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平成14年第230回定例会(第3号) 名簿 開催日: 2002-06-21
平成14年第230回定例会(第3号)  本文 開催日: 2002-06-21

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  1. 青森県議会 2002-06-21
    平成14年第230回定例会(第3号)  本文 開催日: 2002-06-21


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(冨田重次郎君) ただいまより会議を開きます。        ─────────────────────────────────            ◎ 一 般 質 問 継 続        ───────────────────────────────── 2 ◯議長(冨田重次郎君) 一般質問を継続いたします。十二番高橋千鶴子君の登壇を許可いたします。──高橋君。  〔十二番(高橋千鶴子君)登壇〕 3 ◯十二番(高橋千鶴子君) 日本共産党の高橋千鶴子です。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  初めに、今国会に提出されている有事法制三法案についてです。私は、平和憲法を踏みにじり、戦争をしない国から戦争をする国へ変えようとする本法案は廃案にするべきだと考えています。昨日の三上隆雄議員の質問に対し知事は、先進国の中で有事態勢がおくれている、十分な情報提供を行い、十分な審議をするべき旨の発言をされました。国会の会期を四十二日間延長し、しかも、重要法案がメジロ押しの中で十分な審議を尽くせるとは言えません。全国の知事さん、自治体から「慎重審議を」との声が上がっているように、少なくとも今国会で成立させるべきではありません。法案で示された武力攻撃事態とは外部からの武力攻撃を言うとありますが、武力攻撃のおそれのある事態、あるいは武力攻撃が予測されるに至った事態と説明されています。この「おそれ」や「予測」の解釈次第で海外での後方支援活動がそのまま先制攻撃に移る場合もあり得るなど、問題点が指摘されてきたところです。そこで伺います。今国会に提出されている武力攻撃事態対処法案では、地方公共団体は、住民の生命、身体及び財産の保護に関して国の方針に基づく措置の実施その他適切な役割を担うとありますが、場合によっては国による代執行を認めています。憲法の基本的な原則である地方自治を侵害することにならないのか知事の見解を伺います。本法案には国民の協力が明記され、自衛隊法の改正の中で、罰則規定を盛り込んだ物資の保管命令、自発的にという業務従事命令などを定め、知事は動員や土地の収用を命じることができるとされていますが、県民の命と財産を守る知事としてこれをどう考えているのか伺います。  次に戦後補償の問題です。戦後五十七年、いまだに家族の消息を求めている方がたくさんおり、厚生労働省では遺骨の収集やDNA鑑定による照会などにも粘り強く取り組んでいると聞いております。ある青森市内の男性で、父親が昭和十四年に中国の漢口で現地除隊を最後に、手がかりがなく、以来きょうまで六十年その消息を探している方がおります。軍歴を証明するものがないため軍人恩給にはあと一年数カ月不足し、死亡宣告手続をしたものの納得がいかないといって葬式も挙げずにいらっしゃいます。県や国、軍恩新聞に尋ね人を掲載するなどして調査を尽くしましたが、最後の足取りにたどり着くことができず、お国のためにと戦地へ行ったのにと悔しがり、戦争の後始末もできないのに有事法制をやるとはと強い怒りの声を上げています。本県の戦没者は三万三千百人と聞いていますが、その背景には、生きて帰ってきて、恩給の要件に欠けるなどして今日も御苦労されている方も多いはずです。戦後補償の課題は多くありますが、そのうち一つとして、戦傷病者の傷病恩給の裁定に一年以上もかかり、決定されるまでの生活に困り、そもそも間に合わなくて亡くなってしまうこともあります。県における申請状況と、これらの恩給行政について改善を求めていくべきと考えますが、見解を伺います。昭和五十五年、シベリア等強制抑留者に対する補償を求める県議会決議が全会派一致で採択され、昨年は国会に請願も出されたと聞いています。シベリア抑留者の補償問題がどのような状況になっているのか伺います。  第二点目として市町村合併と道州制について伺います。総務省はことし三月に「市町村合併の協議の進展を踏まえた今後の取り組み(指針)」を通知し、合併論議の広がりに応じた全県的かつ計画的な取り組みを一層強化する必要があるとして、合併特例法の期限である平成十七年三月三十一日まで残された期間はあと三年、できるだけ早期に法定の合併協議会をと呼びかけ、ことし平成十四年は正念場の年としています。また、五月三十日、全国町村議会議長会は、昨今の市町村合併は、本来一手段であるべき合併が目的化しており、小規模町村への合併圧力は殊のほか強いと批判、国と地方がともに陥っている財政危機のために、合併を推進することのみが、効率的な行政を確保し、真の地方分権に果たしてつながるものか極めて疑問と指摘、小規模町村の自立を可能にする法制度の整備を求める決議を可決していることは尊重されるべきと思います。私は、合併には何でも反対という立場ではありません。住民が自主的に判断して合併を選択する場合も当然あり得ると考えています。しかし、ゴールが決められたもとで自主的決定が本当にできるのかなお疑問であります。そこで伺います。一つ、県はことしの重点支援策として市町村財政の長期見通しの作成を支援するとしています。合併後十年間は地方交付税について、合併算定外による特例、その後五年間の段階補正があり、新市町村規模に合わせた交付税は縮小されます。合併特例債も十年を基準としているなど、特例期間に限ったシミュレーションではなくもっと長期に見通しを立てるように支援すべきと思いますが、見解を伺います。二つとして、合併すると確かに財政規模は大きくなりますが、もともと財政力の弱い自治体同士が合併しても財政力がつくとは言えないと思いますが、見解を伺います。三つに、法定の協議会は合併の是非も含めて検討するとしていますが、住民が判断をするには時間も材料も足りな過ぎるのではないかと考えますが、見解を伺います。第四に、知事はこれまでたびたび県合体のお話をされてきました。昨年十一月に経済財政諮問会議に出された民間議員の文書には、市町村合併が進んだ段階での都道府県のあり方や道州制についても審議されることを望むとあり、経団連も、道州制も含め具体的な検討に早急に着手し、市町村合併特例法の期限までに方向性を取りまとめるべきであると強調しています。全国を七から十程度の道州に分けるなどという案も聞こえてきますが、もはや地方自治体とは言えないものであり、県民にとってのメリットはないと考えます。市町村合併への住民の関心が高まらないのになぜ県合体なのか、道州制あるいは県合体について県にとっての必要性をどう考えているのか伺います。  質問の第三点目は、田子町と岩手県二戸市の県境不法投棄事件についてです。六月十五日、青森、岩手県境不法投棄事案にかかわる合同検討委員会が開催され、十八日には知事が環境大臣に国の支援を求めたと聞いております。日本最大規模の不法投棄事件とされてからようやく国も動き出したという感を持っています。両県の認識や地域住民の思いにもずれがあり、原状回復への道もまだ困難な状況のようでありますが、一日も早い解決を期待するものです。そこで第一に、不法投棄の全容解明が先決と思いますが、岩手県では廃棄物から排出事業者を割り出し、二戸保健所が廃棄物処理法に基づく報告徴収を行っていること、排出事業者の法的責任を解明するとしていますが、青森県では、廃棄物の内容と廃棄物にかかわる──失礼しました。廃棄物の内容と排出事業者にかかわる調査状況がどうなっているのか伺います。次に、もっと早い時期での両県の連携がとれなかったのか疑問に思うところですが、岩手県と青森県とで不法投棄の状況にどう違いがあるのか伺います。第三に、私は、全量撤去を目指すべきという考えに変わりはありませんが、県が言う汚染拡散防止のための緊急対策は急ぐべきと考えています。ただ、地盤からいって基礎はどうなるのかなど囲い込みの具体的なイメージはまだ見えてきませんが、囲い込みについて技術的に検討すべき課題は何か伺います。  質問の第四点目は介護保険と医療制度改革について。介護保険は三年目に入りました。月数万のわずかな年金から保険料が天引きされて暮らしていけないなど、不満、矛盾は尽きません。六月の全国担当課長会議において厚生労働省は、全国的にも四百三十一の自治体で保険料の何らかの減免をしていることを発表し、そのうち百十八の自治体が、いわゆる三原則を遵守しないで一般財源からの繰り入れや全額免除などの減免制度をやっているのは許されないという強い姿勢を打ち出しています。一方、翌日の全国市長会では、独自に保険料第二段階の一部に減免をしている市町村もあることなどから、利用料と、統一的に国の責任による低所得者対策の確立を求める決議を上げています。現場では大きな矛盾になっていると受けとめました。そこで第一に、介護保険事業計画の見直しは、保険料の値上げや特別養護老人ホームの待機者の解消等住民にとっても関心が高いところですが、現在どのように整理し、どのような観点から検討していくのか伺います。第二に、介護保険の保険料を滞納している被保険者は保険給付が制限されますが、県内の状況がどのようになっているのか伺います。第三に、診療報酬の改定により、入院六カ月を超える患者の保険給付が特定療養費化されて入院基本料の一五%が患者負担にされました。これでは退院を余儀なくされ、行き場を失うことにもなりかねません。療養型病床など介護保険における受け皿整備が求められると国は言っておりますが、県ではどのように対応するのか伺います。第四に医療制度改革について。昨年十二月の定例県議会での医療改悪に反対するべきだという私の質問に対し県は、国民医療費は三十兆九千億円に上っており医療保険財政は危機的な状況だとし、国の推移を見守る旨の答弁をされました。しかし、日本の医療費三十兆円は先進国の中で十八位、決して高い水準ではありません。年々国庫負担を削り、窓口負担増で国民が病院に行かなくなるから総医療費を削減できるという国の考え方をよしとするのでしょうか。きょうにも衆議院通過かと言われておりますが、「健康保険法等の一部を改正する法律案」、いわゆる医療制度改革により県民にどのような影響があると認識しているのか伺います。  質問の第五点目は地域経済と雇用対策についてです。不況がますます深刻化する中、本県における有効求人倍率は〇・二八倍と全国最下位に陥り、昨年度の離職者数が約九千人──ただし五人以上解雇者を出した事業所の統計であります──に上り、前年度の二・四倍にも達しています。総務庁統計局の平成十一年事業所・企業統計調査では、本県において、平成八年から十一年までに事業所数は三千四百六十五、四・七%も減少しています。そのうち、従業員が一人から四人の事業所が二千五百六十七、五・三%も減少しています。従業員数で見ると、全体で三万二千三百三十九人、うち一人から四人の事業所は八千九百二十七人も減少しています。小規模企業こそ雇用の場を担っているのであり、それが今どんどん減っています。ここにこそ手厚い支援が求められていると考えます。そこで伺いますが、第一に、国の金融安定化特別保証制度が十三年度で終了したこともあり、県の経営安定化緊急支援資金、いわゆるマル安の利用がふえていると思いますが、どのような実績になっているでしょうか。また、資金繰りが悪化して多重債務という問題も増大しています。五月に「多重債務被害者の会」が県に消費者金融に対する行政指導の徹底を求める申し入れを行いました。この会のメンバーはいわゆる零細業者であり、金融庁のガイドラインを活用して特定調停を申し入れ、分割納付あるいは過払い返還を求めるなど頑張っている方たちであります。ところが、金融業者は必要な資料や書類の提出を拒否したり、調停を申し立てた途端に「一括で払え」と何度もおどすなどの実態がその場で紹介されました。国との連携もとりながらの金融機関への指導や相談窓口の改善も求められておりますが、小規模企業者の資金繰り悪化に対する県の対応について伺います。第二に、青森市の中核工業団地が今年度から全面的に分譲になりましたが、現在の立地状況と、補助金などの優遇制度が活用されているのかその状況を伺います。次に、関連公共事業と合わせて百四十四億七千万の事業費のうち、県土地開発公社が用地取得・造成を行い、その残高が三十八億円、未分譲は三十七億七千七百万余と聞いておりますが、分譲されなければ県の損失補てんが発生すると思われますが、どのように対応するのか伺います。第三に、昨年六月の定例会で私は、厚生労働省がサービス残業の通知を出したことで、この周知徹底と県内企業の実態調査を求めました。このほど県でも中小企業等労働条件実態調査の結果がまとまったと思いますが、どのようになっていますか、また、この結果を受けての今後の対応について伺います。第四に、青森県雇用安定創出対策本部において二万一千人の雇用目標が示されました。目標を示して雇用を生み出そうとする姿勢は大いに評価したいと思いますが、既に実施されている緊急地域雇用創出特別交付金事業での八千人を除くほかの数字についてはどのように積み上げを行ったのかについて伺います。  質問の第六点目は核燃料サイクルとITERについてです。六月五日のMOX燃料加工施設に関する説明会の中でも、電事連の専務さんがプルサーマルは全くちっとも見通しがないと発言されるなど、プルサーマルの行き詰まりは明らかです。福島県の佐藤知事は、プルサーマル受け入れを拒否し、資源エネルギー庁が福島県のエネルギー政策検討会へ出席して説明したいという申し出にも応じませんでした。福島県知事はみずから主催した研究会を通して、「電力自由化の中でこんなにコストのかかるものが必要なのか。ウランに余裕のある五十年程度はワンススルーで行う方法もある。プルサーマルを実施すれば使用済み燃料の再処理でプルトニウムはたまるだけ」などと発言しており、サイクル政策の根本に触れています。そもそもプルサーマルが進まなければ、MOX加工施設でつくった燃料がそのまま置かれることを心配するよりも再処理をやめることが先決であります。再処理工場は、来年二月に予定していた化学試験をことしに前倒しし、来年六月にはウラン試験、二〇〇四年七月には使用済み燃料を使ったアクティブ試験を行うということで、放射性物質を使った試運転がいよいよ始まろうとしています。プルサーマルの見通しがないままウラン試験やアクティブ試験を実施すべきではないと考えますが、見解を伺います。第二に、高レベル放射性廃棄物の永久処分の行方についてですが、高レベル放射性廃棄物の処分実施主体である原子力発電環境整備機構は、条件が整い次第市町村を対象として概要調査地区の公募を今年度を目途として開始するとしています。県はこれまで、青森県を最終処分地にはしないという確約を国と交わしてきたと答えてきましたが、万一県内の市町村から候補地として応募があった場合どのように対応するのか伺います。次にITERの問題です。候補地決定がされたからといって日本共産党はこれまでの反対の立場に変わりはありません。また、きのう議論されました地球温暖化問題とITERの問題は直接に結びつくものではありません。ITERは実験炉であり、人類全体の安定的なエネルギーを目指すという核融合エネルギー開発の目的は実用核融合炉を市場に供給して初めて達成されると言われています。昨年七月の「ITERを基調とした核融合エネルギー実現への開発戦略」という報告書では、地球環境問題への対応のために、石炭資源の使用制限が起こり、二〇五〇年ごろから代替エネルギーの必要性が高まり得るとして、実用化段階に入る、すなわち、産業界が実用炉建設の是非を技術的・経済的見通しを持って判断できる状況に至る時期を二〇四〇年から二〇五〇年ごろと想定したと述べているように、技術的にも経済的にも実用化できるかを判断するのは二十一世紀後半というスパンであり、たとえITERの実験、実用化を目指す立場に立ったとしても代替エネルギーをここに依存することはできないのであります。部長は昨日、バイオマス、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーなどの利用はわずかに一%と述べました。しかし、そもそも、政府の今年度予算案を見ても、新エネルギー予算千四百四十九億円と省エネルギー予算を足しても電源特会の原子力関係予算五千億の五割強にすぎません。世界の流れからいっても予算の重点をどこに置くかが決め手になると思います。そこで第一に、ITERの国内候補地に六ヶ所村が決まりましたが、県の財政負担や廃棄物の問題等については県民合意はなかったと思いますが、今後どのように説明していくのか伺います。第二に、ITERの国際的な誘致活動は国レベルの問題と思いますが、県としてどこまでやろうとしているのか伺います。第三に、ITER計画についての閣議了解では国による特別の財政措置は講じないこととしていますが、県の財政負担はどの程度になると考えているのか伺います。  質問の第七点目は住宅供給公社事件と県営住宅についてです。住宅供給公社の十四億巨額横領事件の裁判が進行し、公社のチェック機能が改めて問われています。今議会に住宅供給公社経営状況報告書が提出されておりますが、訴訟費用などを合わせて十四億七千四百万を不正未決算勘定として処理、外部監査から指摘された内部留保──各種引当金を廃止し、八十三億円余りの剰余金として繰り入れられました。ことしから導入された地方住宅供給公社会計の新基準では、内部留保を生み出したこれらのあいまいな会計を排除しており、会計基準が変わっていれば明らかに横領は発覚していたと思います。再発防止はもちろん、十四億事件の責任が明らかにされて、損失補てんへの納得のいく解決に向かうことを願うものです。そこで、一つは、住宅供給公社が旧役職員等十九名に対し損害賠償請求訴訟を行っておりますが、県幹部職員と公社とが裁判で争うという残念な事態に至っており、このことについて知事の率直な見解を伺います。第二に、公社は解散に向けて事業の廃止、縮小を行っているところですが、資産の処分やプロパー職員の処遇についてどのように進めようとしているのか伺います。県営住宅について。県営住宅は県が責任を持って管理、整備をしていくべきと思います。本来居住保障は憲法二十五条の生存権の基礎となるものです。離婚をした、アパート代が高いという若夫婦、自己破産をして住む家を出された、あるいは、高齢者や障害者、ホームレスやDVなど新たな社会問題も起きており、公営住宅の役割が期待されているところです。県の第七期住宅建設五カ年計画は十二年度で区切りをつけましたが、県の計画戸数四百戸に対して実績は三百五、七六・二五%にとどまっています。市営住宅は弘前市の二百一戸など、市町村の奮闘があって全体の達成率は一一一%だとしています。抜本的な拡充が必要ではないでしょうか。質問の一つは、昨年から申し込み順ではなく年四回の抽せん方式に変わりました。募集方法が変わったことによって入居待機者の状況がどのようになったのか伺います。二つは、車いす専用の住宅がないと思いますが、今後建設する予定はないか伺います。  質問の最後は弘前大学再編問題と教員の問題についてです。教員の人事管理のあり方に関する検討委員会が先月発足しました。指導力不足の教員に対して教員以外の職に配置がえするなどの対応をすると言われています。一九八六年から人事考課制度が実施されている東京では、九九年から業績評価が導入され、AランクからEランクまであって、十万円以上も報酬に差をつけています。自己申告書の提出と管理職による面接が年三回、学期ごとに授業観察を受けます。そもそも相対評価であるということ自体がおかしいと思いますし、評価の結果を本人に開示しません。都高教の調査では、校長先生の積極的な賛成は一一%にとどまり、教員では、学校運営、教育活動にマイナスの影響を与えると答えた人が七五・五%、やめるべきが七六・九%に上っています。「学校のよいところがどんどんなくなっていくのが悲しい。教職についたことをまだ後悔したくないのだが複雑な心境」とは四十代女性教師の声ですが、こんな学校では子供たちにとっても不幸ではないでしょうか。そこで質問の一つは、検討委員会が発足しましたが、指導力不足教員の定義や研修のあり方についてどのように検討されているのか伺います。二つに、教員の病気休職者数と死亡者数について、また、病気休職者に占める精神性疾患の割合はどうなっているのか伺います。三つに、精神性疾患の場合も指導力不足とみなされるといいますが、どのように対応するのか伺います。  最後に弘前大学教育学部再編問題について。昨年十一月に出された「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について」、いわゆる「在り方懇報告書」は、教員就職率の減少や入学定員の縮小などを理由に、現状のままでは、力量ある教員の養成上、中心的役割を果たすべき国立の教員養成学部が十分な対応ができず、今後の我が国の教員養成機能の衰退が危惧されるとして、複数の都道府県ごとに再編、統合することを提起、全国の半分の県が教員養成系国立大学をなくす、空白にしてしまうという計画を提起しました。本県では、お隣の岩手県とどちらが教育学部を残すかなどが問題になっておりますが、どちらに決まっても、一方の学生は、下宿する経済的余裕のない限り教員を目指すことを断念せざるを得ない状況を生み出します。過去最高の不登校や校内暴力、学級崩壊、今日の教育の危機が叫ばれる中で教師を育てることは国民的な課題であります。第一に、弘前大学卒業生の教員就職率はどうなっているのか、県としても教員採用者をふやすなどして受け皿づくりを行うべきと考えますが、見解を伺います。第二に、本県教員のうち弘前大学出身者の割合はどのくらいいるのか。教育学部の再編は教員を受け入れる側にとっても多大な影響があると思いますが、見解を伺います。  以上で一般質問を終わります。 4 ◯議長(冨田重次郎君) 知事。 5 ◯知事(木村守男君) おはようございます。高橋議員にお答えをいたします。
