平成16年 9月 定例会 平成16年 和歌山市議会9月定例会会議録 第3号 平成16年9月15日(水曜日)
---------------------------議事日程第3号平成16年9月15日(水)午前10時開議第1
会議録署名議員の指名第2 一般質問
---------------------------会議に付した事件日程第1
会議録署名議員の指名日程第2 一般質問(片桐章浩君、森下佐知子君、山本宏一君、後みつる君)
---------------------------出席議員(41名) 2番 松井紀博君 3番 野嶋広子君 4番 奥山昭博君 5番 中尾友紀君 6番 片桐章浩君 7番 藤本眞利子君 8番 戸田正人君 9番 東 稔君 10番 芝本和己君 11番 井上直樹君 12番 古川祐典君 13番 尾崎方哉君 14番 山本宏一君 15番 後 みつる君 16番 姫田高宏君 17番 中村協二君 18番 岩井弘次君 19番 松本哲郎君 20番 中嶋佳代君 21番 寒川 篤君 22番 メ木佳明君 23番 北野 均君 24番 遠藤富士雄君 25番 宇治田清治君 26番 貴志啓一君 27番 寺井冨士君 28番 佐伯誠章君 29番 南畑幸代君 30番 大艸主馬君 31番 森下佐知子君 32番 中橋龍太郎君 33番 中 拓哉君 34番 多田純一君 35番 東内敏幸君 36番 山田好雄君 37番 森田昌伸君 38番 和田秀教君 39番 浅井武彦君 40番 浦 哲志君 41番 井口 弘君 42番 奥田善晴君欠席議員(1名) 1番 旅田卓宗君
-------------説明のため出席した者の職氏名 市長 大橋建一君 助役 射場道雄君 助役 植松浩二君 収入役 岡本 弘君 理事 松見 弘君 市長公室長 豊岡博行君 企画部長 木村哲文君 総務部長 鎌田純雄君 財政部長 奥野久直君 市民部長 下中 儔君 福祉保健部長 的場俊夫君 生活環境部長 若林 豊君 産業部長 松澤 勉君 都市計画部長 市川一光君 建設部長 小倉常男君 下水道部長 堀部美智夫君 総合防災室長 秦野正彦君
まちづくり推進室長 森下 尚君
教育委員会委員長 中村 裕君 教育長 空 光昭君 教育総務部長 宮田俊雄君 教育文化部長 林 秀晃君 消防局長 辻 守君 水道局長 楠本喬二君
水道局経営管理部長 植田龍彦君
水道局工務部長 武内 功君
選挙管理委員会委員長 筒井敏郎君 代表監査委員 伊藤松雄君
人事委員会委員 西本 亨君
-------------出席事務局職員 事務局長 川西通夫 事務局次長 鳥居喜久夫 議事調査課長 山ノ井義雄 議事調査課副課長 尾崎順一 議事班長 川口隆弘 調査班長 守脇秀治 主査 石本典生 主査 中西 太 主査 奥谷知彦 主任 志賀政廣 主任 藤井一成 主事 小林健太
------------- 午前10時11分開議
○副議長(北野均君) ただいまから本日の会議を開きます。
-------------
△日程第1
会議録署名議員の指名
○副議長(北野均君) 日程第1、
会議録署名議員の指名を行います。 本日の
会議録署名議員は、会議規則第80条の規定により、議長において 貴志啓一君 多田純一君 森田昌伸君 以上3人の諸君を指名します。
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△日程第2 一般質問
○副議長(北野均君) 次に、日程第2、一般質問を行います。 順次、質問を許します。 片桐章浩君。--6番。 〔6番片桐章浩君登壇〕(拍手)
◆6番(片桐章浩君) 皆さんおはようございます。 初日から、市政に関する活発な議論が交わされています。本日も、私なりに問題提起をさせていただきたいと思いますので、最後までよろしくおつき合いをいただけたらと思います。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わさせていただきます。 最初は、南海貴志川線問題についてです。 南海電鉄は、1年後の平成17年9月30日をもって貴志川線を廃線にすることを表明しています。和歌山市にとって貴志川線の位置づけをはっきりさせた上で、存続なのか廃線なのかを結論づける必要に迫られています。 南海電鉄が貴志川線からの撤退を決意した背景は、直近6年間の決算で 100億円の収益低下となっていることが挙げられます。ドル箱とも言える南海電鉄本線は、難波と和歌山市を本線で結んでいますが、和歌山市駅からの乗車客、これが最盛期に1日当たり4万 5,000人あったのが、最近では2万人に激減しています。大阪の事業所が減少し、その分定期客が減っていると、それが先ほどの収益低下に結びついている、こういう状態が続いていることをあらわしています。 南海電鉄では、社長の命により、和歌山市駅活性化委員会を発足させ、乗車客をふやす努力をしていますが、なかなか乗客増にはつながっていません。 さて、本線がこのような状況の中、南海電鉄による貴志川線の存続の可能性はゼロに等しいものになっています。 そこで質問させていただきます。 1つ目、南海電鉄が廃線表明をして以降、特に25万人からいただいた署名を南海電鉄に提出した後、市が取り組んできた活動についてお答えいただきたいと思います。 2つ目、
貴志川線対策検討協議会で、廃線の話が出されたときの反応はいかがでしたでしょうか。協議会の結論は。また、代替案はここで検討されているのでしょうか。 3つ目、25万人の署名を南海電鉄に提出した際、存続のために南海電鉄から出された条件はありますか。市民は、署名を市長が責任を持って提出してくれたことにより、存続への期待を持ち、待ちの姿勢をとっている状況です。 4つ目、南海電鉄が貴志川線の経営を続ける意思がないことは市長も御存じのことかと思います。私は、何らかの条件が整備されたら、南海による経営を継続してくれる可能性があると思っていました。市が、南海電鉄との交渉内容を正確に周知しないと混乱を招くばかりです。 事実、貴志川線の未来を“つくる”会が発足し、会員が発足直後もう 1,000人を超えています。会を通じて、南海電鉄などに対して存続に向けた行動を起こそうとしています。 南海電鉄に対して存続を求める活動を行うのか、自分たちが何をもって地方鉄道にかかわっていくのか、南海の意思を正確に伝えないと、市民の活動方針がずれてしまう可能性、そういう危険性すら潜んでおります。大橋市長と
中村貴志川町長とで、存続に向けて協議している内容があればお示しいただけたらと思います。 5つ目、県や私たち市民は、市長の存続に対する取り組みが本気なのかいまひとつ不安感を感じている部分があります。市長が存続に向けて本気で取り組む意思を示さないと、上下分離方式もできず、資産ストックを買い取ってまで経営する主体はあらわれません。市長の意思の表明をお願いしたいと思います。 続きまして、
SOHO事業についてです。
SOHO事業というのは、新たに企業を興そうという個人、または小さな経営主体を育てるためにつくっている
SOHOビレッジと言うんでしょうか、そういう建物を賃貸する和歌山市の施策です。 和歌山市が
SOHOビレッジを開設したのは平成13年です。全国でも比較的早い時期に開設しているもので、これは注目されています。先進地としての和歌山が今どうなっているのか、これは非常に注目されている事業の一つです。 発足時、県信ビルの30ブース、これには多くの入居希望者があり、当時すぐに埋まりました。その後、旧NTT公園前、旧NTT京橋の
SOHOビレッジを増設し、現在では73ブースがあり、この3カ所は成功を目指す
ベンチャー起業家たちの活動拠点となっているところです。 この取り組みの事業目的は評価できるもので和歌山市としても末永く継続してほしいものですが、発足から3年が経過した今、管理運営体制にチェックをかける時期に差しかかっていると思います。 私が
SOHOビレッジのあり方に疑問を持ったのは、幾つか入居者の声を聞かされたことがあります。「和歌山市のSOHOを助けてください」「入居者の多くは仕事をしていない」「困ったときにアドバイスが受けられない」「会社名は同じだけれど社長がかわり、実態は変化している」こういった声です。あるいは和歌山市以外の他都市からも「和歌山市のSOHOは最近、少しおかしい状況だ」と、こういう声が聞かれることがあります。 当局にも当然声は届いていると思いますので、お伺いをさせていただきたいと思います。 1つ目、SOHO設置の目的を再度ここで確認したいのでお示しいただけたらと思います。その目的に沿った企業が現在入っているとお考えでしょうか。また、入居者からの意見、提案、要望はどのようにして把握していますか。その実現に向けた取り組みもなされているのでしょうか。 2つ目、SOHO設置は3カ所にあります。そのうち、入居者を育成し成功に導く役割を担い、
アドバイス支援を行っていただける方も県信ビルに入居しています。相談を受け付ける体制はどうなっていますか。私の知るところでは月に2回、不定期に相談を受け付けていること、相談希望者はブースに来てくださいという体制だと認識していますが、果たしてそれでアドバイザーとしての役割を果たしているのでしょうか。その考えについてお示しいただけたらと思います。 3つ目、SOHOへの入居期限は一律3年です。成果を上げさらに伸びようとしている企業については、引き続いて入居してもらうことを考えることも必要ではないでしょうか。成功した企業の税金は当然和歌山市に入りますし、長期的に見て有望な企業は、和歌山市を本社として残ってほしいから入居期限についての見直しを提案させていただます。 逆に3年が経過しなくても、やる気のないところ、あるいは事務所を倉庫がわりに使用しているようなところは、期限前でも退出していただくことも必要です。ベンチャーが全国的に輩出された初期の時期にSOHOに入っている企業で事務所を独占している状態です。今、すぐれたアイデアを持ってやろうとしている人たちが入る余地がない。こういう現実もあります。成果の上げられない企業は、毎年入れかえする仕組みも必要ではないでしょうか。 制度見直しの必要性を感じているか否か、あればどういうことを感じているのかお答えいただけたらと思います。 4つ目、
SOHO入居者はクリエイティブな仕事、あるいはIT関係の仕事をしている企業が多くあります。この分野の仕事は大手であろうと中小であろうと、
ベンチャー企業であろうと、個人の発想とセンス、これによるものが多いので大差はありません。むしろ、創造力が豊かで請負金額が安い小さな企業の方がアドバンテージがあると思います。 市役所の仕事のうち
SOHO入居者に仕事を委託、または発注した例がおありでしょうか。 以上、お伺いをさせていただきまして、私の第1問とさせていただきます。(拍手)
○副議長(北野均君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) おはようございます。 きょうも大変多くの傍聴者に来ていただいて市政の議論について生のやりとりを聞いていただけることは、大変すばらしいことだと思っております。 それでは6番片桐議員の御質問にお答えいたします。 南海貴志川線問題について。南海電鉄が貴志川線の経営を続ける意思がないことを知っているのかという趣旨であったかと思います。 本年8月10日に行われました、南海電鉄の貴志川線からの鉄道事業の撤退の表明によりまして、また、その後の
南海電鉄株式会社との交渉により、貴志川線の経営を南海が続ける意思がないことを認識しております。 貴志川町長との間で協議していることがあれば示せという御質問ですが、この問題は極めて重要な問題でありますので、私と
中村貴志川町長と2人だけで協議するということではなくて、関係する自治体間での協議が必要であります。 現在、地元行政3者、市町県と、そして近畿運輸局、南海電鉄を加えた5者で、各輸送形態での収支等の調査を重点的に行い、今後の方向性について検討を行っております。 次に、貴志川線存続に対する市長の意思表明をしてほしいという趣旨であったかと思います。 南海貴志川線の存続に対する取り組みにつきましては、昨年来対策協議会を立ち上げ、和歌山県も入った中で取り組んでまいりました。鉄道は、他の公共交通機関に比べて、輸送力や定時性、また、地球環境においてすぐれており、沿線の住民、学生、高齢者を初め、多くの方にとって必要不可欠であると認識しております。 しかし、過去数年来にわたり利用者が減少している現状において、将来における経営状況をいろんな運営形態において
シミュレーションし、検討していかなければならないと考えます。その上で、できる限り鉄道存続に向け努力をしたいと思っております。 しかし、将来にわたる負担をだれが補うのか、県・市・町及び南海電鉄や住民それぞれの役割分担を協議し、その御理解をいただけるのかを議論する必要があると考えております。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 木村企画部長。 〔
企画部長木村哲文君登壇〕
◎企画部長(木村哲文君) 6番片桐議員の御質問にお答えいたします。 南海貴志川線問題に関して3点ございます。 1点目は、署名後の市の活動について。2点目は、協議会の反応及び結論、また、代替案について。3点目は、署名提出時に南海電鉄から出された条件についてであります。 昨年10月に、
南海電気鉄道株式会社から貴志川線の利用客が年々減少し、経営が厳しく、事業の継続が非常に困難であるという説明があった後、県・市・町及び沿線自治会等で
南海貴志川線対策協議会を設立し、署名活動等を行うなどして増客のための利用促進活動を行いました。 本年3月30日、約25万人の署名とともに、和歌山市、貴志川町の長及び議長が、南海電鉄本社へ存続の要望をいたしました。その後、4月には和歌山市長、貴志川町長、和歌山県企画部長を初め県市町の関係職員が国土交通省へ赴き、大臣政務官を初め和歌山県選出の国会議員に対して南海貴志川線の存続及び新たな国の支援制度創設の要望を行いました。 同月、第3回対策協議会が開催され、利用状況や
アンケート調査等について、また8月の第4回対策協議会では、調査報告書に基づき、今後の輸送形態や運営形態での
シミュレーション結果や問題点、収支予想等を報告いたしました。 その間においても地元行政として、県、貴志川町とともに、南海電鉄が撤退した場合を想定したときの交通手段等について協議してまいりました。 次に、廃線の話が出されたときの対策協議会の反応についてでございますが、引き続き南海電鉄による貴志川線の存続を要望していくというものでございました。 また、対策協議会の設立の趣旨は、沿線住民の利用促進を図り、南海貴志川線の存続を図ることでありますので、調査報告書でいろいろな輸送形態、運営形態で
シミュレーションをしておりますが、これらの
シミュレーション及びさらに今行っている精査した結果を参考に、まちづくりの観点、経営面の観点等総合的に判断して、どうするかについて検討してまいります。 署名が提出された際の南海電鉄が出された条件についてでございますが、運行を継続するための条件提示は特段ございませんでした。終始一貫、不採算路線である貴志川線から撤退したい旨の話でありました。 ただ、行政において鉄道存続の方向づけがなされるのであれば、鉄道運営のノウハウ等の協力は積極的にするということでございました。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 松澤産業部長。 〔産業部長松澤 勉君登壇〕
◎産業部長(松澤勉君) 6番片桐議員の御質問にお答えいたします。
SOHO事業についての御質問です。4点ございます。 初めに、SOHO設置の目的は何か。その目的に沿った企業が入居しているか。また入居者の意見、要望をどのように把握し、その実現に向けた取り組みをしているかとの御質問です。 わかやま
SOHOビレッジは、新産業の創出による地域産業の活性化を目指し、ベンチャーの拠点となる
インキュベーター施設として、IT関連等の
ベンチャー企業の育成と支援を目的としております。 現在、入居されている方々につきましては、学識経験者及び企業家などで構成する入居審査会におきまして、IT関連等の
ベンチャー起業家等の方々に入居していただいております。 入居者からの要望等につきましては、個別にメールや相談窓口への申し出及び実績報告書により把握しております。 また、交流会や相談業務などの支援に関する情報の提供を行うとともに、ビジネス相談を希望される方につきましては、
ベンチャー企業の育成に精通した専門家であるインキュベーターマネジャーによる経営相談を月2回行っております。 次に、
SOHO入居者に対する相談体制はどうなっているか、また機能していると考えているかとの御質問です。
SOHO入居者に対する相談体制につきましては、月に1回から2回、税務、法務を中心に相談日を指定し、相談者の希望する場所において監査法人により行っております。 現在、利用件数が少ない状況でありますので、今後PR活動に努めてまいりたいと考えてございます。 3点目です。継続入居及び毎年の入れかえ等、制度の見直しの必要性を感じているのかとの御質問です。 SOHOにつきましては、
高速光ファイバーを敷設したブースを低料金で貸与することなどにより、起業家や
ベンチャー企業を育成する支援施設として事業を実施してきたところであります。現在まで独立し、既に事業展開されている企業もございます。 議員御指摘の制度の見直しについてでございますが、SOHOの目的に沿った事業を展開し、一定の成果を上げるためには3年間は必要と考えています。 その中で、成果を上げられない企業や、SOHOの機能を十分活用できない起業家につきましては、段階的な企業診断や
ビジネスプランのチェック機能を強化させることにより、入居者に早期に目的が達成できるよう、制度の充実に努めてまいりたいと考えております。 最後に、市役所の業務のうち
SOHO入居者に業務を委託、または発注した例はあるかとの御質問です。
SOHOビレッジには、さまざまな業種の起業家等の方々が入居されており、和歌山市が発注する業務につきましては、
ホームページ作成業務などの実績がございます。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 6番。 〔6番片桐章浩君登壇〕(拍手)
◆6番(片桐章浩君) それでは、答弁いただきましたので、再質問をさせていただきます。 貴志川線問題については、部長の今の答弁で、行政サイドの取り組みとか流れが御理解いただけたのではないかなと思っております。 それから、質問に当たって多くの方からこんな各地方鉄道の経営状況とか、改善した様子の資料をたくさん提供いただきまして、ありがとうございます。 また、昨夜、あるいはけさ、今もメールとかで貴志川線問題についての意見が寄せられていますので、そういったものを背負いながら、第2問、ここからが本番になりますので気合を入れてやらせていただきたいと思います。 ではまず貴志川線問題です。 ここでの問題は、南海側の意思、それからだれがこの後の主体を担うのか、この2点に尽きると思いますので、まず、南海側の意思とか状態、これからお示ししていきたいと思います。 まず、株式会社が生き残りをかけて、企業再建に努力している中、一つの指標となるのが株価と企業の格付です。格付機関は年2回企業に調査書を送付し、経営状況を把握した上で格付を行い、投資家に公表しています。格付の変化は、当然株価にはね返ることになります。 会社経営者は株主に対して経営責任を担っていますから、経営の健全を図るため不安要素を減少させ、格付を維持向上させることが使命です。信用調査は企業ごとに細かい質問項目が設定されています。例えば南海電鉄の場合「貴志川線は今どうなっているのか」「改善項目はどうか」こういった具体的な質問と対応策に回答する必要があります。この対応策がなければ指摘されますし、南海電鉄すべての格付にも影響してくる、こういう側面を持っています。 南海電鉄にとっての貴志川線は年間5億円の赤字、一見影響がないように思われます。南海全体の経費は 550億円、そのうち貴志川線の経費は7億円。余り比率は高くないです。ただ、収入が問題です。全体の収入は、南海全体では50億円、そのうち貴志川線がマイナス5億円ですから収入に占める赤字割合が非常に大きく、会社を守るためには貴志川線が不安要素になっている、これは事実です。 南海の鉄道事業本部では、鉄道事業者として鉄道事業を縮小することは耐えがたいものがあると、
