平成14年 11月 定例会(第294回) 第二百九十四回
宮城県議会(定例会)会議録 (第五号)平成十四年十二月三日(火曜日) 午前十時二分開議 午後三時十六分散会 議長 佐藤 勇君 副議長
長島秀道君出席議員(六十二名) 第一番
佐々木征治君 第二番 坂下 賢君 第三番
青野登喜子君 第四番 虎川太郎君 第五番
皆川章太郎君 第六番 伊勢 敏君 第七番 川嶋保美君 第八番
佐々木喜藏君 第九番 須田善明君 第十番 佐藤詔雄君 第十一番 加賀 剛君 第十二番 横田有史君 第十三番
佐々木敏克君 第十四番 菅間 進君 第十五番
寺島英毅君 第十六番 小野 隆君 第十七番 菊地文博君 第十八番 安部 孝君 第十九番 小林正一君 第二十番 池田憲彦君 第二十一番 秋葉賢也君 第二十二番 村井嘉浩君 第二十三番 岸田清実君 第二十四番 岩渕義教君 第二十五番
遊佐美由紀君 第二十六番 藤原範典君 第二十七番 袋 正君 第二十八番 仁田和廣君 第二十九番 大学幹男君 第三十番 小野寺初正君 第三十一番 渥美 巖君 第三十二番 長谷川 章君 第三十三番 安藤俊威君 第三十四番 中村 功君 第三十六番
菊地健次郎君 第三十七番 畠山和純君 第三十八番 渡辺栄一君 第三十九番 土井 亨君 第四十番 藤倉知格君 第四十一番 遊佐雅宣君 第四十二番
本多祐一朗君 第四十三番
佐々木ひろし君 第四十四番 坂下康子君 第四十五番 内海 太君 第四十六番 萱場正美君 第四十七番 文屋 公君 第四十八番 石橋信勝君 第四十九番
長島秀道君 第五十番 錦戸弦一君 第五十一番 今野隆吉君 第五十二番 中沢幸男君 第五十三番
佐々木久壽君 第五十四番 佐藤勝彦君 第五十五番 菊地 浩君 第五十六番 高橋長偉君 第五十七番
相沢光哉君 第五十八番 大沼迪義君 第五十九番 斎藤正美君 第六十番 伊藤康志君 第六十一番 渡辺和喜君 第六十二番 千葉正美君 第六十三番 佐藤 勇君欠席議員(一名) 第三十五番 柏 佑整君
----------------------------------説明のため出席した者 知事 浅野史郎君 副知事
松木伸一郎君 副知事 柿崎征英君 出納長 加藤正人君
公営企業管理者 伊藤整史君
病院事業管理者 久道 茂君 総務部長 白石 晃君 企画部長 前葉泰幸君
環境生活部長 遠藤正明君
保健福祉部長 加藤秀郎君
産業経済部長 菅原清毅君 土木部長 齋藤 進君 出納局長 菅原敏光君 病院局長
佐々木義昭君
総務部秘書課長 千葉三郎君
総務部参事兼財政課長 今野純一君
教育委員会 委員長 森 昌造君 教育長 千葉眞弘君 教育次長 大野 裕君
選挙管理委員会 委員長 槻田久純君 事務局長 今長岳志君
人事委員会 委員長
大立目謙直君 事務局長 高橋俊一君
公安委員会 委員長 勝股康行君
警察本部長 佐藤正夫君 総務室長 谷津茂徳君
地方労働委員会 事務局長 菊地次男君 監査委員 委員 渡邊達夫君 事務局長 廣川憲樹君
---------------------------------- 議会事務局 次長兼総務課長 神山一志君 議事課長 遠藤新也君
政務調査課長 千葉 信君 総務課副参事兼
課長補佐 石垣修二君 議事課副参事兼
課長補佐 芳賀憲司君
政務調査課副参事兼
課長補佐 木村 泉君
議事課長補佐(班長) 佐藤 昭君
議事課長補佐(班長) 工藤一雄君
議事課長補佐(班長) 若生和之君
議事課主査 布田惠子君
---------------------------------- 議事日程 第五号平成十四年十二月三日(火)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 発議第九号議案第三 議第百四十二号議案ないし議第百七十三号議案並びに報告第十五号及び報告第十六号第四 一般質問 〔
寺島英毅君、菊地 浩君、岩渕義教君、
相沢光哉君〕
---------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 発議第九号議案三 日程第三 議第百四十二号議案ないし議第百七十三号議案並びに報告第十五号及び報告第十六号四 日程第四 一般質問 〔
寺島英毅君、菊地 浩君、岩渕義教君、
相沢光哉君〕
----------------------------------
△開議(午前十時二分)
○副議長(
長島秀道君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
----------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○副議長(
長島秀道君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、二十六番藤原範典君、二十七番袋正君を指名いたします。
----------------------------------
△発議第九号議案
△議第百四十二号議案ないし議第百七十三号議案
△報告第十五号
△報告第十六号
△一般質問
○副議長(
長島秀道君) 日程第二、発議第九号議案、日程第三、議第百四十二号議案ないし議第百七十三号議案並びに報告第十五号及び報告第十六号を一括して議題といたします。 ただいま議題となっております各号議案についての質疑と日程第四、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。十五番
寺島英毅君。 〔十五番
寺島英毅君登壇〕
◆十五番(
寺島英毅君) 先月二十三日、
浅野県政アンケート調査の結果が河北新報で報じられておりました。それによりますと、知事の支持率は五二%で、さまざまな局面で難しい決断を迫られる知事の政治的な立場を考慮すれば、五〇%を超える支持率は、これは立派なものだと。これに一般県民も含めれば、調査結果は更に違ったものになったと、そのように思っております。また、十項目にわたる政策評価については、情報公開については九〇%と圧倒的に高い評価を受けた反面、産業の活性化、雇用・
中小企業対策については、四分の三が評価しない。
農林水産業の振興では、三分の二近くが評価しないと答えており、知事にとっては大変厳しい結果になっておりますし、客観的にも及第点というわけにはいかないと思います。私がときたまお会いをする
企業経営者の方々の中にも、県の
産業振興施策や知事の産業振興に取り組む姿勢、リーダーシップについてかなり厳しい評価をしている方も多く、河北新報の
アンケート調査の結果は、こうした分野ではおおむね県民全体の考え方や意見を反映しているのではないかと、そのように考えております。
アンケート調査の結果について、特に知事に所感があればお聞かせいただきたいと思います。 ところで、私がお会いをする
農林水産業者や
企業経営者の多くが、組織改正による
産業経済部の設置について、もう三年八カ月を経過しているにもかかわらず、いまだにわかりにくいとか、なじめないと、こういう話をよく聞きます。以前はちょくちょく県庁にも顔を出したが、最近はほとんど行かなくなってしまった。もう県庁には行く気はなくなってしまったと、こういう声もよく耳にします。 一次産業から第三次産業まですべてを包含した産業政策を総合的に連携して取り組み、新しいニーズやシーズを掘り起こして、そして新しい産業の芽を育てるといった組織改正の目標があったと思いますが、所期の目標に対して成果はどうなっているのでしょうか。朝令暮改の印象はありますけれども、めり張りの効いた
農林水産振興施策を実施し、食の
安全対策等を今後充実させていくためにも、
産業経済部から
農林水産業関係を分離独立させて
農林水産部とする考えはないのか、お伺いをいたします。 さて、米の
生産調整が始まって三十年。現在、
生産調整面積は、全国で過去最大の百一万ヘクタールに及び、また、平成十五年度は百六万ヘクタールに拡大をされる予定と聞いておりますが、こうした
生産農家の努力にもかかわらず、米価は下がり続け、全国の農家は
生産調整の限界とそして無力感を感じております。また、その一方で、
生産調整に協力してきた農家の中には、
計画流通米だけが需給調整の役割を担い、その資金も、一部ではありますけれども、
計画流通米の生産者が拠出していることなどから、
不公平感を抱く農家が増加をしてきております。こうした状況の中で、
生産調整の抜本的な改革を目指して、食糧庁に
生産調整に関する研究会が設置をされ、六月二十八日に、その
中間取りまとめが公表されました。それをベースに、更に、近く
米政策大綱が策定される予定と聞いております。
学識経験者や
生産団体関係者など多くの関係者が参加している研究会でありますが、米を取り巻く厳しい情勢から、委員のほとんどは、米改革の必要性については共通の認識を持っているようです。しかし、個別具体の問題について何をどうするかということになりますと、さまざまな意見がありまして、
取りまとめの議論はこれからといったようであります。しかし、いずれにいたしましても、大枠では、研究会の
中間取りまとめの方向で、あるいはそうした延長線上で
米政策大綱が策定されることになると考えております。もしそうなれば、多分そうなると思いますけれども、米に依存した宮城の農家に大きなそして深刻な影響を及ぼすことは間違いのないところであります。
中間取りまとめでは、
米づくりのあるべき姿として、需要に応じた売れる
米づくりを効率的かつ安定的な経営体が経営判断に基づき実施すると、このようにうたわれております。私も、本来あるべき姿としてはそのとおりだと思いますし、早く普通の姿としてそのようになってほしいと、そのように考えております。しかし、現状は、本来あるべき姿にはなっておりません。本来あるべき姿とはかけ離れた状況にあるのではないでしょうか。現実の問題として考えるときに、あるべき姿で言うところの、需要に応じた
米づくりを自己責任で実施できる農家が現在どのぐらいあるのでしょうか。また、効率的に生産や管理、販売を行い、主体的に経営して、安定している
米づくりの経営体がどの程度あるのでしょうか。まず、知事に、
米づくり農家の現状をどのように認識しておられるのか、お伺いをいたします。 さて、その
中間取りまとめの一つの特徴は、
米づくりのあるべき姿を示し、そこに至る条件整備と段階的な取り組みのステップを描いているところであります。しかし、現状は、先ほど申し上げたとおり、そうはなっておりません。そのために、
水田農業の担い手を育成し、土地利用の集積による規模拡大を図り、
個別経営体では十ないし二十ヘクタール規模、
法人経営体等では三十五ないし五十ヘクタール規模で、
田畑輪換可能な土地基盤を整備し、
水稲プラス麦・大豆などの
土地利用型畑作を行うとしております。また、そのために経営体としての実態を備えた集落営農を緊急に組織化する担い手の意向に即した農地の利用集積を促進する。圃場整備についても
担い手育成を重視する事業に転換をしていくとしております。 そこで、本県農業の実態について見てみますと、平成十三年の
販売農家数は七万百十戸で、前年に比べ千二百三十四戸減少しております。そのうち、六十五歳未満の
農業従事日数が六十日以上の者がいる主業農家は一万四百三十戸で、前年に比べ、これも千四百五十四戸の大幅な減少になっております。また、
基幹的農業従事者数は五万一千四百二十人となっておりますが、そのうち六十五歳以上の階層が二万三千六百三十人で、四六%を占め、一層高齢化が進んでおります。 一方、平成十三年六月一日現在の
生産組織の実態調査結果によりますと、
生産組織数は千九十九組織で、五年前の調査時点から八組織増加しております。しかし、水稲の
生産組織は四百二十六組織で、六十三組織も減少しているのであります。増加したのは、
生産調整の強化による転作面積の増加に伴い、麦・大豆を主体とした
生産組織が二十八から百七十四へと大幅に増加しているだけでありまして、野菜、果樹、花卉、畜産、軒並みに減少しております。
農業法人数は二百十四法人で、五年前から九十六法人増加しております。作物別では、水稲を主体とした
土地利用型農業法人や園芸、畜産部門の法人が増加しており、わずかに明るい材料となっております。 次に、
認定農業者数について見ますと、平成五年の制度発足以来、着実に増加してきたものの、米価の低下等による
規模拡大意欲の減退や意欲のある農業者の認定がほぼ終了したことにより、現在伸び悩みの傾向にあります。
新規就農者数は、長引く景気の低迷による雇用の減少から、就農を選択する
新規学卒者が増加したことに加え、Uターンや新規参入が増加傾向にあり、これも明るい材料になっておりますが、絶対数は少ないのが現実であります。 また、
耕作放棄地の面積は、平成二年から七年までの五年間で九百三十五ヘクタール増加しておりましたが、平成七年からの五年間では二千三百六十ヘクタール、二・五倍を超える急激な増加となっております。 以上述べてきたように、本県の
水田農業の担い手は減少し、かつ高齢化しております。その一方で、
認定農業者は伸び悩みの傾向にあります。また、法人化や利用集積もなかなか思うようには進んでいないのが現実の姿であります。こうした本県農業の実態を見るにつけ、
米づくりのあるべき姿に到達するための条件整備や段階的な取り組みをどのように進めるのか、これは成果を左右する、重要でかつ難しい課題であります。
水田農業の担い手に農地の六〇%の利用集積を図ることが本当に果たして可能なのだろうか。また、集落単位に営農の組織化や法人化が進むのか。また、それをどのように進められるのか。知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、
中間取りまとめは、基本方向を示しただけで、具体策については、検討課題を示すにとどめているということで、まさに多くの課題は、今後の検討を待たなければならないわけでありますが、そうした中で、
中間取りまとめで、今回初めていわゆる
生産数量配分による
生産調整に変更する方向で検討が進められていると聞いております。米は、その年の気候などの影響で豊作、不作があり、
計画どおりの数量を生産することが難しいのは、これは御承知のとおりであります。また、各農家の能力や水田の立地条件などによっても収量が異なってまいります。それをあえて
生産数量配分に変更するメリットはどこにあるのでしょうか。また、それを各生産者にどのように配分しようと考えているのか、お伺いをいたします。 また、現在の
生産調整にもさまざまな問題点があります。その一つは、
不公平感が
生産農家にあることであります。
生産調整に参加していない生産者は、
生産調整をせず、基金も負担せず、自由に米を作付し、
生産調整の結果形成される価格にただ乗りをし、自由に米を販売しているという
不公平感があります。また、地区内に
生産調整未実施の生産者がいる場合、地区達成が条件となる助成を受けられなくなる
不公平感もあります。更に、主業農家も兼業農家も、一律に配分される不公平、主産県と消費県で異なる転作率など、さまざまな
不公平感があります。そうした不公平は、新しい
生産調整ではどのように改められ、措置されることになるのか、お伺いいたします。 また、主産県である宮城県の知事としてどのような方針や考えで国に対して要望、要請されるのか。そしてまた、どのようにしておられるのか、お尋ねをいたします。 次に、現行の
生産調整制度では、さまざまな助成措置が講じられております。
生産調整に係る助成としては、例えば、水田十ヘクタールを麦に転作をすると、最高七万三千円の助成があり、また、
稲作経営安定対策として
自主流通米の価格が
補てん基準価格を下回った場合、その差額の八割、
稲作主業認定農家の場合は九割が支払われるということになっております。研究会では、この
稲作経営安定対策の廃止が論議されているというふうに聞いております。こうした助成措置は、新しい
生産調整のもとで何らかの形で必要と考えておられるのか。必要であるとすれば、どのような助成措置なのか。そして、今後どのように対応されるのか、お伺いをいたします。 また、現行の助成制度は、大変複雑な仕組みになっておりますが、これをもっと
生産農家にとってもわかりやすい、利用しやすいものにしていくことも大事な視点であるというふうに考えております。今後、米の価格はより一層市場原理の中で決まるようになると思いますが、そうなれば、ますます需要と供給のバランスが重要になってまいります。そういう意味で、米以外の作物に取り組む生産者には、また、そのように誘導していくためにも、何らかの助成策が必要ではないかと考えておりますが、知事の御所見をお伺いをいたします。 生産現場からは、もうこれ以上の
生産調整の拡大は無理だという悲鳴に近い声も数多く聞かれます。
生産調整は、多くの
生産農家の
米づくりにかける情熱や希望、そして誇りまでも奪い取ってきたのかもしれません。しかし、日本が、日本人が豊かになり、食生活も変化し、そして米だけではなくパンやめん類なども主食として食べられるようになってまいりました。また、副食の割合も多くなり、そして、米は、もはやほかの食品と変わらない、普通の一般の食品になったのだろうというふうに考えております。昭和四十年ごろまでは、一人
当たり年間百キログラム以上の米を消費しておりましたが、現在では六十四キログラムまで減っております。米の消費は、これからもよくて現状維持か、減少傾向が続くだろうと言われております。そうした中で、高齢社会における健康食の中心にある米の
消費拡大運動は意義のある取り組みであり、今後とも継続して工夫を凝らして実施をしていく必要があると考えております。しかし、その一方で、現在より生産量が五十万トンふえただけで、米の値段は六十キロ当たり三千円下がるとの試算があり、生産量が百七十万トンふえれば、米の価格は、現在の半値近くにまで下がると言われております。
生産農家のためにも、米の消費をふやすとともに、
生産調整はしっかりとこれは取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。今、農村地域の経済は、極度に疲弊してきております。農業所得は約九十万円で、農家所得に占める農業所得の割合である
農業依存度は一五%と、歴史的にもこれまでの最低水準にあります。また、こうしたことから、農家総所得は五年前と比較をして六十三万円も減少しており、農家経済は大変厳しい局面に立たされております。景気の回復のおくれ等から地域企業のリストラが進み、一家の大黒柱である
中高年齢層の失業、解雇が増加し、一方で新しい雇用の場がないことなどから、本来は夢と希望を胸に社会に飛び立つはずの
新規学卒者の多くがいまだに就職できない、こうした大変深刻な状況になっております。知事はこうした状況をどのように認識しておられ、どう対応されているのか、お伺いをいたします。 ここ数年、本県でも、
アグリビジネス経営体が着実に増加し、特に、生産・流通型と、
農漁家レストラン型の増加が著しいと聞いております。
アグリビジネスは、都市住民と農村との交流の場であり、また、その拠点とも言えるもので、今後の成長が期待されております。経営体数などは順調に増加してきておりますが、全体的に見れば、その数は少なく、まだこれからというのが実態だと思います。
アグリビジネスの振興を図るために、県としての戦略、戦術が必要だと、そのように考えておりますが、助成策も含めて知事の御所見をお伺いをいたします。 さて、先日、
県発注工事の落札率が建設業者の価格競争の激化に伴って急落しているとの報道がありました。中には、五〇%を割り込んだ落札もあるとのことでした。建設業者のコメントでは、採算を度外視した消耗戦と化しており、多くの業者が労務賃金の引き下げなどに追い込まれているとありました。公共事業の落札は、安ければ安いほどよい、建設業には適正利益といった概念は必要ないとお考えなっているのならば話は別ですけれども、こうした事態は全く異常な状態だというふうに思われます。公共事業費の大幅な削減と談合防止を急ぐ余り、入札制度を急激に改善しようとしたところにその原因があるように思われますが、知事はこうした事態をどのように受けとめ、今後どのように対処していかれるのか、お伺いをしたいと思います。 新しい
生産調整の仕組みが更に検討され、
水田農業のあるべき姿に向けて、今後条件整備が段階的に進められることと思います。
担い手育成型の圃場整備や水田の汎用化、コストの低減を可能にする基盤整備も必要であります。厳しい財政状況ではありますが、米の主産県として、必要な事業は更に進めていかなければなりません。これらの事業に取り組む知事の決意と財源確保の見通し等についてお伺いをいたします。 これからも知事には、
生産農家の声にも耳を傾けていただき、担い手農家が意欲を持って将来に希望を託せる
米づくりができますように、一層の取り組みの強化を要望して、質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(
長島秀道君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君)
寺島英毅議員の御質問にお答えをいたします。 まず初めに、先日地元紙で報道された
浅野県政アンケート調査の結果について、所感があればどうかというお尋ねでございます。 報道によりますと、今回の調査は、六十三名の県議会議員を初め七十一市町村長、県内に本社のある七十八企業、県内の農林水産関係の三十七団体、商工関係七十四団体、社会福祉法人五十七団体を対象に行ったということであります。評価いろいろございました。よく拝見をさせていただきました。いずれも私の県政運営に対する率直な評価であると受けとめております。足らざるべきところはしっかりと対応していかなければならないというようなことでも受けとめさせていただきました。今回の調査結果を今後の施策展開の参考にさせていただきたく、今後とも県政運営に全力を尽くしてまいりたいと考えております。 次に、
