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昭和60年第164回定例会(第3号) 名簿 開催日: 1985-12-10
昭和60年第164回定例会(第3号)  本文 開催日: 1985-12-10

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  1. 青森県議会 1985-12-10
    昭和60年第164回定例会(第3号)  本文 開催日: 1985-12-10


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(石田清治君) ただいまより会議を開きます。        ──────────────────────────────────────            ◎ 一 般 質 問 継 続        ────────────────────────────────────── 2 ◯議長(石田清治君) 一般質問を継続いたします。二十二番間山隆彦君の登壇を許可します。──二十二番。  〔二十二番(間山隆彦君)登壇〕 3 ◯二十二番(間山隆彦君) 公明党の間山でございます。十二月度定例会に当たりまして、通告の順にお尋ねしてまいります。  初めに新幹線問題についてであります。東北新幹線盛岡─青森間の着工につきましては、去る八月二十二日の政府・与党の申し合わせによりまして、財源問題、国鉄分割民営化における建設主体、運営主体のあり方、並行在来線の廃止の具体的内容等を検討することとなり、県民の悲願であります本格着工は実質的に六十二年四月まで先送りとなったわけであります。しかも、申し合わせ第四項の新幹線周辺環境整備事業を実施するといっても、現実には何もできないという感を受けるのであります。このような状況下で、在来線である奥羽本線石江駅のホーム建設にこぎつけたこと、及び今後の見通し等につきまして伺ってまいりたいと思います。  第一は、東北新幹線盛岡─青森間の建設問題について、石江駅、すなわち新青森駅を請願駅として新設することにより、これを事実上の着工とすることについてであります。もとより、東北新幹線盛岡─青森間は新規着工路線でもなし、終着駅は盛岡駅でもないわけであります。東北新幹線は盛岡まで暫定開通しているのであり、盛岡以北は既に、国鉄自身の手でその路線及び駅の位置が示されているのであります。その意味から、請願駅の形式をとることについては納得しかねるところであります。しかしながら、整備新幹線が国の財政難を理由に遅々として進まない現状を見るときに、北陸に先んじて新青森駅に着工のつち音を立てることは早期着工ととらえることが妥当なのかもしれません。残念なことは、新幹線着工のつち音を待ち望んでいるのは県民すべてであります。新青森駅の着工に口を挟む気は毛頭ないのでありますが、新青森駅と同様の機会は七戸、八戸にもあったはずであります。特に八戸の場合は在来線駅を利用する計画であることを考えるとき、今回何ゆえに青森と一緒に着手しなかったのか、その理由を承りたいと思います。もしその理由が、八戸駅の場合、都市計画事業やルートと現駅舎との関連で設計構想等に手をつけにくかったというのであれば、都市計画事業、すなわち区画整理事業なしで新幹線着工の可能性は今後ともないのか伺いたいと思います。  第二は、冒頭申し上げました、本格着工の関門である整備新幹線財源問題等対策検討委員会の結論を得る時期についてであります。八月二十二日の申し合わせでは、検討委員会の結論を、国鉄民営化のスタートする六十二年四月を目途としております。このことは、六十二年四月になったら新幹線は新会社と地方で勝手にどうぞ、と言われかねないのであります。つまり、六十二年度予算では本格工事費を何としても獲得する必要があるわけであります。そのために、六十二年度の概算要求の時点、すなわち六十一年の夏までに検討委員会の結論を何としても引き出す必要が生じてくるのであります。この点について知事はどのような見通しを持っておられるのか、またどのように対処していくのか、伺いたいと思います。  第三は地元一部負担問題についてであります。今回、新青森駅の一部負担問題については、一時期、一部負担先行論、すなわち、地元が負担するならすぐにでもできるという議論があったわけですが、もともと既設新幹線は地元負担などというものはないのであります。しかも、国土の均衡ある発展を考えるとき、本来国は、大局的見地に立って最優先で新幹線整備を図るべきであります。時あたかも国は財政再建、行革の折から、新幹線早期完成を望む立場としてはやむにやまれない一部負担の覚悟であると思うのであります。その意味からすれば、今回の一部負担については、財源問題等検討委員会の結論を待って事後精算方式としたことは、確実に新幹線が通るという保証を得た後に一部負担するということであり、よりましな措置ではなかったかと思います。しかしながら、今後を展望するとき、盛岡-青森間工事六千四百億円のうち本県部分は約三千七百億円が見込まれるのであります。仮に一〇%負担とすれば三百七十億円の負担であり、工事期間を七年程度と考えると、単年度五十億円を超える負担となるのであります。これは、昨今の県及び市町村の財政状況を考えるとき、その負担は相当重いものと考えます。しかるべき財源の確保が不可欠となりますが、御所見を承りたいと思います。  次に原子燃料サイクル施設について伺います。ウラン濃縮・低レベル放射性廃棄物貯蔵施設使用済み核燃料再処理工場の建設は既定の事実として進められつつあります。六十六年運転開始、六十三年建設着工が目標で、国の安全審査に向けてのデータ収集のための「日本原燃サービス」と「日本原燃産業」の立地環境調査は、来年後半終了を目途としております。ここへ来て政府サイドの側面援助もひときわ目立っており、通産省は、原子力発電と同様に、電源三法による交付金を前倒しで交付の方針のようであります。六ヶ所村は、鳴り物入りだったむつ小川原開発が結局は石油倉庫で終わりそうである以上、沈滞化している現状から脱皮して、核燃料施設をてこに村を活性化しようとすることもまた無理からぬことと認識するものであります。総事業費一兆数千億円、県内発注約三千億円が見込まれ、工事の最盛期には三千五百人の労力が必要とあれば、期待しない方がどうかしているのであります。そして、三施設の放射性物質は法により基準以下に抑えることが十分可能であり、処理技術の蓄積もある、とする安全論もあります。しかし、底流にはぬぐい去ることのできない不安感が重く深く沈潜されていることもまた事実なのであります。それは、六ヶ所村一帯の地盤、気象、海流など自然条件が危険な原燃施設に耐え得るのかどうか、放射性物質がヤマセや海流などで拡散され農水産物に悪影響を与えないのか、等不安が尽きないのであります。危険が伴う原子力関連施設の立地は過疎なるがゆえに選ばれ、僻地は、不安を抱きながらも活性化を呼び起こす起爆剤として開発に期待をかける、というのがこれまでの開発のパターンであります。いずれにしましても、現段階での核燃安全論は尽きるところは机上論であり、スケジュールに固執する余り地元との話し合いをおろそかにすることがあってはならないことを申し上げ、お尋ねいたします。  第一に、原子燃料サイクル施設立地協力要請を受諾したことに伴い、三施設の交付対象化を早期に実現させるべきと考えるが、どのような状況になってるのか伺いたいと思います。第二に、海域調査が未着手であるわけであり、事業の進展に影響を及ぼすのではないかと思いますが、調査スケジュールをお示し願いたいと思います。第三に地域振興でありますが、原燃施設が地元の期待する地域振興と結びつくのかどうかであります。地元が期待するのは、関連企業及び研究施設等の誘致でありますが、これまでの動きを見る限り期待薄であります。例えば、仙台新港には濃縮ウラン関係の工場が立地済みであり、東海村には研究機関が誘致されると聞きます。元来原子力地帯には工業集積が進まず、ポスト原発が深刻な問題となっております。生活基盤、工業集積のない六ヶ所村にこれら企業誘致が可能なのかどうか伺いたいと思います。  次に農業問題について伺います。さきに通告いたしました「地域農業の振興」につきましては次の機会に取り上げることといたしまして、今回は割愛させていただきたいと思います。  まず第一点といたしまして水田利用再編対策への取り組みについてであります。明年度で水田再編第三期対策は終了するわけでありますが、五十三年から始まり、三期九年間の仕上げの年でもあり、六十二年度以降の施策への基礎となる重要な時期であることを銘記しながらお聞きしてまいりたいと思います。この対策は、目的として「米の計画的な生産調整」と「総合的な食糧自給率の向上」を掲げ、おおむね十ヵ年の歳月をかけて実施されてきたわけであります。この間、国の転作等目標面積は、昭和五十三年度の三十九万一千ヘクタールから昭和六十一年度の六十万ヘクタールに拡大され、これに伴って本県においては、昭和五十三年度の一万二千七百二十ヘクタールから昭和六十一年度は一万八千七十ヘクタールに、本県の水田の実に二二%にも当たる面積であり、稲作農家にとって荷の重い課題を押しつけられた、との感をぬぐえないのであります。特に、昨年、韓国米の緊急輸入の際に二万六千ヘクタール緩和を決定し、三期中はこれ以上減反面積を変更しないという農相の発言があったにもかかわらず、ことしの作況がよかったからといってすぐにもとの面積に戻すとは、文字どおりネコの目農政のそしりを免れがたいと思うのであります。振り返ってみまして、四十五年からの米生産調整対策、四十九年から稲作転換対策、五十一年から水田総合利用対策と通算すれば、実に十六年間の長きにわたって米の生産調整が実施され、その都度稲作農家が振り回されてきたと言えるのであります。しかも、今後もなお米の潜在的な過剰傾向は続くとも予測されております。この予測を受けて国はポスト三期対策の検討を始めており、要調整面積は一層厳しさを増すものと考えられます。このような情勢下にあって、本県の対応方は依然として緊急避難的なものが多いと指摘せざるを得ないのであります。また、他用途利用米の本年度の実施状況を見ると、予定生産量一万一千五百トンに対して約三千トン上回る一万四千五百トンとなる見通しと聞いております。主食用米との価格差が六十キロ当たり八千六百円もあるにもかかわらず三千トンも多く実施されましたことは、本県の稲作志向の強さと転作の困難性を端的に物語っているのであります。明年度へ向けて国は目標面積を六十万ヘクタールと説明し、県はこれを受けて、市町村に対し五十九年度と同面積を配分したのでありますが、転作等目標面積は固定することを原則としているにもかかわらず、結果的には、作柄や需給動向との関連から毎年その目標を変えることになり、見通しの甘さを指摘せざるを得ないのであります。さらに、ポスト三期対策取り組みへの基本認識も含めて、どのように推進していく方針か御所見を承りたいと思います。  第二点として世増ダム建設についてでありますが、国営八戸平原総合農地開発事業、あるいは、これから着手してまいります八戸圏域水道事業整備計画も、このダムの完成に一切がかかっているわけであります。足かけ二十二年の歳月を費やして、その着工に向けて今大詰めを迎えようとしているのでありますが、ここへ来て岩手県との調整が難航していると聞くわけであります。当局の御努力によりまして水没交渉にようやく解決の兆しが出てきたのでありますが、本県が五十六年になって、世増ダム下流新井田川治水のためダムの堤高を五・六メートル高くしたいとしたために、軽米町では水没面積が七十ヘクタールから百十九ヘクタールに、水没戸数も十一戸から下尾田集落にまで及び、一挙に二十六戸にふえることになったのであります。このため軽米町では、下尾田集落の水没回避と、下流の世増ダムから用水をポンプアップする維持管理費の節削をねらって、世増ダム上流の瀬月内川に副ダムを建設する構想を立て、これを農水省へ要望中でもありますが、青森県の合意回答が、農水、厚生、建設の三省の調整待ちということで、容易には対応できないでいるのが本県の実情と仄聞するわけであります。このままで推移いたしますと六十一年度着工が難しくなるのではないかと懸念するわけですが、実情を承りたいと思います。あわせて、水没地区の宅地買収価格が低いこと、営農指針がいま一つ明確でないことに地元では不安を感じているわけですので、お答えいただきたいと思います。  次に教育行政について、特にいじめについて伺います。校内暴力というあらしが吹き過ぎてみるといじめの荒野が広がっていた、というのが多くの人々の実感ではないかと思われます。今や、いじめの問題は教育荒廃の深刻さを象徴しているかのようであります。当初、いじめへの社会一般の関心は薄く、学校にも家庭にもいじめへの配慮が欠けていたように思うのであります。それゆえ、親や教師が子供の訴えを軽視して、子供を自殺といったような破局に追い込んだ側面も否定できないのではないかと思います。今は社会的な注目を浴び、問題の所在の解明が進められつつあります。本県でも、六月から実施した「児童生徒の友人関係に関する調査」では、県全体の小学校、中学校の八〇%近くの学校でいじめが発生しているようであります。そこで、第一に、いじめの問題は現在大きな社会問題となっているわけですが、本県におけるいじめの実態をどのように分析しているのか、また対策はどのようにしているのか、伺いたいと思います。第二に、臨教審は教師の体罰を、そして日弁連は厳し過ぎる校則を、いじめの原因として挙げております。この二点についての本県の、体罰事犯を含めての実態について伺いたいと思います。第三に、本県において、この問題に関連する教員の実態はどうか、また、学校の正常化及び教育向上の根源は教員の指導力にあると思うが、県教委は教員の資質向上のためにどのような対策を行っているのか、伺いたいと思います。第四点として、けさほどの報道を見ますと、野辺地中学で、いじめが原因で自殺者が出たと報じられております。また、同中学ではこの六年間で四名の自殺者が出ているということでありますが、その実情をお知らせいただきたいと思います。  次に八戸地区新産都市について伺います。この新産都市計画が三十九年十二月に承認を得てスタートしてから、十年目の第一期を終了した時点で幾つかの問題点が指摘されてまいりました。その第一点は、投資実績から見て、生産関連施設に比較して生活関連施設が大きく下回ること、第二点として、工業開発の面で臨海部の発展が顕著であるのに対して内陸部の伸びがないこと、第三点として各種の公害問題が挙げられたのでありますけれども、その後基本計画の改定がなされ、生活関連施設整備の重視を目指したのであります。しかし、それからさらに十年を経て二十年を迎えた今、その課題は依然として残されているのであります。具体的に、八戸市の生活関連施設の整備のおくれとしましては、下水道の普及率が一一・六%と大変低く、弘前の三分の一、青森市の半分と、全国平均の三二%にはとても及ばないことはもちろんのこと、県平均の一二・二%をも下回っていること、また、都市計画区域内の人口一人当たりの都市公園面積も、四・一平米と県平均五・七平米に及ばない、等が挙げられます。また、内陸型工業の導入、育成の必要性については、当地区内の活性化を図るためには、産業構造を時代の変化に柔軟に対応できる体質に変革しなければならないし、これまで蓄積された素材型産業の技術を生かしながら付加価値の高い高度技術産業の導入、育成を図っていかなければならないことは、各方面から指摘されているとおりであります。  そこで、第一に、新産業都市建設も二十年を経過したわけでありますが、八戸新産地区の現状を県はどのように評価しているのか、また、今後、県勢発展の上で、青森テクノポリスとの関連も含めてどのように位置づけていかれるのか、展望を伺いたいと思います。  第二に、新産事業財特法の適用年限が延長になるか否かで大変重要な岐路に立たされているわけでありますが、その延長の見通しについて伺いたいと思います。聞くところによりますと、大蔵省の方針によりその規模が縮小されるのではないかとの声もあります。その点もおわかりになりましたら承りたいと思います。
