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平成5年第194回定例会(第2号) 名簿 開催日: 1993-06-22
平成5年第194回定例会(第2号)  本文 開催日: 1993-06-22

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  1. 青森県議会 1993-06-22
    平成5年第194回定例会(第2号)  本文 開催日: 1993-06-22


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(小原文平君) ただいまより会議を開きます。        ─────────────────────────────────            ◎ 県政に対する一般質問        ───────────────────────────────── 2 ◯議長(小原文平君) 一般質問を行います。四十二番高橋長次郎君の登壇を許可いたします。  〔四十二番(高橋長次郎君)登壇〕 3 ◯四十二番(高橋長次郎君) 自由民主党の高橋長次郎であります。神聖なる本議会の壇上に登壇いたして発言することちょうど四年ぶりになります。怠けて休んでおったんじゃなく、浪人が二年ございましたんで御了承賜りたいと思います。この名誉ある機会をお与えくださいました議員各位に深く感謝をいたします。  政治の世界は一寸先はやみだとよく言われます。よもや今議会において衆議院の解散が行われるとは私どもは考えておりませんでした。それは、今我が国にとって重大なる局面にあるからであります。先進国首脳会議東京サミットが今月末から七月にかけて行われ、我が国が議長国として会議を取り仕切り決断をしていかなければならない責任あるときだけに、さらにまた、本県を振り返ってみますると、待ちに待ったこの八月、言うまでもありません、新幹線の見直し──盛岡-青森間全線フル規格実現がいま一歩・半歩と目前に見えてきたような感じのするこのごろ、重大なる時局にこのような事態となり、今後どのような展開になることかと考えるときにまことに寒心にたえないところであります。しかし、我が党は一九五五年以来政権を担い今日まで国民の負託にこたえ、また、ときどきによりましてはいろいろなこともありましたが、今日の我が国の平和と自由な民主政治、そして今日の経済大国日本を築くために大きく寄与してまいりましたことは周知のとおりであります。しかして、このたびの議会において、内閣不信任案が他党より提出されたのに対して我が党のうちから造反者が出たことにより不信任が成立したことは、時が時だけにまことに残念のきわみであります。この上は、私ども地方にある者は襟を正して、県勢伸展のために全力を挙げて県民福祉の向上のために努力してまいる決意であります。  県政の抱えております懸案の何点かについて初心に返り一般質問をいたします。知事を初めとする関係理事者には簡潔にして明快なる御答弁を期待するものであります。通告の順を追って質問いたしまするが、その前に少しく古いことを申し上げてみたいと存じます。昭和四十四年に新全総は小川原湖周辺に巨大コンビナートの形成を図り、国家プロジェクトに位置づけられ、むつ小川原大規模開発は石油精製、石油化学、製鉄の三本の柱で肉づけられ、我が国高度経済成長期に大きくデビューいたしました。当時副知事で御活躍しておりました北村知事は詳細に存じておるところであります。五十二年八月に政府はむつ小川原開発第二次基本計画を閣議決定いたしました。当時、田沢国土庁長官より竹内知事に閣議了解のお墨つきが手渡されたのであります。しかるにその後世の中が大きく変化いたしました。ニクソン・ショック、あるいは一次、二次、三次と三度にわたるオイルショック、さらには高度成長から安定成長路線への変更、エネルギー構造政策の変化等によりまして、石油精製を軸としたはずのむつ小川原開発構想は現在は石油備蓄基地の実現で息をつないでおるという事実は周知のとおりであります。有為転変、今日の世の中の移り変わりの変化は殊のほか早く、もたらす結果は常にしばしば人々の想像以上に大きいものがあります。例えば、私は旧ソビエト連邦のモスクワに三たび渡りました。日数にして約百四十日間モスクワに滞在しておりました。米ソ二つの超大国がにらみ合い、片や自由主義経済、他方は共産主義計画経済を唱え、互いに覇権を競っておりました。私どもは、漁業交渉をめぐる代表団同士の重要会議を、ホテルを出てマイナス二十度前後の寒さが肌を刺す公園の中で開いたこともありました。それが、一九八五年、ペレストロイカを推進するゴルバチョフは情報公開政策を打ち出してまいりましたが、今は一線を去りました。かわって大統領の座を襲ったエリツィンもまた、ロシア各州の経済混乱と政治基盤が揺らいで訪日の約束も果たせず右往左往の状況にあります。ゴルバチョフ政権誕生からわずか八年にしてあの覇権大国ソビエト連邦は今はありません。ルーマニアが崩壊し、東西ドイツを仕切ったベルリンの壁が一九八九年十一月に取り払われイデオロギーは消滅したかに見えました。他方、強いアメリカを標榜して国民の結集を図ってきたアメリカは、軍事核兵器の拡張、宇宙戦争のライバルを失った今、ソ連という当面の標的が視野から外れて慢性的な財政赤字に苦しんでおり、外交に国内の支持基盤を置いたレーガン、ブッシュ両元大統領の共和党政権から、本年ホワイトハウスに乗り込んだクリントン民主党大統領は、経済力強化を公約の第一にして、海外に向け、また貿易戦争、さらには経済戦争に矛先を向けつつあるように見受けられます。ウルグアイ・ラウンドにおける米、今また新しく浮上したリンゴ、我が国に対する輸出解禁の強烈な要求などはそのあらわれと見ることができます。黒字削減目標値の設定、新たな貿易枠組みの要求など、まさしく経済戦争を思わせる、そして常に衣の下からちらちら見せるスーパー三百一条、あたり構わぬ力の強引なる外交等々が見受けられます。米ソ二大強国が覇を競っていた時代に国家の存立基盤を共産主義というイデオロギーに置いてきた東欧諸国はユーゴスラビアを初め深刻な内紛に苦しんでおります。これらと接する西欧とて論外ではありません。旧東ドイツや東欧からの経済難民流入に悩み、統一ドイツはインフレの危機にさいなまれ、先進国の要望や期待にもかかわらず金利の引き下げも思うままにならずのようであります。フランス、イギリスも事情こそ違えども押しなべて経済不振に悩んでおります。我が青森県のむつ小川原開発を論ずるに当たってあえて海外情勢に触れさせていただきましたことは、これら世界各国における政治・経済・社会システムの変化が核燃料サイクル事業計画と決して無縁ではないと思われるからであります。国際社会とともに生きなければならない少資源国日本は、わけても内外情勢の変化等変革にはしなやかに対応しなければなりませんし、とりわけ国家国民の存立を危うくしかねない食料とエネルギーについては、国民の命を守る観点からこれからのことについての細やかな気配りこそが必要と考えます。「我が国中央政治は右往左往せんで国のためにしっかりせよ」と声を大にして叫ぶものであります。食料、エネルギー、経済が苦しくなってきたときには──食料やエネルギーが苦しくなってきたときはだれも手を差し伸べてくれる者はありません。ロシアや諸外国のことを言っておるが対岸の火事ではありません。私どもは今こそ惜しみなく汗を流して県民の負託にこたえるときと存じます。以上申し上げた所感に基づき、核燃料三点セット受け入れに賛成した立場から次の点について御質問を申し上げます。その一つは高レベル廃棄物最終処分についてであります。最終処分場の問題についてはこれまで本議会において、または常任委員会等においてしばしば論議されてきたところであります。北村知事は「最終処分場は受け入れる考えはない」と再三にわたり明快に表明され、国に対する「地元の意向を尊重するのか」との県の照会に対して科技庁は平成二年十月一日に「そのとおりです」と確認の文書で回答してきました。これで県は担保されたとの御見解でありますが、依然として県民の中には、六ヶ所に一時貯蔵のまま居座って最終処分地となってしまうのではないかという不安、また疑念があります。国は、高レベル放射性廃棄物を最終処分する実施主体を二〇〇〇年ごろ設立し、そして二〇三〇年から二〇四〇年代半ばまでに処分場の開始を目指すと報告書をまとめています。二〇三〇年ないし二〇四〇年といえば、きょう生まれた子供が三十七歳になり、また四十七歳になったときに事業開始ということであり、私でも心細くなって納得できないのであります。これではあるとき払いの催促なしと同じようなものであり、きっちりと県民の前に方向を示されることが肝要であろうと存じます。そこで次の点についてお伺いいたします。一つ、高レベル廃棄物最終処分場を本県ではいかにするか再度お尋ねいたします。二つ目、二〇三〇年から四〇年でなく、遅くとも二〇一〇年三月末までに事業を開始することが私の提案ですが、いかが考えるでありましょうか。三つ目、以上の点を担保するために国と県は協定書を結ぶべきと思うがいかがいたしましょうか。四つ目、一時貯蔵が三十年から五十年とあるが、もっときっちりと三十年なり三十五年なりと小幅にすべきと考えるがいかがでしょうか。そして五つ目は、高レベル事業推進準備会が発足したと報じられておりまするが、具体的に何をし、どのような成果を予定なさっておられまするか。以上五点にわたりお伺いするものであります。  次にロシア軍事用再処理施設の事故についてであります。去る四月六日に西シベリア地区にあるトムスク7軍事用再処理施設において爆発事故が発生した後、速やかに科技庁の職員が知事を訪れ説明され、その後調査団を派遣したとのことでありましたが、現時点において原因の究明等はどのような状況なのか、また県民に対する情報提供はどうするつもりなのかお示し願いたいと存じます。  次に人口定住促進対策についてであります。県は昨年四月に「はつらつあおもりプラン」を公表して人口定住に向けた各種施策を展開しておるようでありますが、人口減少になかなか歯どめがかからないようであります。東北六県の人口動態を調査してみるに、一位は宮城県の二百二十八万九千名、二位は福島県の二百十一万八千名、三位は青森県の百四十六万六千名、四位は岩手県の百四十一万二千名で、青森県は三位にあるものの、減少数はこの二年半で──平成二年からことしになって約一万六千名減少いたし、六県では第一位であります。人口定住促進のためには、働く場の創設や子供を健やかに産み育てる環境づくりに努めるだけではなく、若者が住み続けたいと思えるような魅力ある地域づくりを進める必要があると考えます。近年、各県ともに地域の活性化を図るために地域の独創性や自主性を発揮したさまざまな施策を展開しております。本県においても懸命に取り組んでおることは承知いたしております。なかんずく企業誘致等については知事を初めとし市町村長もまた全力を挙げており、若い方々の個性的で魅力ある職場づくり、所得の取れる企業等、まあ水は高いところから低い方へと流れまするが、それは当たり前ですが、しかし人は低い方から高い方へと流れていく、これもまた道理でありましょう。そこで、昨年の九月議会においての我が党の太田議員の積極果敢なる発言に共鳴いたしました。小川原開発の波及効果は、限られた地域だけではなく広く県内に寄与するような施策が行われるべきである、電気料金の割引制度の対象地域の拡大を実現せよという発言でありました。同感であります。本県は発生電力量の倍の電気を消費しております電力移入県でありまするが、サイクル施設を発電施設とみなすことによって電力の移出県となると聞いております。今後、東通原発四基四百四十万キロワットと大間原発六十万六千キロワットが完成すれば名実ともに大量の電気を東京圏に送り込む全国有数の電気供給県となるのであります。私は、依然として原子力施設に対する県民の反対運動が根強い原因として、国策に対してこれほどまで協力しているのにお願いする新幹線はなかなか来ないという県民のいら立ちが根底にあると思うのであります。これだけの国策を受け入れている本県なればこそ地域振興制度の抜本的な見直しを要求するのは当然の権利であり、断じて本県民のエゴではないのであります。原子力施設の周辺地域以外の地域を含め広く全県的に効果のある抜本的な振興策の創設を国に求めていくべきと考えますが、北村知事の勇胆なる御所見をお伺いするものであります。  農政について論じます。農政には全くの素人であります。お聞き苦しい点が多々あると存じますが、素人だなあと一笑に付して聞いてください。一生懸命申し上げます。農政を進めるに当たりましては、多岐にわたる国の新農政プランの方向にも則しながら県内の労働力状況等を的確に見通し、国内の競争ばかりでなく国際化をも視野に入れた新たな展開方向を示して生産者がみずからの選択によって農林経営の方向を決めるよう誘導し、これにいろいろな対策を講じていくことが大切であると思うのであります。さて、最近の農政問題の中で、六月一日をもってニュージーランド生果リンゴ輸入が解禁され、リンゴもいよいよ本格的な国際化時代を迎えたのであります。生果リンゴの輸入は、既に昭和四十六年六月に自由化されており、これまで朝鮮半島から一時的に輸入されたことはあります。ニュージーランド産リンゴにつきましては、我が国に生息していないコドリンガと我が国で未発生の火傷病が発生しているという、植物防疫上の技術的な理由からこれまで輸入が禁止されていたことは御承知のとおりであります。今回の輸入解禁問題に当たりましては、私ども県議会としても県ともども、これらの病害虫が侵入することになれば本県リンゴ産業に大きな影響が出ることが予想されることから、ニュージーランドでの防除体系と厳格な輸出検査体制が整わない限り輸入を解禁しないよう再三にわたり国に要望してきたところであります。今回国が植物防疫法施行規則の一部を改正しニュージーランド産生果リンゴの輸入を解禁したことは、ニュージーランド側からの防疫技術の資料の検討や、日本の植物防疫官による現地調査及び公聴会等による意見などを参考にし、さらには、日本が国際植物防疫条約加盟国である以上、防疫技術が確立されれば国際法上からも拒否はできない立場にあるなどの理由からと思われます。しかし、リンゴ生産者の立場からすれば、十年後、二十年後においても全く侵入してこない確かな確証がないという不安感をまだ払拭し切れないという気持ちも十分に理解できるところであります。したがいまして、今後とも国に対しては、防疫体制を確固たるものにし、コドリンガ等の病害虫が絶対侵入してこないよう防疫体制の強化を要望し続けていくことが大切なことだと思うのであります。また、今回ニュージーランドからの生果リンゴの輸入が解禁されたものの、解禁時期がおくれたことなどから本年は輸入されないことになりましたが、現在、アメリカ、フランス、カナダ、オーストラリア等からも輸入解禁の要望が出ておると聞いております。ここで世界のリンゴ生産状況を見ますると、一位は旧ソビエトで五百八十万トン、二位は中国で四百七十万トン、三位はアメリカで四百三十万トン、四位はフランスで二百四十万トンとなっております。この中で輸出状況は、旧ソビエト、中国は自国消費いたしておりまするので輸出はしておりませんが、アメリカは四十万トン、フランスは六十八万トンとなっており、カナダは八万トン、オーストラリアは二万トンとなっております。我が国の生産量は約百万トン、輸出量は千五百トン前後でありますので、アメリカなどの生産量や輸出量がいかに大きく、本格的に輸入されることになれば、脅威というよりもリンゴ生産者の死活問題と言わねばなりません。特にアメリカからはニュージーランドに続けとばかりに、今年産リンゴを来年一月から輸入するよう、カンタ通商代表部代表エスピー農務長官等から我が国へ輸入を迫る書類が送られてきておると聞いております。そのたびごとに、できなければまたスーパー三百一条の発動を検討する動きがあるなど、輸入解禁に向けた動きが活発化していることが報道されております。リンゴ生産者の立場になってみるときに、将来どのようになるかと思うと不安でいっぱいであろうと存じます。しかし、本県のリンゴは百十年の長い歴史の中で幾多の苦難を乗り越えてきました。三年九月の台風十九号によってリンゴ園は未曾有の被害を受けましたが、あの壊滅的な打撃から見事に立ち直ったのは業者のたゆまぬ努力のたまものと存じます。本県のリンゴ生産者にとって以上述べた国際化の大荒波は大変なことだろうと存じますが、乗り越えられないはずはない、今求められていることは、国内外の厳しい競争に打ちかっていくという強い心意気を持ち、守りの姿勢ではなく攻めの姿勢を持つことこそが大切であると思うのであります。そこで知事にお伺いいたします。今回のニュージーランド生果リンゴ輸入解禁についての御所見と流通体質の強化のための対策をどのようにお考えなのかお伺いいたします。  次は水産部であります。本県水産振興については、知事を初め関係理事者、さらには議会議員各位の深い御理解ある御協力を賜っております。昭和五十年来、各国の二百海里は次々と制定されました。当時国並びに県は指導する立場から、つくり育てる漁業、管理型漁業を提唱されてきたところであります。当時私は、魚をつくる、魚を管理する、これをよく理解できませんでした。私ども漁業者は魚はとるものであるという認識でありました。昔から言われておりまするが、「泥棒様のかか様と漁師のかか様はとってこいとってこい」と、泥棒様と漁師はとってこなければ何の用にもならないとよく言われたものであります。よって管理型漁業はわかりにくかったのであります。今から十五年前、当時の水産部長高杉さんより、青森県さけます増殖協会を設立して管理型漁業を手始めにやりましょうや、サケ、マスより始めようと指導をいただきました。当時私は半信半疑でありましたが、県の指導でもありましたので事業に取りかかりました。昭和五十年-五十二年当時は二千万尾の放流でありました。県の指導目標二億尾放流計画で発足いたしました。その当時の実績からいたしますると十倍であります。できますかいなと思いましたが、五年たって一億一千三百万尾、十年たって一億七千万匹、そして十五年にして目標二億尾を達成いたしました。沿岸の水揚げも五十億円と管理型漁業としては大きく飛躍いたしたところであります。現在は、アワビ、ウニ、ヒラメと県の指導のもとに増養殖事業の推進に努めておるところであります。北村知事の肝いりで県の魚にヒラメが制定されました。また事業にも力を入れてくださっておりますることに水産業界は感謝しておるところであります。平成四年に、ヒラメの管理型漁業の一層の発展のために八戸港小型底びき船十八そうのうち八そう減船いたしました。そして今また、日本海の沿岸漁業振興のためにも日本海トロール船減船もまた必要であり、深浦港、鰺ヶ沢港のトロール船の減船をすることによって、秋田県から沖底びきトロール船の入り会いを廃止していくことによって名実ともに資源管理型漁業の確立をすべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたすものであります。以上で終わります。 4 ◯議長(小原文平君) 知事。 5 ◯知事(北村正哉君) 高橋長次郎議員にお答えをいたします。  御質問の第一点は、六ヶ所村の再処理工場から出てくる高レベル放射性廃棄物の最終処分場が決定されないままに、やがては一時貯蔵の名目で六ヶ所村にそのまま据え置かれて永久貯蔵される可能性があるのではないかという県民の不安がある、これについてどういう考えを持つか、ということでありました。このことにつきましては、高橋議員もここで述べられたわけでありますが、このことの御質問に対しては何遍かお答えをしながら今日まで来てるわけでありますが、お話にありましたように、最終処分地については本県に受け入れる考えはないんだ、そのことをもっとはっきりさせるために国の方の基本方針について文書で照会をし、地元の意向を尊重して進められる、地元の意向を無視して進められることはない、こういう旨の回答を得てきてるところであります。その後、昨年の八月には原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会の報告が公表されたわけでありますが、最終処分地の選定の手続として地元の了解を得ることが必要である、こういう記述が盛り込まれていることは御承知のとおりであります。さらにまた、本年の二月の国会におきまして政府は、青森県知事が最終処分地を受け入れないと言う限りにおいては最終処分地は青森県には立地されない、こういう見解を示しているところであります。こういった一連の経過から、最終処分地を受け入れない、受け入れる考えはないという本県の方針を今後とも貫いていく以上本県が最終処分地となることはない、こういうふうに認識をいたしているところであります。  その次が、同じ最終処分についてのお尋ねだったと思いますが、二〇三〇年から二〇四〇年をめどとして最終処分地を決めるというようなことは遅きに過ぎる、もっと早くやれと、また、再処理工場における高レベル放射性廃棄物の一時貯蔵期間を三十年から五十年ということでいるんだが、こういうあいまいな表現ではなくもっと明確な年数を示すべきだ、しかも、これらを国に対して要求することも要求するし、それを協定の形で明文化すべきだ、こういう御所論だったと承りました。今も申し上げたんでありますが、昨年の八月に原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会におきまして、最終処分対策全体の手順、またスケジュール等について報告書の形で取りまとめているわけであります。原子力委員会におきましてはこの報告書によって高レベル放射性廃棄物対策を進めることにしているわけであります。よって、その報告書に基づいた報告書の内容について、御承知とは思いますが室長からその受けとめ方について申し上げることに──むつ小川原開発室長から申し上げることにいたします。  それから、その他、一時貯蔵が三十年と。準備会が設置されたというが──最終処分であります──どのようなことになるのかということにつきましても開発室長から答えさしていただくことにしたいと思います。  それから、ロシアのトムスクの情報はどうなっているのか、県民にこれをどう普及するのかというようなことにつきましても、むつ小川原開発室長から今日に至るまでの情報を整理して御報告申し上げることにしたいと思います。  それから、人口定住促進対策との関連で、原子力施設の立地による地域振興制度を全県に波及できるように国に求めるべきだ、こういう御所論でありました。人口減少を大きな問題としてこれに対応してるわけでありますが、何とか減少に歯どめをかけて県内定住を促進していくためには企業誘致を図っていくことが重要な施策であり、昨年の三月に策定いたしました「はつらつあおもりプラン」──青森県人口定住促進行動計画でありますが、「はつらつあおもりプラン」におきましてもその中の重点施策の一つとして位置づけているところであります。原子力施設立地による現行の地域振興制度といたしましては、企業誘致を図るための産業基盤の整備であるとか、あるいは電気料金の割引などの事業があるわけでありますが、この電源立地の円滑化と電源立地関係市町村の支援をしていくことを本来の目的としておりますためにおのずからその対象になる範囲が限定されることになるわけであります。例えば電気料金割引制度の対象地域の拡大につきましては、これまでも議会でお答えしてきたんでありますが、原子力発電所等を対象とした全国的な制度でありますために、個別の県──○○県にのみ適用される制度改正を実現していくことは大変困難なものになっているわけであります。しかしながら、人口の定住を促進していくことは県政の重要課題でもあると考えておりまして、電源開発調整審議会という審議会があるわけでありますが、この委員会の場におきましてこれまでも制度の抜本的見直しを私から提言してきてるところでありますが、御提言の趣旨も踏まえまして、全県的な振興が図られる制度となるように今後とも続けて国の方に働きかけてまいりたいと考えているところであります。
