田辺市議会 2017-09-15
平成29年 9月定例会(第3号 9月15日)
6番 久 保 浩 二 君
7番 宮 井 章 君
8番 福 榮 浩 義 君
9番 髙 田 盛 行 君
10番 北 田 健 治 君
11番 橘 智 史 君
12番 尾 花 功 君
13番 二 葉 昌 彦 君
14番 市 橋 宗 行 君
15番 安 達 幸 治 君
16番 安 達 克 典 君
17番 小 川 浩 樹 君
18番 塚 寿 雄 君
19番 佐 井 昭 子 君
20番 中 本 賢 治 君
21番 出 水 豊 数 君
22番 陸 平 輝 昭 君
――
―――――――――――――――――
〇欠席議員 なし
――
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〇説明のため出席したもの
職 名 氏 名
市長 真 砂 充 敏 君
副市長 池 田 正 弘 君
副市長 林 誠 一 君
教育長 中 村 久仁生 君
企画部長 小 川 鏡 君
企画広報課長 千 品 繁 俊 君
総務部長 松 川 靖 弘 君
総務課長 山 﨑 和 典 君
税務課長 那 須 肇 君
危機管理局長 中 野 典 昭 君
防災まちづくり課長 上 村 哲 也 君
市民環境部長 松 場 聡 君
保健福祉部長 木 村 晃 和 君
福祉課長 虎 伏 務 君
やすらぎ対策課長 西 貴 弘 君
障害福祉室長 山 田 友 昭 君
商工観光部長 早 田 斉 君
観光振興課長 古久保 宏 幸 君
農林水産部長 那 須 久 男 君
森林局長 鈴 木 徳 久 君
山村林業課長 清 水 健 次 君
建設部長 栗 山 卓 也 君
中辺路行政局長 虎 地 一 文 君
消防長 安 田 浩 二 君
消防総務課長 戎 嶋 健 君
警防課参事 楠 本 秀 治 君
教育次長 弓 場 和 夫 君
学校教育課長 野 田 泰 輔 君
大塔教育事務所長 田 上 芳 文 君
水道部長 岩 本 章 君
――
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〇
出席事務局職員
議会事務局長 糸 川 一 彦
議会事務局次長 前 溝 浩 志
議会事務局主任 松 本 誠 啓
議会事務局主査 稲 垣 清 司
開 議
○議長(小川浩樹君) 定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成29年第4回
田辺市議会定例会3日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
――
―――――――――――――――――
○議長(小川浩樹君) それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(小川浩樹君) 日程第1 一般質問を行います。
1番、
松上京子君の登壇を許可いたします。
(1番
松上京子君 登壇)
○1番(
松上京子君) 皆さん、おはようございます。1番、篤志会、
松上京子、初めての一般質問です。議場というのは本当に厳粛な場だと今、改めて感じております。ついさっきまで談笑していた皆の顔が引き締まり、緊張に包まれ、独特の空気が漂っています。まずもって、このような厳粛な場で発言させていただきますことに感謝をし、同時に責任感を持って臨みたいと思います。本来でしたら、登壇の場はそちら側ですが、広さと演題の高さが私には合いません。議長のお許しをいただきましたので、最初からこの場で質問をさせていただきます。御了承ください。
それでは、通告に従いまして、一般質問に入らせていただきます。大項目を二つ質問いたします。
まず一つ目は、
世界遺産等を生かした
まちづくりにおける
ユニバーサルデザインについてです。これに関して3点お聞きいたします。
田辺市では、
市町村合併以前の2004年に紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産として登録され、特に熊野古道、
熊野本宮大社が位置する中辺路、本宮地域では観光客が急増いたしました。
また、昨年2016年には田辺市の町なかにある鬪鶏神社などが追加登録されたことにより、さらに多くの方々が当地にお越しくださっています。ことし3月に策定されました
世界遺産等を生かした魅力ある
まちづくりの基本計画の一部を少し抜粋いたしますと、「本市が
世界遺産等を生かした
まちづくりを進めていく上において、観光は重要な要素です。古くから霊場へと向かう旅人とのかかわりが深く現在も国内外から多くの観光客が訪れています。市民が住みたいまちは、人々が訪れたいまちという認識のもと、観光と
まちづくりを一体的に捉え、住んでよし、訪れてよしの
まちづくりに取り組みます。」と書かれています。
さて、現在、日本の社会全体で高齢化が進む中、当然、訪れる観光客も高齢の方がふえてきます。また、急増する
外国人観光客のことなどを考えると、あらゆる人にとって観光しやすい旅を楽しみやすいものにする
ユニバーサルデザインの考えが生かされていくべきであります。
御存じのとおり、
ユニバーサルデザインとは、障害の有無や年齢、性別、国籍、人種にかかわらず、多くの人にとって使いやすいように、製品、建物、環境などをデザインすること。また、そのデザインであります。
ここで参考資料の1をごらんください。
こちらは国の観光施策について書かれたものですが、2016年に策定された、あすの日本を支える
観光ビジョンの中の視点3のところに、全ての旅行者がストレスなく快適に観光を満喫できる環境にと明記されております。これにより、各地の観光地や
交通機関等において、より高い水準の
ユニバーサルデザイン化及び心の
バリアフリー「
ユニバーサルデザイン2022」を推進していくこととなります。
田辺市では、新たに世界遺産に登録された
鬪鶏神社周辺や
JR紀伊田辺駅前地区を含む
中心市街地が国の
景観まちづくり刷新支援事業の
モデル地区として指定を受け、
南方熊楠顕彰館、さらに今後建設予定の
ポケットパーク、植芝盛平
翁顕彰館併設の新武道館などを含む、町なかを大勢の方に散策してもらうという計画を持たれています。
しかし、高齢者や障害を持った人が町なかを歩くにはまだまだ不便な点がたくさんあります。例えば、車椅子で歩く私自身のことをお話しさせていただきますと、まず、町歩きをする中で必要不可欠なものはトイレです。いわゆる
多目的トイレと言われるもので、十分な広さがあり、手すりのついたトイレがなければ困ります。
多目的トイレといってもいろいろでフル装備のものになると、赤ちゃんを座らせておくことのできるシート、オストメイト、これは人工膀胱や人工肛門を保有した方ですが、それに対応した設備がついたもの、さらには
おむつ交換台などがあります。フル装備の
多目的トイレを数多くつくる必要はありませんが、やはり町歩きの拠点となる場所には、そういったトイレ、しかも清潔なトイレが要りますし、
必要最小限の設備を備えたトイレの数をふやすといったことも大切です。
トイレの使い勝手について申し上げますと、不便な点も幾らかあります。例えば、最近では便座を清潔にするための
便座クリーナーが備えられているところが多いのですが、時々、この
クリーナーがトイレの一番奥についているところがあります。そうすると、トイレットペーパーに
クリーナーを含ませて拭くわけですが、それが奥にあって手が届かないということは座る前に拭けないということで、これは意味を成しません。また、
洗面スペースなどでも鏡の位置が高くて顔が映らないなどの問題もあります。
それから、町なかを歩いていて気になるのは、歩道と車道の境目部分です。歩道の切れ目がカーブカットされていますが、カーブの傾斜が緩やかでないところは車椅子のバランスを崩しやすく、危険を感じることがあります。また、グレーチングは、網目の細かいものでなければ
車椅子前輪部分のキャスターが、はまってしまいますし、女性のヒールなどもひっかかりやすいです。また、
シニアカーを使う高齢者の方の転倒事故にもつながります。
また、視覚障害の人に対しては、音声の案内板、聴覚障害の人に対する手話の
案内サービスなども今後の課題だと思います。いろいろ述べましたが、1点目としては、
観光まちづくりの中で
ユニバーサルデザインをどのように位置づけているのか、基本的な考えをお聞かせください。
次に、2点目は、神社・仏閣などの
バリアフリーについての考えをお聞きしたいと思います。神社・仏閣に関しましては、宗教施設であることから、市が主体となって積極的に
バリアフリー化を進めるのは難しいということは理解しております。
しかし、参考資料の2をごらんいただきたいのです。参考資料は平成28年の当市の観光客の来訪目的です。来訪のトップにありますのは、社寺参詣で約131万人となっております。ほかの来訪目的、自然鑑賞やお祭り、海水浴、観光施設などと比べると大きな差がありますし、2位の温泉・休養の約67万人と比べましても約2倍となっており、飛び抜けての1位であります。つまり、多くの人が田辺市を訪れて、お寺や神社に行きたいと思っているということです。
ところが、神社の砂利やお寺の石段などは、私のような
車椅子使用者にとっては、とても行きづらく、行きたいと思いながら同行する人の負担を考えて断念してしまうことも少なくありません。
私は、6月に道成寺を訪れました。長い石段の先にお寺があるのですが、ここは車椅子用に別ルートで車の乗り入れができるようになっており、また
多目的トイレも整備され、砂利の一部だけを舗装するといった工夫をされていました。奈良の薬師寺に行ったときには、お堂の中にスロープがありましたし、京都の三十三間堂、蓮華王院ですが、こちらも座った高さで全ての仏像が見られるようになっています。
このように砂利に関しては、一部だけを舗装する舗装路にするといった方法のほか、伊勢神宮のように砂利専用の
電動車椅子を貸し出しする。あとは鳥羽の神明神社に行ったときに見かけたのですが、車椅子に装着して、人力車のように牽引する器具、ローマ字でJINRIKIと書きますが、こういったものを貸し出しするなど、いろいろな対応方法があります。参道や門前道路でも情緒あふれるたたずまいを保ちつつ舗装を施す。あるいは振動の少ないタイプの石畳を選ぶといった工夫をしているところも多くあります。
昨年施行された
障害者差別解消法を受け、さまざまな場面で
合理的配慮が求められています。合理的ということですから、莫大なお金がかかるとか、大幅な制度変更が必要な場合は除きますが、障害を理由に受け入れを拒むことは違法となります。
このような背景の中、2点目として、今後予定されている
鬪鶏神社参道や大福院の
整備計画も含め、神社仏閣の
バリアフリーについてどのような考えをお持ちなのか、お尋ねいたします。
最後に、
バリアフリー基本構想と
観光まちづくりの関係についてお尋ねします。田辺市では、平成19年に安心して暮らせる福祉の
まちづくり推進のために、田辺市
バリアフリー基本構想を策定いたしました。アンケートや聞き取り調査、市民参加による現地調査の後、一定の改善を行ったと聞いております。この
バリアフリー基本構想の中には、熊野古道の玄関口として多くの観光客が訪れていることの認識と観光地にふさわしい整備の必要性が書かれておりますが、3点目として策定した構想をどのように評価し、
観光まちづくりの中にどのように生かしてきたのか。また、今後生かしていくのかお聞かせください。
以上、3点、盛りだくさんになりましたが、観光と
まちづくりを一体的に考える田辺市としての見解はいかがでしょうか。お伺いいたします。
(1番
松上京子君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 1番、
松上京子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問の1点目、
観光まちづくりの中で
ユニバーサルデザインの位置づけはについては私から、あとは担当部長からお答えいたします。
御存じのように、昨年10月に
中心市街地にある鬪鶏神社を初め、市内5カ所が新たに紀伊山地の霊場と参詣道に追加登録されました。また、みなべ・田辺の
梅システムが
世界農業遺産に認定されている中、当地においてはこれまで以上に地域資源を活用した
まちづくりを展開していく必要があります。
市といたしましては、こうした状況のもと、本年3月に今後10年間の
まちづくりの基本方針となる
世界遺産等を生かした魅力ある
まちづくり基本計画を策定し、観光と
まちづくりを一体的に捉え、「住んでよし、訪れてよし」の
まちづくりを目指しております。この計画の基本理念を「世界に開かれた持続可能な
観光まちづくり」として掲げ、そこには
ユニバーサルデザインの
基本コンセプトである「全ての人にとって使いやすく」という考えも踏まえた上で取り組みを進めているところであります。
そうした中、議員から具体的な事案といたしまして、町なかの
多目的トイレの整備状況や
ポケットパーク周辺の
道路整備プラン、視覚障害・聴覚障害の方々への配慮等についてお話がございました。町なかの
多目的トイレの整備状況につきましては、
JR紀伊田辺駅隣にある田辺市
観光センター、
田辺扇ヶ浜海水浴場、とう
けい公園等、町なかの主要な観光拠点におきましては、和歌山県の
おもてなしトイレ大作戦等とも連携し、整備を進めてまいりましたので、一定充足はしておりますが、議員御指摘のとおり、使いやすさという点ではまだまだ改善を要する部分もありますので、今後は必要に応じ対応してまいりたいと考えております。
また、
ポケットパーク周辺の
道路整備プランにつきましては、現在、取り組んでおります
景観まちづくり刷新支援事業の中で実施してまいりますが、ユニバ一
サルデザインの考えのもと、障害を持つ方々へも最大限配慮しながら、来訪される誰もが安全で、かつ安心して散策してもらえるよう工夫した
町並み整備や観光案内を心がけてまいりたいと存じます。
また、市といたしましては、平成28年3月に政府より発表された「あすの日本を支える
観光ビジョン」にも基づきながら、
世界遺産等を生かした
観光まちづくりに取り組んでおりますが、今後とも
ユニバーサルデザインの考えをより一層取り入れ、誰もが「来てよかった。」「また来たい。」と思えるような
まちづくりに取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育次長、弓場和夫君。
(教育次長 弓場和夫君 登壇)
○教育次長(弓場和夫君) 議員御質問の2点目、神社、仏閣などの
バリアフリーについてお答えいたします。
世界遺産である社寺仏閣を初め、
歴史的文化財における
バリアフリー化については、宗教施設であることに加え、
文化財保護の観点からも難しい点があることは否定できません。一方で、社寺を訪れる観光客・参拝客の数が増加する中、
バリアフリー化を進めていく必要があることも言うまでもありません。
他府県では、
文化財保護や景観へ配慮しながら、車椅子用の参道やスロープの整備を行い、
参拝ルートを確保した京都の清水寺や、仮設のスロープを取りつけるなどの工夫を行っている事例があるほか、砂利道での移動にタイヤの太い車椅子の貸し出しや、介助のための
サポートボランティアの派遣といった、ハード面での対応が難しい部分を人的支援でカバーしている事例など、さまざまな配慮や工夫がなされているところもございます。
市といたしましては、各社寺が宗教的な観点など、それぞれにお立場や考え方があることも十分承知をしておりますが、先ほど述べました事例を参考に、商工・
観光関係者や当事者も含めて知恵を出し合い、それぞれの社寺で一番ふさわしい方法による
バリアフリー化を進めてまいりたいと考えております。
また、本年度から実施する
景観まちづくり刷新支援事業における
鬪鶏神社参道や大福院等の
整備計画については、
文化財保護や景観に十分配慮しながら、
バリアフリー化を進めてまいりますので、御理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
(教育次長 弓場和夫君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
商工観光部長、早田 斉君。
(
商工観光部長 早田 斉君 登壇)
○
商工観光部長(早田 斉君) 議員御質問の3点目、田辺市
バリアフリー基本構想と
観光まちづくりについてお答えいたします。
御指摘の田辺市
バリアフリー基本構想は、
JR紀伊田辺駅、
市役所本庁舎、
紀南文化会館及び
田辺市民総合センターの公共施設を含む直径1キロメートルの範囲を
重点整備地区と定め、これらの施設が道路において
バリアフリーを進める具体的な
整備計画でありますが、策定に当たっては、高齢者、障害者を含む市民や市外からの来訪者等にも御参加いただき、町歩きによる現地調査を実施いたしました。その中で、駅のホーム間の移動、
障害者用トイレの不足、案内施設の不備、歩道の乗り入れの急勾配、
休憩スペースの必要性など多くの課題が抽出されました。この構想は平成20年3月に策定されたものでありますが、その後、
JR紀伊田辺駅におけるエレベーターや
障害者用トイレ、駅前広場や
観光センター等の施設整備、
田辺大通り、湊本通りにおける県道拡幅と歩道整備など、
重点整備地区内における施設整備が着実に進められてまいりました。
先ほど申し上げましたように、この構想は
JR紀伊田辺駅周辺の直径1キロメートルの
