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  1. 青森県議会 2006-11-28
    平成18年第248回定例会(第2号)  本文 開催日: 2006-11-28


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(成田一憲) ただいまより会議を開きます。  議会報告として、第六号「地方公務員法第五条第二項の規定による意見について」をお手元に配付してあります。     ───────────────────────       ◎ 県政に対する一般質問     ─────────────────────── 2 ◯議長(成田一憲) 一般質問を行います。  四十七番高橋弘一議員の登壇を許可いたします。───四十七番高橋議員。 3 ◯四十七番(高橋弘一) 自由民主党の高橋弘一であります。  通告の順に質問をしてまいりたいと思います。  最初の質問でありますが、来年六月に行われる青森県知事選挙への三村知事の出馬についてであります。  さて、去る第百六十五回臨時国会において、我が国初の戦後生まれ、五十二歳の安倍晋三内閣総理大臣が、所信表明で、政策課題ごとに明確な方針を打ち出しました。その主軸となったのが、我が国の次世代が誇りを持てる美しい国日本を目指してでありました。  その基本理念は、一として、文化、伝統、自然、歴史を大切にすること、基本理念の二として、自由な社会を基本とした凛とした国であること、基本理念の三として、未来に向かって成長するエネルギーを持ち続ける国であること、基本理念の四は、世界に信頼され、尊敬されるリーダーシップのある国であることの四点を挙げ、未来は開かれているとの信念のもと、改革の炎を燃やし続け、美しい国の繁栄とは、安定した経済成長が不可欠であり、人口減少の中での経済成長の達成には、常にイノベーションの力とオープンな姿勢により我が国に新たな活力を求めるとのことでありました。  安倍総理の新鮮さと英知に満ちたものであり、最近の国会での党首討論にしても、安倍総理と各野党党首とのやりとりをテレビで見るとき、斬新な自民党の改革に対し、今まで革新、革新と高らかに叫んだ方ほど保守的感覚から抜け出せないと断定せざるを得ないものがあるわけであります。  教育基本法の改正、憲法改正、国民投票制などどれをとってみても新しい時代に対する政策の先取りであり、また、中国、韓国、米国などはもちろん、安倍総理になってからの国際社会での外交に対する信頼など、自民党はたくましさと新鮮さにあふれつつあります。  我が青森県においても、平成十五年六月の青森県知事選挙において、私たち自民党は当時の三村申吾衆議院議員を推薦いたしました。これを受けて三村氏は、県民に対し参加、共生、創造、公平の四つの約束を掲げて立候補され、結果は、見事初当選を果たしたのであります。  しかしながら、当時の本県経済を取り巻く環境は厳しく、特に県財政は、予算規模を超える借金を抱えて危機的状況にあったのでありますが、三村知事は、就任後直ちに、自主自立の青森県づくりをテーマに財政改革プラン行政改革大綱生活創造推進プランを次々に策定するなど、行政・財政基盤の再構築と政策推進のための指針づくりに昼夜を分かたず邁進されてきたことは、三村知事に対し私は、存亡の危機にあった米沢藩を大胆な藩政改革で救った若き九代藩主、上杉鷹山公を重ね見るものであります。  今、県財政はようやく健全化への道のりを展望できるところまでこぎつけてきたのでありますが、我が国経済も、最近、バブル崩壊後の不況から抜け出し、現在の景気拡大の長さはイザナギ景気を超えたと言われていますが、我が青森県においては、全国に比して回復感の乏しい地域経済の活性化、若者を中心とした雇用の確保など厳しい中にあり、それほどに県政のかじ取りには重いものがあります。  自民党県連は、来年六月に施行される青森県知事選挙に再び三村申吾知事に立候補していただきたい旨、県連冨田幹事長神山議員総会長ほか三役が、去る十一月十六日に、自民党議員総会で満場一致で決議した青森県知事選挙についての基本姿勢と、重点施策として、十六項目から成る、青森県の発展と福祉の向上を軸とした政策提言をお示しし、三村知事に再出馬を要請したところであります。  私としても、余人をもってしては本県が抱えるこの困難な状況を乗り越えることはできないと考え、三村知事のこれまでの政治、行政の実績を踏まえ、百四十三万青森県民のため強いリーダーシップで引き続き県政を担っていただきたいと願い、知事選挙立候補について決断すべきときであると考え、三村知事の決意のほどをお伺いするものであります。  次に、経済・雇用問題についてお伺いします。
     我が国の経済動向については、先日発表された十一月の月例経済報告では、景気の基調判断は「消費に弱さがみられるものの、回復している」とされており、特に、首都圏を初めとする三大都市圏や大都市を擁する一部の地域においては着実な景気回復・拡大が続き、東北においても、宮城県、福島県、山形県では緩やかな持ち直しの動きが見られるようであります。  これに対し、最近の本県の経済動向については、日本銀行青森支店県内金融経済概況によると、「県内の景気は、生産活動や個人消費の一部で持ち直しの兆しが窺われている」とされているところではありますが、九月の有効求人倍率は〇・四二倍と七カ月連続で全国最下位の状況が続き、本年度上半期の企業倒産は件数、負債金額とも前年同期を上回るなど、依然として厳しい状況が続いております。  県民所得の状況を見ても、平成十五年度の県民一人当たりの所得は沖縄県に次いで低く、平成十三年度以降、減少が続いております。  また、本県における自殺率は秋田県に次いで高いものとなっておりますが、自殺の原因を見ると経済問題が多く、全体の四割近くを占めるなど、景気回復のおくれは県民生活にさまざまな影響を及ぼしておるわけであります。  本県の景気回復がおくれている要因としては、景気回復の牽引役となるべき製造業の割合が少ない上、企業進出が進まないことから、雇用の場がふえず、これが生産活動や消費の低迷につながっていることが挙げられ、本県の産業構造の改革が急がれるものと考えております。  このような現状を打破し、全県的な産業の振興と雇用の拡大を図っていくためには、企業誘致を進めることはもちろんのことでありますが、本県の特徴ある資源を最大限に活用した新しい産業をつくり出していくことが不可欠であります。  特に本県では、エネルギー分野において、各種の原子力関連施設の立地に加え、全国有数の風力発電、世界初のマイクログリッドの実証研究等、他県に類を見ない先進的な取り組みが進められ、我が国のエネルギー政策に大きく貢献しているところであります。  このような優位性を最大限に活用し、エネルギー分野への取り組みをさらに強化し、新たな産業の創出や雇用促進につなげていくべきと考えます。  また、本県の産業振興を図る上で欠かせないのが、産業を支えていく意欲と創造性にあふれる人材の育成であると思います。  とりわけ、本県の場合は、製造業を振興していく必要があることから、ものづくりに係る人材育成が極めて重要と考えております。  これに関して、県内国公立大学への材料工学・基礎工学系の学部開設の必要性、有効性はかねてより申し上げてきたところでありますが、同時にまた、県としても、ものづくりに係る人材の育成に向けた取り組みを強化していくことが必要であると考えております。  以上の観点から、次の四点について質問をいたします。  まず、本県経済の現状に対する認識と今後の対応についてお伺いいたします。  二点目として、本県の産業振興と雇用の場の拡大を図るため県ではどのように取り組んでいるのかお伺いいたすものであります。  三点目として、本県の有するエネルギー分野の優位性を今後の産業振興や雇用促進に結びつけるべきと考えますが、県の基本的な考え方をお伺いするものであります。  四点目として、本県のものづくりにおける人材育成について県はどのように取り組んでいるのかお伺いいたすものであります。  次に、教育問題についてお伺いいたします。  最初に、私立幼稚園振興についてであります。  「三つ子の魂百まで」とよく言われます。要するに、三歳までの生活習慣が、その後の「生活が教育する」というのが幼児教育の原則であると言われており、また、「人は十歳、木は一丈」とも古くから言われております。それは、人間は十歳ぐらいになるとその後の人生、将来にめどがつくということで、木は、一丈、つまり三メートルぐらいになると、木のその後の成否が見分けられるということであります。  いずれにしても、幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎を築く大切な時期であり、この時期の教育は、子供の心身の健やかな成長を促す上で極めて重要な意義を有するものであります。  本県においては、幼稚園児の九割以上が私立幼稚園に在園しており、私立幼稚園の幼児教育に果たす役割には非常に大きいものがあります。  しかしながら、働く女性の増加等に伴い少子化が進行するなど、本県の私立幼稚園にとって定員割れが大きな問題となっており、これにより、幼児教育を行うに当たり必要な適正規模の確保といった教育上の問題のほか、幼稚園経営自体が困難となるなどの問題が生じております。  そこでお伺いいたしますが、かつて本県の私立幼稚園にかかわる経常費補助の幼児一人当たりの単価は全国上位、全国四位にありましたが、現在では全国二十六位に位置しております。人材育成のため、幼稚園教育充実向上のために、幼稚園の安定した運営基盤が築かれるよう経常費補助金の増額が必要と思われますが、その見通しについてお伺いいたすものであります。  次に、県立高校における未履修問題についてお伺いいたします。  この問題の背景には、大学進学率の向上に伴い、生徒の進路希望をかなえたいという学校の思いがあったことと推察しておりますが、ルールを守ることを教えるべき学校が、ルールを踏み外し、結果として、卒業を控えた生徒や保護者に不安を与えたことはまことに残念なことと感じております。  高等学校は、本来、知育、徳育、体育のバランスのとれた子供たちを育て、社会に出ていく基礎的な力を培うべき場であるにもかかわらず、知に偏った教育が行われているように思われてなりません。  そこで、まず、県立高校の未履修問題に対する教育委員長の所見をお伺いいたします。  また、この未履修問題の現況と今後の対策についてもお伺いいたすものであります。  次に、いじめ問題についてお伺いいたします。  全国では、いじめにより子供がかけがえのない命をみずから絶つという事件が相次いで発生しており、また、文科省などへの自殺予告文の送付が相次ぐなど、いじめの問題は極めて深刻な状況と感じております。  本県においても、新聞報道などによると、いじめの千人当たりの発生件数が全国三位ということで、まことに憂慮すべき状況にあると思われます。  そこで、まず、本県のいじめの現状はどのようになっているのかお伺いいたします。  また、これからの時代を担う子供たちの命を大切にする心をはぐくむための取り組みはどのようになっているのかもお伺いいたすものであります。  次に、去る九月二日に八戸市で開催されたタウンミーティングについてお伺いいたします。  タウンミーティングは、政策立案の過程等において民意を反映させる方策の一つとして極めて重要な取り組みであると理解しているところでありますが、八戸市で開催されたタウンミーティングにおけるいわゆるやらせ発言とされる対応に端を発し、タウンミーティングそのものが問題視されることになったことは極めて残念なことと考えております。  新聞報道等によりますと、内閣府は、議論の活性化のためあらかじめ発言者を準備したとのことでありますが、これをあたかも偶然指名したように見せかける運営方法は行き過ぎと言わざるを得ないと思うものであります。  そこでお尋ねしますが、このタウンミーティングは内閣府主催で行われたものでありますが、この中でいわゆるやらせ発言があったとされていることに関し県教育委員会がかかわったことについて、教育委員長の所見をお伺いいたすものであります。  また、これまでの経緯及び対応について教育長にお伺いいたすものであります。  教育問題の最後に、工業高校の学科再編についてお伺いいたします。  さきに申し上げたとおり、本県には、日本一、また世界に誇れるエネルギー関連施設が集中しています。当然ながら、これら企業の進出や施設の建設に伴い、地元雇用や工事発注などに大きな期待を寄せてきたところでありますが、関係者からは、本県にはこれら産業を支える専門的な知識、技術を持った企業や人材が少ないなど、その恩恵を十分に受けていないという声も聞かれるわけであります。  近年、地球温暖化や産業廃棄物などの環境問題を背景に、環境保全や資源のリサイクル、クリーンエネルギーの利用など安全性や地球環境に配慮したエネルギー分野での人材育成がますます重要となってきています。  また、地方の自立性、独自性が求められる時代にあって、原子力エネルギー分野など、本県の地域特性に合わせた産業教育を創造していくことも重要であると考えます。  そこで、本県工業高校の学科について、環境問題や原子力エネルギー関連産業などに対応した新しい学科を設置する考えはないか、教育長の所見を問うものであります。  次に、世界文化遺産登録についてお伺いいたします。  三村知事は、昨年十月十一日の定例記者会見において、特別史跡三内丸山遺跡を初めとする県内の学術的に重要な遺跡について世界文化遺産登録を目指すことを表明されました。  私も、先人が残された歴史的文化遺産が人類共通の財産として世界的に認められることを強く願う者の一人であります。  また、世界文化遺産への登録が実現すれば、多くの県民が郷土の文化遺産に一層の誇りを持つことにつながるものと確信するものであります。  そこで、青森県の縄文遺跡群の登録に向けた県の取り組みについて知事にお伺いいたすものであります。  次に、交通政策について、まず奥羽本線の複線化についてお伺いいたします。  東北新幹線八戸-新青森間は、平成二十二年度末の完成を目指して順調に工事が進められています。新幹線駅舎のデザインも決まり、青森市内においても荒川地区や高田地区、石江地区などで新幹線の高架橋がその力強い雄姿を見せつつありますが、一日でも早い新青森駅開業に向けて、政府・与党に対してなお一層の働きかけを進めていく必要があるものと考えております。  さて、新幹線の新青森駅開業時には東京-青森間は約三時間で結ばれることとなりますが、大幅な時間短縮効果を生かしていくためには、何よりも新青森駅とのアクセス時間を短縮していくことが重要な課題となります。  その際、新駅から青森市内や浅虫方面、弘前方面への交通手段として新青森駅で新幹線に接続するJR奥羽本線は、運行時間の定時性などの面でアクセスの根幹を担うものと考えられます。  しかし、川部-青森間の三十一・一キロメートルは単線区間であるため、新幹線の発着時間に合わせた接続列車の増発や柔軟なダイヤ編成、スピードアップなどの面で大きな制約を抱え、せっかくの新幹線効果が消化不良を来すことも懸念されるところであります。  そこで、奥羽本線の複線化に向けたJRの対応と、新幹線駅とのアクセス向上に向けた県の取り組み方針についてお伺いいたすものであります。  次に、青森空港有料道路の無料開放についてお伺いいたします。  県道青森浪岡線は、青森県の空の玄関口である青森空港と県都青森市を結ぶ道路であるとともに、青森市と津軽地域を結ぶ重要な幹線道路となっておりますが、路線の一部区間が青森空港有料道路となっているため、利用者の多くがその区間を迂回するなど、必ずしも良好な交通環境が確保されているとは言いがたい状況にあります。県道青森浪岡線は、津軽地域から青森市への通勤にも多く利用されるなど、生活道路としての一面も担っておるわけであります。  また、平成十七年四月一日、青森市と浪岡町との合併により新青森市が誕生し、本年十月からは中核市へ移行しました。この新青森市が持続発展可能なまちづくりを進めるためには両地域の一体性を確保することが大切であり、物流などの効率化と地域力の結集を支える交通体系の構築を図る上で県道青森浪岡線は非常に重要な位置づけにあると考えております。  以上を踏まえて、青森空港有料道路二百円、浪岡の方は往復四百円、この早期無料開放について検討すべきであると考えるところでありますが、県の見解をお伺いいたすものであります。  最後に、原子燃料サイクル施設についてお伺いいたします。  県は、去る十月十七日、日本原燃株式会社及び電気事業連合会から、六ヶ所村の原子燃料サイクル事業に関して、海外再処理に伴う返還廃棄物の一時貯蔵と再処理施設の増設等にかかわる要請を受けたとのことであります。  本定例会冒頭の知事報告では、海外再処理に伴う返還廃棄物については今は検討できる状況にはないと事業者に回答したとのことであり、また、再処理施設の増設については、検討の結果、安全性に問題はないと考えるが、県議会の議論を踏まえた上で判断したいとのことでありました。  六ヶ所再処理工場については、現在、アクティブ試験も第二ステップに入っており、若干スケジュールはおくれているようでありますが、着実に進められているものと受けとめております。  アクティブ試験については極めて重要な時期に差しかかっているところと聞いておりますが、私としては、再処理工場の本格操業に向け、事業者は今後とも安全性を第一義にしっかりと取り組んでいかなければならないと考えているところであります。  そこで、お伺いいたします。  十月十七日に日本原燃株式会社及び電気事業連合会から要請のあった件について、返還廃棄物にかかわるものについては検討しないとした理由は何なのか、改めてお伺いいたします。  また、安全性については問題ないものと考えるとの御報告でありますが、何よりも安全性の確保は第一義とされるものであり、そのためにこそ検討が行われたものであるはずであります。  日本原燃株式会社から要請のあった再処理施設の増設の件について、知事は、検討の結果、安全性に問題はないものと考えるとのことであるが、どのような検討がなされたのか、また、専門家からはどのような意見が寄せられたのか、また、これをどのように反映した結果として今回の報告内容に至ったのか、具体的にお伺いいたすものであります。  以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 4 ◯議長(成田一憲) 知事。 5 ◯知事(三村申吾) おはようございます。高橋弘一議員の御質問にお答えいたします。  まず一点目、知事選についてであります。  来年六月の知事選挙に関し、去る十一月十六日、自由民主党県連から出馬の御要請をいただいたところでありますが、本日、こうして、議長を経験されました県議会の重鎮でもあります高橋弘一議員から重ねての御要請をいただき、大変ありがたく、衷心より御礼申し上げる次第であります。  私は、平成十五年七月の知事就任以来、今日までの三年有余の間、ただふるさと青森県の未来を思い、ふるさと青森県の再生、新生に全身全霊をささげ、愚直と言われながらも、不退転の決意でひたすらに、行財政改革を初めとした自主自立の青森県づくりに邁進してまいりました。  行財政基盤の確立とそれを土台とした生活創造社会の実現に向けた取り組み、攻めの農林水産業、あおもりツーリズムの推進、環境・エネルギー産業の創出を初めとした地域資源を生かしたところの産業・雇用への取り組み、元気青森人の創造をテーマとする人財育成、保健・医療・福祉包括ケアシステムの推進や医師確保のためのグランドデザインの策定等の県民の安全、安心に向けた取り組みなど、これまでこつこつとまいた改革や取り組みの種がようやく一つずつ芽吹こうとしているときに、各界各層の皆様方からの御意見を伺いながら、私は、いまだ道半ばという思いと、だからこそ青森県と県民の皆様方のためにこれらの改革や取り組みをなし遂げねばならない、なさねばならぬと、そういう熱い思いがわいてまいったのであります。  さらに、自民党県連からお示しいただいた政策提言は、私が考えております政策理念と一致しており、県政の諸課題に積極果敢に立ち向かう勇気を再び与えてくださったものと非常に心強く感じたところでもありました。  こうしたことから、私といたしましては、知事選出馬の御要請を賜った皆様方の御芳情におこたえするべく、来年の知事選挙に立候補する意思を持つに至ったものであります。  ただ、これまでの経緯を踏まえますと、自由民主党県連に御推薦をお願い申し上げ、改めて正式に立候補を表明すべきと思っております。  私としては、もとより微力ではありますが、みずからの責任において、リセット(再生)からクリエート(創造)へとギアチェンジをし、暮らしやすさのトップランナーの歩みを確実なものとし、持続可能な青森型社会の実現、そのことを目指してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。  続きまして、本県の産業振興と雇用の場の拡大への取り組みであります。  議員御指摘のように、本県の経済・雇用情勢は依然として厳しい情勢にあり、私は、産業の振興と県民の雇用の場の拡大を県政の最重要課題と位置づけ、強い決意を持って取り組んでいるところであります。  このような中で、創造性と活力あふれる産業・雇用の実現を図っていくためには、豊富な農林水産資源や全国的にもまれなエネルギー分野のポテンシャルなどの本県の持つ地域の優位性や可能性を最大限に生かした新たな産業づくりを推進していくことが重要であると考えております。  このため、県では、あおもり農工ベストミックス産業創出構想、あおもりウェルネスランド構想クリスタルバレイ構想及び環境・エネルギー産業創造特区計画に基づく新産業の創出など、引き続き、あおもり型産業の創造に向けた取り組みを強化するとともに、創業・起業支援、地域商店街や地場産業の活性化などによる地域中小企業の振興や戦略的な企業誘致活動など、各種施策の積極的な推進に取り組んでいるところであります。  また、新しい事業等へ挑戦する本県企業への支援を加速するため、産学官と金融との連携による具体的なあおもり型産業の育成戦略を策定することとし、「あおもり型産業百社」育成戦略調査検討委員会を設置し検討を重ねており、先般、同委員会より、企業の発掘、目ききやコーディネート機能の強化、地域ファンドの創出など四つの機能整備を柱とする中間報告をいただいたところであります。  県としては、この提言内容も踏まえ、今後とも、関係機関と密接な連携を図りながら、本県の産業振興と雇用の場の拡大に係る取り組みを徹底、加速し、創造性と活力あふれる産業・雇用の実現を目指してまいりたいと考えます。  続きまして、本県の有するエネルギー分野の優位性をどのように産業振興、雇用促進に生かすかであります。  本県では、原子力関連施設の立地に加え、新エネルギー・再生可能エネルギー分野においても各種の先進的なプロジェクトが進められております。我が国のエネルギー政策を支える重要な役割を果たしているわけであります。  県では、こうした本県が有するエネルギー分野のポテンシャルを県全域の産業の振興や雇用促進につなげていくため、具体的な取り組み方針・方策を、先般、青森県エネルギー産業振興戦略として取りまとめたところであります。  本戦略では、持続可能な社会の先進地域の形成を目指しまして、エネルギー分野の高いポテンシャルを生かした重点的、戦略的な産業振興、そして地域産業クラスターの形成を推進することとしております。県内各地域において今後重点的に振興を図っていくべき産業分野や産業クラスター形成の起爆剤となります重点プロジェクトというものを示しますとともに、地域の産業振興を支える知的コアや産業支援機能の強化にも取り組むことといたしております。また、本県が持続可能な社会の形成を目指す上で実現されるべき二〇三〇年のエネルギー消費構造の将来像を示させていただきました。  今後は、本戦略について、県民の皆様方を初め県内外への情報発信や国等に対します政策提案を積極的に行うことによりまして、地域の産学官及び金融機関や関係各界の参画を得まして、戦略に盛り込まれました重点プロジェクトを一つ一つ着実に具体化───まさに具体化が大切であります───具体化し、地域での新たな産業クラスターの形成というものを図ることによって全県的な産業振興と雇用創出を強力に推進できる、そのように考えております。  青森県の縄文遺跡群について、世界文化遺産登録に向けた取り組みであります。  私は、特別史跡三内丸山遺跡を初めとする県内の重要な縄文遺跡につきまして、人類共通の貴重な宝として未来に残すべき文化遺産であると考えます。そこで、世界文化遺産登録を目指すことを表明したものであり、その価値や魅力についての情報発信等、取り組みを進めているところであります。  世界文化遺産に登録されるためには、第一段階として、国内の候補遺産リストであります暫定一覧表といいますが、この暫定一覧表に登録される必要があるわけですが、このたび、文化庁から、地方自治体からの提案をもとに選定するとの方針が示されました。  このことを受けまして、今月末を提出期限とする第一弾の提案書受け付けについて、「青森県の縄文遺跡群」として提案書を作成し、提出することといたしました。  構成する資産につきましては、国の特別史跡及び史跡に指定されております七つの縄文遺跡とし、遺跡が存在いたします青森市、八戸市、つがる市、七戸町と県との連名で提案することになります。  提案書につきましては、県が代表して提出することとし、県議会開会中でありますことから、教育委員会から本日持参、提出していただくことにしております。  青森県の縄文遺跡群は我が国の基層文化である縄文文化を知る上で大変重要な遺跡であり、暫定一覧表への登載に向けまして今後とも取り組んでまいります。  原子燃料サイクルに関しまして、返還廃棄物にかかわるものについての件であります。  日本原燃株式会社及び電気事業連合会から要請のございました海外再処理に係る返還廃棄物については、基本的には、仏国、英国ともに、再処理に伴い発生する低レベル廃棄物の返還に係る問題であります。  しかしながら、イギリス(英国)からは放射線影響が等価な高レベル廃棄物に交換して返還するとの提案がなされており、事業者としては、国の検討結果を踏まえ、英国からの提案を受け入れた上で、両国からの返還廃棄物を六ヶ所村において一時貯蔵したいとのことでありました。  しかしながら、私としては、何よりも今は、事業者としては、再処理工場の本格操業に向け、アクティブ試験の安全かつ着実な実施に全力を傾注しなければならない時期と考えております。県としても、そのことをしっかりと見きわめ、対処していく必要があると考えます。
