――
―――――――――――――――――
〇
出席事務局職員
議会事務局長 中 瀬 政 男
議会事務局次長 杉 若 美津子
議会事務局主任 前 溝 浩 志
議会事務局主査 松 本 誠 啓
開 議
○議長(
高垣幸司君) 皆さんおはようございます。定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成24年第1回
田辺市議会定例会6日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
――
―――――――――――――――――
○議長(
高垣幸司君) それでは、日程に入ります。
◎日程第1
一般質問
○議長(
高垣幸司君) 日程第1
一般質問を行います。
12番、
松下泰子君の登壇を許可いたします。
(12番
松下泰子君 登壇)
○12番(
松下泰子君) 12番議員、
松下泰子です。どうぞよろしくお願いいたします。通告に従いまして、大きく3つの質問をさせていただきます。
1番目、
津波対策についてから質問いたします。昨年3月11日、
東日本大震災から1年がたちました。大津波、そして福島第一
原子力発電所の事故は、日本の行方を変えた歴史的な日でもありました。その日を境に
地震学者も気象庁も、また多くの研究者が
自分たちの想定を超えた自然の力に圧倒され、すべての
防災計画が見直されることになりました。田辺市でも、第1次
総合計画をもとにした
防災対策アクションプログラムにおける
進捗状況も、今までの想定から最悪を想定した目標に見直されることになりました。
先日もNHKの番組で研究者が今回の津波に関して検証を行っておりました。その中で、生死を分ける差はほんの微妙な差であったと言っております。今回の
東北津波で最も被害が大きかった石巻市
松原地区は15%の93人が亡くなられましたが、その原因は逃げる高い場所がなかったということがわかりました。海岸線から800メートル離れた小学校が避難所になっていたそうですが、徒歩でそこまで逃げている途中にほとんどの人がのみ込まれてしまったということです。500メートル以上離れた
避難場所では、いざというときに間に合わないということです。つまりだれもが自分の家から500メートル以内に避難所を確保しておく必要があるということです。
田辺市におきましても、東海・東南海・
南海地震の3つの地震が連動して起こる最悪の状況を想定して対策を考えておく必要があります。国における地震想定がまだ出ていないことから、津波・
高潮ハザードマップの作成がことしの秋以降になると言われていますが、それを待つまでもなく9月の台風被害もあり、
防災対策室では日夜懸命の
防災対策に取り組まれておられますことに心より感謝申し上げたいと思います。
そこでお伺いいたします。昨年3月時点で
津波避難困難地域解消のための
事業実施が完了となっておりましたが、最悪の事態に備え見直しを行った後、駅までの市街地・新庄から文里、湊地区、江川、秋津、芳養等々
海岸地域、会津川沿い等、
津波被害が想定される地域の
避難場所や避難路の確保はできたのでしょうか、その
進捗状況をお聞かせください。
次に、
津波対策の中で
避難場所や避難路の確保に伴い
防災対策アクションプログラムにおける市民や観光客が津波から円滑に避難できる方策の検討及び構築という項目における
誘導標識についてお伺いいたします。
誘導標識は、津波のマークや逃げる姿の絵を目にしますが、JISマークの
案内用図記号ではあるものの、各県や市が独自に決めているものもあるようです。
津波対策として幾ら自宅からの避難所を確保して準備しておいても、自分がそのときどこにいるかわからない、見知らぬ土地かも旅先かも、たまたま通りかかった海岸線かもわかりません。その見知らぬ土地であった場合、
避難場所を聞くこともできず、方角もどこが高台なのか途方にくれることでしょう。特に外国からの旅行者がたまたまこの田辺に来ていたとき、どのようなことになるのでしょうか。その場合、頼りになるのは目につく
避難場所や避難路の
誘導標識です。近年、世界遺産の
まち田辺を訪れる観光客が多くなっている中で、観光客に対して
安全確保が整っているかどうかは必須の条件になってきます。特に
扇ヶ浜海水浴場における外来者への対策も今後必要になってくると思います。その1つとして
避難場所や
津波避難ビル及び避難路が確保できたとき、
誘導標識には
外国語表記も必要になってきます。日本語がわからず、見知らぬ土地で地震や津波に遭った場合、
案内用図記号だけではわかりにくいところがあります。英語や韓国語、
中国語等、田辺への観光客の多い国の言語で表記することは、市として
受入態勢の整備の1つだと考えます。今後、
誘導標識についてどのように実施していくのかお伺いいたします。
3番目です。
津波避難ビルについて質問します。ことし1月26日に
津波発生時における一時
避難場所としての使用に関する協定書が市内5カ所の事業者と交わされました。市街地において高台まで距離が遠い場合は、一時
避難場所として
津波避難ビルが指定されたわけですが、民間の建物を指定することは困難が多いことと察します。
国土交通省の
津波避難ビルに関する
アンケート調査が昨年6月に行われていますが、その結果報告が次のようにされています。
公共施設と
民間施設の割合が1対2であり、圧倒的に多い民間の建築物で
避難ビル指定ができない課題がさまざま挙げられています。地方においては
中高層建築物が少ない、ビルの破損の賠償問題、
オートロックの開錠についてや避難時の
安全確保上の責任、プライバシーの確保の観点から、所有者の同意を得ることの困難等が挙げられています。
津波発生時、時間の余裕があればできるだけ高台の
避難場所に行くことが得策ではあると思いますが、逃げおくれた場合、災害弱者と言われる方々にとって、最初に申し上げました石巻市
松原地区のように避難所となっている800メートル離れた小学校まで行かなければならないようでは危険であることが証明されました。
市内の市街地や海岸部において、近くの2階の屋上や3階のビルに駆け込まなければならないこともあると思います。その場合、昼間であるなら非常時においても対応はできると思いますが、休日の日や夜間でビルが施錠されている場合、非
常用外階段が必要になってきます。今回、
避難ビルが指定された5カ所の建物のうちで
NTT西日本和歌山支店だけが非
常用外階段がありません。また、今後どうしても地域的に一時
避難場所として協力をお願いしなければならないビルで非
常用外階段がない建物であった場合、市から設置のお願いをしなければならないのではないでしょうか。設置費用の補助率の問題もあるかとは思いますが、そのような場合どのように考えておられるのかお聞かせください。
2番目です。
高齢者虐待防止についてお伺いいたします。ことしに入りまして
高齢者施設における虐待が立て続けに発覚しております。
和歌山県内においても3月になって紀の川市にある
介護施設の2人の職員が利用者への暴行容疑で逮捕されたり、また、海南市が運営する
特別養護老人ホームでも職員による虐待は、隠し撮りされたビデオが県と市に送付され判明しました。全国的に
養介護施設や養護者による虐待が問題になっており、平成18年4月1日より
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律が施行されました。その法律により虐待を発見した者は
区市町村への通報義務が規定されております。また、
区市町村の役割として、
届け出窓口の設置とその周知を義務づけるとともに、関係機関の連携強化などの整備が求められております。通報があった場合は、高齢者の状況や事実関係の確認や立入調査をすることになっていますが、田辺市ではどのような支援体制になっているのでしょうか、お伺いいたします。
2つ目は、高齢者への虐待とは、
身体的虐待のほかに介護・世話の放棄・放任や著しい暴言や拒絶的な対応などの
心理的虐待、
性的虐待、そして不当に財産上の利益を得ることなどの
経済的虐待などがあります。
田辺市内の
高齢者施設においては、大変行き届いたすばらしいサービスをされている施設が多くあることは知っておりますが、一般的に第三者の目が入りにくく、虐待らしい行為があったとしても従事者みずからが通報することは考えにくいものです。また、入居者の家族は、家族の世話をしてもらっているという負い目から不審な点があったとしても確実な証拠もなしに通報することは難しいと思われます。さらに、ことしに入って次々と
高齢者施設やグループホームが開設されている中、
