平成31年 2月 定例会(第367回) 第三百六十七回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)平成三十一年二月二十一日(木曜日) 午前十時開議 午後四時散会 議長 佐藤光樹君 副議長 只野九十九君出席議員(五十七名) 第一番 大内真理君 第二番 角野達也君 第三番 内藤隆司君 第四番 高橋 啓君 第五番 遠藤伸幸君 第六番 村上久仁君 第七番 高橋宗也君 第八番 庄田圭佑君 第九番 深谷晃祐君 第十番 中嶋 廉君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 天下みゆき君 第十三番 三浦一敏君 第十四番 佐々木功悦君 第十五番 境 恒春君 第十六番 太田稔郎君 第十七番 横山のぼる君 第十八番 遠藤隼人君 第十九番 渡辺勝幸君 第二十番 横山隆光君 第二十一番 佐々木賢司君 第二十三番 熊谷義彦君 第二十四番 渡辺忠悦君 第二十五番 遠藤いく子君 第二十六番 すどう 哲君 第二十七番 吉川寛康君 第二十九番 守屋守武君 第三十番 長谷川 敦君 第三十一番 佐々木幸士君 第三十二番 村上智行君 第三十三番 細川雄一君 第三十四番 高橋伸二君 第三十五番 菊地恵一君 第三十六番 只野九十九君 第三十七番 佐々木喜藏君 第三十八番 石川光次郎君 第三十九番 佐藤光樹君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 菅間 進君 第四十二番 坂下 賢君 第四十三番 ゆさみゆき君 第四十四番 藤原のりすけ君 第四十五番 坂下やすこ君 第四十六番 庄子賢一君 第四十七番 中島源陽君 第四十八番 本木忠一君 第四十九番 中山耕一君 第五十番 長谷川洋一君 第五十一番 安部 孝君 第五十二番 齋藤正美君 第五十三番 安藤俊威君 第五十四番 畠山和純君 第五十五番 仁田和廣君 第五十六番 藤倉知格君 第五十七番 相沢光哉君 第五十八番 中沢幸男君 第五十九番 渡辺和喜君欠席議員(一名) 第二十八番 伊藤和博君欠員(一名) 第二十二番
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 河端章好君 副知事 佐野好昭君 公営企業管理者 遠藤信哉君 総務部長 伊東昭代君 震災復興・企画部長 江口哲郎君 環境生活部長 後藤康宏君 保健福祉部長 渡辺達美君 経済商工観光部長 吉田祐幸君 農林水産部長 武藤伸子君 土木部長 櫻井雅之君 会計管理者兼出納局長 増子友一君 総務部参事兼秘書課長 武内浩行君 総務部財政課長 清水裕之君 教育委員会 教育長 高橋 仁君 教育次長 高橋剛彦君 選挙管理委員会 委員長 伊東則夫君 事務局長 伊藤正弘君 人事委員会 委員長 千葉裕一君 事務局長 青木直之君 公安委員会 警察本部長 松岡亮介君 総務部長 渡邊政明君 労働委員会 事務局長 正木 毅君 監査委員 委員 石森建二君 事務局長 吉田 計君
----------------------------------- 議会事務局 局長 峯浦康宏君 次長兼総務課長 伊藤吉隆君 議事課長 佐々木康栄君 政務調査課長 佐々木信一君 総務課副参事兼課長補佐 山内好尋君 議事課副参事兼課長補佐 千葉良信君 政務調査課副参事兼課長補佐 相澤亮子君 議事課長補佐(班長) 二上秀幸君 議事課主任主査 渡辺祐司君
----------------------------------- 議事日程 第三号 平成三十一年二月二十一日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第一号議案ないし議第四十二号議案及び議第七十号議案第三 議第七十一号議案 平成三十年度宮城県一般会計補正予算第四 議第七十二号議案 平成三十年度宮城県公債費特別会計補正予算第五 議第七十三号議案 平成三十年度宮城県
母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算第六 議第七十四号議案 平成三十年度宮城県
国民健康保険特別会計補正予算第七 議第七十五号議案 平成三十年度宮城県
中小企業高度化資金特別会計補正予算第八 議第七十六号議案 平成三十年度宮城県
農業改良資金特別会計補正予算第九 議第七十七号議案 平成三十年度宮城県
沿岸漁業改善資金特別会計補正予算第十 議第七十八号議案 平成三十年度宮城県林業・
木材産業改善資金特別会計補正予算第十一 議第七十九号議案 平成三十年度宮城県県有林特別会計補正予算第十二 議第八十号議案 平成三十年度宮城県土地取得特別会計補正予算第十三 議第八十一号議案 平成三十年度宮城県
土地区画整理事業特別会計補正予算第十四 議第八十二号議案 平成三十年度宮城県
流域下水道事業特別会計補正予算第十五 議第八十三号議案 平成三十年度宮城県港湾整備事業特別会計補正予算第十六 議第八十四号議案 平成三十年度宮城県
水道用水供給事業会計補正予算第十七 議第八十五号議案 平成三十年度宮城県工業用水道事業会計補正予算第十八 議第八十六号議案 平成三十年度宮城県地域整備事業会計補正予算第十九 議第八十七号議案 平成三十年度宮城県一般会計補正予算第二十 議第八十八号議案 食品衛生取締条例等の一部を改正する条例第二十一 議第八十九号議案 自殺対策緊急強化基金条例の一部を改正する条例第二十二 議第九十号議案
緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例第二十三 議第九十一号議案 中
山間地域等農村活性化基金条例の一部を改正する条例第二十四 議第九十二号議案 公共工事等入札・契約適正化委員会条例の一部を改正する条例第二十五 議第九十三号議案 県道の路線認定について第二十六 議第九十四号議案 県道の路線廃止について第二十七 議第九十五号議案 訴えの提起について第二十八 議第九十六号議案 工事請負契約の締結について(仙台塩釜港仙台港区上屋建設工事)第二十九 議第九十七号議案 工事請負契約の締結について(宮城県
総合運動公園スタジアム大型映像設備工事)第三十 議第九十八号議案 工事請負変更契約の締結について(寄磯漁港防波堤災害復旧及び改築工事)第三十一 議第九十九号議案 工事請負変更契約の締結について(善川護岸等災害復旧及び改良工事)第三十二 議第百号議案 権利の放棄について(介護サービス事業所・施設等復旧支援事業費補助金の財産処分納付金及び当該財産処分納付金の遅延利息に係る債権)第三十三 議第百一号議案 権利の放棄について(宮城県
ベンチャー育成ファンド出資金貸付事業貸付金に係る債権)第三十四 議第百二号議案 権利の放棄について(認定職業訓練事業費補助金の財産処分納付金及び当該財産処分納付金の遅延利息に係る債権)第三十五 議第百三号議案 平成三十年度市町村受益負担金について第三十六 議第百四号議案 平成三十年度流域下水道事業受益負担金の変更について第三十七 議第百五号議案 東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例制定の請求について第三十八 報告第一号 専決処分の報告について(津谷川等護岸等災害復旧工事(その二)の委託契約の変更)第三十九 報告第二号 専決処分の報告について(結核医療提供施設新築工事の請負契約の変更)第四十 報告第三号 専決処分の報告について(結核医療提供施設新築工事の請負契約の変更)第四十一 報告第四号 専決処分の報告について(波路上漁港物揚場等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十二 報告第五号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤新築工事の請負契約の変更)第四十三 報告第六号 専決処分の報告について(波路上漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十四 報告第七号 専決処分の報告について(伊里前漁港防潮堤等災害復旧及び野積場補修工事の請負契約の変更)第四十五 報告第八号 専決処分の報告について(
気仙沼漁港等防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十六 報告第九号 専決処分の報告について(
気仙沼漁港防潮堤災害復旧工事(その一)の請負契約の変更)第四十七 報告第十号 専決処分の報告について(波路上漁港防潮堤等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第四十八 報告第十一号 専決処分の報告について(
雄勝漁港等防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第四十九 報告第十二号 専決処分の報告について(
鮪立漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第五十 報告第十三号 専決処分の報告について(
松岩漁港防潮堤等災害復旧工事の請負契約の変更)第五十一 報告第十四号 専決処分の報告について(泊(歌津)漁港防潮堤災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第五十二 報告第十五号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤新築工事(その四)の請負契約の変更)第五十三 報告第十六号 専決処分の報告について(雄勝漁港防潮堤等災害復旧及び野積場補修工事の請負契約の変更)第五十四 報告第十七号 専決処分の報告について(雄勝漁港防潮堤等災害復旧及び新築工事(その一)の請負契約の変更)第五十五 報告第十八号 専決処分の報告について(雄勝漁港防潮堤等災害復旧及び新築工事(その二)の請負契約の変更)第五十六 報告第十九号 専決処分の報告について(浦の浜漁港防潮堤新築工事の請負契約の変更)第五十七 報告第二十号 専決処分の報告について(閖上漁港広浦橋架換(上部工)工事の請負契約の変更)第五十八 報告第二十一号 専決処分の報告について(塩釜漁港岸壁等災害復旧及び防潮堤新築工事の請負契約の変更)第五十九 報告第二十二号 専決処分の報告について(浦の浜漁港防潮堤新築工事(その二)の請負契約の変更)第六十 報告第二十三号 専決処分の報告について(石巻漁港桟橋改築工事の請負契約の変更)第六十一 報告第二十四号 専決処分の報告について(気仙沼漁港防潮堤災害復旧及び新築工事の請負契約の変更)第六十二 報告第二十五号 専決処分の報告について(石巻漁港防波堤災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第六十三 報告第二十六号 専決処分の報告について(一般県道石巻工業港矢本線大曲道路災害復旧工事の請負契約の変更)第六十四 報告第二十七号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号長清水道路等災害復旧工事の請負契約の変更)第六十五 報告第二十八号 専決処分の報告について(一般県道清水浜志津川港線清水浜荒砥道路改築等工事の請負契約の変更)第六十六 報告第二十九号 専決処分の報告について(主要地方道石巻鮎川線風越橋(仮称)新設(下部工)工事の請負契約の変更)第六十七 報告第三十号 専決処分の報告について(一般県道石巻工業港矢本線定川大橋災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第六十八 報告第三十一号 専決処分の報告について(一般国道三百九十八号相川三号橋(仮称)新設(上部工)工事の請負契約の変更)第六十九 報告第三十二号 専決処分の報告について(一般県道釜谷大須雄勝線尾の崎橋災害復旧工事の請負契約の変更)第七十 報告第三十三号 専決処分の報告について(
主要地方道塩釜吉岡線落合橋橋梁修繕(上部工)工事の請負契約の変更)第七十一 報告第三十四号 専決処分の報告について(
一般県道大島浪板線磯草道路改築工事の請負契約の変更)第七十二 報告第三十五号 専決処分の報告について(
一般県道大島浪板線磯草道路改築工事(その二)の請負契約の変更)第七十三 報告第三十六号 専決処分の報告について(
荒砥地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十四 報告第三十七号 専決処分の報告について(
清水田地区海岸等堤防等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十五 報告第三十八号 専決処分の報告について(桜川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第七十六 報告第三十九号 専決処分の報告について(
大谷川地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十七 報告第四十号 専決処分の報告について(
中島地区海岸等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十八 報告第四十一号 専決処分の報告について(面瀬川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第七十九 報告第四十二号 専決処分の報告について(津谷川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十 報告第四十三号 専決処分の報告について(坂元川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十一 報告第四十四号 専決処分の報告について(津谷川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第八十二 報告第四十五号 専決処分の報告について(津谷川護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第八十三 報告第四十六号 専決処分の報告について(