貴志川線廃線には反対していたのですが、株主や格付機関からの経営改善勧告があり、これを受け入れたものです。 私が確認した情報を総合すると、残念ながら南海電鉄として貴志川線を継続する意思は全くないと言わざるを得ません。経営主体の形を変えて存続する枠組みが仮にあったとしても、その中で資本を出資したり、人を出したりすること、まして経営に参加する意思、これはありません。 その裏づけを示したいと思います。 それは、8月6日、南海電鉄の常務会で
貴志川線廃線がまず決議されています。それを受けて8月10日、記者発表を行っています。その後です。株式会社の
最高意思決定機関で取締役会、この場においても9月8日に決議されております。さらに、経協、こちらにおいて組合説明も終了しています。既に経営サイド、労使間での決定事項、これが経営する意思のない証拠になろうかと思います。 これを覆すには、形の上では株主総会で廃線案を否決する手段がありますが、主な株主が銀行であることをかんがみると、とても現実的なものではありません。商法を勉強された方ならこの意味がわかろうかと思います。 このような状況下、既にさいころは行政3者に預けられる形、こういうことを認識していただきたいと思います。和歌山市と貴志川町が県の支援を受けながら、市民を交えた形で存続案を検討し、経営主体を見つけること、これだけが存続への残された道だと思います。 南海電鉄からすると突然の撤退表明ではなく、行政3者に検討する機会を、猶予を与えた形の意思表示を昨年行っています。 行政3者は利用促進案を検討するだけではなく、存続の可能性があるのではないかという形で、市民に情報提供を行い、経営改善につながらない署名活動の形で市民を巻き込んでしまったような気がいたします。 25万人の署名が集まっているわけですから存続を希望している方が大半であることはわかりますが、署名提出以降の
貴志川線利用客はさらに減少している、この事実も片やではあります。 南海電鉄では署名を受け取った際、市民の意向として重く受けとめるとした上で、4月以降の利用客の動向を評価しながら、平成16夏、改めて会社の意思を表明したいと発言していました。 つまり、廃線を前提としながらも、25万人の署名の意思が本物かどうか、こういった動向を確認していたと言えます。通常廃線の反対運動、これが起こると一時的でも乗客は増加します。しかし貴志川線の場合、4月から7月まで乗客増加の結果はあらわれていません。 市民である私たちは、25万人もの署名を集め、市長から南海電鉄社長に手渡してくれるという報道を受け、南海電鉄は市民の意思をそれだけで理解してくれると錯誤していたのです。南海電鉄の本意が私たちに伝わらなかったことが見えた形、つまり乗車などの形で市民の動きにつながらなかったことが要因の一つに挙げられます。 今後、行政3者が地方鉄道を必要と望むならば、同じ轍を踏まないためにも行政3者が市民の意向を受け、存続を望むのであればスタンスをはっきりさせた上で、市民参画が得られるような仕組みをつくり上げる必要があります。 その結果をもってすぐに県に対して、和歌山市と貴志川町として共同で存続の意思表示を行い、協力依頼を求めるべきです。結論を先送りにして存続を望んでも結局無理だという結論に向かうのは明らかです。 重要な点なので繰り返します。県では当該の行政、ここが本当に貴志川線の存続を望んでいるのかどうか、よくわからないというふうな言葉も漏らしているところがあります。例えば代替手段としてバス運行も視野に入れているだとか、第3セクターでの存続は望まない、このような発言があることから、支援を行うにしても不安感が残っているようです。 県が支援すると言えば、存続に向けて新たな展開を見せることになります。県が意思を固める際、当該行政の態度があいまいでは確実に支援の決断は見送られます。 和歌山市と貴志川町が存続の意思を示すことから、事態はそれに向かって動き出します。 私も幾つかの話し合いの中で勘違いしていたのですが、既に、南海電鉄による存続か廃線か、この問題ではないのです。廃線か南海電鉄以外の経営主体での存続か、この決断が必要な時期です。 その状況認識をしていただいた上で、市長にお聞きしたいと思います。 1つ目、再度お伺いいたします。 市長は、和歌山市に貴志川線が本当に必要と考えているのでしょうか。再度意思の確認をお示しいただけたらと思います。 2つ目、必要であると考えているのであれば、市民の盛り上がりを前提とした上で、存続に向けた取り組みを行政3者で行わないとだれも主体とはなってくれません。行政と市民が主体となることを明確にした上で存続案を策定し、県に対して早急に支援を求めてほしいのですが、その点についてお答えください。 3つ目、県に支援を求める内容は、南海電鉄から鉄道資産を譲り受ける条件整備、それから経営主体と運営方法についてです。具体的には、ストック--これを県または行政3者により共有して保有すること、その上で経営主体を行政3者が担うのか、あるいは民間の経営主体を引っ張ってくるか、この選択肢があるだけです。 しかしながら、貴志川線の収支については、南海電鉄から提示された鉄道事業法に基づく収支表、これがあるだけです。民間企業と経営をしていただく交渉を今後するとしても、これでは交渉のテーブルに着くことすらできません。 南海電鉄に対して、貴志川線を経営する立場の視点を持って必要な情報提供を求めてください。現状のコスト構造を精査した上で、大なたを振るって事業収支を改善させ、それでも赤字が発生するというのであれば、負担可能な範囲におさめられるのかというフロー面での検討が先決です。 このような経営に関する必要な情報が何なのかわからなければ、アドバイザーをつける必要がありますが、この点についてお答えください。 4つ目、既に委託調査しているアンケート調査、この貴志川線調査報告書による結論と今後の取り組みはどのようなものですか、お示しいただけたらと思います。 続きまして、SOHOについてお伺いさせていただきます。 東京に、地域振興整備公団が運営するMINATOインキュベーションが本年4月にオープンしています。 ここでは、起業志望者を支援する施設とソフトを持っています。機能の核心部分は建物よりも充実した支援体制にあります。賃料は周辺の事務所と同程度ですから決して安くはありませんが、それでもサポートを希望して起業を考えている人たちが集まってきています。 起業希望者は、最初、プレインキュベーションルームに入ります。事業家の卵の状態からスタートし、ここでアイデアの事業化に向けた活動を開始します。入居者は、6カ月ごとに利用開始時に定めた目標が前進しているのか確認を行い、未達成であれば事業計画が適正なのか、サポートが必要なのかの判定がされます。だめなら即刻退去となりますから非常に厳しいものです。 プレ期間を経た後で、有望なところはメインインキュベーションに入居できます。ここでも1年ごとに事業計画が判定されます。 さて、起業で成功するにはアイデアを商品化するスピードが第一です。スピードがなければどんなによいアイデアでも世に出ることはありません。めどは2年、それで起業の可能性がないのなら、それ以上そのアイデアに固執してもだめです。これは単に個人や技術、知識を否定するものではなく、アイデア自体がだめだったと評価するものですから、同じ人が次のアイデアを引っ提げて挑戦したらいいということになります。 さて、インキュベーションマネジャーが常駐し、入居者をサポートする体制をここでは確立しています。インキュベーションマネジャーというのは、創業期における注意点を指摘し、対応策へのアドバイスを行う役割を担っています。創業間もない企業と、体制が確立した企業に対するコンサルティング内容は大きく異なります。 確立した企業がさらに大きくなるためには、例えば法人化、社員雇用、ISOの取得などの知識が必要ですが、創業間もない企業、つまり和歌山市の
SOHOビレッジに入居しているような企業が求めているアドバイスというのは、営業支援と販売支援の2点だけです。収益構造を確立することが大切で、いきなり億単位の収益を上げたいと思っている起業家は一人もおりません。 MINATOインキュベーションセンターではその支援方法として、新商品開発のコンセプトづくりやテスト販売のサポート、あるいは名刺やロゴ、パンフレットなどの営業ツールの作成についても支援を行ってくれています。 管理者として
SOHO入居者に対して行うべきは、常駐でアドバイスが受けられる体制をとっておくこと、アドバイスはベンチャー起業家を育成するための専門家である必要があります。 和歌山市のSOHOでアドバイスをいただいているところは大手で、社会的には非常に信用できる会社ですが、その会社が持つクライアントの多くは大手企業です。上場しているような企業ですから、
ベンチャー企業が求めているアドバイスは提供できないと思います。 加えて、入居者にアドバイスするには、部屋で相談に来るのを待っているのではなく、各ブースに土足で上がり込んで、経営者に対して目標の達成状況、あるいは営業成績などを聞き取り、その場でアドバイスを与えるというフットワークの軽さが必要です。アドバイスを行う役割を担うものにブースの提供は不要だと思います。 そこで質問をさせていただきます。 全国で機能しているSOHOは、インキュベーションマネジャーを配置して入居者の相談を受け、解決に導いています。代表的な例といたしましてMINATOインキュベーションセンター、これ東京。京都市にあるリサーチパーク、大阪市の大阪産業創生館などがそうで、全国的な評価を受けています。 和歌山市のSOHOでも、目的である起業家を育成しテイクオフさせるためには配置の必要があります。少なくともアドバイスするのは大手の監査法人ではないと思います。 発足当初から相談役、アドバイザー役として配置されている監査法人は、果たして適切なアドバイスができているのかどうか、入居者の意見は把握できているのかどうか。例えば相談件数を把握しているようならお示しいただけたらと思います。また、各ブースを回って育成するための支援活動が行えているかどうか。この辺評価できるかどうかお答えください。できていないのであれば、SOHOの目的にふさわしいインキュベーションマネジャーを配置し、育成体制と販売支援体制の確立に努めるべきだと考えますが、この見解もお示しください。 それから、
SOHOビレッジのあり方について考えてみたいと思います。 現在
SOHOビレッジは3カ所あるわけなんです。3カ所とも同じ機能を持たせている点に問題があります。つまり、あきブースが出ると公募を行い埋めていく、この方法は単にブースを埋めているだけです。 そこで
SOHOビレッジを機能別に整理し、成果を図る仕組みを提案させていただきます。その仕組みはこうです。 1つのSOHOをプレブースとします。アイデアを持ち、事業化を図りたいベンチャー起業家は、まずここに入居していただきます。これは個別の部屋である必要はありません。仕切りだけで区切って、簡単なものでよいのです。この建物にはインキュベーションマネジャーを配置し、事業の立ち上げ支援とアドバイスを行ってもらいます。プレ期間は1年。1年後に目標設定に対する達成度を図り、事業計画の見直しを図ります。ここで可能性があれば、入居期間を延長、当初のやる気がなくなっていたり、アイデアがだめだったら退出していただきます。 2つ目、これはメインブースとして活用します。プレブースで1年経過し、見込みのある入居者はこのブースに移動し、起業家から事業家への移行期のスペースとして使っていただきます。成功のための目安は2年、だから入居期限を2年と定めます。 3つ目、メインブースで事業化に成功し、規模を大きくして上場を目指す企業にはここに入っていただきます。従業員がふえるのでテナント貸しとし、事務所として活用できるものにします。都会であれば、成功したところで退出してもらうというのが通常なんですが、和歌山市の特性を勘案すると、成功した会社の仕事の中心の多くは東京か大阪です。ですから本社が和歌山市から移される可能性があるため、期限を設けずにこの建物を引き続き利用していただくという機能を持たせたらいかがでしょうか。 このようなステップアップさせる仕組みをつくることで、入居したら終わりなどと安閑としていられない状況をつくれます。ベンチャー希望者のすそ野を広げ、初期のころはインキュベーションマネジャーが支援することができます。アイデアがだめなら退出していただき、自立するにつれて大きなブースに移り、さらに会社を大きくすることができます。 ステップアップする仕組み、ハード面、ソフト面での仕組みを提案させていただきましたが、市長の見解をお聞かせいただけたらと思います。 御存じだと思うんですが、和歌山市のSOHOで成功した、和歌山大学の学生が立ち上げたトリプルエー・コミュニケーションズという会社があります。何をしている会社かというと、YahooとかGoogleに続いて日本で3番目の検索エンジンを持つ会社です。残念なことにこの会社が、さきの9月5日、1週間ほど前、プロ野球の近鉄球団を買収するということで話題になっているライブドアに買収されました。 和歌山市で生まれ育った会社ですから、大きく成長するまで見届けたかったのですが、非常に残念です。もう少しSOHOのサポート体制が充実していたらよかったのになと思っております。 今のまま放置すれば全国レベルから取り残され、和歌山市は
SOHO事業からの撤退を余儀なくされますから、やる気と能力のある事業者は和歌山市から出て行くことにつながることも指摘しておきます。 さて、和歌山市から
SOHO入居者に対する委託はしていると先ほど部長からお答えいただきましたが、能力のある入居者を育成するには、インキュベーションマネジャー配置による適切な指導、助言、これに加えて経済的なものも必要です。和歌山市が企画コンペをする業務に対して、
SOHO入居者が入札に参加してもらうための情報を付与すべきです。市の仕事に参画する機会を付与することは実践の場であり、
ベンチャー企業の能力は向上します。 企画力やアイデア、IT関係の仕事は
SOHO入居者でも大手と十分勝負ができます。実際、行政のコンペで入札した会社、この下請け、孫請けで和歌山市のSOHOに仕事が回ってきているという例があります。この金額を聞きますと、入札金額と孫請けの金額には相当の差がありますから、
SOHO入居者が行政から直接仕事を受けることになりますと、当該業務に関する市の予算は大幅に減少することにつながります。 この問題のすべては市が行う企画コンペに関する情報が不足していることが原因ですから、この参画障害を取り除くべきです。 和歌山市がSOHOに入居を認めている会社は、市が審査の結果、信頼できると判断したものだと思います。それならば市の企画コンペに関して、正当な競争機会を付与すべきだと考えます。市の発注業務で
SOHO入居者が受注できる業務情報はどのようになっているでしょうか。産業部長の答弁をお願いしたいと思います。 以上をもちまして、第2問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(北野均君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 6番片桐議員の第2問にお答えいたします。 貴志川線問題について、市長は和歌山市に貴志川線を本当に必要だと考えているのか。また、必要と考えているのなら市民の盛り上がりを前提に、行政が主体になることを明確にし、存続案を策定して早急に県に支援を求めるべきではないかということでございます。 南海貴志川線は、年々減少しているとは言え、年間およそ 200万人の利用者があり、沿線には短期大学、高等学校等多くの教育施設や病院、福祉保健施設などがあり、住民、学生、高齢者を初め多くの方々にとって通勤、通学、通院などに必要不可欠な公共交通手段であり、また環境問題、交通渋滞問題にとっても鉄道として存続することが一番望ましいと考えてございます。 しかし、鉄道としての存続は、さきに調査したいろいろな
シミュレーションの結果から多額の費用が必要であることも事実でございます。 昨年10月、南海電鉄から貴志川線の経営継続が困難であるとの説明を受けて、
南海貴志川線対策協議会を中心に、南海貴志川線存続に向けて利用促進等の活動を実施してまいりました。 しかし議員御指摘のように、残念ながら利用者増には結びつきませんでした。南海電鉄が貴志川線からの撤退を表明した現在、これを踏まえて次の手を打たなければなりません。和歌山市、貴志川町、和歌山県、近畿運輸局、そして南海電鉄、その5者で貴志川線沿線住民の交通手段の確保について協議をしているところでございます。 また、調査報告書での輸送形態、運営形態のいろいろな
シミュレーションを参考にしながら、5者での協議におきまして鉄道存続を第一義に、早急に方向を見出していきたいと強く考えてございます。 本年7月、貴志川町長とともに和歌山県知事及び和歌山県議会議長に、貴志川線存続はもとより、沿線住民の交通手段確保のため協力の要望を行ってきたところでございます。県としても広域行政を考え、その役割を発揮していただけるものと考えております。 次に、
SOHO事業について、入居者に対し3施設を役割分担してステップアップするような仕組みを取り入れてはどうかという御提言でございました。 起業家等に
ベンチャー企業として成長してもらうためには、一定期間を必要とする中で3年間という期間を設定し、事業を実施してきたところでございます。 しかしながら議員御指摘のようなさまざまな問題点があるということも承知しております。これまでの事業内容を精査し、事業の縮小も視野に入れ、
SOHO事業の効率的な運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。 そういうところでございますので、議員御指摘の3施設をクラス分けして、ステップアップ方式を取り入れるということは、御提案どおりの実現は難しい状況であります。しかしながら、今後議員の提案を踏まえ、
SOHO事業の仕組みの中で、入居者に応じた支援策を構築し、レベルアップにつなげていけるように、担当部とも話をしていい方法を考えていきたいと考えているところでございます。そのように御理解いただきたいと思います。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 木村企画部長。 〔
企画部長木村哲文君登壇〕
◎企画部長(木村哲文君) 6番片桐議員の再質問にお答えいたします。 南海貴志川線問題に関して2点ございます。1点目は経営アドバイザーについて。2点目は調査報告書を受けて今後の取り組みについてであります。 先ほど市長が答弁申し上げましたとおり、現在、近畿運輸局、南海電鉄を交えて5者でお互いに情報提供を求めながら貴志川線の事業収支を中心に協議検討しているところでありますが、これ以上のアドバイザーにつきましては、今後の状況を見て、必要となれば考えてまいります。 また、調査報告書にはいろいろな
シミュレーションが示されており、今後これらの収支等を見きわめていくため協議検討を重ねてまいります。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 松澤産業部長。 〔産業部長松澤 勉君登壇〕
◎産業部長(松澤勉君) 6番片桐議員の再質問にお答えいたします。
SOHO事業についての御質問です。2点ございます。 初めに、監査法人による適切なアドバイスができているかどうか、入居者の意見を把握しているか、相談件数を把握しているか、各ブースを回って育成するための支援が行われているか、できていないのであれば、育成体制と販売支援体制の確立についてどのように考えているかとの御質問です。 監査法人による相談体制等は、先ほど御答弁申し上げましたとおり、税務、法務を中心に月に1回から2回の相談業務を行い、相談件数は約20件となってございます。 また、各ブースを回って育成するための支援は行ってございませんが、今後、監査法人による相談件数も少ないため、議員御指摘のように、常駐するインキュベーターマネジャーを中心に、より充実したサポート体制を確立していきたいと考えております。 次に、市の発注業務で、
