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09月14日-05号

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  1. 和歌山市議会 2001-09-14
    09月14日-05号


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    平成13年  9月 定例会                  平成13年     和歌山市議会9月定例会会議録 第5号                平成13年9月14日(金曜日)議事日程第5号平成13年9月14日(金)午前10時開議第1 会議録署名議員の指名第2 一般質問         ---------------------------会議に付した事件日程第1 会議録署名議員の指名日程第2 一般質問山下大輔君、藤本眞利子君、寒川 篤君)         ---------------------------出席議員(40名)  1番  渡辺忠広君  2番  姫田高宏君  3番  寒川 篤君  4番  藤本眞利子君  5番  中 拓哉君  6番  多田純一君  7番  田中孝季君  8番  山下大輔君  9番  尾崎太郎君 10番  東  稔君 11番  山本宏一君 12番  北野 均君 13番  寺井冨士君 14番  佐伯誠章君 15番  森下佐知子君 16番  藤井健太郎君 17番  メ木佳明君 18番  東内敏幸君 19番  中嶋佳代君 20番  中橋龍太郎君 21番  松浦六男君 22番  宇治田清治君 23番  貴志啓一君 24番  遠藤富士雄君 25番  浦 哲志君 26番  浅井武彦君 27番  森田昌伸君 28番  山田好雄君 29番  武内まゆみ君 30番  大艸主馬君 31番  麻生英市君 32番  田上 武君 34番  青山 稔君 35番  角田秀樹君 36番  井口 弘君 37番  吉田光孝君 39番  奥田善晴君 40番  波田一也君 41番  浜野喜幸君 42番  岩城 茂君欠席議員(1名) 33番  新川美知子君    -------------説明のため出席した者の職氏名 市長         旅田卓宗君 助役         大浦恒夫君 助役         小橋義實君 収入役        松田優輝君 市長公室長      山下 眞君 企画部長       北野壽彦君 総務部長       上西 勇君 財政部長       松見 弘君 市民部長       中野圭郎君 福祉保健部長     中野凱也君 生活環境部長     宮木多喜男君 産業部長       西嶋真司君 都市計画部長     岡本 弘君 建設部長       武田範房君 下水道部長      小倉常男君 教育委員会委員    山本光彌君 教育長        山口喜一郎君 教育総務部長     楠本喬二君 教育文化部長     空 光昭君 消防局長       黒田禎純君 水道局長       源井洋之君 水道局業務部長    松本 功君 水道局工務部長    山縣良男君 選挙管理委員会委員長 筒井敏郎君 代表監査委員     伊藤松雄君 人事委員会委員長   鈴木俊男君   -------------出席事務局職員 事務局長       三宅徹哉 事務局次長      川西通夫 議事調査課長     山ノ井義雄 議事調査課長補佐   前田明男  議事班長       尾崎順一 調査班長       濱治 匠 主査         中野光進 主査         石本典生 主査         中西 太 主任         奥谷知彦 主任         志賀政廣   -------------          午前10時12分開議 ○議長(森田昌伸君) ただいまから本日の会議を開きます。   ------------- △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(森田昌伸君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第80条の規定により、議長において   浦 哲志君   麻生英市君   佐伯誠章君 以上3人の諸君を指名します。   ------------- △日程第2 一般質問 ○議長(森田昌伸君) 次に、日程第2、一般質問を行います。 順次、質問を許します。 山下大輔君。--8番。 〔8番山下大輔君登壇〕(拍手) ◆8番(山下大輔君) おはようございます。 まず初めに、9月11日、ニューヨーク、ワールドトレードセンタービル、ワシントンの国防総省などへの同時多発テロを受けて被害を受けられた関係の皆様には、心から哀悼の意を表します。 しかし、この事件を受けて、一部に不安をあおる風潮が出ているのが気になります。確かに我が国においても経済的なダメージなど、その影響が波及することは免れないかもしれません。しかし、我々は、今生活する現実の世界で、きょう一日を精いっぱい努力するのみです。外的な要因に踊らされることなく、安定した市政の運営に邁進するのみです。 今後は、今回の事件によるものだけでなく、特に経済環境などは近年では経験のない、かなり厳しい状況に和歌山市も置かれることがあるかもしれません。しかし、そんなときにこそ、2年、3年のことでバタバタすることなく、未来の和歌山市民が歴史を振り返り、あの厳しい時期に和歌山市再建に進み始めたのだと言われるような時代にしていきたいと心から思います。 外的要素にぶれることなく、目先のことに右往左往することなく、これからの和歌山市のまちづくりに、50年、 100年といった目を持って、和歌山市役所、市議会はどんな状況でも市民に信頼されるものであってもらいたいと思います。 さて、元気いっぱい、今回も、和歌山市をすばらしい町にしていきたい、その一心で質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問させていただきます。 この9月議会での質問の内容について、さまざまに考えをめぐらせる中で、多くの課題を抱える本市においては、本当に頭を悩ませるものであります。多田議員、大艸先輩議員も指摘されていましたが、市長も機関紙では「眠れぬ日々が続く」と書かれています。私も時間に追われ、本当に眠れぬ日々が続くものです。一緒ですね。 さて、この9月からの時期は、行政にとって来年度予算の検討時期にも当たることから、産業政策、教育問題など幾つかを取り上げたいと思っていたのですが、どうしても大学構想、その問題の是非について、かなり重要な時期に差しかかっているとの認識のもと、今回はまちづくりの基本的な考え、政策づくりの課題について、改めて焦点を絞って質問させていただくこととします。 さて、時代の変化といったことを考えてみると、我が国もこれまで大きな枠組みの変化、考え方の大転換いわゆるパラダイムのシフトを経験し、現在に至っています。 人々の関心事として19世紀までは食糧確保が大きなテーマとなっていました。そういった意味からは、19世紀は農村・漁村の時代と言えます。20世紀は工業化・都市化の時代。農村から都市への人口の移動が急激に進み、生産効率が格段に上がりました。 日本は20世紀の 100年でGDPが 4.5倍、人口が 2.9倍になり、国の経済は14倍、15倍のすさまじい成長を経験するものとなっています。 ちなみに、20世紀が始まったときには、日本に大学は二つだけでした。それは、皆さんも御存じの東京帝国大学京都帝国大学で、1897年(明治30年)に設置されて以降、21世紀の今日を迎えるまでに 1,100を超える大学が国じゅうに設置されるものとなり、時代の変化を実感します。 さて、それでは21世紀は、町、都市といった視点でどういった世紀になるのでしょうか。 これまでの金太郎あめと表現される日本の都市、そこでは全国一律の公共事業による総合的な国土開発によって漫然と行われてきたまちづくりがありました。全国一律の公共事業、公共投資、そこでの資源配分、所得移転等は、結果として地方の自立を損なうことになっていたのだと思います。 戦後から高度成長を経験した今日まで、一貫して全国一律の公共事業による発展を地域の将来ビジョンとして掲げてきたおかげで、地方の個性は失われ、全国津々浦々に同じような町が出現するものとなっています。 しかし、21世紀に入って、右肩上がりの経済成長が終えんを迎え、公共事業の抜本的な見直しが迫られる状況においては、地方も今まで以上に地域経営の必要性を自覚し、それぞれが独自の価値観を持って自立を意識することが強く求められるものとなります。 21世紀は、成熟した都市の時代と位置づける識者もいます。自立した町として独自の生活、文化といったものをはぐくむ時代。そこでは、地域に住む人間の満足度を高める時代を迎えているのだと思います。 参考にできる地域としてはヨーロッパ。私自身、幾つかの町を訪れて強く感じたことは、国を意識せず、魅力ある都市づくりにそれぞれが励んでいる状況です。 国は、最低限の権限を持つもので、それぞれの地方において独自の地域づくりが進められています。国が縮小して、都市がアイデンティティーをはぐくむものとなっているのです。 地方におけるまちづくり、これからの地方のビジョンは、これまでのように他人任せ、国任せではなく、その地域の日々が自分たちの手でつくるしかなく、全国一律のガイドラインは存在しません。皆で頭をひねり、知恵を絞って自分たちの町のあり方を考え、その価値をいかに高めていけるのかが問われています。 そこで重要なポイントは、その地域固有の資源を最大限有効に活用するといった考え方で、そんな中では地域固有の資源とは一体何か、地域の特徴はといったことをしっかりと見据えたまちづくりが、今、求められているのです。 今、時代は大きな転換点を迎えていて、国としても、またそれぞれの地方においても、新たな将来像を描き直さなくてはならない時期に来ていると思います。そこでは、明るい未来を切り開くのも、衰退する地域となってしまうのも、今の我々の努力次第であるとの自覚を持ち、でき得る限りの努力をすることが求められます。 この先数年間の取り組み、そこで出された方向、方針は、この町の将来を大きく左右するものとなると強く感じています。ミスリードは許されません。 とりわけ、町のかじ取りを任される政治、行政の責任は重大で、ここで実行していく政策の責任といったものを非常に重く受けとめ、着実に政策立案に当たっていかなくてはなりません。思いつき、ひらめきでは、私たちの町の将来を切り開くことはできないと思います。 最初に、大学構想にかかわる諸課題など現状の市政運営の問題について。 先日、2丁目周辺を周回するループバスについて廃止することも含めて見直しを検討するとの市長の意向をマスコミ報道で知りました。批判の多かったループバス事業について手をつけることになったわけですが、これだけにかかわらず、今、和歌山市が新たに進めている事業、その多くについて問題点を指摘する声が上がっています。それはなぜなのでしょうか。 新大学構想についても、その設置に向けては問題視する意見が議会からも毎定例会で出されるものとなっていて、昨年の特別委員会の中間報告の取りまとめの中でも、委員全員が一致してその推進に疑問の声が上がるものとなっています。 これらは、結局、政策策定プロセスの問題、政策をつくっていく中での組織の問題が大きく存在していると私は思います。 問題を指摘される多くの事業は、実際にその必要性、妥当性といった根本の議論を飛ばして、市長みずからのトップダウンで行われている事業がほとんとです。 花いっぱい運動に、和歌山駅前整備事業、不老館の買収問題に、旧丸正の買収、そして新大学構想、その上に、きょう、朝、新聞を広げてみると、北村荘の買収の問題も出ていました。これらはそろいもそろって億円単位の事業ですが、降ってわいたように出てきたトップダウンで、強引に進められてきた、また進められようとしているもので、これらはその是非について市民への説明はもとより和歌山市役所の内部においてさえ、じっくりと議論された痕跡は見当たりません。 そもそも組織において政策をつくる、事業を実施していくには、当然のこととして踏まなければならないプロセスがあります。これは民間企業でも、それなりの組織を持つ事業体であれば当然のことで、ましてや行政の場合には、地域住民から預かった税金を使って事業を行うわけですから、その進め方には適当な議論は通用しません。 政策策定プロセス、そこで必要とされる手法、手続といったものには、民間も行政もなく、特にこれからの地方分権の時代、地方も自己の責任を問われる時代においては、その重要性を理解せずに安定した適切な市政運営は行えないものと考えます。 政策策定プロセスといったものについては、既に18、19世紀のドイツでマックスウエーバーが、近代官僚制のモデルの中で示している理念系があり、その基本をアレンジして、現在でも多くの企業、先進の自治体でさまざまな手法が試されている状況にあります。 今さら言うことでもないのですが、政策をつくり、事業を行っていくためには、確立されたセオリーがあるのです。ワンマンオーナーの小さな事業所で「社長が言うから、その指示に従って」といった手法を、 3,000名を超える組織で、 3,000億円を超える予算を持つ行政機関で用いられるのは、とても妥当なものとは言えません。 現代の組織マネジメントの手法の中で、政策をつくっていく過程での事業、政策といったもののそれぞれの意味について、日本の行政学をリードする真山達志同志社大学法学部教授は、明確に次のように説明されています。 「本来、事業は何かの偶然や思いつきで始まるものではない。社会に存在する問題の解決が必要になったときに生み出されるもので、つまりは問題解決やニーズへの対応という目的が先にあって、その目的を達成するために実行されるのが事業である。 現実には首長の思いつきや人気取りのために政策・施策がつくられ、事業化されている自治体もあるが、限られた人・物・金の資源を活用してさまざまなニーズに対応していかなくてはならない自治体としては、偶然や思いつきに基づく事業の運用を続けることは、今後、地方分権が進む中では、地域の崩壊を招きかねない。 自治体として対応していかなくてはならない問題は何かをまずは調査し、それらに優先順位をつけ、その上に基本方針や理念を明確にしていくことが求められる。 こういった流れを踏まえて事業の策定が行われるべきで、自治体が取り上げる問題を明確にし、その解決に向けての基本方針や理念をあらわしたものこそが政策と呼べるものである」と指摘されています。 政策策定プロセスについては、ちょっと言葉だけではわかりにくいかと思ったので、パネルをつくってきました。 