大島地区海岸護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第八十四 報告第四十七号 専決処分の報告について(只越川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十五 報告第四十八号 専決処分の報告について(
浦戸地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十六 報告第四十九号 専決処分の報告について(五間堀川等堤防等改良工事の請負契約の変更)第八十七 報告第五十号 専決処分の報告について(
花渕浜地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第八十八 報告第五十一号 専決処分の報告について(
南貞山運河護岸等災害復旧工事(その八)の請負契約の変更)第八十九 報告第五十二号 専決処分の報告について(
北貞山運河護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第九十 報告第五十三号 専決処分の報告について(七北田川護岸等災害復旧工事(その六)の請負契約の変更)第九十一 報告第五十四号 専決処分の報告について(
東名地区海岸護岸等災害復旧工事(その六)の請負契約の変更)第九十二 報告第五十五号 専決処分の報告について(大沢川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第九十三 報告第五十六号 専決処分の報告について(
追波川等護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第九十四 報告第五十七号 専決処分の報告について(
追波川等護岸等災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第九十五 報告第五十八号 専決処分の報告について(大沢川護岸等災害復旧工事(その二)の請負契約の変更)第九十六 報告第五十九号 専決処分の報告について(中島川護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第九十七 報告第六十号 専決処分の報告について(大沢川護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第九十八 報告第六十一号 専決処分の報告について(坂元川等護岸等災害復旧工事(その三)の請負契約の変更)第九十九 報告第六十二号 専決処分の報告について(戸花川等護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百 報告第六十三号 専決処分の報告について(
野々島地区海岸護岸等災害復旧工事の請負契約の変更)第百一 報告第六十四号 専決処分の報告について(五間
堀川赤井江遊水地排水機場機械設備工事の請負契約の変更)第百二 報告第六十五号 専決処分の報告について(
南貞山運河護岸等災害復旧工事(その九)の請負契約の変更)第百三 報告第六十六号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤災害復旧工事(その四)の請負契約の変更)第百四 報告第六十七号 専決処分の報告について(荻浜港防潮堤災害復旧工事の請負契約の変更)第百五 報告第六十八号 専決処分の報告について(仙台塩釜港石巻港区防潮堤建設工事(その十)の請負契約の変更)第百六 報告第六十九号 専決処分の報告について(雄勝港防潮堤災害復旧工事(その五)の請負契約の変更)第百七 報告第七十号 専決処分の報告について(仙台塩釜港仙台港区防潮堤建設工事(その三)の請負契約の変更)第百八 報告第七十一号 専決処分の報告について(宮城県若林警察署(仮称)庁舎新築工事の請負契約の変更)第百九 報告第七十二号 専決処分の報告について(和解及び損害賠償の額の決定)第百十 報告第七十三号 専決処分の報告について(県営住宅の明渡請求等に係る訴えの提起)第百十一 報告第七十四号 専決処分の報告について(交通事故に係る和解及び損害賠償の額の決定)第百十二 一般質問(代表) 〔石川光次郎君、藤原のりすけ君、角野達也君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二ないし日程第百十一 議第一号議案ないし議第四十二号議案及び議第七十号議案、議第七十一号議案ないし議第百五号議案及び報告第一号ないし報告第七十四号三 日程第百十二 一般質問(代表) 〔石川光次郎君、藤原のりすけ君、角野達也君〕
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△開議(午前十時)
○議長(佐藤光樹君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△会議録署名議員の指名
○議長(佐藤光樹君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、四十七番中島源陽君、四十八番本木忠一君を指名いたします。
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△議第一号議案ないし議第四十二号議案・議第七十号議案
△議第七十一号議案ないし議第百五号議案
△報告第一号ないし報告第七十四号・一般質問(代表)
○議長(佐藤光樹君) 日程第二ないし日程第百十一、議第一号議案ないし議第四十二号議案及び議第七十号議案並びに議第七十一号議案ないし議第百五号議案及び報告第一号ないし報告第七十四号を一括して議題といたします。 知事から追加提出議案の提案理由の説明を求めます。知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました平成三十年度一般会計補正予算案を初め、提出議案の概要を御説明申し上げます。 間もなく東日本大震災の発生から八年が経過しようとしております。今年度は、震災復興計画の最終ステージである発展期の初年度であり、創造的な復興の完遂に向けラストスパートをかける年と捉え、私自身さまざまな課題に対して全力でチャレンジしてまいりました。昨年七月には東北六県の産学官の悲願であった次世代放射光施設の県内設置が決定し、本県のみならず東北全体が喜びに沸いたところであります。施設の設置が地域経済活性化の起爆剤となることを大いに期待するとともに、県内産業の雇用創出や技術力向上に向け関係機関と十分に連携して取り組んでまいります。 交流人口の拡大につきましては、民営化から二年が経過した仙台空港はフジドリームエアラインズの出雲線が新設されたほか、新たな搭乗施設であるピア棟も供用が開始され、今後利用者の一層の増加が見込まれます。また、国民的人気アイドルグループの御支援による通年観光キャンペーンや宮城オルレについて好評をいただいているところでもあり、宮城の観光コンテンツに注目が集まることによりまして更に多くの観光客が本県を訪れるものと期待しております。 公共インフラにつきましては、災害公営住宅の整備や防災集団移転促進事業も順調に進んでおり、また、みやぎ県北高速幹線道路については、昨年十二月に登米市の中田工区が開通したほか、先日、三陸縦貫自動車道が気仙沼市まで延伸されたところであります。昨年十月には全国フォーラムWIT二〇一八宮城を開催し、県内外の企業や有識者の方々が一堂に会して魅力ある働き方と女性活躍について議論が交わされました。生産年齢人口が減少する中、持続可能な成熟した社会を構築するためには働き方改革や女性の活躍が重要であり、今回のフォーラムを契機に働き方を変えることは社会を変えるという理念を広く浸透させてまいりたいと考えております。 また、今年度は平成三十年七月豪雨、北海道胆振東部地震など全国各地で災害が多く発生した年でもありました。本県では、東日本大震災での経験を生かし職員を派遣するなど、復旧支援を積極的に行ってまいりましたが、災害はいつどこで発生するか予測できないものであることを改めて心に刻み、引き続き災害に対する入念な準備と機動的な対応に取り組んでまいります。 今年度を振り返りますと、被災された方々を初めとする多くの県民の皆様の声に真摯に向き合いながら、震災復興計画の発展期を円滑にスタートさせることができたものと考えております。 一方で、震災復興計画期間も残り二年余りとなり、ハード事業が着実に進捗していることから、復興の実現はすぐ目の前との声も多くなっております。また、八年という時間が経過する中で発災時に小学六年生だった子供たちが先日成人式を迎えられるなど、時の流れは確実に進んでおり、未曽有の大震災の記憶も薄れつつあります。 このような現状を踏まえ発展期の二年目となる来年度に向けましては、私初め職員一人一人がハード事業の完成が復興のゴールではないとの思いを共有し、震災復興計画の先も見据えながら、復興の現状に即したきめ細やかな対応と新たな発展につながる創造的復興の推進に取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解、御支援をお願い申し上げます。 今年度の財政運営についてでありますが、復旧・復興事業に係る財源については、復興交付金や震災復興特別交付税などの国の財政措置により必要額を確保することができました。通常事業の財源については、県税収入が当初予算における見込みから上振れし、地方譲与税や普通交付税、臨時財政対策債についてはおおむね所要額を確保できる見込みであり、各種事業についてしっかりと取り組むことができたものと考えております。 今回の補正予算案では、復旧・復興事業を初めとする歳出予算の執行額や財源の確定見込みに伴う計数整理を行ったほか、国の補正予算への対応につきましても別途予算措置を講じたところであります。また、退職手当債や行政改革推進債などの特例的な県債の発行を見合わせるとともに、財源調整機能を担う基金の取り崩しを一部取りやめて残高を確保するなど、来年度以降の財政運営にも配慮した編成に努めているものであります。 補正予算案の主な内容ですが、初めに震災復興関連事業及び通常分の事業についてであります。 震災復興関連事業につきましては、先月、国に第二十三回の申請を行った復興交付金を基金に積み立てるとともに、震災で親を亡くした子供たちなどのためにお寄せいただいた御好意を東日本大震災みやぎこども育英基金に追加して積み立てるほか、来年度以降の復興施策の財源として活用するため全国の方々からの寄附金等を東日本大震災復興基金及び地域整備推進基金に積み増します。 次に、通常分の事業については、地方自治法の規定に基づく県民投票条例制定請求に係る審査経費のほか、流域下水道事業について来年度から地方公営企業法を全部適用し、企業局へ事業を移管することに伴う繰出金を計上しております。 このほか、みやぎ発展税の増収分等を富県宮城推進基金に積み増すほか、社会福祉事業の振興や地域の保健福祉の増進に重点的に取り組むための財源として社会福祉基金の充実を図ります。また、県有施設設備の維持更新や長寿命化を計画的に進めるため、所要の財源を県庁舎等整備基金及び文化振興基金に積み立てるとともに、地域の環境保全活動の推進を図る財源として地域環境保全基金の充実も行うこととしております。 次に、防災・減災、国土強靭化やTPP協定の早期発効に対応するための農林水産業の強化策などを織り込んだ国の補正予算に対応して実施する施策についてであります。 まず、公共事業関係では、県道気仙沼唐桑線などの道路橋梁、七北田川、迫川等の河川、砂防、農地整備、治山などの事業費を増額しております。 公共事業以外では、保育人材の確保のため保育士修学資金の貸し付けに係る経費を増額するほか、老人福祉施設のブロック塀の改修に係る経費を助成するとともに、特別支援学校等の空調設備の整備を行います。あわせて、東北電力女川原子力発電所の周辺地域において要配慮者等の一時的な屋内退避施設に係る放射線防護対策の経費を助成し防災対策の充実を図ります。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正額は震災復興関連及び通常分に係る補正予算については、一般会計で五百十八億一千八百余万円の減額、総計では四百五十八億三千二百余万円の減額となります。財源としては、県税五十五億三千五百万円、地方譲与税四十一億六千二百万円などを追加する一方、国庫支出金二百四十八億八千余万円、県債百十九億二百余万円、諸収入六十一億三千四百余万円などを減額しております。 また、国補正予算への対応に係る補正予算については、一般会計、総計ともに百三十七億余万円の増額となります。財源としては、国庫支出金七十二億六千九百余万円、県債五十二億一千八百余万円などを追加しております。この結果、今年度の予算規模は一般会計で一兆一千百三十七億五千六百余万円、総計で一兆六千百八億二千二百余万円となります。 