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  1. 宮城県議会 2006-02-01
    02月28日-05号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    平成18年  2月 定例会(第308回)     第三百八回宮城県議会(定例会)会議録                           (第五号)平成十八年二月二十八日(火曜日)  午前十時開議  午後四時三十八分散会      議長               伊藤康志君      副議長              大沼迪義君出席議員(六十二名)        第一番            菅原 実君        第二番            本木忠一君        第三番            長谷川洋一君        第四番            渡辺忠悦君        第五番            庄子賢一君        第六番            石川光次郎君        第七番            外崎浩子君        第八番            佐藤光樹君        第九番            中島源陽君        第十番            熊谷義彦君       第十一番            坂下 賢君       第十二番            青野登喜子君       第十三番            佐々木喜藏君       第十四番            伊勢 敏君       第十五番            佐々木敏克君       第十六番            小野 隆君       第十七番            中山耕一君       第十八番            佐々木征治君       第十九番            須田善明君       第二十番            寺島英毅君      第二十一番            安部 孝君      第二十二番            皆川章太郎君      第二十三番            佐藤詔雄君      第二十四番            岸田清実君      第二十五番            岩渕義教君      第二十六番            加賀 剛君      第二十七番            遊佐美由紀君      第二十八番            横田有史君      第二十九番            菊地文博君       第三十番            菅間 進君      第三十一番            川嶋保美君      第三十二番            袋  正君      第三十三番            小野寺初正君      第三十四番            小林正一君      第三十五番            池田憲彦君      第三十六番            安藤俊威君      第三十七番            中村 功君      第三十八番            柏 佑整君      第三十九番            菊地健次郎君       第四十番            畠山和純君      第四十一番            千葉 達君      第四十二番            本多祐一朗君      第四十三番            佐々木ひろし君      第四十四番            藤原範典君      第四十五番            内海 太君      第四十六番            坂下康子君      第四十七番            大学幹男君      第四十八番            大沼迪義君      第四十九番            百足健一君       第五十番            渥美 巖君      第五十二番            中沢幸男君      第五十三番            石橋信勝君      第五十四番            長島秀道君      第五十五番            仁田和廣君      第五十六番            藤倉知格君      第五十七番            菊地 浩君      第五十八番            高橋長偉君      第五十九番            相沢光哉君       第六十番            伊藤康志君      第六十一番            渡辺和喜君      第六十二番            今野隆吉君      第六十三番            千葉正美君欠員(一名)      第五十一番-----------------------------------説明のため出席した者      知事               村井嘉浩君      副知事              三浦秀一君      出納長              菅原清毅君      公営企業管理者          齋藤 進君      病院事業管理者          久道 茂君      総務部長             松元照仁君      企画部長             佐々木義昭君      環境生活部長           三浦俊一君      保健福祉部長           加藤秀郎君      産業経済部長           遠藤正明君      土木部長             佐藤幸男君      出納局長             佐藤明男君      病院局長             佐伯光時君      総務部次長兼秘書課長       村上和行君      総務部財政課長          足達雅英君    教育委員会      委員長              藤村重文君      教育長              白石 晃君      教育次長             鈴木隆一君    選挙管理委員会      委員長              槻田久純君      事務局長             岡部 敦君    人事委員会      委員長              大立目謙直君      事務局長             小川竹男君    公安委員会      委員長              藤崎三郎助君      警察本部長            近藤善弘君      総務室長             岩間憲雄君    労働委員会      事務局長             小出 恭君    監査委員      委員               阿部 徹君      事務局長             庄子正昭君-----------------------------------    議会事務局      局長               高橋宣明君      次長兼総務課長          福井利悦君      参事兼議事課長          千葉幸雄君      政務調査課長           鈴木国雄君      総務課副参事兼課長補佐      門脇 啓君      議事課副参事兼課長補佐      鹿野壽悦君      議事課副参事兼課長補佐      佐藤 昭君      政務調査課長補佐         伊東昭代君      議事課長補佐(班長)       菅原 清君      議事課長補佐(班長)       三浦清記君      議事課主任主査          布田惠子君-----------------------------------    議事日程    第五号          平成十八年二月二十八日(火)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 発議第一号議案ないし発議第二号議案第三 議第一号議案ないし議第十七号議案及び議第十九号議案ないし議第百四号議案並びに報告第一号及び報告第二号第四 一般質問   〔中島源陽君、岸田清実君、須田善明君、小野寺初正君、佐藤光樹君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名三 日程第二 発議第一号議案ないし発議第二号議案三 日程第三 議第一号議案ないし議第十七号議案及び議第十九号議案ないし議第百四号議案並びに報告第一号及び報告第二号四 日程第四 一般質問   〔中島源陽君、岸田清実君、須田善明君、小野寺初正君、佐藤光樹君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(伊藤康志君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(伊藤康志君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、三十九番菊地健次郎君、四十番畠山和純君を指名いたします。----------------------------------- △発議第一号議案・発議第二号議案 △議第一号議案ないし議第十七号議案 △議第十九号議案ないし議第百四号議案 △報告第一号・報告第二号・一般質問 ○議長(伊藤康志君) 日程第二、発議第一号議案及び発議第二号議案、日程第三、議第一号議案ないし議第十七号議案及び議第十九号議案ないし議第百四号議案並びに報告第一号及び報告第二号を一括して議題とし、これらについての質疑と、日程第四、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。九番中島源陽君。    〔九番 中島源陽君登壇〕 ◆九番(中島源陽君) そこは、あたり一面、どこまでも続く真っ白な銀世界です。きつね森王国のこんこん館は、そんな銀世界の真ん中にあります。 きつね森王国は、鳴子町鬼首地区の皆さんが、地域の活性化を願い建国した王国で、その王国唯一の館がこんこん館であります。このこんこん館で開かれた新年お祝い会のときに、あるおじいさんが、「この山さ降った雪が春になって解げだどぎに、里の人だぢがあんまりわがんねえなら、下の方さ流してやんねがらな。」と言っていました。もちろん、そんなことはできるはずもないのですが、そのおじいさんの言わんとすることは、何となくわかるような気がしました。 水田に引く水や飲み水はもちろんのこと、川となって流れついた海もこの山の恩恵を受けているのであり、私たち人間は、大自然の中でつながり合って暮らしていることに対し、感謝する心を忘れてはいけないということを改めて教えていただきました。 振り返って日本は、戦後、高度経済成長の時代を一気に駆け上り、一九九〇年代に入り、バブル崩壊後は経済の低迷が長く続きました。近年、ようやく明るい兆しが見えてきたとはいえ、地方にはその実感はまだまだ薄く、更に、県内においても、地方に行けば行くほど、冷え切った経済状況から抜け切っていない現実があります。 このような現実を踏まえたときに、村井知事の掲げる富県戦略は、多くの県民が第一に願うところであります。本県経済は、平成十年の県内総生産額八兆七千二百九十億円でありました。平成十五年では、八兆四千二百三十億円と三・五%の減少です。一方、全国ベースでは、平成十一年から平成十五年にかけての国内総生産が四・一%成長となっていることから考えると、宮城県経済が全国の回復基調の流れからいかにおくれをとっていたのかということであると思うのです。そのような意味で、富県戦略には知事自身も並々ならぬ決意で臨んでいるものと思いますが、それゆえに、その決意の支えとして、前段紹介したこんこん館のおじいさんの話を大切にしていただきたいと思うのであります。 経済的に豊かになることは当然の願いでありますが、同時に、自然に対する感謝であったり、家族を初めとする自分を取り巻く人々に対する感謝にあふれる社会もまた、だれもが願うところだからであります。知事は、この心をも豊かに富ませる富県戦略として、集中的な産業政策と感謝する心を両輪にして推進していくということについてはいかがお考えでしょうか、所見をお伺いしたいと思います。 さて、本県経済の一つの目安として、事業所数と雇用者数の推移に注目すると、平成十一年から十六年までの五年間で、県全体としても事業所数は五千九百八十一件の減少で、雇用者数は二万八千五百七十二人の減少となっています。このことは、七つの圏域全般において同じような傾向となっており、いわゆる県内全般において雇用の場が失われてきたことを示しています。また、一方、本年までの二カ年半で実施してきた緊急経済産業再生戦略における成果を見ると、全体としては一万四千人ほどの雇用増となっているのですが、それぞれの圏域においてその成果には差異があります。 そのような中で、私は、特に地方農村部で多くの方々から言われることは、自分の子供たちが就職を迎えたときに、結局、職場が近くにないということで、家を出て行かざるを得ないという現実に対する苦悩であります。このことは、県内各地における共通する切実な苦悩であると思うのです。私は、富県戦略を推進していく上で、この苦悩にこたえていくような、地域による地域のための戦略をしっかりつくり上げていかなければならないと思うのですが、知事はいかがお考えでしょうか。 さて、何事も戦略を考えるときの常道として、今持っている強みを最大限に生かすということが当然考えられるところであります。私は、本県における強みの中で、農と食に注目したいと思っています。 本県は、食材王国を掲げて久しいわけでありますが、これまでは、どちらかと言えば食材のPRや流通の拡大、イベント等による発信・啓発等に力を入れ、一定の成果をおさめてきたと思うのですが、今回の富県戦略においては、食材王国を生かした食産業の振興が極めて大切ではないかと考えています。 食産業の県内における最近の状況は、食料品製造業の企業数で見ると、平成十一年七百十七社であったのが、平成十六年には六百六十七社と、五十社減少している状況にあります。本来、宮城県は、食材の豊かさからすれば、減少ということではなく十分に発展していく可能性があると思うのです。 私は、あるところで、農産物をそのまま売れば、市場が値段をつけるので自分で値段をつけることはできない。しかし、一・五次加工でも、加工すれば自分で値段をつけることができるようになる。これは、経営にとって決定的な違いだと言われたことがありました。私は、そのような意味において、本県にあるすべての情報・ネットワーク、加工技術、開発能力等を総動員にして、富県戦略の大きな柱として、広域圏ごとに地域の農業特性を生かした食産業の起業支援と食産業の集積を推進してはいかがかと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。 私は、知事の掲げるもう一つのテーマである安全安心みやぎの中で、命を支えるという意味で食の安全安心は最重要課題であり、そのためには、農林水産業をしっかりと次の時代へ引き継いでいくことが欠かせないと思っています。しかしながら、農業生産指数では、平成十二年を一〇〇としたときに、平成十四年は全国が九七・二であるのに対し、本県は九五・七であり、全国平均よりも農業生産力が落ちていることになります。 このような現状の中で、国の新たな農業政策として、平成十七年十月に経営所得安定対策等大綱が制定されました。平成十九年度から、これまでの価格政策から所得政策への移行、更には、政策支援対象者を担い手などに限定するという政策の大転換であります。しかし、本県における現実の農村は、経営耕地規模別農家数で見ると、三ヘクタール以上で分けても全体の一三%ほどであります。つまり、単純に新政策の基準となる四ヘクタールで分ければ、ほとんどの農家が新たな政策の対象とはならないという現実があります。しかも、個人農家の場合は、認定農業者であることが条件でもありますから、本県の認定農業者数が四千八百人ほどであることを考えると、現状の認定農業者だけでは、本県の農地を守り切れないことは明らかであります。 このような厳しい現実といや応なく迫ってくる新たな農業政策への対応の中にあって、昨年の十一月に発表された本県の経営所得安定対策等の導入に向けた対応方針においては、この対策の周知徹底を図り、できるだけ多くの担い手がこの対策にのれるように推進していくということが基本的な柱となっています。もちろん、それは現在の農政推進からすれば当然の方針であるとは思うのですが、私はそこに、本県ならではの考え方と将来像を示すことはできないのだろうかと考えています。 私は、この新たな政策を考えるときに、ある新聞のコラムに出ていた「担い手栄えて農村滅ぶ」というショッキングなタイトルを常に思い起こします。今回の政策は、一歩間違えば、そのコラムのタイトルどおりになる可能性もあると思うのですが、私は、本県として目指す姿は、農業と農村の共存ではないかと考えています。地域において、農業だけが守られるということではなく、農村集落という暮らしの基盤も同時に守られるという姿を目指すという考え方を、しっかり示していくことが大切と思うのですが、いかがでしょうか。 また、今回の新たな農業政策では、基本として、経営規模四ヘクタール以上の認定農業者と、同二十ヘクタール以上の特定農業団体や一定要件を満たした集落営農体等は、品目横断的安定対策の対象となるのですが、米、麦、大豆の収入変動緩和対策は、あくまでもマイナス部分の補てんであります。いわゆる、価格保証ではないので、価格が下がれば当然補てんされる額も下がっていくものです。そう考えていくと、農業と農村の共存を目指した地域営農システムへ向かうためには、集落の農地・農業をどうやって守っていくのかという、前向きな議論が欠かせないと思います。その結果、集落で緩やかな共同作業システムをつくろう、集落で一緒にハウス栽培をしようというような、より積極的な結論を得た場合に、国の政策にのる、のらないにかかわらず、宮城県版地域営農の担い手として独自支援策を設けて、地域としての取り組みの選択肢を広げていくことが求められていると思うのです。 JA金沢市では、品目横断的経営安定対策をもちろん推進はするものの、小規模兼業農家が多い実情を踏まえて、集落営農規模要件を五ヘクタールに緩和して国の制度支援の対象にならなくとも、独自の助成事業を設けています。そう考えていくと、農業と農村の共存を目指した地域営農システムの構築に向けて、本県独自の基準を設けて、例えば、集落に対するハウスリース機械リースの支援、加工品開発指導、販売指導、営農指導など多くのソフト支援など、いろいろな県独自の地域営農支援策を考える余地は十分にあるのではないかと思うのです。そうすることで、新たな政策にのるかのらないかという選択肢だけではなく、もっと前向きな選択肢を豊かにしていけば、集落ごとに又は仲間たちとゆっくり話し合って、自分たちの集落の未来像について、みずからの責任において、みずからが納得できる方向を見つけることができると思うのです。 このような県としての独自の支援策により、農業と農村の共存を目指した地域営農システムの構築に向け、集落に対する前向きな選択肢を広げていくことについて、知事はいかがお考えでしょうか。 私は先日、岩手県葛巻町の江刈川地区を訪れました。葛巻町は、盛岡市から更に七十キロの距離にあります。立地条件としてはむしろ厳しいところでありましたが、直売所「みち草の驛」と「森のそば屋」を、地域のお母さん方を中心に運営していました。更に驚いたことは、私が訪れた日曜日は、三カ所に出前産直を行っていました。これらの活動を通じて、年間約一億円を売り上げているとのことでした。農村は、すべて地勢条件、風土条件、人的条件などが違い、全く同じことはできないのかもしれませんが、地域資源をもとに、集落起業によって定年のない里づくりに邁進している姿は、私に大きな勇気と農村の未来像を与えてくれました。 大きな雇用を創出することはできないのですが、このような集落を基盤とした直売所やそば屋、都市部での常設又は移動での直売、農産加工などなどは、小さな雇用や生きがいをたくさん生み出すとともに、地産地消や経済の県内循環をつくり、多くの波及効果を生み出してくれます。私は、このような集落起業の取り組みを総合的に支援するための農業・農村版富県戦略も求められていると思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 私は、ある道州制に関するシンポジウムに参加しました。その第一部はワークショップで、私は農業のグループに入ったのですが、そのときのグループテーマは、「農業会社で地域を元気にしよう」でした。道州制が導入されたという仮定での議論だったのですが、テーマを追求していった結果、自分たちが主体的に取り組む範囲が最も多く、次いで市町村、道州と国は大枠での制度補償ということになりました。しかしながら、現実は、今回の経営所得安定対策等大綱の推進状況が示すとおり、これまで同様、この新たな農業政策をつくったのは国であり、その政策を全国一律に進めているのが現状であります。 本来、農業ほど地域条件の影響を受ける産業はないのですから、農業ほど地域ごとの政策が求められる分野はないと思うのです。結果として、総論的に地方分権や道州制を唱えたとしても、具体論として、地方における政策立案能力が国を超えていかなければ、何も進展しないのではないかと感じました。しかし、地方には、何よりも現場が近いという強みがあります。この強みをしっかり生かしていけば、必ず地方独自の政策を生み出していくことができるはずであります。そのためには、農業振興策という視点だけではなく、農業政策という大枠を県民とともに、更には東北の皆さんとともに、しっかりと議論を積み重ねていく場が必要であります。 知事も、今議会の所信表明において、地方主権型社会を標榜されており、まさに新たな農業政策が始まろうとしている今だからこそ、農業という具体論から地方分権を巻き起こしていこうではありませんか。知事の所見を伺いたいと思います。 次に、大綱二点、観光王国みやぎについてであります。 本県観光は、年間誘客数五千万人を目指して、宮城県観光立県行動計画五カ年戦略プロジェクトを中心にしてさまざまな施策を展開中でありますが、観光地の実感としては、まだまだ不況の中にあるという状況であります。特に、年間五十万人以上の誘客がある大きな観光地ほどその落ち込みが大きい傾向があり、その回復は喫緊の課題であります。一方、新たな観光スポットとして集客をふやしている道の駅や、グリーンツーリズムのような体験型観光も注目を集めており、新たな観光の光も生まれてきました。このような本県観光の現状に対して、知事はいかが認識されているのでしょうか、所感をお伺いしたいと思います。 また、本県の観光は「スマイルあったか宮城」というキャッチフレーズで発信されているところでありますが、私は、山形県の「おいしい山形」というキャッチフレーズとは、その効用においては相当に水をあけられていると感じています。それは、言葉の持つイメージの優劣ということではなく、県内全域にどれだけ浸透しているのかという点であります。「おいしい山形」は、県庁の方の名刺はもちろん、至るところで出会うロゴであり、どこの観光地でも、しっかりと、地場のものでおいしさを満喫してもらえるような山形観光を目指そうという趣旨がしっかり浸透しているように感じます。 一方、「スマイルあったか宮城」は、十分には使いこなせていないのではないでしょうか。つまり、宮城県としてどんな観光を目指していくのかということを、十分には共有できていないということだと思うのです。見る、食べる、楽しむ、いやすなど、観光資源は、全国に引けをとらないものが十分にある本県でありますから、観光王国みやぎに向けた第一歩は、県全体としての目標の共有化ではないかと思うのですが、知事はいかがお考えでしょうか。 また、村井知事は、平成二十年のデスティネーションキャンペーンに手を挙げ、最近決定したようでありますが、私はとても価値のある意思表示であったと思います。昨年が福島県会津地方で実施され、期間中の地元経済効果三百二十一億円との報告があり、また、一昨年が山形県で実施され、経済波及効果で二千九百十億円との報告がありました。本県としては、平成二十年のデスティネーションキャンペーンに向けて統一テーマの共有を図るべく努力と、地域ごとのこだわりのある観光プログラムを開発していくための努力が求められてくると思うのですが、知事としてのデスティネーションキャンペーンにかける熱い思いと、具体的な推進イメージをお示しいただきたいと思います。 私は、先日のみやぎの観光の夕べにおいて、観光関連会社の方に、一昨年の山形のキャンペーンでの三カ月間は当然誘客はふえました。しかし、問題なのは、キャンペーンが終わった後にどうなるかなのです。残念ながら、山形はもとに戻ってしまったのですというお話をいただきました。あれだけの誘客増と経済効果をもたらしたにもかかわらず、観光のプロの見方は、冷静かつ常に次を見据えていたわけであります。つまり、デスティネーションキャンペーンを考えるときには、同時に、終わった後のことも考えておかなければならないということであります。そう考えたときに、私は、地域エンジンを持った観光地づくりを目指すべきではないかと考えています。いわゆる観光地の中に、常に地域を動かす主体的な活動体が存在しているという観光地づくりであります。地域エンジンは、常に観光客の皆さんからエネルギー源をいただいて、その力によって更に観光地の魅力アップにエンジンをうならせるという循環のシナリオであります。私は、そのような地域エンジンを持った観光地づくりを推進するために、観光地における地域エンジンたる人々を育てるような、ソフト・ハード面の総合的な支援策が求められていると考えますがいかがでしょうか、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。 知事を先頭にして、地域を主役にした観光王国みやぎに邁進されることを期待して、私の壇上からの一般質問を終わります。 御清聴、ありがとうございました。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 中島源陽議員の一般質問にお答えをいたします。 大綱二点でございました。 最初に、農業・農村版富県戦略についてお答えをいたします。 まず、富県戦略における集中的な産業政策と感謝する心という両輪論についてどう考えるかという御質問にお答えをいたします。 私が目指しておりますのは、県民の方々が、生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかったと思える宮城県をつくることであります。 私が師と仰ぐ松下幸之助氏は、かつてPHP運動を提唱いたしました。これは、ピース・アンド・ハピネス・スルー・プロスペリティー。つまり、繁栄を通じての平和と幸福であり、人々が繁栄を感じることによって幸せになっていくことを意味しております。この繁栄は、競争をしながらも、すべての人が幸せになっていく共存共栄という意味も込められているものであります。