田辺市議会 2014-03-11
平成26年 3月定例会(第3号 3月11日)
(第1号)まで
一括上程
○議長(塚 寿雄君) 続いて、日程第2 1定議案第1号
工事請負契約の締結についてから、日程第13 1定議案第12号 平成25年度田辺市
四村川財産区
特別会計補正予算(第1号)まで、以上12件を
一括上程いたします。
ただいま上程いたしました12件については、過日の本会議において、それぞれ所管の
常任委員会に付託していたものであります。
この場合、順を追って各
常任委員会委員長の報告を求めます。
まず初めに、
総務企画委員会委員長の報告を求めます。
9番、
市橋宗行君。
(9番
市橋宗行君 登壇)
○9番(
市橋宗行君)
総務企画委員会より報告いたします。
本委員会は、去る2月28日の本会議において付託を受けた議案2件について、3月5日及び11日に委員会を開催し、当局の説明を聴取し慎重に審査をいたしました。
その結果、
委員会審査報告書に記載のとおり、1定議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)の
所管部分及び同議案第12号 田辺市
四村川財産区
特別会計補正予算(第1号)について、いずれも
全会一致により、原案のとおり可決いたしました。
審査の過程における委員からの質疑の主なものは、次のとおりであります。
まず、議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)の
所管部分のうち、企画費の
地域振興基金積立金にかかわって、地域の
元気臨時交付金との関連について
詳細説明を求めたのに対し、「地域の
元気臨時交付金の一部を来年度の事業に充当するため、本基金に積み立てるものであり、今回の積立金については来年度予算において
全額執行予定である。なお、本交付金については、平成25年度地域の
元気臨時交付金(
地域経済活性化・
雇用創出臨時交付金)
実施計画に基づく事業に要する経費に充当しており、今年度においては
防災行政関係事業、
保育所整備、
林道整備、
道路整備、小学校の
耐震化事業等に
充当予定である」との答弁がありました。
次に、
常備消防費にかかわって、
消防救急デジタル無線整備事業について、
詳細説明を求めたのに対し、「本事業は、県に委託した県下全体の
共同整備部分と本市における
個別整備部分で構成し、本年度から平成27年度までの3か年事業で進めている。現在は県に委託している
共同整備部分について進めているが、県が実施した
入札差額に伴い、減額補正するものであると」の答弁がありました。
以上、
委員長報告といたします。
平成26年3月11日、
総務企画委員会委員長、
市橋宗行。
以上でございます。
(9番
市橋宗行君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、
産業建設委員会委員長の報告を求めます。
11番、
安達克典君。
(11番
安達克典君 登壇)
○11番(
安達克典君)
産業建設委員会委員長報告を朗読をもって行います。
本委員会は、去る2月28日の本会議において付託を受けた議案6件について、3月4日及び11日に委員会を開催し、当局の説明を聴取し慎重に審査をいたしました。
その結果、
委員会審査報告書に記載のとおり、1定議案第1号
工事請負契約の締結について、同議案第2号
工事請負変更契約の締結について、同議案第3号
損害賠償の額の決定及び和解について、同議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)の
所管部分、同議案第9号 平成25年度田辺市
簡易水道事業特別会計補正予算(第4号)及び同議案第11号 平成25年度田辺市
駐車場事業特別会計補正予算(第2号)の以上6件については、いずれも
全会一致により、原案のとおり可決いたしました。
審査の過程における委員からの質疑等の主なものは、次のとおりであります。
まず、議案第3号
損害賠償の額の決定及び和解についてにかかわって、市道及びその
附帯構造物の
点検状況についてただしたのに対し、「
日常業務や定期的な
市道パトロールによる
点検報告の実施に加え、全職員に対しても
不良箇所を報告するよう周知している」との答弁がありました。これに対し委員から、
再発防止の徹底に向けて、日常的な点検を心がけるよう要望いたしました。
次に、議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)の
所管部分のうち、観光費にかかわって、
観光振興基金積立金の
活用目的について説明を求めたのに対し、「
世界遺産登録10周年を契機とし、交流人口の増大を図るため、本市の
観光資源を活用しながら戦略的な
振興施策を展開するものである」との答弁がありました。
以上、
委員長報告といたします。
平成26年3月11日、
産業建設委員会委員長、
安達克典。
(11番
安達克典君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、
文教厚生委員会委員長の報告を求めます。
14番、
松下泰子君。
(14番
松下泰子君 登壇)
○14番(
松下泰子君)
文教厚生委員会委員長報告を行います。
本委員会は、去る2月28日の本会議において付託を受けた議案6件について、3月4日及び11日に委員会を開催し、当局の説明を聴取し慎重に審査をいたしました。
その結果、
委員会審査報告書に記載のとおり、1定議案第4号
公立紀南病院組合規約の変更について、同議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)の
所管部分、同議案第6号 平成25年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第3号)、同議案第7号 平成25年度田辺市
後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)、同議案第8号 平成25年度田辺市
介護保険特別会計補正予算(第3号)及び同議案第10号 平成25年度田辺市
診療所事業特別会計補正予算(第3号)の以上6件について、いずれも
全会一致により、原案のとおり可決いたしました。
審査の過程における委員からの質疑の主なものは、次のとおりであります。
議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)の
所管部分のうち、
教育振興費にかかわって、
奨学貸付金の減額理由についてただしたのに対し、「
修学奨学金の新規分が予定数に満たなかったことと、継続分で辞退者が発生したことが主な要因である」との答弁がありました。
さらに、委員から、卒業後は田辺市の発展に寄与してもらうという観点で、
給付型制度の導入を考えられないかただしたのに対し、「奨学金を給付型にする場合、返還が不要となる反面、対象者が絞られることで、本制度を必要とされている方が利用できなくなることも考えられる」との答弁がありました。
以上、
委員長報告といたします。
平成26年3月11日、
文教厚生委員会委員長、
松下泰子。
(14番
松下泰子君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、各
常任委員長の報告が終了いたしました。
これより質疑に入ります。
ただいまの
委員長報告に対し、一括して質疑はありませんか。
(「なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 質疑なしと認めます。
これより討論に入ります。
討論は一括して行います。
討論はありませんか。
(「討論なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 討論なしと認めます。
これより、ただいま議題となっております12件について、順次採決に入ります。
◎日程第2 1定議案第1号
工事請負契約の締結について
○議長(塚 寿雄君) それでは、1定議案第1号
工事請負契約の締結についてお諮りいたします。
議案第1号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第1号は可決いたしました。
◎日程第3 1定議案第2号
工事請負変更契約の締結について
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第2号
工事請負変更契約の締結についてお諮りいたします。
議案第2号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第2号は可決いたしました。
◎日程第4 1定議案第3号
損害賠償の額の決定及び和解について
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第3号
損害賠償の額の決定及び和解についてお諮りいたします。
議案第3号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第3号は可決いたしました。
◎日程第5 1定議案第4号
公立紀南病院組合規約の変更について
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第4号
公立紀南病院組合規約の変更についてお諮りいたします。
議案第4号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第4号は可決いたしました。
◎日程第6 1定議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第5号 平成25年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)についてお諮りいたします。
議案第5号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第5号は可決いたしました。
