一方、将来の
社会保障制度に対する不安、あるいは自分や配偶者の健康に関する不安、また要介護状態になることに対する不安など、高齢期の生活に対して多くの人が不安を抱いていることも事実であります。
厚生労働省によれば、日本人の平均寿命は平成14年の調査では男女とも過去最高を更新し、男性が78.32歳、女性が85.23歳であり、男性が世界第2位、女性が世界第1位となっております。
一方、女性が生涯に生む子供の数を示す
合計特殊出生率が平成14年には1.32人と過去最低を更新しており、厚生労働省が昨年1月に発表した将来推計人口の予測数値1.33人を下回り、少子化傾向に歯どめがかかっていない状況であります。
急速に進む高齢化と核家族化の進展の中で、21世紀の高齢社会に向けた新しい社会連帯のシステムとして
介護保険制度が導入されてからことしで4年目を迎えました。在宅重視を理想に掲げてスタートした
介護保険制度でありますが、依然として
施設サービスの需要が高いのが現状です。この理由としては、在宅の場合には家族の肉体的、精神的負担がずっと大きいことなどが挙げられると思います。
しかし、現在のように国及び地方の財政が非常に厳しい状況においては、需要量に見合うような
施設サービスの絶対量を確保することは困難であり、また
施設サービスを充実させることは必然的に保険給付費を増やし、結果的には介護保険料を値上げすることにもつながることから、在宅福祉へのシフトを加速させることが重要であると考えます。
ところで、内閣府が2002年12月に65歳以上の
ひとり暮らしの男女3,000人を対象に行った調査によりますと、「日常生活を送る上で介護を必要とするようになった場合、どこで介護を受けたいか」について聞いたところ、「自宅」が29.0%と最も高く、次いで「病院などの医療施設」23.1%、「老人ホームなどの福祉施設」15.8%、「子供の家」8.2%。「
老人保健施設」4.1%の順となっており、自宅での介護を望む割合がやはり高い結果になっております。
一方、「今後、だれかと一緒に暮らしたいか」という問いに対しては、
ひとり暮らし高齢者の71.0%が、今のまま
ひとり暮らしでよいと答えておられます。この結果を見ても、私は高齢になっても住みなれた家や地域の中で、自立した生活を送りたいというのが、多くの高齢者の思いであるということを改めて感じたところであります。
このように、多くの高齢者が望んでいる在宅での生活をかなえるためには、介護保険などの
福祉サービスの充実に加え、
地域コミュニティーの中で相互扶助による介護の補完が広く実行されることが不可欠なことであると考えます。
そこで、高齢者が住みなれた地域で生き生きと住み続けることができるにはどうしたらいいかという観点で、以下、質問を行います。
まず最初に、
地域福祉計画についてお尋ねいたします。
地域福祉の目的は、地域社会の場において援助を必要とする個人や家族の自立を図ることにあると言われております。核家族化の進展、個人の権利意識や生活様式の多様化など、一般的に現代は地域社会とのつながりが希薄化した社会となっております。
しかし、福祉に限らず地域で発生するさまざまな問題は、本来、その地域で解決されることが最も望ましい姿であると思います。しかし、地域の人々の個人的な善意だけでは限界があり、また地域の民生委員さん、福祉団体だけでは問題は解決しない場合があります。私たちの住んでいる
地域社会そのものが、もっと福祉の機能や教育力、生活を守り合える力などを持たなければならないという大きな課題が、今、私たちに課せられているのではないでしょうか。
生活上の問題を抱えた当事者とその周囲の人々が、ともに住みなれた地域で安心して生きがいのある生活を送れる方策を探し出し、その実現を目指すところに地域福祉の出発点があると考えます。
さて、平成12年6月に施行された社会福祉法の改正により、市町村は
地域福祉計画を策定しなければならないことから、本市でも
地域福祉計画の策定作業が進められているものと推察いたしますが、現在までの進捗状況と策定の時期、及び
地域福祉計画の中でうたわれる地域福祉に関する富山市の理念、並びに
地域福祉計画と他の計画、例えば
高齢者福祉計画や
介護保険事業計画などの計画との関係について、まずお尋ねをいたします。
次に、
地域福祉計画の策定において、住民が参画することは非常に重要で意義のあることと考えます。なぜなら、地域の現状を最もよく知っているのが住民自身であり、そうした住民の皆さんが計画づくりに参画することにより、住民の持つ
社会福祉意識が変わり、また地域の力やエネルギーを再発見することにつながるとともに、行政と住民との新しいパートナーシップを創出する絶好の機会となると考えるからです。そこで、
地域福祉計画の策定にどのように地域住民が参画されているのかお尋ねいたします。
次に、
地域福祉計画を新たに策定するに当たり、これまでの地域福祉の現状とその課題の具体的な分析と整理が重要であると思います。そこで、これまでの
地域福祉活動の現状をどうとらえておられるのか、また解決を要すると思われる課題、例えば介護者である家族の疲労蓄積を防ぐための援助策、
在宅介護機器などの利用や介護技術の体得をどうしたらいいかなどについて、どのように認識しておられるのかお尋ねいたします。
また、そうした課題の分析から浮かび上がってくるところの
地域福祉活動の実践目標、及び目標達成のための具体的な方策について、現段階で答えられる範囲でお答えいただきたいと思います。
今日、介護が必要な高齢者を放置したり、暴言を吐いたり、ときには暴力にまで至る高齢者虐待が深刻な社会問題となっていると言われております。こうした新たな問題に対する対応について、
地域福祉計画の中でも対応策を盛り込むことが必要であると考えますが、高齢者虐待に対する行政としての対応やその予防策について御意見をお聞かせください。
また、地域福祉の推進とともに、介護予防やひきこもりの防止ということが在宅福祉の実現にとりまして、重要な課題であると認識をしております。富山市では、保健所において
機能訓練事業、健康教室など身体機能の維持や健康づくりのための各種事業が実施されるほか、地域の在宅福祉の拠点である各
保健福祉センターにおいて、地域内をきめ細かく巡回し、
介護予防教室などを開催しておられます。
また、
在宅介護支援センターでは、要介護認定を受けた結果、非該当になった方や要介護認定を受けるには至らないが、何らかの援護が必要な方を対象に高齢者一人一人に合った
介護予防プランを作成し、家事援助などの
自立支援サービスを提供しています。
さらには、外出支援として
移送サービスや趣味活動などを行う、
生きがい対応型デイサービス事業を実施され、多くの高齢者が利用されていると伺っております。
こうした事業は、要介護状態への進行を遅らせ、結果として
介護保険事業に係る費用の抑制に大きく貢献していると考えますが、介護予防やひきこもりの防止について、改めて当局の御見解をお聞かせください。
今後、高齢者などの要援護者を地域の中で総合的に支える
地域ケアシステムの構築が最重要課題の一つであると考えますが、このことについての御見解をお願いします。
次に、
在宅介護支援センターについてお伺いします。
御案内のように、
在宅介護支援センターは老人福祉法において、市町村が行うべき老人福祉に関する情報の提供並びに相談及び指導などの実施機関として位置づけられており、市町村行政の代替機能を担っている機関でありますが、
介護保険制度が実施されて以降、
在宅介護支援センターは
居宅介護支援事業所を併設して、みずから
介護保険サービスの
ケアマネジメントを行うほか、
居宅介護支援事業者に対する指導、支援の実施などその役割は大きくなっております。
こうした大きな役割を持つ
在宅介護支援センターの現状をどのように認識しておられるのか、またセンターの課題は何であるかについて初めにお尋ねをいたします。
ところで、ニーズを抱えているにもかかわらず、相談窓口に出向いたり、サービスの利用を申請したりすることができない高齢者が存在しているといった指摘がなされております。また、
ひとり暮らしの孤独死、家族からの虐待や介護放棄など痛ましいケースも後を絶ちません。
在宅介護支援センターは、こうした広く援護を必要とする高齢者を地域の中で発見し、見守りを含めた適切なサービスにつなげていく役割を果たすことも必要ではないかと考えます。また、
痴呆性高齢者については、今後増加することが予想されており、早期発見、早期対応によって地域社会での生活を長期に継続できるよう支援することは重要な課題であることから、こうした要援護高齢者の発見、支援、保護、あるいは
痴呆性高齢者の早期発見、早期対応という視点から、
在宅介護支援センターの現状と今後のありようについて当局の考え方をお聞かせください。
また、
在宅介護支援センターには、相談者の範囲を要介護の高齢者に限定することなく、広く生活問題を有している高齢者に対して積極的に相談援助を行い、
サービス利用の調整を実施するという高齢者への
総合相談機能が求められます。このことから、相談に応じる職員自身が福祉に関する幅広い知識を持つとともに、調整能力を高めることが重要であり、そのための研修、指導、支援を行政としてしっかり行う必要があると考えますが、当局の考え方をお聞かせください。
さらに、地域内の個人や団体などと日常の連絡調整を密にするなど、連携を強化することにより、サービスを円滑に提供できる体制づくり、すなわち
地域ケア体制の充実が重要であると考えますが、そのために
在宅介護支援センターの果たす役割について考え方をお聞かせください。
高齢者ができる限り要介護状態にならないように、また要介護状態となった高齢者の心身の状況ができる限りそれ以上悪くならないようにするには、介護予防の取り組みが重要であります。要介護となるリスクの高い高齢者を効率的に把握し、それぞれの高齢者の状況を踏まえて、効率的な
介護予防サービスに的確につなげていく活動は、今後ますます力を入れて取り組んでいかなければならない活動であると思います。そこで、
在宅介護支援センターが
介護予防サービスをコーディネートし、高齢者ができる限りケアを必要とする状態にならない
パワーリハビリを取り入れた予防事業を実施していくことも必要であると考えますが、当局の考え方をお聞かせください。
次に、
社会福祉協議会について質問いたします。
富山市
社会福祉協議会は、市からの補助金や委託料、共同募金の配分金、会費収入などをもとに、地域住民、
ボランティア団体、福祉関係者などと連携をしながら地域福祉の推進を目指したさまざまな事業に取り組んでおられます。
また、各校区においても、自治振興会や民生委員、児童委員、婦人会、
各種ボランティア団体などが中心となり
校区社会福祉協議会を組織し、地域に根差した特色ある
地域福祉活動を展開しております。
さまざまな事業活動の中で、私は、「ふれあいサロン事業」や「
地域福祉推進員の設置事業」などは、地域福祉を推進する上で大切な事業であると思います。
「ふれあいサロン事業」は高齢者や障害者、子育て中の親子などと住民が気楽に、無理なく、楽しく、自由に集い、それぞれの興味や関心に合わせた活動を行ったり、一緒にお茶を飲んだり食事をしたりすることを通じてふれあいを深め、地域での仲間づくりを行うものですが、高齢者の孤独感やひきこもりなどの問題、また子育てへの不安を抱える親が増えていることや、児童虐待、あるいは青少年の非行の問題など地域で発生している課題が多い中にあって、お互いに支え合う
ネットワーク活動を展開し、明るく楽しく集える「ふれあいサロン」を多くの地域でつくり出すことは、地域の持つ潜在能力を高めることにもつながることから大切なことであると考えます。
また、「
地域福祉推進員の設置事業」については、
ひとり暮らしの高齢者や
福祉サービスを必要とする人に対する日常的な見守り活動や声かけなどを通じて、潜在する福祉ニーズを早期に発見し、専門機関につなぐ
地域ボランティアとして
地域福祉推進員の存在は大変重要であると思います。そこで、「ふれあいサロン事業」及び「
地域福祉推進員設置事業」について、各地域での
取り組み状況についてお聞かせください。
次に、
社会福祉協議会の活性化という視点から何点か質問を行います。
第1は、市と校区の
社会福祉協議会の連携、協働をいかに図っていくかが大きな課題であると思います。当局の御見解をお聞かせください。また、同じ
サービスメニューであっても、校区ごとの実情や違いに応じ、各地区が柔軟にサービスを提供することができるよう、各地区の裁量にゆだねることが効果的な
サービス提供体制につながると思いますがいかがでしょうか、御見解をお聞かせください。
第2は、
地域福祉ニーズを掘り起こすため、地域での座談会などを積極的に展開することが必要であると考えますが、御見解をお聞かせください。
第3は、
社会福祉協議会についての市民への広報についてであります。市民の中には、町内会などを通じて会費を徴収されていることも知らない人がいるなど、
