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03月03日-04号

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  1. 和歌山市議会 2020-03-03
    03月03日-04号


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    令和 2年  2月 定例会                令和2年          和歌山市議会2月定例会会議録 第4号            令和2年3月3日(火曜日)     -----------------------------議事日程第4号令和2年3月3日(火)午前10時開議第1 会議録署名議員の指名第2 一般質問     -----------------------------会議に付した事件日程第1 会議録署名議員の指名日程第2 一般質問(中尾友紀君、宇治田清治君、松井紀博君、中村朝人君、永野裕久君、浜田真輔君山野麻衣子君)     -----------------------------出席議員(38名)  1番  井本有一君  2番  中村朝人君  3番  赤松良寛君  4番  浜田真輔君  5番  堀 良子君  6番  西風章世君  7番  山中敏生君  8番  川端康史君  9番  永野裕久君 10番  中庄谷孝次郎君 11番  山野麻衣子君 12番  中村元彦君 13番  中谷謙二君 14番  丹羽直子君 15番  森下佐知子君 16番  坂口多美子君 17番  吉本昌純君 18番  園内浩樹君 19番  中塚 隆君 20番  薮 浩昭君 21番  山本忠相君 22番  芝本和己君 23番  戸田正人君 24番  松井紀博君 25番  井上直樹君 26番  古川祐典君 27番  姫田高宏君 28番  南畑幸代君 29番  尾崎方哉君 30番  奥山昭博君 31番  中尾友紀君 32番  松本哲郎君 33番  寒川 篤君 34番  北野 均君 35番  佐伯誠章君 36番  山本宏一君 37番  宇治田清治君 38番  遠藤富士雄君   ---------------説明のため出席した者の職氏名 市長         尾花正啓君 副市長        森井 均君 副市長        小林弘史君 市長公室長      犬塚康司君 総務局長       前 寿広君 危機管理局長     岡崎州宏君 財政局長       川嶋正起君 市民環境局長     和田年晃君 健康局長       佐伯正季君 福祉局長       宮崎 久君 産業交流局長     榊原佳寿君 都市建設局長     森 泰之君 会計管理者      山下勝則君 教育長        富松 淳君 教育局長       津守和宏君 消防局長       山下直樹君 公営企業管理者    瀬崎典男君 企業局長       白井光典君 選挙管理委員会委員長 大西勉己君 代表監査委員     森田昌伸君 人事委員会委員長   水野八朗君   ---------------出席事務局職員 事務局長       中野光進 事務局副局長     中西 太 議事調査課副課長   志賀政廣 議事班長       森本剛史 企画員        竹下裕威 事務主査       國定正幹 事務副主査      平岡直樹 事務主任       中本庸介 事務副主任      中西真央 事務副主任      繁田敦紀   ---------------          午前10時00分開議 ○議長(井上直樹君) ただいまから本日の会議を開きます。   --------------- △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(井上直樹君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第80条の規定により、議長において  宇治田清治君  中尾友紀君  松井紀博君 以上3人の諸君を指名します。   --------------- △日程第2 一般質問 ○議長(井上直樹君) 次に、日程第2、一般質問に入り、各会派の代表による質問を許します。 中尾友紀君。--31番。 〔31番中尾友紀君登壇〕(拍手) ◆31番(中尾友紀君) おはようございます。 議長のお許しをいただきましたので、公明党議員団を代表しまして代表質問をさせていただきます。 最初に、新型コロナウイルスについて。 中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスによる感染拡大が続いています。国内各地でも次々と新たな発症者が確認され、和歌山県におきましても13名の方が陽性となりました。3月3日現在では、全員が陰性となっていますが、2月28日、70代の男性がお亡くなりになりました。心より御冥福をお祈りいたします。 市内ではマスクや除菌関連グッズが不足しており、各種イベントが中止されているほか、経済活動にも大きな影響を及ぼしています。国の専門家会議は、2月24日、今後1週間から2週間が感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際であるという見解を示しました。 さらに、感染症の観点からは、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることは有効ではない。また、設備や人員の制約のため、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることはできない。風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出せず、自宅で療養を。ただし、目安の症状がある場合には、決して我慢せずに相談を。心配だからといってすぐに医療機関を受診しない。 これから取るべき対策の最大の目標は、感染症拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡を減らすなどの発表がありました。感染拡大の防止と重症者、死亡者を出さないことが最大の課題であります。 2月25日、和歌山市議会公明党議員団は、尾花市長に対し、新型コロナウイルス感染症に対する緊急要望を提出しました。 内容は、市民の不安払拭を図るため、正しい情報の発信、提供を図ること、市内の商工業、農林水産業、観光等への風評被害を含む影響を把握するとともに、市として独自の支援策を検討すること、市民が安心して医療を受けられるよう、市が中心となって対応すること、特に高齢者等への対応にはきめ細やかな配慮をすること、市主催のイベントの実施についての可否や開催時の在り方についても検討することの4項目であります。 翌2月26日、尾花市長は、新型コロナウイルスに対する本市の対応について記者発表しました。 済生会有田病院の関係者の検査も全て完了し、2月23日以降、県内での新型コロナウイルスの新たな感染者は確認されておらず、落ち着きつつあります。 本市在住で、2月22日に陽性が確認された方の勤務先(市外)の方々を検査したところ、全て陰性でした。また、県と協力して、その方の行動調査を行った結果、症状のある方や新たな濃厚接触者は確認されませんでした。現在までで、本市分80検体、県から依頼分80検体、合計160検体のPCR検査を行いましたが、全て陰性となっています。 また、イベント等の実施については、市内経済への影響に係る対応について、融資相談窓口の設置、災害復旧資金の融資枠の拡充、事業者への支援セミナー開催、市職員の時差出勤についての発表がありました。 新たな陽性者が出なかったことに胸をなで下ろしましたが、まだまだ油断は禁物です。徹底した感染予防が大切であります。 また、2月27日、安倍首相から全国の小中高等学校特別支援学校を臨時休校にするよう要請があり、本市におきましても、市立幼稚園、小学校、中学校、高等学校が3月2日より休業することになりました。 人に感染症を引き起こす病原体であるコロナウイルスは、これまで6種類が知られています。そのうち4つは一般の風邪の原因の10%から15%を占めるとされております。残りの2種類は重症化する傾向があり、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012年に流行した中東呼吸器症候群(MERS)の原因となったウイルスであります。 今回、流行しているコロナウイルスは「COVID-19」と命名され、これまで知られていなかった新型のウイルスであります。発見された当初は、動物から人に感染したと考えられ、人から人へはうつらないと考えられていましたが、現在では、二次感染、三次感染が報告されています。 現在、研究が続けられていますが、インフルエンザと同等、あるいはそれ以上に感染しやすいと推察されています。症状がない状態でも、感染を拡大させる可能性も指摘されています。 感染の経路は、飛沫感染と接触感染の2つが考えられます。感染者のくしゃみやせき、唾などと一緒にウイルスが放出され、それを口や鼻、目から感染するのが飛沫感染、電車やバスのつり革、ドアノブやスイッチなどについたウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染するのが接触感染です。また、空気感染はしないと言われています。 濃厚接触者という言葉が使われていますが、一般的に必要な感染予防策なしに感染者に手で触れること、あるいは対面で会話をすることが可能な距離、目安として2メートルで接触した方を指します。 世界保健機関(WHO)によれば、現時点の潜伏期間は1から12.5日とされています。発症すると、風邪と同じような状態が続き、発熱やせきといった症状が現れます。発熱や喉の痛み、1週間前後のせきが長引くことが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える方が多いことが特徴であります。感染しても軽症者の方が多いですが、通常の肺炎などと同様に、高齢者のほか、高血圧、糖尿病など、基礎疾患のある方は重症化するリスクが高いと言われています。 風邪と似たような症状を引き起こすウイルスは、新型コロナウイルス以外にもたくさんあります。特にこの時期は、インフルエンザの可能性が高いと言われていますが、新型コロナウイルスの予防対策の効果か、インフルエンザの発生も減少しているという報道がありました。 新型コロナウイルスについては、正しく知り、正しく恐れることが大事であると言われています。現状では、新型コロナウイルスの抗ウイルス薬やワクチンがない状況でありますが、WHOの調査では、1万7,000人の症例を解析したところ、軽症が82%、重症が15%、重篤は3%との結果が出ています。多くの方が軽症であるということであります。そんな状況の中で、ポイントは、徹底した感染予防と重症化を防止するという2点が重要であります。 そこで、お尋ねします。新型コロナウイルスの最大の感染予防は何ですか。また、重症化しないために、どのような対応を取ればいいでしょうか、市長の言葉で伝えることが大切であると考えますので、尾花市長、市民の皆様に明確な答弁をお願いします。 続きまして、幼児教育・保育についてお尋ねします。 公明党の長年の訴えが実り、昨年の10月から、幼児教育・保育の無償化が開始されました。公明党は、幼児教育・保育の無償化の制度をつくって終わりではなく、全国約3,000人の議員が、利用者、事業者を対象にアンケート調査を実施しました。 調査は、全国の国会議員、地方議員が対面形式で、昨年の11月11日から12月20日に実施、幼児教育・保育の施設を利用する保護者の方1万8,922名、施設を運営する事業者8,502名から回答を得ました。改めまして、御協力をいただきました皆様に心から感謝申し上げます。貴重な現場の声を聴き、大変に勉強になりました。 ある先生からは、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン博士の「5歳までのしつけや環境が、人生を決める」というお話を聞き、幼児教育の重要性を改めて再認識させていただきました。 また、ある事業者の方からは、子供の頃に、大人になったら何になりたいかという調査では、保育士さんになりたいという子供がたくさんいますが、実際に大学を卒業する頃になると、なかなか保育園には来てくれず、企業に行かれる方が多いというお話を聞き、人材の確保が難しいということがよく分かりました。 たくさんの市民の声を代表質問という形で市政に届けたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 先日、幼児教育・保育の無償化に関する実態調査の最終報告が発表されました。利用者の約9割が「幼児教育・保育の無償化を評価する」とし、今後取り組んでほしい政策では、「保育の質の向上」、「待機児童対策」を求める声があった一方、事業者では「人材の育成、確保への支援」を課題に上げる声が多くありました。 最終報告によりますと、利用者では、87.7%が幼保無償化を「評価する」、「やや評価する」と回答。今後取り組んでほしい政策として「保育の質の向上」50.1%、「ゼロから2歳児の無償化の対象拡大」38.8%、「待機児童対策」36.6%、「給食費の軽減」30.9%、「障害のある子供の教育・保育の充実」27.4%が上位を占める結果となりました。 最終報告を踏まえて、保育の質の向上、受皿整備が今後取り組むべき課題であることが浮き彫りとなりました。 事業者では、58.6%が「無償化の前後で事務負担が増えた」と回答、施設の安定的な経営を続ける上で期待する政策として「人材の育成、確保への支援」87.8%との答えが最も多くありました。 自由記述回答では、「事務員がいないので、もっと教育に専念できるようにしてほしい」、「新卒者が給与の高い都市部へ流れ、地元に残らない」、「配置基準が充実すれば、子供たちに対しても、周囲の人に対しても寛容になれ、研修にも出られる」との回答がありました。 まず、幼児教育・保育の受皿を整備し、待機児童の解消をすることが課題の一つでありますが、本市の和歌山市立認定こども園整備計画では、平成27年度から平成36年度末までの10年間で、市内を6ブロックに分け、11か所の公立幼保連携型認定こども園を整備する計画があります。 前期(平成27年度から平成29年度)で4か所、中期(平成30年度から令和3年度)で4か所、後期(令和4年度から令和6年度)で3か所の計11か所であります。 令和2年4月より、本町と芦原に認定こども園が2か所ようやく開設されますが、計画からは大きく遅れています。待機児童は毎年4月の時点と10月の時点でカウントしますが、令和元年10月時点で68人という状況であります。 国では、子育て安心プランの中で、2020年度末までに約32万人分の保育の受皿を整備することを掲げています。さらに、保育所や認定こども園などの施設整備に向け、1月30日に成立した2019年度補正予算では377億円を確保、2020年度予算案でも767億円を計上しており、今が最大のチャンスであります。 ところが、本市では、認定こども園の設置のための予算が令和2年度は計上されておりません。早急に計画を見直し、認定こども園を設置すべきと考えます。 そこで、お尋ねします。 待機児童の解消と今後の認定こども園の整備についてどのように考えているのか、お答えください。 次に、保育の質の向上については、保育の質を担保する人材の確保が非常に重要であります。調査でも、事業者から幼稚園教諭、保育士の人材確保への支援を求める声が圧倒的に多く、自由回答では「若手の定着率が低い」との声が多数寄せられております。 待機児童解消の取組を進める一方で、保育士の人材不足が課題となっていますが、保育士が安心して働ける環境を整備するには、業務負担の軽減が必要であると思いますが、本市ではどのような施策を進めているのか、お答えください。 次に、現場の保育所、幼稚園の先生は、子供の幸せを願い、懸命に子供に関わってくれています。ところが、子供の保育や教育はもちろんのこと、季節ごとに行われる行事の準備や事務員さんがいないため、事務作業など多忙を極めています。仕事を家に持ち帰り、作業しなければ、通常の仕事が行えないという声も聞かれます。 さらには、発達障害やその可能性がある子供が増加傾向にあり、それに伴う対応が追いついていないことの指摘や「発達障害のグレーゾーンが多く、保護者の認識にギャップがあり、そこに対する加配がなく、自治体の裁量で、グレーゾーンにも加配を認めてほしい」、「発達障害は早期発見による療育が鍵を握ることから、家庭指導、啓発が重要」という声も寄せられております。 また、小1プロブレムなどに代表される問題からも、教育委員会による幼児教育・保育と小学校との連携、幼稚園と保育所における教育・保育の相互理解の機会創出などが課題として上がっております。 そこで、お尋ねします。 発達が気になる子供が増える傾向にあり、障害児保育の充実が必要と考えるがどうか、また、障害児を含めた就学前の子供について、小学校との連携が必要と考えるがどうか、お答えください。 次に、幼児教育・保育の質を高めるためにも、保育所、幼稚園の研修が大事であると思います。 アンケート調査の結果の中でも、「和歌山市において、幼児教育・保育の質をどのように捉え、どのような施策を行っているのか」、「残念ながら、和歌山には国立の園がありません。研究部会を立ち上げ、人手がない中、現場では日々、研究と実践を積んでいます。今後の県、市の未来のためにも、その点を踏まえた施策をお願いします」との要望がありました。 これらの点を踏まえ、本市の幼児教育の推進に向け、どのような取組をしていくのか、お答えください。 最後に、SDGsについてお尋ねします。 SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標という意味であります。2015年9月の国連サミットにおいて、全会一致で採択され、2030年を期限とする世界共通の目標で、世界中で起きている貧困、飢餓、環境破壊など、たくさんの問題をみんなで解決していくため立てられた17の目標と、その下に169のターゲットがあります。 山口代表は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」において、2030年までを目標達成の期限とし、温室効果ガスの削減に各国が取り組むことや国連の持続可能な開発目標であるSDGsも2030年を達成期限としていることから、この10年の取組が、日本や世界の行く末を決定づけ得ると言っても過言ではないほど、重要な時期に差しかかっていると指摘しております。 先日、東洋ライス株式会社の雑賀慶二社長がスイス、ジュネーブの国連で、生活排水を減らす無洗米や無洗米を生産するときにできるぬかを利用した肥料など、精米技術の製品開発が持続可能な社会を目指す世界的な開発目標のSDGsに貢献しているという報道がありました。 和歌山市の企業の、日本の企業で初となる国連でのSDGsの発表を誇りに思います。すばらしい功績に続き、本市が他市に先駆けてSDGsを推進する使命があると思います。 本市においても、SDGsの理念に沿った基本的、総合的取組を推進しようとする都市、地域の中から、特に経済、社会、環境の3側面における新しい価値創出を通して、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市、地域として、平成30年度、さきに選定された29都市に続き、令和元年度、全国31都市の中の一つとして、和歌山市がSDGs未来都市に選定されました。 和歌山市が提案したタイトルは「持続可能な海社会を実現するリノベーション先進都市」で、概要は、まちなかでのリノベーションによるまちづくりや加太エリアにおける大学等と連携に取り組み、まちなかと郊外の漁村エリア双方から持続性を高め、市全体として持続可能な社会を目指していくとあります。 令和元年9月の和歌山市SDGs未来都市計画では、具体的な取組や今後の方針が記載されております。 主な事業として、民間主導によるまちなかの公園の利活用とフリンジ駐車場化、まちなかでのリノベーションの推進、官民連携による水辺のまちづくりなど。郊外では、主に加太で、友ヶ島の活用、東京大学との連携、空き家の利活用、持続可能な海づくりのための森づくり、歴史遺産の次世代への継承などで、まさに今、本市で取り組んでいる事業が掲げられております。 また、計画書の締めくくりには「まちなか及び郊外漁村エリア双方で、SDGs推進に資する取組を推進し、今あるものを生かして更なる価値を創出するリノベーションまちづくりをさらに進展させることで、歩きたくなる空間が創出されるなど、魅力のある拠点エリアが形成されていく」とし「様々な取組を通して、経済・社会・環境の自立的好循環が創出されることで、まち全体の持続可能性の向上が図られ、SDGsを原動力とした地方創生の推進と地域活性化につながる」とあります。 まさに、本市の取組が国のSDGsの施策と合致して、未来都市の選定を受けたものと言えますが、その先に何があるのか見えにくい気がします。これらの主な事業だけで、SDGsを原動力とした地方創生の推進と地域活性化につながるのか、さらに知恵を絞ってやっていく必要があります。 また、市民の声をお聴きすると、SDGsの達成に向けて、具体的に何をすればいいのかという方も少なくありません。大企業や役所が行うものだと思っている人もいます。市職員の認識も今後、事業を行う際には、SDGsの視点を取り入れて検討しなければならないと考えている方は多いと思いますが、現在、行っている事業においても、具体的に何かをしなければならないという認識を持っていない方も多いのではないかと思われます。 本市が採択された「持続可能な海社会を実現するリノベーション先進都市」の取組はもちろん重要ですが、本市が常日頃から行ってる事業においても、無駄をなくすという取組が必要ではないでしょうか。極端に言いますと、森林を守るため、無駄な用紙を省くペーパーレス化なども、SDGsにつながるのではないでしょうか。 そこで、お尋ねします。 まずは、職員のSDGsへの理解を深め、計画書にある主な取組に加え、市全体としてSDGs達成に向けた取組を推進していく必要があると思いますが、市長の見解をお答えください。 次に、参議院の代表質問で山口代表は、SDGsについて、「公共と民間の垣根を越えた連携の推進が重要である」と指摘しております。 本市においても、令和2年1月に、SDGsに取り組む企業や団体のパートナーシップを深め、活動の活性化を目指すとともに、地域におけるSDGsの達成に向けた取組につなげるためのプラットフォームとして、和歌山市SDGs推進ネットワークが設置されました。 120を超える多くの企業、金融機関、大学、NPO法人、団体などが参加を表明していますが、SDGsへの関心の高さがよく分かります。企業や団体にとっても、2030年SDGsの目標の達成に向け、様々なニーズがあり、ビジネスチャンスになる可能性があります。 さらには、ESGと言われる環境や社会問題、企業統治に配慮した経営をしている企業でないと融資や投資もしないというESG投資があります。 