     それから、ニュージーランドのリンゴ輸入について知事はどういう所見を持つか、また、国際化に対応した本県のリンゴ生産流通対策はどうか、こういうことでございました。ニュージーランド産の生果リンゴの輸入がことしの六月一日から解禁されたことはお話のとおりであります。数年前私がニュージーランドを訪問した際に、ニュージーランドのリンゴを日本が買ってくれということを行く先々で言われ続けたことを思い起こすのでありますが、とうとうやったかというような感じであります。解禁はされたんでありますが、ことしはニュージーランドにおける収穫が既に終了したこともありますことから実際の輸入は実施されない、また、明年以降につきましてもニュージーランド産による輸入の影響はそう大きなことではなく、まあ希望的観測と言えばそうなるかもしれませんが、軽微なものであると予想されるわけであります。しかしながら、お話にもありましたように、これを契機としてアメリカでも日本に向けてのリンゴ輸出を要請してきてる、こういうことが今後また拡大されていくことが考えられるわけでありまして、ついにリンゴにも国際化時代が到来したんだなあということをここで認識させられるわけであります。こういうことを申し上げるわけでありますが、本県のリンゴは、台風十九号の痛手にもめげず、さらにはまた、世界でも最も品質のよいリンゴを安定供給してきた実績、消費者との強い信頼関係があることなどからニュージーランド産リンゴには十分対応するだけの実力を持ってるんだ、こういうふうに考えるわけであります。県としましては、今後国際化にも対応した産地体制の整備強化のための施策を強力に展開することにいたしておりますので、生産者及び関係団体の皆さんには、県産リンゴに自信を持って元気を出して、切瑳琢磨しながら生産に励んでもらいたいと希望、期待しているところであります。産地体制の強化、流通対策等につきましては、どう対応していくかについて部長の方からこの際申し上げさしていただきます。  水産振興もお述べになりました。日本海のトロール漁船の減船等によって資源管理体制を強化すべきだと、大変ごもっともな話でありますが、担当の水産部長から答えさしていただきます。 6 ◯議長(小原文平君) 農林部長。 7 ◯農林部長(中尾良仁君) ニュージーランド産リンゴ輸入解禁に伴います本県のリンゴ産地の体制整備強化につきましてお答えを申し上げます。生産面と流通面の両面があるわけでございますが、まず生産面につきましては、一つは、これまでも申し上げておりますが、園地の若返りによる生産力の増強ということがまず第一だと思ってございます。それから二つ目といたしまして、矮化や無袋栽培等省力栽培の技術の普及徹底・拡大を図るということ、三つ目といたしまして、防除効果を維持した薬剤散布回数の削減ということで、これは防除薬剤の選択と適量散布ということになろうかと思いますが、このようなことによりまして、特に低コスト生産にこれから一層努めていくということがやはり大事だと思ってございます。また流通面につきましては、一つは、流通コストの軽減と品質管理の向上を図るということで、光センサー式選果機やCA貯蔵庫等の集出荷施設の整備を図っていく必要がございます。それから二つ目といたしまして、県産リンゴの国内販売での優位性の確保を当然図っていかなきゃならないわけですけど、そのためにも、健康、食味、安全をテーマに消費拡大・消費宣伝対策の強化を図ってまいりたいと思います。またジュースでございますが、高品質のストレート果汁の販売拡大を図るためにも、加工の振興と加工原料の安定供給体制の確立が必要でございます。四つ目といたしましては、国内の市場はもちろんのことでございますが、特に国外の新規の市場の開拓等による輸出の振興ということが挙げられます。また五つ目といたしまして、最近、市場流通のほかに産直とか宅配とか流通形態が変化してございますんで、これらに対応いたしました流通の改善というのが当然必要になってございますんで、これらへの対応を積極的に進めてまいりたいと思ってございます。なお、これらとあわせまして、既に着手をしてございますが、二十一世紀を目指した超省力大規模生産技術確立のための試験研究に取り組んでございます。これらの施策を総合的に展開しながら、リンゴ王国青森県におけるリンゴ産業の一層の発展に努めてまいりたいと思います。 8 ◯議長(小原文平君) 水産部長。 9 ◯水産部長(関野哲雄君) 日本海においてヒラメの稚魚放流、資源管理を推進しているが、このためには沖合底びき網漁船の減船が必要ではないかという御質問と、またこれとともに、秋田県沖合底びき漁船の本県日本海沖合への入り会いを廃止して資源管理型漁業を確立すべきではないかという二点の御質問でございます。一点目の御質問でございますが、本県日本海沿岸では、大臣許可漁業である沖合底びき網漁業は地域経済に根づいた漁業となっております。操業隻数は、本県船十一隻、秋田県船八隻となっており、主にタラ、カレイ、ヒラメの底魚を漁獲しているところでございます。沖合底びき網漁業は、漁法上魚種及び大きさの選択性に乏しく資源に与える影響が大きいことから操業区域や期間等の制限が課せられているほか、日本海側では特に沿岸漁業者との間で操業に関する協定等が締結され資源管理への対応がなされているところであります。昨年日本海の沖合底びき網漁業者と減船について話し合いを行いました。その折底びき網の漁業者からは、一部には将来の経営に不安を感じている者があったわけでございますが、大半は経営を継続したいという意向がありました。また、沖合底びき網漁業者も現在定められているヒラメ資源管理指針に沿って自主規制措置等に取り組んでいる状況にあることから、県としては当面その効果を見きわめながら減船の必要の是非を検討してまいりたいと考えてございます。  次に二点目でございますが、秋田県所属の沖合底びき船が本県沖合海域に入り会いするに当たっては、資源保護対策及び操業の円滑化を図るため、六月の操業自粛、栽培漁業にかかわる取り決め事項に協力するなどの内容の覚書を交わしておりますが、県としては、入り会い廃止問題は従来から国に要請しているところでありまして、また、この入り会いの廃止というのは資源管理面からますます重要課題となってきておりますので、その実現方について引き続き要請してまいりたいと考えてございます。以上でございます。 10 ◯議長(小原文平君) むつ小川原開発室長。 11 ◯むつ小川原開発室長(秋田谷恒夫君) 高レベル放射性廃棄物に対してお答えいたします。御質問は、国は二〇三〇年から二〇四〇年をめどに高レベル放射性廃棄物最終処分地を決めるとしているが、もっと早い時期、まあ高橋先生は二〇一〇年三月までというように申されたわけでございますが、に事業開始する提案について県はどのように考えるか、また、これを担保するための協定を結ぶべきと思うがどうか、それから、再処理工場における高レベル放射性廃棄物の一時貯蔵期間を三十年から五十年としているが、あいまいな表現ではなく、明確に、しかも小幅にすべきと考えるがどうか、こういう御質問でございます。高レベル放射性廃棄物につきましては、原子力委員会が定めました原子力開発利用長期計画におきまして、安定な形態に固化し三十年から五十年間程度冷却のための貯蔵を行った後、地下数百メートルより深い地層中に処分することを基本方針といたしまして、高レベル放射性廃棄物の処分が適切かつ確実に行われることに関しては国が責任を負う、このようにしております。ただ、これまで原子力開発利用長期計画におきましては処分の進め方に関する具体的なビジョンが必ずしも明確になっていなかったところから、処分対策全般に対する透明性を図り、処分対策の円滑な推進を期するために、昨年八月原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会におきまして、処分対策全体の手順及びスケジュール、関係各機関の責任と役割等について報告書として取りまとめられまして、原子力委員会では、この報告書の趣旨に沿って高レベル放射性廃棄物対策を着実に推進する、このようにいたしております。この高レベル放射性廃棄物対策の進め方の概要は、二〇〇〇年を目安に処分事業の実施主体の設立を図る、また、我が国の今後の再処理計画等原子力開発の状況等から総合的に判断して、高レベル放射性廃棄物の処分事業の開始は二〇三〇年代から遅くとも二〇四〇年代半ばを目途とする、このようにされております。また、高レベル放射性廃棄物の処分事業は地層処分の手順に基づいて行われるものでございまして、具体的な処分予定地の選定時期につきましては、その手順──手順といたしましては、処分地の選定、サイト特性調査、処分技術の実証、国の安全審査、これらの手順の進捗状況によるものと考えられるところでございます。また一時貯蔵期間につきましては、使用済み燃料の燃焼度などの違いによりまして高レベル放射性廃棄物からの発熱量が異なり、また処分場の設計によりましても合理的に処分するのに合致する発熱量が異なるということがございまして、何年というように特定することは困難である、このように承知しているところでございます。  次に、高レベル事業推進準備会の目的、具体的な業務でございます。去る五月二十八日に発足した高レベル事業推進準備会では、我が国の原子力開発の推進を図るために、高レベル放射性廃棄物に関する調査研究及びその成果の普及活用等を通して、国民の理解と協力を得つつ高レベル放射性廃棄物処分事業の準備の円滑な推進を図ることを目的としております。具体的な業務といたしましては、高レベル放射性廃棄物処分の事業化計画、実施主体の形態、業務、それから事業資金に関する事項、それから処分にかかわる立地に伴う地域振興等に関する事項、さらに広報に関する調査研究及び広報活動、それから法律、制度に関する事項、これらの業務を内容とした活動を行う、このようなことでございます。この準備会は、平成四年八月にまとめられました原子力委員会廃棄物対策専門部会の報告でございます「高レベル放射性廃棄物対策について」において示されました高レベル放射性廃棄物の処分事業の実施主体の組織形態等の検討を行う組織として発足したものでございます。成果といたしましては、二〇〇〇年に予定されております実施主体の設立のため必要となる検討結果を出していくことが期待されてるところでございます。  次に、ロシア軍事用再処理施設事故についてでございます。ロシアの軍事用再処理施設での事故に関しましては、現在までに承知しているところとして、ロシア政府の要請を受けまして国際原子力機関が三名の専門家を現地調査に派遣しております。国際原子力機関の専門家は主に汚染状況の調査を実施したとのことでございますが、その調査報告につきましては、取りまとめの後国際原子力機関の決裁を既に得まして、公表までの手続といたしましてロシア政府との協議に付されている、このように聞き及んでおります。また我が国といたしましても、科学技術庁の原子力局国際原子力協力企画官ほかがロシアを訪問いたしましてロシア原子力省からの情報収集に当たったところでございます。その結果によりますと、事故の状況と汚染状況につきましては、ウラン溶液タンクの中の溶液が十分に撹拌されていなかったために溶液が分離した状態にあり、表層部の有機層と加えられた濃硝酸とが急激な化学反応を起こしたために過剰な圧力を生じたことが原因である、放出された放射能は約四十キュリーで、建物の最大放射線レベルは毎時一レントゲン、それから、毎時十マイクロレントゲンの汚染面積は百二十平方キロメートルとのことでございます。また、事故当日作業に従事した者が最高〇・六レムの被曝をした、このような報告があります。県民に対する情報につきましては、既に四月十四日に科学技術庁から県に対して説明がございました。また、その内容につきましては県議会各派、さらに関係市町村にお伝えしているところでございますが、現在科学技術庁では、ロシア軍事用再処理施設の事故の原因等に検討を加えるとともに、その結果を我が国の安全確保対策に反映させるため、専門家も交えたロシア再処理施設事故調査ワーキンググループをつくりまして検討を進めているとのことでございまして、この検討結果が取りまとめられた段階で県及び原子燃料サイクル安全対策委員会等に対して説明を求めるとともに、説明を得た内容につきましては新聞広告等の形で県民に周知をしていく考えであります。以上です。 12 ◯議長(小原文平君) 高橋長次郎君。 13 ◯四十二番(高橋長次郎君) 北村知事さんのことでありまするからすべて了解いたしましたと言えば──これまではそういうことでやってきたんですけども、この問題につきましては私は「ああ、そうですか」と言って引き下がれません。それは、三点セットにつきましては全員協議会でもって取り決めした経過があります。そしてまた私どもも賛成した立場であります。この高レベルのことにつきましては、期限もなければ、国が地元青森県の意見を理解した上で、こういうふうに知事さんからは御答弁をいただいております。二〇三〇年、四〇年という年月になりますれば、ここにおって生きてるのは何人いるべ。木村太郎さんは今いないけども、私は恐らく木村太郎さんぐらいでネガなと思うんです。だから、これから若い方々が出てくる、そして知事も次の時代次の時代と出てくるわけですから、その方々に苦労をかけたくない、問題を残したくないと。ここに青森銀行の若山頭取さんがおられますが、何事にも──お金を借りるにしても、商法上期限のないのはあるとき払いの催促なしですよ。やっぱりここに最終の期限を置いて協定をしておいて、そして、その時点になったらまたどうか知りませんけれども。新幹線も二十年かかってもまだ来ない。新幹線もまだ来ない等々何回も繰り返し繰り返ししてきたこの政府のやり方については私は信用できません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そこで私は申し上げるんです。あなた方はあんまり力むな。そういう観点から私が北村知事さんに申し上げたいのは、この期限と協定書はきちっと結んでいただきたい、このことを私は申し上げるわけであります。再度知事さんの御答弁をお願い申し上げます。  次に定住圏問題であります。定住圏問題につきましては知事さんも大分力を入れておりまするが、ただ、東北六県の県郡でもって人口が減ってるのは青森市だけですよ。青森市は四百何十人減ってる。岩手県の盛岡は四万数千名ふえてる。仙台もふえてる、二万何ぼ。その中において青森だけが減っておる。そういうところからいって、電気料を下げるというのは私はただ単に言ってるんではない。我が八戸市の新産都市に誘致された企業の一企業を私は調べてみました。東京電力と東北電力を比較いたしましたるところ、一企業でもってその差が二億七千万何がし。東京電力と東北電力で企業の電気の差が二億七千万もあります。そこに働いてる従業員は四百名。それで割ってみなさい。何ぼになりますか、一人。電気料が高い分、働く労働者に全部しわ寄せが行ってるんですよ。だから、この青森県の所得が低いというのはここに起因してると私は思うんであります。いろいろと問題はあろうと思いますが、そこのところを私は申し上げたいのであります。  次にリンゴ問題であります。リンゴ問題については農林部長から大変立派な御答弁をちょうだいいたしましたが、口だけではだめですよ、これ。米が自由化され、そしてリンゴがアメリカ、ニュージーランドから上陸したならば津軽は吹っ飛んでしまいますよ。津軽の米どころ、リンゴどころは吹っ飛んでしまいますよ。私は今まで魚の輸入でもってえらいことを経験し、そして八戸の漁業界は吹っ飛んでしまってるんです。八戸の漁業界は今どうなってるか、輸入やら二百海里でもってどんどんどんどん後退し、そして経済はもう行き詰まってしまってるんです。このことを思うと、我が一次産業である農家の方々には我々が経験したことを再び経験さしたくない。そのためには、農林部長、しっかりと流通体系を築いて、そしてこれからの農業の指導に当たっていただきたい、これは要望いたします。  それから水産部長、水産部長には私はいろいろとお世話になってるから余り言えませんけども、それはそれとしても、今申し上げた西日本海の減船は、これはやらなきゃなりません。やって沿岸振興を図らなければトロールもだめになるし沿岸もだめになる。両方だめにならないためにはどちらかを犠牲になきゃならぬわけでありまするから、これはひとつ肝に銘じてやってほしいし、秋田県の入漁についても十分配慮していただきたいということ、これは水産部長に要望しておきます。  以上、二点だけ知事さんに御答弁を求めます。 14 ◯議長(小原文平君) 知事。 15 ◯知事(北村正哉君) 高橋議員の重ねての御質問であります。何としても、最終処分はもっとはっきりと、あいまいでなく年次を明示すべきだという御趣旨でありますが、先ほど申し上げたところで御了承いただきたいんでありますが、御了承いただいてないようでありますんで重ねて申し上げりゃ、やっぱり、技術的にと申し上げればいいか、五百メートル以上の深い地層処分をしていくのが最終処分であり、またそのことを進めるために所要の手順が必要とされるということで、明確に時期を示したいというのは、当事者である、今後できるであろう事業主体の方でも当然そう考えるだろうと思うんでありますが、技術的にそれが許されない、こういうことではなかろうかと私は思っております。なおまた、このことについて……(発言あり)もう一回申し上げましょう。地層処分という特殊な技術的なことが要請されることから、年次を明確にして二〇三五年とか二〇三八年とか、あるいはもっと早くという御要請でありますから、二〇一五年とかいう明確な年次を切ることは技術的にも困難なことではなかろうか、こういうことに私は考えております。なおまた、このことで県と政府との間で協定を結ぶということはこれもまたなじまないことではなかろうか。青森県につくらないんだという約束はできる。青森県につくらないんだという約束はできる。ただ、何年次にこれをどうするこうするという明確な示し方はできないのではなかろうか、こういうことであります。(発言多し) 16 ◯議長(小原文平君) 御静粛に願います。 17 ◯知事(北村正哉君) 御了承願います。  定住対策について重ねてのお話があったんでありますが、今の原子力施設との関連における全県波及の制度を求めるということについてはさっき申し上げたんでありますが、その他一般的に私に言わせれば、県政のほとんどが定住促進対策につながることであるというふうに考えております。ここ三十年来の県政は定住促進をねらって進められてきてる、つまり産業構造高度化対策がそれに該当するわけでありますが、それをもってしてもなおかつ人口が定住できずにいるということで、過般は「はつらつあおもりプラン」をさらに重ねてつくって、若者の県外流出を抑えるとか、そのためには仕事場を拡大するとか、あるいは晩婚少産を少しでもそうでない方向へ誘導する、そのために育児環境を整備する、あるいは県内のイメージアップを図って安住できるように進めていく、こういう施策をさらに重ねて策定もし推進しているところであります。以上であります。 18 ◯議長(小原文平君) 高橋長次郎君。 19 ◯四十二番(高橋長次郎君) 知事さんのおっしゃってることですから私も下がりたいんですけども、下がれません。というのは、この協定というのは、これから十年たち二十年たった時点で青森県のこれからの人が高レベルは国がきちっとおさめてくれるんだというふうな文書をちゃんと出してるじゃないか」と言って国に行ったときに国の偉い方々は何と言うか、私も大体想像はつくんだけども、「確かに言いました。しかし、言いましたけども期限はつけていませんよ」、こう言われるはずであります。要するに、期限のないというのは貸借でも成立しないんですよ。知事、ここはやっぱり、知事は県民の立場に立って、青森県民が不安を持ってるんだから、この不安を解消するためにはきちっと期限を決めてやることが必要であると私は思います。したがって、御答弁は要りません──答弁するなら答弁しても結構ですけども、私は納得いたしかねます。よってこれはきちっとやっていただきたい。もしそれで私が悪いということで除名と言えば、私は除名……。申しわけありません。御答弁願いたいと存じます。 20 ◯議長(小原文平君) 知事。 21 ◯知事(北村正哉君) 青森県では最終処分地を受けないと言ってるわけでありますから、それを堅持することによって行けるんだ、私はこう考えております。 22 ◯議長(小原文平君) 午さんのため暫時休憩いたします。 午前十一時五十分休憩        ───────────────────────────────── 午後一時五分再開 23 ◯副議長(澤田 啓君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。三十六番間山隆彦君の登壇を許可いたします。  〔三十六番(間山隆彦君)登壇〕 24 ◯三十六番(間山隆彦君) 公明党の間山でございます。六月度定例会に当たりまして通告に従ってお尋ねしてまいりたいと思います。  初めに東北新幹線盛岡-青森間への取り組みについて伺いたいと思います。突然の衆議院解散で本県の長年の念願である東北新幹線盛岡-青森間の全線フル化実現に対してどのような影響が出るのか、かたずをのんで見守っているというのが関係者の偽らざる心境と思うのでございます。自民党整備新幹線建設促進特別委員会が当初の目標としておりました今国会会期中の見直し案取りまとめについては、六月十七日の時点で、政治改革論議による紛糾などで物理的に詰められないとして事実上断念を表明しておりましたものの、このたびの衆議院の解散、総選挙は最悪のケースとして心配されていたとおりの結果となり、ざんきの念耐えがたいものがあるのでございます。フル化に向けた整備新幹線計画の見直しということで去る六月四日発足した政府・自民党見直し検討委員会で正式に政府レベルでの論議が始まっていたのが、解散で党側が欠ける状態となりましたことから、この検討委の論議は事実上の中断となったのであります。また、党側は、総選挙後再スタートとなるのに加えましてどのような政治勢力が形成されるのか不透明で、見直しへの政治力結集は困難になってきていることは間違いのないところでございます。今までフル化実現に総力を挙げてきた本県にとりましては、最後の詰めの段階で情勢が変わってしまったわけであり、まことに残念な結果であります。この解散が決まった際の知事のコメントを拝見いたしましても、「政府・自民党の見直し検討委の論議が中断、六月決着も事実上不可能であることから、見直しの結論も大幅におくれる可能性が大きい。しかし、フル化の必要性が変わるわけではなく、実現するよう検討委員会再開までは政府側を中心に運動していく。選挙後は今までに増して運動を強化する」ということで、厳しい状況の認識を述べておられました。一方、実務討議の機関として設置された検討小委員会は大蔵、運輸などの各省局長で政府側が構成されておるのでありますが、この政府側の意向は現行スキームで着工している整備三線五区間からの踏み出しに消極的ということで、見直しに一層の暗雲を漂わせているのであります。このような状況を招く前に、自民党整備新幹線建設促進議員連盟財源検討小委員会による新財源案では、地域負担割合は一五%から引き上げられ三〇%とされ、これが適用された場合本県の負担額は、年間八十二億円、総計で一千二百億円余と巨額なものとなり、自治省も、地元負担は一五%が限界でふやす余地はなく、自治体共通の財源である交付税を充てるのも不適当という判断と聞くわけであります。