産業経済部を設置した所期の目標に対する成果はどうなっているのかというお尋ねでございます。
産業経済部は、平成十一年の四月に、一次産業から三次産業まで垣根を越えて産業相互の連関性を高めながら産業振興に係る人材、技術、情報の一元化を図るという目的で設置したものであります。その成果ということでございますけれども、例えばで申し上げますと、一次産業から三次産業までの産業分野を横断した県産品の展示即売などを行うみやぎまるごとフェスティバルの開催、農業法人等が行う
アグリビジネスに対する中小企業診断士の助言や中小企業金融の活用を図るなど、こういった総合的な支援、そんなことなど、設置の成果は着実にあらわれつつあるものと考えております。また、この際、
農林水産業関係を改めて分離独立させる組織にしてはどうかというお尋ねでございますが、今申し上げましたとおり、三部統合の成果は着実にあらわれてきているものと認識しております。食の安全安心への対応も含めまして、一次産業から三次産業までの産業振興を所管する産業振興部の特色を生かしながら、今後とも効果的な
産業振興施策の展開を図ってまいります。 次に、
米づくり農家の現状についてどう認識をしているかというお尋ねがございました。以下、米の
生産調整に関する関係でのお尋ねでございます。 我が県の平成十三年現在での販売農家、今御紹介もございましたが、改めて申しますと、七万百十戸でありますが、そのうち経営計画の中で米を含む事業をやっている
認定農業者が二千五十七戸で、水稲を主体とした
生産組織が四百二十六組織、水稲を主体とした農業法人が四十九法人と、こういった状況にございます。この内容を見ますと、一応これが安定的経営体と言えようかと思います。一方、
生産調整に関する研究会で最終的に
取りまとめられた
米づくりのあるべき姿の中で描かれておりますみずからの判断で需要に応じた
米づくりができる農家あるいは効率的に生産や管理販売を行い、主体的に経営して安定している
米づくり経営体ということになりますと、今申し上げましたような数の経営体すべてが、今挙げましたような状況まで到達するのは容易ではないものと認識をしております。したがって、国があるべき姿として描いているような農家を育成していくためには、現在のように米の消費が減少し、米価が下落するという大変厳しい米情勢の中で、稲作の構造改革を積極的に推進していくことがぜひとも必要であると考えております。 次に、国の研究会から
中間取りまとめで示された条件整備や段階的な取り組みをどう進めていくのか。また、担い手への農地の利用集積、集落単位の営農の組織化、法人化についてはどうかというお尋ねでございます。 去る十一月二十九日に、国は、
水田農業政策・米政策再構築の基本方向というのを示しました。その基本方向の中では、
米づくりの本来あるべき姿の実現目標年次を平成二十二年度とされておりまして、生産構造改革や米の需給調整システム構築を段階的に進めていくということにされております。間もなくというか、きょうにでも国から今の基本方向に沿った形での新たな
米政策大綱というのが出される予定と伺っております。この新たな
米政策大綱の内容に基づき、良質米主産県であります本県の実情を踏まえた施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。 次に、担い手への農地の利用集積、集落単位の営農の組織化、法人化についてでありますが、県といたしましては、農地保有合理化事業や農業法人育成支援事業などにより、農地の利用集積の促進に努めるとともに、営農の組織化、法人化を進めてまいりました。この結果、農地の利用集積率は約四五%というところまで来ております。今後国の新たな米政策に関連した制度や事業を活用しながら、担い手への施策の集中化、重点化を図り、また、圃場整備を計画的に実施するなど、ソフト面、ハード面、両面から総合的に施策を展開してまいります。このことが農地の利用集積を高める結果につながっていくだろうと考えておりまして、また、
米づくりのあるべき姿の実現につながるものと考えております。 次に、
生産調整に関して新たに
生産数量配分に変更をするということですが、これのメリット、それから実際の生産者への配分手法はどうなるのかというお尋ねがございました。 これまで
生産調整は、三十三年間実施されてきたわけでございますが、この中では、水田面積を基礎として
生産調整目標面積を農家に対して配分してきたということであります。つまり、これだけの面積を減らしなさいという形で農家への配分が行われてまいりました。しかし、稲作技術が進歩し、収穫量が年々増加したことや、また豊作などによって、このような
生産調整効果は減殺されるということになってまいりまして、面積による調整、
生産調整面積による管理ということの弊害というのがあらわれてきているという状況であります。また、
生産調整面積の配分ということになりますと、その配分された面積をどうやって消化するか、どのぐらいの田んぼを減らすか、それを消化するということが至上命題化してきたということで、
水田農業の構造改革が進まないという結果にもなってきております。結果的に、地域の特色ある農業展開や農業者の主体的な取り組みを阻害している状況もあらわれてきております。こういったことへの反省ということですが、国においては、新たに米の生産数量を配分するということによって、確実な供給量調整を図ろうとするねらいがある。そういった中でこの
生産数量配分というのが出てきたものと承知をしております。メリットといたしましては、
生産数量配分により生産量の管理が可能とすれば、それは面積配分よりも有効であるというふうに考えられます。しかし、その一方において、実際には平均収量で配分をするということになろうと思いますが、そのような形で配分しても、個々の農家の収量というのは違っているわけですから、個々の農家の生産数量の把握が困難であるといった問題が出てくるであろうと考えております。国では、具体的な配分の仕組みについては、専門委員会を年明けにも設置をして、その中で検討していくと承知をしておりますが、生産者への目標配分は、現場での確認作業も考慮して、米の生産数量だけではなくて、これとあわせて面積換算した作付目標面積も同時に配分されるーーこれは推測でございますが、そういった方向になるのではないかと見られております。 次に、現在の
生産調整の中にあらわれている、いわゆる不公平ということが新しい
生産調整の仕組みの中ではどのように改められるのかというお尋ねでございます。 こういった新しい
生産調整も含めた
米政策大綱というのは、間もなく決定されることになっておりますが、その中では、これまで強制感のある行政主導の配分という形から、生産者や生産者団体が主体的に取り組むという方向に、
生産調整は段階的に移行していくものと見られております。また、
生産調整参加者を対象とした米価下落時の影響緩和対策や麦・大豆など
水田農業を支援する産地づくり対策などのメリット措置が実施されるものと承知しております。新しい
生産調整対策では、これまであったような
不公平感を是正するために、
生産調整に参加しない者については、国の助成の対象とはしない。また、都道府県の転作率についても、米の売れ残り状況や価格動向を反映させた配分とする。こういった措置がなされるのではないかと見られております。 また、この問題についての本県から政府への要望ということでありますが、米の主産県として、七月と十一月に農林水産省に対して提案を行いました。具体的には、七月には、制度の簡素化、公平性の実現、面積による調整手法、こういったことについて提案をいたしました。十一月には、経営所得安定対策、構造政策などの関連施策と一体的に展開することなど三点に絞って政府提案を実施してまいりました。今後とも新しい
米政策大綱の発表内容に応じて国に対して更に政策提案を行ってまいりたいと考えております。 次に、新しい
生産調整のもと、助成措置はまだ必要であろうということで、その必要な助成措置についてどうかということでございます。 現在の
生産調整対策は、
水田農業経営確立助成金の交付や価格低落時に補てん金を交付する
稲作経営安定対策などが実施されることによって取り組みが進められてまいりました。これからの調整を円滑に進める上においては、このような助成措置にかわるものとして、何らかの形での助成措置というものは必要であろうと認識をしております。去る十一月二十九日に、
生産調整に関する研究会の最終報告が公表されましたが、この最終報告の中では、当面の助成措置として、地域の特色ある
水田農業の展開を図るために、地域の実情に応じて地域みずからの創意により、地域
水田農業への取り組みを支援する産地づくり推進交付金の創設が提示されております。また、現行の
稲作経営安定対策にかわるものとして、担い手経営安定対策が示され、担い手等を対象に一定の収入補てんを行う考え方が示されております。県といたしましても、施策の対象を主たる担い手に置こうとする方向性は妥当なものと考えておりますが、本日にも公表されることになっております新たな
米政策大綱の内容を見きわめた上で適宜対応してまいります。 次に、米以外の作物に取り組む場合の助成策について必要と思うがどうかというお尋ねでございます。 県といたしましてもやってまいりました。これまで水田を中心とした土地利用型農業の活性化を図り、麦・大豆など本格的に生産を進めるため、県単独事業としてさまざまな施策を講じてまいりました。例えば、農業機械や施設などのハード整備に対する支援措置として、転作営農条件整備事業を実施してまいりました。また、ソフト面からの支援事業として、水田麦・大豆等生産性向上支援事業という事業を実施してまいりました。また、水田における園芸振興を図るために、施設園芸の整備や土地利用型園芸作物への支援策として、県単独事業の園芸特産重点強化整備事業を実施してまいりました。県としては、今後とも
水田農業の多様化と農業経営の安定が図られるよう、各地の特徴を生かし、米や園芸、畜産のバランスがとれた農業の振興に努めてまいります。 次に、農家経済の厳しさと深刻な地域の雇用環境に対する認識はどうか、その対応についてはどうかというお尋ねでございます。 農村部における農業や商工業の雇用力は、非常に大きいものがあります。景気の低迷が長引く中、農業・農村を取り巻く環境は、輸入農産物の増加、市場経済の一層の進展、競争の激化などによる農産物価格の下落、とりわけ米価下落が影響して、農家の農業所得が減少し続けております。また、地域の商工業についても、消費の伸び悩みや公共投資の抑制により、売り上げ、製造も低調に推移し、農家経済に多大な影響を及ぼしております。こういったことから、農家は、極めて厳しい局面に立たされております。こういった情勢の中で、農家経済を支える中高年齢者やあすの宮城を担う
新規学卒者の雇用環境の改善についても緊急の課題となっております。このため、いわゆる非自発的離職者に対する新たな雇用経済対策や創造的経営に取り組む起業家の育成について、今後とも市町村や農業、商工業関係団体と連携して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 また、深刻な新規高卒者の就職問題についても、経済団体に対する積極的な要請活動や合同就職面接会の実施など、さまざまな機会を駆使して展開してまいりたいと考えております。 次に、
アグリビジネスの振興を図るための県としての戦略、戦術について、その助成策も含めてどうかというお尋ねでございます。
アグリビジネスの振興については、昨年、みやぎ食と農の県民条例に基づく基本計画を策定いたしましたが、この中で、競争力のある宮城型
アグリビジネスの展開を戦略の一つとして掲げております。その戦術としては、交流拠点として重要な役割を持つ農産物直売所や農家レストランなどが県内各地に展開されることが必要であるということから、これら経営体の機能を更に強化する一方、食品加工業者や流通業者との結びつきを強めていくことが重要であると考えております。
アグリビジネス経営体に対する具体的支援策といたしましては、農産物直売所や農産加工施設の整備に対する助成を行うほか、今年度からは、フードコーディネーターやマーケティングの専門家などによる支援チームを組織して、顧客の拡大など新たな市場を開拓して、売上高一億円を目指す経営体の育成を図るなどの支援を行っているところであります。今後とも、各種の研修会や異業種交流会を初め地域農業改良普及センターによる経営やマーケティングの指導なども行いながら、ハード面、ソフト面、両面の施策を組み合わせて
アグリビジネスの推進を積極的に支援してまいります。 次に、
県発注工事の落札率の低下をどう受けとめ、どう対処するのかというお尋ねでございます。 こういったような状況は、昨今の経済情勢や
県発注工事の全体量の減少など、さまざまな要因が考えられますが、基本的には企業努力が反映された結果であると考えております。県としては、公共工事の発注をめぐるたび重なる不祥事の反省を踏まえ、公正な競争の確保、透明性の確保という観点から、入札・契約制度の改革に取り組んできたところであります。今後とも、企業の経営力と技術力に応じた公正な競争を促進し、県民の方々に良質な社会資本を提供するため、入札・契約制度のあるべき姿を常に検証しながら取り組んでまいりたいと考えております。 最後になりますが、圃場整備事業等の基盤整備への取り組みとその財源確保の見通しについての御質問であります。 圃場整備事業については、みやぎ食と農の県民条例基本計画に基づいて、農政の重点施策に位置づけております。平成二十二年度までの整備目標としては、七万五千ヘクタールとしております。
水田農業を中心とする我が県においては、競争力と個性のある農業振興を図り、意欲ある農業経営体への農地の利用集積や麦・大豆などの生産拡大を進めるなど、低コストで生産性の高い
水田農業を早期に確立する必要があると考えております。今後とも、事業の推進に当たっては、農地流動化などのソフト施策と連携し、事業費のコスト縮減に努めながら、面整備を優先するなど、限られた財源の中、国の経済対策などの活用を図りながら、効率的、効果的に進めてまいります。 以上でございます。
○副議長(長島秀道君) 五十五番菊地浩君。 〔五十五番 菊地 浩君登壇〕
◆五十五番(菊地浩君) 通告に従いまして、順次質問をいたします。 質問に入る前に、先ほど寺島議員から私と同趣旨の質問が一部ありましたので、重複の部分につきましては答弁は割愛して結構ですので、よろしくお願いしたいと思います。 それでは、質問に入ります。 知事が厚生省生活衛生局企画課長から宮城県知事選挙に立候補し、当選したのが一九九三年十一月二十一日。つい先日、十年目を迎えました。この間、知事は県民に夢を与え、公約に掲げた日本一の福祉先進県づくりを初め、諸政策を実行することによって真の豊かさを追求してこられたことに、まず敬意を表します。 就任直後の夢航路 未来号に始まり、みやぎの福祉・夢プラン、新世紀・夢キャンペーン推進事業、みやぎ夢大使、みやぎ海外夢大使など、また知事のホームページを見ても、浅野史郎夢らいん、夢ネットワークなど、夢、夢、そして夢の政策実現のために夢プラン推進室を立ち上げ、検討、実践されてまいりました。この十年間で知事の理想とする県政に対する夢が果たしてどの程度反映され、豊かさの実感に寄与することができたと知事自身考えておられるのか、自己評価はどのようなものなのか、お伺いをいたしたいと思います。 先日、地元新聞社の浅野県政十年目のアンケートが実施され、支持率など掲載されておりますが、この調査に関する感想をもあわせてお聞かせ願えればと思います。 次に、先日、知事と行動をともにされてきました北川三重県知事が、突然、三選不出馬を表明されました。改革派知事のリーダー格でもあり、惜しむ声もありますが、公の権力である知事職は、一般的にいって二期八年、長くても三期十二年が適当と、その理由を説明しておりますが、浅野知事の任期に対する考えと、不出馬に対する所感をお聞かせ願えればと思います。 夢にも、実現可能なものと、到底かなわない夢も当然あります。私の夢の一つは、天候に左右されることなく、仮称ですが、宮城ドームのようなものでプロ野球巨人対阪神戦、あるいは巨人対ヤクルト戦をゆっくり見たいという夢があります。老朽化した宮城球場の建てかえは野球愛好者を初め多くの県民の願いであり、新たな球場として宮城野原にドーム球場を建設し、県民の、そして私の夢の実現のために、ぜひこの提案が実現可能な夢としていただければというふうに思います。 先日帰仙したシアトルマリナーズの佐々木投手は講演の中で、「宮城球場はぼろい。よい球場なら選手も一生懸命頑張れる。大至急、全面改修してほしい」と訴えております。 宮城野原公園総合運動場の活用については、先日のアジア陸上競技大会の開催をめぐって宮城県、仙台市、陸上競技協会が、それぞれの思惑の違いなどから結果的に誘致に失敗し、紙上で報道されたことから、公園全体の活用方法について県民の関心も一段と高まっております。九月議会での大学議員の質問に、重複施設については基本的に解消する方向で、また、仙台市への移管については、宮城野原公園総合運動場全体のあり方の中で検討を進めたいと答弁をしており、新聞報道によれば、整備計画は本年度内にも決定するとあります。 私は、これまでのしがらみにとらわれることなく、新たな発想、新たな提案として、宮城県、そして仙台市が協力して共同のプロジェクトを立ち上げ、隣接市を含め二十四・四ヘクタールという広大な、しかも仙台駅から二キロメートルで、歩いても行けるという利便性に富むこのスポーツ公園に、ドーム球場を核として再開発を行い、県民、市民のために有効に活用すべきと思っております。 開発のコンセプトとしては、これまでのスポーツの殿堂としてのイメージを失うことなく、都市部のアミューズメントゾーンとしての機能を持つ民間施設を導入。にぎわいの場を創出するとともに、これらを国立仙台病院と一体化し、仙台東部地域の防災の一大拠点として住民の安全を確保すべきと考えます。 その理由は、一、公園の施設のうち、宮城球場と相撲場を除きその他はすべて重複施設であり、また、すべての施設が改修後既に十五年以上を経過し、老朽化が進んでいること。二、バブル崩壊後の県内経済の低迷は、シャッター通りに代表されるように、県内各地で地元中小企業者の体力を奪い、倒産件数、失業率はウナギ登りの状況にあり、早急な対応、対策が求められていること。三、宮城県沖地震が二十年以内にマグニチュード七・五ないし八前後で、震度七・〇前後の揺れが八〇%の確率で発生し、県内全域にわたって大きな被害をもたらすことが予想され、特に昭和五十三年の宮城県沖地震で大きな被害をこうむった仙台東部地域は軟弱な地盤であることが既に指摘されており、建物の被害はもちろんのこと、人的被害も想定され、より充実した体制が求められていることが挙げられます。 宮城県の総合計画「新世紀 豊かさ実感みやぎ-真に豊かな、安心とゆとりの地域づくりを目指して-」、また、仙台市基本計画「仙台21プラン 自立・協働・二十一世紀型都市の創造」に目を通してみても、財政難の地方自治体の現状で提案されている政策の実現は本当に可能なのでしょうか。実現すればバラ色の感はありますが、毎年減額・縮小の繰り返しにむなしさを感じているのは私だけではないであろうと思います。この疲弊した現状を打破する起爆剤とするためにも、現実に即した計画としてとらえていただければと思っております。 現在の球場は、昭和二十五年に建設され、既に五十二年余りが経過しており、毎年改修は行っているものの、都道府県営の野球場としてはワーストスリーに入ると言われ、既に指摘されているように危険な建造物というイメージさえあります。球場の老朽化でプロ野球の各球団も敬遠しがちであり、これまで県民に楽しみを与え続けてくれた東北野球企業も既に解散、来年度はパ・リーグの三試合のみの開催という寂しい状況にあります。 しかし、年間稼働日数を見ると、開館日数に対する使用比率は約九〇%と高く、平成十一年十二月には宮城球場の全面的な改修・整備に関する請願書が本議会で採択されております。少年野球を初め、各層にわたる多くの愛好者に夢と感動を与える場として、また、県民のスポーツ、文化の殿堂としての(仮称)宮城ドームを早急に建設すべきと考えます。 ドームの建設については、利用価値、採算性などを考え、公園北側、国立仙台病院側とし、JR仙石線宮城野原駅より地下道で結びます。多目的に使用できる構造、閉鎖型屋根つきとし、球場は両翼百メートル、センター百二十二メートル、人工芝で、三万人収容の観客席を備えた耐震構造とし、災害時には避難場所とするため非常用寝具、仮設テント等を常備した施設とします。この設定で、私が大学で教員をしていた時分の友人や専門的知識を持つ方から知恵をかり、ドーム建設費が約二百五十億円との試算をもとにいろいろ検討を繰り返した結果、最も現実的で実現可能と思われる案は、PFIを活用し、BTO方式を採用、事業期間三十年という方法が妥当という結論になりました。 この案では、イニシアルコスト、ランニングコスト、金利コストを総計すると約五百四十六億円となり、一年の返済額は約十九億円になります。この中にはドームの収益等は一切含まれておりません。この結果から判断すると、実現が可能ではないかとも思われます。 札幌や名古屋ドームでは既に単年度収支で黒字を計上しており、かつてロッテ球団が準本拠地として年間三十試合を行っていた実績もあり、プロ野球球団を誘致するとともに、プロスポーツ、アマチュアスポーツの各種大会、コンサート、展示会、販売会等による使用も数多く見込まれます。東京から仙台まで二時間弱という高速輸送時代の地の利を生かせば、東京近郊はもとより、東北全域から誘客が可能であり、十分に採算のとれる効率的な運営ができるものと思っております。