平成19年 11月 定例会(第316回) 第三百十六回宮城県議会(定例会)会議録 (第六号)平成十九年十二月五日(水曜日) 午前十時一分開議 午後三時十一分散会 議長 高橋長偉君 副議長 千葉 達君出席議員(六十一名) 第一番 菅原敏秋君 第二番 吉川寛康君 第三番 伊藤和博君 第四番 長谷川敦君 第五番 佐々木幸士君 第六番 村上智行君 第七番 細川雄一君 第八番 高橋伸二君 第九番 菊地恵一君 第十番 須藤 哲君 第十一番 菅原 実君 第十二番 坂下 賢君 第十三番 遠藤いく子君 第十四番 庄子賢一君 第十五番 熊谷盛廣君 第十六番 寺澤正志君 第十七番 只野九十九君 第十八番 石川光次郎君 第十九番 外崎浩子君 第二十番 佐藤光樹君 第二十一番 中島源陽君 第二十二番 本木忠一君 第二十三番 熊谷義彦君 第二十四番 佐藤詔雄君 第二十五番 加賀たけし君 第二十六番 菊地文博君 第二十七番 菅間 進君 第二十八番 ゆさみゆき君 第二十九番 中山耕一君 第三十番 長谷川洋一君 第三十一番 佐々木喜藏君 第三十二番 佐々木征治君 第三十三番 須田善明君 第三十四番 寺島英毅君 第三十五番 安部 孝君 第三十六番 皆川章太郎君 第三十七番 佐々木敏克君 第三十八番 小野 隆君 第三十九番 小林正一君 第四十番 岩渕義教君 第四十一番 本多祐一朗君 第四十二番 袋 正君 第四十三番 藤原のりすけ君 第四十四番 内海 太君 第四十五番 坂下康子君 第四十六番 横田有史君 第四十七番 小野寺初正君 第四十八番 石橋信勝君 第四十九番 安藤俊威君 第五十番 中村 功君 第五十一番 渥美 巖君 第五十二番 柏 佑整君 第五十三番 畠山和純君 第五十四番 千葉 達君 第五十五番 仁田和廣君 第五十六番 藤倉知格君 第五十七番 菊地 浩君 第五十八番 高橋長偉君 第五十九番 相沢光哉君 第六十番 渡辺和喜君 第六十一番 今野隆吉君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 三浦秀一君 副知事 伊藤克彦君 出納長 庄子正昭君
公営企業管理者 佐藤幸男君
病院事業管理者 木村時久君 総務部長 三浦俊一君 企画部長 小林伸一君
環境生活部長 三部佳英君
保健福祉部長 鈴木隆一君
経済商工観光部長 若生正博君
農林水産部長 伊東則夫君 土木部長 三浦良信君 出納局長 廣川俊美君 病院局長 黒沢正敏君
総務部秘書課長 松浦孝幸君
総務部財政課長 荒竹宏之君 教育委員会 委員長 大村虔一君 教育長 佐々木義昭君 教育次長 三野宮斗史君
選挙管理委員会 委員長 槻田久純君 事務局長 吉田祐幸君 人事委員会 委員長 石附成二君 事務局長 石垣仁一君 公安委員会 委員長 檜山公夫君 警察本部長 高橋美佐男君 総務部長 猪股恒一君 労働委員会 事務局長 鈴木敏明君 監査委員 委員
遊佐勘左衛門君 事務局長 草苅 恭君
----------------------------------- 議会事務局 局長 大坪富雄君 次長兼総務課長 福井利悦君 議事課長 三浦重夫君
政務調査課長 西條公美君 総務課副参事兼課長補佐 高橋 彰君 議事課副参事兼課長補佐 佐藤 昭君 政務調査課副参事兼課長補佐 立花 圭君
議事課長補佐 菅原 清君
議事課長補佐(班長) 佐藤隆夫君
議事課長補佐(班長) 佐々木均君
議事課主任主査 布田惠子君
----------------------------------- 議事日程 第六号 平成十九年十二月五日(水)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第百九十号議案
土地利用審査会委員の任命につき同意を求めることについて第三 議第百五十九号議案ないし議第百八十八号議案及び報告第十三号第四 一般質問 [小野 隆君、遠藤いく子君、須田善明君、今野隆吉君〕第五
請願----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百九十号議案三 日程第三 議第百五十九号議案ないし議第百八十八号議案及び報告第十三号四 日程第四 一般質問 [小野 隆君、遠藤いく子君、須田善明君、今野隆吉君〕五 日程第五
請願-----------------------------------
△開議(午前十時一分)
○議長(高橋長偉君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(高橋長偉君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、四十八番石橋信勝君、四十九番安藤俊威君を指名いたします。
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△議第百九十号議案
○議長(高橋長偉君) 日程第二、議第百九十号議案、
土地利用審査会委員の任命につき同意を求めることについてを議題といたします。 知事から、
追加提出議案の提案理由の説明を求めます。
知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) ただいま追加上程されました議第百九十号議案は、十二月二十二日で任期満了となります
土地利用審査会委員の相澤きよのさん、大槻憲四郎さん、小出市太郎さんを再任し、新たに小関富雄さん、佐久間裕さん、寺島多恵子さん、渡邉祥音さんを任命することについて、御同意を得ようとするものであります。 何とぞ御同意を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(高橋長偉君) これより質疑に入ります。 質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 お諮りいたします。 本案については、委員会の審査を省略することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高橋長偉君) 御異議なしと認めます。 よって、委員会の審査を省略することに決定いたしました。 これより採決いたします。 本案について、同意することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高橋長偉君) 御異議なしと認めます。 よって、同意することに決定いたしました。
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△議第百五十九号議案ないし議第百八十八号議案
△報告第十三号・一般質問
○議長(高橋長偉君) 日程第三、議第百五十九号議案ないし議第百八十八号議案及び報告第十三号を議題とし、これらについての質疑と、日程第四、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。三十八番小野隆君。 〔三十八番 小野 隆君登壇〕
◆三十八番(小野隆君) 議長のお許しをいただきましたので、大綱三点について、順次質問をさせていただきます。 私は、平成十一年、統一選挙で初当選し県議会へ参りました。最初の一般質問で、
東北インテリジェントコスモス構想、PFI制度の活用策、
外形標準課税、
自動車登録仙台ナンバーの早期設置などとともに、仙台市から古川までの
鉄軌道延伸計画についても質問をいたしました。 大綱の第一点として、今回は、その仙台市から北部への鉄軌道延伸について、その後の情報収集や検討経過、状況変化についてお伺いをいたします。 もう一度繰り返しになりますが、歴史的な経緯についてお話をさせていただきます。 古い話になりますが、大正十一年十月から四十年間、仙台市通町駅、その後、北仙台駅から中新田、現在のJR西古川駅近くまでの十七駅、四十四・一キロを仙台鉄道の前身、仙台軌道、通称「軽便っこ」が走り続けておりました。資金難から、沿線自治体が建設費の一部を負担したり、敷地の一部を線路敷地として提供したりなど、地元の熱い要望と協力、長い間の悲願によって段階的に開通したと聞き及んでおります。 開通当初、客車二両、貨車一両の三両編成で、午前、午後八回の往復運転によって、大崎耕土の米を初めとする農産物や三本木の亜炭、大衡、富谷の木炭やまき、そして通勤通学に使われ、仙台からは日用雑貨や食料品、また、
陸軍王城寺原演習場に兵員や軍用物資を輸送する役割を担っていたと記録されております。 建設が始まった創業当時、関係者の路線構想は、仙台から吉岡、三本木、古川に至る奥州旧街道沿いでありましたが、仙台―吉岡間の開通後、路線は、陸軍の演習場があった王城寺原、色麻を経由し中新田に至るコースに変更されました。資料によれば、変更の理由は、鳴瀬川、多田川にかかる橋梁費の節減、地方物資の輸送の関係を挙げておりますが、一方では、
王城寺原演習場の兵員、
軍事物資輸送のために軍の圧力があったとも言われております。 仙台市、当時の宮城郡、黒川郡、加美郡の三郡の足として、沿線においては大いに地域の振興、活性化に役立っていました。しかしながら、昭和二十二年の
キャサリン台風、翌二十三年の
アイオン台風による被害に遭い、次いで、追い打ちをかけた昭和二十五年の豪雨被害で、七北田川、吉田川、鳴瀬川の鉄橋が流されてしまいました。たび重なる台風で悲運の鉄道とも呼ばれた仙台鉄道は、仮復旧で何とか一部軌道運転を続けておりましたが、昭和三十四年にバス事業への転換を余儀なくされました。 それから十年余り過ぎた昭和四十七年、宮城県で初めての宮城県
長期総合計画が策定されました。その計画の中に、
鉄道網整備構想として
都市高速鉄道の建設が記述をされております。その文面を紹介しますと、「仙台圏の拡大に伴い、都市交通の著しい増大が見込まれるため、在来線のほかに、新たに
都市大量高速鉄道として、南北方向に
古川岩沼線を新設する」、「
古川岩沼線は、国道沿いの大規模団地、
仙台北部工業団地を連ね、古川、大和、泉、仙台、岩沼を結ぶ新線建設を内容とするものであって、このうち仙台市を中心とした約十三キロについては、
地下鉄南北線として建設する」、「
古川岩沼線の整備に伴い、これと陸羽東線、石巻線、仙石線を有機的に結び、仙台、古川、小牛田、石巻、仙台の広域循環線の形成を図る。また、仙台圏における特定区間の
モノレール建設についても検討する。なお、南東北地域における経済交流の活発化及び
広域観光需要の増大に対処し、仙台、山形、福島の各中核都市を結ぶ循環電車の運行を促進する」などが盛り込まれておりました。 昭和四十七年に発表されたこの計画は、将来の宮城県土の
骨格交通基盤づくりと広域的な発展を見据えた先見性のあるすばらしい構想でありました。もしこれまでに実現していたらと考えると、本当に残念でなりません。その後、策定された昭和五十三年の新
長期総合計画、昭和六十一年の第三次総合計画、平成五年、平成十二年に策定された宮城県総合計画、それぞれの計画の
総合交通ネットワーク構想図の中に、この
鉄軌道延伸構想が脈々と引き継がれております。平成十一年の答弁でも、「将来の構想として、この構想が生きているのかというお尋ねでございますが、これまで策定してまいりました県の総合計画において、基本的には、それぞれの計画の策定時の状況を踏まえて、その考え方が引き継がれているというところであります」と答弁されておりました。 村井知事は、この構想線を、現在どのような認識をされ、位置づけられているのか、お伺いをいたします。 仙台市から現在の大崎市古川までの沿線上には、県住宅公社で開発し販売している将監北の団地を初め、泉、富谷地域の住宅団地群が連なっており、
泉パークタウン流通工業団地、県の関連施設だけでも、宮城大学、宮城県図書館、
県産業技術総合センター、進出の決まった
東京エレクトロンの
進出予定地大和リサーチパーク、トヨタ系列の
セントラル自動車が進出する予定の大衡、大和に広がる
仙台北部中核工業団地群、現在凍結している三本木の
県保健医療福祉中核施設など、県に関係する施設は数多くあります。それらを結節しただけで需要は大きく広がり、企業立地の促進など
経済波及効果は大きく、各施設の利用効果も高まるものと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 昭和四十七年に初めて作成された宮城県
長期総合計画の中にもあるように、この鉄道で、百万都市仙台と
中核都市大崎市古川、そして県内第二の石巻を結ぶことにより、県内中心部の
トライアングルゾーンが形成されるとともに、全市町村との
ネットワークも強化され、人・もの・金の移動が大きく広がることにより、宮城県全体の均衡ある発展に大いに役立つものと考えます。 現在の財政状況を考えれば、すぐというのは無理としても、企業進出の弾みをつけるためにも、また、県中央部の
骨格交通基盤を整備し、将来の宮城県土の均衡ある発展のためにも、五年あるいは十年のスパンで、時間をかけて、今から第三者も含めた情報の収集や研究検討の機関をつくり計画を推し進めていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 大綱二点、
マルチリンガル教育とアジアの
国際ビジネス拠点についてお伺いいたします。 平成十一年七月、東北の財界でつくる
東北産業活性化センターが、「国益を損なう英語力不足」と題する教育改革について提言をまとめました。この提言を解説したある新聞の社説によれば、英語を初め外国語が強くなることが、東北を活性化させる最大の戦略手段だとするユニークな発想であります。 東北経済は、これまで一次、二次を含めた
ものづくり産業によって支えられてまいりました。「これからの東北は、日本のオランダを目指そう」を合い言葉として、東北人が、他の地方に先駆けて外国語に強くなろうと呼びかけております。オランダは、人口や面積など国の基本的要件が新潟を含む東北七県とほぼ同規模の小さな国でありますが、
マルチリンガル教育、いわゆる多国語教育に熱心な国として知られ、
通商国家オランダとしての基盤は、世界の言葉を自在に操る語学力にあると言われております。 外資系も含めた企業立地の範囲がアジア圏に拡大するに伴い、安い地価と優秀な労働力という二つの優位性が失われつつあります。これからは、従来型のハード面の強化だけではなく、むしろ、
外国ビジネスマンが自由に活動できるソフト面の整備に力を入れるべきであると論じられております。
ジェトロ白書によれば、外資系の企業は最近、地方への進出を決める際に、英語を話せる人材が集められるかどうかを一つの選択基準にしていると言われております。幸い、東北には、語学指導などに当たる外国人青年の招致数が政令市中最も多い仙台市や、米軍関係者とその家族が一万二千人もいる基地のまち三沢市などがあり、語学教育で一番大事な、自然のままに学ぶ機会をその気になればつくることができます。しかし、東北人は、そうしたせっかくの好条件を生かして利用する意欲に欠けていると言われます。また、英語検定の一級合格者のうち、東北の在住者は全国シェアの一%そこそこであり、東北七県の人口シェアが一〇%を占めるのに対比すれば、英語力の弱さは歴然としており、英語音痴が国を滅ぼすとの危機感は全国的に更に高まっていき、その日本の中でも東北は超音痴であり、いつまでもそれに甘んじているわけにはいかないと、当時の
東北産業活性化センターの
村山雅一郎専務理事は、東北がいち早く
英語教育先進地域へと脱皮することで、グローバルな
国際ビジネスを展開する可能性が高まるはずであると論じております。平成十一年七月ですから、もう八年前の話であります。 今は、
ものづくり産業の誘致に力を注いでおりますが、その次の展開として、語学力を通じて人材育成を図り、商社、研究所、物流などの
国際ビジネス拠点としてアジアの玄関口に挑戦することについて、知事の御所見はいかがか、お伺いをいたします。 国際競争に打ち勝つためには、まず情報力であり、その情報にしても、
インターネット時代の今は、外国語がわからないと満足に入手できないことになります。その上で、この提言は、東北は、ものづくりの拠点から、他の地方に先んじて言葉を巧みに操る地域への転換を図るべきとして具体的なプロジェクトを掲げております。例えば
英語指導助手制度の拡充、アメリカの大学院誘致、各地にある
英語教育研究機関との連携、
社会人英語能力コンテストの実施、
日米共学スタイルの小中学校の実現、公立の英会話学校の設立などを挙げております。この具体的なプログラムに対し、宮城県での可能性について、知事、教育長は、どのような考えをお持ちか、お伺いをいたします。 昭和六十二年に、自治省、現在の総務省など三つの省が、英語教育の底上げを目的に、全国の
公立小中高校などに
外国語指導助手(ALT)を派遣する国の
JETプログラムが始まりました。しかし、二十年続いてきた国の
英語教育プログラムは、大きな曲がり角を迎えていると言われております。自分の都合などを理由に、一年以内で途中帰国する外国人や、言葉の壁、コミュニケーションがとれず、遅刻や欠勤などが続くトラブルが多いと言われております。また、自治体にとっても、報酬、社会保険、渡航費用などの約六百万円のコストは、重い負担となっております。 報道によれば、今年度の
外国語指導助手を受けた自治体は、全国で千三十八市町村で、ピークだった五年前の平成十四年度の半分以下になっており、参加外国人も、同じく平成十四年より一三%少ない五千百十九人に減少しております。最近では、英会話学校などの民間会社が多い都市部、特に東京都内や横浜市などでは、国の
JETプログラムを通じた配置をやめ、
民間委託制度を採用し、割安な民間からのALT採用に切りかえております。 そこで、宮城県における
外国指導助手のこれまでの人員の推移や状況について、
トラブル件数も含め、お伺いいたします。 また、民間に委託については、
JETプログラムの国際交流という当初の目的から外れてくるのではないかと危惧するところですが、教育長の御見解はいかがか、お伺いいたします。 関連して、
インターナショナルスクールについてお伺いいたします。 外国企業が仙台を
ビジネス拠点として選定するためには、その社員の子弟教育の場、いわゆる
インターナショナルスクールが完備されているか否かが重要な課題となります。宮城県でも、唯一、
学校法人南光学園が設置する
東北インターナショナルスクールが、各種学校として八十一名の外国人子女を受け入れております。宮城県、仙台市などの公的支援はなされているのか、補助金額、設置場所を含め、お伺いいたします。 また、十分な
外国人子弟教育を求めて、東京などへの二重生活を余儀なくされている方もおられると聞き及んでおります。本格的な
インターナショナルスクールの将来構想についていかがお考えになられておられますか。また、アジアを見据えた中国語、韓国語、ロシア語などの
語学教育振興の現在と、将来についての御見解をお伺いいたします。 大綱第三点、防災対策についてお伺いいたします。 まず最初に、消防本部の統合についてお伺いいたします。 昭和四十六年の消防組織法の改正により、すべての市に消防本部・消防署を設置することを義務づけられました。それを契機に、宮城県では、市町村においても消防本部・消防署を設置しようという機運が高まり、五市と七一部組合にそれぞれ消防本部が設置され、消防本部は、管轄区内に消防署や分署、出張所、派出所、分遣所などの署所を統括しており、現在、県内に合計で百四カ所に署所があります。 最近では、産業や生活など
社会環境変化により、人的災害や事故が複雑化、多様化、大規模化してきており、一方では、近年、大規模な自然災害をも多発しております。また、高齢化の進展などにより救急車の出動件数も増加してきております。これらの消防は、住民の生命、財産を守らなければなりません。そこで、消防を広域化して、
