平成11年 2月 定例会(第277回) 第二百七十七回
宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)平成十一年二月十八日(木曜日) 午前十時二分開議 午後二時十一分散会 議長
佐々木久壽君 副議長
黒須光男君
出席議員(六十一名) 第一番
遊佐美由紀君 第二番 横田有史君 第三番
藤原範典君 第四番 秋葉賢也君 第五番 安住政之君 第六番
池田憲彦君 第七番 村井嘉浩君 第八番 菊地文博君 第九番 安藤俊威君 第十番 熊谷義彦君 第十一番 岩渕義教君 第十二番 小野寺初正君 第十三番 菅間 進君 第十四番 袋 正君 第十五番 安達 豊君 第十六番 森 信之君 第十七番 中村 功君 第十八番 渥美 巖君 第十九番 柏 佑整君 第二十番
菊地健次郎君 第二十一番 畠山和純君 第二十二番 安住宣孝君 第二十三番 内海 太君 第二十四番 坂下康子君 第二十五番
木村洸也君 第二十六番
本多祐一朗君 第二十七番 石橋信勝君 第二十八番 伊東 憲君 第二十九番 萱場正美君 第三十番 長谷川 章君 第三十一番 渡辺栄一君 第三十二番 土井 亨君 第三十三番 藤倉知格君 第三十四番 遊佐雅宣君 第三十五番 千葉 達君 第三十六番 高橋浩一君 第三十七番 佐藤勝彦君 第三十八番 菊地 浩君 第三十九番 高橋長偉君 第四十番 大沼迪義君 第四十二番
佐々木ひろし君 第四十三番
菅野信男君 第四十四番 長谷川 正君 第四十五番
坂下清賢君 第四十六番 長島秀道君 第四十七番 錦戸弦一君 第四十九番 根深善雄君 第五十番 斎藤栄夫君 第五十一番
黒須光男君 第五十二番 高橋健輔君 第五十三番 文屋 公君 第五十四番 高橋俊也君 第五十五番 伊藤康志君 第五十六番
相沢光哉君 第五十七番 斎藤正美君 第五十八番 渡辺和喜君 第五十九番 今野隆吉君 第六十番 大沼謙一君 第六十一番 千葉正美君 第六十二番 佐藤 勇君 第六十三番
佐々木久壽君欠席議員(一名) 第四十八番 庄子 守君欠員(一名) 第四十一番
---------------------------------------説明のため出席した者 知事 浅野史郎君 副知事 丹野諒二君 副知事 東尾 正君 出納長 今里寅男君
公営企業管理者 松木伸一郎君
総務部長 事務吏員 柿崎征英君
企画部長 事務吏員 熊谷 繁君
環境生活部長 事務吏員 石附成二君
保健福祉部長 事務吏員 寺島英毅君
商工労働部長 事務吏員 吉田協一君
農政部長 事務吏員 菅原清毅君
水産林業部長 事務吏員 千葉眞弘君
土木部長 技術吏員 渋谷 恒君
国体推進局長 事務吏員 佐藤健一君
出納局長 事務吏員 鈴木信夫君
企業局長 事務吏員 高橋 渉君
総務部次長 事務吏員 加藤正人君 兼
秘書課長 総務部参事 事務吏員 三浦秀一君 兼
財政課長 教育委員会 委員長職務代行 佐々木 寛君 教育長 遠藤嘉彬君
教育次長 斎藤 進君
選挙管理委員会 委員長 郷古康郎君
事務局長 米澤 健君
人事委員会 委員長 武田武男君
事務局長 熊谷弘康君
公安委員会 委員長 早川二郎君
警察本部長 中川雅量君 総務室長 佐々木 学君
地方労働委員会 事務局長 山田洋治郎君
監査委員 委員 渡邊達夫君
事務局長 徳江武志君
--------------------------------------- 議会事務局 局長 並木孝氏君 次長兼
総務課長 阿部迪夫君
議事課長 遠藤幸之君
調査課長 金 俉郎君 副参事兼
総務課長補佐 高橋久美君
議事課長補佐 伊東教夫君
調査課長補佐 氏家 修君
上席主幹兼記録係長 佐藤 昭君
上席主幹兼
議事係長 森屋 清君 主幹兼
委員会係長 菅原 清君 主査 布田惠子君
--------------------------------------- 議事日程 第三号 平成十一年二月十八日(木)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第四号議案ないし議第七十四号議案並びに報告第三号ないし報告第七号第三
一般質問(代表) 〔内海 太君、
菅野信男君〕
--------------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第四号議案ないし議第七十四号議案並びに報告第三号ないし報告第七号三 日程第三
一般質問(代表) 〔内海 太君、
菅野信男君〕
---------------------------------------
△開議(午前十時二分)
○議長(
佐々木久壽君) これより本日の会議を開きます。 本日の
議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
---------------------------------------
△
会議録署名議員の指名
○議長(
佐々木久壽君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、三番
藤原範典君、六番
池田憲彦君を指名いたします。
---------------------------------------
△諸報告
○議長(
佐々木久壽君) 御報告いたします。
教育委員会委員長森昌造君から、本日と明日及び二月二十二日の三日間所用のため欠席、
教育委員会委員長職務代行佐々木寛君が代理出席する旨の届け出がありました。
---------------------------------------
△議第四号議案ないし議第七十四号議案・報告第三号ないし報告第七号
△
一般質問(代表)
○議長(
佐々木久壽君) 日程第二、議第四号議案ないし議第七十四号議案並びに報告第三号ないし報告第七号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、
一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。二十三番内海太君。 〔二十三番 内海 太君登壇〕
◆二十三番(内海太君) 私は、民主連合を代表し、質問をいたします。 今、二十一世紀を目前にした日本は、その進路の不透明なまま迷走を続けているのが現状であります。戦後最大の試練と言うべきであります。 最近私は、ある雑誌の特集「この国のゆくえ」を読みました。何人かの学者たちの中で、
ジャーナリスト櫻井よしこ氏が、小渕総理についてこんなふうに記しております。少々長いが引用させていただきます。 「二十一世紀を展望する二十世紀の終わり近くに小渕政権の誕生を見たことは、日本の将来を考えるとき、暗示的である。時代は人を映すという。専ら調整を旨とする小渕恵三氏的な長所も短所も、氏を救国の総理に選んだ日本の社会を象徴するものである。言葉をかえて表現すれば、日本は、一見善意と優しさに満ちていながら、本質的にはそうしたものから最も遠い社会であり続けることだ。人間に多くの自由と権利を与える一方で、十分な責任と義務を問わず、人間の自立を否定し続けることだ。人間や制度を慣習の枠の中に閉じ込めて足れりとする穏やかなる残酷がなお続くということである。変革を避け、現状維持でいく日本の社会に欠けているのは、一人一人の人間に夢を描かせ、それに向かって突き進ませるダイナミズムである。一人一人の人間の最も自分らしく生きる場所がこの社会に提供されていない。優しさの檻の中で可能性が死んでいくのが日本人である。」と言っている。櫻井氏らしい皮肉のまじった言い方であります。 ここで、浅野知事にお伺いいたします。 最近知事は、外に向かって政治評論家的に盛んに発信しております。いわく、今の行政の仕組みでは、なかなか変われない。長い
役人生活の実感、知事としての経験や実績からの発言だけに説得力があります。特に霞ケ関に対する不満が大きいようです。いわく、官僚を凌駕し、官僚を引っ張っていく政治の出番。いわく、行動原理を持たずに政治をやってしまっているなど、政治家に対する批判もまことに厳しい。もうすぐ二十一世紀です。未来に向けた忌憚のない大胆な御意見を聞かせていただきます。 次に、
情報公開条例の改正案についてお尋ねいたします。 今回の主な改正点は、知る権利、
実施機関説明責任、
開示請求者を外国人を含め何人も、決裁・供覧を経ない文書なども
開示対象にするなど、全国初の内容を取り入れたもので、評価できます。 しかしながら、審査会から建議のあった「
公安委員会を
公開対象に加える」が条例案に盛り込まれておりません。また、「五〇%以上の出資団体に
情報公開を働きかける責務を有する」が、「団体は
情報公開の規定を定め、公開に努力すること」となっており、建議と一部において異なる条例案となっております。知事は慎重に検討し判断した結果であると推察いたしますが、改めてこの点について、検討の経緯と理由についてお聞かせください。 特に、
警察情報の公開は、
捜査情報や個人の
プライバシーなど秘匿すべき情報が多いことや、
警察組織の全国的な統一性が必要とされる点から対象外としたと知事は述べておりますが、しかし、
警察活動の費用の多くは県民の税金で賄われており、
捜査情報や個人の
プライバシーなどは非開示、それ以外に差し支えないものは積極的に公開し、広く県民に開かれた
民主警察を目指すべきと考えます。また、国の
情報公開法の成立が時間の問題とは私も理解しておりますが、法の公布から施行まで二年かかると言われる状況から考えますと、全国に先駆けて公開する意義が大きいと思いますが、知事の御所見をお聞かせいただきます。 質問の二は、財政問題についてであります。 平成十一年度一般会計当初予算案は総額で八千四百八十六億四千五百二十八万円で、十年度当初予算と比べた伸び率は四・五%減となります。昭和三十年度以来の四十四年ぶりに、前年度
比マイナスの予算となり、知事も、かつてなかった超
緊縮予算と言っております。 歳入においては、
県税収入が、長引く不況で一〇・一%、二百十七億円減の二千三百八十三億円、県債の発行は二百三十億円減に抑えられ、八百五十五億円、依存率は一〇・一%と、二・一%下がっておりますが、発行残高は十一年度末一兆二千二百二十四億円となる見通しで、県民一人当たり四十九万円から五十一万八千円に膨らむことになります。財源不足を補うため、
財政調整基金などから二百十億円を取り崩した結果、基金残高は四十六億円に減り、十二年度には、ほとんど取り崩せない額になると見込まれております。また、県立高校の授業料も公約に反して月額三百円アップするなど、
各種手数料の改定を行うなど、苦しい選択を余儀なくされました。 一方、歳出は、地財計画にある職員給与〇・五%アップも当初予算に盛り込まず、人件費を抑えるなど、経常経費の節減にも踏み込んでおります。
公共事業に
キャップ制を導入するなどした結果、
公共事業などの
投資的経費は、十年度比二〇・三%少ない二千百三十四億円に抑制。国の
景気対策に足並みをそろえ、十一年度分を今年度
補正予算で前倒しする分を含めてようやく例年度と同程度になる、非常に厳しい内容になっております。このように厳しい歳出の抑制を図る一方、