SOHO入居者が受注できる業務の情報はどのようになっていますかとの御質問です。 和歌山市が発注する業務の中には、企画コンペのように業者登録をしていない場合でも、各課から直接受注できる業務がございますので、各課から情報をいただき、入居者に情報を提供をし、意欲を起こしていけるようにしてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 6番。 〔6番片桐章浩君登壇〕(拍手)
◆6番(片桐章浩君) それでは答弁いただいたので、もう1回いかせていただきたいと思います。 貴志川線を存続させるためには、行政3者の存続に向けた意思表示、それからリーダーシップが重要なファクターです。市長が3者による鉄道存続に関して強い意欲を示してくれたことで事態は進展すると思います。 県に対してストック保持の依頼を行うとともに、経営主体を見つけるのは行政3者の役割であることを認識してください。南海電鉄は、貴志川線の次の経営主体を探す意思がないことは確認できておりますので、この点についての認識もお願いしたいと思います。 今後は貴志川線対策協議会を主体にするのか、存続に向けて民間が立ち上げた貴志川線の未来を“つくる”会を主体にするのかはわかりませんが、存続を願う市民の会と情報交換と役割分担を担い、貴志川線存続のための仕組みをつくって、経営主体を受け入れる姿勢が必要です。 地方鉄道の役割は、通勤、通学、高齢化社会への対応にあります。それに行政3者と市民が協力体制をとることなく、民間企業に丸投げでは引き受けるところはありません。 行政3者が資本参画するか否かにかかわらず、何らかの形で市民の協力を取りつけることも当局の重要な役割です。 貴志川線存続に向けて、市長の強い意思を確認できた点では一歩前進だと思います。後の課題は資産としてのストックを行政で所有し、フローは市と市民の中で枠組みを検討した上で、参画してくれる民間企業を見出す、そのためには貴志川線単体の経営に関する資料を行政3者で策定することが今後の行うべき課題です。 そこで質問をさせていただきます。 まずすべきことは、県に対して資産ストックを南海と交渉した上で保有してくれるように依頼することです。この点について市長のスタンスをお聞かせください。 南海電鉄は、情報公開はするという協力の姿勢をとってくれていますし、貴志川線の収支と同規模の地方鉄道との比較を行い、単独で経営するために必要な条件を示してくれるとも言ってくれています。ぜひとも南海電鉄とも協働体制を敷いていただきたいと思います。 その猶予期間は、私は年内だと思っています。あたかも1年あるような錯覚をしますが、年内です。行政が不作為だったり、お互いに責任転嫁しているだけの時間はもう残されていません。 2つ目、最初のアンケート調査は、実態を把握するためでしたからあの内容でも仕方がないかもしれません。しかしコンサルタント会社は、課題を抽出するまでが仕事です。企業買収を趣味や道楽で行う人はいません。貴志川線単体の詳細な収支報告を明らかにし、経営するメリットを示す資料が必要です。その際には、行政の支援方策はどこまでなのかを含めることも不可欠です。赤字で困っているから何とかしてくださいと交渉しても乗ってくる企業はありません。買収にかかわる提案書作成が絶対に不可欠です。もう報告書は必要ありません。 この仕事は、たとえ鉄道専門のコンサルタント会社でも無理です。市場主義の中で勝ち組を輩出しているプロの投資業務を行っている、しかも最先端の仕事ができるところとアドバイザー契約を締結する必要があることもここで指摘しておきたいと思います。 すべきことは南海電鉄との交渉、後継事業のスキームの検討、契約締結まで。これが行政3者に課せられた課題ですから、それだけの大きな課題に挑戦する意思の有無を確認させていただきたいと思います。 3つ目、和歌山市として年内の取り組み案についてお示しください。今から検討しますでは存続はかなわないことをあわせて指摘しておきます。 もう1つ、
SOHO事業についてです。 インキュベーションマネジャーを配置して、じゃベンチャー起業家を育てられるのか、この点に疑問を持っている方もあろうかと思いますので、わかりやすい例を挙げて説明したいと思います。 4年前、シドニーオリンピックのゴールドメダリスト、高橋尚子さんのコーチである小出義雄さん、この方は実は金メダルを取っていません。実はと言わなくても皆知っていることですが。でも世界一の選手を指導してきました。 それから、長く世界1位であって、現在では2位に落ちているんですが、ゴルフ界のタイガー・ウッズを育てた元コーチ、ブッチ・ハーマン、この人もゴルフ界で世界1位になったことはありません。それでもタイガーを指導することができました。 このように指導者は別に名選手でなくても、経験がなくても、知識に加えて指導力、思いやり、人生経験に基づく助言能力があれば指導者としての資質はあると思います。全国にインキュベーションセンターというのは 430カ所あるわけなんですが、いずれも箱物を賃貸しているだけで、サポート体制が弱いのが和歌山市だけではなく、全国的な課題です。 入居者は事業を早期に実現するために取り組んでいるので、それをサポートしてくれる人が近くにいることが大切です。大手コンサルタント事務所が相談に乗ってくれる体制をとっている箇所もありますが、一部上場企業に対するアドバイスと一から起業する人へのアドバイス内容は異なりますから、十分な支援とはなっていません。 例えば、風邪ぎみなのに精密検査を受けようと、いきなり脳神経科へ行くようなものです。最初はかかりつけの医院に行くことが解決への早道です。それでもわからなければ総合病院に行けばよいのです。十分な知識を有するインキュベーションマネジャーがそれぞれのセンターでサポート体制をとっていること。そこで解決できない問題は、本部的な機能を擁するところに問い合わせをする仕組みさえあれば、この問題は解決します。 もう1つ、市役所で運営体制をとろうとすれば、いずれの入居者に対しても公平な対応が必要となりますから、起業家を育成するには限界があります。
SOHO事業を軌道に乗せるためには仕組みを改善するほかに、管理運営をアウトソーシングする必要があります。これは簡単です。インキュベーションマネジャーを含むチームにゆだねたらいいだけです。職員さんの経費よりはアウトソースする方が安く仕上がりますし、職員さんはほかの市民サービスの必要な職場に配置できるメリットがあり、市長が言うところの「内部からの行政改革」にも資することができると思います。 この点についての答弁をお願いしたいと思います。 最後に、人材を社会に送り出すためにやる気のある起業家を早期に育成する仕組みが必要です。和歌山市から
SOHO事業を改革し、全国に和歌山モデルとして展開させるとともに、地方からもより多くの起業家を輩出させていただきたいものだと考えております。 以上をもちまして私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(北野均君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 6番片桐議員の再々質問にお答えいたします。 貴志川線問題について、県に対して南海電鉄の資産を南海電鉄と交渉の上保有してくれるように依頼する気持ちはあるか、南海電鉄との交渉、後継事業スキーム検討、契約締結までが行政に課せられた課題であると思うが挑戦する意思はあるかという御趣旨でございます。 8月10日の南海電鉄の公式表明でも、南海電鉄側は鉄道運行のソフト面での協力は惜しまないと述べていますが、経営については次の経営主体への参加はもちろん、次の経営主体を探すことについても全く言及しておりませんので、南海電鉄側にそういう気がないことは私もそのように判断しております。 したがって、貴志川線を鉄道として存続させるためには、南海電鉄から資産を無償譲渡してもらうことが最善の方法でありますが、今のところ南海電鉄からそのような話はございません。 このような中、現在行っております5者の協議において、収支等詳細な検討を行っておりますが、その後に運営形態の検討、必要経費の算出等を行い、行政として数値的に鉄道存続が可能と判断した場合は、行政3者を中心にだれがどのように負担していくかを協議するとともに、県に対して要請をしていかなければならないと考えております。 対策協議会で行った調査では、貴志川線に関する情報の基礎的な部分を得ることができ、成果があったと考えております。 対策協議会では和歌山市、貴志川町、和歌山県と地元自治会等で協議を行ってまいりましたが、現在近畿運輸局、南海電鉄も加えた5者で、より詳細に踏み入った議論を行っております。現在は最も基礎的な部分である収支問題について検討を行うとともに、貴志川線を含め、類似路線の詳細な資料を南海電鉄に求めているところであり、あわせて近畿運輸局が持っている多くの事例をもとに、他の地方鉄道の収支状況等についても調査を行っております。それらの情報をもとに、今後新たな運営形態の検討を行ってまいりたいと考えております。 次に、
SOHO事業について。
SOHO事業の管理運営をインキュベーションマネジャーを含むチームなどにゆだねるなど、アウトソーシング化を考えてはどうかという御質問でございます。 現在
SOHO事業の運営につきましては、さまざまな支援策を取り入れ、管理運営を行っておりますが、新たなビジネスチャンスを創造する起業家を支援するためには、起業を生み出し育成する魅力ある施設として、より充実した起業家支援体制が必要不可欠であると考えております。 今後、議員御指摘のアウトソーシングも含め、運営のあり方について研究してまいります。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 木村企画部長。 〔
企画部長木村哲文君登壇〕
◎企画部長(木村哲文君) 6番片桐議員の再々質問にお答えします。 南海貴志川線問題に関して、和歌山市としての年内の取り組みについてでありますが、南海電鉄が撤退を表明しましたが、和歌山県、和歌山市、貴志川町、そして近畿運輸局と南海電鉄の2者を交え、5者において収支を重点的に協議し、あわせて新たなる交通手段についても検討しているところでございます。引き続き、近畿運輸局、南海電鉄に資料等の提供を求めながら、調査報告書に示されているいろいろな
シミュレーションの収支等を見きわめる協議をしてまいりたいと考えます。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 次に、森下佐知子君。--31番。 〔31番森下佐知子君登壇〕(拍手)
◆31番(森下佐知子君) 議長のお許しを得ましたので、ただいまより一般質問をさせていただきます。 まず、貴志川線の問題にかかわってお伺いいたします。 先般来この問題についてはお伺いをしてきたところですが、対策協議会による貴志川線の利用調査なども行われ、一定の結果が出ておりますし、8月10日には南海電鉄側から撤退やむなしとの見解も明らかにされております。住民の運動体もつくられ、存続への要望が高まっていることを考え合わせると、今自治体としてどうするべきか、さらに知恵を出し、あるいは知恵をかりながら存続への展望を見出していくときではないかと考えます。既に2名の同僚議員から質問がありました。一部重複することがあるかもしれませんが、できるだけ論点を変えながら質問していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 2月議会の時点でお尋ねをしたときには、南海電鉄への署名を集め、存続への要望活動をするということでしたし、市としても利用実態をつかみたい、あるいは対案への可能性を探るという意味でもとにかく協議会で調査をした上でなければというお話でした。市長は御自身でも全国で同じ状況を打開してきた自治体へ視察に行くなどしてこられたと聞いています。 現実に少なくないところで地域交通を担ってきたローカル線の存続をめぐってさまざまな議論が展開され、打開策が講じられてきています。日本全国共通の課題として、今後は特にローカル圏の鉄道インフラを公共交通として位置づけていくために、地方自治体の役割が問われることになると思います。先日のNHKテレビで放送された「ご近所の底力」を見ても、また、貴志川町生涯学習センターで開催された「貴志川線存続に向けてのシンポジウム」を聞いても、その視点は明らかであり、今、鉄道をどういう点で見、評価していくかが極めて重要です。そして、同時に南海電鉄が9月末に届出をした場合、そこから1年という限られた期間の中で、何らかの行動を起こし答えを出していかなければなりません。 そこでお伺いいたします。 同僚議員の質問に対して、市長は貴志川線の存続を希望しているという形で表明はされました。その答弁を踏まえた上でのお尋ねですが、バスの代替輸送ではなく鉄道という形で残すということについての意義をどう認識されているかお答えください。 南海電鉄の言っているとおり、今月末、廃線届が出されると、間もなく国から自治体に対して意見聴取があるはずです。その際、和歌山市として鉄道の存続が必要だという意見を明確にするべきであると思いますが、いかがですか。 鉄道の持つ値打ち、これを社会的便益と言いますが、対策協議会が行った交通対策調査報告書の中の終わりにというまとめの中でもこの概念は使われております。この社会的便益を具体的な数字、金額に換算し市民に打ち出していくことが必要ではないでしょうか。 例えば、茨城県の日立電鉄線も、今、貴志川線と同じ経過をたどりつつありますが、日立電鉄線の場合は県がこの便益について具体的に分析をしております。私は貴志川線については和歌山市がやってもいいのではないかと思っていますが、市長のお考えをお聞かせください。 市の姿勢を明らかにした上で、国や県にも強力に支援を訴えるべきだと思いますが、その点についてのお考えをお聞かせください。 次に保育問題についてお伺いいたします。 公立保育所の民間委託について、今回の議案に土地買収について出ておりますが、市は城南保育所、新堀保育所に続いて今回の和歌浦保育所と、どんどん民間委託を推進しているように思います。 しかし、公立保育所は少子化や充足率の低下があるにせよ子供たちを守り育てるための社会的な財産としてとらえるならば、そんなに簡単になくしていっていいものだとは思えません。 包括外部監査の指摘があったように、入所の条件や体制を充実させることがなければ当然ニーズに合わず、入所をふやすことは不可能です。そういう努力を何らせず、このまま公立保育所を減らすことはどうしても納得がいきません。そこでお伺いいたします。 公立保育所の役割と意義についてどう認識されていますか。 民営化の目的は何ですか。 今回の土地買収は何のためのものですか。また、なぜその土地でなければならないのか、また、土地買収を先行させる理由についてお答えください。 保護者や保育士に対する説明を真摯に行い、合意を得られているのでしょうか。 なぜ和歌浦保育所なのかお答えください。 また、今後の公立保育所のあり方についてどう考えているのかお答えください。 以上をお伺いいたしまして第1問といたします。(拍手)
○副議長(北野均君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 31番森下議員の御質問にお答えいたします。 貴志川線問題について、バスの代替輸送ではなく、鉄道という形で残すことの意義をどう認識しているのか、市として鉄道存続が必要であるという意見を明確にすべきであると思うがどうか、鉄道の持つ社会的便益について市長の考えはどうか、市の姿勢を明らかにした上で国や県に支援を訴えるべきであると思うがどうかという質問でございます。 現況の和歌山市中心部へのアクセスとなる道路事情は、朝夕の通勤、通学の時間帯はバスや自家用車による代替には多くの課題があると認識しております。 また、沿線に住んでいるけれども貴志川線を余り利用しない方々にとっても、土地の価格等、鉄道が存在することによる便益の享受は多大なものがあり、鉄道の価値は利用者だけにとどまらないものと思っております。 一方、鉄道存続には多くの運営費が必要であり、他地域で運行している第三セクターでの経営は、それを支える自治体にとって大きな負担となっております。 行政を預かる私といたしましては、公共交通機関としての鉄道はぜひ残したいと考えておりますが、現況の財政事情を考えると新たな事業への負担には慎重にならざるを得ません。 現在、鉄道を存続させることを第一に、各輸送形態での経営状況の
シミュレーションをさらに厳しく検討しているところであり、この結果を参考に総合的に判断していきたいと考えております。 鉄道の持つ社会的便益についてでございますが、鉄道が走っているということで、その地域には多くの利益がもたらされているということは十分認識しております。 さきにもお話ししましたように、土地価格への影響、また、道路の渋滞への影響、地球温暖化への影響等たくさん考えられます。 これらの社会的便益の考え方も、地域の公共交通の維持に対する負担の妥当性等を議論する上では、重要な考え方だと思っております。 なお、国及び県に対する支援依頼につきましては、県は既に和歌山市、貴志川町とともにこの問題に取り組んでいただいておりますので、公共交通手段の確保のためには必ず協力していただけるものと思っております。 国につきましては、現在、地方鉄道が行う近代化のためのハード整備に対する補助制度はございますが、運営に関する補助制度がないため、これまでも制度設置を要望してきております。今後もさらに積極的に働きかけていきたいと考えております。 次に、公立保育所の役割と意義についてどう認識しているかという御質問でございます。 少子化の進行、女性の社会進出の増加により、児童を取り巻く環境が大きく変化する中、次代を担う児童の健全育成を目指し、子供たちにとってよりよい環境づくりを第一に考えることはもちろんのこと、多様化する保育ニーズや子育て支援など幅広く対応していくことが、保育行政に求められていると考えております。 そのためには、子供たちを安心して健やかにはぐくめる環境や子育て全般にわたる支援、また、効率的かつ効果的な保育所運営を考え合わせる中、公立保育所と民間保育所の役割分担について検討を行い、民営化する方がより効率的、効果的な運営ができるならば、民営化の方向で、また一方、公立保育所につきましても、児童福祉の原点を見据えながら、保育内容の向上を図るとともに、多様化した保育ニーズに対応した保育サービスの充実や地域に根差した子育ての中核拠点となるよう努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(北野均君) 的場福祉保健部長。 〔福祉保健部長的場俊夫君登壇〕
