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03月03日-04号

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  1. 和歌山市議会 2017-03-03
    03月03日-04号


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    最終取得日: 2021-06-07
    平成29年  2月 定例会                平成29年          和歌山市議会2月定例会会議録 第4号            平成29年3月3日(金曜日)     -----------------------------議事日程第4号平成29年3月3日(金)午前10時開議第1 会議録署名議員の指名第2 一般質問     -----------------------------会議に付した事件日程第1 会議録署名議員の指名日程第2 一般質問(井上直樹君、中尾友紀君、森下佐知子君、山本忠相君、林 隆一君)     -----------------------------出席議員(38名)  1番  林 隆一君  2番  山野麻衣子君  3番  中村朝人君  4番  堀 良子君  5番  西風章世君  6番  園内浩樹君  7番  永野裕久君  8番  中村元彦君  9番  浜田真輔君 10番  中谷謙二君 11番  丹羽直子君 12番  浦平美博君 13番  上田康二君 14番  吉本昌純君 15番  松坂美知子君 16番  姫田高宏君 17番  中塚 隆君 18番  薮 浩昭君 19番  奥山昭博君 20番  山本忠相君 21番  井上直樹君 22番  芝本和己君 23番  古川祐典君 24番  戸田正人君 25番  松井紀博君 26番  尾崎方哉君 27番  南畑幸代君 28番  森下佐知子君 29番  中尾友紀君 30番  松本哲郎君 31番  北野 均君 32番  山田好雄君 33番  野嶋広子君 34番  宇治田清治君 35番  寒川 篤君 36番  山本宏一君 37番  遠藤富士雄君 38番  佐伯誠章君   ---------------説明のため出席した者の職氏名 市長               尾花正啓君 副市長              荒竹宏之君 副市長              森井 均君 市長公室長            辻 正義君 総務局長             田又俊男君 危機管理局長           宮原秀明君 財政局長             小林亮介君 市民環境局長           山本彰徳君 健康局長             立本 治君 福祉局長             平田謙司君 産業まちづくり局長        坂本安廣君 建設局長             南方節也君 会計管理者            南 秀紀君 教育長              原 一起君 教育局長             北 克巳君 消防局長             出口博一君 公営企業管理者職務代理者水道局長 巽 和祥君 選挙管理委員会委員長       川端正展君 代表監査委員           伊藤隆通君 人事委員会委員長         水野八朗君   ---------------出席事務局職員 事務局長             尾崎順一 事務局副局長           中野光進 議事調査課長           中西 太 議事調査課副課長         石本典生 議事班長             藤井一成 調査班長             村井敏晃 企画員              竹下裕威 企画員              佐川恭士 事務主査             國定正幹 事務主査             北野統紀 事務副主任            平岡直樹 事務副主任            大江健一   ---------------          午前10時00分開議 ○議長(野嶋広子君) ただいまから本日の会議を開きます。   --------------- △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(野嶋広子君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第80条の規定により、議長において  井上直樹君  芝本和己君  中尾友紀君 以上3人の諸君を指名します。   --------------- △日程第2 一般質問 ○議長(野嶋広子君) 次に、日程第2、一般質問に入り、各会派の代表による質問を許します。 井上直樹君。--21番。 〔21番井上直樹君登壇〕(拍手) ◆21番(井上直樹君) おはようございます。 議長のお許しをいただきましたので、至政クラブ19名の所属議員の皆様の思いを込めまして、通告に従い、質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 国と地方の連携による経済政策--アベノミクスの実効性について、機動的な財政政策、市の事業における景気対策について、民間投資を喚起する成長戦略、IRの誘致による地域活性化の可能性についてお伺いします。 それでは、市の事業における景気対策についてお伺いいたします。 和歌山市が取り組む、また、取り組もうとしているさまざまな施策について、安倍総理が掲げるいわゆるアベノミクスといかに連動し、デフレ脱却に向け機能しているのかを検証しながら、それに対する市長の見解とその政治姿勢についてお尋ねします。 アベノミクスは、周知のとおり、平成24年12月の第2次安倍内閣発足時に掲げられ、長引く我が国のデフレ状況を脱却し、健全な経済成長への道をつける、まさに一丁目一番地とも言える政策であります。 大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略から成るいわゆる3本の矢は、一部野党が言う失敗などという批判は全く当たらず、その成果は著しいものがあると考えます。特に、第1の矢である大胆な金融政策では、黒田バズーカと呼ばれる量的緩和からマイナス金利までの一連の金融政策は、極端な円高を是正し、それにより低迷していた株価を引き上げ、企業の投資意欲を生み、デフレスパイラルにブレーキをかけるという大きな成果を上げました。 このまま、適度の物価上昇をもって経済成長への道筋を一直線に進むかとの期待もありましたが、民主党、野田内閣から引き継ぎ実行された平成26年4月の消費税8%引き上げは、個人消費マインドに冷や水を浴びせ、それまで上昇の気配を見せていた消費者物価指数は完全にその上昇率を鈍化させてしまいました。 これを受け、平成26年11月、安倍総理が下した決断は、平成27年10月予定の消費税10%の再増税の1年半の先送りであります。さらに、昨年5月には2年半の先送りを発表しました。 これをもって、安倍総理に批判的な勢力からはアベノミクスの失敗だとの批判も見られますが、まさにお門違いも甚だしく、文句を言う先は、消費税の影響は短期的かつ限定的であるとの大合唱をし、世間をあおり、結果が違うと黙ってしまう勢力ではないでしょうか。 せっかくの第1の矢の効果を一部消費税8%引き上げで相殺され、期待されたインフレ率には届かない状況が続くものの、金融政策のもう一つの大きな目的である雇用については、求人状況も失業率も、多くの数値において史上最もよい労働市場環境となり、大いなる成果を上げたものと評価できるでしょう。 さて、第2、第3の矢はどうでしょうか。GDPにおける政府支出の割合は、決して大きな伸びを示しておりません。もっと大胆に、もっと大きく市場に投資をして、第1の矢の金融政策との相乗効果が得られると確信しております。 さらに言えば、政府は、地方が真に欲する政策予算を自治体の裁量権とともに分配する。それを受け、地方自治体は、国の経済政策の一翼を担う立場であるという自負を持って、いかに乗数効果の高まる予算執行をなすのかが重要ではないでしょうか。 そういった国の動向を踏まえたとき、市当局は、いかに効果的に予算獲得ができるかにこだわり過ぎ、それが政策立案の要素として少し欠けている部分があるような気がしてなりません。 施策の立案、予算の編成過程において立案者が持つべきは、その政策実施に伴う予算執行、言いかえれば和歌山市に対する政府支出がいかに和歌山市経済の景気刺激につながるという、予算執行者しての思考です。 こんな事例がありました。地方創生推進交付金、いわゆるまち・ひと・しごと創生交付金について、和歌山市は数百万円の補助金を獲得し、同じ額を市の負担金として予算を編成しておきながら、事もあろうか、その事業の発注を市外、県外業者になそうとしたのです。これなどは、いかに市の予算執行が和歌山市域経済への影響を考慮せずになされているかの典型例です。 また、職員には、民間の事業に対して補助を行う際にも、そのお金の使い方に対し、注文をつけるという習慣が余りありません。お金は出すが、口は出さないのです。事業そのものは民間のアイデアに委ねても、税を原資に補助金等を支出する以上、その事業効果における当初の思惑が外れたとしても、最低限、経済効果は担保するといった貪欲さが必要ではないでしょうか。 市長は、このような和歌山市域内経済に対する効果を高める予算執行の考え方について、どのような見解をお持ちでしょうか。 また、これまでの予算執行のあり方について、私と同様の認識をお持ちでしょうか。同様の認識であるならば、今後の予算執行に際して、その経済効果を最大化するため、どのような対策を講じ、市職員の意識改革を図っていかれますか、それぞれお答えください。 次に、予算編成過程における事業の優先順位についてお尋ねします。 市長は、就任以来、国の方針に即した事業を積極的に採用し、国、県の補助金等を可能な限り獲得すべきとの大方針を掲げ、取り組んでこられました。 しかし、ここで一つ懸念すべきことがあります。 それは、補助金が獲得できる事業とそうでない事業とでは、明らかに前者が優先され、和歌山市にとって重要な施策、また、和歌山市経済にとって効果的な施策であったとしても、補助金等がない事業についてはプライオリティーが低いという傾向が見受けられるという点です。 市長の大号令のもと、さまざまな事業において職員が知恵を絞り、努力する意欲的な姿はこれまでにないもので、これはこれで非常に結構でありますが、やはり多くの事業において、補助金の有無にとらわれることなく、何が満足度の高い住民サービスなのか、何が市民の福利の最大化につながるのか、さまざまな要素を分析し、総合的に判断すべきではないでしょうか。 何度も言いますが、補助金の有無が事業導入における支配的要因になってはいけないと考えます。国の考える事業と地域が地域の実情に応じて行う事業に違いがあるのは当然で、和歌山市長や当局職員は和歌山市のオリジナルな市政をなすべきだと考えております。 これまでも、一般質問等において、例えば、既存インフラの整備など、いわゆる生活関連予算への重点的配分をすべしとの提言がたびたびなされております。それに対し、国の補助金を活用できないか研究する、補助金の対象事業となるよう国に要望する等の答弁がなされてきましたが、これでは議論は全くかみ合っていないと言わざるを得ません。 規模の小さな既存インフラの補修、整備などは、国の補助対象ではなく、市の単独予算が求められます。しかし、このような生活関連予算に対する市民要望には高いものがあり、これらの事業への予算配分は、その市民ニーズに応えるだけにとどまっておらず、副次元的な効果を得られることが期待できるのです。 小さな補修工事などは、ほとんどの場合、既存の市役所の事務手続で完結できてしまい、新たな行政機構を構築するという余計な労力、経費は不要です。しかし、その発注先は、ほぼ和歌山市の零細規模の業者で事が済みます。大きな公共事業では大手業者の孫請に甘んじている零細業者に市が直接発注することで、現場の作業員などへの給与支払いへと、そのシンプルな流れが期待できるでしょう。 一般的に、所得水準が高くない層への給与配分は消費性向が高いため、これら事業の乗数効果は極めて高いことが期待され、生きる税の配分、効果的な経済対策として実効性が高いものと考えます。 以上のことを申し上げた上で、次のことをお伺いいたします。 市長並びに市当局は、事業の選定に際し、臨機応変、その場、そのときに即した施策を優先すべきではないでしょうか。補助金の有無のみにとらわれず、真に必要な事業であるか否か、他の要素も加味し、総合的な判断をするよう、これまでの大方針を微調整されるおつもりはありませんか。このことについてお答えください。 次に、職員の給与についてをテーマといたします。 さきに述べたとおり、著しい労働市場の改善という一定の成果を見せているアベノミクスではありますが、個人消費の回復はいまだ見られません。若干改善の兆しを見せている企業の設備投資に助けられている直近の経済指標ではありますが、いまや春闘は官製春闘ともやゆされるほど、政府における給与水準の引き上げを促す大号令に賛同する企業も徐々にふえつつあります。 しかし、大企業、正規雇用という所得水準が高い層は、そもそも貯蓄性向が高いため、給与増の額が即座に消費の増額につながるとは必ずしも言い切れません。やはり、非正規から正規への移行と、それに伴う給与水準の底上げが見られることこそ、全体における個人消費の伸びにつながるのです。 そこで、和歌山市職員の給与に目を向けてみたいと思います。 本市人事委員会は、国家公務員になされた人事院勧告を勘案し、昨年度、一昨年度と本市人事委員会の勧告を行い、それを受け、市長は議会に提案し、職員の給与水準を引き上げてきました。 国民が待ち望んだデフレ脱却を図るためには、国民、市民感情は別にして、この給与引き上げは正しい政策であると評価できます。ましてや、和歌山市役所は、和歌山市においては数少ない大規模雇用の事業所でもありますので、その社会的使命として労働市場に即応することもまた必要でしょう。 しかし、ここに蚊帳の外に置かれた人たちがいます。それは、9月議会において我が会派の議員も一般質問のテーマとして取り上げました非常勤職員、賃金支弁職員の皆さんです。そのときの議論によりますと、彼らの給与水準は、34中核市のうち下位から7番目の低位置にあるとのことでした。 今議会に上程された当初予算には、非常勤職員、月額1,000円から1万1,000円の報酬の引き上げと、事務補助員、日額70円、時給10円の賃金引き上げを盛り込んでおられます。少しでも前に進んでいることについて、大いに評価しますと言いたいところではありますが、残念ながらその上げ幅は少な過ぎるのではないでしょうか。 先日、厚生労働省から発表された賃金構造統計調査において、正社員とフルタイムの非正規労働者の賃金格差は、この統計をとり始めて以降、最も少なくなったことがわかりました。それによると、正規を100とした場合、非正規が65.8とのことです。 翻って、本市における両者の割合はと調査をお願いしたところ、行政職の非常勤の平均年齢は39歳で、その平均年収は約172万6,000円、同年齢の正規職員の年収は557万4,000円で、これに対する非常勤の割合は31%と極めて低い数値であり、賃金支弁職員に至っては正規職員の24%となっています。 今、政府では、働き方改革実現会議が組織され、その議論にあって、同一労働同一賃金の実現可能性について突っ込んだ議論がなされております。 インフレ目標の達成は、消費性向の高い層、いわゆる低給与水準である非正規労働者の給与を上げることにより、実現可能性がより高まります。低所得者層の個人消費の喚起は、既に高水準である層の給与をさらに引き上げるより、よほど効果が高いのです。 ここに、財政的な投資を行う、小池東京都知事の横文字好きをまねるわけではありませんが、ワイズスペンディング--賢い支出と言えるのではないでしょうか。 そうであるならば、行政職、保育士、保健師、看護師、調理員、これらの職に当たり、正職員とほぼ同一労働で汗を流す彼ら非常勤職員の給与をさっさと引き上げ、貴重な人材の労働市場への流出を未然に防ぎ、個人消費にも貢献してもらうことは、大いに市民サービスの向上につながると言えるでしょう。 そこで、お伺いいたします。 非常勤職員の報酬、賃金支弁職員の賃金を速やかに引き上げるべきだと考えますが、このことについて見解をお示しください。 また、私の意見に、もっともだとうなずいていただけるならば、どの水準を目標として、それをいつまでに達成するつもりがあるのかを明確にお答えください。当局の皆様とともに汗を流す非常勤職員と賃金支弁職員に対して、誠意ある心のこもった答弁を期待します。 次に、民間投資を喚起する成長戦略、IRの誘致による地域活性化の可能性についてお伺いさせていただきます。 前にも説明させていただきましたが、IRとは、日本語で複合観光集客施設のことを言います。英語ではIntegrated Resort、その頭文字をとり、IRと呼びます。 IRの施設内はどのようなものかといいますと、ホテルや商業施設--ショッピングモール、レストラン、劇場、映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温泉施設またはMICE施設の国際会議場、展示施設とカジノなどを備えた施設であるという前提でお話をお聞きください。 