景気対策や医療、
福祉関連など緊急性や必要性の高い事業には、財源を重点的に配分しております。更に、十年度に引き続きスクラップ・アンド・ビルドの徹底や
部局横断型予算を盛り込むとともに、各圏域ごとに
新規事業を配分する
地域重視型予算を創設するなど、
地方分権や
行政改革にも意を用いた
予算編成となっております。 初めに、新
年度予算編成に当たり、県経済の現状、財政の見直し、重点政策、
新規事業、
地方分権、
行政改革について、どのような認識に立って取り組まれたのか、お伺いいたします。今後の
補正予算は、財源の手当てが国から来ない限り組まないというお考えなのかもお伺いいたします。 去る十二日、県は、知事の
予算説明を受けて、
財政健全化計画を発表。当面、
財政準用団体への転落回避が財政運営の最大の課題と位置づけ、人件費の長期据え置き、
投資的経費の削減、
一般行政経費の圧縮について目標を設定。新年度以降も
公共事業の大幅な縮小は避けられないほか、
県民負担の見直しも進めております。 シミュレーションによれば、
財政見通しは
経済成長率の高低で大きく変化し、今後の成長一・七五%の場合、ピークの平成十四年度で二百八十億円の赤字。成長率ゼロなら、平成十五年度には六百二十二億円の赤字を出すことになります。そのまま当てはめれば、成長率一・七五%の場合、目標以上の歳出削減でようやく
準用団体転落は避けられますが、成長率ゼロ%では早くも平成十二年度に行き詰まります。
マイナス成長の場合は、評価の守備範囲を超えるものとしております。このように、成長率一・七五%程度の
経済成長率頼みの
健全化推進計画と言わざるを得ないのですが、知事の決意のほどをお伺いいたします。 質問の三は、
景気対策についてであります。
県内経済活動は全般的にわたり厳しい状況が続き、景気が低迷しており、先行き不透明であります。 十五カ月予算をプラスして十年度同程度の
公共事業が確保されているので、切れ目なく広く
県内景気を刺激するような発注のあり方と工事代金の支払いの迅速を願うものであります。更に、
金融対策として、制度金融全体の融資枠は十年度に二百十一億円余を増額し千百六十八億二千九百万円と、貸し渋り対策として
小規模事業資金に限定額一千万円、無担保の
経済対策特別資金を創設したことは、
小規模事業者にとって大変力強い措置として評価するものでありますが、審査期間の短縮に努力され、スムーズな融資がなされるよう望みますが、いかがですか。 また、
ベンチャー企業育成事業、新
産業支援資金の
貸付限度額の引き上げ、コンピューター二〇〇〇年問題等に配慮し、産業構造の転換促進にも意を用いる予算となっておりますが、現状と今後の方策についてお伺いいたします。 質問の四は、福祉の充実についてであります。 初めに、
脳疾患予防対策についてであります。 平成十一年度の国民総医療費は三十兆円を超え、
老人医療費は十兆円に達すると予想されております。特に
老人医療費が、
高齢社会の急速な進展に伴って急速なスピードで増大しております。
高齢化社会の最大の問題は、個人的にも社会的にも負担の多い介護を将来にわたりどうするかであります。それに対応するため、平成十二年四月からスタートする介護保険に向け、体制整備に関係機関挙げて取り組んでおります。県においても厳しい財政の中、各施策の推進を図るための予算を計上しております。 昨年十一月二日、東北学院大学の
遠藤恵子教授の「
介護負担緩和へ脳健診を」と題した記事が
中央紙宮城版に掲載されました。この中で、最大の問題は、
介護者自身が比較的高齢で、それがいつまで続くかわからなく、
介護者自身の人生設計が破綻する恐ろしさを挙げております。予防により健康期間をできるだけ延伸させることが、現在可能な介護の問題の解決策の一つではないかと言っております。平成十年二月の
厚生省発表の平成七年
都道府県別生命表では、宮城県は
脳血管性疾患による死亡率が、男性は長野に次いで二位、女性は長野、秋田県に次いで三位であります。平成九年度宮城県統計年鑑には、在宅の
寝たきり老人六十五歳以上七千二百九十三人、特養ホームにはおよそ四千人が入居し、地域によっては待機者もいる状況であります。現在の
寝たきりの方々の約四〇%は、脳疾患によるものと言われております。要介護者にならないように、自己の費用で自分の健康は自分で守ることを今から多くの人々に自覚を促し、実行されればされるほど、それだけ
介護負担が軽減できると考えます。ちなみに
財団法人画像科学みやぎの四千六百人を超える脳の健康診断の結果、およそ五十歳未満で二十人に一人、五十代では五人に一人、六十代では二人に一人の脳内に何らかの異常が発見されており、その大部分が微小な脳梗塞で、
脳血管性痴呆症もしくは脳梗塞などの発病に結びつく可能性があると言われておることから、いかに早期発見、
生活習慣の改善、早期治療の予防医学が大事なのかがうかがえます。 おくればせながら国においても昨年十月、健康日本21--三大病を初めとする
生活習慣病の第一次予防の具体策の策定にとりかかり、十一年度中に策定を終え、平成十二年度より実施を予定しております。
具体的内容はいまだ十分把握しておりませんが、脳についても、
社会的負担がほかと比べて大きいので、厚生省は、悪性新生物、心疾患と同等又はそれ以上の対策を講ずることになっているようです。
脳疾患対策をしっかり政策として組み入れることが、
高齢化社会の時流として流れ始めているのではないかと思います。まさに、日本一の
福祉先進県づくりを標榜する本県が、脳の住民健診を導入する時期が到来したのではないかと思います。宮城県は既に全国に先駆けて実施し大きな成果を上げている、がん検診の先進県としての実績もあります。 以上申し上げましたが、介護のあるべき姿、脳疾患の予防の具体策、脳の住民健診の導入について知事の所信をお尋ねいたします。 二点目は、(仮称)宮城県
口腔保健センターの整備についてお伺いいたします。
口腔センターは、かねてより
県歯科医師会の悲願として長く運動が続けられてきたもので、県議会としても折に触れて、その実現に側面から支援してきた経過があります。平成二年十一月、当時の
斎藤昇会長を代表とする宮城県
口腔保健医療福祉センター設立に関する請願が
厚生委員会に出され、翌年三月本会議で満場一致採択されております。 その後、建設計画の推進には紆余曲折がありましたが、今日では、仙台市に
中核施設整備を進めようとする計画が検討され、現在、
県歯科医師会は、
仙台歯科医師会と共同歩調をとって、施設用地として旧
徳陽シティ銀行本店ビルの取得を希望し、所有権を持つ
整理回収銀行と随意契約に基づく交渉を行っております。 一方、平成五年に策定された
県地域保健医療計画の中に、
心身障害者及び
在宅寝たきり者などのケアにも対応する、(仮称)
口腔保健医療福祉センターの実現を図ることが明文化されて、八十歳でも自前の歯が二十本という、みやぎ八〇二〇プランの拠点として、
口腔保健センターの必要性は、日本一の
福祉先進県を目指す本県にとって極めて強い
社会的要請となっております。 以上の状況から、本県が
県内市町村の先頭に立って、宮城県
口腔保健センターの整備に向け、可能な限り、
財政支援を含め、ぜひ早期実現を図るべきと考えますが、
口腔保健センターの必要性の認識、
財政支援の心づもり、旧
徳陽シティ銀行本店ビルの取得交渉への対応、仙台市を初め
県内市町村への協力依頼のあり方について、知事はどのようにお考えになっているか、所見をお聞かせいただきます。 次に、児童福祉についてお尋ねいたします。 一九八九年十一月、国連が児童権利条約を採択してからはや十年を迎えます。この条約に我が国が批准したのは九四年であります。平成九年、五十年ぶりに大改正された児童福祉法は、この児童権利条約のよりよく生きる理念を基本としていると思います。児童福祉法のキーワードは、一言で言えば、自立と言われています。自立とは、子供が一人の人間として尊重をされるということです。そのために、行政や社会における援助や支援がいかになされるべきかが問われているわけであります。 また、国は今、社会福祉基礎構造改革の作業中であります。これは端的に言えば、現行の措置制度を契約で利用者が福祉サービスを選択する内容であります。 このように、これからは、施設の子も、不登校の子も、虐待を受けた子供たちも明るく何らの引け目を感じることなく生活できる社会や家庭を構築していく、それが、これからの社会や行政に求められていると思います。児童の世紀と言われた二十世紀もあと一年十カ月余で終わろうといたしておりますが、自立という概念が社会に認識されるのはこれからです。そうした節目のときに当たり、これからの児童福祉のあり方について知事はどのような考えでおられるのか、御所見をお伺いいたします。 国連が児童権利条約を採択したその年、我が国の合計特殊出生率が一・五七となり、大きな衝撃を社会に与えました。以来、政府においては、少子化対策についてさまざまな施策を展開してまいりました。しかし平成九年に、合計特殊出生率は一・三九となり、史上最低を更新したのであります。これは、イタリア、ドイツに次ぐ、低出生率であります。低出生率の原因はいろいろとあると思いますが、共働きの多い今日、働く女性が安心して子供を産み育てていくにはさまざまな障害があることが一因であります。保育の問題、職場の問題、仕事と家事の両立など、働く母親の苦労は精神的、肉体的に非常なものがあります。母親の過剰な責任や負担を軽減するために、まず、夫が家事や子育てに協力するということであります。 平成九年六月議会で同僚の
遊佐美由紀議員が