     私からはまず、市町村合併と道州制についてのお尋ねに答えておきたいと思います。高橋議員からは、市町村合併についても住民の関心が高まらない今、県にとって県合体が必要なのかというような視点でのお話がありました。今日の地方分権時代にあっては、地域みずからが自主的、自立的な取り組みをより積極的に進めなければ今後の発展は非常に難しく、各地域が持つさまざまな資源を有効活用し、魅力を高め、地域の総合力を高めていく必要があります。現在県内では、十四の市町村合併の協議組織が設置されるなど、県内ほぼ全域で合併に向けた具体的な協議、検討に入っており、進んできております。住民の関心が高まっていないとは考えておりません。ただ、大筋の流れとして、私なりにいろいろ把握すると、東京を軸にして、西日本といいますか、向こうの方が相対的には先行してきてるという流れがある。その中でも、今申し上げたとおり、各市町村の地域住民、各市町村長さん方や議会等々で合併のための動きが出てきたということであります。市町村合併が本格化すれば、市町村の自立や規模拡大に伴い、市町村を包括する県の果たすべき役割、機能も変わっていかざるを得なくなる。二十一世紀は、地方分権をさらに前進させた地方主権という考えに立脚し、自主、自立の原則のもと、国や地方公共団体の役割の戦略的選択によって地域経営を担う県合体あるいは県連合の時代に入っていくものと考えています。特に、岩手、秋田、青森の北東北三県は地政学的にも一致している部分が多く、経済・社会構造基盤も似通っており、あるいはまた独自性もあります。そういうことで、似通っている基盤の合体、あるいは独自性の合体によってのスケールメリットというのを、国際視点、地方分権の流れの中で北の時代を切り開いていくべき一つのチャンスとして生かさなきゃならない、こういうふうに私は思っております。そのためにも広域連携の実績を社会構造基盤の似通っている三県の私たちは多数積み上げていかなきゃいけない。今言うたような国際視点、あるいはIT革命、人口構造、財政規模等を考えたとき、岩手、秋田、青森の三県が一つになる北東北三県の合体が実態的な選択からいって当然の流れになると考えています。ちなみに申し上げますけれども、前にも話したことがあると思いますが、九州では福岡市だけで百五十何万の人口だそうです。ですから、余り、県合体という方向よりは県連合の方向にもう既に動きが始まっております。私たち北東北三県が合体した場合でも今現在の人口は五百万に満たない。北海道は五百幾らですね。東北が全体で一つになった場合は一千万ちょっとになるはずです。人口だけが問題ではありませんけども、中長期的に見ればそういう方向に入ってきてるということ。先ほど議員みずからもお話しになったとおり、いわゆる政府の第二十七次地方制度調査会の中の小委員会でも道州制の検討に入ったことは御案内のとおりです。議員みずからもお話をされたとおりです。そしてまた、四月二十四日ごろですか、小泉総理が自民党のいわゆる戦略担当の責任者に道州制の検討を指示されております。こういう流れにもう入っていってるわけです。ですから、市町村合併の行き着くところはやはり、私たちは、県合体、県連合という話し合いの方向に進んでいくべきだという認識を持ってのことです。であるからこそ私自身は、国の動きが始まる前から、時代の流れの見きわめとして知事サミットを提唱してまいりました。三県サミットで、観光とか環境とか、情報とか産業とか、食糧の問題とか子供問題とかで公平に話し合ってまいりました。一巡したら北海道にも入ってもらう。北海道には、合体しなくても──合体するためにも、した場合にも、いわゆる相乗効果ということを踏まえての参加をお願いした。三県でお願いしたら北海道知事さんも喜んで入ってくれて、そして、認識としては北海道知事さんも基本的には全く同じ認識を持ってるわけです。もちろん三県知事が同じ認識に立っての動きとなってることで、私たちは緩やかに市町村合併を──皆さんに主体的に努力してもらいながら、私たちなりにまたその行き着くところのことを見きわめて、そして県民の前にみずからの考えも披瀝しながら、そしてまた県議会の意見も伺いながら、そういうことで私たちは進んでいかなきゃいけない、こう思っていることでありますので御理解ください。  その次に、県の住宅供給公社の事件と県営住宅についてのお話がございました。住宅供給公社横領事件に関して公社から旧役職員など十九名が損害賠償請求訴訟を提起され、県幹部職員と公社とが裁判で争うことになったが、これについての知事の見解を伺うという趣旨のお話がありました。県住宅供給公社横領事件に関し、公社旧役職員の任にあった県幹部職員に対する損害賠償請求訴訟が提起されたことにつきましては厳粛に受けとめております。今後は司法の場で請求の根拠や責任の所在が明らかになるものと認識しております。このような不祥事が二度と起こらないように全力で職務に取り組んでまいりたいと思っております。  それから、田子町と岩手県にまたがる産業廃棄物の大量の不法投棄、これについては御案内のとおりです。私としても直ちに現場へ急行しなきゃならないと判断して、十二年七月十六日に既に現場に立っています。そして、私としてはその場で、専門家の意見を聞くべしということ、それから、地域住民にできるだけその動きを公表して、また意見も聞きながら、二県にまたがっている──量とか面積の違いだけでなく一つの事犯が二県にまたがっていること、ですから岩手県と連携を密にして対応すべし、こういう基本方針を指示しながらここまで来ました。その中で、青森県側としての調査の結果が、検討された方から私たちの方に報告がなされたところであります。その報告の中では、例えば、いろんな処理のための、原状回復に向かうための岩手県側との、検討の手法といいますか、いろんな専門家筋から来る両県の考え方、手法の違いといいますか方法が出てきております。私は、これにはこだわることはない、これまでの検討も決してむだではないと。したがって、そのいろいろな方法をすり合わせて、そしてなお両県が話し合いをして、部分的に取り上げられる接点があるならやったらいいということで指示しております。そういう流れの中でも、また雨の季節が来たり、あるいは冬の雪の季節がまた迫ってくるわけです。こういうことで、会議とか打ち合わせとか調整に時間がかかっているだけではならないので、それはそれで努力の一つではありますが、例えば、現場の中でもまた、崩れてきたり、生活を脅かしたり、生産に害がいかないようにしなきゃいけない。そういうことなどを、現況的に応急・緊急処置する必要があるところはしながらも──やらなきゃならないものはしながらでも、いわゆるあの現場の回復に一日も早く努力しなきゃならないという思いで担当大臣にもお会いしてきました。そして、既に、環境省の担当の事務方が私たちとの話し合いに一緒してくれてることを多としています。その中で、環境省の担当大臣も恐らく──日程が許すと担当省のしかるべき責任者が現場にさらにまた入ってくるものということを、希望的にも当然そうあってほしいということを踏まえながら、いずれにしても、私たちは実態的に一日も早く被害のないようにするための努力を続けたい、こう思っておりますので御理解ください。  詳細については担当部長等から説明させます。 6 ◯議長(冨田重次郎君) 小堀総務部長。 7 ◯総務部長(小堀安雄君) 高橋千鶴子議員にお答えいたします。  有事法制と戦後補償についての中で二点お答えいたします。最初に、今国会に提出された有事法案の中で国による代執行を認めているが、そのことについては地方自治の侵害になるのではないかということのお尋ねであります。いわゆる有事の際には国の組織、機能のすべてを挙げて対処する必要があるということから、国が主体的役割の中で指示、代執行の権限を持つことはやむを得ないもの、こういうように考えております。国民の生命、身体、財産を守るためにどうしても必要だ、あるいは武力攻撃の排除のために必要がある、こういう特定の場合に限って、しかも総合調整を図りながら指示をし代執行という順序を踏んでやるという、しかも、その要件や手続はこれから定める法律に書く、こういうふうになっているわけでありますから、この二年以内に整備される法制の中で、地方自治体や国民に対し十分な情報提供を行ってもらい、国会で十分な審議を行っていただきたい、こういうふうに考えております。  次に、有事法制の中で定めている国民の協力義務等について、県民の命や財産を守る立場としてどう考えるかというお尋ねであります。有事の際は国の存立、国民の安全確保が至上命題となっているわけでありますから、国民から協力をいただくということについては県民、国民が理解することだ、基本的にはそう受けとめておるわけであります。また、有事の際に知事が土地等の使用等を行うということについては、県民あるいは国民の生命、身体等を保護するために状況に応じてはやむを得ないもの、こういうふうに考えております。法律の中では、第三条四項の中に、「武力攻撃事態への対処においては、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない」、こういうふうに定められているわけですから、この考え方のもとに法制は運用されるものと考えております。以上です。 8 ◯議長(冨田重次郎君) 知事。 9 ◯知事(木村守男君) 先ほど申し添えるべき大切なことで言わなかったことがあったので、議長のお許しをいただいて今申し添えます。  高レベル放射性廃棄物の最終処分地については、県と国とで最終処分地にしないという取り決めがある、知事の考えを聞かずしてはそれはできないことになっていますね。高橋議員におかれてはそれに触れられて、もしどっかの市町村が応募した場合には県はどうするのかという非常に大事なお話がありましたので、これは知事みずからが直接答えておいた方がいいと思って今立ちました。御案内のとおり、私の方では、政府との一体の取り組みを強化しながら、安全性を第一義とする立場から、それとまた、最終処分地についての県民の不安、それから次世代に対するいろいろな私の思い、いろんなことで、代替エネルギーの開発にもっと積極的に取り組めということを並行して要請しながら、最終処分地にはしないという考えで私は立ち向かいました、あの当時の内閣に。そしてあの文言の文書を取りつけました。したがってこれはお互いに極めて重いものです。これが一つ。それから、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」の中で、経済産業大臣がこれの第二項第三号に掲げる概要調査地区等の所在地を定めようとするときは、当該概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を聞き、これを十分に尊重しなけりゃならないとなっております。したがって、この法律と、それから、取りつけてある、いわゆる最終処分地にしないという政府と県との約束の両方をこれは生かせるわけです。生きているわけです。したがって、どこかの町村が受けてもいいよと応募したとしても県知事の意見を聞かずしてはできない。それから、最終処分地にしないというあのときのいきさつと思いをかけてあの文言になっていますから、その段階で、青森県知事の了解なくしては最終処分地にできないということになっているからそういう言葉が文言になっている。ですから、あのときの状況──法律、制度とか取り決めというのは、どういう背景の中で、どういう趣旨でやったかということ。解釈でなくなるんです、そのために。そういうことと、だからこれが重いということ。それから、今申し上げたこちらの法律の両方とが相まって、いわゆる行政、法律を軸としても対抗できる極めてこれは強いものです。これに一市町村が一方的に手を挙げてもそれによって何ら左右されるものでないというのが青森県行政の強さです。そういう点では皆さん方は心配ありません。以上です。 10 ◯議長(冨田重次郎君) 中村企画振興部長。 11 ◯企画振興部長(中村明義君) 高橋千鶴子議員の市町村合併に関する御質問三点についてお答え申し上げます。まず最初ですが、財政の長期見通し策定に対する支援について、十年という特例期間での見通しだけではなくて、もっと長期に見通しを立てるよう支援すべきではないかという点でございますが、現在、協議会、研究会等で検討しております財政の長期見通しは、法定の合併協議会で策定する市町村建設計画の中の合併市町村の財政計画に反映されるものでございますが、当該計画の期間は、合併特例法の施行に関する国の通知によりましておおむね五年から十年とされております。国が示した期間はあくまでも標準的な期間でございますが、策定主体である合併協議会がこの期間より長い期間で策定することは地域の実情を踏まえた策定主体の判断にゆだねられております。十年を超える長期の財政見通しを立てることは、社会・経済情勢の変化等によりかなり困難を伴うわけですが、県としましては、協議会、研究会等が合併の是非を判断するための資料を作成するに当たって、十年を超える長期の財政見通しを策定する必要が生じた場合にはできる限り支援をしてまいります。  次に、合併すれば財政規模は大きくなるけれども、財政力の弱い自治体同士が合併しても財政力がつくとは言えない、県の判断をということでございますが、国、地方を通じた財政状況が厳しい中で、財政基盤が比較的弱く、国からの財源補てん等に大きく依存しています本県市町村が、保健、福祉、学校教育といった基幹的な行政サービスを適切、効率的に提供するためには市町村合併は有効な手段と考えております。現在合併に向けた検討が進められている協議会や研究会においては、合併により財政規模が大きくなり、結果として、規模のメリットが発揮されやすくなる新しい市町村において行財政の効率性を高めることによって健全な財政運営が図られるよう、関係者の間で十分協議していくことが必要であると考えております。  最後に、法定協は合併の是非も含めて検討するということになっているが、住民が判断をするには時間も材料も足りな過ぎるという点でございます。合併特例法の期限でございます十七年三月まで残すところ三年を切ったわけでございますが、最近の合併実例では、合併協議開始から合併に至るまでに要する期間は平均二年九カ月となっております。本県では、先ほど知事からも御答弁ありましたが、ほぼ全市町村が合併協議を既に開始しております。法の期限まで合併に向けた議論を深め合併を成立させることは十分可能であるというふうに考えてございます。住民が合併の是非や組み合わせを判断するためには、法定の合併協議会が策定する市町村建設計画や合併協定項目が最も重要な判断材料になります。このため、現在協議、検討を進めている協議会、研究会においては、住民を交えた議論を踏まえた上でできるだけ早い時期に合併の方向性を判断し、法定の合併協議会への移行を検討する必要があると考えております。県では、法の期限をにらみ、今年度末までには、協議会や研究会において行財政の見通し、地域の将来構想などを住民にわかりやすく情報提供していくように支援に努めてまいります。 12 ◯議長(冨田重次郎君) 前田環境生活部長。 13 ◯環境生活部長(前田みき君) 高橋議員の御質問のうち県境不法投棄事件について三点お答えいたします。まず、不法投棄の全容解明が先決だと思うが、廃棄物の内容と排出事業者にかかわる調査状況はどうなっているのかということについてでございます。現場の不法投棄廃棄物の状況については、平成十二年・十三年度に実態調査を行った結果、約十一ヘクタールの範囲に、RDF様物約四万七千立方メートル、堆肥様物約二十九万立方メートル、汚泥主体のもの約七万八千立方メートル、焼却灰主体のもの約二十五万七千立方メートルの計約六十七万立方メートルと、岩手県側の約十五万立方メートルを合わせて合計約八十二万立方メートルの廃棄物が投棄されているものと推定されています。この中には、有機溶剤等が混入された堆肥様物や高濃度のダイオキシン類が検出された廃棄物も確認されています。今後、本県及び岩手県のこれまでの調査結果を踏まえさらに必要な調査を実施することにより、一体として現場の状況把握が可能となります。一方、排出事業者にかかわる調査状況については、昨年度までに、原因者である三栄化学工業株式会社の実績報告から排出者、委託処理量などの集計を終えており、今年度はさらに、帳簿類、取引者台帳、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストなどから排出事業者を特定する作業を行っているところです。  二点目です。青森県側と岩手県側で不法投棄の状況がどう違っているのかについてお答えします。本県においては、現場全体にわたって、先ほど申し上げた四種類の廃棄物が重なり合って投棄されており、その大部分が揮発性有機塩素化合物などで汚染されていることが確認されています。一方岩手県側では、本県同様揮発性有機塩素化合物により汚染された廃棄物も確認されていますが、投棄の形態がスポット的であり、その中に特別管理産業廃棄物に該当するものが約二万七千立方メートルあるとしています。  三点目です。緊急的な対策は当然必要だと思うが、県が考える囲い込みについて技術的に検討すべき課題は何かについてお答えいたします。囲い込みの目的は、現場から有害物質が周辺環境へ拡散することを防止することであり、そのためには、現場内の汚染水を可能な限り人為的にコントロールし、汚染水を一カ所に集める必要があります。これまでの調査結果から、現場の地下部分には水を通しにくい岩盤が分布していることが確認されており、専門家の意見を伺ったところ、この現場では遮水壁による囲い込みが有効であるとの意見をいただいているところです。ただし、水を通しにくいこの岩盤に割れ目などがないかを確認する必要があるために現在ボーリング調査により確認をしているところです。以上でございます。 14 ◯議長(冨田重次郎君) 山中健康福祉部長。 15 ◯健康福祉部長(山中朋子君) 高橋千鶴子議員の御質問二項目、六点についてお答えいたします。  まず、戦後補償についてのうち、戦傷病者の傷病恩給の裁定にかなりの日数を要しているようだが、改善を求めていくべきではないかについてであります。軍人恩給は、旧軍人等の生活の支えとして本人または遺族に支給されておりますが、在職年数による普通恩給と戦時中の傷病による傷病恩給とに大別されます。県では国から進達事務を委託されており、本人等から提出された請求書を兵籍簿等をもとに調査し、厚生労働省を経由して総務省人事・恩給局に進達しております。人事・恩給局では請求書類をもとに支給要件に該当するかどうかを審査することになりますが、その審査には多くの事実確認を必要とし、かなりの日数を要しております。特に傷病恩給では、戦後五十七年を経過し、その傷病が戦争に起因するものか加齢によるものかなどの審査に時間を要し、裁定までに通常一年程度かかっております。しかし、請求者が高齢化し一日も早い裁定が望まれておりますので、県としても請求書を受理後速やかに進達するよう努めておりますほか、人事・恩給局に対しても、会議や説明会等の機会に迅速な裁定について要望しております。  次に、シベリアに抑留され強制労働させられた旧日本軍人に対する補償問題についてであります。第二次大戦後旧ソ連によってシベリアに強制抑留された日本人は、旧軍人、民間人も含めますと、厚生労働省の調査で約五十七万五千人に上ると言われております。国においては、抑留期間も軍人恩給の加算対象とするとともに、戦傷病者戦没者遺族等援護法による年金の対象にシベリア抑留中の傷病、死亡を加えるなどの措置を講じてきているところです。本県でも、シベリア抑留者に対する補償問題について、昭和五十五年に県議会で、「戦後強制抑留者の補償に関する意見書」が採択され、国に対して、シベリア抑留者とその遺族に関する現地墓参の実現や慰謝料の支給等の措置を講ずるよう要望した経緯があります。その後この問題につきましては、昭和五十九年の戦後処理問題懇談会報告書において、慰藉の念を示す等の事業を行うための特別な基金の創設が提言され、これを受けて現在、総務省所管の認可法人であります平和祈念事業特別基金において、平和祈念事業として、シベリア抑留者に慰藉の意をあらわすため、恩給資格のない人に十万円、恩給受給者にも銀杯、賞状を贈るなどの措置がとられていることと承知しております。  次に、介護保険と医療制度改革についてのうち、介護保険事業計画の見直しは現在どのように整理し、今後どのような観点から検討していくのかについてであります。市町村では今年度中に計画を見直すこととなっており、現在、平成十九年度までの介護サービス見込み量の中間値を取りまとめ中であります。この中間値は、現在の要介護者の状況、介護給付費の実績等をベースに機械的に推計しているもので、今後の議論の素材となるものであります。本県の介護サービスの現状は、要介護者の割合、在宅サービスの利用割合が全国有数のレベルにあり、また、介護療養型を除く施設サービス基盤の整備率も極めて高いことから、介護給付費が現計画以上に伸びている市町村が多い状況にあります。そうした中、先般公表した在宅の指定介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の入所希望者が一千三百八十七人となっていることは、施設整備の必要性だけではなく、介護支援専門員の機能充実や実効性のある在宅生活支援体制の構築等が求められていることのあらわれではないかと考えております。今後の計画の具体的な見直しに当たっては、これらの実情を踏まえながら、介護保険の趣旨である在宅重視の視点に立って、保健・福祉サービスや介護サービスのあるべき姿とそれに見合った保険料の負担について地域住民の十分な合意を得ていただく必要があると考えており、県としても適切に支援、助言してまいります。  次に、介護保険の保険料を滞納し保険給付が制限される被保険者の県内の状況についてであります。介護保険の保険料を滞納している被保険者については、被保険者の負担の公平、公正の観点から、災害その他の特別な事情があると認められる場合を除き、一年以上滞納した場合には保険給付の償還払い化の措置が、一年六カ月以上滞納した場合には保険給付の支払いの一時差しとめの措置がとられることになっております。県が平成十四年四月末現在で集計したところでは、保険給付の償還払い化の措置がとられている者が一名という状況となっております。なお、保険給付の支払いの一時差しとめの措置が講じられている者はおりません。県ではこれまでも市町村に対し、一つとして、サービスを利用しながら滞納している者に対し、保険給付上の措置について被保険者への周知を図ること、二つとして、保険給付上の措置に至る前に滞納者の状況に応じたきめ細かな納付相談を実施することなどを要請しているところであり、できる限り被保険者の理解を得て自主的に納付していただけるよう、引き続き市町村に助言、支援を行ってまいります。  次に、診療報酬の改正により六カ月を超える入院患者の保険給付が特定療養費化されたことに伴い介護保険における受け皿整備が求められると考えるが、その対応についてであります。国の調査結果では、六十五歳以上の療養型病床群入院患者のうち福祉施設や在宅で対応できる患者の割合は約四割とされているところですが、県としては、在宅サービスの効果的な利用による在宅復帰を原則とし、それが困難な場合には施設サービスで支えていかなければならないと考えております。このため、市町村においては実効性のある在宅生活支援体制を構築していただくとともに、県としては、介護療養型医療施設を含めた施設サービス利用者数をどの程度見込むかについて今後基本的な考え方を取りまとめて市町村に提示し、市町村介護保険事業計画の見直しが適切に行われるよう支援してまいりたいと考えております。  最後に、現在国会で審議中の医療制度改革により県民にどのような影響があると認識しているのかについてであります。我が国においては、急速な高齢化、経済の低迷、医療技術の進歩、国民の意識の変化など、医療制度を取り巻く環境は大きく変化しております。将来にわたって医療制度を持続可能な皆保険制度に再構築していくためには、医療提供体制の効率化や伸びの適正化といった医療費自体の適正化の観点と、給付と負担の公平性の観点との両面から抜本的な見直しが必要であると承知しております。今回の改革の主な内容は、保険者間の給付率を七割給付で統一する一方で、三歳未満の乳幼児の給付率を八割に軽減すること、老人医療の対象年齢を七十歳から七十五歳以上に五年間で段階的に引き上げるとともに、公費負担割合を三割から五割に引き上げること、被用者保険の保険料を見直すこと等となっております。これらの改革により公平な負担を実現し、将来の県民の負担増を圧縮することが皆保険制度を守っていくことにつながり、皆保険制度を守っていくことが中長期的には県民全体にプラスの影響を及ぼすものと考えております。だれもが安心して良質な医療サービスを享受できることは極めて重要であることから、県としても引き続き国会の審議の動向等を見守ってまいりたいと考えております。以上でございます。 16 ◯議長(冨田重次郎君) 蝦名商工観光労働部長。 17 ◯商工観光労働部長(蝦名 武君) 高橋議員の御質問二項目、九点についてお答えします。  まず、県の経営安定化緊急支援資金の平成十三年度の融資実績と小規模企業者の資金繰り悪化への対応についてお答えします。中小企業経営安定化緊急支援資金の平成十三年度の融資実績は、五千五十七件、七百四十二億円となっており、金額の対前年度比は約五倍と大幅な伸びとなっております。融資内容を見ますと、従業員二十人以下の企業の利用が三千九百三十三件、約七八%、四百九十九億円、約六七%を占めるなど小規模企業を中心に利用されており、経営の安定に幅広く寄与したものと考えております。また、現下の厳しい経営環境を踏まえ、県内金融機関に対しては、昨年度三回にわたり開催した中小企業対策金融懇話会において各金融機関のトップの方々に中小企業に対する融資促進等について要請を行ったほか、今年度においても去る四月十六日に開催した制度金融運営協議会において同様の要請を行うなど、機会あるごとに県内中小企業に配慮した弾力的な運営について要請を行ってきているところであり、今後とも、信用保証協会や県内金融機関との連携のもと、県の中小企業セーフティーネット資金や市町村による簡易小口資金、国民生活金融公庫による小企業等経営改善資金等の制度と補完し合いながら、県内中小企業の金融の円滑化のために積極的な金融支援に取り組んでまいります。  次に、青森中核工業団地の現在の立地状況と補助金の利用状況についてお答えします。青森中核工業団地については、地域振興整備公団が平成十二年七月に第一期分として一部分譲を開始し、本年四月から全面分譲となったところですが、これまで、運送業、機械販売・修理業、鉄鋼業の三社が立地しているところです。青森中核工業団地に立地する企業に対する補助制度としては高度技術工場等立地促進費補助金がありますが、当該補助金の利用状況については、機械販売・修理業一社が十二年度において交付対象となっているところであります。  次に、分譲が完了せず債務が解消されない場合の県の対応についてお答えします。青森中核工業団地については当初、平成十二年度から全面分譲開始、平成十五年度までの分譲完了を目標としていましたが、埋蔵文化財の調査に期間を要し、今年度から全面分譲となったものです。現在、県内外から十数社の引き合いがあり交渉を継続中であることなどから、まずは、目標としている平成十五年度までの分譲完了を目指し、県、市、地域振興整備公団の連携のもと、積極的なPR活動、各種補助制度の活用促進、企業のニーズに合った区画の見直しなど一層精力的、効果的に企業誘致活動を展開し、早期の分譲完了を目指してまいります。  次に、平成十三年度に実施した中小企業等労働条件実態調査結果におけるサービス残業についてお答えします。使用者には労働時間の管理を適切に行う責務があるが、割り増し賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じております。このため厚生労働省では、平成十三年四月に都道府県労働局に対して「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を示し、使用者等への指導を通達しております。県が昨年九月に実施した中小企業等労働条件実態調査において同通達の周知状況を精査したところ、四八・六%の事業所においてこの基準を知らないとしており、労働時間について問題となったことがあるとの回答が五二・四%あり、そのうち〇・五%は実際の労働時間どおりに時間外割り増し賃金が支払われていないとしております。