では、そうしたIRになぜカジノが必要なのか。一言で言いますと、カジノは複合観光集客施設、IRの潤滑油だからです。カジノからの収益によって、不採算部門を含む複合観光集客施設、IRという大規模の施設運営を円滑に行うことが可能になるのです。 例えば、充実した施設を備えた巨大な会議場があれば大きな国際会議を招致できますが、こうした会議場の運営は単体では決して容易ではなく、場合によっては税金の投入が必要になることもあります。こうした問題を、世界の国々はカジノを含むIRを導入することによって解決してきました。IR施設の一部として会議場を新設し、国際会議の招致を次々と成功させているのです。 そうした状況の中で、日本が有している国際会議場は、残念ながら競争力を失いつつあります。国際会議場の招致活動の現場では、シンガポールや韓国、中国の後塵を拝することも多くなっています。かつて、アジアで国際会議を開くのであれば、その第1候補に挙がった日本の都市が、いまやシンガポールやソウル、上海などにその座を奪われ始めています。 ここにIR推進法の意味があります。カジノ法と呼ばれたりすることもありますが、カジノはあくまでも脇役にすぎません。その目的は、日本の観光立国化にあり、それによって日本の経済の継続的な成長を可能にすることになります。 最近、和歌山市でも外国人の姿を目にするようになりました。中国や韓国からだけではなく、東南アジアや欧米諸国からの観光客もよく見かけることと思います。それもそのはずです。観光庁の調べによれば、2015年、日本を訪れた外国人観光客は前年度比47.1%増の1,974万人となり、過去最多を記録しました。 政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に訪日外国人を4,000万人にするという目標を掲げておりますが、その達成が決して不可能ではないほどの勢いで外国人観光客がふえているのです。 それだけ多くの外国人観光客が日本を訪れれば、当然、国内消費も活性化されます。中国人観光客の爆買いは、ニュースでもよく紹介されていましたが、外国人観光客による消費増加は、はっきりと数字にもあらわれています。2015年訪日外国人旅行消費額は、前年比71.5%増の3兆4,771億円となり、こちらも過去最高を記録したのです。 このように、日本の観光産業は勢いを増すばかりですが、実はこれもアベノミクスの成果の一つだと申し上げることができると思います。 観光立国、観光立県、観光立市を実現していくために、そのための投資が不可欠となり、観光地への交通インフラの促進、多言語対応機能を充実させるためにもインターネット環境の整備、さらには日本の文化財観光を充実させる、日本の魅力を世界に発信していくにも、当然のことながら、そのための財源が必要となります。 しかし、国も県も市も、財政状況が厳しいことは御承知のとおりです。文化財予算や観光予算を飛躍的にふやしていけるような余裕はありません。現状を維持することがやっとの状況です。 では、どうすればいいのでしょうか。 それは、観光消費の中から徴収した財源を、さらに観光振興のために投入することができる仕組みをつくることです。観光からの収入がさらに観光振興のために投資されていくという好循環を生み出す仕組みをつくっていくことが必要です。 そんな都合のいいものはないだろうと思われるかもしれませんが、しかし、世界には既にこの実例があるのです。それを可能にするのが、カジノを含むIRなのです。 カジノと言っただけで拒否反応を示す方もいるでしょう。何だ、ギャンブルじゃないかと。 カジノは、今や世界の140カ国で認められ、適切に運営されている国際的なゲーミングであります。そして、着目すべきは、そのカジノの形態が、近年、大きくさま変わりしてきているのです。ここ10年間に誕生しているカジノは、数千室規模の高級ホテル、映画館、レストランゾーンショッピングゾーン、国際会議場や展示場、スポーツ施設、マリンスポーツ、遊園地などが一体となった統合型リゾートです。その一部として設置されるようになってきています。 現在のカジノは、決して単体でつくられるのではなく、大規模な統合型観光施設の一部としてつくられ、その施設の全体を運営していくための潤滑油として活用されるのが一般的になってきているのです。そして、そのカジノからの税収が幅広く公益のために使われていることはもちろん、国によっては、文化、芸術振興や観光振興、スポーツ振興、また、マリンスポーツなどのために財源として使われるなど、まさに観光産業の潤滑油としての役割を担ってきているのです。 皆様も御承知のように、シンガポールは、近年、観光客を急増させ、観光立国として存在感を増していますが、その原動力となっているのがこのIRです。ここでは、全敷地面積のわずか5%未満しかないカジノが設置され、2カ所のIRが観光の拠点、エンターテインメントの拠点として非常にうまく機能しています。 和歌山市が観光立市を目指していく上でも、このIRが有効な手段になり得ると私は考えます。だからこそ、一部にカジノが含まれた統合型観光施設を、一定の条件のもとに、あくまでも限定的に認めていってはいいのではないかと考えます。IRという統合型施設の一部として設置されているのであれば、カジノのメリットを最大化し、デメリットを最小化できるからです。 私は、決して、きのう、きょうの思いつきでこのような提案をしているわけではありません。私は、平成22年9月を皮切りに、一般質問を何度かさせていただきました。和歌山市の発展のため、観光立市を目指すなら、その起爆剤としてIRを導入する必要があるのではないかと。 そのとき、既に日本は人口減少時代に突入し、ともすれば収縮していきかねない和歌山市の経済を観光立市化によって維持し、さらに発展させていくことこそが求められていたのです。 カジノに対して慎重な御意見があることは、よく承知しています。特に、ギャンブル依存症が増大するのではないか、反社会勢力が関与するおそれがあるのではないかなどといった意見が繰り返し表明されているのをお聞きしました。 カジノというと、日本では非常にネガティブな印象を持たれていることは事実でしょう。かつてヒットした映画やドラマの影響があるのかもしれません。カジノと名がつけば、そこには必ずマフィアのような反社会的勢力が関与しているというイメージが今なおつきまとっているのだと思います。 しかし、広く世界を見渡せば、カジノに対してそのような偏見を抱いているのは、もはや我が国だけと言っても過言ではないでしょう。 また、外国人から日本を見ると、カジノ大国と言われているのも間違いありません、いわゆるギャンブルと考えられる競輪、競馬、競艇など公営5競技のほかに、宝くじやパチンコなどのレジャーを含めてギャンブル型レジャーと称してきた、この市場規模たるや、世界を見渡しても、これを上回る国は恐らくないでしょう。 平成25年、公営5競技の売り上げ合計が約2兆円、宝くじが9,000億円、パチンコが約18兆円、これらの売り上げの合計は約21兆円にも上がります。これを日本国民1人当たりで計算すると、年間18万円、月に約1万5,000円はこれらのギャンブルに費やしていることになります。これは相当な金額で、恐らく世界一の金額ではないでしょうか。 もっとも、このうちパチンコが約8割を占めているため、公にはこの8割はカウントされていません。しかし、現実的にはパチンコはギャンブルとなっており、暗黙の了解のもと、粛々と社会に存在しているのではありませんか。私からすると、パチンコ屋のスロットがよくて、カジノのスロットがだめだという理屈がよくわかりません。 世界のギャンブル市場を正確に把握する統計は存在しませんが、くじが世界一盛んで、人口も多いアメリカの例では、米州くじ協会によると、数字は古いですが、平成12年売り上げ総額は377億6,000万ドル、日本円で約4兆7,000億円で、このほかにラスベガスのカジノさえも6,000億円や、スポーツブッキング、競馬などの売り上げはあるが、それぞれの売り上げを合算しても、アメリカではギャンブルの売り上げは約8兆円弱であると推測されます。競馬発祥の地イギリスの馬券売り上げは9,600億円、マカオでさえ約2兆6,000億円で、以上から推測すると、日本は世界最大のギャンブル大国であることは間違いないと言えます。 この公営5競技、また、宝くじなどを国民の娯楽として限定的ながらも正式に認め、そこからの収益を公益のために還元するという仕組みを適切に運営できている、日本は、国なのです。競馬、競輪、競艇においてはそれができ、カジノにはそれができないという理由はないのではないでしょうか。 何度も言いますが、今やカジノは世界の140カ国で適切に施行され、とりわけ外国人観光客を呼び込むための有効な手段として活用されています。日本人が憧れる北欧やスイスのような国々においてさえ認められています。 私は、決してカジノ単体で和歌山市に誘致をと唱えているわけではありません。あくまでも、一部カジノを含むIR、統合型観光施設を誘致すべきでないかと主張しているのであります。 国際社会におけるカジノの現状は、まずカジノ管理委員会と呼ばれる規制当局が設置され、ここで事業者へのライセンスの付与からゲームの施行に至るまで、厳しいチェックが行われます。特に、ライセンスの付与に関しては、経営者や従業員について、徹底的に背面調査が行われるのが通常です。国営カジノ、民営カジノの違い、あるいはそれぞれの国の法律による違いはありますが、国が公に認めているカジノに関しては反社会勢力が介入する可能性はほとんどゼロに等しいのです。 こうした厳しい規制を前提に、OECD--経済協力開発機構加盟国の中でもカジノが認められていなかったのは日本だけでありました。実は、世界の中では、日本の現状が異質と言ってもいい状況であります。 誤解のないように申し上げますが、だからといって、カジノを認めている国が国民に対して野放図にギャンブルを推奨しているというわけではありません。どの国も、あくまでレスポンシブル・ゲーミングという理念に基づいてカジノを運営しています。レスポンシブル・ゲーミングとは、ゲーミングを提供するに当たっては、単に利益を追求してはならず、利用客にマイナスの影響が及ぶことがないように責任ある施行を行わなければならないという考えです。もちろん、責任を持つべきはゲームの実行だけではありません。治安確保、犯罪防止はもちろん、ギャンブル依存症対策なども含まれています。 今現在、日本には、ギャンブル依存症と言われる方は、皆さん、何人おられると思いますか。約536万人いると言われています。今の日本のギャンブルに対する法律の仕組みでは、依存症で悩んでいる方々のケアはできていないのが現状であります。 しかし、カジノの場合、ギャンブル依存症対策は、世界では当たり前に対策しており、シンガポールでは、売り上げの中から必ず依存症対策に使わなければいけないという法律もあります。カジノの収益の一部は、依存症になってしまった人の治療やサポート、さらには実態調査などにも充てられているのです。これらの対策や対応が非常に高いレベルで行われているのが世界の実情であります。 日本も、全てのギャンブルにそういった法律を課すべきだと私は考えます。 このようなギャンブル依存症対策など、政府とともにしてくれれば、今以上にギャンブル依存症患者がふえる気がしないのは私だけでしょうか。こんなにギャンブル依存症の手当てをしてくれるなら、ギャンブル依存症患者が減るのではないかと思うのは私だけでしょうか。 世界一のギャンブル大国、日本。今の状態を正常に戻すためにも、世界基準のカジノを取り入れ、さらに公営ギャンブル、パチンコなどを世界の基準にすべきではないでしょうか。皆さん、どう思われますか。 さて、市長、私が今回るる申し上げましたが、世界のIR、カジノの現状も踏まえて、今回、市長がIR誘致に積極的な誘致活動に踏み切っていただいたことは、長年、和歌山市発展のためにとIRについて取り組んできた私にとりましては至上の喜びです。 当局も、これまで、IRについて、メリット・デメリットを中心に調査研究を進めてきたと思いますが、今回のIR推進法成立後も、誘致を進めるのか否かについて慎重に考えられたと思います。 しかし、市長の2月15日の記者会見では、IRは、ただのギャンブルが来るぐらいにしか思われていないのではないでしょうか。IRについて、市民には正しく理解されていないのではないでしょうか。その中での今回のアンケート結果は、非常に疑問に私は思います。 そこで、市長にお伺いします。 アンケートにもありましたが、ギャンブル依存症や治安悪化などデメリットが指摘されていましたが、市長はギャンブル依存症について、また、その対策について、どうお考えですか。 IRを誘致することによって得られる和歌山市のメリットとして、どれくらいの経済効果があるとお考えですか。 市民に、ギャンブル依存症の対策など、どのような形で説明されますか。 また、最後に、市長の目指すIRは、ラスベガスのようなシニアタウン、集積型IRなのか、それともシンガポールのような若者の町、分散型IRなのか、和歌山市にとってどのようなIRを目指して誘致活動に取り組むのか。また、市長が描くIRを含めた10年後の和歌山市のまちづくりをどうお考えなのか、市長の御所見をお伺いします。 市長、百聞は一見にしかずです。一度、ラスベガス、マカオ、シンガポールなどのIR施設を視察してください。 以上で至政クラブの代表質問を終わりますが、誠意ある御答弁をお願いして、代表質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(野嶋広子君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) おはようございます。21番井上議員の代表質問にお答えします。 国と地方の連携による経済政策--アベノミクスの実効性について、和歌山市域内経済に対する効果を高める予算執行の考え方についてどのような見解を持っているのか。また、これまでの予算執行のあり方について、同様の認識を持っているならば、今後の予算執行に際して、その経済効果を最大化するため、どのような対策を講じ、市職員の意識の改革を図っていくのかとの御質問でございます。一括してお答えします。 予算を執行するに当たっては、最少の経費で最大の効果を挙げることが必要ですが、その効果においては、経済効果を含めることも重要であると考えております。 議員御指摘のように、市の事業の執行に当たり、市内業者が受注することによって、市内経済の活性化や地場産業の育成につながるものと考えられます。このため、年度当初に通知している予算執行方針において、市内業者に対する受注機会の拡大や市内業者の育成を目的として分離、分割発注に留意し、適正な予算執行をすることとしております。 また、和歌山市産業振興基本条例に基づき、昨年12月に和歌山市市産品登録制度を創設し、本市の役務の調達や建設工事についても、市産品の優先使用について受注者に求めるなど、積極的に市産品を活用するよう努めております。 今後も、これらの取り組みを徹底することにより、予算執行に当たって、地域への経済効果などの最大化を目指して事業を推進するよう職員の意識改革を図ってまいります。 次に、事業の選定に際して、臨機応変、その場、そのときに即した施策を優先すべきで、補助金の有無のみにとらわれず、真に必要な事業であるか否か、他の要素も加味し、総合的な判断をするよう、これまでの大方針を微調整するつもりはないのかとの御質問でございます。 平成29年度予算編成過程においては、国庫補助等の有無にとらわれず、きらり輝く元気和歌山市を実現するために目指す4つの将来都市像である「安定した雇用を生み出す産業が元気なまち」「住みたいと選ばれる魅力があふれるまち」「子供たちがいきいきと育つまち」「誰もが安心して住み続けられる持続可能なまち」を基本として、市民にとって必要不可欠な事業か、地域経済の活性化につながるかなど、さまざまな観点から判断し、事業の選定をいたしました。 今後の予算編成においても、議員御指摘のように、事業の必要性、緊急性や効果等をより総合的に勘案し、事業の選定を行ってまいります。実施すべき事業について、国庫補助や交付税措置がある有利な起債の活用を検討し、財源確保を図ることによって、必要な事業をより効果的、効率的に進めてまいります。 次に、非常勤職員の報酬、賃金支弁職員の賃金を速やかに引き上げるべきと考えるが、このことについて、見解を示してください。また、私の意見にもっともだとうなずくならば、どの水準を目標として、それをいつまでに達成するつもりがあるのか、明確な答弁をとの御質問でございます。 非常勤職員、賃金支弁職員は、本市の業務を円滑に進める上で必要な存在であり、優秀な人材を確保するという意味でも処遇の改善は必要と考えております。 本市の非常勤職員と賃金支弁職員の報酬等は、中核市の平均より低い水準にあると認識しており、平成29年度は、行政職の非常勤職員については月額6,000円、事務補助の賃金支弁職員については日額70円の引き上げを行い、3年程度で中核市の平均額と同程度になるよう努めてまいります。 次に、IRの誘致による地域活性化の可能性について、市長はギャンブル依存症とその対策についてどのように考えているのか。