スケールメリットにより消防の力を強化し、これらの変化に対応していかなければならないとしております。 このような流れの中で、総務省消防庁では、昨年六月の消防組織法改正により、消防本部管轄区域の人口を三十万人以上と定め、五年後の二〇一二年まで統合を進めることとしております。しかし、宮城県内は、十二の消防本部の現場では、やっとのことで一本部十万人の体制に定着しつつあること、また、市町村の大合併が終えたばかりで、国からの財政支援のない中で、統合に要する経費、新たな消防機材の購入など、財政負担が大きいとの声も聞こえてまいります。 まず、消防庁の消防本部管轄区域を高いハードルの人口三十万人以上としたことに対する宮城県としての考え方についてお伺いいたします。 来年三月までに消防広域化のための推進計画をつくるよう全国に要請しており、各都道府県では協議を進めているところであります。各地からの議論の結果、将来の消防のあり方や地域、そして現場の実情も含め、さまざまな意見が出されております。宮城県においても、県消防広域化検討会議を立ち上げ、第一回会議が開催されましたが、その大まかな内容、意見等について、お伺いをいたします。 消防庁が目指す消防本部の統合によるメリットはどのようなものか、また、デメリットとしてはどのようなことが考えられるのか、県としてどのように分析されておるのか、お伺いいたします。 群馬県では、今年一月に県の有識者懇談会が、群馬県内に現在ある十一カ所の消防本部を県一本化するのが望ましいとの提言をまとめました。その根底には、管理部門の職員を減らし現場に振り向け、現場到着時間を短くしたり、専門的な知識を持った人材を育てることなどが考えられるとしております。また反対に、平成の市町村大合併で圏域が大きくなった市町村では、災害時のきめ細かい対応が難しくなる、また消防の大合併が防災力の低下を招かないかなどの意見も出されております。 群馬県有識者懇談会が提言した、この県一本化の提言について、知事の考え方、御所見をお伺いいたします。 また、消防大合併によって心配される現場の防災力の低下については、どのような御見解をお持ちか、お伺いをいたします。 次に、災害弱者をだれが守るのかについてお伺いいたします。 災害時に手助けが必要なお年寄りや障害者の救出、安否確認に欠かせない要援護者名簿を、いざという事態に備えて各地の自治体が名簿づくりを進めておりますが、個人情報保護などが壁になって名簿の共有や活用が進んでおりません。同じ役所に保管されていても、担当の違う防災部門では利用できず、地域現場で、お年寄りたちと接する民生委員にも届かないケースも広がっています。いち早く短時間で救出しなければならない災害弱者を一体だれが守るのか、関係者から不安が惹起されております。 十人の死亡者を出した新潟県中越地震では、お年寄りや障害者など災害弱者の安否確認が迅速に行われなかったとして、厚生労働省は、八月十日付で全国の都道府県や政令指定都市に対し、災害時などに避難支援が必要な要援護者の名簿を民生委員などと共有できるような体制づくりを求める通知を出しております。個人情報への配慮から情報提供をためらう自治体が広がっていることから、第三者へ提供できるよう条例の規定を改正する必要にも踏み込んでおります。 まず、この体制づくりについての通知による要援護者名簿の共有化について、知事は、どのように認識され対応されようとしておるのか、お伺いいたします。 宮城県では、市町村の災害時要援護者支援マニュアルをつくる際の指針として用いることを目的に、昨年度に災害時要援護者支援ガイドラインを策定しております。ある報道機関の調査によれば、ことしの八月末時点では、災害時要援護者リストを策定した自治体は、宮城県内三十六市町村のうち十市町村にとどまっていることがわかりました。リストに基づく避難支援計画は、大半の自治体が手つかずのままで、大規模災害時の対応には不安が残る結果となっております。 国は、本人の同意なしで情報を共有する関係機関共有方式で要援護者対策を進めるように求めております。また、宮城県においても、知事は、十月の議会での一般質問に答弁し、「私といたしましては、プライバシーの保護は大切でありますが、災害発生時には一刻も早い救助活動等を行うことが重要であることから、あらかじめ援護の必要な方々の情報を把握し、個人情報の取り扱いにも配慮しつつ、関係者で共有することの必要性について、地域住民の皆さんにも理解していただかなくてはならないと考えております」と語り、積極的に共有方式を推し進める考えであります。しかし、市町村では、個人情報保護法に関する懸念から共有方式を採用している自治体は少ないようで、手上げ方式、同意方式のリストの方が多いようであります。 宮城県における最新の市町村の避難支援計画策定への取り組み状況はどうなっているか、お伺いいたします。 また、宮城県では、関係機関共有方式を市町村に指導徹底していかれるのか、その場合、個人情報保護や守秘義務の確保についてはどのようにクリアされていく考えなのか、お伺いをいたします。 最後の質問になります。地域防災リーダーの育成についてお伺いいたします。 消防白書によれば、宮城県の自主防災組織の組織率は八三・六%で、全国平均の六六・九%に比べても一六%以上高くなっており、たび重なる地震災害と迫る宮城県沖地震への警戒感が背景にあると見られております。いざ災害が起きたときに、事態の把握能力と事後展開の予測能力、そして初動対応が求められ、近隣住民が助け合う自主防災組織の強化のために、中核となって活躍する地域防災リーダーの育成を宮城県は昨年度より取り組んでおります。しかしながら、町内会等の諸事情により、結成したものの形骸化してしまった組織もあると言われており、地域での住民意識や避難訓練など、自主的な防災対策が低下しつつあります。このような状況下で、安全や防災をいま一度原点から考える必要があり、そのためには、知識や経験を持つリーダーが必要となってきます。地域だけではなく、職場や学校においても、突然の事故や災害に対して対応できる組織の核として、リーダーという人材が不可欠となります。 まず、この防災を地域で先導し、防災力を高める地域防災リーダー育成の必要性をどのように考えておられますか、知事の御所見をお伺いいたします。 この地域防災リーダーを育成するために、防災の専門家を地域防災アドバイザーとして派遣し、支援しております。東北大学や消防機関など連携して、地域防災リーダー育成の研修会を開催し、自主防災のつくり方や防災組織活動の進め方を指導しておりますが、その内容、また、どの程度の専門性を目指しているかについてお伺いをいたします。 時間の関係上、以下は、次の機会に質問をさせていただきたいと思います。 壇上の質問をこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 小野隆議員の一般質問にお答えをいたします。大綱三点でございました。 まず初めに、大綱一点目、仙台―古川間の
鉄軌道延伸計画についての御質問にお答えをいたします。 初めに、古川―岩沼間を結ぶ大量高速鉄道の構想線の認識と位置づけについてのお尋ねにお答えをいたします。 これまでの県の総合計画において、基本的には、それぞれの計画の策定時の状況を踏まえ、
鉄道網整備構想の考え方が引き継がれていたものと認識しております。従前の総合計画では、長期的又は超長期的な視点で俎上に乗る構想についても組み入れ策定してまいりましたが、ことし三月に策定いたしました宮城の将来ビジョンは、今後十年間の県政運営の基本的な指針を示すとともに、その実現に向けて、県が優先的かつ重点的に取り組むべき施策を明示したものであります。このため、お話のありました構想については、宮城の将来ビジョンにおいて明確な位置づけはしておりません。しかしながら、鉄軌道は、環境負荷が小さく、定時性、大量輸送性などにすぐれた交通機関であるため、今後の公共交通のあり方を考える上で一つの重要な論点であると認識をしております。 次に、鉄軌道による県関連施設の結節に伴う
経済波及効果などについての御質問にお答えをいたします。 仙台市と大崎市古川間の住宅団地や県関連施設を結ぶ鉄軌道を整備した場合には、各施設への利便性の向上が見込まれるほか、沿線開発が促進されるなど、一定の波及効果があると考えられます。一方、鉄軌道の整備に当たっては、多額の建設費や事業採算性の見通しなど数多くの課題がありますことから、沿線地域の開発動向や利用客の需要見込みなどについて、関係市町村などと連携を図りながら、さまざまな角度から慎重に検討する必要があると考えております。 次に、情報の収集や研究検討機関による鉄道網整備計画の推進についての御質問にお答えをいたします。 仙台市と大崎市古川間の交通基盤の整備につきましては、これまでも、黒川郡の町村長などを構成員とする緑の未来都市くろかわ建設推進協議会において、新交通システムの導入について検討してきた経緯がございます。県といたしましては、同協議会を初め、地域における研究や検討の状況を注視するとともに、関係情報の収集に努めてまいります。 次に、大綱二点目、
マルチリンガル教育とアジアの
国際ビジネス拠点についての御質問にお答えをいたします。 初めに、
国際ビジネス拠点として、アジアの玄関口に挑戦することについてどうかとの御質問にお答えをいたします。 我が県の国際戦略においては、東北各県と連携や機能分担を図りながら、東北全体としてアジアに開かれた広域経済圏を形成することとしており、これを富県宮城の実現の五本柱の一つとして位置づけております。 御指摘のありました
国際ビジネス拠点としてアジアの玄関口に挑戦することについては、
国際ビジネス拠点として必要なハブ空港、ハブ港湾や国際的な貿易・運輸会社の集積による国際物流機能はもとより、国際的な銀行や投資会社、証券取引所等の集積による国際金融機能、更には、国際的な研究開発機能に加え高度な情報インフラが不可欠とされており、我が県が目指していくには乗り越えるべきハードルが高く、相当程度の道のりが必要であると考えております。したがいまして、当面は、富県宮城の実現に向け、県内企業のアジアへの進出支援、外資系企業の誘致、空港、港湾など物流基盤の充実整備など、国際化戦略を着実に進めてまいりたいと考えております。議員の御提案につきましては、これらの取り組みを踏まえた上で検討してまいります。 次に、具体的なプロジェクトの宮城県での可能性についての御質問にお答えをいたします。 米国の大学院の誘致についてでございますが、提言書に記載されているコロンビア大学のような著明な大学院の我が県への誘致は、人材養成のみならず、産業振興にとりましても大きなメリットがあると考えております。このため、県として、今後このような大学院の海外展開の動向や我が国への立地の可能性などについて、ジェトロなどを通じて調査をしてまいります。 次に、
インターナショナルスクールについての御質問にお答えをいたします。 東北高校泉キャンパス内に設置されております
東北インターナショナルスクールへの公的支援といたしまして、県では、平成十八年度に三百二十八万円の運営費補助を行っており、今年度もほぼ同額を予定しております。また、仙台市では、平成十八年度百万円を補助し、今年度も同程度を予定していると伺っております。 次に、
インターナショナルスクールの将来構想についての御質問にお答えをいたします。
インターナショナルスクールは、基本的には、外国人子弟が母国に帰ってからの学習に支障のないよう対応する場であり、日本の教育課程で教育する場合と比べ、公的な関与の度合いは、おのずと限られたものにならざるを得ないものと認識しております。したがいまして、県が
インターナショナルスクールの将来構想を策定する立場にあるとは、一概には言えないものと考えております。しかし、
インターナショナルスクールは、外資系企業を初め、グローバルに活動する企業や研究機関の誘致などの面から必要なものと考えておりますので、今後、既存施設の需要や設備面での将来的な対応可能性、経済団体等の意向把握などの課題整理を仙台市とも相談しながら進めてまいります。 次に、アジアを見据えた中国語、韓国語、ロシア語などの
語学教育振興についての御質問にお答えをいたします。 県内では、三つの県立高等学校が中国語を選択科目としているほか、専修学校や語学学校が中国語、韓国語、ロシア語などの言語について、社会人向けを初め多様なレベルのコースを提供しております。 県としては、当面、これら民間教育機関での対応を見守ってまいりたいと考えておりますが、将来的には、アジアとの経済交流の一層の活発化が予想されることから、今後、海外進出企業を初め、商社、貿易等関連企業や団体と意見交換するなど、今後の中国語、韓国語、ロシア語などの言語力を備えた人材の育成確保について検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、防災対策についての御質問にお答えをいたします。 初めに、消防本部の統合に対する認識についてのお尋ねにお答えをいたします。 消防の広域化については、昨年六月、消防の広域化の推進を目的に消防組織法が改正され、同年七月には、消防庁から市町村の消防の広域化に関する基本指針が示されました。この指針の中で、広域化については、これからの消防に求められる消防力、組織体制、財政規模等をかんがみて、大きければ大きいほど広域化の
スケールメリットが生かされるとしており、管轄人口については、おおむね三十万人以上が適当であるとされたところであります。しかしながら、それぞれの地域には、交通事情、地理的条件、日常生活圏等、さまざまな事情もあり、また、市町村合併後間もない地域もございますので、一律に論じることは難しい面があると考えております。 県といたしましては、管轄人口三十万人規模にはこだわらず、これらの地域の事情等を踏まえ、市町村の意向を尊重しながら、広域化のあり方について検討を進めることが大切であると考えております。 次に、群馬県の県一本化の提言及び心配される広域化による現場の消防力の低下についての御質問にお答えをいたします。 群馬県有識者懇談会が提言した消防本部の県一本化については、各県それぞれの消防広域化に向けた多様な取り組みの中での選択肢の一つであると考えております。 また、広域化によって心配される現場の防災力の低下についてでありますが、広域化の目的は、あくまでも消防本部組織の統合による消防体制の充実強化及び住民サービスの向上を図ることでありますので、広域化によって、現場の消防力や防災力が低下することのないよう取り組んでいく必要があると考えております。 県といたしましては、今後、広域化検討会議での議論や市町村及び消防本部の御意見等を踏まえ、他県での取り組み状況も参考にしながら、本県の消防力の向上を目指して広域化推進計画の策定を進めてまいります。 次に、災害時要援護者の支援についての御質問のうち、要援護者名簿の共有化についてのお尋ねにお答えをいたします。 災害時に要援護者の避難支援を迅速かつ的確に行うためには、行政機関相互の連携はもちろん、民生委員や自主防災組織など、行政機関以外の関係機関との連携が必要と考えます。また、こうした連携を実効性のあるものとするためには、要援護者情報を把握し、相互にその名簿を共有化した上で、具体的な避難支援計画の策定や避難訓練などを行う体制づくりを進めることは重要であると考えます。このため、県では、平成十八年度に策定した災害時要援護者支援ガイドラインに基づき、要援護者支援の中心的役割を担う市町村に対して、こうした取り組みを積極的に展開するよう働きかけているところでございます。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 総務部長三浦俊一君。 〔総務部長 三浦俊一君登壇〕
◎総務部長(三浦俊一君) 私からは、まず初めに、広域消防化検討会議についての御質問にお答えいたします。 本県における消防の広域化に関する検討協議を行うため、本年七月に、学識経験者や市町村代表者、消防関係代表者など十名の委員から成る宮城県消防広域化検討会議を設置いたしました。これまでの会議では、委員の方々から、管轄人口三十万人規模の根拠がよくわからない、広域化により消防と地域のつながりが薄くならないか、また、医療圏との関係に配慮した検討が必要等の御意見をいただいたところでございます。更には、消防広域化に関する県のモデル的な統合案などを示してほしいとの要望が出されたところであります。 県といたしましては、検討会議において更に議論を深めていただき、その結果を踏まえ、今年度中に県の広域化推進計画を策定したいと考えております。 次に、消防本部統合のメリット等についての御質問にお答えいたします。 消防庁では、消防の広域化のメリットとして、災害時の初動態勢や応援体制の充実強化、消防本部要員の効率化による現場要員の増強や専門要員の養成・専従化、財政規模の拡大に伴う高度な消防設備や施設等の整備、消防署所の配置や管轄区域の適正化による現場到着時間の短縮等が図られるとしております。 県としましては、広域化に当たっては、各市町村の意識の違い、消防本部間における職員の人事、給与及び勤務体制の調整などの課題があるものの、地域における将来人口の減少、高齢化の進展及び今後の市町村財政状況等を考慮すると、消防の広域化は推進していく必要があるものと認識しております。 次に、地域防災リーダーの育成の必要性及び研修内容についての御質問にお答えいたします。 大規模地震等の発生時において、地域防災力のかなめとなる地域防災リーダーの役割は大変重要であると認識しております。このため、県といたしましては、地域防災リーダー育成研修会の開催や防災アドバイザーを派遣するとともに、出前講座を実施し、地域防災リーダーの育成に努めてきたところであります。 研修内容につきましては、これまで、身近でできる防災対策や地震の仕組みと被災の教訓など、基本的な防災知識の習得を主眼としておりましたが、宮城県沖地震の再来の切迫度が増しつつありますことから、今後は、震災時における避難所の運営協力や自主防災組織活性化の具体的方策など、より専門性の高い実践的な内容の研修について取り組んでまいりたいと考えております。 私の方から、以上でございます。
○議長(高橋長偉君)
保健福祉部長鈴木隆一君。 〔
保健福祉部長 鈴木隆一君登壇〕
◎
保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱三点目、防災対策についての御質問のうち、市町村の避難支援計画策定の取り組み状況についてお答えをいたします。 平成十九年三月三十一日現在、避難支援計画を策定しているのは四市町村、今年度内に策定を予定しているのが三市町村、平成二十年度まで策定を検討しているのが二十市町村となってございます。 次に、要援護者名簿の共有化と個人情報保護についてお答えをいたします。 市町村が民生委員や自主防災組織などの行政機関以外の第三者と要援護者名簿の共有を図る場合、個人情報保護の観点から慎重な取り扱いが求められております。このことから、個人情報保護を担保する方法といたしましては、市町村が定める個人情報保護条例の中に、情報を共有する第三者に対して守秘義務を規定することや、市町村と第三者との間で要援護者名簿の取り扱いを記載した覚書を取り交わすなどの方法をお示ししたところでございます。 プライバシーの保護は大切でありますが、災害発生時には、一刻も早く救助活動を行うことが最重要であると考えており、あらかじめ要援護者の情報を把握をし、関係者で共有することの重要性・必要性について、地域住民の皆様に十分理解していただくよう、引き続き市町村に働きかけてまいります。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君)
経済商工観光部長若生正博君。 〔
経済商工観光部長 若生正博君登壇〕
◎
経済商工観光部長(若生正博君) 私からは、大綱二点目、
マルチリンガル教育とアジアの
国際ビジネス拠点についての御質問のうち、宮城県における
外国語指導助手に関する御質問にお答えいたします。 宮城県における
外国語指導助手、いわゆるALTの総数は、昭和六十二年の
JETプログラムの開始時に十二名であったものが、その後順調に増加し、過去五年間では年間二百二十名程度で推移してきております。平成十九年度のALTの総数は二百二十四名で、その内訳は、
JETプログラムによるものが百五十九名、民間委託等によるものが六十五名となっており、前年度に比べ民間委託によるALTが四十二名増加しております。民間委託が大幅に増加した要因としては、平成十九年度から交付税の算定方式が変更されたことや民間委託の方が
JETプログラムによるよりもコストが安く、中途退職の際の補充が容易であることなどが挙げられます。 次に、
トラブル件数については、過去五年間では、結婚や進学などの個人的理由による中途退職が年間二から四件、交通事故、勤務態度不良などの問題があるものが年間一から四件となっております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 教育長佐々木義昭君。 〔教育長 佐々木義昭君登壇〕
◎教育長(佐々木義昭君) 大綱二点目、
マルチリンガル教育とアジアの
国際ビジネス拠点についての御質問にお答えいたします。 初めに、
東北産業活性化センターが提言する具体的なプロジェクトの導入の可能性について、お尋ねにお答えをいたします。 委員から御紹介のありましたプロジェクトは、さまざまな幅広い観点からの提言が盛り込まれております。これらの提言のうち、例えば
英語指導助手制度の拡充でございますが、英語教育においてALTは、特に生徒の会話指導や意欲の向上等に効果的であると考えております。県教育委員会といたしましても、県内各地にALTを配置し、研修なども実施し充実を図っているところでございます。このALTの拡充の例も含め、公立英会話学校の設立など、さまざまな提言については、法制度面や財政面での問題、あるいは民間との関係など、いろいろと解決しなければならない課題があるものと考えております。これらの提言の趣旨を踏まえ、学校英語教育の更なる改善充実に努めてまいりたいと考えております。 次に、ALTの民間委託についての御質問にお答えをいたします。 民間のALTについては、英語の指導経験が豊富で、ある程度日本語もでき、児童生徒の英語力向上のための即戦力として期待されることから、県教育委員会といたしましても今年度から一部導入したところでございます。各学校に配置されたALTは、授業だけではなく、行事や部活動、更には地域の行事にも参加するなど児童生徒などとの交流を深め、学校のみならず、地域レベルでの国際交流にも役割を果たしているものと考えております。 なお、今後、限られた予算の中で国際交流と外国語教育を効果的に推進していくため、
JETプログラムと民間のそれぞれの特色を組み合わせながら、ALTの活用に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 三十八番小野隆君。
◆三十八番(小野隆君) 各般にわたって答弁をいただきました。 最初の仙台―古川の鉄軌道の延伸の話なんですけども、今の立場で、知事は、精いっぱいの答弁をいただいたのかなと私は思っております。しかしながら、やっぱり第三者機関ですね、県庁として情報を集めますよと、それから沿線の市町村にいろいろ声をかけていきますよというような話はいただきましたけども、やはり、きちっとした第三者機関をつくっていろいろ検討、研究をしてもらいたいなというのが希望でございます。 地下鉄は、この四十七年に総合計画が出てから、仙台市の南北線ができたのが六十年ちょっと過ぎだと思いますので、大体十五年ぐらいかかると思うんですね。東西線にしてもしかりでありますし、アクセス鉄道にしても、やはり十年以上経過してると思います。そういうことで、今一生懸命努力されている財政問題でありますとか、それから県民の行政サービスの向上とか、知事は一生懸命やられておりますし、やはり足元、来年のこと、十年後のこと、それは大切なことは十分わかっておりますけども、やっぱり県民に夢を与えるといいますか、構想をきちっと示すという面では、十年以上のそういう構想も一つ、二つ、三つぐらいはあってもいいんじゃないかなというふうに思うんですけど、その辺、知事、よろしくお願いします。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 先ほどの答弁では、将来ビジョンが十年の単位でつくったものでありますのでという答弁でありましたけれども、おっしゃるとおり、更に、やはり百年後の宮城というものを見据えながら、どのような形になっていけばいいのかぐらいの、そういった視点も確かに重要であろうというふうに思います。
○議長(高橋長偉君) 三十八番小野隆君。