これは順序なんですけれども、今さら言うまでもないですけども、現状の分析があって、課題の設定、政策策定、政策の決定、このプロセスをしっかり踏まなければ、事業というのは実施できない、効果的な事業はできないのではないかということで、一応パネルをつくらせてもらいました。 こういった流れを踏まえて事業の策定が行われるべきで、自治体が行っていくその事業については、思いつき、行き当たりばったりのやり方では済まされないものだと思います。 政策策定プロセスについては、まずは現状の分析、問題の抽出を徹底して行い、そこから政策課題の設定をする、ここが事業の目的になるものですが、そして政策案、手段の作成を進め、最後に政策決定という選択を行うという進め方です。 後ほども、具体的な事例で説明させていただきたいと思いますけれども、先日から武内議員を初め皆さんがおっしゃられているのが、結局この目的がはっきりしていないんじゃないか。もう一つは、この目的と手段が逆になっている場合があるのではないか。 例えば大学をつくると考えた場合に、大学というのはあくまでも手段であって、目的というのは、和歌山市を活性化させるとか、状況の変化をさせるものである。でも、目的が大学をつくることになってしまっているから、いろいろなポイントで議論がかみ合わない部分があるんだと私は思っています。 ここでの説明は、私自身、これまでの議会で提案させていただいてきた、民間で言うところのマーケティングの重要性を意味するものですが、こういった手法を洗練させ、積極的に取り入れている自治体がふえているのです。 事業には、そもそも事業の意義や目的を定める政策形成過程が存在すると真山教授は強く指摘され、そういった手続、手法を、今後あやふやにして、あれもやる、これもやると借金を重ねる自治体については、町が壊れていくといった可能性を非常に心配されています。 こういった話に照らし合わせて、和歌山市の市政運営を見てみると、どうでしょうか。本当に町が壊れていく危険な状況が心配されるように思います。 どこから決まったのかわからないような事業がどんどん進められ、また多くの税金が投入された後にあっさりと廃止、見直しがされる。こんな行き当たりばったりの事業の積み重ねで、将来の和歌山市に希望を抱けと言われても、それは無理な話だと思います。 ループバスでは、2台の低公害バス購入費用並びに和歌山バスへの運行委託費で締めて5,230万円、また大学の問題でも、直川を設置場所として設計コンペを行うなど、多くの人の力をかり、時間も割いて、お金も割いてきた中で、その積み上げてきた状況をあっさりとほごにしてしまう。こういったことでは、信頼される行政を築いていくことは難しいのではないでしょうか。 ここでは、あくまでループバスの事業を見直したり、大学の設置場所を中心地に持ってきたこと自体を問題にしているのではあります。そもそもそういった状況を生み出している政策策定プロセスにこそ問題があり、そこを真剣に見直さなくては、今後もどんどんこういった状況は続くものとなります。 このままでは私たちの町は本当にだめになってしまうと、心から心配します。思いつきで始めて、だめだったら廃止する、そんなことの繰り返しで私たちの明るい未来は開けるわけがありません。 市長はかねがね、スピードが大切な時代だと話されています。私も、ただ時間をかければよいと言っているのではありません。しかし、スピードが大切な時代と言いながら、拙速な事業推進の状況を見るにつけ、やはりそこには大きな問題があると感じます。 思いつき、ひらめきといったもので始めるものには、結果的には遠回りすることになってしまう。急がば回れのことわざにもあるように、最初の段階でしっかりと事業の必要性、妥当性の議論を尽くしておかないと、結局は前に進むどころか足踏みし、場合によったら後退する行政、地域になってしまう可能性も強いと思うのですが、どうでしょうか。 そこで質問ですが、現状の和歌山市政で行われている事業、特に大規模プロジェクトについてさまざまな問題が指摘されるものとなっていますが、それぞれのケース・バイ・ケースで問題を指摘しても、それは次から次に出てくることになります。 そのもとを正さなければならないと強く感じる中で、そのもと、根本にあるのは政策策定プロセス政策決定に係る組織に原因があるのだと感じています。 そこで、それぞれ政策策定プロセスの問題点、政策決定に係る組織の問題点について、現状の認識をまずはお聞かせください。また、あわせて、それぞれの改善策について、具体的にどのように考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。 次に、危機的な和歌山市の状況を受けて、将来に向けた新たなる和歌山市のまちづくりについて。 先日、総合商社である日商岩井に勤める仲のよい友人と話す機会がありました。彼は今、ベトナムでまちづくりをしているのですが、いろいろなビジネスの可能性について意見を交換していた中で、和歌山市にスターバックスコーヒーがなぜ出店していないのかといったことが話題となりました。 スターバックスは、その出店に当たり、厳しい調査をかけることで有名なのですが、関西圏では大阪、神戸、京都は言うまでもなく、奈良、大津といった町にも出店しています。全国的に見ても、ほとんどの地方中核都市で出店を果たしているにもかかわらず、現時点で和歌山に出店していないのです。 それはなぜなのか。結論は、和歌山市が現在持ち得る商業圏というものの力、レベルがかなり低いものと評価されているといったことを話されていました。 結局、小売りサービスがマーケットとして魅力を感じる地域は、まずお金の流れがなくてはならない。周りにお金が流通しているからこそ、新規の事業も立ち上がるのだということです。県都和歌山市とは言いながら、本当に情けない状況になっていると心から残念に思いますが、これが和歌山市の実態なのです。 さまざまな数字を追いかけていると、今の和歌山市の非常に厳しい状況を改めて確認することができます。一例として、通商産業省の商業統計調査によると、昭和57年の和歌山市における個人商店の数は 8,442軒でありました。それが約20年を経過する中で 3,541軒と激減しています。ピーク時からは実に40%しか生き残ることができていない状況となっています。 これは、業態の変化なども含め、さまざまな要因も考慮されますが、 5,000件もの個人商店がこの20年の間に廃業している事実は、一面で非常に厳しい和歌山市の現実を映し出すものとなっています。 事業所の倒産件数は、それこそ、ここ数年右肩上がりになっていますが、これも和歌山市の厳しい環境を見るには、あくまでも氷山の一角であり、その実態は、倒産することで周りに迷惑をかけまいとしてひっそりと自主廃業する自営業者の方が後を絶たないのが和歌山市の現状となっているのです。 市長は、夢や花、ベンチャー、起業家育成と勇ましく語りますが、和歌山市の実態は、ここ10年、20年の政治、行政のかじ取りの結果として、自営の成り立たない、食べていけない地域となりつつあります。この現状をどのように認識されているでしょうか。 先日、ある会社の社長から「日本経済については、失われた10年だが、和歌山市の場合は、失われた20年だな」と言われました。きつい言葉かもしれませんが、政治は結果責任を問われるもので、その覚悟が必要です。 頑張っていた、一生懸命やったで済まされるものではありません。結果として、これまでの政治、行政のかじ取りで和歌山市の産業構造を抜本的に転換する手だてを打ててこなかった、その責任は免れることはできないと感じます。 その場しのぎの対応策に終始することで、和歌山市の経済を将来に向け、見通しの立たないものにしてしまい、多くの企業からも見放されている地域にしてしまった、その責任は重いと感じます。 和歌山市の産業構造は、域内純生産額で産業別の構成比率を見ると、製造業が4割近くを占めており、和歌山市の経済の中核を担っている状況がわかります。 これは平成7年度の産業別の構成比なんですけれども、この赤いところが製造業の占める割合。これは一目瞭然なんですが、和歌山市が持つ産業構造は、4割近くを占める製造業が中核を担っている状況がわかります。和歌山市が持つ産業の構造は、戦後一貫して基礎素材の生産を主とする古い体質の構造が営々と続いてきていて、残念ながらこのままの状況で明るい和歌山市の将来は予測できません。 こういった状況は、10年以上も前から指摘されていたにもかかわらず、これまでの政治、行政は何ら有効な対策を打てずに今日まで来ています。 和歌山市の経済について、ここ数年の中心市街地の丸正の倒産、大丸、ビブレの撤退といった状況を指して、「ひどい状況になっている」と嘆く人が多いですが、こういった事態は決して突然今の状況があるのではなく、これは10年、20年前からの問題の先送りが原因です。 地域全体の問題として抜本的な解決を図る努力もそこそこに、アーケードの設置、カラー舗装などでお茶を濁してきたことが今につながっているのです。 しかし、現在、またまた中心市街地の活性化策として新大学の構想が結びつけられ、議論されています。これにより、本当にその地域が活性化され、町が変わっていくでしょうか。私には、どうしても、つけ焼き刃のアイデアとしか映りません。そういった視点でしか議論できないのは、和歌山市の将来にとって非常に残念に思います。 本質的には購買者の生活スタイルの変化と地域経済のボリュームが年々縮小してきた結果として今があるのだと私は思います。 和歌山市の経済の中核をなす製造業で、その中でも核となる企業として住友金属和歌山製鉄所があります。その盛衰を見る中で、現在の和歌山市の厳しい状況がよくわかります。今も市内の主要企業の中では、飛び抜けて多くの人が働かれている事業所であり、和歌山市の経済の屋台骨を支えてくれているわけですが、その規模は縮小に次ぐ縮小を重ねる厳しい事態を迎えています。 ピーク時には1万 2,800人を数えていた社員数も、現在は、出向されている方を除き、和歌山工場で働かれている方は 2,876人と激減している状況で、ピーク時の約6分の1になっています。これまで和歌山市に生活の基盤を置き、家を建て、服を買い、食料を買うといった経済活動をしてくれていた1万人の社員さんが働けなくなっているんです。家族の方も含めると、和歌山市経済に甚大な影響を及ぼすことが想像されます。 一例を挙げ、こういったつらい状況を見る中でも、和歌山市の経済の規模がどれだけ縮小しているのか、その現実をはっきりと見ることができます。 和歌山市の産業構造では、特に県外、外部から資金を呼び込めるのは製造業がメーンプレーヤーであったわけで、ここを頂点として地域内にお金が流れるものとなっていました。その製造業が右肩下がりの状況では、地域内の経済は、そのパイが10あったものが8になり、6になっている状況で、域内での活動を主とする産業では、それは結局は少ないパイをお互いに取り合いしているだけの状況となっています。 幾らそれぞれの商売で精根傾けて頑張ってくれていても、お金の流通量が減ってしまっている今の体力のない和歌山市においては、何割かの人は食べていけないのが現実です。しかも、その好転の兆しは見えていません。 今必要とされているのは、大きな目で和歌山市のマーケットを拡大させる、流通するお金の量をふやすための方策、外部からのお金の流れをどうやってつくるのかといった中長期の戦略を持つことで、またそれと合わせたまちづくりのビジョンを真剣に考えなくてはいけない状況だと思います。 ここまで来れば、目先のことにはばたばたせず、差し当たっての地域内におけるコップの中の議論を続けるのではなく、しっかりと和歌山市全体の経済の状況を理解する中で、せめて関西圏といったぐらいの視野を持ち、50年、 100年といった和歌山市の再生策を根本的に考えるべき時に来ていると思います。 そこでは、とりあえずアドバルーンを上げ、走りながら考えるといったものは通用しません。さきの質問でも触れましたが、現状の分析、問題がどこにあるのかを詳しく調査し、そして、どうやって解決することが一番合理的なのか、コスト意識、費用対効果といった視点を持って徹底して検討する中で進むべき方向をしっかりと見出すことが必要とされています。 さて、そこで質問ですが、非常に厳しい環境に置かれる現状の和歌山市で、働く場のない町、食べていくことができない地域になることを真剣に心配しています。そこでの基本的な認識を、まずはお伺いしたいと思います。 にぎやかに、あれもやり、これもやりしていれば何とかなると、まさか考えているのではないとは思いますが、市長の本意がどうしても伝わりません。 状況を変えていくための解決策、政策、施策を考えるときに、一番最初に考えなくてはならない大切なポイントとして、問題の認識といったことが非常に重要になると思います。 現在、新大学構想というような大きな施策も強力に推進されようとしているわけですが、そのもとになっている問題の認識とはどういうものなのか、この衰退してしまっている和歌山市の現状を見て、一体どこに問題があると基本的に認識されているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。 以上で、私の1問目を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田昌伸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕 ◎市長(旅田卓宗君) 8番山下議員の御質問にお答えいたします。 政策プロセスについての御質問がございました。政策策定プロセス政策決定に係る組織の問題点及びその改善策という御質問でございますが、政策策定に当たりましては、将来を見据えた上で中長期的に考えていかなければならないということは言うまでもございません。 しかし、現在は変化とスピードの時代でもありますので、現状の課題に対応したタイムリーな施策を速やかに実行していくことも重要であると考えております。 私は、危機的状況にある今日の和歌山市の現状を考えるとき、このままでよいのかと疑問を持つものでございます。それゆえ、ただ座して死するのを待つよりも、リスクを恐れず、まず行動ありきと思い、積極果敢に取り組んでいるところでございます。 こうしたことにより、これまで「政策に整合性がないのではないか」あるいは「拙速過ぎるのではないか」などの御批判をいただいてまいりましたが、政策の策定に当たりましては、職員の意見、提言を求めるなど、十分検討した上で策定したものでありますし、その決定に際しましても、各種委員会等の審議や市民の御意見をいただいた上で、最終的には本市の政策決定における意思決定機関である政策調整会議の場で議論を通じて決定したものでございます。 