この考えに立ち、私は、宮城県を元気にしてほしいという多くの県民の方々の思いを受けて、富県戦略による地域の活性化に取り組むことといたしました。 宮城県は、東北地方にあって比較的温暖な気候や多様な自然環境、そして、これらが生み出す恵みによって発展してまいりました。先人たちが、これらの恵みをまさに命の恵みとして感謝し、互いに支え合い、協力し合いながら、むだにすることなく活用することによって、今日の宮城県がつくられたものであります。産業経済の活性化を進めるに当たっては、御指摘のありましたとおり、単なる利益追求ではなく、感謝の心が加わることによって持続的な繁栄、持続的な発展を可能とする社会を築くことができるものと考えております。 今後、富県戦略として、各種施策と事業を実施するに当たっては、支えてくれるものへの感謝がその達成を確実にし、真の幸福を与えてくれるものと考えております。 次に、地域による地域のための地域戦略についてでございます。 豊かで安定した県民生活を実現するためには、地域産業の振興を図り、県民生活の基礎である富と雇用の創出を図ることが必要であることは、都市部、農村部にかかわらず、県内すべての地域で同じであります。県といたしましては、これまでも、平成十六年度に設置した地方振興事務所を中心に、産業振興に軸足を置いた地域振興に積極的に取り組んできたところであります。また、緊急経済産業再生戦略では、アグリビジネス創出プロジェクトや市町村連携事業など、広域仙台都市圏以外の圏域の経済活性化と雇用の創出にも結びつく事業を展開し、各圏域の産業振興に取り組んできたところであります。結果的に、圏域別の雇用創出数は、実数では地域間格差が見られるものの、対人口比での雇用創出の割合は、地域的なばらつきが比較的小さいものとなっています。 今後、各圏域の産業経済活性化を進め、更なる雇用の創出を図っていくためには、産業構造や地域の資源、優位性に加え、地域みずからが地域のために行うことが重要であります。現在、みやぎ経営戦略会議を開催するなど、現場の第一線で活躍している産業人を初めとする方々から、御意見、御提案をいただいております。更に、地方振興事務所を中心に、各圏域の皆様の御意見やニーズにこれまで以上に耳を傾け、産業構造など特性を踏まえつつ、アグリビジネスを初めとした農林水産業や、水産加工業などの地域に根差した産業の再生や競争力強化に取り組んでまいります。また、観光産業や地域の豊かな自然環境や、多彩な地域資源を生かしたグリーンツーリズムなどの振興により、地域の交流人口の増加と、それに伴う農産物の販売増などを図っていく所存であります。 今後とも、市町村や各地域で、産業振興、地域振興に取り組む方々の意欲、知恵、アイデアといった民の力を最大限に活用しながら、地域の実情に即した経済の活性化策を一層強化をしてまいります。 次に、広域圏ごとの地域農業特性を生かした食産業の起業支援と集積についてでございます。 宮城県では、これまでも、農業者みずからが取り組む農産物加工施設の整備や農産物直売場の設置、更にはレストランの開設など、地域の特性を生かした起業家の支援を行ってまいりました。また、農業者と食品製造業者とが連携した商品の開発や、インターネット上での商品販売など、ビジネスチャンスの創出に努めてまいりました。こういった食産業の起業支援や集積は、宮城県の産業経済の活性化にとって大変重要であると認識をしております。 このような観点から、平成十八年度は、新世代アグリビジネス創出事業において、起業的な経営感覚を持ってマーケット・イン型の農業に取り組もうとしている方や、食関連企業と連携した新しいビジネスを展開しようとしている方などを対象に、アグリビジネス起業家育成講座を実施し、株式会社などの農業参入も含めて起業の支援をすることとしております。 また、フードシステム連携強化構築事業では、食産業クラスターの形成を目指し、農業者、食品製造業者、大学試験研究機関などからなる(仮称)宮城県食産業クラスター協議会を立ち上げるほか、今後、大崎、登米、石巻などの各広域圏においても、同様に組織化を進めることとしております。これらの協議会のネットワークを最大限に活用しながら、地域資源を生かしたみやぎならではの高付加価値商品の開発や人材育成などの事業を展開し、食産業の起業化や集積を図ってまいります。 次に、農業集落を暮らしの基盤として維持することについての御質問にお答えをいたします。 競争力と個性のある農業を持続的に発展させるためには、地域農業を担う意欲と能力のある担い手を育成・確保するほか、農業・農村の多面的機能の健全な発揮を図る必要があります。県内の農業集落は約二千五百ありますが、中山間地域では高齢化、過疎化が進み、都市近郊においては混住化の割合が高まるなど、農業集落の機能の低下が課題となっております。このようなことから、集落機能を維持・活性化し、地域コミュニティーも含め、農業集落を暮らしの基盤として強固なものにすることが重要と認識をしております。 県といたしましては、今議会に提案をしております、みやぎ食と農の県民条例基本計画の見直しの中でも、農村の振興に関する項目として、次代に引き継ぐ地域資源の保全や中山間地域の振興、コミュニティービジネスの推進を掲げており、農村や集落機能の活性化を推進することとしております。 また、地域の特性を生かした農業の展開を図るため、中山間地域等直接支払制度や農地、水、環境保全向上対策等を活用し、集落内の担い手農家を初め、小規模な農家や兼業農家も参加し十分に話し合いをしていただき、お互いの共通理解のもと生産意欲を高め、集落機能や農村環境の維持・保全が図られるよう支援をしてまいります。 次に、集落に対するハウスリース機械リースの支援等を行うといった地域営農システム構築に向けた県独自の支援策についての御質問にお答えをいたします。 地域として農業・農村を持続的に発展させるためには、集落内で農業や担い手の現状を踏まえ、あるべき姿をそこに至る道筋を十分に議論して、実効性のある方策を確立し、実践していくことが必要であります。そのため、土地利用型作物においては、集落の農地や機械、労働力等の効率的な活用を図るほか、園芸や畜産部門の取り組み拡大や、豊かな地域資源を生かしたコミュニティービジネスの展開等による地域営農システムの構築が重要であります。県といたしましては、地域営農システムの構築を進める上で、ハウスや機械の整備が必要な場合には、市町村振興総合支援事業の中のメニュー事業である、みやぎの水田農業改革支援事業や園芸特産重点強化整備事業等の十分な活用を図っていただきたいと考えております。 また、加工品開発や販売促進、更には、経営改善等のソフト面については、農業改良普及センターや財団法人みやぎ産業振興機構等の関係機関により支援をしてまいります。そういった制度があるということで、御利用いただければと思います。 次に、岩手県の集落起業の成功事例のような農業・農村版富県戦略が求められているがどう思うかという質問にお答えをいたします。 宮城県では、これまで、農産物加工施設、農産物直売所、農家レストラン等の農業・農村型企業を支援してまいりました。その結果、平成十七年十月現在、農産物加工施設五十一カ所、常設の農産物直売所二百二十カ所、農家レストラン三十七カ所が設置されておりますが、これらは年々増加傾向にあります。更に、県内では、年間売上額三千万円を超える農産物直売所が四十カ所、そのうち、一億円を超える直売所が十一カ所育成されるなど、地域経済の重要な拠点となっております。例えば、特徴のある事例といたしましては、加美町の小野田地域では、農産物直売所が定期的に仙台市内のデパートの協力を得ながら出張産直を行い、売上額や知名度を伸ばし、直売所周辺に農家レストラン等を展開して集客力を向上させるなど、地域経済の発展に大きく寄与しているところであります。 県といたしましては、こういった地域資源を生かした内発型のビジネスを農業・農村の場で創出する、いわゆる集落起業を一層加速させていくことが重要であると考えております。このため、これらを活動の拠点としてグリーンツーリズムや地産地消などを積極的に推進するほか、事業の発展段階に応じたきめの細かいビジネス支援を実施するなど、地域ごとに特色あるビジネスが展開できるよう取り組みを強化をしてまいります。 次に、農業政策面から地方分権を喚起すべきだという御質問にお答えをいたします。 地方分権を推進するためには、国と地方の役割分担を明確にした上で、地方が自主性、自立性を高め、みずからの判断と責任において、地域課題に主体的に対処できるような機能を持つことが重要であると考えております。これまで、地方分権については、国や地方、民間の役割等がさまざまな分野で議論され、農業分野においても、国庫補助金の削減や交付金化等の補助金改革、農地のリース、特区の全国展開等の規制緩和、税源移譲など具体的な動きが出てきております。 県といたしましては、地方分権を進めるに当たり、農業現場に最も近い市町村の役割が重要であることから、平成十七年度から、農業分野においても、市町村みずからが事業を選択したり構築できるよう、園芸振興や水田農業改革等の事業を総合補助金に移行しており、市町村の裁量権や提案事業の拡大を図ってまいりました。基本的には、食の安全安心や食料自給率の向上等、全国で統一的に対応すべき事項や、WTO農業交渉等、国際関係の中で解決すべき事項については国策レベルで対応すべきでありますが、地域の農業・農村のあり方や振興施策等については地方みずからが政策立案し、主体的に実現に向けて努力していくことが重要と考えております。 これまでも、地方分権については、全国知事会を中心とした地方六団体が、国と協議しながら三位一体改革を進めてまいりましたが、残された課題も多いことから、農業分野も含め、今後とも国及び市町村と意見交換を十分に行い、地域住民が、真に豊かさを実感できる地方主権型社会の実現に向けて取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、観光王国みやぎの推進についてのお尋ねでございます。 まず、本県観光の現状についてお答えをいたします。 最近の国内観光旅行の大きな流れとして、団体型旅行にかわって個人型旅行が増加してきております。日本観光協会の資料によりますと、同行者の内訳は、職場、学校の団体が、平成四年の一四・六%から平成十五年には七・二%になりました。一方、三人以下の旅行者は、平成四年の二三・九%から平成十五年には三五・三%となり、観光形態として個人型旅行が中心となってきております。こうした個人型旅行の影響として、宿泊施設内のみで完結する一泊二日宴会型や、見る観光から、こだわりや体験など自由に楽しむタイプの観光へとニーズが大きく変化をしてきております。国内においても、近隣の温泉と差別化を図り、いやしを求めてやってくる観光客に対して、徹底したおもてなしを行っている大分県の湯布院温泉や、日本のふるさとを実感させる自然、風景、雰囲気をつくり上げた熊本県の黒川温泉など、魅力ある温泉地が多くの観光客の支持を得ているところであります。県内においても、個人客に主眼を置いた観光客のニーズに対応した動きが一部に出てきておりますが、県全体としては十分対応できているとは言えません。 観光客数の推移を経済効果が高い宿泊観光客数で見ますと、ピーク時の一千万人台から、平成十二年には七百三十四万人まで落ち込みました。平成十六年には七百九十四万人と、緩やかな回復傾向にあるものの、依然として厳しい状況にあると認識しております。 このような状況を改善するためには、地元の魅力を体験できるメニューの充実、温泉地における湯めぐりやまち歩きの楽しみの創出、地元住民による観光ガイドの充実、地域住民との交流の創出など、地元が一体となった体験型、交流型の取り組みが大切であります。県といたしましても、このような観光客に対する満足度の高い観光地づくりに、一層の支援をしてまいりたいと考えております。 次に、本県の観光資源は全国にも引けをとらないものが十分にある。観光王国みやぎの第一歩は、県全体の目標の共有化にあると思うがどうかという御質問にお答えをいたします。 宮城県の観光キャッチフレーズ、「スマイルあったか宮城」については、新世紀・みやぎ国体型の大型イベント開催時における宮城のイメージアップを目的として策定したものであり、これまで、観光パンフレットやポスター並びに職員の名刺等の印刷物、観光PR用のはっぴ等、さまざまなところで宮城のPRに活用してきているところであります。 真に魅力ある観光地づくりを行うには、観光事業者のみならず、地域住民の方すべてが一体となって目標の共有化を図り、地域の総合力によって、魅力度や満足度をアップさせることが必要であります。そのため、県民全体が共有できる目標として、平成十八年度にみやぎ観光戦略プランを策定することとしております。 なお、平成二十年に開催されるデスティネーションキャンペーンでは、宮城を瞬時にイメージできて、インパクトの強いキャッチフレーズを設定することとしております。 次に、デスティネーションキャンペーンに対する私の思いについてお答えをいたします。 かねてJRに要望してきたデスティネーションキャンペーンが、宮城県で、平成二十年十月から十二月までの三カ月間、開催されることが決定したところであります。このキャンペーンは、関係自治体や地元観光関係者とJR六社が協力して実施するものであり、集中的に宮城県の魅力を全国に情報発信することで、数多くの観光客を誘致することが可能になります。 その期待できる経済効果ですが、直接消費額で約四百億円、その他経済波及効果を合わせると約七百億円の効果が見込まれることから、このキャンペーンは、地元産業の活性化に大きく貢献するものであります。県といたしましては、JRグループ及び各市町村並びに観光関係者が一丸となって、この大型観光キャンペーンの成功に向けて取り組みを進めてまいります。私自身も先頭に立って、頑張ってまいりたいと考えております。 また、具体的な推進イメージについてでございますが、宮城をイメージできる統一テーマを設定して行うこのキャンペーンは、地域づくりの一つとして、絶好の機会ととらえております。これを契機として、県内の各地域が、その地域の観光につながる資源を磨き、育て上げ、民と官が一体となった観光振興に寄与できる地域づくりのシステムをつくり上げることが重要であると考えております。また、先ほどお答えいたしましたとおり、宮城を瞬時にイメージできるキャッチフレーズや統一ロゴマークの作成も行い、この地域の特色を前面に出したブランド力の向上を図ってまいりたいと考えております。 更に、私としては、県境を越えた広域的な取り組みも視野に入れて、早急に関係者の方々と具体的な推進計画を詰めてまいることとしております。 最後に、地域エンジンを持った観光づくりを目指すために、地域エンジンに対するソフト・ハード面での総合的支援策をどうするのかという御質問にお答えをいたします。 デスティネーションキャンペーンは、観光を振興する上で新しい観光の仕組みを構築する体制づくりと考えており、各地域や広域的につくり上げたその体制は、キャンペーン終了後も、その地域の観光振興に寄与し、牽引できるものでなければなりません。地域の中には、さまざまな産業や暮らしがあり、観光は地域の総合力であると考えます。それぞれの地域が輝いてこそ、観光客に満足を与えることができるもので、そのためには、地域を動かす主体的な活動が必要であると考えます。既に、「SENDAI光のページェント」や東鳴子の「GOTEN GOTENアート湯治祭」などのイベントに見られるような動きが一部においては出てきております。県といたしましては、このような観光地づくりに取り組んでいる地域を動かす主体的な活動体に対する支援として、宮城路観光地整備事業やアドバイザー派遣を初めとする観光客受け入れ体制づくりへの支援など、ハード・ソフト両面での支援を継続して行ってまいります。 今回のデスティネーションキャンペーンにおいても、将来につながる絶好の機会であることから、このキャンペーンを生かした支援もあわせて進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(伊藤康志君) 九番中島源陽君。 ◆九番(中島源陽君) 大変思いのこもった御答弁、ありがとうございました。 農業関連の大綱一点目で、ひとつちょっとお願いと御質問という形になるんですが、地域を歩いておりますと、今年度といいますか、新たな県政は、非常に農業又は第一次産業に目を強く向けてくれているなと、ありがたいと、非常に心強いという励ましの言葉もよく聞きます。そういう意味で、この富県戦略の中で、自動車関連産業のように、多くの雇用を生み出すという意味では、非常に重要な分野をもちろん第一に掲げていくことは重要だと思うんですけれども、地域、農村ということを考えると、今までるる御答弁をいただいたわけでありますから、その思いは十分受けとめたいと思いますので、どうかこの農業分野、農村というところに、いろいろな面で発信を、知事自身も、ぜひこれからも力強くお願いをしたいというふうに思うところであります。 そういう中で、この新たな対策がこれからの農村を本当にいろいろな面で大きく左右してくる、影響をすごく与えている、これは現場に住んでいると非常に感じます。身近な集落でも、もう既に説明会が終わって、今の段階はまだ漠然と、新しい対策がこうなるのかなということを受けとめた段階でありまして、これから本当に話し合いを詰めていったときに、いろいろな地域の課題というものが出てくると思います。そんな中で、例えば認定農業者の方からは、何というんですか、ただでも今は非常にお米の所得というのが低い中で、押しつけられるようで本来困るという声であったり、うちの集落はそもそも六ヘクタールしかないのに、集落営農の二十ヘクタールに満たないと、どうしてくれるんだという声であったり、いろいろ中山間に行けば行くほど、非常に難しい条件を抱えております。そういう意味で、いい事例、いい環境の中で、モデルをつくっていくことはもちろん大事であります。ただ、一方で、そういう条件の不利なところにこそしっかり目を向けていただくことで、この対策をしっかり宮城県として乗り切っていけるのではないかというふうに私は思っておりますので、ぜひ条件の不利なところにこそ目を向けていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 中島議員のおっしゃるとおりだというふうに思います。 まず、最初の農業の重要性、県の取り組みについてしっかりと知事として発信をしていってもらいたいということであります。やはり私が先頭に立って発信することによって、メッセージが直接県民の皆さんに伝わることが多いと思いますので、しっかりと努力をしてまいりたいというふうに思います。 また、経営所得安定対策の中で集落営農問題、条件の不利なところ、そういったところにしっかり光を当てなければならないということであります。これも産業経済部、しっかりとそのことを受けとめておりまして、そういったところをしっかりと対策をとってまいろうというふうに思っておりますので、どうか見守っていていただきたいというふうに思います。 ○議長(伊藤康志君) 九番中島源陽君。 ◆九番(中島源陽君) ぜひお願いをしたいと思います。 そういう中で、いろいろ地方、地域ごとに地方県事務所又は振興事務所を中心にいろいろ声を聞いていきたいということでありましたので、ぜひ知事本人も出向いて、声を聞いていただければと思います。お願いをしたいと思うわけでありますが、もう一方で、声を聞くということとあわせて、地方分権を考えたときに、国と県の関係又は県と市町村の関係ということを考えたときに、声を聞くという一つのベースの上に、地域ごとに考える力、地域ごとにみずからつくっていく力というものが育っていくのか、又は県として育てていけるのかということが非常に大事であろうというふうに思っておりますので、この振興事務所が当面その核にはなろうと思いますけれども、声を聞くという段階だけではなくて、その中に考える力、つくっていく力というものを育てていくのだという思いを、ぜひ実現していっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。
    ◎知事(村井嘉浩君) 私もそのように考えております。市町村、活性化してもらうためには、やはり自分たちで自分たちの魅力を感じ取って、自分たちでまちづくりをしていくという、そういう思いがなければ何も実現できないというふうに思っております。県も今年度から市町村総合振興補助金というものを設けまして、市町村が独自で考えたメニューに対して県が補助をしていくと、補助のお仕着せではなくて、自分たちで考えたものに対して県が補助していくという制度をとっておりまして、こういった体制は来年度以降もしっかりと続けてまいりたいと、自立性を高めるような施策をとってまいりたいと考えております。 ○議長(伊藤康志君) 九番中島源陽君。 ◆九番(中島源陽君) 最後に一点、観光の、大綱二点の方で御質問させていただきたいと思います。 デスティネーションキャンペーンに向けて、県としていろいろな発信の手だてを考えていかなければいけないと。地域ごとの観光地でも、当然それぞれのプログラムを考えていくということと、それ以上に、もしかしたら県の考えるべきことというのは大きいのではないかと思うんですが、JRを中心に又は観光関連の企業を中心に、集中的に発信をしていただけるわけでありますけれども、県独自の発信の拠点又はツールとして、どんなことがあるんだろうかというふうに考えたときに、現時点で考えられるのは、各場所にある、例えば東京事務所であったり東京アンテナショップであったりということで、非常に発信をするに優位性のある場所にそういう拠点を持っているわけでありますので、そこをどんなふうに、やはり県独自としての発信力をどうつけていくのかということが、キャンペーンの終わった後にも、県としての観光発信力を維持することにつながるというふうに思うのですけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。 ○議長(伊藤康志君) 産業経済部長遠藤正明君。 ◎産業経済部長(遠藤正明君) さまざまな拠点施設を、東京でありますとか大阪、それから札幌にも持っておるわけでございます。それから、各地域に県人会もございますし、さまざまな大使の方もお願いしてございます。まず、この総合力をそれぞれの拠点施設、それからお力添えをいただく方中心というのが第一点あると思います。それから、やはりマスコミの力とかマスメディアの力、これを活用しなればならないというのがありますけれども、この活用の方策につきましては、地域の方々が知恵を絞って、そのマスメディアの方々と十分話し合いの上、地域の特色、個性を打ち出していくと、こういう観点から取り組んでいく必要があると思っております。 それから、一番注意しなければならないのは、誘致観光客全体をとにかくふやすという目標を立てて魅力をPRしていかなければならないということでございまして、そうでないと、一定のシェアの中で観光地がお客さんをそれぞれ取り合うという、お互いの--これ、競争の発揮という面では非常にいいんですけれども、それが逆にデメリットになるようであってはならないということで、県内全観光地が力を合わせて県全体の魅力をPRするような方策を考えていきたいと、そういうふうに考えております。 ○議長(伊藤康志君) 九番中島源陽君。 ◆九番(中島源陽君) 以上で終わります。 ありがとうございました。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。    〔二十四番 岸田清実君登壇〕 ◆二十四番(岸田清実君) 一月六日、東北電力を初めとする電力各社は、平成十七年度と十八年度に、青森県六ヶ所再処理工場で使用済み核燃料から分離されるプルトニウムの利用計画を公表しました。この公表は、核兵器の原料となる余剰プルトニウムは持たないとする国際公約として、国の原子力委員会が平成九年に国際原子力機関に通知し、その裏づけのために原子力委員会が平成十五年、次のように決定したものに基づくと考えられます。すなわち、原子力委員会は、その利用目的の妥当性について確認し、電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的、内容は利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめどなどであります。これらを記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表するというものであります。しかし、この内容は、平成十七年度、十八年度分の割り当ては行うものの、プルトニウム混合燃料加工工場ができるまでは六ヶ所再処理工場で保管されること、加工工場の竣工は、平成二十四年以降であることが述べられているにすぎません。利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめどの各項目は、全く満たされていないと言わざるを得ません。このような観点に立って幾つか質問をいたします。 一月十日の記者会見で、知事は、安全性に問題がないのならば私はよろしいのではないかというふうには思っておりますと述べました。翌週の記者会見で、安全性に問題がなければということは、私自身としては非常にハードルが高いというふうに思っておりますと釈明をされております。まだ何も説明を受けていないんですよとも述べています。説明を受けておらず、県としての態度が白紙であるならば、白紙と明確に述べることが責任ある態度であると思いますが、いかがでしょうか。 原子力政策は国策だと言われます。原子力の平和利用と核不拡散という国際的な問題とのかかわりや基幹エネルギーの確保という国家課題との観点から国の政策となっていることは否定しません。しかし一方、原子力発電所周辺の住民の安全を確保するのは自治体であり、何かあれば被害を受けるのは周辺住民であることは疑うことのできない事実であります。だからこそ県を初めとする周辺自治体は、電力会社と安全協定を締結し、通報連絡、立ち入りなどを定めているのではないでしょうか。宮城県においては、原子力発電所における何回かのトラブルを経て協定内容を強化してきたはずであります。このような経過を踏まえれば、国策とはいえ、プルサーマル計画についても県として主体的な検討を行っていくことが必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、プルトニウムの保管と青森県六ヶ所再処理工場について伺います。 国が平成十七年九月六日に発表した我が国のプルトニウム管理状況によれば、イギリスに約十六トン、フランスに二十一・五トン、国内に五・七トンの合計約四十三トンのプルトニウムを日本は保有しています。国内の原子力発電所でプルトニウムを燃やすプルサーマル計画は全く進んでおらず、この上更に六ヶ所再処理工場でプルトニウムの分離が進むとすれば、保管せざるを得ないプルトニウムが増加することになり、余剰プルトニウムを持たないという国際公約に反することになると考えられます。