一般質問の中で、八年度育児休業の男女別取得状況について質問いたしましたが、取得状況は女性八十四人に男性一人ということでした。 そこでお尋ねいたします。 九年度の男女別育児休業と育児時間の取得状況をお示しいただきます。 首相の諮問機関の男女共同参画審議会は、昨年十一月、今国会に提案される男女共同参画基本法に関する答申を首相に提出いたしましたが、その中で、子の養育、家族の介護などについて、家族を構成する男女は互いに協力しなければならない、とあります。これからの我が国は、男女が相協力して保育や家事に取り組む、それが子育て、児童福祉の中で重要であり、低出生率対策の小さな第一歩であると思います。 そこで、提案いたしますが、まず隗より始めよです。県の男性職員が育児休業、休暇を利用しやすいよう職員の意識改革を図り、気兼ねなく育児休業、育児時間を取得できる職場環境をつくっていただきたいのであります。また、人事異動の際、子育て中の職員については無理な転勤は行わないなどの対策はいかがでありましょうか。県民に対しては、広報を初めあらゆる機会をとらえ啓発活動を行い、意識改革を進めることを提言いたします。知事の考え方をお聞かせいただきます。 次に、乳児院の活用についてお尋ねいたします。 本県には定員三十人の丘の家乳幼児ホームと定員四十人の宮城県乳児院の二つの乳児院があります。現在暫定定員、丘の家乳幼児ホーム二十五人、県乳児院二十九人で、現員もそれに近い数字で推移しております。 戦後乳児院が設置されたころは、社会が混乱した時代であり、収容される子供も、親の行方不明、死亡、遺棄などによるケースが多かったのであります。しかし最近、入所する児童は、母親の病気、次女誕生、家族の介護などにより家庭の子育て機能が十分に果たすことができず、やむを得ず乳児院に預けられるといったような子供たちが多いわけであります。こうした傾向は、核家族の進展により家庭の養育機能の低下、地域社会の連帯感の希薄などにより、今後も増加していくものと考えます。育児不安の親、家族の病気中の看病、要介護者がいるため子育てが困難な家庭、母親が病気などで子育て機能が弱体化した家庭をサポートする、そうした役割を持つ乳児院を一層充実強化すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 今、県乳児院に病虚弱児が八人ほどいます。その中には処遇困難な子供もおりますが、乳児院の処遇管理は主治医からも高い評価を受けているとのことです。病虚弱児のうち、入所後病気が発見されているケースも少なくないそうです。こうしたことは、乳児院の運営法人済生会が診療部門を併設していることと、病虚弱児を受け入れてきたこれまでのノウハウの蓄積があるためと思います。病虚弱児の母親にはノイローゼになる人もいますが、県乳児院のこうした医療的機能は母親への大きな助けになっています。県としても、県乳児院のこうした医療的機能を人的、施設的に更に充実するよう考えられてはどうか、お伺いいたします。 少子時代の今、若い人たちが乳児に接触する機会が少なく、短大保育科の学生の中には、乳児院に実習に来て初めて赤ちゃんを抱っこしたという人もおります。保育を専門に勉強している学生にもそうした人がいることは、社会一般の若い人には乳幼児と接したことのない人が結構多いのではないかと思います。そうした人たちに、子育ての楽しさや母になる訓練の場としての乳児院の活用を考えてはいかがでしょうか。あるいは里親の訓練、未婚母親の親業訓練など、乳児院を地域の社会資源として更に一層活用していくことが、少子時代の今、検討をされるべきと思いますが、知事の対応策についてお尋ねいたします。 質問の第五は、環境対策についてであります。 恵み豊かな宮城の自然と共生する快適で安全な環境の創造は、県民一人一人の願いであります。 環境影響調査補助などダイオキシン対策に四億八千百万円、伊豆沼・内沼保全対策に一億二千万円を計上。
新規事業として環境ホルモンの研究に五百万円、廃棄物の減量化を推進するための産学官のネットワークづくり事業に一千五百万円。また、保健環境センターへのダイオキシン類など特定化学物質検査棟に二億七千万円を計上、年内の完成を予定しております。四月から条例が施行されるNPO活動促進事業に千七百万円、暴走族根絶促進事業に七百万円が計上をされているなど、厳しい財政の中、重点的に取り組む決意をあらわしております。これらの施策の重点課題と今後の推進策についてお尋ねいたします。 質問の第六は、教育振興であります。 心豊かな児童生徒を育成するためには、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を果たすことが重要であります。新年度予算では、これらに対応すべく、心をはぐくむ学校教育充実事業に八百十万円、ふえ続ける高校生の不登校や中退に対応するために、ハイスクールカウンセラー配置に五百万円、障害児教育では、地域の学校に通学をという声にこたえ、小学校特殊学級に非常勤講師を配置する障害児教育充実推進モデル事業千二百九十万円など、意欲的に取り組む決意をされております。いずれも時代の要請にこたえたもので評価いたします。結果についても大いに期待しておりますが、進め方についてお尋ねいたします。 質問の七は、産業振興についてであります。三点についてお伺いいたします。 四月から、商工労働、農政、水産林業の三部を統合した産業経済部が発足いたします。この再編のねらいは、宮城県の産業の新たな発展に資するため、第一次から第三次産業の一体的振興を図り、レベルアップすることでありました。その一環として、十三年度オープンを目指す東京ビジネスサポートセンター(仮称)の基本計画に着手することになり四百万円が予算化され、意欲のほどがうかがえますが、今後の進め方と基本構想をお聞かせください。 次に、農政について若干質問いたします。 本県の農業・農村は、良質な農産物の安定供給や農業生産活動を通して、県土の保全はもとより、経済性、効率性のみでは計測できない、美しい豊かな自然空間の提供など、多面的かつ公益的な機能を有しており、県民生活を支える重要な役割を果しております。 しかし、最近の農業・農村は、四月からの米の関税化措置への切りかえに伴う国際化の一層の進展、担い手の高齢化による生産体制の脆弱化に加え、食料に対する消費者ニーズの多様化や安全性に対する関心の高まりなど各種課題を抱えております。特に、消費者から信頼される農業の展開については、新年度では、有機農産物の生産に対する支援や技術開発を行い生産の安定化を図りつつ、米、野菜などの有機農産物などの表示認証制度を創設する、みやぎの有機農業等推進事業費二千五百六十万円、減農薬栽培米の栽培実証や販売を行う、大地の薫りする宮城米づくり推進事業費八百万円、また多彩なアグリビジネスの振興については、アグリビジネス経営新商品開発支援事業費一千万円、みやぎ産直風おこし推進事業費七百六十万円を計上し、意欲を感じます。 更に、園芸生産の拡大を目指す、みやぎの園芸風おこし事業費三百五十万円、みやぎの野菜産地拡大対策事業費二億八百万、みやぎの花卉産地拡大対策事業費一億六千百六十万円を計上しております。これらの推進に当たって、どのような戦略を立てて推進するのか、お尋ねいたします。 三点目は、遠洋カツオ・マグロはえ縄漁業の国際減船についてであります。 県は、この問題について昨年暮れ対策本部を設置し、国や関係者との連携を密にし、最大限の対策をされてまいりました。既に国の交付金も予算化され、漁臨法の適用も受けております。県においても、厳しい財政の中、国際減船影響緩和補助金二十一億三千万円、経営緊急支援資金に新規融資枠十億円の予算化など各種の対策を講じられ、その機敏な対応を評価するものであります。県内対象船四十隻中三十七隻、他県船も含め全国の約半数の六十数隻が減船になり、六百人以上の船員が離職する気仙沼出身の議員として感謝を申し上げるとともに、次の七点についても誠意ある取り組みを期待するものであります。 一、県補助金の交付に当たっては、金融債権者を除いた地域債権者に配慮した内容とすること。二、離職漁船員が相当数に及び、加えて関連産業において同様の事態が予想されるので、雇用対策、生活資金の融資対策を講ずること。三、県外船の債務についても、関係道県との連携を図りつつ適切な対策を講ずること。四、減船後も関係組合並びに残存漁業者に対する支援対策を講ずること。五、便宜置籍船に代表される、国際機関に加盟していない国などの漁業規制や国際協調減船による実効ある対応を積極的に働きかけること。六、減船対象船によって係留岸壁が不足するので、その対応策を講ずること。七、減船により極めて深刻な影響を受ける気仙沼・本吉地域の総合的かつ積極的な振興策の推進などについてどのように対応されるのかお尋ねいたします。 質問の八は、県土の均衡ある発展についてであります。 地域の持つ資源や可能性を生かして、市町村の枠を越えた特色ある地域づくりを進めることが重要であることは言うまでもありません。これまでの総合計画に盛られたさまざまな施策を市町村と一体となって推進してまいりました。一部の地域を除いて、その結果、高速交通ネットワークの整備を初め社会資本の整備は進んでまいりました。 しかし、仙台都市圏と一部中核都市を除いて、すべての圏域で人口減少が続き、少子・高齢化が進展しております。第一次産業を基幹とする農山漁村では過疎が一層進み、地域社会が立ち行かなくなる状況もあります。十二年四月スタートの介護保険のサービスが実施できるかという大きな問題もあります。一方、仙台都市圏は、排ガスによる大気の汚染、交通渋滞による通勤難、ごみ処理等の問題も将来を不安にさせております。 これらの課題解決に向けては、従来の手法では大きな困難が予想されます。第一義的には、市町村の自主的合併による適正規模の自治体への再編、仙台都市圏ではマイカー通勤の規制による交通緩和策などもあります。総合計画の改定に当たっては、大胆な政策提起を期待いたしますが、いかがでありますか。 また、県北東部沿岸地域の発展の基軸となる沿岸県土軸形成に向けた予算が今年度も計上されておりますが、新年度の推進プランはどのような内容になるのか、お尋ねいたします。 更に、中心市街地活性化の一環として、公共施設の再配置、転用などによる往来人口の増加策や夜間の活用などにも予算措置されておりますが、どのような地域を想定してどのような施策を推進するのか、お尋ねいたします。 過疎地域は、さきにも申し述べましたが、中心産業は第一次産業であります。したがって、サラリーマン並みの収入が得られなければ、後継者は育ちません。所得を上げる農林水産業の振興が不可欠であります。しかし、現今の経済市場主義を追求する経済政策では不可能と思います。何らかの生産費価格保障制度の確立が不可欠と考えますが、いかがでありますか、お伺いいたします。 四点目は、三陸縦貫自動車道についてであります。 去る二月八日、
東北地建の田崎局長が東北経済連合会主催の第二回宮城地域懇談会で、石巻-河北が十四度年までに供用開始の予定で、登米-志津川のアセスメントも数カ月で完了する。更に、志津川-気仙沼間は、次の展開としては、交通量の多い気仙沼-本吉間を重点的に調査したいと述べ、今年度の唐桑道路の着工準備区間の決定に続き、現道の隘路解消に向け今後も重点的に早期整備に向けて努力すると決意を表明されたと聞き及んでおります。 これまで南から、岩手県からだけでなく、宮城県北からも着手することによって早期全線開通をすべきと主張してきた私たち沿線住民は、この発言を評価し、一層の取り組みの強化を期待いたしますが、県の期成同盟会の会長として、この発言についてどのように受けとめ今後の運動を展開されるのか、お尋ねいたします。 五点目は、運転免許センターについてお尋ねいたします。 今年四月、仙南・大河原地区に運転免許センターが営業を開始いたします。県の長期総合計画では、十一年度以降、気仙沼・本吉地区に運転免許サブセンターの整備が予定されております。県の厳しい財政のもとで、その早期実現はなかなか困難であると考えますが、現在、気仙沼地域住民は、運転免許試験を受けるために石巻、古川、仙台に行かなければならず、更新についても二度足を運ぶ不便を余儀なくされております。このような不便の解消を一日も早く望んでいる地元の人々の声にこたえるために、警察本部ではどのような検討がなされているのかお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○議長(
佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 内海太議員の御質問にお答えをいたします。 まず、知事の政治姿勢ということで、未来に向けた政治行政のあるべき姿についてというお尋ねでございました。 申し上げたいことはたくさんございますが、申し上げますと、大体本一冊分ぐらいになっていってしまいますので、ここでは申し上げませんが、まず何よりも、国際社会の中で、これからの日本がしっかりとした役割を果たすようにならなければならないという思いがございますが、それも、それぞれの地域が自分の足で立って自立をし、元気を出すということがもとではないかというふうに思います。その意味で、我々宮城県から、各地域から問題提起をし、そして情報を発信をしていくということも必要だろうと思い、「地域から変わる日本」というような、同じような志を持つ知事を中心とした場でも、我々のできる限りのことをやっていきたいというふうに思っております。その意味で、この宮城県での実践というものも大きな意味を持つのだろうというふうに思っております。本物の民主主義を何とか根づかせたいという思いもございますが、その中で、この
宮城県議会と我々執行部との関係といいますか、これは、お互いの切磋琢磨の中で緊張感のある良好な関係であり、政策を競い合うという形になっているのは、四十七の都道府県議会の中でこの
宮城県議会が一番ではないかというふうに思っておりまして、この関係を更に磨き上げていくことが必要だろうというふうに思っております。 また具体的には、
地方分権と
情報公開、そしてNPOの実践というものが、県民一人一人が政治行政の問題をみずからの問題として参加をし、地域をつくり上げていくということの条件になるのではないかという思いもしているわけでございます。 次に、
情報公開条例の改正案についてのお尋ねにお答えをいたします。 宮城県
情報公開審査会から昨年の十二月二十五日に建議をちょうだいいたしました。そしてこの建議の内容をもとに、透明で公正な県政運営を実現していくために、県民にわかりやすく利用しやすい条例とするということを重点に検討をし、条例案を策定したものでございます。 その条例案とこの建議の内容とで一部異なっている部分があるのではないかという御指摘でございますが、まず、県
公安委員会、これを実施機関として含めるべきだという建議に対して、条例案では含めないということにしておりますが、この点についてでございます。 県の
公安委員会の情報ということになりますので、これは犯罪捜査等
警察情報というものも含まれるわけでございまして、これには特殊性がございます。また、
警察情報の運用については、全国的な統一性、一体性という観点から、今の国会で審議されております
情報公開法の制定を待って、その上で実施機関にしていくということで対応することにいたしましたので、その点御理解を賜りたいと存じます。 また、出資団体等の
情報公開についてでございますけれども、これも建議では、こういった団体がみずから
情報公開の推進に努めることや、県の出資金又は予算に占める補助金の額の割合が五〇%以上の団体については、県が
情報公開を行うべく働きかける責務を有するということを条例上明言する、明記するということでございました。改正条例案の方では、こういった団体すべてにその保有する情報を公開する努力義務を課すということにいたしました。そしてかつ、県の出資金の額の割合が五〇%以上の団体については、県の条例に即した
情報公開に関する規定をそれぞれ定めて、一層の公開に努めるものとしておりまして、規定の整備を条例上義務づけたという点においては、他県の
情報公開条例と比較いたしましても極めて進んだ内容となっていると自負をしているところでございます。 更に、県に対しては、出資団体等の
情報公開が推進されるよう必要な施策を講ずることを課する旨、明記をしておりまして、その意味で、建議の趣旨は十分尊重していると考えております。 次に、大きな二番目の問題としての財政問題にお答えをいたします。 まず、県財政の現状など幾つかの項目について、どういった認識に立って新年度予算を編成したのかというお尋ねでございます。 県経済の現状については、今更申し上げるまでもございませんが、大変に厳しいものがございます。現在の長期にわたる景気低迷から何としても脱却しなければなりませんし、また、未来を展望をしつつ、県内経済の総合力を高める施策も着実に推進していくことが必要であります。 県財政も極めて厳しい状況にありますが、その今こそ、行財政運営のあり方を根本から見直して、変革することによって、新しい社会経済システムの構築に向けた、県政の重要課題に積極的に対応していかなければなりません。 新年度予算においては、このような観点から、
景気対策を柱とした地域経済対策とともに、安全で安心なゆとりと誇りの持てる県民生活の実現、人と自然、産業の調和する社会の形成、こういった点を重点施策として掲げて、県経済の総合力の向上や、豊かに生きられる地域づくり、資源循環型の地域社会の形成などについて必要な施策を講じております。限られた財源の中でも、このための新規施策の推進に意を用いたところでございます。 また、こういった県政の重要課題を推進し、あるべき地域社会の創造への歩みを確かなものにしていくためにも、分権社会の形成と
行政改革の推進は基本となるものでありまして、その意味で、
地方分権の推進については積極的に取り組んでまいりますし、また、
行政改革についても、未来を見据えた新しい県政を創造するという観点から、本格的に実施をしてまいりたいと考えております。 次に、今後の予算の補正ということで、今後の
補正予算は、国からの財源手当がない限り組まないのかというお尋ねがございました。 もちろん予算は財源の裏打ちがなければ編成できないものでございます。しかし、県民の負託にこたえるべきような必要な政策課題が発生した場合には、積極的にその施策を実現するための財源の確保ということも講じていかなければならないというふうに考えております。したがって、緊急かつ必要な予算の補正措置については、国からの財源手当がされようがされまいが、それにかかわらず、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、財政
健全化推進計画についてであります。 財政
健全化推進計画の中では、今後の財政の見通しについて幾つかのシミュレーションを行っております。このシミュレーションは、あくまで一定の条件設定のもとにおける想定数値でありまして、大切なのは、その意味をどうとらえ、改革の取り組みにどう生かし、そして具体的対策をどう実践していくかということにあろうと思います。財政健全化への取り組みは、その意味で、二十一世紀に向けた県政の重要課題に積極的に対応をし、県民の負託にこたえていくための主体的で創造的な取り組みであり、県といたしましては、これらのシミュレーションにおいて見込まれる財源不足額を改革の取り組みによって各年度確実に解消し、あわせて、二十一世紀のあるべき地域社会の実現に向けた取り組みを積極的かつ柔軟に展開してまいりたいと考えております。 三番目の項目としての、
景気対策についてお答えをいたします。 まず、県の制度融資の円滑な実施についてでありますが、県制度融資の実施推進に当たっては、制度の説明会や会議などを通して、市町村、商工会を初めとする関係団体、金融機関などとこれまで以上に連携を強め、認定などの事務処理が円滑に図られるよう要請をしてまいりました。そして、特に県信用保証協会に対しては、平成十年度に引き続き、まず適正で、そして迅速な事務処理、こういったことを要請してまいりたいと考えております。 次に、産業構造の現状と今後の方策についてであります。 本県の製造業の現状を見ますと、製品輸入の増大、下請構造の分解といった要因によって、製造品出荷額は平成三年度のピーク時を依然下回る状況にございます。また、電気機械、食料品製造業、この両者で生産品出荷額の約四割を占めるという、その意味で偏った産業構造となっております。こういった現状を踏まえて、ベンチャー投資事業や新技術・新製品事業化資金の融資などによって、独創的技術や新商品開発に取り組む企業を支援することといたしております。 また、新成長産業五分野というふうに言っておりますけども、医療、福祉、情報通信、環境などこの五つの分野の新成長産業について研究開発に係る補助、無担保融資などによって支援をし、新産業の育成、支援を行うこととしております。将来的には、先端産業、基盤産業及び新成長産業の三層から成る産業構造を構築していく必要があろうと認識しております。 なお、コンピューター二〇〇〇年問題でありますけれども、これについては現在、機器の更新のための設備貸与事業などによって対応いたしておりますが、平成十一年度においては、コンピューターの更新などを行う事業者を対象として、先端設備機器等導入資金に二〇〇〇年問題対応枠を創設をしてこの問題に対応していきたいと考えております。 大きな四番目の項目として、福祉の充実についてお尋ねがございました。 まず、
脳疾患予防対策についての御質問でございます。 現在、介護保険制度の実施に向けて、十分な介護サービスが提供できる体制の整備など、その準備に努めているところでございます。これとあわせて、高齢者一人一人が健康で自立した生活を送ることができるように、健康づくりとしての一次予防や、疾病の早期発見、早期治療を図る二次予防の施策を充実することは大変重要な課題であると認識をしております。こういったことで、県といたしましては、脳疾患を初めとするいわゆる
生活習慣病--前は成人病と言っていたものですが、いわゆる
生活習慣病の予防を図るために、県民一人一人が適切な
生活習慣を身につけることができるように普及啓発活動を行うとともに、個々人に応じて具体的な
生活習慣改善プログラムを作成する
生活習慣病予防事業や、市町村が実施する健康審査への支援を実施しているところでございます。 お尋ねの脳健診の住民検診への導入についてでありますが、現時点では、この脳健診の有効性評価が必ずしも定まっていないということがございます。また、費用対効果分析においても研究段階にあるということもございまして、これは今後もう少し検討していくべき課題であろうと考えております。 御指摘がありましたとおり、本年中に国では健康日本21というものが策定されると伺っております。こういったことで、県といたしましてもこういった動きを踏まえながら、脳疾患を初めとする
生活習慣病予防の推進に向けて今後とも努力してまいりたいと考えております。 次に、
口腔保健センターについてでございますが、現在
県歯科医師会で計画されている
口腔保健センターは、介護を要する方々の健診や診療、歯と口腔を通した健康づくりの普及啓発、歯科保健従事者の研修、こういった事業を実施するということとされておりまして、その意味で、県といたしましても、歯科保健推進のための中核的役割を担うものとして大いに期待をしているところでございます。 今後、県といたしましては、
