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平成27年12月定例会(第2号12月 9日)

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  1. 田辺市議会 2015-12-09
    平成27年12月定例会(第2号12月 9日)


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    平成27年12月定例会(第2号12月 9日)              田辺市議会12月定例会会議録             平成27年12月9日(水曜日)           ―――――――――――――――――――    平成27年12月9日(水)午前10時開会  第 1 一般質問           ――――――――――――――――――― 〇会議に付した事件  日程第1           ―――――――――――――――――― 〇議員定数 22名 〇欠  員  1名           ――――――――――――――――――― 〇出席議員              議席番号   氏   名               1番  真 砂 みよ子 君               2番  川 﨑 五 一 君               3番  久 保 浩 二 君               4番  北 田 健 治 君               5番  橘   智 史 君
                  6番  湯 口 好 章 君               7番  尾 花   功 君               8番  二 葉 昌 彦 君               9番  市 橋 宗 行 君              10番  安 達 幸 治 君              11番  安 達 克 典 君              12番  小 川 浩 樹 君              13番  塚   寿 雄 君              14番  松 下 泰 子 君              15番  佐 井 昭 子 君              16番  中 本 賢 治 君              17番  出 水 豊 数 君              18番  宮 本 正 信 君              20番  陸 平 輝 昭 君              21番  山 口   進 君              22番  吉 田 克 己 君           ――――――――――――――――――― 〇欠席議員  なし           ――――――――――――――――――― 〇説明のため出席したもの              職  名      氏     名             市長        真 砂 充 敏 君             副市長       福 田 安 雄 君             副市長       池 田 正 弘 君             教育長       中 村 久仁生 君             企画部長      松 川 靖 弘 君             企画部理事     渡 邉 匡 通 君             企画広報課長    千 品 繁 俊 君             たなべ営業室長   古久保 宏 幸 君             土地対策課長    中 野 典 昭 君             情報政策課長    小 松   実 君             総務部長      田 上 豊 和 君             総務部理事     早 田   斉 君             総務課長      弓 場 和 夫 君             税務課長      糸 川 一 彦 君             納税推進室長    杉 若 信 男 君             市民環境部長    室 井 利 之 君             環境課長      三 栖 隆 成 君             保健福祉部長    木 村 晃 和 君             福祉課長      平 田 耕 一 君             福祉課参事     山 本   康 君             子育て推進課長   松 場   聡 君             障害福祉室長    谷 口 裕 計 君             健康増進課長    松 下 精 二 君             産業部長      那 須 久 男 君             商工振興課参事   丸 山 勝 司 君             観光振興課長    小 川 雅 則 君             農業振興課長    北 川 弘 泰 君             梅振興室長     廣 畑 賢 一 君             水産課長      前 田 眞 吾 君             森林局長      鈴 木 徳 久 君             建設部長      林   誠 一 君             都市計画課長    栗 山 卓 也 君             土木課長      桒 畑 昌 典 君             龍神行政局長    宮 田 耕 造 君             中辺路行政局長   虎 地 一 文 君             中辺路行政局住民福祉課長                       輪 玉 康 弘 君             大塔行政局住民福祉課長                       香 川 佳 久 君             本宮行政局総務課長 安 井 健 太 君             消防長       小 山 裕 史 君             消防次長      濱 中 延 元 君             予防課長      原   雅 樹 君             教育次長      小 川   鏡 君             文化振興課長    敷 地 弘 規 君             給食管理室長    田 上 芳 文 君             水道部長      田 中 久 雄 君             業務課長      磯 田 和 男 君             工務課長      下 中 哲 也 君           ―――――――――――――――――――出席事務局職員             議会事務局長    大 門 義 昭             議会事務局次長   前 溝 浩 志             議会事務局主任   榊 原 数 仁             議会事務局主査   宇 代 夏 樹  開 議 ○議長(吉田克己君)    定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成27年第4回田辺市議会定例会2日目の会議を開きます。              (午前10時00分)          ――――――――――――――――――― ○議長(吉田克己君)    それでは、日程に入ります。 ◎日程第1 一般質問 ○議長(吉田克己君)    日程第1 一般質問を行います。  なお、一般質問の通告は12月1日午後2時に締め切り、抽せんにより順位を決定いたしました。結果は御通知申し上げているとおりであります。  それでは、質問順位に従って一般質問を許可いたします。  2番、川﨑五一君の登壇を許可いたします。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    おはようございます。2番、日本共産党の川﨑五一です。通告に従いまして一般質問を行います。  今回の質問は大きく分けて2問ですが、1問目、福祉の増進についてから質問させていただきます。この問題の主なテーマというのは生活保護制度なのですが、1番、生活保護制度について質問を始めてまいります。  地方自治法というのが私たちのもととなる法律ですけれども、この地方自治法の第1条というのは目的なのですけれども、その第1条の2に地方公共団体の役割と国の役割等という項目があります。そこにはこう書かれています。地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとするとなっているのですが、福祉には医療、介護など健康状態を維持するためのものであったり、また児童福祉や高齢者福祉障害者福祉など年齢や機能を対象としたものがあります。そして、その中でとりわけ経済的な貧困状態を対象とするのが生活保護ではないかと考えております。  まず最初に、確認のためにお聞きしますが、生活保護の根拠となる法律、その条文について説明をお願いいたします。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    2番、川﨑五一君の質問に対する当局の答弁を求めます。  保健福祉部長、木村晃和君。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員御質問の生活保護の根拠となる法律及びその条文についてお答えいたします。
     日本国憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、第2項では「国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めており、生活保護法はその第1条に「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と定めております。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    今、部長から憲法第25条、そして生活保護法の条文について御説明をいただきました。  今言われたように、生活保護法第1条で、生活に困窮する全ての国民に対し、その困窮程度に応じ必要な保護を行う。そして、その最低限度の生活を保障するということが定められているという説明を説明受けました。  ほかに、第2条では、無差別平等ということで、全て国民は、こうした保護を無差別平等に受けることができるという原則であったり、第3条には、最低生活ということで、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。こういうことが定められています。第4条には、保護の補足性であったりとか、第7条には、申請保護の原則というのも定められております。そのことを確認した上で次の質問に入っていきます。  こうした憲法や法律に基づいて行われている生活保護行政がですが、生活保護制度というのはセーフティーネット、最後のとりでともいわれ、経済的困窮者を守る重要な制度であると考えております。  そこで、現状確認のためにお聞きしたいのですが、田辺市における市民の経済状況の推移、傾向について説明をお願いいたします。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  市における経済指標として、合併後10年間の数値で比較いたしますと、市県民税の課税状況により、市民税所得割の総所得金額は、平成17年度828億8,567万円に対し、平成27年度769億8,230万円で減少となっております。また、総所得金額等別納税義務者数は、平成19年度総数3万5,020人のうち200万円以下は、1万9,461人に対し、平成27年度は3万4,097人のうち、1万9,355人と数は減少しているものの、割合は55.6%から56.8%へと上昇しています。  国保税の7割軽減被保険者数は、後期高齢者医療制度が始まった以後、平成21年度との比較で、平成21年度7,306人、22.33%、平成27年度7,108人、25.64%となっており、割合は上昇しております。  就学援助費受給者数は、準要保護で平成17年度628人、平成27年度858人となっており増加しております。そのほか、保育料については、市民税非課税世帯である第2階層児童は、平成17年度4,063人に対し、平成26年度4,132人と増加しています。  また、保護率については、平成17年度被保護者数708人、保護率8.55パーミルに対し、平成27年度10月時点で、被保護者数987人、保護率12.99パーミルとなっており、上昇しています。ちなみに、このパーミルとは、1000分の1を1とする単位で%の10分の1をあらわす単位となっております。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    今御説明を受けましたが、どの指標を見ても大変低所得者がふえているというような数値が出てきたのではないかと思います。就学援助を受けておられる受給者の数でいいましても、10年間で約1.7倍に増加しています。これは制度の周知が図られてきたという側面もあるかと思いますので、純粋にこの数字だけが経済指標になるとは考えておりませんが、やはりどの指標をとってみても、経済の状況はよくなるどころか非常に厳しい状況になってきているという傾向が見てとれたのではないかと思います。  では、次にお聞きしますが、経済というのは当然、働いたものによって手に入れるものですが、そうした収入を得るための雇用の状況を市内の雇用情勢について、そしてまた市役所における正規職員、非正規職員の比率の推移についても御答弁をお願いいたします。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  市内の雇用情勢について、和歌山県田辺・西牟婁地域雇用開発計画によりますと、ハローワーク田辺管轄区域有効求人倍率は、平成24年度から平成26年度で、0.70、0.86、0.88と推移しており、上昇傾向ではありますが、全国数値では、0.82、0.97、1.11となっており、いずれも下回っております。  このような数値から、全国と比較して雇用状況は、低位で推移している状況にあります。これは当地域の製造業や建設業を初めとする産業が中小零細規模の経営体が多いなど、構造上の要因があり、事業縮小や廃業を余儀なくされていることが挙げられます。  次に、市職員の正規職員と臨時職員の人数と比率の推移としては、平成17年の合併時で、正規993人、78.9%、臨時265人、21.1%、平成27年4月で正規852人、72.4%、臨時324人、27.6%となっており、臨時職員の比率は高まっております。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    経済の状況に続いて、雇用の状況について御答弁いただいたわけですが、今のお話でも明らかなように、当地方は求人が全国に比べて低いというところもあるのですが、その中でもとりわけ正規職員としての求人が非常に少ないという状況があるかと思います。また、市役所においても、今お話のあったように、臨時職員は60名増加していますが、正規職員は同じく140名ほど減少しているというような状況で、非常に不安定な非正規雇用がふえていると。長引く経済不況と雇用のこうした非正規化、不安定化によって経済状況が非常に悪化しているという背景があるのではないかと思います。  きょうは参考資料をお配りしているのですが、この資料の右上の左側に正規労働者、非正規労働者の割合が載っているグラフがありますが、これは官邸というか政府が出している統計資料です。これに基づいて見ていただくと、1990年から2012年で、正規職員、青い部分は正規労働者が79.2%、約8割から65%程度に減っている。その分、非正規労働者が881万人から倍以上の1,813万人にふえている。これは2012年の数値ですが、総務省統計局の速報値に近い数値でいうと、2014年には1,962万人ですから、まだここから50万人ぐらい非正規労働者はふえています。2倍以上となりましたと書かれています。  正規雇用は非常に安定的に減っていっている、右肩下がりに減っていっているけれども、非正規の雇用はどんどんふえているという状況が起きています。そしてこういう長引く経済不況、そして雇用の非正規化ということがある中で、生活保護というのは先ほど前段でも言いましたが、申請主義、申請が原則ですから、申請しなければ当然保護を受けることはできません。中には受けない方も大変多くいらっしゃいます。生活保護受給限度額以下で暮らす人たちも決して少なくはないわけですが、先ほど言いました生活保護法第2条で、「すべて国民は保護を無差別平等に受けることができる」という規定がありますから、誰もが利用できますし、誰もが利用を迫られる状況になり得るという現状ではないかと考えております。  そこで次の質問は、生活保護を受給する基準ですが、基準というのは経済的な基準ですが、必要最低限ナショナルミニマムという考え方について若干御説明をお願いできますでしょうか。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えします。ナショナルミニマムとは、国家全体に対して保障すべき必要最低限の生活水準をいい、その根拠には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとする。」とする憲法第25条があります。これを保障する制度の一つに、生活保護法があります。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    ベースとなる部分を定めるのがナショナルミニマムだという御答弁だと思うのですが、この生活保護基準が引き下げられる。例えば、受給額の基準が引き下げられるというときに、他の制度にどういった影響があるのか。そういう影響についてもお答えいただけますでしょうか。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  生活保護基準の引き下げにより、影響を受ける他の制度として生活保護基準を基礎とする住民税非課税限度額の変動が考えられます。この非課税限度額を参照している制度としては、主に保育料、養護老人ホームへの入所措置の要件、介護保険の社会福祉法人等による利用者負担額の減額制度、国民年金保険料の免除制度、介護保険料等の段階区分などがございます。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    今言われたように生活保護というのは、生活保護を受けている人だけに関係するのではなくて、生活保護の基準が下がると他の制度のさまざまな課税基準であったり、減免の基準であったりというところに大変影響があるということが明らかではないかと考えております。  このナショナルミニマムという前段の考え方なのですが、国が一定の基準を定めるのですけれども、生活保護を今受けている基準そのものナショナルミニマムかというと、その解釈について学校で習ったのは私が中学校のときだったと思います。朝日訴訟といって朝日茂さんが生活保護の問題について訴えられた裁判についてだったのですが、そのときの朝日訴訟の第一審判決において、若干ナショナルミニマムについての言及があります。そこには、いわゆるボーダーラインに位置する人々が現実に維持している生活水準をもって、直ちに生活保護法の保障する健康で文化的な生活水準に当たると解してはならない。法律用語ですから、若干かた苦しいのですけれども、要するに、ぎりぎりのところで生活している、生活保護との境界であったりとか、何とか生活できている。だからそこは最低限度というレベルというみなし方をしてはならないと。決して生活できていることと、それが健康で文化的な生活水準に当たるということをすりかえて判断してはならないということが、この判決の要旨ではないかというふうに思います。  2点目として言われているのは、ナショナルミニマムではないですけれども、最低限度の水準は決して予算の有無によって決定されるものではなく、むしろこれを指導支配するべきものであること。要するに、予算がこれだけだから生活保護はちょっと我慢してもらおう。こういうものではなく最低限度の生活を維持する、そのために必要な予算がどれだけ措置されるべきか、こういう考えに立つべきであるというのが朝日訴訟の判決だそうです。学校で朝日訴訟を習ったときには、ここまで習わなかったので、こういう裁判だったんだなと今回改めて知ったわけですけれども。  こういう状況の中で、前段でお聞きしたように、低所得者の方がふえている。そして誰もが受けられる。また、不安定雇用の中でいつこういう生活保護の対象になるかもわからない。また、一方で生活保護を受けることにならなくても、低所得の方々の生活に直結するさまざまな制度が、この生活保護基準限度額をもとに定められているということで非常に暮らしと密接な関係がある制度だと考えます。  生活保護制度そのものは一部の人のための制度ではなく、多くの国民の暮らしに関係し、またセーフティーネットという点では、全ての国民に関係する制度である。この認識に立って質問を進めていきたいのですが、それほど本当に多くの人たちに関係する制度であるため、制度について全国民が正しく理解しておく必要があると思われるのですが、市民にはこの生活保護制度が正確に理解されていると認識されているでしょうか。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  生活保護制度は、困窮する全ての国民に対し、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障しています。制度について、市といたしましては、生活について相談があった生活困窮者の方に対し、生活保護の制度や最後のセーフティーネットであることを説明の上、他の制度の活用や生活を維持するための助言を行っています。それでもなお、最低生活が維持できないときは、いつでも生活保護を申請できることを説明しています。このように、相談に来られた方については、制度について正しく理解いただけるように努めているところです。  