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  1. 宮城県議会 2020-02-01
    02月27日-05号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 2年  2月 定例会(第371回)          第三百七十一回宮城県議会(定例会)会議録                              (第五号)令和二年二月二十七日(木曜日)  午前十時開議  午後三時十四分散会      議長                     石川光次郎君      副議長                    齋藤正美君出席議員(五十八名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  小畑きみ子君        第三番                  三浦ななみ君        第四番                  石田一也君        第五番                  柏 佑賢君        第六番                  福井崇正君        第七番                  渡邉重益君        第八番                  わたなべ 拓君        第九番                  伊藤吉浩君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  枡 和也君       第十三番                  佐藤仁一君       第十四番                  遠藤伸幸君       第十五番                  八島利美君       第十六番                  瀬戸健治郎君       第十七番                  櫻井正人君       第十八番                  村上久仁君       第十九番                  高橋宗也君       第二十番                  庄田圭佑君      第二十一番                  深谷晃祐君      第二十二番                  遠藤隼人君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  渡辺忠悦君      第二十六番                  佐々木功悦君      第二十七番                  境 恒春君      第二十八番                  太田稔郎君      第二十九番                  高橋 啓君       第三十番                  横山のぼる君      第三十一番                  渡辺勝幸君      第三十二番                  横山隆光君      第三十三番                  佐々木賢司君      第三十四番                  守屋守武君      第三十五番                  外崎浩子君      第三十六番                  佐々木幸士君      第三十七番                  村上智行君      第三十八番                  高橋伸二君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  菅間 進君      第四十二番                  坂下 賢君      第四十三番                  ゆさみゆき君      第四十四番                  坂下やすこ君      第四十五番                  吉川寛康君      第四十六番                  伊藤和博君      第四十七番                  庄子賢一君      第四十八番                  菊地恵一君      第四十九番                  佐々木喜藏君      第五十一番                  中島源陽君      第五十二番                  本木忠一君      第五十三番                  中山耕一君      第五十四番                  齋藤正美君      第五十五番                  安藤俊威君      第五十六番                  畠山和純君      第五十七番                  仁田和廣君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠席議員(一名)       第五十番                  石川光次郎君-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    佐野好昭君      副知事                    遠藤信哉君      公営企業管理者                櫻井雅之君      総務部長                   江口哲郎君      震災復興・企画部長              後藤康宏君      環境生活部長                 大森克之君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               鈴木秀人君      農政部長                   佐藤夏人君      水産林政部長                 小林徳光君      土木部長                   門脇雅之君      会計管理者兼出納局長             吉田 計君      総務部秘書課長                藤田信治君      総務部財政課長                小野寺邦貢君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      教育次長                   千葉 章君    選挙管理委員会      委員長                    伊東則夫君      事務局長                   鈴木雄貴君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   青木直之君    公安委員会      警察本部長                  松岡亮介君      総務部長                   青山達二君    労働委員会      事務局長                   山本雅伸君    監査委員      委員                     石森建二君      事務局長                   宮川耕一君-----------------------------------    議会事務局      局長                     峯浦康宏君      次長兼総務課長                小野寺 明君      議事課長                   佐々木康栄君      参事兼政務調査課長              二瓶克之君      副参事兼総務課長補佐             山内好尋君      議事課長補佐                 二上秀幸君      政務調査課副参事兼課長補佐          相澤亮子君      議事課主幹(班長)              田村和江君      議事課主幹                  渡辺祐司君-----------------------------------    議事日程 第五号                令和二年二月二十七日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第十五号議案、議第十七号議案ないし議第四十九号議案、議第六十九号議案ないし議第百二号議案及び報告第一号ないし報告第四十五号第三 一般質問  〔庄子賢一君、中沢幸男君、枡和也君、わたなべ拓君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第一号議案ないし議第十五号議案、議第十七号議案ないし議第四十九号議案、議第六十九号議案ないし議第百二号議案及び報告第一号ないし報告第四十五号三 日程第三 一般質問      〔庄子賢一君、中沢幸男君、枡和也君、わたなべ拓君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○副議長(齋藤正美君) 本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○副議長(齋藤正美君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に二十六番佐々木功悦君、二十七番境恒春君を指名いたします。----------------------------------- △議第一号議案ないし議第十五号議案 △議第十七号議案ないし議第四十九号議案 △議第六十九号議案ないし議第百二号議案 △報告第一号ないし報告第四十五号 △一般質問 ○副議長(齋藤正美君) 日程第二、議第一号議案ないし議第十五号議案、議第十七号議案ないし議第四十九号議案、議第六十九号議案ないし議第百二号議案及び報告第一号ないし報告第四十五号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。四十七番庄子賢一君。    〔四十七番 庄子賢一君登壇〕 ◆四十七番(庄子賢一君) 皆様おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。 間もなく東日本大震災から九年が過ぎようとしています。プレハブの仮設住宅も今年度末にはほとんどの方が退去を完了され、最大で二万二千九十五戸あった仮設住宅が姿を消してまいります。マンションを思わせる復興公営住宅が建ち並び、かさ上げされた大地には新しいまちが生まれ、道路や橋梁も新しくなりました。この間、県行政を初めとする関係機関の皆様の御尽力に、心からの敬意を表するものであります。 しかしながら、外見上は震災復興が終わったかのように思える被災地でありますが、なりわいとコミュニティーの再生はいまだ遠く、人口減による市町の空洞化は深刻の度を増しています。心のケアに関するニーズはますます多様化し、孤独の中に亡くなる被災者も少なくありません。今、改めて、震災の爪跡の深さを痛感するとともに、人間の復興こそ真の復興であると訴え続け、課題の一つ一つに向き合いながら働いてまいることを改めて申し上げ、順次、質問に入らせていただきます。 大綱一点目は、国の諸施策への対応についてであります。 政府は先ごろ、東日本大震災の復興について二〇二一年度以降の基本方針を決定。二〇二〇年度で廃止する予定でありました復興庁を、二〇三〇年度まで存続させることを決め、二〇二一年度からの五年間に必要な事業規模を一兆円台半ばとする試算を示しています。事業の詳しい中身はことしの夏までに決める方向でありますので、延長後五年で事業を終了する本県は、今後必要となる復興事業を精査し、国への働きかけを強める必要があると思います。延長になる五年間で取り組んでいく事業を、現時点でどのように整理されているのか伺います。 地域社会再生事業費が創設されました。これは基準財政需要額に新たな算定項目を設けるものであり、人口減少率年少人口比率生産年齢人口減少率、人口密度等をもとに、全国平均を上回って人口が減少し、少子高齢化が進行、人口密度が低く、持続可能性が危機に瀕している地方公共団体に経費を割り増しするものであり、都道府県分約二千百億円、市町村分も約二千百億円が計上されています。加えて、県が実施する技術職員の市町村への支援や、中長期派遣体制の強化に要する経費も算定されることになっており、こうしたことは、被災地にあってインセンティブになるのではないかと思っています。知事はこの事業費創設をどう受けとめ、どのように対応されるか伺います。 エネルギー環境分野では、深刻化する気候変動に伴う地球温暖化と、頻発する大規模自然災害を踏まえ、燃料電池自動車の普及促進や革新的燃料電池の開発など、水素社会実現に向けた取り組みを推進するとして、七百億円の予算を立てています。これは二〇一五年、東北における水素社会先駆けの地を目指すとした村井知事のビジョンを後押しするものになるかもしれません。ただ、FCV導入促進FCVタクシー、公用車の普及は、ビジョン策定から五年を過ぎた今も形になってはおりません。利用者の姿をほとんど見たことがない水素ステーションの利活用を含め、そろそろ先駆けの地としての具体的な成果を出すべきと考えますが、いかがでしょうか。 国では、マイナンバーカードの取得率向上と、東京オリンピックパラリンピック終了後の消費活性化策として、本年九月から来年三月までの期間、マイナンバーを取得しID設定した人が、キャッシュレス決済サービスを使って前払いをした際、二万円に対し五千ポイントを付与するマイナポイントをスタートします。また、来年三月からカードが健康保険証として利用できるようになるほか、ポータルサイトで自分の薬剤情報や特定健診情報を確認できるようにもなります。現在、本県のマイナンバーカード申請率は一八・〇三%にとどまっており、こうした国の施策と連動し、取得率の向上を図りつつ、消費活性化策に呼応するとともに、事務負担やコストの効率化を進めるべきと考えますが、どう取り組まれますでしょうか伺います。 私は昨年九月の決算総括質疑で、この四月から年収五百九十万円未満世帯の生徒を対象として、高校の就学支援金上限額私立高校平均授業料の水準に引き上げられることを踏まえ、これまで県が単独で補助をしてきた私立高等学校授業料軽減事業の財源を使い、運営費補助単価の引き上げを求めてまいりました。今当初予算には私立高校の入学金軽減支援事業として、その財源を活用する案が出されており、このことは一歩前進と評価させていただきます。年収約二百七十万円未満世帯の生徒は五万円、二百七十万円から五百九十万円の生徒は二万五千円で、対象者数はおよそ三千二百人、全体の六割近くに当たります。 そこで伺いますが、本予算成立後、速やかに私立高校サイドへ事業概要を周知し、生徒が家庭の経済状況などに気兼ねすることなきよう配慮した上で、全ての対象者が漏れなく還付を受けられるようにしていただきたいと思いますが、御対応をお尋ねいたします。 また、仮に申請漏れがあった場合において、年度をまたいでも対応するよう制度設計をお願いしたいと思いますが、この点いかがでしょうか。 昨年一年間の七十五歳以上の高齢ドライバー交通死亡事故は四百一件となり、その原因の三割は運転操作ミスだったことが警察庁の調べでわかっています。この現状を踏まえ、先ごろ成立した令和元年度補正予算には、六十五歳以上のドライバーを対象に、対歩行者衝突被害軽減ブレーキや、ペダル踏み間違い急発進抑制装置を搭載した新車または中古車購入時に、最大十万円の定額補助を行い、安全運転サポート車導入を促進する補助金が創設されています。また、ペダル踏み間違い装置を既存の車に後づけする際には、二万円から最大四万円が補助されます。言うまでもなく地方では車がなければ生活が成り立ってまいりません。高齢ドライバーが安心して運転できるよう、そして痛ましい事故を起こさないように、更には経済対策の一環としても、県には上乗せ補助の検討を求めたいと思いますがいかがでしょうか。 大綱二点目は宿泊税についてであります。 二〇一八年十月から本年一月にかけて九回にわたって開かれた観光振興財源検討会議では、一月十日結論を示し、新たな財源確保の手段として宿泊税の導入を答申。県はこれを受け瞬く間に本二月議会に条例案を提出しました。これを受け、ここに至る経緯の中でたくさんの意見を伺い、自分なりに考えをめぐらせてまいりましたが、幾つかの視点について知事の所見を伺いたいと思います。 まず余りに拙速過ぎないかという点であります。我々議会は、さまざまな立場の方からの意見を踏まえ、多角的な議論を積み重ね、行政を監視し、働きかけや是正を促す権能を有していると思っています。この間、検討会議を隠れみのに、あたかも当事者ではないかのように装い、検討会議の議論を見守る立場であると繰り返し強弁し、議会との真摯な対話や議論を遠ざけ、そして既定路線のように条例提案となった今回の進め方は、余りに議会軽視であり、拙速に過ぎると思います。改めてこのような進め方をされた理由をお答えいただきたい。 事業説明の前提が壊れているという点も指摘しておきます。仙台市がここに来て宿泊税創設に向け、一月中旬の検討会議立ち上げ後、早くも大詰めの段階に来ているとの報道があります。仙台市が宿泊税導入となれば、県が見積もった約二十三億円もの税収のうち、七億から約八億円は仙台市分に振り向けられる可能性が高く、資料を配り、事業者に説明した十九の事業イメージは、最初から前提が崩れた間違った説明だったのではないでしょうか。事業者向け説明会の場ではそのことに言及がありませんでしたので、この場で見解をお聞かせください。 その仙台市内で行われた事業者向け説明会で、知事は参加者に向け、宿泊税は必ずお客さんからとってください、とらないということは控えてほしいと発言されました。しかし言うまでもなく、パッケージ旅行などは全部込み込みの価格設定であり、宿泊税を単価に加えにくいのは明らかであります。また最近のOTA利用者の増加を考えると、お客さんからとるべきとの上からの物言いは、現場の実態を知らない人の考えとの批判を招いています。税をいただくのが難しいことをもっと理解せよという当事者の声は、知事に届いていないのでしょうか。もし届いているのであれば、こうした声にきちんとお答えいただきたいと思いますが、見解を伺います。 検討会議が負担を求める対象を検討した際、観光客が実際に税を負担する能力、いわゆる担税力に着目し、担税力を有しているか否かは宿泊行為が判断しやすいとして、宿泊への課税が適当であるとしています。担税力といういわば宿泊者の側に立って課税を妥当とするならば、当然、応能負担の原則に立つべきであり、三、四千円の宿に泊まる宿泊者と、二万円の宿泊者の担税力に違いがあることは明らかで、逆進性が強過ぎると言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。 免税点が低過ぎるという点も課題です。素泊まり三千円以下で宿泊できるカプセルホテルやドミトリーといったいわゆるバジェットは、東京資本の大手傘下が多く、県内地元の事業者には余り関係しない金額設定です。今、申し上げた逆進性を少しでも緩和するために、税収確保ありきではない免税点の設定を考えるべきではないでしょうか。 事業者向けの説明会では、観光を取り巻く環境、観光関連予算の推移、目指すべき姿と県の役割、財源確保のあり方、財源の使い方の視点、事業規模と取り組みのイメージが資料をもとに説明されました。しかし結果、観光入り込み数や宿泊人数については、具体的数値目標の提示やイメージの共有すらもなく、事業者への負担と協力を求めるには説得力に欠けると感じました。ここまでの数字は必ず県がつくるとの数値目標を、単に意気込みではなく責任ある数字として、今この段階で示すべきと思いますがいかがでしょうか。 事業の規模とイメージが四つの方向性と十九の施策に落とし込まれていますが、結局はあれもこれもの総花であり、向こう五年間の県としての柱が全く見えません。私は、仮にも導入するとなれば、最初の五年は海外での認知度を格段に向上させる五年戦略などを打ち立て、徹底したプロモーション活動に財源を優先投下するといった、思い切った集中と選択が必要と考えます。見解をお聞かせ願います。 憂慮すべきは、現時点で感染拡大の一途をたどる新型肺炎との関係です。水際対策という段階を超え、国内どこにいても感染する市中感染が指摘されるようになってまいりました。実際既にインバウンドはもちろん国内旅行客のキャンセルもふえ、日本人の旅行マインドはかなり冷え込んでいます。終息の時期によっては、その後の風評被害も含め、宿泊税どころではなくなる可能性もあります。導入の見送り、時期の延期などについて、今、どうお考えでしょうか。 この項目の最後に、今こそ東北が広域で連携せよと申し上げたい。欧米有力メディアが選ぶ二〇二〇年に訪問すべき世界の観光地に東北が選ばれました。個人旅行客に絶大な信頼を持つロンリープラネットは、一位、中央アジアのシルクロード、二位、イタリアのマルケに次いで東北を三位に選出。もう一つ、世界百八十カ国、約八百五十万人が愛読し、地球の報告書とも言われるナショナルジオグラフィックが冒険部門で世界から選ばれた二十五カ所の一カ所に東北をランクインさせ、東京から列車で三時間弱の東北には原生林、峡谷、火口湖、千年の歴史を有する神社やお寺、そして祭りがある。未知のトラベルワンダーランドとして最高の金メダルを与えられるべき、と最大級の評価を示しました。また来年四月からは、東北六県合同のDCも予定されており、一段とギアを上げ、東北が一つになって観光振興に取り組むべきときが来ていると思います。以前にも提案をいたしましたが、今こそ東北観光広域連合を組織し、本格的な新しい東北観光への一歩を踏み出すべきと考えます。そのためのリーダーシップを村井知事に発揮していただきたい。観光財源の確保も大事でしょうが、六県それぞれの強みと特徴を相互に生かした、ほかにはない、東北にしかない誇るべき資源のネットワークを形成し、重層的な観光力を紡ぎ出してほしいのですが、知事の見解を伺い、次に移ります。 大綱三点目は、医療提供体制の課題についてであります。 初めに、拡大が懸念される新型コロナウイルス感染症についてであります。 公明党県議団では、今週火曜日、村井知事に対し新型コロナウイルスの発生及び拡大防止に関する要望書を提出いたしましたが、それを踏まえ何点かお尋ねいたします。 一月中旬に国内一例目の感染が明らかになってから四十日余り、当初の水際という範疇を超え、どこにいても感染する可能性がある市中感染へとフェーズが変わってきています。きのう現在、国内の感染者数は、クルーズ船の乗員、客員も含め、八百九十四人となっており、このうち、亡くなられた方は七人となっています。今後本県での感染拡大を抑制し、重症化をいかに防いでいくのか、万全の体制で取り組みをお願いするものであります。 そこで伺います。まず検査体制についてですが、行政の検査機関は宮城県保健環境センターと仙台市衛生研究所の二カ所でありますが、一日で可能な検査はそれぞれ十検体となっています。感染の拡大いかんによっては、一日二十検体が限界では対応が困難になる可能性があります。PCR検査機材が県に一台しかないことを鑑みても、機器や人的資源など拡充が急務ではないでしょうか伺います。 更に、感染症指定医療提供体制は、現在七つの医療機関に二十九病床が確保されていますが、これも今後の推移によっては足りない状況が生まれないとも限りません。今後更に他県の感染者受け入れがふえることもあり得ます。県として民間医療機関等に要請し、専用病床の確保に努めていると思いますが、現状はどうか伺います。 企業や学校、そして官公庁も含め、症状があれば自宅待機し、感染をみずから広げない努力も必要であります。時短勤務や時差出勤、テレワークなどを経済団体などに早い段階から呼びかけ、態勢づくりを促すべきと考えますがいかがでしょうか。 二〇一七年に厚生労働省が発表した平成二十八年国民健康・栄養調査によって、糖尿病が疑われる成人が推計一千万人に上ることがわかっています。糖尿病は放置すればさまざまな合併症を引き起こし、財政的にも大きな社会負担を生むことになってしまいます。年間の治療費は約一・二兆円とも言われ、更には、合併症である糖尿病性腎症患者による人工透析は、一人月額約四十万円、年間約一・五七兆円という数字が物語っているように、医療費全体から見ても大きな課題となっています。本県の数字を見ると、糖尿病性腎症によって人工透析の新規導入に至った件数は、二〇一〇年、二百十五人、二〇一五年、三百三人と高どまっている傾向にあり、より踏み込んだ対策が必要と考えます。 そこで伺いますが、二〇二三年度までの基本方針である、第七次宮城県地域医療計画は、糖尿病の医療に関する数値目標として、メタボリックシンドローム該当者及び予備軍の二〇〇八年度比の減少率を二五%に、糖尿病性腎症による年間新規人工透析導入患者数を二百八十人以下としています。現状はどうなっているか伺います。 糖尿病性腎症の重症化を予防するため、自治体が受診中断者等に勧奨事業を行うに際し、特定健診のデータではなく国保連合会が所有するレセプトデータの活用が必要です。