田辺市議会 2020-03-10
令和 2年第1回定例会(第4号 3月10日)
令和 2年第1回定例会(第4号 3月10日) 第1回
田辺市議会定例会会議録
令和2年3月10日(火曜日)
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令和2年3月10日(火)午前10時開会
第 1 一般質問
第 2 1定議案第11号
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関する
条例の制定について
第 3 1定議案第12号 田辺市一般職の
任期付職員の採用及び給与の特例に関する
条例の制定について
第 4 1定議案第13号 田辺市職員の服務の宣誓に関する条例の一部改正について
第 5 1定議案第14号 田辺市印鑑登録及び証明に関する条例の一部改正について
第 6 1定議案第15号 田辺市
手数料条例の一部改正について
第 7 1定議案第16号
田辺市議会議員及び田辺市長の選挙における選挙運動の公
費負担に関する条例の一部改正について
第 8 1定議案第17号 田辺市斎場条例の一部改正について
第 9 1定議案第18号 田辺市
市街地活性化施設条例の制定について
第10 1定議案第19号 田辺市
市街地活性化施設の
指定管理者の指定について
第11 1定議案第20号 田辺市景観条例の一部改正について
第12 1定議案第21号
田辺市営住宅条例の一部改正について
〇
出席事務局職員
議会事務局長 千 品 繁 俊
議会事務局次長 前 田 敦 司
議会事務局主任 松 本 誠 啓
議会事務局主査 玉 置 大 祐
開 議
○議長(安達克典君) 皆様おはようございます。
定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、令和2年第1回
田辺市議会定例会4日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
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◎報告
○議長(安達克典君) 9番、髙田盛行君から欠席の届け出があります。
この場合、報告いたします。
1定議案第11号
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関する条例の制定について、
地方自治法等の一部を改正する法律附則第2条第7項の規定により、監査委員の意見を求めたところ、適切であると認めますとの回答がありましたので、報告いたします。
それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(安達克典君) 日程第1 一般質問を行います。
3番、浅山誠一君の登壇を許可いたします。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) おはようございます。3番、篤志会の浅山です。本日は大項目2点について質問させていただきます。
まず、大項目の1点目。当市におけるSDGsの取り組みについてお伺いいたします。
ここにいらっしゃる皆様の多くはSDGsについて御存じかと思いますが、少しSDGsについて説明させていただきます。
日本語に訳すと持続可能な開発目標であるSDGsは、2001年に策定された
ミレニアム開発目標の後継として、2015年9月の
国連サミットで採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であります。
持続可能な開発というテーマは以前から繰り返し議論され、目標設定もされてきました。しかし、過去の目標は、国やNGOが主体になるものが多く、一人一人が
当事者意識を持ちにくいという側面がありました。これらの反省を踏まえ、SDGsでは、17のゴール、169の
ターゲットから構成され、地球上の誰一人取り残さないことが誓われています。参考資料1はその概要です。一つ一つの
ゴール目標についての説明は省きますが、持続可能な発展の3要素である環境、社会、経済の三つの側面を幅広く取り上げた体系となっており、国や途上国だけでなく先進国の課題を網羅し、民間企業による取り組みを求めた点が過去の目標との大きな違いとなります。
日本政府においては、2016年5月に
SDGs推進本部が設置され、同年12月
SDGs実施指針を決定、2017年12月からは
アクションプランが定期的に策定されています。指針の中にはビジネス、ファイナンス、消費者、市民社会、教育機関、
地方自治体等のさまざまな
ステークホルダー、すなわち
利害関係者ごとに推進すべき役割が期待されています。実際、各地域の金融機関などでは、
地域金融機関としての事業活動を通じた貢献を誓う
SDGs宣言が次々に制定されるなど、民間企業でその理念や施策を事業に取り入れる動きが活発化しています。
地方自治体においても、
SDGs達成に向けた取り組みは地域課題の解決に資するものであり、SDGsを原動力とした地方創生を推進することが期待されています。自治体による
ゴール目標達成に向けた取り組みの加速化、各地域の多様な優良事例の発信等が求められ、全国各地でさまざまな取り組みがなされています。
また、成功事例の
普及展開等を通じ、地方創生の深化につなげていくために自治体による取り組みを公募し、すぐれた取り組みを提案する都市を選定する
SDGs未来都市や、その中でも
先導的取り組みを行う都市を選定し、上限3,000万円の資金支援をする
自治体SDGsモデル事業も推進されています。ちなみに、これまで
SDGs未来都市に選定された自治体は全国で60あり、2024年末までに累計210の都市を選定するとされています。
そこで、1点目の質問です。SDGsの目標達成に向け、
地方自治体や民間企業でその理念や施策を事業に取り入れる動きが活発化されており、SDGsが掲げる目標は、自治体の政策とも親和性が高く、積極的に推進することが必要であると私は考えますが、田辺市はSDGsをどのように捉え、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
また、SDGsの政策分野は多岐にわたりますが、田辺市として重点的に取り組みたい分野等もあればお聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 3番、浅山誠一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
SDGs(持続可能な開発目標)は、先進国、
開発途上国を問わず、世界全体の経済、社会、環境の3側面における持続可能な開発を統合的な取り組みとして推進するものでありますが、その内容は、人々の健康、教育、住環境、雇用など、市民の皆様の生活に密着したものであり、SDGsの推進は自治体の抱える行政課題の解決につながるものであると考えております。
そのような中、現在策定を進めております第2期田辺市まち・ひと・し
ごと創生総合戦略におきまして、国の方向性も踏まえる中でSDGsの考え方を取り入れることとしており、加えて職員がSDGsへの理解を深めるとともに、SDGsと行政との関係性を認識することが重要であると考え、職員から業務改善などのアイデアを募集する
職員提案制度において、本年度はSDGsをテーマとして設定し、あわせてSDGsへの理解を深めるための研修を実施しております。
地球上の誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現というSDGsの理念は、本市が第2次田辺市総合計画において掲げる基本理念である、一人一人が大切にされ、幸せを実感できるまちづくりと合致するものであり、今後、まちの将来像である人と地域が輝き、未来へつながるまち田辺の実現に向け、さまざまな施策を推進してまいりたいと考えております。
また、先ほども申し上げましたとおり、SDGsは、経済、社会、環境の3側面において統合的に取り組む必要がありますが、市域の約9割を森林が占める本市におきましては、環境にも結びつく森林に目を向けた取り組みが重要になってくるものと考えております。
本年度から
森林環境譲与税の配分がスタートしましたが、交付税額で申し上げますと田辺市は全国で第4位となります。上位の3自治体は人口割による配分額が多い
都市自治体で、いわゆる地方において交付額の最も多い自治体が本市となることから、全国からの注目度も高まっております。
森林が有する公益的機能の維持増進の重要性を鑑み、国・県・各森林組合など関係機関とも連携を図りながら、この譲与税を活用し、持続可能な森林管理、それから、
再生可能エネルギーの研究、さらには、木育といった教育面における取り組みなども計画しておりますが、これらの施策は環境だけでなく、経済、社会とも密接に関係するものであると考えております。
今、一例として、
森林環境譲与税を引き合いに出しましたが、こうした取り組みに限らず、第2次田辺市総合計画のもとに実施してきたこれまでの市の
施策そのものがSDGsの理念につながるものであることを十分に認識しながら、今後とも各施策に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(安達克典君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) SDGsの理念と第2次田辺市総合計画の基本理念とは合致しており、施策にも通じているとのことでした。確かに私もそう思います。SDGsが対象とする、教育、健康、飲料水、衛生、
廃棄物管理、交通、住宅などの
各種インフラ投資やサービスへの自治体の関与は大きく、自治体の適切な関与がなければSDGsの169の
ターゲットの65%は達成困難とされています。
しかし、田辺市においては、SDGsという枠組みでの取り組みや職員や市民への浸透はまだまだこれからという状況になるのではないかとも感じています。市長の回答の中で、今後の展開にも少し触れていただきましたが、幾つかの切り口にて聞かせていただきます。
先日、
パブリックコメントを実施した第2期田辺市まち・ひと・し
ごと創生総合戦略案では、SDGsとの一体的な推進が掲げられておりました。また、新
年度予算案の新規事業の中にも
ゴール目標の5女性のエンパワーメントを図る、15森林の持続可能な管理、17市民との
パートナーシップ等の分野での新規事業が示され、施策と予算の大綱でもSDGsに触れられていました。
国が2019年12月に発表した
SDGsアクションプラン2020では、今後10年を
ゴール目標達成のための行動の10年とされており、田辺市でも取り組みへの機運が高まってきているように感じます。
そこでお伺いします。今後、
田辺市政運営における最上位に位置づけられる第2次田辺市総合計画においても、実施計画や
後期基本計画の中にSDGsの概念を盛り込み、さらに政策に反映していくお考えはあるのでしょうか、お聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 企画部長、早田 斉君。
(企画部長 早田 斉君 登壇)
○企画部長(早田 斉君) 議員の御質問にお答えします。
まず、第2次田辺市総合計画における実施計画の位置づけにつきまして御説明させていただきますと、実施計画は、総合計画の中にある基本計画における具体的な事務事業について、財源等の見直しを立てながら総合的かつ計画的に進めるための計画でございまして、毎年見直しを行いながら3年間の計画として策定するものでございます。
また、議員の御指摘のとおり、新
年度予算案に掲げる事業にはSDGsの各目標とも関連する事業がございますが、現行の第2次田辺市総合計画はSDGsを関連づけた形で策定したものではございません。
しかしながら、先ほどの市長の答弁にもありましたとおり、SDGsの理念は、本市が第2次田辺市総合計画において掲げる基本理念と合致するものでございますので、今後、他の自治体等の先進事例も参考にしながら、令和4年度からを計画期間とする第2次田辺市総合計画の
後期基本計画に反映させようと考えております。
(企画部長 早田 斉君 降壇)
○議長(安達克典君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) 先ほど御紹介した
SDGs未来都市に選定されている自治体の取り組みを見ていると、古くから持続可能な営みをさまざまな領域で展開してきた
W世界遺産のまちである田辺市、欧米豪のFITに選ばれ続けている田辺市のポテンシャルは、日本国内でSDGsに関する取り組みの先進地になれるのではないかとさえ考えてしまいます。これまでの取り組みをより横断的、体系的に捉え、もう少しだけ意識をSDGsにも向ける、少しの行動変容でゴールに近づくだけではなく、田辺市のプロモーションや
ブランディング向上にもつながっていくと思います。公募式の
SDGs未来都市ですが、次年度の応募も3月2日に既に終わっており、田辺市は手を挙げていないと伺っています。次回以降にぜひチャレンジすることも検討していただければと思います。
続いて、職員の意識醸成・習熟に移ります。
先ほど、市長の答弁にも、職員がSDGsの理解を深めるとともに、SDGsと行政との関係性を認識することが重要との御答弁ございました。
SDGsの政策分野は多岐にわたります。誰一人取り残さないという基本的な考えを実現するためには、現場で対峙する職員一人一人がその理念を理解し、行動に移すことが必要となります。今年度は、若手職員を対象に
SDGsカードゲームを実施したとのことでしたが、私もSDGsで地方創生という
カードゲームを経験したことがございます。3時間程度のゲームを通して、参加者がさまざまな
ステークホルダーが複雑に絡み合った日本国内の具体的な問題を理解し、その問題を解決するためにはどのような行動変容が必要か、ゲームを通して気づいていくというものでした。SDGsを理解し、我が事として行動につなげていくためには、この
カードゲームは研修としても有効だと思います。
そこで質問です。例えば
若手職員向けに行った
カードゲームによる研修を全庁的に展開していくなど、SDGsに対する理解を進め、行動に落とし込むためのさらなる取り組みが必要だと考えますが、見解をお聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 総務部長、松川靖弘君。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
まず、
地方公務員法第39条第1項では、職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために研修を受ける機会が与えられなければならないと規定されており、本市におきましては、この規定に基づき、一般研修、専門研修、特別研修及び
自己啓発研修を実施しております。
具体的に申し上げますと、一般研修は、職務上必要な