和歌山市SDGs推進ネットワークに参加された企業、団体は様々な情報を共有し、知恵を出し合いながら、つながり合って、本市のSDGsの取組が相乗効果で前進することを期待したいと思います。 そこで、お尋ねします。 本市として、官民連携によるSDGs推進ネットワークをどのように発展させ、SDGs達成を目指して取り組んでいこうと考えているのか、お答えください。 次に、教育に関連して、SDGsの目標4の7には、2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等など、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために、必要な知識及び技能を習得できるようにするとあり、SDGsの実現のためには、教育の役割が大きいことが書かれております。 これを受けて、文部科学省は、2020年度から実施される学習指導要領の前文で、これからの教育の目的は「持続可能な社会の創り手」を育てることであると明記。SDGsを含む教育内容が2020年代の教育の重要項目となっております。 SDGsの理念である「誰一人取り残さない」との高邁な理想を旗印に、一人一人が我が事として自分ができるところから一歩を踏み出すことが大事であると思います。 例えば、環境の観点からは、マイクロプラスチックが海洋汚染の一因となっていることや、1枚のレジ袋から数千個のマイクロプラスチックができ、細かく砕けることはあっても、分解するまでに数百年から1,000年かかると言われております。 個々の取組としては、マイボトルを持ち歩いたり、スーパーでレジ袋をもらわないで済むよう、エコバックを持参したりすることができます。また、健康の観点からは、予防接種を受けることでインフルエンザの感染を防ぐことで、周りの人にうつすことも防げます。我々の生活のちょっとした行動の変革がSDGsの達成につながっていることを共通認識として持つべきであると考えます。 和歌山大学附属中学校では、1年生の総合学習の時間を活用し、ユネスコ協会やJICAの講師から世界の取組を学び、県内で活動している38の事業所を訪問、調査結果を報告、人口減少やごみ問題、環境問題などの課題や中学生からできる取組について、SDGsの知名度をもっと向上させること、個人の小さな活動の積み重ねが大事であることを訴えたとの調査結果報告交流会が開催されました。 また、和歌山市立加太小学校の5年生、6年生で「SDGs de 地方創生」のカードゲームを実施。また、和歌山市立高等学校の1年生、2年生の4人が甲南大学で、神戸市、堺市、和歌山市、徳島市、岡山市と朝日新聞がタッグを組み、地域の身近な課題を考えるイベント「関西湾岸SDGsチャレンジ」に参加するなど、SDGsへの取組が広がっております。 今の小中高生は、SDGsの達成目標である2030年にはよき青年となります。未来の青年たちが、座学の勉強だけではなく、現場に出て人の話を聞き、力を合わせて地域課題を考えることにより、SDGsの理解がより進み、発表することで自信をつかみ、主体者となっていくと確信します。 和歌山市の全校において、SDGsの教育を取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。 以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 ○副議長(松本哲郎君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) おはようございます。31番中尾議員の代表質問にお答えします。 新型コロナウイルスについて、2問頂いております。 まず、新型コロナウイルスの最大の感染予防は何か、次に、重症化しないようにどのような対策をすればよいかとの御質問でございます。一括してお答えします。 市民の皆様にとって、新型コロナウイルス感染症予防には、まずは手洗い、せきエチケット等が必要です。また、換気が悪く、密集した場所や不特定多数の人が接触するおそれが高い場所では、感染を拡大させるリスクが考えられるため、このような空間に集団で集まることを避けることなど、一般的な感染症対策が重要です。 和歌山市としては、感染拡大防止と重症化予防のため、重症者だけではなく、軽症者についても、医師の判断があれば、全数PCR検査を実施してきました。3月1日現在までの県からの依頼分を除いたPCR検査数は、重症者53検体、軽症者66検体で、全て陰性で、現段階では和歌山市では市中感染に至っていないと考えております。 今後、この状況下においては、軽症のうちから重症化しないために、医師から要請のある全てのPCR検査の充実に努めてまいります。 また、感染拡大防止や状況の変化に応じて、全庁的に対応するとともに、引き続き、県や国と連携を密にし、終息に向け、随時必要な措置を迅速に行ってまいります。 次に、SDGsについて、私に2問頂いております。 まず、1、まずは職員のSDGsへの理解を深め、計画書にある主な取組に加え、市全体としてSDGs達成に向けた取組を推進していく必要があると思うが、市長の見解はとの御質問でございます。 本市のSDGs達成への取組を推進するためには、まずは研修等を通じて、全ての職員がSDGsへの理解を深め、職員一人一人が自分事として、常日頃の業務の中で、SDGsの理念に沿った取組を進める必要があると考えております。 また、SDGs未来都市計画では、SDGsにおける17の目標のうち、目標8「働きがいも経済成長も」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標14「海の豊かさを守ろう」など、6つの目標を優先的なゴールと設定し、持続可能な地域づくりに向け、取り組むこととしています。 本市が行う施策の多くが、SDGsの達成に資する取組でもあることから、各施策を実施する際には各部局間の連携を促進し、SDGsの視点を取り入れながら、地域の特性を踏まえ、持続可能なまちづくり地域活性化に取り組むことで、SDGs達成に向けた取組を推進してまいります。 最後に、本市として、官民連携によるSDGs推進ネットワークをどのように発展させ、SDGs達成を目指して取り組んでいこうと考えているのかとの御質問でございます。 令和2年1月に、和歌山市SDGs推進ネットワークが設立され、会長には、昨年9月、内閣府からグローバル課題に対する持続可能な開発目標への取組を行う先進的な企業の一つとして選ばれた島精機製作所の島正博会長に御就任いただき、本市も幹事及び事務局として参画しています。 今後のネットワークの取組については、SDGsの認知拡大を図り、広く会員を募るとともに、既に先駆的に取り組んでいる会員企業、団体の事例を基に、定期的に学習会を開催し、SDGsへの理解を深める場を設けていきたいと考えております。 また、地域の共通の課題解決に向け、個別テーマごとに分科会を設置し、分科会に参画した企業、団体と官民の垣根を越えて連携を進め、本市におけるSDGsの達成に向け取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) 宮崎福祉局長。 〔福祉局長宮崎 久君登壇〕 ◎福祉局長(宮崎久君) 31番中尾議員の代表質問にお答えします。 幼児教育・保育について、3点ございます。 1点目、待機児童の解消と今後の認定こども園の整備について、どのように考えているのかとの御質問です。 待機児童の解消のため、認定こども園への移行を推進し、現在、民間の認定こども園は24園となっています。その中でも、待機児童が発生しているゼロ、1、2歳児の定員増加に有効である民間幼稚園からの移行は7園あり、さらに令和2年4月に1園移行を予定しています。 公立においても、本町こども園、芦原こども園が幼保連携型認定こども園として開園することとなっています。 認定こども園の今後については、待機児童の解消や障害のある児童の受入れなど、多様化する教育・保育ニーズに対応でき、保護者の働き方に左右されず、幼児教育・保育が受けられる認定こども園への普及の推進を令和2年度から施行する第2期和歌山市子ども・子育て支援事業計画に沿って、令和6年度までに、公立、民間を合わせ30園の認定こども園を目指し、環境の整備等に取り組んでまいります。 2点目、待機児童解消の取組を進める一方で、保育士の人材不足が課題となっているが、保育士が安心して働ける環境を整備するには、業務負担の軽減が必要であると思うが、本市ではどのような施策を進めるのかとの御質問です。 本市の民間保育所、認定こども園では、国の事業を活用し、平成28年度、平成29年度には、事故防止のためのビデオカメラ、乳児の睡眠時の事故を防止する体動モニターなどの備品、園児台帳の作成や園児の登園、降園の管理を行う保育業務支援システムを導入しており、また、公立では、令和2年4月に開園するこども園などに体動モニターを導入するなど、負担軽減に努めているところです。 今後も、保育士等の業務負担が軽減され、安心して働ける環境づくりに取り組んでまいります。 3点目、発達が気になる子供が増える傾向にあり、障害児保育の充実が必要と考えるがどうか、また、障害児を含めた就学前の子供について、小学校との連携が必要と考えるがどうかとの御質問です。 発達が気になる子供が増える傾向にある中で、支援を必要とする子供の育ちを保障することは重要であると考えています。 本市では、私立保育所、認定こども園が特別に支援を要する子供を受け入れている場合や特別に支援を要する子供に保育士等を加配している場合には、市単独の交付金を施設に交付しているところであり、今後もさらなる充実が図れるよう努めていきます。 また、小学校との連携について、保育所等では、入園したときから、子供一人一人の姿や発達の状況、子供の指導の過程、成長の記録、特に配慮すべき事項をまとめた要録を小学校に引き継ぐとともに、市内の幼稚園、保育所等の年長児を対象に実施する5歳児相談事業の結果を報告し、小学校への円滑な接続ができるように連携を図っています。 保育所等と小学校との交流や連絡を密にして、今後もさらに連携を強化できるよう取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) 富松教育長。 〔教育長富松 淳君登壇〕 ◎教育長(富松淳君) 31番中尾議員の代表質問にお答えいたします。 SDGsについて、和歌山市の全校において、SDGsの教育を取り組むべきと考えるがいかがかとの御質問でございます。 小学校では、高学年の社会科、理科、家庭科、総合的な学習等の中で、地域の川の水質調査などの問題解決型の学習や工場見学などの体験的な学習を通し、持続可能な社会について児童が興味を持ち、より主体的に考えることを目指して取り組んでいます。 中学校においても、共生社会や持続可能な社会のために何ができるかということを、生徒が自ら問題意識を持って取り組むことを大切にしながら、学習を進めているところです。 また、本市の掲げる和歌山市学校教育指針においても、学校教育は、国際的な視野に立ち、持続可能な社会の創り手となる子供に「生きる力」を育むという重大な使命を持っているとしています。 SDGsの達成を目指す2030年には、子供たちは社会を担う青年と成長し、様々なところで活躍していることでしょう。そのとき、彼らが主体者として、現在、学習していることを生活の場面でも活用できるよう、社会や世界との関わりの中で学んだことの意義が実感できる、より実践的な体験活動を積極的に進めてまいります。 以上でございます。 〔副議長退席、議長着席〕 ○議長(井上直樹君) 津守教育局長。 〔教育局長津守和宏君登壇〕 ◎教育局長(津守和宏君) 31番中尾議員の代表質問にお答えいたします。 幼児教育・保育について、本市の幼児教育の推進に向けてどのような取組をしていくのかとの御質問です。 教育委員会では、職員合同研修の実施と幼稚園に対する指導、助言に重点を置き、幼児教育の推進に向けた取組を進めています。 令和元年度は職員合同研修として、保育所、幼稚園及び小学校の職員を対象に、年2回の専門研修講座を実施しました。また、本市の中核を担う教員によるミドルリーダー研修活動では、平成30年度から幼児期の教育と小学校教育の接続についての研究を進めており、令和2年3月にはその研究成果を各学校、園に周知する予定です。 幼稚園に対する指導、助言としては、指導主事が各園を訪問し、その園のよさや課題を明らかにするとともに、教員の資質や専門性の向上に向けた指導や助言を行っています。また、和歌山県の幼児教育アドバイザーによる園の指導訪問も行い、幼児教育の質の向上を図っているところです。 今後も、幼児期の教育を一層推進し、幼児教育全体の質の向上を図る取組を進めてまいります。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) 次に、宇治田清治君。--37番。 〔37番宇治田清治君登壇〕(拍手) ◆37番(宇治田清治君) 皆さん、おはようございます。 27分間という短い持ち時間でありますので、できるだけ分かりやすく、要点を絞って質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。 それでは、議長のお許しを頂きましたので、自由民主党市議団を代表いたしまして質問をさせていただきます。 将来の和歌山市の展望について、人口減少対策、観光振興としての統合型リゾート(IR)誘致についてお伺いをします。 平成29年の2月議会で議決された、当局と議会とで、寒川委員長の下、長期総合計画に関する検討特別委員会を設置し、十分に協議を重ねた結果、平成29年から令和8年までの10年間のまちづくりの方向性を定める第5次和歌山市長期総合計画が作成されております。 もちろん、これに沿って施策を進めるのは当然でありますが、今後20年、30年、40年先の日本はどうなっていくのか、世界情勢はどのようになっているのか、しっかりと見極め、分析して、本市の進むべき方向、政策を打ち立てていくことが大変重要かと思います。 2013年、平成25年に発表した社人研の推計試算によりますと、このまま人口減少対策を取らなければ、2060年には本市の人口が21万人になると予測されております。和歌山市の将来、何が一番重要かと考えますと、やはり人口を減少させないことが基本中の基本であると考えます。 近畿圏2府5県の県庁所在地の人口推移を調べてみますと、大阪市274万人、京都市147万人、兵庫県神戸市152万人、和歌山市36万人、奈良市35万人、滋賀県大津市34万人、三重県津市28万人。和歌山市以外の人口は、1975年--昭和50年ですけれども--から、奈良は10万人増えてます。三重県津市は2006年の町村合併もありますけれども、14万人増えてます。滋賀県大津市でも15万人増えてます。大津市は、大阪へ40分、それから京都へ約10分で行けるということで、大阪、京都のベッドタウンとして人口が増加してきた経緯がありますけれども、和歌山市だけが、昭和50年、39万人あった人口が3万4,000人減少し、近畿で突出して人口が減少し続けています。 1985年の40万1,352人をピークに人口減少に転じ、2019年10月1日では35万5,686人となっており、2040年には28万人になると予測されております。今後20年でさらに7万4,000人が減少します。なぜ、近畿で和歌山市だけがこんな状態になったのでしょうか。人口が減少してきた原因は何なのでしょうか。 先般、説明のあった第2期和歌山市人口ビジョンによると、今後もしばらく人口減少が続くとされています。これまでのように、人口減少により、本市が衰退することがないようにしなければなりません。 そのためには、観光振興をはじめとした産業を元気にする必要があると思いますがどうでしょうか、市長の考えをお聞かせください。 次に、観光振興としての統合型リゾート(IR)誘致についてお伺いをします。 令和2年度は本市にIRを誘致するための重要な年で、大きく動き出す年でもあります。 冒頭、市長に苦言を呈しますが、私が違和感を感じたのは、今定例会の市長の施政方針に、統合型リゾート(IR)のことが一言も触れられていないことです。和歌山市の将来を考えたとき、賛否両論があるのは十分承知の上でありますけれども、真剣に取り組まなくてはならない事業ではないでしょうか。 県主体ということは一定理解できますが、今年度から、県から立地市である和歌山市に協議が求められるなど、誘致に向けた本格的な手続に入ります。実施方針、事業所の選定、区域整備計画案の作成と続き、区域整備計画の認定申請では、立地市である和歌山市の同意が必要で、その後、県議会の議決を経て、国に認定申請が出されます。 今年度以降は、本市にも大きく関わってきますので、何点か質問をさせていただきます。 まず、IRの国の動きについて、皆さんも御存じだと思いますが、かいつまんでお話をさせていただきます。 2016年12月に特定複合型観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法が成立いたしました。2018年7月20日には特定複合観光施設区域整備法、いわゆるIR整備法が成立し、2019年7月1日、国土交通省の外局である観光庁に、IRの整備に向けて体制を強化するため、国際観光課を格上げし、定員73名の観光庁IR担当「国際観光部」が設置されました。 同年9月4日、国土交通省が基本方針案を公表し、第1回パブコメを実施し、同年11月19日に国土交通省が基本方針を公表し、区域認定申請の受付期間案が示されました。第2回パブコメが実施され、2020年1月7日、政府内閣府の外局に、2020年--今年ですけれども--委員長それから委員4名を含む100名の陣容でカジノ管理委員会が創設されました。 ここからは予定なんですけれども、今年3月から4月に国土交通省が基本方針を策定し、2021年1月4日から7月30日まで都道府県、政令指定市からIR区域整備計画の国土交通大臣への認定申請の受付が始まります。2021年8月以降、国土交通大臣がIR区域整備計画をIR推進本部の意見を聴いた上で、認定を行うことになっています。 最大3か所まで選定することになっていますが、必ず3か所とは限っていません。2か所あるいは1か所になるということもあり得ると言われています。 和歌山県は、早くからIR誘致に取り組んできた経緯があります。平成22年に県は初めてシンポジウムを開催し、今日まで5回のシンポジウムを開催しています。 2019年--平成31年には本格的に県の誘致活動が活発になってきました。国でIR実施法が4月27日に閣議決定された後、5月8日に和歌山県IR基本構想を発表し、同年6月には「きのくに21」知事と語るというテレビ番組で、和歌山県IRの詳細を仁坂知事が語りました。このときは、コスモパーク加太、和歌山マリーナシティ、旧南紀白浜空港跡地の3か所が候補地として挙げられました。 知事は、2010年に開業したシンガポールのIRを例に挙げて、和歌山市の優位性を話しておりました。都市型とリゾート型の2つのIRが相まって相乗効果を上げ、大きな経済効果を上げているのがシンガポールであり、大阪と和歌山市の関係によく似ているので、かなり和歌山にも誘致のチャンスがあるとのことでした。 候補地は3か所ありましたが、関西空港から近くて京阪神へのアクセスがいい、造成済みですぐに着工が可能、マリンスポーツ、マリンレジャーの聖地であるといった理由から、投資意向のある全ての事業者の関心が高い和歌山マリーナシティに現在は候補地が絞られ、この場所で事業者の募集を行うとのことです。 県のIR基本構想によりますと、投資額は約2,800億円で、来場者は年間400万人、経済波及効果は約3,000億円とされており、そこから生まれる雇用はおよそ2万人と試算されております。県に入る納付金として210億円、入場料は73億円と見込まれています。 和歌山市も、県との今後の協議で、納付金の交付割合が決まり、また、固定資産税や都市計画税、法人市民税など、かなりの税収の増収が見込まれると考えられます。 国の区域認定までの流れに沿って、いよいよ先月、2月20日に県がIR整備法に基づく和歌山県IR実施方針(案)を公表し、立地市である和歌山市に法定協議の通知があり、市は協議に対する回答をすることになりました。 県の実施方針案の概要は、IR区域として和歌山マリーナシティ、その面積は23.63ヘクタール、IR区域の整備の意義や目標を定めています。事業者公募の主な条件として、IRを構成するMICE施設や県独自の破産リスクやギャンブル依存症対策としてIRカードの実施等を明記しています。事業期間は40年間とし、IR事業実施に係る費用は、原則事業者負担としています。その他、事業者の選定方法や今後のスケジュール等が明記されています。 今後のスケジュールについては、現在、示されている政令案では、令和3年1月4日から7月30日までが区域認定の申請期間となっています。それまでの手続としては、立地市である本市との協議を経て、実施方針の策定、事業者の公募、事業者の選定、選定された事業者との基本協定を行い、本市の同意、その後、県議会の議決を経て、国に区域認定の申請が可能となり、その後、国から認定された後に、事業者との実施協定の締結、土地の引渡しを行い工事に着手、2025年春頃の開業を目指すこととなります。 市長は、平成29年2月に現議長であります井上議員の代表質問に対し、和歌山ならではのリゾート型のIRを推進する旨の答弁をされ、ギャンブル依存症対策の法整備が明確でない現状等を踏まえ、市民をギャンブル依存症から防ぐためには、カジノ施設を外国人専用とすることが最善であるとの答弁をされました。 その際、IR誘致のハードルは高いが、本市の活性化につながるチャンス、この可能性を逃すことなく取り組むことが必要で、これが実現すれば観光客が増加し、サービス産業の発展、雇用の増加、定住人口の増加といった好循環につながり、「きらり輝く元気和歌山市」の実現に大きく前進するものと答弁をされました。 その後、仁坂知事がカジノの施設を外国人専用とする考えを転換しましたが、尾花市長はその考えを変えることなく貫いてこられました。 しかし、今般、県がしました実施方針案にも、IR整備法や国の基本方針にも、カジノ施設を外国人専用とできる旨の記述はありません。その背景には、ギャンブル依存症対策について、シンガポール成功事例以上の対策を講じている世界初のIR法制度という国の考え方があり、県はさらにその規制に上乗せした独自の厳しい取組を行うことによるものだと私は考えます。 市長がIR推進を表明した当時は、このようなギャンブル依存症対策はできていませんでした。そのような状況で、市民の中には不安に思われている方もいるので、その不安を払拭する方法は、カジノ施設を外国人専用とするのが最善との考えを示されたと思います。 しかし、私は、国の依存症対策が示され、県の厳しい二重の対策が出た今、外国人専用でなくても十分な対策が講じられているのではないかと考えています。 和歌山IRでは、フランスバリエールグループが2019年、和歌山市内に事務所を開設、マカオのサンシティグループ、フィリピンのブルームベリー・リゾーツも参入に意欲を見せていると聞いており、実現に向け進んでいますが、今後も参入事業者が増える可能性も十分考えられます。慎重に県と協議を重ねていただき、IR事業者としてふさわしい優良な事業者を選定していただくよう要望しておきます。 