本県ではレセプトデータを活用している自治体が幾つあるでしょうか。 加えて、既にデータを活用する自治体でも、対象者抽出期間が一年以内と短いケースがあり、限られた人にしか受診勧奨ができていません。データは過去五年間までさかのぼることができ、本来はもっと多くの治療中断者にアクセス可能なのでありますが、自治体のマンパワーにも限りがあります。埼玉県では県が一括して国保分のデータを外部業者に委託し、受診勧奨対象者のリストアップや通知書作成を行い、市町村の業務を支援しております。昨年度から福島県でも県と国保連が連携した取り組みを始めています。本県でも国保連合会と連携し、糖尿病未受診者及び治療中断者を抽出し、市町村へ提供するなど積極支援策が必要と思いますが、見解をお尋ねいたします。 最後に、子宮頸がんワクチンの正しい情報提供について伺います。 子宮頸がんは全国で年間約一万人が罹患し、実に三千人近くの女性が命を落としている病で、ヒトパピローマウイルス、HPVの感染が原因です。HPVワクチンは二〇一〇年から国の基金事業を経て、二〇一三年四月から国の定期接種となったものであります。しかしその後、ワクチン接種後に多様な副反応症状があったとする報告によって、国は同年六月に積極的な勧奨とならないよう留意する旨を通達。これを受け各自治体は積極的な接種勧奨を控えるようになりました。結果として七〇%程度あった接種率は一%未満に低下し、七年近くが経過しています。本県でも、二〇一六年度には対象者一万二百九十七人に対しワクチン接種者はわずか十四人、〇・一四%まで落ち込み、今ようやく一%程度の状況であります。厚生労働省は、HPVワクチンに関する新しいリーフレットを二〇一八年一月に作成したことに合わせ、その年に全国千七百四十一市区町村を対象にリーフレットの活用状況アンケートを実施。その結果、ホームページに掲載しているが一〇・九%、窓口で配布は一二・五%、両方行っているが五・二%で、両方とも行っていないが七〇・九%であったと公表しました。また、同時に国民に行ったアンケートでは、リーフレットを見たことがあるかを尋ねたところ、八六・三%が見たことがないと回答。更に、HPVワクチンの接種に対しどんな考えかを尋ねたところ、わからないことが多いため決めかねている、四一・三%、わからない、一七・〇%、接種したいと思っているがまだしていない、一七・四%、今は接種したいと思わないが、今後検討したい、一一・九%、今後も接種しない、八・五%の順でした。 そこで、こうしたことを踏まえ何点か伺います。一つに、HPVワクチンは集団予防を目的とした定期接種A類、すなわち日本脳炎ワクチン、水ぼうそうワクチン、BCG、四種混合ワクチン、B型肝炎ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンなどと現在も同列のワクチンであるにもかかわらず、ワクチン情報が国民にほとんど伝わっていないこの現状を、どのように認識されるでしょうか。 二つには、さきに紹介した国からの積極的勧奨を控えるよう出された通達には、HPVワクチンの定期接種を中止するものではないこと、予防接種法施行令の規定により対象者への周知を行うこと、接種機会の確保を図ることなどが地方自治法第二百四十五条の四第一項に基づき勧告されていますが、今、この勧告が適切に守られているでしょうか。そうでなければ行政の不作為と言えると思いますが、あわせて認識を伺います。 また、幾つかの市町村では、保護者向けに定期接種の対象年齢であることや、リスクや有効性が書かれたリーフレットを個別に通知していますが、これは積極的勧奨と言えるでしょうか。本県では自治体がどのような対応をすべきと知事は考えているのか、あわせて伺います。 将来のリスクに対し、必要な情報をもとにして、接種すべきかどうかの自己決定権を妨げるような現状は改善すべきであると申し上げ、壇上からの質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 庄子賢一議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず大綱一点目、国の諸施策への対応についての御質問にお答えいたします。 初めに、復興創生期間後五年間で取り組む事業についてのお尋ねにお答えいたします。 これまで被災市町や国と力を合わせまして、復旧・復興に取り組んだ結果、インフラ整備を中心としたハード事業についてはおおむね順調に進捗している一方、心のケアや被災した子供に対する支援などのソフト事業については、引き続きよりきめ細かに対応していく必要があると考えております。このため、復興・創生期間後五年間に取り組む必要のある事業につきましては、昨年十二月に閣議決定された復興・創生期間後の基本方針に係る調整過程において、これまで国と協議を進めてきたところであります。今後、復興・創生期間後に必要となる事業規模と財源について、更に調整が行われることが想定されます。 県といたしましては、復興の完遂に向けて全力で取り組むとともに、地域の実情に寄り添って柔軟に対応いただくよう国に対し強く働きかけてまいります。 次に、東北における水素社会先駆けの地として、具体的な成果を出すべきとの御質問にお答えいたします。 県では、これまでみやぎ水素エネルギー利活用推進ビジョンに基づき、東北初の商用水素ステーションの整備を支援するとともに、FCVやエネファームの購入補助を行うなど、水素エネルギーの認知度向上と利活用促進を図ってまいりました。県内ではFCV導入が徐々に進んできているものの、更なる普及拡大のためには水素供給体制の強化が必要であると考えております。このため、まずは人口や車両台数が最も多い仙台圏域への新しい水素ステーションの整備を促進し、既設ステーションとの相乗効果や利便性の向上を図ってまいります。あわせて二酸化炭素排出削減や非常用電源として活用も期待できます燃料電池バスを路線バスとして導入し、水素需要の拡大を図るなど水素社会の実現に向けてより一層取り組んでまいります。具体的には仙台市、富谷市、大和町内の既存の路線バスに導入を検討しているということでございます。 次に、大綱二点目、宿泊税についての御質問にお答えいたします。 初めに、条例提案が拙速ではないかとのお尋ねにお答えいたします。 宮城県観光振興財源検討会議では、財源検討の必要性、財源確保のあり方などを中心に幅広く議論を重ね、その間にも観光関係団体及びホテル、旅館などの皆様へのヒアリングやパブリックコメントが実施され、それらの結果、先月、宿泊行為への課税が適当であるとの答申をいただきました。 私といたしましては、検討会議での議論の推移を慎重に見守っておりましたが、答申内容を重く受けとめ、早期に県の考え方を示す必要があると考えたところであります。これまでに拙速との御指摘も含め、さまざまな御意見をいただいてまいりましたが、急激な人口減少社会が到来する中で、今後も切れ目なく観光振興を図り、地域経済を持続的に発展させるためには、どうしても安定的かつ継続的な観光財源の確保が必要であり、東北観光復興対策交付金の終了が見込まれる、令和三年四月からの宿泊税導入が不可欠との思いから、今議会への条例を提案することにいたしましたので、ぜひとも御理解を賜りたいと思います。 次に、観光入り込み客数や宿泊人数などの具体的な数値目標についての御質問にお答えいたします。 県では現在みやぎ観光戦略プランにおいて、令和二年までに観光客入り込み数を七千万人、外国人観光客宿泊者数を五十万人泊、観光消費額を四千億円とするなど目標設定しているところであります。御指摘の令和三年以降の将来にわたる目標の設定につきましては、現行プランが進行中ということもございましてお示しすることは大変難しいわけでございますが、昨年の外国人観光客宿泊者数につきましては、東北観光復興対策交付金によるインバウンド施策の効果もあり、五十万人泊を達成する見込みとなっていることから、このたびの宿泊税導入により、今後五年間で百万人泊に倍増させるよう取り組んでまいります。一方、観光客入り込み数や宿泊観光客数は、震災後の回復がおくれている圏域が明らかになっていることから、それらの圏域への観光振興にも力点を置いた取り組みを進める必要があると考えております。こうした状況を踏まえまして、観光客入り込み数や宿泊観光客数の目標値につきましては、来年度策定予定の次期みやぎ観光戦略プランの中で、観光消費額など他の目標とともに検討してまいりたいと考えております。 次に、宿泊税の導入見送りや施行延期などについての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症による影響については、現在、関係団体の協力などを仰ぎながら、状況把握のための情報収集に努めておりますが、観光分野においても、中国だけでなく、国内の団体旅行客からもキャンセルが出ているなどの情報を得ているところであります。今回提案をしております宿泊税条例は、切れ目ない観光振興により地域経済の持続的発展を図るため、令和三年四月から宿泊税の導入を目指すものであり、今後、感染拡大の推移や県経済への影響を見きわめながら、正しい情報発信やキャンセル状況に応じた観光客の誘客に向けた取り組みなど、国とも連携を図りながら適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、東北観光広域連合を組織し重層的な観光力を発揮してほしいとの御質問にお答えをいたします。 国が策定した明日の日本を支える観光ビジョンでは、東北の観光復興が掲げられ、東北の外国人宿泊者数を二〇二〇年までに百五十万人泊にするという目標が設定されました。これまでその目標達成を目指し、東北観光推進機構を中心に東北が一体となって取り組んできているところであります。東北六県知事等による海外トップセールスも推進機構が調整を行い、毎年継続して実施されているなど、東北六県の観光連携はますます拡大、強化されております。更に、再来年度には東北各県、推進機構、JR各社が連携して、東北六県全体を対象とした東北デスティネーション・キャンペーンを、史上初めて六カ月間にわたって開催する予定となっており、その事務局についても推進機構が担っております。県といたしましては、引き続き推進機構を中心として、東北各県や市町村との連携を一層強化し、それぞれの強みを最大限生かすことができるよう、一丸となって東北の観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。 次に大綱三点目、医療提供体制の課題についての御質問のうち、感染防止のための経済団体等への働きかけについてのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のとおり、発熱等の風邪のような症状が見られるときは、感染防止の観点から会社や学校を休むなど、感染をみずから広げない努力をしていただくことが何よりも重要であると考えております。県では、スピード感をもって感染拡大を防止するため、昨日、県内経済団体等に対し、県内企業の実情に応じて休暇制度の弾力的運用に加え、時短勤務、時差出勤、テレワークなど柔軟な勤務形態が選択できるよう、文書により会員企業への協力を要請したところであります。今後とも状況の変化に対応し、適切な情報提供と感染拡大の防止に向けて取り組んでまいりたいと思います。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 総務部長江口哲郎君。    〔総務部長 江口哲郎君登壇〕 ◎総務部長(江口哲郎君) 大綱一点目、国の諸施策への対応についての御質問のうち、地域社会再生事業費についてのお尋ねにお答えいたします。 令和二年度地方財政計画では、特別法人事業譲与税の創設及び法人住民税の一部交付税原資化による偏在是正措置で生じた財源を活用して、地域社会の維持、再生に取り組むため、新たな地方の歳出項目として地域社会再生事業費が創設されました。これは地方六団体からの国に対する要望内容が実現したものであり、被災地を初め人口減少、少子高齢化の続く地域社会の実情に応じた、より実効性の高いさまざまな取り組みを後押しするものとして高く評価しております。当然、我が県においても、地域社会の維持、再生に関するさまざまな事業実施の、より安定的な財源裏づけになるものとして活用してまいる考えでございます。 また、大規模災害時に、全国の都道府県から技術職員を被災市町村へ中長期的に派遣する制度の創設につきましては、我が県では、現に東日本大震災の復旧・復興のため全国から技術職員の応援をいただいているさなかであることから、直ちに活用するには困難な面もありますが、長期的に見て、特に技術職員の少ない市町村にとって、大いに役立つのではないかと期待しているところであります。 次に、私立高校入学金軽減支援事業についての御質問にお答えいたします。 私立高校入学金軽減補助の手続については、各高等学校において入学者の一覧を作成し、保護者からの課税証明書等の必要書類を添付して申請いただくことを予定しております。県といたしましては、対象となる全ての生徒が確実に申請できるよう、私立高校の校長会や事務長会を通じて、制度の内容や申請手続について周知徹底を図ってまいります。したがって、通常未申請というケースがないように運用していくことが基本と考えておりますが、特段の事情によりまして未申請となった場合につきましては、未申請の理由等の詳細を確認の上、個別に対応してまいる考えです。 次に、大綱二点目、宿泊税についての御質問のうち、税をいただく難しさについて当事者の声は届いていないのかとのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のありましたパッケージ旅行の価格設定方法や、OTA利用者の増加を踏まえた宿泊税の徴収に対する懸念につきましては、パブリックコメントや宿泊事業者説明会などでも御意見としていただいており、宿泊税を徴収する現場においてさまざまな困難が想定されていることについては承知をしておりますし、また今後とも丁寧にそうした声を伺ってまいりたいと考えております。そこで、施行を予定しております令和三年四月までの約一年の期間をかけて、課税主体である県として、納税義務者となる宿泊者に対して幅広く制度の周知を図るとともに、先行自治体の事例も参考にしながら、旅行業者等に対しても、宿泊税の適切な取り扱いや利用者への周知の徹底を依頼することで、宿泊事業者の徴収現場での負担が緩和されるよう、できる限り取り組んでまいります。 次に、宿泊税は応能負担の原則に立つべきで逆進性が強過ぎるのではないかとの御質問にお答えいたします。 検討会議の答申によると、幾つかの観光行動の中で宿泊行為については比較的担税力が判断しやすいとされ、税率区分についても、区分を設ける案と設けない案の二つが示されたところですが、できるだけ簡素な税制度が望ましいとの考えから、区分を設けず単一の税額とする案に決定したものでございます。 逆進性が強過ぎのではないかとの指摘につきましては、宿泊税を単一の税額としたことで、宿泊料金のみを対象として見た場合には、一種の逆進性を有していることになりますが、一方で宿泊者が享受する旅行環境に関連した公共サービスの受益の程度は、宿泊料金にかかわらず同等であると考えることもできる点に立脚して、最終的に税率を一律にすることが適当であると考えたものでございます。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。    〔震災復興・企画部長 後藤康宏君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 大綱一点目、国の諸施策への対応についての御質問のうち、マイナンバーカードについてのお尋ねにお答えいたします。 我が県におけるマイナンバーカードの申請率は、ことし一月末時点で一八・〇三%となっておりますが、全国平均も一八・七二%と低い状況でございます。このため国では、マイナポイント事業や健康保険証としての利用など、順次カードの利便性が実感できるようサービスを拡充しカードの普及を進める方針であり、県としても国の施策に基づき、マイナポイント事業に関して市町村が策定するマイキーID設定支援計画等の取り組みを支援しております。マイナンバーカードは、国民の利便性の向上と行政事務の効率化に資する情報社会の重要なインフラであると認識しており、今後より一層国や市町村と連携を図りながら、カードの普及に努めてまいります。 次に、安全運転サポート車に対する国補助への県の上乗せ支援についての御質問にお答えいたします。 安全運転サポート車や、後づけの急発進等抑制装置の購入等に対して補助するサポカー補助金については、国の経済対策関連の補正予算が成立し、早ければ来月中に事業が開始されるものと承知しております。経済対策として約一千百億円の予算が計上され、新車購入時に最大十万円という手厚い補助がなされることは、高齢運転者の事故防止対策を十分後押しできるものと評価しております。県といたしましては、我が県の財政状況等を踏まえながら、今後の国の補助事業の動向を注視してまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱三点目、医療提供体制の課題についての御質問のうち、検査体制の拡充についてのお尋ねにお答えいたします。 今後、県内において感染者が発生し感染が拡大した場合、検査件数の増大に対応できない可能性もあることから、県のセンターの検査体制の強化を図ることとしているほか、県医師会の健康センターなど関係機関への検査実施の働きかけを行っているところです。 次に、感染症患者の受け入れ先の確保についての御質問にお答えいたします。 我が県においても患者が発生する可能性があり、県内での感染拡大期には、感染症指定医療機関だけでは患者を収容できなくなる事態も予想されます。このため、感染症指定医療機関以外の医療機関からも入院等の協力が得られるよう鋭意調整を行っており、現在までに三病院の了解を得ているところです。 次に、メタボリックシンドローム該当者やその予備軍、糖尿病性腎症による新規人工透析導入患者数についての御質問にお答えいたします。 メタボリックシンドローム該当者等の減少率は、令和五年度末の目標値である二五%に対して、最新の公表値である平成二十八年度は一六・四%となっております。また、糖尿病性腎症による年間新規人工透析導入患者数は、令和五年度末までに二百八十人以下とする目標に対して、平成三十年は二百八十三人となっております。 次に、糖尿病性腎症の重症化予防に向けたレセプトデータの活用状況についての御質問にお答えいたします。 県内の市町村では、受診勧奨の抽出基準をそれぞれ設けて、糖尿病性腎症の重症化予防の取り組みを行っており、三十四市町村でレセプトデータを活用しております。 次に、糖尿病未受診者等の情報を市町村へ提供するため県が支援すべきとの御質問にお答えいたします。 市町村が保有する国保データベースシステムでは、レセプトデータを活用して五年前までさかのぼった対象者の抽出が可能であり、宮城県国民健康保険団体連合会では、市町村に対するシステム研修などを行ってきているところです。しかしながら、まだ活用している市町村が少ないことから、県といたしましては、今後、国保連合会と連携し、研修の強化を図ってまいります。 次に、県民へのワクチンの情報伝達についての御質問にお答えいたします。 県では、ホームページの充実や市町村による国のリーフレット活用を働きかけるなどの取り組みを進めてまいりましたが、県民に対して十分に情報が伝わっていない状況であることは御指摘のとおりであります。子宮頸がんワクチンに関する正しい情報が県民に伝わるよう、定期接種の実施主体である市町村に対して、国からの情報を適切に伝えるように助言してまいります。 次に、国の勧告の遵守状況についての御質問にお答えいたします。 ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応に関する勧告において、対象者への周知方法については個別通知を求めるものではないとされており、ホームページやリーフレットの窓口配布等による周知を行っている市町村もありますが、まだ十分とは言えない状況にあると認識しております。なお、国の通知にある積極的勧奨の理解が不十分な市町村もあることから、県といたしましては、今後、市町村の理解が深まるよう、さまざまな機会を捉えて周知に努めてまいります。 次に、リーフレットの配布が積極的勧奨に該当するのかなどの御質問にお答えいたします。 国の見解によると、接種対象者や保護者に対するワクチン接種の検討、判断をするための正しい情報を伝達する目的でのリーフレットの配布は、積極的勧奨には該当しないとされております。このため、市町村に対して、接種対象者等へのリーフレット配布など、住民へ積極的に正しい情報を提供するよう働きかけてまいります。 私からは以上です。
    ○副議長(齋藤正美君) 経済商工観光部長鈴木秀人君。    〔経済商工観光部長 鈴木秀人君登壇〕 ◎経済商工観光部長(鈴木秀人君) 大綱二点目、宿泊税についての御質問のうち、仙台市が宿泊税を導入した場合、事業イメージの前提が崩れるが見解はどうかとのお尋ねにお答えいたします。 県が実施する施策としてお示ししている約三十二億円の事業規模は、県内全域の観光振興に必要となる取り組みイメージを積み上げたものとなっております。一方、仙台市では、現在、観光振興に関する今後必要となる施策や、その財源等について議論が重ねられていると承知しております。県といたしましては、仙台市の動向を注視し、仙台市が正式に宿泊税導入を決定した場合には速やかに協議に応じ、具体的な内容について調整していくことになるものと考えており、その際には、四つの方向性と十九の取り組みイメージに基づく観光振興施策の枠組みを基本に、仙台市との役割分担なども調整することになるものと考えております。 次に、税収確保ありきでない免税点の設定についての御質問にお答えいたします。 検討会議の答申において、免税点について検討することが望ましいとの内容を踏まえ、低廉な宿泊施設に宿泊する方々の負担や、小規模宿泊事業者の経営に配慮し、三千円を免税点とすることが適当と判断いたしました。また、宿泊税財源の使途を決定していく上でも、小規模宿泊事業者等の経営に十分配慮する必要があると考えております。このため、例えば閑散期における旅行割りの実施など、地域の実情や小規模宿泊事業者等の課題を踏まえた観光振興施策を検討してまいります。 次に、徹底した海外プロモーションの実施など施策の集中と選択についての御質問にお答えいたします。 県では宿泊税財源を活用した観光振興施策について、体験・滞在型の観光資源の整備やデジタルの加速化を踏まえた観光の推進などの視点により、効果的な事業実施を図っていくこととしております。このうち国内誘客では、関西以西をターゲットにしたプロモーションなどのほか、県内及び東北からのリピーター獲得に向けた効果的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。一方、伸びしろが期待できるインバウンド誘客では、欧米豪など新しいインバウンド市場の形成に向けた認知度向上のための広告配信や、アジアなどのインバウンド市場拡大に向けた誘客プロモーションなどに取り組んでまいりたいと考えております。県といたしましては、こうした選択と集中を意識し、宿泊税財源を効果的に活用して、観光客宿泊者数増加などの成果を確実に生み出すよう、観光振興施策の立案に知恵を絞ってまいります。 以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 四十七番庄子賢一君。 ◆四十七番(庄子賢一君) 御答弁ありがとうございました。まずは国の施策に対応する部分で伺います。 後藤部長からは、高齢ドライバーのサポカーの県の上乗せについては、今後、国の動向を注視するという表現だったんですが、他県の場合は、例えば上乗せではなくて、国よりも有利な条件をつけた独自の補助を出して、ユーザーにどっちか選んでくださいと、そういう対応とっている県もあるんですが、もうちょっと具体的にどういう動向をどのように注視して、どんなことをしようと思っているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 今回措置されました国の制度としての補助金は、これである程度十分なのではないかというふうに考えております。それでこれに上乗せをしてということは、余り必要ないのかなというふうに考えておりますが、今回の予算が経済対策として行われておりますので、令和二年度以降の継続性については、十分国の状況を確認して、もしその経済対策として単年度限りといいますか、これで終わるのであれば、我々としても県としての補助金の必要性は、十分に検討しなければならないというふうに考えているということでございます。 ○副議長(齋藤正美君) 四十七番庄子賢一君。 ◆四十七番(庄子賢一君) それから宿泊税のことなんですが、先ほどの答弁の中では税については逆進性を有しているとお認めになった上で、だけれども宿泊料金にかかわらず宿泊観光客というのは一定のサービスを受けているんだというお話だったわけですけど、宿泊料金によってそのサービスにも差があることは明らかであって、宿泊料金が安いところにWi-Fiがないなんていうのは当たり前の話ですから、道路の状況なども含めて、一定のサービスを同じように受けているというわけでは決してないというふうに思いますけど、いかがでしょうか。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 個別に見ると、そういう差が当然出てくるものというふうに思います。今回、議論する中で、議員の皆さんも含めていろんな方にお話を伺いましたが、やはり千差万別で、賛成、反対はもちろんあるんですが、賛成の方の中にもこのようにしたらいいというのは、本当に皆さん千差万別でございました。そういう御意見の中に、率でかけてやったほうがいいんじゃないかと、宿泊料金に同じ率をかけて、同じような負担にしたほうがいいんじゃないかという声もありました。そういうことも調べてみましたけれども、現在そういうのをやっているは倶知安町がやっておりました。ただ倶知安町ぐらいの小さな単位だと、自治体の大きさだとやれないことはないんですが、やはり県単位ぐらいになってきますと非常にシステムが難しくなってしまって、事業者の皆様にも御負担をおかけいたしますし、我々の側もかなり担当のほうも大変なシステムの整備は必要だというようなこともありまして、やはり一定の金額でやっていったほうがいいだろうということになったということでございます。 今度は細かく金額を切ったほうがいいのではないのかという御意見もございましたけれども、今回、まず五年間は一定の金額でやらせていただいて、そして当然そうなりますと小さな事業者の皆さんに御負担をおかけすることになってくるということになると思いますので、そういったところに特に光が当たるような形で施策を打っていくことによって、結果として人口減少分を、そういったところに光を当てて活性化していくような形をとろうじゃないかということで、今回、このような形に踏み切ったということでございます。 おっしゃってることは、筋が非常に通っているかというふうに思うんですが、そういう思いで今回制度設計をしたということでございますので、御理解をいただきたいと思います。 ○副議長(齋藤正美君) 四十七番庄子賢一君。 ◆四十七番(庄子賢一君) 一方で、今、旅行業、宿泊業はどういう現状にあるかというのはおわかりのとおりです。インバウンドだけではない、国内旅行客もキャンセルが相次いでいて、大変悲鳴が上がっているわけです。日本旅行業協会、ほかの団体の皆様からも、例えば雇用調整助成金の特別措置について、支援対象を中国人のお客さんが下落したものに限っている部分がありますが、その対象を全部に広げてもらいたいという要請ですとか、運転資金となってまいります、いわゆる衛生環境の激変対策の特別融資、こうしたものについての融資枠も拡充をすべき、まずはそこからやってもらいたいという声がありますが、どう対応されますか。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは非常に重要な御指摘でございまして、早速、検討を始めているところでございます。国もこの問題について非常に重く受けとめておりますので、国としっかり呼応しながら対策をとりたいと思います。時期を失しますと倒産をしてしまうということにもなりかねませんので、失しないように努めてまいりたいというふうに思っております。 ○副議長(齋藤正美君) 四十七番庄子賢一君。 ◆四十七番(庄子賢一君) それから、以前にも何度か東北広域観光連合については質疑、質問もさせていただいてまいりました。その都度、東北観光推進機構を中心にという御答弁なんですけれども、観光復興交付金が減ってまいりますと、要するに各県が拠出している機構へのお金も減っていくわけですし、機構が持っている人的資源や予算から考えても、余り東北観光推進機構に全てのことをそのときだけ預けて、機構でやってもらってるっていうスタンスは、私は限界があるというふうに思っていて、行政がここはもっと前に出て、東北六県の新しい観光をしっかり紡ぎ出す。こういう姿勢が必要ではないかなと思っていますが、再度お答えをお願いします。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) ここに至るまでいろいろ苦労がございました。各県が一つでやるというのはおもしろいアイデアなんですけれども、なかなかうまくいかないんです。どうしてもほかの県から見ると、宮城がひとり勝ちだというふうに東北六県は見えてしまうということもありまして、なかなか私どものほうで声がけをしても、他県のほうが協力して一緒にっていうふうな雰囲気にはなかなかならないということがございました。東北観光推進機構も、以前は電力のOBの方がついておられたんですけれども、そこからJRのOBの方が、現役の方も含めてですけれども会長につくようになって、それで観光に非常に理解のある、造詣の深い方がトップに立って、そしてそこから各県のほうに声がけをしていただくようになったら、非常に皆さんが協力的になって動けるようになったということであります。したがって宮城県といたしましては、東北観光推進機構をうまく支えながら、私ども宮城県が言いたいことを東北観光推進機構を通じて、東北の五県のほうに、新潟も入れて六県のほうに伝えていただいて、そしてうまく協力体制を組むような形になってきたということでございます。 将来的には庄子議員のおっしゃるような連合という形も夢ではないというふうに思うんですが、現時点においては、新たにまた別組織をということになると、まとまるものがまたまとまらなくなってしまいますので、ここまでやっと積み上げてまいりましたから、もう少し様子を見ていただけないかなというふうに思います。 今、東北の知事、仙台市長も含めて一緒になって海外のプロモーションもやっと行くような形になってまいりました。ここ数年、やっとその体制が組めるようになりましたので、私としては非常にいい形になってきてるなというふうに評価をしております。 もう少し様子を見ていただきたいというふうに思います。 ○副議長(齋藤正美君) 四十七番庄子賢一君。 ◆四十七番(庄子賢一君) 最後に新型コロナの関連ですが、PCR検査を受けられる定義というものはあるんでしょうか。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 厚生労働省のほうで症例の定義をしておりまして、幾つかございますけれども、その定義に該当するものとして保健所長が判断した場合に、検査に回すということになっております。 ○副議長(齋藤正美君) 四十七番庄子賢一君。 ◆四十七番(庄子賢一君) その保健所長の判断というのはどういう判断の定義なんですか。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 申し上げますと、発症前十四日以内に湖北省及び浙江省への渡航、居住歴があるでありますとか、それから三七・五度以上の発熱と呼吸器症状があること、これをいずれも満たすということが一つあります。そのほかに集中治療に準ずるものが必要で、特定の感染症と診断ができず、新型コロナウイルス感染症の鑑別を要すると判断される場合、それから、新型コロナウイルス感染症と診断された者との濃厚接触歴があり、発熱や呼吸器症状がある者と、このような定義が厚生労働省から示されているところであります。 ○副議長(齋藤正美君) 四十七番庄子賢一君。 ◆四十七番(庄子賢一君) 今、その定義では手に負えない状況になっていて、もっと早期に診断し、早期に発見できる体制をつくってもらいたいというのが、国民全体の声になってきていますので、対応をお願いし、終わります。 ○副議長(齋藤正美君) 五十九番中沢幸男君。    〔五十九番 中沢幸男君登壇〕 ◆五十九番(中沢幸男君) 昨年、五月に天皇陛下が即位され、新しい時代としてスタートした令和もその元年が終わり、令和二年が始まりました。東日本大震災から九年を数える本年はねずみ年であり、村井知事も何回目かのめでたい年男となるのでしょうか。 ネズミはいわゆる十二支レースのトップを飾った縁起のいいえとであり、常に新機軸を生み出し、トップを走り続ける村井知事には、震災復興の総仕上げはもちろんのこと、時にはよく県民の声に耳を傾けられ、将来に過ちのない県政運営に当たっていただきたいと思います。 最近の世界情勢を振り返りますと、中国で発生した新型コロナウイルスの問題、アメリカとイランの政治対立、イギリスの欧州連合離脱、米中の経済摩擦など、有史以来、人類が幾多の過ちを重ねてきた対立、摩擦の構図そのものであります。しかしながら、国連が提唱するSDGsで掲げられているように、これからの時代は未来に向け、対立、摩擦ではなく、共存、調和が人類の羅針盤となるべきと思います。 くしくも、ことしは我が国においてオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。オリンピック憲章には、オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることであると記されております。我が国でのオリンピック開催を契機に、人類の平和そして持続的な社会の形成のためには対立による発展ではなく、調和による発展こそが不可欠な理念であるということを、世界中の人々が手を携え分かち合えるよう願うものでありますが、知事の所見を伺い、通告に従い質問を進めてまいります。 まず、文化芸術振興と県有施設の再編成についてであります。 人口減少、少子化が進行していく中で、老朽化が進む県有施設など、どのように行っていくかは大きな課題でありますが、その検討に当たっては、文化芸術振興の観点を踏まえての議論が不可欠です。平成十六年、我々県議会では藤倉議員を中心に議員提案により、宮城県文化芸術振興条例を可決しております。条例では、文化芸術は県民にとって自信と誇りをくみ上げる源泉であり、文化芸術に対する理解と関心を深めると同時に、同等に文化芸術を鑑賞し、これを創造するための機運を醸成することが必要であるということを指摘した上で、文化芸術の香り高いみやぎを目指すことを宣言し、文化芸術の承継と新たな創造に向け、力強く取り組むことを決意しているわけであります。この条例に基づき、県では第二期宮城県文化芸術振興ビジョンを作成し、文化芸術の力で創造するみやぎの未来、心の復興を目指してを基本目標として、文化芸術の振興と継承等に取り組んでおられるはずです。このような中、文化芸術振興の拠点である県民会館、県美術館の再編等を検討するに当たっては、文化芸術振興の観点から特段の配慮が必要だったと考えますが、今回の県有施設再編等の在り方検討懇話会では、この点についてどのような検討が行われたのかお伺いします。 私は、平成三十年二月県議会定例会において、県民会館の規模については、全国的なコンクールの開催や著名なアーティストを誘致できる座席数である、二千から二千五百席規模のホールを建設する必要があると思うがいかがかと質問した経緯があります。県民会館の整備のあり方に関する有識者会議において、施設の基本的な構成案として、劇場型大ホール、二千から二千三百席が示されており、そのように検討が進んでいることを大変うれしく思っております。また、宮城県美術館リニューアル基本方針でも、展示機能の拡張や収蔵庫の狭隘化に対応するため、約三千から三千四百平方メートルの増床が示されています。それぞれ、施設の現状と課題を踏まえ、今日的課題に取り組むべく、機能の強化やアメニティーの向上を図ろうとしております。一方で、昨年十二月に示された県有施設等の再編に関する基本方針では、県有施設等の規模の適正化、全体的な延べ床面積を減少させることにより、国の特例的な起債制度等の活用を図るといった利点もあることも示されております。そこで、県民会館の現時点での構想される規模と各施設の機能の強化、規模の適正化をどのように両立していくつもりなのか、お伺いします。 また、仙台市では昨年からせんだい都心再構築プロジェクトを開始しており、仙台駅周辺や一番町、定禅寺通などのエリアを中心に、回遊性の高い都心まちづくりを進めており、県有施設の再編等の検討に当たっては、これらとの整合性が求められています。先月三十一日に知事、仙台市長、両議長が出席して行われた仙台市・宮城県調整会議での仙台市からの意見を受けとめて、今後、それらにどのように対応していくのかお伺いします、 次に、県民会館は昭和三十九年九月のオープン以来、文化芸術活動の拠点であるとともに、定禅寺通周辺エリアのにぎわい創出に大きく寄与してきました。一方で、地元の方々からはさまざまな支援を受け、支えられてきた施設でもあります。県民会館の跡地の利活用については、定禅寺通のまちづくりに取り組んでいる、定禅寺通活性化検討会や定禅寺通り街づくり協議会からも意見を聞きながら、景観形成や地元の活性化に資するような利活用が望まれるが、この点について今後どのように検討するのかお伺いします。 また、県民会館の近隣の方々には、拡張に積極的に協力すると話しておる方もおられますので、もっと汗をかかれて、現在のところに落ちつかせることについてはどう思いますか。再考を求めまして所見をお伺いします。 次に、宮城県美術館についてでありますが、現在の宮城県美術館の立地環境は静観な文教地区であること、建築の価値、前川國男氏設計を大切にしてほしいとの声が連日のように県民の声として届いていることは、知事もよく承知のはずです。私が仙台市立幼稚園PTA連合会会長の時代に開始した親と子と教師の絵画展は、四十五年前の開始時はその開催場所の確保が大変難しく、しばらくは仙台市内の商業施設の展示スペースを借りながら、開催に非常に苦慮していました。そんな折、昭和五十六年十一月に待ちに待った重厚で立派な県美術館が開館されたのでした。これを機に、その後十数年にわたり絵画展の開催で使用させていただき、大変助かりました。テープカット時の幼児たちの笑顔が今でも脳裏から離れません。当時の幼児たちは、もう三十代、四十代になられているはずですが、彼らにも終生忘れられない思い出の場所となっていることでしょう。私の後は、佐々木幸士議員の御尊父でありました両道さんが引き継いでくださり、その後も歴代の会長に引き継がれ、せんだいメディアテークが開館されてからは、こちらで開催されておりますが、ことしで四十五回目の絵画展となっております。この親と子と教師の絵画展が、このように長きにわたり現在まで続けてこられたのも、県美術館のおかげと今でも感謝いたしております。また、宮城県美術館は収集全般に当たって、佐藤忠良先生を初め、東北地方にゆかりのある美術家の作品を中核として、日本近代、現代美術を対象としながら、それらが国際的な視野において俯瞰できるよう、パウル・クレーやバシリー・カンディンスキーに代表される二十世紀初頭のドイツ語圏の美術を加えることとともに、教育普及活動に当たっては、さまざまなプログラムの実施や創作室運営を通し、創造性や感性を育む機会を提供するなど、非常にユニークな活動をなされていると聞いています。宮城県美術館が再編された場合、その特徴である収蔵品や教育普及活動を不安視する声がありますが、対応はどうかお伺いします。 これまで述べたように、歴史と伝統のある美術館です。連日のように、現在の文教地区川内にリニューアルして、ぜひ現存してほしいという県民の切なる願いを、知事、どうかお酌み取りください。 先日も、仙台医療センターに入院された方から投書があり、最初は賛成していたが、病院に入院していて、一日中救急車の鳴る音、ドクターヘリの騒音等で、美術館にはあの場所はふさわしくないと投書が載っておりました。私もそう思います。絵の鑑賞は閑静なところでするのが私は当然だと思いますし、現在の場所が最適と考えております。 ここで一つの提案です。以前この議場で、元副議長でありました小野隆先生も、私も第三百六十三回二月議会で提案しました県立アイススケート場の件です。本県はフィギュアスケートの発祥の地でもあると同時に、本県出身の荒川静香選手が二〇〇六年トリノオリンピックで、羽生結弦選手が二〇一四年ソチオリンピック、二〇一八年平昌オリンピックと二大会連続で金メダルを獲得しております。最近では、将来のオリンピック候補と言われております、ジュニア女子の千葉百音選手の活躍もあります。まさに干天の慈雨ではないでしょうか。宮城野原を一大スポーツゾーンと位置づけ、日本一の県立アイススケート場を建設されてはと思います。また今後の観光振興の面でも大きな財産となると思いますし、県民の大勢の反対を押し切ってまで、強引に美術館を移すよりも賢明な策ではないかと思いますが、知事、政治生命をかけての決断を求めるものであります。 人生百年時代における長寿社会政策の更なる充実に向けてです。 本県の六十五歳以上の高齢者人口は現在約六十三万人となり、高齢化率も二七・五%に達し、七十五歳以上の方も約三十二万人に達するなど、まさに人生百年時代が目前に迫ってきている状況にあります。本県では、これまでも高齢者が要介護状態となっても、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの充実を図り、高齢者が地域で自分らしい生活を安心して送れる社会を目指して、各施策を展開していることは十分認識しているつもりですが、平成三十年三月に策定された第七期みやぎ高齢者元気プランを見ますと、みんなで支えあう地域づくり、自分らしい生き方の実現、安心できるサービスの提供を三つの基本目標として掲げています。その基本目標を達成するために、地域包括ケアシステムの充実・推進、地域支え合いと介護予防の推進、認知症の人に優しいまちづくり、サービス提供基盤の整備、介護を担う人材の確保・養成・定着、介護サービスの質の確保・向上を主な基本課題として、必要な施策を展開していくとされています。このプランは、平成三十年度からの三年間を計画期間としていることから、折り返しとなる本年度までの成果を踏まえ、今後の取り組まなければならない事業の構築が最終年度となる来年度予算に求められているところです。そこで初めに、今申し上げました主な基本課題ごとのこれまでの二年間の事業の実施状況についてお伺いいたします。 次に、これまで二年間の事業の実施状況を踏まえ、長寿社会政策の更なる充実に向けて、来年度予算で展開予定の事業についても、あわせてお伺いいたします。 特に、介護人材の確保は喫緊の課題で、施設をつくっても介護人材を確保できないために事業を開始できないという声や、夜勤シフトへの対応を含む介護人材を募集しても応募が少ないため、人材派遣会社や紹介事業者に多額の紹介料などを払って、人材確保しなければならず、経営を圧迫しているという声がどこからも聞かれます。このような介護業界の悲鳴に対応するためにも、介護人材確保のため、事業の充実強化を緊急に図っていかなければならないと思いますが、介護人材の確保・育成に注力されている知事の意気込みをお聞かせください。 介護人材確保について、私もこの議場で何度も質問しておりましたが、ボランティアの活用についてであります。今日まで、どのように取り組んでこられたのかお伺いいたします。 寄り添いボランティア導入を取り入れた富谷市では、市民による施設コーディネーターの調整のもと、施設サポーターボランティアが週一回程度、同じ施設を訪問し、お話しや散歩、趣味活動を楽しむというものであります。事業には、入居している高齢者の生活の質の向上、ボランティアの心身の元気向上、施設の介護負担の軽減の三つの効果が期待されています。しかしながら必要経費として、コーディネーター、サポーターの活動費、交通費等を市単独予算で賄っているということでありますが、将来にわたる予算確保が難しい状況のようです。よって県として、これらの活動に対し何らかの財政補助はできないものでしょうか、お伺いいたします。 私の周りでもありますが、私も同様ですが、日々ウオーキングやラジオ体操などを習慣にし、健康な状態を保っている高齢者は多くなってきております。高齢者にとっては介護を必要とする前段階での介護予防も重要であり、特に健康な状態と要介護状態の中間の状態を示すフレイルに対する対策も、今後重要になってくると考えられます。そこでフレイルに対する今後の対策について、どのように考えているのかお伺いいたします。 一方、残念なことながら、高齢者に対する虐待についての報道が絶えません。施設で職員による暴力行為や身体拘束などといった虐待。家族による介護疲れによる暴力行為や介護放棄などの虐待など、報道を目にするたびに非常に心が痛むところであります。このような中、昨年末に国が発表した高齢者虐待調査の結果を見ますと、全国で介護職員による高齢者への虐待行為が二〇一八年度に六百二十一件あり、過去最多だということでした。また、家族や親族による虐待判断の件数も、過去最多となる一万七千二百四十九件に上ったとのことでした。虐待の種類で見ると、暴力や拘束といった身体的虐待が五七・五%でトップ。暴言などの心理的虐待が二七・一%。減食や長時間の放置を含む介護放棄が一九・二%となっております。介護職員の虐待件数を都道府県別で見ますと、東京都が六十五件で最も多く、続いて神奈川県の五十二件、大阪府の五十件となっており、本県でも十五件発生しております。人口に比例している部分がありますが、また施設職員や家族等の意識の高まりにより、通報案件が多くなっていることは十分に理解できますが、それでも過去最高という事実に対しての今後の対応が重要と考えられますが、ぜひ本県における高齢者虐待の根絶に向け、今後も強力に取り組むよう切望しますが、本県の施設内で十五件発生した虐待の内容と今後の防止策について、県としてどのような対策をとっていくつもりなのかお伺いいたします。 終わりに、知事がいつもお話ししております、高齢者が地域で自分らしい生活を安心して送れる社会をぜひとも実現されるよう、そして人生百年時代における長寿社会政策の更なる充実に、今後とも知事みずから先頭に立って取り組んでいただくよう懇請するものでありますが、御所見をお伺いいたします。 次に、広域防災拠点整備についてであります。 極めて甚大な被害をもたらした東日本大震災から、九年の歳月が流れようとしております。震災により家族や住まい、仕事など、ありとあらゆるかけがえのないものを奪われた方々が、一日も早く安全で安心な暮らしを取り戻すことができるよう、県民が一丸となって全力で取り組んでまいりました。その結果、さまざまなインフラ施設等の完成とあわせ、さまざまな地域で新たに創造された町が動き出し始めており、成果が見受けられるようになりました。その一方で大震災後も、熊本地震、北海道胆振東部地震や関東・東北豪雨、九州北部豪雨など、特定の場所ではなく全国の至るところで大規模な自然災害が頻発しており、大規模災害に対する更なる備えが求められているところであります。 我が宮城県においても、昨年十月の台風十九号や、あわせて発生した低気圧により死者・行方不明者あわせて二十一名、床下浸水を含む家屋被害がおよそ二万件にも上るなど、甚大な被害を県内の広範囲で受けてしまいました。残念ながら、これらの自然災害は今後も発生することが予見され、更に大規模化することも考えられます。先月二十四日には、宮城県沖の陸に近い海域で発生が予測される宮城県沖地震について、三十年以内にマグニチュード七・四前後の地震が発生する確率を五〇%程度から六〇%に引き上げる長期評価を政府の地震調査委員会が公表し、宮城県沖地震はいつ起きてもおかしくない時期に来ております。確率の上昇は続くことが予想され、防災意識を高めてほしいとのことであった。それらへの対策として、さまざまなインフラの整備はもちろんのことですが、大規模な自然災害が発生した際に、迅速な緊急救急体制を確保できるような市町村への支援体制の拡充もあわせて必要と考えられ、これらが可能となる宮城野原地区に整備する広域防災拠点及び圏域ごとに整備する圏域防災拠点の重要性が、より一層増していると実感しているところです。知事が震災直後から進める創造的復興の大きな柱として、仙台市の東部地区である宮城野原地域に広域防災拠点を整備するという、先見的な取り組みを英断したことは、まことに時宜を得たものと思います。 そこで、この事業について、以下四点を知事にお尋ねします。 初めに広域防災拠点整備事業については、昨年二月定例議会において、事業費の増額や事業期間の延伸について説明がありましたが、その後、更に何らかの変更あったのでしょうか。現在の状況をお聞かせください。 次に、現在この地で営業を行っている仙台貨物ターミナル駅の移転を円滑に行うためには、地元住民の理解と協力が必要不可欠でありますが、地元住民の事業への理解の状況などいかがでしょうか。 また、貨物駅建設の進捗状況についてはいかがでしょうか、お伺いいたします。 次に、今般の災害発生状況を鑑みれば、広域防災拠点の機能の発現が待たれるわけですが、広域防災拠点の一部供用を含め、拠点の完成時期について現段階での見通しをお聞かせください。 次に、災害発生時の市町村に対する支援についてお伺いします。 先般発生した台風十九号による被害やそれ以上の被害が発生した場合、被災者に対する適切な支援を行うための支援体制の確保が、単独の市町村では困難になることが予測されます。