また、日ごろから地域住民に対する相談支援、関係機関へのつなぎなど、多様な活動を行うことで地域におけるセーフティーネットの重要な役割を担っていただいている民生委員の方々に対しては、研修や勉強会の機会を捉え生活保護制度の説明を重ねてきており、リスクを抱える住民の方には的確にその情報を伝達し、支援につなげていただく協力をいただいているところです。  いずれにいたしましても、生活に困窮する方々の状況は多様であるため、丁寧な相談支援とあわせて、制度の正しい理解に努めていくことが重要であると考えてございます。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    必要となった方には本当に正しく理解してもらって使ってもらう。またその関係者である一番最初の地域で窓口になる民生委員さんにもそういう啓発を行っていくという話なのですが、私は、この生活保護制度というのは大変多くの誤解や偏見があるのではないかと考えています。その誤解や偏見が田辺市内にあるという認識をされているのか。あるとすればその解消のためにはどういった手だてが必要だとお考えでしょうか。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  生活保護制度に対する誤解や偏見の解消についてでございますが、福祉事務所には、時折、匿名で生活保護受給者の生活について情報提供がなされることがございますが、中には、働いているのに保護を受けられるのかという内容のものもあり、保護制度について最低限度の生活の維持に必要な経済給付と自立を助長することを目的としていることを説明し、世帯の状況に応じた就労支援をしている等、正しい理解を得られるように努めております。  このようにして、日々の生活保護業務の中で、この業務に携わる者が正しい制度の説明を重ねていくことが重要であると考えてございます。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    私はもっと広く知らせて、田辺市の広報などでも生活保護制度の特集をして、こういった制度です、必要なときにはぜひ御相談くださいというような全面的な広報も必要ではないかと思うのです。では、子供たちです。私は先ほど朝日訴訟について学校で習ったと言ったのですが、そういうことがあったのだなというレベルでは記憶があるのですけれども、生活保護制度というのが自分たちにそういう密接にかかわりがある、もしくは困ったときにそういう制度を使えるという認識というというのは実際は余り持っていなかったわけですが、この生活保護制度について、義務教育期間ではどのような教え方をされているのでしょうか。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員御質問の小中学校で、生活保護制度をどのように教えているのかについてお答えいたします。  小学校では6年生の社会科で、基本的人権と国民の権利と義務の学習を行っており、その中で憲法が保障している権利の一つとして、「健康で文化的な生活を営む権利」について学んでいますが、「生活保護制度」を具体的に取り上げて教えてはおりません。  中学校では3年生の社会科公民的分野で、憲法が保障している基本的人権について学習しますが、さらに基本的人権の一つである、人々が人間らしく生きるための生活の基礎を保障する社会権について学習をいたします。社会権の基本となる「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。(憲法第25条)」という「生活権」を保障していくためには、社会保障制度を整えていく必要があります。生活保護制度は病気や失業などで収入が途絶え、現実に生活に困っている人々の最低限度の生活を保障するため、公的扶助の一つとして生活保護法などの法律によって制度化されているということを学習します。  以上のように、小中学校ではそれぞれの発達段階に応じて社会科で国民一人一人に保障された権利について学び、その権利を保障するために法律により生活保護制度を初めとしたさまざまな制度が整備されていることを学習しております。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    以前に、教育の問題では市民性教育の問題について触れたことがありました。学校で自分たちの国の政治制度であったり、国会の仕組みであったりとか、自分たちに選挙権があるということは習うのですけれども、いざそれを行使することについての具体的な学びというのはなかなか現場ではないというのが現状ではないかと、あのとき話をしたのですが、今言われた生存権であったりとか、こういった憲法の定めた権利についても具体的な行使というのがどういう形で行われているかというところも高校になってからでよいという議論もあるのかもしれませんが、義務教育の中で具体的に生きる力をどうつけていくかということで言うと、検討の要する分野ではないか。そして、多くの情報がマスコミを通じて入っている状況の中で言うと、この生活保護に対する誤解や偏見などをきっちりと解消していくためには、基礎的な知識の学習が必要ではないかと思いましたので、若干お聞かせいただきました。  そこでちょっと誤解に関連してですが、よく多くの方が生活保護を受けると、「年金よりたくさんもらえる。13万円もらえる。」、この13万円という数字がどこから出てきたものなのか根拠としては明らかではないのですけれども、こういうことをよく言われるので、実際の扶助額の実例について若干お聞かせいただけないか。例えば、50歳の独身男性であった場合にはどれぐらいなのか。また、母子の世帯の場合にはどれぐらいの扶助額になるのか。そのことについて御説明いただけないでしょうか。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  まず、生活保護費の算定方法について御説明いたします。世帯人数分の基準額と1世帯の人数による基準額を合わせた生活費に、障害者加算、母子加算など、世帯、世帯員の状況に応じた加算、教育費、生業費、住宅費等を積み上げた金額が、世帯の1カ月の保護費の基準となります。この金額から就労収入や年金収入、児童扶養手当などの収入があれば、その分を差し引いた額が支給額となります。  議員が御質問された例での保護費では、50歳独身男性で、生活費6万7,630円が基準額となります。  次に、母子世帯、母30歳、子6歳の2人世帯としますと、生活費9万6,710円の基準額に母子加算等3万4,460円を加算し、13万1,170円が基準額となり、これに加え、借家に居住する世帯には家賃として住宅費が、単身世帯では3万2,000円、2人世帯では3万8,000円を限度として支給されます。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇)
    ○2番(川﨑五一君)    金額を聞かれて高いと思われたか、大変少ないと思われたかさまざまあるかと思いますが、ほかの例についても若干資料としていただいて、それを見たのですけれども、ここで一つの例で見ると、夫70歳、妻65歳の高齢世帯ですけど、2人で9万8,310円です。ということで、人数がふえれば当然額はふえますが、当然、1人当たりの単価が減ります。経費のほうも家賃は当然ですが、光熱費等でも実際の基本的な金額というのは、1人であれ、2人であれ使用料は倍にはならないので、やはり2人いたほうが生活しやすい状況もあるけれども、今言われたような母子の場合、子供に非常にお金がかかりますし、非常に苦しい状況になっているとお聞きします。  よく生活保護の方々が困られているのは、例えば冷蔵庫であったりとか、ボイラーであったり、これが故障したときにまとまったお金を用意できない。1カ月当たりの生活費の中でそれをぽんと1カ月で払うことができない。それで非常に困られている。保護費については貯金が原則1カ月に需給される金額の半額までしか貯金をしてはならない。蓄えなさいと言うけれども、それ以上は蓄えてはならない。そんな中で備えておくということもしにくい中では、非常に困られているというお話もお聞きします。  この生活保護について、参考資料の左側に資料をつけていますが、上のほうは利用率、捕捉率の比較ということで、2010年、5年前のデータですけれども、人口とその中で生活保護をどれぐらいの方が利用されているか。その利用率はどれぐらいなのか。また、それで捕捉率とここに書いていますが、この辺についてはいろいろな考え方がありますけれども、生活保護受給基準額未満もしくは以下の中で生活されている方で、実際に生活保護を利用されている方がどれぐらいあるのかということです。資産をどう見るかとか、さまざまな指標がありますので単純には出しにくいのですが、ここで言うと生活保護を実際受けているのは日本では当時で1.6%、それからドイツやイギリスではほぼ1割近い方々、フランスやスウェーデンでも5%前後の方が受けている。捕捉率というのはその受けられる要件を満たしている方がどれぐらい利用しているかということですが、それでいうとフランスでは9割ぐらい、スウェーデンでも8割、イギリスは幅がありますけれども5割から9割ぐらいの方が、日本は多く見て2割ぐらいの方が、残り8割の方は生活保護を受けずに生活をされているというのが一つのデータとして出ています。  では、どれぐらい国は生活保護に対してお金を使っているのかということですが、GDPに対する比率というのが下の棒グラフです。これは日弁連がつくっているパンフレットですが、そこに書かれているのは、OECD諸国の中でGDP比でニュージーランドは1割を支出しています。そうした中で、フランスが3.9、ドイツが3.4、イギリスが2.8、アメリカは自己責任の国というイメージも強いですけれども、それでも0.8、日本はそれ以下の0.5、日本より低いのは財政破綻と騒がれたギリシャが0.4、それ並みだということがこのグラフで見てとっていただけるのではないかと思います。  そういう意味では、国としての出すお金も少ないし、利用されている方も非常に少ないという状況です。一時期、芸能人の母親が保護費を受給していたという事実を発端としまして、生活保護バッシングが非常に行われました。そうした中で、与党自民党の生活保護に関するプロジェクトチームの座長を務める議員がこういうことを言われております。  この削減を打ち出した当時の2012年7月ですけれども、見直しを打ち上げたときに、見直しに反対する人の根底にある考え方は、フルスペックの人権を全て認めてほしいというものだ。フルスペックというのは全て装備する。全ての機能を標準的に装備しておく。車とかによくフルスペックと使われる言葉ですが、全てを装備するという人権を全て認めてほしいというものだ。つまり、生活保護を受給していてもパチンコをやったりお酒を頻繁に飲みにいくことは自由だという。しかし我々は税金で全額生活を見てもらっている以上、憲法上の権利は保障した上で、一定の権利の制限があって仕方がないと考える。こういうふうに言われて見直しに取り組まれたのですが、田辺市の生活保護行政としては、こうした権利の制限というのは当然行われるべきだと、生活保護を受けている方々は権利制限が当然だというスタンスでしょうか。その辺についてお聞かせください。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  受給者に支給する生活費の使途については、特に制限はありませんが、嗜好品などに消費し、生活の維持や目的達成のための必要な費用を圧迫していると判断した場合には、生活保護法第27条「保護の実施期間は被保護者に対して生活の維持向上、その他保護の目的達成に必要な指導、または指示をすることができる。」という規定に基づきまして、指導することになるということでございます。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    前回、ギャンブル依存症の問題についても取り上げたのですが、パチンコなどで病的にギャンブルに依存していくという方については当然治療という形でのアプローチというのも必要になってくるかと思いますが、この行き過ぎた嗜好というのがどうかということですけれども、制限を加えていくという考えは私は違うものではないかと考えます。そこで次の質問に行きます。  現状については、現状と課題というのがおおよそ見えたのではないかと思うのですが、生活保護行政のあるべき姿について、生活保護制度の目的について、先ほど一番最初にも申し上げましたので見ますと、最低限度の生活を保障する。これが一つの目的です。そして、そこに続く文章として、その自立を助長することを目的とする。保護というのは保護するだけではなくて、保護し、再度自立を助長していくということなのですが、この自立の助長というところは田辺市において進んでいるのでしょうか。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  実際に自立は進んでいるのかという御質問でございますが、生活保護受給中に就労を開始し、または就労収入の増加により経済的な理由で自立できた世帯は、平成24年度12人、平成25年度17人、平成26年度17人となっています。なお、平成23年4月から就労支援員を1名雇用し、就労可能な保護受給者に対し、ハローワークに同行するなど、個別に指導に当たり、就労を支援しているところです。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    強制的に働かせてという、そういう意識で言っているのではないのですが、セーフティーネットというのは当然最後のとりでなのですけれども、働けるようになれば、例えば病気で生活保護費を受給した場合には、健康になれば当然また働いて、自分で生計を立てていくと。当然のことだと思うのですが、就労開始による保護の廃止というのは当然のことですけれども、私が非常にこの間気になるのは、貧困の連鎖です。貧困の連鎖を断ち切ることが自立の助長につながると考えるわけです。というのは、何を指しているかというと、経済的な貧困家庭の子供たちの多くが高等教育を受けずに、また非正規雇用となり、そうした貧困のサイクルから抜け出せないというデータがあります。  そうした中でお聞きしますが、この保護世帯の子供たちの現状、それから進路についてどのような状況になっているでしょうか。お聞かせください。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    保健福祉部長。           (保健福祉部長 木村晃和君 登壇) ○保健福祉部長(木村晃和君)    議員の御質問にお答えいたします。  田辺市の生活保護世帯の子供たちのうち、中学卒業後の状況ですが、高校へ進学した者の数を申し上げます。平成27年度卒業者数5名、高校進学者数5名、進学率は100%でございます。なお、また高校卒業後、大学等に進学した者の数についてお答えいたします。  高校卒業後の状況ですが、平成27年度高校卒業者数3名、大学等進学者数1名、進学率は33.3%でございます。  以上です。           (保健福祉部長 木村晃和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    今、子供の貧困ということが非常に大きな社会的な問題になりつつあるという現状自体は喜ばしいことではないのですが、やはりそこに光を当てていかなければならないし、当たってきつつあるのではないかと思います。その中で、今言いました貧困の連鎖です。この間、幾つかのデータとかも見たのですが、貧困家庭の子供の大学進学率というのは非常に低い。そして相関関係のあるもので言うと、当然、家庭の所得であったり、また父親、母親の学歴、親が大学を出ていると子供の大学進学率が高いけれども、親が中卒であったり、高卒であったりする場合、当然、その子供に対してもそれ以上の高学歴を望まない。もしくは望めない状況があるという中で、相関関係が非常に強いと。そうした中で、経済が子供たちの本当の学力を保障するのに十分でなければ、結局、自立を助長するというのは、今現に保護を受けている成人だけではなくて、その保護世帯の子供たちがまた再度、セーフティーネット付近の収入しか得られないという状況になるのではないか。ここについては、自立を助長するという観点でいうと、非常に大きなテーマになり得るのではないかとこの間、この問題について調べる中で感じました。  そして、子供たちの貧困についての現状だけ若干御紹介させていただきたいのですが、朝日新聞のデジタルアンケートというものですけれども、ここでとられた子供たちの状況といいますと、中学生の子供たちですけれども、部活の大会で外に行くときに、冬なのにカッターとブレザー以外着るものがない子供がいる。また、冬の体育で長袖を買う余裕がない。寒いと訴える子供に謝り、陰で泣きましたとか、栄養状態がよくなく、髪にシラミがついていて汚れている。夏休みの絵日記に楽しい思い出を書けない子供がいる。という現状が語られています。実際に、昭和の高度経済成長の時代で、まだ皆貧しいけれども元気だったという時代ではなく、豊かだという日本でこういう状況が現にあるということについて、本当に危機感を覚えるものです。  そして、この生活保護の見直しに対するスタンスというのが、やはり財政的な側面であるわけですけれども、その根底の考え方、まちの声として御紹介しましたけれども、生活保護のほうが年金より高いじゃないかと。年金との逆転現象は納得できないというようなこともあります。先ほど言いましたプロジェクトチームの座長さんは、給付水準を10%程度引き下げたい。この10年で一般勤労者の年収はデフレの影響もあって15%下がっているというようなこと。収入が減っているんだから、生活保護も下げるべきだという発想なのですけれども、この資料を見ていただけたら、今度は右上の一番右側のグラフですけれども、1995年から2010年、2015年の世界的な名目賃金の推移、1995年を100として、2012年はどうなったかというと、アメリカでは180%、8割ふえている。ユーロ圏でも1.5倍になっている。突出して、緩やかにではなく下がっているのは日本です。それはどれぐらい、比率ではなくて賃金で、現金でどれぐらい下がっているかというのが右下のグラフですが、97年が月収37.2万円だったのが31.4万円、こういうふうに下がっていっている。これはある意味失策だと思うのですが、こういうことの失策を保護制度のほうへ引っ張ってきて、だから保護制度も下げるべきだというのはあり得ない話ではないかと思います。  余り時間がないので長々とは触れられないのですけれども、所得税、法人税というのはどんどんこの間下げられてきました。そして株式配当譲渡益課税というのも下げてきた。高額所得者には手厚い減税をして、財源不足を引き起こし格差を拡大する。こういうことをしてきました。そして、格差の自然増殖という言葉がありますが、これは何かというと高額所得、企業経営者であったりとか、こういう方々というのは政治的な発信をできる。企業献金もできます。一方で、低所得者というのは政治に無関心な方々、政治どころではないのだ、日々の暮らしが大変だということに対して、政治への発信力も弱い。こんな中で国民を貧困に追いやる政策を展開しておきながら、生活保護費の抑制に動くなどというのは本末転倒だというふうに思います。生活保護という最終的なセーフティーネットに頼るのではなくて、より手厚い福祉を構築して、個々の人生の充実、ひいては福祉の増進を図ることこそ、国の責務であり地方自治体の今後の役割であると考えます。  生活保護については以上で終わります。  2項目めですが、人事政策についてお聞かせいただきたいと思います。端的に、とりわけ幹部職員の育成についてということで、幹部職員に求められる資質等について御見解をお聞かせください。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    総務部長、田上豊和君。            (総務部長 田上豊和君 登壇) ○総務部長(田上豊和君)    幹部職員、とりわけ部長職に求められる資質や能力は何かについてお答えをいたします。  職員や市民全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行しなければならないという職務の原則のもと、管理職、とりわけ部長職においては市長の政策意思決定への参画支援、所属の経営管理、重点目標課題の設定、推進、そして部内外の政策調整や部内各課の目標達成支援等を行う役割を担っていることから、市益を優先する行動や使命感、高い倫理意識を基本としつつ、前例や形式などにとらわれない考え方の柔軟さを持った業務推進能力、指導力、企画力等の能力が重要な要素であると考えております。            (総務部長 田上豊和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    今、部長に求められる資質というものについてお聞かせいただいたのですが、私は合併前は中辺路町ですから、中辺路町というのは町長、助役がいて、次は課長でしたよね。田辺市になって初めて部長制というところへ来て、いいとか悪いとかは当然あると思います。感じたのは、何かプチ官僚的というか、それぞれの部自体の縦割りが余りに明確過ぎて、もっと柔軟に動けないものかといったところを感じたこともあったのですが、それについては今回のテーマではないので特に言及はいたしません。  今回、お聞かせいただいた中で、当然、課長には課長に求められる資質があります。主任、係長、課長とあるかと思うのですが、今お聞きするとやはり部長というのは、私は課長の延長線上にある人事政策の中ではなかなか課長を5年したからといって部長ができるというものではないのではないか。部長には部長なりのそうした人事政策をもって人材育成をしていく必要があると思うわけですが、その中で計画的な人材育成が行われてきているのかどうか。ここに今回の問題意識をもって質問させていただきました。  というのは、当然、採用した時点から定年をいつ迎えるというのはわかっていることです。