候補地としては、もう皆さんも御存じのように、大阪の夢洲、それから神奈川県横浜市、長崎県の佐世保市のハウステンボス、和歌山県和歌山市マリーナシティ、愛知県の名古屋市と愛知県の常滑市、それから東京都のお台場等、報道等で聞いておりますけども、何としても和歌山県が選ばれてほしいと私は心から思っております。 そこで、IR誘致に関する和歌山市の予算についてお伺いします。 大阪市では、今年、2020年当初予算で、IR関連予算で、国際観光拠点の形成に向けた立地推進事業1億1,400万円、依存症対策支援事業800万円、夢洲関連予算として77億9,600万円、現時点では夢洲インフラ整備の総事業費は963億円で、主なものは大阪メトロ中央線夢洲新駅540億円等であって、IR事業者に202億円の負担を求める方針だそうです。 それから、横浜市は2019年の9月補正で2億6,000万円、佐世保市平成31年当初予算で1億1,405万円、それぞれ有力な候補地の立地市は早い時期に予算を組んで、誘致活動に必死になって取り組んでいる様子がうかがえるんですが、和歌山市では現時点でまだ予算を組んでいない状況で、取組の意欲と遅れを私は感じるんですがいかがでしょうか、お答えをください。 この実施方針案では、絶景の宝庫として日本遺産に登録された和歌の浦に位置する和歌山IRを自然や温泉、食文化、マリンアクティビティーと連携し、都市部では体験できない自然志向の楽しみと癒やしを提供するリゾート型としています。 目標として、地方部と世界をつなぐ新たな観光ゲートウェイの形成、関西圏のみならず、伊勢湾、紀伊半島、四国圏などに存在する魅力的な観光資源をつなぎ、巡礼や食文化といったストーリー性を持つ新たな観光街道を形成。リゾート型IRならではのMICEビジネスの展開となっています。 ギャンブル依存症対策としては、IR整備法による重層的で多段階的な規制に加え、日本人にはカジノ施設で利用できる上限額の設定機能を付与したIRカードの導入や依存症対策専門員の配置など、県独自の取組をIR事業者とともに運用する体制を構築し、一層強力に推進することがうたわれています。 パチンコ等とは違い、カジノ施設の入場にはマイナンバーカードによる本人確認が行われ、本人あるいは家族による申入れがあった場合には、確実に入場制限が行われることなども踏まえると、私は日本人に対するギャンブル依存症の懸念は払拭されるのだろうと考えています。 県では、IRについて正確な情報を伝えるために、これまで、シンポジウムや60回以上の出前講座、市内6か所で説明会を行っています。市内の説明会終了後に行ったアンケートでは、3人に2人が「賛成」との結果であり、今後も説明会を行っていくとのことであります。この結果を見ても、市民、県民の方々も、IRについての正しい情報を受ければ、不安が少なくなるということが理解できます。 実施方針は、本来国の基本方針に即して策定するものでありますが、国会議員が起訴された汚職事件などを受けて、基本方針の決定が遅れています。しかし、区域認定の申請期間に変更がないことから、県はこれまでの作業を粛々と進めていく方針であります。 2月13日の日経新聞に、和歌山IR県の実施方針案が「MICE誘致」「観光重視」という大きな見出しで掲載されていました。このMICEについて簡単に説明しますと、IR誘致により、国際会議の増加やMICEの振興が期待される中、和歌山IR誘致はMICE設置が誘致の最大のキーポイントとなると考えられます。 ICCA(国際会議協会)の統計によりますと、世界全体の国際会議の開催件数は年々増加傾向にあります。2018年には1万2,937件に上り、日本では492件で世界7位でした。2013年からアジアでずっとトップを堅持しております。 MICEとは、MはMeeting、主に企業がグループ企業やパートナー企業などを集めて行う企業会議、大会、研修会など、IはIncentive Travel、企業が従業員やその代理店等の表彰や研修などの目的で実施する旅行のことで、企業報奨、研修旅行など、CはConvention、国際会議であり、大会、学会や政府が主催する大規模な会議です。EはExhibition/Eventを総称した用語で、国際見本市、展示会、博覧会など、スポーツ・文化イベントなど、大小様々なものが含まれ、インバウンド振興策の一環として、国や自治体で誘致活動が盛んに行われています。 MICE開催を通じた主催者、参加者、出展者等の消費支出や関連の事業支出は、MICE開催地域を中心に大きな経済波及効果を生み出します。MICEは会議開催、宿泊、飲食、観光等の経済消費活動の裾野が広く、また滞在期間が比較的長いと言われており、一般的な観光客以上に周辺地域への経済効果を生み出すことが期待されます。 国は、IRの来訪者を各地の観光地に送り出すことも重視しています。2019年9月に公表したIR基本方針(案)で、東京や大阪などを結ぶゴールデンルート以外の地域を含めた各地への誘客が課題としてきています。 県は、これに対応し、和歌山IRを起点に、伊勢湾、紀伊半島、四国圏などの観光資源をつなぎ、巡礼や食文化といったストーリー性を持つ新たな観光街道を形成するとの項目も盛り込みました。 具体的には、世界遺産の高野山や熊野古道、白浜などに加え、四国まで延びる観光ルートをイメージ、IR事業者は、例えばJRやバス、船、南紀白浜空港などと連携した観光ルートの整備を提案します。県は、紀伊半島の海沿いを通る総延長335キロの高速道路、近畿自動車紀勢線全線の建設が進んでいることも活用したい考えです。 3月末までに最終的な実施方針を決定し、4月には、事業者の募集を始めるとのことです。事業者は、観光関連MICEの呼込みや周遊を実現するプランを作成し、応募し、県はプランを審査して、今週には事業者を決定する予定であります。決定事業者と県は具体的な区域整備計画を共同で作成し、国に応募します。 関西に2か所のIRは来ないという見方についても、県は国に問い合わせたが、そのような考えはなかったと否定しています。 和歌山マリーナシティは、和歌山市郊外にあり、現在、直接乗り入れる鉄道がないなど、アクセス面の課題を早急に検討することが一番に必要ではないかと私は思います。 この方法ですけれども、関西空港からJR海南駅で下車、そして車で10分、そしてマリーナ着、それから、関西空港から南海で和歌山港、それからフェリー乗り場から高速艇で10分、あるいは、和歌山駅からマリーナまでLRTを走らせるとか、それから、阪和道の海南インター方面から直接の道路の建設をする、あるいは観光の柱である和歌山城の木造復建に、観光客誘致の一環としてIR事業者に一部費用を負担してもらうようなことも考えられるのではないかと思います。 先月2月14日、大阪府・市でのカジノを含む統合型リゾートの運営事業者に、IR業界では世界有数の規模を誇る大手であるMGMリゾーツ・インターナショナル米国が事実上決まりました。和歌山県も続いて、事業者を早い段階で決めていきたい意向です。 最初にお聞きした人口減少対策、私は和歌山市にIRを誘致することが一番の特効薬だと思っています。統合型リゾート(IR)でMICE事業を展開することにより、たくさんの観光客を和歌山市に呼び込み、日本遺産である和歌の浦や雑賀崎、和歌山城、磯ノ浦、加太、友ヶ島、その他多くの観光資源を世界に発信し、日本国内、海外から大勢の観光客が訪れ、活気ある町になってほしいと願っています。多くの雇用が生まれ、定住人口が必ず増加すると私は信じています。 3年前にも、井上議員の代表質問で、最後に議員から、一度海外のカジノ施設を見に行ってくださいよと要望がありましたけれども、あれから市長はIR視察に行かれましたか。ぜひ、シンガポール、マカオ、ラスベガス等の統合型リゾート(IR)を実際その目で見て感じて、今後のIR誘致に取り組んでいただきたいと思いますがどうですか、お答えください。 私は、市としても誘致機運の醸成や計画づくりに積極的に参画し、IRの経済的効果をより大きい形で市にもたらすよう取り組むべきではないかと考えます。 そこで、お聞きします。 現在、市の担当部局は政策調整課になると思いますが、今後の予定では、来年の2月頃までには国への区域整備計画認定申請で、市の同意が必要になってくるため、非常に忙しいスケジュールとなるのではないかと予想されます。市庁舎内にIR誘致部門を設ける予定はありませんか。あるいは、政策調整課の人員を増員する予定はありますか。 和歌山市に大きなチャンスが来ているのです。最近では、3事業者以外のIR事業者からも問合せが県に来ているようです。今こそ、和歌山市も県と一緒になって真剣に取り組んで、本市の人口減少対策、観光振興、経済波及効果に大きく寄与する統合型リゾート(IR)誘致に全力で取り組んでいただきたいと思いますが、最後に市長の今後の方針を含めて決意をお聞きして、代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上直樹君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 37番宇治田議員の代表質問にお答えします。 まず、人口減少対策について、今後もしばらく人口減少が続く中で、本市を衰退させないようにするには、観光振興をはじめとした産業を元気にする必要があると考えるがどうかとの御質問でございます。 議員御指摘のとおり、人口減少下においても、持続可能で未来に希望の持てる町の実現に向け、必要となる活力として、産業を元気にする必要があると考えております。そのためには、本市が強みを持つ産業の力を伸ばしつつ、さらに、若者をはじめとする市内就職等を推進するために、成長著しい産業分野をはじめ、多様な産業の振興を図り、各産業間が相互に影響を与えて成長し、雇用の増や職業選択の拡大につなげていくことが必要です。 また、特に観光振興については、増加している観光客のさらなる誘客を図るとともに、おもてなし力や観光資源の魅力の向上など、戦略的な観光施策等を推進し、交流人口や関係人口の増加に重点的に取り組んでいく必要があると考えております。 次に、観光振興としての統合型リゾートIR誘致について、5点頂いております。 1、和歌山市は現時点でまだ予算を組んでいない状況で、取組の意欲と遅れを感じるがどうかとの御質問でございます。 2017年2月に本市がIR誘致の推進について表明した以降、県と連携し、IRの誘致を進めてきましたが、2018年5月に県がカジノ施設は外国人専用という考えから方針転換を行ったことで、協働による誘致活動は少なくなりました。さらに、その後、IR整備法が成立し、申請主体が県、本市は立地市という立場が明確となりました。 このような状況となったことで、和歌山IRに関するアドバイザリー契約や事業用地の購入などの予算を県が持つことになり、他の候補地のように、立地市として多額の予算計上を行ってきませんでした。 しかし、本市はこの間も県と密に連絡を取り合い、情報共有や意見交換などを行ってきており、私自身もIR誘致を推進する考えに変わりはありません。 次に、2点目、3年前の井上議員から代表質問のあった海外のIR視察に、市長はその後行ったのか、3点目、実際、その目で見て感じて、IR誘致に取り組んではどうかとの御質問でございます。一括してお答えします。 海外のIR視察については、昨年行こうと考えておりましたが日程調整がつかず、まだ実現できていませんので、できるだけ早い時期に視察に行きたいと考えております。 4点目、現在、IR関係の担当部局は政策調整課になるが、庁内にIR誘致部門を設ける予定はあるか、あるいは増員する予定はあるかとの御質問でございます。 今後、県からの法定協議等の手続が本格化することから、IR誘致に向けて、専門の職員の配置などが必要と考えております。 5点目、最後に、統合型リゾート(IR)誘致に対する市長の今後の方針も含めて決意をとの御質問でございます。 統合型リゾート(IR)は、カジノ施設だけでなく、これまでにないスケールやクオリティーを有するホテルや家族で楽しめるエンターテインメント施設、世界的な国際会議場等が整備されるもので、実現すれば、大きな経済波及効果や雇用が生み出されるなど、計り知れない可能性を持っており、本市の飛躍的な発展につながります。 また、大阪、京都などの観光ゴールデンルートとともに、新たなゴールデンルートを形成することになり、関西圏全体で世界から注目される国際競争力の高い、魅力ある広域観光拠点として、国内外からの観光客等が大幅に増加します。 一方で、ギャンブル依存症について市民の不安を払拭するために、私はこれまでカジノ施設は外国人専用にすることが最善であると申し上げてきました。 しかし、和歌山市だけが外国人専用とすることで、残念ながら事業者が来なくなったこと、他都市との誘致競争が厳しくなってきたこと、さらにギャンブル依存症対策における国の規制や県の対策が充実されてきたことなどから、カジノ施設を外国人専用とすることが現実的でなくなりました。 今後は、県とさらに連携を密にし、IRに関する正確な説明を行うとともに、本市にとってより良質でメリットのある計画を提案する事業者がより多く参画してもらえるよう、積極的に誘致活動を進めてまいります。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) 前総務局長。 〔総務局長前 寿広君登壇〕
    ◎総務局長(前寿広君) 37番宇治田議員の代表質問にお答えします。 和歌山市の将来展望について、人口減少対策について、本市が人口減少してきた原因をどう考えているかとの御質問です。 本市の人口は、全国の都市と比較して、1985年をピークに、早い段階から減少を続けていますが、その原因は、転出数が転入数を上回る社会減によるものです。また、2003年以降は、死亡数が出生数を上回る自然減も人口減少の大きな原因となっています。 主な社会減の要因としては、大学等への進学や就職などによる大都市への人口流出があります。また、議員御指摘の奈良市、大津市について、近隣大都市への通勤・通学者数を比較すると、本市は2市の7分の1程度であり、本市が大都市のベッドタウンとして選ばれてこなかったことも、一つの要因と考えています。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) 次に、松井紀博君。--24番。 〔24番松井紀博君登壇〕(拍手) ◆24番(松井紀博君) 皆さん、改めましておはようございます。 ただいま井上議長からお許しを頂戴しましたので、質問を行いたいと思います。 市長は施政方針において、本年1月に閣議決定された令和2年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度を引用し、令和元年度の我が国経済は、内需を中心に緩やかに回復していますと述べられましたが、これは一体、どこの世界の話でしょうか。 2月10日、内閣府が発表した10~12月GDP速報値は、季節調整済みで実質年換算6.3%のマイナスという内容でした。10月の消費増税の影響であることは間違いないでしょう。リーマンショック、2014年4月増税に続く下げ幅とのことですが、より国民の実感に近い名目値では、何と過去最高の下げ幅となりました。 さらに、現在、世界全体がその対応に追われている新型コロナウイルスによる影響が反映されるのは、1から3月期ですので、後年、「消費税ショック」と呼ばれるのか、「コロナショック」と呼ばれるのか定かではありませんが、大きな経済の落ち込みは避けようのない事実であり、政治はこの現状を正しく認識し、景気の下支えのため積極的な財政支出を図り、自ら需要を生み出さなければならない、そういう局面と言えるでしょう。 市長を少し擁護しますと、この施政方針の印刷物が我々議員の手元に届いたのは、GDP速報値発表の2日後、2月12日の本定例会の告示日でした。この内閣府の発表は、これには反映できておりません。しかし、この現状は多くの専門家によって指摘されたとおりであり、施政方針に冒頭の閣議決定内容を引用されるのはいささかナンセンスと言わざるを得ません。 いずれにしましても、この政府発表は全く間の抜けたばかばかしい内容であり、日本経済は消費税に大きな影響を受けないと言い続けた内閣、財務省、御用との冠をつけた学者、主要経済団体幹部たち、さらに言えば、「財政規律が」「プライマリーバランスが」と、旧民主党野田政権時の三党合意に縛られ、刻々と変わる国家経済に臨機応変に対応してこなかった与野党の国会議員たちは、この現実に直面し、どう責任を取るつもりなのでしょうか。 和歌山市が目の前に迫った不況に、より適切かつ迅速に対処するため、本日からこの議場において意義深い議論がなされますよう、自身にも言い聞かせつつ、政和クラブを代表して市長にただします。 まず、都市計画行政に関して、創生総合戦略に基づくまちなか活性化についてお聞きします。 当局から発表された第2期和歌山市まち・ひと・しごと創生総合戦略では、公共施設等をその核とし、まちなかににぎわいを創出する旨を目標の一つとしています。このことは、長く掲げてきたコンパクトシティの考え方とも親和性が高く、これが実現できれば、そこから得られる果実は決して少なくないことは、多くの市民の共通した認識でしょう。 そこで、今回は、現在和歌山市が行おうとしているこれらの事業に新たな要素を加え、その効果を一層高めようという提案を行いたいと思います。 前述の公共施設の中心は、令和3年秋の竣工に向け、つち音が響いている和歌山城ホールを指すものと思われますが、その和歌山城ホールをにぎわい拠点の核としてより効果を増すため、歩いて集える一体的な空間づくりと、その運用を提案したいと思いますので、ぜひこれを採用し、巨額の投資から得られる市民の利益を最大化してもらいたいと考えます。 まず、前提として、和歌山市役所の前庭を紀陽銀行和歌山中央支店の敷地と一体化し、市民が憩える空間整備を行うべく、種々検討がなされ、このたびの当初予算案にも整備関連費が盛り込まれております。さらに、和歌山城ホールの南面も同様に、5メートルの歩道に加え10メートルのセットバックを行い、広々とまではいかないものの、それなりの空間が誕生します。 既に隣接するモンティグレ和歌山においては、同様の空間が設けられており、これらの整備が全て整えば、市役所南西の角を拠点に、みずほ銀行の手前まで歩道を含め、奥行きが最大約15メートルから24メートル、幅約300メートルの空間が新たに創出されることになります。 市役所、和歌山城ホール、モンティグレ和歌山、県立医大薬学部と人々が集まるこれらの施設が集積したその足元に生まれる空間、その潜在的に有するポテンシャルを考えれば、この空間こそがにぎわいの拠点そのものとなり得るのではないかと考えるわけです。 そのように考えてみたとき、これらの整備のイメージは、それぞれがおのおのにデザインするのではなく、一体的なイメージと利活用をも考慮した設計施工であるべきと考えますが、現状においてどのような計画となっているのでしょうか。 そこで、伺います。 市役所前紀陽銀行跡地、和歌山城ホール前の整備に関して、一体的な空間としてのデザインがなされているのでしょうか。モンティグレ前も含め、連携した活用方法はイメージできていますか。もしそれがあるのならば、それはどのようなものなのでしょうか、それぞれお答えください。 さて、これらを人々が歩いて集える一体的空間と考えたとき、どうしてもそのイメージの中で一体感を阻害する存在として、市役所の東側道路、市道中橋線が思い浮かびます。人々が集う、滞留する、その横を車が走り抜けるその姿は、安全な憩いの場としての機能とイメージを損ねるのです。 そこで、この際、この市道中橋線の南側を通行止めとし、紀陽銀行敷地の(仮称)城前広場と同じ約22メートル区間を歩行者専用としてはいかがでしょうか。道路の南北双方に可動式バリカーを設置の上、一般車両を規制し、そのスペースも含め、真の意味での集いの空間とすべきではないでしょうか。 市は、市堀川に親水公園を設け、同公園と和歌山城ホールを結ぶ市道中橋線を電柱の地中化や車歩道を再整備し、人々の回遊性を高めるメインルートと位置づけています。ならば、この際、さらにその特色を生かすべく、大胆に計画を膨らませてみてもよいのではないでしょうか。 これを実行すれば、車両が通行できなくなり、モータリゼーションの観点からは明らかな後退となります。当然、全ての人々から同意されることはないでしょう。しかし、反面、その空間をどのようなものと位置づけるのか、歩行者に優しいまちづくりとはどういうものなのか、それらに対する行政の意図は明確になり、多くの市民の賛同を得られるのではないでしょうか。 その場合、市役所の中央駐車場の出口は右折不可、左折オンリーとなります。和歌山城ホールの西側玄関への車両は、その玄関スペースをロータリー代わりとし、北から進入し、北へのみ退出します。市役所東庁舎への来庁車両も同様です。もちろん、市役所前を東へ進む車両も北向きの左折はできなくなります。西に向いて進む車両は、現在も夜間以外は右折禁止なので、大きな変化はないでしょう。 重複しますが、車を使う人には非常に不便になりますが、人に優しいという重要なコンセプトを優先することにより、前者の批判には十分に耐えられると考えるところです。 これが実現すれば、大きな副産物も得ることができるでしょう。それは市役所前の通り南側、お堀に沿った狭い歩道の問題解決です。御橋廊下越しに天守を仰ぐこの場所は、お城のビューポイントとアピールしているものの、それに促され記念撮影をする観光客は一般歩行者の通行の妨げとなり、折からのジョギングブームでお城の周りは絶好のランニングコースとして愛用され、狭い車道路側帯を嫌う自転車までが歩道を走行する現状は、実効幅員約2メートル程度の歩道が許容する範囲をとうの昔に超えてしまっているのです。近年、若干の改修を行い、幅員は増したとはいえ、これを解決する妙案はなかなか見つかりませんでした。 市道中橋線の南端は、正面が御橋廊下というまさに絶好のビューポイントそのものであり、市外から来られた方々からお褒めいただくすばらしい和歌山城がそこにはあるのです。 このように、今回の提案は、南側の狭い歩道の問題を解決する一助にもなると考えます。 そこで、お伺いします。 市道中橋線の南端約22メートル区間を一般車両通行止めとし、市役所前からモンティグレ前までの空間に一体的に含めるべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。 さて、その実現可能性が見えるとすれば、さらにイメージは膨らみます。この際、月に1~2度、その開催日を定めて、この市役所前の一帯を歩行者天国にするのはいかがでしょうか。 市役所前バス駐車場前信号からモンティグレ東側通りまでをその区間とし、指定した日曜日に広く一般に開放するのです。西側のバス駐車場はそのまま使用し、東側の一の橋大手門前は、タクシーだまりや一般車両の乗降場所とします。東から入り、Uターンして東へ抜けるとすれば、機能的に利用が可能でしょう。 この開放した車道、歩行者天国の活用方法は、公序良俗に反しない限り基本的に自由であり、そのルールづくりは市民による活用委員会に委ねるのもよいでしょう。お店を出して各種のグルメの提供もあれば、アマチュアバンドの演奏もある。ダンスグループのパフォーマンスもできるし、野外用の椅子とテーブルを持ち込んで、一日中ひなたぼっこをするのもよいでしょう。