そこで、圏域防災拠点の活用を含めた市町村に対する支援体制の整備状況についてお聞かせください。 あわせて、台風十九号による災害発生時の暫定広域防災拠点及び圏域防災拠点の活用状況と、それを踏まえた今後の活用計画についてお伺いいたします。 次に、みやぎ型管理運営方式について質問いたします。 このみやぎ型管理運営方式については、昨年も県議会の本会議や委員会等で継続的に議論がなされ、昨年の県議会十一月定例会において、導入の前提となる公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例が可決されたのでしたが、いまだにそれでも県民の皆様から不安の声が聞こえております。もっと県民に対し情報提供に努めていかなければならないと思います。そこで数点にわたり質問をいたします。 まずは県では条例の施行に合わせ、みやぎ型管理運営方式に係る実施方針を策定・公表し、三月に民間事業者の公募を開始すると聞いておりますが、実際の選定はいつ行われるのかお伺いします。 公正公平な審査により民間事業者が選ばれると思いますが、事業者の選定を行った後すぐに契約を結ぶわけではなく、最終的には再度議会に諮られると聞いておりますが、事業者選定後の具体的な手続をお聞きします。 県では浄水場の運転管理業務を三十年近くも民間事業者に委託しており、現在では工業用水道や下水道の処理も含めて全て委託しています。当然民間事業者は適正に業務を行い、法令等に定める水質基準を確保し、安全安心な水の安定的な供給と、汚水の安定的な処理を実施し、県民生活、企業の生産活動をしっかり支えてきたものと思います。みやぎ型管理運営方式導入後においても、二十年間、同一の運営権者が浄水場等の運転管理等を行うことでしょうから、民間事業者には、事業を適正に遂行する能力や相当程度の財務規模などが求められると思います。運営権者を募集するに当たり、具体的な参加条件はどのように考えているでしょうか。 県ではみやぎ型管理運営方式の実施方針案の公表に合わせ、シミュレーション結果についても公表されていましたが、それによりますと、二十年間九事業会計で県が現行体制のまま事業継続した場合は、総事業費三千三百十四億円。これに対して、みやぎ型を導入した場合は、総事業費三千六十七億円と試算し、導入により二百四十七億円の削減効果を見込んでいるということを公表しました。このうち運営権者分の削減効果は約百九十七億円、率にすると約一〇%程度削減できるとのことでございました。こうして得られた削減効果について、仮に全て料金に反映した場合、二十年後には水道、下水道ともに一割程度抑制するとの効果であり、大いに期待したいところであります。 そこでお伺いします。こうした効果を現実のものにするためには、民間事業者に安全安心な水の安定的な供給、汚水の安定的な処理はもちろん、相当程度効率的な運営が求められるが、事業者選定に当たり、どのような視点で審査を行う予定なのでしょうか。 結びに、知事は昨年九月の定例会において、ある議員の質問の答弁に、私の考える徳による政治とは、二百三十万県民の声に耳を傾けることであります。県民を代表する議会議員の皆さんの声や、知事へとしてお聞かせいただける県民皆さんの声にも、素直に耳を傾ける県政運営に努めてまいりたいと心がけておりますとお聞きし、ふと私は、現在まで四人の知事に向き合ってきましたが、平成元年二月定例会の当時の山本壮一郎知事の最後のスピーチを思い出しました。知事の座は栄光の座でも権力の座でもない。大勢の人の幸せを実現するものであるということで、知事、この語録を聞いてどういう感想をお持ちでしょうか。 最後にお聞きしながら、私の質問を終わります。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 中沢幸男議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず大綱一点目、文化芸術振興と県有施設の再編等についての御質問にお答えいたします。 初めに、将来に過ちのない県政運営についてのお尋ねにお答えいたします。 私は、ことし五回目の年男を迎え、八月には六十歳の還暦を迎えることになります。その令和二年度は、東日本大震災から十年目となり、震災復興計画の最終年度として、復興の総仕上げに向けた大変重要な年になります。 改めて県民の皆様の御意見を丁寧に伺いながら、衆知を集め、宮城の総力を結集して、誰もが生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかったと思っていただけるような県政運営に努めてまいります。 次に、オリンピックを契機とした持続的な社会形成についての御質問にお答えいたします。 今回の東京二〇二〇大会では、オリンピック憲章を受けて、三つの基本コンセプトの中に多様性と調和を掲げ、世界中の人々にこの重要性が改めて認識され、共生社会を育む契機となる大会を目指すこととされております。昨今の世界情勢は不透明さの度合いを増し、対立と分断の悪循環が一層懸念されている状況下にありますが、この多様性と調和という考え方は、今後の世界の発展に欠かせないものと考えており、復興五輪としても位置づけられた今回の大会が、関係する我々一人一人にとって世界平和や持続可能な社会の形成について、改めて考えるきっかけとなることを期待しているところであります。 次に、仙台市・宮城県調整会議での意見の受けとめと、その対応についての御質問にお答えいたします。 先月開催いたしました仙台市・宮城県調整会議では、仙台市長から、県民会館や美術館が移転した場合、都心のまちづくりにも影響を及ぼす旨の意見を頂戴したところであり、これを重く受けとめているところであります。仙台医療センター跡地に文化芸術の拠点を整備することになれば、これまでのスポーツ施設、公園といった憩いの場所と相まって、仙台市の都市計画マスタープランにおける、都心地区でもある仙台駅東側における回遊性が高まり、エリア一体の魅力が向上するものと考えております。県といたしましては、今回の集約再編によって仙台市のまちづくりにも貢献できると考えておりますが、今後具体化の検討に当たっては、まちづくりとの整合性が図れるよう、仙台市と協力して進めてまいります。 次に、県民会館跡地の利活用についての御質問にお答えいたします。 現県民会館は杜の都を象徴する定禅寺通に面しており、その移転跡地の利活用については、定禅寺通エリアの活性化や魅力向上につながるよう配慮する必要があると考えております。一方、実際に現在の敷地が利用可能となるのは、新施設の建設工事や機能の移転と、その後の解体等に要する期間を考慮いたしますと、これから十年程度先のことになるということが想定されます。今後とも、地元の関係者や仙台市などの御意見をしっかりと伺い、せんだい都心再構築プロジェクトなどとの整合性を図りながら、望ましい利活用方策についての検討を進めてまいります。 次に、美術館を再編した場合の収蔵品や教育普及活動についての御質問にお答えいたします。 美術館ではこれまで東北地方ゆかりの作家による作品や、カンディンスキーに代表されるドイツ近代美術等を中心とした作品を収集するとともに、さまざまなテーマの常設展、企画展において国内外の美術作品を公開してまいりました。また、自由な芸術活動の場として創作室を設置するなど、県民の創作活動を支援してきました。 仮に美術館が移転新築となった場合でも、これまでの作品収集や取り組みの方向性を継承しながら、作品の安全な収蔵環境の整備や、大型化する作品の展示が可能なスペースの確保などにより、たくさんの方々により多くの作品に触れていただくことができるようになるものと考えております。また、教育普及活動についても、多くの人が集まる場所で子供たちの豊かな体験を創出するなど、現在の取り組みを更に発展させることができるものと考えております。 次に、宮城野原地区への県立アイススケート場の設置についての御質問にお答えいたします。 宮城県内の通年で利用できるスケート場としては、仙台市泉区のアイスリンク仙台があり、ここで育った荒川静香選手や羽生結弦選手がオリンピックで金メダルを獲得するなど、スケート競技の拠点施設となっております。また、セキスイハイムスーパーアリーナの特設会場やベルサンピアみやぎ泉では、県内におけるフィギュアスケートの公式競技大会が開催されております。県といたしましては、アイスリンク仙台が平成十八年度に再オープンした際に、県及び仙台市がそれぞれ支援したという経緯も踏まえ、県内のアイススケート競技施設が今後とも継続して運営されるよう、しっかりと応援してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、人生百年時代における長寿社会の更なる充実に向けての御質問にお答えいたします。 初めに、介護人材確保・育成に関する意気込みについてのお尋ねにお答えいたします。 深刻な介護人材不足に対応するため、来年度から新たに介護人材確保対策緊急アクションプラン事業に取り組むこととしており、介護職週休三日制の導入支援、外国人介護人材の確保、介護のイメージアップを三つの柱として各種事業を実施してまいります。 介護職週休三日制の導入支援については、充実した休暇制度の構築により、労働環境の改善と魅力ある職場づくりを促進するため、導入を希望する事業者の支援に自治体として初めて取り組みたいと思います。 外国人介護人材の確保については、来月、私みずからベトナムを訪問して、ベトナム政府との間で覚書を締結し、今後、安定的にベトナム人技能実習生を送り出していただく予定であり、県といたしましては、実習生に対し日本語学習支援や生活支援を行ってまいります。 介護のイメージアップ事業については、みやぎ絆大使であり好感度の高いサンドウィッチマンを起用し、学生やその保護者を初めとする幅広い世代に介護の魅力を発信してまいりたいと思います。 次に、高齢者が地域で自分らしい生活を安心して送れる社会の実現と長寿社会政策の更なる充実についての御質問にお答えいたします。 我が県では、地域包括ケアシステムの充実・推進を初め、介護予防や介護基盤の整備などの施策を着実に推進してまいりました。特に、喫緊の課題である介護人材の確保については、これまでも毎年度、宮城県介護職員合同入職式に私みずから出席して、介護現場を支える職員を激励してまいりました。また、毎年九月の老人週間に合わせて、百歳を超える元気な方を直接訪問し、胸に響く豊富な経験談に接しながら、住みなれた地域で自分らしく暮らし続けることの大切さを実感しているところであります。今後とも、私が先頭に立って、高齢者が地域で自分らしい生活を安心して送れる社会の実現に向け、強力に取り組んでまいります。 最後に、山本壮一郎元知事のスピーチについての御質問にお答えいたします。 山本壮一郎元知事は、昭和四十四年の当選以来、連続五期二十年の間、知事をお務めになり、全国に先駆けて、物心ともに豊かな地域づくりを目指す新しいふるさとづくりを提唱するとともに、県民総参加の県政を推進するなど、我が県や東北の発展に尽力された方であります。山本元知事のスピーチの際には、残念ながら私はその場にはおりませんでしたが、常に声なき県民の声に耳を傾け、その要望に応える理想の地域はいかにあるべきか、また、それを実現するための多様な戦略手段の整備に心を砕かれていたとのことであり、まさに地方自治、県政運営の手本になるものであると考えております。 私も知事就任以来、ふるさと宮城の将来のあるべき姿を念頭に置きながら、社会全体の利益を最優先に考えて県政運営に取り組んでまいりました。同じであります。今後も政策の判断材料となる正確な情報を広く収集するとともに、さまざまな意見にも真摯に耳を傾ける、衆知を集める県政運営を心がけてまいりたいと思います。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 公営企業管理者櫻井雅之君。    〔公営企業管理者 櫻井雅之君登壇〕 ◎公営企業管理者(櫻井雅之君) 大綱四点目、水道事業、みやぎ型管理運営方式についての御質問のうち、民間事業者の選定時期と選定後の手続についてのお尋ねにお答えいたします。 みやぎ型管理運営方式については、昨年十二月に実施方針を策定公表し、現在は外部有識者等で構成される宮城県民間資金等活用事業検討委員会、いわゆるPFI検討委員会において募集要項や優先交渉権者選定基準等について御審議をいただいており、来月中旬には事業者の募集を開始する予定としております。 参加申し込みは五月初旬まで受け付けし、応募者との競争的対話を経て、令和三年三月までにPFI検討委員会の審査により、優先交渉権者を選定する予定としております。 優先交渉権者を選定した後、県と優先交渉権者は、運営権設定までに相互に負うべき責務等について基本協定を締結することとしております。その後、令和三年の六月または九月議会において優先交渉権者が設立する特別目的会社、いわゆるSPCへの運営権設定に係る議案を提案し、議決をいただいた後は、国から水道施設運営権設定の許可を受けた上で、実施契約の締結を行い、令和四年四月から運営を開始する予定としております。 次に、民間事業者の参加条件についての御質問にお答えいたします。 上水道、下水道は県民生活に不可欠な公共インフラであり、みやぎ型管理運営方式の運営権者には、事業の確実性や継続性を強く求める必要があると認識しております。このため上水道においては、処理能力、日量二万五千立方メートル以上の浄水場を、下水道においては処理能力、日量十万立方メートル以上の処理場をそれぞれ三年以上継続して、みずから運転管理した実績を持つ企業がSPCに参画することを求める予定としているところであります。更に、事業の確実性や継続性を考慮し、応募者の代表企業の資本金は五十億円以上であること、また、応募企業は全て日本法人であることを参加条件に加えております。 次に、事業者選定の視点についての御質問にお答えいたします。 みやぎ型管理運営方式における運営権者の選定に当たっては、応募者から資金調達や運転管理等の具体的計画、浄水場・下水処理場の設備更新計画及び二十年間の運営費用等の企画提案を求めた上で、PFI検討委員会で評価していただくこととしております。 具体の評価に際しては、事業費削減額のみならず、全体の事業方針や実施体制、水質・運転管理、改築・修繕、危機管理、地域貢献等の評価項目について、事業の確実性及び継続性に関する基準に加え、新技術の導入や創意工夫等、効率的かつ効果的な運営方法の実現が期待できる提案を高く評価する基準を設定し、最もすぐれた事業者を優先交渉権者として選定していただく予定としております。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 総務部長江口哲郎君。    〔総務部長 江口哲郎君登壇〕 ◎総務部長(江口哲郎君) 大綱三点目、広域防災拠点整備についての御質問のうち、圏域防災拠点の活用等についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、大規模災害時に膨大な量の応急事務等が発生いたします被災市町村の支援要望を迅速に把握し、県内外の自治体等からの支援を円滑に受け入れられるように、昨年五月に宮城県災害時広域受援計画を策定し、受援体制を整備してまいりました。今回の台風においては、当該計画に基づき、被災市町への人的支援を実施したところであります。また、圏域防災拠点等につきましては、市町村の要請等に基づいて開設することとしており、随時対応ができるよう運営用資機材の整備や運営に当たる職員の研修等を実施しているところであります。今回の台風では、各市町村において防災拠点の確保が可能であったことから、結果として広域及び圏域防災拠点の開設は行っておりませんが、被災市町の要請に応じ、運営用資機材のうちから投光機等の資機材を応急復旧や被災者支援のために貸し出ししたところであります。 今後とも、大規模災害時には、被災市町村の状況に応じ、資機材の貸し出しも含めた圏域防災拠点等の有効活用を含め、しっかりと対応してまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。    〔震災復興・企画部長 後藤康宏君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 大綱一点目、文化芸術振興等県有施設の再編等についての御質問のうち、県有施設再編等の在り方検討懇話会における芸術文化振興の検討についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、宮城県公共施設等総合管理方針において、文化・社会教育施設については、他目的施設との合築等の方策を検討することとした考え方に基づき、県有施設再編等の在り方検討懇話会の意見等も伺いながら、検討を進めてまいりました。 懇話会では、県民会館と美術館を集約・複合化することにより、文化芸術の振興、承継の拠点として、宮城県文化芸術振興条例の理念にもかなう、県民がさまざまな文化芸術を創造、発表、享受できる機会の充実や、さまざまな分野の交流による文化芸術活動の更なる活性化が図られるといった考え方を基本方針最終案で提示し、構成員の方からも充実強化を求める意見が出されたところです。 次に、県民会館の規模と各施設の機能強化、規模の適正化の両立についての御質問にお答えいたします。 新たに整備する県民会館については、大ホールを二千席規模とするなど、現在よりも拡大する方向で検討しており、来年度予算案に計上した県有施設再編等調査費を活用して、移転・集約の場合も含めた具体的な施設規模について検討してまいりたいと考えております。また、美術館についても、リニューアル基本方針では増床する内容となっておりますが、ホールや会議室、レストランなど、県民会館と類似する機能について共有化を図ることなどにより規模の適正化を図ってまいります。その上で、国の特例的な起債制度の適用を含め、今後更に具体的な検討を行ってまいりますが、県民会館と美術館それぞれについて、これまでの検討経過と特性を踏まえ、相乗効果が得られるよう、施設の機能強化と規模の適正化の両立を目指してまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 環境生活部長大森克之君。    〔環境生活部長 大森克之君登壇〕 ◎環境生活部長(大森克之君) 大綱一点目、文化芸術振興と県有施設の再編等についての御質問のうち、県民会館の現有地での建てかえについてのお尋ねにお答えいたします。 現在の県民会館の敷地は大変狭く、県民会館の整備のあり方に関する有識者会議でも、県の文化芸術の拠点として二千席規模のホールを備えるとすれば、現地での建てかえは困難との意見をいただいております。仮に、敷地拡張に協力的な方から隣接地の一部を取得したとしても、やはり敷地の形状や面積の制約などから現地建てかえが困難な状況は変わらないと思われます。また今後、県の施設は次々と更新時期を迎えるため、施設総量の適正化や財源、公有地の有効活用といった総合的な視点が施設の建てかえ等には重要であるとも認識しております。このようなことから、県民会館については仙台医療センター跡地に移転新築する方向で検討しているところです。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、人生百年時代における長寿社会政策の更なる充実に向けての御質問のうち、主な基本課題ごとのこれまでの取り組みについてのお尋ねにお答えいたします。 地域包括ケアシステムの充実推進については、職員研修の実施や弁護士等の専門職の地域ケア会議への派遣、在宅医療と介護の連携支援などを行ってまいりました。 地域支え合いの推進については、生活支援コーディネーター研修の開催等を行い、介護予防の推進については、重度化防止等の支援として通いの場推進研修会を実施いたしました。 更に、認知症の人にやさしいまちづくりの推進については、医療従事者の認知症対応力向上研修や、認知症カフェなどの交流の場づくりなどを実施してまいりました。 介護基盤の整備については、令和二年度末までに特別養護老人ホームの総定員数を一万二千八百二十九床とすることを目標に取り組んでおり、一万二千二百十六床まで整備が進んでいるところです。 介護人材の確保、養成、定着については、人材育成が困難な小規模事業者の介護職員に対する研修の支援や、元気高齢者を活用した介護助手の導入促進のほか、外国人向けの相談窓口を設置したところです。 介護サービスの質の確保向上については、重点事項を定めて指導を行うとともに、サービス情報の公表制度等を通して、事業者による自発的な取り組みを促しているところです。 次に、来年度予算で展開予定の事業についての御質問にお答えいたします。 来年度予算で新たな取り組みを開始するものとして、地域支え合いについては、支援チームを派遣するなど伴走型で市町村を支援するほか、認知症施策については、認知症と診断されても、前向きに明るく生活している認知症当事者による相談窓口を設置いたします。 また、介護人材確保、養成、定着については、介護職週休三日制の導入支援、外国人材の確保、介護業界のイメージアップを柱とした介護人材確保対策緊急アクションプラン事業に取り組む予定としております。更に、ICTを活用した介護ソフトやAIを活用した介護ロボット等の導入のための助成制度を新設することとしております。 今申し上げました新たな取り組みに加え、地域包括ケアの充実や介護予防、介護基盤の整備などについても継続して取り組むことにより、第七期みやぎ高齢者元気プランの目標を達成してまいりたいと考えております。 次に、ボランティアの活用にどのように取り組んできたのかとの御質問にお答えいたします。 ボランティアの活用については、これまで地域包括ケアの推進に関するセミナーや、生活支援コーディネーター養成研修においてその必要性について普及啓発を図ってきたところであり、ボランティアを活用した取り組みを行っている市町村は、二十六市町村までふえてきております。具体的には介護予防ボランティア等の人材育成、ボランティア等へのポイント付与、買い物代行、ごみ出しなど、有償・無償のボランティアによる支援が実施されているところであります。 次に、ボランティア活動に対する財政支援についての御質問にお答えいたします。 御指摘のありましたボランティアを活用した取り組みについては、介護保険制度による地域支援事業として事業費を支出することが可能となっておりますので、各市町村に対して、この事業を活用した事業費の確保について助言してまいります。 次に、フレイルに対する今後の対策についての御質問にお答えいたします。 要支援の前段階とされるフレイルの状態にある高齢者については、早期に発見し適切な介入をすることにより、生活機能の維持・向上を図ることができるとされており、健康寿命の延伸及び介護予防の観点から、フレイル対策が重要であると認識しております。県といたしましては、市町村と後期高齢者広域連合が連携して行うフレイル対策事業を支援するため、来年度から市町村の保健師、管理栄養士、歯科衛生士等の専門職が、事業全体のコーディネートやデータ分析、通いの場への積極的関与が可能となるよう、アドバイザーチームを派遣して技術的支援を行うこととしております。また、健康支援を行う専門職、それぞれの経験や知識に合わせた研修を実施して、人材育成を図るとともに、専門研究機関や大学と連携し、地域の健康課題の整理分析や介護予防の取り組みの効果分析、事業評価等を実施し市町村を支援してまいります。 次に、我が県の施設内で発生した虐待の内容と防止策についての御質問にお答えいたします。 平成三十年度に県内の施設で発生した十五件の虐待事案の内容としては、身体拘束や暴力などの身体的虐待が十件、威圧的な言動などの心理的虐待が三件、身体的虐待及び心理的虐待の両方を伴うものが二件となっております。県といたしましては、県所管施設で発生した十一件のうち七件に改善勧告、一件に文書指導、三件に口頭指導を行い再発防止を図っております。また、従来より各施設管理者及び介護職員等に対し、研修などの機会を通して啓発を図っているほか、介護保険施設等の集団指導や実地指導においても虐待防止を指導の重点項目の一つとして、適切な施設運営について指導を行っております。更に、今年度から新たに市町村職員及び地域包括支援センター職員への研修を実施して、対応力の強化を図っているところであり、今後も虐待防止の取り組みを強化してまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 土木部長門脇雅之君。    〔土木部長 門脇雅之君登壇〕 ◎土木部長(門脇雅之君) 大綱三点目、広域防災拠点整備についての御質問のうち、現在の進捗状況についてのお尋ねにお答えいたします。 広域防災拠点整備事業については、これまで貨物駅移転に必要な道路管理者との協議、鉄道施設の変更認可、土地収用法に基づく事業認定及び農地転用許可などのさまざまな法手続について、移転事業者であるJR貨物が円滑に進めることができるよう積極的に支援してまいりました。