社会福祉協議会についてあまり認識しておられない方もいらっしゃることから、その役割や活動内容、予算などについて、市民の理解と認識を深めてもらうよう努めることが大切であると思いますが、御見解をお聞かせください。
第4は、行政と
社会福祉協議会との役割分担を整理し、
社会福祉協議会の性格を明確化することについてであります。現在、
社会福祉協議会の事業は市からの委託事業が中心となっており、
社会福祉協議会の独自性が発揮されていないのではないかと感じております。
社会福祉協議会の性格を生かし、行政の下請的な立場でなく、自主、自立性を発揮した活動をもっと展開する必要があると思いますが、御見解をお聞かせください。
また、現在の
社会福祉協議会の財政状況について、自主的な財源をもっと増やすよう検討すべきではないかと思いますが、御見解をお聞かせください。
5つめに、現在、富山市
社会福祉協議会では
地域福祉活動計画の策定作業を進めておられることと思いますが、基本理念及び計画に盛り込む内容についてお聞かせください。
さて、今、日本は世界に類を見ない急速な高齢化や少子化に伴う生産年齢人口の減少、さらには、経済の低成長化などにより、戦後の
高度経済成長を背景として形成されてきた年金、医療、福祉などのさまざまな
社会保障制度の見直しを余儀なくされております。持続可能な将来につなぐことのできる制度へと再構築するため、今、国において給付と負担のあり方や給付水準などについて見直しが行われております。
また、本市においても、さきに発表されました「富山市
財政危機回避緊急プログラム」において、歳出構造全般の見直しを行う中で、
福祉サービスのあり方についても再構築する必要があると指摘されております。これにつきましては、本会議でもいろいろと議論がなされているところでありますが、私は将来に禍根を残さないよう、この期を逃さずに、しっかりとした対応をとることは非常に大切なことであると思います。
福祉サービスの分野におきましても、一律の、ばらまき的な
サービス提供ではなく、真に必要としている方へ必要なサービスを提供することへの転換が求められていると思います。ある意味では、結果の平等ではなく、機会の平等ということがこれからの時代においては必要であると思います。
一方、このような時代だからこそ、地域の福祉力を充実させることが一層重要であると感じております。今後とも、
相互扶助精神に基づき良好な
地域コミュニティー形成のために、行政が積極的に役割を果たしていくことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
4 ◯議長(島田 祐三君)
森市長の答弁を求めます。
〔市長 森 雅志君 登壇〕
5 ◯市長(森 雅志君)
おはようございます。
佐伯議員の御質問にお答えします。私の方からは、
地域福祉計画についてお尋ねのありましたうち1点についてお答えし、その他につきましては担当部長から答弁申し上げますので御理解をお願いします。
まず、1番最初にありました
地域福祉計画の進捗と策定時期及び
地域福祉計画にうたわれるであろう地域福祉に関する考え方、並びに他の計画との関係についてのお尋ねでございます。
地域福祉計画につきましては、社会福祉法第107条の規定により、住民、
社会福祉事業者、
社会福祉関係者の意見を十分に反映させながら、地域福祉の推進に関する事項として、1番目に地域における
福祉サービスの適正な利用の推進、2番目には地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達、3番目に地域福祉に関する活動への住民参加の促進を一体的に推進することを盛り込んで策定することとなっております。
地域福祉計画の策定に当たっては、地域住民等が積極的に参加し、それぞれの地域で、自分たちのまちにふさわしい福祉とはどうあるべきかを考え、その地域の特徴を踏まえてつくり上げるものとされており、今後の地域福祉を総合的に推進する上で、大きな柱となるものであります。
もとより我々日本の社会は、地域地域でお互いが支え合うということを原則的、基本的な姿としながら発展してきたものだと認識しております。したがいまして、地域における福祉の中身を充実させるときに、住民の皆さん方お一人お一人の積極的な参加や関与というものは、当然、大変大切なものであるというふうに思っております。そういう意味では、今後策定される
地域福祉計画は、1つには「住民参加」、そして
ひとり高齢者のみならず、あらゆる援護が必要な方々を対象としているという意味で、「総合性」というこの2つの特徴を持つことになっていくのではないかと思っております。
今述べましたようなことを踏まえ、本市では、
地域福祉計画を平成15年度から平成17年度までの3カ年で策定してまいりたいと考えております。
具体的なスケジュールにつきましては、1.平成15年度では他都市の状況調査や資料の収集、
福祉関係団体への
アンケート調査、関係部局との調整を行い、策定委員会の設置に向けた準備を行う。2.平成16年度では策定委員会の設置、
市民意識調査の実施、地域住民との座談会の開催などを行い、意見の取りまとめをいたします。3.平成17年度では、
地域ブロック懇談会の開催を行い、住民の意思が反映されるように
地域福祉計画を策定することとしております。
次に、
地域福祉計画と他の福祉分野の個別計画との関係につきましては、相互に密接に関連したものとしなければならないと思いますし、お互いに整合性のとれたものとしていくことが大切だと思いますが、今後の策定の中でしっかりとこのことについては図ってまいりたいと、このように思っているところでございます。
以上でございます。
6 ◯議長(島田 祐三君)
森福祉保健部長。
〔
福祉保健部長 森 彰君 登壇〕
7
◯福祉保健部長(森 彰君)
まず、
地域福祉計画についての質問にお答えいたします。最初は、
地域福祉計画の策定に地域住民がどのように参加するべきかという質問でございます。
地域福祉の推進に当たっては、地域住民の主体的な参加が大前提であることから、
地域福祉計画の策定においても、地域住民の参加とその意見を反映していくことが重要な要素となっております。
本計画の策定に当たっては、住民の意見を反映させるための具体的な方策として、1番目に策定委員への
一般公募委員としての参加、2番目に住民座談会の開催、3番目に市のホームページを用いての
パブリックコメント、4番目に
市民意識調査、福祉関係者へのアンケート、5番目に出前講座や
社会福祉協議会が行っている住民座談会などで出された意見の集約などの実施について検討しているところであります。
次に、
地域福祉活動の現状とその課題についてと、
地域福祉活動の実践目標、それから目標達成のための方策についての質問であります。
少子・高齢化、核家族化、都市化の進展に伴い、かつて地域にあった助け合いの機能や家庭内における扶養機能といった両面の機能が低下してきているところであり、失われつつあるこれらの
相互扶助機能の補完、代替をいかにして図っていくかということが、これからの
地域福祉活動にとって重要な課題であると言われております。
そこで本市では、従来から、地域住民の自主的な福祉活動に要する経費の助成を行い、「
地域ぐるみ福祉活動推進事業」や「
移送サービス事業」「
配食サービス事業」などにより、だれもが住みなれた地域で生きがいのある生活を送れるための取り組みを行っているところであります。
また、
地域型在宅介護支援センターにおきましては、従来から、より身近な在宅介護や介護予防の相談窓口としての役割を果たすとともに、高齢者の実態把握、
介護予防プランの作成、
介護予防教室の開催、介護保険の代行申請などを行ってまいりました。
さらに、平成15年度から、
在宅介護支援センターに地域ケアコーディネーターを配置し、要援護者や高齢者の在宅生活を支援するために、1番目として要援護高齢者支援のネットワークづくり、2番目に介護ボランティアの育成支援、3番目に介護予防、福祉情報の提供、4番目に介護予防ふれあいサークル活動の結成といったような活動を行う「
地域ケア体制推進事業」を展開しております。
これによって、民生委員・児童委員、町内会、医療機関、警察、郵便局など地域を取り巻くさまざまな人々が連携し、地域全体で助け合い、支え合う体制を構築することにより、地域、家庭においてだれもが安心して暮らすことができる社会が実現するものと考えております。
続きまして、高齢者虐待に対する対応、その予防策でございます。
在宅介護の現場では、家族が介護負担によるストレスなどから、介護の放棄や暴力を振るうなどの虐待が発生すると考えられますが、本市では、高齢者虐待の相談は基幹型
在宅介護支援センターや保健所、長寿福祉課などで相談を受けているところであります。
その支援方法については、精神科医師の意見を参考にしながら、保健、福祉の専門家からなる地域ケア会議で検討し、虐待をする人と受ける人を分離するために介護保険施設に入所させたり、虐待をする人の心理的ケアを行ったりしております。
虐待の発見については、実際に高齢者と接触する機会が多いケアマネジャーやホームヘルパーなどからの通報のほか、地域の高齢者を見守る活動として、1つめに保健師、民生委員、高齢福祉推進員などによる訪問活動、2つめに
地域型在宅介護支援センターの実態把握や相談、3つめに長寿会の友愛訪問活動などを推進する中から虐待の発見や防止に努めております。
今後、虐待の効果的な早期発見や予防方法を確立し、カウンセリング技術の向上やサービス計画の見直しを図っていくことが重要であると考えておりますので、国で実施される虐待の実態調査や虐待防止のモデル都市の状況を調査しながら研究してまいりたいと考えております。
続きまして、介護予防、ひきこもり防止についてでございます。
介護保険制度は「在宅重視と自立支援」を基本理念として、介護給付事業の実施とともに、高齢者の要介護状態の軽減や悪化の防止を図り、要介護状態となることを予防するために必要なサービスを提供するものであります。
本市の
介護保険サービスの利用状況は、全国平均に比べ、在宅よりも施設志向が高くなっております。一方、高齢者の多くは介護が必要となっても、在宅で生活することを望んでおり、在宅介護サービスの利用の拡大を図ることが重要な課題となっております。
高齢者が要介護状態になることを予防するとともに、要介護状態となった場合においても、可能な限り在宅で自立した日常生活を営むことができるよう、在宅でのサービスの充実と地域の連帯により、お互いが支え合う仕組みづくりの構築が重要であると考えております。
このため、要介護認定においても「自立」と認定された方や、閉じこもりがちな高齢者を要介護予備軍としてとらえ、これらの方々に要介護状態とならないための
介護予防サービスや生活支援サービスなどを提供していくことが大切であると考えております。
続きまして、
地域ケアシステムの構築が最重要課題でないかという質問でございます。
地域ケアシステムの構築に当たりましては、
介護保険制度が密接に関連してくるものであり、ケアマネジャーや介護サービス事業者、
在宅介護支援センターの機能を活用することが重要なことと考えております。
介護保険制度の基本理念は、在宅重視であり、住みなれた地域で可能な限り自立した生活を送ることができるよう、地域社会で介護を支えることであります。
本市におきましては、
介護保険制度創設後、22カ所の
地域型在宅介護支援センターは、
居宅介護支援事業所の機能をあわせ持ち、居宅サービス事業者や介護保険施設等との
介護保険サービスネットワークを形成し制度の基盤を支えてきております。
しかしながら、住みなれた地域で在宅生活を継続していくためには、
介護保険サービスだけでは十分対応できない部分もあり、それを補うために家庭や地域の相互扶助が必要であります。一方、今日では核家族化や都市化の進展により、家族介護が困難となっており、地域の互助機能も低下してきている状況であります。このような中で、本市では、本年4月に各
在宅介護支援センターに地域ケア推進コーディネーターを配置し、町内会や近隣、ボランティアなどが援護を必要としている高齢者の方を地域で支える要援護高齢者地域支援ネットワークの形成を核とする
地域ケア体制推進事業に取り組んできております。
そこで、本市が
地域福祉計画の中に、
地域ケアシステムの構築を盛り込むに当たっては、地域の皆さんを主体とし、介護保険の
ケアマネジメントと社会福祉のソーシャルワークの2つの機能を持つ
在宅介護支援センターの役割は大変重要であると考えております。
地域ケアシステムの仕組みとしましては、要援護高齢者を「発見・相談するシステム」、地域での「見守り、助け合い、支え合うシステム」を初め、安全で安心した生活環境などが必要と考えております。これらのシステムは、縦割り的に画一的に構築できるものではなく、地域に住む人の思いを尊重し、地域の特性に合った柔軟な形で構築していくことが大切だと考えております。