     臨海型から内陸型への転換のための計画として、八戸中核工業団地の早期着工が待たれるのであります。地域振興整備公団では、六十一年度の予算要望に向けて全国一ヵ所の選定作業を行ってきたのでありますが、最終絞り込みの結果、十月末に候補地として宇都宮東部が決定し、地元が運動してきた八中核の六十一年度事業採択は事実上見送りが決まったのであります。この事業は、公団の予備調査を経て市の重点事業要望として出されたのが五年前であります。以来五年間にわたって先送りになってきたことは周知のとおりであります。八戸市がこの中核工業団地に執着する背景には、八戸新産事業は一応の成果はおさめることができたものの、工業としての体質は、景気の影響を受けやすい素材型に偏っており、脆弱なため、技術の高度化に迫られているわけであります。新しい工業開発の展開が今後の課題であり、そのためにも、公団事業による内陸工業用地の造成が急務となっているのであります。しかし、東北で事業採択の最右翼にあると言われる八戸でありますが、隣の江刺で分譲目途が立たない限り八戸の指定は難しいという見方もあるのであります。県としてはこの現状をどのように分析し、見通しを持っておられるのか、伺いたいと思います。今後、六十二年度採択が万一かなわなかった際は別の方途も考えていくのか、あわせて伺いたいと思います。  次に半島振興法について伺います。半島振興法に基づく半島振興対策実施地域の指定基準が決定されまして、その内容は、一つ、二つ以上の市町村から成り、広域市町村圏地方生活圏程度のまとまりのある地域、二つとして、高速道路、空港、新幹線のうち二つ以上の利用が困難、三つとして、農林漁業など第一次産業で働いている人の割合が全国平均の二倍以上、四つとして、昭和三十五年当時より人口が減り、過去三年間の市町村の平均財政力指数が全国平均以下、などとなっております。半島部という地理的条件から環境上の制約を受け、産業基盤や生活基盤の整備等について、他地域との比較において低位にある半島地域の開発促進を図ることを目的としております。全国で半島と考えられる地域は五十一地域あり、そのうち、本県では津軽、下北、夏泊の三半島地域であります。本県の半島地域の実情を見るとき、厳しい気象条件と半島部という地理的条件のため産業活力に乏しく、就業機会も少ないことから、出稼ぎや若年労働力の流出を招き、さらには人口の老齢化、過疎化などの問題に直面し、その解決を迫られる課題も少なくないのであります。県は、五十六年七月に津軽地域開発基本構想、五十八年九月に下北地域開発基本構想を策定し、地域住民の総合的な福祉の向上に取り組んでこられたわけでありますが、その成果は、近年の国、地方を通じての厳しい財政状況にあること等からなかなか思うに任せないのが実情かと思うのであります。こうした状況の中での今回の計画は、国の各種補助を盛り込み、さらには、指定地域の半島振興計画が出そろった後には税法上の特別措置等の優遇措置を設けて、おくれている半島地域の交通網の整備や産業の開発を進める計画と聞いております。去る十一月の二十九日に、国土審議会半島振興法対策特別委員会半島振興対策実施地域の指定基準を決定したことから、年度内の地域指定に向けて対応が急務となったわけであります。  そこで、第一点として、本県の三半島地域の指定見通しと、さらには、その範囲は何ヵ町村が含まれるのか伺いたいと思います。第二点として、半島振興地域指定後の税制上の特別措置等の優遇措置については、県はどのような働きかけをしていくのか、知事の御所見を承りたいと思います。  最後に、白神山地ブナ林保護について伺います。恐らく、日本一のみならず世界一ではないかと言われます白神山地のブナ原生林が、青秋林道問題をきっかけにいたしまして、日本のブナ原生林を見直そうという段階にまで発展し、その保護を訴えようという声が全国レベルまで急激に広がりつつあります。このブナ原生林は、青森、秋田両県にまたがる一万六千ヘクタールの面積に及び、意味の重大さではトキの滅亡などよりもはるかに大きいものがあり、地球に残された最大かつ最後の丸ごとのブナ原生林とさえ言われているのであります。ブナ林の重要さは、その美しさにおいて、いかなる原生林と比較してもブナ林ほど美しい森林はないと言われるその美しさもさることながら、より重要なことは、ブナ林内部の生命の豊かさと保水能力の高さと言われているのであります。ブナ林の豊富な動植物の貴重な種の一例を挙げれば、然ヶ岳と相馬村沢田の岩壁で発見された新種のアオモリマンテマとシカリミミナグサがあり、現在までのところ同山以外では発見されていない固有種とみなされております。これは、ちなみに、植物学界の中では世界的発見であると言われているようであります。そのほか、図鑑の記載と異なる珍種と言われるものが数種類、保護が必要とされる環境庁指定植物やそれに準ずる植物等、九十種以上が見つかっております。しかもそれは、白神山地のブナ林の存在によって貴重植物や貴重な群落の生育が可能であり、単独での自生は不可能である、生態学的な観点から言い直せば、白神山地全生態系の存続は白神山地のブナ林の存続にかかっている、ということであります。また、同じく動物では、国の天然記念物のクマゲラを初めとして五十二種も確認されており、これらもまた生態系としては自然の微妙繊細なバランスの上に成り立っていることから、改変は避けるべきという専門家の厳しい見解が出されております。以上の事柄をまとめて言えば、今や地球的課題となっている遺伝子資源の貯蔵庫──ジーンプールであり、地中の節足動物や微生物、菌類等にまで考慮すれば、生命の種の豊かさは、数字で計算するなどとてもできない膨大なものであります。さらに、ブナの直接的役割として、杉やヒノキなどよりはるかに高い保水能力と土壌保全力が挙げられております。白神山地国有林の秋田県側ブナ林は戦後約三十年の間に半分ほどが切られ、現在残るのは多くが青森県測でありますが、その結果として、藤里、二ツ井など山ろくの町村は次々と大洪水に襲われ、他方では、自然の貯水能力を失ったため常時の川の水量が減って、農業用水にも支障を来すようになったと言われております。白神山地のブナ原生林を縦断する広域基幹林道──通称青秋林道の工事は、西目屋村と秋田県八森町を結ぶ二十九・六キロの区間で五十七年に着工、これまで青森県側二千五百七十九メートル、秋田県側四千百四十メートルが完成しております。この工事の着工前に、環境アセスメント広域基幹林道青秋線全体計画調査報告書が、東京の測量会社によって五十六年十二月に出されているのでありますが、「植物については、植生の個体として特に貴重なもの及び特定植物群落を見ない。動物については、天然記念物として指定を受けているニホンカモンカを除き、特に保護すべきもの、貴重な両生類、爬虫類、淡水魚類、昆虫類等は見当たらない」このように報告されているのであります。過疎地域からの脱出を悲願とする地元が目指す資源・観光開発、地域間交流に必要不可欠な林道であれば工事もやむを得ないのかもしれません。しかし、弘西県道、奥地産業開発道路、そして田代─相馬線の利用価値を考えれば、距離的には青秋林道実現で近くなるのでありますが、半年間は雪に埋もれ、一車線の狭くて曲がりくねった山岳部の砂利道では、時間的にはとても短縮できないのではと言われております。そうしますと、林道建設最大の目的である経済・文化交流もいささか空論じみてきて、その目的は全く別のとんでもないところにあるのではないかとさえ思えてくるのであります。  以上を申し上げまして、次の二点について伺います。第一点として、自然保護は結局人間自身のためであるという原点に返り、県は、白神山地の自然を守るため、ルート変更なども含め可能な限りの配慮に努力すべきと考えますが、御所見を承りたいと思います。第二点として、環境アセスメントは現在のものでは不十分であり、もう一度やり直すべきと考えますが、総合的な自然環境調査を含めて伺いたいと思います。以上でございます。 4 ◯議長(石田清治君) 知事。 5 ◯知事(北村正哉君) 間山議員にお答えを申し上げます。  新青森駅をつくろうというのに八戸駅はどうして着工できないのか、こういうお尋ねが最初であります。新青森だけでなくって、できることなら八戸もやりたい、これが本意でございます。できることなら、やれるものならやりたい。むしろ、本来の趣旨からすれば、政府・与党申し合わせの第四項による駅周辺環境整備事業とか、駅前広場の事業とか、あるいは駅改良事業とかいうのは、新青森駅みたいなところでなくって、在来線の駅舎と並行する場面で考えられたことであります。したがって、取っつきやすいことからすれば、むしろ新青森駅よりも八戸駅の方が楽であるべきはずでありますが、御承知のとおり、その線で──その考え方で進めていく場合、駅周辺の都市計画に関連した地元の考え方を固めていかなければならない、あるいは、新幹線の設計に手戻りのないように配慮をする必要がある、その設計そのものを固めていかなければならない、建設費用についてもいろんな分担の仕方──負担の仕方があるわけでありまして、その負担関係を明確にしていかなければならない、挙げ来れば、幾つかの準備、調整してかからなければならない前提条件があるわけであります。着手したいことはやまやまでありますが、その準備には時間がかかる、こういう事情、これは何人かの方々にも実は申し上げてきたところであります。市長さんにも申し上げました。議長さんにも申し上げたことを記憶しております。と申しますのは、私に向けて、「八戸をやらずに青森をやるのはどういうわけか、どうも近ごろの知事は八戸をないがしろにして青森ばっかり考えたがる」こういう、そのままの言い方でこの私にお尋ねがあったもんでありますから、「いや、そんなことじゃないんです」と、今申し上げたようなことでありまして、その点においては北福岡も、あるいは沼宮内も、あるいは北陸各駅も皆同じ条件でありまして、いきなり取っつけない、準備しなければ、調整しなければ取っつけない、こういう事情下に置かれているもんでありますから、着工しないんでなくて、既に折衝は始めてるわけであります。事務段階で、今の設計やら負担金等やらいろいろと、事務的な分野については既に話を始めてるわけでありますから、その意味では八戸も着工段階へ入ってる、こう申し上げることができると思います。ただ、新青森駅みたいに実際に起工式を挙げるという段階まで行ってないもんでありますからそういうふうに見えてない、こういう事情であります。その辺は事情を十分御理解の上──市民の方々で気をもんでおられる方々が大分いるようでもありますので、この事情を御理解していただけるように議員にもお願いしたいものだと思っております。いずれにしましても、八戸を飛んで新青森駅へ新幹線が届くという事態は金輪際あり得ないわけでありますから、その点につきましては、何と申しましょうか、必要以上に御心配されることはないのではないか、こう考えてるわけであります。  それから、検討委員会で、本格着工に向けて六十二年四月までに結論を出していく、こういうことを言ってるが、これに対して県はどう対処していくのか、こういうことのお尋ねでありました。まあ、六十二年四月と言ってるんでありますが、できるだけ早い時期に結論を出す──結論を得るものとする、こういう検討委員会申し合わせがあるわけであります。その申し合わせの後に三塚特別委員長が──政調会長代理が、記者会見の発表におきましても、六十二年度予算の概算要求時期、といえば六十一年の八月までに結論を得ることが一番いいんだ、そうありたいんだ、ということを発言してるわけでありまして、実際そのとおりだと思います。六十二年予算に反映させるためには、六十二年の予算に向けての概算要求の中に内容として入ってくる必要があるわけでありまして、その意味で、ただいまからと申し上げたらいいか、当面、六十一年の八月までのこの問題に対する私どもの対応が非常に大事なことになってくる、こう考えております。何とか、六十二年と言わずに六十一年八月時点までに検討委員会が結論を出していく、こういう取り運びをお願いしていきたい、そのことに向けて検討委員会の検討を促進していただきたい、それを促進するために、国会議員その他県会の皆様方にも御協力をいただきたい、こういうふうに考えてるところであります。  それから、地元負担はどう対処するのかと、このことについても何遍か申し上げてまいりました。地元負担問題は検討委員会の方で結論を出すことになっているわけでありますが、その地元負担関係を議論するために、検討するために、検討委員会の中に自治大臣がメンバーとして入ってる、あるいは幹事会の中に財政局長が入ってる、こういう事情であります。かねがね私は、地元負担をどうしてもしなければならないものであるとすれば、これはやっぱりそれに応じなければならないであろう、ただ、負担するからには国の方でもそれなりに財源対策を十分面倒見てくれなければ困るんだ、こういうことを申し上げてきたところであります。この地元負担問題は、一つには、今までできた既設の新幹線の関係自治団体はゼロ負担で、青森県は負担していかなければならない、岩手県は負担していかなければならない、その辺に基本的にバランスの矛盾があるわけであります。なおまた、国鉄で計画してつくられる新幹線であり、駅舎であり、何も我々が請願駅として請願したわけではない──ここで申し上げるのを落としましたが、前段の御質問で、新青森駅──請願駅をつくるんだ、というふうにお述べになられたわけでありますが、これは請願駅ではないことを昨日も申し上げたわけであります。したがって、今、全面地元負担は全然考えてない。まあ、あえて無理して申し上げれば要望駅だというようなことを申し上げたんでありますが、請願駅では断じてないわけでありますから、その辺を御了解いただきたいと思います。その請願駅でないということ、あるいは、今後この事例──岩手、青森の地元負担の事例が北陸にも連動するでありましょうし、九州にも北海道にも同じことが適用されていく、そういう予測からすれば──予測と申しましょうか、事実からすれば、地方財政との関係においてよほど慎重に考えてもらわなければならない、こういった考え方を持ってるわけであります。いずれにしましても、検討委員会におきましてはこの地元負担の関係をも含めて検討してくださるはずでありますので、慎重な検討をお願いしていきたいと思っております。  それから電源三法の交付金。原子燃料サイクル三施設立地に伴って交付金問題が取り上げられたが、その後どうなっているか、ということであります。御承知のとおり、再処理施設には交付金が適用される──交付される、ウラン濃縮と低レベル放射性物質貯蔵施設には適用されない、こういう事情が現在は──当面はあるわけでありますが、三施設全部に適用してもらうことをお願いしてるわけでありますが、その後しきりに、まあ通産、科技にも関係があるわけでありますが、政府筋において検討を加え、六十二年度から交付ができるようなめどで検討を加えていく、こういうふうに聞き及んでるところであります。  それから、海域調査──陸城は調査できてるが海域の方はどうなってるか、こういうことの見通しにつきましては部長から申し上げます。  それから企業誘致の可能性。原子燃料サイクル施設の立地に伴って、関連していろんな企業を呼び込みたい、そういうことを言ってきたんだが、どういう見通しか、こういうことでありますが、実際問題として、はっきりした見通しがここに既にできたわけではないんでありますが、協定におきましても、政府筋に向けても関連企業をぜひお願いしたいんだということ、あるいは、電事連、原燃二会社に対しましても協定をもってそのことを強く要請してるわけであります。また、研究所等については既に具体的に政府に要望を強く出してる、こういう事情でもあります。今後、事業の進展に伴ってさらに一層このことを督促していく必要があろうと思っております。非常に大事な、地域振興のための一つのかなめにもなるわけでありますから、不断に、つまり揺るぎなくこのことを意識しながら働きかけてまいりたいと思っているところであります。仙台等に既にウラン濃縮のための遠心分離機工場ができたじゃないかと、全くあれは、もったいないと申し上げたらいいか、よだれが出る施設であったわけでありますが、私どもの原燃施設交渉の最中行われている段階で既に、業者サイドで用地をふんだんに持っていたということがきっかけをなしてとんとん拍子に話が進んでいったように私は情報として承っております。そういう事例もありますんで、将来は何とか、本県に向けて立地できるものはこれを求めていくということに努力はしたいと思います。  それから、水田利用再編対策につきましてお話がありました。明年度で三期が終わって、六十二年からまた新しくなるわけで──次の段階へ入るわけでありますが、お話の、振り回されることのないように絶えずしっかりとした対応が必要だということは全くそのとおりであります。六十万ヘクタールから二万六千減ったり、またもとへ返ったり、こういう経過が最近あったわけでありますが、米の豊凶によって多少の動きが出てくる、それはあり得ることだと私は思っております。