22歳で入れば38年後に定年を迎えるというのは、誰にとっても一つ一つ定年に向かって近づいていくわけですが、やはりその定年に至ったときに、定年延長を臨時的に行わなければならない。それが本当に臨時的な状況で次に部長として目されていた方が事故に遭った。もしくはどうしても事情があって退職された。こういうときには、私はしかるべき次の人へのバトンをつなぐということは必要だと思うのですが、こういう恒常的にわかってきているものをできなかった。ここには一つの人事的な人材育成の失敗があるのではないかと思います。  そこで、とりわけこういうことが起こる。そして別に皆さんが指折り定年の日を待ち望みながら働いているとは思いません。ただ、一生懸命そこにしっかりゴールしようということで、皆さん走ってこられている。私も先日、木の郷マラソンに行ってきたのですが、例えば21キロハーフでゴールだと思って一生懸命そこへ走ってきた人に、ゴールはあと3キロ先にしましたということになったときに、走り切れるかというと、私自身はこれまでのペースでは走れないと思うのです。そうした中でいうと、きちんとバトンをリレーするための一つの目安、ラインを60歳定年制を引いてきて、次にバトンを渡していくということをやっていかざるを得なかったと思うのですが、これがやはりできなかったところが非常に今問題がある。今後もきちんとこれをしていかなければ、本当に先ほどの話ではないですけれども、市民に対して責任を持つ行政を維持していけなくなるのではないかと思います。  そういった観点から、人事政策について今後どのような形で対応していくのか。今回は臨時的な状況があったのかもしれませんが、これについてきちんと行われてきたのかどうか、そこの検証というのはどうなのか。そして今後、こういう形でやっていくという方向があれば確認しておきたいのですけれども。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    総務部長。            (総務部長 田上豊和君 登壇) ○総務部長(田上豊和君)    幹部職員になるまでの人材育成というものをどのように行ってきたのかということと、あと今後もどう考えるのかということだと思います。  職員の人材育成につきましては、田辺市人材育成基本方針において、本市の将来像と求められる職員像を示すとともに、人材育成の具体的方策を掲げており、職務上必要な一般的知識及び技能を習得させるとともに、職員としての教養を高めるための一般研修や派遣研修を初め、社会情勢の変化に伴い、全庁的に取り組むべき課題等に対応できる知識及び技能を習得させるための特別研修、それから職場において業務を行いながら、必要な知識及び技能を習得させるための職場研修、職員の自主性を尊重し、自己啓発により必要な知識及び技能を習得させるための自己啓発研修を実施しております。  また、幹部職員への登用につきましては、ジョブローテーションを繰り返しながら計画的に職員の育成を図ることで、職員の資質や適性を見きわめながら選抜しているところであります。  それから、今後の考え方でございますが、その年々の各所属の職員配置の状況というものを十分勘案した上で、総合的に判断をすることになろうかと思います。  以上でございます。            (総務部長 田上豊和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    川﨑五一君。             (2番 川﨑五一君 登壇) ○2番(川﨑五一君)    この件については、当局自身も別に私に言われなくてもわかっている話だと思いますので、くどくどは言わないですけれども、60歳から延長をしていただいたわけですけれども、受けていただいた方にとっては非常にまた運悪く不利益をこうむる年でもあります。この3年間をかけて退職金の引き下げを行ってきた。要するに、一時期ニュースでも話題になりましたけれども、2月末で学校の先生をやめると退職金は満額もらえるけれども、3月まで勤めると、退職金が減るので、2月に多くの職員がやめられたというようなニュースが記憶にあるかと思うのですが、ちょうど今回はそういった状況です。当然、1年退職を伸ばせば、退職金が減額される。さっき言われたように、ゴールしてきた人にまだ走れという、これも非常に酷なことだと思いますし、また走ってくれた分御褒美がふえるのではなくて、走ったら退職金が減る。こういう状況を個々の職員に負わせてしまった。これについては当局は非常に重く受けとめて、今後の人材育成に途切れがないようにしていっていただくように強く求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。             (2番 川﨑五一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    以上で、2番、川﨑五一君の一般質問は終了いたしました。  休 憩 ○議長(吉田克己君)    この場合、11時10分まで休憩いたします。              (午前11時00分)          ―――――――――――――――――――  再 開 ○議長(吉田克己君)    休憩前に引き続き会議を開きます。              (午前11時10分) ○議長(吉田克己君)    続いて、9番、市橋宗行君の登壇を許可いたします。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    9番、清新会の市橋宗行でございます。  今回、初めての一問一答ということで臨んでまいりますので、戸惑い等ございますときは、御容赦いただきたいと思います。通告に従いまして質問をさせていただきます。  まず医療費控除についてお伺いしたいと思います。  項目には、税や医療費への意識向上ということでお伺いしたいと思います。医療費控除については、特に税務署へ直接申告しないサラリーマン世帯等が多く、その現状については認識が薄く、また税控除として効果は小さいとも言われておりますが、まず医療費控除への意識向上を啓発することにより、自助、つまり自分たちでできる一つの手段であることの認識を深めてまいりたいと思います。  まずは医療費控除の概要についてお示しいただきたいと思います。 ○議長(吉田克己君)    9番、市橋宗行君の質問に対する当局の答弁を求めます。  総務部長、田上豊和君。            (総務部長 田上豊和君 登壇) ○総務部長(田上豊和君)    議員御質問の医療費控除はどのような内容かについてお答えいたします。  医療費控除につきましては、納税義務者が自己または自己と生計を一にする配偶者、その他の親族の医療費を支払った場合には、その年の1月から12月までの支払った医療費の金額から保険金等で補填される金額を差し引き、その額から10万円、または総所得金額等の5%のいずれか少ない額を除いた額について、200万円を上限としてその方の所得より控除することができます。医療費控除の対象となる医療費の範囲につきましては、医師等による診療または治療、治療または療養に必要な医薬品の購入等のほか、診療または治療を受けるための通院費等で、診療等を受けるため直接必要なものが含まれます。  また、医療費控除の適用を受けるには、給与所得のみの方や公的年金等に係る所得のみの方でも申告をする必要があり、申告の際には支払った医療費の領収書等を申告書に添付することとなります。  以上であります。            (総務部長 田上豊和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    ただいまお答えいただきましたとおり、支払った医療費から保険金等で補填される金額を引いた額から10万円、または総所得の5%のいずれか少ない額を除いた額ということですから、総所得が少なければ少ないほど控除上限を200万円としておりますが控除対象額がふえるということになります。さらには、医師の治療はもちろんですが、治療・療養に必要な薬局等での購入費用や診療や治療に必要な通院費が対象になるということです。  そこでですが、この控除対象に通院費が含まれるという認識についてですが、この認識が非常に薄く、申告されていない潜在的な交通費があるのではないかと思っております。年間10万円を超える医療費というのはなかなかないように考えがちですが、通院費も対象ということであれば、特に遠方からの通院でバスやタクシーを利用した場合、大人だけでも結構な経費になりますし、そこに小学生の子供の付き添いとなればバスであれば経費は1.5倍になります。  そこで、この通院に係る交通費についてですが、具体的にどういった場合に対象となるのか、付き添いの場合も含めてお答えいただきたいと思います。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    総務部長。            (総務部長 田上豊和君 登壇) ○総務部長(田上豊和君)    議員の御質問にお答えします。
     医療費控除の対象となる交通費につきましては、治療等を受ける本人が電車、バス等を利用した場合の通院費など、医師等の診療等を受けるため直接必要なもので、かつ通常必要なものに限り医療費控除の対象となります。  議員御質問の子供の通院に親が付き添う場合の親の交通費のほか、高齢者や障害者等の介護が必要な方の通院に付き添う方の交通費につきましては、治療等を受ける人の病状などから見て、その人の通院に誰かが付き添わなければならない事情があれば、その付添人の交通費も対象となります。  また、タクシーを利用した場合につきましては、一般的には医療費控除の対象となりませんが、病状から見て急を要する場合や電車、バス等の利用ができない場合は医療費控除の対象となります。実際に、御自身が支払った通院に係る交通費が医療費控除の対象となるかは、田辺税務署、または税務課で御確認いただけますようよろしくお願いいたします。            (総務部長 田上豊和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    御答弁をいただきました。  公共交通というのが基本になるようですが、タクシーについては緊急の場合や、ほかに交通手段がない場合には認められるようですので、そのあたりについては税務署への確認をお願いするところではございます。  ここで、田辺市内での通院について、電車での通院というのは余りないように思われますので、バスの料金を調べてまいりました。まず、遠距離バス路線のわかりやすい事例として申し上げますと、本宮大社から紀南病院のバス代は大人2,100円、小学生の子供さんは大人の半額、龍神温泉から紀南病院のバス代は大人は1,730円、小学生はその半額となってございます。もちろん往復はこの倍額になりますので、家計としても結構な負担になってくるのではないでしょうか。  国全体では社会保障費が増加の一途をたどり、田辺市においても、国民健康保険事業特別会計での基金の切り崩しがやむなくなされている現状を踏まえ、税や医療費への意識向上を図るためにも、医療にかかる直接的な費用、間接的な費用の控除については、いま一度申告意識の向上を図るべきだと考えますが、その啓発についてはどうされるのかお聞きいたします。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    総務部長。            (総務部長 田上豊和君 登壇) ○総務部長(田上豊和君)    議員の御質問にお答えします。  税に関する意識の向上につきましては、納税に係る街頭啓発や税を考える習慣の取り組みにおける小中学生への作文募集などを行っているところですが、市民税・県民税の申告及び国税当局が行う確定申告については、申告の時期に合わせて広報紙に記事を掲載するほか、ホームページでもお知らせをしています。  また、所得から差し引くことができる各種控除につきましても、申告書を郵送する際に、同封する手引きや記載例に記載するなど、周知に努めているところです。  今後もこうした取り組みを継続するほか、申告に係る相談においても医療費控除を含め、各種の所得控除について再度確認するなど、適正な申告を行っていただけるよう税への意識向上に努めてまいります。  以上であります。            (総務部長 田上豊和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    啓発がなされておりますが、その医療費控除については、医療費だけではなくてまだまだ訪問看護やリハビリ等の介護サービス費用も控除対象となるものがありますので、今後はそれもあわせてより一層の啓発に努めていただきたいと思います。私も毎年医療費に係るレシートや領収書を保存するようにしております。年間医療費関係の支出は10万円に至らないことが多いですが、支出の少ない年はそれはそれで家族が健康で1年を過ごせたというバロメーターにもなります。また逆に家族のけがや病気などが集中した年には支出が10万円を超える場合がありました。税務署にはレシートや領収書を全て提出することになりますので手間はかかるのです。年間10万円を超えた控除対象となり得る経費は確実に算入できますので、市民の皆様にもレシートや領収書を集めていただく、その啓発を御提案いたしまして、この項での質問は終わらせていただきます。  続いて、大項目の2番目の質問に入ってまいります。その啓発の関連ということになりますが、情報の伝達についてお伺いしたいと思います。  項目にございますように、防災行政無線での犯罪対策を踏まえた啓発についてお聞きいたします。数年前より「おれおれ詐欺」を初め、メディア等でもさまざまな詐欺案件が日々報道され、田辺市においてもその対応に追われていることと思います。しかしながら、なお今日も詐欺犯罪はさまざまな手法を講じながら存在し、被害が報告されております。このような現状を踏まえ市では、毎月発行の広報田辺での紙面啓発もなされておりますが、防災行政無線を利用した注意喚起や啓発についての現況と、詐欺案件などの犯罪対策については防災行政無線が利用可能かどうかをお聞きいたします。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    企画部長、松川靖弘君。            (企画部長 松川靖弘君 登壇) ○企画部長(松川靖弘君)    議員御質問の情報の伝達についてお答えいたします。  まず、振り込め詐欺等のさまざまな詐欺被害に関する市における啓発の現状について御説明申し上げたいと思います。  初めに、振り込め詐欺等特殊詐欺の手口は、時代や世情に合わせて年々複雑かつ巧妙化しており、全国各地において各種の被害が発生しております。本市におきましても、国勢調査時に調査員を装い、家族構成や貯金額等の個人情報を聞き出すといった不審な電話や、最近では市職員を語る医療費還付金詐欺に関する情報が寄せられております。  特殊詐欺被害に遭わないためには、詐欺被害を決して他人ごとと思わず、常に警戒心を持つことや、また相手に言われるままお金を振り込まず、冷静に考え、誰かに相談するなどの自己防衛が大切でございます。  市といたしましても、市民の皆様の大切な財産を守り、詐欺被害を未然に防ぐためには、最新の手口や対処法を啓発することが非常に重要であると考えております。そのため市では、振り込め詐欺を含む消費者被害防止のための啓発活動として、訪問販売お断り等の各種ステッカーやいろいろな犯罪パターン及びその対処法を示したリーフレットを作成し、全戸配布を行っているところでございます。  また、広報田辺や市ホームページでは、特殊詐欺の事例を掲載しておりますが、最近では全国においてマイナンバー制度に便乗した不審な電話や訪問による詐欺も発生していることから、市においても各種の媒体等により注意喚起を行っているところでございます。  さらに、日ごろ、住民の方と接する機会が多い町内会長や自治会長、民生・児童委員、人権推進委員、老人クラブ等各団体の皆様に対しまして、消費生活専門相談員による出前講座の実施を呼びかけ、詐欺被害防止の周知に努めております。  こうした中で、特に日中、家にいることが多い高齢者世帯が狙われる傾向にあることから、地域包括支援センターの委託による在宅介護支援センターの職員が高齢者世帯を訪問する際には、啓発チラシを持参し、直接注意を呼びかけていただいております。  一方、市では、日ごろより不審な電話事案等の情報収集に努めており、そのような情報が提供されたときは、庁内ではグループウエアにおいて注意を行い、情報共有を図るとともに、市から田辺警察署へ情報を提供し、「きしゅうくんの防犯メール」を配信していただいているところでございます。  こうした中で、防災行政無線での啓発、注意喚起についてでございますが、国や地方自治体は電波法第74条に基づき、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動、その他非常の事態が発生し、または発生するおそれがある場合は、人命の救助、災害時の救援、交通通信の確保、または秩序の維持のため、防災用無線システムによる通信を実施しております。  本市における防災行政無線放送におきましても、この法律に基づき、同報無線通信基準を設け、防災用無線システムによる通信を運用しており、各種防災情報を初め、行政情報や生命の安全確保に直結する情報等を市全域に即時的かつ一斉にお知らせしているところでございます。  こうした中で、このシステムによる犯罪対策に関する放送につきましては、これまで田辺警察署からの依頼により庁内関係部署とも連携を図りながら、判断の上、実施しているところであり、過去におきましては強盗事件や振り込め詐欺被害の発生時に注意喚起や防止啓発を実施したこともございます。  しかしながら、詐欺に関する情報でありましても、放送の実施に至らなかったケースもございます。その理由といたしましては、防災行政無線放送は、緊急性が高く、市民の生命に直結した重大な影響をもたらす情報を市全域に、かつ一斉にお知らせする必要がある場合に使用する情報伝達媒体である中、例えば事案が市全域で短期間で連続して発生していないこと、また被害が広がる可能性がそれほど高くないと予想されること、また市民の不安感を懸念する状況でなかったことなどから、実施には至りませんでした。  また、防災行政無線放送は、大変有効な情報伝達手段であると認識をしておりますが、一方では放送内容や放送回数、時間帯によっては騒音として市民の方から苦情が寄せられることもあります。さらに、何度も放送することにより、聞きなれによる広報効果も懸念されるところでございます。  そうしたことから、各種警報等の人命にかかわる発表の放送はともかくといたしまして、犯罪被害の防止に係る啓発や注意喚起につきましては、被害の発生状況等を十分に見きわめるとともに、実施するとした場合は、どのような放送をどのタイミングで、またどれぐらいの頻度で市民の皆さんに情報提供すればよいのかを見定めながら、放送することが大変重要であると考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。            (企画部長 松川靖弘君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    お答えをいただきましたとおり、電波法をもとに通信基準を設けということで、その基準は目指していかなければならないと考えます。あとは聞きなれというところもありますので、その辺も鑑みながらという部分は大変重要かと思われます。  今回、この質問に至った経過としては、そのマイナンバー制度というのがなかなかわかりにくいというところで、あとは未然の報道などでは、「もしこういうことがあれば、こうなりますよ」といったような仮定と結論が断続的に報道されることによって、市民の方々からも不安の声が寄せられたということがあります。その方は、マイナンバーカードというのは、生涯2枚目の運転免許証のようなものだと言われておりまして、やはりその重要性というのを非常に考えていらっしゃる御意見をいただきまして、それが実際どのようなものかというのがなかなか今はつかみづらい配布の段階でありますので、その活用も含めて今後の対応が必要になってくるかと思いまして、この質問をさせていただきました。  答弁にもありましたとおり、申請にかかわる現金の詐欺など、また先日にはそのマイナンバー通知カード自体がだまし取られるということも発生しておりますので、その辺のことも鑑みながら活用を考えていただきまして、この防災行政無線、長々と放送することはできませんので、まずは、それをきっかけに、ここにこれが書いてあるとか、ここに問い合わせれば答えがわかるといったような端的な放送でも結構かと思います。こういった新たな制度が発足するときにおいても、混乱を抑えて集中的な啓発も可能かと考えますので、デジタル媒体とアナログ媒体、今あるさまざまな手段をどうリンクさせ複合的に活用させていくかということを考えていかなければならない課題かと思います。  先日、市長のまちづくり報告会開催の放送を本宮にいたときに聞きまして、それは防災行政無線ではないのですが、同じスピーカーから発しているということで、自治会のほうで放送されたということなのですが、もしこの防災行政無線の活用が難しいのであれば、そういう自治会に話を振っていくということで、各地区の判断というか、活用の検討も可能かなというところもございますので、このあたりの情報も駆使しながら、市民との協働という部分も入れて、今後の啓発に努めていただきたいと思います。  次に、梅の施策についてに移っていきたいと思います。  まず農家の現状についてお聞きしたいと思います。お手元に配付させていただいております資料にもありますとおり、これはJA紀南管内の青果の取引数量、販売金額ということになっていますが、それに対するキロ単価となっておりますので、全体の産出量の一部ということで押さえをしていただきたいと思います。  ここでは、農作物特有の作柄の変動に伴い価格も変動していることが読み取れますが、端的に市場原理だけで販売価格が変動するとは言い切れず、翌年にまたがる梅干原料の推移や市場からの引き合い等が複雑に絡んでいるということを押さえていただきたいと思います。  