行帯の設置などについて取り組んでまいります。 私からは以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 〔教育委員会 教育長伊東昭代君登壇〕
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱二点目、教育支援の拡大と長期計画・SDGsについての御質問のうち、義務教育の学級編制についてのお尋ねにお答えいたします。 少人数学級の拡大については、我が県からも国に要望してきたところであり、現在、国において新型コロナウイルス感染症対応も踏まえ、検討が進められていると承知しております。文部科学省の令和三年度概算要求においても、学級編制の標準の引下げを含め、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について、予算編成過程において検討するとされたところでありますので、県教育委員会としてもその動向を注視しながら対応してまいります。 次に、私学を含めた県内の高校配置についての御質問にお答えいたします。 少子化による生徒数の減少に対応しながら、学校の活力維持と生徒の興味・関心や多様な進路希望に応えられるよう、適正な学校配置や定員の設定を進めていくことは大変重要な課題であると認識しております。県立高校の配置や学級数については、将来的な中学校卒業者数の推移や、県全体の学科バランスなどに加え、地域の実情等を踏まえて検討しておりますが、私立高校に進学する生徒の割合等も考慮しております。また、私立高校とは、入学者数など県内の高校に関する情報を相互に共有するなど、定期的に意見交換を行っているところです。 県教育委員会といたしましては、引き続き私立高校と連携しながら、各地区において生徒の幅広いニーズに対応した学びを提供できるよう努めてまいります。 以上でございます。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) 御答弁ありがとうございました。確認等も含めまして再質問させていただきます。 繰越し九十八件ということで、当然、震災の被害が大きければ大きいほど復興も遅くなるわけなので、数字については、我々としては仕方ない部分もあるのかなというのは理解しているつもりであります。ただ、今後の情報発信のほうですけれど、知事、御答弁のようにまだ道半ばでありますので、積み残しの部分について強く発信していかないと理解が進まないと思います。私の理解では、政治や行政、どうしてもうまくいったところを発信する嫌いがあると思いますが、事震災復興に関しては、課題ほど強く発信していかなければならないと思っております。方針について知事の見解を伺いたいと思います。
○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 九十八件につきましては、お認めいただければ明許繰越という形にせざるを得ないと考えてございます。その際、どうしてもその中でも優先順位というものが出てきて、どうしても遅れるものがその中でも出てくるということでございます。その際には、やはり難しいところほど、課題のあるところほど、しっかりと市町村や住民の皆さんに説明して、課題を早く解決するようにしなければならない。どんなに遅くても、あと二年ちょっとしか時間がないということでございますので、それを過ぎてしまうと予算が使えないということになりますから、その中で収まるように努力してまいりたいと思っております。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) ありがとうございました。ぜひ、説明の部分も含めて強く発信をお願いしたいと思います。 続いて前後しますが、関連がありますので津波復興祈念公園について伺います。 改めて政府が定めた復興の原則には、今を生きる私たち全てが、この災害を自らのこととして受け止め、国民全体の連帯と分かち合うことによって復興を推進すると定められております。また、大震災の記録を永遠に残し、その教訓を次世代に伝承するという方針が定められております。今の震災復興・企画部長の御答弁で理念的には分かりましたけど、具体的にソフト支援をどうしていくかというのがちょっと見えてこなかった。念のため申し上げますと、現地では祈念施設のハードのキャパシティーが少し小さ過ぎるということがありまして、民間独自に木造の伝承交流施設MEET門脇を建設計画中です。そういう深刻な状況であるわけです。ぜひ、そういった伝承者の思いや御遺族の思いも含めて、ソフト支援を継続していくという明確な具体的方針を伺いたいと思いますが、部長いかがですか。
○議長(石川光次郎君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。
◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 今、議員から規模の問題等も教えていただきました。私ども、この中核施設の中で場所をできるだけ効率的に、来場者の方が回遊して適切に御覧いただけるような工夫をただいまとっております。その中で、こちらは石巻ではございますけれども、石巻で県内の他の被災地の状況、あるいはその語り部の皆さんのお話なども聞けるようにしておりますので、ぜひ、来場者の皆様にはこちらに来ていただいた後に、他の被災地にも回っていただけるような工夫とかをしっかりしていきたいと考えております。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) 十年の節目であります。ぜひその方針を、今後も説明会、意見交換が続くと思いますので、明確にしていただきたいと思います。 防災備蓄でございますが、総合補助金も含めて御検討いただくということで、ひとまず安心しておりますが、自治体によって本当に薄いところがございます。また、これは広域避難計画とも連動しますけれども、どうしても避難元自治体では防災備蓄を持っていくことはできませんので、避難先自治体に配備が必要になります。そのあたりはもちろん御存じだと思いますが、直接の財政支援措置がなかなか自治体にはないことからも、各自治体においての防災備蓄、あるいは県備蓄が必要だと思いますが、部長いかがですか。
