(3)山・川・海をつなぐ「
水循環システム」の再生・保全では、
農林水産業の基礎となる安全・安心な
水資源を確保するため、再造林などの
森林整備や、
農業水利施設などの
維持管理、藻場の造成や
集落排水事業などを計画的に推進します。
また、動植物の
生息環境にも配慮した
施設整備など、豊かな
地域資源を未来に引き継ぐ「
環境公共」の
取り組みを引き続き推進します。
(4)連携・協働・交流による活力ある
農山漁村づくりでは、
人口減少、
高齢社会を支える
仕組みづくりのため、
地域経営体による
地域貢献に係る
取り組みを重点的に支援します。
また、移住・定住や
交流人口の拡大を図るため、
本県農林水産業、
農山漁村の
魅力発信や
観光分野とも連携した「あ
おもり型農泊」を推進します。
(5)
農林水産業の成長と
共生社会を支える
人財育成では、高い
経営力を持った人財を確保するため、
グローバル経済や
スマート農業にも対応できる
若手農業者を育成するとともに、
農業経営の
法人化を推進します。
また、
農村女性の活躍を促進するため、
女性起業や
女性リーダーの育成に
取り組みます。
32
◯齊藤委員長
それでは、審査を行います。
初めに、
執行部から
報告事項があります。──
高谷農林水産部長。
33
◯高谷農林水産部長
それでは、お手元にお配りしてございます
農作物の生育と
農作業の
進捗状況等について御報告いたします。
1、
農作物の生育と
農作業の
進捗状況等について。
(1)
気象経過と今後の
見通し等です。
平均気温は、青森市で4月が平年並み、5月前半が平年より高くなりました。日照時間は、4月が平年並み、5月前半はかなり多くなりました。
降水量は、4月が平年並み、5月前半は少なくなりました。今後の
気象見通しは、気温は平年より高く、
降水量はほぼ平年並み、日照時間は平年並みか多いと予想されています。
5月16日現在、主な
農業用ダムの貯水率は平年並み、ため池はやや少なくなっています。向こう1カ月の
降水量はほぼ平年並みと予想されていることから、
農業用水は確保される見込みでございます。
続いて、(2)
農作物の
生育状況等です。
水稲です。
田植え始めが5%に到達した日は、好天が続いたことから、平年より2日早い5月14日で、5月15日現在の
田植え進捗率は8%となっています。
田植え後は、苗の活着と生育の促進を図るため、温暖な日は2センチメートル程度の浅水で水温の上昇を図り、低温の日は4~5センチメートルのやや深水で保温に努めるなど、天候に応じた
水管理の徹底を指導します。
2ページをお願いします。
畑作、野菜、花卉です。小麦、
ダイコンの生育は平年並み、
ニンニクは平年を上回っています。
メロン、キク及びトルコギキョウの定植後の生育は順調に進んでいます。今後、小麦、
ニンニクは
病害虫防除、また、
ダイコンは
適期収穫を、
メロン、花卉類は適正な
温度管理を指導いたします。
リンゴ等果樹です。
リンゴ「ふじ」の
落花日は、黒石で平年より3日早い5月14日、五戸で4日早い5月16日となっています。おうとうの
落花日は、「佐藤錦」が黒石、五戸ともに平年より2日早い5月13日、「
ジュノハート」が、五戸で平年より2日早い5月14日となっています。桃の
落花日は、五戸の「あかつき」で平年より6日早い5月8日、黒石の「
川中島白桃」で1日早い5月15日となっています。
今後は、適正な間隔で
農薬散布を行うほか、
高品質果実生産のため、
適果剤を活用するなど早期に
適正着果量を確保するよう指導します。
飼料作物です。牧草の草丈は、5月10日現在で平年比94%となっています。
サイレージ用トウモロコシの
は種作業は、平年並みに進んでいます。今後、牧草は、
刈り取り適期の出穂期から遅くとも
開花始期までに収穫するよう、また、
サイレージ用トウモロコシは、5月中には種を終えるよう指導します。
最近の
漁模様等について。
(1)
沿岸水温です。
平均水温は9度から14度台で、
日本海・
津軽海峡・
太平洋でやや高く、
陸奥湾で平年並みとなっており、全地点での平年差の平均はプラス0.8度となっています。
(2)
主要漁獲物の動向です。ヤリイカは、
県全域の約6割を占める
日本海において78%、約3割を占める
津軽海峡において48%、約1割を占める