また、通常、農家手取りの価格というのは、市場販売金額のマイナス25%から30%ほどと言われております。昨年とことしの作柄を比べますと、この表では約10%ほどの減収となっておりますが、販売価格のほうはほぼ横ばいに対し、実際は農家の収入キロ単価というのは昨年より減っているという実態があるようです。  私が独自で調べた手取りの値段というのがあるのですが、それについてはマイナス25%からマイナス30%とは違った数字が出てきております。詳細な条件が含まれている可能性がありますので、ここでは申し述べませんが、実態として一度調査をしてみてはいかがかと思います。  資料に戻りまして、平成24年の大不作を除き、全体として価格は下落傾向にあり、特に設備投資をして減価償却をかけている農家には依然として苦しい経営状態が続いていると考えられますが、まず、行政として把握している現状をお聞かせください。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市長、真砂充敏君。             (市長 真砂充敏君 登壇) ○市長(真砂充敏君)    御質問の梅農家の現状についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、梅生産農家の実収入額は、専業・兼業の別、また、かんきつや野菜等との複合経営など、多様な経営状態により異なり、市といたしましては、個々の生産農家の実情までは把握できていないのが実情であります。  議員提出の参考資料を見ましても、平成16年度から12年間の紀南農協における南高成果荷受総平均単価が1キログラム当たり372円となっており、市場流通事情や天候等による作柄の影響などを受けていることが伺えます。  特に、平成25年産の全国的な豊作に続き、平成26年産も豊作傾向にあったことから、3年連続平均価格を下回っており、大変厳しい状況に置かれていると認識しております。             (市長 真砂充敏君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    古来より作物の豊作というのは喜ぶべきこととするのが通例ではありますが、手放しで喜べないのが近年の梅の作柄にあります。ただ、悲観ばかりでなく、先月末の地元新聞報道にもあったとおり、和歌山県内では圧倒的数量をもって51年間、収穫量は日本一であります。全国の約9万8,000トンと比較しても65%が和歌山県産、そのうち約2万3,000トンが紀南管内であるといわれていますので、田辺市内でも農家生産量は相当なものであると思います。  以上のとおり、産地としては圧倒的、価格については下落傾向となれば、消費を促していかなければなりません。そこで昨年来好評を得ております梅の香りお届け事業についてお聞きしたいと思います。  ふるさと納税返礼品である梅干し、4Lサイズ7キログラム入りについて好評を得た白干し梅でありますが、その分析と状況についてお聞かせください。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市長。             (市長 真砂充敏君 登壇) ○市長(真砂充敏君)    平成26年度からふるさと田辺応援寄附金に年間1万円以上寄附された田辺市外在住の個人、または田辺市外に所在する団体の方に紀州田辺・梅の香りお届け事業としまして、紀州田辺産南高梅の白干し梅4Lサイズ梅樽7キログラムを寄附のお礼としてお送りさせてもらっています。  また、平成27年度には、寄附金額に応じて語り部とペア宿泊券をセットにした熊野古道の旅を選択できるような制度に充実させたところであります。おかげをもちまして、平成26年度の寄附による梅樽発送件数は、7,134件と当初の想定を大幅に上回る寄附申し込みをいただきました。昨年9月には寄附申し込みをいただいた方から200名を抽出し、アンケートを実施しましたところ、166名の方から御回答をいただきました。  そのアンケート結果から分析しますと、寄附をしていただいた理由では、63%の方が返礼品の梅樽に魅力を感じて申し込みをされており、また、全体の92%の方が送られてきた返礼品の梅樽がよいと回答しています。今年度11月末現在では、梅樽を選択していただいた寄附申し込み件数が6,607件と昨年を上回るペースで推移しており、このうち、新たに申し込みをいただいたという方は83%の約5,000人にのぼり、全国的に広く白干し梅のPRができているのではないかといううれしい結果となっています。  このように、紀州田辺・梅の香りお届け事業が好評を得ている理由としましては、お得感というのもあるでしょうが、添加物を使わず、塩だけで漬けているという安心や安全な食を求める消費者指向に合致したこと。また、梅樽と一緒に同封しています白干し梅の料理レシピ集やおすそ分け用の容器の活用などから、白干し梅のよさというものが口コミやインターネットなどで広がっているのではないかと考えております。             (市長 真砂充敏君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    アンケートの結果からも、ありがたい評価をいただき、うれしい限りでありますが、この評価をいかにつなげていくかが今後の課題となってまいります。  私は、梅干し、特に白干し梅の潜在需要掘り起こしの成功だと考えています。その白干し梅のファンをいかに大切につなげていくか、今後の対応についてございましたらお聞かせください。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長、那須久男君。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    白干し梅ファンの掘り起こしと今後の取り組みについてでありますが、近年、梅干しの消費量は長引く景気の停滞、また食の洋風化や減塩思考などから消費が減少している状況にあります。しかしながら、梅干しは古くから日本食を代表する食べ物として食されてきました。ふるさと田辺応援寄附金のお礼としての梅樽が、好評を得たように、日本人の潜在的な意識の中には梅干しは体によいといった意識があるのではないかと考えておりまして、そうした消費者の求めているものと白干し梅が今回うまくマッチしたのではないかと思われます。  産地としましては、今までの販売実績から梅干しは減塩タイプの食べやすい調味梅干しでないと受け入れられない、あるいは売るのが難しいという固定観念があるのは当然なことですので、市としましては、紀州田辺・梅の香りお届け事業を通じて、また販促活動や講習会等の機会を捉えて、こうした白干し梅のファンを少しでもふやしていけるように取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    ふるさと納税については、白干し梅の需要掘り起こしを初め、それに伴う経済効果も相まっておると思っております。田辺市と白干し梅がセットになって全国に発信されたということで、今後も白干し梅ファンに対しましては白干し梅を通じて、田辺市というのを何かしらの形で発信できればいいと思っております。  次に、私の過去の質問にもありましたが、梅については新たな加工方法が必要であると述べてまいりました。ことし開催された国体においても、「梅パワプラス」や同じシリーズのドリンクなども開発されまして、民間企業の間でもその開発が活発化しているところと把握しております。  その関連として、梅の多用途開発についてお聞きしたいと思います。ただいま、紀州田辺うめ振興協議会では「梅の新用途開発事業補助金」を活用して、新たな梅干しの需要の掘り起こしに努めていただいております。また、食品の機能性表示制度に伴って、現状では表示できませんが、今後は梅の機能性についても成果を求めるところであります。それについて、経過と今後の見通しをお答えください。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    梅の多用途開発の経過と今後の見通しはについてでありますが、梅の機能性研究につきましては、生活スタイルの変化に伴い、骨そしょう症を初めとした生活習慣病等に関する研究を平成22年度から行っており、学会発表など一定の成果を上げてまいりました。また、この研究と並行して、平成24年度から梅酢に含まれるポリフェノールがインフルエンザ等のウイルスに作用することに着目した研究に着手しており、平成25年にはインフルエンザ等への抗ウイルス作用やウイルス不活化作用を発見し、4月に抗ウイルス物質及びこれを含む医薬等として特許出願、11月には学会発表や記者発表を行ったところであります。  こうした中で、平成27年4月から食品の新たな機能性表示制度が始まったことに伴い、これら梅酢ポリフェノールに着目した研究成果を生かしながら、梅の持つ機能性成分を科学的に研究・分析するとともに、抗インフルエンザや風邪ウイルスに対する作用の臨床試験に取り組んでおります。  このことにより、梅の持つ機能性を科学的にアピールできるとともに、梅酢ポリフェノールを用いた商品の開発につなげていければと考えております。また、梅の新用途開発事業につきましては、近年、梅干しに含まれる種や塩分濃度などの問題から病院食や介護食としての食材への採用は敬遠されつつあります。このため、紀州田辺うめ振興協議会では、地方創生先行型交付金を活用し、成長が見込まれる介護食事業等において、国が定める特別用途食品の表示許可基準を満たした病院食や介護食として嚥下困難者が食することができる梅干しの開発を進めており、今後の産地としての新たな市場開拓が見込まれるのではないかと期待しております。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇)
    ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    それぞれに、かなり進んできていると思われますけれども、特に食品の機能性表示につきましては、発表されている複数の論文等で実証するか、もしくは独自に臨床データを求めていく必要がありますので、道のりはあるかと思いますが、早期に梅の機能性を確立していきたいものであります。お答えにもありましたとおり、その機能性を活用した商品化等の開発につなげていければいいなということで、あとは梅干しに関しては、病院食、介護食というのはなかなか塩分がございますので、難しいところがありますが、また塩のない梅というものをテーマに置いても、進んでいけるのではないかと思っております。  そこで、さらに梅の機能性を生かした活用方法ということですが、新用途開発でもそうですが、機能性の確立についてもそれを生かした流通や商材の拡充が課題となってまいります。臨床試験と並行してでも、新たな商品展開を模索する必要があると考えますが、当局としてどのように考えられておりますか。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    機能性を生かした利用方法についてでありますが、御承知のとおり、梅は加工しないと食することができません。元来、ほとんどが梅干しとして加工され、さまざまな調味をしながら流通してきた梅干しですが、議員御指摘のように、梅の持つ機能性を生かしながら、青梅からの加工品としてジャムやスイーツといった新たな用途への商品展開は今後、消費者の需要や海外への輸出等大きく広がっていくものと期待しております。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    その期待が実現できるように、行政におかれましても主導していただきたいと思います。  機能性の有効利用については、例えばサプリメント等の補助食品に展開できる可能性もあります。また、梅は対外的にも通用する作物であると考えますが、海外へ視野を広げた場合、昨今の議論にもありますTPPを活用した展開もあろうかと思います。その場合、海外で戦略的に展開するための知的財産についての認識をお伺いいたします。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    知的財産の認識についてでありますが、JA紀南では昨年から香港での青梅の試験販売を実施し、ことしも好感触を得てきたと伺っております。また、青梅だけでなく、梅加工品についても香港やシンガポールを中心としながら、新たな販路の拡大に取り組まれているようであります。  また、世界農業遺産の認定を目指し、FAO国連食糧農業機関へ申請をしていましたみなべ・田辺の梅システムの認可の可否が来週いよいよ最終決定されることとなっております。このようなことを契機にしながら、国内はもとより、梅をプラムやアプリコットではなく、ローマ字のUMEとして、また梅の持つ機能性も十分アピールしながら、今後さらに海外に向けて発信していかなければならないと考えております。  そのような展開を図る上で、高品質で安全・安心な農産物を生産するために必要なすぐれた品種や高度な生産技術といったブランド力を維持・発揮していくため、知的財産と言われる商標権や特許権などにより保護・活用を図ることが重要であると思われます。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    市橋宗行君。             (9番 市橋宗行君 登壇) ○9番(市橋宗行君)    御答弁をいただきまして、その知的財産の重要性ということを認識していただいているということがわかりました。市長、今度15日でしたか。その世界農業遺産認定の可否というのが判断されることになってまいります。今、熊野古道の世界遺産もそうですが、外国からの来客というのが非常にふえておって、やはり日本というものそのものもそうですが、その中においても注目というのを和歌山県全体が集めている、その中で田辺市はまたより特別な存在という認識を持っていただいているのかなと思います。  そこにさらに二重に当てはめるように今回、世界農業遺産という話が出てまいりまして、非常に楽しみだなと私も思っているのですが、やはりその中では産地形成、その産地の安定化という課題もございまして、もちろん後継者問題もありますし、それからこの梅産業を今回は51年という数字が出ておりますが、今後、何年維持、そして発展していけるのかというところが命題になってくるかなと思っております。  それについてはやはりもちろん価格の安定化というのもさることながら、それを課題としたときに、どうしても海外というところを退けては考えにくいかなというところもあるかと思います。その部分については、もちろん機能性、多用途開発を含めて海外で勝負するにはどうしても何かしらのカードを握っておく必要があるというふうに私は思っておりますので、とにかくそのあたりも含めて行政がどれだけどのような形でサポートできるかということをまた今後、考えていただいて、このブランド力というのがありますので、南高梅、それから例えば、熊野というキーワードとか、そういうものもさらに生かして、今度はヨーロッパではプラムという総称するような形でありますけれども、世界的に見ても、梅というのはそんなに真新しいというものではなくて、受け入れられるアイテムだと私は思っております。  中国でも古来からお茶の文化と相まって、茶梅という砂糖漬けの梅があるのですが、それを食する文化もあります。ヨーロッパでもお酒を初めとするそういうプラムというのはアプリコットも含めて梅だけじゃなくて総称を言いますので、そういったお酒の文化というのがありますので、そういう点でも受け入れられるキャパというものが存在すると思っております。なかなか地球の裏側までどう手を伸ばせられるかというのも課題があるかと思うのですが、今農協が試験販売をしていただいている香港とか、アジア圏でも一定の評価というのは非常に高いというふうに聞いておりますし、それをまた行政、今は特に県のほうが、機能性に関しては非常に力を入れていただいているように聞いております。あわせて干し梅も一緒になって後押しをしていただきたいと思いますので、今度の15日に吉報をお待ちしながらこの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。             (9番 市橋宗行君 降壇) ○議長(吉田克己君)    以上で、9番、市橋宗行君の一般質問は終了いたしました。  休 憩 ○議長(吉田克己君)    この場合、午後1時まで休憩いたします。              (午前11時58分)          ―――――――――――――――――――  再 開 ○議長(副議長 安達克典君)    休憩前に引き続き会議を開きます。              (午後 1時00分) ○議長(副議長 安達克典君)    続いて、8番、二葉昌彦君の登壇を許可いたします。             (8番 二葉昌彦君 登壇) ○8番(二葉昌彦君)    8番、誠和会、二葉昌彦、一般質問をさせていただきます。  今回、9月24日に、吉野熊野国立公園が拡張、追加により田辺湾岸が国立公園に指定されました。「牟婁の港とその名も古く」と田辺第一小学校の校歌にも歌われ、千里ケ浜、天神崎、神島、鳥の巣、奇絶峡、ひき岩群となれ親しんで育った地域が我が国を代表し、世界的に誇れる自然とすばらしい地域であることを再確認した次第です。  世界遺産、国立公園、このすばらしい地域の歴史と文化の中で生かされている私たちは郷土を愛する心を育み、自信と誇りを持って次世代の子供たちに受け継ぎ、郷土の魅力を市民の力で再発信していくいいチャンスではないかと思い、質問させていただきます。  今回、5項目、分割質問で行います。  第1項目、世界遺産登録10周年の取り組み成果と課題についてお伺いいたします。世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道が、昨年登録10周年を迎えましたが、田辺市はこれまでにもこの世界遺産地域の魅力を発信する効果的なツールとして積極的に活用するため、平成26年度から平成28年度までの3年間を観光立県の推進を目指す和歌山県が提唱するゴールデンイヤーと連携、また観光アクションプランを策定し、これからの100年先を見据えた持続的な観光地を目指し、昨年の5月には紀伊山地の霊場と参詣道と並び、世界で2例しかない道の世界遺産を有するスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ市と観光交流協定を締結されたことは記憶に新しく、また紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会終了後の田辺スポーツパークを初めとする施設を地域の活性化を図るツールとして、有効活用するため、庁内に田辺市ゴールデンイヤー実行委員会を起ち上げ、団体旅行誘致促進事業助成金を交付するなど、地域の活性化に向け、積極的に取り組みを継続してきた結果、世界遺産観光を中心に本市を訪れる外国人を初めとしたお客様が、市街地にもふえており、観光や産業分野に関係する市民の方からも世界遺産が果たす役割とともに、その誘客効果は大変評価されていると伺っています。  さて、この世界遺産登録10周年などに関する取り組みを展開してきた行政側から見た、これまでの検証を含め、その効果やもし問題やさらに課題などがあれば具体的にお伺いしたいと思います。             (8番 二葉昌彦君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    8番、二葉昌彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。  市長、真砂充敏君。             (市長 真砂充敏君 登壇) ○市長(真砂充敏君)    御質問の1点目、世界遺産登録10周年の取り組み経過と課題等についてお答えいたします。  平成16年7月に世界遺産登録された紀伊山地の霊場と参詣道は、深い山林に覆われた紀伊山地の自然がなければ成立していなかった山岳霊場とそこへ至る参詣道、そしてそれらを取り巻く文化的景観から成り立っています。  世界遺産の保全の観点から、これまでを振り返りますと、この貴重な遺産を次の世代に確実に伝えていくため、文化財保護法を柱に、登録資産を初め多種多様な文化財の詳細な調査や保存、修復活動、日常的なパトロールや監視活動等を通して保護するとともに、田辺市歴史文化的景観保全条例を制定し、登録資産を取り巻く文化的景観の保全に努めてまいりました。  また、貴重な遺産を次の世代に伝えていくためには、何よりも地域の皆さんや熊野に魅力を感じ、来訪いただいた人々のかかわりが大切です。このため、世界遺産の価値を正しく伝える活動や熊野への関心を広げる取り組みのほか、ボランティアによる道普請活動や地元の小中学生による語り部ジュニアなど、世界遺産を保全する次世代の担い手を育成するための取り組みも進んでいます。  しかしながら、構成資産が山林を中心に展開することから、平成23年の台風被害のように、自然災害の影響を受けやすく、また地域住民の生活空間の場でもあることから、貴重な文化遺産や景観を保存していくには、さまざまな困難が伴うことも事実です。  こうしたことから、この貴重な遺産を次の世代に確実に伝えていくためには、単に文化財を守るだけではなく、地域の暮らしや風習、文化、そこに住む人々の日々の営みを大切にし、その活動を支えることが世界遺産の保全につながっていくものと考えています。  次に、観光を初めとする活用についてですが、これまでの10年の取り組みのうち、受け入れ体制の充実のためのハード事業としましては、世界遺産熊野本宮館の整備、滝尻王子前に建設している熊野古道館の内装リニューアル、田辺市の玄関口であるJR紀伊田辺駅隣に、田辺市観光センターを整備し、観光の情報提供や発信に努めてまいりました。また、仕様を統一した英語併記の熊野古道の案内看板や熊野古道沿いのトイレも計画的に整備してまいりました。  