甲府市議会 2004-12-01
平成16年12月定例会(第2号) 本文
これらの和歌は新渡戸稲造さんの著であり、今でも世界の指導者たちに読まれている「武士道」の中に出てくる歌でありますが、今日の日本では失われて久しい日本人の心だと思います。
新渡戸稲造さんといえば、多くの若い方々は、「前の5,000円札の肖像に載っている人」程度の御認識でありましょうが、1920年に「われ太平洋の橋とならん」と言って、困難山積する国際連盟の事務局次長の役をみずから買って出た人であります。
昨年の4月に台湾の前総統でありました李登輝さんが、今日の社会的な正義が全く喪失された日本人に対して警鐘を発してくれた「武士道解題」が発刊されまして、多くの方々に読まれて、李登輝の会を結成しようとする動きが日本各地に起きているようであります。
この書の中で李登輝さんは、人の上に立つ人、あるいは公に奉仕する人に求められることは、公儀、いわゆる社会的正義に殉ずる心構えや気概であり、それが備わった人が初めて真のリーダーシップを発揮し得るのだと断言するとともに、そして、これが私の言わんとする「今なぜ武士道か」という問いの本質であり、「武士道」にはこの「公儀」が説かれているからこそ、今なおさん然として光輝いているのだと思うのです。つまり、今日のような世の中だからこそ、なおのこと「武士道」のような国民的な精神的支柱が必要とされているのであり、これなくしては日本という国家も国民も絶対に生き延びていくことができないとも警告をされております。
李登輝前台湾総統は、戦前の日本の国民学校の教育を受け、軍役にもついていただき、戦後は苦学して京都大学に復学し、幾多の艱難辛苦の上、民主化後初の総統選挙で当選して、今日の近代国家台湾の礎をつくった方でありますが、その間の精神的な支えになったのが日本で受けた教育と新渡戸稲造先生の「武士道」の本であったと述懐をされております。
私たちは李登輝前総統の警告をどのように受けとめ、どれだけ多くの日本人が長い精神的眠りから覚醒するかに、私たちの日本の未来が託されているのではないでしょうか。
さて、私の責務であります本題の質問に入りたいと思います。ちょうど1年前の12
月定例会におきまして、我が会派の代表質問を行わせていただきました。その質問の冒頭で、宮島市長の公約に基づく各種施策の実行を高く評価する旨の
発言をしましたところ、その直後に一連の不祥事の端緒となる下水道料金の未収納問題が発覚し、以来ほぼ1年間にわたっていろんな問題が露見してきたことは御承知のとおりであります。私も一人の議会人として、議会人の役割は何なのか、何のために市民の代表として出てきたのか、深く考えさせられた1年でありました。
それでは、第1点目の監査委員監査制度の強化につきまして、質問をさせていただきます。
御承知のとおり、地方公共団体の事務処理に不正な対応があった場合、地方自治法では、第98条にて事務の検査及び監査の請求を、また100条では調査権、いわゆる百条委員会の設置の権限を議会に対して与えております。
下水道料金の未納問題に始まる一連の不祥事は、まさに市民に奉仕すべき公務員としての基本的な自覚が全庁的に低下している証と判断されても仕方がない内容であります。一度市民の皆様から失った信頼を取り戻すためには、生半可な努力では足りません。民間企業と市民の皆様は、現下の厳しい経済状況の中でもまじめに納税をしていただいていることを考えますと、この一連の過ちを全職員も議会も重く受けとめ、再発防止に向けて一丸となって取り組むことしか道は残されておりません。現在、全庁を挙げて業務の総点検と各種未納市民への収納促進を行っているところでありますが、まずはこの進捗状況をお聞かせをいただきたいと思います。
一連の不祥事の再発防止対策といたしまして、組織の見直しや業務の総点検を進めていることは承知をしておりますが、私が注目しているのは、現行の監査制度を見直すことにより、十分に監査機能の強化が図れるということであります。今日、地方自治体の三役あるいは四役と呼ばれるのは、市長、助役、収入役、さらには教育長という方々でありましょうが、代表監査委員の位置づけはといいますと、いかがなものでありましょうか。これからの行政経営の方向性といたしましては、おのおのの自治体がいかに代表監査委員の位置づけを重く見るかであり、その自治体の経営姿勢を推しはかる一つの指標となるものと考えられます。
その理由は、さきに述べましたとおり、市の財源は市民と企業の皆様からの汗の結晶とも言える税金であり、その税金の使途についてチェックする監査機能は、行政経営上非常に重要な役割であると言えます。いかなる監査においても言えることではありますが、監査主体であります監査人には、専門家としての能力、職業倫理観、そして独立性が求められているものと私は認識をしております。自治体の経営改革を本気で実践しようとするならば、民間企業がそうであるように、監査機能の積極的な充実強化を推進しなければならなく、代表監査委員はその要の役職と認識しております。
次に提言するのは、内部監査機能の充実強化策であります。代表監査委員や監査委員の機能強化との関係で、監査委員事務局という内部監査部門の充実も重要な課題と言えます。監査の本来の目的を遂行するだけならば、各部門で専門的な能力を有する職員を事務局に配置すればよいのでしょうが、市の職員だけでは高い専門的能力や精神的な独立性を期待することは限界があるのではないでしょうか。
この問題を克服する現実的な方策といたしまして近年注目されているのが監査のコーソーシングであります。コーソーシングとは、簡単に申し上げますと、アウトソーシングが外部委託や外部からの調達であるのに対しまして、コーソーシングは内部実施と外部委託の融合した形態を意味するとのことであります。
現行の監査委員事務局監査は、専門能力、実務経験、精神的独立性に限界があること、あるいは費用対効果よりも手続を重視した監査業務を行ってしまうこと、また、監査委員監査では、専門能力、実務経験、精神的独立性に不安があること、あるいは監査時間が限られていることなどのデメリットが指摘されているのに対しまして、監査法人を監査委員監査のスタッフとするコーソーシング型は、1つとして、監査委員や行政職員の行政知識を活用することができること、2つとして、監査法人の高い専門知識やノウハウを活用できること、3点目に十分過ぎるほどの監査時間の確保が図れることなどが大きな効果として期待できます。
そこで、宮島市長にお伺いします。以上申し上げましたとおり、現在の監査委員制度のよいところは残しながら、プロの監査法人を監査委員のスタッフに加えるコーソーシング型が時代の要請と市民の信頼を回復するために最もすぐれた方法と考えますが、市長の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
次に、市町村合併の方向性についてお伺いをさせていただきます。
平成17年3月の合併特例法の期限切れを前に、平成の大合併は全国的にも着々と進み、平成16年10月1日時点では、2,620市町村になると報道されております。山梨県内におきましても、南アルプス市、甲斐市、笛吹市、北杜市と新市が誕生し、過日の11月28日には合併に伴う市議会議員選挙が終了したところであります。今後は新市の各市はおのおのが魅力的なまちづくりを目指して、住民が住みやすさを感ずる施策を果敢に推進してくるものと思われます。このことは逆を返しますと、本市を取り巻く新市との都市間競争の時代に突入するということでもあります。若い世代の方々はより保育料や水道などの公共料金が安く、住宅用地が手ごろな価格で購入できる市を求めて、本市から転居する可能性も高くなるわけであります。
そこで、本市を取り巻く合併の現実を振り返ってみますと、先月の11月28日に行われました上九一色村の全村合併の可否を問うた住民投票は、本市にとっては大変厳しい結果でありました。この結果につきましては、上九一色村村民の総意でありますので、尊重するしかありませんが、本市は平成の大合併の時間切れを目前にして、市長も当局も議会もこのままでいいのでしょうか。道半ばで断念した甲府市・中道町・芦川村・上九一色村北部の合併をもう一度再構築したらどうでしょうか。
この合併の枠組みのコンセプトになるのは、中道往還であります。古くは武田家の時代から中道往還は甲府から南へ出て、迦葉坂、阿南坂を越え、精進・本栖両湖畔の間を抜けて、富士山西麓を駿河国根原村、現在の富士宮市から東海道吉原宿、現在の富士市でありますね、へ達した。当時としては、経済や文化活動の主要な交流道路であったことであります。
本市は県庁所在地であるがゆえに、他町村から見ますと、ある意味では居丈高に構えて見えるのかもしれません。ここは本市から、虚心坦懐に無私の心で先方の要望に耳を傾けてみる姿勢こそが現在問われているのではないでしょうか。10年後に合併した住民の方々が、あのとき合併しておいて本当によかったと思われる合併でなければなりません。
過日の宮島市長の「覆水盆に返ることもある」との
発言がありましたが、先方の首長と議会が合併に対して意思表示をされた場合の本市の対応をどのようにお考えなのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
次に、災害対策についてお伺いをしたいと思います。
10月23日に発生をしました新潟県中越地震は、記憶に新しいところでありますが、大自然の営みの前には人間は非力であることと、災害救援に対します日本人の温かさを改めて認識をしたところであります。
本市の防災対策をただすに際しまして、内閣府のホームページを見ましてみたところ、「平成16年度において実施すべき防災に関する計画」を調べてみました。大規模地震対策は政府の関係府省、地方自治体、民間企業、NPO、市民の一人ひとりに至るまで社会全体で取り組まなければならない緊急課題であります。特に平時から住民、企業、NPO等、さまざまな主体が防災対策に参画し、地域防災力を高める努力をすることが重要であり、公助を担う行政も含め、想定される被害を事前に軽減する対策、いわゆる減災対策に一層取り組むことの必要性を掲げております。
災害が発生した場合に最も早く対応できるのは、隣近所の自助、共助、すなわち自治会組織がどのように対応できるかにかかっております。自治会の自主防災組織が日常からいかに連絡体制や防災備品の整備を心がけているのか、また、個々の自治会が自主防災力を高めるための努力をすることに対して、どれほど公助の行政が計画的に支援しているかで減災対策の効果が決まるのであります。
現在、本市には甲府市自主防災組織補助金交付要綱がありまして、この中で別表に掲げる防災資機材を購入する場合に、購入金額の2分の1を5万円を限度として補助すると定めてあります。
そこで、質問でありますが、この補助金制度を活用するためには、単位自治会としては、10万円以上の予算をつけなくては5万円の補助を受けられないということになるために、平成16年度の今日まで申請を出した自治会はわずかに7件とのことでありますが、本制度をもっと多くの自治会に活用してもらうために、簡潔に5万円までを補助するよう要綱を見直すべき時期に来ていると思われますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
また、市内で積極的に自主防災力を高めるための努力をしている自治会に対しまして、モデル地区設定をして取り組む考えはないか、当局の考えをお示しいただきたいと思います。
次に、留守家庭児童会の支援についてをお伺いをさせていただきます。
厚生労働省の実績評価書を見てみますと、「男女が共に能力を発揮し、安心して子供を産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること」を基本目標に、子供が健全に育成される社会を実現すること、あるいは、放課後児童を健全に育成することを対策目標として掲げております。
さらには、実績目標の中で、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童(放課後児童)に対し、授業の終了後に児童厚生施設等を利用して、適切な遊び及び生活の場を与え、その健全な育成を図る放課後児童健全育成事業、厚生労働省の方では「放課後児童クラブ」という呼称を用いておりますが、運営費の一部を国庫補助し、新エンゼルプランに基づき平成16年度末までに放課後児童クラブ数を全国で1万5,000か所にすると示しております。
これらの施策の背景には、一人の女性が生涯に産む子供の数である合計特殊出生率が全国で1.29、山梨県では1.37と過去最低となりまして、少子化が年々進行しているとともに、女性の就労が進んだこととあわせて、核家族化と地域の連帯感や教育力の低下が子育てと女性の就労を支援する必要性を高めているものと言えます。
このような中で本市におきましては、保育所における延長保育や、小学校における留守家庭児童会など、各種の子育て支援策が推進されていることは御案内のとおりであります。特に留守家庭児童会につきましては、本年4月から教育委員会の所管から福祉部所管となったことは、次代を担う子供たちへの支援を強く打ち出したものと受けとめております。
そこで、質問でありますが、平成17年度から実施する時間延長は、現行の5時までの時間を何時まで延長するのか、また、かねてから時間延長は有料化を考えているとのことですが、さきの新聞報道等でもあったようでありますけれども、改めて確認する意味で、保護者負担の額はどのくらいを想定しているのかをお聞かせいただきたいと思います。
また、放課後の児童を預かっている留守家庭の指導員の方々は、本制度が発足以来から重い責任を担っていただいて今日に至っているわけでありますが、保護者からは保育内容の充実を求める意見もあるとのことから、市としては今後指導員の方々の処遇や配置についてどのように考えているのかを、新聞報道より詳しくお聞かせいただきたいと思います。
さらには、先ほど述べましたとおり、本年度から教育部から福祉部への所管替えの中で、時間延長と保育の強化を行うとのことでありますが、学校とのかかわりを含めて、どのような管理責任体制を考えているのかをもお聞かせいただきたいと思います。最近の子供たちを取り巻く忌まわしい事故の多発を考えましたときに、とてもその責任を指導員の方々に負わせるわけにはいかないと思うからであります。
以上で私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
3:
◯議長(
森沢幸夫君) 市長
宮島雅展君。
(市長
宮島雅展君 登壇)
4:
◯市長(
宮島雅展君) 福永議員の御質問にお答えをいたします。
市町村合併についてであります。地方分権が一層進展する中で、効率的な行政運営による住民サービスの向上を図るには、甲府盆地一帯の発展を視野に入れた市町村合併への取り組みは、合併特例法の期限にとらわれることなく、将来にわたって強力に推進していかなければならないと考えています。しかし、合併特例法による合併特例債などの財政優遇措置は、当面の市町村合併を推進していく上では、その活用について十分考慮しなければならないとも思っています。