IRを誘致することによる本市のメリットとして、どれくらいの経済効果があるのか。市民にギャンブル依存症対策などをどのような形で説明するのかとの御質問でございます。一括してお答えします。 市民の皆様も不安視しているギャンブル依存症については、対策が難しく、誘致を進める上で大きな課題であると考えております。 現在、国においてギャンブル依存症対策の法整備が検討されていますが、確実に市民をギャンブル依存症から防ぐためには、カジノ施設を外国人専用とすることが最適と考えております。カジノ施設を外国人専用とすると、収益が大幅に減少することから、誘致のハードルは高くなりますが、これがギャンブル依存症への最善の対策と考え、カジノ施設を外国人専用とした統合型リゾートの誘致に取り組むこととしたものでございます。 このギャンブル依存症対策を初め、本市の今後の取り組み等について、市民の皆様に積極的に情報発信するとともに、広く意見を伺ってまいります。 次に、本市のメリットについてでございます。 誘致する統合型リゾートの事業者が設置する施設やその規模がわかった段階で、経済波及効果や新規雇用の試算をすることとなりますが、新たに年間500万人の観光客の誘客を見込んだ場合の経済効果額は約1,100億円、雇用は約1万1,000人と試算しております。 さらに、施設設置に伴う雇用や関連産業への波及、観光客増加に伴うホテルや飲食店などの建設、固定資産税や法人市民税などの税収や納付金による歳入の増が見込めるとともに、本市の観光PRにもつながると考えております。 次に、市長は、和歌山市にとってどのようなIRを目指すのか、市長が描くIRを含めた10年後のまちづくりをどう考えているのかとの御質問でございます。 私が目指す統合型リゾートは、本市の海岸美やマリンスポーツ、海洋レジャーなど海洋リゾートの魅力をさらに高め、歴史、文化など本市の特色を生かした和歌山ならではのハイクラスな和歌山型IRでございます。 海外では、サッカーやコンサートもできるスタジアム、世界最大級の海洋水族館、遊園地などを併設した事例もあり、エリア全体でエンターテインメント性やリゾート性を備えたものとなっております。 本市においては、カジノ施設は外国人専用ですが、ホテルや会議場、レクリエーション施設など、カジノ施設以外は子供から大人まで楽しんでもらえるようなエンターテインメント性にあふれ、世界に誇れる本市の観光地の象徴となる施設の誘致を目指します。その上で、応じてくれる事業者からの提案が本市に大きな効果をもたらすかを見きわめて、和歌山型IRの構想を具体化させていきたいと考えております。 この誘致のハードルは高いものですが、私は、本市の活性化につながるこのチャンス、この可能性を逃すことなく取り組むことが必要だと考えております。 和歌山型IRができれば、本市が県内観光の拠点だけではなく、紀伊半島の観光資源を結ぶ新たなゴールデンルートの起点となり、世界から注目される国際競争力の高い広域観光の拠点都市となります。 さらに、このことによる観光客の増が、サービス産業の発展、雇用の増加、定住人口の増加という好循環につながり、第5次和歌山市長期総合計画に掲げた本市の将来都市像、きらり輝く元気和歌山市の実現が大きく前進するものと考えております。 以上でございます。 ○議長(野嶋広子君) 次に、中尾友紀君。--29番。 〔29番中尾友紀君登壇〕(拍手) ◆29番(中尾友紀君) おはようございます。 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、公明党議員団を代表して代表質問を行います。 まず最初に、市長の政治姿勢について、統合型リゾート--IRについてお尋ねします。 尾花市長は、全員協議会で本市に統合型リゾートを誘致することを表明しました。 統合型リゾートの定義は、カジノ施設を含むホテル、レストラン、ショッピングセンター、エンターテインメント施設、国際会議場や国際展示施設等が一体となった統合型の施設であり、シンガポールのIRの事例では、カジノがIRに占める割合は5%以下であります。統合型リゾートに内包される国際会議場、国際展示施設、美術館、博物館は、一般的に収益が低く、民業としての開発は難しい施設です。 統合型リゾートは、カジノの運営権利の見返りとして、本来は公金で建設される国際会議場等の各種施設を民間の投資で導入させることを可能にします。収益の多くがカジノにより生み出されるため、カジノ以外の施設は収益を気にすることなく最高のサービスを提供し、集客に専念することができます。 また、制度を整備することによって、公的財源を必要とせずに観光振興につなげることができるため、近年、観光産業において一躍注目を浴びるようになってきました。 シンガポールのIRで、SMAPが携帯電話のコマーシャルに出演し、3棟のリゾートホテルの最上階にプールつきの船が乗っている映像が流れていましたが、まさにこれがシンガポールのマリーナベイ・サンズであります。 反面、ギャンブル依存症の問題があります。 アメリカ精神医学会では、俗に言うギャンブル依存症をギャンブル障害として扱っています。精神障害の診断と統計マニュアル第5版--DSM-5に基づいた基準では、1、興奮を得たいがために掛け金の額をふやして賭博をする要求がある、2、賭博をするのを中断したり、または中止したりすると落ちつかなくなる、またはいら立つ、3、賭博をするのを制限する、減らす、または中止するなどの努力を繰り返し、成功しなかったことがある、4、次のかけの計画を立てたり、賭博をするための金銭を得る方法を考えるなど、しばしば賭博に心を奪われている、5、不安や憂鬱を解消するために賭博をすることが多い、6、賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い、7、賭博へののめり込みを隠すためにうそをつく、8、賭博のために重要な人間関係、仕事、教育または職業上の機会を危険にさらしたり失ったことがある、9、賭博によって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるように頼む、これらのうち、過去12カ月以内に4つ以上当てはまればギャンブル障害と診断される可能性があると言われております。 昨年実施した統合型リゾートの市政世論調査の結果、賛成が52.7%、反対が23.1%でありました。市民世論調査は、市民2,000人を抽出しており、母数も多く、本市の実際の年齢構成に近いことから、統計上、信頼できると聞いております。 直近のインターネットモニター調査の結果では、賛成が41.6%、反対が47.8%と、賛成と反対が拮抗し、やや反対の声が多くなったという結果でありました。インターネットモニター制度は、母数は世論調査に比べ少ないものの、市政に関心のある方が登録していただいていることから、政策に対する貴重な意見をいただける制度とのことであります。 いずれの調査結果においても、反対されている方の意見は重く受けとめていただかなければなりません。特に、市民の方は、ギャンブル依存症を心配しているようであります。 先般、カジノによるギャンブル依存症が報道されていました。 韓国には17のカジノがあります。ギャンブルがもたらす負の影響に対する懸念から、韓国では原則として外国人専用として運用されていますが、唯一、自国民--韓国人に開放しているのが江原(カンウォン)ランドカジノであります。カジノにのめり込んで全財産を失い、家に帰ることさえできなくなり、カジノ周辺に住みつくカジノホームレスや、カジノに恨みをぶつけるようにカジノホテル内で自殺する者もいると言われておりました。 統合型リゾートに反対する人は、ギャンブル依存症や治安の悪化などを不安視していますので、市民の皆様の不安を払拭するための取り組みが必要と考えます。市民の皆様に正確かつIRのイメージが湧く丁寧な説明をしていただきたいと思います。 そこで、お尋ねいたします。 市長は、市民への説明を含めて、IRの推進を今後どのように進めていくのか、明確にお答えください。 世界の統合型リゾートの中で成功事例となっている、先ほど紹介しましたシンガポールでは、2004年にIRの公募に入り、2010年にはマリーナベイ地区とセントーサ地区の2つの地区にIRを開業しました。 2015年に、観光客数を2倍以上に、観光収入を3倍にする目標を掲げました。シンガポールの1人当たりのGDPは、2007年に日本を超え、2013年には世界第8位に達しました。 また、シンガポール国民に入場制限を課し、ギャンブル依存症の問題に対応する国家賭博問題対策協議会を初めとする相談、治療機関など国家的な枠組みを整備することや、本人や家族が申し入れをすれば入場できないシステムになっているなど、ギャンブル依存症対策や防犯対策を強化し、いずれも減少させることに成功しました。 このように、統合型リゾートができることにより、その地域のギャンブル依存症対策や防犯対策が進んだことや税収が大きくふえたこともシンガポールの事例であります。 IR推進法の附帯決議にもうたわれていますが、仮に誘致が成功し、IRによる税収分を、観光行政はもちろんのこと、社会福祉や教育の無償化を初めとする教育に係る財源とするお考えがあるのかどうか、お答えください。 次に、教育行政についてお尋ねします。 無年金対策について。 公明党が推進した無年金救済法が昨年の11月に成立しました。公的年金の受給資格を得るのに必要な加入期間--受給資格期間が、本年の8月以降、25年から10年に短縮され、10月から新たな受給対象者に年金が支給されます。施行後は、新たに64万人が年金を受け取れるようになり、将来にわたって無年金となる人が大幅に減ることができる画期的な法律であります。 また、保険料の払い損になる人が減るため、保険料を払う意欲の向上につながることも期待できます。 まず、9月分が10月に支給され、以降は偶数月で2カ月分が一括支給されます。国民年金の場合、現在は保険料を40年間納めると、年金は月額6万5,000円ですが、10年間では4分の1の約1万6,200円となります。 年金を受け取るには、対象者が自身で請求手続を行う必要があります。新たな対象者に対しては、日本年金機構が2月下旬ごろから7月上旬にかけて、順次請求手続の書類を郵送する予定であります。 日本年金学会代表幹事を務める帝京大学の山口修教授は、無年金を余儀なくされている高齢者の中には、生活が一時期苦しくて、保険料を払いたくても払えず、免除手続などがあることすら知らなかった人がたくさんいます。今回の法改正により、こうした非常に困窮した人たちに救いの手を差し伸べる意義は大きいと語っております。 そこで、お尋ねします。 和歌山市の救済される対象者は何人ですか。また、対象となる方がもれなく申請できるように、市としてどのような方法で広報を行うのかお答えください。 社会保険労務士の諸星裕美さんは、私は以前、社会保険審査会の委員を務めており、年金に対する不服申し立てでも、保険料を払う意思はあったが、うっかりしていた、あと数カ月分納めれば年金をもらえるのに、もう追納できないという切実な声を聞いていただけに、多くの無年金の高齢者が救済されるという結果は意義があります。また、期間短縮の効果は、今の現役世代にもメリットがあります。やむを得ず非正規雇用などで受給資格期間を満たせなかった方々も、ほんの数年働くことなどで年金受給につながるケースがあるからです。ただし、課題もあります。年金は、10年、保険料を納めれば大丈夫というイメージがひとり歩きすることを危惧しています。かつて、小学校などで年金授業をしたところ、25年間納めれば年金をもらえるようになるとの説明に対し、年金は20歳から45歳まで納めればいいんだねと短絡的に受けとめてしまう子供たちもいたからです。基礎年金は40年で満額ですので、10年しか納付しない年金は月額2万円にも満たなくなります。国の政策としては、年金は40年しっかりと納めましょう、それが老後の安心につながりますと国民の皆さんに周知徹底してほしいと願っていますと指摘しております。 小学校高学年や中学校の義務教育の段階で年金の重要性をしっかり教えることが、保険料の納付につながり、ひいては老後の安心につながると思います。 また、基礎年金には2分の1の税金が投入されています。また、万が一のときには障害年金として受け取れる場合もあります。これほど条件のいい保険は、民間では考えられません。 将来、年金はもらえなくなるのではという疑念を払拭するためにも、義務教育の段階で年金などの社会保障制度の正しい知識を身につける教育を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、南コミュニティセンターについてお尋ねいたします。 待望の南コミュニティセンターが、地場産業センターを改修し、サービスセンターを併設した複合施設を平成30年度中に開設することが全員協議会で尾花市長から発表がありました。 先輩同僚議員や連合自治会などたくさんのところから要望があり、私自身も何度となく一般質問や委員会で取り上げさせていただきました。前大橋市長からの課題がついに実現することができ、当局並びに尾花市長に敬意を表したいと思います。大変ありがとうございました。 内閣府が昨年の2月に公表した教育・生涯学習に関する世論調査によると、生涯学習を通じて身につけた知識等によって、自分の人生がより豊かになっていると回答した50代、60代、70代それぞれの割合は50%を超え、前回調査--2012年の数値を上回ったそうであります。まさに、学は光、学ぶことは生きることであり、生涯学習の重要性を再認識したところであります。 早速、市民の方から要望がありましたので、何点かお聞きします。 会場の使用料金でありますが、現在の地場産業センターの4階A、B室、40名収容できる部屋で、18時から22時までの料金が8,000円に対しまして、ほぼ同規模の40名収容のコミュニティセンターでは1,690円であり、料金が安くならないかという要望が1点目であります。 2点目は、駐車場の問題であります。 数量的には127台を確保していますが、駐車場をあちこちに借り入れしているため、遠くは医大の裏玄関あたりから歩いてこないといけないので、近くで駐車場を借りれないのかというのが2点目であります。 3点目は、他のコミュニティセンターでは、ほとんどのところには図書室がありますが、ぜひとも図書室を併設してほしいという要望であります。 この3点について、教育長のお考えをお聞かせください。 3点目、消防行政について、新潟県糸魚川市大規模火災についてお尋ねします。 平成28年12月22日、新潟県糸魚川市で発生した大規模火災は、死者こそなかったものの、負傷者17名、焼損棟数147棟、焼失面積約4万平方メートル、住民が避難するなど多大な被害をもたらしました。 ここまで被害が拡大した背景には、木造住宅が軒を連ねるほど密集する地域で、日本海の低気圧に山を越え乾燥した空気が流れ込むフェーン現象によって、最大風速13.9メートル毎秒、最大瞬間風速27.2メートル毎秒に及ぶ強風が長時間吹いたことが延焼拡大した要因だと言われております。 和歌山市においても、2月20日、春の嵐と言われる最大瞬間風速24.8メートル毎秒の暴風を記録しました。このときに火災が発生したらと肝を冷やしました。 防災上危険な密集市街地を、国土交通省は、平成7年発生の阪神・淡路大震災を契機に、延焼の危険性から、地震等において大規模な火災の可能性があり、重点的に改善すべき密集市街地--重点密集市街地として調査の上、平成15年7月に公表、さらに平成24年10月には、建物倒壊による避難困難性も加味した重点密集市街地として再公表し、平成32年までにその障害をおおむね解消するとの目標を立てています。 和歌山市には、国土交通省から公表されたデータで重点密集市街地に指定された地域はありません。 しかし、今回、大火のあった新潟県糸魚川市も、この重点密集市街地に指定された区域はありませんでしたが、その事実にもかかわらず、悲惨な大火が発生してしまいました。 そこで、お尋ねします。 糸魚川市の大火を受けて、消防局はどのような予防対策をとりましたか。延焼拡大危険の高い気象条件下での火災対策はどのように考えているのか、お聞かせください。 次に、東燃ゼネラル石油株式会社工場火災についてお尋ねします。 平成29年1月22日に発生した有田市の東燃ゼネラル石油株式会社和歌山工場の火災は、22日17時20分、周辺住民に避難指示が出され、24日8時27分の鎮火まで約40時間を要し、連日報道された記憶に新しい火災であります。 総務省消防庁のホームページによりますと、地元有田市消防本部を初め、海南市、御坊市、和歌山市の近隣の3本部、有田市消防団、企業間応援を含む自衛防災組織の消防機関等の消防車延べ63台が活動し、鎮火後の翌25日から、消防庁から派遣された職員が火災原因調査を行うなど、近年、和歌山県内で発生した大きな火災でありました。 和歌山県石油コンビナート等防災計画によれば、東燃ゼネラル石油株式会社和歌山工場は、石油コンビナート等災害防止法の規定に基づく特別防災区域に指定され、区域内で主に石油精製を行う特定事業所であり、高圧ガス施設と危険物施設が混在し、災害の発生及び拡大の防止に関し万全の措置を講じる必要がある事業所であります。