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平成元年第179回定例会(第5号)  本文 開催日: 1989-10-04
平成元年第179回定例会(第5号) 名簿 開催日: 1989-10-04

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  1. 青森県議会 1989-10-04
    平成元年第179回定例会(第5号)  本文 開催日: 1989-10-04


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(工藤省三君) ただいまより会議を開きます。        ─────────────────────────────────            ◎ 一 般 質 問 継 続        ───────────────────────────────── 2 ◯議長(工藤省三君) 一般質問を継続いたします。二十六番長峰一造君の登壇を許可いたします。──長峰君。  〔二十六番(長峰一造君)登壇〕 3 ◯二十六番(長峰一造君) 自民クラブの長峰一造でございます。私は、六月まで二年間にわたって中村寿文議員とともに監査委員を命じられておりましたので、長く本会議場での一般質問をする機会がありませんでしたが、今回久々に皆様方のお許しをいただきまして登壇の機会を与えていただきました。感激をしておりますとともに、生来心臓が弱いもんですから大変緊張を覚えております。監査委員を拝命しまして、私のいわば専門分野でもあります農業問題についてはもちろんのことでありますが、県政全般にわたりまして各地域が抱えている課題、県民各層の意見等をじかに拝聴し、また、現場の出先では、県職員の今までわからなかった御苦労などもわかりまして大変収穫を大きく持ったわけであります。知事初め議員諸先輩に深く感謝を申し上げる次第であります。  さて、今、北村県政は各般にわたる本県の課題を総点検しながら、県民とともに論議を深め、その解決に向かって渾身の力を振り絞らなければならない時期に至っているものと思われます。そこで本日の質問でありますが、山積している県政の広範にわたる論議につきましては、既に今までの一般質問で出されておるわけでありますので多少の重複があると思いますが、農業・食料問題の展望、その中で、生き残りをかけている青森県農業の課題の幾つかに絞って、私が考えている提言のようなものを述べ、知事の御見解をお伺いしたいわけであります。  私は議会のお許しをいただきまして、去る九月八日から出発しまして、ほぼ半月ほどアメリカの農業事情を視察する機会を与えていただきました。私の農業の体験や視察は一九五四年にさかのぼるのであります。まだ若かったころの私は、国が派遣した農業実習生として、アメリカのカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州の三州で、リンゴ、ナシ、桃、アンズ等の果樹農業を中心に実習し、農村生活を一年間ほど体験してまいりました。それが私の人生観や農業観に大きな影響を与え、そしてまた、今日まで農民として生きてきた原動力となっているものだと思っております。その後一九七六年にも、リンゴ視察団の団長として、一行百四十名とともにワシントン・オレゴン州を視察し、さらには一九八五年、森内勇議員とともに、ニュージーランド、オーストラリアのリンゴ、酪農の事情を視察しております。これら何回かの海外体験には、それぞれ時代背景等があり、楽しい思い出とともに、先進大国の活力と、これを裏打ちする巨大な農業の生産力に圧倒されたものであります。今回のアメリカ視察は、社団法人国際農業者交流協会の企画した視察団に参加したものでありますが、詳しい報告は後日に譲るとしまして、カリフォルニア州から内陸部コロラド州まで、酪農、果樹、稲作、花卉、野菜のほか、州立大学二校、国立種子センター組織培養研究所など広範にわたる視察をし、農業コンサルタントの方々との意見交換などの場もあり、かなりのハードスケジュールでありました。その間、視察地を移動する車窓から「農場売ります」の看板が見られ、また、移動する国内線の飛行機から広大な荒廃した農地が見られるなどアメリカ農業の苦しい一面がうかがわれましたが、反面、農業が輸出産業であるという誇りと自信に満ちた訪問先の農場主の説明や、試験研究機関普及指導体制の充実ぶりを見るとき、我が国農業と一番関係の深いアメリカ農業の重さをどっしりと感じたのであります。しかし、帰りの飛行機の中で視察したアメリカ農業を改めて振り返るとき、今こそ気を強くして農業を守り育てていかなければならないという熱い情熱がわいてくるのでありました。それといいますのも、これは全くの偶然であったわけでありますが、成田空港を出発する直前に、毎日新聞に掲載されていた「今世界の農業が、食料が危ない」という大きな記事を見たせいでもあります。多少時間を割いて紹介させていただきますが、これは、豊富な情報に基づいて世界の農業問題と地球規模の環境危機を監視している民間のシンクタンク、ワールドウォッチ研究所のレスター・R・ブラウン所長が来日を機会に新聞社のインタビューに答えたものであります。かってアメリカ東部でトマト園を経営し、その後農務省に転じ、農業経済学者として未来への洞察力では並ぶ者なしと言われるレスター・ブラウン氏の指摘していることで特に注目した一つは、アメリカ農務省の七月の世界穀物生産予想からすれば、一九八九年産の穀物は、世界の消費量十六億八千百万トンに対し千三百万トンの不足を来すという観測であり、これがもし現実のものになれば世界の食料供給は大変な事態になるであろうということであります。とりわけ、北米の気象条件いかんによっては穀物の価格が今の二倍、三倍にはね上がるというものであります。また、これからの食料生産を考えた場合、日本は過去数十年間にわたって農地の生産性を上げ続けている国であって、九〇年代の世界の農業は日本を参考にすべきで、世界の食料事情が悪化したときは日本の農業技術に学ぶべきであるという指摘であります。さらに、日本が米の市場開放を行えば農村社会は急速に衰退する一方で、今言われている内外価格差の存在についても、世界の不安定な生産事情によって穀物の国際価格は日本の国産価格の水準に近づくものと思われる、ということも言っているわけであります。アメリカの農業を改めて視察し、また、今紹介したような見方をしているアメリカの識者がいることを見ても、国際化という合唱のもとに偏った情報に振り回されてはならないということでありまして、本県農業発展に一層の努力が必要であるとの思いを新たにしたのであります。本日は、国際的な観点から農政を展望し、過ちなき農政の推進について警鐘したいのであります。そのためにはまず世界の歴史から学びたいと思うのであります。その一つは酪農王国と言われるデンマークに見られるのであります。この国は、御承知のごとく十九世紀の半ばドイツとの戦いに敗れ、肥沃な南部ユトランドの国土を失ったのであります。このとき一老牧師が「外に失ったものを内で取り戻せ」と国民の士気を鼓舞し、強い精神力を持って国の振興を図ることを呼びかけたのであります。その結果、人々の努力によってやせた泥炭地は見事に改良され、世界に冠たる酪農王国としてよみがえり、今日の繁栄の基を築いたとされているのであります。また、イギリスは、十七、八世紀に鉄、石炭等の生産を基本に商工業を発展させ、交易によって、インド、インドネシアを初め世界各地から莫大な富を吸収して国力をほしいままにしたのでありますが、十九世紀から二十世紀に入り世界の各地に植民地を持ち、日の沈まない国とまで言われた大英帝国も、アメリカ、ソ連という大国を軸に動き出した世界の潮流にいかんともならなくなったことも広く知れ渡るところであります。これらの国はいずれも農業大国で、農業の発展の上に商業、工業の振興を図ってきたわけでありまして、歴史的なこれらの事例を見ましても、明らかに国の発展の基礎は農業であるということを訴えたかったからであります。今日の食料政策の方向を見ますと、国際化という旗に振られて、主体性を失ったままなし崩しに日本の農業を、そして農村を衰退させていくということになるのではないかとの心配が年々増してくるばかりであります。国は総合自給力の強化について国会決議までしているわけでありますが、現実の動きを見ますと、中曽根内閣当時の、亡くなられた前川さん、いわゆる前川レポートの報告、すなわち「着実に輸入の拡大を図り農産物の内外価格差を縮小していく」という方向、裏を返せば、国内農業の合理化、効率化という名のもとに、農業を縮小させた方が国内経済が発展していくという考え方に沿って動いているような気がしてならないのであります。しかし、先ほど例に出しましたイギリスは、近年日本とは逆に食料の自給力を向上させているのでありまして、かって「イギリスの轍を踏むな」と言った農学者も今では「イギリスに学べ」とすら言って注目しているわけであります。大分時間を割いて私見を申し上げましたが、私は、国民各層が正しい農業観を持ち、食料政策や国土政策の改革に禍根を残すことのないようにしなければならないということを強く申し上げたかったのであります。どうか、本県農業の一層の発展と、真に住みよい働きがいのある農村づくりのために、国がなすべきことへの注文、県が率先して推進すること、あるいは、市町村、そして農協等関係機関が今行動に移すべきことなどその道筋を明確にして、自信を持って農業政策を展開していただくよう北村知事に強くお願いをするものであります。  さて、質問の第一点は、我が青森県の農業を引っ張っていく県の強力な指導についてであります。昨年県は「青森県農業の推進方向」を公表しております。これは、農家の将来方向を県独自の手法で分析しながら、単に農業の世界にとどまることなく、農家をどうするか、農村をどうするかという、農村地域の産業構造全体のあるべき方向という視点に踏み込んでいる農林部の力作で、私は発刊当初から高い評価をしており、機会あるごとに申し上げてまいりました。これを本県農政推進の中心に据えて、関係者が新たな意識のもとに、地域農業の再編強化、あるいは農村地域における産業興しに汗すべきものと存ずるのであります。しかし、この一冊をもって決して地域は動くものではありません。大切なことは、この「推進方向」が提起している課題を各論ごとに掘り下げながら、地域や個人が具体的に経営改善に取り組んでいくよう誘導することであります。農業の先行きに不安を抱いている農家が多くなりつつある今、具体的な指針に基づき関係者が一枚岩になって指導に当たるべきときと思うのであります。そこで、「青森県農業の推進方向」の公表以降、その実行に向けてどのような取り組みをしながらその趣旨の浸透を図ろうとしているのかお知らせいただきたいのであります。  次に、これは今までの質問にもありましたが、その対応が目前に迫っている水田農業確立対策の後期対策について触れたいと存じます。米の生産調整と転作については既に二十年以上の歳月が経過しております。一連の対策についての評価は、稲作農家の生産意欲を減退させて農政不信を募らせたことも事実でありますが、しかし、生産が上がって消費が減退し、いわゆる需給のアンバランスが米の過剰ということになった状況のもとでは、避けて通れないやむを得ない対策であるとの認識もまた必要であります。このことについては、先般全国農業協同組合中央会水田農業確立後期対策研究会が、米の生産調整をやめた場合米価が大幅に暴落し稲作農家は大変なダメージを受ける、という試算を公表していることでも説明できると思います。したがって、需要に見合った計画的な米の生産対策を講じながら、その中で地域の実情に即した米以外の作物の定着を図っていくことが一層重要になっていくものと思考するわけであります。明年度から始まる後期対策の方針については、現行の七十七万ヘクタールを大幅に上回る転作面積であるとの観測がなされているようでありますが、減反、転作はもはや限界に来ていることを実感しておりますので、新たな需要開発、消費拡大を強化することなどによって何とか転作面積に歯どめをしたいと思っているわけであります。いずれにしましても、後期対策の方針は本県農業の方向を決定づける重要なものでありますだけに、本県の立場を明確にしながら国に対して強く主張することを要望いたすものでありますが、現時点で国はどのような観点から後期対策の検討を進めているのか、わかっていましたらお知らせ願いたいと思うわけであります。また、これに関連して小麦の問題について一言触れたいと存じます。いろいろ作付されている転作作物のうち面積的にこなせるとすれば小麦でありましょう。つまり小麦の生産性を向上させることが一つのポイントであります。しかし、現在我が国の麦の需給事情を見ますと、国内産小麦はパンや菓子類の原料に不向きでありまして、低品質、価格高を理由に業界から敬遠され、これまた在庫が問題にされてきておりまして、このままでは転作小麦の拡大に歯どめがかけられるときが来るのではないかと懸念を持つものであります。食管制度のもと、小麦は全量買い上げの仕組みが、品質向上のための品種改良に熱心さが足りないのではないかと思うわけであります。そこで、業界や消費者の望む小麦の生産を国内でふやすために品種改良を急がなければならなくなるのであります。これが成功すれば、転作の成果が上がり穀物の自給率にもつながるわけでありますので、県単独での取り組みについては無理な面があれば、この分野の試験研究充実について国に要望していくべきではないかと思うわけでありますが、いかがなものでしょうか。国における育種の研究はどうなっているかあわせてお聞かせ願いたいのであります。  最後はリンゴ問題について述べたいと思います。既に一九七一年、グレープフルーツと同時に自由化品目になった生果リンゴは、わずかにコドリンガの侵入を防ぐという防疫上の理由で輸入がとめられているだけで、至って弱い立場にあるのであります。万一これが解除されるようになればさらにファイアブライト病上陸の懸念も生まれ、既に定着した黒星病と合わせると、いわゆる輸入病害虫の防除だけで全防除費のほぼ二五%と推定され、猛威を振るっている腐乱病とともにリンゴ生産は壊滅的打撃を受けることが確実であります。その上、政府がガットの勧告を受け入れたことによって明年四月からリンゴ果汁が自由化されるわけであります。生産農家はもちろんのこと、販売関係者、加工企業等に大きな不安を与えていることは御承知のとおりであります。リンゴの全国生産量は百万トン時代に入りましたが、生果の消費量が停滞する中でジュースを主流とする加工消費はここ十年間著しい伸長を見せており、この後も拡大の方向にあることは明るい大方の見方であります。私は、現在二五%くらいの本県の加工割合も、欧米並みになりつつある食生活に伴ってやがては四〇%台まで伸びることも夢ではなく、むしろこれを目標にして進むべきであることに誤りはないと思うわけであります。そのためには、原料の安定供給とともに事業振興のてこ入れが必要であります。ちなみに、アメリカ四六%、カナダ三七%、西ドイツ四〇%というのが主な国の加工割合であります。ますます厳しくなる国際競争、産地間競争に勝ち抜くために、生産から消費・販売対策にも新たなる戦術、戦略が必要であります。特に生産力増強対策加工振興対策についてどのように考えておられるかお伺いいたします。  以上、最近の農業情勢等に対する私見を述べながら当面している本県農業の課題の幾つかについて御質問申し上げたわけでありますが、最近は特に、原子燃料サイクル施設をめぐっていろいろな論議や動きがあります。これは農業関係者だけに限ったものではありませんが、農村におけるその声の大きさはますます高まり、この問題が今議会で活発な論議になっていることでも明らかであります。国家的事業の重要性はわかっていても、自分の持つ水田に、自信あるみずからの技術によって全部作付できないといういら立ちと、あるいは、収穫したリンゴが売れなくなるのではないかという心配が先になるのは農民感情であります。ここで申し上げるのは、釈迦に説法になるようでありまして大変恐縮をしますが、私の教わった孟子の言葉を改めて最近思い出しておるわけであります。その昔中国の孟子は、合従連衡に明け暮れた戦国時代、高弟たちから政に当たっての心すべきことを問われたとき「まず食を絶て」と言ったそうでありますが、これはむだのない日常生活を指したものと思っております。そしてその次に「しかる後に兵を絶て」と言ったそうであります。あらゆる機関がほとんど軍隊で取り仕切られていた当時でありますので、兵隊を少なくして経費を省く、今で言う行政改革に当たると思われます。そして最後に言った言葉は、「何にも増して民に信なくんば立たず」と結んだそうであります。この言葉は、今の世でも、政治、行政に携わる者の信条とすべき教えであると私は思っております。この際、農業関係者の声も聞き、動向を見きわめ、生き残りをかけて一体となって取り組まなければならない地域農業の体質強化に影響を及ぼすことのないよう、適切な判断を下されるよう特に御希望申し上げて質問を終わります。  御清聴を心から感謝申し上げます。特に、四日間もの一般質問でお疲れでありましょう。その中で御清聴いただきまして大変ありがとうございました。 4 ◯議長(工藤省三君) 知事。 5 ◯知事(北村正哉君) 長峰議員にお答えをいたします。  幅広い見聞と、また評論家の言やら世界の歴史やらを踏まえて、お互いに正しい農業感を持って日本の農業に向けて善処すべきであるという趣旨のお話を承ったんでありますが、大変御造詣の深さがわかるわけでありまして、ありがたく拝聴いたしました。  御質問の第一点は、昨年県が出しました「青森県農業の推進方向」、これの実行への取り組みはどうなっているんだという御質問でありました。この「推進方向」なるものは、これこそ釈迦に説法というんでありましょうか、十分御承知のことでありますからここで今さら解説申し上げることはいたしませんが、今後の農業社会の階層分化を見通しながら、本県の持っている地域特性を十分に生かした産地づくりであるとか、あるいは高速交通体系を活用した新しい流通戦略の展開であるとか、あるいは農家所得向上のための就労機会の確保・拡大対策、こういったものを将来の方向として示しているわけであります。その「推進方向」によって県内の市町村やら農協の地域農業振興計画づくりが逐次進められてきてる、あるいは集落やら生産組織等が自発的に農業問題を考えていこうとする機運がここに出てきている、大変これは結構なことであり、歓迎すべきことだと思うんでありますが、県としては、この「推進方向」の課題を各部門ごとに具体的に掘り下げた振興指針を示していかなければならない、こういう考え方に立っているわけであります。その考え方のもとに、当面の問題として、本県産米の基本方向あるいは農産加工──今お話があったんでありますが、リンゴを初めとする農産加工の振興方向、あるいは、ヤマセ気象といったような立地特性を踏まえた地域農業、あるいは個人経営の改善指針、さらには、農産物の輸入自由化に対応していくためのリンゴやら畜産の生産流通対策、あるいは土地の気象条件を生かした野菜やら花卉の産地育成対策、こういった課題についてその掘り下げた振興対策を示すべく進めているところであります。既に米と農産加工については提示しているわけであります。今後は、これらの指針を集約しながら、市町村、農業委員会、農協、土地改良区が一体となって地域農業の再編強化に向けてこれまで以上におのおのの責任を果たしていくように指導をし、体質の強い本県農業の確立に努めてまいりたい、こう考えているところであります。  何遍かこの議会で出てまいりましたが、後期対策についての対応を求めておられるわけであります。重ねて担当農林部長から申し上げますが、いずれにしても、本県の特殊事情、あるいは、転作、減反に向けての今日までの対応の努力等の実態を申し上げて農林・食糧庁当局に理解してもらうということに努力しなければならない、こう思っているところであります。  小麦の品種改良、これは農林部長から申し上げます。