上九一色村との合併につきましては、11月28日、住民投票の結果に基づいた上九一色村での意向が示された時点で、中道町での合併枠の見直しの動きなども見ながら、議会とも協議をする中で判断をしてまいりたいと考えています。御理解を賜りたいと存じます。
ほかの御質問につきましては、関係部長等からお答えをさせます。
以上です。
5:
◯総務部長(
小尾英光君) 監査機能の充実強化についてお答えをいたします。地方分権の進展に伴い、地方公共団体の自己決定、自己責任が強く求められている中で、地方公共団体みずからのチェック機能がさらに充実し、住民の信頼により適切にこたえていかなければならないと考えております。こうした中、監査委員やその事務局が地方自治法等の関係規定に基づいて、財務事務の執行及び経営にかかわる事業の管理を監査し公表することは、公平、公正で効率的な市政運営を推進する上では大変重要であると認識しております。このような認識に立って、監査委員の補助職員である監査事務局の職員につきましては、特に法令、予算、事業等、各種の行政経験を積んだスタッフの配置に努めております。いずれにいたしましても、御提言のございました監査機能の充実のためのコーソーシングにつきましては、監査委員の意見を尊重する中で調査研究をしてまいります。
以上であります。
6:
◯代表監査委員(
有泉正仁君) ただいま監査委員制度に対し幾つかの御提言をいただいたところであり、今後、監査機能の充実強化について、総務部長より答弁があったとおりであります。ただし、御質問におかれましては、代表監査委員である私に対する叱咤激励とも受けとめております。こうしたことから、ここで私の思いの一端を述べさせていただきます。
このたび本市における一連の不祥事を事前に指摘できなかったことは、まことに残念であるとともに、その責任を痛感しているところであります。これまで監査において、行財政の不正、違法等の指摘は当然のことでありますが、監査制度の変革の中で行政的指導といった面に重点を置き、行財政運営の客観的妥当性を追求し、行政執行の確保を通じ、市行政の一層の合理化、効率化等いかにつなげていくかに意を注いできたところであります。
しかし、たび重なる不祥事を見るとき、私にとってこれまで監査を進めてきた上で大きな反省点でもありました。こうしたことから、一連の問題に対し、事態を引き起こした原因、背景等を究明し、再発防止に向け組織、職員配置、事務処理、企業経営のあり方等、広範な視点での新たな行政監査をも実施してきたところであり、さらに監査手法の改善にも取り組んでいるところであります。今後につきましても、健全な行財政の実現を願い、公正不偏の態度の保持に努め、他の監査委員さんとともに私に与えられた役割、使命を十分果たせるよう、心を新たに職務に邁進してまいりたいと考えております。
以上、私の思いの一端を述べさせていただきました。御理解を賜りたいと存じます。
7:
◯企画部長(林 正孝君) 各種未納金の収納促進及び事務事業の総点検についてでありますけれども、本市の歳入の根幹をなす市税をはじめ、自主財源である使用料・手数料等の未収金については、自主財源の安定確保及び市民負担の公平、公正の観点から、その対策は喫緊の課題であると認識をしております。こうしたことから、今年度、未収金の収納促進対策や自主財源の一元的管理を図るため、年度当初、年度中途、年度末の年3回を目途に、各部局が所管するすべての自主財源について、未収状況及び滞納整理の課題、またその対応、結果等について、ヒアリングを実施、予定をしているところであります。
年度中途における2回目のヒアリング結果は、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた全会計の滞納額に対する収入総額では、前年度との同月比較で約8,000万円ほどの増額となるほか、新たな滞納整理方針を策定するなど、一定の成果を上げておりますので、17年度以降も継続して実施してまいりたいと考えております。
また、滞納管理システム導入検討委員会を発足させ、滞納業務に対する効果的、効率的な徴収業務や収納率向上の補完対策として、税、税外にかかわらず各種滞納者の総合的一元管理が可能なシステムについて、検討を行っているところであります。
なお、事務事業の総点検は、今年10月を点検月間と位置づけ、各部ごとに管理職が主体的な役割を果たす中で、職員各自が自身のかかわる事務事業の点検を行い、適正、効率的な事務事業が図られるよう実施したところであります。
以上であります。
8:
◯市民生活部長(
平井 功君) 市民生活部に関する2点の御質問にお答えいたします。
まず、甲府市自主防災組織補助金交付要綱の見直しについて。災害時に被害を最小限に抑えるためには、地域の自主防災組織による平常時及び災害発生初期段階からの防災活動が大変重要であると認識しております。
防災資機材の整備については、既に自治会に対し自主防災組織の結成時に、防災倉庫、防災資機材の購入に対して補助金を交付し、また、各自治会連合会に対して、県補助金を利用し、防災倉庫、防災資機材を購入し譲与を行ってまいりました。その結果、498自治会のうち466自治会において結成され、活動しております。防災資機材の整備については、甲府市自主防災組織補助金交付要綱を定め、5万円を限度に購入に要した経費の2分の1に相当する額を補助しております。この制度は自治会連合会とも協議を重ね、期間を限定して実施しているものであります。今後、積極的な活用が図られるよう努めてまいります。
次に、自主防災組織としてのモデル自治会の設定についてお答えいたします。「みずからの生命、財産はみずからが守る、自分たちの地域は自分たちで守る」という防災の原点に立ち、行政と市民、両者の危機管理意識、防災体制が有機的に連携し一体となって初めて災害に強いまちづくりが進められると考えております。このため、自治会連合会と連携して、自主防災組織の充実強化に向けて、研修会や各種の訓練などを行っており、この中で防災マップを作成するなど、幾つかの自治会が活動を始めております。今後も各地域の自治会長及び防災リーダーを対象に、指導育成講習会を行う中で、他地区のモデルとなる取り組みを行っている組織につきましては、普及活動に積極的に参加していただき、活用していきたいと考えております。
以上であります。
9:
◯福祉部長(
河内邦夫君) 福祉部に関係します3点の御質問にお答えいたします。
留守家庭児童会の管理体制についてでありますけれども、留守家庭児童会事業につきましては、平成16年度からは福祉部が所管し、教育委員会と協議の上、各学校長を留守家庭児童会の管理者に委嘱して実施しております。平成17年度からは開設時間が延長されることもあり、学童保育事業であることを明確にする意味からも、従来の管理者は廃止し、実施責任者については市長とし、学校との円滑な協力関係を保持する中で事業を実施してまいりたいと考えております。
また、時間延長に伴い、児童の安全の確保が重要となりますので、学校、保護者及び地域との連携を密にするとともに警備の充実を図り、さらに指導員の児童に対する安全配慮を徹底する等により、適切な児童会運営を行ってまいります。
次に、留守家庭児童会指導員の処遇と配置についてでありますが、留守家庭児童会の指導員は、放課後の児童に必要な指導を行い、その健全な育成を図ることとされており、大変重要な役割を担っているものと考えます。現在、児童20人につき1人を基準に、23児童会に46人を配置しておりますが、平成17年度からは開設時間を延長することや、保護者から保育内容の充実を求める御意見もありますので、これらを踏まえ、指導員について、その有資格化や研修等の充実を図る中で、適切な配置を行ってまいります。
次に、留守家庭児童会の時間延長と有料化についてでありますが、留守家庭児童会の時間延長につきましては、次世代育成支援行動計画策定のためのアンケート調査においても、1時間の延長を求める意見が多かったこと、また、保護者からの要望や一般的な就業時間をも考慮し、平成17年度から1時間の延長を行うこととして現在準備を進めております。あわせて保護者から事業にかかわる経費の一部を負担していただくことを検討しており、他都市の状況をも勘案する中で、指導員の報酬に要する経費等を対象経費として、児童1人当たり通常月5,000円、8月1万円程度を考えております。
以上でございます。
10:
◯議長(
森沢幸夫君) 福永 稔君。
11:
◯福永 稔君 御答弁ありがとうございました。
それでは、私の方から再質問をさせていただきたいと思いますが、まずはじめの市町村合併でありますけれども、宮島市長の答弁も、どうしても相手のあることですから、歯切れが悪いといいましょうか、なかなか市民の方々全員が御理解をいただける内容にはならぬかと思いますが、意図するところは新聞報道の域を出ないわけですけれども、笛吹市の荻野市長さんは、「今回の合併まで4年猶予を費やして、新市の基盤整備をするのが手いっぱいである」というような御
発言をされております。あわせて中道町の小林町長さんも、「でき得ることならば、覆水盆に返していただきたい」という意味の
発言をされておりますけれども、私も質問の中で申し上げましたとおり、時限立法でありますから、また、政府の方も最終的に明年の3月の時限立法前に国会で新たな新法を策定をする準備をされているようですけれども、いずれにしても、その中身がやっぱりぎりぎりぐらいまではっきりさせないと思うんですよね。いわゆる合併特例債があるのか、ないのかというような問題も含めて、いずれにしても、政府の方も十分その辺の様子を見ながら法案の制定に入ってくると思います。
肝心なことは、本当に合併というのは、それぞれ市町村の固有の歴史があり、いろいろな内部事情を抱えておりますし、最終的にはそれぞれの議会が方向を決定をしていただけなければ、当市でも対応ができ得ない状況にあることは私も理解しておりますけれども、ぜひ今回の合併特例法の期限切れまでに、もう一度、中道町、芦川村、それから上九一色の北部の皆様方が、「甲府さん、再度協議をしていただきたい」というような要請があった場合には、市長の御答弁にもありましたとおりな対応を、温かく、要は大きな心を持って迎え入れてほしいということを私の方で要望をさせていただきたいと思います。
次に、まずはじめの監査委員監査制度の強化についてでありますけれども、さきの新聞報道にもありましたとおり、外部評価を受けて、非常に市の内部評価より厳しい結果が出ております。これは私の提案の中にもありますとおり、なかなか内部の人間がみずからの友人でもあり同僚でもあり後輩でもある人たちの業績を評価するということは、大変至難なことでありまして、その精神的独立性を維持するということは、大変なことだと思います。
有泉代表監査委員の方からも力強い御
発言があったわけですが、いずれにしましても、時代はある意味ではコーソーシングの方向性を向いていると思います。その一連の準備作業として外部評価もあったりというようなことでしょうけども、ぜひ現在ある監査制度を見直すことにより、それへプロの方たちが監査委員スタッフとして入っていただいて、自主財源のチェック等々をしていただくということですから、もろもろの確認をしていただくという意味でも、第三者機関が入るということは非常によいことだと思いますので、先ほどの答弁にありましたとおり、前向きに御検討をお願いしたいと再度要請をさせていただきます。
それから、次の災害対策でありますが、これはもう一度御答弁を市民生活部長お願いしたいんですが、私がここで言っていることは、確かに498自治会のうち466自治会が自主防災組織を構成をしております。しておりますけれども、私どもの自治会をはじめ多くの自治会長さんに聞いても、してあるのか、してないのかわからない。自治会長さんたちはどうしても単年度、あるいは長くても2年、4年というような方たちが多いわけですから、自主防災組織がどうなっているのかという認識がなかなか薄いという現実があるわけですよね。だから、それをいわゆる自主防災力を高めるためには、この自主防災組織をもっとてこ入れをしていただいて、市の方でできる行政支援と申しましょうか、先ほどの補助金要綱もそうでありましょうけども、単年度でこれをやっちゃうとなると、相当の金額になりますから、二、三か年計画で5万円の範囲内であれば、ないところも、相当防災備品がない自治会もあるようでございますから、これらの整備を二、三年計画でやっていただいて、やっていただくと同時に、それぞれの自治会の自主防災組織の防災意識を高める努力をしていただく。そのためには、現在、甲府市内でも多くのNPOの方々、あるいは災害ボランティアの方々等々がいろんな活動をしていただいております。そういう方々を2点目のモデル地区の設定と連携を図りながら、自主防災力の整備を日ごろから進めていくということが必要だと思うんですが、自主防災組織の組織率は確かに高いんだけども、その内容の御認識がちょっと現実とはかけ離れているんじゃないかということで、もう一度できましたら市民生活部長の御意見、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
それから、最後に留守家庭児童会の支援でありますけれども、さきの新聞報道もありましたし、ただいまは福祉部長からの御説明をいただきましたんで、大綱理解はできるわけですけれども、やっぱり肝心なことは、現場としては大変な心配、不安を持っているということかと思います。確かに社会のニーズとしては働くお母さんたちの要望もあろうかと思いますけれども、私個人としては、でき得ることならば、10歳未満の子供さんたちは、本来ならば、温かく帰ってくるところをお母さんが迎えてあげるということがその子のためにとっては一番よい方法でしょうけども、そうはいいましても、現実的にどうしても共働きをしなければならないというような現実があります。
そこで、先ほどの説明の中にもありましたとおり、やっぱり一つとして、もう少し方針が今回の補正予算で確定をして、これから小学校の校長会、あるいは指導員の方々、あるいは保護者会等々に御説明を進めていくと思うんですけれども、ぜひ、どうも小学校の校長会、あるいは指導員会との日ごろの話し合いといいますか、そういうものが足りないというような面を私どもも耳にしておりますんで、ぜひ、この子育て支援ということは、さらに時間延長もあったり、そして、今度は障害を持つ児童の方々も受け入れするということで、大変教育現場でも、それでなくても5時なのを今度6時にする、校長先生も帰ろうと思ってもなかなか帰れない、そういうような状況が出てくると思います。これはハード面で確かに警報機を留守家庭児童会の部屋につけるとか、いろんなことも考えていらっしゃるようですけれども、ぜひここで議会が通ったところで、小学校の校長会並びに指導員会との話し合いをじっくりしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