銀座の歩行者天国のように、一定間隔で椅子とテーブルを置いておけば、それらは自然とランチ会場に利用されるでしょう。オープンカフェやフリーマーケットはもちろんですが、近年盛んになりつつある、西の丸広場を利用してのイベントの主催者が、車道との動線を活用して、催しの規模拡大を図ってもよいでしょう。相乗りを狙ったイベントを開催し、相乗効果を得られれば、なおよいでしょう。とにかく何でもありが、楽しそうでわくわくするのです。 私は当初、那覇市の国際通りで実施されている一般車両のみを一方通行止めとしたトランジットモールがモデルになるとも考え、現地の取組を視察しました。 那覇市役所の担当者によると、トランジットモールでは、道路交通法の様々な規制を免れることができず、物が置けないという根本的な問題を抱えているとのことで、こんなことなら歩行者天国にすべきであったとの貴重な意見を聞いてまいりました。先進地の失敗から学べば、やはり歩行者天国がベストなのでしょう。 ちなみに、那覇市の国際通りは、その長さがおよそ1マイルであり、過去においては、その復興のさまを「奇跡の1マイル」と呼んだことから、この事業名は「トランジットマイル」と名づけており、毎週日曜日には様々なイベントに活用され、大いに盛り上がりを見せているのは、皆さん御承知のとおりでございます。 そこで、伺います。 和歌山市役所前の通りにて、定期的に歩行者天国を実施し、お城の前をにぎわい創造の拠点と強く位置づけるべきと考えますが、その実現に向けた可能性について見解をお示しください。 これらの実現は、市長の施政方針や来年度の主要事業にもうたわれている歩きたくなるまちなか創生、いわゆるウォーカブルシティの考え方にまさに一致すると思いますので、ぜひ前向きな答弁をお願いいたします。 次に、水道行政に関して、インフラ再整備計画についてと通告いたしました。 1月に和歌山市民のみならず、報道を通じて全国的に騒動となった花山交差点の大口径送水管、配水管の漏水問題は、外部有識者を招いてなされた、当局における事案検証の報告が議会の全員協議会でなされ、また、事案の詳細あるいは今後の危機管理については、さきに行われた花山水系漏水に関する特別委員会において、熱心な議論がなされました。その内容は、遠藤特別委員長より本会議にて報告がなされたとおりであります。 そのときの議論において、私は市長に伝わったかどうか自信はありませんが、次のような趣旨の意見を申し上げました。 今回の件で、市長は危機管理の責任者として、深い反省を繰り返し述べられている。そのことについては、市長の政治信条でもあろうし、また、今回の断水騒ぎによって、やむなく営業休止の判断に迫られた商業者等の矛先が市長に向くのも理解の範囲である。それを考えれば、市長のその謙虚な姿勢は結構だと思う。 しかし、反省ばかりでは歩みは進められない。考え方を切り替えるべきときである。一連の全国的な報道で、和歌山市と尾花市長は、老朽化したインフラが原因で市民の大混乱が生じたと広く実情を認識された。 これを見た、全国の市区町村のリーダーは誰しも、明日は我が身と思ったはずである。全国的に発展してきた我が国のインフラが一斉に老朽化の時期を迎え、しかし、多くの地方自治体の財政は、その更新に耐えられる体力がない。これは、今日あることを直視してこなかった国の失政とも言える。言わば、尾花市長はその失政による被害者の象徴的存在である。ならば、その存在を逆手に取って利用し、使命と受け止め、この問題解決の先頭に立って、国に協力を求めるべきではないかと、おおむねこのような意を込めて発言をしました。 市長、経験者の発言は、聞く者に対して強い説得力を持ちます。今、この問題の発信者としてふさわしい人物は、尾花市長をおいてほかにはないのです。ぜひ老朽化した水道インフラの更新を進めるため、その全国的リーダーとなって、この問題を早期に解決するという、強い決意を示していただきたいと考えますが、このことについて市長のお考えをお聞かせください。 では、具体的に何をすべきで、何ができるのでしょうか、考察してみたいと思います。 多くの市民はあまり御存じないようですが、水道行政は厚生労働省がその管轄官庁です。公共事業の一体化による地方自治体の事業の効率化を図るべく、国が進め、これにより和歌山市においても、公共下水道事業が企業局に統合されました。この下水道事業は、国土交通省が管轄官庁です。さらに言えば、同じく企業局が所管する工業用水事業は経済産業省が管轄官庁となっております。 地方では、水道局が企業局となり、一つの公営企業体が水道、公共下水道、工業用水事業をつかさどり、効率化を図る一方で、国においては、今、述べたような状況なのです。 水道事業は、水の安全性が重要であることは言うまでもありません。したがって、国民の健康に関する事業であるゆえ、厚生労働省が管轄することは十分にうなずけます。 しかし、厚生労働省の主たる役割を考えてみれば、医療と福祉、社会保障の占める割合は年々増加し、それに比して、水道行政は隅に追いやられている感は否めないのです。事実、厚生労働省の水道部門の吏員の多くは、その属性は環境省であるとも仄聞しております。 厚生労働省の組織は、医系技官がその中心的役割を担っており、既存水道インフラの再整備といった土木屋さんの仕事は専門外でしょう。水道事業は、厚生労働省の組織において、決して大きな存在感を示せてはいないのです。 予算面においても、このことは明らかであり、水道事業の補助の多寡は、その年のインフルエンザの流行度合いによって変動するという、何とも悲しい事実を見たとき、まさに推して知るべしといったところでしょう。 さて、そこで考えてみるのですが、水質の安全性を高い次元で保持するため、浄水場に関しては厚生労働省の管轄を維持し、新設、既設を問わず、配水、給水等の水道管網は、土木のプロ集団である国土交通省に所管を移すべきではないでしょうか。 過去にも、このような趣旨の議論が国会においてなされてはおりますが、各省庁の省益に直結する問題は、議論が回避される傾向にあり、両省の連携を深めていくという聞こえのよい言葉だけが残り、現状維持が続いているのです。 これからも、どんどん老朽化する日本中の既存水道インフラを再整備するには、現在のペースに委ねると、およそ140年を要するそうであります。当然、新たな老朽化インフラがそこには出現するわけで、要は、いつまでたっても終わらないのであります。 国土交通省が、災害に強い国土をつくる役割を任じるならば、公共下水道や都市下水道と同様に、水道管路更新を国土強靱化の枠の中心に据え、国民生活に不可欠な水道事業を守る役割をも担うべきではないでしょうか。 その実現のためには、中央官庁の所掌だからといって国任せにはせず、既存インフラの早期再整備から逃げることのできない私たち地方自治体こそ、このことを声を大にして国に訴える必要があるのです。 今、私たちは市民生活に関わる大きな問題と直面しております。さらなる予算を必要とし、そのため運営の効率化をも推進しています。そんな地方自治体だからこそ、省庁の所掌の役割変更の重要性を実感しており、その差し迫った事情は、多くの市区町村の首長、議会、住民の賛同を得られるはずですので、このことを広く国民的議論に付し、国を動かすムーブメントをつくらなければならないとも考えるわけです。 そこで、伺います。 水道事業における水道管路更新事業を国土交通省が進める国土強靱化のスキームの中心に据え、事業推進のために、これらを同省の所管とすべきという愚見に対し、どのような感想をお持ちでしょうか、また、もし市長も同様の意見をお持ちであるならば、まずは全国市長会や中核市市長会が大きな役割を果たすと思いますので、ぜひ市長はこれらの団体における議論をリードし、そのコンセンサスを持って、国に強く働きかけるべきと考えますが、このことについてどのようにお考えですか、それぞれお答えください。 ちょうど時間となりました。これにて政和クラブの代表質問を終わります。御清聴に感謝します。ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上直樹君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 24番松井議員の代表質問にお答えします。 創生総合戦略に基づくまちなか活性化について、5点頂いております。 まず、1点目、市役所前紀陽銀行敷地和歌山城ホール前の整備に関して、一体的な空間としてのデザインがなされているのかとの御質問でございます。 和歌山市役所前広場と紀陽銀行旧和歌山中央支店敷地を活用した(仮称)城前広場及び和歌山城ホール前広場が整備されることで、和歌山城と対岸のビル群との間に大きな都市空間が生まれることになります。 この都市空間を構成する(仮称)城前広場と和歌山城ホール前広場を一体的な空間とするべく、統一性のあるデザインとなるよう配慮しております。具体的には、(仮称)城前広場、市道中橋線、和歌山城ホール前広場がシームレスで一体的な空間となるよう、舗装のデザインなどについて検討しております。 2点目、モンティグレ前も含めた連携した活用方法はイメージできているのか、3点目、もしそれがあるのならば、それはどのようなものなのかとの御質問につきましては、一括してお答えします。 モンティグレ和歌山前までの空間を含めることにより、和歌山城に面した有効な空間が創出され、利用価値は高くなるものと考えております。 活用方法のイメージとしましては、今回、新たに整備する(仮称)城前広場には、飲食等の店舗設置を検討しており、各施設への来訪者が和歌山城を眺めながら、町歩きや食べ歩きができる空間としての活用が考えられます。そして、紀州おどり「ぶんだら節」などのイベント開催時には、モンティグレ和歌山前にキッチンカーが出店されていることから、それらと連携することにより、さらなるにぎわい創出が期待できます。 また、和歌山城ホールでの催事と連動した屋外音楽イベントの開催など、施設と広場が一体となった活用方法を検討してまいります。 次に、4点目、市道中橋線の南端約22メートル区間を一般車両通行止めとし、市役所前からモンティグレ前までの空間に一体的に含めるべきと考えるがいかがかとの御質問でございます。 和歌山城ホールや和歌山県立医科大学のオープンに伴い、市道中橋線周辺では多くの歩行者利用が想定されます。そのため、市道中橋線の整備に当たっては、歩行者に優しい空間となるよう、車道のスラローム化による自動車走行の抑制や両側に歩道を設けることで、天守閣を眺望できる空間づくりを検討しています。 議員御指摘の当該区間における一般車両通行止めは、歩行者に優しい空間を創出するために大変有効な手段であると認識しております。 一方で、生活道路としての利用を考えた場合、周辺環境への影響も考慮する必要があるため、まずは周辺環境に与える効果や影響を分析し、市民の合意形成を図るための検討を進めるとともに、イベント開催時に社会実験として実施し、実現に向けて可能性を検討してまいります。 5点目、和歌山市役所前の通りにて定期的に歩行者天国を実施し、お城の前をにぎわい創造の拠点と強く位置づけるべきと考えるが、その実現に向けた可能性について見解はどうかとの御質問でございます。 私としましても、和歌山城と和歌山城ホール前などの都市空間を一体的に活用するために、イベント開催時など、けやき大通りを歩行者天国化し、市民が思い思いに過ごすことのできる空間を生み出したいと考えております。 一方で、けやき大通りはJR和歌山駅へとつながる幹線道路であり、路線バスも多く運行していることから、歩行者天国実現に向けて、幾つかの課題もあると認識しております。 今後、課題解決に向けて、イベント開催のルールや歩行者天国時の公共交通の在り方、周辺道路の活用方法など、一体的に考えることによりその可能性は大いにあり、実現に向けて努力してまいりたいと考えております。 次に、インフラ再整備計画について、3点頂いております。 まず、老朽化した水道インフラの更新を進めるため、全国的リーダーとなって、この問題を早期に解決する決意を示していただきたいがどうかとの御質問でございます。 花山水系の漏水事故では、市民生活に大きな影響を与えたということで、水道管路更新の重要性を実感しております。また、水道管路の老朽化は、全国的な問題となっており、どこの市町村においても同様な問題を抱えていると思います。 このような漏水事故が起こったということを捉えて、自らの経験も踏まえて、全国の首長の先頭に立って、水道インフラの更新にしっかりと取り組んでまいります。 次に、水道事業における水道管路更新事業を国土交通省が進める国土強靱化のスキームの中心に捉え、事業推進のため同省の所管とすべきと考えるが、市長の考えはどうかとの御質問でございます。 地方公営企業法により、水道事業の企業運営に要する経費は、当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てなければならないとされており、独立採算制での経営が原則ですが、水道管路の更新や耐震を行うことは非常に厳しい状況となっております。 国が進める国土強靱化計画の中には、水道事業の所管省庁である厚生労働省においては、水道施設の耐震化等の推進、また工業用水道事業の所管省庁である経済産業省においても、工業用水道強靱化の推進が主要施策となっており、関係する各省庁に施策の推進について充実を図るよう要望するとともに、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急点検につきましては令和2年度までとなっているため、引き続き継続していただけるよう要望してまいります。 議員御提案の水道管路更新事業を国土交通省の所管とすべきとの御意見につきましては、同省が所管する道路事業や公共下水道事業などと一体化して進めることにより、インフラの再整備を効率的に進められるのではと考えています。 しかし、各省庁の経緯も踏まえると、すぐに解決できる問題ではありませんので、有効的な働きかけ等について検討してまいります。 最後に、もし市長も同様の意見を持っているのならば、全国市長会や中核市市長会にて議論をリードし、そのコンセンサスを持って国に強く働きかけるべきだと思うがどうかとの御質問でございます。 水道管路更新事業における取組については、全国市長会の委員会に研究会等の立ち上げを提案し、自ら研究会をリードさせていただくとともに、国土強靱化計画に対しての国庫補助金の財源の拡充、採択要件の緩和などについて全国市長会や中核市市長会を通じて、国に対して強く要望し、水道管路の更新にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) しばらく休憩します。          午前11時51分休憩   ---------------          午後1時10分再開 ○副議長(松本哲郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 中村朝人君。--2番。 〔2番中村朝人君登壇〕(拍手) ◆2番(中村朝人君) 皆さん、こんにちは。 議長のお許しをいただきましたので、日本共産党市会議員団を代表して代表質問をさせていただきます。なお、質問内容が重複するかもしれませんが、御容赦ください。 まず、IRについてです。 尾花市長は、IRの要となるカジノについて、当初、外国人専用に限ると確固とした姿勢を示されておられましたが、2018年には議会の判断に委ねるとし、昨年12月の記者会見では、現実的ではないと事実上撤回されました。 ギャンブル依存症は、娯楽で始めたギャンブルが自己の制御ができず反復継続する状態です。平たく言えば、やめたくてもやめられない状態です。私は、ギャンブルに見境なくのめり込んでしまう原因は、ギャンブルに引き込むための仕組みにもあると感じています。ですから、依存症になってからの対策はもとより、ならない対策が必要だと思いますし、そのためにはやらないことが一番です。上限金額や入場回数など利用を制限したとしても、依存症による様々な弊害が潜在化するだけで、より長い期間ギャンブルをさせてお金を吸い上げるための仕組みとも言えると思います。依存症対策を行わなければならないような原因を作ることは認められません。 IRの経済波及効果の試算が示されていますが、ギャンブルにお金が使われるということは、本来、地域社会で消費されるはずのお金やその分の経済波及効果も失われ、地域経済の活力が低下します。地域で循環するはずだったお金の多くがカジノ業者の利益として流出すると、その影響は地元業者に及びます。加えて、事業者のライセンスは数年ごとに更新されますが、その際、IRの効果が認められないであるとか依存症対策が十分でなかった場合、断念しようにも、実施協定で定めた期間の残りの損失補償をしなければならない可能性もあり、極めてリスクが高いと言わなければなりません。 また、賭博行為が規制される根拠としては、国民の射幸心をあおるのは、勤労によって財産を得ようとするという健全な経済的風俗を害する点が上げられますし、勤労によって得た財産を消費する際には、生活用品であるとか何らかの形で手元に残ってこその経済活動です。 さて、2019年12月25日、東京地検特捜部は、収賄容疑で秋元議員を逮捕しました。中国企業の500ドットコムから賄賂を受け取ったとされるもので、金額は、最初の逮捕時の約300万円相当から約700万円相当に膨れ上がっています。 秋元議員は、国会でカジノ解禁を先導したカジノ議連副幹事長で、2016年12月にカジノ解禁推進法案が衆議院内閣委員会で、僅か6時間の審議で強行採決されたときは、同委員長としてこれを取り仕切りました。また、2017年8月に発足した第3次安倍内閣で内閣府副大臣(IR担当)に就任し、カジノ実施法案による国内カジノの制度設計に影響力を行使できる立場にあり、カジノ解禁に深く関与していた議員と言えます。 こうしたカジノ汚職の疑惑が明らかになった以上、少なくとも調査結果が出るまではスケジュールを凍結し、カジノ整備の仕組みを再点検すべきとの報道もあります。共同通信社の世論調査でも、IR整備を見直すべきとの意見が70%を超え、このまま進めるべきの21.2%を大きく上回っています。 尾花市長は、昨年12月の記者会見でこの疑惑について問われ、イメージが悪いとだけ述べられ、慎重な姿勢を示すどころか、誘致を加速する姿勢を示しました。 そこで、お伺いします。 1、市民の依存症対策よりも、カジノ誘致を優先してもよいと判断したのでしょうか。 2、カジノ施設が健全な経済活動に資するものとお考えでしょうか。 3、疑惑が指摘されている国会議員は、整備法の制定など制度設計に深く関与された方々であり、IRの誘致自体を白紙撤回すべきではないでしょうか。 次に、水道行政についてお伺いします。 今年1月に漏水による大規模な断水計画が発表され、約8万人の市民の皆様に影響を及ぼす事態となりました。結果として、断水は避けられましたが、広報の在り方や断水対策、埋設管の維持管理など、様々な課題も浮き彫りになりました。和歌山市議会でも特別委員会が設置され、種々議論が行われました。 漏水の原因としては、材質の異なる水道管が交差する地点において、管の電位差による影響で腐食が進んだとのことでした。市当局としては、予測が困難な事象であったとしています。今後は、同様の状態で埋設された箇所が100数十か所に及ぶため、早急に調査し対処するとともに、漏水の状況を見ながら優先順位をつけ、順次老朽管の布設替えを進めるとのことでした。 これまでも、老朽管対策については優先順位をつけて取り組むとのことでしたが、ここ数年間、管の更新率は年々低下し、2018年度の更新率は0.08と極めて低い水準です。昨年の公営企業決算では、有収率の低下についての質問に対し、随伴工事に伴い老朽管の布設替えができなかったため、有収率が低下したと御答弁されていました。このほど行われた令和元年度の補正予算についての審議でも、電力料等や薬品費の増額補正について、随伴工事に伴い布設替えができなかったため、有収率が低下したことによるものと答えられています。また、一方で、随伴工事に伴う管の布設が行われているのに管路経年化率が上昇しています。後の世代にしわ寄せすることのないように、長期的な視点で老朽管対策を行っていただきたいと思います。 建設企業委員会での視察で訪ねた北九州市では、ダクタイル管への布設替えとともに、腐食深さの測定等による劣化調査や土質調査及び過去の漏水履歴から管路の腐食要因を分析、その分析結果などを用いて実耐用年数を設定し、将来の更新需要の平準化を行うとともに、更新率を一定の水準で保ち対策しているとのことです。また、配水管理計画として全体を約90ブロックに分け、維持管理を行っているとのことです。本市と比べ、管路総延長距離に大きな差がありますが、本市の15ブロックと比較すると、細かいメッシュで管理していると言えます。こうしたブロックの細分化は、漏水箇所の早期の特定と対処にもつながるのではないでしょうか。 そこで、お伺いします。 1つ、管路更新率が年々低下しているのはなぜでしょうか。 2つ、老朽管対策をどのように考えていますか。 3つ、維持管理を行う上で、水系ブロックの細分化についてはどのようにお考えですか。 次に、社会保障についてお伺いします。 昨年10月に行った消費税増税により、家計は大打撃を受け、消費は壊滅的な水準にまで低下しています。総務省家計調査では、2人以上の世帯における消費支出は、年額換算で13年平均の363万3,000円から、2019年10月から12月は331万7,000円と30万円以上も下落しています。 国民の暮らしが大変な状態になっているにもかかわらず、政府は、昨年12月20日に2020年度予算案を閣議決定しました。全世代型社会保障の名による社会保障費は、高齢化などに伴う自然増分を約1,200億円削減、この8年間での自然増削減は1兆8,300億円に達しています。年金支給はマクロ経済スライドで2年連続実質削減、診療報酬を4回連続で実質引下げ、生活保護費は10月に3回目の引下げ、大学などで低所得世帯向け就学支援制度の新設を行いましたが、実際は現行の中間所得世帯まで対象にした国立大学授業料の減免制度を段階的に廃止する方針で、実際は社会保障給付費の削減路線を突き進んでいます。 そこで、お伺いします。 市民の暮らしがますます苦しい状況になっている中、本市における国保や介護など社会保障の負担が過大となっているが、市民の暮らしの現状についてどのようにお考えでしょうか。市民の暮らしを守り、より充実していくため、今後の市の施策の充実について、市長のお考えをお聞かせください。 次に、SDGsについてお伺いします。 SDGsは、2015年9月25日第70回国連総会で採択されたものです。前文では、「極端な貧困を含む、あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。すべての国及びステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒し安全にすることを決意している」、「17の持続可能な開発のための目標と、169のターゲットは、この新しく普遍的なアジェンダの規模と野心を示している。これらの目標とターゲットは、ミレニアム開発目標(MDGs)を基にして、ミレニアム開発目標が達成できなかったものを全うすることを目指すものである」などとしています。 