福島県の佐藤栄佐久知事は、原子力政策大綱に対する意見で、既に我が国は四十トンものプルトニウムを保有し、その処理のめども立っていないのに、なぜ新たなプルトニウムを生む再処理施設を急いで稼動させるのかと疑問を呈しています。宮城県としても、六ヶ所再処理工場の稼動に対して延期を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 プルトニウム利用計画について伺います。 プルトニウム混合燃料を原子力発電所で燃やすプルサーマル計画は、福島県、新潟県で白紙になり、東京電力が一月に発表したプルトニウム利用計画では、利用発電所を明記することができませんでした。東北電力についても利用開始は平成二十四年以降とあるだけであり、女川原発の三基のうちのどの号機かも示されていません。プルサーマル計画用の燃料加工工場が平成二十四年以降のどの時期かに操業を開始することを言っているにすぎないわけであります。さきに述べたように、利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめどの各項目は、全く満たされていないと言わざるを得ません。これをもって事前に示されるべき利用計画とは言えないと思うのですが、御所見をお伺いいたします。 そもそも現在のプルサーマル計画は、海外で分離されたプルトニウムを国内で燃やすことを前提として始まったものであり、六ヶ所再処理工場での分離プルトニウムを使用することは含まれていなかったものであります。今回の利用計画がこれまでの利用計画の延長ではなく、新たな利用計画の提示であるとの認識が必要であると考えますが、いかがでしょうか。 続いて、大綱二点目、介護保険について伺います。 高齢者福祉をめぐる環境は、近未来的に大きく変化していくことが予想されます。八年後には団塊の世代すべてが前期高齢者の仲間入りをし、その十年後には後期高齢者となります。この大きな世代の塊がサービスを受ける側にだけ立つとすれば、介護保険を初めとする福祉諸制度は存立を脅かされることになるに違いありません。一方、この世代が高齢者の仲間に入ってもなおその能力を生かしてさまざまな活動体を通じて社会を支える側に立つとすれば、高齢社会のありようを変えていく力になるとも考えられます。県の諸施策は、このことを見据えながら展開を図っていかなければならないと思うのですが、御所見をお伺いいたします。 公的介護保険制度は二〇〇〇年四月に出発いたしましたが、五カ年計画の三年ごと見直しを二回経て、本年四月からは制度改正を伴う新たなスタートを切ることになりました。この間、全国では二〇〇〇年四月末と二〇〇五年六月末比較で、六十五歳以上の被保険者数は二千百六十五万人から二千五百二十四万人へと三百五十九万人、一七%増加いたしました。一方、要介護認定者は同じく二百十八万人から四百十七万人へと百九十九万人増、実に九一%の増加となっています。保険料負担による権利意識の高まり、サービス基盤の整備進行に伴うニーズの掘り起こしなどがその原因と考えられます。県内での二〇〇〇年四月末と二〇〇五年六月末比較では、六十五歳以上の被保険者数は四十万三千人から四十六万四千人へと六万一千人、一五%増加いたしました。一方、要介護認定者は、同じく三万六千人から七万二千人へと三万六千人増、実に一〇〇%の増加となっています。利用実績の伸びとともに、総費用は二〇〇〇年度実績が三兆六千億円であったのに対し、二〇〇五年度の予算ベースで六兆八千億円となり、年一〇%を超える伸びとなっています。これに伴い、六十五歳以上が負担する一号保険料は、二回の計画でそれぞれ全国が二千九百十一円から三千二百九十三円へ、宮城県内平均では二千六百九十七円から三千七円となるなど、負担増の問題が起きています。サービス提供についても、要支援や介護度一などの比較的介護度の低い利用者がサービスを受けることによって介護度が重くなる傾向も指摘されてきました。電動ベッドなどの介護用品の貸し出し、ホームヘルプ事業の一部による身体機能の低下が指摘されています。二期の計画期間におけるこのようなさまざまな課題を制度の中に生かしていくものとして今回の制度改正が行われ、県のみやぎ保健医療福祉プラン、第三期高齢者元気プランの策定に至っています。 このような経過を踏まえつつ、次期計画及び制度について伺います。 まず、施設入所者についてであります。 国は、施設サービスについて、平成二十六年度を目標に入所者の七〇%を介護度四ないし五にすることとし、重度者に重点化する方針を示しています。宮城県内の介護度四から五の入所者が入所者全体に占める割合は平成十七年度で五八・二%であり、平成二十六年度七〇%になるためには、定員の増加数を大きく上回る形で重度者の入所が増加しなければなりません。つまり新規施設はもちろん、既存施設に生じる空きも重度者の入所で対応しないと、この数字にはならないのではないかと考えられます。この点については、どのような見解をお持ちでしょうか。入所判定に当たって、制度出発当初は本人の身体能力のみの判断であったものが、家庭環境なども加味することに変更になった経緯があります。重度者の入所を優先する原則に異議はありませんが、入所希望者の家庭環境などへの配慮が軽んじられないようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、施設入所待機者について伺います。 県内の入所希望者は、平成十七年度に月ごとのアンバランスがありながらも二万二千人前後で推移しています。重複希望を名寄せで除いた実質的な待機状況は、平成十七年四月一日現在で、介護度一から五で一万八百六十八人となっています。その時点での居場所は、病院、自宅、老健などとなっていますが、私は、このうち介護度三から五で自宅にいる人の緊急度が高いと思いますが、どう考えられるでしょうか。この人数は合計で二千百人になっています。今回策定中の第三期みやぎ高齢者元気プランでは、介護老人福祉施設が七百八十八床増、介護老人保健施設が四百五十九床、介護療養型医療施設が百十三床と比較的重度を対象とした施設整備が合計千三百六十床となっています。データにあらわれた必要数と整備量に乖離があると考えられますが、この点についての見解と対応をお伺いいたします。 国は、今回の制度改正に合わせて、施設入所者数の介護度二から五の認定者数に対する割合を三七%以下とする参酌標準を設定しました。平成二十六年度にこの標準に到達することを見据えて今回の計画をつくるということであります。宮城県の計画案では、平成二十年度で四三%となっており、平成二十六年度に向けて参酌基準に近づけていくと考えられますが、入所希望の現状から考えて整備抑制にならないようにすべきと考えますが、御所見を伺います。 今回の制度改正では、幾つかのポイントがありますが、それぞれについて順次伺います。 まず、介護予防についてであります。 介護予防は地域支援事業と新予防給付に分かれ、地域支援事業は要支援になるおそれのある人などを対象として転倒骨折予防、栄養指導などを行うことになっています。その該当者はスクリーニングによって把握することになっています。効果的に対象者を拾い上げることができるかどうかが、この地域支援事業のかぎと言ってもよいと思われます。この点についてどのようにお考えでしょうか、御所見を伺います。 介護予防のもう一つの新予防給付は、これまでの要支援者と介護度一の一部を対象とした要支援一と二が該当するものとされ、運動器の機能向上、口腔機能向上、栄養改善を行うとされています。運動器の機能向上では、ストレッチング、バランストレーニングなどを行い、機能訓練指導員、看護士が指導に当たり、口腔機能の向上では歯科衛生士、言語聴覚士などが当たるものとされています。サービス提供のための人材確保が十分できるのかどうかについて見解をお伺いいたします。 これらの介護予防事業は、新しく設置される包括支援センターを中心として行われることになっています。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが一組みとなって構成され、介護予防にかかわる取り組みはもちろん、虐待防止・早期発見、地域のケアマネジャーとの連携など、地域単位でのケアシステムの中心に位置づけようというものであります。後段で触れる地域密着型サービスと相まって、地域における介護システムの重要な一翼を担うものとなるに違いありません。しかし、幾つかの課題があります。まず保健師などの有資格者が配置されなければならないことから、その人材確保が十分行われるのかどうかであります。また、地域ケアシステムの中心に位置づけられることから、その公正・中立が確保されなければならないと考えますが、その担保はどのようになるかであります。これらについての考え方と見通しについて御所見をお伺いいたします。 次に、地域密着型サービスについて伺います。 今回の制度改正では、日常生活圏域を設定し、その圏域を単位とした必要整備量を定めることになっています。都市部、広域自治体では、自治体内の地域ごとのアンバランスを是正できることが期待されています。仙台市ではおおむね中学校区を単位とする方針であります。県内では市町村合併が進行し、自治体の広域化が進んでいます。日常的な生活圏域は旧自治体単位というところも多いと思うのですが、合併市町村における日常生活圏域の設定に当たって、県は市町村に対してどのような助言を行ってきたのでしょうか。 地域密着型サービスの中で幾つかの新しいサービス類型が設定されています。その一つが、小規模多機能型居宅介護サービスです。デイサービス、ショートステイ、ホームヘルプサービスの在宅三本柱を、日常生活圏域を対象に一体として運営することが想定されています。県では、宅老所の中からモデル的なケースをつくる方針と聞いております。私は、県長寿社会政策課から紹介を受けて、東松島市で介護保険指定事業所としてデイサービスを行うとともに、ショートステイ「住める」と名づけられた居住系サービスも提供している「のんびーりスミちゃんの家」に話を聞きました。ここでは口腔ケアなどきめ細かい介護に努め、介護度が軽度化していく人も多いとのことであります。一方、開所して十年が過ぎ、当初デイサービスに通った人の中でも、加齢で身体機能が衰え、通所が無理になり、「住める」の事業開始になったということもお聞きをいたしました。代表の伊藤寿美子さんは、小規模多機能事業所を目指したいと話しているものの、課題もあると指摘されています。ショートステイは、定員が五人から九人とグループホームの一ユニツト分である中で、職員を確保しなければならず、厳しい。また、介護保険の小規模多機能施設になることで、現在の利用者が利用できなくなる事態も考えられるという点です。小規模多機能施設は新しいジャンルであるだけに、できるだけ早い時期にモデルケースができることが望まれますが、これらの課題に県はどのように援助をしていくのか、御所見を伺います。 地域密着型サービスの新メニューに、夜間対応型訪問介護が提起されています。これまで夜間の場合は、巡回型が実施されていましたが、それに加えて、要介護者から排泄介助、体調不良などの連絡を受けるオペレーションセンターサービス、必要に応じて訪問する随時訪問サービスを行うとされています。随時訪問サービスは、ニーズ量が安定しているかどうかが不透明であり、事業者の確保が難しいのではないかと感じるのですが、どうお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。 介護保険の最後に、情報開示について伺います。 これまで国は、介護保険事業者に対する第三者評価制度の整備を目指してきましたが、今回の制度改正に伴って、調査票に事業者が自主的に記入したものを指定調査機関が確認し、内容を指定公表センターが公表することといたしました。客観性、公平性の観点から、この制度は妥当性が高いと感じます。順調な運用が期待されるところですが、指定調査機関、公表センターの役割は大きなものがあります。県としてはどのような指定を検討されているのか伺います。 以上、大綱二点について質問を申し上げました。知事の所見を求め、私の壇上からの質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 岸田清実議員の一般質問にお答えをいたします。 大綱二点でございました。 最初に、プルサーマル計画についてお答えをいたします。 まず、東北電力株式会社のプルサーマル計画に関する私の発言及び本県の対応についてでございます。 さきの記者会見で、私は、知事として原子力発電所に対する基本的な姿勢を、安全性に問題がなければという言葉で表明したものであります。プルサーマル計画については、東北電力株式会社からまだ何も聞かされておりませんが、具体的な説明があれば、住民の安全安心を確保できる内容であるかどうかを慎重に検討することにしております。 次に、プルサーマル計画に関して県が主体的に検討すべきではないかという御質問にお答えをいたします。 プルサーマル計画が今後具体化した場合には、東北電力株式会社から、安全協定に基づいた事前協議の申し入れが行われることとなりますので、その際には、県といたしましては、当然のことながら、住民の安全を最優先する立場から、計画の内容、必要な安全対策などのほか、三十年以上の使用実績があるフランスやドイツでの実施例も含め、さまざまな検討を行い、関係自治体とも連携して判断してまいりたいと考えております。 次に、六ヶ所再処理工場に延期を求めることについてでございます。 我が国は、エネルギーの安定供給を図るため、使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルを推進することを国策として定めております。私といたしましても、資源の乏しい我が国にとって、ウラン資源の有効利用は必要なことであると認識をしております。青森県の六ヶ所再処理工場は、この核燃料サイクルのかなめであり、青森県当局が慎重に検討を行っていると聞いておりますが、地元の理解が得られ、円滑に推進されるよう願っております。 次に、事前に示されるべきプルトニウム利用計画の内容についてでございます。 平成十五年八月に原子力委員会は、青森県の六ヶ所再処理工場の操業に伴い、回収が予定されるプルトニウムについて、透明性を確保するため、毎年利用計画を明確にし公表するよう、各電力事業者に対して求めています。その中で、プルトニウム利用計画の進捗状況に応じ、順次、目的、内容をより詳細なものとするよう指示しておりますが、東北電力株式会社の公表は、この委員会の求めに応じたものであります。平成十八年度のプルトニウムの所有量が〇・一トン、利用場所として女川原子力発電所、年間の利用目安は〇・二トン、利用開始が平成二十四年度以降となることなどが公表されております。 なお、公表内容については、ことしの一月に開催された原子力委員会において了承されております。--よろしいですか、数字。いいですね。 次に、今回提示されたプルトニウム利用計画への認識についてでございます。 平成九年の原子力委員会の決定に基づいて、全国で十六から十八基の原子炉で、平成二十二年までにプルサーマルを実施する旨の計画を各電気事業者が公表しております。この原子力委員会の決定の中で、プルトニウムの再利用については、まず海外で再処理、回収されたプルトニウムの利用を開始し、その後、国内外での回収状況に応じて利用を拡大するとの方針が示されておりますことから、当初より、国内の再処理工場で分離したプルトニウムの利用をも想定していた利用計画であると認識しております。 次に、大綱二点目、介護保険についての御質問にお答えをいたします。 まず、団塊の世代を見据えた今後の高齢者施策の展開についてでございます。 宮城県の六十五歳以上の高齢者は年々増加し、平成十七年三月末現在の高齢化率は一九・七%となっていますが、団塊の世代が高齢者になる平成二十七年--二〇一五年には高齢化率も二四・一%に達し、県民のおよそ四人に一人が高齢者になると予想されています。 人生八十年時代の現在、人生の四分の一を占める高齢期をいかに生き生きと暮らすことができるかが、要介護状態になることを予防するためにも非常に大切であります。特に、間もなく定年を迎える団塊の世代を初めとする元気シニアのパワーを活用し、社会の一員として、引き続き社会活動に積極的に参加できる環境づくりを進めることは、非常に重要であると認識しております。このため、元気シニアが活躍できる場の情報提供や、高齢者の就業機会の確保などを通じて、高齢者の活力を地域社会に生かすシステムの整備に努めます。 また、宮城いきいき学園に、新たに福祉や環境の専門講座等を開講するみやぎシニアカレッジ・アカデミー校を設置するなど、社会貢献活動の一層の促進を図ってまいります。 次に、国の参酌基準に合わせ、平成二十六年度に要介護四及び五の入所割合を七〇%以上にするには、定員増を上回る形で重度者の入所数増加が必要になると思うがどうかという御質問にお答えをいたします。 今回の制度改正における施設サービスの見直しでは、高齢者の尊厳の保持と自立支援という介護保険の基本理念を踏まえ、施設利用者の重度化への対応と終末期ケアへの対応の強化が求められているところであります。このことから、医療機関との連携を図りながら、重度の方々の受け入れが可能な体制づくりを促進する必要があります。今後につきましては、施設入所者について、重度の方々への重点化を進めざるを得ないものと認識しております。 次に、施設入所希望者の入所時における家庭環境などの配慮についてでございます。 県では、特に入所希望者の多い特別養護老人ホームについて、施設サービスを受ける必要性が高い入所希望者の優先的な入所に関して透明性や公平性を確保するため、平成十五年八月に、指定介護老人福祉施設優先入所指針を策定しております。各施設では、この指針に即して入所規程を定め、入所判定を行っております。この指針では、入所希望者本人の状況はもとより、御家族や介護者の状況等を勘案し優先度を判定することとしており、家庭環境などにも配慮しながら、入所の判定を行う仕組みとしているところであります。県としましては、今後とも、この指針に基づき、適切に入所判定が行われるよう指導してまいります。 次に、特別養護老人ホーム入所希望者の中で、特に介護度三から五で、自宅にいる人の緊急度が高いと思うがどうかというお尋ねに対してお答えをいたします。 特別養護老人ホームの入所希望者の居住の状況は、自宅、病院、介護老人保健施設などとさまざまであり、要介護度につきましても一から五の方まで、軽度から重度まで多岐にわたっております。議員お話しの、自宅での生活を継続している要介護度三以上の中・重度の方々につきましては、入所希望者の中でも緊急度が高い方々と認識をしております。 次に、施設整備の必要数と整備量の乖離への対応についてでございます。 第三期みやぎ高齢者元気プランの策定に当たっては、市町村において、要介護度が高いが介護者がいないなど、緊急性が高い利用希望者の実態把握を行い、可能な限り施設整備計画に反映させております。また、従来の施設整備に加え、今回の介護保険法の改正による予防重視型システムへの転換を踏まえた居宅サービスの充実を図ることとしております。 具体的には、中・重度の要介護状態となっても、可能な限り、住みなれた自宅や地域での生活の継続を目的として、通いを中心に、要介護者の様態や希望に応じて随時、訪問や泊まりを組み合わせた新たなサービスである小規模多機能型居宅介護の整備を促進していくこととしております。これらの取り組みを着実に進めることにより、重度の方々のニーズに対応してまいりたいと考えております。 次に、入所希望者数の現状を踏まえた施設整備にすべきとの御質問にお答えをいたします。 施設整備につきましては、住みなれた地域での生活を可能な限り継続できるよう、在宅サービスを基本とした上で、当該計画期間--平成十八年度から平成二十年度にあっては、必要な利用者数を適切に見込むよう、市町村に要請を行ってきたところであります。県といたしましては、高齢者人口の推移を踏まえ、第三期みやぎ高齢者元気プランの策定に当たっては、在宅サービスを充実をするための新たな展開として、地域密着型サービスの拠点整備を積極的に促進することにより、国の参酌基準を前提としつつ、入所希望者の状況や地域の実情に配慮し、施設サービスの利用者数の設定に努めたところであります。今後につきましては、医療制度改革の中で、療養病床の介護老人保健施設等への転換が進められる動きなどもありますことから、県としましても、これらの動向を踏まえ、施設整備のあり方について検討をしてまいります。 次に、地域支援事業における介護予防事業の該当者のスクリーニングについてでございます。 介護予防事業の対象者のうち、虚弱な状態にある特定高齢者の把握につきましては、平成十八年度から、老人保健事業として行われる基本健康診査に合わせて行う介護予防のための包括的な生活機能に関する評価が最も重要なものとなります。これに加えて、生活機能低下の早期把握のためには、市町村職員の訪問活動等による実態把握、更に病院、診療所などの医療機関や老人クラブなどの関係団体からの連絡など、さまざまなネットワークを活用することにより、潜在化しやすい対象者を早期発見するためのシステム構築が重要であると認識をしております。 次に、新予防給付のための人材確保についてでございます。 新予防給付のサービスのうち、特に介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーションなどの通所系サービスにおいては、日常生活上の支援などの共通的サービスの運動機能向上、栄養改善、口腔機能の向上の選択的サービスが設けられております。御指摘のように、特に選択的サービスでは、多様な専門職の配置が重要となっております。現在、事業者において専門職の配置に向けた努力が行われているところでありますが、十分な確保に至っていないものと認識をしております。このため、県といたしましては、多くの専門職の方々が新予防給付のサービス提供に携わっていただけるよう、理学療法士会や看護協会、歯科衛生士会など、各職能団体に対し協力を要請してまいりたいと考えております。 次に、地域包括支援センターの人材確保と公正・中立の確保についてでございます。 地域包括支援センターは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の配置が要件とされていますが、地域における人材確保の実情等を勘案し、各専門職について、それぞれ経過措置が設けられているところであります。県といたしましては、専門職の確保は、地域包括支援センターの設置に当たって最も重要な課題と認識し、早い段階から対応するよう、市町村に対し要請を行ってきたところであります。ことし四月には、県内の三十六市町村のうち三十三市町村が地域包括支援センターを設置する予定となっており、人材はおおむね確保されたものと考えております。 また、地域包括支援センターの公正で中立性の高い事業運営のため、市町村は、地域包括支援センター運営協議会を設置することとなっております。この協議会では、センターが実施する事業内容の評価などが予定されていることから、県では、協議会が適正に運営されるよう、市町村に対し助言をしてまいります。 次に、地域密着型サービスに関する日常生活圏域設定のための合併市町村に対する助言についてでございます。 市町村が現在策定している介護保険事業計画においては、高齢者が住みなれた地域で生活を継続することができるようにするため、市町村内を日常生活の圏域に分け、その圏域ごとに地域密着型サービスのサービス量を見込むこととしております。 日常生活圏域の設定については、国の指針により、市町村が地理的条件、人口、交通事情などの社会的条件、サービスを提供する施設の整備状況等を総合的に勘案して定めるものとされています。県では、昨年三月に県内の二つの市と町をモデル市町村とし、そこで検討事例の発表などを内容とする市町村担当者研修会や説明会を開催したほか、市町村内の圏域人口のバランスなどにも配慮した設定を行うよう、助言してきたところであります。 次に、小規模多機能型居宅介護事業所を目指す取り組みへの支援についてでございます。 本県では、小規模多機能の考え方を先取りする形で、宮城県緊急経済産業再生戦略の一環として、高齢者小規模多機能施設整備事業を平成十六及び十七年度に各一カ所ずつ実施しております。平成十六年は気仙沼市、平成十七年度は大和町で行っております。また、昨年十一月から、地域において事業主体として想定される宅老所からの転換に伴う課題、問題点などについて、みやぎ宅老連絡会など関係団体との検討を行っております。 今後につきましては、この検討結果も踏まえ、小規模多機能型居宅介護事業の指定に際し、義務づけとなる各種研修の実施とあわせて、県独自の研修や運営マニュアルの作成を行うなど、小規模多機能型居宅介護事業への取り組みを支援をしてまいりたいと考えております。 次に、夜間対応型訪問介護を行う事業者の確保についてでございます。 夜間対応型訪問介護は、夜間において定期的な巡回又は通報による随時訪問を行うサービスですが、第三期みやぎ高齢者元気プランでは、都市部の市や町を中心に、平成十八年度は年間約五万回、平成二十年度には二倍の約十万回の需要を見込んでおります。現在、県内では、二十四時間訪問介護サービスを八十三の事業所が提供しており、県としては、夜間対応型訪問介護の担い手として期待しているところであります。 今後、こうした事業者の理解と協力を得ながら、事業への参入を促進してまいりたいと考えております。 最後に、介護サービス情報の公表制度の体制整備についてお答えをいたします。 この制度は、利用者が事業所を適切に選ぶための情報を提供する仕組みとして、訪問介護、通所介護、特別養護老人ホームなど、九つのサービスを対象に、平成十八年四月から導入される制度です。 指定調査機関及び指定情報公表センターの体制整備については、国と県とが協力して平成十六年度からモデル事業を実施して検証を重ねており、このモデル事業に参加した県内NPO等の団体を調査機関及び情報公表センターの対象として検討を進めております。三月中に交付される政省令では、指定を受けようとする者が調査を行おうとする介護サービスをみずから提供していないことなど、事務の公正かつ的確な実施のための指定基準が盛り込まれる予定となっており、この基準に従って、厳正に審査した上で指定することとしております。 以上でございます。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) まず、プルサーマル計画から伺っていきたいと思います。 今、各項目について御答弁いただきました。一言で言えば、まだ何も決まっていないということですね、県の対応はね。そういうことでよろしいのかどうか。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) そういうことです。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) 簡潔明瞭な答弁、ありがとうございます。 その上で、まず一点目ですけれども、記者会見の件ですね。時も大分過ぎた話ですので一つだけにしたいと思いますけれども、今、改めて知事の答弁があったように、要するに県の対応は何も決まっていないということですね、正確に言えば。