◎日程第7 1定議案第6号 平成25年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第3号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第6号 平成25年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第3号)についてお諮りいたします。
議案第6号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第6号は可決いたしました。
◎日程第8 1定議案第7号 平成25年度田辺市
後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第7号 平成25年度田辺市
後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)についてお諮りいたします。
議案第7号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第7号は可決いたしました。
◎日程第9 1定議案第8号 平成25年度田辺市
介護保険特別会計補正予算(第3号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第8号 平成25年度田辺市
介護保険特別会計補正予算(第3号)についてお諮りいたします。
議案第8号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第8号は可決いたしました。
◎日程第10 1定議案第9号 平成25年度田辺市
簡易水道事業特別会計補正予算(第4号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第9号 平成25年度田辺市
簡易水道事業特別会計補正予算(第4号)についてお諮りいたします。
議案第9号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第9号は可決いたしました。
◎日程第11 1定議案第10号 平成25年度田辺市
診療所事業特別会計補正予算(第3号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第10号 平成25年度田辺市
診療所事業特別会計補正予算(第3号)についてお諮りいたします。
議案第10号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第10号は可決いたしました。
◎日程第12 1定議案第11号 平成25年度田辺市
駐車場事業特別会計補正予算(第2号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第11号 平成25年度田辺市
駐車場事業特別会計補正予算(第2号)についてお諮りいたします。
議案第11号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第11号は可決いたしました。
◎日程第13 1定議案第12号 平成25年度田辺市
四村川財産区
特別会計補正予算(第1号)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、1定議案第12号 平成25年度田辺市
四村川財産区
特別会計補正予算(第1号)についてお諮りいたします。
議案第12号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、1定議案第12号は可決いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午後1時25分まで休憩いたします。
(午後 1時15分)
──────────────────
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時25分)
◎日程第14
一般質問
○議長(塚 寿雄君) 続いて、日程第14
一般質問を行います。
なお、
一般質問の通告は、2月28日午後2時に締め切り、抽せんにより順位を決定いたしました。結果は通知申し上げているとおりであります。
それでは、
質問順位に従って、
一般質問を許可いたします。
19番、
高垣幸司君の登壇を許可いたします。
(19番
高垣幸司君 登壇)
○19番(
高垣幸司君) 皆さん、こんにちは。もう長い
議員生活、私やっていますが、この
一般質問での
トップバッター、初めて当たりました。そして、この3.11の
東日本大震災からちょうど3年目、その日の登壇にも当たったわけなのですが、ちょうど3年前、この3月議会中だったかと思うのですが、この後、2時46分でしたか、この議場も相当揺れて、長時間にわたって揺れたのですが、私も初めての体験で、相当怖い思いも確かにしました。それから、復興のほう、もう今、
テレビ放映で、この1週間ずっと見続けているのですが、余り復興も進まない。そしてふるさとにも帰れない多くの住民の方に心からお見舞いを申し上げたい、このように思っております。そして、行方不明になられた方も含めて2万8千数百名ですか、その犠牲になられた皆様方にも、心から改めてお見舞いと御冥福をお祈りしたい、このように思います。
きょうの質問ですけれども、その震災のあった年、私、議長に就任させていただいたのですが、その年から約2年間にわたる3件の事案ですが、そのことについて質問したいと思うのですが。あれから私、
一般質問の機会が初めてなので、皆様方に一言御礼申し上げたいと思うのですが、議長にならせていただいて1年目は、台風12号の相当な惨禍がありました。そして、その復興、復旧が終わったころに、補助金問題も浮上しまして、皆様方から、おまえは何十年に一遍の議長の当たり年やなと言われたのですが、ここにおられる皆様方の深い御理解・御協力、そして指導もいただいたおかげで、私、この時を迎えられていると、このように思っております。このように高いところからではございますが、改めてお礼を申し上げたいと思います。時間も余りないので、早目に進ませていただきます。
1点目は、農地災害について。田辺市の基幹産業であります梅産業は今大きな岐路に立っていると言えます。一昨年平成24年産の梅の収穫量は大きく落ち込んで1万5,000トンでした。青梅の価格は干し梅とほぼ連動しますので今回置いておき、ちょうどその年に公正取引委員会で指導されたその干し梅価格について話を進めたいと思います。
その年の市場価格は不作も影響して、A級品で1万1,000円、翌年、昨年のことですが、平成25年産はその反動もあって市場始まって以来の大豊作となって、収穫量も3万2,000トン、倍以上ありました。たるの値段は、A級で5,000円、それも半値以下に下がったのですが、それが今も続いている価格であります。それにこの大豊作もたたって、ことしの干し梅の需要量までもが、実は確保できているという話も流れており、A級品からD級品までの農家の売買価格は、平均手取り3,000円程度と落ち込んでおります。人件費や塩、たる代など経費を乗せれば、一たる6,000円で売れなければ採算が合わないと言われているものが、今の価格では、その経費も出ないという実態であります。このまま、ここ数年、梅の大不作、凶作がない限りは、生産過剰と消費の低迷によって、この地方のブランドの梅産業に大きな打撃を与えるのではないかと危惧しているところであります。
そのような中、梅干し用のビニールハウスを扱わない農閑期に野菜を作付して収入につなげたり、梅農家がミカンやほかの作物に転換を始めたり、また家族や園主までもがアルバイトに出るなど、これまでにない農家の対応も迫られているのが現状です。私の身近にも農地やハウスを手放したいという園主もあります。大きな梅農家やミカン農家ほど経費もかさばって、一部農地を手放し、規模を縮小している、あるいはそのまま放任園にしているところも出てきております。この冬、沿道を通っても、梅畑の木を切って宅地にしたり転作しようとしたりしているのが目につくと思います。
これまで、日本の農業の危機とも言われたオレンジほか農産物の輸入自由化、円高による輸入農産物の台頭、ウルグアイラウンド等、これまでには日本の農業にとって大きな試練もたびたびありましたが、今回はそれ以上の厳しい状況にあるのではと考えております。
私は、今のこのような現状に対する市行政の支援策、あるいはJAの支援策については求めるものが大き過ぎて、あるいはあり過ぎて、そして待ったなしの状況でもある今、現状をどのように把握し、またどのような対策ができるのか、また考えているのか、あれば教えていただこうと思ったのですが、今回は今切実な問題2点に絞らせていただきました。
現在の国による地方対策あるいはその一環であります農業支援のあり方も大きな転換期にあり、約40年間続いてきた米農家のプライドまでも傷つけるような、米づくりをやめたらお金をもらえるという減反政策も廃止の方向となり、また国会においてもそのほかの農政改革法案も提出されている今、大きな地方の農政改革の流れの中にいる田辺市の具体的な支援策について質問したいとこのように思います。
平成23年9月の台風12号による災害、特に農地の災害についてです。災害については、この3月、平成25年度末までの災害から2年余りの期間において完了するということでしたが、現在の農地の復旧状況についてお聞きしたいと思います。
当時の報告では、市内においての災害箇所は農地と施設合わせて1,000件以上あるとのことでありましたし、公共性の高い農道、住宅に影響のある農地から優先的に復旧作業に取り組みたいとのことでしたが、それ以外の農地については手つかずの農地もあるとの話も聞いております。以後、どのくらいの復旧ができているのか。まず現状報告をお願いしたいと思います。
(19番
高垣幸司君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 19番、
高垣幸司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 高垣議員御質問の農地災害と災害支援についてお答えをします。