しかしその一方で、施策の一部については長期総合計画やその他の計画に位置づけされていないものもございますし、政策策定過程における市民の参画が必ずしも十分ではなかったこと、あるいは政策の内容や政策決定プロセスについて、市民の皆様への説明が必ずしも十分ではなかったことなどがあるのではないかと考えております。 その改善策でございますが、庁内においては、これまで以上に職員の政策形成能力の向上とその積極的な活用を図るとともに、時によっては意思決定までには専門家などによる科学的論拠に基づいた検討も必要であるのではないかと考えております。 また、組織的には、政策調整会議における案件については、長期総合計画を初めとする計画に位置づけされているのか明記するなど、プロセスの明確化、計画の位置づけなどを確認するとともに、政策案の公表などを通じて透明性のある意思決定過程を示していくことも必要であると考えております。 さらに、これからの市政運営には、市民と行政のパートナーシップが重要でありますので、積極的な行政情報の提供や説明責任を果たすとともに、市民が計画づくりや地域づくりに参画できる環境づくりを積極的に進めていく必要があると考えております。 また、施策の実施に当たりましても、現在施行中の行政評価システムなどの新しい行政経営手法の導入を進めるとともに、場合によっては実証実験により、その効果を検証した上で、本格的な事業の実施を進めることも検討していく必要があると考えておりますので御理解賜りたいと思います。 次に、危機的な和歌山市の状況を受けて、どう認識しているかという問題でございます。 本年2月定例会の所信でも申し述べてまいりましたように、私は本市の置かれている厳しい現状に非常に危機感を抱いております。 今日の本市の置かれている危機的状況の要因でありますが、私は和歌山は地理的に半島に位置し、国土軸から離れていたために、その恩恵を十分受けることかできず、また交通などの基盤整備もおくれたこと、素材型に特化した産業構造からの転換がおくれたこと、大阪市の影響力の増大や周辺地域における新たな商業施設の設置などにより、本市が持っていた広域的な商業・業務機能が大きく低下したこと、地価が相対的に高いこともあって、周辺地域へと人口が流出したことなどによるのではないかと考えております。 その一方で、本市が大阪都市圏に比較的近い距離に位置し、また和歌山県の中心都市として必要な機能を有していることなどから、これまで産業活動や生活ができたこともあって、本市の地盤沈下についての危機感を共有することができず、また将来を見据えた本市独自の都市づくりの方向性を必ずしも十分に見出すまでには至らなかったことも大きな要因ではないかと認識しております。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 8番。 〔8番山下大輔君登壇〕(拍手) ◆8番(山下大輔君) 御答弁いただきましたので、再質問させていただきます。 最初にも少し触れましたが、今回は大学構想について重要な時期にあるとの思いの中で、その基本に立ち戻り、まちづくりの基本的な考え、和歌山市の現状に対する問題の認識、それを解決していくために本当に現在議論されている新大学構想が妥当なものなのかどうか、見きわめたいとの思いでこの一般質問の壇上に立たせていただいています。 誠心誠意きょうの一般質問に臨もうと思っていたのですが、しかし、きのうの大艸先輩の質問に対する市長の答弁を聞く中で、非常に違和感を感じました。 きのうは、大学でも夢を語り、和歌浦でも夢を語られていました。どういうことなのでしょうか。何でもかんでもできるのなら、だれも真剣に議論はしません。和歌山市の厳しい財政事情のもと、あれもこれもできないから、皆、一生懸命考えているのです。毎議会そうですが、特に今議会では、皆、危機感を持った議論が多いように思います。 先日も、厳しい財政問題が取り上げられ、そこでの財政部長の答弁には、かなり深刻な和歌山市の財政状況が示され、非常に厳しい和歌山市の台所事情がうかがい知れるものでありました。 私は、気持ちも新たに頑張らねばと思っていたところでしたが、しかし市長のきのうの答弁では、新大学をつくるといった姿勢を貫きながらも、石泉閣のことに触れる中で、大規模な和歌浦全体の再整備の話を、遠くを見る目で話されていました。これはちょっと違うんじゃないかなと思います。何で必死になって議会で議論しているのか、通じていないのではないかと、ふと思いました。 大学も和歌浦も、何でもできるのであれば、私もそんなに力を入れる必要はないのです。二兎を追う者は一兎をも得ずです。その決断が迫られているはずなのに、今議会での市長の答弁を聞いていて、現状の危機的状況をどこまで認識しているのかと感じるところがありました。 最初に、和歌山市の衰退する現状に対する認識について、まず御答弁いただいた内容としては、地理的な条件、交通基盤の整備、大阪と競合関係、高い地価による人口の流出、そして旧来型の産業構造、また基本の部分で、危機感の共有ができていなかった、都市ビジョンを十分持てていなかったといった課題を挙げておられたかと思います。 市長は、現状の和歌山市でこのような問題の認識をされているわけですが、それでは、果たして新大学構想を推進される中で、それらの課題を克服していくことができるのでしょうか。答弁された内容で、特に新大学構想にかかわる課題としては、産業構造の転換、将来に向けた都市ビジョンといったものがかかわりの深いものと思われますが、新大学構想により、本当に産業構造の転換が図れ、望むべき和歌山市のビジョンが生れてくるのでしょうか。私には、これまでの大学の説明を受ける中で、そのような理想が達成される可能性は低いように思われます。 市長は、大学の話をされるときに、とりあえず視野を狭めて和歌山市の中でだけ夢を語り、その将来への期待に胸を膨らませようとします。しかし、少し視野を広げたときには、その夢ははかなく消えるものではないかと危惧します。 前の議会の一般質問でも、47校もの大学を抱える京都市の例を挙げて話させていただきましたが、他都市との比較の中で、その優位性といったことを冷静に考えると、それはあくまで市長が考えるほど楽観視できることではないのが現実だと思っています。 残念ながら、公立大学を一つ、しかも文科系の単科大学をつくることで、大きく和歌山市の将来が開けるとは、どうしても思えません。 市長は、大学をつくった後の地域の将来ビジョンについて、新規事業者がどんどん出てきて、キャッスルバレーを形成し、それが新産業を創出するものとなり、地域経済を牽引していくと夢を語られますが、本当にそうなるでしょうか。和歌山市の経済を牽引していくとされるベンチャー企業、新産業とは、具体的にその中身について何を指しているのでしょうか。 これまでの新大学についての説明から推測すると、まずは文科系の大学で、また講義の内容は事業を起こす際のマネジメント、経営関連の授業が目玉だとされています。結局、目新しい言葉で、ベンチャー、新産業と華やかな感じがしますが、しかし、現実問題としてこの新大学から生み出せる可能性のある人材、事業はあくまで特別な技術を持った者ではなく、卸、小売り、サービスといった既存産業に含まれる範囲のものでしかないのだと思います。 それらの業態を分析してみると、特殊な場合を除いて、その多くは外部からの需要を呼び込めるものではなく、基本的には地域内でお金のやりとりをされるもので、地域におけるお金の流通量が少なく、経済のパイが小さくなってしまっている現状の和歌山市の中では、過当競争を今以上に呼ぶだけで、結局、和歌山市の経済に新たな展開を期待させるものとはなり得ないのではないでしょうか。また、それは、起業できればの話ですが、ほとんどは普通に就職していくことになると思います。 こういったもので、果たして本当に大学構想から新しい産業構造を生み出すことができるのでしょうか。実際問題として、これは非常に難しいと感じますし、また、そこから和歌山市の将来を切り開く新しい都市ビジョンを生み出すことも現実問題として困難だと思います。 あくまで、大学ありきではなく、現状の課題を整理する中で、もう一度冷静に、今この苦しい状況の和歌山市を再生するために本当に必要とされている政策は何なのかといったことを考え直してみるべきだと私は強く思います。 続いて、政策策定プロセス政策決定に係る組織の問題点について。 答弁では、各種委員会や審議会、また庁内でも政策調整会議などさまざまなプロセスがあるとおっしゃっていましたが、しかし、それらが形骸化して、本当にその手続に沿って具体的な中身のある議論がされていないのが問題だと思います。現在の状況を見る中では、政策策定プロセスの中の最も基本になる部分の問題の抽出、課題の設定といったところに大きな問題があるように思います。 先日、市長から郵送で大学関連の資料が届けられました。これは全議員に送られたものと思いますが、目を通させていただいて、確かに大学の持つ機能は地域にとってマイナスではないし、必要なものであると思います。 しかし、そこから現在の 100億を超える投資で、庁舎、図書館、体育館、グラウンドを用意しなくてはならない新大学構想には、直接結びつかないと、改めて思いました。 これまでにどうしても議論がかみ合わないのはなぜかと考えてきたわけですが、それは結局、課題の設定に問題があるのだと思います。 例えば送っていただいた資料の中から、大学が持つ有効性ということを考えてみると、それは情報の集約拠点として、また知識の集積地としての意味が大きいのだと思います。もし、それを課題として設定するのであれば、以前にもこれは私も含め多くの議員の方もお話されてましたが、私立大学のサテライトキャンパスを持ってくることの方がコストも安くつき、優秀な教授陣、研究者を集められる可能性もあるかもしれません。 また、民間の研究機関を置くのも一つです。また、社会人の教育を主体として考えるのであれば、和歌山大学に学部をふやし、中心市街地に分校として持って来ることでも目的は達成されるのではないでしょうか。 結局、目的が大学をつくることになってしまっているために、議論がかみ合わないのです。新大学つくることありきで、理由づけをどんどんしている状況で、そこでは、当局からすると、つくる前には幾らでも理想を掲げられます。 そもそも公共事業で大学をつくろうとするとき、これは道路、橋ではなく、その効果は非常にはかりにくい多様な要素を含むものとなります。大学の理想像を言って、何でもかんでも和歌山市の公立大学は兼ね備える、ボストン大学にもなれるし、エールにもスタンフォードにもケンブリッジにもなれると言われると、その議論はとめどもないものになってしまいます。確かに、スタンフォードであれば若者は集まり、キャッスルバレーも夢ではありません。でも、全く次元の違う話なんです。 大学問題のこれまでの経過を振り返る中では、その議論のポイントがどんどんすりかわる中で、何が議論のポイントであったのかも忘れてしまいそうな状況ですが、これまでの資料を見返す中では、やはり一に戻って課題の設定からやり直すのが、今必要とされているのだと思います。今、和歌山市には何が必要なのか、そこで新大学も一つの手段として冷静に議論されるべきだと思います。 市長の公約のメーンテーマ「元気な町にする」と言った初心に戻って、そこで必要となる政策について、もう一度一から英知を集め議論し直す状況に戻すことを心からお願いします。 今は、とりあえず大学をつくることを目的化して、その理由づけを走りながら考えるといったものでしかありません。これでは、とても議論になりません。和歌山市の現状をまずはしっかりと調査し、そこでの問題点を洗い出し、そこから目的、課題の設定をしっかりと行う。そして、その解決策、手段については、今の行政に求められるものはどれだけ費用対効果を高められるかです。多くの選択肢を出す中で議論し直すことが必要だと考えます。 新大学の構想を今のままでしゃにむに進めるのは、市民のためだとはどうしても思えません。議論をもう一度スタート地点に戻す中で、皆の英知を結集し、和歌山市再生に邁進することが、今、市民の負託にこたえる和歌山市のとるべき行動だと思いますが、いかがでしょうか。一からのスタートということについて、その部分だけお答えいただければありがたいかと思います。 以上、質問1点として、私の2問目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田昌伸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕 ◎市長(旅田卓宗君) 8番山下議員の再質問にお答えいたします。 大学の問題に端を発しまして、一からスタートというふうな御指摘でございました。 山下議員さんと私と共通しているのは、和歌山市が極めて厳しい危機的な現状にある、これはお互いに共通している認識だと思うわけです。そういう中で、じゃ一体何が原因なんだろうかと、その辺で、若干食い違うのかなと思います。 先ほど、和歌山市が衰退してきた理由を幾つか挙げましたけれども、しかし、その中でも、私自身、一番痛感しておりますのは、先般来、議会でも再三お答え申し上げておりますとおり、和歌山市--和歌山市だけでなく和歌山県全体にも言えるわけですが、主として海べりの産業だったですよね、鉄鋼とか石油とか木材とか。もちろん化学産業もございましたけれども。 そういうふうな素材型の産業は、何が必要だったかといいますと、まず基本的には鉄鉱石を輸入するとか、石油を輸入するとか、あるいは木材を輸入するとかいうことで、天然良港が必要だったわけです。あるいは鉄鋼であろうが化学であろうが、工業用水が必要だったんです。 というふうなことを考えますと、必然的に、これは当時の為政者が立派だったということにもなるのかもしれませんが、また考えようによっては非常に恵まれておったと。紀の川というすばらしい母なる川があって、工業用水を確保することができた。あるいはリアス式の海岸で天然の良港に恵まれた。そういうものが時代の流れの中で、和歌山市及びその周辺の地域が産業的に非常に発展していく、あるいはそういう産業が張りつく条件が整っておったと思うわけです。 しかし、時代の流れとともに、産業の構造が変わってまいりました。そういうふうな今言いました鉄鋼や石油や素材型の産業というものは、いわゆる構造不況業種という形の中で、これは和歌山だけじゃないですけれども、日本の国全体の中で縮小していきました。 そして、むしろ工業用水なんか要らないような組み立て型の産業が主流になってきますと、勢い高速道路に面しているとか、そういうふうな交通アクセスの非常にいいところとか、あるいは空港に近いところとか、そういうところがずんずん発展してくることになりまして、和歌山は残念ながら衰退してきたと思うんです。 そこからが問題なんですが、せっかくそういうふうなすばらしい産業基盤があったわけです。