県歯科医師会からの具体的な事業計画の御提示を待って、
口腔保健センターへの支援策や市町村への対応を検討してまいりたいと考えております。 また、旧徳陽シティ銀行本店の取得についてでありますが、
県歯科医師会において、この物件の現在の所有者であります
整理回収銀行との間で交渉が進められていると承知をしております。県といたしましても、この交渉については引き続き側面から協力をしてまいりたいと考えております。 次に、今後の児童福祉のあり方についてでございますが、近年、子供と家庭を取り巻く環境は大きく変化してきており、特に少子化の進行は、子供の自主性や社会性をはぐくむ上で、また地域社会や経済の活力を維持する上で大きな影響があると言われております。また、子供も一人の人格を持つ社会の構成員であるわけでありまして、これまでは、子供の権利の保障は子供の保護で十分であると考えられてまいりました。このため、県では、平成九年度に、子供が尊重され自己実現ができる社会の構築ということと、社会全体で健全で伸びやかな次世代の育成と、このことを基本理念とした、みやぎ子どもの幸福計画を策定をし、これまで子育て支援策としての多様な保育サービスなどを実施してきたところでございます。今後更に、みやぎ子どもの幸福計画で掲げております何点かの施策推進方針、つまり、子供参画社会の実現、男女共同参画社会の啓発推進、子育て支援の充実、子供・子育てに優しい環境づくり、こういった施策推進方針に基づいて各種の事業を展開し、健全な子供の育成と自立支援を図ってまいりたいと考えております。 次に、低出生率についてのお話があって、関連して、職員の育児休業の取得状況についてのお尋ねがございました。 実績を申し上げます。平成九年度の知事部局職員の男女別育児休業取得状況でございますが、女性七十九名、男性はゼロでございます。育児休業取得対象者のうち、七二%の者が育児休業を取得をしているという状況でございます。育児休暇の方ですが、育児休暇を取得した者は、平成九年で、女性が五十一名、時間で言いますと三千七百五十八時間になります。換算すると四百七十日分でございますが。で、男性が一名、延べ百五十三時間、十九日分と、こういった育児休暇取得の状況になっております。 次に、育児休業のとれる環境づくりについても配慮せよということでございますが、従来から、制度の周知や職場の理解の浸透に向けて、職員に対しては普及啓発を実施してまいりました。更に、育児休業に伴って必要となる代替職員の確保についても、迅速な措置がとれるよう取り組んできたところでございます。また、子育て中の職員の人事異動についても、職員の意向や家族状況を面談などで確認しながら、勤務地域などについてもできるだけ配慮をしてまいりましたが、今後更に努力をしてまいります。 次に、この問題についての県民への広報、啓発についてでありますが、県といたしましては、平成十年三月に策定したみやぎ男女共同社会参画推進プランの中で、家庭や地域活動への男性の参加促進を重点項目の一つと位置づけております。そこで、みやぎジョイントフェスティバルなどの講演会や啓発誌「ありーな」などを通じて、生活者としての男性の地域参加、家庭参加について啓発を図っております。今後とも、市町村等の関係機関と連携を図りながらなお一層啓発に努めてまいります。 次に、乳児院の機能の充実強化についてのお尋ねでございます。 現在、出生率の低下、核家族化、女性の就労機会の増加、こういった要因に伴って、いわゆる育児の孤立化や地域の近隣関係の希薄化など、子育ての社会基盤が弱体化をしているということは、ただいま御指摘があったとおりでございます。こういった状況の中で、子供たちが健やかに成長できる環境づくりが大変重要な課題となってきております。県としては、子育て機能が弱体化している家庭を支援する必要性を十分認識しておりますので、現在、乳児院だけではなくて、児童養護施設や母子生活支援施設なども活用をして、冠婚葬祭や介護のために限られた期間子供さんを預かるという、ショートステイ事業というのを実施しております。また、病気は治ったもののまだ保育所に通所できない子供を預かる、乳幼児健康支援一時預かり事業というものも実施をしているところでございます。今後は、地域の子育てに関する悩みなどの相談に応じる事業や、児童の夜間一時預かり事業などの、乳児院の機能の充実についても検討をしてまいりたいと考えております。 次に、県の乳児院の充実についてでございますが、現在、宮城県乳児院は、宮城県済生会仙台診療所に隣接して設置されております。そういったことから、入所している乳幼児にとっては、医療的に恵まれた養育環境にあるということでございます。児童福祉法に規定されている乳児院の機能は、父母が亡くなっている場合、又は離婚などで保護者がいない満三歳未満の乳幼児を保護者にかわって養育を行うと、そういった位置づけが乳児院としてされているわけでございます。医療機能については、今後とも宮城県済生会と十分な連携を保ちながら、乳幼児の養育環境の充実に努めてまいりたいと考えております。 次に、乳児院の地域社会資源としての活用についてでありますが、今申し上げましたように、乳児院というのは、子供の養育ができない保護者にかわって養育を行う施設ということでございます。また、子供の生活を全面的に擁護する、守るという施設でありますので、入所している乳幼児の置かれた立場というものを考えますと、乳児院を子育て訓練の場として活用をしてはという御提言ではございましたが、なかなかなじみにくいのではないかと考えております。しかしながら、子育てに対する支援の必要性というのは十分認識をしておりますので、県としては、市町村が実施しております乳幼児の育て方や親の役割についての相談指導事業がなお一層充実されますよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。 次に大きな五番目で、環境対策についてのお尋ねにお答えをいたします。 県ではこれまでも、快適で安全な環境を将来の世代に良好な状態で引き継いでいくことが我々に課せられた重要な責務であるという思いから、真にゆとりや豊かさの実感できる県民生活の実現を図るための諸施策を推進してまいりました。その中でも特に、ダイオキシン類の削減でありますとか、また伊豆沼・内沼の自然環境の保全といった、広範な対策を実施する必要があるものについては、部局横断型の予算を編成をして、庁内で総合的な対策を推進するという体制をとってきております。いわゆる環境ホルモンについても、この影響に大きな関心が寄せられておるということから、今後新たに県としても環境モニタリングや水生生物への影響調査などを実施して、その実態把握に努めることとしております。 NPOについては、行政との新たなパートナーシップを構築しながら、その活動を促進していくことが重要な課題でありますので、NPO活動促進条例の趣旨にのっとった具体的な施策を実施していくこととしております。 更に、暴走族根絶促進事業については、ことしの四月一日から施行されます宮城県暴走族根絶の促進に関する条例に基づいて、県民総ぐるみ運動を促進する観点から、県モデル事業の実施など、暴走族を許さない社会環境づくりを推進してまいります。 今後とも、ゆとりと安心に満ちた生活を送ることができるような地域社会の実現に向けて、より効果的で効率的な施策や事業の実施に努めてまいりたいと考えております。 次に、教育の振興についてお尋ねがありましたが、これは教育長から答弁をしてもらいます。 次に、産業の振興について何点かお尋ねがございましたが、まず、(仮称)東京ビジネスサポートセンターについてでございます。この整備事業の今後の進め方と基本構想ということでございますが、この東京ビジネスサポートセンターの機能といたしましては、第一に、中小企業などに対して貸しブース、商談室などの営業活動拠点を提供するビジネスサポート機能というのが考えられます。第二に、農林水産品を含む県産品の展示販売及び観光PRの強化を図る物産販売、観光宣伝機能がございます。第三には、Uターン、Iターン、Jターンと言われてますが、こういった希望者への求人情報及び新規就農希望者への情報提供を行うUターン情報提供機能、そして第四には、県産食材の使用により宮城の味を提供するレストラン機能、このような機能を想定をしているわけでございます。 今後のスケジュールでございますが、来年度は、四月から設置されます産業経済部において、農林水産物を含む県産品の販路拡大に係る支援機能を中心に検討を進めることといたしまして、関係団体の意見も踏まえながら、基本計画を策定することといたしております。その後についてでありますが、この基本計画に基づいて、次年度以降、場所の選定、実施設計、施設整備を順次進めてまいりたいと考えております。 次に、農政の事業推進に当たっての戦略についてでありますが、本県の農業・農村を引き続き振興していくためには、農業を自立した魅力ある産業に育成することが必要であります。そのため、各般にわたる施策に積極的に取り組んでいくこととしておりますが、これらを推進するに当たって重要なことは、消費者ニーズをいかにして的確に把握をし、これをどう生産と流通に結びつけていくかということだろうと考えます。それが本県の農産物の生産拡大と農業所得の向上につながり、ひいては農業・農村の活性化につながるものと考えております。したがって、県といたしましては、みやぎ未来農業・農村ビジョンに掲げた戦略プロジェクトを踏まえて、競争力のある農産物の生産体制づくりを進め、特に、消費者需要を踏まえた付加価値の高いアグリビジネスや園芸生産の振興を図ってまいります。また、それに対応した品種や商品の開発を進めるとともに、消費拡大、販売流通対策を他産業部門と一体となって推進し、本県の農業振興を積極的に図ってまいりたいと考えております。 とりわけ来年度は、安全、安心など、消費者から強い要望のある有機農産物等の表示認証制度の運用を開始する時期に当たります。これを契機に、減農薬・減化学肥料栽培米や有機野菜などの生産拡大を進めて、環境に優しい、消費者から信頼される農業への移行を図ってまいりたいと考えております。 次に、マグロの減船対策について何点かお尋ねがございましたが、まとめてお答えをいたします。 遠洋マグロはえ縄漁業の減船については、まず、その影響への的確な対応を図るために、庁内に遠洋マグロはえ縄漁船減船対策本部を設置いたしました。また、気仙沼市に現地連絡会議をそれぞれ設置をして、情報の把握やその対応策の検討を進めてまいりました。この間、雇用相談、中小企業相談などの各種窓口を開設いたしまして、減船問題への取り組みを進めてまいりました。また、この議会においても、減船者に対する県の補助金や経営緊急支援資金の新規融資枠の確保など、必要な予算措置をお願いをしているところでございます。一方、国に対しても、救済費交付金の関連業者の債権に対する配慮や、十分な離職者対策、資源管理に反するような便宜置籍船の排除、こういったことについて強く働きかけを行っているところであります。 こうした中で、気仙沼市議会を初め気仙沼市水産業問題対策協議会などから、県の補助金の確保、雇用対策、融資制度の拡充など、減船に関する意見書や御要望を受けておるところでございます。また、先般、気仙沼市での情報交換会においても、県補助金の地元債権者への配慮、県外船の債務対策、残存漁業者対策、減船漁船の係留問題、総合的な地域振興策などなどについて、重ねて関係者の方々から数多くの生の声を伺ったところでございます。 県といたしましては、こういった御要望を踏まえて、気仙沼・本吉地域の活力が低下することのないよう、持続的な地域の振興が図られますように、関係機関と一体となって今後とも万全の対策を講じてまいりたいと考えております。 次に、県土の均衡ある発展ということに関して何点かお尋ねがございましたので、お答えをいたします。 まず、総合計画の改定に当たっては、大胆な政策提起を期待するがどうかというお尋ねがございました。 御指摘がありましたように、仙台圏を除いた圏域では、人口の減少や少子・高齢化、農林漁業の低迷による過疎化の進展がございまして、自立的な発展が容易でないという状況にございます。このことを厳しく受けとめております。他方、仙台都市圏を見ますと、仙台都市圏では、人口集中に起因して交通問題が発生をしており、こういった地域が抱える課題解決のためには、これまで以上に、効果的な施策を講ずる必要があると考えております。 お話のありました合併や交通問題に関して、県といたしましては今年度から新しく、みやぎ新しいまち・未来づくり推進事業を実施をいたしまして、市町村の自主的な合併に対する県独自の