まず、農地災害の復旧状況についてでありますが、平成23年台風12号の記録的な豪雨により農地や農業用施設等かつてない甚大な被害を受け、農業全体の被害額は約30億円に上りました。この災害により市内で1,200件を超える農地や農道、水路等の農業用施設、モノラック、スプリンクラー等の農業用設備が被害を受けました。このうち、農地51件、農道、水路などの農業用施設82件の合わせて133件につきましては、国の災害復旧事業の適用を受けました。また、それ以外に被害にあった農地約500件、農業用設備約600件の合わせて約1,100件につきましては、早期に営農が再開できるよう市の単独補助制度を創設し、その復旧に努めてきたところであります。
議員御質問の農地の復旧状況につきましては、国の災害復旧事業の適用を受けた51件のうち、農家からの申し入れにより取り下げとなった2件を除き、平成24年度末までに全ての箇所の工事が完了しております。また、市単独補助制度による復旧につきましては、本年度末で全箇所が完了する予定であります。以上です。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
高垣幸司君。
(19番
高垣幸司君 登壇)
○19番(
高垣幸司君) そこで、再質問させていただきます。
数十年に一度という表現も使い古され、熱帯地域のスコールのような集中豪雨が常態化する近年の豪雨であります。私たちのこの地域は平成21年7月の七夕豪雨、そして2年後のあの9月の台風12号豪雨と続き、この地域の農地もダブルパンチを受け、2年と数カ月が経過しました。今御報告がありましたように、当局も対策委員会を先頭に懸命の復旧、復興に取り組んでいただきました。おかげで大半の農地も落ちつきを見せております。しかしながら、地域内の被災地でも、この写真のように集計上に載っていなくて、自力復旧できていない農地がいまだ多く残っていることも事実であります。
私は平成21年の七夕豪雨の後、農村地域出身の議員として、災害復旧にかかわりあったものの、そのとき大きな壁に突き当たりました。それは傾斜角が20度を超える農地は経済効果が小さな農地だとして国の災害復旧事業の適用外となっていること。しかもその施行令は昭和25年からそのまま変わっていないことに気づきました。その後、同年12月議会に皆様方の全ての賛同を得て意見書を出させていただきました。というのは、この地域で災害に遭った農地というのは、ほとんどが20度以上の傾斜角の畑であるのです。
それから2年後の平成23年、あの台風12号の豪雨による大災害に見舞われたわけですが、そのすぐ後、全国一律の採択基準、この20度以下ということではなく、被災地の実情や地域の特性に応じた対応策を講じてほしいとの要望を、当時、ちょうど私は議長をさせていただいていました。そして真砂市長と、当時の中家JA紀南組合長、白浜町出身の玉置代議士らとともに首相官邸で野田首相に直接要望することができました。ありがたいことに、そのすぐ後、年末にはその要望を聞き入れていただき、閣議決定をされました。それは和歌山県のみへ適用された法改正でした。
私たちの地域の農業は傾斜の緩い自然や牧草地、お茶等の農地も少なく、排水のよい傾斜地の高品質のミカンや梅の栽培等が主力であることが認められ、急傾斜地であっても国の災害支援をすべきと認められたのです。その未曾有の台風12号の災害について、先ほどの答弁にあったとおりで、平成21年の七夕災害をはるかに超える大災害でありましたが、時あたかも今回のこの20度以上の傾斜を超える農地も災害農地として認めるという国の英断のおかげをもって、多くの県下の農家が救われたと言えます。
しかしながら、先ほども報告があった以外に、復旧できていない農地もたくさんあるのが現状で、今の厳しい農業環境の中では、大きな個人負担では荒れた農地を復旧する体力もない、その気力もうせてしまっている、後継者もこのままでは呼ぶこともできない、また将来も見えない状況では借金までして農地をやり直すという気力も湧かないといった状況にあります。農地の復旧事業のための受益面積のとり方にしても、畑の境界が崩落地に接近していた場合、補助金がどうしても少なくなってしまうという制度の問題点、また災害補助金を受けられても、どうしても残りの個人負担分をやりくりできない農家もふえているのが現状かと思います。
つい先日、地元上秋津、そして秋津川の土木委員さんにお願いして、現在復旧できていない農地を見せてもらったのですが、樹園地の中のほうにある崩落地が特にそのままの状況にあり、これらは委員さんから補助金は無理だと説明を受けたところもあるし、みずから諦めたりしているものもあります。少し案内してもらっただけで、10カ所近くありました。このような中で、この個人負担を少しでも軽減できるように、国が20度支援を和歌山県のみに適用したことも考え合わせ、市独自の支援策を講じていただきたいと考えるのです。
いつも白浜便で上空から眺めてもわかるとおり、平地の少ない当地域で紀伊山地の山麓にへばりつくようにして、私たちの先人は梅畑・ミカン畑をこつこつと耕し、長年かかって果樹王国をつくり上げてきました。これらの大きな田辺市の地場産品のかなめで大きな市の財産でもある樹園地を、今のこのようないっときの経済状況の中でじわじわと衰退していく姿を見過ごしていくわけにはいかないのです。それは、この地方の大きな損失であり、将来に禍根を残すことにもつながりかねないことでもあるし、農業を担っている一人の後継者としても、これらの畑や山林を次世代に残していくという大きな責任もあります。幸いに私自身、このような仕事をしている中で、荒れていく畑を見るに堪えて引き継いでくれる長男がいますが、今、多くの農家はこのままでは、子供たちに田辺に帰って農業を引き継いでくれとはとても言えないと嘆いています。先日も友人が来て、親戚の農業で頑張っている子がいろいろ将来を悲観してめいってしまって入院したよと嘆いていました。
そんな折、この1月に広域市町村圏組合での視察研修で、野村證券の子会社になるのですが、アグリビジネス、農業関連事業に特化した系列会社での研修機会がありました。その中での話でありますが、これからの農業ビジネスには6次産業化、御存じかと思いますが、1次産業、2次産業、3次産業、足して6になると。今は1掛ける2掛ける3が正しい、もっと有機的に考えろということになっていますが、要するに農商工連携、それにサービスが加わった産業なのですが、それがそのほかの産業、環境あるいはエネルギー、水、それらの産業との融合によって、数百兆円のビジネスチャンスが期待されるという講演を聞きました。私はそれこそ目からうろこの心境でした。すばらしい話ではありませんか、あの世界の野村が農業ビジネスの大きな可能性を見越して4年前から研究機関を立ち上げているのですから。朝の来ない夜はないとも言います。また、国会でも取り上げられているように、疲弊している農地を活性化させるために、また国土を守っていくためにも、農業政策にあえて力を注ぐことは、TPP問題を含め、これからの日本の期待される、またそうすべき大きな国策でもあるのです。そのような今こそ、地方はそれぞれに見合った独自の農業政策をとるべきではないかと考えます。
先日の大雪でのハウスの倒壊被害は1万4,500棟あったのですが、国はその個人財産にも救済支援をするという報道がありました。台風12号災害のすぐ後に田辺市は緊急対策として災害復旧事業補助金制度、上限が40万円でしたが、その支援を決定しましたが、そのようなすばらしい独自の支援策をもう少し深く考え、制度化してもよいのではと思うのです。災害は数年に一度やってきます。毎年必要とする資金ではありません。今手をつけられず、諦めている農業者といつか起こり得る災害のためにも英断をすべきときだと考えます。市の考え方をお聞きいたします。
(19番
高垣幸司君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 再質問に対する当局の答弁を求めます。市長。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 再質問にお答えいたします。
市独自の農地災害復旧支援を推し進めるべきではないかということでありますが、市では台風や豪雨、地震などの自然災害により農地が被災した場合、国庫補助事業である農地災害復旧事業を活用し、対策を講じているところであります。しかしながら、この事業の主な採択基準は1カ所の工事費が40万円以上となっており、そのほかは補助対象外となります。また、事業費の全てが補助対象になるわけではなく、被災箇所ごとに国が定めた計算方式で受益面積を算出し、その面積に応じ、国庫補助限度額が決定されることから、工事費が限度額を超える部分については受益者負担となります。
議員のお話にもありましたが、平成23年末には関係各方面の御尽力により政令が改正され、今まで受益面積算定の対象外であった傾斜角が20度を超える農地であっても、当地域においては主要産物である梅・ミカンに限り、国の災害復旧事業の対象面積として認められ、傾斜畑を所有されている農家にとっては大変有利となりましたが、地形によっては個人負担が大きくなる被災農地も少なからず存在します。そのため、市域全体に甚大な被害をもたらした平成23年台風12号災害では、先ほども申し上げましたが、国の災害復旧事業が適用されないものについては、特別措置として市単独の補助制度を設け、約1,100件の農地、農業用施設の復旧に努めてきたところであります。さらには、国の災害復旧事業に係る受益者負担金の軽減を図るため、分担金徴収規則を改正して、被災農家の負担軽減対策を講じてきたところであります。
今後におきましても、引き続き、受益者負担率の軽減措置を行うとともに、議員御質問の趣旨を十分踏まえて、市独自の支援策について検討してまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
高垣幸司君。
(19番
高垣幸司君 登壇)
○19番(
高垣幸司君) 今、市長のほうから市独自の支援策を導入するとのすばらしい答弁をいただいたと思っております。どうかよろしくお願いします。
次に、農地に対する対策としての2点目の質問です。