そういう中で、安全性に問題がなければという言葉のもとによろしいのではないかという、その後一週間、翌日からの報道も含めて、非常に誤解を生んだのは事実だと思うんですよね。ですから、そういう意味では、明確に、予断を挟む余地がないように、そうであれば、白紙であれば白紙、未定であれば未定というふうに言う必要があったのではないかと思いますけれども、改めてこの点について伺います。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) まだ東北電力の方から何もお話が私の方に来ておりませんので、お話が来てから、その時点からスタートということですべてを考え始めるということであります。したがいまして、そういう意味で言えば、現時点においては白紙と言えば白紙ということになろうかというふうに思います。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) 今後、ぜひ正確に記者会見されるように、各分野あると思いますけれども、お願い申し上げたいと思います。 次に、翌週の記者会見で、そのことについて実質修正をされたように私は受けとめているんですけれども、そのときに--これはホームページの記者会見の知事の発言に載っているものですけれども、安全性について問題がないのかどうかというようなことをしっかりと証明をしていただく、電力にですね、こういうふうに述べられております。要するに、今後、電力の側にそういう証明の責任があるということを述べられたものだと思うんですけれども、そういう受けとめでよろしいですか。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは当然、国にも責任があると思いますので、国及び電力に対して言ったつもりであります。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) 実際、だから今説明がないということも含めて、要するに、まだ現時点ではそのことに対する証明がなされているということではないということでよろしいわけですよね。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 何度も申し上げますが、まだ何もお話を伺っておりませんので、証明をしてくれということもお話をしておりませんので、何のデータも私の方にはまだいただいておりません。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) そうすると、これはどの時点で証明を求めていくということになるんでしょうか。 ○議長(伊藤康志君) 環境生活部長三浦俊一君。 ◎環境生活部長(三浦俊一君) お答え申し上げます。 東北電力から、プルサーマル計画について、電力としてもいろんな考えを、やるとなれば社内的にしっかりと研究、検討して、国とも相談をしながら計画づくりをすると思いますが、そういう具体の計画が私ども示されておりませんので、現時点では何とも、申しわけないんですが言いようがないというのが実情でございまして、電力として考え方が固まった段階で、その内容がいろんな角度からしっかりと、立地市町村と連携しながら検証していきたいというふうに考えているのが、私どもの基本的な考えでございます。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) ぜひその際は、主体的に検討をお願いしたいと思います。 同じくこの日の記者会見のときに、記者から、県民の同意が必要と考えるのかというふうに質問がありまして、知事は、ええ、当然そうでしょうねというふうに答えられているわけです。この県民の同意ということですね、これはどういうふうに考えられているんでしょうか。 ○議長(伊藤康志君) 環境生活部長三浦俊一君。 ◎環境生活部長(三浦俊一君) お答え申し上げます。 私どももまだそこまでの、どう対応するかについての考え方をまだ詰めてはおりませんが、既にいろいろ過去になされた各先進的な事例もございますし、それから国の考え方等もございますし、立地町村の考え方もがありますが、そういったことを総合的に加味しながら、具体的なやり方を検討していかなくちゃいけないなというふうに考えております。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) これからの検討ですけれども、ただ、どういうあり方が必要かというのは、やっぱり早目早目に検討していくということは必要だと思いますね。そういう中で、特に事前協議の問題なんかで言えば、安全協定を結んでいて、周辺市町村はもちろんそれに乗って、県も含めて協議をしていくということは、当然レールに乗るわけですよね。それは当然なことでありまして、それとともに、やはり周辺市町村だけの問題ではございませんので、そういう意味では、全県的に意見やあるいは対応を求めていくような、そういう形での同意づくりといいますか、そういうこともぜひ行っていく必要があるのではないかというふうに思いますが、この点についてお伺いしておきたいと思います。 ○議長(伊藤康志君) 環境生活部長三浦俊一君。 ◎環境生活部長(三浦俊一君) 今、議員からおっしゃられた点も含めまして、どういったやり方が一番--知事が先ほど御答弁申し上げました、県民の皆さん方から御同意をいただく上で、どういうやり方をとっていけば一番適切な対応ができるか、その辺をこれから研究、検討していかなくちゃいけないなというふうに思っております。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) 質問の中でも申し上げましたけれども、プルサーマル計画、全国でとまっております、実質的に。同意に向けた動きも一部出てはいるようですけれども、そういう意味では本県においてもぜひ慎重な対応を検討、主体的な検討をぜひお願いを申し上げておきたいというふうに思います。 次に、大綱二点目の介護保険につきましてお伺いをいたしたいというふう思います。 日曜日の新聞に、負担増で百九十四人退所という、これは東北全体での調査の結果のようですけれども、こういう報道がありました。それで、この調査を行った保険医協会に、きのう資料の請求をお願いをいたしまして手元に届きました。これを見ますと、県内で言うと、入所施設で言うと百七十二施設中二十七施設で、施設の数で言うと一五%になりますけれども、ここで五十五人のこういう経済的な負担で、いわば制度改正に基づく経済的な負担のために五十五人が退所をしたということがあるようです。あるいは、退所を検討しているところも九施設、二十二人あるということのようです。そして、利用料の滞納状況、滞納者がいるという施設が、回答した中の四二・九%、人数で九十人、こういう調査結果が宮城県内で言うと示されております。すべての施設から回答があったわけではないようですから、こういう実態がこのアンケートの結果、異常に広がっている可能性もあるのではないかというふうに思います。この辺について、県として把握をされているのかどうかについて伺いたいと思います。 ○議長(伊藤康志君) 保健福祉部長加藤秀郎君。 ◎保健福祉部長(加藤秀郎君) 先日の新聞報道に載りまして、我々も資料を取り寄せさせていただきました。私どもとしても、一部にこのような動きがあるということは聞いてございましたが、いずれにしても、県として低所得者の方々が施設サービスの利用を抑制されるということになるということについては、大変危惧してございます。そういうことで、今後、利用者やその施設、その詳細な実態調査を県として行いたいと思っております。それとあわせまして、この低所得者対策、これを恒久的な仕組みとして制度化を図るよう、国に対して、県として要望していきたいというふうに思っております。 ○議長(伊藤康志君) 二十四番岸田清実君。 ◆二十四番(岸田清実君) 現行制度でも幾つかの配慮の仕組みが介護保険の中には組み込まれておりますけれども、それでもなおかつ、このような実態が出ているということについては、やはり直視をしていく必要があるだろうと思いますし、県としてできるところ、しっかりと取り組んでいく必要があるだろうと思います。 今、御答弁のあった実態調査、まず何を考えるにも、実態がどうなっているのか、そのことがすべての出発点だと思いますので、そのことはしっかりと県としてやっていただきたいというふうに思います。そして、できるだけ早く我々にもその結果についてお知らせをいただきたいというふうに要望しておきたいというふうに思います。 介護保険の二点目に、先ほどの御答弁に基づいて一点質問させていただきたいと思いますけれども、介護度三から五の緊急度の高い人が二千百人いるという指摘を申し上げました。その中で、次期計画の中での整備量というのは千三百六十床、この差をどうするのかというふうに質問申し上げました。その中で、先ほどの御答弁の中では、小規模多機能型施設を活用しながらというお話もございました。ただ、小規模多機能型というのはあくまでも在宅サービスの範疇の中で、在宅支援の機能がその柱だと思うんですよね。そういう中で、特に入所希望を出されている方というのは、要するに入所施設を希望されているというニーズだと思うんですね。ここの乖離についてどう考えるかについて、一点見解をお願いしたいと思います。 ○議長(伊藤康志君) 保健福祉部長加藤秀郎君。 ◎保健福祉部長(加藤秀郎君) まず、この数字の考え方でございますが、これは基本的には先ほど知事が答弁いたしましたとおり、介護サービス提供の目標量、これの設定に当たりましては、市町村が緊急性の高い利用希望者の実態把握を行いまして、必要とする施設整備数を設定してございます。それぞれの市町村を調査の上で、一応県で積み上げているということが一つございます。更に、この数字の中に地域のニーズに応じて、例えば認知症高齢者のグループホームとか、ケアハウス有料老人ホーム等の特定施設の入居者生活介護、これはいわゆる三施設から外れてございます。それらも合わせますと大体二千六百を一応超える数字がございます。 いずれにしても、県としては、いわゆる施設系サービスに加えまして、これは先ほどもちょっと知事からお話ししてございますが、小規模多機能型の居宅介護、こういうものも含めて、やはり全体で緊急度の高い方々の対応を図ってまいる必要があるというふうに考えております。 ○議長(伊藤康志君) 暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩-----------------------------------    午後一時一分再開 ○副議長(大沼迪義君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十九番須田善明君。    〔十九番 須田善明君登壇〕 ◆十九番(須田善明君) 通告をいたしました大綱四点について伺ってまいります。 まず、大綱一点目の産業廃棄物税等について伺います。 初めに、昨年九月の第三百六回県議会にて汚泥廃棄物処理についてお尋ねしましたが、直近の対策については、執行部側でも排出事業者等の現状を考慮され、御対応いただいたことに御礼を申し上げておきます。 さて、その産業廃棄物対策の一環として又一つの基軸として、平成十六年三月に産業廃棄物税条例が制定され、本格施行後、間もなく一年になります。税創設の本旨は、廃棄物排出そのものの抑制促進と税収運用による廃棄物の減量化、リサイクル促進、不法投棄抑止に至る各種施策推進のためと認識しております。条例の性格上、納税義務者は、基本的には廃棄物排出事業者となっております。現在、産業廃棄物税を財源とした事業は、その本旨に従い、大きく分けて三事業が行われており、そのうち、リサイクル促進は企業連携型リサイクルシステム構築支援事業が、廃棄物抑制は産業廃棄物発生抑制等支援事業が行われており、ともに補助事業です。 補助対象について見てみますと、企業連携型リサイクルシステム促進事業は、その名が示すとおり、複数企業によるリサイクルシステム構築に対しての補助であり、対して、産業廃棄物発生抑制等支援事業は、リサイクル促進のための複数企業による施設等の整備あるいは排出事業者自身による廃棄物発生抑制等のための施設等の整備に対して行われております。この場合、複数企業連携型の取り組みを除き、中間処理事業者は交付対象外となります。冒頭、納税義務者について基本的には排出事業者であると述べましたが、当該条例第四条には、課税対象者としては中間処理事業者も含まれております。基本的にの意味合いは、税創設の本旨と納税形態によるものです。 その本旨に従って徴税並びに納付を考えると、最終的には、最終処分業者が徴収義務者であり県に対する納付者ですが、その税額相当の負担コストは、排出事業者が直接的に最終処分場に廃棄物を持ち込む場合は当然排出事業者に、多くの場合は中間処理事業者が間に入るので、そのどちらかが負担することになります。中間処理事業者が介在する場合は、税相当額の転嫁分を含んだ処理料金を排出事業者から徴収することで、徴収義務者に対する納入が行われることになります。 一方で、実際はどうかといいますと、コスト転嫁をせずに、中間処理事業者が徴収義務者たる最終処分場に納入することが多いようです。排出事業者のコスト増に対する配慮など、理由はいろいろあるとは思いますが、基本的にはと申し上げたところから乖離があるように思われます。 そうしますと、産業廃棄物税で運営される事業、特に産業廃棄物発生抑制等支援事業についてですが、中間処理事業者が同趣旨の事業に取り組もうとしたときに、現在の補助対象からは外れる、実際の納税者が補助対象にならないことになります。現在、社会的な時流や本県における最終処分場の状況から、排出事業者のみならず、中間処理事業者においても、廃棄物の減量化やリサイクルへの積極的な取り組みが模索あるいは実施されております。産業廃棄物税を含め、その目的が全県的な廃棄物対策でのスリーR、つまり、リデュース、リサイクル、リユースへと向けてなされるものであるならば、当然ながら事業対象に含まれるべきものと考えます。また、減量化や再利用に関する新技術が本県内でも開発されてきており、これらの普及促進を考えても、多様な展開を図っていくべきと考えます。 ここまでについて質問いたします。 第一点、本格施行後まだ一年たっておらず、検証もこれからとは思いますが、産業廃棄物税の運用と効果について所感をお示しください。 第二点、先ほど申し上げたような、現在の納税実態についてどのように認識されているのか、所見をお願いいたします。 第三点、産業廃棄物税の運用中、特に発生抑制事業等支援事業について、適用対象を中間処理事業者まで拡大する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 関連して、廃棄物行政の推進について若干お伺いいたします。 先般のフロンティアみやぎの代表質問中の環境問題対策に対する答弁で、知事は、環境負荷低減と持続可能な社会の構築のためスリーRを推進、その上で、どうしても残る廃棄物は存在し、最終処分場は不可欠、設置指導管理を徹底するとともに、環境リスクコミュニケーションを促進する旨の答弁をなされております。今議会に提案されている環境基本計画案中、最終処分場に関するものとして、地域住民の産廃処理業者に対する不信感、生活環境等への影響に対する不安などから、最終処分場の新設は難しい状況にあり、民間事業者による処理施設の整備状況を十分に把握するとともに、最終処分場の整備については県の関与のあり方を検討し、その方向性を明らかにするとしています。同様に、先般の県環境審議会において、県廃棄物処理計画中間見直しとなる、(仮称)宮城県循環型社会形成推進計画の最終案が示されました。ここにおいても、産業廃棄物対策強化がうたわれており、施設の設置状況や廃棄物発生・処理の動向把握に努める、最終処分場の整備については、小鶴沢処理場の埋め立て状況等を勘案し、県の関与のあり方やその方向性、果たすべき役割を明らかにしていくとあります。 処分場新設における個別のケースについての判断は、それぞれの地元議員が議場でも主張されていますので、私の方から申し上げることはありません。一方で、知事答弁にもありましたように、現況では最終処分場は不可欠であります。廃棄物の発生処理については、大まかに言えば発生量は増大する。処理量は、各種の取り組みによって減量化や再利用はなされても、発生量が増大する以上、埋設処理が必要な廃棄物は、どうしても一定量以上増加する。結果、最終処分場は不可欠ということになり、廃棄物の発生処理状況を把握し、最終処分場についての県の関与をこれから明らかにしていくというような悠長な場合ではないと思うのです。 県内の最終処分場については、把握するまでもありません。小鶴沢処理場以外、ほとんどないのであります。ましてや、延長されたとはいえ、有機性汚泥等については、近い将来、小鶴沢処理場への搬入ができなくなるのであり、前々回議会で申し上げたとおり、喫緊の課題であります。リスクコミュニケーションと知事は言われましたが、これまでの廃棄物行政の経緯も含め、事業者も含めた全体的な産業廃棄物対策において、住民理解と信頼を得ていくためには、積極的かつ責任のある県の姿勢が不可欠であります。今後の前向きな取り組みを求め、以下、二点質問いたします。 第一点、現況をかんがみ、今後、その時々の状況を判断する中で、小鶴沢処理場における受け入れ体制について県環境事業公社と継続的に協議を行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。 第二点、最終処分場対策について、早急に方針を打ち出していく必要を強く感じております。環境基本計画等にある県の役割と方向性を明らかにすることについて、どれぐらいの目途でなされていくおつもりなのか、考えをお示しください。また、このことについての現状認識をお示しください。 続いて、大綱二点目の三陸道・南部道路について、特に通行料金について伺います。 前回県議会において、物流施策についての質問中、三陸道・南部道路等の割引制度導入について尋ねました。正直、期待した答弁は余りなかったのでありますが、地域の皆さんからは思った以上に反応が多く、特にトラック事業者の方からは、現状におけるコスト上の問題、農水産品の生産者からは、産地間競争上の不利の声を改めて多くお聞きしたところです。 前回は制度上の話でしたので、今回は具体的なお話をしてまいります。 ハイウエーカードの廃止、ETC前払い割引制度の廃止、それにかわるものとしてマイレージポイント制が導入されたのは、前回お示ししたとおりです。この四月からの県道路公社管理区間へのETCゲート導入と運用開始が正式に発表されましたが、マイレージポイントは当面導入されません。十月を目途とすると伺っております。そうしますと、前払い割引やマイレージの最大還元額は、五万円に対し一六%に当たる八千円でした。利用者にとって、前払い割引制度等を利用してきた人は還元額がなくなるので、実質的に約一四%の値上がりになります。また、旧JH管理の高速自動車国道、つまり、東北自動車道には各種の割引制度が適用されています。 大型車で郡山まで行く場合について仮定すると、三陸道のうち、東日本高速道路株式会社が管理する分も含め、県道路公社保有道路を一番長く走るのは石巻河南インターチェンジから乗った場合です。東北自動車道で郡山から類似の距離にあるのが、県内ですと築館インターチェンジです。両者を比較すると、深夜割引時間帯の場合、石巻河南から郡山間は七千円、築館-郡山間は四千七百五十円。通勤割引時間帯の場合、うまく走っても石巻河南-郡山間は深夜と変わらず七千円。築館-郡山間は、うまく走ると三千九百円で走行できます。その差は実に三千百円。往復となれば、最大で六千二百円の差が発生します。もともと東北道などと比較して三陸道と南部道路は一割ほど高い通行料金であり、これにマイレージ分と実質的な値上がり分が伴いますので、一般利用者のみならず、物流面でもコストで、ひいては産地間競争上の明らかな不利がわかるかと思います。県道路公社では、三陸道の自社管理部分、つまり、仙台松島道路の四車線化促進を検討していると伺っております。 仙台松島道路の計画交通量の変遷と実績を見ますと、延伸の都度、計画交通量が見直されていますが、平成十六年分については、第一期の試算比で、二車線の場合で実績交通量の方が約四割上回っております。第二期以降は四車線化した場合の数字になりますが、第二期試算比で一割強実績が上回り、第三期、第四期は計画量の方が実績を上回るというようになります。 もちろん、今のは交通量だけの話ですし、三陸道全体の高速化や安全面での考え方もあろうと思いますので、可能ならば四車線化はぜひ実施してもらいたいとは思いますが、これのみが先行しますと、相当の期間において料金体系や割引制度の導入がなされなくなるものと考えます。それよりも、まずは多くの沿線の皆さんに利用してもらう、利用率の向上が現状においては先決ではないでしょうか。利用者の視点に立った運営を望み、以下、質問いたします。 第一点、三陸道の一部や南部道路など、県道路公社保有道路の多くの利用者にとって、実質的に通行料金の値上がりが発生しているということについて、知事はどのように感じておりますか、認識をお示しください。 第二点、前回答弁で、割引制度の導入などについて、いずれも知事は非常に難しいと答弁されておりますが、実質的な値上がり発生と、このことについての知事の認識も踏まえ、通行料金のあり方についてどのようにお考えでしょうか。 第三点、先ほど示した物流コスト比較を踏まえていただき、現在の料金体系の物流コストや産地間競争における影響について、知事の所見をお示しください。あわせて、ここまでの問いを勘案していただきながら、割引制度や通行料金の値下げなどについて真剣に検討していくお考えはないのかどうか、お尋ねします。 次に、大綱三点目の一次産業施策について伺います。 本県は、言わずと知れた食料県であります。午前の質疑で、現状と課題も改めて示されましたが、古くから米どころ、水産県として知られてきた本県であり、園芸や畜産も含め、多くの本県産品が高い評価を得ているのは周知のとおりです。 ところで、知事は、先日、また本日の農業振興に関する答弁の中で、マーケット・イン型という言葉を使われておりました。これまでも、経済産業再生戦略や新しい一次産業戦略という文脈で頻繁に使われておりますが、これまでは、じゃ、マーケット・イン型と言いながら、県が音頭をとる中で、そのマーケットというのは、だれが選定し、だれが分析し、どのようなターゲットをどのようにセグメントして、どのようなアプローチをしていくのというと、実際には、県として推進していくための体をなしていなかったと言わざるを得ないと思います。 平成十五年二月の一般質問で、私は、水産加工分野に限定してでしたが、マーケティング、コンサルティングに特化した生産者のアクセスが容易なシンクタンク的組織・機関の設立を求めましたが、当時は、みやぎ産業振興機構の水産部門を充実させながら推移を見て検討したいという答弁でした。その後しばらくして、昨年よりフードマネジメントシステム--FMSプロジェクトが開始され、昨年十一月、マーケティングやコンサルティング機能を含む形で、品質管理、商品開発、廃棄物管理などを総合的に扱うFMS総合研究所が県と民間の出資によって設立されました。一歩進んだかなという印象は持っており、スタートしたばかりですのでこれからの展開に期待しております。 そもそも、市場・マーケットに対する対応を考えるとき、基本的には二通りのアプローチがあるわけです。既存市場のニーズに対応する形でのまさにマーケット・インの方法論と、商品力や企画力で市場そのものを創造・開発する方法論です。期待はしながらも、今の枠組みで、生産者ニーズとマーケットニーズにどこまで対応し得るかなとも感じております。これをなしていくためには、多くの人的資産やノウハウが必要であり、今後の組織の充実を期待しております。 更に、マーケットというのは、何も国内に限ったものではありません。国は二〇〇四年に、二千九百億円強である農林水産物輸出額を、二〇一〇年までに倍増の六千億円を目標に持っていこうと計画し、昨年、農林水産省のもと、農林水産物輸出促進全国協議会を設立いたしました。四十七都道府県知事や関連各種団体によって構成され、本県にはまだありませんが、全国の各道県に下部組織がつくられております。 私の地元では、ホヤがキムチ用食材として主に韓国向けに輸出されております。輸出過剰により卵を産む親ホヤが激減し、養殖のための原盤がつくれなくなる事態を招きましたが、それほど引き合いがあるということです。また、昨年実施された上海ビジネスフェアなどでは、オキアミの加工品が--これもキムチ用とのことですが、関心を集めたと伺っております。 現在、私自身、園芸農家の方や水産加工業者の方々と、輸出の可能性について勉強会を数回行っておりますが、どの方も口をそろえるのが、販路があり、顧客があるということが明確であれば、技術向上と生産の意欲も一段と高まるということです。もちろん、上海で青森のリンゴが一個千円で売れるというような状況は、一過性のものであるとは認識しますが、これも大きなビジネスチャンスの一つではあるのです。取引上のリスクや検疫等の問題はあるにせよ、本県産の高品質の産品が市場を開拓する可能性は十分にあるように考えます。産品を国内外問わず出してやるということとともに、地域の食文化やそのありようも大切です。この時期、県内の各地の浜では春漁で忙しい時期を迎えます。オキアミ、コウナゴ、メロウド漁が盛んになる時期で、主に食用加工や原料用加工に回されます。 伺った話ですので実際には拝見したことはないのですが、気仙沼市の鹿折地区では、未明にだんなさんがとってきたコウナゴをそれぞれの自宅で釜揚げし、早朝から奥さん方が、「コウナゴ、要らんかえー」と町内を回り、それを町内の皆さんが楽しみに待って買っているということです。キログラム当たり二千円前後と、市場より割安で買われるということですが、まさに地産地消の見本のような話であるとともに、地域のすばらしい食文化であります。この話を聞いて、大変感銘を受けました。 このような我が県の誇れる食文化はまだまだあると思いますが、これらを多くの方々に知っていただき、触れていただくことは、大変意義があり有益であると思います。 以上、多くのことを申し上げましたが、これらの点について質問します。 第一点、非常に大まかな聞き方になりますが、本県の一次産業の力について、知事はどのように評価されておりますか。その強み、弱みも含めて、基本的な認識をお伺いいたします。 第二点、地産地消の促進だけでなく、多くの一次産品が、輸出品目として対外的に評価される可能性を持っております。私の地元のホヤなどはその一例でありますが、次年度より国際局の設置もされる中、本県の一次産品の輸出可能性についてどのようにお考えでしょうか。 第三点、FMS総合研究所の機能や産品別の事業だけでなく、マーケティングやセールスプロモーションなど、加工分野も含め、生産者がアクセスすることが容易な情報を共有し得る本格的な機関の設立又は設立支援を検討するお考えはないのでしょうか。