太平洋において30%で、いずれも低調となっています。マダラは、
県全域の大宗を占める
太平洋において34%で低調となっています。マイワシは、
県全域の大宗を占める
陸奥湾において、180%で好調となっています。
3ページをお願いします。
アブラツノザメは、
県全域の約5割を占める
太平洋において37%、約2割を占める
津軽海峡において72%で低調、約3割を占める
日本海において113%で平年並みとなっています。
スルメイカは、
県全域の大宗を占める
太平洋において43%で低調となっています。
(3)
陸奥湾の
ホタテガイ養殖です。半成貝の4月の
水揚げ数量は、過去5カ年平年比165%で好調となっています。全湾で
ホタテガイの採苗器への付着が進んでおり、付着数は平年より多くなると見込まれています。このため、今後、適切な間引きの時期や方法について指導します。
県産農産物の
販売動向について。
(1)野菜です。
ナガイモの価格は347円で、市場全体の
入荷量が大幅に少なかったものの、本県産の
上位等級品が少なかったことなどから、過去5カ年
平均比では91%と安値となっています。
ニンニクの価格は1,767円で、市場全体の
入荷量が大幅に少なく、価格が
上昇傾向にあるものの、過去5カ年
平均比では93%と安値となっています。ゴボウの価格は251円で、市場全体の
入荷量が大幅に多かったことから、過去5カ年
平均比では70%と大幅な安値となっています。
(2)
リンゴです。
リンゴの価格は319円で、市場全体の
入荷量が前年対比103%とやや多く、
傷果等の割合も高かったことから、過去5カ年
平均比では91%と安値となっているものの、4月中旬から
有袋ふじの販売が始まり、価格は上向いています。
(3)子牛です。
黒毛和種の1頭
当たり平均取引価格は77万4,000円で、前年比102%、過去5カ年
平均比では108%となっており、全国的な子
牛不足の影響により、依然として高値が続いています。
34
◯齊藤委員長
ただいまの
報告事項及び
特定付託案件について質疑を行います。
質疑は、議題外にわたらないようにお願いします。
なお、
答弁者は、挙手の上、「
委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
質疑はありませんか。──
山田委員。
35
◯山田委員
2点質問いたします。
まず1点目、
農福連携の推進についてでございます。
農業従事者の減少による
担い手不足や障害を持つ方々の働く機会の創出、また、就業率の向上など、
農福連携は双方に利益のある有効な
取り組みとして注目をされております。そこで、
農福連携の推進に向けた
取り組み状況と課題について伺います。
36
◯赤平農林水産政策課長
県では、
農業分野における
障害者の就労を促進するため、平成23年度から先行して三八地域で、また、平成26年度からは全県に拡大して
農福連携の取組を推進しております。
取組当初から平成29年度までは、
農業者や
福祉事業者向けの
研修会等を開催してきたほか、実際に、
障害者の方に
農作業を体験してもらう
就労モデルの実証に
取り組み、参加した
農業者52人の約6割が実証後も作業を委託するなどの成果が得られています。
平成30年度からは、地域の実情に応じた
マッチング体制を構築するため、
就労支援窓口として想定しております県内8農協に委託しまして、求人・求職の
データベース化を進めており、今年度から活用していくこととしています。
農福連携を進める上での課題としましては、
農福連携を現場でリードする人材が不足していることや、
福祉事業所の求職に対して
農業者の求人が少ないことなどが挙げられます。
37
◯山田委員
これまで23年度から三八地域で導入をし、また、26年度から全県に拡大して取り組んでいるということでございます。これまでの
研修会とか、あるいは、
モデル実証、その後、6割が実証後もまた採用されているということでございますし、求人・求職というものを
マッチングさせていくための、農協などから協力いただいた
データベース、そして、その後、それを活用して取り組んでいらっしゃるということでございますけれども、いろいろと農業の体験をしていただく、あるいは、つくったものを販売していただくなど、
さまざま障害者に農業の機会というのをつくっていく、また、