産業基盤があったし、それだけの人口も張りついておったんです。 ところが、産業構造が変わっていった。産業構造が変わっていったときに、新しい産業に転換しなきゃいかんかったわけです。ところが、新しい産業へ転換するのに何が必要か。やはり若者がなかったということです。 私、印象に残りましたのは、議会の特別委員会の御指示もいただきまして、御承知のとおり1市9町の各首長さん方のもとへ、大学の問題について再度理解を求めるように回りました。その中で、非常に印象深かったのは、打田町の根来町長さんが、即座に「私は大学は賛成ですよ」と言ってくださいました。 その理由は何かというと、あの人は元県の職員さんで、かつて総務学事課長さんをなさった経験もあって、非常に大学の問題について詳しくて、「和歌山県は大学過疎県なんだ」と。確かにそうなんです。大学過疎県で、全国一大学が少ない県なんです。大学過疎県だから若者がどんどん流出していったとおっしゃっていました。だから、私は基本的には大学は賛成ですよと。 いずれにいたしましても、そのように、若者がどんどん流出していくことによって、新しい産業への転換ができない、あるいは新しい企業の芽生えも生まれないというふうなことだったと思います。 ですから、私は、そういうふうな危機感のもとに、新しい産業を創出していけるような大学づくりが、今、和歌山市にとって一番の緊急の課題だと踏まえて取り組んでおります。 とりわけ、その中でも、関西電力からいただく地域振興協力金の43億円の使い道について、私も人間ですから、いろいろな方々から御陳情をいただく中で、あっちの水路を改修してあげたいなとか、あるいはあちらの団体の補助金をふやしてあげたいなとかというのがはっきり言って人情でございますが、その点につきましては、それでは消えてしまうじゃないかと。だから心を鬼にして、地域振興協力金43億円を何に使うべきかと考えたときに、私は大学づくり、人づくりに使いたいと考えているわけです。 私はたしか、この議会で、「米百俵」の故事を引き合いに出して大学づくりのことについて訴えたことがございました。いみじくも小泉さんが総理になられたときに、その所信で「米百俵」の故事を話されたので、ちょっとびっくりしたんですが、少なくとも小泉さんよりも私の方が1年ほど早かったんじゃないかなと思っているですけれども。 その中で小泉さんが示された骨太の方針が幾つかありましたけれども、その骨太の方針の中の、特に私自身共鳴を受けましたのは、「人材大国にしよう」ということを訴えておりました。そのことについては、まさに同感だと思うわけです。 私もいろいろな産業界の関係の方々とお会いいたしますけれども、どなたにお会いいたしましても、例えば先般も松下産業の森下会長さんのお話も聞きましたけれども。とにかくこれからは、好むと好まざるとにかかわらず、日本の国からの製造業は、かなりの分野がアジア、特に中国に移っていく。中国がアジアの製造工場になるのではないかと言われておりますけれども、どんどんと移っていきます。日本からどんどん出ていく。一体日本の国はどないなるんだろう、すべて製造業が出ていってしまうと、どうなるんだろうかと私自身も不安に思うし、いろいろな産業界の方も不安に思っていらっしゃいます。 しかし、森下さんのお話、たしか山下先生も、あのときに姫路へ行ってお聞きになったかと思うんですが、森下さんのお話の中で、私自身、一つの安心を持ったのは、いや、全部が行っちゃうんじゃないですよ。新しい技術を開発するような分野だとか、あるいは新しい商品を企画立案したりするような分野、あるいはそれに伴う最低限の研究施設や製造設備は残っていきますよというお話がありました。その辺が、日本の国がこれから生き延びていく道ではないかなと思うわけです。 そういうことを考えると、日本の国からどんどん製造業が外国へ出ていく中で、今一番何を目指さなければいけないか。小泉さんのおっしゃっている、まさに人材大国、教育です。だから、道をつくる、これも大事です、下水道をつくる、ダムをつくる、これも大事だと思うんです。しかし、そういうものを少し控えてでも、むしろ教育に力を入れていくということが小泉さんの本意ではなかろうかと思うし、私もその点については賛同しております。 そういう意味で大学づくりに取り組んでおりますが、今議員の御指摘のあった中で、文系の大学じゃないか、こういうふうなお話で意味がないようにおっしゃっていました。しかし、決してそういうことではないです。文系といったって文学部じゃないわけで、工学部じゃないというだけですから。だから、むしろ社会科学系と表現した方がいいのではないかと思うんです。基本的には企業マネジメント、企業起こしをしていくような人材。もちろん、すぐ企業起こしができるもんじゃないと思うんです。どこかへ勤めることになって、やがて企業起こしをしていく。そういうふうなチャレンジャー精神旺盛な若者を世に送り出していこう、そういうふうな大学人を目指しているわけなんです。しかし、それは、新たな技術を開発するようなものじゃないじゃないかと、今お話がありました。 実際、私自身も調べてみましたら、アメリカの経済、今はおかしくなりましたけれども、過去10年間、歴史的にも類を見ない発展を遂げてきました。アメリカの経済が再生した原因は大企業のリストラともう一つはベンチャーの台頭です。そのベンチャーの多くは、実はサービス産業だったんです。 1980年代、アメリカの経済というのは、今の日本と同じように最低だったわけです。その最低だったのが、物の見事に復活して、世界歴史上、類を見ない10年間の好況だったわけですが、その主なベンチャー産業というのは、実は新しい技術開発よりもサービス産業だったわけです。 そういうことを考えますと、私どもが目指しております大学というものは、決して間違っていないと思うわけです。 また、世界的な例を見ましても、ベンチャー企業で技術だけで成功しているベンチャーというのは2割もないんです。8割は実は、もちろん技術も必要でしょうけれども、むしろ企業マネジメントあるいはマーケティングとか、そういうふうな分野でベンチャー起こしをしていって成功している、そういう例が多いです。 大学準備委員会に今度新しく加わっていただいた方で、最近、産経新聞の「正論」に頻繁に記事を書かれているんですが、京都大学の吉田和男教授、非常に立派な方だと思うんです。準備委員を受けていただくまで、そういうふうに思っていなかったんですが、準備委員をお受けいただいて、新聞を見ますと、盛んに「正論」に御意見が載っています。その吉田和男教授に最初の準備委員会のときに、私自身、御意見を聞かせてもらったんですけれども、非常にいい御意見を聞いたなと思ったのは、こういうお話がありました。 和歌山の目指している大学は、もちろん留学生も迎え、そして国際的にも非常に活躍するような大学になってほしいという面もあるでしょうけれども、むしろ和歌山の大学は和歌山市、あるいは和歌山市周辺、和歌山県内の、中まではいかないかもわかりませんが、小零細企業の子供さんたちが多く学びに来る。そこで企業マネジメントを学んで、自分のお父さんが経営しているような会社をより大きくしていく、そういうふうなところも一つの特徴としてとらえていったら、地域産業の活性化につながるんじゃないですかということを吉田和男教授が御提言してくれたので、私自身、非常にいい考えだなと思いました。 そういうふうな、和歌山の産業界全体を活性化していくようなベンチャー大学を目指しておりますので、ひとつ御理解をお願い申し上げたいと思うわけです。 一からのスタートというお話でございましたが、もう、過去2年半、実はこの大学問題について取り組んでまいったわけでございます。その中には、手法として、今回の丸正のことも含めまして、私自身至らない点もございまして、議員の先生方には申しわけないとおわび申し上げなければいけない問題もたくさんございますけれども、いずれにいたしましても危機意識については先生と共通していると思います。そして私は、その危機意識の中から何が大事かというと、人づくりが一番大事だと位置づけておりますので、ひとつ御理解いただきたいと思うわけです。 最後にもう1点だけ申し上げたいんですが、これも何回か前の議会でお話申し上げましたけれども、横浜国立大学の小林教授を中心とする研究グループが、都市の再生について論文を発表しておりました。 その中で指摘されておったのは、これからどんどん製造設備は海外に出ていく、その中で日本は何をやって生き延びていくのか。知恵だ。これからは知恵の時代になる。知価の時代になる。仮にその知価の時代になるとするならば、知価産業がこれからの主流になる。その知価産業の主流は、中核拠点施設は何だ、大学なんだ。そういうふうな論文だったです。私自身、その論文を読んで、大変共鳴を受けました。 そういうふうなこともございますので、ぜひとも御理解いただきたいと思います。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 8番。 〔8番山下大輔君登壇〕(拍手) ◆8番(山下大輔君) 市長に御答弁いただきましたので、第3問させていただきます。 おっしゃるように、市長が考えられている現状の和歌山市の状況を改善していきたいという思いで、よくわかる部分ももちろんあります。本当にそうあればいいなと真剣に思っていまして、今回実は質問させてもらうときにも、このままやったらいかんと。その、いかんということの根本は何かというのは、今ちょっとお話を聞いていて思ったんですけれども、新しい産業、例えば若い人間がいるからつくっていける、人づくりが大事やというようなことというのは、みんなが多分賛同していることやと思います。 ただ、それを決める過程というのは、例えば大学が一番いい手段かどうかというところは、ちゃんと議論しておかないと、今言っている人材を育成するにも、実は和歌山市にはもっと違った欠点があるかもわからん。 例えば義務教育をもっと厚くするであったりとか、大学の中でも、先ほど言われたように、市長としたら、これはかなり初めの方の議論で、どうしても和歌山市が税金を丸々投入する市立大学、公立大学にしたいということをお話された理由の中で、市民大学やと、それが和歌山市にとってはどうしても必要なんやというようなことを話されてました。しかも、それが、和歌山市が設置費を出して、例えば慶応大学が来てくれるということであれば、和歌山市民にとっての大学というものにはなかなかならないんじゃないか。それがもったいないから、公立大学にするというような御説明やったと思います。 設置費にしても、公立大学でつくるのと、公設民営--和歌山市が建てて、その経営を民間に委託するというのも、大体同じような金額になるから、それやったら公立でやった方がいいやないかというようなことも、お話もされていたかと思います。 ただ、公設民営ということを一つ考えても、初期投資というのは確かに同じものやと。でも、それをランニングしていくというのは、実はこれが物すごく難しくて、それを実際に、例えば私立の大学という形でやっていける方法はないのかというようなことも議論であったと思います。 さっきからお話しているように、結局、目的として何を考えているかという部分で、市長が問題意識を持たれている部分を、もっとちゃんと議論できるようなプロセスを何とかつくってもらえんかと。いろいろな事業で、先ほどから--繰り返しになりますから個別の事業の名前は挙げませんけれども、すべて市長が思いついたときに、買ってしまうであったりとか、事業を進めてしまうであるとか、そういったことがやっぱり問題なんじゃないか。 本当に和歌山市の中で、市長が先ほどからるる説明されました問題点があると、そういうものを議会の中でもみんなが共有できるということになりましたら、そのためのどういった方法が一番いいのかと。 さっきから言うように、例えばコスト意識というのも、かなり欠落している部分が、正直言って僕はあるのではないかと思います。だから、みんなで知恵を出せば、市長も本当にいろいろなところに出かけられてますし、経験もたくさんお持ちですから、人よりも卓越した能力はお持ちかもしれませんけれども、やはり1人よりも2人、2人よりも3人でしっかりとした議論を組み立てることが、今の和歌山市の中では必要なことではないかと思います。 再々質問の中で、私自身、何度もこれまで視点を変えて議会で発言させてもらってきているわけですけれども、和歌山市の生き残る道は、私たちの地域が持っている気候、風土、自然といった他都市のまねのできない条件を徹底的に生かしたまちづくりを進めることだと思いますということは、以前もお話させてきてもらいました。 先ほどから市長が話される中で、他都市と同じ方向で都市化を進めるようなまちづくりというのは、基本的にはそういう方向の中で将来は開けていかないのではないかと考える中で、新大学、キャッスルバレーも、結局は大都市追随型の都市化の一方策でしかないんだと思います。 先ほど市長がおっしゃられてましたけれども、その前の質問で私も話しておきながら、また結局同じところに議論が戻るんですけれども、市長が思う大学というのは、物すごくすばらしいものができる、その内容もすばらしいものになるということは、市長は和歌山市の中でお考えになって、それが和歌山市で育っていけば、和歌山市の大きな発展につながるということをおっしゃるんです。 例えば--何度も例に出しますけれども、京都市で47校もの大学を持っていて、和歌山市なんかよりも、例えばベンチャーが本当に育っているということを、義務教育から、アントレプレナー教育であったりとか、そういうことを実際に取り組んでいるところが実はあって、そういう条件をもうちょっと冷静に判断して、和歌山市がその中で勝負して勝っていけるのかどうかというようなことも、もうちょっと検討を要する点かと思います。 先ほどからお話しているように、結局、その政策の目的をやはり設定した時点でもう一度みんなでしっかりと議論する。その設定の仕方も、単純に自分が新聞を見たからとかいう話だけじゃなくて、和歌山市の組織の中で、以前にも指摘していたことですけれども、ちゃんと調査する部署をつくって、そこで、まず、しっかりとした調査を行う。そこで問題点をちゃんと抽出していけるということをやっていかなければいけないと思います。 このパネルをつくった意味があったか、なかったか、ちょっとよくわかりませんけども、かなり苦労して実はつくったんですけれども。現状の分析から問題の抽出、こういう部分で、やっぱり和歌山市としてはもう少し時間をかけなければいけないだろうと。ここから初めて課題の設定、これは目的になるんですけれども、それが決まっていく。そして、例えば若者を流出させないでおこうということであれば、これは大学だけじゃない、就職先の受け皿の問題もあるから、そしたらまた違った手段も出てくるかもわからない。 