あるいは、現実的にFMS総合研究所やみやぎ産業振興機構に対する更なる機能付与でもよろしいかとは思いますが、食料県として、一次産業や加工業を対象の中心とした本格的な取り組みを願いますが、いかがでしょうか。 第四点、今度は地産地消です。気仙沼市の鹿折地区のような文化は、地域の誇るべき文化だと思います。こういった我が県それぞれの地域の文化を知ってもらい、多くの皆さんに来てもらうことは、観光的側面だけでなく、水産基本法やみやぎ海とさかなの県民条例、あるいはそれに基づく基本計画における漁村の多面的機能の発揮・評価や都市と漁村の交流促進の精神にみごとに合致するものであります。こういったものを一つ一つ拾っていき紹介していくことは、食材王国を標榜する本県として大切なことだと思いますが、各種事業の中でどのように取り扱っていくのか、お示しいただきたく存じます。 最後に、入札制度改革について伺います。 私も含め、会派を問わず、多くの同僚議員が入札制度改革の必要性を訴えてきました。私としては、特に事業者の価格競争以外の前向きな努力が促される制度の構築を訴えてきたところであり、去る二月十五日より施行されました入札制度の改定は、県内地域ブロック限定方式、総合評価型入札方式の導入、調査基準価格と失格基準価格の見直しなど、これまでの各議員の意見が反映されており、今回の改定についてはおおむね評価されるべきものと認識しております。 さて、今回の改定は、語弊があるかもしれませんが、ある種の意味において、一番右端から一番左端へと大胆な振り子の振れ方でしょう。一般競争入札ならば、ある意味、全国のだれでも参加できる制度から、Sランクは除かれますが、基本的には、各ブロック内に本社を構える事業者のみが参加できる制度になるわけです。いろいろな議論はあったと思いますが、去る二月十日の入札・契約適正化委員会の意見を聞き、二月十三日の庁内組織の確認を経て今回の方針が出されました。 このような例を示しておきたいと思います。仮定の話として、登米地区において創業し、業績向上とともに仙台市に進出、仙台市内に本社を構えるとともに、もともとの地元では全社の業績中に相当の割合を占めており、地域的な貢献度も高い。このような事業者は今回の地域ブロック制度のもとでは、もともとの地元での入札参加機会を失うことになります。 仮定の話で申し上げましたが、工種を問わず、このような事業者はある程度存在しております。県外事業者で同様の例も見受けられます。こういった事例に対しては何らかの配慮がなされるべきとも、まずは感情的に、更には実体的に感じております。 次に、予定価格事前公表制度ですが、今回の制度改定では維持されたままになっております。もともとは不祥事の頻発により導入されたわけでありますが、オープンブック方式の導入以降、予定価格事前公表の意義について疑問の声が数多く聞かれます。一つは、数字合わせの懸念です。落札をしたいがために予定価格から失格要件を逆算し、執行体制と積算根拠は後づけで、入札参加する事業者の存在が懸念され、更にこの事業者が落札者となった場合、オープンブック上問題がなければ、それが認められてしまう可能性があり、不適格事業者が排除し切れず、また、工事品質の低下を招きかねないというものです。 もう一つは、そうしたことにより、事業者の積算能力の全般的な低下のおそれがあるというものです。つけ加えると、失格基準等についても今回の改定で十分かという声もあります。中には、人はこっちで出してやるから、そんな金額でできるかどうか、県が直営工事で実際にやってみろと言い切る方もいらっしゃいました。以前にも申し上げましたが、事業者は民間企業です。当然ながら利益追求体です。また、県には、発注者としての完工物に対する責任があります。ダンピングの防止、不良・不適格事業者の排除、各事業の品質向上、更には事業者の育成など、これらをなしていくためには、県と事業者のなれ合いや癒着でない健全な連携が重要であります。 この項の最初に申し上げたとおり、今回の制度改正については評価をしておりますが、完全な制度などというものは存在しません。今後の課題や検討材料もまだまだあります。これからの対応に向けて、以下、質問いたします。 第一点、今回の入札制度改革について、先般行われた入札・契約適正化委員会での意見は、主にどのようなものでしたでしょうか。 第二点、今回の制度改革によってなされる効果をどのようにお考えでしょうか。特に、不良・不適格事業者の排除についてどの程度までなされるものとお考えでしょうか、認識をお示しください。 第三点、予定価格公表制度についても検討を加えていくべきと考えますが、今後の方向性についてお示しください。 第四点、今後の検討課題として、他地区あるいは他県事業者の支社、営業所等によるブロック内の入札参加の可能性について挙げておきたいと思います。例えば、経営審査事項の中の地域貢献点数があり、上限二十点ですが、支社などの所在地において十点以上獲得していれば、当該ブロックの入札参加資格を得られるなど、現制度を生かす中で私が考えるのはこのようなものですけれども、このようにしますと、事業者にとっては競争機会の確保となるだけでなく、競争性の向上や地域への社会参加、社会貢献を促すことにもなり、ハードルを設定した上で入札参加機会を設けるのはさまざまな面で効果があるものとも考えますが、見解をお示しください。 以上、大綱四点について質問させていただきました。 時間は残り少々ですが、必要があれば再質問させていただきたいと思います。 御清聴、ありがとうございました。 ○副議長(大沼迪義君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 須田善明議員の一般質問にお答えをいたします。 大綱四点でございました。 最初に、産業廃棄物税等についての御質問にお答えをいたします。 まず、産業廃棄物税の運用と効果についてでございます。 産業廃棄物税を活用して実施している事業ですが、不法投棄監視強化については、民間委託等を活用した早朝、夜間、休日における監視体制の強化や、ヘリコプターによる上空からの監視活動などを行っております。 次に、企業連携型リサイクルシステム構築支援事業については、今年度は植物性残渣、廃プラスチック、木くず、紙くず、ガラスくずなどの産業廃棄物について、県内の複数企業が連携したリサイクルシステムの構築が進められております。 また、産業廃棄物発生抑制等支援事業については、今まで埋立処分されていた廃プラスチック類の燃料化設備や焼却処分されていた植物性残渣の堆肥化設備の導入に対して助成を行っております。これらの取り組みにより、産業廃棄物の不法投棄には一定の抑止効果が得られているものと考えており、発生抑制やリサイクルの促進についても、およそ五千トンの産業廃棄物がリサイクルされる見込みとなっております。今後、更なる排出抑制、リサイクルの促進や不法投棄監視強化につきまして、効果的な事業を展開するよう努めてまいります。 次に、産業廃棄物税の納税実態についてどのように認識しているかという御質問にお答えをいたします。 産業廃棄物税は、排出事業者又は中間処理業者が廃棄物を最終処分場に搬入した場合に、最終処分業者が処分料金とあわせて税を徴収し、納税することとなっております。御指摘のありました中間処理業者の納税実態の把握は困難でありますが、税相当額を処理料金に反映させることにより、廃棄物の発生を抑制することが制度の趣旨ともなっておりますので、今後とも、機会をとらえて制度の周知に努めてまいりたいと考えております。 次に、産業廃棄物発生抑制等支援事業の適用対象に中間処理業者まで拡大すべきという御質問にお答えをいたします。 産業廃棄物は、排出事業者みずからが排出の抑制や再使用を行うよう最大限努力し、それでもなお排出されるものについては再生利用するという順序で、3Rに取り組んでいくことが原則であると考えております。このため、産業廃棄物税を活用した支援事業につきましては、主として、排出事業者が行う取り組みを補助対象としたものであります。しかしながら、一方では、排出事業者が産業廃棄物の処理を中間処理業者へ委託することが多いことも事実でありますので、より実効ある事業となるよう、中間処理事業者についても可能な限り本事業の適用対象とするよう、補助要件の見直しを検討しております。期待しておいていただきたいと思います。 次に、小鶴沢処理場の受け入れ体制について、継続的に県環境事業公社と協議すべきと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。 県内における産業廃棄物の埋立処分量は、排出事業者によるリサイクルや減量化の努力により年々減少傾向にありますが、今後とも、循環型社会の形成に向けて3Rを促進し、埋立処分の減量化に努める必要があると考えております。しかしながら、こうした努力によっても、なお埋立処分せざるを得ない廃棄物が発生することも事実でありますので、その意味で、県内の最終処分場の約四割を担っている小鶴沢処理場の安定的な運用が必要なものと考えております。したがいまして、県といたしましても、小鶴沢処理場での受け入れについては、今後とも環境事業公社と密接な協議を行い、円滑な処理が行われるよう努めてまいります。 次に、最終処分場確保対策及び処分場確保の現状認識についてでございます。 本県の産業廃棄物最終処分場については、平成十六年度末における残余年数が十・二年であり、全国平均の約四・五年に比較すればまだ余裕がある状況にはありますが、いずれ、新たな最終処分場の確保が必要になるものと考えております。この場合、民間事業者による設置には県民の不安や不信が大きいことから、県が一定の関与を行い、その検討を進めていくことが不可欠であると認識しております。 県といたしましては、3Rの促進や民間リサイクル業者の育成など、循環型社会の形成に向けた取り組みを進めるとともに、リスクコミュニケーションを促進し、産業廃棄物処理施設の確保を図ることとしておりますが、特に最終処分場については、産業廃棄物発生量の動向や小鶴沢処理場の今後のあり方を踏まえつつ、新年度は、排出事業者、処理業者、市町村等からも広く意見を伺い、県として具体的な議論を深めてまいりたいと考えております。 大綱二点目、三陸道・南部道路についての御質問にお答えをいたします。 マイレージポイント制導入が十月になるため、県道路公社管理の有料道路は実質的な値上げになるのではないかという御質問に対しお答えをいたします。 ハイウエーカードについては、全国的に偽造事件が発生したことから、平成十八年四月一日から利用停止になります。また、ETC前払い制サービスについても、マイレージサービスへの一元化を図るため、平成十七年十二月二十日で新規登録が停止されております。このことから、道路公社では、料金サービス維持のため、ETCゲート利用開始と同時期のマイレージ制度の導入に向けて旧日本道路公団と調整を進めてきたところでありますが、その導入に当たっては、全国システムに組み入れるためのシステム開発等に相当の時間を要することとなり、導入は延期せざるを得なくなりました。その結果、ハイウエーカードとETC利用者にとっては、実質的な負担増が生じていると認識しておりますが、東日本高速道路株式会社との共通回数券については、これまでどおり利用できると聞いております。--済みません。ちょっと消極的な答弁で申しわけないんですが。 次に、実質的値上げとなった通行料金のあり方についてでございます。 道路公社が管理する一般有料道路の通行料金については、道路整備特別措置法施行令により、当該道路の料金徴収総額が総支出額に見合う額となるようにしなければならないと定められており、公社経営が成り立つ範囲内で設定する必要があると考えております。 次に、現在の料金体系における物流コストと産地間競争への影響についてでございます。 同じような距離で利用料金に違いがあることは、当然、物流コストに差が生じますことから、商品販売価格への影響は少なからずあるものと思われますが、産地間競争への影響については、生産力、品質、鮮度等の他の多くの要素により総合的に判断すべきものと考えております。 また、割引制度の導入や通行料金の値下げの検討についてでございますが、道路公社が管理する一般有料道路は、先ほど申し上げました理由により料金の値下げは困難でありますが、道路公社からは、できる限り利用者の負担が少なくなるように、マイレージサービスの導入などについて検討中と聞いております。県といたしましても、割引制度の導入など、利用者へのサービス水準の考え方については重要な課題ととらえておりますので、今後、国土交通省を初め、東日本高速道路株式会社や道路公社と積極的に検討してまいります。 大綱三点目、一次産業施策についての御質問にお答えをいたします。 まず、我が県の一次産業の評価についてでございます。 低価格な農林水産物の移入や担い手の減少、高齢化などから、生産額も減少傾向にあるなど、我が県の一次産業は厳しい状況が続いております。もとより、農業では、良質でおいしい宮城米や野菜を初めとする園芸作物の多彩さ、水産業では、新鮮で多種多様な魚介類の豊富さ、林業では、杉を初めとする森林資源の多様さなど、我が県ならではの強みがあると認識しております。更に、自然景観の保全や都市と農山漁村との交流等、いわゆる多面的機能の発揮など、一次産業には数字のみでは評価し切れない重要な役割も担っていると考えております。一方で、商品開発による高付加価値化や顧客市場ニーズを重視した製品開発、市場開発による販売力の向上を図るために、マーケティングやマネジメントの手法が必要であると考えます。このような認識を踏まえ、一次産業の成長産業への転換を図るために、食材王国みやぎを旗印に、県産品の市場評価を高めるブランド化を総合的に推進するとともに、首都圏アンテナショップの活用や海外への販路拡大も視野に入れながら、また、安全安心にも配慮したマーケット・イン型の事業展開を積極的に推進してまいります。 具体的には、農業では、売れる米づくり実現に向けて、高級志向の消費者ニーズに対応したプレミアム宮城米の本格的な販売を平成十八年度から実施するなど、宮城米ブランドのブランド力向上を図ってまいります。 更に、新たにアグリビジネスに取り組むマーケット・イン型のすぐれた人材や企業の育成を図る新世代アグリビジネス総合推進事業に取り組んでまいります。 林業では、高品質なみやぎ材のブランド化を進め、消費と販路の拡大を目指していくほか、マーケットニーズに対応した杉材の新しい利用加工技術の開発に取り組むなど、みやぎ材の安定的な生産・流通体制の構築を強力に進めてまいります。 水産業では、水産物のブランド開発を進めるほか、イサダ、コウナゴ、ヨシキリザメ等を原料とした新しい製品開発などにより需要拡大を図るほか、魚市場施設、加工施設等のHACCP方式に対応した衛生対策の高度化を進めてまいります。 次に、本県の一次産品の輸出可能性についてでございます。 本県の一次産品は、これまでも冷凍水産物を中心に輸出されてまいりましたが、最近では、養殖ホヤのほか、ころ柿、赤豚、蔵王ナシなども輸出されております。また、東北フェアin上海や大連商談会などにおきましても、冷凍マグロなどの本県水産物の品質が高く評価されているところであります。 農林水産物の輸出については、相手国の貿易制度、取引慣行や商品の市場性などの課題があります。このため、県といたしましては、輸出を志向する事業者の方々に対し、みやぎグローバルビジネス総合支援事業により、現地の法制度や市場情報などについてのアドバイス及び情報提供を十分に行い、円滑なビジネスの展開を支援し、県産品の輸出のより一層の拡大を図ってまいります。 次に、マーケティングやセールスプロモーションなど、情報を共有し得る本格的な機関の設立及び設立支援等についてでございます。 昨年十一月に、県並びに民間企業九社の出資で設立いたしました株式会社FMS総合研究所は、一次産品の加工食品を中心に売れるものづくりを目指し、商品開発から販売まで、総合的な支援を行うものであります。みやぎ産業振興機構においては、アグリビジネスや食品加工業を含めた中小企業の支援機関として、生産規模の拡大計画や新商品開発、販路開拓に関する指導助言を行ってきております。 なお、加工分野において生産者が情報を共有できる支援機関としまして、産業技術総合センター及び水産加工研究所があります。県といたしましては、これらの支援機関の情報等について県のホームページ上で紹介し、リンクを張るなどアクセスしやすい対応をしてまいります。 また、企業の方々の事業計画や発展段階に応じ、各種事業を積極的に活用していただくことが重要でありますので、しっかりと普及・啓発を行ってまいりますとともに、これら情報等を共有できる本格的なあり方については、今後、十分研究してまいります。 次に、県内食文化の紹介の取り組みについてお答えをいたします。 お話のありました気仙沼市鹿折地区のコウナゴの取り組みは、当地域の方々が心待ちにしている毎年恒例の春の風物詩であり、更に、食にとって欠かすことのできない旬を伝える大事な行事であると考えます。この鹿折地区の事例を初め、登米地域の「はっとフェスティバル」あるいは山元町の「ホッキ祭り」など、県内各地において展開されている郷土料理や地域に根差した伝統的な食は、まさしく食材王国を支える食文化資源であり、農山漁村が持つ多面的機能の一つであると認識しております。県といたしましては、こうした地域の伝統的な食について、旬の食材や地域に伝わる料理等を提供する農漁家レストランのPR支援や、食育実践地域活動支援事業による学校給食への地場産食材の活用、郷土料理の伝承講座等の開催などにより広く紹介し、地域振興の一翼を担う新しい誘客資源として育ててまいりたいと考えております。更に、食やいやし、安らぎといった農山漁村の地域の総合的な魅力を引き出すスローフード運動や地産地消を進め、住んでよかった、訪れてよかったと実感できる地域づくりを支援してまいります。 大綱四点目、入札制度改革について御質問にお答えをいたします。 まず、入札制度改革に関する入札・契約適正化委員会での意見についてお答えをいたします。 平成十八年二月十日に開催した適正化委員会におきまして、今回の制度改正について御意見をいただきました。その中で、失格判断基準の見直しについては、過当競争の防止などの観点から、おおむね評価する意見をいただいております。また、地域ブロック限定方式については、地域を分けると、談合システムを形成しやすいとの競争性の確保を懸念する意見などがありましたが、一方では、地域の業者が受注すれば県の税収にもつながるとの評価する意見などがありました。 次に、予定価格事前公表制度等における不適格事業者の排除についての御質問にお答えをいたします。 今回の調査基準価格及び失格判断基準の見直しは、採算性を度外視した不適切な応札を排除することにより下請業者や就労者へのしわ寄せを防止し、ひいては、工事品質の確保が図られるものと考えております。また、地域ブロック限定方式の導入により、これまでの県内全域を一つのブロックとしていたことによる過当競争が緩和され、落札率の低下傾向に歯どめがかかるものと思っております。更に、予定価格事前公表制度における不適格業者の排除については、これまでどおり応札時にすべての業者から工事費の積算内訳を求め、積算根拠のない事業者については履行能力確認調査により、排除するように努めてまいります。 次に、予定価格事前公表制度の今後の方向性についてでございます。 予定価格事前公表については、過去における公共工事の発注をめぐるたび重なる不祥事の再発防止を目的に、平成十三年度から実施しているものであります。一方、予定価格事前公表に伴う積算能力が十分でない事業者の参加の防止と積算能力の向上を促すため、平成十五年度からオープンブック方式を導入し、すべての応札者に対して工事費内訳書の提出を求めるなど、応札者の積算能力の向上を確認しているところであります。こうした結果を踏まえ、予定価格事前公表制度については、かつての予定価格漏えい事件や職員へのさまざまな働きかけなどを考慮し、引き続き実施してまいりたいと考えております。 次に、地域貢献点数による他地区、他県事業者の支社等の地域ブロックへの入札参加についてお答えをいたします。 地域ブロック限定制度については、発注案件が減少する一方で、中小の業者が多いため過当競争を招いている面があること、また、地域の業者でできるものは地域の業者でという考え方のもとに、地域ブロック内に三十社以上の業者が確保されることを条件として、県内を五つのブロックに分割したものであります。 御提案のありました一定条件のもと、他地区、他県事業者の支社等の入札参加を認めた場合、こうした制度を活用しようとする業者が増加し、結局、改正前の県内一円の競争と余り変わらなくなるのではないかという懸念がございます。したがいまして、御提案の趣旨については、今回の地域ブロック限定制度の導入結果を十分に検証する中で研究してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(大沼迪義君) 十九番須田善明君。 ◆十九番(須田善明君) 御答弁ありがとうございました。 まず、答弁を受けましての要請と申しましょうか、お願いをしていきたいと思います。 まず産廃、特に最終処分場の件についてですけれども、今後、具体的な議論を新年度ということでしたので、ぜひお願いをしておきたいと思うんですが、これは、前々回も、また、今回も申し上げましたけれども、特に有機性汚泥の受け入れについては、もう喫緊です。あと一年ぐらいと、今のままですと、約束のままですと、ということがあります。そうすると、ロードマップをもうこの期間につくらなきゃいけないということになるんですよ。これが物理的に可能かどうかということもあるんですけれども、この辺も十二分に認識をされて、今後、協議をしていただきたいなというのをまず要請をしておきたいと思います。 それと、一次産業政策の中でのマーケティングその他でございますけれども--わかりました。今後十分に検討していただくということで、これもお願いしますが、現在の各機関も一定以上の機能を持っております。それ、私も存じ上げていますし、また、実績も残されておるんですけれども、それぞれ所管もばらばらになっていますよね。ホームページでの提示というか、わかりやすい情報提供ということがありましたけれども、その辺の窓口関係については、やはり一元化をしておく方がユーザーの皆さんにとっても望ましいのではないかというふうに思いますので、この点、できれば一点まずお答えをいただきたいと思います。 時間がありませんのでもう一点、県道路公社保有道路の分についてですけれども、料金、もちろん償還の関係とかあるいは経営の問題、それはもう当然わかった上でもちろん質問をさせていただいているんですね。回数券の話がありましたけれども、片や国交省関係とETC促進みたいなことを言っておいて、回数券の方が安いですというのもどうかというふうに思います。それと、マイレージが導入されても、今の予定ですと還元率が三分の一以下になろうと思います。以前よりは実質的な値上がりということは、その実態は何ら変わらずに今後推移していくというふうに思うんですね。これはあくまで利用者の視点に立った考え方に立っていただきたいと思うんですが、改めてその点について御答弁を願います。 ○副議長(大沼迪義君) 環境生活部長三浦俊一君。 ◎環境生活部長(三浦俊一君) 有機性汚泥の関係について御答弁申し上げます。 来年度から最終処分場をどういうふうにして県として関与を、かかわりを持って県内に確保していくかということを議論していきたいなと思っておりますが、今議員お話しいただきました有機性汚泥につきましては、私どもとしては、いずれ、とにかく最終処分場に持ち込まれる埋立物を、いわゆる3Rというものを推進していきたいということで、各事業主の方々あるいは関係市町村等の御協力をいただきながら、将来的に極力減らしていきたいというふうに考えております。そのために、産廃税等も大変有効に活用させていただきながら、とにかく少なくしていきたいと。ただ、それは時間がかかるだろうなと、もちろん思っておりますが、その辺、今議員のお話も含めまして、来年度以降、その辺をどういうふうにしていけばよろしいのか等々をいろいろ議論してまいりたいと思っております。 以上でございます。 ○副議長(大沼迪義君) 土木部長佐藤幸男君。 ◎土木部長(佐藤幸男君) 道路公社のETCについてお答えをいたします。 基本的には議員の御質問のとおり、ETCの導入、それと全国的なシステムの構築について確かにお時間がかかって、こういう結果になっているということは非常に申しわけなく思っております。したがいまして、その間、回数券ということでお答えをさせていただいたわけでございます。ただ、基本的には、議員御指摘のように、料金に大きな差異があるということは我々も十分認識しておりまして、これは基本的に宮城県が特有に高速道路の地域の活性化に及ぼす影響、こういうことを重点に考えて整備を促進してきた、それが結果として国土交通省、旧道路公団そして宮城県の道路公社あるいは県、仙台市も含めてこういう整備を促進してきたがために、こういう結果になっているということは十分認識しておりますので、こういう結果を踏まえて、関係します国土交通省、あと東日本高速道路株式会社そして道路公社、そして宮城県が入りまして、こういう形で同路線の性格、それを十分に整理をした上で、ユーザーにとって割引制度がどういう形で導入できるのか、積極的に検討してまいりたいと思いますので、御理解を賜ります。 ○副議長(大沼迪義君) 三十三番小野寺初正君。    〔三十三番 小野寺初正君登壇〕 ◆三十三番(小野寺初正君) 今議会は、村井知事にとりまして初めて県予算をみずからの所信に基づき手がけられ、全体として県政にかける知事の意気込みと選挙戦における公約が盛り込まれたように思います。特に知事への就任後、早い時期での退職金に関する条例提案は、私自身はもっと先の六月の定例議会がよいと思っておりましたが、知事の誠実、まじめさが伝わってくる思いがいたします。 さて、本年度予算の中では、厳しい財政状況の中にありながらも、産業振興等において各種の新規事業が盛り込まれております。知事は、本年度予算の提案に当たり、これからどんな宮城県をつくりたいと思われているのか、所信を伺います。 次に、議第十九号、知事等の退職金手当の特例に関する条例は、知事等の退職手当を削減しようとするものであります。私は、これまでも知事の退職金削減を訴えてきました。全国的に地方財政が逼迫しており、知事等の退職金は、特例条例等により期間を限定し、削減することはやむを得ないものと思います。知事が選挙公約を踏まえ、財政再建への決意、覚悟のほどを全額カット、つまり支給しない形で示された御意思には敬意を表しますが、幾つかの問題点について所見を伺います。 一つには、人材確保の面から見た問題点についてであります。退職手当廃止の対象は、知事、副知事、出納長、公営企業管理者病院事業管理者、教育長と広い範囲にわたり、これらの特別職に有為の人材を得るためには、一般的にその重責に見合う対価が必要であります。退職手当の全額カットによる就任期間全体の給与の大幅な減額が人材確保に影響を与える可能性は否定できないと思いますが、所見を伺います。 