     このことから、私は、海外再処理に伴う返還廃棄物につきまして、今は検討できる状況にはない旨回答したものであります。  もう一点、再処理施設の増設の件についてであります。  再処理施設の増設等につきましては、製品貯蔵や廃棄物の処理、保管のための建屋の増設を初めとする六ヶ所再処理工場の今後の操業に必要となる各種建屋に係るものであることから、県民の安全、安心に重点を置いた対応の観点から、専門家の意見を踏まえつつ、増設に係る安全性について検討を行うこととしたものであります。  再処理施設の増設に係る検討に当たっては、十月三十一日、十一月六日、十一月九日の三回にわたりお集まりいただくとともに、必要に応じて電話や電子メール等も活用しつつ、六名の専門家から意見を伺いました。  専門家からは、第二ウラン酸化物貯蔵建屋における臨界安全対策や可燃性物質を取り扱う廃棄物処理設備における火災爆発防止対策について重点的に確認をいただきました。また、近年の再処理工場でのトラブル等の発生状況を踏まえ、要員の確保育成や品質保証活動といった点についても確認を行うべきとの意見をいただきました。  これらの専門家の意見を踏まえ検討を行ったところ、既存の施設と同等の安全性が確保できるとの結論を得たところであります。  私からは以上であります。  高橋弘一議員の、まさに県会議員としてこの青森県を担ってきたその思いでの御質問で、知事選立候補につきましての決断についての御要請をいただきました。先ほどお答えした思いになるわけでございますが、私といたしましては、こうして議会の重鎮から御要請を賜ったことに心から感謝申し上げるとともに、感激の思いであるということを一言つけ加えさせていただきます。ありがとうございました。 6 ◯議長(成田一憲) 総務部長。 7 ◯総務部長(海老原 諭) 教育問題のうち、私立幼稚園の振興についてお答えいたします。  県内の幼稚園児数は、本年五月一日現在で国公私立合わせまして一万一千四百六十八名であり、このうち約九五%に当たる一万八百四十七名が私立幼稚園に在園しております。本県の幼児教育に果たす私立幼稚園の役割は極めて大きく、重要なものと認識しております。  県としては、幼児教育の重要性を考慮し、これまで私立幼稚園の経常的経費に対して財政的な支援を行ってまいりました。  御承知のとおり、地方交付税の大幅かつ急激な削減などにより県財政は依然厳しく、引き続き財政健全化のため積極的に行財政改革を推進していかなければならない状況にございます。  このような状況を踏まえまして県単補助金の抜本的な見直しを進めているところでございますが、本年度予算におきましても、私立幼稚園に対する経常費補助につきましては、私立幼稚園が担う幼児教育の重要性にかんがみまして、園児一人当たりの補助単価を昨年度に引き続いて据え置いたところでございます。  今後とも、本県の活性化の基盤となる人づくりを進める観点からも、私立幼稚園に対する経常費補助については、全国の状況や本県の財政状況などを勘案しながら、持続可能な補助制度となるよう運用してまいりたいと考えております。 8 ◯議長(成田一憲) 企画政策部長。 9 ◯企画政策部長(関 格) 御質問二点についてお答えいたします。  初めに、本県経済についてですが、本県経済の現状について、まず需要面を見ますと、九月の新設住宅着工戸数が二カ月連続で前年を上回りましたが、九月の大型小売店販売額が全店舗ベースで二カ月ぶりに減少、既存店ベースでは十カ月連続で減少しているほか、十月の乗用車新車登録・届け出台数は二カ月連続で前年を下回っております。  一方、生産面では、九月の季節調整済み鉱工業生産指数が二カ月連続で、原指数は三カ月ぶりに前年同月を上回っております。  このように、本県経済は、生産面や消費の一部に改善の動きが見られるものの、全体としては依然足踏み状態が続いているものと認識しております。  その要因としては、全国的に景気回復を牽引している輸送機械製造業やデジタル関連の電子部品・デバイス製造業などの工業集積が低いこと、産業活動に必要な原材料の多くを県外から調達するなど、県内における産業連関効果が低い産業構造となっていることなどが挙げられます。  このような本県の現状を考えれば、本県経済を活性化し、将来にわたり自立的な発展を図っていくためには、製造業の集積等による産業構造の転換と産業の連関性の向上を図っていくことが何より重要と考えております。  このため、県では、本県の有する地域資源とこれまで築いてきた産業基盤を生かしたあおもり型産業の振興に努めているところです。  今後とも、産学官のネットワークの充実、地域の特性を生かした技術開発の推進や新たな産業に対応した人材の育成を図りながら、農林水産業及びその関連産業やエネルギー関連産業など本県の優位性を生かした産業クラスターを形成することにより、付加価値の高い産業の集積を図り、地域内の連関性を高めたリーディング産業を創出、育成していくことで、本県が置かれている厳しい状況を打開していきたいと考えております。  次に、奥羽線複線化についてですが、県は、青森県鉄道整備促進期成会と協力して、本年十一月十日にJR秋田支社に対して要望活動を行っております。  その際、JR東日本では、「これまで輸送力の増強に努めてきたが、利用者が減少傾向にあり、現在の利用状況では新規の設備投資は困難である。また、新青森駅開業に向けたアクセスの整備としては、限られた経営資源の中で可能な限り柔軟なダイヤ編成に努めていきたい」との従来からの回答にとどまっております。  あと四年に迫った新青森開業までの残された時間を考慮すれば、奥羽本線の機能を補い、新幹線との円滑なアクセスを確保していくための当面の課題として、各地域ごとのアクセス時間やビジネス、観光などの旅行形態等に対応した多様なアクセス手段を整備することが重要になってきます。  そのため、県としては、奥羽本線を補完するものとして、シャトルバスや市内循環バス、乗り合いタクシーなど利用者のニーズに合ったアクセス手段の整備を交通事業者に働きかけていきたいと考えています。  こうした当面の課題への対応に加え、奥羽本線の複線化についても、新幹線効果により奥羽本線の利用者の増加が期待されることから、引き続き複線化工事の再開をJR東日本に対して粘り強く要請していきたいと考えております。 10 ◯議長(成田一憲) 商工労働部長。 11 ◯商工労働部長(小林正基) ものづくりにおける人材育成についてお答え申し上げます。  議員御提言のとおり、製造業は青森県を支える基盤産業でございますので、本県としては、教育機関や産業界と連携しながら、ものづくりを担う人材の育成に鋭意取り組んでまいったところでございます。  これまで、県の高等技術専門校による即戦力となる若手ものづくり技術者の育成を初め、工業総合研究センターにおいても、共同研究、技術指導などを通じ、県内中小企業のものづくり技術者の育成を図ってまいりましたが、さらに今年度からは、地域産業イノベーション技術者育成事業を実施し、製造業を支える基盤技術を対象とした実践的な講座を開設し、中核となる若手技術者を育成していくこととしております。  また、県内の高等教育機関におきましても、ものづくり技術者の育成への取り組みとして、今年度から、弘前大学が技術士の資格取得に向けた知能機械工学に関する実習の開講、八戸工業大学がフラットパネルディスプレー関連次世代技術者の育成に向けた講座の実施などに取り組んでいるところであります。  このように、関係機関とともに、ものづくりの現場技術者からリーダーとなる技術者まで一連の人材を育成し、本県製造業の技術力を強化してまいりたいと考えております。 12 ◯議長(成田一憲) 県土整備部長。 13 ◯県土整備部長(葛西憲之) 青森空港有料道路の早期無料開放の検討についての県の見解についてであります。  青森県道路公社が管理運営している青森空港有料道路は、道路整備特別措置法に基づく有料道路として建設、供用した道路であります。  この有料道路における料金徴収期間は昭和六十二年から平成二十九年までの三十年間となっており、料金徴収期間満了時までには債務を解消する必要があることから、道路公社では、利用促進のための取り組みのほか経費の節減や人件費の削減に努め、収支の改善を図ってきているところであります。  県としても、周辺道路の早期ネットワーク整備を進めるなどによりまして、利用促進に向け引き続き支援していくとともに、利用者から徴収する利用料金で建設費等を償還するという有料道路制度の性格を踏まえ、引き続き、道路公社の経営努力により料金徴収期間内での債務の解消が図られるよう指導してまいります。  お尋ねの早期無料開放については、債務の償還状況や有料道路の利用状況の推移を見ながら、料金徴収期間内での道路公社による債務の解消が見込まれた時点において検討してまいりたいと考えております。 14 ◯議長(成田一憲) 教育委員長。 15 ◯教育委員長(三浦昭子) 高橋議員からの御質問二点についてお答えいたします。  まず、県立高校の未履修問題に対する所見についてであります。  このたびの必履修科目の未履修問題については、本県の県立高校では五校で必履修科目に未履修がありました。  このことにつきましては、生徒や保護者の皆様方、そして議員の皆様、県民の皆様に御心配をおかけしているところであり、県教育委員会といたしましておわび申し上げます。  また、このようなことは、生徒の進路志望を達成させたいという学校の思いからであったとしてもあってはならないことであり、まことに遺憾なことであると考えております。  関係する五校につきましては、文部科学省の指導を踏まえ、補充授業などの対策を適切に行うこと、その際、生徒に過重な負担がかからないように配慮することなど、生徒の将来に支障が生じないことを第一に考えて対応するよう指示いたしました。  県教育委員会といたしましては、二度とこのようなことのないよう対策を講じ、県民の皆様の信頼の回復に努めてまいりたいと思っております。  次に、八戸市で開催されたタウンミーティングにおけるいわゆるやらせ発言に関し、県教育委員会がかかわったことに対する所見についてお答えいたします。  私は、社会福祉法人を経営する者といたしまして、常に緊張感を持って運営に当たることに努力してまいりました。  今般の一連の対応は、緊張感を欠いた事務執行の結果であると考えており、極めて残念でございます。  このたびのことに関して、先般、職員が業務執行する際は、緊張感、問題意識を持って当たるよう、教育長に対し指導の徹底を指示したところでございます。  今後は、私を含めた教育委員はもとより、事務局ともども、教育行政にかかわる者といたしまして、自覚を新たにし、気を引き締め、県教育行政の推進に誠心誠意取り組んでまいります。 16 ◯議長(成田一憲) 教育長。 17 ◯教育長(田村充治) 御質問五点にお答えいたします。  初めに、県立高校の必履修科目未履修問題の状況及び今後の対応策についてでございます。  県立高校において必履修科目の未履修があった三本木高校、五所川原高校、木造高校、野辺地高校及び八戸東高校について、未履修の状況と今後の対応策についてお答えいたします。  まず、未履修となっている生徒は、三年生では、三本木高校二百七十六名、五所川原高校百九十三名、木造高校七十九名、野辺地高校三十名、八戸東高校百九十六名、合計七百七十四名となっております。  また、二年生では、三本木高校百三十名、五所川原高校二百一名、八戸東高校百九十七名、合計五百二十八名であります。  各高校では、三年生については、文部科学省からの特例措置に関する通知により、不足単位数に応じて二十五時間ないし七十時間の補充授業とレポート提出によって未履修科目の単位の認定を行い、卒業には支障がないよう計画しております。  なお、二年生については、五所川原高校と八戸東高校が今年度中に補充授業を実施し、三本木高校では来年度の教育課程の中で履修するよう計画しております。  今回の必履修科目の未履修問題に関して、県の教育行政を預かる者として、生徒や保護者の方々に不安を与えたこと、チェック体制が十分でなかったことなどにつきまして、議員各位及び県民の皆様におわび申し上げます。  今後の対応についてでありますが、これまで、青森県小学校長会、中学校長会及び高等学校長協会の合同研究協議会の席上において、私から役員に対し、改めて、教育課程の適切な編成と運用についてお願いしております。また、高等学校長協会の各地区の会議の際に、県立学校課長から高等学校長に対し同様の内容についてお願いしたところであります。  今後は、指導主事等がすべての県立高校を訪問し、教育課程の実施状況を確認するなど、チェック体制の確立を図り、再発防止に努めてまいります。  次に、本県のいじめの現状についてでございます。  文部科学省の問題行動調査によりますと、平成十七年度における本県のいじめの発生件数は、小学校で四十八件、中学校で三百四十六件、高等学校で三十件、合計四百二十四件となっております。前年度と比較しますと、小学校、高校では減少しておりますが、中学校においては増加しております。  いじめの内容としては、小・中・高校とも冷やかし、からかいが一番多く、小学校では三一・一%、中学校では三七・四%、高校では三三・八%となっており、次いで、小学校では仲間外れ、中学校、高等学校では言葉のおどしが多いという特徴が見られております。  なお、ここ数年間は九〇%以上の割合でいじめが解消されてきており、平成十七年度の解消率は九三・一%と全国平均を二・八ポイント上回っております。  次に、命を大切にする心をはぐくむための取り組みについてでございます。  子供たちが、思いやりや命を大切にする心、美しいものや自然に感動する心など、豊かな心を持つことは極めて大切なことであります。  しかしながら、いじめの問題や子供による凶悪な事件など子供がかかわる事件が相次いで発生している中、学校教育においては、命をかけがえのないものとして尊重する精神と態度の育成がより一層求められております。  このような心の教育を充実するために、各学校では、自然体験や奉仕体験、幼児、高齢者、障害のある人たちとの交流体験など、積極的に体験活動を取り入れるなどしております。  また、命のとうとさや人間としての生き方についても、各教科、道徳、特別活動等すべての教育活動を通して取り組んでいるところであります。  県教育委員会といたしましては、命を大切にする心を育む県民運動などの各種取り組みや関係機関等との連携を図りながら、さまざまな活動を通して、子供たちの命を大切にする心をはぐくんでいく取り組みを進めてまいります。  次に、タウンミーティングの経緯及び対応についてでございます。  去る九月二日に開催された教育改革タウンミーティング・イン・八戸におけるいわゆるやらせ発言について、県教育委員会としてかかわった経緯をお答えいたします。  まず、内閣府から八戸市教育委員会を通じて質問項目案が示され、発言者の確保の依頼が県教育委員会に対しなされました。  この内閣府からの依頼を受け、教育政策課が、三八教育事務所を通じて、会場で発言がなかったときに御自身の意見を発言してくださいという前提で発言者の確保を依頼したものであります。  しかしながら、依頼する前後において、内閣府で作成した質問項目等をそのまま送付するなどにより、あたかも特定の質問を強制的に発言するよう依頼したととられるような対応をし、県教育委員会がやらせに加担したと県民の皆様の不信を招いたことはまことに遺憾であります。  以上の経緯を踏まえた対応といたしましては、十一月十五日に教育委員に説明の上、意見を得て、十一月二十日に、関係職員六名に対し口頭訓告処分を行い厳重に注意するとともに、あわせて今後の事務の適正な執行を指示したところであります。  さらに、再び今回のような事態を招かないよう、職員すべてが、慣例にとらわれることなく、常に新たな視点と緊張感を持って職務に臨むよう努めること、また、所属長にあっては、所属における報告・連絡・相談体制を密にし、的確な判断のもと厳正に対応するよう、本庁各課長、学校を除く出先・教育機関の所属長に対し周知徹底を図りました。  今般の一連の対応は、事務執行に当たり十分な配慮を欠いていたこと、また判断に甘さがあったことによるものであり、このことにより県民の教育行政に対する不信を招いたことについて、議員各位並びにタウンミーティングに参加した皆様及び県民の皆様に対し深くおわび申し上げます。  最後に、本県工業高校の学科について、原子力エネルギー関連産業などに対応した新しい学科を設置する考えはないかについてでございます。  現在、学習指導要領における工業の目標の一つとして、環境保全や新エネルギー開発等に役立つ技術開発に対し主体的に取り組み、適切に解決できる資質の育成が求められております。  また、本県工業教育においても、本県のエネルギー関連産業の進展を踏まえ、地球環境や安全性に配慮したエネルギー開発等に関する教育を展開していくことが大切であると考えております。  県教育委員会では、本年五月に、有識者等による高等学校グランドデザイン会議に対して平成二十一年度以降の県立高等学校のあり方を諮問しており、その中で、新しい学科の必要性も含めて検討をお願いしているところでございます。  なお、議員御提言の新しい学科の設置につきましては、地域の状況や関連の企業等について研究を行うとともに、高等学校グランドデザイン会議から来年九月を目途に答申をいただくこととしており、これを踏まえて、次期高校教育改革の実施計画を策定する中で検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 18 ◯議長(成田一憲) 四十七番高橋議員。 19 ◯四十七番(高橋弘一) 知事から、極めて真摯な対応と申しますか、また感情のこもった答弁、さらには、私にとっては非常に光栄に存ずる御答弁までいただきました。感慨深いものがあります。どうか頑張っていただきたいと思います。  私も、当選したのは竹内俊吉の時代であります。そしてまた、北村正、木村守男、そして三村申吾知事と四代でしゃべってきました。いろいろしゃべってきました。しかし、この四人の中で一番逆境にあるのは三村知事ではないかと。一番苦しい場面を迎えているのが今の知事ではないかと痛切に感じております。  当時、自民党の大会がありますと、三村泰右先生ですね、頑固で頑固でどうにもならない人だった。しかし、三村申吾知事は非常に近代的に洗練されて、私は、安倍晋三以上の三村申吾であると───同じ年でありますけれども、評価していいんじゃないかと、そのように考えております。どうか頑張っていただきたいと思います。  また、この間、私、三村知事から県表彰をいただきました。これもありがとうございました。もっと頑張れというのか、あといいとしゃべるのか、極めて複雑な心境でありましたけれども、どうか、これから、県勢発展のために───実れば実るほど頭を垂れる稲穂かなと昔から言われます。三村知事は、この四年間、一生懸命やって成長したと思います。しかし、これから成長していくためには、体に十分気をつけながら、特に奥さんを大事にして一生懸命頑張っていただきたい。  以上申し上げまして、終わります。 20 ◯議長(成田一憲) 午さんのため暫時休憩いたします。 午前十一時四十分休憩     ─────────────────────── 午後一時十四分再開 21 ◯副議長(滝沢 求) 休憩前に引き続いて会議を開きます。
     一般質問を続行いたします。  三十五番斗賀寿一議員の登壇を許可いたします。───三十五番斗賀議員。 22 ◯三十五番(斗賀寿一) 新政会の斗賀寿一であります。  第二百四十八回定例会において、新政会のトップを切って一般質問を行います。  ことしも師走はもうすぐ目の前、ハクチョウの飛来とともに青森の大地は白一面と化し、あたかも静寂の世界となるのであります。  ところが、浮世、特に政治の世界ではその混迷がますます激しくなり、誕生間もない安倍政権のぐらつく様子が手にとるように見えるのであります。  国外にあっては、頼りのブッシュ政権の敗退、エスカレートする北朝鮮問題を初めとした中国、韓国といった北東アジア問題、不安定化が増す中にあって、原油の安定的な確保問題、対ロシアにおける領土問題等々であります。  一方、国内においては、小泉政権が残した負の遺産とも言える各種問題であります。  その一つが、小泉総理が丸投げをし中途半端となった構造改革による格差の発生であります。  それまでの日本は、一億総中流階級とも言われ、所得ではバランスのとれた国として注目されてきたのであります。  ところが、一例ではありますが、一部の銀行の不良債権を解消するため、日本経済の循環機能を治療すると称して公的資金を注入し、立て直しを図ったはよいのですが、銀行は、途端に、貸し渋りはおろか貸しはぎまでやるなど保身に走り、企業、特に中小零細業は資金繰りに窮し、ついには倒産、失業者が出現してしまったのです。  その中で、企業は利益確保のため人員整理、リストラを繰り返し、そこに働く労働者の賃金は抑え込まれ、個人消費は勢いを失い、国内経済がデフレへと進んだことは御案内のとおりであります。  それでも、自動車やハイテクといった技術関連産業は空前の利益確保を続け、イザナギ景気を超えたと言っておりますが、地方での個人の消費支出は一向によくなっていないのが現実であります。今や、日本は、その産業構造によって地域格差は歴然としており、当然のように、個人の所得格差もまた広がる一方となっております。  これでは、安倍総理が唱える美しい国日本を国民は到底感じ取れないと思っております。  前置きはこれぐらいとして、通告に従い質問をしてまいります。  まず、知事の政治姿勢についてであります。  三村知事誕生以来、はや三年半が過ぎました。来年の六月は知事選挙であります。きょう午前中の高橋弘一議員の質問に対して、知事は、答弁で、来年の知事選への出馬を表明いたしました。一部新聞報道ではありますが、自民党県連から再選に係る出馬要請を受け、それに対する三村知事の立候補の意思確認の場が本日の答弁ということのようであります。  また、取材に対しても知事は「知事就任から三年半、自主自立の青森県づくりに向け、石にかじりついてとの思いで取り組んできた。要請はそのことについての評価をいただいたものと大変うれしく思う」と答えたとされ、要請を受けた後、知事は県連幹部一人一人とがっちり握手を交わしたと報道されております。  そこで、まず質問いたしますが、一、三村知事は、再選に当たって、特定の政党に対して公認あるいは推薦願を申請するつもりがあるのかであります。明快なる御答弁をお願いいたします。  さて、三村県政のこれまでを検証してみたいと思います。  思い起こせば、平成十五年、前知事木村守男氏の任期半ばでの突然の辞意表明から、当時私たちの支援で国政を担っておられた三村申吾氏が突如自民党の応援を受けて知事選に出馬し、見事栄冠をかち取られたことは記憶に新しいところであります。  選挙に際しては、当然のごとく幾つかの公約を掲げ、県民に約束をし、当選したのであります。公約を掲げるに当たり、だれも県民の不幸を望む者はいなく、それなりの見通しを持って選挙に臨むものと思います。三村知事も当然同じだと思います。  政治家の評価は、選挙公約のどれだけを実現しているか、つまり、約束が果たされたかであります。現実はなかなか難しいものと私も思います。中央にあって自民党政権が続く中では分権は進まず、たとえ為政者たる知事であっても、中央集権的官僚機構に振り回され、独立性が発揮できないのが現状だろうと思います。  三村知事が最も苦労されているのが、失敗とも言える三位一体の改革による財源不足の問題であり、野党の一員であっても私はその点は理解できます。かつての盟友である三村知事に、財源の捻出方法があれば伝授したいものといつも思っております。  今、県庁では職員に対して人事評価なるものを実施しているようでありますが、私があえて知事を評価するとすれば、百点満点の六十五点ぐらいだと思います。つまり、優、良、可で採点すれば、すれすれの可となります。  その評価の内容でありますが、合格点を上げられるのは非常に少なく、財政改革に取り組む姿勢には七十五点の良を上げられると思いますが、知事に最も求められるリーダーシップの点では六十五点の可しか上げられません。  庁内にあっては、権力者たる知事でありますのでリーダーシップはそれなりに発揮していると思いますが、問題は、一般県民に対するリーダーシップであります。知事と県民は納得と信頼関係において成り立っていると思います。  知事は頭がよ過ぎるのか、例えば三村県政の最も重要な長期計画である生活創造推進プランの具体的な事柄になると、抽象的過ぎて、県民はよく理解できないようであります。政治とは、わかりやすく、そして弱者の意見をよく聞くことだと思います。  そこで、お伺いいたします。  二、知事御自身、この三年半を振り返って三村県政をどのように検証しているのか。  三、また、御自身の自己評価をしていただきたいと思います。  次に、産業振興と雇用対策についてであります。  知事は、ことし二月定例会においての所信表明で、我が県にとって何よりも必要なことは産業振興をもって雇用対策を図ることであるとの表明をされました。私も賛意を示すところであります。  産業振興については、古くは竹内俊吉知事時代に始まり、北村正知事時代にも産業構造の高度化をスローガンに各種施策が展開されました。  例えば、古くは下北地方でのビート栽培や砂鉄工場、むつ小川原石油コンビナート、八戸新産都市計画、青森・弘前地域でのテクノポリス計画、八戸地域での頭脳立地構想等々、数え切れないほどの構想や計画がありました。  仮に、これらの構想や計画が予定どおり進み、現在に至っていたなら、全国でも有数の第二次産業県として隆盛をきわめていたのでありましょう。しかし、その多くが、時の政府の都合等により、また、時には政治の具にされ、その実現を見ていないのが本県の実態であろうと私は思っております。  その結果、県民の所得水準は常に全国平均を大幅に下回り、企業の有効求人倍率は全国最下位と低迷の一途をたどっているのであります。  これまでの私たちは、余りにも他力本願的、つまり、苦しいときの政府頼みでやってきたと思います。その意味では、知事が述べられる自主自立は私も理解ができます。  