障害者の側にとっても、やはり農業というのも理解をしながら、双方がしっかりと理解し合って、情報を共有し合って進めていくということが大事だと思います。やはり
農業者側にとっては、
作業内容をしっかり
福祉事業所側にお伝えしていく、また、難易度であったり、
移動手段など、そういった情報も当然、
障害者の側に立った情報を蓄積していくということも大事だと思いますし、
障害者、あるいは、
福祉事業者側にとっては、持続的に作業していくための
取り組みとして、やはり農業をしっかり理解していく。双方がどう進めていくのかということを考えた場合に、うまく
マッチングしていく、そういった機関であり、あるいは、人材というのをしっかりこれからつくっていくというのが大事かなと思います。
そこで、情報を収集・
整理して
農業者と
福祉事業所などを
マッチングを実施していく、そのことで継続的な
取り組みをしていくことが必要と考えますけれども、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
38
◯赤平農林水産政策課長
農福連携については、昨年度に全国段階の推進組織が
法人化されたほか、
農福連携により生産された農畜産物を「ノウフクブランド」として認定する
取り組みが始まるなど機運が高まっております。
県としては、引き続き、地域の実情に応じた農業側の求人と、福祉側の求職の
マッチング体制の構築を進めるほか、三重県などの先進県や県内の先進的な農業法人の
取り組みも参考にしながら、農業側、福祉側の双方に、
農福連携の推進役を担う「農業ジョブトレーナー」の養成などに取り組んでいます。
また、農業側の求人をふやすため、
農業者や農業法人、農協などを対象にセミナーや現地検討会を開催することとしています。
さらに、長期的観点から、
農業経営者の候補となる営農大学校生に対して、
障害者就労に関する講義をカリキュラムに組み入れるなど、
意識啓発にも努めていくこととしております。
39
◯山田委員
県の営農大学校におきましても、そのような
農福連携のカリキュラムを導入していく。そして、そういったジョブトレーナーなど、
マッチングの人材というのも育成していくということでございます。しっかりとこれから農業と福祉、それぞれの利益につながっていくために、この取組をさらに推進をしていただくために頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、酪農の振興について伺います。
酪農を取り巻く環境は、輸入飼料価格の高騰であったり、また、TPP11などの国際的な情勢の影響、また、
担い手不足などによって生乳などの生産量が減少したり、また、肉用牛の雌牛の不足などで子牛価格などが高騰したりということが顕著になってきております。本県の酪農振興というものを考えていく上では、生産量をしっかり維持していくための担い手育成、また、労働負担の軽減、そして、生産基盤の強化というのが大きな課題だというふうに思います。そこで、酪農の担い手確保に向けた
取り組みについて伺います。
40
◯牧野畜産課長
本県の酪農は、担い手の高齢化や後継者不足により経営を断念せざるを得ない生産者がふえてきており、経営の即戦力となる人材確保と、将来の酪農を担う若手の育成が必要となっています。
このため、県では、県
産業技術センター畜産研究所と連携し、若手酪農家や就農希望者のほか、酪農家が休みをとる際にかわって搾乳等の作業を行う酪農ヘルパーのうち、経験の浅い方、これらの方々を対象に、搾乳手順の習得など乳牛の飼育管理に関する専門的な
研修会の開催などに取り組んでいるところです。
また、将来の担い手の育成に向け、小中学生を対象に出前授業や牛乳の生産工程を学習する見学会を開催しているほか、高校生を対象に搾乳ロボットなど先進的な機械を導入している農場の実地見学や、牛の体型のよしあしを審査する実践研修を行い、酪農への理解醸成と就労へのきっかけづくりにも取り組んでいます。
41
◯山田委員