先ほどからお話しさせていただいているように、今、田辺市でも農産物物価の低迷、後継者問題、鳥獣害、異常気象などの要因による耕作放棄地がどんどん広がっています。あと10年たったらどうなることか、10年前にもこのような話をした記憶がありますが、まさに想像した以上に耕作放棄地がふえ続けています。我が地元上秋津地区においても、特に左向谷地区に耕作放棄地が広がっています。今後予想するにも、あの家も、あの夫婦ができなくなれば、あと耕作する者もない。あそこもそうだと考えるほどに将来の深刻さを感じるところです。
そのような中で、今、日当たりのよい、日照時間が確保できる農地にソーラー施設を設置するという動きがあります。事業者に貸したり、みずから立ち上げる場合もありますが、それによって収入の一部にするのです。現に田辺市農業委員会では、ソーラー施設用として現在8戸の農地転用申請が出て許可されております。私のところにも幾つかの事業所、メーカーからも、適当な日当たりのよい日照時間の長い農地はないかと問い合わせがあります。
農家の今の厳しい現状を感じながら、私は、それぞれの農家の条件にもよりますが、後継者のない農家、規模を縮小していきたい農家、梅・ミカンだけに限らず、野菜やハウスなど複合経営の一つの形としてのソーラーへの転用、この再生エネルギーについては、この12月議会にも賛成意見、反対、相当入り乱れて、よかったのかと思いますが、私は、将来はこの自然エネルギーというのは人類に課せられた課題だと思いますし、それにいくまで、すぐに、即原発ゼロという意見ではございません。そのような意味で、この間の意見書には賛成をさせていただきました。
御存じのとおり、私のところも1月の電気料金というのは倍以上にもなりましたし、皆さんもその記憶はあると思うのですが、ガソリン代の値上げとか、そのようなことが企業だとか、あるいは事業所に今大きな負担となっておりますし、日本の貿易収支におきましても赤字が進んでいるというようなことを考え合わせても、今すぐに原発ゼロということにはならないということをもう一度確認しておきたいと思います。
戻りますが、そのまま耕作放棄地として、またイノシシや鹿の隠れ家として隣接農家に迷惑となることを思えば、今の再生可能な国のエネルギー政策にも合致することでもあり、全国で日照時間の一番長い地域と言われているこの田辺市付近として、放任園をソーラー施設として利用することは市としても推し進めていくべきではないかと考えるのですが、市の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
(19番
高垣幸司君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
産業部長、室井利之君。
(
産業部長 室井利之君 登壇)
○
産業部長(室井利之君) 議員御質問の2点目、農地の有効利用について、農地への太陽光発電施設の設置についてお答えします。
農地の耕作放棄地につきましては、全国で39万ヘクタール、全農地の11%であり、田辺市では2010年農林業センサスでは242ヘクタール、全農地の8%となっておりまして、過疎化や農家の高齢化、後継者不足、鳥獣害等の理由で増加しております。今後におきましても、50歳以下の就農者の極端な現象や経営の柱である梅・かんきつの価格不安定など、農地の継承には大変厳しい状況が続くものと考えております。
このため、市と農業委員会では農協とも連携し、農地所有者に対して農地の貸し借りや売買のあっせん活動等により耕作の継続や農地の保全を働きかけています。また、中山間地域等直接支払制度の活用による農地保全対策や平成24年度からの青年就農給付金等の国の施策を活用し、一人でも多くの農業の担い手を確保するべく積極的に取り組んでいるところであります。また、農家以外の農地の多様な受け手としてアイターン者や社会福祉法人、NPO法人や一般企業などの受け入れにも努めているところです。さらには、来年度から新しい施策として始まる日本型直接支払制度や農地中間管理機構などの施策も活用し、優良農地の確保と継承を進めてまいりたいと考えております。
そうした中で、現在田辺市におきましても、昨年から農地への太陽光発電施設の設置が見られます。現在、農地転用許可を受けた件数は、この1年間で8件、また計画中も数件ございます。これまでのところ、転用地は休耕地が多く、ほかは農家の事情で耕作を断念する農地がございます。農家としましても、農地として管理ができず放棄地となるよりは、太陽光発電施設への転用は隣接や周辺農地の営農への影響も少なく、また農家収入を少しでも確保したいという期待もあり、申請がふえる傾向にあります。
国につきましては、先月公表された政府のエネルギー基本計画原案におきまして、太陽光を初め再生可能エネルギーについては、現時点では安定供給面、コスト面でさまざまな課題が存在するが、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できるためにエネルギー安全保障に寄与できる有望かつ多様な国産エネルギー源であるとし、2013年から3年程度導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくとしております。
市としましても、太陽光発電施設については、自然エネルギーの活用、温室効果ガス総排出量の削減と環境負荷の低減のため、市の公共施設において太陽光発電設備の導入に努めております。
御質問の農地への太陽光発電施設設置につきましては、農業と農家を取り巻く厳しい情勢に鑑み、休耕地や放棄地、今後、耕作の継続が困難な農地を主体に日照等の立地条件により、土地の有効活用の一つと認識しておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(
産業部長 室井利之君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
高垣幸司君。
(19番
高垣幸司君 登壇)
○19番(
高垣幸司君) ありがとうございました。
そこで、再質問になるわけですが、また調べていくうちに大きな問題点に突き当たります。農地転用をかけ、当然その農地は雑種地に地目が変わりますが、そうなると、固定資産税が宅地並みに上がることとなります。ソーラー施設にふさわしい農地は限られてきます。北向きや谷合いの農地は日照の関係で不向きであり、奥地になれば送電の関係は不可能です。となれば、電線が近くにある、ある程度人里に近い農地となり、そうなれば路線価格も上がることとなり、固定資産税が高くなるところに限られてきます。
旧牟婁町あたりで調べてみても、私の付近でしたが、1,000平米当たり10万円から16万円、このような評価でございました。低い評価だった農地としての評価から何百倍の固定資産税の評価となり、地代としての収入と余り変わらないことにもつながります。よくよく聞いてみると、農家では、農転後のこの宅地並み課税については知らない人もあり、つい先日もそのことを伝えると申請を取り下げる人も出ました。
企業誘致において、最近では全国の市町村が減免策を取り入れているように、田辺市でもこの企業誘致を推進するためにも固定資産税相当分を補助金として支援する。要するに結果的に固定資産税を減免するということにつながる制度を数年前から取り入れております。ありがたいことと思っております。
農地においても、先ほどから述べさせていただいている農家のあるいは農地の救済のためにも、またエネルギー政策の一環としても、ある程度の固定資産税の減免を考えてもいいのではないかと考えるのですが、市の考え方をお聞きしたいと思います。
(19番
高垣幸司君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
総務部長 中瀬政男君。
(
総務部長 中瀬政男君 登壇)
○
総務部長(中瀬政男君) 再質問いただきました農地のソーラー発電施設への転用についてお答えいたします。
固定資産税は固定資産の使用形態のいかんにかかわらず、固定資産の価値に着目し、それを保有することに担税力を見出し、その価値に応じて税の負担を求めるものとされております。また、固定資産税の評価については、国の評価基準において、課税地目の認定と評価方法が示されており、ソーラーパネル用地についても、この評価基準により価格が決定されます。一般的に農地法に基づく転用許可を受けた農地は、外見上農地としての形態をとどめていても、実質的には宅地や雑種地としての潜在的価値を有しており、宅地や雑種地の価格に準じた水準になると考えられますので、宅地介在農地として宅地の価格から比較して評価を行うこととされています。
具体的な評価方法としては、転用許可を受けた農地が宅地であるとした場合の価格から、転用する場合に通常必要とされる造成費を控除して評価額を求めることとなります。本市においても、田辺市固定資産評価事務取扱要領に基づき、1平方メートル当たり価格の5割を限度として造成費に相当する額を控除し、評価額を算出しているところであります。
議員御指摘のように、休耕地の有効活用や自然エネルギーの推進という視点は理解できますが、そのために行政支援がどこまで必要なのか、そして支援するとした場合に、その手法として固定資産税の減免や軽減が適当なのか、あるいは事業推進の補助施策が適当なのか、また他の方法がないのかといったことを総合的に考えなければならないと思います。今後とも、国の動向や各市の取り組み等も参考にしながら研究を深めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
総務部長 中瀬政男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
高垣幸司君。
(19番
高垣幸司君 登壇)
○19番(
高垣幸司君) この質問の聞き取りの際ですが、この件だけを減免にすれば、ほかの要望も聞き入れなければならないのだという意見もありました。私は、もう、その全てを一律にしなければ何もできないという考え方そのものを考え直していく時期が来ているのではないかと、こういう質問であります。そのための方法論として、補助金として別に支給するなども考えられると思います。
先ほどから長々と説明したように、国が和歌山県のみに20度以上を認めたように、柔軟に考えていただきたい、これを願うところであります。今、今後その方法論を研究するとの前向きな答弁をいただきました。研究に時間がかからないようにお願いしたいと思います。