◎福祉保健部長(的場俊夫君) 31番森下議員の御質問にお答えいたします。 保育行政について5点御質問がございました。 まず1点目は、民営化の目的はという御質問でございます。 保育行政として、児童福祉の原点を見据えながら、恒久的、安定的な保育所運営確保のため、借地保育所の解消や木造園舎等に対しての児童の安全確保、三位一体の改革を受けて、公立保育所と民間保育所の役割分担、また少子化の中でも保育需要が増大し、多様な保育ニーズが求められています。 このようなことから、限られた予算の中で民営化を推進することにより、効果的かつ効率的な特別保育事業の拡充と多様な保育ニーズに迅速な対応が可能になるとともに、行財政改革の一環をも進めていくことができるものと考えております。 次に、今回の土地買収は何のためのものか、また、なぜその土地でなければならないのか、土地買収を先行させる理由はという御質問でございます。 今回の予算上程は、和歌浦保育所の移転事業に伴う移転先の土地購入等に要する費用に係るものでございます。 また、なぜその土地でなければならないのかという御質問ですが、保護者の方の送迎時の御負担や児童に対しての環境の変化を最小限にすることなどを考え、和歌浦地区内で検討したところ、保育所として適切な用地が市の職員健康保険組合所有のなぎさ会館跡地しか見当たらず、隣に公園施設などもあり、保育環境としてふさわしい土地であると判断したためでございます。 次に、土地買収を先行させる理由でございますが、和歌浦保育所が木造園舎で築45年経過しており、児童の安全確保を考えた場合、速やかに園舎の建設に着工できるよう土地取得に係る費用を予算上程したものでございます。 次に、保護者や保育士に対する説明を真摯に行い、合意を得ているのかという御質問でございます。 保護者の方への説明につきましては、現在までに3回実施しております。保育所の移転及び民営化につきましては、おおむね御理解を賜っておりますが、公立保育所から民間保育所に変わることに対しての不安をぬぐい切れない声があることも承知しているところでございます。いずれにいたしましても、今後、不安を解消すべく努力してまいりたいと考えてございます。 また、保育士への説明につきましても、所長等を通じ行ってきておりますが、今後も引き続き機会をとらえ、公立保育所のあり方等について説明してまいりたいと考えております。 次に、なぜ和歌浦保育所なのかという御質問でございますが、和歌浦保育所が借地保育所で老朽化した木造園舎であることから、安全対策、恒久的、安定的な保育所運営の面から移転新築することが児童にとってよりよい環境づくりになると判断し、借地保育所であった城南保育所、新堀保育所に続いて事業を行うものでございます。 次に、今後の公立保育所のあり方についてどう考えているのかという御質問でございます。 公立保育所のあり方につきましては、和歌山市全体の保育水準の向上を図るとともに、効率的な運営ということも含めまして検討を進めている状況の中、今年度から国の三位一体の改革に伴い、公立保育所運営費が一般財源化されました。 和歌山市の保育行政といたしましても、児童の処遇を低下させないことはもちろんのこと、少子化の今後の推移を勘案しながら、現在の社会情勢などによる保育需要の増大など、保育ニーズへの対応が必要であると考えております。 このような厳しい状況を踏まえ、今後、公立保育所の適正配置などを念頭に置きながら民営化の推進を図るとともに、公立保育所各園の保育ニーズに合った延長保育や乳児保育などの特別保育事業の充実に可能な限り努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。
○副議長(北野均君) しばらく休憩します。 午前11時27分休憩
------------- 午後1時11分再開
○議長(浅井武彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、森下佐知子君の質問を許します。--31番。 〔31番森下佐知子君登壇〕(拍手)
◆31番(森下佐知子君) 午前中に1問をさせていただきまして御答弁を既にいただいておりますので、ただいまより再質問をさせていただきます。 まず、貴志川線の問題についてです。 できるだけ鉄道という形で残したいという思いは恐らく共通のものだということが感じられました。また、鉄道の持つ役割の大きさ、その価値についての認識もほぼ市長の考え方と同じだというふうに私は受けとめました。 社会的便益についての考え方ということで市長もるる述べられましたけれども、ここで少し議論をしておきたいなと思います。 ひとつは、採算という価値指標ではなくて、鉄道が地域全体にもたらす便益全体という指標での評価、これが本当に今大事になってきていると。かつては地方鉄道についてはほとんど民間がやっていたわけで、民間が事業として行う場合には、採算というのはもちろん大きな指標であったわけですけれども、今のこの時期になっていろんな時代の背景というものもあわせて考えていきますと、鉄道の持つ価値というのが今再認識されようとしている。そういう中にあっての今回の貴志川線の問題ということです。 そういう中でいろいろな分野でいろんな検討が進んでいるようですけれども、京都大学大学院の助教授であります中川先生の書いておられる論文の中にもいろんなことが述べられているわけですが、やはり社会的便益についての考え方というのが一番大きな指標になっております。 第三セクターということもひとつのやり方ということで議論の中に上っておりますけれども、第三セクターがやられた時期というのも少し前にあったわけで、その時代と今とでは到達点が恐らく異なっているのではないかなというふうに思われます。第三セクターという形の中で、地域の鉄道を残そうと考えてきた当時の建前というのは、やはり10年後、20年後には黒字に転換する、あるいは少なくとも赤字を出さないというところまでいくということが建前として第三セクターに転換をしていったような、そんなことが言われております。 しかし市民にとっての利益という点から考えますと、シンポジウムのコーディネーターを務められました和歌山大学の辻本助教授もおっしゃっておられました。市長が第三セクターという形でやるならば、黒字をある程度見込めなければやることが難しいと。しかしそれについてすぐに「欧州では赤字が当たり前という概念が定着している」と反論をされておりまして、そういう考え方が今大切になってきているのではないかということをシンポジウムでも言われておりました。 しかし、一方に偏った考え方では不十分でして、やはり便益と負担の関係、つまり市民に対してもたらされている利益の大きさと、それを維持していくために必要な負担の大きさというのは当然比較されなければならないと思います。その点の議論というのは避けて通れないし、当然していくことで、いろいろな知恵もこれから出てくるのではないかなと思われます。 さてそこで、社会的便益というのはだれにもたらされるのかということですけれども、これももう議論の中でほとんど出尽くしていると思われるんですが、1つ目には言うまでもなく鉄道を利用している利用者である。2つ目には事業を行っていくという事業者、南海電鉄だった場合にはその事業者ももうけられるということで一つの便益があると。しかしもう一つ考えなければならないのは、やはり環境負荷を低減させるという点でありまして、それは地域全体に対しての便益でもあると。そういうことから社会的便益という概念が出てきたのであろうと思われます。 私、最初の1問のときに、日立電鉄線の例を挙げました。日立電鉄線の場合は、社会的便益というのを理論上の問題としてだけではなくて、お金に換算をして、例えば自動車がふえれば当然CO2 の関係が出てくるわけですから、環境負荷の低減という点で見たら幾らぐらいの便益があるか。 それから、電車をバスに変えた場合は当然渋滞に巻き込まれていくことから、おくれると、遅刻をするということもあり得るわけです。そうなった場合に労働時間として、遅刻をすることによって労働をしている人たちのお給料が減るということでいけば、お給料という形での計算もできると。そういう形で、実は国土交通省が、国がこのマニュアルを持っているということなんです。 鉄道プロジェクトの費用対効果分析マニュアル99という名前でして、これは実は1999年に国交省がこういうマニュアルを出しております。これを見てみますと、シグマがどうとかベータがどうとか、私は本当に数学が苦手でして、見ただけで恐ろしくなるような計算方式だったので、これはちょっと手に負えないなと思ったんですが、これを茨城県では、市ではなくて県がこれを計算したという資料があります。それでいきますと、分析結果を見てみますと、日立電鉄線の効果というのは、 100%バス代替と比較をした場合には約92億円の便益がある。通勤客は自家用車に転換をし、それ以外の人はバスに転換をするという場合で比較をしたときには約 157億円の便益があるという結果が出ております。 この結果から、仮に日立電鉄線が廃止されて沿線自治体が鉄道存続のための公的支援をせずに済んだとしても、運賃のアップや所要時間が延びるなどの形で利用者負担に転嫁されたり、あるいは渋滞の深刻化や公害、交通事故増加などの形で市民全員の負担に転嫁をされ、さらにはこれらの対策費という形で、今度は逆に行政が負担をするという結果を招くであろうと。地域全体で見れば損失の方が大きいことを意味する。したがって、日立電鉄線は利用者のみならず、地域全体にも大きな便益をもたらしており、日立市及び常陸太田市にとって、社会的に非常に大きな効果のある事業であることが確認されたと結論を導き出しております。 全体でいくと、 157億円という驚くべき金額が出てきているわけですけれども、これほど大きな便益があるということを、こうやって数字で明らかにされますと極めてわかりやすい。市民だけではなくて、これから市長が交渉されると言っておられる県や国に対しても非常にわかりやすい指標だということが言えると思うんです。 日立電鉄線の資料を見てみますと、走っているキロ数、それから1日当たりの大体の乗客数、それから沿線自治体が日立市と常陸太田市の2つあるということとか、そういうことをいろいろ考え合わせて見ますと、貴志川線の問題と非常によく似た経過をたどっていると思われるわけです。そういうことを考えますと、地域的な差で全く同じとは言えないまでも、恐らく貴志川線も 157億円相当の社会的便益が出てくるのではないかなと思うわけです。 これは私はひとつおもしろい計算の仕方であって、ぜひこれを和歌山市としてきちっとやっていくべきではないかなと思っております。 それと同時にもう一つ、県の考え方について触れておきたいんですけれども、これはまた関西大学商学部の教授である安部先生が論文を書いておられまして、安部先生によりますと、これはたまたまなんですけれども、和歌山県の例を挙げて、2001年度の一般会計事業費の中から交通関係予算を取り出して、一般会計に占める割合がどうなのかということについて言及をしておられます。それによりますと、和歌山県は2001年度で交通関係予算として 898億円の支出しておりまして、その中で特に道路整備維持事業に係る費用が 600億円を超えるということで、 898億円の中で道路関係予算がほとんどを占めているということだと思います。 これを県の関係で聞いてみますと、別に2001年度だけではなくて、大体 900億円近くのお金を毎年県は交通関係予算に支出をしているということでした。 たまたま安部先生が和歌山県を例に挙げたわけですけれども、これは全国の自治体に共通する現象であるとも言っておられます。都道府県の道路予算というのは、このように実に巨額であって、一般会計の約15%を占めております。このうち5%だけでも地方鉄道や乗り合いバスなどの維持に振り分けることができれば、地域の生活交通問題というのは大きく変わるであろうというのが安部論文の言わんとするところであって、私も大いにうなずけるところであります。 県は今のところ初期投資、貴志川線をいろいろな形でこれからお金を出していかなければならないわけですけれども、和歌山市や貴志川町が初期投資という形でお金を出すならば、その一部は出してもいいよと、それぐらいは援助するよということを言っていると聞いております。しかしそれでは不十分でして、片桐議員も先ほど指摘をされておられましたけれども、例えば上下分離方式をとるにしても、ストック部分というのを、運営費も含めて、私は当然県が持っていくべきだし、そうるするだけの便益が貴志川線にはあるんだと。しかも道路予算にこれだけのお金を使っているのも既に明らかだということが言えるのではないかなというふうに思います。 ローカル圏の地域交通における課題という点でこういう問題を一つ一つとらえて、自家用交通手段を持たない人々にこれからどんな形態で、どれだけの費用負担で移動手段を提供するのかということを、やはり和歌山市として明らかにしていくしかないし、貴志川線にはその値打ち、社会的便益があると、こういう立場に私は立ち返っていただきたいなと思います。 もう一つ大切な点は、先ほど採算を指標とする考え方から脱却するべきだと私言いました。一面矛盾するようですけれども、やはり同時に考えていかなければならないのは、利便性の向上を図って赤字を減らすという努力ではなかろうかと思います。 しかし、市長がシンポジウムの中でも言われておりました、黒字の展望があるから残すために財政支援ができる、ないからしないと、もし思っておられるとすれば、そういう考え方ではなくて、社会的便益があるから守るという立場にまず立って、そこから同時に利便性の向上を図って、今のままでは乗れないと言うのなら--利用者というのは現に下がってきているわけだから--どうしたら乗れるのかと、そういう利便性の向上を図って乗ってもらう人をふやすための努力も同時にしていかなければならない。その努力は地域の便益のためなのだから当然地方自治体だけではなくて、地域もともに努力をするという考え方は私も同じであります。 そういう点で以下2つ質問をしますけれども、1つ目は、貴志川線を鉄道として残すという表明は、そういうふうに努力をするというお答えでした。私は、それをとりあえず残すんだということを明確にするべきだと思うんです。いろいろなことを総合的に今
シミュレーションを一生懸命やっていて、厳しい数字も出さなければならないと。そういう中で、その指標が出てからまたそれを総合的に判断するんだというお答えがずっと続いているわけですけれども、やはり私も片桐議員や中村議員とともに、これはやっぱり和歌山市としてまず残すんだという表明をするべきだと考えます。 収支の問題とか、先ほど言った、地域として利便性の向上を図るためにどうしたらいいのかというような今後の課題というのは、同時進行でも十分できると思います。当然それはやらなければならないことでもあります。そういうことのために市長として、まず貴志川線を鉄道として残しますという意思表明を明確にするべきではないのでしょうか。 2つ目は、今紹介をいたしました日立電鉄線の社会的便益を数値として、金額として具体化して、それをきちっと資料として持っておいて、県や国を初めとする関係機関に働きかけるために、負担割合を検討するという上でもこれは貴重な資料になろうかと思います。これはぜひ取り組まれたいと思いますので、その辺についてのお考えもお聞かせいただきたいと思います。 それから次、保育所についてです。 和歌浦保育所についてですけれども、今回土地購入ということでさきに出てきていることの問題と、それから民営化についての問題ということでお聞きをいたしました。 保護者に理解を得ているのかという合意の点についての質問をしました。そこで、おおむね理解を得ていると考えているという答弁でしたけれども、私はその説明会ではいろいろな意見が続出して、大方は合意していないというふうに聞いております。認識がずれているのではないでしょうか。少なくともそんな状況の中で、土地だけを先に買うのはおかしいというふうに思います。説明会の中ではまだ法人の選定の方法も明らかではないようでしたし、どうなっていくのかということも明らかになっていません。 この土地のあるところですけれども、買収しようとしている土地の場所なんですけれども、すぐ近くに法人立の保育所があります。もし法人が異なれば、こんな近くに建てるということについて、保育所同士の競合が生まれてしまって、普通の考え方で言えば、同じ地域の中に保育所が複数あったとしても、こんな隣合わせの地域に保育所があるなんてことはまず考えられないわけですよね。そういう点に関しても保護者の疑問とか、いろんなことに答えていないという段階です。まずそういういろんなアウトラインを明らかにして、保護者の合意があってから土地買収を行うべきではないんでしょうか。 以前、新堀保育所のときにも、城南保育所のときにもどういう形でやるのかということはある一定決まって--決まってというか、決めるのはもちろん最終的にはいろんな形で結論を出すということになるんですが、しかしこういう方向でやりたいという方針ぐらいは明らかにするべきです。それが決まるか、決まらないかというのはまた別の問題です。きちっとこういうことのアウトラインを明らかにするというのは、普通一般的な考え方ではないんでしょうか。こういうやり方は、私はとても納得が得られるものではないと思います。 次に、民営化についての議論をしたいと思うんですけれども、一つは多様なニーズにこたえていかなければならないというお答えでした。それからもう一つは効率的な保育をするんだというお答えでした。 私は限られた財源の中だから、多様なニーズにこたえられないというのは答えになっていないと思います。限られた財源の中で、いろいろな創意工夫を凝らしながらニーズにこたえることは十分できると思います。この間行政としてどんな努力をされてきたんでしょうか。 私は保育内容とかいろんな条件とか、今の公立の中身を見てみれば、やはり一時保育とか緊急保育とか、それから長時間保育とか産休明け保育とかそういう特別保育事業に対応するためには、公立の中身がもっと変わらなければならないと考えています。それは行政の責任でもあるのではないでしょうか。そのさまざまな保護者や子供たちが今どんな状況に置かれているのかということからあらわれるニーズ、これにこたえていくというために、一体どんなことができるのかというのを行政や保育に当たっている保育士さんや、子供を預けている当事者である保護者の皆さんと議論をし、互いに知恵を出し合うというような場を一度でも設けて頑張ってきたということが言えるんでしょうか。 こういう努力をしないままできたというのは、私は行政の怠慢だと思います。この間議論されてきたのは、効率的か効率的でないかということだけで、財政難だから民営化するんだという、そこだけではなかったかと思います。これでは、私は行政としての使命を果たしているとは言えないと思います。 次に、効率的な保育をするというために、恐らくコストの問題ではないかなと思うんですけれども、このコストの中で一番問題になるのは、例えば建物の中身であるとか保育の中身ではなくて、人件費ではないかと思います。この人件費にどうして差が出てくるのかというのは、一つは年齢構成に違いがあるからだと思います。大阪府の堺市なんかでも公立保育所の保育士さんの平均年齢は42歳です。私立の保育所の保育士さんの平均年齢は27歳と、実に大きな開きがあります。しかしこの年齢差というのは堺市だけでなくて、全国的なものであって、和歌山市でも同じような傾向です。しかも和歌山市では、行政改革に絡めて新規採用を抑制していることから、公立保育所の年齢構成はより高いところに偏っております。これは年齢バランスの点からも、人件費の点からも改善が求められなければなりません。 そして人件費の差ということだけで言えば、大都市圏では公私間格差是正制度を、自治体として独自に持っておりますから、こういう制度があるところではコストの差は発生しておりません。 それで労働者の立場から見てどうなのかということを考えてみますと、働きやすい職場かどうかということが一つ問われると思います。これは子供を生み育てながら安心して働ける職場かどうかということも含みます。 それから子供の目から見てどうかということです。これは多様な年齢構成の保育士さんがいる中で育つことが大切であるということです。若い保育士さんだけでもだめだし、高齢の保育士さんだけでもだめだと。いろんなバランスの年齢構成の保育士さんのいる中で、いろんな大人の人たちと、いろんな経験なんかも積み重ねながら育っていくのが本来の子供たちの発達のあり方ではないでしょうか。また、保護者から見ても多様な年齢構成の存在が子育ての悩みを相談できることにもつながっていくということも言えると思います。 国の保育に対する財政支援というのは、今までもずっと十分なものではありませんでした。今でも不十分です。保育単価は低いまま見直されておりませんし、賃金体系を見ても国の基準は勤続年数10年で昇給がストップするという仕組みになっています。したがって大方の私立保育所では30歳以前に退職をせざるを得ないという仕組みになっています。 保育所とは就労と育児を本来両立させるものであるための施設であるのに、コストを下げるために保育所で働く労働者は、就労と育児が両立できないという矛盾が起こってしまいます。 私立保育所のコストが低いのは、必要とされる経費が制度上保証されていないからであって、公立保育所は自治体ごとに多少の差はあっても、全体として保育士の年齢構成のバランスや労働者として働き続けられるための賃金を含む労働条件が制度として保証されている、こういう違いがあるわけですが、これは社会的に必要なコストと考えるべきではないでしょうか。これは貴志川線の問題とも一部重なる点があると思います。 民営化の推進というのは、こういう本来必要な社会的なコストを削って、保育内容の向上などを保育士さんや法人さんの努力に、また犠牲に、あるいは奉仕に頼ろうということにほかならないのではないでしょうか。行政として本当にこれでいいんでしょうか。 児童福祉法の精神に照らせば、市町村は保育行政に直接責任を負うべきであることは明白です。公立保育所の老朽化、あるいは借地であること、特別保育事業の不備が問題なら、まずそのことを改善するべきで、民営化とセットにすることは納得できませんし、保護者の皆さんもそこを納得してないんではないでしょうか。 そこで質問をさせていただきます。 公立保育所も含む次世代育成計画、これは前回の6月議会の中で質問させていただきましたけれども、この次世代育成計画の中には当然保育所の問題も含まれます。公立保育所を含んだ特別保育事業をどう具体化しようとしているのか、保育全体の問題としてこれをどういうふうに具体化しようとしているのかお答えください。 また2つ目は、なぜ民営化とセットなのか、公立保育所として改善、運営するべきではないんでしょうか。老朽化が問題で、借地が問題だと言うならばそれを建てかえて運営すればいいんではないでしょうか。 それからもう一つ、3点目は、コストを低くすると言うならば今後の長期的な財政計画を示した上で、きちっと市民の皆さんに合意を得るべきではないんでしょうか。ましてこういう財政計画の中身が大変だからと言って、財政難の解決方法を保育所にしわ寄せするべきではないと思います。 この点についてのお答えをください。 以上で再質問を終わります。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 31番森下議員の再質問にお答えします。 貴志川線存続の意思をもっとはっきり示せ、要するにそういうことかと思います。 先ほど答弁いたしました。また、中村議員、片桐議員にもお答えいたしました。 私は、公共交通がまちづくりに資する役割は極めて重要な一要因であると認識しております。特に鉄道は輸送力、定時制においても最もすぐれており、沿線住民の支えでもあると思っております。何度も申し上げるようですが、残せるものなら残したいのは当然だということです。 ただ、さきに調査した鉄道を存続させるための運営収支は、運賃をある程度値上げしたとしても大きな赤字が積算されています。今これをさらに落とすことができないか、それについて地元行政3者と近畿運輸局、南海電鉄を交えて収支を中心に検討しているところであり、この結果を見て判断をしてまいりたいと考えております。 社会的便益について、市が社会的便益調査を実施すべきではないかという重ねての御質問でございます。 最近よく経済効果という言葉が使われます。プロ野球が、パリーグが5球団になったら経済効果としてどれぐらいマイナスになるのかというような話もいろいろ出ております。いろんな試算があるかと思います。その手法についてはさまざまな考え方があると思います。事業を行うときの判断基準の一方策であるとは当然私も思っております。調査につきましては、和歌山県、貴志川町とも協議して検討してまいりたいというふうに考えております。 以上です。