介護職員が不足していると聞きます。少ない職員数で多くの利用者の対応をしなければならないと虐待の可能性が出てくることも推測されます。そこで田辺市では、
虐待防止の法律が施行されてからの実態把握はどのように行われているのでしょうか。虐待の相談や通報はどれくらいあるのでしょうか。また、その対応はどのようになっているかお伺いいたします。
3つ目に、
養護者つまり在宅での家族による虐待についても以前から問題になっています。この場合、
在宅介護のお宅へ訪問するヘルパーや医師が体の変調に気づくことが多く、通報につながっていると聞きます。
高齢者施設での虐待以上に介護の知識のない家族が
在宅介護をする場合、長期にわたる過大な負担や
ストレスがかかることからも起こっていることがあると思います。特に
認知症患者の介護は、どんなに大切な家族と思っていても、
介護疲れや
ストレス、いら立ちなどで手荒な対応になったり暴言を吐いたりしてしまうことは私自身の経験からも察するところです。このような
在宅介護をしている家族へのケアや虐待への対策は、市としてどのように行っているのでしょうか。また通報はどのぐらいあったのでしょうか質問いたします。
3番目です。
定住促進についてお伺いします。田辺市における
過疎対策の中で
定住促進は大きな方策として、これまでに私は何度か質問や提案をしてまいりました。その中で、
定住促進の窓口を1つにできないか、空き家や遊休農地を市があっせんできないのかや借家の改修費への補助はできないのか等を質問しました。現在は
大塔行政局内の森林局に山村振興としてホームページでも
移住推進に活用する
空き家登録に御協力くださいという取り組みがされております。また、県や
宅地建物取引業の専門家の仲介のもと安心して契約ができるような体制や
合併浄化槽の設置を伴う
水回り改修には県から改修費の補助が出るようにもなりました。また、大阪市内において
紀伊半島移住セミナー等を開催して
Iターンの
受け入れをアピールしております。このように県を挙げて移住・
定住促進に取り組まれるようになってきましたが、空き家の登録は進んでいるのでしょうか。現在、把握している空き家の登録数と、市外からの移住先としての問い合わせはどのくらいあるのでしょうか、現状をお聞かせください。また、旧4カ町村における空き家の調査は行われているのでしょうか質問いたします。
次に、市街地でも例外ではございませんが、特に旧町村のどの町村へ行っても空き家は多数あるにもかかわらず、盆正月に帰省する子供のためや荷物を置いているとか、なかなか貸してくれる空き家が少ないことはよく耳にします。また、知らない人が入ってくることへの不安もあると思います。
田舎暮らしへの堅実な決意のある人かどうかも仲介する市の大事な役割でもあると思います。そのような不安を解消するような説明を丁寧に行っていくことも含めて、積極的に区長さんや地域の役員さん方の協力をお願いして賃貸可能な空き家を掘り起こしていく必要があるのではないでしょうか。過疎化が進んでいくのを食いとめるための啓発活動としても地域の方々の協力は不可欠です。このように、さらなる
Iターン等の移住者の
受け入れに積極的に取り組んでいただきたいと考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
最後に、元
龍神中学校の
空き校舎についてお伺いいたします。平成22年に策定した
過疎計画の中に、平成27年までに実施するものとして旧
龍神中学校の
空き校舎を
アパートに整備し、グラウンドは生涯スポーツのために芝生化する案が出ておりました。これは
田舎暮らしを希望するUターン、
Iターン者などの住宅として整備する予定のものですが、昨年3月の
東日本大震災による避難者の
受け入れにも活用できないかと考えます。もちろん昨年災害直後の一時避難として、田辺市におきましても
公営住宅等への
入居希望者の
受け入れに協力されたことは周知するところです。その避難された方々も、しばらくして落ちついてから帰郷されたと聞きますが、まだまだ東北の現状はもとの生活が戻ってきたわけではありません。特に福島県では
子供たちの健康不安から、やはり県外へ移住される方が絶えないと聞きます。東北3県のそれぞれの自治体では、人口の流出を食いとめ、復興に懸命になっているときに不謹慎なことかもわかりませんが、現場の状況はなかなか改善されておりません。
昨年11月、私は福島県の
子どもたちを放射能から守る
福島ネットワークの活動や福島の現状を視察させていただきました。その中で、出るも地獄、残るも地獄という言葉を聞きました。夫の仕事の関係で残らざるを得ない家族、母子だけで避難することを決め夫と離れ離れの生活を余儀なくされた家族、よその土地へとりあえず引っ越していった家族等々、残る者と避難する者の間に大きな溝ができてしまっていると話してくれました。
福島において
子供たちを外で思いっ切り遊ばせてやりたいと思っても、屋内の遊び場を建設するしかないのが現実です。子供のことを考えると親はやはり避難することを選ぶべきだとわかっていても、それができる家族とできない家族、避難先に仕事があるのかどうか、何もない状態でやっていけるのかどうか等々不安は尽きません。その
子どもたちを放射能から守る
福島ネットワークでは、3つの
セクションに分かれて活動しており、避難したい人と
受け入れたい人をつなぐ避難・疎開・
保養セクションというのがあります。ここでは全国の受入情報をお寄せくださいと呼びかけています。先日も現状をお伺いしましたところ、次のようなメールが返ってきました。一部を抜粋して申し上げますと、1年がたとうとしていますが、ますます現状は厳しくなっていると感じています。震災後すぐは緊急性があって避難が加速しましたが、今は一見静かです。しかし空間線量はまだ1マイクロもあるところもあり、特に地表付近が高どまりです。これまで避難できていない人でも内部被曝のおそれもあり不安です。チャンスがあればと考えている人も多いはずですが、なかなか口には出せません。まずは
保養プログラムでそれぞれの土地を訪ね、交流が生まれ、その次のステップの避難・疎開という段階が必要なようです。いきなり見ず知らずの土地に移れるほどの力は、もう残っていませんということでした。
東北の復興支援にもいろいろな方法があると思いますが、この
ネットワークを通じて福島を初め東北・関東方面から原発のない自然豊かな当市への
受入態勢を整えてはいかがでしょうか。現状ではまだまだ
空き家登録する家も少ないこともあり、この旧
龍神中学校の
アパートとしての整備を早めることはできないでしょうか。よその被災者支援より地元の復興が先であることは承知するところですが、耕作放棄地の担い手としても子供連れ家族の
受け入れは、当市にとっても大切なことであると考えます。できるだけ早期の整備をお願いしたいところですが、いかがお考えでしょうかお伺いいたします。
以上、1回目の質問を終わります。
(12番
松下泰子君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 12番、
松下泰子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 松下議員から3点にわたる御質問をいただきました。1点目の
津波対策については私から、あとは担当部長からお答えいたします。
まず御質問の1番目、
避難場所及び避難路確保の
進捗状況についてでありますが、昨年3月に
東日本大震災が発生してから丸1年が経過しましたが、いまだに行方不明となっている方が3,000人を超えており、まだまだ手つかずの状態のままとなっている被災場所もあり、こうした現状を見るにつけ、地震・津波はいかに甚大な被害を及ぼすかということと
防災対策の重要性を再認識したところでございます。
さて、議員も御承知のとおり、本市では地震・津波や風水害、土砂災害などの災害に備え、これらによる被害を最小限に抑えることを目的として、田辺市地域
防災計画を基本に市として取り組むべき施策を体系化した行動計画として、田辺市
防災対策アクションプログラムを平成21年10月に策定しており、毎年、各項目の
進捗状況を取りまとめ公表しております。
東日本大震災を受け、昨年の夏にアクションプログラムの地震・
津波対策について点検を行い修正する予定にしておりましたが、9月の台風12号災害を受けまして、改めて風水害対策についても見直しの必要性に迫られたため、現在アクシヨンプログラム全体の見直しを行っているところであり、本年度の
進捗状況の取りまとめは今後行うこととなります。
そうした中、御指摘の