財政支援策として市町村が行う合併の調査研究、勉強会などに必要な経費に対して、交付金を交付しております。また先般、仙台市や民間の関係団体などと共同して、仙台都心部の交通渋滞緩和のために、パーク・アンド・ライドの可能性調査に着手をいたしたところでございます。こういったように、従来になかった新しい手法での取り組みもしておりますが、このほかに、現在策定しております新しい総合計画においても、地域の自立を促進し活力ある地域社会を形成するために、限られた行政資源を有効に活用をすべく、施策の重点化を大胆に行い、広域的な地域連携の強化や、市町村、民間企業、NPOなどさまざまな主体との連携を図りながら、地域の特性を生かした魅力ある地域づくりのビジョンをお示ししていきたいと考えております。 次に、沿岸県土軸形成推進に向けた取り組みについてお答えをいたします。 御承知のとおり、沿岸県土軸構想でございますけれども、これは、県北東部沿岸地域の発展の機軸となります交通・情報ネットワークの一層の整備促進と、これを活用した産業の集積、誘導、高度化などの活性化策に取り組み、従来の広域圏の枠にとらわれない、新しい県土軸を形成しようとするものであります。これまで、各種の調査業務、サミットの開催、ホームページによる情報発信などの事業を実施してまいりましたが、昨年の七月には、関係二市十八町と県で構成する宮城沿岸県土軸形成推進協議会が設立され、推進体制の充実が図られたところでございます。 来年度でございますが、来年度はこれまでの取り組みを更に発展させるために、この協議会が主体となった調査研究事業や情報発信事業を支援してまいりますが、加えて、地域の発展を牽引できる中心都市の条件などを明らかにするために、圏域中核都市整備事業調査を実施いたします。また、新たな取り組みとしては、宮城沿岸県土軸の形成に必要な広域的なプロジェクトに係る構想策定や普及のために、市町が負担する経費の一部を支援をすることといたしております。 次に、中心市街地活性化に係る取り組みについてでございますが、県としては、中心市街地の活性化は、商店街、商業振興にとどまらず、都市政策全体にかかわる極めて重要な課題ととらえております。そこで、昨年二月には、部局横断的に中心市街地活性化推進会議を設置をし、市町村の取り組みに対する助言や施策の検討を進めてきたところであります。 お尋ねのありました中心市街地往来人口倍増作戦でありますが、これは、公共施設の配置、空き建物の公共利用、夜間対応機能の整備などの視点から、中心市街地活性化の検討を行おうとするものでありまして、具体的には、複数のモデル地区を選定し、該当市町の協力のもと、中心市街地における公共施設の再配置、転用や夜間対応型都市基盤整備に係る費用対効果などを検証をし、更にその整備運営手法を検討をしてまいりたいと考えております。モデル地区については、現在中心市街地活性化基本計画の策定に取り組んでいる市町の中から、その意向も踏まえ、今後選定を進めてまいります。 次に、過疎地域の農林水産業における生産費価格保障制度の確立についてでございますが、過疎地域は、人口の減少、高齢化の進行などによって活力が低下しており、この地域の活性化と所得向上を図るためには、主要な産業である農林水産業の振興が極めて重要な課題であると認識をしております。このようなことから、県としては、海、山、大地の豊かな農林水産資源を生かした産業の振興を図るとともに、アグリビジネスや施設園芸などの高収益高付加価値農業の振興、地場産業の育成、就業機会の確保を図るために、新しい組織体制としての産業経済部のメリットも生かしながら、各産業の連携のもとで、各般の振興施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。 お話のありました農産物の生産費価格保障制度についてでありますが、国では、市場原理を一層活用することによって価格政策全般を見直すという一方で、所得確保対策を導入することにしております。県といたしましては、この所得確保対策によって、農産物の需給事情から価格が下落した場合でも再生産が可能な所得が確保されるものとなりますよう、国に対して要望してまいりたいと考えております。 また、農業生産条件からいって不利な中山間地域において、耕作放棄地の発生を防止をし、公益的機能を確保するという観点から、いわゆるデカップリングが平成十二年度から導入される予定となっておりますので、地域の実態を踏まえた制度になりますように、国に対して働きかけてまいりたいと考えております。 私からは最後になりますが、三陸縦貫自動車道の整備方針に関する御質問にお答えをいたします。 三陸縦貫自動車道は、本県沿岸部の高速交通体系の骨格をなすものでありまして、その早期の完成は、かねてから県政の最優先課題として取り組んでまいりました。これまで現在整備が進められている石巻河南インターチェンジ、河北インターチェンジ間の早期供用と、環境アセスメントの手続中であります登米志津川道路の整備計画の早期決定を建設省に強く要望をしているところであります。更に、志津川以北の整備については、早期事業化に向けて、関係行政機関、期成同盟会及び地域住民が一体となって総力を挙げて引き続き運動を展開してまいります。こういったことから、宮城県三陸縦貫自動車道整備促進期成同盟会の会長といたしましても、三陸縦貫自動車道の整備促進になお一層努力してまいりたいと考えております。 なお、気仙沼・本吉地域の運転免許サブセンターに関しては、
警察本部長から答弁をしていただきます。 私からは、以上でございます。
○議長(
佐々木久壽君) 教育長遠藤嘉彬君。 〔教育長 遠藤嘉彬君登壇〕
◎教育長(遠藤嘉彬君) 内海太議員の御質問にお答えいたします。 初めに、心をはぐくむ学校教育充実事業の進め方についてでありますが、小中学校を対象に、地域との連携を図りながら、子供たちの豊かな心をはぐくむ教育活動を推進する学校を指定し、心の教育を推進してまいります。その成果をフォーラムで発表したり、パンフレットや体験文集を発行して広く活用を図り、県民の心の教育推進の機運を高めてまいりたいと考えております。 次に、ハイスクールカウンセラーにつきましては、これまで、文部省の委託事業として、県内十の高校にスクールカウンセラーを配置してきたところでありますが、これに加えて、新たに県単独で十校に臨床心理士などのカウンセラーを配置し、増加傾向にある高校生の不登校や中退問題等の相談に応ずることとしたものであります。 次に、障害児教育充実推進モデル事業についてでありますが、本事業は、小学校の特殊学級設置校で比較的障害の重い児童が在籍する三校を指定し、非常勤講師を一名ずつ配置して、特殊学級の指導体制や指導内容、方法等のあり方について、二年間にわたり実践研究を行おうとするものであります。 以上でございます。
○議長(
佐々木久壽君)
警察本部長中川雅量君。 〔
警察本部長 中川雅量君登壇〕
◎
警察本部長(中川雅量君) 内海太議員の質問にお答えをいたします。 御指摘の気仙沼・本吉地区を対象とした運転免許センター構想につきましては、県長期総合計画の交通安全施設整備事業として盛り込まれているところでありますが、現下の厳しい財政事情から、建設の見通しが立てられないのが現状であります。 そこで、警察としましては、当面の措置として、同地区の警察署において免許更新や試験等、免許業務の一部を実施する方向で検討中でありますので、御理解を賜りたいと思います。
○議長(
佐々木久壽君) 暫時休憩いたします。 午前十一時二十五分休憩
--------------------------------------- 午後一時一分再開
○議長(
佐々木久壽君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十三番
菅野信男君。 〔四十三番
菅野信男君登壇〕
◆四十三番(
