田辺市議会 2017-09-19
平成29年 9月定例会(第4号 9月19日)
教育総務課長 宮 崎 和 人 君
スポーツ振興課長 谷 貞 見 君
水道部長 岩 本 章 君
業務課長 前 田 敦 司 君
工務課長 下 中 哲 也 君
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〇
出席事務局職員
議会事務局長 糸 川 一 彦
議会事務局次長 前 溝 浩 志
議会事務局主任 松 本 誠 啓
議会事務局主査 稲 垣 清 司
開 議
○議長(小川浩樹君) 定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成29年第4回
田辺市議会定例会4日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
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○議長(小川浩樹君) それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(小川浩樹君) 日程第1 一般質問を行います。
4番、前田佳世君の登壇を許可いたします。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 皆様、おはようございます。4番、日本共産党の前田佳世です。質問に入る前に、少しお礼を述べさせてください。先月27日に行われました
オペラカルメンの公演が大盛況のうちに幕を閉じました。田辺で本格的なオペラが上演されたのは、実に20数年ぶりで、チケットは完売、ソリスト初め地元合唱団の白熱した舞台は感動的でありました。田辺の文化の歴史に刻まれる公演であったと思います。これを実現してくださいました市長、教育長、並びに関係者の方々に対しまして、実行委員、合唱指導に携わった1人として、心よりお礼申し上げます。今後も田辺市の文化芸術の発展を願っております。
では、通告に従いまして質問に移ります。
大項目一つ目、市立幼稚園における3歳児就園についてです。
近年女性の社会進出に伴い、少子化といわれる中、子供を持ちながら働く女性の割合が年々上昇しています。保育所では特に都市部では待機児童の増加により、質量ともに大きな改善が求められ、就学前の保育・教育施策には多様なニーズに応える動きが見られます。
田辺市でも就学前の子供たちの保育・教育についてさまざまな議論がなされ、市内では二つの私立幼稚園が認定こども園化しております。また平成17年度に田辺市で導入されました
就園奨励補助制度により、私立・公立幼稚園の保育料の格差是正を図っておりましたが、公立幼稚園の保育料が段階的に上げられ、来年度は同額になるとのことです。
こうした就学前保育・教育の再編の中、ますます3年保育の議論を活発化させる時期に来ていると考えます。実施されていないのは、和歌山県内においては、休園中を除く45の幼稚園、約84%が3歳児保育を実施しています。実施されていないのは7園で、そのうちの4園が
田辺市立幼稚園です。
ブロックごとに見ますと、実施されていないのは、残念ながら田辺市のみです。20年以上にもわたり毎年のように保護者・教員から要望があるにもかかわらず2年保育のままです。
そしてこれに関しては、議会では、幼保一元化とのかかわりや、ニーズの見込み量についての議論がほとんどでありましたが、教育を合理化の枠内だけで考えるのではなく、いま一度、就学前の子供の教育はどうあるべきかという原点に立ち返って議論を投げかけたいと思います。
まず、今日における乳幼児の子育て状況とその背景について質問させていただきます。田辺市において、乳幼児の子育てがどのような状況で行われ、その背景にはどういったことがあるのか、当局の認識のほどをお聞かせください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 4番、前田佳世君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長、
中村久仁生君。
(教育長
中村久仁生君 登壇)
○教育長(
中村久仁生君) 今日の乳幼児の子育て状況とその背景についてお答えしたいと思います。
全国的な核家族化や共働き世帯、
ひとり親世帯の増加、就労形態の多様化などの流れの中、本市におきましても就学前児童を預かる幼稚園や保育所などの需要は増加傾向にあると考えております。また、子供の虐待が社会問題化するなど、これまでにも増して、子育てに対する行政の関与の必要性は高まっている状況にあると思います。
一方で、子ども・
子育て支援事業の策定に向け、平成25年度に実施しましたニーズ調査におきましても、60%の方が緊急時などには祖父母等の親族に見てもらえると答えております。また、34%の方が日常的に見てもらえると答えている。このように、祖父母が同居あるいは近隣に居住しているため、都市部と比べれば子供の保育環境は恵まれているとも言えるのではないかと考えております。
しかしながら、一億総活躍社会の実現や働き方改革の実現といった政策が進められる中、今後とも幼稚園や保育所を必要とする家庭の増加が見込まれるとともに、さまざまな悩みや問題を抱える子育て世帯への支援の充実が必要であると考えております。
(教育長
中村久仁生君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 子育ての状況について、その背景も含めまして、核家族化や少子化を背景に、共働き家庭、
ひとり親家庭が増加であるという認識はあるようです。また、就学前の教育のニーズも増加であるという認識も当局はお持ちであるということです。
先ほど、緊急時に子供を預ける場合、家庭内もしくは実家といいましょうか、そちらのほうで見てもらえるという環境がある、それが恵まれているという御答弁がありましたが、私も今、
ワーキングママであります。緊急時には親を頼ることもありますが、親自体が、自分の親に限らず、祖父母世帯がまだ若い場合、働いているケースもありまして、そして反対に高齢化によって、祖父母世帯がお年を召している場合、本当に小さな子供を家で緊急時に1日預かるというのは相当つらいことであります。ですので、恵まれていると言われてはそうだと思うのですが、決して預ける側の保護者としては簡単に預けているわけではありません。できれば、そういった
受け入れ体制があれば働く親としてはありがたいと考えております。
次に、二つ目、就学前の子供の育ちを保障する教育の重要性と必要についてお伺いします。まず、子供の育ちという部分において、どういったことが重要であるか、認識をお聞かせください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育長。
(教育長
中村久仁生君 登壇)
○教育長(
中村久仁生君) 子供の育ちの重要性ということでありますが、幼稚園での子供の育ちの重要性についてであります。
幼稚園教育要領等に示されておりますとおり、幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであると認識してございます。また、幼児期の教育は、小学校以降の教育や生涯にわたる学習の基礎となることから、この時期の子供たちの育ちの重要性、教育委員会として十分に認識しているところであります。
(教育長
中村久仁生君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 就学前の教育についての重要性は十分に御認識があるとのことです。
少し話は戻りますが、平成26年度3月作成の「
子ども子育て支援事業計画」策定にかかわるニーズ調査によりますと、田辺市では小学生以下の子供を持つ保護者のうち、働く母親の割合が7割前後で、全国比で3%から10%高く、子供がいる世帯の約7割が共働き家庭、また
ひとり親家庭は1割前後ということです。
こうした状況は年々増加にあるということは、当局も御認識されているとおりです。そして、最近、
ワンオペ育児という言葉を耳にしますが、これは飲食店を1人で切り盛りするワン・オペレーションから派生した言葉で、パートナーの単身赴任や病気などの事情のほかに、労働時間が長いことにより、女性が家事、仕事もしながら1人で育児をする状況も多いようです。働かなくては生活が成り立たず、時間的・体力的・精神的にゆとりがない状況のもと育児をしており、また周囲に相談者・支援者が少なく、子供を産み育てることへの不安を抱えています。
そうした状況となる背景には、当局の御認識にもありましたように、核家族化や少子化、地域社会の希薄化、長引く不況による低賃金、不安定雇用などがあると考えます。
こうした背景からくる子育て状況から、家庭における教育力の低下が問題視されています。それゆえ行政としてどのような対策を打つべきか、真剣に考えていかなければならないと思っております。
そして、就学前教育の重要性と必要性についてでありますが、結論から申し上げますと、乳幼児期は整った家庭教育と一定時間の集団保育によって、発達段階の折々にさまざまな遊びを通した生活体験を積み重ね、人間としての基礎を育むことに重要性があります。このことは教育長の御答弁にも認識としてお伺いしました。
人間の赤ちゃんは、五感のうち、肌の触れる感覚のほかに、嗅覚、味覚をある程度備えて生まれてきます。そして授乳の際、母親の肌に触れ、肌のにおい、おっ
ぱいのにおいとおっぱいの味という触れて感じる刺激を受け、触覚、嗅覚、味覚を確立していきます。これが人間形成の基礎の基礎です。
次に、見えるもの、聞こえる音の刺激を受け取りながら、見分ける、聞き分けるという視覚・聴覚を分化させ五感を確立していきます。感覚を確立していく中で必要不可欠なものが刺激です。そして、その刺激はさまざまな生活体験によるもので、それぞれの発達段階に応じて、必要な時期に与えられることが重要と言われています。なぜならこれが人間だけが持っている言葉や情緒の獲得につながるからです。
そして集団保育によって、家庭内だけでは得られない、より豊かな生活体験を得ることで、子供は飛躍的に人間として生きていく力を育んでいきます。この生きていく力とは、やりたいと思える遊びに夢中になり、試行錯誤することで育まれる目標に向かって頑張る力、ほかの人とうまくかかわる力、感情をコントロールする力で、幼児教育の世界では、専門用語ではありますが、非認知能力と言われます。これに対し、読み、書き、計算などIQではかることできる力を認知能力といいます。将来、勉強や仕事に対する意欲を高めたり、大人になってからの幸せや経済的安定にもつながる非認知能力を十分に養うことに、幼児期の育ちの重要性があるといえます。
これはOECD(
経済協力開発機構)などが提唱しており、アメリカの
ノーベル経済学受賞者の
ジェームズ・ヘックマン教授は、5歳までの教育が人の一生を左右すると指摘しています。
田辺市には保育所、私立幼稚園が既にたくさんあります。それでは、そういった中で、
田辺市立幼稚園としての教育の必要性をどのようにお考えであるか、お聞かせください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育長。
(教育長
中村久仁生君 登壇)
○教育長(
中村久仁生君) 保育所、私立の幼稚園という形が多数ある中で、田辺市立、公立幼稚園における教育の必要性ということであります。
公立幼稚園の役割というのは幾つかあると思いますけれども、まず一つは地域の幼稚園として、地域の小学校、中学校としっかり連携をし、11年間という長いスパンで見通した教育を展開することが大切である。これが一つ大きな特色だと思います。
それから、幼稚園教育と小学校教育の円滑な接続を進めるよう、意識しながら日々取り組んでいるところであります。そして、もう一つは、地元の幼稚園として、地域の人々としっかり交流し、地域の人材や特徴を生かし、地域に根差した教育を展開することができる。これも大きい特色の一つと考えてございます。
また、公立幼稚園では、未就園児の体験保育等を通して、地域に住む保護者とのつながりを深めておりますが、今後も幼児期の教育に関する相談に応じるなど、地域における幼児期教育のセンターとしての役割を果たすように努めてまいりたいと考えております。以上であります。
(教育長
中村久仁生君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 特に、地域においての子育て基盤としての重要性を認識しておられるということです。そして、小学校への円滑な移行、地域との交流、人材育成による地域おこし、地域をもとにした教育の重要性が市立幼稚園にはあるという御認識です。そして、
子育て支援センターという役割も考えていきたいという御答弁がありましたが、これはもう既に全国的には、県レベルでは福井県を代表してさまざまな地域で行われております。また、佐世保市においても市として
支援センターを設置して、教育に取り組んでいる自治体もあります。そういった先進事例もまたぜひとも御参考にいただけたらと思います。
非認知能力の形成には、家庭環境が大きく影響すると言われています。経済的基盤、子供の教育への関心、文化芸術への関心、書籍・新聞などを通して学びへの関心の度合いが子供の育ちの決定的要因であると言われています。また近年子供の遊びの環境の変化も挙げられます。少子化で兄弟がいない、近くに遊べる友達がいない、交通量の増加や不審者の事案で安心して遊べる場所が減ってしまい、どうしてもゲームでのひとり遊びに偏る子供たち、そして子供同士の遊びの経験が不足することで、子供同士がかかわり方がわからないといった問題が上がってきております。
こうしたことに左右される子供の育ちを、行政として守ることに必要があると感じます。また、戦後の長い歴史を経て培われてきた地域の子育て基盤としての役割、これは教育長からの御答弁にもありましたとおり、その役割も果たしていくことに必要性があると考えます。
そうした就学前教育の重要性、必要性をしっかり認識した上で、3歳児保育の実施を提言したいと思います。今回提出された議案では、保護者からの強い要望であった3歳児保育の実施と預かり保育の拡充のうち、預かり保育の拡充が挙げられています。保護者の切実な願いに応える前向きな決断であると思います。私はこのことを3歳児保育実現への布石にするべきではないかと考えますが、3歳児保育の必要性をどうお考えであるかお聞かせください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育長。