また、昨年七月に県内労働組合を対象に調査した労働時間の把握等に関する実態調査によれば、五一・一%の労働組合でも同基準があることを知らないと回答しており、労働時間について問題となったことがあると回答したものが四七・九%で、そのうち一三%は実際の労働時間どおりに時間外割り増し賃金が支払われていないとしております。これらのことから同基準が十分周知されていないことがうかがわれるところであり、県としては、このような状況を踏まえ、指導権限を持つ青森労働局と連携しながら、いわゆるサービス残業の防止に努めるとともに、県が発行している広報誌「労働青森」などの広報媒体や各種会議の場を活用して啓発してまいります。  次に、二万一千人の雇用目標について、緊急地域雇用創出特別交付金事業を除いた他の事業についてどのように設定したのかについてお答えします。これにつきましては、雇用の維持、安定と創出に向けた取り組みの中で、中小企業の経営の安定化と新たな雇用の喚起ということで千七十五人、産業の創出、企業誘致等による雇用開発への取り組みで二千四百三十五人、就職促進対策で千三百七十五人、職業能力開発の充実、雇用ミスマッチの解消等で千五百十人、助成金関係で六千三百人というふうになっております。  次に、プルトニウムの利用計画が進んでいない中で六ヶ所再処理工場でのアクティブ試験を実施すべきではないと思うがについてお答えします。日本原燃株式会社によりますと、六ヶ所再処理工場については現在、設置した機器が所定の機能を発揮し、安定的かつ安全に運転できるかどうかを確認するために、実際に機器等に水や空気等を流す通水作動試験を実施しているところです。今後は、本年十月ごろから硝酸、溶媒などを用いた化学試験を、平成十五年六月から天然ウランなどを用いたウラン試験を、平成十六年七月ごろから実際の使用済み燃料を用いたアクティブ試験を実施したいとのことであり、県としては、安全確保を第一義にこれらの試験を着実に進めていただきたいと考えています。また、プルサーマル計画は六ヶ所再処理施設本体の操業に密接に関連するものとの認識から、これまで国に対してプルサーマル計画の推進が着実に図られるよう要請してきたところでありますが、現実問題としてプルサーマル計画にはおくれが出てきており、部分的には順調でないと認識しています。県では今後とも、国及び関係機関の誠意ある対応を見きわめるべく、プルサーマル計画をめぐる今後の動向について情報の収集に努めるとともに、その動向を厳しく見きわめ慎重に対処してまいります。  次に、ITERについての財政負担や廃棄物の問題等について県は今後県民にどのように説明していくのかにお答えします。県としては、平成七年十月及び平成十三年六月に、県民を代表する県議会において二度にわたってITER誘致の意見書が採択されたことは大変重いものであると認識しています。また、昨年七月、文部科学省に対して本県への誘致を提案するに当たり、県議会議員全員協議会などを開催していただき県の考え方を御説明しており、その後も、十月のITERサイト適地調査報告書の取りまとめを受けて経過報告させていただくなど、節目節目で県議会等に御説明、御報告申し上げてきたところです。一方県民に対しては、ITERの誘致表明以降、県議会等の御意見をも踏まえ、あらゆる機会をとらえてITER計画についての理解促進に努めてきたところですが、今後は、文部科学省や日本原子力研究所と連携、協力し、ITERフォーラムの開催、県内各地域における説明会、新聞、ラジオ、県及び市町村の広報紙、商工団体の会報紙等により県民に対して広く情報提供を行い、理解を深めていただくよう引き続き努力してまいります。  次に、ITERの国際的な誘致活動は国の問題であるが、県レベルでどこまでやろうとしているのかにお答えします。去る五月三十一日の閣議において六ヶ所村がITERの国内候補地として選定されたことを受け、文部科学省、日本原子力研究所及び県で構成するITER推進連絡協議会で必要な調整、準備を行い、国内誘致に向けて政府間協議に臨むことになります。今後この協議会の中で各機関の役割分担について協議されていくものと考えており、また、ITER誘致はEU、カナダとの国際競争であり、国が前面に立って誘致活動を進めていくことになりますが、県としても、国及び日本原子力研究所と緊密に連携し、県議会、関係市町村や青森県ITER誘致推進会議などと一体となってITERの誘致実現に全力で取り組んでまいります。  最後に、県の財政負担はどの程度なのかについてでありますけれども、このことにつきましては昨日山内和夫議員、三上隆雄議員に答弁したとおりでございますので御了解を願いたいと思います。以上であります。 18 ◯議長(冨田重次郎君) 山元県土整備部長。 19 ◯県土整備部長(山元 隆君) 高橋議員の御質問三点についてお答えいたします。  まず最初に、住宅供給公社解散に向けての資産の処分やプロパー職員の処遇についてでありますが、公社は地方住宅供給公社法の規定により自主解散することが認められておりませんが、現在国において、地方住宅供給公社検討委員会を設置し、法改正を含めた公社制度の抜本的な見直しを進めているところであります。県公社では解散を視野に入れて事業の廃止、縮小に取り組んでおり、平成十三年度には、ベイタウン沖館ほか二団地の建て売り分譲住宅建設事業や弘前市城東第五土地区画整理組合地区内の土地取得などを取りやめたところであります。平成十四年度からは、販売の主力を建物つきの分譲住宅建設事業から土地だけを販売する宅地分譲事業に移すことにより、資産の早期売却に努めているところであります。公社職員の処遇につきましては、公社の解散に当たっての重要課題であると認識し、現在二十七名いるプロパー職員の年齢構成、公社の事業計画や経営状況を考慮した上で、他の公社への転籍や雇用確保の方法等について公社と県が連携を図りながら検討していくこととしております。  次に、県営住宅の募集方法が変わったことによる入居待機者の状況についてでありますが、県では県営住宅の入居者選考方法を、平成十三年十月から申し込み順の方式から原則年四回の公募抽せん方式へ変更したところであります。ただし、変更前からの待機者に対しては、平成十六年三月末までを経過措置期間として、平成十四年八月末までに希望住戸に空き家が発生した場合は優先的に入居させることとし、九月からは、希望住戸に空き家が発生した場合は、その半分を待機者に入居させ、残りの半分を公募抽せん方式により入居決定することとしております。このことから、入居者選考方法変更前の平成十三年八月末での待機者五百四十三名に意向確認をしたところ、音信不通者や辞退者を除き三百三十名から入居希望があり、その後順次入居が進み、平成十四年四月末までの待機者は百九十二名となっております。なお、青森地区では、変更前の平成十三年八月末での二百七十四名の待機者中百四十四名から入居希望がありました。この時点での空き家は百四十二戸ありましたが、地理的条件、間取り等の条件が希望と合わないことから待機状態となっておりました。その後、これらの空き家などへの入居が進んだ結果、平成十四年四月末の待機者は八十八名となっております。  最後に、車いす対応の県営住宅を今後建設する考えはあるかということでございますが、県では、県営住宅の建てかえ事業に当たっては、一、床は段差のないものとする、二、出入り口、廊下の幅は広くする、三、階段は緩やかにし滑りにくくする、四、浴室、階段、玄関及びトイレには手すりを設ける等のバリアフリー化を進めているところであります。車いすの利用者が自立した生活を営むことができる住宅を整備するためには、さらにトイレ、浴室、台所等に特殊仕様の設備と十分なスペースが必要となります。現在、車いす対応住宅の整備については、心身障害者世帯のための住宅として特別の設計を行う場合、または特別の設備を設ける場合に対して国庫補助対象の特例加算措置が講じられていることから、今後、建設費、家賃、入居希望者などについて調査の上、検討してまいりたいと思っております。以上でございます。 20 ◯議長(冨田重次郎君) 花田教育長。 21 ◯教育長(花田隆則君) 高橋議員の教育に関する五点の質問にお答えいたします。まず、指導力不足教員の定義や研修のあり方についてどのように検討されているのかという点でございます。学校教育の成否は、その直接の担い手であります教員の資質、能力に負うところが大変大きく、教員に適格者を確保することは極めて重要であります。このため県教育委員会では、児童、生徒に適切な指導ができないなどの指導力不足教員への対応について、市町村教育委員会教育長の代表、学校関係者や精神科医、弁護士などで構成する「教員の人事管理の在り方に関する検討委員会」を設置したところでございます。検討委員会では、指導力不足教員の定義及び認定手続、研修の実施及び評価のあり方、研修後の処遇について検討していただくこととしております。五月に開催しました第一回会議においては、国の動向や先行して取り組んでいる各県の状況、及び今後の検討の方向性を確認したところであり、第二回以降の会議において具体的に検討していくこととしております。県教育委員会としましては、検討委員会の提言を踏まえ、今年度末までに指導力不足教員の人事管理システムづくりを行うこととしております。  次に、教員の病気休職者数と死亡者数、及び病気休職者に占める精神性疾患の割合でございます。平成十三年度における本県公立学校教員の病気休職者数は五十名、死亡者は十四名であります。平成十二年度と比較しますと、病気休職者は三名の減、死亡者数は一名の減となっております。また、平成十三年度の病気休職者五十名のうち精神性疾患による病気休職者は十五名で、三割を占めているところでございます。  次に、精神性疾患の場合も指導力不足とみなされるのかという点でございます。指導力不足教員の対象範囲につきましては各県でその取り扱いが異なっておりまして、学習指導や学級経営等の指導力に欠ける教員に限定している県、資質、適格性を欠く教員を含めている県、さらには疾病等の教員も含めている県などさまざまであります。本県においては、指導力不足教員の対象範囲について、「教員の人事管理の在り方に関する検討委員会」で検討していただくということにしておりますが、県教育委員会といたしましては、精神性疾患等の病気によって指導力を発揮できない場合には、まずは専門的な医療機関での受診指導等を行い、治療を優先した対応が必要であると考えております。また、教員の協力体制のもと、良好な職場の環境づくりを進めるとともに、教員が指導力を十分発揮できるよう、精神科医による心の健康相談事業やメンタルヘルスセミナー事業などを実施しまして心身の健康の保持、増進に努めてまいります。  次に、弘前大学卒業生の教員への就職率、及び教員採用者をふやすなどの受け皿づくりでございますが、弘前大学教育学部卒業生の教員への就職率につきましては、文部科学省が発表した国立の教員養成大学・学部の平成十三年度三月卒業者の就職状況によりますと、臨時的任用者も含めまして二六・六%となっております。また、本県における教員採用者数につきましては、教員退職者数の推移、児童・生徒数の推移、小・中学校の統廃合等を踏まえまして、教員の年齢構成の適正化についても配慮して決定しているところでございます。県教育委員会といたしましては、児童・生徒数が減少傾向にある中で、各年度間の採用者数が大幅に変動しないよう平準化を図りながら、中長期的に優秀な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。  最後でございますが、本県教員の弘前大学出身者の割合、それから弘前大学教育学部の再編による影響についてでございますが、本県の公立学校教員一万二千五百四十二名のうち弘前大学出身者は五千百四十二名で、全体の四一%と高い割合を占めておりまして、地元の大学として本県教育を担う教員の養成に大きな役割を果たしているところでございます。本県においては弘前大学が教育学部を有する唯一の大学で、その役割に対して県民から大きな期待が寄せられているところでございまして、また、地元の大学で学び教職につきたいと考えている高校生及びその保護者にとって、幼稚園、小・中・高等学校及び特殊教育諸学校の免許が取得できる弘前大学は大きな存在でございます。このように弘前大学は本県教育の振興に寄与しておりまして、県教育委員会といたしましては、その存在意義はまことに大きなものというふうに認識しております。以上でございます。 22 ◯議長(冨田重次郎君) 高橋千鶴子君。 23 ◯十二番(高橋千鶴子君) 初めに、高レベル放射性廃棄物の永久処分の問題について知事からはっきりとお答えをいただきましたので、ありがとうございます。多分、法的にもこれまでの経過からいっても当然のことだということで知事はおっしゃったと思うんですが、ただ、二月議会の時点で、市町村から候補があった場合に反対するのかという鹿内議員からの同様の質問に対して、覚書があります、尊重されますということではあったんですが、やめてくれというような、反対だというようなはっきりした答えがなかったものですからあえてお伺いをいたしました。二〇〇〇年レポートでは全国どこでも適地だという表現をしております。そういう中で、今、市町村からの公募・手挙げ方式にしたというのは、ある意味で政治決着を望んでいるんだろうと、そういう中での今の動きだと思うんですね、むつ市の中間貯蔵のときのように。それは市町村でということが万一にもあるんであれば、せっかくのこれまでの国の確約がどうなるんだということであえて確認をさせていただきましたので、知事がこうおっしゃったから名乗りを上げるところは多分ないと期待するものですが、万が一あったとしてもはっきり反対されるんだということを確認させていただきたいと思います。  そこで、有事立法の問題で知事のお答えがなくて、再度お伺いをしたいと思います。確かに、有事に備えが必要だということは今までお答えしてくださっていたので、多分それでいいだろうということなのかと思うんです。国民に制限が加えられるということで、重大な事態ではそれはやむを得ないということのお答えが部長を通してあったと思うんですが、私が本文の中でお話ししましたように、予測される事態ということなども書かれているわけです。ですから、もう言うまでもなく、日本がどこかから攻められるなどということはそれこそ万が一にもあり得ないということは、歴代首相やあるいは防衛庁長官などが答えてきた中身でもあります。そういう中で、あえて、備えあればというときに、あるいは予測される事態というものはあるんだということであれば、例えば、今、海外に後方支援として出ている部隊の物資の輸送に民間人を出してくれ、そういうことでもやっぱりやむを得ないという立場をとるのか、このことが一つです。  それから、知事からは、自民党の国防部会の副会長をやってきたということをこれまでも何度もお答えいただいていました。ですから、当然、有事立法の検討が長い間やられてきたことは十分御承知でお話ししてくださっていると思うんです。その中で公式に説明してきたことは、有事法制と簡単に言っても、自衛隊の行動にかかわる法律と、国民の生命、財産の保護などの法律と三つの分類があるんだが、今明らかに検討されてきたのは自衛隊の法律をどうするかという部分であって、ほかの部分にはまだ未着手であるということだったと思うんです。つまり、一番肝心の国民はどうするのか──そのときに国民の財産保護をどうするのかということについてはまだ明確にされていません。この二年間で明確になると言ってるんです。ただやるということだけが先に決まっていくそういうことでいいのかということなんです。十分な審議が必要だとおっしゃっていますので、本当に、四十二日間という会期を区切って、延長してまでの会期の中で審議を尽くせるとは思えないんですが、やはりその結果は急ぐべきではない、十分な審議をして、今はまだ結論を出すときでない、具体的な中身はわからない、そういう形での立場の声をもっと国に上げていくことができるのではないかと思うんです。この点について伺いたいと思います。  それから、田子の問題で知事が平成十二年七月十六日に現地に行かれたということから少し思いを語っていただいたわけですが、これがやっぱり廃棄物なんだとその時点で知事が言明されたことで非常に大きな動きがあったと思うんですが、その前に、ずっと長い間、これは有価物だよということで県の立入権限がなかなかされなかったとかさまざま問題にされてきた。そのことに対して、青森県に対する岩手県の思いだとかさまざまな両県の違いがありました。つまり、平成十二年の前から──平成八年──本当はもっと前からですけども、処分を受けた後からのそういう初動の時点で両県の連携がなぜできなかったのか、この点について伺いたいのと、先日地元の住民の代表の皆さんが全量撤去などの要望を出されましたけれど、これを受けてどのように取り組んでいくのかについて伺いたいと思います。  それから、医療改革については、どのような影響を考えるかということについては具体的なお答えがなかったと思います。皆保険を守るために医療費を抑制することが必要だということは、私が最初にお話しした、窓口負担をふやして医療費を抑制するんだという国の立場と同じだというふうに受けとめていいのでしょうか、もう一度伺います。  それから、介護保険ではサービスの償還払いが発生しているということですが、国保税や保険料が払えない方が償還払いになる、つまり現金で払わなくちゃいけないわけですから、実際はサービス差しどめになっていくと思うんですが、そういうことについてどうか。  千三百八十七人の待機者がいるけれども、やっぱり在宅も必要なんだよということに受けとめられたというお話でしたけれども、じゃ、在宅を本当に安心して受けられる状態になっているかといったら、例えばヘルパーの報酬が非常に少ないという問題がありますよね。それをちゃんとやろうとすれば──報酬を上げようとすればまた保険料にはね返る、サービスを充実させようとすれば保険料がはね上がる、ここに今の介護保険の欠陥があると思うんですが、そのことをどう考えるのか。市長会の決議のように、国の予算は介護保険になったことによって二千五百億何がしかのお金が減っていますので、もとに戻して低所得者対策や必要な介護報酬の引き上げということをもっとやるべきだと思うんです。そのことの声を国にもやっぱり上げていくべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。  それからITERの問題ですけれども、誘致を決めた総合科学技術会議の席上で塩川財務大臣は、閣議了解で言っているいわゆる科学技術基本計画に沿ってやっていくということですが、この計画自体が平成十三年から十七年までのGDPの名目成長率三・五%を前提にしたから実現が困難だ、そういう財政難の中で何とかやってくれというお話をされています。それと、国と県と原研と協議して連携してやっていくと言うけれども、そのやさきに国が原研と核燃サイクル機構の統合を決めましたよね。原子力の安全という研究分野での大事な役割を本来果たしてほしい原研の機能をそういう形で統合してしまう。だから、原子力の分野、ITERの分野でもやっぱり聖域ではない、小泉構造改革のもとでそういう合理化が図られていくということについてどう考えているのか、そのことについて伺いたいと思います。以上です。 24 ◯議長(冨田重次郎君) 小堀総務部長。 25 ◯総務部長(小堀安雄君) いわゆる有事法制という使い方をされておりますが、このことについての再質問にお答えいたします。これまでいろいろな議論がされておりますし、知事会を通しながら、あるいは知事自身いろんな形で物を申してきているわけであります。こういうことで、今後の国会審議においては、これらの意見を踏まえながら、十分な情報提供をいただくとともに、その過程においてその議論を踏まえた十分な審議が行われるもの、そういうふうに考えております。 26 ◯議長(冨田重次郎君) 前田環境生活部長。 27 ◯環境生活部長(前田みき君) 高橋議員の再質問にお答えをいたします。  県境不法投棄事件についての調査や原状回復について当初から両県で連携がとれなかったのはなぜかという御質問でございました。不法投棄された廃棄物の量とか性状、投棄の形態が両県で異なっておりまして、本県側では、現場内に広範囲にかつ大量に投棄され、その大部分に揮発性有機塩素化合物による汚染が見られています。一方岩手県側は、揮発性有機塩素化合物による汚染も見られるものの、全体的には廃食品などがスポット的に不法投棄されており、本県側より量が少ない状況であるとしています。本県側においては、周辺への汚染拡散を早期に防止する必要があったことなど岩手県と事情が異なることから、両県それぞれで調査を行い対策を検討してきたところです。しかしながら、両県ともに周辺住民の安全、安心感を確保することを基本的な考え方としており、両県の調査や対策については、今後の合同検討委員会での検討を踏まえ一体のものとして実施することとしております。  二点目ですが、地元住民から要望が出されたが、住民の理解を得ていくために今後どのように取り組んでいくのかということでございます。今後の対策については、住民代表の方も委員として参加していただいている合同検討委員会の検討を踏まえて両県一体の対策を決定していくこととしているほかに、今後機会をとらえて両県合同の説明会を開催し、情報を公開していくことなどにより住民の方々の理解と協力が得られるよう取り組んでまいりたいと思っております。以上でございます。 28 ◯議長(冨田重次郎君) 山中健康福祉部長。 29 ◯健康福祉部長(山中朋子君) 高橋議員の御質問二点についてお答えいたします。  まず、医療制度改革によって県民が受ける影響についてでございますが、サラリーマンへの影響といたしましては、先ほど申し上げましたように、保険者間の給付率が七割給付で統一される、また三歳未満の乳幼児の給付率を八割に軽減する、また被用者保険の保険料の増があるというふうなことで影響があると考えております。  また、次に介護保険におきます低所得者対策についてでございますが、低所得者に対する保険料の減免措置につきましては、これまでもお話ししておりますとおり、いわゆる三原則を重視する限りにおいては市町村独自で行うものと考えております。県といたしましては、低所得者対策については、制度の根幹にかかわるものとして国が統一的に抜本的な対策を講ずるべきものと考えておりまして、これまでも北海道・東北民生主幹部長会議等を通じまして国に要望してきておりますが、今後とも引き続き強く国に要望してまいりたいと考えております。 30 ◯議長(冨田重次郎君) 蝦名商工観光労働部長。 31 ◯商工観光労働部長(蝦名 武君) ITERに係る国の取り組み姿勢についてお答えします。去る五月二十九日の総合科学技術会議において、我が国は、ITER計画が国家的に重要な研究、開発であることにかんがみ、政府全体でこれを推進するとともに、国内誘致を視野に政府において最適なサイト候補地を選定しITER政府間協議に臨むことが適当である、また、五月三十一日、我が国は国際協力によってITER計画を推進することを基本方針とし、国内誘致を視野に入れ、協議のために青森県上北郡六ヶ所村を国内候補地として提示して政府間協議に臨むとの閣議了解がなされたことは大変重いものであります。また、閣議了解後木村知事と冨田県議会議長が、県民を代表し、小泉内閣総理大臣を初め福田官房長官など関係閣僚と直接お会いし、内閣一体で日本誘致に向けて取り組んでいくことを確認しております。以上であります。 32 ◯議長(冨田重次郎君) 午さんのため暫時休憩いたします。 午後零時十八分休憩        ───────────────────────────────── 午後一時二十六分再開 33 ◯副議長(神山久志君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。十五番滝沢求君の登壇を許可いたします。──滝沢君。  〔十五番(滝沢 求君)登壇〕 34 ◯十五番(滝沢 求君) 自由民主党の滝沢求でございます。今定例会におきまして一般質問の機会を得ましたので、私の所見を述べさせていただき、一般質問をさせていただきます。  先日政府は景気は底を打ったとの見解を発表いたしましたが、このことを実感として受けとめる人がどれぐらいいるでしょうか。恐らく国民の多くは経済の先行きに不安を感じ、みずからの将来に目標や夢を持てないのであります。その最大の理由は失業問題であり雇用不安であります。この問題を解決しない限り国民は政府の見解を実感できないのであります。小泉総理の言う構造改革の極めて重要な課題として産業構造の改革があります。これは、規制改革を推し進めることで新しい産業、企業を積極的に起こし、新たな雇用機会を創出しようとするものでございます。経済特区、あるいは構造改革特区構想が最近では政府の「経済財政諮問会議」で活発に議論されております。この特区構想が早期に具体化され、我が国や地域の産業、経済が一刻も早く活発化されることを強く望みつつ質問に入らせていただきます。  初めに本県の景気動向についてお伺いをいたします。先ほども申し上げましたが、今月初めに日本銀行青森支店が発表した県内金融経済概況によりますと、最近の県内景気動向は、製造業の一部で回復の動きが強まってきているなど、全体として改善してきているとの見方が示されてるわけでございますが、私の周りの状況からはその改善ということが全く実感できないというのが正直な気持ちでございます。