返済についても、仙台市と折半することになれば数億円単位で済む可能性も出てまいります。 次に、仙台市東部、特に仙台駅東口の慢性的な交通渋滞を緩和し、現在、仙台市で進めている仙台駅東第二地区土地区画整理事業を促進するためにも、仙台駅宮城野原線と原町岡田線を将来結ぶことが必要であり、公園を二分する道路を建設してはと考えております。このことは、将来、仙台駅東側に清水小路多賀城線、元寺小路福室線と合わせ三本の道路が完成すれば、この地域の利便性は著しく改善され、仙台駅東側一帯の開発は急激に進むとともに、宮城野原の利便性は更に拡大され、仙台市の発展に大きく貢献することになると思います。 この道路で分断された公園南側には、民間の資本を活用して商業施設、大型ショッピングセンターや専門モールなどを誘致し、にぎわいの場を創出することによって、低迷する地域経済の活性化及び雇用の拡大を図るべきではと考えます。また、火災時には、このセンターの機能として食料や衣服、日常品などのライフラインの供給体制を整えてはとも思っております。商業地域の誘致は、県財政逼迫の折でもあり、用地を売却若しくは賃貸として、ドーム建設の一部、あるいは別途活用を考えてみてはいかがでしょうか。 いずれにしても、公的土地利用という観点から、従来型のショッピングセンターではなく、県の重要施策である食材王国みやぎや、仙台市で進めている物産振興推進事業を確実に進めるためにも、行政のもとでショッピングセンター内に大型物産館と公的施設を併設した複合施設として位置づけてはとも考えます。 物産館については議会でも議論され、県内外からの要望も多く、山形県の例を見ても、大型バスの駐車スペースを確保すれば多くの観光客の誘致が見込まれ、食材や伝統工芸品など宮城を代表する製品を全国へ発信する基地としての役割をも十分果たし得るものと思います。 特に、食材王国みやぎを推進するには、ショッピングセンター内に設置されるであろう食堂街を活用して、豊富で多彩な県産品のみを使用して県内各地の伝統料理を提供するとともに、若手料理人甲子園での入賞作品をもメニューに加えるなど趣向を凝らせば、観光客の皆さんには大いに喜んでもらえるものと思います。また、県産品の販路拡大にもつながってまいります。 このほかにも、地域に密着した施設として要望の高い保育施設を初め、高齢者、障害者、ボランティアなどの公的施設も附帯させ、地域との一体化を図られれば、災害時の活動の拠点としての機能も一段と充実してくるものと思います。 次に、国立仙台病院との一体化について、県防災課、市消防局に問い合わせましたところ、県内にもこのように避難場所、ライフライン、医療施設、ボランティアの活動拠点などが一カ所に集積しているところはなく、今もこのようなスタイルでの対応は考えていないとのことから、病院とも相談の上、消防防災協定を結び、県内の防災のモデル地区として位置づけてみてはいかがかと考えております。知事の夢でもある真に豊かな安心とゆとりの地域づくりにも大いに貢献できるものと思います。 長々と構想を述べてまいりましたが、実現するにはクリアしなければならない課題も多々あります。この利便性に富む地域の開発は、必ずや県民、市民に受け入れられ、郷土の発展につながるものと信じ、以下質問いたします。 一、この全体構想について、知事の所感をまずお伺いをいたします。 二、この構想は、県、市が共同して開発するところに大きな意義があります。運営や出資比率等にも問題があろうかと思いますが、これまで建物についての共同出資は一切ありません。仮想の提案ではありますが、検討する価値はあると思いますが、いかがでしょうか。 三、質問の主目的は、多目的ドームの建設にあります。宮城球場は、老朽化のため、新設以外に方法はありません。このドームは宮城球場にかわるものであり、県民の賛意を得られるものと思います。提案したPFIを活用して建設すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、知事は、宮城球場を新設するとした場合、どのような球場をイメージしているのかもあわせてお伺いをいたします。 四、にぎわいの場の創出については、意見の分かれるところかと思います。交通の利便性を考えると、都心部のアミューズメントゾーンとしての価値は高く、ドーム球場との相乗効果も考えられ、民間企業には魅力的な場所になるとも思います。出店を希望する企業も多いと思いますが、誘致についてのお考えをお示しください。また、この用地を売却、あるいは賃貸として活用するお考えはあるか、お伺いをいたします。 五、ショッピングセンターと物産館の併設は、県内中小企業者の活性化と雇用拡大にもつながり、他県でも見られるように、観光客を誘致し、宮城県、そして仙台市を全国に発信する拠点ともなります。保育所など公的施設も附帯した複合施設にすべきと考えますが、いかがでしょうか。 六、公園南側に県有地三・四ヘクタールがありますが、この土地の活用はどのように考えておられるのかお伺いをいたします。公園用地の規制などで民間活用ができない場合も、この場所に物産館を核とした公的施設を建設することは、県、市にとって経済の活性化及び雇用の拡大を推進する重要な政策になり得ると思いますが、いかがでしょうか。 七、この計画を推進する際、公園指定の解除などクリアしなければならない課題が多々あるかと思いますが、何が問題なのか、その解決方法はあるのか、お示し願いたいと思います。 八、この構想のように、ライフライン、避難場所、病院が一体化したシステムは、安全対策上重要であり、県内の病院を核として、このような条件を満たす地域を洗い直し、検討してみてはと思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、私のもう一つの夢は、長年スポーツに携わってきた者として、この宮城県で世界規模でのスポーツのビッグイベントを開催したい、そして県民にワールドカップサッカー以上の夢と希望、そして感動を与えられたらと考えております。もちろん、世界最大のビッグイベントは言うまでもなくオリンピックであり、可能性があればとも思いますが、現状を総合的に勘案すると、到底、JOCの賛同を得ることは無理であろうと思われます。 しかし、先日、韓国の釜山市で行われたアジア競技大会は、アジア各国から約一万人の選手、役員の参加で、四年に一回開催される大会です。日本では一九九四年、広島市を中心に開催されましたが、その後、立候補する県、市は今のところありません。また、ユニバーシアード大会は二年に一回、世界各国から約六千人の学生が参加し、開催されますが、日本での開催は、一九九五年福岡大会以降、予定はないようであります。 私は、アジア大会、ユニバーシアード大会のいずれかを宮城県で開催することができないだろうかと考えております。もちろん、これらの大会誘致には、開催国となる日本政府、JOC、日本体育協会などの協力がなければなりません。しかし、本県では国民体育大会を成功させ、施設面でも充実しており、ワールドカップサッカーという世界規模の大会をも見事に成功させた実績は高く評価されており、来年七月には、アジア女子バスケット選手権大会兼アテネオリンピックアジア地区予選の開催が決定しております。立候補すれば招致の可能性は相当高いと思われます。 昨年、秋田県ではワールドゲームズを、また、来年二月には、青森県で冬季アジア競技大会が開催されます。スポーツ後進県と言われてきた東北地域も、アジア、そして世界に目を向け始めております。本県でも積極的に大会を招致し、ワールドカップサッカーで培ったノウハウを世界へ発信すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。 これらの大会を誘致することは、県民のスポーツに対する関心を喚起し、宮城県スポーツ振興計画の中間報告にある基本理念、スポーツを通し、真に豊かな安心とゆとりの地域づくりを進める上でも効果的であると思っております。 現在、アジア大会は、二〇〇六年のドーハ大会(カタール)まで、ユニバーシアード大会は二〇〇三年のテグ大会(韓国)と二〇〇五年のイズミル大会(トルコ)までが決定をしております。しかし、これまでの大会誘致の経過を見ますと、広島県では招致検討委員会を設置してから開催まで十五年、福岡県では七年をかけております。これらを参考にすれば、アジア大会では二〇一八年の第十八回大会を、ユニバーシアード大会では二〇〇九年以降の大会を目指すことになるのではないかと考えております。 これらの大会を招致することになれば、メーンの会場は当然、グランディ21になります。開催を決定する条件の一つに、選手村から各会場までの交通アクセスが挙げられます。グランディ21、特に宮城スタジアムの有効活用についてはいろいろ議論されてはいるものの、仙台からのアクセスが問題となり、イベントに参加した観客からは常に不満が吹き出す状況にあります。最近では、約五万人収容という東北最大級のスポーツ施設にもかかわらず、使用頻度、収支のバランスの問題から解体論がまことしやかにささやかれております。先日、タクシーの中で運転手さんから「いつ壊す予定ですか。せっかくつくったのにもったいないですね」と声をかけられ、唖然といたしました。国体、そしてワールドカップの招致にかかわった議員として、また、長年スポーツ界に身を置いている者として責任を痛感いたした次第であります。 大会招致の夢を実現するためにも、このアクセス問題を根本から洗い直し、解決しなければなりません。広島県ではアジア大会に合わせて軌道系の新交通システムを導入し、JR広島駅に近い本通駅より総合グラウンド広島公園前まで十八・四キロメートルに二十一の駅を設け、普通列車で三十五分、急行で二十五分で結び、総合グラウンドの活用と、慢性的な交通渋滞の解消と地域の活性化に役立っております。 本県でも、地下鉄泉中央駅又は八乙女駅から免許センター、東北学院大学、松陵、鶴が丘、県民の森、総合運動公園、グランディ21を経由して、JR利府駅又はJR岩切駅までを結ぶ鉄軌道系交通システムを考えてはいかがかと思います。ルートについては、将監、山の寺、東北学院大学、免許センターも考えられ、仙台市の都市計画とも整合性をとりながら、最終的にはJR利府駅又は岩切駅より仙台港背後地センター地区を経由して地下鉄東西線につなげれば、仙台の北東部一円をカバーする一大交通システムができ上がるのではないかと思います。 泉中央駅よりJR利府駅まで直線で約九キロメートル、岩切駅まで約六・五キロメートル、グランディ21まで約八キロメートルであり、前述の免許センター、東北学院大学経由では利府駅まで約十二・五キロメートル、岩切駅までですと十四キロメートルになります。このルート上には、免許センター、東北学院大学、榴ケ岡高校、白百合学園などがあり、これだけでも一日八千人が通勤・通学しており、沿線の住民、企業への通勤利用者を考えれば一日相当数の集客が見込まれ、沿線地域の発展はもちろんのこと、県民の森、グランディ21などの公的施設の活用にも大いに期待が持てることになります。 建設費については、宮城県と仙台市に共同の地方債等も検討してみてはと考えます。また、緑の未来産業都市くろかわ建設推進協議会で検討した新しい公共交通システム、LRT等導入に関する検討調査報告書を参考にすれば、概算で一キロメートル三十五億円としても、岩切ルートで約五百億円弱となり、グランディ21の建設費よりはるかに安くできるということにもなります。 この計画は、とりあえずグランディ21の活用と大会招致を考えれば、JR利府駅又は岩切駅からグランディ21まで先行して開通させるということも考えられます。交通の利便性さえ解決すれば陸上競技場問題も解決され、多くの県民、市民の憩いの場としてにぎわうばかりでなく、スポーツのビッグイベントの誘致も可能になります。今後は、公共施設としていかに使いやすく、県民にサービスできるかであり、公共施設に対する考え方、システムのあり方をも検討すべきと思い、以下、質問させていただきます。 一、知事は、先般のアジア陸上競技大会の招致が結果的に失敗したことについて、どのように思われ、今後、国際試合の招致についてどのように考えておられるのかお伺いをいたします。 二、アジア大会、ユニバーシアード大会はオリンピックに次ぐ大会であり、招致できれば、スポーツを通してアジア、あるいは全世界の人々と交流し、国際親善にも大きく貢献するとともに、宮城県を海外へ発信するよい機会になると思いますが、招致についての考えをお聞かせください。 三、鉄軌道交通システムは、グランディ21の活用を促進するには欠くことのできない事業だと私は思います。慢性的な交通渋滞の緩和のためにも、仙台市北東地域の発展のためにも必要と思いますが、知事の考えをお示しください。このシステムについては仙台市の都市計画とも関連してきますので、仙台市とも協議する価値があると思いますが、いかがでしょうか。 四、グランディ21の有効活用については、管理するスポーツ振興財団と、主に使用するスポーツ団体を統括する宮城県体育協会との間に考え方の相違もあり、両財団を合併させ、知恵を出し合って運営に当たるべきと考えますが、いかがでしょうか。 新聞では、利用者の拡大のために、スポーツ振興財団で、一、総合スポーツクラブ設立の指導を行う。二、運動公園にスポーツ医科学トレーニングセンターを設け、競技力向上を促進する。三、地元スポーツ少年団の利活用を促進するなど計画があるそうですが、現在、これらの事業は主に体育協会で行っていることであり、屋上屋を架すことにもなりかねません。早急な対応を望みますが、いかがでしょうか。 五、公共事業で営利を目的とすることは本末転倒であり、安価で多くの人々に利用していただき、さわやかな汗をかくことが、将来、健全な心と体をつくり、浅野知事のように生活習慣病にかからない県民を多く育成することができれば医療費の削減につながり、将来、管理費以上の効果が得られるとも思いますが、いかがでしょうか。そのためには、使用料を改定し、だれでも、いつでも使用できる料金に設定すべきと考えますが、あわせてお伺いをいたします。 ドーム建設、そしてアジア大会やユニバーシアード大会の招致は、県民に夢を与えるばかりでなく、地域の経済の活性化、雇用の拡大のみならず、青少年の健全育成、国際的な人材の養成などにもつながります。今回は、できれば、できたらの、ればたらの質問ですから大変答えにくい面もあろうかと思いますが、明るい話題の提供の一つとしてとらえていただき、知事の決断を期待し、質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(
長島秀道君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 菊地浩議員の御質問にお答えをいたします。 まず初めに、この十年間で、実際九年間でございますけれども、理想とする県政の夢がどの程度反映され、豊かさの実感に寄与することができたと考えるのかという御質問でございます。 お話がありましたように、宮城県総合計画実施計画で「夢航路 未来号」という名前を使いました。それ以来、いろいろな場面で夢という言葉を多用してまいりました。これは、暮らしの安心やゆとりを実感できる社会環境を基盤として、個人や地域の自主性、多様性が尊重され、県民の自立、自主の気概に満ちたさまざまな挑戦が活発化する社会の実現を「夢」というキーワードであらわしてきたということでございます。 この夢の実現のために、私はまず、一人一人の県民が県政へのかかわりを持ち、主体的に参画できる基盤を確立することが必要だろうと考えました。このため、県政運営の透明性の向上を図る情報公開を進めてまいりましたし、また、成果重視の宮城県政の実現に向けて行政改革を推進する中で、全国初の行政評価条例を制定いたしました。 そういったことに加えて、県民の真の豊かさを実現するために、福祉分野におけるグループホームの整備促進や環境分野における地球温暖化防止への取り組み、教育分野での宮城大学の開設など各種施策を推進してまいりました。産業振興の面では、産業技術総合センターの設置、福祉・医療・環境を中心とした新成長産業の創出支援などに取り組みました。県土基盤の整備では、仙台空港や東北初の特定重要港湾となった仙台塩釜港の整備、そして、こういった拠点と県内各地を結ぶ道路網の整備などを進めてまいりました。こういった取り組みにより、私が「夢」という言葉に託した、真に豊かなみやぎの実現に着実に近づくことはできたのではないかと考えております。 次に、三重県の北川正恭知事の三選不出馬表明に関しての感想と、知事職の任期についての考えはどうかというお話でございます。 毎週火曜日に発信しております私のメルマガで、たまたまきょう発信の部分が、「北川正恭三重県知事の三選不出馬について」というのを書いたばかりでございました。そこではちょっと私の個人的な考えも書かせていただきましたが、今の御質問についてお答えをいたします。 まず、知事職の任期について、これはさまざまな考え方があろうと思います。私といたしましては、何期何年までが知事職として適当であるということを申し上げるというのではなくて、その人自身の気力、体力とか、また、有権者である住民の負託に十分にこたえられるだけの力量があるかどうか、政治姿勢はどうか、つまり、中身で評価され、議論されるべきものではないかというふうに考えております。これが知事職の任期についての私の考え方でございます。 今回の北川知事の不出馬表明についてでありますが、これまで北川知事とは、地方を変えることによって国を変えていこうという気概を持って一緒に行動してまいりました。私は勝手に兄貴分というふうに思ってまいりましたので、その意味で、今回、知事の仲間からはさようならということになるわけでありますので、ちょっと驚いて、また残念だというのが率直な思いでありました。しかし、本人もいろいろお考えがあるようでありますので、これはもちろん御本人の決断ということで、これ以上は申し上げられませんが、むしろこれからの北川知事の活躍に期待をしておるということでございます。 次に、ドーム建設と宮城野原公園総合運動場の活用についての御質問でございます。 今、議員から全体の構想についてのお話を伺いました。それについてどういう感想かということでございますが、確かに、今こういう状況の中で、夢のある壮大な計画であるというのが率直な感想であります。そもそも、宮城野原公園の総合運動場については、どうしていくかということが我々にとっての現在の検討課題であります。これは、運動公園という位置づけがまずあります。そういうことで、スポーツ施設群としての機能を持っておりますが、また一方で、ここは都市公園の中にあるわけでありまして、都市公園という位置づけから、県民の憩いの場を提供する機能、こういった両面の機能を兼ね備えておるということでございます。そういった機能を今後それぞれどうしていくのか、拡大するのか縮小するのかということを、まず考えていく必要があろうと思います。 今、構想を伺ってすぐに頭に上るのは、どのぐらいお金がかかるんだろうかということをどうしても考えざるを得ないわけでありまして、今、厳しい財政状況のもとでさまざまな事業に着手をしておりまして、これを着実になし遂げていかなければならないということがまず頭に浮かんでまいります。今お話があったような構想も大変夢のある構想でありますが、財政的な状況ということをどう解決していくかということをクリアして考えていかなければならないということで、この再開発の構想を直ちに着手をするというのはなかなか難しいのではないかというのが率直な感想でございます。この宮城野原地区の再開発については、十分に時間をかけて検討していく必要があろうというふうに受けとめております。 この地区は、仙台市のまちづくりにとっても大変重要な地区であります。ということで、その整備計画をどうするか、その際の手法をどうするかということについては、我々宮城県のみならず、仙台市との間で十分時間をかけて協議、調整をしていかなければならないと考えております。 ただいまのような具体的な構想の提案をいただきましたので、以下その構想を、一応、検討を行うとした場合の問題点などについてお答えをさせていただきたいと思います。 その中で、まずPFIの活用ということがございました。PFIを活用して多目的ドームを建設すべきではないかということでありますが、ここはちょっと一般論としてお答えをさせていただきますが、民間事業者の主導で、効率的かつ質の高い公共サービスの提供を図るという意味で、PFIは有効な整備手法というふうには考えております。やり方としては、公共の関与に応じてサービス購入型、ジョイントベンチャー型、独立採算型と大きく三つの事業形態がございますが、どういったやり方がいいのか、時間をかけて検討していく必要があると考えております。 今のPFIの活用とはちょっと別ですが、宮城球場を新設するとした場合の球場のイメージはどうかということにもお触れになりましたのでお答えをいたしますが、仮にそういうことになれば、これは野球専用ということではなかろうと思います。お話がありましたように、多目的に使えるようなものということがまず大切だろうというふうには考えております。 次に、宮城野原公園を都心部のアミューズメントゾーンとして民間企業を誘致してはどうかというお尋ねがございました。お話がありましたように、この地域、宮城野原公園の周辺は、交通アクセスなどの面においても大変に恵まれた環境にございます。その意味では、いろいろな形での活用の可能性が高い地域であるということは、そのとおりであろうと思っております。 ただ、後ほども申し上げますが、現実的な問題としては、都市公園区域ということになっておりますので、その制約の中でこれを民間に使っていただくということになるわけですので、その部分をどうクリアするかということがまずもって課題として出てくるということでございまして、その点についての考慮が十分に必要であろうと考えております。これは後ほどまたお答えをいたします。 次に、物産館の整備についてでありますが、行政主導でこれを行ってはどうかというお話がございました。これは、現実に物産館のようなものが民間主導で行われております。エスパルの地下や二階、あるいは主要な道路沿いの物産共同店舗などでありますが、そういった現状にございます。こういったことで、行政が主導して物産館の整備を図るということについては、現在の状況を見守りながら対応を検討していくということになろうと思います。 次に、宮城野原公園の南側に隣接してございます県有地三・四ヘクタールでありますが、この活用についてどうかということでございます。これは、今、