(教育長
中村久仁生君 登壇)
○教育長(
中村久仁生君) 3歳児保育の重要性ということであります。保護者の皆さん方からはいろいろな要望を毎年いただいておるわけです。その中で、まず目いっぱいの預かり保育、早朝保育、終了以降の保育等々について、非常に多くのニーズがございます。そういう中で、それに応えて、これまでも現代の子育ての環境の変化に対応できるように公立幼稚園が果たすべき役割というのを本当に検討してまいりました。少子化や核家族化などの社会の変化によって、子育て環境が変化してきていることから、3年保育を求める声があることはよく理解しております。
しかし、就学前教育のあり方については多面的に検討する必要があると考えております。3歳児保育の実施については、
子ども子育て支援事業計画の中で、教育・保育の量の見込み、つまり教育・保育の需要量を算出しておりますが、就学前児童については、公立・民間を含めた幼稚園・保育所の定員が量の見込みを上回っております。ですから、一方では充足した状況にあるということが言えると思います。
また、さまざまな行財政課題に対応するため、効率的・効果的な行財政運営を考えたときに、公立幼稚園での3歳児保育の実施については、現在、非常に難しい状況にあると考えております。
(教育長
中村久仁生君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 一番難しい課題は行財政のことかと御答弁から感じを受けるのですが、定員が量の見込みを上回っているということですが、教育費をコストだと捉えれば、そのような答弁になってしまいます。それでは少子化が進むにつれ可能性は遠のくばかりではないでしょうか。合理化の枠から一度外れて考えていただきたいという趣旨できょうの質問をさせていただいております。
公立幼稚園、私立幼稚園、保育所、ともに特徴を生かしながら田辺市の教育を図っていきたいという御答弁も以前、拝読しましたが、選ぶのは保護者です。ですが、子供が3歳になった時点で、何らかの就学前教育を受けさせたいと考えたときに、
田辺市立幼稚園には3歳児保育がありません。この選ぶ段階で公平ではないと感じております。ですから、まずは保護者が選ぶという段階において、田辺市には3歳児保育もありますという前提をつくっていただきたい。そうすれば、ニーズはふえると感じております。
そういったことから、まずは新庄幼稚園で3歳児保育の実現を提言したいと思います。財政、教室の確保などさまざまな課題があることは承知しておりますが、4園全てで3歳児保育を実施するのは相当困難であると感じます。ですので、条件の整っている幼稚園において、段階的に、つまり新庄幼稚園での3歳児保育を実施してはどうかと考えますが、御答弁を願います。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育長。
(教育長
中村久仁生君 登壇)
○教育長(
中村久仁生君) 新庄幼稚園で満3歳児就園をということでございます。まず施設を考えられてのことであるかと思います。新庄幼稚園で3歳児保育を実施してはどうかという提案でございますが、先ほども申し上げた理由から、3歳児保育の実現につきましては新庄幼稚園に限らず、どの幼稚園でも非常に難しい問題がたくさんあり、この問題につきましては、公立幼稚園単独ではなく、民間の幼稚園、保育所を含めた田辺市の就学前教育全体のあり方について、関係部署と連携を図りながらしっかり研究をしてまいりたいと考えております。
(教育長
中村久仁生君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 田辺市内にある各種教育機関との連携を図りながら、全体として田辺市の就学前教育を考えていきたいということであります。
それぞれの幼稚園、特に私立幼稚園には創設者や園長先生の意向が強く働き、特徴的な教育をされています。私はそれを否定するものではないですが、仮に、偏った教育をされている場合も連携をするというのであれば、これはまた話としては連携していくには問題があるように感じております。
ですので、田辺市としての教育を全体の中でと考えるのではなく、各特色ある幼稚園、保育園がある中、田辺市の教育としてはこういうものを目指しているというものが必要ではないかとかと考えております。
そして、仮にこれを実施すると検討したとしても、以前担当課の方から伺いましたが、門戸を開いて、どれだけのニーズがあるかはかりにくいという御意見を伺いました。それで、ニーズの見込みをはかるのが難しいのであれば実際に調査を行ってみてはいかがでしょうか。来年度、平成31年度は、子ども・
子育て支援事業計画策定に向けた調査の年です。そして園の地域に、実際にアンケート調査を行うことも有効かと思います。3歳児保育実施という具体的な文言でニーズ調査をしてはいかがかと思いますが、御答弁を願います。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育長。
(教育長
中村久仁生君 登壇)
○教育長(
中村久仁生君) 子ども・
子育て支援事業計画策定に向けたニーズ調査の件をおっしゃっていただきました。
次期、子ども・
子育て支援事業計画策定に向けたニーズ調査について考えておりますのは、現在の子ども・
子育て支援事業計画というのは、計画期間が平成31年度までということになっており、平成32年度からの新たな計画の策定に向けて、来年度ニーズ調査を実施する予定としています。
その中で、市立幼稚園における3歳児の就園に関する需要につきましても、しっかりと把握できるように取り組んでまいりたいと考えております。
(教育長
中村久仁生君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) ニーズ調査においてしっかり把握に努めてまいりたいという御答弁をいただきました。少し兆しが明るくなったように感じます。
私がさっき条件が整っていると申しましたのは、教育長がおっしゃったとおり施設のことですが、新庄幼稚園におきましては、現在の絵本教室であれば、預かり保育の場所も別に確保しながら3歳児クラスの教室として設けることは可能で、これは現場の先生方も同じ認識です。また月一回のペースで行われている未就園児の親子登園は保護者の方々から大変好評で、参加した3歳児の親子6組のうち4組は、本当は3歳児保育を望んで、ほかの幼稚園に行くことも考えたが、新庄幼稚園がよいので4歳になるのを待って新庄幼稚園に通わせたいと就園を待っているそうです。また2歳児の親子の参加は3歳児より多い傾向だそうです。乳幼児を持つ保護者は、3歳になれば母子の関係だけでは教えてあげられない他者とのかかわりや広い世界を、専門者による集団教育の中で養わせたいという思いがありますが、
田辺市立幼稚園にはそもそも3歳児保育がないため選択枠に上げることができないのです。でも、あれば行かせたいという潜在的ニーズは確実にあります。田辺市公立幼稚園PTA連合会の調査によりますと、4園の地域にある小学校の1~2年生の保護者を対象としたアンケートで、78.5%が就学前教育として3年、もしくは3年以上を必要としており、そのうち公立幼稚園を実際に選んだ保護者は21%でありました。公立幼稚園を選んだ数値が少ない大きな要因は、そもそも3歳児保育がないことに加え、預かり保育が不十分であることでした。その預かり保育に今回前進が見られるのですから、これはニーズの掘り起こしになり得ます。
また、以前担当課に出していただきました資料によれば、保育所から
田辺市立幼稚園4園への転園者が年平均で5名ほどいます。私立幼稚園からの転園は数字には上がってきていませんが、実際はあります。転園の理由として、引っ越し等の家庭の都合や、転園前の園との相性が合わなかったというものも含まれますが、地域の園に3歳児保育がなかったから仕方なく他の園に通わせていたが、4歳になったので転園したという事例が毎年あるということは現場の先生から伺いました。転園に際しまして制服やその他の用品を買いかえたり、子供の友達関係や環境が変わるというリスクをのんででも、保護者が公立幼稚園を選んでいることが伺えます。
これはどういうことかというと、3歳児保育があれば地域の市立幼稚園に通わせたいと思う保護者がいるということです。預かり保育の拡充によって一定のニーズは上がると考えられます。
私は今回の質問に取り組むに当たり、市内全ての市立幼稚園で先生方のお話を伺いました。どの先生も子供たちに最高の幼児教育をと日々子供たちに向き合い研究に励み、未就園登園や地域との交流、少ない教員体制ではなし得ない教育をと園外にも教育の人材を求めて取り組んでおられました。そしてどの先生も条件が整えば、3歳児保育が必要だ、なぜなら先ほど幼児教育の重要性について述べたとおり人間形成の基礎、生きる力を養うには、言語を構築した人間の心のひだがやわらかいうち、これから身につけようとする、そのやわらかい心のうちに3歳からの教育が重要だとおっしゃっていました。
ゼロ歳から3歳の子供の心と体の発達は急速です。3歳から4歳までの1年間は、私たち大人が考える1年という概念や感覚で議論すべきではないと思います。
ここにたくさんの10数年にわたる
田辺市立幼稚園PTA連合会による要望書があります。いずれも子供たちへのよりよい教育をとの責任感にあふれる熱い思いから、教育環境と体制の改善を訴えてきたもので、当局も幾つかの点においては改善を実施されています。しかし、3歳児保育実施については、13年間のうち3年間を除いては毎年要望されているにもかかわらず今日に至っています。
総合計画を調べておりますと、平成8年度、合併前ですが、3歳児教育については実現を目指すと書かれてあります。大きな理念としては、合併したからといって、白紙になったような状態ではないと考えています。ここまで議論が進まないのは、やはり教育にかかる費用をコストだと捉え、合理化することに比重を置いているからではないでしょうか。先ほど紹介しました経済学者
ジェームズ・ヘックマン教授は、就学後の教育の効率性を決めるのは、就学前の教育であると提言しています。小学校の学力テストによる点数教育で、児童も教員も疲弊してしまう状況を伺うと、小学校につながる就学前教育の重要性を当局も認識しておられるのであれば、3歳児保育の実施を目指し、段階的に新庄幼稚園での実施を強く期待し、本項での議論を終わります。
次に、大項目二つ目、山村地域における子供の居場所づくり事業から学童保育所開設への議論に移りたいと思います。
夏休みに中辺路、龍神で行われた山村地域における子供の居場所づくり事業、以下、居場所づくり事業と言わせていただきます。子供たち同士で遊べる機会や場所が少ない山村地で、この夏休みの支援を何とかしてほしいという切実な願いに応えられたもので、子供たちにとっては楽しい居場所となり、保護者たちにとっては大変大きな支援となりました。
現在、担当課におかれましては、総括を行っている最中と思われますが、現時点での実績、評価、反省、利用者の声、指導員の声など御報告ください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育次長、弓場和夫君。
(教育次長 弓場和夫君 登壇)
○教育次長(弓場和夫君) 議員御質問の山村地域における子供の居場所づくり事業の総括につきまして、お答えいたします。
山村地域における子供の居場所づくり事業は、ことしの夏休み7月21日から8月31日までの間、龍神地域と中辺路地域において、管内の小学校に在籍する1年生から6年生までの子供たちを対象に、安心して安全に過ごすことができる居場所づくりと児童の健全育成につなげることを目的として実施いたしました。
両地域の利用状況につきましては、龍神地域の利用者数は16名で、学校別では咲楽小学校から4名、中山路小学校から4名、上山路小学校から8名で、龍神小学校からの利用者はありませんでした。また、学年別では、1年生から3年生が11名、4年生から6年生が5名でございます。中辺路地域の利用者数は22名で、中辺路小学校から21名、近野小学校から1名で、学年別では1年生から3年生が17名、4年生が5名という状況でございました。
両地域の居場所づくり事業では、夏休みの宿題、プール水泳、室内での遊びや絵本の読み聞かせなどを行い、利用した子供たちからは、「夏休み中、友達と会えて遊ぶことができたから行ってよかった。」「最初はつらかったけど楽しかった。」などの感想をいただいております。
また、保護者の方からは、「子供たちがとても楽しんでいた。」「安心して仕事に行くことができた。」という御意見から、「指導員の資質を向上してほしい。」という御要望もいただいているところであります。
これらに加え、子供たちの指導に当たった指導員からは、「指導員の確保と勤務ローテーションを見直す必要がある。」「子供たちへの指導方法等についてレベルを合わせるための研修などが必要だと思った。」などの意見があったところです。
この夏休みにおける事業の終了を受けて、子供たちや保護者の御意見、感想等を伺うため現在、両地域でアンケート調査を行っている段階でございまして、今後、このアンケートの結果等を踏まえて、評価と検証を行い、冬休みの事業実施までにその改善解消に向けた取り組みを行ってまいりたいと考えているところでございます。
学童保育所のない山村地域で子育てと保護者の就労の両立を支援する新たな取り組みとして、子供の居場所づくり事業を実施したことにより、保護者の方々からはおおむねよかったという評価をいただいており、児童が安心して安全に過ごすことができる遊び場、居場所の確保と児童の健全育成につながる事業の展開ができたものと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
(教育次長 弓場和夫君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) たくさんの利用があったこと、そして子供たちにも喜んでいただけたこと、保護者の方々は安心して働くことができたという大変高い評価があったことは本当に喜ばしいことであります。私も最終日に見学に行かせていただきました。本当に子供たちが伸びやかに遊んでいらして、中にはちょっと伸びやか過ぎて指導員の先生方は手を焼いているなという印象を受けました。