予算外議案については、条例議案六件、条例外議案十二件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず条例議案でありますが、議第八十八号議案は、東日本大震災により被害を受けた者に係る各種手数料の免除の期間を延長しようとするもの、議第九十一号議案は、中山間地域等農村活性化基金の処分を可能にしようとするもの、議第九十二号議案は、宮城県公共工事等入札・契約適正化委員会の調査審議事項に地方独立行政法人の調達に係る事項を追加しようとするものであります。 また、議第百五号議案は、地方自治法第七十四条第一項の規定に基づき、東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例の制定について直接請求がなされ、去る二月十二日に受理しましたので、同条第三項の規定により意見を付して提案するものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第九十三号議案は、県道の路線認定について、議第九十四号議案は、県道の路線廃止について、議第九十五号議案は、訴えの提起について、議第九十六号議案及び議第九十七号議案は、工事請負契約の締結について、議第百号議案ないし議第百二号議案は、権利の放棄について、議第百三号議案及び議第百四号議案は、市町村の受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(佐藤光樹君) 補正予算案に係る各部局長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 地方公務員法第五条第二項の規定により、関係議案について県人事委員会の意見を求めましたところ、お手元に配布のとおり意見が提出されました。…………………………………………………………………………………………… 宮人委第324号 平成31年2月18日 宮城県議会議長 佐藤光樹殿 宮城県人事委員会 委員長 千葉裕一 条例案に対する意見について 平成31年2月13日付け宮議第531号で意見を求められた条例案に対する意見については,下記のとおりです。 記 「議第20号議案 職員の自己啓発等休業に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は,学校教育法(昭和22年法律第26号)の改正に伴い,規定の整理を行うものであり,適当と認めます。 「議第21号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は,人事院規則15-14(職員の勤務時間,休日及び休暇)の一部改正により国家公務員において超過勤務命令の上限等が定められたことに準じ,本県職員についても時間外勤務命令の上限等を定める措置を講ずるため,所要の改正を行うものであり,適当と認めます。 「議第22号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」 この条例案は,支給対象の見直し等に伴い所要の改正を行うものであり,適当と認めます。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤光樹君) ただいま議題となっております各号議案についての質疑と、日程第百十二、一般質問とをあわせて行います。 質疑、質問は順序に従い許します。三十八番石川光次郎君。 〔三十八番 石川光次郎君登壇〕
◆三十八番(石川光次郎君) おはようございます。宮城野区の石川光次郎でございます。自由民主党・県民会議を代表して大綱一点、県政の今後の展望について代表質問をさせていただきます。 平成三十一年度は御代がわりの年であり、今上天皇陛下が御譲位なされ、五月一日に皇太子殿下が御即位される、まさに新しい時代へのスタートの年であります。また、東日本大震災から間もなく丸八年になり、県の震災復興計画も発展期の二年目、残すところあと二年となります。復興の完遂はもちろんのことでありますが、復興後の県政発展を見据えながら明るい展望が開ける議論がなされますよう期待をして、以下質問をしてまいります。 まず初めに、県の財政運営についてお伺いいたします。 平成三十一年度当初予算案は、復旧・復興の完遂に向けた取り組みを引き続き最優先に進めるとともに、知事が、未来への架け橋予算と命名されたことにもあらわれているとおり、震災復興計画の期間終了を見据え、地域経済の活性化や交流人口の拡大、福祉施策の充実や県有施設の老朽化対策等の県政課題に積極的に取り組んでいく姿勢を明らかにしたものであるとの認識で受けとめております。しかしながら、これらの事業を支える県財政に関しては甚だ心もとない状況に置かれているものと認識せざるを得ないと考えております。平成三十年度二月補正予算において、県税収入の上振れなどを活用し県庁舎整備基金や文化振興基金等への積み立てを行い、近い将来確実に見込まれる財政需要に備えようとする点は一定の評価はいたしますが、平成三十一年度当初予算では退職手当債を計上してもなお不足する百二十億円について財政調整基金を取り崩すことによって、ようやく収支均衡予算が編成されたところであります。これにより平成三十一年度末の財政関係基金の残高は三百九億円となる見込みですが、これは全国的な景気回復が始まる前の平成二十三年度末の残高三百七十三億円を大きく下回る水準であります。創造的復興をなし遂げるためには、新年度予算に盛り込まれたような積極的な取り組みを更に拡充していかなければならないと考えますが、そのためには安定した財政基盤の確立が不可欠であり、財政健全化に向けた更なる努力が必要と考えますが、平成三十一年度当初予算案の編成を終えた今、我が県財政の現状について知事はどう認識しているのかをお伺いいたします。 国の復興・創生期間の終了する平成三十三年度以降を展望いたしますと、復興需要の収束に伴う県税収入の鈍化や国の特例的な財政支援の縮小など、我が県財政は更に厳しい環境に置かれることが想定されます。先日公表された中期的な財政見通しにおいては、県税収入は伸びが期待できず横ばいで推移するほか、消費税率引き上げによる歳入増についても社会保障関係経費の自然増等により打ち消される見込みであり、毎年度発生する巨額の赤字を財政調整関係基金の取り崩しで埋め合わせる綱渡りの財政運営が続くとの試算結果が示されたところであります。また、この財政見通しは復興・創生期間後も現在と同様のスキームで国の財政支援が継続されるという前提のもとで作成されております。試算結果として記載されている「国の財政支援の内容によっては財源不足が更に拡大し、財政調整関係基金が枯渇する状況となることが懸念されます」との見立てが十分にあり得るシナリオであると認識し、これまで以上に気を引き締めて財政運営に当たっていく必要があるものと考えます。このように、我が県の経済、財政を取り巻く環境が厳しくなると予想される震災復興計画終了後を見据え、今後どのような点に留意しながら財政運営に当たっていくつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、SDGsへの取り組みについてお伺いいたします。 SDGsは平成二十七年国連サミットで採択された持続可能な開発目標であり、誰一人取り残さないことを理念に掲げ、貧困をなくそう、働きがいも経済成長も、海の豊かさを守ろうなど十七のゴールいわゆる目標と、百六十九項目のターゲットいわゆる達成基準が盛り込まれているものであります。貧困や飢餓、テロや紛争、気候変動など地球全体が抱えるさまざまな問題に対する強い危機感から誕生したものでありますが、国際社会の構成員である我が国、ひいては宮城県においても大変重要な取り組みになるべきものと考えられます。そこでまずこのSDGsに対する知事の基本的な認識と、県としてどのように取り組んでいくのかについて御見解をお伺いいたします。 また、SDGsの目標年次は二〇三〇年とされておりますが、県では来年度から次期総合計画の策定に向けた検討を進めていくとのことですが、震災復興後を見据えたこの検討の中で次期総合計画とSDGsとの関係をどう捉え整合を図っていくのか、御見解をお伺いいたします。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックについて伺います。 いよいよ来年に迫った東京二〇二〇オリンピックの開催まで一年半を切り五百十九日となりました。御案内のとおり本県ではサッカー競技男女予選リーグと決勝トーナメント合わせて十試合が利府町のひとめぼれスタジアム宮城において開催される予定であります。一九六四年の東京オリンピック開催時にはまだ生まれておらず、私にとっては初の自国開催のオリンピックとなります。しかもふるさと宮城においても競技開催がされるということ、ことさら県協会の顧問をさせていただいているサッカー競技が行われるということで喜びも興奮もひとしおであります。本年開催のラグビーワールドカップも我が県で開催されればとの思いもありますが、この件についてはきょうは置いておきます。本県でのオリンピック開催ということでさまざまな準備が順調に進められていることと拝察いたしますが、オリンピック開催を契機として国内外から多くの方々が本県を訪れることになると考えられますが、本県の魅力そして復興オリンピックの名のもと、復興状況や復興支援に対する感謝の気持ちを強力に発信する絶好の機会になるものと考えております。その本県を訪れた方々に対しおもてなしとして競技会場への案内、誘導や県内各地の観光案内などを行ってもらうのが都市ボランティアの存在であり、大会成功に向けてなくてはならない方々であります。多くの県民がボランティアに参加することで、復興五輪を肌で感じていただけるよい機会になると期待もしているところであります。大会組織委員会で募集する大会ボランティアや東京都などで募集する都市ボランティアについては既に昨年九月に募集を開始し、必要人数を大きく上回る応募があったとマスコミ報道などで聞いているところであります。本県においても、昨年十一月に東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会ボランティア実施計画(第二次計画)を策定しているところであり、今後は千三百人程度の都市ボランティアの募集を行う予定であると聞いているところでありますけれども、本県における都市ボランティア募集に向けての準備状況と募集に当たっての本県の特徴的な取り組みについてお伺いをいたします。 次に、防災・減災、国土強靭化についてお伺いをいたします。 我が国はこれまで国土の地理的、地形的及び気象的な特性から数多くの災害に繰り返しさいなまれてきました。そして未曽有の被害をもたらした東日本大震災のように規模の大きな災害であればあるほど、まさに忘れたころに訪れ、その都度多くのとうとい人命を失い、莫大な経済的、社会的、文化的損失をこうむり続けてきました。更に近年、全国各地において豪雨、高潮、暴風、波浪、地震、豪雪など気候変動の影響による気象の急激な変化や自然災害が頻発化、激甚化し、これまでの常識では想定し得ない被害が発生するとともに、社会インフラの脆弱性が顕著に見られるようになってまいりました。記憶に新しいところでは、昨年七月の西日本豪雨、台風二十一号、大阪北部地震、北海道胆振東部地震を初めとする自然災害によりブラックアウトの発生、空港ターミナルの閉鎖など、生活、経済に欠かせない重要なインフラがその機能を喪失し、生活や経済活動に大きな影響を及ぼす事態が発生いたしました。同様に本県においても、いつ何どき大きな自然災害が発生してもおかしくない状況にあり、近年では平成二十七年九月の関東・東北豪雨において県内陸部で大きな被害が出たところでもあります。このように自然災害が頻発化、激甚化する中で昨年十二月十四日、国においてソフト、ハード両面からの防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策が閣議決定されました。東日本大震災や近年の自然災害から得られた教訓を踏まえれば、事後対策ではなく平時から事前の備えとして、防災・減災、インフラの強靭化の取り組みを推進していくことは非常に重要であり、三カ年の緊急対策とはいえ国の取り組みは評価すべきものと考えております。そこで国が示した三カ年緊急対策に対しての知事の所感をお伺いいたします。 また、三カ年緊急対策のハード対策として、河川、砂防等の防災のための重要インフラの機能強化等により、大規模な浸水、土砂災害、火山噴火等による被害の防止、最小化を図ること及び道路等の経済、生活を支える重要インフラの機能強化等により、災害時の避難、救助及び迅速な復旧・復興に不可欠な交通ネットワークの確保を図ることが取り組みメニューとして掲げられました。更に、ハード対策だけでは防ぎ切れない災害に対しては、たとえ被災したとしても被害を最小化するための減災の考え方を取り入れたソフト対策も重要と考えるところであります。三カ年緊急対策においては、災害発生時の情報発信の充実や利用者の安全確保といったソフト対策としての取り組みメニューが掲げられております。これら国が示したメニューに対して県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、このような防災・減災インフラ強靭化を推し進めていくためには、地域建設企業の存在が不可欠であります。東日本大震災においては被災した企業も多い中、地元建設企業が発生直後から現在に至るまで、地域の守り手そして復旧・復興の担い手としてその力を遺憾なく発揮していただき、改めてその重要性が認識されたところであります。また、昨年七月の西日本豪雨を初めとする頻発化、激甚化する多種多様の自然災害に対し、全国の地域建設企業がその都度初動活動から復旧対応を担うとともに、更には、一昨年三月に栗原市で発生した高病原性鳥インフルエンザの埋却処分対応など、ある意味建設産業という枠を超えた多種多様な危機対応を担う地域の危機管理産業と言っても過言ではない働きをしていただいております。