重点整備地区における
整備計画でございますが、基本理念である「誰もが安心して暮らせる
まちづくり―市民が主人公の
バリアフリーのまちの実現―」については、年齢や障害の有無に関係なく、「どこでも、誰でも、自由に、使いやすく」という
ユニバーサルデザインの考え方に添ったものであり、行政全般における
障害者施策の総合的な推進方針を定めた田辺市
障害者計画と方向性を同じくするものであります。
そうしたことから、今後進めてまいります本市の
観光まちづくりにおいても、この基本理念を踏まえた上で、各種施策を推進してまいりたいと考えておりますので御理解いただきますようよろしくお願いいたします。
(
商工観光部長 早田 斉君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
松上京子君。
(1番
松上京子君 登壇)
○1番(
松上京子君) 私が今回、この質問をしたのは、
世界遺産等を生かした魅力ある
まちづくり基本計画を読んで、具体的なプランや
重点プロジェクトの中に、
ユニバーサルデザインや
バリアフリー観光という言葉が出てこなかったからです。また、計画の中では、
外国人観光客の対応に重点が置かれ、国内の高齢者や障害を持った観光客への対応が十分でないと感じたからです。けれど、今いただきました市長の御答弁の中には、
ユニバーサルデザインの
基本コンセプトである全ての人にとって使いやすくという考えも踏まえた上で取り組みを進めているところ、より一層
ユニバーサルデザインの考えを取り入れていくということでした。
つまり、基本計画の中に言葉としては出ていないけれど、わざわざ言う必要もないぐらいに当然のこととして高齢者や障害者への対応をも認識してくださっているということなので、安心いたしました。
それから、今後の課題でもある視聴覚に障害のある方への配慮の一つですが、参考として先日、和歌山城の
観光客受け入れチェックの様子をたまたまテレビのニュースで見ました。ここではお城の模型をつくり、視覚障害の方が手で触って、お城全体をイメージしやすい工夫をしていました。石庭で有名な京都の龍安寺でも25分の1スケールの石庭の模型を用意してあります。他の観光地では、3
Dプリンターでつくった模型による手で触れることのできる博物館などもあります。今後の参考の一つになればと思い御紹介いたします。
聴覚障害の方に関しては、手話、
観光ボランティアの育成なども今後重要になってくるでしょう。高齢者の方や障害を持った方は、1人で観光に来るよりも家族やグループで来られることが多いです。ですから、その人が訪れにくい環境であれば、その人に選んでもらえなければ家族やグループを含む四、五人、またはそれ以上の観光客を失うというということを御理解ください。
2点目のこれから実施する鬪鶏神社の参道や大福院の
整備計画ですが、こちらは
文化財保護や景観に配慮しながら
バリアフリー化を進めていただけるということなので、ぜひよろしくお願いいたします。
田辺市
バリアフリー基本構想と
まちづくりについていただいたお答えですが、こちらは
重点整備地区を定め、調査、改善がなされてきたということであります。確かにPDCA、Pはプランで計画、Dはドゥーの実行、Cはチェックで評価、Aはアクション、改善対策、このPDCAの中で問題点を見つけ改善されてきたことは十分評価いたしますが、PDCAはサイクルが必要です。次のPDCAにつなげ、もう一段階、質の高いものを目指す。そしてまたその次というふうにサイクルを繰り返し、だんだんよくしていくスパイラルアップが大切だと思います。せっかく行った検証と改善がまだ
観光まちづくりとは十分結びついていないように私は感じます。
先ほど、
バリアフリー基本構想の基本理念は田辺市
障害者計画と方向性が同じで、それを踏まえた上で
観光まちづくりの各種施策を進めていくというお答えをいただきました。さらなる推進の具体化の際には、ぜひ当事者の声を反映させる機会をつくっていただきたいと思います。当事者の声、意見はとても大切です。
バリアフリー観光の先進地である高山市にかかわった方と以前、観光に関するパネルディスカッションをしたことがあるのですが、高山市では計画を進める際に、さまざまな障害を持った方をお招きし、モニターツアーを実施し、それが功を奏したとお聞きしました。何が困るのか。どうしてもらうのがうれしいのか。生の声を違った視点で聞けるからです。
先ほど
便座クリーナーのことを例として挙げた
多目的トイレでは、ほかにもいろいろ問題があります。例えば、皆さんは今、椅子に腰かけていらっしゃいますが、そうやって自然に座るには腹筋も背筋も無意識のうちに使っています。下肢に障害のある人の多くは、腹筋も背筋もきかず、足を踏ん張れないので、座る姿勢を保つのが難しいです。そういった人にとって、背もたれ、最近よく
多目的トイレに見られる背もたれはとてもありがたいものなのですが、その背もたれの位置が悪いと逆に危険なものになります。これはどういうことかというと、背もたれが前に来過ぎていると、深く腰かけられないので、背もたれによって前に押し出されるような、前に倒れるような形になり、危なくて座れない、使えないというような声を聞くこともあります。
そういう例もありますし、また手すりの位置が悪くて、便器に近づけない。近づくと手すりにぶつかってしまうというようなトイレも見かけることがあります。せっかくお金をかけるのですから、ぜひ慎重にやっていただきたい。あとで改修費用が必要なものや全く使えないものをつくってはいけないのですが、実際はなかなか気がつかないものです。
こういった意味でも、今後当事者の声を反映させる機会をつくり、できればきちんと文章化してもらいたいと強く願います。
世界遺産等を生かした魅力ある
まちづくりを声高にうたうのであれば、既に向かう方向は決まっている。目指すべき道は決まっていると私は思います。なぜならば、熊野信仰は、他の社寺が遠のけた女性や身体障害者などにも門戸が開かれていた。熊野の参詣道は古くから貴賤の隔てなく、つまり身分の高い・低いを問わず、浄・不浄を問わず、宗教を問わず、老若男女、何人をもあらゆる人を受け入れてきた場所だからです。
身に新しく感じられるかもしれない
ユニバーサルデザインの精神をもともと持って存在していたということです。この地のありようそのものが
ユニバーサルデザインであり、これこそ私たちの田辺独特の個性であり、宝なのです。ですから、この精神を受け継ぎ、未来の田辺をつくっていくことは当然の流れと言えるでしょう。
ただ、観光は手段であって、目的ではありません。多くの人が魅力を感じ、訪れてくれる町をつくっていくことで、私たち市民が、ここはよいところやなと感じられる町を目指す。これが大切だと思います。
すばらしい世界遺産を十二分に活用し、いにしえからの
ユニバーサルデザインの精神にあふれた
まちづくり、住んでいる人が幸せでいられる
まちづくりが進んでいくことを願いまして、一つ目の質問を終わりたいと思います。
さて、次に大項目の二つ目、学校図書館の充実について2点お尋ねしたいと思います。
まず1点目として、学校図書館の図書整備状況について伺います。平成24年度から始まった学校図書館図書整備5カ年計画において、毎年度約200億円、総額約1,000億円の地方財政措置が講じられ、学校図書館図書標準を達成した学校の割合は増加してきました。学校図書館図書標準を達成した学校は、平成27年、小学校で66.4%、中学校で55.3%、新聞を配備している学校は小学校41.1%、中学校37.7%となっております。国では社会の変化や学問の進展を踏まえた児童生徒にとって正しい情報に触れる環境整備の観点から、図書標準の達成に加え、適切な図書の更新が必要となっています。
また、選挙権年齢が18歳以上と引き下げられたことに伴い、児童生徒が現実社会の諸課題を多方面に考察し、公正に判断する力等を身につけることの重要性から、発達段階に応じた学校図書館への新聞の複数紙配備が必要であるとも言われています。
1点目として、このような中、田辺市の各小学校の図書標準の達成率と新聞配備の現状はいかがでしょうか。
続いて、2点目は学校図書館司書についてです。
学校図書館司書の仕事は、蔵書の管理や図書館の環境整備、読書相談、学習支援や資料の紹介など多岐にわたり、その業務を行うためには、専門的な知識や技能、また経験が必要です。学校図書館司書を配置する学校は平成28年において、全国平均、小学校が59.3%、中学校57.3%となっていますが、和歌山県では、小学校32.1%、中学校27.0%と全国平均に比べて随分低い数字となっています。
田辺市には、3人の学校図書館司書がおられるということで、1学期の終わりに会派で会津小学校に行き、お話を伺ってきました。学校図書館司書さんは、司書教諭の方、それから10名の図書ボランティアの方とともに、子供たちが読書に親しめるよう、いろいろな工夫をしておられました。あいうえお順の分類や面出しがされることにより、本が見やすくなり、貸出冊数がふえたとか、調べ学習のスペースと読むためのスペースを分けたり、椅子やテーブルの配置を変えることにより、落ちついた空間になった。あるいは国語の授業で扱う作品の著者の他の作品を紹介するといった授業のサポートができるなどなど、よい面をたくさんお聞きしました。
今は学校図書館司書が非常勤で何校かを回るということですが、できれば常勤で人数もふやしていっていただけたらと思います。
そこで学校図書館司書に関しては、現在の配置状況とその効果について、採用の条件や研修について、今後の拡充予定について考えをお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の1点目、学校図書館の図書の整備状況ということでございます。まず、学校図書の蔵書数でございますが、各学校のクラス数に応じて標準冊数が文部科学省より定められてございます。昨年度末の状況でありますが、標準冊数に満たない学校は、1校のみでありました。この1校を調べてみますと、標準冊数7,360冊に対して蔵書数が7,237冊であり、その充足率が98.3%でありました。また、新聞の配備状況でありますが、今年度中学校においては14校全てにおいて新聞の配備がされております。小学校においては26校中11校、42%の学校に、子供新聞の配備がされている状況であります。
続きまして、議員御質問の2点目、学校図書館司書についてでありますが、まず、学校図書館司書の配置状況でありますが、昨年度からモデル的に、小学校を含めて高雄中学校区、それから衣笠中学校区、龍神中学校区、この3中学校区にそれぞれ1名ずつ配置しております。雇用形態は非常勤で午前10時から14時まで。4時間を基本に勤務していただいております。配備によります効果につきましては、議員さんもおっしゃっておりましたが、一番大きな効果として、図書室の環境が非常に充実をしたということ。また、図書室に来室する児童生徒が以前よりも随分ふえてきたという報告や、貸し出し作業や清掃などを児童とともに活動していただきますので、その様子が手本となって、委員会活動、図書委員会の活動に非常によい結果を与えているという報告を多く受けてございます。
また、学校図書館司書が作成してくださいます図書便りが保護者から好評であるという報告も受けてございます。このように、配置校からは学校図書館の司書の配置について大変ありがたいという声を多くいただいております。
次に、学校図書館司書の条件であります。これは当然、司書免許を持っているとか、教員免許を持っているという方を条件としてございます。研修につきましては、この方々も研修を受けていただかないといけませんので、これは、たなべるにお願いして、たなべるの図書館司書の先生にいろいろ教えをいただく。講演をいただく、図書の分類の仕方や修繕の方法等について研修をお願いしている。昨年度は2回実施いたしました。また、県も司書研修というのをやってございますから、その司書研修にも参加をさせていただいて、各市町村の学校図書館の司書の方々と交流をして、よりよい効果的な学校図書館運営についての研修を深めていただいているところでございます。
今後の拡充予定、本当にたくさんの司書が誕生できたらよいのでありますが、非常に厳しい情勢の中で、現在の3中学校区はモデル配置ということで行ってございます。ですから、市内の児童生徒への公平性の担保、未配置の地域の児童や生徒にも同じ条件を与えていかなければならない。こういうことを十分配慮しながら、前向きに検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 松上京子君。
(1番
松上京子君 登壇)
○1番(
松上京子君) 2点について御答弁いただきました。ありがとうございます。まず、蔵書の充足率と新聞の配備状況などはとても高い水準で、ただ小学校は子供新聞の配備が26校のうち11校ということですので、できれば全校に配備していただきたいと思います。物的整備に関しましては、大変高い水準ですので、御尽力に感謝いたします。
続いて、人的配備、学校図書館司書に関してです。先ほど会津小学校の話をしましたが、私たちはほかにも隣の南部小学校にも行ってきました。こちらは3年目ということで、週に3日間、7時間の勤務をされていました。学校図書館司書さんが来られる前と比べ、貸出者数は3倍になったということです。平成27年度の合計が約4,000冊だったのに対し、28年度には約1万2,000冊、今年度29年度はまだ途中ですが、4、5、6の3カ月の貸し出しは既に3,104冊ということで、一昨年から3倍にふえた昨年度の同時期が2,397冊なので、それを既に上回るペースで伸び続けているということです。
この南部小学校では、バーコードの管理をしたり、本の紹介や予約を行ったり、また、図書室の開放時間がお昼休みだけでなく、休憩時間や大休憩にもそういった開放ができるというようなこともありましたし、また、田辺でも出されているということですが、気軽に読める図書館便りも発行されていて、大変好評だとお聞きしました。
また、学校図書館司書と図書ボランティア、担任の先生との合同の会議のおかげで、先生との連携も進みつつあり、授業で参考として使いたい本のリクエストを先生から出してもらうということも取り組みとしてされておりました。ここで特徴的だったのは、ほとんどの公共図書館が使っている日本十進分類法、NDCという本の分類をされていることです。皆さんも図書館へ行って見かけたことがあると思いますが、本はゼロから9まで大きく10に分類分け、種類が分かれております。さらに細かくゼロの中には、010、020というふうに分かれていまして、例えば、030なら百科事典、140なら心理学と細かいジャンル分けがなされております。
これは子供たちには、ちょっと難しいかもしれないのですが、南部小学校では、低学年の子供にも回数を重ね、何度も丁寧に分類法の説明をされているということで、これは司書さんがおっしゃるには、この分類法を知っていることで、子供たちは目当ての本が探しやすくなり、今後長く続く読書人生が豊かになるというふうにおっしゃっておりました。
また、この分類を行うことで、どの分野の本が足りないか、不足しているかということがわかりやすくなり、偏りや無駄なく本をそろえることができるのだそうです。
こういったことを見聞きするにつけ、やはり専門的な知識を持つ学校図書館司書に常勤でいていただく必要性を感じます。先ほど採用条件と研修についてもお答えをいただきましたが、優秀な人材確保のため、今後とも継続的なスキル向上のための研修と横のつながりができる。司書さんは学校に1人しかおられないので、横のつながり、情報交換ができ、司書の孤立を防ぐような交流の機会を持っていただけるようにお願いいたします。
最後に、提案ですが、学校図書館司書と担任教諭との連携による授業展開というのはいかがでしょうか。和歌山市の四箇郷小学校での国語科の授業の実践研究を私は読みました。「狙え、説明文大賞、9歳で書く初めての食べ物説明文」という単元で、姿を変える大豆を教材として、司書、担任教諭、両者連携による国語科の授業を行ったものです。
具体的には、指導計画の段階から学校図書館司書が加わり、単元に入る前から司書がクラスの様子を見にきたり、書く作業を学校図書館、図書室で行ったり、また調べ学習の参考となる本を準備したりといった実践内容でありました。児童の実態や学習の流れを共有し、調べ学習の準備や実際の授業のサポートまで司書が行うという非常に充実した内容でした。
この結果、単元学習前に行ったアンケートで国語の授業が好きかという問いに対し、「好き」、「どちらかというと好き」という肯定的な答えをした児童の割合が約62%だったのに対し、単元学習後に行ったアンケートでは、約87%となり、およそ25ポイントの上昇が見られたということです。学校図書館司書と担任との連携授業に効果があったといえるのではないでしょうか。
田辺市には、熱意ある優秀な先生がたくさんいらっしゃいますから、ぜひモデル校を指定し、このような研究授業を行ってみるのもよいと思います。本年度の全国学力テストで、県では小中学校ともに改善が見られました。これは大変喜ばしいことですが、いまだ国語力の弱さは課題になっています。先日の紀伊民報によると、特に中学3年生での読書への関心の低さが目立ち、読書量や読書が好きかという回答結果は、学力テストの正答率とほぼ相関関係にあり、それは国語だけでなく、数学も同じということで、どの教科にも読解力、文章力、論理的思考が必要で、それらを支える読書習慣の重要性がうかがえる結果だと書かれておりました。