一般的知識及び技能を習得させるとともに職員としての教養を高め、専門研修は、職務の遂行に必要な専門的知識及び技能を習得させ、特別研修は、社会情勢の変化に伴い全庁的に取り組むべき課題等に対応できる知識及び技能を習得させるため行っております。これらの研修に加えて、各職員の自発性に基づく職務に必要な知識及び技能を習得するための
自己啓発研修などを行うほか、各課等におきましても、各業務に必要なさまざまな研修を行っているところでございます。
そうした中で、SDGsにつきましては、職員の理解度をより向上させていかなければならないと認識をしており、今後におきましてはSDGsの全体的な理念などにつきましては、特別研修の一環として、全ての課等に共通する根幹的な部分に関する研修を全職員に向けて行ってまいりたいと考えております。
また、各課等において必要とされるSDGsの知識の習得等につきましては、各課の業務に応じた研修会等への参加により対応してまいりたいと思います。
市といたしましては、このような取り組みを通して、各職員の意識の醸成を図り、組織として、市全体のSDGsに対する意識の習熟を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(安達克典君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) SDGsに対する意識の習熟とともに、SDGsの目標設定の際に取り入れられている
バックキャスティングで考えることについても浸透を図っていただければと思います。
バックキャスティングとは、現状からの予想ではなく、未来の姿から逆算して現在の施策を考える発想を指します。例えば、現在持っているリソースから考えて、適度なチャレンジを設定するのはフォアキャスティング、どうしても必要な目標を設定し、その目標実現に向けた手法を何とかして考えるというのが
バックキャスティングになります。職員さんが公私ともに地域の主体者として今まで以上に行動へ移していただくことができるよう、ぜひ庁内での取り組みを進めていただければと思います。
それでは、次の質問に移ります。
SDGsは、国際目標ではありますが、我々の生活を見直せばゴールに近づくものがたくさんあります。海洋プラスチックごみの問題一つとっても一人一人の日々の生活そのものがSDGsの目標達成につながっていることを市民に御理解いただき、行動いただくことが大切になります。
しかし、2019年8月の朝日新聞による調査では、一般認知度が27%しかなく、先進国内でも認知度は最下層に位置すると言われ、広く市民や社会へ浸透することが急がれています。
また、人口が急激に減少し、行政だけの力ではさまざまな問題を解決することが難しい現代社会で、地域の持続可能性を高めるためには、市内事業者や団体、自治会など多様な
ステークホルダーとの協働や戦略的なパートナーシップが重要となっており、パートナーシップの強化はSDGsでもうたわれています。
そこでお伺いします。今後、持続可能なまちづくりを行う上でSDGsの概念を市民や市内のさまざまな
ステークホルダーにどのように周知、啓発を進め、浸透させていこうとお考えなのでしょうか、お聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 企画部長。
(企画部長 早田 斉君 登壇)
○企画部長(早田 斉君) 議員の御質問にお答えします。
議員御指摘のとおり、持続可能なまちづくりのためには、市民の皆様とのパートナーシップは欠かすことができず、SDGsの理念は協働によるまちづくりに通じるものであると考えております。市といたしましては、今後もこれまで同様、市民向けの講座や勉強会、広報紙への記事掲載等、あらゆる機会を通じてSDGsの周知を図るとともに、市民の皆様との協働によるまちづくりを推進してまいりたいと考えております。
また、議員の示されましたSDGsの一般認知度につきましては、2019年に東京都及び神奈川県在住の3,000人に対して実施された調査結果であると認識しておりますが、市におきましてもこうした現状を把握することは必要であると考え、令和2年度に予定しております第2次田辺市総合計画
後期基本計画の策定に係る市民アンケートにおいて、SDGsの認知度についての質問項目を設けることとしております。
いずれにいたしましても、SDGsの目標達成は行政の取り組みだけでなし得るものではなく、市民一人一人の行動の変革、多様な関係者との協力が必要不可欠であり、今後、あらゆる機会を捉えて、市民の皆様への啓発を図るとともに、民間事業者についてもSDGsに関する活動等の情報を得ながら、連携を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(企画部長 早田 斉君 降壇)
○議長(安達克典君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) ぜひさまざまな手法で周知していただくとともに、協働によるまちづくりを進めていただければと思います。
個人的に新
年度予算案に上げられている小規模多機能自治への挑戦は非常に期待しているのですが、実現に向けてSDGsの理念や目標設定で用いられた
バックキャスティングという考えの浸透が一つのポイントになるのではないかと思います。意思ある多様な担い手が多くなるほどパートナーシップは有機的なものになります。ネットワークづくりや中間支援は行政が得意とするところでありますので、多様な主体とのコミュニケーションと協働を通じて、複雑な問題に向き合い、柔軟に対応していける強い地域づくりをしていただければと思います。
続いて、学校教育における展開について伺います。
教育については、教育が全てのSDGsの基礎であり、全てのSDGsが教育に期待しているとも言われています。現行の学習指導要領にも、持続可能な社会のつくり手を育むためのESDの考えが反映されており、ESDを推進することがSDGsの達成に直接、間接につながっていると言われています。
来年度から導入される新学習指導要領では、国内外におけるSDGsの達成を担う人材育成の強化の観点から、この持続可能な開発のための教育、いわゆるESDのさらなる推進が掲げられています。
そこでお聞きします。持続可能な社会のつくり手となることが期待される子供たちの未来のためにSDGsを教育に取り込むことは大切だと考えますが、どのような取り組みがなされているのでしょうか。また、教職員の習熟を含め、今後SDGsを学校教育にどのように展開されるのかお聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 教育長、佐武正章君。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員御質問の学校教育におけるSDGsの取り組みと今後の展開についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、新学習指導要領では、幼稚園、小学校、中学校にわたり、社会科、理科、技術家庭科、特別の教科道徳等において、持続可能な開発のための教育を推進し、持続可能な社会の構築に向けて、身近な社会的課題と自分との関係について考え、みずから解決に寄与しようとする意欲や態度を育てるように努めることとあります。
SDGsが目指す、持続可能で公正な社会を実現し、一人一人が人間らしい生涯を全うするためには、全ての人々が質の高い教育を受けることが欠かせず、同時に社会における諸問題を自分事と捉え、自分自身や社会を変化させていくような学びへの転換も求められております。そのような学びの転換を学校現場へ浸透していく必要があります。そのため、学びと現実の社会の接続をデザインすること、社会的課題を見出す
場を設定することが、学校教育に求められ、今後は対話型を取り入れた授業展開が重要になります。対話型の学習の例として、SDGsの考え方、対話、協働の基本的な考え方を学ぶSDGs体験型学習、地域課題の本質を理解し、解決のためのアイデアを発想するデザイン思考型学習、地域の産業、文化、環境、人材を理解し、魅力を再発見するふるさと教育型学習などがございます。
教職員のSDGsに対しての習熟を考えると、全体としてはまだまだ十分ではない部分もありますが、田辺市教育委員会では、人口減少、少子高齢化が進展する中で、学校、家庭、地域のつながりを大切にし、各地域の教育資源の活用とそれぞれの地域の特色を生かしながら、世代の違う人たちから地域の歴史や文化、生活の知恵や工夫を学ぶことで郷土への誇りや愛着心、ふるさと回帰の思考を持つ、次代を担う子供たちを育てるふるさと学習を行ってきております。そのふるさと学習の取り組みがESD教育であると考えており、当地域の魅力についてさまざまな方法で世界遺産や歴史文化を学習し、発表する機会をつくり、平成26年度より継続的に田辺市全ての小・中学校が語り部ジュニアの取り組みを行っております。
また、本年度には、高雄中学校の教諭が生徒の将来に必要なものは何かと考えて、2030SDGsという
カードゲームを使い、公認ファシリテーターを招いて、現在から2030年までの道のりを疑似体験しながら、SDGsの17の目標を達成するための試行錯誤し、持続可能な社会の構築を目指した授業実践もございました。
新学習指導要領の改訂を機に、SDGs、ESD教育を周知し、それぞれの視点をさらに意識した学校教育を推進し、教職員の習熟を高めてまいりたいと考えております。子供たちの将来が持続可能な社会となるようSDGsの達成に向けて、学校教育においても持続可能な社会の担い手を育む教育の充実を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(安達克典君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) これまでもさまざまな取り組みがなされておりますが、新学習指導要領の改訂を機にSDGs、ESD教育を周知し、それぞれの視点をさらに意識した学校教育を推進するとのことでした。SDGsでは、子供は保護の対象であるだけでなく、変化の主体とも位置づけられています。例えば17の目標、169の
ターゲットを読み、世界や地域で何が起きているのかを知り、自分ができることは何かを考えるだけでも勉強になりますし、中には変化の主体へとつながる大きな成長のきっかけとなるのではないかと思います。
また、子供たちの将来が持続可能な社会になるようにという言葉もありました。子供たちの将来が持続可能な社会となるために、今を生きる我々大人たちがしっかりとこのSDGsに向き合わなければならないと思います。
第1回目の振り返りとなる2019年度版のSDGs報告書では、特に気候変動と格差に対して危機感が示されていました。スウェーデンから始まった温暖化に対する運動は世界に拡大し、若者から大人世代に責任を問う大きなムーブメントとなりました。最新科学のデータから、これからの10年間が人類の未来を決めるといっても過言ではないと警鐘を鳴らす科学者も少なくありません。全ての組織が、そして、一人一人がSDGsを自分事として取り組み、複雑に連鎖するあらゆる分野の課題を解決する具体的な活動が促進されることを祈って、この項の質問を終わりたいと思います。
続いて、大項目の2番、就職氷河期世代支援を目的とした職員採用試験の実施についてお伺いします。
就職氷河期世代とは、バブル経済崩壊後のおおむね1993年から2004年に学校卒業期を迎えた世代を指します。年齢は、現在30代半ばから40代後半に至っています。就職氷河期世代は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、希望する就職ができずに現在も不本意ながら非正規雇用労働者などの不安定な仕事についている、無業の状態にある、正社員として採用されても希望した会社に就職できなかったことから転職を繰り返して収入が下がったり、大量採用されたバブル世代がつかえているために昇進できず賃金が伸び悩んでいたりと、さまざまな課題に直面しています。こうした課題は、個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受けとめるべき大変重要なものであり、就職氷河期世代の人たちが陥っている危機的な状況はアラフォー・クライシスとも呼ばれています。
昨日の福榮議員の質問で、8050問題を取り上げられましたが、その下の世代である就職氷河期世代が抱える課題への対応は国の将来にかかわる重要な課題とされています。
2019年6月の経済財政運営と改革の基本方針2019において、就職氷河期世代支援プログラムが取りまとめられ、政府は3年間の集中的な支援に取り組む方針を打ち出しました。2019年12月には、就職氷河期世代支援に関する行動計画2019が示され、その中身はプラットフォームを核とした新たな連携の推進、相談、教育訓練から就職定着まで切れ目のない支援、個々人の状況に合わせたより丁寧な寄り添い支援など、就職氷河期世代が抱える固有の課題を解決するために多岐にわたるメニューが用意されました。本日は、その中の一つに掲げられる地方公務員の中途採用の促進に絞り、田辺市における職員の年齢分布の状況を交えながら質問をさせていただきます。
自治体職員の年齢分布は、全国どの地域でも多くがM字型と言われています。資料2を見ていただければわかりやすいのですが、田辺市も同様で、過去の大量採用、市町村合併、採用数の絞り込み等により、職種によっては職員の年齢別分布に大きなばらつきがあります。人事院による年齢別人員構成に偏りのある地方公共団体への調査では、職員数が多い年齢層があることによる影響では、職員数が多い年齢層及びその下の年齢層における昇任・昇格の遅延や職員数が多い年齢層のモチベーションの低下及び計画的な育成が行えないを上げた団体が多くありました。また、職員数が少ない年齢層があることによる影響については、職員数が少ない年齢層の計画的な育成が行えない、昇任・昇格候補や幹部要員の不足及び業務量の増加、中堅層や高齢層から職員数が少ない若手中堅層への技能継承ができないといった影響を上げた団体が多く見られました。
そこで、1点目の質問です。民間企業では、緩やかな台形が理想的な組織構成と言われており、人事院の調査からもわかるように、いびつな年齢構成は組織運営上の弊害も生まれるのではと考えますが、当市における年齢別職員分布の認識についてどのように捉えらえているのかお聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
職員の年齢につきましては、議員御指摘のとおり、年齢のバランスがとれていることが望ましく、偏った年齢構成は組織を運営していく上で弊害が生まれてくるものと認識しております。
そうした中で、本市の年齢構成を見てみますと、まず、専門職である保育士、保健師、社会福祉士などの年齢別職員分布につきましては緩やかな台形となっており、問題がないものと考えております。