私どもの心がけなきゃならないのは、日本の米需給の先々の見通しを見きわめながら、つまり、今後ふえることがあっても減ることはない──ふえるという意味は転作のことを申し上げてるわけでありますが、米の需要は今後減るでありましょう──傾向として何としても減る、また、逆に米の単収はふえる傾向にある、こういったことだけを──それだけを考えてみても、今後転作必要面積が減っていくということにはならないだろう、むしろふえていくだろう、この現実を──生産者も、また指導に当たる団体も、また行政の私どもの立場もその事実を踏まえながら、振り回されないように、みずからが的確な見通しのもとに転作に対応していく、揺るぎない転作を定着さしていく、こういう配慮が必要なのではないかというふうに思っております。あと、担当の農林部長から来年度に対する対応等について申し上げたいと思います。  それから、世増ダムの関係があるわけであります。大変長い間地域の方々にも御迷惑をかけ、焦りを感じさせしながら、長期間このことに向けて調整を図りながら今日まで来てるわけでありますが、少しずつ明るさが──前途に光明が見え始めてることは御承知のとおりかと思います。この現状、今後の見通し、あるいは今後の農業指導等を含めて担当部長からお答えをさせます。  それから、八戸新産についてお述べになられたわけであります。二十年間を振り返って八戸新産をどう思うか、どのように評価しているかということであります。その御質問に対してお答えすべき内容が既に間山議員のお口から大体述べられたわけであります。つまり、概して生活基盤の方が生産基盤よりもおくれてきた──よく言われることは、八戸新産は、生産基盤の整備、それに伴う生産拡大においては優等生であった──十四か十五かの新産の中で優等生であった、ただし、生活基盤の方では及第してない──及第してないということは落第に通ずるんでありましょうが、十分でない、こういう言われ方をしてきたわけでありまして、御指摘になられた、特に下水道のおくれであるとか都市公園の足らなさであるとか、あるいは工業の態様──臨海型、素材型に依存する点が多くって、内陸型、組み立て型、さらに申し上げれば先端産業型、こういった面ではずうっとおくれをとってきてる、こういうことで、評価については全くそういうことでありますが、とはいって、それじゃ新産の成果はここに全然見られなかったかといえば、いろんな角度から、新産指定を受けたがゆえの、あるいは新産事業を進めたがゆえの成果もまたここに見られるわけでありまして、その辺のことは数字的に担当部長からお答えをさしていただきます。  なお、新産に絡んで、財特法の適用を延ばしていきたい、打ち切らないようにということを言ってるんだが、その見通しはどうかと、全くこれは当面大変に重要な一つのテーマ──課題だと思っております。よその新産ともども協議会をつくってることは御承知のとおりであります。協議会で働きかけをしてきておりますし、また関係県議会の議長の──これは間違った。議長ののはこれにはないかと思います。全国の新産団体の協議会は、市町単位での協議会もあるし、県単位でもございます。それらを通して、今まで大蔵省その他へ──国土庁が中心でありますが、働きかけをしてきた結果、見通しをどう思うかということでありますが、今もって的確な見通しが私には立っておりません。相当熱意を込めて強く「特別措置を継続してくれ」という要望はしてるんでありますが、今もって明確には判断がつかない。つかないながらも、国土庁、自治省は「断然残さなければならない」と言ってくれております。そういったことから、今後二十八日にかけて、年末の予算攻防の一つの課題になるのではなかろうかと思っております。大蔵省は、幾らかでもこれを引き下げていきたい、あるいは、大筋において残すとしても、何らかの形で縮小、削減していきたい、こういう態度を変えていないわけであります。  前山中核工業団地は、調査も終わり、指定を受けたいということで運動を続けてきてるんだが、どういうことになるのかと、まあ内容を既に御承知の上でお話しになってるわけでありますが、我々の、八戸市ともどもの強い要請にもかかわらず六十一年度の指定の中には入れなかった。六十一年度は宇都宮東部ということに決められたようであります。どういうわけで八戸が取り上げられないか。八戸がとばっちりを受けているわけであります。特に、東北地域内における他の中核工業団地の指定地が──既に指定された場所が、せっかく用地を造成してもさばけない、消化ができない、四〇%ぐらいしか売れない、八戸につくったって同じことじゃないか、という言い方。地域振興整備公団へ行けば、私も何遍かそれを言われました。「八戸は違いますよ、八戸なら売れますよ」こう言っても、「じゃ、売れるんなら売れるという証拠を持ってきてくれ、判こを押したものを、どこそこで買うんだという」、これも無理な話だと思うんでありますが、何々会社で買うと言ってるならその判こをもらってこい、こういうまことに残酷な言われ方もしながら来てるわけでありますが、八戸が優位にある、相当評価されてることも事実でありますから、六十一年がうまくいかなかったとしても、翌年度以降に向けてさらにお願いを続けていくことが必要ではなかろうか、というふうに考えております。  なお、お話の中で、別の方途も考えてしかるべきだと、この場合の別の方途とは何を意味しておられるかよくのみ込めないんでありますが、例えば新産建設事業団等をもって用地を取得し、造成し、ということもあるんじゃないか、また、片や企業を呼び込みながら、それに対して対応した──今の真空冶金──真空冶金だと思いますが、間違っておったら後で訂正さしていただきます。ああいうぐあいに呼び込みながらその分だけ用地対応をしていく、などいろんな行き方があるんじゃないかと、そのとおりだと思いますんで、臨機対応の措置をとれるようにいろいろ考えてまいりたいと思っております。  半島振興法について、地域指定の基準ができたんだが、今後の指定見通しはどうかということであります。これも内容については十分御承知の上、指定基準の中身についても間山議員お述べになられたわけで、その指定基準に該当する半島──夏泊半島はだめ、津軽半島、下北半島両半島は、人口十万内外でもあろうし、御指摘になられたいろんな条件に合致しているわけでありまして、何とかこれを指定してもらいたい、こういうつもりで考えてるわけでありますが、何分にも、国内に指定基準に合致する半島が十一か十二か、そんな数だと聞いております。その中に入っていくためには──私がかねがね気にかけているのは、一県から二つの半島はとりませんよなんて言われ始めれば大変困るわけであります。有力候補を二つ抱え込んでる本県が、一県一つなんて言われた場合には大変だというふうに思っておりますので、本県の立場からすれば一つに絞られないこと、二つを一挙にスタートにも立たせるし、また決勝点まで並んで走るようにしたい、こういうことで、町村ともども、あるいは県議会の皆様ともども、指定に向けて今後の努力がなされなければならないと思っているわけであります。指定範囲を何ヵ町村にしていくのかというような中身につきまして、あるいは優遇措置等につきましては担当部長から申し上げることにいたします。  あと一つは白神山系についてお述べになられたわけでありますが、白神山系は、日本だけでなくて世界的にも貴重な動植物の生態系の珍しい場所、こう言われたんであります。そのとおりでありましょう。たまたま環境庁と林野庁の間で、この白神山系の中のブナ原生林を対象にして、自然環境保全法に基づく自然環境保全地域に指定していこうという話し合いがなされているわけであります。私は大変結構なことだと──結構なことだなんてことでなくて、昨今、住民の皆さん方の自然保護に関する関心が非常に深いわけでありますから、それに対応して保全地域を考えていくということは大変結構なことであり、その動きに対応しながら県としても自然保護の一翼を担いたい、こういうふうに考えているところであります。具体的にいろいろ御指摘になられた、林道ルートの変更、環境アセスメントの見直し等につきましては、担当部長から当面の県の考え方を申し上げることにいたします。 6 ◯議長(石田清治君) 企画部長。 7 ◯企画部長(内山克巳君) 三点につきまして知事の答弁を補足させていただきます。  まず新産業都市でございますが、八戸地区新産都市建設につきましては目下、五十六年に策定されました第三次新産業都市建設基本計画に基づきまして所要の施設の整備充実を進めているところでございます。その結果、数字的に若干主だったことを申し上げますと、例えば工業出荷額につきましては、四十年の四百三十八億円が五十八年には五千六百四十六億円と十二・九倍の伸びを示しているわけでございます。また人口につきましても、この地区の四十年の三十三万八千人が六十年には四十一万一千人と一・二二倍伸びてございます。この人口の伸びは、県全体の伸びである一・〇八倍を大きく上回っております。このように、当地区は指定以来、一応その面では着実な成長を遂げているわけでございますが、知事からもお話し申し上げましたように、残念ながらまだ、大都市圏との地域格差の是正、あるいは雇用機会の創出、生活環境施設等の整備については、十分に目的が達成されているとは言いがたい面もあるわけでございます。したがいまして、新産地区は今後とも地方開発の中核的な担い手としての役割が期待されている状況にありますから、議員からお話しございましたように、例えば青森地域テクノポリス、あるいはむつ小川原開発地域ともども本県工業開発の大きな柱として位置づけて、これまでの工業集積あるいは都市機能の集積を生かして、基礎素材型産業の活性化、高付加価値産業の導入、育成、こういうものを中心に据えて今後の振興を図ってまいる、こういうような方針でございます。  次に半島振興法でございますが、半島振興法の、特に津軽、下北両半島地域の指定範囲でございます。これまで国土庁の指導を得ながら検討を進めてきたところでございますが、今後申請に当たりましては、地域指定基準──今議員からお話ありました基準をも勘案しながら、まず津軽半島地域は、東郡、西北五を中心に十七市町村を考えてございます。下北半島地域は、下北及び上北の一部十二市町村を考えて、半島振興対策実施地域としてまとめたいと考えてございます。ただ、最終的には、国土審議会半島振興対策特別委員会の審議を経て、内閣総理大臣の承認を受けて確定するということになりますが、県としては、この基本的考え方が取り入れられるように、さらには、知事からもお答え申し上げましたが、両半島地域がともに第一次で指定されるように、今後とも議会のお力添えを得ながら強く働きかけてまいりたいと思ってございます。  それから優遇措置でございますが、優遇措置等につきましても、示されている法律では、国は大体五項目ぐらい示しているわけですが、一つは必要な財政金融上の措置、二つ目としては、事業費に充てる地方債について特別の配慮をする、三点目としては、事業場などが施設を新設する、あるいは増設をする場合、その経費に充てる必要な資金を確保する、四つ目としては、半島地域の振興に必要な税制上の措置をする、最後に、地方税にかかわる不均一課税をした場合に地方交付税による補てん措置をする、こういうふうな特別措置を講ずることとしているわけでございますが、具体的中身につきましては今後の検討にゆだねられているわけでございます。したがいまして、今後は、これらの制度に主点を置きながら、しかも、法律の趣旨どおり実効が図られるそういう中身になるように、二十四道府県知事で構成されている半島地域振興対策協議会、それから、二十一府県議会議長で構成されております半島地域振興対策議会議長連絡協議会と歩調を合わせて、国に対しても強く働きかけてまいりたいと考えてございます。以上でございます。 8 ◯議長(石田清治君) 環境保健部長。 9 ◯環境保健部長(大高道也君) 白神山地のブナ林保護につきまして知事の答弁を補足させていただきます。総合的な自然環境調査を実施すべきではないかという御質問がございました。白神山地の自然保護行政推進上の基礎資料を得るためこれまでも幾つかの調査を行ってきたところでありますが、国における自然環境保全地域指定の動きをも勘案しながら、総合的な現況把握のための調査の必要性について検討してまいりたいと存じます。 10 ◯議長(石田清治君) 農林部長。 11 ◯農林部長(中村光弘君) 知事答弁を補足させていただきます。  水田利用再編に対する取り組みの基本的な考え方につきましては知事答弁のとおりでございます。明年度におきます転作の推進に当たりましては、第一に、生産性が高まりつつあります大豆、小麦等の特定作物の拡大、それから、既存の野菜産地を含めましてこれを外延的に拡大していくこと、第三に、生産性あるいは利用効率の低い青刈り稲やソバを抑制していくこと、これらを中心にいたしまして新規の稲作の誘導に努めてまいりたいと存じております。地域の実態に即した団地化なり、あるいは栽培技術の平準化も必要でございますので、そういう点で生産性の高い転作営農の確立に努めてまいりたいと存じます。  次に世増ダムの関係でございますが、世増ダムの共同事業の現状について申し上げます。この世増ダムの計画につきましては、国営八戸平原総合農地開発事業におきます畑地かんがい用水、さらに八戸市の上水道用水、青森県の工業用水、岩手県の都市用水、これらを確保するということで進められてきたわけでありますが、その後社会情勢が変化してまいりまして、県といたしましては東北農政局に対しまして、治水事業を参加させる、それからまた青森県工業用水を撤退する、こういうことで申し入れを行いました。さらに岩手県からは、本県及び東北農政局等に対しまして、岩手県北部の地域開発に必要な水源といたしまして世増ダム上流部に副ダムを造成してもらいたいという要請があったわけでございます。これら一連の利水計画の変更はダムの規模に影響を及ぽすことになりますので、現在東北農政局におきまして、関係各機関の利水及び治水計画をもとに、副ダムの造成を含めた全体計画につきまして検討が行われておるところでございます。近く結論が得られる見通しでございます。県といたしましては、この結論を待ちまして世増ダム共同事業者間の協議を進めますとともに、水没者の理解と協力を得まして補償交渉の妥結が図られますよう努力をしてまいりたいと存じております。  それから補償交渉の進捗状況についてでございますが、これは、本年十月から代替農地の造成に着工いたしましたが、その関係も含めてでありますけれども、前進が見られておるわけでございます。交渉に対する水没住民の方々の姿勢も積極的になってきておる状態にあります。国におきましても、以前に提示をいたしました水没損失補償基準の見直し作業を進めておるところでございますので、県といたしましては、これら双方の状況を踏まえまして、水没者住民の皆さん方の生活再建が可能となるような補償が行われますように引き続き国に対し強く働きかけてまいりたいと存じております。  それから、八戸平原総合農地開発地域の営農についてでありますが、東北農政局は五十年の三月に、この地域での営農の基本計画をこしらえておるわけでありまして、当時のその計画は、基本的には、野菜、リンゴ、たばこ、牧草等を中心にした収益性の高い営農団地を育成するということになっておるわけであります。ただ、その後の情勢の変化を踏まえましてこれらを見直しする必要があるものと考えられておるわけでありまして、夏季冷涼な立地条件を踏まえました野菜あるいは果樹等の特色のある複合産地を育成する、これが基本でありますが、そういう点での具体的な営農指針を作成する必要があると考えております。このほかに営農指導体制でありますが、県、市町村、あるいは農業団体等から成りますところの八戸平原地域畑地かんがい営農対策協議会を組織しておりまして、これらと連携を深め、かつ、県といたしましても八戸地区の農業改良普及所に特別指導チームを編成するなど、地域に密着したきめの細かな指導が必要であると考えております。  次に、白神山地の青秋林道のルート変更についてでございます。このルートの選定に当たりましては、工事の実施に先立ちまして、林道の効率的な利用の観点からはもちろんでありますが、植生、それから動物の生息状況、土壌等の国土保全、自然環境保全等の見地から種々検討の上、五十六年にルートを決定したものでございます。目下のところ、ルートを変更する必要はないものと考えております。ただ、自然環境保全対策上さらに慎重を期するという意味では、これは毎年でありますが、年度別に、工事を始めます前に自然環境調査を行っておるわけであります。これらを実施いたしまして、工事の実施段階におきましては、その結果も見ながら路線、工法等を決定して工事を進めておるところでございます。  それから、環境アセスメントを見直すべきではないかという御指摘があったわけであります。工事の実施に当たりましては、自然環境保全対策上十分配慮するということで、工事実施に先立ちまして環境アセスメントを行うということで特に意を用いておるところであります。具体的に申し上げますと、五十六年に実施いたしました林道の全計画延長を対象とした環境アセスメントに加えまして、先ほど申し上げました自然環境調査も年ごとに実施する、あるいはまた林道完成区間における植生の変化の把握に努めるなど、自然環境の保全には万全を期しておるところであります。