宮城県議会 > 2019-02-18 >
02月21日-03号

  • "鮪立漁港防潮堤等災害復旧工事"(/)
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  1. 宮城県議会 2019-02-18
    02月21日-03号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    平成31年  2月 定例会(第367回)          第三百六十七回宮城県議会(定例会)会議録                              (第三号)平成三十一年二月二十一日(木曜日)  午前十時開議  午後四時散会      議長                     佐藤光樹君      副議長                    只野九十九君出席議員(五十七名)        第一番                  大内真理君        第二番                  角野達也君        第三番                  内藤隆司君        第四番                  高橋 啓君        第五番                  遠藤伸幸君        第六番                  村上久仁君        第七番                  高橋宗也君        第八番                  庄田圭佑君        第九番                  深谷晃祐君        第十番                  中嶋 廉君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  天下みゆき君       第十三番                  三浦一敏君       第十四番                  佐々木功悦君       第十五番                  境 恒春君       第十六番                  太田稔郎君       第十七番                  横山のぼる君       第十八番                  遠藤隼人君       第十九番                  渡辺勝幸君       第二十番                  横山隆光君      第二十一番                  佐々木賢司君      第二十三番                  熊谷義彦君      第二十四番                  渡辺忠悦君      第二十五番                  遠藤いく子君      第二十六番                  すどう 哲君      第二十七番                  吉川寛康君      第二十九番                  守屋守武君       第三十番                  長谷川 敦君      第三十一番                  佐々木幸士君      第三十二番                  村上智行君      第三十三番                  細川雄一君      第三十四番                  高橋伸二君      第三十五番                  菊地恵一君      第三十六番                  只野九十九君      第三十七番                  佐々木喜藏君      第三十八番                  石川光次郎君      第三十九番                  佐藤光樹君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  菅間 進君      第四十二番                  坂下 賢君      第四十三番                  ゆさみゆき君      第四十四番                  藤原のりすけ君      第四十五番                  坂下やすこ君      第四十六番                  庄子賢一君      第四十七番                  中島源陽君      第四十八番                  本木忠一君      第四十九番                  中山耕一君       第五十番                  長谷川洋一君      第五十一番                  安部 孝君      第五十二番                  齋藤正美君      第五十三番                  安藤俊威君      第五十四番                  畠山和純君      第五十五番                  仁田和廣君      第五十六番                  藤倉知格君      第五十七番                  相沢光哉君      第五十八番                  中沢幸男君      第五十九番                  渡辺和喜君欠席議員(一名)      第二十八番                  伊藤和博君欠員(一名)      第二十二番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    河端章好君      副知事                    佐野好昭君      公営企業管理者                遠藤信哉君      総務部長                   伊東昭代君      震災復興・企画部長              江口哲郎君      環境生活部長                 後藤康宏君      保健福祉部長                 渡辺達美君      経済商工観光部長               吉田祐幸君      農林水産部長                 武藤伸子君      土木部長                   櫻井雅之君      会計管理者兼出納局長             増子友一君      総務部参事兼秘書課長             武内浩行君      総務部財政課長                清水裕之君    教育委員会      教育長                    高橋 仁君      教育次長                   高橋剛彦君    選挙管理委員会      委員長                    伊東則夫君      事務局長                   伊藤正弘君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   青木直之君    公安委員会      警察本部長                  松岡亮介君      総務部長                   渡邊政明君    労働委員会      事務局長                   正木 毅君    監査委員      委員                     石森建二君      事務局長                   吉田 計君-----------------------------------    議会事務局      局長                     峯浦康宏君      次長兼総務課長                伊藤吉隆君      議事課長                   佐々木康栄君      政務調査課長                 佐々木信一君      総務課副参事兼課長補佐            山内好尋君      議事課副参事兼課長補佐            千葉良信君      政務調査課副参事兼課長補佐          相澤亮子君      議事課長補佐(班長)             二上秀幸君      議事課主任主査                渡辺祐司君-----------------------------------    議事日程 第三号              平成三十一年二月二十一日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第四十二号議案及び議第七十号議案第三 議第七十一号議案 平成三十年度宮城県一般会計補正予算第四 議第七十二号議案 平成三十年度宮城県公債費特別会計補正予算第五 議第七十三号議案 平成三十年度宮城県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算第六 議第七十四号議案 平成三十年度宮城県国民健康保険特別会計補正予算第七 議第七十五号議案 平成三十年度宮城県中小企業高度化資金特別会計補正予算第八 議第七十六号議案 平成三十年度宮城県農業改良資金特別会計補正予算第九 議第七十七号議案 平成三十年度宮城県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算第十 議第七十八号議案 平成三十年度宮城県林業・木材産業改善資金特別会計補正予算第十一 議第七十九号議案 平成三十年度宮城県県有林特別会計補正予算第十二 議第八十号議案 平成三十年度宮城県土地取得特別会計補正予算第十三 議第八十一号議案 平成三十年度宮城県土地区画整理事業特別会計補正予算第十四 議第八十二号議案 平成三十年度宮城県流域下水道事業特別会計補正予算第十五 議第八十三号議案 平成三十年度宮城県港湾整備事業特別会計補正予算第十六 議第八十四号議案 平成三十年度宮城県水道用水供給事業会計補正予算第十七 議第八十五号議案 平成三十年度宮城県工業用水道事業会計補正予算第十八 議第八十六号議案 平成三十年度宮城県地域整備事業会計補正予算第十九 議第八十七号議案 平成三十年度宮城県一般会計補正予算第二十 議第八十八号議案 食品衛生取締条例等の一部を改正する条例第二十一 議第八十九号議案 自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例第二十二 議第九十号議案 緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例第二十三 議第九十一号議案 中山間地域等農村活性化基金条例の一部を改正する条例第二十四 議第九十二号議案 公共工事等入札・契約適正化委員会条例の一部を改正する条例第二十五 議第九十三号議案 県道の路線認定について第二十六 議第九十四号議案 県道の路線廃止について第二十七 議第九十五号議案 訴えの提起について第二十八 議第九十六号議案 工事請負契約の締結について(仙台塩釜港仙台港区上屋建設工事)第二十九 議第九十七号議案 工事請負契約の締結について(宮城県総合運動公園スタジアム大型映像設備工事)第三十 議第九十八号議案 工事請負変更契約の締結について(寄磯漁港防波堤災害復旧及び改築工事)第三十一 議第九十九号議案 工事請負変更契約の締結について(善川護岸等災害復旧及び改良工事)第三十二 議第百号議案 権利の放棄について(介護サービス事業所・施設等復旧支援事業費補助金の財産処分納付金及び当該財産処分納付金の遅延利息に係る債権)第三十三 議第百一号議案 権利の放棄について(宮城県ベンチャー育成ファンド出資金貸付事業貸付金に係る債権)第三十四 議第百二号議案 権利の放棄について(認定職業訓練事業費補助金の財産処分納付金及び当該財産処分納付金の遅延利息に係る債権)第三十五 議第百三号議案 平成三十年度市町村受益負担金について第三十六 議第百四号議案 平成三十年度流域下水道事業受益負担金の変更について第三十七 議第百五号議案 東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例制定の請求について第三十八 報告第一号 専決処分の報告について(津谷川等護岸等災害復旧工事(その二)の委託契約の変更)第三十九 報告第二号 専決処分の報告について(結核医療提供施設新築工事の請負契約の変更)第四十 報告第三号 専決処分の報告について(結核医療提供施設新築工事の請負契約の変更)第四十一 報告第四号 専決処分の報告について(波路上漁港物揚場等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十二 報告第五号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤新築工事の請負契約の変更)第四十三 報告第六号 専決処分の報告について(波路上漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十四 報告第七号 専決処分の報告について(伊里前漁港防潮堤等災害復旧及び野積場補修工事の請負契約の変更)第四十五 報告第八号 専決処分の報告について(気仙沼漁港等防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十六 報告第九号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤災害復旧工事(その一)の請負契約の変更)第四十七 報告第十号 専決処分の報告について(波路上漁港防潮堤等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第四十八 報告第十一号 専決処分の報告について(雄勝漁港等防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十九 報告第十二号 専決処分の報告について(鮪立漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第五十 報告第十三号 専決処分の報告について(松岩漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第五十一 報告第十四号 専決処分の報告について(泊(歌津)漁港防潮堤災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第五十二 報告第十五号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤新築工事(その四)の請負契約の変更)第五十三 報告第十六号 専決処分の報告について(雄勝漁港防潮堤等災害復旧及び野積場補修工事の請負契約の変更)第五十四 報告第十七号 専決処分の報告について(雄勝漁港防潮堤等災害復旧及び新築工事(その一)の請負契約の変更)第五十五 報告第十八号 専決処分の報告について(雄勝漁港防潮堤等災害復旧及び新築工事(その二)の請負契約の変更)第五十六 報告第十九号 専決処分の報告について(浦の浜漁港防潮堤新築工事の請負契約の変更)第五十七 報告第二十号 専決処分の報告について(閖上漁港広浦橋架換(上部工)工事の請負契約の変更)第五十八 報告第二十一号 専決処分の報告について(塩釜漁港岸壁等災害復旧及び防潮堤新築工事の請負契約の変更)第五十九 報告第二十二号 専決処分の報告について(浦の浜漁港防潮堤新築工事(その二)の請負契約の変更)第六十 報告第二十三号 専決処分の報告について(石巻漁港桟橋改築工事の請負契約の変更)第六十一 報告第二十四号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第六十二 報告第二十五号 専決処分の報告について(石巻漁港防波堤災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第六十三 報告第二十六号 専決処分の報告について(一般県道石巻工業港矢本線大曲道路災害復旧工事の請負契約の変更)第六十四 報告第二十七号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号長清水道路等災害復旧工事の請負契約の変更)第六十五 報告第二十八号 専決処分の報告について(一般県道清水浜志津川港線清水浜荒砥道路改築等工事の請負契約の変更)第六十六 報告第二十九号 専決処分の報告について(主要地方道石巻鮎川線風越橋(仮称)新設(下部工)工事の請負契約の変更)第六十七 報告第三十号 専決処分の報告について(一般県道石巻工業港矢本線定川大橋災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第六十八 報告第三十一号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号相川三号橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第六十九 報告第三十二号 専決処分の報告について(一般県道釜谷大須雄勝線尾の崎橋災害復旧工事の請負契約の変更)第七十 報告第三十三号 専決処分の報告について(主要地方道塩釜吉岡線落合橋橋梁修繕(上部工)工事の請負契約の変更)第七十一 報告第三十四号 専決処分の報告について(一般県道大島浪板線磯草道路改築工事の請負契約の変更)第七十二 報告第三十五号 専決処分の報告について(一般県道大島浪板線磯草道路改築工事(その二)の請負契約の変更)第七十三 報告第三十六号 専決処分の報告について(荒砥地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十四 報告第三十七号 専決処分の報告について(清水田地区海岸等堤防等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十五 報告第三十八号 専決処分の報告について(桜川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第七十六 報告第三十九号 専決処分の報告について(大谷川地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十七 報告第四十号 専決処分の報告について(中島地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十八 報告第四十一号 専決処分の報告について(面瀬川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十九 報告第四十二号 専決処分の報告について(津谷川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十 報告第四十三号 専決処分の報告について(坂元川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十一 報告第四十四号 専決処分の報告について(津谷川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十二 報告第四十五号 専決処分の報告について(津谷川護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第八十三 報告第四十六号 専決処分の報告について(大島地区海岸護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第八十四 報告第四十七号 専決処分の報告について(只越川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十五 報告第四十八号 専決処分の報告について(浦戸地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十六 報告第四十九号 専決処分の報告について(五間堀川等堤防等改良工事の請負契約の変更)第八十七 報告第五十号 専決処分の報告について(花渕浜地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十八 報告第五十一号 専決処分の報告について(南貞山運河護岸等災害復旧工事(その八)の請負契約の変更)第八十九 報告第五十二号 専決処分の報告について(北貞山運河護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第九十 報告第五十三号 専決処分の報告について(七北田川護岸等災害復旧工事(その六)の請負契約の変更)第九十一 報告第五十四号 専決処分の報告について(東名地区海岸護岸等災害復旧工事(その六)の請負契約の変更)第九十二 報告第五十五号 専決処分の報告について(大沢川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第九十三 報告第五十六号 専決処分の報告について(追波川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第九十四 報告第五十七号 専決処分の報告について(追波川等護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第九十五 報告第五十八号 専決処分の報告について(大沢川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第九十六 報告第五十九号 専決処分の報告について(中島川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第九十七 報告第六十号 専決処分の報告について(大沢川護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第九十八 報告第六十一号 専決処分の報告について(坂元川等護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第九十九 報告第六十二号 専決処分の報告について(戸花川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百 報告第六十三号 専決処分の報告について(野々島地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百一 報告第六十四号 専決処分の報告について(五間堀川赤井江遊水地排水機場機械設備工事の請負契約の変更)第百二 報告第六十五号 専決処分の報告について(南貞山運河護岸等災害復旧工事(その九)の請負契約の変更)第百三 報告第六十六号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第百四 報告第六十七号 専決処分の報告について(荻浜港防潮堤災害復旧工事の請負契約の変更)第百五 報告第六十八号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤建設工事(その十)の請負契約の変更)第百六 報告第六十九号 専決処分の報告について(雄勝港防潮堤災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第百七 報告第七十号 専決処分の報告について(仙台塩釜港仙台港区防潮堤建設工事(その三)の請負契約の変更)第百八 報告第七十一号 専決処分の報告について(宮城県若林警察署(仮称)庁舎新築工事の請負契約の変更)第百九 報告第七十二号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)第百十 報告第七十三号 専決処分の報告について(県営住宅の明渡請求等に係る訴えの提起)第百十一 報告第七十四号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)第百十二 一般質問(代表)    〔石川光次郎君、藤原のりすけ君、角野達也君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二ないし日程第百十一 議第一号議案ないし議第四十二号議案及び議第七十号議案、議第七十一号議案ないし議第百五号議案及び報告第一号ないし報告第七十四号三 日程第百十二 一般質問(代表)        〔石川光次郎君、藤原のりすけ君、角野達也君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(佐藤光樹君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △会議録署名議員の指名 ○議長(佐藤光樹君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、四十七番中島源陽君、四十八番本木忠一君を指名いたします。----------------------------------- △議第一号議案ないし議第四十二号議案・議第七十号議案 △議第七十一号議案ないし議第百五号議案 △報告第一号ないし報告第七十四号・一般質問(代表) ○議長(佐藤光樹君) 日程第二ないし日程第百十一、議第一号議案ないし議第四十二号議案及び議第七十号議案並びに議第七十一号議案ないし議第百五号議案及び報告第一号ないし報告第七十四号を一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました平成三十年度一般会計補正予算案を初め、提出議案の概要を御説明申し上げます。 間もなく東日本大震災の発生から八年が経過しようとしております。今年度は、震災復興計画の最終ステージである発展期の初年度であり、創造的な復興の完遂に向けラストスパートをかける年と捉え、私自身さまざまな課題に対して全力でチャレンジしてまいりました。昨年七月には東北六県の産学官の悲願であった次世代放射光施設の県内設置が決定し、本県のみならず東北全体が喜びに沸いたところであります。施設の設置が地域経済活性化の起爆剤となることを大いに期待するとともに、県内産業の雇用創出や技術力向上に向け関係機関と十分に連携して取り組んでまいります。 交流人口の拡大につきましては、民営化から二年が経過した仙台空港はフジドリームエアラインズの出雲線が新設されたほか、新たな搭乗施設であるピア棟も供用が開始され、今後利用者の一層の増加が見込まれます。