現在これらの法手続はおおむね完了し、岩切地区において水路などの工事に着手しており、昨年二月にお示ししたスケジュールや事業費について変更は生じておりません。県といたしましては、我が県の防災体制の強化を図るため、引き続きJR貨物を積極的に支援し、早期に広域防災拠点の機能が発現できるよう事業を進めてまいります。 次に、地元住民の理解と貨物駅建設の進捗状況についての御質問にお答えいたします。 貨物駅移転を進めていくためには、住民の御理解と御協力が何よりも重要と認識しております。そのため県では事業者であるJR貨物とともに、移転先である岩切地区及びその周辺地区において、平成二十六年度からこれまでに延べ十九回の事業説明会や工事説明会などを実施してまいりました。今後は工事が本格化する岩切地区に加え、広域防災拠点が整備される宮城野原地区においても事業説明会を行うこととしており、住民の方々の御理解、御協力が得られるよう、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。 また、貨物駅建設工事については、水路の移設や駅構内の盛り土が行われるほか、国道四号函渠工事に着手すべく準備がなされるなど、令和四年度末の移転完了に向け、着実に事業が進捗しているところであります。 次に、広域防災拠点の一部供用を含めた完成時期の見通しについての御質問にお答えいたします。 近年、自然災害が激甚化、頻発化していることなどから、広域防災拠点の早期の機能発現が極めて重要であると認識しております。宮城野原地区における広域防災拠点の完成時期については、現在進めている詳細設計において、全体の施工スケジュールや運用・管理体制などの検討を行い、その結果を踏まえお示ししたいと考えております。 また、施設の一部を先行して整備、供用することについては、貨物駅などの既存施設への影響などを踏まえ、防災関係機関やJR貨物などの意見を伺いながら検討することとしております。 県といたしましては、さまざまな大規模災害に対し体制の強化を図るよう、広域防災拠点の早期の供用開始に向け、しっかりと取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 五十九番中沢幸男君。 ◆五十九番(中沢幸男君) これで終了します。ありがとうございました。 ○副議長(齋藤正美君) 暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩-----------------------------------    午後一時十分再開 ○副議長(齋藤正美君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十二番枡和也君。    〔十二番 枡 和也君登壇〕 ◆十二番(枡和也君) みやぎ県民の声の枡和也でございます。議長のお許しが出ましたので通告に従い一般質問いたします。 質問に入る前に、昨年十月の宮城県議会議員選挙におきまして、柴田選挙区より初当選させていただきました。初めて県政の壇上に立ち、改めて責任の重さを感じ身の引き締まる思いであります。多くの方から支えられて県政の場へとお送りいただきましたことに感謝申し上げますとともに、柴田郡四町はもとより宮城県の発展、そして県民の福祉向上のために努力してまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。 また、村井知事初め執行部の方々、初めての質問に緊張して臨みますのでよろしくお願いいたします。 それでは、質問いたします。 大綱一点目は、(仮称)新・宮城の将来ビジョン骨子についてであります。 県では、現在、宮城県地方創生総合戦略、宮城の将来ビジョン及び宮城県震災復興計画を一本化し、令和三年度をスタートとする(仮称)新・宮城の将来ビジョンの策定に取り組んでおられます。 まず、一点目ですが、策定に当たって、これまでの政策課題や地域課題への取り組みに対する分析や評価についてお伺いいたします。 二〇一四年十一月に、まち・ひと・しごと創生法が成立し、第一期の地方創生が始まり早五年が経過しようとしております。国は第一期の地方創生の成果を踏まえ、二〇一九年十二月に第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略をまとめました。その際の評価では、東京一極集中に歯どめがかからないどころか更に加速している現状にあること、また、一部の自治体を除く多くの自治体においても、いまだ地方創生の成果が見られていないことが報告されました。宮城県も市町村も国の創生戦略に呼応して、人口ビジョンと地方版総合戦略を策定し五年間取り組んできました。県はその検証結果として、基本目標一、安定した雇用を創出する、目標二、宮城県への移住・定住の流れをつくる、目標四、時代に合った地域をつくり、安全・安心な暮らしを守る。この三つの目標をおおむね順調と評価し、目標三、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるだけが、ややおくれているとしています。KPIの数値だけで現実の社会動態を評価することは困難であるとは承知しておりますが、しかし、各地方圏における若者の流出による急激な人口減少や仙台都市圏への一極集中、仙台都市圏以外の圏域での商業地や工業地などの地価の下落、経営が悪化の一途をたどる地方の自治体病院の経営問題、就学援助を申請する世帯の増加、地域コミュニティー活動や防災拠点となっている学校の統廃合などによって地域住民には不安が広がっております。こうした地方の実態を踏まえれば時代に合った地域をつくり、安全・安心な暮らしを守る第四の目標がおおむね順調とは言いがたいのではないか、また、KPIの設定自体が実態社会と乖離していると思いますが、知事の見解を伺います。 県が分析したように地方創生と連動した富県共創戦略が順調であれば、県民が豊かになった分消費が活発化し、それが県の税収にはね返り、その分生活に困っている県民生活への支援や各首長からの要望にも少しは前向きに答えられるはずです。しかし、各首長の嘆きは県にいろいろ要望しても予算がない、お金がないとして断られるというものでありました。県はもとより県民も地方自治体も富県共創戦略の恩恵にあずかることができたのでしょうか。 また、県内に時代に合った地域づくりのモデルは生まれたのでしょうか、伺います。 次に、二点目は、(仮称)新・宮城の将来ビジョンを策定するに当たっての住民参加についてでありますが、従来の総合計画策定時のように我が国の経済が右肩上がりの時代とは異なり、人口が減少する中での総合計画の策定は、これまで以上に県民を初め自治体、議会、企業、まちづくり団体、多様なまちづくりの主体による計画づくりが重要となっています。今回の策定方針の(二)番、持続可能な開発目標SDGsについての中にもあるように、SDGsを用いて将来の目指す姿を県民と共有し、県民や企業など多様な主体との連携を促進とうたっております。このように自治体のSDGsの取り組みは住民参加が基本です。しかし、残念ながら今回の将来ビジョンの策定手法には、これまでどおり職員の方々が苦労の末に美文調にまとめた骨子案をつくり、五カ所での住民説明会、ワークショップを行い、パブリックコメントを経て審議会にかけて決定するといった、これまでとは何ら変わらない策定プロセスとなっていると思われます。そのため骨子案を読むと震災復興に関する部分を除けば、どの県の名前でも通用する将来ビジョンに思えてなりません。そこには宮城県の将来像が見えてこないので、ワクワク感や期待感が湧かないのであります。私が思うには、例えば今議論になっている宿泊税、県美術館の移転問題にも同じことが言えますが、県民や団体や地域などの生の声を聞く機会が余りにも少なく、地域の将来像をみんなで考えようとする姿が見えないからだと思います。私は多くの県民などが参加した中での、現場からのボトムアップ型の策定手法をとるべきであると思いますがいかがでしょうか、知事の見解を伺います。 三点目は、将来ビジョンの基本的なつくり方についてであります。 まずは、総合計画に盛り込むべき内容は、人口減少に伴って顕在化している県内の地域課題を直視し、今後の十年間で解決すべき道筋を明らかにすることであります。一方で、県の将来像を見据えて県民や市町村に対し夢や希望を与えるといった構成になるのが普通です。私も地方議会において各首長の苦悩を見ていますが、そのときに広域的な課題である道路ネットワークの整備、地域医療や交通弱者の足の確保、イノシシ対策などに対し、公益的機能や市町村の補完的機能を有する県がもっとリーダーシップを発揮したり、市町村の財政を支援してくれたらとの思いが強くありました。地域間における経済格差、医療格差、学力格差の解消よりも、観光にウエートを置き過ぎているように思いますが、知事の見解を伺います。 ぜひ、骨子案を肉づけするに当たっては、各首長や地方議会の議長などとの意見交換する場を設け、各圏域ごとに徹底的に緊急課題を洗い出し、県と市町村が協力して広域圏ごとの地域ビジョンや戦略をまとめ、地域課題の解決に向け共同歩調をとるべきだと思います。県と市町村が一体となって地域ビジョンを策定する考えはありますか、伺います。 四点目は、今回示された骨子案の概要についてであります。 今回新しい時代の考え方として、SDGsを宮城の将来ビジョンづくりのツールとしていますが、SDGsは一般県民にはほとんど知られていないのが実情です。複雑でわかりにくいとされているSDGsを、子供からお年寄りまで理解していただけるまでには相応の時間がかかると思います。将来ビジョン策定までの間に、どのようにして県民や市町村職員にSDGsの考え方を説明し普及させ実践していくのか、その具体的方法をお示しいただき、また、小学生にもわかるように、ぜひ副読本を作成してはと思いますがどうでしょうか、伺います。 更に、持続可能な地域をつくるSDGs未来都市として、二〇一八年六月に東松島市が選定されております。琵琶湖を健全な姿で次世代に引き継ぐため、官民挙げて環境保全に取り組んできた滋賀県も二〇一九年七月に選定されました。宮城県もSDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業の指定を受け、積極的な姿勢を内外にアピールするとともに市町村に対しても、こうしたSDGsの取り組みをリードし、SDGs未来都市の指定に向けたアドバイスを行う体制を整えるべきと思いますが、知事の見解を伺います。 次に、SDGsの目標十一にあります、住み続けられるまちづくりについてです。 現在の県政でまちづくりに関する最大の課題は、仙台都市圏とほかの圏域との格差の是正ではないかと思います。歴代の知事さんは県土の均衡ある発展や広域圏活性化プロジェクトや県土軸の形成など、常に地方を意識した中で将来の県土づくりへの思いを熱く語っていたと伺っております。知事は今後の県土形成において、更に仙台都市圏への一極集中を加速させ活発化する都市圏域の拡大を通じて、宮城県を発展させていくといった都市集中型のシナリオ描こうとするのでしょうか。私は各圏域の地方都市に都市機能を構築し、多極分散型の県土形成を目指しシナリオを描くべきと思います。今後の県土づくりの理念や方向性、そのための具体的な戦略、戦術を将来ビジョンの中で、ぜひお示しいただきたく、知事の見解を伺います。 五点目は、仙南地域が抱える課題について何点かお伺いいたします。 私の住んでいる仙南地域においても各市町が積極的に地方創生関連の交付金を活用し、主に観光交流をメーンに地方創生事業を展開しています。その結果、大幅なインバウンド客の増加につながりましたが残念ながら経済効果は限定的であり、この五年間のうちにある程度名前が知れた温泉宿が営業をやめたり、売り上げが落ち込むなどしております。県は観光プロモーションやおもてなし作戦、新たにオルレ四コースの整備など次々に観光戦略を打ち出していますが、その結果、にぎわいを取り戻し以前にも増して人気が出て売り上げが好調な観光地や観光スポットがあるのか。 また、活況を呈している要因をどのように分析しているのか。 更に、県の観光キャンペーンによって、地域経済に影響を与えたインバウンドによる経済効果は各圏域ごとにどの程度なのか、伺います。 観光戦略として観光地の魅力を知ってもらうための情報発信や、インバウンド客の増加を図るプロモーション活動は大変大事ですが、私はそれ以上に早急に手をつけなければならないのが老朽化した各旅館やホテルの改装や改善、温泉地などの観光地のリニューアル化による魅力の向上ではないかと思いますが、整備するための支援及び対策を考えているのか。 また、令和二年度小規模宿泊施設普及拡大費がこれに当たるのか、伺います。 次に、仙南地域の観光地をシームレスな形で効率的、効果的に巡っていただくためには交通アクセスが鍵を握ります。 仙南地域にはせっかく仙台国際空港があるのに、そこからの二次交通が十分に整備されていないと感じます。今後仙台国際空港からの各圏域の観光地へのバス、タクシー、そしてレンタカーなどによる二次交通の整備方針を、どのような形で将来ビジョンに盛り込む考えなのか、伺います。 更に、道路の整備につきましては主要地方道岩沼蔵王線、志賀姥ケ懐トンネルが開通し、沿岸部と内陸を結ぶ東西交通軸が形成されました。仙南地域の産業の活性化や観光面では仙台国際空港と蔵王圏域観光のアクセスは大幅に改善され、また、広域的な救急医療活動にも大きく寄与することになりました。今後地域住民が期待しているのが、この岩沼蔵王線と一体をなす村田中心市街地北部を通過する都市計画道路小池石生線を、外環道路バイパスとして整備することであります。また、宮城県と仙台市で整備を進める国道二八六号ですが、おかげさまで支倉道路改良事業もスタートしました。更に平成二十一年度から事業を開始したものの、今なお載荷盛土のままの状況である一般県道、大河原蔵王線、新寺道路改良事業、この三事業について完成時期がいつになるのか、ぜひ将来ビジョンを具体的にする実施計画書に完成時期を明記していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 最後に、将来ビジョンの実効性についてであります。 今回の骨子案では、宮城の未来をつくる四つの柱と十八の取り組みが示されております。しかし、四つの柱はどの県でも共通の課題となっているものばかりであり、更に全国で既に取り組まれた政策や事業が全て網羅され羅列されております。これでは限られた財源が満遍なく配分されることになり、宮城らしい将来ビジョンにはなり得ないと思います。今回の将来ビジョンには、例えば今後十年間に地域間の医療格差の問題を必ず解決するとか、環境分野では他県の追随を許さない先進自治体になっているとか、まずは十年後の姿を思い描きバックキャスティング、いわば未来からの発想によって目標の優先順位を決め事業の選択と集中投資を行い、めり張りのきいた将来ビジョンにすべきではないかと思いますが、知事の見解を伺います。 実効性の担保に当たっては、少子高齢化の振興による厳しい財政見通しや不透明な景気動向を見据えた上で、宮城県の将来を切り開く確かな政策論議を通して計画事業の精査と選択を行う必要があります。どのような財政フレームと連動させ将来ビジョンの実現を図っていくのか、十年間の財政シミュレーションを策定する必要があると思いますが、知事の見解を伺います。 昨今は総合計画の策定義務が廃止されたことから、総合計画不要論が出され策定する意義や必要性に疑問が投げかけられております。しかし、我が宮城県においては地方においてさまざまな課題を抱えており、この課題に対し県が将来ビジョンをつくり、その解決に向け戦略を立てて向き合うことは大変有意義です。多大な労力と時間を費やして策定される将来ビジョンですので、決して夢を描くだけに終わってはなりません。ぜひ実効性のある将来ビジョンとして策定し、十年後の宮城県が希望に満ちた輝かしい未来となるように期待したいと思います。 次に、大綱二点目、仙南の地域医療についてであります。 仙南地域を初め各圏域における最大の懸念事項は、二〇一九年九月に国が突然示した公立・公的病院の再編統合問題です。民間の病院が少なくなっている地方において、公立病院の再編統合問題は地域そのものの死活問題です。県は四つの医療圏域で地域医療構想調整会議をスタートさせました。しかし、各圏域では人口の急激な減少や患者の高齢化、また産科医や看護師不足が深刻化しており、もはや市町村の財政だけでは地方の公立病院を支えることは困難な状況となっております。これまで県は地域医療構想はまとめはするが、その構想の実効性を担保するための主体的な行動も市町村への財政支援も十分行ってきたとは言えず、期待外れのものとなっております。先月三十一日に地域の病院機能の再編統合を国が財政面などから投資する「重点支援区域」に、仙南及び石巻、登米、気仙沼など二区域が選定されました。仙南区域では県と東北大が昨年から公立刈田綜合病院と、みやぎ県南中核病院の機能分化に向けた議論を始めているとの報道がありましたが、県は今後の調整の中でどのような役割を担っていくのか、そして「重点支援区域」に指定されることにより財政面の支援、技術的な支援とありますが、具体的な支援内容がわかればお示しいただくとともに、そのほかに今後の二つの病院においてどういったメリットがあり、また、どういったデメリットがあるのか伺います。 二つの病院の機能分化については県のリーダーシップを持って進めていただきたいが、しかし一方では、機能分化で本当に病院の経営は改善されるのか心配な面もあります。 また、累積赤字を抱える二つの病院の経営統合まで踏み込むとなると、県の経営参加がなければ実現は難しいと思います。県は二つの病院の経営統合まで見据えた今回の「重点支援区域」と考えているのか、その見通しについて伺います。 また、慢性的な看護師不足により、みやぎ県南中核病院では一病棟四十七床が平成二十九年五月から休床して二年九カ月になります。看護師不足はどの医療圏でも抱えている問題であります。みやぎ県南中核病院では奨学金制度を活用し看護師確保の努力をしており、その成果は徐々にあらわれているようですが、それでも昨年の十一月に開かれた仙南地区の地域医療構想調整会議の中で、一病棟を休止している状態だが二〇二五年までには全病棟稼働したいというように、今後五年かかるということであります。 また、地域の小さな病院でも看護師募集の張り紙がされている光景などを目にします。こういった慢性的な看護師不足をどう考えているのか。 また、県内の看護師など学校養成所の卒業生から県内の病院などへ就職する割合は、約五五%と低くなっていると聞いております。看護師不足の解決策、また卒業生の県内定着率を向上させる具体的な考えを伺います。 次に、昨年十二月二十四日に仙南二市七町の首長と、みやぎ県南中核病院企業団下瀬川企業長が村井知事のところを訪問し、みやぎ県南中核病院における分娩中止の回避、周産期医療の安定的な供給体制の確立に対する支援など二件の要望書を提出いたしました。当病院は二〇一六年以降仙南医療圏で分娩を担当できる唯一の公立病院として、年間分娩取り扱い数も三百件を超えております。仙南医療圏における年間分娩取り扱い件数九百七十件のうち三割強を担っております。安定した周産期医療を提供する公立病院として、同医療圏三つの産科医院とともにお産ができる地域づくりの中心的役割を果たしてきました。ところが昨今、退職を希望されていた産婦人科医師の後任の医師補充が、東北大学病院産婦人科医局の都合により急遽不可能となったため、改めて医局からは六月からの分娩数の制限、十月からは分娩中止の指示が出されたため、地域住民や地域社会に与える影響は極めて甚大なものとなっております。そのため、ことし十月以降は仙台・岩沼両市の六病院に紹介する、産科セミオープンシステムで対応するとの方針が示されました。しかし、年間三百件を超える分娩取り扱い件数であることを踏まえれば、仙台市まで通うことになる妊婦さんのことを思うと早急な対応が必要と考えます。村井知事は「非常に危機的な状況と認識している。ドクターバンク制度などを活用していきたい。」とのことでしたが、知事の医療関係者への積極的な働きかけと指導力でもう少し早い対応ができないか、伺います。 平成二十九年の予算特別委員会でも議論されていますが、みやぎ県南中核病院は一市三町、角田市、大河原町、柴田町、村田町で構成され、それぞれの自治体で運営しているのは御存じかと思います。病院の先生方の努力で平成二十六年七月には地域救命救急センター、平成二十八年四月には地域がん診療連携拠点病院の指定を受けるなど、質の高い医療が提供できるようになってきた時期から一市三町以外の患者がふえ、その割合は外来患者、入院患者それぞれ三四%、三九%と高いものになっております。平成二十九年三月に策定された、みやぎ県南中核病院改革プランの中でも今後みやぎ県南中核病院の役割を考えた場合この比率はふえる。その対策として公立病院の再編・ネットワーク化事業の一環として、めり張りのきいた機能分担、集約化を推進する方法が考えられるとの記載があります。このことについては「重点支援区域」に選定されたこともあり進んでいくと思われますが、しかし一方で、私も大河原町議のときに病院議会で受益者負担といいますか病院運営も財政的に厳しいものですから、御利用いただいている一市三町以外の市町より運営費を御負担していただく、ルールづくりをすべきであると提案させていただいた経緯もあります。もう一市三町の負担だけでみやぎ県南中核病院を支えていくのは困難な状況であります。この件について該当する市町に県のほうからの働きかけができないものか、更に救急医療の採算性については、県も更なる行政負担を行うルールづくりを決めるなどし、持続的に各二次医療圏で質の高い高度医療が受けられるようにすべきと思うが、知事の見解を伺います。 同じ県民なのに住んでいる地域や場所によって子供が産めなかったり、医療機関へのアクセスが大きく異なっては、SDGsの目標三「すべての人に健康と福祉を」のゴールは達成できないと思います。 以上、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 枡和也議員の一般質問にお答えいたします。 大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、(仮称)新・宮城の将来ビジョン骨子についての御質問にお答えいたします。 初めに、これまでの取り組みに対する分析や評価についてのお尋ねにお答えいたします。 県では次期総合計画の検討に当たり、現行の宮城の将来ビジョンと宮城県震災復興計画について、これまでの取り組みの検証を行っております。宮城の将来ビジョンでは、ものづくり産業の強化や防災面等の取り組みを中心に、おおむね順調に推移してきたと考えておりますが、一方で子育て支援や教育分野などのように、更に取り組みの強化が必要な課題があると認識しております。 また、宮城県震災復興計画については、ハード面などおおむね順調に推移してきたと考えておりますが、心のケアや地域コミュニティーの再構築などのソフト面では、息の長い支援が必要なものが数多く残されているものと考えております。 次に、富県共創戦略の恩恵と時代に合った地域づくりのモデルについての御質問にお答えいたします。 宮城の将来ビジョン策定からこれまで、企業誘致による産業集積や民間の活力を生かした地域産業の振興を図ることにより、県内総生産の増加や県民所得の向上、雇用機会の創出などの成果が出てきております。この間、県内各市町村においても富県戦略の成果を生かした生活や産業を支えるインフラ等の整備を基礎に、にぎわいや交流の拠点整備や古民家等を活用した商店街再生など、地方創生の取り組みを通じた地域の活性化も実を結んできているところであります。県といたしましては、今後とも各市町村と十分に連携し、すぐれた取り組みを県内各地域で横展開していくこともあわせて、時代に合った地域づくりをしっかりと進めてまいります。 次に、県と市町村が一体となった地域ビジョンの策定についての御質問にお答えいたします。 次期総合計画においては、現行の将来ビジョンと同様に広域圏ごとの地域ビジョンの策定は想定しておりませんが、さまざまな機会を通じて市町村からの御意見を伺うように努めているところであります。例えば、県総合計画審議会では宮城県市長会と町村会の会長から委員として、さまざまな御提言をいただいており、また市長会の研修会に職員が直接赴いて骨子案を説明したほか、県内五カ所で開催したタウンミーティングにも多くの市町村職員に参加いただいたところであります。こうした中で人口減少、少子高齢化の進展や、地域の持続可能性に対する強い危機意識等の御意見をいただいたことなども踏まえ、今後とも市町村それぞれの課題や広域的課題について共通認識を持ち、対話を積み重ねながら計画を策定してまいります。 次に、SDGsの普及についての御質問にお答えいたします。 SDGsの認知度は全国的にもいまだ低い状況にあるとされており、国においては国民的な運動として取り組むべく、さまざまな関係者が連携しながら広報・啓発活動を展開しているところであります。