2000年9月、ニューヨークの国連本部で開催された国連ミレニアム・サミットに参加した147の国家元首を含む189の国連加盟国代表が、21世紀の国際社会の目標として、より安全で豊かな世界づくりへの協力を約束する国連ミレニアム宣言を採択しました。この宣言と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットでの開発目標をまとめたものが、ミレニアム開発目標(MDGs)です。SDGsは、こうしたMDGsが達成できなかった課題を引き継ぎ、さらに発展させようという意欲的な取組です。 私は、MDGsやSDGsなどが採択され、推進される背景にあるのは、植民地体制が崩壊し、多くの国が新たな政治的独立を勝ち取って主権国家となっている世界的な流れがあると思います。気候変動問題や紛争などによる貧困や抑圧にさらされる後発開発途上国とされる国々や、小島嶼開発途上国などの多くの国々や組織が国際的な会議の場に参加、発言の機会を得るようになったこと、一握りの国だけでなく、全ての国々が対等、平等に参加するようになったこと、市民社会の代表が参加し大きな役割を発揮するようになったことなど、国際社会の構造が大きく進歩しています。こうした流れが積み上げられ、SDGsもその一環にあり、一つの到達点として採択されていると思います。 そこで、お伺いいたします。 1、SDGsが策定された背景や目的についての認識と本市のSDGsの理念に資する事業について、どのように取り組まれるでしょうか。 御承知のとおり、SDGsは17の目標と169のターゲットで構成されています。そのうち、特に日本の取組が遅れているとされるジェンダーや環境の問題についてお伺いしたいと思います。 まず、ジェンダーについてですが、この問題は、男女平等や女性の権利と尊厳、性的思考と性自認など様々な視点から語られます。 世界経済フォーラム(WEF)は、各国の男女格差の大きさを調査したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数2019年版を12月17日に発表しました。日本は、調査対象となった世界153か国のうち121位、G7の中で最低となりました。 ジェンダー・ギャップ指数は、各国の男女の格差を経済、教育、健康、政治の4分野14項目で分析し、各分野における男女格差に着目、評価しています。ゼロから1の指数で示され、1に近づくほど平等とされています。 日本の指数は、総合で0.652ですが、詳細を見ると、健康が0.979で40位、教育が0.983で91位、経済が0.5987で115位、政治が0.049で144位です。日本の評価は、健康の分野は高いものの、教育と経済と政治の分野は芳しくありません。特に政治分野における男女の権限において、日本のランクは他の先進国と比較しても著しく低い結果となりました。政治の分野が極めて低い指数となっていますので、ここを改善しないと始まりませんが、SDGsにおけるジェンダー平等の分野で示されたターゲットには、政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性への参画及び平等なリーダーシップの機会を確保するとされていますので、ぜひ本市においても取り組んでいただきたい課題だと感じています。 そもそもジェンダーとは、一般的、文化的につくられた性差と定義されています。しかし、決して自然にできたものではありませんし、意識だけの問題でもありません。意図的につくられ、押しつけられてきたものです。 時代を遡ってみますと、武家社会が確立される過程で、家の存続や安定のため家父長制が取られ男尊女卑の風潮が強まります。江戸時代には随分と定着したようですが、それでも武士という階層に限られたもののようです。それが明治に入り、富国強兵、国民統制のため、武家社会の家父長制を引き継いだ形で家を制度化し、民法上に戸主権、親権、夫権などの規定を設けた家制度がつくられ、家庭に入り夫を支え子を育てることが女性の役割とされました。その結果、社会進出が阻害され、男性主導の社会が形成されたことにより、女性軽視の風潮が国民的な規模で浸透することになりました。大正になり、普通選挙権が認められましたが、女性参政権は戦後になってからです。その他、民法の改定により家制度が廃止されるなど、幾つかの法整備がなされ、一定の前進はあるものの、いまだに社会的地位に占める女性の割合は低い状況です。 近年、女性の社会進出も進みつつありますが、MeToo運動やフラワーデモなどの運動が行われている背景には、女性の権利や尊厳が守られていない部分がいまだにあるからです。また、働く環境についても、母性保護の観点が労働の現場で十分でないことが少子化の一因との指摘があるように、女性の社会進出を支える社会基盤の整備が大きく立ち後れていること分かります。 こうした状況を改善するためにも、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する点において、政治の分野はもちろんですが、市役所の現状も積極的に改善していただきたいと思います。 2019年4月1日時点ですが、本市の正規の職員のうち、男性は2,044名、女性が830名、職位別では、校長級や園長級では女性に人数が多いものの、局長級では男性が14人、女性はゼロ人です。部長級では40対3、課長級では116対9となっています。この状況を是正すべきではないかと思います。一般的、文化的に作られた性差がジェンダーという問題であるならば、時間が解決するということはなく、意識的な改善が必要であり、そのための環境整備は欠かせません。 女性の就業率が上がっているから、いずれ管理職の割合が上がるという考えでは、あと何年かかるか分かりませんし、改善の保障はありません。また、男女の賃金格差の問題でも非正規雇用に女性が多いことが原因であり、その上、非正規雇用の拡大がより一層格差の拡大につながっています。正規雇用の拡大と併せた環境整備が求められます。 近年では、男性の育児や家事の参加が増加傾向にあるようです。国会議員や首長などの育児休暇を宣言する例もあります。しかし、育児休業制度の男性の利用率は低い状況です。育児休業制度は、男性の家事等への参加のきっかけや女性の職場復帰の後押しにもなると思います。ぜひ男性の取得率の向上を図っていただきたいと思います。 そこで、お伺いします。 ジェンダーについて、男女の賃金格差について、どのようにお考えでしょうか。 2、女性の管理職の比率について、どのように認識されていますか。向上させるべきではないでしょうか。 3、女性職員の割合を上昇させ、賃金格差をなくすためにも非正規職員の雇用を拡大すべきではないでしょうか。 4、育児休業制度の利用状況で男性職員の取得率が低いことについて、どのようにお考えでしょうか。また、所得補償及びその期間の拡充についてはどうでしょうか。 次に、環境問題についてです。 気候変動の問題は、今や気候危機とされる非常事態にまで悪化しています。世界的にも風水害や熱波、多発する山火事など、異常な気象状況による被害が相次いでいます。 日本も例外ではありません。ドイツの環境NGOジャーマンウォッチによると、2018年の日本の気象災害の損害額は約3兆9,400億円、世界で最も気象災害の影響が大きかった国に日本が選ばれています。また、アメリカ保険関連企業エーオンのまとめでも、2018年の台風21号の経済損失を約1兆3,000億円、同じ年の7月の豪雨による損失額を約1兆円と推計しています。 昨年の台風15号、19号により、関東、東北地方にも甚大な被害が及びました。地球温暖化に伴う海面温度の上昇で、大型台風や豪雨が規模も発生頻度も増えているのは科学的に明らかとなってきています。気候危機対策は喫緊の課題です。 こうした気候危機対策が世界的な枠組みで進められており、温暖化防止のため、気温の上昇を具体的な数字を示して温暖化を抑えようとするパリ協定があります。これは、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で、2015年12月12日に採択された気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定です。 パリ協定は、長年にわたる交渉により、気候変動枠組条約締約国会議で200近い国、地域の賛成で合意したもので、文字どおり世界のルールです。世界の平均気温の上昇を産業革命当時に比べ2度未満、できれば1.5度未満に抑えるため、温室効果ガスの排出を、今世紀後半には、排出量から森林などでの吸収量を差し引いて実質ゼロに抑えることを目標にしています。京都議定書と違い、先進国にも発展途上国にも削減を求めたもので、各国が目標提出5年ごとに見直すことを義務づけています。 しかし、残念ながら、日本政府は石炭火力発電所を増設、輸出し、温室効果ガスの削減目標の上積みを拒み、環境NGO国際ネットワーク気候行動ネットワークインターナショナルがその日の交渉で最も後ろ向きの行動を発言した国に贈る化石賞を何度も受賞してしまう状況です。 昨年のCOP25で、小泉環境大臣が具体的な削減目標などを示されなかったことに対し批判を浴びましたが、あくまで国の政策に対する批判です。その後、小泉大臣は、パリ協定の目標に向け、引き続き2050年ゼロカーボンを目指す先進的な動きがさらに広まりますようにとゼロカーボンの推進を発信しています。今年2月27日時点の環境省の調査によれば、二酸化炭素排出実質ゼロ表明を行っている自治体は約73都道府県・市区町村となっています。 私は、気候危機対策の推進に市民社会の影響力を感じています。いろいろな場所で多くの方が様々な形で温暖化防止の取組を行っています。和歌山市も例外ではありません。この声に応える取組の推進を図るべきです。 昨年12月に発表された国連環境計画報告では、現在、各国から出されている目標どおりに削減したとしても、世界の平均気温は、産業革命前に比べて今世紀中に3.2度上昇し、現在の排出ペースが続けば、3.2から3.9度上昇すると予測されています。 SDGsにおいては、気候変動枠組条約が主要な国際的政府間フォーラムの場であるとした上で、世界の年間温室効果ガス排出に関する締約国の緩和約束の相対的効果と、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に抑える可能性の高い相対的な排出の道筋との間に大きな隔たりがあることに深刻な懸念があるとしています。 そのため、SDGs達成については、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする立場で取り組むべきです。この取組の一環として、現在、全国的にも気候非常事態宣言を行う自治体が増えています。国会においても、気候非常事態宣言を目指す超党派の議員連盟が発足しています。設立総会では、日本共産党小池晃衆議院議員が挨拶し、温室効果ガス排出量の実質ゼロに向かうことが問題の核心だと指摘されていることに触れ、政府が率先して2050年ゼロカーボン宣言をすべきと強調しました。 さて、ゼロカーボンを達成するには、国や企業の一層の削減努力が求められますが、全ての国、全てのステークホルダー及び全ての人の参加を得てとのSDGsの趣旨を踏まえ、本市においても独自の施策を一層推進していただきたいと思います。また、それぞれのターゲットが相関関係にあり、包括的に取り組むという観点で言えば、様々な既存事業がSDGsの対象になると思います。ごみの減量もその一つであり、様々なターゲットにアクセスしている事業だと思います。 現在、和歌山市でも、ごみの減量に鋭意取り組んでおられます。特にリデュース--いわゆる排出抑制に取り組んでいます。ごみが出なければごみがなくなるというのは理想的です。実際にごみ減量の方法としての優先順位が高い手段です。しかし、実際にごみの減量とそれに伴う温室効果ガスの削減を進めるために、ごみの資源化を避けては通れません。 現在、和歌山市では、プラスチックごみは焼却処分しています。以前はリサイクルにも取り組んでいましたが、運搬の際にCO2が発生することや焼却の際に発生する熱エネルギーを吸収、利用できることや、燃料代わりになるなどとして熱回収を行っています。しかし、これではプラスチックによる海洋汚染を防止するとともに、温暖化を抑制すると述べている海洋プラスチック憲章やプラごみの排出や焼却量の削減にはつながらないとの指摘があります。 和歌山市一般廃棄物処理基本計画の後期見直し版では、組成分析を見ますと、家庭系の廃棄物のうち、生ごみなどが47%、事業系の食品廃棄物が約24%となっています。草木類やプラスチックなども一定量含まれています。排出抑制とともに、堆肥化や植物性のバイオマスなど、ごみの資源化の取組も強めていただきたいと思います。 そこで、お伺いします。 一つ、SDGsにおける気候緊急対策に関する趣旨を踏まえ、本市では温室効果ガスの削減目標はどのように設定していますか。また、2050年までのゼロカーボンを見据えた取組が必要ではないでしょうか。 一つ、環境への負荷を減らす手段の一つとして、さらなるごみの資源化が必要だと考えますが、本市ではごみ減量目標を設定し、ごみの資源化の促進など、どのようにごみの減量を行っていくのでしょうか。 以上をお伺いして、日本共産党議員団の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(松本哲郎君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 2番中村朝人議員の代表質問にお答えします。 IRについて、3点頂いております。 まず1点目、市民の依存症対策よりもカジノ誘致を優先してもよいと判断したのかとの御質問でございます。 カジノ施設を含む統合型リゾート(IR)は、実現すれば、本市は世界から注目される国際競争力の高い広域観光の拠点都市となり、国内外からの観光客が飛躍的に増加し、大きな経済波及効果や雇用が生み出されるなど、計り知れない可能性があることから、本市が今後さらに発展していくためには必要であると考えております。 一方で、ギャンブル依存症については、市民の中には不安を抱いておられる方もおられますので、IRに関する正確な説明を行い、市民の皆様や議会の皆様に広くお示しし、合意形成に努めてまいります。 次に、2点目、カジノ施設が健全な経済活動に資するとの考えかとの御質問でございます。 IR整備法は、IR推進法の附帯決議である目的の公益性等の8つの観点を踏まえ、刑法の賭博に関する法制との整合性が図られるよう十分な検討が行われた上で成立していることから、民設民営であるカジノ施設も他の公営競技と同じで整合性が図られております。さらに、カジノ施設の場合、既存の公営競技以上に厳格に監督するカジノ管理委員会が行うこととなっています。したがいまして、公営競技と同様に、収益の一部を幅広く公益に活用することは健全なものと考えております。 次に、3点目、疑惑が指摘されている国会議員は、IR整備法の制定など制度設計に深く関与された方々であり、IR誘致を白紙撤回すべきではないかとの御質問でございます。 国の基本方針が正式決定される前の大切な時期に、このような事件が起きたことは残念なことですが、IR誘致の是非とこの問題とは別に考えるべきだと思っています。 私は、先ほど申し上げたとおり、本市が今後さらに発展していくためには、IRは必要と考えていますので、IR誘致活動については引き続き進めてまいります。 次に、社会保障について、2点頂いております。 1、本市における国保や介護など、社会保障の負担が過大となっているが、市民の暮らしの現状についてどのように考えているのか。 2、市民の暮らしを守り、より充実していくため、今後の市の施策の充実について市長の考えはとの御質問でございます。一括してお答えします。 本市においては、他市と比べて保険料が高く、市民の負担となっていることは認識しており、医療費の適正化と介護保険制度の安定した運営が必要と考えています。今後は、施政方針でも申し上げましたが、特に医療、介護については予防への取組を強化し、いつまでも健康で活躍できる生涯現役の社会づくりの推進につなげ、全ての市民の方が安心できる持続可能な町を目指してまいります。 次に、SDGsについて2点頂いております。 まず、SDGsが策定された背景や目的についての認識と本市のSDGsの理念に資する事業についてどのように取り組むのかとの御質問でございます。 現在、気候変動、自然災害、感染症といった地球規模の課題がグローバルに連鎖して発生し、経済成長や貧困、格差等の社会問題にも波及して深刻な影響を及ぼす時代になってきています。 このような状況を踏まえ、2015年9月国連において、持続可能な世界を実現するための国際社会全体の普遍的な目標として、持続可能な開発目標(SDGs)が採択されたと認識しています。 本市の取組としましては、未来都市計画に掲げた6つの優先目標に加え、本市が行う事業の多くがSDGsの理念に資する取組でもあることから、各事業を実施する際には各部局間の連携を促進し、SDGsの視点を取り入れた取組を進めてまいります。 最後に、環境問題について、SDGsにおける気候緊急対策に関する趣旨を踏まえ、本市では温室効果ガスの削減目標をどのように設定しているのか。また、2050年までのゼロカーボンを見据えた取組が必要ではないかとの御質問でございます。 温室効果ガスの削減目標につきましては、第5次和歌山市長期総合計画では、地球環境の保全として、地球環境問題に関する啓発、情報提供を行い、省エネルギー対策などを推進し、温室効果ガス排出削減に取り組むことを定めております。また、第3次和歌山市環境基本計画において、地球温暖化対策の推進に関する法律第21条第3項に基づく第2次和歌山市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の中で、和歌山市の温室効果ガス総排出量を2026年度までに2013年度比9%削減という目標を設定しております。 また、ゼロカーボンにつきましては、2015年に合意されたパリ協定では、平均気温上昇の幅を2度未満とする目標が国際的に広く共有されるとともに、2018年に公表されたIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の特別報告書において、気温上昇を2度よりリスクの低い1.5度に抑えるためには、2050年までにCO2の実質排出量をゼロにすることが必要とされており、環境大臣はパリ協定の目標達成に向け、2050年ゼロカーボンへの対応を広く呼びかけていますので、本市においても積極的対応するためにもこういった動向を注視してまいります。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) 白井企業局長。 〔企業局長白井光典君登壇〕 ◎企業局長(白井光典君) 2番中村朝人議員の代表質問にお答えします。 水道行政について、3点ございます。 管路更新率が年々低下しているのはなぜか。老朽化対策をどのように考えているか。維持管理を行う上で、水系ブロックの細分化についてはどのように考えているかとの御質問です。一括してお答えします。 管路更新率の低下については、和歌山南スマートインターチェンジのアクセス道路建設に随伴し、花山水系、和佐水系との相互連絡管布設事業に重点を置いたことが主な理由です。 老朽管対策については、本市には、平成30年度末時点で、法定耐用年数を経過した管路は全管路の16.9%あります。中核市平均で20.9%と比較すると、老朽管が少ない状況となっていますが、今後、管路の更新にも重点的に取り組みたいと考えております。その計画については、基幹管路は和歌山市水道管路更新基本計画、各水系の重要配水管は重要配水管路網整備計画に基づき、管路の更新を進めてまいります。 併せて本市では、管の破損時に影響区域を最小とするため、各水系ブロックのループ化を図り、水の運搬が可能となるよう相互連絡管の整備を進めています。また、ブロックの細分化につきましては漏水防止対策など、維持管理を行う上で有効な手段であり、検討すべき課題の一つであると考えてます。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) 前総務局長。 〔総務局長前 寿広君登壇〕 ◎総務局長(前寿広君) 2番中村朝人議員の代表質問にお答えします。 SDGsについて、ジェンダーについて、4点の御質問です。 1点目、男女の賃金格差について、どのように考えているか。2点目、女性の管理職の比率について、どのように認識しているか。向上させるべきではないかとの御質問です。併せてお答えします。 賃金については、同じ勤務条件であれば、男女の性別による格差は生じません。しかし、平成31年4月1日現在の本市一般行政職の平均給料月額は、男性職員が33万6,746円、女性職員が29万4,565円となっています。この給料額の差については、平均年齢が男性職員44.3歳に対し、女性職員は39.3歳と低いこと、また、女性職員の課長級以上の管理職に占める割合が7.4%であることも要因であると考えます。 平成29年度策定の和歌山市行財政改革実施計画で、令和3年度までに管理職に占める女性職員の割合を15%とする目標を掲げていますが、依然として低い水準にあります。今後、女性職員が能力を十分に発揮し、活躍できる場を実現させるため、研修等を通じ、昇任意欲を高める取組を進めてまいります。 次に、3点目、女性職員の割合を上昇させ、賃金格差をなくすためにも、正規職員の雇用を拡大すべきではないかとの御質問です。 平成31年4月1日時点での正規職員に占める女性の割合は28.9%で、平成21年度の25.6%から3.3ポイント増加しています。また、直近の新規採用職員に占める女性の割合は、平成29年度50.8%、平成30年度42.5%、平成31年度44.6%となっているため、今後はさらに正規職員に占める女性の割合が増加する見込みです。 最後に、4点目、育児休業制度の利用状況で、男性職員の取得率が低いことについてどう考えているか。また、所得補償及びその期間の拡充についてはどうかとの御質問です。 職員の育児休業制度は、地方公務員の育児休業等に関する法律に基づくものであり、3歳未満の子を養育している職員であれば、男女問わず取得可能です。本市における過去3年間の育児休業の取得状況は、女性職員は100%に対し、男性職員は平均約3%となっており、平成28年4月に策定した和歌山市における女性職員の活躍の推進に関する特定事業主行動計画において、男性職員の育児休業取得率を13%以上とする目標に達していない状況です。今後、取得率を上げるため、管理監督者研修において男性職員の育児休業取得推進を促し、少しでも目標に近づけるよう取り組んでいるところです。 また、所得補償については、共済組合から育児休業期間中、地方公務員等共済組合法の規定に基づき、定められた期間、育児休業手当金の給付を受けることができます。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) 和田市民環境局長。 〔市民環境局長和田年晃君登壇〕 ◎市民環境局長(和田年晃君) 2番中村朝人議員の代表質問にお答えします。 SDGsについて、環境問題について、環境への負荷を減らす手段の一つとして、さらなるごみの削減が必要だと考えるが、本市ではごみ減量目標を設定し、ごみの資源化の促進など、どのようにごみ減量を行っていくのかとの御質問です。 