◆三十八番(小野隆君) ちょっと百年後では余り遠過ぎますんで、三十年後ぐらいにしていただきたいなということで……。 それから、この、私が十一年に質問した折に、仙台市とのいろんな協議会があったと思うんです。市長さんと、それからトップが会談して、アクセス鉄道どうしようかとか、東西線をどうしようかという意見交換の場があったと思うんですけども、ぜひそういうのも開いて、やはり県北に鉄道を持っていく場合には、仙台市域分はまだ若干ありますんで、やっぱり仙台市の協力がないとできないんですね。富谷への区境まで延ばしてもらって、そこから地上なり、あるいは高架で持っていくというような形になろうかと思いますんで、仙台市との協議も必要だと思うんで、ぜひそういう機会があったら、トップ会談で話題を提供していただきたいなと思うんですけども、いかがでしょうか。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 今、御指摘のありました協議会は、仙台都市圏総合交通問題連絡協議会といったようなものだったと思います。あれは東西線、それから仙台空港アクセス鉄道も、その協議会を使っていろいろ協議をしたというふうに報告を受けております。梅原市長さんとは、こういう協議会というかた苦しいものでなくても、よくいろんな意味で情報交換をしておりますが、やはり必要に応じてそういったしっかりとした組織をつくることも大切であろうかというふうに思いますので、当然、必要に応じまして、そういったようなことも前向きに検討してまいりたいというふうに思います。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。 〔十三番 遠藤いく子君登壇〕
◆十三番(遠藤いく子君) 最初に、子育て支援をテーマに伺います。 私は、村井知事の県内総生産十兆円を目指す富県戦略の話を聞くたびに感じることがありました。それは、県行政の目標は、県民の暮らしの安定と安全にあるのではないかということです。知事も、経済的基盤の安定は手段であり、目的ではないと本会議で答弁されましたが、そうであるならば、福祉、教育、医療などの充実は、経済的基盤の安定を確保した後にやるというのではなく、相対的な独自性を持って行うべきことと考えます。 少子化が世界じゅうで問題になっています。フランスは、一時低下した出生率を、二〇〇六年度には二・〇七まで上昇させました。日本と比較した場合、子育て支援に三倍もの予算を投入していると言われています。二〇〇五年度に唯一出生率がプラスに転じた福井県は、三人目以降については、妊婦健診から医療、保育にかかる経費を原則無料にするなど、注目すべき施策を展開しています。 東北を見ましても、秋田県が独自に作成した各都道府県の子育てにかかる経済的支援予算、十九年度の比較表によりますと、未就学児一人当たりの所要額トップは秋田県の六万三千九百六十円、宮城県は七千三百七十円で全国四十二位、秋田の八分の一という状況です。福島の場合、十八年度までの県政の重点施策のトップは子育て支援でした。小中学校全学年での三十人学級を全国に先駆けて実施するなど、思い切った施策展開をしています。 宮城県では合計特殊出生率が全国平均を下回っており、東北では最低の水準となっています。他県に比べ、宮城県は子供を生み育てにくい県になっているのではないでしょうか。宮城の子育て支援の現状を踏まえ、子育て支援を県政の柱に据えることを求めて、以下、個別の問題について質問いたします。 宮城県では、一年間に約二万人の分娩があります。命の誕生はだれにとっても大きな喜びです。ところが、最近は妊婦健診を受けない、いわゆる飛び込み出産が年々増加していることが気がかりです。妊婦健診を受けない最大の理由は、経済的困難です。厚生労働省も、本年一月、五回は公費助成をと通達を出しています。しかし、県内の自治体の公費助成の現状は、二回の女性が圧倒的に多く、通達の水準からも大きく乖離しています。若年層の半数が非正規雇用という厳しい生活の中で、公費助成拡大による負担の軽減は切実であり、医療機関からも強く求められているところです。 私は、最近、妊婦健診が持つもう一つの意義を強く感じるようになりました。分娩を扱っているある病院の実践を聞いたところ、定期的に妊婦健診を受けるよう援助することで、自分の出産のリスクをきちんと認識するようになり、また出産について医療関係者と共通の認識を持つようになるなど、主体的に出産に臨む姿勢を確立する力となったというのです。出産費用についても、早い段階から考え、準備できるようになったとのことです。経済的に困難な妊婦には、収入に応じて出産費用を軽減する入院助産の制度を紹介し、指定された医療施設で落ちついた心で分娩する環境を整えることができました。そのことは、出産後の子育てに見通しを持つなど、よい影響を与え、今問題になっている児童虐待を防止することにもつながるように思いました。しかし、入院助産の制度は余り知られておりません。加えて、知事の指定する助産施設は県内八カ所と少なく、仙台市以外の病院は分娩施設の減少により、いずれも分娩が集中している病院となっているため、更に指定施設をふやすことが必要と思います。 以上のような視点から、以下伺います。 第一に、妊婦健診の公費助成の充実のため、市町村任せにせず、県独自に助成すべきと思いますが、いかがですか。青森、秋田、福島など、全国で九県が公費助成を行っています。第二に、妊婦健診の重要性を深くとらえ、広く啓発する努力を更に行うべきではありませんか。第三に、知事が指定する助産施設が限られており、その指定の施設をふやすよう求めます。第四に、妊産婦への支援として、妊娠の届け出から出産の翌月末までを対象期間として、妊産婦の医療費を助成する制度を宮城県も創設すべきと思いますが、いかがでしょうか。 今、妊娠者の代替配置は、保健体育を担当する教員に限られています。しかし、特別支援学校では、在籍する児童生徒の障害特性により、車いすの乗り降り介助やトイレ介助、移動への対応など負担の大きい業務が多く、また多くの科目で体を動かす要素が加わっています。自閉症や広汎性発達障害による多動の子供たちが多いため、突然教室を飛び出したり、教員にぶつかってくるなど予測できない状況も生まれます。職場内の協力といっても、女性職員の割合が高く、相互援助は難しい状況です。 三年前に行われた調査では、妊娠者の八割が妊娠異常を経験し、その半数が病休をとったという結果が出ていると聞きました。特別支援学校に勤務するすべての妊娠者に対して、妊娠判明時から代替を配置し、勤務の軽減を図ることは緊急課題になっています。既に、全国的には、障害児学校での妊娠出産の何らかの労働軽減は半分以上の二十五都府県で実施されており、福島県では、特別支援学校のすべての教諭、養護教諭、実習教諭に対し、妊娠判明時から産前休暇前日まで六時間の時間講師が配置されています。これは命の問題です。ぜひ実現を求めますが、いかがでしょうか。 現在、宮城県の委託事業として、子ども専用相談推進事業が行われています。年間二千人前後の子供たちの電話を受けています。報告書によると、他の人との人間関係といじめに関する相談が内容の半分を占めており、電話に出てくる主な場所は、学校が圧倒的に多いのです。現在のいじめ問題の深刻さを考えれば、学校の担任や養護教諭、カウンセラーとともに、顔の見えない匿名性の高いこの事業は、子供たちの思いを受けとめる重要なツールになっているのではないでしょうか。全国的に見ても、平日五日間の相談日を確保しているのは、宮城のほかにあと一県ほどです。担い手を養成するための研修活動も取り組まれています。平成十七年から十九年の委託事業ですが、来年度以降も継続することを求めますが、いかがでしょうか。 次に、乳幼児医療費助成制度について伺います。 子育て世代の人たちに強く指示されてきた一九七二年、二十万人を超える県民の署名運動によってゼロ歳児から始まったこの制度は、子育て世代の人たちに強く支持されてきた県独自の制度です。私は、制度スタート当時の県議会を傍聴しておりました。スタートの年に生まれた我が子は、対象年齢拡大とともに育ち--二歳までですが、県政を間近に感じました。二〇〇五年十月からは、社会保険も含め、同じ窓口が無料となりました。しかし、今や市町村の八割が県の対象年齢を上回り、県のかつてのイニシアの発揮がなく、むしろ後を追う状況です。 一方、助成対象を入院・通院ともに就学前までとした二十都道府県では、十五都道府県が全市町村で就学前助成を行っています。栃木県や兵庫県のように、小学校三年までを助成対象とした県も出ています。通院の三歳未満というのは余りにも低いのではないでしょうか。対象年齢を引き上げ、市町村を励ますことこそ県政の役割と思います。 更に、来年度二〇〇八年四月からは、医療保険における窓口での二割負担が入院・通院ともに就学前まで拡大されます。子育て支援の柱であり、何万回の言葉より、県政のぬくもりを実感できる乳幼児医療費助成制度を、通院も就学前まで拡大するお考えはありませんか。また、この際、所得制限を段階的に撤廃してはいかがでしょうか。また、乳幼児医療費助成制度が国の制度となるよう積極的に働きかけることを求めますが、いかがでしょうか。 地域子育て支援拠点事業について伺います。 現在、宮城県には五十八カ所の支援センターがありますが、国の補助対象となっているのは五十カ所、対象から除外された八カ所について新規のもの、年度途中のものなどが理由となっていますが、これは許されないことです。国が平成二十一年までに、中学校区に一カ所以上という大目標を掲げているにもかかわらず、財政が厳しいという県の事情で抑制し、国、県の負担分まで市町村に負わせているのではありませんか。先日、厚労省に出向いて直接確認しましたが、引き続き重要な事業として申請を呼びかけているとの姿勢でした。政府の立場を踏まえ、申請されたものは補助対象にすべきと思いますが、いかがですか。知事の答弁を求めます。 河北新報の連載「田園の漂流 暴落の秋」は、米一俵一万二百円という価格に大規模営農を追求してきた担い手も、小規模で頑張ってきた家族営農家も、米づくりはもうあきらめざるを得ないという瀬戸際に追い込まれている深刻な事態をリアルに報じています。更に、原油と飼料の異常な高騰は、ハウス園芸農家や畜産農家にも深刻な経営危機に直面しています。こうした事態を迎えている今日こそ、食料基地東北・宮城の真骨頂を発揮して、自給率七八%に低下した汚名を返上する転機と位置づけ、かつ富県戦略の上でも緊急な最重要課題として生産費を償う生産者米価の引き上げなど抜本的対応策を打ち出す必要があると考えますが、いかがでしょうか。 知事は、二十日、農水省幹部に対して、米価下落は過剰作付が原因だとして、生産調整を徹底するよう要請したと報道されています。また、自民党は、米の過剰生産を防ぐため、生産調整を守った農家の米に生産者番号をつけ、番号のない米を扱った農家や集荷業者に対し罰則を設ける新たな規制の検討に入ったと報じられていますが、これはみずからの責任を棚上げする対応と言わねばなりません。米の市場原理に対抗して、有機米、ブランド米自主販売ルートの開拓など血のにじむような努力を行ってきた農家に対する許しがたい背信行為と断じざるを得ません。輸入米を主食用として販売することを中止させ、政府買い付け米の生産コストを下回らない買い上げをすることこそ、米価下落への最も効果的な対策です。こうした点での国の対応を強く求めるとともに、県が率先して、そうした方向での独自の施策を導入して宮城の米農家を励まし、勇気づけるべきであります。 また、食育、地産地消を学校教育や食堂、観光関連などで徹底し、宮城の食材・産品の大規模な普及・消費拡大のために、食材費補助を初めとする抜本的施策展開を打ち出すべきと考えますが、いかがでしょうか。 二〇〇四年三月に、一キロリットル当たり四万三千円程度であった漁業用の燃油価格が、ことしのピーク時で約七万五千円まで上昇しており、県漁協は、燃油が一定価格を超えた場合に、超過額を補てんする燃油価格調整基金制度の創設など抜本対策を講じるように県に要望を行っています。 また、宮城の酪農農業協同組合は、原油・飼料価格高騰の影響を受ける組合員の経営を助けるため、総額一億円の自主財源を拠出し、支援策を打ち出したと報じられています。こうした動きや観点を拡充し、国に対しては備蓄原油の放出などによる抜本的な原油価格対策をとらせるとともに、県独自に漁業・農業関係者への原油高騰対策、飼料高騰対策制度を創設、実行すべきと考えますが、いかがでしょうか。 更に、国が来年七月で、生後二十カ月以下の牛のBSE検査補助金を打ち切る問題について、畜産農家に大きな衝撃を与えています。徳島県や宮崎県、そして仙台市は、自主財源で全頭検査を続けることを決定しています。更に、さきの県議会での意見書可決を真摯に受けとめ、約五百万円程度の負担で可能な全頭検査を継続する決断を行い、宮城牛のブランドを守るべきと考えますが、いかがでしょうか。知事の明確な答弁を求めるものです。 次に、東北電力女川原発の相次ぐ事故、トラブルと対策について伺います。 今年十月十二日、東北電力女川原発二号機で、昨年五月に穴が見つかり交換した配管の同じ場所に、再び縦十一ミリ、横九ミリの穴があいたことが判明しました。発電を再開してから約十カ月で、同じ箇所が破損したことになります。知事は今年の二月議会で、東北電力は十七項目の再発防止策をつくったわけで、県として、会社を挙げて取り組むようしっかり指導すると答弁していますが、しっかり指導したはずの再発防止策はなぜ機能しなかったのでしょうか。東北電力の配管の肉厚管理に重大な欠陥があるのではないでしょうか。配管の材質や構造を含め、根本的な原因究明をしっかりすべきと思いますが、知事の見解を伺います。 次に、水素濃度の急上昇で手動により緊急停止した女川原発三号機ですが、知事は記者会見で、非常に速やかに停止された、適切な判断をされたと思っていますと述べられました。しかし、十一月十日午後零時十一分、水素濃度が五%を一気に超え、それから三時間後の午後三時十九分に、やっと手動で緊急停止させたのです。空白の三時間は何だったのでしょうか。これが適切と言えるでしょうか。水素濃度が四%を超えると爆発の可能性があると言われています。知事は適切発言を取り消して、今回の事故を重大な問題と受けとめ、安易に機器の取りかえなどで済ますのではなく、総合的で抜本的な原因究明と、二度と同じ事故を繰り返さない抜本対策を東北電力に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、女川原発から、人口放射性物質、沃素131が検出された問題について伺います。 昨年七月十二日以来、原発の前面海域から周辺海域、対象海域と調査を行うたびに、複数箇所から沃素131が検出され続けています。十一月二十日に公表された調査結果では、原因は特定されず、究明されていません。自然界には存在しない放射性物質ですから、原因は限られています。予断を持たず、発生源を特定し、汚染の源を取り除き、きれいな海に戻す対策が必要です。風評被害も考えれば、その対策は緊急であり、国にも要請し、共同で原因究明と抜本対策に乗り出すべきだと思いますが、知事の見解を求めます。 なお、放射線の専門家から、東北電力が一部の試料を灰化したことについて、常識では考えられない、とんでもなく間違った前処理方法という指摘がありますが、なぜずさんな前処理が行われたのか。また、これまでも灰化処理することがあったのかどうか、お答えください。 原発問題については、国や東北電力の言い分に追随するのではなく、県民の安全を確保する上からも、専門家を入れた県独自の第三者機関を設置し、安全性を恒常的にチェックできる体制を構築すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 交通公害問題について伺います。 東北新幹線が昭和五十七年に盛岡まで開通して以来二十五年が経過しますが、利便性が高まる一方で、沿線住民からの騒音・振動被害に対する苦情は絶えません。過去において、サッシ取りつけ、クーラーの設置などの対策はとられてきましたが、走行スピードアップなどのもとで、現時点ではほとんど効果もなくなってきている状況にあります。 志波姫のIさんの場合、新幹線開通三年前の五十四年に建てかえた住居が振動により、土台の陥没、ひび割れで家全体が傾き、タイルの破損、ドアや引き戸の開閉不能など、無残な事態をさらしています。 環境省は、昨年五月に、新幹線鉄道騒音の対策等についてを発表し、七十五デシベル以上で残された地域に対策地域を拡大すること、更に環境基準、住宅地域七十ホン以下の達成に向けて対策を進めていく必要があるとして、関係機関に要請しました。しかし、その後の対策は一向に進んでいない状況にあります。 更に重大な問題は、仙台―一関間で行われている夜間走行試験の問題です。営業速度は最大二百七十キロメートルですが、最大三百六十キロメートルの走行試験が、深夜零時から午前五時までの間、人間が最も熟睡すべき時間帯に行われており、特に、乳幼児、病人、お年寄り、受験生などに与える悪影響は甚大となっています。仙台を出て、ちょうど最高時速となる志波姫十文字地区住民の要望に基づき、栗原市が今年五月二十二日の深夜に実施した騒音測定結果によれば、午前零時三十分に時速三百五キロで通過した下りの一本目は、は五十メートル地点で七十四デシベル、午前二時十分に時速三百二十五キロメートルで通過した二本目は七十五デシベルを記録しており、深夜の突然の轟音が与える影響の深刻さははかり知れません。関係当局は、夜間の環境基準はないなどと居直っていますが、夜間走行は想定されていないことを意味しているのであり、こんな無法が許されてよいはずがありません。 以上のような新幹線公害に苦しむ県民の苦難を一日も早く軽減するために、県が直接調査に乗り出すことを含め、解決に全力を挙げるべきと考えますが、いかがでしょうか。 仙台空港アクセス鉄道が三月に開業したのに伴い、仙台市が開業後の三月に行った調査によれば、中田西浦踏切は、午前七時台の遮断時間が六分三十九秒延び、四十分三十六秒となり、あかずの踏切の目安とされる一時間当たり四十分を超えました。その後、市民団体が通行人や付近住民に行ったアンケートでは、八割に上る方々が渋滞への怒りを表明し、立体交差化などの早急な対応を強く求めています。JR東日本仙台支社は、今月十四日、中田西浦踏切と名取塩手街道踏切の二カ所の自動制御を年度末まで改良し、遮断時間の五分程度の短縮を図ることを発表しました。しかし、抜本対策は立体交差化などの措置をとる以外にありません。仙台市は、県、JRの三者で問題解決に向けた協議を行っていると回答していますが、いかなる方向で協議を行っているのか、県の責任ある答弁を求めるものです。 次に、日米共同方面隊指揮所演習ヤマサクラ53が、十二月八日から十七日まで仙台駐屯地で行われる問題です。 東北方面隊三千五百名と米軍海兵隊など千五百名の計五千名が参加するもので、宮城で行われる指揮所演習では最大規模のものです。県への通知がいついかなる形で行われたのかを確認したところ、自衛隊が十一月十二日に県警記者会へ報道各社殿というお知らせ文書を届け、その後に同一の文書が県にも渡されたということです。地元自治体に対し、このようなついでに知らせるといった対応がまかり通っていることは、極めて重大であり、これでは県民の安全安心に責任を負うことができません。演習内容の詳細など、きちんと報告を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。 私どもは、今回の演習を周辺町内会の回覧版で初めて知りました。それには緊急の場合、夜間仙台駐屯地へのヘリ離発着が予想されますと一方的に記されていますが、自衛隊側から、夜間離発着の可能性について説明を受けているのかどうかお答えください。周辺住民は大変不安を持っています。県として、夜間離発着をやらないように申し入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、