例えば知識の集約拠点を何とか和歌山市につくりたいということを目的と考えるのなら、そこで例えば、それは和歌山市の公立大学だけじゃなくて、手段というのは幾つか、私立のサテライトキャンパスも手段としたらあるわけですから、そこのところの経過をたどった上で政策の決定を行っていくべきじゃないか。 ここのプロセスというのが、さっきから市長は大事やと思っているけれども、御答弁の中で僕が聞いた印象としては、今の時代はやはりスピードやと。この中で、自分としては間髪を入れず進めないかん。大学も16年4月まで、何とかこの2年、3年でつくってしまわないかんのやと。 だから、第2問目の答弁の中で市長がおっしゃられましたけれども、実際に大学をつくるということも、もしかしたら和歌山市にとっては、公立でつくるとか、その選択肢としては僕はあると思いますけれども、本当にその目的を達成していくための手段がどういうものがあるのかを検討させてもらいたいというのが、さっきから話している一からというところで、でも市長は、多分それは時間がないんやということをお答えになると思いますけれども、そこのところはこの議会の中でも、なかなか賛同を得られない部分じゃないかなと思っております。 市長、答えられますか。 本当に、ちょっときょう、お答えになるんでしたら質問とさせていただきますけれども。 今、本当に和歌山市としたら、かなり厳しい状況に置かれていると思います。この大学の話も、本当にその大学が和歌山市のためになるかどうかということを判断しなきゃならない状況にあると思います。私自身、大学に反対ということじゃなくて、今までの議論じゃ足りんと。本当に和歌山市をよくするために、もっと、もしかしたら違う方法があるかもわからないし、ここで 100億以上のお金を使って、将来に借金を残して、今、和歌山市の財政状況というのは財政調整基金もどんどん取り崩して、本当にこの切迫した状況の中で将来にも借金を預けるような大きな事業として大学を選択していいのか。和歌山市の将来をかける政策として、大学を選択していいのかというのが問われていると思います。 私自身、かなり厳しいなという個人的な見解を持っているんですけれども、とりあえずいい議論を、今議会でも最後までできればと思っています。 第3問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田昌伸君) しばらく休憩します。          午前11時22分休憩   -------------          午後1時13分再開 ○議長(森田昌伸君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 藤本眞利子君。--4番。 〔4番藤本眞利子君登壇〕(拍手) ◆4番(藤本眞利子君) お昼一番ですので、よろしくお願いいたします。 通告に従い、一般質問をさせていただきます。 先般、多田議員の方からも虐待防止にかかわって質問されていますので、重複するところもあると思いますが、よろしくお願いいたします。 今回は、イギリスとイタリアの方に海外視察に行ってまいりましたので、その報告も交えて質問させていただきます。きちんと勉強してきましたので、その辺もお聞きください。--いえ、公費で行ってまいりました。 8月16日の午後12時過ぎ関西国際空港を飛び立ったわけですが、一路、イギリスのヒースロー空港の方へ向かいました。 今回、私が最も関心を寄せている児童虐待防止システムと精神病患者の地域ケアというお話を、イギリスとイタリアの第一線で活躍されている方からお聞きできるということで、わくわくしながら旅立たせていただきました。 まず、イギリスの方で、児童虐待予防の地域システムの取り組みのお話をお聞きする予定でしたので、そのあたりからお話させていただきたいと思います。 日本では、2000年にようやく児童虐待防止法が成立しましたが、イギリスの児童虐待防止システムは1989年に虐待防止法が成立した後、体制が整えられたとのことでした。 イギリスにおいては、法成立当時、子供を守るために何ができるのかという観点で話し合いを進めたと、迎えてくれたNSPCCの責任者コーラルさんという方のお話でした。NSPCCというのは、英語で言いますと、National Society for tha Prevention of Cruelty to Children--全国小児虐待防止協会の略名です。コーラルさんは、そのNSPCCの事務局で働いておられる方で、御自身もソーシャルワーカーとして子供たちにかかわっておられました。 イギリスでの大きな特徴は、各行政自治区ごとに医療、保健、教育、福祉、法律、警察などの第一線で働いている方々を中心に、20名から50名のメンバーでなる地域子供保護委員会というのが設置されており、予算も持っておりまして、権限を持って児童虐待に対処できるという点でした。 地域子供保護委員会の活動は、極めて多岐にわたっているため、幾つかの小委員会があります。地域のガイドラインの作成や改正、その施策の配布などの小委員会、関連機関合同のトレーニングや機関ごとの職員に対するトレーニングを提供する委員会、死亡例や重症例の再検討やシステムに関する監視を行う委員会などがあり、日常業務を通じて定期的に頻繁に開催されていました。 また、地域子供保護委員会が権限と予算を持っているので、緊急な場合でも迅速に対応できるといった点も大きな特徴でした。 例えば、児童虐待が通告された場合、まず警察とソーシャルワーカーが動き、通告事例が虐待であるか、そうでないかを判断する初期評価を行います。 ここで警察というのは、日本で制服を着た警察官を思い浮かべるんですけれども、そうじゃなくて、イギリスの子供にかかわる警察は、全然 180度違っていました。触法行為にかかわる警察とは別に、子供のことにかかわったすべてを担当するための独立した行政組織で仕事をされており、警察の権限、逮捕したりとか、そういう権限は保持しているんですが、常にソーシャルワーカーさんと連絡をとりながら行動されて、服装も制服なんかじゃなくて、普通の背広にネクタイというふうな感じの服装でした。警察の権限を持ったソーシャルワーカーという感じの仕事です。 虐待が通告されると、まず、ソーシャルワーカーと警察が即座に動いて、その家庭を訪問します。そこで、虐待の状況だというふうに判断した場合は、ソーシャルワーカーさんはすぐさま児童にかかわるすべての情報を調査できるように裁判所に申請し、評価指示を得ます。 その調査内容は、本当に極細にわたり、その子供の出産のときの状況から家庭、学校の様子まですべてを調査する権限が与えられるわけです。出産のときの様子を助産婦さんとか保健婦さんからも聞くことができますし、また学校にも必ず虐待防止の係の先生--チャイルド・プロテクション係という先生がおられるんですけれども、この先生にお聞きしたり、それから子供の状況をすぐ把握できる体制になっているわけです。兄弟姉妹の状況ももちろん調べられますし、すべての機関に情報を得るため連絡がとれるようになっていたわけです。 また、子供が危険だと判断したときは、地域の子供委員会が子供に関しての会議を24時間以内に開かなければならないと決められています。そこでは、警察を含めて医療、保健、福祉、法律などのすべての関係機関の人々が子供のための話し合いを持っているわけです。 その後、両親への説明と、こうこうこうでという説得が行われます。このことが大変重要で、虐待の事実や、なぜ委員会が調査しているのかということを親にきちんと通告して、解決に向けた協議や処遇やサービスの提供を決定することができるわけです。その目的を伝えた上で、親にも参加してもらうことになってくるというふうにお話をしていただきました。 例えば、日本でもそうなんですけれども、親の了解が得られない場合でも、これは裁判所の判断で、緊急に一時保護を行うことができます。 そういうふうにした後、虐待の事実が認められた場合は、この子供委員会は8日以内--1週間ですね--に関係機関の人々を集め、まず会議をしなければいけないと決められています。 会議をする前は、子供に関する状況を書いた書類を、御両親にも提示し、御両親にもその会議に参加できますよということを伝えられます。 また、その後、この子供をどのように保護するかという話し合いが持たれていくことになっています。 また、イギリスでは、施設に入れて保護するというシステムではなくて、里親か養子という保護の仕方が一般的で、里親に出した場合でも、週に1~2回は親と面接させ、親のケアもしていくというやり方でした。 それぞれが、子供虐待があったとしても、親の保護のもとで生活するのが一番よいというふうに考えられていまして、親に対しても、家族を立て直すためのプログラムや、保健婦や医師の指導のもとに実施されているということでした。 お話を聞かせてくださったNSPCCのコーラルさんは、虐待の防止について、この方法が一番いいということはまだまだ言えないと。しかし、虐待にかかわらず子供の問題は、何か事件が起こったときの大人の問題とは一緒に考えるべきではないとおっしゃっていました。 いろいろな子供たちが犯罪を起こしたりしますが、この犯罪は、大人の犯罪と一緒に論ずるべきではない。そういう立場で子供にかかわる触法行為は、先ほども説明させていただいたように、専門の警察が子供の人権を守るという立場からすべての事件の窓口になっているというシステムになっていました。 子供の触法行為は、その行為だけを問題にするのではなくて、生育歴や子供の状況をきちんと調べ、子供の立場に立って対処しなければいけない。そうしないと、子供を立ち直らせることはできないという明確な理念で貫かれているなというふうに強く感じました。 子供専門の警察の方にも訪問させていただきました。本当に温かい雰囲気で、警察署という感じではなかったです。皆さんも、先ほど言わせていただいたように私服で仕事をされていましたし、すごくくつろいでお話できる明るい部屋があったり、何より暴力に遭った子供さんが、安心していろいろなことを話せる場が提供されているというふうに感じました。裁判になった場合なんかでも、子供のそういった声をテープにとって、子供たちが不利にならないような配慮もされていました。 一概にイギリスのシステムがいいとは言い切れません。しかし、虐待への対処の仕方は、すごく学ぶべき点が多いなと考えます。 まず、虐待が通告されてから、約10日以内に子供を保護できるシステムがあります。また、親への説明とケアがあって、長期にわたって家族を立て直すためサポートなど、日本が学ばなければいけないことが大変多いと感じました。 子供を守るという点では、日本はまだまだ不十分な取り組みしかありません。新聞紙上では、毎日、虐待によって子供の命が奪われるというニュースが載せられています。にもかかわらず、対応が余りにも遅くて、本当に子供の命を守るシステムができているとは言えないと思うんです。 尼崎の勢田恭一君の事件のように、両親に引き取られて殺されてしまった例というのは、検証していただければわかると思うんですが、児童虐待防止法ができたものの、それが現場できちんと機能されてないのではないかと思うわけです。何人の子供が虐待によって命を落とせば、この国は本当に真剣に対処するのかと、本当に暗たんたる気持ちさえしてきています。 通告しても、児童相談所の人手が足りなくて、なかなか調査してもらえない。親への話がうまくいかないため、保護することができない。保護した後の親への教育ができていかない。子供は施設に行きっぱなし、預けられっぱなし。こんな状況で子供は一体どうなるんでしょうか。 ここで、今回は、虐待のお取り組みについて、何度となくお伺いしていますので、その後についてお伺いします。 庁内におけるネットワークはどのような関係機関が参加されており、どのような場合に機能されるのですか。通告された後の子供への支援や親への支援は、具体的にどのような形でされていますか。2点についてお答えください。 さて、その後、私たちはイギリスを後にイタリアの方へ飛びまして、イタリアの協同組合方式による精神保健を学ぶため、ミラノから東に 400キロぐらいのところ、ユーゴスラビアとの国境に近い町、トリエステというところに向かいました。 現在、先進諸国では、精神病院はほとんど解体されておりまして、入院している人々は地域のグループホームや自宅へ戻って生活しています。それまでは、今の日本と同じように、治療という名目で鉄格子のはまった病室に何年も押し込められていたんですが、そういうことはほとんどありません。 精神病患者の地域への移行あるいは人間性回復は、1971年に訪れたトリエステという町のサンジョバンニ精神病院長のフランコ・バザーリア医師とその方を招聘したザネッティという方が発案されて、実行されました。かれこれ30年ぐらい前の話です。 そういった意味で、トリエステという町から始まった改革は、現在、ヨーロッパ全域に広がっております。 改革の発端となった 1,200人を収容していたサンジョバンニ精神病院は、現在、大学として使われておりまして、その中に精神医療センターの中核施設が置かれており、トリエステ市の精神保健の中枢の役割をされていました。 私たちがお伺いして、お話を聞かせていただいたのは、コスタンチーノという先生でして、改革の初期からかかわっておられ、詳しくお話を聞かせていただきました。 トリエステのサンジョバンニ精神病院は、当時、 1,200名の患者さんが収容されていました。フランコ・バザーリア医師の目標は、入院患者を全員退院させ、地域で暮らしてもらい、地域ケアで生活を支え、精神病院を必要としないというものでした。そのため、すべて病院を閉める段階で、患者さんをどのようにアシストしていくかが大きな問題となったとおっしゃっていました。 コスタタンチーノ先生は、組織化し運営していく方法を、どこにもそういった例がないわけですから、手探りで進めていったんですとおっしゃっていました。 私は、改革の理念が、患者と医師の関係は対等と見るということから始めたということにすごく感服しまして、そのため、患者と医師はコミュニケーションしながら今後の治療を決めていく方法がとられたとお聞きしました。 例えば、暴力的であったり、攻撃的な患者さんについては、患者さん1人に対して3人のお医者さんがついたり、あくまでも患者さんと人間関係を結びながら治療を進めていかれたとお聞きしました。患者さんに対しては、その患者さんの生活背景を理解するところから始め、暴力を取り払う、人間関係を築き直すという強い理念を持ち、後退することなく進めたんだというふうにおっしゃっていました。 現在、 100名の患者さんは一人一人に合った特性を生かしつつ、地域で生活されています。 