ひとたび火災が発生すれば、大規模災害に発展する施設を保有する事業所であります。 本市においても、この計画では、石油コンビナート等災害防止法の規定に基づく特別防災区域に指定された地域があり、紀の川河口をはさんで和歌山下津港区に面する新日鉄住金株式会社和歌山製鉄所、日鉄住金鋼鉄和歌山株式会社、エア・ウォーター株式会社ケミカルカンパニー和歌山工場、エア・ウォーター株式会社産業カンパニーオンサイト事業部和歌山工場、和歌山共同火力株式会社、花王株式会社和歌山工場、大岩石油株式会社青岸油槽所の7カ所が特定事業所に指定されております。 最近は、本市の特別区域内の大きな災害はないようですが、過去には屋外タンクが爆発炎上し、長時間活動を余儀なくされた本市始まって以来の火災が発生した経緯もあり、このような区域の災害の防止は重要なことであると考えます。 そこで、お尋ねします。 東燃ゼネラルの火災を受けて、本市の特定事業者に対し、どのような対応をしたのか、また、災害の防止にどのような対策を考えているのか、お答えください。 最後に、常設型救急ワークステーションについてお尋ねします。 市民の救命率向上のために有効であるドクターカーの運用を含む救急ワークステーションが、平成29年1月16日から24時間365日体制にでき、市長及び当局並びに日赤医療センターの関係者の皆様に敬意を表したいと思います。 平成26年6月から始めた平日昼間の救急ワークステーションの運用に比べて、24時間運用では有効性は向上したと思いますが、具体的にどのような効果があったのか。また、その効果を踏まえて、今後の救急ワークステーションの方向性をどのように考えていますかお聞きし、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(野嶋広子君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 29番中尾議員の代表質問にお答えします。 統合型リゾートの誘致について、市民への説明を含めて、IRの推進を今後どのように進めていくのか明確に答弁を。また、仮に誘致が成功し、IRによる税収分を観光行政やギャンブル依存症対策を含めて福祉や教育の無償化を初めとする教育に係る財源とする考えはあるのかとの御質問でございます。 私が目指す統合型リゾートは、本市の海岸美やマリンスポーツ、海洋レジャーなど海洋リゾートの魅力をさらに高め、歴史、文化など本市の特色を生かした和歌山ならではのハイクラスの和歌山型IRで、カジノ施設は外国人専用であっても、カジノ施設以外のホテルや会議場、レクリエーション施設などは子供から大人まで楽しんでもらえるようなエンターテインメント性にあふれ、世界に誇れる本市の観光地の象徴となる施設を誘致したいと考えております。 ことしじゅうに実施法が提出されることになるため、それまでに誘致交渉を進め、候補地を決定するとともに、本市に大きな効果をもたらす施設を提案してくれる事業者と連携、調整しながら、和歌山型IRの構想を具体化させていく必要があります。 その内容を市民の皆様に積極的に情報発信し、広く意見を伺うとともに、市議会の皆様と議論を深め、県または市が行う国への区域申請の最終判断をすることになります。 この誘致は、カジノ施設を外国人専用とすることや国内にできる統合型リゾートが少数に限定されていることから、ハードルは高いものですが、私は、今しかないこのチャンス、本市の活性化につながるこの可能性を逃すことなく取り組むことが必要だと考えております。 次に、統合型リゾートによる市の増収分の使途についてでございます。 私は、昨年10月に姉妹都市のリッチモンド市を訪問し、カジノのあるリバーロックホテルを見学した際に、カジノ収益への納付金に当たる収入だけでも年間約20億円程度あり、それをコミュニティ施設の整備や文化、福祉の施策にも活用していると聞きました。 統合型リゾート全体では、納付金に加え、固定資産税などの税増収があり、これらによる歳入の増は、今後の人口減少、少子高齢化の進展に伴う社会保障費の増加や税収の減少が見込まれる状況において貴重な財源であり、本市においても、子育てや高齢者等の福祉、教育振興に係る施策等の拡充に活用していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(野嶋広子君) 立本健康局長。 〔健康局長立本 治君登壇〕 ◎健康局長(立本治君) 29番中尾議員の代表質問にお答えします。 教育行政について、無年金対策について、和歌山市の救済される対象者は何人か、また、対象となる方がもれなく申請できるように、市としてどのような方法で広報を行うのかとの御質問です。 本市において、新たに受給権が発生し、救済される方は、平成27年末の日本年金機構の抽出データでは約3,200人となっています。 また、広報については、現在、年金受け付け事務を行っている支所及び各サービスセンターにリーフレットを配布していますが、残る支所、連絡所にも配布する予定です。さらに、市のホームページや市報わかやまへの掲載、庁舎内の動画モニターでの放映などにより広報に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(野嶋広子君) 原教育長。 〔教育長原 一起君登壇〕 ◎教育長(原一起君) 29番中尾議員の代表質問にお答えします。 教育行政について2点ございます。 まず、無年金対策について、義務教育の段階で年金などの社会保障制度の正しい知識を身につける教育を行うべきと考えるが、どうかとの御質問です。 中学校では、社会科の公民的分野で年金の制度や仕組みについて学習することになっています。しかし、生徒は、年金がどのようなときに役立つのかといった有益性を学習する場面はなかなかないのが現状です。 保険料の負担や年金の受給が遠い将来であったとしても、社会保障制度の柱である年金について、義務教育の段階で学習することは大切であると考えます。 現在、日本年金機構より講師を学校に招き、年金に関する出前授業を実施している中学校もあります。 今後は、多くの中学校においても、年金を含む社会保障制度に関する教育をより一層進めてまいります。 次に、(仮称)南コミュニティセンターについて、料金が安くならないか、近くで駐車場を借りられないのか、図書室を併設してほしいという市民の方からの要望についてどう考えるかとの御質問です。 南部地域のコミュニティセンターについては、これまでも議会を初め市民の皆様や関係団体等から幾度となく早期設置の要望をいただいており、公共施設の移転等で生じた土地や建物を含めて、適地について検討してまいりました。 このたび、地場産業振興センターがわかちか広場に移転することになり、新たに建設すれば時間がかかることから、できるだけ早く地域の方々に利用していただけるよう改修を行い、サービスセンターを併設して-------------取り組めるよう関係部局と連携し努めてまいります。 使用料は、他のコミュニティセンターとの均衡を図りながら設定したいと考えています。 駐車場につきましては、現在の地場産業振興センターの第1、第2駐車場を引き続き利用しますが、より利便性の高い駐車場の確保に努めてまいります。 また、図書室については、-------------------------------------地域の皆様方等の御意見をいただきながら、よりよいものとなるよう積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(野嶋広子君) 出口消防局長。 〔消防局長出口博一君登壇〕 ◎消防局長(出口博一君) 29番中尾議員の代表質問にお答えいたします。 消防行政について3点ございます。 まず、新潟県糸魚川市大規模火災についてでございます。 糸魚川市の大火を受けて、消防局ではどのような予防対策をとりましたか。また、延焼拡大危険の高い気象条件下での火災対策はどのように考えているのかとの御質問です。あわせてお答えいたします。 今回の糸魚川市の大火を受けて、火災を出さない予防対策に重点を置き、平成28年、年末火災特別警戒実施期間中には、市内全域で地域の消防団、婦人防火クラブ、防火委員会などの各関係団体と協力、連携し、特別広報、火災警戒の地域巡回を実施しました。 その後も、火災多発、火災発生危険の高い気象条件、乾燥した季節など、逐次防火広報も強化し、実施しています。 延焼拡大危険の高い気象条件下での火災対策ですが、気象台から消防法の規定による火災気象通報が発表された場合は、即座に住宅密集地への火災予防の重点広報を実施するとともに、防災行政無線などの活用などで注意喚起することも考えています。 そして、万が一、建物火災が発生した場合は、大規模火災を防ぐために最も重要なのは初動の消火であると考えますので、規模の大小にかかわらず初動体制の強化を図り、おおむね10台以上の消防車を出動させ、消火活動や火災防御に当たらせます。 それでも火災が拡大した場合または拡大のおそれがある場合は、間髪を入れず常備消防の最大出動を下命するとともに、消防団とも連携して火災の延焼防止線を築き、上空に一斉放水するなど水膜放水による飛び火警戒などを実施し、火災を小規模なうちに消火して延焼を防ぐ消防戦術をとるようにしています。 そのほか、指令業務共同運用実施中の3消防本部からは、指令センター長の判断で即時応援を受けることができる体制を築いています。 さらに部隊増強が必要な場合は、和歌山県下消防広域相互応援協定による県内応援を即座に要請するようにして、長距離ホース延長などで消火水を確保し、効果的な部隊配置が行えるよう、3署の指揮隊による合同指揮体制をとって、種別に合わせた火災防御に当たるよう体制を整えています。 また、国では、糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会を設置し、消防活動を検証した上で、今後、取り組むべき火災予防、消防活動、消防体制に関する提言がなされますので、国の動向に注意して、その内容を踏まえ、対策に取り組みます。 次に、東燃ゼネラル石油株式会社工場火災についてでございます。 東燃ゼネラルの火災を受けて、本市の特定事業所に対してどのような対応をしたのか、また、災害の防止にどのような対策を考えているのかとの御質問です。あわせてお答えいたします。 今回の東燃ゼネラルの火災を受け、消防局では、平成29年2月23日から、本市の特定事業所である7事業所を対象に、災害発生につながる不備欠陥事項の有無を検査し、是正が必要な場合は速やかに措置を講じるよう、石油コンビナート等災害防止法に基づく特別査察を実施し、指導強化を図っています。 災害の防止対策については、本市における過去の屋外タンクの大災害を教訓に、その災害を契機として、特別区域内の大災害を防ぐため、石油コンビナート関係事業所の防災強化を組織の重点目標として取り組み、特定事業所に対し、石油コンビナート等災害防止法に基づく防災資機材の点検、自衛消防隊訓練の実施などを指導しています。 また、火災予防査察要綱に基づき、年1回以上、定期的に査察を実施し、災害に対する安全対策の指導や防災研修への講師派遣を行い、災害防止に努めた結果、それ以降、社会的影響のある大災害は発生していないことから、取り組みの効果があったものと考えています。 今後も、引き続き特定事業所に対する取り組みの充実強化を図り、災害の防止対策に努めてまいります。 最後に、常設型救急ワークステーションについてでございます。 具体的にどのような効果があったのか。また、その効果を踏まえて、今後の救急ワークステーションの方向性をどのように考えていますかとの御質問です。あわせてお答えいたします。 平成29年1月16日の24時間365日の救急ワークステーション運用開始から、同年2月28日までの44日間のドクターカー出動は83件で、そのうち、以前行っていなかった夜間、土日祝日の出動は50件と全出動の60%を占めています。 24時間365日対応としたことで出動件数がふえ、ドクターヘリの運航ができない夜間においても45件の出動があり、ドクターヘリの出動ができないところをカバーし、救急救命に取り組んでいるところです。 さらに、ドクターカーで搬送された傷病者は、入院が必要となる中等症、重症が44名と診断され、出動が有効、適切であったと考えています。中でも、危機的な状態にあった大きな血管の異常で起こる大動脈解離の傷病者が、ドクターカー医師の迅速な診断と日赤和歌山医療センターへの連絡で的確に処置が行われ救命できた例や、心肺停止の傷病者に対し、ドクターカーの医師、救急隊員が連携して救命活動を実施した結果、搬送中に心拍再開し、救命できた例などの奏功例もありました。 救急ワークステーションへ派遣する救急隊は、ドクターカー出動待機中、ドクターカーや他の救急隊が搬送した傷病者の検査、問診、確定診断、必要な処置などの見学、関係者への接遇、診療補助、傷病者看護、救急医療研修など貴重な病院実習を実施することで救急活動の技術向上が図れるなど、確実に常設型救急ワークステーションの効果があったと考えています。 今後の常設型救急ワークステーションの方向性については、ドクターカー出動症例及び病院実習のあり方の検証、分析を繰り返し行い、医療関係者と顔の見える関係を構築し、集団災害や大規模災害などにも対応できる本市の救急、救命医療の拠点となるよう充実強化していきたいと考えています。 以上でございます。 ○議長(野嶋広子君) しばらく休憩します。          午前11時27分休憩   ---------------          午後4時45分再開
    ○議長(野嶋広子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長します。 日程第2の議事を継続します。   --------------- △発言の取り消し及び訂正について ○議長(野嶋広子君) 先ほどの中尾友紀君の代表質問に対する答弁のうち、教育長から一部答弁の取り消し及び訂正をしたい旨の申し出がありますので、発言を許可します。--原教育長。 〔教育長原 一起君登壇〕 ◎教育長(原一起君) 先ほどの中尾議員の代表質問のうち、一部答弁の取り消し及び訂正をいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 「改修を行い、サービスセンターを併設して」の後から「使用料は」の前までを取り消し、「取り組めるよう関係部局と連携し努めてまいります」に訂正し、また、「図書室については」の後から「積極的に」の前までを取り消し、「地域の皆様方等の御意見をいただきながら、よりよいものとなるよう」に訂正させていただきます。何とぞよろしくお願いします。 ○議長(野嶋広子君) お諮りします。 ただいまの教育長からの申し出のとおり許可することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(野嶋広子君) 御異議なしと認めます。 よって、そのように決しました。   --------------- ○議長(野嶋広子君) 次に、森下佐知子君。--28番。 〔28番森下佐知子君登壇〕(拍手) ◆28番(森下佐知子君) 議長の指名がありましたので、通告に従い、日本共産党市会議員団を代表して質問をいたします。 まず初めに、和歌山市のまちづくりにおける市長の姿勢についてお伺いいたします。 市長は、先般、マスコミへの記者発表、また、2月16日、全員協議会の冒頭で、カジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRを誘致すると述べられました。候補地として、和歌山マリーナシティ、コスモパーク加太の2カ所を挙げ、外国人向けの施設にするとのことです。 さきの衆議院内閣委員会では、カジノを解禁する統合型リゾート推進法が十分な審議もせず通過したことは記憶に新しく、国民の懸念は今なお根強いと言えます。 加えて、和歌山市でも、法案通過前と後にインターネットによるアンケート調査を行っていますが、法案通過後の結果は反対が賛成を上回ったこともそれを強く物語っています。 これは、数字だけにとどまりません。私は、自由記述欄の意見にも目を通しましたが、賛成を表明している人の中にも、もろ手を挙げて賛成というよりはむしろ、特に和歌山市には必要ないという意見がとても多かったことが印象に残りました。市長は、このアンケートの全てに目を通されたのでしょうか。 市長は、この間、施政方針や市民への市政報告などで、和歌山市を子育て環境日本一の町を目指す、3大学構想により若者をまちなかへ呼び込み、活性化させたいと言っておられます。これからは、この方針によってどのように具体策を講じていくかが問われなければなりません。 子育て世代にとって、どういう町が望まれるのか、どんな施策が必要なのか。今、全国の地方自治体が、子育て支援策をどのように進めていくのかを一生懸命考えて実施しています。何をもって子育て環境日本一と言えるのかは、そこに住む住民が決めることです。そういう観点において、カジノを含むIRを誘致することが、果たして子育て環境日本一にふさわしいでしょうか。 さらに、3大学構想についてもしかりです。市長の言う住みたいと選ばれる町の柱は、歴史、文化のまちづくり、3大学を生かしたまちなか活性化などとなっています。 