実際個人消費は盛り上がりを欠いておりますし、公共投資や企業の設備投資も低迷を続けており、景気回復の兆しが一向に見えてこないのが現在の偽らざる状況なのではないかと思います。このような中で県内の中小企業を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増している感があるわけでございますが、現実に、最近は、新聞報道等を見ても企業倒産関係の記事を目にしない日はないような状況が続いており、企業倒産が一段と増加してきているように感じられます。特に今年度に入ってからは建設業の倒産が増加しているとの報道が目につきますが、最近の倒産状況はどのようになっているのでしょうか。そこで、質問の第一点目として県内企業の倒産の状況についてお伺いをいたします。  次は雇用関係についてお伺いをいたします。本県の雇用環境は依然として厳しく、有効求人数は前年を大幅に下回り、有効就職者数も五万人に上っています。この結果有効求人倍率は極めて低水準で推移し、四月には〇・二八倍と四カ月連続で全国最下位にとどまっております。さらに、平成十四年三月高等学校卒業者の未就職者数は昨年を大幅に上回っております。青森県のあすを担う若者のことを思うとまさに心が痛むところであります。また、五人以上の解雇者を出した企業整理離職者等について平成十三年度一年間の状況を見ますと、事業所数で平成十二年度の約二倍の四百六十五件、解雇者数で約二・四倍の八千九百八十七人と極めて深刻な結果となっております。五月についても、解雇者数で七十二人減の三百二十人となったものの、事業所数では三十一件と前年同月に比べまして五件増加し、引き続き厳しい状況が続いております。特に障害者を取り巻く雇用環境はとりわけ厳しく、平成十三年度の解雇者は平成十二年度の三十六人から三十八人増の七十四人となっており、不利な立場にある障害者がねらい撃ちされている状況であります。そこで次の点についてお伺いをいたします。第一として、平成十四年三月高等学校卒業者の就職状況はどのようになっているのかお伺いをいたします。第二として、長引く景気低迷の中、本県の中小企業の業績状況が一層深刻化を増しつつあり、リストラ、倒産などで障害者の雇用環境が著しく悪化しております。県は弱い立場にある障害者の雇用を確保するためどのような対策を実施しているのかお伺いをいたします。  次に東北新幹線八戸駅開業についてお尋ねをします。東北新幹線については東京発、八戸着の時代がいよいよ十二月一日に実現いたします。東京-八戸がわずか二時間五十分台で結ばれるのでございます。この開業はめでたくも内親王殿下愛子様の満一歳の御誕生の日に当たります。県民の長年の夢でございました青森県開業、また、本県の高速交通時代の幕あけを県民とともにお喜び申し上げたいと思います。そして、知事を初め関係者の長い間の御努力に心から敬意を表したいと思います。昨今の長引く不況、雇用の低迷など先行きの見えない厳しい経済状況の中で、新幹線開業は、まさに県民に夢と希望を与え、今後の県勢発展に大きな効果をもたらすであろうと考えております。この新幹線の本県開業は、首都圏を初め全国各地との交流を促進し、本県の産業、経済、文化観光振興等多くの面で活性化が図られるなど、県民生活全般にわたりはかり知れない効果をもたらすものと期待されております。観光の分野では、地元八戸を初め県としても既に具体的な動きが見られるところでございますが、地方分権時代において、本県が自律的発展を図り二十一世紀の県政の基礎を確立するためには、経済界を初め関係機関が連携しつつ、開業効果をさまざまな面で最大限に発揮していくことが求められております。このことが今後目指すべき一年でも早い新青森駅開業につながっていくものと考えておるところでございます。そこで、新幹線開業効果を波及させるため県はどのような取り組みをしているのかお伺いいたします。  次に、東北新幹線八戸駅開業に伴う観光宣伝対策についてであります。去る五月十四日JR東日本の大塚社長が、東北新幹線八戸駅開業を十二月一日とし、また、愛称を「はやて」、運転本数は東京-八戸間を一日十五往復とすることを正式に発表いたしました。県民の期待も大きく高まっております。とりわけ高い効果が見込まれるのは文化観光分野であります。新幹線の北のターミナルが盛岡駅から八戸駅に移ることによって東京と八戸は最短でわずか二時間五十分台で結ばれることになるのであります。本県には十和田湖や奥入瀬、八甲田、白神山地等豊かな自然、ねぶた祭り、三社大祭に代表される祭りや、三内丸山遺跡を初めとする歴史、文化などの魅力あふれる文化資源、観光資源がたくさんあり、多くの観光客が本県を訪れております。しかし、地域間競争が激しくなる中で手をこまねいているだけでは多くの誘客は望めません。新幹線開業により本県と首都圏が直結することから、首都圏から多くの誘客を図るためには効果的な宣伝媒体を活用した情報発信が重要であると考えております。地元八戸市では、新幹線八戸駅開業事業実行委員会が中心となって首都圏等において郷土芸能や物産を含めた観光キャンペーンを予定していると伺っておりますが、県全体に誘客を図るためには、これらに加え本県全体のPRもまた必要であると考えております。そこで伺いますが、東北新幹線青森県開業に伴う観光宣伝対策として県はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  次に、むつ小川原地域における環境・エネルギー産業創造特区の形成についてお伺いをいたします。三十年来県政の重要課題であったむつ小川原開発は昨今新たな段階を迎えたと感じております。むつ小川原地域がITERの国内候補地に決定されたことはまことに喜ばしいことですし、エコタウン構想やクリスタルバレイ構想などを通じてこの地域に多角的な産業集積を促進していくことが今後ますます重要になってくるものと考えております。このような視点に立ってこれらプロジェクトを推進していくとき、単に本県むつ小川原地域振興の観点のみならず、我が国経済の再生、あるいはアジア規模、世界規模でのグローバルな産業、経済の発展に資するものにさせていくことが必要であります。そして、そのためには、従来から地元財界が強く提唱し、本年二月の予算特別委員会において升田議員が要望された経済特区の指定ということが不可欠であると考えているのであります。そこで、まず、特区形成に当たっての基本理念は何かお伺いをいたします。二つ目として、国においてこうした経済特区を導入しようとする動きが始まっていると聞いておりますが、具体的にはどのような検討が行われているのかお伺いをいたします。三つ目として、県では、むつ小川原地域に環境・エネルギー産業創造特区を形成することを検討しているとのことでございますが、その実現に向けて今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  次に資源循環型産業の振興についてお伺いをいたします。まず、八戸港の総合静脈物流拠点港──リサイクルポートの指定についてであります。今をさかのぼる三十八年前、八戸市は新産業都市に指定されました。そして、これを契機に臨海部には、火力発電所、紙、パルプ、鉄鋼、金属製錬など基礎・素材型産業を中心に数多くの企業が進出してきました。また、八戸港は東北有数の港湾として、大型公共岸壁を初めフェリー専用埠頭、グレーンターミナルのほか各地区を結ぶ臨港道路など物流需要に対応した港湾機能が整備されており、今後とも東北の拠点港湾として重要な役割を担うものと期待されております。しかしながら、近年我が国においては、生産拠点の海外移転が進み、事業統合、産業再編のうねりが押し寄せており、政府の構造改革路線の推進とともに産業秩序の変革が大きな課題となっております。これにこたえるべき二十一世紀型産業の一つの方向としてエネルギー大量消費型産業から資源循環型産業への転換が求められており、二酸化炭素の排出量削減など環境に優しい循環型社会の実現のため各種施策が積極的に推進されているところであります。そして、この循環型社会、リサイクル時代を支える物流システムとして、排出された循環資源の回収にかかわる、海運を利用した静脈物流が大きな注目を浴びているところであります。海上輸送は、大量にかつ安いコストで、しかも環境負荷の少ない輸送が可能であります。十トントラック百六十台分の貨物を総トン数四九九型の船一隻で輸送可能であり、しかも、二酸化炭素の発生がトラック輸送の十分の一で済むとのことでございます。一方、弧状列島である我が国は、ほとんどの主要都市が沿岸部に位置し、それぞれ臨海地帯に立地する基礎・素材企業にはリサイクル処理工場として活用できる大きなポテンシャルを有しております。現に八戸港臨海部に立地している企業は、保有する循環資源のリサイクル処理技術を活用した製品づくりを研究していると聞いております。今回、国土交通省が本年度の重点施策として、港湾を核とした静脈物流ネットワーク構築のため、環境に優しく、安全で低コストの海上輸送で結ぶ総合静脈物流拠点港──リサイクルポートを指定し、優先的に基盤整備等を支援すると聞いております。そこで一点目として、八戸港の総合静脈物流拠点港──リサイクルポート指定に関するこれまでの経緯についてお伺いをします。二点目として、二次指定に向けた今後の取り組みについて県の見解をお伺いいたします。  次に「あおもりエコタウン構想」の推進であります。八戸地域は、かつて、新産業都市建設促進法による地域の指定を受けて企業の集積の形成が図られ、一方では重要港湾に指定されるなど産業インフラに恵まれた地域であります。しかしながら、昨今の経済状況の急激な変化や経済活動のグローバル化に伴い、地域の製造業界も国内のみならず海外との国際競争にさらされ、これまでの生産を本位とした産業からこれにかわる新た産業の創出が必要となってきております。このような状況から、私は、これから、八戸地域が有するすぐれた産業ポテンシャルを最大限に生かし、これに関連した事業を連携させながら産業の振興を図っていくことが地域の産業再生につながるものであり、その意味で、リサイクルポートの整備とあわせて新たな産業振興策が必要だと考えているのであります。そこでお伺いをいたします。県では資源循環型の社会を目指すエコタウン構想を作成中と聞いておりますが、その内容はどのようなものなのか、また、県では本構想の実現に向けどのような取り組みをしていくのかお伺いをいたします。  最後に政策マーケティングについてお伺いをいたします。県では、県民が満足した人生を送れる青森県の実現を目指して、政策マーケティング委員会が中心となって政策マーケティングへの取り組みを進めております。政策マーケティング委員会では、県民意識調査やグループインタビュー、各種アンケートなどを通じて、県民の皆さんが日常生活において何を重要と考えているのか、どういうことに不満を持っているのかなど日常生活に関する課題について調査し、その成果を政策マーケティングブックとして取りまとめ、平成十二年十二月に創刊号を、本年三月に十三年度版を発行しております。このマーケティングブックを読ませていただき、私なりの感想を申し述べるならば、政策マーケティングの主な特徴は、県民の視点に立ち、住民のニーズを具体的な形で拾い上げながら、近い将来における生活水準について目指すべき水準を具体的な数字であらわしているところであります。また、暮らしやすい青森県を目指すため、国、県、市町村などの行政だけではなくて、個人、家庭、コミュニティー、NPO、学校、企業などの公益主体がそれぞれどれだけの責任と役割を担うべきかを分担値としてあらわしている点だと私は考えております。まさに、地方分権の流れの中で県民の視点に立ちながらより暮らしやすい地域社会を築き上げようという意気込みが感じられる全国的にも先進的な取り組みであると評価するとともに、この取り組みが進むことによって、ひいては県民との触れ合いを大切にし、わかりやすく開かれた県政の推進に大きく寄与するものであると思うのであります。さらにまた、私は、この政策マーケティングへの取り組みを広く県内各地に根づかせていくことによって、生活場面において住民と直接のかかわりを担う市町村行政の質の向上や地域団体などの活発な活動に結びつけていくことが肝要であると考えております。そこで、そのような観点から次の二点について質問をさせていただきます。その一点として、政策マーケティングについての県民へのPR、説明はどのように進めているのか、その二点目として、政策マーケティングでは政策評価について県民の参加を呼びかけておりますが、その具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  以上をもって私の壇上からの一般質問とさせていただきます。 35 ◯副議長(神山久志君) 木村知事。 36 ◯知事(木村守男君) 滝沢議員にお答えをいたします。  私からは、東北新幹線八戸駅開業についての、いわゆる開業効果を県内に波及させるために県はどのように取り組んでいくのかという視点でお答えを求められましたので、求めに応じて答えてみたいと思います。東北新幹線八戸駅開業が本年十二月一日に決まり、去る五月十四日にJR東日本から公表されました。議員の皆様を初め、これまで御尽力いただいた多くの先輩方、関係者に心から感謝いたします。この発表によりますと、東京-八戸間が二時間五十分台で結ばれることになり、こうした時間短縮効果は交流人口の飛躍的増大をもたらし、観光を初め本県全域の産業振興に大きなインパクトを与えるほか、青森県の文化や生活環境など県民生活の豊かさにも結びついていくものと考えています。私は、この東北新幹線八戸駅開業を青森県開業ととらえ、その開業効果を全県的かつ多方面に波及させるため、昨年五月に県内外の各界各層の有識者から成る新幹線青森県開業効果活用協議会を設置し、検討をお願いしてまいりました。本協議会から去る三月二十八日に、交通アクセスを初め文化観光振興、商工業振興、農林水産業振興などさまざまな分野における開業効果活用の具体的な方策としての各種プロジェクトが提言されたところであります。県としてはこの提言を踏まえ、観光面での全国的なキャンペーンの展開、受け入れ体制の強化や交通アクセスの向上などその具体化に取り組んでいるところです。今後とも、経済界や市町村を初め関係者が一体となって、提言のあった各種プロジェクトの推進を中心に、新幹線開業効果をより多くの県民が広く享受できるような施策の展開に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。特に、全県開業にアクセスをどう生かすか、私は、八戸駅から接続する列車ということで三ルートをJRにお願いした経緯がございます。一つは弘前まで、一つは函館まで、それからできれば下北の大湊まで、この三ルートを強く要請したところですが、二つのルートはそれなりに御理解をいただいたんですが、下北の方については具体的にそれについてのお答えとはまだなっていない。次なる大幅なダイヤ改正ということがあり得るわけですから、それに向かってまた持続的に県議会と一体の中で要請を続けていかなきゃならないと思っております。私自身は函館までを視点に入れるということが必要なポイントだという認識を持っておりました。それをやることが──その効果を生かすか生かさないかは、函館・青森地域──青函、あるいは青森県全体の努力ですが、それさえも、十年以内の一年でも早く実現に向かう必要性を実感的に国に迫る──関係機関に迫る、そういう判断も私の根底にはありました。そしてまた、滝沢求議員から求められたとおり、まさしく、十年以内の一年でも早い実現を政府に求めなきゃいけない、そういうことでこれからも求め続けていきたいと思っております。  それから次に、むつ小川原地域における環境・エネルギー産業創造特区の中での基本的な考え方、理念はということが求められました。産業、経済のグローバル化が進展する中で、むつ小川原地域においてクリスタルバレイ構想を初めとする諸プロジェクトを着実に推進していくためには、議員御指摘のとおり、国際的にもすぐれた産業立地環境を備えながら、本県の地域振興はもとより、我が国産業の再生の起爆剤となり得る特区の形成が必要です。私は、地方分権の流れの中で、本県の持つ産業科学技術の蓄積や発展の可能性を踏まえながら、国の動きに先んじて本県独自の特区についての提案を行うよう指示し、去る五月には「あおもりグローバル産業フロンティアゾーン構想検討委員会」を設置して本県固有の特区制度のあり方について検討を行ってまいりました。その結果、ITERの誘致などエネルギー関連のプロジェクトが推進されており、国際的にも極めて希有な複合的エネルギー開発・供給地域としての拠点が形成されるなどや、資源循環型の時代に対応できる産業集積を目指すいわゆる「あおもりエコタウン構想」が進められていることを踏まえて、私たちは、むつ小川原地域を中心に環境・エネルギー産業創造特区というものの実現を目指したいと思ってのことであります。今後は、資源リサイクルやエネルギー関連の思い切った規制緩和などの導入によって、環境・エネルギー分野における幅広い先端技術開発等の推進や、資源リサイクルや多様なエネルギーの最適利用の実現による事業環境の向上等を実現し、グローバル化に対応した液晶関連産業を初めとする新たな産業拠点の形成を図りたいと考えています。今脳裏に浮かぶものがあります。先ほど滝沢求議員は新産業都市指定のことに触れられた。思えば、私たちがまだ県議になる前であったような気がしますが、議員のお父様は市勢発展、県勢発展に尽くされたが、指定に前後して、極めてそれを生かした八戸地域発展にいろいろとこの議場で気を吐いておったことが今浮かんでまいります。時代の流れの中で、今このように経済、財政が厳しい中でも、小泉内閣、そしてまた県行政がいろいろと時代の競争の中で打ち勝っていくために、効果的な財政視点、あるいは、創造、改革を目指しながらもそういう地域の自立力を促しながらやっていこうという流れそのものは私は理解できるところです。その中での特性とか、あるいは意欲のあるところを、しかるべき要素でこれを指定していくというそれが今求められている、そういう中で私たちは、事務方も必死になってそういう動きを把握しながら、あるいは先んじて県行政は今進もうとしている。こういうことで、皆さん方の御理解をいただきながら実りある方向に努力を続けたいと思いますので、県議会の皆さん方の一層の御理解をお願いして答弁といたします。  その他については担当部長等から説明させます。 37 ◯副議長(神山久志君) 竹森政策審議監。 38 ◯政策審議監(竹森 茂君) 滝沢議員の御質問の政策マーケティング関係二点についてお答えをいたします。政策マーケティングについて、県民へのPR、説明をどのように進めておるのかでございますが、政策マーケティングへの取り組みについては、県民の代表、そして専門家などで構成いたします第三者機関の政策マーケティング委員会が中心となりまして、民間企業等で行われておりますマーケティングの考え方を取り入れながら、県民の皆さんが何を望んでおるのかを把握することから、近い将来、どのくらいの水準の生活状態を目指したいのか──目指そう値と申していますが、県民の視点に立ち繰り返し検討を行っており、その取り組み内容を政策マーケティングブックとして取りまとめてございます。政策マーケティングブックでは、県民の皆さんにとって暮らしやすい青森県を実現していくためには、国や県、市町村の行政だけでなく、個人、家庭、コミュニティー、NPO、学校、企業などが役割を担いながら相互に理解、協力していくことが必要であるとしております。このため県では政策マーケティングブックを一万部作成いたしまして、県民の皆さんや市町村、関係団体に広く配布しておりまして、また、県のホームページにおいても政策マーケティングブックを掲載しておるほか、政策マーケティング委員会では委員の方々がそれぞれの立場からPR活動を行ってるところでございます。今後とも、政策マーケティング委員会と連携しながら政策マーケティングのPRを積極的に行っていきたいと考えております。  次に、このマーケティングで政策評価について県民の参加を呼びかけているが、その具体的な取り組みについてのお尋ねでございました。政策マーケティングブックでは、県民の皆さんにとって暮らしやすい青森県を実現していくためには、個人、家庭、コミュニティー、NPO、学校、企業、行政などの主体が役割を担いながら相互に理解、協力していくことが必要であり、県民の皆さんがみずから政策を評価し、政策づくりや役割分担のあり方を考え決めていく政策市場づくりへの参加を広く県民に呼びかけております。このため県では、政策マーケティング委員会と連携しながら、昨年度は青森市、弘前市、八戸市、むつ市の四地域で、県民の生活に密着した地域活動をしている方々約百四十人にお集まりいただきまして、政策マーケティングブックの点検項目をテーマに、地域での問題点や解決策を話し合うワークショップを開催いたしたところでございます。また本年度は、昨年度のワークショップから一歩進め、政策市場づくりのワークショップとして位置づけた上で、話し合うテーマやテーマを考えていくに当たって参加を呼びかけていきたい方々などについて事前に話し合うプレワークショップを開催しております。現在、この成果をもとに、七月上旬をめどに県内四地域でワークショップを開催することにしておりまして、準備を進めているところでございます。今後は、このようなワークショップを通して県内各地域で政策市場づくりの動きが広がり、県民の幸せのためにこの事業が広められることを期待してございます。以上でございます。 39 ◯副議長(神山久志君) 蝦名商工観光労働部長。 40 ◯商工観光労働部長(蝦名 武君) 滝沢議員の御質問八点についてお答えします。  まず県内企業の倒産状況についてお答えします。民間の信用調査機関によりますと、平成十四年一月から五月までの負債総額一千万円以上の倒産件数は七十八件で、対前年比は約一・三倍となっており、また、負債総額は二百八十一億八千万円で、対前年比二・七倍となっています。なお、全国的に企業倒産が高水準で推移しており、東北六県の中では倒産件数、負債総額ともに少ない方から二番目となっております。その内容を見ますと、倒産企業の業種別では、建設業、卸・小売業、サービス業の順に多くなっておりますが、議員御指摘のとおり、特に今年に入り建設業の倒産が急増しており、景気低迷の長期化に伴う民間企業の設備投資の低迷や公共投資の削減等が建設業に大きく影響を及ぼしてるものと考えられます。また、倒産の原因別では不況型倒産と言われる販売不振が最も多くなっております。  次に、平成十四年三月高等学校卒業者の就職状況についてお答えします。平成十四年三月の高等学校卒業者の五月末現在の就職状況は、卒業者数一万八千百二十四人に対して就職希望者数は三千九百六十七人となっております。就職希望者の内訳は、県内が二千五百四人、県外が千四百六十三人となっており、県内就職希望者の割合は六三・一%となってるところです。これに対し求人数は、県内が二千八百六十一人、県外が二千九百九十七人の計五千八百五十八人となっており、全体では前年同月比で九・二%、五百九十四人減となっているところです。これにより全体の求人倍率は前年同月より〇・〇三ポイント上回る一・四八倍となっているものの、県内の求人倍率は前年同月より〇・〇六ポイント下回る一・一四倍となっており、この結果、五月末現在の未就職者は前年同月より九十二人増の二百二十八人と過去最悪の状況となりました。特に、県内就職希望者が全体の九四・七%、二百十六人を占め、極めて厳しい状況にあります。本県のあすを担う若者が希望と意欲を持って職業につくことは、本人ばかりでなく企業や本県経済の活性化のためにも極めて重要であります。国においては、若年者を一定期間試行的に雇用するとともに、実務能力の向上を図るために必要な措置を講ずる事業主を支援し、その後の本採用に結びつけることを目的とする若年者トライアル雇用事業を実施してるところです。今後とも引き続き、教育庁、青森労働局など関係機関との連携を密に図りながら就職先の確保に努めるとともに、公共職業安定所での一般求人からの振りかえや未就職者に対する個別職業相談などにより一人でも多く就職できるよう努めてまいります。