     リンゴ問題につきましては、特に強調されたのは、消費拡大のための加工振興を考えるということでありまして、大変ごもっともな意見だと思います。内容について農林部長から答えさしていただきます。  最後に、原子燃料サイクルと農民感情、農民の心境、考え方について述べられました。孟子の言葉を援用されて、「民に信なくんば立たず」と。大変ありがたい御助言、御忠言、御忠告と拝聴いたしました。何遍も申し上げてきておりますように、農業者の方々の理解を得ていくことが非常に大事なことであるにもかかわらず現実は必ずしもそうなってない、率直に申し上げて反対という声が農業者の間に大変強いわけであります。何とかして国の力、事業者の努力、また県の配慮をもって、農業者の方々の御理解、御信頼を得られるように今後とも努力をし、原燃サイクル事業立地対策に心がけたいと思ってるわけであります。以上であります。 6 ◯議長(工藤省三君) 農林部長。 7 ◯農林部長(本儀 隆君) 長峰議員の御質問にお答えいたします。  一つは、水田農業確立の後期対策につきまして、国はどのような観点から検討を今進めているんだろうかということでございます。後期対策につきまして、今国において各般の検討が行われているわけでございますが、具体的な方針が決定されるのはこの秋、十一月ごろになる見通しでございます。我々はいろいろ情報収集に努めておるわけでございますが、各種情報等から検討内容を要約いたしますと、後期対策においては、稲作、転作双方の生産性の向上を図る、あるいは需要の動向に応じた米の計画生産といったような面では前期対策と同様の考え方でございますが、その中で一つには、転作等の目標面積の規模でございますが、米の消費が年々減少していることや、あるいは政府米の持ち越し在庫を圧縮する必要があること等々から、前期対策の七十七万ヘクタールを大幅に拡大せざるを得ないという方向で検討がなされておりますが、ただ、そこで消費拡大をすることによってどうその拡大幅を抑えることができるのかといったことも同時に検討しておるようでございます。それから、助成補助金につきまして、構造政策を促進するという見地から、基本額というよりも団地化などの加算額を重視した体系とするという方向で検討がなされております。また、転作等の態様といいますか、やり方につきまして、現行の転作を主体とした対応が限界に来ているということなどからできるだけ多様化することといたしまして、例えば、ヒマワリ、菜種等、まあ環境美化作物といいますか、そういうものの導入、あるいは休耕的な対応を導入すること、そういったことも検討されております。また、推進体制につきまして、特に農協等生産者団体の主体的な取り組みを一層助長するということが検討されておりまして、その中で、農協等による自主配分といったことが果たして可能であろうか、あるいは地域間の互助方式による調整、こういったことの導入はどうかといったようなことを今検討しているわけでございます。このように、これまで以上に厳しい条件のもとで後期対策を推進していかなければならないわけでございますが、特に目標面積の拡大につきましては、本県の転作実施率が既に三割になっておりますので、これ以上の大幅な転作に対応していくことは容易でないわけでございまして、従来から、我が県の事情、あるいは我が県の努力、こういったものを強く打ち出して国に対して配慮を求めてきておりますし、今後これから十一月までがそういう意味では勝負でございますんで、さらにそういう努力を強めていきたいと考えております。  次に小麦の品種改良でございますが、議員御指摘のとおり、現在国内で生産されている小麦の用途というのは、パンや菓子用には残念ながら向いてませんで、実質的に日本めん用に限られてございます。ただ、それでも、外国産に比べて皮が厚いとか、製粉歩どまりが悪い、色が悪いといったようなことが言われておりまして、製粉業界はやや敬遠ぎみでございます。このため、生産者はもとより製粉・製めん業者からも、外国産に匹敵する良品質の小麦の開発育成ということが強く求められているわけでございます。このような中で品種育成という点につきましては、これまで東北農業試験場など国の試験研究機関が主体となって進めてきております。特に東北地域──寒冷積雪地帯が主な対象地域でございますんで、耐寒性、耐病性など栽培面を重視した品種改良が行われて、これまでも本県の奨励品種でございますキタカミコムギや岩手県のナンブコムギなどが育成されてきたわけでございます。ただ、国は、生産者や業者からの品質面ですぐれた品種を開発してほしいという全国的な要望を受けまして、昭和六十二年度から十カ年計画で小麦の品種開発を行うこととしてプロジェクト試験に着手しております。県といたしましては、このような国の研究との連携を図りつつ、一つには、国がこれまで育成した各種品種のうち本県に適する品種を選び出す試験、あるいは奨励品種の決定試験を実施しております。また、今年度からは、交雑、あるいは放射線を利用した品種改良をみずから進めております。さらに、バイオテクノロジーを活用した手法も導入して新品種の開発に取り組むこととしております。また、現在本県の奨励品種になっているキタカミコムキにつきましては、種子の更新率が低いといったような問題がございまして、品種本来の特性が失われてきているという面もございますんで、現在、畑作園芸試験場で純粋系統の選抜育成に取り組んでおります。このように県としても独自の努力をしておるわけでございますが、県だけの取り組みではなかなか限界もございます。最近の小麦の需要動向を踏まえまして、本県のような気象・土壌条件等に適した品種が早期に開発されるよう今後とも試験研究の充実を国に対し強く要望してまいりたいと考えてございます。  それからリンゴの問題。生産力の向上対策、あるいは消費拡大対策としての加工振興をどのように図るのかというお尋ねでございます。本県のリンゴ園は、樹体の老齢化、腐乱病などによりまして、長野県などに比べますと残念ながら生産力が低くなっております。十アール当たりで見まして長野県は二千四百九十キログラム、これは六十三年でございます。これに対して青森県は二千四十キログラムという状況にございます。こういう状況に対処いたしまして、国際競争力にたえ得る足腰の強い産地体制というためには、まず第一に単収の向上を主体とした生産力の増強ということが必要でございます。また栽培管理の合理化によるコスト低減ということも重要でございます。こういったことを基本といたしまして、一つには、腐乱病等の撲滅、あるいは、土壌改良など基盤整備と一体的に行っていきますリンゴ園地改造緊急対策事業等を推進する、また、牧草栽培の普及やリンゴ剪定枝の活用といったようなことで、堆厩肥の施用等によりまして土壌改良を進めていく、さらに矮化栽培の普及拡大を進める、といったようなことを重点に生産面の対策を推進しておりまして、これらの対策を総合的に講ずることによりまして、ただいま私どもとしては、平成七年を目途に十アール当たりの単収を、六十三年の一三%増、二千三百二十キログラムまで向上させたいと考えておるわけでございます。  次にリンゴの加工振興でございますが、県産リンゴ全体の消費拡大を図るという上で極めて重要なことでございます。これまでも、青森県りんご加工協会が行う加工技術の改善、あるいは消費宣伝等に対しまして助成措置を講じておりますし、また県りんご試験場では、今年度から国のリンゴ加工緊急技術開発事業を活用いたしまして、加工適性品種の選抜育成、省力栽培技術の確立試験、そういったことに取り組んでおりますし、また、県の工業試験場では新たな加工品の開発等の研究に取り組んでいただいているところでございます。さらに、明年度開設が予定されております県農産物加工指導センターにおきまして、県の工業試験場との連携も図りながら、主として農業者グループを対象といたしまして、リンゴ加工技術者の養成や手づくりのリンゴの加工品開発普及に取り組むこととしております。また一方国においても、農産物の自由化対策の一環といたしまして、リンゴ加工業者等の経営改善を促進するため特定農産加工業経営改善臨時措置法というものを本年七月一日に施行したわけでございますが、金融・税制面での支援措置を講じておるところでございまして、金融面につきましては既に県内の関係者から非常に関心が寄せられているところでもございます。これらの対策を総合的に推進いたしまして足腰の強いリンゴ産地体制の確立に努めてまいりたいと思っております。以上でございます。 8 ◯議長(工藤省三君) 長峰君。 9 ◯二十六番(長峰一造君) ごく簡単に御要望申し上げておきます。御答弁大変ありがとうございました。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、大変なむつかしさがあるわけでありまして、第一線でいろいろ指導していくのは、県の段階ではやはり農業改良普及員などが主に当たるようなことになるわけでありますが、幸い、一生懸命やっておられる農業改良普及員の方がいっぱいおるわけでありますので、こういう指導体制についてももっと、各機関と連携をとりながらひとつ進めていただきたいと思っています。この間アメリカに参りまして、私の一行の訪問先に、まあ偶然だったんですが、青森県から来てるということで、二カ所に実習に行っておられる本県の改良普及員の方とお会いしました。他県からも随分行ったわけでありますが、特に、和歌山県の普及員をしてる方が一人行っておりましたが、青森県ではこれはずっと続けてやってるんだという話をしましたら、「これはすばらしいことだ。私も帰ったら、我が県もということでみんなに話して、一層むつかしい時代だけにそういう研修は大事なことだ。大変いい事業だ」と言って、我が県でもやらなければいけないということを言って帰っていきましたが、いずれにしましても、これから今度は来年度の予算につきまして本格的に進めていくわけでありますので、何にしましても予算がつかないとどうにもならないという面がありますので、どうぞひとつ、せっかく生き残りをかけている農家のために、去年よりぐんと大きくなったという予算の御配慮をひとつ知事にお願いしまして、御要望申し上げまして終わります。ありがとうございました。 10 ◯議長(工藤省三君) 午さんのため暫時休憩いたします。 午前十一時二十四分休憩        ───────────────────────────────── 午後一時二十五分再開 11 ◯副議長(山内和夫君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。十番今村修君の登壇を許可いたします。──今村君。  〔十番(今村 修君)登壇〕 12 ◯十番(今村 修君) 日本社会党の今村修であります。通告に従い一般質問を行います。  既に多くの先輩議員が触れておりますが、さきの参議院選挙で自民党は歴史的惨敗をし、竹下前首相から政権を引き継いでわずか二カ月の宇野首相は退陣をしました。惨敗の理由は、消費税反対、リクルート事件、農政批判の三点セットでした。青森県においても自民党公認候補が法定得票未満となり、保守系候補二人合わせても社会党推薦の三上隆雄候補の得票にも達しませんでした。この原因は、全国的な三点セットとともに、反核燃料サイクル施設の県民投票と位置づけられ選挙が行われたことにもありました。選挙の惨敗により退陣した宇野前首相にかわり海部首相が誕生したものの、選挙で示された国民の声にいまだ具体的にこたえようとしていません。青森県においても核燃反対の県民の声に対してどう具体的に対応するのか明確となっていません。今、選挙で示された国民、県民の声にこたえる政治が強く求められていることを訴えながら質問に入りたいと思います。  第一の質問は核燃料サイクル施設問題についてであります。その一つは参議院選挙の結果と知事の認識についてであります。三上隆雄氏が当選した直後県庁で記者会見した知事、あなたは「核燃サイクル施設建設反対という県民意思の反映であったとは考えにくい」と述べ、県民投票と位置づける見方に対しても「住民投票と受けとめていない」との見解を示しました。ところが、八月二日・三日の二日間、県幹部と対応を協議した知事、あなたは、八月四日の定例記者会見で一転して三上隆雄氏の圧勝は反核燃の県民意思のあらわれと認め、結果を厳粛に、しかも謙虚に受けとめたい、今後は、核燃立地協力の立場は変えないものの、県内世論を十分に配慮し対応するとの意向を示し、当面の行動として、一つ、県民の反対意思を国、事業者に文書で伝え、改めて考えを問う、二つ、県選出国会議員を含む自民党県連の意見を求める、の二点を挙げ、その上で県の具体的な方向を決めていく考えを示したのであります。こうした相反する知事、あなたの態度表明は県民にとって随分わかりにくいものとなっています。そこで知事、あなたの本心をお伺いいたします。結果を厳粛に、しかも謙虚に受けとめるということは白紙撤回しかないと思いますが、知事、あなたは「立地協力の立場は変えない」とも述べています。矛盾すると思いますが、本心を明らかにしていただきたいと思います。また、選挙結果を厳粛に、しかも謙虚に受けとめ、県の具体的な方向を定めるため、県民の反対意思を国、事業者に文書で伝え、改めて考えを問う、県選出国会議員を含む自民党県連の意見を求める、の二点を挙げましたが、その結果がどのようになっているのか、同時に、県としての具体的方向が定められたのかもお伺いいたします。それにしても、参議院選挙の結果を受けて県の具体的な方向を定めるのに、県選出国会議員を含む自民党県連の意見を求めるという知事の認識は県民の意思とは相離れています。なぜこのような取り扱いをされたのかもお伺いしたいと思います。さらに、選挙後の八月十日、核燃反対団体である「弘大「核燃白紙撤回を求める」ポスターをつくる会」と初めて正式に話し合いをした県当局は、「県の立地協力の根拠が、昭和六十年四月に六ヶ所村、原燃二社との四者で交わした基本協定にある」とした上で、「同協定は単なる紳士協定ではなく契約的性格を持っている」との見解を示しました。一方、八月二十九日に行われた県議会総務企画常任委員会と原燃二社、電事連との話し合いの中で、質問に答えて事業者は「基本協定が破棄されれば核燃料サイクル施設は建設しない」と答弁しています。そこで、「核燃サイクル施設への県の立地協力の根拠は基本協定にある。同協定は単なる紳士協定ではなく契約的性格を持っている」との県の見解や事業者の見解に間違いはないのか改めて確認をしておきたいと思います。  その二つ目は原燃二社の姿勢と対応についてであります。第一は、これまで核燃料サイクル施設に対して多くの疑問や不安が指摘をされ、県当局は「事業者に対し見解を求めたところ」との前書きつきで回答してきましたが、ころころ変わるその場しのぎの対応であり、まさにうそとごまかしとしか言いようがありません。先般明らかになった低レベル放射性廃棄物貯蔵センター直下の断層や再処理施設敷地内の第二試掘坑問題はその端的なものであります。こうしたうそとごまかし、その場しのぎの県民を愚弄するやり方は容認できません。改めて知事の御見解をお伺いいたします。第二は、低レベル放射性廃棄物貯蔵センター直下や敷地内の断層・地下水問題で新たに補正申請書を提出せざるを得ないことが明らかになりました。断層や地下水問題は、これまで再三にわたり疑問が出されたにもかかわらず県や事業者は否定してきた問題です。そこで、補正申請書を提出せざるを得なくなった理由とその内容を具体的にお伺いしたいと思います。第三は、科学技術庁に対する補足説明の資料を得るため再処理施設敷地内に第二試掘坑を掘ることが明らかになりましたが、この問題は、昨年秋に暴露された内部資料に克明に記載されていたにもかかわらず、県、事業者は一貫して否定し続けてきました。八月二十九日の議会との話し合いでも明らかにせず、その十日後突然発表した姿勢にはますます不信が大きくなるばかりであります。そこで、科学技術庁からどんな補足説明が求められているのか、あれほど否定してきた第二試掘坑を会社みずからの判断でなぜ掘ることにしたのか、その理由を改めてお伺いいたします。  その三は核燃料施設の安全性にかかわる諸問題についてであります。第一は、敷地内の断層の数と海の活断層の有無についてであります。核燃料サイクル施設敷地内に何本の断層があるのか明らかでありません。事業者は「日本じゅうどこにでもあるもので、一つ一つ場所を限定して答えることは今行っている調査では不可能である」と述べながら、「安全上問題となるような断層はない」と矛盾する答弁を繰り返します。その陰から、今回の低レベル貯蔵施設直下の断層があらわれてきました。これでは信用できません。そこで、核燃料サイクル施設敷地内に事業者が確認している断層が何本あるのか、さらに、ウラン濃縮工場敷地には断層がないのか改めてお伺いいたします。また、再三問題となる海の活断層についても同じです。「活断層でないと言うが、それでは断層と理解してよいのか」と聞くと「断層の有無に関する調査解析は実施していない」と答弁する一方、「「日本の活断層」という文献は否定しない」と述べています。六月議会で県当局は「この海域に断層はあるが、この断層は第四紀の地層に変位を与えていないと認められたので活断層ではないと判断した」と答弁しています。そこで、どれが正しくどれがうそなのか、東方海域に八十四キロの断層はあるのかないのか改めてお伺いをいたします。第二は地層の違いによる地震の影響についてであります。事業者は、「地震により発生したエネルギーの波は地層の並び等によっては速度が変わる。地震動の伝わり方は各部層により違う」と認めながら、再処理施設敷地については、f1・f2断層によって地層の並びや各部層が異なるにもかかわらず、「安定計算を実施して地震時にも地盤は安定である」と述べています。それではこの事業者の論理は矛盾しています。地震時に、異なる地層、各部層の上に建てられた建物の揺れが違うのは当然であると思いますが、御見解をお伺いいたします。第三は、これまで県当局の議会答弁によると「低レベル廃棄物貯蔵センターは帯水層の中につくられる」と述べてきましたが、事業者は「地下水レベルの下だが帯水層ではない」と述べています。そこで、一体どちらの答弁が正しいのかお伺いいたします。第四は、再処理施設申請書の中では被曝線量は二・三ミリレムと評価されています。クリプトン85、トリチウムなどの放出量は一九六九年に東海再処理工場の安全性を答申したときの基準並みであるにもかかわらず、また、青森県専門家会議でも予見できなかった原発の基準以下の評価値に制限できる最新の技術開発がいつなされたのでしょうか。また、この評価はある仮定を前提とした計算でなされているようですが、その仮定が本当に正しいのか疑問を感じます。そこで、どんな技術開発がなされたのか、また評価をする仮定は正しいのかお伺いをいたします。  その四は天ヶ森射爆場の移転と飛行制限問題についてであります。第一は、米軍のF16による相次ぐ模擬爆弾の誤投下は核燃料サイクル施設の安全性に大きな疑問と不安を生じさせています。むつ小川原開発は当初から三沢基地、天ヶ森射爆場が問題となり、第一次基本計画では「関係機関に返還措置を要請する」とし、第二次基本計画では「第一期計画操業時までに移転を含みその解決を図る」と移転を考えていましたが、核燃立地を受け入れた昭和六十年四月のむつ小川原総合開発会議では、「その機能の確保に配慮しつつ、核燃料サイクル施設立地の安全性確保の観点から上空飛行の制限等について必要に応じ所要の調整を行う」と変わってしまいました。それ以来県は移転を口にしなくなったのであります。そこで、なぜ県の態度が変わったのか、その理由は何であったのか、なぜ県当局は当初計画どおり移転に取り組めないのかお伺いをいたします。第二は飛行制限問題ですが、米軍にも協力を要請するとしていますが、国内法の適用はなく、NLPの強行や、一昨年の伊方原発からわずか一キロしか離れていない地点に米軍ヘリが墜落した事故などを見ると、まさに当てにはならないようであります。また、事故や模擬爆弾の誤投下を考えると、単なる敷地上空のみの飛行制限では不十分であり、その範囲も明確にする必要があります。そこで、米軍機の飛行禁止並びに飛行禁止区域を明確にさせるべきだと思いますが、御見解と実現のための具体策をお伺いいたします。  その五は原子力防災計画についてであります。既に地域防災計画原子力編が発表されていますが、何点かについてお伺いをいたします。その一つは原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲でありますが、計画では当面、原船「むつ」の母港があるむつ市と核燃料サイクル施設のある六ヶ所村と定めています。理由は「技術的に検討した結果六ヶ所村内で十分である。再処理施設については申請後検討する」と言ってきました。チェルノブイリ事故等を見るとき、県内全域でも狭いと思われます。そこで、ウラン濃縮工場、低レベル貯蔵施設を技術的に検討した結果、六ヶ所村内で十分であるとした理由と、再処理施設が申請された現在、範囲はどこまで広がることになるのかお伺いをいたします。第二は防災訓練についてでありますが、計画の中には一番安全が確保されなければならない住民の防災訓練が入っていません。原子力船「むつ」の出力上昇試験等も計画されているのに全く触れられていません。当然住民の防災訓練は実施すべきものと思います。そこで、関係市町村住民の防災訓練はどうなるのかお伺いいたします。第三は施設上空の飛行制限ですが、計画では「できる限り避ける。安全高度を確保するよう規制措置を行う」となっています。そこで、防災計画の飛行制限と、事業者等が「核燃上空は飛行制限をするので飛行機が飛来することはない」と飛行が禁止されるとの答弁をしてきましたが、これとは矛盾しています。一体どちらが正しいのかお伺いいたします。第四は、使用済み核燃料や高レベル核廃棄物が六ヶ所村に運び込まれますが、計画には輸送中の防災対策が全く触れられていません。当然対策がなされるべきものと思います。そこで、青森県内における輸送中の防災対策を一体どうするのかお伺いいたします。  第二の質問は、三沢基地のNLP──夜間離着陸訓練禁止と騒音対策についてであります。これまで何人もの先輩議員が指摘し、質問をしておりますが、知事の答弁では県民は納得しないと思います。県当局はこれまで「絶対反対であるが、国の防衛政策でもあり、外務省、防衛施設庁を通して米軍に申し入れをする」との態度をとり、アメリカ大使館や米軍への直接申し入れの指摘を拒否してきました。ところが、クエール米副大統領の三沢基地視察訪問の際知事は会見をし、地元の声として「留意してほしい」と伝えたようですが、逆に、「気持ちはわかるが、訓練は必要で、理解を得たい」と協力を求められたようです。地元住民も県民世論も、県知事も県議会もNLP反対でありながら県の動きは不十分です。青森県内には、陸海空の自衛隊基地や米軍基地、さらにはミサイル基地や演習場があり、沖縄に次ぐ軍事県と言われています。それだけに県民がかかわる問題が続出しており、県はもっと積極的な基地対策に取り組むべきです。そこで、NLP阻止のためどんな具体策を考えているのかお伺いをいたします。また、アメリカ政府や米軍に直接抗議や運動をすべきと思いますが、改めて見解をお伺いいたします。  第三の質問は天下り人事と人事異動の問題点についてであります。民主政治の基盤と言われる地方自治制度の空洞化と形骸化が指摘され、その深刻さが一層進んでいると言われています。その最も具体的な例が財政と人事で、中央集権化がますます強化されています。そして、三割自治から二割・一割自治と言われています。地方自治体の自主財源が減少させられ、ひもつき財源が拡大して自主性が失われている中で、中央からの天下り人事によりさらに一層自主性が失われています。日本国憲法や地方自治法の精神がゆがめられていることは民主政治の危機と言わざるを得ません。この天下り人事は全国的には約七百名にも上ると言われています。青森県も例外ではなく、副知事と部課長だけで十三名の天下り人事が行われています。特に全国的に問題となっているのは、総務部長、財政課長、地方課長など地方自治体の中枢部が天下り人事により独占されていることです。問題は、地方自治の空洞化や形骸化だけではなく職員の士気にも影響を与えています。かってこの問題で職員労働組合と交渉した当時の北村副知事も、その弊害を認め「天下りを漸減する」と確約し、その後交渉に当たっている山内副知事も「漸減に努力する」と確認しているようです。そこで、天下り人事についてどこまで漸減しようとしているのかお伺いいたします。この天下り人事と密接不可分な人事異動の中で、たった一年の在職で異動する部課長が余りにも多いのにはびっくりします。