津波対策につきましては、アクションプログラムの施策の柱の第1番目に位置づけている最重要施策で、中でも津波から逃げ切るためには、津波から一時的に避難する
避難場所や迅速かつ安全に避難するための避難路の確保が重要であると認識しております。こうしたことから、津波一時
避難場所としましては、平成19年度には文里地区に津波避難タワー、新庄町橋谷地区に橋谷避難広場を整備し、平成22年度には江川地区にある牟婁保育所の屋上に避難できるよう外階段などを設置いたしました。さらに、ことし1月末には耐震基準や建物構造などが国の指針を満たし、休日・夜間でも避難できる機能を持った外階段等が設置されている建物について建物所有者の御理解、御協力をいただき、
津波避難ビルとして民間6施設、さらに公共2施設を指定したところであり、今後も建てかえ予定の田辺第二小学校を
津波避難ビル化することとしています。また、津波の浸水が予想されている沿岸地域の町内会におきましては、以前から裏山や高台などを津波一時
避難場所として設定しておりましたが、
東日本大震災後にはより高い場所等について再確認を行うとともに、これまで津波の浸水が予想されていなかった河川沿いの秋津町や万呂など内陸の町内会におきましても、津波一時
避難場所の設定を行っていただく中、既に避難訓練を実施した町内会もございます。
このほか、田辺西バイパスの整備や高速道路の延伸に合わせ、その周辺町内会が高架や盛土部分などを一時
避難場所として避難するための緊急避難階段等を設置してもらえるよう国に要望しながら、また市といたしましても実現に向け関係機関との協議を行っていますが、現在、国におきましては整備をする方向での調整に入っているところでございます。
次に、津波避難路についてでございますが、和歌山県が設定した条件をもとに津波の第一波が到達するまでに、近くの安全な高台などに避難することが困難な地域として抽出された津波避難困難地域を解消するため、市では平成22年度に2カ所を津波避難路として整備いたしました。さらに本年度においては、昨年5月に行った町内会・自主防災組織との意見交換会での要望を反映し、既に4カ所の津波避難路の整備を終えるとともに、現在も1カ所が施工中であり、引き続き平成24年度におきましても8カ所を整備してまいりたいと考えています。
また、沿岸地域などの自主防災組織が取り組まれている津波避難路の整備に対しまして補助を行っておりますが、これまで18カ所の整備に対しまして補助を行っているほか、現在も1カ所が施工中となっております。今後におきましても、引き続き津波一時
避難場所や津波避難路の確保に向け取り組んでまいりたいと考えておりますが、国や県により見直される被害想定や津波浸水予測が拡大されることも考えられるため、より安全に避難できる場所について検討を重ねてまいりたいと考えております。
続いて、2番目の
避難場所及び避難路の
誘導標識に
外国語表記をしてはどうかについてお答えします。市では、施策の1つとして交流型観光を推進するまちづくりに取り組んでいる中、特に熊野古道が世界遺産に登録されて以降、外国人観光客も増加してきていることと存じますが、日本語が理解できない外国人観光客は、災害発生時に的確な行動をとることが困難なため災害弱者と位置づけられており、より丁寧な対応が必要であると考えられます。こうした中、市内一部の指定避難施設の案内表示板には、指定避難施設を意味する英語表記をしておりますが、現在300カ所に設置している海抜表示板には
避難場所への向きを示した矢印や、ピクトグラムと言われる非常時の避難を示す絵柄などを表示しているものの、外国語の表記はしていないのが現状です。特に時間的余裕がない津波の危険がある場合、迅速かつ安全な避難行動をとっていただく必要があることから、外国人観光客にもわかりやすい
外国語表記を用いた表示板の設置についても今後、検討してまいりたいと考えております。
次に、3番目の
津波避難ビルに非
常用外階段をについてですが、さきに申し上げましたように、このたび
津波避難ビルに指定した建物は、耐震基準や建物構造などが国の指針を満たし、休日・夜間でも避難できる機能を持った外階段が設置されている建物と限定しており、さらに高さと収容面積を確保するために屋上を
避難場所として指定しました。今後、想定される新たな津波浸水予測によっては、まだまだ
津波避難ビルを確保していく必要があると考えられますが、まず次の段階では各階の通路についても
避難場所とするなど条件を緩和して指定し、それでも
津波避難ビルが不足する場合には、議員御提案のように補助金を出す方法もございますが、外づけ階段と建物本体との接合部等の構造的な問題、さらに屋上の防水やフェンス等の設置により、多額の費用が必要となるなどさまざまな問題がございます。また現在、国が
津波避難ビルの指針の見直しを行い、
津波避難ビルの整備促進を図るための施策を検討している状況であることから、今後その動向を注視してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(
高垣幸司君)
保健福祉部長、田中 敦君。
(
保健福祉部長 田中 敦君 登壇)
○
保健福祉部長(田中 敦君) 松下議員御質問の2点目の(1)
高齢者施設での虐待に対する市の支援体制はと(2)実態把握とその対応はについてお答えいたします。
平成18年4月に
高齢者虐待防止法が施行され、
高齢者虐待防止などの高齢者の権利擁護業務が地域包括支援センターの業務として位置づけられました。
高齢者虐待防止法には
身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、
心理的虐待、
経済的虐待、
性的虐待の5つの虐待の種類が規定されています。厚生労働省調査による平成22年度の全国での
高齢者虐待件数は、
養介護施設従事者によるものが96件、養護者によるものが1万6,668件となっています。田辺市において高齢者の虐待で通報を受けた件数は、養護者によるものが平成19年度27件、20年度24件、21年度17件、22年度16件、23年度12件、
養介護施設従事者によるものは、平成19年4月から24年2月末日まで0件となっております。
高齢者虐待は地域包括支援センタ一が主体となって取り組みますが、問題は多岐にわたり、単一機関では解決が困難なことも多いため、平成20年4月から行政・医療・福祉・司法等の関係機関が集まり、
高齢者虐待の対応や予防啓発を検討する田辺市
高齢者虐待防止ネットワーク委員会を設立しております。
養介護施設従事者等による虐待において、
高齢者虐待防止法には市町村の役割として、1.対応窓口の周知、2.通報を受けた場合の事実確認等、3.都道府県への報告、4.防止及び保護のための老人福祉法または介護保険法上の権限の適切な行使が規定されています。市において
養介護施設従事者による虐待の通報を受けた場合には、迅速な事実確認を行い必要に応じて田辺市
高齢者虐待防止ネットワーク委員会において対応を協議し、県との密な連携のもと虐待なのか処遇上の問題なのかの見きわめや緊急性や保護の必要性の判断等を組織的に行う体制を構築しています。また、同委員会において施設関係者の方々からおのおのの施設において
高齢者虐待防止の研修実施や虐待が起きない施設づくりの報告を受けております。ただ、昨今、他地域において
高齢者虐待に関する事件が相次いでいることから、市が
養介護施設従事者等による虐待の対応窓口であるということを今後とも引き続き市民、施設に広く周知徹底してまいります。
次に、(3)在宅での虐待の対策についてですが、在宅で虐待が発生した場合には地域包括支援センターを中心として迅速に調査を行い、緊急度に応じて立入調査や一時保護を行っています。その際には
高齢者虐待防止法第14条に規定されているとおり、虐待を受けた高齢者だけでなく虐待を行った養護者の支援を行う必要があり、対応においても別々の支援チームを編成して全体の家族支援をしています。
虐待を受けた高齢者に対しては、養護老人ホーム等への一時入所や医療機関への入院によってその身体や生命を保護しています。虐待を行った養護者に対しては、その置かれている生活状況をかんがみながら安定した社会生活が送れるように多様な支援を行っています。また、地域包括支援センターだけで対応し切れない問題が発生した場合には、
高齢者虐待防止ネットワーク委員会の個別ケース検討会を実施し、その事例に応じて専門性の高い委員が参集して問題解決を行いました。平成20年4月から現在まで合計6回の個別ケース検討会を実施し、組織的に虐待問題に取り組む体制を構築してきております。今後も田辺市