続きまして、
在宅介護支援センターの現状と課題でございます。
本市における
介護保険サービスの利用状況につきましては、全国平均と比較いたしまして、在宅サービスの利用に比べ
施設サービスの利用が多くなってきております。しかしながら高齢者の方々は、在宅または住みなれた地域で生活することができるよう支援することが重要であると考えております。
そこで、
地域型在宅介護支援センターにおきましては、より身近な在宅介護や介護予防の相談窓口としての役割を果たすとともに、高齢者実態把握、
介護予防プランの作成、
介護予防教室の開催、介護保険の代行申請などを行ってまいりました。
さらに、今年度からは本市独自の事業として、地域ケア推進コーディネーターを
地域型在宅介護支援センターに配置し、要援護高齢者を地域で支え合う
地域ケア体制推進事業に取り組んできております。また、基幹型
在宅介護支援センターにおきましては、施設入所者の在宅復帰を支援するための研究会を設置し、意向調査を行うなど「施設入所者在宅復帰支援モデル事業」に取り組んでおります。このように
在宅介護支援センターの役割はますます重要になってくるものと考えております。
介護保険制度では、基本理念として在宅重視と自立支援を実現することが掲げられていることから、本市におきましては、
在宅介護支援センターが中心となって地域の介護力を高め、高齢者の在宅での自立した生活を支援することが課題であると考えております。
続きまして、要援護高齢者あるいは
痴呆性高齢者への対応策としての
在宅介護支援センターの現状と今後のあり方についての質問であります。
地域型在宅介護支援センターでは、介護福祉士などの専門職員が65歳以上の
ひとり暮らし高齢者の方を中心に家庭訪問を行い、実態把握を行っており、要援護高齢者の発見あるいは
痴呆性高齢者の早期発見に努めております。
また、実態把握の結果に基づき、要援護状態にならないように必要に応じて
介護予防プランを作成し、地域ケア会議で検討を行うとともに、各種
福祉サービスや
介護保険サービスの申請代行を行っております。
今後は、地域ケア推進コーディネーターが中心となって、ネットワークを活用しながら、よりきめ細かく地域に入り、高齢者の実態を把握できる仕組みをそれぞれの地域に合った形でつくり上げ、要援護高齢者の早期発見、早期対応に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、
在宅介護支援センターの職員の能力を高めること、そのための研修、指導、支援が必要ではないかとの御質問でございます。
本市では、
在宅介護支援センターの職員の資質の向上を図るための研修として、1つめに、富山市
在宅介護支援センター職員研修会の開催、2つめに、ケアプラン作成技術の向上を図るためのケアプラン指導研修チームによるケアプランの検証、3つめに、ケアマネジャーの実態に応じたケアマネジャー研修会の開催、4つめに、
ケアマネジメントリーダーによる個々のケアマネジャーへの相談や指導・援助などを行ってまいりました。
さらに本年度は、有能なコーディネーターを育成するため、
地域ケア体制を推進するためのソーシャルワークの援助技術の向上を目的とした地域ケア推進コーディネーター会議を開催するとともに、中堅ケアマネジャーの研修会を開催し、ケアプラン検証マニュアルを作成したいと考えております。
在宅介護支援センターの職員には、福祉に関する幅広い知識と調整能力が必要であり、今後も研修や指導、支援をしっかり行ってまいりたいと考えております。
続きまして、
地域ケア体制の充実、このために
在宅介護支援センターが果たす役割についてであります。
地域ケア体制の充実を図るための
在宅介護支援センターの役割といたしましては、高齢者の方々が住みなれた地域で安心して在宅生活ができるよう、援護を必要とする高齢者と地域の方を結びつけ、地域の実態に応じて地域の皆さんと一緒に「地域ふれあい 助け合い 支えあい活動」を推進していくことが重要であると考えております。
そのために本市では、本年の4月より、各
地域型在宅介護支援センターに地域ケア推進コーディネーターを配置し、地域での説明会の開催、要援護高齢者地域支援ネットワークづくり、介護ボランティアの育成支援、介護予防、福祉情報の提供、介護予防ふれあいサークルの育成などに取り組んでいるところであります。
これまでに154会場での説明会を開催し、57の要援護高齢者地域支援ネットワークと、33の介護予防ふれあいサークルが結成されており、今後とも、
地域型在宅介護支援センターが中心となり、
地域ケア体制を推進していきたいと考えております。
続きまして、
在宅介護支援センターが
介護予防サービスをコーディネートするときに、
パワーリハビリを取り入れた予防事業が必要ではないかという御質問でございます。
高齢者ができる限り要介護状態にならないように、また、要介護状態になった高齢者の心身の状態がそれ以上悪くならないよう、
在宅介護支援センターにおける介護予防の推進が重要であると考えております。
現在、
地域型在宅介護支援センターにおきましては、地域の高齢者の皆さんの実態を把握し、必要に応じた
介護予防プランの作成、転倒防止や閉じこもり予防の
介護予防教室の開催、介護予防ふれあいサークルの育成を行っております。
御質問の
パワーリハビリテーションは、虚弱な高齢者を要介護状態にしないために、また、要介護状態になっている人はもう一度自立を取り戻すことをねらいとしております。主な手段としてマシントレーニングを用い、日常生活に必要な身体的パワーを増大させ、これをもとに活動への自信・安心感をもたらして、活動的な日常生活を再び取り戻すという行動変容を最終目的とする大変有効なリハビリテーションと言われております。このことから、今年度は、基幹型
在宅介護支援センターが実施しております施設入所者在宅復帰支援モデル事業の一環として、施設入所者の方を対象に
パワーリハビリテーションを導入することとしております。
今後は、高齢者の方々が利用しやすいよう、介護保険施設、民間事業者にも
パワーリハビリテーションの普及を図り、介護予防事業のより一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、
社会福祉協議会に関する質問でございます。
最初は、「ふれあいサロン事業」、「
地域福祉推進員設置事業」についての
取り組み状況、また、市
社会福祉協議会と校区(地区)
社会福祉協議会との連携、協働について、さらに各地区の裁量にゆだねることが効果的でないかという質問でございます。
富山市では、だれもが住みなれた地域において、生きがいのある生活が送れるよう、地域での福祉ニーズを地域の中で解決できる地域福祉ネットワークを構築するため、「
地域ぐるみ福祉活動推進事業」を実施し、地域での土壌づくりに努めているところであります。
この事業は、富山市
社会福祉協議会を事業主体とし、地域住民の自主的な福祉活動に対して助成するものでありますが、「ふれあいサロン事業」、「
地域福祉推進員の設置」もその活動の一つであり、平成14年度、「ふれあいサロン」は10校区で実施されており、「
地域福祉推進員」は平成14年度、8校区で設置されております。
富山市
社会福祉協議会と
校区社会福祉協議会の連携につきましては、これまで「
地域ぐるみ福祉活動推進事業」などを通して、地域福祉の推進に努めてきたところであります。
現在、市が展開しております地域で高齢者などの要援護者を支え合うための「
地域ケア体制推進事業」などを効果的に推進するためには、
校区社会福祉協議会が地域住民とともに地域の特性を生かし、要援護者などのニーズに応じた
地域福祉活動を推進していくことが必要であると考えております。
続きまして、地域福祉のニーズを掘り起こすための各地域での座談会などについての質問でございます。
富山市
社会福祉協議会では、地域での福祉ニーズを把握するために、平成14年度から、校区の
社会福祉協議会ごとに地域福祉座談会を33校区で開催し、幅広い住民の方々との意見交換を行っておられます。本市といたしましても、座談会には職員を派遣するなど地域住民とともに福祉活動の推進に努めているところであります。
このように、地域住民の方々から直接意見を聞くことは、地域住民の福祉への関心を高め、また要援護者を地域で支え合う体制づくりにつながる大変有効な手段と考えております。
続きまして、富山市
社会福祉協議会の会費、役割、活動内容、予算などの周知についての御質問であります。
富山市
社会福祉協議会は、富山市における社会福祉事業の健全な発展及び社会福祉に関する活動を活性化することにより、地域福祉の推進を図ることを目的としているものであります。
社会福祉協議会は、地域で支え合う
地域福祉活動を推進するために会員制度を設けております。会員となるのは、富山市民、
社会福祉協議会の趣旨に賛同した福祉団体、施設及び事業所でその会費は年額、一般会員(一般市民)1世帯当たり50円、団体会員(福祉団体)1団体当たり5,000円、施設会員(福祉施設)1施設当たり2,000円、賛助会員(各事業所)1口当たり1万円となっております。
社会福祉協議会では、その役割、予算などについて、市民の皆さんに知っていただくため年4回広報誌を全戸に配布されているところであります。
また、今年度からは
社会福祉協議会のホームページがリニューアルされ、詳細な事業案内のほか、ボランティア情報についても掲載されているところであります。
社会福祉協議会の活動内容を市民の皆さんに理解していただくことは大変重要であることから、今後ともPRに努めていただく必要があると考えております。
続きまして、
社会福祉協議会の性格を生かし、自主性を発揮した活動を展開するためには、
社会福祉協議会の自主財源を増やす必要があるのではないかという質問でございます。
社会福祉協議会は、社会福祉基礎構造改革により、地域福祉の推進の中核として位置づけられております。このことから、地域のニーズにこたえた
福祉サービスを展開するためには、地域に根差した事業活動と組織づくりをさらに強く推し進めていく必要があると考えております。
社会福祉協議会の財源につきましては、市や県の補助金・委託料と会費収入、寄附金、共同募金の分配金及び基金の運用益などの自主財源並びに事業収入によって構成されております。しかしながら、平成14年度では、自主財源の占める割合は4.5%にとどまっているところであります。
社会福祉協議会基盤強化部会においても、会員制度、組織体制の充実、財政基盤の強化が検討されており、自主財源の確保は、
社会福祉協議会の本来あるべき地域福祉を推進するために必要なことでありますが、現在の社会経済状況のもとでは大変厳しい課題であると考えております。
最後に、
社会福祉協議会が策定中であります
地域福祉活動計画の基本理念、それに盛り込む内容についてであります。
地域福祉活動計画は、全国
社会福祉協議会が制定した「新・
社会福祉協議会基本要項」の中で策定することが規定されております。本計画の策定に当たっては、地域住民や各種団体とともに住民総参加で、地域福祉の推進を図る仕組みづくりを盛り込みながら策定するものとなっております。
富山市
社会福祉協議会においては、平成14年度に設置された
地域福祉活動計画策定委員会の地域福祉部会、
福祉サービス部会、
社会福祉協議会基盤強化部会の3部会で検討を重ねるとともに、地区座談会で住民の意見を聞きながら、平成15年度末をめどとして「富山市
地域福祉活動計画」の策定に取り組んでおられるところであります。
平成15年3月には、策定委員会において中間報告をとりまとめられ、計画の趣旨、基本理念、基本構想が示されたところであります。
計画の趣旨につきましては、策定の背景や基本的位置づけのほか、地域の歴史、環境を生かし、保健・医療・
福祉サービスが一体的に結びついた地域社会の構築といった計画の目的、意義が示されております。
基本理念につきましては、「だれもが住みなれた地域で安心して生きがいをもって生活できる福祉のまちづくり」を掲げております。
基本構想につきましては、1つとして福祉活動の推進とネットワークづくり、2つめに住民の立場に立った
福祉サービスの推進、3つめに地域住民の理解と参加による
社会福祉協議会の基盤強化の推進が挙げられているところであります。
また、この計画に盛り込む内容につきましては、現在、策定委員会において検討されているところであります。
以上であります。
8 ◯議長(島田 祐三君)
2番 佐藤 則寿君。
〔2番 佐藤 則寿君 登壇〕
9 ◯2番(佐藤 則寿君)
平成15年9月定例会に当たり、公明党より一般質問させていただきます。
9月5日付の広報とやまに掲載された、「電気仕掛けの食生活」という市長の「ほっと・エッセイ」が目にとまり、大変興味深く拝見させていただきました。また、我が党県本部では、この17日、「富山を食の安全先進県に」を求めた12万890名の署名簿とともに、食の安全確保を知事に申し入れたところであります。