昭和六十二年からことしまでの三年間で、毎年部長が異動した部が生活福祉部、商工労働部、水産部の三部もあり、部長、次長の同時異動、課長に至っては余りの多さにびっくりします。中には人事課長のようにここ五年間は一年で交代という極端な例まであります。このように最近は各部で課長の一年交代が流行しているようです。これではどんなに優秀な部長、次長、課長でもその能力を発揮できるわけがありません。まして他部局からの異動の場合、職員の名前を覚えたら異動ということになります。せめて二、三年じっくり腰を落ちつかせて仕事のできる人事異動とすべきであります。また、異動の内容を見ていると昇任するポストも決まっているようです。例えば人事課長を一年務めると次長に昇任するというようにルートが決まっているのでは、ルートから外れた人はやる気をなくしてしまいます。こうした人事異動は県勢発展にも大きな支障を生ずることになると思います。そこで、一年交代、ルート化等による人事異動の弊害は改善すべきと思いますが、御見解をお伺いいたします。  第四の質問はJR津軽海峡線の騒音・振動問題の早期解決についてであります。この問題はこれまで何度も取り上げられ、今議会でも先輩議員の質問の中にもあり、県当局も問題の深刻さについては十分認識されているようであります。海底トンネルの開通により地方鉄道の枝線であった津軽線が東京-札幌をつなぐ本線に格上げされたものの、その地盤整備等が不十分であったために生じた人災であります。昨年三月の開通以来沿線住民は振動、騒音に悩まされ、眠れぬ夜が続き健康にも障害が出始めています。また振動により家屋にも被害が出ています。国鉄から引き継いだJRはいたずらに問題を先延ばしにしているようでありますが、事人命問題に至る前に解決をすべきであります。そこで、県は関係市町村とともに早期解決のため一層努力すべきと思いますが、その具体策を含めて御見解をお伺いいたします。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 13 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 14 ◯知事(北村正哉君) 今村議員の御質問にお答えいたします。  第一点は、参議院議員選挙の結果と知事の認識、こういうことでありました。このたびの選挙結果を厳粛に、しかも謙虚に受けとめれば白紙撤回しかないと思う、との御指摘でありますが、これは、これまでお答えしてきたんでありますが、国政選挙としての参議院議員選挙ということである、こういう理解で受けとめているわけであります。しかしながら、原子燃料サイクル問題も争点の一つとなったことはそのとおりであり、サイクル施設の白紙撤回を公約の一つとして掲げられた候補者が県民の支持を得て当選されたということは、それなりの意向が反映されたものであり、これを厳粛かつ謙虚に受けとめたところであります。その上で今後いかに対処するかということでありますが、原子燃料サイクル事業の有する意義、役割は国家的にも大変大きなものがあることは御承知のとおりでして、現在及び将来の日本にとって必要不可欠なものである、相当の年月をかけても、事業者、国、県の努力によって県民の理解と協力を得て進めていかなければならないプロジェクトであり、その過程において生ずるもろもろの事象、事柄を判断の糧として受けとめ、正すべきところは正しながら対処していくことがとるべき基本であるというふうに考えているところであります。  第二点として述べられたことは、この選挙の結果を厳粛に、謙虚に受けとめ、具体的な方向を定めるため、事業者、国に県民の反対意思を文書で伝え改めて考えを問い、自民党県連にも同じようなことをしたが、その結果はどのようになってるのか、県として具体的方向が定められたのか、こういうお尋ねであったと思います。参議院議員選挙の後、この選挙結果に反映された有権者の意向を大変厳しいものと受けとめまして、このことを事業者と国に対して率直に伝え、これを十分認識した上で今後の対応措置をとられるよう求めたことはお話のとおりでありますが、ただ方向を定めるために求めたのではないわけであります。方向は事業者も県も国も定まっているんでありますが、事態の変化に対応する対応の仕方を求めたわけであります。大変厳しいので特別にそういう措置を考えたわけであります。こういうことで、電事連、事業者に対しては八月十九日にこれを要請し、九月二十二日に回答を得ているところでありますが、その内容は、立地基本協定の着実な遂行、これが一つ、二番目として施設の安全性についてのきめ細かな広報、三番目は地域振興への一層の努力、四番目に県内意向に即したPAの実施、こういうことに回答をもらっております。また、国に対しましては八月二十五日、通産大臣並びに科学技術庁長官に直接お会いして申し上げたほか、その後、青森までおいでいただいた科学技術庁長官及び資源エネルギー庁長官に重ねてこのことを要請したところであります。国といたしましては、原子燃料サイクル事業の持つ意義、役割を踏まえ、我が国エネルギーの安定供給確保の面から必要不可欠なものであるとの認識に立って、国策上の位置づけによって、国民的課題として理解と協力を求めながら誠実に対処する旨の見解をいただいたところであります。また、国会議員を含む自民党県連におきましては、これは必ずしも私からの求めということだけではなく、両者話し合いの結果でありますが、事態収拾のために現在サイクル事業に関する統一見解を取りまとめている段階であり、私としましてはこのことについて多大の敬意を払う──敬意だけでなくて謝意も払う、感謝もするとともに、サイクル事業の持っている意義を体して、立地基本協定の趣旨を踏まえて適切な判断でまとめられることを望んでいるところであります。いずれにしても、原子燃料サイクル事業をめぐる現今の情勢からして、参議院選挙を契機に改めてこのことを冷静に受けとめ、必要な対応を図ったものであります。今後の県の対応措置につきましては、協定に基づいて、事業の推進に協力する立場と県民を代表する立場をわきまえ、まずは、さきに事業者並びに国から示された対応措置の実現に期待をかけながら、県民の信頼を得るために努力をしてまいりたいと考えているところであります。  その次は、県の具体的な方向を決めるのに県選出国会議員を含む自民党県連の意見を求めるという認識は県民の意思と離れている、なぜこのような取り扱いをしたのか、こういうことであります。原子燃料サイクル事業につきましては県民の理解と協力のもとに進められるべきものであり、しかもこの事業は、基礎的な調査から国の安全審査、引き続いて、国の諸規制のもとに施設の建設、さらには操業へと長い期間をかけて進められるものでありますので、その過程過程において広く県民の意見を得ながらサイクル事業に対する理解を得ることに努めるべきである、こういうふうに考えているわけであります。参議院選挙の結果をも受けてさらに県内の意向を把握し、これに適切に対処していく上では順次さまざまな機会を通じて取り進めたいと考えているわけでありますが、自民党籍を持つ知事といたしまして──私としましては、県政推進に当たって、自民党県連と相携えて、十分意見交換をしながら今後の対処を図ることは常道であると考えているものであります。このことに限らず県政の課題については常々自民党県連と連絡をしているわけでありまして、このことだけを取り上げて御連絡したということではないと思っております。もちろんこれをもってすべてとするものではなく、農業者であるとか関係団体であるとか、いわゆる各界各層にわたって広く県民の意見や気持ちをも酌み取りながら適切に対処していくことは当然のことであり、基本であると考えております。  それから、基本協定に対する見解、あるいはこれに対する事業者側の所見等に触れてのお尋ねがありました。去る八月十日、県は弘前大学の「「核燃白紙撤回を求める」ポスターをつくる会」との話し合いをし、その際「知事が協力要請に応じた結果青森県にはどのような責任、義務が生じたのでしょうか」という問いかけを受けたわけであります。これに対しまして「県、村──六ヶ所村でありますが、県、村、事業者間で締結した立地基本協定書第一条において、県及び六ヶ所村はサイクル施設をむつ小川原地区に立地することに関し協力するものとし、事業二者は地域振興に協力する旨合意しており、その他同協定書においては、事業構想の実現、安全対策、安全協定の締結等について定めているものであります。これによって当事者は」──いやその前に、もちろん、これは民主的な手順を経た結果を受けて締結したということは申し上げるまでもありません。──「このことによって当事者は締結された協定の拘束を受けることになり、さらには協定上のもろもろの約束を履行する義務を負うことになるから、単なる紳士協定ではなく契約的性格を持つものである」旨県としては答えたところであります。また、去る八月二十九日に開催された再処理事業等に関する三者懇談会があったわけでありますが、その席上で事業者から、仮に基本協定が破棄される状況となったときは我々は事業はできない、こういう発言があったのでありますが、その真意については、事業を推進していくには、法律的にどうかということではなくて、相互の信頼関係、協力関係なくしては事業は遂行できないという認識を示したものである、こういう事業者側の考え方であります。御質問は、協定が破棄されれば核燃料サイクル施設は建設しないという答弁があったと言われたんでありますが、しないというんでなくてできないというふうに私は承知しております。信頼関係、協力関係なくしては事業は遂行できないという認識を示したものである、こういうことであります。県または事業者のそれぞれの場におけるそれぞれの答えは、言葉は違っても、相互の約束、相互の信頼が社会においてともに重要であるということを認識したものである点において同じであると理解をいたしております。  それから、天ヶ森の射爆撃場に対する対応の仕方についてのお尋ねでございました。県の態度は変わったのか、変わったとすりゃ理由は何か、こういった趣旨のお尋ねでありました。むつ小川原開発第一次基本計画では、三沢の天ヶ森でありますが、対地射爆撃場に関して、同射爆撃場は工業基地の建設に重要な位置を占めているので関係機関に返還措置を要請する、これが第一次であります。また第二次基本計画には、三沢対地射爆撃場については、防衛機能を阻害することのないよう調整しつつ、第一期計画操業時までに移転を含みその解決を図る、と記述してありますことは、ここまでは御指摘のとおりであります。これは、むつ小川原開発は長期的な観点に立って段階的に具体化を図っていくという基本的な考え方をベースとしておりますことから、当該施設については工業立地の具体的進展に合わせて措置するという方針を示したものであります。これは、専ら用地対策の一環として用地対策の視点から考えられたものであります。しかしながら、国内外の経済情勢等の変動等から工業立地が当初計画どおりに進展していないために、現段階では返還や移転等の措置を必要とするに至っていないものであります、用地対策としては。一方、昭和六十年四月の、むつ小川原総合開発会議で申し合わせをし、閣議口頭了解されている「防衛施設との関連については、その機能の確保に配慮しつつ、核燃料サイクル施設立地の安全性確保の観点から、上空飛行の制限等について必要に応じ所要の調整を行う」ということにつきましては、県が第二次基本計画に、原子燃料サイクル施設の立地を御承知の「付」として織り込んだ形で修正を行い国に提出した段階で、国としては、むつ小川原第二次基本計画をわきまえつつ、十分それをにらみながら、これとの関連で国としてとるべき措置等について確認をしたものであります。これは専ら安全対策上の配慮から考えられた記述であります。したがって、第二次基本計画の工場用地としての三沢対地射爆撃場の地区の土地利用にかかわる記述とは異なる視点に立った記述であることは御理解いただけると思うものであります。  それから、天下り人事について御所見を述べられたわけであります。国からの職員の受け入れにつきましては、一方的に押しつけられた人事であれば大変好ましくないことになると考えるのでありますが、国と密接に関連がある重要施策を強力に、また円滑に推進する必要性等を総合的に考慮してこれを受け入れているところであります。課長級以上の国からの受け入れ職員の数でありますが、今お話があったとおりでありますが、五十八年度は十四人でありました。お述べになりましたのは十三人と言われたんでありますが、今日では副知事を入れて十三人であります。人事はその都度それぞれの能力等を総合的に判断して行うものであり、どこまで漸減するかという人員を明らかにする、はっきりした具体的な数字をもってお示しすることはむつかしいのでありますが、お話にもありましたようなこれまでのいきさつを踏まえて対処してまいりたいと依然として考えているところであります。  それから、JRの津軽海峡線の騒音問題ついては担当の部長から申し上げますが、大変に厳しい、住民の皆様方にとっては大変に深刻な問題であるということは十分認識をいたしまして善処してまいりたい、という私の考え方をつけ加えておきたいと思います。 15 ◯副議長(山内和夫君) 総務部長。 16 ◯総務部長(中川浩明君) 原子力防災計画、三沢基地の騒音対策、県職員人事につきましての御質問に順次お答えをいたします。まず、地域防災計画の防災対策を重点的に充実すべき地域に関する御質問にお答えします。昨年度の防災会議原子力部会におきましては、ウラン濃縮施設、低レベル放射性廃棄物埋設施設につきましては、技術的側面から考えると防災対策を重点的に充実すべき地域を定める必要はない、という意見が大勢でございました。また、科学技術庁は、技術的側面からは、当該施設は防災計画の対象とすべき施設には含める必要がないという見解であったわけでございます。しかしながら、県としては万々が一の場合を想定しまして、原子燃料サイクル施設全体について防災対策を講ずる必要があるとの考えによりまして現在の防災計画を定めているものでございます。なお、この時点では再処理施設に係ります事業指定申請がなされておりませんで技術的側面からの検討ができない状況にあったため、原子力部会では、当面その範囲を施設立地地点である六ヶ所村とするとともに、再処理施設に係ります事業指定申請後再検討する旨の附帯意見を付したところであります。これに基づきまして現在の地域防災計画原子力編の規定があるわけでございます。その後三月三十日、日本原燃サービス株式会社が再処理施設に係る事業指定申請を行ったことから、この原子力部会の附帯意見に基づきまして再処理施設に関する原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲についての検討を行うため、去る七月十一日に平成元年度第一回原子力部会を開催し、四人の専門委員に対しまして、再処理施設に関する防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲についての専門的・技術的立場からの検討を依頼いたしたところでございます。県としましては、今後、この専門委員の検討状況や国の安全審査の進展を踏まえながら、原子力部会におきまして、再処理施設に関する防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲についての検討を進めてまいる考えでございます。  次に防災訓練についてのお尋ねにお答えします。原子力施設に係る防災訓練のあり方につきましては、地域防災計画策定の際の指針の一つであります、昭和五十五年六月原子力安全委員会決定の「原子力発電所等周辺の防災対策について」におきまして「原子力災害の特殊性にかんがみ、まず、周辺住民を指示する立場にある防災業務関係者が沈着冷静かつ適切な対応を行うことにより実効性ある措置を講じることができる。したがって防災業務関係者の訓練を行うことが必要である」と定めているところでございます。このため、県原子力防災計画におきましては住民の参加について特に予定しなかったところでございますが、今後他県の訓練の実施結果等を参考にしながら検討をしてまいりたいと考えております。  次に防災計画に定める飛行制限に関するお尋ねにお答えをいたします。防災計画に定める原子力施設上空の飛行規制の内容は、「三沢空港事務所長は、航空機に対し、原子力施設付近の上空の飛行はできる限り避けるか、又は安全高度を確保するよう規制措置を行うものとする」となっておりますが、これは現行航空法上の飛行規制を確認的に記載したものでございます。安全性論議の際の飛行制限に関する答弁はこの趣旨と同様でございまして、両者に矛盾があるとは考えておりません。  次に輸送中の防災対策につきましてお答えをいたします。放射性物質の輸送につきましては、原子炉規制法等に基づき、輸送物質、輸送方法等に係る安全基準が定められており、通常時はもとより輸送中に事故が発生した場合でも、安全上支障が生じないよう安全規制が実施されているところであります。また、さらに、万々が一そのような事故が発生した場合には、輸送事業者を含む事業者等は、関係機関に通報するとともに、立入制限、消火等事故の拡大防止等の措置を講ずるよう義務づけられております。国におきましても、関係省庁の係官及び専門家を派遣する体制を整えるとともに、関係省庁間の連絡調整が必要と判断した場合は速やかに放射性物質輸送事故対策会議が開催され、連絡調整が行われて事故対策に万全を期することになっております。このため防災計画には特に定めなかったところであり、県としては、これらの対策と地域防災計画の応用によりまして、万々が一の場合でも対応が可能であると考えております。  次に、三沢基地でのNLP訓練に関するお尋ねにお答えをいたします。繰り返しお答えをすることになりますが、県としましてはNLPの実施に対しまして、その都度外務省、防衛施設庁に対しNLPは絶対行わないよう強く申し入れをし、あわせて米軍当局に対しても厳しく申し入れをするよう伝えているところでございます。このような要請に対しまして、外務省は米国大使館に、また防衛施設庁は在日米軍司令部に対しましてこの趣旨を伝えているということを確認いたしているわけでございます。また、さきに、アメリカ合衆国のクエール副大統領にもこの旨知事から直接申し入れをしているところでございます。このような県の意向に米軍当局におきましても十分配慮してくれるものと考えておりますが、今後もしNLPが実施された場合に、どのような方法をとって対策を講ずればいいのか、効果的なのか、三沢市とよく連絡をとりながら対処していきたいと考えております。  最後に、県職員の人事異動、昇任等についての御質問にお答えをいたします。組織を活力あるものとして有効に機能させるためには職員の新陳代謝を図ることが必要であることから、定年退職と相まって勧奨退職を実施していることは御承知のとおりであります。職員の人事異動は、これらの補充、あるいはまた、行政需要に対応するための組織、機構の改正などを総合的に考慮して実施をいたしておりまして、この結果として幹部職員が比較的短期間で異動しなければならない場合も生じているのは御指摘のとおりです。しかし、この場合でありましても、行政運営に支障を生じないよう、職員の特性、能力等を十分勘案し、適材適所によります配置に努めているところでございます。今後とも、ますます複雑多様化し、かつ高度化しつつある行政需要に的確に対応し、県勢発展のための諸施策が円滑に実施できるよう職員の適材適所の配置に一層努めてまいりたいと考えております。 17 ◯副議長(山内和夫君) 企画部長。 18 ◯企画部長(福岡幹栄君) 津軽海峡線の騒音・振動問題についてお答えをいたします。この問題につきましては、今議会におきましても花田議員及び諏訪議員から御質問があったところでございますけれども、県といたしましても沿線住民の生活環境に及ぼす影響は無視できないものであるというふうに考えております。このため県といたしましては、これまで、沿線の市町村と共同いたしまして騒音・振動問題の実態把握に努め、その対応等について協議を重ねるとともに、昨年に引き続き本年度も、六月から八月にかけまして、JR東日本、JR北海道及びJR貨物に対しまして、防音壁の設置、夜間に運転されている列車の運行ダイヤの見直し、及び瀬戸大橋線において有効であるとされております減速運転等につきまして強く要望してきたところでございます。これに対しましてJR東日本では騒音・振動問題の改善策として、ロングレール化工事、防音壁の設置及び一部列車の運行ダイヤの見直し等を行ってきたところでございますけれども、沿線住民の不満を解消するには至っていないと判断されます。したがって、県といたしましては、県内の沿線の市町村はもちろんのこと、同じ津軽海峡線におきまして騒音・振動問題が発生しております北海道側とも連携を図るなど、関係機関と連絡を密にしながら、今後とも騒音・振動問題の解決に向けて努力してまいりたいと考えております。 19 ◯副議長(山内和夫君) むつ小川原開発室長。 20 ◯むつ小川原開発室長(内山克己君) 今村議員にお答えを申し上げます。  まず、原燃二社の姿勢と対応に関連して幾つか御質問があったわけです。その第一点につきましては、多くの疑問や不安が指摘され、県からお答えをし、あるいは説明をする際に、「事業者に対し見解を求めたところ」と前書きつきでお答えをしてる、その内容が変わっている、その場しのぎじゃないのか、こういうやり方に対する見解のお尋ねがあったわけでございます。原子燃料サイクル施設に係る諸問題につきましては、県議会等において幾たびも御質問を受けているわけでございますが、その内容は、事業者の考え方や、あるいは申請書に係る専門的かつ技術的事項に関することが多いわけでございます。このような場合、県が直接責任を持ってお答えできる立場にはないということから、「事業者から聞いたところ、あるいは事業者から説明を受けたところ」ということで間接的な形で答弁せざるを得ないという点につきまして御了解をいただきたいと思ってございます。事業者からの説明内容が次々に変わるとの御指摘につきましては、説明の内容が変わるとしても理由があっての場合には、それを明らかにすることによって信憑性を得るものでございます。