しかし、現行の地方財政制度のもとでは、本県のような財政基盤の弱い自治体ではその施策に限りがあり、地域格差は広がる一方となることは明らかであります。  このようなときこそ、私たち議会人は、党派を超えて制度改正に向けた声を政府に発し、財政基盤の強化に努めなければなりません。  私は、財政基盤がしっかりすれば、地域力もつき、地域の大学や地場企業との連携もスムーズになり、いわゆる産学官がしっかり結びつき、ひいては、企業間の連携、つまり産業クラスターの誕生も期待できると思っております。そのような世界で地元企業がそれぞれ産業連関を通じて付加価値が発生すれば、地域内の設備投資はますます盛んになり、新しく企業は誕生し、地元雇用はいとも簡単になるのであります。  私は、これまでのような政府頼みや一部の企業頼みによる企業誘致を進めるのではなく、自主自立による新産業を創出して、県内で連関した付加価値が生ずるといった、本県独自の構想に基づいた企業の創出を図ってほしいと思っているのであります。そうすることによって、雇用はそれほど難しいとは思えないのであります。  そこで、お伺いいたします。  一、知事は、これまでの経験を踏まえて本県の産業振興をどのように進めていくのか、具体的な手法を示してほしいと思います。  二、また、雇用対策について、特に有効求人倍率をどこまで引き上げられるのか、その見通しをお示しいただきたいと思います。  本県の人口が年々減少していることは御承知のとおりであります。中でも、若者の人口流出は毎年急増しております。知事は、日ごろより、人材は本県の宝と言っているではありませんか。その宝が流出するのは働く場がないことに起因していることは明らかであります。毎年、ローラー作戦と称して企業に新卒者の就職をお願いしても始まりません。若者が就職できる環境をつくってやることが知事に課せられた使命と思ってください。それが県民の生命と財産を守る知事の仕事であると私は思っております。  次に、人材育成についてであります。  知事は、今年度の組織改編に当たって、企画政策部内に人づくり戦略チームをつくって、人材育成に対する思いのほどを県内外に示しました。私は、まことに時宜を得たものと思っておりました。  ところが、四月以来半年を経過した今になっても、その戦略の中身が示されておりません。殊のほか人材育成は難しいものだと私も思います。しかし、本県の産業振興と雇用対策の一日も早い復興を図るためには、車の両輪とも言える人材を創出することが欠かせない絶対必要条件であることは、だれが見ても明らかなことであります。  人材は本県の宝であります。この宝を戦略的にさらなる価値あるものにし、本県の産業振興と雇用対策の向上に資するという高い理念に対して反対を唱えるすべが私にあろうはずもありません。ただ、一日も早く戦略の中身を知りたいのであります。  そこで、お伺いいたします。  一、人づくり戦略の作戦の中身をいつごろ公表するつもりなのか。  二、戦略の骨子だけでも今定例会で公表するつもりはないかをお伺いいたします。  これまで、県は、教育行政を基本としながら、産業を担当する部署においても、担い手対策等、人材育成に対してそれぞれで戦略を展開してきたと思います。三村知事は、その点に関して、総合的な視点で人材育成が必要との認識に立って、今年度、人づくり戦略チームを組織され、県内外にアピールしているわけであります。  これまでは、本県の人口動態を見ると明らかなように、せっかく育てた若者の多くは県外に流出し、そのため本県の少子高齢化は全国の平均を上回る勢いで進んでおり、そのことが県の産業振興に多大な影響を与え、県民の多くは今後の青森県の姿を心配しているのであります。  三村知事は、このことを踏まえ、せっかく組織された人づくり戦略チームでありますので、その戦略の作戦について一日も早くわかりやすい言葉で公表していただきたいのであります。  次に、教育問題についてであります。  安倍内閣が発足して以来、教育基本法の改正を初めとし、いじめ問題やタウンミーティングでのやらせ発言問題、そして必履修科目未履修問題等、教育問題に関することで日本国内は大いに揺らいでおります。  戦後六十年を経過し、日本は大きく生まれ変わりました。これまでの日本は、どちらかといえば経済的な進展に大きく目を向けてきたと思います。今や、経済力ではアメリカに次いで世界で第二位と押しも押されぬ経済大国となり、国民の生活様式もすっかり変わりました。  私は、戦後の生まれではありませんが、戦後の教育を受け今日に及んでいる一人であります。私が学んだ教育には、親や地域の影響はあったとは思いますが、今言われている愛国心や公共の精神が学校教育のもとでごく自然に存在し、学んできたと思っております。私からすれば、どうしてかくも愛国心や公共の精神が堂々と論じられなければならないのか、理解に苦しむのであります。  私たちが少年時代を過ごした日本には今よりもっと自由と活力があったように思われます。確かに、経済指数では今よりはるかに劣る数値ではありましたが、一人一人がもっとバイタリティーを持って生き生きと過ごし、社会も自由と安心を担保してくれていたと思います。日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本精神をだれかがどこかでゆがめてきたあかしではと私は疑念を持っております。  また、経済成長至上主義とも言えるこれまでの政府は、官主導の保護・画一社会を輩出し、その中でもたれ合いや癒着といった構造が生まれ、ついには行き詰まり、時代の変化に対応できなくなったのであります。  教育の世界でも、その影響を強く受け、個性やゆとりといった新しい教育方針が行き詰まり、このことが各種教育問題となっているのではと私は思っております。  二十一世紀の日本は、本格的な少子高齢化社会の中で、人々は、個性と活力が生きる新しい社会を創造しなければなりません。そのために、私たち政治に携わる者は、透明で公平公正なルールに基づいた社会の実現や、あらゆる人々に安全、安心と機会の均等を保障する共生社会の実現を目指すとともに、真の分権社会を構築しなければならないと私は思っております。  そこで、教育問題の一としてのいじめ問題についてであります。  私は、このいじめ問題については、何も教育の現場だけではないと思います。また、今始まった問題でもないと思います。人が複数集まれば、政治の世界では、派閥となって、互いにいじめをし合います。教育の場でも、友達同士グループが形成され、いたずらをし合ったり、時にはけんかにエスカレートする場面もあります。  しかし、最近、子供たちの間で、これまでとは違った、何かにおびえる、あるいは不安感から、みずからの安定した場を確保するためだれかをいじめる、つまり、いじめる多数の側にいないと逆に自分がやられるんじゃないか、だれかを攻撃していないと自分が疎外されるんじゃないか、いじめて優位な立場になったはずなのに、どうしてか不安定でしようがない、だからまたいじめを繰り返して不安を消し去ろうとするというケースが多くなっているとの専門家の調査結果を見ました。  私は、その結果を見て、どうもその裏には大人がつくり上げた問題があるように思えてなりません。特に目立っているのが成果主義だと思います。つまり、どんな手段でも結果を出した人しか評価されない、そこまでのプロセスや本人の努力は皆目無視される。文部科学省を先頭に、教育の場ではいじめ半減とかいじめゼロといった数値目標を掲げ、各現場でその実績を競い合わせるといった大人の成果主義に対して子供はノーを突きつけているような気がいたします。教育の現場で必要なことは、成果主義に基づく評価制度の見直しなのではと思います。  さきに福岡県でいじめ自殺が発生した中学校の県に対する報告では、いじめの発生件数は二〇〇三年度からゼロ件であるとのことであります。しかし、その後のアンケート調査では、生徒がいじめに遭っていたことが明らかになりました。いじめが隠れていたのです。  福岡県では、二〇〇七年度までに、いじめの根絶、つまりいじめゼロを成果指標、数値目標に掲げ、市町村教育委員会を指導してきたとのことであります。成果主義が教育の場に持ち込まれたことにより、だめ先生の烙印を押されたくない意識から、クラス担任の先生は校長へ、校長は教育委員会に本当の報告をしていなかったということになるのであります。果たして、このような数値目標を掲げ、実績を競うといった成果主義導入でよいのか、私は考えなければなりません。下手をすると、ますますいじめは隠されるのかもわかりません。  それにいたしましても、私は、毎朝、新聞を開くたびに気が重くなります。いじめによる子供や校長先生の自殺記事であります。どうしてこうも命を粗末に扱うのでしょうか。生きてこの問題に立ち向かい、そして世間に本当のことを伝えてほしいと思います。問題の解決に立ち上がってほしいと思います。  県教育委員会は、義務教育課内にいじめ問題対策チームを設置し、いじめの早期発見と防止に力を入れることとしておりますが、県にはこれまでも複数の相談機関があったはずであります。私は、何も教育委員会だけにその責任を押しつける気はありません。子供の異変に全く気づかない親も、いじめ側の子供や、傍観を決め込む同級生や、問題を取り繕う現場の教員たちにも責任があると思います。  今日現在、いじめに遭い、自殺したいと思っている子供たちに声を大にして言いたい。この世に要らない人間など一人もいない。人間は、生きていてこそ花なのです。真っ暗なトンネルでも、向こうには必ず光は差します。  それにしても理解できないのが、安倍現政権の教育基本法の改正に係る強引さであります。今、教育の現場では、いじめ自殺、必履修科目履修漏れ、タウンミーティングやらせ事件とうみが噴き出している真っただ中、何が何でも今国会成立を目指していますが、果たしてそれでよいのでしょうか。教育基本法改正は、日本の教育の百年の大計であることから、論議を成熟させ、国民の理解を得る必要があると私は思います。  そこで、知事及び教育長にお伺いいたします。一、いじめの原因と、二、いじめの根絶の具体的な対策についてお伺いいたします。知事には県民の生命と財産を守る立場から、また、教育長には純粋に教育者の立場からお答え願います。  教育問題の二番目として、必履修科目未履修問題についてであります。  ことしも大学受験シーズンが目の前に迫り、県内の高校生諸君は寝る間も惜しんで受験勉強に励んでいると思います。  今月二十二日午後の参議院教育基本法特別委員会で、伊吹文明文部科学大臣は、高校の必修科目未履修問題に関して、全国の国公私立を合わせた五千四百八校のうち六百六十三校で未履修が確認されたことを明らかにしました。  必修科目は高等学校学習指導要領で定められ、決められた単位を取得しなければ高校を卒業できないのであります。履修不足が判明した高校の多くは、いわゆる進学校と言われる高校であるようであります。  今回の問題の背景には、国公立大学や有名私立大学に合格することを目指した受験競争の激化があります。大学受験に最も効率的に対応できるよう、実際には履修していない科目を履修したように装って、その時間を受験対策に充てるといったことが行われてきたのであります。これまでも、各高校が教育委員会に提出するカリキュラムとは異なる裏カリキュラムが存在することは指摘されていたようであります。  真の教育のあり方からすれば、こうした大学合格者数を目標数値に掲げることではなく、人格の完成に現場の先生が生徒や親とともに具体化していくことにあるはずであります。  いずれにしても、今回の問題では生徒に罪はなく、国と各教育委員会が現実的な救済策と今後の対応策を講ずる必要があると思います。  そこで、お伺いいたします。一、本県での未履修校の数と生徒数を教えてください。二、現在どのようにして救済しているのか、その方法、及び三、今後の対応についてお伺いいたします。  教育問題の最後に、ことし九月に八戸市で開催されたタウンミーティングでのやらせ発言問題であります。  小泉総理のもとで、国民から意見を徴する場としてのタウンミーティングが、九月二日、八戸市で、教育改革タウンミーティングと称して開かれました。開催趣旨はまことに結構この上ないことであり、国民の声を聞くことにだれしも反対する者はいないと思います。  私は、当日、教育関係者がタウンミーティングに出席したことが悪いと言っているのではありません。むしろ、教育に関係する者が、今後の教育のあり方等について政府と、しかも大臣と直接いろいろ話し合いができる場に出席することはよいことと認識しております。しかし、文部科学省が作成した原稿をあたかも自身の言葉のごとく語るやらせ発言に本県の教育委員会も加担していたとすれば問題だと言っているのであります。  本来、教育委員会は、政治には全く関与しない無色透明なはずであります。本当にそのようなことがあったのであれば、まことに残念でなりません。  そこで、確認の意味を含めて教育長にお伺いいたします。  一、新聞報道にあったようにやらせ発言に関与したのか、関与したとすれば、その具体的な内容をお知らせください。  二、今回の問題に関して教育長としての責任をどのように受けとめているかお答え願います。  次に、攻めの農林水産業についてであります。  知事は、就任以来、攻めの農林水産業を掲げ、知事みずからトップセールスをするなど頑張っているようであります。  私は、本県の産業構造を見るときに、一次産業の生産額は二次・三次産業に比べて決して高くないことは承知しています。しかし、自給率を見ても一〇〇を超えており、他県からマネーが還流していることは明らかであります。  これまで、本県は、二次産業の振興を図るべく、企業誘致などさまざま施策を展開してきましたが、なかなか思うとおりにはなっておりません。このこともあり、知事は攻めの農林水産業を進めているのだと私は思っております。  本県にはさまざまな資源があります。県民ひとしく誇れる資源に農林水産物があると思います。本県が二十一世紀に勝ち残るためにも農林水産業に力を入れることは必要であり、必ずや後世の評価も高いものと私は信じております。  今、世界的に食料問題が提起され、各国は自然環境問題と並行しながらその対策を練っているようであります。本県は、エネルギーとともにこの一次産業を振興させ、それを核としながら、他産業にも力を注ぎ、付加価値を高めていくことが求められていると思います。  そこで、まず、松くい虫問題であります。  松くい虫被害が秋田側県境二百五十メートルまで迫った問題で、これまで未発生県である本県の防除対策が森林病害虫等防除法に基づく国庫補助事業の対象になる見通しであるとの報道がありました。補助の正式決定はこれからのようでありますが、被害の未発生県に対する国の財政支援はこれまで例がないとのこと、知事以下農林水産部関係職員の皆様に敬意を表したいと思います。  これまでの松くい虫に対する我々の認識としては、北国青森県にはマツノマダラカミキリは生息するはずはなく、したがって本県には松くい虫被害は発生しないという説が一般的であったようであります。  ところが、近年の地球温暖化とともに北上し、本県にもあとわずかというところまでやってき、その被害が心配されておりました。
     御案内のとおり、本県の西海岸、とりわけ風山一帯にはこれまでクロマツを主体とした防災林が植栽され、今では、米を初めとしてメロンやスイカといった本県を代表する農産物の一大産地として定着を見ておりますが、仮にこの地で松くい虫が発生でもしたら、その被害は甚大なものとなり、取り返しのつかない事態も想定されます。  幸い、知事の即断により深浦町大間越地区に定めた一号防除帯約八・一ヘクタール及び二号防除帯の伐採及び薫蒸処理を年度内に終える予定との報道に接し、ひとまずは安心しているところであります。  松くい虫は、太平洋岸でも北上を続け、隣の岩手県まで侵入しているようであります。県南地方もまた風山一帯と同じように、太平洋岸一帯ではクロマツを主とした防災林に多くの畑地は守られております。知事におかれましては、松くい虫は津軽だけじゃなく県南にもあるものだということをお忘れなきよう。  そこで、お伺いします。  一、これまでに要した松くい虫対策費用と今後の見込み額について。  二、松くい虫対策によってもたらされる波及効果について。  次に、農林水産物販売対策についてであります。  知事は、攻めの農林水産業を展開するため、農林水産部内に販売戦略のための課を設置し、特産品の販売に努めているようであります。知事の販売戦略に何も異を唱えるつもりはありませんが、外から見るに、いま一つ何かインパクトに欠ける嫌いがいたします。  その一つに、本県の持つイメージと、それを本県特産物に重ね合わせるということです。一歩進めた言い方をすれば、ブランド化でございます。本県をイメージしたブランドの形成がなされていないような気がいたします。これまで以上の生産体制に力を注ぐことは大切なことでありましょう。  しかし、それだけで消費者がなかなか納得しないのが今の時代であります。やっぱり、本県の財産とも言うべき自然、文化、伝統、歴史といったすべての特徴を一つの物語として消費者に強くアピールする、いわば青森ブランドとしてのイメージ化を図ることが物を売るためには大事なことと思います。  そこで、お伺いいたします。一、青森県が持つ販売戦略の奥義について、二、ブランドに対する県の考え方についてであります。  質問の最後は、酪農振興対策であります。  本県の酪農の歴史は古く、その間、経営は苦しく、時として、額に汗して搾乳した牛乳が水以下の値段で取引される等、酪農家の落胆にははかり知れないものがあります。  そこで、私の記憶の中では、知事は牛乳のトップセールスをやったことはないように思われます。そのことも踏まえて知事に質問いたします。酪農振興に対する知事の認識と今後の対応についてをお伺いいたしまして、私からの一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。 23 ◯副議長(滝沢 求) 知事。 24 ◯知事(三村申吾) 斗賀議員の御質問にお答えいたします。  数々の御指摘がございました。ありがとうございました。今後、さらにわかりやすく、また、生活者の視座に立った施策の推進に心がけていきたいと思います。  さて、一点目であります。特定の党の公認あるいは推薦願の件であります。  先ほど自民党の高橋弘一議員にお答えしたとおり、次期知事選につきまして、自民党県連からは今月の十六日に出馬の御要請をいただいており、また、その際にお示しいただいた政策提言については、私の政策理念と一致していると受けとめております。  こうしたことから、前回の選挙と同様、自民党県連に推薦をお願い申し上げるのが自然の流れだと思っております。  また、私の政策を御理解いただける他の政党があれば、同様に推薦をお願いしたいと考えております。  三年半の県政をどのように検証しているのかであります。  私は、知事就任に当たり、本県に必要なものはふるさと再生・新生であり、その実現のための基本理念として参加、共生、創造、公平の四つのテーマを掲げ、自主自立の青森県づくりに取り組んでまいりました。  その間、自主自立の青森県づくりの大きな柱となります財政の健全化のための財政改革プランの策定、行政改革大綱の改定、県の新たな基本計画であります生活創造推進プランの策定などにより、ふるさと再生・新生に向けての基礎固めはなされつつあるものと考えております。  また、身の丈に合った、すなわち財政力に見合った歳出規模への転換や元利ベースでのプライマリーバランスの黒字化を図る中で、県職員の能力を生かすための職員の提案によるいわゆる庁内ベンチャー事業の実施、喫緊の課題であり、少子高齢化対策としても重要であります保健・医療・福祉包括ケアシステムの推進や医師確保のためのグランドデザインの策定、若年者の就職を支援するジョブカフェあおもりの運営、県産資源を生かした攻めの農林水産業の推進、環境・エネルギー産業の創出、あるいは、あおもり農工ベストミックス産業創出構想やあおもりウェルネスランド構想、さらには、青森県エネルギー産業振興戦略の策定、達者村や海彦山彦事業等あおもりツーリズムの推進、原子力施設の安全対策の徹底等、一つ一つ着実に自主自立の青森県づくりに向け実行に移してきたとの思いが私にはございます。  そして、リセット(再生)からクリエート(創造)へとギアチェンジすることによって、暮らしやすさのトップランナーへの歩みを確実なものとし、持続可能な青森型社会をつくり上げていきたい、そのように考えている次第であります。  いじめ問題についての見解であります。  いじめを原因とした子供の自殺など、いじめ問題が全国的に相次いで発生していることは非常に残念であります。  いじめは決して許されるものではないことから、県としても、いじめ問題に対応するため、児童相談所等においていじめに関する相談に応じているほか、県教育委員会では既にいじめ問題対策チームを設置し、いじめに関する相談体制を充実強化するなどしておりますが、今後とも関係部局と連携しながらいじめ問題に対応していく必要があると考えております。  また、いじめによります自殺とは形こそ異なりますものの、平成十六年六月の、長崎県佐世保市における、小学校六年生の女子児童が校内で同級生により命を奪われるという大変痛ましい事件がございました。これを契機といたしまして───私自身、これは非常に重要なことと考えました───平成十六年度に、命を大切にする心を育む県民運動推進会議というものをお声をかけさせていただき組織し、次代を担う子供たちが、命を大切にし、他人への思いやりを持ち、たくましく健やかに育つよう、「ひとつのいのち。みんなのだいじないのち。」をキャッチフレーズに、命を大切にする心を育む県民運動を県民総ぐるみで推進しております。  この中で、例えて言えば、四百十四名の声かけリーダーの皆様方の自発的な御協力をいただき、地域全体で子供に声をかけ、人間関係の結びつきを、また、子供たちそれぞれが地域の一員として認められ、見守られているといった安心感などを子供たちに与えることを目的に、登下校時に子供たちに声かけやあいさつを交わす事業、そういったことも全県的に実施しているところであります。  今後とも、県を挙げて───やはり、すべての部分がこの命の大切さということにつながってくると思いますので、この県民運動を推進してまいりたいと思います。  攻めの農林水産業の、販売戦略の奥義についてであります。  我々青森県は、縄文の昔から、農林水産業の分野において、よい土があり、きれいな水資源があり、そしてすばらしい自然環境に恵まれ、その上にすぐれた農林水産業の技術を積み重ねてきた歴史というものを持っております。  こうした本県の風土や恵まれた環境の中で県民性として受け継がれてきたものが、実直さであり、まじめさというものであります。これを最大限に生かしつつ、安全な食べ物づくりや、先人たちが努力を惜しまず伝えてきた確かな、確実なものづくりというものにこれからも頑固なまでに取り組み、お客様に対しまして、将来にわたって、青森の、我々青森県の県産品なら安心であると信頼され、そして、数ある産地───全国のいろんな産地がございまして、さまざまな商品がございますが、その中から我々の青森県産だからと選んでいただき、食べていただき、使っていただける、そういった県産品を届けていくことが販売戦略において最も重要なことだと認識いたしております。  私のこうした思い、それがまさに「青森の正直」であります。そして、「決め手は、青森県産。」のもと、関係市町村長や農林水産業団体の長とともに、我が国を代表する大手量販店や大都市圏の市場関係のトップ等に対し他県産に負けない優良品を強力に提案するトップセールスなどによりまして、我々青森県の生産者がまさに一生懸命、生まじめにつくり上げた良品、よいものを、機会あるごとに自信を持って私自身PRしてきたところであります。「青森の正直」、まさにこの言葉こそが販売戦略におけるところのかなめであると思っております。  今後とも、本県のすぐれた生産者によるところのすぐれた県産品の販売に強力に取り組んでまいりたいと考えております。  酪農振興対策についてであります。  詳細はまた担当部長からお話しさせていただきますが、私自身、本県の畜産、酪農の分野はまさに優位性のあるものと考えております。  したがって、いわゆる量販店等へのセールスにおいても、生産者の方のみならず、加工───牛乳につくってくれているそういった方々を伴うことによって、いわゆるトップセールスの場で、商品のすぐれた───「青森の正直」によってできたものであるということのキャンペーンを進めさせていただいておりますし、小中学生と懇談する場面がよくございますが、その場面において、「朝御飯は食べてきましたか」と。そうすると、大概「食べてきた」と言います。で、「リンゴは食べましたか」、「牛乳は飲みましたか」と、そういう形で、我々の特に得意とする産品、そして、子供たちに特に食べてもらいたい、飲んでもらいたいものについて、まさに子供心からそういうことを理解してほしいという思いでのPR方も進めているといった思いがございます。  詳細はまた部長から答弁をいたさせます。  私からは以上であります。 25 ◯副議長(滝沢 求) 総務部長。 26 ◯総務部長(海老原 諭) 本県における高等学校の必履修科目の未履修状況についてでありますが、このうち、私立高等学校における未履修校数と生徒数についてお答えいたします。  所管しております総務学事課においてこれまで調査をしてまいりました。県内には十七校私立高等学校がございますが、この中で必履修科目を履修していなかった生徒がいる高等学校は七校で、三年生が四百四十一人、二年生が百二十五人、一年生が八十人、合計で六百四十六人となっております。 27 ◯副議長(滝沢 求) 企画政策部長。 28 ◯企画政策部長(関 格) 人材育成についてお答えいたします。  初めに、人づくり戦略をいつごろ公表するのかでありますが、本年四月に人づくり戦略チームを設置し、人財育成に係るチーム内における検討を進める一方で、これまで、県内外の有識者、教育関係者、企業経営者の方々などから本県が目指すべき人財育成について幅広く御意見を伺い、助言等をいただいてまいりました。  現在、これらを踏まえ、目指すべき人財育成の理念や目標及びこれに基づく取り組みの方向性等について、関係部局等との協議を行いながら、チーム内における検討を進めているところであります。  