トリエステという町は6万人ぐらいの小さな町なんですけれども、4つの地域にそれぞれ精神医療センターがあり、4人の精神科医、1人の心理学者、ソーシャルワーカー、20人の看護婦がチームを組んでいまして、1カ所に1チームおられるという状況です。 そのチームの半分ぐらいは、まず患者さんをリカバリーするために、患者とともに学校へ行っていたり、会社に行っていたり、問題のある御家庭に行っていたり、そこで働いておられるとおっしゃっていました。 また、精神保健センターは、初診と緊急の場合は受け入れてくれるんですけど、緊急でも、入院した場合は、最長15日間ぐらいしか入院できないわけで、それ以上の治療はしていないということでした。 そういった改革に伴って、作業療法のための労働だけではなく、ちゃんと賃金をいただける、対価としての労働として働くということがまず重要と考えられまして、協同組合をつくりました。そこには患者さんだけじゃなくて、看護婦さんや職員さんも含めて、現在は大体 250人ぐらい加入しているとお話してくれました。 仕事の方も多岐にわたっておりまして、農業、社会サービス、イタリアですので家具とか、そういったインテリア関係なんかの創造の関係の仕事もありまして、そういう組合が5つの組合に分かれて、市の清掃事業とか運送とか、職員食堂とか、それからトリエステにたくさんの方が視察に来られますので、そのトリエステの視察プログラムの作成などの事業を展開していました。 私たちも大学にある食堂にお邪魔しまして、そこも協同組合で運営しているんですけれども、患者さんと健常者とともに一緒に働いている状況を見てきました。 しかし、すべての患者さんが仕事ができるということではありませんので、食堂の前には患者さんたちのグループホームがあって、7~8人の患者さんたちが、それぞれめいめいに穏やかに暮らしているという様子も見せていただきました。 コンスタンチーノ先生は、患者さん一人一人がどうしたいかということを、まず話し合うんだと。それぞれが自分の生き方を選択して暮らしていけるようにということを基本にしているんだとおっしゃっていました。 コンスタンチーノ先生も、最後には「これが最良の方法だとは言えない。私たちは最良の方法を探している途中なんです」とつけ加えられました。 この言葉はイギリスでも同じように、コーラルさんが「私たちがやっていることは最良じゃありません。でも、最良の方法を求めて活動しています。日本には日本のやり方があるので、歴史や家族への考え方が違うのだから、参考にしていただいて、日本のやり方を探してください」とおっしゃっていただいて、その言葉もすごく印象的だったなと思っています。 我が国においても、ようやく精神病患者さんに対する対応とか、理解が少しは深まってきていますが、まだまだ支援のケアシステムという点では不十分と言わざるを得ません。 8月31日の新聞で、大阪府箕面市の精神病院の看護婦数が法定基準を満たさず、患者への対応が不適切として立入調査を行ったとの記事が載っていました。病院では、一部患者をひもで縛るなど、身体拘束が日常化していたとありました。イギリスでの取り組みとの違いを改めて痛感したわけです。 そこでお伺いいたします。 現在、緊急の患者が出た場合、どのように対処されていますか。また、病院から退所さた後のケアはどうなっていますか。就労支援はどのようにされていますか。患者の方々が地域や家庭で生活できるように、一人一人に対するきめ細かい支援体制が必要と思います。そのような体制づくりのため、市はどのようにされるお考えですか。3点について、よろしくお願いします。 今回も短い話で申しわけないんですが、イギリス、イタリアというふうに研修の報告をさせていただきました。子供の人権とか精神障害の方々への先進的な取り組みの研修をさせていただいたんですが、通訳はミラノ在住の井沢さんという方にお願いしたんですけれど、その井沢さんのお話によると、そういった人権をすごく大事にされている一方で、やっぱりさまざまな人種差別の問題とか差別の問題を抱えているんだというお話をされていました。 ちょうど、この8月の終わりに、南アフリカのダーバンで世界人種差別撤廃会議が開かれたんですけれども、やはり南北の経済格差を初め、宗教の問題とか難民の問題とか、たくさんのハードルを越さなければならないということを、たくさんの人種のるつぼであるロンドンやイタリアのミラノなんかを歩いて感じたわけです。しかし、人間は、その高いハードルを一つずつ乗り越える努力をし続けなければいけないし、やっぱり続けているんだなということも強く感じました。 しかし、そういった不断の努力にもかかわらず、アメリカにおいて痛ましい事件が起こり、前代未聞の被害と犠牲者が出たわけです。ビル倒壊の現場をテレビで見ながら、一つ一つの窓に一人一人たくさんの方がおられるんだと思うと、本当に胸の締めつけられる思いがしました。暴力は差別の元凶であります。決して許されるべきではないと思うし、暴力は悲しみと憎しみを増幅させることはあっても、問題を何も解決しないという思いをさらに強くしました。 このことをきっかけに、全世界がまた大きな戦争になるのではないか。そういうことにならないことを本当に心から祈りたいし、国としても慎重な態度をとっていただきたいなと強く思いました。 今回は本当に報告というふうなことですので、きょうは、機会を与えていただいたことに感謝いたしまして、第1問を終わります。 どうもありがとうございます。(拍手) ○議長(森田昌伸君) 中野福祉保健部長。 〔福祉保健部長中野凱也君登壇〕 ◎福祉保健部長中野凱也君) 4番藤本議員の御質問にお答えいたします。 児童虐待防止システムに関する質問でございますが、まず、庁内におけるネットワークについてでございます。 児童虐待に関する庁内ネットワークといたしましては、庁内の子供とかかわる私ども福祉保健部と、それから企画部、市民部、教育委員会の関係各室により構成いたしております和歌山市行政組織児童虐待防止連絡会議を平成13年6月8日に設置いたしました。 同会議では、各室が児童虐待について同じ視点でかかわることができるよう、情報や意見交換を行ってございます。また、事例研究や児童虐待の研修にも取り組んでまいりたいと考えてございます。 さらに、保健所を中心といたしまして、これらの庁内各室と保育所や幼稚園等の代表者並びに民生児童委員の代表者により構成いたします子どもの心の健康づくり普及推進委員会を平成13年7月30日に設置いたしております。 この推進委員会におきましては、より多くの子供と親を支えることができるネットワークの形成を目指すとともに、必要な啓発等を推進してまいりたいと思っております。 次に、児童虐待に関する通告をされた後の子供への支援や親への支援についての御質問でございます。 通告された後の子供と親への支援につきましては、本来は専門的なケアにより心の傷を克服し、再び親と子供がともに暮らす力を獲得することが求められますが、我が国の現状では、児童養護施設等にも、また児童相談所にも臨床心理士等の専門職の配置が極めて少ないのが現状であり、親と子供への治療的かかわりは十分とは言えない状況にあると思います。 一方、施設保護とならなかった子供とその親への支援は、本市では、県子ども障害者相談センターと連携して、主に保健所並びに保健センターの保健婦等による訪問や精神保健相談を通して行ってございます。 さらに、子供に対しましては、保健所において箱庭療法や絵画療法等を行うこともございます。また、親の面接の中では、必要に応じて専門医と連携しながら、回復を目指した面接を行うなど、親に対する支援も行っているところでございます。 次に、精神障害者の地域ケアについての御質問でございますが、緊急の患者への対応についてでございます。 精神障害者は、時として社会生活上のさまざまなストレスや服薬の中断等により危機的状況を呈することがあります。こうした危機的状況は、できる限り早期に克服することが大きな問題を招かずに地域生活を継続することができます。 このため保健所では、危機介入アプローチを重視しており、電話相談や来所相談があったときには、必要に応じて受診援助や入院援助、訪問等を行ってございます。また、緊急性の高い患者の受診が円滑に行えるよう、消防局と協力して取り組んでいるところでございます。 危機介入とのかかわりでは、 365日、24時間、安心して受診できる、適切な処置を受けることが可能な医療機関が身近にあることが不可欠であり、早急に和歌山市内に精神科救急の拠点病院を指定していただくよう、県に要望しているところでもございます。 次に、病院退院後のケア及び就労援助についての御質問でございます。 精神病院退院後のケアにつきましては、入院中からかかわりが必要な方には、入院先を訪問し、医療機関の主治医、ケースワーカー、保健所の相談員、本人及び家族を含めた協議の場を持ち、家庭生活や地域生活へのスムーズな適応を目指してございます。必要な場合には、入院中より、保健所におけるデイケアや生活訓練事業であるドロップインコーナーを活用する場合もございます。 また、退院後には、精神保健福祉相談員や保健婦による家庭訪問や来所相談等により、地域生活を支援してございます。 精神障害者の就労支援は、市内共同作業所や通所授産施設、さらにハローワークや障害者職業センターと連携しながら対応しているところでございます。 次に、地域生活支援の体制づくりについてでございます。 きめ細かい地域生活支援の一つといたしまして、保健所では、平成13年度から新規事業として家族相談員養成及び紹介事業を麦の郷高齢者障害者地域生活支援センターに委託して実施いたしております。 これは、精神障害者にとって、身近な隣人が障害者の相談や生活の支援となることを目指すもので、8月末現在で23名の精神障害者が月2回から3回の家族相談員の訪問を受け、話し相手や受診の同伴、清掃等のサービスを受けてございます。 今後この事業の充実を図るとともに、来年度からホームヘルプサービス事業の実施も予定しておりまして、さらにきめ細かい地域生活支援の体制づくりに努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。
    ○議長(森田昌伸君) 4番。 〔4番藤本眞利子君登壇〕(拍手) ◆4番(藤本眞利子君) 再質問というより、意見を言わせていただいて終えたいと思います。 現在、児童虐待については、社会問題となっている背景の中で、関係者の努力にもかかわらず、その解決に向けた具体的な動きが遅いからというふうに言わざるを得ないと思うんです。 今一番問題となっているのは、保護するまでの対応の遅さと、保護した後の子供への支援のシステムができていないということが問題だと感じています。虐待とわかった時点で10日以内に保護できるシステムができているイギリスと比べて、子供センターに通告しても、本当に先ほども言わせていただいたように、人が足りないということもあって、なかなか対処していただけないという日本の対応とは大きな違いがあると思っています。 もう一つの大きな問題は、先般、多田議員もおっしゃっていましたが、親へのケアです。虐待をしてしまう親に対して、まず説得ができないという状況があります。「あなたは虐待をしたでしょう。そのことはきちんと受けとめなければいけません」というふうなことを言えない。また、親の自覚も促せない。そのため、子供の保護がスムーズにいかないということがよくあるわけです。 子供の問題は子供の問題でなくて、大人の問題なわけです。そういった意味で、親に対して説明と教育の支援を行うことは大変重要なことです。虐待にかかわって子供を施設に保護した、そんなことでは問題の解決からはほど遠いと言わざるを得ません。幼児のときから施設に預けられた子供はどんな気持ちで成長するのかと思うと、どういうふうに言ったらいいかわかりません。 それから、施設に入所させても、週に1回は面会を義務づけるとか、親は親で研修とカウンセリングを受けなければならないというふうな義務づけ、こういうことを早急に進めていかないと、児童虐待の悲しい悲劇は続いていくのではないかと思っています。 イギリスでは、乳児から施設に預けるということはないんです。今、日本だったら、乳児院に預けられるわけですが、そういうことは全然なくて、必ず里親のもとに預けられます。そして、親への教育も継続する。両面でいくわけです。 児童虐待にかかわっては、こういうふうに早急な対応と長期的な親への教育とか子供への心のケアとか、その両方をしていかないと本当にだめだと思うので、関係機関の御努力を強くお願いしたいと思っています。 もう1点、精神障害者への支援についてお伺いしました。 このことは、3月議会でも質問させていただいたんで、そのときは精神病院は必要だなと私自身も感じていました。しかし今回、精神病院がなくても十分対応できるというトリエステの実態を目の当たりにしてきまして、なくても十分できるんだというふうに思いました。 ただ、緊急の患者さんの場合のみ、短期間入院できる病院がありましたので、それで十分だとおっしゃっていました。それというのも、患者さんがそういうふうに重症になるまでほっとかないで、きちんと対応して、症状が悪化しないようなケアシステムができているからなんだなと思いました。 精神障害の患者さんの緊急の場合の対応をお伺いして、答弁の中でも、精神科の緊急医療体制の整備とりわけ救急指定病院を和歌山市内に持つことが、というふうに強く県に要望していただけるという回答をいただいたんですが、今は本当に五陵病院の方しかないということですので、市内に本当に緊急の患者さんを受け入れる病院を早く設置していただきたいと思っています。 就労援助についても、精神に限らず、障害を持つ方々がまだまだ差別や偏見の中で就職先もなくて、自立していくことが大変難しい状況なわけです。 作業所とか授産施設もありますが、月に働いて 1,000円というふうな状況のところもあります。家族の方も、とりあえず働く場所があるだけでもありがたいということで、余り施設に対しても強く声を上げられないという状況です イタリアのように、一人一人が能力に合わせて仕事ができる場があれば、どんなにいいだろうかと思ってきました。和歌山市やったら、どんな障害を持っていても、働く場があるんや。協同組合があるらしいというふうなことになれば、トリエステのように、トリエステは全世界から視察が来るわけですので、全国から視察がやってくるんじゃないかと思いますので、ぜひとも、今回の私の質問を福祉のまちづくりの参考にしていただきたいなと思いました。 これで再質問を終わります。市長の登板がなくて、どうも済みませんでした。ありがとうございました。(拍手) ○議長(森田昌伸君) 次に、寒川 篤君。--3番。 〔3番寒川 篤君登壇〕(拍手) ◆3番(寒川篤君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い簡潔に順次質問させていただきます。あとしばらく、よろしくお願いいたします。 