平成23年策定の和歌山市一般廃棄物処理基本計画で、1人1日当たりの資源を除くごみ排出量を10年間で30%削減するというごみ減量目標を掲げ、ごみ減量のため3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取組を進めてきました。その中で、より環境の負荷の少ないリデュース(排出抑制)、リユース(再使用)の取組を進めることが重要です。 また、リサイクル(再生利用)については、分別して資源にすることも引き続き行い、さらに焼却するごみ減量をしながら天然資源の消費を抑制し、持続可能な循環型社会の形成を目指してまいります。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) 次に、永野裕久君。--9番。 〔9番永野裕久君登壇〕(拍手) ◆9番(永野裕久君) 皆さん、こんにちは。 今回、民主クラブ5名を代表して質問をさせていただきますのは、私、永野裕久でございます。本市の発展に少しでもつながればという思いで質問に立たせていただきましたので、市政について議論を深められればと願っております。お疲れのところとは存じますが、しばらくの間、お付き合いをお願いしたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、市長の政治姿勢について、中でも就職氷河期世代の就労支援についてお伺いいたします。 就職氷河期世代とは、御承知のとおり、バブル景気崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動をし、社会に出た人たちのことを指します。就職氷河期世代の多くは、正社員になれずに、満足のいく就職が実現できなかったがゆえに、現在も不本意に非正規雇用で働く人が多いとされています。 就職氷河期世代にはっきりとした定義はありませんが、一般的に1993年から2004年の間に学校卒業期を迎えた世代を指します。高卒者は1975年から1985年頃の間に生まれた人で、大卒者は1970年から1980年頃の間に生まれた人と言われています。その数約1,700万人、そのうち正規雇用を希望していながら、現在、非正規雇用で働いている者は約50万人、非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者は約40万人と推定されています。 年齢的には、現在、30代後半から40代後半を迎える世代になります。ちなみに、私は46歳ですので、年齢的には該当世代であり、バブル景気時代の高校生でもありました。 バブル景気とは、一般的に1986年から1991年までを指します。当時、私は、高校卒業後の進路は就職という選択をしました。1991年、高校3年時の就職活動では、完全な売手市場でしたので条件もよく、就職情報閲覧室には貼り切れないほどの就職情報が貼り出されていた記憶があります。 同期の卒業生は約450人いましたが、私と同じように就職を選択する同級生が多いものの、中には進学を選択する同級生も少なからずいました。和歌山を離れ、東京方面の大学に進学した同級生たちも、帰省時は就職組、進学組関係なく、気の合った昔の仲間同士で集まります。 進学を選択した同級生たちの大学生活4年間で、日本経済は大きく下落しました。ある日、嘆いている同級生がいました。4年前の高卒求人のときのほうがまだ条件がよい場合もある。それどころか、就職浪人も現実味を増してくる。これでは4年前の高校3年時に自分も就職すればよかったのかもしれない、奨学金を借りてまで通った大学なのにと言うのです。 その後はますます不景気になり、多くの企業では給料がカットされたり、リストラが行われたりしました。日本経済はデフレがデフレを呼ぶスパイラル経済に陥り、この後、長く続く暗黒の時代に突入していきます。 中小企業から大手企業まで、多くの会社が倒産しました。また、当時、銀行は、絶対潰れないという銀行不倒神話がありましたが、それも覆り、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、山一證券、三洋証券などの大手金融機関までもが不良債権の増加や株価低迷のあおりを受けて破綻しました。 1997年11月、当時の山一證券野澤社長が「社員は悪くありませんから」と涙ながらに記者会見を行った映像が、今でも多くの国民の脳裏に焼きついているのではないでしょうか。バブル崩壊を示す象徴的な出来事です。その映像をテレビで見ていた当時24歳の私は、翌年2月の結婚を控え、日本もとうとう来るところまで来たか、この先一体どうなるのだろうかと、新婚生活を前に不安に駆られた記憶があります。 バブル景気崩壊から端を発した就職氷河期世代の非正規雇用やひきこもりが、ついには社会問題となりました。不安定な雇用形態がいつまでも続けば、社会保障制度の維持に支障を来し、ひいては氷河期世代そのものが社会的負担となるという有識者からの指摘があります。 そのような現状に、国も就職氷河期世代の支援に動き出しました。主な施策を例に挙げますと、1、政府は、就労支援関連施策として、2020年度予算の概算要求に総額1,344億円を計上し、3か年で30万人の正規雇用化計画。2、就職氷河期世代を対象にした国家公務員の採用。3、全国のハローワークに就職氷河期世代専用窓口を設置。和歌山労働局でも、今年1月から就職氷河期世代の就職を専門的に支援する窓口をハローワーク和歌山に開設しました。 地方自治体に目を向けてみますと、兵庫県宝塚市が令和元年7月に就職氷河期世代に限って事務職員採用試験を行い、正規職員として直接雇用すると発表しました。就職氷河期世代に限定した採用は、全国の市町村では宝塚市が初めてで、全国から1,816人の応募があり、そのうち1,635人が1次試験を受験。その後の面接試験などの結果、4人が合格しました。実に400倍を超える倍率です。超狭き門を突破した4人は、令和2年1月1日付で宝塚市事務職正規職員として辞令が交付され、現在、宝塚市の正規職員として働いています。 就職氷河期世代を対象にした支援は、他の自治体にも広がっています。東京都では、国の3か年計画方針と足並みをそろえる方針を打ち出しました。その主な施策として、1、就職氷河期世代の非正規雇用者や無職の人に対する支援策として、令和2年度予算案に7億円を計上し、正規雇用や育成に関する企業への助成金を支給する。2、就職氷河期世代を対象にした都職員の採用試験の実施などであります。そして、和歌山県でも就職氷河期世代を対象とした正規職員を採用する方針を固め、令和3年度に5名程度採用することを発表しました。 和歌山市に目を向けてみますと、平成31年4月1日現在、本市において非常勤職員及び賃金支弁職員として奉職されている方が920人いると伺っております。法改正により、来年度から会計年度任用職員制度に移行しますが、制度が変わっても、その雇用形態は非正規にあることに何ら変わりはありません。中には、就職氷河期世代であるがゆえに、やる気と能力がありながらも、やむなく非正規雇用形態で就労している人も一定数いるはずです。また、民間にも、同じように高い能力を有しながら、非正規で働く就職氷河期世代の労働者も多くいます。 いずれにしましても、和歌山市においては、就職氷河期世代に対する就労支援はいまだ手つかずの状態です。 そこで、お伺いします。 1点目、バブル景気崩壊のあおりを受けた就職氷河期世代の非正規雇用者やひきこもりの増加は自己責任ではなく、むしろ社会が生み出した負の問題であると思いますが、尾花市長の御見解をお聞かせください。 2点目、就職氷河期世代は、就職難の長い冬の時代を経験してきたからこそ、弱者に寄り添える人間的魅力も培っていると思います。本市は和歌山県の県都です。県内他の市町村のお手本となるべく、就職氷河期世代の支援を行うべきだと思います。様々な支援の形はあると思いますが、その一案として、和歌山市においても就職氷河期世代を対象とした正規職員の採用枠を設けてはいかがでしょうか。提案に対する尾花市長の御所見をお伺いします。 次に、社会資本の老朽化対策についてお伺いします。 本年1月8日に発生した花山交差点内での漏水により、2月17日に開かれた和歌山市議会の全員協議会で、漏水に関する検証結果が報告されました。 報告によりますと、漏水管路は3か所で、1,500ミリ送水管は昭和48年度布設、800ミリ配水管は昭和37年度布設、150ミリ支管に至っては、布設年度が不詳ということでありました。漏水の原因は管の腐食によるもので、老朽化ではないと聞いていますが、経過年数は47年から58年、あるいはそれ以上であります。そのような検証結果報告を受けて、社会資本の老朽化対策について、中でもインフラ再整備について改めて考えさせられました。 令和2年度予算と主要事業の概要によりますと、配水管の整備費用として、前年度当初予算より15%増の23億2,672万3,000円の予算案が計上されていますが、今後、安心・安全で安定した水の供給を行ってもらいたいものです。 社会資本の基盤となる生活インフラは、道路、橋梁、上下水道、トンネル等々に至るまで多種多様にわたります。インフラ整備は1970年代前半がピークで、ピーク以前に整備されたものも多く、それらは既に50年を過ぎており、今回の花山漏水管もしかりです。減価償却資産の耐用年数等に関する省令によりますと、税法上、高架道路30年、上水道50年、橋梁60年となっていることから、大まかには50年と言われています。2020年度以降2040年頃にかけて、老朽化により破損する危険が高まる事態を迎えます。インフラ再整備は避けては通れない目前の重要課題であるはずです。 政府は、平成25年6月に閣議決定した日本再興戦略に基づき、インフラ長寿命化基本計画が取りまとめられました。 本市におきましても、インフラの安全性の向上及び効率的な維持管理を実現することを目的に、インフラ長寿命化計画が策定されています。社会資本の老朽化対策について、中でもインフラ再整備は、インフラ長寿命化計画はもとより、行政トップのリーダーシップが伴ってこそ実行可能なものです。 そこで、市長にお伺いいたします。 花山漏水を教訓に、今後、短期集中的に順次更新時期を迎える生活インフラ再整備についての理念はどうか。また、行政トップである尾花市長の気概をお聞かせください。 最後に、商業施設における期日前投票所についてお伺いいたします。 近年、全国的に見ても各種選挙の投票率は低下傾向にあり、本市においても例外ではありません。直近の地方選挙を例にとって見ますと、平成30年7月執行の和歌山市長選挙では31.56%、同年11月執行の和歌山県知事選挙における和歌山市投票率は30.82%でした。平成31年4月執行の統一地方選挙前半戦の和歌山県議会議員選挙、和歌山市選挙区の投票率は41.43%、後半戦の和歌山市議会議員選挙では40.80%の投票率となっています。 このように、地方議会議員選挙は、県・市ともに40%台に乗せるのがやっとのこと、首長選挙に至っては、県・市ともに30%の節目が攻防ラインという非常に厳しい結果である。これ以上の投票率の低下は20%台を意味します。 選挙は、民主主義政治の根幹をなす重要な制度です。今後、そのような極めて低い投票率で選挙が成立するとなれば、それはもはや民意の代表とは言えなくなるのではとさえ思えるほど、本市の民主主義そのものが危惧されます。 私は、過去に一般質問としてではございましたが、平成27年、同28年、同30年の計3回、各12月市議会において、主権者教育について及び商業施設における期日前投票所についてただしました。質問の趣旨は、昨今の低投票率を憂い、投票率の低下に歯止めをかけ、ひいては投票率を向上に転じさせることを目的にした質問でした。それは総務省任せではなく、各自治体が率先して取り組むべき課題であることから、教育委員会に対し、1、公職選挙法改正に伴う18歳選挙のスタートと絡め、教育現場における出前授業の拡充。2、明日の和歌山市を築くジュニア会議の市議会本会議場での実施など、主権者教育の拡充、この2つの案を提言しました。 また、選挙管理委員会に対しては、有権者の投票機会の創出や利便性の向上が急務であることから、他都市での成功事例を参考に、本市ではイオンモール和歌山を例に挙げ、実現すれば本市としては初となる商業施設における期日前投票所の設置を求めました。 先輩同僚議員の方々も、投票率の低下に歯止めがかからない現状を憂うるところは共通の認識であり、この議場において、主権者教育や期日前投票所の増設について質問され、けんけんがくがくの議論を交わしてきたいきさつがあります。 そういった議論を経て、平成16年第20回参議院議員通常選挙を皮切りに、商工会議所の1か所のみからスタートした期日前投票所ではありましたが、その後、河北コミセン、東部コミセン、南コミセン、さんさんセンター、河南コミセン、そして平成30年7月執行の和歌山市長選挙では、7か所目となるイオンモール和歌山にて、本市初の商業施設における期日前投票所の設置に至りました。選挙管理委員会をはじめ、関係各位の御尽力に改めて感謝申し上げる次第であります。 前述しました本市に初めて商工会議所1か所のみに期日前投票所が設置された平成16年第20回参議院議員通常選挙、和歌山市における投票率は51.36%、総投票者数は16万1,717人で、そのうちの期日前投票者数は1万3,687人、総投票者数に対しての百分率は僅か8.46%でした。 商工会議者に続いて2か所目となる河北コミセン期日前投票所が開設された平成19年4月執行の和歌山県議会議員選挙、和歌山市選挙区の投票率は50.12%で、この選挙を最後に、今日に至るまで本市の地方選挙の投票率は全て50%を下回っています。 投票率が低下の一途をたどる一方で、期日前投票所の増設に比例するかのように、期日前投票所の利用者数は、各種選挙において回を追うごとに著しく増加しています。 最直近の選挙を参考にしますと、昨年7月執行の第25回参議院議員通常選挙、和歌山市における投票率は44.73%、全体の投票者数13万8,901人に占める期日前投票者数は6万488人で、百分率にして実に43.55%にも上ります。 参議院議員選挙は、公示日から投票日の前日までの選挙期間が17日間と他の選挙に比べて長期間とはいえ、総投票者の半数近くがお住まいの地域指定の投票所で投票日に投票したのではなく、期日前投票所を利用して投票していることに驚きです。15年の歳月と29回の各種選挙の積み重ねを経て、今や本市の選挙にとって期日前投票所は大変大きな存在となりました。 イオンモール和歌山期日前投票所では、平成30年7月の和歌山市長選挙を皮切りに、和歌山県知事選挙、統一地方選挙の前半戦、後半戦を経た後、第25回参議院議員通常選挙が執行されました。計5回の選挙を経て、地方選挙から国政選挙までの各種選挙を経験したことになります。 イオンモール和歌山期日前投票所には、私も有権者の一人として公民権を行使し、それ以外にも度々足を運び、大盛況をこの目で確認しました。私の知る限りにおいて、市民の皆様から大変好評であり、それに関しては選挙管理委員会はもとより、議場にいらっしゃる先輩同僚議員の方々も周知の事実ではないかと存じます。 それでは、具体的に数値結果としての成果はどうだったのでしょうか。 和歌山市選挙管理委員会によりますと、和歌山市長選挙では、市内7か所に設置された期日前投票所全体の総投票者数は3万7,015人、そのうちイオンモール和歌山は7,977人で、百分率にして21.55%、和歌山県知事選挙では、期日前投票所全体の総投票者数4万375人、そのうちイオンモール和歌山は1万689人で、百分率にして26.47%、第25回参議院議員通常選挙では、期日前投票所は全体の総投票者数6万488人、そのうちイオンモール和歌山は1万4,360人で、百分率にして23.74%という数値結果であります。全体の期日前投票者数のうち、約4人に1人の割合でイオンモール和歌山期日前投票所から投票したことになります。 また、和歌山市長選挙の際に行ったイオンモール和歌山での期日前投票者へのアンケート調査では、来店目的の質問について、買物ついでが56%、投票そのものを目的に来店された方は34%にも上りました。その34%のうち、投票のついでに買物をする方も多くいることが推察されます。実際にそういった方々による買物客で店舗がにぎわい、売上げ増による経済効果もあったと伺っております。また、期日前投票の経験はあるか否かについての質問では、23%の方が経験ないとお答えになっています。商業施設内に設置されている期日前投票所だからこそ、投票に訪れたと考えられるのではないでしょうか。最後に、今後も利用するか否かの質問には、実に93%の方が利用するとの調査結果が出ています。イオンモール和歌山期日前投票所を過去5回の実績から振り返ってみて、経済効果及び数値結果はもちろんのこと、アンケート結果からも成功であったことは明白です。 和歌山市は、旧市街地から郊外にかけて東西南北に広がる総面積約209平方キロメートルと非常に広い自治体であり、イオンモール和歌山がその広い和歌山市のほぼ最北端にあることから、地域バランスを考慮する観点からも、紀の川以南にも商業施設における期日前投票所の設置が望ましいと考えます。そこには、イオンモール和歌山同様の経済効果及び投票者数の増加が見込めますし、ひいては投票率の低下に歯止めをかけ、さらには投票率の向上に一定の効果があるものと期待を寄せるものであります。 そこで、お伺いします。 1点目、選挙によっては30%を割り込む可能性のある現状の投票率について、どのように受け止めていますか。 2点目、本市における投票環境の向上方策はいかがなものか。 3点目、紀の川以南の商業施設における期日前投票所の設置提案について、設置される意思はあるのかないのか、また、設置されるのであればめどはいつ頃か、選挙管理委員会委員長の御所見を明確にお答えください。 以上で民主クラブの代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(松本哲郎君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 9番永野議員の代表質問にお答えします。 就職氷河期世代の就労支援について、2点いただいております。 就職氷河期世代は自己責任ではなく、社会が生み出した負の問題であると思うが、市長の見解はどうかとの御質問でございます。 就職氷河期世代は、バブル崩壊後の時期と重なってしまったために生じたものであり、正規雇用を希望しながらも、不本意ながら不安定な仕事に就いている方や無就業の方、社会とのつながりをつくり社会参加に向けた支援が必要な方など、様々な課題に直面している方々がおられます。こうした課題については、個人の問題としてではなく、社会全体で受け止め対応していくべきものであると認識しております。 次に、和歌山市においても就職氷河期世代を対象とした正規職員の採用枠を設けてはどうかとの御質問でございます。 今後、3年間の取組で就職氷河期世代の正規雇用者を30万人増やすという目標が経済財政運営と改革の基本方針2019に明記され、国をはじめ地方公共団体においても、就職氷河期世代の雇用を支援する動きが広まっております。 本市においても、令和2年度に就職氷河期世代を対象とした試験を実施し、令和3年度の採用に向けて準備を進めております。 最後に、社会資本の老朽化対策について、今後、短期集中的に順次更新時期を迎える生活インフラ再整備についての理念はどうか。また、行政トップである市長の気概はどうかとの御質問でございます。 生活インフラ再整備の理念については、和歌山市が目指す誰もが安心して住み続けられる持続可能な町の実現と考えています。 議員御指摘のとおり、多くの生活インフラが老朽化し、更新時期を迎えた施設が年々増加している状況であります。生活インフラの再整備については、安全性、信頼性を確保するため、これまでの事後保守的な修繕対応から計画的かつ予防的な対応に転換し、おのおのの公共施設ごとに長寿命化計画を立て、計画的な修繕や更新を実施することで予算の平準化、コストの削減を図ることとしております。 和歌山市が目指す誰もが安心して住み続けられる持続可能なまちの実現のためには、生活インフラの再整備が必要不可欠で、喫緊の課題であることから、今後さらに取組を強化してまいります。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) 大西選挙管理委員会委員長。 〔選挙管理委員会委員長大西勉己君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(大西勉己君) 9番永野議員の代表質問にお答えします。 商業施設における期日前投票所について、3点ございます。 まず1点目、選挙によっては30%を割り込む可能性のある現状の投票率について、どのように受け止めているのかとの御質問です。 投票率については、国政選挙、地方選挙にかかわらず、また本市に限ったものではありませんが、低下傾向にあります。特に若年層の投票率の落ち込みが激しく、今後もこの傾向が続くとすれば、議員御指摘のとおり、民主主義政治の根幹を揺るがしかねないものと非常に危惧しています。 次に、本市における投票環境の向上方策はいかがなものかとの御質問です。 本市においては、お仕事や御旅行等の事由により投票日当日に投票に行くことができない有権者の方々の投票機会の拡充を図るために、期日前投票所を市内7か所に開設しています。また、各選挙の執行を受けて、投票所の投票従事者や有権者の方々の意見を基に、投票所のバリアフリー化対策や必要な選挙機材の設置等、投票所の投票環境の向上に努めています。 最後に、紀の川以南の商業施設における期日前投票所の設置提案について、設置される意思はあるのかないのか。また、設置されるならめどはいつ頃か。選挙管理委員会委員長の所見はどうかとの御質問です。 平成30年7月執行の和歌山市長選挙から、イオンモール和歌山に本市では初となる商業施設への期日前投票所を開設し、当初の予想を超える多くの有権者の皆さんが利用され、今後も引き続き開設してほしいとの声を頂き、大変好評です。 このような結果を受けて、当委員会としましては、市内の大型商業施設にさらなる期日前投票所の開設が必要と認識しています。 そこで、市内の大型商業施設全てについて、必要なスペース、セキュリティーが十分に確保でき、利用者が多く見込まれる等の要件を十分に満たしているかの調査を行い、開設の可否について検討を重ねた結果、紀の川以南の商業施設への新たな期日前投票所を開設すべく協議を進めているところです。 設置のめどにつきましては、令和4年7月25日任期満了の参議院議員通常選挙執行までに開設したいと考えています。 以上でございます。 ○副議長(松本哲郎君) しばらく休憩します。          午後2時23分休憩   ---------------          午後2時50分再開 ○議長(井上直樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 浜田真輔君。--4番。 〔4番浜田真輔君登壇〕(拍手) ◆4番(浜田真輔君) 休憩前に引き続き、皆さん、御苦労さまでございます。 それでは、始めさせていただきます。 昨年の春に、この和歌山市議会の改選がありました。まだ1年たっていません。