一方、地域建設作業の置かれている人的環境を見てみますと、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により社会全体で働き手が不足する中、建設産業においては三Kと言われる就労環境を背景に他産業を上回る状況で高齢化が進行しており、建設業就業者の三分の一が五十五歳以上、二十九歳以下の若手が約一割という状況になっているそうであります。現状のままでは、建設産業は人材獲得競争に勝ち残ることができず、より一層担い手不足が懸念される状況であります。このような状況の中、地域の安心・安全を確保するためには地元の建設産業の担い手確保、育成にしっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、県として地域の建設産業の担い手の確保、育成に向けどのような対応を図っていくこととしているのかお伺いをいたします。 次に、仙台塩釜港仙台港区の安全確保についてお伺いをいたします。 御案内のとおり仙台塩釜港仙台港区においては、震災からの復旧をいち早く遂げ、コンテナ貨物取扱量も四年連続で最高値を達成し新規コンテナ定期航路も就航するなど、知事を初めとする関係各位のポートセールスの成果もあり、着実に港勢拡大の道を歩んでおります。また、大型クルーズ船の寄港も石巻港区とあわせ平成二十九年には十二回、昨年は台風の影響で寄港できなかったものが三回ほどあったようですが、寄港が十二回あり、大型船入港の環境整備も整えてきているとお伺いもしており、大変頼もしい限りであると感じております。しかしながらその一方で、入港船舶の増加を要因として港内が混雑しており、航行の安全確保や運行調整などの課題が浮き上がってきております。今後の港の趨勢を考えたときに安全性の確保は大変重要なものであると考えられます。以前も提案申し上げましたが、ポートラジオの導入について前向きに検討いただいていると伺っておりますが、各関係団体との調整の進捗状況をお示しください。 また、本年仙台港区内において重油流出事故が起こりました。処理のおくれから近隣漁場へと流出は拡大し、ノリを初めとする海産物に大きな被害をもたらしました。本県水産業にとりまして大きな痛手をこうむったわけであり遺憾の意を表します。第一義的には原因船所有者に責任があることと思いますが、港区内で起きた事故でありますから港湾管理者としての責任は逃れられないと思いますが、今回の事故において県の初動対応に不備はなかったのか、事故発生時の対応マニュアルの存在とあわせてお示しをください。 また、このような事故は二度と起こしてはならないと感じておりますが、再発防止策としてどのような検討がなされているのか、お伺いをいたします。 次に、広域防災拠点整備事業についてお伺いいたします。 この事業は東日本大震災の教訓を踏まえ、今後起こり得るであろう大規模災害に適切に対応するため、傷病者の域外搬送拠点機能の充実強化、広域支援部隊の一時集結場所やベースキャンプ用地の確保、物資輸送中継拠点整備等が必要であるとの認識から、仙台市中心部に近い宮城野原地区のJR貨物仙台貨物ターミナル駅用地を取得し整備を進めているものであります。我が県の防災対応力の強化、更には整備される公園は既存の宮城野原総合運動公園とあわせ、仙台市民のみならず多くの県民に潤いと憩いの場を提供することとするほか、貨物駅の移転により我が県の物流環境の改善にもつながり、期待の大きい事業であると考えております。しかしながら知事は、先日の定例記者会見において、これまで平成三十二年の広域防災拠点一部供用開始とされていたスケジュールを平成三十五年度以降の供用に延期することを表明されました。今回の事業期間の延伸の要因は、広域防災拠点整備の前提となる仙台貨物ターミナル駅の移転が予定どおり進んでいないこととされていますが、移転先の岩切地区においては既にJR貨物による用地買収契約がほぼ終了していると伺っておりますが、どのような要因で貨物駅の移転がおくれることとなっているのか、お伺いをいたします。 またこの事業は、知事が掲げる創造的復興を象徴する事業であり、私自身復興計画の期間内に完了できないことは非常に残念であると感じておりますが、事業期間の延伸に関して、知事の所感についてもあわせてお伺いいたします。 県は現在、宮城県総合運動公園いわゆるグランディ21を暫定的な広域防災拠点としておりますが、大規模災害に対して決して万全の体制というわけではないと考えております。これまでの説明では仙台貨物ターミナル駅が移転しなければ本格的な広域防災拠点の整備着手はできないとされておりましたが、JR貨物に協力を要請して、宮城野原地区において一部でも広域防災拠点の機能が発現できるよう整備を進めることはできないものでしょうか。更に、広域防災拠点の全体の完成時期はいつになるのかをお伺いいたします。 このたび少なくとも三年程度事業期間が延伸されることとなると思いますが、事業費全体に変更はないのでしょうか。加えてその財源の確保には支障がないのかをお伺いいたします。 次に、上工下水みやぎ型管理運営方式についてお伺いいたします。 水道事業は人口減少や節水型社会の影響により水の使用量が減少し、今後収入の減少が見込まれております。一方で、今後施設や設備の更新需要の大幅な増加が見込まれており、将来的には水道料金の大幅な引き上げは避けられない状況にあると伺っております。そこで、県は水道三事業の事業者として最終責任を持ち続けたまま民間の力を最大限に活用し大きなコスト削減を図り、将来にわたって安全で安心な水を安定的に供給するため、みやぎ型管理運営方式の導入を目指しこれを進めてきております。昨年十二月、国において改正水道法が成立し、みやぎ型管理運営方式の導入に向けた制度設計や手続が今後具体的に動き出すと思いますが、どのようなスケジュールで手続を進めていかれるのか、お考えをお伺いいたします。 これまでの水道法においては公営または民営のどちらかの選択肢しかありませんでしたが、改正水道法の成立により官民連携の実施が可能となりましたが、一部のマスコミでは、今回の改正水道法について、水道民営化法であるとの報道があったために、みやぎ型管理運営方式も完全民営化されると誤解をしている方々もいると思いますし、また当局の説明不足なのかどうかわかりませんけれども、県が実施しようとしているみやぎ型管理運営方式に不安を抱いている方もいると考えております。県民や受水市町村に対し、みやぎ型管理運営方式は民営化ではなく、水道の基盤強化を図るための官民連携の一つであることをもっとわかりやすく、もっと丁寧に正確に伝えることが必要だと思いますが、どのように考えているかお伺いをいたします。 先日、建設企業委員会の県外視察において下水道分野では国内初となるコンセッション方式を導入した浜松市の公共下水道終末処理場西遠浄化センターを訪れ、浜松市と運営権者が行っているモニタリングの話を伺ってまいりました。運営権者によるセルフモニタリングはセルフモニタリング実施計画書に基づき実施し、市のモニタリングは対象業務ごとに専門性を生かして各担当課が行い、第三者モニタリングは日本下水道事業団が行い、要求水準の内容により、月ごと、四半期ごと、年度ごとに分けて定期的に実施しているそうで、書類による確認、会議体による確認、そして抜き打ちも含めた現地における確認をしているそうであります。みやぎ型管理運営方式においても、県民が安心して水道利用できるようしっかりとしたモニタリングの構築が必要だと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。 次に、種子法廃止に伴う県の対応についてお伺いをいたします。 主要農作物種子法は、戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国、都道府県が主導して優良な種子の生産、普及を進める必要があるとの観点から昭和二十七年に制定され、これまで長きにわたって主要農作物種子の国内自給の確保と食料安全保障、更には農業の振興に多大なる貢献をしてきました。この種子法が昨年、平成三十年四月に廃止されたことに伴い、各都道府県では農業振興上最も基本的で重要な事項である主要農作物の優良種子の供給確保に向けた対応が求められ、兵庫県、新潟県、埼玉県では、従来の種子法にかわるものとして条例を制定し、他の多くの都道府県では要綱、要領等により対応することとなりました。我が県においても、昨年四月に宮城県主要農作物種子に関する要綱及び関連要領を定め、新たな制度のもとで米、麦類、大豆の奨励品種に関する種子の生産供給体制維持に取り組んでいるところであり、今年度の種子生産に当たっては大きな混乱もなく、生産現場において従来どおり種子生産の取り組みが継続されていると県担当部局から伺っているところであります。しかしながらその一方で、種子法廃止に関して大きな不安を抱いている生産者や関係団体の皆様の声もあります。我が党県連の政務調査会においても昨年七月、県民の声を聞く会を加美郡色麻町において開催し農業関係団体の皆様から多くの不安の声をいただきました。これらの不安を払拭する必要があるとともに、種子の安定生産供給に必要な予算を安定的に確保するためにも条例制定を検討すべきではないかと考えております。先般の十一月議会においては、知事から「種子条例の制定等に関して改めて検討するよう担当部局に指示した」との説明があったところでありますが、その後、現時点での検討状況についてお伺いをいたします。 また、昨年四月に条例を制定した三県に加え、十月にはお隣の山形県、ことし一月には富山県で新たに条例が施行されたほか、北海道、宮崎県など四つの道県でもことし四月の施行に向け準備を進めていると伺っており、特に米の主産県を中心として全国的に条例制定の検討が進んでいる状況にあります。更に、十一月議会閉会後には、県内における水稲種子の主要な産地である大崎市と栗原市の市議会から県種子条例の制定を求める意見書が提出されるなど、県内においても県種子条例の制定を求める声が一層高まっているところでもあります。これらを受けて、我が会派でも農林議連において種子条例制定に向けての勉強会や申し入れを行ってきたところでございます。このような情勢を踏まえ、米の主産県である我が県においても、改めて県種子条例の制定を前向きに検討すべきと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、和牛振興についてお伺いいたします。 第十一回全国和牛能力共進会宮城大会から間もなく一年半が過ぎようとしております。宮城大会を振り返ってみますと、九つの出品部門のうち八つの部門で上位入賞を果たし、そのうち第二区の若雌の一では「さいぜんれつ号」が見事日本一に輝きました。また、団体総合第四位を獲得するなど過去最高の成績をおさめるに至りましたことは、関係各位の御努力のたまものであると心から敬意を表したいと思います。今後の本県の畜産振興、和牛振興を考えたときにこの宮城大会の結果を踏まえ、次の鹿児島大会へと生かしていかなければならないと考えております。後継者不足や担い手の高齢化が進む中で全共宮城大会での躍進は和牛生産者にとって大きな励みとなり、生産意欲の高揚につながり、生産基盤の維持拡大にも大きく寄与したものと考えておりますけれども、知事の次回鹿児島全共に向けた決意とあわせて、今後の取り組みについてお伺いをいたします。 次に、東日本大震災みやぎこども育英基金と遺児等教育手当についてお伺いをいたします。 県議会昨年の九月定例会で我が会派の佐々木幸士議員の一般質問において、東日本大震災で親を失った子供たちに奨学金を支給する、東日本大震災みやぎこども育英基金の今後の震災遺児、孤児に対する奨学金給付事業について、村井知事は遺児、孤児の就学支援という目的によりかなうように制度の見直しを行い、給付対象者のニーズ調査や就学費用に関する各種統計データの検証をし、給付額の増額や対象の拡大も検討する旨の答弁をなされました。また、制度改正に伴う遡及措置の検討においても前向きと見られるお考えを示されました。本基金は平成三十一年一月三十一日現在で一万七千七百五十八件、百十一億四千八百五十二万六千二百九十九円の寄附があり、現在においても継続的に県内外問わず多くの方から温かいお心をお寄せいただいております。震災からの八年間、これまで遺児、孤児への奨学金の給付事業から平成二十八年度からは震災遺児、孤児を養育している里親などへの支援や被災地の子供たちへの心のケアに関する支援など、寄附者の御理解をいただきながら、ニーズに合った拡充措置をとっていただいてきたことは大変ありがたいことだと思います。そして今般、遺児、孤児に対する奨学金の給付額等を平成三十一年度より見直しをし拡充されると伺っておりますが、その見直しを行った趣旨についてお伺いをいたします。 また、以前から佐々木議員が取り上げておりました、交通事故及び海難事故で親を失った遺児、孤児に対する支援についてですが、教育手当の支給はあるものの親を失った理由によって支援格差が生じている現状があり改善を求めてきたところであります。そのような中、今般、震災以外の交通事故や病気等により保護者をなくした遺児、孤児に対する奨学金制度を創設すると伺いましたけれども、その制度の内容についてお示しをください。 次に、いじめ、不登校問題について伺います。 今全国でいじめ、不登校は大きな社会問題となり大変痛ましい事件へと変貌を遂げています。我が県内においても例外ではなく悲しい出来事が頻発している状態があります。このような事態から一日も早く脱却し、子供たちが明るい笑顔で毎日を過ごせる、そして笑顔で学校に通える環境をつくっていかなければいけません。