そこで、初めに食の安全に関する質問をさせていただきます。
一昨年、日本初のBSE、いわゆる狂牛病感染牛の発見が公表され、以後、食品の偽装、虚偽表示、食品添加物、残留農薬問題など国民の不信、不安につながる事件が相次ぎ、食の安全に対する信頼は大きく崩れました。こうした状況を解消し、食の安全を確保するため、我が党は政府に対し、新たな食品行政の構築に向けて消費者重視農政への転換に関する申し入れや、リスク評価機関の設置などを求めてまいりましたが、さきの国会で食の安全に関する法整備が進み、食品安全基本法のほか関連7法案の成立をみたところであります。
そこで第1の質問ですが、「食品安全基本法」は食の安全と国民の健康を守ることを目的にした法律で、いわゆる食の憲法ともいうべきものと評価しておりますが、同法に対する市長の御所見をお聞かせください。
国民の健康を守るために、欧米では、既に常識化しているリスク分析、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの実現と、不正を厳しく監査する食品安全委員会がこの7月に内閣府に発足しました。リスクとは、望ましくないが起こる可能性があり、それを完全に予想できないことを意味します。世界中の新食品が洪水のようにあふれ、国際化、情報化が加速する不測の現代において、絶対確実というゼロリスクはあり得ない。これを消費者にきちんと説明し、伝えるのが情報開示というリスクコミュニケーションです。リスクコミュニケーションはドッジボールではなくキャッチボール。対決ではなく、ちゃんと向かい合う対話であるべきと考えます。
また、食の安全は生産者、流通業、小売業、料理人、消費者にとっての共通目標であり、老若男女、貧富、職業、価値観の差を超えた最大関心事の一つであり、行政、産業、企業、メディア、家庭、学校、地域社会がみんなで連携し真剣に取り組まなければならない重要課題であります。
そこで、第2の質問ですが、以下5点について当局の見解をお答えください。
1.現在の残留農薬検査の実施状況と今後の強化策について。2.食品検査体制の現状とその強化、拡充について。3.農薬適正使用や、品質と衛生の管理、表示の適正化を指導し、また消費者にも対応する専門相談アドバイザーの配置を検討してはどうか。4.食生活に対するトレーサビリティシステムの推進について。5.食の安全に対する市民への市独自の情報提供を検討してはどうか。
さて、いつでも、どこでも食べたいものが食べられる社会、飽食の時代と言われる現代にあって、食の基となる農業への関心は薄れる一方です。以前、ある民間調査機関が東京都内の小・中学生に、「農業」と言われて思い浮かぶ光景を描いてもらったところ、農業が身近にある子供たちが田畑などを力強く描いたのに対し、そうでない子の絵には魚や野菜の絵、中には農業の意味がわからないと書いた子もいたとの驚くべき報告がありました。
私は、「食」や「農」をないがしろにすることは、自分自身の生命を軽視することにも通ずると考えております。
かつて、日本の学校カリキュラムに体育はあっても食育はなく、保育所には交通安全教育は存在するが、食の安全学習に役立つ台所育児はほとんどありませんでした。食育という言葉は、明治後期ごろまで広く知られていて、食・体・知・才・徳と5育があり、食育はその基本だったといいます。明治のベストセラー「食道楽」の著者村井弦斉は、その中に「小児には徳育、智育、体育よりも食育が先。体育、徳育の根源も食育にある」と書いております。
食とは私たちの元気と健康のもと、命の源は食であり、食育は幼児期から食を賢く選び、自分の健康は自分で守る生涯学習、食育こそ高い配当が期待される未来への健康投資であり、最良の予防医学であるとも言われます。
そこで第3の質問ですが、農林水産省では「食を考える月間」「食育推進委員会」が設置されていると伺いましたが、本市といたしましても、食卓から生産者まで顔の見える信頼関係の構築、食料自給率の向上を目指し、食に関する地産地消、旬産旬消など産直、原産地表示を含む市民啓発が必要と考えますが、当局の所見をお答えください。
第4に、幼児から児童・生徒まで食育に対する教育の取り組みをお聞かせください。
第5に、地産地消を学校給食で推進する宇都宮市では、独自の農産物供給システムを構築し、全小・中学校で地域農産物を使った給食を始めると伺いました。これは地域の農畜産物を使用することで地元の自然や農業などを理解し、郷土愛をはぐくみ、また児童・生徒に新鮮で安全な食を供給できるメリットもあると思います。本市においても同様のシステムの構築を図るべきと考えますが、当局の所見をお答えください。
私が、PTA会長を務める中学校では、6月に保護者による給食の試食会を開催いたしました。同校では本年4月から、市として初めて委託方式で開設した南学校給食センターの利用を開始したこともあり、その関心も高く、昨年の倍の20名ほどが参加され、安全対策に関する質問のほか、栄養士や職員による献立の作成過程から施設の概要説明に至るまでさまざまな苦労話などを聞き、大変好評でありました。また後日には、保護者と同センターとの相互理解をさらに図るための広報誌を作成するため、数名の広報委員とともに同センターの取材にも同行いたしました。そこでは、子供たちに必要な栄養のバランスを考慮しながらも、食べやすくかつ安全な給食をいかにつくるかなど、陰で働くスタッフの方々の不断の努力を目の当たりにし、取材を兼ねた有意義な研修会となりました。これらの経験を通し、私は改めてこのような学校給食の保護者への試食会などの開催の必要性を痛感させられました。
そこで第6の質問ですが、現在、保護者による給食の試食会の開催は各学校の主体性に任せて行うと伺いましたが、さきにも述べた食育の観点からも、市内全小・中学校での開催を毎年行うよう積極的に指導するべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
また、給食センターでの試食会、見学会、また、説明会の開催なども積極的に企画啓蒙するべきと考えますが、あわせてお答えください。
第7に、近年、給食を児童・生徒とともに食する教諭さえ給食を残すことが多いのではないかとの声もよく耳にいたします。さまざまな個別事情もあるとは思いますが、この際、現場教諭の食育に関する再認識の必要もあると思いますが、教育現場の実態掌握もあわせ当局の所見を伺います。
第8に、各家庭に配布される給食だよりでは、食材の生産者や栄養士、調理者の顔も見えるような、さらなる工夫もするべきと考えますが、当局の見解を求めます。
第9の質問として、市内で生産された野菜や果物、水産物などの産品を学校給食や旅館、飲食店等でさらに使用しやすくするためのネットワークの構築を図るべきと考えますが、現在の取り組みも含め当局の所見をお伺いいたします。
次に、学校週5日制について2点お尋ねいたします。
第1に、同制度については、多方面からさまざまな御意見をいただくことがあると思いますが、導入から1年が過ぎた今、当局の率直な所感をお聞かせください。
第2に、全国的にも学校関係者や保護者、地域住民の代表で構成する「学校評議員制度」をスタートさせ、子供の立場に立った学校運営を市民参加型で推進しております。メンバーは、学校関係者や保護者、地域住民の代表者数名で構成され、定期的に会合を開催し、学校週5日制の中にあって、クラブ活動や土曜日の体験活動への支援体制など、地域住民を巻き込んだ学校運営を検討しているようですが、本市での
取り組み状況と今後の展望をお聞かせください。
次に、若者の雇用対策についてお伺いします。
デフレの重圧に苦しむ日本社会に、もう一つ経済活動を収縮させる問題が浮上しております。それが若年者の雇用問題です。6月の完全失業率調査では、15歳から24歳の若年層が12.2%と全世代の中で突出しているとの結果もありました。
若い人たちと話をすると、やはり話題になるのが仕事のことが多く、「自分に合った仕事をしたい」「就職先が見つからない」「正社員になりたい」等、長引くデフレ不況の影響で若年層の雇用環境が悪化し、やる気のある多くの若者たちが自分の力を発揮する場所を見つけられないでいることを感じます。深刻な若年者の雇用対策を積極的に推進することが必要と考えます。
そこで、以下、質問をいたします。
第1に、全国の自治体では行政のワークシェアリングによる若年者の雇用対策が行われていると思いますが、本市の今後の取り組みをお答えください。
富山市では、国の若年者トライアル雇用事業を活用し、引き続き常用雇用した事業主に対し、市独自の「若年者緊急雇用奨励金」交付制度を設けております。
そこで、第2の質問ですが、同制度の活用状況とその効果に対する当局の所見をお聞かせください。
2003年度の国民生活白書によると、このまま雇用悪化が続くと若者の職業能力は高まらず、経済全体の生産性を低下させると危惧しております。
一方、「若者自立・挑戦プラン」が6月26日、政府の経済財政運営基本方針に盛り込まれました。来年度予算の概算要求では、このプランに基づき、若者の就業や人材育成を進める関連施策に、前年度予算比で2.65倍増額の重点配分がなされ、高どまりが続く若年失業率の改善に期待が寄せられます。中でも特に、若年の就業促進や職場の定着の効果が期待できるのが、企業実習と教育訓練を組み合わせて、即戦力となる職業人を育てる日本版デュアルシステムの導入であります。
そこで、第4の質問ですが、1.デュアルシステムに類似または付随した施策の検討はないか。2.学生、生徒が実際にオフィスや工場などで就業体験をするインターンシップの推進について。3.若年者ジョブサポーターによる、新規学卒者等のマッチングの強化策について。4.若者の進路、就職相談を専門的に行う若者キャリアコンサルタントの導入について。5.定職のないフリーターなどの就業を支援するため、相談、研修から職業紹介までの一貫したサービスを提供するワンストップサービスセンター、通称ジョブカフェ設置を図れないか。6.その他、若年雇用対策に取り組む当局の姿勢と具体策について。以上、6点に対する当局の見解をお答えください。
最後に、聴覚障害者支援策についてお尋ねいたします。
我が党青年局では、この夏、携帯電話の契約会社を変えると番号も変えなければならない不便な状況を解消するため、会社を変えても番号はそのまま使える番号ポータビリティー(持ち運び)制度の導入を求める署名運動を展開し、富山県で7万人、全国で1,000万人を超える署名簿とともに政府に要望書を提出いたしました。
ところで、私たちはこれまでも、さまざまな角度から聴覚障害者支援策を提言してまいりました。私も聴覚障害を持つ方や聾唖の方とお会いする機会も多く、障害者のための先端技術の開発を望み、特に携帯電話の進歩には大きな期待を寄せてまいりました。御存じのとおり、今やその機能は音や声だけの情報交換ツールではなく、光や振動、メールによる文字、また画像による情報伝達が有効に使えます。今後はさらなる機能の搭載も予想されます。
そこで過日、松山市において最先端技術を導入した「災害要支援者向け通報システム」を全国で初めて採用したとの報道を目にしました。これはすべての市民がいつでもどこでも119番通報できる体制を築くことを目的としたもので、携帯電話からのメールによる緊急通報が可能になるだけでなく、聴覚障害者や声で119番通報することが難しい人が、カーナビなどで使われるGPS機能を内蔵した携帯電話で発信した緊急通報を、即時にキャッチし素早く対応できるというシステムです。
富山市では、現在、音声で通報できない方への緊急通報はFAXによる対応がなされております。そこで、本市においても全市民の生命を守るため、また障害がお有りの方々や御家族の不安解消のためにも、将来的な利便性をも見据えた新システムの研究とその導入を緊急に図るべきと考えますが、当局の前向きかつ積極的な答弁を期待し、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
10 ◯議長(島田 祐三君)
森市長の答弁を求めます。
〔市長 森 雅志君 登壇〕
11 ◯市長(森 雅志君)
佐藤議員の御質問にお答えします。私の方からは、最初にございました食の安全についてお尋ねのうち1点についてお答えし、その他につきましては担当部長から答弁申し上げます。
「食品安全基本法」に対する所見を問うとのお尋ねにお答えをいたします。
「食品安全基本法」は、食品の安全性の確保に関し、国、地方公共団体及び食品関連事業者の責務並びに消費者の役割を明らかにするとともに、施策の策定に係る基本的な方針を定めることにより、食品の安全性の確保のために必要な施策が総合的に推進されることを基本理念として新たに制定されたものであります。
このことは、輸入食品や残留農薬の問題、BSE発生問題、さらには食品取扱業者による偽装事件等による国民の不安解消を背景に制定されたものであり、食品の生産から供給の各段階における安全を確保する体制づくりが必要であると考えております。