○議長(浅井武彦君) 的場福祉保健部長。 〔福祉保健部長的場俊夫君登壇〕
◎福祉保健部長(的場俊夫君) 31番森下議員の再質問にお答えいたします。 3点ございました。 1つ目が、次世代育成計画の中で公立保育所の特別保育をどう具体化しようとしているのかという御質問でございます。 次世代育成支援地域行動計画に係る保育事業につきましては、現在実施の事業についてはその充実を、また、未実施である夜間保育や休日保育等につきましては、ニーズ量の調査を行っているところであり、今後調査結果に基づい策定委員会で検討していただくことになっております。 次に、児童福祉法の趣旨から考えると、市町村は保育行政に直接責任を負っている。公立保育の老朽化や借地、特別保育事業の不備が問題ならそこをまず改善すべきではないか、なぜその改善と民営化がセットになるのかという御質問でございます。 保育所におきましては、児童を心身ともに健やかに育成することが市の責務であると認識しております。その中で市が直接運営することだけが児童福祉のすべてということではなく、限られた財源の中で、効率的かつ効果的に児童福祉の向上を図ることが大切であると考えております。 しかしながら、本市を取り巻く厳しい状況下にあっては、例えば延長保育や一時保育など多様化する保育ニーズにこたえるには、コスト面、人的面において限界があるのが現状であります。 したがいまして、今後の保育行政の向上には、民間活力の導入が不可欠と考え、公立の役割と民間の役割を見きわめながら児童福祉の向上に努めてまいりたいと考えております。 次に、削減額を市民の前に明らかにせずして合意を得たと言えるのか、まして保育にしわ寄せをすべきではないという御質問でございます。 保育所の民営化等につきましては、経費削減とともに効果的、効率的な保育所運営及び多様化する保育ニーズに対応するためのものであると考えておりますので、御理解賜りたく存じます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 31番。 〔31番森下佐知子君登壇〕(拍手)
◆31番(森下佐知子君) 再々質問に移りたいと思います。 まず貴志川線ですけれども、貴志川線の問題については意見ということで言わせていただきます。 いずれにしても国の意見調整が始まれば、近いうちに市の結論を出さなければならない。これはもうはっきりしていることです。その際に、市が積極的に鉄道存続への意思を表明されるように強く要望しておきます。 それから同時に、便益計算についても、委託費用などの臨時の支出を伴うかもしれませんけれども、私はこれはぜひやるべきだと思います。県がやってくれるんだったら当然県がやってくれるに越したことはないんですけれども、もしそうならなくても和歌山市としての資料としてやるべきだと思います。いろんな資料を見てみますと、具体的にこういう数値であらわして根拠にしているところも結構あるようです。いわゆる路面電車なんかも便益計算というのをやっているようですので、これは私が言うまでもなくていろいろと御存じだろうと思いますので、それについてはぜひやるべきだという意見を申し述べておきます。 それから保育問題に関してです。 先ほど部長から答弁をいただきました。この和歌浦保育所の問題が、例えば老朽化していると。実際に建物は古いです。この老朽化の問題を何とか改善したいんだと。借地であるということも改善したいんだと。だからここに移転をするんだというところまでは理解できるんです。そこまでは理解できるんですよ。だけどなぜそれが民営化とセットになるのかということについてはちゃんと答えてくれておりませんでした。 新堀も先ほども言いましたけれども、城南の場合は、内容の是非はともかくとして、計画とか全体像を明らかにした上で進めていったということは2問でも申し上げましたけれども、そういう全体の計画とか、これからどうしようとしているのかということも、それからなぜ民営化とセットになるのかということについても明確な答えはありませんでした。 答弁の中に、市が直接運営することだけが児童福祉のすべてということではなくという一文がありますけれども、この言い方というのは、私は別に市が直接運営することだけが児童福祉だなんて言っていません。民間保育所もあるわけですし、そこでは当然法人の皆さんが大変な努力をして、保育をされているわけですから、それはもちろんわかっています。 しかし今回は、市の持っている和歌浦保育所をなくしてしまうということにもつながっている問題なんですよ。だから私はその問題と民営化がなぜセットになるのかということをちゃんと説明してほしいと言ったんです。 コストの問題で、限られた財源ということとか、本市を取り巻く厳しい状況下だから、だから民営化なんだという言い分ですけれども、私はこの問題は民営化にしたからと言って解決する問題だとは思えません。これは国の財政負担のあり方を変えなければ抜本的な解決にはならないんです。これは先ほども紹介しましたように、お給料の体系がね、10年たったらもう昇給しないんですよ。国の考え方というのは、民間の保育士さんに対してはね。だけど公務員に当たりますから、公立の保育所の保育士さんというのは行政職ですから、その体系に基づいてきちっとお給料が保証されるということですから、そこからもう間違っているんです。保育士の勤続年数に関係なく、国は一律に俸給基準額というのを決めております。こんな今のやり方から、例えば小学校の先生のように、勤続年数を加味して給与を決めるようにすれば、自治体の超過負担というのは基本的に解消します。 大体市の財政難というのは、市のこれまでの計画性のない行政の進め方が引き起こしたものであって、保育所には何の関係もないし、子供たちには何の責任もありません。また、本来地方自治体に交付されるべき財源を国が出さないということが超過負担の割合が運営費の2分の1にまで及んでいること、これが今の財政難に拍車をかけているということも同時に言えると思います。 和歌山市は財政が厳しいということを理由にして、今財政健全化計画を進めておりますけれども、その中身は私は福祉の切り捨てになっていると思います。市長は当面立て直しを進めて、赤字再建団体を回避してから新しいことを考えるということをしきりに言っておられますけれども、例えばですよ、これは仮の話ですけれども、お給料を一時的にカットしなければならないとか、正職員さんから非常勤へ切りかえなければならないとか、そのことで一時的なマイナスがあったとしても、それを御理解くださいということで我慢してもらわなければならないこともあるかもしれません。 でもそういうやり方というのは、財政が好転したときに元に戻そうと思えば戻せます。でも民間委託という形で民営化をしてしまうと、これはもう一たんしてしまうと元に戻せないんですよ。戻すことはすごく困難です。こういう財政難があるからということで例えばお給料のカットとか、そういうことでしばらく我慢するというような努力をする、そういう議論をしてきましたか。子供の育成に係る保育所をターゲットにして民営化するというやり方は、たとえ財政状況がよくなったとしても元に戻せないことから考えれば、地方自治体としての責任を果たすという意味でも、私は公立保育所を守るという立場に立つべきだと思います。 このことが今全国でも大きな流れになっている中で、和歌山市ではこういう考え方が今ほど求められているときはないんではないでしょうか。 2問でお聞きしました次世代計画の方針もこれから決めるというんです。公立保育所がこれからどこをどういうふうに充実させていくのかということがあって、それがあるから和歌浦保育所がこうなんだということも全く明らかになっていないんですよ。保育所のこれからのあり方というのも、大きな漠っとした言い方では、充実する、充実すると言っていますけれども、それは具体的な数値にもあらわれてないし、じゃどういう形でこれから公立保育所をどういうふうに充実させていくのかということが何も見えない中で、ただ民営化を、財政を効率化するために先走って民営化を進めていくというやり方というのは私は納得できないし、これは広く納得が得られる問題でもないと思います。 そこでお伺いをします。 再々質問ですけれども、保護者の合意を得られていない今の時期に先に土地を購入して既成事実をつくるようなやり方はやめるべきであると思います。これについてどうお考えでしょうか。少なくとも今後の見通しぐらいは、どういう計画によってこうするんだという見通しぐらいは明らかにするべきではないんでしょうか。そのことをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 31番森下議員の再々質問にお答えいたします。 保護者の合意が得られない中で土地買収を進めるべきではないのではないかという趣旨でございます。 第1問でも担当部長が答弁いたしましたように、公立保育所から民間保育所に変わることに対して現在和歌浦で不安な声があることは承知しております。しかし児童の安全を考えた場合には速やかな園舎の建設ができるよう用地の確保が必要となります。保護者の方々に対しては、今後も引き続き理解いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 的場福祉保健部長。 〔福祉保健部長的場俊夫君登壇〕
◎福祉保健部長(的場俊夫君) 31番森下議員の再々質問にお答えいたします。 今後の方向づけを明らかにせよという御質問でございます。 先ほども御答弁させていただきましたが、限られた予算の中で民営化を推進することにより、効率的、効果的な保育事業を推進することが可能と考えておりますので、十分に保護者の方々に説明し御理解を得るよう努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) しばらく休憩します。 午後1時49分休憩
------------- 午後2時12分再開
○議長(浅井武彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 山本宏一君。--14番。 〔14番山本宏一君登壇〕(拍手)
◆14番(山本宏一君) こんにちは。 正和クラブの一般質問で3人出ますけれども、未婚、新婚、晩婚の順番でいきますんで、一番トップバッター未婚からやらせていただきます。 昨年12月11日に一般質問をさせていただきまして、市長並びに市長部局の全部局長に財政健全化計画に対する取り組みの姿勢をただし、和歌山市を赤字再建団体にしないという決意を今から 279日前にこの壇上から表明していただきました。そのことを踏まえて、ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いましてさらなる危機感を持って私の一般質問をさせていただきます。 市長は、今定例会冒頭のあいさつの中で、和歌山市の逼迫した財政状況を説明され、「平成16年度の普通会計の実質収支の黒字を維持していくことが大変厳しい状況となっております」とおっしゃいました。 わかりやすく言えば、今年度はとうとう赤字になる、そうおっしゃったわけですね。平成14年11月制定の財政健全化計画は破綻したということだと思います。小ぎれいな言葉で言いかえるなら、計画は根本的に見直さざるを得なくなった、そういうことだと思います。 そこで市長に伺います。 平成16年度の財政収支見通しと、今年度以降の収支見通しを具体的に、詳細に、楽観的要素を入れることなく説明していただけませんか。景気が浮揚するというようなことは今後まずあり得ないと考えた方がよろしいかと思います。政府の三位一体改革等のマイナス要素はマックスで算入して説明してください。 それから、これも昨年12月に伺いましたんですけれども、改めて伺います。 職員は市長と同じ危機感を共有しているとお思いですか。 9カ月前にお尋ねしたときには職員さんに遠慮してかこう答弁されていました。「私は、少なくとも幹部職員の皆さんは、市の財政状況と、私の財政再建への思いを十分理解していただいているものとは思っておりますが、観念的にはわかっていても市民の要望等とのはざまに立って大変苦慮しているということも感じるところもございます。」と、奥歯に何かものの挟まったような答弁でした。それも、このときのこの答弁は今だから言えますが、実は事前からいただいていた答弁書と違っていまして、本来は「私は、少なくとも幹部職員の皆さんは、本市の財政状況と、私の財政再建への思いを十分理解していただいているものと思っておりますが、観念的にはわかっていても実感としては必ずしも十分には理解していただいていない面もあると感じるところもございます」と。どうも幹部職員にさえ理解されていないいら立ちを当時感じていたんではないでしょうか。今定例会では、幹部職員さんだけではなく、一般職員も含めて、職員は市長と同じ危機感を共有されていると思いますか。お答えください。議会もですね。 次に第1問の2つ目ですが、まちづくりについて伺います。まちづくりというより、本年度当初より市長の肝入りで発足したまちづくり推進室について伺います。 市長はさきの施政方針でこのようにおっしゃっていました。すなわち「中心市街地や市内各所の商店街活性化のための取り組みが急務であると考えておりまして、空き店舗対策を強化するため、助成金の拡充などを実施してまいります。それとともに、郊外も含めて、和歌山市のまちづくりをどのようにすべきかを示す必要性を痛感しておりますので、新年度から、まちづくり推進室をスタートさせ、積極的に取り組みたいと思っています。」と。 市長が当初お考えになっていたとおりに、このまちづくり推進室は機能しているとお考えですか。発足してわずか半年足らずですから、今現在をもってその評価を適正に下すということは難しいとは思いますが、どうも方向性がおかしいと思うんですね。まるで企画部の分室か産業部の分室のような存在に見えて仕方がありません。わざわざ市長の肝入りで新たに設置する必要があったのかと疑いたくなります。 しかしそうではないはずです。和歌山市のまちづくりをどのようにすべきかを示す必要性を痛感されてつくられた推進室なんでしょう。ぶらくり丁だけが対象なんですか。まちづくりを本気で考え出せば、すべての部局に関連してきます。企画、産業、都市計画、建設、その他もろもろ、あと言い出したら切りがないんで。全部の部局に関連してくると思うんですが、この推進室にどの程度の権限が付与されているのでしょうか。権限がなく、予算もなく、スタッフもなく、どんなまちづくりを示すことができると言うのでしょうか。ぶらくり丁、ぶらくり丁と念仏のように唱えて、後は行儀の悪いUFJ任せにするんですか。 ないない尽くしの中で中心市街地活性化のため推進室の奮闘は評価しますし、それも必要かとは思いますけれども、もっと大きな仕事があるはずです。 市長のお考えをお聞かせください。 以上で私の第1問を終わります。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 14番山本議員の御質問にお答えいたします。 平成16年度の財政収支見通しと今後の財政収支見通しについて、希望的な要素を加えずにきっちりとした見通しを述べよということでございます。 平成16年度財政収支見通しでございますが、去る7月27日に普通交付税の決定があり、普通交付税及び臨時財政対策債発行可能額を合わせた総額は、三位一体改革によりまして地方財政計画の歳出規模が抑制された影響で、前年度決算見込み額に比べておよそ24億円、本年度の当初予算額に比べておよそ12億円と大きく下回る算定結果となりました。 また、本年度の市税収入におきましても景気回復のおくれや個人所得の落ち込みなどにより、当初予算を確保することが困難な状況になっております。 一方歳出におきましても、生活扶助費等が増加傾向にあることなどを考慮しますと、平成16年度の普通会計の財政収支見通しにつきましては、黒字を維持していくことが非常に厳しい状況となっております。 次に、今後の財政収支見通しについてでございますが、骨太の方針2004によれば、税源移譲についてはおおむね3兆円規模を目指すことが明記されました。