昨年十月に公表されました、文部科学省が平成二十九年度に行った「児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸課題に関する調査」の宮城県分の結果を見ますと、小中高等学校の暴力行為一千四百四十二件、いじめ認知件数は一万九千四百五十五件で、児童生徒数千人当たりの発生件数、認知件数は全国平均を大きく上回っている状況であり、不登校出現率は小学校〇・六六%、中学校四・三〇%であり、全国平均を上回り高水準で推移している状況であります。このような調査結果を受けて県教育委員会では、行きたくなる学校づくり、各学校における組織的な対応の推進、学校を外から支援する体制の強化、幼保、小、中、高、特別支援学校の更なる連携強化、新入試制度の活用の五項目を挙げ、市町村教育委員会を初めとする関係団体と連携をとりながら対応を強化するとしておりますが、本県におけるいじめ、不登校の現状をどう捉えているのか、また今後の取り組みについて具体的にお示しをください。 次に、県民会館の整備についてお伺いいたします。 御案内のとおり、県民会館は昭和三十九年九月に開館し五十四年が経過した現在、老朽化が進み、立地や施設、設備、施設利用上などの多くの課題を抱え、建てかえの議論が進んでおります。昨年五月末から十月末まで行われた県民会館需要調査の結果を見ますと、「現在の県民会館の高稼働状況及び仙台市内のホール不足への対応を考慮すると、県が二千席規模の施設を整備しても、施設の供給過剰になることは想定されにくい」とあります。これらを受けて、県民会館の整備のあり方に関する有識者会議が組織され、今月に第一回目の会議が開催されました。基本的な方向性や機能として、誰もが足を運べる開かれた施設、テクノロジーの変化への対応など長期間利用する施設としての環境整備、関係施設とのネットワークのハブ機能や市町村ではできないことへの対応、東北地方全体の需要も視野に入れた整備などの意見が出されたと伺っておりますが、これらの意見を受けて知事の現時点での御所見をお伺いいたします。 また仙台市においても音楽ホール建設に向け議論が進んでいると伺っており、県民会館と仙台市の音楽ホールの機能の重複を避けるべきという意見がありますが、知事のお考えを伺いますとともに、仙台市長とはこの件についてどの程度話し合いをされているのか伺います。 また立地については有識者会議で「現状の課題や今後求められる県民会館の機能を考慮すると現地での建てかえは困難ではないか」との意見が出されたようでありますが県民会館現地建てかえが困難となった場合、立地場所選定について知事のお考えをお聞かせください。 最後に本日追加提案された議第百五号議案についてお伺いいたします。 二月八日に東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例制定の請求書が提出され、そして先ほど投票条例案が知事の意見書とともに議会に追加提案がなされました。直接請求に必要な約四万人を超える約十一万一千人の署名人名簿が提出され条例制定の請求がなされたことは、住民が積極的に地方自治にかかわることとして大変重く受け受けとめるところであります。その一方で、今回提出された条例案を慎重に議論する上で、我が国のエネルギー状況についての基本認識を共有する必要があると考えます。資源小国の日本においては、原油等大半のエネルギー源を海外に依存しており、これまでもエネルギー政策は国民生活、経済活動を維持していくために欠くことができないものであり、そして地球温暖化対策も含め国際社会に対しても大きく影響を及ぼすことになることから、原子力発電を含めエネルギー政策は国策として今日まで進められてきております。また、原子力発電の稼働について議論を進めていく際には、設置自治体、事業者など利害関係者に対しさまざまな影響が出るといった点も十分に考慮しなければなりません。このようなことを踏まえ、今回の住民請求を知事はその意義を大変重く受けとめていると意見書で述べておりますが、知事自身として今回の県民投票条例をどう捉えているのか改めて率直な思いをお聞かせください。 次に、東北電力は原子力規制委員会に対して、平成二十五年十二月二十七日女川原子力発電所二号機を新規制基準に適合させるための原子炉設置変更許可申請書を提出しておりますが、現時点における原子力規制委員会の審査状況はどのようになっているのかお示しください。また、県が設置している安全性検討会についての状況もあわせてお示しください。 最後に今回の条例案が賛成または反対の数で示された投票結果をもって知事及び議会に投票結果を尊重し、稼働の是非に関して投票結果に示された県民の意思が正しく反映されるよう努めなければならないとすることは、我々日ごろ県民の意見を丁寧に聞きながら地域の意見を吸い上げ活動する県議会議員により議論が交わされる県議会において、予測しがたい制約が課せられることに強い危惧を抱くものであります。原子力政策は国の将来を見据え、立地地域の安全対策や地域振興策を講じながら国策として進められてきた経緯があります。また単にエネルギー問題のみならず、経済、外交、安全保障などの諸課題と密接に関連し、現在のみならず我が国の将来を定める重要な課題であります。そのような課題について地元として知事と県議会がさまざまな意見を踏まえてしっかり議論し、その立場を表明した上で最終的に高度な専門的知見を要する国策として国が責任を持って判断すべきと考えますが、この点について知事の所見を伺います。 以上で、壇上よりの質問を終了させていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○議長(佐藤光樹君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 石川光次郎議員の代表質問にお答えをいたします。 大綱一点、県政の今後の展望についての御質問にお答えをいたします。 初めに、我が県財政の現状認識についてのお尋ねにお答えをいたします。 平成三十一年度当初予算案は、震災復興計画の発展期二年目の予算として、復旧・復興の完遂に向けた取り組みを最優先に進めるとともに、地域経済の活性化や交流人口の拡大、福祉の充実などの県政課題を解決するための施策を重点的、積極的に予算化いたしました。一方その編成に当たっては、シーリングの設定等を通じた既存事業の見直しや退職手当債を初めとする特例的な県債の活用など、新・みやぎ財政運営戦略に掲げる歳入歳出両面にわたる対策を講じたものの、それでもなお生じる財源不足への対応として、財政調整基金を百二十億円取り崩すことを余儀なくされました。予算編成過程におけるこのような経過を踏まえると、我が県が現に置かれている財政状況は依然として厳しいものと言わざるを得ないと考えております。 次に、今後の財政運営上の留意点についての御質問にお答えをいたします。 震災復興計画期間終了後の県財政を取り巻く環境は、従来からの課題である社会保障関係経費の増加等に加え、復興需要の収束に伴う県税収入の鈍化や復興事業に対する国の財政支援の縮小といった新たな懸念材料により一層厳しさを増すものと考えております。今月公表した中期的な財政見通しでは、平成三十四年度末の財政調整関係基金残高が三十四億円まで減少するものと試算しており、復興・創生期間後の国の財政支援の内容によっては基金が枯渇するおそれも出てまいります。このため今後の財政運営においては、新・みやぎ財政運営戦略に掲げた財源対策を着実に実施するとともに、創造的復興に向けた取り組みを前進させることで地域経済の活性化を図り、県税収入の増加につなげていくことが重要であると考えております。また復興財源に関しては、中長期的な対応が必要となるソフト事業等に対する財政支援の継続について引き続き国に強く働きかけるとともに、東日本大震災復興基金等の県独自財源の効果的な活用を図ってまいります。今後とも復興の完遂を初めとする県政の課題解決に必要な財源の確保に全力で取り組むとともに、将来負担の軽減にも配慮しながら持続可能な財政運営に努めてまいります。 次に、SDGsの基本的認識と今後の県の取り組みについての御質問にお答えをいたします。 SDGsは世界全体の経済、社会、環境の三つの側面における持続可能な開発を統合的に推進するものであると同時に、我が県の諸課題を解決し更なる発展を図る上でも重要であることから、その達成に向け積極的に取り組みを進めていく必要があるものと認識をしております。このため県では来年度SDGsを推進するための庁内体制を整備するとともに、SDGsを政策的な検討課題として、平成三十二年度における具体的な施策化に向けた検討を行うなど、その理念を踏まえながら県政運営を進めてまいりたいと考えております。 次に、SDGsと次期総合計画との整合についての御質問にお答えをいたします。 二〇二〇年度で終期を迎える、宮城の将来ビジョンと宮城県震災復興計画の後継計画であり、我が県のポスト復興の針路を示す次期総合計画については、来年度から検討を始めることとしております。次期総合計画の期間は二〇二一年度から二〇三〇年度までの十年間とする予定であり、目標年がSDGsと重なることからも具体的な目標設定やさまざまな主体との連携促進策などにおいて可能な限りSDGsの考え方を取り入れ、中長期的な視点からの持続可能な開発という観点を中心に据えてさまざまな検討を進めてまいりたいと考えております。また、県政の各分野における個別計画等についてもSDGsの考え方を反映するよう十分に調整を図り、震災からの創造的な復興と更なる発展を目指す我が県の取り組みがより効果的なものになるように留意してまいります。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの都市ボランティア募集の準備状況と特徴的な取り組みについての御質問にお答えをいたします。 オリンピック・パラリンピック競技大会における都市ボランティアは、開催地の顔として国内外から我が県を訪れる方々に対しおもてなしの心を持ってお迎えし、明るく楽しい雰囲気で競技会場までの誘導や観光案内などを行うことで大会を盛り上げていく重要な存在であると考えております。そのため県では東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会宮城県推進会議の中にボランティア専門部会を設置し、専門的な知見に基づいた意見をいただくとともに県民向けの説明会を県内各地で開催し、その際県民からいただいた意見も参考にして都市ボランティアの運営に係る実施計画を昨年十一月に策定し、ことし四月から募集を開始することにいたしました。我が県の都市ボランティアの特徴的な取り組みとしては、東日本大震災の記憶や復旧・復興に関する情報の提供などを行う東日本大震災語り部ボランティアを配置することにより、復興五輪の取り組みをソフト面からしっかりと支えるとともに、若い世代にも都市ボランティアに参加していただきたいという観点から、応募資格を高校生まで拡大することにしております。今回の都市ボランティアの活動が参加する方々にとってやりがいのあるものとなるようしっかりと準備を進めるとともに、多くの方々に参加していただくことによりスポーツボランティア活動の裾野が広がり、大会後のレガシーにつながっていくように取り組んでまいりたいと考えております。ボランティアに、都市ボランティアというのと大会ボランティアというのがあって、大会ボランティアは競技のボランティアなので割と参加者が多いのですが、都市ボランティアはお客様を誘導したりする案内なのでなかなか集まりづらいということなので、これから頑張りたいというふうに思っております。 次に、重要インフラに関する、防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策への所感についての御質問にお答えをいたします。 近年、地球温暖化の影響などにより台風、低気圧などに伴う自然災害が頻発化、激甚化しており、また東日本大震災の発生以降も地震や火山噴火など大規模な自然災害の発生が多くの地域で懸念されているところであります。このためこれまで整備された重要インフラがその機能を将来にわたって持続的に維持できるよう必要な対策を講じていくことが我が県においても急務となっております。このような状況の中、今般国が打ち出した、防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策はまさに時宜を得たものとして高く評価をしているところであります。県といたしましても、災害に強い県土の構築に向け、国が進める三カ年緊急対策事業を積極的に活用してまいります。 次に、三カ年緊急対策の具体的な取り組みについての御質問にお答えをいたします。 防災・減災、国土強靭化のための三カ年緊急対策については、昨年全国的に実施された重要インフラの緊急点検結果等に基づき緊急的な対策を必要とする箇所が対象となっており、我が県においても該当箇所について積極的に事業を実施することとしております。県が実施する主なハード対策としては、河川合流部における堤防のかさ上げや河道堆積土砂の掘削及び支障木の伐採、防災重点ため池における安全対策、荒廃した森林における治山対策など大規模な浸水、土砂災害及び火山噴火等による被害の防止や最小化を図るための対策を実施することとしております。あわせて橋梁耐震化や道路改良などにより、災害時の避難、救助及び迅速な復旧・復興に不可欠な交通ネットワークの確保を図るための取り組みを進めてまいります。またソフト対策としては、火山監視機能の強化や市町村の洪水ハザードマップ作成支援など、災害発生時の情報発信の充実や利用者の安全確保に向けた取り組みを行ってまいります。