あと、何といっても先ほど来共通して言えることは、責任体制なんですよね。これは留守家庭児童会の多くは学校の空き教室とかプレハブを活用しながら今日に至っているわけですけれども、学校にあるということは、学校の管理責任は校長先生ですから、そして、その校長先生も基本的には5時までということになると、今度は指導員の方たちに負担がいってしまうのではないかというようなことが非常に懸念されるわけですが、留守家庭児童クラブのいわゆる草創期でありますんで、国の方も法律がこの辺は整備が余りされていないようですし、甲府市としてもなかなか難しい現場実態もあろうかと思いますけれども、その辺の小学校校長会、指導員会、保護者会、PTAですね、の方々とじっくり話し合っていく心構えをもう一度福祉部長さんからお伺いをさせていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
12:
◯議長(
森沢幸夫君) 市長
宮島雅展君。
(市長
宮島雅展君 登壇)
13:
◯市長(
宮島雅展君) 要望でありますんで、答える必要はないかもしれませんけど、ちょうどいい機会ですから、お答えをさせてもらいたいと思います。
先日、議会の合併対策協議会の会長さんと、それから議長さんが中道町へ出かけていきまして、いつでも手を広げていると、そういうふうなことを申されてきたようでありますが、私も全くそうで、いつでも大きく手を広げて「いらっしゃい」と、そういうふうな気持ちで待っています。ただ、その条件として、その条件として村の中や町の中をしっかりまとめてきてくださいねというのは当然のことだと思っています。まとまらないんだからしようがないじゃないですかね。だから、なるべくしっかりまとめて。
なぜそういうことを言いますかといいますと、法定協議会をつくって、そして議論をしていく上で、どうしても相手方の中がぐらぐらしていると、協議が進まないんですね。特に期間の短い中で協議していこうとしていくんだから、そちら側がまとめて、まとまった要求を出してくれと。そういうふうにならなきゃならないのを、我々がそう言っても、向こうの中が例えば村論や町論が二分されていれば、そこでもうやりやっていて、一向に返事が来ない。そういう例を方々で見ていますんで、私どもはいつでも手を広げている、それは申し上げた期間を切って、来年の3月の31日、もちろん合併特例債という優遇措置があれば、それなりに大きな事業もできるかもしれないけども、それだけではなくて、先生おっしゃった、10年たってみんなに評価されたり、あるいは、「よかったな、あのときに合併をして」と、そういうふうなことを言われるものにするためには、期間ではなくて、議論をしながら先を見つめた合併をしていきたいと、そういう気持ちであります。ありゃあったほうがいいですけどね、合併特例債も。
ところで、少し向こうの町から見ると、県都として居丈高になっていはしまいかというようなことが、居丈高に見ているのかなというようなことをおっしゃられましたけれども、私どもの先輩から始まって今の今まで、甲府市は周辺の市町村に対して、大きな声では言いませんけれども、必死になって努力をして面倒を見てきているんですね。公式にこういう場所を使って言うのは初めてだと思いますが、例えば、市立病院にしても、その48%は甲府市以外の患者さんです。しかし、甲府市以外から一銭の経営費の負担もしてもらったことはありません。医療費の不足分に8億円ものお金を一般会計から出しています。建設費を入れれば、年度によって違いますけれども、14億から17億円もの繰出金を出しているというのが実情ですね。
それから、例えば水道一つとってみても、甲斐市の旧敷島町、あるいは玉穂町、昭和町は、水道管を設けることなく荒川の水や昭和の水、昭和の水だっていただくだけじゃなくてお金を払って買っていますからね。そういうものを供給をして、かの今言った三つのところは、水道課をつくって職員を置くことさえしていません。私たちがみんなやっているわけですからね。
それから、消防や救急あるいは視聴覚ライブラリーにしても、その負担率は前の5町、今は3つのところが合併して、つまり敷島と竜王が合併をしまして、双葉が合併して、甲斐市になりましたから、旧敷島町、旧竜王町、そしてあとは田富、昭和、玉穂、そして我々で消防、救急をやっていますけども、負担率は御案内のとおりで、こんなに差がありますね。そういうことをやっているんですね。そのほかにも、例えば今度新しく誕生した笛吹市、それを中心とした町、そのほかの町、そのごみの焼却だって引き受けていますよ。
そういうことを一生懸命やってきた。先輩方もいろんなことを言わなんで、甲府市の県都としての役割を果たしてきているんですね。ただ、その果たしてきていることが正当に評価されていない気はしますが、折に触れてそういうことも言いながら、みんなで将来にわたって満足できるような合併をしていきたい。こんなふうに思っています。多少要望から外れる点もありましたが、いい機会でありますので、機会をいただきました。失礼をしました。
14:
◯市民生活部長(
平井 功君) 自主防災組織についての再質問についてお答えいたします。
自主防災組織につきましては、昭和56年度から交付要綱を設けまして、特にこれは53年の6月15日制定されました大規模地震対策特別措置法、及びまた54年8月の東海地震対策強化地域に指定されたことというようなことで、当時は大分多額の金を用意して補助させていただきました。また、平成8年度につきましては、山梨県の県費補助ということで、防災倉庫、防災資機材等を貸与し、5年後には譲与したところでございます。特にこれは能泉は40万、千代田、宮本等は50万、他の地域25地区は180万というような金額で整備をさせていただいたところでございます。
今回の補助金の限定させていただきましたその補充ということで、当時よりかまた災害の状況は変わってきたというようなこともありまして、また、私どものその組織につきましても、先日の新潟県の中越地震にも、かなりの皆様方の、応援等に行ってきた方々等の御意見、また、うちの職員も多数が支援に行ってきましたその教訓等を見まして、さらなる組織の強化というようなことで、PRやその啓発はしていかなきゃならないと考えています。今後最善の努力を尽くしていきますので、御理解賜りますようお願いいたします。
15:
◯福祉部長(
河内邦夫君) ただいまの留守家庭に関する質問でございますけれども、留守家庭の関係者と十分な対話をした上で適切な運営をしろと、こういうことだろうと思います。私ども実は福祉部に所管になりましてから、各留守家庭児童会を夏休みにすべての児童会を回りまして、指導員さんたちとひざを交えて話をしてきたこともございまして、その中で各児童会が抱える小さなもの、大きな問題も含めていろいろな話を聞いてきたつもりでございますし、また、校長会につきましても、再三の話し合いもしてきたという経過がまずございます。
それで、今後どうするのかということに関しましては、この議会が終了した時点で公になったものというような理解をし、私ども校長会あるいは指導員、そういった関係者に対して今回の見直しの内容、新たな体制、あるいは指導員さんの皆さん方には公務員意識の醸成というようなものも含めまして、話し合いをしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
16:
◯議長(
森沢幸夫君) 福永 稔君。
17:
◯福永 稔君 ありがとうございました。いずれにしましても、安全、安心して生活できる基盤整備をしていただき、次代を担う子供たちの育成は私ども自治体にとっては大変重要なことでありますんで、市民生活部長、福祉部長、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
そして、特段宮島市長の方から合併に対する基本的なお考えを再説明をしていただきました。市民の方も大分理解を深めていただいたと思うんですが、その中でちょっと気になるのが、前も上九一色全村の住民投票のときも、市長は割と高い70%というハードルを設けられた。市町村合併の住民投票といいますと、前回の中道町の結果を見ても、52%対48%とか、1、2%から5%以内ぐらいが大体住民投票の結果であります。そこは本来ならば全村丸抱えで賛成でぜひ一緒になっていただきたいというのが理想的ではありましょうけども、余りハードルを高くしても、やっぱり私ごときが余り大きいことを言っちゃいけないかもしれませんが、やっぱり市長御自身なりが、先方が意思が固まった場合に、若干の反省はあろうとも、市長がみずから述べられましたとおり、10年先、20年先に、よかった合併だと判断されるということを自分が御自覚を持たれたらば、そこは決断をしていただくことを心からお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
18:
◯議長(
森沢幸夫君) 次に、政友クラブの代表質問を行います。雨宮年江君。
雨宮年江君。
(雨宮年江君 登壇)
19:
◯雨宮年江君 12
月定例会にあたり、政友クラブを代表し市政一般について質問いたします。
まず、平成17年度の予算編成についてです。
宮島市政3年目を迎える平成17年度は、新政策プラン『「わ」の都・こうふプロジェクト』の計画期間の最終年度にもなるわけですが、来年度の予算編成の基本的な考え方につきましてまずお伺いします。
また、『「わ」の都・こうふプロジェクト』に盛り込まれた施策につきましては、この2年間、その多くが実行に移されてきた努力の後が見受けられます。残された施策について、来年度の取り組みはどうしていくのかお聞きします。
11月26日に政府の三位一体改革の全体像が一応決定されました。社会保障関係では、地方案にはなかった国民健康保険の国庫負担の削減が盛り込まれたこと、地方交付税改革については、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額は確保するとしながら、その歳出根拠となる地方財政計画の合理化に努めるとの方針を出すなど、地方自治体にとっては厳しい対応が迫られています。今回の改革では、先送りになった生活保護や児童扶養手当の補助率見直しも来年度の協議の中で結論を出すようですが、どうなるのか大変心配するところです。このような今回の三位一体改革における影響をどのようにとらえているのでしょうか。また、どう対応していくのでしょうか。お答えをお願いいたします。
次に、公共サービスの民間委託についてお伺いします。
平成15年に実施された総務省の市区町村における事務の外部委託の実施状況調査結果からも、あらゆる事務事業や施設運営事務で民間委託が進んでいることが明らかになっています。さらに、この8月には規制改革民間開放推進会議による中間とりまとめでは、「民でできるものは民へ」を具体化させる仕組みとして、官民対等な立場で競争入札にかけ、価格、質の両面ですぐれた主体が落札し、そのサービスを提供するという市場化テストの導入も示されました。自治体財政の危機や三位一体改革の推進、地方交付税の算定基準の見直しによる減額などで、ますます公共サービスの民間委託化、アウトソーシングは進んでいくものと思われます。
私は、公共サービスをすべて直営で行うべきという立場をとるつもりはありませんし、民間委託がすべて悪いと考えているわけでもありません。本来、自治体行政の事務事業の民間委託化の目的は、より満足度の高い住民サービスを提供することであり、その手段として民間事業者のノウハウを活用し、その結果として自治体の財政負担の軽減が図られることです。にもかかわらず、最近の民間委託化の動きは、行政コストの削減のみが目的になっているように思われます。そこで、公共サービスの民間委託について、その基本的な考え方をお伺いします。
まず、指定管理者制度です。さきの9月議会で指定管理者制度導入の質問に対し、総務部長から「施設ごとの性格、現在の委託の状況、管理運営経費などの調査を行っているところである」との答弁がありました。その調査状況と本市の制度導入のスタンスをお示しください。
指定管理者制度は民法上の業務委託や従来の管理委託と異なり契約行為ではないため、一般競争入札などの対象にならない上に、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度も対象外になっています。また、指定管理者の指定は、指定期間の制限がないため長期の管理運営が可能であること、使用許可権限を付与することができ利用料金制が採用できることなど、指定管理者にとってはかなりメリットのある行政処分であることから、その指定には慎重を期すべきであり、業務の範囲や権限などしっかりした条件を制定していく必要があります。地方自治法は指定管理者制度の制度設計の多くを自治体の条例に委ねており、住民の福祉の実現と自治体の責任をどう果たしていくかという立場から、制度導入にはしっかりした基本方針や考え方が必要だと考えますが、本市としてどのような考え方を持っているのでしょうか。
次に、委託先の選定にあたっての配慮についてお伺いします。指定管理者制度もそうですが、公共サービスをアウトソーシングすることは、ビジネスの機会や雇用の機会を創出するなどの効果が期待できると言われています。しかし、「パブリックビジネスの進展は総じてプラスの経済効果になる可能性がある。しかしながら、短期的にはマイナスの経済効果も直面することもあり得る」として、短時間雇用であったり非正規雇用といった不安定労働者を増加させていることが経済産業省商務情報政策局が昨年5月に出した報告書の中でも指摘されています。雇用政策や労働福祉行政の一端を担っている自治体みずからが公共サービスのアウトソーシングにより不安定雇用をつくり出していることになってしまいます。
自治体として社会的責任を果たすためには、委託先を選定する要件として、働く者の権利が尊重され、男女共同参画への取り組みや環境に配慮しているといった社会的価値の実現を明確にした条例なり指針をつくるべきだと考えます。具体的には、従業員が10人未満であっても就業規則を備えていること、常用労働者が56人以上の受注者であれば知的障害者を含む障害者の法定雇用率を達成していること、女性の雇用拡大と均等待遇に取り組んでいること、環境への配慮としてリサイクル及びグリーン購入に取り組んでいること、労働条件に関しては、労働基準法や男女雇用機会均等法に違反していないことなどの要件を原則的に満たしていなければ、本市の事業委託や指定管理者には指定しないということです。民間委託労働者の労働条件や賃金の低下が提供される公共サービスの質の低下を招くようであっては、住民の福祉向上にはなりません。こうした考え方を指定管理者制度に導入したり、公契約における社会的価値及び労働条件の確保に関する条例を制定する自治体もふえてきました。本市でもアウトソーシングの手法を取り入れるにあたって、このような考え方や方針を持つべきだと考えますが、いかがでしょうか。