高齢者虐待防止ネットワーク委員会や認知症を抱える家族の会をより一層活用し、虐待の起こらない地域づくりを進めていく所存でございます。
以上でございます。
(
保健福祉部長 田中 敦君 降壇)
○議長(
高垣幸司君)
森林局長、古久保敏雄君。
(
森林局長 古久保敏雄君 登壇)
○
森林局長(古久保敏雄君) 議員御質問の3点目の
定住促進についてお答えいたします。
当市の
定住促進への取り組みは、主に山村過疎地域への振興を図るため、平成19年度より県と連携し
移住推進に取り組んでおり、その取り組み内容といたしましては移住相談や案内を一元的に行う窓口の設置、
移住推進のための空き家活用や田辺に住む足がかりとなるよう1年間滞在可能な短期滞在施設を龍神地域に4戸、本宮地域に2戸整備を行ってきたところであります。
また、移住希望者への情報発信として、ホームページやパンフレットを作成するとともに、大阪などの都市圏で開催されるふるさと回帰フェアへの出展や移住セミナ一を開催するなど
移住推進市としてのPRを行っております。こうした取り組みにより、平成19年から現在までの移住相談者数は377件、案内件数は118件、また市の窓口を介した移住者数は44世帯82人に上っています。
また、移住者に紹介できる空き家を旧4町村で調査しているところであり、まだすべての地域の調査を終えておりませんが、空き家状況は次のとおりとなっております。まず大塔地域は鮎川地区を除く富里、三川地区で家屋数599戸に対し空き家数は123戸、空き家率は21%、龍神地域は全域調査済みで家屋1,798戸に対し空き家数は129戸、空き家率は7%、中辺路地域も全域調査済みで家屋1,619戸に対し空き家数は277戸、空き家率は17%、本宮地域は、本宮地区、大居地区を除き家屋812戸に対し空き家数は308戸、空き家率は38%となっております。
市といたしましては、こうした空き家の有効利用を図るべく、空き家提供のお願いを記したチラシや広報誌などで情報提供を依頼するとともに、行政職員や集落支援員による空き家の掘り起こしを行っておりますが、お盆や正月の帰省時に利用する、また家財道具や荷物を運ぶ先がない、さらには老朽化が著しく、とても住めるものではないなどの理由により、貸していただける空き家数は極めて少ないというのが現状であります。
よって、平成21年度より移住希望者へ空き家の情報提供を始めていますが、本年度末まで13世帯の空き家への定住があったものの、現在の登録残数は2戸にとどまっているのが現状です。平成22年度から、もっと空き家情報を提供してもらいやすくするため、県の協力のもと安心して賃貸契約が結べるよう宅建取扱資格を持った住宅協力員の設置や、県の推奨する定期賃貸借
田舎暮らし住宅標準契約書を活用しております。さらには、空き家改修に係る費用の一部を補助する施策も講じているところであります。
今後もこういった施策を広く発信しつつ地元の区長さんなどの協力を得ながら、提供していただける空き家の掘り起こしにさらに力を入れ、地域の活力や担い手となる移住者の誘致に努めたいと考えております。
次に、旧
龍神中学校の
空き校舎を福島県などにおける震災により被災した方々への受入住宅にしてはという御提案でございますが、この校舎の活用につきましては、
田舎暮らし応援住宅整備事業として本市の過疎地域自立促進計画に登載しており、今後整備についての研究を行ってまいります。
また、現在のところ東北などの被災者向けに限った
移住推進施策は実施しておりませんが、本年度においては東京で開催されたふるさと回帰フェアへの出展や移住セミナーを実施するなど、関東方面においても和歌山田辺を積極的にPRし
移住推進並びに
定住促進に努めております。また、さらなる移住者
受け入れ拡充のため、今後中辺路及び大塔地域へも短期滞在施設の設置を計画しており、田辺の山村地域へ移住しやすい環境を整えてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(
森林局長 古久保敏雄君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 12番、
松下泰子君。
(12番
松下泰子君 登壇)
○12番(
松下泰子君) 御答弁ありがとうございました。
津波対策については
避難場所、避難路のほうは着実に進んでおられるということを聞きました。今年度24年度も、行政でも予算を格別につけていただき、許す限りの対策を整えていただいております。昨年の東日本を襲った大津波は、私たちに多くの教訓を与えてくれました。当地域にいつ起こってもおかしくない3つの地震に備えて、行政への注文ばかりを申し上げましたが、まず第1に自分自身の心構えが必要であると思います。最近は車に乗っていますと、今地震が来たらどうすると、よく考えるようにもなりました。自分の命は自分が守るしかないという気持ちで、それぞれが真剣に災害時のことを考えていくことが最も必要なことであると私も感じております。
1番はそれで結構かと思いますが、2番目のほうの高齢者の
虐待防止について再質問させていただきたいと思います。ただいまの答弁では、田辺市への養護者による虐待の通報が、法律ができた後、毎年20件から20件以上、12件から27件ぐらいまでということで通報があることがわかりましたが、
養介護施設についての通報が0件ということでした。この0件、全くないということは喜んでいいものなのでしょうか。本当に1件もないということが果たして実態なのでしょうか。私は表にあらわれていないだけで、出せない、出てこない構造的なものがあるように思います。自分の従事している施設の中でのことを内部告発することは難しいことでしょうし、家族から通報することも難しいのは察するところです。ですから神戸市の老人ホームでの事件では、家族が個室内にビデオカメラを設置してわかったものでありますし、海南市であった事件も脱衣場で隠し撮りして判明したものです。すべて隠し撮りしなければならないというものではないともちろん思いますが、施設側の証言だけで調査は終わるものなのでしょうか。調査とはどのように行われているのでしょうか、1点目お伺いいたします。
今回、私は、介護専門学校に通っていた人から、施設へ実習に行ったとき、認知症の利用者さんの出入り口にかぎをかけたり、日常的に罵声を浴びせたり、頭を押さえつけておむつを交換したりと乱暴に扱っていたことなどを昨年6月に市に通報したということを聞きました。それは県の管轄の施設であったため県が調査した結果、処遇の問題点であったということで虐待には当たらないということでした。だからカウントに入っていないということなのかもわかりませんが、事実確認がどのように行われたのか疑問に思います。また、そのほかにも全くないということが実態に合っていると市はお考えでしょうか。加えて
養介護施設への調査や防止のために、自治体職員のみならず一般の権利擁護団体や介護相談員などを含めた第三者機関の設置が必要になってくるのではないかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。以上3点再質問させていただきたいと思います。
3番目の
定住促進につきましては、
空き家登録が2戸にとどまっているということです。各町村での調査はしていただいたということで、一部残っているようですが、この空き家率というものがこんなに多いのかということにも改めて驚いたところです。
この空き家の登録が進まない現状が確かに見えてきました。空き家が実際どこへ行っても多く目につくのに、これほど登録が進まない現状ではますます過疎化が進むことになります。東北地方からの被災者の
受け入れも含め、耕作放棄地での新規就農などの雇用を伴う
定住促進が求められるところです。さらなる積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
2番目の高齢者の虐待についてお答えをお願いいたします。
(12番
松下泰子君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 12番、
松下泰子君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、田中 敦君。
(
保健福祉部長 田中 敦君 登壇)
○
保健福祉部長(田中 敦君) 松下議員から
高齢者虐待防止について3点の再質問をいただきました。1点目の調査はどう行っているのかという御質問についてでございます。事例を出されて説明されたケースについては、地域包括支援センターのほうに相談があって、その後、県のほうに報告したということで、先ほど高齢者の虐待事例と思われる