県といたしましては、国の三カ年緊急対策事業を十分に活用しハード、ソフト両面から県土の強靭化に向けて着実に対策を講じてまいります。 次に、建設産業の担い手の確保、育成の取り組みについての御質問にお答えをいたします。 地域の建設産業は、復旧・復興事業終了後には建設投資額の大幅な減少が避けられず、また就業者の高齢化や生産年齢人口の減少などに伴い、経営環境が一層厳しさを増すことが懸念されているところであります。建設業が魅力的な産業として将来にわたって担い手を確保、育成していくためには、きつい、汚い、危険のいわゆる三Kのイメージを払拭し、職場環境や労働環境を早急に改善することが求められていることから、建設現場の生産性の向上や若者の入職促進と定着の取り組みが必要であり、加えて建設産業の社会的重要性や魅力を戦略的にアピールしていくことが重要と考えております。そのため、技能者の処遇改善のための週休二日モデル工事や、女性の活躍推進に向けた女性登用促進モデル工事、生産性の向上を目的としたICT活用モデル工事などを実施し、工事成績で加点評価の対象としているところであります。また、小中学生とその家庭を対象に親子現場見学会を開催するなど、将来の担い手確保に向けた戦略的な広報活動を展開しております。県といたしましては、地元の建設企業が地域の守り手としてその役割を持続的に担うことができるよう、引き続き建設業団体と連携し建設産業の人材確保育成に努めてまいります。 次に、仙台塩釜港仙台港区におけるポートラジオ導入の調整状況についての御質問にお答えをいたします。 仙台塩釜港仙台港区は、昨年のコンテナ貨物取扱量が速報値で二十七万八千TEUと四年連続で過去最高を記録し、新たなコンテナ定期航路も開設されるなど、東北地方の暮らしと経済を支える物流拠点として着実に復興の歩みを進めているところであります。このような中、仙台港区における船舶の大型化、入出港隻数の増加による混雑やその将来的な発展を見据えると、船舶の入出港情報を共有するポートラジオは、航行の安全の確保や運行調整に重要な役割を果たすものと認識をしております。県ではこれまで既にポートラジオを導入している他港の調査や導入に当たっての課題について、公共バースを利用する企業と情報交換を進めており、更に、昨年十月には専用バースを利用する企業も加えた協議会を組織し具体的な調整を進めてきた結果、導入の必要性についておおむね理解が得られ、現在費用負担について協議を進めているところであります。県といたしましては引き続き協議会を通じて調整を進め、ポートラジオの早期導入に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、仙台港区内の重油流出事故について、初動対応や再発防止策の検討状況などについての御質問にお答えをいたします。 仙台港区内の重油流出事故は収穫の最盛期を迎えた皇室献上のノリ養殖に多大な被害を及ぼしました。漁業者の落胆ぶりは大変なものであり、被害を受けられました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。今回の事故への対応については、宮城海上保安部から事故の当日午後十一時ごろに「夜間のため被害状況等不明」との連絡があったことから、その時点で海面への油流出状況の全体把握は困難と判断し、翌朝現場確認を行い、県が委託している維持管理業者に港湾施設の油除去作業を指示したものであります。県はこれまで港湾管理者として、港湾区域内における海上等への流出油事故対応要領により対処してまいりましたが、今回の事故を受けて夜間の場合も含めた初期対応について改めて検証することとしております。県といたしましては今後この検証結果をもとに対応要領の充実を図りながら情報伝達訓練やオイルフェンス設置訓練等を実施するとともに関係機関との連携を強化し、油流出事故に対して万全を期してまいりたいと考えております。 次に、貨物駅移転がおくれた要因と事業期間の延長に対する所感についての御質問にお答えをいたします。 広域防災拠点整備事業を進めるためには、現在の貨物駅を宮城野原地区から岩切地区へ移転することが前提となります。貨物駅移転の事業主体であるJR貨物においては、これまで岩切地区における新貨物駅の設計に際して、道路管理者や鉄道事業者など多くの公共施設管理者との協議に時間を要したところであります。県といたしましても、貨物駅移転が進むようJR貨物とともに精力的な協議を行ってまいりましたが、このたび広域防災拠点の整備期間を延長せざるを得ないと判断したものであり、震災復興計画期間内での供用開始が見通せなくなったことに対し大変申しわけなく思っております。県といたしましては今後も引き続きJR貨物をしっかりと支援し、移転先の環境や安全に配慮するなど地元の理解を得ながら貨物駅の移転促進を図り、一日も早い広域防災拠点の供用開始を目指してまいります。 次に、広域防災拠点の機能発現と全体の完成時期についての御質問にお答えをいたします。 JR貨物と岩切地区への貨物駅移転時期の調整を行ったところ、宮城野原地区での土地の引き渡し予定が平成三十四年度末になることから、広域防災拠点の整備着手は平成三十五年度以降にならざるを得ない状況となっております。なお、広域防災拠点の明確な完成時期については今後進める詳細設計に基づき、工程等を検討した上でお示ししたいと考えております。また、広域防災拠点の部分的な供用につきましては、仙台医療センターや自衛隊駐屯地などの連携も含めた施設整備を行う予定であることから、今後庁内における議論や防災関係機関と調整を図りながら検討してまいります。 次に、全体事業費の変更と財源確保についての御質問にお答えをいたします。 全体事業費については、これまで宮城野原地区の用地取得費、貨物駅移転に係る補償費、広域防災拠点整備費を合わせて約二百九十五億円と想定しておりました。このたびJR貨物の詳細設計が進み、岩切地区への貨物駅移転に係る補償費が約二十九億円増額となることから全体事業費は約三百二十四億円と見込んでおります。これらの財源については社会資本整備総合交付金を活用しているところであり、国に対しては今回の事業費の増額と事業期間の延伸について報告し、引き続き交付金の対象となることを確認しております。県といたしましては、計画的な事業進捗のため今後とも所要額の確保について国に対し要望してまいります。 次に、みやぎ型管理運営方式の導入に向けた制度設計やスケジュールについての御質問にお答えをいたします。 みやぎ型管理運営方式は県が水道事業者として最終責任を持ち、事業全体の運営を担いながら施設の運転、維持管理や設備機器の更新など事業の一部を民間事業者に委ね、民間の経営ノウハウや資金を最大限活用することにより、コスト削減を図り持続可能な経営基盤の確立を目指すものであります。昨年十二月に改正水道法が成立したことから、今後「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」いわゆるPFI法に基づき実施方針、要求水準書及び募集要項等の作成、事業者選定、協定並びに契約の締結へと手続を進めてまいります。ことしの九月または十一月議会に実施方針、条例案を上程しお認めいただければ、来年三月までには運営権者の募集を開始し、約一年かけて優先交渉権者を選定した上で基本協定を締結したいと考えております。運営権の設定につきましては、平成三十三年の六月または九月議会で議決をいただいた上で実施契約を締結したいと考えており、平成三十三年度中の事業開始を目標に慎重かつ着実に進めてまいります。 次に、みやぎ型管理運営方式は官民連携であることを伝え、県民や市町村にわかりやすく正確に伝えるべきとの御質問にお答えをいたします。 みやぎ型管理運営方式は完全民営化ではなく、県がこれまでどおり管路の維持管理や更新などを担いつつ、民間の経営ノウハウ、資金、技術力を最大限活用してトータルコストの削減を図る官民連携であり、一層厳しくなる水道事業の経営環境を踏まえた最適な運営方式であると考えております。これまで県ではシンポジウム等の開催やホームページにおける説明資料の掲載など広く県民への周知を図ってきたところであり、また直接受水市町村長への説明を行っているほか、市町村の担当者に対しても定期的な現状報告会を開催してきたところであります。県といたしましては、これまでの取り組みに加え県民に直接説明する機会として、市町村との共催による出前講座を開催するなど、県民や受水市町村の理解を深めることを念頭に、これまで以上に丁寧な説明と情報発信に努めてまいります。 次に、モニタリング体制についての御質問にお答えをいたします。 安全・安心な水を安定的に供給するためには、しっかりとしたモニタリングが重要であると認識しており、現状においても県が作成した水質検査計画に基づき、民間事業者の運転監視状況、水質検査状況等の確認を行い、検査結果をホームページで公表しているところであります。みやぎ型管理運営方式導入後においても、運営権者に対しては、現在と同等以上の検査及び公表を求めるとともに、県による抜き打ちでの立入検査や外部機関による検査等も行うほか、運営権者の財務状況や業務の運営状況についても、先行事例も参考にしながら万全のモニタリング体制を構築し、安全・安心な水の安定的な供給に努めてまいります。 次に、種子条例制定に関する検討状況についての御質問にお答えをいたします。 稲作を基幹とした我が県農業の発展のためには、県内産種子の品質確保及び優良種子の安定的な生産、供給が大変重要であると認識しております。県では、主要農産物種子法の廃止を受け、新たに要綱、要領を定め優良種子の安定的な生産、供給に努めてきたところでありますが、今回改めて種子条例の制定を含め、今後の種子の生産、供給のあり方に関して生産者や種子生産農協等に意見をお聞きしてまいりました。その中では、「民間企業の参入により種子が独占販売されるのではないか」、「今後も県が種子生産に関与するための十分な財源が確保されるのか」など種子生産に係る将来への不安の声が寄せられました。また、県条例を定めることで安心して主要農産物の生産振興に取り組むことができるとの意見や条例制定を求める関係団体等からの要望もいただいております。 次に、種子条例の制定を前向きに検討すべきとの御質問にお答えをいたします。 県では、生産者や関係団体等からいただきました意見を踏まえ、我が県における種子の生産、供給のあり方について改めて検討してまいりました。その結果、県、生産者、関係団体等が一体となり、将来にわたって我が県の主要農作物種子の安定的な生産、供給を図っていくためには条例の制定が必要との判断に至りました。今後、幅広く関係者等から意見をお聞きしながら具体的な内容を検討し、ことしの九月議会での提案を目指してまいりたいと思います。 次に、全共鹿児島大会に向けた今後の取り組みと決意についての御質問にお答えをいたします。 我が県で開催された第十一回全国和牛能力共進会宮城大会ではこれまでの和牛改良の成果を活用しながら、オール宮城で出品対策に取り組み上位入賞を果たしたことで、和牛生産者や関係者は大きな自信と希望を得ることができました。この成果を我が県の和牛生産の振興や仙台牛の更なるブランド力向上につなげていくためにも、全共大会において継続して上位入賞を果たすことが重要と考えております。次回鹿児島大会に向けては、出品区分ごとの条件の案が示されたことを受け、先月関係団体とともに出品対策協議会を設立したところであります。その場において出品対策のスケジュールを決定し、早速肥育試験に着手いたしました。県といたしましては、「茂福久号」などの優秀な県有種雄牛を活用して出品条件に合うすぐれた候補牛をより多く確保するため、来年度予算を活用し受精卵移植や性判別精液といった新しい技術を採用して子牛を生産するなど必要な対策を進めてまいりたいと考えております。引き続き生産者や関係団体と協力しながら宮城大会以上の結果を出せるようしっかりと取り組んでまいります。 次に、東日本大震災みやぎこども育英基金奨学金についての御質問にお答えをいたします。 震災遺児、孤児に対する奨学金については、これまで修学支援という目的に沿って学校教育に係る費用を賄うことができるよう全国の統計調査を参考に給付額を設定してまいりました。しかし改めて現在の給付額について給付対象者にアンケート調査を行ったところ、学習塾などの学校外活動費にも多くの支出を要していること、大学に入学しひとり暮らしをする際の費用負担に不安を感じていることなどが回答として示されたところであります。この調査結果等を踏まえ奨学金の月額について十分な額を増額するとともに、大学生については大学院まで対象を拡大し、自宅生と自宅外生で差を設けることといたしました。なおこの奨学金については、児童生徒が金銭面での不安から進学を断念することのないよう支援することを目的としたものであり、今回の拡充は今後の進路選択に向けこの四月から適用することにしております。詳しい金額については委員会で確認していただきたいと思います。 次に、震災以外の遺児、孤児に対する奨学金制度の創設についての御質問にお答えをいたします。 県ではこれまで交通事故及び海難事故により遺児、孤児となった小中学生の養育者に対し、交通遺児等教育手当として月額三千円を給付してまいりました。この金額については震災遺児、孤児との差が大きく、課題となっていたところであります。そこで今回の震災遺児、孤児に対する奨学金制度の拡充とあわせ数多くの皆様から寄せられました善意の基金を活用し、現行の交通遺児等教育手当を見直し、来年度から対象者及び金額を拡充した給付型の奨学金制度を創設することといたしました。