次に、補助金の全面的な見直しと公募型補助金制度の創設についてお聞きします。
甲府市行政改革大綱の中に盛り込まれ、平成12年から平成14年の3年間で30%の削減を目標とし、25.2%、2億4,200万円余りの削減を実現したことが、さきの決算特別委員会でも明らかになりました。このことについては評価できるわけですが、この際、国や県で制度を定めている補助金以外の政策的な市単独の補助金や、市民あるいは市民団体からの要望で出している補助金など、すべての補助金について第三者機関を設置し、既得権や前例にとらわれず、原点に戻って見直すことも必要だと考えます。そうすることによって、ここ数年ふえてきた環境や地域福祉、子育て支援などの分野で活動するNPOやボランティア団体など、新たな市民団体に対する支援が可能になってきます。本市もことしからNPO、ボランティア団体等との支援協働関係を構築するため、甲府市の協働によるまちづくりに関する基本方針を策定したところでもあるわけですから、こうしたNPO、ボランティア団体等の育成、支援の視点からも、公募型補助金制度の創設を検討することも必要ではないでしょうか。御所見をお伺いします。
次に、介護保険制度見直しの影響と地域福祉活動への取り組みについてお伺いします。
平成12年度に導入された介護保険制度も5年目を迎え、制度改正に向け見直し案が出されました。今回の見直しの内容は、要支援、要介護1の対象者を基本的に予防給付へ移行する予防重視型システムへの転換と、在宅と施設の利用者負担の不均衡を是正するため、施設入所者の居住費用や食費の範囲や水準の見直し、そして、地域密着型サービスの創設などになるようです。確定的なものではないようですが、要支援、要介護1の高齢者全員を原則として新予防給付の対象とするといった新聞報道が出るなど、その影響が懸念されるところです。
予防重視型システムへの転換は、軽介護者に対し、その状況に合った介護プランを策定し、筋力トレーニングや栄養指導、転倒・骨折予防、閉じこもりなどのサービスを提供する一方で、家事代行型サービスについては、給付の対象や期間を制限する方向性が出されています。軽度介護者、殊にひとり暮らしの虚弱な高齢者にとって、家事援助が利用できなくなることは生活の質を低下させることにもなりかねず、対象になる要支援、介護度1の方にとっては、とても不安なことではないかと思います。今回のこうした見直しが本市の介護保険利用者にとってどのような影響があるのか、また、家事援助のサービスが利用できなくなった高齢者への対応はどうするのかお聞きします。
さらに、今回の見直しでは、地域の特性に応じ、多様で柔軟な形態のサービス提供が可能なサービス体系として、地域密着型サービスを創設するとしています。具体的には、通い、泊まり、訪問などの機能を組み合わせた小規模、多機能型サービスや、今後増加するであろう高齢者独居世帯や重度者を地域で支えるための夜間対応型や、見守り型のサービス導入などが検討されています。これらのサービスについては、市町村長が事業者の指定、指導監督をすることになっており、自治体の役割が一層重大になると考えます。こうした新たなサービスの創設について、本市としてどう対応していくのでしょうか。これまで介護保険で提供できるサービスの外に置かれていた介護予防が介護保険給付の対象になり十分な財源措置がとられることや、地域密着型サービスの創設は、考え方としては大変評価できますが、自治体としては総合的な住民の健康づくりといった施策の推進や、地域でどう要介護者を支えていくのかといった重要な課題を突きつけられたことにもなります。今後、第一次ベビーブーム世代が高齢者の仲間入りをする10年後を見据え、今のうちに地域で子供や高齢者、障害者を支え合う地域力をつける必要があると思います。既に実施している地域もありますが、全市的に取り組まれるよう甲府市としても積極的に働きかけることが大切だと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、小学校給食の調理委託問題についてです。
外部評価委員会や行政改革を考える市民委員会から指摘され、現在、小学校給食調理業務検討委員会で議論されている小学校給食のあり方について質問いたします。人件費の割合が高く、業者弁当方式の中学校給食に比べても割高になっていることや、地方交付税の算定根拠が変わり減額が見込まれることから、当局としては小学校給食の完全自校方式を見直したいようですが、現在想定している調理委託では、それほどのコスト削減にはならないのではないでしょうか。であるならば、教育関係者や保護者の反対が強い民間委託をあえて導入する必要はないと考えますが、いかがでしょうか。
学校給食の目的は、御承知のとおり、日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養ったり、食糧の生産、配分及び商品について正しい理解に導くことなど、教育の一環として位置づけられています。また、最近の食生活を取り巻く社会環境の変化などから、成長期にある子供にとって、健全な食生活は健康な心身をはぐくむために不可欠なものであり、将来の食習慣の形成に多大な影響を及ぼすものとして、中央教育審議会でも栄養教諭制度の創設を中心とした食に関する指導体制の整備を打ち出しています。しかし、こうした教育の一環であるはずの学校給食が、学校現場では教科の指導や日常業務に追われ、教材化され食教育として指導されてこなかったのではないでしょうか。また、保護者にしても、給食はあって当たり前、お弁当をつくらずに済むから助かるといった認識で、給食の中身や食教育に関心を持ってこなかったのではないでしょうか。今回の小学校給食の問題は、教育関係者や保護者だけでなく、市民に学校給食はどうあるべきかを問いかけるよい機会だと考えます。急いで結論を出すのではなく、時間をかけて議論すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
全国では民間委託などの給食現場での合理化が進む中で、センター方式から自校方式に移行しつつある茨城県古河市のような自治体もありますし、また、群馬県高崎市のように、小学校32校、中学校16校、養護学校1校、市立幼稚園4園、すべて自校方式で実施し、さらにすべての学校、園に栄養士1名を配置し、給食室のドライシステム化を早くから取り入れ、地場産、農産物の活用を積極的に行っている自治体もあります。やる気さえあればできるし、また、それを支持し支える住民がいるのだと思います。御所見をお伺いします。
以上で私の質問を終わります。
20:
◯議長(
森沢幸夫君) 市長
宮島雅展君。
(市長
宮島雅展君 登壇)
21:
◯市長(
宮島雅展君) 雨宮議員の御質問にお答えをいたします。
平成17年度予算についてであります。平成17年度の地方自治体の予算編成の指針となる地方財政計画は、4年連続して規模の抑制が見込まれております。また、国と地方の財政に関する三位一体の改革の影響などにより、地方交付税総額や地方財源の不足を補てんする臨時財政対策債の発行などは大幅に縮減される見通しであり、地方自治体への影響は相当厳しい状況が予想されます。
このような状況の中、本市の財政見通しでありますが、歳入の大宗をなす市税収入が景気の回復基調や税制改正により増加が見込まれるものの、歳出面においては、多様化する行政需要が増加傾向にあり、依然として歳入・歳出の乖離が見込まれています。このため、市民サービスの低下を来たさぬよう、あらゆる努力と創意工夫を重ね、多様化する市民ニーズに対しても積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
また、新政策プラン『「わ」の都・こうふプロジェクト』は、将来にわたって質の高い市民・生活者起点の行政運営を展開をし、次の世代に自信と誇りを持って引き継げる地域社会の構築を目指し、議会及び市民の皆様の御協力をいただく中で、小学生の医療費の無料化、窓口のサービスの休日開設、外部評価制度の導入等、着実に推進をしてまいりました。平成17年度におきましても、新政策プランを中心に市民とともに考え、市民とともに歩む明るく開かれた市政の実現を目指して努力してまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと存じます。
ほかの御質問につきましては、関係部長からお答えをさせます。
以上です。
22:
◯総務部長(
小尾英光君) 指定管理者制度についてお答えをいたします。公の施設につきましては、地方自治体が住民へのサービスの提供を目的として本来設置したものであり、その適正な管理に対しては、あくまでも地方自治体が責任を有していると考えております。また、指定管理者制度につきましては、管理主体を民間に広げ、事業者間の競争原理や施設運営に関する民間の柔軟な発想を生かすことにより、経費の削減やよりよい市民サービスを効果的に提供することを可能とするため創設された制度であると考えております。
そうした観点から、指定管理者制度の導入につきましては、制度創設の趣旨に沿う中で、これまでどおり本市が施設管理の責任を全うできることを基本として、制度の導入手続などを定めた指定管理者制度導入に関する基本方針の策定を行ったところであります。今後、この基本方針に基づき、条例の制定、指定管理者の選定などの導入手続を慎重に進めてまいります。
なお、調査の結果でありますが、現在管理委託をしている施設を基本に、19の公の施設について、平成18年4月より指定管理者制度の導入を図ってまいる予定でおります。
次に、委託における自治体の社会的責任についてでありますが、本市の業務委託につきましては、甲府市委託事務執行の適正化に関する要綱に基づき、委託先の選定にあたり、原則として登録業者より知識、技術、信用、実績等の点で適格性を有する者の中から選定を行っているところであります。今後におきましては、住民福祉のさらなる向上や行政コストのあり方などを十分検討する中で、業務委託の適正な執行に努めるとともに、御指摘のありました社会的価値の実現に資するための指針等につきましても、国や他の自治体の動向を見きわめる中で研究してまいりたいと考えております。
以上であります。
23:
◯企画部長(林 正孝君) 三位一体の改革における影響についてでありますが、11月26日に政府与党において示された三位一体の改革における全体像では、平成17年度及び18年度で国から地方への補助負担金の削減額が2兆8,000億円程度となり、また、この財源として、平成16年度移譲分も含め2兆4,000億円程度を地方に税源移譲する内容を柱にしたものであります。今回の全体像では、国庫補助負担金削減に伴う税源移譲の内容は義務教育費国庫負担金8,500億円程度、国民健康保険の県負担導入に伴います7,000億円程度が含まれており、都道府県に対する税源移譲が全体の9割近くを占めております。
本市に対する影響でありますが、現段階では地方財政計画が示されておらず、補助負担金削減の詳細なメニューも不確定であり、また、税源移譲につきましても、個人住民税の都道府県と市町村の税率の割合等の内容が不透明であることから、正確な影響額を試算することは困難であります。いずれにいたしましても、この改革により市民サービスが低下することなく、また、財政の悪化につながらないよう、財政運営に意を配してまいりたいと考えております。
次に、補助金の見直しと公募型補助金制度の創設についてであります。本市では行財政改革のもと、平成12年度から平成14年度を第一次見直しとして、法令や条例に基づく制度的な補助金を除く奨励的補助金の縮減について、適正執行や効果の検証を行う中で一定の成果を得たところであります。また、第一次検証結果を踏まえ、新たに第二次見直し方針として平成16年度から18年度の3か年において、奨励的補助金に限らず、すべての補助金の総額を最終年度の平成18年度には20億円以内とする目標を設定し、その推進を図っているところであります。
今回御提言をいただきました公募型補助金制度は、市民の相違と工夫を生かした地域社会の実現を目標として、公益・公共部門などへの積極的参加、協力を支援するための制度であると認識しておりますので、次回の第三次見直しまでに調査検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
24:
◯福祉部長(
河内邦夫君) 介護保険制度に関します質問にお答えいたします。
まず1点目でございますが、介護保険制度見直しに伴う訪問介護利用者への影響と対応についてでありますけれども、今回の介護保険制度の見直しは、基本的視点を、1.給付の効率化・重点化により将来にわたって安定的な制度にすること、2.要介護状態の予防、改善を重視した予防重視型システムを構築すること、3.介護、年金、医療等の各制度間の機能分担を明確にすることにおき検討されております。この中で新しいサービスとして予防給付を創設し、要介護状態の予防、軽減を目指し、自立支援を促進することが制度化される予定であります。家事援助のサービスにつきましても、こうした見地からの対応が必要であると考えられ、一律にその利用が制限されることはないものと認識しております。
次に、新たな地域密着型サービスへの対応についてでありますが、今後、ひとり暮らし高齢者や痴呆性高齢者が増加していくことが予想されています。こうした方たちが地域で暮らし続けていくことができるようにするためには、生活圏域の単位で多様な形態のサービスを提供していくことが必要との考え方から、新たに地域密着型サービスの創設が検討されております。本市といたしましては、生活圏域ごとに計画を策定することが求められておりますが、介護報酬の体系などが具体的になっていないため、今後の状況を見きわめながら対応してまいります。
最後に、地域力をつける全市的取り組みについてでありますが、今後の福祉は従来の施設を核とした点的整備ではなく、生活圏域を単位とした面的整備が中心になるものと考えております。地域福祉を推進するためには、公的な制度、サービスや民間の福祉サービスのほか、住民の主体的な活動による支援が相互に連携し合っていくことが必要であります。こうした連携を進めるため、生活の場である地域におけるネットワークづくりを着実に行っていくことが地域力をつけることにつながるものと考えております。
以上であります。
25: ◯教育委員会教育部長(中澤正治君) 小学校給食についてお答えをいたします。
小学校給食調理業務への民間活力の導入につきましては、現在保護者を含む学校関係者による小学校給食調理業務検討委員会によりさまざまな運営方法や、諸課題の検討とともに他の自治体での運営状況などの視察を含め精力的に御論議をいただいております。
検討委員会では、本市の学校給食のあり方や食教育についても活発に意見が交わされており、本年中には検討委員会での検討結果について御報告がいただけるものと考えております。
教育委員会といたしましては、今後検討委員会からの報告や市議会などからのさまざまな御意見を踏まえ、今年度中には一定の方向性をお示ししたいと考えております。