教育委員会が管理しているわけでありますが、幾つかの利用構想の検討を進めております。財政状況もあって具体的なところまで至っておりませんが、基本的には教育財産としての活用ということを第一義に考えているところであります。 次に、宮城野原公園の活用構想を推進する際にクリアしなければならない課題はどういったものがあるのかということでございます。まず、お金のことというのは先ほど申し上げました。これがまず念頭にありますが、それを除いての幾つかの問題について申し上げますと、まずあるのが都市公園の問題であります。議員からも御指摘がありました、都市公園指定の解除ということを考えなければならないだろうと思いますが、その際に、都市公園法上からも、廃止される公園にかわるべき公園が設置されないと都市公園法上の要件が満足できないということがございます。これは、指定解除をする都市公園と規模、役割においてほぼ同等の都市公園を確保すべきことが都市公園法上の要件となっているということでございます。この点のクリアが必要だろうと思っております。 それから都市緑地保全法がございますが、この都市緑地保全法に基づいて仙台市の基本計画で位置づけられている積極的に保全すべき緑地というのがございますが、この見直しというのもございます。それから都市計画法による用途地域等の見直しそれからスポーツ施設の配置や防災対策等の検討というのがございます。更には、公園の用途に供されている国有財産がございますーー約三ヘクタールでありますが、これの処理をどうしていくかということ。手続的なものも含めて申し上げましたが、そういったようなクリアすべき課題がございます。 この解決をどういうふうにしてやっていくかということでございますが、まずもって、公園・緑地、スポーツ施設、商業施設も含め、具体的な土地の利活用に関して、仙台市を初め地域住民、スポーツ施設利用者など各方面の合意形成が不可欠だろうと考えております。 次に、宮城野原公園の活用構想のように、県内の病院を核とした防災拠点システムを検討してはどうかというお尋ねにお答えいたしますが、大規模災害時における住民の避難場所や防災活動の拠点となるスペースの確保は大切であります。想定される災害応急活動の内容に応じた機能を複合的に整備していくことは重要であると考えております。 市町村では、既に防災計画に基づきコミュニティーレベルの地域防災拠点の整備が進められているところでありますが、本県を取り巻く地震のおそれというようなことを考えますと、被災者用物資の備蓄や救援物資の集積・配送、救援救助活動要員の駐屯など、さまざまな機能を持った広域的な防災拠点を整備することが緊急の課題となっております。 こういったことで、現在、県地域防災計画の修正を進めておりますが、その中でこういったような広域的防災拠点の整備について検討をしているところであります。その中で、病院なども含めた防災拠点機能の整備の可能性についてあわせて検討してまいります。 次に、スポーツイベントの招致とグランディ21の活用ということで幾つかお尋ねがございましたので、それぞれお答えをいたしたいと思います。 まず、先般のアジア陸上競技選手権大会、これが招致できなかったということについてどう考えるかということでございました。これは、フィリピンの立候補ということに伴って、陸連側の大局的な判断で日本での開催が見送られ、結果的には招致ができなかったというものでございます。その過程においては、県、仙台市、日本陸連それぞれの思いがあって、その間、必ずしも意思の疎通が十分ではなかったという点もあったというふうに認識をしております。これは反省すべき点であろうと考えておりまして、この経験を今後の競技会の開催の際には生かしていかなければならないと考えております。 また、今後の国際試合の招致ということでございますが、これは、どういった国際試合になるかということもありますけれども、どのような国際試合であっても、県民としてはレベルの高い一流の競技を見ることができるわけでありますので、大変効果も大きいと考えております。今後は、仙台市を初めとする市町村や競技団体など関係機関と連携を密にしながら、開催に向けた努力をしてまいりたいと考えております。 次に、アジア大会、ユニバーシアード大会、こういったビッグイベントの招致についてどうかということでございます。これはもう国体を超えるものでありますし、ワールドカップに近い大変大きなイベントであります。国体、ワールドカップの開催においても、県内には国際交流や経済波及効果ということで大変大きな効果をもたらしたということでございますので、アジア大会、ユニバーシアード大会の招致ということになれば、これはすばらしいことになるというふうに思います。 問題点ももちろんあるわけでございまして、すぐまたお金の面というのがありますが、それとは別に、選手村の設置ということも含む招致条件をどうクリアするかというようなことがございます。これは夢のある研究課題として取り組んでいきたいと思いますが、当面は景気の回復の状況、県の財政状況というのをしっかり見ながら対応していかなければならないと考えております。 なお、こういったようなアジア大会、ユニバーシアード大会以外の国内外のスポーツイベントでありますが、これについては現在、主催元、開催時期、開催ローテーションなどの調査、情報収集を行っております。こういった調査結果を分析して、どういった大会の開催が望ましいか、こういった大会を招致するという方向で検討をしていきたいと考えております。 次に、関連して、この地域の鉄軌道系交通システムの導入について構想の御紹介がございました。 確かに、鉄道は定時性がある。大量輸送ができますし、また、渋滞緩和といったような効果が期待されるわけでありまして、その意味では有効であります。その一方で、これまた建設費の問題というのがあります。建設費に見合うだけの安定的な需要が確保できるか、つまり採算面での見通しが立つかということでありますが、こういった件に関しては、なかなかに課題が大きく、導入は困難ではないかと考えております。 それでは、グランディのアクセス整備はどうなるのかということでございますが、これまでも多くの方々からさまざまなお話をちょうだいしております。まず周辺環境の調査を行った上で、関係する方々と話し合いを進めつつグランディへのアクセス整備を進めていきたいと考えております。 次に、財団法人宮城県スポーツ振興財団と財団法人宮城県体育協会、統合してはどうかというお話がございました。現在は一部事業について類似しているもの、重複というものがございますが、すみ分けをして二つの団体として事業を展開しております。 スポーツ振興財団は、県営スポーツ施設の管理運営、生涯スポーツ振興事業、こういったことを主として手がけております。これに対して県体育協会は、競技スポーツの振興というのが主たる活動であります。それぞれ違いがあるわけでありますが、両者を統合してということになりますと、管理する側と使う側が一体となるということになりますので、この際、公平性や透明性をどうやって確保していくのかといったような課題も出てくるのではないかと考えております。したがって、現在のところは両団体の統合の必要性は認識しておりませんが、この点については長期的な課題として引き続き研究をしてまいりたいと思います。 現在、スポーツ振興財団の企画委員会に県の体育協会も参画をしております。このように、今後とも両団体、十分な連絡調整を図りながら、それぞれの特色を生かしたスポーツ振興施策を展開していくことを目指していきたいと考えております。 最後になりますが、グランディ21のサービスの提供、使用料を改定して利用しやすくすべきではないかということでございます。まさに多くの方がスポーツに親しむということで、生活習慣病などの予防・改善にもなるという意味で、そのことは大変有用なことであると考えております。そういう意味では、グランディ21を大いに利用していただくということが有効であろうと考えております。 その際の使用料でありますが、使用料を改定して、だれもが、いつでも利用できるようにすべきではないかということでありますが、施設使用料の考え方は建築費や維持管理費を考えて設定しております。その中で、特に個人利用料金については配慮しております。例えば利用料金。大人の場合、宮城スタジアム体育館は、午前、午後、夜間の単位で二百円、トレーニングルームは専門の指導員がついて四百十円、プールは全日単位で七百円、こういった金額は高校生以下は半額というふうになっております。 施設の団体使用料ということもあろうと思いますが、これも私としては、がちがちにすべての団体、どのような使い方をしても同じような--比較的高い金額ですけれども、それでやるというのではなくて、使い方によっては、また団体によっては大いにディスカウントをするという方向も現実的に検討すべきではないかと考えております。 以上でございます。
○副議長(長島秀道君) 五十五番菊地浩君。
◆五十五番(菊地浩君) 二点についてお伺いをいたします。 何せ、できたら、できればの、ればたら質問ですから、答弁はその程度かなというふうには思うんですが、一つ、野球場をどうするのか。もうあの野球場では現実に使えませんし、地震が来たら、もしかすると崩れる可能性さえあると思うんですね。実際行ってみればわかりますが、観客席のところなんかもうコンクリが離れているんですよ。 そういう状況までありますし、プロ野球の選手は、もう来るとうんざりして、またここかというような話もするのだそうでして、ぜひ、本当にどういう形かで早急に対応していかなければ、宮城県にしっかりした野球場は一つもない県という珍しい県にもなりかねないわけですから、その辺をどうするのか。ドームでなくても、早急に対応していただかなければならないと思いますので、知事はその辺をどう考えているのか、これをまずお聞きしたいということが一つ。 もう一つは、スポーツ振興財団と体協の問題なんですが、スポーツ振興財団の方は管理運営がメーンなんですね。ですから、管理することにきゅうきゅうとする、あるいは収入を上げることにきゅうきゅうとすることが基本的になってまして、一般の団体が借りに行っても、優先はすべてお金の高い方なんですよ。ここは使っているから、あなたたちみたいな団体はだめですよみたいなことまで、実は聞こえてくるわけです。ですから、そういうことをうまく調整していかないと、県税でつくった建物ですから、県民が優先されないということにもなりかねないわけです。 ですから、その辺のところをどう調整していくかということだと思いますので、ぜひ私は、いろいろな問題があっても、使う立場と使われる立場がお互いに話し合いをしながら使用していくということが最も効率的かなと思ったものですから、その辺についての考え方をもう一度お聞かせ願えればと思います。 以上、二点です。
○副議長(長島秀道君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 菊地浩議員の再質問にお答えをいたします。 宮城県営野球場、現在のあれどうするんだと。私も何度か行っております。すばらしい球場だという感じはいたしません。プレーをする方も、それから観客の方にも、大変御不便というか、それ以上のものをおかけして申しわけないと思っております、県営球場として。 ただ、今あれを全面改築というのは、なかなか財政の状況からいって現実性がないということでございますので、普通言うような形で最低限の改修をしながらつないでいく、いわゆるだましだまし使っていくというしかない。現状を見ると、残念ながらそういったような方向でしかないというふうに思っております。 それから次に、スポーツ振興財団ですけれども、これは、実はそういうような不満の声というのは私の耳にも届いてきております。これは大変まずいことというか、やはり利用者の身になってというか、何のために管理をしているのかという原点に立って運営されなければならないというふうに思っておりますので、今いただきました御意見もしっかりと受けとめて、財団の運営のあり方として基本的な見直しと運営の改善というのをぜひやっていかなければならないというふうに思っておりますので、また御意見をお聞かせいただき、御協力を賜りたいと考えております。
○副議長(
長島秀道君) 暫時休憩いたします。 午前十一時四十七分休憩
---------------------------------- 午後一時一分再開
○議長(佐藤勇君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二十四番岩渕義教君。 〔二十四番 岩渕義教君登壇〕
◆二十四番(岩渕義教君) 風邪を引いてしまいまして、お聞き苦しいかと思いますが、御理解をいただきまして、順次通告に従い御質問をさせていただきたいと思います。 大綱第一点、地方分権の推進についてお伺いをいたします。 政府は、既に来年度予算について話し合われているところですが、来年度予算編成をめぐり、国と地方の関係で、小泉総理は、補助金の廃止縮小、税財源移譲、地方交付税改革を三位一体で一度に行うということを再三再四発言をしてまいりました。したがって、片山総務大臣は、経済財政諮問会議に、国から地方への税源移譲のあり方について提言をし、消費税一%分、約二兆五千億円、この件は地方消費税へ、所得税から住民税へ三兆円程度、合わせて五・五兆円の国税を地方税へ振りかえ税源移譲をする。一方では、補助金である国庫支出金を同時に縮減することを提案していました。注目すべきことは、五兆五千億円の国庫支出金の縮減は単なる絵空事ではなく、実現可能性を追求したところに片山提案の意味があると思います。これまでの国と地方との関係が、財政は二対一、仕事は一対二の改革の第一歩であり、権限と財政の一体化、地方分権推進によって実質的な国と地方の対等関係の第一歩を踏み出すことに通じる提案という意味で注目をしておりました。 一方、国と地方の役割分担の見直しを検討してきた政府の地方分権改革推進会議は、先日、小泉総理に「事務・事業の在り方に関する意見-自主・自立の地域社会をめざして-」と称する最終報告を提出しましたが、税源移譲については全く触れていないどころか、推進会議が目指している改革は、「地域社会が自主的・自立的な活動を行うことによって活力を発揮できるような分権型システムを構築することであり、とりわけ地方自治の自主的・自立的な担い手として一定の規模としっかりした行財政運営の基盤を持って、地域の発展において先導的な役割を果たすようなたくましい地方都市の誕生を期持したい」と。何のことはない、財源は国では考えませんよ、市町村合併を行って自主的自立できる規模にしなさい。そして、行政版リストラを行って財源をつくりなさいということではないでしょうか。知事はどのような所見をお持ちでしょうか。まず、お聞かせをいただきたいと思います。 また、補助金廃止について、焦点となりました義務教育費の国庫負担金制度は六月の中問報告では全面改革を行うということが書かれており、場合によっては、義務教育の教員費用の全額、約三兆円を都道府県が持つという戦後直後にあった状況になる可能性があり、そうなれば、当然都道府県の予算は相当に硬直する可能性があり、また市町村が何らかの負担を求められるということになれば、市町村財政は大きな転換を余儀なくされると思われます。結局、最終報告では義務教育への負担金三兆円のうち、教員退職金、年金に当たる共済費長期給付五千億円を先行して廃止縮減する内容で、先行き不透明となり、義務教育の分権化に課題を残したのではないかと思われます。税財源移譲の方向を示さず、補助金の廃止縮小を提言した地方分権推進会議の最終報告について、知事はどのような感想をお持ちでしょうか。また、地方分権推進の実現に向けて、だれよりも求めている浅野知事は、今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。 地方分権一括法の中で権限移譲関係はごくわずかであり、その権限の移譲の大半が都道府県に対する権限移譲であって、市町村に対してできたのは鳥獣保護法と狂犬病予防法だけであり、地方分権を推進をしたいなら、国が先に権限移譲すべきだと思います。市町村合併と地方分権は別の話だと思われますが、知事のお考えについて、この際、改めて伺っておきたいと思います。 次に、十一月一日に開かれた第二十七次地方制度調査会における西尾勝副会長から「今後の基礎的自治体のあり方について(私案)」というメモが提出されました。西尾私案は、松本小委員長から今後の議論のたたき台として提出を求められたこと。また、地方分権改革推進の中心的な役割を果たし、実質今回の地方制度調査会報告の
取りまとめ役である西尾副会長の私案ということもあって、マスコミも注目したものと思われます。既に、山本文男全国町村会長は、到底合意できるものではないとして意見表明をされているところです。合併特例法の期限が切れる二〇〇五年四月以降の基礎的自治体のあり方について、①基礎的自治体の人口は、三万人から五万人以上とし、それ以下の小規模の自治体については、自治体の権能の縮小。②権能の縮小については、人口のみを尺度とし、小規模自治体自身の選択と自己決定を想定していない。③合併の一層の推進のため、国や県による強制的な関与ーーあっせん、調停、財政措置の見直しなどの必要性を想定していること。⑧基礎的自治体の人口を三万人から五万人に想定することは、多くの町村にとって極めて高いハードルとなり、現在進められている加美郡の三町を初めとする市町村合併の努力に水を差す結果となる可能性があることなど多くの問題があり、これまでの地域の自己決定を基本とする市町村合併や地方分権改革の理念を否定するものと思われますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、来年度の予算編成方針と政策方針についてお伺いいたします。 県財政再建に向けて懸命に取り組み、財政再建準用団体の回避の見通しとはいえ、公債費は来年度ピークを迎え、あるいは国庫負担金削減問題や今年度の税収の落ち込みなどの懸念があり、予断を許さない状況にあろうかと思われます。県民との共有することが今大切なことだと思います。だからこそ県財政の現況、政策方針の進捗状況を県民そして議会に明らかにすべきと思いますが、いかがでしょうか。また、来年度の財政中期見通しをできるだけ早く公表すべきだと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 既に、県は平成十五年度の政策方針案を公表されており、予算編成はこの方針に沿って行うこととなるわけですが、これを踏まえて何点かにわたってお伺いをいたします。 まず、長引く景気の低迷によって県民は大きな痛みを感じています。そのことをしっかりと受けとめなければならないと思います。 更に、政府の総合デフレ対策、急激な不良債権処理は、新たな倒産、失業などによって、その影響は大変大きな事態になるのではないかと心配をしております。知事の御認識と予算編成を取り組まれる基本的なお考えをお伺いいたします。 また、低迷する経済状況を踏まえながら、将来を見越したしっかりした本県の産業振興策や社会資本の整備策を打ち出し、景気・雇用政策を推進することが大切なことと思います。来年度の予算配分の内容について、宮城県総合計画に沿って具体的にお示しください 浅野知事は、行政活動の評価に関する条例に基づいて第一回県民満足度調査を行い、県民ニーズを把握され、そのことを予算と政策に反映させ、その期待にこたえ、その結果について県民に説明責任を持たなければならないと思います。本物の民主主義を根づかせていこうという努力に心から敬意を表します。その上で、だれにも誇れる、美しい、品格のある、真に豊かな宮城づくりに向けて、宮城発の本県オリジナルの事業の内容について、具体的に示していただきたいと思います。 次に、深刻な地方経済の不振に対して、本県としてはどのように打開していくのか、お伺いいたします。 経済対策は、国の政策がかぎを握っておりますが、不良債権処理というあらしが日本列島を覆っています。不良債権とは回収困難な投資債権であり、早期処理とは、問題を先送りをせず損失を表面化させ清算することを指しているわけですが、その早期処理には多数の失業が生まれます。これまで最終処理を見送っていた銀行は、竹中金融担当相に強要され、これら将来の見通しが立たない業者や商店に最終通告を下す雲行きであり、それによって投資効果の低い地方経済が見捨てられようとしています。特に、建設不況は深刻であります。工場閉鎖や住宅建設の減少で、民間建設が不振、公共工事の削減、談合摘発、政治家の口きき、競売入札妨害などの不祥事事件が続き、深刻さは限界に達しています。激しいダンピングによる受注競争が激化し、結果として、下請業者と従業員がしわ寄せをこうむることになっています。本県では不祥事が相次ぎ、県政への信頼を取り戻すべく努力を積み重ね、入札制度の公正・透明性を図るための改善や契約業務等に関する働きかけへの対応要領の改善などを進めてまいりましたことに評価をしつつ、私は、現在の入札制度は、価格が安ければよいという価格重視の入札制度となっているため、不当廉売いわゆるダンピングを許してしまうことになり、地域公共サービスの質の確保と公正な労働基準が保障されないと思われる金額で落札されることになります。