市長は、さきの11月の記者会見で、IR誘致について、世界遺産の高野山や熊野古道など、外国人観光客を呼び込める県内観光地の近さをセールスポイントとして打ち出すとおっしゃったそうですが、2004年に世界遺産に登録された熊野古道とIRが両立すると本気でお考えなのですか。熊野古道は、熊野三山へつながる紀伊路を初め、さまざまな王子跡など、自然の懐に抱かれた癒やしとよみがえりの場と言われています。一体、それのどこがカジノと結びつくのか、極めて疑問です。 また、刑法で禁止されているカジノは、今回の推進法の成立だけでは成り立たず、実施法をつくる必要があります。 しかし、この実施法をつくる際には、越えなければならないハードルがあります。公営ギャンブルとして認められている競馬や競艇などは、賭博であるけれども、特別法により例外となっており、そのために8つの項目をクリアする必要があります。それは、目的の公益性、運営主体の性格、収益の扱い、運営主体の公的監督など、これは法務省が定めているものです。これにのっとれば、特別法はこれらの8項目をクリアすることがIRにも当然求められることになります。 例えば、運営主体でいえば、官またはそれに準ずる団体に限るという判断です。また、収益の扱いでいえば、業務委託を受けた民間団体が不当に利益を得ないようにするという定義がありますが、この定義でいけば、運営は公的主体であって、業務は民間委託でも不当に利益を得てはならないということになり、これに照らせば、民設民営で運営されるIRの実施法は現実性に乏しいとも言われています。そういう国会での議論などを踏まえたならば、先を争って誘致することは厳に戒めるべきだと思います。 さらに、市民が最も憂慮している8項目の一つ、副次的弊害の防止策、つまり依存症対策については、IRで得た利益を対策費に充てるというのですから、本末転倒と言わなければなりません。 この2月27日、和歌山弁護士会は、IR推進法について、この法には問題点があり、推進法成立への抗議の意思を明確にするとともに、法の廃止を求める声明を会長名で出しました。問題点には、まさに依存症の拡大と多重債務の問題、青少年への悪影響、そして暴力団の関与及びマネーロンダリングについての懸念を挙げられています。これは、日本司法書士連合会が2015年5月18日に、同じく会長名で出したカジノ解禁推進法案への反対声明にも同様に挙げられています。 では、公営ギャンブルならいいのか、あるいはパチンコには問題はないのかということにも注目しなければなりません。 パチンコは、現在、賭博ではなく風営法のもとで警察が管理する遊戯という扱いになっています。しかし、パチンコをする人の99%は景品を換金しており、これは性格上、実質的な賭博と言えます。 このパチンコの年間の粗利益は3兆9,000億円、これはほかの公営ギャンブルをはるかに上回る数字であり、カジノ世界一のマカオの利益を上回る数字でもあります。これを見るだけでも、既に我が国はギャンブル大国だと言わなければなりません。 厚労省が2009年に公表した諸外国と日本のギャンブル依存症における有病率の比較によると、日本の成人男性の9.6%、女性の1.6%に依存症の傾向があるとの結果が出ています。これは、ほかの国ではほぼ1%前後という数字に比べて断トツに多い、深刻な現状です。しかし、適切な治療が受けられる状況にないというのが実態であり、これは厚労省が認めています。 ギャンブル依存症は、自己責任ではなく、WHOが精神疾患と定義していることも最近ではよく知られています。公営ギャンブルであろうと、パチンコが遊戯とされていようと、深刻な依存症が既に蔓延しており、この構造を改善するための抜本対策とともに依存症対策を進めることのほうが先ではないのでしょうか。 市長は、大きな経済効果、観光客の増加などをメリットとして挙げているようですが、経済的利益を生むことの評価とともに社会的なコストにも注目する必要があると静岡大学の鳥畑教授は指摘しています。社会的コストとは、ギャンブル依存症の患者や家族への失業保険や社会給付、治療費もかかるのだということです。 また、教授は、人間社会では確実に誰かが犠牲になる、誰かの家庭が破壊される、命が奪われるということがわかっていながら、もうかるからといってカジノの導入を政策判断するというのは、少なくとも公的な国や自治体には許されないとも言っておられます。市長は、この言葉をどのように受けとめられますか。 そこで、お伺いいたします。 子育て環境整備や観光など、住みたいと選ばれる町という方針に相入れないと考えますが、いかがですか。 ギャンブル依存を初め、借金や犯罪などが想定されるビジネスモデルを地方自治体が率先して誘致するべきではなく、白紙撤回するべきだと考えますが、いかがですか。 さらに、実施法は、公営賭博と同等の要件が必要であるが、民営賭博であるIRのための実施法の成立の可能性についてどのようにお考えですか。 法案成立後に行った市民アンケートの結果、慎重に検討としていたにもかかわらず、また、長期総合計画の議決も経ないまま、早々とIR誘致を進めると発表した理由は何でしょうか。また、反対が賛成を上回ったことをどのように受けとめておられますか。 次に、子供の医療助成制度についてお伺いいたします。 子供の医療費無償化は、お金の心配をせず医療を受けられるようにとの保護者の切実な願いから始まりました。 子育て支援の一環として子育て世代の経済的負担を軽減するこども医療費助成制度は、今日、47都道府県、1,742市区町村の全てにおいて、条件の違いはありますが、実施されています。和歌山市でも、市民の声の後押しによって中学校卒業まで年齢が広がり、多くの市民に喜ばれています。 この間、和歌山市を含む地方議会からは、国の制度として創設し、全国どこでも同じ制度として使えるようにすること、また、国民健康保険財政調整交付金削減といういわゆるペナルティを廃止することなどが意見書として上げられてきました。都道府県、市町村など各自治体も国に対し要求し、協議が進んできたところです。その結果、厚労省は、2018年4月1日から、未就学分についてはペナルティの対象としないと決定しました。 まだまだ課題はあり、せめて就学前までは国の制度としてほしいと粘り強く求められていますが、当面、整備されるまでは地方自治体が制度の拡充に努力しなければなりません。そういう自治体の取り組みが、標準的な当たり前の制度として国に実現させる大きな力ともなり得ます。 さて、現在の市の制度は、年齢が拡大されたとはいえ、所得制限があります。県内で言えば、所得制限が設けられているのは和歌山市と橋本市の2市のみです。 私は、制度の拡充のための署名活動に取り組んでいた際、協力は惜しまないけれど、うちの娘家族は制限にひっかかって受けられない、だからといって余裕のある生活をしているわけでは決してないとの声を聞きました。どの子も健やかに育ってほしいというこの制度の持つ意味は、全ての子供たちに共通のはずです。子育てに係るさまざまな制限は、この際取り払い、安心して子育てできる環境づくりを進めるべきだと思います。 そこで、お伺いいたします。 市長は、子育て環境日本一を目指すという方針に照らして、所得制限があることについてどのように受けとめておられますか。また、より使いやすい制度にするために所得制限を撤廃するべきだと思いますが、いかがですか。 また、所得制限のため、受けられない方はどれぐらいありますか。撤廃するために必要な金額はどのくらいになりますか。 次に、保育行政についてお伺いいたします。 昨年2月、保育園落ちたの匿名ブログによって、保育所に入所できなかった当事者が各地で声を上げたことから、保活という言葉が生まれるほど厳しい保育所への入所の実態が明らかになりました。 待機児童と言われる受け皿が不足する状態は、何もきのうきょう始まった問題ではありません。特に、ゼロ歳児から2歳児の乳児が待機児童の80%を占めているものの、低年齢児の入所枠は依然として不十分なままです。 これまで、待機児童の多くは首都圏や大都市圏などに集中していましたが、今や和歌山市においても保育所への希望がふえており、それに対する受け皿については、少子化に伴う充足率の低下を理由に定員を削減する、あるいは保育所そのものを統廃合するなど、女性の社会進出による子育て支援が必要であるにもかかわらず、後手に回ってきたというのが現状です。 その原因は、多くは国にあります。政府の待機児童対策は、既存施設への定員超過入所、保育所設置主体の制限撤廃など、規制緩和や最低基準の弾力化が中心であることから、その財源についての国からの裏づけはなく、頑張れば頑張るほど自治体の持ち出しがふえることになってしまいます。 さらに、厚労省において待機児童の定義が曖昧であったことから、正確な実態を捉えることができておらず、実態と報告されている人数との間には乖離があることも明らかになりました。そのことが、より待機児童が解消されない深刻な状況を生み出してきたと言えます。 隠れ待機児童あるいは潜在的待機児童と言われているこの実態について、厚労省も定義そのものを見直すようですが、本来、認可保育所によって保育を希望する待機児童がどれぐらいいるのかについて、自治体も独自に調査する必要が出てきていると思います。 保育所への入所を希望する保護者の状況はさまざまですが、入所できればどこでもいいとは思っておらず、その多くは、保育の環境や条件が整っていること、住居に近い、あるいは職場に近い、兄弟姉妹が同じ保育所で過ごすことができる、そのことで就学前まで安心して預けることができる施設を希望しているはずです。すなわち、今、問われているのは、とりあえずどこでもいいから預けられる保育所ではなく、子供たちがどんな環境でどのように育てられるべきかであり、子供たちが主体的に遊びや生活に取り組める人の体制、そして物的環境を整えるということです。そういう願いに応えることができる保育所の整備、受け皿づくりこそ市がするべきことであり、市長の言う子育て環境日本一に近づく道だと考えます。 また、保育士の処遇改善も待ったなしの課題ではないでしょうか。 保育士不足は、都市部だけではない、全国的な問題です。それは、保育士そのものがいないのではなく、資格はあるが、なり手がいないということが原因です。 2015年の公定価格では、保育士の賃金--本棒基準額を19万9,920円としていますが、この額は十数年前と変わっておらず、全企業の平均賃金より9万円も低いということが厚労省の調査でも明らかになっています。その上、国の保育所の配置基準も低く、多くは自治体や保育所自身がそれをカバーしています。加えて、公定価格には昇給財源が見積もられておらず、経験給の加算が11年でストップしてしまう、これらのことがさらに劣悪な処遇に拍車をかけています。 専門職にふさわしい改善なくして、抜本的な待機児童の解消はできません。 和歌山市でも、この間、不足する非常勤保育士を7回も募集したけれども、必要人員を確保することができなかったことがわかりました。その大きな要因は、子供の命を預かる仕事であるにもかかわらず、それに見合う処遇になっていないことにあります。 しかし、市は、不足する人員の分をローテーションの見直しや時間外勤務やアルバイトの補充で対応したとのことで、具体的な処遇改善はされませんでした。 抜本的な改善のためには、保育の実態に合わせた公定価格を国に強く求める必要がありますが、同時に児童福祉法第24条第1項に規定された市町村の保育実施責任に基づいて、市長は待機児童解消のために最大限の力を注いでいただきたいと思います。 そして、既に立てられている事業計画について、保育の量の見込みが、確保の方策とともに申し込み数と認定者数を正確に捉え、必要な量になっているのかどうかを検証することも急がなければなりません。 和歌山市は、公立保育所、幼稚園の施設整備計画の中で、10カ年かけて認定こども園を新たに建設し、統廃合による大規模化で数そのものを減らそうとしています。しかし、今、求められているのは、保育の提供区域ごとの必要量を明らかにして事業計画を立て直し、実態に即したものにすることではないでしょうか。 和歌山市の公立保育所は、充足率が低いことを理由に、行政改革の中で民営化が進められてきました。しかし、充足率の低さの原因は、保育時間や対象年齢が市民のニーズに合わないことにあります。 現在、公立園は21カ所ありますが、3歳未満児を受け入れていない保育所は6カ所あります。たとえ受け入れているところでも、10カ月からが7カ所、1歳からが2カ所、3カ月からはわずか4カ所しかありません。 それに対し、私立保育所はどうでしょうか。30カ所中17カ所が産休明けから受け入れており、そのほかの13カ所についても、3カ月からが9カ所、6週、4カ月、6カ月、10カ月からがそれぞれ1カ所となっていることから見て、大きな開きがあります。 これは、保育時間も同様です。公立では、朝7時30分から夜6時30分まで見てくれるところは4カ所しかなく、そのほかの17カ所では朝8時から夕方5時までしか見てもらえません。公立保育所を当てにしていたら働けないというのが市民の率直な声です。 公立保育所は定員を減らしてきましたが、施設的にはあきがあります。これを活用し、保育時間、保育年齢を私立保育所と同等の機能に見直すとともに、保育士の処遇改善を図り、待機児童を受け入れることを進めるべきだと考えます。 そこで、お伺いいたします。 さきの12月県議会の答弁で、10月1日現在、県全体で280数名の待機児童のうち261名が和歌山市だと答えていますが、その内訳と現時点ではどのようになっていますか。昨年度と比較して待機児童がふえている理由をどのようにつかんでおられますか。また、それにどんな対策を講じておられますか。 2017年4月1日の待機児童はどれぐらいになると見込まれますか。 市長は、子育て環境日本一という観点において、兄弟姉妹が別々の保育所に入所あるいは第5希望の保育所でないと入れない現状をどのようにお考えですか。 3歳未満児の保育を初め、時間延長、緊急一時などの特別保育事業を全ての公立保育所で実施できるよう、正規職員を初めとする保育士確保並びに施設改修などの措置をできるだけ早くとるべきだと考えますが、市長の見解をお聞かせください。 最後に、市長と市民との対話のあり方についてお伺いいたします。 地方自治体が扱う事業は、どれも市民の暮らしに直結するものであり、その本旨は市民福祉の向上です。 市長の施政方針のあり方について、私たち議員は市民代表として意見を言う立場にあり、市長と双方向で議論することができますが、それだけでは不十分であり、住民自治のためには、市民が計画策定に携わる、あるいは直接市長に意見を届けることも必要です。そのことが、さまざまな施策の活性化にも大いに寄与すると思われるからです。 先般、市民会館の建てかえについて、市長に市民の声を直接届けたいという要望があり、日程調整を依頼したものの、既に多くの要望を聞いているから担当局が受け取ればよいとの判断のもと、市長が直接受け取ることはありませんでした。 毎日、分刻みでさまざまな要望を聞く市長の忙しさはよくわかりますし、全ての要望に応えることが困難であることも理解できます。今回は、市長に直接手渡すだけであって、そのことに意味があるとの願いであったにもかかわらず、なぜ受け取るだけのことすらできなかったのでしょうか。 かつて、前市長が、耳に痛いことも聞くと言いながら、ある案件について直接話したいという市民と会った際、市長の方針に対する率直な意見が続出したことから、以降、市民に会うことを極力控える、避けるということになってしまいました。会うかどうかを判断するのは、市長ではなく審議監の仕事になりました。前市長の耳に痛いことも聞くという言葉は、残念ながら言葉だけのものになってしまったのです。 私は、市長が積極的に市民と対話しようとするかどうかは、住民自治にとっても重要な意味を持つと考えています。特に、市民会館の建てかえは、市の方針であるとともに、市民の方にとっても利用する機会の多い公共施設であり、ともによいものにしたいという思いからのものであったからです。 市長は、市内のブロック別あるいは地区別で市政報告をされていますが、市長の思いを市民に直接述べることについて、積極的であることは評価できます。 他方、市民が市長に直接会いたいという場合はどうでしょうか。和歌山市をどうするかについては、誰かがどこかでしてくれるものではなく、自主的にかかわってこその住民自治であり、そういう意識を持った市民との対話は時間を惜しまず会う、聞くことが市長の姿勢であってほしいと思います。 そこで、お伺いいたします。 市民が直接市長に会って話したいとの声をどのように受けとめ、聞こうとしているのか、市長のお考えをお聞かせください。 以上お伺いいたしまして、代表質問といたします。(拍手) 〔議長退席、副議長着席〕 ○副議長(戸田正人君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 28番森下議員の代表質問にお答えします。 IRについて、子育て整備や観光など、住みたいと選ばれる町を目指すという方針に相入れないと考えるがどうか。ギャンブル依存を初め借金や犯罪などが想定されるビジネスモデルを地方自治体が率先して誘致するべきではなく、白紙撤回するべきだと考えるがどうかとの御質問でございます。一括してお答えします。 私は、本市の海岸美やマリンスポーツ、海洋レジャーなど海洋リゾートの魅力をさらに高め、歴史、文化など本市の特色を生かした和歌山ならではのハイクラスの和歌山型IRの誘致を目指しています。