     次に、弱い立場にある障害者の雇用を確保するためどのような対策を実施しているのかにお答えします。障害者については、企業の整理、縮小やリストラによる影響を真っ先に受けやすく、障害者をめぐる雇用環境は特に厳しいものとなっており、平成十三年度の障害者の解雇数は前年に比べ三十八人増の七十四人と倍増しています。県においては、知的障害者を含めて障害者の雇用を改善するため、五月二十八日から六月十日にかけて県職員百十一人を動員し、県内の常用労働者数百人以上の事業所三百八十八社に対して障害者雇用開拓ローラー作戦を実施し障害者の雇用拡大の要請を行いました。その結果、四五%に当たる百七十五社から、「今後、採用する、または採用を検討する」との前向きの回答を得たところです。また、改正障害者雇用促進法の施行に基づき、職業生活における自立を図るために就業及びこれに伴う生活上の支援を必要とする障害者に対する相談等の業務を行うものとして、津軽障害者就業・生活支援センターを五月七日付で指定し、障害者の雇用の促進及び職業の安定を図るための施策の充実、強化を図ったところです。今後とも障害者の雇用については、青森労働局等関係機関との連携を図りながら雇用の推進に努めてまいります。  次に、東北新幹線八戸駅開業に伴う観光宣伝対策についてお答えします。平成十四年十二月一日の東北新幹線青森県八戸駅開業は、本県の産業、経済の活性化や文化観光立県の推進に大きく寄与するものと期待されています。特に観光面においては、大幅な移動時間の短縮が図られることから、首都圏を中心に全国から多くの観光客を誘致するため、青森県がより近くなったことを強力かつ集中的に情報発信していくことが重要であると考えております。県では昨年度より、関係機関と連携を図りつつ、全国公募により「今が旬 すぐ、そこ、青森」のシンボルマーク、キャッチフレーズを定め、また、旅行商品の造成を促進するため、全国の旅行エージェントなどを対象に去る二月十八日には全体誘客促進会議を開催するなど、開業に向けた宣伝活動に積極的に取り組んでるところです。今年度は、七月からJR主要駅や観光施設などの県内各地において、開業告知を主体に、来県された観光客へ歓迎の意をあらわす歓迎横断幕・看板、歓迎フラッグなどを掲出することとしております。また、秋以降から開業直前にかけては、首都圏において観光イベントを開催するとともに、観光キャラバン隊派遣による開業告知や本県への誘客宣伝活動を実施し、さらに開業日前後には、首都圏でのテレビスポットCMの放映や全国紙における新聞広告、開業日から二週間程度のJR山手線一編成十一車両貸し切りの車内広告宣伝を実施するなど、継続的かつ集中的な観光宣伝を展開する予定としております。いずれにしましても、東北新幹線青森県開業は本県観光の振興にとって極めて大きなチャンスであり、新幹線の起・終点となる八戸市はもとより、各市町村、各観光関係団体等とも連携を強化し、県内外での祭りや各種イベント等あらゆる場面を宣伝活動に生かしながら、新幹線開業を誘客促進につなげてまいりたいと考えております。  次に特区導入に向けた国の動きについてお答えします。特区に関して、国においては、いずれも内閣府が所管する「経済財政諮問会議」及び総合規制改革会議の二つの機関において検討が進められています。このうち「経済財政諮問会議」では、地域限定の構造改革を行うことにより地域の特性を顕在化したり、特定地域に新たな産業集積を行い地域の活性化につなげる構造改革特区の検討が進められており、今月中にもまとめられる経済活性化戦略の中で、その中核を担う施策として特区の導入が盛り込まれる見通しとなっています。一方、総合規制改革会議では、規制緩和の推進のため、地域の特性等に応じて特例的な規制を適用したり、一定の規制を試行的に特定地域に限って緩和する規制改革特区の検討が進められています。政府では、特区形成に関係する各省庁間の総合調整を行うため近く内閣官房に特区の推進組織を設置する見通しであることから、県としても、国の動向に留意しつつ、特区形成に向けた検討を進めてまいります。  次に本県における特区の実現に向けての取り組みについてお答えします。県では、国による構造改革特区や規制改革特区などの設置に向けた検討を踏まえながら、「あおもりグローバル産業フロンティアゾーン構想検討委員会」を中心に特区の内容について引き続き検討を進めることとし、本日実施されている委員によるむつ小川原地域の現地調査を経て、電力を初めとするエネルギー自由化の流れを先取りし、また、資源循環型産業の立地を促進するための具体的な規制緩和項目等の絞り込みなどの作業を進め、七月中には中間的な取りまとめを行う予定です。県では既に県選出国会議員に対しても環境・エネルギー産業創造特区の実現に向けた協力要請を行っており、今後は、内閣官房における特区の制度化に向けた動向を踏まえつつ、地元自治体や産業界との連携のもと、関係省庁やエネルギー及びリサイクル関連産業界に対して、我が国の産業再生に貢献するために先導的に導入する規制改革策やそれによって期待される効果等を積極的に提案していくことにより、むつ小川原地域を中心とした地域への環境・エネルギー産業創造特区の実現を目指してまいります。  次に「あおもりエコタウン構想」の内容についてお答えします。県では、廃棄物をゼロにすることを目指すとともに、廃棄物を新たに他の産業分野の原料として活用することによって新しい資源循環型産業の育成を図ることを目的として「あおもりエコタウン構想」の策定を進めているところです。本構想は、産業施策の面から先進的な環境調和型の地域づくりを推進するものですが、特に八戸地区には、既に、非鉄金属、鉄鋼業等において家電リサイクルや焼却灰及び飛灰のリサイクルを行う技術や産業の蓄積があることから、これらのすぐれた技術や産業ポテンシャルを有機的に連携、強化することによって、最終処分場の要らない我が国初のすぐれたリサイクル資源再生利用のシステムの確立を目指すこととしています。また、当地区は、リサイクル資源の流通に対応し得る港湾機能を有していること、北には広大な土地を有するむつ小川原工業開発地区が控えているなど環境産業の育成に恵まれた要件を備えていることから、このクローズド型ゼロエミッションシステムを核としながら、本県固有のリサイクル資源であるホタテの貝殻と一般廃棄物などの焼却灰から、無公害型の人工砂利や自然に負荷をかけない魚礁等のリサイクル商品を製造するなど、関連する資源循環型産業の立地や液晶関連製品等のリサイクル拠点の整備を図りたいと考えております。  最後に「あおもりエコタウン構想」実現に向けての取り組みについてお答えいたします。県では昨年度、県内産業界、学識者、公設試験・研究機関の長で構成する「あおもりエコタウン構想推進委員会」を設置し、委員会の開催とあわせて、資源循環型産業に取り組んでいる企業、地元自治体との勉強会の開催や有識者からのヒアリングを実施しながら、この三月には最終報告の形で、構想策定の方向性や内容等について取りまとめたところです。この報告書の結果を踏まえて、今年度は、「あおもりエコタウン構想」の実現に向けて、住民、事業者、自治体の参加を対象とした「あおもりエコタウンフォーラム」の開催や、資源循環型ビジネスを展開していこうとする事業者等を対象に専門家からの助言、指導の機会を提供する「あおもりエコビジネススクール事業」などの啓蒙・普及活動に加え、構想に基づいてリサイクル関係施設の整備を行う企業に対し国及び県からの補助金の交付を行うことを内容とするモデル企業への支援を実施することとしています。現在県では構想の内容等について経済産業省及び環境省との協議を進めているところですが、今後は、構想の早期承認に向けて積極的に取り組むとともに、関係自治体、事業者、住民と連携しながら先進的な環境調和型の町づくりの実現を目指してまいります。以上であります。 41 ◯副議長(神山久志君) 山元県土整備部長。 42 ◯県土整備部長(山元 隆君) 滝沢議員の御質問二点についてお答えいたします。  最初に、八戸港のリサイクルポート指定に関する経緯についてであります。昨年六月に港湾を核とした静脈物流ネットワーク構想が国土交通省から示され、県は、八戸港について、国の指導を受けながら、総合静脈物流拠点港指定のための計画策定に取り組みました。策定に当たっては、地元八戸市とともに既存の循環型リサイクル関係企業の物流動向・リサイクル資源調査等を実施し、本年一月、国土交通省に八戸港総合静脈物流拠点港整備計画案を提出したところであります。今回の一次指定では四地域、五港が選定されております。これは、我が国を代表する特に大規模な港湾である室蘭港、苫小牧港、東京港、神戸港、北九州港であります。  次にリサイクルポート二次指定に向けた今後の県の取り組みでありますが、今回国土交通省から示された指定要件は、一、地理的、経済的に地域ブロックにおけるリサイクル拠点としてのポテンシャルがあること、二、静脈物流に係る港湾取扱貨物量が一定程度見込まれること、三、リサイクル処理施設が既に立地している、または立地が確実に見込まれることなどであります。これらを踏まえ、地元八戸市と連携を強め、二次指定に向けて引き続き積極的に取り組んでまいります。 43 ◯副議長(神山久志君) 滝沢君。 44 ◯十五番(滝沢 求君) ただいまは知事、関係部長の答弁ありがとうございます。そこで、要望と、一点再質問をさせていただきたいと思います。  資源循環型産業の振興であります。私は、今、地元経済を取り巻く環境には非常に厳しいものがあると肌で感じております。これまで諸先輩方が粉骨砕身、長い時間をかけて築き上げられてきた産業の集積を生かし、何としても新しい産業の再生、新たな飛躍を実現しなければならないという思いでいっぱいでございます。最近ですが、目を閉じれば将来の新産業都市八戸の姿が私には見えてまいります。そこにはリサイクルポートとしてその姿を一新した八戸港が見えるのであります。その静脈物流機能を活用して、環境リサイクル産業の先進モデル地区として飛躍している八戸市が見えるのであります。今回八戸市は国のリサイクルポートの一次指定からは残念ながら漏れたわけでございます。これは非常に残念でございますが、ことしの末には、二次に向けて──予測としてはこれから二次に向けて進むわけでございますが、やはりこれは何としても万全の体制で臨んでいただきたい。そして、なぜ一次で漏れたのか、どういう原因があったのか、理由があったのか、その辺の分析をぜひともしていただきたいと思います。国の方の動き、そしてまた他港の最新情報もどんどん分析していただきたいんです。そして二次に向けて取り組んでいただきたい。また、最近では公共事業の削減は時代の流れであります。港湾整備も例外ではございません。投資効果の期待できる地域に公共投資が集中する時代でございます。このため、このリサイクルポートの採択においては八戸地域での資源リサイクル産業の育成が大きなかぎになると私は確信しているところであります。そこで、知事の強力なリーダーシップのもと、県庁内の産業振興を担う商工観光労働部と港湾整備を進めている県土整備部が両方一体となって、県と市との連携も含めながらスクラムを組んでこの二次に向けて進めていただきたい、振興にも取り組んでいただきたいと思うわけであります。そこで、最後に両部長の決意のほどをお聞きしまして終わりたいと思います。終わります。 45 ◯副議長(神山久志君) 蝦名商工観光労働部長。 46 ◯商工観光労働部長(蝦名 武君) 再質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり八戸地区には各企業が長年にわたり培ってきた産業蓄積がありますが、これは資源循環型産業の拠点としても国内でもまれなすぐれた機能を有しており、また静脈物流のための港湾インフラを備えていることからも、今後の「あおもりエコタウン構想」推進のかぎを握っていると認識しております。このため商工観光労働部としても、県土整備部や八戸市との連携のもと、「あおもりエコタウン構想」の一日も早い承認とともに、八戸地域の企業で構成しているリサイクルシステムの構築を目指して全力を挙げて取り組んでまいります。 47 ◯副議長(神山久志君) 山元県土整備部長。 48 ◯県土整備部長(山元 隆君) 八戸港の二次指定に向けては、既存のリサイクル企業に対して一層の港湾利用を働きかけ、新たなリサイクル関連企業の立地を目指しまして、議員各位の御支援をいただき、八戸市とともに全力を挙げ頑張ってまいりたいと思います。以上です。 49 ◯副議長(神山久志君) 三十七番相馬しょういち君の登壇を許可いたします。──相馬君。  〔三十七番(相馬しょういち君)登壇〕 50 ◯三十七番(相馬しょういち君) 通告に従い一般質問をいたします。  初めに経済の動向と本県経済についてであります。六月十七日、政府は六月の月例経済報告で、景気の現状を、「依然厳しい状況にあるが底入れしている」と底入れ宣言をした五月の景気判断を据え置いています。それは、「生産は一部で増加傾向にあるが、雇用情勢が依然厳しいほか企業の設備投資は減少が続いているため底離れの判断を見送った」と言っています。景気の現状では、アジア・北米地域への輸出の好調に支えられて半導体など電子部品の輸出が増加していることから在庫調整はおおむね終了したと判断、生産は五月の下げどまりから一部に持ち直しの動きが見られるとして上方修正していますが、本格的な回復には、個人消費や設備投資など民間需要が本格的に上向かなければ厳しい状況が続くことになります。その国内経済をリードすべき企業の設備投資と個人消費は依然として弱く、底が見えてこないのが現実であります。設備投資の見通しでは、多くの企業が前期比で減少する計画であり、比較的経営成績のよかった企業でも減少計画であると言われ、海外への投資が盛んな自動車業界も国内投資には慎重で、特に好調なトヨタでも、投資する分はほとんどが北米など海外であるというのであります。一方、個人消費の方は、記録的な暖かさから夏物衣料などの売れ行きが伸びた三月中旬にはいよいよ景気も底打ちかとの期待を抱かせたが、需要の先食いに終わったようで、五月二十四日に発表された四月の個人消費の動向を示す指標である全国百貨店の売上高は再びマイナスに転じ、全国スーパー、外食、家電販売もそろって前年割れの期間を更新しています。日本百貨店協会の発表による四月の売上高は前年同月比二・五%の減となり、二カ月ぶりに減少し、また、日本チェーンストア協会が発表した四月の全国スーパーの売上高も同じく一・二%の減で、四十一カ月連続のマイナスとなっています。次に、日本銀行が六月十三日に公表した六月の金融経済月報では、景気の現状について「国内需要は依然弱いものの、輸出がはっきりと増加し生産も持ち直すなど下げどまりに向けた動きが見られる」と指摘し、五月の「輸出の増加や在庫調整の進展を背景に生産が持ち直しつつあるなど悪化のテンポは緩やかになっている」から判断を前向きに改め、昨年十二月から続いた「悪化」を削除しました。項目別では、輸出は、海外での景気回復に加え、情報関連財などに在庫をふやす動きが出ていることから、五月の「増加している」から「持ち直している」に進めており、個人消費については、「弱目の動きが続いている」と五月の判断を据え置いているが、「一部に底がたさがうかがわれる」とつけ加えています。設備投資については「引き続き減少」としています。また、月報では、「過剰雇用や過剰債務を踏まえると、非製造業や中小企業、家計に前向きの力が広がるにはなおかなりの時間を要する」と指摘し、景気が下げどまったとしても自律的な回復には時間がかかるとする慎重な見方を崩していません。次に、内閣府が六月七日に発表した二〇〇二年一月から三月期の国内総生産──GDP速報では、前期に比べて一・四%の増、年率換算では五・七%の増で、四・四半期ぶりにプラス成長へ転じております。内訳では、輸出は乗用車や半導体、液晶が前期比六・四%増と六期ぶりのプラスで、輸出から輸入を引いた外需の成長率への寄与度は〇・七%であり、これは八〇年以降最大で、外需主導であることが鮮明になっております。一方、内需の柱でGDPの五割強を占める個人消費は、衣服や小型自動車販売の堅調で一・六%の増となり、もう一つの柱である民間設備投資は、デフレによる企業収益の悪化を主な要因として三・二%の減、二期連続マイナスで、景気の足かせになっていると言われています。従来のパターンは、輸出増をきっかけに生産が増加し設備投資が拡大するというものであったが、現時点で設備投資に下げどまりの兆しはないというのであります。なお、個人消費は、三月の記録的な陽気で夏物衣料などの売れ行きが急伸したことが今期のGDPを押し上げたもので、四月には売り上げはマイナスに転じていることからGDP統計にあらわれているほど消費は決して強くないので、依然として慎重な見方がされております。次に、財務省が六月五日に発表した二〇〇二年四月から六月期の景気予測調査によると、大企業の景況感をあらわす景況判断指数はマイナス八・六と五・四半期連続のマイナスであるが、一月から三月期に比べてマイナス幅は大幅に縮小しており、財務省では調査結果は景気底入れを示していると見ています。業種別では、製造業がマイナス三・五と前回調査のマイナス二八・一から急に回復しているが、これは輸出主導によるものであり、非製造業では小幅な改善であったが、製造業が全体の景況感を押し上げたものであって、全産業、全規模では依然としてマイナスが続いており、特に中小企業では製造業、非製造業とも改善幅が小さく、全体でマイナス三七と四十三・四半期連続のマイナスを記録しています。一方雇用情勢ですが、総務省が五月三十一日に発表した四月の完全失業率は前月と同じ五・二%となっていますが、完全失業者数は三百七十五万人と前年同月比で二十七万人増となり、十三カ月連続で前年を超えています。特に、世帯主の失業、倒産やリストラによる非自発的失業は過去最多を記録したと言われています。ところで、季節変動の要因を加味しない数値で見ると五・六%で、前年同月を〇・五ポイント上回っています。仕事探しをあきらめた人を含む非労働人口も百万人ふえており、季節調整数値である五・二%は雇用の厳しさを正しく表現していないとの指摘も多いのであります。男女別では、男性が五・四%と前月より〇・一ポイント上昇、女性は四・九%で〇・二ポイント低下しています。男性は、正社員を中心に就業者が減少し、世帯主の完全失業者は百八万人となり、完全失業率も四・一%で、初めて四%の大台に乗ったというのであります。完全失業者のうち、企業の倒産や解雇などの勤め先都合で失業した人は百二十一万人、定年や雇用契約終了による者が四十万人で、この二つを合わせた従来の区分である非自発的失業者は百六十一万人と、自己の都合で失業した百四万人を大きく上回っています。正社員以外の雇用者数は増加しており、雇用労働者のうちパート社員、派遣社員、契約社員などが占める割合は二八・七%とこれまた過去最高を記録しており、これは、企業が総人件費を抑えるため正社員を減らしパートなどに切りかえていることのあらわれであります。さて、上場企業の経営成績の実態でありますが、日本経済新聞社が五月三十一日に金融を除く上場企業の三月期連結決算を集計したところでは、売上高は前期より二%減で、最終損益では三千七百九十七億円の赤字になっていますが、これは今期が初めてであると言われております。金融を含む全産業でも、一九九九年三月期以来三期ぶりの赤字となっています。これは、十七業種中減益と赤字が十二業種を占めており、その要因は、情報技術産業の不況とリストラに要した費用の増加によるものと言われております。次に企業の倒産ですが、信用調査会社である帝国データバンクが六月十四日に発表した五月の全国企業倒産状況によりますと、倒産件数は前年同月比一・六%減の千六百九十六件で、五カ月ぶりに前年同期より減っていますが、千六百件を超える高水準の件数はこれで五カ月連続となっています。負債総額では前年同月より六・二%ふえ、これで九カ月連続一兆円を超えることになり、五月としては戦後三番目の高水準であると言われております。倒産の要因としては全体の七〇%近くが販売不振で、これまた十四カ月連続で前年同月を上回っております。以上のように、底入れしたとはいうものの輸出の増加がすべてであって、内需に回復の兆しは全く見えない状態であることから今後も厳しさが続くものであることを忘れてはならないと思います。そこで伺いますが、本県経済に対する現状の認識と、本県経済の今後の見通しとその対応について。  次に税制改革と経済、財政についてであります。長期にわたって不景気が続く厳しい経済情勢の中で、五月には底入れ宣言がなされたものの、それは輸出の増加によるものであって、本格的な回復は予測できない状況にあります。それは、個人消費が依然として停滞し、設備投資も減少していることによるものであります。個人消費は、企業の倒産やリストラによる失業者の増加、景気悪化による所得の減少、年金や社会保障等の将来への不安から一向にふえない状況にあります。このような状況の中で税制改革が議論されています。政府の税制調査会や「経済財政諮問会議」においてそれぞれ議論がなされているものの、両者の間に意見の対立があり、その違いが鮮明になってきました。端的に言いますと、政府の税制調査会は増税を志向し、諮問会議は経済の活性化を志向しているのです。これらの議論では我が国経済にどのような影響があるのか、報道された内容をもとに検証してみますと、最も問題なのは政府税調の薄く広くという考え方であります。これは、わかりやすく言うと、課税最低限を引き下げ低所得者の税負担をふやすということです。配偶者特別控除の廃止や金のかかる世代の特定扶養親族の控除の廃止等であり、さらには、サラリーマンの給与所得の経費である給与所得控除の減額、すなわち課税の対象となる給与所得を多くすることで、これらを実施することによって低所得者の税金は増税になります。低所得者ほど収入に占める生活費の割合は高くなっていることから、このような改革は個人消費の減退を招くことになり、景気の回復どころかさらに悪化することは明らかであります。政府税調は、広く薄くの「薄く」の部分は既に実施済みと強調していますが、薄くしたのは所得の多い高額所得者に対する税率を大幅に引き下げたものであって、低所得者はほとんど薄くなっていないのであります。具体的に申しますと、昭和六十二年に所得税の大幅な改正があり、累進税率を適用する課税所得が十九区分、最高税率が八千万円で七五%となっていたものを十二区分に改め、最高税率を五千万以上で六〇%に引き下げ、さらに平成元年には五区分として最高税率を二千万以上で五〇%に引き下げ、平成十一年には現在の四区分、一千八百万以上で三七%とさらに引き下げ、既に実施済みの「薄く」は、今述べたように主として高額所得者に対してなされたものであることを指摘しておきます。減税がどの程度であるかを見ますと、課税所得八千万の納税者は、昭和五十八年に四千五百七十六万円であった税金が平成十一年には二千七百十一万円と一千八百六十五万円、四〇・八%の大幅な減税になっているのに対して、課税所得二百万円では、昭和五十八年の二十四万八千円の税金に対して平成十一年では二十万円と一九・四%の減税にすぎません。今回の所得税改正案では、課税最低限の引き下げによって大幅な増税になります。なぜならば、高額所得者よりも低所得者数がはるかに多いからであり、このことを「広く」と言うのであります。なお、今回の改正は所得税だけではありません、県民税、市町村民税も増税になるのであります。このことを忘れてはなりません。所得から見た本県の平成十三年度における納税者数は課税所得二百万以下が実に七二・六三%を占めており、したがって相当の増税になることは明らかであります。これは青森県のことであります。給与所得控除が減額された場合にはさらに大幅な増税になります。なぜなら、本県で住民税の所得割を納めている納税者のうち給与所得者の占める割合は何と八六・七六%にも達しているからであります。一方、法人税の改革案を見ますと、「経済財政諮問会議」で主として民間議員が経済活性化に向けて法人の実効税率の引き下げが必要だと主張し、その財源として、法人税の課税ベースの拡大、歳出カット、外形標準課税の導入や法人住民税の均等割の引き上げなど地方税での対応の三つがあるとの考えで総理との合意がなされたとのことでしたが、総理が政府の税制調査会に検討を指示した内容では、歳出削減は抜け落ちて、財源はすべて外形標準課税の導入に求める内容になってしまっています。さて、実効税率の引き下げが経済活性化につながるのか甚だ疑問に思います。我が国企業の急速な経営悪化はIT不況がその大きな要因であります。そして、国際競争の激化による販売価格の下落に生産原価の引き下げが追いつけなかったことであります。企業が生産拠点を中国や東南アジアに移しているのは、生産原価の安い製品を製造するため人件費が極端に安い中国等に移しているわけで、このことから見ましても法人税が企業の国際競争力を弱めているものでないことは明らかであります。したがって、力があり利益を上げている大企業の税金を軽減するのに、その財源を赤字で苦しんでいる中小企業等に求め、新たに税金を課税することがどうして経済活性化になるのか全く理解できない理論であり、これを実行すれば日本経済は今以上に悪化することは明らかであります。さて、事業税の外形標準課税の早期導入が税制改革で取り上げられています。事業税は、理論的には、事業が行政から受けるサービス等の利益に応じて納めるべきであるとして、これをあらわす物差しを課税標準とすべきであると言われ、地方税法にそれができる旨の規定はありますが、現実には、納税者である法人の税金を納める力、いわゆる担税力に大きな問題があることから、所得を課税標準として長い間課税が行われてきました。長期にわたる景気の低迷によって経営成績は悪化し赤字の企業が増加しており、リストラもできず、海外に生産拠点を移す力もない弱体化した企業に負担を求めるのは、景気がよかったときでも導入できなかったのに今なぜなのか不可解であります。これが実施されますと企業の倒産は増加し、雇用に、そして景気にも悪影響が出ることが予想されます。そこで伺いますが、一つ、税制改革に対する県の認識について。二つ、本県経済への影響について。三つ、本県財政への影響について。四つ、外形標準課税の問題点について。五つ、外形標準課税の本県中小企業への影響について。  次にリンゴ産業についてであります。言うまでもなくリンゴは本県産業を支える大きな柱であり、リンゴ価格の動向が本県に多大な影響を与えることはこれまでの例から見ても明らかであります。