また、人財育成については、家庭、学校、企業、行政などの関係主体が一体となって戦略的、有機的に推進していくことが必要であることから、今後、さらに、外部有識者等から御意見をいただくための戦略検討会議をできるだけ早い時期に設置し、当該検討会議において人づくり戦略について幅広く検討、協議をいただき、その結果を踏まえ、戦略として取りまとめ、公表したいと考えております。  次に、戦略の骨子についてであります。  人づくり戦略では、自主自立の青森県づくりを進めていく上で求められる人財像として、ふるさと青森に愛着と誇りを持ち、自主的に考え、みずから行動し、目標の実現に向けて挑戦していくような人財を考えています。  戦略策定に当たっては、そうした人財を中長期的な視点で持続的に育成していくことが可能となるよう、産業界と教育界、地域と行政が一体となって人財育成に取り組む仕組みづくりなどに重点を置いて検討を進めることとしております。  具体的には、夢や希望を志という形にしていく発達段階にある子供たちを青森の未来をつくる人財として活躍できるよう育成し、また、今の青森を元気にする起業、創業や地域おこしに果敢に挑戦する人財を育成するという両面から地域の元気をつくり、支える人財を育成する戦略として構築したいと考えております。  こうした戦略の骨子案については、近く設置を予定している県内各界の有識者から成る戦略検討会議において検討していただき、取りまとめることとしております。 29 ◯副議長(滝沢 求) 商工労働部長。 30 ◯商工労働部長(小林正基) まず、産業振興に対する取り組みからお答え申し上げます。  本県の喫緊の課題でございます産業振興と雇用創出を図るため、県では、生活創造推進プランのわくわく10を中心に施策の選択と重点化を図る中で、しごと空間創造プロジェクト、あおもりツーリズム創造プロジェクト及びあおもり型産業創造育成プロジェクトの三つのプロジェクトを柱として、戦略的かつ重点的に取り組んでまいりました。  しかし、本県の景気回復が全国よりもおくれている状況にあることを踏まえ、これらの産業・雇用に係る取り組みを一層徹底、加速していくことが必要と考えております。  このような中で、あおもり型産業の創造、育成を図るため、既に策定済みのあおもり農工ベストミックス産業創出構想やあおもりウェルネスランド構想の具体化を推進することとしており、今月二十二日、産学官、金融により構成されるあおもり農工ベストミックス構想推進協議会が設置されるなど推進体制が整いつつあることから、今後、各プロジェクトの具体化に向けた施策を強力に展開することとしております。  また、地域中小企業の振興を図るため、引き続き、創業、起業の推進、地域商店街や地場産業の活性化などに取り組むほか、戦略的な企業誘致活動、さらには、東北新幹線新青森駅開業を契機とする新幹線開業効果を最大限に活用するための施策などを推進することとしております。  県としては、今後とも、関係機関と密接な連携を図りながら、本県の産業振興と雇用拡大に積極的に取り組んでまいります。  次に、有効求人倍率の見通しでございます。  有効求人倍率は、その時々の経済情勢や労働者の就業意識などさまざまな影響を受けますので一概に見通しを示すことは難しいわけでありますが、本県の有効求人倍率がこれまで低迷してきた要因の一つとしては、雇用の場を多く提供する製造業などにおいて、付加価値生産性が低く移入超過となっていることが雇用創出面でも十分貢献できない状況となっているものと考えております。  一方、若者の早期離職や在職者の求職が増加していることなどが求職者側の要因として考えられます。  県といたしましては、生活創造推進プランにおいて、有効求人倍率の期待値として平成十五年度の〇・三一倍に対し平成二十年度は〇・五倍を設定しておりますが、これまでのところ景気の回復基調とも相まって着実に上昇してきており、今後、重点的な産業振興への取り組みや関係機関と連携したミスマッチ対策などの強化によって、この期待値は何としても達成していかなければならないというふうに考えております。 31 ◯副議長(滝沢 求) 農林水産部長。 32 ◯農林水産部長(加賀谷久輝) 御質問四点にお答えいたします。  最初に、松くい虫対策費用等についてであります。  本県の松くい虫被害防止対策は、昭和五十五年のマツノマダラカミキリの分布調査に始まり、その後、松くい虫予防巡視員の配置、感染源となる弱った松等の伐採、薫蒸などに取り組み、平成十七年度までに約一億円余の予算を投じてきたところであります。  また、本年度は、七月四日に秋田・青森県境から秋田県側二百五十メートルの地点で松くい虫被害が確認されたことから、深浦町の一定区間の松をすべて除去する防除帯を二カ所設置するほか、弱った松等の伐採、薫蒸等を内容とする松くい虫被害防止対策を緊急に行うこととし、これまでの予算は、当初と合わせて七千百八十三万円余を措置しているところです。  さらに、作業に着手した防除帯については、当初予想した以上に伐採量が増加したため、本議会に所要の経費三千五百九十五万円を計上し御審議いただいているところであり、この補正額も含めた昭和五十五年度以降の予算総額は約二億九百万円となっております。  来年度以降については、本年度設置する防除帯を有効に活用しながら、引き続き、地上や上空からの異常木の監視や衰弱した松の除去などの予防対策を講じていく必要があると考えておりますが、これらに要する経費については、年度ごとに状況を見ながら対応していくこととしております。  次に、対策による波及効果についてであります。  松くい虫被害を未然に防止する対策の実施によりもたらされる効果としては、日本海側の風山と呼ばれる広大なクロマツ林や太平洋側のアカマツ林などが維持され、木材の生産はもとより、海岸からの砂や海水の農地への飛散を防ぎ、農作物の安定生産が行われ、また、安全、安心な農林水産物の基礎となるきれいな水をはぐくむ山、川、海の水循環システムが保全されるなど、県民の生活や本県の産業経済の安定に大きく寄与することとなります。  また、既に被害が発生している県では被害対策費として年間数億円から十数億円もの予算が投じられておりますが、本県では被害が発生する前から松くい虫被害防止対策を進めることとしており、被害が発生しなければこうした経費が抑制できるものと考えております。  次に、県産品のブランド化についてであります。  県では、県産農林水産物とこれを素材とする加工品等を売れる商品としていくためには、消費者に信頼され、販売面での優位性が発揮でき、販路拡大にもつながるブランド化が極めて重要であると考え、青森県総合販売戦略の大きな柱として位置づけているところであります。  このため、地域団体商標制度の活用も誘導しながら、地域の生産者団体等が一体となって取り組む地域特産品の発掘や開発、改良を初め、生産供給体制の整備や専門家による商品の評価、販路拡大に向けた販売体制づくりなどの活動を支援しているほか、県産品PR用キャッチフレーズ「決め手は、青森県産。」等を前面に打ち出すことにより、本県の持つ優位性を強調し、県産品の認知度の向上と総合イメージづくりを進めて県産品のブランド化を促進し、県産農林水産品の販売促進に努めてまいります。  最後に、酪農振興対策についてであります。  本県の酪農は、戦後の開拓農業の重点推進部門として、先達の血と汗のにじむ努力によって開かれてきたものであり、本県が有する広い牧草地と乳牛の飼養に適した夏季冷涼な気候という優位性を最大限に生かすことによって今後とも発展が期待できる農業部門であると認識しております。  しかし、最近の酪農経営については、乳価が長期間にわたって低迷し、さらに今年度は十三年ぶりに生乳の生産を減らさなければならないなど、厳しい状況が続いております。  このため、県としては、市町村や関係団体と一体となって、生産面では、生乳の需給動向に柔軟に対応できる経営体質の強い産地づくりを基本に、経営コストを低減するための飼料生産の共同化や肉用牛部門の導入、拡大などに積極的に取り組んでいくこととしております。  また、販売面では、牛乳が持つ健康増進効果などの機能性をアピールしながら、県産牛乳消費拡大キャンペーンや消費者との交流などの取り組みを推進していくとともに、県内の量販店等はもとより、主要な県内企業・団体等に対してこれまで以上に県産牛乳の消費拡大を働きかけてまいります。  以上であります。 33 ◯副議長(滝沢 求) 教育長。 34 ◯教育長(田村充治) 御質問七点にお答えいたします。  初めに、いじめ問題二点のうちから、まず、いじめの原因についてでございます。  いじめについては、はっきりとした原因は特定できませんが、子供の生活体験の不足、他人への思いやりの心の欠如、人間相互の連帯感の希薄化などによるコミュニケーション能力の不足など、さまざまなことが複雑に絡み合っているものととらえております。  いじめを未然防止するためには、子供たち一人一人が相手の立場になって考え行動する思いやりの心、命を大切にする態度等の豊かな人間性の育成に努める必要があるものと認識しております。  次に、いじめ根絶への具体的な対策についてであります。  県教育委員会では、これまでも、スクールカウンセラー配置事業の実施、各種研修講座の開設等により、教育相談体制の充実及び教員の資質向上を図るとともに、県内二十九地域における地域生徒指導推進協議会や、県内六地区において地区健全育成推進会議等を開催するなど、学校、家庭、地域、関係機関等との連携に努めております。  しかしながら、本県では、いじめの発生件数が昨年度よりも増加しており(後刻訂正あり)、また、全国では、いじめにより子供たちがかけがえのない命をみずから絶つという痛ましい事件が相次いでいることから、いじめ問題への対応は喫緊の課題であるとの認識のもと、去る十一月八日にいじめ問題対策チームを設置し、いじめ問題への対応に、より一層強力に取り組んでいくこととしました。  取り組み内容といたしましては、一つとして、学校における教育相談体制の充実及び教職員の指導力の向上、二つとして、家庭、地域、関係機関等との連携強化、三つとして、いじめ問題への相談体制の強化などであります。  また、十一月十四日にはいじめ相談電話を開設し、二十一日にはいじめ問題対策連絡会議を開催しております。  今後は、生徒指導に関する教師用指導資料を作成し、これを活用した教員の研修会の実施や、いじめに関する調査やアンケートのあり方の検討などに取り組んでいくこととしております。  次に、必履修科目の未履修問題三点のうち、本県の未履修校数と生徒数の教育委員会所管分についてであります。  県立高校において必履修科目の未履修があったのは、三本木高校、五所川原高校、木造高校、野辺地高校及び八戸東高校の五校であります。必履修科目の未履修があった分でございます。  未履修となっている生徒は、三年生では、これらの五校で合わせて七百七十四名となっております。また、二年生では、三本木高校、五所川原高校及び八戸東高校の三校で合わせて五百二十八名となっております。
     次に、現在行っている救済方法についてでございます。  卒業の認定に係る救済として、文部科学省からの特例措置に関する通知により、該当する県立高校五校の三年生については、不足単位数に応じて二十五時間ないし七十時間の補充授業とレポート提出によって未履修科目の単位の認定を行い、卒業には支障がないよう計画しております。  また、未履修のあった学校では、既に出願書類を提出した企業や大学等へ電話で未履修の事実を伝えるとともに、生徒にとって不利になることのないよう、訂正した調査書に私のおわびの文書と一連の経過を説明した校長の文書を添えて再提出したところでございます。  なお、二年生については、今回の特例措置の対象となっていないことから、五所川原高校と八戸東高校では不足単位数に応じて補充授業を今年度内に実施し、三本木高校では来年度の教育課程の中で履修できるよう計画しております。  未履修問題についての今後の対応についてでございます。  今後の対応についてでありますが、これまで、青森県小学校長会、中学校長会及び高等学校長協会の合同研究協議会の席上において、私から役員に対し、改めて、教育課程の適切な編成と運用についてお願いしております。また、高等学校長協会の各地区の会議に際し、県立学校課長から高等学校長に対し同様の内容についてお願いしたところであります。  今後は、指導主事等がすべての県立高校を訪問し、教育課程の実施状況を確認するなど、チェック体制の確立を図り、再発防止に努めてまいります。  次に、タウンミーティングやらせ発言問題についての二点のうち、やらせ発言に関与したのかについてでございます。  タウンミーティングの開催に際して、内閣府から八戸市教育委員会を通じて質問項目案が示され、発言者の確保の依頼がありました。  これを受け、県教育委員会の関係職員が三八教育事務所を通じ、参加者の多い学校の中から、会場で発言がなかったときに御自身の意見を発言していただくようお願いしたものであり、やらせだという認識はなかったとの報告を受けております。  しかしながら、依頼する前後において、内閣府で作成した質問項目案をそのまま送付するなどにより、あたかも特定の質問を強制的に発言するよう依頼したととられるような対応をし、県教育委員会がやらせに加担したと県民の皆様の不信を招いたものであります。  最後に、タウンミーティングやらせ発言問題について、責任をどのように受けとめているかについてでございます。  今般の一連の対応につきましては、内閣府からの依頼に対し、教育委員会の関係職員が、十分な配慮を欠き、判断に甘さのある対応をとったものであります。  このことにより議員各位及び県民の皆様の不信を招いたことから、二度とこのようなことがないよう、去る十一月二十二日に事務執行の適正化について各所属長あてに通知し、職員すべてが、慣例にとらわれることなく、常に新たな視点と緊張感を持って職務に臨むよう努めるとともに、さらに所属長にあっては、所属における報告・連絡・相談体制を密にし、的確な判断のもと厳正に対応するよう指示したところであります。  今後は、私としても、教育行政に携わる者としての自覚を新たにし、気を引き締め、県教育行政の推進に誠心誠意取り組んでまいります。  以上でございます。 35 ◯副議長(滝沢 求) 三十五番斗賀議員。 36 ◯三十五番(斗賀寿一) ただいまの知事からの政治姿勢についてであります。  午前中、自民党の議員さんの質問に対して、知事は出馬要請に対して答えたようでありますが、もし要請や公認のあれがなければ知事は出るんですか、出ないんですか。その辺は、要請されれば出るんだ、そしてまた、よその方からも要請なり推薦があれば受けるような話もしたんですが、そこを一点だけ、まず知事のお考えを聞きたいと思います。  ただ、知事は、一党云々ということよりも───日本の国会での首班指名は一部の国会議員で決まるわけであります。しかし、アメリカの大統領選は国民投票であります。県知事選は当然県民一人一人の有権者によって決まるわけでありますので、そういう意味合いで、公平公正、そして、県民を主体にするならば、その一党にだけ頼らずに、県民の声を聞いて、それを県政に反映させる考え方がきちっとしているのかどうなのか、その辺を一つだけお聞かせ願いたいと思っております。やっぱり知事は公平公正でなければならない。  そして、先ほど言いましたとおり、知事は当初、新生、再生、リセット云々なんと言ったんですが、時々、政策、構想が次から次へとどんどん出ていくわけですよ。ところが、じゃ、先に言った構想やら政策がはっきり言って本当に実現されているのかとなると、私はそう思わないわけでありまして、最初に言ったことをきちんと自分で確立して、県民の所得や県民の暮らしがきちっとなってから次の段階に行けばいいんですが、どうも次から次へと言葉だけが先行して何か中身が伴わないような気がしておりますので、その辺だけは知事として十分認識を新たにしていただきたいのであります。  ただ、今言ったように、公認、推薦がなければ出ないのか、出るのか、この点だけは一点教えていただきたいと思います。  あと、産業振興と雇用対策、それと人材についてであります。  一般質問の中で言ってきて、午前中にも質疑があったんですが、製造業の育成、ものづくり、人づくりが大事だということは十分わかっております。  しかしながら、この人づくり、ものづくりは、過去において、先ほども言いました竹内俊吉元知事あるいは北村正元知事たちも、この産業の高度化を図っていくということはかなり前から提唱してきたわけです。しかし、何十年たっても一向にその先行きが見えない。そのことがわかっていつつ今まで実行されていなかった。そして、今度は、人づくりだ、ファンドだ云々、いろいろなことの政策ばかりが新しくぼんぼん出ていく。そうじゃなく、これからの青森県はどの方向で進むのかということだけは───余りいっぱい政策、構想ばかり並べても私は効果が出ないのではないかと。やっぱり、ある程度のものにきちっと絞って実行していく必要があるだろうと、そう思っておりますので、この点だけはひとつ要望して、また、今後の推移を見守っていきたいと思います。  三番の人材育成についてでありますが、人づくり戦略チームについていつごろ公表するのかということに対して部長はお答えになっていないようでありますが───今準備中だとか云々と言っているんですが、ここを一点だけ、いつごろまでにこの人づくり戦略チームを立ち上げてやるのか、時期をひとつお知らせ願いたいと思います。  あと、教育委員会の方については、午前中にもいろいろお話があったわけであります。  ただ、この未履修の原点は何だったのか。やっぱり、進学校、進学率───国公立の大学、あるいは私立の有名大学に多く入学させたい、いい学校にいっぱい入れたい、そういうことから恐らくこの未履修の問題は出てきたのではないかなと。じゃ、その有名私立や国公立大学に丸々合格したことだけが果たして本当に教育なのかということも踏まえて、その辺にこれからもぜひ気をつけながら、この未履修の内容にひとつ気をつけていただきたいと思います。  それから、やらせ問題です。  このやらせ問題は、恐らく日本の教育基本法の関係だと思うんであります。教育は百年の大計です。やっぱり、過去においての検証をして、これだけいろいろ騒がれている時代に議論をして───日本の将来の教育がどうあるべきかという方向性をきっちり定めないで、ただただ早く成立させなければならないだろうということから、恐らくこのやらせ問題も出てきたのではないのかなと。  そこで、私がお願いしたいのは、いつでも、国は国、県は県で、県の独自の教育方針を、今後の青森県の教育方針をぜひとも教育長の英断でみんなと話し合って決めていただきたい。国がこうだから県はこうしなければならない、それではいい青森県づくりにはならないし、青森県の教育のためにはならないと思っておりますので、その辺だけは強くお願いしたいと思います。  そして、最後の攻めの農林水産業でありますが、この点については、松くい虫を除いて、水産物の対策、酪農振興にもかかわる問題であります。ブランド化の問題でもあります。  実は、私は、先月の末、岩手県へ行ってまいりました。軽米町、巻町、岩手町と三町へ行きました。軽米町では酪農を見てきました。巻町では野菜農家を見てきました。そして岩手町では養豚を見てまいりました。その見てきたところはやっぱり違うなと。それは何であるか。例えば酪農であろうとも、野菜づくりであろうとも、根本はやっぱり堆肥、土づくりですよ。土づくりは、いろいろな努力、工夫をすることによってブランド化にもつながると思うんです。それが青森県の場合はちょっとどうなのかと。  そして、今までは一村一品運動が各地域で行われてきました。そしていろいろなものがつくられました。そして、いろいろ数は多い。でも、ブランド化にならなかった、売れなかったのはいっぱいあります。やっぱり、今の消費者は何を望んでいるかということについては、市場のマーケティング調査───消費者が本当に何を望んで、どういうものを望んでいるかということをきちっと調査して、それに対応できるようなものづくりや嗜好品を売っていくことが将来ブランド化につながっていく。  そしてまた、違いを出すためにはどうするのか。消費者が安全、安心して食べられる、そういうものをやる場合は何といっても土づくりですよ。土が基本なんです、日本の農業は。これは酪農も同じなんです。  この軽米町へ行ったとき、私は牛舎に入りました。酪農家でした。そのとき、全くにおいがないと言えばうそでありますが、においがないんです。そして、牧草畑では三番草をとっているんです。そして、私が行ったときには三番草がまだ青々としていました、十月の末に。それが土づくりですよ。その牧草の三十センチ下は岩盤なんですよ。そこの酪農家は二十八年間天地返ししていないそうですよ。そういう土づくりあるいは堆肥づくりに一生懸命努力しているわけです。  そして、今度、巻町に行ったときには、ヤマゴボウを植えていました。ある者も、自分たちの堆肥を集めて完全な立派な土づくりをして───もちろん堆肥をやって土づくりになるんですが、それが何とありがたいことに、十八年間同じ土地、場所に大根を植え続けても連作障害が出ていないというんです。そういう農家もありました。  そして、最後に、岩手町の養豚場へ行きました。二万二千頭の養豚場でありました。当然、ふん尿処理されています。尿は、ふん尿の処理場から二キロメーター離れたところにあります。そして、その尿だけをためるために二十何基の水槽を持っています。私もその水槽に手を突っ込んできましたよ。においもしません。  やっぱり、そういうような農業───これからは、耕畜連携の農業を目指しながら青森県らしい農業をすることによって、おのずとブランド化も生まれるだろうし、そしてまた、消費者も安心して青森県の農産物なら買うんだというような姿になるだろうと私は思います。  まず一番大事なことは、これからの青森県にとっての農業は、やっぱり土づくりからスタートした肥料というものをつくるべきではないのかなということを申し上げて、私の再質問を終わらせていただきます。  一点だけ、知事さんと部長に、時期ですね、それだけお教え願いたいと思います。 37 ◯副議長(滝沢 求) 知事。 38 ◯知事(三村申吾) 斗賀議員の再質問にお答えいたしたいと思います。  私は、これまで、ふるさと青森県民の皆様方の思いを政治の原点として、そして、百石町長以来、地域、地方がよくならなければ日本はよくならないと訴え続けてまいりました。こういったさまざまな思いを実現することにおいて、地方行政の内側から、あるいはあるときは国政の立場で、そして今また地方行政の立場からという形で、まさに、このふるさと青森県にいかに元気になっていただけるか、元気になるかということに全力を傾注してきたという思いがあります。  そしてまた、午前中に再出馬の意思についてお話をさせていただいたわけでありますけれども、やはり、政治家がもう一歩を歩み出す場合において大切なものは勇気であります。そして、この勇気というものをいわばいろんな形において押してくれるその勢い、その思いというものは、これは大切なことだと私は思っております。  今般、十一月十六日でございましたが、政策提言という形において、まさに、私もやりたいこと、そういった思いと一緒のものがございました。政策提言を自由民主党の皆様方からいただき、そして、きょう、午前中、大変にありがたい言葉をこの青森県議会の重鎮でもあります高橋弘一先生からいただいたわけであります。この勇気をもって踏み出したと、そのようにお受けとめいただければと思います。  そして、お答えは要らないということでございましたが、土づくりの問題について議員から大変に有意義なお話があったと思っております。  実は、私ども、いわゆる重要施策───わくわく10と申しておりますが、その中において、この土づくりは、新年度、非常に大きなものとしてとらえていこうと思っております。  御存じのとおり、農業にしても、第一次産業というものは、水、土、人等の技術ということにもなりますが、やはりこの三つがきちんと整ってということがございます。水循環システムの再生等を含めてこの水づくりについてはこの三年半相当に進めてきたわけでございますが、土ということについても、自由にできるいわゆる政策的経費の部分の一二%とか十数%の部分を担当課等が要求してきておりまして、私は、それは非常に重要なことと思い、進めようと思っております。御指摘ありがとうございます。  私からは以上です。 39 ◯副議長(滝沢 求) 企画政策部長。 40 ◯企画政策部長(関 格) 人づくり戦略の公表時期についての重ねての御質問でありますが、今後設置を予定している外部有識者等から成る戦略会議における議論が煮詰まり、取りまとめることが可能となれば、速やかに戦略として策定したいと考えておりますが、いずれにせよ、今回の人づくりは、中長期的な視点からの戦略を構築することとしております。  そういう趣旨からも、あらかじめ期限を設けてというよりも、拙速とならないように、検討会議における十分な議論を尽くすことがまず最も大事なことだと考えております。その上で、環境が整えば、速やかに策定し、公表したいと考えております。 41 ◯副議長(滝沢 求) 四十八番菊池健治議員の登壇を許可いたします。───四十八番菊池議員。 42 ◯四十八番(菊池健治) 公明・健政会の菊池健治であります。  いつもながらの多岐にわたっての質問でございますが、知事初め関係部局長の明快なる御答弁をお願いし、通告の順に従いまして一般質問をさせていただきます。  まず初めに、むつ・下北地域の近未来像について伺います。  県では、本年四月、地域づくりの中心的な役割を担っている市町村の自立促進のための総合的な支援の一環として、弘前市、八戸市とともにむつ市へ総合出先機関となる地域県民局を設置したことは、県において、むつ・下北地域の活性化が急務であると考え、それを強力に進めていきたいという思いのあらわれであると感じております。私としても、今後、地域づくりに大きな成果を上げることを期待しております。  下北県民局長におかれましては、四月に着任されて以来、管内の市町村や関係団体などを精力的に訪問し、当地域の実情、地域課題の把握に努め、市町村などとの協議や相談を重ね、局内各部の総合的な調整や指導監督、庁議で当地域の実情を報告するなど、駐下北青森県大使の心意気で地域との連携の一層の推進に取り組んでおり、その努力を評価しているところであります。  さらに、地域県民局においては、各地域における特有の課題を踏まえた諸施策を検討する地元下北を元気に協議する会を主宰し、「中央・県都から距離が遠い・時間がかかるを如何にメリットとするか」をテーマに協議を重ね、先般、これまでの協議の経過を「われら元気な下北人の近未来に」としてまとめたと伺っております。  