補助金改革を通じて行政のスリム化の推進や地方の歳出を見直すことにより、地方交付税を抑制する方針が示され、平成17年度の国の概算要求におきましても、地方交付税の出口ベースでの額と臨時財政対策債を合わせた総額は前年比 3.7%の減と試算されております。仮に国の試算をそのまま当てはめた上で現行の財政健全化計画ベースでこのまま財政運営を続けた場合、平成18年度には普通会計の赤字額が、財政再建団体転落ラインに達する可能性がある危機的な状況となっております。 その財政問題について、職員が市長と同じ危機感を共有していると思うかという御質問でございます。 私はこれまでも幹部連絡会や予算査定などを通じて機会あるごとに職員の皆さんに本市の財政状況が危機的事態に直面していることを訴えてまいりました。殊に、平成16年度当初予算編成においては、財源配分型予算編成方式を導入したことで、各部局は配分された財源枠において予算編成に苦慮した過程を通じて、少なくとも部局長を初めとする幹部職員や予算事務に携わった職員の皆さんは本市財政に関する危機意識を持っていただけるものと思っております。しかし、全職員が、このままでは給与や退職手当が大幅ダウンするのは確実だといった認識に達していないと思えるのも事実であり、職員一人一人の意識にはまだまだ温度差があるのではないかと感じることもございます。 私は、危機意識に裏づけされた全職員一丸となった取り組みがなければ、本市が財政再建団体への転落を回避し、財政再建を果たしていくことはできないものと思っております。 このため先般、財政部から地方交付税の算定結果に基づく本市の財政状況の報告を受けた時点で、早速財政部に対しまして全所属長に対し、財政収支の均衡を図ることができなくなるなど事態が一層深刻になっている現状と、仮に財政再建団体に陥った場合に予想される事態について説明するよう指示いたしましたが、今後もあらゆる機会をとらえて危機的状況に置かれている本市の財政状況を訴えてまいりたいと思っております。 私といたしましては、職員の皆さんは私の意図を理解し、本市財政の再建のために創意工夫を凝らした事務事業などに取り組んでいただけるものと思っておりますし、期待をしているところでございます。 次に、まちづくり推進室は当初考えていた機能を果たしているのかという御質問でございます。 現在、和歌山市の全体計画は長期総合計画に基づいて、それぞれの部署で取り組みを進めてございますが、まちづくり推進室を設置いたしましたのも、その過程で単独部署では青写真の描きにくい事業等を各部局と調整を行いつつ進めていくことを念頭に置いたものでございます。 現在、まちおこし推進課では、中心市街地の活性化に関すること及びその他まちおこしに関することということで事業を進めておりますが、本年度は市民参画のもとに中心市街地活性化基本計画改訂版の策定を各部局を集めて行っているところであります。 その他、まちおこしに関しましては、市民参加に基づく直川用地利用計画策定に向かって、各部局との調整機能を持つ推進委員会を立ち上げたところでございます。 さらに、現在眠っている観光資源などを掘り起こし、市民や観光客にとって興味深い探索ができるよう観光課と連携して地域のマップ作成を行うなど、市の資源の再発見事業のようなものも必要と考えております。 また、市民参画ということもまちづくりのひとつの方向性であると考えております。 しかし、一口に市民参画と申しましても、先進都市と比べまだまだという状況でございます。今後は市民参画についても、市民、行政ともにレベルを向上させていくことも必要であると考えております。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 14番。 〔14番山本宏一君登壇〕(拍手)
◆14番(山本宏一君) 御答弁いただきましたので第2問をさせていただきます。再質問ですけれども。 まず、財政問題ですが、収支見通しとしては端的に申し上げれば、あと3年以内に本市は赤字再建団体に、何にもしなければ転落するということですね。非常事態ということですね。どうされます。 危機感の共有ですけれども、今市長の御答弁いただいた中でも、余り共有されていないような気がするんですが。財源配分型予算編成方式というのも、まあ言うたら、はししか見たこともさわったこともない人にナイフとフォーク持たしたようなもんですから、機能しているとは余り考えられないんですけれども、いかがでしょう。 危機感の共有が欠如しているという例を1つ、2つ挙げてみます。関係する部署でお答えいただけるようならお答えください。 これはインターネットの書き込みのプリントアウトしたものがあるんですが、これは匿名性の高いと言うか、好き勝手書いていることですから、何ですけれども、言うてることは当たってるんで紹介します。 「資源ゴミの行方…。 結局市民が分別回収に協力し、分別も要らなくなったゴミであれ業者に処分代金を払っているのでしょうか?本来なら業者が自費負担するべき労働を我々市民が肩代わりしておまけに税金まで納めているとは馬鹿馬鹿しい図式です。」とか、「市はリサイクル業者に処理費用を支払ってるよ。一番オイシイのは業者!!市から金貰って、それを売るんだからね」「じゃあ市はバカなの?」「え?そうなの???じゃ、俺らは業者を丸儲けさせるために分別やってたのか?!今春からはペットボトルのラベル剥がせとか……本当なら業者のセンターで日当払ってやらせる仕事じゃんか!!」「あほらし。もう分別やんぺ。」とか、そういうことを書いているんですが、そういうことを書いているのを見つけた人から私に質問があってね、それは事実ですかと。事実なんですね。 平成16年度で、缶については業者の引き取りは無料ですね。瓶はトン当たり 6,300円を市が払っています。ペットボトルはトン当たり3万 2,000円払っています。紙・布はトン当たり 3,000円支払っています。プラスチックは8%のずれがあるらしいですが、トン当たり7万 3,000円だそうです。 ところがこの間、私たち正和クラブで横浜に行って来たんですけれども、横浜では業者にトン当たり12万 3,000円でアルミを売っています。これだけ値が落ちこんでいるとは言え、スチールでさえトン当たり1万 1,500円業者からもらっています。 私ども和歌山市は、ただであげています。トン当たり12万 3,000円と言ったら大きいですよ。だからこの無記名というか、匿名性の高い書き込みに書いている市民の言うてることは、実は我々市民がやっている今の分別というのは、業者のためにやっているという部分は真実でもあるんですね。 どうやってその市民を--こういうのを書き込んできたんで、もう分別せんでいいんかいというメールがありましたんで、いや、CO2 の削減等ね、リサイクルも含めてね、僕らが個人で一人一人でできることは、例えばペットボトルを個人でリサイクルできるか言うたらできやんやろと。そやから辛抱して分別してよとしかこの市民にはお願いするしかなかったですね。 財政破綻の一歩手前で危機感の共有をと市長が叫んでいる横で、和歌山市は殿様商売しているわけですね。ひとつも共有なんかされていません。市民に分別をお願いしながら、市は事業所だということで市民にお願いしている分別と同じように分別していません。 ある人が言っていました。分別こそ資源、分別行為そのものが資源だと。リサイクルに係るコストで一番大きいコストは分別作業なんですから、それはおっしゃるとおりなんです。役所が率先垂範して分別してこそ初めて市民に業者のための分別という--業者のための分別という側面は事実ありますが、ありますが、役所が率先垂範して分別して初めて市民にお願いできることじゃないんですか。 今和歌山市は市民にお願いしている分別と同じ分別はしていませんね。廃プラはそのまま捨てていますね。 もう一例申し上げます。 いかにその危機感の共有がないかということのもう一例ですが、市内にフェンスで囲まれた市所有の空き地が幾つもあります。中には1年以上もフェンスで囲まれて放置されているものですから、雑草が生い茂って、余り見た目のいいものではありません。どうしてそんなもんを処分しようとしないんでしょうかね。 土地開発公社の持っている土地ならば、今からすぐに右から左に処分はできないにしても、市所有の土地だったら処分可能なはずです。公売して少しでも苦しい財政の助けにしようという発想は出てこないんですかね。 財政部長にお答えいただいた方がいいと思うんですけれども、そんな不用地が何筆もあるんじゃないですか。 なぜこのようなことを申し上げるかといえば、危機感の共有なんかは、それこそざるで水をすくうがごとくでしかないという現状があるように思えるから申し上げています。 部長、処分可能な市の所有地を早急にリストアップして、売れるものは何でも売って、宅建協会にもお願いしましょう。公社の所有に係る物件は右から左に売ることができませんから、そういうシステムになっているということは理解できますから、だけどそれは法改正も近いという話も聞いておりますんで、処分できるよう準備だけは進めませんか。 それから、不用地だけではなく、物品もネットオークション等を利用してどんどん要らんものを売っていきましょう。ネットオークションで値がつくかどうかは別ですが。 10日のあいさつの中で市長はこうもおっしゃっていました。「今後、行財政改革を推進するに当たりましては、市民の皆様には痛みを伴うことになることもあるかと思いますが、改革が進まないと和歌山市のあすはないと思っておりますので、議員各位と市民の皆様のなお一層の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。」と。 役所ができること、役所がすべきことをしないで、一方的に市民に御理解と御協力をとお願いしたところで、それは余りにも虫がよ過ぎる話しでしょう。 本議会も平成8年12月19日、行政改革特別委員会の設置を全会一致で決め、翌平成9年1月23日委員会採決、同年1月27日の臨時市議会で委員長報告が行われ、行政改革実施計画も含めて賛成多数で採択し、当局に改革の実施を強く求めております。 平成14年の財政健全化計画実施まで何をしていたんですか。 市長、相当な決意が必要だと思います。真に実効性、即効性のある方策が必要です。 一方で、その方策は長期的に見て間違いのない方策でないと市民に負担だけが残ることになります。2年足らずでとんざするような計画ではだめなんです。 市長の決意と方策をお聞かせください。そして、市民の皆さんに御理解と御協力を得るためにどのような説明責任を果たしていく御所存ですか。 市はやるべきことを数多くやり残している今、なかなか説明しにくいでしょうが、市長の説明責任は大変大きな責任の一つです。どのように果たされる御所存か、存念をお聞かせください。 そして、残念なことに、もし--もしと言うよりも何にもしなければ3年後には赤字再建団体に転落するわけですが、赤字再建団体に転落したとき市民にどのような負担が発生するか具体的にお示しください。今年度からの手数料値上げ程度の負担で済むわけがないですね。 職員にとっても、劇的に労働環境が変化しますね。退職金もらえますか、職員さんは。定昇も55歳を待たずに、即日ストップするんじゃないですか。赤字再建団体下での市民に対する影響、職員に対する影響を具体的に示してください。 まちづくりについての再質問ですが、中心市街地活性化というときの中心市街地は人口動態的に見て今でもなおぶらくり丁なんですか。今のぶらくり丁周辺は商店街というより衣食住、医・職・什の整った快適な居住空間としての可能性の方が大きくなっているんじゃないですか。 和歌山市全体のまちづくり構想がベースになって初めて真に有効な中心市街地活性化を議論できるんではないですか。ベースは和歌山市長期総合計画、いわゆる長計だとおっしゃいますけれども、3年以内に赤字再建団体に転落するというような今のような財政状況を念頭に入れた計画じゃないでしょう、この計画は。 お金をかけないまちづくりの方法としては、都市計画の線引きを変えるだけで、あるいは建築規制を緩和するだけで民間の投資意欲を引き出す方法だってあるわけでしょう。 どぶろく特区や堆肥特区があるほどですから、法律がハードルになって、市単独で緩和、あるいは撤廃できない規制に対してはどんどん特区申請をしていけばいいじゃないですか。まず来てくれそうもない大規模店舗の特区なんかやめて。権限もお金も人もない組織でできることには限界があるでしょうから、再々質問はしませんけれども、方向性を誤らないでください。 先ほどの市長の答弁をお聞きしていましたらね、ぶらくり丁とか直川といったピンポイントのまちづくり、特化したまちづくりを目指しているような部署に聞こえます。本年度当初施政方針でおっしゃった設置目的と微妙にずれを感じています。 そして全体計画は長計だとおっしゃる。「あれもします。これもします。進めます」の長計を本当にベースにされるつもりですか。まちづくりについては要望にとどめておきます。方向性を誤らないでください。 以上で再質問を終わります。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 14番山本議員の再質問にお答えいたします。 財政問題について3点。市長の決意と方策は、再建団体に転落した場合の市民及び職員への影響は、市民への説明責任をどう果たすのか。この3点でございます。 第1問でお答えいたしましたように、国の概算要求における地方交付税総額の削減を勘案しました上で、現行の財政健全化計画ベースでこのまま財政運営を続けた場合という前提に基づく試算とは言え、平成18年度には財政再建団体転落ラインに達する可能性があるという危機的な事態にあることを考えますと、本市財政はまさに非常事態にあるものと深刻に受けとめております。 仮に、本市が財政再建団体になりますと、国の管理監督のもとに、財政再建計画を策定して行財政運営を行うことになりますので、市民に身近な道路など、市が独自に実施する事業は原則的にできなくなり、学校や住宅など国や県の補助を受けて実施する事業についても起債の許可が制限されるために、市の意思だけではできなくなります。各種団体へ交付する補助金や市が独自に実施している福祉サービスについても廃止や削減をしなければならなくなるなど、市民サービスの著しい低下が出るものと思われます。 市民負担におきましても、国との協議によりますが、固定資産税などの市税は現在よりも高い税率で課税されることになりますし、保育料につきましても、例えばD3階層の3歳以上児で現在1万 8,500円の保育料が国基準の2万 7,000円に引き上げられるなど、市民に大きな負担が生じることになると思われます。 また、行政機構の簡素化や人件費の削減が求められますので、職員数の大幅な削減はもとより、現在でも危機的な財政状況にある自治体では5%から10%の給与カットを実施している自治体もございますので、財政再建団体ともなれば、定期昇給の停止、もしくは給料のカット、退職手当、特殊勤務手当の見直しなど、職員にも大きな影響が出るものと思われます。 私はこのような過大な市民負担や市民サービスの著しい低下を招くことになる財政再建団体への転落は何としても避けたいと強く決意しておりますが、そのためには歳入歳出全般にわたる抜本的な行財政改革が不可欠であります。現状の課題を先送りすることなく、改革のスピードを上げるために行政改革実施計画と財政健全化計画を見直し、これらの計画を基本に、全職員一丸となって計画の推進に取り組んでまいる所存でございます。 同時に行財政改革を進めていくためには、市民の皆さんの御理解と御協力が何と言っても重要でありますが、そのためには行政として市民の皆様に説明責任を果たしていく必要がございます。 これまでも地区話会等を通じて、本市の財政状況を御説明してまいりましたが、今後もこうした取り組みを継続して行うとともに、財政健全化計画及び行政改革実施計画の見直しを行った時点で市報わかやまや本市のホームページ等を通じ、市民の皆様に対し、非常事態に置かれている本市の財政状況と行財政改革の取り組みなどをわかりやすく御説明し、御理解と御協力をいただけるよう最大限の努力をしてまいる所存でございます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 若林生活環境部長。 〔生活環境部長若林 豊君登壇〕
◎生活環境部長(若林豊君) 14番山本議員の再質問にお答えいたします。 財政問題に関連しまして2点の御質問がございます。 1点目は、資源ごみの処理費用についてでございます。 議員御指摘のように、資源ごみの中には現在市場で需要が高まり、リサイクル業者が比較的高価で引き取っている品目もございます。リサイクル業者に売却するためには分別収集した資源ごみをさらに細分化し、それぞれ圧縮、梱包、保管などの処理を行わなければなりません。このような中間処理施設を持っている自治体では、直接リサイクル業者へ売り渡すことが可能でございます。 本市にはこのような中間処理施設がございませんので、再商品化を行うための中間処理業務を民間企業等に手数料を支払って、委託しているところでございます。 コストとしての考え方では、この手数料と本市が中間施設を運営すると仮定した場合のランニングコスト等のバランスを見きわめることが非常に重要であると考えてございます。 資源ごみ処理手数料の契約につきましては、年度当初に1年間を通しての固定した金額で行ってございますが、市場価格の変動が比較的激しい現状をかんがみて、新年度以降の契約につきましては手数料の内容等を精査して、より適切な価格での契約を行うとともに、価格変動に対処しやすい方法について早急に研究し、新年度から実施してまいりたいと考えてございます。 次に、市役所から出されるプラスチック製容器包装の処理についての御質問でございます。 プラスチック製容器包装の分別は、容器包装リサイクル法に基づき実施するものであり、家庭から排出されるプラスチック製容器包装を対象としております。したがいまして、事業所である市役所は容器包装リサイクル法での分別対象とはなりません。 市役所でプラスチック製容器包装の分別を行いましても、容器包装リサイクル法に基づく指定法人ルートでは引き取ってもらうことはできません。しかし、市民感情といたしましては議員御指摘のように「なぜ市役所は分別をしないのか」という御不満はもっともなことと受けとめてございます。 市役所内から排出されるプラスチック製容器包装につきましては、次長会や庁内個人メールを通じて各家庭へ持ち帰り、分別リサイクルへ回すようお願いしているところでございますが、今後、庁舎管理等の関係部局との間で、市役所においても分別収集ができるよう協議してまいります。 なお、社団法人全国都市清掃会議を通じて、事業所系の容器包装廃棄物についても容器包装リサイクル法の対象とし、適正な費用を求めることなど、国へ要望しているところでございます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 奥野財政部長。 〔財政部長奥野久直君登壇〕
◎財政部長(奥野久直君) 14番山本議員の再質問にお答えいたします。 財政問題について、処分可能な市有地は早急にリストアップし、売却してはどうか、また、公社の所有地についても法改正が近いので、処分できるよう準備を進めては、それから不用物品についても売却していくべきではないかという御質問でございます。 本市の未利用地問題につきましては、平成11年8月に、和歌山市未利用地有効利用検討委員会が設置されまして、今日まで8回の委員会を開催し、土地開発公社所有地及び行政財産、普通財産についてそれぞれ5段階の優先順位をつけ、売却処分も含めた有効利用の方策を検討しているところでございます。 議員御指摘のような、各事業課所管の土地で既に用途廃止を行った土地につきましては、早急にリストアップして未利用地有効利用検討委員会で検討の上、処分可能なものについては積極的に売却処分を行ってまいります。 また、土地開発公社所有の未利用地につきましても、積極的に有効利用を図るため、改正が予定されている公有地の拡大の推進に関する法律施行令等の内容を見きわめながら、未利用地有効利用検討委員会において処分、または賃借できる方策を研究してまいります。 それから不用となった物品につきましても、売却できるものは積極的に売却してまいります。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 14番。 〔14番山本宏一君登壇〕(拍手)