王城寺原演習場での米軍実弾演習の際に、協定違反のジョギングが中止の要請を受けても平然と続けられた経緯がありますが、米軍の夜間などの外出禁止措置はきちんと確認されているのでしょうか。 昨年、熊本県で行われた指揮所演習ヤマサクラ49には、九州、沖縄各県の国民保護計画担当職員が招請され、見学するという事態が発生しました。今回の演習では、そのような計画があるのかどうか確認したいと思います。 これまでの指揮所演習でもシナリオが公表されることがなく、今新テロ特措法をめぐる国会審議を通じて、米国との関係などについて改めて議論がされています。こうしたときに日米軍事同盟のもとでは仕方がないとするのではなく、平和憲法と県民の安全を何よりも優先し、知事として、日米共同演習の中止をきっぱり求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。 以上で、壇上からの私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 遠藤いく子議員の一般質問にお答えをいたします。大綱五点ございました。 私からは、まず初めに、大綱二点目、深刻化する農業問題についての御質問にお答えをいたします。 初めに、現下の農業情勢に対応して、生産者米価の引き上げなどの抜本的な施策が必要であるとの御質問にお答えをいたします。 本県は、我が国の食料供給基地として、これまで、農産物の安定供給に努め、収益性の高い安定した水田農業の確立に向け、需要に応じた計画的な米の生産を基本としながら、麦、大豆などの効率的な作付拡大、園芸・畜産の振興に積極的に取り組んできたところであります。また、今年度からスタートした経営所得安定対策を契機に、水田農業の構造改革を加速化させるため、関係機関・団体が一丸となり、担い手確保や新たな作目の導入などに積極的に取り組んでまいりました。 しかしながら、昨今の米価下落や原油等の高騰は、これまでにない大幅なものであり、生産者の経営努力や県の施策の対応だけでは限界があることから、先般、国に対し農業経営の安定化に関する提案をしたところであります。県といたしましては、今後、国の施策の検討状況を注視し、米価下落の大きな要因である生産調整の実効性が確保されるよう、米需給の均衡を図る取り組みを着実に実施してまいります。 次に、米価下落対策と地産地消等に係る食材費補助等の抜本的施策についての御質問にお答えをいたします。 ことしの米価下落は全国的な問題として、米の消費量の減少や生産調整に参加しない生産者の過剰作付などにより、米の需給バランスが崩れたことに起因するものであり、お話のありました輸入米については、量的に見て米価下落の大きな要因ではないと考えております。一方、政府米買い入れについては、今回のように積み増しすることにより、米価下落の一定の歯どめにつながっていると考えております。 しかしながら、米価の維持の最も有効な対策である生産調整の確実な実効性の確保については、県独自の対応では困難であり、全国的な取り組みが必要となることから、先日、国に対して提案を行ってまいりました。今後もあらゆる機会をとらえ、米価下落防止のための対策を国に対し要望してまいります。 県といたしましては、品目横断的経営安定対策や稲作構造改革促進交付金など、既存の米価下落対策の制度を十分活用するほか、売れる米づくりや収益性の高い園芸作物等への転換を推進するなど、農業経営の安定が図られるよう支援してまいります。 また、県産品活用に対する食材費補助等については、学校給食への地場野菜など農産物供給システムの構築や、県産米導入に係る差額補てんの支援などを行っております。食材費補助等の抜本的施策については、厳しい財政状況から難しいものと考えておりますので、今後とも、地域の農林水産物や食文化についての県民の理解を一層深め、県産食材の普及、消費拡大に努めてまいります。 次に、BSEの全頭検査継続に関する御質問にお答えをいたします。 宮城県食肉衛生検査所では、年間約五千頭のBSE検査を実施しております。そのうち約半数の二千五百頭が二十カ月齢以下の牛で、その九五%は、北海道を初めとする県外産のホルスタイン種であります。また、食肉は広域的に流通することから、その安全安心の確保については、全国で統一した対応をすることが必要であります。したがいまして、本県における二十カ月齢以下の牛のBSE検査については、全国の自治体の状況を踏まえながら、継続して実施するか否かを決定してまいりたいと考えております。 大綱三点目、女川原発の安全性確保についての御質問のうち、私からは、水素濃度の上昇により緊急停止した女川原発三号機について、適切発言を取り消し、総合的で根本的な原因究明と抜本対策を東北電力に求めるべきとの御質問にお答えをいたします。 今回の事象は、女川原子力発電所三号機において、定期検査の最終段階となる調整運転中に気体廃棄物処理系の水素濃度が異常に高くなったことから、あらかじめ作成しておりました運転手順書に従って手動停止したものであります。 また、適切とする私の発言を取り消すべきとの御意見ですが、事象が発生してから停止するまでに要した時間は、当該手順書に従った点検操作を行った結果であるとのことであり、妥当な措置であったものと理解しております。 なお、現在、東北電力株式会社において原因を調査中であると伺っておりますが、その結果及び再発防止対策については、地元住民及び県民に対してわかりやすく説明するよう求めているところであります。 次に、大綱四点目、交通公害問題についての御質問のうち、新幹線の騒音・振動公害と深夜試験走行に関する御質問についてお答えをいたします。 現在、東日本旅客鉄道株式会社では、来年三月まで、将来の高速化に向けた安全性の確認と騒音・振動の低減等のための深夜試験走行を行っておりますが、この深夜走行に伴う騒音・振動に関しては、法律の規制がございません。しかし、沿線住民の就寝の妨げになるなど生活に影響がありますことから、宮城県では、東北・上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策十県協議会を通じて、JR東日本本社や仙台支社に対して、深夜走行の中止や自粛を要請してまいりました。その結果、JR東日本では、ことし六月からは、深夜試験走行の回数を一日三往復から二往復に減らしておりますが、今後も、深夜試験走行の早期終了と騒音対策の促進について、地元自治体と連携を図りながら、JR東日本仙台支社に対して要請してまいりたいと考えております。 次に、大綱五点目、日米共同指揮所演習についての御質問のうち、日米共同演習の中止を求めるべきとの御質問にお答えをいたします。 日米共同演習は、日米安全保障条約に基づき、国の責任のもとに、昭和五十六年度から実施されているものであり、我が国の安全保障上必要な訓練であると認識をしております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 総務部長三浦俊一君。 〔総務部長 三浦俊一君登壇〕
◎総務部長(三浦俊一君) 私から、大綱五点目、日米共同指揮所演習に関する質問のうち、担当職員の招請があるかどうかの御質問にお答えいたします。 県では、自衛隊とはこれまでも大規模災害時の派遣や九・一総合防災訓練などにおいて、日ごろから連携協力を図ってきているところであります。今回の演習に際しまして、本県に見学の案内がありましたが、大規模災害時における指揮系統のあり方や図上訓練の手法を検討する上で参考となる訓練であることから、担当職員を参観させる予定としております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 企画部長小林伸一君。 〔企画部長 小林伸一君登壇〕
◎企画部長(小林伸一君) 大綱五点目、日米共同指揮所演習についての御質問のうち、演習内容等の報告についての御質問にお答えをいたします。 日米共同指揮所演習につきましては、ことし十一月から十二月にかけて仙台駐屯地で実施される旨の連絡が、この五月に陸上自衛隊東北方面総監部からありましたが、更に具体的な日時、参加人員等につきまして、先月の公表に際し、自衛隊側から説明がございました。その際に、より詳細な内容について情報を求めましたが、防衛上の機密事項であるとの理由により、公表内容以上の情報は得られませんでした。 県といたしましては、県民の安全安心を確保する上で必要な情報につきましては、今後とも自衛隊に対し可能な限り公開を求めてまいります。 次に、夜間のヘリ離発着及び米軍の夜間外出禁止措置についての御質問にお答えをいたします。 今回の日米共同指揮所演習における夜間のヘリ離発着につきましては、特に自衛隊からの説明はありませんでした。自衛隊に確認いたしましたところ、夜間のヘリ離発着については、急病人が出たときなど、あくまでも緊急時の対応であるとのことでありました。やむを得ず夜間のヘリ離発着を行う場合は、騒音対策や事故防止対策など、周辺住民の安全安心が確保されるよう、自衛隊に対し改めて申し入れを行ったところであります。 また、米軍の外出禁止措置の問題につきましては、指揮所演習においては、夜間などの外出禁止措置は講じていないが、外出時の門限を設けるなどの対応は行っているとのことでありました。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君)
環境生活部長三部佳英君。 〔
環境生活部長 三部佳英君登壇〕
◎
環境生活部長(三部佳英君) 大綱三点目、女川原発の安全性確保についての御質問にお答えいたします。 初めに、女川原子力発電所二号機の配管に穴が発見されたことについて、根本的な原因究明を行うべきとのお尋ねにお答えいたします。 今回の事象は、結果的に昨年の原因究明、再発防止対策が不十分であったと考えざるを得ず、まことに遺憾であると思っております。県としましては、東北電力株式会社に対して、根本原因の徹底調査と再発防止を強く要請したところであります。 当該事象は、高圧第二給水加熱器内に蓄積したサビ等により排水系がふさがった場合、水が流れにくくなり、水位が上昇することから、接続されたベント配管に多量の水滴が流れ込み、下流の曲がり部に相当の衝撃を与えやすい構造であったことが原因であるとの中間報告を受けております。 なお、このことにつきまして、緊急に国や県、地元の市町に最終的な報告があると伺っており、調査結果に基づいた根本的な再発防止対策を講ずるよう求めてまいります。 次に、沃素131の検出に関して、国と共同で原因究明と抜本対策を行うべきではないかとの御質問にお答えいたします。 まず、これまでに行ったアラメ中の沃素131の調査結果では、女川原発の前面海域から遠く離れた比較対象海域で高い値を示していることや、その他の人口放射性物質が検出されていないことなどから、女川原発に起因するものではないものと考えております。 一方、沃素131は、医療用として近年使用量が増加傾向にありますことから、患者の排せつ物を通して環境に拡散した結果、検出された可能性があると考えております。このような事例は、原発立地地域以外にも見られているため、県といたしましては、国の責任において発生源等の原因調査を行うよう要請しているところであります。 次に、沃素検査に係る前処理についての御質問にお答えいたします。 試料の通常の検査方法としては、複数の人口放射性物質を高感度で測定する必要があるため、試料を灰化処理することとしております。しかし、灰化処理は長時間を要し、処理過程で沃素の一部、二〇%程度が失われることから、沃素131の検査を目的とする場合は、生試料のままで測定する手法を追加することとしており、今回もこのような手法に基づいて行ったものであります。 次に、県民の安全を確保する上からも、専門家を入れた県独自の第三者機関を設置し、安全性を恒常的にチェックできる体制を構築すべきとの御質問にお答えいたします。 原子力発電所の安全性は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び電気事業法等に基づき、国の責任において確保されることになっております。 県といたしましては、東北電力との安全協定に基づき、学識経験者などを委員とした女川原子力発電所環境保全監視協議会及び女川原子力発電所環境調査測定技術会を活用しながら、周辺環境の監視や調査結果等の評価を行うことにより、周辺住民の安全の確保に努めているところであります。 また、国に対しましては、全国の十四道県で構成する原子力発電所関係団体協議会を通じて、住民の安全安心を確保し、原子力に対する信頼を回復するために、安全規制を行う組織の独立性を高めるよう求めるなど、我が国の原子力安全規制体制の強化等について強く要望しているところであります。 今後とも、立地地域住民の目線で原子力発電所の安全確保等に一層努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上であります。
○議長(高橋長偉君)
保健福祉部長鈴木隆一君。 〔
保健福祉部長 鈴木隆一君登壇〕
◎
保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱一点目、子育て支援についての御質問のうち、妊婦健診への県の助成についてのお尋ねにお答えをいたします。 妊婦健診は母子保健法に基づく市町村事業であり、公費負担による健診回数や内容については市町村が決定しております。県といたしましては、国からの公費負担による健診は五回程度が望ましいとの技術的助言を踏まえて、市町村に対する情報提供や意見交換を行ってまいりました。妊婦健診に対する県独自の助成制度につきましては、現在の県の財政状況を踏まえると難しいものと考えております。 次に、妊婦健診の啓発についてお答えをいたします。 県といたしましては、妊婦が健康診査を受けることは、母体や胎児の健康確保のためにも大変重要であると考えておりますので、今後とも広報啓発に努めてまいります。 次に、助産施設をふやすべきとのお尋ねにお答えをいたします。 助産施設につきましては、地域的に均衡ある配置となっていると考えておりますが、利用者の利便性の観点から、その指定について積極的に対応してまいりたいと考えております。 次に、妊産婦への支援として、妊娠の届け出から出産の翌月末までを対象期間とした医療助成制度を創設すべきとの御提案でございますが、現在の県の財政状況を踏まえると難しいものと考えております。 次に、子ども専用相談推進事業の継続についての御質問にお答えをいたします。 子ども専用相談推進事業は、子供の専用相談にノウハウを持つNPOとの協働により、子供から寄せられた相談内容を分析するとともに、相談援助者の養成等を行うものであります。この事業は、子供たちの声を、今後改正予定の新みやぎ子どもの幸福計画に反映させることを目的に、平成十七年から平成十九年までの三年間の時限的な事業として実施してきたものでございます。来年度以降は実施しないことにしてございます。 なお、これまで業務を委託してまいりましたNPO法人からは、民間の助成金を活用して引き続き電話相談を行っていきたいとの意向でございまして、現在手続中と伺っております。 次に、乳幼児医療費助成制度についての御質問にお答えをいたします。 乳幼児医療費助成事業は、子育て家庭への経済的支援として重要な施策の一つであると認識しております。しかしながら、現在の県財政状況からすれば、通院の就学前までの拡大や、所得制限の段階的な撤廃について実施することは非常に困難であることを御理解をいただきたいと思います。 更に、国の制度となるよう積極的に働きかけてはどうかとの御質問ですが、全国知事会等を通じて、乳幼児医療費の負担軽減について国に要望してございます。 次に、子育て支援拠点事業の補助についての御質問にお答えをいたします。 この事業は、子育て支援にとって重要な施策であると認識しており、充実すべきものと考えております。御指摘のありました今年度補助対象となっていない施設につきましては、国の補助制度の改編によって補助要件を満たさなくなったことや、要望がなかったことなどによるものです。 県といたしましては、厳しい財政状況の中ではありますが、未設置市町村への設置を優先にしながら、地域子育て支援拠点施設の充実に努めてまいります。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君)
農林水産部長伊東則夫君。 〔
農林水産部長 伊東則夫君登壇〕
◎
農林水産部長(伊東則夫君) 大綱二点目、深刻化する農業問題についての御質問のうち、原油価格高騰対策についての御質問にお答えいたします。 原油価格については急激な高騰を続け、高どまりの状況で推移していることから、県としても、農林水産業者に対する影響は深刻なものになっていると認識しております。県としましては、県庁内に設置している原油価格高騰対策検討会において、原油価格高騰に関する情報の一元化を図りながら対策の検討を行っているところであります。 原油価格高騰は全世界的な問題であり、農林漁業者の経営努力や県の取り組みのみでは解決が困難な問題であります。このため、漁業については、国に対し、ことし六月に燃油高騰対策について要請を行い、更に、県と関係団体等で構成する原油高騰に係る研究会を立ち上げ、燃油高騰に対する具体的な対策等を検討しております。また、農業については、国に対し、先月二十日に、米価下落・WTO農業交渉等農業経営の安定化に関する提案書の中で、原油及び飼料価格高騰対策について提案を行ったところであります。 今後とも、関係機関等と連携を図りながら対策を検討し、引き続き国への要請活動も実施してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 土木部長三浦良信君。 〔土木部長 三浦良信君登壇〕
◎土木部長(三浦良信君) 大綱四点目、交通公害問題についての御質問のうち、アクセス鉄道開業に伴うあかずの踏切問題についてのお尋ねにお答えいたします。 南仙台駅周辺の抜本的踏切対策については相当の時間を要すると考えられることから、県、仙台市及びJR東日本の三者により、早期に取り組むべき踏切対策について話し合いを行ってまいりました。この中で、JR東日本では、中田西浦踏切等の遮断時間の短縮を図るため、ツードアからスリードア車両への導入促進や、南仙台駅での乗降時間の短縮への働きかけを強化するなど、可能な対応策について実施してきております。更に、今年度内を目標に、信号システムの改良により中田西浦踏切等の遮断時間を短縮する準備を進めてきております。また、道路管理者である仙台市においては、既存道路への分散や立体道路への誘導策の検討を進めてきております。 県といたしましては、今後とも、仙台市やJR東日本と連携しながら、当面対応可能な対策の実現に向けて取り組んでまいります。
○議長(高橋長偉君) 教育長佐々木義昭君。 〔教育長 佐々木義昭君登壇〕
◎教育長(佐々木義昭君) 大綱一点目、子育て支援を県政の柱についての御質問のうち、特別支援学校における妊産婦教職員についてのお尋ねにお答えをいたします。 妊娠者の健康保持については、県教育委員会としても配慮していかなければならない重要な問題であると認識しております。現在、妊娠者に対する負担の軽減として、全校種の体育担当の教員については、体育実技の授業時間について非常勤講師を配置しているところでございます。 また、特別支援学校においては、複数教員がチームで児童生徒を指導しており、介助などが必要な場合には、チーム内で他の教員が行うなどの配慮もしております。 体育実技以外の勤務一般に代替職員を配置することについては、妊娠した本務教員の業務の分担をどのようにするかなど検討すべき課題があることから、県教育委員会としましては、これまでの取り組みも踏まえ、今後検討を重ねてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。
◆十三番(遠藤いく子君) 御答弁ありがとうございます。 個別問題に入る前に知事にお伺いしたいんですが、経済的基盤の安定は大変重要なことですが、子供たちは、未来を背負っているだけではなく今を生きておりますので、とりわけ子供の成長と発達はその時期でなければならないという、そういう問題です。ですから、いろんな理由でできないということではなく、そのこと自体に独自的に取り組むという姿勢が私は大切だと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 決して何もやらないと言っているのではなくて、何度もお話ししておりますように、将来ビジョンに掲げ、行動計画に示し、各種施策に落としていろいろ取り組んでおります。ただ、当然ですけれども、何でもできるというような今状況ではないということも、議員御理解いただいているとおりでございますので、その中で、優先的なものをしっかりととらえながら課題に取り組んでいると、そのように理解していただければと思います。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。
◆十三番(遠藤いく子君) 子育て支援の中で、入院助産制度の問題について、ただいま積極的に対応したいという御答弁があったんですが、それは指定施設をふやすことも含めて理解してよろしいのでしょうか。
○議長(高橋長偉君)
保健福祉部長鈴木隆一君。
◎
保健福祉部長(鈴木隆一君) そのように理解していただいて結構だと思いますが、私どもの方では、いわゆる医療法に基づく病院ですね、病院の方から申請があれば、知事あるいは仙台市長がそれを指定をするというシステムになってございますので、むしろ我々としては、申請いただくのを歓迎したいという立場でございます。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。
◆十三番(遠藤いく子君) 続いて、特別支援学校における妊産婦の代替教諭の問題ですが、ただいまの御答弁の中で、どのように分担などをしていくかなど検討を重ねたいという御答弁でしたけれども、産休に入る前に病休をとって、それで体の安全を確保して産休に入っているという実態についてぜひ調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(高橋長偉君) 教育長佐々木義昭君。
◎教育長(佐々木義昭君) 調査してほしいということでございますけども、実態についてはいろいろ学校からもお伺いしておりますので、調査までする必要はないのではないかと思っております。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。
◆十三番(遠藤いく子君) よくわかっておられるということであれば、その切実性も十分御認識だと思いますので、そこのところをしっかり前提にしてやっていただきたいというふうに思います。 次、地域子育て支援センターの問題ですが、先ほど補助要件を満たさなかったという御答弁がありましたけれども、これはどういうことでしょうか。
○議長(高橋長偉君)
保健福祉部長鈴木隆一君。
◎
保健福祉部長(鈴木隆一君) 十三年度から十九年度にかけて、仕組みといいますか、十八年度までは集いの広場でありますとか、あるいは地域子育て支援センターの従来型とか小規模型という区分でございましたけれども、それが十九年度からは、子育て支援拠点施設ということで、広場型とかあるいはセンター型というようなことで、制度が若干変わってございます。そういう中で、補助基準も変わってございましたので、合致しないところが出てきたということでございました。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。
◆十三番(遠藤いく子君) この問題については、私、直接厚労省に出向いて確認をしておりますが、それによりますと、政府は、この子育て支援センターについては、だれでも歩いて行ける距離につくるということが基本だと答えておりました。特に、年度途中の申請ならば、月割りの申請が可能だから、それが要件の満たさないものにはならないし、年度途中であっても、新規のものでもどんどんしてほしいというふうに考えていると。むしろ、政府として、これを抑制すると、一自治体に一つだというような枠はかけていないということは、十一月に行ってまいりまして確認しておりますので、私はぜひこれを、未実施自治体に限らず、どちらにしても、平成二十一年までの目標があるわけですから、ぜひ申請があった分はそれをとらえていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(高橋長偉君)
保健福祉部長鈴木隆一君。
◎
保健福祉部長(鈴木隆一君) 先ほども御答弁させていただきましたけれども、子育て支援というか、子供を取り巻く施策というのは、知事からも私指示受けていますけれども、非常に重要だというふうに考えて我々も対応させていただいております。ただ、先ほど御答弁したように、とりあえず全県下にそういう施設を広げるということを優先に考えていきたいということで、そういう趣旨で御答弁をさせていただきました。我々としては、予算の範囲内で、本当に積極的に、こういうものについては頑張っていきたいというふうに考えてございます。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。