また、国民的人気アイドルグループの御支援による通年観光キャンペーンや宮城オルレについて好評をいただいているところでもあり、宮城の観光コンテンツに注目が集まることによりまして更に多くの観光客が本県を訪れるものと期待しております。 公共インフラにつきましては、災害公営住宅の整備や防災集団移転促進事業も順調に進んでおり、また、みやぎ県北高速幹線道路については、昨年十二月に登米市の中田工区が開通したほか、先日、三陸縦貫自動車道が気仙沼市まで延伸されたところであります。昨年十月には全国フォーラムWIT二〇一八宮城を開催し、県内外の企業や有識者の方々が一堂に会して魅力ある働き方と女性活躍について議論が交わされました。生産年齢人口が減少する中、持続可能な成熟した社会を構築するためには働き方改革や女性の活躍が重要であり、今回のフォーラムを契機に働き方を変えることは社会を変えるという理念を広く浸透させてまいりたいと考えております。 また、今年度は平成三十年七月豪雨、北海道胆振東部地震など全国各地で災害が多く発生した年でもありました。本県では、東日本大震災での経験を生かし職員を派遣するなど、復旧支援を積極的に行ってまいりましたが、災害はいつどこで発生するか予測できないものであることを改めて心に刻み、引き続き災害に対する入念な準備と機動的な対応に取り組んでまいります。 今年度を振り返りますと、被災された方々を初めとする多くの県民の皆様の声に真摯に向き合いながら、震災復興計画の発展期を円滑にスタートさせることができたものと考えております。 一方で、震災復興計画期間も残り二年余りとなり、ハード事業が着実に進捗していることから、復興の実現はすぐ目の前との声も多くなっております。また、八年という時間が経過する中で発災時に小学六年生だった子供たちが先日成人式を迎えられるなど、時の流れは確実に進んでおり、未曽有の大震災の記憶も薄れつつあります。 このような現状を踏まえ発展期の二年目となる来年度に向けましては、私初め職員一人一人がハード事業の完成が復興のゴールではないとの思いを共有し、震災復興計画の先も見据えながら、復興の現状に即したきめ細やかな対応と新たな発展につながる創造的復興の推進に取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解、御支援をお願い申し上げます。 今年度の財政運営についてでありますが、復旧・復興事業に係る財源については、復興交付金や震災復興特別交付税などの国の財政措置により必要額を確保することができました。通常事業の財源については、県税収入が当初予算における見込みから上振れし、地方譲与税や普通交付税、臨時財政対策債についてはおおむね所要額を確保できる見込みであり、各種事業についてしっかりと取り組むことができたものと考えております。 今回の補正予算案では、復旧・復興事業を初めとする歳出予算の執行額や財源の確定見込みに伴う計数整理を行ったほか、国の補正予算への対応につきましても別途予算措置を講じたところであります。また、退職手当債や行政改革推進債などの特例的な県債の発行を見合わせるとともに、財源調整機能を担う基金の取り崩しを一部取りやめて残高を確保するなど、来年度以降の財政運営にも配慮した編成に努めているものであります。 補正予算案の主な内容ですが、初めに震災復興関連事業及び通常分の事業についてであります。 震災復興関連事業につきましては、先月、国に第二十三回の申請を行った復興交付金を基金に積み立てるとともに、震災で親を亡くした子供たちなどのためにお寄せいただいた御好意を東日本大震災みやぎこども育英基金に追加して積み立てるほか、来年度以降の復興施策の財源として活用するため全国の方々からの寄附金等を東日本大震災復興基金及び地域整備推進基金に積み増します。 次に、通常分の事業については、地方自治法の規定に基づく県民投票条例制定請求に係る審査経費のほか、流域下水道事業について来年度から地方公営企業法を全部適用し、企業局へ事業を移管することに伴う繰出金を計上しております。 このほか、みやぎ発展税の増収分等を富県宮城推進基金に積み増すほか、社会福祉事業の振興や地域の保健福祉の増進に重点的に取り組むための財源として社会福祉基金の充実を図ります。また、県有施設設備の維持更新や長寿命化を計画的に進めるため、所要の財源を県庁舎等整備基金及び文化振興基金に積み立てるとともに、地域の環境保全活動の推進を図る財源として地域環境保全基金の充実も行うこととしております。 次に、防災・減災、国土強靭化やTPP協定の早期発効に対応するための農林水産業の強化策などを織り込んだ国の補正予算に対応して実施する施策についてであります。 まず、公共事業関係では、県道気仙沼唐桑線などの道路橋梁、七北田川、迫川等の河川、砂防、農地整備、治山などの事業費を増額しております。 公共事業以外では、保育人材の確保のため保育士修学資金の貸し付けに係る経費を増額するほか、老人福祉施設のブロック塀の改修に係る経費を助成するとともに、特別支援学校等の空調設備の整備を行います。あわせて、東北電力女川原子力発電所の周辺地域において要配慮者等の一時的な屋内退避施設に係る放射線防護対策の経費を助成し防災対策の充実を図ります。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正額は震災復興関連及び通常分に係る補正予算については、一般会計で五百十八億一千八百余万円の減額、総計では四百五十八億三千二百余万円の減額となります。財源としては、県税五十五億三千五百万円、地方譲与税四十一億六千二百万円などを追加する一方、国庫支出金二百四十八億八千余万円、県債百十九億二百余万円、諸収入六十一億三千四百余万円などを減額しております。 また、国補正予算への対応に係る補正予算については、一般会計、総計ともに百三十七億余万円の増額となります。財源としては、国庫支出金七十二億六千九百余万円、県債五十二億一千八百余万円などを追加しております。この結果、今年度の予算規模は一般会計で一兆一千百三十七億五千六百余万円、総計で一兆六千百八億二千二百余万円となります。 予算外議案については、条例議案六件、条例外議案十二件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず条例議案でありますが、議第八十八号議案は、東日本大震災により被害を受けた者に係る各種手数料の免除の期間を延長しようとするもの、議第九十一号議案は、中山間地域等農村活性化基金の処分を可能にしようとするもの、議第九十二号議案は、宮城県公共工事等入札・契約適正化委員会の調査審議事項に地方独立行政法人の調達に係る事項を追加しようとするものであります。 また、議第百五号議案は、地方自治法第七十四条第一項の規定に基づき、東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例の制定について直接請求がなされ、去る二月十二日に受理しましたので、同条第三項の規定により意見を付して提案するものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第九十三号議案は、県道の路線認定について、議第九十四号議案は、県道の路線廃止について、議第九十五号議案は、訴えの提起について、議第九十六号議案及び議第九十七号議案は、工事請負契約の締結について、議第百号議案ないし議第百二号議案は、権利の放棄について、議第百三号議案及び議第百四号議案は、市町村の受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(佐藤光樹君) 補正予算案に係る各部局長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 地方公務員法第五条第二項の規定により、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。……………………………………………………………………………………………                           宮人委第324号                         平成31年2月18日 宮城県議会議長 佐藤光樹殿                          宮城県人事委員会                           委員長 千葉裕一           条例案に対する意見について 平成31年2月13日付け宮議第531号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。                 記 「議第20号議案 職員の自己啓発等休業に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は,学校教育法(昭和22年法律第26号)の改正に伴い,規定の整理を行うものであり,適当と認めます。 「議第21号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は,人事院規則15-14(職員の勤務時間,休日及び休暇)の一部改正により国家公務員において超過勤務命令の上限等が定められたことに準じ,本県職員についても時間外勤務命令の上限等を定める措置を講ずるため,所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第22号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は,支給対象の見直し等に伴い所要の改正を行うものであり,適当と認めます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤光樹君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第百十二、一般質問とをあわせて行います。 質疑、質問は順序に従い許します。三十八番石川光次郎君。    〔三十八番 石川光次郎君登壇〕 ◆三十八番(石川光次郎君) おはようございます。宮城野区の石川光次郎でございます。自由民主党・県民会議を代表して大綱一点、県政の今後の展望について代表質問をさせていただきます。 平成三十一年度は御代がわりの年であり、今上天皇陛下が御譲位なされ、五月一日に皇太子殿下が御即位される、まさに新しい時代へのスタートの年であります。また、東日本大震災から間もなく丸八年になり、県の震災復興計画も発展期の二年目、残すところあと二年となります。復興の完遂はもちろんのことでありますが、復興後の県政発展を見据えながら明るい展望が開ける議論がなされますよう期待をして、以下質問をしてまいります。 まず初めに、県の財政運営についてお伺いいたします。 平成三十一年度当初予算案は、復旧・復興の完遂に向けた取り組みを引き続き最優先に進めるとともに、知事が、未来への架け橋予算と命名されたことにもあらわれているとおり、震災復興計画の期間終了を見据え、地域経済の活性化や交流人口の拡大、福祉施策の充実や県有施設の老朽化対策等の県政課題に積極的に取り組んでいく姿勢を明らかにしたものであるとの認識で受けとめております。しかしながら、これらの事業を支える県財政に関しては甚だ心もとない状況に置かれているものと認識せざるを得ないと考えております。平成三十年度二月補正予算において、県税収入の上振れなどを活用し県庁舎整備基金や文化振興基金等への積み立てを行い、近い将来確実に見込まれる財政需要に備えようとする点は一定の評価はいたしますが、平成三十一年度当初予算では退職手当債を計上してもなお不足する百二十億円について財政調整基金を取り崩すことによって、ようやく収支均衡予算が編成されたところであります。これにより平成三十一年度末の財政関係基金の残高は三百九億円となる見込みですが、これは全国的な景気回復が始まる前の平成二十三年度末の残高三百七十三億円を大きく下回る水準であります。創造的復興をなし遂げるためには、新年度予算に盛り込まれたような積極的な取り組みを更に拡充していかなければならないと考えますが、そのためには安定した財政基盤の確立が不可欠であり、財政健全化に向けた更なる努力が必要と考えますが、平成三十一年度当初予算案の編成を終えた今、我が県財政の現状について知事はどう認識しているのかをお伺いいたします。 国の復興・創生期間の終了する平成三十三年度以降を展望いたしますと、復興需要の収束に伴う県税収入の鈍化や国の特例的な財政支援の縮小など、我が県財政は更に厳しい環境に置かれることが想定されます。先日公表された中期的な財政見通しにおいては、県税収入は伸びが期待できず横ばいで推移するほか、消費税率引き上げによる歳入増についても社会保障関係経費の自然増等により打ち消される見込みであり、毎年度発生する巨額の赤字を財政調整関係基金の取り崩しで埋め合わせる綱渡りの財政運営が続くとの試算結果が示されたところであります。また、この財政見通しは復興・創生期間後も現在と同様のスキームで国の財政支援が継続されるという前提のもとで作成されております。試算結果として記載されている「国の財政支援の内容によっては財源不足が更に拡大し、財政調整関係基金が枯渇する状況となることが懸念されます」との見立てが十分にあり得るシナリオであると認識し、これまで以上に気を引き締めて財政運営に当たっていく必要があるものと考えます。このように、我が県の経済、財政を取り巻く環境が厳しくなると予想される震災復興計画終了後を見据え、今後どのような点に留意しながら財政運営に当たっていくつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、SDGsへの取り組みについてお伺いいたします。 SDGsは平成二十七年国連サミットで採択された持続可能な開発目標であり、誰一人取り残さないことを理念に掲げ、貧困をなくそう、働きがいも経済成長も、海の豊かさを守ろうなど十七のゴールいわゆる目標と、百六十九項目のターゲットいわゆる達成基準が盛り込まれているものであります。貧困や飢餓、テロや紛争、気候変動など地球全体が抱えるさまざまな問題に対する強い危機感から誕生したものでありますが、国際社会の構成員である我が国、ひいては宮城県においても大変重要な取り組みになるべきものと考えられます。そこでまずこのSDGsに対する知事の基本的な認識と、県としてどのように取り組んでいくのかについて御見解をお伺いいたします。 また、SDGsの目標年次は二〇三〇年とされておりますが、県では来年度から次期総合計画の策定に向けた検討を進めていくとのことですが、震災復興後を見据えたこの検討の中で次期総合計画とSDGsとの関係をどう捉え整合を図っていくのか、御見解をお伺いいたします。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについて伺います。 いよいよ来年に迫った東京二〇二〇オリンピックの開催まで一年半を切り五百十九日となりました。御案内のとおり本県ではサッカー競技男女予選リーグと決勝トーナメント合わせて十試合が利府町のひとめぼれスタジアム宮城において開催される予定であります。一九六四年の東京オリンピック開催時にはまだ生まれておらず、私にとっては初の自国開催のオリンピックとなります。しかもふるさと宮城においても競技開催がされるということ、ことさら県協会の顧問をさせていただいているサッカー競技が行われるということで喜びも興奮もひとしおであります。本年開催のラグビーワールドカップも我が県で開催されればとの思いもありますが、この件についてはきょうは置いておきます。本県でのオリンピック開催ということでさまざまな準備が順調に進められていることと拝察いたしますが、オリンピック開催を契機として国内外から多くの方々が本県を訪れることになると考えられますが、本県の魅力そして復興オリンピックの名のもと、復興状況や復興支援に対する感謝の気持ちを強力に発信する絶好の機会になるものと考えております。その本県を訪れた方々に対しおもてなしとして競技会場への案内、誘導や県内各地の観光案内などを行ってもらうのが都市ボランティアの存在であり、大会成功に向けてなくてはならない方々であります。多くの県民がボランティアに参加することで、復興五輪を肌で感じていただけるよい機会になると期待もしているところであります。大会組織委員会で募集する大会ボランティアや東京都などで募集する都市ボランティアについては既に昨年九月に募集を開始し、必要人数を大きく上回る応募があったとマスコミ報道などで聞いているところであります。本県においても、昨年十一月に東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会ボランティア実施計画(第二次計画)を策定しているところであり、今後は千三百人程度の都市ボランティアの募集を行う予定であると聞いているところでありますけれども、本県における都市ボランティア募集に向けての準備状況と募集に当たっての本県の特徴的な取り組みについてお伺いをいたします。 次に、防災・減災、国土強靭化についてお伺いをいたします。 我が国はこれまで国土の地理的、地形的及び気象的な特性から数多くの災害に繰り返しさいなまれてきました。そして未曽有の被害をもたらした東日本大震災のように規模の大きな災害であればあるほど、まさに忘れたころに訪れ、その都度多くのとうとい人命を失い、莫大な経済的、社会的、文化的損失をこうむり続けてきました。更に近年、全国各地において豪雨、高潮、暴風、波浪、地震、豪雪など気候変動の影響による気象の急激な変化や自然災害が頻発化、激甚化し、これまでの常識では想定し得ない被害が発生するとともに、社会インフラの脆弱性が顕著に見られるようになってまいりました。記憶に新しいところでは、昨年七月の西日本豪雨、台風二十一号、大阪北部地震、北海道胆振東部地震を初めとする自然災害によりブラックアウトの発生、空港ターミナルの閉鎖など、生活、経済に欠かせない重要なインフラがその機能を喪失し、生活や経済活動に大きな影響を及ぼす事態が発生いたしました。同様に本県においても、いつ何どき大きな自然災害が発生してもおかしくない状況にあり、近年では平成二十七年九月の関東・東北豪雨において県内陸部で大きな被害が出たところでもあります。このように自然災害が頻発化、激甚化する中で昨年十二月十四日、国においてソフト、ハード両面からの防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策が閣議決定されました。東日本大震災や近年の自然災害から得られた教訓を踏まえれば、事後対策ではなく平時から事前の備えとして、防災・減災、インフラの強靭化の取り組みを推進していくことは非常に重要であり、三カ年の緊急対策とはいえ国の取り組みは評価すべきものと考えております。そこで国が示した三カ年緊急対策に対しての知事の所感をお伺いいたします。 また、三カ年緊急対策のハード対策として、河川、砂防等の防災のための重要インフラの機能強化等により、大規模な浸水、土砂災害、火山噴火等による被害の防止、最小化を図ること及び道路等の経済、生活を支える重要インフラの機能強化等により、災害時の避難、救助及び迅速な復旧・復興に不可欠な交通ネットワークの確保を図ることが取り組みメニューとして掲げられました。更に、ハード対策だけでは防ぎ切れない災害に対しては、たとえ被災したとしても被害を最小化するための減災の考え方を取り入れたソフト対策も重要と考えるところであります。三カ年緊急対策においては、災害発生時の情報発信の充実や利用者の安全確保といったソフト対策としての取り組みメニューが掲げられております。これら国が示したメニューに対して県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、このような防災・減災インフラ強靭化を推し進めていくためには、地域建設企業の存在が不可欠であります。東日本大震災においては被災した企業も多い中、地元建設企業が発生直後から現在に至るまで、地域の守り手そして復旧・復興の担い手としてその力を遺憾なく発揮していただき、改めてその重要性が認識されたところであります。また、昨年七月の西日本豪雨を初めとする頻発化、激甚化する多種多様の自然災害に対し、全国の地域建設企業がその都度初動活動から復旧対応を担うとともに、更には、一昨年三月に栗原市で発生した高病原性鳥インフルエンザの埋却処分対応など、ある意味建設産業という枠を超えた多種多様な危機対応を担う地域の危機管理産業と言っても過言ではない働きをしていただいております。一方、地域建設作業の置かれている人的環境を見てみますと、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により社会全体で働き手が不足する中、建設産業においては三Kと言われる就労環境を背景に他産業を上回る状況で高齢化が進行しており、建設業就業者の三分の一が五十五歳以上、二十九歳以下の若手が約一割という状況になっているそうであります。現状のままでは、建設産業は人材獲得競争に勝ち残ることができず、より一層担い手不足が懸念される状況であります。このような状況の中、地域の安心・安全を確保するためには地元の建設産業の担い手確保、育成にしっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、県として地域の建設産業の担い手の確保、育成に向けどのような対応を図っていくこととしているのかお伺いをいたします。 次に、仙台塩釜港仙台港区の安全確保についてお伺いをいたします。 御案内のとおり仙台塩釜港仙台港区においては、震災からの復旧をいち早く遂げ、コンテナ貨物取扱量も四年連続で最高値を達成し新規コンテナ定期航路も就航するなど、知事を初めとする関係各位のポートセールスの成果もあり、着実に港勢拡大の道を歩んでおります。また、大型クルーズ船の寄港も石巻港区とあわせ平成二十九年には十二回、昨年は台風の影響で寄港できなかったものが三回ほどあったようですが、寄港が十二回あり、大型船入港の環境整備も整えてきているとお伺いもしており、大変頼もしい限りであると感じております。しかしながらその一方で、入港船舶の増加を要因として港内が混雑しており、航行の安全確保や運行調整などの課題が浮き上がってきております。今後の港の趨勢を考えたときに安全性の確保は大変重要なものであると考えられます。以前も提案申し上げましたが、ポートラジオの導入について前向きに検討いただいていると伺っておりますが、各関係団体との調整の進捗状況をお示しください。 また、本年仙台港区内において重油流出事故が起こりました。処理のおくれから近隣漁場へと流出は拡大し、ノリを初めとする海産物に大きな被害をもたらしました。本県水産業にとりまして大きな痛手をこうむったわけであり遺憾の意を表します。第一義的には原因船所有者に責任があることと思いますが、港区内で起きた事故でありますから港湾管理者としての責任は逃れられないと思いますが、今回の事故において県の初動対応に不備はなかったのか、事故発生時の対応マニュアルの存在とあわせてお示しをください。 また、このような事故は二度と起こしてはならないと感じておりますが、再発防止策としてどのような検討がなされているのか、お伺いをいたします。 次に、広域防災拠点整備事業についてお伺いいたします。 この事業は東日本大震災の教訓を踏まえ、今後起こり得るであろう大規模災害に適切に対応するため、傷病者の域外搬送拠点機能の充実強化、広域支援部隊の一時集結場所やベースキャンプ用地の確保、物資輸送中継拠点整備等が必要であるとの認識から、仙台市中心部に近い宮城野原地区のJR貨物仙台貨物ターミナル駅用地を取得し整備を進めているものであります。我が県の防災対応力の強化、更には整備される公園は既存の宮城野原総合運動公園とあわせ、仙台市民のみならず多くの県民に潤いと憩いの場を提供することとするほか、貨物駅の移転により我が県の物流環境の改善にもつながり、期待の大きい事業であると考えております。しかしながら知事は、先日の定例記者会見において、これまで平成三十二年の広域防災拠点一部供用開始とされていたスケジュールを平成三十五年度以降の供用に延期することを表明されました。今回の事業期間の延伸の要因は、広域防災拠点整備の前提となる仙台貨物ターミナル駅の移転が予定どおり進んでいないこととされていますが、移転先の岩切地区においては既にJR貨物による用地買収契約がほぼ終了していると伺っておりますが、どのような要因で貨物駅の移転がおくれることとなっているのか、お伺いをいたします。 またこの事業は、知事が掲げる創造的復興を象徴する事業であり、私自身復興計画の期間内に完了できないことは非常に残念であると感じておりますが、事業期間の延伸に関して、知事の所感についてもあわせてお伺いいたします。 県は現在、宮城県総合運動公園いわゆるグランディ21を暫定的な広域防災拠点としておりますが、大規模災害に対して決して万全の体制というわけではないと考えております。これまでの説明では仙台貨物ターミナル駅が移転しなければ本格的な広域防災拠点の整備着手はできないとされておりましたが、JR貨物に協力を要請して、宮城野原地区において一部でも広域防災拠点の機能が発現できるよう整備を進めることはできないものでしょうか。更に、広域防災拠点の全体の完成時期はいつになるのかをお伺いいたします。 このたび少なくとも三年程度事業期間が延伸されることとなると思いますが、事業費全体に変更はないのでしょうか。加えてその財源の確保には支障がないのかをお伺いいたします。 次に、上工下水みやぎ型管理運営方式についてお伺いいたします。 水道事業は人口減少や節水型社会の影響により水の使用量が減少し、今後収入の減少が見込まれております。一方で、今後施設や設備の更新需要の大幅な増加が見込まれており、将来的には水道料金の大幅な引き上げは避けられない状況にあると伺っております。そこで、県は水道三事業の事業者として最終責任を持ち続けたまま民間の力を最大限に活用し大きなコスト削減を図り、将来にわたって安全で安心な水を安定的に供給するため、みやぎ型管理運営方式の導入を目指しこれを進めてきております。昨年十二月、国において改正水道法が成立し、みやぎ型管理運営方式の導入に向けた制度設計や手続が今後具体的に動き出すと思いますが、どのようなスケジュールで手続を進めていかれるのか、お考えをお伺いいたします。 これまでの水道法においては公営または民営のどちらかの選択肢しかありませんでしたが、改正水道法の成立により官民連携の実施が可能となりましたが、一部のマスコミでは、今回の改正水道法について、水道民営化法であるとの報道があったために、みやぎ型管理運営方式も完全民営化されると誤解をしている方々もいると思いますし、また当局の説明不足なのかどうかわかりませんけれども、県が実施しようとしているみやぎ型管理運営方式に不安を抱いている方もいると考えております。