このことから、検査体制のさらなる充実やいろいろと御指摘もいただきましたように、トレーサビリティによる食品情報管理の徹底などを図るとともに、中でも地元の安全でおいしい食品を推奨するという地産地消を推進すること、そして一層の食の安全の確保をしていくことが重要であると認識をいたしております。
また、この「食品安全基本法」の制定を受け関連する法律も改正されたところであり、富山市におきましても「食品安全基本法」を柱として、従来からある「食品衛生法」を初めとした法律を活用することにより、食品の安全性を確保し、市民の健康を守ることに努めていく必要があると考えております。
もとより、食の安全を確保するということは、今も申しましたように極めて重要なことでございますけれども、その際、我々消費者一人一人の姿勢もまた重要な問題なんだと、このように思っております。一時期ありました、カイワレ大根の事件のときの風評被害でございますとか、偽装表示に関連してその当該商品でないものも含めて、そのメーカーの食品が一切市場から消えるなどといったことは、果たしていかがなものかなとの思いも持っております。風評被害に惑わされることなく、また過剰な反応に流されることなく、生産、流通、商品、あらゆる段階で落ち着いた対応をしながら、もって食の安全を確保していくという体制づくりが大変大事ではないかということも思っていることを申し添えて答弁とさせていただきます。
12 ◯議長(島田 祐三君)
森福祉保健部長。
〔
福祉保健部長 森 彰君 登壇〕
13
◯福祉保健部長(森 彰君)
食の安全について、その取り組みについてのうち、最初は残留農薬検査の実施状況と今後の強化策についてでございます。
食品に残留する農薬については、「食品衛生法」で229種の農薬について、132の野菜、果物及び穀類の種類ごとに計約9,000の残留基準が定められており、国内を流通する食品については、都道府県の衛生部局や保健所が中心となり監視指導を行うことになっております。
残留農薬の検査につきましては、富山市特産の呉羽ナシを定期的に収去検査をしているほか、小松菜の依頼検査を受けるなど、昨年は延べ4検体40項目の検査を実施しております。
次に、若年者ジョブサポーターによる、新規学卒者等のマッチングの強化策についての御質問にお答えいたします。
若年者ジョブサポーター、いわゆる就職支援相談員につきましては、在学中の早い段階から就職支援を行うものであり、平成14年度に設置されております。
この若年者ジョブサポーターにつきましては、県内では、富山と高岡の公共職業安定所においてそれぞれ1名が本年2月から4月までの3カ月間配置され、高校への出張相談を初め、就職活動から職場定着までマンツーマンによる一貫したきめ細かな支援が行われてきたところであります。
本市としましては、この制度は若者の就職支援に大変効果があるものと考えており、これまで以上に新規学卒者などのマッチング(求人側の意向と求職側の希望を一致させ就職に結びつけること)が強化されるものと期待しているところであります。
次に、若者の進路、就職相談を専門的に行う、若年者キャリアコンサルタントの導入についての御質問にお答えいたします。
国においては、若年者の適性や経験に合った職業選択ができるよう助言する専門の相談員(若年者キャリアコンサルタント)を、学校や公共職業安定所に配置し、若年者の職業的自立に向けた支援機能の充実を図ることとされております。
本市といたしましては、この制度により、生徒が自分に適した職業選びのための適切なアドバイスを受けることができ、これまで以上にきめ細かな職業指導、進路指導が行われるものと考えており、雇用のミスマッチの解消についても大きく寄与するものと期待しているところであります。
次に、フリーターなどの就業を支援するため、相談、研修から職業紹介までの一貫したサービスを提供するワンストップサービスセンター、いわゆるジョブカフェの設置を図れないかという御質問にお答えいたします。
若年者のためのワンストップサービスセンター、いわゆるジョブカフェは若者の生の声を聞き、能力開発や就職情報の提供、就職相談など就職支援を一体的に行う施設として、県が主体となって設置することとされております。このワンストップサービスセンターは、地域の実情に応じた職業指導や就職支援に寄与するものと考えております。しかし、現段階では、具体的な設置計画などについて国からはまだ示されていないところであり、本市といたしましては、引き続き情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
最後に、その他、若年者雇用対策に取り組む市の姿勢と具体策についての御質問にお答えいたします。
若年者の雇用対策については、国の「若者自立・挑戦プラン」に盛り込まれた各種施策により、やる気のある若年者の職業的自立が促進され、その雇用環境の改善が図られるものと考えております。
本市では、地域社会を担う若年者の雇用対策は重要な課題と考えており、今後とも、1つには若年者緊急雇用奨励金の交付、2つには市ホームページを通じての就職情報の提供、3つには市内の企業や経済関係団体への訪問を行い、若年者の雇用の要請、4つには富山公共職業安定所との連携による合同就職面接会の開催などの施策の充実を図り、若年者の雇用の促進に努めてまいりたいと考えております。
なお、雇用対策につきましては、雇用対策法や職業安定法などにより、国の施策、地方公共団体の施策、事業主の責務、また民間などの行う職業紹介などについてそれぞれ機能、役割が定められておりますが、市民ニーズが多様化してきている今日、地方公共団体における職業紹介などその領域を拡大していくことも求められており、雇用施策の総合的な推進が必要ではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
22 ◯議長(島田 祐三君)
山本消防長。
〔消防長 山本 秀光君 登壇〕
23 ◯消防長(山本 秀光君)
聴覚障害者支援策についての御質問で、聴覚障害者や声で119番通報することが難しい人が、GPS機能を内蔵した携帯電話で緊急通報できるシステムの導入を緊急に図るべきと考えるがどうかについてお答えいたします。
聴覚や言語に障害のある人からの緊急通報受信対策として、一部の都市ではメールによる受信体制も導入されておりますが、この場合、通報場所を特定することが困難な状況であります。
このことから、本市においては、本年度末の運用開始を目指し、現在構築中の「消防総合指令情報システム」の中で、GPS機能を有している携帯電話からの緊急通報を受信できるよう整備を進めているところであり、障害のある人などからの緊急通報受信体制に万全を期してまいりたいと考えております。
24 ◯議長(島田 祐三君)
しばらく休憩いたします。
午前11時49分休憩
────────────
午後 1時10分再開
25 ◯副議長(村家 博君)
議長が都合により出席できませんので、私がかわって議事を進めさせていただきます。
会議を再開いたします。
一般質問及び議案の質疑を継続いたします。
6番 矢後 正孝君。
〔6番 矢後 正孝君 登壇〕
26 ◯6番(矢後 正孝君)
2003年富山市議会9月定例会に当たり、日本共産党の一般質問を行います。
最初に中小企業に対する支援策について質問したいと思います。
日本経済は、大きな曲がり角に立っています。十数年に及ぶ不況は、依然として出口は見えません。中小企業も大きな困難に直面しています。これは1999年に中小企業基本法が改定されたことも大きく影響していると考えられます。それ以前の基本法は、中小企業の近代化や高度化、また、大企業との格差是正を大きな目的としていました。しかし、新基本法では、格差はなくなっていないが生活が豊かになって、格差は実質的に意味を失ったとして、専らその重点を、経営革新と新規創業を行える、そういう中小企業の支援に移しているからです。2002年度、負債1,000万円以上の倒産は富山県内で157件、負債額470億7,800万円です。そのうち、富山市内では48件です。
ことし、2003年度8月末では、県内で49件、うち富山市が19件の倒産で、高水準が続いています。事業所数も従業員数も減少しています。平成14年度版の『富山市の商工業』という小冊子によりますと、記録は古いですが、平成8年と平成11年を比較して事業所数で7.4%、1,609事業所、従業員数で14.5%、3万555人の減少となっております。それ以降、小泉内閣によって、不良債権処理や構造改革政策がとられましたので、厳しい状況がさらに深まっているのは間違いありません。中小企業は全企業数の99%、そこで働く労働者は全体の8割を占めます。30人未満の事業所は95%、労働者は53%です。このように中小企業は、生産、流通、サービスなど各分野で多種多様な役割を果たし、雇用の大きな担い手であり、物づくりの基礎をなしています。経済社会の土台、地域経済の主役といっても過言ではありません。今の深刻な不況のもとで、行政に求められているのは、中小企業の実態に即した本格的な対策、支援を行うことではないでしょうか。
富山市でも多くの支援事業が実施されておりますが、融資対策が中心で、国の補助事業とイベント事業が目立ちます。もっと実際的な支援が必要だと考えます。
そこで、質問いたします。
東京の墨田区や大阪の東大阪市などでは、市や区の職員が一丸となって、中小企業や商店街の実態調査に取り組み、産業、商業政策で大きな成果を上げています。本市においても、中小企業がどういう状況であり、どういう要望を持っているか、まず調査に取りかかることが重要だと思いますが、見解を伺いたいと思います。
次に、中小企業を担当する部門を強化し、系統的な支援に取り組むことが大切です。経済教育委員会の視察で、北九州市へ行ってきました。北九州市では、総合的な中小企業支援センターが活動しており、さまざまなメニューが用意されて、中小企業の振興に大きな役割を果たしておりました。まず窓口相談があり、ことしの4月から7月までに285件の相談に応じております。
また、専門家を派遣する事業として、46社へ112回の派遣を行っております。さらに、大学との提携促進のために、400名近くの専門家の一覧リストがつくられておりました。そのほかにもいろいろな事業が実施されております。本市でも、こういう支援センターを本当に検討すべき時期にきているのではないかと思いますが、市の見解はどうでしょうか。
次に、地域経済の振興策について質問いたします。
地域経済を元気にすることは焦眉の課題です。しかし、一番の眼目は、よそではまねのできない特徴のある産業を育成することではないでしょうか。どんなにグローバル競争が激しくなっても、それに左右されないように、地域産業を形成することが重要だと思います。市当局でも、商業振興ビジョンやハイテク都市構想の策定が進められていますが、なるべく地域内で金が回るようにすることも考慮すべき重要な点だと思っております。株価が上昇し始めていますが、国内総支出の6割を占める個人消費が少しも伸びません。それどころか、過去2年間で勤労世帯の収入が32万円減少したという調査も発表されております。その結果、今、全国民の67%が将来に対する不安を感じながら生活しているという状態であります。
そこで、質問いたします。
財政が厳しいとはいえ、個人消費のこれ以上の縮小を避けるために、公共料金の引き上げや福祉施策の後退は避けるべきだと思います。景気の回復には、何よりも消費の拡大が必要です。地域経済に与える影響から見ても市民の懐を直撃する公共料金の引き上げなどは慎重にすべきだと思いますが、どう考えておられますか。
また、公共事業を大型プロジェクト中心でなく、福祉、暮らし型に重点を移していくことが求められていると思います。長野県の発表によれば、大型公共事業は、その8割が県外企業、地元企業が2割しか受注できない。せっかくの工事が地元を潤さない。したがって、見直しをしているということが言われております。地元業者の仕事を増やし、新たな福祉、環境の産業を興し、雇用を守り増やす上からも、公共事業を福祉、暮らし、生活密着型に変えていくことが必要だと考えますが、見解を求めます。
次に、地域金融のあり方の問題です。
制度融資については、市と金融機関と保証協会の三者で協議することになっていますが、実際は、銀行が主導権を持っていて、保証協会がOKを出しても、銀行の判断で融資が断られるケースが出ています。私のところにも相談がありました。本来、制度融資は金融機関の厳しいハードルは越えられないが、返済能力は十分にある中小企業、商工業者に保証協会の保証をつけて融資する仕組みであります。その趣旨をないがしろにして、銀行が自分の都合で貸付をしないなどとは許されるものではありません。是は是、非は非として、銀行の行き過ぎは改めるように要請していただきたいと思います。市の見解を求めます。