不当廉売の防止策、価格以外の要素、例えば環境、男女平等参画、公正な労働基準など取り入れるなど、本県の入札・委託契約について改革をすべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。 次に、雇用対策についてお伺いいたします。 個別労働紛争解決促進法が施行されてから一年が過ぎました。この法律は、雇用間のトラブルを民事裁判を通さずに解決するためにできた法律ですが、宮城労働局と県内の六監督署で受け付けた相談件数が一年間で約一万件にも上ったと宮城労働局が発表しました。解雇、労働条件引き下げ、退職勧奨、出向、配置転換など、リストラに関する相談が七割だと報じられています。県民満足度調査結果での県民の方が最も重視していること、そして一番不満に挙げたのが、雇用の安定と勤労者福祉の充実であることは、ここからも見ることができると思います。知事の雇用対策の取り組み決意をまず伺いたいと思います。 次に、緊急地域雇用特別基金事業についてお尋ねします。 十三年度途中より新事業が始まり、新規雇用者の割合が人件費で八〇%以上、四分の三以上が職を求めている一方、雇用期間は原則六カ月という規定となっていて、使い勝手がよくないとの声もあります。本県や市町村の実態はどうなのかお聞かせください。また、新規雇用者の集計は、委託事業者からの報告に基づいているようですが、抽出の形でも確認をとる必要があるのではないでしょうか、あわせてお考えを伺います。 非自発失業者を正社員として雇い入れた県内事業主に対し、雇用者一人当たり十万円支給するという制度、いわゆる緊急雇用創出特別奨励金について、県は国の制度より五歳引き下げ、四十歳以上から六十四歳末満までの雇用対策を行ってまいりましたが、人数と業種を示し、効果はどの程度あったのかお示しください。また、今後の取り組み方についてお聞かせください。 少子・高齢化、環境、福祉、IT化の時代を迎え、今後の社会の需要に呼応して行政投資の配分を重点的に考え、雇用創出を図っていかなければならないと考えます。県として雇用創出プログラムの策定を推し進めるベきと思いますが、いかがでしょうか、知事の所見をお聞かせください。 高校生の就職難の対策についてお伺いします。 県は、今年度就職指導支援員の各高校への配置、四十四名の新規高卒未就職者を非常勤職員として採用されるなど、その取り組みは評価しているところであります。先日、私は古川を会場にしての平成十五年三月新規高卒者就職面接会に行ってみました。古川、築館、迫、一部黒川から三十九校四百三十八名の生徒、先生方、就職指導支援員の願いに三十五の企業がこたえての面接会でした。真剣勝負そのものの様相をはだで感じてまいりました。しかし、十月末現在の状況は、就職内定率前年同期比三・三ポイント低下の三〇・三%、就職内定者数は千七百四十四人で、前年同期に比べ一六・二%の減少、安定所別求人状況については、塩釜・古川安定所管内以外は前年度を下回り、特に、気仙沼所管内は対前年比マイナス四六・八%の大幅減となっています。求人倍率は〇・六四倍で、前年同期と同じと宮城労働局は発表しているところです。今年三月末の過去最低を記録し、全国ワーストスリーだった八一・九%を下回ることも懸念されます。県の雇用対策の施策の総動員を求めたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 障害者雇用対策について、雇用情勢の厳しさが増している中、企業倒産、工場閉鎖、海外への工場進出や経営悪化によって障害者の方々の解雇が増大しています。障害者雇用促進法に基づく雇用確保と維持の努力や、就職面接会や県の入札優遇措置など取り組んではいますが、なかなか厳しい経済問題が重くのしかかっています。来年度政策方針を見ますと、保健福祉部が調整役となり、横断的に取り組み、ITの普及を図って、そのことを活用した就労を促進するとしていますが、具体的にお示しをしていただきたいと思います。 次に、私どもの会派では、子供へのゆとりある教育、学習面での基礎学力の向上だけでなく、いじめや学級崩壊問題など健全育成など少人数での授業など、きめ細かな指導の推進を図るためにも少人数学級の導入を求めてきました。来年度の政策方針ではどのようになっているのでしょうか、お尋ねいたします。 東北各県だけを限ってみても、青森県は、小学校一、二年生から三十三人の上限、中学では大規模校の一年生は三十五人で学級編制し、県費約三億円で百三人の教員増を図りました。福島では、小学校一年生と中学校一年生で常勤講師を配置して三十人学級が実施されました。山形県は、二、三年以内に全小中学校での三十人学級を目指し、今年度は人件費約十億円の県費でもって二十二町村七十五の小学校の全学年対象に、二十一人から三十三人の学級編制がなされます。秋田県でも、既に小学校一、二年生に三十人程度の少人数学級が導入されています。各県それぞれ条件が違い、取り組み方に違いが出てくるのは当然なことですが、少なくとも知恵と汗を出していることは十分感じられると思います。我が県においても、将来の本格的導入に向けて、まず第一歩を踏み出すことが必要だと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねをいたします。 次に、大綱三点、地球温暖化防止と森林整備事業についてお伺いいたします。 知事は、ことしの二月議会において、環境の世紀と言われる今日、美しい自然を守り、地球規模での環境問題に対処していくことは、地域にとっても大きな課題であるとして、そのための県として地球温暖化防止に係る新しい計画の策定に取り組み、風力発電の導入可能性調査を着手したほか、低公害車の普及促進を図る方策を検討することが表明されました。その検討結果及び地球温暖化防止計画の進捗状況について、まずお示しください。 政府は、ことしの六月四日に、地球温暖化防止条約京都議定書を批准されました。国際公約を宣言したわけでございます。第一の約束期間である二〇〇八年から二〇一二年において、二酸化炭素を一九九〇年当時の排出量から六%削減し、このうち三・九%を上限として森林吸収で賄うことが至上命題となりました。 林野庁では、三・九%を達成するための森林・林業基本計画を試算した結果、十年間で一兆六千億円、単年度で一千六百億円とはじき出されたと伺っております。森林・林業は、木材生産供給、山と川と海を守り、動植物をはぐくみ、保健、文化、教育的利用の場を提供など、多様な公益的機能をあわせ持っています。しかし、木材低価格のため、手入れをしない森林は危機的状況になっています。京都議定書批准を契機に、これまでの木材価格至上主義をやめて、地球温暖化防止に向けて、森林整備で緑の環境創出、新たな雇用の創出づくりを取り組むべきと思いますが、知事の所見をお伺いします。 また、その際、木質系バイオマスによる新たな緑のエネルギー産業を構築してはいかがでしょうか、お伺いいたします。 国有林の組織統廃合についてお伺いします。 全国で組織している林活議員連盟が中心となり、森林活性化のために、もうこれ以上組織を縮小してはならないとして取り組んでまいりました。その結果、組織統合は、地域の実情を十分踏まえ、その機能の維持について適切な措置を講ずるとして、一定の決着を見たところですが、平成十六年三月末をもって、青森、岩手、宮城を管轄する東北森林管理局青森分局が、そして、本県では、気仙沼事務所が廃止統合されようとしています。例を挙げれば、気仙沼事務所が統合になれば、管理区域内の自治体は三市二十町村を数え、古川市に所在する宮城北部森林管理所は、青森分局屈指の市町村数となり、地域林業の振興や流域監理システムからの後退は否めず、影響は極めて大きくなり、したがって、管内の自治体、議会、業界は、存続を求めております。この統廃合について、知事の所見をお伺いをいたします。 大綱四点、治安対策についてお伺いをいたします。 次に、治安対策について、
警察本部長にお伺いいたします。 昼夜の治安、防犯活動に心から敬意を表します。一般刑法犯認知件数、平成四年二万四千六百十二件、昨年度は四万九千八百八十七件の、十年間で二・一倍。一一〇番受理件数では、平成四年四万七千六百四十六件が、昨年度は十一万五千二百九十四件の二・四二倍、人身事故では平成四年八千百三十二件が、昨年度では一万二千六百五十一件の一・五六倍、相談件数では平成八年三千二百六十二件が昨年度は一万六千六百二十件、六年間で五・〇倍。そして、本県警察における警察官一人当たり六百八十七人と、大変全国で見ても六位の高い負担となっているわけでございます。警察の県民の日常生活の安全への業務は、更に続けられていますが、当面する課題は何なのかについてお答えをいただきたいと思います。 ことし県警の組織機構が改編されましたが、社会情勢の変化に対応した警察機能の確立を図るため、七月一日に警察施設整備計画審議委員会が設置されました。設置の背景と検討課題、審議の進捗状況、並びに
取りまとめの時期についてお伺いします。その際、各自治体の総合計画や地域の実情と要望などをしっかりと把握して審議する必要があろうかと思います。 私の地元古川では、古川市、志田郡を管内とする古川警察署があり、駅前交番、各派出所があります。駅前交番は、名前のとおり駅周辺を管轄していると勘違いをしている人が多く、実に古川市の世帯二万四千世帯のうち、一万七千三百四十三世帯、七二・一%、人口では四万八千人の、六七%を管轄しております。その管内に、古川南区画整理で将来約六千人が張りつきます。大型店が既にオープンをしています。また、第五小学校があり、三年後には中学校開校となっております。地域住民、PTA、自治体から、交番、駐在所設置の要望が提言をされております。本部長の所見を求めたいと思います。 以上、私の一般質問を終わります。 御清聴まことにありがとうございました。
○議長(佐藤勇君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 岩渕義教議員の御質問にお答えをいたします。 まず大綱一点目は、地方分権の推進についてであります。 地方分権改革推進会議の報告について伺われました。国は、財源は考えない、市町村合併を進め、自主・自立した規模にし、みずから財源をつくれという論旨ではないのかというお話がございました。この報告は、改革により目指している理想的な地域社会の姿と道筋は示しておりますけれども、その反面、それを実現するための具体的な税源移譲などの財政基盤の強化策については何ら示されておりません。地方分権を推進するという基本的な理念は具体化されていないものと認識をしております。 次に、地方分権改革推進会議の最終報告についての感想と、地方分権推進に係る今後の取り組みについてであります。 さきに提出された地方分権改革推進会議の「事務・事業の在り方に関する意見」の中では、義務教育費国庫負担金など一部の国庫補助負担金の廃止・縮減を先行的に示しております。その一方で、自律的な地方行財政運営において不可欠な税源移譲などによる財源措置については、これは次の段階の議論であるということで先送りされたものになっております。到底容認できないものであります。 こういったことから、全国知事会や北海道東北地方知事会として緊急の要望・提言を行いました。また、十一月七日には、志を同じくする六県知事の共同で、地方分権改革に関する緊急提言を行ったところであります。これまでも、国から地方への税財源の移譲について、研究、提言を行ってきたところでありますが、これからも、あらゆる機会をとらえて、地方税財源の充実・確保について、国に対し強く要望してまいります。また、地方分権研究会などにおける実践など、地方分権の推進のために主体的に取り組み、その実績を積み上げていくことが重要であると考えております。 次に、地方分権一括法での市町村への権限移譲についてのお尋ねがございました。 地方分権一括法で市町村に権限移譲されたのは、実は御紹介あったものよりはもう少しございます。鳥獣保護法、狂犬病予防法を初めとする三十一の法律、項目にして四十七項目ございますが、地方分権時代において、市町村は、住民に最も身近な基礎的自治体として、住民ニーズに総合的、自己完結的に対応する必要があることから、更に一層の権限を国及び県から移譲されるべきものと考えております。一方において、権限の受け皿となる市町村については、現状では行財政基盤の強化が必要でありまして、市町村合併は、行財政運営の効率化が図られるほか、規模の拡大により専門性の向上が図られるようになるなど、地方分権時代を担う市町村を築く上で極めて有効な手段であると考えております。したがって、現在の社会経済状況においては、市町村合併と地方分権、これらは密接な関係を持った問題であり、同時並行的に進められていくべきものと考えております。 次に、第二十七次地方制度調査会でのいわゆる西尾私案についてお尋ねがございました。 この西尾私案も拝見いたしましたが、お話がありましたように、この案は合併の努力に水を差すのではないかというお話がございました。確かに、この案を見て、それを受け取る側にとっては、国からのおどしじゃないかととられかねないという面がございます。その意味で、自主的に合併を進めようと取り組んでいる市町村は反発をする可能性がございますし、実際そういう動きも出ております。 次に、この案の内容は、地域の自己決定を基本とする市町村合併や地方分権改革の理念を否定するものではないのかというお話がございました。この案では、小規模市町村が現行の基礎的自治体として存続するという選択肢を制度的に失わせてしまう点が、地域の自己決定という観点からは最大の問題であろうかと思います。 また、合併特例法期限後の強制的な合併というようなことが打ち出されておりますが、そうであるとすれば、最低でも、基礎的自治体を主役とした地方分権を進めることについての国の確固たる決意が必要であろうかと思います。基礎的自治体にどれだけの権限と財源を移譲するのかといった議論が並行して進んでいかないと混乱を招くだけではないのかと考えております。まだ私案の段階とはいうものの、これからの地方制度調査会での議論を注視していかなければならないと考えております。国に対しては、地方分権への更なる真剣なる取り組みを強力に促していく必要があると考えております。 大綱二点目でございますが、来年度予算編成方針と政策方針についての幾つかのお尋ねにお答えをいたします。 まず、県財政の現況や政策方針の進捗状況を県民や議会の皆様に明らかにすべきではないかというお尋ねがございました。 県財政の状況については、県公報による年二回の公表というのを行っておりますが、そのほかに県政だよりや県のホームページにおいて、予算・決算の状況、財政の中期見通し、こういったものを公表しているところであります。また、政策方針の進捗状況でありますが、政策方針は、ことしの九月に策定し、公表をいたしました。その内容は、翌年度の政策・施策における方向性を示したものであります。その後、この政策方針をもとに、事業レベルでの検討を行いまして、その結果を
取りまとめ、重点事業候補として、これは十月に公表いたしました。今後でありますけれども、現在進めている予算編成作業の中で、事業内容の更なる検討を行いまして、その結果を、平成十五年度重点事業として
取りまとめ公表することにいたしております。政策方針に基づく検討の進捗状況については、今申し上げましたように、節目、節目で明らかにしているところであります。現下の厳しい財政状況を乗り切るためには、県民の皆様の御理解と御協力が必要でありますので、県政全般にわたり最新情報の提供に努めてまいります。 次に、来年度の財政の中期見通しでありますが、これをできるだけ早く公表すべきではないかというお尋ねでございます。 来年度の財政中期見通しを試算するためには、来年度の当初予算が編成されていなければならないということでありますし、また、今年度の最終予算額が確定しているということが必要であります。それは、起債発行見込み額や基金残高見込み、こういったものが確定しない状況では、精度の高い将来の公債費の見込み額や要調整額などの試算ができないということからであります。したがって、来年度の財政中期見通しについては、今年度の場合と同様でありますが、最終補正予算が確定して以降、速やかに試算をし、公表をしたいと考えております。 次に、国の総合デフレ対策に対する認識と予算編成の基本的な考え方についてのお尋ねでございます。 我が国経済が停滞から脱し再生するためには、金融システムの正常化は不可欠でありますが、現在の厳しい社会経済情勢の中で、不良債権処理が優先され、更に加速されるということになりますと、一層の企業倒産や雇用不安を招き、地域経済は更に厳しい状況に陥るものと考えております。 このため、まず
中小企業対策や雇用対策などのいわゆるセーフティーネットの整備に取り組むことが重要でありますが、あわせて、持続的な需要の創出に向けて、新たな産業の育成を初めとした総合的な施策展開を行う必要があります。県といたしましては、大変に厳しい財政環境にありますが、来年度の予算編成において、効率的、効果的な事業を厳選しながら、政策・施策の重点化に取り組んでまいります。景気の回復や産業の振興に向けて、適切な対応を図ってまいります。 次に、景気・雇用政策の取り組みについてのお尋ねであります。 景気・雇用政策を推進するに当たって、将来を見越した産業振興策や社会資本整備策を打ち出すことが大切であります。御指摘のとおりであります。本県では、引き続き緊急地域雇用創出特別基金の活用による雇用創出促進事業や新規高卒者未就職対策事業を実施をしてまいります。また、
産業振興施策として、ベンチャー育成ファンドの創設などにより、新産業の創出にも積極的に取り組んでまいります。 また、社会資本の整備については、仙台空港アクセス鉄道や高速道路ネットワーク、IT関連基盤の整備、こういったことを着実に推進してまいります。 次に、宮城発の本県オリジナル事業、どういったものを考えているのか、具体的内容についてのお尋ねでございます。 重点事業候補については、十月に公表いたしました。その中で、例えば来年度に向けた新規又は拡充の事業として、次のようなものを掲げております。ほんの一部を紹介させていただきますと、まず、共生型地域生活支援事業でありますが、これは、重度の重複障害者が中軽度障害者や高齢者と一緒に生活をするという、いわゆる共生型のグループホームでありまして、この運営を支援しようとするものであります。実現すれば、全国で初めての事例であります。みやぎグローバルビジネス推進事業、これは中国との経済交流を宮城県独自の取り組みとして進めていこうとするものであります。みやぎ地球温暖化対策地域推進事業、これはCO2排出量低減に向けて特定地域でのモデル事業の実施です。学校活性化プロポーザル事業、校長の自主性に基づく学校運営の推進です。NPO活動サポート事業、NPOへの資金的支援の仕組みの構築です。こういったような事業を宮城県オリジナルのものとして創設をしていこうと考えております。 次に、建設工事に関連して、不当廉売の防止策や価格以外の要素を取り入れた入札・契約制度を改革すベきでないかというお尋ねでございます。 まず、公正な競争を妨げる不当な低価格入札等の防止対策ということでありますが、これについては、これまでも入札時において、工事現場の安全性や品質の確保という視点に立って工事費用の調査を実施をしております。特に、落札率の低い工事においては、追跡調査を実施するなど、既に取り組んでいるところであります。今後は、低価格入札事案に限りませんが、いわゆる下請へのしわ寄せがないかどうか、労務者の福利厚生費用が削られていないかどうか、こういった点についてのチェック体制を強化してまいります。 また、入札・契約制度の改革については、これまで実施してまいりましたプロポーザル方式などの技術評価方式の拡充を図るなど、価格以外の要素にも配慮した制度の更なる改善に努めてまいります。 次に、雇用対策の取り組みの決意についてのお尋ねであります。 少し数字を申し上げますと、県内の十月の雇用情勢、有効求人倍率は〇・六四倍であります。一月以降、わずかながらでありますが、上昇しております。しかし、倒産やリストラによる非自発的離職者の増加が続いておりまして、そういった中で、有効求職者数が前年同月比で五・九%増という状況でありまして、三十カ月の連続であります。非常に厳しい状況が続いております。更に、今後は不良債権処理が加速されることに伴う離職者の増加が予想されております。これまで以上に雇用情勢の悪化が懸念されております。したがって、雇用対策は県としても最優先の緊急重要課題と認識をし、時期を失することなく適切な対応をしてまいりたいと考えております。 次に、緊急地域雇用創出特別基金事業についてのお尋ねでございます。 新基金事業における、総事業に占める人件費割合及び全労働者数に占める新規雇用者数割合の要件というのがありますが、これは雇用創出効果を高めるために設けられたものであります。これについては国の通知がございます。当該要件は、個々の事業でなく、県、市町村合わせた全体計画について適用するといった通知でありますが、これを受けて、本県では全国に先駆けて、独自の適用方針を決めまして、弾力的な対応ができるようにしているところであります。 また、雇用期間は六カ月未満とされておりますが、この要件についても、新基金事業では、一部事業について最長一年まで更新が認められております。事業を進める上で、支障はその意味では生じていないのではないかと考えております。なお、国に対しては、更に地域の実情に応じたような事業展開ができますよう要件の改善を要望しております。 次に、新規雇用者数の集計についてでありますが、発注者--これは県の事業担当部署及び市町村になりますが、発注者に対して、委託事業者からの労働者名簿や出勤簿の写しなどを徴収することにしております。こういったことを通じて、報告内容を精査するよう指導しているところでありますが、今後は、更に適正に事務執行のために、抽出による実地調査も行うよう検討してまいります。 次に、非自発的離職者の雇用促進のための県独自の再就職奨励金についてのお尋ねでございます。 その実績でありますが、平成十三年度申しますと、再就職奨励金は三十四人の雇用に対して支給しております。業種としては、食料品、電子部品などの製造業となっております。また、今年度は、既に再就職奨励金二十八人の雇用に対して支給されております。最終的には、昨年度の実績三十四人、これを上回るのではないかと見込んでおります。厳しい雇用情勢の中にあって、再就職促進対策として、再就職奨励金は一定の効果があったものと認識をしております。今後の取り組みについては、引き続き雇用情勢が厳しいことから、企業に対する雇用のインセンティブ効果が上がるよう、制度の内容について検討してまいります。 次に、社会需要に呼応した雇用創出プログラムの策定を進めるべきではないかというお尋ねでございます。 少子・高齢化の進行や環境問題の深刻化など社会の潮流を踏まえながら、重点的な行政投資を行うことは重要な課題でありますが、それと同時に、福祉、環境、IT、こういった分野は、今後市場の拡大が見込まれ、新たな雇用機会の創出が期待されている分野であります。このため、県では、宮城県総合雇用経済対策を