逆に、説明の内容が理由もなく変わることが仮にあるとすれば極めて申しわけないことでございます。また、事業者の県に対する説明が十分でないために誤解をされて受けとめられているところがあるとすればこれまた極めて遺憾で、今後事業内容の説明を受けるに当たっては県としても十分に留意してまいりたいと考えております。いずれにしても、専門的・技術的事柄を、県が説明を聴取し間接的に県議会に対し申し上げることはそれなりに限界があることでございまして、これまでも、議会の御了承をいただき三者懇談会という形により意思疎通を図ることで御理解をいただいてきたところでありますが、さらにその辺、十分満足できるような方法、手段等についてもこの先検討、考慮してみたいと思ってございます。  第二点が、低レベル放射性廃棄物貯蔵センターの補正申請書を提出せざるを得なくなった理由とその内容でございます。日本原燃産業株式会社から説明を受けたところによりますと、補正というのは普通、申請から許可に至るまで一、二年かけて審査が行われる過程で申請時と異なった事項が明らかになった場合、例えば社内体制などと言っておりますが、またより確かな方法が考えられる場合など、事業者が自主的に申し出るものであって、原子力発電所の許可申請などでも行われているものである、としてございます。したがいまして、今回提出を考えております申請書の補正もこれと同様の理由によるものでございます。補正内容については、事業主体であります原燃産業株式会社の方で目下検討中でございますが、主として、一つは、社内体制、工事工程などの変更の点、それから二つとして、地質、地盤等の記述の追加、三点目として、御指摘にもございましたが地下水対策の強化、などでございます。  次に再処理施設の追加調査についてでございます。第二試掘坑を会社みずからの判断でなぜ掘ることにしたのかという点でございます。この点につきましては、行政審査を担当しております科学技術庁から基礎地盤の均質性について補足説明を求められたとのことでございます。また、追加調査を実施することにしたのは、事業者としては既存調査データによって説明することもできますが、追加調査を行うことによりじかに確かめてもらうことがむしろ適切と判断し、みずからの判断で掘ることにした、こういうことでございます。  次に核燃施設の安全性問題でございます。まずその第一点は、核燃料サイクル施設敷地内に何本の断層があるのかと、事業者からは次のように説明を受けているわけです。原子燃料サイクル施設、すなわちウラン濃縮施設、低レベル放射性廃棄物施設、使用済み燃料再処理施設、このサイクル施設敷地において確認している断層は四本である、このように説明を受けてございます。なお、このうちの二本につきましては、日本原燃サービス株式会社の敷地にあるf1と呼んでいる断層と、その延長上の日本原燃産業株式会社の敷地に認められるものでございまして、これが連続しているものとすればそれは一本でカウントすることになりますから、全体の断層としては三本ということに相なります。  次に、ウラン濃縮工場敷地には断層はないのかというお尋ねでございます。日本原燃産業株式会社からはウラン濃縮工場敷地内において立地調査の結果、施設に影響を与えるような断層は確認されていない、こういうふうに聞いてございます。  次に、青森県東方海域に八十四キロメートルの断層はあるのかないのかということでございますが、日本原燃サービス株式会社からも次のように説明を受けております。すなわち、「日本の活断層」という文献に図示されております長さ約八十四キロメートルの活断層については、同文献発行後事業者が新たに実施した最新の音波探査の解析などから総合的に検討した結果、活断層の存在は認められないと判断したとのことでございます。  それから次は地震により発生したエネルギーの波でございます。いろいろ今村議員からは前提がございまして、最終的には、地震により発生したエネルギーの波の速度が変わる、あるいは地震動の伝わり方が各部層によって違う、現実的には再処理施設敷地についてf1・f2断層の存在がある、そういうような現実に照らして「安定計算を実施して地震時にも地盤は安定である」というふうな論理展開をしているが、これはいかがかと思う、この辺についての見解を求められたわけでございます。日本原燃サービス株式会社からの説明においては、まず「地震時の地盤の安定性については、鷹架層の上・中・下部層及び断層部分の物性値の違いをボーリングなどで調査し、そのデータをもとに考慮して安定解析を行い、その上で十分に安定していることを確認しております。したがいまして、各部層の違うことを十分念頭に入れながらその解析を行っている」とのことでございます。さらに、「建物の揺れにつきましては、今後詳細設計を行う際に、建屋が配置される場所ごとでの揺れ方の違いも考慮して安全に設計をすることにしております」こういう現状を述べてございます。  それから次に低レベルの廃棄物貯蔵センターの件についてでございます。従来の県の議会答弁では、この貯蔵センターを帯水層の中につくると、ところが八月二十九日、事業者は帯水層ではないと述べている、どちらの答弁が正しいのか、ということでございます。低レベル廃棄物貯蔵センターの埋設設備に関しこれまで説明をしてまいりましたいわゆる帯水層とは、一般的な呼称──呼び方としての通気層との対比において用いてきたものでございます。しかし、去る八月二十九日の懇談会において「埋設設備の建設地点はいわゆる帯水層には当たらない」と事業者が説明したのは、この地点は、透水性が小さく地下水量が少ないことから、用語について従来のような広い意味での用い方ではなく、地下水学上の用語としての帯水層とは何かを明確にし、それと区別することが必要と判断したものである、こういうふうに説明を受けているわけです。ただ、御指摘ございましたように、従前の説明は学問上余り正確な表現を用いずに対処し、今回このような御指摘をいただいたことは遺憾であると事業者もその意向を示しているところでありますが、県としても今後、説明聴取に当たってはやはりそういうことのないように事柄について十分留意して対処してまいりたい、おわびを申し上げる次第でございます。  それから再処理施設申請書の被曝線量についてでございます。御質問の御趣旨は、再処理施設申請書の中で被曝線量が二・三ミリレムと評価をされている、通常原発が五ミリレムでございますが、それより以下に制限できるためにはどんな技術開発がなされたのか、それからさらに一定の評価をしているわけですが、当然仮定の計算でございます。したがってその仮定は正しいのか、こういう御質問でございますが、被曝線量の評価値が小さいものとなっているということで、日本原燃サービスの方から大体次の三点について説明を受けているわけです。それは、第一点は、クリプトン85及びトリチウムはその性質上人体に与える影響が小さい、第二点は、海に放出されるトリチウムを除く全ベータ放射能は蒸発缶を多段階に設置するなどして十分低くするよう、現実的には東海の再処理工場よりも低くなるような設計を考えている、これが第二点でございました。それから第三点につきましては、排気筒──煙突と言っておりますが、排気筒の高さを高くしたり、それから海に出す放出口を沖合遠くに離し、さらに水深の深い位置に設置することによって環境における濃度を極力小さくするようにする、こういうふうな技術的な展開から低くなる、こういうふうな理由の説明をしてございます。一方、被曝線量の評価につきましては、当然に国際放射線防護委員会の新しい勧告を取り入れて、我が国でも定められております原子力安全委員会の指針に従って、あるいはまた、原子炉等の安全審査において実績のある線量評価方法を参考として行っているわけでございます。それで、施設が立地される地点の十分な調査を当然に実施し、その調査結果に基づいて適切な解析モデル、あるいはパラメーターを用いている、この解析モデル、パラメーターについては、評価の前提条件となるものでございまして、議員から御指摘ございました仮定に当たるものでございます。ただ、仮定に当たるわけでございますが、これらは十分安全側に立っているものであり、安全評価上十分なものとしてサービス会社は理解し、判断している、いずれにしてもこのことは、国の厳正な安全審査によりさらに十分検討されて評価されるものと考えられるわけでございます。  それから、射爆撃場の問題に関連して施設上空の飛行制限問題についてのお尋ねがあったわけでございます。米軍機の飛行禁止及び飛行制限区域を明確にさせるべきであると、見解と実現のための具体策についてお尋ねがあったわけでございます。御案内のとおり、核燃料サイクル施設は原子力施設としての認定はまだされていないわけでございます。したがいまして、先ほど知事からも射爆撃場の移転の問題に関連してお答えいたしましたように、今後の飛行規制の範囲あるいはまた措置等としては、関係省庁により、安全性確保の観点から今後必要に応じ所要の調整がなされるものと考えられます。この事柄を踏まえまして対応してまいりたいと考えてございます。以上でございます。 21 ◯副議長(山内和夫君) 今村君。 22 ◯十番(今村 修君) 何点かにわたって質問したいと思います。  その一つは、知事の、「厳粛に、しかも謙虚に受けとめる」ということに対する具体的な対応の仕方であります。昨日も自民クラブの秋田議員が指摘したように、県民は、この核燃については青森県内に要らない、こんな立場の方が数多いと思います。こういう県民の意思をどう知事が受けて具体的に対応するのか今注目されているわけであります。「厳粛にしかも謙虚に」と。だとすれば具体的な中身を県としても披瀝する……。知事は、協力する立場と県民の立場で対応すると、二つの使い分けをするというのはちょっと無理じゃないですか。一方は推進する、一方は要らないという県民の立場で行動する、これは事実上不可能な話で、県民の意思に沿うという立場で行動する、これが本来の知事の姿勢でなければならぬと思うわけです。特に、日本のエネルギー問題や地球温暖化問題などいろんなものを指摘しながら知事は御答弁するわけであります。しかし、今青森県民は、そんなことを言うなら、最もエネルギーを消費する地域、最もエネルギーを使っている人たちがなぜその責任を負わないんだ、最も消費量が少なく最も過疎の青森県に、安全上問題があるから他県では要らぬという施設をなぜ青森県に持ってくるんだ、こう指摘をしているわけです。こういう県民の声に率直にこたえる、それが県民の立場ではないでしょうか、そういう立場での県民への決断ある答えを改めてお伺いしたい、こう思うわけであります。  それから二つ目は、むつ小川原開発室長を含めて今御答弁があったわけでありますが、事業者のくるくる変わるこの答弁には我慢ならぬわけです。これはやっぱり、県自身が独自にそれらを確認しないそのことによって起きてきているわけであります。県自身が確認をし判断をし、そのことを伝えるとすればこんな問題は出てこないわけであります。県自身がそんな立場で対応されるのかどうか、この点を確認しておきたいと思います。  それから断層の問題についてお伺いをいたします。あの敷地内には四本の断層がある、こうお答えをされたわけです。まあこれ以上出てこないのかもしれません。この断層の問題についてお伺いをしておきます。内部資料の中で若干指摘をされていたわけですが、「低レベル、あるいはウラン濃縮工場には本施設に影響を与えるような断層は認められない」こう書かれていたわけです。この時点で申請者はあの下に断層があることは知っていたと思います。「本施設に影響を与えるような断層はない」、こう言って隠したわけです。内部資料により明らかになってしまいました。隠すわけにいかなくなった。低レベル貯蔵センターの二本の断層を明らかにせざるを得なくなった、こういう経過になっていると思います。これをなぜ今明らかにしたのか、この明らかにした経緯を知っていたらお答えをいただきたいと思います。これに関連して事業者は、一本は低レベル貯蔵センターの直下にあります、もう一本は貯蔵センターの横五十メートルで施設と関係ない、こういう説明をされています。本当ですか。f1の断層もあの低レベル貯蔵センターの真下を通っているんじゃないですか。二本の断層とも低レベル貯蔵センターの直下を走っている、こう認識をしているわけですけれども確認をしておきたいと思います。この点を明らかにしていただきたいと思います。  それから、飛行制限問題についてお伺いをしていきたいと思います。飛行制限についてはできる限り避ける、安全高度を確保するよう規制措置を行う、こういう内容です。これは総務部長も室長も同じだと言うわけです。飛行制限というのは禁止ということでないわけですね。航空法上飛行禁止と飛行制限という取り扱いがあります。これはこのどちらに入るんですか。この点を確認しておきたいし、事業者は、米軍の飛行機はこれらの対応によってこの施設の上空には飛来しない、こう言っているわけです。飛行制限はイコール禁止ということで理解していいのか、法律上の飛行禁止と、それから、飛行制限の中に防災計画で言う飛行規制が入っているのか。なぜそういうことを聞くかといえば、事業者は、これらは通達によって行われている、こう言っているわけです。法律上は告示によって行うという取り扱いになっています。とすれば、法律で言う飛行禁止の中にこれらは入っているのか入っていないのか、禁止でなくて飛行制限なのか、あるいは、飛行禁止でも飛行制限でもない内部通達による規制なのか、この点を明らかにしていただきたい、こう思います。  次に人事異動の問題について若干お伺いしておきたいと思います。一年交代というこの人事異動、数からいうと数多くある。部長については先ほど言ったようにここ三年間に三つ、例えば総務部の課長で言えば、ここ三年のうち一年ごとに交代しているのは、秘書課長、人事課長、行対、地方課長、文書課長、消防課長、電子計算課長、企画部で言えば、調整課長、企画課長、広報課長、統計課長、生活福祉部で言えば、社会課長、児童課長、国民健康保険課長、こんなふうに数多くあるわけです。一年で交代さして本当に県民の立場での仕事をしなさいと、これは無理だと思います。いろんな内容があるようですけれども、こういう点はそれらを全部しんしゃくしてきちっといくような形での対応をする、この点について御意見があったらお伺いしておきたいと思います。以上です。 23 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 24 ◯知事(北村正哉君) 今村議員の再質問にお答えいたします。  選挙結果については、厳粛に、謙虚に受けとめていることは何遍も申し上げてきたところであるし、また、結果からして、原子燃料サイクル事業立地に反対の方も相当にたくさんいるんだということがこれでわかるわけであります──わかったわけであります。ただ、反面から見れば、国にとりましても事業者にとりましても国民にとりましても大変不可欠な事業であることもまた御理解をいただいてるとおりであります。国家的な事業であるということには間違いないと思います。そこで、今の事態にどう対応するかということでありますが、やっぱり、すべて安全性をどう受けとめるかによって判断が変わってくるのではないかと思われるわけでありまして、このことについて不安を解消するために国も県も事業者もみんな最大の努力をしていく、それによって不安を解消するようにお願いしていくというのが現在の基本的な立場であろうと思います。それが御理解できれば、なぜ青森県かという疑問も関係がなくなるわけであります。安全でさえあればその点は問題にしなくていいし、また、出てくるメリットから考えれば、なぜ青森県かにこだわらなくてもいいのではないかというふうに存じます。 25 ◯副議長(山内和夫君) 総務部長。 26 ◯総務部長(中川浩明君) お答えをいたします。  原子力防災計画に定めております飛行規制の内容は、先ほども申し上げましたように、現在の航空法に定めております飛行規制をそのまま確認的に規定をいたしているものでございます。  二点目の人事異動につきましては、確かに御指摘のような御意見があることを踏まえて今後の参考にいたしたいと思います。 27 ◯副議長(山内和夫君) むつ小川原開発室長。 28 ◯むつ小川原開発室長(内山克己君) 今村議員の再質問にお答えをいたします。  まず、事業者の今までの対応に関連いたしまして、やはり県自身が独自に確認をしないことによって起きているのではないのか、今後どういうふうに対応するのかということでございますが、先ほども申し述べましたように、すぐれて専門的、技術的な事柄でございまして、できるだけ県としてもそしゃくをする、その上で対応したいと心がけているわけでございますが、何分にも限界があることでございまして、そういうような点で、今後ともできるだけの努力をさしていただくということでぜひ御理解をいただきたいと考えているわけでございます。  次に断層の問題でございます。特に低レベルの断層の問題につきまして、どのような経過──なぜこういうふうに明らかになったのか、その辺の経緯について承知していたら明らかにされたいということでございます。低レベルの放射性廃棄物施設の事業申請に当たりまして、今村議員から今御指摘がございましたf1の断層の延長線上、要するに日本原燃サービス株式会社の敷地にあるf1の延長線上については、先ほどもお話ございましたとおり、現在申請している低レベルの敷地から五十メートル離れているというようなことで申請書には図示をしなかった、また、今回明らかになった断層については当初、まあ簡単に言うといろいろの地すべり、崩れみたいなもので、事業者としては断層と判断をしていなかったということから申請書の中に明記しなかった、しかし、いろいろの調査、あるいは専門家の意見、そういうようなことを反映して、やはり断層として扱い適切に安全審査を受けることが望ましい、こういうことで今後補正書の中に盛り込む、こういうふうにした経緯等については概略聞いてございます。  さらに、御指摘ございました低レベルから五十メートル離れているそのf1の延長線上にあるだろう断層、これが将来低レベルの放射性廃棄物施設そのものが建設されてくることによってやはり直下の断層になるのではないのか、こういう御指摘でございますが、やはりそのとおりであろうと考えてございます。要するに、現在申請しておりますのは、先ほど申し上げましたように二本でございます。したがって、御指摘の断層につきましてはこれから約五十メートル離れているわけでございます。しかし、今後次々予定どおり、計画どおり建設されますとやはり直下となり得るわけでございます。ただ、その際には当然、追加建設を申請する段階においてきちんと確認の上評価をし、改めて国の方に申請する、こういうことでの説明をいただいております。  飛行制限等につきましては先ほどの総務部長のお答えで御了解いただけると思います。以上でございます。  〔今村議員、答弁漏れ指摘〕 29 ◯副議長(山内和夫君) 答弁漏れありますか。じゃ答弁漏れを指摘してください。──今村君。 30 ◯十番(今村 修君) これは航空法上の規制によって飛行制限が行われる、こういう御答弁ですので、航空法上のどこの規定によって──どの条項に該当するか、そこを具体的に説明してください。その点部長、答弁をお願いしますよ。 31 ◯副議長(山内和夫君) 総務部長。 32 ◯総務部長(中川浩明君) 航空法第八十条に飛行の禁止区域の規定がございます。その規定を受けまして航空法施行規則第百七十三条に飛行の禁止区域の規定がございます。航空法施行規則百七十三条には「法八十条の規定により航空機の飛行を禁止する区域は、飛行禁止区域及び飛行制限区域の別に告示で定める」と定めておりまして、原子力施設等がこの飛行制限区域に該当いたします。(今村議員「告示。ちゃんと全部答えてくださいよ」と呼ぶ)飛行制限区域に該当いたしまして、それは告示で定められることになっております。 33 ◯副議長(山内和夫君) 今村君。 34 ◯十番(今村 修君) 答弁漏れをもう一度指摘します。具体的にそれが書かれている文章が──この法律に基づいてこれこれですよということを説明してくださいという話をしてるんですから、そこを……。一般的に法律のことを言うんじゃなくて、規制を受けるという内容が──あなたが言うこういう規制は具体的にこうなっていますということを説明してくださいと言ってるんですよ。  〔今村議員、一時着席するも、答弁を要求して再度発言を求む〕 35 ◯副議長(山内和夫君) 今村君。 36 ◯十番(今村 修君) これは三者でのやりとりをした際に、事業者は「局長通達で行われてる」という話をしたんですよ、飛行制限は。法律のもとで行われてるという話はしてないんです。ですから私は聞いてるんです。そして、同時に……(発言あり)話をしたんですよ。そういう話をしていますから。ですから聞いてるんです。同時に、禁止と制限と規制があると。部長が言ったりむつ小川原開発室長が「飛行制限」と言葉で言っているやつは法律のどの言葉に該当するやつですか、禁止なんですか、制限なんですか、事業者が言う通達に基づく規制なんですか、こういう話で聞いてるんです。私たちは飛行禁止だと受けてきたんですよ。あの上空は飛ばないということで理解してきたんです。そう説明も受けてきた。ところが防災計画では、「できる限り避ける、高度規制で対処する」こうなったわけですね。あれっ、これは何だろう、従来言ってる内容と違いますよ、ということで一般質問で指摘したんです。ですから、禁止されるんであれば、航空法のここによってこう規定され禁止されるんです、あるいは制限されるんです、いや、そうじゃなくて局長通達によってこういう取り扱いになるんですと、どこなのか、そのことを明確に答えてください。そこです。 37 ◯副議長(山内和夫君) 総務部長。 38 ◯総務部長(中川浩明君) 航空法第八十条に飛行の禁止区域の規定がございます。これを受けまして施行規制で、飛行の禁止区域──具体的にはその上空における航空機の飛行を全面的に禁止する区域、及び飛行制限区域──その上空における航空機の飛行を一定の条件のもとに禁止する区域、この二つに分かれるわけでございます。前者については国内ではその定めはありません。つまり、その上空における航空機の飛行を全面的に禁止する区域は定められていない、こういうことでございます。原子力施設は、その上空における航空機の飛行を一定の条件のもとに禁止する区域、こういう区域に該当するわけでございます。