代表質問が--今回が今期の初めてであります。 最近、私、月日が、また時間が過ぎるのが早く感じてしまうこの頃であります。逆に、過ぎた日は遠く昔に感じてしまう。昨年の選挙が、まるで2~3年前の選挙のような感じがしてしまうのは私だけでしょうか。 時の流れが早いか遅いかはさておき、改選からこの1年足らず、この和歌山市においていろんな事件が数多くありました。原因が内的、外的であるかは別にして、事件が不可測で、なおかつ経験則が生かされないにもかかわらず、対処に際し大事な決断を迫られる場面が多くあったように思います。 不可測な事件が数多く起こる現在にあって、なお一層市民の安心・安全を念頭に置き、これからの和歌山市の将来を真剣に考え、問題提起を恐れず、市民の期待に十分に応えられるようにしていこうという思いが、これが私たち和歌山興志クラブ4名の市政に対する思いであります。 それでは、和歌山興志クラブ4名を代表して、通告に従い、順次質問に移ります。 まず最初に、公営住宅の今後についてであります。 少し日本国憲法の第25条生存権、国の生存権保障義務というものについて、ちょっと朗読といいますか読ませていただきます。第1「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、2「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」、これに基づいて公営住宅法というのが、これは昭和26年施行でありますが、憲法に基づき公営住宅法というのができていました。 第1条だけお話をさせていただきます。「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」というのがこの法律の第1条であります。 そこから、第2次世界大戦後の荒れ果てた国土の中、この国、日本国が戦後復興を成し遂げるには、国民の満たされない衣食住を整えるのが急務であり、最優先の課題でありました。文化的な生活を営む基本である衣食住の充実なくして戦後復興はあり得ない、これは当然のことであります。特に、住宅整備については設備投資に多額な資金を必要とするため、国や公共団体が積極的にこの住宅整備を進めていくしか選択肢がなかったと思われます。 そして、その後、戦後復興に伴い、人口増加や産業振興がこの日本国の地価の高騰を招き、当然、住宅価格も押し上げる結果となりました。引き続き、都市部や人口密集地においては、低廉な住宅供給は公共が担い続けなければならなかったのだと私は理解しています。 しかし、現在の社会環境をぜひ顧みてください。私は望みませんけれども、人口減少が進み、社会問題となり、地方においては、一部を除き地価は下落傾向のままであります。また、戦後の住宅難と言われた時代とは変わり、今や空き家の増加で、公共団体はその対策に追われる始末であります。そして、民間の経済力が上がった結果、一般住宅や集合住宅の民間供給は、既に公共団体より工法やコストの面で効率的になったと私は感じています。 そして、和歌山市営住宅についてのデータで話を進めてまいります。このデータは住宅第1課のデータでありますから、そういう点を御理解して聞いていただけたらと思います。 昨年の4月現在で、入居者戸数は2,280戸であります。世帯別入居者数は、1人及び2人世帯、1,725世帯、全体の75%を占めます。年齢別の入居者数でいいますと、60歳以上、これが2,697人、全体の59%であります。この数字だけ令和2年の1月現在でありますが、継続入居割合、要するにそこに住んでからどれだけ時間がたってるかということですが、30年以上が1,108戸です。これ、全体に49%。 そして、次に収支に関わる話も数字を挙げておきます。年間の住宅使用料収入、家賃を頂く金額ですが、約4億6,000万円、そのうち滞納などの事故率は約3%、そして年間指定管理料というのを払っておりますが、これが約2億6,000万円程度であります、年間加算でありますが。 そして、建設コストに目を向けてみます。今、一番新しいものでいいますと、岡崎団地の1号棟、これ、59戸建設をしてますが、この建設費に約13億6,400万円です。1戸当たり約2,300万円かかっております。よく家を建てるときに坪単価なんていうのを家を建てる人は気にしますが、坪単価でいいますと約140万円、これは家を建ててお財布と相談された方があると思えば、140万円というのは少し私は想像ができません。 このほかに、減価償却、大規模修繕なども当然支出の中に含まれます。また、少し意地悪な数字になりますけれども、この住宅政策、公営住宅を運営する上での市の職員の人件費も含まれて当然であると思います。 今、つらつらと数字を述べさせていただきました。これらの数字から指摘できることは、入居者の高齢化、これは致し方ないという部分はあります。しかし、膠着化が進んでおります。住んでしまうとなかなかそこからもうずっと住み続けてしまうというのが、この数字の中に表れています。少しでも多くの低額所得者を、住宅政策として救えているかということであれば、私は疑問を持ちます。 また、公営住宅に係る建設や修繕、維持管理のコストを見詰め直すと、もっと生きたお金の使い方があるのではないかと私は思います。 社会資本や公共財が、時代とともに多くが更新時期を迎えています。公営住宅も例外ではありません。これからの時代を真剣に見詰め直せば、公営住宅などの箱物を更新して、行政が持ち続ける必要はないと思います。当然、公営住宅の安易な建て替えについては、私は見直すべきときに来ているのかなというふうなことも感じます。 そして、もう一点、今日、所得格差の問題がいろいろ言われております。この視点から和歌山市を見れば、公営住宅法の記す低額所得者という視点から見ても、和歌山市内の所得階層、平成30年度のデータですが、年間200万円以下の所得階層は11万507人います。この人たちの数字を見れば、もう少し現実が分かってくるのかなと、そんな気がします。 そして、これは一つ付け加えますが、和歌山市の子育て支援課が行っているハッピーウエディング事業というものがあるそうです。住宅政策とは少し色合いが違いますが、婚姻をこれからされる夫婦--2人の所得合計が340万円未満ということでありますが--が対象で、住宅取得または住宅の賃貸に係る経費について、最大30万円を助成するという制度が存在します。これも、住宅政策及び公営住宅を考え直す一つのヒントにはならないでしょうかと私は思います。 ここで、公営住宅の今後について質問します。 今まで申し上げたように、まず、住宅政策を取り巻く社会環境は変わったという認識はまずありますか。 次に、住宅政策として、現在の仕組みや在り方を変えるべきだとお考えですか。 私は、早い機会に慎重な検討、研究をして、家賃補助などの新しい制度を、住宅政策として少しでもいいから始めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 以上3点、都市建設局長にお伺いをいたします。 次に、和歌山城についてであります。 「和歌山城って、私たち和歌山市民にとって何か」、そんな問いがあれば、どう答えるでしょうか。「和歌山市のシンボル」、「和歌山市民の精神的支柱や心のよりどころ」、また「和歌山市観光の中心的存在」、そんな声が聞こえてくるのではないでしょうか。そして、もし和歌山城天守閣や城壁、石垣が崩れ落ちたとしたら、そんな姿を想像したくもない、それが多くの和歌山市民の感情だと私は思います。 平成30年4月に、昭和33年に再建された和歌山城天守閣が震度6強から7の大規模地震で倒壊の危険ありと発表されたのは、皆さんも御承知のとおりであります。 同じ徳川御三家の一つ、尾張名古屋城は、和歌山城の1年後、昭和34年に再建をされ、平成30年、和歌山城と同時期でしょうが、耐震強度や設備の老朽化で同年5月から入場中止になっています。名古屋市はその後、約500億円の予算を見込み、木造再建の方向にかじを切ったのですが、実は石垣や地下遺構の保全をするため、考古学的調査、また考古学的視点と工学的視点を合わせ、影響評価と双方の合意というものをつくり、また木造再建の理由精査と全体の整備計画の確立を求めた。これが、文化庁の指摘及び審査の結果であったそうであります。2022年度末に名古屋城は木造建築の完成を見込みましたが、この指摘及び審査の結果を受け再建は先送りになり、まだ完成は見込みが立っていないというのが今の現状であります。 私は、この名古屋城のニュースを聞き、多額の予算さえあれば再建は容易にできるわけではないということを、これで改めて知らされました。お金さえあれば事は済むんだなということではないと思います。 そこで、和歌山城の今後、今の現状を改善するために何を考えなきゃいけないか。そのキーワードは、私は、1、石垣、2とするならば耐震、3が修繕、そして4というのが城内整備、そして5が予算であります。この5つが何よりも大事なことであり、この5つを包括した方向性の確立が定まれば、事業として進めていくタイムスケジュールを組めるはずだと、私はそう思っております。市長は以前、年度内に和歌山城の整備について、今後の方向性を決めると言われていました。 そこで、市長にお伺いをします。 石垣については、歴史的な遺物をどう守り、どう事業を進めていくのか。教訓として、熊本地震による熊本城石垣の現状を目の当たりにした方は、真剣に考えなきゃならないなというふうに感じたと思います。 そして、次に耐震についてでありますが、まず天守閣利用者の安全確保が優先されるべきだと私は思います。このことをどうお考えなのか。そして耐震化に伴い、景観や様式、また工法などはどうお考えなのかとお聞きしたいと思います。 次に、修繕についてであります。 従来から指摘されているとおり、今日は遠藤議員が視線に入りましたので、あのときの質問を思い出してますが、天守閣の雨漏りは今後どうすべきなのか、こういったことを含め、修繕もまたお答えいただければなというふうに思います。 そして、城内整備、お城の中ですが、耐震、修繕に伴い、天守閣の当然、内装や展示も見直していかなければならないと思います。その点もどうお考えか教えていただけたらと思います。 最後に、予算についてでありますが、さきに述べた石垣、耐震、そして修繕、そして城内整備の方向が定まれば、概算は見えてくると思いますが、これらのどれ一つ取っても、少額の予算で済むものではありません。 私は、慎重に予算を見積もるべきだと思いますし、これからの調査のための調査費をまず確保すべきであり、予算というある程度の数字を示し、その後、和歌山市民の理解を今後どう得るべきなのかということを、市長はどうお考えなのか教えていただきたいと思います。 以上、多岐にわたりますが、具体的にお答えいただきたいと思います。そして、併せて和歌山城公園の整備も含め、市長自身の和歌山城に対する思いを改めて聞かせていただければと思います。お城については以上であります。 次に、環境についてであります。 順番上、後攻になってしまいましたが、中村議員と重複をいたしますけども、お許しをいただきたいと思います。 私が昔読んだ本で、表題を思い出せないんですけども、地球は今アレルギー反応を起こしている、人間社会に対して大きな警告をしているということを主題に書いた本がありました。世界的な人口増加、また開発による自然破壊、化石燃料の過大消費などが地球を苦しめているんだと。この本は、実は科学的根拠は何一つありませんでした。しかし、少しなるほどなという思いがしたのであります。 地球が、人間社会の傲慢な振る舞いに対して、警告でありアレルギー反応が今日の気候変動や異常気象だと書いてあったのを私はいまだに覚えております。そういうことを思いながら、環境問題について質問をさせていただきたいと思います。 人間活動を主な要因とする気候変動によって、地球環境は悪化し、我々の生活も世界的規模で脅かされつつある現状にあって、近年の異常気象による災害、熱中症や感染症の増加、農産物や生態系の変化などの事態が如実に物語っているところであります。 日本でも、平成30年の台風21号や、また令和元年の台風15号、また台風19号によって記録的な豪雨や川の氾濫、土砂災害が相次ぐなど、大きな気象災害が発生しています。その原因の一つとされる海水温度の上昇は、地球温暖化に起因するものだという説もあります。 気候変動に関する政府間パネル、第5次評価報告においても、今世紀末までの世界平均気温の変化は0.3から4.8度の範囲内に、海水面の上昇は0.26から0.82メートルの範囲に入る可能性が高く、気候システムの温暖化に疑う余地はないとされ、気候、海水温、海水面水位、氷雪減少などの観測事実が強化され、温暖化していることが再認識をされています。 進行する温暖化を食い止めるため、パリ協定では世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温上昇を2度より十分下方に保持し、1.5度に抑える努力を追求するという目的が掲げられました。今世紀後半には、温室効果ガスの人為的な排出と吸収のバランスを達成できるよう、排出するピークをできるだけ早く抑え、最新の科学に従い、急激に削減することによって目指すことになっております。 また、国連において、持続可能な開発目標SDGsが採択され、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向け、気候変動や具体的な対策を含む17の国際目標の達成に向けて世界中で動きが活発化しています。 少し早くなりますが、気候変動となる人為的な要因を取り除くためには、自治体として諸施策を行っていく必要があると考えます。2016年には、オーストラリアのデビアン市が、自治体として初めて気候非常事態を宣言して以降、世界各国でその動きが広がっています。日本でも昨年9月に、長崎県の壱岐市が自治体として初めて気候非常事態を宣言し、その後は他の自治体でも宣言や決議が行われております。気候変動の危機を認識、周知し、対策を実施する動きが広がっており、本年2月20日には、国会で気候非常事態宣言の決議を目指す超党派の議員連盟が発足をしております。 そこで、最後です、お伺いをします。 和歌山市としても、市の取組や市民の意識啓発を進めるため、気候非常事態宣言をしたらいかがでしょうか、市長にお伺いをさせていただきます。 時間がありません。それでは、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上直樹君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 4番浜田議員の代表質問にお答えします。 和歌山城の今後について、6点頂いております。 1点目、石垣については、歴史的な遺物をどう守り、どう事業を進めていくのかとの御質問でございます。 和歌山城の石垣は、豊臣期、浅野期、徳川期と3世代にわたり良好に残されており、石質の異なる石材を用い、野面積み、打ち込みはぎ、切り込みはぎと、全国的にも珍しい多様な積み方を見ることができる大変重要なものです。 全体の石垣について、平成22年度から25年度にかけて石垣の基礎調査を実施し、石積み技法、破損状況、崩落の危険度など、石垣の面ごとに記録した石垣カルテなどを作成しており、平成29年度からはそのカルテに基づき、劣化や破損が激しく、崩落の危険性があった西の丸の石垣修復を行いました。また、そのときに、石垣上面から貴重な建物の基礎遺構も発見されております。 今後も、文化財的な価値と来城者の安全の両面を考慮しながら優先順位をつけて、計画的に石垣の保全、修復に努めてまいります。 次に2点目、耐震については、まず天守閣利用者の安全確保が優先されるべきだと思うが、どう考えるか、景観、様式、工法などをどう考えるか。3点目、修繕については、天守閣の雨漏りなどの対策をどうするのか。4点目、城内整備については、耐震、修繕に伴い、天守閣の内装や展示の見直しをどうしていくのかとの御質問に一括してお答えします。 天守閣の耐震については、平成29年度末に耐震性能不足の結果を受け、2年間木造再建、耐震改修の両論で研究、検討してまいりました。天守閣に関する史資料の残存状況の調査、整理を基に、木造再建を文化庁と協議した結果、現在の天守閣再建時に地下遺構がなくなっていることなどから、さらなる資料の収集、研究に時間がかかるため、長期的には木造再建を目指しつつ、来城者の安全を最優先に考え、まずは耐震改修の検討を進めます。 工法等を検討するに当たっては、天守台の石垣の保護を前提に、現在の天守閣は江戸時代後期の天守閣を忠実に外観復元したものでありますので、外観に影響のない工法を考えてまいります。 次に、雨漏り対策については、耐震改修と併せて文化財的価値を損なわないように進める必要があり、内装や展示に関しても、さらに魅力向上するようなリニューアルを検討してまいります。 次に5点目、予算については、さきに述べた石垣、耐震、修繕、城内整備の方向性が定まれば概算は見えてくると思うが、これらは少額予算で済むものではない。慎重に予算を見積もるべきで、その調査のための調査費をまず確保すべき。予算というある程度の数字と整備スケジュールを示した上で、和歌山市民の理解を得るべきと考えるがどうかとの御質問でございます。 和歌山城の整備を進めるためには、議員御指摘のとおり、多くの費用がかかることが想定されます。 天守閣の耐震改修については、複雑な構造であることから、令和元年10月から地震計を設置し、実際の地震波による経済設計となるようデータを収集しており、令和2年度も引き続きその観測を行ってまいります。そして、そのデータを基に天守閣利用者の安全確保を優先するため、早ければ令和3年度に耐震基本計画のための調査費の予算計上を目指していきます。 その上で、和歌山城における石垣、修繕、城内整備などの方向性を定め、全体的な予算の算出や整備スケジュール案を作成し、できるだけ早い段階で市民の皆様、議会の皆様にお示しできるよう進めてまいります。 次に6点目、和歌山城公園全体の整備も含め、市長自身の和歌山城に対する思いを改めてお聞かせくださいとの御質問でございます。 和歌山城は、昭和10年に国宝建造物に指定されましたが、戦災により焼失しました。しかし、当時の市民からの寄附等により再建され現在に至っており、和歌山市のシンボルとして、また、和歌山市民の心のよりどころであり、市民の憩いの場として、さらには観光拠点として保全活用されてきました。 私は、市長就任後、徳川御三家の居城であった和歌山城固有の魅力にさらに磨きをかけていきたいとの思いから、ソフト、ハードの両面でできるところから整備を進めてまいりました。 和歌山城公園の南西に位置する扇の芝と呼ばれている一角を、都市計画決定後、文化庁との協議が整ったため史跡に指定し、国の補助事業で復元整備に取り組んでおります。また、大奥、能舞台に関しては発掘調査を行い、遺構があまり残されていない中で、復元的整備ができないか検討を行うなど、徳川の歴史が感じられる往時の姿を再現するための様々な取組を進めております。 今後、さらに、史跡を構成する枢要な要素である石垣遺構の保護や耐震化に合わせた天守閣の整備など、多くの事業がある中で優先順位を決めて魅力向上に取り組んでまいります。 ソフト面では、赤坂で行われた徳川吉宗将軍就任300年記念イベントへの参加、天守閣再建60周年、徳川頼宣公入国400周年など、紀州徳川家にちなんだ事業を積極的に行うことで、和歌山城が徳川御三家の居城であることを積極的にPRしてまいります。 今後も、和歌山市のシンボルとして、また未来に残す国の宝として次世代に残せるよう取り組んでいくとともに、世界に誇れる文化遺産として、国内外から多くの方々に訪れていただける魅力あふれる和歌山城を目指してまいります。 最後に、環境問題について、気候非常事態宣言をしてはどうかとの御質問でございます。 近年、世界各地で記録的な豪雨など、気候変動が要因と考えられる異常気象による大規模な災害が頻発しており、昨年では、インド中部の大雨による洪水で300人以上死亡した事例なども発生しています。また、日本各地においても、昨年の台風19号や平成30年の7月豪雨など、台風の大型化や記録的な大雨などによる災害で多くの人命が奪われるなど、危機的状況にあり、本市においても例外ではありません。 こうした現状を踏まえ、気候変動による影響を住民一人一人が理解し、不安なく、子供たちが将来安心して暮らせるよう、気候非常事態宣言を行うことは有意義なものと考えており、検討してまいります。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) 森都市建設局長。 〔都市建設局長森 泰之君登壇〕 ◎都市建設局長(森泰之君) 4番浜田議員の代表質問にお答えします。 公営住宅の今後について、3点ございます。 1点目、住宅政策を取り巻く社会環境は変わったという認識はまずあるのかとの御質問です。 公営住宅は、戦後間もない昭和26年に施行された公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で賃貸し、または転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として建設されてきました。 公営住宅法が施行されてから約70年がたった現在、少子高齢化の急速な進展や空き家の増加など、住宅政策を取り巻く社会環境は大きく変わったと認識しています。 2点目、住宅政策として、現在の仕組みや在り方を変えるべきだと考えているのかとの御質問です。 市民の住まい方につきましては、持家や賃貸、新築、中古など様々なニーズがあり、主に民間事業者により住宅供給が行われています。一方で、民間では住宅確保することが困難な世帯のために、住宅市場を補完するための公営住宅制度は必要であると考えています。 しかし、公営住宅法が施行された当時から社会環境が大きく変わった昨今、市営住宅の建て替え工事や老朽化した団地の集約や再編等を検討しており、今後、さらに公営住宅の仕組みや在り方について検証する必要があると考えています。 3点目、早い機会に慎重な検討、研究をして、家賃補助などの新しい制度、住宅政策を小さくてもいいから始めるべきだと思うがどうかとの御質問です。 少子高齢化が進展している現在、効率的な事業実施や地域ニーズへの対応など、公営住宅制度は引き続き重要なものと考えています。 公営住宅の経費は、建設工事や修繕工事、維持管理の費用が主なものとなっており、この経費の一部は国費で賄われていますが、民間賃貸住宅を活用することで、固定資産税の歳入増だけでなく、用地費や建設費に係る初期投資を大幅に軽減することができる一方、公営住宅とするための効率的な仕組みの構築が必要であると考えています。 現在、岡崎団地の建設工事を行っていますが、建設工事が完了する令和7年度をめどに、これからの公営住宅の在り方について、家賃補助など先進都市の事例を調査するとともに、国の交付金や補助制度の活用についても研究してまいります。 また、公営住宅制度だけでなく、民間住宅を活用した住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進や、サービスつき高齢者向け住宅の登録の推進にも取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) 次に、山野麻衣子君。--11番。 