県民や受水市町村に対し、みやぎ型管理運営方式は民営化ではなく、水道の基盤強化を図るための官民連携の一つであることをもっとわかりやすく、もっと丁寧に正確に伝えることが必要だと思いますが、どのように考えているかお伺いをいたします。 先日、建設企業委員会の県外視察において下水道分野では国内初となるコンセッション方式を導入した浜松市の公共下水道終末処理場西遠浄化センターを訪れ、浜松市と運営権者が行っているモニタリングの話を伺ってまいりました。運営権者によるセルフモニタリングはセルフモニタリング実施計画書に基づき実施し、市のモニタリングは対象業務ごとに専門性を生かして各担当課が行い、第三者モニタリングは日本下水道事業団が行い、要求水準の内容により、月ごと、四半期ごと、年度ごとに分けて定期的に実施しているそうで、書類による確認、会議体による確認、そして抜き打ちも含めた現地における確認をしているそうであります。みやぎ型管理運営方式においても、県民が安心して水道利用できるようしっかりとしたモニタリングの構築が必要だと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。 次に、種子法廃止に伴う県の対応についてお伺いをいたします。 主要農作物種子法は、戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国、都道府県が主導して優良な種子の生産、普及を進める必要があるとの観点から昭和二十七年に制定され、これまで長きにわたって主要農作物種子の国内自給の確保と食料安全保障、更には農業の振興に多大なる貢献をしてきました。この種子法が昨年、平成三十年四月に廃止されたことに伴い、各都道府県では農業振興上最も基本的で重要な事項である主要農作物の優良種子の供給確保に向けた対応が求められ、兵庫県、新潟県、埼玉県では、従来の種子法にかわるものとして条例を制定し、他の多くの都道府県では要綱、要領等により対応することとなりました。我が県においても、昨年四月に宮城県主要農作物種子に関する要綱及び関連要領を定め、新たな制度のもとで米、麦類、大豆の奨励品種に関する種子の生産供給体制維持に取り組んでいるところであり、今年度の種子生産に当たっては大きな混乱もなく、生産現場において従来どおり種子生産の取り組みが継続されていると県担当部局から伺っているところであります。しかしながらその一方で、種子法廃止に関して大きな不安を抱いている生産者や関係団体の皆様の声もあります。我が党県連の政務調査会においても昨年七月、県民の声を聞く会を加美郡色麻町において開催し農業関係団体の皆様から多くの不安の声をいただきました。これらの不安を払拭する必要があるとともに、種子の安定生産供給に必要な予算を安定的に確保するためにも条例制定を検討すべきではないかと考えております。先般の十一月議会においては、知事から「種子条例の制定等に関して改めて検討するよう担当部局に指示した」との説明があったところでありますが、その後、現時点での検討状況についてお伺いをいたします。 また、昨年四月に条例を制定した三県に加え、十月にはお隣の山形県、ことし一月には富山県で新たに条例が施行されたほか、北海道、宮崎県など四つの道県でもことし四月の施行に向け準備を進めていると伺っており、特に米の主産県を中心として全国的に条例制定の検討が進んでいる状況にあります。更に、十一月議会閉会後には、県内における水稲種子の主要な産地である大崎市と栗原市の市議会から県種子条例の制定を求める意見書が提出されるなど、県内においても県種子条例の制定を求める声が一層高まっているところでもあります。これらを受けて、我が会派でも農林議連において種子条例制定に向けての勉強会や申し入れを行ってきたところでございます。このような情勢を踏まえ、米の主産県である我が県においても、改めて県種子条例の制定を前向きに検討すべきと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、和牛振興についてお伺いいたします。 第十一回全国和牛能力共進会宮城大会から間もなく一年半が過ぎようとしております。宮城大会を振り返ってみますと、九つの出品部門のうち八つの部門で上位入賞を果たし、そのうち第二区の若雌の一では「さいぜんれつ号」が見事日本一に輝きました。また、団体総合第四位を獲得するなど過去最高の成績をおさめるに至りましたことは、関係各位の御努力のたまものであると心から敬意を表したいと思います。今後の本県の畜産振興、和牛振興を考えたときにこの宮城大会の結果を踏まえ、次の鹿児島大会へと生かしていかなければならないと考えております。後継者不足や担い手の高齢化が進む中で全共宮城大会での躍進は和牛生産者にとって大きな励みとなり、生産意欲の高揚につながり、生産基盤の維持拡大にも大きく寄与したものと考えておりますけれども、知事の次回鹿児島全共に向けた決意とあわせて、今後の取り組みについてお伺いをいたします。 次に、東日本大震災みやぎこども育英基金と遺児等教育手当についてお伺いをいたします。 県議会昨年の九月定例会で我が会派の佐々木幸士議員の一般質問において、東日本大震災で親を失った子供たちに奨学金を支給する、東日本大震災みやぎこども育英基金の今後の震災遺児、孤児に対する奨学金給付事業について、村井知事は遺児、孤児の就学支援という目的によりかなうように制度の見直しを行い、給付対象者のニーズ調査や就学費用に関する各種統計データの検証をし、給付額の増額や対象の拡大も検討する旨の答弁をなされました。また、制度改正に伴う遡及措置の検討においても前向きと見られるお考えを示されました。本基金は平成三十一年一月三十一日現在で一万七千七百五十八件、百十一億四千八百五十二万六千二百九十九円の寄附があり、現在においても継続的に県内外問わず多くの方から温かいお心をお寄せいただいております。震災からの八年間、これまで遺児、孤児への奨学金の給付事業から平成二十八年度からは震災遺児、孤児を養育している里親などへの支援や被災地の子供たちへの心のケアに関する支援など、寄附者の御理解をいただきながら、ニーズに合った拡充措置をとっていただいてきたことは大変ありがたいことだと思います。そして今般、遺児、孤児に対する奨学金の給付額等を平成三十一年度より見直しをし拡充されると伺っておりますが、その見直しを行った趣旨についてお伺いをいたします。 また、以前から佐々木議員が取り上げておりました、交通事故及び海難事故で親を失った遺児、孤児に対する支援についてですが、教育手当の支給はあるものの親を失った理由によって支援格差が生じている現状があり改善を求めてきたところであります。そのような中、今般、震災以外の交通事故や病気等により保護者をなくした遺児、孤児に対する奨学金制度を創設すると伺いましたけれども、その制度の内容についてお示しをください。 次に、いじめ、不登校問題について伺います。 今全国でいじめ、不登校は大きな社会問題となり大変痛ましい事件へと変貌を遂げています。我が県内においても例外ではなく悲しい出来事が頻発している状態があります。このような事態から一日も早く脱却し、子供たちが明るい笑顔で毎日を過ごせる、そして笑顔で学校に通える環境をつくっていかなければいけません。昨年十月に公表されました、文部科学省が平成二十九年度に行った「児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸課題に関する調査」の宮城県分の結果を見ますと、小中高等学校の暴力行為一千四百四十二件、いじめ認知件数は一万九千四百五十五件で、児童生徒数千人当たりの発生件数、認知件数は全国平均を大きく上回っている状況であり、不登校出現率は小学校〇・六六%、中学校四・三〇%であり、全国平均を上回り高水準で推移している状況であります。このような調査結果を受けて県教育委員会では、行きたくなる学校づくり、各学校における組織的な対応の推進、学校を外から支援する体制の強化、幼保、小、中、高、特別支援学校の更なる連携強化、新入試制度の活用の五項目を挙げ、市町村教育委員会を初めとする関係団体と連携をとりながら対応を強化するとしておりますが、本県におけるいじめ、不登校の現状をどう捉えているのか、また今後の取り組みについて具体的にお示しをください。 次に、県民会館の整備についてお伺いいたします。 御案内のとおり、県民会館は昭和三十九年九月に開館し五十四年が経過した現在、老朽化が進み、立地や施設、設備、施設利用上などの多くの課題を抱え、建てかえの議論が進んでおります。昨年五月末から十月末まで行われた県民会館需要調査の結果を見ますと、「現在の県民会館の高稼働状況及び仙台市内のホール不足への対応を考慮すると、県が二千席規模の施設を整備しても、施設の供給過剰になることは想定されにくい」とあります。これらを受けて、県民会館の整備のあり方に関する有識者会議が組織され、今月に第一回目の会議が開催されました。基本的な方向性や機能として、誰もが足を運べる開かれた施設、テクノロジーの変化への対応など長期間利用する施設としての環境整備、関係施設とのネットワークのハブ機能や市町村ではできないことへの対応、東北地方全体の需要も視野に入れた整備などの意見が出されたと伺っておりますが、これらの意見を受けて知事の現時点での御所見をお伺いいたします。 また仙台市においても音楽ホール建設に向け議論が進んでいると伺っており、県民会館と仙台市の音楽ホールの機能の重複を避けるべきという意見がありますが、知事のお考えを伺いますとともに、仙台市長とはこの件についてどの程度話し合いをされているのか伺います。 また立地については有識者会議で「現状の課題や今後求められる県民会館の機能を考慮すると現地での建てかえは困難ではないか」との意見が出されたようでありますが県民会館現地建てかえが困難となった場合、立地場所選定について知事のお考えをお聞かせください。 最後に本日追加提案された議第百五号議案についてお伺いいたします。 二月八日に東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例制定の請求書が提出され、そして先ほど投票条例案が知事の意見書とともに議会に追加提案がなされました。直接請求に必要な約四万人を超える約十一万一千人の署名人名簿が提出され条例制定の請求がなされたことは、住民が積極的に地方自治にかかわることとして大変重く受け受けとめるところであります。その一方で、今回提出された条例案を慎重に議論する上で、我が国のエネルギー状況についての基本認識を共有する必要があると考えます。資源小国の日本においては、原油等大半のエネルギー源を海外に依存しており、これまでもエネルギー政策は国民生活、経済活動を維持していくために欠くことができないものであり、そして地球温暖化対策も含め国際社会に対しても大きく影響を及ぼすことになることから、原子力発電を含めエネルギー政策は国策として今日まで進められてきております。また、原子力発電の稼働について議論を進めていく際には、設置自治体、事業者など利害関係者に対しさまざまな影響が出るといった点も十分に考慮しなければなりません。このようなことを踏まえ、今回の住民請求を知事はその意義を大変重く受けとめていると意見書で述べておりますが、知事自身として今回の県民投票条例をどう捉えているのか改めて率直な思いをお聞かせください。 次に、東北電力は原子力規制委員会に対して、平成二十五年十二月二十七日女川原子力発電所二号機を新規制基準に適合させるための原子炉設置変更許可申請書を提出しておりますが、現時点における原子力規制委員会の審査状況はどのようになっているのかお示しください。また、県が設置している安全性検討会についての状況もあわせてお示しください。 最後に今回の条例案が賛成または反対の数で示された投票結果をもって知事及び議会に投票結果を尊重し、稼働の是非に関して投票結果に示された県民の意思が正しく反映されるよう努めなければならないとすることは、我々日ごろ県民の意見を丁寧に聞きながら地域の意見を吸い上げ活動する県議会議員により議論が交わされる県議会において、予測しがたい制約が課せられることに強い危惧を抱くものであります。原子力政策は国の将来を見据え、立地地域の安全対策や地域振興策を講じながら国策として進められてきた経緯があります。また単にエネルギー問題のみならず、経済、外交、安全保障などの諸課題と密接に関連し、現在のみならず我が国の将来を定める重要な課題であります。そのような課題について地元として知事と県議会がさまざまな意見を踏まえてしっかり議論し、その立場を表明した上で最終的に高度な専門的知見を要する国策として国が責任を持って判断すべきと考えますが、この点について知事の所見を伺います。 以上で、壇上よりの質問を終了させていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 石川光次郎議員の代表質問にお答えをいたします。 大綱一点、県政の今後の展望についての御質問にお答えをいたします。 初めに、我が県財政の現状認識についてのお尋ねにお答えをいたします。 平成三十一年度当初予算案は、震災復興計画の発展期二年目の予算として、復旧・復興の完遂に向けた取り組みを最優先に進めるとともに、地域経済の活性化や交流人口の拡大、福祉の充実などの県政課題を解決するための施策を重点的、積極的に予算化いたしました。一方その編成に当たっては、シーリングの設定等を通じた既存事業の見直しや退職手当債を初めとする特例的な県債の活用など、新・みやぎ財政運営戦略に掲げる歳入歳出両面にわたる対策を講じたものの、それでもなお生じる財源不足への対応として、財政調整基金を百二十億円取り崩すことを余儀なくされました。予算編成過程におけるこのような経過を踏まえると、我が県が現に置かれている財政状況は依然として厳しいものと言わざるを得ないと考えております。 次に、今後の財政運営上の留意点についての御質問にお答えをいたします。 震災復興計画期間終了後の県財政を取り巻く環境は、従来からの課題である社会保障関係経費の増加等に加え、復興需要の収束に伴う県税収入の鈍化や復興事業に対する国の財政支援の縮小といった新たな懸念材料により一層厳しさを増すものと考えております。今月公表した中期的な財政見通しでは、平成三十四年度末の財政調整関係基金残高が三十四億円まで減少するものと試算しており、復興・創生期間後の国の財政支援の内容によっては基金が枯渇するおそれも出てまいります。このため今後の財政運営においては、新・みやぎ財政運営戦略に掲げた財源対策を着実に実施するとともに、創造的復興に向けた取り組みを前進させることで地域経済の活性化を図り、県税収入の増加につなげていくことが重要であると考えております。また復興財源に関しては、中長期的な対応が必要となるソフト事業等に対する財政支援の継続について引き続き国に強く働きかけるとともに、東日本大震災復興基金等の県独自財源の効果的な活用を図ってまいります。今後とも復興の完遂を初めとする県政の課題解決に必要な財源の確保に全力で取り組むとともに、将来負担の軽減にも配慮しながら持続可能な財政運営に努めてまいります。 次に、SDGsの基本的認識と今後の県の取り組みについての御質問にお答えをいたします。 SDGsは世界全体の経済、社会、環境の三つの側面における持続可能な開発を統合的に推進するものであると同時に、我が県の諸課題を解決し更なる発展を図る上でも重要であることから、その達成に向け積極的に取り組みを進めていく必要があるものと認識をしております。このため県では来年度SDGsを推進するための庁内体制を整備するとともに、SDGsを政策的な検討課題として、平成三十二年度における具体的な施策化に向けた検討を行うなど、その理念を踏まえながら県政運営を進めてまいりたいと考えております。 次に、SDGsと次期総合計画との整合についての御質問にお答えをいたします。 二〇二〇年度で終期を迎える、宮城の将来ビジョンと宮城県震災復興計画の後継計画であり、我が県のポスト復興の針路を示す次期総合計画については、来年度から検討を始めることとしております。次期総合計画の期間は二〇二一年度から二〇三〇年度までの十年間とする予定であり、目標年がSDGsと重なることからも具体的な目標設定やさまざまな主体との連携促進策などにおいて可能な限りSDGsの考え方を取り入れ、中長期的な視点からの持続可能な開発という観点を中心に据えてさまざまな検討を進めてまいりたいと考えております。また、県政の各分野における個別計画等についてもSDGsの考え方を反映するよう十分に調整を図り、震災からの創造的な復興と更なる発展を目指す我が県の取り組みがより効果的なものになるように留意してまいります。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの都市ボランティア募集の準備状況と特徴的な取り組みについての御質問にお答えをいたします。 オリンピック・パラリンピック競技大会における都市ボランティアは、開催地の顔として国内外から我が県を訪れる方々に対しおもてなしの心を持ってお迎えし、明るく楽しい雰囲気で競技会場までの誘導や観光案内などを行うことで大会を盛り上げていく重要な存在であると考えております。そのため県では東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会宮城県推進会議の中にボランティア専門部会を設置し、専門的な知見に基づいた意見をいただくとともに県民向けの説明会を県内各地で開催し、その際県民からいただいた意見も参考にして都市ボランティアの運営に係る実施計画を昨年十一月に策定し、ことし四月から募集を開始することにいたしました。我が県の都市ボランティアの特徴的な取り組みとしては、東日本大震災の記憶や復旧・復興に関する情報の提供などを行う東日本大震災語り部ボランティアを配置することにより、復興五輪の取り組みをソフト面からしっかりと支えるとともに、若い世代にも都市ボランティアに参加していただきたいという観点から、応募資格を高校生まで拡大することにしております。今回の都市ボランティアの活動が参加する方々にとってやりがいのあるものとなるようしっかりと準備を進めるとともに、多くの方々に参加していただくことによりスポーツボランティア活動の裾野が広がり、大会後のレガシーにつながっていくように取り組んでまいりたいと考えております。ボランティアに、都市ボランティアというのと大会ボランティアというのがあって、大会ボランティアは競技のボランティアなので割と参加者が多いのですが、都市ボランティアはお客様を誘導したりする案内なのでなかなか集まりづらいということなので、これから頑張りたいというふうに思っております。 次に、重要インフラに関する、防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策への所感についての御質問にお答えをいたします。 近年、地球温暖化の影響などにより台風、低気圧などに伴う自然災害が頻発化、激甚化しており、また東日本大震災の発生以降も地震や火山噴火など大規模な自然災害の発生が多くの地域で懸念されているところであります。このためこれまで整備された重要インフラがその機能を将来にわたって持続的に維持できるよう必要な対策を講じていくことが我が県においても急務となっております。このような状況の中、今般国が打ち出した、防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策はまさに時宜を得たものとして高く評価をしているところであります。県といたしましても、災害に強い県土の構築に向け、国が進める三カ年緊急対策事業を積極的に活用してまいります。 次に、三カ年緊急対策の具体的な取り組みについての御質問にお答えをいたします。 防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策については、昨年全国的に実施された重要インフラの緊急点検結果等に基づき緊急的な対策を必要とする箇所が対象となっており、我が県においても該当箇所について積極的に事業を実施することとしております。県が実施する主なハード対策としては、河川合流部における堤防のかさ上げや河道堆積土砂の掘削及び支障木の伐採、防災重点ため池における安全対策、荒廃した森林における治山対策など大規模な浸水、土砂災害及び火山噴火等による被害の防止や最小化を図るための対策を実施することとしております。あわせて橋梁耐震化や道路改良などにより、災害時の避難、救助及び迅速な復旧・復興に不可欠な交通ネットワークの確保を図るための取り組みを進めてまいります。またソフト対策としては、火山監視機能の強化や市町村の洪水ハザードマップ作成支援など、災害発生時の情報発信の充実や利用者の安全確保に向けた取り組みを行ってまいります。県といたしましては、国の三カ年緊急対策事業を十分に活用しハード、ソフト両面から県土の強靭化に向けて着実に対策を講じてまいります。 次に、建設産業の担い手の確保、育成の取り組みについての御質問にお答えをいたします。 地域の建設産業は、復旧・復興事業終了後には建設投資額の大幅な減少が避けられず、また就業者の高齢化や生産年齢人口の減少などに伴い、経営環境が一層厳しさを増すことが懸念されているところであります。建設業が魅力的な産業として将来にわたって担い手を確保、育成していくためには、きつい、汚い、危険のいわゆる三Kのイメージを払拭し、職場環境や労働環境を早急に改善することが求められていることから、建設現場の生産性の向上や若者の入職促進と定着の取り組みが必要であり、加えて建設産業の社会的重要性や魅力を戦略的にアピールしていくことが重要と考えております。そのため、技能者の処遇改善のための週休二日モデル工事や、女性の活躍推進に向けた女性登用促進モデル工事、生産性の向上を目的としたICT活用モデル工事などを実施し、工事成績で加点評価の対象としているところであります。また、小中学生とその家庭を対象に親子現場見学会を開催するなど、将来の担い手確保に向けた戦略的な広報活動を展開しております。県といたしましては、地元の建設企業が地域の守り手としてその役割を持続的に担うことができるよう、引き続き建設業団体と連携し建設産業の人材確保育成に努めてまいります。 次に、仙台塩釜港仙台港区におけるポートラジオ導入の調整状況についての御質問にお答えをいたします。 仙台塩釜港仙台港区は、昨年のコンテナ貨物取扱量が速報値で二十七万八千TEUと四年連続で過去最高を記録し、新たなコンテナ定期航路も開設されるなど、東北地方の暮らしと経済を支える物流拠点として着実に復興の歩みを進めているところであります。このような中、仙台港区における船舶の大型化、入出港隻数の増加による混雑やその将来的な発展を見据えると、船舶の入出港情報を共有するポートラジオは、航行の安全の確保や運行調整に重要な役割を果たすものと認識をしております。県ではこれまで既にポートラジオを導入している他港の調査や導入に当たっての課題について、公共バースを利用する企業と情報交換を進めており、更に、昨年十月には専用バースを利用する企業も加えた協議会を組織し具体的な調整を進めてきた結果、導入の必要性についておおむね理解が得られ、現在費用負担について協議を進めているところであります。県といたしましては引き続き協議会を通じて調整を進め、ポートラジオの早期導入に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、仙台港区内の重油流出事故について、初動対応や再発防止策の検討状況などについての御質問にお答えをいたします。 仙台港区内の重油流出事故は収穫の最盛期を迎えた皇室献上のノリ養殖に多大な被害を及ぼしました。漁業者の落胆ぶりは大変なものであり、被害を受けられました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。今回の事故への対応については、宮城海上保安部から事故の当日午後十一時ごろに「夜間のため被害状況等不明」との連絡があったことから、その時点で海面への油流出状況の全体把握は困難と判断し、翌朝現場確認を行い、県が委託している維持管理業者に港湾施設の油除去作業を指示したものであります。県はこれまで港湾管理者として、港湾区域内における海上等への流出油事故対応要領により対処してまいりましたが、今回の事故を受けて夜間の場合も含めた初期対応について改めて検証することとしております。県といたしましては今後この検証結果をもとに対応要領の充実を図りながら情報伝達訓練やオイルフェンス設置訓練等を実施するとともに関係機関との連携を強化し、油流出事故に対して万全を期してまいりたいと考えております。 次に、貨物駅移転がおくれた要因と事業期間の延長に対する所感についての御質問にお答えをいたします。 広域防災拠点整備事業を進めるためには、現在の貨物駅を宮城野原地区から岩切地区へ移転することが前提となります。貨物駅移転の事業主体であるJR貨物においては、これまで岩切地区における新貨物駅の設計に際して、道路管理者や鉄道事業者など多くの公共施設管理者との協議に時間を要したところであります。県といたしましても、貨物駅移転が進むようJR貨物とともに精力的な協議を行ってまいりましたが、このたび広域防災拠点の整備期間を延長せざるを得ないと判断したものであり、震災復興計画期間内での供用開始が見通せなくなったことに対し大変申しわけなく思っております。県といたしましては今後も引き続きJR貨物をしっかりと支援し、移転先の環境や安全に配慮するなど地元の理解を得ながら貨物駅の移転促進を図り、一日も早い広域防災拠点の供用開始を目指してまいります。 次に、広域防災拠点の機能発現と全体の完成時期についての御質問にお答えをいたします。 JR貨物と岩切地区への貨物駅移転時期の調整を行ったところ、宮城野原地区での土地の引き渡し予定が平成三十四年度末になることから、広域防災拠点の整備着手は平成三十五年度以降にならざるを得ない状況となっております。なお、広域防災拠点の明確な完成時期については今後進める詳細設計に基づき、工程等を検討した上でお示ししたいと考えております。また、広域防災拠点の部分的な供用につきましては、仙台医療センターや自衛隊駐屯地などの連携も含めた施設整備を行う予定であることから、今後庁内における議論や防災関係機関と調整を図りながら検討してまいります。 次に、全体事業費の変更と財源確保についての御質問にお答えをいたします。 全体事業費については、これまで宮城野原地区の用地取得費、貨物駅移転に係る補償費、広域防災拠点整備費を合わせて約二百九十五億円と想定しておりました。