したがいまして、一定の条件が定められておりますので地域防災計画ではあのような規定になったわけでございます。 39 ◯副議長(山内和夫君) それでは今村君、要望にとどめてください。 40 ◯十番(今村 修君) まあ要望にとどめておきますけれども、今の答弁では納得できません。飛行禁止という形でこれまで答弁をし、そういう内容になりますと言ってきたんですよ。今の答弁で言うと、「飛行禁止ではない、飛行制限です」こういう話ですね。なおかつ、その法律の適用は日本の国内の飛行機だけですよ。米軍は違う、こうなるわけですね。それと核燃の上空は飛行禁止ではない、こういうことになるわけですね。これだったら大変な問題になるんじゃないですか。今まで言ってきた内容は違うわけですよ。そういう点では、そのことを強く厳しく指摘しておきます。以上で終わります。 41 ◯副議長(山内和夫君) 二十番相馬しょういち君の登壇を許可いたします。──相馬君。  〔二十番(相馬しょういち君)登壇〕 42 ◯二十番(相馬しょういち君) 県民のための県政という立場から、通告してあります次の五つの項目について簡潔に一般質問いたします。  その第一は県産品愛用運動についてであります。このことは古くて新しい課題であると言わなければなりません。県においては県産品愛用運動、市町村においては地元品愛用運動という名のもとに、あるいは、愛用運動とは別に、それぞれの領域において県産品の普及あるいは消費の拡大に努めてきたようであります。しかし、県産品愛用という大きなかけ声の割には県民に余り理解されていないのもこれまた事実であります。さきの定例会においても少し触れたところでありますが、本県の県民所得は、全国最下位の沖縄県に次いで二番目に低い状態にあります。その主な要因は本県の産業構造にあると言われ、生産性の低い一次産業の比率が高く二次産業の比率が低いことによるものと指摘されているところであります。しかし、この産業構造は一朝一夕に変えることができるようなものではなく、多分に他動的な要素が強いものであります。特に本県のように農業の占める割合の高いところにあっては、企業誘致によって二次産業が増加しその比率が高まったとしても、相対的に一次産業の比率は低下するものの、一次産業の規模等が変わることはほとんどないのであります。このような本県の事情も踏まえながら県産品愛用というものを考えなければならないと思います。県産品愛用とは、本県において生産あるいは製造等をされます農産物や水産物、それらの加工品、あるいは工業製品を県民が積極的に愛用、消費することであります。したがって県産品愛用運動は、県民が県産品のよさを知り愛着を持つことによって、県内における消費の拡大はもとより、県産品の県外への販路拡大にもつながるものであり、県経済の活性化に大きな力となるものであります。しかし、さきに述べましたように、県産品愛用運動や地元品愛用運動はかなりの年月続けられてきたにもかかわらずいまだに余り浸透してない状況にあると思われるのでありますが、このような運動を成果あらしめるためには、常に意識して行う継続性と、ある意味のしつこさが必要であります。消費する人それぞれに好みがあり、また、企業の経営者にはそれぞれ企業経営の事情もあって強制できないものであるだけになおさらであります。したがって、県産品愛用の重要性、必要性についての理解を深める努力が必要だと思うのであります。私は県産品愛用の大切さを常に意識し愛用している者の一人ですが、ここで幾つかの品目について県産品の愛用状況を申し上げてみたいと思います。まず酒でありますが、祝賀会やその他の集会において乾杯の際には県産酒が比較的多く使われておりますし、地酒を楽しむ会などがつくられ定期的に飲むことはありますが、これ以外は、テレビのコマーシャルで見られている県外酒が多く飲まれているとともに、贈答用には特に多く使われているのであります。秋田県における徹底した県産酒の愛用や鹿児島県におけるしょうちゅうの愛用を聞くにつけ、本県の愛用運動の弱さを痛感するところであります。リンゴジュースについては相当普及しているようで、ホテル等で行われる結婚披露宴や祝賀会等ではよく出るようになりましたが、これも会場側から積極的に出してくれるところは少なく、特にリンゴジュースと指定しないときは一般的にオレンジジュースやファンタ等を出しているのであります。また、レストランや喫茶店でも、特にリンゴジュースと指定せずに注文しますとオレンジジュースやファンタその他のジュースを出してくるのが一般的であります。そういう状態ですから、観光客が本県を訪れましてもリンゴジュースを飲むことの機会が非常に少ないものと言われております。次に米についてでありますが、厳しい情勢の中で自主流通米の比率を高めなきゃならない本県において県産米の消費拡大は重要なことでありますが、米屋さんの前に立てられている宣伝用ののぼりには「あきたこまち」など県外のものが多く見受けられます。ほんの一例を申し上げましたが、県産品がこのような状態にあることは、結果として県内の消費にとどまらず県外の販路拡大にも影響するものであります。このような状態を解消し県経済振興のためには、今後今まで以上に県民に対して、県産品愛用の大切さ、重要性の理解、認識を深め、消費拡大の事業等を積極的に進めるべきであります。そこで次の点についてお尋ねいたします。一、県産品愛用運動の経過と現状について、二、その成果について、三、県産品愛用運動においての問題点は何か、四、今後どのような取り組みをしようとしているのか、お尋ねをいたします。  次に地元中小企業についてお尋ねをいたします。本県の商業及び工業について昭和六十三年の商業統計及び昭和六十二年の工業統計を見ますと、商業においては、前回調査の昭和六十年に比べ、店舗数では二万七千二十二店から二万六千二百三十店と七百九十二店減少し、従業者数では十二万四千百二十六人のところ十二万四千八百六十九人となり、七百四十三人ふえております。また年間商品販売額では、昭和六十年の三兆三百十三億七千三百万円のところ三兆三千百九十六億二百万と〇・四%減少してるのであります。工業においては、前回調査の昭和六十一年に比較して、事業所数で七十一事業所減の二千四百七十九事業所、従業者数では千八百九十五人増の七万一千八百十八人であり、製造出荷額においては前年比一・四%減の一兆二億八千九百三十三万円となっております。さらに従業者規模別に調べてみますと、商業の場合、従業者数が一人から二人の零細企業にあっては店舗数で千二百八十三店減少、八・五%の激減であり、そのほとんどが小売業で占められ、三人から四人のところでは三百四十店舗の増、五人から九人のところは八十一店ふえておりますが、これもそのほとんどが小売業となっております。一方工業では、四人から九人規模のところで九十三事業所が減少し、十人から十九人のところは十四事業所がふえております。この両統計によりますと、商業では、一人から二人の店舗数では二万六千二百三十店に対して一万三千八百五十店と全体の五三%を占め、十人未満で見ますと二万六千二百三十店に対して二万三千八百二十二店と約九一%にも達するのであります。工業は、四人から九人の事業所にあっては一千百四十五事業所で全体の約四六%を占め、二十人未満の事業所になりますと一千六百四十六事業所で約六七%を占めているのであります。これらの数字で見ますと、本県の企業のほとんどが中小企業というよりも零細企業であると言っても過言ではない状況にあります。今まで申し上げました数字はすべて地元中小企業だけのものではありません。近年県外からの中小企業としての進出が相当にふえているからでありまして、これらの企業は、形態は中小企業でありますがその企業の背後にあるものはすべて大企業であります。大店法の定めにより、店舗面積が五百平方メートルを超える店については地元の商業活動調整協議会に諮らなければならないものとされているため、五百平方メートル以下の店舗を建て現地法人として営業するところが相当の数に上り、市街地に限らず郊外や農村地域にも出店し長時間営業を行っているのが実態であります。このように、実質大企業の経営による小売店であることから、仕入れ価格も地元中小企業ではとても仕入れることのできない安い価格であるため、地元の小規模な店では価格競争などとても太刀打ちできるものではないし、その上年中無休で、かつ夜間も営業していることから、その地域の小売店は大きな打撃を受け、廃業せざるを得ないような現象が発生してきているのであります。そのことが統計にもあらわれており、一人から二人の零細な店が一年間で千二百六十五店も減少しているという結果をもたらしているものと推測されるのであります。以上申し上げましたように、本県の中小企業は特に規模が小さく、従業員が十人未満の規模の店が全体の九一%を占める状態で、経営基盤の弱い企業がほとんどであります。このような厳しい状況の中で昨今労働時間の短縮が大きな話題として登場してきました。我が国の労働時間は欧米主要諸国に比べて年間二百時間ないし五百時間多いと言われ、日本人は働き過ぎだと批判されました。このことは、貿易収支の不均衡、すなわち、日本の大幅な黒字に対し諸外国、とりわけアメリカで大幅な赤字が続いていることから生じたものであります。我が国は諸外国からの厳しい指摘を受けて労働時間の短縮を図ることになり、具体的には労働基準法の改正という形で法定労働時間の改正を行ったのでありますが、その内容は、現行週四十八時間のところ、段階的に短縮し最終的には週四十時間を目指すものとして、当面は週四十六時間とし、改正法施行から三年、すなわち平成三年をめどに四十四時間にするとしているのであります。改正後政府の指導によって、金融機関の週休二日制を初め、国や地方自治体が変則週休二日制を実施、さらには大企業も労働時間の短縮を実行に移しているところであり、一部中小企業においても短縮しているようでありまして、労働時間の短縮は時代の趨勢となっております。地元中小企業の経営者のだれもが、できるなら週休二日制を実施し、優秀な人材を確保してよりよい経営に努め、規模を拡大したいと願っているところであります。去る九月十三日に開かれた青森地方労働時間問題懇談会においても中小企業の週休二日制を主要な話題として意見交換が行われ、その中で「時短をやらないと今後は人材の確保が難しい。経営者は人の確保に努めて週休二日制に取り組むべきだ」との意見が大勢を占めたというのでありますが、しかし現実はより厳しく、中小企業は同業者が多いので企業間の競争が激しく、経営基盤が弱い上に従業者も少数で経営の合理化が容易でないところにさらに大企業系列の中小企業が進出して、年中無休・長時間営業をしている状況下では、心にはあっても実施することは容易でないのであります。先般、労働時間短縮についての青森労働基準局による調査結果が新聞紙上で報ぜられましたが、それによりますと「法改正後何らかの形で週休二日制を導入している事業所が五〇%に達している」というのでありますが、これが事実とすればまことに好ましいことではありますが、果たして現実にそのような状態にあるのかというと、私にはとても納得できるような内容ではないのであります。と申しますのは、私が関係している企業及び私と同業の方からの情報によりますと、法改正後も改正前とほとんど変わっていないのであります。したがって、このような状況の中で週休二日制が急速に進んでいるという発表は小規模企業において混乱を誘発するおそれがあるので、できる限り経営の実態を十分見きわめた上で発表していただきたいものだと思うのであります。ところで、本県の中小企業は、小規模ではあるものの企業数が多く、したがって従業者も相当の数に上り、地域経済の中で大きな比重を占めていることも事実であり、県経済伸展のために今後一層中小企業の育成強化が必要であります。県はこれまで中小企業のために金融制度や経営指導等の施策を行ってきたところでありますが、中小企業者の生の声を聞きながら今後さらに施策の充実強化を図らなければならないと考えるものであります。そこで県当局に次のことをお尋ねいたします。一つ、地元中小企業はどのような状況にあると認識しているのか。二つ目は、地元「中小企業は本県経済とどのような関連があると考えておられるのか。三つ目は、地元中小企業における労働時間短縮の現状や問題点をどのように把握しているのか。四つ目は、その問題点に県はどのような対応をしようとしているのか。五つ目は、地元中小企業に対する今後の振興策について。  三番目は廃棄物の実態と今後の対応について問うものであります。廃棄物、簡単に申しますとごみ、これは今まで関係者以外にほとんど関心の対象にならなかったのであります。それが、去る五月二十七日の新聞に、千葉市のごみが本県の田子町に運び込まれ投棄されたことが報道されたことから、本県はもとより全国的に脚光を浴びることになりました。新聞や雑誌の報ずるところによりますと、千葉市は市内に一日六百トンの焼却場を建設することになっていたが、ごみの収集、処理が市民の求める分別処理をするのに十分でないということで住民の反対に遭い計画がおくれ、そういう状態の中でごみの量はふえ続け、その上、既存の焼却場が定期点検のため何日も休まなければならないこともあって焼却できないごみが多くなったことによるもので、その処分を四国の香川を初め全国各地の処分場に頼んだが、どこも受け入れるところがなく本県だけが受け入れた、というのであります。そのごみは高速道路を経て田子町に運び込まれたものでありますが、千葉市における環境行政の不始末によって本県のイメージダウンを招いたのであります。このような経緯があるにもかかわらず千葉市の市長が「千葉市民に迷惑をかけたことをおわびするが、青森の県民、田子町の町民に謝る必要はない」と言うに至っては、あきれると同時にその常識を疑わざるを得ないのであります。県当局はこのことにどのような対応をするのかお答えをいただきます。  次に本県における廃棄物の実態についてでありますが、青森県保健医療計画の中で廃棄物処理対策の推進を掲げ、一般廃棄物と産業廃棄物について述べられておりますが、本県における廃棄物排出の状況、及び、処理処分の実態と産業廃棄物に対する今後の対応についてお尋ねいたします。さて、千葉のごみ騒動によって首都圏における廃棄物の処理が深刻な問題になっていることが明らかになりました。このことは単に首都圏だけの問題ではないと言われ、今後次第に首都圏から地方に広がることが予想されるというのであります。特に首都圏の産業廃棄物に問題があるようであります。刻一刻と深刻さを増している廃棄物でありますが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によりますと「ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう」と規定されております。したがって、日常使われているごみは廃棄物の一種であります。廃棄物は排出者によって区分され、かつ処理の責任にも差異があります。一つは、事業活動に伴って生じた廃棄物で、燃え殻、汚泥、廃油や建造物の取り壊しに伴って発生するコンクリートの破片、畜産農業から排出される動物のふん尿や死体等は産業廃棄物と言われ、原則として排出者が自己の責任で処理するものとされ、これ以外の家庭等から排出されるいわゆるごみは一般廃棄物と呼ばれ、市町村がその処理について責任を負うものとされております。千葉市から持ち込まれたごみは一般廃棄物と言われております。そこで、このような問題を引き起こした千葉県を含む首都圏における産業廃棄物は今後その処理処分が地方に及ぶと指摘されていることから、首都圏の廃棄物の排出量及びその処理の状況を厚生省が五年に一回実施している調査報告により調べてみますと、昭和六十年度における全国の排出量は三億一千二百万トンで、これらの処理または処分は、焼却等による減量が九千三百万トン、再生利用が一億二千九百万トン、海洋投棄を含めた埋立処分が九千万トンとなっており、首都圏では、総排出量が約八千万トンで、その比率は全体の二六%に相当するというのであります。その中で排出量の多いものは、汚泥の三千百万トン、建設廃材一千五百万トンで、汚泥も建設現場からのものが圧倒的に多いそうであります。このことからどうしても埋立処分の対象となるものが多いのでありますが、埋立処分場が極端に少ない状態にあると言われ、現実に埋立処分地を確保することは著しく困難でもあるという。その理由は住民の反対と地価の高騰であると言われ、したがって、廃棄物は首都圏で処理し切れず、相当の量が圏外に流出しているというのであります。今述べたように、埋立処分用地は地価の高騰から容易に確保できないし、確保したとしても処分施設には多額の投資をすることから、利用する場合の費用も相当高いものになり排出者の負担がふえることになります。産業廃棄物は原則として排出者が自己の責任で処理することになっているが、実際自家処理されている廃棄物は少なく、大方、産業廃棄物処理業者に収集、運搬、処理処分がゆだねられているのでありますが、これは経営基盤が弱い中小企業が多いからであるとされており、捨てるものの処理に適正な費用を負担するという意識も低いと言われ、したがって不法投棄も相当数に上るものと予想されています。ところで、先ほど述べました千葉のごみは一般廃棄物でありますが、産業廃棄物は相当前から東北及び中部地区まで広い地域に流出しているというのでありますが、厚生省の推計によりますと、首都圏から流出している産業廃棄物の排出量に対する比率は東京都の場合で約八〇%に達するものと言われ、その流出している産業廃棄物がどの地区にどれだけ運ばれているかは全く不明だというのであります。最近における好景気に伴う活発な経済活動を反映して今後一層廃棄物はふえ続け、首都圏から全国に向かって恐ろしい勢いで流出しようとしており、この勢いを抑えることもできず、仮に抑えるとするならば首都圏の経済活動に大きな影響が出るだろうと指摘されているのであります。しかも、流出は処分コストの安い地域に向けられ、近い将来首都圏の廃棄物が北海道や九州にまで運ばれる可能性が高いと言われ、本県においても対岸の火事という甘い考え方は決して許されないとされているのであります。廃棄物の流出はそれぞれの地域に新たな問題を引き起こし、受け入れ側はそれなりの対応を求められ、埋立処分場が必要になりますが、廃棄物処理の費用について企業経営上の必要な経費という認識が薄いため、排出者はできるだけ安い金額で処理しようとし、そのため、距離が遠くなればなるほど運送費用が割高になることに伴い処分場に支払う経費が少なくなり、処分場の経営は成り立たなくなると言われております。そうなりますと、地価の安いところにさらに雑な施設となるおそれがあり、自然破壊と環境汚染を起こすことになりかねないとの指摘がなされているのであります。廃棄物の排出量が多くて処分や処理に困り、他県に流出させている首都圏は、政治、経済、文化の中心で、極度に集中過密の状態であり、一極集中の地域であります。このような一極集中による弊害で排出された多量の廃棄物によって本県の自然が破壊され、環境が汚染されるようなことがあってはならないのであります。