即戦力となる人材の育成、また、将来的に酪農を担っていく方々の育成と、両方の部分が大事だと思いますけれども、先ほど御答弁もあったように、飼育管理など専門的な研修というものも行っていただく中で、即戦力の人材もつくっていく。また、将来的な担い手ということで、小中学生、あるいは、高校生を対象とした体験会とか、いろんな見学会など、そういったもので意欲を持っていただく取組も大事だというふうに思います。近年、酪農ヘルパーの採用とか、あるいは、営農大学校への進学の動きも少し出始めているということでございますので、ぜひ担い手確保に向けて、さらに取組を進めていただきたいと思いますし、また、あわせて、生産規模の拡大などに伴って
労働力の不足、そういう部分の労働人材の確保という部分も大きな課題だと思いますけれども、生産者同士がいろいろ融通し合えるような、そういった取組の推進もあわせて行っていただく中で、
労働力の確保、また、担い手の確保を頑張っていただきたいと思います。
次に、酪農の生産基盤強化に向けた
取り組みを伺います。
42
◯牧野畜産課長
県では、酪農の生産基盤強化に向けて、平成28年3月に策定した「青森県酪農・肉用牛生産近代化計画」に基づき、「人材の確保」、「乳用牛の頭数確保」、「自給飼料の安定確保」に重点的に取り組んでいるところです。
具体的には、人材確保では、担い手の確保対策に加え、労働負担を軽減するため、搾乳ロボットなど省力化につながる機械を設置した牛舎整備を支援しているほか、牧草やトウモロコシなどの飼料生産作業を請け負うコントラクター組織の育成にも取り組んでいます。
また、乳用牛の頭数確保では、牛が快適に過ごすことで、できるだけ長い期間搾乳ができるよう、寝床を広げるなど飼育環境を改善するとともに、乳質や繁殖に関する詳細なデータを活用するなどして生産性の向上を図っています。
さらに、自給飼料の安定確保においては、畜産クラスター事業を活用した、牧草などを効率的に生産するための高性能機械の導入や、草地等の計画的な整備による飼料の増産に取り組んでいます。
43
◯山田委員
生産性を高めていくための畜舎などの整備であったり、また、高性能機械、省力化につながるような機械の導入ということで、生産基盤そのものを強化していく、大事な部分だというふうに思います。生産基盤を強化していくことが、経営基盤の強化につながり、また、担い手の確保にもつながってくるんだと思いますので、どうぞこれからも意欲を持って酪農を営んでいく方々の取組の推進に向けて、また、支援に向けて、今後とも一層頑張っていただくことをお願い申し上げて、終わります。
44
◯齊藤委員長
ほかに質疑はありませんか。──松田委員。
45
◯松田委員
最初に、「
青天の霹靂」の生産について質問させていただきます。
「
青天の霹靂」、非常に全国的にも好評だろうと思いますし、私たちも、毎回ではないんですけれども、年に何回かいただいて幸せを感じているところでありますけれども、ただちょっと気になったのは、昨年の収量が若干落ち込んでいるような報道もございまして、これからどうなっていくのか心配がありますので、最初に、これまでの単収の推移についてお伺いをしたいと思います。
46
◯近藤農産園芸課長
「
青天の霹靂」の10アール当たり単収は、県が栽培技術を普及するために設置している拠点圃場のデータによると、平成27年産が533キログラム、平成28年産が536キログラム、平成29年産が521キログラム、平成30年産が480キログラムとなっております。
平成30年産の単収が低かった要因としては、茎の数がふえる時期の6月中旬の低温や6月中・下旬の日照不足により、穂数を十分確保できなかったことに加え、8月上・中旬の低温や、8月下旬から9月上旬の日照不足により、もみの充実が緩慢で粒が小さくなったことによるものと分析しております。
47
◯松田委員
40キログラムぐらいですか、少し減っているということでありますけれども、全国的にも食に対する関心が高くて、特に、お米について、いいものを求めるという気風が高まっているわけですけれども、ことしの作付面積についてですが、そういう需要が高まっている中での問屋さんその他に対する供給を考えるときに、果たしてことしの作付面積が需要量に見合ったものになっているのかどうか、その辺の判断をお伺いしたいと思います。
48
◯近藤農産園芸課長
令和元年産の「
青天の霹靂」の作付面積は、去る12月に行った生産者からの作付申し込み時点で、平成30年産の実績より323ヘクタール少ない1,566ヘクタールとなっております。
申込面積が減少した要因については、昨年の天候不順の影響により、「