そういうことで、さきに行いました環境アセスメント自体の見直しの必要はないものと考えております。なお、林野庁におきましては白神山系を対象に、森林資源の利用や自然環境の保全等を多角的に見て、五十九年から六十年度にかけまして調査を実施しております。これらの結果等も踏まえまして、環境保全という点では十分意を用いてまいりたい、このように存じております。 12 ◯議長(石田清治君) むつ小川原開発室長。 13 ◯むつ小川原開発室長(明石 昭君) 原子燃料サイクル施設の立地調査について私からお答え申し上げます。サイクル事業の事業主体であります原燃二社によります立地調査につきましては、本年の六月に陸域部について調査を開始されましたが、海域部につきましては、御承知のとおりまだ未着手の状態にございます。海域部の調査は、調査期間を約一年間というふうに見ております。そのスタートが若干ずれ込んでおるわけでございますが、事業主体といたしましては、今後できるだけ早く調査を開始することによりまして、昭和六十六年操業開始という全体のスケジュールにつきましては影響のないようにしたいというふうにしておりますので、県といたしましても、今後調査が円滑に進められるように協力を要請してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。 14 ◯議長(石田清治君) 教育長。 15 ◯教育長(本間茂夫君) 間山議員の、いじめ問題を中心といたしました教育関係の御質問にお答え申し上げます。  昨日、野辺地中学校の生徒が自殺をするという大変痛ましい事故が発生したわけでありまして、私ども、極めて遺憾なことであり、深く心を痛めているわけでございます。いじめの問題につきましては県の教育委員会といたしましても、特に今年度に入りましてから、当面する教育上の重要課題の一つであるということでとらえまして、その実態把握、あるいはその防止のためにいろいろ努力をしてまいったわけでございますが、それにもかかわらずこのような事態に至ったということにつきましてはまことに残念のきわみでございまして、ここに深く遺憾の意を表したいというふうに存じます。生徒がみずから命を断つということは、その原因は何であれ、それ自体極めて重要な問題なわけでございます。私どもはこういう事態を大変厳しく受けとめているわけであります。現在、この事故の詳細な事実関係等につきまして調査を進めているわけでありますが、その全貌が明らかになり次第、その原因あるいは背景等につきまして分析をし、これまで私どもがとってまいりました対策、あるいは学校の指導等につきましても十分な反省を加えまして、早急に対策の立て直し、あるいはまた指導の徹底を図ってまいりたい、かように考えているわけであります。なお、間山議員からお話ございましたとおり、野辺地中学校におきましてはこれまで自殺者が、昭和五十四年度に二人、昭和五十八年度に一人出ているわけでありますが、原因ははっきりいたしておりません。したがいまして、いじめが原因ではないかと思われる自殺は今回が初めてであるということになるわけであります。本県におけるいじめの実態につきましては本年の六月に調査いたしているわけでありますが、これによりますと、間山議員もちょっとお触れになりましたけれども、小中学校のおよそ八〇%近い学校におきましてそういう現象が見られるという報告があるわけであります。一般的な傾向といたしましては、小学校の低学年では余り多くないのでございますが、学年が進むにつれてふえてまいりまして、中学校で一番多い、こういう傾向のようでございます。そのいじめの内容と申しますか、態様でございますが、容姿についてからかう、あるいは冷やかす、あだ名を言う、仲間外れにする、といったそういう事例が数多く報告されているわけであります。県の教育委員会ではこのいじめの対策といたしまして、この七月と十一月の二回にわたりまして、市町村の教育委員会あるいは県立学校に対しまして文書による指導通知を出しているわけであります。特に六月の場合は──失礼しました。七月でございます。七月の場合は、他県の事例等をも参考にいたしまして、いじめの防止あるいは指導に必要と思われるいろいろな事項を学校に示す、あるいはまた、十一月には学校の指導体制の具体的なチェックポイントを示しまして、総点検をするようにというふうなお願いもしているわけであります。そのほか、例えば市町村の教育長会議、あるいは校長会議、あるいは生徒指導関係のいろんな研修会等におきまして、機会あるたびにこの問題に触れて学校の注意を喚起してまいったわけでございます。また、この後本年度中に、このいじめの問題を中心とした生徒指導資料を作成いたしまして、これを全教員に配布するということも考えているわけであります。また、この問題につきましては教育相談ということが一つの重要なポイントになるわけでございますので、県教育委員会独自の教育相談体制といたしましては、本庁の指導課及び社会教育課におきまして電話による相談に応じておりますほか、県の教育センター等で電話相談及び面接相談も行っているわけであります。私どもといたしましては、今回の事例をも十分踏まえまして、今後とも関係機関と連携を図りながらこの問題について一層真剣に取り組んでまいりたい、かように考えているわけであります。  次に、教師の体罰の問題についてお触れになったわけでありますが、体罰は、申すまでもなく学校教育法の第十一条で禁止されているわけでありまして、決してこれがあってはならないわけであります。最近の生徒指導と関連をいたしまして、厳しい指導が必要である、こういうふうに言っているわけでありますが、厳しい指導と体罰は明らかに一線を画さなければいけない、こういうことで学校に対しては指導をしているわけであります。体罰であるかどうかという判断は必ずしも明確でない場合もあるわけでありますが、一般的には、いろんなその態様とか程度などさまざまな状況を勘案して判断されるわけでございますが、本県の場合必ずしも数は多くないのでございますが、あるいは体罰でないかな、そんなふうに思われる事例も若干見受けられるというのが実情であります。また、校則、これは学校の規則のことだと思うわけでありますが、このことにつきましてもお話があったわけでありますが、これにつきましては、児童生徒あるいは地域の実情に即して最小限の内容のものとするということ、それとまた、そういう規則を子供たちに一方的に押しつけるのではなくて、子供たちがその内容なり趣旨なりをよく理解いたしまして主体的に守っていけるようなそういう指導をするように、というふうに学校に対してはかねがねお願いを申し上げているわけであります。  次に、教員の資質向上ということにつきましての御質問があったわけでありますが、教員の資質の向上は、教育行政上のこれまた極めて重要な課題であるわけでありまして、私どもといたしましては、採用の段階ですぐれた教員を確保するということにまず意を用いているわけでありまして、選考の方法等にいろいろ工夫を加えているわけであります。また、採用後の研修ということが一つの対策になるわけでありますが、教員の経験年数あるいは職務に応じたいろんな基本的な研修、あるいは専門的な研修ということを計画的に実施しているわけであります。さらにはまた、私どもの方が主催する研修だけではなくて、教員の主体的、自主的な研究というものを助成するということも大事だろう、というふうに思うわけでありまして、教育研究を奨励する、あるいは、教員のいろんな研究団体というのがあるわけでありますが、それの援助にも努めているわけであります。このほかに、それぞれの学校におきまして、教員の指導力の向上を図るために、それぞれの学校の実態、あるいはそれぞれの学校が抱えている課題に応じて学校の中で研修を進めるということも極めて大事なことであろう、というふうに思っておりまして、このことにつきましてもいろいろ奨励策を講じているわけであります。今後とも教員の資質向上のためにはいろいろ努力をしてまいりたい、かように考えているわけであります。 16 ◯議長(石田清治君) 二十二番間山君。 17 ◯二十二番(間山隆彦君) 再質問させていただきたいと思います。  初めに新幹線でございますけれども、八戸を飛んでは青森に来ないという知事の御答弁があったわけでございますが、これは、青森県特有のいわゆる地域間の綱引きのことを言ってるんではなくて、着工について苦しい説明の要る青森駅よりは単純明快に説明できる八戸駅の方が一般の人たちも理解しやすかったんではないか、こういうことで申し上げたわけでございますから、誤解のないようにお聞き願いたいと思います。これは答弁要りません。  それで、原燃の関係でございますけれども、初めに、昨日泊漁協で、環境調査受け入れの理事会決定があったわけでございます。一方、五月の総会で、調査の諾否は総会の議決事項とする旨の決定をしてるわけでございますが、この辺は非常に矛盾する決定と私は受けとめるわけでございますが、これについて県の見解を聞きたいと思います。  第二点といたしまして、この三点セットは日本でも初めての施設でございます。それで、その手続、手順等が全く決まっていない。聞くところによりますと、原発の際の公開ヒアリングがこの三点セットの場合は省略されるんではないかというふうに聞くわけでございます。これは、周辺市町村の同意の取りつけは絶対必要だと考えるものでありますが、この点についても伺いたいと思います。  第三点といたしまして、むつ小川原会社に対しまして事業者が用地を買い上げるわけでございますが、事業者側では六百五十ヘクタール、ところがむつ会社では千ヘクタールということで、折り合いがつかないで交渉が今難航しているというふうに聞くわけでございます。交渉はことし以内に決着がつけられるという予定であったようでございますけれども、その見通しと申しますか、どの段階に来てるのか、この点を承りたいと思います。  次にいじめの問題でございますけれども、今回の野辺地中の事例もそうでございますが、野辺地中では七月にも校内暴力があったわけです。この今不幸なことになった生徒は、先生に対して相談するなど危険信号が出ていたということでございます。しかし、相談を受けてもそれに対応し切れない先生、これは忙し過ぎるのかもしれません。どういう事情なのかこれから調査されると思いますが、危険信号が出ておってもそれに対応し切れない今の教育行政というものが問題ではなかろうか、というふうに思いますので、これは答弁は結構でございますから、教育長、この点をひとつ心して対処していただきたい、このように思うわけでございます。  最後に、白神山地ブナ林の保護についてでございますが、これはぜひとも保護の特定地域に指定していただきたい、環境庁でもそういう方向で検討中と承っておりますけれども、青森県としてももっと積極的にこれに対して取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。環境部長はごらんになったことがあるかどうかわかりませんけれど、この点、行って見てきてください。農林部長もですね。この地区は水源涵養保安林となっているわけでございまして、知事の許可がなければ伐採ができないというふうに承ってるわけでございます。知事はこの保安林を全面的に守るような方向で進めていただきたいと要望するわけでございます。林道建設でだれが一番得するかといいますと、これは、秋田県の木材業者が自分を利するために林道を建設するという意見もあります。それにまた、深く追及していきますと、秋田県の代議士のためにやってるんだという──これは、仮にそういう説を立ててる著名なジャーナリストもおられるわけでございます。地元への恩恵はほとんどない、こういう林道でございます。こういう役に立たない、ただ環境を破壊するだけの林道、これに対しては断固厳しい姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  総合的な調査におきましても、秋田県では既に総合調査のやり直しをしまして進めておるわけでございますが、青森県の場合は、先ほど、今これから検討するという環境部長のお話がありましたが、青森県の場合は、後進県と言われますけれども、せっかくよその県にはないようなそういう自然、すばらしい環境があるわけでございますが、そういう姿勢では青森県の自然の環境は保てないんじゃないかな、このように思いますので、その辺もう一度お答え願いたいと思います。 18 ◯議長(石田清治君) 知事。 19 ◯知事(北村正哉君) 十二月九日における泊漁協の動きについてお話があったわけであります。かねがね、総会で取り上げるべきだ、総会に付議すべきだという話もあった、それを理事会で協議するということには問題がある、そういうことを含めたやりとりがあったと、まあ、新聞報道、同時にまた概略の報告は受けてるわけでありますが、決をとって海域調査受諾という結論を出したと。原則的に、組合──農業協同組合でも漁業協同組合でも、組合の運営等については必要以上に行政は介入しないことを建前にしてるわけでありますが、それにしても、物事を決める際に決で決めるということは、多分にそこに問題を残す傾向にあることは否めないと思います。そういう意味で内部的に不満、穏やかでないものが残っているのかとも思われるわけでありますが、しかし、これ以上介入して、どうしろこうしろという指し図がましいことはできるだけ控えたいと思っております。  三点セットの受け入れについて、手続的に公開ヒアリングを考えないかと、事業主体のおやりになることであり、政府が直接的に後ろでこれを監督してるわけであります。要は、ヒアリングをやるやらないの問題は事業主体の方でお考え願いたいんでありますが、目的は、十分に理解していただくことが第一義的に考えられなければならない、その理解をいただくためにヒアリングをやることがいいのか悪いのか、その辺の判断は、ただいまここでいきなり私の立場から申し上げるわけにもいきかねるわけであります。そういう御提言があったということを含みたいと思います。  それから、むつ小川原の用地の問題で、買い取る買い手の事業二社の言い分と売り手の方のむつ小川原株式会社の考え方と折り合いがつかない、食い違っているということだが、この見通しはどうかと、両会社とも、どういうんでしょうか、公共性を多分に帯びた大人の会社ばかりでありますから、何とか会社同士で話をつけていくようにしてもらいたいもの、こう念願いたしております。  白神山地につきましては、先ほども申し上げたところでありますが、自然環境保全地域の方向へ話し合いが進められてる──保全地域でも特に特定の方へ向けて話がされてるんではなかろうかと思うわけでありまして、それが望ましい方向へ決着していくように希望したいと思います。期待したいと思います。自然涵養保全林でもあるんだということで、そういったものとよく調和しながら進めてもらいたいものと思っておりますし、また、この林道は経済行為を優先して考えられた取り上げ方であった、こういうことでありますが、林道には経済行為が伴うことはわかるわけでありますが、要するに自然保護との兼ね合いの問題ではなかろうかと思うわけでありまして、先刻申し上げた自然保護の立場を十分重視しながらこの問題に県としても対応してまいりたいと思っております。 20 ◯議長(石田清治君) 二十二番間山君。 21 ◯二十二番(間山隆彦君) 要望で終わりたいと思いますが、原生林のブナ林についてでございますけれども、この原生林はドイツの黒い森よりもすばらしい森であるというふうに言われております。そして、これに健全な遊歩道をつけた場合、過疎で悩む西目屋村に多くの──世界じゅうから山を愛する人々が集まるんではないか、それによって過疎を脱却できるんではないか、というふうに言う専門家もおります。どうかそういう方向で、知事も、公務多忙だと思いますが、ぜひひまを見つけてごらんになっていただきたい、このように要望して終わります。 22 ◯議長(石田清治君) 午さんのため暫時休憩いたします。 午後零時五十八分休憩        ────────────────────────────────────── 午後二時八分再開 23 ◯副議長(毛内喜代秋君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。十三番長峰一造君の登壇を許可いたします。──長峰君。  〔十三番(長峰一造君)登壇〕 24 ◯十三番(長峰一造君) 自民党の長峰でございます。  通告の順に従いまして御質問申し上げますが、先に、本県農業の現状について若干私見を交えまして、それから質問に入らせていただきたいと思います。