このたびJR貨物の詳細設計が進み、岩切地区への貨物駅移転に係る補償費が約二十九億円増額となることから全体事業費は約三百二十四億円と見込んでおります。これらの財源については社会資本整備総合交付金を活用しているところであり、国に対しては今回の事業費の増額と事業期間の延伸について報告し、引き続き交付金の対象となることを確認しております。県といたしましては、計画的な事業進捗のため今後とも所要額の確保について国に対し要望してまいります。 次に、みやぎ型管理運営方式の導入に向けた制度設計やスケジュールについての御質問にお答えをいたします。 みやぎ型管理運営方式は県が水道事業者として最終責任を持ち、事業全体の運営を担いながら施設の運転、維持管理や設備機器の更新など事業の一部を民間事業者に委ね、民間の経営ノウハウや資金を最大限活用することにより、コスト削減を図り持続可能な経営基盤の確立を目指すものであります。昨年十二月に改正水道法が成立したことから、今後「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」いわゆるPFI法に基づき実施方針、要求水準書及び募集要項等の作成、事業者選定、協定並びに契約の締結へと手続を進めてまいります。ことしの九月または十一月議会に実施方針、条例案を上程しお認めいただければ、来年三月までには運営権者の募集を開始し、約一年かけて優先交渉権者を選定した上で基本協定を締結したいと考えております。運営権の設定につきましては、平成三十三年の六月または九月議会で議決をいただいた上で実施契約を締結したいと考えており、平成三十三年度中の事業開始を目標に慎重かつ着実に進めてまいります。 次に、みやぎ型管理運営方式は官民連携であることを伝え、県民や市町村にわかりやすく正確に伝えるべきとの御質問にお答えをいたします。 みやぎ型管理運営方式は完全民営化ではなく、県がこれまでどおり管路の維持管理や更新などを担いつつ、民間の経営ノウハウ、資金、技術力を最大限活用してトータルコストの削減を図る官民連携であり、一層厳しくなる水道事業の経営環境を踏まえた最適な運営方式であると考えております。これまで県ではシンポジウム等の開催やホームページにおける説明資料の掲載など広く県民への周知を図ってきたところであり、また直接受水市町村長への説明を行っているほか、市町村の担当者に対しても定期的な現状報告会を開催してきたところであります。県といたしましては、これまでの取り組みに加え県民に直接説明する機会として、市町村との共催による出前講座を開催するなど、県民や受水市町村の理解を深めることを念頭に、これまで以上に丁寧な説明と情報発信に努めてまいります。 次に、モニタリング体制についての御質問にお答えをいたします。 安全・安心な水を安定的に供給するためには、しっかりとしたモニタリングが重要であると認識しており、現状においても県が作成した水質検査計画に基づき、民間事業者の運転監視状況、水質検査状況等の確認を行い、検査結果をホームページで公表しているところであります。みやぎ型管理運営方式導入後においても、運営権者に対しては、現在と同等以上の検査及び公表を求めるとともに、県による抜き打ちでの立入検査や外部機関による検査等も行うほか、運営権者の財務状況や業務の運営状況についても、先行事例も参考にしながら万全のモニタリング体制を構築し、安全・安心な水の安定的な供給に努めてまいります。 次に、種子条例制定に関する検討状況についての御質問にお答えをいたします。 稲作を基幹とした我が県農業の発展のためには、県内産種子の品質確保及び優良種子の安定的な生産、供給が大変重要であると認識しております。県では、主要農産物種子法の廃止を受け、新たに要綱、要領を定め優良種子の安定的な生産、供給に努めてきたところでありますが、今回改めて種子条例の制定を含め、今後の種子の生産、供給のあり方に関して生産者や種子生産農協等に意見をお聞きしてまいりました。その中では、「民間企業の参入により種子が独占販売されるのではないか」、「今後も県が種子生産に関与するための十分な財源が確保されるのか」など種子生産に係る将来への不安の声が寄せられました。また、県条例を定めることで安心して主要農産物の生産振興に取り組むことができるとの意見や条例制定を求める関係団体等からの要望もいただいております。 次に、種子条例の制定を前向きに検討すべきとの御質問にお答えをいたします。 県では、生産者や関係団体等からいただきました意見を踏まえ、我が県における種子の生産、供給のあり方について改めて検討してまいりました。その結果、県、生産者、関係団体等が一体となり、将来にわたって我が県の主要農作物種子の安定的な生産、供給を図っていくためには条例の制定が必要との判断に至りました。今後、幅広く関係者等から意見をお聞きしながら具体的な内容を検討し、ことしの九月議会での提案を目指してまいりたいと思います。 次に、全共鹿児島大会に向けた今後の取り組みと決意についての御質問にお答えをいたします。 我が県で開催された第十一回全国和牛能力共進会宮城大会ではこれまでの和牛改良の成果を活用しながら、オール宮城で出品対策に取り組み上位入賞を果たしたことで、和牛生産者や関係者は大きな自信と希望を得ることができました。この成果を我が県の和牛生産の振興や仙台牛の更なるブランド力向上につなげていくためにも、全共大会において継続して上位入賞を果たすことが重要と考えております。次回鹿児島大会に向けては、出品区分ごとの条件の案が示されたことを受け、先月関係団体とともに出品対策協議会を設立したところであります。その場において出品対策のスケジュールを決定し、早速肥育試験に着手いたしました。県といたしましては、「茂福久号」などの優秀な県有種雄牛を活用して出品条件に合うすぐれた候補牛をより多く確保するため、来年度予算を活用し受精卵移植や性判別精液といった新しい技術を採用して子牛を生産するなど必要な対策を進めてまいりたいと考えております。引き続き生産者や関係団体と協力しながら宮城大会以上の結果を出せるようしっかりと取り組んでまいります。 次に、東日本大震災みやぎこども育英基金奨学金についての御質問にお答えをいたします。 震災遺児、孤児に対する奨学金については、これまで修学支援という目的に沿って学校教育に係る費用を賄うことができるよう全国の統計調査を参考に給付額を設定してまいりました。しかし改めて現在の給付額について給付対象者にアンケート調査を行ったところ、学習塾などの学校外活動費にも多くの支出を要していること、大学に入学しひとり暮らしをする際の費用負担に不安を感じていることなどが回答として示されたところであります。この調査結果等を踏まえ奨学金の月額について十分な額を増額するとともに、大学生については大学院まで対象を拡大し、自宅生と自宅外生で差を設けることといたしました。なおこの奨学金については、児童生徒が金銭面での不安から進学を断念することのないよう支援することを目的としたものであり、今回の拡充は今後の進路選択に向けこの四月から適用することにしております。詳しい金額については委員会で確認していただきたいと思います。 次に、震災以外の遺児、孤児に対する奨学金制度の創設についての御質問にお答えをいたします。 県ではこれまで交通事故及び海難事故により遺児、孤児となった小中学生の養育者に対し、交通遺児等教育手当として月額三千円を給付してまいりました。この金額については震災遺児、孤児との差が大きく、課題となっていたところであります。そこで今回の震災遺児、孤児に対する奨学金制度の拡充とあわせ数多くの皆様から寄せられました善意の基金を活用し、現行の交通遺児等教育手当を見直し、来年度から対象者及び金額を拡充した給付型の奨学金制度を創設することといたしました。具体的には交通事故及び海難事故だけではなく病気、その他の災害など東日本大震災以外の要因により遺児または孤児となった小中学生に対し、月額金として一万円、そして新たに小学校卒業時に十五万円、中学校卒業時に二十万円の一時金を給付することとしております。さまざまな理由で保護者を亡くした子供たちの進路選択に資する制度となるよう今後運用してまいりたいと思います。 次に、県民会館の整備に対する現時点での所見についての御質問にお答えをいたします。 今月十四日に開催された、第一回県民会館の整備のあり方に関する有識者会議では二千席規模の施設を念頭に今後の県民会館に求められる基本的な機能などについて議論していただきました。有識者会議では、東北地方全体の需要も視野に入れた整備のあり方や人材育成機能の強化の必要性などさまざまな御意見をいただいたほか、立地条件に関しては現地での建てかえは困難ではないかなどの御意見もいただき、新しい県民会館に対する期待の大きさを感じたところであります。今後ことし八月までに三回の会議を予定しておりますが、今後の県民会館に求められる機能、規模、立地条件などについて、より掘り下げた議論をしていただき、その後の県としての方針をまとめたいと考えております。 次に、県民会館と仙台市の音楽ホールの機能重複と仙台市長との調整状況についての御質問にお答えをいたします。 仙台市では、仙台市音楽ホール検討懇話会を設置し、音響を重視した高機能な二千席規模の多機能ホールの整備について検討を進めております。今後、県が整備する県民会館については有識者会議でも需要調査で示された仙台市が検討を進めている新ホール施設との機能のすみ分けや、県民会館がこれまで担ってきたさまざまなステージジャンルの興行公演をこれまで以上に振興する施設整備が求められているという結果をもとに議論をしていただいているところであり、適切な機能分担が図られるよう検討してまいります。また、仙台市長とはこれまでも機会を捉えて情報交換を行ってきたところでありますが、有識者会議での議論を踏まえ、県としての基本的な方向性をお示しできる段階で更に具体的な意見交換をしてまいりたいと思います。 次に、現地建てかえが困難となった場合の立地場所選定についての御質問にお答えをいたします。 有識者会議では敷地の狭さや機材搬入車両の出入りが大変しづらいことなど、現在の県民会館が抱える課題への対応や今後の県民会館に求められる基本的な機能などについて議論していただいているところであります。立地場所についてはこれらの議論を踏まえて判断することとなりますので、まずは有識者会議でさまざまな御意見を伺ってまいりたいと考えております。 次に、県民投票条例に対する率直な思いについての御質問にお答えをいたします。 本日東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例制定の請求について私の意見を付した上で追加提案をいたしました。本条例案は十一万人を上回る県民の署名により請求されたところであり、その意義を大変重く受けとめるものであります。その上で条例案を慎重に検討した結果、原子力発電の稼働の是非を県民投票で判断することと執行上の課題についてお示しをしたところであります。まず一点目の、原子力発電所の稼働の是非を県民投票で判断することについては国策であるエネルギー政策としての考え方、原子力発電所に関する安全対策、立地自治体における状況など多様な論点を包含する原子力発電所の再稼働に対する県民意見の表明方法として条例案の内容には課題があるものと考えております。また、二点目の執行上の課題については、実際に本条例案で県民投票を実施する場合に想定される法的な課題と運用上の課題についてお示しをいたしました。議会におかれましては、私の意見も含めさまざまな観点から議論をしていただきたいと考えております。 次に、原子力規制委員会の審査状況と県の安全性検討会の進捗状況についての御質問にお答えをいたします。 原子力規制委員会の審査は地震や津波に関する項目と発電所の設備に関する項目があり、これまでに敷地周辺で起こり得る地震や津波の規模として策定した基準地震動や基準津波が「おおむね妥当」と評価されたほか、防潮堤の構造に関する審査等も進捗しております。今後発電所の設備等について、新規制基準により強化された安全対策が有効に機能するかの評価について審査が行われることとなっており、東北電力はことし七月中には審査における説明を終えることを目指すとしております。安全性検討会については、平成二十六年十月に設置して以降、国の審査状況を踏まえながらこれまでに十五回開催し、東日本大震災後の施設等の健全性及び新規制基準に適合することにより向上する安全性に関して専門的見地から議論をいただいております。県といたしましては、引き続き国の審査状況を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、原子力政策は知事と県議会が議論し最終的には国策として国が判断すべきとの御質問にお答えをいたします。 島国である我が国は資源が少なくエネルギー安全保障上の脆弱性を有しており、原子力は準国産エネルギーとしてすぐれた安定供給性を有することから、国策として原子力政策が進められてきた経緯があります。原子力発電所の稼働の是非については、このようなエネルギー安全保障等国家の将来に多大なる影響を与える問題であることから、これからも国が責任を持って判断すべきであると考えております。その場合、国は現在停止している原子力発電所の再稼働を進めることについて、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むとされております。再稼働の地元同意の判断に当たっては、国策としてのエネルギーのあり方、原子力発電所設置の経緯や地域に果たす役割などについて、地域住民の意見を踏まえて多様な観点から議論が必要であることから、県議会における議論が有益であると考えております。仮に国から再稼働の同意を求められた場合には、住民説明会を開催するなど住民に原子力政策について情報提供を行った上で、周辺自治体を初めとする県内の市町村長や県民の代表である県議会の御意見をしっかりと伺い、意見表明を行うことになると考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(佐藤光樹君) 教育委員会教育長高橋仁君。    〔教育委員会教育長 高橋 仁君登壇〕 ◎教育委員会教育長(高橋仁君) 大綱一点、県政の今後の展望についての御質問のうち、我が県におけるいじめ、不登校の現状認識と今後の具体的な取り組みについてのお尋ねにお答えいたします。 いじめについては、各学校で積極的に関与し、早期対応、早期解決を図るよう努めてきた結果として認知件数が多くなっていると考えておりますが、不登校については出現率が高いままで推移しており大きな課題であると認識しております。県教育委員会では、みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援事業等により、学校を外から支える取り組みの拡充を図り、不登校児童生徒の社会的自立に向けた取り組みを進めてまいりました。その結果、ケアハウス設置市町の不登校出現率が未設置市町村の出現率を下回り、再登校率も全国平均を上回るなど成果が出ているところであります。来年度は設置市町村を拡大するとともに各校種間の情報共有を一層進めるほか、新しい高校入試制度において不登校生徒をこれまで以上に積極的に受け入れることができるようにするなどの取り組みを行ってまいります。何よりも各学校において校長のリーダーシップのもと、いじめや不登校を生まない、行きたくなる学校づくりを進めていくことが重要であると考えており、学校現場をしっかりと支援してまいります。 以上でございます。 ○議長(佐藤光樹君) 暫時休憩いたします。    午前十一時三十三分休憩-----------------------------------    午後一時再開 ○議長(佐藤光樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十四番藤原のりすけ君。    〔四十四番 藤原のりすけ君登壇〕 ◆四十四番(藤原のりすけ君) みやぎ県民の声の藤原のりすけでございます。 知事の政治姿勢についてお伺いします。 日本ほどこれだけ多くの課題を抱えた国はないと言われます。 人口減少と少子高齢化の同時進行、年金など社会保障制度の破綻が現実味を帯びていること、十年を超える長期デフレ、二十年後にはGDPが中国の四分の一になること、国・地方の債務残高が数年以内にGDPの二倍に達すること、これらを捉えて日本は課題先進国だと言われています。政治の行方は結局のところ経済によって決まると言われます。IMFのラガルド専務は、昨年「日が照る間に屋根の修理をしよう」とジョン・F・ケネディの言葉を引用した上で、団塊の世代が全員後期高齢者になる二〇二五年以降は、社会保障支出の膨張を抑えるのは一層難しくなるとして、現実的な経済成長予測に基づいた中長期の財政健全化の策定を求めました。また、消費税増税をめぐっても単一税率が最も効果的であるとして軽減税率を否定しました。アベノミクスが始まった二〇一二年以降労働分配率は低下し続けており、実際二〇一三年と二〇一七年を比較すると実質賃金指数は一〇三・九が一〇〇・五に減少しています。知事の所感をお聞かせください。 アベノミクスの特徴として、トリクルダウン説と日銀の異次元金融緩和策があります。トリクルダウンは豊かなものをより豊かにすれば、その恩恵は貧しい者にまで滴り落ちるというものですが、そもそもアダム・スミスやリカードら経済学の古典派が、トリクルダウンを唱えた時代は富を蓄積する要求には限界があるという想定が存在していました。つまり豊かなものが過剰な豊かさを手に入れれば、富を消費すると考えられていたのです。しかもその想定には、富は消費するために所有するものという前提がありましたが、グローバリゼーションのもとでは富は消費するためのものではなく、国家なき世界統治を支配する手段となってしまいます。富で人間を動かし、富で人間を支配するために富を蓄積することになります。富を支配のために蓄積するようになれば、そこには限度がなくなりトリクルダウンをすることはありません。トリクルダウンは夢物語で実際には新自由主義が目指す再分配なき成長は、格差と貧困をあふれさせてしまうと考えますがいかがでしょうか。 日本銀行が二〇一三年に始めた異次元金融緩和策は経済停滞デフレ説によるものです。それはデフレにより製品価格が下落し、企業利益が伸びず賃金を引き下げざるを得ず、したがって消費者の所得が伸びないので需要を拡大させるために金融を緩和して、利子率を低下させる必要があるというものですが、知事もそうお考えになりますか。 一九八〇年代、日本は自動車や半導体などのものづくりの分野でアメリカを抜き去りましたが、アメリカは日本に勝つための戦略を研究し、次の時代は情報産業だと考え、そのための教育投資や産業育成に力を注ぎました。私は、日本経済の停滞は新興国の工業化とIT革命によって工業製品の価格が著しく低下したことに加え、産業革命以来のものづくりの成功体験から抜け出せず、情報革命に対応できなかったことにあると考えますがいかがでしょうか。また、日銀の異次元金融緩和策は短期決戦の陣立てでしたが、予想を上回る戦力の集中投入により金融市場の期待には応えたものの実体経済や物価といった本丸は落城せず、戦線は膠着状態にあるとの指摘がありますがそのとおりではないでしょうか。 有効求人倍率の直近二〇一八年十二月の数字は全国平均が一・六三、宮城県が一・六九とこれまでにない数字です。有効求人倍率が一を超えれば雇用情勢が極めて好調と評価されるのが普通ですが、違う見方もあるようです。それは労働供給の減少も有効求人倍率を上昇させる要因になるからです。二〇一三年末ごろまでは有効求人数の増加が有効求人倍率上昇の主たる原因でしたが、その後、有効求人数はほぼ頭打ちであり、有効求職者数の減少によって有効求人倍率が上昇している面が強いという見方があります。求職者が減ることによって求人倍率が上昇するというのは、雇用情勢の好転ではなく人手不足であり、歓迎すべきことではなく憂慮すべきことであり対策が必要とされるのではないでしょうか。知事の見解をお示しください。 国連の持続可能な開発目標SDGsの本県における達成についてお伺いします。 誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会実現へ向け、国連は二〇三〇年を年限とする十七の国際目標で百六十九の指標を定め世界中の国々が目標達成へ向け努力しています。二〇一八年の日本のスコアは前年十一位から下がって世界で十五位でした。個別に見ると目標五の「ジェンダー」が世界最低水準に近く、その他目標十二の「責任ある生産と消費」、目標十三の「気候変動」、目標十四の「海の豊かさ」、目標十七の「パートナーシップ」が低いことがわかります。国はSDGs推進本部を設け既にSDGsアクションプラン二〇一八を定め、SDGsの推進を通じて少子高齢化やグローバル化の中で実現できる豊かで活力ある未来像を世界に先駆けて示していくためのSDGsモデルを構築し、SDGs実施方針を定め取り組んでいます。地方自治体も神奈川県、大阪府、滋賀県などの道府県、東松島市など多くの市で既に取り組んでいます。昨年十二月十九日みやぎ県民の声、共産党県議団、社民党県議団、無所属の会の四会派二十一名の総意でもって、二〇一九年度の県予算編成などで国連の持続可能な開発目標の考えを取り入れ、県SDGs推進本部の設置や県SDGs未来都市計画の策定や十二項目の政策を推進するように申し入れました。知事はこの要望に対してどう対応されているのでしょうか。 政策目標二、「飢餓をゼロ」にでは持続可能な食料生産システムを確保し、生態系の保全、種子、栽培植物などの遺伝的多様性を維持することが述べられています。種子条例の制定の必要性については、県議会各会派とも異論のないところであると考えます。執行部の考えと進捗状況についてお聞かせください。 アフリカ豚コレラは普通の豚コレラとは異なりワクチンや治療法がなく、殺す以外に防衛策はなく養豚業に壊滅的な打撃を与えます。これまではアフリカ特有の病気でしたが、昨年八月に世界最大の養豚国中国に進入し我が国への脅威となってきたことから、昨年末、日本学術会議で緊急シンポジウムが開催されました。ことしに入って近畿地方で相次いで発症が確認されました。昨年二月現在の本県の養豚件数は百二十三戸、十九万四千二百頭です。農林水産省は同病の蔓延防止を図るため、発生時のための対抗措置として特定家畜伝染病防疫指針を作成し公表しています。本県の対応をお聞かせください。 SDGsの政策目標三、「すべての人に健康と福祉を」については、政府は地域包括ケアシステムに続いて生活困窮者自立支援制度と「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を立ち上げましたが、今社会的つながりが弱い人への支援のあり方が問われています。先日NHKでドキュメンタリー番組、「無縁社会『無縁死三万二千人の衝撃』」が放映されました。OECDの平成十七年度報告書によれば、家族以外の人との交流がない人の割合は日本が一五・三%と一位であり、ユニセフの二〇〇七年の資料では、孤独を感じている十五歳の子供は三〇%と他国の三倍以上になっています。孤独と言えばリースマンの名著「孤独な群衆」を思い浮かべる方も多いと思いますが、今孤独は現代の流行病と言われています。イギリスでは既に孤独担当大臣を置いています。日本学術会議の社会福祉学分科会は、一人も取りこぼさず全ての人に居場所と役割を地域の中につくっていくための対策として、コミュニティーソーシャルワーカーを中学校区に一人、全国一万人の配置を提案しています。本県の取り組みをお聞かせください。 SDGsの政策目標十四、「海の豊かさも守ろう」では、二〇二〇年までに漁獲を効果的に規制して持続的生産量のレベルにまで回復させること、二〇二五年までにあらゆる種類の海洋汚染を防止し大幅に減少させることを目指しています。我が国の規制改革推進会議は昨年五月三十一日水産政策の改革案をまとめました。資源評価の体制強化と漁業権の優先順位の廃止、新規参入への障壁の引き下げ、漁業協同組合の経営改革など従来の政策を大幅に変更し法制化する方向で進んでいます。本県の対応をお聞かせください。 レジームシフトとは気候ジャンプとも言われ、気温や降水量や風などの気候要素が十年から数十年間隔で変化する現象を言います。地球温暖化の加速に伴い、漁獲数は北方に位置するロシアやアラスカでは増加傾向にあり、南方系の日本では減少傾向にあると言われています。国際的に動物性たんぱく質、特に魚介類の需要が高まっている中、天然資源の漁獲量の増加は期待できず養殖による増産が必須となっており、養殖は二〇一五年には世界全体水産物生産量の五三%、本県では五九%に達しています。今後我が国では養殖生産を伸ばしていくためには、養殖魚の育種、品種改良が極めて重要ですが、種苗生産技術に関しては世界でもトップクラスであるにもかかわらず、育種が進んでこなかった要因として、一、キングサーモンやトラフグで成熟までに二、三年要するという世代の長さ、二、魚類には種苗法が適用されないこと、三、海賊版の生産が容易であること、四、育種系統を長期保存する方法論が存在しないことなどが挙げられています。本県の見解と今後の対応をお聞かせください。 東日本大震災の教訓についてお伺いいたします。 SDGsの政策目標十一の「住み続けられるまちづくり」では、地震が起きても住み続けられる都市に、災害軽減と持続可能な社会の形成、防災・減災と災害リスクの軽減などの指標が挙げられています。ことし四月三十日に御退位される平成の今上天皇は皇后陛下とともに被災地を何度も見舞われました。天皇陛下の御歌に「我が国の旅重ね来て思うかな 年ふるごとにまちは整う」というのがありますが、更なる復興発展へ向け気を引き締めていかなければなりません。東日本大震災は二〇三〇年にマグニチュード七クラスの宮城県沖地震が九九%の確率で来るとされていた中での発生であり、まさに想定外でしたが、約二万人にも及んだ死者行方不明者の大半が津波被害であることや海沿いの堤防の六割が全半壊し、百カ所を超える指定避難所が被災し逃げ込んだ住民の多くが犠牲になったことなど想定外の連続でした。昨年九月の北海道胆振東部地震の際の発送電システムの崩壊による北海道全域の停電、ブラックアウトの発生も想定外のことでした。そうした想定外の事態に備える心構えとともに十分な準備が必要です。初動態勢、応援協力、医療救護、ライフラインなど災害時にほぼ共通化できる個々の対応をファンクション、機能と呼びますが、それらをパッケージ化しておき、どんな災害もこの機能を必要に応じて適切かつ柔軟に対応できるようにすることが大切だと考えます。