県は平成十一年に単独で生食用リンゴ価格安定対策をスタートさせ、国に強力に働きかけた結果、十三年からは果樹経営安定対策を実現させました。リンゴ農家の経営安定のための知事の決断、努力を多とし、今後とも、制度の改善、加入率の向上などに取り組んでいただきたいと思います。ただ、この制度が発動されずに済む価格で販売されることが理想であることは申すまでもありません。十三年産リンゴの販売も終盤を迎えていますが、早生種の「つがる」はまずまずの価格で販売されたものの、十一月以降価格が下落し、特に主力の「ふじ」が後半も伸びなかったことで、残念ながら五月末累計では、一キログラム当たり二百十一円と、安値に泣いた九年産並みの価格となっています。このため果樹経営安定対策の発動により経営を支えることになりますが、価格低迷の要因をしっかり分析し、今年度以降の生産・販売対策に生かすことを忘れてはなりません。また、最近のリンゴ生産で気がかりなことがあります。ことしは一月中旬以降気温が高く、青森気象台の発表によると、青森市の平均気温が平年の福島市の気温と同じであったと報道されました。最近地球規模で温暖化が進んでいると言われ、その対策が大きな課題となっています。本年のように早い春の訪れにより桜やリンゴの開花が二週間も早まるというのが当たり前のことになるのではないかと危惧されます。また、昨年のように暖かい秋ですと、暖地リンゴの特徴であるやわらかい貯蔵のきかないリンゴになる可能性もあります。暖地化にも対応可能な新品種の開発など、試験・研究面などで準備を怠るべきではないと思います。そこで次の二点について質問します。県は十三年産リンゴの価格低迷の要因をどのようにとらえて十四年産リンゴの販売対策をどのように行うのか。二点目は、温暖化が予想されているが、県はリンゴ生産への影響をどのように認識しているのか。  次は商工行政についてであります。長期にわたる景気の低迷で、中小企業が圧倒的に多い本県にあっては企業の経営が相当厳しい状態にあるものと思われます。したがって倒産が多く、雇用にも大きな影響が出ているものと思われます。そこで次の三点について伺います。一つ、本県中小企業の現状について。二つ、雇用の状況について。三つ、各種融資の利用状況とその効果について。  最後に県重宝の指定について伺います。県内に所在する文化財を保存し活用を図ることを目的に県は文化財保護条例を定めております。この条例に基づき、有形文化財のうち県にとって重要なものを県重宝に指定するとしてその指定が行われていますが、その内容は、神社仏閣や刀剣、仏画が圧倒的に多いようですが、それ以外の絵画等もあると思います。その中から重要なものを県重宝に指定し保存に努めることが重要であり、早く指定しないと売却されて県外に流出することも考えられます。指定することによって、売買等で所有者が変わる場合には新しい所有者が確認でき、活用にも有効であります。そこで伺います。一つ、指定の状況について。二つ、指定に当たっての基本的な考え方について。三つ、今後の指定について。  以上で壇上からの一般質問を終わります。 51 ◯副議長(神山久志君) 木村知事。 52 ◯知事(木村守男君) 相馬議員にお答えいたします。  相馬議員からは、経済の動向と本県経済について、今後の見通しなどについてのお話がありました。特に税の専門家として財政、経済に堪能な議員からの、総体的な、また部分的には各論に迫ったいろいろな御指摘を非常に参考に受けとめながら答えてみたいと思います。本県の経済見通しに関しては、国が最近発表した月例経済報告によると、景気は依然厳しい状況にあるが底入れしているとして、先行きについては、景気は持ち直しに向かうことが期待されるとの観測を持ちつつ、一方、依然厳しい雇用・所得環境などが今後の最終需要を下押しする懸念があるとしていますが、青森県経済の主要指標を見ると、依然として厳しい状況にあると私は認識しております。このような中で、県としてはこれまで、県財政が厳しい環境下にあっても、施策の選択と重点化、そして緊急地域雇用創出対策事業や中小企業経営革新支援等事業などの雇用維持・安定に向けた対策を中心にさまざまな施策を積極的に展開しているところです。今後は国における構造改革の進展を見きわめていく必要がありますが、地域経済の活性化に寄与する施策について適切かつ重点的に、私たち自身も機動的に対応しなきゃいけない、スピーディーに対応することが大事だ、こういうふうに思っております。それから、国全体の景気回復のためにも、国際的な状況を踏まえてなお、いわゆる財政の視点だけでなくて──財政の視点もわかる、と同時に、中長期的に、これだけ失業者が多くなって、それで消費動向を踏まえてみれば、先進国の中でも個人消費の占める率が高い我が国経済の姿等々を踏まえてみて、私としてはやはり新たな政策視点を強める必要があると思う。いわゆる緊急経済・財政支援とか公共事業等々の、堅実に、また集中配分とか効率執行というのは国、地方自治体ともに求められるところで、当然のこと。ただそれだけでは私としてはなかなか──ある程度の失業率を抱えてもいいんだ、雇用への対応や社会保障政策的なこともやっていってるんだから、ある程度やむを得ない、もうそういう時代なんだという認識を持つ経済学者等もおります。しかし、そうでなく、本当の意味での社会保障的な思想というものは、働く場がやはり確保されることが普通の心としては大事なことだ、私にはこういう視点があります。そうだとすれば、今の政府なり、あるいは限られた我々財政窮乏県の中で努力をしていっても、総合的な景気回復と並行しながら失業者の方々の雇用の拡大ということをやってなお国際競争の中で持続的に安定回復して発展を目指すというのはなかなか容易でないと思う。その場合に何が考えられるかとなると、その一つとしては、財政視点、行政の効率化、そして新しい創造性を生み出すためには、いわゆる県合体──県連合ということも、経済、あるいは我が国の未来像に向かうための過程において制度的にこれを生かすこともあっていいんじゃなかろうか、必ずこれにはメリットがある、インパクトになると。そういうことは、財政、あるいは経済に通ずる──すぐれている相馬議員におかれては理解のできることじゃなかろうか、こんなことでお互いに勉強しながらまた議論を重ねていくことがあればいいんじゃなかろうか、こんなふうにも思っているところであります。  その他については担当部長等から説明させます。 53 ◯副議長(神山久志君) 小堀総務部長。 54 ◯総務部長(小堀安雄君) 相馬議員にお答えいたします。  税制改革に対する認識についてであります。今お話の中に出てまいりました六月十三日の政府の「経済財政諮問会議」において「経済財政運営と構造改革の基本方針」が取りまとめられました。翌十四日には政府税制調査会から、中長期的な税制改革の基本方針をまとめた「あるべき税制の構築に向けた基本方針」の答申がなされたわけであります。この答申の中では、公平、中立、簡素の原則を基本としつつ、自由な経済活動を妨げない税制、課税の適正化、簡素化等四つの視点を踏まえて、地方税の改革の方向については、国と地方の役割を踏まえ、税源移譲を含め国と地方の税源配分のあり方について根本から見直すべきとしたほか、地方税の応益性の確保のために、個人住民税における諸控除や均等割の見直し、法人事業税への外形標準課税の導入、課税自主権の尊重などの対応が考えられるとされたところであります。これらに示されている税制改革の推移と中身を見ますと、相馬議員おっしゃるとおりに、税収確保、国民の負担増ということが次第に鮮明になってきており、当初いろいろな形で問題提起されておりました経済活性化につなげるという姿勢が後退しているというふうに私も受けとめておりますし、先ほどお話しのように、個別、具体的にはかなりの負担になってくるということもそのとおりだと思います。ただ、一方においては、中長期的視点から、これまで税制のあるべき姿として問題提起されたことについては項目として挙げられているのではないか、こう思っております。しかしながら、現在の景気動向等を踏まえた場合には、仮に具体的に実施する場合に当たっては、今申し上げました景気の自律的回復につなげるという視点をもう少し前面に出して制度を組み立てていくことが必要ではないか、こういうふうに考えております。引き続き論議の状況を注視してまいりたい、こんなふうに考えているところであります。  次に、税制改革、地方交付税制度や国庫支出金の見直し、それらによる本県財政への影響についてお尋ねがありました。「経済財政諮問会議」において、国から地方への税源移譲、国庫支出金の削減、地方交付税制度の見直し等が具体的に議論されておるところであります。具体的に挙げられた特筆すべきことと評価されているものに、五月二十一日に提出されましたいわゆる片山試案の中で五兆五千億円の税源移譲が提示されておるわけであります。このような具体的な形で出されること自体については大変意義があることだというふうに思っております。ちなみに、この場合の本県税収への影響については、十二年度の決算ベースによる本県のシェア等によって単純に試算しますと、合計では百九十七億円程度の増収は見込まれる、まあとりえず事務的に計算をしているわけですが、ただし、一方においては、国庫支出金の削減、地方交付税制度の算定方法の見直し等の考え方が提示されているわけでありまして、これらのことの本県財政への影響額については具体的な考え方がまだきちんと把握できておりませんので積算は困難でありますけども、内容いかんによっては、先ほど申し上げました増収というものを考慮したとしても歳入総額の減というそういう事態が想定されるというふうに考えております。基本的には、国から地方への税源移譲というものについては、自主財源がふえるわけですから地方分権を推進する上でも非常に有意義であるということであり、片山プランが具体的なものとして示されていること自体そういう観点からも評価すべきもの、こう考えておるわけであります。しかしながら、本県のように自主財源に乏しく脆弱な財政構造にある団体が大きな影響を受けることのないように、我が国全体のバランスのとれた発展に配慮していくということについては十分考えていかなきゃいけないし、我々も主張していきたい、こういうふうに考えております。  その次に外形標準課税の問題点についてであります。この導入についてはこれまで懸案事項として抱えてきた問題であり、その都度の議論等を踏まえて、昨年の十一月にはまた新たな今の形が示されたという経緯があるわけであります。本県としては、これまでは、公平な課税と安定的な税収の確保に資するという地方税のあり方としてはやっぱり望ましい改正であるという考え方を持ってきており、全国知事会においても国に制度化を要望してきている経過があります。しかしながら、先ほど御指摘がありましたように、一方では、これまでの考え方ですと、赤字法人への課税、あるいは景気を踏まえた雇用への懸念、そして導入のタイミングというものについてなどいろいろな問題が指摘されているところでありますので、これらの意見をできるだけクリアしながら、そして各方面の意見を聞きながら導入を図っていくということが望ましいというふうに考えております。 55 ◯副議長(神山久志君) 中村企画振興部長。 56 ◯企画振興部長(中村明義君) 相馬議員の御質問二点についてお答えいたします。  まず本県経済に対する現状の認識でございますが、県内の主要経済指標から最近の動きを見ますと、まず三月の個人消費ですが、大型小売店売上高が前年同月比八・四%の減少となり、乗用車登録・届け出台数も前年同月比三・〇%の減少となるなど全体として低調に推移しております。また、三月の新設住宅着工戸数は六百八十二戸と前年同月比五・九%の減少となりました。製造業の生産を示します三月の鉱工業生産指数は、食料品工業や一般機械工業などが上昇に寄与したものの化学工業や金属製品工業などが低下し、鉱工業全体で前月比八・五%の減少となっています。また、雇用情勢は、求人数が減少し求職数が増加するなど厳しい状況が続いており、有効求人倍率は三月が〇・二七、四月が〇・二八と低迷しております。四月の企業倒産件数は十六件と前年同月を上回り、負債総額も大幅に増加しております。次に、三月の景気動向指数はすべての指数で五〇%を下回っており、また、県民の生活実感により近いいわゆる街角の景気を把握するため昨年から始めました景気ウオッチャー調査でのDI値は、三カ月前と比べた景気の現状と三カ月後の先行き判断のいずれも四期連続して横ばいを示します五〇を下回っております。本県経済は、個人消費、鉱工業生産が全体として低調で、雇用情勢が悪化するなどなお厳しい状況にあると認識しております。  次に税制改革に伴いましての本県経済への影響でございますが、最近の本県経済は、今申し上げましたように、個人消費や鉱工業生産が全体として低調で雇用情勢が悪化するなど厳しい状況が続いているわけですが、このような中で先般政府税制調査会から「あるべき税制の構築に向けた基本方針」が出され、個人所得課税における諸控除の段階的縮小や税負担の増加、消費税の税率引き上げなどが示されたところでございます。このような税制改革の動きは、所得の減少に伴う個人消費マインドの低下等本県経済にとってマイナス面の影響が予想されるところでございます。以上でございます。 57 ◯副議長(神山久志君) 蝦名商工観光労働部長。 58 ◯商工観光労働部長(蝦名 武君) 相馬議員の御質問四点についてお答えします。  まず、外形標準課税の本県中小企業への影響についてお答えします。国が示している法人事業税の外形標準課税の導入案によると、法人全体の約七割を占める赤字法人に対し新たに課税されることとなることから、資金面での新たな負担など、厳しい経営を強いられている本県中小企業に少なからず影響が出てくるものと考えております。国においては、外形標準課税導入に当たって関係機関等の意見を聞きながらその検討を行うこととしておりますが、県としては、その導入時期について、県内中小企業を取り巻く経営環境が引き続き厳しい状況にあることから、今後の景気動向等を見据えつつ中小企業に対し十分な配慮がなされることが望ましいものと考えております。  次に本県中小企業の現状についてであります。まず倒産の状況でありますけれども、平成十四年一月から五月までの負債総額一千万円以上の本県企業の倒産は七十八件、負債総額が二百八十一億八千万円となるなど高水準で推移しており、中小企業を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況にあります。また、「財団法人21あおもり産業総合支援センター」が実施している県内中小企業景況動向調査に基づき本県中小企業の経営状況を見ると、平成十四年一月から三月期の売上DIは、直前の調査期である平成十三年十月から十二月期に比べ製造業、卸売業、農業関連業においてマイナス幅が拡大しているほか、依然として全業種でマイナス基調が続いており、引き続き厳しい状況にあることを示しております。さらに資金繰りDIについても、製造業においてマイナス幅の拡大が続くなど全業種でマイナス基調が続いており、売り上げと同様厳しい状況にあることを示しております。また、経営上の問題点として売り上げ不振を挙げる企業が依然として多数を占めるなど、長引く景気低迷を反映した調査結果となっています。このように本県の中小企業の現状は引き続き非常に厳しい状況にあるものと認識しております。  次に雇用の状況についてお答えします。本年四月の本県の求人・求職動向は、有効求人数が、前年同月より一九・九%、三千五百十五人減の一万四千百八十六人、有効求職者数が、前年同月より六・八%、三千四百三十一人増の五万三千八百五十六人となっています。四月の有効求人倍率は前月より〇・〇一ポイント上回る〇・二八倍となっておりますが、四カ月連続で全国最下位にとどまっております。県においては、この状況を改善するため青森県雇用安定創出対策本部を開催し、産業界を初めとする各団体から御意見をいただき、地域に密着した雇用の安定と創出に努めているところであります。去る六月十四日には第五回会議を開催し、県の雇用対策関係事業と国の雇用創出関係助成金制度の活用により、平成十四年度から十六年度の三カ年間で二万一千人の雇用の確保を目指すという具体的な目標値を設定しました。この目標を達成するためには厳しい困難が予想されますけれども、民間、労働団体、経済団体、国、市町村などとなお一層連携を強化してこの目標達成に全力を挙げて取り組んでまいります。  最後に、各種融資の利用状況とその効果についてお答えします。平成十三年度における県単特別保証融資制度全体の融資実績は六千百九十七件、九百七十五億円となっており、金額の対前年度比は約二倍と大幅な伸びとなっております。融資内容を見ますと、中小企業を取り巻く経営環境の厳しさを反映して、中小企業の資金収支の緩和を図り経営安定に資する目的で実施した中小企業経営安定化緊急支援資金の融資実績が、五千五十七件、七百四十二億円と前年度の約五倍に増加し、建設業、小売業等を初めとしてさまざまな業種の中小企業に利用されたことから、本県中小企業の経営の安定に幅広く寄与したものと考えております。また、新たに事業を開始しようとする創業者や起業家向けの起業化・創業支援資金については、融資枠を増枠して対応したところであり、融資実績は前年度を下回ったものの九十名の雇用を創出するなど、本県経済の活性化と雇用の創出に一定の効果があったものと考えております。平成十四年度においても、経営安定関連制度の中小企業セーフティーネット資金や、幅広い創業、開業や中小企業の経営革新を誘導するための創業支援資金及び経営革新支援資金などの利用促進により中小企業者の経営の安定と新たな雇用の創出に努めることとし、引き続き、信用保証協会や県内金融機関との連携のもと、本県中小企業に対する積極的な金融支援に取り組んでまいります。以上であります。 59 ◯副議長(神山久志君) 長谷川農林水産部長。 60 ◯農林水産部長(長谷川義彦君) リンゴ産業の二点についてお答えいたします。まず、十三年産リンゴの価格低迷の要因と十四年産リンゴの販売対策についてですが、十三年産リンゴの価格低迷の要因としては、長引く経済不況に加えて、競合品目であるミカンなどの収穫量が前年より大幅に増加したこと、県産リンゴの集荷量が増加したこととサンふじを中心にみつ褐変の発生が懸念されたことから十一月以降消費地市場へ大量に上場されたことなど、厳しい販売環境と県産リンゴの果実品質などが重なったためと分析しております。このため十四年産リンゴの販売に当たっては、二年連続の価格低迷は本県のリンゴ生産にとって重大な危機となるとの認識に立って、十三年産の販売経験を踏まえ、関係団体と役割を分担しながら、生育状況に応じた適正管理による良品質生産の指導に努めるとともに、果実熟度に応じたきめ細やかな品質管理の徹底を初め、需要動向の把握とこれに沿った計画出荷の確実な実施、昨年度好評を博した、試食を取り入れた全国一斉販売キャンペーンの展開、さらには、テレビや新聞などを活用したPR活動やふるさと産品消費県民運動を通じた消費拡大運動の展開など、生産から流通まで一体となった対策を積極的に推進してまいります。  次に、温暖化の予想に伴う今後のリンゴ生産への影響についてお答えいたします。今後の長期的な気象見通しに関しては地球規模での温暖化を予想する報告が多くなっています。国の農業環境技術研究所では二〇六〇年代には国内の年平均気温が三度上昇すると予測しておりまして、この予測どおりに進めば青森県は暖地型リンゴの温度条件下になります。暖地化に伴うリンゴへの影響としては、収穫期である秋に気温が高くなることによって、果実の着色不良、果肉の軟化による品質や貯蔵性の低下、収穫前落果などの発生、輪紋病やハダニ、カメムシなどの暖地型病害虫の増加などが考えられます。このため県としては、これらの問題点の洗い出しを行うとともに、長野県等暖地型リンゴ地帯の栽培・防除体系をも参考にしながら、暖地型の生育ステージを想定した栽培管理体系の確立、気温が上昇した場合でも着色が容易ですぐれた貯蔵力を備えた品種の開発、病害虫の発生状況の把握と防除体系の確立などについて、今後試験・研究機関を中心に課題解決の手法を検討してまいります。また、温暖化は気象変動に伴いながら進行することが指摘されていることから、気象災害に備えた事前・事後対策の徹底も重要と考えております。 61 ◯副議長(神山久志君) 花田教育長。 62 ◯教育長(花田隆則君) 相馬議員の、県重宝の指定に関する三点についてお答えいたします。まず指定の状況についてでございます。平成十四年五月末現在の県重宝としての指定は百三十件となっております。その内訳を申し上げますと、建造物として、高照神社本殿などの神社や袋宮寺などの寺院、旧東奥義塾外人宣教師館などの近代建築など、合わせて三十五件となっております。絵画といたしましては親鸞上人連座御影など四件、彫刻としては観音像、阿弥陀如来像、舞楽面など二十九件、工芸品としては日本刀、津軽塗など二十五件、書跡としては久祥院殿写経など二件、考古資料としては二十七件、歴史資料としては南部利康公位牌、湊家文書など八件となっております。  二点目の指定の基本的考え方についてでございます。文化財保護行政の基本的な考え方は、先人が築き守り伝えてきた貴重な文化財を県民共有の財産として保存し、潤いのある県民生活の実現のために積極的に活用するとともに、未来に伝えていくことにあります。この考え方に基づきまして文化財の調査を行い、文化財指定を積極的に進めることといたしております。具体的には、青森県文化財保護条例に基づき、県文化財保護審議会において、市町村等からの情報により作成しました県指定候補検討リストの中から計画的に調査、審議いたしまして、本県にとって重要なもので県重宝に値すると評価された物件について指定しております。  今後の指定についてでございますが、文化財調査は専門的見地から文化財保護審議会委員が行うこととなっておりまして、調査対象物件に挙がったものの中から、例年は十件程度を調査、審議していただき、五件程度を文化財指定しております。議員御指摘の絵画につきましては、他の物件に比べまして件数が少なく、直近では平成三年に貞昌寺の絹本著色当麻曼茶羅図を指定しております。県教育委員会といたしましては今後とも本県にとって重要な美術品等も保存、継承していくことを考えておりますので、県文化財保護審議会の答申を受けて積極的に文化財指定を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 63 ◯副議長(神山久志君) 相馬君。 64 ◯三十七番(相馬しょういち君) 幾つかの問題を取り上げたわけですけども、経済に対する認識はかなり厳しいということでして、そういう点では私の考えてるのと変わりないわけですが、国は底入れ宣言をしておりますけども、先ほど壇上でも申し上げましたように輸出なんですよ。結局輸出だけで、国内はもう全然変わってないわけで、ただ、その輸出も、最近のアメリカのニューヨーク市場での株の大暴落を見ておりますと、その原因の中にはやはり、企業の経営成績の見通しの下方修正が出てきているということ、まあ不正もありますけども──監査で発見できなかったとかいろんなことで不正の問題も出てきていますけども、そういう経営成績が悪くなってきている、アメリカの企業でも。ですから、これまた日本の企業に当然影響が出てくるわけでありまして、本当に予断を許さない状況にある、こういうように思っているわけであります。認識はほとんど同じでありますから結構でございます。そういう中で、今の税制改革、これは大変な税制改革の中身なんですよ。金額的なものが出ておりませんのでどの程度増税になるのかということはなかなかわからないんですけども、ある週刊誌では、専門家が一つの前提を立てましてやった資料がありますけども、かなりの増税になると。というのは、これは実は、前の税制調査会の加藤さんも、これは増税指向だ、これは大変なことだということで、将来のあるべき税制というものを考えてやるべきではないかという指摘もしておりましたし、それから、その中で今出てきているのが外形標準課税、これは前から話題になっているわけで、これは何も突然出てきたことではなく、地方税法の中にそういう課税の仕方があるんですよね。そういう課税の仕方はあるけども、具体的にさてどうするかというと、なかなか物差しが出てこないもんですから、しかも税金を──金というのは、かけたけれども相手が納めないというと何も意味がないわけで、かけた以上、課税した以上は納めてもらうということが前提でありますから、納める能力があるかどうかということの判断になりますとやっぱり所得というのが中心になってくる、これはやむを得ない面があるんですよ。ですから、こういう景気の中でもし外形標準課税をそのまま導入していったら、まあ鶏と卵の話になりますが、鶏がいなくなったら卵は出てこないんですよね。ですから、これでいくと、何か、鶏をみんな食べてしまって、そうするとあとは卵が出てこない、卵が出ないとあとは鶏も出てこない、こういうことになりかねないわけなんですよ。さっきの商工部長の答弁でも中小企業に影響があると。相当あるんですよ。相当あるんです。税制のわからない人は何でも言いますけれども、これはしょうがない、私に相談に来ればいいんですが。本当にこれは大変な内容を含んでいます。景気がいいときでもこれを導入できなかったんですよ。それを今、これだけ景気が悪くなって導入すると言うんですからなかなか大変なことだろうと。