本年は春以来比較的好天に恵まれまして、秋の収穫に大きな期待を寄せていたのでございますが、台風十三号の猛威によりリンゴの大量落果と果実の傷害、稲もまた報ぜられたほどの大収量ではなく、五十五年以降の冷災害でどん底まで落ち込んだ農家経済を大きく引き上げるほどまでに至らないことを見て、改めて寒冷地農業の怖さを知らされ、一層、気象災害対策、生産指導の徹底充実が図られるべきことを痛感いたしております。さて、私は、昨年十二月の第百六十回定例会におきまして、我が国農業の進むべき基本方向を十分議論し、確信を持って農政を展開していくべきであることを申し上げたわけでありますが、知事からは、不用意な輸入自由化は絶対反対、阻止しなければならないこと、農業施策は長期的な展望に立って立てなけりゃならないことなど賛意を示す御所見を伺い、意を強くしたのであります。しかし、農業を取り巻く環境はますます厳しさを増す情勢にあり、特に諸外国からの市場開放の要請については、何となく山を越したように感じられている節がありますが、決して生易しいものではないのであります。現に、さきに来日したアメリカ通商代表部スミス次席は、農水省に対し、トマトの加工品等農産物の輸入制限十三品目の年内交渉を提案し、具体的な日程が詰められております。しかも、アメリカ側は完全自由化で臨むという強い姿勢を明らかにしているのであります。日米貿易摩擦の問題は、世界に君臨してきた工業生産がその競争力を低下させたこと、打ち続く豊作によって穀物相場は下落し、在庫を抱え、失業率が高まり社会不安を招いているアメリカ側の背景と、自動車など工業製品の膨大な日本の輸出が百五十億ドルにも上る超過を招いていることに起因するものであることは御案内のとおりであります。農産物については我が国が世界最大の輸入国であり、その半ば近くをアメリカから輸入していることを考えれば、自由化攻勢をかけられる理由はないのであります。しかし、我が国財界の言動を見るとき、市場開放によってアメリカやECの不満を一時的にも避けたいという意図があると思わざるを得ないのであります。我々農業関係者も、単に被害者意識のみでこの局面を逃れようとするのではなく、国際的な感覚を養いながら時代の変化を敏感にとらえ、農業を先端産業として発展させていく意気込みを持たなければならないのでありまして、それは当然のことであります。しかし、生産現場は混迷し、かなり自信を失いかけている人が見られるのであります。米政策を例に引いて見ましても、豊作だから転作、不作だから増産という焦点が定まらず、水田利用再編第三期対策は、結果的に、毎年度その転作目標を変えるという事態に至っていることはまことに遺憾と言わざるを得ないのであります。来年度は本対策の最終年に当たるわけでありますが、ポスト三期対策は、これまでの経緯や今後の食糧政策を十分見きわめたものになるよう、あらゆる機会を通じて国に意見を申し述べるべきだと考えるところであります。水田の減反政策が始まって以来既に十数年が経過し、生産農家はあきらめたといいますか、慣らされてしまっているのであります。山間部あたりには、雑草やカヤが生えほうだいのすっかり原野化した田んぼが見られ、まことに心が痛むのであります。確かに、米の生産調整を契機として、リンゴや野菜などをむしろ積極的に取り入れて経営改善に努めている優良農家があることは承知しておりますが、大部分は依然として、奨励金に依存した捨てづくりに等しい状態が多く見られるのであります。県はさきに本年度の市町村別転作目標面積の配分を終わったようでありますが、単に国からの伝達的な取り組みに陥ることなく、本県稲作農家が抱えている独自の課題を十分検討し、今後の施策に反映さしていく努力が必要であります。特にポスト三期対策においては、ほぼこれまでの対策が延長される見通しにあるとはいえ、米の生産量がなお抑制されていくことは必至でありますし、転作の定着化や国の財政事情等を背景に、奨励金の縮減等の厳しい情勢にあると聞いておりますが、これまで協力してきた稲作農家に混迷を与えることのないよう十分な配慮をお願いしておきます。  さて、先ごろ発表された農家経済調査等から農家個々の経済状態を見ますと、豊作によって農業所得は伸びているとはいえ、農外収入を得る道が少ないことから農業総所得は全国で三十九位、東北では最下位になっているのであります。また、今年実施された農業センサスの結果を見ますと、本県の総農家戸数は九万七千戸になり、初めて十万戸を割っております。また、農業就業人口は、前回五十五年の調査に比べて九%減少し十六万五千人になり、しかも婦女子が六〇%を占め、女子労働に頼っている農業生産の構造が浮き彫りにされており、しかも老齢化が進んでおります。農業生産は技術革新などによって昔のような人手を必要とする時代ではなく、むしろ量より質の時代でありますから、農業人口の減少を特に驚くものではありませんが、女性や高齢者に依存していくことになればもはや農業は産業と言えなくなることを憂慮するのであります。口を開けば、農政は厳しい、難しい、曲がり角に来た、という言葉ばかりでありますが、本県の持つ優位性を十分見きわめて、農家に自信と誇りを持たせる農政の展開を望むものであります。また、日本農業が過保護だとか言われる向きもありますが、私は、保護と自由化は必ずしも二者択一とは思いません。そのどちらに軸足をかけるかで見直しの方向が大きく変わってくると思うのであります。  そこで質問に入ります。その一つは、県は、現在ある第三次農業計画の六十一年度以降の展開方向を検討中とのことでありますが、情勢変化を踏まえて本県農業の体質強化を図っていく上での基本的事項についてどのような認識を持っているか、また、農業センサスで明らかにされた農業構造の変化をどのように受けとめているのか、御所見をお伺いするものであります。  次に、金融自由化の農協に及ぼす影響と農家経営指導の強化についてお尋ねします。御承知のように、我が国における金融自由化への動きは、ここ二、三年以内に大口預金金利の自由化実現を見る運びとなってきており、行く行くは、既にアメリカが二年前に実施したのと同様、すべての金融制度の金利が自由化へ移行するものとの見方であります。このため金融機関の間では、新しい金融商品の開発や、吸収合併によって大型化を図るなど生き残りのための熾烈な闘いが予想されておりますが、この闘いで苦戦を強いられると思われるのが地方銀行、特に農協系統金融を含む農林金融機関であると言われております。先ほど申し上げましたような厳しい中にあって、さらに金融自由化が農協の信用事業弱体化に通じることは絶対に阻止しなければならないところであります。さらに、このしわ寄せが、非生産部門である営農指導面の縮小や切り捨てへと連動することのないよう願うものであります。これまで、本県の農協営農指導は東北各県に比べ必ずしも充実されておらず、かなりの部分を農業改良普及所が中心になってきましたが、伝え聞くところによりますと、六十一年度予算編成に当たり、大蔵省は協同農業普及事業交付金の廃止を検討しているとのことであります。仮にこれが実現することになれば、国と県との共同の責任で実施している普及事業の根幹を揺るがすことになり、加えて、水田利用再編のポスト三期対策など農政上多くの課題を抱えている今日、農業振興の上から重大な影響が出ることになりますので、このようなことのないように国に働きかけるとともに、普及事業による経営改善指導を一層強化するよう要望するところであり、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、農業後継者育成、特に農業高校の活性化についてお伺いいたします。さきに申し上げましたような厳しい情勢と変わりつつある農業構造の中で農業県として発展していくためには、すぐれた農業後継者の育成こそ何にもまさる施策であります。バイテクなど最新技術の実用化、作物の品種の多様化、高度情報システムの普及などが急テンポで進展している中で、これを十分活用できる、優秀で、しかもたくましい後継者の育成確保こそ基本的課題と考えます。すぐれた農業後継者の育成に当たっては、就農前、すなわち在学中に農業に対して意欲と誇りを持たせることが極めて重要であり、みずからの後継者はみずから育てるという親の姿勢も大事な一つでありますが、何としても農業高校での教育によるところが大きいものであります。本県には、独立校、併置校合わせて七校の農業高校が設置されておりますが、一般的に卒業後の就業者が少なく、自営者学科の定員割れが見られることは極めて憂慮されるところであります。本県農業高校については、これまでの歴史的経緯、今後の農業を多面的にとらえて進めることなどから、単一的にではなく、農業構造、地域の産業や特性に合わせた農業高校という形で、全県的な視野に立ち各校を特色づける必要があると考えます。今日の農業教育の問題点として、適格者を量的に確保することが自営者学科を抱えている学校の悩みであるばかりでなく、農業の長期的展望から、当然その対策としての施策がなされなければならない問題であります。自営者養成高校として、本県では県南地区に三本木農業、津軽地区では五所川原農林の二校が指定されているわけでありますが、農業教育の現状、今後の展望に立ってどのような位置づけをすべきであるか、特にこの二校のこれまでの経緯から、発展的な形で考えるべきであると思うわけであります。また、学科について申し上げますならば、同一学科二学級設置のものについては転換という形で実施可能であると考えますし、今後新設が適当とされる学科については、二十一世紀の農業という立場に立ち、バイテク等技術革新の進展、経済社会のサービス化、ソフト化、国際化に対応して、第三次産業的内容を加味した農業経済科、バイテク関係の学科等の設置を進めるべきだと考えるわけであります。私は昨年の十二月、この議会でバイテクについて触れました。その際、隣の岩手県は相当進んだ対応をしていることを申し上げましたが、先般また、高校に生物工学科を新設してバイテク関係を総合的に学習させる計画が岩手県にあると聞いております。本県としても積極的に、こういう学科の新設、既設学科の改廃について検討すべきであると考えるものであります。以上、農業教育の活性化について私見を申し上げたわけでありますが、本県第三次長期総合教育計画の中でまた高校の職業教育の見直しも進められると思うわけでありますが、その方針、計画をお聞かせ願いたいところであります。  なお、関連して申し上げますと、七戸町にある営農大学校も農業高校と同様に定員割れが見られるようでありますが、農業後継者の教育施設として設置されたのでありますから、農業高校における理解と対応に一層の努力を求めるものであります。  次に、リンゴ問題について、絞って生産対策について一点だけお伺いいたします。私は、五十八年の九月定例会における一般質問のうちリンゴ問題の中で、本県のリンゴ栽培面積が、国の調査と県の調査とを比較しますと、五十六年度における調査で約七百ヘクタールの差があり、リンゴ関係機関並びに利用者等が不便を感じているとの声があるので、面積の実態把握に努め一本化するよう要望したところであります。しかし、六十年現在の調査結果においてもやはり国と県の差があり、依然として一本化なされていないように見受けられます。また、新聞紙上によると、六十年産リンゴの推計生産量も、県は国との情報交換を綿密に実施し格差是正に努めているということではありますが、これとても違いがあるようであります。このことは、基礎となる栽培面積や品種構成の数値が異なるなど、リンゴ行政推進の基礎となる資料が統一されていないことが原因であり、それによる支障が多々生じているのではないかと感じられてならないわけであります。今、消費者から人気の高い品種への切りかえ作業、収量の落ちた老齢樹を若木にかえる園地更新等、果物戦争に勝つための一大作戦が行われております。二十一世紀の青森県リンゴにかかわる各種施策を展開していくために、県下全般にわたるリンゴ園の実態を調査し、基礎資料の整備を図ることが急務であることを考えるわけでありますので再度申し上げた次第であります。知事の御所見をお伺いいたします。  最後に岩木川の浄化運動について申し上げます。太古より、緑資源と河川水資源が人間の生活、文化にかかわりを持ってきたことは、洋の東西を問わず歴史の証明するところであります。津軽の母なる川岩木川は、秀峰岩木山とともに、津軽に生まれ、育ち、住む人はもとより、訪れる人々がひとしく崇敬の念を込めて接してきたところであり、最近に至っては、古代ロマンが現に存在していた証明がなされるなど、岩木川なくしては津軽の史実もなかった、まさに偉大なる母であります。岩木川は、平川、十川など支川五十余の川が合流し、十三湖まで百キロ余、津軽平野七三%の田畑を潤し、二十四の市町村と四十六万人の人々にかかわりを持ち、住む人をして母と呼ばせるにふさわしい大きな役割を果たしております。ことし五月、私は岩木川を船で下る機会を得ました。堤防を歩いては見られなかった、何ともひどい岩木川の素顔を見てしまったのであります。岸はごみで埋まり、両岸に生えている柳の枝にはナイロンやポリ袋の幕が張られ、流れる水は清冽とは言いがたいものでありました。ここで私は、この岩木川は何とかならないものかと、河川管理のあり方、特に浄化運動について考えさせられたのであります。もともと河川は、洪水を防ぐ治水の機能と用水を確保、提供する機能を持つと同時に、いわゆる水に流す排水の機能をあわせ持ち、さらには、魚がすみ、人々の憩いの場として心の糧にもなるものであります。今まで、先輩諸兄、関係者の御努力によって河川改修が進められてきたわけでありますが、なお一層その進度を上げ、同時に浄化について取り組まなければならないと思います。かって銀鱗を躍らせて遡上したサケは、昭和三十八年の四千数百尾をピークに次第に減少し、昭和五十八年には二百二十尾、実に二十分の一と、昔の面影今いずこであります。また、岩木川の終わりには十三湖があります。十三湖の名産シジミカイの異常死の原因は海水の逆流とされておりますが、地元民は岩木川の変化もその原因の一つと考えておりますし、さらには、十三湖を経て日本海へ流れ出たビニール、ポリ袋のたぐいは漁網にかかって漁民を泣かせております。河川行政は県庁内で十数課にわたっていると聞いておりますが、主点は土木行政の一環として進められているようであります。もとより、今まで、河川の持つ多面的な機能に即応する行政が進められてはおりますが、いま一つ物足りなさを感ぜざるを得ないわけであります。私は、これをまとめて、堤防の整備、魚道の設置、流量の調節設備の整備等のいわゆるハードな面はもとより、清掃、浄化、そして魚資源の培養、環境づくり等のソフト面も十分に機能を発揮させて、岩木川をとこしえの母なる川にするため、県、市町村、地域住民こぞって参加する一大運動を展開すべきときであると考えておりますが、知事の御所見を承りたいと思います。  以上をもちまして質問を終わります。ありがとうございました。 25 ◯副議長(毛内喜代秋君) 知事。 26 ◯知事(北村正哉君) 長峰議員にお答えいたします。  御質問の前段で、長峰議員多年にわたっての御経験やら広範にわたる御見識に基づいた農業論評をされたわけであります。全く真をうがった適切な御所見で、ありがたく拝聴いたしました。その前段の中で特にご指摘になられたのは、米──じゃなくって、農業の市場開放、完全自由化を求められてる現況にかんがみて、国際的感覚でこれらに対応すべきだ、こういうこともありましたし、また、水田利用再編対策のポスト三期対策は十分心して、農民に混迷を来さないように対応していくべきだ、こういうことも言われました。ありがたく拝聴したわけであります。  御質問の具体的な中身としましては、今の水田利用再編対策の今後の対応とも関連して、今後の本県農業の体質強化を図っていく上で基本的にどんなことを考えるか、こういうお尋ねでございました。これに関しましては第三次の農業計画があるわけでありますが、その後期における施策の具体的な転換を本年度──六十年度末までに明らかにする、こういうことになってる事情から、そのことをまとめていくために十月に農政審議会に諮った事項があるわけであります。その内容がまさに、長峰議員お尋ねの──お求めの今後の青森県農政に対する基本的な考え方に該当するのではないかと思います。いろいろあるわけでありまして、これを全部、事細かに申し上げるということは多分に時間を必要とすることであります。概略を、要点を申し上げてお答えにかえたいと思います。第一点は、生産性の高い農業を確立していくための生産組織を考える、その生産組織は、共同で作業をしていくというような、あるいは共同で機械を使っていくというような部分的なもんでなくって、広く農用地を全体として、集団としてどういうふうに調整しながら活用、利用していくかというような問題やら、地力増進についての取り組みといったような多面にわたる機能を発揮しながらの農業集団、これを編成していくように心がけていくことが一つであります。