二つには、全体の給与体系から見た問題点についてであります。特別職には地方公務員法の適用はありませんが、退職手当の功績報償的性格から考慮すると、その職務内容や重要性等から、県全体の退職手当を含めた給与等のバランスを崩すような措置は、特例とはいえ、一般的に妥当ではないと思いますが、所見を伺います。 三つには、次期以降への影響についてであります。今回の措置は、知事任期中に限るものとされております。新・財政再建推進プログラムと重なることから、任期満了時点までに財政的に見通しをつけ、特例は廃止することを前提にしていると思われますが、それが可能であるという見通しは明確ではないと思われます。所見を伺います。 また、知事任期期限の平成二十一年は、財政健全化対策後の財源不足額がマイナス百四十億となり、財政の見通しは今以上に逼迫していると思われ、次期知事がだれになろうと、今回一たん廃止した退職金をもとに戻すことは、合理的根拠に乏しく、内外で強い抵抗が予想されるように思われ、もともとやむにやまれぬ措置であるはずのものが恒常化する可能性があるように思われますが、あわせて所見を伺います。 四つには、一般職給与への影響についてであります。知事等特別職が退職手当を廃止することによって、今後、一般職給与等の減額等が実施しやすくなる側面も否定できないのではないかと思われますが、所見を伺います。 五つには、対象範囲の問題点についてであります。常勤特別職の中で常勤監査委員のみが対象になっておらず、その理由について、マスコミ報道によれば、政策立案に深くかかわる立場でないためとのことであります。しかし、今回の措置は、財政危機を招いたこれまでの政策立案の責任を問うものではなく、財政危機を回避するためのものであるとするならば、常勤監査委員を対象外とする根拠は乏しいと思われますが、所見を伺います。 以上、るる述べましたが、条例などで適正に定められた退職手当を含む給与等の特例による減額等については、一般職はもとより、特別職にあっても安易に実施されるべきではなく、さまざまな財政健全化策を講じた上で、なおやむを得ない場合に最小規模で実施されることを原則とすることが望ましいと思いますが、所見を伺います。 次は、行政改革への取り組みについてであります。 行政改革の中で主要な部分を占める職員定数について、公表された宮城県定数管理計画によれば、平成十八年度から平成二十二年度までの五年間に、職員定数を現員の二万九千五百八十八人から一千四百二十五人削減するとの計画であります。その具体的な推進方法については、地方機関の所管区域の見直しによる組織機構の簡素合理化等が示されております。 そこで、一つには、地方機関の所管区域の見直しによる地方機関そのものの箇所は幾つになるのか。また、それに伴い職員数はそれぞれ何人減じ、最終的に何人となるのかについて、どのような検討を行ったのか、また今後の取り組みについて伺います。 二つには、指定管理者制度が導入され、これまで三百三十三施設について指定管理者が決まりました。各施設の募集要項には、選定基準や事業計画書評価基準が示されております。制度の導入に伴う課題として、募集後の選定方法については、透明性、公平性をどう担保していくのか。更に、管理者決定後の業務をどう評価していくのかなどが挙げられます。私は、選定に際し、外部の民間人を活用していく。また、事業評価のシステムやモニタリングも必要と思います。現状と今後の具体的な取り組みについて伺います。 三つには、法令により県が管理運営することが義務づけられているものを除く、県の地方機関として直接管理運営している十九施設についても、施設の性格や目的を踏まえ、指定管理者制度を導入すべきであり、具体の取り組みについて伺います。 四つには、県有施設の新築、改築、修繕、耐震診断業務等について、すべての監理業務が県建築住宅センターに特命で発注されており、耐震診断調査については、一部が民間に下請発注されているやにも聞いております。今日、民間活力の導入や民間でできるものは民間での流れにそぐわないのではと思います。発注の現状と今後の対応について伺います。 次は、産業振輿についてであります。 物づくりである本県の製造業は、製造品出荷額等三兆五千百三十六億円と、全国二十四位であります。平成十五年度を初年度とする緊急経済産業再生戦略では、宮城エコファクトリー、研究成果市場形成、アグリビジネス戦略経営体育成事業等が事業化され、通年予算の倍の資金が投入されました。しかし、本年度に入り関係予算が圧縮され、以前の通年予算のレベルに戻りました。これでは、産業振興にかける知事の意気込みと計上されました予算とでは乖離が生じ、今後の施策展開に不安を覚えるものです。この点を踏まえ、まず、今後の産業振興に向けた知事の決意と方針を伺います。 知事は、今議会で、具体的施策として、電子部品・デバイス製造業等についての支援を明確に打ち出しました。そこで、これら本県産業の競争力の現状を平成十六年度の全国工業統計に示された製造品出荷額等全体に占める割合で見ますと、食料産業は一七・二%で全国六位、トップは北海道の三三・七%、鹿児島県が二九・五%と続いています。同じく電子産業は一一・四%で全国十八位、トップは秋田県三五・八%、次に鳥取県の二八・二%です。同じく電気産業は九・六%で全国五位、トップは一三%の岐阜県、大分県、次に一二・八%の山梨県となっています。 そこで、質問の第一は、これらの食料産業、電子産業、電気産業について、全国でどれくらいの順位を目指すのか、明確な戦略と推進策が必要であります。例えば食料産業であれば、一次産業との連携、一次産業の中でもどこにてこ入れをし、生産体制を強化するなど、必要な予算も確保し、いつまでに全国第三位にするとかの具体的な目標プランを示すべきと思いますが、その取り組みについて所見を伺います。 第二は、自動車関連産業への支援の取り組みについて伺います。知事は、自動車産業関連企業について、技術者派遣に対する助成、市場開拓員の配置を打ち出しております。本県における輸送産業が製造業全体の製造品出荷額等に占める比率は一千三百九十四億二千三百五十三万円の四%であります。一方、隣の岩手県では、三千九百九十五億一千六百二十一万円、一六・六%となっており、平成八年時点では三・八%と、本県の現在の状況と類似でありましたが、平成五年に関東自動車が進出した効果が結果として約一七%という著しい伸びに達しました。 そこで、本県における輸送産業の実態をどう把握し、現状からどの程度のレベルを目標に具体的な推進策を今回打ち出したのか、所見を伺います。 あわせて、自動車産業九州百万台構想に対抗できる体制の整備に向けた岩手、宮城、山形三県の産学官連携による取り組みの中で、宮城として今後どのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。 第三は、物づくり産業全体の中で、ただいま申し上げました産業以外にも大きく飛躍する可能性を持つ業種も存在するように思われます。また、新企業創出の声も聞かれます。産業経済常任委員会での視察を行った際に、ソニー白石セミコンダクタ株式会社は、ブルーレーザーで世界的シェアを誇っておりますが、二、三年以内に東北圏内にフォートモジュールカンパニーをつくる構想をお聞きいたしました。 そこで、製造業にかかわる現場の多様な情報やシーズをいち早くキャッチし、政策化を図るなど機動的な対応、スピードが要求されているのが、昨今の産業を取り巻く情勢ではないかと思います。したがって、情報収集にかかわる予算措置や人的体制、組織機構の改革などが必要であります。今後の物づくり産業の振興に向けた庁内体制の整備、強化について所見を伺います。 第四は、知事は、内外企業や資本の誘致については、研究開発型企業、外資系企業、情報通信関連企業及び環境関連産業の立地促進に向けた各種事業に取り組むとしております。企業立地については、その誘導策として、経済再生戦略の中でも期間限定の優遇制度の創設や既存メニューの拡充、インフラ整備支援等により誘致成果を上げてきております。しかし、一方で、平成十七年度における工場立地動向によれば、本県は、平成十四年、十五年、十六年の全国順位はそれぞれ七、九、十位と後退しております。全国の中で際立っているのが群馬県で、本県とは逆に十一位、三位、二位と著しい伸びにあり、工業力は製造品出荷額等を見ても全国のトップクラスを走っております。同県で企業誘致が高い位置にあることの理由の一つに、企業立地促進資金の融資制度が挙げられます。本県にも同様の制度がありますが、金利、上限額等において相当の開きがあります。こうしたことから、企業誘致の取り組みに当たり、今後既存メニューの継続、拡充や新たな制度創設に対し、どのような基本的スタンスで取り組むのか、所見を伺います。 また、今後の企業誘致促進に向けた具体的取り組み方針、目標についてもあわせて伺います。 第五には、ITクラスター・イニシアティブでは、宮城、山形、福島三県のIT企業を中心とする企業間連携、産学官連携により、東北地域のIT産業活性化を図るとしておりますが、今後計画との整合を図りながら、どのようにして本県のIT産業を展開させていくのか、所見を伺います。 次は、観光振興についてであります。 知事は、今議会の所信説明の中で、観光産業を戦略的産業として位置づけ、官民が一体となって観光王国みやぎの実現を目指すみやぎ観光戦略プランの策定、国内観光、国際観光促進に向けた具体的な取り組みを掲げています。一方、観光立国の実現にかける国の意気込みは、既に外国人観光客を二〇一〇年までに一千万人にするとの小泉総理大臣の施政方針を受け着実に具体化しており、そのための推進策であるビジット・ジャパン・キャンペーンが毎年展開され、質の高い行動計画のもとに、さまざまな取り組みがなされているのであります。宮城県は、平成十一年度に目標設定し、二〇一〇年度で観光客入り込み数を五千五百万人としました。二〇〇五年の現状で推移すれば、二〇一〇年には目標値に達し、観光消費額が五千九百三十六億、波及経済効果は約一兆円となる見込みになります。しかし、現状の観光客入り込み数を二倍にした場合、二〇一〇年には、観光消費額を含む経済波及効果は約一兆五千億円にもなります。前知事のもとで掲げた目標で具体的に今日まで努力してきたことは評価をいたします。しかし、私は、村井知事が新たな目標値で出発すべきと思います。なぜなら、民間旅行業者からも、東北六県の中で観光にかける意気込みは宮城県が一番低いとの声も聞かれるのであります。私は、平成十五年の九月議会で、宮城県の掲げる観光客誘致の目標値が低いのではないか等をただしました。既存目標ではなく、ハードルを高くし、そのためにどんな事業を行うのかを明確し、進捗度のチェックも入れながら推進しなければ、きめの細かな戦略も生まれず、推進キャンペーンの高度化も図れず、民間活力は十分発揮されないと思うのであります。 そこで質問の第一は、戦略プランの目標として、二〇〇五年度宮城県を訪れている外国人約九万人を二〇一〇年には倍の十八万人とすることを掲げ、村井知事のもとに新たな行動計画、具体の戦略プランをつくるべきと思いますが、その取り組みについて所見を伺います。 第二は、観光立県の推進に向けた体制づくりについてであります。 国においては、観光担当大臣に国土交通大臣が任命となり、民間との戦略会議や懇談会等を積極的に開催し、そこでの提案が採用され、その推進についても各省庁と横断的連携をとりながら観光関連施策が国を挙げて進められております。本県においても、観光振興は観光課の所管とはいえ、全庁挙げて取り組むべきであり、外部からの観光エキスパート人材の確保に加え、観光担当部長や各部局に観光担当のマネジャーを配置したり、民間人を観光大使、観光特使に委嘱したりするなど推進体制の強化を図るべきと思いますが、その取り組みについて伺います。 第三は、アジアを中心とした海外観光客の誘致については、国際観光展等への出展や、香港、タイの定期便開設への取り組み等を掲げております。WTO(世界観光機関)は、平成十二年、東アジア・太平洋地域の国際観光客到着数は平成十二年度から平成二十二年度の間に年平均七・七%の伸びを示し、平成二十二年には一億九千五百万人に達し、欧州、アメリカの二倍の伸び率と推定しております。知事が東アジアをターゲットとしていることは的を射ていると思います。 そこで、国際観光促進への具体的取り組みとして、昨年東北六県で国と連携し官民挙げて行った、「YOKOSO東北」のような国との連携事業の強化について、また新たに他県と共同で台湾、香港、韓国等からの県内視察団の受け入れ事業の創設を図るべきと思いますが、所見を伺います。 第四は、外国人の受け入れ案内を行う通訳ガイド制度が緩和され、新たに都道府県知事が行う地域限定通訳案内士試験が実施されることになりますが、その取り組み状況はどうか。 また、こうしたソフト面の人材強化育成について、例えば観光カリスマを現在の一名から五名に育てていくとかなど、人材育成の具体的取り組みについてもあわせて伺います。 第五は、国内観光の促進への取り組みについてであります。 宮城県観光の問題として、関西、中国・四国、九州・沖縄地区からの宮城県への観光客の数値が低いことが挙げられます。その理由の一つは、交通費が高いこと。むしろ、北海道札幌に行く方が低価格になっております。 そこで、一つには、航空会社やJR各社への運賃の割引率を図る取り組みについて、二つには、旅行会社がバス会社や宿泊施設関係者と行う観光キャラバンに県も一緒に加わることや、訪問地での宮城県の夕べを開催することなどへの取り組みについて、三つには、宮城県へのツアー客は、仙台空港インで、東北他県空港アウト、又はその逆と、宮城県に滞在している時間が少ない設定ツアーが多い傾向にあります。その理由の一つに、観光地が少ないと言えます。関東以南の人々は、宮城県の観光名所は松島しかないとの印象を持っておられるようで、実際には、温泉も多いし、観光地もたくさんあるのに、それが生かされていないのであります。 そこで、県内におけるイベントに際し、支援策を創設しPR活動を強化する。また、観光ルート新商品の造形、民間事業者や市町村が行うハード・ソフトの取り組み、例えば、行きたくなる観光地づくりとか個性的観光地づくりへの取り組みに支援制度を設け、更にはJR東京駅への常設PRコーナーの設置を図るなど、具体的にきめの細かい促進策に取り組むべきと思いますが、所見を伺います。 次は、救急医療体制の整備について伺います。 知事は、今議会で県内の救急搬送患者数の増加と救急搬送時間の延伸傾向を改善するため、救急患者の圏域内搬送率の向上を図ることの取り組みを表明されました。搬送時間の問題は、比較的医療資源に恵まれている仙台市でも、平成十六年には政令市十三都市中で十一位の三十一分を要しています。仙台市立病院救急救命センターにおける年間患者五千七百七十四人のうち、仙台市以外は一二%の六百十五人で、相当数が圏域を超えて搬送されているようであります。宮城県全体で搬送時間は三十三分を要しておりますが、多岐にわたり必要とされる救急課題がある中で、一層の救急医療体制の整備充実を図り、全国ワーストツーの汚名は何としても改善したいものであります。 そこで、以下数点について伺います。 一つには、高齢化社会に入り、救急患者の増加は避けられないものの、限られた医療資源の有効活用を図るためには、一次、二次、三次の各医療機関の役割機能分担と連携は不可欠であります。そのため、救急医療協議会におけるこうした救急課題の協議や小児救急専門部会など各部会での救急課題の協議はどう行われ、どこまで検討が進んでいるのか。また、圏域ごとの救急医療体制の整備に向けた協議の進捗状況はどうなのか、伺います。 二つには、本県の救急医療体制における搬送時間が長い理由に、救急車が現場に到達しても患者搬送先が決まらないことなどが挙げられます。このことは一向に改善されていません。医療機関である救急告示病院が、仙台市十八、札幌九十四、福岡四十八に見られますように、極めて少ないことや、患者獲得競争が激しくないこと、更に、救急医療専門医の不足などが強く影響しております。 そこで、救急告示病院認定要件の緩和を国に求めること、仙台市と連携し、救急告示病院の増加を図る施策の推進を検討すべきと思いますが、所見を伺います。 三つには、ドクターカー及びドクターヘリの導入についてであります。仙台市は、昨年の四月からドクターカーを実施しました。年間患者百二十一名そのうち心肺停止患者十人が一命を取りとめています。救命率の向上を図るべく一層の拡充が求められますが、各圏域中核拠点病院などへの配置についてはどのような検討状況にあるのか、伺います。 また、ドクターヘリの導入については、年間約二億円の運行経費がかかり、国との折半で既に全国で十県十一機が導入されて、東北では福島県が導入を決定しております。救急患者のドクターヘリによる搬送は、救急車の場合と比較し三四%の救命率向上が図られ、後遺障害は三一%の減少となり、回避できる比率は八七%と言われております。各都道府県により、助かる命に差異が発生したりしている現状は嘆かわしいことと思います。地球より重いと言われる人の命を救うのに、運行経費負担について、国にやる気と知恵があれば、全県的に導入が図られるものと私は思います。国の姿勢はともかく、本県としてのドクターヘリの導入について、その検討状況、導入見通しについて伺います。 四つには、新型救命救急センターの配置についてであります。 本年開設される新しい石巻日赤病院への同センターの設置について、救急専門医師の不足等により実施が見送られることとなり、残念な思いをいたします。同病院への設置や予定されております仙南中核病院など、公立気仙沼総合病院への配置について今後どのように取り組みをされるのか、また見通しはどうなのかについて伺います。 五つには、東北大学高度救命救急センターの本年十月開設に伴い、当初予算で救急科専門医養成等について総額四千万円の委託事業費が計上され、救急専門医などマンパワー不足の解消策に対応されたことは評価をいたすものであります。同センターは、今後、防災ヘリの活用によるドクターヘリの体制を図り、本年度において実績を積み重ねていきたいとの話をしていることから、ドクターヘリ運行に伴い想定されるさまざまな課題について、県は積極的にかかわり、関係機関との調整、協議を行い、必要な支援も行うべきと思いますが、所見を伺います。 六つには、初期救急患者向けの救急医療情報システムの整備についてであります。 今日、インターネットの活用による医療情報システムの提供は、患者やその家族にとって、瞬時に必要な医療機関を見つけ出すことが可能となり、関係医療機関との連携が容易となります。県民生活にとって極めて有益なサービスであることから、その実現を図る取り組みについて所見を伺います。 以上で、壇上からの質問を終わります。 ○副議長(大沼迪義君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 小野寺初正議員の一般質問にお答えをいたします。 かなり質問数が多いので、簡潔にお答えをいたします。 大綱四点でございました。 まず、知事等の退職手当の特例に関する条例に関する御質問にお答えをいたします。 まず、予算の提案に当たり、これからどんな宮城県をつくりたいと思っているのかということについてお答えをいたします。 産業構造の変化などにより、地方ブロック間の格差が拡大傾向にある国内経済情勢や現在の我が県の状況を見ますと、私は何といいましても、安定した経済基盤に支えられた活力ある宮城県にしていかなければならないとの思いを強く持っております。こうした観点から、富県戦略を推進し、県内の産業経済の飛躍を図ってまいりたいと考えております。もちろん、福祉、環境、教育など、それぞれの行政分野における施策にも着実に取り組み、自立、自助の地域づくりを推進し、県民だれもがこの地に生まれてよかったと思える宮城県を目指してまいりたいと考えております。 次に、有為な人材を得るための処遇と人材確保への影響についてお答えをいたします。 特別職に有為な人材を得るためには、その重責に見合う対価が必要であるということは一般的にはまさにそのとおりであり、影響が全くないとまでは言えないと考えております。しかしながら、財政再建に向けて、知事以下の特別職が、知事と一体となり率先して取り組むという姿勢と強い決意を示すことが、ぜひとも必要であると考えたものであります。 人材の確保については、今後とも、県政の現状を理解していただき、私と同じ思いで取り組んでいただける方の登用に努めてまいりたいと思います。 次に、退職手当の特例条例制定によって、県全体の給与バランスが崩れるのではないかという御質問にお答えをいたします。 退職手当の性格や本県の給与制度の整合性という観点から考えると、特例措置を安易に行うべきではないということは承知しております。しかしながら、まさに危機的な状況にある本県の財政状況への対応を考えるとき、緊急避難的な措置として、今回の特例が必要であると判断したものでありますので、どうか御理解をいただきたいと思います。 次に、財政再建の見通しと特例条例の関係についてお答えをいたします。 新・財政再建推進プログラムの最終年となる平成二十一年度までの四年間で、財政健全化を達成することは相当に険しい、厳しい道のりであることは御指摘のとおりであります。しかしながら、財政再建は、必ず実現しなければならない県政の最重要な課題であると考えておりますことから、この難題に全力で取り組む姿勢と決意を明確に示す必要があると判断したものであります。 また、退職金の特例措置が恒常化する可能性があるのではないかという御質問についてですが、先ほど申し上げましたとおり、今回の特例措置は緊急避難的なものとして行うものであり、恒常化すべきものではないと考えております。また、そのためにも、早期に財政健全化が図られるよう、最善を尽くしていく覚悟であります。 次に、一般職給与への影響についてでございますが、一般職の給与に関しては人事委員会による勧告制度が確立されており、私としては、これは最大限に尊重しなければならないと認識しております。したがいまして、一般職の給与削減については、準用財政再建団体に陥ることが目前に迫るなど、真にやむを得ない緊急事態以外では極力避けるべきものであると考えており、今回の特例条例が一般職の給与削減に直接影響を及ぼすものではないと考えております。 次に、常勤監査委員を対象外とした理由についてでございます。 常勤監査委員は、チェック機関としての位置づけであり、政策判断や意思決定に直接的には関与しないものであることから、今回の特例措置の対象とはしなかったものであります。--ちょっと質問にきちっと答えていないんですが、お許しをいただきたいと思います。 次に、給与等の減額措置のあり方についてでございますが、特別職及び一般職の給与に関して適切な処遇を確保するということも、知事としての使命であると考えております。したがいまして、給与の減額については慎重に行うべきであるという御指摘は私も同感であり、基本的には、そのように対応すべきであると考えております。今回の特例措置は、あくまでも緊急避難的な措置であることを御理解いただきたいと考えております。 大綱二点目、行政改革への取り組みに関する御質問にお答えをいたします。 まず、地方機関の所管区域の見直しによる地方機関の数や職員数の検討をどのようにしたのかというお尋ねにお答えをいたします。 地方機関は、地域に密着した行政サービス提供機関であるため、所管区域や組織体制の見直しについては、県と市町村の今後のあり方や県民などの意向を踏まえた上で対応しなければならないものと考えております。このため、現在、庁内に設置した地方機関再編整備検討委員会において基本的な考え方を整理しているところであります。このような検討を進めている中で、定員管理計画を策定することになったものでありますが、定員管理計画には、見通しの確実性が高い数を目標値とすることを基本としたことから、地方機関の職員削減数については、現時点で想定される事務の効率化や事業量の変動に伴う組織体制の見直しなどの要員を見込み、算出したものであります。 また、地方機関再編の今後の取り組みについてでございますが、先ほど申し上げました地方機関再編整備検討委員会の中で、将来的な地方機関のあり方に関する基本的な考え方や所管区域などについて取りまとめており、その内容がまとまり次第、議会に報告するとともに、市町村や県民の意見を伺った上で、具体的な組織再編に着手してまいります。 次に、指定管理者選定の現状と外部民間人の活用、事業評価システム・モニタリング等の今後の具体的取り組みについてでございます。 これまでの選定については、外部委員会で構成する選定委員会で行った三施設以外は、各部局の部・次長、関係課長で構成する選定委員会で、審査基準に基づき適正な審査を行っているところであります。今後とも、選定に際して、県にはない専門性や特殊性などのノウハウが必要と判断した場合は、外部民間人の参加をお願いしてまいりたいと考えております。 また、透明性や公平性の確保については、審査基準や審査方法、採点表、選定理由などをホームページなどで公表しており、担保されているものと考えております。 事業評価については、利用者や有識者からなる評価委員会で行う仕組みや利用者アンケートによる満足度の評価などの導入も検討しているところであります。 次に、直営施設への指定管理者制度導入についてお答えをいたします。 現時点の直営施設は、その施設の性格や目的から、県が責任を持って直接サービスを提供した方がよいと判断しているものであります。しかしながら、社会経済の情勢やニーズの変化などにより、施設ごとに合理性の検証を行い、指定管理者制度の導入が適当と判断した施設については、導入してまいりたいと考えております。 次に、県有施設管理業務の発注の現状と今後の対応についてお答えをいたします。 平成十六年度に発注した県有建築物の工事監理業務委託は合計六十一件で、このうち財団法人宮城県建築住宅センターとの随意契約が五十八件、民間の設計事務所との随意契約が三件あります。財団法人宮城県建築住宅センターは、それまで県が直接行っていた工事監理業務の補完的な役割を持たせるために県が出資して設立した公益法人でありますが、国では、数年前から、設計者以外の第三者による工事監理も進めていることから、今後は、競争入札も視野に入れながら、適正な工事監理者の選定について検討してまいりたいと考えております。 また、耐震調査業務の一部民間下請についてお答えをいたします。 耐震調査業務につきましては、原則として民間の設計事務所に競争入札で委託しております。 なお、県営住宅の耐震改修設計一件につきましては、入居者との調整が必要なことから同センターと随意契約しておりますが、構造計算については、一部民間に再委託されております。 大綱三点目、産業振興についての御質問にお答えをいたします。 最初に、今後の産業振興に向けた決意と方針についてという御質問にお答えをします。 非常に厳しい財政状況下ではありますが、平成十八年度当初予算では、富と雇用の創出に向けた産業振興施策にできる限りの予算を配分したと認識しております。今後も、限られた予算を有効に活用し、産業経済の活性化に向けた施策・事業を展開していく所存であります。 