指導員の先生から伺った反省点としては、今回は設備の準備が不十分であったということでした。どういうことかというと、元気のよ過ぎる子供さんを落ちついて遊ばせるための座って遊べるようなおもちゃが欲しかったということです。今回は子供さんが使うおもちゃは全て職員の皆さんの手持ちであったと伺っております。今後はそういった子供たちが落ちついて遊べる、または楽しく遊べるおもちゃ道具も予算の中に入れて体制を整えていただきたいと思います。
次に中辺路では、学童保育所に関するアンケート調査が9月13日締め切りで行われましたが、その結果を御報告いただけますでしょうか。よろしくお願いします。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 木村晃和君 登壇)
○
保健福祉部長(木村晃和君) 議員の御質問にお答えさせていただきます。
中辺路地区におきましては、平成28年度にも開設要望がございまして、アンケート調査を実施いたしました。その結果は、利用希望者が7名であり、7名の保育の必要性を確認したところ、学童保育所の利用対象となる児童は4名であったことから、市の開設基準である10名に満たないため、新規開設には至らなかった経過があります。
しかしながら、ことしの夏休みから龍神・中辺路地域で始めた山村地域における子供の居場所づくり事業におきまして、中辺路小学校からの利用者数が21名であったことから、今年度においても現1~2年生と平成30年度入学予定の1年生の保護者40名を対象とした、アンケート調査を実施いたしました。
アンケート調査のうち、「学童保育所があれば入所しますか」については、入所するが29名、入所しないが11名でありました。
次の入所すると答えた方のうち、「通年利用か夏休み等の長期休業中のみの利用か」については、通年利用が16人、夏休み等の長期休業中のみの利用が13人でありました。
今回、通年利用希望者は市の開設基準である10人を上回っているところでありますが、学童保育所は保護者が就労や疾病等の理由で昼間家庭にいないことが常態となっている保育の必要がある児童に対し、適切な生活の場を提供する児童福祉施設であることから、各家庭に対しまして保育の必要性の有無等の確認が必要となってまいりますので、今後はこの調査結果について分析してまいりたいと考えております。
(
保健福祉部長 木村晃和君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 保護者の本来の願いは、通年での学童保育所の開設であることは当局も御承知のとおりで、その切実度も理解されていることと思います。今回の居場所づくりによって、ほぼ学童保育所のたたき台ができ、しかも中辺路では居場所づくり事業の利用者が22人。そして学童保育所に関するアンケート調査でも、通年での利用者が16人いるということです。そこから保育の必要性があるかどうかの審査をするとのことですが、学童があれば働きたいという保護者がおられることは認識されていることと思います。就労の意向がある場合は保育の必要がある見込みとして対応していただけるよう重ねてお願い申し上げます。そして、その調査の際の設問に対しても、就労の意向があるかどうかのことも聞いていただきたいと思います。
いずれにいたしましても中辺路においては、学童開設の可能性が非常に高い状況ですので、来年度4月1日開設に向けての迅速な取り組みが望まれますが、どのような取り組みの方針であるか、端的にお聞かせください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 木村晃和君 登壇)
○
保健福祉部長(木村晃和君) 議員の御質問にお答えいたします。
現時点では、アンケート回答内容の単純集計ができた段階であると考えてございます。その結果、通年利用したいとの回答が16人おり、現在の市の開設基準である10人を超えております。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、この16人のうち保育の必要性のある児童が何人いるのかといったことを検証していく必要がございます。開設の有無や開設時期を申し上げられる状況にはございませんので、御理解賜りますようお願いいたします。
(
保健福祉部長 木村晃和君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 居場所づくり事業から学童保育へせっかく保護者の願いに応えてくださろうという動きがあるのですから、もう一汗かいていただけるようにしていただけると保護者は大変喜ばれるかと思います。保育園、幼稚園の卒園から小学校入学までの保育の空白期間に、子供が事故や事件に巻き込まれたり、職場では保護者は退職に追い込まれることもあり、大変な悩みとなります。夏休みの居場所づくり事業はそもそも、この夏休みを何とかしてほしいという非常に切迫した要望によるものですから、それを引き継ぐという意味におきましても、来年度中のいずれかに開設では保護者は喜べません。一日でも早い開設だということを認識していただいた上で12月議会に予算計上ができるよう取り組んでいただけるよう心より期待申し上げます。
また対象児童についてですが、4年生以上の受け入れがないとなると、学童に行かない子供は家でゲームをしたりといった過ごし方になってしまいます。また、両親にかわって面倒を見る祖父母にとっても精神的、体力的負担が大きくなってしまいます。ですので、居場所づくり事業同様、1年生から6年生までの受け入れが保護者の願いです。
以上のことから、来年度4月1日からの開設ができるよう、条例改正、設備整備に関する予算を12月議会に上げられるよう迅速な取り組みをぜひとも期待しております。
次に、第3項目め、市立武道館の今後についてです。6月議会の補正予算審議におきましては、私ども日本共産党は、新武道館建設に関して選定場所が津波防災の観点から議論が不十分、再考すべきという主張とともに建設設計費の修正を本会議で提案しましたが、賛同得られず補正予算案は可決されました。私は中心市街地のまちづくりそのものを否定するものではありませんが、建設場所に至ってはやはり津波防災の観点では納得いかない思いは残ったままです。
そして、新武道館建設後の方針について、建設後、現在の市立武道館をどのようにする方針であるか、簡単にお聞かせください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育次長。
(教育次長 弓場和夫君 登壇)
○教育次長(弓場和夫君) 議員御質問の新武道館建設後の方針についてお答えいたします。
現在の田辺市立武道館は、昭和46年の黒潮国体に合わせて建設された施設でございますが、老朽化が進み、利用者から建てかえの声が多く寄せられており、加えて各種大会やスポーツ合宿等を誘致するには、規模や設備の面で全国の競合施設と比べ見劣りする点も多く、新武道館の建設が課題となっておりました。
また、田辺市は、合気道開祖植芝盛平翁生誕の地であり、翁の偉大な足跡と功績を顕彰する拠点施設の整備も課題の一つでありました。
こうした状況を踏まえ、植芝盛平翁の顕彰機能を付加した新武道館建設に向け取り組みを進めているところでございますが、整備完了後、現武道館の機能につきましては、新武道館に集約したいと考えております。
また、現武道館の跡地については、今後、都市公園区域としての利用制限や厳しい財政状況等を考慮しながら、行政サービスの維持向上や将来世代への配慮といった田辺市公共施設等総合管理計画を踏まえ、有効な利活用を検討してまいりたいと考えてございます。以上でございます。
(教育次長 弓場和夫君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 新武道館建設が扇ヶ浜に移ったことによりまして、浮上した問題があります。それは、現在、市立武道館は主に柔道、空手、少林寺拳法、卓球の各種団体が利用しており、稼働率は約87%、そして毎日のように利用しているのが明洋中学校の柔道部と卓球部です。また明洋中学校が必須科目である武道の授業でも利用しています。ところが新武道館建設に伴いまして、現武道館が平成32年3月以降使えなくなるという問題に直面しており、学校も部活動関係者も子供たちも困惑しております。この問題は教育委員会も既に御承知のとおりでありますが、建設地選定に当たりまして、この問題にどのように対応するか、また代替地をどのようにするか。具体的に案があったのでしょうか。お聞かせください。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育次長。
(教育次長 弓場和夫君 登壇)
○教育次長(弓場和夫君) 議員からの御質問でありますが、明洋中学校にはクラブ活動で柔道部と卓球部が現武道館で利用いただいている関係から、平成29年1月に基本構想の検討段階でこれまでの定義と武道館の利用について説明を行い、新武道館建設後のクラブ活動においては、空き教室や他の施設を利用する旨、確認をいただいているところでございます。以上です。
(教育次長 弓場和夫君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 空き教室を使うということでありますが、現在の武道館練習面積のおよそ5分の1となるそうです。練習中にけがや事故が起こり得ることも懸念されますが、こういった危険が生じるおそれのある教室を練習所として使うことを教育委員会としては認められるのでしょうか。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育次長。
(教育次長 弓場和夫君 登壇)
○教育次長(弓場和夫君) 代替機能として空き教室を整備するに当たっては、議員からの御指摘のことのないように、安全管理については十分対応してまいりたいと考えてございます。
(教育次長 弓場和夫君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 十分注意して対応していきたいということでありますが、事が起こってからでは大変なことであります。これは本当に空き教室という需要に関しては、認めるべきではないと考えます。そもそも柔道の競技そのものを考えても、空き教室では規定の競技面積が確保できません。競技で規定されている試合場は原則14メートル四方、場内は約9メートルから10メートル四方で90センチ幅の赤い畳を敷くことになっています。しかし、空き教室では、場内より小さい8メートル四方、練習試合すらできず、旧田辺市内の中学校で唯一の柔道部の練習場がこのような不十分な形でよいはずがないと考えます。
また、バスの送迎という案もありましたが、練習時間の確保という問題では現実的ではありません。こうした問題が懸念される中、それでも建設場所を扇ヶ浜へと決定したのですから、市には授業やクラブ活動の場を保障する責任があると思います。保護者の要望は武道館の存続もしくは学校の隣接地に武道場が整備されることです。場所の保障をどうするか、当局の答弁を求めます。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育次長。
(教育次長 弓場和夫君 登壇)
○教育次長(弓場和夫君) 議員のほうから場所の保障ということで御質問がございました。建設場所の選考に当たっては、武道団体、柔道や空手、少林寺、合気道、体育連盟から基本構想策定委員会の委員として検討いただいた結果として扇ヶ浜公園という形で建設が承認されてきたところでありまして、明洋中学校の関係につきましては、空き教室の整備改修とあわせて新しい武道館、設備面であるとか、規模の面が現武道館に比べてかなり充実しますので、新しい武道館でやるとか、スポーツパーク、それからほかの体育施設、これらを十分活用していただいて、クラブ活動として行っていただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
(教育次長 弓場和夫君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 前田佳世君。
(4番 前田佳世君 登壇)
○4番(前田佳世君) 空き教室は適当ではないと考えます。また、移動のことを考えますと、中学校から遠く離れた場所での練習時間を考えますと現実的でないと重ねて申し上げておきます。
次に、スポーツパークを核とした交流人口の拡大をスポーツ振興課、観光振興課は大変な努力をされて誘致をしておられます。そして、近畿大会以上の大会誘致や合宿の誘致に成功しております。弓道場のセールスポイントとしましては、近畿最大の競技面積を持ち、近的遠的の競技が同時にできると高く評価されているものです。スポーツ振興課、観光振興課の努力もあって、誘致実績も好調であると事前のヒアリングからも伺っております。
そこで、田辺市の誇れる弓道場を今後生かすためにも、現在の市立武道館の機能を保っておくことを提案いたします。これまで近畿大会以上の大きな大会には、必ず武道館が控えの場や着がえの場としてサブ使用として利用されています。武道館が使えないとなると、仮設テントを張るといった対応が考えられますが、例えばきのくに和歌山国体の時に設営された大型テントの費用は約1,500万円とのことです。高校や大学の近畿大会や全国大会となれば、テント設営にそれほどお金はかからなくても、相当費用が重なると考えられます。設置費用は利用者負担ということで、それが要因で利用を断念するケースも出るかもしれません。武道館を使っていただくことで余分な費用がかからず、安心して大会会場として選んでいただけるのではと考えます。
現武道館利用者への対応と弓道場を生かした交流人口増大を図るために武道館の機能を保つこと強く望んで私の質問を終わります。ありがとうございました。
(4番 前田佳世君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 以上で、4番、前田佳世君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(小川浩樹君) この場合、午前11時10分まで休憩いたします。
(午前11時00分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(小川浩樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前11時10分)