そこで第一に、衆議院の解散が新幹線の見直し検討に与える影響についてどのように受けとめておられるのか、フル化へ向けての今後の運動の方向性について伺っておきたいと思います。第二に、整備新幹線議員連盟の財源検討小委員会が提唱した建設費の地元負担が従来の一五%から三〇%になる案に対しましては、大蔵省はもとより自治省も難色を示しているわけでありますけれども、これに対する知事の考え方を承りたいと思います。交付税措置が認められるならば三〇%負担によってでもフル化を実現すべきだとの意見もあるわけでございますけれども、この点を伺っておきたいと存じます。第三に、今のフル化へ向けての状況はますます厳しさを加えているわけでございますが、財源不足が言われる中で、仮に全線フル規格の約束が取りつけられれば現在の暫定整備計画の建設予算で盛岡以北をフル規格で可能な限り整備する、という妥協案は考えられないのか伺っておきたいと思います。  次に再処理施設の安全性について伺いたいと思います。核燃料サイクルの中心的施設であります再処理工場が去る四月二十八日に着工されたわけであります。これまで海外に依存しておりました再処理事業が日本の六ヶ所村で対応できるということは、原子力関係者にとりまして、長年の念願がここに成就したということで感慨深いものがあったのではないかと推測するものでございます。一方、冷戦構造の崩壊でプルトニウムの過剰傾向が言われる中、その利用の先行きも明確でない状況下でどこまで経済性を維持できるのか、安全性は確保できるのか等再処理事業の未来は多事多難であると言わざるを得ないのであります。六ヶ所村では既にウラン濃縮工場と低レベル放射性廃棄物処理施設が稼働し、高レベル廃棄物管理施設の建設も着々と進行中でございます。下北半島、六ヶ所村は文字どおり日本の原子力センターとなったのであります。言うまでもなく、核燃料サイクル施設の中でかなめ中のかなめとなるのが再処理工場であり、また、安全性について最も危惧されているのがこの施設であります。原子力発電所の使用済み核燃料を再処理し、新しい燃料としてプルトニウムと燃え残りのウラン燃料を回収するのでありますが、現在、試験工場として動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場が運転されているのでありますが、六ヶ所工場は建設費九千億円で西暦二〇〇〇年の操業開始を予定し、処理能力は東海工場の四倍となるものであります。日本の原子力にかかわる政策は、使用済み燃料をすべて再処理して生産されたプルトニウムを高速増殖炉で燃やすという計画であります。これまでは再処理のほとんどはフランスと英国に委託しており、その結果返還プルトニウムの国際輸送が世界を不安感に陥れていることは周知の事実であります。今、事実上再処理工場建設に着手するに当たり、プルトニウムをめぐる環境に変化が生じ、ウランの国際価格が低水準化され、加えて高速増殖炉の実用化の見通しは立たず、プルトニウム利用の価値が著しく低下したことは否定できないところであります。加えて、さきにも述べましたように、東西冷戦構造の終結によって核兵器が解体され、プルトニウムがだぶつくという状況を呈しているのであります。再処理の規模と事業の推進は刻々と変化する時代の状況に合致させるべきとの意見に対して謙虚に耳を傾ける態度も必要ではないのかと考えるものであります。プルトニウム需要の見通しも定まらないまま、安全性の確固たる保証も疑わしいままに既定方針をかたくなに進める現在の原子力政策はいかがなものであろうかという厳しい見方もあるわけであります。再処理工場は本来原子爆弾の材料としてのプルトニウムを取り出すことから始まったものであり、平和利用技術としては未熟な段階にあり、六ヶ所工場も完成された商業用工場とは言いがたいという意見は相当の説得力を持っていると認識するものであります。欧米の施設では過去に、核反応を招く臨界事故が八件、去る四月のロシアのトムスク施設で起きた爆発火災事故と類似した事故件数は約五十件と聞いております。東海試験工場も故障に次ぐ故障であったことも記憶に新しいわけであります。また、この再処理工場は日常の運転でクリプトン85とトリチウムという多量の放射性物質を垂れ流しにし、放射性ガスのクリプトン85は大気中に間違いなく蓄積していくわけでありますから、将来何らかの影響が出ないことはだれも断言できないことであります。事実、クリプトン85は原子炉や再処理工場の運転により生成し安全上問題となる、トリチウムはマウスなどの動物実験で突然変異や染色体異常の誘発原因になり得ることが確認されている、というのが一般的な学説であります。以上申し上げて伺いたいと思います。まず第一に、トムスク事故があったわけでありますが、欧米でも類似事故は約五十件を数えると言われております。加えて核反応を招く臨界事故が八件あったということでありますが、六ヶ所工場でも同様な事故が起こるのではないかとの不安が大きいわけであります。安全性に対する考え方を承っておきたいと思います。第二に、商業用プルトニウムが過剰と言われる中で、安全性の不安を抱えながら危険を冒してまでも再処理施設の稼働を容認する必要はないのではとの考え方があるわけでありますが、これに対する御所見を承りたいと思います。第三に、クリプトン85、トリチウムのほぼ全量が大気中と水中に放出され、特にクリプトンは確実に大気中に蓄積されるわけでありますが、環境への影響をどのように考えておられるのか伺いたいと思います。  次に農業問題についてお尋ねいたします。初めに青森県新農業農村整備計画第四次の土地改良長期計画でありますが、最近の農業の情勢は、対外的にはニュージーランド産リンゴの輸入解禁問題やガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の先行きが不透明な状況の中で、国内的には農産物価格の低迷、農業後継者不足や農業労働力不足など、内外ともに厳しい環境下にあるわけであります。農業は本県産業の基幹的な存在であり、このように厳しい事態に対処していくため、本県の持っている立地条件を最大限に生かして生産性の高い農業の確立を図っていくことが必要になってくることでありましょう。そのためには、土地改良事業により圃場整備やかんがい排水などの基礎的な農業生産基盤の整備を行い、経営感覚にすぐれた経営体に農地を集積するなど経営規模の拡大を積極的に進めるとともに、大型農業機械や新技術の導入を推進し労働生産性の大幅な改善と生産コストの低減を図っていくことが求められておるのであります。本県の農村地域は県人口の半数が居住する重要な生活空間となっております。農村集落の生活排水を処理する施設や農道など生活環境の整備が都市部に比べて立ちおくれているため、過疎化の進行をとめ農村への定住化を進める上で生活環境の整備促進は不可欠であります。農林水産省は、我が国の農業、農村の基盤を築くために昨年六月に公表した「新しい食料・農業・農村政策の方向」、いわゆる新政策に基づき第四次土地改良長期計画を策定したのでありますが、本県においても、二十一世紀を目前にして、国際化時代にも対応し得る高い生産性を持つ農業の確立と活力のある豊かな農村社会の実現を目指す青森県新農業農村整備長期計画の内容と計画達成のための基本的な考え方を承りたいと思います。  第二に、四年産自主流通米の入札結果と今後の対応について伺いたいと思います。自主流通米はこれまで全国段階の集荷団体と販売団体が協議して価格を決めて取引が行われてきたのでありますが、二年産米からは需給動向や品質評価を価格に的確に反映させるという意図のもとに入札制度が導入され、東京と大阪の取引場で入札取引が実施されておるのであります。その入札取引に県産自主流通米は、二年から四類「むつほまれ」と「むつかおり」が、三年から「つがるおとめ」が上場され、いずれもこれまで高値で取引され、「つがるおとめ」と「むつかおり」については三年産の入札で県産米として初めて二万円台の価格をつけたのであります。このことは生産者を初めとする関係者が県産米改善に努力してきた成果であると受けとめており、関係者にとって大きな励みの材料となったことは事実であります。しかし一方、四年産米の入札では、県産米は、「むつほまれ」が最後まで基準価格の七%高の上限価格を維持したものの、「つがるおとめ」と「むつかおり」は大阪で第四回入札から値下がりし、東京でも第五回入札で値下がりしております。入札でありますから、米の実力や米全体の需給事情のほか銘柄ごとの価格の動き、並びにそれに伴う銘柄間の価格差等によっても左右されるため入札のたびに価格が上下するのは当然であります。しかし、入札価格が値下がりしたという現象だけが強調されるために、産米改善への取り組み意欲が後退したり、県産米の看板銘柄として作付拡大を図らなければならない「つがるおとめ」や「むつかおり」の作付が減少するようなことが懸念されるわけであります。県は四年産自主流通米の入札結果をどのように受けとめられ、今後どのような対応をしていくのか伺っておきたいと思います。  次に自然保護行政について。初めに白神山地の世界遺産登録について伺ってまいりたいと思います。世界遺産条約は、地球上の自然と文化の貴重な遺産を保護し、次世代に残すことを目的に七二年にユネスコの総会で採択され、ことし一月現在で百二十八カ国が加盟しておりますことは広く知られているところであります。人類共有の遺産としてふさわしい価値ある自然、文化財が三百七十八件登録されており、加盟各国は国内法などによって条約登録地の保全に努めるとともに、拠出した世界遺産基金によって傷ついた遺産の修復作業を行っております。登録地については、各国が自薦し、二十一カ国の代表から成る世界遺産委員会から「これぞ世界の驚嘆すべきもの」と評価されたものが目録に登録されるシステムとなっておるのであります。現在登録されております自然遺産は、米国のグランドキャニオン国立公園、オーストラリアのグレートバリアリーフ、エクアドルのガラパゴス諸島国立公園、ネパールのエベレストを含むサガルマータ国立公園などとなっております。文化遺産では、エジプトのピラミッド、ギリシャのアクロポリス、中国の万里の長城、カンボジアのアンコールワット、フランスのベルサイユ宮殿などであります。この世界遺産条約の登録に向けて世界遺産委員会がことし十二月にコロンビアで開催されるとのことであります。これまで日本は条約を批准していなかったのでありますが、昨年九月に、知事初め青森県等の熱心な国への要請により加盟国となりました。初の登録に向けて、自然遺産として、世界最大級のブナ原生林が残る白神山地と、樹齢千年以上の屋久杉が分布し独特の生態系を持った屋久島を推薦しているのであります。登録可否につきましては実態調査を踏まえた上で決定されることとなっております。三年前のカナダ・バンフでの第十四回世界遺産委員会総会にオブザーバーとして参加された沼田日本自然保護協会長は「審査は非常に厳しいもの。それだけ権威があるという強い印象を受けた」と言われておりました。この遺産登録に関する白神の現地調査は五月十一日から十四日まで四日間にわたり、国際自然保護連合の調査員二人に、本県から入谷副知事を初め十三人が同行して行われたわけであります。広大な原生林の中の四日間の行程であり、御苦労を多とするものであります。委員であるトーセル博士の調査終了後の印象は、学術的な価値が極めて高い、二番目に原生的な自然状況がよく保たれている、三番目に地元住民の自然保護への意欲が酌み取られたなどが挙げられ、登録条件としてマイナスの点はほとんどないということでありました。ただし行政側への注文として、高い基準の自然を守るためにこの地域をどう守るかについて立派なマネジメントプラン──管理運営計画をつくってほしいとの要望があったのであります。この調査と前後して知事も白神山地の世界遺産登録を要望するためパリのユネスコ本部を訪問されたと聞いておりますが、第一に、知事を先頭にしてのこれら一連の積極的な白神山地の世界遺産登録へ向けての姿勢に対して心から評価するものでありますが、現時点におきましての登録に関しての御所見を承りたいと思います。第二に、トーセル博士から現地調査終了後の行政への注文として立派な管理運営計画をつくってほしいとの要望があったわけでありますが、その進捗状況について伺いたいと思います。自然保護行政の第二番目といたしまして、渡り鳥の生息地として重要な湿地を保護するラムサール条約の第五回締約国会議が北海道釧路市で百四カ国の政府代表と百四十九団体のメンバーが集まって開催され、滋賀県琵琶湖など国内五カ所の湿地、干潟が登録湿地となったようであります。本県においてラムサール条約に該当するような湿地は存在するのかどうか伺っておきたいと思います。  次に産業廃棄物処理問題について伺いたいと思います。厚生省の産業廃棄物排出処理状況調査によりますと、九〇年度の全国の産業廃棄物の排出量は五年前と比較すると二六%も増加したことが明らかになりました。その要因としては利用価値がまだあっても再利用のための設備投資費がかかることが挙げられておりますが、この調査は七五年度から五年ごとに実施されているもので、農業、建設業など七十八業種から出た九〇年度一年間の汚泥、建設廃材など十九種類の産廃について都道府県別に調べたものであります。これによりますと、全国の産廃排出量は約三億九千五百万トンで、前回調査の八五年度に比べ二六%、約八千三百万トン増加したというものであります。我が党でも、こうした廃棄物処理処分の現状と対策、リサイクルの現状を把握するために四十七都道府県と十二政令都市にアンケート調査を実施いたしましたところ、約八割に当たる三十七県が、アスベストやPCB、水銀など有害産業廃棄物の実態をつかんでいないという事実が明らかになりました。また、これまで産業廃棄物の越境処理はよく知られているのでありますが、地域内処理が原則である一般廃棄物も四割を超える都道府県で越境処理されていることがわかりました。不法投棄や不適正処分が後を絶たないのの背景には最終処分場がパンク寸前に追い込まれている現実があることも否定できないところであります。その意味から、不法投棄を未然に防止し、住民とのトラブルを避けるためにも自治体間における一定のルールづくりが必要になってきているのではないか、このように考えるものであります。また、今回の調査で、自治体からの国に対する要望で、中間処理・再資源化施設への国の助成強化が四四%、メーカー責任の強化が四一%、再生品の市場構築が三六%との回答が示しておりますように、厳しい局面を打開するためには自治体だけの努力では限界に来ている面も多々あり、国の強力なリーダーシップがどうしても必要になってきているというのが実情と考えるものであります。一方、日常生活によるごみもここ十年で増加の一方であり、お年寄りから赤ちゃんまで入れて毎日一・一キロ出した計算になり、首都圏では家庭ごみの最終処分場はあと一年もしないでパンクすると言われております。以上申し上げて、第一に、本県において産業廃棄物処分場の使用可能期間はどのくらいあるのか、また、産業廃棄物の都道府県域を越えた広域処理について県はどのように考えておられるのか伺いたいと思います。第二に、本県におけるPCB、アスベスト、水銀等の有害産業廃棄物の実態及び産業廃棄物不法投棄の状況はどのようになっているのか伺いたいと思います。  次に八戸港の輸入促進地域の指定について伺いたいと思います。貿易不均衡是正のための、平成四年七月十六日施行、平成八年五月二十九日までの時限立法での構想である輸入促進地域──FAZは輸入関連施設の整備と輸入貨物の流通を支援するものと伺っております。内容的には、輸入に関する施設、事業、活動を集積した空港や重要港湾、その周辺地域をフォーリンアクセスゾーンに指定し、保管や加工、展示などの輸入関連施設を整備する第三セクター等に国が資金や税制面で支援するシステムと伺っております。国では全国で十五カ所程度指定する考えのようでありますが、関西国際空港と大阪港を抱える大阪府と大阪市のほか四カ所、計六カ所がこの三月二十四日に既に指定になったようであります。本県では八戸市が国の策定した地域輸入促進指針に基づいて指定の要望をしているわけであります。八戸市は造成中のポートアイランドを候補地に予定しており、去る六月十四日には八戸商工会議所に八戸FAZ推進検討委員会も発足したのであります。そこで、第一に、県が昨年実施いたしました青森県貿易振興基礎調査の結果について伺いたいと思います。第二に、輸入促進地域の指定に向けての県のこれまでの取り組みと今後の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。  次に地方拠点都市地域について伺いたいと思います。去る五月二十一日八戸地方拠点都市地域整備推進会議は、拠点都市の理念と具体的整備方針を盛り込んだ基本計画原案を発表いたしました。その基本理念は、地域の産業技術の集積と研究機能を生かした各地域との交流推進、高速交通体系整備と八戸港の港湾機能を生かした地域振興、札幌、仙台に次ぐ北の第三の定住文化交流圏の形成を挙げ、整備の方針は都市機能の充実のほか八項目から構成されております。この計画は拠点整備の目標をおおむね十年としており、具体的な整備計画は、既に計画が策定、あるいは各種調査が進んでいる計画熟度の高さが課題となっているようであります。このため特に重点的に整備する地域として、一、八戸市中心市街地、二、八戸駅周辺、三、八戸ニュータウンの三地区が定められ、三沢市については、空港、米軍基地内大学等の地域特性を生かし今後拠点地区の設定を検討する、という内容になっております。これに対して他市町村から、国の事業認可を受けているもの、計画熟度の高いものなど国、県が大きく関係している事業が優先されているとして拠点地区設定等に対しての意見、さらには、新産都市建設計画では期待したほどのメリットがなく、その二の舞いになりはしないか等の疑問が出たと聞いております。大詰めの基本計画承認に向けて問題点が明らかになってきたわけであります。そこで以上申し上げてお尋ねいたしますが、第一に、八戸地方拠点都市基本計画原案について種々の課題が指摘されているわけでありますが、二市六町二村の構成市町村間の調和について考え方を承りたいと思います。第二に、政局の変化から行政にも大きな影響を及ぼしているわけでありますが、予定されております六月下旬の知事承認は予定どおり行われるのかどうか承っておきたいと思います。  以上で私の一般質問を終わらせていただきます。 25 ◯副議長(澤田 啓君) 知事。 26 ◯知事(北村正哉君) 間山議員の御質問にお答えいたします。  東北新幹線盛岡-青森間への取り組みということで、今度の解散との関係を心配されての御質問でありました。整備新幹線の見直しにつきましては、政府・与党から成る整備新幹線見直し検討委員会という委員会をつくって検討をしてきたわけでありますが、解散によってそれが中断されるということになり、このことによって六月中に決着しようというような考え方は吹っ飛んでしまったわけであります。これによって見直し全体の結論を出すのが大幅におくれてくるという可能性が大きくなってるわけであります。そういう非常事態と申し上げりゃいいか、心配な事態でありますが、東北新幹線盛岡-青森間の全線フル規格化の必要性というものは、これは解散等によって変わるものではなく、その実現がなされるように、整備新幹線見直し検討委員会がこの後再開されるまでは、まあ政府側は現存するわけでありますし、また参議院の関係は残ってるわけでありますから、こういった機関を対象として運動を引き続き続けていきたいと考えているところであります。また、自民党におきましては私どもがお願いしてきた方向で具体的に取り組んでいただいてきたわけでありますし、今後も今までの議論に積み重ねて取り組んでいただくことを期待しているわけであります。まあしかし、何度も申し上げますが、見直しの機運がこの解散によって一時とんざする、冷めて渋滞することは免れないものであろうと大変残念に思います。まあしかしいつまでも選挙が続くというわけではない、四日告示、十八日投票というんでありますから、その選挙が終わった後は、今まで同様にというか、今までにも増して運動を強化して我々の主張が実現できるように努力してまいりたいと思っておりますので、県議会におかれましても御協力を賜りたいと思ってるところであります。  同じように新幹線のことで、議員連盟の財源検討小委員会が提唱した建設費の地元負担問題が出てきてるわけであります。今までの一五%から三〇%負担にしろという案に対して知事はどう思うのか、こういう御質問でありました。今の地域負担の割合は御承知のとおり一五%となっているわけでありますが、五月の二十日に示されました自由民主党整備新幹線建設促進議員連盟財源検討小委員会の財源案では、JRは受益の範囲内で一〇%とする、国が六〇%、地域が三〇%、こういうことにされているわけでして、地域負担については交付税措置の対象とすることを検討する、こういうことになっているわけであります。今後は、この財源検討小委員会の案が一つのたたき台になって政府・与党から成る整備新幹線見直し検討委員会で検討が加えられていくものと思います。思いますが、何度も申し上げるように、突如として解散に遭遇したわけでありまして、この動きに渋滞が出てくることが考えられるわけであります。県としましては当面政府・与党の議論の方向を見守りたいと考えてるわけでありますが、とにもかくにも新幹線建設は国家的プロジェクトである、これは検討委員会の方でも認めているわけであります。国家的プロジェクトであって、国がその大半の責任を持って進めるべきだ、こういう考え方であります。そのとおりのことを強調したいと思いますし、また、財政力の乏しい本県におきましては非常に苦しい財政運営を強いられることになるので、地方の財政等を十分検討の上必要な対応をお願いしたいもんだと考えてるわけであります。なお、お話にも出たんでありますが、地方負担が大きくなることにつきましては自治省におきましてもこれに強く反対をしてるところでありまして、応分の地域負担とはどの程度を適当とするのかということにつきましては十分慎重な御検討を願いたいもんだと思ってるところであります。  同じ新幹線のことでありますが、財源がないと言われているが、全線フル規格の約束を取りつけた上で現在の暫定整備計画の建設予算で盛岡から北の方へできるだけやったらどうか、こういう御提案でありました。御承知のことでありますが新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づいて昭和四十八年に整備計画が決定され、国の事業として整備の推進が明確に位置づけられてきております。どうもこれが見落とされがちで私はやきもきするわけでありますが、四十七年に基本計画、四十八年に整備計画がはっきりと決められ、その整備計画にのっとって工事計画まで旧国鉄時代につくられ、当時の運輸省に申請され、受理され、それに基づいて環境アセスメントもやるだろうし、ルートの決定も見たろうし、駅舎の決定も見たろうし──決定というか案でありますが、こういう経過で来ているわけでありまして、あくまでも国が国の責任のもとに進めるべき事業だ、こう考えてるわけであります。それが五年前の暫定整備計画によってミニとフルとが混在した形に、今日それを基本スキームだ基本スキームだと言ってるんでありますが、私は基本スキームとは思わない、基本スキームというのは四十八年の整備計画が基本スキームだ、こう考えてるわけであります。私たちは本年の見直しによって東北新幹線盛岡-青森間の整備計画どおりのフル規格による実現を望んでいるわけでありまして、その実現の日の一日も早からんことを望んでいるわけであります。