次に、消防職につきましては、市町村合併前に上富田町と旧大塔村、旧中辺路町の消防業務を受託したことにより、その当時に若手を多く採用したことから、現在、41歳、42歳が多く、35歳から40歳までの世代が若干不足ぎみとなっております。
そして、一般事務職、土木及び建築の技術職につきましては、市町村合併後は、定員適正化計画に基づき採用人数を抑制してまいりましたが、年齢分布のバランスを保つことに加え、多様な人材確保を行う観点から、一般事務職1種につきましては、平成26年度実施の採用試験から年齢の上限を29歳から35歳に引き上げ、建築技術職につきましては、平成30年度に29歳から35歳に引き上げてまいりました。しかしながら、依然として33歳と36歳から42歳までが少なく、一桁にとまっている年齢層もあることから、議員の御質問にありましたように、就職氷河期世代と言われている年齢層は他の年齢層と比較いたしますと少ないものと認識しているところでございます。
以上でございます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(安達克典君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) 偏った年齢構成は組織を運営していく上で弊害が生まれると認識している、就職氷河期世代と言われる年齢層は、他の年齢層と比較すると少ないと認識しているとのことでした。
報道等にも大きく取り上げられましたが、昨年8月に宝塚市が全国で初めて就職氷河期世代を限定した職員採用試験を実施しました。3名の採用枠に対して応募数は何と全国各地から1,816名に上り、最終的に4名の採用が決定しました。近隣では、ことし1月に新宮市が実施し、1名程度の採用枠に12名の応募、和歌山県は5名程度の採用枠で現在受け付け期間中となっています。社会的インパクトのあった宝塚市の1,816名の応募は突出した数字ですが、総務省の3月2日時点での取りまとめでは、2県17市町で順調に選考が行われており、6道府県9市で募集予定、検討中と広がりを見せています。
そこで、田辺市でも同様の就職氷河期世代を対象にした採用を提案いたします。
先ほど、市においても就職氷河期世代の人数が少ないと認識しているとの答弁がございました。また、総務省からの通達によると、年齢の募集範囲は、各地方公共団体の実情に即して柔軟性が認められているため職員バランスが手薄な30代前半のリーマンショック世代も対象にすることができます。この世代は、リーマンショックの影響による急速な雇用環境の悪化から、内定取り消しや新卒採用枠が激減したこともあり、こちらも就職氷河期と評されることがあります。就職氷河期世代に加え、リーマンショック世代まで支援すると打ち出せばPR効果もさらに高まり、よりよい採用につながると考えます。年齢構成に偏りのある田辺市の実情に合わせられ、かつ社会的意義の大きな就職氷河期世代支援を目的とした職員採用試験の実施は、市民に対するメッセージを含めて有意義であり、取り組むべきだと考えますが、田辺市の見解をお聞かせください。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 総務部長。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
田辺市における職員採用の基本的な考え方は、幅広い年代から多くのよい人材を確保することを基本としつつ、市町村合併後の年齢分布のいびつさを是正するため、就職氷河期世代や一般的に言われているリーマンショック世代が受験できるよう年齢の上限を引き上げてまいりました。
具体的に申し上げますと、専門職については、平成18年度に年齢の上限を34歳から39歳に引き上げ、消防職については、令和元年度に27歳から35歳に、さきの御質問に対する答弁でも申し上げましたとおり、一般事務職1種については、平成26年度に29歳から35歳に、建築技術職につきましては、平成30年度に29歳から35歳に引き上げたところでございます。
そうした中で、受験年齢を就職氷河期世代、また、リーマンショック世代に限ったものにすれば、マスコミに取り上げられる効果なども作用し、受験者がふえることにつながると予想いたしますが、市といたしましては、定年が延長されることを見据え、より多くの受験者の中からよい人材を採用することを基本としつつ、議員御指摘の年齢分布の偏りも踏まえる中、さらなる年齢の上限の引き上げを検討するとともに、職員採用試験に興味を持っていただけるようなPR動画等の充実を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(安達克典君) 浅山誠一君。
(3番 浅山誠一君 登壇)
○3番(浅山誠一君) よい人材に来ていただくために年齢層の幅を広げることを含めて、さまざまな努力や工夫をなされているのは承知しております。ただ、行政のつらいところでもあるのですが、民間企業で田辺市のような公募型の採用を行う場合、採用
ターゲットのペルソナイメージを明確化し、その
ターゲットが必要とする情報を提供することで、有効応募数を担保しなければ採用成功はしづらくなってしまいます。今の幅広い年代から確保するという田辺市のスタイルでは、新卒から社会人経験を10年以上持つ中堅までを対象としているため効果が落ちてしまうのです。就職氷河期世代に絞ることは、採用成功という視点ではある意味チャンスだと捉えることができます。
答弁の中にもありましたが、報道によると、2030年までに公務員の定年を65歳まで引き上げ、かつ実力、能力主義の評価制度への移行も検討されています。仮に就職氷河期世代の40歳が入庁しても、定年まで25年も働けるため、さまざまなキャリアパスが可能です。また、経験豊富な人材が入庁することで組織の活性化や複雑多様化する行政課題への対応の幅も広がることも期待できます。
年齢上限の引き上げも検討するとのことでしたが、年齢構成に偏りのある田辺市の実情に合わせられ、かつ社会的意義も大きく、年齢層を絞ることでより採用成功につなげやすい就職氷河期世代に絞った採用の検討を再度お願いして、一般質問を終えたいと思います。御清聴ありがとうございました。
(3番 浅山誠一君 降壇)
○議長(安達克典君) 以上で、3番、浅山誠一君の一般質問は終了しました。
休 憩
○議長(安達克典君) この場合、10時55分まで休憩いたします。
(午前10時45分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(安達克典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前10時55分)
○議長(安達克典君) 続いて、1番、松上京子君の登壇を許可いたします。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 皆様おはようございます。1番、篤志会、松上京子です。
通告に従いまして質問させていただきます。今回は、大項目1点、国民健康保険の制度改革における医療費適正化についてです。
私たちは一人一人がみずからの責任と努力によって生活を営んでいますが、時として病気やけが、老齢、失業、障害などにより、個人の努力だけではどうすることもできず、生活が立ち行かなくなってしまうことがあります。このような場合に備え、相互に連帯して支え合い、それでもなお困窮する場合には、必要な生活保障を行うのが社会保障制度の役割です。これは、私たちにとってセーフティーネットの機能を持ち、生涯にわたって生活の基本的な安心を与えてくれるものです。今回私は、この社会保障制度のうち、中核として重要な位置を占める社会保険の中の医療保険について質問していきたいと思います。
我が国では、国民皆保険制度のもと、公的な医療保険として、協会けんぽや健保組合、共済組合、国民健康保険などに加入し、いざというときに備える仕組みになっています。けれども、近年、この国民皆保険制度は高齢化や医療費の急激な増加により厳しい状況になっています。2018年度の概算医療費は42兆6,000億円と2年連続で過去最高を記録し、今後さらにふえ続けるとの予想になっています。そこで今、国の施策として医療費適正化が重要な課題と位置づけされています。
市町村が運営する国民健康保険、国保は、平成30年度の制度改革により県が運営主体となりました。国保の加入者は、いわゆる社会保険に加入していない方々で、農林水産業、自営業、退職者、失業者などで、高齢者の方も多く、そういった加入者の構造上の問題から特に厳しい運営となっています。
厚生労働省は、都道府県による医療保険財政の健全化に向け、保険者努力支援制度を始めました。保険者努力支援制度とは、簡単に言うと、医療費を抑えるための自治体の取り組みなどに対し交付金を配分することです。特定健診、保健指導、糖尿病の重症化予防、個人の健康づくりへの動機づけ、後発医薬品の利用促進、保険料収納、第三者求償の取り組み、こういった取り組みを点数化し、その得点と保険加入者数に応じて交付金を配分するもので、医療費抑制に向けた自治体間の競争を促す狙いがあります。そこで、まず、この保険者努力支援制度について質問します。
田辺市の保険者努力支援制度の取り組みの現状について伺いたいと思います。田辺市の評価得点と県内、全国の順位をお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(安達克典君) 1番、松上京子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市民環境部長、松場 聡君。
(
市民環境部長 松場 聡君 登壇)
○
市民環境部長(松場 聡君) 議員御質問の平成30年度から開始された国民健康保険の新制度における保険者努力支援制度の評価指標に係る本市の得点結果とその県内順位等の状況につきましてお答えいたします。
保険者努力支援制度の評価得点は、特定健康診査の受診率などを初めとする保険者共通の指標及び保険税収納率などの国保固有の課題に対応する独自指標から成る100を超える評価指標を国の採点方法により合計した点数となっており、この評価得点に被保険者数を乗じて算出した点数を基準として、全市町村の国保の合計点数に占める割合に応じて交付金が計算されることになっております。
さて、御質問の本市の状況ですが、平成30年度の評価得点は850点満点中447点で、県内の順位は15位、全国では1,741市町村中943位となっております。また、令和元年度は920点満点中523点で、県内の順位は22位、全国1,741市町村中1,084位となっております。
次に、交付額ですが、平成30年度が3,826万6,000円、令和元年度が3,993万円となっております。
(
市民環境部長 松場 聡君 降壇)
○議長(安達克典君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 取り組み状況、得点、順位などをお答えいただきました。過去の2年間、県内の30市町村の中では15位、そして、22位とのことです。ほぼ真ん中ぐらい、中ぐらいですが、市に限って見ますと9市の中では順位が低いので、もう少し頑張れるのではないかと私は思っています。
では、今お答えいただきました結果を市ではどのように分析していますか。また、評価指標の中では、評価の高いものと低いものがあると考えますが、その説明と低い点に関しては、どのような取り組み強化を行っているかを教えてください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(安達克典君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 松場 聡君 登壇)
○
市民環境部長(松場 聡君) 議員御質問の現状の分析と取り組み強化策につきましてお答えいたします。
平成30年度及び令和元年度の得点結果に基づいた状況といたしましては、特定健診の受診率等に関する評価指標や、健康づくり等の取り組みに対する個人へのインセンティブ、情報提供に関する評価指標の得点率が県及び国の平均値よりも低い一方、特定健診の結果で脳卒中、虚血性心疾患、腎不全の発症リスクが高い未受療の方への指導等に対する糖尿病等の重症化予防の取り組みの評価指標や、保険税収納率に関する評価指標の得点率は、県及び国の平均値よりも高い状況となっております。
また、重複受診や多剤投薬の可能性が高い方を抽出し、啓発指導等を強化したことで、令和元年度で新たに得点を得るなど、得点の上昇に向けた取り組みも推進しているところであります。
今後におきましては、現在、実施している特定健診の受診率向上のための未受診者への受診勧奨事業を推進し、特定健診関係の得点の向上に努めていくとともに、評価指標の内容及びその配点は年度ごとに変更されますので、その動向を注視し、各事業の実施に当たっては柔軟な対応を図りながら、得点の向上に努め、国保の財政基盤の強化につなげてまいりたいと考えております。
(
市民環境部長 松場 聡君 降壇)
○議長(安達克典君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) ありがとうございます。分析した中では、重症化予防の取り組み、保険税収納率などの得点は平均値よりも高く、特定健診の受診率や個人への健康づくりの動機づけなどは低いということです。特定健診の受診率については、田辺市では、その人の心理特性に合った受診勧奨を行うことで、受診率も向上しているようです。今議会の補正予算でも、特定健康診査等事業費が320万円増額されていました。これは、はがきを受け取り、医療機関へ健診を受けに行ってくれた人がふえたのではないか、取り組みの成果があらわれてきているのではないかと思っています。
先ほど御答弁にもありましたように、評価指標は保険者共通のもの、国保固有のものからなり100を超えるということ。そしてまた、その内容や配点も年度ごとに変更されるということで、対応も大変だと思います。けれども、今後、国保の取り組みは保険者努力支援制度で成績評価されますので、当然どの自治体もそれぞれ工夫を凝らし努力をしていきます。頑張った分だけ交付金がふえる時代になったのですから、田辺市も一丸となってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。
続いて、二つ目の質問です。第三者行為求償事務の状況についてお聞きします。
第三者行為というのは、聞きなれない方もいらっしゃると思いますので、最初に少し説明をさせていただきます。お手元にあります参考資料をごらんください。
第三者行為とは、チラシにありますように、交通事故や他人の飼い犬にかまれるなど、第三者、加害者の不法行為によってけがを負うことです。幾つかの事例がイラストで示されています。食中毒になったとか、スキー、スノーボード等のスポーツでの接触事故、他人の落下物に当たった、このような例が示されていますが、国民健康保険に加入している人がこのような被害に遭った場合、保険証を使って病院で治療を受けることができます。けれども、その場合の治療費は、本来加害者、または加害者が加入する損害保険会社が支払うべきものです。一旦保険者である市が立てかえて払いますが、後で加害者に請求をしなければなりません。この請求、これを第三者行為求償といいます。この第三者行為求償事務に関しては、平成28年1月9日付の産経新聞にも、医療費の取りはぐれ数十億円との見出しで記事が掲載されるなど、国全体で求償事務が適切に行われていないことが問題提起されています。