取りまとめ、福祉、環境、ITなどの分野に関して、緊急地域雇用創出特別基金事業の活用などを通して、雇用の創出に取り組んでまいりました。 また、今後成長が見込まれる産業分野の中長期的な振興を目指して、みやぎ産業振興重点戦略に基づき、食、バリアフリー、環境、IT、この四分野を宮城県の得意科目とする施策展開を行っております。更には、ベンチャー企業の育成や産業技術の研究開発などに取り組んでまいりました。今後とも、社会経済動向を注視しながら、県内産業の振興と雇用の創出に向けて、必要な施策を積極的に展開してまいります。 次に、高校生の就職対策について、雇用対策の総動員を求めるというお話がございました。 私も先月十四日に経済団体を訪問してまいりまして、来春卒業予定者の採用枠の拡大、確保を要請してまいりました。実際、高校生を取り巻く就職環境、大変厳しいという状況を再認識いたしました。県では、昨年度の就職内定率が過去最低ということでありましたので、求人確保のために、今年度新規に四十の県立高校に就職支援指導員を配置をいたしまして、積極的な求人開拓や就職相談を行っているところであります。また、職員及び学校関係者が県内外の事業所を訪問し、雇用の確保、拡大要請を行っております。 また、今年度の就職内定率が昨年度を更に下回っているという状況にありますので、県内三地区において合同面接会を開催いたしまして、マッチングの強化に努めているところであります。更に、高校生の職業意識が希薄ではないかというお話がございますので、就職支援セミナーの開催や企業などでのインターンシップを通じて、勤労観、職業観の育成に努めております。また、入学した段階から継続的な就職指導を行っているところであります。今後とも、足しげく事業所を訪問し、雇用の確保、拡大を要請するなど、全力を挙げて高校生の就職支援に取り組んでまいります。 次に、障害者の雇用・就労対策についてであります。 現在の厳しい雇用情勢の中で、障害者の就労の促進を図るため、今年度、障害者多数雇用企業等からの物品調達優遇制度を創設いたしました。また、職場において直接的な就労支援を行う障害者就労アドバイザー事業や障害者の職域拡大を図る障害者就労定着促進事業を今年度開始いたしました。ことしの九月には、石巻圏域の社会福祉法人を障害者就業・生活支援センターに指定いたしまして、障害者の就業支援と生活支援を一体的に実施をしてところであります。 今後、障害者の就労促進のための取り組みを一層推進するために、保健福祉部、
産業経済部、教育庁などが連携を強め、個々の障害者のライフステージに応じた支援を行う体制づくりの検討を進めてまいります。 また、障害者のITの利活用にかかわる取り組みでありますが、これについては今年度、障害者を対象としたIT指導者養成を実施したところであります。障害者を講師として活用した障害者向けIT講習会等も実施したところであります。こういった取り組みを更に進め、ITを活用した就労支援のための拠点づくりなどを積極的に推進してまいりたいと、今後、具体的な検討を進めてまいります。 次に、少人数学級の来年度の政策方針について、更に本格的導入に向けて第一歩を踏み出してはどうかということであります。 少人数学級の実施については、各県の実施状況など踏まえながら、これまで、いろいろな角度から検討を重ねてまいりましたが、特に小学校低学年については、学校生活の円滑な適応や、学習習慣を身につけさせる上で有効であると認識をしております。しかしながら、現下の厳しい財政事情から申しますと、直ちに少人数学級の導入ということは難しいものと考えております。なお、習熟度に差が生じやすい、国語、算数、理科、こういった特定の教科では少人数指導というのを実施しておりますが、これも基礎学力の向上を図る上で効果が見られるいうことから、当面は、少人数指導によるきめ細かな指導の充実を図ってまいりたいと考えております。 大綱三点目の御質問であります地球温暖化防止と森林事業についての御質問にお答えをいたします。 まず、地球温暖化防止に係る新しい計画の進捗状況についてのお尋ねであります。 御指摘のとおり、地球規模での環境問題に対処していくことは、地域にとっても大きな課題であります。このことから、来年度末を目途に京都議定書を踏まえた(仮称)新・宮城県地球温暖化対策地域推進計画を策定することにいたしておりまして、去る十月八日、環境審議会に諮問したところであります。 この計画の策定に当たっては、環境審議会の中に、市町村、民間、有識者及び公募委員から成る策定委員会議を設置することといたしておりまして、この委員会議の来年一月の発足に向けて、現在、公募委員の選定を進めております。また、新計画策定に向けて、平成七年三月に策定した宮城県地球温暖化対策地域推進計画の進捗状況の
取りまとめを行っております。十月には、関係二十八課室、地方公所の職員で構成する庁内連絡会議及び検討ワーキンググループを設置をし、全庁的な検討を開始いたしました。今後、県民意識調査、事業者アンケートの実施など、基礎データの収集・分析を行い、本格的な策定作業に着手してまいります。 次に、風力発電導入可能性調査についてでありますが、石巻と気仙沼、二カ所において風況の概況を十一月一日から来年の一月三十一日までの三カ月間調査をいたします。調査結果は、年度内に取りとめる予定であります。 また、低公害車普及促進方策の検討についてでありますが、ことしの三月に改定いたしました宮城県自動車交通公害防止計画では、平成十七年度までに十万台の低公害車を導入する目標を盛り込んでおります。具体的な取り組みとしては、ラジオスポットやパンフレットによる普及啓発の強化、国、県、仙台市、関連業界が連携してハイブリッド自動車や天然ガス自動車の積極的な導入に努めるほか、更に、
学識経験者や運輸事業者、NPOなどで構成する自動車交通公害対策懇談会などでの協議を通じて低公害車の普及、拡大を図ってまいります。 次に、森林整備事業についてお尋ねがありました。 御提言をいただいたように、今や、森林は、人類全体にとって大きな価値を持つ地球的な財産であり、温暖化を防止するための切り札であると認識しております。このような考えのもと、森林整備に当たっては、緑の環境創出という視点で、二酸化炭素吸収能力の高い森林づくりに加えて、広葉樹と針葉樹がまじり合った混交林や複層林など、健全で活力ある多様な森づくりの取り組みを積極的に進めてまいるつもりであります。 更に、木材利用の拡大など、林業の活性化とあわせて、森林の整備を社会全体で支える仕組みづくりを進めていくことが必要と考え、森林整備地域活動支援交付金事業など、新たな支援を始めたところであります。 また、お話のように、森林整備事業は雇用創出効果が極めて高いということから、現在、緊急地域雇用創出特別交付金事業の約三分の一の額を森林整備分野に充てております。最大限の努力をしております。 次に、木質系バイオマスについてでありますが、県内における現在の取り組み状況を紹介いたしますと、発電及び熱エネルギーとして、既に四つの企業が利用しております。県といたしましては、自然エネルギーであります木質系バイオマスの利用は、循環型社会の構築という目指すべき方向でもあり、また、新しい環境関連産業の創出による雇用の場の確保にもつながるものと期待しております。今後、技術開発の動向や成功事例を十分に調査しながら、積極的に取り組んでまいります。 次に、国有林の組織存続への働きかけについての御要望がございました。 青森分局と気仙沼事務所が、国の行財政改革の一環として、平成十年に成立した国有林野事業改革関連二法に基づく組織の合理化により、平成十六年三月末までの暫定組織として設置されたものと承知をしております。県といたしましては、国有林がこれまで地域で果たしてきた役割を踏まえ、これらの組織が統廃合された後においても、その機能が損なわれない運営がなされますよう要請してまいりたいと考えております。 大綱四点目の治安対策については、
警察本部長からお答えをいたします。 私からは、以上でございます。
○議長(佐藤勇君)
警察本部長佐藤正夫君。 〔
警察本部長 佐藤正夫君登壇〕
◎
警察本部長(佐藤正夫君) 岩渕義教議員の御質問にお答えをいたします。 初めに、県警察の当面する課題についてであります。 まず、犯罪の急増に歯どめをかけるために、犯罪の抑止に主眼を置いた諸対策、とりわけ、侵入強・窃盗や、最近、都市部を中心に急増傾向にある路上強盗、ひったくり等の街頭犯罪の抑止、その要因とも言える暴走族及び少年非行対策、あわせて、国分町地区の環境浄化を含む治安対策。また、近年、社会問題となっているストーカー、DV事犯等から女性や子供を守る施策及び犯罪被害者対策、更には殺人等の重要凶悪犯罪や暴力団、来日外国人等による組織犯罪及び銃器、薬物犯罪の徹底検挙、多発傾向にある交通死亡事故の抑止、大規模地震等を想定した突発事案対策、最近の国際情勢を踏まえた国際テロ対策等が挙げられます。県警察といたしましては、これら諸課題に対し、組織基盤の整備を進めるなど、組織の総力を挙げて取り組む所存でありますが、同時に、自治体や関係機関、団体との連携及び県民協力が不可欠であるというふうに認識をしております。 次に、警察施設整備計画審議委員会についてであります。 近時の厳しい財政事情により老朽化した施設の建てかえでさえも大幅におくれている状況にあることを踏まえ、効率的な施設整備を推進していく必要があります。また、一方で、治安情勢の変化に対応し、限られた人員の効率的な運用を図るという観点からも、警察施設のあり方を考える必要があります。このようなことから、これらの問題を総合的に検討審議することを目的にして、本年七月に同委員会を設置したものであります。現在、同委員会では、県内各地域の治安情勢を詳細に分析しつつ、県下全体の治安体制のほか、議員御指摘の各自治体の総合計画や地域住民の要望等も踏まえて、警察署、交番、駐在所、その他の警察施設の新設や統廃合、更には、人員の配置や活動形態の見直し等の総合的な検討を行っているところであります。 なお、計画の策定時期につきましては、今後、施設整備全体の基本的な方向づけを行いつつ、基本的には、予算要求の時期をとらえながら、年度ごとに計画を策定していく考えであります。 次に、南古川地区における交番、駐在所の設置要望についてであります。 当地区につきましては、議員御指摘のとおり、平成十年以降、毎年、地域住民から要望が寄せられておりますが、これまでは管轄交番への警察官の増員配置等で対応してきたところであります。そこで、今後の交番等の新設につきましては、現在、警察施設整備計画審議委員会において、管轄区域の見直しや隣接駐在所の統廃合を含めてその必要性等について検討を進めているところであります。
○議長(佐藤勇君) 二十四番岩渕義教君。
◆二十四番(岩渕義教君) 再質問させていただきたいと思います。 一つだけ、知事の方から御答弁いただきまして、高校生、いわゆる採用の総動員体制をと。面接会場に行っても、よく先生方からも企業の方からも言われるんですけれども、自治体の首長さん方、あるいは知事も含めて民間団体に採用枠の拡大をということでメッセージは送るんですけれども、返ってくることは、民間ではもう大変だと。まず要請をする場合には、自分の要請するところをどれぐらい拡大をしたから、民間の方でもお願いできませんかというならば話がわかるというふうなのが、実は率直な答えで返ってくるんです。そこで、県では昨年、ことし非常勤採用ということで、高校生五十名採用枠をとって採用しましたけれども、この点も、来年はどういう扱いにするのか、その点だけはひとつしっかりと聞いて、民間の皆さん方にも拡大枠をということでお願いをしなければならないなというふうに思っているんです。したがって、来年度の取り扱いどういうふうにするのか、その点だけ再質問させていただきます。
○議長(佐藤勇君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 岩渕義教議員の再質問にお答えをいたします。 ことし初めてやったわけでございます。四十四人採用して十人が一応就職を果たしました。もうちょっと就職を果たせればと思いましたが、状況は変わっておりませんので、厳しい状況は。来年度は、まだ今から確定的に申し上げるのはやや早いんですけれども、ことしの状況、これからの見込みを考えれば、やめたというわけにいかないんではないかということで、もう少し状況を見て対応をしていかなければならないんではないかと、このように考えております。
○議長(佐藤勇君) 五十七番
相沢光哉君。 〔五十七番
相沢光哉君登壇〕
◆五十七番(
相沢光哉君) 通告に従い、順次質問いたします。 大綱一点目の元気の出る宮城県政については、昨年の二月議会の代表質問で超緊縮型予算編成における元気の出る県政運営についてお尋ねしたことをいわば前編といたしますと、今回はその後編という形になりますが、この間、ほぼ二カ年を経過し、大変残念ながら、本県を取り巻く状況はますます悪化し、元気を失っていると指摘せざるを得ません。 当時いろいろと取りざたされた財政再建団体への転落は、やや鎮静化したのか、あるいは鳴りを静めているのか、最近余り聞かなくなりましたが、知事三選後の大幅な歳出カットは、県内市町村、
農林水産業、商工業、また、保健、医療、福祉、教育、文化、スポーツ、各界各層の経営向上努力に冷たい水をぶっかけているばかりであります。財政再建という重い荷物を引きずって歩かざるを得ない今、ある程度の批判は当然覚悟しなければならないのは理解するとしても、県政再興のつかさたる知事の姿勢には、厳しさの反面の温かさ、断固たる決意も、時に人の話を聞いて方針変更する勇気、そして何よりも、トンネルの暗やみにいる多くの県民に対して危機脱出の時期をはっきり明示して、将来への明るい期待を抱かせることが大切と思います。景気の「気」は気分の「気」でもあり、明るい予感を感じてこそ舞台は好転するものであります。県財政回復宣言を何年後とはっきりさせるべきと考えますが、これまで述べた諸点についての御見解を含め、お答えください。 東京大学の神野直彦教授の近著「痛みだけの改革、幸せになる改革」は、大変元気になる本です。人は何のために生きるのか、社会は何のためにつくられているのか、人々が幸せになるためではないか。そうであれば、構造改革も幸福になるための改革でなければならない。そして今、小泉構造改革は、求むべき新しい国民の家の設計図がないために、さまざまな分野で迷路に入り込み迷走していると神野さんは言っております。そして、うれしいことに、構造改革と景気回復は同時にできると、その処方せんも示しています。ここで内容を詳しく述べる時間はありませんが、浅野知事も間違いなくこの本は読んでおられると思いますので、御感想と、示唆を受けられているとすればどこかをぜひお聞かせください。 以下、景気対策と産業振興について数点、端的にお伺いしてまいります。 第一点。景気対策はおおむね国の政策がベースとなりますが、デフレ対策、金融システム再生、不良債権処理など、小泉内閣の経済・金融政策はほとんど効果を上げていません。自民党連立政権としてまことに残念に思います。知事は小泉首相の「構造改革なくして景気回復なし」の政策や、竹中平蔵金融・経済財政担当相の政策をどう見ていますか。 また、小泉首相と浅野知事は共通点があるように感じますが、御自分でいかが思いますか。 第二点。景気対策を地方から行うことはなかなか難しいのが実情ですが、最近の県内の倒産件数、商店街の空き店舗割合、高校生、専門学校生、女子大生の就職内定率、県信用保証協会の保証残高に対する代位弁済の金額と割合をお示しください。 また、その状況から、県内主要産業の景気を快晴、晴れ、曇り、雨、どしゃ降りに分けた場合、おおむねどの辺と判断しているのか、お知らせください。 第三点。デフレスパライルの象徴が土地の価格であり、地価は十一年連続で下落しています。土地政策は、国、地方に国土利用計画法に基づく土地取引の規制や監視制度などインフレ抑制策はありますが、デフレ抑制策はいまだ一つもありません。国に対し政策の転換を促すよう働きかけるべきと思いますが、いかがですか。 また、土地の流動性を高めるために、不動産取得税の廃止や土地関係、住宅関係税率や相続税の見直しもあわせ運動すべきと思います。御所見をお聞かせください。 第四点。今、宮城県の公共工事には落札率という妖怪がばっこしています。二、三年前までは名前も知られていませんでしたが、談合問題を契機に、本県の入札・契約制度の見直しが行われた結果、産声を上げました。正義漢面して地元企業の生き血を吸うのですから、まさに妖怪です。落札率は本年十月末で平均七七・七%にまで下がり、地元建設業界はダンピング合戦で経営危機に瀕し、大手ゼネコンは、異常な競争で採算に合わない、宮城県の発注工事は初めから参加の検討もしないと、地元のたたき合いを高みの見物と報じられています。このような苛斂誅求な悪政が今、宮城県で浅野知事のもとで行われているのです。 先ほど紹介した神野直彦さんは、「構造改革は、愛と優しさを分かち合いながら、すべての人々が幸福になるためにある」のだと言っています。浅野知事、どうか早急に入札・契約制度の見直しを行い、適正な競争と適正な価格が折り合えるよう、従前の最低制限価格の導入をぜひ図るべきと考えますが、お答えください。 第五点。貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小企業にとって、県信用保証協会は大変頼りがいのある存在であります。今、金融機関は、金融庁の指導によって、貸し出し先中小企業に大企業と同様の財務諸表の数字によるランクづけを付し、厳しい査定を課しているだけに、県信用保証協会の経営安定資金一般資金の融資限度額の八千万円までの引き上げ、経営改善対策枠の創設、セーフティーネット保証を取り込んだ県営緊急支援資金の融資枠の拡大等の効果は、県内中小企業にとって大変大きいと思います。近時点でのこれらの状況とあわせて、県内に本支店を有する金融機関の信用保証つき融資の趨勢について概略お示しください。 第六点。昨日、係争中の青葉山県有地の明け渡し訴訟で、裁判長より職権和解案が示されました。長年の懸案事件がようやく解決へ向かって動き出したことを率直に喜びたいと思います。土地明け渡し後、東北大学の新しいキャンパス建設が始まれば、元気が出る宮城県政に大きく貢献することは間違いありません。県は、解決金の支払いはあるものの、基本的に所有権を確認されたことなどから、この和解案を受け入れるべきと考えますが、知事は、いつごろまで、どのような方向で態度を表明されるのか、差し支えない範囲でお示し願います。 次に、食材王国みやぎの取り組みについてお伺いします。 食による産業振興を目指す本県の長期戦略、食材王国みやぎは、平成十三年度のスタート以来二年目を迎え、戦略の三つの柱とする、食に関する情報、人の集まる拠点みやぎの形成、安全安心、健康食材の提供、食に関する多様なビジネスの振興のそれぞれの事業の掘り下げ方、連携のあり方にいまだしの感はあるものの、二年目にして、食材王国みやぎ、食といえばみやぎという官製キャンぺーンの知名度は、ある程度浸透しつつあるのかなと思えるようになりました。 当初、食材王国みやぎという言葉を聞いて、率直に言って抵抗感を感じました。確かに、本県は海の幸、山の幸が豊富で多彩な食材に恵まれてはいますが、他県に比べ、王国と自称してもいいほどの客観的評価が定着しているとは思えませんし、自己中心的な発想がやや鼻につきました。王国と言うからには王様がいなければおかしいんじゃないだろうか。食材の王様なら、カキかな、ササニシキ、ひとめぼれかな、仙台牛かなと考え、もしかすると王様とは浅野知事御本人を想定しているのかなと。まあ、裸の王様という言葉もあるからなと、一人で勝手に考えたり納得したりしておりました。 冗談はさておき、食材王国みやぎという言葉を何度も見たり聞いたりしてきますと、最初に抱いた違和感が徐々に消え、少々生意気なネーミングは、新事業にかける意気込みを込めたメッセージなのかなと思うようになりました。食材王国みやぎ、食といえばみやぎというキャッチフレーズについて、知事として思い入れも多いと思いますので、感想なり抱負なりをまずお聞かせください。 次に、生産、流通、販売、消費の各分野での取り組みが大切な本事業の中でも最も重要なことは、食材そのものの特性をどう把握し、市場での評価をどう高めるか、そのために有効な対策は何かということであります。それには、消費者にわかりやすいように、食材王国みやぎのスター選手にふさわしい品目を二十ないし二十五種類ほど選択して、品目ごとの生産、流通、販売、消費の戦略を徹底して洗い出し、話題性を高めていくべきであります。一方で、一次選考に漏れた品目は、一村一品運動や地産地消の地域性、ユニーク性、希少性などを駆使し、また、地域特産品認証事業などを通じて、食材王国みやぎの名わき役として、みやぎ発食文化の奥行きを感じさせるための役割を担ってもらってはいかがでしょうか。 行政の発想、手法はどうしても、あまねく広く、分け隔てなくとなりがちですが、この事業は、最も資本主義の論理、商業主義の世界と渡り合わなければならない分野です。二年間の本事業の取り組みを見ても、食材そのものをターゲットにしたプロジェクトが全く欠落しております。これではプロである生産・流通・販売業者は人ごとのお祭りと感じて何の緊張感も期待感も抱かず、やる気も起こりません。四年前にせっかく三部統合してスタートした