そのための工事の手順であるとか要領であるとかにつきましては事業者のJRあるいは鉄建公団等の判断を尊重すべきだろうと思ってるところであります。  その次が、プルトニウム過剰と言われるが、危険を冒してまでも再処理施設をやる必要があるのか、こういうお尋ねでございました。担当の室長の方から申し上げてもいいんでありますが、大変大事な点だと思いますし、私から申し上げます。再処理施設につきましては、エネルギー資源に恵まれない我が国にとってウラン資源を有効に利用して原子力発電の供給安定性を高めるために不可欠のものであり、国のエネルギー政策及び原子力政策上極めて重要な位置づけにある、こういう認識のもとに、安全確保を大前提として、かつまた民主的な手続を経て立地協力要請を受諾して今日に至ってるわけであります。県としては、再処理施設で取り扱われるプルトニウムにつきましては、県民の間でその安全性について不安、疑問が少なくないということは承知いたしておりますので、専門家にこれを委嘱して、「六ヶ所再処理工場におけるプルトニウム取扱いと安全確保方策」について、つまり安全性のチェックを実施したわけであります。その検討結果は、六ヶ所再処理工場でプルトニウムを取り扱うことによって運転に伴い放出されるプルトニウムは合理的に達成できる限り低く抑えられ、その結果環境への有意な影響を及ぼすことは考えがたい、また、十分な臨界安全設計が行われているのでして、臨界事故を起こさないように安全性が確保されることになるものと考えられる、こういう述べ方であります。プルトニウムを取り扱うための所要の知見がまた示されており、これを踏まえた上での対策が講じられていることから六ヶ所再処理工場における安全確保方策は十分である、こういう結論を出されたものであり、私としましてはこの結論を尊重してるわけであります。また、お話の中で再三出ましたプルトニウム過剰論──多過ぎるんだ──安くなったし多いし、こういうことにつきましては、まあこちらからいろいろと照会するわけでありますが、国の関係機関においては間山議員の御指摘のとおり過剰と断定してるわけではない、過剰論をそのまま認めてるわけではない、私はそう承知いたしております。  それから農業問題がございました。新農業農村整備長期計画について尋ねられたわけでありますが、新しく新農政プランが出ました。また県の「農業構造政策の展開方向」も策定されているわけであります。こういう新しい事情を受けて政策目的に沿った長期にわたる計画を策定したものでありまして、中身につきましては私からでなくて担当の部長から報告を申し上げたいと思います。  それから白神山地についてお尋ねがありました。ユネスコ本部を訪問したとき、あるいはIUCN──世界自然保護連合、こういった場所を訪問したときに──場所を訪問しただけでなくて、相手の事務局長その他にお会いしてるわけでありますが、どのような反応を得てきたか、また今後の見通しはいかん、こういうことであります。白神山地の世界遺産登録につきましては、ユネスコを初めとする関係機関に要請したときのことを結論から申し上げれば、国際自然保護連合──IUCN、それからユネスコ本部の双方に白神山地の普遍的価値を理解していただく、また、保護保全に関する地元青森県の熱意をも十分に伝えることができた、私はそう思っております。事務局長にはなかなか会えないというのが現実でありますが、いろんな好意的な手配をしてくださる人がいて私は十分にお会いすることができました。こういうことで、県としては、この両機関の関係者には登録についていい印象を持っていただいたものというふうに受けとめております。また、お話にありました五月十一日から十四日まで行われたIUCNの現地調査におきましても、二人の調査員から、原生的な自然が大変よく保存されており学術的な価値が極めて高いという評価を受けたわけでありまして、期待をかけているところであります。ただしかし、今後コロンビアで正式に決まるのは十二月ということでありますので、県としては手を抜かずに世界遺産登録に向けて引き続き努力をしてまいりたい。努力の中心は、お話にあったマネジメント──管理運営計画をしっかりしたものをつくるということが中心になろうと思いますが、そのつもりで対処したいと思っております。その管理運営計画の進みぐあいはどうなっているかにつきましては、担当の部長の方から進捗状況について御報告を申し上げます。  その他、ラムサール条約、あるいは産業廃棄物の問題、八戸港の輸入促進地域の指定絡みの貿易振興基礎調査の関係、また指定への取り組み、地方拠点地域の基本計画のことのお尋ねにつきましてはそれぞれ担当の方からお答えをすることにいたします。 27 ◯副議長(澤田 啓君) 企画部長。 28 ◯企画部長(佐々木 透君) 八戸地方拠点都市地域基本計画についてお答えいたします。ことしの二月十五日の知事の地域指定後、地元十市町村で構成する八戸地方拠点都市地域整備推進会議で八戸市を中心として基本計画案の策定作業を鋭意行っており、現在関係省庁との調整を行っている段階にあります。その過程において、構成市町村間の調和のとれた内容とすべく逐次連絡会議の開催等を行い調整を図るとともに、各市町村において議会全員協議会等の場において説明を行うなど、各市町村の意向を計画に反映させることに努めたと聞いております。今後の運びにつきましては、国との調整を経た上で最終的な基本計画案として取りまとめ、知事に対して承認申請がなされることになっております。承認の時期につきましては、関係省庁との調整にどの程度の日数を要するかで定かでない面があり現時点では明確に示し得ないわけでありますが、当面、七月上旬をめどとして対応していく考えであります。 29 ◯副議長(澤田 啓君) 環境保健部長。 30 ◯環境保健部長(清木 直君) まず自然保護行政の二点についてお答えをいたします。第一点は白神山地の管理運営計画策定の進捗状況であります。世界遺産条約を履行するための指針によりますと、住民の意見を反映させた長期的な管理運営計画の策定が世界遺産登録の重要な要件とされております。このため県としましては、七月を目途に、有識者から成ります白神山地管理・運営計画検討委員会を設置し計画についての検討を進めたいと考えております。その内容でありますが、「将来にわたっての自然環境の保全」、「環境学習、学術研究の推進」、「保護・保全と調和のとれた利活用」の三点を基本とする考えでありまして、現在計画の素案を策定中であります。  第二点はラムサール条約の関連で、本県におけるラムサール条約に該当する湿地の状況についてであります。ラムサール条約は、水鳥と湿地の保護を目的として一九七一年──昭和四十六年にイランのラムサールで採択されたもので、正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」となっておりまして、日本は昭和五十五年に批准いたしております。現在日本におけるラムサール条約登録湿地は、これまで登録された四カ所に加えまして、去る六月九日から開催された釧路会議において新たに五カ所の登録が認定されたものであります。一方、平成元年に、民間団体であります国際水禽湿地調査局日本委員会──水禽は水鳥という意味でありますが、国際水禽湿地調査局日本委員会が、我が国における特に重要な湿地二十四カ所、重要な湿地五十一カ所の合わせて七十五カ所を選定し、環境庁に対して登録湿地をふやすよう要請しておりますが、このうちの一つとして、小川原湖及びその周辺の八つの沼を含む小川原湖沼群が候補地として挙げられております。なお、環境庁が本年度新規事業として全国の湿地の分布調査及び動植物の生息・生育地として特に重要な湿地の詳細調査を県に委託して行うことを予定しておりますので、県としましては調査を通してその詳細な実態の把握に努めてまいりたいと考えております。  次は産業廃棄物処理問題の四点についてであります。第一点は産業廃棄物最終処分場の使用可能期間であります。本県における産業廃棄物最終処分場の埋め立て残余容量につきましては、平成四年十一月現在において、建設廃材等を対象とする安定型最終処分場が約八十六万立方メートル、汚泥、木くずなどを対象とする管理型最終処分場が約八十七万立方メートルと把握しております。また、年間に最終処分される産業廃棄物の量は約百五十万トンでありまして、この内訳は、安定型廃棄物が四十万トン程度、管理型廃棄物が百十万トン程度と推計いたしております。しかし最終処分場の使用可能期間を算定することは極めて困難な状況であります。その理由でありますが、まず一つとして、処分場の残余容量の単位が立方メートルであり、一方、廃棄物の量がトンのため換算が容易でないことが挙げられます。二つ目として、埋め立てた廃棄物の容積がその後、締め固められたり分解される等により減少することがあることであります。三つ目として、処理業者等が把握する処分量等の数値は、トラックの台数等から推測したり仮定を置いて重量から容積に換算するなどしたものであって精密な数値でないこと、こういうふうな事情によるものであります。  第二点の産業廃棄物の広域処理についてでありますが、県はこれまで、地域で排出された産業廃棄物はその地域で処分する自区域内処理を原則として考えておりまして、県外産業廃棄物搬入の事前協議要綱等に基づき適切に対応してまいりました。県外から産業廃棄物が大量に持ち込まれることにより県内産業廃棄物の適正処理に支障を生ずることになるため、これを防止する見地から県としては今後とも現在の方針を堅持してまいりたいと考えております。  第三点でありますが、PCB、アスベスト、水銀等の有害産業廃棄物の実態についてであります。平成四年七月に施行された改正後の廃棄物処理法において基準を超えた有害物質を含む産業廃棄物は特定有害産業廃棄物として新たな規制が加えられることになったことから、県では平成四年度においてその排出及び処理等の状況を調査しております。この調査は、特定有害産業廃棄物を排出する可能性のあるものとして廃棄物処理法施行令で定められている事業場のうち、排出場所の定まっていない石綿建材除去事業に伴うアスベストに係るものを除く三百八十九工場または事業場に対してアンケート方式により調査をしたものであります。このうち五十二の工場または事業場から「特定有害産業廃棄物を排出する」との回答がありました。これによりますと、排出量は平成三年においては一万六千二百二十八トンで、廃酸──酸性の酸ですが、廃酸、廃アルカリがほとんどを占め一万六千二百十二トン、汚泥が十四・四トン、廃油が〇・八トンとなっており、いずれも適正に処理がなされておりました。今後とも、有害産業廃棄物の適正処理について関係事業所等の指導、監視を行ってまいりたいと考えております。また、PCB使用機器などが使用されていたことが確認されている工場または事業場は千百五カ所ありますが、PCBについては処理方法が確立されるまで適正に保管することが必要であり、引き続き適正保管を指導していくというふうに考えております。  最後の第四点でございます。産業廃棄物の不法投棄の状況であります。不法投棄は廃棄物の不適正処理の最たるものでありますが、最近不法投棄の通報が寄せられるなどの事例が増加しており、県としましては極めて重要な問題であると認識いたしております。したがいまして、不法投棄防止対策を強力に実施していくこととし、本年度は従前から実施している不法投棄防止パトロールに加えまして、新規に不法投棄防止対策協議会の開催、不法投棄廃棄物撤去キャンペーンの実施を予定しており、広く県民に不法投棄防止を訴えてまいりたいと考えております。以上でございます。 31 ◯副議長(澤田 啓君) 商工労働部長。 32 ◯商工労働部長(扇田 實君) 八戸港の輸入促進地域関連の質問二問についてお答えいたします。まず、県が昨年実施いたしました青森県貿易振興基礎調査の結果についてであります。八戸港の輸入促進地域の指定につきましては、平成四年度におきまして八戸市の重点事業として県に要望がなされ、県はこれを受けまして、八戸港の輸入促進地域としての可能性を検討するためこの調査を実施したものであります。この調査結果によりますと、県内の四重要港湾における港湾取り扱い貨物量、これは平成二年の統計の数字でございますが、トータルで五千六百十二万一千トンとなっておりまして、港湾別では、青森港が二千五百八十一万四千トン、八戸港が二千九百七十六万九千トンで、青森港、八戸港の二港湾による取扱量で大半を占めておるわけでございます。さらに、このうち輸出入の貨物は四港湾で六百二十七万五千トンということになっており、この八八%が八戸港の取り扱いとなっております。次に輸出入額の推移を見ますと、最近五カ年では、輸出が五百億円前後で推移しているのに対しまして、輸入は、昭和六十二年が七百五十二億九千万円、平成三年が一千三百四十九億四千万円と最近五カ年で約一・八倍となっていますが、このうち八戸港は平成三年における全輸入額の六七%になっているわけであります。このような輸出入貨物の取り扱いの状況に照らしまして、八戸港の輸入促進地域としての可能性について調査したところ、第一には、北東北における流通拠点港湾として国内外からの貨物量が増加しており、特に原材料を中心として国外からの輸入量が大幅な増加傾向にあること、第二には、貨物量の増加に伴う港湾整備も進展していること、第三に、八戸市、八戸商工会議所、民間企業においても輸入促進地域に対し関心度が七三・八%に達しており、周辺地域等に比べ高い割合を示していることも結果として出ております。しかし、輸入促進地域の指定に伴い予定される輸入促進基盤施設整備事業の実施主体となる第三セクターへの出資につきましては、事業利用地域として想定される北東北三県及び道南を含めた貿易関連企業百三十社の参加意向は、七社、五・九%ということで極めて低いわけであります。また、八戸地域の関連企業に限って見ましても、五社、一一・一%と同様に低い結果となっております。以上が基本調査の結果の概要であります。  第二の質問の、輸入促進地域の指定に向けて県はこれまでどのような取り組みをしてきたのか、また今後どのように取り組むのかについてお答えします。今申し上げましたように、この基礎調査では八戸港の輸入促進地域としての可能性を調査したものであります。今後、内容の具体化に当たりましては、八戸港周辺の輸入関連企業のニーズ調査、第三セクターの採算性など詳細にわたって調査検討する必要があることから、平成五年度において、日本貿易振興会──ジェトロが行うフォーリン・アクセス拠点整備促進事業──一般にはジェトロ調査事業と言っておりますが、この調査対象地域として採択されるように国及び関係機関に現在強く要望しているところであります。また、さきの基礎調査では、輸入促進地域への関心はあるものの、その具体的内容についての認識が十分でないことなどから出資への参加意欲が極端に低いことがわかりましたので、まず第一に、本年四月十四日には、八戸市及び八戸商工会議所に対しまして調査結果を説明するとともに、第三セクターの母体となる推進体制の整備につきまして強く働きかけをいたしました。第二には、五月二十四日に、八戸市及び八戸商工会議所の協力を得て、関係する民間企業──約五十社ございますが、に対しまして説明会を開催しているところであります。これを受けまして六月十四日には八戸商工会議所内に、第三セクターの設立と運営等について広く業界の意見を集約することをねらいにいたしました八戸FAZ推進検討委員会がようやく設置されておりまして、輸入促進地域指定に向けた地元の推進体制が整いつつありますが、何と申しましても第三セクターへの参加が最も重要でありますので、八戸市など関係機関とさらに連携をとりながら民間企業の参加意識の醸成に努めてまいる所存であります。以上でございます。 33 ◯副議長(澤田 啓君) 農林部長。 34 ◯農林部長(中尾良仁君) 青森県新農業農村整備長期計画の内容についてお答え申し上げます。この計画は大きく四つに区分されてございますが、一つは、経営感覚にすぐれた経営体が経営の規模拡大を進め生産性の高い土地利用型農業を展開するために、農地流動化施策と十分な連携を図りながら水田や畑地の整備をするわけですけど、例えば水田につきましては、圃場の連檐化や一ヘクタール規模の大区画を中心とした整備などを行います。二つ目は、過疎化や耕作放棄地の増加が目立つ中山間地域の活性化を図るため、定住条件の整備や地域資源を活用した生産基盤の総合的な整備を行います。三つ目は、農業用水の水質保全と農村の生活環境を改善するための農業集落排水の整備、四つ目といたしまして、農村の活性化を図るため、農村景観や親水──水に親しむですね、親水など自然環境に配慮したゆとりある憩いの空間形成の整備、こういうようなものを促進していく内容になってございます。なお、この計画は本県における農業農村整備事業を推進する上での指針といたしたいと思ってございますが、あわせて、市町村や土地改良区が計画的に農業農村整備事業を進める上での基本方向を示したものでございます。この計画を円滑に達成するために、関係農家等の意向に十分配慮しながら、市町村、土地改良区等の関係機関と連携を図り、今後計画的にこの事業が実施できますよう、まあこの事業の性格は国の補助事業という部分が相当ございますので、その予算措置につきましても国に働きかけてまいることにしてございます。  次に、四年産自主流通米の入札結果と今後の対応でございます。議員のお話にもございましたが、四年産自主流通米の入札に上場いたしました県産三銘柄のうち「つがるおとめ」と「むつかおり」は第四回の入札から値を下げたわけでございます。これは、自主流通米全体に過剰ぎみという感じが出てまいりまして、特に年明け以降買い手の卸業者において自主流通米の必要量確保の見通しがついてきたというようなこと、それから、このような状況の中で、Aランクの自主流通米──「コシ」クラスでございますが、の特別販売──いわゆる安売りでございます──の動きが見られまして、これが他の銘柄の価格の低下に作用してきたというようなことによるものでありまして、この両銘柄の評価が落ちたことによるものではないというふうに理解をしてございます。むしろ、「つがるおとめ」と「むつかおり」は東京では二万円台の価格を維持しておりまして基準価格を上回っております。四年産の入札取引全体を通して見ますと健闘したのではないかなというふうに我々は考えておるところでございます。しかし、これまでの入札の経緯、結果等を見ますと、各銘柄間の価格差は従来に比べまして縮小してきてございます。そういうようなことで、五年産以降の入札取引では各銘柄ごとの食味や品質などの実力がこれまで以上に入札価格に敏感に反映することが予想されます。このために、本年度から展開してございます青森米活性化運動の中で、一つは、適地適品種の作付、それから、施肥や刈り取り、乾燥調製の適正化による食味や品質の維持向上などいわゆる生産面での適切な対応、それから二つ目といたしまして、「つがるおとめ」につきましては、これまでの作付指定地域に加えまして、その周辺地域に作付を拡大し需要の増加に対応した供給量を確保するということ、三つ目といたしまして、良食味で値ごろ感のある価格の「むつほまれ」の安定的な供給を図っていく、というようなことを念頭に置きまして米づくりを強力に進めてまいりたいというふうに考えております。また、青森県産米需要拡大推進本部が実施しております宣伝販売対策の中で、県産米に対する安定した需要を確保するための県産米ブランドのPRなどもさらに充実してまいるよう指導を強化してまいります。 35 ◯副議長(澤田 啓君) むつ小川原開発室長。 36 ◯むつ小川原開発室長(秋田谷恒夫君) 再処理施設の安全性についての御質問にお答えいたします。一つは、六ヶ所再処理工場ではトムスクのような事故が起こらないのか、こういうお尋ねでございます。ロシアの軍事用再処理施設の事故原因につきましては現在までに、午前中の高橋議員にもお答えしたところでございますが、ウラン溶液タンクの中の溶液が十分に撹拌されていなかったために溶液が分離した状態にあり、表層部の有機層と加えられた濃硝酸とが急激な化学反応を起こしたために過剰な圧力を生じた、このような原因であると伝えられておるところでございます。科学技術庁からは、六ヶ所再処理施設では多重防護の考え方に従って十分な安全対策が講じられており、また、事業者が一義的に安全確保を図るとともに、国が設計、建設、運転の各段階において厳しい規制を行っていることからロシアの軍事用再処理施設において発生したような事故が発生することは考えられない、と賜っているところでございます。いずれにせよ、ロシアの軍事用再処理施設の事故の詳細はいまだ不明でございます。今後事故の詳細が判明し次第再度科学技術庁の県に対する説明を依頼しているところでございます。今回の事故で六ヶ所再処理施設の安全性に対しまして不安を抱く県民も多いと考えられます。ロシアの軍事用再処理施設の事故の概要、また六ヶ所再処理施設の安全性について機会をとらえまして適宜県民に周知していく考えでございます。  次は、クリプトン、トリチウムが蓄積されることによる環境への影響でございます。再処理施設から放出されます放射性物質につきましては、合理的にできる限り低くというALARAの考えに基づき低減が図られまして、クリプトン及びトリチウムを含む放出放射性物質による周辺公衆の被曝線量は総計で〇・〇二二ミリシーベルトと評価されております。このことから、周辺住民への影響はない、このように科学技術庁、原子力安全委員会でも判断しているところでございます。また、県が独自に安全性チェックを依頼した専門家からも同様に賜っているところでございます。クリプトンは不活性ガスでございまして他の物質とは化学的に反応しないこと、及び、常温では気体のまま存在し、大気中に拡散、希釈する、また、トリチウムは化学的に水素と全く同じであり、環境中では主に水として挙動し、拡散、希釈する、このような化学的な性質から蓄積による環境への影響はないもの、このように賜っているところでございます。以上です。 37 ◯副議長(澤田 啓君) 間山隆彦君。 38 ◯三十六番(間山隆彦君) 御答弁いただきましてありがとうございました。さらに再質問さしていただきたいと思います。  最初に新幹線でございますけれども、東海道新幹線が開通しましたのが昭和三十九年、それから二十九年でございますか、約三十年たってるわけでございます。今の自民党の財政案が通りますと新幹線が青森まで通るのに十五年ということでございますから、約四十年から、まあいろんなことがありまして五十年近くかかってしまう。新幹線の「新」という字は取らなきゃならないような状況になってしまうわけでございます。そこで、新幹線の地元負担三〇%案──今の自民党の案が通りましたときには完成まで十五年の計画でありますから部分開業も認めるべきだ、このように思うわけでございますけども、この点についてお答えいただきたいと思います。  二番目に再処理工場の安全性についてでございますけれども、ALARAの精神から言うまでもなく、クリプトン85、トリチウムの除去・回収装置の設置を要求すべきだ、このように思いますけれども、この点をどのようにお考えか伺いたいと思います。また、回収装置については茨城で開発施設を設け研究中と伺うわけでございますが、完成の見通しはどのようなものか伺っておきたいと思います。  それから、日本原燃サービス株式会社の出版物の「当社事業の概要」、サブタイトルは「原子燃料サイクルの確立を目指して」──昭和五十六年版でございますけども、これを見ますと、「再処理の工程で発生する放射性物質のうちクリプトン85は気体で出てくるが、このクリプトン85を含んだ気体を液化した後蒸留してクリプトン85を分離し、圧力容器に入れて貯蔵する。トリチウムについては、既設の工場では排水として放出の際希釈しているので人体に影響はないと考えておりますが、当社の工場では、主な工程で使う水をクローズドシステムにして繰り返し使用し、トリチウムを含む循環水を少量ずつ取りかえ、この取りかえた水を濃縮、貯蔵する方向で技術開発を進めます」となっております。