そこで、この第三者行為求償事務の田辺市の実績についてお聞きします。過去5年間の実績を教えてください。求償の受け付け件数、それに伴う入金額をお願いいたします。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(安達克典君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 松場 聡君 登壇)
○
市民環境部長(松場 聡君) 議員御質問の本市の国民健康保険における第三者行為求償の受け付け件数と収入額の実績についてお答えいたします。
平成26年度の受け付け件数は26件で、収入額は707万6,415円、同様に、平成27年度が35件、979万6,471円、平成28年度が41件、955万5,813円、平成29年度が35件、876万5,528円、平成30年度が27件、1,029万12円となっております。
(
市民環境部長 松場 聡君 降壇)
○議長(安達克典君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) ありがとうございます。求償事務の実績について御答弁いただきました。金額のほうは、負傷の程度が重ければ当然多くなりますので、件数の方が重要になってくるかと思います。ここ5年では41件が多く、26件、27件という、大体それぐらいなのですけれども、この件数が多いか少ないか判断は難しいと思いますが、この求償すべき事案の把握が大切になってきます。
そこで次に、この第三者行為求償事務の実態把握についてお聞きします。求償すべきものは、ほとんどが約9割が交通事故ですが、それらをどのように把握しているのでしょうか。また、交通事故のほかには、他人の飼い犬による受傷や食中毒なども考えられます。そのような事例の発見方法を含め、事務の流れはどのようになっているのでしょうか。求償すべき事案の把握方法についてお伺いいたします。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(安達克典君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 松場 聡君 登壇)
○
市民環境部長(松場 聡君) 議員御質問の、どのように第三者行為を把握しているのかにつきましてお答えいたします。
交通事故などの第三者行為により、医療機関を受診した場合、世帯主から国保を利用して治療を受けたい旨の傷病届を提出してもらうことになっていますが、突然の事故ですぐに届け出をすることが困難な場合もあり、届け出をせずに国保を利用して治療を受けたままとなっている場合もあるため、市のほうで第三者行為により、けが等をしたレセプト等を発見することが必要となってきます。
和歌山県国民健康保険団体連合会は、国民健康保険法第64条に基づき、第三者行為に関する事務を共同処理している機関として、県内市町村等がその事務を委託しており、第三者行為による傷病の疑いのあるレセプトを抽出した負傷原因調査票が毎月市町村に提供されています。本市ではこの調査票をもとに対象となる世帯に負傷原因の調査を実施し、その結果、第三者行為による傷病であることが確認できた場合や管内での食中毒による報道を発見した場合におきましては、田辺保健所との情報連携により対象の方へ第三者行為による傷病届等の必要書類の提出を求め、求償事務につなげているところです。また、日々新聞やテレビなどの報道情報を活用して、対象となる事件、事故がないかの発見に心がけているところです。
なお、平成28年に本市を含めた国保等の医療保険者と損害保険団体との覚書の締結によりまして、任意保険に加入している被保険者が自動車事故で国保を利用する場合には、遅滞なく確実に届け出がなされるよう、損保会社が書類の作成や提出の援助などを行うことになったため、交通事故による届け出が促進されているところです。
(
市民環境部長 松場 聡君 降壇)
○議長(安達克典君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 求償事務の流れについてお答えいただきました。国保連合会との連携、また田辺保健所との情報連携により、細かな事務作業を行っていただいているとのことです。新聞のチェックなども含め、しっかりやっていただいているとは思いますが、物損事故扱いの負傷や自転車に係る事故など、丁寧に見ていけばまだ数値は上がると思います。また、大半を占める交通事故に関しては、事故件数やそれに伴う負傷者数のデータを用いておおよその求償件数が推定できますので、具体的な数値目標を立てて取り組むのも効果的だと思います。
田辺市よりも負傷者数が少ない市町でも求償件数が多いところもあります。例えば、先ほど平成30年度の田辺市の求償件数は27件とお答えいただきました。その年の田辺市の交通事故による負傷者数は242人です。242人全てが求償に値するわけではないと思いますけれども、242人の負傷者に対して求償件数27件。同じ年、海南市では114人の負傷者に対して求償件数は30件、田辺市より多くなっています。田辺市と同程度の求償件数の26件の有田川町での負傷者数は57人です。紀の川市も25件で165人の負傷者ということで、負傷者の割合から求償件数というのを見てみますと、田辺市もまだ求償する事案があるのかもしれない、こういうふうに思います。本来請求すべき求償事案についてしっかり調査をし、把握をお願いしたいと思っています。
次に、取り組み強化や担当者の資質向上についてお聞きしたいと思います。
私は、先日この第三者行為求償事務に関する勉強会に参加し、そこで、国から委嘱を受けた求償アドバイザーの方からいろいろお話を伺いました。求償事務に関する取り組み状況は地域差がある。保険者によって大きな差が見られるとお聞きしました。勉強会では、好事例として海南市のことを紹介されていました。海南市では、損保のOBの方が週1回勤務し求償事務を担当、4大新聞と地方紙の記事から求償につながる可能性のあるものをチェックしているそうです。小まめなチェックが功を奏し、それまで例年11件から16件ほどだった求償件数が、その後30件前後とほぼ倍の求償をしているとのことです。田辺市でも、このように専門知識や経験のある人に来ていただくことはできないのでしょうか。田辺市でどのような取り組み強化策を行っているのか、あわせて、求償担当の職員さんの資質向上をどのように図っているのか。また、海南市で行っているような体制の強化は今後考えられないのかお答えください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(安達克典君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 松場 聡君 登壇)
○
市民環境部長(松場 聡君) 議員御質問の取り組みの強化や担当者の資質向上についてお答えいたします。
第三者行為求償事務に対する取り組みは、各市町村で異なりますが、専門的な知識が必要となることから、本市では、まず、事務担当者が第三者行為求償事務について深く知識を得るために、県等が開催する研修会に参加し、その資質向上に努めているところです。
また、事務担当者が初任者の場合は、通常の研修とは別に実施される個別研修の参加を通じて、求償事務の研さんに努めております。
なお、近年、第三者行為求償の向上が強く求められる中、市町村での判断が難しいケースに対応できるよう、国から委嘱を受けた第三者行為求償事務アドバイザーの助言を受けることができるようになり、また、和歌山県国民健康保険団体連合会におきましては、犬にかまれた場合や食中毒など、より専門性が高くなる直接求償につきまして、連合会の専門員や外部の弁護士による対応ができるような仕組みを構築するなど、求償事務に関する環境が整備されてきています。
本市といたしましては、このような状況下において、今後どのような体制が必要かなど、求償事務強化へ向けて研究してまいりたいと考えているところであります。
(
市民環境部長 松場 聡君 降壇)
○議長(安達克典君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 今後、求償事務強化に向けてはどのような体制が必要か研究していくということでした。田辺市の場合は、海南市のような体制ではなく、国保連合会の支援により専門性を確保するということですが、決して任せ切りではなく、しっかり連携をしていってほしいと思います。現場で発見することが何よりも大事なのだと求償アドバイザーさんはおっしゃっていましたので、連携に加え、担当職員さんの一層の意欲や資質向上をお願いいたします。
最後に、周知についてお聞きします。第三者行為求償事務を行うためには、つまり、加害者にその費用を請求するためには、被害者の方から市に届けを出してもらわなければなりません。この傷病届の周知が進んでいないため、自主的な提出はほとんどされていないとお聞きしました。できるだけ多くの人に、こんな場合は国保の窓口へ聞きにいかなければということを知ってもらうことが大切だと思います。
求償事務の取り組みを進めるには、第三者行為の発見強化、損害保険団体との連携の強化、被保険者への働きかけの強化が上げられています。
そこで伺います。傷病届などの啓発、周知に関して、市ではどのような方法をとっていますか。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(安達克典君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 松場 聡君 登壇)
○
市民環境部長(松場 聡君) 議員御質問の本市の周知の方法につきましてお答えいたします。
従前から、毎年10月の国民健康保険証の更新における郵送に合わせて、加入世帯全戸に対しまして、第三者行為に係る内容を含んだパンフレットを同封しているところであります。
また、第三者行為求償の届け出の促進のため、啓発物品及び啓発チラシを保険課等の窓口で配布するとともに、届け出の必要性を普及するためのポスターを掲示するほか、広報たなべへの掲載を行い、周知に努めているところです。さらには、和歌山県国民健康保険団体連合会を通じて、新聞の全国紙及び地方紙を活用して、傷病届の提出の必要性について周知を行ったところであります。
(
市民環境部長 松場 聡君 降壇)
○議長(安達克典君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) ありがとうございます。パンフレットの同封やチラシなどの配布、また、ポスター掲示などを行っているということです。また、今触れられなかったのですが、保険課のホームページにも、交通事故に遭ったらという見出しで届け出の必要なことが書かれています。具体的に、ゴルフボールに当たってけがをしたとき、落下物に当たってけがをしたときなど、具体的な例を挙げられていますし、また、国保が使えない場合がどんな場合かということや届け出に必要なものなども書かれています。それから、必要書類がそのホームページからすぐにダウンロードできるようになっているなど、さまざまな努力をしてくれているようです。できるだけ回数多く目に触れることが大事なので、今後も広報紙や新聞への掲載など、継続していただけるようにお願いいたします。
第三者行為求償事務については、これまで比較的優先順位の低い事務であったと言われています。けれども、今は、国会からの関心も高い事業であると聞いています。
本来第三者、損保などが負担すべき医療費等を国保が負担したままにしておけば、第三者がその負担すべき医療費等につき不当に利益を得たことになり、不公平な結果になってしまいます。財政改善効果が期待されるのですから、負担分はきちんと返してもらう、返してもらうべきなのだという認識を事務担当の職員さん、そして、管理職の方には持っていただきたいと思います。
今は、保険者努力支援制度で成績評価され、頑張った分だけ交付金がふえるようになりました。都道府県全体の医療費適正化に関する評価について、和歌山県は47都道府県の中で35位から4位に上がっていましたけれども、市町村個別の評価は36位とまだ低く、さらなる取り組みが必要とのことです。
保険証1枚あれば高い水準の医療が受けられる、このすばらしい保険制度が崩壊してしまわないよう、医療費適正化をこれまで以上に自分のこととして考え、現場でできる仕事はしっかりとやっていただきたいです。保険者としての努力に期待します。私も国保の被保険者の1人として市の取り組みを注視していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(安達克典君) 以上で、1番、松上京子君の一般質問は終了しました。
休 憩
○議長(安達克典君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時27分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 陸平輝昭君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 続いて、19番、佐井昭子君の登壇を許可いたします。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) 皆様こんにちは。19番、公明党の佐井昭子です。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
今回は、通学路における防犯灯設置について、奨学金制度についての2点を一問一答方式でお尋ねしたいと思います。一問一答方式での質問は初めてですので、不手際もあるかと思いますが、どうか御容赦ください。
では、大項目1点目。通学路における防犯灯の設置についてお伺いします。
今回の質問は、児童生徒の通学路における安全・安心のための防犯灯設置についてです。
日が落ちてから明かりのない道を自転車等で帰宅するのは、防犯上大変に危険で、生徒本人にとっても保護者にとっても大変心配なことです。本市には、田辺市防犯灯設置補助金の交付の制度があり、町内会と地域の団体が設置する防犯灯の設置費に補助金が交付されます。また、その維持管理も防犯灯を設置した町内会等の地域団体が行うことになっています。市民の皆様の安心・安全のため、毎年年間100灯の申請に応えられる予算が組まれています。
しかし、市民の皆様からいただく御相談、主に子供さん、またはお孫さんを持たれている方からの御相談ですが、暗いのに防犯灯がないので心配、その場所は道路沿線が梅畑、田んぼ等である地域です。農作物の生育に悪影響を及ぼすおそれがあるので設置できないと関係者の方から言われてきました。