○議長(小川浩樹君) 続いて、11番、橘 智史君の登壇を許可いたします。
(11番 橘 智史君 登壇)
○11番(橘 智史君) こんにちは、清新会の橘です。日曜日から月曜日にかけて台風18号が接近しておりましたが、大きな被害もなく、私、消防団としても要請もなく安心して過ごせました。通告に従い、一般質問を始めたいと思います。
大項目の1、田辺市の今後についてです。田辺市は、古くから紀南地方の交通の要衝として栄え、美しい海、山、川の大自然から多くの恵みを受け当地方ならではの産業が発展してきました。また、世界遺産の熊野古道や熊野本宮大社に代表される古い歴史や文化、日本三美人の湯で知られる龍神温泉や日本最古の湯といわれる湯の峰温泉など、人々の心と身体を癒やす地域資源もたくさんあることから、多くの人々が訪れる観光地になっています。観光客が訪れることによる経済効果は本市にとって、はかり知れないものであり、頼らざるを得ない状況にあるかと思います。
田辺市の人口は、7月現在で7万5,656人と合併当時より1万人ほどの減少で、これは全国平均よりも速いスピードで減少が続いていることになり、今後10年間では総人口が約8,000人減少すると予測され、65歳以上人口は今後も減少せず、2025年の高齢化率は約35%に達すると予測されています。
このようなことからも、昨今の人口減少社会では、旅行者など交流人口の増大が地域経済を支えることになり、社会減でいう転入者より転出者が多い当地方の若者などの流出を少しでも防ぐ手だてにもなるかと思われます。また、昨年、鬪鶏神社が世界文化遺産に追加登録され、田辺駅前周辺にも多くの来訪者が訪れていることから、ランドマークが一つでも多くあることによる付加価値は交流人口の増大を考える本市にとって大きな武器になると思われます。
そこで、小項目の1、中心市街地を生かしたまちづくりについて質問したいと思います。田辺市の中心市街地は今も昔も田辺駅前周辺であり、昭和の高度成長期のような商店のにぎわいは、ITの普及や交通の発達などによる生活のさま変わりによって減少していますが、人の往来は昼夜間わず現在も多く、活気あふれるとは言えませんが、交流はやはり駅前だなと思わせてくれます。
また、田辺市役所新庁舎も中心市街地に近い東山1丁目のオーシティの敷地と決まり、先月8月3日に株式会社オークワと基本協定を締結することになりました。沿岸部からの庁舎の高台移転は、海側に住み、漁業組合を預かる私といたしましては、沿岸部から建物がなくなることの寂しさ、また、この市役所から見るすばらしい景色が見られなくなることは大変残念ですが、南海トラフの巨大地震などの被災から庁舎機能を維持するためにはいたし方ないのかなと理解しております。
平成21年に田辺市中心市街地活性化基本計画が策定され、26年までの5年間で62の事業計画が上がり整備されてきました。主なところでは、田辺観光センターの建設も含めたJR紀伊田辺駅前広場整備事業、海蔵寺地区の土地区画整理事業、都市計画道路元町新庄線の整備事業や市立図書館たなべるなど、多くの事業が駅前周辺に集中して取り組まれてきました。また、本年3月に国土交通省の景観まちづくり刷新モデル地区に指定され、鬪鶏神社参道及び宮路通りなどの舗装美装化や街なかポケットパークの整備事業、大福院保存修理、JR紀伊田辺駅舎改修外観修景整備事業、田辺駅前商店街外観修景整備事業や扇ヶ浜公園内に植芝盛平翁顕彰館機能を併設した武道館の建設など、本年度から3年間で30億円ほどかけて整備することになりました。
JR紀伊田辺駅から、武蔵坊弁慶にかかわりのある鬪鶏神社、南方熊楠顕彰館、植芝盛平翁顕彰館と田辺の3偉人が駅前周辺に集まるメリットは観光施策としても大変意義のあることで訪れる方の利便性も上がるかと理解はいたしますが、これだけの投資をこの地域に集中するのですから、やはり今後の取り組みが重要かと思われます。そうした観点から、市は中心市街地を生かしたまちづくりをどのように進めていくつもりなのかお聞かせください。
(11番 橘 智史君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 11番、橘 智史君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問にお答えいたします。本市におきましては、空洞化する中心市街地に歯どめをかけ、中心市街地が持っている都市機能を充実させるとともに、経済活力の向上を一体的に推進することを目的に、先ほど議員からも御紹介がありましたが、平成21年に田辺市中心市街地活性化基本計画を策定し、公共・民間合わせて62事業について国の認定を得て、平成26年までの約5年間にわたってこれらの事業に取り組んできたところであります。
基本計画の成果としましては、懸案事項であったJR紀伊田辺駅前広場の改修、田辺市観光センターの整備、田辺市文化交流センターたなべるの建設等ハード整備が完了するとともに、商店街や南紀みらい株式会社、田辺商工会議所などの関係機関が連携し、さまざまな主体によるソフト事業の取り組みが生まれ、計画終了後も中心市街地活性化計画の理念を継続し、それらの取り組みが続けられております。
しかしながら、急速に進む高齢化と人口減少や、情報化の進展による流通環境の変化などの社会経済情勢を背景に、計画実施後も中心市街地の衰退に歯どめをかけることは難しい状況にあり、昨今は、駅前商店街においても空き店舗が目立つような状況となっております。
そのような中で、昨年、中心市街地の鬪鶏神社が世界文化遺産として追加登録されるという好機に恵まれました。町なかに存在する世界遺産という、この貴重な資源を生かしたまちづくりに、この機を逃さず取り組み、その魅力を広く発信し知ってもらうことで交流人口をふやしていく、このことを念頭に直ちにさまざまなプロジェクトに取りかかりました。
そして今年度には、国土交通省が創設した景観まちづくり刷新支援事業のモデル地区、全国10カ所のうちの一つとして、田辺市が指定を受けることができ、今後この事業により、JR紀伊田辺駅から駅前商店街、鬪鶏神社を含む町なかを印象深い、趣あるものにしていけるようにと関係者一丸となって取り組みを進めているところであります。
私は、かねてより田辺市全体の活性化を図るためには、田辺市の拠点をしっかりとつくり上げていくことが重要であると思っておりまして、そのことに向かって、いま一度、行政として集中的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、地域の活性化は、言うまでもなく行政の取り組みだけでできるものではなく、民間の方々に頑張っていただいてこそ実現できるものでありますので、行政と民間がともに力を合わせて進めていかなければならないと考えております。
そのため、市では、これらのハード事業を契機とした民間による事業が積極的に展開されるよう、さまざまな取り組みや支援を行っており、例えば、田辺市熊野ツーリズムビューローでは、先月、田辺市駅前商店街において新たに熊野トラベルを設立し、地元の情報やネットワークを生かして、既に地域経済に動きを与え始めているところです。また、今年度2年目となる、たなべ未来創造塾においては、中心市街地の課題やこれらの大型プロジェクトについての講座を設定し、塾生により新たなビジネスを展開してもらえるよう取り組みを行っております。さらに、中心市街地の空き家・空き店舗の活用や移住・定住による創業を促進していくため、今年度は、町なかに地域おこし協力隊を導入していくべく準備を進めているところです。
今後におきましても、商店街や田辺商工会議所、南紀みらい株式会社等の関係者と連携し、田辺市の拠点づくりを着々と進めるとともに、それに合わせた民間の活力によるまちづくりの取り組みを促進することにより、中心市街地の活性化、さらには、市全域の活性化を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 橘 智史君。
(11番 橘 智史君 登壇)
○11番(橘 智史君) 市はハード事業を整備し、民間に積極的に活用してもらえるように支援するとのことでした。答弁にございました田辺市熊野ツーリズムビューローが設立した熊野トラベルは熊野地方を中心に、紀伊半島南部を広域的にカバーする着地型旅行会社で、当地に特化した旅行を案内していただけるようです。ぜひ、コアなファンを開拓していただきたいと思います。
また、中心市街地の課題や大型プロジェクトについての講座を開設して、塾生による新たなビジネスを展開してもらう、たなべ未来創造塾や中心市街地の空き家・空き店舗の活用や移住・定住による創業を促進するために、地域おこし協力隊を町なかへ導入する件については大いに期待したいと思いますし、活性された中心市街地が核になり市全域に波及していくことを期待します。
本年3月に田辺市などの御協力でオープンした生しらす丼が食べられる湊浦漁協食堂のような海のものに特化した飲食店街や物産店街などのゾーンの整備などもぜひ考えていただきたいと思います。
それでは、小項目の2に移りたいと思います。
小項目の2、産業間の連携を生かしたPRについてです。機構改革により8月から産業部が農林水産部と商工観光部に分割されました。世界遺産熊野古道などへの来訪者の増加を受け、これまで以上に観光関連分野に力を入れるための処置かと思われます。個々の部署での強化はされるでしょうが、部署間のつながりが薄くなり、情報等の共有が今まで以上に難しくなるのではないかと心配しております。
私が漁協の組合長をしていることから多方面から問い合わせをいただくのですが、本年2月に、たなべ営業室から長野県の軽井沢に本社がある飲食企業と漁協ヘヒロメ漁を見学したいとの問い合わせがありました。漁を見てもらい、ヒロメをしゃぶしゃぶで、ヒオウギを刺身で自分でむいてもらってその場で試食をしてもらいました。単なる田辺市の視察でなくストーリー性のある本物を体験させてほしいとのたなべ営業室の要望でしたので、組合のPRというよりも田辺市のPRとして営業させていただきました。また先月は、たなべ営業室を通じて田辺観光協会から、京都の料亭菊乃井の料理人に田辺の食材で弁当をつくらせたいので、話を聞かせてほしいとの問い合わせがありました。一通り食材の説明と試食をし、せっかくなので船を出して神島を一周し、海側から田辺市をパノラマで見ていただいていたところ、観光協会の方が田辺市・みなべ町のここから見える範囲で日本の梅の6割を生産していると説明していました。いつもは畑で説明しているが、ここなら話は早いと、いろいろ体験しないと気づかないものだなと言っていたのが大変印象に残っています。
これらの話は、たなべ営業室からいただいた話で、担当課の水産課以外の部署には余り情報がなかったかと思います。これは、本当に残念なことであり、個々の課で問い合わせがあっても、なかなか産業部内で共有するまではできていない状況かと感じています。多くの部署で情報を共有していくことは、観光や地域産品のPRを幅広くしていく上で大変有利になると思われます。
民間の産業間も含めて連携できれば、異業種で情報を共有することになり、多方面に好影響を及ぼし、観光で交流人口の増大を願う本市にとっても大変有効になるかと思いますがいかがでしょうか。また、そのような情報を一つにまとめ共有し、指示する部署があるとより一層連携ができると思うのですが、当局の見解をお聞かせください。
(11番 橘 智史君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
商工観光部長、早田 斉君。
(
商工観光部長 早田 斉君 登壇)
○
商工観光部長(早田 斉君) 議員御質問の産業間の連携を生かしたPRについてお答えします。
本市におきましては、地域活性化施策といたしまして、産業力の強化や交流人口増大による地域活性化等に取り組んでおり、いずれの事業におきましてもPR事業は産品の魅力や地域の魅力を伝えるプロモーション活動を行う上で大変大きなウエートを占めているものであると考えています。
そのため、PR事業につきましては産業振興施策所管各課において積極的に実施しており、地域産品である梅加工品や水産物加工品等につきましては田辺市地域ブランド推進協議会や、まちづくり会社である南紀みらい株式会社と、梅、柑橘類につきましては紀州梅の会や紀州田辺うめ振興協議会、田辺市柑橘振興協議会等と、水産資源である紀州ひろめや紀州いさぎ等につきましても漁業協同組合等との協働によりPR活動に取り組んでいます。
また、紀州材につきましては森林組合、製材会社等と設立する新たな協議会においてPR事業に取り組むこととなっています。さらには、交流人口の増大を目的として田辺市熊野ツーリズムビューロー等との協働により、観光プロモーション事業やエージエント訪問、旅行商談会等において観光PR活動を行う等、各所管課が県内外における各種イベントや展示会、商談会等の機会を捉え、地域資源の魅力を伝えるためのPR活動を行っているところです。
また、議員からも御紹介いただいたとおり、当市の地域資源を求めてメディアやエージエント、バイヤー等の方々に当市へお越しいただいた際には受け入れ担当課が同行しながらPRを行うプロモーション業務もございます。
いずれの場合におきましても、議員御指摘のとおり関係各課間の情報共有、連携は必須であるため、先般の機構改革により産業部であった産業振興関係各課は商工観光部と農林水産部とに再編されましたが、今後の各種PR業務の実施に際しましては商工観光課を中心に、産業振興関係課内の連携を図ってまいりたいと思います。
それから、先ほど議員からも御紹介もありました、たなべ営業室とのことについてでありますが、庁内で情報共有、連携を図る等各課が実施するPR事業について産業振興関係各課を横断した魅力的な情報や訴求力のある情報を効果的に発信することにより、地域産品の販売拡大や誘客による交流人口の増大を目指して、地域の活性化により一層取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解いただきますようよろしくお願いいたします。
(
商工観光部長 早田 斉君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 橘 智史君。
(11番 橘 智史君 登壇)