災害の状況や対応に何が必要かは最もよく理解している現場の責任者に任せ、周辺や上位の機関は現場のサポートに徹し、被災レベルと危機レベルを分類した柔軟な対応が必要になると考えますがいかがでしょうか。 平時のときに有事のことを考えておくことの大切さは言うまでもなく、そうした意味では先手防災の重要性から考えても時系列の防災計画であるタイムラインの作成とともに受援計画の整備が必要です。災害対応のスケジュール表であるタイムラインとは災害が発生することを前提として、関係者が事前にとるべき行動を、いつ、誰が、何をするのかに着目して時系列で整理したものを言います。宮城県では県内の直轄四水系全てにおいてはタイムラインを策定、運用しているとのことですが、今後の課題と県下の市町村の策定状況をお示しください。 一方、支援を受ける側の受援の観点で災害対応を見直す必要があります。神戸市のように応援受け入れが必要となる百三十の業務を洗い出し、応援受け入れ本部を設け、業務ごとに受援シートを作成し、応援者に求める職種、資格などを初め、指揮命令系統、執務スペースなどをチェックできるように工夫する必要があります。本県も平成三十年度に受援計画を策定する予定のようですが、その場合のポイントと課題及び県下市町村の状況についてお聞かせください。 東日本大震災のとき釜石市内の小中学校十四校の生徒三千人が避難し、生存率は九九・八%に達しました。東京大学の片田教授の言われる避難三原則は、一、想定にとらわれず自分で判断せよ、二、「ここまで来れば大丈夫だろう」ではなく、その時できる最善の対応行動をとること、三、勇気を持って一番初めに逃げるとみんながついてくる、というものであり、釜石の奇跡を起こしました。災害心理用語で正常化の偏見という言葉があります。危機が迫ってきても自分だけは大丈夫と思い込み危険を過小評価するものを言います。大川小学校の悲劇を念頭に、知事及び教育長の所感をお聞かせください。 エネルギー問題と県民投票条例についてお伺いします。 SDGsの政策目標七は「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」であり、全ての人々に手ごろで信頼でき持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保することを目指し、二〇三〇年までに世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させることを目標にしています。国は温室効果ガスの削減目標を二〇三〇年度に二〇一三年度に比べ二六%削減することを目指し、二〇三〇年の望ましい電源構成として、原子力二〇ないし二二%、石炭火力二六%、LNG二七%、再生可能エネルギー二二ないし二四%、石炭火力三%の電源ミックスの達成を目指すことを決定しています。宮城県議会は議員提案条例に全国で最も早く熱心に取り組んできた議会です。平成十四年七月十七日に公布された宮城県自然エネルギー等・省エネルギー促進条例は、北海道議会に次いで全国で二番目に制定された条例であり、平成十七年度以降条例第九条に基づく基本計画を定めその達成を図ってきました。再生可能エネルギーのエネルギー供給に占める割合は、平成二十九年度エネルギーに関する年次報告によれば、一次エネルギー国内供給に占める二〇一六年度再生可能エネルギーの割合は水力の三・三%を含めて一〇・三%であり、本県は直近の二〇一四年度の数値で五・九%になっています。再生可能エネルギーの導入の進捗状況は決して満足するものではありませんが、みやぎ県民の声、社民党県議団、無所属の会有志による海外調査団の報告によれば、ドイツが脱原発を宣言し、再生可能エネルギー主体のエネルギー国家に変わろうとしたきっかけは、二〇一一年の福島第一原発事故が直接の要因であるとのことであり、オーストリアは巨額の経費をかけた原子力発電所を運転開始前の一九七八年の国民投票の結果、原発稼働中止を決定し閉鎖されました。現在電力消費の三〇%が再生エネルギーで賄われているのを二〇三〇年までに一〇〇%を目標にすることで合意しているとのことです。環境と社会、企業統治の三分野に対する企業の取り組みで投資先を選ぶ投資手法であるESG投資が世界の運用資金の約三割を占めようとしています。すなわち再生可能エネルギーの活用を企業の評価材料とするのが世界の潮流であり、国内の主要製造業の再生可能エネルギーによる電力使用量をふやす計画です。しかしながら経済産業省によると太陽光発電の導入コストは欧州の二倍、風力発電は一・五倍であるのに加え、固定価格買い取り制度による利用者の負担が増大しているなどの課題も指摘されており、経済産業省は導入コストの引き下げや固定価格買い上げの改善に取り組んでいるようですが、一九八六年世界最悪とされる原発事故が起きたウクライナのチェルノブイリにウクライナ初の太陽光発電ができたということは象徴的ですし、ラスベガスは一〇〇%再生可能エネルギーによって賄われており、アップルやBMWなど一〇〇%再生可能エネルギーを目指す企業がふえてきているように大きな潮流となっています。リスクを低く見積もれば原発ほど安くてクリーンなエネルギーはないと言えますが、二〇〇九年に東京電力から原発の安全性についての調査を委託されていた経済産業省の審議会は貞観地震規模の巨大地震の最大可能性を指摘したようですが、東京電力は十分な情報がないとして対策を先送りしたという話もあり、原子力行政が政治とマーケットに支配されている懸念はないのでしょうか。合理的に物事を考える力がない愚かさを無明と言うそうですが、東日本大震災の原発事故は過去のデータを精査すれば津波対策の必要性がわかるはずだったのに、そこまでの費用はかけられないという思いがやがて起きてほしくないという願望になり、その結果起きないだろうという結論になったという見方もあります。また杉山東北大学特任教授の指摘によれば、LEDや省エネ家電の普及などにより電力需要は震災前の二〇〇七年度のピーク時と比べ百二十億キロワットに減少しており、再生可能エネルギーは二〇一七年度に百五十八億キロワット時と原発三基再稼働による供給可能な電力量を上回るまでに成長していることから、二〇二一年度以降は原発が再稼働しなくても火力発電の負荷は震災前の水準以下になるとともに、出力調整のしやすいガス火力発電の比率を高めることでバランスのよい安定した電力供給が可能になるとのことです。以上の点についての知事の見解をお聞かせください。 女川原発の稼働の是非に係る県民投票条例の制定についてお伺いします。 確かに議会制民主主義のもとでは選挙の洗礼を受けた議員が政治判断を行いますが、それは議会並びに議員がよき者を選ぶという選良としての信頼があることが前提になると思います。信なくば立たずと言います。二度にわたる議長の辞任や議会の傍聴アンケートに見られるように、本会議場や委員会室における議員の態度について選良としていかがなものかという苦情がたびたび寄せられているなど、果たして県民有権者の十分な信頼を得ているのかどうか、私たち議員は謙虚に考えなければならないと思います。間接民主主義体制下における異議申し立ては、デモクラシーの原点と言ってもいいのではないでしょうか。法定数を大幅に超える十一万筆の重みと事の重大さを考えるのであれば、五箇条の御誓文にあるように広く万機公論に決するのが原点ではないでしょうか。私としては全く反対する理由はありません。今から二千八百年前の紀元前八世紀の古代ギリシャの詩人ヘシオドスは、「民の声は神の声である」と言っています。ただし県民投票条例の施行が直に稼働反対につながるものではありません。それは生活の基盤であり、産業の米である電力の需要と供給の関係と安全性への信頼などにより総合的に判断されるべきものであるからです。知事のお考えをお聞かせください。 知事はこの件については、大川小学校控訴の時の議会軽視とは打って変わって県議会の判断に委ねるとの意向のようです。納得できません。なぜここまで対応に違いがあるのかよく理解できるように御説明ください。 日本原子力発電は昨年四月、停止中の茨城県東海村の東海第二原発の再稼働や運転延長をめぐり立地する東海村に加え水戸市など周辺五市からも実質的に了解が必要とする安全協定を締結しました。これは原発の再稼働について、対象を立地自治体以外の周辺自治体にも広げる全国初の取り組みであり評価できるものです。村井知事はこれまで、地元同意の範囲は国が示すべきだが示さないのなら、女川町、石巻市と県で十分だとの姿勢だったようですが、それは現在でも変わらないのでしょうか。なぜ原発三十キロ圏内の緊急防護措置区域に含まれる五市町に広げないのかその理由を明確にお示しください。 以上をもって、壇上からの質問を終わります。 御静聴まことにありがとうございました。
    ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 藤原のりすけ議員の代表質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、知事の政治姿勢についての御質問にお答えいたします。 初めに、アベノミクスと我が国の現状に関する所感についてのお尋ねにお答えをいたします。 我が国は現在、人口減少や少子高齢化、社会保障制度や財政に関する問題など、その要因と影響がともに長期間にわたって継続するさまざまな課題を抱えており、それらの課題解決を政策目標の中心において各種取り組みが進められていると認識しております。また、国際通貨基金IMFによると二〇一八年の世界経済の成長率は三・七%と推定されており、我が国の経済情勢も比較的堅調な今こそ将来に向けた課題解決を図るべきとの指摘があることも承知しております。アベノミクスはデフレの阻止や雇用の創出、税収の増といった面では成果を上げていることから、賃金や個人消費などの実体経済への波及について、更に取り組みを強化しつつ地方創生や一億総活躍社会の実現などその他の取り組みと効果的に連動することにより、我が国が課題先進国から課題解決先進国となって、世界をリードしていくことができるよう期待をしているところであります。 次に、再分配なき成長についての御質問にお答えをいたします。 トリクルダウン理論については、その効果を明確に否定するものも含めさまざまな研究や議論があると承知しており、アベノミクスは三本の矢に象徴されるようにトリクルダウン理論に依拠した政策にはなっていないと理解しております。また、新自由主義が掲げる経済、社会像については、規制緩和などで経済が活性化する一方で、貧富の格差拡大につながっていく側面もあると認識しております。私としては経済成長の恩恵は社会全体で公正に分配されることが極めて重要であると考えており、そのために質の高い教育環境の整備や、女性や高齢者、不利な立場にある人々への就業機会の提供など、具体的取り組みを進めていくべきであると考えております。 次に、金融緩和策に関する認識についての御質問にお答えをいたします。 日本銀行が行う金融緩和政策は、政策金利の引き下げや市場からの国債などの買い上げ等により通貨供給量の増加や市中金利の低下を促し、企業や家計への融資拡大を通じて設備投資や個人消費等の拡大により経済活動を活発にするといった景気対策の一環として行われるものと考えております。したがいまして、日本銀行がデフレからの脱却と経済の活性化を目指して大胆な金融緩和策を実施したという見解については、私もおおむね同様の認識であります。一方で、経済の停滞に関して実体経済の観点からは、我が国経済社会の成熟等を踏まえると、単純な総需要拡大策ではなく供給側の質的な改善が強く求められていることから、アベノミクスの三本の矢で示されているように金融政策による支援に加えて、技術革新や成長戦略等の実現が非常に重要な要素にはなると考えております。 次に、我が国経済の停滞は情報革命に対応できなかったためではないかとの御質問にお答えをいたします。 我が国の経済は高度な技術と品質により国際競争力を有するものづくり産業により長く下支えされ、新興国の工業化とIT革命による価格低下やリーマンショックなど数々の困難に直面しながらも、民間企業のたゆまぬ努力と国の経済政策により、GDPは過去最高の水準となっているところであります。情報革命については、国内でもインターネット上の電子商取引サイトやSNSなどの新たなサービスの普及に伴い、情報のデジタル化が進展し、あらゆる産業において情報を収集、分析しビジネスに生かす重要性が高まっております。このため国では経済発展と社会的課題の解決を両立するソサエティ5・0の実現を掲げ、IoTやロボット、AI、ビッグデータといった先端技術を活用した次世代モビリティシステムやヘルスケアシステムなど重点プロジェクトの推進や基盤システム、技術への投資促進、質の高い人材育成など情報革命に対応した取り組みを官民挙げて進めているものと認識をしております。 次に、金融緩和策に関する現状についての御質問にお答えをいたします。 日本銀行が平成二十五年四月に打ち出した量的、質的金融緩和は株価の上昇や雇用、為替の安定をもたらしたものの、一方で物価上昇は十分実現されておらず実体経済の改善も十分でないといった評価も見受けられます。アベノミクス全体としては金融緩和策だけではなく、財政政策や規制緩和を加えた企業活動の活発化、国民の消費マインドの改善などを通じて経済の再生を図ろうとするものであり、企業収益や雇用といった好調な手法に加えて、賃金や個人消費といった効果が薄い部分についても的確な対策を講じつつ推進していく必要があると認識しております。国は、平成三十一年度の経済見通しについて、雇用、所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で内需を中心とした景気回復が見込まれるとしております。私といたしましては、これらの取り組みが効果を上げ、国民一人一人が実感できる景気回復につながることを期待をしております。 次に、有効求職者数の減少に伴う人手不足対策についての御質問にお答えをいたします。 有効求職者数については、いわゆるリーマンショックや東日本大震災で大きく増加しており震災以降は減少傾向となっております。一方、富県戦略の推進や景気の緩やかな回復などにより企業の有効求人数は増加しており、これらが相まって企業における人手不足感は高まっているものと認識しております。県ではこうした人手不足に対応するため雇用のミスマッチ解消や女性、高齢者などの幅広い人材の就労促進、労働生産性の向上、UIJターン等による転入促進の四つを柱に施策に取り組んでおります。来年度はこれらの取り組みに加え新たに東京圏からの移住による就業や起業を支援するため、移住者の経済負担を軽減する移住支援金の支給を行うこととしております。また、子育て中の女性や高齢者を掘り起こし新規就業につなげるため、黒川地域に就職支援センターをモデル的に設置し職場見学会や企業とのマッチングなどを実施することとしております。県といたしましては、宮城労働局や産業支援機関などと連携し、首都圏からの人材還流や潜在労働力の就業促進などにより、企業の人材確保を支援するとともに労働者が安心して働ける環境の整備に努め、我が県への定住促進につなげてまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、持続可能な開発目標の達成についての御質問にお答えをいたします。 初めに、SDGs推進に関する要望への対応についてのお尋ねにお答えをいたします。 SDGsの十七のゴールや百六十九のターゲットで示されている多様な目標の追及は、世界全体の持続可能な開発を統合的に推進するものであるほか、我が県における諸課題を解決し更なる活性化を図る上でも重要であることから、その理念を踏まえながら県政運営を進めてまいりたいと考えております。具体的には、来年度SDGsを推進するための庁内体制を整備するとともに、SDGsを政策的な検討課題に位置づけ、全庁的に具体的な施策化に向けた検討を進めることなどを想定しております。また、目標年がSDGsと重なる次期総合計画の検討に当たっては、具体的な目標指標の設定等において可能な限りSDGsの目標等との整合を図るとともに、各部局が所管する個別の計画にも反映させるよう連携して取り組んでまいりたいと思います。 次に、種子条例の制定に関する、県の考えと進捗状況についての御質問にお答えをいたします。 昨年四月に主要農産物種子法が廃止されたことを受け、県では新たに要綱、要領を定め優良な主要農作物種子の安定的な生産、供給に努めてきたところでありますが、改めて生産者や関係団体等から意見をお聞きしそれらの意見を踏まえながら、我が県における種子の生産、供給のあり方について検討を行いました。その結果、県、生産者、関係団体等が一体となり、将来にわたって我が県の主要農作物種子の安定的な生産、供給を図っていくためには条例の制定が必要と判断したところであります。県といたしましては、今後も優良な種子の安定的な生産、供給を維持することにより、我が県の持続可能な農業の推進に努めてまいります。 次に、豚コレラの蔓延防止へ向けての我が県の対応についての御質問にお答えをいたします。 豚コレラは、豚とイノシシが感染する家畜伝染病で感染力が強く致死率が高いため発生の予防と蔓延防止の対策が重要であり、国の定める防疫指針や通知に基づいた対応を行っております。発生の予防といたしましては、二十六年ぶりの国内発生を踏まえ、県内全ての養豚場や関係者に情報提供や注意喚起を行うとともに、農場における飼養衛生管理基準の遵守徹底のため立入検査を進めております。なお、これまで県内で実施した農場でのモニタリング抗体検査や死亡イノシシの検査の結果はいずれも陰性であることを確認しております。万が一発生した場合には、蔓延防止のため殺処分、埋却、家畜の移動制限等の防疫措置を実施することとなりますので、消毒ポイントや埋却地の確認などの準備を行っております。県といたしましては、農場や関係機関と情報共有や役割分担の確認などを行うとともに、鳥インフルエンザ発生時の防疫措置やその後の防疫演習の経験なども生かし対策に万全を期してまいります。 次に、コミュニティーソーシャルワーカーの配置に関する県の取り組みについての御質問にお答えをいたします。 少子高齢化や核家族化、地域における連帯感の希薄化などから社会的孤立の問題が顕在化しており、社会的つながりが弱い人への支援は大きな課題となっております。このような現状において、支援を必要とする人を地域で活動する団体や関係機関などと結びつけるコミュニティーソーシャルワークの取り組みは重要なものと認識しております。このため県では、現行の第三期宮城県地域福祉支援計画において、小地域福祉活動の展開やネットワークによる活動の促進を基本目標に掲げ、地域における支え合いの担い手である市町村社会福祉協議会の職員などを対象としたコミュニティーソーシャルワーク研修を実施し人材の育成を図ってまいりました。その結果、仙台市や石巻市、東松島市など沿岸被災市町を中心に、地区の範囲や名称は異なるもののコミュニティーソーシャルワーカーの配置が進みコミュニティーソーシャルワークの取り組みが始まっているところであります。県としては県内各地において同様の取り組みが更に進むよう、引き続き市町村等関係機関と連携して人材の育成等に取り組んでまいります。 次に、水産政策の改革への対応についての御質問にお答えいたします。 今般の水産政策の改革は水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就業構造を確立することなどを目指し、資源管理措置や漁業権免許制度、漁協の体制強化等の漁業に関する基本的制度を一体的に見直すもので、持続可能な水産業の実現に資する内容であると考えております。県では、今回の改革の趣旨について理解促進を図るため、先月、宮城県漁業協同組合との共催により漁業者を対象とした説明会を開催しており、今後もさまざまな場面を活用して改革の内容について広く周知を図ることとしております。また、改革の関連法は昨年十二月に公布され、以後二年以内に施行される予定となっていることから、漁協や漁業者とも緊密に連携しながら、よりよい制度となるよう国に提案していくこととしております。今後は制度改正の趣旨を踏まえ、水産資源の適切な管理、沿岸域の環境保全等多面的機能の発揮、漁村の活性化等に取り組むことにより持続可能な水産業の推進に努めてまいります。 次に、養殖魚の育種が進まない要因への県の見解と対応についての御質問にお答えいたします。 世界的に高まる水産物需要に応えつつ、水産資源を枯渇させず持続可能な水産業を推進するためには、水産物を計画的に供給できる養殖業の役割が重要であると認識しております。また養殖が盛んな我が県においても更なる養殖業の発展のため、成長が早い、品質にすぐれるなどの優良な特徴を持った養殖魚を育て保存していくことが重要であると考えております。御指摘のありましたとおり、養殖魚の育種については成熟までの世代の長さ、知的財産権などの課題があることから我が県特産のギンザケ養殖では、水産技術総合センターにおいて通常よりも早く成長するギンザケを選び出す研究に取り組んでおり、その優良な特徴を持つ魚種を絶やさないよう何世代にもわたり飼育を行っているところであります。また、県産ギンザケのブランドの維持、保護のため、業界団体が活け締めしたギンザケ「みやぎサーモン」を国の地理的表示、いわゆるGIに登録する取り組みを支援してまいりました。県といたしましては、引き続き県漁協を初めとする養殖業界と連携し、我が県養殖業の発展に必要となる優良な特徴を持つ養殖魚を選び出すとともに、今後の海洋環境の変化等に対応できる新しい養殖魚についても調査、研究し、養殖業の振興を図ってまいります。 次に、大綱三点目、東日本大震災の教訓についての御質問にお答えをいたします。 初めに、災害への対応についてのお尋ねにお答えをいたします。 災害に対しては、被災地域で間近に状況を把握している現場の責任者が、その規模や被災状況に応じ適切かつ柔軟に対応することが重要であると考えております。そのためには、第一次的に被災した市町村が災害対策本部を設置し各機能を担う地域の防災関係機関と連携しながら応急対策を講じることが求められており、国や都道府県などはこれを適時的確に支援していくことが必要であります。一方、近年は広域かつ大規模な災害が頻発しており被災市町村での対応が困難な場合もあることから、都道府県等が派遣したリエゾンを通じ現場の状況を把握した上で国や市町村などと連携し、いわゆる対口支援の仕組みにより現場のニーズに即した支援策を講じているところであります。県といたしましても、今後も発生し得るさまざまな災害に対し、その時々の状況に応じ柔軟に対応できるよう平時から防災訓練などを通じ、防災関係機関との顔の見える関係を構築するなど更なる連携の強化と対応力の向上に努めてまいります。 次に、水害に関するタイムラインの策定状況と今後の課題についての御質問にお答えいたします。 近年、集中豪雨等に伴う洪水被害が頻発化していることから、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するとの前提に立ち、洪水による被害を最小限とするため河川管理者や市町村などがとるべき防災行動を時系列で整理したタイムラインにより防災体制の強化を図ることが重要であると認識しております。我が県においては、平成二十七年九月の関東・東北豪雨による甚大な被害を契機として、流域面積が広く、人口、資産が集積する洪水予報河川や水位周知河川である三十二河川について、平成二十九年五月までにタイムラインの策定が全て完了しており、国管理河川四水系を含め二十九の市町村で運用しているところであります。このような中、昨年七月の西日本豪雨の際タイムラインに基づき市町村への水位情報の連絡は行われたものの、深夜での対応であったため円滑な避難行動につながらなかったことなどが課題として挙げられております。県といたしましては、これらの状況も踏まえながら国や市町村などの関係機関と緊密に連携しながら、大規模氾濫時の減災対策協議会や洪水対応訓練等を通じ住民の方々が円滑に避難できるよう、より実効性のあるタイムラインに見直しを行うなど引き続き県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。 次に、受援計画策定におけるポイントと課題等についての御質問にお答えをいたします。 県では現在、大規模災害時に円滑な受援体制を構築できるよう、内閣府が示したガイドラインや東日本大震災の教訓等を踏まえ受援計画の策定作業を鋭意進めております。受援計画のポイントといたしましては提供される人的、物的支援を最大限かつ効果的に生かすため、市町村を初め我が県の受援に係るさまざまな業務に対応する組織の体制を明確化することや発災時に速やかに要請が可能となるよう主な受援対象業務おのおのについて個別シートを作成し、あらかじめ活動内容等を整理することなどが挙げられます。今後の課題といたしましては、各種応援の受け入れが円滑に実施されるよう策定後、訓練等を通じ実効性を確保していくことが必要であると考えております。また、県内市町村の状況については仙台市が独立した計画として策定しているほか、地域防災計画に位置づけている市町村も複数あるものの多くは検討の途上にあることから、県では市町村における受援の調整が適切に行われるよう受援計画の策定について働きかけてまいりたいと思います。 次に、釜石の奇跡に対する所感についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災の際に大川小学校で多数の児童、教職員のとうとい命が失われましたことは痛恨のきわみであり、県民の生命、財産を守るべき知事として極めて重く受けとめております。このことを後世への厳しい教訓とし二度とこのような悲劇が起こることのないよう、御紹介のありました釜石市の取り組みも参考にしながら学校防災にしっかりと取り組んでいかなければならないと決意を新たにしているところでございます。 次に、大綱四点目、エネルギー問題と県民投票条例についての御質問にお答えをいたします。 初めに、東京電力の津波対策に関する見方や原発再稼働に関する指摘について所感はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 日本学術会議の福島第一原発事故調査に関する小委員会においては、東京電力が当時の国の津波評価の考え方に従い必要な津波対策を実施していると認められる一方で、国と東京電力は浸水した場合の対応策の検討を怠っていたとされ両面の評価があることは承知しております。また、電力供給に関する研究者の指摘については、電力需要の減少や再生可能エネルギーの増加等を踏まえ、原発再稼働の必要性に対し問題提起したものと認識しております。