それで、1点目の質問になりますが、児童生徒の通学時の安心・安全の観点から、防犯灯の設置について市はどのようにお考えなのでしょうか、お伺いいたします。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 19番、佐井昭子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長、佐武正章君。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員御質問の防犯灯設置についてお答えいたします。
田辺市では、子供たちの通学路の安全確保のため、学校、保護者、教育委員会、警察、青少年センター、見守りボランティアなど、関係機関が連携して取り組んできております。日々の見守り活動や、学校での安全指導、警察や青少年センターの出前授業に加えて、交通面や防犯面の危険箇所について学校を通じて調査をし、関係機関が集まって協議をした上で順次対策を講じてきているところでございます。
昨年度、学校から報告のあった防犯上の危険箇所は35件あり、それぞれの場所について、見守り活動の強化、青少年センターによる青パト巡回の強化、防犯カメラの設置、歩車道の分離等の対策を実施いたしましたが、防犯灯の設置は行っておりません。
各学校では、日没を考慮して季節ごとの下校時間を設定しており、児童生徒に対して暗くなる前に下校するよう指導しております。部活動で下校が遅くなる高校生にとっては必要な場所があるかもしれませんが、これまでの田辺市教育委員会として防犯灯を設置したということはございません。しかし、今後学校や保護者から防犯灯の依頼があった場合には、地元町内会や関係機関などと連携して、設置について協議をしてまいりたいと考えております。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 佐井昭子君。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。ただいま教育委員会から、小・中学校の児童生徒は、暗くなる前に下校できるよう時間が設定され、クラブ等でも暗くなるまでに下校できるようになっているとの御答弁をいただきました。その点は安心いたしました。心配な点は高校生、それから、塾等に通う学生さんの安心・安全をどのように考えるのか、その点で疑問が残ります。しかし、要望があれば対応していただけるということですので、お願いをしたいと思います。
それでは、2点目、農村地帯における防犯灯の設置についてお伺いいたします。
さきの質問で、教育委員会では要望があれば対応していただけるということでありましたが、先ほども申し上げましたが、市民の方からの御相談に対して、梅畑や田んぼを通る道路への防犯灯設置は、農作物の生育に悪影響を及ぼすおそれがあるので難しいとお話をしてきました。高校生の帰宅は遅く、中学生なども塾等での行き来に自転車を利用する場合、自転車のライトだけでは周りが見えにくく、前や後ろに誰かがいても気づきません。不審者の出没等で生徒も保護者の皆様も大変心配です。農村地帯における防犯灯の設置についてはどういう見解をお持ちでしょうか、お聞かせください。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 企画部長、早田 斉君。
(企画部長 早田 斉君 登壇)
○企画部長(早田 斉君) 議員の御質問にお答えいたします。
防犯灯につきましては、主に生活道路において、夜間の危険箇所をなくし、犯罪等を未然に防ぐため、住民の安全・安心を確保する上で大きな効果を果たすものとして設置されているものです。
現在、市における防犯灯の設置につきましては、先ほど議員のほうからも御紹介ありましたように、町内会等がその地域で防犯上必要とされる場所や灯数を選定し、設置しており、市では防犯灯設置費補助金制度を設け、町内会等が防犯灯を設置する場合の費用の一部を補助することとしており、農村地域や市街地域といった地域の別にとらわれず、町内会等からの申請に基づき設置していただいているところです。
近年では、市街地からの人口流入や農地の宅地化等が進んでいる中で、議員から御指摘いただいたように、農村地帯では照明光の影響に対する不安があることなどを理由に防犯灯の設置が見送られたことや、設置場所を変更されたことが過去にはあったと伺っております。
しかしながら、一般的には梅の生育に照明光が影響を及ぼすことは少ないと言われており、さらに、照明光により害虫が誘因される割合は、LEDでは水銀灯のおよそ5分の1、蛍光灯の2分の1程度のデータがありますので、防犯灯をLED化することにより、害虫誘因の懸念は低減されるものと考えられます。
市といたしましては、引き続き防犯灯の設置については公共の電柱等に設置する場合はもちろんですが、他の設置場所であっても、関係者の承諾を得ていただくとともに、あわせて近隣の方々の御理解のもと設置していただくことになります。
(企画部長 早田 斉君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 佐井昭子君。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。町内会等での御要望で設置場所、灯数が選定され、地域の別にとらわれず申請があり、要件に合えば交付されるということでした。
農村地域における防犯灯の設置については全国的にも課題になっておりました。今の御答弁で、梅の生育には照明灯が影響を及ぼすことは少なく、今設置されているLEDでは害虫誘因も低減されているということでした。ちょっと勉強不足でしたので、再度農業の専門部署に確認させていただきたいと思います。梅の生育には、照明灯が影響を及ぼすことは少なく、防犯灯の設置は可能でしょうか。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君)
農林水産部長、北川弘泰君。
(
農林水産部長 北川弘泰君 登壇)
○
農林水産部長(北川弘泰君) 議員御質問の梅の生育に対して、照明灯による影響はどうなのかということについてお答えいたします。
照明灯の光等による梅への影響については、まず、カメムシなどの害虫を寄せつける可能性はありますが、専門機関によりますと、照明灯の光が梅の生育に与える影響についての論文等はないものの、人工的に温度や光を制御する機器の中で梅の幼木を用いた試験を行っている状況では、温度、気温による影響は大きいものの、光についての影響は認められていないというふうな見解をいただいております。
以上でございます。
(
農林水産部長 北川弘泰君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 佐井昭子君。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) ありがとうございました。梅の生育に関しては、気温による影響はあるけれども光についての影響は認められないという見解であるという御答弁をいただきました。これを素直に、もうそのまま、そしたら梅畑大丈夫ですねというふうに受け取ってよいのかどうかちょっとわかりませんけれども、ただ栽培をされている所有者とか農家の方々の不安を払拭できるのか少し心配が残ります。
そこで、3点目の質問に移ります。
昨年5月、神奈川県横浜市の市道で、稲への光害を軽減した防犯灯設置の実証実験が始まったという記事を目にしました。これは、夜間の安全確保と農業への影響軽減の両立を図るもので、周囲の環境を考慮して、防犯灯設置が難しかった地域に光をともせるようになればと期待され、実証実験が始まりました。その実験は、市道135メートルにわたって、沿道の電柱に4台取りつけ、この市道は、小学校、中学校の児童生徒が通学で利用し、防犯灯の要望がありましたが、耕作地域であることから設置に至っていませんでした。
光害を軽減した防犯灯は、山口大学発のベンチャー企業の研究所での研究開発成果を生かしたもので、照明光の波長を調整するとともに、高速で点滅させることで植物に感じにくい光とし、負担の軽減を図るものだそうです。横浜市の担当によりますと、山口大学で、既に技術的に確立されたもので、昨年末沿道の約10名の耕作者にアンケート調査をしたところ、稲、ホウレンソウには効果が見られ、他の葉物に関しても大体影響なし、明るさもちょうどよく安心という回答が得られたそうです。次年度は残りの200メートルにも設置する予定になっているそうです。
横浜市では、平成26年度から順次LEDに交換し、同時に防犯灯は市の管理になり、電気
料金は市が払うことになっているそうです。既にこの農作物に悪影響を与えないという防犯灯は、埼玉県、茨城県など5県で導入実績があるそうです。
これは、稲等の光害を軽減するLEDの実証実験でありましたけれども、先ほどの御答弁で、梅には光の害はない、それから、今の横浜の例で農作物に影響を与えない防犯灯、田辺市では梅畑もありますけれども普通の田んぼなどもありますので、このような防犯灯の設置を御検討いただきたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 企画部長。
(企画部長 早田 斉君 登壇)
○企画部長(早田 斉君) 議員の御質問にお答えいたします。
議員が今御紹介された農作物に悪影響を与えない防犯灯につきましては、山口大学農学部環境情報研究室が農作物の生育に影響を及ぼさないLED屋外照明装置の研究を進め、もう既に防犯灯として実用化されていることは認識しております。
今、御紹介もありましたように、その防犯灯は、稲とかトウモロコシとかホウレンソウなどの生育には影響を及ぼさない製品である。また、あわせて、まだまだ高額で、なかなか一般的にも普及はされていないというふうなことも聞いております。
そうしたことから、市といたしましては、現状のLEDの防犯灯の設置について、今後も引き続き、町内会等関係者の方々の御協力をいただきながら設置していただくこととなりますけれども、そういった、今御紹介いただいた防犯灯についても今後我々としても勉強してまいりたいと思います。
以上です。
(企画部長 早田 斉君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 佐井昭子君。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) ありがとうございました。研究していただくということなので、よろしくお願いしたいと思います。
横浜市に問い合わせてその効果とかをお伺いしましたら、この農作物に悪影響を与えないLEDは、当初はかなり高額だったらしいのですけれども、今2万5,000円ぐらいで購入できるそうです。ただ、電気代が1.5倍ぐらいになるので市の管理になっているというようなお話でした。
それで、梅の生育には光は余り害がないということでありますので、農村地帯でこれからそういう設置の要望があったときには、関係の皆様とよく御協議をしていただいて、できる限り児童生徒、また学生さんたちが通る道には防犯灯が設置できるように進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、大項目の2点目、奨学金制度について3点お伺いいたします。
1点目に、田辺市の奨学金制度についてお伺いします。
経済的に厳しい家庭への状況の生徒であっても勉強したいという意欲のある生徒の進学の希望をかなえ、学生生活を支えていける奨学金の制度は大変ありがたい制度であり、なくてはならない制度であります。田辺市の制度を利用し、進学された生徒も大勢いらっしゃることと思いますが、近年はその利用が減少していることを聞き及んでいます。現制度の概要、利用状況とその現状認識をお聞かせください。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 教育次長、宮﨑和人君。
(教育次長 宮﨑和人君 登壇)
○教育次長(宮﨑和人君) 議員御質問の市が実施している修学奨学金制度の利用状況と現状認識についてお答えいたします。
田辺市修学奨学金につきましては、勉学に対する意欲があるにもかかわらず、経済的な理由により修学が困難な高校生及び大学生等に対して、無利子で奨学金を貸与する制度でございます。
田辺市修学奨学金は、平成17年の市町村合併時にそれぞれの市町村で実施していた制度を一元化したもので、一定の所得要件等の審査を経た後、高校生には月額1万円、大学生、短期大学生、専門学校生には月額3万円の奨学金を貸与しております。また、平成24年度から、大学、短期大学等への入学に際して必要となる入学金等の資金についても、上限50万円を限度に貸与する入学準備金制度を創設しております。
次に、利用状況につきましては、平成17年度から現在まで、高校生が82名、短期大学生等が80名、大学生が122名の合計284名、また、入学準備金につきましては、大学、短期大学等への進学者29名の合計いたしまして延べ313名となっております。
しかし、ここ数年は年々利用者が減少しておりまして、入学準備金を除く奨学金の利用者の推移を見てみますと、平成19年度の37名をピークに、平成28年度は22名、平成29年度は10名、平成30年度は13名、平成31年度は12名となっております。
そのため、平成28年度に制度の一部を見直し、募集定員枠に余裕がある場合、追加募集の期間を設けて、より柔軟に対応してきておりますが、利用者の減少は続いている状況でございます。
次に、利用者が減っていることについての現状認識についてでございますが、3年ごとに実施されている日本学生支援機構の奨学金事業に関する実態調査報告によりますと、全国の奨学金利用者数は、平成19年度が141万2,774人、平成22年度が171万4,993人、平成25年度が176万7,110人、それから、平成28年度が186万4,635人となっており、利用者数は年々増加してきております。
しかし一方で、地方公共団体の奨学金制度を活用した利用者数を見てみますと、平成22年度は14万4,232人、平成25年度は12万5,616人、平成28年度は12万1,048人と逆に減少している状況でございます。
また、日本学生支援機構を除く地方公共団体、学校、公益法人、営利法人等の実施団体数及び実施制度数を見てみますと、平成19年度が2,766団体、4,717制度、平成22年度が4,275団体、8,603制度、平成25年度が3,877団体、8,664制度、平成28年度が5,028団体、1万1,204制度となっており、実施団体数及び実施制度数とも年々増加してきております。
このような状況から、田辺市修学奨学金の利用者数の減少につきましては、日本学生支援機構など各種団体が運営する奨学金制度が給付型を含めて年々充実してきており、個々のニーズに応じた選択肢の幅が広がってきているということが主な原因であると考えてございます。