県においても昨年四月に私を本部長とする宮城県SDGs推進本部を設置し、SDGsの目標達成に向けた取り組みを開始したところであり、昨年発行した県政だよりにおいて特集記事を掲載したほか、関係部局が県民や事業者向けのセミナーを開催するなど普及啓発に取り組んでおります。今後とも次期総合計画の中間案策定に当たっては、SDGsに対する県民の理解がより一層進むよう、更なる普及啓発に向けた取り組みを継続してまいります。 また、学校においては令和二年度からの新しい学習指導要領に基づき、小学校教科書にSDGsに関連した記述が盛り込まれており、国などから配布・提供されている教材も有効に活用しながら、学校教育におけるSDGsの普及に努めてまいります。 次に、多極分散型の県土形成についての御質問にお答えいたします。 県では、これまでも各圏域の中核的都市が近隣市町村と連携しネットワーク化をすることによって、活力ある社会経済を維持するための拠点化を支援してまいりました。 また、人口減少が進展する中で我が県全体の持続可能性を高めていくためには、仙台都市圏が有する都市機能を県内の各地域で活用しながら、仙台都市圏以外の市町村が持つ固有の資源や機能を充実強化させることで、相互に特徴のある発展を果たしていくことが重要であると考えております。現在策定を進めております次期総合計画においては、仙台都市圏とそれ以外の圏域の人口動態なども見きわめながら、かかわりを深め合うことができるような県土づくりについて検討を進めてまいります。 次に、老朽化した旅館等の改装や観光地のリニューアルについての御質問にお答えいたします。 県では震災後、被災地に限定して観光客の回復などを図るため、復興基金を活用した沿岸部交流人口拡大モデル施設整備事業を実施しております。本事業は宿泊施設や観光集客施設の新設や改修などにかかる費用を補助するもので、これまで被災した亘理町の「わたり温泉鳥の海」の改修や、東松島市における旧小学校建物を利活用した「キボッチャ」の整備など、十七の施設を支援してまいりました。県といたしましては、今後宿泊税の導入が認められれば、宿泊施設や温泉街の町並み再生などハード面への支援も検討してまいりたいと考えております。なお、小規模宿泊施設普及拡大事業は民泊施設等を対象としたものであり、浴室やトイレなど民泊に必要な施設の整備に対する補助のほか、開業手続や運営を支援するためのものとなっております。 次に、めり張りのある将来ビジョンにすべきとの御質問にお答えいたします。 県の総合計画は県政運営の指針という位置づけとして、それぞれの地域に共通の課題、あるいは固有の課題に網羅的にしっかりと対応していくべきであると考えております。一方、社会経済情勢が大きく変化する中、将来を見据えながら政策を形成し限られた財源のもとで政策の優先度を考慮していくことは、今後更に重要になるものと考えております。県といたしましては、次期総合計画の骨子案に掲げた四つの政策推進の基本方向や、その実現に向けた十八の取り組みについて、今後見込まれる社会経済の変化と県の現状や課題を整理した上で肉づけし、十年後に目指す宮城の姿とそのために必要となる取り組みの方向性を、今後具体的に提示してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、仙南の地域医療についての御質問のうち、公立刈田綜合病院とみやぎ県南中核病院の機能分化に係る県の役割と「重点支援区域」の指定による支援内容や二病院のメリット・デメリットについてのお尋ねにお答えいたします。 地域医療構想の実現に向けては地域での連携が不可欠であることから、必要とされる広域的な調整などが県の役割であると認識しております。このため東北大学と県では、両病院の更なる機能分化、連携を進めるプランを提案し、地域の医療関係者との協議を進めているところであります。連携実現のため病院の施設改修などの若干のコストは生じますが、「重点支援区域」指定による具体的な支援策として、今後示されることになります財政的支援のほか、経営環境に関するデータ分析や国による積極的な助言などが挙げられておりますので、客観的な観点に基づいて住民の理解のもとに連携強化が加速化していくものと考えております。 私から以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 総務部長江口哲郎君。    〔総務部長 江口哲郎君登壇〕 ◎総務部長(江口哲郎君) 大綱一点目、(仮称)新・宮城の将来ビジョン骨子についての御質問のうち、十年間の財政シミュレーション策定についてのお尋ねにお答えいたします。 新たな将来ビジョンの策定に当たり、事業の精査と選択を行うことは議員のおっしゃるとおりです。一方、十年先までの財政シミュレーションとなりますと、先の年度になるほど精度が粗くなりますので、我が県では中期的な財政見通しとして毎年度の当初予算をベースにした、その後四年間の機械的な試算を公表しており、東北他県を見ましても試算している期間はおおむね同様となっております。したがいまして、五年目以降につきましては直近の中期的な財政見通しに基づき、歳入歳出とも四年目の見込み額がその後もほぼ同額で推移するものと見込んでおります。現時点では、このような見通しのもと各年度の収支バランスを適切に保ちながら、次期将来ビジョンの推進に必要な事業に対して十分な予算配分が可能となるよう、めり張りのきいた予算編成に努めてまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。    〔震災復興・企画部長 後藤康宏君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 大綱一点目、(仮称)新・宮城の将来ビジョン骨子についての御質問のうち、地方創生総合戦略の進捗についてのお尋ねにお答えいたします。 宮城県地方創生総合戦略の基本目標四「時代に合った地域をつくり、安全・安心な暮らしを守る」に掲げた数値目標やKPIの達成状況を検証したところ、例えば防災リーダーの養成者数や道路、河川等のアドプトプログラム認定団体数など八項目中五項目が目標を上回り、その他の項目も約九割の達成率となっております。こうした数値上の実績のほか各施策の取り組み状況など、さまざまな観点から総合的に評価した結果おおむね順調に推移していると判断したものであります。 次に、KPIの設定についての御質問にお答えいたします。 地方創生総合戦略に基づく取り組みを推進していくに当たっては、その達成状況を評価する指標を設定し、PDCAサイクルに基づいた施策の推進が重要であることから、戦略の四つの基本目標ごとにKPIを設定しているところであります。現在設定しているKPIについては、課題解決のために適切なものと認識しておりますが、施策の効果をより的確に把握するためには、指標設定の妥当性等を継続して検証することも重要であると考えております。このため来年度策定する次期総合計画では、SDGsに掲げるゴールやターゲット等との整合性も含め、より客観的な評価が可能となる指標の設定に努めてまいります。 次に、計画策定におけるボトムアップ型の策定手法についての御質問にお答えいたします。 県では昨年十二月に公表した次期総合計画の骨子案をもとに、さまざまな機会を通じて県民の皆様から貴重な御意見をいただけるよう取り組んでまいりました。県内五カ所で開催した十年後の宮城を考えるタウンミーティングにおいては、県民の生の声を伺うため、地域の課題や将来の宮城の姿について参加者同士が意見交換を行うワークショップ方式を導入し、数多くの御意見や御提案をいただきました。 また、将来の宮城を担う若者の意見を計画に取り入れるため、若者を対象とした若者ウエブアンケートを新たに実施しており、現時点で一千件を超える回答が寄せられております。引き続き県民の参画を図り、さまざまな意見を取り入れながら計画の策定に向けて取り組んでまいります。 次に、地域間格差などの課題解決よりも観光に重点を置き過ぎているとの御質問にお答えいたします。 今後人口減少が更に進展すると想定されることから、観光による交流人口の拡大は地域の持続的な発展につながる重要な取り組みの一つであると考えております。一方で地域経済の活性化や安心できる医療体制の構築など、地域が抱える共通課題にしっかりと向き合い、それぞれの地域の特質や資源を十分に生かした課題解決を行うため、市町村と連携した取り組みも重要と認識しております。今後とも市町村の状況に応じた支援など市町村とのパートナーシップのあり方について検討を深め、広域的な課題等に対し県の役割を適切に果たしてまいります。 次に、SDGs未来都市についての御質問にお答えいたします。 現在SDGsの視点を取り入れた次期総合計画の検討を進めていることから、まずはしっかりと計画の策定を推進することとし、SDGs未来都市の指定については、その具体化を図る段階で検討してまいりたいと考えております。 また、県内市町村におけるSDGsの取り組みについては、県内では唯一、東松島市がSDGs未来都市に選定されており、先進的モデルの構築に取り組んでいる一方で、他の市町村の取り組み状況には差が生じている状況にあります。このため県では、ことし一月に県内市町村職員向けに研修会を開催し、東松島市や民間から講師を招きSDGsの先進的な取り組みを学ぶ機会を設けたところであります。今後、県内市町村がSDGs未来都市を目指す場合には、引き続き丁寧に対応してまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、仙南の地域医療についての御質問のうち、県の経営参加も含め、二病院の経営統合までを見据えているのかとのお尋ねにお答えいたします。 「重点支援区域」の指定も生かし両病院の連携を徹底していくことが必要と考えておりますが、更に経営統合が実現されれば医療従事者の柔軟な配置や事務の効率化、医薬品の調達などの面で利点があるものと考えております。今回の連携の検討の中で経営統合を求める意見があることも承知しておりますが、設置主体である市町の意向もあることから今後の課題と捉えております。 次に、看護師不足の解決策と卒業生の県内定着率向上に向けた具体的な考えについての御質問にお答えいたします。 我が県における医療現場の看護師不足は年々深刻化しており、中でも仙南医療圏は顕著で地域偏在の解消や県内定着の促進が喫緊の課題であると認識しております。県では看護師不足の解消に向け、これまでの県内就業の促進、離職防止、復職支援を三本柱としたさまざまな対策に加え、今後は地域偏在の解消も含めて積極的に取り組むこととしており、昨年九月定例県議会では仙南地域を含む特定の地域に手厚い修学資金制度を新設し、本議会においては従前から実施している看護学生修学資金貸付条例について、所要の改正を提案しているところであります。 また、県内就業促進に向けては、看護師等養成機関連絡会議を設置し養成機関の協力を得ながら、看護学生に対しナースセンターへの早期登録を呼びかけるなどの新たな取り組みを行っております。県といたしましては、今後とも医師会、看護協会、養成校などの関係機関と連携を密にしながら、看護師確保対策にしっかりと取り組んでまいります。 次に、みやぎ県南中核病院の分娩休止への対応についての御質問にお答えいたします。 昨年十二月の仙南二市七町からの要望を踏まえ、県では東北大学医学部に対して産科医師の配置を強く働きかけたところです。県といたしましては、産科医師が数多く集まる学会にブースを出展しドクターバンク応募医師の勧誘を行うとともに、県外から転入する産科医師に交付する奨励金の大幅な拡充や、東北医科薬科大学の宮城県枠に係る特定診療科の指定など、できる限りの対応をしてまいります。 次に、みやぎ県南中核病院への負担金と救急医療体制についての御質問にお答えいたします。 公立病院は関係する市町村によって設置され、それぞれの方針に基づいて運営されていることから、患者の動向により構成市町村以外にも負担金を求めることについては、まずは設置者の判断によるものと考えております。 また、救急医療については、三次救急に対する県独自の支援としての救命救急センター運営費補助に加え、二次救急の役割に対する支援として、救急患者退院コーディネーターの配置に対する助成を行っているところです。今後とも、みやぎ県南中核病院が地域において果たしている救急医療体制の役割に応じ、適切な支援を行ってまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 経済商工観光部長鈴木秀人君。    〔経済商工観光部長 鈴木秀人君登壇〕 ◎経済商工観光部長(鈴木秀人君) 大綱一点目、(仮称)新・宮城の将来ビジョン骨子についての御質問のうち、にぎわいを取り戻している観光地等の有無とその要因についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、第四期みやぎ観光戦略プランにおいて、令和二年度までに観光客入り込み数を七千万人とする目標を掲げており、魅力ある観光資源の発掘や磨き上げ、情報発信に努めているところです。これまで実施してきた観光キャンペーンでは、スタンプラリーを活用した県内周遊施策、パンフレットや動画を通じた観光PRなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。その結果、県南部においては大河原町、柴田町の一目千本桜、白石市の宮城蔵王キツネ村、角田市のスペースタワー・コスモハウス、村田町の道の駅村田、蔵王の御釜などの各観光施設が多くの観光客でにぎわっており、施設の売り上げも好調に推移していると伺っております。要因といたしましては、若い女性や家族連れなどにターゲットを絞った宣伝の展開により、従来の客層に加えて新たな観光客の掘り起こしにつながったことで、更なる誘客が図られたものと分析しております。県といたしましては、プランの目標達成に向け今後も市町村や観光事業者等と一体となって、さまざまな観光施策に取り組み、県内各地でのにぎわいを創出してまいりたいと考えております。 次に、各圏域のインバウンドの経済効果についての御質問にお答えいたします。 観光産業は裾野の広い産業であり、特にインバウンドは消費単価が高いことから地域経済の発展に寄与するものと認識しております。県はこれまで各圏域に有する魅力的な観光資源の発掘や磨き上げを行ってきたほか、台湾、中国、香港、韓国、タイなどのアジアに向けてはスキー体験、サッカー交流などの旅行商品の造成、販売に取り組むとともに欧米豪に向けては宮城の認知度向上を目的として、ターゲットを絞ったデジタル技術の活用による情報発信を実施してまいりました。各圏域の経済効果につきましては、圏域ごとの宿泊者数などのデータがそろっていないため測定することは困難ですが、平成三十年観光統計概要によりますと、県全体の観光消費額三千八百七十九億円のうちインバウンドに関しては百九十九億円であり、県全体の約五・一%を占めております。昨年の県内外国人延べ宿泊者数は、初めて五十万人泊の大台を突破する見込みとなっておりますが、その滞在先は仙台エリアに集中しており、外国人観光客を県内各圏域に周遊させることが重要だと考えております。県といたしましては、インバウンド誘客の効果を県全体で実感できるよう県内市町村及び観光事業者等と連携し、更なる誘客に向けた取り組みを積極的に展開してまいります。 次に、次期将来ビジョンにおける仙台空港からの二次交通の整備方針についての御質問にお答えいたします。 東北広域観光の拠点である仙台空港における二次交通の充実は、観光客の東北周遊を促進する上で重要であると考えております。現在仙台空港からの二次交通としては仙台空港アクセス鉄道のほか、県内外を行き先とした直行バスが六路線運行されており、また空港と仙台市中心部エリアの間を低額で送迎するタクシーサービスなども提供されております。県ではこれまで空港からの二次交通の利用を促進するため、関係事業者と連携して旅行サイトへの掲載や外国人旅行関係者を招請したPR活動、滞在体験型旅行商品の造成、販売などを行ってまいりました。二次交通の整備方針については各事業者の判断となりますが、県といたしましては、現在進めている新しい将来ビジョンの策定作業において、仙台空港を拠点とした広域観光に向けた取り組みの中で、二次交通に係る施策の充実について検討してまいります。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 土木部長門脇雅之君。    〔土木部長 門脇雅之君登壇〕 ◎土木部長(門脇雅之君) 大綱一点目、(仮称)新・宮城の将来ビジョン骨子についての御質問のうち、小池石生線など三路線の完成時期等についてのお尋ねにお答えいたします。 県道岩沼蔵王線の都市計画道路小池石生線など三路線は、県南地域の地域間交流の促進や産業・観光振興に寄与するとともに、災害時にも有効に機能する防災道路ネットワークの構築を図る上でも重要な路線であると認識しております。これらの路線で着手している事業については、現在用地買収や拡幅工事など鋭意進めているところですが、用地交渉や今後の予算の見通し、更には住宅地や急峻な地形での施工方法の選定など、事業を進める上での課題があるものと考えております。このため現時点では完成時期をお示しすることは難しいと考えておりますが、県では現在、令和三年度以降の十年間の道路整備プログラムである新みやぎの道づくり計画を策定しているところであり、この中でより具体的な工程計画の検討を進めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) 答弁ありがとうございます。 ボトムアップ型の策定手法をとるべきではないかというような質問に対して、いろいろタウンミーティング等々をやられているということでありますが、例えば県が示した事業に対して、いろんな意見をもらうというような手法をやっていると思うんですけれども、この間たまたま三鷹市の市民参加の手法ということが本を見ていたらあったんですけれども、宮城県は広いので、例えば今の七つの圏域ごとに全員公募の県民が参加するような県民会議などを立ち上げて、その会議から出た提言をビジョンに反映させたり基本計画に反映させたりして、従前どおり行政側が策定したものに意見を出せるんではなくて、住民たちが出した意見を基本計画に反映させるというような逆のプロセスというか、そういった手法をとってはいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 地域で行いましたタウンミーティングにおきましても、第一部としては総合計画の骨子案の御説明を申し上げましたが、第二部のタウンミーティングにおきましては、一つ、地域産業の発展や雇用の創出、二つ、子育て支援や教育の充実、三、安心して生き生きと暮らせる地域社会の形成、四、自然と調和した強靭な県土づくり、そういったテーマだけを設定して、興味のあるテーマのところに参加者に集まっていただいて、その中でフリーディスカッションから住民の方々の考える課題とか解決方策を示していただいて、それを我々が拾い上げさせていただくという手法をとりましたので、正式な会議体ではございませんが、今、枡議員がおっしゃったような住民発案型の課題設定をさせていただいたところでございます。 ○副議長(齋藤正美君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) 今後そういったものは回数を重ねて開催されるんですか。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) タウンミーティングにつきましては、今回五地域で行ったもので一応終了と考えております。これを政策、施策、事業レベルのほうに置きかえていきまして、今後の策定に役立てていきたいと思っております。圏域ごとというお話ですが、例えば栗原であるとか登米であるとかっていうところは一圏域一市になってございまして、その圏域によっていろいろ事情がございますので市町村の方々と意見交換しながら、圏域としてのあり方なり意見の生かし方というのは、今後市町村と意見交換しながら進めていきたいと思います。 ○副議長(齋藤正美君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) ぜひ、圏域ごとに課題は違うと思いますので、そういった方向性で進めていただければと思います。 看護師不足に対してなんですけれども、先ほど九月に修学資金貸付制度ができたということで、条例が制定されたということで、平成三十一年四月一日より適用したということですが、これまでの実績を伺います。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 先ほど申しました仙南地域を含む特定地域の制度は、令和二年度から適用するものでございまして新規事業ということになります。 ○副議長(齋藤正美君) 十二番枡和也。 ◆十二番(枡和也君) 済みませんでした。 例えば貸付金額が月額五万円ということなんですけども、県内の奨学金制度を有する医療施設などでは、月額五万円以上となっているのがほとんどなんですけれども、そのように差別化が図られない状況では利用する学生は少なく、先ほど言った特定地域に対する対策とならないんではないのかなと思うんです。ですから中核病院も最初五万円で奨学金をスタートさせたんですけれども、それで応募者がいなかったので八万円に上げたら応募者が出たということなんですが、差をつけて金額を今後ふやしていく考えはないのか伺います。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 県では従来から看護学生の修学資金貸付制度を持っておりまして、これに加えて特定地域に新たに手厚い制度をつくったと申し上げました。県の財政問題もある中で、今回仙南地域を含む特定の地域に手厚い貸し付けの制度を設けたところでありますけれども、今後につきましては、修学資金以外のさまざまな看護師確保対策の全体の推移を見ながら検討してまいりたいと考えております。 ○副議長(齋藤正美君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) ぜひ、やっていただいて利用者がいなかったら、その辺を検討していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 看護師の確保に関するさまざまな取り組みを推進する中で、看護協会、それから公立病院を中心とした現場の意見をよく聞きながら検討してまいりたいと考えております。 ○副議長(齋藤正美君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) 時間がないんですけれども、一つだけ……。 ○副議長(齋藤正美君) 時間です。八番わたなべ拓君。    〔八番 わたなべ拓君登壇〕 ◆八番(わたなべ拓君) 自由民主党・県民会議のわたなべ拓でございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、大綱三点につき一般質問を実施いたします。 かしこくも天皇陛下におかせられましては、二月二十三日に六十歳のお誕生日をお迎えになられました。一国民として謹んで御慶祝申し上げます。 さて、二月二十二日は竹島の日でした。韓国による不法占拠から六十八年の歳月がたちました。郷土の先人、大槻文彦先生は早くも明治十一年、一八七八年の時点で「竹島松島の記事」を著し、竹島の危うさを指摘することで世論の喚起を試みました。竹島は我が国固有の領土であります。領土問題には格別の御造詣をお持ちの知事には本県教育におきましても、ぜひとも領土教育に御注力いただきたくお願いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染により亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、感染された方々、不安と混乱の中におられる方々に心よりお見舞い申し上げます。 あわせて、新型コロナウイルスの蔓延するクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスの船内で三千七百人もの乗客の検疫業務に当たられた政府職員、DMATなど医療関係者、自衛隊の皆様の献身的な努力に心から敬意を表します。 当局には政府の新型コロナウイルス感染症対策の基本方針に基づき、新型ウイルス流行の規模を抑え重傷者発生を最小限にとどめるための危機管理について、主導的役割を果たしていただけますよう議会人としても超党派で協力してまいりましょう。 さて、さきの自由民主党・県民会議、高橋伸二議員による代表質問に際して、知事は修学旅行や部活動など十八歳以下の児童生徒が学校活動で利用する宿泊を、宿泊税の課税対象から除くべきとの提案を全面的に受け入れ課税免除を言明されました。修学旅行などの課税免除について唯一の先行例である京都市より更に広範に、クラブ活動や体育のスキー合宿なども免除の対象に含めるなど先進的な内容であります。スポーツ少年団の活動を更に免除対象に含めるのかは今後の課題であるとしても、これで本県が注力する教育旅行への冷や水とならずに済みそうです。知事の英断に心から敬意を表します。 