エネルギー政策については国が決定すべきと考えており、国のエネルギー基本計画では再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、原発依存度を可能な限り低減させることとしております。県といたしましては、まずは計画に基づく施策がより積極的に進められ、再生可能エネルギーの確実な主力電源化や省エネルギーの促進などが図られることが重要であると考えております。 次に、県民投票条例に反対する理由はないと思うがどうか、また大川小学校に係る控訴時との対応の違いはなぜかとの御質問にお答えをいたします。 住民投票は、間接民主制を補完する直接民主制の側面を有するものであり、民意を把握する手段の一つであると考えております。女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例の制定については、十一万人を上回る県民の署名により請求されたものでありその意義を重く受けとめつつ原子力発電所の稼働の是非を県民投票で判断することや、実際に本条例案で県民投票を実施する場合に想定される執行上の課題を私の意見としてお示ししつつ本日追加提案したところであります。議会におかれましてはさまざまな観点からの議論を行っていただきたいと考えております。また、石巻市立大川小学校国家賠償等請求事件は、第一義的な訴訟の当事者である石巻市の意向を尊重する必要があったこと、控訴までの期間が限られていたことから議会を招集する時間的余裕がなく専決処分としたものであります。 次に、地元同意の範囲についての御質問にお答えをいたします。 原子力発電所の再稼働における地元同意の範囲については国が方針を示すべきであると考えておりますが、国が示さないのであれば女川原子力発電所の立地する女川町、石巻市と県が総合的に判断すればよいのではないかと現在も考えております。立地自治体には原子力発電所を受け入れ、長年電力の安定供給に協力してきた経緯があり、県は周辺自治体などのさまざまな意見を伺う立場にあることから、仮に国から再稼働の地元同意が求められた場合には、県民の代表である県議会や住民の代表である市町村長の御意見をしっかりと伺いたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(佐藤光樹君) 教育委員会教育長高橋仁君。    〔教育委員会教育長 高橋 仁君登壇〕 ◎教育委員会教育長(高橋仁君) 大綱三点目、東日本大震災の教訓についての御質問のうち、釜石の奇跡に対する所感についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災発生時、学校管理下の大川小学校において、数多くの子供たちと教職員のとうとい生命が失われたことは痛恨のきわみであります。県教育委員会としましては、二度とこのような悲劇を繰り返さないよう、平成二十四年にみやぎ学校安全基本指針を策定し、防災教育の充実と学校防災管理体制の再構築に努めてきたところです。御紹介のありました避難三原則の取り組みにつきましては、小学校五、六年生用の防災教育副読本である「未来への絆」に釜石東中学校の生徒の避難行動を記載するなど、その趣旨を副読本にも盛り込み、児童生徒に災害から命を守るための知識として身につけさせるよう努めているところであります。今後も実効的な避難訓練や総合的な学習の時間などを通じて、児童生徒が速やかに適切な避難行動をとれるようしっかりと取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 御答弁ありがとうございました。県民投票条例についてですが、再稼働の是非は県民の生活に直結する問題であり、まさに地域の課題だと考えますがいかがですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) まさに県民の生活に直結する非常に大きな問題であると考えております。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) エネルギー政策は国が決めると。しかしいわゆる住民の方々の日ごろの暮らし、命にかかわるような暮らしだとかあるいは自分のなりわいが風評被害等で影響を受けるとすれば、そうした住民の方々の意見を反映した施策を行うのが知事の務めだと思いますがいかがですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) おっしゃるとおりだと思います。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 直接請求は間接民主制を補完する重要な手段だと考えます。知事は十一万人を超える県民の署名の意義を大変重く受けとめると言いながら、結果として県民が意思表示の機会を逃すことになっても構わないとお考えですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) それは県議会が御判断なさることであります。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 私は知事はどう思うかということを聞いてるわけ。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 私、意見を述べる権限が与えられてないということでどうしようか随分悩みました。当初は私なりに賛成、反対ということを明確に述べるべきではないかというふうに考えておりましたけれども、マスコミからたびたび、また議員の方からもたびたびこの件についての問い合わせがございまして、私が賛否を明らかにすることが県議会の議論に何らかの影響を与えることがあるのではないかと考えるに至りました。そこで私は、今回は県民十一万人の方が県議会に付託をする非常に大きな問題でございますので、そこで私が考えを表明するということは逆にあってはならないのではないかと考えまして賛否を明らかにしない形で、そしてただ問題点として考えられることについては私なりに考えてお示しをしたということでございますので、その点については御理解をいただきたいというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 今の議会の議論に影響を与えかねないというのは理解できません。大川小学校控訴のときは専決し、議会に議論の機会さえ与えなかったのではないですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 時間的余裕があれば当然議会に諮るべきことであります。ただあのときは石巻市がどう判断されるかということが最優先課題で石巻の判断を待たざるを得なかったということ。そして裁判の最高裁へ上告するときの時間的な余裕がどうしてもなかったというようなことから、議会にお諮りする余裕がなく専決処分になってしまったということであります。もしあれが時間に余裕があれば当然議会にお諮りをしておりました。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) いや、私はあのときは臨時会の開催を何度も要求をして、それは時間的余裕があるという判断の上でやったんですけれども本音のところは最初から専決処分で済ませようとしたんではありませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) いえ、そうではございません。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 辞書の広辞苑を引いてみると「定見を持たずその時々の都合によって行動する仕方を御都合主義という」とありますけれども、そういうように思えるんですがそうではありませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 大川小学校との対応と今回の対応が違うということについてはもう先ほど答弁いたしましたので、同じ繰り返しになりますので申し上げませんが、決して定見を持ってるわけでありませんで私も政治家の一人でございますから、もし仮に県議会側のそちらの側に座っていたら、私は必ず採決のときには賛否を明らかにすると思います。今でも自分なりにこの条例案は賛成か反対かという意見を持っておりますが、それをあえて今回はお示しをしないほうが公正な議論をする上で重要だと考えたということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 知事は条例案の賛否を表明していないと言われますが、知事の意見はどう読んでも消極的、否定的な内容だと思います。知事意見で指摘している条例案の法的課題とか運用上の義務というのは、これは知事が自分の見識で述べるべき意見書であるにもかかわらず、まさに技術的ないわゆる事務局型の発想だと思いますがいかがですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) したがって何度も申し上げるようになるべく賛否を明らかにしないように主観的な思いがなるべく込められないようにと工夫したつもりでございます。その結果がそのように見えたのであれば私の狙いどおりであったということではないでしょうか。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 何か今人気のサンドウィッチマン流に言えば「何言ってるかわかんないよ」ってやつ。知事意見で指摘している条例案の法的課題については、公正中立を旨とする県が指導すれば済む話です。運用上の課題などはクリアするのが公共団体の義務ではありませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 私が今回も条例いろいろ出しておりますけれども、この場合は当然私のほうでちゃんと法令班のチェックもして問題がないか確認した上で提出をする、当然そういう義務があると思っておりますが、今回は県民の皆さんが自分たちで考えたものを提案するというそういう権利をお持ちでありまして、それを私が直せとか直すなとかそういったようなことを申し上げることは大変失礼に当たると考えております。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) この条例案の中身については請求代表者側から去年の八月二十八日以降たびたび相談があり、約二十回ほどあったらしいですけれども、「立法技術上の多少の不備は問わず形式が一応整備されていれば構わない」と事務方も説明されており、松本逐条解説でもそのように述べています。したがってこの条例案で議案にかけることは支障がないと考えますがいかがですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは当然かけることは可能であります。そうした最低限クリアしなきゃいけないということは我々チェックをさせていただいたということでございまして、その法律、ルールにのっとって提案されておりますので、これを議会側がそれでいいということであれば、可決をしていただいても全く問題ないというふうに思っております。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 法的な課題に係る修正については市町村に事務を委託する旨の規定を新たに置くとともに第六条第十三項の括弧書きを削除し、公務員の政治的行為を制限した規定の適用を除外してる部分を削除すれば問題ないと考えますがいかがですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今お話になったような内容で修正されるということであればそれでよろしいのではないかと思います。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 大事なことは、このままでも議論はできるし実際に執行するときにはそこのところを考えるべきだという私の考えを述べたわけでございます。運用上の課題についていろいろ述べられてますが既に沖縄県ではやっています。沖縄県の条例のように有権者の要件などを公職選挙法の規定に合わせるとともに、公報を発行しないことでクリアできるのではないでしょうか。 ○議長(佐藤光樹君) 総務部長伊東昭代君。 ◎総務部長(伊東昭代君) 今の運営上の課題につきましても、今お話のあった内容での修正というのは考えられるというふうに思っております。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 知事として、新潟県の場合のように課題があれば修正するよう知事みずからが指導し、県民投票を実施すべきであると改めて意見表明すべきだと考えますが、そういう考えは全くありませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今回は議会に提案する際に、私は住民の皆さんから出されてきた議案に対して手を加えることはできない、そのまま出すしかないということでございますので、その辺は御理解をいただきたいというふうに思います。その上で議会の結果を待って必要なことがあればしっかりと対応することになるだろうというふうに思っております。新潟県は私と同じように賛否を明らかにせず意見をつけて出されたと。そしてその後に知事が賛成という意見表明をされたと思います。静岡は意見の中で賛成という意見をつけて出された。東京都は反対という意見を付して出された。私は新潟県と同じようにして賛否を明らかにしてないと。四者四様それがまさに自由な意見ということになるのではないかなというふうに思っておりまして、ぜひともその点を御理解いただきたいというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 河北新報社などが加盟する日本世論調査会が昨年二月に実施した全国面接世論調査によれば、「原発の安全性は向上したと思うが深刻な事故の懸念は残る」と答えた人が過半数の五六%に上り、「安全性は向上しておらず事故の懸念も残る」との回答は二七%で、合計八三%の大多数が原発事故への不安を抱いていることは明らかだと思います。民意を生かす立場である知事としてこのことをどうお考えですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 福島第一原発であれだけの事故があったわけでございますので、そういう不安感を国民の皆様がお持ちであるというのは理解できます。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 再稼働の地元の同意について河北新報社が一昨年の八月に実施した世論調査では、女川原発の再稼働に必要な地元同意の範囲に関し、県と立地自治体が適切とする回答は七・六%にしかすぎませんでした。今、世論調査をすればもっと少なくなっていると思われます。緊急防護措置区域UPZの五市町は二〇一五年に東北電力と安全協定を結んでおり、宮城県を通じて意見を述べられる覚書を交わしていますがそれでは不十分であり、地元同意の範囲について緊急防護措置区域UPZの五市町にはっきりと広げるべきだと考えますがいかがですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) もう少し詳しくお話しさせていただきますと、原発の施設を変更する、手を加えるといったときに安全協定を結んでございます。その際に県とUPZとの間では話し合いをして五市町の意見を添付して東北電力のほうにそれを伝えるという形になっているわけです。もう一つ地元同意というのは、安全審査が終わって大丈夫だということになったときに私に投げられるもので、その地元同意の際には特に誰々に相談をして誰々と一緒に協議をしてその同意を得なければならないといったようなものは規定はございませんで、これは私知事に責任を持って判断をしなさいということになっているということでございます。当然そのときには私といたしましてはUPZ含めいろんな首長さん方や県議会の皆さんのお話を聞きながら、私の責任の中において判断をしていくことになろうかというふうに思ってございます。ただし先ほど言いましたようにルールとして同意については、UPZ含め石巻、女川も含めて同意を得なければならないということにはなっていないということでございますので、これはもう私の責任においてしっかりと考えていきたいというふうに思っております。おわかりいただけましたでしょうか。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 国は事故を教訓として避難計画策定を義務づける範囲を三十キロ圏に広げたにもかかわらず、再稼働の同意権はないというのはおかしいと考えます。知事としても周辺自治体の同意権について法整備するよう国に強く働きかけるべきではありませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これはもう宮城県だけの問題ではございませんので、同じように原発を抱えておられるそういった都道府県の知事さんなんかとも話し合い、よく考えていくべき問題であるというふうに思っております。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) だからぜひ知事の立場として同じような立場にある知事に働きかけてはもらえませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁したように安全協定に基づく同意については施設に手を加える場合の協議については、県と石巻市と女川町とで協議をしてという形をとっておりますので、私はこれについてはそこまで踏み込む必要はあえてないだろうというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) そこまで踏み込む必要がないというところをもう少し説明していただけませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 国に対して地元同意というものにUPZ三十キロ圏内まで入れるべきであると。逆に言うとそこのUPZの範囲内の自治体の同意が得られない限りは知事として同意してはならないということであります。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) すみません。もう少しわかりやすくしゃべっていただけますか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 国に対して要望する内容について聞かれていると思って答弁しているんですけれども、国に対して要望してほしいと言われている内容はUPZも含めて私が同意する際の周りの人の御意見を聞いて決断する際の最低条件をUPZの、宮城県で言うと五市町、それに当然ですが女川、石巻も含めてそこまでみんなで合意しなければ私としては決断をしてはならないというそういうことを、その程度、三十キロの範囲内までしっかりと足かせをかけるということを国に要望すべきだというようなことを私に言えと言ってるんじゃないかなと。それは私はそこまで踏み込む必要はないというふうに言ったんでおわかりいただけますでしょうか。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 一言で言えばその必要はないという判断ですね。 エネルギー問題でちょっと聞きますけれども原発の運転期間は原則四十年です。一回に限り二十年の延長が認められていますので、最長六十年で廃炉を迎えることになります。世論調査では原発を「一定数を維持」、「今すぐゼロ」は比較的に少数であり、「将来的にゼロ」が自民党支持層で六三・一%、立憲民主党支持層で六七・九%、公明党支持層で六〇・八%、無党派層で六六・〇%と三分の二を占めており、私もそう考えますが、知事の見解をお聞かせください。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 技術革新は日進月歩でございまして、ものすごい勢いで進んでおります。近い将来、再生可能エネルギーなどほんとにクリーンなエネルギーで全ての電力を賄えるというような時代が私も来るのではないかというふうに思ってございまして、そうなった暁には火力発電も含めて私は原発もなくなっていくんじゃないかなというふうに思います。ただし今は残念ながら再生可能エネルギーが非常に不安定でございますのでまだそこまで至っていないということでありまして、そういった意味ではベースロード電源として国が原発を位置づけているというのも私は理解を示しているところでございます。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 私は以前は原子力発電肯定派だったんですよ。環境的にもいわゆる炭酸ガス出さないし効率的にも安いということでね。福島の第一原発以降ちょっと見方を変えてきて、それは私が尊敬する行政学の泰斗である西尾勝先生は自治体職員有志で構成される自治体学会の連続講義の中でこれまで原子核エネルギーの問題で特段の声を上げずにきた理由として次のように述べられており、私の共感するところ大ですので紹介させていただきます。一、原子力も軍事利用でなく平和利用なら許容できると思ったこと、二、いわゆる原子力村の人々の言う安全神話に対して、そこまで言い切るのであれば信じようと内心の不安を封印したこと、日本は激甚自然災害の多発地帯であることと核問題との結びつきについて深刻に考えてこなかったこと、私もこれ非常に同感なんです。このことについて何か所感ありますか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 福島原発の事故のようなものは起こり得ないと国民全てが、全てと言うと語弊があるかもしれません、多くの国民がそう思っていたのは事実でございまして、それが今回そうではないということが明らかになったわけでございますので、しっかりとそういった教訓を糧に次の対策というものを考えていく必要があるだろうというふうには思っております。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 最終処理方法が見出されていないのに手をつけてしまった現在、取り得る方策は一定年限までに原発依存率を一定率以下にするという暫定目標を定め必要な諸措置の工程表を明確にし、総力を結集する必要があると言われてますが、私もそう思いますがいかがでしょうか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは繰り返しになりますがエネルギー政策全般にわたる問題でございますので、国のほうでよくお考えいただきたいというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 四十四番藤原のりすけ君。 ◆四十四番(藤原のりすけ君) 何でも何でも国に任せずに、国に対して私はこうだと思っていると言うべきじゃありませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 残念ながら私の立場からはそのようなことを申し上げることはできません。 ○議長(佐藤光樹君) 暫時休憩いたします。    午後二時二十二分休憩-----------------------------------    午後二時五十分再開 ○議長(佐藤光樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二番角野達也君。    〔二番 角野達也君登壇〕 ◆二番(角野達也君) 日本共産党県会議員団の角野達也です。県政とそれを担う知事の役割は何よりも県民の命や暮らしを守り、安心・安全を県民に保障していくことにあります。そのためには国の政治がどうあろうと県民の守り手としての施策を行わなければなりません。同時に国の政治が県民の利益に反するときには県民の代表として国に堂々と物を言うことが知事には求められます。その立場から安倍政権が進める国政課題について幾つか伺います。 まず、県民の暮らしと地域経済に大きな影響を与える消費税の増税についてです。 安倍政権は本年十月から消費税を一〇%にするとしています。安倍首相は「アベノミクスで経済はよくなった、賃金も上がった」と言っていますが、日本経済は二〇一四年の八%への増税を期にGDPベースの実質家計消費支出が四兆円も落ち込んでおり、五兆円もの大増税をすれば経済に破滅的な影響を与えることは明らかです。しかも政府が消費税増税の根拠としていた、賃金は上昇したとの認識はでたらめな統計に基づくものであったことが発覚し、増税の根拠すら失われました。こんな状況の中で消費税を一〇%に引き上げたら県内の家計消費と地域経済に重大な打撃を与えると考えますが、知事は県内への影響をどのように捉えていますか、認識をお答えください。 政府は軽減税率とともに景気対策としてポイント還元を導入しようとしていますが、これもまた混乱と負担、不公平をもたらすことになります。オロナミンCとリポビタンDで税率が違う。それを現金で買うのか、カードで買うのかによっても税率が違う。更には大型店で買うのか、コンビニで買うのか、中小小売店で買うのかによっても違ってくる。事実上の税率が一〇%、八%、六%、五%、三%と五通りもあるのです。年明けに長町商店街を訪ねましたが、「ポイント還元と言ってもうちなんかではカードシステムなんてとても導入できない」「消費税上げないのが一番いい」との苦悩の声が上がっていました。地域のお店だけではありません。日本スーパーマーケット協会、日本チェーンストア協会、日本チェーンドラッグストア協会も「日々の買い物において必要のない混乱が生じる」「過当な競争を招き込む」と政府に見直しを求めています。消費を冷え込ませ、地域経済を混乱に陥らせる十月からの消費税増税は断念すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。 安倍政権は昨年末、新防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を決定し五年間で二十七兆四千七百億円の軍事費を投入する大軍拡に突き進もうとしています。私がびっくりしたのはその中身が違憲の大軍拡でありトランプ言いなりの爆買いということです。F35Bステルス戦闘機を搭載、離発着できるように「いずも型」護衛艦を改造して事実上空母化したり、更に相手の射程圏外から適地を攻撃できる長距離巡航ミサイルを導入するというのですから、どう見ても歴代政権がこれまで建前としてきた専守防衛を投げ捨てるものです。