◆十三番(遠藤いく子君) それでは、農業問題について質問いたします。 先ほど知事は、答弁の中で、輸入米は米価下落の要因ではないとおっしゃいましたけれども、実際に年間で七十七万トン、輸入が始まってから七百九十一万トンも輸入されておりまして、これは日本の年間生産量に匹敵するぐらいのものになっていますから、私は、そこもしっかり押さえていかなければならないし、それから特に価格形成センターで十三回目の入札が行われて、米価が若干下落に歯どめがかかって上昇したということが十一月に出ております。これは政府の緊急対策が具体的に功を奏したものだと思っております。 そういう意味では、ぜひ、米価下落を食いとめるための具体的な施策について取り組んでいただきたいと思いますが、知事に一点お伺いしますが、言われておりますように、今、生産者の方々の家族労働報酬が時給では二百五十六円だということで、現在の最低賃金制の金額と比べましても大変な低い金額になっていますが、そういう中で黙々と一生懸命米づくりをしておられる農家の方々についてどういうふうに知事自身は考えられますか。この二百五十六円をどう思われますか。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 時給が二百五十六円という、この二百五十六という数字、私ちょっと初めて聞いたものですから、どういうところから出た数字なのかどうかわかりませんが、それが事実であるというならば、大変低い数字であるというふうに思います。私といたしましては、やはり売れるものをつくる、そしてつくったものをいかにして売っていくのかということが何よりも大切だというふうに考えてございまして、宮城のつくっております農産物、これは非常に付加価値の高いものでありますので、これを高く売れるように、県としても一生懸命お手伝いをしていく、こういう形をとっていきたいというふうに思っております。
○議長(高橋長偉君) 十三番遠藤いく子君。
◆十三番(遠藤いく子君) これは農水省の発表です。 それでは、最後に、原発問題ですが、これについてですが、灰化処理ですけれども、県と電力の両者で調査しておりますので、電力側が灰化処理をしているということについてはどのように認識されておりますか。
○議長(高橋長偉君)
環境生活部長三部佳英君。
◎
環境生活部長(三部佳英君) 昨年の調査のときに、先ほど申し上げましたように、灰化処理をして、どういう成分が、沃素131のほかにストロンチウムとかさまざまなものがございますので、そういったことを分析するためにはしっかりと灰化処理をしてということでございますが、そのあと灰化処理しなくてもといいますか、沃素が出てくることがわかったものですから、生のままで処理して、実験・分析しているという状況でございます。
○議長(高橋長偉君) 暫時休憩いたします。 午後零時二分休憩
----------------------------------- 午後一時二分再開
○議長(高橋長偉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。三十三番須田善明君。 〔三十三番 須田善明君登壇〕
◆三十三番(須田善明君) 議場内に一抹の寂しさを感じながら、この場に立ちましたが、一般質問最終日でございます。通告に従いまして、順次質問をしていきます。 まず、大綱一点目、高校共学化・再編の理念と現実について、お伺いをいたします。 本県学校教育の基礎的概念と位置づけられる、みやぎ新時代教育ビジョンは、今世紀に生きる人間に求められる資質として、生涯にわたって学び続ける意欲、豊かな創造性と自己責任倫理、広い視野と寛容性の三つを定義し、それらと関連させながら、人づくりの面で、主体的に考え生きる人づくり、人々と支え合い生きる人づくり、地球社会を生きる人づくりを本県学校教育の目標として示しています。 この目標に沿い各種プロジェクトを推進する上で、高校教育における具現化のための方法論として県教委が策定したのが、県立高校の共学化と統廃合を含む再編を柱とした県立高校将来構想であります。次年度で制度としての完全共学化が完成され、また、学区撤廃の導入や、それに先行しての単位制高校や中高一貫校のスタートなど、将来構想に掲げられたものを外形的に具体化する作業は、おおむね一段落済んだものと見ていいでしょう。ここで考えなければならないのは、構想の外形的完成が教育現場での実態に反映しているのか、また、どのような課題を生み出しているのか、掲げられた根本理念が共有化され、具現化されているかどうかであると考えます。 まず、共学化について考えていきます。 共学化に伴う施設整備については、できる範囲での取り組みはなされているのでしょうが、実態として生徒のニーズに追いついているのかと言えば、まだまだと言わざるを得ないでしょう。設備が伴わないまま共学化のみが急がれたことから来る弊害や対応し切れない現状を指摘する声が、現場の教職員からも漏れ伝わってきます。こうなることがわかっていたのに、共学化の推進をあえて急ぐ必要はなかったのではとする現場教師の本音を伺うこともあります。 ハード面の限界から、幾つかの共学化実施予定校は、新規の部活立ち上げを行わない旨を表明しています。このような部活をやりたい人は、うちに来ていただかなくて結構ですと公言してはばからない校長先生もいらっしゃいます。物理的な側面からは、ある種当然の発言ではありますが、わざわざ挑発的に言う話なのか、首をかしげざるを得ません。また、共学化実施済みのある学校では、部活動の認定は受けれないにしても、同好会としての立ち上げを生徒が要望しましたが、学校側の事情により受け入れられず、試合に出られる当てもないまま自主的な活動を余儀なくされている事例もあります。共学化実施後、既存の女子部活動に合わせて男子部が発足したある学校では、関係の教師が、「うちの男子部が危うく県大会に出場しそうになりまして」などとPTAに発言してしまった例もあります。 このような現状を見るとき、教育現場はだれのためにあるのかというそもそもの命題を改めて問うていかざるを得ません。県議会を初め関係者が、現在ですら全面的には賛同しかねつつも、やむなく共学化の方針に理解を示したのは、この命題に対する答えが、教育現場は子供たちのためにある、だからであります。にもかかわらず、ごり押ししてでも共学化を進めた県教委の目指したものに反し、ややもすれば現場教師自身が、以前からの自校の姿に固執し誘導しようとしているのではないか、結果としての別学を教師みずからがつくり出そうとしているのではないか、そのような姿が浮かび上がってきます。 教育現場は子供たちのためにあるはずです。学校側のルールはルールとしても、生徒がその中であがき自己実現を果たそうとする中で、成長と人生を歩む礎が養われるのです。生徒の意向やチャレンジしようとする精神を考慮せず、学校側の理屈だけでそれにこたえようとしない教育現場のありようは、果たして生徒にとって幸せなものであるのでしょうか。そのような環境で高校教育を経たとするならば、社会の壁を自分の力で乗り越えようとしない、努力しても制度によって阻まれることを植えつけられた無気力な人間を生み出すことにつながるのではないでしょうか。そうではなく、ハードルがあるならば、生徒自身の力でどのように乗り越え、道を切り開くのかを促すことこそ、教育現場に求められるものと考えます。 次に、再編についてです。 私の地元を例にとりますと、募集停止となる飯野川高校を含めて普通課程を持つ県立高校が全部で六校存在します。この六校の位置づけをどうしていくのか。類型別カリキュラムの編成や別課程の設置などの取り組みもある一方、特に、共学化で誕生した石巻好文館と従来からの共学校である石巻西などは、そのありようとしてどのような差別化がなされるのか、学校側だけの問題ではないものと考えます。 確かに、県教委では各種のプロジェクトを推進しておりますが、率直に申し上げれば、学力向上を主眼とした拠点指定校以外への取り組みについては薄いものと感じざるを得ません。普通課程を持つ各校が競合していくような状況の中で明確にされるべきは、各校が普通課程を通じてどのような人間形成を目指すのか、生徒をどのような人材として社会に送り出そうとするのかのメッセージではないかと考えます。ともすると、よく聞かれる、特色ある学校づくりというフレーズが、学校に任せ切りであり、県教委としてどのような教育環境をつくっていくのかという意思が不在になっているのではと考えるのです。そのことが、前段で申し上げたように、時として県教委と現場意思の乖離につながっているのではないかとも推察します。 女子校から共学化されたある普通課程高校では、男子部活が学校側の意思で設立が難しい中、共学化したにもかかわらず、かえって魅力と活力を失い、既存の共学校に生徒が流れてしまうのではという数多くのOGやPTAの声があります。単位制高校など、仕組みそのものが特徴的である新設校以上に、既存校の普通課程の位置づけを県教委としても具体的に指し示していく必要があると考えます。また、共学化と再編によって目指されるべきあり方が、現実には、その推進により後退させてしまっている側面があることを認識しておく必要があります。 将来構想における共学化と再編は、あくまで県教委が掲げた教育目標達成の手段にすぎません。いま一度、県教委のみならず、各学校と教職員が、本来の目標とそれに伴う将来構想であることを再認識すべきであると考えます。 以下、教育長に質問いたします。 第一点、県立高校将来構想が、みやぎ新教育ビジョンなどで示している教育理念を達成する上でなぜ必要であったのか、改めて考え方をお示しください。 第二点、共学化実施校での現場実態について具体例を何点か示しましたが、目指すべきあり方とそごを来していると言っていい事例をどのように把握されているのか、県教委としてどのような部分に課題意識を持っているのかをお示しください。 第三点、部活動の新設拒否は代表的な例ですが、敷地面積や設備面から物理的な問題があることは重々承知しながらも、受け入れ前から、こうした学校側の事情のみによって断定的な態度をとる姿勢には疑問を持ちます。少なくとも、生徒側の要請に対し学校側が最大限にこたえていこうという姿勢だけは持ってもらいたいと考えますが、現状認識と今後の取り扱いについての所見を求めます。 第四点、特に普通課程について、県教委としての教育ビジョンをより明確化し、その達成へ向けたビジョンづくりと各校との連携メニュー強化を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。 第五点、共学化対応の施設整備が対応し切れていないことは否めません。このことが、共学化を急ぎ過ぎたという周囲の声の一番の原因となっているわけですが、県教委としても不本意でしょう。どのように対処していくのか、力強い答弁を求めます。 この項最後に、関連して、もう一つの将来構想である障害児教育将来構想について質問いたします。 この構想は、障害の有無にかかわらず、共に学ぶ教育を子供や保護者の希望を尊重し展開することを基本理念とし、小中学校での障害児・者教育での方向を定めたものですが、高校教育は含まれておりません。義務教育と後期中等教育の役割の違いなどが理由とされているようですが、現在でも、自発的な高校進学の意欲を持った生徒は数多くいます。これまでの入学受け入れ実績はごく限られたものと認識しておりますが、義務教育段階での統合教育が徐々に取り組みがなされつつある中、高校再編の中で、本県における高校教育での位置づけを明確にしていくべきと考えます。体制や人的資源の問題があるとしても、問われるのは、やろうとするかしないかであります。これまでの方針と今後についてお尋ねします 次に、大綱二点目、漁業用燃油高騰対策と、浜値と流通に移ります。 午前中の一般質問でも若干触れられておりましたが、未曾有の原油価格高騰により産業界全体が影響を受けておりますが、漁業用燃油の高騰は、水産県たる本県の基幹産業である漁業分野にも深刻なダメージを与えています。漁業用であるA重油価格は、ガソリンなどに比べ原油相場の影響をもろに受けやすく、倍以上のインパクトを受けます。 漁業では、生産原価に占める燃料費割合が他産業と比し圧倒的に高く、物流関係でも五ないし八%程度なのに対し、漁業ではおおむね二〇%以上、漁業種別では三割を優に超えるものもあります。加えて、多くの魚種は、漁獲努力量の設定で総量の増産が不可能、漁業区域は細かく設定され、操業面積の拡大も不可能、更に、漁業生産物は、その多くが市場を介して価格が決定され、漁獲物の価格形成に生産者意思が極めて反映しがたいという特質があり、その上、魚価安である漁業を取り巻く現状において、我が国の漁業は、大げさでなく存亡の危機を迎えております。 これまで国では、省エネ対策や供給効率化による燃油価格の低減を図る取り組みをしてはおりますが、大きな成果は見られていないのが実態です。 我が会派では先月、漁業燃油高騰対策への要請を漁業団体や関係団体から受けたことを踏まえ、県漁協などとも協議をしながら早急に対策を検討、政府・与党に対し要請を断続的に行ってまいりました。特に、漁業用燃油価格の平準化を意図とする燃油価格調整基金の創設造成と、省エネエンジン開発などの漁業の特に内燃機関の省エネルギー化に係る技術開発を国が率先して行うことの二点を強く訴えてきたところであります。一方、宮城県漁協と関係団体による燃油高騰対策に係る県陳情が過日実施されましたが、対応なされた伊藤副知事からは、前向きな取り組みを行う旨の発言がなされております。県側の取り組みが強く求められております。 ここまでについて質問いたします。 第一点、国に対し、燃油高騰対策の実施を県側からも強く要請願います。私どもでの具体の提案事項二点については、現在、与党側のプロジェクトでも俎上に上がったようであります。連携も含めた積極的な対応を望みますが、知事の姿勢をお示しください。また、他都道府県との連携した運動展開も重要です。現在の状況と、これからの取り組みを願います。 第二点、国が打ち出す対策によっては、県や市町村に対し財政出動も含めた応分の対応が求められることも想定しますが、財政厳しき折ではあっても柔軟な対応をしていただくことを求めますが、いかがでしょうか。 第三点、燃油価格高騰対策に加え、漁業経営体に対する保証枠の拡大などによる金融支援を求める声もあります。まずは、最低限できる金融支援としては、既往借り入れの償還延長の実施などがありますが、効果の有効性の分析も含め、現下での金融支援実施への考え方をお示しください。 続いて、この項の浜値と流通について述べます。 燃油価格の高騰が漁業経営を圧迫していますが、根本に存在するのは魚価安です。特に、昨年ノロウイルスによる風評被害でダメージを受けた本県産カキの価格は、例年を下回る状況が続いており、消費拡大が望まれますが、現実には、減産による価格調整の努力を余儀なくされているところです。このような浜値が続く中、そうかと思えば、ある大手スーパーなどでは、生ガキが一パック当たり五百円超と、例年と変わらない小売単価で店頭に並んでいます。この差額は一体どこに行くのでしょうか。 本年八月、大手小売チェーンであるイオングループが、生活関連主要百品目の価格凍結宣言を打ち出しました。生活応援の一環として、原油価格・穀物価格高騰や、それに伴う製品価格の上昇する中、販売価格を凍結するというものです。これに対し、食品スーパー、ライフコーポレーションの清水会長は、国際的に原材料価格が高騰していることから、常識的な範囲内で値上げを認めてあげなければ製造業は成り立たないと、生産現場の現状と製品の仕入れ価格値上げに理解を示し、その上で、ある程度、皆が自制し合って良識ある企業経営をすべきだともしています。全く同感であります。 原始的経済学では、製造原価に加え労働などの価値移転の結果が商品の付加価値や価格に反映され、これが、需給などにより最終的な市場価格が形成されますが、現代の実体経済では、更に複雑多岐の要素により取引と価格形成が行われます。商品力よりも生産、物流、小売流通の間での力関係で大きく左右されることも頻繁です。 前述のどちらの場合も、結局は、小売圧力による生産現場や物流へのコスト転嫁や小売側の利益確保と自社リスクの極小化をねらうものであり、生活応援という言葉に代表されるような消費者利益の代弁に聞こえそうなものが、実態としては、消費者重視の名をかりた小売流通側の都合による販売論理に思えます。確かに短期的には消費者利益にかなうものではあるかもしれませんが、最終的には、消費者全体の購買力を低下せしめるものであり、政治的立場から見れば、
スケールメリットを生かした、せつな的な戦略であると危惧します。 一方で、小売流通大手の動向は、価格相場と消費動向に極めて大きな影響力を持つのも現実であり、生産者などは、商品力を向上させながらこれとうまくつき合っていくことも必要です。ただし、前述したように、仕入れ値と販売価格が大幅に乖離しているような状況は、さまざまな努力で是正されるべきでもあります。最終的には、消費者がそれぞれの意識の中でどのような選択をするかにかかってくるのでしょう。 水産物を例にとりましたが、このような現状に対し、行政側には少なくとも課題意識だけは持ってもらいたいと思いますし、更には、民間商取引だからと及び腰になるのではなく、望まれる役割を果たすべきと指摘しながら、以下、質問をいたします。 第一点、生ガキなど漁業生産物の浜値と小売価格の乖離について、どのような認識をお持ちか、当局の認識をお示しください。 第二点、価格凍結宣言に代表される大手流通の手法についての所感を求めます。 第三点、最終的にどのような購買行動をなすかを決めるのは、当然ながら消費者です。消費者の気づきと行動こそが、地域経済の低迷を打破する一つのかぎであると考えます。そのためにも、地産地消という考え方は重要であり、現県政の目指す富県へもつながっていきます。具体の仕掛けづくりが必要です。以前にも提案しましたが、地産地消の日や推奨日を月一回制定し県民意識の醸成を図るべきと考えますが、知事のお考えをお示しください。 大綱三点目の、入札制度について伺います。 去る十一月一日、入札制度の一部改定が行われております。失格要件の変更や総合評価入札方式における地域要件点数の拡大など、現場実態を踏まえた改定であることは、一定の評価がなされるでしょう。 まず、以前にも質問をしておりますが、予定価格の事前公表について伺っていきます。 これについては、変更しない姿勢を当局は貫いています。不祥事防止には確かに効果が大きい事前公表制ではありますが、そのことによる弊害は依然として存在し、なおかつ拡大する嫌いがあります。県発注の普通建設事業費が減少の一途をたどる中、激しい受注合戦がなお繰り広げられていますが、以前から指摘されているとおり、事前公表制度が数字合わせに偏った応札を促し、積算力の向上など、事業者の企業力育成という観点を損なわせるのは否めません。また、旧来からの参加事業者の拡大により、本県とはほとんど無縁の、名前を聞いたこともないような事業者の入札参加がまだまだ目立ちますが、地元事業者と比し、仮に同額の応札であれば、一般論からすれば管理費等の掛かり費用はかさむはずです。この場合、当然、利益率は地元事業者の方が高まることになりますから、富県という県政戦略の視点からいっても、地元事業者が落札した方が、県側、事業者側双方にとってメリットになります。総合評価入札方式の今次改定は、このようなこともとらえてのことだと認識していますが、非総合評価型では、依然として価格のみが判断基準とならざるを得ません。県経済への波及効果を考えれば地元企業に落札してもらった方がいいのですが、予定価格事前公表制度がある面ではそのことを妨げてもいます。 県内建設事業者における、場合によってはマイナスをも示す極度の利益率の低下は、経済環境以上に、現在の契約制度によってもたらされている側面も強く存在します。そもそも予定価格の事前公表は、不当な働きかけや強要など、主に発注者側に対する不正行為を阻止するものであり、発注者の立場を守るものと言えます。もっと言うと、予定価格を事前公表しようがしまいが、事業者間での談合は行われ得るのであり、このことについて予定価格の事前公表は余り意味をなしません。もし落札率のことを心配する人がいれば、それは、受注事業者を慈善事業か何かと勘違いされている方でしょう。過去にも申し上げていますが、民間事業者はもうけたいのであります。事前公表が行われるようになった当時と現在とでは、取り巻く環境が激変しています。発注量が少ない中で談合をしても、うまみは当然薄くなるでしょう。不正防止の各種対策は、一定以上に機能しているものと認識しますし、予定価格の事前公表のあり方について再検討してみる時期ではないかと考えます。 続けて、公共工事設計労務単価です。 普通作業員単価は、平成九年の一万九千円をピークに、本年度は一万二千二百円、実に三分の二以下です。これは設計労務単価ですから、実際に支払われる賃金はこれより低いものと推定されます。労務単価を初め各種設計単価は、前年度実勢価格をもとにはじき出されるので、建設不況に加え激しい受注合戦で、当然ながら実勢単価は下落傾向となります。それを踏まえた単価の設定ですから、当然、設定単価そのものが下落していくことになります。まさに制度によるデフレスパイラルです。 特に、労務単価は作業員の生活に直接的な影響を与えるものであり、ある種、一番苦労している現場作業員の賃金が、発注制度によって抑制・圧迫され続けてきたことになり、行政が発注する事業でこのようなことが続くのは、大変遺憾なことであります。現況の改善が急務と考えます。 具体的に二点指摘しましたが、今回の制度改定では、まだ至らざる負の部分の改善を強く求め、以下、質問をいたします。 第一点、今回の入札制度改定の基本的な意義を改めてお示しください。 第二点、総合評価方式の簡易型・標準型における地域要件について、今回は評価点で三点分の拡大が図られましたが、項目として、県内道路の除融雪実績とCSRの実績が加えられています。この場合、年度によっては全く実績として残らなくなることも想定されます。災害時貢献項目の取り扱いも含めて、例えば、事業者単体や加盟団体での災害協定の締結などの客観要素による評価が妥当であり、評価項目の中で要素として取り扱うべきと考えますが、いかがでしょうか。 第三点、予定価格の事前公表におけるデメリットについての認識をお示しください。その上で、試行的に非総合評価型入札での事前公表を中止し、その効果を検証してみるべきと考えますが、いかがでしょうか。当方の認識する事前公表の弊害は前段で申し上げたとおりです。見解をお示しください。 第四点、設計労務単価について歯どめをかける必要があります。現制度により、発注者が現場作業員の収入を縮小させるような悪循環は看過できません。現在の単価より高い水準に最低単価を設定するなどの対策が、県民生活を考えた場合、急務であります。積極的な答弁を求めます。 最後に、核燃料税について伺います。今野議員の二十回シリーズには及びませんが、私も八年間で十回目の質問となります。ぜひ、今回最終章ということになればと思いますので、いい答弁を期待するところでございます。 さて、今定例会に提出されております核燃料税条例議案は、次年度以降、五年間における核燃料税率を現在より二%引き上げ、一二%とするものです。五カ年での税収は四十六億円強から四十七億円が予定されており、新規徴収の次年度より、かねてからの地元の念願でありました立地自治体への定率配分実施を知事は表明をされています。改定に当たり総務省へ提出された財政需要計画には、放射能監視に伴う費用や環境対策、