知事がおっしゃるように人口減少の進行による県内経済縮小を補うべく、成長産業である観光に活路を見出すため東北観光復興対策交付金や復興関係基金など、震災対応予算にかわる財源を確保する必要性は誰しも理解するところです。知事の中長期を見据えた将来世代に対する強烈な責任感には心から敬服するものであります。知事は立派な政治家であります。 問題は、まずもって税額であります。 宿泊税の先行例を見ると東京都、大阪府、京都市、金沢市と一流の観光先進地であり、この四月から宿泊税を導入する福岡県と福岡市、北九州市にしても同様であります。先行自治体は観光地としての圧倒的な実力を背景に宿泊税を導入したものであり、観光地としては、まだまだこれからの本県が、ボリューム層となる二万円以下の宿泊価格帯では全国最高額となる三百円の宿泊税を課すのは、いかなる見立てによるのでしょうか。いささか強気に過ぎると考えますが、いかがでしょうか。 三百円の算定根拠は所要の観光事業規模を三十二億円ほどとして、本県の一年分の宿泊者数一千万人泊かける三百円で財源を捻出するとの概算にあるようですが、そもそもの事業規模は適正なのでしょうか。 ちなみに、大阪府は人口が宮城県の四倍で、宿泊者数は年間三千五百万人泊と東北六県とほぼ同じで、本県の三・五倍の規模であります。ところが、世界的観光地である大阪府の観光客受け入れ環境整備事業費は、年間十六億円と本県予算のほぼ半分であります。本県の施策の内容を見るとアイドルや漫画、アニメを前面に押し出したPRとなっていますが、本県の観光の現実に即した施策なのでしょうか。 また、その狙いは十分に達せられたのでしょうか。 これまでのアイドルやアニメを起用した本県の観光施策は、一過性のプロモーションにすぎないとし投資効果を疑問視する声も少なくありません。そうした中で来年度当初予算を見れば通年観光キャンペーン推進費として、またもやキャラクターを起用した通年キャンペーンに二億円が計上されています。事業内容を精査すれば事業費総額は更に抑えられ、それに伴い所要の宿泊税額も下方修正可能なはずです。知事の所見を伺います。 本県と並行して宿泊税を検討していた沖縄県、そして奈良市、長崎市などは新型コロナウイルス感染拡大で観光業への影響が出ていることを踏まえ、宿泊税導入を延期することに決しました。いずれも観光の強者である自治体が一致して宿泊税導入を延期する中で、更には消費増税による消費の冷え込み、台風十九号による客離れからの回復を見ない現状で本県のみが突出して宿泊税を導入することは、いささか無謀と言わざるを得ません。時期が悪過ぎます。そもそも多方面から調整不足、拙速との批判がある中であります。心を鬼にして申し上げますが、検討中の他自治体と足並みをそろえ宿泊税増税を一旦延期した上で、宿泊業者や仙台市など関係者と十分調整を図る余地はないのでしょうか。戦略的撤退は何ら恥ではありません。終局的勝利のためです。知事の所見を伺います。 本県のインバウンドにも資する重要な観光コンテンツとして、慶長遣欧使節船復元船サン・ファン・バウティスタ号が現存していますが、再来年にも解体の予定です。復元船のあり方検討会における議論並びに諸先輩議員の議論の蓄積を尊重した上で、やはり解体するには惜しみて余りある復元船であります。他方で海洋国家日本国から船大工が消えようとしています。船材が強化プラスチックなどに切りかわり木造船需要が激減したからです。船大工の高齢化と言っても我が国には、まだ二百名ほどの船大工が御存命です。財源はクラウドファンディング、ふるさと納税で募るなど調達の余地もまだあるはずです。木造原寸大だからこその、かけがえのない価値を再評価する余地はないのでしょうか、当局の所見を伺います。 他方で、最悪でも東京藝術大学が開発した高精度画像や、3Dプリンターを駆使した文化財復元技術「クローン文化財」の技術を駆使して、実物大の質感もそのままのクローン復元船を作成するなど、後世へのレガシーとして恥ずかしくないものを検討する余地もあると考えますが、当局の所見を伺います。 人口減少社会に見合った公共施設のストック適正化は、中長期の財政見通しに鑑みても正しい取り組みの方向性であると知事の問題認識を共有するものであります。県有施設の規模適正化のため重複・類似した機能を集約し複合化することで、延べ床面積を縮減しコスト削減につなげる構想には賛意を表した上で、知事の美術館の耐用年数についての認識については、重大な事実誤認がおありではないかと危惧しておる次第です。知事は令和二年一月二十七日の記者会見において、美術館について、「かなり古くなりました。築三十八年、四十年近くたった施設ですから躯体をかなりきっちりと整備してリニューアルする。」ほかにも、「もうかなり古くなっていますので、ある程度、将来使える期限が限られてしまっている。」と発言されました。 また、令和元年十二月四日、石田一也議員の一般質問に対する答弁において知事は、「大規模な改修をしたとしても遠くない将来に建てかえとなることは避けられない。したがって、いずれもう築三十年以上たっているので、あと十年、十五年するとどっかに移さなくてはならないということになる。」と発言されました。 宮城県美術館本館は一九八一年竣工で築三十九年、佐藤忠良記念館は一九九〇年竣工で築三十年の鉄筋コンクリートづくりですが、公共施設の長寿命化の指標として用いられる日本建築学会の建築物の耐久計画に関する考え方の、鉄筋コンクリートづくり、鉄筋鉄骨コンクリートづくりの望ましい目標耐用年数の指標によれば、公立学校のような普通の品質の場合は、物理的に期待される耐用年数の代表値は六十年であります。しかしながら、鉄筋コンクリートづくりの建造物の寿命推計の権威である早稲田大学教授小松幸夫氏に直接お話を伺いましたが、「宮城県美術館は、これ以上ない最善の建物であるため高品質の場合として評価すべきであり、その場合の物理的な目標耐用年数は少なくとも代表値の百年より以上である。」とのお見立てをいただきました。 また、前川事務所の元スタッフであり、一九七八年竣工の山梨県立美術館や佐藤忠良記念館を設計され、宮城県美術館の設計に際しては故前川國男氏の右腕として活躍された、建築家大宇根弘司氏にも直接御教示いただきましたが小松教授と全く同じ所見で、「専門家であれば宮城県美術館の耐用年数は少なくとも百年と評価する。」とのことでした。そうしますと宮城県美術館は、優にあと六十年は改修しながら使用できるわけであります。したがいまして、知事の「遠くない将来に建てかえとなることは避けられない。」、あるいは「あと十年、十五年するとどっかに移さなければならない。」との発言の前提が大きく崩れることになり、あと十年、十五年での建てかえの必要性は学問的には明確に否定されるのであります。したがいまして、美術館の新築を是とする前提が大きく崩れるわけですから、耐用年数をあと六十年も残す美術館の新築、必然的に移転についても、少なくとも物理的観点からは肯定できないと言わざるを得ないのであります。この点、知事の所見を伺います。 それでは、物理的観点はそうとして機能的観点はどうでしょうか。 本来要求が満たせないほど機能が陳腐化しているのかといえば、答えは否であります。宮城県美術館リニューアル基本方針で指摘されているように経年的劣化は設備全般に見られますが、特に更新の必要が指摘されていた特別展示室屋上の防水については、平成三十年度に八千万円をかけて改修済みであります。平成二十六年、二十七年には、みやぎ環境税三千万円を活用して照明をLED化しており、今後も定期的改修で十分に対応可能であります。ちなみに、収蔵庫の空調は一般的には四六時中稼働を要するものですが、本美術館の空調は通常の三分の二以下、年間二百七日の稼働で足りるほど機能的にはすぐれているのであります。したがって、機能的にも現状の美術館で問題はないようであります。 次に、経済的観点はどうでしょうか。 そもそも残余の耐用年数があと六十年もあるため、経済的にも移転が否定されるのは必定であります。その上で、そもそも移転・新築の場合の事業規模はどの程度をお考えなのでしょうか。 これを示さねば設備関係の定期的改修を勘案したライフサイクルコストの試算ができず、現地存続と移転・新築のコスト比較ができません。仮に二〇〇六年竣工の青森県立美術館、事業費百億円、二〇一七年竣工の富山県美術館、事業費八十五億円としても移転・新築のほうが事業コストがかさむのは自明であります。確かに知事が指摘されるように、リニューアル基本方針において五十億円から六十億円とされた概算事業費は過大とも考えられ、いわばドリームプランベースの試算を二十億円程度まで見直す努力はあってしかるべきと考えます。ちなみに、美術館は現地存続で長寿命化を施した場合でも、公共施設等適正管理推進事業債により事業費の二七%までは交付税措置が可能であります。 更には、交通インフラの充実にも留意が必要です。 現状で既にるーぷる仙台や地下鉄東西線国際センター駅など交通インフラが整備され、美術館が集客ルート上にあることは経済的には大きな加点要素であります。周辺の自然、広瀬川、青葉山と文化施設、博物館や東北大学、そして仙台城など、これらと文教地区を織りなす相乗効果も一定程度既に発揮しています。したがいまして、経済的観点からも現地存続の場合に享受できる有形・無形の価値が優越しており、移転・新築を肯定することは困難であると言わざるを得ません。 一方で、特別展はともかく通常展示の来場者数が少なく、入場者による入館料収入も三百万円ほどで僅少である。あるいは、敷居が高い等の批判もあります。確かにこの十年の平均来場者数が二十万人であるところ、直近二年間について見れば十一万人から十三万人台と低迷しており、運営に改善の余地があることは明らかであります。しかしながら、来客数の問題は立地ではなく、専ら運営などソフトの課題であることには留意を要するのであります。 最後に、社会的観点を検討しますに、まずもって宮城県美術館は前川國男建築の集大成とも目される事実に、重要な社会的意義が存するのであります。ちなみに、先行例の弘前市立博物館、一九七六年竣工、福岡市美術館、一九七九年竣工は、既に長寿命化のための大規模改修を終え使用中であります。京都市京セラ美術館は築八十七年の鉄筋コンクリートづくりを大規模改修で再生し、この三月に再出発します。九十七年前になる大正十二年、一九二三年建築の弘前れんが倉庫美術館もリノベーションにより再生され、本年四月に開館予定です。我が宮城県は、ともすると新しいものに走りがちで古いものを大切にしてこず、スクラップアンドビルドのサイクルが短過ぎるのであります。価値ある建物を残すことは文化の醸成そのものであります。価値ある建物を改修しながら息長く利活用していく成熟したあり方こそが、人口減少社会の時流にもかなっています。 以上を要するに、美術館は現地で存続し、福岡市美術館のように大規模改修により魅力を維持・増加した上で、PFI導入によりイベントや運営などソフト面の改善により稼ぐ施設へと再生することで、観光的魅力向上に寄与するほうが富県宮城に資するものと考えますが、知事の所見を伺います。 次に、県民会館移転について、通常の品質、すなわち期待される耐用年数を代表値六十年と前提して、県民会館を物理的観点から検討いたしますと築五十五年と確かに古く、機能的観点に鑑みても陳腐化が進んでいることは否めません。 経済的観点から検討しても敷地が比較的狭いことから新築がベターとも思えます。 次に、社会的観点については二千席のホールありきで話が進んでいますが、そもそも人口減少社会において、仙台市と宮城県で二千席のホールが二つも必要なのかは疑問が拭えません。その上で、どうしてもつくるということであれば人口減少社会化の財政維持の観点から、せめて県・市連携で一つのホールをつくるべきです。令和四年三月開館予定の、あきた芸術劇場、事業費二百十一億円は秋田県と秋田市で集約・複合化した結果、四%の同種施設の延べ床面積縮減を実現しました。知事の所見を伺います。 仙台市で何度も公演を実施してきた全国区のクラシック音楽興行の専門家からは、「県民会館は収益力ある現在地から動かすべきではない。」という声も届いています。ちなみに、県民会館東側に隣接する駐車場は現敷地のちょうど半分の面積で、時価十五億円ほどと試算されます。定禅寺通に面していないのが玉にきずとはいえ、現敷地にこの駐車場敷地も加えて敷地面積が一・五倍になったとしたら、スペース狭小による客席やエレベーター、バックヤードの諸課題の解決が見込めます。もちろんNPOなどを集約し複合化することも可能で、ホールとしての性能を増大させ延べ床面積の縮減など複合化の実を得られる一挙両得の策とも思えます。現在地での存続も十分検討に値すると考えますが、当局の所見を伺います。 仮に、県民会館を仙台医療センター跡地に移転するとして、多目的ホールとNPOだけでは真の相乗効果は得られません。多目的ホールと相性がよい施設は何といっても展示場であります。官公庁の統計によりますと、我が国のMICEによる経済波及効果は一兆五百九十億円で、国際会議は前年比で十五%増と成長分野であります。平均的インバウンド客の国内消費額は十五万円程度であるところ、MICEに参加するビジネスインバウンド客の平均国内消費額は、二十五万円程度と客単価が十万円ほども高いのであります。仙台市の所在する本県のMICE事業には、まだ伸びしろがあります。現に第二回県有施設再編等の在り方検討懇話会においても、堀切川座長や赤石委員から「仙台では大規模コンベンションの施設が不足しており、機会損失が生じている。」との指摘があります。MICE施設を見てみますと仙台国際センターは立地にすぐれているものの、施設的には大ホールが一千席、展示場は三千平方メートルと必ずしも大きくはありません。本県が所管する夢メッセみやぎは、展示棟こそ七千五百平方メートルと東北最大の延べ床面積を誇るものの、会議等のキャパシティーは五百名にとどまり、何といっても交通が不便であります。そこで、仙台医療センター跡地に二千席の県民会館をつくるのなら、施設間の相乗効果を得られるMICE誘致用の大展示場をこそ、あわせて整備すべきであります。国際会議をホールで開催した上、隣接の展示場で大規模イベントを実施できます。更には、週末には数千人規模のライブにも活用でき、使い勝手のよい稼ぐ箱物になり最も相乗効果を得られる施設となるのであります。確かに展示棟整備は延べ床面積縮減とは背馳する取り組みですが、コンベンション事業やライブツーリズムの受け皿ともなり、人口減少下で地域経済の持続的発展にも貢献し得る有効な投資と考えます。最新の熊本市の試算によれば、MICE施設の費用対効果は十年で費用一に対して効果が一・五四、二十年で費用一に対して効果が二・三一と十分にペイできます。財源は社会資本整備総合交付金の活用など検討の余地もありそうです。県民会館の移転・新築に合わせ、最も相乗効果を期待できるMICE用の大展示場をこそ整備すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 就職氷河期世代とは、おおむね平成五年から同十八年までに学校卒業期を迎えた世代、すなわち高卒で三十四歳から四十五歳に当たる世代、大卒でおおむね三十七歳から四十八歳に当たる世代ですが、私はまさにこの世代に属します。バブル崩壊後の景気後退期に企業が新規学卒者の採用を大幅に手控えた影響を受けて、正規雇用を希望しながらも不本意に非正規雇用に甘んじている方や、就職を希望しながらも長期間無業状態にある方、社会的ひきこもり状態で生活に困難を抱えている方が少なくありません。平成三十年労働力調査によれば、三十五歳から四十四歳の人口一千七百万人中、不安定な就労状態にある方は五十万人いるそうです。本県における就職氷河期世代の人口は何十万人なのか、そのうち不安定就労の状況にある人など正規雇用を希望する支援対象は何人に上るのでしょうか、伺います。 政府においては就職氷河期世代支援プログラムに基づき、氷河期世代の正規雇用者を令和四年までに三十万人ふやすことを目指し、三年間で六百五十億円の財源を確保し集中的に取り組むとしています。全国のハローワークに専門窓口を開設し就職から職場定着まで一貫して支援するそうですが、本県でも来年度予算で新規に就職氷河期世代支援費五千万円が計上されました。具体の支援内容につき伺います。 埼玉県は、就職氷河期世代百五十人を正社員にすることを目標に掲げる「三十代・四十代でも大丈夫!正社員になろうプロジェクト」の一環として、氷河期世代に特化した国内最大級の合同企業説明会を昨年十一月十五日に実施し、国内企業八十一社、氷河期世代二百二十三人が参加しました。これまで正社員採用に至るのは難しかった氷河期世代に特化して、人手不足の地元企業と非正規の青年層をマッチングし実績を上げています。本県においても埼玉県と同様の取り組みを実施する余地があると考えますが、当局の所見を求めます。 長期間無業やパート・アルバイト経験のみの方には、OJTで適正・能力をすり合わせるなど教育訓練を要する一方で、研修等に専念すれば直ちに困窮状態に陥る人も少なくないなど課題がありました。ここで東京都が行っている社会人インターンシップ「東京しごと塾」の取り組みは参考になります。当事業では受講生は、二カ月間にわたり就活支援金として日額五千円の支給を受けつつ企業訪問をし、グループワークで企画を考えプレゼンを行うなど、職務実施を通してビジネススキルを身につけ企業との相性も見きわめることを通じて、中小企業の正社員雇用に結びつけています。平成二十九年実績で百五十九人が受講し、うち百十六人が正社員となりました。本県でも参考になる取り組みと考えますが、当局の所見を伺います。 一月二十三日付で総務大臣から都道府県知事あてに、氷河期世代を対象とした地方公務員の中途採用の協力依頼が発出されました。広域自治体においては、兵庫県では一般事務職、土木職など計十名程度の募集に対し、千四百三十一人の応募があったそうであります。ほかにも東京都、神奈川県、愛知県など十二都道府県で氷河期世代を対象とし、その多くが経験不問の採用を表明しています。ちなみに、本県知事部局労務別年齢構成を見ると、最小の七十二名の年齢層である三十八歳を底辺にした、きれいなM字型の職員年齢構成となっており、氷河期世代が行革による定数削減、採用抑制のあおりを受けたことが如実にわかるのであります。ちなみに、二十七歳の層は三十八歳の倍の百三十三人ほどもいます。今がインバランスな年齢構成を是正するチャンスであります。何より、社会のひずみを受けて他の世代よりも苦労した就職氷河期世代当事者だからこそ、他人のつらさ、弱さを我が事として理解し県民に寄り添うことができるのではないでしょうか。本県はSDGs推進を標榜していますが、誰一人として取り残されない社会の構築がその本質だとすれば、就職氷河期世代というロストジェネレーション、氷河期世代に特化して、苦労を重ねてきた意欲ある人材を宮城県職員として採用すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 以上をもって、壇上からの質問といたします。 御清聴まことにありがとうございました。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) わたなべ拓議員の一般質問にお答えいたします。 大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、宿泊税と観光施策についての御質問にお答えいたします。 初めに、そもそもの事業規模が適正なのかとのお尋ねにお答えいたします。 観光予算の規模は人口や宿泊者数などと必ずしも比例するものではなく、政策として観光振興をどう進めていくのかという判断によるところが大きく、他の宿泊税導入自治体と異なり、我が県としては伸びしろのある誘客に一層力を入れていく必要があるものと認識しております。我が県では、ここ数年、国の東北観光復興対策交付金などを活用し、インバウンドを初めとした交流人口の拡大に力を入れてきた結果、県内の観光客入り込み数や外国人観光客宿泊者数が増加するなど、一定の成果があらわれており今後の更なる発展の土台が整ってまいりました。今後もこの成長軌道を維持・拡大していくためには、効果的な情報発信や受け入れ環境の整備を初めとした幅広いさまざまな取り組みが必要であり、今回提示した約三十二億円の事業規模が必要になるものと考えております。 次に、アイドルなどを活用した観光施策の投資効果や宿泊税額の下方修正についての御質問にお答えいたします。 県では、平成二十九年度からターゲット層を明確にした通年型観光キャンペーンを実施してまいりました。それらの取り組みは宮城の観光の認知度向上や新たな観光客層の掘り起こしにおいて、一定の成果があったものと考えておりますが、その一方で事業効果を疑問視する声があることも承知をしております。次年度の観光キャンペーンにつきましては、今年度下半期の観光キャンペーン実施に際し、多大な御協力をいただいた株式会社ポケモン様に引き続き御協力をいただき、更に趣向を凝らした事業の実施を予定しております。その後の令和三年度については、今回お示ししている観光振興に必要な事業規模約三十二億円の中で、上半期に東北デスティネーションキャンペーンを開催し、それ以降の観光キャンペーンにつきましては、(仮称)観光振興会議における関係者からの御意見を尊重しながら、より効果が発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えております。ポケモン社さんには本当に自分のお金でいろんな事業をやっていただいておりまして、二億円もかけてとおっしゃいましたが、あれだけ県がやろうとしたら、そんな単位ではなくて、もっともっとお金かかるんですが非常に協力していただいていて感謝しているところであります。来年度はそのようにいたしますけれども、宿泊税を導入する再来年度以降につきましては、同じようなことを継続するということではなくて、それこそ観光振興会議でいただいた御意見などを尊重しながら、また、議会でいろんな御意見をいただき尊重しながら、事業を組み立てていきたいというふうに考えております。一年ぐらいかけて準備をしたいと考えているということでございます。 次に、宿泊税導入を一旦延期し、関係者と十分調整すべきとの御質問にお答えいたします。 今後急激な人口減少社会が到来する中で経済の成長軌道を確保するためには、産業振興の柱の一つに観光産業の振興を位置づけ、インバウンド及び交流人口の拡大に向けて取り組んでいくことが重要であります。 また、新型コロナウイルスの感染拡大の推移や、県経済の影響を見きわめることも大変重要な視点であると認識しております。これまでに拙速との御指摘も含め、さまざまな御意見をいただいてまいりましたが、今後も切れ目なく観光振興を推進するためには、令和三年四月から宿泊税を導入することが最善であると考えており、その準備や制度の周知期間を考慮して今議会に条例案を提案したものであります。宿泊税の制度は多くの皆様の御理解、御協力がなければ成り立たないものと考えておりますので、仙台市の動向にも注視しつつ、今後とも丁寧な説明を行いながら県民や宿泊事業者の皆様の御意見にも耳を傾け、誠心誠意取り組んでまいりたいと思います。 次に、サン・ファン・バウティスタ号の価値の再評価についての御質問にお答えいたします。 平成五年に竣工した復元船サン・ファン・バウティスタは、二十世紀最後の木造帆船建造事業として、さまざまな試行錯誤と技術的な困難を乗り越え、当時の関係者の熱い思いで建造された価値ある船であると認識しております。史実を踏まえ再現した木造船として、今後も保存していくことが最も望ましい形であることは十分理解した上で、復元船の維持管理検討に関する調査や、保存科学の専門家への聞き取り調査などを行いましたが、木造船のまま修復・保存していくことは極めて困難であると判断したことから、解体せざるを得ないと苦渋の結論に至ったものでございます。ごらんになったかもしれませんけれども、指で押しても穴があくような状況になっていて、やはり新たにつくり直すぐらいのことをしなければならないんですが、船大工さんが見つからないといったような問題もあるということでございます。 次に、大綱二点目、公共施設複合化、美術館、県民会館、コンベンション機能についての御質問にお答えいたします。 初めに、物理的観点からの県美術館移転についてのお尋ねにお答えいたします。 公共施設の耐用年数は建物の物理的な構造面だけではなく、設備面や機能面といった観点もあわせて、総合的に判断していくべきものと認識しております。県美術館については給排水等の衛生設備を初め、空調設備等についても更新が必要な状況になっているほか、手狭になった収蔵庫、バリアフリー化や大型巡回展への対応などの課題が顕在化していることから、今回現地で改修した場合でも抜本的な対策とはならないものと考えております。 また、建物自体は堅固なつくりでありますが、今後長期間使用していくためには相応の維持管理費用が想定されます。このため改修によって長寿命化を図ったとしても、設備等に再び更新時期が到来した場合には、建てかえの議論を避けることはできないことなどから、今回、移転・新築という新しい選択肢を提示し、検討することが必要と判断したものであります。 