菅野信男君) 私は、社会民主党議員会を代表して、重要な緊急課題になっております介護保険制度の整備と、教育の分権と学校教育の視点、並びに財政健全化と会計制度の見通しについて、絞って、私見をまじえながら順次質問を申し上げます。いましばらくおつき合いをいただきたいと思います。 では、始めさしていただきます。 介護保険制度の取り組み状況と財源についてであります。 あと一年二カ月後の平成十二年四月より、介護保険制度が開始されます。制度開始前に行われる準備要介護認定は本年十月一日から開始されるため、実質的な準備期間は一年を切りました。保険者となる市町村はやっきになって準備にとりかかっていますが、各市町村によってその取り組み方に差があり、全国一斉に始まる制度とはいえ、制度をどう活用するかという点で、まさにそれぞれの自治体の力量を問われる制度になります。 現在の介護保険制度をめぐる取り組み状況と財政措置についてお伺いをいたします。 まず第一に、介護保険制度がスタートしたとしても、介護サービスが需要に不足している状態が解消されないのではないだろうかという懸念と、介護サービスの基盤整備について、国は、一九九九年度までに新ゴールドプランによって整備を終えると言っていますが、運用主体となる市町村は、必要な職員の計画的増員と財政難もあって、新ゴールドプランの達成自体見通しが立っていないため、不安視する向きもあります。このままでは、制度あって介護なしの声もありますが、状況についてお伺いをいたします。 次に、介護サービスの供給主体になってみますと、介護関連のサービス提供は、一部民間シルバー産業への委託事業形態はとられるものの、原則的に供給主体は市町村や社会福祉法人に限られており、行政の責任においてサービスの給付が行われてきております。 介護保険制度では、財源は保険料と税金が半々の負担になりますが、実際のサービス提供は、民間事業者やNPO、そして医療法人といった多様な供給主体が行い、法人格があって一定の指定基準を満たせば、県に対して居宅介護サービス事業者としての届け出が可能であり、指定を受けて、介護サービスが提供できるようになると理解をしています。利用者は、これらの多様な供給主体からサービスを選択し、利用する仕組みになっていますが、民間企業の参入に対しては、福祉関係者からは、そのサービスの質について危惧の声が多く、参入を制限すべきとの意見があると聞いております。 介護市場をどのように形成しようと考えているのか、また、利用者へのサービス情報をどのように提供していくのか、お伺いをいたします。 第三に、平成十年三月に、特定非営利活動促進法、通称NPO法が成立し、同年十二月一日から施行されましたが、NPO法による法人設立の申請は、十二月中旬現在、全国で三百件程度と、都道府県担当者の予想件数より下回っている状況にあります。住民互助型在宅福祉サービス団体の多くは、六月ころから始まる介護サービス事業者申請に間に合わせるべく、法人格取得の手続を進めるとも聞いております。 社会福祉法人全国社会福祉協議会が行った、住民参加型在宅福祉サービス団体の運営のあり方に関する調査研究報告書、これは平成九年三月に出されておりますが、それによれば、専任の事務局がある団体は四割程度であり、その人数も多くて三名程度となっております。また、有給スタッフがいない団体も四割程度ありますが、年間収入が五百万円を超える団体では五割、百万円から五百万円までの団体では約四割が法人取得を決めかねているという結果が出ております。他の団体も介護保険市場への参入意向を示し、法人格取得を目指していますが、ケアマネージャー試験の合格者がなかったため参入できない団体もあります。 初めに法人格取得ありきでなく、団体の規程や年間予算、サービスの内容等を検証し、できるだけ参入が可能となるよう、必要な措置を行うべきと思いますが、いかがでしょうか。 第四は、税制度面では、社会福祉法人が法人住民税を免除されているのに対して、NPOの団体は原則課税対象となっています。これは、均等割分を免除する自治体も出てきていますが、個別の政策であって、制度として保証されてはおりません。アンバランスが生じてきております。県の実態はどのようになっており、制度としての保証をどのように考えているのか。 また、介護報酬の支払いが償還払いになるなど、利用者にとって不便になる面があります。自治体が保健福祉事業の中で基準該当サービスを利用した場合に、貸付金給付による補償制度がどのようになっているのか、あわせてお示しをいただきたいと思います。 第五は、介護保険市場では、民間企業も、NPO法人を含む市民活動団体も、同じ土俵でサービスを提供し、競合していくことになります。民間企業に保険内のサービスだけで真っ向から勝負できる市民活動団体は、全国的に見ても一握りであると言われております。顧客の満足度をどれだけ上げられるかという点で、市場システムの中で生き残っていくために重要になり、善意でやっているのだから行政からの支援が必要であるとか、サービスの質の保証ができないという甘えは許されません。そのため、介護保険でカバーできないすき間の部分のサービスを考えて、どうやって提供していくか役割を考え、時には市町村に働きかけて、サービス供給体として共に働く--共働しながら、その地域の介護のあり方を提案し、実践する母体になるべきと思いますが、市民団体の役割についてお伺いをいたします。 第六は、財政面では、介護保険法が提案されました当時、四兆二千億円の介護費用で、二千五百円の平均的な保険料水準ということになっていましたが、市町村の現場で検討してみますと、どうも二千五百円の保険料ではおさまらないのではないかというような懸念が出されております。その後、厚生省では、在宅、施設を合わせて平均で、月額平均保険料二千八百三十二円と公表されているようであります。財政問題が市町村にとって一番の不安材料で、特に脆弱な町村を中心に、低所得者対策や公的負担の拡充などの適切な対応がなされない場合には、施行延期も考えるべきだという意見も出てきております。福祉あるいは介護保険に熱心に取り組んできた市町村からは、平成十二年四月の施行に向けて努力すべきであり、この施行延期は考えるべきではないという意見も出されております。 本県では二月十日、宮城登米広域介護サービスが、行政主導によって、全国初の民間介護サービス会社として発足しました。登米郡七町と津山町が準備を進めてきたものであります。単独の町では限界がある人材の結集と財政面での対策からだろうと思います。財政問題をどのように解決されたのかお伺いいたしまして、この項を終わります。 次に、教育の分権と学校教育の視点についてであります。
地方分権を考える場合、
公共事業や福祉、農政の分権も大切でありますが、伝統的に教育立国として中央集権的な教育システムを維持してきた我が国において、教育の分権へ踏み切ることは、極めて大きな意味を持つことになります。 教育分権の答申を見ますと、一つに、自治体が学校や教育課程を編成できるよう国は基準を弾力化、大綱化すること、二つに、義務教育における学校の自主性を確立すること、三つに、教育内容について、考える力を養えるカリキュラム編成を
教育委員会も一緒になって考えようというものであります。 そこで、注目したいのが、校長が単なる教員の延長で長としておさまっている現状から、学校経営者へと変身ができるかどうかであります。よく現場の教師から、うちの校長は校長会で周りの校長の出方を見きわめ、
教育委員会の意向を十分確認した上でないと何も決断しないという声を耳にします。確かに今までのシステムの中では、校長は教育行政の末端管理者として、上級機関の指示どおり立ち回ることが無難な選択であったかもしれません。あと数年で退職というときに、周りから浮き上がる目立った行動はしたくない、これは校長の本音だろうし、そうした考えは、教育に限らず、波風立てないのが処世術と決め込む従来型地方公務員の一般的な姿でもあります。だからといって、校長だけを責めるつもりはありません。だが、それでは、これからの分権時代の教育環境を生かし得ないのではないでしょうか。なぜならば、自己決定、自己責任の原則を踏まえ、学校を拠点に教育を組み立てることになるので、教員組織を管理するとか、学校施設を管理する責任者だけでなくて、校長は教育の政策マンとしての学校経営者でなければならないからであります。 加えて、学校という存在をもっと多角的に活用する、地域経済の視点も要求されてまいります。小学校が、地域のリサイクルセンターとして、また福祉センターや生涯学習センターとしての役割、また、時には図書館、博物館、スポーツセンターとして、または地域の環境と文化の拠点として、それぞれの機能をつくり上げることで、学校の新しい生き方が見出せるからであります。広域行政は、何も自治体行政に限定されるものではなく、教育の世界も、広域圏で物を考える時代に入ったと思いますので、学校間の広域連携をもっと広めることも大切になってまいります。 従来、市町村の
教育委員会は、市町村から一定程度独立した組織であることをよいことに、極めて閉鎖的な運営を行ってきております。最近、学校開放が進められてはいるものの、広大な面積とフロアが一日八時間しか使われないとか、一年の三分の二しか使用されない、しかも狭い教育目的にしか使われてこなかったような気がしてなりません。学校という地域住民の心の頼りになる拠点施設は、もっと多目的な施設として生まれ変わるべきであります。 静かな知のオアシスを期待して、以上、教育の分権についてお伺いをいたします。 次に、学校教育の視点についても大きく変えなければならないと思います。 戦後、国家、経済に役立つ人材育成を優先してきた管理型教育が今行き詰まり、学級崩壊などをもたらしております。こうした教育の荒廃は人間の荒廃を生み、社会の荒廃へと進んでまいります。いじめから始まり、不登校の増加、学級崩壊など、従来の教育制度のあり方が問われる難問が噴出してきております。 学校教育のあり方をグライダーと飛行機にたとえて援用した、「思考の整理学」という外山滋比古氏の著書があります。それによりますと、人間にはグライダー能力と飛行機能力があり、受動的に知識を得るのが前者で、自分で物を考え発明をするのが後者で、この両者は一人の人間の中に同居していると言っております。そして、グライダーと飛行機は、遠くから見ますと、空を飛ぶ姿は似ているものの、グライダーの場合は自力で飛ぶことはできません。しかし、グライダーが音もなく優雅に滑空しているさまは、飛行機よりもはるかに美しく目に映ると言ってます。学校の生徒は、グライダーのように、先生と教科書に引っ張られて勉強します。自学自習という言葉はあるけれども、グライダーのように自力で飛び上がることができず、独力で知識を得ることもできません。学校をグライダー人間の訓練所と位置づけておるようであります。そのため、グライダーの練習中に、エンジンのついた飛行機人間がまじっていると、勝手に飛び上がったりして、迷惑だし、危険だし、規律違反になり、たちまちチェックされてしまいます。今の学級崩壊がそうだろうと思います。学校では、グライダーのように引っ張られるままにどこへでもついていく従順さが尊重され、やがて、チェックされた生徒も、それぞれにグライダーらしくなって卒業しますが、グライダー人間は、指導者がいて初めて能力を発揮します。指導者がいて目標がはっきりしているところでは、グライダー能力が高く評価されるけれども、一人一人になると途方にくれたり、突然これまでとまるで違ったことを要求されると困ってしまうタイプと言っております。現実には、グライダー能力を持った者が圧倒的で、飛行機能力を持った者は少ないとも言われております。これからの新しい文化の創造には、飛行機能力を持った者が不可欠であると結んでおります。現代は、情報の社会であります。グライダーにエンジンを搭載するにはどうしたらよいのか、学校も社会もそれを考える必要があると再認識をしたところであります。まさにこの問いに答えることが、教育のあり方を見出すことにもなるのではないかと思います。飛行機能力を伸ばす教育、それは、学校の改革から始めなければならないと思います。旧来の固定概念と秩序維持のみの発想から抜け出せない限りは、教育現場はこれからますます荒廃を重ねていくことは間違いありません。学校教育の視点を、従来の鋳型人間づくり教育から、創造的でしなやかな柔軟な人間づくりを目指す教育に、もっと踏み込んで考えるべきと思います。 子供たちが現在の学校という枠組みを拒否するのは、こうした教育の固定概念に対する無言のあるいは無意識のうちの抵抗がそうさせているものと思います。 