自民党の総務会長の堀内さんなんかもいろいろ反対の意思表示をしておりますし、商工会議所あるいは商工会では、そういうようなことでやっぱり導入すべきではないという。これは、景気がいいときであれば私はそう問題はないだろうと、いろいろ検討する必要はありますけれども。そういうようなことですから、これは、知事会としては国に導入を働きかけてる面もあるわけですけれども、非常に大きな問題があるという認識をひとつきちっとしておいていただきたい。最終的にはこれから自民党の税制調査会で決めることになると思いますので、いつ導入するのか、あるいは導入の仕方を変えるのか、あるいはまた延ばすのかこれはわかりませんけれども、大きな問題があるということの認識をひとつ持っていただきたい、こういうように思っております。  それから、個人の所得税、住民税は控除額を下げるというんです。配偶者特別控除をやめるというんです。理屈づけはすごいんですよ。理屈は何とでもつくもんだなあと思って……。これが女性の社会進出を妨げてるなんて、私はちっともそう思いませんけれども。税金をふやすためにそんな理屈をつけてやってるわけですよ、配偶者特別控除をやめますとかと。それから、私はまだ申し上げていませんが、定率の控除もやめるんですと。今二〇%で、最高二十五万円なんですが、これもやめますと。それから、皆さん、給与所得者の給与所得控除を減らすというんですから大変なことなんですよ、実際そうなってみないとわからないかもしれませんが。かなり税負担がふえてくる。下げる理由として、下げて何をするかというと、それよりもかかる人はどうぞ税務署に申告してくださいですよ。できないですよ、なかなか。そういうようなことでございますし、さっき言ったように青森県の中では八六%以上が給与所得者なんです、所得割を納めている人は。だから、これをやると青森県の場合はかなり増税になるんですよ、所得が低い青森県ですから。そういうようなことで、このことも十分心得ておく必要があるのではないかと思います。所得税だけではなくて県民税も市町村民税もみんな高くなるわけです、控除額を一様に下げるんですから。そういうようなことで、これも申し上げておきたい、こう思います。  それから、リンゴについては、これから温暖化が進んでいくことだけははっきりしていますから、それに向けた品種の開発等についてもひとつ試験、研究をじっくりやっていただきたい──じっくりやってると余り長くなりますから、少し急ぎながらじっくりやっていただきたい、こう思います。  それから県重宝ですけども、実は絵画の指定が本当に少ないんですよね。国の重要文化財なんかの指定を見ますと、古いから指定してるんじゃないんですね。例えば速水御舟、あの人は三十何歳で亡くなっていますが、「炎舞」というのを重要文化財に指定してますし、竹内栖鳳は「斑猫」という、これは何か、店の前を通ったら猫がいたので、余りいい猫だからというのでもらっていってかいたそうですけれども、これも重要文化財なんですよ。ですから、古いから重要文化財ではなくて、そのものの内容で指定しておる、こういうことですので、人を指定するんではなくてでき上がったものを指定するわけですから──ちょっと委員が少ないようで思うようになかなか手が回らないのかもしれませんが、そこをひとつ、文化観光立県の宣言もしていますので、そういう重宝に指定した絵画なんかも、あるいは彫刻でも少し多くなっていく方がいいだろうと。ただ何でもというわけじゃありません、それなりの基準を満たしたものでなきゃできないわけですけれども。そういうことでひとつ頑張っていただきたい、こう思います。以上で終わります。 65 ◯副議長(神山久志君) 十五分間休憩いたします。 午後三時二十二分休憩        ───────────────────────────────── 午後三時四十五分再開 66 ◯議長(冨田重次郎君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。十七番山内崇君の登壇を許可いたします。──山内君。  〔十七番(山内 崇君)登壇〕 67 ◯十七番(山内 崇君) 自由民主党の山内崇であります。通告に従い質問を行います。  まず市町村合併についてであります。魅力と活力にあふれる日本を取り戻すためには地方の活性化が不可欠であります。二十一世紀の日本の新生に向けて市町村合併は最重要の課題となっています。なぜ今合併なのか、その理由は以下の三つに集約されると思います。一つは、地方分権一括法が施行されたことに象徴されるように、地方分権の機運の高まりが挙げられます。国民の暮らしに必要な行政サービスは市町村が中心になって行うという地方分権がいよいよ実行段階に入ってきたということであります。つまり、基礎的自治体である市町村があらゆる面で総合的な行政サービスの主体になることが地方分権の実を上げる上で重要であり、そのためにも市町村は足腰の強い自治体にならなければなりません。二つには、広域的な課題に対応する必要が行政全般にわたって出てきたことであります。交通網の整備や、最近の情報通信手段の急速な発達によって住民の活動範囲は現在の行政区域を超えて飛躍的に広域化しています。広域的な交通体系の整備、あるいは公共施設の一体的整備や相互利用、行政区域を超えた広域的な町づくりや施策に対するニーズは大いに高まってきています。例えば、大規模な廃棄物処理施設はある程度の規模の自治体でなければ設置できませんし、また、介護保険の運営についても、高齢者比率が高く若い世代が少ない市町村とそうでないところでは大きな差が出てきます。三つ目としては、国、地方を通じて財政問題がますます厳しくなる中で行財政基盤を強化しなければならないということであります。我が国の財政は、平成十三年度末の国、地方を合わせた債務残高は約六百六十六兆円に達し、そのうち地方財政の借入金残高は百八十八兆円を超えるなど極めて厳しい状況にあります。御承知のとおり、多くの自治体は今日、国からの補助金や地方交付税に依存し、地方債の発行などで借金を重ねつつ財政運営をしている状況にあります。今後ともこうした状況を続けることはもはや困難になってきていると言わざるを得ません。コスト計算の面でいうと、ある程度規模が大きくなれば住民一人当たりの経費は下がり、同じサービスであれば割安で提供できるようになります。つまり、合併によって財政にゆとりが生まれれば、より多様な住民のニーズにこたえることや新しい町づくりに充てることも可能になってくるのであります。しかしながら、合併の必要性は感じているものの、今は何とかやっていけてるからということでなかなか合併に踏み出せないでいる市町村が多いというのが実態でもあるような気がします。果たしてそれでいいのでしょうか。私は、住民にとって将来大きな利益が得られるのであれば、勇気を持って市町村合併という改革に取り組むことが政治の責任であると考えます。合併特例法の期限である二〇〇五年三月三十一日まで残すところ三年を切りました。ここにきて県内でも合併を検討する組織が設置されるなど、ようやく市町村でも具体的な動きが出てきています。県でも、知事を本部長とする合併推進本部を組織し、四地域を合併重点支援地域に指定して重点的に合併の推進を図ることとしているほか、住民の市町村合併の機運を高めるためシンポジウムやセミナー、出前講座などさまざまな普及・啓蒙活動を積極的に実施しています。こうした県の取り組みについては評価するものであります。しかしながら、市町村が実際に合併するまでには協議しなければならない数多くの課題があるほか、住民の十分な理解が何より必要であります。合併は市町村の主体的な判断で行うことが大前提でありますが、その主体性のみにゆだねていて果たして残された期限までに合併できるのかどうか、正直言ってなかなか厳しい地域もあるのではないかと思われます。したがって、今後残された時間を考慮しつつ一層の取り組みが必要であると考えます。そこで二点伺います。市町村合併の推進に向けた平成十四年度の県の取り組み方針について、さらに、地域住民による市町村合併の論議を盛り上げるための方策について御所見をお伺いします。  市町村合併とも関連する問題に自治体病院の機能再編成があります。平成十二年度の県内の自治体病院の決算状況を見ますと、不良債務を抱える自治体病院は十四、その総額は九十一億円となっています。また、平成十三年度の決算見込みでは、不良債務を抱える自治体病院は二カ所減少して十二となるものの、不良債務総額は百一億円にまで膨らむ見通しであり、このことが市町村財政を大きく圧迫している状況にあります。さらに問題となるのは医師の確保についてであります。平成十三年五月一日現在の県内自治体病院の医師充足率は七六・九%となっていますが、病院によっては、いわゆる医師数が基準を下回る標欠となる六〇%ぎりぎりの充足率で、それこそあと一人か二人医師がいなくなれば診療報酬を減額されるおそれのある病院も何カ所かあるようです。また、この医師確保の問題は、医師法の改正により平成十六年度から医師の臨床研修が必修化されることになり、新しい卒医師に対して卒業後の二年間は臨床研修指定病院などでの臨床研修が義務づけられることになりました。これにより、平成十六年度から二年間は新しい医師が医療現場に出てこなくなり、自治体病院の医師確保は大変な事態になることが予測されます。このような状況下においても、自治体病院とそれを支える自治体は現在精いっぱいのところで頑張っているというのが実態であります。しかし、もはや、個々の病院や自治体の努力だけでは事態の打開には難しい面もあるのではないでしょうか。今後は、市町村や県だけでなく国をも巻き込んだ展開が必要になってくると思います。自治体病院機能再編成は早急に進めていかなければならない最重要の課題の一つであります。そこで質問ですが、まず、県内六圏域の自治体病院機能再編成の進状況はどうなっているのか、また、県が進めている自治体病院の機能再編成はどのようなことを目指しているのか、三つ目として、県は自治体病院機能再編成の推進に当たって国に対しどのような支援を要請していくのか、以上三点についてお伺いします。  次に、弘前大学の再編・統合問題についてであります。平成十三年六月、文部科学省は、大学の構造改革の方針、いわゆる遠山プランを発表し、この中で国立大学の再編、統合を大胆に進めるなどの方針を示したところであります。戦後発足した地方国立大学は、一県一国立大学の原則のもと、これまで、高等教育の機会均等を保障するとともに、地域に根差した学術研究やすぐれた人材の養成を行い、医療、教育、文化、産業など多方面にわたって社会に貢献してきた歴史があります。弘前大学も同様に、本県において極めて重要な役割を果たしているのであります。しかしながら、北東北三大学の将来を考えたとき、これまでの一県一国立大学の果たしてきた役割を評価しつつも、それぞれの大学がさらに発展するためには、教育、研究や地域貢献等についてこれまでの枠にとらわれない柔軟な対応が求められているのも事実であります。北東北三大学が連携を強めることによってどのような大学づくりが可能になるのか、そのことをまず明らかにすることが大切であると思います。当面、この秋までに結論を出す意向とされている教員養成系の再編、統合の行方が今後に大きく影響を与えるものと思われます。大学の国立大学法人化への移行が予定される平成十六年まではあとわずか二年であります。北東北三大学、とりわけ弘前大学の再編、統合の行方によっては、本県の社会、経済、教育に及ぼす影響は極めて大きく、かつ重要な問題であると考えます。以上の認識に立って質問します。一つには、現在の弘前大学での検討状況について、二点目として、再編・統合問題について県としてどのように考え、どのような取り組みを行っているのかお伺いします。  次の質問ですが、今回質問させていただいた市町村合併、自治体病院の機能再編成、北東北三大学の再編、統合の問題を考えるときどうしても避けて通れない課題となるのが交通基盤整備の問題であると思います。そこで県内の交通基盤整備について伺います。国土の均衡ある発展の理念に照らし、市町村合併はもちろん、北東北三県の地域間連携と交流、そして津軽海峡軸構想を展望するとき、交通基盤の整備は不可欠であり、最重要課題の一つであると考えます。そこでまず知事にお伺いします。広域行政の進展、将来の北東北三県の合体に照らし、あるべき交通基盤の整備についてどのようにお考えになるのかお伺いいたします。  次に奥羽本線の整備についてであります。津軽地域の将来の交通ネットワークを考えれば、そのかなめとなるのが奥羽本線であります。新幹線新青森開業を見据え、津軽地域に新幹線効果を十分に波及させるためにも、奥羽本線の高速化、複線化に係る整備は極めて重要な政治課題であります。奥羽本線の整備について県はどのように取り組んでいくのか、また、青森県奥羽本線高速化検討委員会でのこれまでの検討状況と議論を今後にどう反映させていくのか伺います。  次に県内の幹線道路等の整備についてであります。本県は、下北、津軽の両半島を有し、しかも、都市圏は青森、八戸、弘前の三極に分かれています。このため、半島性を解消し、そして都市間及び都市と地域の広域的な連携、交流を深めるには、地域連携を促すネットワークとして、高規格幹線道路の整備とあわせ、地域高規格道路やこれと一体的に機能する広域的な幹線道路の整備が不可欠であります。高規格幹線道路については昨日上村議員から質問がありましたので、私からは地域高規格道路についてお伺いします。まず下北半島縦貫道路についてであります。下北地域では、道路こそ生活と産業に密着した社会基盤そのものであると思います。高速交通体系の整備は下北地域の長年の悲願であり、早期の完成が待たれるところであります。そこで、下北半島縦貫道路の整備状況と今後の見通しについて伺います。  また、同じく地域高規格道路であります弘前-黒石インターチェンジ連絡道路について伺います。本路線は東北縦貫道弘前線の黒石インターチェンジと弘前を結ぶ道路であり、完成すれば、県内各地域との広域連携の強化のほか、世界遺産白神山地を初めとする津軽方面への重要なアクセス機能を担うことになります。そこで、その整備状況と見通しについて伺います。  次に、忘れてならないのが津軽半島幹線道路についてであります。津軽半島地域の道路状況は、特に竜泊ラインの二車線化によりその機能が大きく飛躍しました。平成十二年の津軽国定公園の観光入り込み客数は三百万人を突破し、その効果が立証されたところであります。今後も、観光を初めとする津軽半島振興計画を推進するためにも、国道二百八十号、国道三百三十九号の一層の整備が必要と考えます。特に、通年交通の隘路となっている国道二百八十号田-蟹田間の整備は重要であります。そこで、その整備状況と見通しについて伺います。さらに、津軽自動車道五所川原インターチェンジと連絡し津軽半島のアクセスを担う国道三百三十九号五所川原北バイパスの整備状況と今後の見通しについて伺います。  次にアジア冬季競技大会についてであります。今、世界はサッカーワールドカップに沸いています。我が日本も、若さとスピード、そして組織力でもって勝ち進み、念願の決勝リーグ進出を果たしました。残念ながら全国民の応援届かずベストエイト進出は逃しましたが、閉塞感漂う日本に、感動と、そして、やればできるというようなあすへの勇気、やる気を何かしら吹き込んでくれたような気がします。この上は、共同開催国でありアジアの仲間である韓国のさらなる健闘を期待したいと思います。サッカーに限らず、スポーツはすばらしいと心から素直に思うきょうこのごろでもあります。翻ってアジア冬季競技大会を考えますと、地域、競技は異なりますが、これも四年に一度開催されるアジア地域の冬季スポーツの祭典であります。中でも今回は、日本で、しかも本県を会場に開催されるものであり、県の目指すスポーツ立県の実現のためにもこの大会は何が何でも成功させなければならないと思います。そこで、大会の成功に向けて次の三点について質問します。来年二月の大会開催までいよいよ七カ月と迫りました。大会の成功に向けていま一度知事の決意をお伺いします。二つ目は開・閉会式についてであります。大会の中でも開・閉会式はメーンのイベントであります。青森県をアピールする絶好の機会であり、大会において最も華やかなセレモニーとなると思います。本番に向けどのように準備していくのか伺います。三つ目は入場券についてであります。先般、この大会の開・閉会式及び屋内競技の一部の入場券の販売価格が決められたと聞いています。限られた入場券は希望する方々に確実に届くことが必要であります。そこで、本大会の入場券の販売をどのように進めるのか伺います。  次に公園整備についてであります。現在県が整備を進めている二つの都市公園についてお伺いします。まず最初に、青森市宮田地区に建設中の新青森県総合運動公園についてであります。先ほども申し上げましたが、アジア冬季競技大会まで残すところ七カ月となった現在、大会の開・閉会式の会場に予定されている青い森アリーナについて、その整備の状況と役割について伺います。二つ目に青森市三内地区の青森県総合運動公園についてであります。現運動公園の遺跡ゾーンは、三内丸山遺跡発掘後、平成十二年十一月に特別史跡の指定を受け、整備が進められています。この遺跡ゾーン内に整備中の縄文時遊館について伺います。縄文時遊館は、アジア冬季競技大会の選手や応援団、そして観光客を迎える当たって中核を担う施設になると思います。新幹線八戸駅開業に合わせて整備を進めているということですが、その状況と役割について伺います。次に、遺跡ゾーンの中心である三内丸山遺跡の世界文化遺産登録についてであります。三内丸山遺跡は、本県が世界に誇れる貴重な文化遺産として長く後世に引き継ぐべき極めて価値の高い遺跡であります。このため、世界自然遺産白神山地に加え、ぜひとも世界文化遺産への登録を実現すべきと考えます。知事にお伺いします。特別史跡三内丸山遺跡の世界文化遺産登録の意義とそれに向けた決意について御所見をお伺いします。  最後の質問は地域総合整備事業債の廃止についてであります。地域総合整備事業債は、地方債と地方交付税を組み合わせて地方財政を支援する措置であります。しかも、それぞれの地方自治体の財政力を勘案して地方交付税が措置されるというものであります。財政力の弱い青森県にとっては非常に大きな役割を果たす地方財政上の支援措置であり、平成十四年度からこの地域総合整備事業債が廃止されたことは県の事業展開に大きな影響があるのではないかと懸念されます。県立図書館、県民福祉プラザ、県武道館、県立保健大学、アジア冬季競技大会の開・閉会式を予定している青い森アリーナ、思い浮かぶだけでもこうした施設があります。これら施設はすべて地域総合整備事業債を活用して整備が進められてきました。こうした施設のほかにも、半島地域などの道路整備、ドライブの途中で立ち寄るトイレつき駐車帯の整備、河川敷の親水空間の整備などに地域総合整備事業債が活用されてきました。しかし、地方財政の悪化を背景として、全国で展開されている事業の中には、不要な箱物整備だ、維持、管理、運営を考慮しないハード整備であるといった批判を受ける事例を生じてきているのも事実であります。こうしたことが地域総合整備事業債廃止の一因となったのではないかと思われます。しかし、地域の活性化や住民に身近な社会資本の整備は今後とも重要な課題であります。厳しい財政状況にあっても引き続き地域づくりは進めていかなければなりません。平成十四年度から地域総合整備事業債が廃止され国からの財政支援がなくなったものの、PFIの導入など整備手法の工夫や事業の重点的・効果的実施によって公共施設や社会資本の整備を着実に進めていくべきものと考えます。そこで質問ですが、地域総合整備事業債の廃止の影響をどのようにとらえているのか、また、今後事業の展開をしていく上でどのような対応をしていくのか見解をお伺いします。  以上で壇上からの質問を終わります。 68 ◯議長(冨田重次郎君) 知事。 69 ◯知事(木村守男君) 山内議員にお答えをいたします。  まず私からは、市町村合併の推進に向けた平成十四年度の県の取り組み方針について伺いたいという視点でのお話に答えたいと思います。地方行政を取り巻く状況が大きく変化する中で、市町村が総合的な行政施策を効率的に展開するためには自主的な市町村合併は時代の流れである、こういう認識は議員と全く同じであります。県内でも合併への取り組みは急速に進展し、県内ほぼ全域で具体的な検討が始まっております。市町村合併に向けた取り組みの正念場の一年となる今年度は、地域の話し合いがさらに進むよう県も一体となって取り組み、年度末までには県内全域で、合併の方向性を判断するための地域の将来構想等を住民にわかりやすく情報提供することができるよう支援してまいりたいと思っています。合併協議の進んでいる地域は順次、合併重点支援地域に指定し、国の支援プランも活用しながら各種支援を重点的に行っていきたいと思っております。さらに、県合体、県連合の検討と連携しながら、合併推進後の自立した市町村と県との役割分担のあり方と、それを踏まえた市町村への権限移譲のあり方などについても調査、研究を進めたいと思います。内部的には、実務者はそういうことの研究、検討にもまた動いてるわけです。市町村合併はまさに二十一世紀の本県における地方自治の姿を決めるものです。それぞれの地域で地方分権時代にふさわしい地域の将来像について真剣な議論が深まるよう、市町村の主体性を尊重はしていかなきゃいけない。市町村の主体性の尊重あるところに合併が促進されるというふうに私は思っております。それと同時に、私は今、ある時期を待っている。県内ではようやくこういう協議の場の形が大方整ってきている。主体性を尊重しながらこれを促して、そしてこれから一歩踏み込んで──今までもきていますけども、みずからも現場に出向いて、市町村合併推進の基調の中で、主体性を尊重しながらも、ある時期が来れば──私としてはその総合判断の時期を今待ってるところです。みずからが定めます。そういうことで、各市町村長さん方、自治体、協議会の方々の御理解をいただきながら、ある時期が来たらみずからが現場に出向いて、そうして市町村合併が主体性の中で円満に実現するその方向でさらに努力することを踏まえておることでもあります。  また、議員からは、広域行政の進展、将来の北東北三県合体などに照らした場合のあるべき交通基盤の整備についてどのように考えているか知事の見解を伺いたいというお話もございました。八戸軽米線などについては、県合体ということを私たちが言い出す前から──いわゆる三県サミットも県合体、県連合の時代を踏まえての私の行動でしたけども、そういう思いが常にあるものですから、十和田観光とか八戸観光などを考えた場合に、どうしても県境に近いところの方が、まあ意識的に後回しにするんでないけども、その路線全体の整備は必要だということで路線には向かいますけども、どちらかというと県境に近い方が結果的に後の整備になりがちだ。これではいけないということで、土木部長などの意見もよく聞きながら、事務方も当然だということで、そういうことも踏まえて他の県に先駆けて整備に努力してきてる路線なども実態的にあります。あるいは、三県合体のときの道路網の有機的なあり方の一つとして、私の頭の中には、例えば北東北の時代に、空港、港湾の現実にせっかくあるものを一体の中でさらにどう機能的に使うべきなのか。そうなってくれば、例えば田子から秋田新空港──三戸町周辺とか特に田子の方々は三沢空港も遠いんですよ。ですから、あの周辺とか、あるいは青森県に近い岩手県北の方々にも思いしなきゃいけない。そういうことで、今ある路線で、現実策としては、例えば田子の方から新空港へ向かって、そして斜め横断道で秋田港。この路線を持ってきて、秋田港と空港と、そして八戸港、この斜め横断道的な構想は、環日本海時代、あるいは太平洋の結節点としての三県合体の未来像の中で整備されるべきもの、私自身にはこういう考えがあります。路線名からいくと、百四号とか百三号、二百八十五号、あるいは百五号とか七号とかとなるんですけども、いずれにいたしましても、国道路線でいくと五つぐらいですかが接続になっていくところがありますから、これをどう改良整備していくかということも考えていい、こういうことなどもある。これをやって鰺ヶ沢港の重要な要素がなおまた深まっていくことでしょう。そういうようなことを考えてるから、私としては北海道までも視野に入れたりいろいろなことをやってるわけですよ。私自身は、正直言って、建設政務次官とか建設部会長のときは時代に先駆けて県合体というところまでの勉強はしておりません。しかし、道州制論ということは、中曽根元総理などは若いときからやっていますね。あるいは首相公選論とか、いろんなことがあるわけですよ。そういうことがどっかで常にかすめながら、私自身は、例えば高規格道路のおくれがあった青森県のために八戸久慈線、これはその当時、建設業の担当の方からのリサーチによればオーケーと。重要度がリサーチで出ている。津軽道はだめであった。だけどもこれは、現地調査という名目で強引にやれということでやっていった経緯がある。今にしてみれば、あれは着工しておかなかったらさらなるおくれをとってるわけですね。こういうことなどの経験を踏んでみれば、道路は、拠点と拠点のアクセスを生かすと、その拠点がまた生きるばかりでなく、経済メリットとしては、財政が厳しいときであれば集中効果執行のためにこれに重点的に配分するという、それが今の景気回復にもメリットのあることは皆さん御理解願えるはずです。そういうことなどですから、やはりまず心理的にも──経済がこういうときは、未来を開いていくことが心理作用することもあるんですよ。