また、別のお願いになりますが、先ほどの8件の転用が認められている中にも、宅地並み課税が課せられるということを知らないという方もおられると思います。転用の際の今後の指導のほうもどうかよろしくお願いしたいと思います。
次に、3点目、いじめについてです。
この質問の発言通告書を提出したときに考えました。大項目にいじめをなくすためにと思わず書いてしまいましたが、これはいじめについてと訂正すべきではないかと自問自答したわけなのですが。というのも、今のいじめ問題の深刻さ、根の深さを考えるとき、この問題をなくすなんておこがましく、それこそ至難のわざでもあるし、今の子供たちを取り巻く環境、携帯のラインなどの普及、経済不況、将来への不安、経済格差問題等社会環境や教育環境を考えるほどに、この問題の深刻さや複雑さが、入れば入っていくほどに痛感するからであります。しかしながら、私の希望的観測として、将来ある若者、そして悲しい思いをする若者が少しでもなくなってほしいという願いをも込めて、あえてこの項目を変えずに提出いたしました。
私は、このたびの市内中学校生徒の自殺未遂問題が起こってから約1年後の前議会、12月議会にもこの問題を取り上げようかとも考えました。しかしながら、この事案について、第三者調査委員会もそのとき既にできており、その調査報告がこの1月にあるとのことで、それ以後にしようと思い直し、今議会に至りました。
当時の私の所属する文教厚生委員会においても、
教育次長も、今は第三者調査委員会に委ねているから見解は避けるとのことで、かたくなに発言を控えてくれておりましたが、私はこの未遂事件の問題についてはそのとおりでありますが、いじめに対する本来の教育委員会の取り組み、施策については継続しつつあり、今またこの時点でもほかのいじめは静かに続いているのであり、いわば永遠に託された課題でもあり、事案から離して別に論議できるのではないかとも思ったのですが、その意見を尊重して今に至りました。ということを報告しておきます。そのような経過で今日に至っております。
さて、本題に戻りますが、この調査報告書を読ませていただきましたが、その中の委員会が認定した各いじめ行為が直接かつ単独で自殺未遂の原因にならないとありました。しかしながら一方では、昨年できたいじめ防止対策推進法に規定されたように、男子中学生が精神的に苦痛を覚える言動、すなわちいじめに該当するものも含まれている。生徒は次第に孤立感・疎外感を強めたともありました。両極の意見だと思いますが、そのような中、先月、既に和歌山市で教育関係者、PTA、校長会、警察など19組織代表らが寄り合い、いじめ問題を共有しようという会議が持たれ、その中でも取り上げられた問題点、すなわち学校がいじめを認知することで、学校や教職員が評判を落とすと言われているとの案件が問われました。
また、昨年8月、知事による県政報告会が紀南文化会館で開かれ、私も聞きにいったのですが、その中でも県教委のいじめ問題に触れ、和歌山県だけではないこととして、今、全国的に、この問題を究明していくうちに、最初はいじめではないとして公表し、最終的にはいじめが原因であったという調査報告に変わる傾向があるとの知事による直接の報告も聞きました。大津市の問題もそうでした。今回の田辺市の事案で聞いた話でも、最初、少年がその行動に踏み切った寸前、部活の遠征のことなどで家族とけんかをしたことが直接の原因であるとのうわさ話が聞こえてきましたが、そのことは今回の調査では覆していましたが、総じて調査を進めていくうちに、やはりいじめが原因だったとなる傾向にあるのは確かだと思います。
私は、今回の報告についてもいじめが原因かどうかすっきりしない、どちらにも取れる報告書であったと受けとめざるを得ませんでした。それはそれとして、教育委員会として、市内学校において、先ほど述べた学校や教職員がいじめを認知することで、学校や教職員が評判を落とすということから、いじめを認知できにくい傾向にあるのかどうかについて、もちろんあってはならないことなのですが、そのような子供のいわば権利がないがしろになっていないのかどうか、これはいじめの根本としての問題かと思うのですが、どのように考えるのかをお教え願いたいと思います。また、今回の報告書に対しても何か見解があれば聞かせてください。
(19番
高垣幸司君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の1点目、田辺市の学校がいじめを認知しない傾向にあるのか、教育委員会としてはどのようにとらえているかについてお答えをします。
教育委員会といたしましては、いじめはどの学校、どの学級、どの児童生徒にも起こり得る問題であると考えており、いじめに関する問題が発生しても、その学校の評価に影響するものとは考えてございません。むしろ、いじめをいじめとして認知し、適切な対応で解決を図り、その問題に関係した児童生徒はもとより、全ての児童生徒が楽しく安全に学べる学校になるよう、全職員一丸となって取り組むことこそ、学校としての真価が問われるものである、このように認識してございます。各学校におきましても、そのような認識のもと、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に取り組んでございます。したがいまして、いじめをいじめと認知しない傾向は、田辺市の小・中学校にはない、このように考えております。
また、各学校でいじめを認知すれば、学校から教育委員会に報告があります。本年度、現在のところ、小学校で2件、中学校で8件の報告がございました。これらの中には、学校のきめ細かな取り組みにより、早期発見につながったものもございました。もちろん、これら10件のみが全ての実態であるという認識はしてございません。つらい思いをしながら、友達や親にも言えずに苦しんでいる児童生徒がいるかもしれないという認識のもと、今後とも各学校において深い生徒理解に基づいた取り組みを進めてまいりたい、このように考えてございます。
次に、御質問2点目の第三者調査委員会の報告に対しましては、教育委員会といたしまして、真摯に受けとめ、提言内容一つ一つを精査し、改善策を検討しながら取り組んでいるところであります。これら一つ一つを教訓として今後の学校教育に生かしてまいりたい、このように考えてございます。
将来ある若者に悲しい思いをする者が少しでもなくなってほしいという議員の願いは私も全く同感であります。そして、この願いは全ての教職員、御家族、地域の方々の願いでもある、このように思ってございます。これからの日本を支える将来ある子供たちがお互いを認め合い、自分の目標に向かって精いっぱい生きていくことができる環境をつくることが私たちの務めであると、このように思っております。
子供たちに、人間関係をつくる力をどうつけていくか、そのことが学力や体力、豊かな心を育てることと同様にいじめ問題ともかかわり、現在、学校、家庭、地域に求められている大きな課題であります。先ほど申し上げました、悲しい思いをする者が少しでもなくなってほしいという思いを持ち、この課題に対して、今後とも家庭、地域と連携しながら取り組みを進めてまいりたいと思いますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
高垣幸司君。
(19番
高垣幸司君 登壇)
○19番(
高垣幸司君) 私はこの生徒の母親を紹介され、家族の思い、あるいはうわさとして聞く話との食い違いを知らされ、またその経過を最初のころから相談を受けている関係者とも話す機会がありました。また別に、その少し前に、同じ中学校の2学年上のいじめを受けていた全く別の生徒が書いた11枚の手記を預かり、読ませてもらっていました。今持っておりますが、その後、県議会でも取り上げられていたので、読んでおられる議員もおられると思いますし、教育委員会の一部の方もその後読んでいるとの話も聞いております。また、当時の産経新聞にも記事になりました。
11枚の手記には、いじめをしている当事者たちや顧問の先生の態度や言葉、保護者会でのやりとり等、本当に生々しく具体的に丁寧に記述されており、彼女の余りにも悲しい思い、腹立たしさ、歯がゆさも伝わってきます。耐えられなくなって、線路に入り、うずくまって、ふと両親の顔が浮かんで線路を飛び出し救われたことも。そして、その後、いじめた子供たちとも仲直りができて復帰でき、今は元気に高校に通っているとの話も聞いており、安心もしております。
この手記は、学校がほかにいじめはないかどうかという問いかけに、まだこんないじめがありますと女生徒がそれに答えて書いたものです。
また別にもう1件、同じ市内の大規模中学校の男子生徒もさまざまないじめを受けているとのことで何度か相談を受け、その家庭にも呼ばれました。そうこうしているうちにその生徒は耐えられなくなって別の中学校に転校しました。これは、聞き取りの際にこの話も聞いたのですが、学校もそれを認めて、いじめた者への謝罪をさせたという話も聞いております。
私が知っている範囲で、ここ3年の間にも、このようないじめを受けている事実が表面化しましたが、一方、そのようないじめが何も知られないままに葬られていっている事実も多いのです。先ほどから述べた三つの例は表に出ている事案ばかりでした。先般の神島高校の飛びおり自殺の原因もわからないままにいます。しかしながら、現在もいじめを受けながら、誰にも話すことができない多くの子供たちが悲しい思いをしながらも、今もひそかに進行中のものもあるのは確かであります。ほとんどのいじめを受けている子供たちはそのことは最初は誰にも知られたくないし、親が心配で聞いても、親には何もないと答えます。友人にもそれは言えないのです。そして、人知れず、最後に悲しい選択をしてしまうのは余りにも悲しいことであります。
私も中学校2年のころでしたか、シカトを経験したことがあります。このあたりでは余り使いませんが、シカトというのは無視することで、花札の絵の中で鹿が横向いて、こうやってあたかも知らないふりをしているということからきたらしいのですが、当時私は、今でこそこういうふうに落ちついておりますが、余りにもやんちゃで、人並み以上に何にでも飛びつき、やり過ぎ、最後には同級生からも無視されたような気がしてつらい思いをした、このような気持ちが今でも残っております。その思いは当時はやはり誰にも言えませんでした。