(教育次長 宮﨑和人君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 佐井昭子君。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。利用状況、現状認識についてお答えいただきました。利用者数の減少、その理由として、日本学生支援機構と各種団体が運営する奨学金制度が給付型を含め年々充実してきており、個々のニーズに応じた選択肢の幅が広がったということが要因だというふうに言われました。これは、大変に喜ばしいことだと思います。
それでは、続いて2点目の質問に移ります。ちょっと時間がないのではしょります。
1点目の質問に対するお答えの中で、日本学生支援機構等の給付型の奨学金が充実してきたということをお答えいただきまして、確かに、今高等教育を支える、経済的に学生を支える二つの手段として、奨学金の制度と、それから授業料の減免というのがあります。この二つで、本当に経済的に厳しい状況の御家庭の学生さんでも進学したいという希望があればそれがかなえられるような状況ができ上がってきております。本当にこれは大変に喜ばしいことだと思っております。
そこで、それからもう少し、一番大変な方たちよりちょっとその次に大変な方たち、ここら辺の人たちを支援する制度があってよいのではないかというふうに考えました。この田辺市のような地方では、子供さんが大学進学とかをする場合は他府県に行って、親御さん、保護者の皆様は毎月その仕送りに大変な御苦労をされているわけですけれども、田辺市の奨学金の制度も、その辺のことを御検討されて、新たな支援のあり方、例えば貸与条件の緩和等、そういうお考えはございますでしょうか。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 教育次長。
(教育次長 宮﨑和人君 登壇)
○教育次長(宮﨑和人君) 議員御質問の新たな制度、今後の制度のあり方等についてでございます。
田辺市修学金制度につきましては、無利子の貸与型奨学金ですので、卒業後半年を経過した時点から10年以内に返還をしていただくことになります。しかし、この奨学金以外に、田辺市教育委員会が事務局を担当している公益財団法人小山育英会が運営する奨学金もございます。
この小山育英会奨学金は、返還の必要のない給付型奨学金であり、経済的な理由から就学が困難な高校生、大学生等を対象に年間15名から20名程度の新規採用を行い、卒業までの間、高校生には月額8,000円、短大生等には月額1万3,000円、大学生には月額2万5,000円の給付を行っております。
田辺市の修学奨学金については、近年利用者が減少傾向にはありますが、こうした小山育英会奨学金などの給付型奨学金や、日本学生支援機構が実施する奨学金などと併用することも可能でございますので、進学を希望する生徒さん、学生さんにとっては奨学金の選択肢が広がることにもなり、今後においても一定の役割を果たしていくものと認識をしております。
しかし、この田辺市の修学奨学金の利用者が減少傾向にあるということ、これも事実でございますので、今後のあり方等について、例えば、日本学生支援機構などの奨学金制度の仕組みや内容と比較をしながら、必要とする方にとってより利用しやすい制度となるよう、そして、進学を希望する生徒や学生の経済面での一助となるよう貸与条件等の見直しについて検討してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
(教育次長 宮﨑和人君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 佐井昭子君。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。日本学生支援機構などの他の奨学金制度の仕組みや内容などと比較しながら、利用しやすいあり方、進学を希望する生徒や学生の経済面での一助となるよう貸与条件の緩和等の見直しについて検討されるということですので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後の質問に移ります。これは質問というより提案であります。
以前、地元に返ってくる学生さんに給付型の奨学金制度をと提案させていただいたことがありますが、残念ながら実現には至っておりません。今回は、奨学金の肩がわりということを提案させていただきたいと思います。
日本学生支援機構によると、貸与終了の大学生の平均貸与総額343万円、月平均1万4,500円の返済が20年間必要というふうになっております。学生が学校を卒業した時点で何百万円という借金を背負い、就職して何十年もかかって返済をしていく精神的、経済的負担を少しでも緩和できないか。そしてまた、地元出身の学生さんたちが地元に帰ってくるきっかけにならないかということで、全国でも既に導入されている奨学金の肩がわりの制度について提案をさせていただきたいと思います。
御存じの方も多いと思いますが、ここで少しこの制度についてお話をさせていただきます。
新聞によりますと、若者に地方で働いてもらうことを条件に、県などが公金を投じて奨学金の返済を肩がわりする動きが広がっている。2018年度まで16都道府県が計1,747人の肩がわりを行った。過疎化と人手不足に悩む地方では、奨学金返済の負担減を呼び水にしてUターンの若者らをふやしたい、そういうことで広がっているということです。制度の内容としては、日本学生支援機構など公的な奨学金を対象とする、また、県の奨学金のみを対象とする、介護分野に限定する、さまざまなそれぞれの制度があります。
実際にこの制度を使ってUターンされた方の言葉が載っておりました。就職先を選ぶに当たって大きな決め手になった。これは鳥取県米子市で民間の会社に働く女性の方ですけれども、高校を卒業して県外の大学に進み、4年間で学生支援機構から借りた奨学金が約290万円、自分で借りたとはいえ正直途方に暮れる思いだった。このときにこういう制度があるのを知って、県外で就職が決まりかけていたのですけれども、この制度があるということで戻ってこられた。約120万円の肩がわりを受ける予定で、気持ちも経済的にも楽になれた。このような制度であります。
これは県単位の施策なのですけれども、田辺市においても県との連携、あるいは周辺町村等で、広域等での制度設計というものができないかどうかお尋ねしたいと思います。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君)
商工観光部長、前川光弘君。
(
商工観光部長 前川光弘君 登壇)
○
商工観光部長(前川光弘君) 議員御質問の地元にUターンされる学生への奨学金返納支援についてお答えいたします。
本市の地方創生の推進に当たっては、出身者が戻ってくる、新たな人が移り住んでくるという人の流れをつくることが最も重要なテーマであり、その達成に向けては、若年層の地元回帰を促進することが有効な施策であると考えております。
その具体的な施策の一つとして、商工会議所、各商工会等と連携して、平成4年度から毎年Uターンフェアを開催しており、近畿圏内を中心に約140の大学及び専門学校へ開催案内を送付するとともに、広報たなべへの掲載や商工会議所ホームページ等でも告知を行い、より多くのUターン希望者に来場していただけるよう周知を図っているところでございます。
昨年の実績につきましては、参加企業は延べ1,096社、それに対して4,937者の求職者が参加し、うち654人が内定に至っており、今年度につきましては、参加企業55社に対し、大学等の新卒者が17名、転職者を含む一般求職者が58名の計75人が参加し、うち13人が内定に至りましたが、残念ながら大学等の新卒者の内定は1人にとどまっております。
しかしながら、田辺公共職業安定所によりますと、管内の短大・大卒等の求人については、平成29年度から3年間で求人件数51件、求人数124人となっており、地元企業においては一定、短大・大卒者の採用を希望している状況であると考えます。
このようなことから、奨学金返納支援につきましては、地元回帰への動機づけの一つとなり得ること、さらにこのことにより、短大・大卒等の求職の増加が期待され、地元の企業における人材確保のメリットがあると考えられます。
また、全国には、奨学金返納支援制度を創設し、地域での雇用の創出、並びに若年層の地元回帰の推進に取り組んでいる自治体もございます。
本市といたしましては、今後、田辺商工会議所や各商工会等とも連携を図りながら、その他の自治体等の制度やその効果なども参考とし、調査、研究に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(
商工観光部長 前川光弘君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 佐井昭子君。
(19番 佐井昭子君 登壇)
○19番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。
調査研究ということでございますので、ぜひ若い方々への支援、地元への人材の確保という観点で前向きに御検討いただきますよう要望させていただきたいと思います。
奨学金制度に関してはこの議場でも何度か質問させていただきました。高校生の皆様が、大学で学びたいのにお金のことを心配して進学しようかどうか迷っているとか、大学生の皆様が、進学したけど毎日、毎日のお金の心配をしながら勉強をされるとか、そういう状況を少しでも緩和できればという、そのような思いであります。どうかこの奨学金をまた充実した制度にしていただけますようにお願いを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(19番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 陸平輝昭君) 以上で、19番、佐井昭子君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 陸平輝昭君) この場合、午後1時50分まで休憩いたします。
再開の際は、議案書及び予算書を御持参ください。
(午後 1時39分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(安達克典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時50分)
○議長(安達克典君) 続いて、13番、二葉昌彦君の登壇を許可いたします。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 皆様こんにちは。13番、誠和会、二葉昌彦、一般質問させていただきます。
今回、大項目として2項目。1、地域医療の現状と今後の対策について。2、税金支払いのキャッシュレス化について。以上2項目、一問一答で質問いたします。
コロナウイルスの影響で小中高が臨時休校になり、早1週間が過ぎました。聞くところによると、それぞれの学校により、必要最小限で家庭訪問したり、教材の配布、地域での見守りの実施等、各学校が創意工夫して生徒の過ごし方を考えていただいているようです。その効果もあり、今のところ生徒たちには大きな問題もなく過ごしているので安心しております。関係者の皆様には御苦労に感謝をしたいと思います。このままコロナウイルスの消滅を願いたいと思っています。
今回、大項目1として、地域医療の現状と今後の対策についてお伺いしたいと思います。
少子高齢化、人口減少社会に入り、身近な生活、暮らしをする地域社会でさまざまな変化を感じます。2025年問題、団塊の世代の方が75歳を迎え後期高齢者になり、これを境に超高齢社会が続き、2040年には高齢化のピークを迎えると推測されています。
また、平均寿命の推移を見ましても、1960年ごろは男子65.32歳、女子70.19歳、2018年では男子が81.25歳、女子87.32歳と60年の間に約15歳以上平均寿命が延びていることになります。また、2060年には、男性84.19歳、女子90.9歳になると推測され、人生100年の時代が来そうです。これから超高齢社会が進行していく中でさまざまな問題が起こってきそうです。
また、人生どこで最期を迎えるのか、1960年ごろは8割以上の人が自宅で亡くなり、医療機関で亡くなる方は1割強でしたが、現在8割近い人が医療・介護施設で亡くなるという最後の迎え方も変わってきています。
このような中で、去年11月ですが、高齢者の女性から相談を受けました。主人が病気で入院をしているが病院が遠くて見舞いにも行けない、近くの病院に移ることはできないかということでした。女性の年齢は92歳、入院されている男性は87歳という高齢の夫婦です。透析患者で、自宅から通院をしていたようですが、病気の悪化から足の切断、手術に至り、通院も無理になり地域連携室の方が病院先を探してくれたみたいです。田辺地域周辺には受け入れ病院がなく、田辺市から近い有田市の病院を探してくれたみたいです。私も車で有田の病院まで実際に行きましたが、92歳の高齢を考えても、電車に乗り、タクシーに乗りかえ、病院への移動は少しきついように感じ、よい方法がないか探していました。年末は元気でしたが、年が明け亡くなってしまいました。住みなれた地域、近くの病院にも行けず、行き場所を失ってしまったように感じ非常に残念でさみしく思った次第です。このような高齢者の問題が身近で起こり始めました。
地域医療の定義に、地域住民が抱える問題やさまざまな健康上の不安や悩みをしっかり受けとめ、適切に対応するとともに、広く住民の生活にも心を配り、安心して暮らすことができるよう見守り、支える地域医療活動とうたわれています。このように、人口減少、高齢化、長寿化社会になり、住民の医療、介護のニーズも変化してきているように感じます。
そこで、地域医療の現状、市民の1カ月当たり病院利用状況、疾患別患者数、どのような病気で病院を利用しているのか、また、当地域で生まれた新生児数。今後、少子高齢化社会が進んでいく中、地域医療がどのように変化していくのか、地域医療の現状と今後の対策についてお伺いいたします。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君) 13番、二葉昌彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、虎伏 務君。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
本市は、高齢化と過疎化が進んだ山間地域を含む広大な行政区域を有しており、身近な地域で安心して医療を受けられる環境が求められております。地域に必要な医療サービスを提供し、住みなれた地域で安心して生活が継続できるように、地域における医療の確保を図る上で公立診療所の重要度は高く、市直営で龍神中央診療所、龍神湯ノ又診療所、龍神大熊診療所、大塔富里診療所、大塔三川診療所、本宮さくら診療所の6診療所を開設、国保直診では、上芳養、中芳養、秋津川、長野に4診療所を開設しております。また、公設民営で龍神地域、中辺路地域、本宮地域に医科、歯科合わせて6診療所を設置しており、地域医療の確保に取り組んでおります。