介護施設従事者からの虐待という報告は0件という報告をさせていただいたのですが、それ以外に家族の方、それから従業員の方、ケアマネの方等からいろんな相談が寄せられております。その中では本当に処遇上の問題なのか虐待に関する問題なのか、1回聞いただけではなかなか判断がつかないという中で、施設等からも聞き取りをしてそういうような状況を判断するということで、虐待件数以上に処遇上の問題、その他の相談件数は相当多数ございます。その調査を行っている上で平成19年から24年まで0件という、そういうような状況でございます。
再質問の2点目、その数字が実態に合っているのかという質問でございますが、その問題につきましては、先ほど国の数字の報告をさせていただいたのですが、施設、それから在宅における数字、実質虐待のやっぱり何割かという形であると私自身も認識しております。ただ、その辺がやはり家族の方、それから介護従事者の方々に周知していきたいと、そう考えてございます。
それから第三者機関の設置についてどう考えるのかということで、それぞれの施設については第三者機関の設置をいろんな種類に応じてされてございます。ただ、その機関については当然その施設の処遇上の問題とか、いろんなことをすべてトータルで聞いてそれぞれの機関が対応していると、そういうような状況でございますので、今の現状の機関の充実をそれぞれの施設にお願いしたいと、そう考えてございます。
以上でございます。
(
保健福祉部長 田中 敦君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 12番
松下泰子君。
(12番
松下泰子君 登壇)
○12番(
松下泰子君) ありがとうございました。相談はかなりあるということで、実態としてはかなり潜在的な虐待と見られるような行為は認識しているということだと思うのですが、この調査の方法というのが確かに難しいのだろうなと思いますが、施設側の聞き取りだけで終わっているのかどうか、そこらかなりその方法というのも見直しが必要ではないかなと私自身は思っております。
高齢者の虐待につきましては、養護者・家族への支援も含めまして、今後さまざまな対応策が必要になってくるのではないかと思います。高齢者の
介護施設内での虐待に対する認識や取り組む姿勢には差が大きくあり、また自治体によっても認識が低いため適切な権限が行使されていないということが研究者によって指摘されてもいます。また、介護相談員派遣事業によるオンブズマン制度がありますが、事業を実施するかどうかは各市町村の判断に任せられ義務づけられていないようです。和歌山県下でも立て続けに高齢者の虐待事件が起こったことから、
虐待防止の抑止力ともなるような第三者機関が必要になってくるのではないかと思いますが、今後の取り組みに期待しておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
以上で私の質問は終わります。
(12番
松下泰子君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 以上で、12番、
松下泰子君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(
高垣幸司君) この場合、午前11時10分まで休憩いたします。
(午前10時57分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(
高垣幸司君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前11時10分)
○議長(
高垣幸司君) 続いて、14番、中本賢治君の登壇を許可いたします。
(14番 中本賢治君 登壇)
○14番(中本賢治君) おはようございます。14番議員の誠和会の中本賢治でございます。
まず初めに、この3月で退職されます3人の幹部職員の皆さん、岩本さん、山崎さん、長嶝さん、38年間長い間本当に御苦労さまでございました。3人の皆さんには何かと御指導いただいたこと一生忘れません。ありがとうございました。
それでは3月議会、最後の質問となりますが、御清聴よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして質問させていただきます。まず東海・東南海・
南海地震に備えての1番目の小中学校における避難訓練はどのようにしているのかについて質問させていただきます。
去年の3月議会のさなか、ちょうど1年前、死者、行方不明合わせて約1万9,000人という私たちが今まで経験したことのない未曾有の大震災、
東日本大震災が発生しました。小中学校におかれましては、石巻市立大川小学校では生徒79人、行方不明4人が大津波にのみ込まれてしまいました。一方、釜石市の小中学校14校、約3,000人の児童生徒が奇跡的に全員が助かるということは皆さんも新聞、テレビ等で周知のことと思います。これを受けて、田辺市では市街地東南部に位置する幼稚園や小中学校などの教育施設と地域の人を含めた合同避難訓練が昨年6月と、ことしの2月にありました。私は第二小学校におりまして生徒と一緒に避難訓練に参加したのですが、第二小学校では午前9時半に潮岬沖を震源地とする震度6強の地震が発生したとの放送が流れ、全校生徒は揺れがおさまるまで机の下に避難した後、列になって運動場に集まりました。そして大津波警報の発令の放送が流れますと、上級生は下級生の手を引いて近くの高台ファミール・ヴィラのほうに避難しました。この避難訓練の課題は、避難経路の確認と上級生が下級生の手を引くことだったそうです。他校に先駆けて第二小学校では2回もやっているわけですが、他の沿岸部に位置する津波に対して影響のある学校は、どのような避難訓練をしているのかお聞かせ願いたいと思います。
次に、災害時において中高生をボランティアとして活用できないかという質問でありますが、当地域において災害のボランティア活動が定着してきたのは、阪神・淡路大震災のころからでありまして、代表的な団体としては紀州梅の里救助隊がありますが、去年の
東日本大震災では田辺市からも多くの人が何かをしよう、何か手伝わなければという思いから東北へ出向いていきました。私の友人も4月から1週間滞在すること5回、被災地に入りました。そして台風12号で我がまちが被害を受けたときには、全国から田辺市や新宮市など県の6カ所に設置された災害ボランティアセンターに約2カ月で2万5,000人の方が来てくれました。おかげで本宮町は市職員や消防団、そしてボランティアの方々の力を結集しまして短期間で復興をなし遂げることができました。
そういうことで、一般人によるボランティアというものは成熟してきましたが、中高生に対しましては、テレビ等で
東日本大震災の復興の手伝いを地元の生徒がしているところを見ましたが、私は災害時において中高生は大いに活用すべきだと思っています。中高生は体力もあり、小回りもききます。体力のない生徒は被災者と語り合ったり話を聞いてあげることによって被災者の心のケアもできます。そして、もう1つボランティアを通じて公の精神を身につけるよい機会であると考えます。みんなの力で被災された我々の地域を復興させるのだと実践体験させることによって公の精神が会得できるのだと思います。そして、いずれ東海・東南海・
南海地震が来たときにも、この若い世代が中心的な役割を担うことになるのだから、今のうちに教育の場でボランティアについて勉強したり、あるいは災害地に派遣体験させることが必要だと思うのですが、当局の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
次に、ヒロメの養殖についてでありますが、ヒロメは天然と養殖のものがありまして、食してみますと天然も養殖も変わりなく、ワカメと比べてちょっと肉厚でぬめりが強いという特色がございます。なべに入れても酢の物で食べても本当においしい、ヘルシーな食べ物でございます。
ヒロメは約30年前に磯間の漁協で冬場の不漁対策ということで養殖が始められ、多い年には30トン近くも水揚げしたこともありました。販路は、当時は市内で販売するのがほとんどで、市内の各スーパーで販売したり、市役所にも1キログラム入りのヒロメをかごに入れて漁師の人が作業着姿で各部署を回って販売しておりました。また、和歌山市のスーパーでも取り扱ってもらっていたこともありました。それから塩蔵といって日持ちさせるために塩漬けにしたりヒロメの軸をつくだ煮にしたりと、ヒロメの販売には大変苦労しておりました。