そこで、県は立地要請受諾の段階でこのことを承知しておられたのかどうか、そして、承知していたとすれば、これを回収するということが垂れ流しに変わったわけでございますけれども、このクリプトン、トリチウムの垂れ流しを容認した理由は何なのか伺っておきたいと思います。さらに、除去装置の完成が二〇〇〇年の稼働に間に合わなかった場合稼働の延期を申し入れるべきだ、このように私は思うわけでございますけども、この点もお答えいただければと思います。  それから、今のクリプトン、トリチウムは無害だと言いますけれども、蓄積するわけでございますから──私は気象のことは余り詳しくありませんけれども、蓄積するということは、一カ所に偏れば〇・〇二二でも濃度はどんどん上がっていくわけでありまして、蓄積するものの絶対量が問題でありまして放出するときのパーセントが問題なわけではない、このように私は考えます。これは公害についての論議が盛んに行われました昭和四十五年当時の一つの定説でございますので、蓄積するものは絶対量、相対量で論ずるべきだ、このように私は思うわけでございます。  二番目に──三番目ですか、農業問題でございますけれども、長期計画に関連いたしまして最初に、耕作放棄地が大分問題になってるわけでございますけれども、この耕作放棄地の実態がどのようになっているのか、環境に、また周辺の農地に大変悪い影響を与えている、このように伺いますので伺いたいと思います。また、かんがい用水や地域防火用水の水源として重要な役割を果たしておりますため池についてでございますけども、その実態はどうなってるのか。三番目に、農道管理の実態がどのようになっているのか伺っておきたいと思います。  それから白神山地についてでございますけれども、管理運営計画を策定するということで、その策定委員会を設置の方向、方針であるというふうに伺うわけでございますが、もう一つの候補地である屋久島はもう既にできておるわけでございます。まあ条件は違うわけでございますけれども、もう大分おくれてるんではないかと。十二月の審査の前に管理計画をつくりたいということでございますから、準備委員会──策定委員会ですか、これも早い機会にやらないと間に合わないんではないかというふうに思うわけでございます。逆算しまして、この計画策定委員会の設置のタイムリミットをいつごろに置いてるのか、またその状況について今わかってることをお知らせ願えればと思います。  産業廃棄物につきましては、不法投棄の量などの実態を把握しておりましたらもう少し詳しく伺いたいと思います。また、有害廃棄物がその産業廃棄物の不法投棄の中にあったのかないのか、この辺も伺っておきたいと思います。  最後に、産業廃棄物の問題で、新井田川というのが八戸にあるわけでございますけれども、軽米町を流れる新井田川の上流の雪谷川沿いに産業廃棄物中間処理施設建設計画が現在持ち上がっております。水質の汚染が心配されるような施設でありまして、市民の飲料水の水源となる世増ダムと至近距離にあるわけでございます。まあ、それでこのダムが汚されるのかどうかはわかりませんけれども、きょうの報道を見ますと、それに対して八戸でも新井田川を守るネットワークが発足されたようでございます。青森県としての御所見を賜れれば、このように思います。以上であります。 39 ◯副議長(澤田 啓君) 知事。 40 ◯知事(北村正哉君) 整備新幹線盛岡-青森間の建設について部分開業を考えないかということにつきましては、先ほども既にお答えしたんでありますが、盛岡-青森間は整備計画では青森まで完全にフル規格で整備するという計画になってるわけでありまして、それをどういう要領で、どういう段取りで進めていくかについては、JR、鉄建公団の考え方、判断にゆだねることが適当だろうと考えております。以上であります。 41 ◯副議長(澤田 啓君) 環境保健部長。 42 ◯環境保健部長(清木 直君) 再質問にお答えいたします。  まず、管理運営計画の策定委員会の設置のめどは七月を目途にしております。十二月の委員会までの間に策定をしたいということで今現在素案づくりを進めている状況でございます。  産業廃棄物の関係でございます。不法投棄の詳しいデータということでございますが、現在各保健所におきまして不法投棄についての指導をしてる件数で申し上げますと、平成四年度末の未処理件数と本年四月から六月までの件数が三十一件ということで、このうち現在までに解決をした件数が十五件でございまして、残り十六件については現在指導中でございます。それから、有害廃棄物の不法投棄についてはございません。  最後でございますが、岩手県軽米町の産業廃棄物処理施設の状況でございます。岩手県軽米町に設置が計画されております産業廃棄物処理施設については、当該施設は一日の処理能力が二トンの感染性廃棄物の焼却施設でありまして、現在、軽米町の産業廃棄物収集運搬業者である設置予定者が岩手県に事前協議をしてるというふうに聞いております。岩手県の事前協議においては、地元説明会等を開催し、地元住民等の理解を得るよう指導しているというふうに伺っております。県としましては岩手県の状況を見守ってまいりたいと考えております。 43 ◯副議長(澤田 啓君) 農林部長。 44 ◯農林部長(中尾良仁君) 耕作放棄地の実態でございますが、平成二年度時点での調査で面積は約四千ヘクタールということで、これは六十年に比べまして二・三倍程度ふえてございます。この原因といたしましては農業の担い手の不足や高齢化の進行などが考えられるわけでございます。県といたしましてもこのような状況は好ましくないわけですから解消を考えているわけですけど、今年度から農地環境整備事業というのをスタートさせることになりました。これは、地域農家の合意のもとに、農地の流動化に配慮しつつ周辺農地と一体的に基盤整備をして、農業の生産性の向上を図るとともに耕作放棄地の有効利用と適切な管理を行うことを目的とした事業でございますんで、こういうような事業に取り組みながら解消を図ってまいりたいというふうに考えてございます。  次はため池の実態でございます。県内に千七百三十七カ所ございますが、このうち、防災、事故防止、管理の適正化を図る上で何らかの整備が必要と思われるものが七百七十一カ所ございます。これを計画的に整備を進めてまいりまして、平成三年度までに、これは第一次ため池整備計画の期間でございますが、百四十六カ所整備を行ってございます。さらに、今回の新農業農村整備長期計画の中で緊急性の高いものから十カ年にわたりまして百四十九カ所を整備することとしてございますが、このうちには、単に整備するだけでなくて、親水あるいは景観にも配慮した総合的な整備を行う箇所が九カ所含まれてございます。  次は農道の管理の実態でございます。平成四年現在で総延長約七千九百キロの農道がありますが、これを管理主体別に見ますと、市町村管理の農道が約五千五百キロ、土地改良区管理の農道が約二千四百キロというふうになっております。このうち農業農村整備事業等によりまして舗装を行った農道が約五百二十キロございます。県ではこれらの農道の適切な管理と改良を行うために平成二年度から農道台帳の作成に着手したところであります。平成四年八月一日現在で、三十三市町村におきます幅員四・〇メートル以上の約四百キロメートル分につきましての台帳は作成済みでございます。それで、一定の要件に該当する市町村管理の農道につきましては、農道の台帳を作成した場合にはその延長距離数が市町村に対する地方交付税の算定の基礎数値として取り扱われることになっておりますので市町村の財政上でも有利となるわけでございます。この点も考慮に入れながら引き続き台帳の作成促進に努めてまいりたいと思ってございます。以上でございます。 45 ◯副議長(澤田 啓君) むつ小川原開発室長。 46 ◯むつ小川原開発室長(秋田谷恒夫君) 再質問にお答えします。  クリプトン、トリチウムの除去・回収装置の設置でございますが、将来クリプトン、トリチウムの除去技術が確立された際には、民生安定の観点から、ALARAの考え方に即しまして、これらの核種の除去施設の設置について事業者に要請する考えでございます。これはかねてより明らかにしているところでございます。  次にこの除去施設の開発の状況でございます。クリプトン除去につきましては動燃事業団におきまして昭和五十五年より研究開発に着手しております。クリプトンの回収技術につきましては、平成二年の十二月より、再処理工場の排ガスを用いまして、クリプトンの分離性能及び安全性等を確認するための開発運転を実施中とのことであります。またクリプトンの固定化技術につきましては、現在天然クリプトンを用いましてイオン注入固定化法による研究開発を進めてるとのことでございます。トリチウムの除去につきましてはトリチウムの濃縮製造に用いられる水蒸留法等を利用することについて検討がなされている段階とのことでございます。以上のように、これらの核種の除去技術についてはいずれもいまだ研究開発の途上にある、このような状況であると考えております。  このような除去施設がないのであるから延期を申し入れるべきではないかという考え方でございます。先ほどお答えしましたとおり、科学技術庁及び原子力安全委員会の判断でも、周辺住民への影響はない、このように判断しているところでございまして、この際延期を申し入れる考えは持っておりません。  最後に、昭和五十六年に日本原燃サービスが作製したパンフレットに議員のお話にあるような記述があることは承知しております。確かに当時はまだこういう除去装置が開設されていないこともあったと思います。実用化された暁にはこれを用いるとの考えでこのような記述をしたものではないか、このように考えております。 47 ◯副議長(澤田 啓君) 間山君。簡明にお願いします。 48 ◯三十六番(間山隆彦君) 除去装置はつけるように要望していく、できなかった場合は仕方がない、除去装置の試験はしてるけれども完成の見通しは立っていない、ということであればつけないということと同じようにとられるわけでございますけども、二〇〇〇年に再処理施設が稼働になるまであと七年間あるわけですね、七年間。黙ってると、こういうふうに、今の事業者──原燃サービスの概要にありますようにころころと変わるのが──商業用の会社を運営している方々でございますから、メリットがなければ変えていくでありましょう。ただ、役所としては──公共の仕事をしている県としてはそういうことではなくて、二〇〇〇年まで七年あるんだから、その間一生懸命研究していただく意味においても、七年後に除去装置が完成しなかった場合の再処理工場の稼働の延期を申し入れるぐらいの考えがあってもいいんではないでしょうか。それを、今から七年先のことはわからないですよ、これから一生懸命研究するんですから、できるかもしれないし、できないかもしれない。できないときはできないでまた考えればいいんですけども、ただ、そういうふうに七年先のことを申し入れる考えがないというのであればこれはちょっとおかしいんじゃないですか。七年たったらそのときに考えるにしても、今七年間あるわけですから、除去装置を開発する努力をしてもらうために、七年後にできなかったら再処理施設の稼働の中止も考えてほしい、努力をしてほしい、それぐらいの意気込みがあってもいいんではないでしょうか。県は少し原燃サービスとかそういう事業者に対して弱腰であるというふうな意見もないわけではないわけですから、できたらもう一度お答えいただきたいと思います。 49 ◯副議長(澤田 啓君) むつ小川原開発室長
    50 ◯むつ小川原開発室長(秋田谷恒夫君) 除去装置につきましては現在研究開発の途上にございます。再処理工場の平成十二年一月の操業に合わせて完成するというめどもまだ立っていないわけでございます。ただ、現在の再処理の申請の中で、先ほども申し上げましたが、科学技術庁及び原子力委員会は、現在の放出単位で安全性は十分確保できる、周辺公衆に及ぼす影響はない、このような判断をしておりますので、先ほどの答弁で御了承いただきたいと思います。 51 ◯副議長(澤田 啓君) 五十番和田耕十郎君の登壇を許可いたします。  〔五十番(和田耕十郎君)登壇〕 52 ◯五十番(和田耕十郎君) 質問の第一は新総合経済対策についてであります。経済対策閣僚会議で総額十三兆二千億円の新総合経済対策を決定いたしまして、補正予算案を計上し、六月八日に成立したのでございます。この補正予算は新総合経済対策を財政面から支えるものであって、二兆一千八百八十七億円増額したものであります。政府は、この補正で景気回復を後押しし、今年度政府見通しの実質経済成長率三・三%の達成を目指すと言うのであります。対策の主なる柱でありますけれども、新社会資本整備では、立ちおくれの目立つ大学、研究所、医療・社会福祉施設の整備を推進するほか、がん診療の最先端の情報技術ネットワークの構築、あるいはまた電線の地中化などを盛り込みました。そして住宅整備にも重点を置き、住宅金融公庫などの融資枠を一兆八千億円拡大したのでございます。なおまた土木分野などの公共事業にも着実にてこ入れをいたしまして、公共事業を前年度の七五%を上回る水準で前倒し執行し、さらには、国の一般公共事業を三兆一千九百億円、地方単独事業を二兆三千億円以上にそれぞれ追加するほか、地方公共団体で公共用地の先行取得費一兆二千億円を上積みし、これによって公共投資の総額を、昨年の八兆六千億円を約二兆円上回る十兆六千二百億円としたのでございます。ところで、本県におきましては例年六月議会では補正なしで年間予算を執行してきているわけでありますが、今次定例会では国の新総合経済対策を受けて約四百八十四億円の増額補正を計上しているわけでございます。そこで質問いたしますけれども、本県財政への影響についてお伺いいたします。今回の補正予算に含まれていない災害公共事業費及び国直轄事業負担金の追加割り当て見込み額はどの程度と見込んでいるのか、また、それを含めた最終的な景気対策関連補正予算の規模及び内容についてどのように認識されておられるのか、また、増発される県債の償還による本県財政への影響は大丈夫か、償還に対する国の財源措置はどうなる見通しかを明らかにしていただきたいと思います。その二は、本県経済への波及効果及び景気浮揚についてであります。今回の新総合経済対策により本年度経済見通しである実質経済成長率二・八%の達成見込みはどうか、また、新総合経済対策関連経費の補正による本県への影響として地域経済への波及効果はどの程度になるか、そして景気浮揚にどうつながっていくのか具体的にお示しを願いたいのであります。  質問の第二は、整備新幹線見直しと盛岡以北全線フル規格化についてであります。そもそも盛岡以北は昭和四十八年に整備計画が決定されており、本来ならば、五十三年の具体的実施計画を受けて盛岡以南に引き続き本格的な建設に着手しているはずであります。しかし、その後、臨時行政調査会からの「建設は当面見合わせる」との答申、国の財政再建、国鉄の分割民営化などにより受難の連続でありました。私たちの残工事の訴えもかき消されてきたのでございます。平成三年九月、いよいよ起工式。この起工式までの道のりは長く、そして厳しいものがありました。しかし、盛岡以北のフル規格での延伸を待望する私たちにとってはその歴史的な起工式を必ずしも手放しに喜ぶことができませんでした。それは言うまでもなく難問が今後の盛岡以北に立ちはだかっているからであります。それは、財源難という理由で、当初計画のフル規格による整備が暫定的であれミニ新幹線での建設に変わってしまったからであります。ミニ新幹線により青森から東京へ直通乗り入れが可能になるものの、盛岡-青森間の時間短縮は三十五分、八戸-青森間はわずか五分にとどまり、フル規格での七十六分に比べ大幅な短縮は望めず、ミニ規格を疑問視する向きは初めから出ていたのであります。先日青森市で開催いたしました盛岡以北全線フル規格実現県民大会での来賓の木村守男氏のあいさつのとおり、まず着工ということでの暫定的了解であったかと思います。そして、私たちは、一に、東北新幹線盛岡-青森全線フル規格への見直しを働きかける、二に、建設費の地域負担について極力軽減するよう強く求める、これら運動を積極的に、かつまた精力的に知事を先頭に進めてまいりました。昭和六十三年八月の政府・与党申し合わせにおいては「従来の整備計画はすべて維持されることを前提とする」、「今後経済社会情勢の変化等を考慮して五年後に見直すこととする」となっており、ことしがちょうどその五年目に当たるわけであります。バブル崩壊後の日本経済の混乱と低迷、さらに衆議院解散ということで整備新幹線を取り巻く政治環境は一段と厳しく、不透明となってまいりました。自民党整備新幹線建設促進特別委員会は六月十七日に開かれ、政府・自民党の整備新幹線見直し検討委員会、同小委員会の協議経過を了承し、整備新幹線をナショナルプロジェクトとして八月末の大蔵概算要求時までに見直し決着を図るという方向を確認したのであります。当初目標であった国会会期中に見直し案を取りまとめることについては、政治改革論議による紛糾、そして衆議院解散等によって、まことに残念でありますが詰められずに終わってしまったのでございます。先の全く見えない不透明なこの問題でありますが、ことし八月までには何といたしましても、すべての政治力を結集して心機一転事に当たらねばならないと思います。言うまでもなく整備新幹線の建設は、二十一世紀に向けた全国高速交通体系の根幹として多極分散型国土の形成を図る上で極めて重要かつ緊急を要する国家的課題であるからであります。先日六月十四日に東京で開催されました整備新幹線建設促進総決起大会において知事が強く主張されたとおり、整備新幹線建設の要求はただ単なる一地域のエゴからではありません。整備新幹線の建設は我が国日本列島の背骨であるからであります。この背骨を国家的課題として位置づけ、国の責任においてナショナルプロジェクトとして早期建設をしなければならないのであります。そこで知事にお伺いいたしますが、衆議院の解散によって整備新幹線の見直しの見通しが極めて不透明となりましたが、整備新幹線の見直しの見通しと東北新幹線盛岡以北全線フル規格化の見通しについて感じておられるところの御所見を率直にお聞かせいただきたいのでございます。その二は、自民党整備新幹線建設促進議員連盟の財源検討小委員会は五月二十日、東北新幹線盛岡以北や未着工の北海道新幹線など整備五線をフル規格でおおむね十五年間で建設するという基本方針を新たにまとめ、総事業費を約七兆円と見込み、さらにはナショナルプロジェクトとして新幹線用公共事業費の特別枠創設の考え方を示したのであります。そして、建設費の負担割合を見直して国六〇%、地域負担三〇%、JR一〇%とすると。これら基本方針と財源については政府・与党の見直し検討委員会に上程されたままになったのでございます。ナショナルプロジェクトとして位置づけての新幹線であるからには当然国の責任において財源を捻出するべきであって、もともとの一五%の拠出でさえも理屈からいって通らないのでありますが、そうはいかない新幹線を取り巻く環境に置かれているだろうと思います。そこでお伺いいたしますが、地元の熱意を示すあかしとして応分の負担をせざるを得ないのではないかと考えているところでございますが、この点について知事の御所見を伺うものでございます。その三は、正念場を迎えての今後の運動の進め方と知事の決意をお伺いしたいのでございます。政府・与党整備新幹線見直し検討委員会、整備新幹線建設促進議員連盟、また整備新幹線建設特別委員会等々整備新幹線にかかわる組織がたくさんあるわけでありますが、これまで知事初め私たちは、これら組織の主要な職についている方々と、総理大臣初め運輸大臣、大蔵大臣、自治大臣等々行政側、さらには、自民党幹事長・総務会長・政調会長等々自民党へと精力的に陳情を展開してまいりました。加えて県は今年度に入りましてから、これでもかというほど音を立ててフル規格化の運動を進めているのであります。東北新幹線盛岡・青森間全線フル規格実現期成会、中央決起大会、ザ新幹線フォーラム発表会、東北新幹線全線フル規格実現青森県民大会、そして整備五線総決起大会、以上のように矢継ぎ早に、しかも高く音を立てて運動をしたかいがあってかなりの成果を上げてきたことは事実であり、知事初め企画部長等の努力を高く評価しているところであります。しかし、今、来月に総選挙を控えて激動する政局に直面しておりますが、この中にあってどう新幹線問題に取り組んでいくのか、これまでの精力的な運動に積み上げしながら、八月をめどに今後の運動をいかにして進めていくお考えであるのか、衆議院が解散した今、知事の新たなる決意について忌憚のないところをお聞かせいただきたいのでございます。  質問の第三は白神山地の世界遺産登録についてであります。人類の共有の財産として世界的に貴重な自然・文化遺産を保護するユネスコ世界遺産条約の登録候補地を環境庁あるいは文化庁は検討してきましたが、昨年九月四日、白神山地と鹿児島県の屋久島、奈良県にある法隆寺、兵庫県にある姫路城の四カ所をユネスコ世界遺産委員会に推薦することを決めたのでございます。国の推薦決定以来今日まで白神山地の世界遺産登録へ向けて、その対応はすべて外務省と環境庁であるとしながらも、県としてもやるだけやろうということで新年度予算に白神関連経費約一千六百万円を計上し、そのうち三百七十万円を世界遺産登録推進事業費として確保するなど、その熱意を示す知事初め環境保健部長等に対しまして敬意を表しているところであります。昨年十月に知事は白神山地を視察し、すばらしい景観と絶賛し、一九九三年十二月に開催されるユネスコ世界遺産委員会に向けて登録されるよう努力したいと話されました。そして、ことしに入り、三月六日、IUCN──国際自然保護連合の国立公園保護地域委員会のP・H・C・ルーカス委員長とユネスコ世界遺産センターのプログラム主任N・イシュワラン博士が来県いたしまして、ヘリコプターで一時間半白神山地を視察し、そのすばらしさを知っていただきました。また、知事は五月七日にスイスのグラン市にあるIUCN──国際自然保護連合を訪問し、白神山地の現地調査のため青森県を訪問予定の自然遺産上級顧問ジェームズ・W・トーセル博士、保護計画局次長のゴルビー氏、開発部長のマーク・ハル氏とお会いいたしまして、白神山地の普遍的価値について理解を求めたところ好感触を得たようであります。さらに、五月九日から十一日にかけまして、私と太田定昭議員とが同行いたしましたが、ユネスコのトップであるフェデリコ・マヨール事務局長、ユネスコのナンバーツーと言われているバドラン科学技術担当事務局長補、そしてドロステ世界遺産センター所長、イシュワラン世界遺産センタープログラム主任、さらには外務省参与・大使である宮川渉ユネスコ執行委員、在ユネスコ日本政府常駐代表笹口健ユネスコ大使等々ユネスコの高官とすべてお会いをして、白神山地の写真集や英文の解説書、英語のナレーション入りビデオなど資料を提供しながら、白神山地を世界遺産として登録していただくよう要請してきたところであります。外国での陳情へ知事と御一緒できたのは私にとって初めてでありましたが、さすが国際派知事として評価されているだけあってとてもすばらしいアピールでありました。知事の一言一言が同席している私たちをうなずかせ、最後に「だから白神山地を世界遺産に」とすとんと落とすそのとき、私たちはそうだと納得したのでございます。私たちだけではありません。説得力のある知事の発言をユネスコの高官たちも聞き、ゼスチャーたっぷりに理解を示してくれたのであります。フェデリコ・マヨール事務局長からとても気さくに「白神山地が世界遺産に登録されることを希望する」と発言されたことを率直に受けとめて気持ちよく帰国したところでございます。