私も、新人議員として、2年が経過し、折り返しての議員活動となるわけでございますが、今日までの定例議会における一般質問等において、質問に立たれた先輩、同僚議員からの市政全般についての質問の中で、かなりの回数にわたって、旅田市長の政治姿勢についてという項目が挙げられ、今回も挙げられておりますが、このことは旅田市長の市政に疑義を感じている人が多いということと多少なりともか、大いにかはわかりませんが、問題点を抱えているということであろうと思います。 過去のことはよくわかりませんが、これほどまでに毎回毎回、政治姿勢をただされた市長というのはあったのかと疑問に思っております。 私は、個人的には、市長の好き嫌いは別として、和歌山市のため、市民のため、もっと市長の意見に反対する人の声を真剣に聞いてもらいたいなということも思っております。その結果がどうなるかは、民主主義の世の中ですから、意見の多い方に決まっていくのではないでしょうか。私の目に映るのは、市長の大きな声ばかりで、そこのけ、そこのけとまかり通り、反対意見は表に出ていないようにも思えてなりません。 今、大学問題で激震が起こっておりますが、丸正の耐震審断より、今、和歌山市の4階の耐震検査を優先してする必要があると思えてなりません。冒頭に感想を申し上げまして、本題に入ります。 まず初めに、労働雇用情勢についてであります。 昨日、同僚議員も触れていた問題ですが、私、以前にも雇用問題を取り上げましたが、今回も取り上げさせていただくのは、最近の雇用情勢が一段と深刻化し、かつてない厳しい環境下にあると思うからであります。 我が国の経済は、99年春から2000年にかけて始まった景気回復は、企業部門が回復を示した反面、個人消費や雇用者所得が伸び悩み、経済全体としての回復は非常に腰の弱いものであって、2000年後半には後退局面に入ったところです。 景気が後退局面に入ってしまった直接の要因は、国内生産や設備投資を支え、景気回復を牽引してきたIT関連製品を中心とした輸出の伸びの鈍化であります。 その景気の後退の背景には、構造的な要因としてデフレと不良債権の問題が大きな重圧としてのしかかり、不良債権を抱えた銀行が貸し渋りを行うという直接的な悪影響だけでなく、巨額の不良債権の存在自体が日本経済の将来に対して悲観的な見方をもたらし、それが企業活動を萎縮させているという間接的な影響も相当に大きく、それに伴い、萎縮した企業はより厳しいリストラに走り、それが雇用不安を増長し、所得や消費の低迷をもたらすという悪循環に入ってしまったところです。 一方で、企業の行き過ぎた市場主義も、国民全体に将来に対する不安感をもたらしてきたことも見逃すことはできません。 こうした経済環境の中で、企業のリストラや倒産も急速に進行し、雇用情勢も一段と深刻になり、総務省が7月に発表した労働力調査によりますと、完全失業率は過去最悪の5%台に乗り、完全失業者数も7月としては最悪の 330万人にも達しています。これは、20人に1人が失業者ということで、だれにも起こり得る高失業時代に入ったと言えます。 近畿の完全失業率は6%台と、全国平均より1%以上も高く推移しているところです。また、完全失業者のうち、倒産や解雇、リストラなどによる非自発的離職者は99万人で、自発的失業者は 114万人と増加傾向にあります。 これは、これまで勤めてきた会社を見限って、より条件のいい職を求める人がふえていることを示していますが、そこには自発的失業者が転職しようとしても、企業側が求める能力や技能を持ち合わせていなかったり、年齢制限が壁になったりして、再就職できないという雇用のミスマッチも大きな問題となっているところでございます。 今、雇用形態においても、日本の伝統的な長所と言われてきた終身雇用制度は崩れています。このような状況を見て、改めて思うことは、労働者個人、企業、そして政府がそれぞれの役割を見直さなくてはならないのではないかということです。 労働者個人にとっては、現状の自分の仕事に埋没せず、専門技能の取得など、自分自身の雇用の場を広げる努力をすること。企業においては、一方的にリストラに走るのではなく、従業員の技能取得のための教育訓練を充実して、企業としての拡大の道を模索する努力をすることが必要だろうし、国においては苦しい立場にある企業への支援と同時に、やむなく失業した人への保障の拡充と再就職への道を広げる意味から、新規の業務の開発など雇用の場の拡大に向けて努力するなど、それぞれの役割として求められているのではないかと思うところでございます。 今日までも、危機打開に向けて政府は有効な景気対策の手段を見出せないまま、公共投資を中心とした緊急雇用対策や緊急経済対策、従来的な景気刺激策に頼った施策を打ち出して、それなりの成果があったものの、期待とは裏腹に景気は一向に回復せず、むしろ景気対策が年中行事化することによって、国の財政はますます悪化していくこととなり、巨額の累積債務だけが残るといった悪循環を繰り返しています。 こうした中で、小泉内閣は「経済構造改革なくして景気回復なし」とのキャッチフレーズのもとで、不良債権の最終処理と構造改革に向けて7つのプログラムをまとめ、民間の活力を向上させて、民需主導の経済成長の実現をねらいとしているところです。その過程では、倒産や失業が大幅に増加することが心配されております。 一方で、サービス分野で5年間に 530万人の雇用創出が示されているものの、具体性に乏しく、実現できるか危惧するところでもあります。 構造改革はあくまで最終的に痛みという失業のリスクにさらされるのは個々人であり、その痛みを和らげるための雇用のミスマッチの問題の解消を含め、雇用のセーフティーネットのための思い切った財政支出が求められているところです。 政府も、足元の雇用情勢が厳しさを増す中、雇用対策については構造改革を着実に推進するためにも、失業者の生活の安定と再就職の促進に必要な措置を緊急に講ずるために、法的措置があれば次期国会に提出することを検討しているということで、その具体的な柱は、本年度中の取り組みとして、1つには不良債権最終処理に対応した雇用支援の機動的な実施、2つ目に、新規・成長分野の雇用創出特別奨励金など、その要件緩和も含め効率的な活用を図る、3つ目に、労働者派遣制度、職業紹介事業制度の見直し等が挙げられております。 さらに、2002年の施策として、労働移動の推進や再就職援助計画の対象者を雇い入れる事業主への支援や、失業者の早期再就職への支援等、サービス分野と介護サービスの供給体制の整備を進め、雇用の創出を図るとされていますが、もはや検討の段階ではなしに、新規産業育成による雇用創出や離転職者に対する経済支援や教育訓練、職業紹介といったセーフティーネットを早急に整え、早期に実行するときであると思うところです。 そこで、こうした問題は、一地方行政としでの対応は非常に難しいこととは思われますが、政府が雇用対策及び雇用創出として決定すれば、いや応なく対応を迫られるわけですが、この点についてと、雇用不安の払拭こそ景気回復に必要であるというふうにとらえますが、この点についての御所見を市長にお伺いするものであります。 あと、以下の点について、本市の現状とその後の具体的諸施策について質問いたします。 まず1点目に、平成11年度の6月定例議会の一般質問のときにも、この不況下での雇用対策をどう考えているのかといった質問をさせていただいたとき、答弁として、本市としては関係各団体等と、「日常的に緊密な連携のもとに雇用対策を推進しているところでございます。今後も、国県の動向を的確に把握した中で、安定雇用の拡大に取り組んでまいりたい」という答弁をいただいたところです。 地方行政として、雇用問題に直結する具体策は特に持ち合わせていませんが、その後、今日までどのような関係各団体等へ要請行動を行ったのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。 また、国おいて、先ほど申し上げたような内容の緊急雇用対策が次期国会に提出されようとしていますが、本市においてはどのような取り組みをされるのか、お聞かせいただきたい。 2点目に、本市の雇用問題について、景気の影響とともに、構造的な特徴として、例えば製造業の空洞化による失業者が多いとか、セーフティーネットが十分でなく、失業者の生活困窮者がふえているとかいった特徴をどう把握しているのかお聞かせください。 3点目に、本市の失業状況を、現時点においてどのように認識されているのか、また現時点での失業率もあわせて御説明をお願いしたいと思います。 次に、介護保険の課題についてであります。介護保険制度が始まって1年半近くたちますが、現時点での課題についてお聞きします。 介護保険制度の理念は、高齢者の自立支援であり、介護を社会全体で支え合うということであります。制度がスタートした時点での混乱は多少ありましたが、現在では、措置の時代よりもかなり多くのサービスが供給できるようになり、高齢者の皆さんに喜んでもらっております。 現在の課題としては、制度をみんなで支え合うための保険料徴収を円滑に行うこと、またサービスが措置から利用契約へと変化し、多様な供給主体が参入してきた中で、サービスの質をいかに確保していくかということが挙げられると思います。 そこでお聞きしますのは、1つには、保険料徴収についての現状と普通徴収の未納対策をどうしているのか。 2つ目に、保険料の負担が難しい低所得者のための対応をどうしているのか。また、減額対象となる生活保護境界層認定者は、今、市内にどれくらいおられるのか。 3つ目に、サービスの質の確保及び方策についてどう取り組んでいるのか。 以上3点について、お聞きします。 また、ことし5月の介護支援専門員による事件を受けて、要介護認定調査業務の民間委託をやめて、市主体で行っていくために非常勤の調査員20名を採用して対応していくと言われておりますが、それについてお聞きしたいと思います。 まず、調査員を確保できるのかどうか。非常勤となっておりますが、どういう対象者が当たるのか。また、雇用体制や社会保障面はどのようになっているのか。さらに、民間委託を廃止することによって、認定調査業務は問題がないのかどうか。その点についてお聞きいたします。 次に、去る9月2日、折しも防災の日に、東京新宿の歌舞伎町で起きた雑居ビルの火災により、44人が一酸化炭素中毒ほか、建材やゲーム機のプラスチックなどの石油製品が燃えた際に発生する青酸ガスなどの有毒ガスを吸って死亡したという痛ましい事故に関連してお聞きいたします。 このビルは、窓などの開口部が少なく、出入り口も一つしかなく、階段も狭い上に、荷物でふさがれていたという密室構造で、防火戸も作動しなく、しかも消防法で定められた避難器具も設置されていなかったということで、救助活動もままならなかったと思うところでございます。 こうしたビルに対しての規制は、一定の規模以上のホテルや旅館などの建物で、防火基準に合格した場合は、適マークを交付していますが、規模の小さい雑居ビルには余り厳しい規制はないのではないか。また、市の消防局として、このビル火災を受けて特別査察を実施されていますが、その調査内容なり査察時の問題点への指導はどのようにしているのか、お聞きします。 あわせて、毎年実施している定期査察での問題点の実態や指導について、どのようにしているのかお聞きしまして、第1問の質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(森田昌伸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕 ◎市長(旅田卓宗君) 3番寒川議員の御質問にお答えいたします。 冒頭、寒川先生にしては大変厳しい御指導、御意見をいただきました。これも私の不徳であり、深く反省いたしております。 ただ、1点だけ弁解させていただきたいと思うんですが、忘れもしませんが、15年前に初めて市長にしていただきましたときに、議員さんで、だれ一人味方がないわけです。一体どんなふうにしたら議案を可決してもらうことができるんだろうかと、本当に悩みました、与党はだれもいないわけですから。 そこで得た結論は、たった一つ。昨年度と同じ議案しか提案しないということだったわけです。そうすると、否決されることはないわけです。そういうふうに考えたこともありました。 まことに手前勝手なことを申し上げるようでございますが、毎年毎年同じことを繰り返していると、正直言って批判されることもなかろうかと思います。しかし、批判されるようなことがたくさんあるということは、善意に解釈していただきますと、一生懸命何とか和歌山をしたいというふうにもがいている結果だというふうにも御理解してもらえればありがたいなと思っています。 さて、その中で、今、雇用問題についての御質問がございました。 深刻化する雇用情勢と景気の落ち込みに対応するため、国におきましては緊急雇用対策を中心とした補正予算が検討されております。本市といたしましては、これらの動向を見ながら、臨機かつ積極的に対応してまいりたいと考えております。 また、雇用不安と景気回復の関係でございますが、雇用不安、失業者の増大が景気回復を阻害している点も十分認識しており、今後雇用の安定、失業者対策につきましては、関係機関と連絡を密にしながら対策の強化に努めてまいりたいと考えております。 そもそも私は、今の政府の考え方の中に、一番肝心なことが抜けていると思っています。それは、小泉総理自身「痛みを伴う」と盛んにおっしゃっておりますが、痛みを伴うということがわかっているならば、今、議員さんからお話がございましたように、まず何よりもセーフティーネットの整備が一番大事なんです。そういう一番大事なことを後回しにしてしまって、痛みを伴いますよ。これからはどんどんつぶれていきますよというふうなメッセージばっかり国のトップにある方がおっしゃるものですから、どんどん心理不安になっていく。そしてそれが、今、日本の経済の中に、正直言って非常に悪い効果を生み出しているのではなかろうかというふうに私自身懸念いたしております。 ですから、国の方におきましても、雇用問題を含めた一日も早いセーフティーネットの整備というものを、まず最重点で取り組んでいただきたいと考えておりますし、今後とも市長会等を通じて国に対して強く要請していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 西嶋産業部長。 〔産業部長西嶋真司君登壇〕 ◎産業部長(西嶋真司君) 3番寒川議員の御質問にお答えいたします。 雇用問題に関して、関係各団体の要請行動及び国の緊急雇用対策への対応についてでございます。 雇用問題に関する関係各団体への要請行動につきましては、厳しい雇用、失業情勢を踏まえまして、県市長会に対して、雇用の安定や職業訓練などのセーフティーネットの拡充、拡大を政府に要望すべく要請してきたところでございます。 