9月7日に行われた県総合教育会議でも、読書活動を進める環境整備が必要との評価がありました。田辺市においても、読書の推進は引き続いての課題であるという認識をお願いいたします。
先ほど申し上げた地方財政措置では、新たに平成29年度からの5カ年で学校図書館充実の計画をさらに進めております。学校数の多い田辺市では、国が掲げる目標1.5校に1人という学校図書館司書の配置は難しいことかもしれません。けれど、少しでも近づけるような配置を目指し、また同時に図書ボランティアさんの協力も得ながら、子供たちのよりよい図書環境の中で学べるよう継続的な措置をお願いします。
以上で、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
(1番
松上京子君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 以上で、1番、
松上京子君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(小川浩樹君) この場合、午前11時まで休憩いたします。
(午前10時48分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(小川浩樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前11時00分)
○議長(小川浩樹君) 続いて、16番、安達克典君の登壇を許可いたします。
(16番 安達克典君 登壇)
○16番(安達克典君) 16番紀新会の安達克典です。議長様のお許しを得ましたので、平成29年9月議会一般質問を行います。
昨日から始まりました一般質問でありますが、新人議員とは思えない歯切れのよさと内容の濃さに感銘を受けている次第であります。まさに新しい風を感じます。今回の私の一般質問でありますが、どちらかと言えば、新しく就任された
危機管理局長と
商工観光部長がメーンでございますので、私の質問はそれなりに聞いていただければと思います。そして、3日間あるうちのちょうど折り返しでございます。本日金曜日は、全国唐揚げ協会が推奨する「揚げ物を食べて明日への活力を生み出そう!新しいニッポンの経済成長戦略アゲノミクス宣言!」ということで、まさに唐揚げの日でございます。予定時間もございますので、1番目に入りたいと思います。
それでは、まず1点目、今回の機構改革についてであります。今回の機構改革に伴い、新たな部長級ポストが設けられ、初めての議会となります。市民の関心度も高いだけに、今回の機構改革のポイントについてお伺いいたします。
今回、新たに危機管理局が設置されたところでありますが、災害時における職員体制をどのように強化しているのか、また、危機管理局において今後、どのような防災対策を実施していくのかお聞きしします。
9月3日日曜日に田辺市防災訓練がA地区を対象に行われました。私の住んでいる上山路地区も実施対象区域となりました。午前8時に防災行政無線で避難勧告の放送が流されました。
「訓練、訓練、訓練、こちらは防災田辺です。台風接近に伴う大雨により河川の増水土砂災害のおそれがあります。このため午前8時に上山路地域に対して、避難勧告を出しました。直ちに各地区の指定避難場所へ避難してください。できるだけ近所の方にも声をかけて避難してください。これは訓練のための放送です。」ということで、その後、近所の人と歩いて、一緒に一次避難場所、二次避難場所である旧殿原小学校ささやか館に向かいました。到着をすると既に避難してきている人がリュックサックから非常食を取り出して、これも訓練よと乾パンを食べさせてくれました。
その後、続々と各班から集まり、午前9時ごろから行政局職員、消防職員の指導のもと、消火器を使用した初期消火訓練が行われました。区民の皆さんからは使用時の細かい注意点、保存場所、期間等々、積極的な質問が飛び交いました。この日参加された区民の皆さんにとって、緊急時の意識を高める上で、貴重な体験となったと確信しました。
一方、前回2014年9月の防災訓練を振り返りますと、消火栓を使用し地元消防団員も制服を着用した上で参加しました。今回は、自主参加となっていたようですが、もう一つ連携が取れていなかったように思います。せっかくの訓練だけに多くの住民に参加を呼びかけ、意識を高める上においても残念に思いました。一次避難場所の状況はわかりませんが、二次避難場所に避難してきた区民の数も少ないように思われました。
今回の防災訓練を終えて市内全域での反応はどうであったか、山間部・沿岸部・市街地、それぞれの現状と課題をどのように受けとめているのか当局の答弁を求めます。
次に、平成23年の台風12号の状況を振り返ってみますと、8月30日から9月6日にかけて広い範囲に大雨を降らせました。特に紀伊半島では記録的な豪雨となり、三重県、奈良県、和歌山県で洪水災害、土砂災害が多発しました。大型でゆっくりと移動したため、紀伊半島を中心に強い雨が長期間続き一部地域では解析雨量が2,000ミリを超えるなど記録的な豪雨となり、その結果、熊野川水系などで近年例を見ない規模の洪水となりました。
また、内陸部では、深層崩壊が発生し、その一部では、崩落した土砂が河川をせきとめ、さらに、土砂が再度流されて土石流となるおそれがあったことから、一部地域に警戒区域の設定が行われ、住民は長期間の避難を余儀なくされました。そして、この台風12号災害の際には、全国から多くのボランティアの支援をいただきました。
また、私自身も市内の災害現場に加え、旧熊野川町日足地区、宮井地区、那智勝浦町の井関地区、口色川地区にも仲間とともにボランティアの一員として入り、貴重な経験をさせていただきました。
こうした災害時、ボランティアの受け入れには、ボランティアセンターを立ち上げて対応することになりますが、円滑なボランティアセンター運営にはスタッフの育成が必要となります。スタッフの育成はどのように考えているのか。今後予想される台風豪雨災害に備え紀伊半島大水害での教訓をどのように生かすのか、大きなポイントとなってきます。災害ボランティアスタッフの育成と強化について当局の答弁を求めます。
次に、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル、ICBM飛来等に係る緊急情報、全国瞬時警報システム、Jアラートについてであります。弾道ミサイル発射や地震、津波などの情報を総務省消防庁から人工衛星を介して該当地域の自治体に発信するシステムが、2007年2月に運用が開始されています。このシステムがJアラートです。
そんな中、けさ、北朝鮮からミサイルが発射されました。午前7時6分ごろ北海道地方から太平洋に、そして、襟裳岬の東2,000キロメートル付近に着水しました。今回のミサイルの破壊措置実施はありませんでした。北海道から長野県まで広い範囲が対象地域となり緊迫した状況が続いています。
このような事態がたびたび発生していますが、実際に和歌山がJアラートの対象地域となった場合、多くの住民はパニックになると予想されます。防災行政無線や携帯電話への緊急速報メールで、避難への警戒メッセージが流れた場合、どのように行動したらよいのでしょうか。
少し前になりますが、担当職員との話の中で、内閣府のホームページにも載っていますと言われていましたが、どれだけの人がそれを見るでしょうか。今、全国各地でもミサイル発射を想定した訓練が実施され、テレビのニュースでも放映されています。先日の防災訓練でも取り入れる必要があったのではと今思います。
こうした情報を受けた場合、市民はどのように対応したらよいのか、広く市民に周知する手段をどう考えているのか当局の答弁を求めます。
次に、産業部の分離・再編により設置した商工観光部について今後の方針や取り組みについてお聞きします。
先日、日本政策金融公庫田辺支店長のお話を聞く機会がありました。国内の経済動向については、夏以降も底がたく回復基調で、実質成長率1%程度の推移を見込んでいる状況であるとのことで、近畿においては、前回判断の「やや持ち直している」から、「持ち直している」とされており、和歌山県においても近畿同様とされています。しかし、小企業に関しては、行先き不透明感はあるものの、持ち直しの動きが見られるとされています。田辺市内における経済の動向については、商工観光を担当する部局としてどのように認識しているのかお聞きします。
次に、地域未来投資促進法についてであります。これまでの企業立地促進法との関連について、またその狙いについて、今後田辺市にとってどのような展開になっていくのか、地域で生まれつつある新たな経済成長の動きに期待を込めて当局の答弁を求めます。
(16番 安達克典君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 16番、安達克典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 安達議員の御質問の機構改革のポイントについては私から、あとは担当部長からお答えいたします。
機構改革については、急速に変化する社会情勢に対応し、市民ニーズや行政課題などに適合した施策を迅速かつ的確に執行できる組織体制とするため、その時々の状況を踏まえて行っております。
具体的な経過を申し上げますと、平成17年5月の
市町村合併時においては、適正な管理を行う森林行政と定住促進施策等の山村振興行政を円滑に推進していくため、森林局を創設いたしました。
また、平成20年4月においては、各種施策の着実な推進とあわせて、行財政改革を積極的に推し進めていくため、政策調整部を企画部に、市民部と環境部を市民環境部に統合するなど、組織全般にわたり、効率的な運営を図るための機構改革を行いました。
近年においては、平成26年4月、価値創造プロジェクトに取り組むため、企画広報課内にたなべ営業室を設置し、また本年4月には、第32回全国健康福祉祭和歌山大会の開催に向け、やすらぎ対策課内にねんりんピック準備室を設置するなど、必要に応じた組織改正を行っております。
さて、今回の機構改革でありますが、本年が「未来へつながる新たな第一歩の年」として、10年先、20年先を見据え、「攻め」と「守り」の両面から未来につながる持続可能な
まちづくりを進めていくため、地方創生に向けた施策など、産業力をさらに高めていくための取り組みを推進する組織体制の強化、充実を図るため、産業部を商工観光部と農林水産部に再編するとともに、近い将来に発生が懸念されている南海トラフ地震や近年激化する風水害の発生に備えるなど、防災危機管理体制を強化するため、総務部内に新たに危機管理局を設置したところでございます。
今後も、社会情勢の変化に伴い、地方自治体に求められる役割が大きくなる中で、新たな行政課題等に的確に対応していくための組織体制の構築に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
危機管理局長、中野典昭君。
(
危機管理局長 中野典昭君 登壇)
○
危機管理局長(中野典昭君) 議員御質問のこれからの防災
まちづくりについてお答えします。
まず、今回の機構改革により新たに危機管理局が設置されたことに伴う庁内の危機管理体制についてでありますが、災害が発生した場合、または発生のおそれがある場合は、段階的に情報収集体制、警戒準備体制、警戒体制、災害対策準備室、災害対策本部の体制を取ることとしております。例えば風水害等の場合でありましたら、大雨、洪水、暴風、高潮等のいずれかの警報が発表されたときの初動体制として、警戒準備体制により対応を行うこととなります。その際、警戒準備体制の段階から
危機管理局長を責任者として対応に係る指揮、職員への指示を行うことにより、迅速な対応ができるよう体制を強化しました。
先般、8月7日に台風第5号が当地方に接近した際には、午前3時50分に職員体制を警戒準備体制とし、
危機管理局長の判断により午前7時30分には警戒体制に引き上げ、合わせて避難準備・高齢者等避難開始を発令するとともに、33カ所の避難施設を開設し、早期の避難を呼びかけるなどの対応を行いました。以降、各地域の状況に応じて避難勧告、避難指示の発令をしたところであります。
また、市域で相当規模の災害が発生し、または発生するおそれがある場合に設置する災害対策本部においても、災害対策本部の設置及び運営、災害対策本部内の各部の統括及び各部間の調整等を担当する総合調整部長に
危機管理局長を位置づけるなど、災害対応における役割を明確にし、防災危機管理体制を強化いたしました。
こうした体制を強化するとともに防災対策につきましても、あらゆる自然災害への備えを進め、特に津波避難困難地域解消対策事業や避難施設の環境整備を実施するほか、津波避難計画の策定や防災意識を高めるための訓練や学習会の開催など、ハード、ソフトの両面において総合的に施策を実施してまいります。
いずれにいたしましても、災害に対する事前の防災対策を進めるとともに、災害発生時には迅速な対応を行い、自然災害での犠牲者を1人も出さない「災害に強い
まちづくり」の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、田辺市防災訓練についてでございますが、災害による人的被害を軽減するため、地域住民が主体となった避難訓練・体験訓練を実施しているもので、地域防災体制の充実強化と防災意識の高揚を図ることを目的としております。この訓練は、市内を三つの区域に分けて毎年、実施しているもので、今年度はA地区が対象となっており、田辺地域では、西部・芳養谷地区、龍神地域では上山路地区、中辺路地域では栗栖川地区、大塔地域では鮎川地区、本宮地域では三里地区で実施いたしました。
訓練には、田辺地域1,311人、龍神地域394人、中辺路地域235人、大塔地域185人、本宮地域264人の合計2,389人の市民の皆様方に参加していただきまして、避難訓練の後、消火訓練、救急訓練、炊き出し訓練等の各種体験訓練を実施いたしました。
そういった中で、避難時間や避難経路が確認できた。また、自助だけでなく共助も高めることができたなどの感想をいただき、一定の効果は実感しておりますが、参加率は対象人口の1割強となっております。田辺地域におきましては、東日本大震災や紀伊半島大水害以前から比べると倍増はしているものの、まだまだ十分でないと認識しております。
また、この訓練の他にも、市内沿岸部の幼稚園・保育所を対象にした津波避難訓練や県主催のさまざまな訓練、地域においては自主防災組織などによる訓練も行われているところですが、市としましては、今後、さまざまな機会を捉え、より一層の市民の防災意識の高揚を図るとともに、訓練内容の充実や啓発活動を進め、1人でも多くの市民の方に参加してもらえるように取り組んでまいります。
次に、災害ボランティアスタッフの育成につきましては、市では大規模災害時に災害救援ボランティアセンターを設置することとしており、社会福祉協議会が運営を行うことといたしております。
こうしたことから社会福祉協議会では災害時相互支援訓練を実施しており、ボランティアセンターの役割や業務内容等を確認するなど、運営が円滑にできるようスタッフの育成に努めているところであり、市といたしましても、こうした取り組みと連携を図っているところです。
また、社会福祉協議会におきましては、熊本地震の被災地に職員を派遣しているほか、本市においても関西広域連合等の派遣要請に応じ、被災地へ職員を派遣し、避難所の運営支援、水道等のライフラインの復旧、給水活動などの活動を行っており、また、ボランティアとして被災地に赴く職員もいることから、こうした被災地での経験が災害発生時には生かされるものと考えております。
実際の災害時には、被災された方々のニーズに応じて多くのボランティアの皆様を的確に派遣することが求められることから、紀伊半島大水害の教訓を生かし、社会福祉協議会との連携を強化することで、ともに被災者に寄り添うことのできるボランティアセンターの設置運営に向けて取り組んでまいります。
次に、ミサイル飛来等の国民保護にかかる緊急情報につきましては、武力攻撃事態等の国民保護に係る緊急情報が発表された場合、国から全国瞬時警報システムJアラートにより各自治体に送信されることになっており、受信すれば防災行政無線が自動で起動し住民の皆様に瞬時に情報が伝達されるようになっております。
その際、住民の皆様におかれましては、最寄りの強固な建物に避難いただくことが第一でございますが、近くにそのような建物がなければ物陰に身を隠していただくなど、直ちに身の安全を確保する行動を取っていただく必要がございます。
弾道ミサイル発射時における避難行動等につきましては、市ホームページ掲載等を通じて、住民周知を行っているところでございますが、今後とも、さまざまな機会を通じて周知を図ってまいりたいと考えております。
(
危機管理局長 中野典昭君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
商工観光部長、早田 斉君。
(
商工観光部長 早田 斉君 登壇)
○
商工観光部長(早田 斉君) 議員御質問の3点目、産業部の分離・再編と今後の市の経済についてお答えします。