○議長(石川光次郎君) 総務部長大森克之君。
◎総務部長(大森克之君) 先ほど知事から御答弁申し上げたとおり、県としても現物備蓄について、しっかり取り組んでいきたいと思っております。また、市町村の相互応援の形をしっかり組んでいく必要があるということで、国のほうでは物資調達輸送調整等支援システムというものを動かしておりまして、県でもそのシステムは使えるようになっております。市町村がなかなか十分に見られるような状況に今はなっていないようですが、こういうシステムをうまく使いながら、調達、それから万が一いざといった場合の物資の相互融通とかに、このシステムを有効活用していきたいと思っているところでございます。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) ぜひ総合補助金の活用も含めて、前向きな計画の仕組みづくりを期待しております。 次に、関連がありますので広域避難計画について確認します。 現在計画の充実に向けた関係者のワーキング会議も始まっていると伺っております。細部にわたって詳細な調整を進めている中で、例えばUPZ内の避難元自治体から避難先自治体に細部調整の施設要求はなかなか出しづらい。ここはやっぱり広域自治体の出番だと思います。今の答弁で分かってきましたけれども、広域自治体である県がしっかりと調整を担うべきでありまして、文字どおり広域避難でありますので、しっかり避難先を確保・調整するという認識でよろしいか、部長いかがですか。
○議長(石川光次郎君) 環境生活部長鈴木秀人君。
◎環境生活部長(鈴木秀人君) ただいま御質問がありましたとおり、県が避難元、避難先自治体の間に入りまして、調整はしっかりとやっていきたいと思います。自治体によっては今の避難先で本当にいいのかどうかというような御指摘もあるやに聞いておりまして、本当にそういう意向があるかどうか、もう一度確認したいと思います。もしそういう意向があるのであれば、より望ましい方向としてどういう解決策があるのか考えていきたいと思います。より積極的に県は関わっていきたいと思います。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) 今の御答弁のように地域の理解が条件でございますので、ぜひ、積極的な関与をしまして、役割を果たしていただくように重ねてのお願いをいたしたいと思います。 続きまして細かいことですが、自転車道について、今日の御答弁で今年度末に計画が進むということは分かりましたが、確認ですけれども、仙塩・松島・東松島・石巻を結ぶサイクリングロードは間違いなく復旧・復興するということでよろしいですね。
○議長(石川光次郎君) 土木部長佐藤達也君。
◎土木部長(佐藤達也君) 推進計画を今年度策定するということで、また部会というものを設けまして、各部会の中でおのおの圏域の自転車道のルート設定をしていこうと思っております。その中で、どのようなルートがいいのかということを十分議論して、ルート設定をしていきたいと考えております。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) 時計は巻き戻せませんので、これからぜひ早めていただくように重ねてお願いをしたいと思います。 サケでございますが、小林部長から今年は二千万尾の放流にとどまるという、ある意味衝撃的な数字なども伺いまして、このままでは本当に大変な事態が加速する懸念が深まっているようにも思います。ここは、あんまり財政出動というのは軽々しく申し上げるべきではないのですが、緊急事態でもありますので、今年については確かに来遊数が足りないので非常に厳しいと思いますが、今後の財政出動も含めて地域の拠点整備、あるいは放流助成なども含めて検討する必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(石川光次郎君) 水産林政部長小林徳光君。
◎水産林政部長(小林徳光君) 本当にサケは非常に危機的な状況にあると思っています。まずやらなければいけないのは、回帰率が震災前は四%ぐらいあったが、海洋環境が変化して二%ぐらいに下がっていますので、それをまず上げるということ。実はこれも四年前から試験をやっており、そろそろ結果が出ますので、そこを改めて回帰率を上げるところをしっかりやっていきたい。ただその間少し時間がありますので、答弁でもお話を申し上げましたが、買上げの部分はしっかりと継続して対応したいと思ってございます。あとはふ化場のほうがやはり疲弊をしていますので、それらにつきましては、宮城県さけます増殖協会と連携をして、運営ができるような支援というものはやっていきたいと考えてございます。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) これは小林部長のせいということではもちろんございませんし、回遊数あるいは環境の観点、復興の観点、いろいろ課題があってのことだと思いますが、整備も含めて支援が必要だという理解はしています、沿岸漁業者のほうでは。そのあたりの見解を小林部長ではなくて、執行部の財政側あるいは知事に伺いたいのですけれども、よろしいですか。
○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 宮城県さけます増殖協会とよく協議をいたしまして、新しい施設はいいんですけど、先ほど質問にありましたとおり、かなり老朽化した施設もあります。そういったところをどうやってうまくやっていただけるのかということを協会と話をしながら、また事業者の方と話をしながら支援策をよく考えていきたいと思ってございます。 全体としては量を増やさないと、回帰率と言うんですか、帰ってくる率が下がっております。恐らく東日本大震災の影響、また温暖化の影響だと思いますけれども、これより上がることより下がる可能性が高いと思いますので、しっかりと検討してまいりたいと思います。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) ぜひ、そのように願いたいと思います。また消費者にもしっかり買い支えてほしいという思いもあります。そういった意味で情報発信大切だと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。 私学の連携の件ですけれども、教育長に伺います。 現行の県立高校の将来構想ですけれども、少々極論的にはなるかもしれませんが、中心部はある程度は私学に任せて、沿岸部、内陸部の手薄なところに県立を存続させるような発想の転換が必要ではないかと思っております。現行計画では、コストや経営的な発想が薄いのではないかという私の思いがございます。昨日の議論にもありましたが、仮に廃校にするにしても周辺部は土地活用も含めて非常に困難です。ちょっと極論ですけれども、例えば仙台市の中心部は、売却も含めて他用途に転換が可能であります。戦術的なエリアの構想に固執し過ぎますと全県的な戦略が抜けまして、二十年後には廃墟ばかりという懸念もしているわけです。 教育長、この私学連携について、縦割りを打破して本格的に検討する考えはございませんか。