地域県民局としては、これらに掲げられた意見や提言の具体化を進めて、まさに活力あるむつ・下北地域の近未来を実現していただくよう強く望むものであります。  以上のような観点から、次の二点についてお伺いいたします。一点目は、地元下北を元気に協議する会からの意見・提言内容について、二点目は、意見・提言内容に対する下北県民局の対応と今後の展開についてお伺いいたします。  次に、団塊世代対策について伺います。  団塊世代の方々の約三割に農山漁村への定住願望があり、また、都市部と農村部の二地域での居住願望は約五割と、他の世代より高い回帰志向があると伺っております。  このため、全国の自治体が首都圏に在住する団塊世代に「第二の人生をふるさとで」と呼びかける動きが顕著になりつつあります。  むつ・下北地域は、美しい景勝地、豊富な温泉、手つかずの自然、その中ではぐくまれた伝統芸能や郷土料理など、いやしの空間を創出する素材には事欠かない地域であります。自治体や民間では、農作業や酪農体験、陶芸や木工制作など、地元の素材を生かしたグリーンツーリズムに取り組む芽が見られるなどしており、都会に住む団塊世代の第二の居住地にふさわしい地域であると思います。  このことから、団塊世代の大量退職を契機として地方への回帰が始まろうとしている今こそ、本県としても、団塊世代を中心とした本県回帰の機運を盛り上げ、地域活性化や産業振興につなげていくべきだと考えるものであります。  そこで、県は、今年度、団塊世代対策推進事業を実施しておりますが、団塊世代対策をどのように認識しているのか、また、今後県としてどのように団塊世代対策に取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、下北地域における医療行政について伺います。  平成十年に病床六十床で新築された大畑病院は、平成十五年九月に策定された下北地域の自治体病院機能再編成計画に沿うて平成十七年四月から診療所へと転換され、再編成計画においては、有床の診療所への転換とあわせ複数の医師配置が掲げられておりましたが、現状では、常勤医は県から派遣されている一名のみで、入院や時間外対応が受けられない、事実上の無床状態になっております。  大畑地区の住民の入院や救急の対応への不安の解消を図るためには、運営主体である一部事務組合下北医療センターの医師確保のための努力が不可欠であると考えますが、県としてこの再編成計画の実現のためにどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、むつ・下北地域の広域観光の振興について伺います。  むつ市を中心とする下北地域では、下北半島における観光振興を図るため、官民一体組織である下北観光協議会や下北観光協会連合会などが、下北は一つであるとの思いを持って、観光振興や誘客を図るための広域的な事業を展開しています。  先般も、むつ市において、観光事業者や飲食店など地域の関係者が参加し、下北名物料理の開発・試食会を開催するなど、観光と農林水産業の融合によって地域振興や観光振興に結びつけようと一生懸命取り組んでおります。  今後一層広域周遊型観光を推進していくためには、県がリードして、行政と観光関係者との適切な役割分担や連携により、一致協力した推進体制をもって広域観光振興に努めていく必要があるのではないかと考えております。  そこで、むつ・下北地域の広域観光の振興についてどのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、むつ・下北地域の温泉活用について伺います。  本県は国内屈指の温泉資源に恵まれていますが、特にむつ・下北地域は、全市町村が温泉を有し、湯治場としても長い歴史を持ち、良質な泉質で有名なところであります。  しかし、下北地域の温泉の知名度が全国的にまだ低いことやハード、ソフト両面にわたる観光客受け入れ体制などが課題となっている中で、岩盤浴などの新しいニーズをとらえながら、今後、いかに情報発信の強化を図るとともに、温泉に付随する新たな魅力創出や受け入れ体制の充実に取り組んでいくかが重要となっております。  また、最近の健康志向の高まりに呼応し、豊富な温泉資源を有効に活用しながら健康増進を図ってもらおうという新しいビジネスづくりにも取り組んでいく必要があると考えております。  そこで、むつ・下北地域の温泉資源を活用した観光振興にどのように取り組んでいくのか、また、温泉を活用した新しいビジネスづくりにどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、十月六日から八日にかけての発達した低気圧による災害について伺います。  本県の太平洋沿岸を通過した低気圧は、本県の漁港関係施設を中心に大きな被害をもたらしました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。  特に、私の住む下北地域にあっては被害が大きく、津軽海峡側に位置する大畑漁港、関根漁港、下風呂漁港では防波堤が大きく壊れ、今後の漁業活動にも大きな影響が出てくるものと大いに心配しています。  私も、今回の災害の現場に数回足を運んでおりますが、被災直後の漁業関係者の切実な声を聞いて、この思いを関係機関に伝えるため、十月十日には県庁を訪ね、三村知事、蝦名副知事、農林水産部長、水産局長、漁港漁場整備課長に現状を説明させていただきました。  また、十月十九日には、東京へ出向き、県選出国会議員の大島先生、江渡先生、木村先生を初め、自由民主党の中川幹事長、農林水産省白須水産庁長官とそれぞれ面会し、被害状況の説明と早期の復旧に向けた予算の確保についてお願いしてまいりました。  さらに、十月十一日の長谷川出納長、十月二十三日の国井農林水産副大臣の現地視察の際には、同行させていただき、関係者とともに早期の復旧を要望させていただいたところであります。  一方、国土交通省所管の海岸、道路などにおいても、海岸保全施設の被災や越波による住家浸水被害、あるいは海岸と並行する国道二百七十九号の被災による通行規制など多大な影響を与えたところであり、一日も早い復旧により民生安定の確保が望まれるところであります。  そこでお伺いしますが、第一点目は、今回被災した漁港の復旧に当たり、今後の予定と必要な手続について、二点目は、被災した主な漁港ではどのような復旧方法を考えているのか、三点目は、むつ・下北地域における国土交通省所管の公共土木施設災害の状況と今後の対策についてお伺いいたします。  次に、水産業をめぐる諸課題と振興策についてお伺いいたします。  近年、大型クラゲが大量に出現し、漁具や作業の遅延などの被害をもたらしており、本年も、今月に入って出現が急激にふえ、困っているとの声が多く聞かれます。  そこで、大型クラゲの出現状況と県の取り組みがどうなっているのかお伺いいたします。  次に、イカの不漁対策であります。  ことしの小型イカ釣り漁船の漁獲を見てみると、日本海は豊漁ですが、津軽海峡や太平洋では極端な不漁となっていると伺っております。  特に、むつ・下北地域はイカ釣り専業漁業者も多く、イカ釣り漁業を営む漁業者は、長引く燃油価格の高騰と相まって、暮らしと漁業を立て直すための資金の確保に迫られており、非常に厳しい環境のもとに置かれているのであります。  そこで、イカ不漁対策として漁協系統組織では独自の資金を創設したと聞いておりますが、イカの不漁について県としての対応をお伺いいたします。  次に、漁船海難事故についてお伺いいたします。  本年の海難事故としては、四月に立て続けに発生した漁船海難事故、さらに、先般、むつ大畑における刺し網漁船の事故などが発生しており、亡くなった方、今もって行方不明の方もおられます。  そこで、むつ・下北地域における漁船海難事故の発生状況と県の対応についてお伺いいたします。  次に、去る十月三十一日、三沢市で県内の漁業者約千二百人が参加して県漁民大会が開催されたところですが、この大会において資源管理型漁業の確立のため決議された沿岸漁業と沖合漁業との共存体制の構築について伺います。
     尻屋崎周辺や太平洋海域において、沿岸漁業と大臣許可漁業である底びき網漁業及びまき網漁業との操業上のトラブルがこれまでもたびたび発生しており、関係者の方々は早急な解決を願っています。  来年九月には大臣漁業許可が一斉更新されると伺っておりますが、この際、関係漁業者の要望が十分に反映されるよう配慮することが必要であると考えています。  そこで、沿岸漁業者から要望されている沿岸・沖合漁業の共存体制の構築に対する県の取り組みについてお伺いいたします。  次に、バイオマスについてお伺いいたします。  植物資源を醗酵させてできるアルコールから製造するバイオエタノールは、稲などの農産物からも製造できるため、年々増加している耕作放棄地の解消や余剰米対策としても大いに注目されています。  このような中、肥沃で広大な農地を持ち、稲を初めとする農作物の高い栽培技術を有している本県の優位性を生かしてバイオエタノールの原料となる農作物の生産を進めることは、農業に、これまでの食料供給という役割だけでなくて、新たな産業の創出による農業農村の活性化をもたらすとともに、過度に依存しているガソリンなどの化石エネルギーの消費抑制につながるものと大いに期待しています。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。一点目は、国内外でのバイオエタノールの活用について、二点目は、本県におけるバイオエタノールの活用に向けての取り組みについてお伺いいたします。  次に、海岸の侵食対策についてお伺いいたします。  本県は三方を海に囲まれており、特に下北地域においては四方を海に囲まれていると言っても過言ではなく、豊かな海からの恵みには大きいものがあります。  しかし、津軽海峡に面したかつての原子力船「むつ」の母港であった関根浜港の東に位置する東通大利から石持、稲崎に至る海岸約六キロは、かつては砂浜が連続する美しい海岸でありましたが、風浪や潮流の影響により侵食が進み、背後の牧草地が崩落により一部失われている状況であります。  このため、県では、これまでも、国の補助事業や災害復旧事業、県単独事業などにより消波堤を設置し、侵食対策をしてきているものの、いまだ十分な整備に至っていないのが現状であります。  そこで、大利海岸におけるこれまでの整備状況と今後の整備方針についてお伺いいたします。  次に、下北半島全域の道路網の整備について伺います。  下北半島縦貫道路については再三再四の質問で恐縮でありますが、昨年、下北地域で働く女性が、下北半島縦貫道路の早期完成を求める地元の声を広く発信するため下北未来塾を設立し、これまでに、知事との意見交換や国土交通省へ早期完成を求める働きかけを行っております。  そして、先週の二十三日、むつ市において、下北未来塾の主催する下北半島縦貫道路の早期完成を願う「下北からのメッセージ」というイベントが開催され、早期完成を求める地元の皆さんが約八百名集いました。この中で、総延長六十キロ、十年経過して十三キロの進度ではまだ五十年かかるのかとため息が出ておりました。  このように、地元からは下北半島縦貫道路の早期完成に向けた熱い声が大きく発信されており、今後一層の整備促進と事業未着手区間の早期事業着手を強く望むものであります。  次に、去る十月十三日に、国道二百七十九号の易国間地区において、落下の危険性がある岩塊を短時間の通行どめにより安全に除去していただきましたことに対し深く感謝申し上げますとともに、工事関係者並びに県当局の御労苦に敬意を表したいと思います。また、十二月一日にも同様の作業をされると聞いており、安全第一に作業を進めていただくよう切に願うものであります。  さて、私は、県議会議員を拝命してから二十年になりますが、これまで一貫して下北半島地域の幹線道路網の整備について訴え続けてまいりました。  特に、半島を循環する国道二百七十九号や国道三百三十八号については、重点的に整備を進めるよう強く要望してきたところであります。  また、当地域は、むつ小川原開発計画を初めとし、東通・大間原発、そしてまた中間貯蔵施設など国のエネルギー政策上極めて重要な施設が集積しており、これらの観光資源やプロジェクトを支え、かつ地域住民の生活を支える幹線道路網の整備を一日でも早く実現し、地域の活性化や地域振興、福祉の向上につなげていただきたいと考えております。  下北半島のむつ市以北は、海岸沿いの狭い地域に集落や道路が形成されている状況で、整備費用も多額であることから、他地域に比べ整備がおくれている現状にあり、加えて、代替路線となる路線が少ないことから、通行どめなどが発生した場合には大きく迂回しなければならない状況となっております。  道路特定財源の確保については、これから年末に向けて正念場を迎えると聞いております。楽観できる状況でないことは十分承知しておりますが、当地域の現状を十分御認識いただき、幹線道路網の整備についてより一層推進していただくよう、地域住民になりかわり心からお願いするものであります。  以上を踏まえてお伺いいたします。第一点は、下北半島縦貫道路の早期完成を求める地元の声が高まっておりますが、今後の整備の見通しについて、二点目は、国道三百三十八号白糠バイパスの整備状況と今後の見通しについて、三点目は、一般県道九艘泊脇野沢線の災害復旧について、復旧対策の概要と被災周辺部への対応について、四点目は、国道二百七十九号風間浦村易国間地区の岩塊除去工事の現状と今後の見通しについて、五点目は、国道三百三十八号むつ市川内から脇野沢間の未整備区間の見通しについて伺います。  次に、むつ・下北地域の港湾整備について伺います。  下北地域は、古くから、天然の良港として、また物資輸送の拠点として栄え、港とともにはぐくまれ、港とともに発展した地域であります。  大湊港は、特定地域振興重要港湾として位置づけられ、むつ市が進めているウェルネスパーク計画や克雪ドームなどの周辺整備に合わせて、交流拠点を創出するための臨港道路や緑地の整備、さらには、大規模地震時における緊急物資輸送の防災拠点として耐震バースの整備が進められているところであります。  また、芦崎湾の周辺では親水空間の創出と自然環境に配慮したエココースト事業も進められ、おのおの早期完成が求められています。  川内港では、安全と良好な海岸空間と野外環境教育を目的としたかわうち・まりん・びーちの整備や、人命、財産を防護する護岸の整備が進められており、早期の効果発現が望まれております。  大間マグロで一躍ブランド化した大間港は、漁船の大型化及び隻数の増加に対応する船だまりの整備が進められておりますが、フェリー機能の強化及び施設の老朽化に対応する再編が求められています。  尻屋岬港は、石灰石、セメントの搬出のほかに、関連物資も増加し、年間取り扱い貨物量は約四百万トンとなっております。全国地方港湾で屈指の物流港湾となっており、今後はますます貨物の増大が見込まれ、雇用の拡大に伴う地域振興や経済波及効果は非常に高く、防波堤の早期完成が強く望まれているところであります。  仏ヶ浦港は、下北地域の観光資源として恐山に次ぐ観光名所であり、年々観光客が増加し、安全で安心な港づくりが求められており、防波堤の早期完成が強く望まれています。  このような状況から、大湊港、川内港、大間港、尻屋岬港、仏ヶ浦港の整備状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。  次に、東通原子力発電所について伺います。  東通原子力発電所については、これまでたびたび計画におくれが生じ、地元の雇用や経済にも影響を及ぼしてきましたが、東北電力株式会社一号機の営業運転開始に引き続き、去る九月に、東京電力株式会社の発電所についても、一、二号機の重要電源開発地点の指定や、事業者から国に対する一号機にかかわる原子炉設置許可申請がなされ、発電所建設に向け大きな進展が見られたところであります。  下北地域の経済情勢は依然として厳しく、地元の発電所建設に対する期待は非常に大きなものでありますが、いまだ建設準備工事も本格的に行われておらず、地元からは早期の本格工事の開始を求める声が強くなっております。  そこで、東通原子力発電所の建設準備工事の現在の進状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  次に、青森県立下北少年自然の家の存続について伺います。  下北少年自然の家をぜひ存続してほしいということで、私は去る九月の第二百四十七回定例県議会においても質問いたしたところでありますが、その後、新聞報道にもありましたように、去る十月十八日、むつ市の四団体が下北少年自然の家の存続を訴える約一万五千人分の署名簿を提出し、存続の要望を行ったと報じられております。  これまでのむつ市及びむつ市議会の要望、私も含めた地元の県議会議員からの要望、そして署名簿の提出と、むつ・下北地域には依然として下北少年自然の家の存続への強い要望があります。  そこで、むつ市連合PTAなどからの存続を求める署名簿の提出を受け、下北少年自然の家の廃止を見直す考えはないのか伺いたいと思います。  最後に、高校教育改革について伺います。  平成二十年度までの県立高等学校教育改革第二次実施計画においては、中学校卒業者数が減少する中で、高校教育水準の維持向上を図るため、校舎制を含む適正な学校規模・配置に取り組んでいると伺っております。  この中で、川内高等学校についても、平成十八年度から一学年一学級四十人の募集定員となり、平成二十年度からは青森県立大湊高等学校川内校舎となる予定と伺っております。  川内高等学校は、下北西通り地区住民の悲願がかない、昭和五十三年度に独立校として歩み出し、以来、幾多の有為な人材を輩出し、地域自立のシンボルとして大きな期待にこたえてまいりました。同校は、地域社会にあっては学問と文化の拠点施設であり、地域の繁栄と発展に必要な社会資源であり、地域住民も今後の存続を強く希望しているところであります。  少子化により生徒数が減少し、このような社会状況に伴う教育改革において川内高等学校が校舎化となることについてはやむを得ないものとは思いますが、地域住民の強い思いを理解した上で、将来的にも廃校とせず、あくまでも存続すべきと考えますが、教育長の見解をお伺いして、壇上からの質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。 43 ◯副議長(滝沢 求) 知事。 44 ◯知事(三村申吾) 菊池健治議員の御質問にお答えいたしたいと思います。  私からは、まず、むつ・下北地域の広域観光の振興についてであります。  むつ・下北地域は、豊かで神秘性あふれる自然、そして、この自然にはぐくまれましたしゅんの食材───おいしいものがたくさんございます───いやしの空間としての温泉など、魅力的で多彩な観光資源に恵まれておりまして、まさに、私が提唱しますあおもりツーリズムを推進する上で大変重要な地域でございます。  しかしながら、点在している観光資源をいかに有機的に連携させて広域的な観光ネットワークを形成していくかが課題となっているわけでございます。  このような中で、来年七月から三カ月間、北東北大型観光キャンペーン、いわゆるデスティネーションキャンペーンが実施されるわけでございますが、これに先立ち、今年度は、むつ・下北地域を周遊する新たな旅行商品の造成を目的に、多くのいわゆる旅行関係者の方々に下北一円を視察していただいているところであります。  また、今年度は、地元の関係者と県との連携によりまして、新たに脇野沢-蟹田間を結ぶフェリーを活用いたしました周遊型の商品が造成されましたほか、川内川渓谷の紅葉ポスターをJR東日本さんの御厚意をいただきまして首都圏主要駅に掲示したり、旅行雑誌を活用しましてむつ・下北地域を紹介する等、積極的なPR活動を展開しております。  加えて、今般、食文化をテーマにした全国的にも有名な「美味しんぼ」という漫画がございますが、その原作者であります雁谷哲氏に下北地域で執筆のための取材をしていただいたところでございます。  県としては、東北新幹線新青森駅開業を見据えながら、引き続き、地元市町村や観光関係団体等とともにむつ・下北地域の新たな観光資源の掘り起こしに努めまして、同地域における周遊・滞在型観光が促進されていきますよう、その計画に努めていきたいと思います。  もう一点、大型クラゲの出現状況と取り組みについてであります。  本県の水産業は、大型クラゲの出現によりまして近年大きな被害を受けておりますことから、私みずからが、国に対して、発生防止対策などの実効性ある対策が講じられるよう、再三にわたって直接要請を行ってきているところです。  ことしの大型クラゲの出現状況につきましては、社団法人漁業情報サービスセンター等によりますと、十一月十六日現在、日本海側の対馬から北陸の定置網を中心に数十から数千個体の入網が確認されており、昨年に比べまして少ないものの、漁労作業や漁獲物の鮮度等に影響が出ております。  本県におきましては、十月中旬以降、県内各地で定置網を中心に数十から八千個体の入網が確認されておりまして、魚が入り込む袋網の開放であるとか作業の遅延等の被害が報告されております。  現在行われております駆除対策といたしましては、全国漁業協同組合連合会等が十月九日から山陰・北陸沖において洋上駆除を実施しておりますほか、私ども青森県を初め、長崎、島根、兵庫、京都、福井各府県の漁業団体が沿岸域において定置網等による駆除に取り組んでいるところであります。  県としては、大型クラゲ情報交換会を開催し、クラゲの出現状況などについて関係漁業者、市町村等に周知しておりますほか、水産総合研究センターの試験船青鵬丸による十月二十五日からの洋上駆除や、定置網等の改良漁具の導入指導、二十六道府県共同によります大型クラゲの出現及び入網数、死んだ個体の分解状況等の調査を行いまして出現原因を解明すること、さらに、漁業収入の減少に対処するため、今年度から、漁業共済掛金の一部に補助を行う漁業経営セーフティーネット緊急支援事業を実施しております。こういったことを通じまして漁業被害の防止と漁業経営の安定に努めていく所存です。  また、大型クラゲ対策としては発生源での抜本的な対策が必要不可欠でありますから、国に対しまして日中韓の共同研究等を充実強化するよう引き続き要請していく所存です。  私からは以上です。 45 ◯副議長(滝沢 求) 企画政策部長。 46 ◯企画政策部長(関 格) 御質問四点についてお答えいたします。  初めに、地元下北を元気に協議する会からの意見・提言内容についてであります。  下北地域県民局では、地元下北を元気に協議する会を六月十五日に立ち上げ、下北地域における特定課題を踏まえた諸施策・事業について、下北在住の委員十七名の皆様の御協力をいただき、地域文化、教育、産業、観光及びエネルギー政策などの八つの分野を対象にこれまで五回の協議を重ね、十月四日に、「われら元気な下北人の近未来に」と題した、実現したい夢、アイデア百八の意見、提言を取りまとめたところであります。  意見、提言の特徴としては、津軽、南部と異なる第三極として下北を強く意識して、世界に飛躍する視点にも立ち、地域の豊かさ、暮らしやすさや、地元下北地域と下北人の近未来を考えたものとなっております。  内容の主なものとしては、地域文化では、下北地域に住む下北人であることに誇りと自信を持ち、下北の歴史、伝統や文化を正しく理解し、次の世代に伝承していく必要があること、教育では、下北の子供たちの人柄のよさ、人間関係など、経済評価・指標に出ない要素を大事にする必要があること、産業では、農林水産物のブランド化の展開や地産地消を含めた販路拡大が必要であること、観光では、資源の一体化と情報発信及び関係者のホスピタリティーの強化が必要であることなどとなっております。  次に、意見・提言内容に対する対応でありますが、下北地域県民局では、地元下北を元気に協議する会からの意見、提言を受けて、関係市町村や関係者・団体等の理解を促進するとともに、情報を共有するための活動を実施してきたところであります。  また、意見、提言の具体化、事業化について、県、市町村及び民間との役割分担に基づき県の役割として期待される施策等については、現在、局内各部及び本庁各部局と連携しながら、鋭意その具体化、事業化に向けた検討をしているところであります。  県としては、県民局と関係部局が一体となって意見、提言の具体化、事業化に努めるとともに、今後とも、市町村との適切な役割分担のもと、地域課題を効果的に解決し、地域の特性を生かした地域づくりを進めることができるよう努めてまいります。  次に、団塊世代対策をどのように認識しているかであります。  県では、団塊世代の方々が来年から一斉に定年退職を迎えることから、この機会を千載一遇のチャンスととらえ、団塊世代の方々が長年首都圏で培ってきた知識、経験、技能等を本県の産業振興や人材育成、地域活動の活性化に結びつけることで、交流人口の拡大と地域経済の活性化を図っていきたいと考えています。  このため、今年度は、県内、首都圏に在住する団塊世代を対象に、セカンドライフに対する考え方についてアンケート調査を実施したところです。  この結果、首都圏の団塊世代で本県への移住希望者は九・四%、季節ごとなど本県と首都圏との二地域居住を希望する団塊世代は二三・四%と、三割を超える方々に本県への移住や二地域居住の希望があることがわかりました。  また、本県に移住や二地域居住を希望する方のうち五〇・五%の方が、これまで培ってきた知識、経験、技能等を本県のために役立てたいと考えており、具体的に役立てたい分野では、人材育成が三三・七%、ボランティアやNPO活動を通じた社会貢献活動が三〇・三%と、ふるさと青森県に貢献したい意欲のある世代であることも把握できました。  首都圏に在住する団塊世代を本県に呼び込み、さまざまな分野で彼らの持てる力を発揮してもらうことは、本県の産業振興や人材育成等の面で大きく貢献し得るものと考えています。  このため、県としては、意欲ある人材を本県に呼び込み、地域活性化や産業振興等に結びつけていく必要があると認識しており、全庁を挙げて団塊世代対策に取り組んでいるところであります。  次に、今後の取り組みについてであります。  県では、団塊世代のセカンドライフに対するアンケート結果、首都圏に在住する団塊世代や県内市町村との意見交換会等を踏まえ、庁内関係課で構成する団塊世代生活創造推進会議において、去る十月に、本県における団塊世代対策の戦略と今後の対応方針を取りまとめたところであります。  その内容としては、まず、積極的な情報発信による移住の動機づけを図り、実際に滞在しさまざまな活動を体験してもらう機会を提供しつつ、交流から二地域居住へ、二地域居住から定住へと、短期滞在から長期滞在に移行し、最終的には定住してもらうという、段階を踏んだ戦略性のある事業展開を進めることとしております。  また、今後の対応方針としては、県内に団塊世代のニーズに応じた取り組みができる環境が重要であることから、社会貢献活動を希望する方には、NPO活動を学び体験する機会の提供、農業に取り組みたい方には、必要な住居や農地、市民農園等の情報提供、あるいは再就職や起業化を目指す方には、再就職先のマッチングや起業化の可能性を探る機会の提供など、団塊世代の方々が本県で多様な暮らしができる環境を整備してまいります。  県としては、今回取りまとめた戦略と対応方針に基づき、市町村や関係団体とも連携を図りながら、総合的かつ効果的な団塊世代対策に全庁を挙げて取り組んでいくこととしております。 47 ◯副議長(滝沢 求) 健康福祉部長。 48 ◯健康福祉部長(難波吉雄) 下北地域の自治体病院機能再編成計画の実現についてお答えいたします。  旧大畑病院については、平成十五年度に医師が不在となり、町が早急に医師確保を図ること、医師に過度の負担がない診療体制をとることを条件に、特例として医師を派遣しております。  現在、大畑診療所に派遣している医師は一名であり、毎日の外来患者は約百五十名、在宅医療患者約八十名を抱え、限界とも言うべき状況です。  また、下北地域自治体病院機能再編成計画における旧大畑病院の有床診療所化については、むつ総合病院からの退院患者の回復期医療等を勘案したものです。  したがって、その機能を有するためには、むつ総合病院や地域の医師会との連携を前提とした大畑診療所のあり方について具体的検討を進めていくことが求められると考えております。  そのあり方の基本となる医師確保面においては、むつ総合病院が臨床研修指定病院であるメリットを最大限に発揮し、同病院からの医師派遣や医療支援等総合的なプランを策定する必要があると考えられ、県としては機会あるごとに助言してまいりたいと考えております。 49 ◯副議長(滝沢 求) 商工労働部長。 50 ◯商工労働部長(小林正基) 温泉の活用についてお答え申し上げます。  まず、観光面での活用でございます。  温泉は、通年観光を目指す本県にとりまして極めて有望な観光資源であります。近年の旅行者の健康志向などからも、今後ますます需要が高まるものと期待されております。  温泉資源を活用した観光振興のためには、地域ならではの食にこだわった滞在メニューの提案など、それぞれの個性や特性を生かしながら、観光客受け入れ体制の整備や新たな魅力の創出に取り組んでいくことが重要であると考えております。  このような中で、むつ市川内地区では、温泉、脳ドック、薬膳料理を組み合わせた健康パックツアーを企画するなど、旅行商品化につなげている例もございます。  県では、温泉の旅行ニーズが高いことを踏まえ、今年度からあったか青森・温泉活性化対策事業を実施し、県内温泉地の受け入れ体制の整備やPRの強化に努めているところでありますが、今後とも、心身のいやしや健康など新しいトレンドをにらみつつ、地元と一体となって滞在型観光を促進するような魅力的な温泉地づくりを進め、むつ・下北地域の観光振興につなげてまいります。  次に、ビジネスづくり面での活用でございます。  健康維持増進ビジネスを推し進めていく上で本県の豊富な温泉資源の活用を図っていくことは有効なことと考えており、県としましては、これまで、新湯治プランなどのパイロット事業の実施により事業化を促進してきたところでございます。