以上であります。
26:
◯議長(
森沢幸夫君) 雨宮年江君。
27:
◯雨宮年江君 それでは2点につきまして再質問をさせていただきます。
まず、公共サービスの民間委託についてです。公共サービスの民間委託化、アウトソーシングの流れは、とめることができないと思います。しかし、例えばこの甲府市もそうなのですけども、地方自治体というのは、その地域における一大産業であって、少なからず地域の経済や、それから地域の活性化に貢献しているということは、多分だれしも認めることだと思います。この大企業である市役所の社員といいますか、職員をリストラして、その仕事をほかに移行するということであれば、少なくとも住民税や固定資産税などを確実に支払うことができ、また中心商店街の活性化につながるような、購買力を持った安定した労働者をふやすことでなければならないと、私は思っております。民間委託化が不安定な雇用労働者をふやすだけで、一部の企業の利益につながるだけのもので終わってしまうのではないかというふうに私は考えて今回の質問をしたわけです。
ちょっと古い話なんですけども、1997年に出された「行政改革会議最終報告」の中でさえ、民間委託を進める際の留意点として、民間委託を実施することにより、総体として効率性が拡大するか否か、サービスの質とコストの比較分析を検証すること、また
選択した手法を公表し、それが最適なものであることの説明責任を負うこと、合理的な理由なく委託組織の長期の固定化、業務の独占が生まれることのないような透明性を持った委託手続を取ることなどが挙げられています。
こうしたサービスの質とコストの比較分析と検証、説明責任や公平性、透明性といったものが確保されなければ安易な民間委託はすべきでないと思っています。市長は、さきの決算特別委員会の総括質問に対する答弁の中で、「民間委託に聖域はないと思っています」と、
発言しています。であるならば、なおさら民間委託、アウトソーシングにおける基本的な指針といいますか、考え方というものは持つべきではないかと思います。この点、市長がどのようにお考えなのかというのをお聞きしたいと思います。
次に、小学校給食の問題です。私は、これまで教育の一環と言われながら、しっかりそれが学校現場で食教育として取り組まれてこなかったことこそが私は問題ではないかなと思っていて、現行方式の中でしっかりその辺を、食教育を推進していくことが、その充実を図るべきだという考え方を持っています。ただ今回、私はこの問題で市民を巻き込んだ形で時間をかけて議論をすべきではないかと主張させていただきました。というのも、最終的には小学校給食を全校の自校方式でより充実させた学校給食にしていくのかどうなのか、そうではなくて民間委託化して、余ったお金をほかの施策に振り向けていくのか、というのは住民みずから、市民みずからが
選択するべきことではないかなと思ったからです。
今後、三位一体の改革が徹底されていけば、御承知のとおりにどういう施策に重点的にお金を配分していくか、お金を使うかというのはその自治体の裁量で決められることになるわけですが、このことは住民自身にとってもどういった方向性や姿勢を持った自治体にしていくかということを、住民自身が突きつけられることにもなるわけですから、今回のこの小学校給食の問題を市民がどういう自治体を
選択するかというよい議論の場にできるのではないかなというふうに私は思ったわけです。
そういった点で、まだまだ今の検討委員会の中での報告だとか、それから議会での議論といったふうにおっしゃっていますけれども、私はやはりもっと多くの市民を巻き込んだ形でこの問題、これは今回は小学校給食だけですけれども、そうではなくて、いろんな問題が多分出てくるはずですから、そういったことをも考えた上で、今回のこの小学校給食に対しても多くの市民を巻き込んで議論をしていくべきではないかなというふうに思います。これにつきましても宮島市長の答弁を望みたいと思います。
28:
◯議長(
森沢幸夫君) 市長
宮島雅展君。
(市長
宮島雅展君 登壇)
29:
◯市長(
宮島雅展君) 確かに私は先日の委員会で「民間委託に聖域はない」と、胸張って言いましたね。よく覚えてますよ。だけれども、公が今までやってきたサービスが低下しないかとか、あるいはそのサービスに込められた行政の目的が、きちんと民間委託しても継続して果たしていくことができるかどうか、そういうようなことをきちんと論議をしてすべきものはしたい、それは先ほど申し上げた何とか経費を節減をして、ほかのサービスをもやりたいですからね。市民の行政に対する要望というのは非常に複雑多岐で多様になっていましてね、全部を満たすことはできないけれども、それにしてもこんなことぐらいはしなければなという思いにかられることも幾つもあるわけですよ。ところが、今のような厳しい状況の中で、税収は低いし、また滞納率も高くなっているというような状況の中では対応できぬじゃないですか。
ですから、先ほどの言うたようなことになるわけでありまして、すべてのことについて考えますけれども、残しておかなければならないもの、つまり私がいつだかこれも申し上げたと思うですが、不易と流行ということを言ったはずですよ。簡単に変えてはいけないもの。また時代の流れの中で見つめ直していかなければ行政がもたないというものもあるわけでありましてね、そういうことについては本当にみんなと議論をして、正しいものを見きわめていきたい、こんなふうに思います。
これを市民の皆さんと考える契機にして、しっかり頑張りなさいというふうに議員さんの意見を受け取って、私の答弁にかえます。よろしくお願いをします。
30: ◯教育委員会教育部長(中澤正治君) 食教育の実践的な活動からお答えさせていただきますけれども、現在、給食を通しながらの食教育ということ当然やっています。これ以外におきましても、特別活動として給食の準備の仕方ですとか、健康増進維持のための望ましい食習慣について考えるとか、または家庭科において、または保健体育科においてもそれぞれの学年に応じた食教育の推進を図ってきております。
現在、先ほど御答弁させていただきましたけれども、12月中には検討委員会からの報告がまいります。それを受けまして本年度中、17年の3月までには一定の方向性を教育委員会としてお示ししますけれども、私どもの今回の基本とするところは、先ほど雨宮議員の御質問の中にありました効率性のこともありますし、サービスの低下を招かない、それから食缶方式を維持していく。当然食教育、地産地消にも努めていくといった基本のことを考えながら、3月の一定の方向性には結びつけてまいりたい、このように考えています。
31:
◯議長(
森沢幸夫君) 雨宮年江君。
32:
◯雨宮年江君 私、質問の中でも言いましたように、民間委託をすべて悪だとは思っていませんし、すべきところはしなきゃいけないというふうに思っております。ですけれども、やはりその中できちんとした姿勢、特に聖域を設けないのであるならば、先ほども言いましたように不安定雇用者をふやすことになってしまって、安かろう悪かろうではいけないと思うのですね。これはやっぱり学校給食でも同じことが言えると思います。それが例えば小学校給食の調理委託を民間にしたから悪くなったのかどうかということは、ここでは言うことはできないと思うんですけれども、ただその中で例えば不安定雇用者を雇うことによって経費を削減をしていくというのであれば、やはりそれはちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。
ですから、民間委託化の流れをとめることはできませんし、それはこれからはやはりしていかなければならない、特に三位一体改革が徹底されれば、先ほども言いましたように、そういう方向に持っていかなければ、これからの地方自治体ってやっていけないと思うんですけれども、それを市民みずからにやはり問いかけていく必要があるだろう。皆さんにも責任があるんですよ、どういう自治体を目指すのかというのは住民が決めることなんだということをやはり突きつけていく。そういう場といいますか、そういう課題が出たときには市民を巻き込んでどういう自治体を目指すか、というような論議ができるような場をつくっていくことも、また私は自治体の役目ではないかなと。そういうことを理解した市民の人たちに、皆さんに理解をした上で民間委託、アウトソーシング、指定管理者制度、そういったものをしていくべきではないかなというふうに考えております。
先ほど市長は、変えなければいけないことと、それから変わっちゃいけないことというふうなお答え方をしましたので、ぜひそういう姿勢を貫いて市民の人たちにどういう自治体を
選択していくのかというのは、皆さん自身が考えることなんですよ、ということを突きつけるような議論の場をやはり提供していただきたい。私たちもその場、そういう情報といいますか、メリット、デメリットなどを提供できるような活動をしていきたいということを主張して終わらせていただきます。
33:
◯議長(
森沢幸夫君) 暫時休憩いたします。
午後2時43分 休 憩
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午後3時16分 再開議
34: ◯副議長(山村雄二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめこれを延長いたします。
上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を続行いたします。
公明党の代表質問を行います。堀内征治君。
堀内征治君。
(堀内征治君 登壇)
35: ◯堀内征治君 私は、公明党を代表して宮島市長に質問をいたします。
はじめに災害対策について伺います。
本年は集中豪雨や地震、火山の噴火、さらには台風が9つも上陸するなど、史上まれに見る災害に見舞われた年となりました。亡くなられた方の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、災害により困難な生活を余儀なくされておられる皆様にお見舞い申し上げます。
脆弱な国土をだれが守るか、まさに治山治水、そして耐震は地方自治体の基本であります。今般の災害では、とりわけお年寄りなどの災害が集中しておりました。10月20日の台風23号の大雨による甲府市の被害状況が明らかになるにつれ、善光寺北原の土砂崩れ、東光寺、城東、善光寺を流れる藤川、高倉川、大円川による濁川水系沿いの浸水被害など対策が早急に求められるところであります。上小河原町を流れる河川の氾濫などは、県立美術館あたりを源とした水稲用水路が、地中浸透を阻む住宅地のコンクリート側溝に変わったがゆえでありますが、同様地域への抜本的対策が見えず住民の不安は募るばかりであります。こうした観点から総点検、見直しを行っていくべきであります。これらの災害対策に向けた取り組みについて宮島市長の決意を賜りたいと存じます。
次に、自治体の基盤強化の合併について伺います。
市町村合併に伴う優遇措置を盛り込んだ合併特例法の期限切れである2005年3月末をにらんで、全国各地で平成の大合併に拍車がかかっています。1995年に3,234あった市町村は、年末には2,939になる予定と言われております。また合併特例法の期限切れ後も、市町村合併を促進する合併3法が5月26日に公布されました。私は、地方自治の精神を最大限に尊重しつつ地方分権への推進、高齢化への対応などの観点から、市町村合併は必要であると考えます。市町村合併で期待されるメリットの1つは、地方分権の受け皿となる自治体の行財政基盤の強化です。地方の借入金残高は2004年度末に約204兆円に膨れ上がる見通しで、財政再建は待ったなしの状態です。
地方財政悪化の背景には、景気低迷による税収のほか、隣接市町村が似たような施設を競い合うように建設するといった歳出面の問題も指摘されてきました。地方財政の健全化へ向け、効率的な市町村運営を実現するため、合併は有力な手段となります。総務省によりますと、人口5,000人未満の小規模自治体の行政コストは、一人当たり約104万円で、人口1万人から2万人の自治体のコスト約44万円を大きく上回っています。規模の小さい自治体ほど高コスト体質になりがちであります。現在の市町村の体制は、昭和30年前後の昭和の大合併によって形成されました。1万近くあった市町村が、約3分の1に減りましたが、ほぼ半世紀が経過し、制度疲労も目立ち始めています。
例えば世界に例のない急速な少子高齢化で、過疎地域の市町村の行政運営はますます困難になってきました。合併は、こうした地域を含めた少子高齢化への対応といえます。さらに自家用車の普及によって生活圏は拡大し、情報技術化の波も押し寄せ、住民のニーズは多様化しています。地域社会の変化に柔軟に対応できるよう、強くしなやかな自治体を構築することが市町村合併のねらいであります。
以上が合併に対する基本的な考え方であります。
中道町の合併問題協議会では、「甲府市との合併枠組み再浮上」などとの新聞報道がありましたが、来年の3月末で償還財源の70%を国からの交付税で賄えるなどの特典のある合併特例債は廃止されますが、ことし5月合併3法が成立しました。合併特例新法では、来年4月から2010年3月までの5か年間は、合併後の地方交付税を旧市町村の配分額の合計とする時限法がありますので、慎重に対応すべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
一方、甲府市との全村合併の是非を問う西八代郡上九一色村の住民投票は、28日投開票が実施されましたが、結果は、「甲府市との全村合併に反対」614票、得票率53.4%、賛成536票、得票率46.6%でした。甲府市との合併に賛成の方の536に対しては、上九一色村独自の検討事項であろうと思いますが、宮島甲府市長として、今後どのような対応をお考えなのか御所見を賜りたいと存じます。
次に、総額裁量制となった義務教育費国庫負担について伺います。
今年度から義務教育費国庫負担金に総額裁量制を導入されましたが、甲府市の教育についてはじめに質問をいたします。
第1は教育の地方分権の上では、総額裁量制でいう教職員の給与や配置について、甲府市は問題ないのでしょうか。
第2は、少人数指導のための加配定数については、適切なのでしょうか。
第3は、少人数学級や能力給については、適切であるのかどうか。
第4は、総額裁量制の導入は、山梨県と甲府市との関係の中で、甲府市は前進したのでしょうか、窮屈であったのでしょうか。
第5は、地方の自由度についてはどうだったのでしょうか。現場の小学校、中学、高校においての対応はどうであったのかお伺いいたします。