○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 先ほど御答弁させていただいたように、私立高校とは、いろいろと県内の高校生の状況についてよく意見交換をしながら、私立高校のほうからすれば、仙台市にやはり私立高校が多いということもあって、仙台市内を含めて子供たちが少なくなっているということで、公立高校の定員のほうも併せて削減をしてほしいというようなお話をいろいろよく聞いている状況でございます。やはり全体のバランスを考えて学校配置をしていくというのが大事だと思います。子供たちのニーズというのもあります。あと、お話のように地方について子供たちの数が減っているからといって、全部減らしていっていいのかというのも、今後本当に子供たちの数が減っていく中で、再検討しなければならない時期が近づいていると思っていますので、そうしたことも含めて、私立高校の状況もよく聞きながら検討していきたいと思います。
○議長(石川光次郎君) 十九番高橋宗也君。
◆十九番(高橋宗也君) 検討するということですので期待していますけれども、私学のイメージが、何か昔のイメージをお持ちのような嫌いも私としてはしたのですが、そのあたりをぜひ新たな視点で私学連携を本格的に進めていただきたいと思います。ここは要望にいたします。 最後に総合計画でございます。宮城がわくわくするような積極的な総合計画が進むように期待しております。 終わります。
○議長(石川光次郎君) 暫時休憩いたします。 午後零時九分休憩
----------------------------------- 午後一時九分再開
○副議長(齋藤正美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二番小畑きみ子君。 〔二番 小畑きみ子君登壇〕
◆二番(小畑きみ子君) みやぎ県民の声の小畑きみ子です。議長のお許しを得ましたので通告に従い、大綱四点質問させていただきます。 大綱一点目、支援を必要とする子供や家庭への対応についてお伺いいたします。 近年、子供や子育てを取り巻く社会環境は多様化、複雑化しており、宮城県では不登校児童生徒数は小中学校とも増加傾向で、スクールカウンセラーの配置をはじめ新たな不登校を生まない取組が行われています。しかし、小中学生の合計は二年連続で全国最多、思春期に当たる中学生に限れば三年連続の最多となっています。国の報告を概観しますと、二〇〇二年、文部科学省による全国調査において特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合が六・三%であると報告以降、不登校と発達障害の関連が指摘され、二〇〇三年、文部科学省の「今後の不登校への対応の在り方について」では、不登校の要因として学習障害、多動性障害等の関連が明記されています。二〇〇八年、茨城大学大学院、加茂氏、東條氏による「発達障害の視点から見た不登校 実態調査を通して」においても、不登校と発達障害の関連性は高いことが示唆されています。みやぎ子どもの心のケアハウスの職員によると、「受診に至らず医師の診断を受けていない子も中にはいます。ただ不登校児のほとんどが経験上、発達障害だと思われます。診断方法の一つにMRIがありますが、普通の小児科では安易に撮影ができないため確定診断を受けた子は少ない状況です。」と話されていました。更に、ことばの教室や特別支援学校、きこえの教室等、経験を重ねてこられた元教員からは、普通学級に発達障害の疑いの子がいても教員からははっきりと指摘することはできず、なかなか受診や支援に結びつかない。眼科、耳鼻科、歯科、内科などの学校医はいるが発達障害を診察できる学校医も配置してほしい。そして、すぐに相談できる窓口が欲しい。支援が必要な児童に対しふさわしい支援ができる生徒数、共に学ぶことができる少人数学級にしてほしい。」など話されていました。発達障害だからといって必ずしも不登校になるわけではありません。でも周囲の理解のなさや不適切な対応により不適応に陥る可能性が高いのも事実です。加えて発達障害の子供は、定型発達の子供と物事の捉え方や感じ方が違うので学校環境が原因で不登校になることがあります。一般的に学校は音や人の刺激が家庭よりも強い環境で、定型発達の子供には問題ない環境が発達障害を持つ子供にとっては過ごしやすい環境ではないことがあるのです。二〇一五年、東京都立大学の岡田有司准教授による「発達障害生徒における学校不適応の理解と対応」では、、注意欠如、多動症の生徒はトラブルや失敗を経験しやすく、注意や叱責を受けやすく、自己意識が高まる思春期において人よりもネガティブな経験が多くなるということは、それだけ自尊心が傷つきやすくなるとともに周囲からの疎外感を強めることになり、こうした経験が積み重なるということは、学校生活の中で居場所を見出しにくくさせるだけでなく、反社会的な行動にコミットさせるリスクを高めることにもつながると記しています。更に、精神科医星野仁彦著書「発達障害を見過ごされる子ども、認めない親」では、京都の宇治少年院で二〇〇〇年から二〇〇四年までの五年の間に入所した少年のうち、特に非行のひどい二百四十人について調べたところ、八五%にADHD、六〇%にLDが認められたとあります。子供のひきこもりや非行などが始まってからでは、子供は親の言うことを聞かず医師の診察にも行けなくなってしまいます。