ソフト事業につきましては、平成17年市町村合併により広域的視野に立ち、田辺市だけでなく熊野全域の観光情報の発信に取り組むため、本市では平成18年5月に田辺市熊野ツーリズムビューローを設立し、国内外への情報発信のためのホームページやパンフレットの多言語化、外国人の受け入れレベルアップ事業、国内外への観光プロモーション活動及び受け入れ体制の充実に取り組んでまいりました。  特に、平成25年度から平成27年度は、田辺市及び周辺地域におきまして、平成25年度は伊勢神宮式年遷宮、平成26年度は世界遺産登録10周年、和歌山デスティネーションキャンペーン、平成27年度は高野山開創1200年記念大法会、紀の国わかやま国体・わかやま大会等の大型周年事業が続くことから、本市では、この3年間をゴールデンイヤーと位置づけ、熊野古道のウオークイベント事業や宿泊動機づけ事業等の誘客事業にも取り組んでまいりました。  特に、昨年5月には、世界遺産登録されている巡礼道を有するスペイン国サンティアゴ・デ・コンポステーラ市と巡礼文化を世界に発信し、持続可能な観光地づくりを目指すことを目的に観光交流協定を締結しました。  さらに、7月には世界遺産登録10周年記念日事業におきまして、荒俣宏氏の世界遺産熊野本宮館名誉館長委嘱式、サンティアゴ・デ・コンポステーラ市との観光交流協定の覚書の調印式をとり行いました。  こうした10年間の取り組みの成果としまして、観光入込客数の推移では、世界遺産登録前年の平成15年は約260万人であったものが、登録された平成16年は約365万人と約100万人増加しました。さらに平成17年は約416万人と世界遺産登録の効果は観光客に大きく反映しています。平成23年は台風12号災害の影響等で約277万人に減少しましたが、その後増加し、平成26年は約369万人まで回復しました。  また、外国人宿泊数の推移では、平成16年の1,409人に対し、平成26年は1万1,852人と約8倍の数値となっており、特に欧米豪の旅行者が急増しております。外国人宿泊客数の増加の要因につきましては、これまでの観光プロモーション活動や受け入れ体制の充実に取り組んできたことが身を結んでいると考えております。  現在、田辺市におきまして、平成27年度、28年度の2カ年をかけ、田辺市世界遺産等を生かした魅力あるまちづくり基本計画を策定することにしています。  当計画では、昨年、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録10周年を迎えたことを契機とし、これまでの10年の取り組みを検証するとともに、今後、闘鶏神社、北郡越、長尾坂、塩見峠越、赤木越が世界遺産に追加登録されることを見据え、世界遺産を核としながら、観光資源、文化資源を生かした魅力あるまちづくりを推進するための取り組みを進めていくこととしております。  いずれにいたしましても、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録された貴重な文化遺産を大切に守りながら、これらを生かした地域づくり、ふるさとづくりを進めていくためには、単に法規制や観光基盤の整備をするだけではなく、地域住民や来訪者の理解や合意も必要です。行政だけでなく、地域の皆さんや熊野を訪れる皆さんにも参画いただき、ともに取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。             (市長 真砂充敏君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    二葉昌彦君。             (8番 二葉昌彦君 登壇) ○8番(二葉昌彦君)    御答弁ありがとうございます。市のこれまでの取り組みで、誘客の効果が確認されているとのことですが、さらに取り組みを継続していただきたいと思います。  また、単純に交流人口をふやすのではなく、本市域の魅力を十分わかってくださるお客様を中心として、交流人口の増加につなげていただきますようよろしくお願いします。と同時に、課題解決のため、私ども市民との連携・協働が必要な場合にはぜひ全地域のため、田辺市のため、積極的な役割分担のもと頑張ってまいりましょう。  続いて、第2項目、吉野熊野国立公園についてお伺いします。  大規模拡張された吉野熊野国立公園は、市にとってどのようなかかわりを持つのか。また市が考える国立公園の価値、重要性について、今後の利活用についてお伺いしたいと思います。  さて、過日9月24日に和歌山県の海岸地域を中心として、吉野熊野国立公園が大きくエリアを拡張されました。この吉野熊野国立公園、通称「よしくま」は、本市が既に保有する世界遺産と同様に、国内外からお客様を誘客するための新たな魅力あるツールではないかと考えております。  先ほどの世界遺産をPR発信する取り組みの場合には、市の産業部を中心に、各観光協会や世界遺産・熊野本宮間を拠点とした現地での案内やおもてなしのほか、観光課と連携をともにする一般社団法人・熊野ツーリズムビューローの取り組みなどにおいては、お客様となる相手方、ターゲット層を外国人などに見据えた着地型観光を継続的に展開されており、町なかへの誘客も市民の方々が実感するところまできていると伺っています。  そこで、この世界遺産と同じように、魅力の冠を持つナショナルパーク吉野熊野国立公園が市にとってどのような役割を持つのか、また市が考える国立公園・ナショナルパークの価値や重要性、活用の具体策について当局の見解をお伺いしたいと思います。             (8番 二葉昌彦君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    市民環境部長、室井利之君。           (市民環境部長 室井利之君 登壇) ○市民環境部長(室井利之君)    議員御質問の吉野熊野国立公園についてお答え申し上げます。  まず、1点目の大規模拡張された吉野熊野国立公園は、市にとってどのような役割を持つのか。また、市が考える国立公園の価値、重要性についてでございますが、御承知のとおり先日9月24日に、和歌山県を代表する自然風景地である天神崎、神島、ひき岩群、奇絶峡を含む田辺南部白浜海岸県立自然公園区域と、田辺湾の港湾区域を除く海域が吉野熊野国立公園に指定されました。  特に、新たに指定された海域公園区域には、世界最北のテーブルサンゴ群集や天然記念物に指定されておりますオオカワリギンチャクが広く分布し、多様な生き物のすみかになっているなどの点が高く評価され、今回の指定につながったものです。  このことにより、田辺市は、世界にも誇り得る自然の風景地である国立公園を有することになりました。当市にとっては、ナショナルトラスト運動の先駆けである天神崎に代表される青い海、熊野に代表される奥深い緑の山々、大小の清流など世界に誇れる自然環境があり、世界遺産を初めとする古くからの文化や歴史を数多く有する地域の魅力をさらに向上させるものであり、田辺市そのものを内外に発信する好機を得たものと考えているところであります。  続きまして、今後の利活用についてでありますが、保全とあわせて利用の増進を十分に図ってまいりたいと考えているところであり、具体的には、環境省が策定を進めております吉野熊野国立公園熊野地域(和歌山県域)整備計画の中で、国立公園エリアの施設の現状や課題を整理し、地域の自然資源の保全、管理運営のあり方、国、県、市町村、民間団体等の役割分担の明確化等の検討を行い、自然資源についてもさらなる利活用を促進し、持続可能な地域の振興につながるよう検討を重ねていくことになっておりますので、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。           (市民環境部長 室井利之君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    二葉昌彦君。             (8番 二葉昌彦君 登壇) ○8番(二葉昌彦君)    ありがとうございます。ただいまの答弁では、環境省が進める吉野熊野国立公園・熊野地域整備計画の中で、関係団体との役割分担の中で現状や問題を整理して、これからの検討を重ねていくとのことですが、保全とあわせた利用の増進を実現するためよろしくお願いしたいと思います。  今後は、世界遺産のときと同様に、田辺市独自の施策、取り組みとして、国立公園の利活用のための仕組み、構築を実現していただきますよう、せっかく世界遺産の利活用に成功し、そのノウハウが市にはあるのですから、産業部とも連携していただきたいと思います。  引き続いて3番目、国立公園及び世界遺産エリアに住む市民意識についてお伺いしたいと思います。  さて、自然公園法により昭和11年2月1日に我が国第9番目の国立公園に指定された吉野熊野国立公園ですが、今回、本市域を含む和歌山県の海岸地域が大規模拡張されました。  また、今後は海域公園地域の指定を経て、平成28年2月1日をもって、国立公園指定80周年を迎えることになります。一概に、国立公園指定80年といいますが、本市域では自然保護法や環境保全といった先人のさまざまな活動があったからこそ、今回の国立公園のエリア拡張につながったのだと確信しています。  例えば、国内最初のナショナルトラスト運動として広く知られている天神崎の保全活動などはまさに今回の国立公園の大規模拡張の立役者となる地域活動の一つであると思い、これまでの地域活動にも改めて敬意を表したいと思います。  さて、ひとえに地域活動といいましても、地域にはさまざまな活動が存在します。昨年5月に民間会議が提言した人口減少問題を皮切りに、各地域ではさまざまな地域活動の担い手不足や持続可能性の問題がクローズアップされ、各地の自治体を巻き込んだ不安の連鎖が問題になったことは記憶に新しいところですが、このような後ろ向きの議論ではなく、今回の国立公園の大規模拡張をどのようにして地域の将来に前向きにつなげていくのか、この吉野熊野国立公園や世界遺産・紀伊山地の霊場と参詣道を有するエリアに住む市民として、未来に向かってどのように接していくべきなのか。大自然からの恩恵をどのように享受していくのか。そこに住む人としてどのような役割を果たすべきなのか等と、地域づくりを主体的に考えていく人づくりのための取り組みが最も必要ではないかと考えています。  地域の将来を市民みずからが積極的、かつ主体的になって考える機運を醸成するための取り組みが必要ではないでしょうか。当局にお伺いしたいと思います。             (8番 二葉昌彦君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    市民環境部長。           (市民環境部長 室井利之君 登壇) ○市民環境部長(室井利之君)    議員御質問の国立公園及び世界遺産エリアに住む市民意識についてお答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、当地域に住まわれる住民が地域の自然や歴史を知り、地域のよさを再認識し、自分たちが住む地域に誇りを持つことができる機運の醸成は大切なことであると考えているところであります。  このため、市といたしましては、先日開催されました田辺市環境美化連絡協議会主催の環境を考える市民の集いにおいて、市内小学校の児童による環境保全活動の報告や環境省自然保護官による国立公園に関する講演会を開催するなどの啓発を行ってまいりました。
     また、世界遺産に関しましては、市内の小中学生が自分たちの地域の熊野古道を初めとする世界遺産や歴史文化を学習し、それを田辺市熊野古道語り部ジュニアとして発表するなどの取り組みを行っているところです。  今後とも今回指定されました吉野熊野国立公園や世界遺産を初めとする当地域の魅力について、さまざまな方法で市民の皆様に十分知っていただくための取り組みを重ねていくことが、ひいては地域づくりにつながっていくものであると考えておりますので、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。           (市民環境部長 室井利之君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    二葉昌彦君。             (8番 二葉昌彦君 登壇) ○8番(二葉昌彦君)    御答弁ありがとうございました。小学校の児童による環境保全報告や国立公園に関する講演会などは今までどおり続けていただきたいと思います。しかしながら、かつて公民館にかかわった私としては、地域において行政が果たす役割とともに、市民みずからが主体的に物事を考え、積極的に役割を果たそうとする住民自治の考え方とともに、協働社会を実現するため、例えば行政であれば全ての課が関係した学び、学習機会の提供とともに市民が気軽に必要な社会情勢の情報やタイムリーな情報を習得でき、また意見交換できる機会の創出や公共の場づくりが必要だと思います。ぜひ市民の方々への周知の取り組みだけでなく、あわせて検討をよろしくお願いしたいと思います。  続いて、第4項目、湾岸を生かすためのネットワークづくりの必要性についてお伺いしたいと思います。  さて、2011年の紀伊半島大水害の折には、世界遺産を有する和歌山県内の南部地域が大水害に見舞われ、これに伴い本県を訪れる観光客が大幅に減少したことは、記憶に新しいところです。何を申したいかといいますと、地域を活性化するためには必ず近隣の自治体とともに連携が必要だということです。地域はつながっているのです。もっと言えば、行政レベルの連携のほかにも市民レベルの連携や協働が必要だということです。  今回、海岸地域が大規模拡大された吉野熊野国立公園のエリアを有する県南部の各町と積極的に連携するとともに、新たなネットワークの構築、仕組みづくりが官民などそれぞれに必要ではないでしょうか。吉野熊野国立公園の湾岸部を生かすためのネットワークづくりの必要性について当局にお伺いしたいと思います。             (8番 二葉昌彦君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    市民環境部長。           (市民環境部長 室井利之君 登壇) ○市民環境部長(室井利之君)    議員御質問の湾岸を生かすためのネットワークづくりの必要性についてお答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、国立公園を十分に生かすためには、広域的な観点により関係する自治体や関係団体、環境省の出先機関である田辺自然保護官事務所との連携が大切であると考えているところであり、地域で環境活動に取り組んでいる市民団体と皆様方の意見も参考にしながら、自然公園の魅力の情報発信、自然環境保全と調和した持続可能な利活用のあり方について、吉野熊野国立公園が魅力あふれるものになるよう検討を重ねることは必要であると考えています。  このため、環境省では、本年中に県、みなべ町以南の11市町村、さらに観光協会を初めとする関係団体や学識経験者等からなる吉野熊野国立公園熊野地域(和歌山県域)整備計画の検討会を組織し、広域的な連携についても検討を始めることとしていますので、そこでも積極的に参画しながらやってまいりますので御理解賜りますようお願いします。           (市民環境部長 室井利之君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    二葉昌彦君。             (8番 二葉昌彦君 登壇) ○8番(二葉昌彦君)    御答弁ありがとうございます。今春、吉野熊野国立公園を所管する環境省の事務所が田辺市に開設され、自然保護官が見えられて、はや8カ月がたちました。これまで地域で吉野熊野国立公園に関する複数の講演会が開催されたことから私も何度か参加しました。講演会では、環境省の担当者の方が非常にわかりやすい説明をされ、なるほど国立公園とは私たち市民にとって、非常に身近な存在であるということを私もそれなりに理解したつもりです。  しかし、現状を伺うと国の担当者もお一人だと聞いています。一人の担当者が広域エリアで、しかもさまざまな規制要件などが絡んだ国立公園をどのように周知し、利活用していくかという点において、市としても積極的な役割分担を含め、さらに湾岸を生かすためのネットワークの構築はぜひ必要だと思います。  検討を始めることとしていますとの答弁でしたが、ここは一つ、国・県・市・町といった行政の枠を超えた積極的な連携とさらには市民の方々との協働による広域なネットワークづくりをお願いいたします。  続いて、第5項目、本市が目指す交流人口の拡大についてお伺いしたいと思います。  市長は、就任以来、一貫して本市域に訪れる人、交流人口の重要性をうたっていますが、なぜそのような考え方に至ったのでしょうか。例えば、交流人口の対極に位置する概念である、その地域に住んでいる人、移住者、移住人口といった定住人口の促進を実現するほうが過疎化による人口の減少、それに伴う担い手不足など近い将来田辺市が直面する問題を解決するための最善のツールであると私は考えます。  市は、これまで、UIJターン者などに対して、地域に定住していただくため、さまざまな取り組みを継続的に展開してきたことは十分理解していますが、先ほどの世界遺産の質問と同様、定住人口を促進するためのこれまでの取り組みに対する検証と問題、さらには取り組みに対する課題がどのようにして市の重要政策でもある交流人口につながったのか、当局にお伺いしたいと思います。             (8番 二葉昌彦君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    企画部長、松川靖弘君。            (企画部長 松川靖弘君 登壇) ○企画部長(松川靖弘君)    議員御質問の本市が目指す交流人口の拡大についてお答えいたします。  初めに、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計では、本市における人口は2010年から2040年までの30年間で約3割が減少すると予測されており、これは全国平均を大きく上回る減少率となっております。  また、本市は卸売業や小売業の比率が高く、内需に依存した経済構造を有することから人口減少が経済の規模に直結すると言われております。そのため、これまで国や県とも連携を図りながら緑の雇用事業を初め、青年就農給付金や漁業就業体験、また企業誘致に係る雇用奨励金などを通じて、担い手の確保等に努めるとともに、定住の促進に向け、移住相談総合窓口の設置や短期滞在施設の整備、空き家活用や起業に関する支援を行う中で、年平均20人程度の移住者を受け入れるなど、着実に成果を上げてきたものの、転出者が転入者を大幅に上回る状況は依然続いています。  こうした中で、世界遺産登録10周年や合併10周年、紀の国わかやま国体・わかやま大会など大きな節目を迎えるこの時期を絶好の機会と捉え、昨年度より交流人口の増加と地域経済の活性化を目指した価値創造プロジェクトを始動し、首都圏におけるプロモーションを通じて、まずは本市の魅力を全国の皆さんに知っていただくとともに、戦略ビジョン、戦略プランの策定を行うことにより、本市の目指すべき方向性を明確にする取り組みを推し進めてまいりました。  これは、交流人口をふやすことで、経済活動に結びつけていくとともに、産品などを市外に積極的に売り出していくことで外貨を獲得することにより、地域に仕事をつくり、最終的に定住人口につなげていこうというものでございます。  そうした中、国では、人口減少や少子高齢化に歯どめをかけるため、まち・ひと・しごと創生法を施行し、各自治体における地方創生に向けた取り組みを積極的に推進したことを受け、本市におきましては、価値創造プロジェクトにおける交流人口の増加と地域経済の活性化に向けた取り組みに加えて、結婚、出産、子育て、また安心な暮らしといった分野も含めて取り組むことで、さらに積極的に、またより具体的に定住人口の増加に結びつけていくため、本年4月から田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定を進めてきたところでございます。  今後、全国的に人口減少が進む中、ますます自治体間の競争が活発化することが予測されますが、本市におきましては、数多くの地域資源や歴史、文化といった強みを生かしながら価値創造プロジェクトをさらに推進するとともに、総合戦略を着実に実行していくことで、市民の皆様が本市に住むことを誇りに思い、そして全国から選択される田辺市を目指して、市民の皆様とともに取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。            (企画部長 松川靖弘君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    二葉昌彦君。             (8番 二葉昌彦君 登壇) ○8番(二葉昌彦君)    御答弁ありがとうございます。プロモーションによる魅力発信とともに、市の目指すべき方向性を示すという計画が策定されているとのことですが、私たち市民の生の声、本当の思いが反映されることを願います。ぜひ策定された計画を具体化していただけますよう期待しております。  さて、この8月末に、近畿自動車道紀勢線の田辺~すさみ間の延伸に伴いマイカーを利用する観光客などの利便性が格段に向上しましたが、さらに地元のホテル、旅館などへの宿泊客が減少し、日帰り客が増加しているとの記事を目にします。  また、地元の京阪神等の都市部への買い物に行くなどストロー現象による地域経済にとってはさらなるマイナス効果も顕在化しておりますので、先ほど何回もお願いしておりますが、地域の活性化のため国立公園エリアの湾岸部を生かす仕組みや、従来の枠を超えた地域で活動する市民団体や国・県・周辺の町、さらには最近本市との連携協力協定を進めている追手門学院大学や地元、和歌山大学など高等教育機関を含めた新たな広域的なネットワークづくりを実現するよう、取り組みをお願いします。