     そこでお尋ねいたします。一、県外から本県に廃棄物が持ち込まれたことがあったのではないかと思いますが、その実態について。二、今後首都圏から流出した廃棄物が持ち込まれることが予想されますが、県はこのことにどのように対応しようとしているのか。  次に、リンゴ生産予想数量及び実収数量の算定についてお尋ねするものであります。平成元年産の生産予想数量が、県及び農水省東北農政局青森統計情報事務所、及び県りんご協会からそれぞれ発表されました。県は八月十七日にその数量を五十万五千六百トンと発表し、青森統計情報事務所では八月三十一日に五十万七千三百トンと発表しましたが、県、国の生産予想数量に対してりんご協会は、機関紙である「りんごニュース」で「県及び国の発表した数量は余りにも過大である」と指摘した上で、九月二日に、協会独自に算定した予想数量を四十六万二千五百トンであると発表したのです。したがって、三者三様の数量が発表され、どの数量が適正なのか県民も判断に迷うことになりました。予想数量をめぐって議論がなされるのは、その数量によって価格に影響があるということが主な要因でありますが、もし仮に過大な数量が発表されたとしますと、価格形成のほかに、果樹共済金の決定や、税務署が作成する農業所得の標準にも影響を及ぼしかねないのであります。そこでお尋ねいたしますが、予想生産数量に大幅な差が出たことの経過と原因や、万が一県の予想数量と大幅に食い違った場合の修正のめど等についてはさきに答弁があったのであえて答弁を求めませんが、県が公表した予想生産数量の算出については特に具体的な数字で示していただきたい。  最後に、心身障害者小規模作業所に対する助成のあり方についてお尋ねします。このことについては去る昭和六十二年の第百七十回定例会において一般質問をしたところでありますが、再度簡単に申し上げます。心身障害者の中には、養護学校を卒業しても就職先がなかったり、就職はしたものの長続きせず退職する者が多いというのであります。このような在宅の心身障害者に働く喜びを与え、社会への適応性を養うことを目的に小規模な共同作業所をつくり運営しておりますが、ほとんどはボランティアの協力によるものであり、経営基盤も非常に弱いのであります。県当局もこのような状態を考慮の上助成しているようでありますが、その助成期間を五年としているのであります。ただいま申し上げましたように経営基盤の確立が容易でない施設でありますから、五年で助成を打ち切るようなことをせず、それぞれの作業所の実情に応じた対応をするとともに助成額の引き上げも必要であります。このことについて県当局は、他県の状況等を踏まえながら研究してまいりたいと答弁しております。あれから二年以上経過しております。その後どのような方策を講じたのか、さらには今後の対応についてお答え願います。  以上で壇上からの一般質問を終わります。 43 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 44 ◯知事(北村正哉君) 相馬議員にお答えをいたします。  県産品愛用運動がなかなか成果が上がらないからこれにはしっこさが必要だと。そのしつこさという言葉が、この場合いかにも言い得て妙だと思うほどそのとおりに思います。特に酒の例を挙げられました。県産品愛用になってないじゃないかと。この酒については、もう数年前──もっと前の話でありますが、青森駅頭に立って右、左、上を向いて酒の看板を見れば、「両関」「爛漫」「白鶴」でしょうか、「福娘」「賀茂鶴」といった、県外──秋田、灘の酒の看板がずらり見えて、県内の「桃川」を初め「八鶴」とか「一洋」とかいった酒の看板はほとんど見えなかった。それは私も強く印象にありますが、確かに問題のあるところであろうと思います。全くお話のとおりで、県産品の消費拡大がひいては県の経済にもかかわりを持つわけでありますからもっともっと重視しなければならない。このために県でも従来から、市町村やら関係団体と連絡をとりながらいろいろな施策を講じてきたわけであります。農業祭であるとか米祭りであるとか、あるいは、海産・水産関係で言えば、ホタテ、サケ──今の酒とは違います、サーモンのサケ、イカ、こういった主要三魚種の消費拡大等に向けてもいろいろと事業をやって、県産水産物の愛用促進、また、農水産物全体を含めた県産品全体を対象にした県産品愛用週間、また県産品愛用祭り、こういったものを開催しながら来てるわけでありますし、広報活動の上でも幅広くこれに努めて努力してきたつもりでありますが、まあ全体として思うような成果が上がらないと言いながら、例えば、婦人団体を初めとする消費者サイドにおいて県産品愛用運動の具体的な動きが見られるなど、県民の県産品に対する愛用意識が、大変スローでありますが少しずつは高揚が図られているということは認められると思いますが、何遍も申し上げるようでありますが、まだまだ十分に浸透してない点がある、満足すべき状態ではない、こう考えているところであります。したがいまして今後におきましては、議員のただいまのお話を踏まえ、もっと積極的に県産品を愛用することが、本県産業、ひいては県経済の向上につながる要因である、このことを広く県民の方々に御理解いただくために、市町村やら関係団体と連絡をとって、今まで以上に愛用運動を積極的に展開して県産品の消費拡大を図ってまいりたい、こう考えているところであります。御協力をいただきたいと思います。  それから中小企業についていろいろな角度からお話がございました。現状について、また本県経済との関連について、労働時間の短縮問題等を述べられました。最後に中小企業の振興策をお尋ねになられたわけであります。お話にありましたように、中小企業が、生産、流通、雇用等を通じて県経済の発展に向けて大変大きな役割を果たしていることはそのとおりであります。その重要性については十分認識しているつもりであります。県としてもいろんなことをやってきてることは、一々申し上げなくても相馬議員はもうつぶさに御存じのところであります。経営改善普及事業の推進であるとか、あるいは組織化の推進、また金融面では、設備近代化資金、中小企業高度化資金、中小企業体質強化資金といった金融制度の面から推進してきたことも御承知であります。また工場、店舗の経営診断等もやってまいりました。しかしながら、今日は最近に至りまして技術革新の進展が見られるわけであります。また、消費者ニーズが非常に多様化してきてる、あるいは、高速道路、空港といったようなことで高速交通体系の整備が進められ、それによって都市間競争、地域間競争が激化している、こういった環境の変化が大変著しい中でありますから、今のままの対応でいいと言うわけにはまいらないわけであります。今後とも中小企業の振興策については、商工三団体──商工会、商工会議所、中小企業団体等を通じて中小企業者の御意見等を吸収しながら一層振興策を講じてまいりたい、こう考えているところであります。  廃棄物処理につきましては担当の部長から。田子町の処理、あるいは首都圏から流れてくるおそれのある廃棄物についての対応、相馬議員は首都圏の実態を述べられて、今後に向けて大いに警戒の必要があるんだという趣旨を述べられたわけでありますが、そのとおりだと思います。今から準備して対応しなければならないと思っているところであります。  リンゴ生産予想数量は農林部長。  心身障害者小規模共同作業所への助成については生活福祉部長から申し上げますが、この作業所への助成については助成期間が切れた後も続ける必要があろうな、そう考えているところであります。委細部長から申し上げます。 45 ◯副議長(山内和夫君) 生活福祉部長。 46 ◯生活福祉部長(秋田谷恒夫君) 心身障害者小規模共同作業所に対する助成についてお答えいたします。心身障害者小規模共同作業所は、障害者を持つ親の会やボランティア団体等が中心となりまして設置ふ運営しているものでございまして、現在県内には、精神薄弱者を対象としているもの十三カ所、身体障害者を対象としているもの五カ所、合わせて十八カ所設置されているところでございます。これら小規模作業所に対する運営費の助成は、厚生省が全日本精神薄弱者育成会等の団体を通じまして、おおむね十人程度の利用者を擁しているものを対象に行っているところでございますが、助成期間は原則三年間であり、国の助成終了後引き続いて県が単独事業として五年間補助をしているものでございます。現在の助成状況は、全日本精神薄弱者育成会等の団体から助成を受けているもの十カ所、県の補助対象となっているもの四カ所、補助対象外のもの三カ所、そのほかに六十三年度末で補助期間が終了したものが一カ所ございます。なお、六十三年度末で補助期間が終了した一カ所につきましては、法律に基づく精神薄弱者通所授産施設として、国庫補助により、平成二年四月の開設に向けまして現在整備を進めているところでございます。また、県が助成する補助基準額につきましては、平成元年度からこれまでの一カ所当たり年額を、七十万円から十万円引き上げまして八十万円にしたところでございます。小規模共同作業所は、障害者に創造の喜びや生きがいを与えるとともに、社会参加の促進に大きく貢献していると認識しておりますので、これら小規模共同作業所の継続的な経営の安定化が図られますように今後とも努力してまいりたいと考えております。以上でございます。 47 ◯副議長(山内和夫君) 環境保健部長。 48 ◯環境保健部長(増田和茂君) 相馬議員より御質問のありました、廃棄物の実態と今後の対応についてお答えさせていただきます。まず最初に、本県におきます廃棄物の排出量とその処理施設の実態について御説明させていただきます。相馬議員御指摘のように、廃棄物には主に、家庭の日常生活に伴って排出されますし尿、生ごみ等の一般廃棄物と、事業活動に伴って排出されます汚泥、建設廃材等の産業廃棄物の二種類があるわけでございます。一般廃棄物につきましては、市町村がそれぞれの処理計画に基づいてみずから処理しているところでございますが、最近は、生活水準の向上と生活様式の多様化等によりまして排出されるごみの量が急速に増大しているところでございます。県内におきます昭和六十二年度の一般廃棄物の総排出量は約六十九万トンでございまして、そのうち約三十九万トンが焼却処理されました。また、約二十七万トンが埋め立て処分されまして、約三万トンが再生利用等に回されているところでございます。一般廃棄物処理施設は我が県におきましては全体で百十五カ所ございます。その内訳は、焼却施設が三十カ所、埋立施設が六十八カ所、し尿処理施設が十七カ所でございます。また、産業廃棄物につきましては総排出量約四百六十万トンと推定されております。このうち約半分が排出事業者みずからの責任において処理されておりますが、残りのものにつきましては産業廃棄物処理業者が事業者から委託を受けて処理している状況にございます。平成元年三月末におきます県内における産業廃棄物処理業の許可業者数は三百四十八業者となっております。また、県内におきます産業廃棄物処理施設の設置状況は、焼却、脱水等の中間処理施設が三十九カ所、埋立施設が三十九カ所となっております。本県におきましても廃棄物の排出量は今後ますます増加すると予想されていますことから、一般廃棄物につきましては、市町村に対しまして、ごみの減量化と再利用の促進を図るとともに、処理施設の計画的な整備と分別収集の強力な推進を指導しているところでございます。また産業廃棄物につきましては、本県の場合特に家畜ふん尿や水産加工残滓物が多量に排出されていることから、排出事業者及び産業廃棄物処理業者に対しまして、これらの再利用、再資源化等を一層推進するよう指導しているところでございます。また、その適正な処理と施設の維持管理に対する監視指導を強化しまして生活環境の保全に努めてまいる方針でございます。  また、県外から我が県に持ち込まれておりますごみの対応について御説明さしていただきます。まず、田子町へのごみの搬入問題でございますが、先ほど御説明しましたように、一般廃棄物の処理は市町村の固有事務であるということになっておりますから、他県からの生ごみ等の一般廃棄物の搬入に当たりましては特に住民感情等に十分配慮する必要がございますから、国におきましては、関係市町村間の事前の協議、及び搬入施設の確認等について指導しているところでございます。今回の田子町へのごみの搬入につきましては、これらの協議等確認が不十分であった結果と考えております。田子町では千葉市に対しまして、搬入されたごみの回収方について文書等により強く要請してきたところでございますが、八月二十一日に千葉市長から、ごみの回収は困難である、したがって、千葉市の責任において現地に管理型処分場を設置し処理したい旨の回答が示されたことから、町といたしましては町議会等の意見をも踏まえ、これ以上回収にこだわれば解決が長引く結果、ごみの腐敗が進行する、環境保全上の問題が生じること、また、ごみ搬入により生じた町のイメージダウンを早期に払拭する必要があること、また農作物等の風評被害が生じるおそれがあること、等の理由から現実的な対応をする必要があるといたしまして、回収に固執することなく、安全性を十分考慮した上で現地で処理し早期解決を図りたい、として県に指導方の要請があったところでございます。県といたしましてはこれまで、田子町の意向及び県民感情等を考慮いたしまして、厚生省とも協議の上、千葉市に対しまして回収方について要請してきたところでございますが、このたび、田子町が千葉市からの提案を受け入れるとの意向を示していることから、改めて厚生省とも協議の上、早期解決を図るべく取り組んでまいりたいと考えてございます。  また、これまでに他県から本県へ搬入されている産業廃棄物の状況についてでございますが、本県への他県からの産業廃棄物の搬入状況といたしましては、県南地域におきまして、以前から岩手県を主体に下水道汚泥等が搬入されているところでございます。また最近では、首都圏からも建設廃材等が搬入されている状況にございます。昭和六十三年度におきます県外からの産業廃棄物搬入量は約二万四千トンとなってございます。また、県外から搬入される産業廃棄物が今後とも増加すると予想されておるわけございますが、これに対します県の対応について御説明申し上げます。産業廃棄物は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づきまして、排出事業者の責任において処理することが原則となっています。産業廃棄物処理業者への委託処理も法的には認められているところではございますが、委託を受けた処理業者にとっては通常の商行為であることから、県外からの搬入に対する規制は現在のところできないところでございます。しかしながら、県といたしまして、県外から搬入される産業廃棄物の増加によりまして県内の産業廃棄物の適正処理に影響が及ぶということがないように産業廃棄物処理業者を適切に指導するとともに、国に対しましては、廃棄物の都道府県域を越えた広域移動に係る管理体制の整備等について要望してまいりたいと考えております。以上でございます。 49 ◯副議長(山内和夫君) 商工労働部長。 50 ◯商工労働部長(中野轍自郎君) 地元中小企業の問題についてお答えいたします。まず、地元中小企業はどのような状況にあると認識しているのか、こういうお尋ねでございます。議員御指摘のとおり、本県の中小企業は非常に小規模で零細性が強い、そしてまた経営基盤も脆弱である、そういう企業が非常に多いんだというふうに思っております。数字上でもそれらのことが明確に出てるわけでございます。さらに、消費者ニーズの多様化、個性化や車社会の進展等により経営基盤が非常に大きく変化しておりますので、中小企業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあるというふうな認識を持ってございます。また、地元中小企業と本県経済との関係でございますが、商業統計あるいは工業統計では、いわゆる中小企業について正確にその範囲を特定することはできないわけでございますが、従業員の規模別で中小企業を推計しますと、本県では全商店数の九九・六%、また、全工業事業所数の九九・一%、さらに、昭和六十一年の事業所統計から建設業、サービス業についても同様に従業員規模で中小企業を推計しますと、建設業では一〇〇%、サービス業では全サービス業の九八・二%が中小企業であると考えられます。このように、建設業、サービス業の占める割合は、もうほとんどが中小企業者であると考えております。そういう意味から、中小企業が、県内の経済と総生産額や雇用面に非常に大きく寄与している、大きなウエートを占めているということは明らかでございます。そういう意味で、今後、中小企業が県経済に占める役割というものには非常に重要なものがあるというふうに考えてございます。  次に、地元中小企業の労働時間の現状や問題をどのように把握しているのかというお尋ねでございます。本県の地元中小企業における労働時間の現状は、県が昭和六十三年七月を基準として実施した中小企業等労働条件実態調査によりますと、月間所定労働時間は百九十九・五時間となっており、前年度の調査に比べ六・二時間減少しております。労働時間短縮が進んでいることが認められるわけございますが、しかしながら企業規模別に見ますと、規模が小さくなるに従って労働時間が長い現状にあり、小規模企業にとっては労働時間短縮を進めることは、生産コストや人件費コストが上がるなどという経営上の懸念から、議員御指摘のように労働時間の短縮には非常に困難が伴うであろうとは考えてございます。さらに、県は地元中小企業の労働時間短縮についてこれらの問題を踏まえてどのように対応していくのか、こういうお尋ねでございます。県としては、従来の週四十八時間から段階的に労働時間を短縮し、最終的には週四十時間労働とする改正労働基準法が昭和六十三年四月に施行されたことを踏まえ、労使を初め一般県民の理解を深めるよう、種々の労働講座の開設や、県の広報媒体の活用等により労働時間短縮の啓発を図ってきたところであります。本年度においてもこれらの広報、啓発を継続するとともに、労働時間短縮を実施している地元中小企業のその実施方法や好事例等、また、労働時間短縮が進まない企業における、障害となっている事項や解決方法等を実地に調査し、その調査結果に基づいた労働時間短縮ハンドブックを作製、配布するなどして円滑な労働時間短縮の推進を図ってまいりたいと考えております。さらに、労働時間短縮の導入に当たって、生産高、売上高が減少する、人件費コストが上がること等が課題として取り上げられておりますので、今年度より労働福祉診断を実施するとともに、関係団体とも連携をとりながら、経営の合理化の促進に向けてより一層の指導に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 51 ◯副議長(山内和夫君) 農林部長。 52 ◯農林部長(本儀 隆君) 相馬議員にお答えいたします。  リンゴの生産予想数量につきましてどういう算出をしたのか、具体的な数字で示せということでございます。やや細かくなりますが御説明させていただきます。予想の基礎となるのは前年産で、今回の場合は六十三年産の実収数量でございます。これについては需要サイドからアプローチをしておりまして、一つには、県外出荷数量、これは生果でございますが三十万五千六十四トンございます。それから加工しむけでございますが、これが県内外合わせまして十四万三千百三十七トンございます。これらは毎月出している数字の集計でございます。加えまして県内の一般消費でございますが、これは総務庁の家計調査報告から推計しておりますが、二万三千八百九十四トンございます。それから、これは県のリンゴ経営実態調査結果からの推計でございますが、リンゴ農家の自家消費数量、これが一万八千百六トンとなっております。これらの合計が四十九万二百トンということでございます。この生産予想数量の方は、この実収数量をもとに前年と比べまして、作付の面積でありますとか、着果率の増減、あるいは八月一日現在の果実肥大状況、こういうものを比較いたしまして、それを案分して予想するわけですが、本年の場合、面積──正確には枝量換算面積と申しておりますが、デリシャス系を中心に若干、約九十二ヘクタール減少しております。しかしながら、着果率は主力品種の「ふじ」を初め総じて良好でございまして、「ふじ」は対前年比一〇五%でございました。それから、八月一日現在の肥大状況というものを見ますと、「つがる」等を中心に前年をやや上回るものと予想されました。こういうものをベースに、八月以降の気象が平年並みに推移した場合、本年産のリンゴの生産量を、前年比一〇三%の五十万五千六百トンと予想したものでございます。以上でございます。 53 ◯副議長(山内和夫君) 相馬君。 54 ◯二十番(相馬しょういち君) それじゃ再質問させていただきたいと思いますが、一番最後の身障者小規模作業所に対する助成の問題でございますけれども、知事から非常に前向きな答弁がなされておりまして、それが単に前向きな答弁ではなくて実現されるようにひとつ努力していただきたい、こう要望しておきます。  それからリンゴの生産予想でございますけれども、結局三者三様の生産数量が発表されまして県民も戸惑っておるわけでありますけれども、これはやはり本県のリンゴ産業にとって決して好ましい現象ではない、生産量をめぐってお互いに議論し合うというのは必ずしもいいことじゃございませんので、ひとつ来年からはこういうようなことがないように十分考えて、そしてまたいろんな団体と協議をして、まあ、過去に団体と一緒になってやってなかなかまとまらなくてこうなったんだという経緯も聞いておりますけれども、その辺もひとつ、今度は二度とこういうことがないようにやっていただきたい、これもまた要望して終わりたいと思います。  それから廃棄物のことですけれども、非常に悠長な、対岸の火事じゃないということを私は壇上でも申し上げたわけでありますが、まだ対岸の火事視してるようなそんな感じがしてならないわけです。首都圏からも二万四千トン建設の廃材が来てる、こういうことでございますけれども、これは確認された数量でございましょうから恐らくもっと多いだろうと思われるわけです。さらにこれがふえてくるというように言われておるわけです。特に青森県の場合は、地価も比較的安い、まだ大分手つかずの自然の土地も残っているというようなことで、首都圏からねらわれるという可能性が十分ございます。特に、さっき申し上げたように、廃棄物──捨てるものに対してそれなりの金を払うという意識がまだ高まっておりませんから、そうなってまいりますと安く上げるように、こうなります。しかも、首都圏からこっちへ来ますと相当運賃は高くなってまいりますので、払う処分費用が決まっているとすれば、結局、処分するための費用というのが、さつき申し上げたように運賃の方にとられまして処分するための費用の方に余り回らなくなりますと粗雑な捨て方をされてくるわけです。それが自然破壊、あるいは環境汚染につながってくるということですし、ひとつ、これは絶対──すぐれて政治問題だと思いますよ。単純な行政的な問題ではなくて、政治問題だという意識に立ってやっていかないとだめだと思うんです。特に、これは知事もいつも言っていることですけれども、一極集中がもたらしたものなんです、これは。まあいろいろあるわけですけれども、新幹線も来ないから結局全部向こうの方に集中しちゃって、青森県が過疎化してるのは向こうに一極集中してるから過疎化している、企業が多くなり人間が多くなれば廃棄物が一層多くなるのは自然でありますから、この点はひとつ相当腹を据えて──識者は、断わるんではなくて受け入れることを考えなきゃならぬと言っておりますが、私はむしろ、廃棄物を受けないことによって一極集中から多極分散になっていくのではないかというような考え方をしてるわけですよ。ですからひとつ、そういう考え方のもとにこの廃棄物に対しては、単純に捨てるものだという考え方ではなくて、非常に強い決意で、しかも多極分散型を求めていくためには、絶対これは、むしろ受け入れないというそういう形で、そういう信念でやっていただきたいと思うんですよ。その点についていま一度御答弁いただきたい、こう思います。  それから県産品の愛用でございますけれども、よほどしつこくやらないとなかなか愛用するというところまでいっていない。秋田の場合は皆さん御承知のとおりでございますが、鹿児島の場合は、乾杯はビールでやるんだそうです、その後全部しょうちゅうを飲むんだ、うちでもそうだということなんですね。ですから、相当地元のしょうちゅうを愛飲するということが県民に浸透しておるということですが、こちらの方は、乾杯は地酒でやりますけれどもその後はどうぞお好きなようにということですから、地酒を──県産品を愛飲するというところまでなかなかいってない、この辺にも少し力を入れていただきたいと思うんですよ。  それから、実は県庁の正面玄関の方に看板がありまして、「一日の活力をつくる朝ごはん、健康と美容のためにごはんを食べよう」こう言っていますが、「県産米」というのが入っていないわけですね。ひとつこの看板に早急にそのことを入れて直していただきたい。これは、管理はどこになってるかわかりませんけれども、農林部長、ひとつこのことについて、やるかやらないか答弁していただきたい、こう思います。  それから地元中小企業の問題でありますが、これは特に時間短縮との問題が出てまいるわけでありますけれども、部長も答弁してるように、合理化するのがなかなかできにくい、合理化の余地の少ないのがこの零細・小規模経営なんですよ。したがって、これをどう──時間短縮するためには必ず合理化しなきゃならないという内容を持っていると思います。