     さらに、今年度からは、医療・健康福祉関連産業の創出を目指すあおもりウェルネスランド構想の一環として、地域の特性を生かした独創性のある健康維持増進ビジネスの創出、育成を図ることを目的とした健康ビジネス創出支援事業を創設し、温泉を活用した中高齢者の健康増進サービス事業などに支援しているところであります。  県としましては、引き続き、こうした取り組みを着実に実施しながら、豊富な温泉資源を活用した新たなビジネスづくりを支援してまいります。 51 ◯副議長(滝沢 求) 農林水産部長。 52 ◯農林水産部長(加賀谷久輝) 御質問七点にお答えいたします。  最初に、被災漁港の復旧手続についてであります。  被災した漁港施設の復旧に向けた今後の予定については、十二月十一日から十五日まで行われる国の災害査定により施設ごとの復旧額が決定され、その後、原則として三カ年以内に原形復旧することになります。  平成十八年度の実施分については、二月上旬ころに国から国庫負担金の割り当て内示があり次第、早期復旧を図るため、実施設計を行い、年度内に工事発注する予定としております。  必要な手続としては、一つとして、国庫負担金の割り当て内示後に国に対する事業の実施計画の協議、二つとして、協議終了後、国へ実施箇所分の国庫負担金の交付申請などがあり、これらが円滑に進むよう努めてまいります。  次に、被災漁港の復旧方法についてであります。  むつ・下北地域で被災した主な漁港施設の復旧方法については、むつ市管理の関根漁港については、被災した防波堤の主要部であるいわゆるケーソンをもとどおりに据えつけた後に、その前面に波消しブロックを設置すること、県管理の大畑漁港については、防波堤が設置されている場所の水深が深いため、仮に波消しブロックを設置した場合、原形復旧の二倍以上の経費が必要になることから、ケーソンをもとどおりに据えつけた後に、防波堤の安定を図るため、その裏側に押さえとして捨て石を施工すること、県管理の下風呂漁港については、防波堤の前面に波消しブロックを設置し、施設の安定を図ることなどについて国へ提案、協議し、地域の実情に合った工法、構造による復旧に努めてまいります。  次に、イカの不漁対策についてであります。  太平洋から津軽海峡にかけての今年度のイカ漁が著しく不振であるため、県では、漁業経営の安定を図る対策が必要であるとの認識から、早い段階から漁協系統機関と対策を協議してきたところです。  その結果、系統金融機関が、今回減収となったイカ釣り漁業者を対象に、イカ漁に係る再生産のための低利の資金を創設しております。  イカ釣り漁業者からは、さらに、既に借り入れした漁業近代化資金の償還猶予の要望もあることから、現在、系統金融機関とともにその対応について検討しているところです。  一方、好不漁にかかわらず漁業経営の維持を図るためには、経営安定の重要な役割を担っている漁業共済への加入が必要であることから、引き続き、あらゆる機会をとらえて加入促進に努めてまいります。  次に、漁船海難事故についてであります。  本県漁船にかかわる海難事故については、本年四月から既に十九件発生し、四名の方が亡くなったほか、四名の方がいまだ行方不明という大変痛ましい状況となっております。  このうち、むつ・下北地域では、大間町奥戸、東通村尻労、むつ市大畑で四件の事故が発生し、二名の方が亡くなっております。  県では、海難事故発生時には、人命救助を最優先に、海上保安部等の関係機関と連携しながら、県漁業取締船を現地に派遣し捜索活動へ協力することや、漁業用海岸局による付近航行船舶からの迅速な情報収集、漁協が設置する対策会議への参画など、全力を挙げて取り組んできております。  また、海難事故の未然防止と人命を守るため救命胴衣着用が必要であると考え、すべての漁協、関係団体へ二度にわたる文書指導や、五月三十日に青森県漁船海難防止・水難救済会などとの連携による青森県漁船海難防止決起大会の開催などを通じて着用の徹底に努めてきております。  今後も、引き続き、漁業者が参集する会議等あらゆる機会を通じて、漁船による海難事故の未然防止に向けた注意喚起の徹底に努めてまいります。  次に、沿岸・沖合漁業の共存体制の構築についてであります。  この要望は、本県太平洋側の沿岸漁業者から県に対して、沿岸漁業と沖合漁業が競合する操業地域で双方の漁業が共存できる操業区域のすみ分けを構築するよう求めているものです。  これを受け、県では、本年八月に、大臣許可となっている沖合側の大・中型まき網漁業と沖合底びき網漁業について、国に対し、平成十九年九月に実施される大臣許可漁業の一斉更新時には、尻屋崎灯台から半径六・八海里以内、尻屋崎周辺以外の海域では海岸線から五海里以内での操業を禁止するよう、また、本県の海区漁業調整委員会が資源管理を目的に漁業法に基づく漁業規制等の委員会指示を発動した場合、この指示の遵守を許可内容に盛り込むよう要望しているところです。  さらに、ことしの九月には沖合底びき網漁業の船主代表と太平洋沿岸の漁業協同組合長との意見交換会を開催するなど、双方の理解促進を図りながら、共存していくための合意づくりに努めているところです。  次に、バイオエタノールの利用状況についてであります。  バイオエタノールは、米やサトウキビ、飼料作物などの農産物からつくられるもので、ガソリンの代替燃料として利用することによって二酸化炭素の排出を抑制するなど、地球温暖化防止や環境に配慮したエネルギーの確保に資するとともに、農業振興対策としても注目されてきております。  国内では、京都議定書において、二〇一〇年度までに五十万キロリットルのバイオエタノールを初めとしたバイオ燃料の導入を見込んでおり、現在、JAグループ北海道が規格外小麦を、沖縄県ではアサヒビール株式会社がサトウキビを活用するなど全国六カ所でエタノール製造に取り組んでおりますが、実証試験中のため、その年間生産量は約三十キロリットルと報告されております。  一方、国外の生産量は約四千六百万キロリットルで、ブラジルとアメリカで六九%を占め、ブラジルではサトウキビ、アメリカではトウモロコシを原料として製造したエタノールをガソリンに一〇%から二〇%混合することを義務づけているほか、EU各国や中国、インドなどでもバイオエタノールの製造事業者の支援などを行っております。  最後に、本県における取り組みについてであります。  国内で試験的に製造しておりますこのバイオエタノールの現状は、ガソリン及び輸入エタノールと比較して単価が高いことや、原料となる農産物を低コストで大量に確保する必要があること、給油所の改修が必要になることなど多くの課題があります。  本県での取り組みについては、これらの課題に対する国や民間企業の動向等を踏まえながら、多収でアルコール変換効率の高い稲や飼料作物などの資源作物の選定、生産・流通・消費の循環システムの可能性など幅広い観点からの検討が必要であると考えております。  以上であります。 53 ◯副議長(滝沢 求) 県土整備部長。 54 ◯県土整備部長(葛西憲之) 御質問九点についてお答えいたします。  最初に、むつ・下北地域の十月の低気圧による災害の国土交通省所管分についてであります。  公共土木施設災害の状況については、海岸の被災が三カ所で被害額が約十五億七千四百万円、道路の被災が二カ所で被害額が約五百万円、合計五カ所で被害額が約十五億七千九百万円となっております。  被災した箇所については国による災害復旧事業の査定が十二月四日から予定されており、査定終了後は早期に復旧が図られるよう努めてまいります。  次に、大利海岸のこれまでの整備状況等についてであります。  大利海岸は、三千八百八十メートルの区間が海岸保全区域に指定されており、これまで、侵食対策として消波堤などの整備を進めております。  平成十七年度末までの整備状況は、侵食対策施設の整備が必要な区間二千八百メートルのうち約千百九十五メートルを整備しております。  今年度、さらに消波堤を約八十メートル延伸することとしており、今年度末での進率は約四六%となる見込みであります。  大利海岸の侵食対策については県土の保全を図る観点から重要と認識しておりまして、今後ともより積極的に整備促進を図ってまいります。  次に、下北半島全域の道路網の整備の見通し等についてであります。  最初に、下北半島縦貫道路についてであります。  下北半島縦貫道路は、下北地方の振興と本県の主要幹線道路ネットワークの形成において重要な位置づけにあり、これまでも重点的に整備を進めてきたところであります。  現在整備中の区間については、まず、有戸北バイパス六・三キロメートルについて、用地取得や埋蔵文化財発掘調査のほか、土工事や跨道橋の工事を行うなど本格的な整備を進めております。  次に、むつ南バイパス九・二キロメートルについては、今年度、用地測量を終了し、一部用地取得に着手することとしております。また、橋梁及びボックスカルバートの詳細設計を実施しております。  さらに、調査区間である吹越バイパス約六キロメートルについては、現在、環境影響調査等を進めており、早期の整備区間格上げと速やかな事業着手を目指すこととしております。  去る十一月二十三日に、むつ市において、下北未来塾の主催により、下北半島縦貫道路の早期完成を求める「下北からのメッセージ」のイベントが開催され、地元から多数の方々が参加されました。  県としては、地元の強い要望を重く受けとめ、財政状況の厳しい中においても全線の着実な整備推進に努めてまいります。  次に、国道三三八号白糠バイパスについてでありますが、東通村白糠から六ヶ所村泊までの一期工区約三・八キロメートルの整備を進めており、これまでに白糠地区の延長約〇・七キロメートルを供用しております。  今年度は、これまでに埋蔵文化財の発掘調査を終えており、仮称鳥ノ沢橋下部工二基について整備を進めております。  今後、引き続き、仮称鳥ノ沢橋の下部工一基と上部工の整備を進め、橋梁の完成を目指すとともに、仮称大明神沢橋の施工のための工事用道路などに着手する予定としております。  また、事業促進に当たっては、任意の用地取得を進めるとともに、共有地について、平成十九年度の明け渡し完了を目指して、収用裁決申請に向けた手続を進めております。  今後とも、地元の御協力を得ながら整備促進に努めてまいります。  次に、一般県道九艘泊脇野沢線の災害復旧についてであります。  まず、復旧対策の概要でありますが、一般県道九艘泊脇野沢線むつ市脇野沢寄浪地区の岩盤崩落箇所の復旧対策については、復旧延長四十二メートル、コンクリートのり枠工などによる斜面復旧対策を内容とする災害復旧事業として国に申請を行い、去る十一月二十一日の災害査定で申請内容がほぼ認められたところであります。  今後、国からの予算措置がなされ次第、速やかに復旧工事に着手し、道路の安全確保に努めてまいります。  続いて、被災周辺部への対応についてでありますが、現地調査を実施したところ、被災箇所の寄浪地区側に隣接する道路斜面において安全対策が必要と認められたことから、斜面保護対策、延長二十八メートルを災害関連事業費として国に要望し、去る十一月二十一日に要望内容が認められたところです。  今後、災害復旧事業とあわせて早期に道路の安全確保が図られるよう努めてまいります。  次に、国道二七九号風間浦村易国間地区の岩塊除去工事の現状等についてであります。  易国間地区については、平成十七年十月に、抜本的対策として、延長二・七キロメートルのうち緊急を要する四カ所、五百十メートルについて、急崖部の岩塊除去等をおおむね五年で終える計画を策定しております。  昨年度は、当初予算に加え、災害対策緊急事業推進費や補正予算等合わせて約六億五千万円を確保し、役場寄りの工区及び桑畑漁港付近の工区の一部について、岩塊除去工事等に着手したところであります。  今年度は、当初予算として二億三千万円を確保し、桑畑漁港付近の工区について、岩塊の掘削、破砕した岩の運搬処理等の工事を実施しております。  さらに、早期完成に向け、災害対策等緊急事業推進費の活用が図られるよう国に対して積極的に要望しているところであり、今後とも対策工事の促進に努めてまいります。  次に、国道三三八号むつ市川内から脇野沢間約十八キロメートルの未整備区間の見通しについてであります。  当該区間において、現在、三カ所で事業を進めております。  川内地区では、冬期の道路空間を確保するための流雪溝整備事業を進めており、全体延長二千四百メートルのうち、今年中に二百八十メートルの設置を完了することとしております。  小沢地区では、平成十六年度から交通安全対策事業で延長八百メートルの歩道整備を進めており、年内の完成を目指しております。  さらに、桧川地区では、路面幅を確保するため、護岸背面の側溝の敷設がえに着手しており、全体延長四百メートルのうち八十メートルを完了しております。  また、桧川、宿野部、蛎崎地区の狭隘区間の抜本的対策については、人家連檐部であり、整備に当たっての条件が厳しいことから、今後、整備手法を検討するための調査を行うこととしております。  最後に、むつ・下北地域の港湾整備についてであります。  大湊港につきましては、物流機能の充実、交流空間の創出、防災機能の強化を図るため、大平地区において、臨港道路については千九百四十八メートルのうち千三百四十八メートルを、緑地については五・五ヘクタールのうち一・三ヘクタールを整備し、五千トン級耐震岸壁は今年度から工事に着手しております。  また、大湊地区においては、エココースト事業として自然環境に配慮した護岸整備を進めており、九百メートルのうち二百五十一メートルを整備しております。  川内港につきましては、海岸環境整備事業として、かわうち・まりん・びーちについて離岸堤六十一メートル等の整備を進め、今年度完成いたします。また、海岸侵食対策事業の護岸については、三百二十八メートルのうち二百七十七メートルを整備しております。  大間港につきましては、根田内地区において、小型船だまりの防波堤、全体延長百七十メートルが今年度完成となります。  尻屋岬港につきましては、物流機能の充実と航行船舶の安全確保を図るため、防波堤の整備を進めております。防波堤東については、八百四十三メートルのうち七百三十九メートルを、防波堤西については、二百二十メートルのうち百三十五メートルを整備しております。  仏ヶ浦港につきましては、観光遊覧船の旅客の乗降及び航行船舶の安全確保のため、防波堤百メートルのうち二十一メートルを整備しております。  今後とも、それぞれの港湾の地域特性を踏まえて着実な港湾整備に努めてまいります。  以上であります。 55 ◯副議長(滝沢 求) エネルギー総合対策局長。 56 ◯エネルギー総合対策局長(佐藤光彦) 東通原子力発電所の建設準備工事についてであります。  東京電力株式会社によりますと、去る十月二十六日、東通事務所を東通原子力建設準備事務所に改組し、技術要員を中心として人員を増強するなど、発電所建設準備に向け体制を強化したとのことであります。  発電所建設準備工事のうち、敷地造成工事については、既に必要な届け出等は完了しており、来月から準備工事に着手する予定とのことです。また、港湾工事については、現在、必要な許可等の手続を進めているところであり、早ければ来年三月に準備工事に着手したいとのことであります。道路工事については、来年度早々に許可等の手続を済ませ、準備工事に着手したいとのことであります。  県としましては、原子力施設の建設工事に伴う地域への経済波及効果等のメリットが最大限発揮されるよう、今後とも、事業者の対応を注視しつつ、事業者に対して地元活用により一層積極的に努めるよう要請してまいります。  以上です。 57 ◯副議長(滝沢 求) 教育長。 58 ◯教育長(田村充治) 御質問二点にお答えいたします。  初めに、県立下北少年自然の家の存続を求める署名簿の提出を受け、廃止を見直す考えはないかについてでございます。  これまで、むつ市やむつ市議会、むつ・下北地区選出の県議会議員の皆様などから下北少年自然の家の存続について御要望がありました。また、むつ市連合PTAなど四団体から下北少年自然の家の存続を求める署名簿と要望書が提出されております。  県立青少年教育施設については、行政改革大綱において二カ所の少年自然の家に集約することに決定されており、既に青年の家については平成十七年度末で廃止したところであります。下北少年自然の家についても、計画どおり平成十九年度末で廃止するものであります。  しかしながら、下北地域においては施設を継続してほしいという要望もあることから、下北少年自然の家の閉所後の利活用について、土地の所有者であるむつ市に対し活用計画の有無について照会しているところであり、同市から活用したいとの意向が示されれば譲渡について検討することとしております。  続きまして、川内高等学校について、将来的にも廃校せず、あくまでも存続すべきと考えるがについてでございます。  むつ・下北地区においては、中学校卒業者数の減少に伴い、現在進めている平成二十年度までを期間とする高校教育改革の中で、川内高等学校、大畑高等学校の校舎制への移行を決定したものであります。  県教育委員会では、本年五月に、有識者による高等学校グランドデザイン会議に対して平成二十一年度以降の県立高等学校のあり方について諮問したところであり、その諮問事項の一つである県立高等学校の適正な学校規模・配置のあり方の中で、今後の校舎制のあり方について検討することとなっております。  当会議から来年九月を目途に答申をいただくこととしていることから、その答申を踏まえて、生徒数の推移や地域の実情などを考慮しながら、川内高等学校を含む校舎制のあり方についても、次期高校教育改革の実施計画を策定する中で検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 59 ◯副議長(滝沢 求) 四十八番菊池議員。 60 ◯四十八番(菊池健治) 知事初め関係部局長から懇切丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。
     再質二点と要望を一つ申し述べさせていただきたいと思います。  まず、低気圧による漁港関係の災害復旧についてであります。  今回の災害により被災した関根漁港、大畑漁港、下風呂漁港の防波堤の復旧について、地元の漁業協同組合では、安全に安心して漁業活動ができるように、できるだけ早い復旧を望んでおります。  そのような中で、復旧工事施工中に高波が来た場合など、漁船の安全確保について漁民は不安を抱いております。  そこで、工事施工中の漁船の安全確保についてどのように対応するのかお伺いいたします。  次に、一般県道九艘泊脇野沢線の災害復旧に関して伺いますが、九艘泊・芋田・蛸田地区に住んでいる方々にとっては、現在もこの県道が生活道路であり、また、水産物などの輸送道路として大変重要な道路となっております。  しかし、これから冬になると、天候も悪く、風の強い日、海が荒れる日も多くなることから、今、災害現場の海側に設置されている仮設の沖出しの迂回路が唯一の道路でございまして、これが冬の波浪に対して大丈夫なのかと大変心配しているところであります。  そこで、冬場における仮設道路の安全確保について県の考え方を伺いたいと思います。  それから、今回被災された直後、九艘泊・芋田・蛸田地区の皆さんは、一時的に、九艘泊から山側を大きく迂回して七引に至る市道を生活道路とせざるを得なく、この市道は、道幅も狭く、一部が砂利道で、大変不便な状況にありました。  このことを考え、被災した蛸田地区の災害復旧を含め、九艘泊脇野沢線全線の道路の安全を確保するために、一日も早い災害復旧対策を強く希望しておられます。  それから、これは要望でございますが、イカの不漁対策について、漁協系統の不漁対策資金の需要動向などを踏まえた上で、漁協系統と連携しながら引き続き対応を考えていただきたいと思います。  また、水産資源の悪化や魚価の低迷など厳しい状況が続いている中にあって、資源管理型漁業を一層進め、むつ・下北地域の海が豊かになることが重要であり、今後とも沿岸漁業と沖合漁業との共存体制の確立を図りながら本県の水産業が振興されますよう強く要望いたします。  最後になりますが、下北半島縦貫道路につきましては、議会があるたびにいつも下北半島縦貫道路の質問をしておりますが、早く完成しなければならないという危機感を持っているからです。  公共事業の削減や道路特定財源の一般財源化の問題など、道路整備を取り巻く状況には大変厳しいものがありますが、私どもむつ・下北半島は、原発関連で国策に協力している青森県、青森県の中でもむつ・下北半島であります。  下北地域の人々は、一日も早い全線の開通を待ち望んでおります。今後とも重点的に取り組んでいただき、一日も早い全線開通を強く要望して、終わります。 61 ◯副議長(滝沢 求) 農林水産部長。 62 ◯農林水産部長(加賀谷久輝) 再質問一点にお答えいたします。  被災した漁港施設の復旧に際しましては、工事期間中の漁船の航行や係留時における安全等に十分配慮するとともに、施工の順序、作業船舶の配置などについては関係する漁業協同組合とも十分協議しながら実施してまいります。  何よりも漁業者の安全、安心の確保を第一に、早期復旧に努めてまいります。 63 ◯副議長(滝沢 求) 県土整備部長。 64 ◯県土整備部長(葛西憲之) 一般県道九艘泊脇野沢線の災害復旧に係る再質問にお答えいたします。  仮設道路の冬期間の安全確保についてでありますが、災害復旧事業により設置した仮設道路、延長百三十メートルについては、設計段階から冬期間の波浪を考慮し、化学繊維でできている袋型根固め工で海側全面を被覆しており、冬期間においても安全が十分確保されているものであります。  ただ、いかなる場合においても備えは必要でありますので、設置期間を通じて維持保全等について万全を期してまいります。 65 ◯副議長(滝沢 求) 十五分間休憩いたします。 午後三時五十一分休憩     ─────────────────────── 午後四時十四分再開 66 ◯議長(成田一憲) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  先ほどの斗賀議員に対する答弁について、教育長より訂正があります。───教育長。 67 ◯教育長(田村充治) 先ほど、斗賀議員のいじめ問題についての答弁の中で「いじめの発生件数が昨年度よりも増加しており」と答弁いたしましたが、正確には、平成十七年度のいじめの発生件数が平成十六年度に比べて増加しているということであります。  おわびして訂正させていただきます。  〔太田定昭議員、発言の許可を求める〕 68 ◯議長(成田一憲) 太田議員。 