民生対策などが盛り込まれており、総額二百億強の全体事業費中、核燃料税を加えた県分の事業費は約半分です。 前知事時代にこの場で申し述べたとおり、核燃料税は、原発立地に伴う財政需要を補う目的で原発事業者から徴税するものですが、計画自体には、原発立地に伴って発生したわけではない事業費目も組み込まれています。民生安定対策などの観点から組み込まれているものもあろうかとは思いますが、一昨年の宮城沖地震における原発停止に起因し税収減も発生をいたしました。 核燃料税を財源とする事業のあり方については、これまでも要請したように、女川町並びに石巻市との意識の共有が必要と考えますし、そのことにより、より円滑な原子力行政が実現できるものと考えます。五年前の核燃料税条例提案時よりは立地自治体に対する県側の説明は改善してきたとは言えますが、個々の実施事業のあり方については、いまだ共通理解が不十分と感じる部分もあり、今後の事業推進又は採択上、より密接な協議を行う必要があると考えます。 以下、質問をいたします。 第一点、定率配分について、実施方法と五カ年での交付予定額をお示しください。また、定率配分実施までの間、特例起債を行ってきていただきましたが、今後の取り扱いについて御説明を願います。 第二点、財政需要計画について、
民生対策事業にある従来からの地域需要であります離島航路維持補助事業、生業安定対策での栽培漁業センターや種苗生産費などが盛り込まれていますが、需要計画における事業計上に当たっての考え方をお示しをください。 第三点、核燃料税の運用に当たっては、特に、個別事業の取り扱いについては立地自治体との密接な協議と相互理解を深めるよう求めますが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。 以上、通告申し上げました四点につきまして壇上より質問をいたしました。再質問の必要がない明快な答弁を期待しながら、一般質問を終えさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 須田善明議員の一般質問にお答えをいたします。大綱四点ございました。 私からは、まず初めに、大綱二点目、漁業用燃油高騰対策、浜値と流通についての御質問にお答えをいたします。 初めに、燃油高騰対策の取り組み姿勢についての御質問にお答えをいたします。 最近の漁業用燃油価格は、多くの漁業者が倒産に追い込まれていった第二次オイルショック時の価格を超えており、漁業の存続はもとより、水産業を基幹産業としている地域経済に大きな影響が出るものと認識しております。 燃油高騰対策として、お話のありました緊急対策としての燃油価格調整基金制度の創設や、抜本対策としての内燃機関の省エネルギー化の技術開発は、県といたしましても、その実現が極めて重要であり、国の強いリーダーシップのもと、早急に対策が講じられなければならないものと考えております。こうしたことから、議会とも連携しながら、早急に国に対し強く要望してまいりたいと考えております。 また、他道県との連携については、かつお・まぐろ漁業対策道県協議会の構成県や東北各県など十四道県に対し、今回の提案内容などについて説明したところであります。今後とも、関連業界はもとより、関係道県とも連携し、漁業用燃油対策を国に強く働きかけてまいります。 次に、国から財政負担を求められた場合の対応についての御質問にお答えをいたします。 漁業は、経費に占める燃料費の割合が高く、燃油高騰の影響を強く受けるという構造的な問題を抱えており、燃油価格の高騰が継続すれば、国民の食生活において重要な位置を占めている水産物を安定的に供給するという役割が果たせなくなります。このことから、燃油高騰対策については、国が主体となって抜本的な対策を講ずるべきものと認識をしております。水産業は、我が県の地域経済を支えている重要な産業であることから、今後、国の対策の中で県等の負担が求められた場合には、県としてどのような対応が可能か、真摯に検討してまいります。 次に、金融支援実施の考え方についての御質問にお答えをいたします。 漁業経営は、これまでの厳しい漁業環境と燃油価格高騰による影響を受け、新たな借り入れについて今後の償還計画が立てにくい状況にあります。このため、お話のありました企業借入資金の償還延長等は、キャッシュフローの改善による漁業経営の安定化につながることから、有効な対応策であると認識をしております。 県といたしましては、燃油価格高騰が全国的な問題であることから、国に対して、既に貸し付けられている制度資金の償還期間や据え置き期間の延長などについて要望しているところであり、今後、国の動向を見据え、融資機関への要請を行うなど、対応してまいりたいと考えております。また、漁業者の償還余力が縮小している状況にあることから、新たな資金需要にこたえるため、金融制度の見直しについて、国並びに関係団体に要望してまいります。 なお、県といたしましては、厳しい漁業環境のもとで、より一層の経営改善が必要なことから、意欲的に取り組む方々に対する相談機能・支援機能の充実に向けて、現在、関係機関と協議中であります。 次に、生ガキなど、漁業生産物の浜値と小売価格の乖離についての御質問にお答えをいたします。 漁業生産物は、規格の大きさや鮮度低下の早さなどから、生産から消費に至る過程で、規格の選別作業、鮮度維持のための低温管理、更には、販売のための調理・加工が必要となるなど流通経路が複雑で、農産物と比較すると流通コストの割合が高い食品と分析されており、生産者価格と小売価格が乖離しやすい性格を持った食材であると認識をしております。一方、昨今の価格形成は、小売価格が優先される傾向にあり、燃油高騰などによる生産コストの上昇が漁業生産物の浜値に必ずしも反映されていない現状にあります。このことは、我が県の漁業者が経営を維持していくという点では大きな課題であると考えております。 次に、価格凍結宣言に代表される大手流通の手法についてどうかという御質問にお答えをいたします。 議員からお話のありましたように、大手量販チェーンの一つの企業戦略として、他企業との差別化を図るため、生活必需品等を対象に、価格を凍結したり、低価格のプライベートブランド商品を充実するなどの動きがございます。しかし、市場原理の中で、大手量販チェーンの企業戦略に対し行政が評価を行うことは極めて難しいものと考えております。また、御承知のように、小売価格の形成には、原料等の動向を含めて、製造、流通、販売の分野における複雑な綱引きが関与し、大手量販チェーンと生産者等のみの関係としてはとらえ切れないことも事実であります。一方で、大手量販チェーンとの取引を販売戦略に持つ食品製造事業者等にとっては重要な販路であることも、また事実であります。 このような中で、厳しい経営環境に置かれている県内の農林漁業者や食品製造事業者においては、流通、小売に対して、その商品価値を主張できるよう、商品のブランド化や高付加価値商品の開発などによる商品力の強化にあわせて、戦略的な販路の多様化が重要であると考えております。県といたしましても、県産食材等の売り込みやこれらを原料とする商品開発及び商談会等を通じた販路の多様化などへの支援を積極的に推進してまいります。 次に、地産地消の日や推奨日を月一回制定し県民意識の醸成を図るべきと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。 地産地消については、これまでも学校給食への地域食材の活用促進、農林水産物直売施設に対する支援、地場産品を使用した加工品の製造、食文化継承に向けた料理教室や地産地消フェアの開催など、県としてさまざまな取り組みを支援してまいりました。地産地消の推進に当たっては、生産者や消費者など地域の多様な主体の連携による取り組みが重要であることから、県といたしましては、食材王国みやぎの円滑な推進を図るため、食材王国みやぎ推進パートナーシップ会議を来年二月に設置することとしております。その主要テーマとして地産地消を掲げ、各関係者間での情報の共有や取り組みの連携を進めることとしております。 御提案のありました地産地消の日については、現在、この推進会議の場で決定されるよう検討を進めており、地域の農林水産物や食文化についての県民の理解を一層深めてまいります。 次に、大綱三点目、入札制度についての御質問のうち、私からは、今回の入札制度改正の意義についての御質問にお答えをいたします。 今回の改正は、低入札対策の強化を図るため、失格判断基準の引き上げや総合評価方式における評価項目及び配点の見直し等を行ったものであります。その基本的な意義は、公正な取引秩序を確保するとともに、下請企業や労働者へのしわ寄せ防止策等を強化することにより、応札者に対し、企業としての社会的責任を求め、適正な見積もりのもと、公正に競争に参加することを促す内容としたところにあります。 次に、大綱四点目、核燃料税についての御質問にお答えをいたします。 まず初めに、定率配分の実施方法と五カ年の交付予定額についての御質問にお答えをいたします。 核燃料税の地元自治体への配分については、これまで、地元の市町と協議を行ってきたところでありますが、次期課税期間から、新たに交付金制度を創設し、毎年度の核燃料税税収の二〇%に相当する額を、翌年度、原発立地・周辺の市町である女川町、石巻市に交付することとしたいと考えております。この場合の次期課税期間における交付金の交付予定額は、現時点での核燃料税の税収を五カ年で約四十二億円と見込んでおりますので、その二〇%に相当する約八億円余りとなるものと見込まれます。 次に、特例措置事業分の今後の取り扱いについての御質問にお答えをいたします。 現在の計画期間内においては、地元の要望等を踏まえ、道路事業に関して、従来事業分とは別に特例で予算を確保してきたものでありますが、次期課税期間から交付金制度を創設し、二十一年度から交付金を交付することとなりますので、この措置は二十年度をもって終了したいと考えております。 次に、核燃料税の運用に当たっての個別事業の取り扱いについての御質問にお答えをいたします。 核燃料税の運用については、新たに交付金制度を創設することにより、地元の市町ができるだけ柔軟に対応できる仕組みとしたいと考えておりますが、県の財政需要計画における個別事業の取り扱いについても、地元の市町の実情を踏まえるとともに、協議を行うなど、相互理解が深まるよう更に努力してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 総務部長三浦俊一君。 〔総務部長 三浦俊一君登壇〕
◎総務部長(三浦俊一君) 私からは、核燃料税についての御質問のうち、財政需要計画における事業計上の考え方についての御質問にお答えいたします。 核燃料税における財政需要計画は、核燃料税を創設するに当たり、原発立地に伴い必要となる支出がどの程度見込まれるのかを算定するために策定するものであります。具体的には、電源三法交付金の対象とならない事業、原発立地に伴い、特に必要性の高い安全対策や地域住民のための民生安定対策、生業安定対策等の事業、原発施設からおおむね十キロメートル圏内の事業で施設等の整備を行う事業などについて、地元市町に配慮しながら精査し、積み上げているところであります。 次期課税期間の財政需要計画における事業計上についても、この基本的な枠組みや考え方に沿って策定したものであり、御指摘の離島航路維持補助事業や栽培漁業センターなどの事業についても、民生安定や生業安定の観点から財政需要に盛り込んでいるものであります。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 土木部長三浦良信君。 〔土木部長 三浦良信君登壇〕
◎土木部長(三浦良信君) 大綱三点目、入札制度についての御質問のうち、初めに、総合評価方式の地域要件についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、昨年四月から、価格と品質にすぐれた社会資本の確保を図るため、総合評価落札方式を導入しております。この総合評価落札方式では、地域に信頼され貢献している企業は、住民の共有財産である社会資本に対して、良好な品質の提供が見込まれることから、地域貢献を評価項目として設定しているものであります。 ことし十一月には、除融雪業務や企業の社会的責任でありますCSRの実績などの評価項目について、地域への密接性や貢献度がより評価される基準となるよう改正したものであります。特に、大規模災害時において企業が果たす役割への期待が大きいことから、個別の評価項目として、災害時の対応を設定するとともに、その評価基準として、従来の災害訓練や台風・地震時におけるパトロールの実績などに加え、新たに、災害協定に基づいた体制を整備した企業に対しても加点評価をしております。 今後とも、総合評価落札方式における地域貢献の評価項目と配点割合につきましては、客観性、公平性を損なうことがないよう、十分な検証を実施して、必要な改善を行ってまいります。 次に、労務単価についての御質問にお答えいたします。 県が用いる設計労務単価は、毎年、国、県等が発注する公共工事における職種別の賃金の実態を合同で調査し、国が決定しているものでありますが、主要十職種の平均単価は、平成九年度以降、連続して低下している状況にあります。また、ことしの九月議会において、公共工事における建設従事者の適正な労働条件確保及び公契約法の制定を求める請願が採択され、意見書が提出されたところであります。 県といたしましては、建設労働者に適正な賃金が支払われるためには、元請人が、下請負人の採算性も考慮した適正な工事価格で入札されることが最も重要であると考えております。このことから、ことし十一月に新たな失格判断基準を設けて、不当に低い下請代金を前提とするような入札を排除することにより、元請、下請関係の適正化と下請労働者の良好な労働条件等の確保を図っているところであります。 今後とも、建設労働者に対して適正な賃金が確保されるよう、入札状況等の十分な検証と入札契約制度の改善等を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 出納局長廣川俊美君。 〔出納局長 廣川俊美君登壇〕
◎出納局長(廣川俊美君) 大綱三点目、入札制度についての御質問のうち、予定価格の事前公表のデメリットへの認識と非総合評価型入札での事前公表の中止の試行についての御質問にお答えいたします。 予定価格の事前公表の最大のデメリットは、低価格の応札がしやすくなることにあると考えております。御質問の中にあった積算力の向上等を損なうという懸念については、我が県では工事費内訳書等の提出を求めるオープンブック方式を採用しておりますので、その懸念は少ないものと考えております。 また、非総合評価型入札での事前公表の中止の試行についてですが、不祥事再発防止を誓った経緯があるほか、いまだに予定価格の事後公表に絡む不祥事件が起きており、都道府県では事前公表が主流となっていること、低価格の応札がしやすくなるというデメリットについては、低入札対策等で一定の防止策を講じることができること、また、一方では、事前公表には再度入札を避けることができるなどのメリットも多くあることから、導入は難しいものと考えております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 教育長佐々木義昭君。 〔教育長 佐々木義昭君登壇〕
◎教育長(佐々木義昭君) 大綱一点目、高校共学化再編の理念と現実についての御質問にお答えをいたします。 初めに、県立高校将来構想が教育理念を達成する上でなぜ必要だったのかとのお尋ねにお答えいたします。 平成九年三月に策定した、みやぎ新時代教育ビジョンは、四半世紀後までを視野に入れた我が県学校教育全体の指針を示したものでございます。このビジョンを高校教育において実現するため、その具体的な方策を平成十三年三月に県立高校将来構想としてまとめたものであります。本構想は、進学意識などの多様化、今後の生徒数減少、更には開かれた学校づくりの推進など、社会と時代の要請に対応した高校教育改革の方向及び高校の整備・改編の方針を示したものであり、教育ビジョンで示した教育理念を実現するために取り組んでいかなければならないものと考えております。 次に、共学化が目指すべきあり方とそごを来している事例をどう把握し、どのような部分に課題意識を持っているかとの御質問にお答えいたします。 共学化については、これまで全体としておおむね順調に進んできているものと認識しておりますが、議員から御指摘のあった件については、承知しているところでございます。共学となることから学校の環境が大きく変わることから、いろいろと課題も生ずることと思われます。これらの課題は直ちに解決できるものばかりとは限りませんが、生徒と教員が力を合わせて解決しようとする姿勢が極めて重要であり、そのことが新しい学校の伝統につながっていくものと考えております。 県教育委員会といたしましても、発生した問題について一つ一つ着実な解決に向け、学校を支援してまいりたいと考えております。 次に、部活動に関する現状認識と今後の取り扱いについての御質問にお答えをいたします。 部活動については、多くの学校が現状の限られた環境のもとで生徒の希望を踏まえて対応しているものと認識しておりますが、一部に、配慮が十分でなかったとの御指摘もございます。 県教育委員会といたしましては、各学校に対し、更に生徒や保護者との意思の疎通を十分図るとともに、部活動など各種の生徒の活動をしっかりと支援していくよう促してまいりたいと考えております。 次に、普通科の課程においての教育ビジョンはどうかとの御質問にお答えをいたします。 普通科を設置している各県立高校においては、地域の実情を踏まえつつ、教育方針や教育目標、具体的な教育内容を定め、コース制の設置、インターンシップの導入、部活動の強化など、さまざまな取り組みを行っております。また、県教育委員会といたしましても、普通科における高校教育充実に向けた特色ある学校づくりや学校からのプロポーザルに基づく魅力ある高校づくりを強力に支援してきたところでございます。しかしながら、各学校の特色づくりの取り組みや情報発進という点で、必ずしも十分でない部分もあったのではないかと考えております。 今後とも、各高校に対して、学校情報のより積極的な公開とともに、地域のニーズをしっかりと把握し、生徒、保護者、そして地域の期待にこたえる高校づくりに全力で取り組むよう指導してまいります。 次に、共学化対応の施設整備についての御質問にお答えをいたします。 施設整備については、これまで、共学化に伴い必要となる施設の整備を最優先に進めてまいりました。今後とも、厳しい財政状況ではありますが、共学化を進める高校については、必要な施設整備を行い、学習などに支障のないよう努力してまいりたいと考えております。 次に、高校教育における統合教育についてのこれまでの方針と今後についてはどうかとの御質問にお答えいたします。 高等学校においては、これまで、入学者選抜を経て入学した障害のある生徒に対して、個別にさまざまな配慮をしてきたところであります。議員から、高校における統合教育を明確に位置づけるべきとの御意見をいただきましたが、高校受験における公平性の確保の問題や入学後の十分な教育環境の整備の問題など、解決すべき課題も多くございます。いずれにしましても、障害のある生徒に対する高校における特別支援教育については、将来の自立のあり方を見据えた教育をどのように行うべきかといった観点から、幅広く検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 三十三番須田善明君。
◆三十三番(須田善明君) いろいろと期待する答弁もいただいたわけですが、やはり再質問はしなければいけないなという答弁もありました。何点かについてお尋ねをしていきます。 まず、ただいま教育長からいただきました。部活の例などということを取り上げながらいろいろ申し上げたんですけれども、そういうものは、一つ一つ現場で起きているものは解消していく努力をしていく姿勢は示されたと思うんですが、一つは、そういった現場の生徒の声がどこまで届くのか、あるいは、もう生徒にとっては学校という極めて、恐らく限られた空間の中でしか、多分発言する、あるいはメッセージを出していくということもやっていかなければならないですね。おのずと限界は出てくるんだろうというふうに思います。先生方との関係、また周囲との関係、そういったものもある中で、どこにもぶつけられないものも多分あるんだろうと思うんですね。これは、共学化が実施されたところであろうと、既にずっと前からやっているところであろうと同じだろうとは思うんですけれども、こういう声をきちんと受けとめていただくには、やはり現場の先生の皆さん方もそうなんですけれども、仕組みとしても将来的に検討していくことも必要なのかなということも改めて考えております。 次に申し上げるような部分を含めて答弁をいただきたいんですが、それと、施設整備については、正直、力強くない答弁だったのかなというふうに思います。さっきも言いましたが、不本意ではないですか。我々だって、いや、我々というか私自身だって、じゃ、あのときのいろんな議論がありました。全面的にもろ手を挙げてこの方針を進めるべきだというふうに理解は、恐らくそれほど多くなかったはずでありまして、やはり将来入ってくるその子供たちのためにどうするべきなのかということで反対されてた親御さんの皆さんも納得したケースだっていっぱいあります。私たち議員も同様ですよ。そういう中でいろんな声が出ていることに対しては、これは財政状況ということはあるんでしょうけれども、やはり強くきちんと、やった以上は、それも教育理念として、目標として掲げているものがあるわけですから、それを達成するために万難を排して万全の体制で臨んでいく、そういう覚悟が必要なのではないかというふうに思うんですけど、いかがですか。