このたび、本市の産業力を高める取り組みを推進する組織の体制強化、充実を図ることを目的に、産業部が商工観光部と農林水産部に再編されました。商工観光部におきましては、世界遺産を初めとする各地の多彩な地域資源を生かし、観光並びに商工業の振興に努め、さらなる地域経済の活性化のため、
中心市街地を核とする各種事業や課題解決に、より細やかに取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
さて、本市の経済状況についての御質問ですが、全国的な景気動向としましては、雇用・所得環境の改善が続く中、各種政策の効果等により緩やかな回復基調にあると言われているものの、本市におきましては、基幹産業である梅産業が原料価格の高騰などにより厳しい状況になっており、また商業につきましても、人口減少と連動して経済規模が縮小しており、また商店街における空き店舗の増加など景気の回復を感じられるとは言いがたい状況にあります。しかしながら、観光産業につきましては堅調に推移しており、特に近年は外国人を含む来訪者が増加するなど、明るい兆しが見られる状況にあります。
次に、地域未来投資促進法についてでありますが、地域未来投資促進法とは、これまでの企業立地促進法が改正され、去る7月31日に施行された法律で、地域の成長発展の基盤強化を図ることを目的に、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域経済を牽引する事業を促進することを狙いとしています。
国が、地域経済牽引事業の促進に関する基本方針を定め、県及び市町村は、その基本方針に基づき、基本計画を国の同意を得て策定いたします。この基本計画に基づき、地域経済牽引事業を実施しようとする事業者等が地域経済牽引事業計画を作成し、都道府県等の承認を受けることにより、人材に関する支援、設備投資に関する支援、財政・金融面の支援、情報に関する支援、規制の特例措置などを受けることができます。
市としましては、この法律を契機に、市内の事業者から、地域の農林水産資源や観光資源などの特性を生かした新たなビジネスに挑戦し、地域経済を牽引する事業が生まれることを期待するとともに、今後、関係機関と連携を図り制度の活用促進等支援に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いします。
(
商工観光部長 早田 斉君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 安達克典君。
(16番 安達克典君 登壇)
○16番(安達克典君) 今、危機管理体制について防災訓練、ボランティアスタッフの強化、Jアラートそれぞれに御答弁をいただきました。今まさに台風18号が進路をこちらに向けようとしています。8月1日に就任された直後の8月7日には台風5号が紀伊半島に上陸し、その後、大きな被害もなく晴天が長く続き本日を迎えています。
ここ最近の台風の状況はまさに迷走台風となっています。ゆっくりゆっくりと進んでくるだけにその影響が心配されます。市内各中学校の体育祭が週末には予定されています。早め早めの情報提供と、明るいうちに避難施設への誘導、迅速な対応をよろしくお願いいたします。答弁にもありましたように、自然災害で犠牲者を1人も出さない「災害に強い
まちづくり」の構築を進めてください。
Jアラートにつきましては、午後の部で浅山議員も時を同じくして質問されるようでありますのでバトンタッチをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
産業部の分離再編は、今後の田辺市にとって非常に大きな意味を持つと思われます。それぞれに産業を個別に成長させていく、まさにきめ細かい施策と徹底した指導管理を行い、関係諸団体との連携を図り人口減少に歯どめをかける努力に期待いたします。
次に、観光施設の管理運営についてであります。道の駅は、平成5年の制度発足から24年が経過し、全国各地で広がり、現在北海道で119駅、東北で155駅、関東では170駅、北陸では78駅、中部127駅、近畿では145駅、中国では102駅、四国85駅、九州・沖縄136駅、計1,117駅が登録されています。
主に市町村が設置する道の駅は、地域の創意工夫で、特産品や観光資源を生かす場となり、多くの来訪者でにぎわうなど、さまざまな進化を見せています。地場産品等を扱う道の駅の総売上は、今や年間2,100億円を超え、コンビニチエーンにも匹敵する規模に成長し、雇用等の効果を地域に直接もたらしています。
和歌山県内におきましても、8月11日に太地町の国道42号沿いに道の駅たいじが完成オープンするなど、県下で34駅が登録されています。
道の駅たいじは、森浦湾を望む約5,100平方メートルの敷地内に建物を2棟整備、うち1棟は地域振興施設として、地元の物産販売コーナーや地元鮮魚などを味わえる食堂が整備されています。共有スペースも設けられ、体験型環境学習などに活用されるようです。もう1棟は情報提供施設として、観光パンフレットを置くなどし、太地の魅力や見どころを伝えるほか、問い合わせに応じる「観光コンシェルジュ」の配置も検討しているとのことです。
また、道の駅すさみでは、毎年すさみちマルシェというイベントが開催され、マグロの解体ショーや、災害復興トレーラーの展示、国交省のブースも設けられ地域の魅力を再発見し記憶に残るイベントが開催されています。
一方、田辺市においても道の駅が7駅あります。奥熊野古道ほんぐうは、JAみくまのとのコラボが実現し地域住民の利便性が以前より格段にアップされています。近露にある熊野古道中辺路は、熊野古道の観光案内として最近公衆トイレもリニューアルされ都会と山村の人々の楽しい出会いの場としてにぎわっています。ふるさとセンター大塔は、夏場川遊びを楽しむ家族連れなどで、連日大盛況となっており、この道の駅も公衆トイレもリニューアルされ利用者に喜ばれています。
紀州備長炭記念公園は、海外からの団体客、特に中国台湾の一行が観光バスで訪れ、さらには12月の山祭りや4月の桜まつり等でにぎわっていますし、喫茶部門の移転が予定されており、さらなる期待が寄せられています。
水の郷日高川龍游では、最近龍神そばに力を入れており、隣接するGワークスに訪れるお客さんに加え、バイクに乗って訪れるグループも週末にぎわっております。ウッディプラザ木族館道の駅龍神は、国道371号沿い霊峰高野山へと通じる高野龍神スカイラインの起点に位置しています。
龍神ごまさんスカイタワーはその名のとおり、田辺市龍神村と高野山とを結ぶ高野龍神スカイライン、国道371号の中間地点にあり、県内最高峰の龍神岳や護摩壇山を臨む高地に位置しています。木族館、ごまさんスカイタワーともに老朽化が進んでいます。スカイタワーの大きな問題点は、飲料水の供給であります。水源地からスカイタワーまでの間で、ふぐあいがたびたび起きています。これは行政局でもその都度対応してくれていますが、根本的に工事を行い、安全で安心して運営できる観光施設に市が責任を持って整備し直す必要があると思います。
木族館のトイレについても同様です。おもてなしができる状況にあるのか。進化する道の駅の機能強化について、特に、それぞれの道の駅の現状と課題、イベント等のあり方について、市内全域で全ての道の駅が連携して情報を共有し特色を生かした運営が今後重要となってくると思いますが、当局の答弁を求めます。
また、紀伊半島大水害発生とほぼ同時に、大規模な停電に見舞われました。電気を必要とする機器は全て使えなくなり、日常生活がいかに電気に依存していたかを実感させられました。道の駅は、多くの食品を取り扱っているため冷蔵庫が完備されています。このときは、冷凍食品を含む食品の保存に大きな影響を与えました。
災害時の拠点としても大きな役割を果たす道の駅には、常時自家発電装置の設置が必要であると思われます。ガソリンや軽油の燃料不足を想定し利便性の高いLPガスも使えるハイブリッド式の発電機能を整備できないか、あわせて当局の答弁を求めます。
次に、地域の特産品を生かした産業振興について、道の駅の地域産品の販売量の拡大について収集輸送手段の拡充についてであります。より多くの商品を確保するため各道の駅においても創意工夫がなされています。これは京都の事例ですが、京都丹後鉄道では、貨客混載輸送が行われています。
各農家で生産された農産品を、旅客とトラックにより、道の駅丹後王国「食のみやこ」まで輸送されています。
当地域においては、路線バスや住民バスによる貨客混載輸送ができないか、ネットワークをフルに活用し新たな取り組みを模索してみてはと思います。これについても当局の答弁を求めます。
最後になりますが、各温泉施設の現状と課題についてお伺いいたします。木質バイオマスの利用状況について、ここではチップボイラーの稼働状況についてお聞きするとともに、現在設置しているチップボイラーを改良しペレットを原料とするシステムに切りかえられないのかお聞きします。
7月に高知県で開催された全国森林環境税創設促進連盟総決起大会の記念講演では、公益財団法人自然エネルギー財団上級研究員の相川高信氏から、「森の恵みの現代的なエネルギー利用へ」と題し、森林とエネルギー利用について、まず熱利用からやってみようということで、地域における木質バイオマスエネルギーの重要性について貴重なお話をお聞きしました。
全国各地での取り組みが紹介される中で、規模に応じて機械がコンパクトになってきていること、そして、どちらかと言えばアナログであった機械も今やIT化が進み、常に通信機能を利用してふぐあいが生じている箇所をメーカーがチェックできる状況を見たときに正直驚きました。講演終了後、本市のバイオマス利用について状況をお話し、機会があれば各施設を回り診断していただけないかお話いたしました。
市、販売業者、指定管理者の信頼関係を保っていく上にも第三者専門家による診断が必要ではないかと思いますが、以上、当局の答弁を求めます。
(16番 安達克典君 降壇)
○議長(小川浩樹君)
商工観光部長。
(
商工観光部長 早田 斉君 登壇)
○
商工観光部長(早田 斉君) 議員御質問の観光施設の管理運営について、お答えいたします。
まず、1点目の道の駅の果たす役割についてのうち、市内の道の駅の現状と課題についてですが、現在、田辺市内には七つの道の駅が登録されており、その内訳は龍神地域に3施設、その他の田辺、中辺路、大塔、本宮の地域にそれぞれ1施設となっております。
各道の駅とも地方自治法に基づく指定管理者制度を導入しており、それぞれのノウハウをもとに、地域の特色を生かした管理運営を行っているところです。
一方で、施設設置後20年以上経過した道の駅もあるなど、年々施設の老朽化が進んでおり、適宜、修繕対応等を行っているところであります。
また、指定管理者の交代により業務形態が大きく変更した本宮地域の道の駅を除く、他の六つの道の駅における平成28年度の利用者数につきましては、約23万人であり、前年度と比較して約3万人減少しており、観光客を中心に道の駅に立ち寄っていただけるような新たな仕組みづくりについても、今後検討していく必要があると考えております。
次に、道の駅を活用したイベント等の実施状況についてですが、各指定管理者において自主的に開催されているイベントのほか、市内七つの道の駅と奈良県十津川村の道の駅において、圏域内道の駅連携事業委員会が組織されており、当該委員会におきまして、八つの道の駅全てを巡っていただくためのキャンペーンを実施しております。また、平成27年度には、本市で開催した全国道の駅連絡会総会に市内の道の駅から出展していただくといった取り組みも行ってきたところであります。
市といたしましても、議員御指摘のとおり、市内の道の駅が互いに連携し、より一層地域の特色を生かした運営を行っていく必要があると考えており、またハード面におきましても、今、議員が幾つかおっしゃっていただいた内容も踏まえ必要に応じた整備や修繕を実施するなど、各指定管理者とも十分に連携を図りながら、道の駅のさらなる機能強化に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、道の駅における地域特産品の販売量の拡大についてですが、現在、全ての道の駅におきまして、地元で生産された野菜や加工品、木工製品などの展示・販売を行っております。市といたしましても、地域特産品の展示・販売を行うことにより、立ち寄られた観光客を中心にPRできるとともに、販売を通じて地場産業の振興や地域の活性化に寄与しているものと認識しており、販売量の拡大については重要であると考えておりますが、施設によっては狭小な場所もある中、今後は各指定管理者とも協議を行ってまいりたいと考えております。
次に、地域特産品の収集輸送手段の拡充策として、路線バス等で運搬する、いわゆる貨客混載輸送の試験的な導入についてですが、まずは各地域においてそのようなニーズがどの程度あるのか見きわめる必要があると考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
続きまして、2点目の各温泉施設の現状と課題についての木質バイオマスの利用状況についてお答えいたします。
現在、国においては森林環境税の創設に向けた検討が進められており、森林の保全がますます重要な時代となってきております。木質チップの原料である間伐材の使用による森林の保全は、水源の維持、大雨時における洪水や土砂災害の防止、二酸化炭素を吸収することによる地球温暖化の緩和など多岐にわたる効果を生み出すものであり、大変、意義深いものであると考えております。
本市では、温室効果ガス排出抑制及び森林資源の有効活用等の観点から、平成22年度には田辺市龍神温泉センター及び田辺市龍神丹生ヤマセミの郷に20万キロカロリーのボイラーを、同じく近露休憩所には1万キロカロリーのボイラーを、また平成23年度には田辺市大塔富里温泉センターに17.2万キロカロリーのボイラーを設置し、それぞれ稼働させているところであります。稼働率につきましては、昨年度の実績では4カ所それぞれの施設の稼働率を平均いたしますと約39%となっております。
そうした中、一部のボイラー設備において、ふぐあいが生じている件につきましては、正常な稼働を続けられるようメーカーと密に連携を図りながら対応し、必要に応じて改修等を行っている状況であります。
議員御提言のペレット燃料の導入については、木質チップに比べ燃料費が高くなること、現在設置しているボイラー設備との調整が必要になることなどから、今後の稼働状況や原油価格の動向等も踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
市といたしましても、ふぐあいが起こる状況を改善する必要があると認識しておりますので、今後、改修、更新等の必要性や専門家による設備の診断なども含め、各温泉施設にとって最もよい運営方法について研究を進めてまいりたいと考えておりますので御理解賜りますようお願いいたします。
(
商工観光部長 早田 斉君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 安達克典君。
(16番 安達克典君 登壇)
○16番(安達克典君) 観光施設の管理について御答弁いただきました。常に利用者が快く立ち寄れる道の駅を目指して管理を努めていただきたいと思います。
また、チップボイラーのほうでありますが、この機会に専門家の診断を実施し、改良すべき点は改良し、効率のよい木質バイオマスの利用推進に努めていただきたいと強く願います。
以上で、今回の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(16番 安達克典君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 以上で、16番、安達克典君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(小川浩樹君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時45分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 市橋宗行君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 市橋宗行君) 続いて、3番、浅山誠一君の登壇を許可いたします。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) 皆さん、こんにちは。3番、篤志会の浅山誠一でございます。通告に従いまして質問をいたします。私は前職時代の8年間、人材業界に従事しており、「人の流れ」を生み出す支援をしてまいりました。今回、初めての一般質問ということもあり、私が生業としておりました「人の流れ」、特に今回は、田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略にかかる本市の移住施策についてメーンにお伺いさせていただきます。なお、お配りした補足資料ですが、1は田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略の概要、2は田辺市が作成した定住の相談件数と移住者数のデータになります。補足資料の1、2に目を通しながらお聞きください。