これが実現すれば、世界から注目される国際競争力の高い広域観光の拠点都市になり、観光客の増加が期待でき、住みたいと選ばれる魅力があふれる町につながるものと考えています。 統合型リゾートの一部であるカジノ施設については、指摘されているデメリットの中でもギャンブル依存症の対策が難しく、誘致する上での大きな課題であると考えており、市民のギャンブル依存症を確実に防ぐためには、カジノ施設を外国人専用にすることが最善であると考えたところです。カジノ施設を外国人専用とすることに加え、カジノに関する広告を抑制すれば、子育て環境に影響はないものと考えております。 また、カジノ施設を外国人専用とすると、事業者にとって収益の見込みが減少することから、誘致のハードルは高くなりますが、誘致することができれば、市域への経済効果が大きく、税収も増加するなど、本市の活性化に大きく寄与するものと考えております。 次に、実施法は公営賭博と同等の要件が必要であるが、民営賭博であるIRのための実施法の成立の可能性についてどう考えているのかとの御質問でございます。 賭博行為は刑法で禁じられていますが、競馬、競輪などの公営競技は、特別な法律により、正当行為として違法性が阻却されています。 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法による附帯決議において、この法律の詳細の内容を規定するIR実施法の検討に当たっては、民設民営のカジノが違法性阻却の要件を満たし、刑法との整合性を図るよう十分な検討を行うこととされております。このことから、カジノを運営する民間に対して厳格に規制できるよう、IR実施法案等が整備されるものと考えております。 次に、法案成立後に行った市民アンケートの結果、慎重に検討としていたにもかかわらず、また、長期総合計画の議決も経ないまま、早々とIRの誘致を進めると発表した理由は何か、また、反対が賛成を上回ったことをどのように受けとめているかとの御質問でございます。 統合型リゾートに係る世論調査やインターネットモニター調査の結果では、反対されている方の数は多く、その意見を重く受けとめ、大きな課題であるギャンブル依存症を防ぐためにカジノ施設を外国人専用としたものです。 ことしじゅうに実施法が提出されることになるため、それまでに誘致交渉を進め、候補地を決定するとともに、本市に大きな効果をもたらす施設を提案してくれる事業者と連携調整しながら和歌山型IRの構想を具体化させていくことが必要です。 また、法案成立後、地方公共団体が国に区域申請することになりますが、誘致を推進している自治体は次々と申請を行うことが予想される一方で、国内にできる統合型リゾートは少数に限定されることから、早い段階からの取り組みが必要となります。 この誘致のハードルは高いものですが、私は、今しかないこのチャンス、本市の活性化につながるこの可能性を逃すことなく取り組むことが必要であると考え、誘致に向けた具体的な検討の第一歩として、カジノ施設を外国人専用とした統合型リゾートの誘致に取り組むことを公表したものでございます。 統合型リゾートを誘致するか否かの最終判断については、設置に係る区域申請を行うときであると考えております。今後、国が検討している関連法案の状況を注視しつつ、事業者からの提案内容等を含めた和歌山型IRの構想ができた段階で、その内容を市民の皆様に積極的に情報発信し、広く意見を伺うとともに、市議会の皆様と議論を深め、最終判断したいと考えております。 次に、こども医療助成制度について、市長は、子育て環境日本一を目指すという方針に照らして、所得制限があることをどのように受けとめているか、また、使いやすい制度にするため、所得制限を撤廃すべきだと思うがどうかとの御質問でございます。 平成28年8月から、子供医療の通院費の対象を小学校就学前から中学校卒業までに拡充していますが、これは、和歌山市まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、子育て世帯の経済的負担の軽減に重点を置き、実施したものであります。 子育て環境日本一を目指す上で、子育て世帯の経済的支援を必要とする方々に対して、限られた財源の中で、所得に応じさまざまな施策を実施しております。そのような観点から、こども医療費助成制度の所得制限を設けておりますので、御理解いただきたいと思います。 次に、保育行政について、子育て環境日本一という観点において、兄弟姉妹が別々の保育所に入所あるいは第5希望の保育所でないと入れない現状をどのように考えるか。3歳未満児の保育を初め、時間延長、緊急一時などの特別保育事業を全ての公立保育所で実施できるよう、正規職員を初めとする保育士確保並びに施設改修などの措置をできるだけ早くとるべきと考えるが、市長の見解はとの御質問でございます。 兄弟姉妹が別々の保育所に入所することや希望順位が低い保育所でないと入所できないことは、子育て環境がよい状況にあるとは思っておらず、そういった事態を可能な限り回避したいと考えております。 公立保育所の3歳未満児の受け入れ及び11時間保育に対応する施設数を拡大する必要性は感じており、4月から新たに1園で3歳未満児保育と11時間保育を実施する予定です。 3歳未満児保育及び11時間保育を実施するためには、保育士の確保が必要であり、正職員をふやすことを視野に入れながら、非常勤保育士等の処遇改善を図り、必要な人材の確保ができ次第、施設整備を行い、実施する園をふやす計画です。 また、一時保育についても、利用状況等を見ながら判断していきたいと考えております。 次に、市民との対話について、市民が直接市長に会って話したいとの声をどのように受けとめ、聞こうとしているのか、その考え方についてとの御質問でございます。 昨年12月、市民会館を利用する団体の代表者が、新しい市民会館の設備について記した要望を直接市長に渡したいと秘書課に来られました。この要望内容につきましては、既に教育局長が一般質問で答弁していた内容と同一であり、教育委員会が所管する案件であるとの判断のもと、秘書課が要望先は教育委員会であると伝え、団体の代表者も承諾の上、後日、教育長が面談し、要望書を受け取りました。 面会、対話等につきましては、相手方の要望を考慮しながら調整していますが、多種多様な行事等に対する出席依頼がある中、御希望全てに対応するのは物理的にも無理があります。 しかしながら、市民の皆様方と対話し、いろいろな御意見を伺い、それを行政に反映していくことは大変重要なことと考えており、今後とも市民の皆様とできる限り対話する機会を設けてまいります。 以上でございます。 ○副議長(戸田正人君) 平田福祉局長。 〔福祉局長平田謙司君登壇〕 ◎福祉局長(平田謙司君) 28番森下議員の代表質問にお答えします。 3点ございます。 1点目、子供の医療助成制度について、所得制限のため、受けられない方はどのくらいか、撤廃するために必要な金額はどれくらいかとの御質問です。 現在、こども医療費助成制度を申請され、保護者の所得超過のため受けられない方は、就学前のお子様で5.92%、小学生、中学生で6.96%となっています。 また、申請されていない所得超過の方も含めると、全体の約1割弱になると考えられます。 次に、撤廃するために必要な金額は、約1億1,000万円となります。 保育行政について2点ございます。10月1日現在、待機児童が261名とのことだが、その内訳と現時点でどのようになっているか。昨年度と比較して待機児童がふえている理由をどのようにつかんでいるか、また、どんな対策を講じているのかとの御質問です。 10月1日の内訳については、ゼロ歳児130名、1歳児75名、2歳児56名です。 現時点の状況は、10月以降も申請は受け付けているため、待機児童はふえています。 待機児童がふえている理由としましては、3人っ子施策、幼児教育の段階的無償化策の実施に伴い、保育料の負担が減ったことにより、女性の社会進出がふえ、入所申し込みがふえたことによるものと考えています。 待機児童対策といたしましては、保育施設の整備に伴う定員の拡大、私立幼稚園の認定こども園への移行を推進しています。 また、公立保育所でも、平成28年度に3歳未満児保育実施園を1カ所ふやしています。 最後に、2017年4月1日の待機児童はどれくらいになると見込んでいるのかとの御質問です。 平成29年4月入所に向けて、現在も申し込みを受け付けているため、待機児童の詳細は出ていませんが、申し込み数も増加傾向にあります。施設整備等による定員増を実施していますが、平成28年度の6名より少しふえると見込んでいます。 以上でございます。 ○副議長(戸田正人君) 次に、山本忠相君。--20番。 〔20番山本忠相君登壇〕(拍手) ◆20番(山本忠相君) 誠和クラブの山本忠相です。 「月日は百代の過客にして、行かふ年もまた旅人なり」、これは松尾芭蕉の随筆「おくのほそ道」の冒頭です。来ては去り、去っては来る、時間は旅人のようなものだと記されております。 このひな壇にいらっしゃる局長諸兄の多くが、今月末をもって退職されると聞き及んでおります。先日行いましたクラブ総会において、一抹の寂しさと、月日の経過そのものが大きく流れる世の推移を物語っていることについて感じ入らざるを得ないこと、会派の総意として惜別と感謝の念をあらわそうと決めました。 長きにわたり奉職された辻市長公室長、宮原危機管理局長、山本市民環境局長、立本健康局長、坂本産業まちづくり局長、南方建設局長、南会計管理者、北教育局長、危険と隣り合わせの職務を全うされた出口消防局長、そして私たち議員の世話を率先して取り仕切られた尾崎議会事務局長、また、この場にはいらっしゃいませんが、部長を初め退職される職員の皆様に心から敬意と感謝を表します。今月末をもって任を離れられる皆様には、御健康に留意され、これからの日々、幸多からんことを願い、再び奉職される皆様にはますますの御健勝を御期待申し上げるところであります。 さて、議長よりお許しをいただきましたので、代表の質問に入らせていただきます。 今回は、市長の政治姿勢についてということで、2題質問をいたしたいと思います。 初めに、さまざまな法律への対応について伺います。 国会では、新たな法律が制定されたり、また、現行法を改正したりと、さまざまな手続が行われております。 市の各部局においては、そのような国の予算や条例に影響を与えるものは常に注視されておるものと思いますが、中には予算に直接関係なくとも市民生活に資するものがあります。 まずは、犯罪被害者等基本法です。 この法律は、平成16年12月に成立したものです。犯罪に巻き込まれた被害者等の多くの方の権利が尊重されてきたとは言いがたい現実を見るにつけ、十分な支援も受けられず、社会で孤立することを余儀なくされてきたことに、一市民として思いをいたすところであります。 被害者は、犯罪による直接的な被害のみならず、2次的な被害にさらされることも多く、被害者の立場に立った権利保護を図る観点からこの法律が生まれました。法には、地方公共団体の責務として、「地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と定められた1項があります。 犯罪被害者は、全体から見れば少数ですが、犯罪被害者の支援の施策は、これから被害を受けるかもしれない市民のための施策でもあると考えます。また、施策継続を担保するために条例を制定している自治体もあります。 法律が施行されてから12年が経過しましたが、残念ながら全国での取り組み状況は芳しくないように思います。日本弁護士連合会犯罪被害者支援委員会の調査によりますと、市町村レベルで犯罪被害者等への支援を定めた条例を全く持っていない県は、昨年12月現在で、和歌山県を含めて21県にも上ります。 2月28日には、アイドルの女性がストーカー被害に遭った末、ライブ会場の入り口でめった刺しにされた事件の一審判決公判が行われました。死のふちをさまよいながらも何とか生還した彼女が受けた心と体の傷は、想像が及びもつきません。 また、私たちの町では、平成10年の夏に和歌山毒物カレー事件が発生し、4人の命が奪われ、多くの住民が苦しまれてきました。そういう点からも、被害者支援にもっと積極的に取り組む立場であるし、その必要があると思います。 そこで、るる申し上げたことについて、本市における現状をどのように認識把握されているか、お聞かせください。 継続的な施策を行うために、日弁連が犯罪被害者等支援のためのモデル条例案を示しております。私の手元に資料があります。具体的に逐条解説等も載っている資料です。この資料は、人権同和施策課長さんにお渡しをしております。 話はそれますが、今回、窓口は人権同和施策課長さんがしてくださいましたが、私は違和感を持っております。犯罪被害者の人権ですが、人権という文字がついたら何もかも人権同和施策課なのか。障害者の人権は、高齢者の人権はとなると、役所のありとあらゆる仕事が人権同和施策課の担当になってくる。これは正しいのかと疑問を抱いております。ぜひ、この点も一考していただきたいと思います。 さて、今、お話をしましたこのモデル案を活用して、条例の制定も検討していただきたいと考えておりますが、市の今後の対応についてお考えをお示しください。 次に、部落差別の解消の推進に関する法律、いわゆる部落差別解消推進法についてです。 この法律は、さきの第192回臨時国会で成立したものです。 今回の法律を読んでいくと、1つ、部落差別の存在を認知する、2つ、部落問題の解決を初めて明記した、3つ、部落差別解消のための施策の実施を国と地方自治体の責務に位置づけた、4つ、相談体制の充実を明記した、5つ、部落問題の教育、啓発を明記した、6つ、実態調査の実施を明記した、以上6つのポイントがあります。 昭和44年に制定された同和対策事業特別措置法以降の関係法律は、生活実態の改善や財政措置が中心で、部落問題とされる本質的な解決には触れられていませんでした。今回の法律により、根本的な解決を目指すために大きく一歩踏み込んだのであります。 本市においては、国の法律よりもかなり先立って、今から22年余り前に、和歌山市部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例を制定し、あらゆる差別をなくするための取り組みを続けてこられました。 また、あらゆる差別の解消に向けて、ヘイトスピーチを禁止する法律や条例、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法も制定され、国や他の自治体においても、あらゆる差別の解消に向けた取り組みに力を入れています。 しかしながら、部落差別に限れば、いまだに同和地区の問い合わせや差別落書き、加えてインターネットに部落地名を掲載する事件が発生しています。 今回、法律ができて、この法律をどう周知徹底するかというのが大きな課題であろうと思います。 法律自体には非常に大きな啓発効果があります。例えば、車のシートベルトの場合、平成4年から一般道でも装着が義務化されました。シートベルトをすることが、努力義務から高速道路での義務化、そして一般道へと広がり、ベルトをしていないことが非常識となりました。 一足飛びに変化はいたしませんが、部落差別の存在を法律が認め、解決を目指す今回の法律ができた、時代が変わったんだと社会に知らせることができます。きめ細やかな周知、啓発を行うことで、部落差別の現実から目を背けたり、軽んじたり、認識不足を補えるのではないかと考えます。 このような現状を鑑みたときに、現在の条例では、差別をしたとしても有効な手だてが打てないのではないでしょうか。部落差別に特化して、法律の趣旨をどう捉えて、今後どのような啓発を行っていくのか、お考えをお示しください。 次に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる義務教育機会確保法についてです。 この法律も、さきの第192回臨時国会で成立をいたしました。不登校やフリースクール等、学校外、夜間中学校での多様な学びを支援するために定められたものです。 本年1月には、文部科学省から、「夜間中学の設置・充実に向けて」という手引が出されました。今、私のこの手元にあるものがそうです(冊子を示す)。これは、文科省のホームページでもとることができます。 この中で、夜間中学設置のニーズという項において、対象者を4つの類型に整理しております。 1、義務教育未修了者、平成22年国勢調査によると、学齢を超過している者の中で、義務教育を修了していない者が少なくとも12万8,000人いる。ただし、この未就学者の人数は、在籍したことのない者または小学校を中途退学した者の人数であり、小学校卒業後中学校に入学しなかった者や中学校を中退した者の数は含まれていないので、実際にはより多くなると考えられると記されております。巻末の資料には、市町村別の人数が記載されており、和歌山市は571人となっておりました。 2、入学希望既卒者、親による虐待や無戸籍等の複雑な家庭事情により、学齢であっても居所不明であったり、未就学期間が生じている方、不登校児童生徒で学校に十分通わないまま卒業するなど、義務教育を十分に受けられなかった義務教育修了者、3、不登校となっている学齢生徒、4、外国籍の4つです。