これらの問題を改善するには、まずは発達障害を早期に発見すること、そして発達障害に対する周囲の理解、それにふさわしい教育と支援があれば、不登校やひきこもりなどの二次障害を引き起こす危険性は低くなります。発達障害が見過ごされやすい理由には、親が子供の障害に気づいていないことも挙げられます。遺伝性の要因もあることから親自身が発達障害の場合もあり、子供の診察・治療を通して親の発達障害が発見されることもあります。早期発見の取組については、私も委員を務めている不登校・ひきこもり対策調査特別委員会でも質疑があり、保健福祉部は、一歳六か月健診、三歳児健診では気になるお子さんは保健師などが気づいて、親御さんと一緒に見守りながら就学につなげていく。教育庁は、就学児健診においては発達の特性についてもあるが、なかなかその段階では見極められないということでした。発達障害の早期発見が困難な理由の中には、乳幼児健診、就学児健診に精神科医や発達障害専門医が必ずしも診察に入れていないこと、面談をする保育士がいつもその子を観察していないので、判断材料となるのが母親からの聞き取りに頼ることしかないこと、保健師の経験や専門性の違いもあります。更に子供に疑問を持って専門家を受診するときは親も疑問点を医師に報告できますが、健診では疑問を持っていない人がほとんどなので診断に必要な情報が得られません。健診におけるこうした発見漏れの可能性を大きく改善する画期的な方法があり、既に導入している自治体があります。大阪府は二〇一四年に乳幼児健診体制整備事業として視線計測装置ゲイズファインダーを導入し、客観的な共通の物差しを挟むことでその後の保健指導に生かし一定の成果を出しています。難しい準備を必要とせず、たった約二分間の映像を眺めてもらうだけで子供がどんなふうに物を見ているか、何に関心があるかを見ることで保護者が子供の発達を理解する手助けになります。直接子供の実態を検査するので親からの間接的な情報に頼らないで済みます。結果は社会的情報への注視が客観的数値として計測され、自動的に記録されるので実施後すぐに再生でき保護者と一緒に確認できます。検査により子供の社会性の発達度合いを知ることに加え、子供の成長を実感する気づきのツールとして効果があります。更に、子供の興味や関心の状態を客観的に捉えることや子供の見ている世界を知ることもでき、子供の発達段階を直感的にも理解できます。子供を持つお母さんにとって子供が普通に育っているかどうかは本当に気がかりなことです。私も家族十人で体験しました。一歳四か月の第八子、三歳の第七子も私の膝の上に座りスムーズに検査することができました。ゲイズファインダー導入費用は一台二百三十万円、オペレーター育成に一人約十四万円です。三十五自治体に各一台ずつ設置できればいいですが、困難であれば各保健所に設置し貸出しにします。みやぎ子ども・子育て幸福計画には、市町村が実施する乳幼児検査に関する担当職員研修や検診の評価などにより、市町村に対し質の高い検診実施に向けた支援を行うと記されています。発達障害を早期発見する一つのツールとして、質の高い検診の実施、新たな不登校を生まない取組のために、乳幼児健診、就学児健診での導入を提起させていただきますが、当局の所見を伺います。 大綱二点目、安心して子供を産み育てるための保健・医療の充実についてお伺いいたします。 今年七月、仙台市の二つの助産院で嘱託医が不在となり十月以降は出産ができなくなりました。市内で出産を扱う助産院はこの二か所しかなく、病院施設では立会いはパートナーのみで上の子供の立会いは困難な中、助産院は立会いが可能で、更に兄弟、パートナーも助産院に泊まることができます。産後はすぐに家族が一つになれる環境です。助産院での出産は全体の一%に満たないのですが、このような妊娠、出産、産後と切れ目のない支援に根強いニーズがあるのも事実です。当事者の助産師さんは、「助産院で産みたいお母さんのためにも分娩は続けたい。うちで出産した人は誰一人、産後鬱になっていない。」と話しておりました。この件に関して県の執行部は、仙台市と情報交換し協力していただいたおかげで、市内産科クリニックと嘱託契約を交わすことができ出産予約を再開する運びとなりました。少人数のニーズにも対応してくださったことに感謝しております。 助産院での出産は、妊娠、出産、産後と切れ目のない支援のモデル的存在です。山梨市立産婦人科医院中村雄二院長は、お産は初めから見ている人が最後まで見たほうがうまくいくと言っており、複数の研究からも助産師が継続してケアを提供することは、早産や死産、異常分娩の減少が確認されています。 お産先進国ニュージーランドでは、一九九〇年以降、妊娠初期から産後六週まで同一助産師による継続ケアを受けるシステムがあり、妊娠すると最初に担当助産師を決めます。ニュージーランドの制度を参考にした取組が兵庫県丹羽篠山市で行われています。医師不在などにより中核病院の産婦人科が分娩を休止したことから、お産支援一一九事業を開始しましたが施策だけでは補えず、妊産婦の不安を解消し健やかな育児につなげる仕組みが早急に必要となり、妊婦から産前産後ケアまで継続して行われる施設、My助産師ステーションを設置しました。助産師が妊娠中から妊婦一人一人に寄り添い、妊娠から産前産後ケアまで一貫した継続支援を行うことで、女性自らが主体的に分娩に臨み、安心・安全なお産、その後の健やかな育児につながります。 WHOは顔見知りの助産師または少人数の助産師グループが妊娠、分娩、産褥という一連の期間を通して女性を支援するケアモデルを推奨しています。国立成育医療研究センターの調査では、二〇一五年から二〇一六年に百二人の女性が妊娠中から産後にかけて自死しており、そのうち九十二人が出産後の時期に起こっています。 また、母親の八割が子育てに対して負担や不安を感じており、厚生労働省が公表した平成二十九年度の全国の児童相談所が対応した児童虐待数では、日本全国で十三万三千七百七十八件で、年々増加し約半分は実母であります。 みやぎ子ども・子育て幸福計画では、平成二十八年の母子保健法改正により、子育て世代包括支援センターの設置が市町村努力義務とされたことから、子育て世代包括支援センターの設置に向けた取組などを通じて、妊婦や乳幼児等への切れ目のない支援を提供する体制の充実を図るとあります。