我が国の人口減少に歯どめをかけるとともに、人口の東京一極集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、平成26年11月、国は、まち・ひと・しごと創生法を公布し、同年12月には長期ビジョンと総合戦略を策定しました。翌、平成27年には各市町村で総合戦略が策定され、各自治体が人口減少に対して一斉に施策を打ち出されたことから、地域間での人材獲得が年々激化しています。
私は前職で自治体をサポートする立場だったのですが、移住者を順調にふやす自治体と人を呼び込めず、想定よりも人口減少が早まる自治体の2極化が進んでいる地方創生の現場を見てまいりました。
そこで(1)の本市の振興山村地域における移住施策についてお伺いします。
振興山村地域とは、旧4町村と旧田辺市の秋津川長野地域の県が指定する移住推進地域を指すのですが、本市は地方創生が叫ばれる前の平成19年より他の地域に先駆けて、移住推進に取り組まれ、今では和歌山県内の移住推進市町村の中で最も多くの移住実績を上げています。いま一度、「移住」の切り口で田辺市の強みを認識するためにも(1)の一つ目の質問として、なぜ田辺市が県内の移住推進市町村の中で一番の移住実績を誇るのか、その要因を当局はどのように認識されているのかお聞かせください。
次に今年度は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の5カ年計画における中間年度であり、PDCAのC、総合戦略の効果検証、チェックをすべきタイミングであります。資料の1にもございますように、平成27年に策定された田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げた「平成31年に年間60名の市を通じた移住者数を受け入れる」という重要業績評価指数(以下、KPI)の推移は、平成26年の30名から、27年37名、28年34名と増加傾向にはあるものの目標達成のためにはもうひと伸びが必要な状況となっています。
そこで、資料の2を確認ください。移住者を受け入れるためにまず第1の入り口である相談件数ですが、ピークであった平成24年の224件から昨年の152件と年々減少していることがわかります。昨年の相談件数152件は、過去6年で最低の数字でした。現在、田辺市として積極的に移住セミナーやフェアに参加されていることも存じ上げておりますが、自治体間の競争が加熱していることから移住相談件数の増加までの効果は得られていません。
私は、本市が掲げたKPI達成のためには、移住相談件数をふやすアクショシを強化しなければならないと考えています。移住相談件数をふやすためには、例えば、移住希望者が最も多くアクセスする一般社団法人移住・交流推進機構のウェブサイトへの露出度を高めるなど、さらなる方策が必要だと考えます。現在の状況を踏まえ、(1)の二つ目の質問として、田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略で掲げたKPI達成に向けて、当局はどのような取り組みが必要と考えているのかをお聞かせください。
続いて(2)のふるさと回帰、Uターンの促進に向けた取り組みについてお伺いします。平成27年度に策定された田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略では、出身者が戻ってくることを最も重要なテーマの一つとし、「Uターン促進施策の検討」が主な事業として挙げられていました。佐井議員が何度も質問、提言されておりますが、私自身、前職でさまざまな求人や10万人以上の転職希望者の履歴書を見てまいりましたが、Iターン者に比べて移住後の生活がイメージしやすいことから、移住促進の一番のルートはUターンだと確信しています。和歌山県には大学や専門学校が少ないことから、10代後半から20代前半の社会減が大きいことは仕方ありませんが、一度、田辺市から離れた人材へふるさと回帰を促すことは、本市が直面している急激な人口減少を食いとめるためにも必要不可欠であり、そのことは当局の皆さんも認識されているかと存じます。
そこでお尋ねします。本市におけるUターン促進施策の取り組みの現状と今後の方針についてお聞かせください。
続いて(3)の田辺市全域への移住促進に向けてお伺いします。現在、本市では
中心市街地活性化に向けた助成金や各種大規模事業、子育て支援の拡大など移住推進地域外であっても移住希望者にとって追い風となる施策が次々と打ち出されています。
9月4日の県政報告会で仁坂知事は、「田舎への移住者に並んで地方都市への移住希望者もふえており、田舎暮らしだけではなく、地方都市としても受け入れることができる田辺市の移住ポテンシャルは高い。」とおっしゃっておりました。実際、東京にある和歌山定住サポートセンターの方に伺うと、サラリーマンの子育て世代が地方都市の
中心市街地や郊外での転職を希望するケースが年々ふえているとのことでした。しかし、現時点で本市には移住促進地域外に当たる秋津川・長野地域を除く旧田辺市への移住相談窓口は設置されていません。実際、私の周りでも自分が住みたいエリアへの相談窓口がないため、白浜町や上富田町へ移住をしたという話も伺います。今こそ、田舎暮らしのできる田辺市から、田舎暮らしもできる田辺市ヘステップアップするタイミングなのではないでしょうか。
以上のことから、まず(3)一つ目の質問としまして、県内一の実績を持つ受け入れノウハウを移住推進地域外に横展開し、田辺市全域への移住推進を進めるべきだと考えるのですが、当局のお考えをお聞かせください。
次に、もう一度資料の1を確認ください。田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、新たな人の流れを創出するための主な事業として、「ホームページの充実」を挙げておりますが、本市の移住特設ホームページは「田辺市は田舎暮らしを応援します」のうたい文句で数年前に作成されたきり、大きな改修をされていないようにお見受けします。多くの移住希望者はインターネットやスマートフォンの普及により、まずはインターネット上で情報収集を行います。実際、龍神へ移住された方に話を聞くと、インターネット上で移住×起業補助金で検索をかけ、熊本県・長野県・和歌山県を候補地に絞り、現地見学に出向いた上で龍神への移住を決めたとのことでした。
現在、1,350を超える自治体が移住促進を掲げておりますので、あふれる情報の中で田辺市を選んでいただくためには、戦略的な独自の情報発信が必要だと考えます。例えば、一般的に人が移住を考えるタイミングとして、就職、転職、結婚、出産、子供の進学、家族の介護、定年等、人生の節目のタイミングが挙げられ、その都度、必要な情報は変化します。
そこで(3)二つ目の質問です。幅広い世代、さまざまなニーズに訴求するためにも田辺の魅力を多角的に表出し、あらゆる場面、田舎暮らしだけではない、あらゆる地域での生活イメージが持てるような、移住特設ホームページの刷新を軸とした田辺ならではの情報発信の強化が必要だと考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
以上、移住施策について3項目質問させていただきます。御回答よろしくお願いします。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 3番、浅山誠一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えいたします。まず、振興山村地域における移住施策についてのうち、県内の移住推進市町村の中で、移住実績の最も多い要因についてでありますが、本市では、平成19年度から田辺市定住支援協議会を立ち上げ、森林局に担当職員を配置し、移住推進に取り組んでまいりました。この結果、10年間の累計で228人と、県内で最も多い移住者を受け入れています。
その要因といたしましては、本市が有する魅力的な自然や世界遺産を初めとする地域資源に恵まれていることが、移住者のニーズに合致しているからであると考えております。
また、受け入れが増加するにつれ、地元と移住者の間に信頼関係が築かれ、さらなる受け入れにつながる、このような好循環の連鎖も生まれていることも要因であると考えております。
続きまして、田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略で掲げた重要業績評価指数の達成に向けてについてお答えいたします。
総合戦略では、市を通じた移住者数の目標を、平成31年度に60人と定めております。今年度は、8月までに28人を受け入れておりますが、移住相談につきましては、平成24年度の224件がピークとなっております。この背景には、自治体間での競争が激化していることなどが挙げられます。
このような状況でありますが、市といたしましては、引き続き首都圏など、都市部での移住フェアやセミナーに積極的に参加するとともに、移住希望者に対するきめ細かな相談対応など、総合戦略で掲げた重要業績評価指数の達成に向け、幅広い取り組みに努めてまいります。
次に、ふるさと回帰、Uターンの促進に向けた取り組み状況についてお答えいたします。
議員のお話にもありましたとおり、田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、出身者が戻ってくることを最も重要なテーマの一つとし、大学卒業や結婚等の転機において、ふるさとに帰ろうと選択してもらえる施策を充実していくことを目標に掲げております。これまでの取り組みを申し上げますと、毎年8月に開催するUターンフェアについては、和歌山県、商工会議所、商工会との連携のもと、今年度はITコーナーを設けるなどの充実を図ったところです。また、今年度の新たな取り組みとしましては、和歌山大学の御協力を得て、庁内で横断的に連携し、大学生の意識調査を行いました。
他にも、本市の基幹産業である農林水産業においては、農家の経営安定化や農業次世代人材投資事業を初め、林業や水産業の担い手確保策を通して、Uターンを含む定住促進を図っているところであります。
さらに、昨年度から開始した、たなべ未来創造塾につきましても、新たなビジネスを生み出すことができる取り組みとして、市外・県外へ情報発信することにより、Uターンを考える方にとって後押しになるのではないかと考えております。
なお、本市の学校教育におきましては、郷土の魅力や価値を学ぶ「ふるさと教育の推進」に取り組んでおりまして、平成27年度、28年度には、市内全小中学校が参加し実施した語り部ジュニア発表会は、内外から大きな評価をいただくことができました。こうした、将来を担う子供たちへの郷土への愛着と誇りを育む取り組みは、将来のUターンにつながることが期待されるものであると考えております。
議員から、これまでの経験を通じた実感として、Uターンが移住促進の1番のルートであるとお話をいただきましたが、私どもといたしましても、本市の新たな人の流れを創出するためには、地元出身者の回帰を促すことが有効な方策であると考えており、今後もふるさと回帰の推進に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますようお願いいたします。
次に、市全域への移住促進に向けて、県内一の実績を持つ受け入れノウハウを移住推進地域外に横展開できないかとの御質問にお答えいたします。
本市では、山村地域の振興のため、都市部の田舎暮らし希望者をターゲットとして、移住推進に努めてまいりました。こうした中、本市の人口動態につきましては、山村地域のみならず、市街地や中山間地域も含めた市域全体で、人口減少が進行している状況です。
本市の市街地や中山間地域につきましては、県の移住推進地域に指定されていない地域ではありますが、移住希望者の中には、これらの地域を求める方もふえつつあり、こうした移住者層のニーズに対応して、市全域での移住定住の増加に結びつけていくことが重要であります。このため、町なか移住の取り組みは商工観光部を担当部として、今年度は、これまで山村部のみ導入していた地域おこし協力隊を市街地に導入して、増加する空き家、空き店舗等の遊休不動産を活用した町なか移住や、町なかにおける起業サポート等に取り組むこととしており、これまでに培ったノウハウを十分生かしながら、新たな移住者層の受け入れに努めてまいります。
続きまして、市独自の情報発信を強化してはどうかについてお答えいたします。
本市では、定住支援協議会のホームページを活用し、地域紹介や移住者の体験談を発信するなど情報発信に努めているところですが、その構成は議員も御指摘のとおり、田舎暮らしを柱としたものであり、現在作成から数年が経過していたことから、このホームページのリニューアルを検討しております。
今後につきましては、新たな移住者層の獲得に向け、市域全体の移住推進を図るため、移住希望者の動向を踏まえた情報ツールの再構築が必要であり、他の地域の事例も参考にしながら、効果的な情報発信を実施してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、市域全体で人口減少が進行する中で、今後、地域のコミュニティを維持するためにも、移住者の受け入れにより、新たな人の流れを創り出すことが重要であります。
この実現に向けましては、本市の魅力を継続的に発信するとともに、移住者が住み続ける場所として、選択していただけるよう、庁内一丸となって取り組んでまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) 市長から御答弁いただきました。
まず、(1)振興山村地域における移住施策について、1点目の県内の移住推進市町村で移住実績が最も多い要因として、地域資源に恵まれている点と新たなコミュニティができ、好循環が生まれている点を挙げていただきました。また2点目の重要業績評価指数の達成に向けては、都市部でのフェア等への積極的な参加、移住希望者に対するきめ細やかな相談対応など幅広い取り組みに努めたいとの回答をいただきました。今回の質問に向けて田辺に移住された10数名の移住者とお話させていただきましたが、皆さん口をそろえて「ワンストップパーソンや行政局の方は本当に手厚いフォローをしてくださり感謝している。」とおっしゃっていました。
移住者は平日の日中、仕事についていらっしゃる方も多いため、土日、夜間も関係なく相談していた方も少なくありませんでした。実際、ワンストップパーソンの方や各行政局の移住担当の職員さんが他の業務を持ちながら、今の倍近い移住者を受け入れ、積極的に県外の移住フェアに足を運び、かつ、きめ細やかな相談対応を取ることは物理的にも、労務管理上でも難しいのではないかとお見受けします。掲げられた目標を達成するためにも職員の増員や一部地域で進んでいる窓口の外部委託を含めた組織のあり方をぜひ検討いただくようお願いします。
続いて(2)ふるさと回帰の促進に向けた取り組み状況について、ふるさと教育の推進、Uターンフェアの御紹介いただきました。これらの取り組みは、ふるさと回帰を促す上で大変重要な役割を持っていると思いますので、さらなる磨き込みを行い、よりよいものにしていただければと存じます。
今年度に策定された第2次田辺市総合計画の第2章、政策「活力」施策4の仕事においても、「ふるさと回帰を促進する施策を検討します」となっており、田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定から、ふるさと回帰を最も重要なテーマと掲げながら、ふるさと回帰を促進する施策を2年間も検討し続けている状況と受け取れます。
我々、篤志会では、7月末に政務活動費を使って、総務省へ地方創生についての勉強会に行ってまいりました。勉強会では、地方創生の成功事例として、宮崎県日南市を一番に取り上げておりました。日南市では、民間のスピード感を合い言葉に、実績を残されているようで、地方創生にはスピード感が大切だと学んでまいりました。
こちらの第2次田辺市総合計画の第1期実施計画の中には、106の関連事務事業の項目で担当課が割り振られているのですが、「ふるさと回帰(Uターン促進事業)」とほか一つの2事業のみ担当課が割り振られていません。ふるさと回帰は、さまざまな課にまたがるため難しい点もあるかと存じますが、ぜひどの課が中心となって事業を引っ張っていくのかを決め、新規のUターン促進事業を打ち出し、力強く前に進めていただくことを要望いたします。よろしくお願いいたします。
最後に(3)市全域への移住促進に向けてですが、1点目のノウハウの横展開については、「町なか移住の取り組みは商工観光部を担当部として新たな移住者層の受け入れに努めたい」、2点目の市独自の情報発信については、「ホームページのリニューアルを検討、情報ツールの再構築が必要」と市全域への移住促進に期待の持てる回答をいただきました。
宝島社が発行する「田舎暮らしの本」にて2017年度版住みたい田舎ベストランキングの全国第3位に入った人口5万人強の富山県南砺市ですが、従来の縦割り組織を再編し、南砺で暮らしません課という移住相談をワンストップで受け入れる専門の課を平成26年から新設し、定住奨励金や民間賃貸住宅居住補助金をあわせて打ち出したことで、昨年度は97組200名の方が移住されたそうです。