昨年の知事の報告にも、早期発見と未然防止は、今、教育長からもお話ありましたが、必ず実行しなければならないとありました。先月この調査報告を受けた田辺市長も早々と教育委員会に対し、いじめ防止条例の制定ほか7件のいじめ防止対策を徹底する要請をしております。
先ほども述べさせていただきましたが、今の複雑な厳しい社会情勢の中での原因はいろいろと考えられると思います。年々、陰に潜み、かなりの数で増加しているいじめの事実も明らかになりつつあり、いっときも早く陰で泣いている一人でも多くの子供たちを救ってあげなければなりません。法や規律は弱い者のためにあるとも言えます。強い者は何もなくても自立はしていけます。教育委員会には、いっときも早い、また形式ではなく、実態を見据えた対応策を心から望むところであります。これは要望ですが、もしございましたらですけれど、よろしくお願いしたいと思います。
(19番
高垣幸司君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育長。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) ただいまの要望でありますが、正直、私がですね、今初めて聞いたこともあるということで、教育委員会へきちんと上がってきてですね、そして教育委員会がそれを判断、精査をさせていただいて対応した以外のことも今お話をいただいたわけであります。
いずれにいたしましても、子供たちを取り巻く環境というのは非常に厳しいものがございます。そして、そういう中で、この非常につらい思いをしながら、友達にも言えない、親にも言えない、教師にも言えない、そういう本当に苦しい状況の中で、苦しみもがく児童生徒がいる。そういうことを今お聞かせをいただいたわけでありますが、本当にそういうことは申しわけない、あってはならないことであると、このように痛切に反省をしているところであります。
ですから、私たちはそういうもがき苦しむ生徒が一人もいない、そういう学校や田辺市をつくっていきたい、このように思います。ですから、児童生徒の本当に心の奥までしっかりと見詰めて、そして明るく元気に、楽しい、学校が一番安全で楽しいところなのだ、そういうことが言えるような学校づくりにしたいなと、そのためにはいじめの未然防止、早期発見、早期対応、この取り組みを徹底して進めてまいりたい、このように思ってございますので、どうぞ御理解をいただきますようよろしくお願いしたいと思います。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
高垣幸司君。
(19番
高垣幸司君 登壇)
○19番(
高垣幸司君) 要望に対して、すばらしいお答えをいただいたと思います。また市長のほうからもありましたように、6月までにこの条例制定、つくるということも聞いておりますし、よろしくお願いしたいと思います。
最後にですが、特色あるまちづくり、個性あるまちづくり、最近よく使われますが、農産物においても付加価値のついた差別化商品が望まれ、生産者の名札が商品につくことで信頼感が生まれ、それにより市場評価も高まります。教育委員会のあり方についても全国一律ではなく、地方では地方に見合った、地方の特色を生かした教育志向が必要ではないかと、私これまでも何度か、二度ほど質問もしてまいりました。また、今攻めの行政が必要とも言われ、ふるさとに誇りを持てることが地域再生の原点であるとも昔から言います。
私も、ふるさとが好きであろうとして、懸命に上秋津方式を応援しております。生き生きとした誇りを持てる地域づくりができるためにも、積極的に田辺らしさ、田辺方式をつくり上げていくことを心からお願いをして
一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(19番
高垣幸司君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、19番、
高垣幸司君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午後2時30分まで休憩いたします。
(午後 2時18分)
──────────────────
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時32分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、8番、二葉昌彦君の登壇を許可いたします。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) 8番、二葉昌彦、
一般質問させていただきます。
月日がたつのは本当に早いもので、議員になり、はやもう1年がたとうとしております。この間、多くの人との出会いとよき経験をさせていただいておりますことに感謝する次第です。今回は2項目質問させていただきます。
まず、第1項目、田辺市の交通の中心に当たる中辺路地域の重要性について。2項目、集落地域の再生と、旧二川小学校校舎の有効利用について、以上質問させていただきます。
県下で一番広い田辺市です。活動する中、市域が広大であることを痛感しているところです。ここ数年の異常気象の影響を見ましても、予想がつかない想定外のことが年々起こってきております。この2月14日の雪の影響にしても、田辺市の海岸線では雨で済みましたが、山間部では雪景色となり、交通面でも支障を来したところであります。気候一つにしても、海岸線、山間部と広い地域下にはこれだけの差があります。また中山間地域では人口の減少、高齢化がスピードを増して進行しているように感じます。地域では小学校が廃校になり、学校の行事等で地域住民の顔を合わせることもなくなり、地域に活気がなくなったり、将来への希望が薄れ、集落が維持できるかどうかの不安が広がったりしています。また、集落単独では祭りなど住民が協力して行ってきた行事や活動を続けることが難しい、若い世代や女性が積極的に集落活動や会合に参加しない。地元を元気にしたいと思っているが、なかなか具体的な活動策が出てこないというような問題が起きております。
これから、中山間地域は人口の減少、高齢化がさらに進み、厳しい将来が予想されると思います。田辺市の人口統計を見ましても、特に集落ではここ10年後、猛スピードで、今以上に過疎、高齢化が進み、そこに住み続けることさえ難しい、必要な活動の低下、季節行事の開催や文化の伝承など、集落地域の低下が予想されると思います。また農林業の停滞に伴う後継者不足、耕作放棄地や適切に管理されない山村の増大、有害鳥獣による農産物への被害、景観の悪化等がますます進みます。水源の涵養、食料の供給など日本の豊かさを支えてきた中山間地域ですが、地域の担い手もますます少なくなり、中山間地域の存続自体が危ぶまれるように思われます。
このような中で、中辺路地域については、市街地はもとより、龍神地域や本宮地域からもアクセスがよく、仮谷知事の在職当時から交通の中間点と言われ、8の字ルートの中心であると言われてまいりました。また、広大な田辺市であり、旧田辺市、中山間地域の龍神村、本宮町のど真ん中としての位置づけの中で、重要課題でもある防災のことを考えましても、広大な地域の中に少しでも早く、素早い対応ができるように防災の拠点としての考えや世界遺産の地として、中辺路町は1996年、平成8年には歴史の道百選にも選定され、2000年11月には文化財保護法に基づく史跡・熊野参詣道に指定されております。
中辺路町の現状を変更するときや、また、保存の影響を及ぼす行為には文化庁長官の許可が必要となるなど、世界遺産地域を生かした中辺路地域の活性化等、私は今後田辺市を考える中で、中辺路町という地域が非常に大事な重要な地区であると考えますが、行政としてどういうふうにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 8番、二葉昌彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問の田辺市の交通の中心に当たる中辺路地域の重要性についてにお答えいたします。
平成17年5月に市町村合併により誕生した田辺市は、面積が約1,026平方キロメートルと和歌山県はもとより、近畿地方で最も広大な市域を有しており、この中で中辺路地域につきましては、市域のほぼ中央に位置し、国道311号を介して田辺市街地へは車で約45分程度、本宮地域へは約40分程度、また龍神地域へも県道龍神中辺路線を介して約25分程度で移動することができるなど、本市の往来に際する交通の中心地としての地理的特性があります。
本市といたしましては、こうした地理的な利点を生かす中で、平成22年4月からは地域包括支援センターの出先機関であるサブセンターを中辺路行政局内に設置しており、中辺路地域を初め、他の行政管内も管轄エリアとする中で、中山間地域に居住する高齢者等に対して各種事業を実施するとともに、市が事務局を担っている各種団体等の全市的な会議の開催に際しましても、本庁管内以外では主に中辺路地域の各施設を会場として使用しているところでございます。
また、議員も御承知のとおり、本年7月には
世界遺産登録10周年を迎えますが、中辺路地域につきましては、世界遺産熊野古道中辺路ルートの実質的な入り口に位置する中で、滝尻地区の熊野古道館を中心に、今後さまざまな情報発信等を行う拠点の一つとして大きな役割を担うものと考えております。
このように中辺路地域につきましては、市内各地域への交通アクセスに恵まれており、また多くの地域資源を有する重要な地域であると認識しておりますが、広大な市域を持つ本市では地域ごとにさまざまな特性を有している中で、中辺路地域のみならず、ほかの地域においてもそれぞれの特性を十分に生かしながら、市全体として調和のとれたまちづくりを引き続き進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 二葉昌彦君。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) ありがとうございます。これだけ広大な田辺市であります。平成26年度予算大綱にも書かれていたように、紀南の中核都市としての主導的な役割を担うということが書かれておりましたが、この広大な中山間地域の活性化なくして、主導的な役割を果たしていけるかどうか疑問を感じます。市全体としての調和のとれたまちづくりは当然のことであります。その中で、いろいろな面でスピード感を持ち、対応できるようにお願いしたいと思います。