〔11番山野麻衣子君登壇〕(拍手) ◆11番(山野麻衣子君) 改めまして、こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、日本維新の会を代表して、通告に従い質問をさせていただきます。 人口定着率向上についてです。 大学誘致、雇用創出、人材確保と育成の3つの観点を絡めて質問させていただきたいと思います。 町なか3大学構想により、平成30年4月、東京医療保健大学を皮切りに専門性の高い大学が開学しています。大学が少ない本市は、県外大学進学率ワースト1であり、大学進学時の受験選択肢が県外になってしまうこと、就職時における人口流出に歯止めをかけるために大学誘致することは必要なことと考えています。 私が高校生の頃、様々な大学が増えつつある時代でした。通った高校も既に短大はありましたが、社会構造の変化により単科大学を新設しました。高校生だった私でも、今後、大学が生き残るためには、総合大学ではなく専門性に特化した学部でなければ、少子化において経営が成り立たないと容易に考えられるものでした。だからこそ、大学誘致をする際、仮に総合大学を誘致しても生徒が集まらず、特に私立大学は定員割れしている中で、将来的には閉校、廃校は避けられず、専門性の高い大学の誘致がよいと考えていました。 現在、日本の大学は782校ぐらいあると言われていて、平成の30年間で約300校近く増えています。大学が増えた理由は、大学進学したいという層が増えたこと、大学へ進学できる余裕ができたこと、社会全般が大卒者を求められるようになったことだと考えられます。また、女子の進学率上昇も大きく、短期大学から4年制大学に進む割合が増えたことも理由として挙げられます。 1990年頃までは、短期大学や専門学校で学び、資格取得するには十分であった看護、福祉、医療系分野などの専門職も養成分野に大学が進出し、結果として看護大学、福祉大学、医療大学が開学し、採用時に大卒が有利となる社会が出来上がり、受験生は専門学校より大学を選ぶようになったと思います。 第1期総合戦略の主な成果として、専門性の高い大学の誘致により若者の地元定着率向上へと書かれていますが、大学進学時における選択肢の一つに和歌山の大学という意味では、地元定着率向上と言えるのかもしれません。しかしながら、その先には就職があり、和歌山で就職をして初めて地元定着率向上と言えるのではないでしょうか。 大学生のとき、ある授業で、京都は大学が多いから学生も多いが、就職時には東京や大阪に流れて、京都で就職をしてもらえないのが悩みと言っていました。大学があっても、就職してもらえるとは考えにくいというのがこの授業での感想です。たとえ県外に進学したとしても、就職を和歌山でしてもらうことが人口定着率向上につながるのではないでしょうか。和歌山で就職をしてもらわなければ、単に4年間先延ばししただけとも考えることができます。 4月に、東京医療保健大学の1期生は3回生に、和歌山信愛大学の1期生は2回生になります。学生さんにとっては、就職がそろそろ目の前に見えてきます。専門性の高い大学を誘致した際、その先にある就職における本市の人手不足、なり手不足の解消を考え、需要があるからこそ誘致していることだと思います。 そこでお尋ねします。 現在、町なかにおいて専門性の高い大学を誘致していますが、その学生が地元に定着できるような就職先も併せて考えていますか、お答えください。 続いて、雇用創出という観点は、大学誘致以外の雇用についてお尋ねしたいと思います。 人口減少と高齢化が加速する地方において、地域が将来的に存続していくには次世代を担う若者の存在が必要不可欠であり、若者が住まないと生産労働人口減少、税収が減り、公共サービスの低下となります。若者が生まれ育った地域にどれだけ残るか、戻ってきてくれるかは、その地域の将来性をはかる指標の一つになると言えるのではないでしょうか。地方では、どこでも同じ課題を抱えています。ですから、少子化においては、国内で人口獲得競争をしているにすぎません。この雇用問題は、この先ずっと地方が求められる課題だと私は思います。 さて、地方、田舎は仕事がないとよく言われますが、2016年より有効求人倍率は、全国的にも県内においても1倍を超えていて、仕事がないわけではありません。 では、なぜ仕事がないと言われるのでしょうか。それは、若者が就きたい仕事がないということが考えられます。日本商工会議所によると、大学生に人気の職種は、営業企画、商品開発ということです。しかし、この分野の就業者数が増えているのは東京で、地方で伸びている職種は、医療、福祉、介護で、若者の希望とはずれています。 誰が流出するのかと考えたとき、高校卒業時の進学と就職、大学卒業時の就職だと分かります。全国的に大学進学率が約53%です。本市の高校生の県内就職率は、平成30年では84.4%で、平成26年から5年間を見てもずっと8割を超えていて、高卒就職者の多くは県内に就職していることが分かります。大卒者が就職するとき、県外に進学した若者が帰ってくればよいですが、実際に多くは帰ってきません。このことから、若者流出の主体は高卒就職者ではなく、圧倒的に大卒就職者だと考えることができます。 なぜ流出するのかと考えたとき、雇用の場と考えられます。地方における若者の雇用の場を創出しなければならないと、多くの人が考えていることだと思います。 では、どうやって若者の雇用を創出するのか、そう考えると、企業誘致と考える人が少なくないと思います。企業誘致で新たに生まれる職場の多くが生産現場であり、本社機能、開発などは必要ではなく、創出される雇用の場の多くは高卒就職者の職場とも考えることができます。大卒者にとって本社的機能があることが重要であるなら、本社そのものを持つ地場企業の成長が雇用確保につながると思います。 生まれ育った地域で働きたいか否かは、あくまで本人の自由ですが、本人の選択肢には少なからず親の影響があるのではないかと思います。地方の学生や親の大半が、大都市圏の大学に進学したほうが就職に有利であろうと思っている点、就職先として良質な雇用がなければ、地方から若者が減っていくのはやむを得ないと思います。 就職においては、誰にでもできる仕事、どこでもできる仕事であれば、条件がよいほうを選びます。体験や学習を通じて地元を知り、地域との関わりの中で魅力を感じ、結果として地元への定着につながることがあるかもしれませんが、それだけで全てが解決するのでしょうか。どんなよさがあっても、それらを上回る選択肢が一つでもあれば選ばれず、皆さんも経験しているのではないでしょうか。 地元で就職したいは本人の意思ですが、背後に親の意向が少なくありません。子供が減り、子供を近くに置いておきたい親の気持ち、親の近くに住んで経済的援助を受けたい、両親のために時間を使いたい子の気持ちなどが考えられます。地元就職を考えるに当たり、親と子の関係性は見逃すことができず、親との話合い、親が地元就職を勧める傾向にあり、地元就職希望の若者に対し、地元定着率向上させるには雇用創出など対策も必要ですが、親へのアプローチが重要ではないかと思います。 そこでお尋ねします。 地元就職に関して、親の影響が大きいと思いますが、どのような対策をしていますか、お答えください。 地方における若者の人口減少、ひいては地方都市の衰退傾向は、将来的に日本全体の人口減少をさらに加速するリスクがあります。それは、大都市より地方における出生率が高いことで維持されているからだと考えられます。UIJターンなど、ターゲットを効率的に地方へ増やすことで出生数の増加が見込まれ、継続的な若者確保ができるようになると思います。 就職活動時には、給料や待遇では都市部の企業に魅力を感じることは否めません。実際にかかるお金より、もらうお金のほうにどうしても意識が向いてしまいがちです。実際の生活は、収入と支出のバランスで決まります。自然豊かで温暖、住みやすく子育てしやすい環境であっても、最低限生活するためには働いて稼がなくてはいけません。 今や、全国どこでも、高度な検索技術をもって瞬時に情報を集められることができる時代で、都会と地方の利便性格差は年々埋められつつある方向に作用しています。 第2新卒や転職であれば、生活していく上での収支バランスが分かりますが、新卒では経験がないため、想像が容易ではないかと思います。だからこそ、都市部で生活する、本市で生活する標準的な生活モデル収支比較、例えば、生活モデルが異なることを前提とし、都市部と本市の地域の特性を反映しつつ、ライフサイクルコストや生活水準も含めて評価、比較し、誰でもぱっと見て分かりやすい一覧表を掲示してはどうかと思います。 そこでお尋ねします。 和歌山で実際生活することの魅力を分かりやすくPRしてはどうでしょうか、お答えください。 雇用において、地方の魅力を若者のニーズに合わせてタイムリーに伝え切れていないこと、地方において、若者が魅力と感じられるような環境が提供し切れていないことが課題ですが、地元就職希望の若者がいないわけではなく、また、本市もUIJターンへの就職に関するイベントや情報発信をしていないわけではありません。情報を届けたい対象に届けられていないのではないかと私は考えます。時代に即した若者の特性にマッチした新たな形態のコミュニティーを提供しないといけないと思います。 そこで、ソーシャルメディアを活用し、本市と若者をつなげたらどうでしょうか。今、本市のホームページと企業情報サイト「わく和~クナビ」の2つあり、求人情報やイベント情報などを発信していますが、本市と企業情報サイトを一つにし、進学時など地元を離れる前に、帰省する成人式などの時点でアプリを紹介、登録、アプリを介して情報を発信するということです。 なぜかというと、地元就職希望の若者は、自らが積極的に就職に関する情報を集めるため、欲しい情報を入手できていると思います。結果として、その対象は積極的な人のみにしか広報できていないと考えられます。 積極的な人だけでなく、興味がある程度、情報の集め方が分からない、今は地元就職を考えていないなどの潜在層、消極層にも着実に情報を届け、ふだんから地元情報を発信することで、地元への愛着を高める効果があると思います。 例えば、市駅が新しくなるよとか、あのコンビニがなくなって何かができたなど、自分が住んでいた身近なことは気になるもので、ローカルであればあるほど知りたいものです。皆さんも、学生時代を過ごしたり、住んでいた場所がニュースになったり、テレビで風景が映ると懐かしさを感じる経験をした人は少なくないと思います。 本市を離れても、適度に地元との距離感のつながりを保ちつつ、本市の存在感を伝え続けることは、何となく地元に帰りたい、就職など地元にネガティブなイメージを持っている潜在層や消極層にも、本市で働こうと促す効果があると思います。 そもそも、地元企業の情報収集が分からない若者が存在する中で、このアプリにより地場企業は、新卒あるいは転職者に求人情報を効率的かつ効果的に届けることができ、就職セミナー開催においても、情報発信が積極層だけではなく潜在層や消極層など、幅広い対象者に届けることが可能になると思います。 そこでお尋ねします。 このアプリを活用することで、効率的に幅広い対象の若者にアプローチをすることができると考えますが、どうでしょうか、お答えください。 続いて、人材確保と育成についてです。 農業について、全国的に担い手の高齢化、後継者不足は深刻な課題であり、そこから派生する耕作放棄地の増加になっています。長年、新規就農支援や担い手育成には、全国各地で積極的に取り組まれてきていますが、十分な成果が出ている取組ばかりとは言い難く、その中で農業をこのまま維持していくことができるのでしょうか。 自然の恩恵を生かした仕事で日本を支え続けてきた主要産業であり、この仕事がなければ食生活を維持することはできません。スーパーなどで「この人が作りました」と産地と顔写真があったりしますが、それだけを見ても、この人がどんな場所で、どんな思いで作っているのかまでは分かりません。そのストーリー性を消費者に伝えて、共感から尊敬へと広げ、この距離を埋めることが今後、必要ではないかと私は思います。 就職フェアなどで就農へのアプローチをされていますが、ターゲットが絞り切れておらず、集まらないのが現状ではないでしょうか。農業科の高校など、ターゲット層を絞らないと意味がないと思います。 そこでお尋ねします。 本市への就農を促すために、農林大学校などにもPRしてはどうでしょうか、お答えください。 実際、就農につなげるには、何らかのきっかけが必要で、まずは農業に触れ、親しんでもらうことが第一歩だと思います。実際、体験、経験を通じてやりがいを感じ、やってみたいと感じなければ就農には近づきません。受入先があってこそ成立することではありますが、ファームステイを取り入れてはどうかと私は思います。 ファームステイでは、地元の人と一緒に野菜や果物の収穫などを体験できる短期間の旅で、仕事を手伝いながら地元の人と食事をしたり、農家に滞在して住む、働く、食べる、暮らすために大切なことを実際に体験することで、生きた就農への取組になると私は思います。 そこでお尋ねします。 四季の郷公園のリニューアルを進めていく中で、農泊について検討されていることは把握していますが、農泊だけでなくファームステイへの取組を考えてはどうでしょうか、お答えください。 新規で農業を始めるには、まず初期費用が幾らかかるのか、作物、規模など異なりますが、初年度は収穫までの間、無収入であることはもちろん、収穫にこぎつけても売り物にならなかったり、現金化まで時間を要するため、生計を立てられるようになるまでどれぐらいかかるのか分かりづらいです。 また、何かを育てるというのは、勤務時間が決まっているサラリーマンと異なり、勤務時間に対する不満解消は、ドローンやロボットなどIT技術を導入することで生産効率を上げ、スマート農業導入を新規就農者も取り入れやすくするなどの対策が必要だと思います。 それを学校や公設民営型とか、研修から就農までをワンストップでできる場所があればよいと思います。独立、または本人が望むなら研修場所の異なる土地を借りて就農し、機械をシェアしたり、お互い助け合いながら農業を続けることができる、希望ある農業の姿を提示していくことが大切だと思います。 そこでお尋ねします。 新しく農業を始めたい方がスムーズに就農でき、就農後も安心して営農できるよう、ワンストップ機関など仕組みを考えてはどうでしょうか、お答えください。 次に、マリンスポーツについて。 なぜ和歌山に住んでほしいのか、和歌山ではないと駄目な理由が必要だと私は思います。どこでもできるなら和歌山でなくてもよく、何かに特化している、今、ある地域資源を生かして人口定着率向上をさせるには、和歌山は海、マリンスポーツだと思います。 スポーツの人を引きつける力を地域活性化に生かし、個性ある地域づくりとして、和歌山・イコール・ラーメン、和歌山・イコール・ミカンのように、和歌山・イコール・マリンスポーツに特化し、全国的にマリンスポーツの町としてイメージをつくり上げることで、個性ある地域づくりができ、生き残るためにはマリンスポーツしかないと私は思います。 マリンスポーツをする人材を、全国的に、国際的に通用するプロ選手、指導者の育成と輩出、トレーニング活動など、競技者を多方面から支援できる体制づくり、地域に関わりある選手の活躍やチームがあることで、全国的にも和歌山市の知名度を上げる効果があります。 セーリングやヨットなど、競技力向上が人に活力を与え、スポーツによる地域活性化、経済活性化につながり、スポーツによる一体感の醸成になります。地域の連帯感を高め、コミュニティー形成や強化、地域に根差したスポーツチームや選手が活躍し、応援、支援することが市民の誇りと自信につながると考えます。マリンスポーツ種目やチームが町のシンボル化、地域アイデンティティーを高める効果、スポーツイベントを開催することで経済効果にもつながります。 また、町として有名になり人が集まれば、マリンスポーツに関連する企業誘致が考えられます。スポーツに関連したスポーツ用品、製品などを地域ブランドとして取り組むことで、産業創出、雇用創出が生まれ、地域産業として成長させることができます。 そこでお尋ねします。 和歌山・イコール・マリンスポーツと掲げることで、本市に特化した個性ある地域づくりができると思いますが、人材育成などを通じ本市の認知度を向上させ、人口を定着させるよう取り組むことについてどうお考えでしょうか。 私の提案に対する市長の思いをお聞かせいただき、代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井上直樹君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 11番山野議員の代表質問にお答えします。 人材確保と育成について、和歌山・イコール・マリンスポーツと掲げることで、本市に特化した個性ある地域づくりができると思うが、人材育成などを通じ本市の認知度を向上させ、人口を定着させるよう取り組まれてはどうかとの御質問でございます。 本市には、数多くのマリンスポーツに親しめるスポットがあり、和歌山マリーナシティはセーリングのナショナルトレーニングセンターに指定され、オリンピック選手の育成、強化の拠点として選手合宿等が行われております。本市も県と連携し、全国高校総体のヨット競技を2016年から10年間、固定開催を支援するなど、次世代を担う選手の発掘や人材育成に力を注いでおります。 また、関西有数のサーフィンのメッカである磯の浦海水浴場では、2015年に紀の国わかやま国体のデモンストレーションスポーツとして、西日本で初めてサーフィン競技を開催したほか、昨年度には日本語、英語版のパンフレットを作成するなど、普及啓発を進めております。 このように取り組んでいるところですが、認知度を向上させ、人口を定着していくためには、和歌山・イコール・マリンスポーツとしての地域の魅力を余すことなく市内外に発信することが重要です。来年のワールドマスターズゲームズ2021関西では、セーリングとウインドサーフィンの本市開催が決定しており、多くの方々にPRできる絶好の機会だと考えております。 こうした機会も捉え、美しい海や海岸線など、豊かな自然を生かしたマリンスポーツ環境を本市固有の魅力として広く周知し、認知度を高めるとともに、議員御提案のように、マリンスポーツでの人材育成で交流人口や関係人口の相乗的な増加につなげ、ひいては人口の定着に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) 犬塚市長公室長。 〔市長公室長犬塚康司君登壇〕 ◎市長公室長(犬塚康司君) 11番山野議員の代表質問にお答えします。 人口定着率向上について、大学誘致について、現在、町なかにおいて専門性の高い大学を誘致しているが、その学生が地元に定着できるような就職先も併せて考えているのかとの御質問でございます。 町なかの大学誘致事業は、市内での進学、就職につなげ、若者の県外流出を防ぐことを目的の一つとして進めてきたものです。誘致した大学は、看護師、保育士、薬剤師など、いずれも専門性の高い人材を養成する大学であり、どの職種も求人倍率が高いことから、就職時における本市の需要も高く、就職先は十分にあります。 また、これらの大学は、教育課程に実習を伴い、その実習先の大半が人材を求めている市内の施設であることから、その施設が就職先となることが期待でき、市内就職、地元定着率の向上につながるものと考えています。 今後とも、卒業する学生が市内に就職したくなるよう、愛着を持ってもらえる魅力あるまちづくりに取り組んでいく必要があると考えております。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) 榊原産業交流局長。 〔産業交流局長榊原佳寿君登壇〕 ◎産業交流局長(榊原佳寿君) 11番山野議員の代表質問にお答えします。 人口定着率向上について、6点ございます。 まず、雇用創出について3点でございまして、地元就職に関して親の影響が大きいと思うが、どのような対策をしているのか、次に、和歌山で実際に生活することの魅力を分かりやすくPRしてはどうか、次に、アプリを活用することで、効率的に幅広い若者にアプローチできると考えられるがどうかとの御質問です。一括してお答えします。 本市の市内就職の促進については、議員御指摘のとおり、親の方々の影響も大きいと考えており、高校卒業後に県外の大学等へ進学されている家庭へ就職関連イベントの案内を送付するほか、就職活動を控えた学生を持つ保護者を対象としたセミナーを開催し、地元で暮らし、働くメリットや市内企業約430社の事業者情報や求人情報が掲載された和歌山市企業情報サイトを紹介するなど、企業の魅力を伝え、理解を深めていただけるよう各種事業に取り組んでいます。 次に、UIJターン就職促進のPRとして、都市部や全国平均と比較し、通勤時間の短さ、持家比率の高さ、待機児童の少なさなどの暮らしやすさや、市内企業にUIJターンで就職された先輩社員の仕事内容や休日の過ごし方などを掲載したパンフレットを作成し、就職関連イベントにおいて配布しているところですが、本市での生活がより具体的にイメージできるものとなるよう努めてまいります。 また、現在、登録された方へ就職に関連する情報をメールで配信していますが、議員御指摘のアプリケーションについては、本市の様々な情報を届けるための有効な手段の一つとして考えられることから、まずは就職希望者の利用ニーズを把握した上で、利用者数増加の方策も検討し、その活用について考えてまいります。 続きまして、人材確保と育成について3点でございまして、本市への就職を促すために農林大学校などにもPRしてはどうか、次に、農泊だけでなくファームステイへの取組を考えてはどうか、次に、新しく農業を始めたい方がスムーズに就農でき、就農後も安心して営農できるようワンストップ機関などの仕組みを考えてはどうかとの御質問です。一括してお答えします。 現在、本市での就農を促進するため、就農フェアなどを活用して広くPRしているところですが、ターゲットを絞ることも必要であり、今後、農林大学校なども視野に入れ、本市への就農を促してまいります。 議員御提案のファームステイについてですが、受入先の確保が必要であることから、農泊を検討する中で、実現の可能性について協議してまいります。 また、ワンストップ機関につきましては、就農や営農に関係する機関ごとにそれぞれ権限があることから、一つに統合することは困難であると考えていますが、本市としては、新たに農業を始めようとする方が困ることなくスムーズに農業に定着できるよう、関係機関とさらに連携を強化し、切れ目なくサポートしていきたいと考えています。 以上でございます。 ○議長(井上直樹君) これにて各会派の代表による一般質問を終結します。 お諮りします。 本日の会議はこの程度にとどめ延会し、明3月4日午前10時から会議を開くことにしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(井上直樹君) 御異議なしと認めます。 よって、そのように決しました。 本日はこれにて延会します。          午後3時59分延会   --------------- 地方自治法第123条第2項の規定によってここに署名する。 議長    井上直樹 副議長   松本哲郎 議員    宇治田清治 議員    中尾友紀 議員    松井紀博...