さて、本題に入らせていただきます。国と地方の税財政を見直す三位一体改革で、地方がまとめた補助金削減案に、義務教育費国庫負担金の廃止が盛り込まれ、その扱いが争点になっています。義務教育費国庫負担制度は、県が負担する教員給与費などの2分の1を国が負担する制度であります。教育に関する地方の自主的な取り組みを阻害しているとの批判があります。従来、公立学校の教員給与は、教育公務員特例法によって国立学校の教員給与に準拠することが定められておりました。また人材確保法という法律によって、義務教育諸学校の教員給与は、一般公務員より優遇することも定められております。さらに、義務標準法という法律によって学級編成基準や、教職員定数についても国が標準を示してきました。これらの法律のもとで国は給料、諸手当と職種別定数について細かく国庫負担の上限を設定し、地方が独自に給与を下げて教員をふやそうとしても、かえって国庫負担金がカットされるという仕組みでした。
しかし、今年度から国立大学が法人化されることに伴って、公立学校の教員給与の国立学校準拠制が廃止され、県が主体的に教員給与を定められるようになりました。さらに教育施策に関する自由度の拡大を求める地方の要請にこたえる形で、文部科学省は本年度から同負担金に総額裁量制を導入いたしました。この範囲内で教職員の給与や配置については県の裁量を大幅に拡大されました。これによって総額の範囲内で県が給与の種類、額、教職数を決定できるようになりました。また、総額裁量制の導入に合わせて文部科学省は義務標準法の運用を弾力化し、少人数指導などのための教員の加配定数を、少人数学級に充てることができるようにしたのです。総額裁量制の導入によって、1.給与を抑えて教員をふやし、40人の標準によらない少人数学級を実施する。2.常勤教員1人にかえて非常勤講師2人を配置し、多様な
選択教科を開設する。3.常勤教員1人にかえて退職教員2人を配置し、少人数指導や補修授業を充実させる。4.給与のうち一律支給部分を増額する、といった工夫が可能になるとしています。
以上、4項目の導入は、教育の前進拡大と言えるのか、当局の御所見をお伺いいたします。
次に、無年金障害者の救済についてお伺いいたします。
国民年金が任意加入だった時代に、未加入のまま障害を負ったため障害基礎年金を受け取れない主婦や、元学生などに特別給付金を支給する無年金障害者救済法の採決を行い、全会一致で修正し、今国会で成立しました。これは1991年度以降、主婦や学生、無年金者らの声を公明党の国会議員に要望していたものでもあります。費用は全額国庫負担。自己申請で、社会保険庁が認定、支給の事務を行い、申請の受け付けは市区町村が行うことになっております。特に自己申告制となっていますが、甲府市として対象者が漏れのない対応ができるようどのような対策をお考えなのかお伺いいたします。
これにより、1991年度より前に障害者となった元大学生約4,000人と、1986年度以前に障害を負った専業主婦約2万人が救済され、来年4月から特別障害給付金が支給されることとなります。支給額は障害1級で月額5万円、障害2級で4万円で、支給額に自動物価スライドを適用されますが、障害基礎年金の国庫負担分約6割とほぼ同水準となっており、高額所得者には支給制限を設けてありますが、当局の御所見をお伺いいたします。
次に、ADRの手法導入について伺います。
行政が行う紛争処理の総称で、裁判以外の紛争解決手段を指しておりますけれども、近代法には私的な事柄は当事者同士の合意で決定できるという原則であります。ただし公の秩序や善良なる風俗(公序良俗)を乱さない範囲に限られますが、公序良俗の範囲内であれば、当事者同士の合意さえあれば、さまざまなトラブルを話し合いで解決することができるという原則であります。例えば甲府市の下水道使用料未徴収の件についても、納入を理解してくださる市民ではなく、理解してくださらない市民にさらに第三者を介して話し合いをしていくというのであります。
また甲府市の高齢の重度心身障害者への医療費助成金過払い問題で、対象者からの返還については、担当部局の職員あるいは全庁体制で職員が対象市民の御家庭を訪問し、趣旨を説明して当人の御理解を得る努力をされておられることも十分に承知いたしております。12月3日現在での過払いの徴収状況は全体の42.1%の383万円、2002年、2003年の両年度の過払い額のうち、県負担分約363万円は、県に返還する方針と伺っております。
一方、過払いの再発防止として、重度心身障害者医療費助成金の手続を電算化するとも伺っております。さらに市営住宅使用料の滞納整理についても、常々議会からは滞納整理に強行方針で対応せよと指摘されておりますが、家賃回収はままならないところもあるようであります。また税の徴収率向上対策としても、このADRの仕組みによる解決策が良策と考えられます。主なADRとして司法型ADR、行政型ADR、民間型ADRの3つがあります。当事者合意だけでは公平な話し合いにならない場合は、公平な第三者を介して対等な話し合いをさせる仕組みがADRです。
具体的には、どんな方法で話し合いをまとめるかというと、まずあっせんがあります。これが双方が自主的に解決策に至るよう中立の第三者に助言や励ましを送る方法です。次に調停、これは第三者が調停員として独自に調停案を出し、これをたたき台として双方が話し合いを進めます。第三者はイニシアチブを取る立場になります。最後に仲裁は、双方合意の上で第三者を選び、その第三者に仲裁案をつくってもらい、それに従うという方法です。この3つがADRで使われる代表的方法で、どれを
選択するかも当事者が決められるのであります。
司法制度改革推進本部ADR検討会の資料によりますと、ADRを行っている組織、団体は80を超えていると言われています。司法型ADRは、2000年度の統計では、その利用は43万件、行政型ADRは約8,000件で、ADR全体の需要は確実に認められております。司法型ADRは2000年度の統計ではかなりの数値に上り、現在においてもその利用が高い評価を得ております。ADRがこれほど利用される理由は、裁判と違って非公開が原則で、精神的負担感が少ないそうです。また法律一辺倒で白黒をつける必要がなく、条理に基づく柔軟な解決が可能であります。さらに時間も費用もかからないし、紛争の種類によっては専門のADRを
選択できるメリットもあります。ADRの利用方法の御検討を提案いたします。当局の御所見をお伺いいたします。
次に、図書館でのブックスタートについて伺います。
ブックスタート運動は、1992年にイギリスで始まり、我が国でも2000年の子ども読書年を期に全国に広まりました。その目標は、乳幼児期に絵本を仲立ちとして赤ちゃんの心と言葉をはぐくむ手助けをすることであります。4か月児健康診査該当児と、その保護者の方に生後4か月から1歳の誕生日までの期間に地方自治体の予算で、すなわち無料で絵本を2冊贈る運動と言えます。
日本では、子ども読書年の翌年、2001年にブックスタート支援センター、現在では特定非営利活動法人ブックスタートと称されましたが、中央に設置されましたのを契機に、全国21の自治体で活動を開始しました。この運動は次第に全国に波及し、2004年8月末現在では696の自治体が登録して活動しています。中央の特定非営利活動法人ブックスタートの役目は、この運動の趣旨や、おすすめ絵本を全国に普及することであると思われ、その活動状況をあわせてホームページで公開しています。
絵本研究家の宮崎 清さんは、約40年間の教員生活の後、1990年、幼児教育関係の研究で読売教育賞最優秀を受賞していますが、宮崎さんは「赤ちゃん時代から読み聞かせを」と話しています。何歳から読み聞かせをしなければならないというようなルールは全くないということであります。『ゼロ歳からでなくても、2歳からでもいい、4歳からでもいい。ただ年齢が上がるに連れて読み聞かせの実行が困難になるという事実もあります。その原因は、それまでに育ってきた環境の偏りにあるようです。例えば4歳までガミガミ小言ばかり言われて育ってきた子供や、乳児のころからテレビ漬けで育ってきた子供などは、そう簡単に絵本になじんでくれるものでありません。これを逆に言えば、そういう環境が固定する前に絵本の読み聞かせをすれば、親自身にもよい影響を与え、かなりよい子育てができるということが想像できるのではないでしょうか。これがまず「ゼロ歳から読み聞かせを」の現実的なメリットです』というのであります。
さらに宮崎さんは、「母親や父親の懐で、赤ちゃんにふさわしい絵本を読んであげると、赤ちゃんは安心感、信頼感、幸福感でいっぱいになり、情緒が安定します。親もときどき見せる赤ちゃんの反応に感動し、この子のためならという心の高まりが親子の強い絆を生んでいくのであります。そして、こういう触れ合いが将来の人間形成に大きな影響を与えるのです。これが読み聞かせをゼロ歳からスタートする基本的な意義と言えます。」というのです。ブックスタートの意義を話しておりました。
公明党市議団は、図書館で平成15年8月からブックスタートを開始した徳島市の現況を視察に行ってまいりました。甲府市立図書館で午後2時に行う読み聞かせの時間帯に合わせて、ボランティアの方などから対象者に絵本を贈呈してはいかがでしょうか、当局の御所見をお伺いいたします。
次に、電子投票について伺います。選挙の執行には各種あり、その都度大変な作業は投票と開票であります。自筆記入投票と、人手による開票作業でありますが、電子投票が可能なところまで技術は開発されておりますが、選挙のすべてを電子投票にするとなると高額な費用が必要となります。現状では、財政的に対応は難しいところであろうと思います。投票日前に投票を済まさなければならない方のために、期日前投票という投票行為が手軽に行えるようになりました。そこで、期日前投票者は、電子投票で行ってはどうかと思いますが、機械を一式導入し、期日前投票に来られた方は電子投票をしていただく、というのはどうでしょうか。市民に電子投票を理解していただく機会になろうかとも思います。期日前投票は告示、また告示から投票日前日まで電子投票が行われるので簡単で間違いがないのであります。電子投票機を1台購入することを提案いたしますが、当局の御所見をお伺いいたします。
次に、バリアフリーの旅行情報について伺います。
旅行に出かけるときには、旅行ガイドブックやインターネット旅行会社、パンフレット、旅好きな人の口コミなどいろいろな方法で旅行情報を調べるものであります。今から20年前に車いすの人が海外旅行したいと思っても、航空会社の対応は統一されておらず、海外ホテルのサービスや現地交通機関などの情報を日本で手に入れることは非常に大変でありました。大変というよりは、海外の情報はほとんど皆無であったと言えます。だから、そのころの人たちは、現地にいる知り合いに尋ねるか、到着してから行き当たりばったりで冒険するしか方法がなかったのでしょう。現在でも「日本の中での車いすで行ける温泉旅館はどこにありますか」とか、「○○観光地はバリアフリーになっていますか」と言われても、自信を持って答えられるところは少ないのではないでしょうか。
この原因として、信頼できる情報がどこで手に入れられるのかわからないのであります。自分の障害の状態に合った施設であるかという詳細で、かつ個別の情報についてはわからない。適切な施設そのものが少ない上に、優良な施設であるかどうかの評価がなされてないので、回答があいまいにならざるを得ない、ことなどが挙げられるのであります。
バリアフリー旅行情報の特徴としては、旅行の行程中の車いすトイレ情報、鉄道など乗り物の乗り換え情報、宿泊施設の設備情報、その他の医療情報、介護情報など、普通のガイドブックにある観光情報よりも多様で詳細な情報が旅行前に必要になる点があります。そして、具体的に不足しているものがあれば、旅行前に準備しなければなりません。適切な施設がない場合には、コースを変更したり、場合によっては旅行を断念しなければならなかったりすることもあります。また一般的に発行されているバリアフリーマップは、車いす情報が中心であり、ほかにも目や耳の不自由な人への情報、人工透析、オストメイトなど内臓障害のある人への情報など多岐にわたる配慮も必要であります。情報の伝達方法では、目や耳が不自由な場合には別な配慮が必要になります。点字や手話という従来の方法に加えて、最近はインターネットやメールなど、パソコンを利用する人もふえてきています。ことしになって、だれでもパソコンにアクセスしやすくするための情報アクセシビリティ指針がJIS(日本工業規格)によって規格化されました。
観光ユニバーサルデザインの情報については、課題はたくさんあるものの、行政機関、民間団体、観光関連産業の努力で近年になって少しずつ蓄積され豊富になってきてはおりますが、今後の課題としては情報の発信側と、利用者側で簡単に見つけて、利用できるように努めるとともに、情報内容についても写真や絵文字(ピクトグラム)を使って理解しやすくしたり、すぐれているのか、使いにくい点があるのかといった施設評価も含めた情報を整理したりする必要があります。甲府市正面玄関入り口の観光ガイドブック全冊も、そうした点から見直しが必要であろうと思います。甲府市として取り組みをお伺いいたします。
以上で私の代表質問を終わります。
36: ◯副議長(山村雄二君) 市長
宮島雅展君。
(市長
宮島雅展君 登壇)
37:
◯市長(
宮島雅展君) 堀内議員の御質問にお答えをします。
その前にですね、災害対策について取り組みについて決意を示せ、というふうなことをおっしゃっておられましたけども、具体的にこんなふうなことをしようということは事務局が答弁しますが、あらゆる角度から検討して、なるべく早急にいろいろなことに取りかかっていかなければならない、ということは自分自身しっかり抱いておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
市町村合併についてであります。
先ほど福永議員の質問にもお答えをいたしましたが、甲府盆地一体の発展には、市町村合併は必要でありまして、合併特例法の期限にとらわれることなく、将来にわたって強力に推進していかなければならないと考えています。合併特例新法により、地方交付税の合算特例期間については、来年4月以降、現行の10年を段階的に5年間に短縮されましたが、特例措置とされたところであります。しかし、現行の合併特例法による合併特例債などの財政優遇措置は、当面の市町村合併を推進していく上では、その活用について十分考慮しなければならないと思っています。
中道町及び上九一色村との合併につきましては、それぞれの町村の協議がなったところで、示された結論に対して議会とも協議をする中で判断をしてまいりたいと考えています。御理解を賜りたいと存じます。
ほかの御質問につきましては、関係部長等からお答えをさせます。
以上です。
38:
◯総務部長(
小尾英光君) ADRの手法導入についてお答えをいたします。
ADRは、裁判以外の紛争解決手段の総称であり、その利点としては利用者の自主性を生かした解決、非公開での解決、簡易迅速な解決、実情に沿った解決など柔軟な対応が可能であることが挙げられます。