先日、岡山で開かれました日教組の集会で「いじめや不登校は、子供だからクローズアップされるけれども、大人だって同じことをしている。自分の心の中に問いかけてみてください」という、男子生徒の発言がありました。子供たちから大きな拍手が起こったという毎日新聞の記事を読みました。この言葉に反論し、指導できる大人が果してどれだけいるでしょうか。 いつの時代でも、子供はみずみずしい感性と時代に対する鋭い批判精神の種を持っていると言われております。その種を大事に育てて立派な大樹に育てていくのが、真の学校教育であります。学校教育の視点をどこに置くべきか、お伺いをいたします。 また、中央教育審議会は、不登校や児童生徒の問題行動が深刻化しており、それらに適切に対処できるよう、欧米並みの児童生徒にしたり、教職員配置、学級編制のあり方について検討するよう求めております。文部省も、四十人学級が基本になっている現行の公立学校の教職員配置の見直しの検討を始めてもいます。三十人学級など少人数学級の編制も考慮に入れ、現行の義務教育諸学校と公立高校の教職員配置改善計画を二〇〇〇年度以降に検討すると言っていますが、早い機会に国に結論を出すよう働きかけるべきと思います。 更に、一つに、複数の教員が指導に当たるチームティーチングの導入、二つに、学校が抱える課題に対応するための教職員配置のあり方、三つに、新学習指導要綱に基づく教育にふさわしい教職員の配置、四つに、教師以外の専門的スタッフの導入、五つに、新しい教職員を配置した場合の効果、六つに、これらを実現する場合の財源確保についても、あわせて知事並びに教育長にお伺いをいたします。 最後の項目として、財政健全化と予算、決算の改善についてであります。 まず第一に、財政健全化についてお伺いをいたします。 宮城、岩手、山形管内の景気は、業種、企業間での明暗のばらつきを拡大しつつも、全体として見れば後退を続けています。鉱工業生産は低下傾向、住宅着工戸数は減少幅の縮小が見られるが、引き続き前年を下回っている。雇用情勢は厳しい状況が続いており、経済活動全般も厳しい状況が続いており、景気は低迷している。これは、一月末から二月初めにかけて日本銀行と宮城県から発表された経済概況であります。 昨年春の総合経済対策に続き、十一月には緊急経済対策が決定し、実施されつつありますが、景気回復の足取りは極めて重く、平成十年度の我が国の実質GDP、国内総生産は二年連続して二・二%程度マイナスが見込まれていることや、国内の完全失業者数がこの八年間で百六十三万人もふえていることなどは、バブル崩壊に端を発した日本経済の危機が着実に進んでいることをはっきりと教えてくれます。 「緩やかな変化は、一年だけをとってみれば大したことではないが、長い期間を振り返ってみたり、長期的な将来の変化を予測したときに初めて危機と認識される。」これはアメリカの経済学者レスター・サローの言葉であります。これは、明白な危機が起こらなければ、なかなか変化できない。変革は必ずだれかの痛みを伴う措置が必要であり、明らかな危機なしに痛みを説得するのは極めて困難であるという意味であります。逆に言うと、変革には大きな困難を伴うが、変革が必要なときにその答えを出すことができなければ、存続にかかわる危機に必ずや直面するということではないかと考えます。 現在、国、地方の財政は極めて厳しく、まさに危機的状況に立ち至っており、国、地方の借入金の総額はGDPに迫る規模となっております。これは本県財政にも当てはまることであり、経常収支比率、県債残高など、どの財政指標を見ても、厳しい局面に差しかかっていることを示しております。 折しも県は、去る二月十二日に、財政
健全化推進計画を策定、発表しました。計画は、県民のニーズに的確に対応できる県政の推進に向けて、本県の歳出構造を転換することによって、より機動的な財政運営を行うことができるシステムを確立するため、全分野にわたって、従来の発想にとらわれない改革を進めることをその基本方向としながら、財源不足の解消、県債発行と公債費の増加抑制などを目標に、各種の具体的取り組みを行うこととされております。バブル経済崩壊後、県の実税は、平成三年、二千三百九十一億円、平成九年、二千四百十九億円と全く伸びていず、低成長が今後の世界的傾向であることを考えると、県の財政運営もこれらに見合った構造に変えていく必要があるのは当然であります。そのためには確かに痛みを伴います。ある意味では、血も流さなければならないでしょう。しかし、こうした取り組みなしでは、将来、県民の負託にこたえる行政を展開していくことができないのも、恐らく事実であろうと考えます。県職員のみならず、県民も、そして県民の代表たる我々議員も、今後の県財政の行方を注視し、議論を重ね、二十一世紀の県政の道筋を確かなものにするための努力を続けていかなければならないと考えております。 まず、知事の財政状況についての認識と、財政健全化に向けた決意をお伺いいたします。 またあわせて、以下数点についてお尋ねをいたします。 その第一は、計画では、昭和四十八年のオイルショック後の財政危機を上回る厳しい状況に直面していると述べられていますが、当時、昭和五十年度の財政危機では、どのような健全化措置を実行し、どのような財源措置がなされたのか、お伺いいたします。 二つ目は、修正後の中期見通しについてであります。これによれば、一定の仮定条件のもとでの機械的計算であり、計画に織り込まれた具体的な縮減方策を一つ一つ積み上げたものではないにせよ、平成十四年度までは財源不足額が拡大しております。もちろん、基本目標にもあるように、各年度の財源不足はそれぞれ解消していくため努力を行うでしょうが、そのすき間を埋めるためにどのような方策が考えられるのか、幾つか例示していただきたいと思います。 次に、各般の具体的な縮減方策を実行していくに当たっては、県民の視点に立った使命、成果、効率重視の観点からの不断の見直しが必要でありますが、その結果は県民の前に常に明らかにされなければなりません。その意味でも、
行政改革推進計画に定めた、行政評価システムの確実な実行が必須の条件であると考えます。このシステムの現在の実行状況と十一年度以降の具体的な進め方をお伺いいたします。 更に、人件費について考えてみたいと思います。 人件費についても、定員の適正化や給与等の適正化などを行うこととされ、議員報酬一部カットに倣って、特別職などの給与及び管理職手当の一部をカットするための条例案が今回提示されましたが、特に一般職員の人件費については、御承知のように、労働基本権が制約されていることの代償措置として
人事委員会による勧告制度があることの意味を十分考えなければなりません。その実行については慎重な取り扱いが必要であろうことを申し添えるとともに、早期に基金残高など数値目標を達成できることを期待しつつ、財政健全化についての質問を終わります。 次に、予算、決算の改善についてお伺いをいたします。 外国の公会計制度を見ますと、日本とドイツは修正現金主義、カナダ、アメリカは修正発生主義、ニュージーランド、スイス、イギリス、フランスは完全発生主義をとっております。ニュージーランドは、二十年以上にわたる財政赤字を改革する目的で、公共財政法を成立させ、従来からの現金主義会計から脱却して、中央政府及び各省庁の予算制度及び会計制度を完全発生主義会計に変更することにし、会計への移行は十八カ月で達成され、七年後の一九九六年度には財政黒字を計上するまでになったと言われております。 日本の場合、公営企業については、修正発生主義の貸借対照表や損益計算書などが公表されております。その限りでは、経営の実態が明らかになっております。しかし、普通会計のレベルでは、財務的な説明が十分果たされていないのが実態であります。 予算制度の改革として、三重県においては、従来の部局ごとに費目別に定められていた
予算編成方式を大きく変更させて、環境、文化、情報などのテーマ別に、部局ごとのマトリックス予算表を作成して、プログラムごと又はプロジェクトごとの予算管理、原価管理を実施しようとしています。このような一連の評価システム導入に当たっては、発生主義会計に基づくコストに係る会計情報が不可欠であります。そのためには、貸借対照表の作成が不可欠になります。熊本県も、独自に貸借対照表を作成して財政分析を行っております。 いずれにしても、現在、我が国の地方行政システムは、これまでの統一的に公平に重視する集権型から、地域の個性や主体性を発揮する分権型への転換過程にあります。機関委任事務の廃止を初め、国の関与や必置規制など、国と地方の役割分担が見直され、権限の委譲が進められていくことになりますので、徐々に地方税財源の充実強化が図られるところから、今の決算制度では、住民の意思や協力が得られるよう会計制度の見直しが求められます。今、各自治体が地方債などで借金をする際、国が金の手当てを保障する部分が大きいのですが、今後は民間の金融機関、特に外国機関から資金を調達する機会も多くなります。当然貸す方は、そのときの自治体会計の決算書をチェックすることになりますので、企業会計方式にならざるを得なくなります。場合によっては、外郭団体も含めた連結財務諸表が必要になってまいりますし、連結決算も視野に入れておかなければならないと思います。貸借対照表の作成を中心とした財政分析手法による各県の取り組みを見ますと、四十七都道府県のうち十一の県が分析中又は実施済みと聞いていますが、他県の状況もあわせて、予算、決算の改善策についてお伺いをいたします。 以上で、私の代表質問を終わりますが、今議会を最後に、議員を勇退することにしております。 振り返りますと、昭和五十八年当選ですから、十六年になります。
宮城県議会の最初の
宮城県議会は、明治十二年の三月二十日から四月の十九日まで三十一日間開催されたと記されております。公選によって選出された議員は四十四名、当時刈田郡からは白石の米竹清右衛門さんが選出されております。議員の資格については、そのただし書きに、「但し人選の儀は戸長以下士民--これは侍であります--神官、僧侶を論ぜず、善く事務に長し、人のために誠実、才望あるを要す」とあります。 県議会は、恐らく百二十八年になるのではないかなと思います、歴史が。ちょうど私が、白石・刈田の三十人目になる議員でございます。安藤さんは、三十二人目になるのではないかと思いますが。白石からは、白石高校を創立した亘理晋さん、第十九代の議長さんでございます。その後、半沢健次郎さん、議長の遠藤要さん、佐藤民三郎さん、そして私の当選のために大変お世話になりました鈴木孝一郎さんなど、大人物が出ております。 私は今日まで、先輩議員の名を汚さないよう誠実にやってまいりました。その間、議員諸兄にはいろいろと御指導、御教授を賜りました。心から厚くお礼を申し上げたいと思います。また執行部並びに職員の皆さんにも、ことのほかお世話になりました。心から厚くお礼を申し上げます。 最後に、月並みな言葉になりますが、浅野県政と県議会の更なる発展と新世紀・みやぎ国体の御成功、そして議員諸兄の御健闘を心からお祈り申し上げ、最後の質問といたします。 ありがとうございました。