具体的には交通事故及び海難事故だけではなく病気、その他の災害など東日本大震災以外の要因により遺児または孤児となった小中学生に対し、月額金として一万円、そして新たに小学校卒業時に十五万円、中学校卒業時に二十万円の一時金を給付することとしております。さまざまな理由で保護者を亡くした子供たちの進路選択に資する制度となるよう今後運用してまいりたいと思います。 次に、県民会館の整備に対する現時点での所見についての御質問にお答えをいたします。 今月十四日に開催された、第一回県民会館の整備のあり方に関する有識者会議では二千席規模の施設を念頭に今後の県民会館に求められる基本的な機能などについて議論していただきました。有識者会議では、東北地方全体の需要も視野に入れた整備のあり方や人材育成機能の強化の必要性などさまざまな御意見をいただいたほか、立地条件に関しては現地での建てかえは困難ではないかなどの御意見もいただき、新しい県民会館に対する期待の大きさを感じたところであります。今後ことし八月までに三回の会議を予定しておりますが、今後の県民会館に求められる機能、規模、立地条件などについて、より掘り下げた議論をしていただき、その後の県としての方針をまとめたいと考えております。 次に、県民会館と仙台市の音楽ホールの機能重複と仙台市長との調整状況についての御質問にお答えをいたします。 仙台市では、仙台市音楽ホール検討懇話会を設置し、音響を重視した高機能な二千席規模の多機能ホールの整備について検討を進めております。今後、県が整備する県民会館については有識者会議でも需要調査で示された仙台市が検討を進めている新ホール施設との機能のすみ分けや、県民会館がこれまで担ってきたさまざまなステージジャンルの興行公演をこれまで以上に振興する施設整備が求められているという結果をもとに議論をしていただいているところであり、適切な機能分担が図られるよう検討してまいります。また、仙台市長とはこれまでも機会を捉えて情報交換を行ってきたところでありますが、有識者会議での議論を踏まえ、県としての基本的な方向性をお示しできる段階で更に具体的な意見交換をしてまいりたいと思います。 次に、現地建てかえが困難となった場合の立地場所選定についての御質問にお答えをいたします。 有識者会議では敷地の狭さや機材搬入車両の出入りが大変しづらいことなど、現在の県民会館が抱える課題への対応や今後の県民会館に求められる基本的な機能などについて議論していただいているところであります。立地場所についてはこれらの議論を踏まえて判断することとなりますので、まずは有識者会議でさまざまな御意見を伺ってまいりたいと考えております。 次に、県民投票条例に対する率直な思いについての御質問にお答えをいたします。 本日東北電力女川原子力発電所二号機の稼働の是非に係る県民投票条例制定の請求について私の意見を付した上で追加提案をいたしました。本条例案は十一万人を上回る県民の署名により請求されたところであり、その意義を大変重く受けとめるものであります。その上で条例案を慎重に検討した結果、原子力発電の稼働の是非を県民投票で判断することと執行上の課題についてお示しをしたところであります。まず一点目の、原子力発電所の稼働の是非を県民投票で判断することについては国策であるエネルギー政策としての考え方、原子力発電所に関する安全対策、立地自治体における状況など多様な論点を包含する原子力発電所の再稼働に対する県民意見の表明方法として条例案の内容には課題があるものと考えております。また、二点目の執行上の課題については、実際に本条例案で県民投票を実施する場合に想定される法的な課題と運用上の課題についてお示しをいたしました。議会におかれましては、私の意見も含めさまざまな観点から議論をしていただきたいと考えております。 次に、原子力規制委員会の審査状況と県の安全性検討会の進捗状況についての御質問にお答えをいたします。 原子力規制委員会の審査は地震や津波に関する項目と発電所の設備に関する項目があり、これまでに敷地周辺で起こり得る地震や津波の規模として策定した基準地震動や基準津波が「おおむね妥当」と評価されたほか、防潮堤の構造に関する審査等も進捗しております。今後発電所の設備等について、新規制基準により強化された安全対策が有効に機能するかの評価について審査が行われることとなっており、東北電力はことし七月中には審査における説明を終えることを目指すとしております。安全性検討会については、平成二十六年十月に設置して以降、国の審査状況を踏まえながらこれまでに十五回開催し、東日本大震災後の施設等の健全性及び新規制基準に適合することにより向上する安全性に関して専門的見地から議論をいただいております。県といたしましては、引き続き国の審査状況を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、原子力政策は知事と県議会が議論し最終的には国策として国が判断すべきとの御質問にお答えをいたします。 島国である我が国は資源が少なくエネルギー安全保障上の脆弱性を有しており、原子力は準国産エネルギーとしてすぐれた安定供給性を有することから、国策として原子力政策が進められてきた経緯があります。原子力発電所の稼働の是非については、このようなエネルギー安全保障等国家の将来に多大なる影響を与える問題であることから、これからも国が責任を持って判断すべきであると考えております。その場合、国は現在停止している原子力発電所の再稼働を進めることについて、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組むとされております。再稼働の地元同意の判断に当たっては、国策としてのエネルギーのあり方、原子力発電所設置の経緯や地域に果たす役割などについて、地域住民の意見を踏まえて多様な観点から議論が必要であることから、県議会における議論が有益であると考えております。仮に国から再稼働の同意を求められた場合には、住民説明会を開催するなど住民に原子力政策について情報提供を行った上で、周辺自治体を初めとする県内の市町村長や県民の代表である県議会の御意見をしっかりと伺い、意見表明を行うことになると考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(佐藤光樹君) 教育委員会教育長高橋仁君。 〔教育委員会教育長 高橋 仁君登壇〕
◎教育委員会教育長(高橋仁君) 大綱一点、県政の今後の展望についての御質問のうち、我が県におけるいじめ、不登校の現状認識と今後の具体的な取り組みについてのお尋ねにお答えいたします。 いじめについては、各学校で積極的に関与し、早期対応、早期解決を図るよう努めてきた結果として認知件数が多くなっていると考えておりますが、不登校については出現率が高いままで推移しており大きな課題であると認識しております。県教育委員会では、みやぎ子どもの心のケアハウス運営支援事業等により、学校を外から支える取り組みの拡充を図り、不登校児童生徒の社会的自立に向けた取り組みを進めてまいりました。その結果、ケアハウス設置市町の不登校出現率が未設置市町村の出現率を下回り、再登校率も全国平均を上回るなど成果が出ているところであります。来年度は設置市町村を拡大するとともに各校種間の情報共有を一層進めるほか、新しい高校入試制度において不登校生徒をこれまで以上に積極的に受け入れることができるようにするなどの取り組みを行ってまいります。何よりも各学校において校長のリーダーシップのもと、いじめや不登校を生まない、行きたくなる学校づくりを進めていくことが重要であると考えており、学校現場をしっかりと支援してまいります。 以上でございます。
○議長(佐藤光樹君) 暫時休憩いたします。 午前十一時三十三分休憩
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○議長(佐藤光樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十四番藤原のりすけ君。 〔四十四番 藤原のりすけ君登壇〕
◆四十四番(藤原のりすけ君) みやぎ県民の声の藤原のりすけでございます。 知事の政治姿勢についてお伺いします。 日本ほどこれだけ多くの課題を抱えた国はないと言われます。 人口減少と少子高齢化の同時進行、年金など社会保障制度の破綻が現実味を帯びていること、十年を超える長期デフレ、二十年後にはGDPが中国の四分の一になること、国・地方の債務残高が数年以内にGDPの二倍に達すること、これらを捉えて日本は課題先進国だと言われています。政治の行方は結局のところ経済によって決まると言われます。IMFのラガルド専務は、昨年「日が照る間に屋根の修理をしよう」とジョン・F・ケネディの言葉を引用した上で、団塊の世代が全員後期高齢者になる二〇二五年以降は、社会保障支出の膨張を抑えるのは一層難しくなるとして、現実的な経済成長予測に基づいた中長期の財政健全化の策定を求めました。また、消費税増税をめぐっても単一税率が最も効果的であるとして軽減税率を否定しました。アベノミクスが始まった二〇一二年以降労働分配率は低下し続けており、実際二〇一三年と二〇一七年を比較すると実質賃金指数は一〇三・九が一〇〇・五に減少しています。知事の所感をお聞かせください。 アベノミクスの特徴として、トリクルダウン説と日銀の異次元金融緩和策があります。トリクルダウンは豊かなものをより豊かにすれば、その恩恵は貧しい者にまで滴り落ちるというものですが、そもそもアダム・スミスやリカードら経済学の古典派が、トリクルダウンを唱えた時代は富を蓄積する要求には限界があるという想定が存在していました。つまり豊かなものが過剰な豊かさを手に入れれば、富を消費すると考えられていたのです。しかもその想定には、富は消費するために所有するものという前提がありましたが、グローバリゼーションのもとでは富は消費するためのものではなく、国家なき世界統治を支配する手段となってしまいます。富で人間を動かし、富で人間を支配するために富を蓄積することになります。富を支配のために蓄積するようになれば、そこには限度がなくなりトリクルダウンをすることはありません。トリクルダウンは夢物語で実際には新自由主義が目指す再分配なき成長は、格差と貧困をあふれさせてしまうと考えますがいかがでしょうか。 日本銀行が二〇一三年に始めた異次元金融緩和策は経済停滞デフレ説によるものです。それはデフレにより製品価格が下落し、企業利益が伸びず賃金を引き下げざるを得ず、したがって消費者の所得が伸びないので需要を拡大させるために金融を緩和して、利子率を低下させる必要があるというものですが、知事もそうお考えになりますか。 一九八〇年代、日本は自動車や半導体などのものづくりの分野でアメリカを抜き去りましたが、アメリカは日本に勝つための戦略を研究し、次の時代は情報産業だと考え、そのための教育投資や産業育成に力を注ぎました。私は、日本経済の停滞は新興国の工業化とIT革命によって工業製品の価格が著しく低下したことに加え、産業革命以来のものづくりの成功体験から抜け出せず、情報革命に対応できなかったことにあると考えますがいかがでしょうか。また、日銀の異次元金融緩和策は短期決戦の陣立てでしたが、予想を上回る戦力の集中投入により金融市場の期待には応えたものの実体経済や物価といった本丸は落城せず、戦線は膠着状態にあるとの指摘がありますがそのとおりではないでしょうか。 有効求人倍率の直近二〇一八年十二月の数字は全国平均が一・六三、宮城県が一・六九とこれまでにない数字です。有効求人倍率が一を超えれば雇用情勢が極めて好調と評価されるのが普通ですが、違う見方もあるようです。それは労働供給の減少も有効求人倍率を上昇させる要因になるからです。二〇一三年末ごろまでは有効求人数の増加が有効求人倍率上昇の主たる原因でしたが、その後、有効求人数はほぼ頭打ちであり、有効求職者数の減少によって有効求人倍率が上昇している面が強いという見方があります。求職者が減ることによって求人倍率が上昇するというのは、雇用情勢の好転ではなく人手不足であり、歓迎すべきことではなく憂慮すべきことであり対策が必要とされるのではないでしょうか。知事の見解をお示しください。 国連の持続可能な開発目標SDGsの本県における達成についてお伺いします。 誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会実現へ向け、国連は二〇三〇年を年限とする十七の国際目標で百六十九の指標を定め世界中の国々が目標達成へ向け努力しています。二〇一八年の日本のスコアは前年十一位から下がって世界で十五位でした。個別に見ると目標五の「ジェンダー」が世界最低水準に近く、その他目標十二の「責任ある生産と消費」、目標十三の「気候変動」、目標十四の「海の豊かさ」、目標十七の「パートナーシップ」が低いことがわかります。国はSDGs推進本部を設け既にSDGsアクションプラン二〇一八を定め、SDGsの推進を通じて少子高齢化やグローバル化の中で実現できる豊かで活力ある未来像を世界に先駆けて示していくためのSDGsモデルを構築し、SDGs実施方針を定め取り組んでいます。地方自治体も神奈川県、大阪府、滋賀県などの道府県、東松島市など多くの市で既に取り組んでいます。昨年十二月十九日みやぎ県民の声、共産党県議団、社民党県議団、無所属の会の四会派二十一名の総意でもって、二〇一九年度の県予算編成などで国連の持続可能な開発目標の考えを取り入れ、県SDGs推進本部の設置や県SDGs未来都市計画の策定や十二項目の政策を推進するように申し入れました。知事はこの要望に対してどう対応されているのでしょうか。 政策目標二、「飢餓をゼロ」にでは持続可能な食料生産システムを確保し、生態系の保全、種子、栽培植物などの遺伝的多様性を維持することが述べられています。