そのためには、私ども市民との協働も重要だと考えますので、市の積極的な連携をよろしくお願いしたいと思います。  今回、質問に立たせていただきましたが、最後に今素直に感じていることを申し上げます。我が国が直面している人口減少や高齢化社会の到来が我々、田辺市における自治活動や地域活動において漠然とですが、不安感をあおるがごとく担い手不足や後継者不足といったことが非常に難しい問題として顕在化してきました。このような難題を決して簡単に分析はできませんが、はっきりと伝えたいことがあります。従来から積み重ねてきた私たちのさまざまな仕組みや社会構造にゆがみが出てきているのではないかということです。  このような現実の問題に対してリストラが必要だといえば少し言葉のニュアンスとしてきつくなりますが、さまざまな地域活動や組織、団体、リストラ、再構築が必要な時期が今来ていると私は確信しています。田辺市でもこれまでのような仕事の仕組み、アプローチがなく社会情勢の変化やグローバル化に鑑みて、物事を全体で見る、総合的につなげてみるといった視点や観点をぜひ持っていただきたいと思います。  これからも皆さんとともに田辺市の発展のために頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。これで一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。             (8番 二葉昌彦君 降壇) ○議長(副議長 安達克典君)    以上で、8番、二葉昌彦君の一般質問は終了いたしました。  休 憩 ○議長(副議長 安達克典君)    この場合、1時45分まで休憩いたします。              (午後 1時37分)          ―――――――――――――――――――  再 開 ○議長(吉田克己君)    休憩前に引き続き会議を開きます。              (午後 1時45分) ○議長(吉田克己君)    続いて、1番、真砂みよ子君の登壇を許可いたします。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    議長のお許しをいただきまして、本来なら前で登壇して質問するところ、座らせていただきます。よろしくお願いします。それでは、1項目、文里湾横断道路についてお聞きいたします。  ことしの10月に行われた産業建設委員会の平成26年度の決算審査の中で、文里湾架橋横断道路についての調査結果が報告されました。その報告書に多くの疑問を私は持ちましたので、今回、この質問を行います。  私は、昨年の6月議会でもこの質問を取り上げています。そこで同じことの繰り返しにならないように、昨年の質問で明らかになったことの上に立った昨年の質問の続きとしたいと思います。そのため、共通認識を持っていただきたいので、振り返りたいと思います。  この文里湾に橋をかける構想は、昭和53年ごろから始まり、その目的は交通停滞の緩和でした。しかし、国も地方も財政が厳しく、多額の事業費が必要になる事業は厳しくて、バブルがはじけた後、実現しなかったとの答弁でした。また、今回の調査目的は近畿自動車道が南紀田辺インターまで開通したため、道路環境に変化があり、文里湾横断道路の必要性などを再度検討するためだとのことでした。  そこでお聞きします。通告の1番目です。調査業務結果についてです。  平成26年度予算で実施された調査が、皆さんの手元にも参考資料としてお配りしています調査報告書です。この報告書は27年3月20日付で作成されています。しかし、議会への報告は10月の決算審査で6カ月も後でした。この6カ月間のずれはなぜだったのでしょうか。お聞きします。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長、林 誠一君。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の調査業務の結果についてお答えいたします。  平成26年度において、田辺市文里湾横断道路整備に関する周辺現状調査を行いました。庁内協議・調整を行い当初から平成27年度末をめどに精査を進めてまいりましたが、平成26年度の決算審査委員会での報告に至りました。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    この6カ月がなぜだったのかということを聞いたのですが、今お答えいただいたのは、日程的にそうなったというお答えだったと思うのですが、それはいいとして、環境が変わったから実態調査が必要になった。そのための調査だという答弁だったのですが、それでその上、27年度末をめどにしたというならば、すさみ町まで開通した紀勢自動車道の開通をなぜ待たなかったのでしょうか、お聞かせください。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の紀勢自動車道の開通をなぜ待たなかったのかについてお答えいたします。  本事業について、本市の県への要望を重ねてきた取り組み経過等からいたしまして、現時点で現状を把握するために、文里湾横断道路整備に関する周辺の現状調査を行ったものでございます。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    聞いたことと答えが合っていないように思うのですが、それはそれとして、それでは、皆さんのお手元に参考資料として整備強化メニューというのが3ページに載っています。整備をするとこれだけの効果があるという報告書なのですが、その効果について、一つ一つ検証してみたいと思います。  1番目の現道交通混雑の緩和。現在ある道路が混雑しているけれども、緩和されるというメリットがある、効果があるということがうたわれていますが、紀勢自動車道の開通で、交通混雑が既に緩和されたと思うのですが、それでもまだなお、このことが必要だという認識なのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の現道交通混雑の緩和についてお答えいたします。  国道42号線、県道田辺白浜線、県道南紀白浜空港線の交差点である田鶴交差点付近がピーク時間帯において渋滞が発生している状況で、近畿自動車道紀勢線、田辺~すさみ間が整備されたことにより、国道42号線の混雑は一定緩和されたものの、県道田辺白浜線、県道白浜空港線では、市街地内部への交通や市街地間の短距離移動、観光地へのアクセス等に利用されているため、その効果は微妙なもので、文里湾横断道路が整備されることにより、得られる効果は大きいと考えております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    皆さんにはお配りはしていないのですが、建設部の都市計画課からいただいたもので、国交省が出した交通情報、交通量を調査した結果があります。この報告書には、紀勢自動車道が南進してすさみ町まで開通したことによって、交通量がどうなったかということを調査した報告書ですが、ここに書いてあるのは、今回の開通に伴い並行する国道42号、南紀白浜空港線の交通量が平日約1割から2割、休日は2割から3割が減少した。並行する国道42号で発生した停滞が緩和したという報告があります。さらなる緩和が必要だという答弁があったかと思うのですが、どこまでの交通量の緩和を目指しているのでしょうか。お聞かせください。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問のどの程度の緩和を目指しているかについてお答えいたします。今回の検討業務において、文里湾横断道路整備に関する周辺の現状調査を行ったものであり、具体的・定量的な効果まで検討は行っておりません。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    目標値はないということかと思いますが、わかりました。
     次に、資料の二つ目、現道交通安全の向上ということがメリットとして書かれています。これは確かに通行量が減れば、事故も減るかと思いますが、あくまでもそれは通行量が減ったことによって発生するメリットなので、ここに橋をつけたから一義的にこういう効果があるということではなくて、二次的な効果だと思うので、少しこじつけではないかと思うのですが、いかがでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の現道の交通安全の向上についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、現道の交通量が減ることで交通事故も減るものと考えておりますが、これも文里湾横断道路の整備による効果と考えております。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    認識の違いだと思いますが、結構です。  次に、3番目に救急輸送の支援ということで、消防署から現場、現場から三次医療施設、この点での救急輸送において時間の短縮ができるというメリットがあるということですが、今、消防署が新庄町のほうに建設中で、位置が変わるかと思います。少し意味合いが違ってくるのではないでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の緊急輸送の支援についてお答えいたします。消防本部移転後も現地に救急車は残りますので、現在の消防本部から南和歌山医療センターへの到着時間が短縮されます。現状では、混雑しているときと、していないときとでは、南和歌山医療センターへの到着時間に10分程度の差があるということですので、時間の短縮により救命率の向上が図られると考えております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    確かに救急車が1分1秒を争う病気の方を少しでも早く輸送するということは大事なことかと思います。特に脳の関係の病気はそういうメリットはたくさんあるというのは重々わかっているのですが、ただ、この道路だけがあれば全て解決するというものではないと思いますので、救急輸送の時間短縮、効果的な輸送というのは消防本部のほうでもいろいろな取り組みをされているかと思うのです。特にどういう点が救急輸送の時間短縮にメリットがあって、消防本部としてはどのような取り組みをされているか、消防本部のほうにお聞きしたいと思います。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    消防長、小山裕史君。            (消防長 小山裕史君 登壇) ○消防長(小山裕史君)    議員御質問の救急搬送の時間短縮のための取り組みはどのようなものかについてお答えいたします。  消防本部が行っている時間短縮のための一つ目の取り組みは、119番の受信において、迅速かつ的確な場所や状況の聴取により入電してから出動までに要する時間の短縮に取り組んでいます。具体的には、発信地表示システムなど高度な資機材を導入するとともに、受信の専門員を配置し、出動時間の短縮に努めています。  取り組みの2点目は、現場活動時間の短縮でありまして、傷病者の状態や事故の内容によって、現場活動人員をふやして時間短縮を行っています。これは119番受信時に通信指令員が傷病者の状況を判断し、通常の救急車1隊3名の出動にプラスして、1名の応援隊員を出動させ、適切な応急手当てとともに現場滞在時間の短縮を行うものであります。  取り組みの3点目は、消防本部の要請によるドクターヘリやドクターカーの運用でありまして、重篤な傷病者に対して医師が災害現場に出向いて処置を行うものでありますが、平成26年中の出動件数はドクターヘリが27件、ドクターカーが82件であり、搬送時間の短縮につながるものと考えております。  以上でございます。            (消防長 小山裕史君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    ありがとうございます。今、答弁いただいたことに対しては、また後で触れたいと思います。  次に、市中心部と南部地区、新庄地区との連携強化ということがメリットとしてあると書かれていますが、田辺には幾つか地域がある中で、なぜ特に新庄地区なのでしょうか。お聞かせください。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の市中心部と南部地区、新庄地区との連携強化についてお答えいたします。  新庄地区に限定したものではなく、新庄地区を含む南部地区との連携強化という意味合いで、その背後には白浜町や上富田町を含む地域もあるということで考えております。  以上でございます。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    いろいろなアクセスを考えるときに、どちらかといったら仕事であったり、遊びであっても和歌山市のほうへ行く、大阪へ行く、そこへ行くときに時間を短縮するということに重きを置くかと思うのですが、そんなに幾つか短縮すべきところがある中で、特に南部地区ということなのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の大阪、和歌山市方面への時間短縮よりも南部地区を重要視するのかについてお答えいたします。  大阪、和歌山市方面については、国道軸と直結する道路として重要な道路と理解しておりますが、文里湾横断道路については、紀南地域の中心である田辺市の市街地と白浜町上富田町間を結ぶ地域間幹線道路等の位置づけであり、重要視しております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    次に行きます。市内中心部の観光支援ということですが、田辺市の龍神だとか本宮が合併して、観光が産業の柱ということで観光についても考えるようになりましたけれども、旧田辺市で観光というのはどうもぴんとこないのですが、招こうとしている中心部に観光資源があるとお思いなのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の市中心部の観光支援・経済支援についてお答えいたします。  市内中心部の観光支援ということで、南紀白浜空港のほうから田辺市街地のほうへアクセスする交流により田辺市中心部と白浜町間の観光客の相互交流が期待できると考えております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    そうしたら、観光振興という立場でお聞きしたいのですが、観光のお客様というのは便利だからとか、白浜へ来たからついでに田辺へ行こうかというのじゃなくて、そこにその方が見たいと思う魅力のある観光資源があるからこそ来るというふうに私は思います。自己流なのですが、私は以前から観光の三原則と呼んでいますが、観光地として皆さんに好まれるのは、風光明媚な景色と温泉とそれとおいしい、その地でないと食べられない料理、プラスおもてなしだというふうに私は考えているのです。観光振興という立場で、この田辺の中心部の産業の一つの柱に、観光を置こうと取り組まれているのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長、那須久男君。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    市内中心部の産業として観光に重点を置くのかという点についてでありますが、現在、市の中心部につきましては、商業のまちであり、商店が軒を連ね、小売業、飲食業等が主要な産業となっております。  一方で、これまでも観光誘客により市街地の交流人口の増大を図ることで、経済効果が生まれるよう、闘鶏神社、南方熊楠顕彰館、扇ヶ浜、天神崎等の観光資源や文化資源を観光パンフレットやホームページ等で広く情報発信しているところであります。  今後、本市としましては、闘鶏神社が世界遺産に追加登録されることを見据え、世界遺産等を核とした市街地の魅力を高め、さらなる観光誘客のための観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    その次です。経済活動支援ということで、この文里港だとか跡之浦港、湊浦漁港の文里港周辺の工業施設や漁港施設、流通加工施設の産業のバックアップに期待ができるという効果があると書かれていますが、現在、本当にそのような産業があるのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の経済活動支援についてお答えいたします。  今、議員もおっしゃいましたとおり文里港、跡之浦港、湊浦漁港及び文里港周辺には工業施設や漁港施設、流通加工施設等の田辺市を支える産業集積地のアクセス強化ということで、地域の活性化も期待できると考えております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    そうなればいいと思いますが、次に行きます。  最後に、大規模災害への対応ということになっていますが、本当に文里湾横断道路が大規模災害が起こったときに効果があるのかどうか、お聞きします。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の大規模災害への対応についてお答えいたします。  大規模災害には、災害対策拠点でもある南紀白浜空港や耐震岸壁のある文里港からの支援活動に寄与することができると考えております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    では、防災担当にお聞きしたいと思います。  今、答弁で、白浜空港や文里湾の耐震岸壁に罹災したときの救援物資が届けられるという答弁をいただいたのですが、確かにそうかもしれませんが、それを今度、そこまで来た物資を被災地まで運ぶということは道路が寸断された中で難しいかと思うのですが、そういうふうにスムーズに運べるというふうに計画しているのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    総務部理事、早田 斉君。           (総務部理事 早田 斉君 登壇) ○総務部理事(早田 斉君)    議員御質問の白浜空港や文里湾へ運ばれた物資輸送について、道路が崩壊し、通行不可能になることは想定しないのかという御質問についてお答えいたします。
     大規模災害が発生した場合、どの道路が被災するかといったことは事前に把握できないものであります。仮に、緊急輸送道路などの災害対応上重要な道路が被災した場合には、国や県の道路管理者を初めとした関係機関、地元の土木、建設業協会などとの連携により優先的に道路啓開や復旧作業を行うこととしております。  以上でございます。           (総務部理事 早田 斉君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    一つずついろいろな思いがあるのですが、後でまとめて言わせていただきたいと思います。  4ページを見ていただきましたら、新たな課題ということで文里湾横断道路をつくったことによって交通量がふえて新たな道路整備が必要になるということです。この文里湾横断道路はどこからどこへつなぐかによって、費用も違ってくると思いますが、以前の計画があったときでは約100億円だと言われていました。その上に、このアクセス道路が必要になるとさらに経費が高くなってくると思うのですが、このような負担増というのは大変財政に負担がかかるものだと思いますが、いかがでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の新たな課題についてお答えいたします。  白浜方面から人が流入すると、そのことにより交通量が増加することが考えられ、流入した交通については、出ていく部分も必要になります。そのため、狭隘な場所については拡幅工事なども今後必要となってくることが考えられます。道路ネットワークを考える上でも整備が必要と考えております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    通告の4番目です。市民の声を聞くということで、片一方で市民の方から早く実現してほしい、県へ要望してほしいという意見がある中で、市民の中には本当にそれが必要だろうかという意見もあります。  ですから、ぜひ市民の声をしっかり聞いてほしい。必要となればパブリックコメントを実施してほしい、市民の声を聞いてほしいと思うのですが、そういう予定はないのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の市民の声を聞くについてお答えいたします。  田辺市としましては、広域的な観点から地域間交通の円滑を図る道路としての考えのもと、文里湾横断道路につきましては、道路の起終点、文里港ともに和歌山県の管轄であることから、和歌山県に対して要望を行っており、必要に応じてパブリックコメント等により市民の声を聞くことを考えております。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    パブリックコメントをとるということで、ぜひそのように実行してほしいと思います。最後に、この調査報告をもとに市の方針が決まるのはどのぐらいの時期を予定されているのでしょうか。お聞かせください。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の方針決定の時期はいつかについてお答えいたします。  田辺市としましては、市長会・県議会建設委員会・地元選出の3県議に対して要望を続けており、市域全体の調和と近郊のとれたまちづくりの推進のために、市町村建設計画や第1次田辺市総合計画にもうたわれている重要な地域間幹線道路であるため引き続き要望をしてまいりたいと思います。