○議長(高橋長偉君) 教育長佐々木義昭君。
◎教育長(佐々木義昭君) まず、第一点目は、生徒の要望をどのように酌み上げていくのかということでございますけど、仕組みづくりというお話でございます。いろいろ教員とのコミュニケーションをよくするとか、いろいろ、どういった形で生徒の声を吸い上げていけるのか、それはいろいろと検討してまいりたいと思います。 それから、施設設備につきましては、確かに共学化の関係で一部工事がおくれたところがありますが、原則的には、厳しい財政状況ではありますが、共学化を進める高校については、必要な施設整備については、学習などに支障がないよう整備を進めているところでございますので、一部おくれたところがあって大変申しわけなかったと思います。そういうことがないようにしていきたいと思っております。
○議長(高橋長偉君) 三十三番須田善明君。
◆三十三番(須田善明君) ぜひよろしくお願いします。 それで、今ほどずっと申し上げてきた部分には、やはり現場の先生方、努力はされているんだろうというふうには思うんですけれども、その発想というんでしょうか、価値観というんでしょうか、その将来構想あるいは教育ビジョン等で掲げるものが、本当に共有し切れているのかという疑問は率直にございます。何のための共学か、あるいは再編だったのか、将来構想なのか。これは、こういう本県教育をやるんだという哲学、あるいはこれを実現するためのあくまで、先ほど申し上げましたツールですから、それを通じたものの先というのは、やはり現場でやっていただくしかないと。その意識の共有ということをぜひお願いしておきます。 時間がありません。入札、もう一点。 まず、予定価格についてですが、低入札対策等で十分ダンピング等の懸念も払拭されるしということなんですけれども、だからこそ一たん検証してみる必要があるんじゃないかなというふうにも思うんですね。改めてその点、御答弁いただきたいと思います。 それと、労務単価についてでございますが、設計単価以上に実勢価格はやはり下がってるんですよ。それを周辺制度だけではなくて、ここの一番単価設定の根本で、賃金を担保してあげるべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○議長(高橋長偉君) 出納局長廣川俊美君。
◎出納局長(廣川俊美君) 予定価格の事後公表の件での御質問でございます。 いろいろ内部でメリット、デメリットいろいろ比較して検討したんですが、それは、不祥事が起きたというその経緯のほかに、どの程度違いがあるのかということで、国等がいろいろ心配されている事後公表のデメリット、一般的には落札率の高どまりが懸念されるということが言われているわけです。あるいは積算せずに応札する業者が出てくると。この二つがよく一般的に言われてることなんですけれども、これについては、落札率の高どまりが懸念されるという点につきましては、うちの方で既にもう何年も前から事前公表やっておりまして、そういうことはないということで、これはもう立証されているのではないかと思います。あともう一つ、積算をせずに応札する業者が出てくることにつきましては、答弁で申し上げましたけども、オープンブック方式をとっておりまして、応札するすべての業者さんから細かい内訳書をとっております。ですから、この辺の問題もないということで、そうすると、どこにその事後公表のメリットがあるのかということになるわけですが、結局、応札価格帯が分散するということになるのではないかと思います。要するに予定価格がわかりませんから、自分のところで積算すると、応札価格帯が、上から下までが分散されると。それを事前公表してしまいますと、上限がありますので、それ以上応札すれば当然失格になりますから、それ以下に価格はおさまるということになりますが、そのときに、仕事をとるためにどこまで下げればいいかという基準が予定価格で出てきてしまって、それで、競争が激しい場合には、低価格帯に応札が集中するということになるかと思います。だからって、それをやめたからといって、じゃ、低入札がなくなるのかといえば、そういうことはないのではないかと。ただ分散されるだけではないのかということで、いろいろそうすると、そのほかに、じゃ、事前公表のメリットどんなものがあるかと。たくさんあるわけでございます。そういうことで、基本的に、当時の不祥事の再発防止のために、事後公表はしないということで決めた経緯、これは大変重いものがあるわけでございますから、それを除いても、そういうことで事前公表の方がメリットがあるかということで、そのように考えております。
○議長(高橋長偉君) 土木部長三浦良信君。
◎土木部長(三浦良信君) 労務単価についての御質問でございますけど、労務単価そのもの、賃金そのものに切り込むっていうのは、いろいろと検討したんでありますが、現実のところ、いろいろと最低賃金の話から何からありまして、それ以上は現実には高くなっている状況もありまして、切り込みが難しかったがゆえに、今回、第四の失格判断基準、いわゆる元請の落札率よりも低いような下請の単価構成をしてはいけませんよというような失格判断基準を設けたというところが、今のところ精いっぱいのところで今推移しているところでございまして、今後、状況をまた、推移を見ながら、より検証してまいりたいと考えております。
○議長(高橋長偉君) 六十一番今野隆吉君。 〔六十一番 今野隆吉君登壇〕
◆六十一番(今野隆吉君) さきの九月議会において、国外産農産物の残留農薬について質問しましたところ、早速、分析検体、百六十体にふやしていただきまして、ありがとうございました。また、分析機器、LC―MS―MSにつきましても再契約をしていただきまして、これまた感謝を申し上げます。 今後とも県民の食の安全と安心の立場から取り組まれますようにお願いを申し上げまして、通告に従いまして、質問に入らさせていただきます。 まず初めに、泉が岳自然の家の廃止についてであります。 十月、文科省は、小中学校約六十七万人を対象にして、保健室を利用した子供の調査をした結果、主に心に関する問題でいじめや人間関係で悩んでいることが判明しました。保健室を気軽に利用して専門的なカウンセリングを受けた生徒や、保健室登校の子供も増加しております。 また、県内の学力の低下も全国平均を下回り、三十八位まで落っこちております。けさの新聞にも報道されておりますように、OECDの発表によりますれば、高校生の学力低下が、更に、解読力あるいは数学応用、化学応用等々で最低の方に来ております。 平成十八年度、県内のいじめ件数は、小学校で七百六十七件、中学校で千三百九十四件と急増していることが確認されました。この数字をどのように認識し、いじめ問題にどう対処しているのか、お伺いいたします。 去る十一月十六日、万引きの仕方などを掲載している雑誌が、宮城県青少年保護条例に抵触するとして有害図書に指定されました。殺人の項では、死体処理の仕方や自殺の仕方、侵入、のぞきの仕方や、毒物・劇物のつくり方、盗みや復讐の仕方、偽造貨幣のつくり方や、自転車、バイクの盗み方など、子供を取り巻く環境は悪化の一途をたどり、大きな社会問題になっております。教育委員会委員長及び教育長はどのように認識しているのか、お伺いいたします。 平成十八年四月、第二十九次社会教育委員の会議に、自然の家の今後のあり方について諮問を行い、同年九月答申の結果、施設の老朽化や施設利用率の低下、財政事情などを総合的に勘案し、泉が岳自然の家の廃止はやむを得ないと判断されました。 しかし、平成十六年度宿泊者数は九千七百九十三名、平成十七年度宿泊者数九千八百七十六名、平成十八年度宿泊者数一万二千三百八名と、宿泊者は増加しているのであります。更に、平成十九年度は、九月までの六カ月間で、宿泊者数七千八百二十七名、利用者数一万四千三百二名と、激増しているではありませんか。施設の利用率の低下とは何を根拠に言っているのか、わかりません。 施設の老朽化については、耐震診断で、本館と宿泊棟とも耐震診断は基準未満、劣化度はC3と判定しているが、地質も重要な判定基準であります。廃止する理由に、老朽化が進み、改修工事に六億円以上かかると言うが、診断したのは県土木部であり、身内に甘く、地質調査をせずに、大規模改修費も高額に設定されております。これほど改修費用をかけずに、本館吹き抜け天井を改修するだけで使用可能であると言う専門家もいます。本館部分の劣化が特に厳しい上に、耐震強度も低く、危険を及ぼす可能性が大きいというのであれば、県立図書館の方がもっと危険度は高いのであります。 県立図書館は新築でありながら、宮城県沖地震のとき、基礎土台にクラークが入り、ガラスやダクトが落下し、書庫が倒壊し使用できなくなり休館したことは、記憶にあると思います。ここの地層は、もともと沢で小川が流れていた箇所に土盛りをした危険箇所で、軟弱地盤の上に建築されている建物であり、早急に閉館すべきであります。土台のコンクリートに接着剤を挿入して耐震構造をしましたが、地質が盛り土ですから、接着剤で補強工事をしても、近い将来九九%起きるであろう大きな地震に耐えることができない危険な状態にあります。泉が岳自然の家が緊急な対策を講じなければならないのであれば、県立図書館はもっと危険であります。先に閉館すべきであります。 県民の生命と財産を守る県政のトップとして、知事及び教育長は、図書館の基礎土台を見たことがあるのか、お伺いいたします。 このような盛り土の場所に公共の建物を建設すること自体、正常ではありません。更に危険なのは、県立啓佑学園であります。ここの用地も盛り土です。建設工事中に転石が出てきたので、基礎くいを打ち直す設計変更を実施しています。当初から地質調査をしっかりしていれば、設計変更をして、補正予算を組む必要はありません。ちなみに補正金額は幾らだったのでしょうか。 太白区にあった宮城県工業技術センターは活断層の上に建設されていたため、機械設備の基礎が破壊し、被害が甚大だったため使用不能となり、大和町に転居せざるを得なくなり、移転いたしました。岩盤、軟弱地盤、活断層、地層は耐震診断の重要な要件であります。 県民会館は、昭和三十九年開設の公共建築物で最も古く、四十三年経過し、ことし九月補正で耐震に関する予算化しているが、耐震に問題はないのか、お伺いいたします。 泉が岳自然の家では、親子でトライ事業では約三百人近い応募者があり、抽せんによって十五家族で実施されましたが、応募者が多かったため、更に二回ふやして開催され、盛況でありました。現に三年間増加傾向にあります、この泉が岳のボランティアの参加者は、九十一名から百四十六名に、そして五百一名とふえ続け、活動も活発になってきています。また、中高年対応のプログラムも、紅葉の泉が岳を訪ねてや歩くスキーなど大好評であります。登山やアドベンチャープログラムに泉が岳自然の家が最適であり、不登校の児童や学力低下対策に活用すべきであります。 自然体験や集団生活の体験不足が近年の青少年問題の一因だという指摘がありますが、少年非行の概要はどうか、県警本部長にお伺いいたします。 非行やいじめが社会問題になっている今こそ、スキーや登山など自然の家を活用した小中学生の支え合う心や助け合う心の教育の場として、授業に取り入れるべきであります。施設としての利用価値はたくさん考えられます。県職員を含め公募すれば、よいアイデアが飛び出してくるものと思います。いかがでしょうか、お伺いいたします。 知事は、企業誘致と発展税導入など大きな実績を上げられました。しかし、深刻な非行やいじめ、更には学力低下など、教育問題を軽視しております。教育は国家百年の大計です。倫理・道徳の教育をどのように考えているのか、お伺いいたします。 平成十八年度に新しい教育基本法が施行され、生涯学習の理念と家庭教育の役割、地方公共団体の支援、教育行政についての役割と財政上の措置など新たに規定されましたが、生涯学習、家庭教育、教育行政について知事の所見をお伺いいたします。 基本的な間違いについて申し上げます。 本来、泉が岳自然の家は、学校教育を対象として設置されたものではありません。青年団活動の全盛期に、社会人のための活動、とりわけ青年層の人材育成を中心に運営してきました。平成十七年の自然の家条例の改正によって、更に、幼、小、中、高、大、一般と、拡大されて今日に至ります。したがって、開設当時から小中学校を対象に運営してきた蔵王自然の家との中学生利用率を比較すること自体、的外れなのであります。四カ所の自然の家は、それぞれその設置の趣旨、対象、設備、そして地理的条件や自然環境、それぞれの異なった特色と歴史があり、一律に比較すること自体に無理があります。泉が岳自然の家は、過去も現在も、学校教育を含めて、広く県民一般の人々を対象に活動しており、そのため、会議室が五つもあるのであります。小中学校の利用が、他の公所と比べて少ないからという理由で閉所を考えることは、理解しがたいのであります。むしろ、学校週五日制時代の地域、家庭の土曜、日曜の過ごし方や、高齢化社会に向けてのシニア時代のための生涯学習の到来を視野に入れれば、当施設の重要性は増していると言わざるを得ません。 また、新しい教育基本法をごらんいただければわかるように、第三条に生涯学習の理念が新設され、更に十条、家庭教育、第十三条、学校、家庭及び地域住民などの相互連携協力、第三章、教育行政、第十六条、第十七条を見ましても、新しい時代に向けて社会全体の教育の方向性が示されております。自然の家を必要とする法、条例の整備や政策の見直しが求められているのであります。時勢におくれないように、時代の要請にこたえられる学問や教養を教え、すぐれた人材育成をする米百俵の精神こそが必要なのであります。知事のメンツを考えて附帯意見をつけて可決するようなこそくな考えを捨てて、宮城の未来のために、大局に立って考え直していただきたいのであります。このような施設を一度なくしてしまうと、再度つくるのは大変であります。 次に、建築確認審査についてお伺いいたします。 姉歯秀次元一級建築士による構造計算偽装事件により、建築確認検査の厳格化を大きな柱となる建築基準法、建築士法などが改正され、五カ月が経過しました。知事又は知事が指定する指定構造計算適合性判定機関が構造計算の適合性、妥当性の判断を行うピアチェックを行うことになりました。指定構造計算適合性判定機関の判定員は、四百二十五名中非常勤三百八十二名、常勤はたったの四十三名であります。九三%が非常勤の判定員の出身母体は、ゼネコンの構造担当者や建築設計事務所、日本建築構造技術者協会の会員が多いようであります。改正建築基準法で構造計算が厳格化され、建築確認申請が厳しくなっている影響で、本業の設計が忙しく、判定業務は土、日曜しかできないケースが多いのが実態です。現状では判定員が絶対的に不足しております。激務のため、睡眠がとれず、健康を害している者もいると聞いております。認定プログラムができていないため、判定員は適合判断ができず、審査が延長されているケースがあるようです。確認申請後不適合となった場合、手数料は没収され、再申請をしなければなりません。宮城県の建築確認件数状況は、一号から三号の建築物が、七月、百七十四件、八月、百六十六件、九月、百六十八件、前年度対比ではかなり落ち込んでおります。本県経済に及ぼす影響は甚大であります。どう認識しているのか。また、ピアチェックは何件あったのか、月別件数をお伺いいたします。 また、四、五、六月は駆け込み件数が多く、六月二十日法改正以降の七月は激減し、八月、九月は上昇しておりますが、判定員と建築設計士はともになれていないため、トラブルが多く、法改正前の件数に戻りつつあると説明されておりますが、この数字は偽装ではないかと疑問視する建築士さんが多いようでありますが、いかがでしょうか。 軽微な指摘がある場合は、対応の上、決裁することになっていますが、適用範囲があいまいなため、差し戻されることが多いようです。建築確認手続の一部が緩和されたものの、従来三十日から四十五日で確認申請がおりていたものが、民間指定構造計算適合性判定機関に構造計算のできるスタッフが足りないなど、そのため、民間検査機関と建築設計事務所との間でトラブルが絶え間なく発生し、混乱が続いているのであります。建築確認が停滞し、建築業界全体の経営環境は悪化の一途をたどっております。確認申請の際に提出する書類が改正前と比べはるかに膨大化しており、作業時間と作業量がふえたにもかかわらず、設計料に転嫁されていないために、設計業務が赤字になっているとのことです。許認可取得の遅延により着工の目途が立たず、建築関連業種にも波及し、業界全体が不安感が漂っていることについてどうか。また、施主に対する周知広報活動は十分に行うべきであります。 以上のことから、現場は混乱し、審査が長期化しているため、住宅の着工戸数が減少し、景気に影響が出てきております。現在建築確認申請中のRC造十四階建て分譲マンションや木造平屋建て店舗の工事着工の日取りが決まらない状態にあるため、入居者募集や開店の宣伝もできずにいる事例もあります。混乱を解消するため、先月十四日、国土交通省では、認定書の写しの取り扱いや軽微な変更の取り扱いなど、建築基準法施行規則の一部を更に改正を行いました。昨年十月、社内告発で、水に浸したなどして燃えにくい状態にして精度検査をごまかして大臣認定を受けていたことが発覚した大手建設メーカー、ニチアスが欠陥建材を出荷し続けた不正行為がありました。耐震強度偽装事件が問題になって再発防止が叫ばれているときに、経営者の神経が狂っていると言わざるを得ません。倫理感が麻痺しているのではないでしょうか。高齢者世帯が増加しているとき、このような不正建材を使用した住宅の実態と対策はどうか、お伺いいたします。 また、国は、大工、工務店など、建設関連の中小企業への融資、資金繰りなどの経済的影響が懸念されていることから、本年十月から、政府系中小企業金融機関において、セーフティーネット貸し付け及び既往債務の返済条件の緩和などの措置を講ずることになっていますが、融資実績はどうか、お伺いいたします。 また、経営基盤が脆弱な中小企業に貸し付けて、不良債権になったときの対策はあるのか、お伺いいたします。 次に、循環ろ過式天然温泉についてお伺いいたします。 平成十六年に白骨温泉で入浴剤を添加した事例や、水道水や井戸水を沸かしたものを温泉であるかのように偽装させる事例や、あるいは温泉であるにもかかわらず、温泉法の許可を受けていないで利用している事例などが発生したことで、温泉法施行規則の一部改正がなされ、都道府県に通知されました。六月に東京都渋谷区の温泉施設で起きた爆発事故を受けて実態調査をした結果、十月には東京足立区で、天然温泉つきマンションの循環式温泉給湯設備でレジオネラ菌防止指針の最大八千九百倍のレジオネラ菌が検出されたと発表されました。 本県における天然温泉つきマンションや天然温泉つきホテルの水質検査体制と指導体制はどうか、お伺いいたします。 最近、循環ろ過式天然温泉又は井戸水使用と表示している普通公衆浴場以外の公衆浴場、通称スーパー銭湯があります。平成十七年五月、温泉法施行規則の一部が改正され、加水の有無、加温の有無、循環・ろ過の有無、入浴剤使用・温泉消毒の有無の掲示項目が追加されましたが、実施状況はどうか、お伺いいたします。 また、循環ろ過装置は、一時間当たりで浴槽の容量以上のろ過能力を有することとなっておりますが、能力以上の入浴者数の場合は、ろ過装置、消毒装置及び集毛器自体がレジオネラ菌の供給源になってしまいます。検査体制はどうか、お伺いいたします。 次に、監査指摘事項についてお伺いいたします。 先月、会計検査院から平成十八年度の決算検査報告が公表されました。その検査結果、各省庁などの会計経理に関して指摘された事項が四百五十一件、金額三百十億円あることが判明しました。この検査報告に記載されなくとも、相手機関に指摘したケースもあるようです。 三年前、山形県置賜農業協同組合が補助金を不正受給していた問題で、再度検査した結果、返還されずにいたことが判明し、農協が共済掛金の補助金七十五万円を不正受給し、未処理だったため、組合長を務めていた遠藤武彦農林水産大臣が辞任に追い込まれました。 本県が二年前に公正取引委員会から指摘されました医薬品入札問題などについての御所見をお伺いいたします。 監査委員は、不適正が見受けられる事項に改善を求めているが、その後の処理をどのように指導しているのか、お伺いいたします。 県においては、財政健全化や税金のむだ遣いなどの指摘もあるが、県監査委員には厳しい監視体制が求められております。県監査委員事務局職員は、知事部局の人事であり、独立性が保たれておりません。 平成十八年度の包括外部監査の結果でも、当初予算で八千二百八十六億円のうち、千六百十二億円が補助金として支出され、五百九十七事業のうち、百三十五事業について見直しが必要と報告されましたが、補助金目当ての設立した組合や天下り先確保のために設立した外郭団体などを解散させることは容易ではありません。県庁内部で検討、評価するのではなく、外部の第三者機関に委託して、圧力団体やOBなどの抵抗を排除しなければ、財政再建はできません。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、氷河期の捏造石器についてお伺いいたします。 九月議会で、文化財保護課に係る職員配置については、宮城県及び東北地方の歴史への深い造詣を有するなど、そのポストに特に求められる能力や資質などを総合的に勘案し決定したと答弁しておりますが、果たして能力や資質はあったのだろうか。約七万年前から一万年前までが氷河期で、約二万年前が最も寒冷な時期で、その時期に松島ができたと答弁しております。この氷河期に旧石器遺跡捏造はあったのでしょうか。 また、山形県尾花沢袖原遺跡の石器と宮城県色麻町中島山遺跡の石器が接合した捏造遺跡はどうか。更に、氷河期に奥羽山脈を人類が往来していたのか、お伺いいたします。一、二次氷河期についても、同様にお伺いいたしまして、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋長偉君)