さらに、ネットワークの問題です。各種団体との連絡会議、諮問会議はよく行われています。私は、その上を行ってほしいと思います。元請が生産を海外に移したために、仕事が減った企業や時代の動きに乗れない企業はつぶれてかまわないということにはなりません。それぞれの技術力やノウハウを生かして、新製品を開発したり、共同受注をして、売り上げも雇用も増やすという形のネットワークづくりが全国各地で取り組まれています。東大阪市に「ロダン21」という官設民営の異業種グループがあります。1997年13社で出発し、現在150社が参加しています。水深の浅い川からでも消防車が給水可能な給水ホース用のアダプターを開発して一躍有名になり、今では年間1,000件以上の相談やアイデアが寄せられています。それらを企画会議し試作品を作り、マーケティングを経て250件を商品化しました。行政は2年間に行ったことは50万円の補助金を交付したことと、当初、連絡調整を担当して、グループが動き出すのを援助したことだけです。今では法人化して、全国にネットワークの仲間をつくろうとしています。そういう仕組みをつくるに当たって、行政も大いに支援をしていくことが重要だと思います。富山でもぜひそういうネットワークづくりを行政が先頭になって、行っていただきたいと思います。見解を求めます。
呉羽ナシの被害対策については、一昨日岡村議員が質問されましたので、割愛いたします。
最後に、70歳以上の無料入浴券について質問いたします。
70歳以上の高齢者に、市内浴場の月2回利用できる無料入浴券と、年1回「白樺ハイツ」か「古洞の湯」が利用できる入浴券、「常願寺ハイツ」の入浴券とプールの入場券が配布され、大変喜ばれております。半数以上の方が利用され非常に効果を上げていると思います。実際に利用している方に聞きますと、「この券のおかげで銭湯に入れて大変ありがたい。いろんな人と話をしたり、お互いの健康を確認し合ったり、とても助かっている」という声が返ってきます。銭湯は地域社会において、お年寄りや住民のコミュニケーションと元気づくりなどに大きな役割を果たしております。そのことは、市当局も十分認識されて、今年度から、「ぬくもりの湯サロン事業」を新設されたところであります。
日本人と風呂は切っても切れない関係にあります。余談ですが、裸で銭湯や温泉に入るのはローマ帝国のローマ人と日本人だけだと言われております。それくらいお風呂好きな民族なのです。
いま、財政危機の折から、この入浴券の見直しが検討されています。数年前から、敬老福祉金の削減や介護手当、おむつ支給の制限など高齢者福祉費が削られており、今度、入浴券も見直しの対象にするのは、住民の福祉の増進を図るという地方自治の本旨からもますます逸脱していくものと言わなければなりません。この無料入浴券は、ぜひとも継続すべきだと思いますが、答弁をお願いいたします。
以上で、私の質問を終わります。
27 ◯副議長(村家 博君)
当局の答弁を求めます。
永森商工労働部長。
〔商工労働部長 永森 勲君 登壇〕
28 ◯商工労働部長(永森 勲君)
矢後議員の御質問にお答えいたします。
最初に、中小企業支援策についての御質問のうち、中小企業の状況と要望を把握するため、調査に取りかかることが重要と思うが、見解を問うという御質問にお答えいたします。
中小企業や商店街の実態や要望を調査し把握することは、本市の商工業振興施策を進める上で極めて重要であると考えております。
国においては、1つには、「商業統計調査」、これは5年に1回、経済産業省が行います。2つには、「工業統計調査」、これは毎年、経済産業省が行っています。3つには、「事業所・企業統計調査」、これは5年に1回、総務省が行います。これらの基本的な調査が実施され、本市の商工業振興施策を図る上での基礎資料となっているところであります。
また、本市では独自に、1つには、商店の経営実態等を把握する「商店経営基本調査」、2つには、製造業などの実態等を把握する「中小企業等実態調査」、3つには、市内中小企業の景況の把握及び経営指導、支援策を検討するための「中小企業景況調査」、4つには、操業・設備投資等の動向を把握する「企業動向調査」などを行い、本市商工業の現状と動向の把握に努めているところであります。
さらに、富山商工会議所や富山市商工会連絡協議会、富山市商店街連盟などから毎年要望を受け、富山市商工議員連盟を交えた意見交換会などを通じて、中小企業等の実情を把握しているところであります。
本市では、これらの調査結果や要望等を踏まえ、これまで、制度融資の拡充や各種中小企業支援策の充実など商工業施策に十分反映させているところであります。
本市といたしましては、今後とも、中小企業や商店街の現状と要望を的確に把握し、商工業の振興に努めてまいりたいと考えております。
次に、本市でも、「北九州市中小企業支援センター」のような支援センターを検討すべきではないかという御質問にお答えいたします。
景気の低迷が長引く中にあって、中小企業の多様な課題に対する対応や、新たな産業分野の開拓などを行うための総合的な支援は重要なことと考えております。
このため、本市におきましては、これまで、1つには、「ハイテク・ミニ企業団地」や「とやまインキュベータ・オフィス」の入居企業に対する経営診断などの支援、2つには、新商品の見本市への出店を支援する「ベンチャー企業等支援事業」などを実施し、積極的に中小企業への支援に努めているところであります。
現在、財団法人富山県新世紀産業機構内に、中小企業総合相談窓口として「富山県中小企業支援センター」が設置されているほか、富山商工会議所と富山県商工会連合会内に中小企業の身近な支援拠点である「地域中小企業支援センター」が設置されております。
これらの機関では、専任の相談員などを配置し、技術、経営、金融、ITなどの相談を受け、適切な助言を行うとともに、それぞれの企業に、課題に応じた専門家を派遣しております。
市では、これらの機関と情報交換や連携を図り、1つには経営や金融、マーケティングなどの相談、2つには技術指導などの専門家の派遣、3つには中小企業支援制度や技術動向などの情報提供、4つには創業や経営革新などのセミナーや講習会の開催などにより、中小企業の支援を進めているところであります。
現在、本市では昨年度策定しました「富山市ハイテク都市基本構想」の具体化を図るため、新たな産業支援組織の設置による中小企業等の研究開発活動などの支援について検討しているところであります。
今後とも、関係機関との連携を密にしながら、中小企業の多様な課題にこたえるため、経営・技術力の向上、異業種交流、販路開拓などへの支援に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、地域経済振興策についての御質問のうち、銀行の都合だけで貸付をしないなどの行き過ぎは改めるように要請していただきたいとのことについて、市の見解を問うの御質問にお答えいたします。
本市では、平成14年1月から融資窓口に中小企業経営相談員を配置し、中小企業の経営や金融に関するさまざまな相談に応じているところであり、中小企業者の事業経営の安定化や市融資制度など各種融資制度の効果的な活用により、資金調達の円滑化に取り組んでいるところであります。
さらに、昨年11月に緊急経営基盤安定資金、いわゆる借換資金制度を創設し、信用保証協会、富山商工会議所や三商工会と連携し、長期的な視野に立った中小企業者の経営体質の改善への取り組みについて支援しているところであります。
金融機関の貸し渋りへの対応については、県や北陸財務局などで相談窓口が設置されており、また、本市でも融資窓口で対応しているところでありますが、積極的に経営改善に取り組む中小企業者に対する貸し渋りについてはあってはならないものと考えております。
市といたしましては、本年4月に、金融機関や信用保証協会などの融資担当者で構成される「富山市融資事務担当者会議」、8月には、銀行や信用保証協会などの融資責任者で構成される「富山市金融対策連絡会議」を開催し、貸し渋りなどがないよう、金融機関に強く要請したところであります。
今後とも、県や信用保証協会など関係機関と連携を取りながら、中小企業者を取り巻く金融環境の改善や資金調達の一層の円滑化に努めてまいりたいと考えております。
最後に、技術力やノウハウを生かした新製品の開発や共同受注を行うネットワークづくりを支援することが重要だと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。
お尋ねの企業のネットワークづくりにつきましては、企業が同業種または業種を超えて、技術面や販路拡大、雇用など経営全般にわたって情報交換や技術面での提携をすることによりネットワークを構築されることは、大変有意義なことと考えております。
現在、財団法人富山県新世紀産業機構や富山県工業技術センターを中心に「とやま技術交流クラブ」や「若い研究者を育てる会」が組織され、異業種間の技術交流や共同研究開発などへの取り組みがなされております。
また、ベンチャー企業が資金や販路、技術、経営ノウハウなどの経営資源を獲得するため、ビジネスプランを発表する場としての「ベンチャープラザとやま」も開催されているところであり、本市の企業も多数参加しております。
さらに、富山市団地運営連絡協議会を構成するそれぞれの団地内の協同組合などにおいても異業種交流が行われているところであり、本市も支援しているところであります。
今後とも、財団法人富山県新世紀産業機構など中小企業を支援する関係機関と連携を図りながら、総合的な支援を行うとともに、このようなネットワークづくりを支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
29 ◯副議長(村家 博君)
小池財務部長。
〔財務部長 小池 武彦君 登壇〕
30 ◯財務部長(小池 武彦君)
地域経済振興策についてのうち、まず、市民の懐を直撃する公共料金の引き上げなどは慎重にすべきだと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。
先般、赤星議員にもお答えしましたように、使用料・手数料などの公共料金は、行政財産や公の施設の使用、利用、あるいは地方公共団体が特定の人のために提供する公の役務に対し、その使用者、利用者から徴収するものでございます。
このため、長期間見直しがなされていない使用料・手数料もあることから、見直しが必要なものについては、適正な受益者負担を求め、全体として市民負担の増加を避けることが重要なことであると考えております。
見直しに当たりましては、受益に対してどの程度のコストがかかっているのかという受益と負担の関係を明確にして、市民の皆さんに御理解を得るように努めてまいりたいと考えております。
次に、地元業者の仕事を増やし、新たな福祉、環境の産業を興し、雇用を守り、増やす上からも、公共事業を福祉、暮らし、生活密着型に変えていくことが必要だと考えるがどうかという御質問にお答えをいたします。
公共事業の発注に当たりましては、地元中小企業の育成や地域経済の活性化のために、これまでも積極的に分離・分割発注を行い、業者選定に当たっては、市内業者を最優先とするよう配慮し、地元中小企業者への受注機会の確保に努めてきております。
今後、エコタウン交流推進センター検討委員会の検討結果を踏まえて基本構想をまとめてまいりたいと考えております。
次に、エコタウン第2期事業可能性調査に当たり、事業選択基準、事業開始日程、調査の進捗状況についてお答えをいたします。
エコタウン第2期事業につきましては、第1期事業の推進と並行して事業者の提案による廃棄物エネルギーセンター事業、発泡スチロールリサイクル事業、廃食用油リサイクル事業、バイオマス事業などについて事業化の可能性を探ってきたところであります。
また、本年度に入って廃タイヤリサイクル事業など幾つかの事業提案があり、調査を行っております。
事業の選択基準につきましては、エコタウン事業の基本方針であります地域内での循環を優先した取り組み、素材の有効利用と廃棄物エネルギーの有効活用、事業採算性の考慮などに加えて、既存事業者との連携や競合の回避、地域との共生を考えているものであります。
第2期事業の開始日程及び調査の進捗状況についてでありますが、廃棄物エネルギーセンター事業については研究会を設置し検討を進めているところであり、その他の事業についても事業化可能性調査を進めているところであります。
近年、各種リサイクル法が整備される中で、廃棄物の量の確保など、事業化に向けての課題もありますが、事業化が可能なものから着手を目指しており、市といたしましては、資源循環型社会の形成、環境産業の振興、雇用の確保などに向けて、平成17年度から順次事業開始を目指してまいりたいと考えております。
次に、一般家庭ごみ収集業務について、トン当たりの収集経費と職員1人当たりのごみの収集量について、直営と民間委託の場合のそれぞれの数値、現段階でのごみの収集の民間委託についての問題と今後の取り組みなどについてお答えいたします。