我が国におけるADRとしては、裁判所における調停手続、また裁判以外では行政機関、民間団体、弁護士会などの運営主体による仲裁、調停、あっせん、相談など多様な形態があります。しかしながら、現状はADRの存在や意義について国民の認識や理解が不十分で、十分に活用されていないのが現状であります。そのような背景の中で、司法制度改革の1つであります裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律が、12月1日に公布されたところであります。御指摘のありました本市の使用料等にかかわる解決策については、行政の責任において解決すべきことであると考えております。
なお、ADRに対する市民の理解と認識を深めていただくために、ADRに関する情報の提供を行ってまいりたいと考えております。
以上であります。
39:
◯市民生活部長(
平井 功君) 無年金障害者の救済についてお答えいたします。
特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律いわゆる無年金障害者救済法につきましては、今国会で法律が成立しましたが、この法律にかかわる認定の請求は、市町村を経由して行うこととされておりますが、現段階では社会保険庁から具体的な対応方法など明らかになっておりません。今後、山梨県社会保険事務局と連携を図る中で、対象者への周知に万全を期してまいります。
また高額所得者への支給制限につきましては、法律の趣旨にのっとり対応してまいります。
以上であります。
40:
◯福祉部長(
河内邦夫君) それでは、ブックスタート事業につきまして答弁させていただきます。
保護者が絵本を介して乳幼児と言葉と心を通わす、温かく楽しいひとときを持つことは、乳幼児の心の発達や豊かな感性をはぐくみ、また子供を産み、育てることの喜びを実感するためにも大切なことであると考えます。
本市におきましても、乳幼児健診の際には、子育てに関するガイドパンフレットを配付するとともに、親子の絆の大切さを伝えるための保健指導をも行っております。
今後におきましても図書館、保健センター、幼児教育センターなどでの読み聞かせ事業をさらに充実してまいります。
以上であります。
41: ◯産業部長(海瀬正樹君) バリアフリーの旅行情報についてお答えいたします。
近年、特に平成12年に交通バリアフリー法が制定されて以降、構築物や各種の交通機関のバリアフリー化が広がり、これらにより高齢者や身体に障害を持つ方々の外出しやすい環境づくりが促進されたこともあり、観光情報の提供に対するニーズも徐々に高まってきております。
このような中、国におきましては、高齢者や障害者等への情報提供を一層図るため、情報アクセシビリティの基準を定め、インターネットやメールで、だれもが簡単に情報を利用できる環境づくりを進めているところであります。
現在、本市では「人に優しい観光地づくり」を目標に、それへの取り組みとして観光客の受け入れ窓口である甲府駅に、エスカルやエスカレーターを設置するほか、観光地に障害者用トイレを設けるなどの一方、観光案内板へピクトグラムを掲載するなどして利便性の向上を図っておりますが、健常者に対しますよりも、よりきめ細かな情報提供が必要でありますので、まだまだ十分ではないと認識しております。
今後は、情報整理や情報伝達を十分行うため、観光関連産業や観光協会、また情報機関との連携を図りながら各観光施設への働きかけも行い、情報の構築と情報提供に努めてまいりたいと考えております。
以上であります。
42: ◯都市建設部長(佐久間 勲君) 災害対策についてお答えいたします。
都市化が進み、一たび水害が発生すると甚大な被害の発生が予測されることから、水害対策は大変重要な課題だと認識しております。本市では、雨水渠計画に基づき、一般河川整備を進めておりますが、浸水防止はこれらの川が流れ込む一級河川の排水能力に負うところが大きく、県の河川整備の推進が待たれる状況にあります。特に7月の豪雨により、浸水被害が発生したことを受け、9月に濁川水系治水事業の積極推進を強く県に要望してきたところです。
その中で、県の河川改修計画の一部が示され、大円川と十郎川の仮設排水ポンプを、平成17年度と18年度には常設に変更することにより、内水排水能力が向上することで大きな改善が図られます。
また、大円川上流における土砂崩れにおいては、河川機能回復のため土砂撤去を行い、仮設の水路壁を設けました。今年度は測量等を行い、引き続き本復旧を行ってまいります。
同時に、農園に続く崩落した市道につきましても、仮設道路を設置し、速やかに通行の再開を図っております。加えて、富士見通りのJRアンダーパス部の道路冠水対策として、流入水を削減するための集水渠の設置、排水ポンプ能力を高める改修、電光掲示板の設置による危険回避対策を今年度実施いたします。
今後におきましても、水害対策には県の一級河川整備が極めて重要な要素となることから、県に対し住民の意見が反映されるよう積極的に働きかけを行ってまいります。
以上でございます。
43: ◯教育委員会教育部長(中澤正治君) 義務教育費国庫負担金の総額裁量制についてお答えをいたします。
義務教育費国庫負担金の総額裁量制の導入は、義務教育に必要な財源を確保し、地方での裁量の拡大を目的としております。こうした中で県費負担教職員制度下での給与は、山梨県においても人材確保の上で大変重要な要素となっており、その水準維持や教職員の適正配置は、今後も重要なことと思われます。
また、本制度の活用にあたっては、教員定数の策定や教職員の給与のありようなど、制度運用の先行きが不透明な課題も多く、今後慎重な対応が求められるものと考えております。
教育委員会では、現在行われている山梨県の「かがやき30プラン」による少人数学級の維持、拡大とともに、よりきめ細かな教育の推進を県に要望してまいります。
以上であります。
44: ◯選挙管理委員長(山田泰良君) 選挙管理委員会関係の御質問にお答えを申し上げます。
電子投票については、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律が、平成13年12月7日から施行され、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において、いわゆる電子投票を行うことができるようになりました。
本市の電子投票導入につきましては、平成14年7月から行政改革IT推進本部会の選挙部会等でも検討しているところでありますが、現下の特例法のもとでこの電子投票の対象となる投票は、投票日当日の投票と、期日前投票、点字投票の全部が対象であり、期日前投票のみを電子投票の対象とすることはできません。
また対象となる選挙の種類は、地方選挙のみが対象であり、衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙などの国政選挙は対象外となっております。
なお、これまでに全国10団体がこの電子投票を実施し、投票カード交付数と投票者数の不一致及び投票カード交付機の故障など多くの問題、課題が発生している状況にあります。
今後、当委員会としましても、こうした状況を踏まえ、引き続き慎重に調査研究を行ってまいります。
以上であります。
45: ◯副議長(山村雄二君) 堀内征治君。
46: ◯堀内征治君 災害対策につきましては市長から、部長の方から具体的な対応策が示され、市長からも私も忘れてないよと、こたえていくという温かい御配慮、御
発言に恐らく市民は安心をされることだろうと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それからブックスタート事業について、今、福祉部長からお話ございましたけれども、答弁の中ではブックスタートについてお伺いしたのでありますが、「子育てガイドブックをつくり、そして乳幼児には読み聞かせをいたしております」ということでございますが、ブックスタートについては、当然これはよいことだろうということで公明党の女性議員も何度か提案をしてまいりましたが、この件については、保健センターではなく図書館で本を贈呈する、ということが行われているところを公明党の議員団としても視察に行ったわけでありますが、保健センターというところで本を渡すよりも、図書館に来たお子さん連れの親御さんに図書館で本を渡すとなりますと、図書館との近親感も出るということでかなり効果も大きいんじゃないか、こういう発想のもとに提案をさせていただきました。またぜひ御検討をお願いしたいと思います。
電子投票につきましては、そのような状況があるということで御理解をしてまいりたいと思いますけれども、とにかく期日前投票というものがありますが、この徹底もされているようでありますけれども、さらに気楽に期日前投票はできるんですよと、余り煩雑になるようなこともありませんよと、こういうことも市民の皆さんにも御理解をさせていただくようにお願いをしたいと思います。
時間も、次の内藤(泉)議員の
発言もありますので、次って、今じゃないですよ。ありますので、私の
発言は以上で終わります。
47: ◯副議長(山村雄二君) 次に、日本共産党の代表質問を行います。石原 剛君。
石原 剛君。
(石原 剛君 登壇)
48: ◯石原 剛君 質問に先立ち、さきの新潟県中越大震災で被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。一日も早い復興がなされるよう願うものです。
それでは、日本共産党を代表して質問いたします。
最初は市町村合併についてです。
11月28日に行われた上九一色村の住民投票では、甲府市との全村合併に反対の票が多数を占めました。この結果を受けて、上九一色村議会は、全員協議会を開催し、「全村甲府と合併の方針を断念すると決定」と報道されています。これを受けて宮島市長は、先ほども申されましたが、今後の対応は、村の方針が決まるのを待って市議会と相談したい。中道町の流動的な要素もあると話し、分村合併の受け入れに含みを残したとも報道されています。現行の特例法の期限の残り期間が数か月になっていることから、とにかくどこかと合併をと、余りに躍起になり過ぎているのではないでしょうか。住民の意思とは関係なく、合併特例債が利用できるからという財政的な理由だけで合併が進められることは、住民不在のやり方であり、将来に禍根を残すものとなります。
合併問題は、住民にとってわかりにくいという場合が少なくありません。ともすると首長と議会の都合のよいように事が進められることもあります。一貫して努力する必要があるのは、住民に対して的確な情報を知らせ、その上で合併の是非を住民に問う住民意思の尊重を貫くことです。それは編入する側、される側、双方について言えます。そしてそれを行うには、特例法の期限内では時間的に無理があります。
以上のことから甲府市がなすべきことは他町村に対して拙速に事を進めるのではなく、冷静に将来のまちづくりを考えるためにも、現行特例法の期限内での合併はしないとはっきりと宣言することではありませんか。市長の見解を求めます。
次に、三位一体改革と来年度予算編成についてです。
政府与党は11月26日、国地方税財政の三位一体の改革の全体像を決定、国民の暮らしと権利の後退、国の責任の後退を招く国庫補助負担金の廃止、縮減を2005、2006年度で2兆8,380億円とすることや、地方交付税削減の方向を明確にしました。焦点の1つになっていた義務教育費国庫負担金は、この2年間で8,500億円程度削減、暫定措置として2005年度分は半分の4,520億円を削り、来年秋の中央教育審議会の答申を得て2006年度には恒久措置を講ずるとしています。
また国民健康保険については、都道府県の負担を導入し、国庫負担金を7,000億円程度削減、農水省、経済産業省、環境省など所管の補助金も2,100億円を削減します。一方、地方への税源移譲は2兆4,160億円と定めました。地方6団体が反発していた生活保護費の国庫負担削減、児童扶養手当の補助率の見直しは、国と地方の協議会を設けて来年秋までに結論を出すとしています。地方6団体が強く求めていた地方交付税による確実な財源措置については、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源を総額確保するとの表現は盛り込まれましたが、歳出削減に引き続き努めると削減の方向を明らかにしました。
与党が合意した三位一体の改革の全体像は、地方の権限の拡大の名のもとで福祉や教育などに対する国の責任を後退させ、地方財政の削減を進めるものであり、自治体が本来果たすべき住民福祉の向上という仕事を困難にするもので、到底認められるものではありません。とりわけ義務教育費国庫負担金の8,500億円削減は、憲法が保障する国民がひとしく教育を受ける権利を、財政面から危うくするものであります。また地方交付税を削減する方向が出されたことは、自治体財政を一段と厳しくするもので、補助金廃止額に見合った税財源移譲となっていない上に、交付税も削減されるのではたまったものではありません。
さて、今年度、三位一体の改革による本市財政における地方交付税の影響は、6億3,000万円の削減が見込まれるということですが、今回示された全体像を見ると、来年度はさらに影響が大きくなると予想されます。市長は、地方交付税を堅持し、充実させること、市民の生活と権利を保障する国庫負担金の制度を堅持することを国に強く要求すべきです。また、こうした地方財政計画の合理化が進められる中にあって、新年度予算編成はどのような方針で臨むのでしょうか、見解を求めます。
次に、指定管理者制度についてです。地方自治法の244条第2項「公の施設の設置、管理及び廃止」の改正によって、2003年9月から指定管理者制度が施行され、現在管理委託を行っている公の施設は、2006年9月までに直営に戻すか、指定管理者制度に移行するかの
選択を迫られることになりました。これまでの委託方式での管理委託先は、自治体などの公共団体、公共的団体、政令で定める出資法人に限定されていました。その枠を取り外して広く法人、その他の団体に業務を代行させるのが指定管理者制度です。法人その他の団体には株式会社などの営利法人から、NPO、自治会などの市民団体、スポーツ団体まで含まれ、対象は広くなっています。しかし、制度導入の主眼は、株式会社など営利法人への指定にあります。公の施設の管理運営を民間営利企業にまで全面開放したことから、施設の性格によっては問題が生じる恐れがあります。
具体的に危惧されることとして、住宅や施設に入所された方の個人情報が漏洩されることはないか。文化施設では、文化振興の観点よりも利潤の追求が優先され、アマチュアよりもプロに便宜が図られるようになりはしないか。これまで無料だったものが有料になったり、引き上げられたり、減免制度がなくなったりなど、利潤追求の余りサービスの低下がありはしないか。職員の非常勤化、パート化、低賃金化によるサービスの質、継続性、安定性、専門性の低下はないか、さらにこれまで管理委託されていた法人の解散、職員解雇などの事態も懸念されます。
さて、学校は、学校教育法で設置、運営管理が国、地方公共団体、学校法人に、公園は