また、国の緊急雇用対策への対応についてでございますが、過日開催いたしました庁内の和歌山市経済振興対策会議幹事会におきまして、国の施策が決まり次第、速やかに対応することを関係各部局に要請してきたところでございます。今後とも、国、県と関係を密にしながら雇用の創出に努めてまいりたいと考えてございます。 次に、本市の雇用問題について、構造的な特徴をどう把握しているのか、また本市の失業状況をどのように認識しているのかという御質問でございます。 長引く需要の冷え込みから、製造業を中心に慢性的な構造不況に陥っており、さらに地場産業の大半は構造的な不況業種でございまして、地域全体の購買力、消費需要が低下しているため、サービス業の成長も頭打ちの状態にございます。 また、産業構造の転換も進んでおらず、経済活動は停滞と低迷の状況に陥り、減速の傾向が見られると把握しております。 有効求人倍率につきましては、本年7月は全国平均は 0.6倍でありますが、和歌山公共職業安定所管内は0.45倍で、求職者数は1万1,364人であり、前年同月に比べ 9.3%上昇しております。 完全失業率につきましては、全国平均5%で、近畿地方は 6.3%であり、和歌山公共職業安定所管内での雇用保険給付受給者実人員は 5,322人で、前年同月比では18%の上昇となっており、本市の状況は一層深刻さを増していると認識しております。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 中野福祉保健部長。 〔福祉保健部長中野凱也君登壇〕 ◎福祉保健部長中野凱也君) 3番寒川議員の御質問にお答えいたします。 介護保険に係る御質問でございますが、まず保険料徴収についての現在の状況、また普通徴収の未納対策についてでございます。 介護保険料は平成12年10月から徴収が開始されておりますが、平成12年度の還付未済額を差し引いた収納率といたしまして、特別徴収と普通徴収を合わせまして97.8%、また、普通徴収だけで見てみますと89.8%でございます。 普通徴収の未納対策といたしましては、毎期ごとの督促状の発送をいたしてございますが、それでも納付していただけない方に対しましては、催告書を発送するとともに、電話等により納付をお願いしているところでございます。 次に、保険料の低所得者のための対応はどうか、また減額対象となる生活保護境界層認定者は何人いるかということでございます。 低所得者の保険料軽減につきましては、市独自の制度といたしまして、保険料額が第2段階で世帯の年間見込み収入額が一定の基準以下である場合には、申請によりまして第1段階の保険料に軽減をいたしてございます。 また、保険料減額対象の生活保護境界層認定者は、現在6名でございます。 次に、サービスの質の確保と方策についてでございますが、市民の意見並びにサービス提供事業者の意見を反映する必要があることから、市民等から寄せられる相談、苦情の解決に当たりましては、直接現場へ赴き、利用者やサービス提供事業者の意見を聴取するとともに、県とも連携をとりながら、その調整を行っているところでございます。 さらに、附属機関といたしまして介護保険監視委員を設置し、現在、医療、福祉の専門家2名により施設及び事業者の巡視を行うとともに、介護サービス提供体制への講評、御提言をいただいてございます。 今後とも、サービス監視体制の一層の強化、充実を図り、事業所のいかんにかかわらず市民の皆様に安心して質のよいサービスを利用していただけるよう取り組んでまいりたいと思っております。 次に、非常勤の職員の調査員の関係でございますが、20名は確保できるのか、また雇用体制とか社会保障面はどうなっているのか、どのような対象者が当たるのか、さらに民間委託を廃止することによって、認定調査業務に問題は生じないのかという御質問でございます。 非常勤の調査員の採用につきましては、介護保険申請者の身体状況を的確に把握しなければならないことから、専門職を採用してまいりたいと考えてございます。応募資格といたしましては、介護支援専門員、保健士、保健婦、看護士、看護婦、社会福祉士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士を予定いたしてございます。 調査員の確保につきましては、市報わかやまを初め、ハローワークほか各報道機関へのプレスリリース等により、幅広いPRを行い、優秀な人材を確保してまいりたいと考えてございます。 雇用体制といたしましては、現非常勤職員を含め30人体制といたしたく計画しているところでございます。 また、社会保障として年金や健康保険の確保は当然必要であると認識してございますので、来年度から実施できるよう努力してまいりたいと考えてございます。 なお、民間委託を廃止し、市職員が認定調査を行うことにより、要介護者とのかかわりが調査員とケアプラン作成者の複数となるなど、これまで課題となっていた点も改善されるものと考えております。また、新たな問題が生じないように努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 黒田消防局長。 〔消防局長黒田禎純君登壇〕 ◎消防局長(黒田禎純君) 3番寒川議員の御質問にお答えいたします。 まず、小規模雑居ビルには余り厳しい規制はないのではないかとの御質問でございます。 消防局では、延べ面積 150平方メートル以上のものを防火対象物指定として把握しているほか、消防法令においても不特定多数のものが出入りするという関係から、事務所等の用途に比べ、消防設備等の設置基準や防火管理の規定が厳しい内容となっております。 また、総務省消防庁では、今回の火災により、小規模雑居ビル火災緊急対策検討委員会を設置し、防火安全対策の基準及び方策のあり方等について検討、必要な措置を講じると聞いているところでございます。 次に、特別査察を実施しているが、その内容と定期査察の問題点に対する指導はどのようにしているのかとの御質問でございます。 今回の火災にかんがみ、本市では9月3日から約1カ月間の予定で小規模雑居ビルの特別査察を実施中でございます。 また、今回の火災における教訓から、避難経路の確保、消防用設備の維持管理の徹底、防火管理者の選任等について指導するほか、これまでの定期査察では消防設備等の定期点検未実施、消火・通報及び避難訓練の未実施、避難管理等の不備が多いことから、これらをあわせて特別査察の重点事項として実施しているところでございます。この結果については、10月10日に取りまとめることにしてございます。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 3番。 〔3番寒川 篤君登壇〕(拍手) ◆3番(寒川篤君) ただいま御答弁いただきましたので、再質問させていただきます。 まず、雇用問題につきましては、現在の完全失業率は5%と、過去経験したことのない5%ラインを突破して、我々働く者にとっては、この数字の持つ意味は非常に大きく、恐怖感すら伴う危機的な状況に突入したところでございます。 本市の有効求人倍率も7月現在で0.45倍と全国平均を大きく下回り、雇用の現状は依然厳しい状態にあります。 また、現在の厳しい経済情勢のもとで、民間企業にあっては、かつてないリストラのあらしが吹き荒れているところでして、定年間近の従業員の方々は、果たして定年までこの会社におれるのかどうかと不安になっておられるし、それ以前に会社の存続そのものが大丈夫だろうかといった不安もあるところでございます。 こうした中で、市としてもこのような状況にかんがみ、求人情報の窓口であるハローワークや労働行政機関との連携を密にしながら、雇用の促進を図るべく努め、さらにセーフティーネットの拡充、拡大を政府に要望すべく要請もしてきたということでありますが、今日までも雇用の安定と失業者対策についても、関係各署と対策を推進してきたところですが、どのような効果があったのか、その上に立って、今後どのように対処していこうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。 現在、政府におきましては、緊急雇用対策を中心とした補正予算が検討されていますが、それを受けて、市においては予算枠をこなすためだけに努力するだけでなく、業務の対象を広げ、雇用就業機会の創出と雇用の吸収力の高い事業を行うという、雇用拡大につながるような取り組みを望むものであります。 さらに、今後、市の施策として身近なところで仕事をふやすということで、また雇用を創出するという、そういった総合的な観点に立って、この雇用問題について市においても独自の努力をしていただくよう強く求めておきたいと思います。 また、先ほど政府の緊急雇用対策への対応について、市の経済振興対策会議において、関係各部局に要請されたと言われましたが、今後も市長が先頭に立って公的な雇用の創出に取り組まれるよう強く要望します。 次に、介護保険の関係についてでございますが、普通徴収の未納対策については、督促状の発行などをして徴収に努めておると。介護保険の保険料の納付を促進するために、今後とも制度の趣旨普及を徹底し、制度への理解をもっと求めていかなければならないのではないか。この点についてどう取り組んでいくのかお聞きします。 また、低所得者の保険料の負担でございますが、市独自の制度として保険料額が第2段階の減収見込みが一定基準以下である場合、申請により第1段階の保険料に軽減しているということでありますが、保険料減額対象者の生活保護境界層認定者は6名と少ないのは、今の生活保護境界層判定は、本来必要な人に比べ適用者が少ないと思います。 また、このことが保険料の納付率に影響することが危惧されますし、生活保護を受けたくないと思いながらも、保険料だけを減額してもらえば何とかやっていきたいと思っている人はたくさんおられるのではないでしょうか。このことが生活保護に誘導するようなことになる事態は避けなければならないし、社会全体で支えるという介護保険制度の趣旨を損なってはならないと思います。 来月から保険料の満額徴収が始まるわけですが、介護保険制度を守り育てていくためには、みんなで保険料を負担して、そして支え合うという介護保険の趣旨を守った上で、ぜひ前向きな検討をお願いすると同時に、サービスの質の確保等についても、措置から契約へと制度が大きく変化した中で、利用者の選択制の確保を促進し、また第三者--先ほど介護保険監視委員を設置して巡視を行っていると言われましたが、利用者、事業者の間に立って、質の向上を図っていく仕組みは大切であると思います。 今後の課題としては、介護のことで困ったときに、地域で気楽に気軽な感じで相談できる窓口、そういうふうな仕組みやサービスに対し、苦情があったときに相談に乗ってもらえるような仕組みがまた必要ではないかと思うところであります。市としても、積極的に取り組まれるよう要望しておきます。 最後に、雑居ビル火災についてでございますが、雑居ビルの規制については、消防法令において消防用設備や設置基準さらには防火管理について厳しい規制となっているところですが、実態として雑居ビルの経営者においては、名義がころころ変わっているという実態からして、防火管理者も当然変わるということで、違反に対する指摘も放置されているのではないか。こうした点について、本市として今後どのように指導されるのかをお聞きして、私の再質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(森田昌伸君) 西嶋産業部長。 〔産業部長西嶋真司君登壇〕 ◎産業部長(西嶋真司君) 3番寒川議員の再質問にお答えいたします。 関係各署との連携による今日までの雇用の安定と失業者対策についてでございます。 商工会議所、県経営者協会などの関係機関と連携いたしまして、就職ガイドブックの作成や就職セミナーの開催などを行っております。 また、毎年2回開催しております「きのくに人材Uターンフェア」におきましては、平成12年度では 1,536人の大学卒業予定者、再就職希望者が参加し、そのうち 204人が企業に内定しております。 また、これら関係機関に対しまして、機会あるたびに求人の情報周知や採用について積極的に要請しているところでございます。 今後とも、より一層、雇用の安定、創出に努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 中野福祉保健部長。 〔福祉保健部長中野凱也君登壇〕 ◎福祉保健部長中野凱也君) 3番寒川議員の再質問にお答えいたします。 介護保険料の納付促進を図るための制度の趣旨普及等の徹底に対する取り組みについてでございますが、介護保険制度の趣旨普及につきましては、制度施行前から市報わかやま、ラジオ、テレビ、パンフレットの全戸配布また地区説明会等を実施し、広報、啓発に努めているところでございますが、引き続き市報わかやまに保険料納付のお願いを掲載するとともに、本年10月に介護保険のパンフレットを自治会の御協力を得まして全戸配布させていただく予定となってございます。 さらに、現在、保険料を滞納している方には、介護保険は社会全体で支える制度であり、また高齢者にも応分の御負担をいただくものであるということを御理解いただけるよう努力をいたしまして、納付の促進に努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) 黒田消防局長。 〔消防局長黒田禎純君登壇〕 ◎消防局長(黒田禎純君) 3番寒川議員の再質問にお答えいたします。 雑居ビルの経営者が名義をたびたび変更し、違反が放置されている実情であることから、今後どのように指導されるのかとの御質問でございます。 議員御指摘のように、違反が改善されないことが多いことから、経営者及び防火管理者に対して、今回の特別査察の結果を踏まえ、防火研修会などを開催し、防火管理者の責務を果たすよう強く指導してまいりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(森田昌伸君) お諮りします。 本日の会議はこの程度にとどめ延会し、明9月15日、明後9月16日の2日間は休会とし、9月17日午前10時から会議を開くことにしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(森田昌伸君) 御異議なしと認めます。 よって、そのように決しました。 本日はこれにて延会します。          午後2時34分延会   ------------- 地方自治法第123条第2項の規定によってここに署名する。  議長  森田昌伸  議員  浦 哲志  議員  麻生英市  議員  佐伯誠章...