以下の質問に対し、具体的にお答えをしてまいります。 まず、食料、電子、電気産業の具体的目標についてでございます。 ことし三月策定予定のみやぎ商工業振興中期行動計画の中でも、食料品、電気機械、電子部品製造業の振興を含め、幅広で足腰の強い産業構造への転換を図っていくこととしております。食料産業では、売れる物づくりの実現に向けた取り組みを行うこととしており、県の食文化に根差し、食の安全安心にこたえた差別化できる商品開発を進めるなど、一次産業と連携を図り、食料品の高付加価値化やブランド化に取り組んでまいります。更に、生産から加工、販売まで取り組む総合的な経営感覚にすぐれた農林漁業者の育成支援を行いながら、加工業等への参入を誘導し、川上から川下まで、総合的な食料産業の底上げを図ってまいります。 電気機械、電子部品製造業に関する推進策といたしましては、大学の研究成果を活用したMEMS、光などに関連する研究開発型の企業誘致及び先端的ベンチャー企業の育成や企業立地と県内企業の連携・強化のために、技術力高度化などの取り組みを行います。更に、カーエレクトロニクス化の進展に合わせ、電気機械、電子部品製造業の自動車産業への参入を促進してまいります。 次に、輸出産業の実態把握と具体的な推進策についてでございます。 宮城県の自動車関連産業の支援については、プロジェクトJチームにおいて、これまでに二百社に上る企業訪問などの活動を行い、これらの情報をもとに、短期的には関東圏、中部圏も含めた受発注の拡大に向けた展示商談会の実施や、受発注のあっせんを活発化することといたしました。また、中長期的には、輸出可能な硬度部材を製造し続ける地域として、地域企業の技術力の高度化や人材育成、研究開発推進等により、自動車産業の集積を促進してまいります。このような取り組みを通して、広範な自動車関連産業分野について、我が県産業を支える主要な産業として育成を図ってまいりたいと考えております。 また、宮城、山形、岩手の三県連携についてでございますが、宮城県の強みを生かすための連携推進組織を立ち上げ、各県と緊密な連携をとりながら、情報交換、交流の場となる三県連携推進組織を共同で構築し、中部圏での展示商談会を共同開催するなど、三県エリアでの自動車産業の集積・促進に取り組んでまいることとしております。 次に、物づくり産業振興に向けた庁内体制の整備・強化についてでございます。 この三年間に、庁内関係機関で延べ二千件の企業訪問を実施し、産業支援機関等との情報の共有化やビジネスプランの熟度・向上支援及び技術力高度化の支援を適時、的確に行えるよう、対応をしてまいりました。また、昨年四月には、産業技術総合センター内に基盤技術高度化支援センターを設置し、県内工科系大学、高専などの技術研究機関と支援グループを形成し、三百五十名の教官等が企業の相談や支援に応じることができる連携体制といたしました。 今後とも、庁内の横の連携をより密接にし、今まで構築した県内外の各産業支援機関や学術研究機関とのネットワークを十分に強化し、効果的に活用しながら、企業への支援を一層円滑に実施してまいります。 次に、企業誘致のための既存優遇制度の継続・拡充の取り組みについてでございます。 近年、企業の海外進出が進んでいる中で、研究開発分野、先端技術分野において、首都圏、大都市圏を中心に一部国内回帰の動きも見られ、これらを背景に、各県では優遇制度を拡充し、企業誘致活動を積極的に行っております。県といたしましては、他県のこれらの動向を注視しながら、企業ニーズに即した新たな制度創設を視野に入れて適宜見直しを図り、全国的に競争性のある制度の維持・確保に努めてまいります。 また、企業誘致に向けた具体的な取り組み方針と目標についてでありますが、誘致活動に当たっては、東北大学等の研究開発機能の集積、利便性の高い交通基盤、人材確保の容易性、産学官連携の取り組みなど、我が県の立地環境の優位性を積極的にPRするほか、企業誘致を効果的に進めるため、私みずから企業に出向いて、精力的にトップセールスを行ってまいります。 具体的には、食料産業や電気機械、電子部品産業が集積されているといった宮城県の産業構造や、先端技術産業、自動車関連産業などの成長分野を見据えながら産業集積を図り、全国上位の企業立地を目指してまいります。 次に、本県IT産業の振興についてお答えをいたします。 昨今、東北ITクラスタ・イニシアチブなど、企業間連携による民主導の取り組みが展開されるようになってきました。また、現在、家電等に使われる組み込みシステム関連においても、宮城、山形を中心に、民間企業による推進組織設立の動きがあります。県では、こうした民主導の活動を支援しつつ、みやぎe-ブランド確立支援事業などによる県内IT企業の商品開発や、販路促進面でのビジネスプランへの支援、東北テクノロジーセンターによる人材育成面での支援などを、国や隣県、関係機関とも連携しながら、積極的に進めてまいります。 次に、大きな目標を掲げたみやぎ観光戦略プランの策定についてお答えをいたします。 地域経済への波及効果が高い観光産業を戦略的産業に位置づけて、観光王国みやぎの新たな行動計画となり得るみやぎ観光戦略プランを、平成十八年度中に策定することとしております。当プラン策定においては、宿泊、交通、物産、旅行エージェント等の観光関係業者や、学識経験者並びに行政等で構成されるみやぎ観光戦略プラン懇話会を開催し、観光に関するさまざまな意見を聴取し、プランの中に反映させてまいります。 なお、宮城県の平成十六年の外国人宿泊者数は九万四千人であり、平成二十二年の目標は約一・七倍の十五万七千人と見込んでおります。今後、懇話会の中でもう少し高目の目標設定なども含め、検討してまいりたいと考えております。 次に、外部からの観光エキスパート人材の確保を行うなど、観光振興に向けた推進体制を強化すべきではないかという御質問にお答えをいたします。 みやぎ観光戦略プランの策定・実施に当たりましては、観光に関連する事業を所管する庁内関係課を含め、全庁を挙げて積極的に取り組んでまいる所存であります。 また、外部からの人材確保については、民間のノウハウを活用するため、平成二十年度に我が県で実施されるデスティネーションキャンペーン等において、十分に検討してまいりたいと考えております。 次に、国際観光促進のための国や他県との共同等具体的取り組みについてお答えをいたします。 東北地域へ海外観光客の誘致を促進するためには、我が県単独よりも東北を前面に押し出し、国を初め他県と連携した取り組みが不可欠だと考えております。 まず、国との連携ですが、平成十五年度から本格的に始まった東北運輸局による「YOKOSO JAPAN 東北」の事業を通して、これまでに実施した海外プロモーション事業や、中国及び台湾向けの東北広域観光テレビ事業に我が県も積極的に参加しております。 次に、台湾、香港、韓国からの現地旅行エージェントやマスコミの視察団受け入れ事業については、栃木、福島、山形県などと共同して取り組んでおります。また、現地での観光説明会や国際観光展の出展などもあわせて取り組んでおります。更に、上海では、東北六県で、また、大連では、昨年から岩手県と共同して視察団受け入れ事業などにも取り組んでおります。 今後とも、これまで取り組んできた共同事業の継続と新たな取り組みに向け、国初め他県との連携を一層図りながら、海外観光客の誘致に努めてまいります。 次に、地域限定通訳案内士試験の取り組み状況及びソフト面の強化についてお答えをいたします。 この制度は、資格保持者が首都圏や大都市圏に集中していることから、地方での外国人旅行者のニーズに対応する通訳ガイドを確保するためのものであります。県といたしましては、県境を越えて周遊する外国人観光客の視点に立って、他県と共同での地域限定通訳案内士試験の実施なども含めて、国の指導を受けながら、早急に対応の検討を進めてまいりたいと考えております。 また、観光カリスマなど、地域を先導する人材面の充実を図るほか、通訳ボランティアの育成など、外国人観光客に対するホスピタリティーの充実に努めてまいります。 次に、航空会社やJR各社に対し、運賃割引率を上げる働きかけを行うことについてお答えをいたします。 宮城県の観光統計によると、我が県への宿泊観光客数は、約六割が県外からの来訪者となっております。JR東日本においては、大人の休日倶楽部パス、三連休パス、土日フリー切符などの商品が販売され、航空会社や旅行エージェントにおいても、スキーや温泉といった観光資源を組み合わせたパック商品などが販売されております。 今後とも、JR東日本や航空会社の輸送機関を初めとして、旅行エージェント各社にも、交通と宿泊を組み合わせた割引率の高い旅行商品の造成と販売を働きかけてまいりたいと考えております。 次に、観光キャラバンへの県の参加及び観光の夕べの開催についてお答えをいたします。 我が県では、県外からの観光客を積極的に誘致することを目的として、県、宮城県観光連盟、仙台市及び民間の観光関係者で構成する宮城県観光誘致協議会を組織しております。この協議会は、官民連携を基軸として事業を展開しており、首都圏や中京、関西圏を中心とした観光客誘致キャラバンや現地旅行エージェントを招請しての受け入れ研修を実施して、旅行商品づくりと販売の拡大に努めております。 また、訪問地域での観光の夕べを開催することについてのお尋ねでございますが、大阪及び名古屋市内では、現地旅行エージェントやマスコミを招いての同様の趣旨を兼ねた観光プロモーションも開催しております。今後とも、これらの機会を通じて、旬の情報を初めとしたきめ細かな観光情報の提供を行うことに力を入れてまいります。 次に、具体的なきめの細かい観光客誘致の促進策についてお答えをいたします。 来県する観光客の交通手段は、首都圏からはJRや高速道路、関西以西や北海道からは航空機の利用が多くなっております。また、関西以西からの旅行者の行程は、単一県内の観光を目的とすることなく、県境を越える広域的に周遊するケースが多くなっております。広域を周遊する観光客が我が県に長く滞在するためには、県内の各地域で、個性的で魅力ある観光資源を有することが必要不可欠であります。そのためには、デスティネーションキャンペーンに向けた取り組みの中で、観光客受け入れ体制づくりへの支援や、みやぎ路観光地整備事業を活用した観光基盤の整備への支援などを行ってまいります。 更に、JR東京駅への常設観光PRコーナーの設置の御提案がございましたが、現在の東京アンテナショップ内の観光情報コーナーに加え、平成二十年のデスティネーションキャンペーンを進める中で、JRを初めとする関係機関との間で検討を進めてまいりたいと考えております。 大綱四点目、救急医療体制の整備についての御質問にお答えをいたします。 最初に、県救急医療協議会等での救急課題に関する協議状況等についてお答えをいたします。 県救急医療協議会が、平成十六年十一月に取りまとめた宮城県の救急医療体制の充実を図るための検討方向においては、県が今後取り組むべき施策として、初期救急では、在宅当番医の充実、二次救急では、地域の中核的病院への医療資源の集中化、三次救急では、新型救命救急センター及び高度救命救急センターの整備などを基本とすべきとの提言がなされたところであります。また、小児救急医療については、県周産期小児医療協議会小児医療部会において協議がなされ、小児に関する休日・夜間の相談体制の整備が必要といった提言が取りまとめられたところであります。これらの提言を受け、県といたしましては、東北大学病院高度救命救急センターへの委託事業や、こども休日夜間安心コール事業に係る予算化を図ったほか、それぞれ具体の検討等を行っているところであります。 また、圏域ごとの協議の進捗状況についてでございますが、各地域医療対策委員会において、地域の中核的な病院を中心とした救急医療体制の整備等について、協議が現在進められております。 次に、救急告示病院の認定要件の緩和に係る国への要請についてでございます。 救急告示病院の認定要件については、現在国において見直しの検討を行っており、その状況も見ながら国への要請等を検討してまいります。 また、仙台市と連携した救急告示病院の増加策についてでございますが、人口及び救急搬送件数が最も多い仙台市において一層の増加が必要と考えており、仙台市の協力を得ながら対応を進めてまいります。 次に、ドクターカーの各圏域中核拠点病院への配置検討状況についてお答えをいたします。 ドクターカーの導入に当たっては、専用の高規格の救急車のほか、同乗医師や専従の救急隊員の確保等が必要であるなどの課題があります。この課題に関して、昨年度、県救急医療協議会において、ドクターカー導入に際しての医療機関と、消防及び行政の役割分担等について更に検討が必要とされたところであります。県といたしましては、自治体病院や消防及び行政関係者の意見を聞きながら、各圏域での導入に向け助言等を行ってまいります。 次に、ドクターヘリ導入の検討状況と見通しについてであります。 ドクターヘリは、遠隔地の救急患者の治療や、搬送等の広域的な救急活動を行う上で極めて有効でありますが、一方で、導入及び維持にかかる経費が大きいことに加え、待機場所を備えた救命救急センターの整備や、搭乗医師の確保などの課題があります。このため、県救急医療協議会において検討を行っていただいたところでありますが、なお課題の整理が必要であり、引き続き協議を重ねることとなっております。 導入の見通しについては、その協議結果を踏まえるとともに、国の財政支援の状況等も見ながら考えてまいります。 次に、新型救命救急センターの各病院への配置に向けた取り組みと見通しについてお答えをいたします。 新型救命救急センターについては、平成十六年十一月に、宮城県救急医療協議会が三次救急医療体制の整備に関する基本方針を取りまとめ、その中で、石巻、仙南及び気仙沼の各医療圏で整備が必要との提言がなされたところであります。県といたしましては、この提言に沿って、各医療圏に対し、整備に向け引き続き働きかけを行うとともに、設置に係る国への協議等の支援を行ってまいります。 設置の見通しについては、石巻赤十字病院では、救急科専門医の確保、宮城県南中核病院では、県域内の他の医療機関との役割分担、公立気仙沼総合病院では、移転新築計画などについて現在検討を行っているところであり、県といたしましては、その検討状況を踏まえながら、できるだけ早期の整備に向け、助言及び指導等を行ってまいります。 次に、東北大学病院高度救命救急センターにおける防災ヘリを活用したドクターヘリの運用についてお答えをいたします。 県の防災ヘリコプターを活用したドクターヘリの運用については、搭乗医師の確保等のほか、占用ヘリと異なり、使用可能な時間が制約されるといった課題があります。このような中で、東北大学病院では、高度救命救急センター開設に合わせて屋上にヘリポートを整備していることから、県と東北大学病院及び消防関係機関等において、想定される課題に関して、他県の例も参考にしながら引き続き十分な協議を行ってまいります。 最後に、インターネット活用による初期救急患者向けの救急医療情報システムの整備についてお答えをいたします。 本県においては、現在、初期救急医療情報については、休日在宅当番医や休日夜間急患センターの電話番号、診療科目などをインターネット上に掲載しております。県といたしましては、インターネットの利便性を踏まえ、平日の初期救急医療病院の情報など掲載情報を拡大するほか、症状や疾病部位からの病院検索など、より使いやすい情報提供機能となるよう、検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(大沼迪義君) 三十三番小野寺初正君。 ◆三十三番(小野寺初正君) 時間がありませんので、二点について伺います。 一つは、外国人観光客の目標についてであります。 私は、平成十六年度の数字から、九万から十八万という目標にすべきだと。知事のお話では、戦略プランの懇話会の中で、高目にということで検討するというお話だったんですが、実は平成十一年の時点の掲げた目標を決めたわけですが、それから相当の月日がたっておりまして、近年、国際環境の極めて変化等もありますので、私は新しい新知事のもとで、もう十一年の時点ですから、当然見直しを図るべきであると思っております。その中で、特に外国人観光客については、私は十六年度の二倍と、こういうふうに思ったわけですが、懇話会での検討はともかくとして、知事御自身のお気持ちを伺いたいと思います。 二点目は、最後の設問のインターネットの活用による初期救急患者向けの救急医療情報システムなんですけれども、これは実施時期について伺いたいと思っていました。 実はこのシステムは、既存システムの手直しで対応が可能というふうに伺っておりまして、別に予算の増額を伴わないというふうに聞いておりますので、いつごろまでにこれが実施されて県民生活の健康増進あるいは医療緊急事態にサービスとして供給できる、いつころまでに行うのか、その辺を明示していただきたいと、こういうふうに思います。 ○副議長(大沼迪義君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 二点ございました。後段の分につきましては、保健福祉部長に答弁をさせたいと思います。 私からは、外国人の観光客、特に宿泊者数、これを一・七倍と言わずに二倍ぐらいにすべきじゃないかということで、私の気持ちをストレートにということであります。 やはり目標は大きく、実現できる範囲内で大きくとらえるべきだというふうに思っております。先ほども答弁いたしましたが、来年度、みやぎ観光戦略プランを策定をいたします。ここでは、我々県庁内だけではなくて、いろんなプロの旅行に携わっている方たちに多く入っていただいて議論していただきますので、実現性のある中で、そして、我々が頑張れば達成できる目標を、できるだけ高く設定できるように考えてまいりたいと思っております。 以上です。 ○副議長(大沼迪義君) 保健福祉部長加藤秀郎君。 ◎保健福祉部長(加藤秀郎君) お尋ねありました初期救急患者向けの救急医療情報システムの整備でございます。 知事からもお話ありましたように、掲載情報を拡大いたしますし、より使いやすい情報提供機能となるよう、今検討をしております。それで、さまざまな準備もございます。今、そのソフトについていろいろ整理しているわけですが、遅くとも、ことし夏までには何とか開けるような形で、今準備を進めておるところでございます。 ○副議長(大沼迪義君) 暫時休憩をいたします。    午後三時八分休憩-----------------------------------    午後三時四十三分再開 ○議長(伊藤康志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 先ほどの三十三番小野寺初正君に対する答弁について、知事から発言の申し出がありますので、許します。知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほどの小野寺初正議員からの質問に対する特別職等の退職金に関する答弁の中で、一部、誤解を与えるような不適切な表現がありましたので、おわび申し上げます。 なお、私が申し上げたかったのは、常勤監査委員は、過去の財政危機に責任がないだけではなく、将来的にも政策判断や意思決定に直接的には関与しないものであることから、今回の特例措置の対象とはしなかったということであります。 ○議長(伊藤康志君) 質疑、質問を継続いたします。八番佐藤光樹君。    〔八番 佐藤光樹君登壇〕 ◆八番(佐藤光樹君) 本日、最後の質問になります。どうぞ、皆様お疲れだと思いますが、温かい目で御拝聴賜ればと思います。 今、県民の関心ごとは三つございます。 一つ目は、昨日閉会をいたしましたトリノオリンピックでございます。本県では、東北高校出身、荒川静香選手の女子フィギュアスケート、アジア初の金メダル獲得。本当におめでとうございます。そして、ぜひ忘れないでほしいのが、我が塩釜出身の女子モーグル、畑中みゆき選手の活躍でございます。子供はもちろん、多くの皆様に夢を与えるオリンピックに出場すること自体、大変な努力と名誉なことであります。先日、畑中みゆきさんがごあいさつにお見えになったときにも、ぜひ宮城県が率先して、オリンピックを目指す多くのスポーツ選手に夢を与える施策を展開していただければとの発言をちょうだいいたしました。知事にお伝えをしておきます。 二つ目は、ライブドアではなく、楽天イーグルスでよかったなと思いながら、名将野村監督が最下位のイーグルスをどう導いてくれるのか。そして、ベガルタ仙台がサンタナ監督を迎えて、日本一のサポーターの応援でJ1へ復帰できるか。いや、してほしいとの期待でございます。 そして三つ目に、村井知事のこれからの県政運営についてでございます。私も知り合いの方々から、村井知事になってどうですかと聞かれることが多々ございます。まず、明るくなりましたよと答えます。そうすると、そうでしょうね、テレビで見ていてもそういう雰囲気がありますもんねと、よく言われます。多くの方々が、村井知事の持つ明るい笑顔に人間的な魅力を感じておられます。 また、細やかな気配りに私も感心をさせられたことがございました。例えば、就任早々から、庁議室で行われる陳情に対して、陳情される方々に上座を提供し、知事初め職員の方々は下座へ席を変えられました。ちょっとしたことではございますが、その配慮、姿勢に好感を持っていただけるものと思います。 また、ネームプレートであります。知事が石巻振興事務所を訪れた際、宮城県産杉の間伐材を利用し、宮城県産業技術総合センターが開発したエステックウッドと言われる木材加工技術で、高温加圧処理により薬剤に頼ることなく、耐蟻性、耐久性及び寸法安定性を向上させた環境負荷が少ないクリーンな木製品でつくられたネームプレートを拝見され、作成されたと伺いました。みやぎブランドの確立を図り、みずからがトップセールスマンになると公約をされ、早速実践されたんだと感心いたしておりました。今では、知事初め庁議メンバー、各振興事務所の所長さんがおつけになっているようでございますが、木の持つぬくもり、優しさが、村井知事のイメージと合致するものと思います。 ちょっと褒め過ぎかもしれませんが、県民の皆様方が好意を持って村井県政を注視いたしております。厳しい財政状況の中でのかじ取りではございますが、一月一日に就任をされた塩釜出身の三浦副知事におかれましても、村井県政を全力でお支えを賜りまして、ともに二百三十六万県民の負託にこたえ、治安日本一、富県宮城を目指して頑張ってまいりましょう。 前置きが長くなりましたが、議長のお許しをいただきまして、通告いたしております大綱二点について、順次、御質問をさせていただきます。 市町村合併と今後の課題についてお伺いをいたします。 私が初当選をしたとき、平成十五年の四月に、我が宮城県の市町村は七十一ございました。十市五十九町二村がことしの春には十三市二十二町一村と、ほぼ半減することになります。時代とともに交通手段や生活圏は変化をし、行政に求められる住民ニーズも多様化してきますから、市町村の再編は終わりなき課題と言えます。しかしながら、使いなれた地名や住みなれた町に対する愛着、住民同士の連帯感など、歳月がつくる確かな歴史は、容易に市町村が合併することを許しません。平成の大合併は一段落し、全国で耳なれない名前の市や町が誕生いたしましたが、市町村合併がもたらす恩恵とこれからの課題、あるいは合併しなかった市町村の課題と、将来に向けての合併の可能性と問題点は、今大いに検証すべき時期であると思います。 御承知のとおり、市町村税収の二本柱は、住民税と固定資産税であります。しかし、人口増の自治体は数えるほどしかなく、十四年間下落し続けた土地の路線価に合わせ、長引くデフレ基調から、低迷した住宅投資と設備投資の影響で税収の深刻な落ち込みが続いてきました。加えて、国の交付税特別会計の十四兆円に及ぶ焦げつきから、三位一体改革という地方交付税削減策がとられ、財政が豊かな市町村は皆無と言ってよい状態に至っております。 将来の財政運営を持続可能にするために、合併という選択肢を選んだ市町村が多かったことも否定できません。一方で、全国的に大型国有財産や大企業、原子力発電所などが立地しているために、周辺市町村より飛び抜けて財政力があり、合併を見送った自治体もあります。 本来であれば、基礎自治体である市町村の合併は、行政サービスのあり方や住民の生活圏の規模など、財政とは別の視点による合併の是非論や合併の規模確定が重要であり、適切な指導助言が欠かせない部分であると思います。また、今後の課題として、県内の自治体配置のあり方や、合併が不調に終わった市町村の深刻な財政状況の打開策についても、県が果たすべき役割はかなり多いと考えます。 今回の合併特例法による市町村再編が一段落したことを機に、国は、今後の期限なき市町村再編と、合併の推進策として知事の権限を強化するなどの法整備を行っており、我が県でも、新たな合併のモデルを策定し発表されたのは、御案内のとおりであります。その時点での知事のコメントは、合併勧告などの強化された権限行使を現時点では考えておらず、市町村の主体的取り組みに期待する旨の内容でありました。前知事と比較するのはいかがとも思いますが、今後の市町村再編に対して、浅野さんより消極的ではないかとの見方もあり、知事の取り組み姿勢に誤解が生じることがないよう、今議会で議論すべきと考えました。 県が提示している新たな合併の枠組みは、例えば、合併がすべて不調に終わった県南部において、より大きなくくりとするなど、前回のモデルよりも実現性が乏しいという意見もあります。三町合併より九市町合併が難しいのは自明ですが、本来の合併の意義から言えば、理想を追求し、時間をかけて協議すべきだと思います。合併特例法の期限を意識した拙速な協議であったための不調だったかもしれません。その意味では、住民の生活圏や行政サービスのあり方をしっかりと検証し、協議を進めていく過程で必要を認めた場合、知事の権限を行使するのは当然ではないでしょうか。より難しい枠組みにこそ、必要なときに知事が合併を勧告すべきだと思います。 私の地元では、塩釜、多賀城に、宮城郡三町を加えた二市三町合併、あるいは黒川郡四町村を含む二市七町村合併の枠組みが考えられ、議論されてまいりました。歴史的背景や知名度など、新市に名前をつけるときにもめることが容易に予測をされ、そのこと自体、合併の障害になりそうな気がいたしております。その点で、合併実現にこぎつけられた大崎市の御努力には、大いに敬意を表させていただきます。 本来、合併に賛成の住民が多くとも、些細なことから破談になる例として名称のことを挙げさせていただきましたが、このような合併への障害は枚挙にいとまがありません。容易に崩れそうな荷物を背負って静々とゴールに向かって歩くのが、合併協議の実態だと思います。だれかが意図的に壊そうとすれば簡単に壊れてしまうほど、デリケートなものです。しかし、持続可能な財政運営や生活圏の拡大に対応した行政サービスを実現しようとすれば、おのずと取り組まざるを得ない課題でもございます。適切な基礎自治体の規模とは、人口の規模だけではなく、自立した自治体運営が可能なことや、住民が連帯感や一体感を持てる生活、文化、教育環境などの生活圏に配慮されたくくりであるべきであります。