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    現状の道路状況が変わったから調査費をつけて調査した。賛成の意見もあれば反対の意見もあるので、市民からパブリックコメントを求める。けれどもこれは市の総合計画の方針だから引き続き県には要望していく。矛盾していないでしょうか。やるかやらないかも含めた調査ではなかったのでしょうか。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    調査のあり方の御質問にお答えいたします。  今回の調査につきましては、今の現状把握をするための調査であって、実施するかどうかの結論を出すための調査ではございません。  以上です。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    真砂みよ子君。            (1番 真砂みよ子君 登壇) ○1番(真砂みよ子君)    では、市民からパブリックコメントをとるという答弁をいただきましたが、市民からパブリックコメントをもらって、その市民の声がどのように反映するのでしょうか。すごく矛盾を感じています。答弁は結構ですけれど、昨年の6月議会で私がこの問題を取り上げたときに、そんなに大きな数ではないですが、市民の皆さんからアンケートをとりました。その結果は、文里湾横断道路、架橋は要らない、不要だという強い反対は少なくて、あれば利用するよ。あれば通るよという消極的な賛成が大半の御意見でした。確かに道路はあれば便利だし、全く無駄だという道路もそうそうあるわけじゃないと私も考えています。  例えば、その道路はもう不要だと建設に反対した人でも、やはりそこに道路があったら利用すると私も考えます。しかし、昭和53年から検討されてきた、この文里湾架橋はバブルがはじけて実現しなかったという経緯があります。では、当時と比べて、田辺市の財政はよくなったでしょうか。これは県事業なので、県の財政というべきでしょうか。消費税が増税され、大企業の大もうけは耳にしますが、地方の景気は明るい兆しがありません。こんなときこそ、事業の取捨選択が大事だと私は考えています。市民の暮らしや福祉、教育の充実のために何を優先しなければならないか。その視点が求められていると思います。そういう観点で、この調査報告書を読むと、文里湾横断道路、文里湾架橋が欲しいという結論を出すために無理に後から理由をつけているように私は思えてならないのです。  例えば、救急輸送の支援ですが、脳こうそくや脳出血、1分1秒を争うことは重々私も存じています。その時間によって障害が残るかどうか、命が助かるかどうか、本当に大事な問題です。今、消防長からも答弁をいただきましたが、そのためのいろいろな取り組み、努力をたくさんしていただいているかと思います。そういう努力をしている中で、どうしてもここの道路が混雑するからこの道路を改善すれば本当に救急搬送がもっとスムーズにいくんだというところの発想から生まれてくるのならわかるのですが、どうもこの報告書を見ていると、理由が後づけのような気がしてなりません。  また、経済活動の支援ですが、農林水産活動を支える産業集積地へのアクセスの強化と書かれていますが、アクセス道をつくる前に、産業自体の活性化が今、求められているのではないでしょうか。  農業を見れば獣害対策が強く求められていますし、林業は木を切り出す林道整備がまだまだ不十分だし、なかなか木も売れません。漁業は漁獲量が少ないことが大きな問題で、そもそもその産業自体が抱えた大きな問題の解決なしには語れないのではないでしょうか。  市の財政も家庭の財政もけたは違いますが、基本的な考え方は同じだと私は思っています。家庭で子供の教育にお金がかかる年齢になれば、不急なものは後に回します。また、無駄遣いのないようにしっかり調べて、安価で効果のあるものをと慎重になります。財政が厳しいからこそ、市の予算は他人のお金ではなく、自分の家計だとの思いでぜひ取り組んでいってほしいと申し上げて、今回の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。            (1番 真砂みよ子君 降壇) ○議長(吉田克己君)    以上で、1番、真砂みよ子君の一般質問は終了いたしました。  休 憩 ○議長(吉田克己君)    この場合、午後2時35分まで休憩いたします。              (午後 2時23分)          ―――――――――――――――――――  再 開 ○議長(吉田克己君)    休憩前に引き続き会議を開きます。              (午後 2時36分) ○議長(吉田克己君)    続いて、18番、宮本正信君の登壇を許可いたします。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    18番、誠和会の宮本です。本日、5人目の登壇ということで皆さん、いささかお疲れのようですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。  それでは、早速通告に従って質問に入らせていただきます。現在、国においては地方創生法に基づき、総合戦略を策定して人口減少対策と地域の活性化のための施策を各地域がそれぞれ知恵を出し合って活性化につながるための政策立案をとのことで、田辺市においてもまち・ひと・しごと創生有識者会議を起ち上げて、間もなく方向性が決定されると思いますが、そのことも含めて大きく3点についてお伺いします。  まず、田辺市のかつてのにぎわい、活力を取り戻すことについては、市街地の活性化ということが私は一番気になるところですが、今までいろいろな振興のための事業、施策を行ってきたと思います。そして、市街地という範囲の考え方については、旧田辺市の旧市街地のエリアとそれから都市計画区域内の大きなエリアの2通りがあると思いますが、最初に駅前を中心とした約108ヘクタールの中心市街地の活性化事業については、約105億円ほどの事業であったかと思いますが、その事業の取り組み状況、それから効果等についてお伺いしたいと思います。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君の質問に対する当局の答弁を求めます。  産業部長、那須久男君。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    中心市街地活性化事業の取り組み状況についてでありますが、本市におきましては、空洞化する中心市街地に歯どめをかけ、中心市街地が持っている都市機能を充実させるとともに、経済活力の向上を一体的に推進することを目的に、田辺市中心市街地活性化基本計画を策定し、公共民間合わせて62事業について、国の認定を受け、平成21年3月から平成26年3月までの5年1カ月にわたり事業に取り組んでまいりました。  基本計画の成果としましては、懸案事項であったJR紀伊田辺駅前広場の改修、田辺市観光センターの整備、田辺市文化交流センターの建設等のハード整備が完了するとともに、ソフト事業では中心市街地の商店街での開業支援事業や町なかの情報発信等を行うまちづくりプロジェクト事業などを実施する中で、まちづくりの機運が高まってきたものと考えております。  基本計画終了後においても、商店街や南紀みらい株式会社、田辺商工会議所などの関係機関と連携を図りながら、これまで取り組んできた市街地の回遊性を高める事業などを継続して実施しているところであります。  中心市街地の活性化につきましては、田辺市価値創造プロジェクトにおいて、重要なテーマの一つとして位置づけており、また現在、策定を進めております田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略にも取り入れながら、今後の闘鶏神社の世界遺産追加登録も見据え、取り組みを進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    答弁ありがとうございました。いろいろな取り組みをされて、本当に町なかは見違えるようになっているように思います。  次に、都市計画区域の振興ということで策定された都市計画マスタープランの進捗状況について今後の予定等についてお尋ねします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長、林 誠一君。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の都市計画マスタープランの進捗状況と今後の予定についてお答えいたします。  田辺市における現行の都市計画マスタープランは、都市計画法に基づき、まちの将来像とその現実に向けた都市計画に関する基本的な方針をまとめたものとして、平成22年3月に策定され、市街地の活性化については、マスタープランに記載された持続可能な集約型都市構造の構築を目指す方針に沿って中心市街地活性化事業が行われました。  都市計画マスタープランは、おおむね20年後のまちの将来を見据えながら、道路・公園、市街地等の具体的なまちづくりの方針等についておおむね10年後の整備目標を示すもので、社会情勢の変化や総合計画等の上位計画の見直しに応じて、適切な時期に計画内容を変更するなど、見直しを行っていくものであります。  そうしたことから、上位計画となる和歌山県策定の都市計画区域マスタープランが平成27年5月に改訂され、田辺市都市計画マスタープランについては、和歌山県が改訂した都市計画区域マスタープランに即し、住民に最も身近な地方公共団体として、より地域に密着した見地から見直しを行い、現行計画の策定からおおむね10年後の平成31年度末をめどに改訂を行いたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    都市計画区域とは、健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動を一体の都市として総合的に開発及び保全をする必要のある区域ということで定義づけられておりますけれども、ちょうど平成20年11月に都市計画マスタープラン策定委員会というのが設立されまして、そのときにちょうど議会から私とここにいる小川議員、谷口議員など議会から任命をされて、そしていろいろな議論をしたということを今、思い出すわけですけれども、現在の都市計画区域というのは昭和29年に制定されたのが原形であると思います。  そして、時代の変遷の中で、バイパスや高速道路が建設をされたというようなことで、当時の土地利用計画、そしてそれと現在の状況についてはこれは大きく異なっていると思います。その中で、都市的な土地利用が困難な地域については、都市計画区域内からの見直しを早急に検討するというようなことも記述されていたように思うのですが、このことについてはどう考えておられるのか、お尋ねします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    建設部長。            (建設部長 林 誠一君 登壇) ○建設部長(林 誠一君)    議員御質問の都市計画区域の見直しについてお答えいたします。  都市計画区域の見直しについては、東日本大震災以降、都市計画運用指針においても、津波災害や土砂災害などよりリスクに対する新たな考え方が示されましたので、それを加味し、地域特性や土地利用を鑑み、現在も引き続き検討中でありますが、平成29年度末を目標に見直しを行いたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。            (建設部長 林 誠一君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。
               (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    ただいまの答弁では、東日本大震災以降、中心市街地全体が浸水地帯に指定されたということ、そして区域を根本から考え直す必要性に迫られているということは、これは理解をするわけでありますけれども、私自身は現在の都市計画区域内の北西部、県道上富田南部線の北側にある地域、それについては今、田辺市の誇るミカンや梅の優良畑地帯が広がっております。これは今の現状を見たときに、都市計画区域の利用区域には当然、そぐわない地域と私自身は考えております。これについては早急に市民の合意を得られる見通し、また決断ということを要望しておきます。  そして、都市計画区域の見直しということについては、都市計画税ということにもかかわってきますが、この都市計画税は昭和31年に目的税として導入され、現在は約3億6,000万円ほどの税額があり、中心市街地の振興のための貴重な原資であるということは理解しておりますが、この税については市民のいろいろな意見も聞かれます。  例えば、本宮、龍神地区の皆さんであっても都市計画道路を使って田辺市役所へ来られる。そしてまた都市計画区域内で計画税を払っているけれども、例えば地区内での計画した道路の拡幅については、全て用地は無償提供、それなのに片や都市計画道路に認定されたその場所については、全て賠償していただいて、立派な道路になるといった不公平感もあります。例えば、今の区域内の税率0.2%、全市均一にして0.1%と広く薄くかけるというようなこと、あるいは計画税そのものを廃止するというような選択肢もあると思いますが、そのことについてはどう考えるかお伺いします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    総務部長、田上豊和君。            (総務部長 田上豊和君 登壇) ○総務部長(田上豊和君)    議員の御質問にお答えします。  都市計画税につきましては、本市では都市計画区域内に所在する土地・家屋を所有されている方に目的税として課税させていただき、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充当させていただいているところであります。  都市計画税の課税区域につきましては、田辺市都市計画マスタープランが策定された後の平成22年度から庁内の関係部署と連携をとりながら、継続的に検討しているところではございますが、東日本大震災における本市を取り巻く状況が急激に変化していることから、慎重に検討する必要が生じているところでございます。  都市計画税の負担と受益の考え方につきましては、さまざまな御意見があることは十分に認識しておりますが、都市計画事業の受益の範囲を線引きすることは非常に困難であることから、現在の都市計画区域への課税は、地方税法第702条第1項の規定の範囲内において、一定の合理性はあるものと考えております。  議員も御承知のとおり、都市計画税は都市計画事業等の費用に充てるための目的税でありますので、税率を下げる、または廃止をしてその減収分をほかの税目で広く薄く御負担いただくことは、納税者の方に御理解いただくのは大変難しいことであると考えます。  都市計画税の課税区域につきましては、長年の検討課題となっておりますので、今後の都市計画事業等の内容に応じた都市計画税の課税について十分に検討を行い、納税者の皆様に御理解、御協力をいただけるよう努めてまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。  以上でございます。            (総務部長 田上豊和君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    今、総務部長から答弁いただきましたように、都市計画税、また区域の見直しということについては、これは非常に困難な問題、決断が要るということは十分に承知をしておりますけれども、1つ前向きな検討、最善策をお願いしておきます。  さて、これまでの市街地活性化の取り組みについては先ほど答弁いただきましたが、旧市街地のインフラ整備は本当にきれいになってきて、進んできたと思います。しかし、肝心の中心市街地の活性化については、全国の地方共通のシャッター通り、また空き店舗ということに悩んでいると思います。そこで、10月に私が所属する誠和会で視察に行った徳島県三好市の取り組みを少し紹介したいと思います。そこへ行きまして、思わぬ田辺市との御縁があるなということをお聞きして、実は庁舎へつきますと、開口一番、「実は田辺市の真砂市長に大変お世話になりました。1年前に防災教育の講演をしていただいたので、よろしくお礼を申しておいてください」というお話もございました。そして、今回私たち、サテライトオフィスの誘致について勉強に行かせていただいたのですけれども、年明けには三好市の議会の皆さんが今度、田辺市のふるさと納税について勉強に行かせていただく予定になっているということお聞きして、思わぬところで御縁があって、こういうことも大事にしないといけないということを感じてきました。  その中で三好市というのは人口3万人弱でありますけれども林野率が87%、それから広大な用地を要するような企業というのは平地もなくとても無理だということで、田辺市と似たような地域性であるわけですけれども、その中で空き店舗とか、旧廃校舎などを利用して手軽に利用のできるサテライトオフィスということを誘致して、効果を上げているということでした。田辺市でのITも含めた企業の誘致、それから支援体制の状況についてお尋ねします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    市街地へのサテライトオフィスの誘致についてでありますが、企業誘致は雇用の創出、関連企業への波及など、地域経済の発展に大きく寄与することから、本市におきましては、平成14年度に企業立地促進条例を制定し、一定の要件を満たす企業に対し、奨励措置を講じることで立地の促進を図ってまいりました。条例制定以降で、首都圏に本社がある、いわゆるサテライトオフィスとなる企業は、市が関知しているものだけで旧市内で3社、旧中辺路町内に1社ございます。この条例に基づく支援内容としましては、製造工場や情報通信関連業、学術・研究開発事業などのオフィスを対象とした事業所設置等奨励金や雇用奨励金、経営支援奨励金があり、さらに企業と県及び市の三者協定を提携した場合にあっては、指定市有地の無償貸与や民間賃貸物件の賃借料及び通信回線使用料、水道使用料に対する補填措置があります。  また、ふだんから地元不動産業者と情報共有を行うことによって企業動向の把握に努め、立地を検討している企業に対しては各市の公的手続等を迅速にサポートする相談窓口の一元化に取り組んでいるところであります。  そのような中、国によるまち・ひと・しごと創生事業においては、地方における安定した雇用の創出を基本目標の第1番目に掲げており、その一環として地域再生法の一部が改正されました。  これを受け、県は県下全市町村において、首都圏にある本社機能の一部移転、新増設を行う企業に対し、減税措置等を講じることができるよう地域再生計画を策定し、本市も国・県に対応して、オフィス系企業に対して固定資産税の不均一課税を適用できるよう本議会に関連条例を上程させていただいているところであります。  変動の激しい経済情勢や国の政策により企業の動向も大きく変化し、誘致活動においても多種多様なニーズへの対応が求められている現在、県と緊密な連携を図りながら、特に市街地の民間賃貸物件への誘致活動に力を入れているところではありますが、さらに柔軟かつ迅速な対策を講じていけるよう常にアンテナを張り、本市の現状を踏まえた企業立地活動を粘り強く進め、新たな就労の場の確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    田辺市では、サテライトオフィス系事業の4社誘致ということ、それから支援策もいろいろとお聞きしました。三好市でお聞きした最高の秘訣というのは、最先端のIT企業を駆使する業務の企業というのではなくて、普通にパソコンが使えれば、誰でも就業でき、それからネットショップや業務書類の電子化などでブロードバンドを使うこと、それから地元での新規雇用をすること。この2点の要綱さえクリアできればよいということで、さらには地元のNPOとそして行政とが一緒になって、積極的に誘致する体制ができているとのことです。  今、地元の高校生は仕事さえあれば6割が地元へ残って就職したいというアンケート結果も出ておりますので、定住人口の増加、それから商店街の活性化のためにも誘致のための予算の拡充、それから組織体制の強化というものを要望しておきます。  次に、定住促進についてお伺いします。1,026平方キロメートルという広い市域の中で、山村部では過疎化、限界集落という地域の存亡にかかわる厳しい現実があります。そうした半面、都会では自然の中で生活がしたい。そして田舎暮らしに憧れるといった方もふえています。田辺市はそういう方にとっては、世界遺産に登録された美しい自然、山、川、海、温泉といったすばらしい条件が整っています。  そんな中で、定住促進政策については、県下でもトップの実績を上げていると聞いております。その取り組み状況についてお伺いしたいと思います。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    森林局長、鈴木徳久君。            (森林局長 鈴木徳久君 登壇) ○森林局長(鈴木徳久君)    定住促進の取り組み状況についてお答えいたします。  本市におきましては、過疎化・高齢化が著しく進む山村地域において地域の維持活性化を図ろうと「元気かい!集落応援プログラム」による集落支援を展開しており、その中で平成19年度より第1次産業を核とした定住や移住促進に取り組んでまいりました。その状況としまして、まず移住相談件数については、この9年間で920件にのぼっております。  次に、当市の移住相談窓口を経た移住実績は、平成19年4月から先月末までで91世帯176名となっております。このうち約6割の世帯が、現在も田辺市に在住している状況です。