そしてまた、五月十二日から二泊三日の日程で、ユネスコ世界遺産委員会の調査委託を受けているIUCN──国際自然保護連合の世界遺産上級顧問ジェームズ・W・トーセル博士と、同じくコンサルタントのレスリー・モーリー博士は入谷副知事の御案内で白神山地へ入山しつぶさに現地調査をいたしました。野営をしながら、最も見事なブナ原生林が広がる赤石川源流付近などのブナ原生林の規模と保存度、動植物の生息状況について詳しく調査をされ、「登録については最終決定を待たないと何とも言えないが、登録の可能性がありそうだ」という感想をいただきました。このように、短期間にわたって精力的に国際交流を積み重ね心よい返事をちょうだいしてきたわけでありますが、白神山地の世界遺産登録の見通しについて知事は率直にどう思っておられるのか御所見をいただきたいのでございます。その二として白神山地の管理運営計画策定でありますが、その目的と計画の骨子について具体的にお答え願いたいと思います。また、策定の時期的めどでありますけれども、先ほどの答弁の中に十月ごろまでにはというお話がありましたけれども、具体的にもっと早めた形で策定をする必要があるのではないかと感じているところでありますが、その点についてお答え願いたいと思います。その三として、管理運営計画を策定するための検討委員会の構成と任務と役割について明らかにしてほしいと思います。その四として、十二月に南米コロンビアで開かれるユネスコ世界遺産委員会で登録されるかどうか決まるわけでありますが、その世界遺産委員会へ向けて今後どういう形で具体的にアピールするか、その運動の進め方について御所見をお伺いするのであります。  質問の第四はニュージーランド産生鮮リンゴ輸入解禁等に伴う対応策についてでありますが、六月一日からニュージーランド産生鮮リンゴの輸入が解禁されました。生鮮果実の輸入につきましては、ガットにより昭和三十八年のバナナに始まり、生鮮リンゴは昭和四十六年、平成三年のオレンジですべて輸入自由化になったのであります。ニュージーランドには有害動物であるコドリンガ及び特定主要病害虫である火傷病などが発生しているために、未発生病害虫の侵入を防止するため植物防疫法によってニュージーランド産生鮮リンゴは輸入禁止の措置となっておりました。ニュージーランド政府が日本に対しまして五年産リンゴ輸出数量は十トン程度にしたいという申し入れをしていたようでありますが、既に五月上旬で収穫が終了しているということからニュージーランド産リンゴの年内輸出は見送りとなったようであります。また、アメリカも病害虫の防除技術が確立されたとして以前から輸入解禁を求めており、特に、アメリカ産リンゴの対日輸出問題で日米間の協議が順調に進まない場合は一九七四年の通商法三〇一条の適用の可能性もあり得ると主張してきたのでありますけれども、先月六月九日、アメリカ産リンゴ輸入解禁問題などをめぐる日米両国間の植物検疫にかかわる定期協議がワシントンで開かれまして、解禁に必要な病害虫対策のデータをアメリカが追加提出するということで合意したようでありますから、したがって、アメリカが要求していた来年初めからの解禁は事実上これまた不可能となったようであります。いずれにいたしましても、農水省が六月一日にニュージーランド産リンゴの輸入解禁に踏み切ったわけでありますから、ことしの輸入はなくても来年の輸入はあり得るのであります。そしてまたアメリカ、オーストラリア、カナダ、フランスから解禁要請を受けておりますから、条件が整えば次々と輸入解禁され、生鮮リンゴの輸入自由化の時代を迎えざるを得ないのであります。知事は六月一日、ニュージーランド産生鮮リンゴ輸入解禁について次のような談話を発表いたしました。「青森県には、幾多の試練に耐え、世界で最も高品質なリンゴを国民に安定的に供給してきた実績と、これにより確固として築き上げられてきた消費者との強い信頼関係がある。このような実績、経験や信頼関係を基礎とし、関係者が一致協力して努力すればニュージーランド産リンゴによっていささかも悪影響を受けるものではないと確信している」と言い、さらにまた先ほどは高橋長次郎議員に答えて「ニュージーランド産の輸入量は軽微である」と言われましたが、青森リンゴの高い生産技術からして確かに品質の面では心配ありませんし、また輸入量についても問題ありません。ただこの問題は、生産者と消費者の信頼関係、また輸入量の問題であるばかりでなく、一方的に病害虫が我が国に入ってくるからこそ問題なのであって、私たちが心配しているゆえんはそこにあるわけでございます。そこで質問に入りますが、ニュージーランド産生鮮リンゴが輸入解禁となりましたが、県産リンゴへの影響についてはどうか、その二は、輸入解禁に伴ってコドリンガ及び火傷病の病害虫が万が一国内で発生した場合の措置についてはどうなのか、その三は、国際化に対応する生産、流通の両面にわたる産地体制の強化と消費拡大対策についてどう考えているのか、そしてその四は、アメリカ産リンゴの輸入解禁についての見通しについてお尋ねいたしたいと思います。  質問の第五は旧ソ連・ロシアの放射性廃棄物海洋投棄についてであります。旧ソ連・ロシアが極東海域において放射性廃棄物を投棄していたと昨年十二月以来報道されておりますが、投棄したその海域は、極東海域に限らず北方海域にもとされております。極東海域、とりわけ日本海公海については本県に極めて近いところにあって、海産物への影響等が強く懸念されているところでございます。したがって、これら放射性廃棄物の海洋投棄の環境影響調査を速やかに進め、加えて海洋投棄を即時中止させるなどを要求して県民の不安感と不信感を払拭するために早急に万全の措置を講ずるべきと思うのでございます。そこでその一でありますが、旧ソ連・ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄の経緯と現状について明らかにしてほしいと思います。その二は、科学技術庁の調査結果の公表はいつになるのか、その時期的めどはどうか、その三は、本県海洋区域付近において県単独で放射能調査を速やかにするべきであったと思うが、その点はどうか、その四、ロシアに対して海洋投棄の事実について最大限公表するよう求めるべきであると思うがどうか、その五は、ロシア側は、放射性廃棄物の海洋投棄については処分場の確保等の問題が解決されなければ停止することはできないと言ってるようでありますが、その理由いかんを問わず直ちに中止するよう強く求めるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。  最後に質問の第六は難病対策についてであります。病気の原因が不明であって、治療方法が確立されておらず、極めて困難な病気の総称を難病というのであります。本県においてこの難病の数を数えること何と三十三種類に及ぶのでございます。その患者総数は年々ふえて、平成四年現在二千六百八十九人、平成五年度見込みでは患者総数は三千五百四十一人、一年間で約八百五十人くらいふえるというのであります。県がこれまで特定疾患治療研究事業や難病患者相談指導事業などを進め、さらには、難病患者やその家族に対して、治療方法、介護方法等についての不安等を徐々にでも解消してきていることは評価しているところでございます。しかし、患者及びその家族にとってみますとまだまだ大変な環境であることには変わりありません。そこで御質問申し上げますが、その一は、年々ふえ続ける難病患者についての現況とその対策について明らかにしていただきたいと思います。その二は、難病患者に対する医療機関での受け入れの実態と、入院希望者に対する入院可能の容量はどの程度にあるか、その三は、いわゆる難病のうち特定疾患についての治療は極めて困難であり、かつ医療費も高額なのであります。そこで、特定疾患に関する医療の確立とその普及を図るとともに患者の医療費の負担軽減を図らねばなりませんが、その対策についてお伺いいたします。その四は、ALS、すなわち筋萎縮性側索硬化症の患者は平成五年五月末現在で二十八人おります。そのうち人工呼吸器を必要とする患者は何人か、また人工呼吸装置購入の県費助成の考え方について明らかにしていただきたいと思います。人工呼吸装置は百万円から二百三十万円という高い器械であり、個人負担では到底難しい実情でありますが、その人工呼吸装置をつけなければ命にかかわることでありますから、借金して購入し家庭経済が破綻しているのも珍しくありません。装置購入希望者に対して県費で購入助成できないものか、見解をお願いするものでございます。その五は、難病患者の付添料や在宅における介護に要する費用に対し公費助成ができないかどうかを明らかにしていただきたいと思います。  以上申し上げて一般質問を終わります。ありがとうございました。 53 ◯副議長(澤田 啓君) 知事。 54 ◯知事(北村正哉君) 和田耕十郎議員にお答えをいたします。  新総合経済対策についてお述べになりました。財政に対する影響はどうかと、これは将来公債費がかさむことを心配されてのことだと思います。その辺の消息については総務部長からお答えをすることにいたします。  それから、波及効果はどうなるのかということであります。これを読み取ることはなかなかむつかしいかと思うんでありますが、産業連関表等を用いての計算の仕方もあるわけでありますから、担当の企画部長の方からお答えいたしますが、いずれにしても、ただ単に建設業関係に潤いが出るというだけでなくて、製造業、第三次産業、それぞれに潤いが出てはね返って消費動向も拡大される、ひいては波及効果がある、景気浮揚対策になる、こういう循環が十分考えられるわけであります。これらの消息については担当部長から申し上げることにいたします。  新幹線の関係につきましては、間山議員にお答えした趣旨とほぼ同様な御趣旨で、解散という思いがけないハードルにぶつかったが、これをどう乗り越すのかということについてであります。せっかく全国的にも新幹線問題が大分盛り上がってきとったわけであります。また、自民党を中心として建設財源問題等の検討も進められてきてるわけでありまして、六月四日には政府・与党の整備新幹線見直し検討委員会なるものが発足して、その下部組織の整備新幹線見直し検討小委員会において検討がなされつつあったわけであります。まあ俗っぽく申し上げりゃいいところまで来とったんであります。それが衆議院の解散によって検討が中断されるということで、結果として見直しの結論も大幅におくれるであろう、渋滞もするし先へ延ばされるであろう、こういう可能性が大きくなってるわけでありまして、大変なことだと考えてるところであります。一面、財政当局は依然として大変かたい姿勢を崩していないわけであります。こういう実情に置かれているわけでありますが、東北新幹線盛岡-青森間は何としてもこれは大事な路線、幹線であります。日本列島の第二国土軸形成のためには欠かせない重要な区間であり、運輸政策上、国土政策上フル規格の高速新幹線がこの場所にぜひ必要だということには変わりがないわけであります。このことは衆議院が解散したからということでその必要性が変わることにはならない、見直し検討委員会が再開されるまでは何としても、つないでというか、引き続き政府側、あるいは参議院あたりを対象に運動を展開していかなければならないものと考えてるところであります。  また、ナショナルプロジェクトと言われてるんだから地域負担を求めないのが当たり前と思うがそうもいかないだろう、地元の熱意を示すあかしとして応分の負担をしなければならないと考えるがどうかと、全くそう考えてるわけでありまして、政府・与党の申し合わせにおきましては、行き詰まっていた整備新幹線の推進を図るために地域の熱意のあかしをも考慮して現在の約一五%という負担割合が示されたわけであります。今後の政府・与党から成る整備新幹線見直し検討委員会で財源問題も当然検討されていくと思うんでありますが、県としましては、政府・与党の議論を当面は見守っていきたいと考えているわけでありますが、あくまでも全線フル規格化を第一義としてその負担割合の決定をしてもらいたいし、決定をされればそれに応じていくという腹構えでいるわけであります。ただし、その場合といえどもやっぱりナショナルプロジェクトであるということだけは忘れてもらいたくない、国が大方の責任を持って進めてもらいたいし、また一面、地方の財政を十分考慮した上で地域負担を決めてもらうということでありたいと思っております。  知事の決意を問う、こういうことでありますが、今までも決意についてはしばしば申し上げてきたところでありますが、私が考えますのに、この新幹線の見直しは大変な問題だ──日本国の運命がかかわってる、あるいは、北海道、東北、なかんずく青森県の将来の運命が大きくこれにかかわりを持ってる、冗談やなまはんかでこれを扱うことはとてもできない大問題だと思っているわけでして、なぜかということについては、時間が長くなりますから、また今までも申し上げてきましたからこれは省くとしても、何はともあれ大変な問題だと思っておりますし、このことを誤ることによって私どもの子供や孫の時代に悔いを残すことのないよう、優良な社会資本としての東北新幹線を全線フル規格で実現されるよう今後とも努力していきたい、これが私の決意でありまして、できなかったらどうするなんてことをよく言われたりするんでありますが、できるできないを論じているいとまがないわけであります。できるまでやらざるを得ない、青森県の将来はできるまでやらなきゃならない、これが私の心境であります。決意の一端を申し上げたわけであります。  それから白神山地の関係についてお答えをいたします。白神山地については私よりも和田議員からお答えをいただいた方がより的確に伝わるんじゃないか、お聞きしておってそういうふうに思いました。これにつきましては間山議員からもお尋ねがあったわけでありますが、見通しと見解を問う、こういうことであります。結論から申し上げて、IUCN、ユネスコ本部の両方に白神山地の普遍的価値を理解していただくことができた、また、地元青森県の保護保全に対する熱意も酌み取っていただくことができた、こういうふうに判断をいたしております。したがって県としては、この二つの機関の関係者には登録についてのいい印象を持っていただけたものと考えてるわけであります。また、現地調査においてもいい答えが入谷副知事にもたらされたということでもあり、今後に期待をかけてることは事実でありますが、そう生易しいもんでもなかろう、世界遺産登録ということになればそう簡単なもんでもなかろう、十二月のコロンビアまでにどういうことになりますか、試験を受ける立場にあるわけでありますから、相当なやっぱり、管理運営計画等おさおさ怠りなく受験準備が必要なことだ、まだまだ楽観はできないんだ、今後に向けて努力をしなければならないんだ、こういう心境でいるわけであります。その管理運営計画につきましてもっと早くしろということにつきましては担当の方から答えさしていただきます。  今後どうするかということのお尋ねもあったと思うんでありますが、コロンビアで十二月に開催される世界遺産委員会というものがこれを最終的に決定するわけであります。日本を代表して出席するのは外務省の方であって環境庁はオブザーバーである、こう聞いております。県としては、世界遺産委員会に向けては今申し上げた管理運営計画の策定が最も重要なアピールであるという認識に立って、外務省、環境庁を通じて世界遺産登録に向けて強力に働きかけてまいりたい、こう思ってるわけであります。また、六月二十一日から──昨日から二十六日までパリで開催されている世界遺産委員会事務局会議──ビューロー会議の結果もよく見守ってまいりたいと思ってるところであります。  ニュージーランド産リンゴの本県リンゴに対する影響等についてお尋ねがありました。これは高橋長次郎議員にお答えをしてきたところでありますが、私が軽微だと申し上げたのは、ニュージーランドの生産量は大体四十万トンでありますし、本県のリンゴは五十万トンでありますから、量的に見てどれだけ入ってこれるかという点等から軽微という言葉が出たんでありますが、お話のように、病害虫の侵入防止という、コドリンガとか火傷病を防ぐという立場からすれば事は重大なわけであります。一連のお答えは担当の方からいたしますが、この国際化時代に対処するために地元の──こちら側の生産体制、あるいは流通体制、消費拡大体制、こういったものをしっかりとやっていかなければならない、こう考えてるところであります。  アメリカからの輸入関係の見通し等については、事務的立場も加えて担当の部長から申し上げます。  次に、ロシアの放射性廃棄物海洋投棄について現状を明らかにしてもらいたいと、これはどなたに考えさしても大変に大きな関心事であることには間違いありません。大変なことでありまして、今までのいきさつ、現状等については情報に基づいて環境保健部長から申し上げることにいたしますが、もっと早い時期に県単独で調査すべきであったと思うがどうか、こういうお尋ねがその中にあるわけであります。もっともな話でありますが、日本周辺、青森県周辺のこのことに対する海洋調査につきましては、四月十三日に開催された国の第二回放射能対策本部幹事会において、日本海へ関係省庁の調査船を派遣し海洋調査を実施することを決定した。国の方では割に早くこれを取り上げてくれたわけであります。これに基づいて、水産庁は四月十八日から二十七日までの間に海底土を調べた、海上保安庁は四月十八日から三十日までの間に海水──表層、深層の両面から海水、及び海底土を調べた、気象庁は五月七日から五月二十八日までの間に深層水、表層水──水を調べた、科学技術庁放射線医学総合研究所は四月の二十九日から五月の六日までの間に同じように海水──表層水、深層水の海水を調査しております。さらにまた放射線医学総合研究所では、日本海沿岸の沿岸海水、海藻、それから魚介について五月から六月にかけて山陰沖あるいは新潟沖を調査いたしました。このほか、六月二十八日から七月二日までの間に青森県西海岸沖の調査を予定している、こういった調査の対象海域には本県付近の海域が含まれていることから、その調査結果を見守ってきたし今後も注目していきたい、こう考えてるところでありまして、国の方で割に早く取り上げて調査を実施してくれたもんでありますから県単としてはあえて急いで取りつくことをしなかった、こういう事情であります。  そのほか、海洋投棄の事実について最大限ロシア側で公表するように求めるべきだがどうか、こういうことでありまして、この問題は青森県だけでなくて全国に及ぶ問題であるわけであります。本県が加盟しております全国レベルのいろんな団体を通して国に対して、ロシア政府に、放射性廃棄物等の海洋投棄の中止、また適切な処理体制の確立を求めるなどの要望をしてきたところであります。具体的にはことしの四月十六日に、県が加盟している日本海沿岸地帯振興連盟を通じて科学技術庁に対して、日本海海域等への放射性廃棄物等の海洋投棄の実態に関する詳細な情報を入手し公表すること、また、日本海海域における海水、海底土、海洋生物等の放射能の影響調査・評価を実施すること、ロシア政府に対して放射性廃棄物等の海洋投棄の中止と適切な処理体制の確立を求めるとともに、その実施について国際的な保証の確立を図ること、こういったようなことを要望いたしましたほか、五月七日には北海道東北自治協議会を通じまして国へ要請をした、また五月二十四日には原子力発電関係団体協議会で同じような要請をした、六月八日には、これは私も出席して決議を取り上げて決議をしたわけでありますが、北海道東北地方知事会において決議をし国に対して同様の要望をした。国と国との交渉は科技庁よりも外務省の方が主役でありまして、たまたま知事会議が行われた新潟に小和田外務次官──今の雅子さんのお父さんでありますが、がお見えになって、席も隣り合わせたもんでありますから、このことについてはあんたの方が主役なはずだということで強くお願いをしてきた事情もあります。また、もう少しさかのぼれば、ロシア・ハバロフスクからイシャーエフ長官が来られたわけでありますが、その際にも、海洋投棄はやめてもらいたい、それから、海底に投棄された廃棄物の処理処分をやってもらいたい、また、自然環境、海産生物の調査の実施等を長官を通してロシア政府に働きかけるよう要請してほしいと、これに対してはオーケーの返事がありました。こういう一連の要請を続けて今日に至っております。  それから、ロシア側は、放射性廃棄物の海洋投棄について──雅子さんと今言ったのは取り消します。皇太子妃殿下と言い直します。処分場の確保の問題が解決されなければ停止することはできない、こういうことだが、理由のいかんを問わず直ちに中止するように求めよ、こういうことを述べられました。科学技術庁によると、五月十一日から十二日にかけてモスクワで開催されました日ロ合同作業部会で日本側から海洋投棄の中止を申し入れたところ、ロシア側から、固体廃棄物の投棄は中止したが液体廃棄物については直ちに停止することは困難である、今後段階的に停止していきたいと考えているが、国際的な協力が得られればより早期に投棄を停止することができる、こういう説明があったということであります。また、極東近海における海洋投棄の実態等についての説明を受けたのでありますが、一九九三年に入ってからは海洋投棄は行っていない、こういう通報であります。いずれにしても、この問題は国際的な問題でありますことから、ロシア政府に対する放射性廃棄物の海洋投棄の中止等について今後とも引き続いて国を通して強く要請を続けてまいりたいと思ってるところであります。以上であります。 55 ◯副議長(澤田 啓君) 総務部長。 56 ◯総務部長(小室裕一君) 財政問題についてお答えいたします。今回御審議をお願いしております公共事業関係費等総額四百八十四億三百六十万七千円に上ります総合的な経済対策関連予算案には県費単独事業費について昨年を上回る百六億円余の予算措置を講ずるなど、広範囲かつ機敏に最大限の努力をしたところでございますので、今後の県内経済の活性化に資することを期待しております。その中で、和田議員御指摘の災害公共事業費については現時点において追加割り当てがなかったものでありますし、また国直轄事業負担金については、国においてその詳細が決まっていないことから現時点でその追加割り当て見込み額を把握することが困難な事情にあり、その内容の確定等を待って今後の補正予算で対応することとしております。そこで、本年度の経済対策関連予算の規模ということですが、今回の四百八十四億円に国直轄事業負担金等の増額が見込まれるわけですので、最終的には、昨年の総額五百一億円余の規模と比べまして、それに匹敵する──恐らくはそれを超える過去最高の景気対策関連予算規模になることが見込まれております。  次に、その財源としての県債ですけれども、特別会計の地下駐車場事業費に係る分を含めまして総額百八十八億九千百万円の県債を補正財源として計上しております。この中で大きな柱が二つありますが、一つは、国の補正予算に伴う公共事業費等の地方負担額、これについてはいわゆる補正予算債として措置されるわけですので、その元利償還金については従前の対策と同様に後年度交付税措置がなされる見込みであります。また、もう一つの柱である県費単独事業費に係る一般単独事業債の関係についても、後年度その償還について交付税措置がある有利な起債を中心に選んでおりますので今回それを取り込んだわけでございます。したがって、後年度の措置といったものを考えますと、今回の県債の増発が将来の県財政運営に直ちに重大な影響を及ぼすことはないと考えてございます。しかしながら、今回の増発を含めた平成五年度末の一般会計県債残高が五千八百九十三億円余と見込まれること、さらに、平成六年度以降も県費単独事業等を行うに当たって一定の起債が発行されるわけですから、今後とも公債残高並びに公債費の動向に十分留意しなければならないわけですし、また、それに対して財政の健全化に向けての一層の努力が要求されるものと考えております。 