青天の霹靂」の単収が過去3カ年と比較して低かったことに加え、「まっしぐら」や「つがるロマン」の価格も堅調に推移し、収益性が高まったことなど、複合的な要因によるものと認識しております。
なお、作付見込み面積に基づく出荷見込量は、目標単収である540キログラムをベースに試算しますと、約7,500トンとなり、出荷団体を通じて行った需要見込み量の約1万トンを満たすことができない見通しとなっております。
49
◯松田委員
作付面積もちょっと下回っているということと、需要に対して供給を満たす状況にはないようなお話でした。私はよくわからないんですけれども、お米の生産、特に「
青天の霹靂」のようなブランドについては、非常に生産者のほうも御苦労が絶えないと。神経をいろいろ使うだろうし、さっきちょっと水の話も出ていました、水温の話も出ていました。さまざま農家の方々は御苦労されているということがあって、大変だろうと思います。去年の収量の低下だとか、作付面積が後退しているという原因の中には、やはり単に自然的な減少だけにとどまらずに、生産者のいろんな考えが流動化しているといいますか、動いているところがあるのかなということもちょっと感じていますが、簡単にいえば、手間ひまかかるわりにはそんなにもうからないんじゃないかというふうな意見も新聞その他で出されているところであります。
今後、これからの
生産対策について、そういうことも踏まえながら、県としてはどういう方向でこの「
青天の霹靂」の生産に取り組んでいくのか、
生産対策を行っていくのかお伺いします。
50
◯近藤農産園芸課長
県では、昨年産の反収が減少したことや、個人差が大きかったことなどを踏まえ、ブレのない食味・品質と目標単収を確実に確保し、収益性を向上させることにより生産者が自信を持って作付できるよう、生産指導の強化に取り組んでおります。
具体的には、各地域県民局の生産指導プロジェクトチームが中心となって、これまでの
研修会や栽培マニュアル等による指導に加え、衛星データを用いて水田1枚ごとに具体的にアドバイスする「青天ナビ」を活用しながら、条件のよい圃場の選定や施肥管理、植えつけ株数の確保などについて個別巡回などにより指導しているところです。
今後とも、初期生育を確保するための
水管理や食味に影響するタンパク質含有率を左右する追肥の時期・量、
適期収穫など、高品質・安定生産のポイントとなる技術のきめ細やかな指導を徹底し、個々の生産者のレベルアップを支えていきます。
51
◯松田委員
私が感ずるには、さっきちょっとお話ししましたけれども、
稲作農家の方々、生産している方々の御苦労なり、その実態なり、状況が非常に厳しい中での頑張りがあるということもちょっとお話ししましたし、それに見合った収量なりもうけがあるかどうかという問題で、さっき収益性の向上のお話もちょっと出ていました。ですから、もう少し生産者の実態に即して、さらに、そういうきめ細かな御意見なんかもよく聞いて行政に反映させていく努力が必要かなというふうな感じをちょっと受けておりますので、その点も参考にして、これから進めていただきたいなというふうに申し上げておきます。
これとの関係で、稲作の担い手の問題です。ちょっとさっき畜産のことも出ておりましたけれども、全体として、農業だけにかかわらず、県内の産業を担っていく方々の担い手の問題というのは非常に大きな、県としては重大問題だろうと。業者にしても、
水産業にしてもどこでも、特に若い方々をどう担い手として育成していくかというふうな問題があります。一旦就いたとしても、育てていく、そういう仕組みなり努力も必要だろうということも感じておりますので、特に稲作について、本県の稲作の経営体の数の推移について、まず先にお伺いをしたいなと思います。
52
◯近藤農産園芸課長
本県の稲作経営体数は、農林業センサスによると、2005年が約3万7,000経営体、2010年が約3万経営体、2015年が約2万4,000経営体と減少傾向にあり、この10年間で約36%減少しております。
一方、小・中規模の経営体が中心となって共同作業などを行う集落営農組織数は、2005年からの10年間で112組織から191組織に増加するなど、組織体制の整備が進められているほか、10ヘクタール以上の経営体についても、2010年からの5年間で321経営体から533経営体と増加しており、米の需要に応じた生産を維持するための体制は確保されているものと考えています。