移住候補地として田辺市を選択していただくため、県やふるさと回帰支援センターが東京や大阪で開催する田舎暮らしフェアや回帰フェア、田舎暮らしセミナー等に積極的に参加しているほか、県が主催する田舎暮らし現地体験会についても、7月には本宮町、11月には龍神村で開催し、来月には中辺路町で開催を予定しているところです。積極的な受け入れ事業もこういった形で行っております。本宮町と龍神村で行った体験会では、計27組38名の参加がありました。本宮町では主に、ハートの雇用事業の紹介と就労場所等の現地案内、龍神村では菌床シイタケの採取や山路紙の紙すき体験をするなど地域の産業や文化に触れていただきました。  今回の参加者で早速龍神村に移住を決めていただいた方もおり、実際に現地を見ていただくということも大変重要であると認識しているところです。  以上です。            (森林局長 鈴木徳久君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    積極的に対応し、順調に成果を上げているということを確認させていただきました。これもワンストップパーソン制度を取り入れて、徐々に機能し始めたということも影響しているかと思います。以前に、農業をしたいという若者からその経験談を聞いたのですけれども、市民課に相談に来て、農業をしたいと言ったら、「農業振興課へ行ってくれ。いや、山村へ行きたいんだったら森林局へ行ってくれ。農地を取得したいのだったら農業委員会だ。」とたらい回しをされたということがあったと聞きました。  それが今、改善されて一部署で総合的に相談に乗ってくれる窓口があるということは、これは移住者にとって本当に信頼、安心感が生まれる、そしてスムーズにいっているのだと思います。ただ、以前に資料を見させていただきますと、年間200件を超すような相談があるという中で、いろいろなニーズに応え、それから先ほどのように現地を案内するといったときに、今の受け入れ体制だけで十分に対応し切れるのかと危惧するわけですが、そのことについてはどう考えているのかお伺いします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    森林局長。            (森林局長 鈴木徳久君 登壇) ○森林局長(鈴木徳久君)    受け入れ体制の課題と強化についてお答えします。  定住促進を実施していく上で、現在の市の体制では不十分ではないかということですが、さきにも述べましたとおり、過疎化が著しく進む山村地域への移住推進については、現在山村林業課内の担当2名と各行政局の担当とで連携をとりながら対応を行っております。また、県では、先月より新たに空き家の情報を提供する定住支援住宅管理機構、就労をサポートするジョブカフェわかやまや、ハローワークサロンほんまちなど、これらの機関と連携し、和歌山への移住を希望する人の暮らし・住まい・仕事の相談をワンストップで受ける和歌山定住サポートセンターを開設しました。  市といたしましても、今まで同様、県並びに新たに設置された定住サポートセンターと連携をとりながら、空き家活用はもとより仕事や子育て支援など、暮らし全体の情報提供を含む移住推進施策を実施してまいりたいと考えておりますが、今後、県や市におけるさらなる移住推進の強化及び市全域への移住施策の拡大並びに昨今の田舎暮らしブームなどで移住希望者や移住者がふえてきた場合、今後、受け入れ体制のあり方を研究していく必要があると考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。            (森林局長 鈴木徳久君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    今、田舎暮らしのブーム、追い風が吹いている傾向もあるかと思いますが、単に田舎への憧れ、自然への憧れといっただけでは長続きしません。やはり地域での暮らし、住民と溶け込めるか。生活をしていくための仕事や住む家が確保できるのかといった厳しい条件、それから移住者本人の覚悟も要ると思います。地元自治会の協力ということも大変重要になってくると思いますが、移住から確かな定住へとつながるための課題ということについてはどう考えるのかお願いします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    森林局長。            (森林局長 鈴木徳久君 登壇) ○森林局長(鈴木徳久君)    移住から確かな定住へとつなげるために、地域の協力も重要との提言でありますが、現在市では、移住者の受け入れや移住後のフォローをすることを目的に、田辺市定住支援協議会を設置しており、旧市町村単位に2名ずつの相談員を置いているところです。  他市町村の例としまして、県下でもいち早く移住推進に取り組んだ那智勝浦町の色川地区が、地域限定の受け入れ協議会を設置し、きめ細やかな移住者への対応を行うことで、地域住民の約4割強が移住者となっているという事例を見ますと、地域単位で受け入れ協議会があることが最良であると考えます。ただし、これは地域が主導することで移住者の誘致を進めていく体制でないと機能し得ないと思われます。  そういった中で、最近では、中辺路町の近野地域において、移住者がふえ集落に活気が出てきていることから、地域ではさらに移住者を受け入れていこうという意識が高まってきているところです。市としましては、こういった地域と連携し、支援することで、まずモデルケースをつくり、他の地域へ波及させていければと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。            (森林局長 鈴木徳久君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    地元の方が危機感を持たない、それから何も対策をしないという状況では、過疎化はますます進むと思います。私の知り合いでIターンで来て、有機農業をしている若者夫婦は温川で十何年かぶりに、こいのぼりが上がったといって地域に活気が生まれ、そして消防団へも入って、活躍して、地域へ溶け込み、皆さんから喜ばれています。これは、ここにおられる川﨑議員が最たる好事例かと思うのですが、Iターンの方によって、祭りや道普請が受け継がれて、そしてそのことによって刺激された地元の方もまたUターンをしてくれる。そういう可能性も生まれてくると思います。都会の人が憧れる自然条件に恵まれている田辺市ですので、より積極的な定住促進を望みたいと思います。  それからもう一つ、農地の取得条件ということについてお伺いします。  今、旧田辺市では、最低50アール、旧町村では10アールの農地を取得しなければ農業者として農地を取得できないという規則がありますが、田舎へ来て、悠々自適の生活をしたいという方も結構おられます。その方の中には住宅の隣へ家庭菜園的な5アールほどの畑も購入したいというときに、その規制があるために購入できずに諦めたと聞きました。  また、新規就業者の中には、ビニールハウス栽培をしたいという若者もかなりおりますが、ビニールハウスを建てるのに50アールも必要ありません。そういった定住や新規就農の希望をかなえやすくするための柔軟な特例措置とか規制緩和というものができないものかお伺いします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    農地を取得する際の下限面積についてでありますが、農地法では、農地の所有権を新たに取得する場合には、農業委員会の許可を受ける必要があり、許可基準の要件として取得後の耕作面積が50アール以上に達しなければならないと定められています。これが下限面積でありまして、この下限面積の設定理由については農地は国民の食糧生産の場であるため、農地の細分化や分散化を防ぎながら、担い手農家に農地を集積させていくという農地法本来の目的によるものであります。  しかしながら、全国的に農業の担い手が減少し、遊休農地が増加してきたことから、国におきましては、新規就農を促進するため、地域の実情に応じ原則50アールの下限面積を10アール以上の面積まで緩和できるという構造改革特区制度を設けておりました。  その後、平成17年には農地法が改正され、こうした特区によらなくてもその地域で平均的な経営規模が小さい場合については、農業委員会が10アールを単位として別段で定めることができるという改正を行ったところであります。  これにより田辺市では農地法の下限面積を旧田辺市は50アール、旧4町村は10アールと決めております。また、農地の貸し借りによる利用を進めるため農業経営基盤強化促進法による農地の利用権設定の際の下限面積は全市的に10アールとしております。  しかし、この下限面積を廃止することについては、法律の改正が必要であり、特区においても認められておりません。御質問のとおり趣味や生きがいとして農業を始めたい。また田舎暮らしで自給自足的な農業をして定住をしたいという人やさらには本格的に新規就農したいという人にとりましては、下限面積が負担となる場合があることは承知いたしております。このため、農業を始めたいという人にはまず10アール以上での農地の貸し借りから始め、その後の経営状況や営農計画に応じて面積の拡大や所有権の取得をしていくように勧めたり、施設園芸等で農業経営を集約的に行う場合は下限面積の例外規定を適用するなど、それぞれの相談内容に応じてできるだけの対応をしているところであります。  また、県内ではまだ事例はありませんが、高齢化等で農地の遊休化が深刻な地域については、一定の要件のもとに10アール未満の設定が可能という規定もありますので、こうしたことが可能かどうかについても今後の農地利用状況を見ながら検討してまいりたいと思います。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    県の定住促進の参考書類の中にも、これはビニールハウスに限りということですけれども、5アールでも農業者としてみなすという定義づけもされているので、今、部長も検討するという答弁をいただきました。できるだけ新規就農者、あるいは定住しやすい柔軟な対応をよろしくお願いしておきます。  最後に三つ目として、農業の振興についてお尋ねをします。ことしは大きな台風災害もなくて、ある程度順調な1年であったように思えるのでありますが、農作物にとっては長雨やまた温暖化の影響によって、梅では低価格傾向に加えて、病害虫や腐りが懸念されています。また、有害鳥獣の被害も大変な増加と聞いておりますので、ひとつ現状と課題についてお伺いします。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    農業の現状と課題についてでありますが、基幹作物である梅については、平成25年から平成26年産の豊作に伴い、価格の低迷が続いております。平成27年産については平年比87%と不作にもかかわらず、青梅の販売価格は横ばいとなっており、また梅干しの原料価格についても回復しておらず、梅農家の農業経営は大変厳しい状況が続いているものと認識しております。  かんきつ類については、現在、木熟ミカンの収穫期を迎えておりますが、本年夏場から秋口にかけては天候が順調に推移しておりましたが、11月中旬になり温暖な気候と多雨にみまわれ、浮皮や腐敗等が発生するなど、品質の低下を招いています。  一方、販売面においては、JA紀南では本年からミカンの市場価格を高めるため、県とともに厳選出荷に取り組んでおり、また、新たに精度の高い糖度センサーを導入するなど、品質向上に取り組んでいます。糖度の高い高品質な木熟ミカンは市場でも人気があり、引き合いも強いことから量的に対応できない状況であり、さらなる生産量の拡大と品質向上が求められています。  次に、鳥獣被害の状況ですが、平成26年度における農産物への被害は猿、イノシシ、鹿等で3,874万6,000円となっておりまして、依然、深刻な状況が続いております。本年では、特にイノシシが芳養地域や稲成地域などのミカン園に多数出没し、園地を掘り起こしたり、果実を食い荒らすなどの被害が出ております。  また、県内ではニホンジカが依然増加しており、当市においては、本年度から狩猟期間中も有害捕獲として猟友会の皆さんに捕獲を依頼しているところであります。そうした中で、本年度10月末時点での有害捕獲頭数は昨年度の同時期と比較しますと、イノシシで1.7倍、鹿で1.5倍となっており、猟友会の皆さんに御協力をいただき、かなりの有害鳥獣を捕獲いただいておりますが、生息域も拡大し、被害がなかなかおさまらない状況にあります。  このように、当市の農業に関しましては、主力の梅・かんきつ類、それぞれに大きな課題がありまして、これに鳥獣害が追い打ちをかける形で農業経営を圧迫している状況にあると考えております。  以上です。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    今、現状の報告をいただきました。かつて梅の高価格による梅バブルの隆盛期のときには、都市部で就職難というとき、それだったら長男も次男も帰ってきて農業を継げということであったのですけれども、今、梅の採算価格がなかなかとりにくいという昨今、家へ帰ってくるのはもう少し待ってくれ。専従者給与が払えないというような農家もふえてきています。この梅の単価の厳しさがもう少し改善するまで、それだったら高品質のミカン栽培へ力を入れて経営を立て直そうといった農家がふえているやさきに、情報開示がないままに、政府はTPP、環太平洋経済連携協定の大筋合意を行いました。日本が加工貿易立国であることは一定の理解をするわけですが、TPPにしても農業改革しましても、まず初めに農家の犠牲がありき、大企業の利益優先という政府の経済諮問会議の思惑が見え見えです。本当に地域の実情がわかっているのか。少し腹立たしくなってくるわけですが、世界的には食糧難ということが言われていて、その中で食糧自給率40%が守れるのか。食の安心・安全が守れるのかといったことを大変危惧するところでありますが、県のほうでは、少し前にミカン農家の所得が3割減るとの試算も発表されましたが、田辺市としてTPPの影響をどう考えるのか、お伺いします。
               (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    TPPは農家にはどのような影響があるのかということでありますが、御承知のとおりTPPは日本、アメリカを含めた12カ国の環太平洋地域による経済連携協定で、アジア太平洋地域に一つの巨大な経済圏を創造し、関税だけではなく、サービス、投資、知的財産、国有企業改革等幅広い分野で21世紀型の自由で公平なルールを構築するというものであります。日本経済の影響としましては、現在、国において試算されておりますが、和歌山県の試算では、県の農林水産物への影響額が54億8,000万円減少、かんきつ類だけでも35億7,000万円の減少となり、温州ミカン1.5ヘクタール、中晩柑0.5ヘクタールを経営しているかんきつ専作農家では、所得が29%減少すると試算されております。  当地域で影響が大きいと見られるオレンジの関税については、現在、生果のオレンジで12月から5月が32%、6月から11月が16%となっています。しかし、TPP発行後は4月から11月の関税を5年間かけて段階的に引き下げ、6年目に撤廃されます。  12月から3月の関税は7年間かけて段階的に引き下げられ、8年目に撤廃されます。かんきつ類については、温州ミカンと中晩柑では、その影響も若干違いがあると思われますが、特に温州ミカンについては、現在でも外国産オレンジとは流通経路がすみ分けされており、十分対抗していけるものではないかと思われますので、産地としてはさらなる高品質化を推進してまいりたいと考えております。  次に、食糧自給率と食の安全への影響についてでありますが、TPP発行後の食糧自給率は現在、国で試算されており、年内に公表される予定であります。また、食の安全性については、国では海外からの輸入食品の増加が見込まれることから、食の安全、安心を守るため輸入食品の適切な監視指導を徹底することが示されております。  産地としましては、引き続き消費者の信頼を損なわないよう、安全基準に基づいた作物の生産に努めていかなければなりません。TPPの影響については、現時点ではなかなか推測が難しい状況にありますが、今後の国や県の対策等、十分情報収集し、活用できるものは活用しながら市としての取り組みを展開してまいりたいと考えております。  以上でございます。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    決して悲観ばかりをするつもりはありません。今後の政府の対応策をしっかり見きわめなければと思いますが、田辺市の農業の現状に合わせた対策、方向性というものをどう考えているか、もう一度お伺いしたいと思います。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    産業部長。            (産業部長 那須久男君 登壇) ○産業部長(那須久男君)    今後の農業の対策、方向性をどう考えているのかということでありますが、まず1点目でお答えしましたように、主力の梅を初めとして、柑橘、鳥獣害対策等課題が山積しております。梅については、現在、紀州田辺うめ振興協議会を中心に、年間を通して販売促進活動を展開しており、近年では、スポーツ選手向けの用途としても梅製品を開発するなど、新たな分野への展開も進めております。また、本年度からは地方創生先行型交付金を活用し、介護食用の梅加工品の開発、梅の殺菌効果や殺ウイルス機能を生かした商品開発など研究を進めているところであります。  梅のTPPの影響は梅の大きな生産国が協定国にないことから、輸入による影響はないと思われますが、逆にこの梅産業の厳しい現状を打開すべく、国の制度等の活用により、加工品及び生果の海外への進出を積極的に進めていく必要があると考えております。  また、現在、申請中の世界農業遺産についても登録された場合には、梅の認証制度など、国内はもとより国際的にも有効に活用できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、かんきつについてですが、当市では、温暖な気候を生かして年間を通して各種のかんきつ類が生産され、特に温州ミカンは日照時間など条件のよい農地が多く、甘いミカンが生産されています。  この生産振興や販売促進につきましては、JA紀南や生産者と組織している田辺市かんきつ振興協議会を中心に取り組んでおりまして、国内での販売促進はもとより、本年度からは海外にも進出し、販路開拓の取り組みを進めております。  かんきつ類は、特にTPPによる影響が大きいのではと言われていますが、市といたしましては、田辺市柑橘振興協議会を中心に、高品質な糖度の高いミカンづくりを積極的に推進するとともに、人気の高い木熟ミカンについては、ブランドの確立を図り、さらには機能性の研究も進めながら、外国産オレンジとのすみ分けを行い、産地の振興を図ってまいりたいと考えております。  また、近年、梅専作での農業経営は大変厳しいことから、野菜等との複合経営を推進するため、施設への補助金制度や新規作物の試験栽培に係る補助制度なども設けており、こうした制度の活用を推進しながら、農業経営の安定化を図ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、本市の農業はなくてはならない基幹産業であります。梅・かんきつという基幹作物の振興はもとより農業の複合経営化を積極的に推進するとともに、鳥獣害対策のさらなる充実を図りながら、当地域の農業を守っていきたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。            (産業部長 那須久男君 降壇) ○議長(吉田克己君)    宮本正信君。            (18番 宮本正信君 登壇) ○18番(宮本正信君)    全国では5年間で農業就業者が200万人減っている。幸いにも田辺市では、専業農家数は1,000戸程度で推移しているという状況であります。ひとつピンチをチャンスに変える強い農業構築のための施策ということを望みます。  今回、地方創生を受けて、総合戦略を策定する中で、第一次産業、商工業、観光、市街地、山間部といった全ての部署で数値目標を定めて活性化に取り組むことになっていると思います。国のほうも情報、財政、それが人材的な切れ目のない支援をすると言っておりますけれども、特に市長におかれましては、国県への財政面への確実な支援ということを強く要請させていただきたいと思います。  そして、せんだっての田辺市及び周辺町議会正副議長会の議員研修会の中でも今の地方の疲弊ということについては、これは議員にも責任の一端があるという厳しい意見もいただきました。議会と当局ともに全力でこの地方創生に取り組むということを確認し合って、今回の一般質問を終わります。ありがとうございました。            (18番 宮本正信君 降壇) ○議長(吉田克己君)    以上で、18番、宮本正信君の一般質問は終了いたしました。  お諮りいたします。  本日の会議は、この辺にとどめ延会し、あす12月10日午前10時から再開いたします。  これに異議ありませんか。             (「異議なし」の声あり) ○議長(吉田克己君)    異議なしと認めます。  よって、さよう決しました。  延 会 ○議長(吉田克己君)    それでは、本日はこれをもって延会いたします。              (午後 3時29分)  地方自治法第123条第2項の規定により署名する。   平成27年12月9日                    議  長  吉 田 克 己                    副議長   安 達 克 典                    議  員  川 﨑 五 一                    議  員  久 保 浩 二                    議  員  北 田 健 治...