この南砺で暮らしません課には、現在12名が在籍しており、シフトを組んで土日祝も朝10時から夜21時まで相談できる体制を敷くなど、他の地域と差別化された移住支援が行われています。今回、本市でも新たに始まる町なか移住の取り組みも、南砺市のように特色ある取り組みになることを楽しみにしております。また、機会損失を防ぐためにもホームページのリニューアルもぜひ早期に進めていただければと存じます。
人生100年時代と呼ばれるこの時代において、次の世代によい形でバトンを渡すために、我々現役世代は人口減少問題と向き合わなくてはならないと考えています。
今回、私は移住の切り口で質問いたしましたが、人口減少を取り巻く問題の解決に向けてはいろいろな山の登り方があると思います。田辺市の未来のために、私自身、人口減少問題と向き合い続け、当事者意識を持って汗をかいていきたいと考えておりますので、市長のお言葉にもあったように、庁内一丸となって新たな人の流れを創り出す取り組みに励んでいただければと存じます。
続きまして、全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達ついてお伺いします。
先月29日に続いて、本日の朝、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本の上空を通過し、襟裳岬の東の太平洋上に落下するという我が国の安全保障にとって重大な脅威である事案が発生しました。先月29日と本日、国は全国瞬時警報システムを使って一斉にミサイル発射の情報伝達を行いました。先月29日のミサイル発射の際には、12道県の617市町村に全国瞬時警報システムを使って避難を呼びかけたところ、9道県の24市町村で機器のふぐあいなどによるトラブルが起き、北海道の北広島市などでは住民周知用の屋外スピーカーがなく、住民に情報伝達されなかったことがニュースとなりました。
また8月18日には、中四国地方の9県と202市町村で全国瞬時警報システムを使用した訓練が行われ、8自治体でふぐあいが発生するなど全国的にシステムのトラブルが問題となっています。本市においても年に一度行われる全国瞬時警報システムー斉情報伝達訓練において、平成24年、25年、28年と過去3回、機器のふぐあい等で防災行政無線が作動しないトラブルが発生しました。
そこで(1)の質問です。当市における全国瞬時警報システムは現在、どの程度の頻度で導通点検と機器の維持管理をされているのでしょうか。また広大な田辺市の中で防災行政無線が聞こえないエリアはないのか、聴覚障害をお持ちの方への情報配信についてもあわせてお聞かせください。
続いて(2)の市民への周知を図るための取り組みについてです。本市では、南海トラフ巨大地震を想定した防災訓練や学校教育などにより、地震や津波災害発生時の対応について市民の皆さんの理解が進んでいるかと存じます。一方、先日の北朝鮮による弾道ミサイル発射時にも問題となり、午前中の安達議員もお話されておりましたが、市民の皆さんの中で、武力攻撃事態等の情報が流れた際の対応を心得ている方は少ないとお見受けします。
本市では、現在、ホームページにて「全国瞬時警報システム(Jアラート)による放送を聞いたときの対応」として市民の皆さんへ情報提供されていますが、ホームページの情報だけでは市民への周知は不十分であり、広報田辺に掲載するなど、さらなる周知を図ることが必要だと考えるのですがいかがでしょうか。
以上、2点についてお聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君)
危機管理局長、中野典昭君。
(
危機管理局長 中野典昭君 登壇)
○
危機管理局長(中野典昭君) それでは、議員御質問の2点目、全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達について、お答えいたします。
まず、本市における導通点検についての御質問ですが、全国瞬時警報システムにつきましては、昨年度、気象庁において、当市に対する気象警報等の発表区分を細分化、5分割していただいた際に、それに対応するためにシステムを改修いたしました。
その後に行われました全国瞬時警報システムー斉情報伝達訓練において、改修時の機器の設定にふぐあいが生じたため、防災行政無線が作動しない事態が発生いたしました。
市といたしましては、この事態を重く受けとめ、早々に機器の再設定を行いました。その後に行われた再訓練において、ふぐあいの解消を確認しておりますので、現在は確実に市民の皆様に情報を提供できる状態になっております。導通点検につきましては、国が年1回実施しております全国瞬時警報システムー斉情報伝達訓練において確認しており、関係機器の維持管理につきましても、定期的に点検を行っております。
また、防災行政無線につきましては、難聴エリアがないように、屋外スピーカーを配備しておりますが、防災行政無線放送は気象状況等により、聞きづらいことがあることから、これらを補完するために防災行政メール及び防災行政テレフォンガイドの運用を行っております。
聴覚障害者への情報配信といたしましては、防災行政メールを御活用いただくほか、希望される方に対しましては、防災行政無線の内容をファクスによりお届けいたしております。
また、国民保護情報、津波情報及び避難情報等につきましては、国、県または市が緊急速報メールを使用し、情報を配信するようになっております。
次に、市民への周知を図るための取り組みについての御質問でございますが、弾道ミサイルにつきましては、発射から着弾までに十数分しかないことから、防災行政無線等により情報を傍受した際には、直ちに身の安全を確保する行動を取る必要がございます。
弾道ミサイル発射時における市民の避難行動につきましては、市ホームページに掲載しておりますが、現在国際情勢が不安定なことから、今後はさらに広報田辺、防災学習会及び講演会等、さまざまな機会を通じて住民に周知してまいりたいと考えております。
(
危機管理局長 中野典昭君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) 周囲の市民の皆様からも田辺は大丈夫かと聞かれるのですが、本市の全国瞬時警報システムにおいては、現在は確実に市民の皆様に対して情報を伝達できる状態になっているとの回答をいただき安心いたしました。また、住民への周知を図るために広報田辺、防災学習会及び講習会等のさまざまな機会を通して周知していくとの回答をいただきました。
全国瞬時警報システム(Jアラート)とは、弾道ミサイル情報、津波警報、緊急地震速報など、対処に時間的余裕のない事態に関する緊急情報を国から住民まで瞬時に伝達するシステムであり、有事の際に、ふぐあいがあり作動しなかったでは済まされないシステムであります。また情報を受け取った住民が適切な対応を取るか否かで被害の大きさも変わってくるかと存じます。全国瞬時警報システムが鳴らない平和で穏やかな日々が続くことを祈りつつ、市当局におかれましては、田辺市の危機管理を担う組織として、日ごろからの全国瞬時警報システムに関する点検の徹底と市民の皆さんに向けた周知の徹底をお願いして、私の一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 市橋宗行君) 以上で、3番、浅山誠一君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 市橋宗行君) この場合、1時45分まで休憩いたします。
(午後 1時34分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(小川浩樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時45分)
○議長(小川浩樹君) 続いて、5番、川﨑五一君の登壇を許可いたします。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 5番、日本共産党の川﨑五一です。通告に従いまして、一般質問を行います。
まず、1問目、公共交通の着実な充実のためにというテーマで質問させていただきます。平成27年、一昨年3月に策定された田辺市公共交通再編計画というものがありますが、これをいかに実のあるものにしていくかという観点から議論をしたいと思っています。公共交通再編計画には、計画の背景と目的というページもあるのですが、再度皆さんにもおわかりいただくために確認のためにお聞きします。
この公共交通再編計画策定の目的とは何でしょうか。簡潔にお答えください。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 5番、川﨑五一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
企画部長、小川 鏡君。
(企画部長 小川 鏡君 登壇)
○企画部長(小川 鏡君) 公共交通再編計画策定の目的につきましてお答え申し上げます。
田辺市における公共交通につきましては、平成25年10月、市内を運行するバス事業者各社から周辺の自治体も含めまして広域的な減便・廃止を含む再編方針が示されたことから、交通事業者を初めとする関係機関等との協議を重ねてまいりましたが、赤字バス路線の継続は困難という状況を踏まえ、平成26年10月には路線バス6路線の減便と11路線が廃止されたところであります。
こうした中、市内における円滑な移動を確保するためには、地域公共交通のあり方を長期的な視点で考えていく必要があることから、持続可能な公共交通の維持ができる仕組みを検討しながら、市内各地域における利用の実情や観光客の二次交通としての公共交通整備を視野に入れ、より効果的で実践的な移動手段の確保に取り組んでいくことを目的として、田辺市公共交通再編計画を平成27年3月に策定したものであります。以上です。
(企画部長 小川 鏡君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 企画部長から御説明いただきました。今の答弁の内容というのは、再編計画の1ページに背景と目的ということで書かれています。今おっしゃったとおり、動機が非常に受動的なものだったと。実際は路線バスの再編によって非常に減便、廃止が行われているということで、これに何とか対応しなければならないというところが主たる要因だったと書かれているのですが、その中で一時的な代替運行等を行ってきたけれども、今後の地域公共交通のあり方を長期的な視点で考えていく必要がありますと書かれています。
また、最後に言われた「より効果的、実践的な移動手段の確保に取り組んでいくことを目的」ということですが、それでは、こういう計画を一昨年つくったのですが、計画を着実に推進していくためには、一体どのようなことが必要かと。今、着実に進んでいるという認識なのかどうかということもありますが、これを進めていくためには、どういったことが必要になるとお考えでしょうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 企画部長。
(企画部長 小川 鏡君 登壇)
○企画部長(小川 鏡君) 計画の着実な推進のために何が必要かということに、お答え申し上げます。
再編計画にも示しておりますが、計画を着実に推進していくためには、本市の公共交通において、改善等が求められるさまざまな課題があります。広大な面積を有する本市においては、地域ごとに異なる地理的な特性があり、特に行政局管内においては、小規模集落が点在する中、集落機能の低下が深刻化している地域もあり、少子高齢化も進行しております。
また、旧田辺市地域においても、商業施設等が
中心市街地から郊外へ立地する傾向が見られ、高齢化と自動車依存の同時進行という課題もあります。
さらに、移動手段を持たない住民の方々に対する通院や買い物など日常生活を支える活動への支援につきましても、課題であると考えております。こうした中で、公共交通再編計画を着実に推進していくためには、計画内に示しております、地域ごとの再編方針等に基づきまして、刻々と変化する地域の実情や課題を十分に踏まえるとともに、交通事業者や関係機関とも連携を図りながら、再編計画の目的でもあります最適かつ効率的な交通サービスを見出してまいりたいと考えております。
以上です。
(企画部長 小川 鏡君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) この公共交通再編計画、非常にすばらしい内容だと常々思っておりまして、恐らく一番、一般質問でも取り上げさせていただいていたのですが、書かれている内容でいうと、本当に費用輸送規模ともに小規模で柔軟性の高い移動手段の導入検討が必要と書かれていて、まさにそのとおりだと思いますし、基本方針の1と2があるのですが、その2のほうでは、公共交通の持続的な運行に向けた支援策に取り組むということで、地域住民、交通事業者、行政等公共交通に係るさまざまな主体が介して、地域の移動のあり方や将来像を検討していく場の設置を推進するということも書かれております。
ということで、これが着実に進めば、本当に住民の不安は解消されると思うのですが、なかなか実際これがうまくいっていないという状況がある。公共交通の充足度に対するアンケート、何年後かには数値を上げるのだと言っていた目標値は、残念ながらバスの再編によって実際は下がってしまっている。非常に公共交通が充足していると感じる人たちが減っているということですから、これは格段の努力が必要になってくると思うのですが、そうした中で計画を着実に実行するための実施計画、何年にはこういうものをやるのだという年限を切った取り組みが必要ではないかと思うのですが、こうした実施計画を策定するという考えはお持ちではないでしょうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 企画部長。
(企画部長 小川 鏡君 登壇)
○企画部長(小川 鏡君) この計画を実行するための実施計画を策定する考えはないのかという御質問にお答え申し上げます。
公共交通再編計画におきましては、地域の実情に応じた公共交通体系の再構築及び公共交通の持続的な運行に向けた支援策に取り組むことを基本方針に掲げ、緊急的に対応が必要な課題から、順次、再編のための施策を展開してきたところであります。
平成27年4月以降の主な取り組みといたしまして、旧田辺市地域においては、平成27年10月から西原線を整理統合した上で、市が所有する小型車両を活用した民間路線バス事業者による運行を開始した長野線や、本年10月からは、上芳養線についても利便性の向上を見据え、路線の一部を見直した上で、同様の運行を開始することとしております。
また、龍神地域につきましては、平成27年9月末の上十津線及び平成29年3月末の龍神線における路線バス事業の廃止に伴い、住民バスを運行しているところであります。
さらに、中辺路地域においては、平成27年10月に市直営による外出支援事業を開始したほか、本年8月25日から栗栖川と近露地区を結ぶ住民バスの運行を拡充するとともに、本宮地域におきましても、平成28年度から住民バス武住・野竹・大瀬線の開設、また、本年10月からは、土河屋・本宮大社間や久保野地区内への住民バスの乗り入れを開始することとしています。
こうした取り組みを踏まえ、本市におきましては、今後も平成26年度末に策定しました公共交通再編計画を基軸として、地域の実情に適した、よりよい公共交通の実現に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
(企画部長 小川 鏡君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 以前に行政の責務、住民が移動する権利を確保する責務があるかどうかというのを議論したこともあるのですが、そこを明確にする必要があるのかなと思っております。実施計画というのは当局がつくるものですが、こうした住民の基本的な権利であったり、また行政の責務というのは条例で定めることができますし、この条例というのは議会からも出せますから、こういうことにも取り組んでいきたいと考えております。
この再編計画の64ページには、さまざまな交通形態、交通モードの分類イメージということで、公的な乗り物、利用者が不特定多数というところで、対極に鉄道があり、その対極にマイカーというのを据えています。その間にずっといろいろな選択肢があって、鉄道の次は路線バス、住民バス、そして乗り合いタクシーというのを既に公共交通の再編計画は2年前のものにそういうものがあると選択肢として挙げられていますので、昨日は久保議員も旧市内でも困っている人たちが多いということを取り上げましたが、ぜひともそういった形で着実に進めていっていただきたいと思いますし、できる限りの協力もしたいし、自分たちも積極的な提案を行いたいと思います。
ということで、1項目めの質問については終わりまして、2項目め、市庁舎移転に関する疑義についてということで質問させていただきます。
本来でしたら、こうした問題というのは特別委員会でもっと十分に審議すべきだと思っております。ですが、候補地選定は決定済みだというのが特別委員会での他の議員の認識で、一般質問でやればよいと言われましたので、一般質問でさせていただきます。
庁舎の移転候補地選択にはさまざまな疑念を持っております。ぜひともその疑念を晴らしていただける答弁を期待して質問を行います。