それから、
世界遺産登録10周年の年で、これからいろいろな企画がたくさん行われると思います。また、滝尻地区の熊野古道館は情報発信の場になり、これから盛り上がりも出てくると思いますが、市民の声を聞くと、取り組みが遅い、世界遺産を生かして市としてどういうふうな取り組みをしていくのか見えてこないという厳しい意見も聞かれます。地域住民が世界遺産の地を意識し、この地を訪れる方々をお迎えする姿勢も大事になってくると思います。そのためにも、何をするのか、地域の方々にまずお知らせする必要があると思います。その中で、田辺市全体として
世界遺産登録10周年をお祝いし、それを生かした活用が大事だと思いますので、10周年に向けての情報の発信をお願いしたいと思います。
引き続いて、集落地域の再生と二川小学校校舎の有効利用について質問させていただきます。
ことしも子供たちが夢と希望を胸に学校を巣立っていく季節となりました。田辺市立小学校の中で一番多い児童数を数える会津小学校も、男子39名、女子43名、計82名の卒業生が巣立っていきます。多くの卒業生が巣立っていくと思われますが、会津小学校の一番多い児童数のときに比べると半数近くになり、随分と少なくなりました。人口減少社会に突入し、まず身近に感じさせられるのが子供の児童数の減少だと思います。全国的に少子化になり児童・生徒数の減少、市町村合併などにより多くの廃校が発生し、その有効利用が求められています。しかしながら、廃校になってから活用が進まず、遊休施設のままになり存在しているのが現状であります。各地域で活用が検討されているが、地域から要望もなく、活用が進まない現状にあることを聞きます。
田辺市でも人口減少、少子化の影響で、統合・廃校の問題が起きています。去年、栗栖川小学校と二川小学校の統合により新しく中辺路小学校が児童数86名でスタートしております。こうした中で、二川小学校は120年の歴史と小学校卒業生4,505名を送り出し、歴史と伝統のある学校であり、また世界遺産熊野古道沿いにあり、天空の里と言われている高原の真下にあります。自然豊かな里山の学校でありますが、時代の流れの中、平成24年3月に幕を閉じ、廃校になりました。運動場には芝生が敷き詰められて、初めて目にしたとき、何とすばらしい学校だと感動し、子供たちにとってはいい思い出ができたこと、保護者の熱心さに頭が下がる思いでした。
学校は地域の宝物。これからの時代、このような大きな建物がそう簡単にできるのは難しいことと考えます。廃校になり1年がたとうとしていますが、二川小学校廃校後の活用の取り組みについてお伺いしたいと思います。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
中辺路行政局長、塩見好彦君。
(
中辺路行政局長 塩見好彦君 登壇)
○
中辺路行政局長(塩見好彦君) 議員御質問の2点目、集落地域の再生と二川小学校の有効利用について、お答えいたします。
まず、二川小学校の廃校後における取り組みについてでございますが、二川小学校につきましては、栗栖川小学校との統合に伴い、平成25年3月をもちまして廃校となりましたが、残された校舎及びグラウンドの利活用につきましては、昨年6月に旧二川小学校校区内の町内会長や区長さんに御参画をいただきまして、旧二川小学校活用検討委員会を設立し、これまで二川地域の皆様方の地域活動拠点として利用されることを最優先にさまざまな角度から利活用に係る検討を進めていただいてきたところでございます。しかしながら、当該施設につきましては、施設の規模が大きいことや、利活用に係る運営主体をどうするのかといった課題等もある中で、現時点では具体的な利活用策については見出せていないところであります。今後も引き続き検討委員会を中心に有効な利活用策について検討を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
中辺路行政局長 塩見好彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 二葉昌彦君。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) ありがとうございます。二川小学校については、廃校後に検討委員会を設置され、取り組みされているということがわかりました。有効利用の仕方は検討中であるということで、これから地域を従えていく若い方々の意見を十分に聞く必要があると私は思います。早く活用方法を決定しなくては、地域のコミュニティもだんだん薄らいでいくようにも思いますので、早く活用法を考えていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
そこで、一つ提案になりますが、学校を核とした新しい交流拠点づくりについて提案させていただきたいと思います。
学校は地域の子供たちを育み、親は育友会活動に参加することで多くの知り合いができ、子供を通じてたくさんの仲間もでき、地域活動の活力になってきたように思います。また、さまざまな活動の中でたくさんの思い出や記憶を共有してきたように思います。学校はこのように教育施設だけではなく、地域コミュニティの中で暮らす人たちの、心のよりどころであり、大事な場所で、地域を元気にしてくれたところでもあります。しかし、廃校になると、地域のことを思いますと、少子高齢化が進み、過疎化などの問題を抱え、集落での自立活動が困難になり、生きて生活していく中で困り事がふえてきているところだと思います。食料の調達、車での移動、地域力の低下、地域での祭り事、地域での行事など今までの集落活動が困難になってきているように思われます。
暮らしの維持、活性化していくためにどのような生活サービスが必要か、あらゆる世代が暮らしていける新しい地域を創造していくためにも、集落を越えた新しい地域づくり、コミュニティの創造が必要であるように私は思います。地域の暮らしの安心を守る心のよりどころであり、暮らしの安全を守り、災害時における防災の拠点としての学校の活用が必要であるように私は思います。
そこで、学校を核とした今後の利用案について少し提案させていただきたいと思います。二川小学校を核としてこういうことができるのではとNPOの方々とも会合をする中、たくさんの意見が出てまいりました。
まず一つ、廃校舎を活用した新しい地域づくりを発案し実行する。集落の方々の集まる拠点づくりができてくるように思います。
2番目、世界遺産の地として自然・癒し・健康・食文化の発信をすることができる。ちょうど、二川小学校は高原の真下にあります。その自然を生かした地域づくりというのはぜひ必要であるように私は思います。
そこで、どういう活動が必要になってくるかといいますと、アトピーの治療教室の誘致。これは今の子供はアトピーができて大変な子供がたくさんおります。病院に行っても治らないという方もいっぱいいると思うのです。そこで、やっぱりああいう自然の中で癒しながら治療していく、そういうことも可能になってくると私は思います。
そして、医療健康分野の研究所の誘致。これはある大企業の話なのですが、企業の中でいろいろと鬱病になったりそういうふうな病気の人が多くなってきているように聞いております。そこで、会社がそこへ来て、いろいろ自然を生かした中で休養していただいたり、そういう話が出ております。そしてまた、食育、安心・安全な食の提供、こういうこともできてくると思います。やはり世界遺産は、そういう健康などの情報を発信するには最適な場所であるように私は思います。
これは、ちょうど私の娘がことし大学を卒業してきまして、管理栄養士の免許を取ってまいりました。そこで、23歳になるのですが、若い友達の中で、管理栄養士という立場で、健康を考えた健康的な食事を発信していけるのではないかというアイディアも出てきております。若い集まりの中で学校とのつながりもまた出てくると思うのです。そういうことも可能ではないかなと思います。
そこでもう一つ、自然を生かした体験学習の場。私はあそこの芝生ももちろん大事なことなのですが、下におりてみたときの川の美しさ、やはり、少し離れた私が行ってみても自然のすばらしさというのはもうしみじみと感じております。地元に住んでいる人間は毎日見て、そういうふうに感じることは少ないと思うのですが、これが都会の人間にとってみたら、すばらしい自然のある、本当に宝物のある場所だと私は思うのです。そこをみんなに味わってもらうというのが世界遺産の地の役割の一つかなあと私は考えます。
各長所を生かした学びの場、地域でとれる食材を使い、地方への和食文化の発信など熊野古道を訪れる方の憩える場所づくり、県内外、外国の方にも来ていただくことが可能であると思います。あそこの施設を通じて、本当に外国の方が安く泊まれる場所とかそういうことを望んでいるみたいで、どうでしょう、ごろ寝でもいいのです、そういう場所を提供するということも、生かしてくれると私は思います。
そして、地域文化の継承、祭り事、伝統文化。やはり中山間地域になってきますと、そういうふうな昔から伝わってきた伝統文化が、人がないということで消え去っていっております。少し行くと、有名な大きなイチョウの木があります。そこで踊っていた盆踊りも今はなくなってきていると思います。学校を通じて、あそこのところでそういう風な踊りを、文化を継承して伝えていく、そういうことも大事なことの一つかなと私は思います。
もう一つ、
世界遺産登録10周年に向けて、書画展の開催をお願いしたいなと思っております。熊野古道あんどん書画展。これは、秋津・万呂公民館で始まったあんどんづくりであります。子供たちのつくったあんどんで、蟻の熊野詣での実現に向けて取り組んできております。当日は、あんどんのほのかな明かりを求めて、地域では2,000人を超す祭りとなってきています。会津小学校の建てかえ等の問題もある中、この機会に子供たちの夢や思いを字・絵画に託し、作品展を開催する。それに一般の方、旅行客、海外の方々、希望者に世界遺産の地から世界の平和、世界遺産にかかわるいろいろな言葉を絵画・書の作品にして公募展にする。それを学校に展示する。今、このような企画を考えております。