◆14番(山本宏一君) 再々質問ということですが、ごみの分別処理費用の問題については部長の答弁を信じますので、市民に疑問がわかないような適切な処置を講じてください。 それから、これは質問の中では申し上げてございませんけれども、そうなりますとね、資源ごみというのは基本的に有価物--価値のあるものなんですから、今まででしたら処理してもらうのに費用がかかっていたものですから、朝の6時とか5時に新聞とかとりにくる業者さんいてますね。ダーっと持っていかれたら、市から出ていく金が少なくて済むんで、当局も喜ばれていたんでしょうけれども、正確に言うとあれは、分別した資源ごみは市民の手から離れた時点で和歌山市の所有物です。立派な窃盗罪ですから、これはもう判例でも確定しているはずです。ですので、そういう窃盗罪が横行していて、その後また散らかしていくもんですから、ごみ置き場の近くの市民は大変迷惑しています。そういうこともまたあわせて考えていっていただきたいと思います。これは要望だけしておきます。 それから、物品、そこらあたりに今まで、お城の周りでね、何かごみ吸うてた象さんの、缶吸うてた車あったでしょう。あれもどこかへ隠してるらしいですけれども、あれもインターネットなんかへかけたら、ひょっとしたら高値で売れるかもわからんし、もうどんどん要らんもの売りましょう。やっぱり市民の方にお願いする以上は、市ができること、せねばならぬことをやってからでは多分時期を失して赤字再建団体に転落してしまいますから、同時進行でやれることを次から次へ。時間ですよ。 部長ね、委員会にかけて、委員会にかけてなんやけど、民主主義は手続ですからそういう手続が要るのはわかりますけれどもね、もっとスピーディーに処理してください。でないと、赤字再建団体になってしまってからでは遅いんでね、もうそないなったら売れるものも売れなくなってしまいますから。 それと市長、財源配分型予算編成方式なんですけれども、先ほど、はししか知らない人にナイフとフォークを持たしたようなもんやと言うて、幹部職員の皆さんには大変失礼な例えを申し上げましたが、やっぱり長いことトップダウン方式の予算編成になれ親しんでいるという部分もあったりして、なかなか理解していただきにくいという状況があるんじゃないですか。 私が危惧するのはね、財源配分型予算編成方式そのものは間違いではないと思いますが、これが機能しないと単に頭から何%かカットをしただけの、全くめり張りのない予算編成になってしまい、ただでさえ、ない袖は振れぬ予算が、バランスを失した、聞く耳持たぬ予算に変容し、市民や議会の怒りを買うだけのことになりませんかという危惧を抱いております。 お答えいただけるようでしたら市長お答えください。 市長が全職員一丸となって取り組むと、こうおっしゃられていることですから、市長の決意と統率力と実行力に期待しまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 14番山本議員の再々質問にお答えいたします。 財源配分型予算編成方式は機能していないのではないかと、今のままではめり張りが全くない、ただ減らすだけの予算になっていないか、こういう御指摘でございます。 平成16年度当初予算の編成で財源配分型予算編成方式を導入したことにつきましては、何分初めての取り組みでもありましたので、長年積み上げ方式になれていた職員には、予算編成に戸惑った面もあったのではないかと思っております。確かに御指摘のような面がなかったとは言えない、残念ながらそういう思いでございます。 したがいまして来年度の当初予算編成におきましては、平成16年度の教訓を生かして、財源配分型予算編成方式を基本に、この方式の持つ利点が生かされるよう改善をするとともに、私がリーダーシップを発揮することでめり張りのある予算編成ができるよう努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) しばらく休憩します。 午後2時55分休憩
------------- 午後3時16分再開
○議長(浅井武彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 後みつる君。--15番。 〔15番後みつる君登壇〕(拍手)
◆15番(後みつる君) 日本共産党議員団の後みつるでございます。 本日最後の質問となるわけでありますけれども、皆さんにおかれましてはお疲れのところでございますけれども、どうぞ最後までおつき合いよろしくお願いいたします。 まず初めに老人福祉についてお伺いをいたします。 本市の第2期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の計画策定の趣旨には、「介護保険サービスの利用実績や利用者の意向を十分踏まえて、介護保険サービスのより適切な利用促進を図っていく必要があります。また、これと合わせて、介護保険以外の保健福祉サービスのきめ細かな展開を図り、在宅福祉、地域福祉を確立していく必要があります。」と、このようにあります。 また、同計画の重点施策の「(3)高齢者の権利擁護の推進」には、「日本国憲法で保障されている基本的人権尊重の原則のもと、高齢者の日常生活における権利の擁護を促進するとともに、心身の状態の変化に伴い自らの権利を守ることが困難な状況になっても、生涯を通してその権利が擁護される施策を推進します。特に、介護保険制度については--様々なサービスの提供が行われているため、利用者が不利益を被るようなサービスの提供や痴呆性高齢者をはじめとする意思決定の困難な人に対する権利の侵害を防止します。」と記述されています。 2000年の4月から介護保険制度がスタートいたしました。同時に老人福祉法が改正されまして、やむを得ず契約行為をすることができない方に対しては、引き続き市町村が職権で介護保険法の規定する訪問介護であるとか通所介護、特別養護老人ホームなどへの入所を勧めることになったわけであります。 老人福祉法の第10条の3は、「市町村は65歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、心身の状況、その置かれている環境等に応じて、自立した日常生活を営むために最も適切な支援が総合的に受けられるように、次条及び第11条の措置その他地域の実情に応じたきめ細かな措置の積極的な実施に努めるとともに、これらの措置、介護保険法に規定する居宅サービス、居宅介護支援及び施設サービス並びに老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者の活動の連携及び調整を図る等地域の実情に応じた体制の整備に努めなければならない。」「市町村は、前項の体制の整備に当たつては、65歳以上の者が身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障が生じた場合においても、引き続き居宅において日常生活を営むことができるよう配慮しなければならない。」と、このように老人福祉法には定められております。 和歌山市においても高齢化が進み、中でも高齢者のひとり暮らし世帯や、高齢者夫婦で夫婦とも65歳以上の世帯の増加が著しくなっていることが、さきに挙げました和歌山市第2期高齢者保健福祉計画でも分析されているわけでありますけれども、介護保険以外の高齢者に対する福祉事業の必要性はますます高くなってくることが予想されます。 本市の市営団地にひとり暮らしをされていたAさんは、生活保護で生活しておりましたけれども、御自分で食事ができなくなりまして、救急車で病院に搬送されました。病気が回復して自宅に帰ることになりましたけれども、介護が必要だということになりましたが、痴呆がひどくて本人の意思が確認できない。こういうことで生活保護課から地域型の在宅介護支援センターに相談があったそうであります。 地域型の支援センターでは市に相談をしたそうでありますけれども、在宅での措置は考えてないと言われたと。現在、生活管理指導員派遣事業などの在宅福祉事業などを活用して、何とか生活支援をしているようでありますけれども、それだけでは十分支援できず、対応に困っているということでした。 介護や入所が必要な方であっても虐待や無視を受けている場合や、あるいは痴呆などで意思能力が乏しいなどの場合は、介護保険の申請すらできません。これらの方を老人福祉法で救うことが市町村の責務であります。 そこでお聞きをいたします。 1、介護保険制度以外の介護保険制度を利用できない高齢者の福祉事業について、市長のお考えはどうでしょうか。高齢化が進み、こういった事業を充実させる必要があると思いますが、どいういったお考えでしょうか。 2、65歳以上のひとり暮らし高齢者の高齢者数と健康状態はどうでしょうか。 3、施設等居宅における福祉の措置の予算と執行件数はどうでしょうか。 お聞かせください。 次に、国民健康保険について質問をいたします。 厚生労働省によりますと、ここ数年国民健康保険料を滞納する世帯がふえ続けておりまして、2003年6月1日時点で過去最多の約 454万 7,000世帯に達し、全加入世帯の19.2%を占めたそうであります。 このうち1年間滞納して市町村に保険証を返還するかわりに、国保の資格証明書--資格書でありますけれども、これを交付された世帯は約25万 8,000世帯であるとしております。8月12日付の共同通信では「滞納世帯に『受診抑制』窓口10割負担が重荷」の見出しで、国民健康保険中央会が医科・通院に絞って実施した調査によると、2001年度に資格書で治療などを受けた受診率--これは国保加入者 100人当たりの診療報酬明細書の年間請求件数ですけれども--は、地域によってばらつきが見られるものの、保険証での受診率の約20分の1から 110分の1と圧倒的に低いことがわかった。受診抑制が起きる大きな要因は、資格書で受診すると医療費の支払いに特別療養費が適用されるため、患者は窓口で医療費の全額を支払い、後日領収書を添付して市町村で7割を払い戻してもらうが、一時的とは言え10割負担に耐えられず受診を控える傾向にあるというとの記事が掲載されておりました。 和歌山市におきましても、国民健康保険の加入世帯における滞納世帯の割合が年々増大していることは私の一般質問でもお答えいただきました。また、資格証明書の発行件数が中核市の中でトップクラスであることも指摘してまいりました。2003年の4月1日時点での集計でありますけれども、滞納世帯は99年度が1万76世帯、2000年度が1万 1,551世帯、2001年度が1万 2,140世帯、2002年度が1万 2,463世帯となっています。 市は、この6月から国民健康保険料を改定して値上げをしたわけでありますけれども、こういう情勢における保険料の値上げはさらなる滞納世帯を生み出して、収納率もますます低下するであろうと思うんです。また、資格書の発行件数が高水準のままでは加入者の受診抑制が進み、健康が阻害されることも大いに懸念されます。 和歌山市の国民健康保険料は、応能割である所得割と応益割である均等割、平等割の比率が5対5で、同じ所得であっても家族が多ければ保険料が高くなります。所得に対する累進性がほとんど加味されていないと思うんです。しかしこの割合というのは、国からの指導もあってそう簡単には変更できないと思います。 そこで、国民健康保険法の43条で定められている一部負担金の減免、77条で定められた保険料の減免を執行するための市の独自の減免制度、和歌山市の国保条例でいいますと、17条が該当すると思うんですけれども、これが必要になってくるわけであります。安心して払うことのできる減免制度を充実させれば、滞納をふやさず、いつでもどこでも医療にかかれる、国民健康保険本来の事業目的を推進することになります。 また、資格証明書の発行については、2003年2月6日に県の国民健康保険室長から市町村の国保課あてに被保険者証の返還及び被保険者資格証明書の交付に係る手続の適正化についてという通知が出ております。和歌山県においては資格証明書の交付件数がふえてきていることをまず指摘した上で、交付に当たっては事前に十分な納付相談を行うとともに、納付世帯の状況を十分に把握していただいた上で、特別の事情の有無を判断するようにとの通知であります。つまり資格書を発行する前に、保険料を滞納する特別な理由がないのかどうかを世帯主などと直接会って確かめてくださいという通知が来ております。 そこでお聞きいたします。 1、減免制度の考え方、創設の経過について市長にお聞きいたします。また、諮問機関であります国民健康保険運営協議会での意見はどうだったでしょうか。 2、資格証明書の発行目的は何でしょうか。2003年2月6日の県からの通達以降、発行基準はどのように変わりましたか。通達以降の発行件数はどうでしょうか。また、原則発行しない考えはありますか。 3、中間層の国民健康保険料の軽減を実施する考えはありますでしょうか。 以上で第1問といたします。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 15番後議員の御質問にお答えいたします。 まず、介護保険制度を利用することができない高齢者の福祉施策についてということでございます。 高齢社会の一層の進展が予想される中、高齢者が住みなれた地域でできる限り寝たきり等の要介護状態にならずに、健康で生き生きとした生活が送れるよう、行政や家族、地域が一体となって支援することは非常に重要なことであると認識いたしております。 しかし、高齢者本人が痴呆その他の理由により意思能力が乏しく、かつ本人を代理する家族等がいない場合や本人が家族等の虐待または無視を受けている場合は、やむをえない事由として措置により施設、在宅サービスを受けることができることとなっております。 本市におきましても、こうした高齢者対策として入所及び居宅介護に係る措置費を計上し対処いたしております。 今後もより一層高齢者のニーズに合ったサービスの提供に努め、きめ細かい高齢者福祉の充実を推進してまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険制度について、本市の減免制度の考え方はどういうものかということでございます。 国民健康保険へ加入されている方への生活支援の一つとして、法定減免を受けられない方の保険料の負担軽減などを図り、また、災害に遭った場合や失業などにより所得が著しく減少した場合におきましても保険料の減額、免除を行う市独自の減免制度と考えてございます。 なお、去る8月30日に開催されました和歌山市国民健康保険運営協議会におきまして、市独自減免の周知についての御意見をいただきました。現在、国民健康保険業務課の窓口において、納付相談時にこの制度を説明するとともに、各世帯に送付するパンフレット、新聞折り込みチラシや本市のホームページなどで広報に努めているところでございますが、今後市報わかやま等を活用して、より一層の周知に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 下中市民部長。 〔市民部長下中 儔君登壇〕
◎市民部長(下中儔君) 15番後議員の御質問にお答えいたします。 まず資格証明書の発行目的は何か、2003年2月6日の県からの通達以降、発行基準はどう変わったか、通達以降の発行件数はどうか、また、原則発行しない考えはあるかとの御質問でございます。 国民健康保険は、相互扶助の理念に基づき、被保険者間の負担の公平を維持するためやむを得ない措置として資格証明書を交付してございます。 また、県からの通達以降発行基準はどう変わったかについての御質問ですが、通達に基づき納付相談の機会を確保し、特別の事情の把握に努め、納付困難者に対しましても個々の状況に応じた取り組みを行っているところでございます。 また、通達以降の発行件数は、平成15年2月末で 3,167件、平成15年3月末で 3,031件、平成16年8月末現在は 2,841件でございます。 今後も資格証明書の交付につきましては、滞納者の状況を十分把握しながら、適切な運用に努めてまいりたいと考えてございますので御理解賜りたく存じます。 次に、中間層の国保料の軽減を実施する考えはあるかとの御質問についてお答えします。 中間所得層の軽減制度でございますが、現在の国民健康保険の財政基盤などを考えた場合、これ以上の制度の拡充につきましては、困難な状況にありますので御理解賜りたいと存じます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 的場福祉保健部長。 〔福祉保健部長的場俊夫君登壇〕
◎福祉保健部長(的場俊夫君) 15番後議員の御質問にお答えいたします。 65歳以上のひとり暮らしの高齢者数と健康状態はどうか、また施設と居宅における措置の予算と執行件数はどうかという御質問でございます。 平成15年7月1日現在のひとり暮らし調査によりますと、65歳以上のひとり暮らし高齢者は1万 2,384人となってございます。 この方々の健康状態につきましては、健康な人 9,110人、弱い人 2,770人、非常に弱い人 504人です。なお、本市の65歳以上の人口は7万 8,201人で、そのうち寝たきり高齢者は 645人です。 また、施設と居宅における措置の予算と執行件数でございますが、平成16年度当初予算におきましては、施設分 245万 5,000円、居宅分96万 3,000円で、合わせまして 341万 8,000円を計上いたしております。件数につきましては、特別養護老人ホームへの措置1件でございます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 15番。 〔15番後みつる君登壇〕(拍手)
◆15番(後みつる君) それぞれお答えいただきましたので再質問をさせていただきます。 まず高齢者福祉についてであります。 本市においても、福祉の措置については予算もとっているし、対処もしているという答弁でありましたけれども、本年度執行されているのが1件分ということで、調べますと在宅で予算が3人分、特養の入所で予算が4人分ということのようでありますけれども、ひとり暮らしの高齢者が1万人を超えて、寝たきりの高齢者が 600人を超える中で、私はこの数字は余りにも少ないと思います。 8月10日の中日新聞には「防ごう!高齢者虐待 介護高齢者の命の安全を 広がるネットワーク 地域の専門職が連携 早期発見解決につながる 『措置』及び腰の現状も」の見出しで、次のような記事が掲載されました。滋賀県内のある町で痴呆の妻を世話する男性80歳が、在宅支援センターの職員に「息子が怖い。私たちを救って」と悩みを打ち明けた。消費者金融で多額の債務を抱えた息子が、夫婦の預金も年金が入る通帳も取り上げてしまった。家の中でいらいらして父に暴力を振るい、母をののしる。同センターでは解決策が見当たらず、職員は同県社会福祉協議会、人権擁護センターの 110番、淡海ひゅうまんねっとに連絡したと。県社協相談支援部の部長は、援助の関係者全員が一つのテーブルに着くことを提案しました。町福祉課、社協、在宅介護支援センター、県の社会福祉士会、権利擁護センターのメンバーが協議をして、息子におびえる両親の安全を守るために遠方の施設に協力を求めて、体験入所の形をとって緊急避難をした。息子に知られないように名前も仮名にした。また、裁判所に仮処分を申請し、息子が両親に近づくことを禁じ、破った場合は警察が介入できるようにする一方、社会保険事務所で息子が押さえている年金口座を差しとめ、夫婦には年金証書が再発行されて、夫婦の財産は成年後見人制度によって社会福祉会が管理することになったと、このようにありました。 専門職と連携をとりながら、こういった問題の早期発見や防止に取り組む自治体も今ふえてきています。 先月東京で開かれました第1回日本高齢者虐待防止学会でも、先進地域の実践が数多く報告されていました。 愛知県の大府市では、虐待情報の窓口を福祉課に一本化しておりまして、情報が寄せられますと福祉課が司令塔になり、ケアマネジャーや保健師、時には医師や弁護士も加わって調整に当たる。その一方で出張介護相談などの介護者教育、総合的な介護支援にも力を入れており、同福祉課では介護の相談を気軽にできる場を設けることが虐待防止にもつながり、介護状況の把握にも役立つ。虐待してしまう介護者を責めるのではなくて、支援することが大切と強調しております。 神奈川県の横須賀市でも市内4カ所の健康福祉センターを核に関係機関でネットワークを組みまして、虐待事例をキャッチしますと同センターの保健師が家庭訪問して、緊急性などを判定しまして、解決困難な事例はネットワーク会議を開いて役割分担を決めるなどの取り組みをしております。 さきに引用した中日新聞には、老人福祉法では、虐待されている高齢者の安全を守るために行政が高齢者を施設に入所させたり、ショートステイを使ったりする措置の権限を定めている。しかし、厚生労働省が3月にまとめた家庭内における高齢者虐待に関する調査によれば、2002年10月から翌年10月までの1年間に各市町村に持ち込まれた虐待関係の相談件数は 6,062件だったのに対して、措置が行使されたのはわずか3%の 193件。介護家族とのトラブルを恐れ、及び腰になる市町村の現状が浮き彫りになったとありました。 介護保険法が始まって、家族以外の第三者が介護を援助する中で、今まで表には出なかった虐待や無視、痴呆などで高齢者が人権を阻害されている事態が明らかになって、幾つかの自治体では取り組みがされてきております。 そこでお聞きいたします。 1、市長にお聞きいたします。第1問では高齢者福祉の充実を推進するというふうにお答えいただきましたけれども、福祉措置の予算を拡充する考えはありますでしょうか。 2、高齢者の虐待や無視、痴呆などでの相談では、基幹型の在宅介護支援センターの果たす役割が大きいと私は思いますが、どうでしょうか。