53
◯松田委員
今、数字が出されておりまして、10年間で36%ですか、3割強減っているということを聞いて、ちょっと驚いたところがあります。10年間ですから、その前からずっとさかのぼれば、もっと減っているのかなというふうな感じも受けておりますが、こういった経営体数の減少について、根本的には大きな問題が、県の行政だけにかかわらず、日本全体の食料の問題とか農政の問題がかかわっているので一概にどうだこうだというふうには言えないと思うんですが、そういう減少傾向を踏まえながら、今後、県として対応していくということになるかと思うので、最初ちょっと、収益性の確保の問題の話が出ておりましたので、まず最初に、稲作の収益性確保に向けて、県はどのように具体的に取り組んでいるのかお伺いいたします。
54
◯近藤農産園芸課長
県では、稲作の収益性を高め、生産者の所得確保を図るため、需要に応じた米づくりを基本に、県産米の
評価向上や生産力の強化に関係者と連携して取り組んでおります。
具体的には、県産米の
評価向上では、県産米を牽引する「
青天の霹靂」のブランド力を向上させる生産指導の強化のほか、「つがるロマン」「まっしぐら」の良食味・高
品質生産に向けた適地への作付誘導や、気象変動に対応した基本技術の徹底を図っています。
また、生産力の強化では、省力化につながる農業機械の導入を支援しているほか、直播栽培や1箱当たりのは種量をふやし育苗箱を半分程度に減らす省力・低コスト技術の普及拡大、水田の大
区画圃場整備と連動した自動直進田植機や自動
水管理システムなどの最先端省力技術の実証などに取り組んでいるところです。
55
◯松田委員
今、収益性確保についての
取り組みの具体的なお話もございましたが、私は、なかなか技術的なところについては、よくわからないところもありますけれども、しかし、全体として、
稲作農家が減少傾向がずっと続いていると。本当に日本の将来なり青森県の食料生産、そして、我々の食料、自給率も含めて確保していくという点では、非常に大きな問題を抱えながら皆さん頑張っていらっしゃるなということでございます。
先日、私、農業新聞というのをちょっと見ておりましたら、農協の組合長さんに対するアンケートの結果がちょっと出ておりました。今後、農協の組合長さんが農業の政策なり行政に対して何を求めるかというお話が出ておりまして、一番多かったのが、所得補てんと経営安定対策だと。これが組合長さんの55%の方がそこに丸をつけていらっしゃるようです。つまり、米の値段の問題とか、米農家が頑張っているわりには所得の水準が低いだとかいろいろ問題があって、そういうふうなところを組合長さんなんかも感じて、そういう御回答をされているかなと思うわけです。ですから、全体として、国の農政そのものも今、輸入の自由化の問題が進められているようですけれども、この米づくりをして本当に収益が上がり、収入が上がって、家族も一緒に育って、将来の展望を持ちながら生活ができていくというところに若い方々が希望が持てるような、そういう行政というものが今、必要かなということをちょっと農業新聞なんかを見ながら感じているところであります。
大局としてそういうことも踏まえながら、技術的な問題やさまざまなきめ細かな指導の問題も含めて取り組んでいただきたいということをお願いして、この質問については終わりたいなというふうに思います。
次に、主要
農作物種子法廃止後の県の対応についてお伺いをしたいと思います。
御承知のように、2018年4月1日で種子法が廃止になりました。米や麦や大豆などの種子を国がきちんと守っていくという政策が失われるような形になって、種子を供給することについて、
農業者を初め国民から非常に心配の声が上がっているということを聞いております。この1年間を見ると、一部の府県においては、外部に種子の生産を移管するようなところも見受けられるというふうにも伺っています。ですから、国に対して、種子法の復活をしてほしいというふうな動きだとか、県として、それにかわる条例を策定していくというふうな動きもあるようで、3月には、北海道や岐阜県で条例を制定したというような動きもあるようであります。
青森県はこれまでも種子法に基づいて高品質な原種や原原種の生産供給、優良な品種を決定するためのさまざまな