そういうことで、私も漁師の人の苦労を深く理解していましたので、当局に何度となく販路先を探してほしいと言い続けてきたところ、2年前より市長が大型のスーパーマーケットを探してきてくれたので、これで販売先も見つかったし、あとは養殖のヒロメを大量につくって基幹産業にまで育てていきたいと思っていたところ、磯間の漁協ではことしヒロメの養殖はできないと聞き、磯間の漁協に行って聞いたところ種苗が水温のかげんでできなかったということでした。田辺市では、今は江川、片町、新庄で種苗から始めたヒロメづくりをしていますが、ことしはどこも成長がおくれていると聞きますが、ことしのヒロメの現状と種苗の安定供給と販路拡大についてお聞きしたいと思います。
次に、扇ヶ浜海岸北突堤の舗装についてでありますが、以前、平成20年9月議会で
扇ヶ浜海水浴場の利活用について質問させていただきました。その中で、田辺市の観光スポットとなるよう取り組んでいくとの答弁をいただきました。そういうことで質問いたします。まずは
扇ヶ浜海水浴場の利用者の動向でありますが、お手元の資料をごらんください。平成17年の開設以来、来場者数は順調に伸びており、平成20年は6万人、平成21年、22年には10万人を超える人が利用するようになりました。平成21年からイルカとのふれあい事業ということで、太地町から2頭のイルカがやってきて海水浴の利用者を楽しませてくれています。この統計を見てもわかるとおり、平成21年から来場者数が倍増しているのは、はっきり言ってイルカ効果であると思います。
あがらたなべぇ調査隊の若い人たちの発案で、このようにイルカとなったわけですが、私もこの海水浴場には何とか客が大勢来てくれないものかと考えていましたが、私のような古臭い頭では想像もつかぬことでした。いずれにしましても、これでファミリー指向の家族連れの来る海水浴場として定着したと思います。
そういうことで、北突堤からイルカの生けすまでの間がでこぼこ道なので舗装をしてほしいということであります。イルカを見に行きたいけど200メートルほどの道中がでこぼこで、親御さんが小さい子供を連れて歩いていくにはかなりの労力が必要です。ましてや炎天下の中ですから大変です。そういうことで乳母車をついていけるように舗装をお願いしたいということであります。
以上で、1回目の質問を終わらせていただきます。
(14番 中本賢治君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 14番、中本賢治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 中本議員から3点にわたる御質問をいただきました。2点目のヒロメについては私から、あとは教育長と担当部長からお答えいたします。
ヒロメにつきましては、もともと田辺湾に自生しているものを船から巻き取って収穫していましたが、県においてその養殖技術が確立されたことにより、北西の風が強い冬の閑漁期の副収入源として注目され、まず旧湊浦漁業協同組合が昭和58年ごろから養殖を開始し、順次旧田辺漁業協同組合や新庄漁業協同組合におきましても取り組まれてきたものであります。しかしながら、当時の販路につきましては市内での流通がメインであったことから、販売量にも限りがあり販売単価に反映できにくい状況でありましたが、平成18年度から20年度まで、京阪神地域の大手量販店で開催される田辺市フェアでの販売をきっかけに春を告げる海藻、地域限定の海藻として好評をいただいたことから、さらにヒロメの認知度を向上させるために平成21年度からは市としてもさらなる支援をしていくこととし、私もトップセールスに赴き、また漁業協同組合による熱心なPRにより、シーズンを通じ継続的に取引していただいているところでございます。
議員御質問の今年度のヒロメの現状につきましては、少し成長がおくれていると言われていましたが、2月末現在の田辺市場への水揚げ量で比較しますと、昨年度が3,800キロ、今年度が4,630キロで今年度の方が多く、また昨年度の全水揚げ量が18トン強であったことから、今年度につきましても同程度の水揚げを期待しているところであります。
次に、種苗の安定供給と販路拡大についてでありますが、ヒロメの養殖用種苗につきましては、県水産試験場または普及員においてその種苗生産技術を各漁業協同組合または漁業者に普及啓発を行っており、養殖する者が種苗生産をするということが基本的な考えであります。田辺管内におきましては、新庄漁業協同組合と和歌山南漁業協同組合田辺本所におきまして種苗生産が行われているところでありますが、湊浦支所におきましては過去に種苗生産を試みたことがあるものの、うまくいかなかったようでもあり、ここ数年は、県水産試験場の種苗により養殖を行っていると伺っているところであります。県水産試験場では危険分散ということを考慮し、うまく種苗生産ができなかった漁業協同組合等への補完用として一定量の種苗生産をしているようであります。しかしながら、今年度におきましては11月から12月にかけての串本近海の海水温が例年よりも高く、ヒロメが芽を出す水温である20度を下回らなかったため補完用の種苗生産ができず、結果として湊浦支所では例年どおりの養殖ができない状況となり、急遽田辺本所で余剰となっていた種苗での養殖開始となったところであります。
こうしたことから、湊浦支所におきましては種苗生産を再開するとともに、田辺本所においては種苗の増産に努め安定したヒロメの収穫が可能となるよう県と連携を強化して取り組んでいきたいと考えております。
また、販路拡大につきましては、さきに申し上げましたように平成21年度から大阪府内9店舗において大手量販店との恒常的な取引が継続されている中、今年度からはこれまでの実績やさまざまなメディアに取り上げられたこと、また紀州ヒロメをもっと多くの皆様に知っていただきたいという両者の思いが一致し、販売店舗を大阪府と兵庫県の全54店舗へと大幅に拡大していただき、3月3日から販売を開始しているところであります。このほか東京で開催されるスーパーマーケット・卜レードショー、大阪市で開催されるわかやま産品商談会やシーフードショーなど、大都市圏での商談会等への出展を通じて首都圏の料亭などとも取引が行われており、今後さらに販路拡大に向けた取り組みを強化し、価格の安定化、漁業者の所得向上に努めていきたいと考えております。いずれにいたしましても、今後なお一層、県、漁業協同組合及び漁業者と緊密な連携のもと安定的な漁業経営を目指し取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の1番目、東海・東南海・
南海地震に備えての1点目、小中学校における避難訓練はどのように行っているのかについてお答えをいたします。
まず、
田辺市内の小中学校の避難訓練の状況でありますが、現在すべての小中学校において火災や地震を想定した避難訓練を実施してございます。特に津波の危険性については
東日本大震災規模の津波が来るということを予測し、どこへ、どのように逃げるのか、そのために留意しなければならないところは何なのかということを押さえながら指導しているところでございます。今年度行われた避難訓練の取り組みを紹介しますと、幼稚園、小学校、中学校、専門学校などが連携した合同訓練を数校で実施してございますし、地震発生を授業中ではなく部活動中に想定した訓練を実施した中学校もございます。想定にとらわれないということが
津波被害を抑える1つの要因であると言われているところでありますが、さまざまな状況を想定した訓練が必要となるところでございます。
ほかにも下校時に地震が発生した場合の避難経路図を作成している小学校もございます。さらに本年度は各学枝における防災マニュアル作成の見直しの際に、管理職が不在の場合の指揮系統を明記するよう指導してまいりました。今後はそれぞれの学校の地理的条件や地域の実態等に応じた防災安全教育を進め、特に沿岸部や津波が予想される学校につきましては、津波による浸水予想や避難経路の確認、また津波の歴史や構造などの学習を行い、児童生徒を初め教職員の危機管理意識をさらに高揚させてまいりたいと考えてございます。
続きまして、質問の2点目、災害時において中高生をボランティアとして活用できないかについてお答えいたします。
東日本大震災におきましても、避難所の体育館にある臨時の給水所でボランティアとして活躍する中高生の姿が報道されておりました。田辺市においても、津波・大津波警報が発令されたあの日、新庄中学校では避難所となっている体育館で中学生がいすや畳を設置し避難してきた方々ヘ温かい飲み物を配ったりするなど自主的な対応をすることができました。これは新庄中学校でこれまでの防災教育の一環として、新庄地震学の中で避難所での生活や保健衛生等についても学習を進めてきており、このような取り組みが非常時の場面で生かされたのではなかろうかと考えてございます。