だから、津軽海峡軸は、現実的なロマンに向かっていますけども整ってきていますね。東北知事会議、北海道東北自治協議会あるいは東北経済会もこれを正式に認めて、あるいは全国知事会のときもだれからも反論がない。そういうふうに整ってきてるわけです。それは、例えばこれを持続的に発言していくことがあれば、こういう不況のときで公共事業が実際落ち込んでるときでも、日本橋梁協会とか鉄鋼業界などには技術を落とさないで対応していくぞというような意欲を持たせるわけです。それから、賢明な経営者というのはやはり、そういうときに備えて、不況のときには逆に研究・開発投資に多くつぎ込んでいきます。私たちはこういうことの国政視点とか国際視点を踏まえて、いわゆる三県合体・連合の中で、三県とかかわりがある現実的なことも今から検討あるいは議論し合って、意見を出し合って生かしていったらいいんじゃなかろうか、またそうあるべきだ、こんなふうに思ってるわけであります。地方分権の推進、そして少子・高齢化の進展、地球環境保全への意識の高まりなど社会潮流の大きな変化の中で本年十二月一日に東北新幹線青森県開業を迎えるなど、本県の交通体系は大きな転換期を迎えようとしている。こうした状況を踏まえ、将来の交通ネットワークの姿を青い森の新世紀総合交通ビジョンとしてこの三月に策定しました。このビジョンにもありますように、産業、観光、文化などさまざまな分野の地域間連携や交流を促進するため、市町村合併等による広域行政の進展や将来の北東北三県の合体等を展望した交通ネットワークの整備が重要であると考えています。今答弁を読みましたけども、読む前に言うたことはみずからの責任で話したところでもあります。どうぞ、ニューリーダーの山内議員などはさらなるロマンあるネットワークなどに大いに思いをしてもらえればいいんじゃなかろうか、こんなふうに思ってのことでもあります。  次にアジア冬季競技大会についてのお話がありました。激励をいただいたことを感謝しています。アジア競技大会は、来年二月の大会開催まで残すところ二百二十五日となり、大会PRや機運の醸成に努めながら、大会の成功に向け鋭意開催準備を進めているところです。この大会は県民総参加による大会づくりを目指してるところですが、大会が近づくに従って県民の皆様が大会に広く関心を持ち、また好意的な応援の声が数多く出てきてることに心から感謝しております。現在、お話があったとおり日韓共同でワールドカップが開催されておりますが、選手たちのベストを尽くすプレーは世界じゅうの人々に感動を与え、とりわけ日本代表の活躍には、私もそうですが、日本じゅうの人々が感動し、その姿に勇気づけられたことと思います。アジア冬季競技大会においても、各国を代表するトップレベルの選手たちにより熱戦が繰り広げられることを期待しています。この大会は本県で開催される初めての総合的な国際スポーツ大会であり、国際時代の中で県民が文化としてのスポーツのすばらしさを享受することにより、県民の国際性、文化性を高め、青少年の健全育成に資する絶好の機会と受けとめ、また生かさなきゃならない。さらに、世界に向けて青森県をアピールする大きなチャンスであり、スポーツ立県を推進する本県がアジア各国との友好親善に貢献することにもなると思います。県としては、県民総参加のもと、アジア各国から訪れる人々に青森のよさや県民の心の温かさを感じてもらえる青森県らしい大会となるよう、日本の名誉と青森県の栄光をかけ、みずからは非力でありますが、誠意を持って努力していくつもりであります。先般、あいさつする必要があってモンゴル在日大使とお会いしてまいりました。モンゴルは、御案内のとおり歴史は古いけども、決して大きな人口とか──広大な土地は持っていますが、大きな人口を擁する国ではないけども、それでもアジア冬季大会などには何種目かには参加してくれています。こういうこともあって、その際にもアジア冬季競技大会に対するお願いを付してまいりました。これからもあらゆる機会にみずからは誠意を尽くすのみであります。議員各位並びに県民の温かい御理解、お心をかしていただきたいと思います。  さらに、三内丸山遺跡の文化遺産登録の意義とそれに向けた決意についてのお話がありました。三内丸山遺跡については、有識者の御意見等を勘案してみますと、既に登録されている他の世界文化遺産に決して引けをとらないという見方の人が多いようであります。私も世界文化遺産への登録をぜひ目指したいと思います。世界遺産に登録されることは、人類全体の宝として未来に残すべき貴重な遺産であることを世界的に認められることであります。このことは、既に世界自然遺産に登録されている白神山地に続いて県民にとって大きな誇りとなり、文化観光立県の推進に大きく寄与するものと思います。三内丸山遺跡の世界文化遺産登録が実現されるよう世界に向けて発信できるように議員各位の温かい御理解、御支援をお願いしたいと思います。そのためにも、直接のことでなくても、いわゆる白神山地の国際シンポジウムとかいろんなことが総合的な判断の中にはあるわけです。そして、地味であっても着実に、堅実に、その向き向きのいろんな方々のお心やお力、あるいはいろいろと教えをいただきながら、そうして文科省などとも連携をとりながらやるのは当然です。そういうことで、政府にもお願いし、手順を踏みながら、議員からもお話があったとおり三内丸山の世界文化遺産登録に努力をしていきたいと思いますので、県議会の温かい御理解もお願いしたいと思います。  その他については担当部長等から説明させます。以上です。 70 ◯議長(冨田重次郎君) 小堀総務部長。 71 ◯総務部長(小堀安雄君) 山内崇議員にお答えいたします。  最初に弘前大学の再編・統合問題についての弘前大学での検討状況についてお尋ねがありました。いわゆる遠山プランに基づく実行スケジュールについては、文部科学省において今年度中に教員養成系学部の再編、統合の方針を取りまとめる、そして、教員養成系学部以外の再編、統合については準備が整ったところから順次やる、こういう二段階方式をとるということになっており、当面、教育学部の再編、統合というものは喫緊の課題になっているわけであります。このようなスケジュールを踏まえて、現在弘前大学では、学内及び北東北国立大学と連携をとりながら対応についていろいろ協議、検討を行っていると聞いております。教員養成系学部については、北東北国立三大学教員養成系学部長の話し合いの中で、弘前大学としてはみずからが担当したいということを強く希望していると聞いております。その他の学部については教員養成系学部の後で検討するという順序で進めている、こういうふうに聞いております。  次に、このことについての県の考え方及びどんな取り組みをしようとしてるのかということでありますが、国立大学の再編、統合の流れの中で、弘前大学は、教育・研究体制の充実、地域貢献の強化、経営基盤の強化等の観点からより一層活力に富んだ大学づくりを目指し、大学において主体的に検討されているものと考えております。しかしながら、議員御指摘のとおり、弘前大学がこれまでの実績、歴史の中で、人材養成、学術文化の拠点として本県の社会、経済に果たしている役割にはまことに大きいものがあり、再編、統合による影響も考えられることから、私どもとしてはこの四月に、弘前大学の再編、統合に関する諸問題を検討するための庁内連絡会議を県庁内に設置し、いろんな形で検討を行っておるところであります。また、四月には私が弘前大学の神田副学長と意見交換を行い、その際、教員養成、あるいは医師養成などの人材養成、学術文化、地域貢献などの観点から県としても重大な関心を持っていくことにしている、今後情報の提供及び連携をとりながら必要に応じ協議の場を持っていきたいということをお願いしてまいりました。県としては、これまで弘前大学が果たしてきた役割の重要性にかんがみ、弘前大学の検討状況の推移を見守るとともに、庁内連絡会議での検討結果を踏まえ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  地域総合整備事業債の廃止についてのとらえ方、影響、今後の事業展開についてのお尋ねがありました。現行の地方自治制度の中では、自主財源が少ない脆弱な歳入構造にある本県の受ける影響は大変大きいものであります。翻ってみれば、一年前、小泉改革の中で、地方財政の中の一つの改革としてこの地域総合事業債を廃止する、地方交付税制度の見直しをするということが掲げられたことであります。このような状況を踏まえて、昨年度の時点から、具体的にどのようになるかということを注視しながらも、十四年度の当初予算編成の段階から、大規模な施設整備についてはPFIによる整備・運営手法を必ず一つの選択肢として検討する、そして、計画段階から、その必要性や緊急性、人件費を含むランニングコスト等を踏まえた費用対効果をよりシビアに検討していく、今後はこれまで以上に、個々の施設整備の妥当性や整備時期、整備手法等を十分検討し、施設整備の厳選と平準化を図っていくということを予算編成方針の中で示し、今作業に入っている段階であります。 72 ◯議長(冨田重次郎君) 中村企画振興部長。 73 ◯企画振興部長(中村明義君) 山内崇議員の質問五点についてお答えを申し上げます。  まず市町村合併について、地域住民を巻き込んだ合併の論議を盛り上げるための方策についてでございますが、市町村合併を検討する際には、市町村の行財政運営の現状と課題、地域の将来見通しなどに関する資料をわかりやすく住民に示した上で、次の世代にどういう地域社会を残していくかについて住民を交えて真剣に議論を重ねる必要があると考えております。こうした議論のきっかけや参考となるよう、県ではこれまで、シンポジウムやセミナー、市町村合併出前講座などを繰り返し実施しているほか、民間団体等が行う調査、研究等への助成やアドバイザーの派遣、民間団体情報交換会議の開催などを積極的に行ってきたところでございます。現在県内ほぼ全域で合併に向けた具体的な協議が始まっております。協議会、研究会では、住民が地域の将来あるべき姿について議論し、合併の方向性を判断するための地域の将来構想を作成することとしています。県内全域で今年度末までには地域の将来構想を作成し、住民にわかりやすく情報を提供することによって、住民を巻き込んだより具体的で真剣な議論がさらに深まるものと考えております。  次に奥羽線についてでございますが、県はどのように取り組んでいくのかについてでございます。奥羽本線は県都青森市と弘前市を結ぶ津軽地域の交通アクセスのかなめであることから、青森-川部間の複線化等利便性の向上について、青森県鉄道整備促進期成会を初め、県、沿線市町村及び経済団体等が連携しながらJR東日本に対して要望活動を実施してきたところでございます。その結果、本年十二月一日の東北新幹線八戸駅開業に合わせて特急「つがる」の弘前までの直通運転が実現することとなりました。現在東北新幹線については、新青森までの全線のこれまで以上の早い開業を目指し県を挙げてその実現に向け取り組んでおりますが、新青森駅と津軽地域とのアクセス向上を念頭に置きながら、今後とも、奥羽本線の高速化あるいは複線化の課題に積極的に取り組んでいく必要があると考えています。このため、引き続き関係機関と連携しながら、奥羽本線の利便性向上の具体化に向けての調査、検討やJR東日本への働きかけを実施してまいります。  次に、奥羽本線についての高速化検討委員会でのこれまでの検討状況と、その議論を今後どう反映させていくのかでございます。平成十二年十二月に設置しました、国、県、JR東日本及び学識経験者で構成します青森県奥羽本線高速化検討委員会はこれまで二回開催しております。各委員から奥羽本線各般にわたる貴重な御意見をいただいているところでございますが、昨年度は、県が実施しました奥羽本線弘前-青森間の技術的な現状分析と整備手法についての基礎的事項について御議論いただいたところでございます。本年度は、昨年度に引き続き、より具体的な整備手法や実施スキームのあり方等についてさらに検討を進めることとしておりますが、部分複線化や車両の高速化等当面取りかかり得る方策としてどのような方策が最も効率的かなどを含めて当委員会で十分に御議論していただきたいと考えております。県としては、奥羽本線の利便性向上を図るための具体策の検討にこの調査結果を反映させていきたいと考えております。  次にアジア冬季競技大会ですが、開・閉会式についてどのように準備していくのかについてでございます。アジア冬季競技大会に係る開・閉会式については、新青森県総合運動公園の青い森アリーナで行うこととしていますが、大会に参加する選手、観客等に触れ合いと喜び、そして感動と満足を与えることを基本的な考え方として、本県出身の歌舞伎俳優である市川笑也氏に総合演出プロデューサーをお願いして実施することとしています。開会式では、開会宣言、聖火点火などの式典プログラムを実施後、「魅せる開会式」──この魅せるは魅力の魅でございますが、この「魅せる開会式」を基本コンセプトに、青森らしさを随所に盛り込んだ芸術プログラムを行うこととしています。また閉会式では、大会旗引き継ぎ、聖火消火などの式典プログラムを実施後、「参加する閉会式」を基本コンセプトに、選手たちと県内の子供たちが参加し、子供たちがさまざまなパフォーマンスを繰り広げる芸術プログラムを行うこととしています。これらの芸術プログラムには、青森の文化、伝統などを伝えるため、県内の吹奏楽、合唱、郷土芸能など三十三団体、総勢千五百名を超える方々に出演していただくこととなっており、練習の成果を存分に発揮され、青森の魅力、青森の心を内外に向けて発信していただきたいと考えております。  次にアジア大会の入場券の販売について、円滑な実施に向けてどのように進めるのかについてでございます。今月十八日に開催されました組織委員会議において、屋内競技施設で実施されるアイスホッケー・ショートトラック・フィギュアスケート競技の入場料を有料とするとともに、開・閉会式を含めたそれぞれの入場料金、入場券の販売方法について決定されたところでございます。これらの入場券の販売については、大会スポンサーに選定している大手コンビニエンスストアとの間で協議を進めていくことになりますが、全国の各店舗で平等に入場券を購入することができるように、また、これらのコンビニエンスストアのコンピューター管理による発券システムを活用することで、入場券の誤発券を防止するとともに販売状況を的確に管理していきたいと考えています。なお入場券の販売時期でございますが、OCA理事会において入場料金と入場券の販売システムの承認を受けた後、開・閉会式の入場券は十月中旬ごろから、また各競技の入場券は十一月ころから販売を開始していきたいと考えております。 74 ◯議長(冨田重次郎君) 山中健康福祉部長。 75 ◯健康福祉部長(山中朋子君) 山内崇議員の自治体病院機能再編成に関する御質問三点についてお答えいたします。県内六圏域の自治体病院機能再編成の進状況についてであります。青森地域及び上十三地域保健医療圏においては、圏域主導で自治体病院機能再編成計画が策定されたほか、他の圏域については、青森県自治体病院開設者協議会や圏域からの要請に基づき県主導で再編成計画の策定作業を進めております。西北五圏域では、ワーキンググループや推進協議会での検討を経て四月十二日に再編成の基本的な枠組みが決まり、今年度は、詳細についての検討を行い具体的なアクションプランを策定することとしております。津軽圏域においても既に県の案をワーキンググループに提示しており、今後さらに検討を加え、西北五圏域と同様、基本的な枠組みやアクションプランの策定を行うこととしております。八戸圏域及び下北圏域につきましては、圏域の市町村長等で構成する自治体病院機能再編成推進協議会の開催を既にしておりますが、今後県主導で具体的な検討を進めていくこととしております。  次に、県が進めている自治体病院の機能再編成はどのようなことを目指しているのかについてであります。自治体病院機能再編成は、自治体病院が抱える医師不足や経営の悪化などの諸問題を解消し、地域住民に、より適切な医療サービスを提供するために、それぞれの病院が機能分担や連携を強化するとともに、地域医療を圏域全体で支えていく体制をつくり上げることによって地域医療の底上げを図るものであります。県主導で自治体病院機能再編成計画の策定作業を行っている四圏域については、その置かれている状況等によって多少の違いはありますが、再編成に当たっての基本的な考え方は、一つとして、地域医療を圏域全体で支えていくため広域的な運営体制を構築すること、二つとして、圏域内で一般的な医療を完結させることを目指し、中核病院では急性期を中心とした救急医療や高度・専門医療を担い、周辺の医療機関は、中核病院との緊密な連携のもと初期医療を中心に在宅医療を含めた地域住民の医療ニーズに対応すること、この二点であります。
     最後に、自治体病院機能再編成の推進に当たって国に対してどのような支援を要請していくのかについてであります。県としては、病院事業を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ、従前の病院事業に係る広域連携等推進計画に基づく財政措置に加え機能再編成を推進するため、一つとして、機能再編成の実施に当たり新たに必要となる施設整備について、対象となる整備年度を現行の平成十六年度までから平成二十一年度までに延長するとともに、建物などの施設整備に要する経費についても医療機器など施設整備と同様の財政措置を講じること、二つとして、機能再編成の実施に当たり、再編成後の病院の経営基盤を強化して健全な経営を確保するために、既存の不良債務の解消を図るための財政措置を拡充すること、三つとして、機能再編成の実施に当たり、病院から保健、福祉、介護等他の用途に施設を転換する際の残債の取り扱い等について交付税算入上不利とならないよう繰り上げ償還としないこと、四つとして、機能再編成に伴って整備する施設、設備に係る医療施設等施設整備費補助金及び医療施設等設備整備費補助金について補助基準額及び補助率を引き上げること、これら四点について県選出国会議員を初め関係省庁に対しその趣旨を説明してきたところであります。以上であります。 76 ◯議長(冨田重次郎君) 山本県土整備部長。 77 ◯県土整備部長(山元 隆君) 山内議員の御質問六点についてお答えいたします。  まず最初に、地域高規格道路のうち下北半島縦貫道路の整備状況と今後の見通しについてでありますが、下北半島縦貫道路は、野辺地バイパス、有戸バイパス、有戸北バイパスの三工区、約十八キロメートルが整備区間となっており、現在進めているところであります。このうち野辺地バイパスについては、平成十四年一月に土地収用法に基づく裁決がなされ、用地取得及び工事の促進を図ることにいたしております。有戸バイパスについては、昨年度までに本線の用地買収が終了し、今年度は工事の促進を図ることとしております。平成十二年度に事業着手した有戸北バイパスは今年度用地買収に着手することとしております。また、調査区間の吹越バイパス、むつ南バイパスについては整備区間指定に必要な調査を実施しているところであります。今後も引き続き、下北半島縦貫道路の必要性、整備効果を訴えながら、整備区間の早期完成、調査区間の整備区間への格上げについて国に対し強く働きかけてまいります。  次に弘前-黒石インターチェンジ連絡道路の整備状況についてでありますが、弘前-黒石インターチェンジ連絡道路については、津軽地方生活圏の中心都市弘前市と東北縦貫自動車道弘前線との連絡強化と、これによる広域的な地域連携を図るため地域高規格道路として整備を進めてきたところであります。このうち弘前市から尾上町間の弘前尾上道路延長約三・六キロメートルについては平成十二年に供用したところであります。これに続く尾上町から黒石インターチェンジまでの尾上黒石道路延長約七・四キロメートルについては、弘前尾上道路に続く延長約〇・七キロメートルを平成十三年に供用したところであります。残る黒石インターチェンジまでの区間約六・七キロメートルについては現在用地買収及び工事を鋭意進めているところであります。  次に、国道二百八十号田-蟹田間の整備状況と今後の見通しでありますが、国道二百八十号は津軽半島地域の幹線道路であり、広域観光ルートを形成する主要路線であることから、県としてもその整備の重要性、緊急性を強く認識しているところであります。本路線の青森市から蟹田町間については青森市側から順次整備を進めてきたところであります。現在、内真部-田バイパス延長約十・二キロメートルのうち、平成十二年に田小学校通りまでの約七・一キロメートルの区間について供用を開始したところであり、残る約三・一キロメートルについてはことし秋の供用開始を予定しております。その延伸となる田から蟹田間については、これまで国とルート等の協議を進めてきたところであり、内真部-田バイパスに引き続き平成十五年度に事業着手できるよう国に要望しているところであります。  次に国道三百三十九号五所川原北バイパスの整備状況でありますが、国道三百三十九号については、半島循環道路として、交通混雑の解消、冬期交通の定時性の確保等を図るためこれまでバイパス等の整備を進めてきたところであります。国道三百三十九号五所川原北バイパス延長約五・二キロメートルは、津軽自動車道の五所川原インターチェンジに連絡し、津軽半島地域と高速道路網との連絡強化を図るため事業着手したところであります。現在、市街地側から県道沖飯詰五所川原線までの延長約二キロメートルを第一工区として重点的に整備を図ることとしております。今年度も引き続き、地元関係者の御協力を得ながら用地買収及び工事を進めることとしております。  次に、公園整備のうち青い森アリーナの整備状況でありますが、新青森県総合運動公園の総合体育館「青い森アリーナ」は、平成十二年度に着工し、テニスコートとともに整備を進めております。青い森アリーナは、メーンアリーナ、サブアリーナのほか、スポーツ科学センター、合宿所、屋内プールを一体として整備を図り、来年一月八日に開館を予定しております。さらに、二月一日から八日に開催されますアジア冬季競技大会の開・閉会式会場として利用された後、二月十八日から一般に供用を開始する予定となっております。  次に、青い森アリーナの役割としては、公園全体の整備の基本テーマであります「緑の森の中での新たなスポーツ体験ステージ」を踏まえ、子供から高齢者までの幅広い層に利用してもらうことにより県民の健康づくりや福祉の向上へ寄与すると考えております。さらには、国際的大会を開催することによりスポーツ選手のレベルアップにもつながると考えております。  次に、同じく公園整備のうち縄文時遊館の整備状況でありますが、縄文時遊館は、三内まほろばパークのビジターセンターとして、公園利用者への情報提供、案内、各種サービス等を提供する施設であります。本体工事に昨年五月に着手し、現在、映像・展示施設について工事を進めており、東北新幹線八戸駅開業に合わせてことし十一月三十日に開館する予定であります。館内には、公園の総合案内を初め、三内丸山遺跡を解説する多目的映像ホール、遺跡情報を展示するギャラリー、いろいろな体験プログラムを有する体験工房のほか、休憩スペース、レストランなどを配置し、映像や展示による体感、体験を通して遺跡への興味を高め、だれにでも楽しめる施設を目指しております。以上でございます。 78 ◯議長(冨田重次郎君) 山内君。 79 ◯十七番(山内 崇君) 市町村合併につきましては、知事から、市町村の主体性を尊重しつつも、ある時点を見きわめた上でみずから現場に赴くという非常な決意を伺いました。この市町村合併なり三県合体、広域化というのは歴史の大きな流れであるという知事の認識に対しては私も同じ考えを持っております。やはり政治家の役割というのは、どんな地域をつくっていきたいのか、どういう社会にしていきたいのか、こういう部分でのビジョンを住民の前に示していくということではないかというふうに私も心得ておりますので、大きな構造改革と言ってもいいようなこの市町村合併でありますので、ぜひ県を挙げて取り組んでいっていただきたいし、私どもも頑張ってまいりたいと思います。  そしてアジア冬季競技大会についてでありますけれども、必ず成功させるんだとのこの思いがやはり大切なんではないかなと思っております。私自身反省しておりますのは、ちょっと自信がないようなそういう部分も当初は少しあったかなというふうに振り返ってみて思いますけれども、しかし、今このサッカーのワールドカップというものを目の当たりにして、大会誘致の初心というか原点に返って一生懸命に取り組んでいく、これが何よりもやはり大切なんではないかな、こう今思っております。やっぱり、スポーツは感動と、そして気づきではないかと思います。みずからの日常生活といいますか人生といいますか、スポーツを見ることによってさまざまなその気づきがそこにあるし感動があるわけでして、このスポーツの祭典の冬季アジア競技大会を県を挙げて成功に導いていただきたいと思います。以上で終わります。 80 ◯議長(冨田重次郎君) 以上をもって本日の議事は終了いたしました。なお、明二十二日及び二十三日は県の休日ですから休会であります。六月二十四日は午前十時半から本会議を開き、一般質問を継続いたします。本日はこれをもって散会いたします。 午後四時五十分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...