57 ◯副議長(澤田 啓君) 企画部長。 58 ◯企画部長(佐々木 透君) 新総合経済対策の本県への影響についてお答えします。国の総合経済対策を受け県として総額四百八十四億円余りの補正予算案を今議会に提案したところでありますが、この補正措置を通して、建設業を主体に間接的には製造業や第三次産業などにも波及効果を及ぼすなど景気浮揚効果が期待され、県経済にプラスの作用を及ぼすことは間違いのないところでありますが、最終的に平成五年度経済見通しの実質経済成長率二・八%が達成できるかどうかについては、年度間もない時期でもあり、今後の県内景気の推移を見守っていく必要があるものと考えております。  次に、今回の補正が及ぼす地域経済への波及効果については、昭和六十年の青森県産業連関表を使って計算いたしますと、生産誘発額で約六百十四億円程度、総生産ベースで約二百九十三億円程度のプラス効果が生じるものと計算されます。これは県が予測した平成五年度名目県内総生産の約〇・七%に当たる額であります。総合経済対策がどのように景気浮揚につながるかにつきましては、公共工事が実施されると、初めは公共土木工事や建設資材の需要の増加などの影響があらわれ、これらの産業に関する需要が次々と派生し、間接的に県内各産業の生産が誘発されます。また、県内各産業の生産が誘発されると同時に雇用者の所得も誘発されることになります。それが消費に回ることにより、県内の商業、サービス業等の第三次産業にも波及することになる。このように、総合経済対策の実施は建設業だけでなく県内の各産業の生産を誘発することになり、最終的にそれらが総合して景気浮揚につながるもの、このように考えております。 59 ◯副議長(澤田 啓君) 環境保健部長。 60 ◯環境保健部長(清木 直君) まず白神山地の世界遺産登録の二点についてお答えをいたします。管理運営計画の策定の目的と骨子、策定のめどについてであります。先ほど間山議員の質問にお答えしたところでありますが、管理運営計画の策定の目的は、世界遺産条約を履行するための指針によりますと、住民の意見を反映させた長期的な管理計画の策定が世界遺産登録の重要な要件とされていることなどによるものであります。その内容につきましては、「将来にわたっての自然環境の保全」、「環境学習、学術研究の推進」、「保護・保全と調和のとれた利活用」の三点を基本としたいと考えております。策定のめどにつきましては世界遺産委員会総会が開催されることしの十二月としております。なお、十二月では遅いのではないかという御指摘もございました。ことしの三月に世界遺産センターのイシュワラン博士が参りまして昨年指針が改定されているということの説明がありましたが、その情報が本県はもちろん日本にも入っていなかったということで取り組みが若干おくれているということもありますので、今後十二月の策定に向けて努力していきたいと考えております。  二点目は検討委員会の組織の内容等でございます。管理運営計画の策定のために、有識者から成ります白神山地管理・運営計画検討委員会を設置し計画についての検討をお願いしたいと考えております。検討委員会の組織は、地元市町村、青森営林局、十和田八幡平国立公園管理事務所、自然保護団体、学識者等で構成し、合計で十数名程度としたいと考えております。この検討委員会の役割でありますが、住民の意見を反映させた長期的な管理運営計画の案を策定するためのものでございます。  次に、旧ソ連・ロシアの放射性廃棄物海洋投棄についての二点についてお答えをいたします。まず第一点は海洋投棄の経緯と現状であります。昨年十二月以来、旧ソ連・ロシアが極東海域において放射性廃棄物を投棄していたという報道がなされておりましたが、ロシアは本年四月二日、旧ソ連の放射性廃棄物の海洋投棄問題に関する政府委員会の調査結果を取りまとめた白書を公表しております。科学技術庁からの情報によりますと、投棄された海域は北方海域──バレンツ海、カラ海でありますが、北方海域と極東海域──オホーツク海、日本海、太平洋公海でありまして、投棄された放射能量は、一九五九年──昭和三十四年から一九九二年──平成四年までの間に、極東海域に液体廃棄物が四百五十六兆べクレル、固体廃棄物が二百二十九兆べクレル、北方海域に液体廃棄物が七百六十二兆べクレル、固体廃棄物が八・五京べクレルとされております。科学技術庁は、関係省庁相互の連絡調整を緊密に行うため放射能対策本部幹事会を四月に三回開催し白書の内容について検討し、必要に応じてロシア政府に対しさらに詳細な情報提供を要請することなどを申し合わせております。また、日本海に関係省庁の調査船を派遣して海洋環境放射能調査を実施することも決定しております。さらに、四月十五日に行われた日ロ外相会談において、海洋投棄問題に関する協議を行うため日ロ合同作業部会を設置することが合意され、同作業部会は去る五月十一日・十二日の両日モスクワで開催されております。日ロ合同の海洋調査を実施することについては基本的合意が得られ、具体的方法等について今後両国の専門家を中心に協議を進めることになったということでございます。  第二点目は、科学技術庁の調査結果の公表の時期についてであります。科学技術庁によりますと、海洋調査は海上保安庁、気象庁、水産庁、科学技術庁により実施されておりまして、五月中に試料採取はほぼ終了しております。六月末には採取された試料の約半数の分析結果が判明する見込みで、科学技術庁の海洋環境放射能データ評価検討会及び放射能対策本部幹事会で審議した上で調査結果が公表されるということであります。すべての調査結果が判明しますのは八月下旬になる予定であり、同様の手続を経て最終的な調査結果が公表されるということであります。  最後に難病対策の五点についてお答えをいたします。第一点は難病患者の現況とその対策についてであります。いわゆる難病のうち特定疾患については、治療が極めて困難であり、かつその医療費も高額となることから、高額療養費制度の実施のほか、国及び県は昭和四十八年度から、特定疾患患者が医療機関等で受療した場合に社会保険各法の規定に基づく医療費の自己負担分について公費負担を行い患者の医療費の負担軽減を図ってきております。本年三月末現在で公費負担の特定疾患は三十四疾病で、受給者数は二千六百八十九人となっており、年々増加してきております。保健所においてはこれまでも在宅の患者及び家族に対し保健婦の訪問活動を通じて保健指導を行ってきておりますが、平成四年度からは、難病患者の疾病等に対する不安の解消を図るため、全保健所において、専門医師、保健婦等により医療及び日常生活に係る相談、指導、助言を行う難病患者相談指導事業を実施しているところであります。  二点目は、難病患者に対する医療機関での受け入れの実態と入院可能な容量であります。いわゆる難病患者が医療機関で治療を受ける場合、県と受け入れ医療機関とで委託契約を締結しております。本年五月末現在の契約医療機関数は、県内の主要な病院を含む二百四十二医療機関、県外百四医療機関、合計しまして三百四十六医療機関となっております。また、難病患者の入院の有無については患者の症状等によりそれぞれの病院の判断によるところであり、これまで入院を拒否されたケースは聞いておりません。次に、議員から御質問がありました入院可能な病床数でありますが、入院の是非の判断がそれぞれの医師の専門的判断にゆだねられている状況にありますので実数の把握は困難であります。例えば、難病のうち最も患者数の多い神経系の難病に関する専門医は県内に六十人程度おりまして、こうした専門医を中心とした病院、診療所の連携体制の中で、入院の必要な者に対しては適切に対応されているものと考えております。  三点目でありますが、特定疾患に関する医療の確立とその普及、及び患者の医療費の負担軽減を図るための対策についてであります。国におきましては、原因が不明で治療方法が未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病について、その原因の究明及び治療方法の確立のため、現在四十三の研究班を設けて鋭意調査研究を進めている状況にあります。しかし、その原因究明や治療方法の確立の研究には長い年月を要すること、及び、難病の治療は長期間を要することにより患者の経済的負担も大きくなるということから、国及び県としては患者の医療費の負担軽減を図るため、先ほどお答えしたとおり医療費の公費負担を行っております。なお、現在対象となる疾病数は三十四でありますが、毎年一ないし二疾病ずつ対象疾病をふやしているところであります。  第四点、筋萎縮性側索硬化症の患者のうち人工呼吸器を必要としている患者の状況、並びに人工呼吸装置購入への県費助成についてであります。筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALSでありますが、これは数ある神経病の中でも最も予後の悪い難病のとっであり、疾病の進行により、患者の知能、意識が清明なまま人工呼吸装置の装着を余儀なくされる疾病であります。本県のALS患者数は本年五月末現在で二十八人、そのうち人工呼吸器を必要としている患者は十人でありまして、この十人の患者はすべて医療機関に入院し、人工呼吸装置を装着し、治療を受けております。御質問の人工呼吸装置購入への県費助成でございますが、平成四年度から医療機関が在宅患者に貸し出す場合に診療報酬点数が認められたことから県単独の助成制度を創設する必要はないものと考えております。今後は診療報酬点数がより実態に合うように国に対して要望してまいりたいと考えております。  最後でございますが、難病患者の付添料や在宅における介護に要する費用に対し公費助成ができないかということでございます。難病患者に限定しての付添料や在宅における介護に要する費用への助成制度というものはございませんが、一般疾病患者と同様に付添料については、基準看護の承認を受けていない医療機関に入院した場合、その全額ではないものの、各種健康保険制度の中での助成制度が用意されております。しかし、在宅における介護に要する費用に対する助成制度については、難病患者の介護の困難性や、在宅での医療の推進を図る上で重要かつ必要なことと認識をしておりますので、今後国に対し強く要望してまいりたいと考えております。以上でございます。 61 ◯副議長(澤田 啓君) 農林部長。 62 ◯農林部長(中尾良仁君) ニュージーランド産リンゴ輸入解禁に伴う県産リンゴへの影響でございますが、ニュージーランドから輸入される生鮮リンゴにつきましては、先ほど議員から御指摘のありましたように、本年度は解禁時期がおくれたということで輸入されないことになりました。同国のリンゴの状況は、本県からも多くの生産者等が調査に行っておりますが、品質面では、栽培方法や食習慣等の違いから小玉中心で着色にむらがあり、全般的に糖度が低く、直ちに我が国の消費者に受け入れられるとは考えられないということ、それからもう一点は、輸入量も当面は、まあ向こうのリンゴ・ナシ公団の計画でございますが、平成十年で三千トンという計画が一応示されております。そういうようなことで当面は量も少ない、こういうようなことなどから県産リンゴが受ける影響は当面は軽微なものというふうに考えております。しかし、長期的には、ニュージーランド側による品質面での改良や品種面での改善等により我が国での消費が定着するようなことがあれば本県の長期貯蔵やわせリンゴの販売への影響が懸念されるので、国際化にも対応できるような体質の強い産地づくりや消費拡大対策の強化等に努めてまいります。  次に二点目、コドリンガ及び火傷病などの病害虫が万が一国内で発生した場合の措置でございます。今回の輸入解禁に伴いましてこれらの病害虫が国内で発生したとなれば将来に禍根を残す大きな問題となりますので、これまでも議会の御理解を得ながら連名で国に対して要請をしてまいっておりますが、今月の十日にも県は県議会ともども国に対しまして、防疫体制を整備しコドリンガ及び火傷病が絶対に侵入しないよう万全を期すこと、万が一の場合には全額国庫負担により侵入病害虫が完全に撲滅されるまで防除措置を講ずることを強く要請したところであります。これに対しまして国からは、国の責任において要請を実現する旨の回答を得たところでございます。  三点目は、国際化に対応する生産流通・消費拡大対策でございます。今後国際化が一層進展することは避けられない状況にあると思います。県といたしましても、園地の若返りによる生産力の増強や矮化・無袋化栽培等省力技術の導入による低コスト化などの生産対策を初め、光センサー式選果機やCA貯蔵庫等の集出荷施設の整備などの流通対策等に強力に取り組んでまいりたいと思ってございます。また、消費拡大・消費宣伝対策につきましては、本県リンゴの品質、食味の優位性と安定供給、国産リンゴの安全性、リンゴが健康保持に役立つというようなことを強調した宣伝を積極的に実施していくほか、葉取らずリンゴやふぞろいリンゴなどの省力栽培によるリンゴについて産地直送の拡大等に取り組むなどして、消費拡大対策についても生産者及び関係団体と一体となって取り組んでまいる所存でございます。なお、このたび我が国からニュージーランドに対するリンゴ生果の輸出が可能となりましたが、これを契機として本県の品質にすぐれたリンゴの輸出についても積極的に対応すべく現在その準備を進めているところでございます。これらを通じてリンゴ王国青森の一層の発展のために努力をしてまいります。  最後にアメリカ産リンゴの輸入解禁問題の見通しでございます。同国ではリンゴの対日輸出を早期に開始したい意向でありまして、先ほど議員からも御指摘ありましたが、本年四月及び五月には通商代表部の代表や農務長官から我が国へ書類が送付されてきたほか、通商法第三百一条に基づく提訴を検討する動きがあるなど輸入解禁に向けた動きが活発化しております。このような中で、これも議員から御指摘ありましたが、六月七日から九日まで日米植物防疫定期協議が開かれましたが、アメリカ側から必要な防除データを追加提出するというような合意がなされたところでございます。農林水産省ではアメリカ産生鮮リンゴの植物防疫に関する検討状況について、「輸入解禁は防除技術的な問題が残っており、防除技術が確立されない限り同国産リンゴの輸入を解禁することはなく、今後のスケジュールに言及する時期に至っていない」旨の説明をしており、本件は技術上の問題であり、政治的に対応すべき問題ではないとの態度を貫く方針と聞いております。しかし、県といたしましては、同国産リンゴが輸入解禁されるとなれば本県のリンゴ産業に及ぼす影響も大きいと予想されますことから、日米両国の動き等の情報を把握する一方、国に対しましては、病害虫等についての徹底した技術的検討──防除の技術的検討を行うとともに、政治的な配慮を行わないよう強く働きかけてまいります。以上でございます。 63 ◯副議長(澤田 啓君) 十五分間休憩いたします。 午後四時休憩        ───────────────────────────────── 午後四時二十三分再開 64 ◯議長(小原文平君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。会議時間を延長いたします。  一般質問を続行いたします。十四番佐藤純一君の登壇を許可します。  〔十四番(佐藤純一君)登壇〕 65 ◯十四番(佐藤純一君) 佐藤純一でございます。六月も下旬に入り、まさに青森の名にふさわしい深緑の時節となってまいりました。しかし、残念なことにその季節感をゆっくり味わっている時間さえも奪われることとなり、まことに残念でなりません。それは御存じのように衆議院の解散であります。今回の解散は名分なき解散と言われておりますが、まさにそのとおり、政治改革がどうの選挙改革がどうのと言っており、それらの事柄は議員みずからがしっかりしていれば改革など行わなくてもいいものであり、したがいまして、国会においては国会本来の責務である日本国の政策について議論を交わすことを国民は期待しているところでありまして、その意味において、今回の解散は私自身も国民の一人としてまことに残念でなりません。さらにまた、その後遺症が県政の最重要課題である東北新幹線盛岡以北の全線フル規格格上げを初め県政全般にわたって大きく影響を与えるのではないかと懸念されてなりません。いずれにいたしましても我々は、県民の負託にこたえるべく知事を先頭に今まで以上の結束をもって努力してまいらなければと考えているところであります。  それでは質問に入らせていただきます。今般通告申し上げている質問は農政の課題とむつ小川原開発についてでありまして、通告順に従い質問申し上げます。まず第一に、本県の基幹産業であります農業問題についてお伺いしたいと存じます。初めに今年の生産指導について要望しておきます。県南地方では六月に入りヤマセの日が多く、今後の農作物への影響が心配されております。また、平年より十二日も早い梅雨入りにより一番牧草の乾燥状態が芳しくないという状況にもなってきており、先般は上北や東青地方で大雨と強風による被害も見られたところであります。今後の天候についてもオホーツク海高気圧からの冷たい北東気流の影響で気温の低い日が多いと予報されており、天候のよしあしに左右されやすいのが農業でありますので、県におかれましては気象の変化に応じた適切な生産指導について万全の体制で臨むことを強く要望しておきます。  さて、農業を取り巻く情勢等につきましては既に先輩の議員から御報告があったところでありますが、本県の基幹作物であるリンゴがニュージーランドとの間で相互に輸出、輸入が解禁され、これに続いてアメリカ産リンゴについても輸入解禁を求める動きが出てきており、米につきましてもガット・ウルグアイ・ラウンド交渉で各国の対立が依然激しいなど、先行き不透明な状況が続いているところであります。加えて農業の生産現場に目を転じますと、若い農業者の減少と農業就業者の急速な高齢化、農業生産や集荷・選別段階での人手不足など、これらについても厳しい局面を迎えております。しかし、このような情勢下にありながら、さきに農林部が編集した「二十一世紀にはばたけ青森農業」に見受けられるように、三戸の農家が、農業生産法人を形成し二百五十ヘクタールの農地を活用しながら年間三億円もの売り上げを上げている事例や、水稲と小麦を主体に四十ヘクタールを超える経営を行っている農家の事例など、本県の中にも全国に引けをとらない動きが出てきているところに注目せざるを得ません。さきに公表された平成四年度の農業白書には、他産業から農業へ戻ってくるいわゆるUターン青年が十年ぶりに増加したことが紹介されております。本県においても毎年三十名近いUターン青年が出てきており、また、平成四年度には二名の青年が他産業から新現就農するなどたくましい芽も出始めているのであります。農業をめぐる情勢には確かに厳しいものがありますが、厳しさのみを強調していても現状を変えることはできません。さきに述べた県内の先進的な農家や新たな動きを広く県内外に啓発するとともに、あわせて、都市部に比べてはるかにゆったりとした生活空間や緑豊かな環境など農村の持つ大きな利点や魅力を最大限にPRするなどして、とりわけ農業者が農業を職業として選択できる機運づくりに努めていくことが今こそ必要であると思うのであります。このような農業情勢下にあって国は、昨年六月いわゆる新農政プランを策定しおおむね十年後を見通した農政の新たな方向づけを行ったところでありますが、その具体化に向けて関連予算や融資制度の充実を図るとともに、今国会では「農業経営基盤の強化促進に関する法律」が可決成立されました。この法案の審議の過程で、本県の稲作農家である五所川原市の笠井実氏が全国の農業者を代表して衆議院農林水産委員会の参考人として出席し、これまでの実践活動を通じて農業構造政策の必要性を強調されましたことは、農業に深い関心を持っている私といたしましても大きな喜びと誇りを感じた次第であります。県においても昨年、このような農業者や農業団体の代表者などからの意見を踏まえ、本県農業が二十一世紀に向けて一層生産性の高い農業として構築できるよう、特に担い手農家の育成と経営規模の拡大を円滑に進めるための農地対策について「農業構造政策の展開方向」として取りまとめ、目下関連施策の充実に努めていると伺っております。しかしながら、国や県がどのような施策を講じても、現地の方々を巻き込んだ取り組みを誘導していかなければ実りある成果はなかなか出てこないのではなかろうかと思うのであります。そこで、これまで述べてまいりました農業情勢や県内外の動きを見きわめながら、県が全国に先駆ける形で公表した「農業構造政策の展開方向」の実効を期するため、現地の関係者の合意形成を図りながら今後どのような取り組みを展開しようとしておられるのか知事の御所見を賜りたいと存じます。  次に、農業、農村の活性化の一環としての十和田地域アグロポリス構想の推進についてお伺いいたします。アグロポリス構想についてはこれまでも何度か当議会において議論されたところでありますが、平成三年度に十和田地域が指定を受けて以来、県では、二年間にわたる基本構想の策定作業を経て去る三月に十和田地域アグロポリス基本構想を取りまとめたところでありますので、その実現に向けていま一度私の意見を申し述べながら議論を深めておきたいと存じます。先般十九日にある会合で前十和田市長でありました中村亨三氏とお会いする機会に恵まれましたが、中村氏から同構想の中で計画された諸事業について強力に推進されるよう要請を受けました。中村さんにおかれましては、市長という任を退いてもなお衰えぬ強い熱意で地域を心配なされアグロポリス構想の推進を願っておられるのでありまして、政治家としての強い信念とその責任感に敬服いたしました。また、私自身、責任ある立場で地域農業を考え、振興させてまいらなければと痛感いたした次第であります。さて、従来、農業・農村整備のためのハード事業はとかく市町村の農協単位になりがちでありましたが、担い手の減少や労働力不足などの農業情勢の変化を考えますと行政のエリアを超えて課題解決に取り組まなければならないと思うのであります。最近は消費者ニーズの変化に伴い農産物の流通が多様化してきていますが、産地体制づくりに当たっては、集出荷施設の整備利用や労働力の確保、地域特産物のブランド化などの面で広域的に取り組んでいくことが、投資効率の向上はもちろん、生産の合理化や集出荷作業の省力化につながるのであります。この場合関係者の連携をどうするかといった調整が極めて大事でありますが、このような視点を変えながら、これまでの地域活動から一歩踏み出していくことが、ひいては、担い手の育成、農地の流動化など構造政策の進展にも寄与することになり、産地としての生き残りと農家の所得向上が図られるものと確信するものであります。このたび策定された十和田地域アグロポリス構想を拝見いたしますと、地元の構想である「ヤマセ21プロジェクト」をベースとして、広域的な視点に立った地域農業の構築や地域特性を生かした特色ある産地の育成などを柱としたいわゆるヤマセ活用型の先進的農業の確立を目指したものであり、それらを実現するために、研究開発や情報通信、流通販売、加工等の支援機能を総合的に整備する計画となっているのであります。新農政プランに示されているように農業のあり方が大きな変革を求められている中で、市町村、農協等の枠を超えた農業、農村の振興の姿を明らかにされたことはまさに時宜を得たものと思うのであります。いずれにいたしましても、このような形で、地域農業を何とかしたいという意欲が農家を初め関係者の中に盛り上がっていくことが、地域の重要課題となっている農協の広域合併等への弾み、ステップになるものと思うのであります。