○11番(橘 智史君) 商工振興課が庁内関係課との情報共有を図っていただけるとの答弁でした。庁内に限らず民間の関係団体とも細かい連携ができることを期待します。
先ほどの長野県の軽井沢に本社がある飲食企業は、東京などでも多数のべ一カリー&レストランSAWAMURAなどの飲食を手がける株式会社フォンスさんで、よくお昼の情報番組にも出ているところであります。また、菊乃井さんも超一流のお店ですし、そんな企業さんとつながりがあることに私は大変驚いているし、たなべ営業室のポジションは重要だなと感じております。
先週は田辺中央青果市場に嵐とTOKIOが来ていたようで、次は新庄漁協の岩ガキを見に行くのかと問い合わせもございました。そういうことから田辺市の産物を扱う企業や業者さんとも情報を共有し、連携できれば、まだまだ発展できる田辺市だと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、二つ目の質問に移りたいと思います。二つ目の質問は安全で快適な学校環境づくりについてです。普通教室へのエアコンの設置について質問したいと思います。このエアコンの問題は以前にもほかの方も取り組んでいますが、改めて質問させていただきます。
ことしも例年同様暑い日が続き、7月2日には早々気温30度を超え、7月20日の終業式のころには、34度まで上昇していました。7月、8月はほぼ30度を超えていました。6月ごろは比較的涼しく、ことしの夏は過ごしやすいのかなと思っていましたが、例年どおりの酷暑になりました。
このような暑さの中では、学校生活でも支障が出てきているのではないでしょうか。学習面でも体調管理の健康面でも心配しておりますが、児童・生徒はどのような学校生活を送っているのでしょうか。田辺市の小・中学校の普通教室は299室、特別教室は369室あり、エアコンの設置されている普通教室は82室、設置率27.4%でございます。特別教室は94室、設置率25.5%となっており、普通教室に設置されているエアコンは校舎の建てかえや耐震工事に関し、地域や保護者会からの寄附で取りつけられたもので、田辺第一小学校、田辺第二小学校、新庄小学校、稲成小学校、会津小学校、東陽中学校の6校です。県内の他市町村でもエアコンの設置率は上がっていて、設置率100%の市町村もふえてきていると聞いております。
平成27年12月定例会で教育次長は、普通教室へのエアコン設置につきましては、近年の気温の上昇傾向や一般家庭及び社会のエアコンの普及状況、教育環境面での効果等を考えましても、その必要性は十分認識しているところでございまして、今後は学校施設の耐震化や安全確保、教育環境の充実など、全体的な施設整備の中で事業の優先度合いや設置に係る費用の検討のほか、年次計画による整備なども視野に入れて検討してまいりたいと答弁しておりました。必要性は十分認識していただけていると思いますが、現在の考え方をお聞かせてください。
(11番 橘 智史君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育次長。
(教育次長 弓場和夫君 登壇)
○教育次長(弓場和夫君) 議員御質問の普通教室へのエアコンの設置状況、今後の計画等についてお答えいたします。
近年、夏場における気温上昇を背景に、教室内の環境も以前と比べて変わってきており、全国的に学校施設へのエアコン整備が進められております。まず、平成29年5月現在の市内小中学校のエアコン設置状況でございますが、小学校の普通教室については210教室中68教室に設置されており、設置率は32.4%、特別教室については206教室中60教室への設置で、設置率29.1%となっています。また、中学校については、普通教室89教室中14教室への設置で、設置率は15.7%、特別教室については163教室中34教室への設置で、設置率20.9%となっており、小中学校を合わせますと、普通教室については設置率27.4%、特別教室については設置率25.5%となっています。
これを和歌山県及び全国の公立学校のエアコン設置状況と比較をいたしますと、和歌山県下の普通教室への設置率が44.5%、特別教室への設置率が33.8%、全国では普通教室への設置率が49.6%、特別教室への設置率が34.6%となっており、田辺市は国・県の平均を下回っている状況にあります。また、県下市町村の普通教室等へのエアコンの設置状況でございますが、ここ数年来、県下市町村においてもエアコン整備事業が進められており、県内30市町村の約半数近くが普通教室へのエアコン整備を終えており、今後、整備を予定している自治体も多いと聞いています。
一方、田辺市の小中学校については、職員室や校長室等の管理諸室のほか保健室やコンピューター室、一部の特別支援教室にはエアコンが設置されているものの普通教室等への設置はできていないというのが現状です。ただ、一部の小中学校については、校舎の改築事業や耐震改修事業に合わせて、地域の皆様や保護者の皆様から寄附をいただいて、普通教室等にエアコンが設置されているところもございます。これらは、長年積み立ててこられた資金や寄附を募るなどして準備された資金により設置いただいたもので、地域で学校を支えていこうという、とうとい思いによるものと心から感謝をいたしているところでございます。
近年は、地球温暖化等の影響もあり、夏場の教室内は非常に暑く、また文部科学省の学校環境衛生の基準において、夏期の教室温度は30度以下が望ましいとされていることからしても、決して良好な学習環境にないことは十分認識しているところでございます。
こうした中、寄附等によりエアコンを設置した学校では、児童生徒の体調管理面での効果に加え、子供たちが授業に集中できるという声もあり、学習面でも一定の効果が期待できるものと考えており、また、一般家庭や社会全体へのエアコンの普及状況等からしても、普通教室等へのエアコン設置の必要性はより高くなってきているものと考えているところでございます。
現在、学校施設における児童生徒の安心・安全面を最優先に考え、校舎等の耐震補強や老朽校舎の改築、体育館の吊り天井等、非構造部材耐震対策等に取り組んでいるところでございまして、普通教室等のエアコン整備につきましては、事業化ができていない状況でございますが、議員御指摘のとおリ、学習環境改善の必要性や整備に伴う学習面への効果等の観点からも早期に整備計画を構築し、事業に結びつけられるよう関係部局と協議、検討を進めてまいりたいと考えておりますので御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育次長 弓場和夫君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 橘 智史君。
(11番 橘 智史君 登壇)
○11番(橘 智史君) 現在、学校施設における児童生徒の安全安心を最優先に考え、校舎等の耐震補強や老朽校舎の改築、体育館の吊り天井等、非構造部材耐震対策等に取り組んでいるところで、普通教室等のエアコン整備は事業化できていないが、学習環境改善の必要性や整備に伴う学習面への効果等の観点からも、早期に整備計画を構築し、事業に結びつけられるよう関係各部と協議、検討を進めてまいりたいと、大変前向きな回答をいただけました。
新庄中学校の地域学習などで生徒と話す機会がよくあるのですが、エアコンの話はよく出ます。熱くて集中できないと聞くことが多々あり、私も昔の人間ですので、甘えるなと思うのですが、教室は本当に熱く現在の環境では必要だなと感じております。また、夏休みの3年生の受験に向けた補習では、エアコンの効いた会議室で学習するようで、快適ではかどると話をしてくれます。そのような観点からも早期に実現できるよう、よろしくお願いいたします。
また、田辺第一小学校、田辺第二小学校、新庄小学校、稲成小学校、会津小学校、東陽中学校の地域や保護者会からの寄附でエアコンを取りつけられた学校については何かしらの措置をしていただき、不公平のないようにあわせてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、3番目の質問に入りたいと思います。3番目の質問は、河川からの堆積による湾や河口のしゅんせつについてです。新川河口や内之浦干潟親水公園の土砂の堆積について質問したいと思います。
新川とは上富田町から滝内湾に流れる川のことで、県道33号南紀白浜空港線沿いの東急ハーヴェストへの入り口のところになります。この新川のしゅんせつの話は、平成3年12月定例会で地元の大先輩であります森 哲男さんが質問しています。質問内容は当時の新川改修工事の際に排水路だったものが2級河川になり、県市及び上富田町が合意の中、新川河口のしゅんせつ工事を行うとの約束がなされていましたが、河口には大量の土砂が堆積したまま放置されているので、上富田町、和歌山県と早急に折衝されて、手だてを講じていただきたいとの内容で、昭和50年に県から市に対して、しゅんせつについては市の要望した趣旨に沿うように、時期については周辺の状況を見ながら決定すると文書でもって回答があり、昭和53年と62年にそれぞれしゅんせつ工事が施工されたが、現在も大量の土砂が堆積しているとのことなので、市といたしましても早速現況調査を実地しまして、まず関係漁協の意見を聞き、必要に応じ、新川改修漁業被害対策協議会で協議をしてまいりたいと答弁しておりましたが、質問以降も、しゅんせつ工事は一度もなされていないので、滝内湾のしゅんせつ工事について県に強く要望していただきたいたいと思います。河川や湾は県や国の管轄と思いますが、新川の場合は当時の副市長が新川改修協議会の会長になっていたと聞いておりますので、よろしくお願いいたします。
その当時、新川改修協議会や新川改修漁業被害対策協議会という組織があったと答弁書にも残っていますが、実在しているのか確認できませんでした。現在は新川を美しくする協議会があるそうで、年に一回集まりがあると聞いています。
また、内之浦干潟親水公園でも土砂の堆積が多く、干潟の泥の上に砂が乗っている状態です。以前は干潮時でも潮だまりがところどころに残されていましたが、現在では全くなく、細い川が干潟の真ん中で流れている状態であります。干潟のしゅんせつは生物にどのように影響があるかわかりかねますが、できる限り以前の環境に戻していきたいと思っております。田辺市内の河口や湾を見ていますと、豪雨などによる土砂の堆積がたくさんあり、生物が住むための環境面や漁業、また防災面でも悪影響があるかと思います。
このように河口や湾のしゅんせつ工事について、市としてどのように考えているのかお聞かせください。
(11番 橘 智史君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 建設部長、栗山卓也君。
(建設部長 栗山卓也君 登壇)
○建設部長(栗山卓也君) 議員御質問の河川からの堆積による湾や河口のしゅんせつについてお答えします。
新川を美しくする協議会につきましては、昭和59年5月に新川で原因不明の汚染によりフナ等の魚類が死滅する事案が発生し、新川河口付近の滝内湾海域が汚染されるのではとの意見が新庄町の住民から数多く寄せられたことから、新庄町内会連合会が、河川管理者である県を初め、新川を流域とする田辺市、上富田町と協議を重ね、昭和62年に早期解決を目的として、新庄町内会連合会、田辺市、上富田町の構成により、新川を美しくする協議会が設立されました。
現在では、年に一度、本協議会を開催しており、その際には上富田町により実施している新川の水質検査結果の報告を行っています。また、滝内湾のしゅんせつにつきましては、議員御質問のとおり、県により昭和53年と昭和62年にしゅんせつ工事が施工されております。
2度のしゅんせつ工事につきましては、当時、上富田町より滝内湾に流入する新川の改修事業に伴い、昭和50年6月に関係漁協から要望があり施工されたものでございますが、その後のしゅんせつ工事につきましては実績がないのが現状でございます。
内之浦の干潟につきましては、県管理の海岸保全区域田辺海岸内之浦地区海岸であり、また平成11年3月より干潟の保全とその有効利用を目的とし、淡水と海水が入りまざった汽水域に生息する動植物の保護と、その活用として干潟底生動物の探索が行えるビオトープを創作し、地域の方々はもとより、広く市民の方々に親しまれる内之浦干潟親水公園として利用されておりますので、生態系の保全に支障なく、しゅんせつ工事が可能かどうか、また干潟の上流である仙波谷川、東谷川、馬谷川からの土砂の流入防止を含め県と協議してまいりたいと考えております。
河川のしゅんせつにつきましては、平成23年の台風第12号発生以降、会津川を初めとし、市及び県の管理河川や河口に土砂が堆積していることは把握しており、対策工事及び要望を行っているところでございます。災害予防の観点から、今後も引き続き県や関係機関と連携を図り、堆積土砂の対策に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(建設部長 栗山卓也君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 橘 智史君。
(11番 橘 智史君 登壇)
○11番(橘 智史君) 当時の新庄漁協ではワタリガニの漁が盛況でありまして、1人当たり年間2,000匹ほどの漁獲量があったと聞いております。現在では組合全体で25人ぐらいカニの漁をしていますが、全体で約2,000匹とほとんどとれていない状態でございます。湊浦漁協のシラス引きも滝内湾でも行いますが、ほとんどとれていません。新川河口でアサリの生存調査を青年部で一緒にしていますが、ほとんど生息していない状態でございました。現在の海を取り巻く環境は温暖化による海水温の上昇や栄養塩が少なかったりと、以前では考えられないような変化があるようで、土砂の堆積だけが生物に悪影響を及ぼしているとは思わないですが、少しは影響があるかと思います。豊かな海を後世に残していくためにも、また防災面でも悪影響を及ぼしかねないので、早急な取り組みをお願いしたいと思います。
これで私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