まず、トン当たりの収集経費と職員1人当たりのごみの収集量につきましては、平成14年度は、直営における可燃ごみ・不燃ごみの収集に係る経費は約14億3,500万円、収集量は約8万1,600トンであったことから、直営の収集・運搬原価はトン当たり1万7,574円となります。また、職員1人当たりの収集量は571トンとなります。なお、民間の収集運搬業者の収集コスト、職員1人当たりの収集量などにつきましては、把握していないところであります。
次に、ごみ収集の民間委託についての問題点でありますが、廃棄物処理法では、一般廃棄物の処理は市町村の義務とされており、一般廃棄物処理計画に従って業務を遂行することとされております。これに基づいて、直営収集や直営にかわっての委託収集が困難な場合には民間業者に許可を与え、処理を行っているところであります。このような中で、さらに民間委託を進めるに当たっては、収集のための人員とか車両などの直営の収集体制の変更や民間業者の育成などの問題があります。
このことから、ごみ収集業務につきましては、基本的には、可燃ごみ、不燃ごみは直営収集とし、資源ごみは民間委託で進めておりますが、今後の一般家庭ごみの収集方法につきましては、検討課題であると認識しております。
次に、地域新エネルギービジョンの策定の方針と策定状況、市民と事業所を対象としたアンケートの実施結果についてお答えをいたします。
本市では、化石燃料にかわるクリーンな新エネルギーの導入策について検討するため、「富山市地域新エネルギービジョン」の策定に取り組んでいるところであります。
ビジョン策定の方針といたしましては、富山市の自然環境や産業構造、行政の方針などの関連を踏まえ、富山市の地域特性や優位性を最大限に生かすと同時に、富山市の独自性を前面に打ち出すことに留意していくこととしております。
ビジョン策定の状況についてでありますが、有識者、エネルギー供給関係者などの意見を踏まえ、事業を進めていく必要があることから、「富山市地域新エネルギービジョン策定検討委員会」を設置し、7月末に第1回の会議を開催したところであります。
現在、本市におけるエネルギー需要量や新エネルギーがどれだけあるのか、その量の調査などを実施しているところであり、今後は、それらをもとに重点プロジェクト、新エネルギー導入の推進計画を策定し、本年度中に「富山市地域新エネルギービジョン」としてとりまとめることとしております。
なお、市民と事業所を対象としたアンケートにつきましては、市民1,000人、事業所500社、公共機関23カ所を対象として調査を実施し、9月10日現在で717件の回答を得ており、現在はその分析を行っているところであります。
次に、都市廃熱利用エネルギーの活用促進や導入促進対策についてお答えをいたします。
ごみの焼却場、工場、下水などの廃熱、いわゆる都市廃熱をエネルギーとして活用し、発電、給湯や冷暖房、消雪などに有効に利用することにより、石油などの化石燃料の消費を抑えることができることから、地球環境の保全を図っていくためには、その導入が必要と考えられております。
既に、本市におきましては、富山駅北地区における河川水を活用した熱供給事業や下水道の処理水を利用した消雪など、都市廃熱を利用した事業が実施されているところでありますが、今後、さらに都市廃熱エネルギーを活用していくことが必要となっていることから、その活用の可能性について、現在、進めている地域新エネルギービジョンの策定の中で検討してまいりたいと考えております。
次に、廃棄物減量とリサイクルについてのうち、「富山市環境保全率先実行計画」において、目標の達成できなかったものがあるが、その原因と対応策についてお答えをいたします。
本市におきましては、環境保全率先実行計画を策定し、紙類や水道・電気などの使用量削減に努めてきたところであります。計画の最終年度であります平成14年度におきましては、水道、灯油、廃棄物排出量が目標値を達成したところでありますが、紙類、電気、ガス、自動車燃料において、基準年である平成8年度に比べて使用量は減少したものの、目標値を達成することができなかったところであります。
御指摘のように、市民病院においては、紙類の使用料が大きく増加しておりますが、その原因としては患者の皆様への治療方針を説明しその同意を得る行為、いわゆるインフォームド・コンセントを文書により徹底して行い、質の高い医療サービスの提供に努めてきたことなどによるものと分析しているところであります。
また、この対応策につきましては、次長会議を通じて各職場に結果を周知し、数値目標を達成するためのさらなる削減努力を行うなど、今後の環境配慮の実行を要請したところであります。
次に、新たな実行計画を早急に策定し取り組むことが市民に対する説明責任を果たすことにつながると思うがどうかについてお答えいたします。
本市の環境保全率先実行計画に基づき、各種の環境配慮への取り組みが実行された結果、先ほども申し上げましたとおり、水道使用量など3項目においては目標を達成したところでありますが、その他の項目につきましては、目標の達成ができなかったものの平成8年度と比べて使用量は減少しております。
これは、各職員が環境配慮に努力したにもかかわらず、事務量やサービスの増加により達成できなかったものと考えておりますが、今後は目標達成に向けて、さらなる削減努力を求めていきたいと考えております。
新たな計画を早急に策定し、取り組むことについてでありますが、本市といたしましては、現在、前実行計画の結果を踏まえて、地球温暖化ガスの排出抑制を盛り込んだ(仮称)「新環境保全率先実行計画」の策定に取り組んでいるところであり、本年中に計画をスタートさせたいと考えているところであります。
次に、月刊タウン紙「みどりさん」の発行に当たって、広域圏の他の市町村にも事業の参加を要請すればどうか。また、掲載内容をごみ減量対策だけでなく、地球温暖化防止対策など、環境問題全般にわたる内容とすればどうかについてお答えいたします。
市では、本年5月から、市内全世帯に配布する月刊タウン誌「みどりさん」に、ごみの分別やリサイクル、環境美化活動などの身近な取り組みや地球温暖化など幅広い環境に関する情報を掲載し、市民一人一人の環境問題や循環型社会の形成に向けた意識の啓発に努めております。
そこで、ごみ減量の啓発と負担額軽減のため、広域圏の他の市町村にも事業の参加を要請すればどうかとの御提案でありますが、1つには、月刊タウン誌「みどりさん」は、全世帯への配布を前提とした北日本新聞社との共同事業であることから、広域配布について検討が必要なこと。2つには、市町村によっては、ごみの分別や環境施策の内容に違いがあることなどから、広域的な取り組みにつきましては、慎重に検討してまいりたいと考えております。
次に、掲載内容などの御提案ですが、先ほど申し上げましたとおり、月刊タウン紙「みどりさん」は、ごみの分別やリサイクル、環境美化活動などの身近な取り組みや地球温暖化など、幅広く環境に関する情報を掲載することとしており、御提案の趣旨を盛り込んだ紙面づくりを行ってきております。
最後になりますが、ダイオキシン類対策について、事業の今後の日程と事業費の負担者、考えられる財源についてお答えいたします。
平成12年度に本市が実施したダイオキシン類環境調査の結果、富岩運河の水質が環境基準を超え、また底質も高い測定値が検出されました。
このことから、河川管理者である富山県では、「富山県富岩運河等ダイオキシン類対策検討委員会」を設置し、富岩運河の浄化対策について検討を進め、これまでの委員会の検討内容をもとに、今年度以降は、1つに原位置処理方式と掘削除去方式の有効性についての確認、2つには汚染範囲及び汚染土量の確定などについて取り組んでいくこととされております。
また、国におきましては、今年度より2カ年の予定で富岩運河をモデルケースとした汚染土の無害化処理技術の開発に取り組み、全国的に汎用性のある安全、確実、安価、大量に分解無害化できる技術の確立を目指しております。
これらのことから、河川管理者の県といたしましては、今後、国の無害化処理技術開発の動向や県の各種調査の結果に基づき、実用的な浄化対策工法が決まった時点で、事業費や原因者の負担割合、財源対策などについて検討されると伺っております。
以上であります。
37 ◯副議長(村家 博君)
小池財務部長。
〔財務部長 小池 武彦君 登壇〕
38 ◯財務部長(小池 武彦君)
地域新エネルギービジョンについてのうち、来庁舎への普及・啓発と、本市の環境問題に取り組む決意表明のために、本庁舎に太陽光発電を設置してはどうかといった御質問にお答えをいたします。
太陽光発電につきましては、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないクリーンな新エネルギーであり、地球環境保全対策の一環として、市では住宅用太陽光発電システム設置補助制度を設け、一般住宅への普及に努めているところであります。
市の施設における太陽光発電システムにつきましては、国のエコスクール事業への採択を受けて、平成14年度から光陽小学校を初め、南学校給食センター、岩瀬小学校で稼働中であり、現在、建設中の市営住宅上赤江団地3号棟にも設置することといたしております。さらに、流杉浄水場の改築の際には、太陽光発電システムの導入を計画しているところであります。
御提案の本庁舎に太陽光発電システムを設置することにつきましては、費用面から大規模な太陽光発電システムの導入は難しいと考えておりますが、市民への普及・啓発を図るための設備について、今後、調査・研究をしてまいりたいと考えております。
39 ◯副議長(村家 博君)
伊藤上下水道局長。
〔上下水道局長 伊藤 泰雄君 登壇〕
40 ◯上下水道局長(伊藤 泰雄君)
地域新エネルギービジョンについてのうち、消化ガス発電システムの導入の可能性を問うのお尋ねにお答えいたします。
本市では、循環型社会、新エネルギー利用の観点から、浜黒崎浄化センターで発生する消化ガスを活用した、公害のないクリーンな消化ガス発電システム、燃料電池の導入は有意義なものと考えております。このことから、上下水道局におきましては、経営戦略会議、計画財務ワーキンググループにおいて、調査・研究を進めているところであり、この8月にはシステムを導入しております山形市の状況を視察してまいりました。
山形市におきましては、平成14年度に100キロワット2基を導入し、現在、稼働中でありますが、システムを導入して間もないことなどから、建設・管理コストの検証ができていない状況であります。
本市でも、将来のシステム導入に向けた準備として、今年度に消化ガスに含まれているメタンや水素などの有効成分と、硫化水素やアンモニアなどの不純成分を検査し、ガスの特性を考慮したシステムの検討を行うこととしております。
今後も引き続き他都市の状況等を参考にしながら、技術開発の推移、建設・管理コスト及び費用対効果などについて調査・研究を行い、導入の可能性について検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
41 ◯副議長(村家 博君)
大島教育長。
〔教育長 大島 哲夫君 登壇〕
42 ◯教育長(大島 哲夫君)
廃棄物減量とリサイクルについてのうち、学校給食の牛乳パックの資源回収について、また牛乳容器をリターナブルびんとすることについて、さらに洗える食器を牛乳の容器とすることについてお答えいたします。
牛乳パックの資源回収を実施することは、日常的に資源の循環を体感できるため、環境教育の生きた教材として意義があることと考えております。牛乳パックの回収は、現在、市内の中学校1校で、生徒の発案により自主的に実施されておりますが、飲用後、速やかに洗浄し、乾燥させ、切り開くことが必要であることから、給食時間や乾燥場所等幾つかの課題があります。
このことから、牛乳パックの資源回収については、他都市の状況等も含め、その方策について、今後、調査・研究してまいりたいと考えております。
また、牛乳容器をリターナブルびん、回収して利用できるびんということでしょうが、リターナブルびんとすることについては、資源の消費と廃棄物が抑制でき、環境負荷が軽減できるよい容器だと思っております。
しかしながら、学校では、重い、割れるなど取り扱いに注意が必要なため、現実には使用しにくい面があり、また市内の製造業者にはリターナブルびんの設備がないのが実情であります。
次に、洗える食器を牛乳の容器とすることについては、牛乳が学校に納入された後、クラス用のミルクポットに移しかえ、さらに個人の食器に配膳する必要があります。
牛乳は非常に汚染されやすい物資でありますので、移しかえることにより、細菌の汚染が懸念されることから、洗える食器の使用は難しいと考えております。
43 ◯副議長(村家 博君)
11番 高田 重信君。
〔11番 高田 重信君 登壇〕
44 ◯11番(高田 重信君)