少なからず、対象者は存在しているということです。 本市においては、数年前に夜間中学設置の機運が高まりましたが、通学希望者の移動など物理的な課題が乗り越えられずに実現しなかったと聞き及んでおります。 何年か前になりますが、私が実際の授業を拝見した際は、日本国憲法の漢字にルビを振り、朗読し、言葉の意味を学ぶという授業でした。記憶に鮮明なのは、憲法第23条「学問の自由は、これを保障する。」、これを音読し、五七五の音の調べになっていることをかみしめながら、みずから今まさに行っている学びに自由が与えられているということを認識していることが非常に印象的でありました。 私が授業を見学した当時は、戦争による学徒動員など、歴史的、社会的背景から義務教育を終えることができなかった、触れることさえできなかった方々に学びの機会を提供することが中心でした。 しかし、現在では、不登校など、今日のさまざまな社会的事由、理由によって学校に通えない子供たちは一定数存在し、そのことが社会的問題となっております。 そこで、お伺いをいたします。 夜間中学の設置についての考え方を、本市における現状認識を踏まえてお答えください。 2つ目の題として、統合型リゾート施設--IRについてお伺いをいたします。 本論に入る前に、2月15日付某紙朝刊でIR誘致を近く正式表明するとすっぱ抜かれ、定例記者会見の前日にもかかわらず、IR誘致正式表明のための記者会見を15日午後に行われたと聞いております。 市民の間では意見を二分する重大事であるにもかかわらず、事前に御報告はいただけてませんでした。当日18時過ぎまで会派の控室におりましたが、翌16日の朝刊に記事が掲載されているのを見て、外回りで事を知った次第であります。多くの先輩同僚議員も同じではないでしょうか。 15日の記者会見は、急遽行われたようでありますが、議会との信頼関係に小さな傷をつけたという点では残念でなりません。 さて、IRについて、市民アンケートを実施し、その結果を目の当たりにされ、市長はさまざまな思慮をされたことと存じます。 私も、IRに関する記事や論評を探しました。ギャンブル依存症や青少年への悪影響といった負の側面を指摘するものとともに、IRが地域経済や雇用の面で劇的な効果をもたらす魔法のつえのように論じられているものもありました。 市長は、IRについてどういう認識をお持ちか、お伺いをいたします。 新聞報道によりますと、記者会見で、実績から見ても500万人以上は目標にできるのではないかと答えられたようですが、その真意を、500万人以上と打ち出した根拠も含めて明らかにしていただきたいと思います。 また、和歌山と大阪で観光客のニーズが異なっており、競合はしないと思う、地域性があってもよい、大阪とは競合せず、両府県にIRが並立する可能性もあるとの認識を示した、仁坂知事も、IRが近接した場所に2つできたとしても、採算はとれるので業者は逃げない、相乗効果も生まれるのではと指摘すると記事に記されておりますが、すみ分けができるとの考え方は市長の希望的観測ですか。それとも、どこかにその可能性を確認されたのでしょうか。 国会議員で構成される国際観光産業振興議員連盟から、平成26年10月16日改訂版で発出された「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方」によれば、統合型リゾート施設設置の「指定を受けた地方公共団体は、IRを自らの費用とリスクによって整備し、運営する民間事業者を公募により選定することを基本とする。」と記されています。このとおり実施した場合、事業者を選んだ責任というリスクを市は負わなければなりません。 事業者は、採算が合わなければ撤退という選択肢を持っています。市や県の税金で施設への道路や水道など各種インフラを整備したあげくに撤退となれば、かけた税金に対する責任は誰が負うのでしょうか、見解をお聞かせください。 さきの考え方を見るに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に間に合うように最大限努力すると方針が示されています。その時間軸のもと、インフラや施設の建設の整備、その前に事業者の決定、その前には事業者の選定、そしてその前には公募をするという工程を考えるならば、余り残された時間はないように思います。 それ以前に、推進するならば、IRについて、市民に理解をしていただいた上で賛同を得なければなりません。前回と同じアンケートなのか、住民投票なのか、何をもって市民の意思を確認されるのでしょうか。理解を求めた上で、なお反対が上回った場合、市長はどのような判断を下されますか、お考えをお示しください。 記者会見では、設置の検討場所を和歌山マリーナシティとコスモパーク加太の2カ所と思っている旨お答えになっておられます。和歌山マリーナシティは、ほとんどが民有地で、コスモパーク加太は和歌山県土地開発公社が所有しています。 これに関して、平成15年11月25日付で「和歌山県土地開発公社にかかる『調停に代わる決定』について」と題する記事が県ホームページに載せられております。こちらが現物です(資料を示す)。 中身は、県公社が金融機関から行った借入金438億1,530万円の借りかえができなかったので、特定調停によって支払い方法を決めるというものです。公社所有の土地に108億円の根抵当権を設定する、65億1,530万円について、平成36年3月末までの20年間で分割弁済し、質権を設定する、265億円については平成45年3月末まで県が債務保証するというものです。 そもそも、関西国際空港の土取り事業で322億円の赤字を出し、跡地を売ろうにもバブルが崩壊で全く売れず、巨額の金利負担がのしかかったのが県公社の今の姿であります。げすの勘ぐりと言われればそれまでですが、県公社の赤字解消のウルトラCが一獲千金を狙ったIRの誘致で、その片棒を和歌山市が、尾花市長が担がされているのではないかと心配するのですが、考え過ぎでしょうか。 最後に、中国北宋時代の政治家、蘇軾が記した「東坡志林(とうばしりん)」という書物の中に道人の戯語(ざれごと)という話が書かれておりますので御紹介させていただき、終わりにしたいと思います。道人--寺の住職です--道人が寺でいろいろなまじないの秘法を売っており、その中に賭博に絶対負けぬ法と記した封筒がありました。若者がそれを千金--大金で買い、帰ってからあけてみると、賭博をするなと書いてあったという話です。 以上をもちまして、誠和クラブの代表質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(戸田正人君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 20番山本忠相議員の代表質問にお答えします。 市長は、IRについてどういう認識を持っているかとの御質問でございます。 統合型リゾートについては、カジノ施設を有することから、ギャンブル依存症の増加、治安の悪化、教育上の悪影響、マネーロンダリングなど、さまざまなデメリットが指摘されています。中でも、市民の方も不安視しているギャンブル依存症は、対策が難しく、誘致する上での大きな課題であると認識しております。 一方で、施設設置に伴う雇用や関連産業への波及、観光客増加に伴うホテルや飲食店などの建設、固定資産税や法人市民税などの税収の増、本市の観光PRにもつながるものと考えております。 次に、記者会見で答えた目標500万人以上について、その真意と打ち出した根拠も含めて明らかにされたいとの御質問でございます。 500万人という数値は、完成想定年における県及び本市の観光客数の見込み、海外における統合型リゾートを訪れた観光客の割合等から、本市に統合型リゾートができた場合に増加する観光客数を推計したもので、事業者との交渉など誘致への取り組みに係る目標値とするためのものです。 次に、和歌山と大阪では観光客のニーズが異なっており、競合はしない、地域性があってもよいとのことだが、すみ分けができるとの考え方は市長の希望的観測なのか、それともどこかにその可能性を確認したのかとの御質問でございます。 私が目指す統合型リゾートは、本市の海岸美やマリンスポーツ、海洋レジャーなど海洋リゾートの魅力をさらに高め、歴史、文化など市の特色を生かした和歌山ならではのハイクラスの施設で、カジノ施設を外国人専用とした和歌山型IRです。 一方、大阪府と大阪市は、人工島である夢洲に統合型リゾートの誘致を進めており、大規模な国際会議や展示会が開催できる大型施設などを有する、いわゆる大都市型の統合型リゾートの実現を目指していると聞いています。 したがいまして、本市が目指している施設とは、競合する部分も多少はあるものの、規模や特性が異なる施設であると考えています。 今後は、お互いに切磋琢磨しながら、地域の魅力を生かした世界に誇れる統合型リゾートができればよいと考えております。 次に、市や県の税金で施設への道路や水道など各種インフラを整備したあげくに撤退となれば、かけた税金に対する責任は誰が負うのかとの御質問でございます。 統合型リゾートを誘致するための新たな公共投資をすることは考えておりません。誘致を行う際には、事業者に対して、こうした本市の考えを示した上で協議を進めてまいります。 次に、IRについての市民の賛同についての意思確認をどうするのか、理解を求めた上で、なお反対が上回った場合、市長はどのような判断を下すのか、その考えを示されたいとの御質問でございます。 今後、誘致活動を進め、誘致に応じてくれる事業者があれば、提案内容を見きわめ、和歌山型IRの構想を具体化させていく予定ですが、その内容を市民の皆様に積極的に情報発信するよう取り組むとともに、広く意見を伺ってまいります。 その上で、市民の反対が多い場合は、その理由を精査の上、市議会の皆様と議論を深め、国への区域申請の可否について慎重に判断してまいります。 以上でございます。 ○副議長(戸田正人君) 山本市民環境局長。 〔市民環境局長山本彰徳君登壇〕 ◎市民環境局長(山本彰徳君) 20番山本忠相議員の代表質問にお答えします。 さまざまな法律への対応について2点ございます。 1点目、本市の犯罪被害者等支援における現状をどのように認識把握しているか、また、今後の対応について考えを示されたいとの御質問です。 犯罪被害者等の支援につきましては、人権問題として、和歌山市人権施策推進指針において、犯罪被害者及びそれらの家族の人権として取り上げています。それは、さまざまな犯罪で当事者になった人やその家族などが、その後、長期にわたり精神的な後遺症に悩まされていることが社会問題となっています。 和歌山市では、犯罪被害者等早期援助団体である公益社団法人紀の国被害者支援センターと連携しながら取り組んでいるところです。 この紀の国被害者支援センターの平成27年の活動実績としましては、電話による相談及び裁判所への付き添いなど、直接的な支援約50件の支援活動の報告がありました。 今後は、関係機関や団体等と連携を強化するとともに、その役割分担を明確にしながら、庁内連携を含めて相談体制の充実に努めてまいります。 次に、部落差別に特化して、法律の趣旨をどう捉えて、今後どのような啓発を行っていくのか、考えを示されたいとの御質問です。 法律としては部落差別の言葉が初めて使用され、部落差別の解消の推進に関する法律の第1条には、「部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする。」とあります。 部落差別は、現在もなお存在し、その解決を図ることが行政の責務であると考えています。 今後、この部落差別の解消の推進に関する法律の定めるところにより、国及び県と連携、協力しながら相談体制の充実を図るとともに、あらゆる機会を捉えて部落問題を主とした研修会を開催するなど、教育及び啓発をさらに推進し、一日も早い部落差別の解消を目指して取り組んでいきます。 以上でございます。 ○副議長(戸田正人君) 原教育長。 〔教育長原 一起君登壇〕 ◎教育長(原一起君) 20番山本忠相議員の代表質問にお答えします。 さまざまな法律への対応について、夜間中学の設置についての考え方を、和歌山市における現状認識を踏まえて答えよとの御質問です。 文部科学省においては、平成27年、全ての都道府県に少なくとも1つは夜間中学を設置することを目指すという方針が掲げられました。 和歌山市における夜間中学の設置については、昨年度、和歌山県の委託を受け、文部科学省、中学校夜間学級の充実・改善等への取組事業における調査研究を県教育委員会とともに行ってきました。視察等を通して、夜間中学における入学要件や教育課程などを調査してきました。 本年度も、文部科学省、中学校夜間学級の設置促進事業における県の委託を受ける中で、交通の便を考慮した設置場所に関する調査や他市町村在住者の受け入れを含めた自治体の入学要件の調査、就学に係る予算の経費内容等について、県教育委員会と連携をとり、昨年度に引き続き取り組んでいるところです。 夜間中学設置については、岩橋自主夜間中学からの設置に向けての要望を既に聞かせていただいておりますが、設置場所や教員等の配置、生徒の就学に係る補助などの財政負担等の課題について、調査、検討が必要であると考えています。 今後は、和歌山市にどれだけのニーズがあるのかの把握を初め、法施行による国の動向を注視するとともに、県教育委員会と連携を図りながら課題の検討を深めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(戸田正人君) 次に、林隆一君。--1番。 〔1番林 隆一君登壇〕(拍手) ◆1番(林隆一君) 皆様、こんばんは。日本維新の会の林隆一です。 本議会におきまして、会派名を和歌山維新の会から、所属政党と同じく日本維新の会に変更いたしました。よろしくお願いいたします。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして代表質問をさせていただきます。 まず初めに、管外出張旅費について質問をさせていただきます。 これは、昨年の12月議会の私の一般質問においても同様の質問をさせていただきました。その際、私の最後の質問に対する市長の答弁に私の中で疑義が生じましたので、再度質問をさせていただきます。 それでは、改めまして、管外国内出張の際に市長や議員に支給される旅費についてお伺いをいたします。 まず、市長や議員が鉄道を利用して国内出張の際に和歌山市が支給する鉄道賃について、市長については和歌山市職員等旅費支給条例第13条が、また、議員については議員報酬等に関する条例の第3条が、一律に特別車両料金、いわゆるグリーン料金が支給されると規定されています。そして、この鉄道賃が和歌山市税から支払われていることを鑑みると、支給する鉄道賃についてどのように考えるのかということは、市長や議員、ひいては和歌山市の財政問題でもあり、和歌山市全体の問題でもあります。 さきの12月議会において、市長は、グリーン車料金が支給されるのは、移動による疲労を軽減するための規定であり、現時点で条例を見直す必要はないと答弁しました。 しかしながら、私が第一義的に問題視しているのは、実際にグリーン車を利用していない議員に対して、実費以上のグリーン車料金を支給することの合理性であり、グリーン利用をすることの合理性ではありません。 実費以上の鉄道賃を支給することと疲労の軽減とはどのような関係があるのでしょうか。市長の答弁は、私の質問に対する回答にはなっていませんでした。 さて、この問題について、岐阜県大垣市では住民監査請求が提起され、岐阜地裁平成25年(行ウ)第8号で、実際に利用していない運賃を議員に支給することについて判断をしています。その一部を御紹介させていただきます。 まず、事案についてですが、岐阜県大垣市が平成24年度に行政視察等を行った市議会議員やこれに随行した職員に対して特別車両料金を支払ったことに関し、大垣市の住民が、本件議員等は上記行政視察等に際して特別車両、いわゆるグリーン車を利用しておらず、法律上の原因なく特別車両料金を受領しているため、大垣市に対し、同料金相当額の不当利得返還義務を負っているにもかかわらず、大垣市長がその返還請求を怠っていると主張し、地方自治法第242条の2第1項第4号に基づき、大垣市長に対し、本件議員等に対し、同料金相当額の各金員をそれぞれ返還請求するように求めた事案でございます。 この裁判例では、グリーン車料を一律支給することについて、「議員らが事前に特別車両を利用しない旨の申出をし、実際に特別車両を利用しなかった場合についてまで定額支給をすることは、合理性を著しく欠くものである。したがって、本件特別車両料金規定は、議員らが事前に特別車両を利用しない旨の申出をし、実際に特別車両を利用しなかった場合を除き、定額支給をすることを定めている規定であると限定的に解釈運用すべきであり、議員らが事前に特別車両を利用しない旨の申出をし、実際に特別車両を利用しなかった場合についてまで、特別車両の料金を定額支給した場合には、当該支給は違法に支給されたものとなり、当該議員等は、普通車両の指定席料と特別車両料金との差額を不当に利得したことになる。」としています。 ここでは、グリーン車を利用する必要がないとみずから判断した議員にまで特別車両料金を支給する必要性は乏しく、実費支給の原則からの逸脱は著しく、合理性に欠き、違法となることから、その差額は不当利得として大垣市に返還すべきものであると判断しています。