しかし実際、妊娠、出産、産後のケアは医療機関や行政が選ぶため、支援者は毎回異なり信頼関係が築きにくく気軽には相談できないまま不安が強まります。出産では外来と病棟で担当が違うため、初めて出会う医療従事者が入れ替わり立ち替わり、陣痛中は助産院の出産のように付きっきりで背中をさすってもらうことは困難で、不安と孤独の中での出産になります。産後も初めて会う支援者で相談しにくく不安と孤独が更に強まります。現行は切れ目だらけの支援体制と言えます。 出産経験のある全国の二十五歳から三十九歳の女性三百十人を対象にした二〇一七年出産ケア政策会議による調査では、約九割の女性がMy助産師の継続ケアを望んでいました。宮城県においても分娩施設が減少し長距離で通院するケースが相次いでいます。陣痛が始まり、もし移動中に生まれたらという不安の中、分娩施設へ向かう方もいます。本当の意味で妊娠、出産、産後へと切れ目のない支援を行うために、My助産師制度の導入について、知事の所見を伺います。 大綱三点目、移行期医療についてお伺いいたします。 近年、医学の進歩により重度の先天性または後天性疾患を持つ子供たちの生命予後は飛躍的に伸び、悪性新生物を除くと小児慢性特定疾病患者の九五・七%が成人に達すると推定されています。多くの小児慢性特定疾病患者においては生命予後は大きく改善していますが、小児期に疾患が完治することはないため、小児期以降も後遺症や合併症に対する医療が必要な状況が継続しています。しかし、成長に伴い成人特有の病態が生じてくるため、小児科医部門だけでは対応が困難となってくることが問題とされていました。現在では患者の成長に伴い、小児科医療から個々の患者にふさわしい成人医療への移行を行う移行期医療、いわゆるトランジションが重要課題となっています。二〇一四年には公益社団法人日本小児科学会で「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」が発表され、二〇一五年、厚生労働省で小児慢性特定疾病児童成人移行期医療支援モデル事業が開始されました。二〇一七年、「都道府県における小児慢性特定疾病の患者に対する移行期医療支援体制の構築について」によると、都道府県向けガイドを活用し、小児慢性特定疾病の患者に対する移行期医療の支援の構築に努めるようにとありますが、現時点での宮城県における移行期医療の取組をお伺いいたします。 都道府県における小児慢性特定疾病患者に対する移行期医療支援体制の構築に係るガイドでは、各都道府県は地域の事情に応じたこれらの機能を満たす機関を整備するとともに、支援策実施後の評価及び改善を通じて必要な移行期医療支援体制を構築することが求められる。また、これらの施策の内容について患者やその家族や患者会、その他の関係者等に分かりやすく周知する必要があると記されています。東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、大阪府や静岡県では、小児慢性特定疾病の患者が成人後も適切な医療を受けられるよう小児期から成人期への円滑な移行医療を推進する移行期医療支援体制を整備しており、その支援機能を補う移行期医療支援センターの設置計画がなされています。 六年前、一般財団法人宮城県予防医学協会健診センターに所属していた際、知的障害者支援施設へ健診業務で伺いました。施設利用者の中には常駐看護師の採血は受けられるが、一般財団法人宮城県予防医学協会健診センター看護師による採決は拒否で、信頼関係の構築がないまま処置を実施することの難しさを痛感しました。 更に、内科外来に勤務していた二年前、知的障害者と慢性疾患のある二十代の女性が体調不良で保護者とともに車椅子で受診されました。かかりつけ医であった病院からは近々の情報のみ。日常生活の動作に関すること、ケアの必要性等が書かれた看護サマリーはなく、「当院でのフォローはないので今後貴院での診察をお願いいたします。」とだけ書かれた紹介状を見て、担当医師も看護師も目の前で困っている患者さんに混乱した記憶があります。 更に、最近では宮城県立こども病院に通院している保護者の方から、小児期を過ぎると診察が終了となり、その後の治療をどうしたらいいか不安であるという声があります。宮城県立こども病院も開院から十七年がたち、初年に治療した新生児が既に小児期を過ぎている状況にあることからも成人した患者への対応が困難になっていると思われます。 小児専門医療機関を抱える宮城県において、このような現在の移行期医療の状況では患児と家族に不安を与えるだけでなく、移行先の医療機関においても混乱を生じます。小児慢性特定疾病の患児が成人後も適切な医療が受けられるように、第一に個々の疾病の特性に対応できる移行先の医療機関の整備、第二に患者と家族をスムーズに適した医療施設に移行させるための支援体制が早急に必要です。患者の状況等を踏まえた移行期医療を充実させるため、移行先の医療機関等の整備や調整、小児慢性特定疾病患者やその家族の移行期医療に係る総合的支援を行う移行期医療支援センターの設置が必要だと思いますが、知事の所見を伺います。 大綱四点目、女川原発再稼働についてお伺いいたします。 福島第一原発事故から九年がたちました。事故当時はまだ三兄弟と五人暮らしだった私たちの生活も、原発事故に伴う被害は県を越えてやってきました。保育園では毎年子供たちが楽しみにしていた園庭の泥遊びや野菜作りが放射能汚染で中止となり、とてもがっかりしていました。そして今年、園庭の土を入れ替え、ようやっと再開の運びとなりました。 二〇一四年第四次エネルギー基本計画以降、世界のエネルギー情勢は大きく変化しエネルギーシフトを加速する国が相次いでいます。原子力電源については、安全対策コストが高騰し利用の見直しや建設断念の動きもあります。また、パリ協定を受け石炭火力発電全廃炉を表明する国も増加しています。更に、再生可能エネルギーは急拡大しコストも大幅に下がっています。福島県に住むお母さんの気持ちです。 三・一一から九年がたちましたが、福島県で生活していて放射能を気にせずに過ごした日はほとんどありません。あるとしたら遠出をしたときだけです。毎日毎日何かしら放射能を気にしていまだに過ごしています。そして最近また放射能に対してのストレスがたまっています。