産業経済部にとっても、県の財政再建と軌を一にしためぐり合わせの悪さがあるにせよ、県の基幹産業の
農林水産業は衰退の一途、地域振興の担い手である商工業、建設業は八方ふさがり状態で、とかくその存在感を厳しく問われている昨今、食材王国みやぎの成否は、宮城県が元気を取り戻すきっかけになるかどうかの試金石になると思います。 これまで述べてきたように、本事業の基軸に食材の代表的品目を選定し、生産、流通、販売、消費の各分野における戦略を検討し、具体的な展開を図る手法をぜひ採用すべきと考えますが、どのような品目を想定するのか、その主な課題をどのように考えるのかについて知事の御所見を伺います。 また、本県産業振興のシンクタンク機関である産業技術総合センターが、食材王国みやぎの事業展開に関してどのような役割を果たしているのか、ハード面、ソフト面の取り組みがあればお示しください。 さて、食の安全安心は、今日、国民の大きな関心事であり、本事業の推進にとっても重要なキーワードとして位置づけられています。昨今、不幸にして韓国産カキの不正混入事件や無登録農薬問題が相次いで起こり、本県産カキや果実類に少なからぬ打撃を与えました。今、消費者が産地や賞味期限の不正表示とか禁止農薬や添加物の使用に極めて敏感なだけに、このような不祥事を二度と起こさせない体制を生産から流通販売の各段階にしっかりと構築し、安全宣言や認証制度の採用によって、一日も早く消費者の不安を解消し、信頼を勝ち取ることが大切です。 また、BSE問題やSRSV対策にしても、考え得る最善の対策が現に講じられており、いたずらに風評被害が助長されないよう、迅速かつ適切な行政の対応を求めたいと思います。これらの諸点に関し、現状を踏まえた知事の御所見を伺います。 更に言えば、SRSVの発生メカニズムはまだ未解明な部分があるものの、もとをただせば水質汚染が原因であり、下水、生活雑排水、家畜ふん尿等が清浄な海に流れ込むことが問題なのであります。膨大な費用を要する下水道処理は、各自治体が望んでもなかなか実現しがたい今日、例えば、技術革新が進む汚泥し尿処理技術の中でも、最近特に注目されている超高温好熱性発酵装置などのように、安い設備・維持管理費で腐敗有機物を効率よく処理して安全な肥料に変換する新技術が開発されており、食の土台となる土壌や海の環境浄化に向けた意欲ある政策も、食材王国みやぎの隠し味として大切であろうと思います。食にかかわる下水汚泥処理など、廃棄物処理の実情と今後の対策について伺います。 さて、若手料理人甲子園は、おいしいみやぎに注目事業の目玉として、みやぎまるごとフェスティバルと並び開催されているイベントですが、昨年の純米酒&食・若手料理人甲子園に続き、本年はすし若手料理人甲子園として開催されました。コンテスト形式のイベントはそれ自体さまざまな問題を抱えがちですが、見た目のおもしろさや絵になる風景という特徴もあります。今回、応募者が少なかったことや優秀作品を宮城の料理として定着させることの課題などはあるものの、官製イベントとしてはまず成功と評価してよいのではないでしょうか。これは決して、すしがテーマだからの身びいきではありませんーーあるかな。後日開催された食の饗宴も、四百名の参加者が大いに盛り上がり、司会や抽せん会の賞品手渡しも担当会員総出で行い、手づくりの意気込みを感じました。この事業は三カ年事業として企画されているようですが、来年度で終了させるのは大変残念に思います。コンテストの対象や食材の生かし方に工夫し、参加者も、家庭の主婦、夫婦、親子の共同調理で競うなどの展開があってもよいのではないでしょうか。 また、この種の企画は、どこかの段階で官から民へバトンタッチをして継続を図るべきかもしれません。いずれにせよ、せっかく生まれた若手料理人甲子園、間違っても若手料理人宮城球場などとやゆされないよう、内容充実に努めてください。今日までの自己評価と今後の展望についてお示し願います。 食材王国みやぎについて、最後に、事業の基本コンセプト、理念に関し伺います。 私は、食材王国みやぎは、基本的に宮城県産の食材を生かすことによって県内農業、水産業の産業振興を図るべきで、他の国内外の食材は県内で一次加工するものに限定すべきと考えますが、知事の発言とされる、宮城県産品にこだわらず、国内、海外の食材を宮城県に集約させて流通していきたいというコメントの真意をお聞かせください。 第二に、私は、食材王国みやぎを宮城発食文化とするためには、単に食材や料理のよしあしのレベルにとどまっていては本当のムーブメントにならないと思います。その意味で大変参考になるのは、イタリアやドイツで盛んになっているスローフード運動だと思います。このことは、さきの食の饗宴で同席した一ノ蔵酒造の鈴木和郎さんの示唆によるものですが、調べてみますと、スローフード運動は、イタリアのトリノ市近くのブラという小さい町で生まれ、単にファストフードのアンチテーゼとしてだけでなく、一、消えてゆくおそれのある伝統的な食材や料理、質のよい食品や酒を守る、二、質のよい食材を提供する小生産者を守る、三、子供たちを含め、消費者に味の教育を進めることがテーマとして掲げられており、現代人の生活のあり方だけでなく、人間らしい生き方、自然との共生を目指す農業のあり方を問うなど、まさに日本人の心に響く内容と深みを持っております。東北の風土にはぐくまれた食材王国みやぎが、日本版スローフード運動の提唱と実践を通じて、「食はいのち」を国内外に発信できることを願って、知事の御所見を伺います。 次に、大綱二点目、「みやぎ発地方分権」について伺います。 このタイトルは、今年六月、石巻市で開催された内外情勢調査会による浅野知事の講演会の演題から借用させていただいたものであり、質問の素材も主にそのときの講演録に基づいておりますことをあらかじめお伝えしておきます。 講演録の表題「みやぎ発地方分権」の下に、やや小さく「地方分権の本当の意味」と、これは編集部がつけたものでしょうが、サブタイトルが記されています。私自身、一読、再読しても、本当の意味とは何を指すのかよくわからなかったのですが、これは私の理解力が低いからだと思います。ともかく、大勢の聴衆を前に、多分、一時間半はお話しされた内容は、かたい題材を浅野流に軽妙な語り口で語り、随所で聴衆の笑いを誘ったりしたのだろうと想像できます。 さて、講演の前半部分は、「地方分権が進んでいないことの弊害」と題して、補助金行政や官官接待、口きき、放漫財政の原因となる財政的錯覚、箇所づけ、一律主義のリスクなど、我が国の中央対地方のさまざまな問題点について述べております。現状は確かに御指摘のとおりなのですが、地方分権一括法が制定されたとはいえ、現に中央省庁の体質や権限が基本的にまだ変わっていない今日、知事がかつて中央省庁に身を置いていただけに、攻守ところを変えて声高に正論を述べ、痛いところを突く、補助金獲得や箇所づけに背を向けるという姿勢は、行政評論家ならいざ知らず、七十一市町村を束ねる一県の頭領としては、中央対地方の円滑な情報交換もぎくしゃくして、今日見る本県の元気のなさの一因ともなっているのではないかと思います。この点、私は既に引退された元参議院議員の遠藤要さんの政治手法を対極的なものとして思い浮かべるのですが、それはともかくとして、地方分権を進める上での国と地方の問題点と本県の状況について、改めて知事の御見解をお聞かせください。 第二点は、地方分権を推進する理由の一つに、国のやるべき仕事を国際化時代に対応した強力な国家経営と専門性の確保に専念するように、言いかえれば中央はスリムになる必要があることを挙げており、当然の主張であると思いますが、受け皿となる地方は、都道府県であれ市町村であれ、明確な理念に基づいたあるべき姿が余り語られていないように感じました。また、税財源の地方移譲を進めることにより、従来のあれもこれもから、あれかこれかに変わり、自治体の財政的な規律が高まり、放漫さがぐっと縮まる。納税が民主主義の原点であるから、地方分権で納税者と行政との緊張関係が深まり、日本に本当の民主主義を根づかせることができると述べておりますが、本当にそうなるのでしょうか。どだい、政治も行政も手段であります。国や県、国民や県民は、手段に対して能動的、受動的であれ、主体となるものです。主体が未来に向け、よりよい状態であることを求めることが目的であります。例えば、国においては平和と繁栄、企業においては存続と発展、個人においては幸せというように、主体は独特の体質を持つものですから、その体質を十分考慮しながら目的を定め、最善の手段を講じることが常に最重要であると私は考えます。 この観点から「みやぎ発地方分権」を見ると、主体としての宮城県ないし宮城県民、手段としての地方分権は読めても、主体が将来どうあるべきなのか、どのような姿を目標としているのかが明瞭に伝わってきません。目的は、言いかえれば理念、理想、夢とも言えますから、本来、知事の得意の分野でなかろうかと思います。繰り返しますが、手段だけが変わっても、目的が明示されなければ、実態は変わらないか、かえって混乱すると思います。いささか禅問答風になりましたが、これらの論点に関し、知事の御所見を伺います。 第三点は、市町村合併と道州制についてであります。 ここでは、現在、県内で見られる市町村合併の個々の問題についてはあえて触れません。ただ、私の基本的な考え方を述べさせていただければ、市町村合併は積極的に取り組むべきと思いますし、道州制についても、徹底的な理念や目的の議論を重ねた上でのコンセンサスが得られるのであればという条件つきで賛成であります。 さて、知事は、市町村が主役と言っても、それなりの能力と規模を持たなければならないとして、例えばという仮定つきで、県内の市町村が十市になったら、県は要るでしょうか。早々と県は退くべきですとあっさり述べ、五十年続くのか百年続くのかわからないが、県は経過的存在で、いつかは消えると言い切っております。私はこの知事の思考の中に大きな錯誤があると思うのは、県内が市町村合併で十市になるという前提--道州制でつくられる、例えば東北道が必然の存在という前提に立っているように思うからであります。これは極めて乱暴な論理で、商工会の縮小・削減や高校再編の統廃合と同じく、数字上の合理性や性急なトレンド信仰に毒された考え方に知事は支配されていると言わざるを得ません。明治四年の廃藩置県以来、百三十年余の歴史を有する都道府県制度は、それぞれの地域のアイデンティティーとして固有の歴史、伝統、文化をはぐくんできており、日本人のDNAに刷り込まれていると言って過言ではありません。さきに述べたように、道州制を新たに取り入れるのであれば、その必要性と目的、理念を徹底して吟味し、日本人の意識改革に果敢に取り組んでいかなければなりません。地方自治体の責任者の発言としてはいかにも思慮が浅く、軽過ぎる発言と思いますが、知事のお考えをお聞かせください。 第四点は、地方分権を推進する上で、地方公共団体の執行機関とよく車の両輪に例えられる議会の果たすべき機能についてであります。 残念ながら、知事の「みやぎ発地方分権」の講演では議会に関しての言及はほとんどありませんでしたが、地方分権一括法の制定以来、国の機関委任事務と団体事務が自治事務と法定受託事務に変わったことから、地方自治法第九十六条に規定する議決事件の範囲が議員発議の条例によってより拡大されることになったのは、先日、秋葉賢也議員の質問にあったように、我が国の地方分権のあり方を論ずる上で極めて重要な要素と思います。本定例会でも、県の基本計画等に議会議決を定める条例案が提案される運びになっておりますが、知事は、議会のこのような動きを含め、地方分権新時代における議会の役割をどう評価し、どう対応していくか、お考えをお示しください。 以上で、私の一般質問を終わります。 御清聴まことにありがとうございました。
○議長(佐藤勇君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 相沢光哉議員の御質問にお答えをいたします。 まず、大綱一点目は、元気の出る宮城県政についてということで幅広い御質問をいただきました。その中で、景気対策と産業振興についてというお話がございます。 まず初めに、元気の出る県政に関して、県民に将来への明るい期待を抱かせるためにも、県の財政回復宣言を、何年後だということをはっきりさせるべきではないかというお尋ねがございました。 本県財政を取り巻く環境は、今なお極めて厳しい状況が続いていると言わざるを得ません。こういった中で、本県では昨年十月に財政再建推進プログラムを策定し、プログラムに即して今年度の当初予算を編成した結果、ことしの三月にお示しした財政の中期見通しのとおり、プログラム策定前には平成十七年度までに八百三十億円もの財政赤字が発生する見込みであったわけでありますが、それが百六十一億円まで縮小し、よほどのことがない限りプログラム期間内での準用財政再建団体への転落はないものと確信を持てるまでに至っております。 しかしながら、極めて厳しい税収などの動向を見ますと、また、今後の国の三位一体の改革いかんによっては、予断を許さない状況も考えられます。したがって、財政回復宣言の年度を明確に言えというのは、現在のところ、その状況にはないものと言わざるを得ません。 次に、東京大学の神野直彦教授の著書「痛みだけの改革、幸せになる改革」、この中で、構造改革と景気改革は同時にできると主張しておられるような内容についての感想、示唆を受けた点についてどうかということですが、この本は私も読みました。神野先生御本人から送っていただいたのですぐに読みましたが、また改めてちょっと今回のためにも読んでみましたが、この著書、大変わかりやすい語り口で書いてありまして、ただ、余りわかりやす過ぎて、国債は返さなくてもいいんだなんていうような、ちょっとどきっとするようなところもありますけれども、よく読んでいけばなるほどとわかる。非常に深い学識でありながら、一般のというか、読者にも非常に理解しやすい形で書いてあるということに、まずは感銘を受けました。 この中で、社会全体の構造が大きく変わりつつあり、経済システムと同時に政治システム、社会システムをもトータルで変えていく必要があるという点を強調されています。この辺がポイントだろうというふうに思っております。経済システムだけを独立して取り出していくのではないという点が印象に残りましたが。そういう中で、大量生産、大量消費社会から知識情報社会へと転換をしていると。ここでは、人間の信頼関係に基づいた社会的セーフティーネットの再構築の必要性というのが明確に説かれております。新しいサービス産業や、それに伴う雇用が創出されるという主張がございました。その中では、特に福祉、医療、教育、こういった視点に立った議論が展開されておりまして、これはやや自分の方に引き寄せて読んだということもあるかもしれませんが、これまで福祉、環境、教育といった基軸で新しいみやぎづくりを進め、新しい産業の創出や真の豊かさの実現に取り組んでまいりました私といたしましては、その面では大いに共感をし、また、意を強くするという部分がございました。 神野先生は、構造改革をなし遂げた後の、より人間的な社会の実現に向けてということで、地域社会に根差した地方自治体による取り組みが非常に重要であるという点を強調されております。この点も深く共感をいたしました。深い学識に基づく御意見は大変参考になるということで、今後の県政運営にもこれを参考にさせていただきたいと考えております。 次に、小泉首相の構造改革や経済・財政政策、金融担当相--竹中大臣ですね--の政策についてのお尋ねでございます。 今の神野先生の本の中でも、小泉首相の政策への方法論的な批判もございました。これも共感する部分がありますが、基本的には、これまで私、申し上げておりましたように、真の変革のために必要な大胆な構造改革というものは必要であり、これが景気回復にもつながるということについては、私も賛意を表してまいりました。そういう中で、竹中大臣の掲げる政策というのも、その構造改革の一環、一翼を担うものであるということでございます。 しかしながら、特に最近のいわゆる竹中案というものの問題点も、ここに来て明確になってきているのではないかというふうには考えております。金融システムの正常化が不可欠であるということを声高に語られ、そして不良債権処理の加速ということがまさに前面に出されておりますが、こういったことが優先されれば企業の事業展開の意欲がそがれ、我々地域経済の失速につながりかねないということで、極めて大きな懸念を抱いております。 また、小泉首相と私に共通点があるのではないですか、自分でどう思うんですかと聞かれましたが、ちょっとよくわかりません。後でそっと教えていただければと思います。 次に、最近の県内の倒産件数、空き店舗割合などの数値についてお尋ねがございました。また、県内主要産業の景気を天気に例えたらどうかということもございました。 まず、数字の方から申し上げます。県内の企業倒産状況でありますが、民間信用情報機関の調査によりますと、ことしの一月から十月までの累計二百九十四件。企業倒産状況ですが、二百九十四件、負債総額一千百十六億円です。商店街の空き店舗割合。商工会などの協力を得て行った調査によりますと、ことしのこれは六月一日時点でちょっと古いんですが、一一・三%であります。高校生の就職内定率、十月末現在で三〇・三%。大学生、専門学校生については、県内調査結果はまとまっておりません。全国の数字でいいますと、十月一日現在、大学生男子六七%、女子六〇・一%、専門学校生三六・一%。これは全国の数字であります。また、宮城県信用保証協会の保証債務残高、十月末で三千六百九十八億円。当期中の代位弁済は七十九億四千百万円。保証債務残高に対する割合は二・一五%。これが代位弁済の割合です。二・一五%であります。 次に、景気の状況を主要産業ごとに天気に例えたらどうかと。これはちょっと、余りやりたくないんですけれども、試みに、単純に産業別に、この七月から九月の第三・四半期の経済指標を前年同期と比較したもので見てみました。製造業についてでありますが、鉱工業生産指数が前年同期比で七期ぶりにプラスとなったということを初め、雇用関連の求人数、所定外労働時間、実質賃金指数ともにプラスとなっております。しかしながら、一方で倒産件数は増加しているということで、これは曇りということです。建設業については、倒産件数は減少いたしましたが、全産業に占める割合が四割と最も多くを占め、雇用は実質賃金指数が増加しましたが、求人数、所定外労働時間ともに減少。これは雨と。卸売・小売業は、大型小売店販売額が十二期連続で前年割れとなっており、倒産件数の割合も建設業に次いで二割を占めております。雇用は、求人数と実質賃金指数の増加が見られますが、所定外労働時間は減少しております。卸売・小売業は曇り。サービス業。雇用で求人数の増加がありますが、所定外労働時間、実質賃金指数減少です。倒産件数は増加です。サービス業については曇り。やや乱暴ですが、お尋ねでございますので、こんなことで考えております。 次に、土地政策としてのデフレ抑制政策について国に働きかけるべきではないかということで、税制などについてもお尋ねがございました。お答えをいたします。 国では、平成九年二月の新総合土地政策推進要綱において、今後の土地政策の目標を地価抑制から土地の有効利用へと明確に政策転換を行いました。この政策転換を受けて、土地取引届け出の価格審査の廃止や容積率の見直しを初めとした土地利用に関しての各種規制緩和がなされました。また、税制、金融の面からもさまざまな施策が講じられております。しかしながら、こういった施策の効果は、残念ながら十分にあらわれておりません。国では土地の有効利用につながる政策の更なる充実が図られることを、我々としても期待するものであります。 次に、税制ですが、土地の流動性を高めるための税制の見直し、国に働きかけるべきではないかというお尋ねであります。 政府の税制調査会から先月出された答申を見ますと、土地税制に関する内容は、次のようになっております。バブル崩壊後、土地市場が利用価値に応じた実需中心の市場へと構造的に変化してきている中で、デフレ経済の克服や土地再生の推進を図る観点から、土地税制についても必要な軽減策を講ずべきとする考え方が紹介されております。その一方において、不動産取得税や固定資産税といった土地に関する税は、地方自治体の貴重な財源であります。したがって、こういった財源が安定的に確保されるべきであるという考え方も一方で示されております。両方示されているわけであります。 現在、まさに来年度の税制改正に向けた具体的検討が進められておりますが、土地税制の政策誘導的な側面というものと地方税源の確保という側面、この両面にわたる総合的な議論が行われる必要があると考えております。