安易に、現在の郡境や市町村人口の足し算であってはなりません。 これらの視点をもとに幾つかの質問をさせていただきますが、新聞報道の短い文章のみで、知事の市町村再編に対する姿勢が誤解されることのないよう、誠意と意欲のある答弁に期待をいたします。 まず、市町村再編に関する知事のお考えについてお聞きをいたします。 市町村の再編は必要とお考えですか。また、必要とお考えであるなら、その考え方について御説明ください。 次に、市町村合併が財政的理由においてなされたり、あるいは不調に終わることについてどのような所見をお持ちですか、お聞かせください。 我が県においてなされた七十一市町村から三十六市町村への再編は、どのような成果と課題を生んだとお考えですか。合併を成し遂げたところと不調に終わったところのそれぞれについてお答えください。 さて、私の地元塩竈市では、現在、周辺市町との合併研究を進めておりますが、財政の方は、御多分に漏れず大変な状況にございます。県内でも、合併が不調に終わった市町村で、大変な財政事情のところが多いと聞き及んでおります。県当局は、県内の市町村の財政事情をどの程度把握し、どのように対応されているのか、お聞かせください。また、そのような大変な状況にある市町村に対して、持続可能な財政のための合併をあっせんするお考えはあるのでしょうか。財政逼迫の市町村にとって、その解決策が合併ということでは、協議を整え完了するまでの時間が問題になります。拙速に進めれば進めるほど、結果が不調に終わるおそれが増大します。その点に配慮するならば、合併を前提とし、当面の当該市町村の財政運営を支える何らかの制度づくりが必要なのではないでしょうか。もちろん、県の単独で行うことは容易ではないことを十分承知しておりますが、そもそも特例法による市町村再編を進めてきたのは国策でありました。その点を踏まえても、国に働きかけ、合併協議に十分な時間をかけることのできる制度づくりを図るべきと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。 本来、再編された基礎自治体のあり方とは、財政のみの論議で決めるべきではないと先ほど主張させていただきました。歴史的に見れば、役場までの距離が徒歩で容易に行ける範囲から、自転車で行けるよう、バスで行けるようにと拡大してきたように思います。しかし、行政サービスを受ける住民側から見れば、サービス拠点は近いほどいいわけです。また、政策の立案と実行、それを裏づける役所内の人材や財政を考えれば、ある一定規模以上の自治体であるべきで、その領域は当然広くならざるを得ないことは明白です。しかし、今やネットワーク社会であり、現在の技術を活用すれば、行政のサービス拠点をかつての村単位に置くことも不可能ではありません。したがって、きめ細かな行政サービスを提供しながら、相応の規模を持った基礎自治体への再編というのは両立できると言えます。そのような視点で我が県内を見た場合、果たして幾つの市が最もふさわしい枠組みなのでしょうか。我が県が新たに示した合併の枠組みとは、そのような視点に立ってつくられたものなのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。 さて、知事は、先週月曜日の記者会見で、道州制について触れておられました。その中で、市町村合併の進展がもたらす道州制の必要性と、私見としながらも、新潟を含む東北七県の枠組みを示されました。その枠組みで考えた場合、人口規模は千二百二十万人、面積は七万九千四百七十平方キロです。人口でポルトガルより大きくオランダより小さい、面積では逆にオランダより大きくポルトガルより小さい、ヨーロッパでの普通サイズの国といったところでしょうか。 伊達政宗が手締めで推奨した伊達の一本締めは、三拍して一拍。「いよー、ぽぽぽん、いよー、ぽん」であり、奥州、羽州、越州を一つにするという意味だと聞いておりましたので、村井知事が伊達政宗とダブって見えました。戦国時代、もう少し早く生まれていれば、天下をとったかもしれないと言われた地元の英雄は、治山治水や産業振興の富国政策にたけた行財政の達人であったとも言われています。くしくも、同じ枠組みを示された村井知事に改めてお聞きしたいものですが、なぜ、新潟を含む七県の枠組みがよいと思っているのか、お聞かせください。 また、一口に道州制と言っても、現在の都道府県の大型化である地方自治体と、国の役割をある一定の範囲に限定したアメリカやブラジルのような連邦制の州とでは大分違います。国でも、最近は道州制、連邦制と併記して議論しているようでございます。知事が示された枠組みでの東北州のイメージとはどちらの州なのか、あるいはもっと違ったものなのか、ぜひこの機会にお話しいただきたいと思います。 市町村合併と道州制論議、どちらも地方分権、地方自立には欠かせない政治的課題であります。そして、人ごとではない身近な課題でもありますから、私の地元について触れさせていただきます。 仮に塩竈市が二市三町の合併を決めたとして、先ほども申し上げたとおり、新市の名称は大変なハードルになると思っております。万葉の歌に詠まれた我が塩釜。日本の名城百選で、我が県にあまた城ある中で青葉城とともに二つだけ選ばれた多賀城。律令時代の由緒正しき役所どころ利府。そして、御存じ日本三景松島。どの名前も捨てがたく、どれに決めてももめること間違いなしではないでしょうか。七ヶ浜もございます。残る選択肢は一つしかありません。どれも新市の名称にはせず、市の名前の後に全部残すというのが落としどころだと思います。そうなると、新市の名前は宮城市でしょうか。宮城県宮城市。何だか県庁が引っ越してきそうな名前で最高の名前だと思いますが、将来における基礎自治体のあり方から合併が避けられないとすれば、宮城市ができることを思わず望んでしまいそうでございます。 先日、知事は、私の地元で、市長、町長の皆様方と円卓会議を持たれたと聞いております。合併関連の中身については、代表質問にて安部孝議員の質問にもお答えになられました。地域の自主性に任せるとのことでございます。それぞれの地域がそれぞれの地域事情を抱えております。逆に、こういうときこそ、県が主導的、積極的にかかわることで合併論議を喚起し、新たな動きをつくり出せるのではないでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。 また、実現に向けて必要を認めたとき、強化された知事の権限を行使されるおつもりがあるのかどうかもお答えください。 次に、大綱第二点目の地域経済と産業振興についてお伺いをいたします。 申すまでもなく、経済は政治の大宗であり、いかにして雇用を確保し生活を安定させられるのか。これは古今東西の世界の政治家にとって共通の責務であります。 先日、国は、二月の月例経済報告を発表し、景気は回復基調にあるとの認識を示しましたが、日本国全体で見れば確かにそうした勢いは見られるものの、果たしてこの宮城、東北は依然として厳しいままなのではないかというのが偽らざる実感でございます。 地域の雇用、経済実態を端的に示す経済指標である有効求人倍率の推移を見ますと、平成十三年の〇・五七を底に年々雇用情勢が改善し、現在は〇・八弱程度まで回復はしてきたものの、全国平均が一を超える中では、依然として厳しい状況が続いていることに変わりはないのです。しかも、全国平均が最近伸張し続けているのとは逆に、宮城の場合は昨年の六月の〇・九を境に、徐々に倍率が低下していることは、大変懸念される兆候ではないかと思います。製造業の活気を示す鉱工業生産指数が、まばらながらも比較的健闘をしているのが唯一の好調さを示すものであり、個人消費、建設投資、いずれもマイナスが続いていますし、住宅着工件数を見ても、貸し家のみが増勢で、持ち家は連続マイナスであります。これは、投資用の物件の拡大を意味し、首都圏の不動産投資が地方にも波及してきたためであって、決して地域の住宅需要が旺盛なわけではありません。また、肌感覚というのでしょうか、景気が回復すれば、必ずや飲食街や広告、タクシーにその兆しが見えるものでございますが、夜の国分町は本当に人はまばらで、往年のような肩が触れ合うにぎわいからほど遠いものがありますし、客待ちタクシーの渋滞も一向に解消されません。私の塩釜のような地方都市の商店街も、本当に火の消えたようで、日中の閑散さは残念ながら日常風景となってしまいました。地方に行くほど、雇用面でも産業面でも生活面でも、厳しさが増しています。 ちなみに、我が塩釜公共職業安定所管内の有効求人倍率を申し上げますと、平成四年度の有効求人倍率は〇・八九でしたが、年々低下をし、平成十五年度には〇・三五になってしまいました。生活保護世帯も急増し、全国で月平均百万世帯に達し、県全体で、平成十三年三月には八千六百八十六世帯、一万二千六百七十九人であったものが、昨年の十一月には一万二千七百八十五世帯、一万八千五百九十八人となっているのです。生活が困窮する世帯が年々ふえ続けているのは明らかでありますし、小中での給食費でさえ払えない世帯もふえ続けております。こうした地域経済の状況から、日銀の仙台支店や東北経済産業局の、景気は緩やかに回復しているとの見方がどこから出てくるのか、大変不思議でなりません。来月発表されるこの一月の地価公示も大半が下落のままでしょうし、今回の国勢調査でも、統計開始以来、総人口が初めて減少いたしました。出生率も依然として低下し続けたままであります。試算デフレは一向におさまらず、しかも、人口減少という地域の経済成長を下押しする構造的要因の影響も、より鮮明になってきています。当然のことながら、地域経済の低迷を反映して、地方税収の伸びも減少か、伸びても微増であります。塩竈市の市税は、平成十一年度から十五年度の五カ年で約十二億円減少しましたが、こうした厳しさはほかの市町村でも同様でありましょう。 前の浅野県政の三期十二年は、地域経済や産業振興という点では、最後の経済産業再生戦略を除いては、残念ながら無為無策に等しいと言っても過言ではありませんでした。地域経済の低迷をひたすら国の経済政策に求め、みずからなすべきことをせず、日本一の福祉先進県を目指すとの方針のもと、産業の育成・振興を放置してきたように思います。余りにも失った時間は大きい。その痛みを今、県内各地は痛切に感じているのであります。その意味では、今回、県議会議員出身の村井県政は、厳しい地域の現状、現場をよく認識され、経済の活性化と産業振興を県政の最重点課題に掲げ、強力に富県戦略を推進することとしたことは、時代の変化、地域の現状、現場を見据えた、まことに現実的な政策姿勢だと高く評価をいたしております。ぜひとも、多くの県民の期待にこたえ、強いリーダーシップを発揮し、地域経済の再生への道筋を確固たるものにしていただきたいと、心より念願をいたしております。 今回、経済再生、国際化、観光など、経済振興関連分野につきましては、次年度において戦略プランを策定し、実施する方針を明らかにされております。知事就任間もない状況下における対応としてはやむを得ないところでありますし、これらのプランが実りあるものになるよう今後に期待をし、内容が明らかになった時点で改めて御質問をさせていただきたいと存じますが、基本的な事柄に関連して、以下、数点御質問をいたしたいと思います。 まずもって、昨今の地域経済の現状についての知事の認識をお伺いいたします。 知事を含め県幹部からは、景気が緩やかに回復しているかのような発言が見受けられますが、単に日銀などの発表をなぞっただけで、地域全体の実情をどの程度把握しておられるのか、甚だ疑問に思いますし、産業界の実情そして県民感覚とは大きくずれているのではないかという念を強くいたします。私も地域の人々から、幾度となく中央の景気感と地方での実感の格差についてはおしかりを受けてまいりました。先ほど述べた経済指標、現場の実態、いずれも回復とはほど遠いのではないでしょうか。これまで浅野前知事の発言を拝聴するたびに、実態からかけ離れた机上の経済感覚を聞いているようで、県政のトップがこれではという思いを強くいたしておりました。改めてお伺いいたします。 次に、予定される戦略プロジェクトの実効性をどう担保されるのか。財源がなければ絵にかいたもち、また、財源の見通しのない中では、効果的なプロジェクトの検討もままになりません。推進に当たっての財源をいかに調達、確保されようとしているのか、お伺いいたします。 この点に関連し、知事がおっしゃる民力の活用、その視点を徹底することが必要かと思います。今日の宮城県の実情からすれば、財政的な余裕もありませんし、この際、官や民という従来の垣根にかかわらず、県民総ぐるみで今の難局に当たるべきです。北海道では、中小企業への無担保・無保証の新たな融資制度を創設し、民間銀行の融資に対して、将来損失が生じた場合に、行政が損失分を補てんするという仕組みにするそうですが、これなら民間金融機関を役所が補完するということで、多額の資金を融通させることが可能です。あるいは建設総合センターと連携し、地域の新たな開発プロジェクトを考案するとか、民間の資金、ノウハウを垣根を越えて活用するなど、県の財源がなくても多様で柔軟なやり方を行えば、多くのことが可能です。ゼロ予算は、こうした踏み込みが足りないような気がいたします。民力活用という視点に立って、既存の政策を改めて見直すだけでなく、次年度に予定されている戦略プロジェクトの財源確保にも十分に生かすべきではないでしょうか。民力の活用の基本的な考え方とただいまの民力活用策について、あわせてお伺いいたします。 地域経済低迷の根本的な原因は、総需要の減少と低迷にあると思います。民間の産業基盤が、東京などと比べて決して強くはなかった宮城や東北が経済成長を維持できたのは、公共事業や補助事業を通じ、地域で生み出す以上の富を中央から移転されてきたからであります。中央から減少した分を補う富を地域みずからが創出できなければ、その分だけ地域経済は低迷します。宮城県内の公共建設投資額がこの十年で、財政改革を受け三千五百億円から千五百億円と約六割減少しましたが、民間主導への産業構造転換が進まず、民需喚起も起きない中での公共投資の減少ですから、地域経済がまともに影響を受けるのは当然のことであります。 以下、時間が経過してしまいましたので、途中ではございますが、知事のこれからを期待しながら、私の一般質問を終わらせていただきます。 長くなりまして申しわけございませんでした。 御清聴、ありがとうございました。 ○議長(伊藤康志君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 佐藤光樹議員の御質問にお答えをいたします。 大綱二点でございました。 まず、大綱一点目、市町村合併と今後の課題についてであります。 最初に、市町村再編の必要性とその考え方についてお答えをいたします。 今、我が国では、地方がみずからの判断と責任で、さまざまな課題に対応する地方分権型社会への転換が求められております。その実現のためには、住民に最も身近な市町村の行財政基盤を充実強化することが必要であり、合併は、市町村が地方分権時代の主役としてふさわしい行財政基盤を整備する上で、極めて有効な手段であると考えております。一方で、合併は、市町村長や議会はもとより、そこに暮らす住民の方々の意思が最も重要でありますので、県といたしましては、地域での議論を喚起するため、地方分権時代における市町村の望ましい姿を見据えながら、引き続き合併の必要性を訴えてまいります。 次に、財政面を理由とする合併の是非についてお答えをいたします。 市町村を取り巻く厳しい財政事情が合併の背景にあったことは御指摘のとおりですが、全国的な合併の進展は財政面だけを理由とするものではなく、生活圏の一体性や歴史的な結びつきなどを基本として、市町村みずからが主体的に地方分権改革を実現しようとする意欲が、合併の決断につながったものと認識をしております。しかしながら、旧法下での取り組みの教訓からも、財政状況の格差は合併推進の大きな障害になりかねませんので、関係市町村の懸念が生じないよう、それぞれの自治体が行財政改革に努め、その道筋を明確に示していく必要があると考えております。 また、合併した市町村、不調に終わった市町村の成果と課題についてでございますが、宮城県においては、新たに九つの合併市町が誕生することとなり、地方分権社会の実現に向け、大きな一歩を踏み出したものと認識をしております。特に、広域行政圏やこれに準じた広がりを持つ新しい市においては、権限移譲を含めた行財政基盤の大幅な強化と、みずからの責任と判断で地域づくりを行う環境がより一層整うことになりました。既に、人件費等のコスト削減や人材育成の充実、危機管理体制の整備などの合併効果もあらわれてきており、今後の本格的な合併効果の発揮が期待されるところであります。 その一方、合併市町の課題としては、建設計画事業の執行上の調整、本庁と支所間の組織機構や事務分掌の見直し、地域の均衡ある発展などが挙げられております。 次に、合併が不調に終わった市町村の課題ですが、地方分権の推進や少子高齢化、財政状況など、市町村を取り巻く情勢が厳しさを増す中で、合併を選択せずにこれらの課題を克服していくためには、説得力を持つ処方せんを住民に示し、理解と協力を得ていくことが必要と考えております。 次に、県内市町村の財政状況についてお答えをいたします。 県内市町村の財政状況は、個別の自治体ごとに状況に差異がありますが、総じて大変厳しい状況であると認識をしております。このため、各市町村においては、人件費や建設事業の抑制、事務事業の見直しなどの行財政改革に取り組んでいるところであります。県といたしましては、これらの取り組みがより効果的、効率的なものとなるよう助言し、市町村の行財政基盤の強化に努めていきたいと考えております。 また、合併が不調に終わった市町村に対する合併のあっせんについてでございますが、合併は、地域の持続的な発展を確保する上で極めて有力な選択肢であり、合併が不調に終わった市町村に対しましては、引き続き合併の必要性を粘り強く訴えてまいりたいと考えております。 また、合併を前提とした当面の市町村財政を支える制度についてでございますが、旧法、新法ともに、合併のための臨時的な財政需要や合併後の新市町の体制整備に要する経費について、特例措置として財政支援を講じているところであり、合併前の財政運営については、既存の地方財政制度の中で、各市町村の自助努力による対応が基本となっております。 また、合併の実現に至るまでの協議期間も、合併協議の進展状況や関係市町村の議会の議決等の手続も必要なことから、それぞれの合併ごとに異なるものであり、御提案のような、合併を前提とした当面の市町村財政を支援する制度の創設は困難と思われます。県といたしましては、集中改革プランの策定や地方債の適正な管理など、合併に向けた環境整備について引き続き助言してまいります。 次に、情報技術を生かした市町村合併についてお答えいたします。 合併に際しての大きな課題の一つとして、行政の広域化が住民サービスの低下を招かないための仕組みづくりが挙げられます。これまでも、従来の役場を総合支所として活用したり、地域自治区や独自の地域自治組織の整備などの工夫がなされております。 さきに議論のたたき台として提示した枠組み案については、生活圏の一体度や市町村の相互依存度、目標とすべき市町村の規模を考慮し、地域の意向を踏まえて検討したものでありますが、情報技術の活用についても、より効率的な行政サービスを提供する手段の一つとして有効であると考えております。 次に、新潟県を含む七県での道州制の枠組みの理由についてであります。 二月二十日の記者会見で、あくまでも私見として、東北六県に新潟県までを含めた七県で道州制の枠組みを考えた方がよいのではないかと申し上げました。その理由といたしましては、新潟県は、東北と非常に似た風土を持っていると常々感じていることに加え、これまでも、長年にわたって北海道東北地方知事会や北海道・東北21世紀構想推進会議など、同じ仲間として連携に取り組んできた実績があることが挙げられます。 本日、国の地方制度調査会から最終答申が行われる予定となっており、その中で、区割りの例が示されるようでありますが、実際の道州の区割りを定めるに当たっては、国民の間での議論はもとより、関係自治体の間でも十分な話し合いや調整が必要になってくるものと考えております。 また、道州制と連邦制のどちらをイメージしているのかという質問にお答えをいたします。 制度論としては、道州制のほかに連邦制もございますが、現在のところ、地方制度調査会はもとより、全国知事会、衆議院、参議院の憲法調査会でも、連邦制についての議論は進んでいないものと認識しております。 先日の私の発言は、国の地方制度調査会の道州制についての答申に関連しての質問に答えたものですので、自治体を道州及び市町村の二層制とする道州制を念頭に置いたものでございます。道州制については、枠組みの議論だけが先行するのではなく、道州がみずからの判断と責任でさまざまな地域課題に対処できるようにするためにはどのような権能を持つべきかについても、十分な議論が必要と考えております。このため、私としては、これらのことを全国知事会の場などを通じて主張してまいりたいと考えております。 次に、市町村合併に対する県の主導的、積極的な取り組みについてお答えをいたします。 平成の大合併は、旧合併特例法の期限切れにより一つの区切りを迎えました。手厚い財政支援がある中で、合併しない道を選択した地域では、自立に向けた相応の取り組みがなされていくものと考えております。そうした状況の中で、新たな合併構想を地域に示し、一たんは収束した感のある合併の議論を再び喚起すること自体、極めて重い意味を持つものと考えております。円卓会議の場においても、このことについて厳しい御意見もありましたが、真の地方分権型社会の実現と適正な住民サービス確保の観点から、改めて地域の議論を喚起するとともに、県として必要な役割を果たしてまいります。 また、私に与えられた知事権限の行使についてでございますが、旧法下での協議では、合併の意義や必要性が認識されていながら、事務所の位置などをめぐる課題を克服できなかった事例があったことは、極めて残念であります。 新法で設けられたあっせん、調停の制度については、地域の求めに応じ、このような事態を打開する役割を担うものですので、適切に運用してまいりたいと考えております。 なお、合併協議会設置の勧告については、必要に応じて行使すべきものと認識はしておりますが、自主的な合併は合併特例法の根幹をなす理念であり、また、県の一方的な勧告が必ずしも合併の成果につながるとは考えておりませんので、地域の状況に十分留意しながら対応してまいりたいと考えております。 大綱二点目、地域経済と産業振興についての御質問にお答えをいたします。 最初に、現在の地域経済の現状認識についてお答えをいたします。 県では、県内の主要経済指標をもとに、毎月県内経済の状況を把握しておりますが、生産面では、鉱工業生産指数が全国を上回る高水準で推移し続けているほか、百貨店販売額などの個人消費関連指標にも改善の兆しが見えるなど、景気回復をうかがわせる指標がふえてきております。また、業界の方々を対象とした毎月の景況感の調査結果からも改善の方向性が認められるなど、県全体では、景気は回復の基調にあると考えております。しかしながら、業種や分野あるいは地域によって、景気回復の度合いは必ずしも一律ではないと感じております。私自身、知事就任前から、産業界を含め多くの県民の方々より、宮城県を元気にしてほしいとの声をいただき、富と雇用の創出に向け、産業経済の活性化に取り組む思いを強くしているところであります。今後も、県内市町村長や経済団体を初め、多くの県民や産業人の皆様との対話を続けるなど、できるだけ現場感覚で地域の産業経済の状況の把握に努めながら、実効性ある産業施策を展開してまいりたいと考えております。 次に、富県戦略プロジェクトの財源確保についてお答えをいたします。 宮城県財政は、新・財政再建推進プログラムとして公表しているとおり、今後四年間で、二千二百億円の財源不足の解消が求められる非常に厳しい状況にあります。このため、今回策定した新プログラムの対策を確実に実施するほか、行政改革プログラムに基づき、事務事業総点検を行うことなどにより、事業の重点化を更に進め、平成十八年度当初予算と同様に、重点施策の推進に必要な財源の確保に努めてまいります。 次に、民力の活用についてお答えをいたします。 新プログラムのもと、財政再建に取り組んでおりますことから、富県戦略の財源についても厳しい制約が課せられており、民間の資金、ノウハウの活用が不可欠であります。 また、中小企業金融制度についてのお尋ねでございましたが、北海道では、平成十八年度から、三千万円を限度に中小企業者が無担保・無保証で利用できる、中小企業無担保クイック融資を実施する予定と聞いております。宮城県では、平成十六年度に投資家からの資金を原資として、中小企業者に五千万円を限度に無担保・無保証で融資するCLO--融資債権担保証券でございますが、これを実施しており、今年度も参加企業を既に募集し、三月には約六十七億円の融資を実行する予定となっております。 また、みやぎ建設総合センターとの連携についてでございますが、みやぎ建設総合センターでは、県も委員として参画しながら、新分野進出、企業連携、コミュニティービジネスへの進出など、多角的経営戦略を具体的に展開するための地域創生アクションプログラムの作成を進めております。県といたしましては、これらの動向を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 更に、民力の活用によるプロジェクト財源の確保についてでございますが、今後、富県戦略の推進に当たりましては、御例示をいただきましたような民間の資金、ノウハウの活用にとどまらず、国、市町村、関係機関との役割分担や県の信用力、調整力などを生かした非予算的手法の活用、企業、NPO等の多様な主体との連携と協働など、社会的、地域的ニーズに的確に対応した柔軟な発想を駆使し、官民一体となった取り組みを展開をしてまいる所存でございます。 次に、経済対策としての公共建設投資についてお答えをいたします。 本県のみならず、東北地方の継続的な発展を支える上で公共建設投資は必要不可欠であり、今後とも、着実に実施していかなければならないものと認識をしております。しかしながら、バブル経済崩壊以降、たび重なる国の経済対策に呼応して実施してきた公共事業の財源確保のために多額の県債を発行したことが、県債残高の負担を招いた一因であることを踏まえると、経済対策の目的だけに特化した公共建設投資の拡大はできないものと考えております。このため、県といたしましては、地域の方々の声に耳を傾けながら、真に必要な公共事業を見きわめた上で、着実な公共建設投資に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(伊藤康志君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○議長(伊藤康志君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時三十八分散会...