69 ◯四十五番(太田定昭) 議会の議場は、議運がちゃんと握っているんだから、手順をちゃんと踏んでやらなければ大変なことが起きる可能性もありますので、今後その辺をよくお取り計らい願いたいと思います。  以上です。 70 ◯議長(成田一憲) ただいまの太田議員に対して、今後十分に注意いたしますので、御了解願いたいと思います。  三十八番諏訪益一議員の登壇を許可いたします。───三十八番諏訪議員。 71 ◯三十八番(諏訪益一) 日本共産党の諏訪益一です。  質問の第一は、格差、貧困の是正について。  この課題は政治の基本的責務です。今、雇用を取り巻く状況は、かつて経験したことのない異常で深刻な事態にあります。それが格差社会の根本問題の一つにもなっています。  まじめに努力して働いても働いても貧困から抜け出せない、そういう人が大量にふえて社会問題化している、いわゆるワーキングプアと言われる存在があります。  この問題で我が党の市田参議院議員が十月十三日の参院予算委員会で年収三百万円以下の賃金の推移をただしたら、富田財務副大臣は、「国税庁の民間給与実態統計調査の結果によりますと、民間企業に勤務した給与所得者で年収三百万円以下の人数は、平成十二年は一千五百七万人でありましたが、平成十七年は一千六百九十二万人であり、百八十五万人の増加となっております」と答弁しました。  総務省統計局就業構造基本調査は、五年に一回で、平成九年と十四年の本県分の比較がわかります。平成九年、三百万円未満の世帯十七万二千世帯、平成十四年、二十万二千九百世帯で三万九百世帯ふえ、五十三万四千八百全世帯の三七・九%を占めています。  内訳を見ると、二百から二百九十九万円が七千四百世帯ふえて七万二千四百世帯、百から百九十九万円が八千七百ふえて六万八千七百世帯、百万円未満が一万四千八百ふえて六万一千八百世帯。百万円未満の所得世帯が一番ふえています。現在はそれが一層の増加をもたらしていると見るべきであります。  知事は、こうした貧困層の増加要因をどうとらえ、どのような認識をお持ちか伺います。  二つ目に、その要因をつくっているものに企業の働かせ方の問題があります。  NHKのワーキングプアの特集番組が大きな衝撃を与え、派遣や請負で働く人々に共通する姿を映し出しました。県外に働きに出ている多数の本県青年のことを思うとき、また、日本の大手企業がワーキングプアと言われる人たちを前提にコストあるいは生産の現状が確立されていることへの激しい憤りさえ覚えます。  例えば、神奈川県内の自動車メーカーで派遣労働者として働いている青年。月収は二十万円。派遣会社が管理している三LDKの寮に三人で共同生活をしている。給与から寮費が五万円差し引かれ、布団代、共同使用の洗濯機、冷蔵庫、テレビの利用料で一万円引かれ、水光熱費で一万円引かれ、所得税や社会保険料を引かれると手取りは十万円です。ある日、四十度の熱で寝込んだら、派遣会社から「マスクをしてでも仕事に行け」と言われ、ついに倒れたら、「もうおまえは要らない。寮から出ていけ」となり、この人はホームレスに陥りました。  こういう働かせ方を可能にしているのが派遣や請負、そして偽装請負です。  派遣の場合は、労働安全衛生にかかわる使用者責任がメーカー側に発生し、一年以上派遣が継続した派遣労働者に対し、直接雇用するという申し入れを労働者に行う義務を負います。  ところが、請負だとそういう義務は何もありません。請負を装うことで、受け入れ先の電機、自動車などの製造会社の負担と責任は軽くなり、請負業者ももうける仕組みで、一番損をするのは労働者です。  判明しているだけで、規模の大きい派遣・請負業クリスタルグループから百名以上の労働者の供給を受けている事業所は、松下グループ、キヤノングループ、ソニーグループ、東芝グループその他を含め、合計百二社、一万九千八百二十七名に及んでいます。  また、職業安定局の調べで、製造業に派遣を行う旨の届け出を行っている派遣事業所数は、〇四年六百十三事業所、〇六年八千十六事業所と、十三倍と急激にふえています。  そこで、本県における派遣、請負の実態についてお示しいただきたい。  三つ目に、サービス残業の根絶について。  我が党は、残業時間の上限を年間百二十時間にする労働基準法の抜本改正案と、長時間労働を助長させている違法なサービス残業をきちんと取り締まること、パソコンやタイムカードでの労働時間を改ざんしたり、一定時間以上の残業を申告させず、申告すれば不利益な扱いをするなどの違法な偽装行為を摘発することを主張しています。政府も〇一年にサービス残業是正の通達を出し、一定の改善も見られています。  本県におけるサービス残業の実態、改善について答弁を求めます。  四つ目に、地域最低賃金による都道府県の格差是正と全国一律最低賃金制の確立の課題です。  青年の県外流出の要因の一つに本県の最低賃金額が全国最下位にあることを挙げなければなりません。有効求人倍率の低迷、本県所得の低さなど、あらゆるよくない指標の背景にこの問題が横たわっています。  現在、本県の最賃は時給で六百十円。これは生活保護の水準よりも低く、これでは自立した生活を送ることはできません。  雑誌「経済」十二月号に「世界百一カ国の最低賃金制の動向」という論文が掲載されています。「格差と貧困が広がるなか、世界各国は、あらためて最低賃金制の役割を重視し、格差の是正と貧困の削減に向けた政策を進めている」とし、全国一律最低賃金制を法律で定めている国は五十九カ国(五八%)に上り、その流れは大きく加速している。「日本では、低賃金と無権利の非正規労働者が三分の一を占めるまでになり、こうした新しい低賃金層が拡大しているもとで、格差を是正し、貧困を削減するために、最低賃金の大幅引き上げはもちろんのこと、どこでもだれでもすべての労働者に等しく適用される全国一律最低賃金制の確立がいよいよ切実になっている」としています。  この課題についての見解を求めます。  五つ目、地方労働委員の選定について。  十月十六日、青森県労働組合総連合から知事あてに、青森県労働委員会第四十一期労働委員の公正な任命を求める要請書が提出されました。  それによると、「労働省通牒第五十四号では「産別、総同盟、中立等系統別の組合数及び組合員数に比例する」と定め、この間、長野、高知、千葉、宮城など八都府県で連合以外の労働組合から任命されている。しかし、いまだに青森県では偏向任命を是正していない。県労連、中立組合の推薦者の任命を要請する」というものです。結果は、またしても選定されませんでした。  この点での見解を求めます。  次は、定率減税の廃止について。  来年一月には所得税、六月には住民税の減税が全廃されます。半減されたことしでさえ住民税が八倍-十倍にはね上がり、来年はその倍にもはね上がるでしょう。  格差、貧困を是正する努力をしなければならないときに全く逆のことが行われ、一方では、財界の要求で導入された連結納税制度の減税効果は四年間で一兆三百億円にも達し、政府税制調査会からは法人税の一層の引き下げを求めるありさまです。まさに逆立ち税制です。  定率減税全廃についての知事の見解及び住民税、所得税それぞれの影響額について改めて答弁を求めます。  第二に、教育基本法改定をめぐる諸問題について。  この間、自民、公明は、与党単独で、教育基本法改悪法案の衆院特別委員会での強行採決、衆院本会議での強行採決を行いました。  重大な問題は、特別委員会で公聴会を開く前に採決日程を決めたことです。公聴会は、大事な法案で、国民の声を聞き、審議会に反映させる重要な場であり、その公聴会の前に採決日程を決めるというのは、国民の声を聞く耳を持たないということであって、国会のルールを破る許しがたい無法行為であります。国会のルールを破り、数の暴力をほしいままにして、子供たちに民主主義とは何かを教えることができるのか。これはまさに反教育そのものであります。  特に、法案提出者の資格にかかわる大問題が相次いで起きています。やらせ質問が教育改革タウンミーティング全国八カ所のうち五カ所で行われていて、「せりふの棒読みは避けてください」との注意事項や座席の位置の確認まで指示されています。未履修問題では、文科省は知っていながら隠してきたし、いじめ自殺数はこの七年間ゼロとしてきたことも実態とかけ離れた架空の数字であったことも明らかになりました。  規範意識や道徳に欠けていたのは政府・文科省であり、それへの真摯な姿勢がない状況では、まず法案は撤回すべきであります。  そこで、タウンミーティングについて伺います。  十一月二十日の文教委員会で教育長の報告があり、資料も提示されました。当然のこととして、県議会本会議の冒頭で報告し、関係資料を全議員に配付、審議を求めるべきであったし、これはそれほどの大問題であります。なぜそうしなかったか、理由を含めた見解を求めます。  二つ目に、やらせ質問だということを本当に認識しているのかという問題です。  教育長は、「内閣府からの依頼を受け、教育政策課が三八教育事務所を通じて実施した依頼は、会場で発言がなかったとき御自身の意見を発言していただくという前提でお願いしたものであるとの報告を受けております」としています。しかし、御自身の意見なるものは、三つの質問テーマと注意事項によって誘導されているのであって、そもそもその前提は成り立たないのです。  教育長は、続けて、「しかしながら、内閣府で作成した質問項目等をそのまま送付するなどにより」と述べ、やらせの本体となった内閣府からの注意事項を質問項目等の「等」の方に押しやり、また、「あたかも特定の質問を強制的に発言するように依頼したととられるような対応をした」と述べ、あたかもそうとられるようなという言い回しも、やらせへの率直さがありません。  さらに、「やらせに加担したと県民の不信を招いたことはまことに遺憾」としていますが、県民の不信を云々する前に、みずから加担したことへの率直かつ素直な姿勢と、文科省、内閣府のやり方に従った姿勢を厳しく問いただすことなのではないでしょうか。  十一月七日に報道各社に配布された教育政策課コメントは、文教委員会の資料としては提出されておらず、そのコメントの当初の表現は「結果として誤解を招いたことは申しわけない」とし、誤解を招いたという認識であったし、その後、「結果として県民の不信を招いた」に変更したものです。「結果として」という言い方も、やらせへの認識がぼやかされています。  この問題は、教育者としての資質が問われる問題であり、あいまいさがあってはなりません。見解を求めます。  次に、依頼された発言者に対する謝礼はなかったか、だれがどのように確認したか、タウンミーティングへの学校職員の参加人数と公務として参加した人数及び教育基本法改定への世論操作を前提にしたタウンミーティングに公務として参加することの問題について、それぞれ見解を求めます。  次に、未履修問題です。  人格の形成にとって歴史を学ぶことは極めて重要なことであり、グローバル化の時代にあってはなおさらのことであります。それを、大学への進学、受験にとって不要だとされ、かつ、それを履修したと偽装したところに未履修問題の根本問題があり、それを放置してきた責任は重大であります。  なぜ未履修問題が発生したのか、その原因について、また、未履修のあった学校において既に大学等へ出願書類を提出していた場合、調査書の再提出となりますが、その人数と学校の対応状況について伺います。  三つ目に、全国学力・学習状況調査について。  何のために全国一斉学力テストをやるのか。経済財政諮問会議に前文科大臣の中山氏が提出した資料の中で、競争意識の涵養のためだと言っています。教育基本法改定を推進してきた元教育課程審議会三浦会長は、「できぬ者はできぬままで結構」、「落ちこぼれの底辺を上げることばかりに注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。限りなくできない非才、無才にはせめて実直な精神だけを養ってもらえばいいんです」と。こういう教育観で学力テストがやられたら子供たちはどうなるか。  もちろん学力テスト一般を否定はしませんが、全国一斉にやる必要はありません。この全国一律学力テストと小中学校の学区制の廃止とがセットで進められていくと、成績上位校に新入生が集中し、逆に新入生がゼロの学校が生まれるという現実が起きてきます。  学校間の過度な競争、序列化につながっていくことについての見解を求めます。  四つ目に、いじめ問題です。  この背景には、過度の競争教育と序列化により、子供たちにひどいストレスとなって、いじめにつながる温床をつくり、また、命を粗末にする退廃文化や、お金第一主義を助長する弱肉強食の社会環境、格差、貧困による家庭生活の崩れなど、複合的な要因を見ておく必要があります。同時に、いじめによる自殺、他殺などは何としても防がなければなりません。  まず、本県のいじめ、暴力行為の発生件数の五年間の推移と特徴及びいじめが発生する要因について、さらに、いじめをなくしていくための取り組みについて、その要因にまで踏み込んだ答弁を求めます。  学校がいじめ発生件数を報告するに当たっての問題はないか。特に、教職員の評価システムで、校長を含めて、意欲、能力の評価基準をSからDまで五段階に分けて評価されます。いじめの件数が多ければ、学校が評価され、非難される傾向を生むことから、学校がいじめの実態把握に不十分となるおそれが出てきます。その問題の有無についても伺っておきます。  第三に、大型公共事業のあり方について。  公共事業に係る事業評価を見ると、青森港新中央ふ頭整備事業は継続、八戸港臨港道路整備事業は附帯意見を踏まえて中止、七里長浜港改修事業防波堤は附帯意見を踏まえて継続、河川総合開発事業駒込ダムは附帯意見を踏まえて継続、国交省河川局による津軽ダム建設事業は継続となっています。八戸港臨港道路の中止は、ポートアイランド二期計画が進めば復活となるものです。  青森港新中央埠頭の一期、二期の総事業費は二百八十六億円、うち、国費九十一億円、県費百五十億円、青森市四十五億円です。完成部分の岸壁利用は年数隻の豪華客船の接岸だけで、すべて完成したとしても、その分譲見通しは今のところ何もありません。  八戸港ポートアイランド二期工事は、総事業費三百八億円、国費九十三億円、県費二百十五億円。すべて完成したとしても、今のところその分譲見通しは立っていません。完成した一期の分譲も二五%にとどまっています。一期の総事業費は三百三億円、うち、国費百十四億円、県費は百八十九億円でした。
     七里長浜港は、南防波堤を残すのみで、進率九一%、総事業費百六十九億円、うち、国費六十二億円、県費八十八億円、鰺ヶ沢町十九億円です。その有効利用は、数年の努力も実らず、惨たんたる状況です。  以上のように、大型港湾の整備は、巨費をかけてもその効果が見通しの持てないものになっています。  駒込ダムは、総事業費四百五十億円、国、県それぞれ二分の一の負担で、現在、工事用道路の建設が進められています。ダムの必要性を説き、昭和五十七年度に実施計画調査に着手してから二十四年の歳月が流れました。  国交省直轄の津軽ダムは、総事業費一千四百五十億円、工期が平成二十八年度に延長となり、平成三年の建設事業着手から二十五年かかる計算です。ダム本体の本格工事へ進めば大手ゼネコンの請負が一気に膨らんでいくことになり、港湾の大手マリコンを含め、中央に吸い上げられます。  今県民に必要なのは、教育、福祉、安全な生活道路など、切実な分野、産業、雇用への波及効果の大きい事業です。大型公共事業の評価、妥当性について見直しを求めますが、見解を求めます。  第四に、六ヶ所再処理工場について。  提出議案の知事説明要旨で、再処理施設の増設に係る検討結果について報告がありました。要請を受けた五件のうち、検討済みとなっているウラン・プルトニウム混合酸化物燃料加工工場と接続するための改造を除く四件について、安全性に問題はないものと考えるが、県議会の議論を踏まえ総合的に判断するとしています。  そこで、第二低レベル廃棄物処理建屋、第三低レベル廃棄物貯蔵建屋においてはどういう種類のどういうレベルの廃棄物を取り扱い、また、その最終処分の見通しについて、さらには、それぞれの増設建屋の位置について伺います。  第二ウラン酸化物貯蔵建屋及びウラン・プルトニウム混合酸化物輸送容器管理建屋の増設に対する判断に当たり、現在の高速増殖炉及びプルサーマルの導入見通しをどう認識しているか伺います。  次に、ここにきて、高レベル放射性廃棄物の最終処分事業に関する新聞各社の社説や各地の動向が報道されています。福井県和泉村(現大野市)、熊本県御所浦町(現天草市)、鹿児島県笠沙町(現南さつま市)、同県奄美大島、高知県東洋町、津野町、滋賀県余呉町など、西日本で最終処分候補地への応募を検討している自治体が浮上しています。  しかし、多額の交付金を得たいと関心を示す自治体はあっても、住民の強い反対や県レベルで安全性や環境面への不安が指摘され、相次ぐ反対に遭い、正式に応募した自治体はありません。最終処分場の誘致問題は、各県知事の政治生命を左右するほどの重大問題となります。核燃料サイクル施設を受け入れた本県ですら、最終処分地だけは受け入れないと時の大臣と確約書を交わすほどそれは難題であります。  その難題に真正面から向き合う時期に今来ています。それは、再処理工場の本格操業と最終処分事業の問題を密接不可分のものとしてとらえる必要があり、全県民的判断を仰がなければならない性格を持つものとして本県に突きつけられています。  もちろん、今行われているアクティブテストを認めてはおりませんが、少なくとも、知事は、本県として、高レベル廃棄物最終処分候補地の見通しが得られないまま再処理工場の本格操業を承認すべきではありません。見解を問います。  あわせて、本県は、核燃料サイクル政策の推進を国に求め、高レベル廃棄物最終処分事業の重要性を認識していながら、なぜ最終処分事業を受け入れないか、単に約束事だからというだけでなく、その理由を述べていただきたい。  最後に、米軍三沢基地所属F16戦闘機の模擬弾の落下及び函館空港への緊急着陸に対する県の対応について。  十一月二十日付東奥日報「東奥春秋」に「「良いニュース」?」というのが載っています。三沢記者会と懇談した米軍三沢基地第三五戦闘航空団の司令官が、模擬弾の落下場所が太平洋上と確認され、それが「よいニュースがあります」と懇談の場で伝えられ、そして、そういう感覚を問題にし、太平洋上に落下したことは漁業者にとっては決してよいニュースではないと結んでいます。米軍のそうした姿勢、感覚を容認してはならないし、深刻な事態を招かないためにも、県の対応をより厳しいものにすべきであります。  県は、緊急着陸を含め、米軍及び仙台防衛施設局に対し速やかな原因究明と再発防止を要請していますが、その結果はどういうもので、また、それらが明らかにされるまでは飛行訓練を全面的に禁止させる措置をとるべきであります。見解を求めます。  以上で質問といたします。 72 ◯議長(成田一憲) 知事。 73 ◯知事(三村申吾) 諏訪議員の御質問にお答えいたしたいと思います。  諏訪議員からは、前段でございますが、格差、貧困について、さまざまな視点から、多くの御指摘、問題提起を含んだ御質問をいただいたと感じました。こうした点も踏まえ、産業・雇用を初めとする諸施策を今後とも進めてまいりたいと考えております。  私から、一点、御質問のうち、公共事業のあり方についての基本的な考え方について、詳細は部長からという形で答弁したいと思います。  まず、本県は三方を海に囲まれており、物流輸送や工業振興、そして人の交流などの拠点としての港湾は、近年の国際海上輸送需要の増大を背景といたしまして、国内・国際物流の拠点として、まさに本県の産業を支える重要かつ必要不可欠な社会基盤であると考えられます。  また、駒込川や岩木川は、これまでもたびたびはんらんを繰り返してまいりました。災害を防ぎ、治水や利水を図るためのダムの整備は、安全、安心な県土づくりのかなめでもあると考えられます。  将来にわたって県民の暮らしを守り、本県の産業振興に資するため、厳しい財政環境下にありましても、必要な社会基盤の整備は今後も着実に進めていかなければならないと考えておりまして、推進の仕方という形はございますが、今後とも推進していくという所存であります。  本県が誇るこの美しい自然と風土を次の世代に引き継ぐために、私どもの概念として、今、環境公共という理念を発表させていただいているわけでございますが、こういった部分等も踏まえ、県民の日常の暮らしにとりまして真に必要な部分につきましては、持続可能な県土づくりの視点に立ち、知恵と工夫と節度をもって取り組んでまいりたいと、そう考える次第であります。  個々の事業につきましては担当部長から説明をいたさせます。  私からは以上です。 74 ◯議長(成田一憲) 総務部長。 75 ◯総務部長(海老原 諭) 定率減税の廃止について二点お答えします。  まず、定率減税廃止に対する県の見解であります。  所得税及び個人住民税の定率減税については、平成十一年度税制改正において、当時の停滞した経済活動の回復に資する観点から、個人所得課税の抜本的見直しまでの間の緊急避難的な措置として導入されたものであります。  この定率減税については、平成十七年度の税制改正において、経済状況が変化してきている等の状況を受け二分の一に縮小され、平成十八年度税制改正において、引き続き民間消費や企業の設備投資などの民需を主体に経済状況が回復傾向にあることを踏まえまして廃止することとされたものであります。  この定率減税の廃止につきましては、住民の皆様の税負担が増加する面があることは否定できないところでありますが、一方で、見合いの財源なしに、いわば将来世代の税負担により毎年継続されてきたものであります。政府税制調査会においても、かねてから縮小、廃止について議論を重ねてきたものでございます。  こうした点も考慮しつつ、国、地方を通じた税体系全体についてのあるべき税制の構築に向け、財政の状況、国民負担のあり方等について幅広い観点からの議論を踏まえた上で行われたものと受けとめておりまして、やむを得ないものと理解しているところであります。  次に、本県における個人住民税及び所得税それぞれの影響額であります。  定率減税の廃止に伴う本県の個人住民税に係る影響額でありますが、平成十八年度においては、個人県民税が約十一億円の増収、個人市町村民税が約二十一億円の増収となったところであり、平成十九年度においてもそれぞれ同程度の増収が見込まれるところであります。  次に、所得税に係る影響額については、全国ベースで、平成十八年分において一兆二千五百二十億円の増収、平成十九年分において一兆三千六十億円の増収と公表されているところでありますが、このうちの本県分の影響額については、財務省等に問い合わせを行いましたが、県別の試算をしていないということでありました。 76 ◯議長(成田一憲) 行政改革・危機管理監。 77 ◯行政改革・危機管理監(若宮兼一郎) F16戦闘機の事故に関し、飛行の自粛を求めるべきではないかとのことであります。  米軍三沢基地所属のF16戦闘機については、去る十一月十五日に模擬弾一個を太平洋上に落下させる事故を起こし、また、翌々日の十一月十七日には、パイロットの予防措置のためとして、二機が函館空港に緊急着陸しました。  米軍における事故やトラブルの発生は、三沢基地が所在する三沢市民を初めとする県民に不安を与えるものであることから、県は、これまでも、その都度、米軍に対し、原因究明と再発防止を要請し、適切な対応を求めてまいりました。  今回の二件の事案においても、事故発生後直ちに知事名により米軍三沢基地司令官及び仙台防衛施設局長に対して原因究明と再発防止を要請しており、特に十七日の函館空港への緊急着陸については、十五日に発生した模擬弾落下事故に引き続きその直後に発生したことから、この事案に対する県の厳しい認識を示すとともに、原因究明と県に対する説明及び航空機の点検整備等再発防止に万全の措置を講ずるよう強く要請しているところです。 78 ◯議長(成田一憲) 企画政策部長。 79 ◯企画政策部長(関 格) 格差、貧困の是正に関する御質問のうち、年収三百万円未満の世帯が増加している要因等についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、国が五年置きに実施している就業構造基本調査によれば、平成十四年の本県における年収三百万円未満の世帯数は平成九年と比較して三万九百世帯増加しております。これを全世帯に占める構成比で見ますと、平成十四年で三七・九%と、平成九年の三三・八%に比較して四・一ポイント増加しております。  この要因としては、人口減少が続いている中で、一つに、核家族化の進展による世帯数の増加に伴って一世帯当たりの所得が減少していること、二つとして、高齢者世帯が増加していること、さらには、企業のコスト削減に伴い、中高年層の雇用情勢が厳しくなっていることなどが考えられます。 80 ◯議長(成田一憲) 商工労働部長。 81 ◯商工労働部長(小林正基) 四点の御質問にお答え申し上げます。  まず、派遣と請負事業の実態についてでございます。  青森労働局によりますと、本県の平成十八年十一月一日現在の派遣元事業所数は百七十六事業所で、前年同月比では四十三事業所増加しております。そのうち、常用雇用労働者だけを労働派遣の対象として行う特定労働者派遣事業所は九十一事業所、臨時の労働者などを派遣する一般労働者派遣事業所は八十五事業所となっております。  また、平成十六年度の派遣労働者数は四千八十八人と、前年度より二一%減少しております。  同一事業所、同一業務への派遣の継続期間につきましては、厚生労働省の平成十六年派遣労働者実態調査によりますと、全国平均では、一年以上三年未満が三二・一%と最も多く、六カ月未満が二五・八%、六カ月以上一年未満が二一・七%、三年以上が二〇・四%となっております。  なお、請負事業についてでございますが、派遣事業と異なり許可制や届け出制でないことから、その実態は承知しておりません。  次に、サービス残業の実態等についてでございます。  青森労働局によりますと、平成十七年度に青森県内六労働基準監督署が労働基準法違反として是正を指導した事案のうち一企業当たり百万円以上の割り増し賃金が支払われた事案は十二件、是正金額は七千三百十四万円であり、このうち、一千万円以上の割り増し賃金が支払われた事案は一件、是正金額は四千九百三十八万円とのことでございます。  