都市公園法で国、地方公共団体に、公民館は社会教育法で管理者を国、地方公共団体に限定しています。水道法では地方公共団体が原則です。このように個別法で管理主体や権限が限定される公の施設は、指定管理者制度の導入にあたって対象外とすることは当然です。加えて福祉や教育など、サービスの専門性や継続性、これまでの実績などの要素が重要な施設は公募とせずに、これまでの団体に継続させることを認める。あるいは募集する団体の条件を施設の性格に合わせて制限すべきです。さらに募集する場合も市民サービスの低下をもたらさないことを大前提に、公正、適切、平等の原則のもと、そこで提供されるサービスを通して、住民福祉の増進が図られることを施設の設置条例の目的に明記し、住民がひとしく利用できるために利用料減免などを保障すること。秘密の保持、情報公開、職員の事業に関する専門性や技術が確保できるような賃金と労働条件など身分保証を確保すること、などの原則を貫くこと。そしてそれらが保証できない場合には、直営に戻すことも
選択肢としてすべきと考えますが、どうでしょうか。指定管理者制度導入にあたっての市長の基本的な考えを伺います。
また、甲府市として指定管理者制度への移行の対象として、具体的にどのような公の施設を考えているのか。さらに本年9月議会で策定すると答弁した基本方針、現状どの程度進捗しているのか、以上、明らかにしていただきたいと思います。
最後に、小学校給食の民間委託についてです。
我が党は、これまで民間委託に反対する理由として、営利を目的とした民間は、調理業務に低賃金のパート、アルバイトを送り込むため、経験の蓄積が困難であり、長年の経験や専門性が要求される学校給食には不向き、教育の一環としての子供とのかかわりが持てない、委託料はやがて値上げされ、中長期的に見れば、財政的にもコスト削減につながっていないと指摘してきました。
先日、私は、東京日野市の「日野の学校給食をもっとよくする会」の代表の方から、栄養士の各校配置、個別献立、地場産野菜の積極的な利用など、先進的な学校給食を実施してきた日野市が、毎年数校を民間委託化している状況についてお聞きする機会がありました。
調理業務を民間委託に切り換え始めてから3年目。当初は、「学校や教育委員会が責任を持ってつくるのだから大丈夫」と、説明をしていたのに、行政の責任放棄とも言える事態が幾つか発生しているそうです。例えば委託契約において、民間委託で働く調理員には、チーフは3年以上、パートは1年以上、集団給食の経験が必要とされ、交代する場合には届け出義務があるなど定められているのに、この条件の確認や、届け出の有無を教育委員会がきちんと把握しておらず、民間業者がやることだからよくわからないとしているそうであります。
また、日野の中学生が行ったアンケート結果を見ると、「前の方がおいしかった」、「丁寧につくってほしい」、「民間はやめてほしい」、「食べる気がしない」などの声がたくさん寄せられていました。日野の会の代表は、基本的に学校給食に安い、高いの議論はそぐわない。無理な費用での委託が続けば、その分が必ずどこかにしわ寄せされる。見えないところでの質の後退、安全の軽視につながり、いつか大きな事故になりはしないか、食教育に重要な学校給食は、どう安上がりにするかで考えるべきでないと強調されていました。
甲府市の学校給食も、個別献立と食材地元購入の推進などを図り、より充実させるべきであって、民間委託はその障害となります。また一たん民間委託がされれば、市が持っている調理業務のノウハウは失われ、直営に戻すことは困難です。退職者不補充でなく、若手の採用を行い、調理技術の継承を図るべきです。学校給食は民間委託はやめ、直営での充実を図るべきです。見解を求めます。
以上で質問を終わります。
49: ◯副議長(山村雄二君) 市長
宮島雅展君。
(市長
宮島雅展君 登壇)
50:
◯市長(
宮島雅展君) 石原議員の御質問にお答えをします。
まず、市町村合併についてであります。
先ほど福永議員と堀内議員の質問にお答えをいたしましたが、私は、甲府盆地一体の発展を視野に入れた市町村合併は、今後も推進をしていかなければならないと考えています。
ところで議員の文章の中に、主語が定かでないのがあって、だれが急いでいるのか私にはわかりませんでしたが、私にとっていえば、私は合併特例債などの財政優遇措置を求める余り、急いでいるという気持ちはありません。ただ、合併をしていく上で、それが使えるということであれば、新市の構想にもう少し大きな幅が出るかなとは思いますけれども、前のお二人の議員さんに対する答弁でもおわかりのように、やはり大きく視点を前に置いてみなければならないのが合併だと思いますので、それで村の中のお考えや、あるいは町の考え方をしっかり話し合いをしてきてください。いつでも手は広げていますよ、ということを言っておりますので、そういうことからさせていただければ、私自身が優遇措置を求めてあたふたしているわけではないということを御理解賜りたいと思います。
なお、中道町及び上九一色村とは、従来から合併協議をしてきた経過もありまして、両町村の意向が示された時点で、議会の皆様方とも話し合いをする中で判断をしてまいりたいと考えています。御理解を賜りたいと存じます。
他の御質問につきましては関係部長からお答えをさせます。
以上です。
51:
◯総務部長(
小尾英光君) 指定管理者制度についてお答えをいたします。
指定管理者制度の導入の施設につきましては、甲府市福祉センターなど、現在管理委託を実施している施設を基本に、19の公の施設を対象として平成18年4月より制度の導入を図ってまいる予定であります。
制度の導入にあたりましては、公の施設の管理責任は、設置者たる本市が持つ中で、施設の設置目的に合った質の高い市民サービスの提供がされるよう、適正に制度の導入を図る必要があると考えております。
こうした観点から、指定管理者制度の趣旨を踏まえて、外部からの委員を含めた選定委員会の設置など、制度の導入に関しての基本的な考えを定めた指定管理者制度の導入に関する基本方針を策定したところであります。この基本方針につきましては、議会へも報告するとともに、市民の皆様にもわかりやすく、広報誌などを通じて周知してまいります。
以上であります。
52:
◯企画部長(林 正孝君) 三位一体の改革と予算編成方針についてでありますが、国と地方に関する三位一体の改革は、地方の権限と責任を大幅に拡大することで、地方の自由度を高め、真に必要な行政サービスを、地方がみずからの財源で自主的に
選択できる改革でなければならないと考えております。
先般示されました三位一体の改革の全体像では、平成17年度及び18年度で削減される補助負担金が2兆8,000億円程度となり、これに見合う税源移譲は、平成16年度移譲分も含め2兆4,000億円程度となるものであります。
削減の中身につきましては、義務教育費国庫負担金や、国民健康保険の県負担導入など、都道府県への影響が主な内容となっております。本市への影響額につきましては、今後地方財政計画が示される中で、地方交付税、国庫補助負担金、臨時財政対策債や税源移譲額をセットで試算してまいりたいと考えております。
次に、新年度の予算編成方針でありますが、本市における平成17年度の財政見通しにつきましては、歳入の大宗をなす市税収入は、景気の回復基調を受け増加が見込まれますが、国からの交付金は減少傾向にあります。
一方、歳出面においては、社会保障関係経費などが増加傾向にあり、歳入歳出構造は大幅な乖離が見込まれております。しかしながら、こうした厳しい財政環境の中にあっても、健全な財政構造の堅持、市民サービスの向上、将来に向け持続可能な収支均衡予算の確保を目標とした予算編成に努めてまいりたいと考えております。
以上であります。
53: ◯教育委員会教育部長(中澤正治君) 小学校給食の調理委託についてお答えをいたします。
現在、教育関係者による小学校給食調理業務検討委員会において調理業務の民間活力導入を含め、効率的運営方法等につき、幅広く御論議をいただいておりますことから、今後検討委員会からの報告等を踏まえ、教育委員会として今年度中には一定の方向性をお示ししたいと考えております。
なお、退職者の補充につきましては、当面再任用職員や臨時職員で対応してまいります。
以上であります。
54: ◯副議長(山村雄二君) 石原 剛君。
55: ◯石原 剛君 再質問をさせていただきます。市長、主語がはっきりしていないと、このようなことですけど、あえて主語をはっきりさせませんでした。ということで、合併特例法の期限内に急いでやるということはよろしくないということですね。そして、市民のというか住民の意思の尊重を貫く。これはやっぱりしなければいけないということであります。これは確認をしましたので、ぜひ財政的な問題だけで一部にはそのような動きがありますが、そういうところで騙されないような、落ち着いて将来のまちづくりを考えた、市民の立場に立った、そして市民とともに考えて市民の合意で市民の意思の尊重を貫くという態度になっていただきたい、引き続きそのことを貫く必要があるというふうに思います。
それで、具体的な質問については、指定管理者制度についてもう少し詳しくお尋ねしたいと思います。施設の設置目的に合った管理運営というふうになるようにというような答弁があったと思いますが、その設置目的というところに「公共性」ということをはっきりさせる必要があるというふうに思うんですね。公共性とは何かということで、公の施設というものについて地方自治法の244条、ここに「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設を設けるものとする。」と、こういうふうに書かれております。さらに「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」さらに「住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」こういうふうに公の施設について決められていまして、こういった公共性ということをしっかりとさせることが大事だというふうに思うわけですね。
今管理委託をしているものについて幾つか見ますと、目的というところにはそういったことが書いてなくて、設置というところにそれらしいことが書かれています。スポーツ公園なんかは、「市民スポーツを振興して市民の心身の健全な育成を図るため」とか、このように目的が書かれておりますが、この公共性をしっかりとさせるということでは、これからその基本方針の中で手続の仕方とか、それぞれの施設の設置条例の改正など出されてくるというふうに思いますが、そういう中でしっかりとした公共性が保たれるための設置条例の見直し、精査ということが必要じゃないかというふうに思うんですね、その辺についてどうなのか、基本方針について言いますと、法律では議会の議決を要するということですから、それぞれ委託する条例が出されるというふうになるんじゃないかというふに思うんですね。指定管理者を指定しようとするときは、あらかじめ、普通公共団体の議会の議決を経なければならない、ということですから、その基本方針がどういったものかがちょっとわかりませんが、設置条例だけでなく、指定をする場合の議決というのもされなきゃならないというふうに思いますが、その辺は必ずされるんだろうかということを聞きたいと思います。
それから、先ほど質問の中でも言いましたように、指定管理者制度にできないものというのがありますね。それからできるんだけれども、それに準じて公共性が求められて、それが担保されなければならないというものがあると思います。スポーツ施設など社会教育施設も教育基本法の第7条の社会教育の実現ということで教育機関として設置されてきた経過がありますし、スポーツ振興法という法律でも、「スポーツの振興に関する施設は、営利のためのスポーツを振興するためのものではない」というふうなことが書かれております。
そういったことで、基本方針の中で公募制というのですか、施設の指定管理者を募集する場合の原則、こういう中にはやっぱり公共性というものが担保されるための制限ということがあるべきじゃないかというふうに思うんですね。この辺が原則、基本方針という中にはどうなっているのか、基本的に公の施設がその公共性にふさわしく、その目的が達せられるような仕組みにならなければならない。それぞれどの施設にどの管理者がなるのかと、どういう設置条例がでるのかということを見て、それぞれ判断していきたいと思いますけれども、全体としての指定管理者制度の考え方についてもう少し詳しくお尋ねしたいと思います。
56: ◯副議長(山村雄二君) 総務部長
小尾英光君。
57:
◯総務部長(
小尾英光君) 公共性といいましょうか、これはサービスを低下をさせたり、使う方に不利になるようなことはないというふうに考えております。
それから指定管理者制度、今度それを管理するというような団体につきましては、しっかりした協約を結びます。これは契約というふうに言い換えてもよろしいかと思いますけれども、そういったふうなサービスが低下しない、または今まで無料だったものを管理者がかわったから有料にするとか、そういうふうな意味のことはありません。しっかりした協約を結んでまいります。
それから公募するものとしないものの区別をしていきたいというふうに考えております。今、19の施設を予定をしているわけでありますけれども、この中には、公募になじまない施設が実はありますので、そういったふうなものは公募しなくて、現在、管理を委託しているところでやっていくというふうな物の考え方をしておりますので、公募するものとしないものが出てまいると思います。
そんなふうなところを重点的に、市民の方々に基本的に福祉が後退したり、サービスが後退するようなことのないような形で指定管理者制度を導入していきたいと、そういうふうに考えております。
以上であります。
58: ◯副議長(山村雄二君) 石原 剛君。
59: ◯石原 剛君 議会の議決の件についてはどうなりますか。
60: ◯副議長(山村雄二君) 総務部長
小尾英光君。
61:
◯総務部長(
小尾英光君) 議会の議決でありますけれども、現在予定しておりますのは、平成17年の12月議会を実は予定をしております。それによりますと、指定管理者に管理を行わせる施設の名称とか所在、それから指定管理者となるべき団体の名称、さらには主たる事務所の所在地及び代表者の氏名、また指定期間等を議会の方にお示しをし、議会の議決を経ていきたいというように考えております。
62: ◯副議長(山村雄二君) お諮りいたします。
本日の会議はこの程度にとどめ延会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
63: ◯副議長(山村雄二君) 御異議なしと認めます。
よって、本日の会議は、これをもって延会することに決しました。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時34分 延 会
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