(11番 橘 智史君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 以上で、11番、橘 智史君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(小川浩樹君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時50分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 市橋宗行君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 市橋宗行君) 続いて、15番、安達幸治君の登壇を許可いたします。
(15番 安達幸治君 登壇)
○15番(安達幸治君) 皆さん、こんにちは。15番、くまのクラブの安達幸治です。緊張感をもって臨みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、梅の害虫であるクビアカツヤカミキリについて御質問をさせていただきます。本年2月24日、紀州うめ研究協議会主催の平成28年度うめ研究成果発表会がシティプラザホテルにて行われました。このとき初めて、クビアカツヤカミキリの話を伺いました。このカミキリは中国や朝鮮半島が原産の外来種で、既に徳島県や埼玉県、大阪府などで問題となっており、特に埼玉県では桜が、徳島県では桃が大被害に遭っています。この害虫は梅、桜、桃、スモモ、柿など多種にわたって寄生すると言われており、もし紀南地方に飛来しますと紀州ブランドの梅産業に大被害を与えます。
7月の市の広報でも情報提供を呼びかけており、そのときにはまだ和歌山県内では見つかっていないとのことで安心をしておりましたが、8月5日付の地元紙の発表では既に7月31日にかつらぎ町で捕獲されたとのことで、大変大きなショックを受けております。一たび広がりますと手がつけられなくなります。紀南の大切な財産であります梅産業を守るためにも早期の対策が必要です。田辺市として、このクビアカツヤカミキリの広がりを防ぐための水際対策をどのようにされるのかお聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします。
(15番 安達幸治君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 15番、安達幸治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
農林水産部長、那須久男君。
(
農林水産部長 那須久男君 登壇)
○
農林水産部長(那須久男君) 議員御質問の梅の害虫であるクビアカツヤカミキリについてお答えいたします。
議員のお話にもありましたが、クビアカツヤカミキリは、中国及びその周辺地域が原産で、幼虫が桜や梅、桃等のバラ科樹木の幹に入り込み、食害することで衰弱させ、ひどくなると枯死する場合があり、公園の桜や梅、桃等を中心に多くの果樹に大きな被害を与えます。また、クビアカツヤカミキリは、平成24年に初確認された外来種で、国内での生態等についての詳細は不明な点が多く、繁殖力が強いため早期に発見し、成虫捕殺、幼虫への薬剤施用により拡大を防ぐことが重要となります。
日本国内では、平成24年に愛知県で初めて発生が確認されました。これまで東京、埼玉、栃木、群馬、愛知、大阪、徳島の7都道府県で確認されておりますが、多くは、公園・街路樹等の桜の被害でありました。
しかしながら、平成27年に徳島県、平成28年には大阪府と近隣の府県で桜以外の桃、梅への被害が確認され、徳島県では、ほぼ全滅状態の桃園が出ています。このため、県では本県が梅、桃、スモモなどの果樹の産地であることから、県内の市町村、農協はもとより森林組合、街路樹や公園管理者、学校関係者にも注意喚起と情報提供の依頼を行い、県民の友にも記事を掲載するなど警戒を強めておりました。
また、市も成虫が発生する時期に合わせ、7月号の市広報により広く市民の皆様にお知らせするとともに、JA紀南による啓発チラシの配布や梅の研究機関等を通じて、農業生産者に注意喚起と情報提供を呼びかけていたところであります。
そうした中、本年7月31日にかつらぎ町の山林において、県内で初めて雄の成虫1匹が捕獲されました。県が発見地点周辺の農地1ヘクタールを調査しましたが、この成虫以外の成虫や幼虫が樹木内部を食い荒らした形跡は確認されませんでした。
県ではこの対応として、紀北地区の振興局、農協など関係者と緊急対策会議を開催して、生態や防除対策を説明し、発生監視の強化を図るとともに、再度関係機関への依頼を実施しております。
市としましても、市民からの生物に関する照会先として利用されている、ふるさと自然公園センターにも情報の共有と提供を依頼するとともに、センターの専門員を通じ、南紀生物同好会など生物の専門的機関や団体にも呼びかけをお願いしたところであります。
当市において、梅は基幹産業であり、またスモモの栽培も多くクビアカツヤカミキリの対策は大変重要であると考えており、桜の被害が多く発見されていることから市関係課とも情報を共有し、機会あるごとに農業生産者だけではなく、広く市民の皆様に注意喚起と情報提供を呼びかけることにより監視の強化を図ってまいりたいと考えております。また、発生が確認された場合は、関係機関と連携を図りながら情報公開と早急な対応策を講じ、クビアカツヤカミキリの拡散防止に取り組んでまいりますので御理解賜りますようお願いいたします。
(
農林水産部長 那須久男君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 安達幸治君。
(15番 安達幸治君 登壇)
○15番(安達幸治君) クビアカツヤカミキリの対策についてお答えをいただきました。ありがとうございました。私たちはこれまでいろいろな害虫に悩まされてきました。松の木やミカンの木に被害をもたらすマダラカミキリや建築材、特に杉の木に被害をもたらすスギノアカネトラカミキリ、ウバメガシやその他のカシ類、ナラの木などに寄生するカシノナガキクイムシ、そして今新たに出現しました外来虫クビアカツヤカミキリ、徳島県からですと台風や西風などにより既に紀南地方にも上陸しているかもわかりません。いろいろと対策を立てておられるようですが、まだまだ農家の方々の心には届いておりません。
そしてこの問題は農家の方々だけでなく桜のこともありますので、業者やまた一般の方々にも広く啓発をしていく必要があります。私、個人としましても、これからもみずから啓発活動を続けてまいりますが、田辺市におかれましても広く、そして気長く注意喚起をしていただきますよう、どうぞよろしくお願いしておきます。
この件に関しての質問は終わらせていただきます。
続きまして、大項目2点目、秋津川地区における製炭林の確保についてお聞きいたします。
まず小項目1として、紀州備長炭発祥の地としての今後の展望についてお伺いします。秋津川にはその昔180軒ほどの製炭業を営む方がおられたそうですが、現在は11組の方々がこの伝統を守り、また生活を支えるために懸命に頑張っておられます。その11組の内訳として、県外から7組、中辺路町から1組、本宮町から1組、そしてもともとの地元の方はたったの2組でございます。以前の数に比べれば大差があります。それは時代の流れとして仕方のないことですが、しかし現在11組の方々がいなければ、紀州備長炭発祥の地秋津川は成り立ちません。
日ごろの彼らの仕事ぶりを拝見させていただいておりますと、本当に大変です。まず、急斜面での伐採から始まり、続いて搬出、曲がった材の矯正、窯入れ、窯出し、商品の整理を終え初めて発送いたします。冬場は比較的楽そうに見えますが、夏場ともなると伐採や窯出しは汗が滝のように流れ出て、気が遠くなりそうなこともあるとのことでございます。
田辺市では現在、少子高齢化の中、県外の人々による定住促進をうたっています。この県外からの7組の方々の生活が安定せず、もし他府県に移られることになれば、それこそ定住促進の意味合いが薄らぎます。紀州備長炭というブランドを守るためにも、本人たちの努力はもちろんですが、行政側もしっかりと後押しをしていく必要があります。
そこでまず、紀州備長炭発祥の地、秋津川に対してどのような展望を抱かれているのかお聞かせください。よろしくお願いいたします。
続きまして、小項目2としてお聞きします。
現在、秋津川には11組の製炭業の方々がいらっしゃると申し上げましたが、そのほとんどの方々が秋津川の地内で製炭材を確保しており、皆さんそろってこの先の材の不足を感じています。他の地域からも材を仕入れておられる方もおられますが、それでは伐採や搬送にお金がかかり、やはりみずからが近くで伐採し、搬出するほうが随分安く上がります。
しかし少し奥のほうに入れば、材のウメバガシ林などがたくさんありますが、何分にも林道や搬出道もなく、たとえ架線やモノラックなどに頼るとしても、やはり林道等の搬出道の整備が必要となります。
私個人の考えとしましては、昔使っておりました宝槌線の再整備をするか、それが無理なら桜地蔵から虎ヶ峰名の内停留所の近くまで林道を延長し、その後、小守川の両方の尾根に搬出道を整備することが望ましいと感じております。50年、100年の先を考えたときに、決して大きな出費だとは思いません。当局としてどのように感じておられるのか、お聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします。
(15番 安達幸治君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 御質問の紀州備長炭発祥の地としての今後の展望については私から、2点目は森林局長からお答えいたします。
市としましては、紀州備長炭発祥の地として、伝統的な製炭技術を守り、世界に誇れる魅力を次世代に継承する必要があると考えております。そのためには、製炭士の育成とともに備長炭の原料となる原木林を循環利用し、将来にわたって育んでいくことが重要であります。
一方、近年では、備長炭の原木を調達するために必要となる林道等が整備された立地条件のよい原木林を確保することが困難になりつつあります。このため、備長炭の原木確保を支援するため、県の補助事業を活用するとともに、市独自の上乗せ補助を行い、作業道の整備やモノレールの設置、炭窯の新築や修繕、原木林の択伐、植栽等、原木搬出のための低コスト化を支援しております。
今後は、引き続きこれらの事業を活用し、紀州備長炭の原木を確保することによって製炭技術の継承を支援するとともに、50年、100年先を見据え、原木林の循環利用による安定供給を実現するため、択伐施業や皆伐地での植栽、萌芽更新などを推奨するなど将来にわたる資源の確保に努めてまいりたいと存じます。
また、後継者対策としましては、田辺市木炭生産者組合の御協力をいただき、現在、3組の方が紀州備長炭記念公園内の炭窯を使って、製炭研修を行っているところですが、この研修に関しましては、特に、県外からの製炭希望の問い合わせがふえてきております。
こうしたことからも、今後とも引き続き組合の御協力をいただきながら、後継者育成に向けた取り組みを継続してまいりたいと考えております。
さらに、さきの6月議会で御承認をいただきました紀州備長炭記念公園内の物産店改修事業完了後には、地元秋津川振興会の御協力をいただき、世界農業遺産に認定されたみなべ・田辺の梅システムの重要な要素である薪炭林とあわせ、紀州備長炭の発祥の地として、積極的な情報発信に努めてまいりますので御理解賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 森林局長、鈴木徳久君。
(森林局長 鈴木徳久君 登壇)
○森林局長(鈴木徳久君) 御質問の林道及び搬出道の整備について、お答えいたします。
秋津川地区内には、市が管理する林道等が8路線あり、いずれも人工林が多い北部と東部にございます。一方、環境省が実施しました植生調査によりますと、備長炭の原木となるうばめがしは、県道田辺龍神線よりも西側に多く分布しております。このことから、既設の林道を利用して搬出するとなると、小守川沿いにある宝槌線が考えられますが、昭和20年以前の開設で幅員も狭く、崩壊箇所が多く、現在は通行できない状態となっております。また、宝槌線より南側には、原木の搬出に利用できる林道等が存在しておりません。
これらのことから、原木の搬出のため林道の開設を行うとなると多額の事業費が必要となりますが、現状では、国の事業の採択が困難なことや森林所有者の協力、受益者負担等多くの課題があります。
このようなことから、現時点におきましては、製炭者や森林所有者が、国の森林・山村多面的機能発揮対策交付金や県の山の恵み活用事業などの補助事業を活用し、森林組合等の協力を得てうばめがしが多く生育している尾根付近へ作業道を開設するのが効果的であると考えております。
今後、市としましては、既設道路からの作業道やモノレ一ル、架線集材による搬出形態を構築できるよう検討してまいりたいと考えておりますので、御理解いただきますようお願い申し上げます。
(森林局長 鈴木徳久君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 安達幸治君。
(15番 安達幸治君 登壇)
○15番(安達幸治君) 紀州備長炭発祥の地として今後の展望について市長みずからお答えいただきました。既に6月補正にて備長炭記念公園の販売所の開所に多額の予算を投じていただいたことからもその思いが地域の方々に広く示されておりますが、こうして市長の言葉をいただき、改めてその熱き思いを感じたところでございます。
その中で、50年、100年先を見据えた原木林の循環利用による安定供給が必要だというお考えで、まさにそのとおりだと私も考えます。そうしますと、林道などの搬出道の整備に一時多額の費用がかかるとしても、長いスパンで考えますと決して大きな出費だとは思いません。現在の秋津川の製炭者11組の方々、人数的にも備長炭発祥の地を守るためのギリギリの人数でございます。
土佐の備長炭も勢いを増してきています。紀州備長炭、決して他府県に負けるわけにはいきません。つくれば炭は幾らでも売れる状況です。どうか今後とも紀州備長炭が末永く続いていきますように、国、県の力をお借りし、また受益者に負担をかけないよう最大限の御助力をお願い申し上げ、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(15番 安達幸治君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 以上で、15番、安達幸治君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 市橋宗行君) この場合、1時30分まで休憩いたします。