そうです、支給の運用次第では、今まで私たち議員が当然のように受けていた鉄道賃の支給が、裁判所で違法と判断される可能性があるのです。 私は、市長や議員などが常にグリーン車を利用してもよいと解される条例は、一般の企業や市民感覚からすれば、相当時代錯誤な条例であると考えます。支給されるグリーン車料金と指定席や自由席の差額を自主的に返還する行為は、和歌山市に対する寄附行為、いわゆる公職選挙法違反となってしまい、返金することはできません。 しかしながら、先ほどの岐阜地裁の裁判例によれば、あらかじめグリーン車を利用しないことを明言している場合、差額を返還してなければ不当利得となるということです。だから、本市においても不当利得と判断される可能性があります。 このように、私が差額を返還すべきであると考えるのは、市長や議員は公務で年に何度も管外出張に行くため、差額もかなりの額になるからです。 例えば、快速電車を利用して新大阪まで出張する場合の旅費は、和歌山駅から新大阪駅までの往復料金2,840円ですが、支給される料金はJRくろしお号の特別車両料金、いわゆるグリーン料金で、往復で6,980円、差額は4,140円となります。 これが、さらに東京駅まで行く場合を考えますと、指定席は片道1万6,050円ですが、グリーン車料では2万1,850円となり、指定席との差額は往復で1万1,600円となります。 市長や副市長、議員は38名もいるのです。それぞれが年に何回も管外出張に行くことを考えれば、年間幾らになるのでしょうか。 市長や議員は、条例で規定された十分な報酬を受け取っています。みずから普通車両を選択している市長や議員に、さらに利用していないグリーン車料金との差額までも支給する必要があるのでしょうか。この差額分は市民の税金であり、市民負担を少しでも軽減するなど、和歌山市民のために使われるべきではないでしょうか。 私は、実費以上の鉄道賃が当然のように支払われ、返還する仕組みが規定されていない条例には不備があると考えます。しかしながら、市長は、自身や議員は特別だとの思いが強いのか、条例改正をするつもりがないかのような答弁をされています。 以上を前提として、市長にお伺いします。 市長は、先ほど岐阜地裁の裁判例を踏まえても、グリーン車を利用せず、指定席で東京まで出張すると宣言をしている議員に対して、条例に返還する仕組みがないからグリーン車と指定席や自由席との差額を市に返還せずにもらっておくべきだとおっしゃっているのか、お答えください。 この問題は、解決に向けて徹底的に追求していかなければなりません。市長におかれましては、答弁次第では被告になり得る可能性があるということを十分に鑑みて、明確にお願いします。 また、現在の条例によると、市長や議員には原則グリーン車等の料金が支給されていることになっていますが、この際、市長が率先し、旅費支給条例を見直すお考えはないのか。条例がないのが問題であれば、返還できる仕組みを条例に規定すればよいのではないでしょうか。旅費が市税から支払われていることや和歌山市の財政状況等を総合的に勘案した上でお答えください。 なお、先ほど紹介しました岐阜地裁の裁判例は、次のように締めくくっております。「本件議員等に対する本件特別車両料金の支給が違法ではないとしても、公務に要する費用の弁償は本来的には実費によるべきであり、定額支給方式を採る場合であっても、事務負担等も考慮した上で、できる限り実費に近い形となることが望ましいというべきである。特別車両料金が旅費の中でも相当程度の割合を占めていることを考慮すると、現状における特別車両の利用状況や原告らが主張するような社会情勢の変化等の様々な事情を踏まえ、特別車両料金の支給のあり方について、今後、大垣市の議会においてより合理的な取扱いを採ることができないか議論されることが望ましいというべきである。」としています。 和歌山市においても、実際にかかった鉄道賃の支払いを原則とし、少しでも市民の負担を軽くするなど、条例改正に着手してはいかがでしょうか。 続きまして、市長がIR誘致を表明された件についてお伺いをいたします。 昨年、国会において、カジノを含む統合型リゾート--IRの整備を促す特定複合観光施設区域整備推進法案、いわゆるIR法案が国会において賛成多数で可決されたことは記憶に新しいことだと思います。 我が会派におきましては、連日のようにIRに関してのマスコミからの問い合わせがあり、マスコミの関心の高さがうかがえます。 さて、市長は、会見でIR誘致は大阪と競合しないとおっしゃっておられましたが、しかし、客観的に見て競合します。 御承知のように、和歌山市と大阪府は地理的に隣接しており、関西国際空港が和歌山市と大阪、夢洲のほぼ中間地点ということもあり、競合していると言えます。 市長は、外国人専用のカジノにすると宣言されました。大阪のカジノは日本人と外国人が対象だが、和歌山市は外国人専用だと言っても、外国人の部分は重なり、競合しています。何を思って競合しないと言っているのでしょうか。私には理解できません。 経済効果を予想されていますが、机上の空論のようで全く根拠が見えません。 また、場所もマリーナシティやコスモパーク加太が挙げられていますが、この時期においても地権者との交渉もまだで、どちらか、まだ決まっていません。誘致を発表する前に誘致場所を決めておくべきではないでしょうか。 さて、それらの諸問題はさておき、来客数は年間500万人とか言っていますが、交通のアクセスはどうするのでしょうか。 市長は、JRか南海電鉄かわかりませんが、延伸させようというお考えでしょうか。それとも、和歌山市営地下鉄でもつくるという構想でしょうか。車で来ることを前提に考えているのでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 年間来客数予想を500万人と試算されていますが、交通のアクセスはどのようにお考えですか。マリーナシティとコスモパーク加太についてお答えください。 外国人専用のカジノといっても、風習が異なる外国人が来て、カジノで負けて腹が立ち、暴れる危険性も否定できません。日本のスポーツ選手でさえ、試合に負けて、バットをへし折る、ラケットをたたきつける等の光景はよく目にします。勝負事で負けて喜ぶ人はほとんどいないです。機嫌が悪くなり、いらいらするというのが人間の心理ではないでしょうか。 治安が悪化する危険性があることを多くの市民は心配されております。アンケート調査の結果も反対派が多いことを鑑み、市民の声に耳を傾けるならば、外国人専用といえど、カジノは和歌山市には要らないということにはならないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 市長は、何を思ってカジノ誘致の安全性を担保しているのか、お答えください。 市長がカジノを誘致したために治安が悪化し、もし死傷者が出た場合、市長はどう責任をとるのか、お答えください。 では、防災の観点からお尋ねします。 30年以内に70%の可能性で南海トラフ大地震が来ると言われております。 本市でもハザードマップを作成するなど、地震対策、大津波対策を検討されていることと、大津波の危険性がある候補地は整合性がとれません。 そこで、お伺いいたします。 IR候補地が南海トラフ大地震の大津波の危険性があることを承知の上で誘致をお考えなのか、お答えください。IR候補地の南海トラフ大地震の対策をどのようにお考えなのか、お答えください。 また、大津波による危険性がある場所で被害者が出た場合、天災というより人災に近いものがあると私は思います。市長は、そのときどう責任をとるのか、お答えください。 IRを無理して誘致して乱立すれば、かつてのテーマパークみたいになり、淘汰されていき、本市も多額の負債が残る危険性があります。 市長は、大阪市と競合しない理由の一つに、和歌山市は観光資源を生かしたカジノを含む統合型リゾート--IRを目指すというような趣旨の発言をされていました。観光資源を生かした取り組みは、非常によいことだと思います。しかし、IR誘致とは別の次元で検討すべきであると思います。 まず、和歌山市は、自然環境を生かした観光施設を充実させる取り組みが必要ではないでしょうか。 そこで、お伺いをいたします。 市長は、IR誘致がなければ観光資源を生かした取り組みができないのかをお答えください。 続きまして、子育て支援についてお伺いします。 御存じのように、若者を中心に人口流出が続いています。その流出者の多くは大阪です。 大阪市は、交通網が整備され、利便性がよいだけではなく、大阪は和歌山に比べて給与水準が高く、最低賃金法で定められている賃金を比較すると、和歌山では時給753円だが大阪では時給883円となり、時給換算でも130円の差があり、1日8時間を月20日働いた場合は月収2万円以上の差があります。これは、あくまで最低賃金の話です。 その上、大阪府は私学の高校まで無償化を実施しております。また、大阪市では、現在、5歳児で実施している教育費の無償化を4歳児まで拡大する方針であります。 大阪市は、所得水準が全国的にも高く、私学の高校まで無償化を実施している、ほかのさまざまな子育て支援を実施していることなどから、市長が目指す子育て環境日本一は、現在、大阪市であると思っています。 大阪市が、現在、5歳児で実施している教育費の無償化を、和歌山市でも大阪市と同じように無償化を実施すべきであるとし、市長にはその予定はないのか、お答えください。 また、大阪市では、放課後子ども教室推進事業においても、子育て支援の一環として、放課後や土曜も18時まで、全ての児童を無償としております。大阪と同じように、全ての子供を対象とした放課後等の事業を導入すべきものであると考えるが、いかがなものか、お答えください。 以上の質問を市長にお伺いし、私の代表質問を終了いたします。御清聴いただき、どうもありがとうございました。(拍手) 〔副議長退席、議長着席〕 ○議長(野嶋広子君) 尾花市長。 〔市長尾花正啓君登壇〕 ◎市長(尾花正啓君) 1番林議員の代表質問にお答えします。 管外出張旅費について、グリーン車を利用せず東京まで出張すると宣言している議員に対して、条例に返還する仕組みがないから、その特別車両料金を市に返還せずにもらっておくべきだというのかとの御質問でございます。 管外出張旅費について、現行制度では、鉄道賃や日当、宿泊料について、標準的な実費相当額を基礎として計算し、旅行者にその定額を支給することとなっています。 議員の皆様が管外出張する際の定額支給方式のあり方については、議会の中で議論していただくべき課題であると考えます。 次に、この際、財政状況等を総合的に勘案した上で、市長が率先し、旅費支給条例を見直す考えはないのか。また、実際にかかった鉄道賃の支払いを原則とし、条例改正に着手してはどうかとの御質問でございます。一括してお答えします。 特別車両料金については、短距離の移動では支給されていません。一方、長距離移動の場合は、分刻みで行っている打ち合わせや要望活動などに備え、移動による疲労を軽減することを第一義に支給されているものであり、現時点で条例を見直す必要はないと考えております。 また、実費による支給あるいは差額精算をする場合は、実費の算定が困難なものがあることや必要な証拠資料を確保することが旅行者や旅費事務担当者の事務負担を増大させることになり、標準的な実費額で機械的に計算する現行の定額支給方式のほうが比較的経費が節約できますので、現行の定額支給を継続していきたいと考えております。 次に、統合型リゾートの誘致について、候補地であるマリーナシティとコスモパーク加太への交通アクセスはどうするのかとの御質問でございます。 和歌山マリーナシティとコスモパーク加太のいずれの候補地に関しても、統合型リゾートを誘致するために新たな公共投資をすることは考えておりません。 必要があれば、事業者に海上アクセスの検討をしていただくことになると考えております。 次に、市長は、何を思ってカジノ誘致の安全性を担保しているのか。カジノを誘致したために治安が悪化し、もし死傷者が出た場合、市長は責任をとるのかとの御質問でございます。 昨年成立した特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法の附帯決議において、この法律の詳細の内容を規定するIR実施法の検討に当たっては、「犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないよう、世界最高水準の厳格なカジノ営業規制を構築すること。」とされております。このことから、犯罪防止や治安維持など安全が確保されるよう、IR実施法案等が整備されるものと考えております。 私の責任は、市民の生命と財産を守ることであり、死傷者が出ないよう未然に防ぐ取り組みに全力を尽くすことだと考えております。 次に、IR候補地に大津波の危険性があることを承知の上で誘致を考えているのか。IR候補地の南海トラフ大地震対策をどのように考えているのか。IRを誘致し、津波による被害者が出た場合、市長はどう責任をとるのかの御質問に対して、一括してお答えします。 本市では、南海トラフ巨大地震を初めとする大地震が発生した場合には、津波等による多くの被害が予想されています。 防災対策は、候補地だけでなく市域全体で講じていく必要があり、地区避難計画の推進や避難誘導灯の設置、防災行政無線の整備など、被害を最小限に抑えるよう積極的に取り組んでいるところでございます。 今後とも、津波犠牲者ゼロを目指し、津波から迅速に逃げるための準備に全力で取り組んでいくことが私の責務であると考えております。 次に、IR誘致がなければ観光資源を生かした取り組みができないのかとの御質問でございます。 本市には、温暖でさまざまな四季を楽しめる気候、加太や和歌の浦などの自然、和歌山城や紀州東照宮などの文化、新鮮な海産物などの食といった4つの観光資源が整っております。 この観光資源を生かし、さまざまな外国人観光客の誘客施策に取り組んできたこともあり、平成28年の本市の外国人宿泊者数は、平成23年に比べ、約26倍もの大幅な増加となりました。 本市の海洋リゾートの魅力をさらに高め、歴史、文化など本市の特色を生かした和歌山型IRは、県内観光の拠点だけでなく、紀伊半島の観光資源を結ぶ新たなゴールデンルートの起点となり、世界から注目される国際競争力の高い広域観光の拠点となります。本市の魅力がさらに向上することにより、国内外からの観光客は飛躍的に増加し、雇用や関連産業への波及、ホテルや飲食店等の増加等につながるものと考えております。 次に、子育て支援について、大阪市では、現在、5歳児で実施している教育費の無償化を4歳児まで拡大する方針だが、子育て環境日本一を目指し、人口流出に少しでも歯どめをかけたいのならば、和歌山市でも大阪市と同じように4歳児、5歳児の教育費の無償化を実施すべきであるし、市長としてその予定はないのかとの御質問でございます。 4歳児、5歳児の教育費の無償化につきましては、財源の確保が課題であることから、現時点では予定しておりません。 本市といたしましては、さまざまな子育て支援事業を実施する中で、子育て環境日本一を目指したいと思います。 次に、大阪と同じような全ての子供を対象とした放課後等の事業を導入すべきと考えるが、いかがなものかとの御質問でございます。 大阪市で行われている放課後子ども教室推進事業は、全ての児童を対象として、子供の活動拠点を設け、地域の方々の参画を得て、学習やスポーツ、文化活動などの機会の提供を推進するものであり、指導者についての資格、1教室当たりの指導者数や児童数などの支援の規模を問わないものとなっております。 一方、本市で行っている若竹学級は、放課後健全育成事業として実施しており、指導者の放課後児童支援員資格や支援の規模などについて、設備及び運営に関する基準を定め、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、放課後に適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものです。 本市と大阪市との主な違いについては、利用料の負担と土曜日の開設状況ですが、本市としては、引き続き現行のまま若竹学級を実施していきたいと考えております。 これからも、安心して子供を預けて働くことができ、子供が健やかに育つことができる環境づくりの柱の一つとして若竹学級の場所の確保や保育内容の充実を図り、本市の子育て支援を推進してまいります。 以上でございます。 ○議長(野嶋広子君) これにて、各会派の代表による一般質問を終結します。 お諮りします。 本日の会議はこの程度にとどめ延会し、明3月4日、明後3月5日の2日間は休会とし、3月6日午前10時から会議を開くことにしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(野嶋広子君) 御異議なしと認めます。 よって、そのように決しました。 本日はこれにて延会します。          午後6時25分延会   --------------- 地方自治法第123条第2項の規定によってここに署名する。 議長    野嶋広子 副議長   戸田正人 議員    井上直樹 議員    芝本和己 議員    中尾友紀...