平成15年9月定例会に当たり、自民クラブより一般質問をします。
初めに、中心地区の小学校統合について質問します。
中心地区の星井町、五番町、清水町の3小学校の統合が決定しましたが、ここに至るまで、多くの人々の努力と苦労があったことは十分推察していただけるものと思います。しかし、小学校がなくなることに対して、まだ納得ができない方もおられることも事実です。そうした中、住民にとって関心の的になっているのは、いつから統合校が建設されるのかであります。「財政的問題があり、なかなか進まないのではないか」と心配される声も聞かれます。統合については、多くの時間をかけ、3校区の責任者がそれぞれ誠意をもって対応した結果、合意に至ったわけです。その点を踏まえていただき、以下、質問しますので、誠意ある回答をお願いいたします。
初めに、統合に関しての予算(補正も含め)はいつから組み込まれるのでしょうか。そして、統合校の建設はいつから始まり、いつ開校できるのか、お聞かせください。
次に、星井町小学校、五番町小学校では、来年度からの児童の減少に対応して、2校先行統合し、統合校を星井町小学校とすることで合意し、市へ要望しました。そのことに関して、3点お尋ねいたします。
1.時間が少ない中、解決すべき課題も多く、統合までのスケジュールはどのように検討されているのでしょうか。2.清水町小学校は、統合校ができるまで単独でいるわけです。その間は、交流学習を積極的に推進していただきたいと思いますが、一般教科も含め、どの程度の交流学習を予定されているのでしょうか。3.統合すれば教職員の定数は減るわけですが、統合してからの一定期間、教師を加配してもらえないでしょうか。以上の点についてお聞かせください。
星井町、清水町の両校区は学校の跡地利用について今後協議していかなければなりませんが、富山市にとっても跡地は中心地区にある大切な土地であると思います。つきましては、学校跡地の活用法について、市として検討しておられるのか、または今後検討していくものと考えておられるのかお聞かせください。
次に、学校2学期制等について質問します。
昨年の3月に、中村議員より2学期制について質問がありましたが、教育長は、「現段階での実施は必ずしも望ましいとは考えておらず、他の都市における2学期制実施による状況等の結果を見て検討するのが適当である」と答弁されています。しかし、2学期制を導入する公立小・中学校は増えてきております。2学期制の効果として、1.充実した教育活動の実践が可能になり、基礎・基本の定着が確実に図ることができる。2.時間的なゆとりを持って、連続性のある学習活動を展開することができる。3.児童・生徒個々の学習内容の理解や習熟等、個々に応じた指導と評価の一体化を図ることができる。4.学校行事の柔軟な設定により、児童・生徒の自主的・実践的な活動を図ることができる。まとめて言えば、1つの学期を長期化することで、ゆとりの中での児童・生徒への指導・支援を充実するということになります。
実施校からは、課題も報告されていますが、メリットの方が大きいように思えます。ぜひ、富山市でもモデル校を指定し、21世紀にふさわしい新しい教育に挑戦すべきだと思いますがいかがでしょうか。
また、最近よく言われる小・中連携教育ですが、小学校から中学校への情報伝達をより深めるために、また、子供たちの個性がよりよく理解できるよう、教育カルテを小学校1年生から作成したらどうでしょうか。記入する内容等については、マニュアルを作成し統一する。そうすれば、どこの中学校へ行ってもその子供の様子がわかり、中学校もスムーズに受け入れることができます。もちろん、保護者から要望があれば、開示することにすればよいと思います。お考えをお聞かせください。
土曜活動を含め、子供たちの健全育成のためにも「児童館を建設してほしい」という要望をよく聞きますが、学校をもっと有効利用できれば児童館にかわる施設として活用できるのではないでしょうか。もっと地域に開放できるよう「学校開放マニュアル」を作成し、地域と教育委員会で管理・運営等について契約を結ぶようにすればよいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、性の健康について質問します。
8月31日の新聞に、「人口減と文明の衰退」という文がありましたので、抜粋して御紹介します。
「フランスの歴史家フェルナン・ブローデルは、文明と人口は互いに支えあっていると説いている。文明の隆盛は人口増に、衰退は人口減に結びつく。文明システムは、技術や制度に見合う固有の人口支持力を持っているともいう。この考えによれば、日本文明は、今日、隆盛期から衰退期に向かっていることになる。これを食いとめるには新しい技術や制度の導入が必要となる。ところが、現行の社会制度や経済は人口増を前提としているので、阻止するには大きなシステムの転換が迫られる。
先進国で最初の文明衰退が日本で始まったとは信じたくないが、少年による凶悪犯罪や自殺者の多さ、会社倒産など暗いニュースの連続はその証とさえ思えてくる。今後、少なくとも30年間は出生率が低下するという。その間の政治はまた、日本文明存続の正念場となる。願わくば人口減を克服した文明国家のモデルケースとして世界から注目されたいものである」というものです。読んでなるほどと思いました。とにかく最近の数々の事件を見ていると、「日本は大丈夫なのか」という不安を覚えます。日本人のモラル低下が言われて久しいのですが、このことが日本文明衰退の引き金になるのではないでしょうか。そこで、市長にお尋ねします。この文を読まれての御所見をお聞かせください。
モラル低下を象徴する社会問題の1つとして、「性行動の低年齢化」があります。厚生労働省HIV社会疫学研究班の調査によれば、2001年にある地方A県・B県の公立・私立全校の高校2年生1万1,227人を対象とした性行動調査では、地方といえども性交経験率は都会とあまり変わらず、A県、男子25%、女子27%、B県、男子20%、女子26%、東京都については男女とも約30%でありました。また、両県の生徒とも、性交渉の相手の数が4人以上いると答えた生徒が男女とも約20%も存在するのに対して、性感染症の予防と避妊のため必要であるといわれるコンドーム常用率は低率で、A県約20%、B県約30%であることがわかりました。
このような性行動の結果、若者たちの間で性感染症、性器クラミジア、性器ヘルペス、HIVなどが急激に広がってきています。クラミジア感染症で病状が出るのは、女性で2割程度であり、感染にとても気づきにくい病気です。感染すると卵管の通過障害による不妊症、子宮外妊娠、ことに切迫流産のため低体重児が生まれることが多いことが注目されています。無事出産したとしても、母子感染を起こし乳児にも影響を及ぼします。また、感染は肝臓の周囲に炎症を起こすこともあります。このようにクラミジア感染症は、女性の性の健康を犯す重大な問題のある感染症と言っても過言ではありません。また、最近では、性感染症による子宮がんの増加が目立つようになってきました。
富山県内の10代のクラミジア陽性者の推移を見ると、右肩上がりで増え続けています。特に、女性の増加が目立ちます。1997年、女性23人、男性13人だったのが、2001年、女性160人、男性32人で、女性が約7倍にもなっている状況です。実際に感染している女性はもっと多く、20人に1人が感染しているとも言われています。それだけ10代の性行動が活発化したと言えます。しかし「クラミジア感染症は致命的な病気ではないので、それほど大騒ぎをしなくてもよい」という人がいますが、本当に重大視しなくてよいのでしょうか。当局のお考えをお聞かせください。
性感染症増加の状況に対応するため、1999年4月から施行された「感染症新法」では、性病は性感染症と呼び名を変え、性感染症の扱いは、第6条第5項において、エイズと同じく「性器クラミジア感染症、梅毒」として「4類感染症」と位置づけられました。ところが、富山市保健所事業概要報告書の感染予防事業の発生状況に、クラミジア感染症が記載されていませんが、なぜなのでしょうか。
クラミジア感染症にかかっていると、エイズに3倍から4倍もかかりやすくなるという深刻な事態も報告されているのです。エイズというと、皆さんは「もう解決した問題で脅威ではない」と考えている方も多いと思いますが、決してそうではなく、これからが深刻な社会問題となってきます。
国内で報告されたエイズ患者は2,600人以上、HIV感染者は約5,200人で、2010年には5万人との予測もあります。日本では早期発見の遅れのために、発病してから発見されるケースが多く、検査体制の不備が指摘されています。なお、HIV感染者1人当たりの治療費は1カ月当たり約20万円で、生涯医療費が5,000万円以上と見積もられています。しかし、今、新たに薬の効かない「耐性HIV」が急増してきています。治療費はますますかさんできています。エイズ流行が我が国社会にどれほどの医療経済的ダメージを与えるかについても、現実的な認識を深め、手遅れにならないためにも予防への投資を強めるべきであると言われています。この点についての御所見をお聞かせください。
世界でもエイズは深刻な問題であり、患者は昨年末時点で約4,200万人にも達しました。アメリカでは、5月に「エイズ対策緊急計画」が成立。これはエイズ被害が深刻な南部アフリカ諸国とカリブ諸国に対し、5年間で150億ドル、約1兆8,000億円を支援するものです。その予算の3分の1は自己抑制、結婚するまで性交渉しないという予防教育の推進に充てられるということです。日本も予防教育を徹底すべきだと思います。HIVの拡大を食いとめるには、治療中の感染者に対する生活指導を欠かさないとともに、性感染症の予防教育に努める。エイズの偏見をなくし、対策を進めやすくするなどが挙げられます。
富山市でも、エイズ対策事業を行っていますが、報告では相談件数、検査件数は載っていますが、結果が出ていません。現在のHIV感染者、エイズ患者は何人ですか。また、現在何人が治療を受けているのでしょうか。献血の推進事業も行っていますが、献血時にはエイズ検査が行われていると聞いています。陽性の結果が出ても本人には通知がいかないということですが、それはどうしてなのでしょうか。あまりにも危機意識が欠落しているのではないでしょうか。また、その血液はどのように処分されているのでしょうか。通知をされない感染者は、何度も献血をするのではないでしょうか。そのたびに血液を処分するのでしょうが、とても非合理に感じます。どのように考えておられるのでしょうか。また、エイズ健康教育では、児童・生徒・学生の受講が増えていますが、その反応はどのようなものなのでしょうか、あわせてお答えください。
高知県の場合、10代の人工妊娠中絶率が全国平均の約2倍。15歳から19歳までの女性約50人に1人が人工妊娠中絶を行っていることになり、性器クラミジアなど4つの性病感染率は、2002年の調査で、10歳から14歳の女子が全国平均の約7倍、男子は約22倍にも上ったということです。もはや、「寝た子を起こすな」的な考え方の教育では解決できないとし、より気軽に相談できる場所として8月24日、高知市の中心街の空き店舗を借り上げて思春期相談センター「PRINK」を開設しました。
目的は、「若年層の望まない妊娠による人工妊娠中絶の増加や性病感染の蔓延など、思春期における性に関するさまざまな問題について、総合的で効果的な支援を行うため、若者が気軽に立ち寄り、性の悩みなどについて相談したり、ともに学んだりすることができる場所として設置・運営するものである」となっています。
富山市の人工妊娠中絶は、2001年で766人、そのうち20歳未満は101人で2000年より8人増加しています。富山市でも「思春期相談センター」が必要だと思います。
以上、述べてきたように、子供たちを性の対象とする環境が広まり、子供たち自身もテレビや雑誌などの影響で性行動をとても安易に考えています。性感染症などにかかれば、その被害は精神的にも経済的にも大きなものになると考えます。この輪を断ち切るためにも、行政の積極的なかかわりが必要であると考えます。
以下、取り組むべき対策を提案いたします。1.富山市の若年層の実態を把握する必要があり、アンケートを実施する。そこから対応策を探る。2.性教育というのではなく、性感染症にかかる危険性、体に及ぼす悪影響などをしっかり教え、自分を大切にする心をはぐくむことや、性道徳を身につけさせることに重点を置いた性の健康教育とし、小学生から実施する。3.病院と学校との情報交換を密にして連携を深め、正しい性に関する知識や子供を産むための知識を児童・生徒に伝え、性に関するさまざまな悩みに適切に対応できるシステムを構築する。4.高知県のように、中心街に思春期相談ルームを開設する。5.現在行っているエイズ検査などの利用率が上がるようPRするとともに、利便性が図れるよう工夫する。6.性の健康週間(11月25日から12月1日)を活用し、市民に積極的な普及・啓発を呼びかける。