また、昨年9月に発生しました台風12号における水害の際にも、本宮地域において三里中学生と本宮中学生の活躍がございました。避難所となった本宮中学校体育館において避難された高齢者に対して話し相手になったり、被災した本宮小学校の復旧作業を必死に手伝う両校の中学生の姿は、実に頼もしく感じたところでございます。
これらのことは、みずからが苦しい状況にあっても他者を意識して行動するという公の精神を体験的に学ぶ絶好の機会ともなり得ること、また議員御指摘のように、中高生であればボランティアとしての役割を十分担うことができるということが証明されたのではなかろうかなと、このように思っているところでございます。
被災時におけるボランティアについては、防災教育の中でも重要なことであると認識してございます。今後の防災教育の積み上げにより、現在の小中学生が大人となって、東海・東南海・
南海地震が発生した際に、自分の命を守る自助と他人を助ける共助の精神を持った田辺市民として育っていただくために全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(
高垣幸司君)
産業部長、福井量規君。
(
産業部長 福井量規君 登壇)
○
産業部長(福井量規君) 議員御質問の3点目、扇ヶ浜海岸北突堤の舗装についてお答えいたします。
議員も御承知のとおり、平成8年度から進めてまいりました扇ヶ浜総合整備事業の1つとして平成17年度に
扇ヶ浜海水浴場がオープンいたしました。トイレ、シャワーや更衣室、無料コインロッカーを備えたビーチハウスと400台の駐車場を完備しており、駅から徒歩10分の距離、さらには高速道路からのアクセスのよさが好評を呼び、関西圏を中心にファミリー向け海水浴場として徐々に認知されてきております。議員の参考資料にもございますが、利用者数もオープン当初は4万3,000人でありましたが、平成21年度には初めて10万人の大台を超え、平成22年度と2年連続で10万人を超える皆様に御利用いただきましたが、今年度は
東日本大震災等の影響もあって約5万4,000人となってございます。
特に、平成21年度からは、取り組みを進めましたイルカとのふれあい事業、南紀田辺ビーチサイドドルフィンin扇ヶ浜は、海水浴客を呼び込む上で人気のイベントとなっており、海水浴客が大きく減少した本年度におきましても1万人を超える皆様に御入場いただいております。このように御利用いただいております皆様方から大変御好評を賜っている状況ではございますが、議員同様の御意見をお客様からも伺っているところでございます。自然石を用いたイルカの生けすに通ずる北突堤でございますが、こうした利用客の増加に伴いまして、より安全で安心できる海水浴場の運営といった観点から、市といたしましても工事の実施主体である県に対しまして、昨年12月下旬に田辺観光協会と連名にて北突堤の改修を初め3点ほどの要望を提出しているところでございます。県の見解といたしましては、北突堤の改修に関しましては、防波堤である本来の目的と機能を発揮させるため、波が入り込むつくりにしていることから現状の形状が望ましく、また
防災対策の目的として養浜整備事業を進めているものであり、利用者の利便性の向上に関する工事については今のところ県として行わないとのことでありました。
しかしながら、
扇ヶ浜海水浴場を運営する市としましては、小さなお子様や高齢者の方などの
安全確保は必要不可欠なことと考えておりまして、防波堤の目的を害することなく海水浴場へお越しのお客様の利便性の向上を目指せるよう、引き続きさまざまな観点に立ち検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(
産業部長 福井量規君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 14番、中本賢治君。
(14番 中本賢治君 登壇)
○14番(中本賢治君) 御答弁ありがとうございました。まずは東海・東南海・
南海地震に備えてということで、1番目の小中学校の避難訓練でありますが、我が田辺市でも来るべき巨大地震から児童生徒を守らなければなりません。そのためには釜石市の取り組みの研究が一番かと思います。答弁では各学校の地理的条件に応じた避難訓練を行っていくとの答弁をいただきました。しっかりやっていただきたいと思います。
ここで先日、関西テレビで
東日本大震災の検証ということで釜石東中学校の決断、奇跡の避難行動を学ぶということでテレビで放映していました。それを紹介したいと思います。タイトルは、「高台へてんでんこ。生きたかったから上に」ということで、中学校から高台まで上へ上へと避難する道中で、九死に一生を得た生徒と先生の証言を紹介したいと思います。
まず生徒の証言から。地震が来たとき立っているのが精いっぱいで、逃げることができなかった。訓練で、まずは運動場に集まることになっていた。パニックで先輩たちが泣いたり騒いだりして、それを見て自分もどきどきし始めて、とても怖かった。先生が点呼はいいから逃げろと言ったので、みんなばらばらにございしょの里、
避難場所まで逃げました。
先生の証言。今までの地震だったら電気が通っていて、テレビで情報を得ることができたし、教育委員会にも電話で連絡するが、今回は電気が消えていていつもとは違うので、きっと津波が来ると思った。1秒でも早くという思いで
子供たちを避難させた。
生徒の証言。津波が来ると言っている人もいたけれど、本当に来るのかわからなかったし、信じることができないというか、何も考えないで走っていた。
先生の証言。最初に見たときは何だかわからなかったけれど、見ているとあれが津波なんだと思った。初めて見た津波が迫ってきているという状況の中で、これからはてんでんこだよと生徒に言った。
生徒の証言。全力で上に走るしかなかった。怖いというより頭の中が真っ白になって、自分もパニックになっていた。高台に着いて、ここまでくれば大丈夫と思った。高台からいつも見ていた光景が黒い水につかっていて、みんなでいるのに二、三分はただ見ているだけだった。生きたかったので上に上にと思ってここに来た。避難訓練をやっていたから、実際に津波が来たときも逃げられたと思う。奇跡ではないと思うと証言していました。生々しい証言ですが、これが奇跡の避難行動であります。最後に生徒が言っていたように、これは奇跡ではない。何度も何度も繰り返し避難訓練をやっていたから命が助かったのだと言っておりました。釜石市の避難行動の現状を踏まえて、来るべき巨大地震による大津波から児童生徒の命を守るにはどうすべきか、しっかり考えていただきたいと思います。
次に、災害時において中高生をボランティアとして活用できないかということでありますが、答弁を聞いていますと、私の期待する答弁とは少しずれがあるように思います。私は、田辺市が災害に遭ったときに即戦力で中高生をボランティアとして活用できないかと言っているわけでございます。中高生が活躍することによって災害の復興が早まりますし、来るべき大震災に対しましてもボランティアを実践することによって将来災害時において中心的な役割を担える人材が育成できます。また、ボランティアを実践することによって公の精神をも体験を通して学ぶことができると思ったからであります。そういうことで、私の思いとは少しずれがありますが、今後は防災教育をしっかりやっていただいて、共助の精神を身につけさせるよう教育していただきたいと思います。
次に、扇ヶ浜海岸北突堤の舗装についてでありますが、平成17年に
扇ヶ浜海水浴場がオープンしまして、少しずつですが来場者数が順調に伸びてきましたが、平成21年からのイルカのふれあい事業が始まってから11万人と一気に倍増したのは資料を見てもわかるとおりであります。このイルカのふれあい事業でありますが、南紀みらいの下部組織のあがらたなべぇ調査隊がファミリー向けの魅力ある海水浴場をつくろうということで、イルカ2頭を太地町から連れてきたものであります。この調査隊ですが、市街地を何とか活性化させようということで、うめぇバルをやったり、たなはるをやったり、そして海水浴のシーズンにはレンタサイクル事業や甘夏やランパラという喫茶店や食堂を紹介している地図をつくって海水浴客に配って市街地に客を流そうということをやっていたりもしています。魅力ある海水浴場をつくるには、回り回って市街地をにぎわせることにもつながるのであります。こういった若い人たちが真剣に田辺のまちを活気あるにぎわいのあるまちにしたいという思いが私にはすごくわかりますし、このように具体的に活動していることに敬意をあらわさずにはいられません。そういうことで、北突堤の舗装についてはイルカを見に行きやすいように環境を整えてほしいと思います。