それが一つ。もう一つは、米の生産で本県は単収日本一を幾たびか経験してる。五十九年度は六百二十一キロ・パー十アール──日本一でありました。ことしは山形に次いで、六百三キロで二番目を獲得したわけでありますが、収量を追求するということだけでなくってコストを引き下げていくことに配慮をする、そのためには、農機具の使い方であるとか、あるいは労働費に対する考え方であるとか、いずれも節減に努める必要があろう、あるいはリンゴに関しましては、従来進めてきたわけでありますが、老朽園地の改廃、あるいは矮化、無袋、こういったことで生産力を増強していく、また野菜の生産拡大を図る──生産拡大と同時に、野菜でよく注意しなければならないのは消費であり、流通であり、さばきをスムーズにしていく、あるいは価格を保持していく、これが非常に大事になってこようかと思います。畜産に関しましては、やっぱり米と同じようにコストダウン──西欧並みに──EC並みにとよく言われるんでありますが、EC並みにということはなかなか容易じゃなかろうとは思うんでありますが、それに近づけていく、こういう考え方やら、さらに加えてバイオテクノロジーの方向があるわけであります。それによって生産性を飛躍的に高めていく、急いで申し上げればこういった基本的な考え方に基づいて万般の施策を取り上げていくということが今後の農業の進むべき道だろうと思うわけであります。  次のお尋ねは、農業センサスの結果に基づいて、本県の農業就業構造の変化が見られるわけだが、これをどう受けとめているかということでありました。大きく申し上げて、センサスによって大きな変化として知らされることは、農家戸数、農業人口が引き続き減少を続けているということ、第二点として老齢化の傾向が強まっているということ、三番目が、経営規模三ヘクタール以上の農家がふえる傾向にあるということ、この三つが大きい現象だろうと思われます。思われますでなくって、そういうデータが出てきてるわけであります。農業人口、農家戸数が減るということは、機械化、省力化の努力をしてるわけでありますから、その努力の効果があらわれてるという考え方をこれによって持つことができようし、また、農業従業者が他に職を求めて、あるいは雇用の場を求めて転じていくという場面もあるわけであります。その就労の道が少しずつ開かれてきてる、こういう背景があるわけでありまして、あれやこれや思えば、農業人口、農家戸数の減ることも、今のような事情を勘案すればやむを得ないことではなかろうかと思うわけでありますが、それがストレートに青森県の農業衰退につながるということであれば、これはゆゆしいことだと思います。人口が減っても、戸数が減っても、むしろそれによって効率的な農業経営が営まれて、全体としては生産増を来す、生産振興を来す、拡大される、こういう事情でなければならないと考えてるわけであります。労働力の高齢化も、これは本県の特徴的な現象とも言えるわけでして、まあ本県だけではないんでありますが、本県において著しくこの現象が出てくる、若い方々の活力が外へ逃げていく、結果として老齢者が残される、どうすればいいかと、やっぱり、中核となるべき中核農家、あるいはそれによって形成される農業集団、こういったものを考えていく必要があろうかと思います。経営規模につきましては、これこそは全くいい傾向であろうと思います。大規模経営──大規模と言えるかどうか、三ヘクタール内外で、必ずしも思い切って大規模と言いかねるんでありますが、大規模に近い農家がだんだんふえていく、それによって、先端的に、他の農業者をリードしながら、しかも生産性を効率的に向上しながら、立派な、優秀な農家がそこにふえていくということは本県農業のために大変好ましいことだと思うんでありまして、こういったことが拡大していって、やがては農地の賃貸借、あるいは作業の受委託、こういったものまで含めて経営規模の拡大が図られていく、こういう期待も持てるわけであります。本県の場合はいろんな不利な条件──今申し上げたような有利な条件もあるわけでありますが、国内的に見て、どちらかといえば本県はまだ豊かな──比較的豊かな農業用地にも恵まれているわけでありますから、それを巧みに活用しながらより一層地域農業の発展を期することができる、またそういう方向づけをしていかなければならない、こういったことが農業に向けての私の認識であります。  金融自由化と農協、特に信用事業とのかかわり、これは農林部長からお答えさしていただきますが、多分に影響を受けることは考えられる。よくよく、団体みずからがこれを排除していけるように、自由化に対応していけるように緊張しなければならないだろうと思っております。  営農指導についてもしかり、農業改良普及所は数年前から臨調のやり玉に上げられてる。こんなものは要らないという説が特に東京都──首都圏を中心に相当強く巻き起こったことがあります。その後少し下火になってるようでありますが、依然としてその火は消えない。なぜそんなことが起こってくるか。東京都内の農業改良普及員は、鉢植えの鉢にどういうふうに水をかけるか、花っコ植えるにはどんなぐあいにするか程度の指導しかしていないわけであります。それと、本県におけるがごときこの農業の転換期、この水田利用対策を中心とした大事な局面、あるいは、今後におけるバイオテクノロジー等へ向けての大事な農業の局面、どの点からしても、今こそ──今までは大して要らなくても、今こそ農業指導を強化しなけりゃならない、普及事業を強化しなければならない、こういった時期に不要論、廃止論を唱えられるということは、いかにもこれは妙なことであります。この辺やっぱり、制度というものは地域の特色を背景にしながら考えなければ本当のものになれない、こういうことであろうと思うわけでありまして、会議の席上で私は一、二度強く、この農業改良普及員あたりに対する対応は東京と青森県では大変な違いよ、ということを強調してまいりました。今後も同じ態度でいきたいと思います。  それから、後継者の育成につきましては主として農業高等学校の教育のあり方を指摘されたようであります。お聞きしておって、私の直接の所管ではないんでありますが、いかにも、というふうに共鳴させられました。私どもの分野では営農大学校なるものがあるわけでありますが、お説のごとく、教科内容において、経営的に見てより近代的な対応ができるような、バイオまで含め──生物工学というんでしょうか、そういう面までを組み入れた、新時代に対応できる教科内容、これをやっぱり検討し──検討だけでなくって実現しながらいくべきだ、いわゆる、少しずつそれに対応しながら来てることは事実でありますが、もっと対応していくべきだ、こういうふうに私も考え──考えるだけでなくって、その配慮、努力をしてまいりたいと思います。  それから、リンゴの実態調査。前に二、三度指摘してるんでありますが、今ではすっかり内容が変わってるもんですから役に立てなくなってる、今後に向けてこの際新しくリンゴの実態調査──圃場の実態調査を考えないかと、お説として大変ごもっともであり、そのようにいたしたいと思いますが、何分にも費用がかかることであり、財政とにらみ合わせて、できる時点からできる範囲で積み上げていきたい、できるだけ実態をつかめるように、一挙に悉皆調査といけなくとも、実態をまとめていけるような方向をとりたい、こういうふうに考えているところであります。  岩木川の浄化運動。御指摘は、津軽の母なる川がいかにもきたない、これを浄化できないかと、大変ごもっともなことであり、多年にわたってクリーン作戦を続けてきてるはずでありますが、それが必ずしも実効が上がってない。そこでどうすればいいか。関係する課は河川課を中心としていろいろあるわけでありますが、公害課もあるし、いろんな課で寄り寄り対策しながら来てるわけでありますが、長峰議員のお説は、ハードの面の対応も大事ながら、より以上にソフト面で対応していくことが大事であろうと、まあ言葉をかえて申し上げれば、沿岸住民──沿岸だけでなくって、県内住民が十分に河川の浄化を念頭に置きながら、意識しながら、県民一人一人がそのつもりになって浄化を心がけるということでなければ本物になれねえよ、というふうに聞こえるんでありますが、大変ごもっともだと思います。それにはやっぱり県民運動──今までのクリーン作戦もある意味では県民運動的なものだとは思うんでありますが、より内容を掘り下げた、本当に実効が上がれるような県民運動、まあ、いろんな団体、市町村の方々と私も御相談してみたいと思っております。あと追加して、補備して部長から申し上げることになると思います。 27 ◯副議長(毛内喜代秋君) 農林部長。 28 ◯農林部長(中村光弘君) 知事答弁を補足させていただきます。  金融自由化と農協の信用事業の関連でございますが、この点につきましては、信用事業を後退させることなく堅実なものとしていくためにより一層の系統内部における努力が必要でございますし、また、系統におきましては営農指導の充実ということも必要でございます。この点についてはこれまで以上に取り組んでいただいて、私ども県といたしましても、今後ともこの面での指導の強化を図ってまいりたいと存じております。  次に農業改良普及事業の点でございますが、本県におけるその意義につきましては知事から御答弁のあったとおりでございます。御指摘のございました、協同農業普及事業にかかわる交付金制度の廃止云々の問題でございますが、この点につきましては、普及事業の根幹を揺るがす意味もございますので、本県におきましても、関係機関と連名をもちまして去る十一月に、協同農業普及事業交付金制度の堅持について本県選出の国会議員に対し要請をしたところでございます。今後とも、この点につきましては政府、国会議員等に働きかけてまいりたいと存じております。  なお、御指摘のありました農業経営指導でございますが、これにつきましては現在、簿記、記帳によりますところの経営改善の必要性の啓蒙、さらにまた、記帳経験の有無等それぞれの水準に応じますところの簿記の指導、さらにまた、経営改善のための制度資金の有効活用等を盛り込みました営農計画の樹立指導、そういった点に努めてまいったわけでございます。本年度からは特に、それぞれの農業改良普及所単位に地域の実情に応じました経営改善モデルを作成することとしており、経営改善のための実態調査、それから、経営診断を行うところの農業経営改善総合指導活動事業を実施しているところでございます。なお、この事業の推進に当たりましては県段階に県農業経営改善協議会を設けておりますとともに、地方におきましては普及所単位に、市町村、農業団体等から成ります地区農業経営改善協議会を設けております。指導体制の強化を図って各農家の今後の経営指導の改善に努めてまいりたい、このように存じております。 29 ◯副議長(毛内喜代秋君) 土木部長。 30 ◯土木部長(池田平八郎君) 岩木川環境浄化運動について知事答弁の補足をさせていただきます。岩木川流域は、開発や都市化などに伴いましてごみや雑排水、または渇水期の流量不足などにより河川の環境は悪化の状況にあります。これに対処するために建設省及び県においては、河川への不法投棄物の監視を行うとともに、河川敷の整正、河床掘削など河川環境の整備工事を行っておるところであります。水質につきましては、継続的に監視を行うとともに、下水道事業を促進することにより排水を浄化し、さらには、浅瀬石川ダム等の建設を進めて渇水時の水量確保などを図ることとしております。なお、国、県、流域二十四市町村で構成する岩木川水系水質汚濁対策連絡協議会、また、流域市町村及び建設省、県が参与となって構成する「岩木川水系を守る協議会」を組織いたしまして水質汚濁対策を推進し、廃棄物の清掃及び不法投棄防止の意識の高揚を図り、河川環境の保全に努めてきているところでございます。また一方、河川愛護の思想をより一層普及させるために毎年「河川愛護月間」を設けて運動を進めておりまして、これらの事業の一環として、一部地域においては、地域の方々のボランティア活動により河川の清掃を実施していただいているところでございます。岩木川をごみや雑排水による環境悪化から守るためには、議員お説のとおり流域全体の広域的な環境づくりが肝要であり、また、流域住民一人一人の環境浄化に対する御理解と御協力が必要であります。したがいまして、今後とも河川環境事業を促進するとともに、関係機関、流域市町村、各団体等と密接な連携をとりながら、住民参加の環境づくり運動についてより一層広域的な啓蒙を強力に進め、「豊かで清らかな美しい岩木川」を再生するよう努めてまいる所存でございます。 31 ◯副議長(毛内喜代秋君) 教育長。 32 ◯教育長(本間茂夫君) 長峰議員から、農業高校の活性化につきまして御意見を交えながら御質問があったわけでございます。私ども、基本的には長峰議員と同様のことを考えているわけでございます。すなわち、先端技術の進展であるとか、あるいはまた就農構造の変化等に対応しながら、一方ではまた、地域産業の実態に十分配慮した農業高校の見直し、あるいはまた、その教育の内容や方法を時代に即応したものにしていく必要がある、というふうに考えているわけであります。当面の対策といたしまして、農業生産や農業経営に関する学習にコンピューターを導入するということ、それからまた、生物工学の基礎的な知識、技術を学習させるといったようなこと、こういうふうなことによりまして活性化を図ってまいりたいと考えているわけであります。さらに、農業に関する学科の再編成についても御提言があったわけでございます。私どもとしましては、国の「理科教育及び産業教育審議会」の答申があるわけでございますが、この答申を踏まえながらも、県の産業教育審議会にこの問題を諮問いたしまして十分御検討を願う、それと同時にまたその他の関係者の御意見等も十分聞きまして、農業に関する学科のあり方、あるいは教育内容・方法等の見直しといったようなことを検討してまいりたい、かように考えているわけであります。 33 ◯副議長(毛内喜代秋君) 長峰君。 34 ◯十三番(長峰一造君) 三点ほど要望を申し上げたいと思いますが、農業改良普及事業の経費につきましては、五十七年まではすべて、国から県に一定の補助金として来たそうであります。発足以来三十七年間そのように来たそうでありますが、それが五十八年五月から、第二臨調の答申を踏まえて定額の補助金に切りかえられた。今度またここでそういう話が出ているわけでございます。そうすると、一般財源でやっていくということで意図している国の姿勢は、本当に、農政そのものの不安定というか、そういう姿勢と全く似ているようなことになりまして、大変なことであります。知事の御答弁にもありましたように、東京と農業県である本県とは違うんでありますから、十分ここはひとつ、知事さん、お答えありましたようにこれについて頑張っていただきたい、こう思っております。これはただ農業改良普及事業ばかりでなくなるわけで、林業改良普及員、それから水産までの──水産改良普及員など、今回改定されるとみんな同じになるんでないか。そうしますと、農業県であると同時に水産県でもある本県にとって、これは農林水産業全体にかかわる大きな問題であります。ぜひひとつ知事さんに頑張っていただきたいと思います。  その次に農林高校の関係ですが、教育長さんの御答弁でわかりましたが、私はこの間、何人かの子供たちに直接会って聞いたんですが、私の近くでありましたから、「どうして五農へ行かないんだ。うちも農業だし、ちょうどいいんじゃないか」という話をしたら「寄宿舎へ入らなきゃならないのでいやだ」と言うわけです。寄宿舎教育も大事であります。親として、我々大人としては十分わかるわけですが、ただ、寄宿舎へ入ると上級生と同じ部屋に寝なきゃならない、生活しなきゃならない、窮屈だ、こういうごく単純な、子供らしい解釈でそうなっているようであります。これは、自営者養成校に指定されているわけでありますので必ず寄宿舎の教育をしなきゃならぬことになっているようでありますけれども、そこらをひとつ、全国的な会議でもありましたら、そういう声もあるということで教育長さんからその場で発言していただきたい、そういうものを見直していただきたいと思うわけであります。  それから、その次の岩木川の浄化についてでありますが、十数課にまたがるわけで、例えば土木でいいますと水防ダム、農林部ではかん排水、森林の治水、防災ダム、あるいは環境では公害、水質汚濁、一番最後に今度は十三湖の方まで行くわけでして、内水面の漁業、あるいは日本海沿岸漁民の苦情が最後になって水産部へ上がってくるわけです。何か、福島県で聞きますというと、福島県では、河川環境維持保全のための全庁的な会議を持っているというようなことも聞いております。ほかの県に、もっといい効果を上げているそういうものがあるかどうか知りませんが、何か、余り効果が上がらないようでありますので、今までのようではなく、知事さんのお答えがありましたように、もう一歩も二歩も踏み込んだ浄化運動をひとつやっていただきたい、こう思っているわけです。いろいろ自衛隊のお世話になったり、みんなで力を合わせたら、あの難工事の竜泊ラインができました。これは観光課の関係になりますが、将来、津軽半島の竜泊ラインを訪ねた県外の人は、竜泊ラインの景色のいいところを眺めて、それからずっと川を上って市浦へ来て安東の遺跡を訪ねる、それからまた上って金木の太宰文学に触れる、それからまた上っていって、岩木川を渡ったり越えたりして、リンゴ畑の中をずっと行って弘前城まで来て、リンゴを食べて岩木山に登る、こういうようなコースを選ぶ県外の人は大勢いると私は思います。最高の津軽の観光コースだと思っています。こういうようなことを考えますと、何度か越えたりする岩木川が、どこへ行っても津軽の母がこんなに汚いというのは大変なわけです。そういうことからも大いにひとつ岩木川の浄化についてお力を出していただきたい。要望して終わります。ありがとうございました。 35 ◯副議長(毛内喜代秋君) 五十二番船橋祐太郎君の登壇を許可いたします。──船橋君。