知事はこのような安倍政権の軍拡計画をどう認識していますか、お答えください。 しかもこうした兵器のほとんどがアメリカからの購入で、トランプ大統領の要望によるものです。一機百十六億円もするF35を百四十七機体制にする兵器購入計画はその最たるものです。これに対しては元陸上自衛隊中部方面隊総監の山下裕貴氏も「トランプの言いなりで兵器を買うな」「貿易摩擦が起きるたびにアメリカから兵器を購入していたら安全保障上の自主性が失われてしまう可能性もある」と批判しています。私はこの意見は極めて真っ当なものと受けとめますが、知事はどのような感想をお持ちですか、お答えください。 安倍政権の戦争する国づくり政策のもとで、宮城県の米軍演習場化が進行していることは重大です。毎年のように王城寺原演習場を中心に日米合同演習が行われ、それだけでなく二〇一二年から七年連続で米軍実弾射撃訓練が王城寺原で行われてきました。本年も二月八日から十七日にかけて実施されたばかりです。この米軍実弾射撃訓練は沖縄の負担軽減を口実に、全国五カ所の自衛隊演習場のうち毎年四カ所で行われているものですが、沖縄では負担軽減どころか県民の反対を押し切って辺野古基地建設が強行されており、実際は米軍基地の全国展開にほかなりません。宮城県と周辺三町村で構成する王城寺原演習場対策協議会は毎回情報提供や安全対策、訓練内容、生活環境等について要望書を出し、訓練が恒常化しないこと、将来的には実施されないよう求めてきましたが、まともな回答もないまま推移しています。この訓練では過去、着弾による野火が発生したり、非人道的兵器とも言われる白リン弾が使用されました。砲撃音や振動による授業や家畜への影響も含めて住民に多大な不安を与えています。全国知事会も昨年八月、日米地位協定の見直しを日米両政府に提言しました。県知事として日米合同実動演習もあわせて実施の中止を求めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。 次に、村井知事の政治姿勢と来年度予算に見られる問題点について質問します。 知事は来年度予算について、未来への架け橋予算と表現されました。確かに心身障害者医療費助成が精神障害者にも拡大されること、震災遺児・孤児への就学のための給付が増額され大学院生にまで拡大されること、障害者スポーツへの支援が拡充されることや補正予算で特別支援学校と県立中学校の全教室へのエアコン設置が予算化されたことなどは評価いたします。一方で、見過ごせないものも多々見受けられます。ここでは二点指摘しておきます。 まずは、上工下水一体官民連携という名の事実上の水道民営化への猛進です。県は来年度予算で運営構築費一億二千八百万円を計上し、ことし秋にも条例策定を進めようとしています。昨年来議会でも運営権売却による弊害、災害時の対応、料金の値上げ、水質の安全性、企業の撤退によるリスク、世界での民営化の実態などについてさまざまな意見が出され議論は始まったばかりです。日本共産党県会議員団が一月に調査を行った岩手中部水道企業団は二〇一三年に設立されましたが、人口減少や水道供給量の低下も見越して公営のまま浄水場や管路の見直しも行い、いわゆるダウンサイジングもしながら水道経営の安定化を図っています。また石巻地方水道企業団は、震災の教訓から地元のことがわかる水道職員がどうしても必要だとの認識のもとで公営を維持しつつ、将来の水道料金等については市民の理解のもとに考えていきたいとのことでした。県は余りにも拙速過ぎるのではありませんか。浜松では市民の理解が得られないとして上水道の民営化が先送りになりました。水道事業が今赤字だというわけではないのですから、初めに運営権売却ありきでなく、じっくり市町村や県民とともに将来の水道のあり方について話し合うべきではありませんか。答弁を求めます。 来年度予算に突然あらわれたカジノを含む統合型リゾートいわゆるIRを導入するための可能性調査費には驚きました。違法な賭博の合法化に県が加担することは許されません。カジノは今でも深刻なギャンブル依存症や家庭崩壊に拍車をかけ、治安悪化や地域崩壊にもつながりかねません。そのことはカジノを受け入れたものの、質屋や風俗店が乱立し犯罪や自殺が社会問題化している江原ランドを見れば明らかです。最高裁の判例も賭博が勤労の美風を損ない国民経済に障害を与えるとしています。外国のカジノ企業のもうけにしかならず地域を破綻させるだけです。可能性調査であっても予算をつけるべきではありません。取り消すべきです。いかがでしょうか。 県は、被災者支援にもっともっと力を入れるべきです。昨年十月末で孤独死は仮設住宅で百九人、災害公営住宅で百五人に上っています。若林区の災害公営住宅でひとり暮らしの男性が死後数カ月たって発見されたニュースには強い衝撃を受けました。あすと長町第一復興公営住宅は住宅の南、東、北側が高層マンションに囲まれ、住民は光の当たらない生活を強いられています。第三次住宅では、つい最近女性の焼身自殺という痛ましい事件も起こりました。知事は復興基金は国の復興期間終了後も見据えて取っておかなければならないと繰り返しおっしゃいますが、今先が見えないでいる被災者に光を当てることなくして未来へのかけ橋などあり得ません。日本共産党県議団がこれまで求めてきた被災者への医療介護の免除制度の復活、災害公営住宅への常駐支援員の配置や災害公営住宅集会所の使用に係る水光熱代などに復興基金を活用し、更なる支援に踏み出すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 私は議員になって以来、知事は「県財政は厳しい、予断を許さない」と言い続けていますが、実際は震災後、基金がふえ財政状況がよくなっていることを指摘してきました。毎年県政だよりに紹介される、新年度予算の概要や普通会計決算では、県債残高は掲載されているものの基金残高は明らかにされておらず、借金だけでなく貯金も県民に知らせるよう改善を求めてきました。しかし残念ながら一月に届いた県政だよりでも改善は見られず、基金の状況は県民には知らされないままになっています。なぜ記載しないのか、ここまで隠そうとするのか、その真意をお答えください。 来年度予算案が発表された五日の翌日の新聞紙面には、「財政運営綱渡り続く」とか「基金取り崩し厳しい懐事情」などの見出しが躍りました。その根拠として県財政課の「財政調整関係基金から同程度の取り崩しが続けば基金は数年後に枯渇する」というコメントが挙げられていました。日本共産党県議団は、この枯渇するという試算は極めて機械的なものであって財政の実態を反映するものではないこと。よって県民の危機感をあおるような表現での発表はすべきではないと繰り返し指摘をしてきました。財政調整関係基金は枯渇するどころか決算では震災後五百数十億円から四百数十億円を推移し、昨年度は増加しています。予算が組めないという理由で予定した行革債や退職手当債は、ことしも発効を取りやめ更には年度末に使わないで済んだお金を県庁舎等整備基金やスポーツ振興基金、文化振興基金などに積み立てています。富県宮城推進基金もふえる一方です。県民やマスコミにはこうした基金の実態を示さず偽りの厳しさを県民の望む施策を拒む理由に使ってはなりません。改善を求めますが、お答えください。 次に、女川原発再稼働の是非を問う県民投票条例について伺います。 この条例案は、選挙権を有する者の五十分の一以上の連署をもって条例の制定を請求することができるという地方自治法第七十四条に基づいて直接請求されたものです。今回の直接請求署名は必要署名数の三倍近い十一万一千七百四十三筆が有効とされました。私はまず昨年十月、十一月の二カ月間、地域や街頭で受任者として署名活動に奮闘された皆さんに心からの敬意を表したいと思います。また「自分や子供たちの未来と宮城の将来がかかった問題を自分たちで決めたい、意見を聞いてほしい」と署名された県民の皆さんにも敬意を表します。十代の若者からお年寄りまで受任者のほとんどが直接請求署名は初めてで不慣れであり、署名日、名前、住所、生年月日を書いてもらい、その上捺印あるいは拇印が必要という中でこれだけの署名が寄せられたことの意味は大変大きなものがあると考えます。知事はこの十一万一千七百四十三筆に込められた県民の思いや、きょうもたくさん傍聴にお見えになっている署名活動に参加された方々の思いをどのように受けとめていらっしゃいますか、まずお答えください。 この直接請求制度は二元代表制である地方自治制度の中にあって間接民主主義を補完し、住民自治の徹底を期すために直接民主主義の原理に基づく直接請求の権利を住民の基本権として認めているものです。そこには日本国憲法のもとで地方自治の主役は住民という基本的原理が背景にあります。更に選挙で代表を選んだとしても、その政治が適切でなく民意を反映していない場合や住民にとって重大な問題が浮上している場合に一定数の住民の発意で条例をつくり、住民の意思を図る住民投票を行うことができるという地方自治の根本精神が体現されています。知事はこの直接請求制度と住民投票の意義について、そもそもどのようにお考えでしょうか、お聞きします。 知事の意見では執行上の課題として、根拠条文の誤りなど法令上の問題点や現実に実施する上での無理な点や困難な点が指摘されています。学陽書房の「逐条地方自治法」によれば、「住民の直接請求による条例案は形式が一応整備されておれば足りるものと解するべきである。規定の上の立法技術上の多少の不備は問わないと言うべきである。議会において審議し修正することも可能である以上、立法技術上も完全な条例案を要求しているものとは考えられない」とされています。これは知事の言う執行上の課題については県議会の議論で修正すればそれで済むということだと考えますが、その理解でよろしいでしょうか、確認のために伺います。 知事は県民投票の賛否については判断を避けられました。同じような直接請求による条例が審議された二〇一二年の静岡、二〇一三年の新潟では、どちらの県知事も条例案の不備を指摘しつつも県民投票については賛意を表明されました。静岡県の川勝知事は「直接請求は間接民主制を補完し住民自治を図るための重要な手段です。浜岡原子力発電所の再稼働に対して県民一人一人がみずからの意思を表明する機会を逸してしまうことは妥当ではありません」と述べられました。当時の泉田新潟県知事も同様の意見です。日本国憲法と地方自治法の理念を踏まえた極めて適切な意見だと考えます。今の瞬間この場で問われているのは再稼働の是非という政策判断ではなく、住民投票という民主主義的手段を保障するかどうかなのです。なぜ知事は賛否の態度表明をしないのですか、御説明ください。 知事宛てに提出された条例制定請求書には、「私たち県民は未来の子供たちに対し、安全対策を強化し原子力エネルギー継続の道を選ぶのか、放射能リスクを回避し再生可能エネルギーに切りかえていく道を選ぶのか、当事者として考え責任を持った選択をしなければなりません」と直接請求に至った思いと責任への自覚が述べられています。震災後二回の知事選挙がありました。知事の相手候補は女川原発再稼働反対を訴えましたが、知事はどちらの選挙でも「エネルギー政策は国策であり、まずは国が総合的に判断するもの。原子力規制委員会での審査結果が出てから明らかにする」として争点化を避けてきました。県民は福島の事故を目の当たりにしてから八年、さまざまな思いを持ちながらも原発について判断を下す場を持てないで来たと言えます。こうした中で県民がただ知事と県議会に委ねるのではなく、再稼働について県民みずからが責任ある選択をして意思を示したいと考えるのは十分に理解できます。知事と私たち県議会がその思いを受けとめ、県民投票を行うことこそ民主的な県政、民主的な議会と言えるのではありませんか、知事の見解を求めます。 知事は意見の中で国策として原子力政策が進められてきた経緯があるとして、「原子力発電所の稼働の是非については、国家の将来に多大なる影響を与える問題であることから、これからも国が責任を持って判断すべきである」と述べています。同時に原子力規制委員会が許可を出せば経済産業大臣から再稼働のための地元同意の要請があり、知事が回答することになります。国策であっても知事には同意する権限も同意しない権限もあると考えますが、それでよろしいですか。 国策であっても住民にリスクを与える可能性が高くなればなるほど住民の理解を得ることが求められているのではありませんか。一たび事故が起これば、人々の暮らしも、なりわいも、ふるさとも、自然も破壊してしまうのが原発だということを私たちは経験しました。しかもその被害は立地する町だけでなく広範囲に及ぶのです。そのことは福島の現実が示しているではありませんか。本県でも南は丸森から北は栗原まで大きな被害が出ました。原発にはそうしたリスクがついて回るのです。だからこそ立地自治体だけでなく、県民みんなの意見を聞く必要があるのではないでしょうか。国策だと言って問題をそらすのでなく、大事な問題だからこそ県民の声に真摯に耳を傾ける姿勢が知事には求められているのです。知事はそう思われませんか。お答えください。 知事は、地域住民の意見を踏まえてとしつつ、多様な観点からの議論が必要であることから県議会における議論が有益であるとした上で、県議会や立地市町を初めとする県内市町村長の意見をしっかりと伺うことが妥当な判断につながると述べています。この地域住民の意見を踏まえてという言葉の中には県民投票も含むと考えてよろしいでしょうか、お答えください。 知事は、投票の方式について「単に賛成または反対の選択肢では、県民の多様な意思が正しく反映できないと思料される」と述べています。私はこの二者択一の方式が望ましい方式と考えます。なぜなら今問われているのが直面する女川原発二号機の再稼働を認めるかどうかだからです。再稼働するかどうか最終的には、知事が同意するか、事前了解を受け入れるかどうかで決まります。その知事に県民の声を聞いてほしいという県民投票ですから、今目の前に迫ってきている再稼働に対して県民がイエスなのかノーなのか示すことが大切なのではないでしょうか。確かに県民の中には、「将来的には原発に反対だけど今すぐなくすのはちょっとな」とか「エネルギーが足りるのか不安だけどリスクを考えると動かさないほうがいい」とか、あるいは「原発は怖いけど当面火力に頼るのも温暖化によくないので、しばらくは仕方ないのでは」という方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、どの意見も二号機の再稼働については賛成か反対かに行き着くのではないでしょうか。当面は仕方ないと思っている方は再稼働賛成ですし、やっぱりリスクは避けたいという方は反対となるでしょう。賛否を問う中で多様な意思は十分反映されると考えますが、知事の見解を伺います。 知事は、条例案が知事及び県議会は投票結果を尊重し、投票結果に示された県民の意思が正しく反映されるよう努めなければならないとしていることについて、「県議会において行われるべき多様な観点からの議論に大きな制約を与えかねないものと思料される」と言っています。今回の県民投票は、即、法的拘束力を持つものではありません。しかしながら私は投票結果に示された県民の意思は特別に重いものであり、知事や県議会がその尊重義務を負うことは当然のことだと思います。その上で個々の議員がどういう議論を展開するかは、個々の議員の責任に属する問題であり知事が懸念する問題ではないと考えますが、いかがですか。 知事が県民投票への賛否を明らかにしなかったのは、県民投票が行われその結果再稼働反対の県民の意思がはっきりすることを恐れているからではありませんか。再稼働に反対したら原子力関連業者から損害賠償請求されるという不安もあるのかもしれません。損害賠償というのは債務不履行や不法行為あるいは過失により損害を受けた者に対して、その原因をつくった者が損害の埋め合わせをすることです。法に基づいて行われた県民投票の結果を受けて知事が下した判断がそうした行為に当たるとは到底言えません。もともと宮城県及び女川町、石巻市と東北電力の間では女川原子力発電所周辺の安全確保に関する協定書が結ばれています。その第十二条で「乙(東北電力)は原子炉施設及びこれと関連する施設等を新増設しようとするとき又は変更しようとするときは、事前に甲(宮城県、女川町、石巻市)に協議し、了解を得るものとする」と規定し、再稼働のための原子炉設置変更は知事の了解なくしてはできないとされています。ですから知事は東北電力に遠慮する必要はないのです。また地域経済への影響についてですが、再稼働せずに一号機に続いて二号機も廃炉に向かったとしても廃炉作業には四十年程度かかります。引き続き安全対策も必要ですし、廃炉作業には膨大な労働力も物品も必要となります。将来の女川町と周辺のまちづくりのあり方は廃炉までの間に知恵を集めればいいのであり、すぐに地域経済に大きな影響が出ることを心配しなくても大丈夫です。ですから知事にあっては、たとえ再稼働反対という県民の意思がはっきりしても恐れることなく県民の意思を尊重していいと考えますが、いかがですか。お答えください。 可決すれば県政史上初めての県民投票であり、本県の民主主義の底力を示すことになるのではないでしょうか。県民投票を通じて県民はみずからが学び、周りの人と話し合い、賛成、反対の議論を交わし合い投票で意思を示すことになります。県民投票に向けたプロセス自体が県政への県民の参加を促し、民主主義の醸成につながるものと考えます。東北電力は七月までに全ての審査を終えたいと言っています。その約二カ月後に原子力規制委員会が合格を出せば国はゴーサインを出すでしょう。条例案は、国が原子炉設置変更許可を出してから、知事が事前了解の申し入れに回答するまでの期間に県民投票を行うとしています。今回条例が可決されても、実際県民投票が行われるのは早くても九カ月以上先になります。ですからさまざまな問題を県民が議論し、検討する時間は十分にあるのです。知事も県議会も従来の枠を超えて県民投票を実現し、県民とともに歩む宮城県と県議会になろうではありませんか。この点について最後に知事に見解を伺って壇上からの質問といたします。ありがとうございました。    〔傍聴席において拍手する者あり〕 ○議長(佐藤光樹君) 傍聴人の方にお願いをいたします。 拍手は禁止されておりますので、お控えください。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕
    ◎知事(村井嘉浩君) 角野達也議員の代表質問にお答えをいたします。大綱三点ございました。 まず大綱一点目、国政の重要課題に対する知事の認識についての御質問にお答えをいたします。 初めに、消費税率の引き上げに伴う影響と消費税増税は断念すべきとのお尋ねにお答えをいたします。 消費税率の引き上げについては、消費の冷え込みや事業者の負担増などを懸念する声があることは承知しております。また我が県においては、今なお震災からの復興の途上にあることから、県民生活や地域経済にできる限り影響が及ばないよう十分に配慮した実効性のある対策が必要であると考えており、的確な経済対策が実施されるよう全国知事会等と連携しながら働きかけてまいりました。現在、国では事業者向け制度説明会を開催しているほか、中小小売店における消費者へのポイント還元や低所得者に対する支援策としての軽減税率制度の導入等に向け準備が進められているところであります。なお、消費税率の引き上げについては、国、地方を通じた厳しい財政状況に加え、少子高齢化が急速に進み社会保障費が増大している現状に鑑みれば避けて通れないものと受けとめております。 次に、国の防衛計画と兵器の購入についての御質問にお答えをいたします。 我が国の国防における基本政策は専守防衛であり、昨年十二月に閣議決定された防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画についても、これを前提として策定されたものと認識しております。また、我が国における防衛力の整備については国が責任を持って行うものであります。国民を守るために真に必要な防衛装備の調達のあり方について、国において十分議論を尽くし国民の理解が得られるよう対応すべきものであると考えております。 次に、米軍実弾射撃訓練等の中止を求めるべきとの御質問にお答えをいたします。 米軍実弾射撃訓練については、沖縄県における過重な負担の軽減を図るという観点から国の責任において全国五カ所の演習場で分散して実施しているものであります。王城寺原演習場においては、近年、米軍実弾射撃訓練や日米共同訓練が実施され、地元に与える負担が増大していることから、県といたしましては、地元三町村とともに構成する王城寺原演習場対策協議会として、県民の安全を確保することとあわせて訓練が恒常化しないよう、防衛大臣宛て要望書を提出しているところであります。 次に、大綱二点目、村井知事の政治姿勢と来年度予算案についての御質問にお答えをいたします。 初めに、上工下水一体官民連携についてのお尋ねにお答えをいたします。 水道事業を取り巻く経営環境は人口減少や節水型社会の進展により収益が減少する一方、更新需要は増大していくことが見込まれるなど、今後ますます厳しくなることが予想されております。将来にわたり持続可能な水道経営を確立し、引き続き安全・安心な水を安定的に供給するためにどのような運営体制が望ましいか検討した結果、民の力を最大限活用してコスト削減を図り、経営基盤を一層強化することを目指す、みやぎ型管理運営方式を導入するという判断に至ったものであります。県といたしましてはあらゆる機会を捉え、県民や受水市町村の理解が深まるよう、丁寧な説明と情報発信に努めながら着実に手続を進めてまいります。 次に、カジノ施設を含むIRの可能性調査についての御質問にお答えをいたします。 IRについては、昨年七月に特定複合観光施設区域整備法が成立し、カジノ施設と国際会議場施設、展示等施設、観光の魅力増進施設、送客施設、宿泊施設から構成され、民間事業者により一体的に設置、運営される特定複合観光施設を当初全国三地域に限り整備を認めるものとされております。IRは国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現することで、地域経済の活性化や観光振興の効果が期待される一方、依存症や治安悪化、青少年に対する悪影響、多重債務者の増加の懸念などの問題があり、多面的、総合的に検討すべきものと考えております。法の枠組みでは、申請主体は都道府県または政令指定都市となっており、また県内の地域の中には誘致を目指す動きもあることから、県といたしましては可能性の有無に加え地域経済への波及効果や社会的な影響など、メリット、デメリットの両面の側面について客観的、基礎的な情報を得るための調査費を予算案に計上させていただいているところでございます。 次に、復興基金を活用して被災者への医療・介護費免除制度復活等に踏み出すべきとの御質問にお答えいたします。 県では被災された方々の一日も早い生活再建に向け東日本大震災復興基金などを活用し、住宅再建の支援や地域コミュニティーの再構築などに全力で取り組んできたところであります。医療や介護の一部負担金等の免除措置の復活については、保険者である市町村や後期高齢者医療広域連合が地域の復興状況や被災された方々の生活再建状況などを勘案して、総合的に判断するものと考えております。災害公営住宅への生活支援相談員等の常駐配置については、地域における見守り体制の構築状況などを踏まえ市町が判断しているところでありますが、財源となっている被災者支援総合交付金が引き続き措置されるよう国に対し要望してまいります。災害公営住宅集会所の光熱水費の負担については、管理者である市町が判断すべきものであると考えております。 次に、基金残高について県民に周知すべきとの御質問にお答えをいたします。 我が県の財政状況については、県政だよりのほか、予算、決算等のプレスリリースやホームページでの公表など、さまざまな機会を捉えて県民への周知を図っております。その際には社会保障関係経費の増加等により財政硬直化が続く厳しい現状について県民の理解促進に努める一方、県債残高の減少など財政健全化の成果についても公表しているところであります。特定目的基金を含む基金残高については、平成二十四年度をピークとして震災復興関連基金を中心に減少傾向にありますが、将来の財政需要に備えるため一部の基金へ積み立てを行う場合があるなど、基金ごとにその状況は異なります。県政だよりでは紙面の制約上このような基金についての詳細な情報を掲載することは難しいため、地方公会計制度に基づく財務書類等において基金の明細を公表するなど、財政状況の見える化に向けた取り組みの中で対応を進めているところであります。今後とも正確な財政状況について県民にとってわかりやすい形で情報提供できるよう工夫してまいりたいと思います。 次に、年度末における基金への積み立てと財政状況の厳しさについての御質問にお答えをいたします。 我が県では、当初予算の編成に当たりその時々の社会情勢や県民ニーズも踏まえながら予算を配分しているところでありますが、一方において厳しい財政状況のもと、当初予算の段階では、特例的な県債の発行等の財源対策を講じてもなお生じる財源不足への対応として、多額の財政調整基金の取り崩しを余儀なくされております。御指摘のありました退職手当債などの特例的な県債は、償還に当たって財源上の手当てもなく本来であれば発行しないことが望ましいものであり、また特定目的基金への積み立ても、将来確実に見込まれる財政需要への備えという観点からは、計画的な対応が必要なものでありますが、我が県においては、いずれの対応も県税収入の推移や歳出予算の執行状況等を見きわめた上で、年度末の補正予算において初めて検討が可能となる厳しい状況が続いております。今後とも健全な財政運営を堅持しながら県民ニーズを的確に踏まえた予算の編成に努めてまいります。 次に、大綱三点目、女川原発再稼働の是非を問う県民投票条例についての御質問にお答えをいたします。 初めに、署名に込められた県民の思いをどのように受けとめているのかとのお尋ねにお答えをいたします。 このたび東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例の制定が十一万人を上回る県民の署名により請求されたところであり、その意義を大変重く受けとめるものであります。その上で条例案を慎重に検討した結果、原子力発電所の稼働の是非を県民投票で判断することと執行上の課題の二点について、私の意見としてお示ししたところであります。 次に、直接請求制度と住民投票の意義についての御質問にお答えをいたします。 現行の地方自治制度においては、住民から直接選挙で選ばれた首長、地方議会が意思決定をする間接民主制である二元代表制が敷かれております。