このように、作品を公募することで親子で会場に来てくださる。来ていただくことで地域のよさをわかっていただき、地域も活気づき、参加者にとっても向上心につながる。世界遺産の地から文化の発信ができてくると考えます。
廃校舎は地域の方々の宝であり、田辺市民の宝でもあります。市民と行政がともにつくるまちと大綱にもうたわれておりました。世界遺産の地にふさわしい、すばらしい里山の景観、自然を生かし、この地を訪れる方々に癒しを与えられるような場所を提供していくことが必要であるように思います。
地域の方々、NPO、各種団体の集まりなど協力しながら学校施設を利用した室外・室内体験学習等、施設を利用した地域活性化等を提案し、今回の
一般質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、8番、二葉昌彦君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午後3時5分まで休憩いたします。
(午後 2時55分)
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再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 3時05分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、16番、中本賢治君の登壇を許可いたします。
(16番 中本賢治君 登壇)
○16番(中本賢治君) 皆さん、こんにちは。16番議員の中本賢治でございます。通告に従いまして、質問させていただきます。
田辺市の市歌の制定についてでありますが、以前、私と、やめられました吉本議員が何の申し合わせもなく、平成19年9月議会で同じ質問をさせていただきました。私としましては、今回この質問だけだと間が持たないこともあって質問をやめようかと考えましたが、2月25日付の紀伊民報にみなべ町が町の歌をつくるということが新聞に大きく掲載されているのを見て、みなべ町がやるのにと思ったら、何が何でもやらなければという気になってまいりました。そういうことで、質問の時間は20分と短い時間ではありますが、御清聴、よろしくお願いします。
市歌の制定でありますが、市町村歌は明治42年、横浜港の開港50周年を記念して制定された横浜市の市歌が最も古く、昭和初期までに全国の大都市がこぞって市歌を制定しました。その後、戦後の1960年代から70年代にかけては、全国の多くの市町村でも市町村歌を制定することになり、特に明治100年を記念して1968年、この年に市町村歌が多くつくられました。
田辺市では、合併前の旧5市町村では唯一、旧龍神村に村民歌があり、これは昭和39年に村合併10周年を記念して制定されたそうです。また、みなべ町でも2月25日付の紀伊民報に掲載されていましたが、南部梅林のオープニングコンサートで県警の音楽隊が旧南部川村の村歌を演奏していた席で、みなべ町と10年前に合併して新しく町になり、本年は合併10周年の節目の年であることから、これを機会にみなべ町の町歌をつくりたいと町長が宣言いたしました。
このように市歌の制定については、市民の市歌への高まりを待つのではなく、ほとんどが10周年、20周年といったように節目となる年を迎えたときに、トップの英断によるものが多いということがわかりました。そういうことで、私、この質問は三度目になるのですが、市長のよりよい前向きな答弁を期待しまして、1回目の質問を終わります。
(16番 中本賢治君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 16番、中本賢治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 中本議員の御質問にお答えいたします。
市歌につきましては、昨年の3
月定例会におきましても、合併10周年の節目を迎えるに際し、他の課題も含め、本市における市歌の有用性について検討する旨を答弁させていただきましたとおり、市民の一体感の醸成や愛郷心を育むという点においては一定の効果が期待できるものと認識しております。
議員も御存じのこととは思いますが、県下9市における市歌の制定状況を申し上げますと、海南市、紀の川市及び田辺市を除く6市において市歌が制定されております。制定されている各市のうち、4市では
成人式など各市がとり行う式典等の場において市歌が斉唱されている、もしくは式場内で流されると伺っております。田辺市では合併前の旧5市町村のうち、旧龍神村では村民歌があり、
成人式や出初め
式などの式典において歌われていました。また旧本宮町では町歌ではございませんが、町内外に広く本宮町をPRすることを目的に、平成2年に本宮町紹介ビデオを作成し、そのビデオの挿入歌として町のイメージソングを作成した経緯がございます。本宮町ではこのイメージソングを観光イベントのときのBGMや役場の電話の保留音として活用し、各メディアにも取り上げられ、一定の効果があったとのことでございます。
本市は間もなく合併丸9年を迎え、いよいよ10年目の歴史を重ねる節目の年を迎えます。合併してからこれまで市町村建設計画に基づき、いわば市の土台を築き上げていく中で、ソフト・ハードの両面からさまざまな施策を通じて地域間の交流を推進することで市民の一体感の醸成も図られつつあるものと思います。さらに、施策と予算の大綱でも申し上げましたが、合併10周年を来年に控え、本年をPR元年と位置づけ、攻めのプロモーションを展開していく中で、市民の皆様とともに築き上げてまいりました田辺市を内外に広くPRし、本市の魅力を最大限かつ効果的に発信していくための有効な手段として、全国の皆様に田辺市が持つ地域資源、歴史、文化などが容易に連想していただけ、また市民の皆様にもふるさと田辺に誇りと愛着を持っていただけるような仕掛けが必要と考えているところです。
今後、大型周年事業を控え、地域が浮上する絶好の機会が訪れる中、本市の価値創造に向けた取り組みを進めていく過程で、その意義や市民の思い、考え方といったことも自然な形で把握しながら、そのあり方も含めて検討することができればと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 中本賢治君。
(16番 中本賢治君 登壇)
○16番(中本賢治君) 御答弁ありがとうございます。
市長は平成26年度の施策と予算の大綱の中で、本年は新しい田辺市が誕生し、10年目の歴史を重ねる年となります。これまでの間、議員各位を初め、市民の皆様の御協力と御理解をいただきながら市町村建設計画を推進する中で、まちの基盤が整いつつあるとともに新しい田辺市のまちの姿が見えてきたと感じております。こうしたことから本年はこの10年を総括する年であると同時に、次の10年を見据え、新たな段階へと移行する年でもあると考えており、これまでの取り組みを踏まえつつ、全国から選択される田辺市となるよう市政のかじを取ってまいりたいと考えておりますと述べられています。そして、本年をPR元年と位置づけをして、田辺市を丸ごと内外に広くPRしたいとの答弁がありましたが、どんどん進めていただきたいと思います。
また、本年は
世界遺産登録10周年の年でもあり、そして大阪府堺市と友好都市を結ぶ年でもあります。さらに来年は和歌山国体もありますし、旧5市町村が合併して10周年を迎える年でもあります。そんな中で、市歌を制定する条件が整いつつあると私には思えるのですが、市長の市歌制定についての考え方をいま一度お聞かせ願いたいと思います。
(16番 中本賢治君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 再質問に対する答弁を求めます。
市長。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 再質問にお答えいたします。
誰もが気軽に口ずさみ、ふるさと田辺を思い描くことができ、さらに本市の魅力を内外に広くPRすることができる取り組みは、議員御提言のように意義のあるものと考えておりますが、一方、結果としてせっかくの取り組みをどのように市民に愛され、定着していけるのかといったこともございますので、本日の議論もある中で、そのあり方について今後多角的な観点から検討することができればと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 中本賢治君。
(16番 中本賢治君 登壇)
○16番(中本賢治君) 御答弁ありがとうございます。
平成17年に旧5市町村が合併してはや9年目を迎えるわけでありますが、厚みのあるいろんな田辺市を見ることができ、和歌山県第二の都市にふさわしいグレードの高いどしっとしたまちになりました。
私は、この我がふるさと田辺市が大好きです。全国の政令都市や主要な都市では全て市歌を制定しているように、田辺市には市の木、市の花、市の鳥があるように、市の歌もきちっとつくりませんか。長野県では県歌が子供からお年寄りまでみんなが知っているように、田辺市でも誰でも口ずさんで歌えるような市歌をぜひともつくっていただけるようお願いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(16番 中本賢治君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、16番、中本賢治君の
一般質問は終了いたしました。
この場合、お諮りいたします。
本日の会議は、この辺にとどめ延会し、明3月12日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(塚 寿雄君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
(午後 3時19分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
平成26年3月11日
議 長 塚 寿 雄
議 員 出 水 豊 数
議 員 宮 本 正 信
議 員 高 垣 幸 司...