     〔五十二番(船橋祐太郎君)登壇〕 36 ◯五十二番(船橋祐太郎君) 私は日本社会党を代表しまして、かねて通告しました問題について知事並びに関係部長に質問をいたすものであります。  質問に先立ちまして申し上げておきたいことは順序ですが、副知事二人制の問題を一番最初に申し上げたいと思うのであります。私は六月議会で、地方行政改革についての基本的な問題を知事に質問いたしたところであります。今回は、同じ地方行革ですが、極めて大きな問題点に絞って幾つか質問するものであります。県は、昭和五十一年度、また五十六年度と過去二回にわたりまして行財政自主改善運動をやってきたところであります。今回は、国の臨調行革を背景といたしまして、本年一月二十二日付の自治省事務次官通達に従って第三回目の地方行革方針を掲げて、十月一日付で県行政改革大綱を発表したところであります。これから各項目ごとに見直し作業に入ることになるでありましょうが、私が第百六十二回定例会の一般質問で、臨調答申内容を見ますと地方自治権侵害のおそれのあることを指摘いたしましたところ、知事は「その点には一連の配慮と努力が必要である」としまして、「財政上においても国に対して傾斜配分を要請する態度こそが好ましい」と答えられたのであります。一定の決意を述べられたのであります。これから、自治大臣は各県から逐次報告をとりながらチェックしていきまして、締めつけ方策をとって、相当ガードがかたいもの、かように私は思っているところであります。しかし、年々社会的問題が複雑化いたしまして、県民のニーズも多様化していく中で、見直し行政の都度職員定数の縮小を図る計画を進めることに問題を感じないわけにはいかないと思います。今回の場合も、これから各項目ごとに見直しをしようというのでありますが、見直し前に既に、三%の定員削減をするとの数字的結論が発表されておりますことは一つの矛盾であると思われるのであります。それは、むだをなくすることが目的でなく、人減らしが目的に見られるからであります。それほど人減らしに重点があるとすれば──これは確かに経費のかかることですから、それほど重点があるとしますならば、副知事二人制をもとの一人制に戻して協力を求める決断が必要であろうと私は思います。さきに我が党の建部議員が指摘いたしましたように、二人制のそもそもは、二万ヘクタールの用地を買収し、世界にまれな巨大コンビナートをつくるとの夢のもとに、県職員を数十名も現地に張りつけたその時代であったのであります。現副知事お二人は人格、識見、能力ともにすぐれてはおりますが、属人的立場でなく制度として見直し、一人制に踏み切ってはどうかと思うのであります。知事の見解を問う次第であります。  次に、第二点はむつ小川原関係であります。むつ小川原開発については今までも相当な議論がされてまいったところであります。今回は、莫大な土地と大きな借金をいつまでにどうするのかということに絞って知事にお尋ねをすると同時に、これらに関係するたくさんの県職員の数をそのままで過ごすのか、どうすりゃいいのだ、こういうことに絞るつもりでおります。今なお四十人という県の職員が張りついておるのでありますが、御承知のとおり、むつ小川原開発については、昭和四十五年ころ、議会におきまして白熱的議論を幾度となく重ね、ついにこの政策に県は踏み切ったわけであります。そして、開発公社及び関発室の職員合わせて百二十九人がこれに振り向けられてスタートを切ったのであります。そして、世界にまれな巨大石油コンビナートを夢見たのでありますが、時代は一変してこれが不可能となってしまったのは周知のとおりであります。当時、イタリアの現工業用地面積の総計よりもはるかに広い二万ヘクタールの工業用地買収に着手いたしましたが、国内外の経済情勢を勘案して五千二百八十ヘクタールに計画面積を縮小したところでありますが、百二十九人の当時の職員は、とても物忙しく現地の山野や農地を歩いて、また県庁に足しげく往来したものであります。最近問題になっておる核燃施設をやろうとしておりますが、これとても完成は約十年後の話であろうと思います。今あのかいわいの野辺に立ちますと、「小川原や役人どもが夢の跡」あるいはまた「小川原やつわものどもが夢の跡」こういうふうな感懐を残すのみでございます。しかるに、いまだに県職員が三十八人、開発会社が六十六人、開発公社が十一人、合計百十六人がこの仕事に従事いたしておるのであります。驚くべき数字であると私は思います。この百十六人にかかわる人件費、物件費は年間四億ぐらいに私は推定しておるところであります。県行革大綱を見ましても、また、その中の組織機構の合理化対策の項におきましても、むつ小川原開発行政と要員の関係の見直し態度が感じられないのはどういうわけでしょうか。さらに、むつ小川原開発会社の五十九年度決算における借入金が一千四百四十六億円となっておりますが、五年後の元利合計額は二千億を優に突破いたすのであります。これに見合う資産といたしまして土地が三千六百ヘクタールございます。この土地を処分する方法と借入金を解消する方法があるのか具体的に伺いたいと思うのであります。六ヶ所の港湾ができますれば企業が来るであろうとの期待があるかもしれません。しかし、御承知のように今は素材型産業は全く振るいませんで、外国から原料を買い入れての船輸送や、六ヶ所港湾から直接輸出するような企業が張りつく公算は極めて少ない。私の記憶では、三千六百ヘクタールという工業用地は鹿島開発当初計画の面積に等しいはずであります。これを大方消化できる下請企業や中小企業があるとしましても、これが満杯になるのは一体何年かかるでしょうか。一体金利の増高に見合うことになるのか。さなくも、F16の増強による騒音の問題、核燃サイクル、東通原発など、環境条件がよくなることが考えられない状況の中で、企業進出が思わしく張りつかぬ場合にむつ小川原開発会社をどうするのか、開発公社、県開発室合わせて三十九人──まず四十人、これらをいつまでにどうするのか、こう伺うところであります。  第三には監査委員の選任についてでございます。結論的に、野党からも出せということであります。県の議会選出監査委員は野党からも出すべきであると私は思います。行革は、ある意味では、なれ合いや惰性をなくし、姿勢を正すことでもございます。そして、住民に信頼されるところに一層の協力性が生まれ、能率が上げられるからであります。野党からも監査委員が出されるということによって行政が県民により信頼されることは間違いございません。ですから、現在、四十七都道府県の約七割方が野党からも選任しておるのであります。県行政に特別に不都合なことが内在していない限り野党から出してもよいはずであると私は思いまするし、襟度の大きな北村知事のことですからこれはいつかは実現できるものと思うところでありますが、御意見を承りたいと思います。  第四点の公入礼万法についてであります。これは、本気で県財政の節約をしようとするならば一番大きな問題点だと私は思います。五十九年度における物品の調達を見ますと、出先機関を除いて年間十九億五千四百万円程度でございます。これを除いた工事発注の公入礼額は一千百四十七億三千九百万円と相なっております。六千八百八十四件でございます。四千八百億円台の県予算規模からすると実に大きなウエートを占めております。財政難から端を発した行革政策であることに思いをいたすとき、この問題に関心と研究を大きくとる必要を感じますが、改善すべき点をどのように考えておるかを尋ねるところであります。  第五点は超過負担についてであります。これは、解決の絶好のチャンスだ、かように考えるところからであります。五十九年度における本県の超過負担額は二十七億円余りと言われております。超過負担解消運動に乗り出しましてから久しいものがございますが、遅々として進んでおりません。幸いにしましてこのたびは政府自身行革見直しをやっておる機会であり、私は、この機会に大きくこれが浮上し、そして解決されなければならない時期と考えるところでございます。知事から具体的解消策を承りたいと思います。  第六点は国の機関委任事務についてでございます。これも同様にその機会である、このような見地からの質問であります。この件も古くて新しい問題であることは御承知のとおりであります。この件の解決を阻むものに、国の縦割り行政の縄張り意識ががんになっております。私はそう考えております。ですから、今回の行政改革の根源となっておる臨調答申の中に取り上げられておるところに──中央で取り上げておるところにこの問題解決の絶好のチャンスと見ることができる。しかし、この機会に、委任事務にかかわる仕事量は、要員数に換算すればおよそ何人分に相当するのかを推定しなければ、議論をいたしましてもつかみどころがない、迫力がないと思うのであります。ただし、このことは範囲も広く複雑な兼ね合いがございますから、容易なことではないと思うので時間はとると思います。何としても一度は委任事務の仕事量を表現する方法を編み出して、遺憾のない解決を迫るべきだと考えるものでありますが、知事の見解を示していただきたいと思います。  第七点は社会福祉政策についてであります。人間生活を最悪から救い、不況対策として福祉重点を、こういうことを言われる方もございます。ドイツでは不況対策の一環として福祉政策に重点を置いた、とも私は聞かされました。我が国が今日経済大国となっておることは自他ともに認められております。しかして、国民の多くはウサギ小屋に住まいしながら、貯蓄率は非常に高い国民であるとされました。外国から、輸入品をもっともっと買わせろとの圧力がかかっておりますのは周知のとおりであります。さらにまた、経済摩擦解消策として、為替相場を操作して大幅な円高ドル安となっておることから、企業界は不況となっております。次第に倒産に追い込まれつつあることは最近の経済情報でおわかりのとおりであります。空気や水や土壌の汚染の状態、自動車を初めとする交通事故の増加、振動、騒音などの公害、近代機械依存型企業による精神的影響など、環境悪化による病人、身障者の発生率は上昇する一方であります。加えて、老人比率も紀元二〇二〇年ころまで増加の一途をたどることは広く知られておるところであります。去る六日の朝日新聞にも載っておりましたが、一円の円高によって電力会社は年間、驚くなかれ百二十億の利益となる、ということが明快に書かれております。為替レートが相場制になって以来、我が国は百六十五円の円高になっておるはずであります。驚くべき天文学的数字が電力会社の利益となっておるはずであります。石油商社は最近灯油の値上げに踏み切ったために消費者と摩擦を起こしておりますが、政府は何の手下しもしておりません。傍観しておるだけでしょう。貿易でどんどんもうけましても国の赤字解消につながっていないでしょう。こんな状態が日本独占資本の本質でございます。でありますから、一般庶民は先行き心配で、ヨーロッパ人のような大らかな気持ちになり切れるものではなくて、貯蓄は最大の護身術と考えておることはアンケート調査で明らかでございます。以上のような国柄の中で、せめて社会福祉政策だけでも充実しなかったらどうなるかということであります。そら恐ろしいことでございます。県は五十九年度から、社会福祉施設建設に対するかさ上げ補助金をいともあっさり打ち切りました。まことに残念に思うところであります。その理由は定かに知りませんが、多分、他県に比べまして施設数が相当優位にあるとの判断からではないでしょうか。翻って見るに、県が苦労し、かつ優遇して県内に張りついた誘致企業なるものは、昭和四十九年から五十八年までの十年間分を計算してみましたら、これは明快な県資料によって計算しましたが、四十八社進出しておりますが、一社平均の従業員が六十五人でございます。また、五十八年まではそうでありましたが、五十九年度一年分の進出企業の一社当たりの平均従業員は四十六人であります。最も小さな特養老人ホームでも二十五、六人から三十人近い従業員を抱えてやっておるのであります。これは、少し脱線ぎみの参考的な話として紹介したまでであります。話を本論に戻しますけれども、本県の社会福祉が進み過ぎておるのでなくて、他県が時代におくれているだけのことであります。これら社会福祉施設行政は、御承知のとおり、地方自治法第百四十八条によって直接知事の責務となっておることは明快であるはずであります。福祉六法制定以来、社会福祉法人に委託できることと相なったところから、県立直営より財政的に相当県は助かっておることであると私は思います。何でもおくれをとりがちな本県が社会福祉事業において他県におくれをとらなかった原因は、遠く津島県政の先見の明にあったと私は思います。そして、竹内県政下に積極的に具体化したのであります。戦後の津島県政は財政的に非常に苦しんだために、リンゴ税問題で一大波乱に陥った経緯は皆さんも御承知かと思います。文化人でありました津島知事は、昭和二十三年から数年間の間に、県の職員約三十人を給費生として日本社会事業大学へ送り込んで、日本の文化的国家建設の一翼に寄与せんと心がけ、同時に、本県の将来に社会福祉の楽園を夢見たからであって、今日の実績はそれらの給費生の活躍によるところ少なからぬものがあるのであります。昭和三十八年、社会福祉六法が制定されたときの津島代議士の喜びというものが私には察せられるのであります。今日財政が苦しいからとて、戦後の焼け野原状態の中でのあの時代の財政と今とを私は胸の中で想像し、比べてみますと、今日の金にしたら約五億円ほどの金を投じて、あの財政難のときに、昭和二十三年ころから投資をした──勉強投資をした。私はこの精神こそとうといと思います。このとうとい精神的遺産を食いつぶすことなく、全県民が必ずいつかはお世話になるであろう社会福祉事業こそ日本一に仕上げる、との誇りを持ちたいものだと思うものであります。青森県にも一つぐらい日本一のものがあってもよいのではないかと、心から強く要望しておく次第でございます。  次は、通告の第二としまして六十一年度予算についてでありますが、これはお二人の方から質問があって、知事の見解をおおむね聞かされました。また、ごく最近の新聞紙上におきまして、社会福祉予算の減額、こういうことが発表されました。国は、昨年の一千億、一千億のカット分に対する穴埋めとしての交付税の増額、そういうふうな約束を一年限りとして取りつけながら、その約束どおりにやらないという傾向がございます。極めて明年度の予算状況は厳しい、私はこう思います。ですから、強く知事の予算編成──合理的な予算の編成はもちろん望むところですが、対政府との間において決然とした、青森県のための努力を──決然と頑張ってほしい、これは要望にとどめておきたいと思います。  以上申し上げまして私の一般質問を終わります。 37 ◯副議長(毛内喜代秋君) 知事。 38 ◯知事(北村正哉君) 船橋議員にお答えを申し上げます。  最初は副知事二人制であります。お話の趣旨は、一人でもいいじゃないかということ、しかもそれは、行政改革の立場から、一般職員の削減を図るなら同じように管理職もまた同じ扱いを考えてもいいじゃないか、こういうことだと思います。お話の筋は一応わかるわけでありますし、同時にまた、副知事一人でやってる県もたくさんあるわけでありますから、何が何でも二人でなければならない、何が何でも一人ではいけない、ということは私は申し上げないのであります。ただ、本県の事情を考えてみれば、多くの県──すべての県とは申し上げませんが、多くの県と比べてみていかにも特殊事情下に置かれてる。特殊事情下というのは何だということになろうかと思いますが、産業経済的におくれてきてる、産業構造を改めて今や県政一躍進を考えなければならない、離陸をしていかなければならない、こういった事情が本県を大きく覆っているわけであります。