原因は、昨年の台風の影響で自宅近くの河川敷グラウンドに上流から流れてきてたまった土砂を取り除く作業を始めたからです。その土にはきっとセシウムが含まれていて、取り除く作業によってセシウムが飛んでくるのではないか、とても不安に思っている日々です。気にし過ぎと言われればそれまでですが、そんなささいなことまで気にしなければならない生活を日々送っています。何も考えずに生活したいと思いますがセシウム137の半減期は三十年。どうしても子供に与える影響を考えてしまいます。放射能に対する不安は九年たっても全く変わっていません。原発を再稼働する方向で動いていますが本当にやめてほしいです。日本は地震大国。いつどこで地震が起きるか分かりません。また「想定外でした。」では済まされないと思います。福島県のようなつらい思いをほかにさせてはいけないと思います。そして、福島原発の廃炉や燃料ごみの問題など未解決なことも山ほどある中で、再稼働すべきではないと思います。将来への負担、日本の未来もしっかり考えてもらいたいです。福島県のお母さんたちが今も苦しんでいることを忘れないでください。 これが原発事故を経験した福島県に住むお母さんの声です。国は説明会で絶対安全とは言わないようにしていると話していました。私も絶対はないと思っています。福島原発や女川原発から自己分析し安全対策に生かしても絶対はありません。事故が起きたとき避難する必要がある原発を多額の費用をかけて修繕し再稼働させる必要を感じません。その費用を廃炉作業とエネルギーシフトの研究費などに充てることのほうがいいのではないでしょうか。平成二十五年十一月の定例会で知事は、「原発存続派か、脱原発派でしょうか。」という一般質問に、「恐らく日本国民全て脱原発だと私は思います。ここにおられる方もやはり将来は脱原発にすべきだとみんな思っていると思うんですね。ただし問題なのは直ちに廃炉にするか、直ちに全ての原発を廃炉にするかどうかということで、それはやはり私は時間をかけてすべきだということであります。そういう意味では、議員の言っていることをうまくかわすわけではなく、私も脱原発派でございます。」とおっしゃっていました。当時同様、答えづらいとは思いますが、率直に今、知事は原発存続派でしょうか、脱原発派でしょうか、お伺いいたします。 知事は、住民を危険にさらすことなく、その命を守ることが使命ではないでしょうか。国の方針、国の方針とおっしゃいますが、国の方々は宮城県に住んでいますか。県内のことは知事が県民の安全を考慮し決断すべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。 また、二〇〇〇年に高レベル放射性廃棄物の最終処分は、地下三百メートルより深く埋める地層処分にすることが法律で定められました。既に二十年もたっていますが具体的に進んでいません。先の見通しが不透明な中で再稼働ありきの現状は、将来世代に対しあまりにも無責任ではないでしょうか。 知事に伺い、壇上からの一般質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 小畑きみ子議員の一般質問にお答えいたします。 大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、支援を必要とする子供や家庭への対応についての御質問にお答えいたします。 国の発達障害者支援に関する行政評価・監視結果に基づく勧告におきましては、発達障害者への支援に関し乳幼児期から在学時、成人期までの各ライフステージを通じた継続した支援の課題の一つとして発見の遅れが指摘されており、乳幼児健診では発達障害が疑われる児童の発見割合が極端に低く、発見遅れの可能性が高い例もあることが指摘されております。そのため厚生労働省に対し、市町村の取組実態を把握し発達障害が疑われる児童の早期発見に資する有効な措置を講ずることなどが勧告され、厚生労働省では国の研究機関が行う研修に関する情報の周知や市町村の取組事例のフィードバック等の改善措置を講じているところであります。 お話にありました視線計測装置は、子供の目線の動きを測定することにより社会性の発達を評価するものでありますが、発達障害の診断補助装置としての有効性につきましては、現在、複数の大学による共同試験が行われている段階と承知しており、大阪府の市町村モデル事業におきましても支援者の見立てを補足するものとして、子供の発達の状態を多角的に評価し、より理解を深めるためのツールとしての活用の可能性が考えられているところであります。県といたしましては、この共同試験や他自治体の状況を注視してまいりますが、発達障害の早期発見は必要な支援を適切な時期に行い、本人や周囲の理解を深めることにより更なる適応困難などの問題を避けることに加え、保護者への支援や親子関係の形成の観点からも極めて重要なものであると認識しております。このため、乳幼児健診の実施主体である市町村の保健師や心理士に対する研修や専門職の派遣による助言等を行ってまいりたいと考えております。 また、昨年七月に設置した発達障害者支援センターで専門的な支援を行いながら、各圏域での障害児等療育支援事業の推進と発達障害者地域支援マネジャーの配置により、一層力を入れてまいりたいと考えております。 次に、大綱四点目、女川原発再稼働についての御質問にお答えいたします。 初めに、私も脱原発派と過去に答弁しているが、現在の考えはどうかとのお尋ねにお答えいたします。 震災からの復旧・復興や県民の豊かな暮らしを確保するためには、安全性に十分配慮しながら安定的に電力を供給することが重要であります。その前提の下で長期的には再生可能エネルギーの導入や技術革新などにより、原子力発電の依存度を低減していくことは可能であると考え答弁したもので、その考え方は現在も変わっておりません。 次に、女川原子力発電所二号機の再稼働については、知事が県民の安全安心を考慮し決断すべきとの御質問にお答えいたします。 女川原子力発電所二号機の再稼働については、今年三月に経済産業大臣から私に対し理解確保の要請がなされております。国はエネルギー基本計画において、原子力規制委員会により新規制基準に適合すると認められた場合には、原子力発電所の再稼働を進めることとしております。 また、二号機については原子力規制委員会から原子炉設置変更が許可され、再稼働に求められる安全性の確保が確認されたことから、再稼働を進めるとした方針が示されたものであります。