取り組みをして、大きな地域農業に対する貢献をしてきたということは承知しております。ですから、今回の種子法の廃止を受けて、この1年間、どのように県としては対応してきたのか、取り組んできたのか、概要をお知らせいただきたいと思います。
56
◯近藤農産園芸課長
県では、主要
農作物種子法の廃止後も生産者が引き続き安心して水稲、小麦、大豆を生産できるよう、これまで築き上げてきた奨励品種の決定や、種子とそのもととなる原種等の生産、審査などの仕組みを継続していく必要があると考え、平成30年4月に、青森県主要
農作物種子基本要綱及び要領を施行しました。
これにより、平成30年産の種子については、これまでどおり、県
産業技術センターが種子のもととなる原原種や原種の生産を行うとともに、県が種子として品質・能力を確保するための圃場検査や生産物検査を実施し、本年産の水稲・小麦・大豆の生産に係る優良な種子の供給が、滞りなく行われたところです。
57
◯松田委員
廃止と同時に、去年の4月1日に、県としては基本要綱、要領を決めてということで取り組んでいるという話で、要綱についても、その要綱の文書もいただいて見させていただいたところでありますけれども、しかし、現時点で全国的には8県ですか、県条例を制定しているということで、私もその基本要綱と県条例、条例制定の意味合いがどう違うのかということで考えてみると、やはり要綱ということになりますと、どうしても
農林水産部の一つの方針として、皆さん一緒にこういうふうに取り組んでいこうという形にとどまるのではないのかと。ですから、条例ということで、しっかり対外的にも主張し、そして、将来的にも種子そのものを生産していくというのを行政の責任としてやっていくという点では、やっぱり要綱だけだとちょっと弱いような感じもしておるんですよね。ですから、現時点でこの1年間の取組を見ると、種子法廃止以前と変わらずにやっていらっしゃるというのはわかるんですけれども、これからさまざまな民間との接触や何かあったときのことも想定されますと、きちんと条例を制定することもやっぱり必要だろうと思っています。
特に、農業県、そして、お隣の岩手県あたりでも今、検討を始めているという情報も入っておりますので、我々青森県、全国に最たる農業県でありますので、そういうところの同じ農業県の動きなんかもぜひ研究していただいて、現在は何とかなるだろうと、間に合うだろうということに済まないで、将来的な問題も含めて、研究、検討していただくというようなことを要望して終わります。
58
◯齊藤委員長
ほかにありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもって審査を終わります。
次に、本日開催された各
委員長合同会議の内容について御報告いたします。
本日、各
委員長合同会議が開催され、事務局より令和元年度議会関係予算についての説明がありましたので、委員の皆様には、私から審議や調査など議会活動に直接かかわる旅費の予算について説明します。
資料の「議会費に係る予算の主なもの」をごらんください。
今年度は改選に伴い、海外派遣分が増となっております。このほか、審議や陳情等、調査の回数は昨年度と同程度として積算しております。
まず、審議関係として、定例会は年4回、臨時会は年1回の開催分となっております。各常任
委員会は定例会中の開催分を除き年9回、予算及び決算特別
委員会はそれぞれ年1回などを予算措置しております。陳情等については、各常任
委員会による陳情が2回、特別
委員会による陳情が3回などを予算措置しております。
調査関係では、各常任
委員会の県外調査分として2泊3日を1回、県内調査分として1泊2日を4回予算措置しているほか、議員派遣については、国内派遣分として2泊3日を議員全員分、海外派遣分については、議員1人の限度額80万円として任期中の上限24人を任期の4年で割り返した6人分予算措置しております。
以上が各
委員長合同会議の内容ですが、本
委員会の
委員会調査及び陳情については、ただいま説明したとおり行うこととして、その実施の詳細については本職に御一任願います。
以上をもって
農林水産委員会を終わります。
○終 了 午前11時56分
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