そのことに向けて産業構造を改めなければならない、そのことに向けて生産基盤を整備していかなければならない、生産基盤の中心になるものは高速交通体系でありましょうが、生産基盤を整えるだけで事足れりとするわけにはいかない、あわせて生活環境も整備していかなければならない、こういったことになりゃ、本県の行政には非常にたくさんなすべきことがここに積まれてる。副知事一人にしろという議論にもそれなりの根拠があろうかと思うんでありますが、二人にして、たくさんここに山積みされたプロジェクトをできるだけ細やかに手がけながら促進していく、という態度もまた考えられてしかるべきだ、こんなふうに考えてるわけであります。当分の間と申しますか、当面、副知事二人制の条例を遵守していきたい、こう思っているわけであります。  むつ小川原開発のことを述べられました。これに関しても、幾つか述べられた中の第一点は、関係の職員を減らしていくことが考えられないかと、これも、御議論として承るべき内容だというふうに思います。ただ、御承知のとおり、むつ小川原開発は、本県が県政の命運をかけて、本県の将来のために最大のエネルギーを投入しながら、全力を傾倒して進めてる事業であることは、なかなか御理解いただけないんでありますが、大方の方は御理解しているわけであります。そういう立場からすれば、「つわものどもが夢の跡」と言うんでありますが、夢どころでなくて、あの事業はこれからスタートして──スタートはやや前にもうしてるんでありますが、二十年も三十年も先を見ながら、いつでも申し上げる長期的事業であります。(「百年の大計」と呼ぶ者あり)どなたか百年の大計と言うんでありますが、こういう事業こそ百年の大計ということだと思うんでありまして、そういう意味ではそう簡単に手を抜かれない。常に充実した体制でいかなければならない。それにしてもしかし、お話のように、この行政改革下でもう少し考える余地はないか、ということを言われれば、それを素直に受けて、人員管理の一般的な課題と一緒にむつ小川原関係についても目を配るということは心がけたいと思います。ただ、勘定された中に、百十六人とか何人とか、むつ小川原の会社まで入れておられるんでありますが、これは単純な、何というんでしょうか、単純な間違いだと私は善意に解釈してるわけでありますが…(船橋議員「だれがつくった会社だシテ」と呼ぶ)つくったのは別として、現実の人員管理、定員管理、定数管理の話からすれば県庁の関係とは別扱いになる、こういうことを申し上げているわけであります。  それから、これも会社のことのようでありますが、借入金が大変にかさんでるんだと、事業のための投資でありますから、この場合の借入金は、事業を進めることによって、つまり用地を取得あっせんしていくことによって償還されていくべき借入金が、事がはかどっていないために、おくれているためにここに渋滞がある、こういうことであろうと思うんでして、もともと基本的には事業推進のための投資である、こういうふうに考えられようかと思います。  企業誘致に関しましては、間山議員に午前申し上げたところで御了承いただきたいと思います。  監査委員の選任につきましては、いつでもこれは申し上げてきたところでありますが、政党政派の別なく適任者を推薦し、議会の御同意をいただく、こういう手順で進めてきてることを御了承いただきたいと思います。  公入札の方法についての御所見につきましては山内副知事からお答えをさしていただきます。  超過負担の解消、あるいは機関委任事務の整理等については、古くて新しい問題、新しくて古い問題で、大変に長い間これを論じてきてるわけでありますが、これを政府に迫っていく場合には、各県ごと、あるいは各市町村ごと、各県の県議会ごとではいかにも力がまとまらないわけでありまして、常に六団体、私の場合には全国知事会を通してこのことを年々政府に要請を続けてきてるところであります。なお、これらの中身については担当部長から申し上げさしていただきたいと思います。  それから社会福祉政策についてお述べになられました。社会は変転きわまりないわけであります。スピーディーに世の中がどんどん変わっていって、それに対応して社会福祉政策を充実しながら、本県がもし先進的な立場に置かれてるとすれば、それを崩すことなく維持、向上していくべきだと、社会福祉重視のお話があったわけでありまして、それはまことに御意見のとおりだと思います。財政と絡む問題であることは──全く財政と無関係だとは考えられないわけでして、財政をにらみながら、できる限り人間尊重の立場から社会福祉政策の充実を図る、ということにいたしたいと思います。  六十一年度の予算については、特に御質問でなくて御要請でありました。今まで申し上げてきたところで御了承いただきますし、また、政府に向かって頑張れ、こういうことでありますが、やっぱり、組織の力──知事会等の力をかりながら政府に要請するというのが本筋であろうかと思って、そのルートで進めてまいりたいと思います。 39 ◯副議長(毛内喜代秋君) 山内副知事。 40 ◯副知事(山内善郎君) 船橋議員の御質問のうち県工事に関してお答えを申し上げます。県工事を施工する業者につきましては、青森県建設業者工事施工能力審査規則によりまして審査を受けて決められた業者の中から、青森県建設業者選定規程の定めるところによって厳正に審査をした上で業者を決定いたしまして、工事の施工に関しましては、限られた予算で最大の効果を上げるよう努めているところでございます。 41 ◯副議長(毛内喜代秋君) 総務部長。 42 ◯総務部長(松田研一君) 船橋議員の御質問に対します知事の答弁を補足させていただきたいと思います。  まず超過負担関係でございますけれども、超過負担は、御案内のとおり、国庫補助・負担基本額と地方公共団体の実質支出額との間の単価・数量・対象差のために生ずるものでございますが、その数字につきましては、先ほど船橋議員御指摘のとおり、本県の計算によれば、決算ベースで五十九年度で二十七億八千八百万円ということになっておりまして、生活福祉、あるいは商工労働、あるいは環境保健等に多いものとなっております。その解消につきましては、国におきまして各年度、関係省庁によります共同実態調査を行い、その結果に基づきまして、国の予算編成におきまして補助単価の改善、補助対象の拡大等超過負担の解消措置が逐次とられてきたところでございます。しかしながら、本県の超過負担は、先ほどお話にもありましたとおり依然として多額なものでございまして、本県財政を圧迫する要因となっている現状にかんがみまして、国と地方との財政秩序の確立を図り、地方自治の円滑な運営を期する観点からも、先ほど知事からも答弁ございましたが、超過負担の完全解消につきまして、全国知事会を通じるなどして国に対して引き続き積極的に働きかけてまいりたい、というふうに考えております。  次が国の機関委任事務についてでございますが、機関委任事務のあり方等につきましては、先ほどもお話ございましたが、去る七月二十二日に国の臨時行政改革推進審議会から答申がなされたわけでございますが、その内容を見ますと、その見直し件数は約八十件にすぎないということで、これまで国に要望してきた基本的な考え方からすれば満足できるものではございませんので、今後とも引き続き、機会あるごとに全国知事会等を通じて国に働きかけてまいりたい、というふうに考えております。なお、機関委任事務の量的な数字といいますか、何人分ぐらいに相当するのかといった、手法が何かないかというお話もございましたが、現在県関係では、国から知事等に委任されている機関委任事務は全体で約三百七十件ございます。この件数すべてが本県にあるというわけではありませんけれども、かなり膨大なものでございますので、なかなか計算するのは大変だろうと思いますが、計算方法等について研究させていただきたいというふうに考えております。以上でございます。 43 ◯副議長(毛内喜代秋君) 船橋君。 44 ◯五十二番(船橋祐太郎君) まず知事の答弁についてであります。むつ小川原の会社の借金は千百四十六億だとしましても、これは県の借金でなくて会社の借金だと、そんなことわからない県会議員だれありますか。そこで、会社の借金だということで、そういう──県が第三セクターとしてつくったからには、この会社設立そのものにもまず責任を感じなけりゃならぬ、また、この会社そのものが県の出資者──会社に対する県は出資者でもある、こういう立場でいきますと、これは七分六厘と七分三厘の二建ての利息を使っておるようですから、少ない方の──安い方の金利計算をしましても五年後の元利合計高が二千億を超すんであります。ですから、五年の後に二千億を超すようなことを──まあ百年かかっても二百年かかってもと言わんばかりですけれども、この借金──借入金との見合いを一体どうするかということを言ってるんであります。ですから、見合うところの土地がある、原則的にはそうなっています。金利が増高して二千億などになりますと、土地の値段は一体何ぼになればいいか、こういうことになっていきます。「土地が安くないといかぬ」というのは知事の日ごろの答弁でしょう。「企業の張りつけに最も大事なものは土地の単価だ]こう言う。そういうことなどを勘案すれば「借金が幾らになろうとも」などということは言えないはずだ。ですから、本気で企業誘致を──立派な、優良な企業を誘致せんとまじめに考えるなら、そんな「百年かかっても」などと言っておれぬはずだ、私はそう思います。  また、会社の職員が何人とかは関係ないような意味の話もされましたが、これは、そういう意味では、会社の職員の数であっても、会社の給料をもらっておっても、それが会社そのものの経理を圧迫するわけで、借金と相なっていくわけでしょう。直接的な面で物を見ればそうではなくても、実質的な、政治的な意味を含めて、そしてまた会社の構成員であることを含めて、県もまた大きくこれに関心を持たざるを得ない、また、責任がまるきりないとも言えない、無関心たり得ない、会社の職員数もそうなるわけであります。まして公社の職員、まして県庁の開発室に──三十八人ですか、開発室は。こういうふうに、県職員が現在三十八人、合わせて、むつ小川原開発の仕事をしておる者が百十六人おることになっておる。そのほかに、知事でも、あるいは副知事でも、陳情だ、やれその運動だというのでそのほかの要員もまたかかわりがある。直接かかわりのある者が百十六人。それは、県庁の職員はたった三十八人じゃないかと言ってもですね、現在のむつ小川原開発そのものにそんなに仕事があるとは、私自身そう思っていません。そういうふうに、スタートを切った──忙しく土地を測量し、土地を買収して発足したあのときにすらこれより幾らも人数が多くなかったわけでしょう。今百二十人近い者が、何でそれほどの仕事量があるのかという感じがします。これは私一人の感じじゃなくて、県民そのものもそう思ってるんじゃないでしょうか。また、電事連がどうのこうの言っても、電事連に仕事があるとすれば電事連は電事連で動くわけですから、間接的にはむつ小川原会社に関係はあろうけれどもですね、百二十人のそういう要員というものが今なお必要であろうかということであります。知事はこれに対して、考えないわけではない、見直しする──見直しからそれを外しておるわけではない、こういうふうな意味のことがありますから、私はまあ了とすれば了としてもよいわけですが、私は、本県の実情──財政財政と言う、あるいは職員定数を問題にする、こういうふうな本県の事情からすればですね、現在のむつ小川原にかかわるこの会社、公社、開発室、こういうものの事案というものは十分に検討されてしかるべき情勢、また現在の内容にある、こう思うところです。  借金の問題も、会社の借金だ、県の借金じゃないんだと言わんばかりのことで、とんでもない無責任な物の考え方に聞こえるんです。あなたはそういうつもりでないでしょうが、そう聞こえたのですから、もう一遍。 45 ◯副議長(毛内喜代秋君) 知事。 46 ◯知事(北村正哉君) いろいろと話の行き違いがあるようで、大変申しわけないことに思っております。むつ会社との関係をしきりに述べられてるわけでありますが、県はむつ会社の株主の立場でもあります。また、トロイカということをよく言われたんでありますが、県、公社、会社、そのトロイカで事業を進めてきてる点からも会社経営に無関心であるわけにはいかない。いわんや株主であるにおいてをや、こういうことであります。ただ、何遍も申し上げるんでありますが、今の会社の借り入れは事業を進めるための投資でありまして、それだから心配要らないということは少しも申し上げないんでありますが、事業が進展すれば償還されていく、本質的にそういう性格のものだと思います。どういう計算か、五年で二千億になる、こう言われるんでありますが、その辺のことは私にとりましては定かじゃありません。ただ、本質的にそういう性格の借入金である、こういうことであります。それから、百年かかってもというのは、百年の大計に基づく事業だ、こう申し上げたんで、この借り入れの償還に百年という意味では毛頭ございません。  なおまた、この人員管理の点で、むつ小川原開発室、あるいはむつ小川原開発公社には三年間三%削減の考え方が全く及ばないようにお話しでありますが、全部及ぶわけであります。三年間に三%削減していきたい。特に、むつ小川原開発行政は特殊な行政でありますから、三%にこだわることなく、実態に応じて人員に対応していくということになろうかと思います。公社は、むつ公社だけでなくって、公社全体にも人員管理その他行政改革──その他県庁と同じように公社へも適用していく、こういう推進委員会の御意見がありました。ありましたが、ただいまのところ、三年間三%削減は直接的には公社を対象にしてはいないことを申し上げます。大体そんなことだったと思いますが、御了承願います。 47 ◯副議長(毛内喜代秋君) 船橋君。 48 ◯五十二番(船橋祐太郎君) 知事の答弁で、先ほどの答弁とちょっとニュアンスが違うように私は今感じましたが、大きく第三セクターをつくったからには、これは県が主導してつくったんですし、いろいろな意味で関係も責任もある、こういうことです。ただ、このスタートのときにですよ、あの、あすにもコンビナートができるかというふうな、煙を上げて忙しいようなときに百十六人の県職員で発足した──スタートを切ったんです、作業に。あの時代で百二十九人でスタートを切った。今十三人というものが不足だけれどもですよ、現在百十六人、その差は十三人。やがてそれは、公社もでき、あるいはまた会社もできということで三分散された形にはなったものの、最初のスタート百二十九人対現在は百十六人。あのころに比べて今の情勢というものはそんなに人が要るのでしょうか、私はここにある。会社の者であれ、公社の者であれ、県職員であれ、そういうことについて十分な見直しが必要だ、こういうことに対して知事は余りにも、まあ無責任ではないけれども、極めて、何といいましょうか、問題意識がない。相当な金額の借入金もある、これは当然の借り入れだと言わんばかりです。それは、企業として事業をする場合には借入金が必要です。ですけれどもね、これは借入金のために倒産する場合もございますし、当然の借入金、ただそれだけでは済まない。いつごろに目安がつくかが企業のめどになるわけです。そのめどがどうなるかということ、この含みを含めて──この意味を含めて、企業の張りつく展望も含めて株式会社の将来というものを考えないことには話にならないでしょう。いつかは来るかもしれない、来ないかもしれない、しかし土地を買ったんだから借入金は当然だ、そんなことでは済まぬでしょう。やはり、いつごろまでには三千数百町歩──ヘクタールの土地は消化できる、二十年なら二十年でもいい、十年なら十年でもいい、あなたの展望として、仮に百年かかればこれが消化できるのか、そういうことの展望を含めてこの借入金というものを議論しなければ何の意味もないわけでしょう。子供の考え方と同じでしょう。土地を買うのに借金は当たり前だ、企業というものには借金があるんだ、ただそれだけの話じゃ企業にも何にもなりやしない。もっとちゃんとした答弁をしてほしい。展望を含めて考えないことには話になるもんじゃないでしょう。 49 ◯副議長(毛内喜代秋君) 知事。 50 ◯知事(北村正哉君) にわかにその辺の展望を的確に立てれないで悩んでるのがむつ小川原の現実だと思います。悩んではいますが、目標に向けて努力は続けてる、こういうことで御了承いただきたいと思います。 51 ◯副議長(毛内喜代秋君) 以上をもって本日の議事は終了いたしました。明日は定刻より本会議を開き、一般質問を継続いたします。  本日はこれをもって散会いたします。 午後四時三分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...