また、こういったケースの、虐待、無視、痴呆などの相談件数は把握していますでしょうか。また、社会福祉協議会、保健所など他の専門職との連携で指導的役割を果たすことが必要であると思いますが、いかがお考えでしょうか。 3、成年後見人制度の本市における申請の現状と予算、今後の課題はどうでしょうか。 以上お答えください。 次に、国保の再質問であります。 市の独自減免については、法定減免では救えない方を救うための制度であるとの市長のお考えでした。また、制度の周知については運営協議会でも意見が出されまして、今後市報も活用して市民の皆さんにお知らせするということなので、これは早急に取り組んでいただきたいと思います。 私も8月の運営協議会に出席させてもらいましたけれども、市報ではなかなか伝わりにくいので個々に知らせてほしいとの意見もあったと思いますが、市の2割減免、所得半減の減免などは所得が確定すれば対象者もはっきりするわけですから、問い合わせがあるまで待つのではなくて、対象であることがわかった時点で納付書などと一緒に周知していただけるような検討も要望したいと思うんです。 資格証明書については、通達以降特別の事情の把握に努めているということでしたが、その後の発行件数を見ましても依然中核市でトップクラスであります。 和歌山市の国保滞納世帯は、中核市の中では10番目に多い。多い方から数えて10番目です。そして、滞納世帯が多い中核市の中でも、滞納世帯に対する資格書の発行数が大変高くなっております。2002年度で見た場合は、中核市のトップはいわき市で滞納世帯3万 5,757件ですが、資格書の発行数は 625件でして、滞納世帯に対しては1.75%という割合になっています。7番目に多い浜松市を見てみましたら、滞納世帯は2万 814件、資格書が 430件で発行割合は2.06%。和歌山市は滞納世帯が2002年度で見ますと1万 8,733世帯で資格書が 3,031件16.1%。 ですから滞納世帯数の多い中核市の上から10番以内では断トツなんですね。また、2002年度で見ますと滞納世帯に対する資格書の発行割合は、多い方から並べても5番目に入るんです。なぜこんなに多いのかと。考えられるのは事前に特別の事情を確かめずに資格書を発行しているため、送付しても保険料を払えない世帯が多くあって、結局滞納の根本的な解決になっていないんではないか。あるいは特別の事情以外で滞納している、いわゆる悪質滞納者が多いか、そのどちらかだと思います。 答弁では資格書を発行することによって、負担の公平を維持することができるとお答えになりましたけれども、滞納世帯に対していわゆる制裁措置を行えば窓口負担がふえて困るということで、保険料を納めにくるだろうという安易な考えではないかと私は思うんです。実際に、資格書を発行することによってどれだけ滞納が解決されたのか、あるいはまた収納率がどのように向上したのかを検討することが必要だと思います。 そして問題は、資格書を発行された世帯の医療機関への受診率は、和歌山市でも極めて低いことがはっきりしています。国保管理課によりますと、平成15年度の本市の被保険者証での受診率は978.38件だったのに対して、資格証明書での受診率は 34.53件。ですから資格証明書での受診率は被保険者証で受診の受診率の30分の1となっているわけです。これでは国民健康保険法の第1条の目的「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」という法本来の趣旨に私は反しているんじゃないかと思います。 和歌山市の保険料をどう評価するのか、さまざまな評価の仕方があると思うんですけれども、私が地域の方からよく聞くのは、「高いので何とかしてほしい」という声であります。 所得に対する負担は一体どうなっているかということで調べてみますと、所得税、住民税、被用者保険の健康保険料、これは事業主の負担がありますけれども、折半額ですけれども、これらと比べますと国保料というのは、減免を受けることができず、最高限度額にも達しない、いわゆる中間層の負担割合が大きくなっていると思うんです。 私ここにグラフを、パネルをつくってまいりました。(見せる)横軸に所得をとりまして、縦軸には保険料ですね、国保料、保険料、所得税、それから住民税、被保険者の加入している健康保険料、これは折半額ですけれども、プロットをしてみました。 この赤いところが国民健康保険のグラフですね。この濃いブルーのところが所得税。そしてこれは世帯主が42歳、収入あり。妻41歳無収入。子供16歳無収入というモデル世帯で、これは国保課が出しております平成16年度和歌山市国民健康保険料の算出方法は次のとおりですというふうに書いたチラシで、モデルと設定している世帯です。この3人の世帯で言いますと、所得税というのは当然所得がふえることによってふえていく累進性が加味されているということだと思うんです。黄色のこれは住民税ですね。これも大体少しカーブの角度は違いますけれども、所得に対してある程度累進性が加味されていると。この青いラインは健康保険料、被用者の健康保険料ですけれども、これも少しカーブを、角度は違いますけれども、少しずつ高くなっていって、最高限度額になるのが被用者保険でいいますと、大体 1,200万円の所得のところで最高限度額になります。 しかし国民健康保険料というのは 200万円で所得税がゼロの方であっても36万円払いまして、すぐに最高限度額に達して、年間所得は 500万円で最高限度額60万円。介護と医療と合わせて60万円になりまして、後はずっと変わっていかない。こういうことなんですね。ですから、この国保料の負担率を見てみますと、 200万円から 500万円で見ますと、 200万円で18%、 300万円で16%、 400万円で15%、 500万円で12%ということで、所得が低いほど 200万円以上では負担率が大きくなっているということがグラフを見てもはっきりわかるわけです。 ですから中間層の保険料の減免は、財政が大変だからできないということでしたけれども、収納率が年々低下していることに加えて、国からの調整交付金もカットされていることも私の以前の質問でも明らかになりましたけれども、2001年度で1億 7,435万 4,000円、2002年度で1億 5,530万円、2003年度が1億 8,608万 8,000円、これは国からの調整交付金が収納率が低いということでカットされているわけです。ですからこのことを考えますと、国保会計だけ見てできないということではなくて、一般会計からのさらなる繰り入れも視野に入れて収納率をこれ以上低下させないためにも国保料の減免枠を拡大するべきだと思うんです。 また、国保会計の歳出における医療費の割合も年々ふえてきていると聞いております。社会的なストレスがふえ、高齢化が進めば当然医療費もふえるんですけれども、病気の早期発見、早期治療が進めば市民の皆さんにとって負担が少なくて済むし、市の財政にとっても支出を抑えることができると思うんです。国保の特別会計における歳入と歳出の総合的な検討が必要だと思います。 そこでお伺いいたします。 1、中間層の国保料は大変負担が高いとはお考えになりませんか。 2、国保会計への一般会計からのさらなる繰り入れを行って、中間層の国保料を軽減する考えはありますか。 3、人間ドックなどの検診活動を拡充し、医療費の支出を抑制するお考えはありますか。 4、資格書の発行数が高い水準のまま推移するということは、被保険者の受診抑制を招いて社会保障である国保の理念に反するとは考えませんか。 以上を市長にお聞きいたします。 5、資格書を発行することによって滞納件数は減っていますか。 6、資格書を発行した世帯が納付相談に応じる割合はどれぐらいでしょうか。 以上をお聞きいたしまして再質問とします。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 15番後議員の再質問にお答えいたします。 まず福祉措置の予算を拡充する考えはあるのかという御質問でございます。 ひとり暮らし等、近年高齢者を取り巻く環境は、御指摘のように厳しいものとなりつつあります。そうした中で地域の皆さんの力をおかりしながら高齢者の方々が住みなれた地域で安心して暮らせるよう高齢者施策を展開しているところでございます。 議員御質問の本人を代理する家族等がいない、あるいは本人が家族から虐待を受けている等の状況にある場合の福祉措置の予算の拡充につきましては、入所施設と連携を図り、また高齢者の状態を見きわめながら柔軟に対応してまいりたいと考えております。 続いて、国民健康保険等について4点ございます。 まず中間層の国保料は高いとは考えないのかという御質問でございますが、保険料につきましては、他の中核市と比較いたしましても高い水準ではないと考えております。 次に、国保会計への一般会計からのさらなる繰り入れを行い、中間層の国保料を軽減する考えはあるかとの御質問でございますが、国保会計への一般会計からの繰り入れにつきましては、国の地方財政計画により、国民健康保険特別会計への一般会計からの繰り入れ基準が定められており、本市におきましても基準どおりの繰り入れを行ってございます。 中間層の保険料を軽減するために一般会計からさらなる繰り入れを行うことにつきましては、現在の本市の財政状況から考えまして、大変厳しい状況でございますので、御理解賜りたいと存じます。 次に、人間ドックなど検診活動を拡充し、医療費の支出を抑制する考えはあるかとの御質問でございますが、国民健康保険被保険者の疾病の早期発見、早期治療のための人間ドックのほか、国保健康フェア、骨密度測定会、健康体操教室及び健康食教室の開催など、保健事業の充実に積極的に取り組み、医療費の抑制に努めているところでございます。事業の拡充につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。 最後に、資格書の発行数が高い水準のまま推移することは被保険者の受診抑制を招き、社会保障である国保の理念に反しないかとの御質問でございますが、国民健康保険における相互扶助の理念を考えたとき、保険料の滞納世帯に対する資格証明書の交付はやむを得ない措置であると考えておりますが、被保険者証による受診率に比べて、資格証明書での受診率が少なからず低いことは認識しております。 資格証明書の発行件数が高い水準で推移することは好ましくないと考えており、今後納付相談の機会をさらにふやすなど、滞納者に対する納付指導を強化することにより、滞納者の減少を図り、資格証明書にかえて被保険者証の交付ができるように努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りたく存じます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 下中市民部長。 〔市民部長下中 儔君登壇〕
◎市民部長(下中儔君) 15番後議員の再質問にお答えいたします。 資格証明書に関して2点ございます。 まず資格証明書を発行することによって滞納件数は減ったと言えるかとの御質問ですが、収納率は中核市の平均値を推移しており、資格証明書の交付については収納率向上において、一定の成果があるものと考えております。なお、件数につきましては、過年度の滞納額を完納しない限り件数の変動はございません。 次に、資格書を発行した世帯に対し、直接納付相談の機会を設けた割合はどうかとの御質問ですが、督促状や催告書の送付を初め、職員による夜間電話催告や休日徴収、さらに地区担当の協力員が月に一度は訪問し納付指導に努めているところでございますが、納付相談に応じてもらえずやむを得ず資格証明書を交付してございます。 なお、資格証明書を発行した世帯で納付相談の機会を設け、応じていただいた割合は約35%でございます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 的場福祉保健部長。 〔福祉保健部長的場俊夫君登壇〕
◎福祉保健部長(的場俊夫君) 15番後議員の再質問にお答えいたします。 高齢者の虐待や無視、痴呆などの相談では基幹型在宅介護支援センターが果たす役割が大きいと思うがどうか、相談件数は把握しているのか、また、社会福祉協議会や保健所など他の専門職との連携で指導的役割を果たすことが必要であると思うがどうかという御質問でございます。 基幹型在宅介護支援センターでは、市民の方や地域型在宅介護支援センター、居宅介護支援事業者等からの虐待や無視、痴呆等の相談ケースについて、相談内容により保健、福祉、医療を含めた関係各課や関係機関と連携をとりながら、関係者が一堂に集まり協議するとともに、地域ケア会議での検討など解決に向けて支援に努めているところでございます。 今後とも基幹型在宅介護支援センターを中心とする関係機関とのネットワークを強化し、機能の充実を図ってまいりたいと考えております。また、措置を必要とするケースにおきましては、施設と協議の上対応いたしているところでございます。 なお、高齢者の相談件数は、平成16年4月から8月まで 372件となっておりますが、虐待や無視、痴呆などの相談件数は把握いたしておりません。 次に、成年後見人制度の本市における申請の現状と課題はどうかという御質問でございます。 成年後見人制度は介護保険サービスの利用に当たって身寄りのない重度の痴呆性高齢者等に対し、本市が成年後見人制度に基づく後見人等の審査の申し立て手続の実施を行うものでございます。現在申請件数4件を受理しており、そのうち1件は成年後見人が選任されてございます。 平成16年度予算につきましては、成年後見人制度支援事業として、手数料54万 3,000円を計上してございます。 対象者が緊急を要する状態にある中で、対象者の4親等の身元調査等を行う必要があり、時間を要するため、これを迅速に解決することが重要な課題となってございます。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) 15番。 〔15番後みつる君登壇〕(拍手)
◆15番(後みつる君) 再々質問をさせていただきます。 高齢者福祉です。 措置の予算の拡充については柔軟に対応していただけるとの答弁をいただきました。必要な場合にはぜひ拡充をしていっていただきたいと思うんです。 虐待、無視、痴呆などの相談の実態はつかんでないということでしたけれども、本市に在住している方のケースを第1問で紹介いたしましたけれども、措置が必要な方は現実におります。さきの地域型支援センターの話によりますと、措置以外では支援が困難なケースが今ふえてきているということも言っておりますので、実態もしっかりと把握をしていただけるように要望したいと思います。 後見人制度、これは後見人が決まるまでの事務手続などの費用は市で持っているということになっていましたが、後見人が決まって、後の予算は持っていません。御本人に費用を捻出する経済力があれば、その後の費用は御本人が負担するわけでありますけれども、ない場合どうするのか検討が必要だと思うんで、後見人制度についても柔軟な対応をしていただけるように、これは要望とさせていただきます。 国民健康保険の再々質問であります。 国保の中央会が厚生労働省の協力を得て設置して、2001年にまとめた国民健康保険料収納率向上のための提言。ここでは冒頭に本提言がまさに現場の生の声として受けとめられ、収納率向上のための検討の素材とされることを強く期待していると述べた後に、第2章の今後さらに検討が必要な課題の3、保険料の算定、賦課方法に関してというところでは、医療費の増加に応じて徴収すべき保険料が伸びている中で、限度額該当世帯において所得がふえている世帯があるにもかかわらず、その階層の保険料を据え置くと、その分低所得者や中間所得者の負担がふえることになる。所得に応じた設定を踏まえての引き上げ等、低・中間所得者の負担が過重とならないよう、より合理的な賦課限度額の導入を視野に入れた地方税法、地方税法施行令及び国保法施行令の改正が検討されるべきであろうというふうに指摘されておりまして、収納率を上げるためにも、低所得者や中間所得者の負担が過重にならないようにすべきだという認識はこの提言でも示されてというふうに思うんです。法律の改正は市でできなくても、条例や要綱の検討はできますし、それこそが市の役割だと私は思うんです。持続可能な国保会計のためにも収納率向上のために保険料の設定を検討することは当然必要でありますけれども、何よりも社会保障及び国民保健の向上に寄与するという国民健康保険法の本来の目的を推進するためにも、特別の理由があって保険料を納めることができない方が滞納をしなくても済む保険料を設定していくことが私は必要だと思うんです。 資格証明書で受診する件数が、被保険者証で受診する方よりも非常に少ないことは統計上明らかなのですから、受診抑制を促すような事務処理はやめるべきだと思います。滞納世帯数が本市より多い中核市でも、資格書の発行数が随分少ない市もあります。国の指導があっても、そのまま発行しなくてもいいと判断していると思うんです。市の裁量でやっているんです。和歌山市でもできると思います。 市長には、資格書の発行水準が高いことは好ましくないというふうにお答えいただきました。部長には、収納率の向上に一定の成果があるとお答えいただきましたけれども、現年一般分の収納率の推移を見てみますと、国からの原則発行が指導されたのは2000年ですけれども、和歌山市ではそれに先がけて資格書をたくさん発行しておりますので、その前年から見てみますと99年度が 90.49%、2000年度が 89.15%、2001年度が 88.95%、2002年度が 88.97%、2003年度が 88.92%。だから収納率は資格書をたくさん発行し出してから下がってきているわけです。 また部長には、滞納件数は変わってないというふうにお答えいただきました。そうしたらもう最初から滞納しなくても済む保険料にしたらいいんじゃないでしょうか。滞納を残せば資格書になりますよと幾ら言ったところで、保険料を払うことのできる経済力がなければ保険料は払えません。 最後に、そこで市長にもう一度お聞きしたいと思うんです。 1、再質問でパネルでも指摘いたしました。中間層の保険料の負担率が高額所得者に比べて高い比率となっている。これは私今紹介しました国保中央会の専門家が寄って立ち上げている国民健康保険料の滞納問題に関する研究会でも同じ認識だと思うんです。市長の認識はどうですか。他の中核市と比べて保険料は高くないとお答えいただきましたけれども、私は負担が大きいと考えますが、何らかの対策が必要であるとは考えませんか。 2つ目に、資格書を発行しても収納率は下がっています。発行する意味はどこにありますか。納付相談に応じないと言って発行しても、負担の公平は実現しているとは言えないのではないでしょうか。納付相談に来ないと言って発行するんではなくて、特別の事情がないと判明したときにだけ発行するのが本来の資格証明書の発行の進め方ではないでしょうか。認識をお聞かせください。 以上で私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井武彦君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕
◎市長(大橋建一君) 15番後議員の再々質問にお答えいたします。 国保に関して2点でございます。保険料が高いと、先ほど示したグラフを見て高いと本当に思わないのかという御質問でございますが、先ほども答弁いたしましたとおり、他の中核市と比較して高い水準ではないと考えております。 それから資格証明書の交付についてでございますが、これも先ほど部長から答弁いたしましたように、国民健康保険における相互扶助の理念を考えたとき、保険料の滞納世帯に対する資格証明書の交付はやむを得ない措置であると考えております。 以上でございます。
○議長(浅井武彦君) お諮りします。 本日の会議はこの程度にとどめ延会し、明9月16日午前10時から会議を開くことにしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井武彦君) 御異議なしと認めます。 よって、そのように決しました。 本日はこれにて延会します。 午後4時05分延会
------------- 地方自治法第123条第2項の規定によってここに署名する。 議長 浅井武彦 副議長 北野 均 議員 貴志啓一 議員 多田純一 議員 森田昌伸...