それでなきゃ店を時々休まなきゃならないということになるもんですから、それでなくとも経営内容がよくないのに店を休んでいるとさらに悪化していくことになりますので、これはひとつ、三団体からいろいろ話を聞くと言っておりますが、三団体ではどうも、これだけじゃちょっと物足りないわけでありまして、さらに掘り下げて、商店街振興組合だとかいろいろな団体もありますし、できるだけ経営者の個人の声も吸い上げるようにひとつやっていただきたい、こう思うわけですよ。その点……。  それから、金融だとか、あるいは経営診断。金融については、やはり、償還期間を延ばしていくというような考え方をとっていかないと中小、零細ではとても対応できないことになりますので、そういうような金融制度の緩和の問題ですね、もちろん金利についても引き下げをというような考え方が出てくるわけでありますけれども、そういうようなことが絶対必要なことだ、こういうように思っておるわけでありまして、その点についての答弁もいただきたい。  それから、労働福祉診断というのが出てまいりましたけれども、この内容と、これはどの程度の量をおやりになるのか、この点についてもひとつ答弁をいただきたい、こういうように思います。  それから、企画部長に一つ要望しておきますが、実は「青森県の商業」という商業統計があるわけでありますけれども、私は質問するためにこの中をずっと見ましたら実に不十分なんです。と申しますのは、従業員規模別の従業者数がまず出てないということ、それから従業員規模別の販売高が出てないということですね。ですから、せっかくこういうものをおつくりになっても、商工行政のために余り役に立ってない面もありますので、今私が申し上げたような統計をひとつつくっていただきたい。これは要望しておきたいと思うわけです。 55 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 56 ◯知事(北村正哉君) 県外からの廃棄物を見るのに、多極分散型国土形成を意識しながらこれに当たれということで、言っておられる意味は十分わかるわけでありまして、そういった趣旨も踏まえながら善処したいと思います。  それから、朝飯を、ただ米飯ということでなくて県産米でということであります。お述べになる趣旨はよくわかるわけですが、今ここで即答申し上げるということはちょっと、関係者の間で協議してみたいと思います。  それから、乾杯後も地酒を使えと、これはちょっと無理になってくるんじゃないでしょうか。消費の多様化ということもありまして、ビールでいきたい人、その他いろいろあるわけであります。なるべく地酒──県産酒を使うという意識を浸透してまいりたいと思います。あとは部長から。 57 ◯副議長(山内和夫君) 商工労働部長。 58 ◯商工労働部長(中野轍自郎君) 再質問に三点お答えします。  まず、労働福祉診断とはどんなことか、何をやるのかという御質問でございますが、労働福祉診断は中小企業者の労働時間短縮の円滑な実施を図ることを目的にしておりまして、平成元年度から新たに創設されたものでございます。診断の方法としましては、必要に応じ、外部の専門家の参加を求めながら、企業の生産、販売、財務等の経営全般を把握するとともに、生産性の向上、パートタイマーの有効活用、就業形態の改善等経営の合理化の促進について指導助言をしていく、こういう事業になってございます。平成元年度の診断の実施計画につきましては、初年度でもあり、二地区、二件を予定してございます。  それから、時短に関連して、小規模事業者の合理化が難しいと思うんだけれどもどう対応するのかということですが、先ほども申し上げましたが、かなり厳しい状況にあるという認識は持ってございます。そのため、今申し上げました労働福祉診断、工場診断、店舗診断等の活用、さらには、設備近代化資金、それから設備貸与資金、県単の特別保証融資制度等を有機的に活用してきめ細かな対応をしながら指導してまいりたい、こう思っております。  最後に、小規模の企業者が借入金の返済に苦しんでいるような場合、期間延長などの緩和を考えられないのか、こういう趣旨の御質問でございました。これにつきましては、現在でも既貸付者に対して条件変更について保証協会等でそのようなことを実施しております。なお、ちなみに、平成元年度の四月から九月までにそういう期間変更等の条件変更を行っているものが約千八百十一件もございます。金額にして八十八億円余になってございます。今後においても引き続き中小企業の健全な経営が保たれるようにこの面でも努力してまいりたい、こう考えております。 59 ◯副議長(山内和夫君) 要望ですか。──相馬君。 60 ◯二十番(相馬しょういち君) ごみについてはどうも、あんまりたくさん来て困るという状態がまだ出てないもんですから何となく悠長なようでございますが、ただ、千葉のごみが田子町へ来た、あれだけでも実は青森県の「青森」というイメージを非常に壊したと思うんですよ。「青森」ではなくて何か名称を変えなきゃならぬじゃないかというようなそんな声もところどころから聞こえるような状態でございまして、廃棄物についてはもっともっと強い姿勢で取り組んでいただきたいと。どうもよそで受けないものを青森県でよく受け入れるという、この辺が非常に私は気がかりなんですよ。ですから、そういう批判──批判というよりも、青森県ならば何でも受けるところだというような印象を与えないような対応をひとつしていただきたい、こういうように思います。  それから、看板は、知事さんね、やはり「あしたからでも直します」という気持ちでないと、せっかく多額の金をかけて、「おいしくなった県産米を食べよう」という広告が県内各紙に載ってるわけですけども、速やかに実行に移していくというこれがやはり県産品愛用を広めていくことになりますので、そういうようにしていただきたいと思います。私もしつこくしゃべりますから。そういうようなことで取り組んでいただきたいと思います。じゃ、以上で終わります。 61 ◯副議長(山内和夫君) 会議時間を延長いたします。  暫時休憩いたします。 午後四時二十七分休憩        ───────────────────────────────── 午後四時五十四分再開 62 ◯議長(工藤省三君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。二十九番清藤六郎君の登壇を許可いたします。──清藤君。  〔二十九番(清藤六郎君)登壇〕 63 ◯二十九番(清藤六郎君) 自民クラブの清藤六郎でございます。連日執行部ではここに座り続け大変御苦労さまなことでございました。ごく簡単に申し上げたいと思います。  最初に、通告してあるとおり財政の問題につきましてちょいとお伺いいたしたいと存じます。地方財政をめぐる動きに、国から地方への権限移譲、地方間格差是正を中心とする地方財政問題などがある中で、自治省はさきに地方財政の健全化について課題を示しました。平成二年度の地方財政対策の方向としているのであります。世は平成の好景気を受けて国税、地方税とも収入状況は好調とはいうものの、全国の地方公共団体の借入金総額は六十七兆円にも及び、地方財政の現状には依然として厳しいものがございます。一例を見ますると、借入金の返済のために使われる一般財源の割合、すなわち公債費負担比率は、全国平均で昭和四十九年度にはわずか五・二%だったのに対し、六十二年度には一三・五%と三倍近くにも上昇しております。しかも、一般的には十数%を超えますと財政構造の健全性が脅かされると言われている中で二〇%以上の団体は、昭和四十九年度にはゼロだったのが、六十二年度には、全国地方公共団体三千三百の約三割に当たる九百六十九団体となっております。一五%以上で見ますると、実に六割に当たる千八百九十三団体にも上り、そのほとんどは規模の小さな町村でございます。経済の高度化に伴います行政規模の拡大とともに公債費の比率が高まり、その相乗によりましてより一層の借金体質が定着する傾向にあると思われるのであります。本県の昭和六十三年度決算見込みによりますと、公債費の割合は県において一二%、市町村において一二・一%。公債費比率は県においては一四・一%で間違いないと思います、まあこれは県の場合は言わないということになってるんですが……。まあ義務的経費割合が高くなりまして、財政硬直化には変わりはない状態でございます。近年地域経済活性化の必要性が強く望まれておりまして、特に市町村における地域の特色を生かした活性化施策の重要性が認識されておりますが、このような厳しい財政環境下では、中期的視点での財政運営によって政策を考え実践するという観点が特に求められるのではないでしょうか。その結果として、より一層の財政健全化を推進し、各市町村の活性化、もって県全体の経済の活性化も図られると思うのでございます。住みやすい青森県の構築がなされるものと確信するものであります。そこでお伺いいたします。市町村においてはその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定めることとなっておりますが、その裏づけとなる中期的実施計画の策定状況はどのようになっておるのか、また、策定についてどのように指導をされておられるのかお伺いしたいと思います。また、私は、地域振興のためのおのおのの政策論議には必ずや中期的な財源問題や財政環境がリンクすると思うのでありますが、財政の健全化も踏まえ中期的な財政運営についてどのように指導されておられるのかお伺いいたしたいと存じます。  次に良質米対策についてであります。これは、私の前に諸議員が随分申されておりますので簡単に申し上げたいと思います。本年度の品種別作付状況によりますと、うまい米として人気が定着し、十一年連続首位のコシヒカリや前年比八%増のササニシキ、これが前年に引き続き作付の面積を伸ばしております。両品種で三六%のシェアで全品種の三分の一を占めております。最近人気急上昇の「あきたこまち」等の新しい品種の作付も大幅に拡大いたしております。消費者の需要動向に合わせた良質米への志向が急速に進んでいると思われるのでありますが、米の需給事情を見ますと、六十三年産米は国全体で平年作を下回ったものの、六十三年の持ち越し在庫は当初計画を上回り二百十万トンにも及んでおる、と聞いております。消費面では、家庭食の米離れに歯どめがかからず年二%程度減少しております。販売においても、自主流通米の販売が計画を上回っているのに、政府米は、持ち越し米や市場評価の低い米の割合が高いこともあり売却量が計画を下回っている情勢にあると思われます。本県における米の対策は、自主流通米の拡大や市場評価の拡大などを展開してきたところと理解しておりますが、ササニシキや、新品種開発の成果である「あきたこまち」「ゆきひかり」などの看板品種に欠け、「つがるおとめ」への取り組みもようよう緒についたばかりと思われます。今後の大きな課題であります。本県の政府米依存体質が本県米の評価を下げる大きな要因となっているのは指摘するまでもございません。時代は変遷しており、消費者の評価が作付面積の決定要因になりつつあります。農家も徹底的に産地間で競い合い、消費者のニーズに合う米を生産しなければならないと思います。本県産米の課題として冷地稲作の基本技術、土づくり運動、販売努力などありますが、県は今議会にヤマセ地帯での生産取り組み強化のための経費を提案しております。適品種による適地における適収運動の実践、これにより消費者の味覚の選別化にたえられるか厳しい本県米でございます。これへの対応を私はお伺いしたいと思います。  次は青森空港の活用についてでございますが、我々と県当局との理解がちょっと食い違っておりまして、ために私の質問も大分変わってまいると思うんです。それで、私はここでただ単に項目だけを述べて、県当局からこれにお話がございますればお伺いしたいと。まず一つに、東京便のダブルトラッキングの実現のためにはどうしても、三十万人ですか、要るわけでございまして、これをどのようにして三十万人にするか、この促進の方向を私はお伺いしたいと。それから、そのためには旅客へのサービス向上が大事だろうと思います。ダブルトラッキングを図るためにはどうしてもこの壁を乗り越えないことにはどうにもならない。今のところではエアシステムは非常にサービスが悪うございます。これは本当でございまして、これからの青森空港の国際化等を考えますならば、当然これはダブルトラッキングにして、そして福岡あるいは大阪等から国際便を青森へおろして、そして、青森から週に一便でも二便でもよろしいから飛ばせるというような方向でひとつ県当局に努力をしていただきたい、そのように思うわけでございます。  次に交通安全対策、特に脱スパイクタイヤについて伺います。人類が生まれ、はい、歩き、走ることのみに終始し、牛、馬を使うということすら知らなかった原始時代から、人類みずからの手によって今日の交通へと飛躍的な発達をもたらしました。人間社会にすばらしい恩恵を与えてきたところでございます。今日見られるようなことは想像だにし得なかった陸海空の交通手段や、施設、安全性、規則性、敏速性、快適性などその性能面において抜群な進歩を遂げたのであります。しかしこの進歩には、交通混雑、事故、公害などいろいろな現象が発生し、交通の進歩発達と人類との不調和が生じてきたのは既に皆さん御承知のところだろうと思います。このような状況下で自動車の便利さをいかにして社会生活と調和させ、その機能を最高に発揮させるかが課題となっておるのであります。目を本県に転じますと、自動車保有台数は大体二人に一台ということになっておるようでございます。死傷者数も、近年では年に一万人に近づくのではないかという大きな数値となっておりますが、死亡者に限って見ましても、六十一年度では百二十七名、六十二年度では百二十八名、驚くなかれ六十三年度は百四十四名と増加の傾向を見せておるわけでございます。官民一体となっての必死の努力も社会状況の悪化についていけないというのが現状だろうと思うのであります。さて、このような現在、この青森県にももうそろそろ雪が見られるような時期が近くなってまいりました。そこで問題となりますのがスパイクタイヤのことであります。脱スパイクは公害防止の立場からは時代の流れと言わざるを得ませんが、しからば、果たしてそのことによって事故が増加するようなことがないのでしょうか。スパイクにかわるスタッドレスタイヤの性能は万全でしょうか。不安が非常に大きいのであります。しかし、タイムリミットはいや応なしに近づいてまいります。環境庁は使用禁止を柱とした法案を提出するようであります。公害問題、そして走行の安全、どちらが優先するのか社会的問題であります。県としては脱スパイクを今後どのように進めていくのかお聞きしたいと思います。  次は、百花斉放と申しますか、今議会では私を入れて十四人中十三人がこの核燃の問題を取り上げてるわけでございますが、これについて少し申し上げてみたいと思います。二十世紀末を迎えまして二十世紀の世界史を振り返りますと、西暦の一の位が九の年にはその後十年間を規定づける大事件が起きております。一九一九年の第一次世界大戦の終結により一九二〇年代への新しいアメリカの時代が始まったのであります。一九二九年の世界大恐慌、一九三九年第二次世界大戦開戦、一九六九年アポロ打ち上げが成功いたしました。それにより、高度成長・高度技術化時代への移行が始まったわけであります。そして一九八九年、日本では昭和の-時代から平成の時代へと改元されました。政治面では、参議院選挙での自民党の大敗、二度に及ぶ政権交代、また経済面では、昭和六十一年十一月を底とし景気拡大の過程にあります。特に昨年来は絶好調景気とも形容し得る高成長でありました。昭和四十年代前半のいざなぎ景気をはるかにしのぐものであろうと思います。日本経済のスーパーパワーぶりが際立っており、金融大国となっております。しかし、本県においてもさきの参議院選挙では、全国的な潮流の中での反消費税、反農政、リクルート事件による政治不信の三点セットに、プラスアルファ要因として原子燃料サイクル施設についての賛否がその結果となったのは、我々自由民主党の一党員としても認めざるを得ないし、まことに残念至極でございます。反省もいたしております。しかし、このような結果後の知事の行動として、サイクル施設事業協力者としての立場から事業者、国へその対応と現状の認識を訴えたことには敬意を表してもよろしいかと思います。一部野党の中には、参議院選挙勝利の後政権政党になり得べくより具体的政策が求められております。主張と現実とのギャップに今さらながら苦慮をしておるのが現状ではないでしょうか。エネルギー政策を例といたしましても、現在稼働中の原子力発電所は認めるが新規建設は認めないと、これは大沢議員もお話しになりましたが、ではその代替分は何をもって対処するのでありましょうか、などなど政策の一面しか見ておらず、自己の政策を明示できないと言われてもこれには反論ができないのではないかと。しかし、このことは社会党の政権党への一歩の歩みであり大きな進歩ではないか、私はこのようにとらえておるところでございます。土井委員長は、我が青森県議会での事細かい論議の中である程度の安全性はなし得るのではないかとお考えになり、前に述べたような発言につながったのではないかと推察をいたしておるところでございます。柔軟な姿勢こそは政権に近づく最大の近道でありますが、しかし、財布を握っている主婦や浮動票をねらってのマドンナ作戦のようなイメージ先行型で候補者の頭数をそろえ、事の本質をそらすようなことは大政党とは言えないのではないかと。我が青森県には鳥谷部さん、あるいは建部先生、小田桐先生等々人材が数多くございます。これを考えますとまことに残念至極でございます。「自民党の飛行機は古く金属疲労を起こしている。社会党の飛行機はぴかぴかの新品である」、これは土井委員長の申したことでございます。しかし、テストフライトも済んでないので不安もあると言っております。核燃問題とて同様でございます。あらゆる手段を通じて安全性を追求することでは、テストフライトもしていない飛行機よりも安全ではないでしょうか。我が自由民主党には、将来を見通しての政治、十年先を目標にした明確な目標設定とその実践政策とその裏づけ理論がございます。消費税についてもしかり、エネルギー政策についても同様でございます。政策の実施段階における意見についてはそれを受け入れる機能を有しており、批判を恐れるものではございません。まして実践可能な政策なきところとは断じて異なるのでございます。このような政治理念をもとにして質問に入るわけでございますが、原燃サイクル施設問題についてでございます。日本のエネルギー問題は、国民生活の根幹をなすものとしてこれを抜きにするわけにはまいりません。豊かな社会建設はあり得ないのでございます。世界の政治情勢からも石油依存からの脱却をしなければなりません。地球の温暖化という非常に大きな問題も今抱えてございます。しかし、国民福祉の源であるエネルギーバランスがよくとられておるように図らないとこれは大変なことになるのでございまして、しかるに、本県における原子燃料サイクル施設建設に対し反対する動きの中で、一部専門的運動家や組織は別といたしまして、県内のまじめな農業者の声には大いに注目しなければならないと思います。また、現実的な理解を得るための活動を早急にするべきと強く思っております。外国に目を転じますと、再処理施設の先進国と言われるフランスの場合にあっても、一九七〇年代、ジスカールデスタン大統領時代に反原子力世論の高まりがピークに達したときがございました。大体七七年まで続いたと思います。フランス電力公社はPA活動に力を入れました。一九七五年からディベーダー──解説者と申しましょうか討論者と申しましょうか──という専門家を養成し、各地でつじ立ちし、国民からの疑問に答え、根気強く直接対話することをPAの基本としてきたと理解をいたしております。さらにチェルノブイリの事故の後は、フランス電力公社が契約している産業医を動員し一般医に放射能汚染の知識を講義するなど国民の正しい知識の普及啓発に努め、草の根PAが実を上げております。そのためにラアーグ再処理工場は実に二十年もの歴史を持つに至りました。フランスの例を挙げるまでもなく、技術論を振りかざし、ただただ安全だと主張する立場と専門的知識を持たない人々とのこの知識ギャップは、無知は悪との論ではこれはだめでございます。事業者の根気強い安全の証明努力をもってこのギャップを埋めるべきであろうと考えます。しかるに本県の場合はどうでしょうか。そこで質問いたしますが、核燃は安全であるという立場ではなくて、今後の原子力政策のためにも、この施設に関し、事業者の全県的・全国的PA活動にまつべきであると考えるものであります。知事の御所見を伺いたいと存じます。  次は事業実施に当たっての事業者の姿勢についてであります。低レベル貯蔵での断層問題、再処理施設でのボーリング調査の追加、施設上空の飛行制限問題などについての事業者の県民に対する姿勢を私は甚だ遺憾に思っておるものでございます。より謙虚な立場で理解を求める、そういう姿勢があってこそPA効果が期待できるものであると考えるものであります。さらに、今ごろになって少しずつ事実を発表するような、県もまたこれを弁護するような姿勢が時々見られるように思われるのは甚だ遺憾至極であります。理論、理屈ではなく、判断を示した県民の考えを尊重するのが政治の原則ではないでしょうか。この知事の御所見を伺いたいと思います。  次に、地域振興上の経済効果を考えますと、現行制度の電源三法交付金や電力料金軽減は立地周辺に限られ、全県的波及効果のないのが甚だ物足りないところでございます。むつ小川原地域・産業振興財団の活用を図るとの意見がありますが、さきの資源エネルギー庁長官の電力移出県等交付金云々の発言などは、「今ごろになって何を言うのか」と思わざるを得ないのです。このように、今ごろになって──もっと早くこれはやるべきだったと思うのであります。我々は過去において随分といろいろな問題で中央にだまされてきたと考えております。また二度とだますようなことがあるならば、我が党の総務会長である金入議員の長官に対する申し入れのように核燃凍結へと向かわざるを得ない、これを知事は再度長官に申し入れをしていただきたいと思うのであります。