しかしながら、このように地域が一体となって積極的に取り組みつつある中で、国が諸般の事情によりアグロポリス構想を実現していくための新規事業の創設など支援措置を見送ったことはまことに残念であり、地元への影響も極めて大きいものと思うのであります。とは申しましても、先ほどから申し上げているように、十和田地区の取り組みはこれからの地域農業再編成のモデルとしての期待がかかっているだけに、このような状況変化をただ傍観することなく今までどおり前向きで進めていく必要がありますので、県としても積極的な指導、支援をしていくことが大事であると思うのであります。要は、既成概念にこだわることなく、二十一世紀に向けて力強い農業をつくり上げていくという意気込みを持ちながら構想に沿った戦略を展開していくことが肝心であります。そこで、国の方針変更を受けて県は今後この構想実現のためどのように対応していくのか御所見をお伺いいたします。  次はむつ小川原開発について質問を申し上げます。昭和四十四年、新全国総合開発計画にむつ小川原開発が初めて位置づけられて以来約二十三年の歳月がたとうとしております。この間、我が国の社会経済状況はもとより、むつ小川原開発を取り巻く諸環境の変化には目をみはるものがありました。こうした社会の流れは、むつ小川原開発の将来像を考えるとき極めて重要なものとなってくると思われます。思えば、むつ小川原開発が具体的に出発したとき地権者である農漁民の間に猛烈な反対運動が起こり、地域が混乱した日々を忘れることはできません。それゆえに、私は、この開発の成就を県政に携わる一人の政治家としてその責任を考えてまいりました。今後ともその責任には変わりありません。こうした観点に立ち、私は私なりにこの開発問題を考えてみたいと思い、地元六ヶ所村、有志の方々を初め県内外の有識者の方々の意見を賜り、議論してまいりました。その集積を申し述べてみたいと存じます。子細にわたる議論の余地はたくさんあろうかと思いますが、問題提起とその方向には確信を持っております。いずれにいたしましても、むつ小川原開発の成就に向けて皆さんとともに邁進してまいりたいと思い、あえて壇上からの質問とさせていただきました。昭和四十四年、我が国は高度経済成長の中にあり、国土の均衡ある発展を目指して新国土総合開発計画が決定されました。その中でむつ小川原開発を初め東苫小牧等が整備の対象となり、むつ小川原開発は我が国の重要な工業開発基地として位置づけられました。開発地域は六ヶ所村を中心に三市十町三村を含む約二千八百平方キロメートルであり、さらにその中核として工業開発地域五千二百八十ヘクタールが指定され、工業用地基盤整備、港湾整備、工業用水確保等の開発整備が進められてまいりました。しかし、昭和四十八年、世界はその経済社会環境を根底から揺るがす石油危機に見舞われました。特に大幅に石油に依存していた我が国社会は急速かつ大きな転換を迫られたところであります。それは重厚長大から軽薄短小へと言われた産業構造の大きな転換でもありました。そのような大きな流れの変化の中でむつ小川原開発も石油化学コンビナートからの転換を迫られ、オイルショックの教訓から国家石油備蓄基地施設が工業開発区域内に設けられました。さらに、昭和六十年から石油代替エネルギーとしての原子燃料サイクル基地として大きくその性格を変えてきております。昭和六十二年に閣議決定された第四次全国総合開発計画では以上の状況を踏まえて本開発計画地について次のように述べられております、「むつ小川原開発については、核燃料サイクル施設の建設を進めるとともに新技術を活用した産業の立地を促進する。また、核燃料サイクル事業の技術の先端性、国際性等の特色を生かした多角的な活用についても検討を進める」と。つまり、現在進められている開発方向を継続しつつ、新技術と国際性という二つの新しいキーワードが提示されているのであります。私はこの二つのキーワードに最も注目いたしておりますし、またそこに大きな夢をはせるのであります。そこで新しい社会環境について予測をしてみたいと思います。第三次産業就業者が増加するといういわゆる産業のソフト化がさらに進行し、そのときに、我が国リーディングインダストリー、つまり、トップ産業、トップ工業は付加価値の高い超高度科学技術を基盤とした産業へと発展するでありましょう。そして、二十一世紀当初において日本は世界における総生産の約二一%を占めると言われており、世界経済の中での日本の役割が飛躍的に高まると予測されております。そのように日本は世界経済の大きな核となることを十分に認識するとともに、世界に対してその責任を果たしてまいらなければなりません。また、科学技術庁における技術予測調査によると、科学技術の革新は今後ますます我が国における重要なファクターとなると予測しております。一方二十一世紀の世界の物流を予測すれば、確実に空の時代を迎えるでありましょう。このことについては既に日本においても、カーゴインターナショナルエアポート、つまり貨物専用国際空港の設置構想が浮上してきており、広大な土地を有する北海道は既に政府や関係機関に対しひそかに運動を始めていると聞き及んでおります。また、世界の航空機業界において、スーパーソニックトランスポート、略称SSTと呼ばれる超高速輸送機の研究開発がしのぎを削って行われているとのことであり、必ずや近い将来地球二十四時間時代が到来すると言われております。その交通手段によって運ばれるものは軽くて非常に付加価値の高いものであり、それには電波に匹敵するほどの移動のスピードが要求されると言われております。そのような時代の到来における世界の経済構造は、我が国を初めとしてアメリカ、欧州の三つの極で構成される三極構造となると予測されており、その時代におけるむつ小川原地域は日本における陸海空の物流ネットワークの拠点となり得るのであります。このような展望のもとにむつ小川原開発の将来を考えてみたいと思います。まずその前提となる事柄をまとめてみると、一番目として、国レベルでの開発展開を図ることと、いわゆるこれまでの経緯より国レベルの視野に立った公共主導型の開発とすること、二番目として、県の総合計画、テクノポリス構想、東北新幹線整備等々の地域開発プロジェクト及び既定のさまざまな計画は逐次推進されること、三番目として、本地域にこれまで投資された道路、港湾等の資産の有効活用を図ること、これら三つの条件のもとにむつ小川原開発の基本方向は二十一世紀における超国際化社会の我が国の担い手としての地位を目指しながら、世界の経済をリードしていくための頭脳、技術の交流及び再生産という観点から超先端技術の研究開発機能の導入を目指すとともに、石油備蓄、核燃料再処理等常に時代のエネルギー政策と密接なかかわりを持ってきたという経緯を踏まえ、原子力の多面的な利用や次世代のエネルギーの研究を進めるべきと考えます。また海洋の分野においては、高速海上輸送の研究開発を行い、むつ小川原地域を海の交通機関の拠点とするべきであり、さらには、世界の物流に目を転じた開発としてカーゴインターナショナルエアポートの設置が最も望ましいと考えるものであります。以上、むつ小川原開発の将来展望を申し述べてまいりましたが、その展望が実現を見ることにより本県にもたらす波及効果ははかり知れないものが予想されます。その第一点として、より生産性の高い工業化が促進されることにより知識集約型産業構造への移行が可能と予測されます。第二点として、雇用の面から見ると、新規に発生する地域内就業者の地元雇用の機会が増大するとともに県外に流出していた就業者の地元雇用が高まり、さらにまた県外からの流入が起こり地域内人口の増加が見込まれます。これらの状況から県内の産業構造の転換や質の向上が期待されます。第三点としては、雇用が増大されることに比例して所得の増大がもたらされます。そのことにより県内消費が拡大し地域の活性化が促進されますし、あわせて税収増が期待でき、自治体財政に弾力性やゆとりが生まれ、地域独自の政策展開が可能となるのであります。このようにその波及効果はとどまるところを知らず、知事が県政運営の基本理念とされている「豊かで住みよい活力ある地域社会の建設」も達成されるものと確信をいたしております。一方、多極分散型国土の形成が叫ばれて久しい今日、その大きな一翼を担うことにもなるのであります。いずれにいたしましても、むつ小川原開発地域は四全総で示されている新技術と国際性という二つの大きなキーワードを最大限に生かしながら進めてまいるべきと考えますし、むつ小川原はそれにこたえ得る可能性を秘めていると言っても過言ではありません。以上、むつ小川原開発の成就を願って私の考えを述べさせていただきましたが、私の考えたむつ小川原開発について知事の所感をいただきたいと存じます。さらに、知事の考えるむつ小川原開発の将来像について御所見を賜れればと存じます。  以上、壇上から御質問申し上げまして私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 66 ◯議長(小原文平君) 知事。 67 ◯知事(北村正哉君) 佐藤純一議員にお答えをいたします。  最初が農業問題でありました。農業に向けて深い関心を寄せておられるその御心境を踏まえて農業を掘り下げた形で述べられたわけであります。御質問の第一点が、「農業構造政策の展開方向」の実効を期するためにどのような取り組みを展開しようとするのかと、御指摘のように構造政策なるものは、かつては──かつてはと言ってもいろいろあるわけでありますが、構造政策を論ずることは、タブーではないんでありますが余り歓迎されない、そういう状態で戦後大変長い間推移したわけでありますが、昨今に至って、新農政プランと前後しながら、やっぱり構造政策が深く検討されなければならないというムードがほうはいとして起こってきて、結果として行政もまたこれを受けて「農業構造政策の展開方向」というものを策定して審議会等に諮りながら進めている、このことなくしては基本的に農業の進展が見られない、価格政策等だけを論じてみたところで抜本的な効果はどうも期待できない、構造政策があって初めて農業の進展が期待できる、こういうことで私は大変喜んでこれを受けとめてるわけでありますが、その構造政策なるものも絵にかいたもちでは困るんだ、この実効を上げるには一体どうするんだということについて指摘されたわけであります。まあ大方は担当の農林部長の方から答えさせていただきたいんでありますが、基本的な方向を申し上げれば、おわかりのことでありますが、やっぱり基本になるのは今後の農業の担い手を育成確保していく、これなかりせばどんないいことを論じてもなかなかどうも現実のものにはなってこない、こういううらみが出てくるわけでありますから、担い手の育成確保、また、その担い手ができたとしてもそれが十分能力を発揮するための農地が手元になければ、整備されなければこれまた力を発揮するわけにいかない、こういう事情でありましょうから、農地利用の集積に向けての施策をもっともっと充実し強化する、この辺が基本であろうと思いますし、また、その担い手なるものが積極果敢に農業経営の改善に取り組めるような時代感覚を持ち、意識を持ち、国際的な農業の知見も十分身につけるというような力のある担い手を養成し、その意識を求めていく、そういう意識を培うように指導していく、こういうことが基本の一つになろうと思います。こういったことに努めながら、市町村、農業団体と密に連携しながら総合的な構造政策の推進に当たることが当面大変重要なことだと認識をしているわけであります。しからば実効を上げる具体的な方策としてどんなことがあるかと、いろいろ、法人化の指導センターであるとか、あるいはモデルの地域を形成していくとか、新しい規模拡大のための方策をいろいろ考えながらいく、そのための指導本部もつくるというような内容があるわけでありますが、整理して担当部長から答えさせていただきます。  その次はアグロポリスについて述べられました。六戸町御出身の佐藤議員でありますから、十和田地域のアグロポリスが中断しているような形になっていることはいかにも残念であろうということを推察しながら申し上げるわけでありますが、アグロポリスにせっかく指定されたわけでありますが、国の方でこのことに向けて新規事業を取り上げていくことを断念した、さらに農業支援機能を促進するための法案の検討も全部見合わせた、これは私は、背景にどういうことがあってこういうことになってるのか大変に不思議でもあり残念でもあり、またふんまんやる方ない感じもするわけであります。過去の国の行政の中でこれに類することが一体あったのだろうか、つまり、制度をつくり、それをある程度進めておいて途中でばっさりとやめてしまう、こういうことが過去においてどれだけあったのだろうと、思い出そうとしてもなかなか思い出せない、事ほどさように余り事例のないことをやってのけられた、まあ生産者側からすれば受け身でありますから、余り例のないどうも惨めなことを、かわいそうなことを、残念なことをやられたという感じが私にはするわけであります。そうであるからには、県としては、構想策定に当たってのせっかく盛り上がった関係者の意欲をこのままにしておきたくない、当初から考えられたこの構想の実現を何とか図っていく必要があるということで、既存の制度に基づく既存の事業をできるだけ優先的に採択してもらって、これを国に働きかけ、国ともどもに実現を期していく、取り上げていくということに進めたいと思ってるわけであります。その考え方に基づいてしからばどういうことが取り上げられるかということにつきましても担当部長の方から幾つか──幾つかといっても、既存事業といっても幅が広いわけでありますから相当にあるわけであります──農業情報センターや種苗供給センター、あるいは農産加工の面の新商品開発や販路拡大、いろいろあるわけでありまして、それらのことを部長の方から整理して御報告をすることといたします。  それから、その次が──農業で最初に述べられたのが、今年度の長期予報と申し上げりゃいいか気象状況、警戒信号が上がってるんだ、予断を許さない状態にある、これに対する警戒というか注意、生産指導をどうするかと、今までの経験を深く積んだ本県でありますから、事冷害については過去の経験を踏まえて十分に行き届いた警戒体制をしいていくということに指導をしていきたいと思っております。  次はむつ小川原開発でありますが、これにつきましては昭和四十四年の新全総にさかのぼって──当時は陸奥湾・小川原湖と言ったんでありますが、あの当時にさかのぼって思い起こしながら、あるべき姿について、あるいは経過についてお話があったわけでありまして、私としても当初から携わってきてる人間の一人として大変感慨深くお話を承りました。感慨深いし、お話の内容が大体私どもが考えてきた考え方と軌を一にしてる、共鳴を感ずるというようなことでありますし、また、見通しについて明るい展望を踏まえながらお話しになられたわけでありまして、聞いとって大変うれしいことに感じました。ありがたいことに感じました。お話の要旨は、推進方向として企業誘致をどう進めていくか、どんな業種を選んで二十一世紀に向けてどういう対応をしていくんだというようなこと、また将来について知事はどう考えてるのか、こういうようなお話であったと思います。実際閣議口頭了解を受けて第二次基本計画ができたのが五十二年の八月でありますが、自来今日まで──お話にあったような石油シリーズで始まったわけでありますが、それがオイルショックに遭ってうまくいかなかった、その後国家石油備蓄基地、あるいは原子燃料サイクル事業といったようなものを立地しながら今日まで来てるし、考え方として多角的に企業を求めてきた、しかしそれが、時勢のしからしむるところと申し上げていいか、我々の努力がまだ足らないのかもしれませんが、必ずしも思うとおりには進展していないわけであります。進展していないので何とか促進を図ろうということで、むつ小川原開発企業導入促進計画なるものを、これは平成三年でありますが新たに策定して、この広大な土地、大規模な港湾、豊富な工業用水などこの開発地域が持っている特性を何とかして最大限に生かせるように、原子燃料サイクル事業関連だけでなくて、エネルギー関連だけでなくて、素材関連、その他の業種、また対事業所サービスといった導入業種を選定し、それらをターゲットとして、産業動向を踏まえた短期的、中長期的な企業立地の見通しに基づいて鋭意企業誘致に取り組んできたところであります。議員のお話によれば、超先端技術を基盤とした産業の誘致といった視点も考えるべきだし、国際的視点から企業導入を考えてしかるべきだと、これも大変ごもっともなことであり、そういったことも意識しながら今後進めたいと思うわけであります。原子力や新エネルギーの研究拠点についても考えていくべきだろうと思うし、さらには、海洋交通機関の研究であるとか開発拠点、またカーゴインターナショナルエアポートといったことも述べられたわけでありまして、いずれも、国際社会に果たしていく──国際社会の担い手として役割を果たしていくことについて公共事業型の開発の展開がまず前提になるべきだ、こういうふうに考えるわけでありますし、今後とも最善の努力を重ねていくことが大変大事なことだ、もちろん国の指導も求めながらお話のような方向へ進めてまいりたいと思ってるところでありますが、いつでも申し上げるように、非常に長期に時間がかかる開発であることは初めから覚悟してかかってるわけでありますが、長期的、段階的に進めてまいりたいと思ってるわけであります。  むつ小川原の将来についてどう考えるかと、これは、いみじくもと申し上げたらいいか、四全総の中でむつ小川原の将来のあり方を──むつ小川原開発に将来かけられるべき期待を述べているわけでありますが、全くそのとおりに私どもは考えて進めているわけでありますので、念のために申し上げれば、我が国でも数少ない貴重な大規模工業基地でありますことから、所要の基盤整備を図りつつ、基幹資源型工業の立地にとどまることなく長期的視点に立った有効利用を積極的に推進する、こういうふうに述べられているわけで、全くそのとおりだと思います。県としても、県内の産業構造高度化を図り県勢発展を図る上で最も重要なかぎを握るプロジェクトの一つであるという理解のもとに今後推進してまいりたいと思っておりますし、工業開発を通じて地域の振興を図るというむつ小川原開発の基本的な考え方のもとに、長期的展望を踏まえて、国や経団連等の協力も得ながら積極的に企業を導入し、港湾やら工業用水等のインフラ整備にも力を入れてまいりたい、同時にまた生活環境、生活基盤にも意を用いてまいりたい、こう思ってるところであります。以上であります。 68 ◯議長(小原文平君) 農林部長。 69 ◯農林部長(中尾良仁君) 「農業構造政策の展開方向」の実効を期するための取り組みについてお答えいたします。県といたしましては、平成五年度を構造政策元年という位置づけをいたしまして農業構造政策関連施策の充実強化に努めることといたしました。その結果、大規模な個別農家や熟度の高い生産組織を農業生産法人に誘導するため農業会議の中に法人化指導センターを設置させました。また二つ目として、農地の賃貸借により一定規模以上に経営規模を拡大した農業者等に対する助成金の交付、三つ目として、水田農業の大宗を経営規模の大きい経営体で担うモデル地域の形成、などの新規事業を創設したところであります。また、これらの事業を効率的に推進するため、地域段階において市町村や農協、農業委員会等の横の連携を強化させていくとともに、県段階と地方段階に構造政策推進指導本部を設置するなど推進・指導体制の整備にも努めているところでございます。なお今年度の指導本部の活動につきましては、一つとして、県と市町村の五カ年ないし十年後の担い手の経営規模等を内容とする農業構造改善目標の設定、二つ目といたしまして、担い手育成や流動化促進にかかわりの深い事業や施策の成果の検証等進行管理の実施、三つ目といたしまして、農業者や農業関係者・団体等を一堂に会した構造政策推進大会の開催や構造政策の普及啓蒙による機運の醸成などについて重点的に取り組むことといたしております。  次に、十和田地域アグロポリス基本構想の実現に向けての対策でございます。先ほど知事がお答え申し上げましたとおり、既存事業の優先的な採択を国に働きかけました結果、昨年度、十和田地域が農業農村活性化農業構造改善事業の追加採択を受けました。この事業によりまして農業支援機能整備計画の主体をなす農業情報センターや種苗供給センターなどを整備することで現在その準備を進めてございます。また、先進的農業経営体の育成や流通コストの低減などソフト面を強化することも重要であるということから、平成四年度から農産加工の新商品開発や販路開拓などをねらいといたしました実験事業を実施しているところでございます。県といたしましては今後、構想に示されている整備計画の実現に向けて既存事業制度の見直しや関連事業の優先的な採択を引き続き国に要望していくとともに、地域全体の活性化に向けて八市町村が一体となった広域的なむらづくり塾活動の展開、また、八市町村の農協が設置した十和田地域農協間研究会において広域的な営農活動のあり方等を検討することなどを主体に地元での取り組みが促進されますよう指導を強化してまいります。 70 ◯議長(小原文平君) 佐藤純一君。 71 ◯十四番(佐藤純一君) 答弁を求めるものでありませんけれども、若干話をさしていただきたい、このように思います。アグロポリス構想の件でありますけれども、支援措置の見送りとか税制の優遇制度が創設されなかったということで、私も大変残念に思いまして、農林省の構造改善局へ単身行ってまいりました。そこで、そういうことになったといういろんな経緯も伺ってまいりましたし、その中で、既存の事業で行えるものはそれぞれその地域で取りまとめた構想の支援は幾らでもするというふうな約束を取りつけてきたところでありますけれども、私どもの十和田地域はそういういろんな措置が見送られたという状況のもとでもいささかもその熱意は衰えておりませんので、どうかひとつ県においても今後とも一生懸命取り組んでいただきたい、このことを要望しておく次第でございます。  一方むつ小川原開発についてでありますけれども、むつ小川原開発は、三点セットのうちの最後の一番大きな事業でございます再処理が先般着工なされたわけでございます。完成まであと七年というふうなことになるわけでございますけれども、その再処理が完成した段階にはもう何もなくなるんじゃないかということを私は前々から心配してございました。そういうことで、今回質問として取りまとめさしていただき、自分なりに勉強したものを発表さしていただいたわけでございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、子細にわたる議論は皆さんからもいただかなきゃなりませんし、またいろんな御助言も賜らなきゃならないと思っております。また、私一人だけでの考えでは子細にわたる部分まで構想をまとめ上げるということは到底不可能であると思います。したがいまして、それぞれの関係者の方々から御意見を拝聴したいと思いますし、またそういう研究グループをつくって勉強してみたいというふうな希望も持っておりますので、そういう点に対してもまた行政側からの御指導、御支援をいただくことになろうかと思いますけれども、そういう点もひとつよろしくお願いを申し上げる次第でございます。いずれにいたしましても、私はこのむつ小川原開発に一生をささげて取り組んでまいる決意でございます。その決意の一端を申し述べまして私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 72 ◯議長(小原文平君) 以上をもって本日の議事は終了いたしました。明日は午前十時三十分より本会議を開き、一般質問を継続いたします。本日はこれをもって散会いたします。 午後五時十五分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...