この方針を受け要請への回答に当たっては、県議会や立地自治体をはじめとした県内の市町村長の御意見をしっかりと伺い、宮城県知事として総合的に判断したいと考えております。 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分の見通しが不透明な中での再稼働についての御質問にお答えいたします。 原子力発電所の再稼働は、高レベル放射性廃棄物の最終処分とともに国が主体となり責任を持って取り組むべき課題と認識しております。そのため県では、課題の解決に向けた電気事業者の取組の促進、貯蔵の安全性に対する国民の理解促進、核燃料サイクル施策との連携に係る検討などについて、全国知事会や原子力発電所関係団体協議会を通じて国に対し要望しているところであります。 経済産業大臣からなされた女川原子力発電所二号機の再稼働に係る理解確保の要請への回答につきましては、これまで申し上げてきたとおり、県民の代表である県議会や立地自治体をはじめとした県内の市町村長の御意見を伺った上で、総合的に判断したいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕
◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、安心して子供を産み育てるための保健医療の充実についての御質問にお答えいたします。 妊産婦の支援には多くの関係機関が関わることから、関係機関同士の十分な情報共有や連携が難しく、制度や機関により支援が分断されがちであるという課題があり、更に個別の機関が所管以外の支援ニーズを把握しても適切な関係機関や支援につなげることが難しく、結果として妊産婦が直面する課題が深刻化してしまう懸念があります。 また、核家族化や地域における結びつきの希薄化などに伴い妊産婦が孤立感や不安感を払拭できず、出産前後の健康面での悩みや育児不安を抱える状態となっております。 これらの課題を解決するため、国においては平成二十八年の母子保健法の改正において、妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談や支援をワンストップで行う子育て世代包括支援センターの設置を市町村の努力義務として規定したところです。子育て世代包括支援センターは、母子の状況を継続的、包括的に把握し、その相談に保健師等の専門家が対応するとともに、必要とされる支援内容の調整やそれを提供する関係機関との連絡調整を行うことにより切れ目のない支援を提供するものであり、母子の健康の保持や増進のほか特に母親の不安や負担の軽減を図ることを目的としております。県においては、全市町村での子育て世代包括支援センターの設置に向け、研修会の開催や各保健所単位での情報交換の場の設定などにより市町村を支援しているところであり、現時点で二十一市町に設置されました。 お話のありましたMy助産師制度は、同一の助産師による継続的なケアの提供という点でメリットがあると考えておりますが、現場における助産師の確保など実現に向けた課題もあるところです。県としましては、安心して出産や子育てができる環境を整えるため、助産師会と連携した相談支援や妊産婦のメンタルヘルス対策の推進に向けた研修、関係機関との連携体制の構築を進めるとともに、妊婦健診や産婦健診、産後ケア事業など、妊娠期から子育て期にわたる各種事業が子育て世代包括支援センターを核として、切れ目なく提供されるよう市町村と関係機関との連携に向けた支援や市町村職員に対する研修等の実施に努めてまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、移行期医療についての御質問のうち、我が県の移行期医療の現状についてのお尋ねにお答えいたします。 小児期から成人期への移行期にある小児慢性特定疾病患者をはじめとする慢性疾病患者が、適切な医療を受けることができるよう移行期医療支援体制の構築が喫緊の課題となっております。移行期医療支援を推進するためには、小児領域と成人領域の医師の連携や看護師、ソーシャルワーカー等の多職種による取組のほか、行政による支援が不可欠であるものと認識しております。県と仙台市では東北大学病院に委託し、小児慢性特定疾病児等やその家族に対する相談支援や疾病に関する知識の普及啓発を行う小慢さぽーとせんたーを設置しており、移行期医療支援をテーマに医療講演会の開催などを行っております。 更に、昨年は宮城県立こども病院から直接移行期医療支援の取組状況等のヒアリングを行い、我が県の現状と課題の把握に努めました。宮城県立こども病院においては、今年四月一日から成人移行期支援外来を設置し移行期医療支援に取り組んでおり、移行期支援のワーキンググループも設置されております。県といたしましては、宮城県立こども病院の成人移行期支援ワーキンググループに参加するなど、今後とも移行期医療支援に関する取組状況等の情報収集するとともに、必要な支援等を検討してまいりたいと考えております。 次に、移行期医療の体制構築についての御質問にお答えいたします。 平成二十七年一月の難病法の施行に伴い、地域の実情に応じた難病の医療提供体制の構築が求められております。県では、平成三十年四月一日に東北大学病院を難病診療連携拠点病院に指定し、難病医療提供体制整備事業において難病の診療連携に取り組んでいるところです。この取組においては、小児慢性特定疾病児等の移行期医療に係る医療機関は、小児期診療科から適切な成人期診療科に円滑に移行できるよう必要な医療等を提供することとされておりますが、小児期と成人期における医療機関の連携体制の構築が移行期医療の課題であると認識しております。 また、小児期においては患者の保護者の意向により医療が提供される傾向にあるため、移行期医療を円滑に進めるためには患者自身が自分の疾患を理解し、自分の意思で医療を決定できるようになるための支援が課題となっております。