次に、県美術館の移転・新築の事業規模についての御質問にお答えいたします。 県美術館の移転・新築については、現時点では事業規模が具体化しておりませんので、来年度予算案に計上した県有施設再編等調査費を活用し、移転・新築の事業規模についても試算しお示ししたいと考えております。なお、仮に移転・新築を進めることになった場合には、県民会館と美術館のホールや会議室、飲食スペースなどの類似機能を集約することなどにより全体的な施設規模の縮減が図られ、建設費、施設管理費ともに一定の効果が得られるものと考えているところでございます。 ちょっと離れまして、私、ほんとにざっくりとした試算をいたしましたので、この場でお話をさせていただきたいと思います。明確な根拠があるわけじゃないんです。ぜひメモをとっていただきたいというふうに思います。 まず、現在、国の支援の制度を説明いたします。 現在の川内で美術館をリニューアル基本方針どおりリニューアルする、そして、増築をするということになっていますので増築をする、そして、県民会館を現在地でも結構ですけれども新しく建てかえるとした場合の国の制度は、リニューアル分については三六%、かかる事業費に対して支援をしてくれるということになっております。つまり、六四%分は手出しということになります。増築分については国の支援はありません。そして新しく建てかえる県民会館、現在地でも結構ですけれども、それに対して国の支援はありません。ゼロということです。したがって、今回得られる国の制度は美術館のリニューアル部分の三六%だけということになります。一方、宮城野原で結構だと思うんですけど、美術館と県民会館を持ってきて同じ機能の部分をくっつけて、少しでも面積を狭くするということが仮に可能だったとすると、美術館につきましては新築分の四五%が国の支援になります。手出しは五五%。そして、県民会館の既存部分、つまり大ホール等については同じように四五%国の制度が入ります。そして、小ホールだとか中ホールを新しくつくったといたします。その新しい部分は国の支援はありません。先ほど議員があきた芸術劇場が二百十一億円とおっしゃいましたので、仮に県民会館の新築で二百億円がかかったといたします。そして、美術館については青森県立美術館の話をされました。それは百億円程度とおっしゃっていましたので百億円が新築でかかったといたします。それでお金を入れて今の数字を当てはめてみました。そうすると美術館については現在の川内でリニューアルした場合は、リニューアル分に三十億円、増設分に三十億円、大体五、六十億円と言われているんですけれども、そのリニューアル分の三十億円に対して三六%の支援が得られる。つまり十億円ちょっと得られるということです。増築分の三十億円、それから県民会館の百億円は国の支援を得られないということでございますので、二百六十億円のうち二百五十億円ぐらいが手出しということになります。一方、美術館を新しくすると百億円かかります。しかし、それの四五%は国が支援してくれますから、県民の負担は五十五億円で済むということです。それから県民会館の既存分は二百億円ですけれども、仮に百五十億円が大ホールとか今の既存分の機能として、五十億円が新築分、新しくつくった小ホール、中ホールの機能といたしますと、百五十億円の四五%が国から支援をいただけるということになりますので手出しは五五%。そして、新たな五十億円の小ホール、中ホール部分は国の負担はなしということになりますので、県民の負担は全部足しますと百九十億円ぐらいになると、総額三百億円かかるんですけれども百九十億円で済むということです。現在の川内で美術館をリニューアルして県民会館を新しくつくるのは二百五十億円、そして合築した場合は百九十億円ぐらいということになりますと、六十億円、財源が浮いて県民の負担が軽くなるということになります。したがって、財政面においては非常に成果があるのではないかと考えております。もちろん、つくり方次第によりますので、このとおりになるかどうかわからないですよ。あくまでもざっくりとした計算ということです。 それから経営面についてですけれども、ぜひ、ほかの県の県民会館のホールと美術館を一緒にしているところをごらんになったらいいと思うんですけれども、やはりかなり集客効果はございます。当然ですけれども県民会館にこられたお客さんに、美術館に足を運んでいただけるということになりますので、非常に大きな経営的な面で効果があると思います。 それから、もう一つ、わたなべ議員の指摘の中で、ここに気づいておられていないんじゃないかなと思ったのはバリアフリー化です。やはり三十八年前の施設ですのでバリアフリー化はあまり進んでおりません。実際エレベーターはお客様用のエレベーターが奥のほうに一基あるだけで、あとは荷物用のエレベーターがもう一基ある。私のところに個人的に届いた手紙の中に、「家族が美術館が好きでよく行くんです。車椅子で連れていくんですけれども、非常に車椅子対応としては不適な美術館だ。ぜひ、新しい美術館をつくったならばバリアフリーに非常に配慮した、車椅子でお年を召された方がつえをついてでも行けるような美術館をぜひつくってほしい。」という手紙が届いております。そういうことを考えますと結果的にどうなるかわかりません。最後は県議会の皆さんが是非を決めることになるんですけれども、御質問の中にあったように全く検討の余地もないということではなくて、ぜひ来年度の予算をかけて検討させていただきたいというお願いをしたいというふうに思います。今言いましたのは条件もあります。合築して一平米でも面積を狭くしなきゃいけないだとか、あるいは今の県民会館、美術館を合築したならば、それを潰すか、あるいは誰かに譲るかしなきゃいけないという条件もあります。 また、今言った国の制度が続いているということが前提ということなりますので、いろんな前提の上に今お話しさせていただきましたので、これが間違いなく事実だということではないということも御理解いただきたいというふうに思います。 次に、美術館の現地存続と、ソフト面の改善による施設の再生、観光的魅力の向上についての御質問にお答えいたします。 美術館では、これまで所蔵するコレクションや国内外の美術作品を公開するとともに、関係機関と連携した美術講座の開催や、さまざまなメディアを活用した広報活動を行ってまいりました。 また、自由な創作活動の場の提供や美術館探検、移動教室等の教育普及活動にも力を入れてきたところであります。時代とともに美術館に求められる役割も変化してきたことから、宮城県美術館リニューアル基本方針においては子供たちの豊かな体験の場、人々が集い、つながる場の創出を目指すこととしております。仮に、美術館が移転することになった場合でも、その内容を十分尊重しながら、更に集約複合化のメリットを生かし、音楽と技術の融合型芸術や県民参加型のイベントの展開など、新しい価値を創造することができると考えております。多くの人々が集い、つながる美術館となることで、我が県の芸術文化の更なる振興と観光的魅力の向上に寄与するよう取り組んでまいります。 次に、県・市連携で一つの施設をつくるべきとの御質問にお答えいたします。 仙台市内のホールは、現状においても予約がなかなかとれていないとの声が多く寄せられており、高稼働状態となっております。 また、県内には二千席以上のホールは仙台サンプラザホールしかありませんが、県が行った需要調査の結果も踏まえ、有識者の皆様からは仙台市が整備する音楽ホールとは別に、県として二千席規模のホールの整備を進めるよう求められております。このような状況から県と仙台市が一つのホールを整備するのではなく、さまざまな需要に応え適切な役割分担のもと整備を進めていくことが望ましいと考えております。それぞれの施設が相乗効果を発揮しながら仙台・宮城が東北の文化芸術拠点となるよう、今後とも仙台市と緊密に調整を図ってまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、就職氷河期世代支援についての御質問にお答えいたします。 初めに、埼玉県などの取り組みを参考にしてはどうかとのお尋ねにお答えいたします。 来年度当初予算における就職氷河期世代支援費については、他の自治体の取り組みを参考にしながら制度設計しているところであります。まず、埼玉県の取り組みを参考に就職氷河期世代を採用しようとする企業を集めた就職説明会を開催し、就職氷河期世代の求職者と求人企業のマッチングの機会を提供することとしております。 また、就業機会が少なかった就職氷河期世代の方々が、就業体験を通じて仕事や社会参加への理解を深めることができるよう、東京都の取り組みを参考に企業における就業体験と就業体験前のトレーニング研修及び就業体験後のフォローアップ研修を組み合わせた、就業体験支援制度「おしごとチャレンジ制度」を創設することとしております。県といたしましては、御指摘のありましたような先進事例を参考にしながら、よりよい取り組みを目指してまいります。 次に、県職員での採用についての御質問にお答えいたします。 我が県においては、東日本大震災の復旧・復興に取り組むため任期つきの事務職採用ではありますが、学歴や職務経験のほか年齢も不問とした試験をこれまで四回実施し、延べ約三百人を採用しており、就職氷河期世代の就職という点でも一定の効果があったものと認識しております。一方、国からは就職氷河期世代を対象とした自治体職員の採用について、昨年十二月の総務省通知や一月の総務大臣書簡を通じ、受験年齢の引き上げや経験を不問とするなどにより、更に中途採用を積極的に進めるよう依頼があったところであります。こうした状況から我が県としては、令和二年度から四年度までを集中取り組み期間とする国の方針を踏まえ、任期の定めのない一般職についても就職氷河期世代を対象とした採用試験を実施することとし、人事委員会と協議しながら具体的な要件等について検討してまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。    〔震災復興・企画部長 後藤康宏君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 大綱二点目、公共施設複合化、美術館、県民会館、コンベンション機能についての御質問のうち、MICE用の大展示場整備についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台医療センター跡地は、仙台市の都市計画において特別用途地区である大規模集客施設制限地区に指定されており、劇場、店舗、展示場等の用途に供する床面積が一万平方メートルを超える施設の建設は制限されているところであります。新たに整備する県民会館については二千席規模の大ホールを初め、現県民会館よりも劇場部分の面積を拡大する方向で検討しており、そのほかにも大規模集客施設の面積の対象となる飲食や物品販売などのスペースも必要となることから、更に大展示場を併設することは難しいものと考えております。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 環境生活部長大森克之君。    〔環境生活部長 大森克之君登壇〕 ◎環境生活部長(大森克之君) 大綱一点目、宿泊税と観光施策についての御質問のうち、「クローン文化財」の技術を駆使した復元船の策定についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年二月に決定した慶長使節船ミュージアムの今後の整備方針では、後継船は外観の再現や維持管理に十分配慮した形で整備することにしております。具体的には、後継船の素材は再現度の高さと維持管理の容易さを考慮して、繊維強化プラスチックを用いることとし、制作に当たっては平成二十九年度の復元船アーカイブ事業で収集した精細な三次元計測データをもとに、四分の一サイズで復元する計画としております。後継船の制作や新しいミュージアムの展示に当たっては三次元データの活用を初め、さまざまな工夫を行いながら、慶長使節船の偉業をしっかりと後世に伝えられるよう整備してまいります。 次に、大綱二点目、公共施設複合化、美術館、県民会館、コンベンション機能についての御質問のうち、県民会館の隣接地取得による現地存続についてのお尋ねにお答えいたします。 現在の県民会館の敷地は大変狭く、荷物の搬出入や観客の待合スペースのための十分な広さが確保できず、利用者からは改善してほしいとの声を多くいただいているところです。仮に御指摘のように県民会館の隣接地を取得したとしても、地形的に活用方法が限定されるとともに、客席の環境等を改善する必要もあるため現行席数を下回るホールしか建設できず、NPOプラザの集約・複合化を含め、現在の県民会館が抱えるさまざまな課題を解決することは難しいと考えております。 私からは以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 経済商工観光部長鈴木秀人君。    〔経済商工観光部長 鈴木秀人君登壇〕 ◎経済商工観光部長(鈴木秀人君) 大綱一点目、宿泊税と観光施策についての御質問のうち、税額の設定理由についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の観光をめぐる状況といたしましては、観光客入り込み数や外国人観光客宿泊数が過去最高となるなど、一定の成果があらわれております。今後も持続可能な地域経済の発展のためには更なる交流人口の拡大が必要であることから、伸びしろが期待できる観光振興に一層力を入れてまいりたいと考えております。こうしたことから県が実施する施策として、復興ツーリズムや教育旅行など体験滞在型の観光資源の整備や、町並み形成による旅行者の満足度を高める観光の推進、デジタル技術を活用した観光の分析など財源を有効に活用しながら観光振興を拡充していく視点で、約三十二億円の事業規模が必要になると判断したものでございます。税率については、この事業規模に基づき年間宿泊者数を約一千万人と見込んで三百円と設定したところです。 次に、アイドルなどを活用したPRは我が県の観光の実態に即した施策で、その狙いは十分に達せられたのかとの御質問にお答えいたします。 県ではこれまで多くの観光客に宮城へ足を運んでいただくため、我が県にゆかりのあるアイドルグループなどの知名度を活用した、通年型観光キャンペーンを実施してまいりました。この観光キャンペーンは宮城の認知度向上を狙いとしており、一定の成果につながっているものと認識しております。県といたしましては、来年度も引き続きポケモンのラプラスとタイアップした観光キャンペーンを実施する予定でありますが、並行して令和三年度に開催される東北デスティネーションキャンペーンにつながるよう、東北各県と連携し広域周遊ができる取り組みに重点を置いて観光振興を図ってまいります。令和三年度については、宿泊税の導入が認められれば地域の実情に合わせた自由度の高い事業展開が可能となることから、(仮称)観光振興会議での皆様からの御意見を尊重しながら取り組んでまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、就職氷河期世代支援についての御質問のうち、要支援対象者数などについてのお尋ねにお答えいたします。 平成二十九年就業構造基本調査によれば、我が県における三十五歳から四十四歳までの就職氷河期世代の人口は、約三十一万五千人となっております。 また、昨年六月に閣議決定された就職氷河期世代支援プログラムに基づく県内の要支援対象者は、約一万八千人となっております。そのうち正規雇用を希望する要支援対象者は約一万八百人と推定されます。 次に、「就職氷河期世代支援費」の具体的な支援内容についての御質問にお答えいたします。 就職氷河期世代への支援は、社会全体で受けとめるべき大変重要な課題と認識しております。「就職氷河期世代支援費」は国が創設した地域就職氷河期世代支援加速化交付金を活用し、関係機関と連携して就職氷河期世代の支援を強化しようとするものです。第一に、みやぎジョブカフェを初めとする県の就職支援拠点、県全体で四カ所となりますが、この県の就職支援拠点におきまして、就職氷河期世代を対象に相談窓口やキャリアコンサルティングを平日夜間及び休日に拡充し、正規雇用を希望する求職者の方が仕事帰りや休日に相談できる体制を整備していく予定でございます。第二に、先ほど知事から申し上げました就職氷河期世代の方を採用しようとする企業を集めた就職説明会や、福祉部門と連携し生活支援から就労支援に至る相談機関を一堂に集めた、求職者向けワンストップ相談会を実施する予定としております。第三に、主に長期にわたり無業の状態にある方を対象として、就業体験を通じて働くことの喜びや社会参加への理解を深めていただくことを目的に、県独自の就業体験支援制度を創設いたします。県といたしましては、これらの取り組みを政策パッケージとして、都道府県単位に設置される官民協働プラットフォームや市町村などと連携して取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 八番わたなべ拓君。 ◆八番(わたなべ拓君) まず、知事、懇切な御教示ありがとうございました。 また、氷河期世代に対して具体の支援を表明いただき、本当にありがたく存じます。先ほどの答弁で対応性と調和こそが、これからの市場の価値だということをほかの議員の答弁でおっしゃいましたが、まさにその隗より始めよということで対応性ということを重視して、それを政策にしていただいたと認識しております。 その上で大変恐縮なんですけれども、先ほど現状でも美術館はこれから年年歳歳と改修のコストがかかってくると、これはそのとおりでありますけれども、およそ建物というものはこれから新しくゼロベースで建てても、二十年ないし三十年に一度は大改修を要するものであります。予防保全必要ですよね。ですので改修費が過大になるということは必ずしも当たらないと思うんです。そもそも私が申し上げたことは知事が移転されるとされた大前提が、もうあと十年から十五年しか美術館が持たないと、物理的に持たないという御判断がベースにあって、そこから発した議論だったと。しかし、私はそれは違うんではないかと、しっかりと見立てを改めると、やはり物理的には、あと六十年もつ建物なんだということをしっかりお受けとめいただくとすれば、移転ということは必ずしも前提になり得ないんじゃないかと。その上で改修費が過大だとおっしゃるけれども、それはどのような建物でも、およそ二十年、三十年、あるいは小規模改修であれば年年歳歳かかるものであって、そういったものを積算していったトータルライフコストでもって比較するという視点こそが大事なんで、来年からそれを具体に検討するということではございますけれども、通常考えたらあと六十年もつ建物というものを用途廃止して新築するなんていうことは、全体として観察した場合は新たに将来世代に財政的な負担を強いることにもなりかねないと。つまり総量の適正化ということに目を奪われて、より大きな公益を見失いかねないような結論になりかけてると、歴史的なミスをしかけているんじゃないかなと危惧しております。そこをちょっと御認識問いたいと存じます。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決してもう古くなって間もなくつぶさなきゃいけないから、別のところに移すということではございません。そういう質問が記者会見でありまして、それに呼応するような形で答えたんではないかなというふうに思ってるんですけれども、もともとこの検討会議は宮城県全体のいろんな老朽化してきた施設を、どのようにして再編していけばいいのか、今まではこの施設がだめになったら、その施設をどっかの場所につくる、現地で建てかえるという議論をずっとしていたんですけれども、そういう財政的な余裕がありませんので、もう全部これから古くなってきて改築や増築、あるいは建てかえをしなきゃいけないようなものの全体を見て、全体のバランスを考えようということで、この会議をつくったということであります。その中で出てきた案が今回の県民会館と美術館の合築という案でありました。私はそれを見たときに、すごくいい案だと思ったのは、何よりも一人でも多くの県民の方に見ていただけるということが非常にこれから重要だと、私はいつも心の復興というのを大切ですということを、いろんな場で言うんですけれども、被災者の皆さんがこれから立ち上がって頑張っていかなきゃいけない、子供の教育も非常に重要なんですけれども、その際に私は美術品に触れていただくというのが、非常に重要なことだというふうに思っております。現在の美術館を先ほど駅が近くなって人が行き交う場所だっておっしゃいましたけれども、なかなか一般の県民の方がふだん歩いたりするような場所ではない。実際、先ほど質問の中で利用者がかなり減ってきているというお話がありました。県は美術館で一生懸命いろんな企画展をやってはいるんですけれども、おもしろい企画展をやってPRはしているんですけれども、なかなかお客さんに来ていただけないということです。経営面もそうなんですけれども私はそれは非常にもったいないと、一人でも多くの県民の皆さん、特に美術に関心のない方、まだ美術のすばらしさがわからないお子様方に、ぜひ足を運んでいただけるような美術館にしたいというふうに思います。そのためには県民会館と一つにすることによって、私は大勢の方に来ていただける、あそこは病院も目の前にありますし野球場がすぐ近くにありますので、野球場の入り口で美術館のビラを配るだけでも相当多くの方に来ていただけるんじゃないかと。いや、皆さん笑っていますけれども本当に多くの県民の方に来ていただくためには、そういうこともやんなきゃいけないと思うんですよ。そういうことをやりながら、私は県民の方に来ていただけるような美術館にするということでは、場所を移しかえるということは非常に効果があるんじゃないかなと考えたということであります。決して古くなったから、百年もつのかもしれません、私は素人だからわからないんですけれども、しかし、一人でも多くの方に来ていただける、そして、こういういい制度が今あるならば、この制度に乗って県民負担が、将来負担が逆に軽くなる可能性があるならば、それをしっかりと調査をして検討してみるということは価値があるんじゃないかなと考えて、このような来年度予算で検討することを提案しているということであります。 ○副議長(齋藤正美君) 八番わたなべ拓君。 ◆八番(わたなべ拓君) 知事、るるお答えいただいたわけですけれども、常識的にあと六十年間、物理的にもつ建物であって、しかも当時の先人が主力を挙げて傾注してつくり上げたもので、建物自体も特異の価値があるというものを用途廃止して新築するというのは、常識的に考えてもちょっと無理のあるお話かなと思うんです。より多くの県民の方に鑑賞の機会をということ自体は私も全く共有するんですけれども、それは現立地において、現美術館においても同時に実現なし得ることなんですね。先ほど私が申し上げましたけれどもソフトの問題であって、立地の問題ではないわけですよ。あと六十年間は美術館はもつんです。何となれば、そこは最良の技術をもってつくったもの、しかも関係者の四十年間の思いが込もっているもの、それ自体は決して間違ってはいないんです。もちろん改善の余地はあるとしてもです。私はまだあそこで頑張る余地もあると思っています。 また、県民会館の組み合わせは、やっぱり展示場はもうかる施設でなくてはいけないと私は考えてます。一万平方メートルの範囲でできることはまだあるはずです。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。
    ◎知事(村井嘉浩君) いろんな御意見があることは承知をしております。そういったようなことを全体的に比較、検討するためにも、ぜひ今回は検討することをお認めいただいて分析をさせていただきたいというふうに思います。誰が考えても恐らく現在地で美術館を維持するのと、新しい場所で県民会館と合築をしてあの場所につくるのと、どちらのほうがお客さんは来ると思いますかと。同じ企画展をやるわけですから私は間違いなく新しいところでやったほうが、お客さんはたくさん来るだろうなというふうに思います。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君から発言の申し出がありますので、発言を許します。保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 本日、枡和也議員から再質問がございました、特定地域看護師確保対策修学資金貸付金の今年度の実績につきまして、私が令和二年度からの実施であるという内容でお答えいたしましたけれども、昨年九月定例会で可決後募集を開始しており、今年度、令和元年度、七人に対して貸し付けを決定しております。大変申しわけありません。おわびして訂正させていただきます。 ○副議長(齋藤正美君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(齋藤正美君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時十四分散会...