(1)移転候補地選定に関する疑義についてですが、まず1点目、そもそも庁舎というのはどのような機能を有すべき施設なのか。どういった機能を期待されるのかということをまず確認したいと思います。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 地方自治法第238条第4項の規定において、行政財産は、「公用」と「公共用」の財産に区分されておりますが、庁舎は、地方公共団体がその事務または事業を執行するために直接使用することを本来の目的とする公用の財産に位置づけられています。そうしたことから、市の庁舎とは、市の事務所である建物と考えており、執行機関と議会が使用することが基本になります。
加えて、地方自治法第4条第2項に、事務所である庁舎の位置は、「住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなければならない」と規定されており、庁舎は市民の皆さんが利用することを基本に考えたものでなければならないと考えています。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 今、自治法に基づいて御答弁をいただきました。基本的には、職員が執務をする場所、業務を行う場所であるということ。そして、今回の移転の目的というのがやはり津波の浸水想定地域に現庁舎があるという中で、災害対応拠点となるべく、それにふさわしい場所を探すという、きのうの市長の答弁でも災害対応拠点だという御答弁がありました。
特別委員会で市民が集う場所という御答弁もありましたが、利用しやすいということでは当然必要性がありますが、集う場所というのが主たる目的ではないと考えております。
そして2点目にお聞きしたいことは、移転候補地を選ぶときに3条件を挙げました。一つは、必要な面積が確保できること。そしてもう一つは浸水想定地域でないということ。それから3点目が
中心市街地から近いという理由を挙げたのですが、
中心市街地から近いという理由の条件の根拠、そしてまた近いという定義というのはどういうものか、お聞かせいただきたいと思います。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長、松川靖弘君。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。候補地選定調査における候補地抽出要件のうち、
中心市街地から近い場所であることについてでございます。
まず、
中心市街地の定義についてお答えを申し上げますと、
中心市街地活性化基本計画で設定している
中心市街地の区域とし、そこからの近さの目安として、公共交通機関が集まっている
JR紀伊田辺駅からの最大徒歩圏1,280メートルの円内を基本として抽出することといたしました。
この最大徒歩圏1,280メートルにつきましては、一般社団法人交通工学研究会の「駅前広場・駐車場とターミナル」におきまして、駅からの交通手段を徒歩と考えた場合の最大範囲とされているものでございます。
また、地方自治法第4条第2項に、市役所の位置について、「住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係等について適当な考慮を払わなければならない。」と規定されていることから、交通の事情を考慮するに当たりましては、自家用車だけではなく、鉄道、バスといった公共交通の集結点である
JR紀伊田辺駅からの徒歩によるアクセスという観点から、駅から直線距離で近い順に候補地を抽出したものでございます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 今、駅からの徒歩圏内1,280メートルということで、資料をお配りしていますが、この資料1がハザードマップと候補地選定のときに使った円と一緒に入れさせてもらった図ですが、外側の円が1,280メートルということです。お答えにありました利便性、自治法4条でいうところの利便性ということですが、整備方針を検討するに当たって、住民にとってアンケートがありますが、これでは自家用車、自家用バイクだけではだめだと。公共交通ということを言われましたが、自家用車、バイクで来庁される方が9割という回答が出ています。結果が出ています。車での来庁のしやすさを求めるというのが45%にも至っているというのがこのアンケートの結果です。
整備方針、調査報告書というのがあるのですが、ここでは合併により広い自治体となったため市域の全てのエリアから利用しやすい位置を検討すべきであると。こういうようなことも言われています。
そして、先ほど企画部長の答弁にもあったのですが、公共交通再編計画にも書かれているのですが、商業施設を中心として市街地中心部から郊外へ立地移転の傾向がある。実際、利便性がよいところが駅というところからバイパス、国道のほうへ移っていっているという現状があります。そんな中で、私は
まちづくりについても商業エリアと居住エリアというのをすみ分けをしていく、
まちづくりのグランドデザインが必要ではないかと考えています。
今、御答弁はありませんでしたが、
中心市街地の
まちづくりを考えた上で、この位置を決めたということではなく、今言われた利便性ということだけで言うのであれば、当然のことながら、こういったバイパスとのアクセスが重要な観点になるのではないかと思います。
また、その自治法にかかわって、交通の事情と言われましたが、1,280メートルまで行けるということで、実際、候補地選定、整備方針の中でも郊外エリアに建てているところもあるということで、実際ここで例示されているのは海南市、伊賀市、燕市というところの例示もされておりますから、そういった地域へ建てることが決して地方自治法第4条に反するということにもならないと考えます。
実際問題として、中核的な医療機関であります紀南病院、機能性を最優先に立地を選んだ消防本部、そして西牟婁振興局、大型小売店舗のパビリオンシティやAコープ、そして災害物資及び支援の受け入れ拠点と想定されているスポーツパーク、主要施設がバイパス沿線に立地しているというのが現実問題ではないかと考えています。その中で、3候補地が選ばれたということですが、3候補地の抽出から特定までの疑義についてお伺いしたいと思います。
候補地を円内で探すときに、造成という手法は検討されたのか。単に平地だけではなくて、切り取り、かさ上げ、埋め立て等も検討して候補地を探されたのでしょうか。お聞かせください。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
候補地選定調査におきましては、必要な敷地面積を確保できること、津波・洪水の想定浸水域外であること、
中心市街地から近い場所であることの三つの抽出要件によりまして、3カ所の候補地を抽出しましたが、その中で、愛宕山及び宝来町の候補地につきましては、山林を造成する内容でございました。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) この資料1で見ていただくとわかるように、AとBというところが、今おっしゃったところですが、どちらも切り取りです。山林を切り開いてつくるということです。浸水想定域外だと言われましたが、浸水想定域であっても、かさ上げをすれば立地の可能性があるところというのは、この地図上ではあります。この地図を先日ずっと見ていて思ったのは、Bの真上、若干柿色になっている部分、土地でいうと下万呂と字が書いてあるのですが、読みにくいですが、ここは浸水想定が2メートルまでということですが、結構広い平野部になっています。こうしたところをかさ上げをすれば、候補地として挙げられないかどうか。そして、駅からの最大徒歩半径1,280メートルにも入っていますし、切り取りなら検討するけれども、そうしたかさ上げは検討しないという理由は何なのかと思いました。
また、バイパスの隣接地ということであれば、他市から車で来られた方たちにもランドマークとしても非常によい場所かなと。私はとりわけこの土地に何か関連があるわけではないのですが、地図を見ていて、なぜこの土地は候補地として上がらなかったのかなという疑問を得ました。そして、見ていただきたいのは、小さいほうの円です。徒歩圏域580メートルになるのですが、この円の中、実測したわけではありませんが、ほぼ6割ぐらいは浸水想定域になっています。駅を中心としたエリアはほとんどが浸水想定域になっているということですが、そうした中で、三つを選んだということです。その三つを選んで、それぞれの候補地に対する長所、短所の洗い出しというのは十分に行われたと認識されているでしょうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 候補地選定調査におきましては、庁舎整備方針検討委員会の答申及び地方自治法を踏まえまして、候補地を評価する重要かつ根幹的なポイントとして、五つの評価項目の柱を設定いたしました。
一つ目は、「津波・洪水の想定浸水域外」という答申内容から、市民の安全・安心を支える災害対策拠点としてのさらなる安全性の確保について、二つ目は、「
中心市街地から近い場所」という答申内容から、引き続き
中心市街地の
まちづくりに取り組むに当たりまして、
中心市街地との連係性について、三つ目は、「両庁舎機能の統合」という答申内容から、統合により利便性や効率性が向上しますが、さらに利用しやすい庁舎とするため、地方自治法第4条第2項に規定する住民の利用に最も便利であるための交通の事情、アクセスの利便性について、四つ目は、「早期の整備」という答申内容から、各候補地の
整備計画案で明らかになった課題、早期整備の実現性について、そして、五つ目として、地方自治法第2条第14項の「最小の経費で最大の効果を挙げるよう」との規定による費用について、この5本柱について、それぞれ評価項目を設定し、各候補地の長所や短所を洗い出しまして、比較評価をした結果、「安全性」「連係性」「利便性」から、東山の候補地を最もふさわしい場所として選定したものでございます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 三つの候補地を挙げて、最もふさわしい場所を選んだということですが、まず一つは、今度の議案でも出てきますが、三つの候補地を選ぶときに、交通調査すら行っていない。どれぐらい周辺の交通量があるかということの交通調査すら行わずに選んでいること。そして、時間的には、選択までの時間ですが、昨年の8月に調査整備方針検討委員会が高台移転の方針を答申しました。
そして2カ月後、候補地選定業務を委託しました。それが昨年の10月です。そして1月に候補地、三つの候補地を選びました。そして2月に初めてオークワに候補地としての打診を行ったという話です。そして3月に東山のオーシティに候補地が決定した。非常に短期間の間にこれらのことが進められているのですが、実質的な検討期間が余りにも短く、十分な調査と議論の結果とは到底思えないわけです。抽出まで実質2カ月、選定までも2カ月、他の市でこうした庁舎移転の候補地を選ぶときというのはネットでもこうしたさまざまな情報が開示されていますから、見させていただくと、少なくとも4カ所から5カ所を選んでいます。それぞれに長所、短所があるということで選ばれているわけですが、資料の2枚目を見ていただきたいのです。
今、るる御説明いただいた5本柱というのは、この五つの観点です。下にそれぞれの候補地のレーダーチャートでよいところ、悪いところがありますが、正直言って勝負になっていない。Cの赤の1人勝ちです。その赤の1人勝ちですが、実現性はどこも低いということです。非常に候補地として挙げること自体が既に候補地として足り得ていないところを無理に上げて三つ比べたけれども、その中で赤がよかった。それが最適な候補地だと総務部長が言われる結果だと思うのですが、やはり私は円を拡大して、もっと候補地を検討すべきだったのではないかと思います。
そして今、御答弁でありましたが早期整備という方針があったということですが、それにかかわってお聞きしたいのは、今回、営業中の商業施設を候補地に選定しました。これについては、交渉締結のめどがあったから候補地として選んだのか。めどもなく候補地としたのであれば、無責任だと思われますが、めどがあったとすればその根拠は一体何なのでしょうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
候補地選定調査におきましては、ことしの1月下旬に候補地3カ所を抽出いたしましたが、その中の一つが営業中のオークワ様の商業施設の敷地であったことから、このまま調査を続けるかどうか、課題となっておりました。そこで2月に候補地選定調査において、候補地の一つとなったということをオークワ様にお話をさせていただき、その後、最もふさわしい候補地として公表すること、そして、今後の協議に応じていただけることにつきまして、御了解をいただきましたことから、候補地選定調査報告書のとおり、新庁舎の候補地として公表させていただきました。
この2月以降の経過の中で、協議に応じていただけるということでございましたので、その段階におきまして合意に至る可能性はあるものと考えておりました。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 2月にお話に行ったときに交渉に応じていただけるということで、感触として行けそうだと思ったということです。そもそも候補地に挙げるという時点で、一定のめどがなければ、行政というのは基本的にはそういうことはしないというのが一般的ではないかと思います。
他市の例で言いますと、奈良県五條市では、イオンそのものではなくて、イオンの隣接地を一旦候補地として挙げるのですが、交渉に不測の日数がかかるものとして、こういうものを除外しています。基本的に、こういう営業中の施設との交渉というのは全くこちらの都合では、交渉が進まないということから、こういうのを嫌がって、避けて除外するということです。スピード感を持って取り組むという場合には、こうしたものは基本的には除外すべきだと思いますが、2月の交渉で話が進んだというのは若干都合がいい話だと思います。
個人の住宅でも買収が難航することはありますが、ましてや全国的にも例のない営業中の商業施設の買収、買収交渉が成立すると見込んだ背景に何があるのかというところでも私は疑念が深まっております。
そして、次にお聞きしたいのは、こうした場所の選定について三つの候補地を先ほど挙げました。それが平成29年、ことしの1月ですが、この三つの候補地を挙げたときに、市民の意見を反映しようとしなかったのはなぜなのかと思います。田辺市協働推進指針というのがことしの3月に出されております。3月にこれが出されるということはそれ以前からこういう話が進んできていて、協働が必要だという位置づけでやられたと思うのですが、協働の必要性については、市民と行政等が共通する目的の達成に向けて、それぞれの特性を生かしながら、果たすべき役割と責任を担い、対等なパートナーとして協力し合って、
まちづくりに取り組むこと。そして、協働の
まちづくりが求められる背景というのは、市民ニーズの高度化、複雑化、市民ニーズもより高度化、複雑化し、行政の公平、均一的なサービスでは対応できない課題が生じています。これまでのような行政主導による公共的サービスの提供のみでは、ニーズの充足は困難な状況になっています。行政だけが勝手に決めては市民の納得を得られないということを書かれているのです。
そして、これには情報公開の原則というのも書かれています。個人情報の保護に配慮しながら、協働の過程や結果などの情報を公開し、協働について市民の理解を得るように努めることが重要とうたわれているのですが、なぜ大変重要な施設の設置について、決める前に市民との協働を諮らなかったのか、お聞かせください。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
候補地選定調査により抽出した候補地を、絞り込むまでに公表をすることにつきましては、市としても慎重に慎重を重ねて検討する中、地権者やその近隣の方に多大な御迷惑をおかけするおそれがございまして、その影響の大きさを勘案し、最終的には、市のほうで責任を持って決定したところでございます。
加えて、諮問機関である庁舎整備方針検討委員会におきまして、アンケート結果や各委員の真摯な議論を経て、「津波・洪水の想定浸水域外で、かつ
中心市街地から近い場所に、両庁舎機能を統合した新庁舎を、早期に整備すること」との答申をいただいており、それに沿った形で市としての方針を決定し、そして、それに基づく候補地選定を行ったところでございます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 圧倒的多数の市民の意見よりも地権者様への御迷惑を優先したという御答弁でしたが、当然、市民の意見をもっと聞くべきではなかったのでしょうか。市民がアクセスしやすい場所という話もありましたけれども、その市民の声を聞かない。市民アンケートの声で、先ほど言いましたが、庁舎に望む機能は防災拠点、そしてアクセス性ということですが、実はこれらの条件をこの候補地というのは満たしていないのではないかというのが私の認識です。