再開の際は議案書及び決算書を御持参ください。
(午後 1時21分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(小川浩樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時30分)
○議長(小川浩樹君) 続いて、21番、出水豊数君の登壇を許可いたします。
(21番 出水豊数君 登壇)
○21番(出水豊数君) 21番、公明党の出水豊数です。通告に従い順次質問させていただきます。今回は大とりということで、それにふさわしいかは別として頑張ります。
今回の質問は、6月定例議会で出されました田辺市総合計画及び予算大綱の中から質問をさせていただきます。私は、これまで幾度となく、山村地域で1人でも多くの若者が定住できるようにとの思いから、雇用拡大、若者の働く場所があればとの思いで企業誘致を訴えてまいりました。実際はいろいろな問題があり、そんなに甘くはなく簡単なことではありません。今までにも市長中心に当局も必死で取り組んでいただき、少しは実現してきましたが、現実は非常に厳しく大変難しいことだと実感しております。
今年度、第2次田辺市総合計画を打ち出されました。今まで本当に取り組まなければならない一番大事なことを忘れていたのではないか。今回の第2次田辺市総合計画、本当にこれしかない、自然豊かなこの田辺市に有する1,026.91平方キロメートルという広大な資源を生かした取り組み、一次産業の活性化なくして何があるのかと痛感し、実感しているところであります。
今年度の予算大綱の中でも、「活力みなぎる産業のまち」と題し、産業の活性化を図るため、本市が有する多種多様な地域資源を最大限に活用しながら、一次産業から三次産業までの連携を強化し産業力を高める取り組みを進めてまいりますと書かれていました。正直なところ、本当にこれしかない。ありがたいな。しかし、予算を組むこと、文章で明記することは意外にたやすくできると思いますが、問題は、そんなに簡単なではなく、抱えている諸課題、またどのような取り組みをいかに実現をしていくかが手腕の見せどころかと思います。また、実現には時間がかかります。市当局がみずから現場に行き膝詰めで成功に向けての協議が必要ではないでしょうか。
私の心配していることは、組合、企業に放り投げてしまい、組まれた予算だけが使われていくのではないかと危惧しているところであります。まずそのようなことはないと思いますが、そこでお聞きします。
一次産業から二次産業、今現在どのような取り組み、実現に向けての行動をしているのか、また進めていくのかお聞きします。
まず、1項目の農林水産業の取り組みについてお聞きします。
1番目の農業の取り組みについてお聞きします。海岸部では梅や柑橘類、山間部では水稲を中心に、シキミやサカキ等の花木やシイタケ等の林産物などに取り組まれていますが、今後の振興に向けてどのような取り組みを振興されるのかお聞きします。
2番目に、林業の取り組みについてお聞きします。
我が田辺市は御存じのように、総面積1,026.91平方キロメートル、和歌山県全体の22%を占めており、そのうち88%が森林で占めています。そういった中、林業について市が掲げている指標とその目標、国のモデルとして採択を受けた次世代林業基盤づくり地域創出モデル事業など、達成するための具体的な事業の取り組みについてお聞きします。
3番目に、水産業についてお伺いします。
水産業、我が田辺市は特に漁業につきましては、漁獲量の低迷、漁業の担い手不足、漁業従事者の高齢化等で取り巻く環境は大変厳しい状況下にあります。そういった中で今後の取り組みをお聞きします。
御答弁よろしくお願いします。
(21番 出水豊数君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 21番、出水豊数君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 出水議員の御質問にお答えいたします。なお、農業、林業、水産業それぞれの取りみの詳細につきましては、担当部長からお答えいたします。
まず、本市の農林水産業は、全国に誇れるさまざまな産物があり、農業で申し上げますと、梅は日本有数の産地を形成し、みなべ・田辺の梅システムが世界農業遺産に認定されているほか、年間を通して収穫される多種多様な柑橘の栽培が盛んです。また、地域の約9割を占める広大な森林においては、紀州材を初め花木や紀州備長炭などが生産されているほか、水産業では種類豊富な水産資源があり、近年では紀州ヒロメや紀州イサギのブランド化が進んでいます。
本市は、こうした農林水産資源を活用しつつ、豊かな自然や歴史、文化などの地域資源と都市的機能を結びつけ、人と人を、また地域と地域を結びつけ、産業と暮らしのつながりを深めながら、紀南地域の中核都市として発展してまいりました。
そのような中、市といたしましては、本年7月に策定の第2次田辺市総合計画に本市における農林水産業の重要性に鑑み、今後の活性化策を盛り込み、取りまとめたところであります。また、本市は、就業人口の産業別構成比におきましても、第一次産業が占める割合は、全国平均に比べ高いことから、農林水産業を重要な基幹産業と位置づけており、私自身、常々地方都市は、まず、第一次産業が元気でないと地域の活力、活気はあり得ないと申し上げているところであります。
人口減少が進む中、未来へとつなげる持続可能なまちづくりを進めるためには、本市の特色ある農林水産業を柱に産業全体の振興を図り、そして、山村地域や中山間地域、さらに沿岸地域における風光明媚な景観を残しつつ、世界遺産や世界農業遺産を活用し、地域の魅力を発信することで地域の価値を高めるとともに、交流人口、さらには、定住人口の増大へとつなげていかなければならないと考えています。
こうしたことから、このたび田辺市の将来を見据え、さらなる産業力の強化に向け、農林水産部門と商工観光部門に再編した体制を敷いたところであり、今後、さらに広く、深く、積極的に農林水産業の活性化に向け、取り組んでまいる所存でございますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
農林水産部長、那須久男君。
(
農林水産部長 那須久男君 登壇)
○
農林水産部長(那須久男君) 議員御質問の農林水産業活性化のための今後の取り組みについてのうち、まず農業についてお答えします。
御承知のとおり、農業は本市の産業の大きな柱でございます。市域が広大な本市においては、海岸部では古くから柑橘類を初め梅やスモモといった果樹栽培が盛んに行われております。特に梅につきましては、全国有数の産地を形成しており本市の代表的な農作物となっております。柑橘につきましては、温暖な気候を生かし極早生ミカンから晩柑類まで年間を通して多品種の柑橘類が栽培されております。
また、山間部では、水稲を中心にシキミやサカキ等の花木や椎茸等の林産物、熊野牛の生産や肥育等、地域の立地条件を生かした農業が展開されています。このように大きく分けて二つの地域特性を持つ本市農業の振興につきましては、これまでもさまざまな事業を展開してきたところであります。
さて、議員御質問の第2次田辺市総合計画に基づく農業振興に関する今後の取り組みについてですが、近年農業を取り巻く環境は全国的に大変厳しい状況が続いており、本市におきましても同様に農業者の高齢化、担い手不足、さらには耕作放棄地の増加や鳥獣被害など厳しい状況に置かれています。本計画では、このような課題や社会情勢の変化に加えこれまで実施してきた事業の検証結果を踏まえ、将来あるべき姿として、梅・ミカンを軸とした安定かつ効率的な農業経営の確立を目指し、着実に取り組みを進めてまいりたいと考えています。言うまでもなく、梅を中心的な作物として位置づけ、生産面の安定栽培と販売面の消費拡大を図ることが最も重要なことであり、あわせて柑橘類についても高品質化を図り、ブランド力の向上に努めていくことが重要であります。
また、農業経営の安定化、リスクの分散といった観点からは、果樹栽培による単一経営から野菜・花き等といった他品目との複合経営の推進に取り組んでまいります。さらに農業生産条件の不利な山間地域においては、耕作放棄地の拡大を防止するため、中山間地域等直接支払交付金や多面的機能支払交付金を活用し集落等による農業生産活動を支援するとともに、担い手への農地利用集積を推進し農村集落の活性化に努めてまいります。
一方、依然として後が絶えない鳥獣被害への対策については、個体数の削減と防護を中心に取り組んでまいります。とりわけ本市農業の次世代を担う後継者の確保は大変重要な課題であると認識しており、農業後継者・担い手の育成確保に重点を置き取り組みを強化していきたいと考えております。
いずれにいたしましても、農家の皆様方の取り組みを支え持続可能な農業の振興を図ることが本市の活性化につながるものと考えております。今後とも農業は本市の産業の柱と捉え、生産から販売に至るまで県やJA、関係機関とも連携しながら、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
次に、水産業についてお答えいたします。水産業につきましては、漁獲量の低迷、それに伴う漁獲金額の減少、また漁業の担い手不足や漁業従事者の高齢化等、全国的にも漁業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。当市におきましても、平成28年の漁獲量が3,398トン、組合員数が604人であり、20年前の平成8年と比較しますと、漁獲量、組合員数ともに2分の1程度に減少し、また、正組合員の約7割が60歳以上と高い割合を占めており、全国と同様厳しい状況にあります。
こうした中、第2次田辺市総合計画におきましては、漁場環境の保全、漁業生産基盤の整備、販路拡大の促進という三つの施策体系により各種事業を展開していくこととしております。漁場環境の保全につきましては、資源量の増大を目指し、イサギやガシラ、クエなどの比較的移動性の少ない魚種を選定し、放流事業を継続しております。また、有用藻類であるヒジキ、ヒロメの藻場の再生に取り組み、ヒジキについては、造成場所での繁茂が確認されており、ヒロメについては、事業箇所を禁漁にし、天然資源の増大を図っているところであります。また、漁場の底質改善とともに海中への栄養補給のため海底耕転を行い、漁場の生産力の向上に努めております。さらに、高齢の漁業者がより安全に操業できるよう、ナマコの漁場造成事業を行い沿岸域での漁業資源の増殖を図っております。
漁業生産基盤の整備につきましては、平成25年度から漁業弟子入り体験として短期型の研修により担い手対策に取り組んでおります。今までに10人が体験に参加し、そのうち3人が乗組員として従事している状況であります。このように、少しでも漁業に興味がある人を掘り起こし、ミスマッチなく新規就業できるよう取り組んでいるところであります。
次に販路拡大の推進につきましては、漁獲された水産物の付加価値向上のためには、新商品の開発やブランド価値を高めるための取り組みが一層重要になります。こうしたことから、新商品を試作、開発するための地域水産物加工商品開発事業やブランド価値を高めるための水産物販売促進事業とシラス販売促進事業を活用して、各種水産物の付加価値向上に取り組んでおります。
中でも、平成29年3月にオープンしました湊浦漁協食堂では、毎週土曜日に地元で水揚げされた新鮮なシラスを使った生シラス丼等を毎回平均して100食程度提供しており、県内・県外から多くの来訪者を迎えることにより、広くシラスの付加価値を高めるとともに漁家所得の向上や地域の活性化に取り組んでおります。
また、田辺湾内に自生するヒロメや手釣りで釣り上げるイサギについては、紀州ひろめ、紀州いさぎという名称で、それぞれ販売市場拡大を目指して京阪神や首都圏でのPR活動、紀州いさぎフェアなど地元でのイベントや試食販売により、消費者ニーズの把握に努め、今後の販売方法や商品開発につながるよう取り組んでおります。平成26年10月には、特許庁に出願しておりました紀州ひろめが、県下13件目となる地域団体商標として登録され、イサギについても、紀州いさぎフェアでのアンケート調査によると、多くのお客様から田辺のイサギとして非常に好評を得ており、その認知度も向上してきている状況であります。こうした取り組みを継続的に実施していくとともに、さらに幅広い世代に対し田辺の水産物のおいしさを発信していきたいと考えております。
今後とも、県、漁協及び漁業者と緊密な連携を図り、田辺市の水産業の活性化に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(
農林水産部長 那須久男君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 森林局長、鈴木徳久君。
(森林局長 鈴木徳久君 登壇)
○森林局長(鈴木徳久君) 御質問の林業活性化のための今後の取り組みについてお答えいたします。
林業・木材産業の振興に関する取り組みとしましては、本年5月に、国の次世代林業基盤づくり交付金を活用する林業成長産業化地域創出モデル事業に、全国16カ所のうちの一つとして、近畿では唯一、この田辺地域の構想が採択を受け、この9月5日に林野庁から事業の承認を受けたところです。
今年度から新たに取り組むこのモデル事業では、林業・木材産業の振興を目的として、本市のほか、和歌山県、森林管理署、各森林組合、木材協同組合など、いわゆる川上側で、原木・素材生産を行う事業所などを中心として、林業成長産業化運営協議会を設立し、事業運営を始めるところです。
この事業の特徴としましては、これまで、各森林組合を初め、原木・素材生産を行う事業所が、木材販売のために、それぞれに収集・発信してきた流通・取引に関する情報を川上側が一つにまとめて共有し、地域全体としての取扱量の情報を持ち、その情報を取引交渉の基礎・根拠とすることで、従来、それぞれの事業所が行ってきた取扱量よりも、交渉に使用する際の総量がふえることになるため、そのスケールメリットを効果的に活用しようとするところです。