田辺市国民健康保険の疾病別医療費分析データによりますと、疾病別の医療費に占める割合で、入院の1位はがんなどの新生物、2位が脳梗塞などの循環器系、3位が統合失調症などの精神系、外来の1位は糖尿病などの内分泌系、2位が新生物、3位が高血圧症などの循環器系となっており、新生物が入院の1位、外来の2位と医療費の上位を占めております。
がん治療については、紀南病院と南和歌山医療センターが、がん診療連携拠点病院として田辺圏域のがん治療を行っております。また、南和歌山医療センターが、がん患者の緩和ケアに取り組んでおります。
今後、高齢化が進み、医療費の増加や患者数の増加が見込まれる中、県の保健医療に関する県民意識調査の中で、あなたはがん治療における緩和ケアをどこの場所で受けたいですかという質問に対し、病院、自宅という回答が多い結果となっていることからも、緩和ケアを含む在宅医療の整備が必要であります。
また、出生数については、平成30年度517人の新生児を母子保健事業で把握しておりますが、田辺圏域での分娩可能な2医療機関での出産が400人と全体の77%を占めている状況であります。
今後、少子化が進展する中、地域の実情に応じた医療体制の構築に加え、高齢者ができる限り住みなれた地域の中で、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供できる体制、とりわけ医療と介護の連携体制を構築することが求められているところであります。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。
そこで、これから迎える超高齢社会による新たな課題、急増する認知症患者の問題とこれから起こる高齢者医療が、現在の医療、介護サービスの提供で対応していけるのかが心配であります。これからの高齢化社会における高齢者医療問題についてお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
認知症の診療や相談について、地域包括支援センター等での相談機能の充実など、認知症の人とその家族が地域で気軽に相談、受診できる医療体制の充実を図っております。
また、南和歌山医療センターが県下に3カ所指定されている認知症疾患医療センターの1カ所として、認知症疾患に関する鑑別診断と急性期治療、認知症の専門的医療を提供するとともに、地域の保険医療機関、介護事業所等と連携し、地域において認知症の進行予防から生活の維持まで必要となる医療を提供できる体制の整備が進められているところであります。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。
続いて、小項目の2の在宅医療、地域包括ケアシステムの現状についてお伺いします。
通院が困難な方、障害者の方、寝たきりの高齢者の方が住みなれた環境で生活をしながら、自宅に医師、看護師、ヘルパーの方が訪問し、医療を受ける在宅医療の状況と地域包括ケアシステムの状況の進捗状況をお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えいたします。
田辺市では、高齢者が住みなれた地域で安心して自分らしく生活を続けられるように、本人、家族の選択を基本とし、医療、介護、予防、生活支援サービスや住まいなど、必要なサービスを身近な地域で受けられるように、本庁と行政局ごとに設定しております五つの日常生活圏域において、地域包括ケアシステムの整備に取り組んでおります。
在宅でみとりまでを想定した医療を受けやすくするために、田辺圏域在宅医療・介護連携支援センターを中核としまして、市民に対して在宅医療についての広報や啓発を行ったり、介護支援専門員や訪問看護師、医療機関には相談支援とともにICTを活用した情報連携や入退院調整など、切れ目のない医療と介護の提供体制の整備や、顔と顔のつながるネットワークの整備など、連携体制の構築に取り組んでおります。
また、田辺市医師会に対しては、在宅医療を推進するための必要な事項の検証とともに、在宅医療を実施する医師等のネットワーク化や、主治医のいない在宅療養者への主治医の紹介など、在宅医療推進のための事業実施をお願いするなどして、地域包括ケアシステムの構築ができるように取り組みを進めているところでございます。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。まず、医療、介護、予防、生活支援サービス、住まい、この五つのサービスを一体的に提供できるケア体制をつくっていくためには、行政の課を超えた横の体制、連携が必要であるように思います。今まで以上に、分野的横断がなくては、地域包括ケアシステムは進まないように思います。高齢者患者の地域生活を支える仕組みを早急に考えていただく必要があるように思います。
続いて、小項目3、地域医療構想についてお伺いいたします。
国は、都道府県における地域医療構想作成のためのガイドラインを平成27年3月に策定し、平成27年4月から都道府県で策定作業を開始されています。団塊の世代が75歳以上になる2025年の社会を見据え、医療需要と病床の必要量を推計、病床の機能分化、連携、在宅医療、介護の推進、医療、介護従事者の確保、勤務の改善と医療介護の連携体制を示すのが地域医療構想であると認識しています。
また、医療費削減のため、全国で15万床以上の入院ベッド数削減計画であり、膨らむ医療費削減が目的である。そのため、入院患者を在宅医療へ、全国で1割以上の削減を目標と聞きます。和歌山県の地域医療構想の進捗状況をお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
団塊の世代全てが75歳以上となる2025年には、全国的に医療需要のピークを迎えることが見込まれます。和歌山県でも2025年には5人に1人が75歳以上の高齢者になると見込まれており、医療費の適正化に向けた対策を行う必要があります。
地域医療構想は、2025年に向け、住みなれた地域で、安全・安心な暮らしを営むことができる地域の実情に応じた医療体制を構築するため、都道府県が策定をしております。
地域医療構想の目的は、単なる病床削減や医療費削減ではなく、二次保健医療圏ごとに2025年の医療需要にふさわしい医療提供体制を実現するため、医療状況、人口動向、高齢化の進行を分析し、高度な治療が必要とされる高度急性期、病気やけがの発生直後で治療が必要とされる急性期、在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションが必要とされる回復期、長期にわたり入院が必要とされる慢性期の四つの医療機能ごとに必要病床数を定め、各医療機関の機能分化と連携を推進し、効率かつ質の高い医療提供体制の確保を図っていくことであります。
県が策定しております和歌山県地域医療構想では、田辺圏域の2025年における必要病床数を平成26年の1,699床から1,113床に設定し、急性期から回復期への病院、病床転換、山間地域を含めた全体をカバーする在宅医療提供体制の構築、医療従事者の確保、養成を施策として掲げております。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。
そこで、全国でベッド削減計画がされていますが、田辺圏域での削減状況をお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
さきにも述べましたが、和歌山県の地域医療構想は、各圏域において各医療機関の機能分化と連携を図り、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまでの将来の医療需要を踏まえ、質の高い医療提供体制を構築することを目的としております。
和歌山県地域医療構想で定めております医療提供体制の実現に向けまして、田辺圏域では田辺保健所が中心となり、各医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、各病院、各有床診療所、5市町、医療保険者の代表者で構成されております地域医療構想調整会議で協議が行われているところでございます。
先ほども申し上げましたが、病床数につきましては、平成26年で1,163床(後刻「1,699床」と訂正)になっているという状況でございます。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。
この1,163床からこれから減少してくるというのはおわかりなのでしょうか。今の現時点で。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) ちょっと先に訂正をさせていただきます。先ほど、1,163床と言いました。平成26年の病床数が1,699床で、それで2025年における必要病床数を1,113床に設定するということで訂正のほうをさせていただきたいと思います。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。
続きまして、二次田辺医療圏の取り組みと進捗状況についてお伺いしたいと思います。
和歌山県は、七つの二次医療圏で協議の
場を持ち、和歌山県地域医療構想の策定のため会議を開かれ、進められていますが、進捗状況のほうをお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員御質問にお答えさせていただきます。
和歌山県地域医療構想で定めております医療提供の体制の実現に向けまして、田辺圏域では、田辺保健所が中心となり、各医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、各病院、各有床診療所、5市町、医療保険者の代表者で構成されております地域医療構想調整会議で協議が行われているわけでございますが、地域医療構想調整会議は、今まで8回開催されており、在宅医療提供体制の構築では、在宅医療の後方支援機能の役割を担うことを目的に、常勤の理学療法士、作業療法士等がリハビリを行っている回復期病床を保有しているなどの要件を満たす病院を県独自で地域密着協力型病院として指定するなど、整備が進められております。
病床の機能分化では、2025年における必要病床数を定め、急性期病床から不足する回復期病床への転換と慢性期病床の整備や急病病床のほか、施設への転換や廃止を進め、和歌山県地域医療構想に記載されております平成26年7月1日現在、田辺圏域の高度急性期36床、急性期が938床、回復期が81床、慢性期583床から、田辺保健所調査の平成31年4月1日現在の高度急性期36床、急性期805床、回復期283床、慢性期307床となっており、2025年における必要病床数の実現に向けた整備が進められております。
昨年9月に開催されました第8回地域医療構想調整会議において、新たに急性期から高度急性期へ37床、急性期から回復期へ43床、慢性期から回復期へ4床、慢性期から介護医療院へ50床が病床転換することが各医療機関より報告されており、そのうち急性期から高度急性期へ37床が既に病床転換されており、医療提供体制の整備が進められております。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。
続いて、5番目の二次医療圏における自治体、公立病院の役割についてお伺いしたいと思います。
市民が身近な生活をしていく中で、さまざまな問題が発生しています。自治体の職員の方は、地域における諸問題を解決することで住民福祉の増進を目指し、考えていただいております。自分の命を守ってくれる医療は、特に高齢者、子育て世帯、障害者の方にとっては非常に大事な存在であります。
そこで、田辺二次医療圏における自治体、公立病院の役割についてお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
田辺圏域において、紀南病院と南和歌山医療センターは、地域における中心的な医療機関として、紀南病院は災害拠点病院、僻地医療拠点病院、周産期母子医療センター、第2種感染症指定病院などの機能を、南和歌山医療センターは、災害拠点病院、救命救急センター、僻地医療拠点病院、地域医療支援病院などの機能をそれぞれ有し、救急、小児、周産期、災害などの特殊部門にかかわる医療や僻地、過疎地域における医療など、地域医療において重要な役割を担っております。
本市も紀南病院は、国保上芳養診療所、秋津川診療所へ医師の派遣、それから、龍神中央診療所の胃内視鏡の二重読影、本宮さくら診療所の全身用Xコンピューター断層撮影の二重読影を、南和歌山医療センターへは、龍神湯ノ又診療所、それから、大熊診療所へ医師の派遣を委託しており、山村地域等において、市民が住みなれた地域で安心して医療を受けられる医療体制の構築に御協力をいただいております。
救急医療においても、病院群輪番制による二次救急医療体制の一翼を担っており、さらに、南和歌山医療センターは救命救急センターとして、紀南病院は、地域周産期母子医療センターとして、三次救急医療体制で重要な役割を担っております。
本市としましては、今後の高齢化、人口減少を踏まえて、市民が住みなれた地域で安心して適切な医療を受ける機会を確保するため、田辺圏域における公立病院は重要であると考えております。
そのため、地域医療構想の実現に向け、各医療機関の機能分化と連携を推進し、効率的かつ質の高い医療提供体制が構築されることが必要であると考えております。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。
そこで、年末の新聞に、里帰り分娩休止、受け入れ体制整わずという記事が掲載されました。出産は、元気で生まれることは当たり前のようでいてリスクの高いところであり、私の長女が誕生するときも母親が生死をさまよい、神にもすがる思いを経験したことがあります。この里帰り分娩の休止は、私も新聞記事を見て初めて知りました。詳しい事情を聞きたく総務課のほうに連絡したところ、健康増進課のほうで対応してくれました。健康増進課のほうも新聞で初めて知ったことを伝えてくれました。紀南地方の地域性を見ても多くの若い人が就職等でふるさとを離れていきます。そこで結婚相手と出会い、子供を授かり、安心できるふるさと、親のもとへ出産に帰ってきます。ふるさとは出産の不安もあるが、安心できる家族がいてくれる、安心感を与えてくれるところだと私は思います。
病院での説明は、新聞に掲載されたように、医師不足のため受け入れ体制が整わないことが原因でした。この医師不足問題は2004年に導入された新臨床研修制度により、新卒の医師は自由に研修の病院を選べるようになり、医師も選択肢ができ、大学病院を選ぶのではなく、最新の設備や技術に触れることができる大都市の私立病院を選ぶケースがふえ、医師も都会に集中していることを聞きました。これも医師不足の原因の一つかもしれません。病院のほうも医師の確保にはいろいろな対策を考え、苦労していると思いますが、今までの大学病院のつながりも大事にしながら、新たな医師確保のための取り組みも必要に思います。