特に我々の場合には、地方自治体の貴重な財源の確保というのも一方で必要なものですから、立場上は、これは確保してくださいという両面の作戦で提言などを申し上げているところでございます。 次に、建設工事に関しての従前の最低制限価格制度を導入すべきではないかというお話がございました。 適正な契約価格は、経済の市場競争原理を基本とする適正な企業努力の競争によって定まると考えておりますが、最低制限価格制度というのは、一定の基準額に満たない入札は一律に失格というふうにする制度でありますので、その意味では適正な企業努力をも排除してしまうというおそれがあります。国においても、企業努力の促進と品質の確保を徹底するという観点から、最低制限価格制度から低入札価格調査制度への移行に努めるべきという方針を示しているところでありまして、今後とも審査体制の整備を図りつつ、適切な低入札価格調査制度の実施に努めてまいります。 次に、県中小企業融資制度資金の融資状況及び金融機関の信用保証付融資の趨勢についてであります。数字をもってお答えをいたします。 まず、県中小企業融資制度資金におけることし十月末現在の実績でありますが、新規融資額三百九十五億六千万円、これは前年同期比六七%の増加です。十月末現在、融資残高では七百十億円。これも前年同期比二〇%増であります。特に、いわゆるセーフティーネット保証制度を取り込んでいる経営緊急支援資金については、さきの九月県議会の補正予算で融資枠を拡大したところでありますが、これについては新規融資額が大幅に増加しております。百十八億六千万円増加しております。融資残高では百二十九億九千万円となっております。 また、県内に本店、支店のある金融機関の信用保証付融資に係る県信用保証協会の新規保証承諾額でありますが、これは九百二十億七千万円、前年同期比一六%の増であります。保証債務残高については、昨年三月で終了した時限措置としての中小企業金融安定化特別保証制度の返済が進んでおりますので、こちらの残高は三千六百九十八億円、前年同期比一〇%の減でございます。 次に、青葉山県有地訴訟の件についてのお尋ねがございました。 この件については、ことしの九月二日に裁判長から和解勧告が既に出されております。そして十一月二十九日までに、これに基づいて四回、和解協議が行われました。そして昨日、裁判長から公開の法廷の場において和解案の骨子がお示しされたところであります。県といたしましては、今回示されました和解案については、裁判長の意向をしっかりと受けとめて、次回の和解協議--これは十三日でありますけれども、このときまでに回答できますように、真剣に受けとめて検討をさせていただきたいと考えております。 次に、この項目の二点目の、食材王国みやぎの取り組みについて何点かお尋ねがありましたのでお答えをいたします。 まず、食材王国みやぎ、食といえば宮城という、このキャッチフレーズについて、感想、抱負についてどうかということでございます。 議員からもいろいろ話がございました。食材王国というのはちょっと言い過ぎではないかというようなこともありましたが、私とすれば、確かにそういう面はありますが、言っているうちに定着してくるものだと。むしろ、そのキャッチフレーズに合わせて実態が伴っていくのではないかということ、また、インパクトが大きいということで、これの伝達力というものもあるのではないかというふうに思っております。その意味では、このキャッチフレーズは今のところ成功ではないかと思っておりますが、問題は実態でありますから、キャッチフレーズに実態を合わせていくべきものと考えております。 次に、食材王国みやぎにおいて、食材の代表的な品目を限定するというか、選定して、話題づくりや売り込みを行ってはどうかという、これは御提言がございました。 食材王国みやぎは、食を起点とした、生産から流通、販売までのトータルな食関連産業の振興を目指しているものであります。施策を進めるに当たって、御指摘のように、本県の一次産品の豊かさ、すばらしさというものが基本であると考えております。例えば、県といたしましても、みやぎの園芸ブランドパワーアップ推進事業や地域水産物マーケティング促進事業などにより、仙台イチゴや生カキといった宮城を代表する食材のブランド確立に向けた取り組みを行ってまいりました。このように本県は、全国に通じるブランドも含め、自然の恵みが豊かで、まさに食材の王国と考えております。しかしながら、ややもすると料理や食材の評価という点では特色に欠けるのではないかという御指摘もございます。お話がありましたように、宮城といえばこれだというように、本県の食材を県内外にアピールするということも必要であろうと。そういった点からの先ほどの御提案ではないかと受けとめさせていただいております。 加えて、こういった食材を、生産、流通、販売にわたって、食材王国みやぎの事業の中で展開してはどうかという御提案がありました。その際の品目を選ぶということについての御質問がございました。 県といたしましては、こういった視点での事業展開、これまで目指してまいりました。例えば、ことし十月のすし若手料理人甲子園では、県の特色ある食材でありますフカヒレ、ホヤ、ギンザケなど三十三品目を指定いたしました。この指定の品目の中からどんなすし料理がつくり上げられるか、それが視覚的にも味覚的にもどうアピールするかということを目的として開催いたしました。いずれはこういった結果を集大成して、県内外にPRしていきたいと考えております。 ただいま御提案いただきました具体的な内容については、今後、我々だけではなくて、社団法人日本ホテル協会宮城県協議会、宮城県漁業協同組合連合会などで構成する、おいしいみやぎに注目事業実行委員会の中で十分に検討をさせていただきたいと考えております。 次に、産業技術総合センターの役割、食材王国みやぎの事業展開の中でどういった役割を果たしているのかということでございます。 産業技術総合センターにおいては、平成十一年度のオープンに合わせて食品バイオ技術部を新たに発足させました。食品関係の幅広い研究を行い、また、食品製造業界からの技術相談や新商品開発のための技術支援を行っております。研究面においては、昨年、「純米酒と食」のテーマで若手料理人甲子園を実施いたしましたが、これは、産業技術総合センターにおける酒造協同組合との共同研究開発成果であります「宮城マイ酵母」の誕生を契機としたものでございます。現在、この「宮城マイ酵母」の更に一段階上の優良酵母の開発に取り組んでいるところであります。また、食中毒原因菌の迅速検出技術の開発や食品素材中の抗酸化効力の解明などにも努めているところでございます。今後、さまざまな本県の農林水産の食品素材について、健康機能性やおいしさ、鮮度保持を高いレベルで保証できる高付加価値化の技術開発に力を入れるなど、産業技術総合センターにおいて、研究面、技術面において食材王国みやぎを支えるべく、体制強化に努めながら成果を上げてまいりたいと考えております。 次に、食の安全安心についてのお尋ねであります。 御指摘がありましたように、食材王国みやぎを進めて行く上で、食の安全安心の確保というのは極めて重要な課題であると認識をしております。これまで県といたしましては、宮城県産食品に関する適正表示協会制度の創設、トレーサビリティーシステムの検討、農薬の指導・監視体制の強化、牛の個体情報管理システムの実用化、こういった施策を展開してまいりまして、消費者の信頼回復に努めてまいりました。ことしの十月には宮城県食の安全安心対策本部を設置し、食の安全安心確保のための総合的な取り組みに努めてまいりました。また、今年度末を目標に基本方針を策定し、生産から消費に至る情報の共有化、安全で安心できる食材や食品の生産の推進、監視指導の強化及び生産者、事業者、消費者、行政の役割など、基本的考え方や施策の方向性についてお示しをすることにしております。 また、基本方針の実効性とその普及を的確に進めるために、条例の制定も視野に入れた検討を進めてまいりたいと考えております。 風評被害が助長されないように適切な対応を求めるというお話がございました。消費者に対しては正確で迅速な情報提供が必要であります。また、情報公開、食の安全安心に関する知識の普及というのも重要でありまして、その意味での適切な対応に努めてまいります。 次に、下水汚泥処理などの廃棄物処理の実情と今後の対策についてのお尋ねであります。 汚水処理施設の整備により公共用水域の水質改善が図られておりますが、県内には依然として水質環境基準が達成されない水域があります。下水道など汚水処理施設の整備が欠かせないものとなっています。し尿や生活雑排水対策は、市町村が主体となって実施しておりますが、今後も市町村と連携を図りながら、公共下水道、農業・
漁業集落排水処理施設、合併処理浄化槽の普及を促進してまいります。 なお、下水汚泥の処理については、平成十三年度の県内における汚泥発生量は約十四万六千トンであります。その処理は、流域下水道及び仙台市など一部における焼却による減量化や、のり面緑化基盤剤などの有効利用を図っておりますが、その他は、残りは宮城県環境事業公社の小鶴沢処理場に約五万五千トン搬入されておりまして、埋め立て処分されている現状であります。 今後、下水道の整備促進及び普及拡大に伴い排出量の増加が見込まれることから、技術動向を踏まえ、排出抑制や減量化、有効利用の促進を図ってまいります。 次に、若手料理人甲子園について、三年でやめるのはいかがかということでありますが、この事業は全国発信を目指して二年間実施してまいりました。その結果、全国からこれに対する応募がありまして、マスコミでも数多く取り上げられました。おいしいみやぎに注目事業のねらいであります食材王国みやぎということを全国に発信できたものと思っております。こういったことから、食といえば宮城というイメージ定着の足がかりになったものと思っております。実際にこの審査をお願いいたしました料理評論家の岸朝子さん、山本益博さん、こういった方々から高い評価をちょうだいしております。また、全国十数都道府県から問い合わせがありまして、各方面からもこのコンテストの定着と継続を望む声が出ております。 今後は、この事業は実行委員会方式でやっておりますが、それを構成している関係団体などと協議の上、お話がありましたように、民間へのバトンタッチということも念頭に入れまして、コンテストのあり方について検討をしてまいりたいと考えております。 次に、国内、また海外の食材を活用した食材王国みやぎ、そういったコメントを私が申し上げているわけですが、これについては真意はどうかというお尋ねがございました。 食材王国みやぎというのは、豊かな食材を利用しながら幅広い食関連産業の振興を図っていくということを目指した取り組みであります。そもそもは、製造業としての食関連産業の振興ということが念頭にあったわけです。その際には、まずもって県産食材の活用ということが県内の第一次産業から第三次産業までの活性化につながるという認識を持っております。こういった意味で、県産食材の利用は、食材王国みやぎの確立にとって不可欠であると考えております。その一方において、食関連分野が社会環境の変化に的確に対応した産業として発展していくためには、国内外の食材を利用した料理や食文化、生産技術の県内への移転についても集積を図っていくことが有用ではないかと考えております。食に関するさまざまなビジネス機会をつくり出していくという視点も必要とされております。 こういったことから、食材についても、本県産にこだわるということではなくて、生活者の関心や注目を集めるような内外の食材も視野に入れながら、食関連産業全体の振興を図ってまいりたいと考えてのものでございます。 次に、スローフード運動に関してのお尋ねでございます。 食材王国みやぎとの関連ということでありますが、スローフード運動についての、その趣旨の御紹介がありました。こういったような動き、基本的な考え方も含めて、極めて現代において重要な観点であると考えております。このため、県といたしましても、食を通じて人と人や地域との関係を問い直すという意味で、みやぎ食育の里づくり事業というのを推進しております。 更に、食材王国みやぎの中でも地元食材を重要な資源ととらえておりまして、県産食材を題材としたおいしい地域づくり事業というのを進めております。また、学校給食への県産食材供給システムの構築を通じ、第一次産品の振興のみならず、食文化の伝承ということにもつながる取り組みを進めております。こういった取り組みを今後とも積み重ねていきたいと考えております。地域の食の再生をうたうスローフード運動とも連携し合いながら、食材王国みやぎの確立に努めるとともに、宮城の食文化の発信に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、「みやぎ発地方分権」についてのお尋ねにお答えをいたします。 「みやぎ発地方分権」というのは私がことしやった講演の表題でありますが、この講演録を読んでいただいて、率直な感想、批判も含めていただきました。大変ありがたい御指摘だったというふうに思っております。 この中で、地方分権を進めていくに当たってのいろいろな問題点というのを、私も率直に申し上げさせていただきました。国の役割というものは、国家の存立にかかわる事務や全国的な規模又は視点に立って実施すべき施策や事業などに重点化すべきであり、住民に身近な事務については基本的に地方が担うべきものというのが基本的な考えにあります。 こういった中で、地方が自己決定、自己責任をすることができるための財政的基盤ということになりますと、まだ確立されてはおらず、補助金やいわゆる必置規制による国の関与というのも依然として存在しております。このために、国と地方の役割分担を見直して、国の地方への関与を必要最小限にとどめることが必要ではないかということ、これが課題であると考えております。 また、財政面における地方の自立を確立していくために、各種の弊害が指摘されている補助金を削減し、国から地方への税源移譲を実現していくことが当面最大の課題と考えております。 また、県といたしましては、中央頼みの施策を念頭にした思考停止症候群に陥らないよう、地域の課題をみずから酌み取り、政策を立案、決定、実行する政策立案型官庁を目指した取り組みを進めております。国に対しても、そういった立場から、みずからの考えを今後とも主張してまいりたいと考えております。 次に、宮城県が将来どうあるべきで、どのような姿を目標にしているのかということも、この地方分権の議論の中では重要なことではないかと。目的と手段の関係についての御指摘がございました。そのとおりだと思います。宮城県の将来像というものをまず見据えて考えていかなければならないということについては、平成十二年三月策定の宮城県総合計画の中においても、真に豊かな安心とゆとりの地域づくりということを目指して、さまざまな施策についてお示しをしているところであります。また、県政の方向性についても、毎回の県議会などを通じてお話を申し上げているところであります。 そういった将来像の実現のためには、県としてさまざまな具体的な施策を行っていく必要がありますが、その際にも、地域において真に必要な施策を地域の住民が選択して、地域の権限と財源をもって展開していくという視点が重要であります。私の講演においても、そういったようなことの重要性を述べさせていただいたものであります。 次に、道州制についての認識であります。 私の論が、数字上の合理性やトレンド信仰に毒された考えに支配され、自治体の責任者の発言としては思慮が浅いのではないかというお話がございました。いろいろ御意見もあろうと思います。道州制については、これからの課題として、市町村合併が進んでいく中で、国の地方への関与の縮減や国から地方への税源移譲などが実現するなど、市町村が一定の規模と能力を備えて、自主自立のための基盤が確立された先においての具体的な課題であると認識をしております。これまでも申し上げてまいりましたが、道州制は、国と地方のあり方の根幹にかかわる課題であります。都道府県合併の形をとるのか、更には連邦制的な形まで進めるのか、さまざまな形態が想定されます。国と、その道州の役割分担、税財源のあり方など制度の枠組みをどうするか、これから本格的に議論を積み重ねていく必要があるものと考えております。 最後になりますが、地方分権新時代における議会の役割についてのお尋ねにお答えをいたします。 地方分権一括法など地方の権能は着実に拡充されてまいりましたが、この流れを確実に我が物とし、実績を積み重ねていくことが、真の地方分権、地方の自立につながるものであります。この意味で、地方団体の意思決定、行政推進の車の両輪の一つとして議会の役割、これまた極めて重要なものと認識をしております。 これまで、みやぎ食と農の県民条例や宮城県男女共同参画推進条例など多くの実績を積み重ね、全国をリードしてきたのが
宮城県議会であります。こういったように、これまでとは違って、執行部が提案し、議会が議決するというだけの関係ではなくて、議会もまた積極的に具体的な提案をし、論議がなされるという姿でありますが、こういった姿こそ、真の地方分権を実現していくためにふさわしいものと考えております。 ただいま、県の基本計画などを議会の議決事項にするという考え方に基づいた条例案に関しての議論が行われているという紹介がございました。この件に関しては、先般、秋葉議員の御質問にもお答え申し上げましたように、執行部というか、我々からすれば、法論理的な問題、また実務的な論点、こういったものも幾つかあるのではないかと考えておりますので、こういった点も含めて十分に検討されるということを我々としては期待するものでございます。 以上でございます。
○議長(佐藤勇君) 五十七番
相沢光哉君。
◆五十七番(
相沢光哉君) 一点だけ再質問をさせていただきます。 公共工事に係る最低制限価格は、知事の今の御説明ですと、適正な企業競争を一定の線で切ってしまうので好ましくないと。低入札価格調査制度を今後も続けていく、こういうお話なんですが、現状の、もう八割も切るような、あるいは物によっては七割も切る、五割近い、そういうふうな落札率になっているわけですよ。もともと予定価格が、今は公表されるようになっていますが、設計価格そのものではないんですね。設計価格から、多分、五%ぐらい引いた数字で予定価格を設定されているんではないかと思います。その線から更に八〇を切ってくるという状態が適正な企業競争の範疇に入ると考えること自体が、私はもう間違っていると思います。大量生産・大量消費の、百円ショップのような、ああいう市場価格がつくられる世界と、要するに公共工事というのは、一つ一つ手づくりで、あるいは材料をかけてつくっていくわけでありますから、当然ながら再生産に足る利益を確保するのが当たり前で、かつ、そのことによって地域産業の育成ということも本来あるわけですね。宮城県の現在の状況というのは、要するに、歳出を減らせ減らせということで、何でも低くすれば一番いいという形になり過ぎているわけです。そこが問題であって、じゃ、現状の今の入札価格というものが適正な企業競争のレベルに十分あるという、そういう判断をオーソライズされた機関ができるでしょうか。また、そのようなことを問い合わせしているでしょうか。単に低入札価格調査制度というものをつくって、ヒアリングをして、まあ、ある程度の説明があれば、はい、じゃ発注しますということをやっているだけの話でしょう。そういうことを、知事はもっと実態を調査されて、自分ではだで知っていただくような、私はリーダーであってほしいというふうに思います。この点について、この本会議でも何人もの議員がこの件を質問しているわけであります。そういうしゃくし定規な、通り一遍の答弁というのは、私は大変不満に思いますが、改めて知事の御見解を伺います。
○議長(佐藤勇君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 相沢光哉議員の御質問にお答えいたします。 今お話があったように、この議会でこれまでに、もうほとんど全員の方がこの問題について御質問をされておると。大変な関心の高まりということを私どもも実感をしております。そういう中で、今、具体的に、最低制限価格制度についての導入を改めてすべきではないかというお話がございました。 結局、詰まるところは、低入札価格調査制度というものが機能しているんですかと。通り一遍に調査して、安ければいいんだと、これでいいんだというふうにしていると今言われましたが、そうであるかどうかということが論点です。ですから、何度も申し上げておりますように、まさにでき上がった成果品。これについては、やはり労賃の問題も御指摘ありました。これもしっかりと確認していかなければなりません。しっかりとした体制で、成果品としてしっかりしたものができているということを、我々の調査で実態として後づけていかなければならない。それが十分でないというんであれば、これは問題です。ですから、今、論点になっておりますのは、低入札価格調査制度がまさに機能しているかどうかという問題に結局はなるんだろうと思います。 で、先ほどもお答えしたように、最低制限価格制度というのは、その額を決めますと、ともかく頑張って頑張って、それより下の額をやったら一律にだめというふうに、もう制度としてやるものですから、これが本当に企業努力ということを考えてのことになるかどうかというのが我々の論点です。このように考えて、我々は、適切に執行をしていきたいと考えております。
○議長(佐藤勇君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。
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△散会
○議長(佐藤勇君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後三時十六分散会...