次に、ヒロメについてでありますが、ヒロメの種苗の安定供給ということでは、水温が高い理由でできなかったということでありますが、紀州のおいしいヒロメを基幹産業にまで育てていくんだという気概が県にはないように思います。私が聞くところによりますと、県の水産試験場のヒロメの担当の職員がころころかわっていると聞きます。皆さんも御存じのように、どういう組織でも核になる人が重要であります。ヒロメについてはわしに聞けというような人をつくらなければ、何年研究を重ねていても失敗が続くと思います。このような現状が今の種苗の安定供給ということで支障を来しているように思います。県の人事にまで注文をつけることはできませんので、これは要望ですが、市のほうでヒロメの専門的な部署をつくっていただければと思っています。そうすれば販路についても種苗についてもいろいろと対策が立てやすいと思います。
今、漁業の現状は、江川のアジ、サバにしても、磯間のシラスにしましても、とる漁業は衰退しています。市長は常々産業力の強化ということを言っておられますが、販売については心配しなくていいようになった今こそヒロメの養殖の復活のチャンスだと思います。ヒロメの養殖を不漁対策事業ということではなく、基幹産業に育てていくんだという高い志を持っていただきたいと思います。今、漁業者は、悩み苦しんでいる中で光明となるのはこの事業しかありません、どうかこの事業を官民が一体となって取り組んでいただくことを祈念いたしまして私の
一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
(14番 中本賢治君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 以上で、14番、中本賢治君の
一般質問が終了いたしました。
以上をもちまして、
一般質問を終結いたします。
◎日程第 2 1定議案第12号
田辺市庁舎整備基金条例の制定についてから
日程第45 1定議案第57号 平成23年度田辺市
水道事業会計補正予算(第2号)
まで一括上程
○議長(
高垣幸司君) 続いて、日程第2 1定議案第12号
田辺市庁舎整備基金条例の制定についてから日程第45 1定議案第57号 平成23年度田辺市
水道事業会計補正予算(第2号)についてまで、以上44件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました44件については、過日既に当局の説明が終了しておりますので、これより総括質疑に入ります。
質疑はありませんか。
3番、久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 総括質疑をさせていただきます。1定議案第32号 平成24年度田辺市
一般会計予算、第11款災害復旧費、第3項商工施設災害復旧費、世界遺産熊野本宮館災害復旧工事についてでありますが、2点質問させていただきます。
今回の台風12号によって熊野本宮館が大きな被害を受けた中で、この被災状況の要因等をどのように分析し検証されたのか。
2点目、平成24年度当初予算に熊野本宮館の災害復旧工事費が計上されていますが、この復旧工事費を計上するに当たっては、今回の台風12号被害の教訓が十分生かされたものとなっているのか。この2点について質問いたします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 3番、久保浩二君の質疑に対する当局の答弁を求めます。
産業部長、福井量規君。
(
産業部長 福井量規君 登壇)
○
産業部長(福井量規君) 久保議員からの御質問にお答えいたします。
まず、1点目の世界遺産熊野本宮館が大きな被害を受けた要因及びその検証についてでございます。本建物が他の建築物と違い、浮力を受けて浮き上がりが生じた理由として、想定を超える浸水があったことと基礎構造の特殊性が挙げられます。まず想定水位の設定についてでございますが、平成2年の台風19号の水位を参考に設定したものでございます。この点について少し詳しく説明させていただきますと、御存じのとおり、過去には当地での明治22年の十津川大水害、さらには昭和28年の紀州大水害が発生しております。昭和28年の水害では台風12号と同程度、明治22年の水害では台風12号よりさらに水位が高い浸水被害が生じ、その痕跡も残されております。しかしながら、明治22年の水害は大日山の大規模崩壊に伴ういわゆるせきどめ湖による水害であり、想定水位の参考とはなりにくいものと考えておりました。また、昭和28年の水害についても、当時は熊野川上流部にダムが建設されておらず、現在のダムが存在する熊野川の現況とは河床高など含め状況が大きく異なるため、これも参考とはしがたいものと考えておりました。
私どもといたしましては、この地で建設するに当たり浸水予想高を決定する必要性から、昭和33年以降、熊野川にダムが建設された後の最大の洪水被害、すなわち平成2年台風19号の高さを採用した次第であります。地元の治水対策を考える会においても、治水対策の目標値は平成2年の台風19号の浸水高としていることなどから、総合的に検討を重ねた上でこの想定水位を決定いたしましたこと御理解を賜りますようお願い申し上げます。
続いて、基礎を気密性の高い構造にしたことについてでございますけれども、木造の柱の基礎部分や設備配管等を想定される最大の浸水から守り、かつ空調の還気を循環させ、湿気から木材を守る目的からこの基礎構造を採用した次第でございます。このようなピット構造につきましては昨今の大型建築物では採用されることも多くなり、身近な例といたしましては、田辺市文化交流センターたなべるや城山台給食センターなどにも採用されております。
浮力の算定につきましては、構造計算書としては法律上求められていないため提出されておりませんが、この建物は自重が平米当たり1.6から1.9トン程度あり、仮に地盤から床面までの1メートル程度の想定水位まで浸水しても自重が浮力を上回ることになるため、浮き上がることがないことについては確認しておりました。建築構造設計においても地下構造物、例えば地下に埋設するタンクや地下水位が高く湧水のおそれがある場所では浮力の検討を行いますが、今回のような建物では通常求められることがないということについて重ねて御理解のほどお願い申し上げます。
今回の災害は未曾有の惨事であり、観測史上最大規模の降雨量による水害であるため、設計行為における瑕疵はなかったものと考えておりますが、結果的に被害を生じさせたことは紛れもない事実でございます。台風12号に限らず、
東日本大震災においても、自然の力に対していかに人間が無力であるかを痛感させられたわけであります。今回の事例も自然の力と設計技術について、今後参考にしていきたいと考えております。今、我々に求められるのは、この重大な結果を真摯に受けとめ、この教訓を生かすことはもとより、この教訓を全員が共有し、また後世に引き継いでいくことが重要であると思っております。そして世界遺産熊野本宮館のみならず、これからの事業においても自然への畏怖の念を忘れず、想定される自然災害への対策はもちろん、それを超える災害が起こった場合でも、被害を最小限に抑えるべく計画を進めていきたいと考えております。
最後になりましたが、この世界遺産熊野本宮館を一刻も早く復旧できるよう全力を挙げて取り組んでいく所存でございますので、何とぞ御理解と御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
(
産業部長 福井量規君 降壇)
○議長(
高垣幸司君) 他に、質疑はありませんか。
(「なし」の声あり)
○議長(
高垣幸司君) それでは、質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております44件については、会議規則第37条の規定によりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
各常任委員会の付託事件は、お手元に配付しております議案付託表のとおりであります。
お諮りいたします。本日の会議はこの辺にとどめ散会し、明3月15日から26日までの12日間は休会とし、3月27日午後1時から再開いたします。
これに異議ありませんか。