また、資料1を見ていただきたいのですが、実は左上のほうに田辺インターチェンジがあります。これは工事が終わる前の地図がもとになっています。ハザードマップ自体のもとの地図が古いので、高速道路がここに載っていませんが、田辺のインターの位置はほぼわかるかと思います。左上の大きな交差点、円のちょっと外側の交差点が田辺インターに当たります。パビリオンシティのところです。見えにくいかもしれませんが、そこからCに向かって水色の線が真下へおりて、地図で言うと交差点を右に曲がって、ずっと来て、424というところの前を通ってCにたどり着いています。
しかし、これは一般的な道路です。一番広い道路です。実際、Cという地点は、浸水想定地域ではないのですが、ハザードマップで見ると、津波発生時にこの道路を使ってはアクセスができなくなるというのがこの地図から見てとれます。
そして、もう一つ、先ほど水色の線を見ていただきましたが、右に向かってずっと緑色の線が道路に沿ってきています。ずっと来て、そして田辺東部小学校という文字のところまで行って、そこで消防本部の前の交差点ですが、そこでバイパスから離れて、あけぼのというところに入ってきて、Cに向かう道なのですが、この道路は消防本部の前までは非常に広いですが、そこからの道というのは非常に狭くなってきているのです。そして、このあけぼのというところは非常に昔からある地域ですから、古い建物が非常に多くて、耐震化ができていない建物が多々あります。
そして、ここの道路は非常に幅員が狭い。Cに向かうところ、南下してくるところは非常に狭い。こうしたところから考えると、災害発災時に職員の初期参集に重大な支障を来す危険性があるのではないかと考えます。また、消防本部とのアクセスにも非常に支障を来すのではないか。そしてまた、通常利用の利便性ですが、調査は未実施ということですが、2階側の入り口、つぶり坂大橋北詰の混雑というのは既に皆さんもよく御存じだと思います。そして、バイパスから橋に来るところまでの最小の幅員は6.4メートル、このCはバス路線がたくさんあるので、すごく便利だといいますが、アンケートによってバスで来庁したという方はわずか0.7%です。
こういったことを過大評価して選んでいる。接道が多く九つある。これが利便性だといいますが、これは混雑の一因になっています。今後、交差点の改良の検討もされるようですが、警備員が常駐していることが今、必要となっているという地域です。
こうした種々の理由から市民の声を聞くと現在の候補地を選定することができなかったのではないか。そういう理由があったから聞かなかったのではないかと私は思えてしまうのです。これが二つ目の大きな疑義です。
次に、基本協定に関する疑義についてお伺いいたします。
今回、基本協定で解体費用を市が支出するということですが、この支出の理由は何でしょうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 昨日、中本議員の御質問にもお答えいたしましたが、本来、公共事業の用地取得におきまして、建物の解体に係る費用につきましては、事業主体である市が負担するものでございまして、このたびの基本協定におきましても、その考え方に基づき位置づけたものでございます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 一般的には、不動産の土地売買にかかわって、更地のときは当然土地だけで売りますが、建物が上についている場合、まして買い主がその建物を必要としない場合には、建てつけ減価という考え方があります。実際、田辺市がこれまで土地を売ったときにも、建てつけ減価という理由で非常に値下げをして売りました。中辺路町にありました砂利のプラントを土地を売却する上には、非常に砂利のプラントは高価なものがありましたが、それだけでは売れない。買いたいという人はあったのですが、入札にならないので、土地につけて売ってしまうのだと。土地の正規の値段より安くして売るということを行いました。
それが建てつけ減価という原則に従って売るんだという話だったのですが、基本的に今回の建物は、昭和50年建築で耐震性に問題があって、そのまま使うには使い勝手も悪いということもあるのですが、耐震性もない。そういった建物だということですが、今回、市から建物の残存価値、この価値が17億円相当だという説明を受けたのですが、この評価の正当性をどう担保するお考えでしょうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。このたびの建物の残存価値の算定に当たりましては、推定再建築価額と残存価値率から残存価値を算定しております。一般的な補償の考え方に基づきますと、耐震性の有無については関係がなく、また、どれだけ古い建物であっても、全く無価値にはならず、最低限2割の価値は保持されることとなっておりまして、算定した残存価値は、最低限の2割をやや上回る程度であることからしても、過大ではなく、妥当なものであると考えております。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) お聞きしているのは、その客観性です。正当性をどうやって担保するのか。コンサルに依頼して、そこが17億円だという計算を出したということですが、他のところの評価というのは受けないのか。そういう意味でお聞きしているのですが、次の問題も聞きますから、その御答弁もあわせてお聞きしたいと思います。
そして、解体費用に約10億円かかるというようなことが言われているのですが、この10億円というのは、今後増加する見込み、可能性というのはないのかどうか。例えば、アスベストがあったということがあって、処理費用が非常に高騰するという場合に、市の負担がどんどんふえるということはないのかどうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 解体工事に関する費用につきましては、提供いただいた図面等により導き出したものでございますので、大きく違うことはないものと考えております。
また、解体工事において、土地建物の隠れた暇疵が見つかった場合など、これについては、所有者の責任に帰するものにつきましては、当然にその負担を求めていくものでございます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 重大な瑕疵ということが立証できるのかどうか。また、それを明文化したことがあるのかどうかということが非常に不安ですが、残存価値については大きく違うことはないものと思われるということで、要するに客観性をどう担保するのかということをお聞きしているのですが、そこについては基本的にはないと。これで多分大丈夫だという御答弁です。
そして基本協定についてもう一点お聞きしたいのが、秘密保持条項の厳格さについては異常だなと思いまして、参考資料3をごらんいただきたいのですが、先ほど言いました取り壊しを市がやるということも基本協定にあるのですが、第6条、「甲及び乙は新庁舎整備事業に関し、相互に開示され、又は知り得た重大な情報、その他の事項について第三者に開示、漏えいすることがないよう細心の注意を払うとともに、新庁舎整備事業に必要な範囲を超えて使用してはならない。新庁舎整備事業が完了した後においても、また同様とする。」ということが書かれています。
こんな秘密保持条項があるというのはすごいなと思って、ほかのところも調べたら、ほかのところでもあるのだ。こういうのは基本的につけるものだと思って見たのですが、ただ、内容が若干雰囲気違いますよね。この斜線部分を入れているところは公開できる条件を書いています。こういう条件に当てはまるものについては開示しますよということが書かれているのです。開示する場合はこの限りではないと書かれているのですが、田辺市の今回の基本協定については、そういったことは一切なく、とにかくお互い知り得たことは、一切開示しても、漏えいしてもならない。終わってからもずっとそうだということも書かれていますが、なぜ開示規定を入れなかったのか。情報公開と透明性の確保というのが時代の流れですから、なぜそうした開示規定を入れなかったのか。お聞かせください。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) この基本協定書の第6条につきましては、議員の御質問にもございましたが、「甲及び乙は、新庁舎整備事業に関し、相互に開示され、又は知り得た重大な情報その他の事項について、第三者に開示、漏えいすることのないよう細心の注意を払うとともに、新庁舎整備事業に必要な範囲を超えて使用してはならない。新庁舎整備事業が完了した後においても、また同様とする。」と規定しております。
この規定の趣旨につきましては、本市と株式会社オークワ様が、双方協力して事業を進めるに当たって、お互いに知り得た重大な情報の取り扱いについて、相手方に黙って一方的に開示したり、漏えいをしたり、目的外に使用したりしないよう定めたものであり、市が通常使っている標準的な業務委託契約の条項にも、「受注者は、この契約の事務を処理するに当たり知り得た発注者の業務上の秘密を第三者に漏らしてはならない。この契約の終了後も有効に存続するものとする。」とする規定があるなど、内容としては一般的な規定であると考えております。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 今、総務部長は口頭では相手方に知らせず開示してはならないとおっしゃいましたが、その一文はどこにも入っていないですよね。ほかのところはちゃんとそれを入れているのです。相手方に知らせず、開示してはいけませんよと。でも今回のこれには一切そういうことは入っていない。断ってもどうとか、断らずにとかは書いていないですよね。あぶり出しでもないですからそんな文字は出てきません。
さまざま今まで幾つかの疑義をお聞きしてきました。早期の整備といいながら、早期のめどがあったのかどうか。アクセスの問題、本当に防災拠点としてのことを考えたのかどうかということをさまざまお聞きしてきたのですが、そんな幾つかを聞いてきて、総合的にひょっとしてという疑義が浮かびます。総合的というと格好いいですが、素朴な疑義です。
今回のオークワへの跡地の移転、オークワのほうからの提案ではないのか。前回、久保議員の質問に対して、オークワのほうから事前の打診はありませんでしたと、部長から御答弁いただいたのですが、部長はそういう答弁でしたが、市長にお伺いしたいのです。市長は事前に、こうしたオークワから購入を求められていたのではないか。もしくは第三者からそうした話があって、一定の力が働いた。そのためこういう結果になったのではないかと。そうであれば、非常にさまざまなつじつまが合うのですが、そのことについてお聞かせください。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 市長。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) まず冒頭申し上げておきたいのですが、疑義とか疑惑、疑念、根拠のない憶測で公共の場で、しかも議会の場でそういう発言については、私はいかがなものかと思います。それと、はっきりと申し上げておきますが、オークワからの打診等はございません。それと、もう一つ、住民の声を聞いていないと言いますけれども、実はこの庁舎整備方針の検討委員会は、津波洪水の想定浸水域外で、かつ
中心市街地から近い場所に両庁舎機能を統合した新庁舎を早期に整備すること。これは去年の8月に出ている答申であります。それを9月には公表しています。
私はこの間、オークワの位置を決定するまでの6カ月間、私なりに市民の皆さんにはいろいろな場所で説明をしました。高い場所へ行きますよ。できるだけ遠くへは行きませんよ。できるだけ早く行きますよ。そういう話はいろいろなところでしておりますし、それともう一つは、このオークワということを先ほど言いましたように、2月の時点で一定の合意ができる可能性があるということで公表しました。その後、市長選挙という選挙もございました。その中でも、私はマイクを持ってこの整備方針についてもきちんと市民の皆さんに説明をしてきました。そうした中で、今回の決定、基本合意に至ったということは、これはうまくいき過ぎるから疑義があるとおっしゃいますけれども、オークワが本当に市のために協力しようという、この善意があって成り立ったものでありますので、これだけははっきりと申し上げておきます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 疑義という言葉がいかがなものかということで、疑問といいましょうか。なぜこんなふうにして選んだのかなということを、これまで私は言ってきました。
中心市街地ということで、駅からの距離の根拠であったりとか、早期の整備といいながら、早期整備の確たる保障のないところを選び、もっと早期整備できるところの候補地まで広げて考えなかったのか、こういうことを含めて聞きました。
資料4をごらんいただきたいのですが、接道が今のところには九つあるということで、1から9まで数字がついているのですが、接道の多さゆえにホテル側の道路、2階の5、6、7のところというのは常時混雑して、実際、現在もガードマンを配置しなければ危険な状態が続いています。少々の形状変更ではなかなかこうした対応が困難ではないか。庁舎移転後もこうしたランニングコストを負担し続けなければならない場所である。
そしてまた、接道に私は非常に大きな問題があると思いました。最適な防災対策拠点ということでお聞きしたいのですが、9本書かれている接道のうち、浸水想定地域以外につながる接道というのはどの道があるでしょうか。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
あけぼのから入ってくるルートでございます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) いわゆる2番の道、もしくは9番の道、接道というから建物の敷地からつながっている道のはずですが、実際見ていただいたらわかるように、1と2は1本の道です。3と4も交差点にこの建物は面していませんから、3と4を2本に考えるということはおかしな話だと思うのです。接道は、方面ということですと担当職員の話があったのですが、方面ということでいけば、9番と2番というのは同じ方面につながっています。これを2本と考えるのもおかしな話です。そして、先ほども言いましたが、あけぼの方面への道は非常に幅員が狭い。災害時に主たる道路として利用するには非常に困難である。
今、あけぼのへ続く道がその道だと言いましたが、裏返して言えば、それ以外の全ての道は浸水想定地域しかつながっていないのです。1番の資料1の地図を見ていただいたらわかるとおり、この緑の線以外は全てが浸水想定地域に囲まれてしまう。これがなぜ防災拠点になるのですか。庁舎整備方針検討委員会第5回の議事録で、最終的に答申本部の検討に入ったときの議事録、委員長のまとめでは東日本大震災の教訓を考えると、庁舎の災害対策機能は重要、建物が崩れなくても周りの道路が瓦れきで覆われてしまうとアクセスできなくなり、災害対策拠点として機能しなくなる。委員の意見のほか、市民アンケートや調査資料からこの結果は導き出される。
こうしたことを考えると、私は防災拠点として考えて、この場所を選んだとは思えない。何よりも防災対策拠点として重大な欠陥があると言わざるを得ません。何よりも今回、移転理由である防災対応拠点としての浸水想定地域外のアクセスに致命的な欠陥がある。到底認めるわけにはいかない場所だと考えています。
文里湾横断道路を津波の避難場所だと言ったり、浸水想定域で陸の孤島となることが想定される。そうした場所を庁舎の移転候補地に選定したり、防災を何かの口実にするというのはやめていただきたい。たった1人の市民も死なせないという真剣な思いで考えるならば、こうした案は出てこないはずです。私の疑問、不思議だなという思いは晴れるどころか、防災対策上の致命的な欠陥の存在によって、あえてこの場所を選んだことに対する、まさに疑念が深まりました。
もう一度候補地選定のプロセスに透明性を持って、最初からやり直すべきです。ともすれば、百年に一度、100億円規模の大事業、後世に禍根を残さないよう、徹底的な議論を行うよう求めて質問を終わります。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(小川浩樹君) 以上で、5番、川﨑五一君の一般質問は終了いたしました。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ延会し、あす16日から18日までの3日間は休会とし、9月19日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(小川浩樹君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(小川浩樹君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
(午後 2時46分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
平成29年9月15日
議 長 小 川 浩 樹
副議長 市 橋 宗 行
議 員 久 保 浩 二
議 員 福 榮 浩 義
議 員 髙 田 盛 行...