次に、二点目の特徴としましては、山から切り出した原木・素材を山土場や中間土場で仕分けをして、A材などの優良材は、これまで通り市場等に出荷し、B材・C材などは、市場を介さずに相手方との直接取引を目指します。このように、市場を介さないことで流通の頻度を減らし、輸送にかかる費用を抑制することで、その際に浮いた物流費用を川上側に還元することを目指しています。
これらを実現するための具体的な方法としましては、川中から川下側まで、製材・加工事業所や住宅メーカー、さらには木材を消費する最終消費者を含めた需要と供給に関する動向を捉え、それらを情報として川上側で共有することで原木・素材の流通・取引において、適切な時期に適切な量を出すタイミングを図る基礎・根拠として、また、地域が保有する森林の原木・素材の総量や木材の種別、それぞれの出荷時期などの情報をシステム化し活用することによって、木材市場に対して、安定的に原木・素材を供給する新たな仕組みの構築を目指します。
この新たな仕組みにより、川上側から積極的に木材需要者に対して情報を発信することで、木材取引につなげ、これまでよりも木材需要を推進するとともに、需要と供給のバランスを図ることで川上側への安定的な収入を確保し、最終的には森林所有者への利益還元を目指してまいりたいと考えております。
また、このモデル事業では、このような木材流通の新たな仕組みの構築を目指すだけではなく、川上側への利益還元を実現するために必須条件となる関係者の技術向上のため、山土場・中間土場において、原木・素材の仕分けができるログ・グレーダー(原木仕分け人)を育成するほか、木材利用を推進するため県内の建築士会など設計関係者への働きかけを初め、木材・無垢材のよさを知っていただくためのトップセールスなど、積極的に取り組んでまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(森林局長 鈴木徳久君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 出水豊数君。
(21番 出水豊数君 登壇)
○21番(出水豊数君) 農林水産業の取り組みについては、6月の定例議会第2次総合計画で一次産業の取り組みを打ち出され、これを高評価した中での質問です。後世に残るものにしたいとの強い思いから再度確認をさせていただきました。
続きまして、2項目めの有害鳥獣対策についてお伺いします。
有害鳥獣については何度となく質問をさせていただきました。この問題は当局も必死で取り組んでいただいてくれています。本当にありがとうございます。感謝しているところでございます。
しかし現状はまだまだどうしょうもないぐらい厳しく、生産者も有害鳥獣対策のための唯一の補助金を申請するもいまだに行き渡らない状態で、困り果てる方がいると聞いております。
こうした農家の農産物の生産意欲を減退させる大きな要因になっているところです。山村部では、耕作放棄地の拡大にもつながり、そうしたことによる被害金額だけでもはかり知れないものでございます。国では鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための法律が制定され取り組まれていますが、しかし、なかなか被害が少なくならないのが現実です。我々が住む田辺市、中山間地域では、高齢化が進み狩猟者人口の減少よって狩猟者の確保が厳しくなってきており、捕獲した鳥獣の処分問題など課題が山積しているのが実情であります。
そうした中で今回は2点についてお聞きします。
1点目として、補助金のあり方について、補助金の受付の緩和ができないか。昨年は、防護柵設置に対する補助制度で一次二次募集でも申請が受け付けてもらえなかった方がいて、つらがっており次の申請を待っておられる方がいたと聞いていますが、順次受け付けていただけるようなシステムの取り組みをしていただけないか。
2点目として、狩猟者の確保についてお聞きします。
高齢化が進む中、狩猟者の減少より被害拡大につながっているところであります。また狩猟者が減少する中で新たに免許を取得される方々が利用する技能研修施設でもある射撃場が、この紀南の地、唯一田辺市にあります。ここも狩猟者の減少により経営が非常に厳しいものとなっており、その施設も老朽化が進み改修しなければならない状態であります。改修するにも大変な費用がかかることから、今後どうするか身の振り方も考えているところだという話も聞いております。
紀南の地に唯一の狩猟者確保のための施設です。県全体で協力してでも残していただけるように努力をしていただけないかお聞きします。
以上、2点よろしくお願いいたします。
(21番 出水豊数君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
農林水産部長。
(
農林水産部長 那須久男君 登壇)
○
農林水産部長(那須久男君) 議員御質問の有害鳥獣対策についてお答えいたします。
まず1点目の補助金のあり方についてですが、本市における野生鳥獣による農作物被害については、毎年、梅・ミカンなどの果樹を中心に4,000万円弱の被害が発生しており、その防止対策として有害鳥獣捕獲の推進や農家の防護柵設置への補助事業等に取り組んでいるところであります。
とりわけ防護柵設置の補助については、ここ数年では年間200戸前後の農家の皆様に御活用いただいており、要件が整えば県の補助制度等も活用しながら、限られた予算の中でできるだけ多くの農家の皆様の一助となるよう取り組みを進めております。
そうした中で、議員御指摘のとおり被害状況によっては申し込みが集中することがあったわけでありますが、本年度におきましては、JA紀南でも市と同様の補助制度を設けられたことによって、より多くの農家の皆様が防護柵設置に対する補助を受けることができる状況となっております。
市といたしましても、防護柵設置の推進については1件でも多く御要望にお応えできるよう国や県の補助制度を有効に活用していくとともに、JA紀南など関係機関とも連携しながら、農家の皆様が安心して営農に取り組むことができるよう、鳥獣被害防止対策を継続的に実施してまいります。
次に、2点目の狩猟者の確保についてですが、田辺市における狩猟免許所持者数は、平成28年度では、銃に係る第1種免許とわな免許合わせて延べ580名であり、その内訳としましては、第1種免許所持者が延べ226名、わな免許所持者数は延べ354名となっております。また、免許ごとの年齢構成では、それぞれ全体に占める60歳以上の割合が、第1種免許では約69%、わな免許では約52%となっており、第1種免許所持者の高齢化が進んでいる状況にあります。
有害鳥獣の個体数削減のためには、捕獲に従事できる狩猟免許所持者の確保が必要不可欠であり、わな免許の所持者については、近年、農家の積極的な免許取得により増加傾向にありますが、第1種免許については、新規取得者も少なく、また高齢化も進む中で、免許所持者数が減少している状況にあります。この免許所持者数減少の一つの要因としては、狩猟免許取得だけでなく、銃の所持許可を得るための銃刀法に基づく諸条件があるため、わな免許ほどの手軽さがないことが挙げられます。
こうした中、県では狩猟の魅力を伝える講演会等を開催するなど、免許取得を促す啓発活動を実施していただいておりますが、なかなか第1種免許の新規取得者数の増加にはつながっていないのが実情であります。
そうした中で、議員御質問の市内稲成町にある田辺射撃場の維持・改修についてですが、当施設は和歌山県内唯一の射撃場として昭和50年の開設以来、田辺市のみならず周辺市町の多くの狩猟者の方々に利用されてまいりました。しかしながら近年、老朽化が激しく、利用者数も減少している中で、施設の運営・維持については大変厳しいものがあると伺っており、先般も和歌山県猟友会西牟婁支部及び運営事業者から県並びに市に対して、施設の維持・改修に係る支援の御要望をいただいております。
第1種免許の取得や維持更新、猟銃の所持には射撃場における射撃訓練が法律で義務づけられており、市といたしましても、こうした射撃施設の存続は今後の狩猟人口を左右するものであり、ひいては有害捕獲の従事者の確保に大きな影響を及ぼすものであると大変危惧しているところであります。
こうしたことから、市といたしましては、農作物被害を防止するための有害捕獲を継続的に実施していかなければならない中で、第1種免許所持者数の維持、増加のためには、射撃場の存続は大変重要な案件であり、今後県とも連携を図り、国等の補助制度の活用も研究しながら、施設の存続に向けた支援を検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(
農林水産部長 那須久男君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 出水豊数君。
(21番 出水豊数君 登壇)
○21番(出水豊数君) よろしくお願いします。農林水産業及び有害鳥獣の取り組みについて御答弁本当にありがとうございます。
最後に、私の要望としてお聞きください。戦後、林業に関しては我が国の施策で、造林・植林した山が、70年以上経過した現状を踏まえると、これまで森林所有者が今まで植林に費やしてきた労力、費用は、1町歩当たり300万円とも400万円とも言われています。もちろん補助金を受けての金額ですが、現実的に木材を伐採し搬出して、販売したところで差し引きしても赤字が出るとの話です。切ることもできない。今まで費やして苦労してきたことが報われない。ゼロ以下の状態です。
植林山60年、70年の山、土地つきで売っても70万円、80万円にもならず、所有者の手元には何も残らず大きな損失、また、そのあと植林をしなければならず、このような現状を聞けば本当に憤りを感じます。もともとは、戦後高度成長期に木材需要の拡大から植林の取り組みをしてきたのは国ではないでしょうか。国に対して、本当にこれでいいのかと私は聞きたい。これまで努力してきた山主、森林所有者の思いをもう少し真剣に捉え取り組まなければならないのではないでしょうか。もっともっと森林を大切にしてほしいと思います。
国の、これまでのTPP交渉を見ていても一番大事な農林水産業は、他国との交渉に関して妥協する分野に入っていて非常に歯がゆい思いを抱いています。殊に農業、林業、水産業に関しては非常に厳しく、もっと国に真剣になってほしい。本当に現場を理解しているのかという思いであります。まずその国を動かすのは、我々国民、中山間地域、この現場である田辺市が一つになって現状を訴えていく必要があるのでは。またその先導していくのは当局ではないでしょうか。
一次産業である農林水産業の必要性は、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図っていくためには、人間の生命の維持に欠くことができない食料や生活資材等を安定的に供給するとともに、国土の保全、水源の涵養、文化の伝承等の多面的な機能を持つ一次産業が不可欠であります。未来の田辺市の基礎、財産となるように市、当局とみんなで頑張り取り組む必要があると思います。
こういったこと踏まえ、市は一次産業である農業、林業、水産業の現状に対して、思い切った取り組みに努力をしてほしい。また山村部に住む我々の強い思いを国に対して強く要望していただき、未来の田辺市のための努力をしていただくことを切にお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
(21番 出水豊数君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 以上で、21番、出水豊数君の一般質問は終了いたしました。
以上をもちまして、一般質問を終結いたします。
◎日程第2 4定報告第1号
専決処分事項について上程
○議長(小川浩樹君) 続いて、日程第2 4定報告第1号
専決処分事項についてを上程いたします。
この場合、お諮りいたします。
本件については、会議規則第37条第3項の規定により、委員会の付託を省略し、後日審議願うことにいたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(小川浩樹君) 異議なしと認めます。
よって、4定報告第1号については、委員会の付託を省略し、後日審議願うことに決しました。
◎日程第 3 4定議案第 1号 田辺市
個人情報保護条例の一部改正についてから
日程第32 4定議案第33号 平成28年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算についてまで一括上程
○議長(小川浩樹君) 続いて、日程第3 4定議案第1号 田辺市
個人情報保護条例の一部改正についてから、日程第32 4定議案第33号 平成28年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算についてまで、以上30件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました30件については、過日既に当局の説明が終了しておりますので、これより総括質疑に入ります。
質疑はありませんか。
(「質疑なし」の声あり)
○議長(小川浩樹君) 質疑なしと認めます。
それでは、ただいま議題となっております30件については、会議規則第37条第1項の規定により、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
各常任委員会の付託事件は、配付いたしております議案付託表のとおりであります。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ散会し、あす20日から27日までの8日間は休会とし、9月28日、午後1時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(小川浩樹君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
散 会
○議長(小川浩樹君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。
(午後 2時10分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
平成29年9月19日
議 長 小 川 浩 樹
副議長 市 橋 宗 行
議 員 久 保 浩 二
議 員 福 榮 浩 義
議 員 髙 田 盛 行...