一方で、直接請求制度は間接民主制を補完する制度であり、また住民投票は直接民主制の側面を有し民意を把握する手段の一つであると考えております。 次に、知事意見とした執行上の課題を県議会で修正することについての御質問にお答えをいたします。 知事意見として本条例案に付した執行上の課題については、実際に本条例案で県民投票を実施する場合に想定される法的な課題と運用上の課題をお示ししたものであり、議会において修正することは可能であると考えております。 次に、賛否を表明しないのはなぜかとの御質問にお答えをいたします。 このたび条例案に付した私の意見については、十一万人を上回る県民の署名による請求重く受けとめつつ、原子力発電所の稼働の是非を県民投票で判断することについての課題及び本条例案に基づき県民投票を行う場合の執行上の課題についてお示しをいたしました。私が賛否を明らかにした場合、それが県議会における議論の方向性に大きな影響を及ぼし、多様な観点からの議論に制約を与えるものではないかという懸念があったことから、あえて賛否を示さないことにしたものであります。 次に、住民投票を行うことこそ民主的県政、民主的議会と言えるのではないかとの御質問にお答えをいたします。 原子力発電所についてはこれまで県議会においてさまざまな議論がなされており、県民の意見は議員を通じて県議会で表明されてきたものと考えております。再稼働の地元同意の判断に当たっては、地域住民の意見を踏まえて県議会において多様な観点から議論することとなるため、県民にとっても県議会における議論が必要であると考えておりますが、なお、県民の意思を確認するための住民投票の必要性については議会において十分に御検討いただきたいと考えております。 次に、再稼働の地元同意の要請に対する権限についての御質問にお答えをいたします。 国のエネルギー基本計画においては、現在停止している原子力発電所の再稼働を進める際、国も前面に立って立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むこととされております。仮に先行例と同様に国から再稼働の同意を求められた場合には、周辺自治体を初めとする県内の市町村長や県民の代表である県議会の御意見をしっかりと伺い、県としての意見表明を行うことになると考えております。 次に、県民の声に真摯に耳を傾ける姿勢が求められるのではないかとの御質問にお答えをいたします。 国においては、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、新規制基準や原子力災害対策指針を策定するなど原子力発電所の安全対策や原子力災害に備えた防災対策を強化しているところであります。仮に国が女川原子力発電所の再稼働を進める方針を決定し、再稼働の同意を求められた場合には住民説明会を通して県民の声に耳を傾け、更に周辺自治体を初めとする県内の市町村長や県民の意見を代表する県議会の御意見などを通して、県民の声をしっかりと伺いたいと考えております。 次に、地域住民の意見には県民投票も含むかとの御質問にお答えをいたします。 再稼働の地元同意の判断に当たっては、地域住民の意見を踏まえて多様な観点からの議論が必要であると考えております。県民投票は民意を把握する手段の一つではありますが、再稼働の是非に関して投票用紙の賛成欄または反対欄にマルの記号を記載する投票方式では、県民の多様な意思を反映するには課題があるものと考えております。 次に、二者択一の方式により県民の多様な意思は十分反映されるのではないかとの御質問にお答えをいたします。 女川原子力発電所二号機の稼働の是非に関する県民の意見については、エネルギー問題に対する考え方による賛否や地域経済への影響に対する考え方による賛否、地球温暖化に対する考え方による賛否のほか、条件つき賛否などのさまざまな意見があるものと思われます。これらの多様な意思を正しく反映させるためには賛成または反対の理由が表明され、更にその理由を踏まえた議論を行うことが重要であり、二者択一の方式では県民の多様な意思を反映するには課題があるものと考えております。 次に、知事や県議会が尊重義務を負うことに対する懸念についての御質問にお答えをいたします。 女川原子力発電所二号機の再稼働に関する本県の判断に当たっては、国策としてのエネルギーのあり方、県としての地球温暖化対策の取り組みの考え方、そして原子力発電所設置の経緯や地域に果たす役割などについて、地域住民の意見を踏まえた多様な観点からの議論が必要であると考えております。条例案第二十二条では、県民投票における結果が一定数に達したときは、知事及び県議会は投票結果を尊重し、東北電力や国、関係機関と協議し県民の意思が正しく反映されるよう努めなければならないとされております。このことは、直接知事及び県議会の判断を拘束するものではありませんが、議会で議決されその議決に基づき実施された県民投票の結果は重い意味を持つものであり、ひいては国の再稼働の方針に対する同意に関する判断について、県議会において行われるべき多様な観点からの議論に大きな制約を与えかねないものと考え、意見としてお示ししたものであります。 次に、住民投票の結果に係る県民の意思の尊重についての御質問にお答えをいたします。 私が条例案に対して賛否を明らかにした場合、それが県議会における議論の方向性に大きな影響を及ぼし、多様な観点からの議論に制約を与えるのではないかと懸念があったことから、賛否を示さないことにしたところであります。また仮に国から再稼働の同意を求められた場合には、周辺自治体を初めとする県内の市町村長や県民の意見を代表する県議会の御意見などを伺いながら県としての意見表明を行うことになると考えております。 次に、住民投票の実施までに県民が議論し検討する時間は十分あり、住民投票を実現すべきとの御質問にお答えをいたします。 再稼働の地元同意の判断に当たっては、地域住民の意見を踏まえて多様な観点からの議論が必要であることから、県民に原子力政策についてさまざまな情報提供を行った上で、県議会において議論することが有益であると考えております。議会におかれましては、私の意見も含めさまざまな観点からの議論をしていただきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) まずカジノについて聞きます。 あくまで可能性を探るための調査だということなんですが、知事は二年前に中嶋廉議員の「知事は以前の議会でカジノを含む統合型リゾートの誘致に取り組む予定はございませんと答えました。よもや心変わりはないと思いますがいかがでしょうか」との質問に対して「ございません」ときっぱり答えています。もう一度伺います。よもや心変わりはありませんね。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁いたしましたとおりIRについてはメリットもデメリットもあると考えてございます。私自身はデメリットのほうが大きいのではないかという考えを正直持っているのは事実でございますけれども、ただ、県内の地域の中にはIRについて非常に積極的に考えておられて、ぜひ県知事として前向きに考えるべきだという御意見もあります。そういうこともありまして私自身、その必要性についてしっかりとした客観的なものを何も持っておりませんでしたので、それで私の気持ちだけで、いい、悪いと言っていいのかどうかというのがあったものですから、今回ちょっと調査をさせていただきたいと考えたということでございます。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) ないのであれば、知事の中で、何もあえて税金を使って調査する必要はないと思うんです。調査をどうしてもしなきゃならないというのは相当の圧力があったんじゃないかなと思うんですけど、何かあったんですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 一部の自治体のほうからこういったようなことについて、県としてもしっかりとまず調べた上で判断すべきじゃないかという声がありました。やるべきだというよりも、まずは知事として客観的なデータもお持ちでないでしょうと。それによって、宮城県が、地域経済がどうなるか。それよりもまずそういったことをやったら、そういう事業者があらわれるのかどうか。もしあらわれたならばそれが成功するのかどうかということをしっかり踏まえた上で、可能性があるならば自分たちの意見もよく聞いて、それから判断すべきではないのかというような声があったものですから、それもそのとおりだなと思いまして、まずはしっかりと客観的なデータをとるために調査をするということにしたということでございます。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 知事の今の認識としては六割方ですか、やる必要はないと考えているということだけは確認させていただきます。 それで特定目的基金についてですけれども、県はこれまで毎年そうですけど、崩しては積み、積んでは崩しというのを繰り返しやってきました。確かにお金の動きはそうなっていますが、結果減っていないんです。そこで総務部長にちょっと確認しますが、県庁舎等整備基金、文化振興基金、スポーツ振興基金の二〇一四年度末と今年度末の残高をお示しください。 ○議長(佐藤光樹君) 総務部長伊東昭代君。 ◎総務部長(伊東昭代君) 県庁舎等整備基金につきましては、平成二十六年度末の残高が約六十二億円、平成三十年度末においては約百四十五億円となる見込みでございます。なお、来年度の当初予算で約二十二億円取り崩すこととしております。スポーツ振興基金につきましては、平成二十六年度末で約三十二億円でありました、平成三十年度末に約三十五億円になります。同じく来年度当初予算で約十六億円取り崩すこととしております。文化振興基金につきましては平成二十六年度末約二十六億円であったものが平成三十年度末には約六十三億円となる見込みでございます。来年度約六億円取り崩すこととしております。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) ふえています。要するに予算で一定額を取り崩しても結局年度末にそっくりあるいは上乗せして積み立てられているんです。ところがこの基金は年度末に余った分から積み立てられているのに、会計上は歳出、支出したものとして扱われるので実質収支いわゆる黒字分には反映されません。これでは黒字が小さく見えてしまうんです。だから県民に基金もわかりやすく示さないと県財政の本当の姿を知らせたことにはならないんです。大したスペースはとりません、県政だよりの。改めて改善を求めますが、どうですか。 ○議長(佐藤光樹君) 総務部長伊東昭代君。 ◎総務部長(伊東昭代君) 今三つの基金についてお話をしましたが、それぞれ今後、非常に県庁舎その他施設の老朽化に対して多額な額が一般財源が必要になってまいりますので、それを積み立てているというものでございます。県民に対してお知らせをということでございます。先ほども知事から御答弁をさせていただきましたが、紙面の制約でなかなか載せられないという状況にはなっておりますが、できる限り正確な財政状況ということで、公債費などについては少しずつ減ってきているというようなことについても載せておりますし、さまざまな形で情報提供をしてまいりたいと考えております。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 別に何が何でも意地張って載せないというものではなくて、スペースの問題だけのことですからどうしても載せてくれとそこまでおっしゃるんでしたら載せます。全然問題ないです。全然たいしたことありませんので。載せますんで。何とかスペースつくりますんで。角野議員かなり誤解されてるなと思うのは、決してお金が余ってどこかに隠して入れてるわけではなくて、将来これからいろんな施設がまず老朽化してくるということでこの建物も築三十一年なんですよ。もう後二十年もしたら本当に建てかえを考えていかなきゃいけなくなってくる、古くなってくるんです、危なくなってくるんです。東日本大震災でも物すごい被害出ました。かなりくたびれてきてるんです。そういうことを考えると県庁舎の整備基金というのをしっかりと準備していかなきゃいけない。またスポーツ振興基金も宮城スタジアムの施設の改修等も必要になってきて、どうしても財源として、これが巨額のお金が必要なってくるのをおいて置かなきゃいけない。また文化振興基金もサン・ファン・ミュージアムであったりあるいは美術館、県民会館こういったようなものの建てかえ等、あるいは修繕等もかかってくるのでお金がいるということで、今あるから全部使ってしまえじゃなくて、やっぱり将来に向かってどれくらいお金がかかるのかを見ながら、厳しく節約しながら、少しずつ少しずつ頑張ってやっているということでありますので、決して余裕があってどっかにためていっているということではないということは御理解いただきたいというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 二年前も一年前も同じような議論を知事と交わし合った気もするのでこれでやめておきますけれども、県政だよりの掲載についてはぜひお願いをしておきたいと思います。 県民投票条例に移ります。 まず、法令上の不備については修正されれば問題なしということでしたので、今後議員間、会派間で相談させていただきたいと思います。知事は署名に込められた県民の思いは理解できる、非常に重いものがあると答弁されました。この思いはしっかり胸に刻み込んでいただきたいと思います。一月に静岡に行き、条例審議に至った経過や審議の中身についてお話を伺ってきました。川勝知事は県民投票条例が事故の翌年だったこともあり、時期尚早として当初は県民投票に否定的だったそうです。ところが法定署名数六万二千の三倍近い十六万を超える署名が集まったことを受け、署名された県民の気持ちをしっかり受けとめて、その意思を表明する機会を逸してしまうことは妥当ではないと考えて賛意を表明されました。議会審議でもそのような答弁をされています。すごく誠実な知事だなと感じましたが、十一万を超える署名を前に知事はそこまで思い至りませんか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほども答弁したとおり、十一万人もの方が寒い日もあったでしょうし、雪が降ったときも雨も降ったときもあるでしょうが、その中に立って署名を求めたということは非常に重いことだというふうに思ってございます。ただこれは私が判断するものであれば必ず私の責任において是か非かということを決めますけれども、これは法律上、議会にお諮りをする、そこに私は手を加えてはいけないと、条例案に手を加えてはいけない、意見しか述べてはいけないということでございますので、これはやはり県民の十一万人の重みは直接県議会にぶつけるべきものであると判断したということです。したがってそこで私が賛成とか反対とかいうのはこれはある意味県議会に対しても失礼だし、そして署名された方に対しても失礼であると私はそう考えたと。これが私の意見ですから、私の意見に対して悪いとかいいとかいうのはやめていただきたいんです。これも私の意見。意見ですからね。これは尊重していただきたいんです。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 堂々としててほしいなと思います。国からの要請に対して同意する権限、不同意の権限両方あるんじゃないですかと聞いたんですが、知事それにはちゃんと答えられませんでした。その権限を持ってるんですよね。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 法的な手続上はこれは同意というのは意見でございまして、私がだめだからやってはいけないと法律的な縛りはないんです。法的には権限はないんです。権限はない。意見を述べることができるということでそれを尊重してくださるということですよね。法的な権限というものはないということ。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 確かに法的なそういうルールみたいなものはないと思います。だからこそ知事には、国に対して逆に自由に判断をすることができるんです。不同意を表明したとしても何かペナルティーがあるわけではありません。その後、国が再稼働についてどういう行動をとってくるかというのはわかりませんが、それはまた別の問題だと思います。改めて伺います。国策だからと言って、国策、国策とずっと強調されるんだけれども、そんなことで何も遠慮する必要は知事はないと思うんですよ、いかがですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決して遠慮をする必要はないというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 国が同意を求めてくるというのはやっぱり重いと思うんですよ。国としても国策だからと勝手にできない。やっぱり地元の同意が絶対必要だということで求めてくるんだと思うんです。国策では、だからそう考えて国がどういう求めてきているわけで、それに対して知事は弱気になる必要は全くないんです。だめだならだめ、いいならいいと堂々と言えばいいんです。すごく知事の発言聞いてると国が絶対だみたいなふうに感じられて仕方ないんですが、その辺は知事の姿勢としてどうなんですか。この原発問題に対しては。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決して国が絶対だと言ったつもりはないんですけれども、ただしやはりエネルギー政策というのは宮城県だけで完結するものではなくて国全体で考えることであって、その責任は、全ての責任はやっぱり国、あとは電力会社にあるわけでございます。実際今回の福島第一原子力発電所の事故も福島県には何ら責任を持たされてないわけでございまして、国であったり東京電力が責任を持っているということであります。したがって責任を持つ人が全体として日本のエネルギー供給をどうするのかということをまず考えるということは、これは当然当たり前のことであって、そこを私はしっかりと見据えながら宮城県の知事として行政判断をしていくということを申し上げているわけでございます。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) だから国の判断と知事の判断が違ったっていいんでしょう。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) それはそういう場合があってもいいと思います。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) わかりました。地域住民の意見について、私県民投票との関係で伺ったんですが、途中で住民説明会の話が出てきたりしてよくわけがわからなかったんですけど、この地域住民と県民投票ですが、地域住民の意見を踏まえるというんだったら全県民に一斉に問いかける県民投票が最も有効で合理的なやり方だと思うんです。どうですか、ほかにありますか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) ですから私はそれがだめだとは一言も言ってないわけで、賛成とも言ってないし反対とも言ってないと。ですからこれは今回議会に投げかけられた議案でございます。住民の皆さんがつくったものを議会に諮っているものでございますので、それはそれがどうなのかということは議員の皆さんが個々に御判断をいただければよろしいことで、それに対して私は意見を述べるべきでないと考えたということでございますので、今の御質問に対してはこの場で知事として賛成か反対かということを申し上げることは控えたいということでございます。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) では基本的に地域住民の意見を踏まえて、あるいは聞くという場合、県民投票もその中に一般論としては含んでいると、後は議会に任せるけれども知事の頭の中では、県民投票含めて地域全体含めて考えているということでよろしいですか。県民投票やるとは言わないけどもそれも含めて議会で考えろということでよろしいですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは当然法律に基づいて署名を集めてしっかりチェック我々しましたので、そして議会に諮られてるわけですからそれは当然のことだというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 私は、県民は本当に宮城県全体に何かあったときはリスク、被害をこうむるわけで、やっぱりそれに対して意見を表明する権利を持っているし、知事はそれを聞く責任がやっぱりあるんじゃないかなというふうに思います。住民説明会と言ってもそんな何千回、何万回やらないと県民の意見は聞けないわけで、説明会で一方的にしゃべっても意味がないわけだから、そこらは考えてほしいなと思います。昨日の河北新報の社説に、「十一万の民意に応えるべきだ」の見出しがつけられていました。そこには住民投票は代議制を否定するという批判があるけれども、私たちは選挙で選んだ議員に政治を託しているが、全ての問題を白紙委任したわけではないと書かれており、私もそう思いました。知事はこの指摘をどう受けとめましたか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 一つの考え方と受けとめました。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 投票方法についてですが、選択肢について疑念が述べられました。先日、サンデーモーニングで住民投票に詳しい仏教大学の上田道明教授の指摘が紹介されていましたが、日本では条例をもとにした住民投票は四百二十五件あったそうです。アメリカ軍基地や原発関連、産廃処分場や可動堰建設とともに合併関係が多数を占めています。その中で賛成、反対以外の中間的な選択肢があったものはわずか六件とのことでした。二〇〇一年新潟県刈羽村でプルサーマル計画の是非を問う住民投票が行われました。ここでは賛成、反対、保留の三択で行われましたが、投票率八八%の中、保留はわずかに三・六%でした。やはり自治体と住民にとって現在と未来にかかわる重要問題なので、基本は賛成か反対という選択肢がふさわしいことを示していると考えますが、いかが思われますか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど登壇して答弁いたしましたとおり、いろんな賛成、反対があるのも事実でございますので、マルかバツで全て解決するんだという簡単なものではないだろうというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) それはどんな問題でも県民はいろんな思い持ってますよ。通常の選挙だって同じです。知事選挙であれば選択肢は絞られます。この間の二回の選挙は二人でした。だけど「不安はあるけど村井さん」とか、「こういうことをやってくれるんだったら村井さん」とか、「どちらかというと村井さん」というそんな選択肢はないんです。村井さんかもう一人を選ぶかどうかなんですよ。いろんな思いがあっても投票するときはどちらかを選ぶんです。その上でどちらもだめ、わからないという方は棄権したり、白票を投じる権利が与えられています。こういうものだと思うんですよ。ただ県民投票というのは、県民に大事な政策判断に参加してもらうわけですから、どうしても賛否の判断がし切れない方々には、沖縄でもそうですけど、どちらでもないとかあるいはわからないというそういう意思を明確にしてもらうことも一考に値するとは考えますが、この点については知事はどうですか。 ○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 非常にこれ難しいのは、角野議員がおっしゃってることもよくわかるんです。言ってることはわかるんですが、これは私が出した議案じゃないんです。私が出した議案じゃない。だからそれに対して何でマルかバツかでだめなんだと言われても、それでいいんだと言われても、それでだめだと私が言っても、どうしてもなかなかかみ合わないんです。それは私のあくまで一個人の意見でございまして、ごめんなさい、宮城県知事としての意見でございまして、これをベースに県民の皆さんが十一万人の方たちが出されたものを受けて、議会の中でマル・バツだけでいいのか、マル、バツ、三角、四角があったほうがいいのかということをよく御議論いただければいいんじゃないかなというふうに思いまして、ですからここでマル・バツだけでは、民意が十分に把握できないんではないでしょうかというのが私の意見でございますが、それ以上のこと何を聞かれても私としてはそう考えているんですとしか言えないんです。宮城県知事としてはそう考えているんですとしかお答えできないということでございますので、どうか御理解をいただきたいというふうに思います。 ○議長(佐藤光樹君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) この場での質問は、知事が提案したものに対して質問するしかないので、訴えたいのはこちらの方々に訴えたいんですけれども--やりました。でもさっきも知事が意見出しているこの選択肢の問題は知事の意見ですから、やっぱり知事に対して物を言うのは当たり前だと思います。きょうは国政の重要問題、村井知事の政治姿勢、そして県民投票条例について質問させてもらいました。納得のいく答弁は得られませんでしたが、特に県民投票条例については、きょうも傍聴席では足らず一階ロビーにも多くの県民の皆さんがお越しになるなど、県民、マスコミ大注目の県議会となっています。この条例請求に込められた大事なことは自分たちで決めたいとの思いに応えるのか、それとも切り捨てるのか、本県議会には問われています。今この議場にいる全ての議員の皆さん、執行部の皆さん、知恵を集め必要な修正を行い、署名の一筆一筆に込められた県民の願いを実らせようではありませんか。そのために全力を注ぐことを表明して、代表質問を終わります。 ○議長(佐藤光樹君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○議長(佐藤光樹君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時散会...