種子条例の制定の必要性については、県議会各会派とも異論のないところであると考えます。執行部の考えと進捗状況についてお聞かせください。 アフリカ豚コレラは普通の豚コレラとは異なりワクチンや治療法がなく、殺す以外に防衛策はなく養豚業に壊滅的な打撃を与えます。これまではアフリカ特有の病気でしたが、昨年八月に世界最大の養豚国中国に進入し我が国への脅威となってきたことから、昨年末、日本学術会議で緊急シンポジウムが開催されました。ことしに入って近畿地方で相次いで発症が確認されました。昨年二月現在の本県の養豚件数は百二十三戸、十九万四千二百頭です。農林水産省は同病の蔓延防止を図るため、発生時のための対抗措置として特定家畜伝染病防疫指針を作成し公表しています。本県の対応をお聞かせください。 SDGsの政策目標三、「すべての人に健康と福祉を」については、政府は地域包括ケアシステムに続いて生活困窮者自立支援制度と「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を立ち上げましたが、今社会的つながりが弱い人への支援のあり方が問われています。先日NHKでドキュメンタリー番組、「無縁社会『無縁死三万二千人の衝撃』」が放映されました。OECDの平成十七年度報告書によれば、家族以外の人との交流がない人の割合は日本が一五・三%と一位であり、ユニセフの二〇〇七年の資料では、孤独を感じている十五歳の子供は三〇%と他国の三倍以上になっています。孤独と言えばリースマンの名著「孤独な群衆」を思い浮かべる方も多いと思いますが、今孤独は現代の流行病と言われています。イギリスでは既に孤独担当大臣を置いています。日本学術会議の社会福祉学分科会は、一人も取りこぼさず全ての人に居場所と役割を地域の中につくっていくための対策として、コミュニティーソーシャルワーカーを中学校区に一人、全国一万人の配置を提案しています。本県の取り組みをお聞かせください。 SDGsの政策目標十四、「海の豊かさも守ろう」では、二〇二〇年までに漁獲を効果的に規制して持続的生産量のレベルにまで回復させること、二〇二五年までにあらゆる種類の海洋汚染を防止し大幅に減少させることを目指しています。我が国の規制改革推進会議は昨年五月三十一日水産政策の改革案をまとめました。資源評価の体制強化と漁業権の優先順位の廃止、新規参入への障壁の引き下げ、漁業協同組合の経営改革など従来の政策を大幅に変更し法制化する方向で進んでいます。本県の対応をお聞かせください。 レジームシフトとは気候ジャンプとも言われ、気温や降水量や風などの気候要素が十年から数十年間隔で変化する現象を言います。地球温暖化の加速に伴い、漁獲数は北方に位置するロシアやアラスカでは増加傾向にあり、南方系の日本では減少傾向にあると言われています。国際的に動物性たんぱく質、特に魚介類の需要が高まっている中、天然資源の漁獲量の増加は期待できず養殖による増産が必須となっており、養殖は二〇一五年には世界全体水産物生産量の五三%、本県では五九%に達しています。今後我が国では養殖生産を伸ばしていくためには、養殖魚の育種、品種改良が極めて重要ですが、種苗生産技術に関しては世界でもトップクラスであるにもかかわらず、育種が進んでこなかった要因として、一、キングサーモンやトラフグで成熟までに二、三年要するという世代の長さ、二、魚類には種苗法が適用されないこと、三、海賊版の生産が容易であること、四、育種系統を長期保存する方法論が存在しないことなどが挙げられています。本県の見解と今後の対応をお聞かせください。 東日本大震災の教訓についてお伺いいたします。 SDGsの政策目標十一の「住み続けられるまちづくり」では、地震が起きても住み続けられる都市に、災害軽減と持続可能な社会の形成、防災・減災と災害リスクの軽減などの指標が挙げられています。ことし四月三十日に御退位される平成の今上天皇は皇后陛下とともに被災地を何度も見舞われました。天皇陛下の御歌に「我が国の旅重ね来て思うかな 年ふるごとにまちは整う」というのがありますが、更なる復興発展へ向け気を引き締めていかなければなりません。東日本大震災は二〇三〇年にマグニチュード七クラスの宮城県沖地震が九九%の確率で来るとされていた中での発生であり、まさに想定外でしたが、約二万人にも及んだ死者行方不明者の大半が津波被害であることや海沿いの堤防の六割が全半壊し、百カ所を超える指定避難所が被災し逃げ込んだ住民の多くが犠牲になったことなど想定外の連続でした。昨年九月の北海道胆振東部地震の際の発送電システムの崩壊による北海道全域の停電、ブラックアウトの発生も想定外のことでした。そうした想定外の事態に備える心構えとともに十分な準備が必要です。初動態勢、応援協力、医療救護、ライフラインなど災害時にほぼ共通化できる個々の対応をファンクション、機能と呼びますが、それらをパッケージ化しておき、どんな災害もこの機能を必要に応じて適切かつ柔軟に対応できるようにすることが大切だと考えます。災害の状況や対応に何が必要かは最もよく理解している現場の責任者に任せ、周辺や上位の機関は現場のサポートに徹し、被災レベルと危機レベルを分類した柔軟な対応が必要になると考えますがいかがでしょうか。 平時のときに有事のことを考えておくことの大切さは言うまでもなく、そうした意味では先手防災の重要性から考えても時系列の防災計画であるタイムラインの作成とともに受援計画の整備が必要です。災害対応のスケジュール表であるタイムラインとは災害が発生することを前提として、関係者が事前にとるべき行動を、いつ、誰が、何をするのかに着目して時系列で整理したものを言います。宮城県では県内の直轄四水系全てにおいてはタイムラインを策定、運用しているとのことですが、今後の課題と県下の市町村の策定状況をお示しください。 一方、支援を受ける側の受援の観点で災害対応を見直す必要があります。神戸市のように応援受け入れが必要となる百三十の業務を洗い出し、応援受け入れ本部を設け、業務ごとに受援シートを作成し、応援者に求める職種、資格などを初め、指揮命令系統、執務スペースなどをチェックできるように工夫する必要があります。本県も平成三十年度に受援計画を策定する予定のようですが、その場合のポイントと課題及び県下市町村の状況についてお聞かせください。 東日本大震災のとき釜石市内の小中学校十四校の生徒三千人が避難し、生存率は九九・八%に達しました。東京大学の片田教授の言われる避難三原則は、一、想定にとらわれず自分で判断せよ、二、「ここまで来れば大丈夫だろう」ではなく、その時できる最善の対応行動をとること、三、勇気を持って一番初めに逃げるとみんながついてくる、というものであり、釜石の奇跡を起こしました。災害心理用語で正常化の偏見という言葉があります。危機が迫ってきても自分だけは大丈夫と思い込み危険を過小評価するものを言います。大川小学校の悲劇を念頭に、知事及び教育長の所感をお聞かせください。 エネルギー問題と県民投票条例についてお伺いします。 SDGsの政策目標七は「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」であり、全ての人々に手ごろで信頼でき持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保することを目指し、二〇三〇年までに世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させることを目標にしています。国は温室効果ガスの削減目標を二〇三〇年度に二〇一三年度に比べ二六%削減することを目指し、二〇三〇年の望ましい電源構成として、原子力二〇ないし二二%、石炭火力二六%、LNG二七%、再生可能エネルギー二二ないし二四%、石炭火力三%の電源ミックスの達成を目指すことを決定しています。宮城県議会は議員提案条例に全国で最も早く熱心に取り組んできた議会です。平成十四年七月十七日に公布された宮城県自然エネルギー等・省エネルギー促進条例は、北海道議会に次いで全国で二番目に制定された条例であり、平成十七年度以降条例第九条に基づく基本計画を定めその達成を図ってきました。再生可能エネルギーのエネルギー供給に占める割合は、平成二十九年度エネルギーに関する年次報告によれば、一次エネルギー国内供給に占める二〇一六年度再生可能エネルギーの割合は水力の三・三%を含めて一〇・三%であり、本県は直近の二〇一四年度の数値で五・九%になっています。再生可能エネルギーの導入の進捗状況は決して満足するものではありませんが、みやぎ県民の声、社民党県議団、無所属の会有志による海外調査団の報告によれば、ドイツが脱原発を宣言し、再生可能エネルギー主体のエネルギー国家に変わろうとしたきっかけは、二〇一一年の福島第一原発事故が直接の要因であるとのことであり、オーストリアは巨額の経費をかけた原子力発電所を運転開始前の一九七八年の国民投票の結果、原発稼働中止を決定し閉鎖されました。現在電力消費の三〇%が再生エネルギーで賄われているのを二〇三〇年までに一〇〇%を目標にすることで合意しているとのことです。環境と社会、企業統治の三分野に対する企業の取り組みで投資先を選ぶ投資手法であるESG投資が世界の運用資金の約三割を占めようとしています。すなわち再生可能エネルギーの活用を企業の評価材料とするのが世界の潮流であり、国内の主要製造業の再生可能エネルギーによる電力使用量をふやす計画です。しかしながら経済産業省によると太陽光発電の導入コストは欧州の二倍、風力発電は一・五倍であるのに加え、固定価格買い取り制度による利用者の負担が増大しているなどの課題も指摘されており、経済産業省は導入コストの引き下げや固定価格買い上げの改善に取り組んでいるようですが、一九八六年世界最悪とされる原発事故が起きたウクライナのチェルノブイリにウクライナ初の太陽光発電ができたということは象徴的ですし、ラスベガスは一〇〇%再生可能エネルギーによって賄われており、アップルやBMWなど一〇〇%再生可能エネルギーを目指す企業がふえてきているように大きな潮流となっています。リスクを低く見積もれば原発ほど安くてクリーンなエネルギーはないと言えますが、二〇〇九年に東京電力から原発の安全性についての調査を委託されていた経済産業省の審議会は貞観地震規模の巨大地震の最大可能性を指摘したようですが、東京電力は十分な情報がないとして対策を先送りしたという話もあり、原子力行政が政治とマーケットに支配されている懸念はないのでしょうか。合理的に物事を考える力がない愚かさを無明と言うそうですが、東日本大震災の原発事故は過去のデータを精査すれば津波対策の必要性がわかるはずだったのに、そこまでの費用はかけられないという思いがやがて起きてほしくないという願望になり、その結果起きないだろうという結論になったという見方もあります。また杉山東北大学特任教授の指摘によれば、LEDや省エネ家電の普及などにより電力需要は震災前の二〇〇七年度のピーク時と比べ百二十億キロワットに減少しており、再生可能エネルギーは二〇一七年度に百五十八億キロワット時と原発三基再稼働による供給可能な電力量を上回るまでに成長していることから、二〇二一年度以降は原発が再稼働しなくても火力発電の負荷は震災前の水準以下になるとともに、出力調整のしやすいガス火力発電の比率を高めることでバランスのよい安定した電力供給が可能になるとのことです。以上の点についての知事の見解をお聞かせください。 女川原発の稼働の是非に係る県民投票条例の制定についてお伺いします。 確かに議会制民主主義のもとでは選挙の洗礼を受けた議員が政治判断を行いますが、それは議会並びに議員がよき者を選ぶという選良としての信頼があることが前提になると思います。信なくば立たずと言います。二度にわたる議長の辞任や議会の傍聴アンケートに見られるように、本会議場や委員会室における議員の態度について選良としていかがなものかという苦情がたびたび寄せられているなど、果たして県民有権者の十分な信頼を得ているのかどうか、私たち議員は謙虚に考えなければならないと思います。間接民主主義体制下における異議申し立ては、デモクラシーの原点と言ってもいいのではないでしょうか。法定数を大幅に超える十一万筆の重みと事の重大さを考えるのであれば、五箇条の御誓文にあるように広く万機公論に決するのが原点ではないでしょうか。私としては全く反対する理由はありません。今から二千八百年前の紀元前八世紀の古代ギリシャの詩人ヘシオドスは、「民の声は神の声である」と言っています。ただし県民投票条例の施行が直に稼働反対につながるものではありません。それは生活の基盤であり、産業の米である電力の需要と供給の関係と安全性への信頼などにより総合的に判断されるべきものであるからです。知事のお考えをお聞かせください。 知事はこの件については、大川小学校控訴の時の議会軽視とは打って変わって県議会の判断に委ねるとの意向のようです。納得できません。なぜここまで対応に違いがあるのかよく理解できるように御説明ください。 日本原子力発電は昨年四月、停止中の茨城県東海村の東海第二原発の再稼働や運転延長をめぐり立地する東海村に加え水戸市など周辺五市からも実質的に了解が必要とする安全協定を締結しました。これは原発の再稼働について、対象を立地自治体以外の周辺自治体にも広げる全国初の取り組みであり評価できるものです。村井知事はこれまで、地元同意の範囲は国が示すべきだが示さないのなら、女川町、石巻市と県で十分だとの姿勢だったようですが、それは現在でも変わらないのでしょうか。なぜ原発三十キロ圏内の緊急防護措置区域に含まれる五市町に広げないのかその理由を明確にお示しください。 以上をもって、壇上からの質問を終わります。 御静聴まことにありがとうございました。