私は、新制度を創設することにより、下北の一部、津軽全域を住みよい地域にするよう強く働きかけるべきと考えますが、知事の御所見を伺って私の一般質問を終わりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。 64 ◯議長(工藤省三君) 知事。 65 ◯知事(北村正哉君) 清藤議員にお答えいたします。  初めに、地方財政に関する御所見を述べられ、県の指導を強調されたわけであります。このことについては実施計画の策定状況等を総務部長からお答えいたしますが、私からも一言申し上げれば、地方財政は昨今に至って若干好転したと言われてはいるんでありますが、またそれもある程度事実でありますが、依然として脆弱な財政基盤にあることもまた同時に言えるわけでありまして、今後の指導を怠ってはならないというふうに考えているところであります。  良質米対策、これは農林部長。  それから、青森空港について、ダブルトラッキングを導入しろ、二社以上、複数にして運営すべきだと、やっぱり利用の実績が物を言うことになろうかと思います。ダブルトラッキングになれれば大変結構なわけでありますが、その辺の実情等について担当部長から申し上げることにいたします。  国際空港たらしめよと、これは私から申し上げることにいたしますが、国際空港にはなりたい、なりたいし、地方空港でいろいろあちこち国際定期便が出てるところがあるわけであります。福岡、鹿児島──福岡から出て、鹿児島・沖縄経由香港便、大阪から成田または羽田経由欧米便、名古屋から鹿児島経由シンガポール便、成田から福岡経由香港便、成田から名古屋経由シンガポール便、新潟から小松経由ソウル便、こういう国内に例があるわけでありますが、いきなり青森空港をこれと肩を並べさすということになれば、需要の面からやっぱり問題があるわけであります。国際定期便を発着させるということに至るまでには、空港における税関・出入国管理・検疫施設の整備を初めとして解決すべき前提になる課題がたくさんあるわけでありまして、そこには多少の時間が必要かと思います。国際空港になるための道筋としては当面チャーター便の実績をふやすということが非常に大事なことのようでありますので、その辺に着目して何とかこの上とも、今もやってるわけでありますが、国際チャーター便の運用をふやしてまいりたい、実績をふやしてまいりたいと思っております。  スパイクタイヤに関しては、これも担当の方から申し上げますが、お話のように製造も中止される、販売も停止されるということで、これはせっぱ詰まってきてるわけであります。これに対する対応をやってるわけでありますので、生活福祉部長になりましょうか、から申し上げます。  原燃サイクルについてはいろいろな角度から御所見を述べられました。フランスのPA活動等の例を挙げられて、PAの草の根活動をやるべきだ、特に事業者において全国規模でPA活動をすべきだ、こういうことに関しましてはそのとおりだと思います。思いますので、この議会におきましても、参議院選挙を通して反対者の方々が相当おられることがわかるわけでありますから、そういった方々に対しても、情報を提供し御納得をいただくような方策というものを強く考えていかなければならない。それには、第一義的に事業者に考えてもらう、それを国にバックアップしてもらう、県が協力する、こういうことで反対の皆様方の不安を何とか除去していくことに全力を尽くすということが当面課せられた私どもの責務と思っているところであります。  それから、事業者の県民に対する姿勢に問題がある、もっと謙虚であれ、こういう御趣旨で述べられたわけであります。全く、県民に理解を求めていく、説明をしていくという立場でありますから、相手に不快な感じを与えないようにできるだけ謙虚な立場で理解を求めていく、こういう姿勢が必要だろうと思うんでありまして、お話しになられた趣旨については、業者の方にも、業界の方にも──事業者の方にも伝えてまいりたいと思います。  それから、地域振興のための経済効果はどうなるか、特に、県内の一部でなくて下北やら津軽地域全域に経済効果が行き渡るように考えるべきだ、こういうお話でした。電源三法交付金等に関しましては、昨今の情勢を踏まえまして、現行制度上の対象地域や範囲を超えてできるだけ広く諸施策に活用できるように、制度の一層の充実と新しい助成制度の創設がここで必要だという考え方をかねてから国に対して要請をしてきたところであります。去る九月二十八日に山本資源エネルギー庁長官が来県した際にも改めてこのことを要請したわけであります。これを受けた形かと思いますが、お話のありました、いきなり今の電源三法をもってすることは制度上なかなかむつかしいことが考えられるので、平成二年度の新しい政策として、企業導入に関する新たな支援対策を津軽地域をも対象として──現に津軽地域を対象とした企業誘致が実現できているわけでありますが、この上ともひとつ考えたい、あるいは、お話の中にありました電力移出県等交付金の交付対象として、原子燃料サイクル施設についても原発並みに考えていきたい──準じて考えていきたいと。今ごろでなくてもっと早くやればよかったということを言われたわけでありますが、全くそのとおりでありますが、制度の改変でありますから、ある時間を──何がしかの時間をそこに必要としてくることもまた理解してみなければならないと思うわけであります。まあこのことが実現すれば、とりあえず少額ではあろうかと思いますが、県内全体に電力移出県の立場で交付金も出てくる、こういうことであろうと思いますし、大体、関連企業を通して県内全体の、まあこれは私の口癖のように、私の持論とは言えないんでありますが産業構造が変わってくるわけでありますので、その点で県内全域にわたって姿が変わってくるんだ、それによる経済効果というものは農業者も含めて大変に小さくないものがある──小さくないということは大きいということであります──必ずあるというふうに考えているところであります。また、いずれにしましても、県として、広く県内に効果が及ぶような、新しい制度の創設も含めて引き続き実現方を要望してまいりたいと考えておるところであります。私からは以上であります。 66 ◯議長(工藤省三君) 総務部長。 67 ◯総務部長(中川浩明君) 市町村の財政運営についての御質問にお答えをいたします。まず市町村におきます実施計画についてお答えをします。総合的にバランスのとれた施策の計画的展開のため、市町村においては御指摘のように基本構想を定めることとなっておりまして、県内市町村のほとんどにおいて策定されているところでございます。また、土地利用、産業振興、生活環境、行財政などの各部門ごとの施策、手段を体系化しました基本計画もあわせて策定されているところでございます。さらに、基本計画で定められました施策の各年度ごとの実施計画を定めることとされているのが一般的でございますが、この実施計画を定めております団体は平成元年五月一日現在で三十二市町村となっております。また、実施計画と同様の機能を有する過疎地域振興計画を策定している十町村と合わせると、実質的には四十二の市町村が実施計画を策定している状況にございます。県としては市町村計画の実効を高めるため、実施計画の策定、社会的・経済的変化の対応を目的としたローリングの実施等標準的な策定要領を示して指導をいたしているところでございますが、今後とも、実施計画が全市町村で策定されるよう引き続き指導を続けてまいりたいと考えております。  次に、市町村の財政の健全化も踏まえた中期的な財政運官指導につきましてお答えをいたします。昭和六十三年度の市町村普通会計の決算状況によりますと、経常収支比率は八〇・二%、公債費比率は一六・三%とそれぞれ前年度を下回り、また、普通建設事業費も対前年度比一七・一%の増となるなど、極めて厳しい状況で推移したここ数年に比較した場合若干好転の兆しがうかがえるところでございます。しかしながら、歳入におきましては、自主財源の大宗をなします地方税が伸び悩み、歳出におきましては公債費が引き続き増高傾向にあるなど、知事からも申し上げましたように依然として財政基盤は脆弱であり、さらには義務的経費割合の高い硬直的な財政構造となっているのもまた事実でございます。県としましては昭和五十七年度より、財政構造が悪化しております市町村に対し、社会経済情勢の変化に弾力的に対応し得る財政構造を確立し、適正かつ合理的な財政運営を図ることを目的に、中期的な事業実施計画をも組み込んだ市町村財政運営計画の策定を求め、経常収支比率、公債費比率を低下させるなど健全な財政運営についての指導をしてまいったところでございます。今後とも、この計画の内容の充実、地方行政改革の一層の推進などにより、市町村における行財政の健全化及び地域の活性化施策の展開に向けて指導助言を続けてまいりたいと考えております。 68 ◯議長(工藤省三君) 企画部長。 69 ◯企画部長(福岡幹栄君) 旅客へのサービス向上のために青森空港-東京便についてダブルトラッキング化を図るべきではないか、そのための手だてをどのように考えているかというお尋ねでございます。議員御指摘のとおり、ダブルトラッキング化がされますと、一つの航空路線に複数の航空会社が乗り入れするわけでございますから、航空会社間の競争が促進されまして利用者へのサービス向上が期待できるわけでございます。ただ、御案内のとおり、昭年六十一年に運輸省航空局長通達というのが出まして、年間需要七十万以上の路線について積極的にダブルトラッキング化を推進するというふうになっております。青森空港はジェット化によりまして利用客はふえましたわけですが、昭和六十三年度の実績で三十万三千人でございます──青森-東京間の路線の利用者が年間三十万三千人。したがって七十万とはまだ相当隔たりがあるわけでございます。したがって、ダブルトラッキング化を実現するためにはまず利用客の大幅な増加が必要でございます。そのためには、冬季におきまして利用客が非常に落ち込んでおりますので、いわゆる冬季における利用客の増を図る必要があるということで、いわゆる通年観光への取り組みの強化が必要であるというふうに考えております。またもう一つ、現在の便数は、青森-東京便は三便でございますが、この便数ですと大幅な利用客の増加をなかなか望めないということから、これを打開するために県では運輸省、航空会社に増便を要望しているわけでございます。しかし、東京国際空港の羽田の発着枠には余裕がないということでまだ実現を見ていないわけでございます。現在羽田空港におきましては沖合展開工事が実施されまして、昭和六十三年に第一期の工事が完成しました。それで若干発着枠がふえたわけですが、それに伴う増便枠はほとんど配分されておりまして、残りは数便程度というふうに見られております。全面完成するのは平成七年でございますが、それまでは大幅な発着枠は予定されていないということでございまして、全国のほとんどの空港から増便の要求が出ている、また、その間に新規の開港やジェット化が予定されている空港があるわけでございまして、それへの優先配分が求められているなど競争は非常に厳しいわけでございます。県といたしましては、現在の便数では運航の間隔が大きくて利用上不便であり、かつ、便数増で利便性が高まることによりさらに利用客の増加が見込まれるということを背景にいたしまして、議員各位のお力もおかりいたしまして、今後とも関係機関に対して増便を強力に要望し、それによりダブルトラッキング化実現への足がかりとしたいというふうに考えております。 70 ◯議長(工藤省三君) 生活福祉部長。 71 ◯生活福祉部長(秋田谷恒夫君) 脱スパイクタイヤ問題についてお答えいたします。近年、スパイクタイヤの使用によりまして生ずる粉じん、道路の損耗等が、積雪寒冷地における生活環境の保全と健康の保護の観点から社会問題となってきたところでございます。昨年六月に国の公害等調整委員会におきまして、スパイクタイヤの製造・販売中止を求める調停申請について国の調停が成立いたしまして、スパイクタイヤの製造が平成二年十二月末をもって中止、また販売は平成三年三月末をもってそれぞれ中止、このようになったのでございます。こうした中で環境庁におきましては、スパイクタイヤの使用禁止等を内容とする法制化に向けて早期に成案を得るべく、現在関係省庁と折衝が続けられていると聞いております。こうした状況にかんがみまして、県といたしましては、従来のスパイクタイヤの使用自粛対策を一層促進するとともに、スパイクタイヤの製造・販売中止が目前に迫っている現状から、より広範な脱スパイクタイヤ運動を県民運動として推進することといたしまして、関係民間団体を主体に、青森県脱スパイクタイヤ対策協議会へこれはまだ仮称でございますが、この脱スパイクタイヤ対策協議会を組織すべく鋭意準備を進めてきたところであり、近く設立の総会を開きたいと考えております。県といたしましては、この協議会の中におきまして脱スパイクタイヤについてさまざまな観点から御意見、御提言をいただき、関係団体と協調いたしまして県民の間にスパイクタイヤ運動を浸透させていきたい、このように考えているところでございます。また、庁内に関係十二課室をもって構成する脱スパイクタイヤ対策連絡会議を設置いたしまして、脱スパイクタイヤ運動に伴う具体的な諸対策について協議いたしまして、県として対処してまいる考えでございます。以上でございます。 72 ◯議長(工藤省三君) 農林部長。 73 ◯農林部長(本儀 隆君) 良質米対策についてお答えいたします。議員御指摘のように、消費者の評価が作付面積を決めるといったような時代に入ってきているわけでございますが、本県の稲作については、本県産米に対する市場評価が残念ながらまだ低いというような事情がございますので、そういう中で、「売り込みのできる青森米」というものをスローガンに、適品種の導入や販路拡大といったことを柱とした安定・良質・適収運動というものを第二期の産米改善運動として展開してきているところでございます。特に適地適品種という観点からは、この三月、青森県産米の当面の課題と対応策ということで自主流通米の拡大ということと同時に打ち出しておりますのが、今後の稲作については作付を奨励している品種の特性を最大限に生かすということを念頭に置きまして、気象条件等から県内を四つの地帯に区分して、それぞれの地域に適した品種の作付誘導を図ることといたしております。なお、現在、安定、良質、適収をスローガンに第二期産米改善運動を展開しておりますが、これは今年度で終了することになっております。今後の新しい米づくり運動の展開につきましては、これまでの反省あるいは現状認識というものを踏まえつつ、関係者の意向をも十分聞きながら早い機会に提示できるようにしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 74 ◯議長(工藤省三君) 清藤君。 75 ◯二十九番(清藤六郎君) 御懇切丁寧な答弁をいただきました。私はちょっと言い忘れたことがございます。これは質問になります。TRU、これは先般木村議員から質問があったわけですが、私も聞いていて、処理技術はできているけれども処分方法は未定だというふうに受けとめたのですが、それじゃ、高レベルでもない低レベルでもないちょうど中間に位置するというこのTRUに今後どのように対処するのか、これをお聞きしたいと思います。  それと、これは非常にけちくさい話なんですけども、知事さんはごく少ない金額だとおっしゃいましたけれども、電力の移出県等交付金はどのくらいの額になるのか、これは、後ででもよろしいんですがお聞かせいただければよろしいかと思います。  さて、これから要望を申し上げます。今の飛行場の問題でございますが、これは需要を掘り起こさないといけないんですよ。現在あるそれで人をもっとふやす、乗客をふやすというんではいつまでたってもふえません。ふやすような、または簡単に利用できるような方策にしないと人はふえません。今でもなかなか切符が手に入らない。この点はぜひ県でもひとつ。先ほど、便数がなかなかとれない、枠がとれないとおっしゃいましたけれども、強力な何かの手を使ってやらないことにはいつまでたってもダブルトラッキングはできないということを申し上げたいと思います。  それからもう一つ核燃で忘れましたが、経済界の中心たる電事連などが中央の経済界に働きかけて、事によっては来るという企業もあるんです、千人ぐらい使えるような企業で。そういうことを電事連は経済界にもっと働きかけて、津軽にもそういう企業をたくさん張りつけるようにひとつ御努力することを知事からもお話しいただきたい、そのように思っております。これは要望でございます。  それから「つがるおとめ」のことでございますが、これは簡単に申し上げます。津軽では、これは非常に品の悪い言葉なんですけども、「行かず後家」という言葉がございます。お嫁にだれももらってくれない。言うならば、だれも買ってくれない乙女では「行かず後家」ということになる。また、買ってくれる人があっても、「これはだめだ、あとは……」と言われたんでは、これは出戻り娘という話にもなりますので、これはひとつ……(発言あり)議長、注意しないでくださいよ。(笑声あり)笑い事じゃないです。これだけ深刻に──よろしいですか、今、核燃核燃と百花斉放やっていますけれども、これは国家の事業ですよ。国家がもっと前面に出てくるべきでしょう。今青森県の農家が置かれている苦境、現状はもっと深刻なものがあるんです。私はこれを言いたいんです。それを何とかこの「つがるおとめ」で回復できないかと。私はまじめに申し上げているんで、決して変な下品な話をしているわけではございません。  最後にはスパイクタイヤの問題ですけれども、これは中央でどのように決めましても、非常に多様化してる季節でしょう。青森県だって津軽地域と南部地域じゃ全然違うんです。中央とこっちではまた雪質も全然違います。朝雪が降ったときに土木事務所では、県道などはきれいに、ある程度の層を残して除雪してくださいます。しかし、日中暖かくなってこれがシャーベット状になったときに車が通りますと全部わきへ寄せられて、それが夜になると固まる。そうすると、強固な、脱出不可能なぐらいのかたいわだちになります。このときに果たして今のスタッドレスタイヤで出られるか。昨年私はやろうと試みました。危うく対向車と側面衝突をしそうになった。これは無理なんです。現行のスタッドレスタイヤでは必ずわだちにとられます。事故を起こした、罰金を食うのは運転者が悪いと。本部長がいらっしゃいますが、私は答弁は求めませんけれども、これはまだまだ早いですよ。これを性急に──地域地域の実情を踏まえないでの脱スパイクタイヤというものは時期尚早じゃないかと。この点は、まあ対策委員会とか協議会とかあるようでございますが、十分にひとつお考えいただきたい。私は、これはむしろ、中央の環境庁がばっちり法律で決めるよりも、各県各県の特色がありますから、条例とか何かでなんとかこれをさばいていけないものか、そういうふうに考えるわけでございます。それもひとつ検討していただきたい。  最後に、これは通告をしておりませんのでなんでございますが、ひとつ議長のお許しを得て申し上げたいことがございます。というのは、飛行場の問題も絡みますけれども、十一年前に今の新空港の現在地を知事は勇断を持って決められた。そして今ジェット機が飛ぶ。チャーター便も飛ぶ。私はあの新幹線の駅舎決定問題を思い出しまして、知事の英断がこれによって非常に花を開いておるというふうに考えます。それともう一つお礼を申し上げたい、敬意を表したいということは、昨年の十二月議会で私はバイオテクノロジーのことを申し上げました。知事さんからも非常に前向きな御答弁をいただいて喜んだわけでございますが、聞くところによりますと、今、アメリカのアイオワ州ですか、そこへ県の職員が行っておるということで、この対応の早さといいますか、そういう知事さんの決断力のいいところには私は深く敬意を表しております。それでございますので、今ただちょっとやったからということではなくて、これから連続してこういうふうに職員を、向こうと交流でもよろしゅうございますので、やるようにひとつ格段の御配慮をお願いして私の要望を終わりたいと思います。終わります。 76 ◯議長(工藤省三君) 知事。 77 ◯知事(北村正哉君) TRUにつきましてはむつ小川原開発室長の方からお答えをいたします。  電力移出県等交付金は約五億円と聞いております。年々出るわけでありますが、ただ、これは固定した数字じゃなくて将来もっとふえる可能性もあるのではないかというふうに思われます。  企業誘致につきましては、矢崎総業だとか藤倉電線だとか、国内の最も有力な企業が既に動き始めて、県南地域、津軽地域両面にわたって進出を具体化できることになろうと思います。  スパイクタイヤに関しましては、この関係の協議会ができるわけでありますから、今後とも、その中で十分討議して結論を出してもらいたいと思ってるところであります。 78 ◯議長(工藤省三君) むつ小川原開発室長。 79 ◯むつ小川原開発室長(内山克己君) TRU廃棄物、すなわち超ウラン元素を含む放射性廃棄物が再処理工場から発生するわけでございます。その処分等についての研究開発につきましては、現在、日本原子力研究所、あるいは動力炉・核燃料開発事業団において研究開発を進め、大体実用の段階に来ております。ただ、処分のあり方等については、国を中心にしながらさらにその検討を進めているわけでございます。今後どのようにするかという点につきましては、国の所要の検討を踏まえて対応をする、こういうふうに伺ってございます。以上です。 80 ◯議長(工藤省三君) 清藤君。 81 ◯二十九番(清藤六郎君) 知事さんは矢崎総業のお話をなさいました。あの会社は有名な会社でございます。あそこには、津軽地域から、特に五所川原を中心とした地域からたくさんの従業員が行っております。これを持ってくることによって出身者が地元で働けるということでございますから、そういう面も考慮しながら御配慮をひとつお願いしたい。終わります。ありがとうございました。 82 ◯議長(工藤省三君) これをもって一般質問を終わります。以上をもって本日の議事は終了いたしました。明日は午前十時三十分より本会議を開きます。本日はこれをもって散会いたします。
    午後五時五十一分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...