県といたしましては、移行期医療の課題である医療機関の連携と患者自身の意思決定の支援の取組を進めている宮城県立こども病院及び難病診療連携拠点病院である東北大学病院と情報共有を図りながら、今後とも患者や家族の総合的な支援機能の強化に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(齋藤正美君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、支援を必要とする子供や家庭への対応についての御質問にお答えいたします。 発達障害を早期に発見し、その後の教育相談や医療機関の受診につなげることは大変重要であると認識しております。県内の市町村教育委員会においては、就学時の健康診断マニュアルに基づき、面接や行動観察、SDQ質問紙を用いたスクリーニング手法を活用した面談等により早期発見取り組んでいるほか、発達障害や知的障害の可能性について乳幼児健診情報を共有するなど、就学支援につなげる体制構築にも取り組んでいるところです。県教育委員会といたしましては、御指摘のありました視線計測装置について、その効果や他県の状況等を保健福祉部と情報共有するとともに、発達障害の早期発見に向け今後も市町村教育委員会を支援してまいります。 以上でございます。
○副議長(齋藤正美君) 二番小畑きみ子君。
◆二番(小畑きみ子君) 答弁ありがとうございました。 大綱一点の発達障害に関してですが、就学児健診マニュアルの中の十八ページに知的障害、発達障害等の発見についてとあるのですが、就学時の健康診断においては、その可能性のある児童に気づきという漠然とした形で、いろんな乳幼児健診に関してもですが、その診察しているドクターや保健師さんが自分のスキルを生かして気づくということが主になっているようで、統一したスケールが早期発見につながると思うんですが、そのモデル事業でもいいのでそういう形で導入してみるということはできないでしょうか。
○副議長(齋藤正美君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) お話のとおり就学児の健診において、知見に基づいて診断されるということは大事だと思います。そういう理解を市町村教育委員会のほうで深めていただくための研修などにも取り組んでおりますが、マニュアルに具体的なものを盛り込めるのかどうか検討してまいりたいと考えております。
○副議長(齋藤正美君) 二番小畑きみ子君。
◆二番(小畑きみ子君) ゲイズファインダーですが、すごく子育てにも役立つもので、その子が本当に見ているものがどこなのかということもすごくよく分かって、子育てに悩んでいるお母さんが検診に来ると思うんですが、そういうときにも指導に役立つと思うので、ぜひ検討をよろしくお願いします。 次に、発達障害の子に関して、学校の先生は気づいてもその子に対して対応がなかなかできないっていうことなんですね。本当はその子に合った支援が分かっていても人数の関係でなかなか支援にたどり着けない。支援したくても支援できないということなんですが、少人数学級に関しての検討のほうはどうでしょうか。
○副議長(齋藤正美君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 学級を何人にしていくかということについては国で検討がされていることでございますが、県教委としては加配なども使いましてその学校あるいはそのクラスの状況に即して、必要な教員を配置することで支援をしているところです。 また、実際に学校においてどのように対応していったらいいのかと悩んでいることについては、例えば専門家を派遣して子供の個別の教育支援計画の作成とか、合理的配慮について助言をするようなモデル事業もやっていたり、研修をやったりということで、あとは総合教育センターでいろいろと相談を受けることで対応しているところでございます。現場、現場で適切な対応をしていくというのは大事なことでございますので、力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(齋藤正美君) 二番小畑きみ子君。
◆二番(小畑きみ子君) クラスに一人か二人ぐらいは発達障害と思われる子供はいると国の報告ではあるんですが、学校の先生からは学校医として発達障害を診れる専門の医師をつけてほしい。すぐに相談できる窓口が欲しいという要望があるんですが、そのことに関してはどうでしょうか。
○副議長(齋藤正美君) 教育委員会教育長伊東昭代君。
◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 発達障害についての専門医という方もおいでだと思いますが、人数がそんなに多くはないと思っています。それよりは地元の学校医がそういうことに理解を持って、いろいろと相談に乗っていただける体制づくりというのが必要だと思いますので、保健福祉部ともよく情報共有しながら、そうした体制についても考えていきたいと思います。
○副議長(齋藤正美君) 二番小畑きみ子君。
◆二番(小畑きみ子君) 次に、My助産師についてお伺いいたします。 今分娩施設が減少していて遠方での出産にもなるということで、やはりその移動中に陣痛が来たりして不安になるということがありますので、My助産師を委託でもいいのでつけていただけると、助産師さんがその妊婦さんについて一緒に病院まで搬送されるような仕組みづくりができれば、妊婦さんの出産前の不安の減少にもつながると思うんですが、そちらはどうでしょうか。
○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。
◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 議員から御指摘いただきましたように、兵庫県で行われていますMy助産師制度については、妊婦さんの不安軽減ということで大きな成果を上げているものと私どもも理解しております。先ほど答弁で申しましたように、実際に市町村ですと助産師の人材そのものが足りないということがあります。また、県の助産師会等でも現在県と連携して、妊産婦のメンタルヘルスの連絡会議を持つなど様々な形で研修等を行っております。どこまでできるか、この時点で何ともお答えできないのですが、助産師会、看護協会等の意見もよく聞きながら、切れ目のない妊産婦への支援のためにどのようなことができるか検討してまいりたいと考えております。
○副議長(齋藤正美君) 二番小畑きみ子君。