知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 今野隆吉議員の一般質問にお答えをいたします。大綱五点ございました。 まず初めに、大綱一点目、泉が岳自然の家の廃止についての御質問にお答えをいたします。 初めに、県図書館の基礎土台を見たことがあるのかというお尋ねにお答えをいたします。 現在の県図書館は、平成十年に宮城野区榴ケ岡から泉区紫山に移転しております。県の生涯学習の拠点施設である県図書館へは、就任して間もない昨年三月に訪問をしております。基礎土台を直接見たわけではございませんが、建物は、新耐震基準に基づく設計により建設されており、構造上問題はないものと承知をしております。 次に、倫理道徳の教育をどのように考えているのかという御質問にお答えをいたします。 宮城の確かな未来を構築していくためには、将来を担う子供たちが、健全に成長していくことが大切であります。そのためには、学力の向上はもちろんのこと、みずからを律し、協調し、思いやる心や感動する心、人間としてよりよく生きていく力をはぐくむための道徳教育は、大変重要であると考えております。非行やいじめ防止のためにも、子供たちの豊かな心や道徳心の育成に学校教育の中でしっかりと取り組むとともに、社会全体で子供たちの健全な育成を支援していくべきであると考えております。 次に、生涯学習、家庭教育、教育行政についての御質問にお答えをいたします。 改正教育基本法では、自立心や道徳心、国と地方の適切な役割分担などの規定がなされたほか、社会の変化や高齢化、自由時間の増大に伴って重要になっている生涯学習の理念について、新たに規定されました。 我が県においても、第三次生涯学習振興計画を策定し、全庁挙げて生涯学習の振興に努めております。中でも家庭教育については、すべての教育の原点として、子供の基本的な生活習慣や自立心、自制心等の社会性を身につける上で重要な役割を果たすものと認識しております。 県といたしましては、学校、家庭及び地域との相互連携を教育行政の一つの柱として、一人一人が将来にわたって豊かで生きがいのある県民生活が送れるよう、教育の振興に努めてまいります。 次に、大綱二点目、建築確認審査についての御質問にお答えをいたします。 初めに、改正建築基準法が本県経済に及ぼす影響への認識及びピアチェックの月別件数についてのお尋ねにお答えをいたします。 構造計算書偽装事件を受け、ことし六月に建築基準法が改正され、構造計算書の二重チェック、いわゆるピアチェックを中心に、建築確認検査が厳格化されるなど、制度が大幅に変更になっております。こうした中で、建築確認申請の件数も減少し、日本経済に影響が及ぶと言われております。県経済においても、住宅建設件数の減少など、建設関連業界を中心として、少なからず影響が出ているものと思われます。 また、ピアチェックの受け付け件数は、建築基準法が改正された六月二十日以降、六月はゼロ件、七月は一件、八月はゼロ件、九月は十二件、十月は二十七件、累計で四十件となっております。 次に、建築確認の停滞により、建設業界全体に不安感が広がっているのではないかとの御質問にお答えをいたします。 県といたしましては、構造計算書偽装事件によって低下した消費者の信頼を取り戻し、安全で安心な建物が整備されるよう、また、建築確認の停滞による建設業界全体への影響を低減するため、建築基準法の円滑な運用の実施に向け、業界、行政が一丸となって取り組む必要があると考えております。 国においては、運用の見直しを行うなどの取り組みがなされ、県においても、事前相談の実施、関係団体と連携した説明会の開催、建築主への情報提供など制度の周知を図ってきましたが、更にこれらの取り組みを充実してまいります。 次に、大綱三点目、循環ろ過式天然温泉についての御質問のうち、私からは、天然温泉つきマンションやホテルの水質検査及び指導体制についての御質問にお答えをいたします。 天然温泉つきホテルについては、温泉法に基づく温泉利用許可及び旅館業法に基づく営業許可などが必要とされており、規制の対象となっております。これらの施設に対しましては、県内九カ所の保健所において、ろ過器等の給油設備の維持管理について監視指導を行うとともに、浴槽水に係るレジオネラ属菌を含めた水質検査を実施し、衛生管理の徹底を行っております。 なお、仙台市内の施設については、仙台市の所管となっております。 また、天然温泉つきマンションについては、温泉法、旅館業法及び公衆浴場法の規制の対象とはなっておりません。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋長偉君)
環境生活部長三部佳英君。 〔
環境生活部長 三部佳英君登壇〕
◎
環境生活部長(三部佳英君) 大綱一点目、泉が岳自然の家の廃止についての御質問のうち、宮城県民会館の耐震性についてのお尋ねにお答えいたします。 県民会館は、我が県の文化振興の拠点施設であり、多くの県民の方々に利用されておりますが、昨年十二月に実施した劣化度調査により耐震補強が必要な建物であるとの結果が出ております。このため、来年二月から三月にかけて、耐震壁の設置及び舞台装置等の改修、補強など、必要な工事を実施する予定としております。 次に、大綱三点目、循環ろ過式天然温泉についての御質問のうち、レジオネラ属菌に関する検査体制についてのお尋ねにお答えいたします。 保健所では、循環式ろ過装置使用施設や一日百人以上の利用がある大型入浴施設など百四十二施設を重点対象施設として選定し、毎年一回以上、全施設について計画的に監視指導を行っております。監視指導に当たりましては、施設の管理状況を把握するとともに、水質検査の実施や管理記録の保存等の衛生措置を徹底することとしております。 また、監視指導にあわせて、浴槽水の水質検査を実施しており、レジオネラ属菌が検出された場合は、浴槽や配管、ろ過装置など施設の洗浄、消毒及び塩素消毒装置の管理の徹底など、改善措置について指導を行い、改善後に自主検査によるレジオネラ属菌が陰性であることを確認するなど、レジオネラ属菌による感染防止対策に努めております。 私からは、以上でございます。
○議長(高橋長偉君)
保健福祉部長鈴木隆一君。 〔
保健福祉部長 鈴木隆一君登壇〕
◎
保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱一点目、施設の老朽化についての御質問のうち、啓祐学園の設計変更に伴う補正額についてお答えをいたします。 啓祐学園の新築工事に際しましては、事前に地質調査を行いましたが、施工中に、一部想定を超える支持層の深さが確認されるとともに、転石等が発見されました。このため、基礎ぐい打ちの工事等につきましての設計変更を行ったものであります。その変更契約額は、四千九百万円でございました。 次に、大綱三点目、循環ろ過式天然温泉についての御質問のうち、温泉施設での掲示についてお答えをいたします。 温泉を公共の浴用等に供するものは、温泉法に基づき、施設内の見やすい場所に温泉の成分や入浴上の注意等を掲示しなければならないこととされております。この掲示内容に関しましては、御指摘のとおり、平成十六年に温泉法施行規則が改正され、平成十七年五月二十四日から、加水・加温の有無等の五項目が追加されたところでございます。 県といたしましては、施行規則の改正を受け、社団法人宮城県温泉協会等の関係団体等と事業者に文書で通知を図るとともに、説明会を実施し、改正内容の周知徹底を図ったところでございます。これにより、該当する施設の事業者から掲示届が提出されております。その後、保健所において温泉施設に対する立入検査を計画的に実施し、指導してございます。 今後とも、温泉施設の掲示が適正に行われるよう、立入検査を実施してまいります。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 土木部長三浦良信君。 〔土木部長 三浦良信君登壇〕
◎土木部長(三浦良信君) 大綱二点目、建築確認審査についての御質問のうち、初めに、建築確認件数の状況についてのお尋ねにお答えいたします。 宮城県においては、七月は一時的に大きく件数が減少しましたが、その後、木造住宅などについては回復傾向にあり、十月には、おおむね昨年同月の水準まで回復してきております。一方、鉄筋コンクリート造などの中規模以上の建築物については、回復傾向にはあるものの、前年同月比で二割弱減の状況にあります。建築確認件数につきましては、速報値ですが、国、県による調査結果に基づくものであり、実態を反映しているものであります。 次に、欠陥建材を使用した住宅の実態と対策についての御質問にお答えいたします。 ことし十月三十日付で国土交通省は、不正行為のあったメーカー建材の大臣認定を取り消しました。この建材が使用されている住宅は全国で十万棟にも及び、国の指示により、現在、メーカーにおいて、その使用状況の調査が行われ、更に、メーカーの責任で適正な建材に交換するなどの是正を行うほか、相談窓口を設置するとともに、消費者への情報提供を行っております。また、国は、試験を行った指定性能評価機関に対し、再発防止の検討を指示しております。 県といたしましては、今後、メーカーから是正報告を受け、建築基準法令への適合性を確認することとしております。 次に、政府系中小企業金融機関によるセーフティーネット貸し付けなどの融資実績についての御質問にお答えいたします。 セーフティーネット貸し付け及び既往債務の返還条件の緩和等の措置については、政府系中小企業金融機関が直接対応しております。その県内実績を確認したところ、セーフティーネット貸し付けは十二件、二億円、既往債務の返済条件の緩和は一件となっております。 また、不良債権になった場合の対策についての御質問ですが、返済条件の緩和など、個々の金融機関との相談になることと思いますが、最終的には、政府系金融機関が不良債権を背負うというような格好になるかと推量されます。
○議長(高橋長偉君) 教育委員会委員長大村虔一君。 〔教育委員会委員長 大村虔一君登壇〕
◎教育委員会委員長(大村虔一君) 子供を取り巻く環境の悪化についての御質問にお答えいたします。 IT社会化が進んでおりまして、インターネットを使った犯罪が多発しております。子供にも携帯電話などが広がっておりまして、簡単にそういうものにアクセスできるようになってきております。先ほど御指摘の雑誌は、そういうインターネット社会の中で、裏情報を集めて人に広げてきたものを集めたものだというふうに思われます。こういう簡単に子供たちが有害な情報に接することができるという環境にあることは、憂慮すべきことだと思っております。 県の教育委員会は、日々の生徒指導の中で適切な対応が行われるよう、研修会などを通じて、市町村教育委員会や各学校の取り組みを促しています。しかし、難しいのは、皆さんも大体うなずかれると思うんですけど、子供のころというのは、親とか大人が隠したり禁じたりすることというのは、どうしても自分は見たかったり、知りたかったりするわけでありますよね。だから、そういう大人が禁じることに対して、子供が素直に従うということではなくて、やっぱり見たい、そして、見ると。また今度そういう気持ちを悪用して悪い情報を流している人たちが、商売と思いますが、いるという状況であります。 そういうのに触れないようにするには、学校の中だけでの取り組みではとても限界があるわけでございまして、地域社会全体とか、あるいは国を巻き込んだ動きをやっていかなきゃいけないのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 教育長佐々木義昭君。 〔教育長 佐々木義昭君登壇〕
◎教育長(佐々木義昭君) 大綱一点目、泉が岳自然の家の廃止についての御質問にお答えをいたします。 初めに、平成十八年度のいじめの件数の急増についての認識と対処についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の平成十八年度のいじめの件数は、全国と同様、大幅に増加をいたしました。これは、平成十八年度調査から、いじめの定義が変更になり、いじめの件数が、これまでの発生件数から、本人がいじめられたことを感じた件数、いわゆる認知件数としてとらえることになったことと、調査対象校が、新たに国立及び私立学校も加わったことによるものであります。更に、各学校が、早期発見のためにアンケート調査や面談などを通じ、積極的に発見に努めた結果として、このような数値になったと認識しております。 県教育委員会といたしましては、これまで市町村教育委員会生徒指導担当課長連絡会議や公立、私立の小中高の教頭を対象としたいじめ問題連絡会議を開催し、いじめ問題の取り組みの徹底を指示するとともに、中学校スクールカウンセラーを全公立中学校に配置するなど、教育相談体制の充実に努め、各学校を支援してまいりました。 今後とも、市町村教育委員会や学校が、家庭や地域、関係機関と一体となり、さまざまな方法でいじめを早期に発見し、早期に対応が図られるよう、引き続き働きかけてまいります。 次に、子供を取り巻く環境の悪化についての御質問にお答えをいたします。 出版物やインターネットなどにおいて、犯罪性や残虐性の高いものなどの有害情報が存在し、これらに児童生徒が容易に触れることができるような環境は、憂慮すべきものと考えております。我が県では、青少年の健全な育成に関する基本計画を策定し、青少年の非行防止や犯罪などから保護する取り組みを行政機関、家庭、学校、地域社会が連携協力し、全庁的に推進しているところでございます。 県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会、各学校において、児童生徒が情報社会の危険から身を守り、的確な判断力を身につけられるような指導の充実について、児童生徒向け啓発資料の配布や教員向けの研修会などを通して指導しているところでございます。有害情報への対応については、やはり学校教育の中では限界があります。県教育委員会といたしましては、知事部局や警察など関係機関と一層の連携を図りながら、PTAなどを含めた地域社会全体で取り組んでいきたいと考えております。 次に、県図書館を先に閉館すべきであるがどうか、また、基礎土台を見たことがあるかとの御質問にお答えいたします。 泉が岳自然の家の廃止決定の要因の一つでもあります耐震診断は、県土木部において実施しておりますが、建物の経年、形状、コンクリート強度などによる診断に、学識経験者で組織する耐震診断評価委員会の外部評価を加えたものであり、県が実施する耐震診断として適切なものであると認識しております。 県図書館は、平成九年度に新耐震基準により建てられたもので、直接その場でくいを製作する特殊工法を用いており、建物の支持も砂岩層を基盤として強固なものとなっております。平成十五年五月二十六日に発生した三陸南地震では、壁の亀裂やガラス破損などの被害を受けましたが、建物の構造体には影響はございませんでした。 なお、施設の現状につきましては、十分承知しております。 次に、施設の再利用についての御質問にお答えをいたします。 今日の青少年を取り巻く環境の悪化や非行、いじめなどに対して、自然体験活動などに取り組むことが大切であることは十分認識しております。社会教育施設である泉が岳自然の家本館は、老朽化や耐震上の問題があり、安全安心な施設利用が提供できない状況であることから、施設の配置バランスなどを加味して、廃止はやむを得ないと判断したところでございます。 廃止後の施設の利活用については、施設の実態を踏まえて、地元関係者の意向を尊重し、仙台市やNPO団体などとの調整を図りながら、幅広く、可能な限り有効活用の方策を検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱五点目、氷河期の捏造石器についての御質問にお答えをいたします。 初めに、文化財保護行政にかかわる職員の能力と資質についてのお尋ねにお答えいたします。 文化財保護に係る職員配置につきましては、そのポストの役割や重要性を踏まえ、専門的な知識や造詣など、職員の能力や資質などを総合的に勘案し決定しているところでございます。 なお、旧石器捏造問題につきましては、発掘現場で捏造を企てる者がいるなどとは思いもよらぬことであり、捏造が極めて巧妙であったこと、また、当時、東北旧石器文化研究所による前期旧石器の研究が学会で一定の評価を受けていたことなどから、捏造を見抜けなかったものであり、そのこと一つをもって、職員個人の能力や資質が問えるようなものではないと考えております。 次に、氷河期の旧石器捏造遺跡についての御質問にお答えいたします。 検証作業によって捏造と判断された宮城県内の遺跡につきましては、平成十五年四月に遺跡地図と台帳から抹消しております。 なお、約二万年前の後期旧石器時代の遺跡は、宮城県を含め全国で確認されております。色麻町中島山遺跡については、捏造されたものと判断されたため登録を抹消いたしました。また、尾花沢市袖原三遺跡についても、山形県教育委員会によって登録が抹消されております。 次に、氷河期に奥羽山脈を人類が往来していたのか、また、第一次・第二次氷河期についてはどうかについてのお尋ねにお答えいたします。 奥羽山脈の東西で約二万年前の遺跡が発見されておりますが、人類が氷河期に奥羽山脈を往来していたかどうかについては、定説がありません。第一次氷河期、第二次氷河期という用語は地質学では定義されておりませんが、約七万年より前の時代を示すとしますと、現在のところ国内で遺跡は発見されておらず、人類の活動については明らかではありません。 以上でございます。
○議長(高橋長偉君) 警察本部長高橋美佐男君。 〔警察本部長 高橋美佐男君登壇〕
◎警察本部長(高橋美佐男君) 大綱一点目、県内の少年非行の概況についての御質問にお答えをいたします。 刑法その他の法律に触れる行為をして検挙、補導された少年は、平成十五年以降、年々減少する傾向にありますが、本年十月末現在、その数は約千二百六十名となっております。刑法犯少年は全刑法犯の二八・五%を占め、このうちの約六五%は中高校生であります。少年非行の約半数を占める万引き、自転車盗などの窃盗犯が年々減少する一方で、本年は、昨年同期に比べまして、強盗、暴行、恐喝で検挙、補導される少年がふえております。 少年非行問題につきましては、万引き等の初発型非行が鎮静化しつつある中で、昨年は、刑法犯少年の再犯率が逆に増加に転じたところであり、今後とも少年の健全育成に向けた諸対策を推進していく必要があると考えているところであります。 以上であります。
○議長(高橋長偉君) 監査委員
遊佐勘左衛門君。 〔監査委員
遊佐勘左衛門君登壇〕
◎監査委員(
遊佐勘左衛門君) 今野隆吉議員の監査委員に対する御質問にお答えいたします。 まず、医薬品入札問題についてでありますが、平成十三年十二月に、医薬品の取引において価格カルテルがあったとして公正取引委員会から排除勧告がなされたことに伴い、県におきましては、これらの企業に対して指名停止の措置をとったほか、仙台地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、現在、係争中であると承知いたしております。 監査委員といたしましては、適正な競争のもとに入札等が執行されることが極めて重要であると認識しており、今後におきましても、会計検査院や公正取引委員会等、関係機関からの指摘があった場合には、県の関係機関に事情聴取し、その趣旨が徹底されるよう必要な指導をしてまいります。 次に、不適正が見受けられる事項に改善を求めているが、その後の処理をどう指導しているのかとの御質問にお答えいたします。 監査を実施した結果につきましては、その内容を議会及び知事に提出するとともに、指摘内容を通知し、その改善事項の措置状況について報告を求めています。更に、重大な指摘事項及びその措置状況については、県公報において公表するとともに、翌年度の定期監査等において、軽微な指導事項も含めて、その改善等措置状況を確認し指導しています。 また、翌年度の監査計画を定める際、前年度の監査結果に基づき重点的に監査する事項を定めるなど継続性を持たせるとともに、包括外部監査結果や他県等で問題となっている事案を参考として監査を実施しているところでございます。 更に、県の事務執行において不祥事等の事案があった場合は、随時、当該機関に対して事実関係を聴取するとともに、必要に応じて調査又は監査を実施いたしております。 今後におきましても、適正な事務執行はもとより、県税を含む収入未済の解消あるいは補助金の不正受給などによる損害発生防止の観点にも配慮しながら、住民の福祉増進と最少の経費で最大の効果が上げられるよう、実効ある監査の推進に努めてまいります。 次に、監査の充実と監査体制の独立性の確保についてお答えいたします。 そもそも我が国の地方行政は、行政執行に対して監査・検査・審査機能が極めて弱いという問題点を抱えていると思っております。それは昭和二十二年の地方自治法が、戦後の荒廃から立ち上がり、復興と、そして経済的な発展を目標として制定されたためで、監査制度についても、第百九十五条から第二百二条までのわずか八カ条についてのみ言及されているだけでございまして、また、御承知のとおり、昨年五月に若干の改正が加えられたというものの、監査委員の数については、人口一千二百万人の東京都も、そして六十万人の鳥取県も一律に四人という大変大雑把な規定になっていることからも容易に理解することができます。いわば発展途上国型の制度だと言うこともできるわけで、地方分権が叫ばれ、そして地方の主体的な行政運営の実行が求められている中で、法改正も含めて、監査制度は早急に改革されなければならないと考えております。 この改革の流れの中で、監査委員事務局のあり方についても見直しされる必要があり、職員が、採用と人事も含めて知事のガバナンスのもとにあるのでは、監査委員が、よりその使命を果たそうとしたときに、大きな不都合に直面することもあり得るわけであります。したがいまして、職員の配置転換につき、フランチャイズ制を採用するとか、あるいはまた道州制を先取りする形での東北六県でのローテーションによる人事異動なども含めて、できるだけ早く事務局職員の独自採用が検討される必要があると考えております。 今年九月には、建設仮勘定が百二十億円に及んでいる仙南工業用水道事業の廃止を含めた見直しを提起したり、収入未済の縮減についても多くの指摘をしてまいりました。精力的に監査に取り組んでいるところでございますが、本県監査委員及び事務局は、現行法のもとでは極めて有効な監査を従来から実施してきていると考えておりますが、御指摘の補助金の削減も含めて、財政健全化や行財政改革のためにも、監査機能の抜本的な充実強化が求められていると考えております。 以上でございます。