今後、里帰り分娩の早期再開を目指したいと新聞にも掲載されていました。田辺市としては二次医療圏での分娩ができる病院が2カ所しかなく、改めて地域における地域周産期母子センターの役割の大切さ、田辺市の少子化対策を考える上でも大切なことだと私は思います。
また、広域の市町村地域にとっても、これからますます少子化対策を考える中大切なことではないでしょうか。
今後、田辺市としてどのような対策を考え、里帰り分娩早期再開を目指していくのかお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○
保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
周産期母子医療センターは、リスクの高い妊婦に対する治療や高度な新生児医療を行える産科と新生児科の両方が組み合わされた施設で、三次救急医療機関の一つであります。
紀南地方では唯一紀南病院が地域周産期母子医療センターの指定を受けており、近隣地域の医療機関からリスクの高い妊産婦や胎児、新生児の受け入れを24時間体制で行っております。しかしながら、4月以降、産婦人科の受け入れ体制が整わないことから、田辺圏域の周産期母子医療センターの機能を維持するため、やむを得ず里帰り分娩の受け入れを休止するものの、体制を再構築し、早期の再開を目指すと聞いておりますので、市としましても体制が整い次第、一日でも早い再開に向けた病院の動向を注視してまいりたいと考えております。
(
保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) この問題は市にとりましても不安の一つの材料であると思います。今後、この地域を背負う若い方々にとり、この地域の生活を考える中で安心感を与えていく大事な部分であると私は思います。どうか里帰り分娩の早期の再開をお願いいたしたいと思います。
続いて、2番目の質問に入っていきたいと思います。
税金支払いのキャッシュレス化についてお伺いしたいと思います。
税金の支払いといえば現金が一般的でありましたが、2017年から国税のクレジットカードでの支払いが可能になり、地方税もキャッシュレスで支払うことができる自治体が増加してきています。
昨年、消費税増税に伴い、クレジットカード決済サービスを利用することでポイントがたまる仕組みになり、日常生活のキャッシュレス化が急に進んできたように感じております。スマホ決済は若年層が中心であるように思っていましたが、若い世代だけでなく、年配の世代にも利用が広がってきています。スマホ決済は、若年層を中心に今後利用意向は増加傾向にあり、市の対応がおくれると5年、10年後の納税等にも影響するのではないでしょうか。キャッシュレス決済は自宅で決済ができ、利便性も高く、納税方法の選択肢としてキャッシュレス化を考えていただきたいと思います。
このような中で田辺市における税等のキャッシュレス化の状況についてお伺いしたいと思います。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君) 総務部長、松川靖弘君。
(総務部長 松川靖弘君 登壇)
○総務部長(松川靖弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
まず、我が国におきましては、日常生活等におきまして現金への信頼が高く、クレジットカードが世に出た後におきましても、先進国の中では比較的現金を中心とした資金の流通となっております。
しかしながら、近年、インターネットやスマートフォンが普及し、情報通信技術を利用した決済手段がさまざまな形で提供される中で、議員からも御紹介をいただきましたが、昨年10月の消費税の増税に対応した消費者還元事業としてキャッシュレス決済の推進がなされ、さらにキャッシュレス化が進んでいると認識をしております。
キャッシュレス決済の利用状況につきまして、民間調査会社による令和2年1月の調査で、キャッシュレス決済を利用したことがあるかという問いに対しまして、82.8%があるとの回答があり、また、キャッシュレス決済利用の大きな動機づけとなっているポイント還元事業については、本年6月で終了することとなっている中で、当調査でキャッシュレス決済を利用したことがあると回答した人の86.3%の方がポイント還元が終了しても利用し続けるとの回答がなされております。
一方、普及が進むキャッシュレス化によってATMの利用者が減少しているという調査報告もございますので、現金を余り所持されない方もふえていく中で、市税や公共
料金をどのように納めていただくかということにつきましては考えていく必要があるというふうに思います。
議員御承知のとおり、田辺市では、従来から税等の取り扱いにおいて、口座振替や口座振込を推進しており、そして、平成23年には、コンビニエンスストアで納付ができるよう納税環境を整備してまいりました。
そうした中、さらに、昨年4月からスマートフォンアプリのPayBによる決済を開始したところでございますが、本年4月から新たにスマートフォン決済4社のサービスを開始することとしております。これは、各社の決済アプリを用いて、コンビニ納付用バーコードを読み取り、入金しておいた電子マネーやそれぞれの決済で登録しておいた銀行口座などで納めていただく決済方法です。なお、対象となる科目は、市県民税を初め、固定資産税、軽自動車税、国民健康保険税、市営住宅使用料、集落排水処理施設利用料、そしてふるさと納税寄附金でございます。
キャッシュレス決済は、コンビニエンスストアや金融機関から遠く離れた山間部等の地域においても即時に納付ができるもので、高齢化や過疎化が進む中、市民の皆様方の利便性の向上に資するものと考えており、今後も納税者の方々の決済方法の動向を注視しながら、納税環境の整備を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(総務部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(安達克典君) 二葉昌彦君。
(13番 二葉昌彦君 登壇)
○13番(二葉昌彦君) 御答弁いただきました。キャッシュレス決済は、クレジットカード、電車に乗るときのSuica、ICOCAの電子マネー等の普及により進んできています。都会に行くと切符を並んで買う光景も見なくなりました。
今回、消費者還元事業、ポイントがたまるお得感が重なり、キャッシュレス決済PayPay等が急激に広がり、また、いろいろな決済サービスが登場してきています。市民にとり自分のライフスタイルに合ったサービスを検討しているときだと思います。
社会がスピード感を増し進んでいく中、行政の方にも市民が安心して生活できる行政サービスの変化も感じていただき、先の社会も見詰め、これからの新しい時代に合う新たな仕組みづくりを提供していただくことをお願いし、今回の一般質問を終わりにします。ありがとうございました。
(13番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(安達克典君) 以上で、13番、二葉昌彦君の一般質問は終了しました。
以上をもちまして、一般質問を終結いたします。
◎日程第 2 1定議案第11号
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関す
る条例の制定についてから
日程第38 1定議案第47号 令和2年度田辺市
特定環境保全公共下水道事業会計予算まで一括上程
○議長(安達克典君) 続いて、日程第2 1定議案第11号
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関する条例の制定についてから、日程第38 1定議案第47号 令和2年度田辺市
特定環境保全公共下水道事業会計予算まで、以上37件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました37件については、過日既に当局の説明が終了しておりますので、これより総括質疑に入ります。
質疑はありませんか。
(「質疑なし」の声あり)
○議長(安達克典君) 質疑なしと認めます。
それでは、ただいま議題となっております37件については、会議規則第37条第1項の規定によりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
各常任委員会の付託事件は、配付しております議案付託表のとおりであります。
◎日程第39 1定発議第2号 田辺市
犯罪被害者等支援条例の制定について上程
○議長(安達克典君) 続いて、日程第39 1定発議第2号 田辺市
犯罪被害者等支援条例の制定についてを上程いたします。
提出者の説明を求めます。
5番、川﨑五一君。
(5番 川﨑五一君 登壇)
○5番(川﨑五一君) 1定発議第2号 田辺市
犯罪被害者等支援条例の制定について、田辺市議会会議規則第14条第1項の規定により、次のとおり提出する。
令和2年3月10日。提出者は、私、川﨑五一。賛成者は、久保浩二議員、前田佳世議員です。
提案理由の説明を行います。
この条例は、名称のとおり、犯罪行為による被害者を支援する具体的根拠とその手法について定めるための条例です。
まず、その背景ですが、国は平成16年に犯罪被害者等基本法を制定し、その第5条で、地方公共団体の責務として、地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すると定めました。その他にも、基本的施策として、相談及び情報の提供や居住の安定、さらに雇用の安定など幾つかの具体的な施策を講ずるよう定めています。これを受けて、全国の地方公共団体で条例の制定が進みました。
犯罪被害者支援に特化した条例の制定状況ですが、秋田県、京都府、岡山県、大分県、佐賀県の五つの府県では全市町村で、岐阜県、滋賀県、奈良県、兵庫県の四つの県では過半数の市町村が制定していますが、それ以外の都道府県では半数以下となっています。
和歌山県内の制定状況は、条例が既にあるのは上富田町のみ、現在、和歌山市が制定に向けて取り組んでいるという状況で、全国的にも非常におくれているのが和歌山県内の市町村の状況です。
では、和歌山県は全国に比べて犯罪の発生件数が少ないのかというと決してそうではありません。和歌山県の犯罪認知件数は、平成29年が5,921件、平成30年が4,848件、昨年、令和元年が4,363件と減少傾向にはありますが、例年4,000件以上の犯罪が認知されています。
認知件数としては、他府県に比べて多くはありませんが、認知件数を人口で割った犯罪発生率では、平成21年のデータでは、全国第10位でワースト10入りをしているというのが現状です。ちなみに1位は大阪府、2位が愛知県、3位が福岡県、以下、京都府、兵庫県、埼玉県、東京都、千葉県、茨城県と続き、その次が和歌山県となっています。また、同年のデータによると、県内市町村の順位でも30市町村中、田辺市は第10位に入っており、決して犯罪の少ないまちではありません。
こうした犯罪があるということは、一方でその犯罪によって被害に遭った被害者が存在するということを意味します。通り魔に代表されるように、何の落ち度もない市民が突然犯罪被害に遭う、そしてその被害によって日常生活や人生が破壊されることは当然、それにも増して、マスコミなどの好奇の目にさらされ、二次的な被害を受けることも日常茶飯事です。
そうした犯罪被害者を支援する制度が充実した自治体と全く制度のない自治体が存在するということは、同じ被害に遭っても救済される人とそうでない人とに分かれるということを意味します。だからこそ全ての市町村で犯罪被害者支援条例を制定すべきなのです。
日本弁護士連合会は、決議において、地方公共団体は地域の住民等の問題やニーズ等を把握し、地域の特性を生かしながら、速やかにきめ細かな政策を実施することが可能な住民にとって身近な行政主体であり、犯罪被害者支援の分野においてもその役割は重要であるとして、全国の地方公共団体で条例を制定するよう主張しています。
条例制定は時代の要請です。条例までつくらずとも制度を充実していけば、実質的に支援が行われるという主張もありますが、それでは、犯罪被害者支援の法的根拠が欠け、継続性、永続性が担保されません。行政の財政状況や首長の政策変更によって強弱が起こらないよう、条例で安定的な施策を担保しておく必要があることを申し上げ、以下、条文に沿って説明を申し上げます。
第1条は、犯罪被害者等のための施策に関し基本理念を定め、市及び市民等の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等の権利、利益の保護を図ることを目的とすると目的を定めています。
第2条は、条例内の用語の定義を行っております。
第3条は、基本理念、そして、第4条から第6条は、市、市民、事業者のそれぞれが果たすべき責務について規定をしております。
第7条では、総合的支援体制の整備、相談、情報の提供、そして、窓口を設置することを規定しております。
第8条から第15条については、基本的施策として、具体的な施策の規定となっています。
第16条は、規則等への委任を定めております。
附則として、施行期日を周知期間も考慮し、令和3年4月1日からとしています。また、実効性、実情との整合性の検討を行うため、5年ごとの見直しを定めています。
以上、提案説明とさせていただきます。犯罪被害者支援の充実のため御賛同賜りますようお願い申し上げます。
(5番 川﨑五一君 降壇)
○議長(安達克典君) 提出者の説明が終了いたしました。
これより質疑に入ります。
質疑はありませんか。
(「質疑なし」の声あり)
○議長(安達克典君) 質疑なしと認めます。
本件は、会議規則第37条第1項の規定により、所管の総務企画委員会に付託いたします。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ散会し、あす3月11日から24日までの14日間は休会とし、3月25日、午後1時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(安達克典君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
散 会
○議長(安達克典君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。
(午後 2時41分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
令和2年3月10日
議 長 安 達 克 典
副議長 陸 平 輝 昭
議 員 塚 寿 雄
議 員 佐 井 昭 子
議 員 中 本 賢 治...