厚生労働省におきましては、違反事例を抑制するために、事業所に対する指導監督に加え、十一月を賃金不払い残業解消キャンペーン月間と定め、事業主に対する講習会の開催や啓発活動を強力に展開しております。  県といたしましても、賃金不払い残業をなくしていくために、指導監督権限を有する青森労働局と連携を図りながら、県の広報媒体を活用した啓発普及を行うなど、労働環境の改善に協力してまいりたいというふうに考えております。  次に、一律の最低賃金についての見解でございます。  最低賃金の決定方式がどのようにあるべきかということにつきましては、最低賃金法に基づき国で検討されるべきことであるというふうに考えております。  労働委員の任命の件でございます。  県労働委員会の委員のうち労働者委員につきましては、労働組合法により労働組合から推薦のあった者の中から知事が任命することとされております。これは、特定の労働組合の意向や利益を取り入れようとするものではなく、労働者一般の利益を反映させようとする趣旨でございます。  このようなことから、これまでも、推薦された候補者の中から、労使紛争の適正かつ公正な運営を図るべく、知事が総合的に判断して適任者を任命してきたところでございます。 82 ◯議長(成田一憲) 県土整備部長。 83 ◯県土整備部長(葛西憲之) 大型公共事業のあり方についての御質問二点についてお答えいたします。  最初に、青森港新中央埠頭、八戸港ポートアイランド二期計画及び七里長浜港についてであります。  青森港新中央埠頭は、港湾を通じ国内外のさまざまな人的・経済的交流活動を推進し、港湾利用の高度化を図ることを目的とし、大型旅客船による旅客需要の増大に対応した多目的耐震強化岸壁を有する埠頭として整備を進めております。  今後も、災害に強いまちづくりの実現、交流活動拠点の創出に寄与するため整備促進を図ってまいりたいと考えております。  八戸港ポートアイランドは、物流機能強化の中心的な役割を担うものとして計画され、第二期計画では、将来における船舶の大型化や国際コンテナ貨物の需要拡大に対応するため、五万五千トン級岸壁を初め、埠頭用地、港湾関連用地など約五十ヘクタールを整備する計画としております。  今後も、北東北の国際物流拠点港としての機能を確保するため、物流需要動向や依存施設の利用状況等を見きわめながら適切に対応してまいりたいと考えております。  七里長浜港は、津軽地域から発生する物流需要に対応することを目的に、津軽地域総合開発の拠点港として位置づけ、整備を進めております。  今後も、年間を通じて安全な利用ができる港を目指し、企業誘致やポートセールスを積極的に行い、地域振興に寄与したいと考えております。  なお、外部委員から構成される青森県公共事業再評価審議委員会において、青森港新中央埠頭は平成十七年度に、また七里長浜港は平成十八年度に継続の評価がなされております。  今後とも、それぞれの地域産業に対応し、貨物の需要動向等を見きわめながら基盤整備の促進を図ってまいりたいと考えております。  次に、駒込ダム、津軽ダムについてであります。  駒込ダムは、県が青森市の堤川水系駒込川に洪水対策、流水の正常な機能の維持及び発電を目的に進めている多目的ダムであり、堤川水系の治水及び利水対策上、必要不可欠であると考えています。  また、平成十五年度に青森県公共事業再評価審議委員会において継続と評価されているところであります。  次に、津軽ダムは、洪水対策、流水の正常な機能の維持、かんがい、水道用水、工業用水及び発電を目的とする国土交通省直轄の多目的ダムであり、岩木川水系の治水及び利水対策上、極めて重要であります。  昨年八月に開催された外部委員で構成する平成十七年度東北地方整備局事業評価監視委員会において継続の評価が示されており、県としては、引き続き、整備促進が図られるよう国に対し働きかけてまいります。 84 ◯議長(成田一憲) エネルギー総合対策局長。 85 ◯エネルギー総合対策局長(佐藤光彦) 六ヶ所再処理工場について五点お答え申し上げます。  まず、第二低レベル廃棄物処理建屋等においてどういう廃棄物を取り扱うのか、また、その最終処分の見通しについてはどうなっているのかについてであります。  日本原燃株式会社によりますと、今回増設する第二低レベル廃棄物処理建屋は、六ヶ所再処理工場で発生する低レベル廃棄物の減容、安定化処理を行う建屋であり、また第三低レベル廃棄物貯蔵建屋は、第二低レベル廃棄物処理建屋で処理した後の廃棄物を一時貯蔵するとともに、各種建屋から発生する低レベル廃棄物の受け入れ及び一時貯蔵も行う建屋であるとのことです。  また、これら建屋で取り扱われる低レベル廃棄物にはハル・エンドピース、低レベル濃縮廃液、雑固体廃棄物等があり、地層処分が必要なものと必要でないものがあるとのことです。  一方、最終処分の見通しについては、国によれば、再処理施設等から発生する低レベル廃棄物のうち地層処分が必要なものについては、ことし八月に総合資源エネルギー調査会原子力部会において取りまとめられた報告書を踏まえ、高レベル廃棄物の最終処分と同様の枠組みとなるよう早期に制度化を図るとのことです。  また、地層処分が必要でないものについては、原子力安全委員会や規制当局においての安全規制制度等についての検討状況を踏まえつつ、事業者による処分の実施に向けた取り組みがなされるとのことであります。  次に、第二低レベル廃棄物処理建屋等の位置はどこになるのかということであります。  日本原燃株式会社によりますと、再処理工場内の建屋の配置の詳細を公開することについては核物質防護の観点から自粛するよう国から指導されており、公開しないこととしているとのことであります。  次に、第二ウラン酸化物貯蔵建屋等の判断に当たり、現在の高速増殖炉及びプルサーマルの導入見通しをどう認識しているのかについてであります。  高速増殖炉導入については、昨年十月に閣議決定された原子力政策大綱において、「軽水炉燃料サイクル事業の進や「FBRサイクルの実用化戦略調査研究」、「もんじゅ」等の成果に基づいた実用化への取組を踏まえつつ、ウラン需要の動向等を勘案し、経済性等の諸条件が整うことを前提に、二〇五〇年頃から商業ベースでの導入を目指す」とされています。  プルサーマル導入については、原子力大綱においては、使用済み燃料を再処理して回収するプルトニウム、ウラン等を有効利用することを我が国の基本的方針とし、軽水炉においてMOX燃料を利用するプルサーマルを当面推進していくこととされています。  また、本年九月に策定された原子力立国計画においても、基本的な考え方として、二〇一〇年度までの十六から十八基の原子炉でのプルサーマルの導入を含めた軽水炉核燃料サイクルの確立を目指し、必要な取り組み等を進めていくことが不可欠である旨が記載されております。  今後とも、政府一体としてプルサーマルを含む核燃料サイクルへの着実な推進に取り組むことが重要であり、県としては国の動向を厳しく注視してまいります。  次に、高レベル廃棄物最終処分場候補地の見通しが得られないまま再処理工場が本格操業することは承認しないということでよいのかということであります。  高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、国によれば、最終処分の実施主体である原子力発電環境整備機構では、平成十四年十二月から全国の市町村を対象に最終処分の候補地選定に向けた公募を行っているところであり、現在のところ、正式な応募に至った地域はないが、処分候補地の公募に関心のある複数の地域からさまざまな問い合わせを受けており、同機構が地域での説明会や勉強会等の理解促進活動を展開中であるとのことです。  また、国においては、各地域でのシンポジウムの開催、広報テレビ番組の放映等重点的な広報活動を行うこととしており、既に、東京を皮切りに、九州地域、四国地域、中国地域、近畿地域でシンポジウムを開催し、今後、他の地域でも開催していくとのことであります。  県としては、今後とも、国、原子力発電環境整備機構の動向を注視してまいります。  最後に、高レベル廃棄物最終処分場の重要性を認識しているならなぜ本県は最終処分場を受け入れないのかについてであります。  高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターは、高レベル放射性廃棄物の地層処分に先立って三十年間から五十年間冷却のために一時貯蔵する施設でありますが、高レベル放射性廃棄物の受け入れ開始前である平成六年当時、本県においてなし崩し的に最終処分が行われるのではないかとの懸念が県民の間に広がっているとの認識から、県から国に対し、本県において高レベル放射性廃棄物の最終処分が行われないことを明確にするよう照会し、国から、処分予定地の選定は地元の了承なしに行われることはない旨の回答を得ており、また、平成七年四月には、改めて国から、知事の了承なくして青森県を最終処分地にしない旨の確約を得たという経緯があります。  県としては、こうした経緯を踏まえ、高レベル放射性廃棄物の最終処分を受け入れる考えはないとの方針で対処してきているところであります。
     以上であります。 86 ◯議長(成田一憲) 教育長。 87 ◯教育長(田村充治) 御質問十一点にお答えいたします。  初めに、タウンミーティング四点についてでございます。  まず最初に、県議会の本会議の冒頭で説明すべきであるについてでございます。  タウンミーティング開催の経緯につきましては、去る十一月二十日に開催されました文教公安委員会において、関係書類を配付し、報告、謝罪したところでございます。  続きまして、やらせだということをきちんと認識しているのかについてでございます。  県教育委員会の関係職員が内閣府からの依頼を受け、発言者に依頼するに当たっては、会場で発言がなかったときに御自身の意見を発言していただくようお願いしたものであり、やらせだという認識はなかったとの報告を受けております。  しかしながら、依頼する前後において、内閣府で作成した質問項目案をそのまま送付するなどにより、あたかも特定の質問を強制的に発言するよう依頼したととられるような対応をし、結果として県教育委員会がやらせに加担したととられたことはまことに遺憾であります。  次に、依頼された発言者に対する謝礼についてでございます。  依頼した発言者に対する謝礼については、県教育委員会の関係職員と内閣府の担当職員とのやりとりの中では一切なかったと報告を受けております。  なお、依頼した方は当日欠席しております。  また、八戸市教育委員会が依頼した発言者に対しても内閣府から謝礼の話はなかったと八戸市教育委員会の担当職員から聞いております。  次に、タウンミーティングへの学校職員の参加人数と、そのうち公務として参加した人数について、また、公務扱いで参加することに問題はないのかについてでございます。  県教育委員会で把握している参加申込者のうち、学校職員の人数は百二名です。  なお、タウンミーティングへ公務で出席した学校職員の人数については、すべての県立学校及び公立小中学校を調査した結果、四名となっております。  また、学校における公務旅行については、校長が自校の状況や学校運営上の課題などにより判断し命令するものであり、公務で出席することについては問題はないものと考えております。  次に、県立高校における未履修問題二点についてでございます。  未履修問題が発生した原因についてであります。  学校以外には大学進学に対し支援する場が少ないという本県の状況の中で、未履修問題のあった五所川原高校、三本木高校、木造高校、野辺地高校及び八戸東高校の五校は、生徒の進路志望を達成させたいという強い思いから、教育課程の実施に当たってその運用に誤りがあったものであります。  また、県教育委員会としても、教育課程の適正な運用についてのチェック体制に問題があったと考えております。  県教育委員会としては、今後、さまざまな機会を通して、校長を初め教職員に対し、学習指導要領を遵守し、適切な教育課程を編成、実施するよう指導を徹底するとともに、すべての県立高校への訪問指導を行うなど、チェック体制の確立に努めてまいります。  次に、未履修のあった学校において大学等へ調査書を再提出した人数と学校の対応状況についてであります。  未履修のあった学校で企業や大学等へ出願書類を提出した人数は、十一月七日現在、五所川原高校十二名、三本木高校十六名、木造高校八名、野辺地高校十二名、八戸東高校四十五名の合わせて九十三名となっております。  これらの高校では、既に出願書類を提出した企業や大学等へ電話で未履修の事実を伝えるとともに、生徒にとって不利になることのないよう、訂正した調査書に私のおわびの文書と一連の経過を説明した校長の文書を添えて再提出したところであります。  次に、全国学力・学習状況調査の実施は学校間の過度な競争、序列化につながるものと考えているがについてでございます。  全国学力・学習状況調査は、小学校第六学年、中学校第三学年の全児童生徒を対象に、国語、算数・数学に関する調査と学習意欲、学習方法等に関する内容を調査するものとなっております。  本調査は、全国的な義務教育の機会均等と水準の維持向上のため、児童生徒の学力・学習状況を把握、分析し、教育の結果を検証し、改善を図ることをねらいとして行われるものであり、学校間の過度な競争、序列化にはつながらないものと考えております。  次に、いじめ問題四点についてお答えいたします。  初めに、本県のいじめ、暴力行為の発生件数の五年間の推移と特徴についてでございます。  県教育委員会が調査し文部科学省が発表しました問題行動調査によりますと、本県の公立小・中・高等学校におけるいじめの発生件数は、平成十三年度は四百五十七件、平成十四年度は四百十件、平成十五年度は四百十一件、平成十六年度は四百八件、平成十七年度は四百二十四件となっており、平成十六年度までは減少傾向にありましたが、平成十七年度は若干増加しております。  いじめの内容としては、小・中・高校とも冷やかし、からかいが一番多く、小学校では仲間外れ、中学校、高等学校では言葉でのおどしが次に多いという特徴が見られております。  次に、暴力行為の発生件数ですが、平成十三年度は六百件、平成十四年度は四百四十六件、平成十五年度は三百九十八件、平成十六年度は四百四十六件、平成十七年度は五百八件となっており、平成十五年度までは減少傾向にありましたが、平成十六年度からは増加しております。  暴力行為の内容としては、小・中・高校とも生徒間暴力が一番多く、次に器物損壊が多いという特徴が見られております。  次に、いじめが発生する要因についてでございます。  いじめの発生についてははっきりした要因は特定できませんが、生活体験の不足、物質的な豊かさの中での他人への思いやりや人間相互の連帯感の希薄化などの社会状況、そして青少年を取り巻く環境の悪化など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているものととらえております。  このようなことから、子供たち一人一人がこれから社会生活を営んでいく上で必要な思いやりの心や、決まりを守り、他者とのかかわりを大事にするなどの規範意識、命を大切にする態度などの豊かな人間性の育成に努める必要があるものと認識しております。  次に、いじめ根絶のための取り組みについてでございます。  県教育委員会では、これまでも、いじめなどの問題行動への適切な対応や未然防止に向けて、スクールカウンセラーなどの配置や教育相談に関する研修講座等の充実を図っております。  また、学校、家庭、地域、関係機関等との連携が重要であることから、県内六地区において地区健全育成推進会議等を開催しております。  去る十一月八日には、県内のいじめ問題の対応についてより一層強力に取り組んでいくために、いじめ問題対策チームを設置したところであります。  いじめ等の問題行動については、教員と児童生徒の信頼関係を深め、日常の生活や行動の観察等から個々の状況を把握し、ささいなことも見逃さないよう、学校一丸となって未然防止、早期発見、早期対応に努めることが重要であることから、今後とも、学校や市町村教育委員会と連携しながら、このような取り組みが徹底されるよう努めてまいります。  最後に、学校がいじめの発生件数を報告するに当たっての問題の有無についてでございます。  文部科学省の問題行動調査におけるいじめの定義は、「自分より弱いものに対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものとする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない」こととなっております。  本県の学校においては、いじめられた児童生徒の立場に立って調査するという共通認識のもと、本人等の訴えをもとに調査しており、適切に報告されているものと認識しております。  以上でございます。 88 ◯議長(成田一憲) 諏訪議員。 89 ◯三十八番(諏訪益一) 答弁を全体として聞いていると、不誠実です。誠実味がない、一言で言えば。  まず、本県の青年の働かせ方の問題について、とかく、県外に流出していく、県外の方に働く場がある、県内が少ないというような言い方をするんですが、ところが、県外に行った本県青年の働かせ方というのは極めて深刻な環境のもとに置かれているというとらえ方をきちんとする必要があるというぐあいに思うんです。  派遣、請負も、首都圏を含めて、青森をねらえと、青森の若者をそういうものに引き込んでいくという、そういう環境が今大きく広がっているので、その点では、本県青年の県外での働き方の実態把握というものをする必要があると思うんです。まず、リアルにつかむ必要がある。それから、県内でも、派遣や請負で働かされている人たちの働かせ方の実態というものをしっかり把握する必要がある。その実態調査について要請したいのですが、お答えをいただきたいと思います。まず、しっかりつかむという必要があります。  それと同時に、サービス残業の根絶の問題も含めてですが、百万円以上のものはわかるんです。あるいは情報が提供されたものについてはわかるんです。ところが、情報がないもの、百万以下のもの、これは相当すそ野が広がってサービス残業の未払いという実態が浮き上がってくるんですが、それについての調査もしっかりやってもらいたい。どうやればこの調査が進むのかということも含めて内部で検討して、その実態調査に乗り出していただきたいということを強調しておきたいと思います。  教育基本法をめぐる諸問題についてですが、文教委員会で報告して関係資料も出したというだけの答弁で答弁になっているのですか。それならば、当然のこととして、本会議の冒頭で教育長が説明し、同一であってもいい、同一の資料を全議員に配付して、こういうことであったと指し示すのがこの問題での教育長、教育委員会のとるべき対応なんだと思うんですよ。  知事の起意表明を自民党の会派の皆さんが要請するのは構いません。それは構いません。ただ、タウンミーティングの内実について、自民党の方が質問して、そこで初めて知事の答弁で公にされるというのはちょっと性質が違うんです。(発言あり)いやいや、タウンミーティングの問題で教育長が……。だから、まず、本会議の冒頭でなぜ説明しないのか、なぜそういう誠実な対応をとらないのか、そのことを質問しているのに、何ですか、今の答弁は。  それから、やらせ問題の認識を聞いているのに同じ答弁を繰り返す。こういう姿勢でいいのですかということなんです。ちゃんと設問を事前に渡してあるんです。本当にやらせだということを認識しているのか、さまざまな点であいまいさが残る、それにきちんとかみ合うような形で答えてもらいたい。  この基本問題で、教育委員長は同じ姿勢なんですか、教育長の今の答弁について。その辺で所見を求めたいというぐあいに思います。  学校職員の参加人数は百二名と聞きました。しかし、公になっているのは、全参加人数四百一人のうち行政関係で固めた人数は二百七十九というぐあいになっている。  そこで、今もし答弁できなければ、二百七十九引く百二のこの差の部分の公的扱いをしたことを後でしっかり報告していただきたいと思うんですが、それもきちんと答弁していただきたい。  なぜなら、全体の七割を占める人数の動員によって教育改革タウンミーティングが結局そういう環境のもとに置かれたという点で、これではこの改悪法というものは成り立たないと。民意を反映させると言っているのに行政サイドで固めてしまうという会合のあり方というのはいいのだろうかという問題があります。  それから、未履修問題なんですが、情報として、別な学校でも未履修があるという情報が寄せられている。それから、未履修は実態としてはもっと存在しているんだという見方をしている人もいます。  そこで、教育長が三本木高校で校長をしていた時代は平成十四年だと言っているんです。それで、その当時から未履修という問題はないかということで問い合わせをしたら、それ以降に未履修問題が発生しているので、教育長が校長時代にそういうことを扱ったことはないという報告をしてきたんです。  ところが、その前の学習指導要領では、世界史の必履修は七年、八年前に存在しているんですね、これは必修科目だといって。それがずっと未履修できたかどうかということもきちんとさせなければならないんです。今回答弁したのは、あくまでもことしの問題だけなんです。これまでのことについての率直な答弁も何もない。その扱いについての考え方をしっかりさせた上で、困難なら困難というきちっとした考え方を披瀝すべきなんだと思うんですよ。  そういう点で、先ほどの実態がまたより広範に存在しているということについての再点検、再調査と、教育長が校長時代にこの問題で未履修を扱ったことがないかということもきちんと公にしていただきたいと思うんです。  それから、未履修の問題が義務教育段階にまで発生してきているということを重視したいと。既に全国で五府県十九学校───長野、香川、徳島、大阪、それぞれの義務教育の段階で未履修がある。技術・家庭とかという問題。  そこで、これについても県内の義務教育での未履修がないかぜひ調査をしてもらいたいと思うんですが、教育長、その点でのお答えをしていただきたいと思うんです。  全国一斉学力テストの問題は、今、先行している都道府県でさまざまな問題が起きてきているんですよ。点数を上げるための競争ですから。  それで、国会での議論にもなりましたけれども、そのために、遠足、文化祭を廃止する。運動会も秋から春に持ってくる。それから、二泊三日の林間学校、自然教室も、楽しみにしているのに廃止される。そういうものに点数を上げるための補充授業が充てられていくということが現実の問題として起きてきているので、一斉学力テストの弊害という問題が起きてきているから、そんなことでいいのかということを聞いているわけです。そんなことにつながらないということで教育長は一言で返しますけれども、そういう弊害が現実に起きてきているということがあるので聞いているわけであります。  発生件数を報告する問題の有無はないかと。だから、結局、教育改革法の改悪法案で教育振興基本計画をつくってまずやるべきは、その一斉学力テストといじめ根絶だというわけですよ。そして、そのいじめを半数減らす数値目標を提示するというのを教育の改悪法案の中で、振興計画の中で出してくると。こうなると、紛れもなく、学校の現場からその件数を減らすために目をつぶるというおそれが出てくるので、その問題をも提起しているわけであります。その点での弊害もしっかり受けとめていただきたい。  もうほとんど終わりになりましたけれども、まだまだいっぱいあるんですが───あと幾つか問題はありますが、時間が来ましたので、やめにしたいと思います。 90 ◯議長(成田一憲) 商工労働部長。 91 ◯商工労働部長(小林正基) 再質問にお答え申し上げます。  労働者派遣法によりますと、先ほど申しましたように、常時雇用される労働者だけを派遣の対象とする場合には届け出制、それから、それ以外、例えば臨時の労働者を派遣する場合であれば許可制というふうになっておりまして、これはすべて労働局サイドにそういった細かいデータがあるものと思っておりますので、サービス残業の調査も含めて、この辺の実態調査につきましては労働局側と相談をしてまいりたいというふうに考えております。 92 ◯議長(成田一憲) 教育長。 93 ◯教育長(田村充治) 再質問にお答えいたします。  まず、本会議での報告の件でございますが、先ほども答弁申し上げましたとおり、去る十一月二十日に開催されました文教委員会において、関係書類を配付しながら報告の上、おわび申し上げたところでございます。  また、本県議会におきまして、皆様方からの御質問に対し答弁をし、おわび申し上げていくと、そう考えたものでございます。  それから、やらせの認識はなかったか───やらせ問題での県の認識でございますけれども、内閣府から質問項目等を示されて依頼を受けた際にも、関係職員が依頼する際は、特定の質問を強制的に発言するよう依頼したものではなくて、会場で発言がなかったときに御自身の意見をという前提で依頼したことからやらせの認識はなかったと報告を受けておりまして、やらせという認識はなかったと答弁申し上げたところでございます。  それから、二百七十九から百二の引き算の部分でございますけれども、これについては、現在資料がございませんので、後ほど議長のお許しを得てお答えさせていただきたいと───届けさせていただきたいと考えております。  それから、未履修問題が幾つかございました。  私が平成十四年に三本木高校で校長をやっているときのお話が出てまいりましたけれども、はっきり申し上げて、ございませんでした。  それから、幾つか聞いているというふうなお話もございました。これにつきましては、二度ほど調査等を行っておりまして、その都度、こういうふうなことがあるよということであれば、指導主事を派遣して、調査して、現在のところ、御報告申し上げた数になっております。  それから、中学校での未履修の調査の件でございますけれども、これは、文部科学省等からの動き、あるいは調査の方法等の関係もございますものですから、そちらの方の動きと合わせながら関連してやっていきたいと、そう考えております。  以上でございます。 94 ◯議長(成田一憲) 以上をもって本日の議事は終了いたしました。  明日は、午前十時三十分から本会議を開き、一般質問を継続いたします。  本日はこれをもって散会いたします。 午後五時三十一分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...